最古の狐 ~幻想郷偏~ (淡宮)
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私女神様の秘書的存在になります

「うぅん・・・もう朝?」

 

凄くよく寝たと思う、我ながら熟睡していたようだ。

しかし腑に落ちない事もある。

私の部屋のカーテンは閉めて寝たはず。

ここまで明るくもならないし、ましてや少し肌寒く感じるような季節でもない。

 

はず。・・・なのだが・・・。

 

気がつくとそこは広大な盆地の中心に一本の木が生えており、その周りは四季それぞれに咲くはずの花が開花し、生い茂っていた。

 

・・・うん自分でも何を言っているかわからないな。

 

状況把握に努めていると木の根元の方から女性のものらしき声が掛かった。

 

「ん?気がついた?じゃあ早速だけど話をさせてもらうよ」

 

「えっと・・・はい、ところであなたは?」

 

「私?私は所謂神様という奴だよ、このまま状況を説明させてもらうね―――

 

女神説明中。

 

―――こんな感じ、どう?理解できた?」

 

「えーっとつまり、私はあなたの手違いによって死んでしまったから。

私をあなたの秘書みたいな存在にする、ついでに色んな所へ転生させて楽しんでもらおうと。

こんな感じな解釈で大丈夫ですか?」

 

「そんな感じ、ってことでよろしくね、咲」

 

意味が分からないよ。

納得できないけど他の選択肢はないんだよね?

じゃあこの女神様の秘書的存在にならないといけないのかー。

まぁ異世界に行けるっていうのは結構面白そうかも?

 

「わかりました、よろしくお願いします女神様」

 

「うん。じゃあ早速あなたには異世界に行ってもらうね」

 

「・・・どこの世界に行くんですか?私」

 

「一応あなたの潜在能力を解放してあげるから、異世界の事は行ってからのお楽しみ!って事で」

 

潜在能力?ちょっと楽しみかも。

どんな能力が開花するのかな?

 

「よしこれでこうすればっと・・・」

 

女神様の手がぽわっと暖かい光に包まれたと思ったら私の胸に手を添えた。

徐々に視界が光に包まれていく。

 

「もういいよー、・・・驚いたあなた神程度軽く捻れるんじゃないかな?」

 

なんだろう?なんかもの凄く体が軽くて尻尾と耳が生えたような・・・

後女神様ちょっと不謹慎な事言わないあなたも神様なんですから

 

「・・・ってほんとに生えてるし!?」

 

「あ、ここに手鏡あるけど見てみる?」

 

「お願いします・・・」

 

自分の体を見てみるとそこには所謂美少女が立っていた。

黒い髪を短くしたボブっぽい感じにして、でも角?がある?なんで?

体系は小柄みたいだね・・・顔も凄い整ってるし、これ前世の面影全くないよね?

私が言うのもなんだけどすっごい和服が似合いそう。

しかも耳と尻尾!これは狐かな?

 

「これが・・・私?」

 

「うんうん、可愛いよー」

 

「女神様も可愛いじゃないですか」

 

「あっはは、その女神様を口説かない・・・・・・ちょっと本気にしちゃうじゃん」

 

「?最後のほう聞こえなかったのでもう1回言ってもらってもいいですか?」

 

「言わないよ、そんなことはいいからさっさと行ってらっしゃい!」

 

そう女神様が言うと足元に穴が開き一瞬のうちに私は穴に強制ダイブしていた。

 

「あっ、そうそう。私も後から行くからよろしくね~」

 

え!今何か聞こえた気がするけど!っていうか物凄く重要な気がするけど気のせいにしよう、そうしよう。うん。



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こんな世界初めて見るんですが

女神様が居た凄く景色がいい盆地から一転、私は真っ暗な世界?とも呼べない所で1人修行?をしていた。

 

「だって仕方ないじゃん。こんな世界観知らないもん」

 

誰に話しかけてるんだろう?

まあいいや、とりあえず時間は一杯あるっぽいし、何かこの私になってから出来ないことなさそうなんだよね。

一応何かナ○トの世界で言うチ○クラとかそういった力みたいなものがあるから、とりあえずそれの上限を伸ばせないか修行している。

といっても、何もないから、全力で放出して倒れて起きたらまた全力で放出して倒れるって作業をしているよ。

 

「はぁ、女神様後から来るって言ってたけど、これどんな世界になるのかなぁ?」

 

まさかずっとこのまま・・・ってことはないと思う。思いたい。切実にそう思いたい。

かれこれこの世界?に来てからかなり時間経ってると思うんだけど。

そもそも時間の概念あるのかな?太陽も月も存在しないし・・・。

いっそ私が創ってみる?

でもどうやって?・・・うーん。

何か絶大な力とそれと同等の力をぶつけると次元の狭間みたいなのが出来るアニメとかってあるし。

やってみようかな?

 

えーっと、右手と左手に100%の力を込めて・・・

 

「・・・すぅ・・・・・・っせい!」

 

ッドオオオオオオオォォォォォォン

 

あっこれまずい・・・意識・・・が・・・

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「うぅ・・・ん?」

 

えっ眩しい?っていうか滝みたいな音もするし。

 

「わーお・・・これ成功でいいのかな?」

 

目の前には壮大な緑の森が広がっていた。

っていうかこれどれくらい寝てたの?

滝もあるし少なくても100年や200年じゃここまでのものにはならないよね?

え、私人間やめてる?

あ、やめてた。

 

「んーこれどうしよう?とりあえず探索しよっかな」

 

今後の方針としては人間が居るか探してみる・・・かなぁ?

居るのかな人間。・・・居てほしいなぁ。

とりあえずそこら辺から木の棒を取って適当に行く方向決めよ。

 

「人間どーこだっ・・・うんあっちの方ね、一応この木の棒持ってこう」

 

木の棒の気まぐれによって決まった方向にとりあえず行くことにした。

何か寿命とかで死ぬ気がしないからとりあえずそんな感じでいいよね?

気長に探そう。

空から見ればかなり効率良さそうだし、空を飛んでみよう。

 

「よしそうと決まれば飛んでみるか」

 

んーっ・・・ふわっ

おぉ?これは成功でいいのかな?

不思議な力はまだまだある・・・っていうか無限に沸いてくる気すらするから

どんどん探していこう!

 

 

 

きっと人間が居ると信じて、空を飛びながら探すことに決めた時。

まさかあんなに大変な事になるとは知る由も無かった。



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この世界どうなってやがりますか

人里らしき町を見つけた・・・のはいいんだけど。

何か見張りが居るからこの姿じゃ不味そうな気配がするんだよね。

私狐になれるかな?

変化の術的なノリでやってみようかな・・・。

 

「変化の術!・・・なーんてね」

 

ぼふん!

 

と音がしたと思ったら視点が低くなった。

何事かと思ったら狐に化ける事が出来た様だった。

 

えぇ・・・ほんとに出来ちゃうの?

はっきり言って出来ないと思ってた。

まぁいっか、とりあえずこれで怪しまれる事はないだろうし。もうけもうけっと。

 

狐に化ける事が出来たからと言って、正面から堂々と入って行ったんじゃ流石に不味いだろうし、とりあえず柵からよじ登ってっと。

 

 

 

ぶらぶらしながらこの後の事を考える。

どこかの民家に忍び込んでみようかな?

見つかるのは不味いけど、相手が子供だったらいいなぁ。

 

そんな事を考えていると、丁度白髪で奇抜なファッションをしている、女の子が家に入る所が目に入った。

 

よしあそこにしよう。

 

 

 

不法侵入ですどうもっと。

ふむ、丁度先ほど目に入った女の子以外の人が居ないようだし、丁度いいかな。

 

 

 

「可愛い侵入者さんね?駄目でしょう、人の家に勝手に入ってきちゃ」

 

「げっ」

 

「あら、人の言葉を喋れるのね、という事はあなたは妖怪って事でいいのかしら?」

 

バレてーら☆

これはもう正直に話そうかな、何かこの女の子年の割りに賢いし。

って・・・妖怪って言ってたけど何?

この世界には妖怪が居るって事?

これは中々ですなぁ。

 

「・・・-い?おーい?聞こえてないのかしら?」

 

「あっ、ごめん。ボケッとしてた」

 

「人の家に侵入しておいてボケッとするなんて、随分と間抜けな侵入者さんね」

 

「ご、ごめんなさい?ところで質問していいかな?」

 

「ええ、いいわよ」

 

「この世界には妖怪が居るの?」

 

「?現にあなた妖怪でしょ?おかしな事を聞くのね?」

 

「あぁ・・・私そういう分類なのかなやっぱり」

 

「とりあえずあなた名前は?」

 

「淡宮咲、これからも機会があればそう咲って呼んで?」

 

「ええ、咲。私は八意××」

 

「?八意・・・?発音難しいね」

 

「あなたも発音できないのね。じゃあ永琳って呼んで。周りからもそう呼ばれてるから」

 

「わかtt・・・八意永琳!?」

 

「?どうかしたのかしら?」

 

え八意永琳って東方Projectの登場人物だよね?それに加えて妖怪と人間が住む世界。

あ、なんか分かっちゃった☆

じゃないよ!これってまだ幻想郷がない時代じゃん!?

え、じゃあ私これから何すればいいの?っていうかここ居たら危なくない?!

絶対ロケットで月に行くとき更地にしていくよね?!

どうするどうする・・・

 

「・・・き?どうしたの?咲?またボーっとしてたでしょ」

 

「あ、永琳。うん・・・えっと、永琳ってさ。一人暮らしだったりする?」

 

「ええ、私は六歳の頃から一人で暮らしてるわよ。それがどうかしたの?」

 

「あ、じゃあ私を泊めてくれたりしない?」

 

「うーん・・・いいわよ、少なくとも咲は信用できるし」

 

よしとりあえず永琳と一緒に住ませてもらうとして。

私はロケットには乗れないから、地上で核をどうにかしないといけない訳で・・・。

うんまぁ今でも核一つくらいならどうにでもなるから、後は何年後に行くかだよね。

少なくとも永琳が子供の内は行けないだろうし。

十年後以降になる事は間違いないかな。

 

「じゃあこれからよろしくね。永琳」

 

「こちらこそ。よろしくね、咲」



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私は核爆弾に勝つ!

あれから10年の時が過ぎ、永琳は立派なおもちをおもちになりました。

・・・私のおもちはどこいったあああああああああああああ!!!!!!

 

ふぅ・・・心の中で叫んだらスッキリした。

ここ最近は永琳が忙しそうにしているから、多分もうすぐ月移住計画の最終段階に入ってると思う。

これはまだ永琳が話をしてくれてないから予想。と言う事になるけど、私なら多分大丈夫。

 

因みに人里で十年の時を過ごしている間私は何もしてなかったわけじゃなく、色んな事が出来るようになった。

例えば人の姿に戻った時は尻尾と耳を隠せるようになったし、出すことも出来るようになった。

これは良い傾向だといえる。他の人間と何の違和感もなく喋れるようになった為だ。

 

後は物や人を化けさせる事ができるようになった事。

化けさせた物によって重さが変わる為、食料を落ち葉等に変化させれば、落ち葉の軽さで大量に持ち運びが可能。

しかも時間経過せず、そのままの鮮度で味わえたり、お湯などを変化で持ち運んでも温度が変わらないという新設設計。

 

後永琳の手伝い。

 

すばらですっ☆

 

まだ色々な事が出来るようになったがとりあえずこれくらいにしておこう。

 

 

 

「って・・・誰に話を聞かせているんだか・・・」

 

「何ボケッとしてるの?また考え事?」

 

「うん。ところで永琳?私に隠し事してない?」

 

「えっ?さて何の事でしょう?私は知らないわ」

 

惚ける気か・・・。

なら此方も手段を選んでられないね。

 

「月の地図」

 

「」ビクッ

 

「ロケットの設計図」

 

「」ビビクン

 

「移住計画」

 

核心を突いていくと面白い様に反応を見せてくれた。

うんうん観念すると良いよ、永琳。

これでお別れにはならない・・・と思うけど。

また会う時まで気軽に会えないんだからさ。

 

「なんで知ってるのよ?」

 

「自慢じゃないけど、私は永琳の事ならある程度は何でも知ってるよ。それで、いつ?」

 

「・・・はぁ。聞くけど、咲は乗らないんでしょ?」

 

当然私はここでやる事があるからね。

当分暇になりそうだけど。

 

「うん、私はここで待つよ」

 

「何を待つか分からないけど・・・。はぁ、わかったわ。えっと今から五日後ね」

 

五日後は予想外すぎる・・・。

また会う日までかな~り時間かかる・・・と思うんだよ?

