仮面ライダーに変身して運命は変えられるだろうか? (歌を織る)
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いざ最初の世界へ

当面の登場キャラクター

 

八坂 和真

オタク気味な高校生。邪神の血を受け継ぎ、常人を超える身体能力を持つ。鍛えてはいるが、当然ながら親には及ばない。

アト子の開発したライダーシステムの1つ《ブレイド》の装着者。

説明とか面倒なので、本人は仮面ライダーブレイドと名乗っている。

特性は切り札。

 

八坂 真尋

和真の父親。専業主夫。

 

八坂 ニャルラトホテプ(通称ニャル子)

和真の母親。惑星保護機構に所属する邪神。

 

アト子

八坂家に様々な面で支援を行う邪神。和真達の使うライダーシステムの開発者でありバイクも作っている。

和真には対しては口調や性格が変化している(と和真は思っている)

 

鹿目まどか

見滝原在住。さやか達と同じ中学生。

 

巴マミ

見滝原中学3年の魔法少女。まどかの先輩。

まどかの兄とは幼馴染らしいが...

 

美樹さやか

まどかの友人でクラスメイト。明るい性格。

まどかの兄を先輩と呼んでいる。

 

暁美ほむら

まどか達のクラスにやってきた転校生。謎が多い感じ。

 

 

 

7月の終わり。学校の終業式などというイベントをとっくの昔にクリアして、フィーバータイム真っ最中な八坂和真は、家の中で冷房で涼みながらアニメを観ていた。

作品は『魔法少女まどか☆マギカ』である。

「なんつーかなァ...マミさんのこれとかどうにかならんかなぁ...」

見るたびにこのぼやきがつい口から出てしまう。

あそこまで行って食われるとかないだろう、普通は。いやまあ脚本家が書いてるわけだし、変えられないのは分かってはいるのだけれど。

「やっぱ変えたいよなぁ、さやかとか杏子のもそうだけど」

誰にともなく個人的な感想を述べる。

誰にともなく言ったはずなのだが....

「相変わらずね、和真は」

「ふあっ?!」

突然の声に驚き、音源の方を見てみるとなんとアト子さんがいた。

アトラク=ナクア星人のアト子が正しいのだが、細かい事は良い。

いつもの事ながらこの人、(ヒトではなく邪神だが)こっちが気付かない内にウチに上がってお茶を飲んだりくつろいだりしているのだ。

まぁこちら側の察知能力が低いだけなのかもしれないが。

案外邪神だから何でもアリなのだろう。

というのは置いといてだ。

「なんでアト子さんがここに?しかも結構タイミングよく言ったよねそれ」

「それはまあそうね....勘とか?」

なぜに疑問形で返すんだこの邪神(ヒト)。

「というのは冗談だけれど。実はこの間頼まれていたモノが完成したのよ」

「頼んだっけ?うーん頼んだような....」

「ニャル子よ?こちらに頼んだの」

「そすか...」

頼んだと言っても、またどうせロクでもないモノだろう。

「和真にも新しいベルト作ったから持ってきたのだけど」

「マジで?!」

現在、我が母ニャル子は惑星保護機構に戻ってる途中だし父親である

真尋は買い物に出掛けてしまって家に1人なのは事実。

どうせならその依頼されたモノとやらを見せてもらうのも暇潰しくらいにはなるだろう。

そう思い聞いてみると、

「ニャル子から見せてはいけないとは言われてないし、まぁ良いでしょ。ここじゃ出しにくいしベルトと一緒に外で見せるわ」

と言われた。出しにくいものとはなんだろうか。何も持ってなさそうなのに。

だが邪神のことだ、どこかに隠したりしてもっているに違いない。

ふう、と溜息をひとつして和真はテレビを止め、アト子を追うように

外に出た。

 

 

ひと足先に外に出ていたアト子を追い外にでると、眩しい夏の日差しが照りつけた。

つい先日までは梅雨で涼しいなぁ、などと思っていたのが馬鹿らしく

見えてくるレベルで暑い。そんな中でもアト子は和服を着ている。

暑くないのだろうか、と毎年思うがこれまた邪神パワーでなんとかしているのかもしれない。邪神に常識は通じないことは既に学んでいるし。まあ和真自身、邪神の血が流れているので人の事は言えないが。

そして庭先でバイクをいじっているアト子に話しかけた。

「出てきたは良いんだけど.....母さんが頼んだものってこれなのか?」

開口一番出たのは疑問だった。だって期待してみて、バイクがあったらそれは疑問が出るものじゃないのだろうか?