なのに五日後には出てっちゃうなんて。

何で知らせてくれなかったんだろう。

 

「・・・・・・何で知らせてくれなかったの?」

 

「だって咲が乗らないって言ったら、お別れになっちゃうみたいで寂しいじゃない?」

 

「突然居なくなったら私だって寂しいんだよ?これでも十年一緒に居た仲じゃん」

 

「・・・そうね。咲の事も考えるべきだったわ。ごめんなさい」

 

「うん・・・。しっかしそうかー、まさか五日後には居なくなっちゃうんだね」

 

「そうね、この計画には私が居ないといけないから、もう止められないしね」

 

「そっか」

 

「うん」

 

いつか居なくなってしまうって事はわかってたけど、当の本人といつの間にかこんなに長い時間過ごしてたんだもん。

正直ちょっと寂しいよね。

何か次に会った時に私だと分かる様な物をプレゼントしようかな?

私だと分かるプレゼントなら身に着ける様な物がいいよね、そうなるとペンダントか指輪だけど。

無難にペンダントにしようかな。

 

そうと決まれば、材料の買出しに行かなければ!

 

「ちょっと、外出てくるね」

 

「わかったわ、暗くなる前に戻ってくるのよ?」

 

「ちょ~っと約束は出来ないかな~なんて。じゃあねっ」

 

「あ!ちょっちょっと!」

 

何か聞こえた気がするけど、とりあえず無視無視っと。

プレゼントする日は最終日にするとして。

材料は糸と小さい羽が二枚に私の妖力が篭った綺麗な石かな。

 

 

 

さてさてさーて。

材料も揃ったことだしさっさとやろうか。

割と綺麗な石を創れたから、コレに私が近くに居ると光るって仕様がいいかな?

 

 

 

よし!ちょっと時間が掛かったけど、ちゃんと出来た!

私が近くに居ると光るっていうのは今はまだ発動しないようにしてあるから、後はコレを包んで二時間後に渡しに行けば良い。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アレから結局咲には会えなかったわね・・・。

今頃何してるのかしら?私に愛想尽かせちゃったかもしれないわね・・・。

はぁ・・・私は何をしてるのかしら。

 

「永琳どの、そろそろ出発のお時間です。ロケットに乗ってください」

 

「ええ。今乗るわ」

 

このまま会えないのかしら。

最後に会いたいな・・・咲。

 

「・・・・・・ーい!永琳~!」

 

!っ咲!

振り向いた先には元気に走ってくる咲の姿があった。

良かった最後に会えて。

私が月に行ったらもう会う機会なんてないものね・・・。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

よかった間に合った!

 

「おーい!永琳~!」

 

お!気づいてくれたみたい。

よかった~。これでちゃんと渡せるよね。

 

「咲!今まで何処に居たの?!」

 

「えーっとまぁちょっと用事があってね」

 

「そ・・・そう。でも最後に会えてよかったわ」

 

「そうだね。私も間に合ってよかったと思ってるよ」

 

心からね。

 

「そうだ、これ。永琳にプレゼントがあって今まで作ってたんだ」

 

「?何かしら?」

 

「まあまあ、開けてみて!」

 

「ええ・・・これは?」

 

「ペンダントだよ。私お手製で、私が近くに居るとその石が反応して光るんだ」

 

私と永琳がまた会える様に・・・。そして永琳が私に気づけるように・・・。

 

「永琳どの。もう出ます。早く中へ」

 

「ええ、わかったわ。・・・咲ありがとう。大事にするわ」

 

「うん。今度会えたら、月の話を聞かせてね」

 

「勿論、とっておきのお土産話を聞かせてあげるわ」

 

「じゃあまたね!」

 

「ええ、またね」

 

 

 

さて、永琳とのお別れも済ませた事だし。

とりあえず町から離れようか。

お相手さんはこの町を消したがってるようだし。

 

お、ロケットが出発した・・・またね。永琳。

 

直後黒光りしたものが目に映り、十年の間に創りあげた刀を地面に突き刺す。

突き刺した地面に妖力を送り地面から自分を中心に円を作り上げる。

その円をドーム状にした後は、その妖力に厚みを加え一般的なプラスチック爆弾を至近距離でも無傷で耐えられるレベルのバリアを作る。

その後は、最初に作ったバリアをバリアで囲むようにして丁度十を数えた頃に核らしきものが閃光を放つ。

 

 

 

 



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ここは何処?私は誰?

おー瞼が重い!重いよっ!助けて小次郎!

じゃ無かった。っていうか凄く瞼が重い。こんなに瞼が重いと思った事って合ったかな?

んーいっそこのまま二度寝する?

とりあえず何が起こったか整理しよう、うん。

 

えっとまず、あの日・・・まぁロケットが飛び立つ日だ。

私はペンダントを作り終わって、永琳に届けに行ったんだよね。

うん。で、永琳に届け終わった後ロケットが飛び立ったから、町から離れて・・・。

そうだ、核をそのロケットから落としていったんだ。

私は死なない様にバリアを張ったんだよね。

で、眠くなったから寝てー・・・

 

あーそれで今この状況か。把握。

さて、目を開けよう。新世界の始まりだ。?

 

「わーお眩しい。まるで太○拳を食らったみたいだ」

 

これは目が慣れるまで時間が掛かりそうだね。

その間はちょっと動けないかな、流石の私も太○拳には勝てなかったよ。

 

・・・なーんてね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

よしっ目が慣れてきた。

 

「あぁー見事に町が消し飛んでるね」

 

でも、ここまで綺麗に吹き飛んでて、更には私が知っている全ての人間が月へ行っちゃった訳なんだよね?

と、いうことはですよ?今この地球に人間が居るかも怪しいんだよ。

何してくれちゃってんですかね?

 

あー、人間求めて旅でもしますか。

 

私の中では幻想郷が出来るまで暇になる可能性の方が高そうだ・・・し。

あれ?そういえば幻想郷って神様とか居たよね?

今も居るのかな?でも、神様って信仰がないとそもそも生まれないんじゃ?

信仰も人間が居ないと出来なさそうだし・・・

 

これはもう本格的に旅をするしかなさそうな予感。

しかも千年くらいの単位で。

はぁ・・・よしもうどうにでもなれだ!

幻想郷が出来たら思いっきり遊んでやるぞ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

あれからどれくらい経った?私はもう冬を千五百を過ぎてから数えてないよ?

え?ってことは私少なく見積もっても千五百歳?うわー化け物だ・・・。

言ってて悲しい・・・。

あれから千五百年も経ってるなら人が居てもいいと思うよね。そろそろ人肌恋しいよ。

孤独な狐は狼に睨まれただけで死んでしまうのです。

なーんてね。

 

よし木があるから木の棒を拝借して方角を決めてもらおう。

よろしく頼むよキノ君!さあっ・・・。ほほうあっちですか。

よし、空から見て目視できるくらいまで空を飛んで行こうかな。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

おぉ、あった・・・ほんとにあったよ。

私木の棒に既に二回ほど助けられてるよ。

しかも今回もかなり大きい村だね!

最高!愛してる木の棒!

 

さて・・・それにしても今回も門番居るんだね。

 

ここは一旦降りたほうがよさそうかな?

それで、人の姿になって・・・っと。

 

久しぶりに人間を見るなぁ。

こうして見ると一応どうにかなるんだね。

さて、門番に怪しまれないように商人にでも成りすまそうかな?

 

「止まれ。この村に何の用だ?」

 

「ただの商人です。この村での商売をしようと来ました。通してはもらえないでしょうか?」

 

「ふむ・・・見たところそんなに荷物は持っていないようだが?」

 

あっ・・・えっと・・・どうするかな。

良い事思いついた!

 

「この村の特産品を見に来ましたので。荷物は最低限にしました」

 

「なるほど。この村にはミシャグジ様が祀られているからな。それなら納得だ、さあ入るといい」

 

「ありがとうございます」

 

おぉー!なんとかなった!すっごい緊張した。

ぶっちゃけ何も用意してなかった私を恨む!

しかしこれはまた。そういえばミシャグジ様を祀っているって言ってたような。

そう考えれば納得かな、蛇の石像があるのは。

 

「こんにちは」

 

「こんにちは。見ない顔だね?旅人かい?」

 

「そんな所です。この町にはミシャグジ様と呼ばれてる神様が祀ってるとお聞きしましたが。あの蛇の石像がそうなんですか?」

 

「なるほどねぇ。そうだよ、あれがミシャグジ様の石像。この村に初めて来たなら神社に行ってみたらどうだい?」

 

「神社があるんですね、行ってみようと思います。ありがとうございます」

 

「神社は向こうに行けば階段があるからそこを登っていくと良いよ」

 

「態々ありがとうございます。ではまた」

 

ふむ。神社か~、前世では蛇の抜け殻を財布に入れておけば金運UP!なんて言い伝えもあるくらいだし、行ってみるのも悪くないかな。

 

おっ子供達が遊んでるなぁ・・・。

こんなに元気がいい子供達が居るって事はこの村は平和なのだろうな・・・。

んーちょっと休憩してこうかな。

どこかにベンチベンチ・・・この際座れればなんでもいいや。

 

ふぅ~。やっぱり元気な子供達を見るのはいいな。

やっと見つけた村がこんなに元気な子供達が居る村っていうのは素晴らしいね。

今日も空が青いよ・・・。

 

 

 

っよし!三十分くらいボケッと空を眺めてたみたいだし。

そろそろ行こうかなっと。

 

 

 

ほほう、ここが神社ですか。

ん?蛇の像の上に人が乗ってる?

っていうかこの時代に髪の色が金髪って珍しいな。

何か蛙の目みたいなものが付いてる帽子被ってるけど。

まぁこの容姿からしてあの人だよね。

 

「あんた、何見てるの?」

 

「え?あーいや、ごめん。髪の色とその帽子をちょっと」

 

「いや、そうじゃなくて。いや、それもそうなんだけど。普通の人達じゃ私の存在に違和感なんて感じないはずだよ」

 

?普通の人達じゃ違和感を感じないってどういうこと?

 

「どういうこと?って顔してるね。私は洩矢諏訪子。この国を収める神様ってところかな」

 

「神様?」

 

「そう」ゴッ

 

「」

 

「え?なんでびくともしないの?」

 

「いやー神様に会うのは二度目だけど。好戦的じゃなかったからなー。あ、因みに私は淡宮咲。咲って呼んで。」

 

「アンタ・・・何者?少なくとも人間じゃないでしょ」

 

私の正体までは分からないんだね。

本当にこれは神様でも捻れちゃうっぽいなぁ。

はぁどうしよう、私化け物じゃん。

でも、心まで忘れたらモノホンになっちゃうし。

人間である事を止めちゃだめだよね。

 

「私は・・・少なくとも私の中では人間だと思ってるよ」

 

「・・・と、言う事は他の人間達は違うと思ってるかもと」

 

「そうだね。ほら、この通り。尻尾も耳も生えてる。けど私は人間だと思いたいかなーなんて」

 

「へぇ・・・狐の妖怪が上手く化けたもんだね。で?その妖怪だけど人間だと言ってる奴がここに何の用だい?」

 

「いや、何の用って。ここ神社じゃん。お参りに来ただけだよ?」

 

「・・・・・・えっ?」

 

 

 

ありゃ?神様固まっちゃった。あ、そんな所でボケッとしたら危ないよ。

あっ体勢崩した・・・落ちるっ!

私は咄嗟に走り出し神様が地面と衝突する寸前で受け止めた。

 

 

 

「ふぅ・・・危ないよ神様。あんなところでボケッとしてたら」

 

「あ、ありがとう・・・・・・ってそうじゃなくて!何で妖怪の咲が!神が祀られてる神社に!お参りに来てるのさ!」

 

「え?何で・・・んー。何となくとしか言い様が・・・」

 

「・・・・・・はぁ、変わった妖怪だねー咲も」

 

「そう?私ここに来てまだ妖怪に会ったこと無いからわからないね」

 

「それはそれでまた変な妖怪だよ。そうだ、これから時間はあるかい?ちょいとうちの神社に来なよ害のある妖怪じゃなさそうだし。咲に興味が沸いた」

 

神様に興味を持たれたのは初めて・・・なのかな?これでも一応神様の秘書的な存在なはず・・・そういえばあの女神様はいつ来るんだろう?やっぱり幻想郷が創られてからかな?

 

「いいの?じゃあお言葉に甘えて~」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「えええええ!?咲って私より年上なの?!」

 

いやー私って実はこの世界創ったりしたから全世界の皆より年上だと思うよ・・・?

この世界に関しては。

 

「うん。冬を越した回数を数えたけど千五百は越したと思うよ」

 

「へ~、そんなに昔から妖怪が居たなんてね~。私ですらまだ五百くらいなのに。っていうか千歳越えてるなら大妖怪じゃん!・・・ほんとに千歳越えてるの?」

 

「まぁ普段は妖力抑えてるしね」

 

「納得できない・・・証拠ないの?証拠」

 

「うーん・・・証拠ねぇ・・・これでどう?」

 

証拠が見たいという諏訪子に、私は隠していた妖力を全力で出してみた。

妖力を全部出すって何気に初めてだな~私。

 

「うっ・・・」

 

あ、諏訪子が気分悪そうにしてるからもう止めておこう。

出していた妖力を隠し、諏訪子の介抱をする。

 

「大丈夫?諏訪子ごめんね?」

 

「んっ・・・。ふぅ、もう大丈夫。でもね咲、それ妖力じゃない。神力だよ」

 

「んー?妖力じゃないって事は妖怪じゃない?じゃあ神力って・・・もしかして」

 

「そのもしかして・・・だね。咲、あなた神らしいよ」

 

「えええええええええ?!」

 

「ええええええじゃないよ、心当たりは?」

 

えっ・・・私が神様って事は・・・?

あの女神様かもしくはこの世界を創った時くらいしか思い浮かばないかも・・・?

これを話してみる?まぁそれもあり?なのかな?

 

「え・・・えと、実は私一度死んだ時に女神様に会った事があって・・・その時・・・か」

 

「うん?なんか言いずらい事なのかい?」

 

「いや・・・えっと・・・この世界を創った時・・・かな?」

 

「・・・はい?この世界を創った?」

 

「う・・・うん・・・」

 

「・・・・・・・どうやって?」

 

「何もない真っ暗な空間で世界を創ってみようと思って・・・絶大な力とそれと同等の力をぶつければ何とかなるかも・・・って思って右手と左手にそれぞれ本気の力を込めてこう・・・ぶつけ合ったら・・・つい?」

 

「いや何それちょっと怖いんだけど」

 

「怖いとか言うなし!」

 

でも本当の事だから仕方ないよね。

うんそうしよう。

それにしてもこの話は今後はしないようにしようかな。

説明面倒くさいし。

 

「まぁいいや、それよりもちょっともう一回尻尾見せてよ」

 

「え?うんいいけど。ほい」

 

「どれどれ。・・・・・・・・・おぉ!凄い!」

 

「ん?何が?」

 

「すっごいもふもふしてる!」

 

「あー確かに。気持ちよさそうだね」

 

「うん!すっごい気持ちいいよ!」

 

うーん。諏訪子は気持ちよさそうだからいいけど、私はくすぐったいんだよなぁ。

っていうか、こうしてる諏訪子は年相応で可愛いなぁ。

 

「なんかすっごい失礼な事考えてない?」

 

「考えてないよ、諏訪子可愛いなって思っただけだよ」

 

「か・・・かわっ?!」

 

「ん?どうかした?」

 

「い・・・いや、なんでもないよ・・・」

 

「そっか、そうだ諏訪子これから少しここに居させてもらっても良い?」

 

「ん、咲なら大歓迎だよ」

 

「ありがと」

 

「後、そろそろくすぐったいからやめてくれないかな?」

 

「我慢して」

 

「んー・・・お願いなら仕方ないね」

 

諏訪子が飽きるまでどれくらい掛かる事やら・・・。

まぁ飽きるまで付き合ってあげても良いかな?私もこの可愛い諏訪子を見ていられるわけだし。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

あれから三時間ほど経過した。流石にそろそろ眠いのだが、私の尻尾は未だ諏訪子にいじられている。

会話の時は抱きついてるし、なんならご飯の時は腰掛けてた。

 

「ねぇ諏訪子?そんなに私の尻尾がお気に入りなの?」

 

「当たり前だよ!あーこの尻尾が二本だったら寝れるのになぁ・・・」

 

ふむ・・・尻尾が二本か・・・やってみようかな・・・。

まず尻尾が二本になるイメージをして・・・そこから神力を振り分けて・・・。

 

「すぅ・・・はぁ・・・っはあぁ!」

 

「えいきなり何してるの?」

 

「んっ・・・はぁ・・・ふぅ・・・よし、できた」

 

「咲、尻尾が二本に増えてる・・・まさかこれをやろうとしたの?」

 

「うん、諏訪子が尻尾が二本だったら寝れるのにって言ってたから」

 

「ありがとう、咲。でも疲れたでしょ?そろそろ寝よっか」

 

「そうだね。そろそろ寝たいと思ってたんだ。ありがとう。ところで私はどこで寝れば良い?」

 

「私の布団だよ?」

 

「・・・うん。突っ込まないであげる」

 

 

 

私諏訪子のフラグ建てたっけ?

 

 

 



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もう一柱の神様と朝ご飯

「・・・ほーなるほど、すべすべのもちもちだねーこれは・・・」

 

んんぅ・・・なんだろう、頬が抓られたり突かれたりしてる感覚がするのはなんでだろう?

 

「いやー、咲って飽きないなぁ。神奈子も、そろそろ帰ってくると思うし。紹介しないといけないね」

 

「おはよう諏訪子。何独り言言ってるの?」

 

「ん?起きた?」

 

「そりゃー起きるって。私の頬を何だと思ってるの?」

 

「あっはは、ごめんごめん。それで、独り言?の件だっけ。何、ただもう一柱の神様がそろそろ帰ってくる頃だってだけさ」

 

「もう一柱の神様?神社に二柱も祀られてていいの?」

 

「いいのいいの。細かい事は気にしない」

 

「神様が適当でいいのかな」ボソッ

 

「何か私の悪口言った?」

 

「何でもないよー。細かいことは気にしないんじゃなかったの?」

 

「うっ・・・、まぁいいや。そろそろ神社に着くだろうし、着いたらご飯だね」

 

「やった、ご飯ご飯!」

 

「子供かっ」ビシッ

 

「あいたっ」

 

解せぬ・・・。ご飯を喜んで何がいけないのか。

っていうか、諏訪子と一緒に祀られてるもう一柱の神様って言ったら、神奈子しかいないよね。

この時代から一緒に居るんだー。よほど仲がいいんだね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

出迎える準備が終わり、神社の前へと足を運ぶ。勿論諏訪子も一緒に。

外に出て、鳥居の前で待っているとすぐに神奈子がやってきた。

 

「よっ諏訪子。戻ったぞー」

 

「おかえり。ほら、あれが神奈子だよ。もう一柱の神」

 

「そうなの?初めまして神奈子さん。私は淡宮咲といいます。咲と呼んでください」

 

「おう。私は神奈子、この神社のもう一柱の神って所かな。よろしく」

 

「はい、諏訪子から聞かせてもらってます」

 

「そう余所余所しいのはやめようぜー咲。私も神奈子でいい」

 

「うーん・・・。うん、わかったよ。これからよろしくね、神奈子」

 

「よろしくな」

 

「よし、自己紹介も終わったし。ご飯にしようか!」

 

「いいねそれ。丁度腹減ってたんだ」

 

「賛成っ!」

 

それにしても神様にこんな態度でいいんだろうか?

何か友達として普通に喋ってる気がするよ。

あ、でも私一応神様なんだっけ?じゃあ大丈夫・・・かな?

 

「あ、今日は咲が用意してね。私、咲の料理食べてみたいし」

 

「えっ。聞いてないよ?」

 

「今決めたの!美味しい物を頼むよっ!」

 

「おっ!咲が作ってくれるのか。これは楽しみだな」

 

「えー・・・。私そんなに料理スキル高くないよ?」

 

「いいから作るの!向こうに器具とかは全部揃ってるから!」

 

「わかった、じゃあちょっと作ってくるから。待っててね」

 

「はいよー」

 

「うん、よろしくね」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

さてっ。作るとなったらちゃんとしたものを作ってあげないといけないよね。

材料は・・・。ふんふむ。これなら味噌汁とご飯に焼き鮭かな?

っていうかここら辺に海も川も無かったはずだけど、どこから取ってきたんだろうこの鮭。

まぁ考えても始まらないよね。

よしじゃあ、お鍋に水を入れて火に当ててっと、沸騰する前に具材を入れて・・・沸騰してきたら味噌を入れてグルグル・・・っと。こんなものかな?

次はご飯かな・・・三人分だから、んー・・・二合くらい?でいっか。お米を磨いで、水を入れて釜にセットして火を付ける。後は時間が解決。

最後に鮭だけどこれはお米が炊けてからにしよう。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「はい、出来たよ~。ご飯の準備はー・・・、既に万全だね」

 

「勿論!早く食べようよ!」

 

「待ってました!」

 

諏訪子と神奈子が座って待っている所に、綺麗に、そして美味しそうに見える配膳をしていく。

綺麗に整えられた料理は、相手の本能を刺激し、食欲を煽り立てる。

普段から食べる物でさえも置く位置によって、美味しそうに見える物なのだ。

 

「さて、配膳も終わった事だし、そろそろ食べようか」

 

「うん!待ちきれないよ」

 

「何でこんなに美味そうに見えるんだ・・・」

 

「ご飯食べる前にいただきますしないとでしょ。それが終わったら食べようね」

 

「咲は私達のオカンかっ!?」ビシッ

 

「あはは・・・じゃあ」

 

「「「いただきますっ!」」」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふー美味しかった、今度からご飯は全部咲に任せようかな?」

 

「私も賛成、こんなに美味いご飯を食べさせてくれるなら、大歓迎だ」

 

「ええー、流石にそれは面倒くさいといいますか、なんと言いますか」

 

「そういえば咲は何でこの神社に寝泊りしてるんだ?」

 

「あーそういえば話してなかったっけ。これは諏訪子と会った時から説明した方がよさそうかな――――

 

それから私は、神社に来た経緯と諏訪子と会ってから話した会話、それに私が神様だという事も話した。

 

――――大体こんな感じ。わかったかな?」

 

「わかったんだけど・・・。咲って神なの?」

 

「諏訪子が言うにはそうらしいよ」

 

「私も最初は驚いたよ、妖怪だと思ってたら神だったんだもん」

 

「私は今でも人間のつもり・・・なんだけどね?」

 

「なら現人神って事でいいじゃないか。ねえ?諏訪子」

 

「あー確かに。それでもいいんじゃない?」

 

「そういう手もあるのか、じゃあ私はそれで!」

 

「そんな簡単に決めて良いのかわからないけど、まぁ咲がそれがいいならそれでいいか。それよりも咲?ちょっと私にも尻尾見せておくれよ」

 

「?いいよ。・・・はい」

 

「おぉ!本当に尻尾と耳がある!ちょっと尻尾触ってもいいかい?」

 

「うん、いいよ」

 

「あ!ずるい!私も触る!」

 

おうふ・・・。尻尾で神様釣れるんじゃないのこれ?

っていうか・・・

 

「私の尻尾を取り合わないでよ」

 

「じゃあもう一本出して!」

 

「諏訪子は昨日散々触ってたでしょ」

 

「ぶぅー・・・」

 

おぉ・・・諏訪子が頬張ってむっとしてる。何この可愛い生き物。

流石にそんな顔されたら私も揺らぐよ?いや大いに揺らぐよ?っていうか既に二本目だしたよっ!

 

「ふふっ。ありがとー咲っ!」

 

「ど・・・どういたしまして」

 

すっごい可愛くてちょっと動揺してしまった。

まずい、私なんか諏訪子と会ってからヤバイよ?

これから先にも、可愛い女の子達がいっぱい居るんだから。

幻想郷に入る前に、この世界見てみたいし。

ここを出る日もあるかもね。

まぁとりあえずは目指せ幻想郷!って事で!

 

 

 

・・・・・・後何年後だろう。



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鬼って怖いイメージあるよね

ヤヴァイ・・・
昨日の夜にUA100行った!しかもお気に入り件数が2件!と思ってたら
この話を書き終わった時点でUAが200も行きました!
本当にありがとうございます。

しかもお気に入り件数が6件も・・・ありがたやありがたや。

何かこんなに見てくれてる人も居るしお気に入り件数も増えてきてるから、お気に入り件数が10件になったら匿名投稿やめますね。

これからも私の作品を見て、離れていく人も居ると思いますし、最初から興味ないよ。って言う人も居るかも知れませんが。
離れていった人が戻ってきてくれたら、それは素敵な事だと思うので。

よろしくお願いいたします。


んー。この村に来てからそろそろ五十年かな、そろそろ別の所に移動してみようと思う。

諏訪子も神奈子も一緒に居て楽しいんだけど。この村には元々人間が居るか居ないかの確認の為に寄っただけだしね。

それにこの村にこんなにも人間がいるなら、別の所にも居るかもしれないし。

後妖怪も見てみたい。私はまだこの世界を何も知らないから、知る必要があるし。

幻想郷が作られた時に幻想郷に住む妖怪達にも会えるかもしれない。

 

「諏訪子。神奈子。急に呼び出してごめんね。私、この村を出ようと思うんだ」

 

「えええぇぇ!?ちょっといきなり過ぎるよ!」

 

「うん、そうだね。でもこれは前から決めていた事だから・・・」

 

「でも・・・」

 

「前からそうなるとは思っていたが、結構早かったね」

 

「一応五十年の時を一緒に過ごしてるんだけどね・・・。村の人達もそれぞれ子供が大人になって、お婆ちゃんやお爺ちゃんになってる人達も居るんだよ?」

 

「そうだな・・・。そう考えると結構長く居たかもしれないな」

 

「この五十年で、私達は出会い。酒飲み比べをしたり、子供達と一緒に遊んだり。洩矢神社が守矢神社になったり。結構色々あったと思うよ」

 

そう思い返そうとすれば、昨日の事の様に思い出す。

本当に、色々な事があった。色々な事を知った。

 

「うん・・・」

 

「そういえばそんな事もあったな」

 

「それにね、私はもっと世界を見たいんだ。人間は面白いし。まだ妖怪は見たことないけど、きっと面白い妖怪が居ると思う」

 

「そういえば咲は妖怪を見たことがないんだっけ」

 

「そうだよ。私は妖怪を見たことがない。だから旅を再開しようと思うんだ」

 

「未知は面白い発見でもあり。また、恐怖を覚えさせる物でもある。か」

 

そうだ、諏訪子にプレゼントがあったの忘れてた。

 

「うん、そうだ。諏訪子にプレゼントがあるんだ」

 

「プレゼント?」

 

「そう。これ」

 

「ん?咲の尻尾?」

 

「を模した抱き枕」

 

「抱き枕って・・・私は子供じゃないよ?」

 

「とか言ってすっごい頬が緩んでるのは気のせい?」

 

「き・・・気のせいだよ!ありがとう咲!」

 

「ちょっと、私にはないのか?咲」

 

諏訪子だけずるいと言わんばかりに神奈子も寄ってくる。

勿論ないわけないじゃん?