そうでもないか。分からないけど。

「ええ、これは弐号機なのだけど」

「いやそういう問題じゃなくてね....これナニ?世界の破壊者が乗ってそうなバイクじゃん!」

「そうね...ニャル子に依頼された通りに作ったまでなのよね」

「作ったまでなのよね....じゃねえ!並行世界にでも行くつもりなの?!」

自分自身珍しくツッコんでしまった。ウチのツッコミは基本親父だからまわってこないはずなので、今だにこういうのには慣れない。

それにしてもこんなモノを簡単に作れるアトラク=ナクア星人もすごいと思う。邪神だからいいのか。

「もとの性能は知らないけれど、並行世界へ行ける事は実証済みよ」

「嘘だろマジか凄えな!てかどうやって実証したの?」

「ここの世界ってアニメじゃない?だから他のアニメも並行世界だろうと仮定して作ってね。試しに使ったら冬木市に行けたわ」

「おうマジか....なんとなく理解出来たっちゃ出来たけどさ、その類の発言控えた方が.......これって原作GA文庫であっちは型月のゲームだよ?あれアニメだから良いのかこれ?分かんねえ!」

更にこんがらがりそうだったので、アト子に何故そのバイクを持ってきたのかを聞いてみることにした。

「なんでも9つの世界を巡ってアーティファクトを入手しないといけないらしくて」

「お、おう...どっかで聞いた感じの設定だな」

「いつか組織の首領になるかも」

「それ以上は言わんでおこうよアト子さん」

するとそうそう、と言ってアト子は話を切り替えるようにシルバーのアタッシュケースを取り出した。

大方アト子の作っているベルトの1つだろう。前回もこれと同じ形のアタッシュケースで持ってきていたし。

現状《ブレイド》は既に使用していることも考えると、製作途中だった《カブト》か《ファイズ》かもしれない。

それといつまでこっちは通常フォームのままなのだろうか。そろそろラウズアブソーバーとか来ても良いと思ったりするのだが。

そうじゃないと戦闘が(以下略)

なんて思いつつアタッシュケースを開けると、そこにあったのは銀色のベルトに赤いカブトムシ型のアイテム。

というかこれって....

「カブトゼクターじゃね?!あ、ここだと《カブト》って名前なんだっけか」

何故かアト子はブレイバックルなどの名前を使わずに、《カブト》や《ブレイド》という感じに呼んでいる。

ゼクターやラウズカードなどは元の名称を使うくせにだ。

が、ほとんど内容は変わらないので別に構わないと思うし、なにより面倒くさいので和真は作品中の名称をそのままつけて使っている。

「前までの戦闘データを見るに、いつでも変身できるタイプのツールが必要と思って。てへっ」

何がてへっ、なんだ。その姿でやっても違和感しかないのだが。

つかキャラ崩壊甚だしいというか。

まぁ良い。何はともあれだ、戦力が増すのは自身にとって悪いことではない。むしろ喜ぶべきであろう。

「使い方は?」

「もとと大して変化はないわね。言うとすれば、そのベルトを付けていればどの時代や場所に居てもそのゼクターを召喚して変身できるってことが大きいかしら」

以前不覚にも、カードやブレイバックル含め全て盗られたことがあったのを思い出してしまった。

その影響でこれを渡されたのかもしれない。アレに関してはすまないと思っているが、確かにこのどこでも変身できるっていうのは便利だ。これも邪神の科学力なんだろうか。とりあえず邪神万歳。

 

 