 

「ほい、神奈子にはこっち」

 

「髪飾り?」

 

「そう、蛇と蛙を模した髪飾り」

 

「何で蛇と蛙?」

 

「まあまあ。細かい事は気にしない」

 

「う、うん?まぁわかった。大事にさせてもらうよ」

 

「そうして」

 

さて・・・。プレゼントも渡し終わったし、そろそろ行きますかね。

昨日の内に必要な荷物は全て葉に変えて持ってるから、準備は万端。

 

「じゃあ、そろそろ行くね。またその内ひょっこり顔を出しにくるよ」

 

「そうか、もうお別れか。必ず戻って来るんだぞ」

 

「うん。・・・諏訪子」

 

「ほんとにもう行っちゃうの?」

 

「うん」

 

「ここに一緒に住もうよって言ったら?」

 

「考える。けど、私はまだ止まりたくない・・・かな」

 

「・・・そっか・・・」

 

「うん。でも諏訪子。これは終わりじゃない。きっとまた会えるよ」

 

「うん・・・そうだよねっ!行ってらっしゃい!咲。ちゃんと戻ってきてね!」

 

「うん。約束するよ。じゃあまたね二人共」

 

「ああ、またな」

 

「絶対に顔を出すんだぞー!!!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

あー。もう見えなくなっちゃったよ。

ちょっと未練がましいけど、しょうがないよね。

あの二人との生活が楽しくなかったわけじゃない。

寧ろ毎日が楽しかった。

 

・・・・・・。

 

はぁ。考え込んでても始まらないし、ここはいっそ景気よく歌でも歌いながら行こう!

 

「すぅ・・・・・・はぁ・・・・・・別れる為に出会った仲間なんて~居ないけど~♪」

 

「わぁっ!」

 

「うわっ!なんだなんだ?」

 

「?!え、いつからそんな所に居たんですか?」

 

「え、結構前からだけど。もしかして本当に気づいてなかった?」

 

え?!結構前って・・・。駄目だ考え事してたせいか、全く覚えがないよ。

 

「す・・・すみません」

 

あれ?よく見ると二人をどこかで見た事がある気がする。

 

「あの、お二人はどなたですか?」

 

「ん?私達かい?人に名前を聞くときは自分からってな」

 

おでこから赤い一本の角が生えた金髪のお姉さんと頭の横から二本の角が生えた少女・・・・・・。

これはアレだよね?鬼だよねどう見ても。

ってことは、この二人は・・・

 

「私は淡宮咲。咲って呼んでください」

 

「そうかい、咲。私は星熊勇儀ってんだ。種族は鬼。んでこっちのちんまいのが」

 

「伊吹萃香だ。ちんまい言うな。後咲は畏まらなくて良いよ」

 

「うん、わかったよ。よろしくね」

 

おぉ!ビンゴ!ちょっと楽しくなってきたかも。

 

「それで、咲は何者?人間じゃないよね?」

 

「私?一応神様だけど」

 

「「!?」」

 

「え、何でそんなに距離を取るの!?」

 

私が神様だという事を伝えると二人はサッと距離を取った。

解せぬ。私としては、仲良くしたいのに。

 

「神がここに何の用だよ?」

 

「ええー・・・。た・・・旅?」

 

「?旅?何で神が旅なんてしてるのさ」

 

「えっと、この世界を見るため?」

 

「なんで疑問系なんだよ・・・。私達と敵対する意思はあるのか?」

 

「それを聞くのは間違ってると思うんだけど・・・。ないよ」

 

「?何で間違ってるんだ?」

 

「だって、実はある人でもないって言えば信じるの?」

 

「いやー流石に私達もそんな馬鹿じゃないよ。咲が嘘つくの下手そうだからさ。もういいよね?勇儀」

 

「うぅ・・・それって私が馬鹿みたいじゃん」

 

「おいおい泣くなって。悪かった、悪かったってば」

 

「泣いてないもん」

 

「もんって。まぁいいや、それより咲。酒ない?酒」

 

「?一応持ってるけど」

 

「本当かい?!そりゃいいや、丁度一杯やりたい所だったんだ」

 

「え、私のお酒でやるの?っていうか、二人は大酒飲みじゃないよね?流石にそんなに持ってないよ?」

 

「大丈夫だから、ほら。始めようぜ」

 

「私ももう喉がカラカラだよ」

 

「うー・・・。わかったよ、じゃあとりあえず開けた場所に行こうよ。こんなに鬱蒼とした森のど真ん中じゃ、座るところもないでしょ?」

 

「賛成!」

 

「じゃあ、そこに着いたら頼むよ」

 

「りょーかい」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「「「っぷはー」」」

 

三人で真昼間っから酒を飲み始めた、何か酒持ってればこの二人攻略できるんじゃないかと思い始めてきちゃったぞ。

 

「いい飲みっぷりじゃないか。鬼の私達について来れるなんてやるね」

 

「本当だよ、私達以外でこんなについて来れる奴は初めて見た」

 

「それは褒めてるの?」

 

「当たり前じゃないか」

 

「そういえば、咲ってさ。神様って言ってたけど、そんな気がしないんだよね。何かしてるの?」

 

「うん、普段は隠してるよ。神力は普通にしてても出せるんだけど、どうせだし。元の姿に戻ってみようか」

 

ぼふん

 

「ほほう、咲は狐の妖怪でもあるのか?」

 

「尻尾と耳は普段隠すようにしてるんだ。っていうか、私はそもそも狐の妖怪だと思ってたよ」

 

「へー、狐・・・ね。狐にはいい思い出がないなぁ」

 

「そうだな。騙されるのが常だからな」

 

「私は騙さないよ!」

 

「知ってる知ってる。っていうか咲は騙せないでしょ」

 

「だよなー」

 

「むぅ、解せぬ」

 

「まあまあ、そうだ咲。咲の力はこれが限界なのか?」

 

「うわ、また出たよ。でもちょっと興味あるかも」

 

「私はまだ本気は出してないよ?」

 

実際に本気出したらどうなるかわかったもんじゃないからね。

 

「ほほー、じゃあちょっと咲。私と戦ってみようぜ」

 

「あ、でもここら辺じゃ勇儀が本気だしたら不味いから一度山に戻ろうよ」

 

「それもそうか、じゃあ咲。付いて来てくれるか?」

 

「え、私戦うの前提?」

 

「当たり前だ、私達鬼は強い奴と戦うのが酒と同じ位に好きだからな」

 

「まぁ、こうなった勇儀からは逃げられないからさ。覚悟しておいた方がいいよ」

 

「うぅー、わかったよ」

 

「よし、決まりだ!咲は飛べないなんて事はないよな?」

 

「一応飛べるから、勇儀達に付いていくよ」

 

「わかった、じゃあ行くぞー萃香」

 

「ほいさ!。一気に行くからちゃんと付いて来てね」

 

「う、うん。わかった」

 

 

 

二人について行く事になったけど。

これ、二人の行き先って妖怪の山だよね?

戦わなくちゃいけなくなっちゃったし、どうしよう。

あんまり友達を傷つけたくはないんだけど、後でちゃんと謝って傷治してあげれば大丈夫かな?

友達相手に手加減するのも違うから・・・私も相手の誠意に応えないといけないよね。



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鬼との戦い~勇儀~

UA300・・・。

何かみなさん本当にありがとうございます。

仕事がある日とない日で更新頻度が違うと思います。

多分ある日で1話。ない日で1話~という形になると思うので、内容は薄いと思いますが、ご了承ください。


「おい!あれ、勇儀姐さんと萃香さんじゃねぇか?」

 

「ん?どれどれ。ほんとだ、でも何か一人多くねぇか?」

 

「後一人は誰だ?」

 

「さあ?でも、久しぶりに姐さん達が帰ってきたんだ。こりゃ宴会だぞ!」

 

「当たり前だ!皆!準備するぞ!」

 

「「「おおー!!!」」」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

勇儀達の住処である、妖怪の山に着いて早々。鬼達がいっぱい集まってきた。

流石鬼の中でも最強と謳われるだけはあるね。

それぞれが、「勇儀の姐さん!おかえりなさい!」とか「萃香さんもおかえりなさい!」とか声を掛けに来てる。

 

ここは妖怪の山。天狗や河童に鬼など色々な種族が集まっている、ガッチガチの縦社会を築いている所だ。

勇儀や萃香はその中でも、上の地位に就いている。

よって、私との戦いも権力がある勇儀達の発言が通る。

誰も何も言い返せないとは、流石にやりすぎなのでは?

 

そんな中整えられた戦いの場は、周りを鬼や天狗が囲った闘技場感覚の広場だった。

 

「悪いなーこんなにギャラリーが多くなっちまって」

 

「大丈夫だよ、それより観客に被害が出ない事を祈らないといけないね、これは。」

 

「まぁ、あいつらもそんなにヤワな奴は居ないから。本気で来なよ」

 

「わかったよ」

 

でも、私からっていうのもなんかアレだし。勇儀から来てほしいなぁ。なんて。

私は刀に手を添える。前に作ったはいいが、一度しか使ってなかった代物だ。

くだらない事を考えながら、頭を冷やしていく。

極度の集中は、やがてゾーンへと誘う。

 

「っこれは中々じゃないか。咲!こっちから行かせて貰うよ!」

 

すぅ・・・はぁ・・・ん?勇儀がこっちに右手を構えながら向かってくる。気づかれちゃったか。

 

「っせい!」

 

勇儀が右ストレート、左のボディブロー。右足による強烈な蹴りを全て躱しきる。

勇儀の体勢が整わない内に反撃をする。手を添えてある刀を鞘から出す。と共に力を込めた一閃を放つ。

その一閃は勇儀の頬を掠る程度だったが勇儀が距離を取った事により、これで勇儀と私による攻防が一回終わる。

 

「っつー。ちょ、咲。何でこんなに強いんだよ」

 

「んー?一応少しは鍛えてきたつもりだからね。次は私から行くよ?勇儀」

 

「あぁ、掛かって気な」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

あれから幾度となく、一進一退の攻防が続き。

咲は無傷だが、勇儀は既にボロボロと言える所まで来た。

 

今度は私から攻める。

右足に力を入れて地面を蹴り、全力で勇儀の懐に入り居合いの構えを取る。

勇儀は一瞬苦い顔をしたがすぐに回避行動に移り、一回目の攻撃は失敗に終わる。

今度は勇儀に合わせて左足で地面を蹴る。

勇儀が速度では適わないと思ったのか、私を正面に捉え、右の正拳突きを放つ。

私の目の前に拳が突き出されると同時に、右足を軸にした左足の蹴りを放つ事で相手の攻撃を躱しつつ、打撃を与える。

 

勇儀は私の左足の蹴りを食らって吹き飛んでいく。

 

さながら、バトルアニメの様だ。

あれ、私ゴリラなのかな?

 

あっ、勇儀が戻ってきた。

 

「痛ってー。見た目と違ってすっごい強いんだな、咲」

 

「褒めても何もでないよ?」

 

「このままだと負けそうだし、どうだ?咲。最後の一回にしないか?」

 

「いいよ、でも・・・。負けても知らないよ?」ゴッ

 

「本気だねぇ、そうこなくっちゃな。皆死にたく無かったら離れろ!」

 

勇儀が叫ぶと、観客が蜘蛛の子の様に散っていく。

 

「行くぞ!これが私の全力だッッ!」

 

私は目を瞑り精神を研ぎ澄ます。無極点状態に入り、一手先を読む眼を開く。

勇儀の妖力が高まる。今まで感じた中でも一番強く、濃密な妖気。勇儀の全力を私の全力を持って叩き潰す為に正面を見据える。

 

「四天王奥義・・・――――

 

――――三歩必殺。

 

瞬間、山に轟音が響く。

 

一歩目の衝撃で周囲に突風が起こり、木々がなぎ倒された。

 

二歩目には地面が陥没し、宙に投げ出される。

 

三歩目に音速を超えて、勇儀が迫ってくる。

 

 

 

うん、視えてる。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「んぅ・・・?私の部屋?」

 

「起きた?勇儀」

 

「咲?あの後何が起きた?」

 

「勇儀が咲に斬り倒されたのさ。おはよう勇儀」

 

「斬り倒された?私が?」

 

「うん。私には何が起こったか分からなかったんだ。でも、咲がこっちに勇儀を担いで来たから、多分そうだと思う」

 

「そうかー。くっそぉ負けた~。でも咲!すっごい強いんだな、またやろうじゃないか」

 

「うん、いいよ」

 

「今度は私もやってみたいね」

 

「萃香も?いいけど」

 

「約束だからね。そうだ、咲はこれからどうするんだ?」

 

「私はまた旅をすると思うよ」

 

「そっか、じゃあ予定はないんだな。ならしばらくここに居ないか?」

 

「それはいいな!咲がここに留まってくれれば、いつでも戦えるし。咲は面白いからな」

 

「それもいいね、わかったよ。これからよろしくね、勇儀、萃香」

 

「よろしく(な)」

 

 

 

こうして、私は諏訪子の村を出てからすぐにまた新しい仲間達と共にしばらく旅を休む事になった。

やっぱり私は寂しいのかな。

でも幻想郷に皆が来たら、今度はここに居ない人達も集めて皆でわいわい楽しめるんだろうな。

 

 

 

それはなんと言うか。楽しみだね。



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スキマの妖怪ってなんか響きがえ・・・ごっほん

UA400越えありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。


「っはぁ!」

 

「っせい!」

 

ドッ!ゴォン!

 

「こっちだよ!」

 

「甘いよ!」

 

「っちぃ!ならこれはどうだ!」

 

「っせいやあ!」

 

ズドン!ガキン!

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「やー、咲強過ぎだよ」

 

「そうかな?」

 

「私達二人がかりでも勝てないとか、エグいと思うよ?」

 

「これで私達二人で合計三万六千五百敗・・・二人相手にし始めても四千七百四十五敗。化け物かと思っちまう」

 

「アハハ・・・・」

 

初めて勇儀や萃香と出会ってから、早五十年。

毎日一回ずつ二人を相手にしても負けずに頑張っています。

ここ十年くらいは二人を同時に相手しても負けはなし・・・。

 

これ何てチートなんだろう。

 

今更思った、この鬼二人を相手に負け無しって相当だと思うんだよね。

無敵チート?ステータスでも改竄したかな?

まぁそれはともかく、五十年・・・。私は諏訪子達と会ってから五十年。勇儀や萃香とも五十年。

計百年も経っているわけで、私はそろそろ旅を始めてもいいと思う。

っていうか、そろそろ旅がしたい。

 

「それにしてもまだ底が見えないね」

 

「そうだな、咲に相手は居るのか?」

 

「んー、どうだろうね?これから先に居てくれるといいな。っていうか、今度バトルロワイヤルとか開いても面白そうかもね」

 

「おっ!それいいね!いつにする?」

 

「んー、今私と戦えるのって極少数だから。いつか、としかいい様がないよね」

 

「確かに、咲と戦えるのってかなり絞られてきそうだね」

 

諏訪子と神奈子と勇儀と萃香くらいだし・・・。

 

そういえば諏訪子も神奈子も何してるんだろう?

最後に会ったのは五十年も前だからね、少し気になるけど。

後は大昔に月に行った永琳も気になる。

今頃何してるんだろう。

 

「萃香、勇儀。私はまた旅を再開しようと思うよ」

 

「お?なんだなんだ、咲出てっちゃうの?」

 

「まあ私、多分死なないと思うから。また会えると思うよ」

 

「そっかー。まあ、初めて会った時も旅してたもんね」

 

「うん。私はまだ色んな所を見て歩きたいからね」

 

「私達もそんなにヤワじゃないから、当分死ぬつもりはないし。咲と戦ってたら私達も強くなったからね。安心して行ってくるといいさ」

 

「ありがとう、勇儀」

 

「私も咲の旅を応援するよ、強い奴が居たら紹介してね!」

 

「うん、萃香。じゃあ行ってくるね。皆にもよろしく言っておいて」

 

「「任せといてよ(任せとけ)」」

 

こうして三度目の別れを告げた私は、妖怪の山を出る。

次に会う時はいつになるだろうか。

 

っていうか私って、割と意思弱い?

でも友達作りって楽しいよね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

大分歩いた気がする。夜が二回ほど過ぎて行ったけど・・・。

 

「ここどこぉ・・・?」

 

うぅ・・・迷子だよ?迷子の女の子ってほら、よく悪い大人達に囲まれてあーだこーだされちゃう奴だよね。

まぁそんな大人達に私は負けないけど。

それよりほんとここどこ?

 

「わっ・・・きゃああああああ!」

 

何々?!どこから・・・って上?!

ってか何あのリボンがついて黒いリボンキャンディーみたいな形をした奴。しかも気持ち悪い目付・・・き。

あぁ、なんか理解しちゃった。

この子スキマ妖怪の悪戯か何かで落とされちゃった系女子だ。

 

「つっ!ここにも人間!」

 

んー・・・・・・。

何かもう一個私の真上に出たよ?

これ、もしかして本人?

 

とりあえず接触を図る為にも捕まえてみようかな。

 

「?!離して!」

 

「やーだよーだ。私は君に用事があるの」

 

「用事って・・・、また私を虐げるの?!」

 

「いや、私は君と話がしたいの」

 

「話がしたいって・・・、なんでよ」

 

「なんで・・・なんで・・・。いや、話がしたいのに理由っている?」

 

「怪しい」

 

「私は怪しくないよ!っていうかどこから来たの?」

 

「知らないわ。人間から逃げる為に能力を繋げたらここに辿りついたんだもん」

 

「そっか・・・。とりあえず私は君を襲わないから、安心して」

 

「無理よ、安心なんてとてもじゃないけど出来ない。私はここから離れるから、さっさと降ろして」

 

「・・・やだ。私は君と友達になりたい」

 

「友達って・・・。だって貴方は「咲。淡宮咲、咲って呼んで」・・・」

 

ここはこの私のスーパー演技!咲ちゃんで涙目をしながら、上目遣い・・・と。

 

「・・・だめ?」

 

「うっ!?何よその目!」

 

「・・・ウルウル」

 

「わ、わかったわよ!」

 

ちょろい。ちょろいんか!

私のキャラってもしかして役得?

 

「じゃあ改めてよろしくね!私は淡宮咲。咲って呼んでね」

 

「八雲紫。友達は出来たこと無いから、好きに呼んで」

 

「じゃあ紫、私は今旅をしてるんだけど、紫はこれからどうする?」

 

「私・・・。どうせ行く宛なんてないから、しばらく一緒に居てもいいなら」

 

「全然いいよ!人間に虐げられてたって言ってたよね、私が守ってあげるよ」

 

「守って・・・くれるの?本当に?」

 

「うん、こう見えて私。神様だからね」

 

「神様?」

 

「そう神様。私は紫を見捨てない事を約束するよ。それにもう友達でしょ?」

 

「・・・そう」

 

 

 

紫と友達になった。紫は幻想郷を作るから、絶対に手を離さない。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「あっそうだ。紫が自分を守れるように少し鍛えるよ」

 

「えっ」



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スキマの妖怪と私の事

いやー本当にお気に入り10件来ちゃいました。

みなさんのお陰でここ最近楽しく過ごせています。
ありがとうございます。

遅くなりましたが投稿です。
話が中々思い浮かびませんでした笑


「ねえ、咲。私達ってどうして旅をしているの?」

 

「え、それ知らずに二年も一緒に旅してたの?」

 

「いや、そういえば聞いてなかったなと思って」

 

「この世界を見て周りたいんだ、私は」

 

「世界を見てなにがしたいの?私にとってこの世界は、苦痛でしかないわ」

 

そっか、紫はまだこの世界の極一部しかみていないんだ。

私が見てきた世界とは全くの別物。

紫には私が見ている世界を僅かでも知ってほしいな。

これは諏訪子達や勇儀達と会わせてみるのもありかもしれないね。

 

私はこの百年で私の事を知れたし。

 

「紫、あなたはまだこの世界の極一部しか知らないんだよ。これからも私に付いてきてよ、色んな世界を見せてあげる。十年。私と十年一緒に居て、それでもこの世界に苦痛しかないと言うならその時は私が世界を壊すよ」

 

「壊・・・す?」

 

「そう、前私が神様だって話をしたよね」

 

「うん」

 

「でも、私が何の神様って事は話してないよね」

 

「そういえば・・・、そうだったわね。それで、何の神様なの?」

 

「私はね、創造と破壊の神様なんだよね。だから、この世界を壊せるしあらゆる物・事・生物ですら創る事も出来る」

 

「・・・・・・。わかった、十年付き合ってあげる。咲はその十年で私が世界を好きになれるというんなら、私は咲を信じる。でも、世界は壊さないでほしい。世界に私しか居ないならまだしも、この世界には色んな人が居る・・・はず」

 

「好きまではいかなくても、少なくとも興味は持つと思うよ。そうだよ、世界には色んな人が居るんだよ。今度私の知り合いに会わせてあげる」

 

「期待してるわ、咲」

 

よし!紫が乗ってくれた、これは早々に紫の考え方を変える方法を考えるしかないね。

私は多分、諏訪子や神奈子。勇儀と萃香に会わせれば自然と考えが変わると思うんだよね。

だってあの人達を見て面白いとか少なくとも興味がわかないなんて事は思えないし。

 

「じゃあ早速だけど、紫これからある所に行くから付いて来て」

 

「う?うん。わかったけど、どこに行くの?」

 

「神社。紫、飛ばすよ、捕まって」

 

私は目的地を言った後に紫の腕を掴んで、音を越えた速度を出す。

ただ音速を出すだけだと、紫に負担が掛かるからちゃんと配慮をしている。

例えば?スピードを出しながら紫に風が当たらないように刀でちゃんと捌いてるし。

 

え?風って捌けるのって?まぁなんとかなるでしょ、実際に紫には風が当たってない、多分。

 

「・・・・・・「えっ?きゃあああああ?!」」

 

紫の口がパクパクしてるけど、何言ってるんだろう?

まあいいや、着いたら聞けばいいよね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「うぅー、咲のばかぁ・・・ぐすっ」

 

「ご、ごめんって紫。私が悪かったから、泣かないで」

 

紫が泣いてしまった、流石に急に手を掴まれてしかも音速で長距離を飛んだのだ。

子供が泣いてしまう可能性がある事は想像に容易い事だったが、早く会わせたいと気持ちが早まってしまった私の責任だと思う。

こうなってしまったのも私の責任だ、とりあえず紫が泣き止むまで慰めておこう。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「むー・・・」

 

「ごめんね、紫。もうしないから」

 

「急にはしないで!でも、ちゃんと心の準備が出来たら、その、またやってほしいかも」

 

「う、うん。わかった。じゃあそろそろ行こうか、紫」

 

泣き止んだ紫を連れて諏訪子と神奈子の所へ向かう。

この二年で紫も強くなったから、この後の予定にある勇義と萃香もきっと気に入ってくれると思う。

それに諏訪子や神奈子も私の弟子兼連れ人だからきっと妖怪であっても無碍にはしないと思うし。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「久しぶり!咲!」

 

「久しぶりだねぇ、咲」

 

「諏訪子に神奈子も久しぶり。元気にしてた?」

 

「勿論だよ。諏訪子なんて咲が出て行った後、泣き出したんだよ?」

 

「ちょ!神奈子?!咲!そんなことないからね!」

 

「全く、素直じゃないねぇ諏訪子も」

 

「所で咲、その子は?」

 

「あぁ、紹介するよ。私の子供で紫って言うんだ」

 

「私は咲の子供じゃないっ!」ビシッ

 

「なん・・・だと?」

 

「私の咲を・・・。誰が・・・」

 

「私はいつの間に諏訪子の物になった?!」

 

「ふふっ」

 

おっ紫が笑ってくれた。

 

「よーし今日は酒宴だよ!朝まで飲み明かそうじゃないか!」

 

「咲も帰ってきてるし、いいね!」

 

「今日は久しぶりに諏訪子と神奈子と飲めるのか、また飲み比べをする?」

 

「「乗った!」」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「・・・・・・zzzZZZZ」

 

紫はすっかり寝てしまった。

丁度いいかな。

 