アト子に礼を言い、和真は家の中に戻ろうとした足を止めた。

あのバイクが気になったのである。バイク自体にではなく、並行世界への移動という機能についてだ。

「なぁアト子さん。そのバイクなんだけど」

「ん?これニャル子のモノだから使えないわよ?」

「そういうことじゃなくてな。並行世界、別のアニメの世界に行けるって言ったよな?」

「ええ、言ったけれど?でもこの弐号機はニャル子の....」

「そうじゃない。弐号機ってことは俺の予想が正しければ、零号機や初号機があるはずなんだ。実戦用じゃないプロトタイプやテストタイプのやつが。アト子さんが使ったやつもそのどっちかだろう?」

和真の言葉にアト子はふっ、と笑って言った。

「察しがいいわね、和真。ちゃんとあるわよ、零号機も初号機も。けれどね、この弐号機は違うわ!これこそ実戦用に作った本物の」

ネタに走るアト子に流石の和真も叫ぶ。

「アスカ来日のあの言葉っぽく言うんじゃねえ!いやそうじゃなくてね、そのマシンの零号機か初号機を貸して欲しいんだよ俺に」

和真の言葉に、アト子がぽかーんとしていた。何を言っているのと言わんばかりの顔である。

「何を言っているの和真?零号機も初号機もここに無いのよ?それに第一何するのよ、別の世界に行って」

「まあまあ!そんな事は後で話すからね?初号機か零号機召喚してくれよ?早く早く!」

「できなくは無いけれど...」

などと渋りつつもアト子がリモコンのようなものを操作すると、一台のバイクが姿を現した。世界の破壊者が乗っていそうな弐号機に対し、こちらはオンドゥル語喋ってるライダーが乗っていそうな感じをしている。

「一応これ初号機なのだけど....どうするの?使い方は分かるの?」

「ああ。少し違うけど、以前似たような機械を見た事があってさ。

10年くらい前のイギリスのドラマなんだけどね。あ、ここ押せばゲートでも開くのか?」

「いやまあその、それで間違いじゃないのだけど....」

間違いではないって妙に遠回しな言い方だな。にしても普段勉強なんて出来の良い方ではないのに、こういうのに限ってすぐ分かるっていうのは複雑な気分である。

使い方が分かったところで。家の中に一旦戻ってリュックに様々な必需品を入れる。ブレイバックルやゼクター用ベルトなどを含めた変身ツールを、邪神特有の不思議収納内ポケットへしまう。

「何をしてるの?そんなに準備して」

「出掛けるんだよ。夏休みだし。」

「夏休みはそうだけど....このバイクでどこ行くつもり?」

アト子の言葉には答えずに、和真は疑問を返す。

「これって音声認識?」

「まあ、ええ....一応はね」

「サンキュ」

そしてリュックを背負い、ヘルメットを被ってブルースペイダー(たった今命名)にまたがる。バイクは何度か乗ったことがあり操縦方法は分かるので、すぐにエンジンはかかった。免許?何それ。

ここまでしても音がハイブリッド車と大差ないレベルなのは驚きだ。

そんな中アト子は和真へと問うた。

「なんで出掛けるの?根本的な質問な気もするけれど」

「そうだなぁ...やっぱ夏休みってのはあるけどさ、俺にはやりたい事が前からあるんだよ。多分誰もが思うことかもしれないけど」

「?」

アクセルをさらにふかし、和真は言い放った。

「運命っていうモノがあるなら俺が変えてやりたいんだ。それが例え、世界そのものに抗うことになろうとも」

「和真、貴方まさか」

「じゃあ行ってくるぜ、『魔法少女まどか☆マギカ』の世界へ」

最後まで聞かずディスプレイを操作し、光り輝くゲートを開く。そして和真を乗せたバイクはその光の中へ消えた。

 

 