「それでさ、諏訪子、神奈子」

 

「ん?なんだい改まって」

 

「どしたの?」

 

「紫の事なんだけど。この子、すっかり人間不信になっちゃってるみたいでさ。どうにかしようと思ってるんだ」

 

「ふーん?そうなのか?この子妖怪だろ?」

 

「そうなんだけど、私はこの子がちゃんとこの世界をちゃんと見てくれるようになると嬉しいんだよ」

 

「世界をちゃんと・・・ね。この子は何かあったの?」

 

「私が紫と会った時から離そうか。因みに紫は私が歩いている時にいきなり空から降ってきたよ」

 

「空から?」

 

「うん」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「うぅ・・・ん」

 

私は紫から聞いた事をそのまま諏訪子と神奈子に伝えていった。

紫が妖怪に生まれ、その力の不気味さ故に他の妖怪や、人間達から虐げられていた事。

私と出会ったのはその事から逃げた際の偶然の事。

 

そして、世界を嫌っていた事。

 

 

 

私が紫に世界は素敵だと、思ってもらいたい事。

 

 

 

「なるほど、ね」

 

「なんというか、咲らしいね」

 

「ありがとっ。それで、私の自慢の友達である、諏訪子や神奈子。そして旅に出た後に知り合った、鬼の妖怪の勇儀と萃香に会わせれば少しはこの世界に興味を持ってもらえるかなと思ったんだよね」

 

「おっ!照れるじゃないか」

 

「咲にそう言って貰えるとはね!じゃあその自慢の友達が何とかしてあげたいね」

 

「そうだねぇ。明日手合わせでもしてみるかい?」

 

「それもよさそうだね」

 

おっ、それはいい。

私もそろそろ私以外の相手にどれだけ紫が通用するか、見てみたかったんだ。

勇儀や萃香には悪いけど、先に諏訪子と神奈子とやってもらおうかな。

 

 

 

「それはいいけど・・・。私が鍛えてるんだからね?甘く見てると、負けちゃうよ?」



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スキマの妖怪と勝負の行方

書いてて本当にすみません。
すっごく疲れてたので、今日はちょっと休ませてください><

一応投稿はしますが、内容はとっても薄いです。

感想はいつでも受け付けてますので、お気軽にどうぞです。
後、アドバイスなどしてくれる方もいつでもWelcomです!

では、お疲れ様でした!



どうやったら毎話3000文字も行くんだろう・・・。


「まずは私とやってみようか、紫」

 

「うん、神奈子」

 

「さんを付けろさんを!これでも私達は神様なんだぞ?」

 

「妖怪にとって神様って味方ではないよね・・・」

 

「・・・ごほん、まあいいや。いつでも来な、紫」

 

「じゃあお言葉に甘えて・・・」

 

紫と神奈子の模擬戦が始まった。

致命傷を受けたとしても私がどうにでもできるから、とりあえず即死以外は何でもありで。

 

神奈子の戦い方は土着神の能力を最大限に利用した戦い方だが、本人はまっすぐな性格の為あまりこすい手は使わないはず。

それに比べ、紫の戦い方は少々特殊だ。スキマの利用して視角外からの攻撃も行ってくる。味方と共闘できる場合に置いてはこれ以上ないってレベルのサポートが出来る所が素敵な能力。

 

早速紫は蹴りを神奈子・・・にではなくその場で蹴りを放つ。

足の進行方向にスキマを開き、神奈子の首を狙う。

神奈子は紫の蹴りに気づかず首に直撃を食らう。

 

うわぁ、えげつないなぁ。

 

「いったいなぁ・・・。何で後ろから?」

 

「ふふん、教えない。教えたら咲みたいに全部避けるか往なされるもん」

 

「・・・やられたんだね」

 

「これはやられたね」

 

「・・・やられたわよ!っていうか!咲は二年間一度も私の攻撃食らってないよ!」

 

「うわぁ、咲ちょっと手加減してあげたら?流石の私もドン引きだよ」

 

「ちょっと諏訪子。その言い方は私の心に傷が入るよ」

 

「いや、私も流石に咲が悪いと思う」

 

「うぅ・・・、で、でもほら!そのお陰で紫も成長してるわけだし!」

 

「「「そんな事されてたら誰でもするわ!」」」

 

「何でハモるのさぁ・・・」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ごめん皆、私がイジけてる間に二人との模擬戦終わっちゃったみたい。

結果はどちらも紫が勝ちになったみたい。

 

なんか決着の着き方が、紫が神奈子を煽って超大技を出させたのをスキマで神奈子に当てて自爆。

諏訪子はそれを見て気をつけて戦ってたみたいなんだけど、紫の煽りがテクニシャンだったらしく同様に自爆。

 

これ、私より紫の方が圧倒的に怖いと思う。

私はどちらかというと、真正面から叩き伏せるのがやり方だからね。

でも、この戦い方だと勇儀や萃香との戦いはちょ~っと辛くなるかもしれないね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「じゃあ、そろそろ行くね。旅を急いでるわけじゃないんだけど、色々事情があるからね」

 

「もう行くのかい?また寂しくなるねぇ」

 

「うん、また会いに来るよ。諏訪子にも会いに来るから、また今度一緒に遊ぼう?」

 

「・・・うん、咲との別れは何度体験しても寂しいね。ちゃんとまた会いに来るんだよ?」

 

「そのうちね、ほら紫も」

 

「またね。諏訪子、神奈子」

 

「紫も元気でな」

 

「また手合わせしようね」

 

「うん!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

しばらく紫と歩いた後に、紫に話を聞いてみる。

私としては、紫と二人の対決がどうなったか見てたかったんだけどね。

でも紫の一撃目は見事にヒットしてたなぁ・・・。

あれ絶対痛い。

 

「で、どうだった?私の自慢の友達二人に会えて」

 

「楽しかった、神様ってあんなに面白いものなの?」

 

「それはわからないなぁ。私まだ会ったの三人目だし」

 

「そっか」

 

会話が途切れるが、私は確かに手応えを感じていた。

私と旅をする年月を重ねる度に絶対この世界に魅力を感じてもらえると思う。

だって、諏訪子や神奈子達と喋ってる時の紫の顔が笑顔だったのだから。



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スキマの妖怪と鬼の妖怪

今日も今日とて仕事を終わらせて帰って来ましたので更新です。

お気に入り15件ありがとうございます。


「さ、紫。もう一箇所私の知り合いの所に行くよ」

 

「昨日の今日でまた?今度はあんな速度で飛ばないでよね」

 

「わかってるって、というか飛ぶ暇もないくらいに近くに居たりして」

 

「お?咲じゃん、久しぶり」

 

「「・・・・・・」」

 

え、言霊という奴ですか?

何この偶然、私能力も使ってないし。

能力使えばなんでも出来ちゃうからあまりしないし。

 

「なんだなんだ?何で固まる。そしてそっちの子供は誰だい?」

 

「質問を質問で返すようだけど、なんでこんなところに居るの?萃香」

 

「ん、最初に会った時もこの辺だったよ?」

 

「そうだったっけ。覚えてないなぁ」

 

「で、咲は旅に行ったんじゃなかったっけ?」

 

「そうなんだけど、ちょっと萃香達に用が出来たから妖怪の山に行くところだったんだよ」

 

「そうなの?偶然だね。それで、用ってのはまた勝負でもしてくれるのか?」

 

「あー、そうだね。勝負しようか、でもこっちは私じゃなくて・・・。こっち」

 

「?この子供が?おいおい咲、とうとうボケたのか?」

 

「そういう貴女も子供じゃない。咲、なんで子供なんて相手にしないといけないのよ」

 

「お?言ってくれるねぇ。いいじゃないか、私が相手になってあげるよ」

 

「紫、萃香は鬼の妖怪だよ。諏訪子や神奈子達より強いと思うよ」

 

「ふふん。そうさ、私は鬼の妖怪だから自慢じゃないけど強いと思うよ?・・・・・・咲には二人がかりでも勝てなかったけど」

 

「ん?最後の方聞こえなかったけど、何か言った?」

 

「いや、何も言ってないよ」

 

おかしいなー、何か言ってた様な気がするんだけど。

まぁいいや、紫に会わせたかった三人目の人物に会えた事だし。

 

「あ、そうだ。勇儀は?」

 

「呼んだか?」

 

「アレー・・・」

 

萃香に聞いたつもりだったんだけどなぁ。

っていうか萃香も勇儀もこんな所で何してるんだろう?

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふぅん?なるほどね」

 

「それで私達は何をすればいいの?」

 

勇儀と萃香に事情を説明し、了解を得た。よしっ!これで下準備は整う。

後は旅をすれば自然と紫も笑顔が多くなるはず!

やはり可愛い子には笑顔が一番だよね。

 

「さっきも言ったように、一対一の勝負をしてほしいんだ。ただし即死するような攻撃はなし、それ以外は何でもあり。相手に砂をかけようが、目を潰そうが判定負けというのはなしの勝負だよ」

 

「何だそれ、結構えげつない事をサラっと言ったよな。今」

 

「うわぁ、目を潰されるのは嫌だなぁ」

 

「じゃあやってもらおうか。私の友達はこんなにも素敵なんだぞ!という事を紫に教え込んできてね!」

 

「ちょ!咲!照れるからやめろ!」

 

「それほどでもないさ~」

 

おぉ、二人して顔を赤くしてる。可愛いね。

さて紫はこの二人相手にどう立ち回るのか。

紫はまだ二年しか私と手合わせしてないからね、対して勇儀と萃香は元の身体能力に+で私と五十年毎日模擬戦をしてたから。大分強くなってるし。

 

まぁまず紫は負けると思う。

可愛い子には旅をさせよってね。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「で、なんでこうなってるの?」

 

「ん?何って酒を飲んでるでしょ?」

 

「何んだ?ボケてきたか?」

 

「咲?どうしたの?」

 

え、勝負するんじゃなかったの?

昨日はわかる、だって夜だったし。

でも今日はまだ夜っていう時間じゃないんだよ?

 

「いや、それはわかるんだけど。なんでお酒飲んでるの?しかも三人して。ついでに私の分も注いであるし」

 

「そんなことはいいからほら。ぐびっと!」

 

ちょいちょい、と手を口元で動かす萃香に導かれるように私は注がれたお酒を飲み干した。

 

「うぅ・・・。何でこうなった・・・」

 

「まだそんな事言ってんの?紫はもうすっかり出来上がっちまったよ?」

 

「嘘でしょ?!」

 

「全く!これだから咲は!最初に会った頃なんて超可愛いと思ってたのに!」

 

「うわ、ほんとだ・・・。っていうか何を口にしてくれてるのかな紫ちゃんは」

 

「・・・・・・zzzZZZ」

 

「寝た?!早すぎるよ!」

 

これ、また明日に持ち越しかなぁ。

何かあっという間に十年過ぎそうな予感。

 

「お、咲。久しぶりに飲み比べしようじゃないか。そうだ、負けたら今までで一番恥ずかしかった事を語るってのはどうだ?」

 

「いいねそれ、乗った」

 

「乗るな!」

 

「いいじゃん咲、本気で飲み比べしようよ」

 

「昨日飲んだばっかりなんだよね私」

 

「えー、私達とは飲めないってのかい?」

 

「う・・・。そんなことないよ!よーしやってやろうじゃん!」

 

「(ちょろい)」

 

「(ちょろいね)」

 

私ってもしかしてちょろい?

あれ、紫より私の方がちょろかった?

まぁいいや、友達のお酒が飲めないわけない!

こんなの気合でどうにでもなる!

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一杯目。十杯目。十五杯目。三十杯目。五十杯目と順調に飲み干していく。

もちろんこうなったときのお酒は割らない。ロックだ。

 

丁度二百五十杯目に差し掛かった時、私の意識が飛んだ。

 

最後の言葉はそう。

 

「なんでこんなにいっぱいおしゃけありゅのぉ・・・?」

 

だった。




何か基本戦闘シーン書いてない気がします。
戦闘シーンって難しいと思う。

後主人公はそんなに戦いません。


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スキマの妖怪の希望

UA1000突破してました・・・。
しかもお気に入りが19件に増えてる。

いつも読んでくださり本当にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。


「うぅ、気持ち悪い」

 

「咲、一昨日何杯くらい飲んだの?」

 

「うーん、軽く百は越してたかも?覚えてないよ」

 

「うわぁ、私達でも昨日の咲について行くだけで結構酔ってたのに咲は前日にもう百杯以上飲んでたのか」

 

「うっぷ、やめたげてぇ」

 

「じゃあとりあえず咲が復活するまで時間掛かるだろうしやろうか」

 

「ごめんねぇ、紫ふぁいと~。・・・うっぷ」

 

「咲があんなだとなんか調子抜けちゃうわね」

 

しょうがないじゃない。

能力使えばこんなのちょちょいのちょいだけど、これもまたお酒の楽しみでもあるんだから。

後極力能力は使いたくない!