和真が光の中へ消えてから、残されたアト子は呟いた。

「あの初号機完成してはいるのだけど、まだ問題があるのよね....色々と、結構なレベルで。それにそろそろアレも完成するでしょうし、後で送っておかないと...」

だが当の和真はその問題についてまだ知る由もない。

そして後になりニャル子が帰ってきて、どこに行ったのかという問いを投げかけられてアト子はこう答えた。

「和真?旅に出るって言ってたわよ。運命に抗う為に」

ため息をついてニャル子は言う。

「はぁ...私と真尋さんの子ですし、そこまで心配はしなくても生きて帰ってくるでしょうけど」

結局割と放任的な親だった。




仮面ライダーディケイドに影響されて書きはじめました、この小説です。あまりこの手のヤツは書いたことがありませんし、自信ないですが。
他にも色々な世界を予定していますので、しばらくの間お付き合い下されば幸いです。
できれば感想とかお願いします。


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カズマと和真(名称)

前話の最後で和真はゲートの光の中に消えたわけですが。

その後彼はどうなったのでしょうか?

てなわけで

前回までのあらすじ!

「要らねえよ!てか前回までのあらすじって何だよ?!しかもその声、サイクロン掃除機さんじゃねえか!」

あ、光の中に消えたんじゃないんですか?八坂さん。

「だってまだストーリー始まってないし、無駄だと思ったんでツッコミ入れさせてもらったぜ」

でも前回までのあらすじって必要かと。

「だから要らねえって。てかまだこの作品2話目だから必要ないと思うぞ」

あ、そですか。主人公がそう言うならストーリー進めますよ?

「「「(続きから)始まるよっ!」」」

「誰?!」

 

 

光のゲートを開き、バイクを加速させて和真はその中へ突っ込んだ。

しかし尋常でない光量が、身体を包む。思わず目を瞑るが、手だけは

離さずにハンドルにつかまり続ける。しばらくしてふと感覚に変化を覚えて和真は目を開けた。

「あれ...天井だ....しかもこの感じ、ベッドか?」

ゆっくりと身体を起こしてみる。

そこは乗ってきたバイクの上でもなく、予想していた見滝原の大通りでもなく、知らないベッドの上だった。

個人的に急展開というのは慣れてないわけではないし、むしろ内容によっては喜んだりする事もある。夜鬼討伐(リアル)に誘われた時などがそうだ。なんて話は今はどうでも良いのだが。

とりあえず状況整理である。

・現在間違いがなければここは見滝原のどこか。

・ベッドがある以上誰かの家。

これもしかして父親が昔かかったっていう紅王症候群とかにかかって、ここに来るまでの記憶がないのだろうか。

それでいて仮に介抱されてここにいるのだとしたら、礼を言わねばならない。などと考えて、結局ここに居ても仕方ないので部屋からでることにした。(その際カーテンは開けたが、外は見ていない。)

ドアを開けると、香ばしい香りが鼻をくすぐった。おそらくトーストだろう。一般家庭だ。ものすごく一般家庭だ。

階段があったので降りて行き、挨拶をする。

「おはようございます。き」

昨日はと言いかけたところで、外で野菜を摘んでいる男性がこちらに

気付き話しかけてきた。

「カズマ、いつもより早いね?どうしたんだい?」

「いつもより?!え、えっ?!」

まったく理解が出来ない。というか脳内処理が追いつかない。それだとこれまでずっと暮して来たような感じではないか。まったく理解、

「おはようカズマ。早いじゃないか?まどかは着替えてるからカズマもさっさと着替えてきな」

「あ、おはようお兄ちゃん。起こそうと思ったのに」

続く言葉が理解云々の域を超えていた。お兄ちゃんてどゆことだ。

てかここ鹿目家じゃないか。タツヤ居ないのに、兄はいるのも違和感。

「あの...お兄ちゃんてなんですか?」

「え?」「え?」

「いやあの、お兄ちゃんて何なんですか?」

疑問に疑問で返すな!とか言いたいところだが、そこは我慢だ。

こちらは高校生、耐えるのも義務というもの。

「カズマお兄ちゃんはわたしのお兄ちゃんだよ?同じ見滝原中学でしょ?」

は?知らねーよ中学生とか何をほざいてんだコイツ。もともと沸点はそう高くないのだ、そろそろキレかねない。とか言いたいけどやっぱり我慢。中学生にキレるとか大人気ないし。それに選挙権得るまであと僅か、耐えねばならぬ。選挙権関係ないか。