 

はぁ、でもまぁ紫はこの二人相手にどこまで立ち回れるか気にはなる。・・・んだけど、ちょっと気持ち悪いっていうか頭痛い。

寝たいなぁ、こういう時こそ寝て治せ。だと思う。

でも流石に紫と二人の模擬戦を見ないわけにもいかないし、っていうか昨日見てなかったし。

見てあげないとだよね、師匠は見守る事も必要!

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「さて、っと。準備完了も終わったし、かかってきなよ。紫」

 

クイクイっと手を手首から折り指を立てて指先を振る挑発を入れたのは、勇儀。

最初は勇儀とやるみたいだ。

 

「っ!」

 

お?今日は奇襲からじゃなくて普通に突っ込んでいくのかな?

 

勇儀も神奈子と同じ種類の戦い方をする。真っ直ぐ力でねじ伏せるような戦い方。

でも勇儀は神奈子みたいに攻撃の方法に速度がない訳じゃない。一発の火力はともかく神奈子は手足による攻撃ではなく、能力を使った戦い方なのでその分地形を変えたりする事がある分、長期戦になるとジリ貧になるのに対して。

勇儀は手足による攻撃が主な手法なので、懐に入るスピードや、勇儀の三歩必殺とかはかなりの威力とスピードがある。

 

よって、神奈子や諏訪子みたいに最後に挑発して相手の攻撃をそっくりそのまま相手に、という戦法が使えなくなる。

私ならやれるけど、紫はあの速度には目ですら追いつけないだろうし。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

紫は左足の蹴りを放つと同時に後ろに妖力の弾を作り、放つ。その先にスキマを開き、勇儀の背後から妖力の弾を放出させる。

勇儀が蹴りを右腕を使って止めると、紫は一度引いて、正面からも妖力の弾を放つ。

 

うまい・・・。でも、勇儀はその程度の火力じゃ倒せない。

 

紫はそのまま一度引き、勇儀が妖力の弾を食らった場所を警戒している。

 

あ、後ろ・・・。

 

紫が吹っ飛んだ。

勇儀が紫を蹴ると、面白い様に吹っ飛んでいく。

飛んだ先に勇儀が追い討ちをかけて行くも、紫は何故か勇儀の後ろから現れる。

 

スキマの使い方が上手いね、これなら勇儀も翻弄されると思う。

っていうか紫もタフだね。

 

紫は吹っ飛ばされた先にスキマを作って勇儀の後ろに出現させ、そのまま蹴りを入れると今度は吹っ飛んでいくのが勇儀に変わる。

今度は警戒をするだけではなく、追い討ちをかける様で両手に妖力を集中させスキマを四つ同時に開き、そのまま均等に妖力の弾を放り入れる。

勇儀が止まった場所で起き上がると、四方向にスキマが出来ていてそこからどんどんと妖力で作られた弾が迫ってくるが、構わずスキマに向かっていく。

 

"スキマから"妖力の弾を放っているという事は"スキマに"入れば紫の目の前へ・・・。

 

「っふ!」

 

「ッ!?っぐ!」

 

あ、これやばいかも。

 

「そこまで!」

 

「ッ?!」

 

勇儀が追い討ちに右ストレートを放っている所を後ろで右手を使って受け止めながら、左手と腕で紫を支える。

 

「紫、大丈夫?」

 

「・・・、咲?」

 

「立てそう?」

 

「ちょっときついかも」

 

「了解」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

流石に勇儀まだ早かったかな?

この後の萃香戦も辛そうかな?勇儀並みの火力はないが、勇儀にはない戦い方をしてくる。

そういえばこの二人って、諏訪子と神奈子と同じような戦い方の違いがあるよね。

 

とりあえず・・・

 

「勇儀?」

 

「はい」

 

「言いたい事は?」

 

「ほんっとうに申し訳ございませんでした」

 

「・・・もう、あそこで追い討ちかけてたら絶対に再起不能になってたからね?」

 

「はい」

 

「私が居ないところで、紫と勇儀はもう戦っちゃだめだからね?」

 

「はい、仰せの通りに」

 

「・・・ふぅ、もういいよ。ちゃんと反省してね?」

 

勇儀が土下座してる。ちょっと面白いかも。

萃香戦はまた後日にしようかな、紫の体力が持たない。

傷や骨が折れた所とかは全部治してあるけど、流石に今日はおしまい。

 

私はまた飲まされるのだろうか?

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「紫、もう大丈夫?」

 

「うん、咲。ありがとう」

 

「気にしないで、それよりも戦ってみてどうだった?」

 

「うーん、集中してたからよく覚えてないけど。でも面白いね」

 

「面白い?」

 

「うん、この世界も案外捨てた物じゃないのかもね」

 

「・・・ふふっ、紫が気づいてくれてよかったよ」

 

「や、やめてよね?馬鹿」

 

「え、ば・・・馬鹿?今馬鹿って言った?!」

 

「言ったわよ!それがどうしたのよ!」

 

「がーん」

 

「がーんって口に出してしょげてる人初めて見た」

 

 

 

「「ふふっ・・・あはははははは」」

 

 

 

お互いがお互いの顔を見ながら大爆笑した。

 

この日、紫は小さな光ながらも、この世界に希望を見出した。

 

その小さな光は、紫の心に優しい火を付けてくれる。

 

 

 

その日、紫は笑う。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 



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スキマの妖怪と花の妖怪

遅れましたーすみませんっ!
沖縄に旅行行ってました!

これからはちょくちょく更新していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。


「紫ーそろそろ行くよー」

 

ドタドタドタ・・・・・・

 

「ちょっと待ってよ咲ー!」

 

「んー?なんだい咲、もう行くのか?」

 

「うん、萃香。これでお別れだけどまた会えるよ」

 

「そうか、また寂しくなるな」

 

「ありがと、でも紫も二人に会えた事は大きいと思う。これからも紫をご贔屓にねっ」

 

「お、なんだなんだ。また行くのか?」

 

「勇儀もありがとね、今度は私も相手してあげるよ」

 

「おっそれは腕がなるねぇ!」

 

「へぇ、じゃあ私達ももっと鍛えておかないとな」

 

そんな事を話していると、準備が出来た紫が屋内から出てくる。

 

紫はすっかり笑顔が多くなった、昨日からだからまだそんなに見てないけど。

でもやっぱり女の子には笑顔が良く似合うと思う。

 

「ほら紫も挨拶しないと、これから少し二人とも会えなくなるんだから」

 

「はーい、えっと勇儀。今度は私が勝つからね!」

 

「いい宣戦布告を貰った、またやろう。あ、でも咲も一緒に連れてきてくれよ?」

 

「あはは。萃香、今度はちゃんとやろうね」

 

「私は不完全燃焼だったからなぁ、その分咲とやるのはありだったけど。まぁ次会うときに相手してくれるみたいだからね」

 

「ごめんねっ!次に持ち越しで!」

 

「次は絶対私が勝つから、それまで首を洗って待っててね!」

 

「「おう/あいよ」」

 

「じゃあ紫、行こうか。今日からはまた宛てのない旅になるけど、楽しい旅になるよきっと」

 

「うん、またねー勇儀!萃香!」

 

「「またな!」」

 

お別れの挨拶は済んだ。

これからの旅は、宛てのない旅。

でも希望は見つけてある。

紫は前よりも笑顔が増えたし、私も一人旅じゃない楽しさが増えた。

 

もちろん一人旅が楽しくなかった訳ではない。

 

一人でぶらぶらして過ごすのも悪くはなかった。

でも、紫が居てくれるのが大きいのか、それとも傍に人が居てくれるのが大きいのか。

どちらにせよ、一人旅では出来なかった事も出来るようになった。

 

私も紫には感謝してる。

 

幻想郷を目指していざ行かん!ってね。

 

「さて、旅を再開しようか。紫」

 

「うん」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

道に迷った。

まあ元から目的地がないわけだけど、ここはほんっとうに何処だか分からない。

視界一面のお花畑とか、すっごい綺麗なんだけど。

 

「ねえ咲、このお花なんて言うの?」

 

紫は一輪の、しかしこの場所にはかなりの数生えているひまわりを指差して聞いてきた。

 

「んー?それはひまわりって言うんだよ。お花にはそれぞれ花言葉っていうのがあってね、そのひまわりは"憧れ"や"あなただけを見つめる"っていう花言葉があるんだよ」

 

「そうなの?結構前から知ってたけど、咲って物知りだよね」

 

「雑学程度だよ・・・ん?」

 

何か今微かだけど物騒な言葉が聞こえたような。

ちょっと調べてみようかな。

幸いにもここのお花畑に咲いてる花々は丈が高い。

 

「紫ー、ちょっと調べたいことがあるからついてきて」

 

「うん?わかった」

 

「そうだ紫、ちょっと能力で上から全体を見れない?」

 

「出来るけど、何かあったの?」

 

「ちょっと気になる事が出来ちゃったから」

 

「了解・・・はい」

 

「うん、ちょっと借りるよ」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ここら辺の花は俺達が貰ってくぜ、文句はないよなぁ?妖怪の嬢ちゃん?」

 

「は・・・はいぃ」

 

「よし、お前ら!許可は貰った!俺達で一儲けすんぞ!」

 

「「「「おー!!!」」」」

 

「あぁ・・・私のお花達が・・・」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「あっちの方向・・・か・・・。流石の私もちょっと許せないかなぁ」

 

「?何かあったの?」

 

「うん、ちょっとこれからお花に負担が掛からないように全力で走るから、後からついて来て」

 

「わかった」

 

紫の返事を聞いたと同時に瞬時にトップギアまで入れた走り出しをする。

もちろん花には負担が掛からないよう細心の注意をしている。

結構距離があったけど、私からすればその程度の距離はないと言ってもいいかもしれない。

けど、それと女の子の泣き顔は別だ。

流石にこんな事で女の子の泣き顔を見るのは気分が悪い。

 

 

 

「ねえ、ちょっと君達?」

 

「てめっ!どっから出てきた!」

 

「ちょっとお花摘みはやめてもらっていいかな?」

 

「はっ!俺達はちゃんと許可取って花を摘みに来てるんだぜ?お前にそんな事言われる筋合いはないな」

 

「じゃあその許可を貰った子が泣きそうなのはなんで?」

 

「さあな、なんでだろうな」

 

「・・・そっか。じゃあちょっと今日は帰ってもらえるかな?」

 

「何で俺達がお前の言う事を聞かなきゃならん」

 

「帰れ」ゴッ

 

「ひぃっ!?わ、わかったよ!おいお前ら!邪魔が入った!今日は撤収するぞ!」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「咲~?全力で走るなんて何かあったの?」

 

「うん、実はカクカクシカジカで」

 

「なるほどー大変だったね・・・って分かるかっ!」パシッ

 

「いてて、まぁこれから話聞けるよ。ね?妖怪さん?」

 

「ひっ?!ご、ごめんなさい。苛めないでくださいぃ」

 

「?誰?」

 

「苛めたりなんてしないよ。君名前は?」

 

「えっと・・・、幽香・・・風見、幽香です」

 

「幽香・・・か。うんいい名前だね。それで、いつもあんな事が?」

 

「は、はい、私が育てたお花達が・・・」

 

「いつから?」

 

「えっと・・・二、三年前くらい、から」

 

「そっか・・・、ねえ幽香。あなたはどうしたい?」

 

「大切なお花達を持っていって欲しくない・・・です」

 

「うん。わかった、幽香。あなたには今二つの選択肢がある。一つ目は、"私が"やめさせる方法。二つ目は"幽香が"やめさせる方法」

 

「・・・それって」

 

「うん、私がやるにしても幽香がやるにしても。どちらにせよちょっと痛い目を見てもらう必要がある」

 

「・・・わかりました、私がやります」

 

「・・・わかった、じゃあ幽香をこれから鍛えるよ。紫もついでに相手してあげるから、とりあえず紫が幽香に戦い方を教えてあげて」

 

「何か勝手に話進んじゃってるけど、咲がそういうなら」

 

「ありがと、じゃあ幽香。とりあえず幽香が紫と同じレベルに達するまで、私がこのお花畑を守るよ。それからは私も訓練に混ざるから、よろしくね」

 

「はい・・・ところでお二人の名前は?」

 

「私は淡宮 咲。咲って呼んでね」

 

「私は八雲 紫。紫って気軽に呼んで」

 

「咲さんに紫・・・うん。覚えた」

 

「なんで私は呼び捨てなのよ」

 

「だって同じくらいの年だもん」

 

「私の事も呼び捨てで呼んでね、幽香」

 

「え・・・、はい・・・わかりました」

 

「じゃあ紫、頼んだよ~」

 

 

 

紫と幽香が特訓してる間、私は見張りをしてないとね。

とりあえずこれから先何が起こるかわからない。

何か、前世の記憶がぼやけててこの先の展開が読めないからだ。

多分原作だと過去偏は無かった・・・と思うから、読もうにも読めない。

 

幻想郷が作られるまでに原作の知識は全部忘れると思う。

この先何があっても大丈夫なように、私もちょっとは備えておかないと。

 

 

 

皆を悲しませる事が無いように。

 

 

 

「さって、探知の結界張りますかっと」

 

 

 



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スキマの妖怪とライバル

お久しぶりです。
勢いだけで書き始めた作品なので、間が空いて何も思いつかなくなってしまいました。
ちょこちょこ頑張っていこうと思いますので、よければこれからも読んでいただけるとうれしいです!

それではまた!


探知の結界を張り終えた私は、遠くから紫と幽香の特訓を見る事に徹した。

それから何ヶ月かは人の出入りは全くと言って良いほどに無かった。

ある日を境に急激に成長を始めた幽香は、紫ともいい勝負が出来るようになってきていた。

 

「っせい!」

 

「まだまだ!これで終わりっ!」

 

っきゃ!っと短い悲鳴が聞こえた後、ずざざっと地面に転がっていったような音が聞こえる。

 

「お疲れ様。まだ紫には勝てないみたいだけど、いい勝負になってるよ。これなら人が来ても大丈夫だと思う」

 

声を掛けながら水を差し入れる。

幽香はありがとうと一言お礼を入れながら水分を取る、紫にも同様に水の差し入れをしておく。

 

「やっぱりまだ勝てないわ、いきなり真後ろから攻撃してくるとか反則よ」

 

「それでも対応出来る様になってきてるんだもの、これは私のライバルになりそうな予感」

 

「もう十分ライバルの域じゃん、それにしてもたった数ヶ月で紫と互角に戦えるようになるなんて思っても無かったよ」

 

「そうね、私もまだまだだったという訳ね」

 

「そうでもないわ、早く自分の事くらい守れるようにならなくちゃって思ってたから・・・」

 

そろそろ私も訓練に参加しようかな、ここ数ヶ月人の出入りが無かったし多少目を離してもまだ大丈夫でしょう。

念のため探知の結界は強めに設定しておくとして、後はここに被害が出るかもしれないからその為の結界も張っておこうね。

 

「私もこれからは訓練に参加するよ、二人共明日からはちょっと厳しいかもしれないけど、頑張ってね」

 

「「上等よ!/やってやろうじゃない!」」

 

二人共に気合は十分、今日の内はしっかり休むように言っておきながら私は少し風に当たるようにと散歩をし、ある程度ぶらぶらと歩いた後に明日に備えて少し体を休めることにした。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「おはよう。紫、幽香」

 

「んんーっ。おはよう」

 

「二人共おはよう」

 

二人と共に朝食を済ませ、訓練を始める。

最初は二人で組み手。

体が温まった頃を見計らって私も訓練に混ざる。

 

「二人共遠慮しないで全力で来てね」

 

「わかってるわよ。紫がこのレベルなんだもの咲はもっとレベルが高いのでしょう?」

 

「勿論、私は最初から全力で行くよ!」

 

「じゃあ模擬戦・・・開始!」

 

開始の合図と共に幽香が突進、右足での回し蹴りを放ち紫がスキマで後ろに回りこみ同じ右足での回し蹴りを放ってくる。

それをしゃがみ込む事で躱し、そのまますかさず足払いをするがそれをジャンプで回避される。

着地と同時に幽香が地面を踏み込みそのまま突進、右のストレートを放つ。

右の身を傾けながら躱そうとした時に幽香がスキマに飲み込まれる。

後ろから来る紫の妖力で作られた弾を同じく神力で弾を作りそれぞれに一発ずつ当てる。

妖力で出来た弾と神力で作られた弾が弾けると同時にその後ろから幽香が飛び出してくるがそれも手で軽く往なす。

 

「凄いね、これ本当に初めての協力戦?良いコンビだね」

 

「それ、本当に驚いてる?私達の攻撃一回も通ってないよ?」

 

「ほんとに咲ってどんな戦闘センスしてるのよ」

 

「えへへ、褒めても何も出てこないよー?じゃあ次はこっちから行かせて貰おうか・・・なっ!」

 

最後の言葉を発すると同時に踏み込み、地面を蹴る。

話をする前間に距離を取っていた幽香に一瞬で距離を詰め、掌打を腹に向けて放つ。

 

「ッ?!」

 

反応できなかったのか、もろに食らってダウンした幽香を少し離れた場所に置いて紫を探す。

気を張って紫の居場所を探すが、姿も見えないし気配もない。

 

「(ん~これはちょっと嫌な予感・・・多分、いや間違いなくスキマの中だとは思うけど。何を狙ってるんだろう?)」

 

と考え事をしていると目の前にスキマが現れ、そこから二本の指が突き出されてきた。

 

「わっ!危なっ!ゆーかーりー!」

 

「あれも躱すの?!」

 

「み~つ~けた~!覚悟せいっ!」

 

スパンッと良い音と共に紫の頭にはチョップがプレゼントされていた。

 

「うっ」

 

「ふぅ、終わりかなっと」

 

紫を抱えて幽香と同じ所に横にさせる。

二人に神力を妖力に変えて少しずつ与えていくと、気を取り戻す。

幽香にはもうちょっと妖力を与えておく。流石にお腹に掌底打ちはやりすぎかもだけど、アフターケアちゃんとしておけば大丈夫だよね。

 

「二人共どうだった?」

 

「いや、実力が違いすぎるわよ。何あのスピード、紫が可愛くみえてくるわ」

 

「ちょっと!それどういう事よ?!」

 

「まあまあ落ち着いて、今日は初日だから二人に実力の差って言うのを見せたけど、明日からは地道にやっていこうね」

 

「「わかった!/わかったわ」」

 

「じゃあ今日はこれまで、各自自由行動ってことで!私はこれからちょっと出かけてくるよ」

 

「ん?どこ行くの?」

 

「散歩かな」

 

「了解!またね」

 

さて、ちょっと人里にでも行ってこようかなっと。

明日からのメニューも考えないといけないし。

そういえば女神様って今何してるんだろう・・・。



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スキマの妖怪の旅立ちと新たな出会い

最近、お気に入りの小説が中々更新されてなくて。
割りと消沈気味の私です。

あ、私も中々更新してませんでした。
ほんとうにすみません><


「っくっそがああああああああ!」

 

「これからはこの花畑に近寄らないで」

 

「ヒィイ!」

 

バタバタと帰っていく、チンピラモドキを見ながらこれなら大丈夫かなと思う。

どうしてこうなった?

いやね、訓練を付けていたらチンピラモドキ達の反応が探知の結界に引っかかりまして。

それを伝えたら幽香が「私がやるから見ていて」って言うもんだから見ていたんだよ。

元々これは幽香にやらせる事にしていたし、その為に訓練していた。

でもね、予想以上に弱かったんだ。

数はある程度揃えていたみたいなんだけど、一人一人が幽香に手も出せない程に弱くて結局幽香が手加減して追い払っちゃったんだ。

目的は達成出来たからいいけど、なんだかなあ。

でもまあとりあえず、幽香はお花畑を守れる実力がついて紫のレベルアップも捗ったから、一石二鳥かな。

 

「そろそろ私は旅に戻ろうかな、幽香はどうする?」

 

「当たり前でしょ、私は残るわ」

 

「そうだよね。じゃあまたね、幽香」

 

「うん、今度は負けないから」

 

「あはは、じゃあ行こうか紫」

 

・・・?紫から返事が来ないと思って紫の方を見やると、紫は俯いたまま何かを考えているような表情をしている。

 

「どうしたの?紫」

 

「咲。私もこれからは自分の道を行こうと思う。人間はまだ嫌な思い出があるから嫌いだけど、人間と妖怪が共存は無理でもそういう感じのものが出来ないかな?」

 

おおう、あの紫がそんな事を考えるようになってくれるとは。

でもついさっきチンピラモドキを幽香が実力行使で追い払ったばっかりじゃん。

んーでもどうなんだろう、人間と妖怪が共存する世界か。

今は人間も妖怪も好きに生きてるから、ルールみたいなものは必要になってくるはず。

例えば夜に出歩くと妖怪も襲える等だ。基本人間の村での悪事は禁止にし、それを犯した場合絶対的強者による裁きがある。とか?

まあ良くも悪くも抑止力が必要になる。その抑止力に紫がなれれば、もしくはその抑止力とする者と協力体制が敷ければ・・・。

割と面白そう。私は協力はするけど、気分次第にはなるかなあ。

 

「うん、いいと思うよ。紫なら出来そう、境界を操る程度の能力を上手く扱える様になるといいよ」

 

「あら、助言までくれるの?ありがと」

 

「勿論、面白そうだし。ある程度協力はするけど、メインは紫だから頑張ってね?」

 

「ふふ、ありがと。じゃあ咲、これからは別行動だけどこれからも頼らせてもらうよ?」

 

「うん、いつでも頼ってよ。私が気に食わなかったら手伝わないけどね!」

 

「それでいいわ。じゃあ、またね咲、幽香」

 

「あ!待った!」

 

「ん?何よ」

 

「どうしたの?咲」

 

忘れてた、二人にプレゼントがあるんだよねー。

 

「はい、紫」

 

「うん?ありがと」

 

紫には、白を基調とし赤いリボンを付けた日傘を。

 

「はい!幽香もこれ!」

 

「ありがと」

 

幽香には、同じく白基調の傘の回りにフリフリがついた日傘を。

 

「これは私からのプレゼントだよ、大事に使ってね」

 

「「日傘?」」

 

「うん、二人とも日傘が似合うと思って」

 

「そう?」

 

「まあ、私はありがたいけど」

 

「じゃあまた会おうね、幽香。紫も進展があったら会いに来てね!」

 

「うん、またね」

 

「またね、咲」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

紫や幽香と別れた後、私は人里で暮らしていた。

時に人間を襲っている妖怪を、時に迷子になった子供を、時にお店の手伝いを。

色んな事をやっている間にも、紫が言っていた人間と妖怪の共存の事を考える。

普通の考えなら、そんなのは幻想に過ぎないと言うと思う。

私は面白いと思うけど。

だって襲う妖怪と襲われる人間。怨みを買う側の妖怪と怨みを売る側の人間だしね~。

え、私?私は気にしてないからねー。っていうか私妖怪じゃないし、一応神様だし。

ふふん

 

「・・・っ」

 

「ん?あ、ごめん。お嬢さん大丈夫?」

 

こくこくと頷いてくれる。

歩きながら考え事してたせいでぶつかってしまったらしい。

相手は黒い長髪にこの服は・・・いい所のお嬢様みたい。

これはめんどくさい事になる予感。

ま、いっか。私はここでこんな小さい子を見捨てる程良心を捨てた訳じゃないからね。

 

「お嬢さんのお母さんかお父さんは?」

 

今度は横に首を振る。

うーん喋れないのかな?それとも人見知り?

とりあえず父親か母親のどちらかでも見つけられればいいけど、家に送るのもいいかも。

 

「そっか、じゃあお家はどこかな?」

 

「ぁ・・・あっち・・・」

 

「よし、お姉ちゃんが連れてってあげる。一緒にお家帰ろう?」

 

またこくりと頷いてくれる。

とりあえずこの子の家に向かう途中で両親を探そうかな。

幸いにも、この子は自分の家を分かってる様だからね。将来は賢い子に育ちそう。

 

「じゃ、行こっか」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ここ・・・か・・・」

 

はーやっぱり面倒くさい事になりそうな予感が見事に当たってしまった。

 

目の前にはかなりの広さの土地の家・・・というか屋敷があった。

この屋敷は私も知ってる名の屋敷で、その屋敷の当主がこの人里を統治している人だという事も知っている。

誘拐犯とか身代金とか金目当てでこの子連れてきたと思われるのも面倒だなあ。

でもとりあえずこの子を街中に一人で居させる訳にもいかないからしょうがないね。

 

「すみません、お嬢さんが街中で迷子になってたんですが。引き取ってもらえませんかー?」

 

と声を掛けるとすぐにドタドタと結構若そうな人が走って来た。

此方をちらりと見た後、その横に立っている子を見て血相を変えて全力で走ってきた。

 

「おい!私の娘から手を離せ曲者!何が目当てだ!」

 

「え、いや。その子を送り届けただけで何も」

 

「嘘を付くな!金か?名誉か?」

 

あーほらー、あ、そういえばフラグって言葉があったっけ。

それか!それのせいなのか!ちくしょう!

 

「いや本当に何も要らないですから!それでは!」

 

素早くその場から離れる。

こうなると面倒くさい事にしかならない事は既に把握済み。

なら、面倒くさい事にならない内に身を引くべき。

 

少しだけ足に力を入れて地面を踏み込み、蹴る。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ぁ・・・あの、父上。あの方は街中に一人で居た私をここまで送り届けてくれただけで・・・」

 

「それは真か?妹紅」

 

「はい・・・」



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