「いや全く分からないんだけど、うん全然。」

さすがにその場の空気を変えようと思ったのか、まどかの父親が会話に割り込んできた。まぁ今回ばかりは正解かもしれない。

「そこで固まらないで。朝ごはん冷めるよ?」

「ほらお兄ちゃんも食べようよ?ね?」

流石にそう言われては仕方ない。部外者が同じテーブルを囲むのはいささか気が引けるものだが、お兄ちゃんと認識されているこの現状、避けては怪しまれるかもしれない。

そう思い、しぶしぶと席に着いた。

あ、中学生ってのはババァなんだよとか抜かしたやついたらムッコロス。17年間生きて来たが、外見がロリなキャラには勝てないというのが和真の意見であった。昨今小学生もキャラによっては巨乳だったりするので(以下略)

まぁ決してロリコンではないと断言するが。

 

 

朝食を済ませたところで。母親は既に出掛け、家に残されたのは3人となっていた。

「制服には着替えないのかい?学校遅れるし、そろそろ巴さん寄る頃だよ?」

また謎すぎることを言ってるこのメガネ。アニメでもちゃんと父親やってたし、父親であることに間違いないんだろう。

けどやはり、ウチの父親と比べると違和感ありすぎるのだ。

なんて父親の評価は今は関係ないが。むしろどうでも良い。

マミさんがこの家に来る?それに制服とか言われても場所わからないし。なんて考えているうちにピンポーンという音が。

「どうしよう、制服の場所わからないし、あーもう!」

頭をガシガシとかく。もうやけくそも何も知ったことか。

「まどか、制服の場所忘れたから教えてくれ!」

「あれ、クローゼットに入れてなかった?お兄ちゃんて」

「サンキュー!マミさんにはすぐ行くって言ってくれ!」

その場のアレで下の名前で呼んでしまったが、それで良いのだろうか。兄だから良いのか。兄なんてこの家族には居なかった気がするが。なんて考えつつ階段を下から一気に上までジャンプし、部屋へと戻る。

クローゼットを開け、見滝原中学の男子用制服を探す。

さっさと上下羽織り、カバンらしきものを抱えて再び下へ。

そこにはまどかと談笑する巴マミが居た。

「カズマっ!大丈夫?!記憶がない様な事を言われたのだけど...」

「お、おう....」

こっちに気付いて話しかけるのは分かる。だが流石にキャラが....アレだなうん。形容し難いというのか。

なんか抱きついて来てるし、既に変な風にまどかは話してるようだし

もう理解不能カーニバルファンタズムだ。

あとその豊満な胸があるので、抱きつかれると苦しいのですが。

地の文で言っても意味ないか。

「あのさ...若干苦しいんだけど」

「ごめんなさいね、心配で...」

「心配せんでも大丈夫だからな?この通り元気だし、ほら遅れちゃマズいだろ?行こうぜ」

そして2人を連れ、和真は外へとでた。表には何故かブルースペイダーが停まっており、理由を聞くとなんでも今朝見たらあったとか。

邪神の便利設定か何かなのか。もう訳分からないし、全部便利設定の

せいにするか。

にしても何故、カズマなんて紛らわしい名前をつけたんだろうか。和真とカズマ。別に鹿目家が悪いとは言わないけど。

 

通学路はよくは分かっていないが、2人に半ばついて行く感じで行ったので問題なく、途中でさやかや仁美とも合流して学校に向かうことになった。

「カズマ先輩、記憶喪失なの?」

「うん、断定はできないけどママが可能性があるって。だってお兄ちゃんて何ですか、って聞いてきたんだよ?」

「ごめん想像できない。シスコンとか言われてる先輩がそんなこと

言うなんて」

黙っていればなかなかに言われているではないか。シスコンとか、嘘だろって言いたいのだが。もとのカズマってそんなキャラだったのか。てか記憶喪失とか話していただろうか?ま、食事の時にでも聞き逃したのかもしれない。きっとそうだ。便利設定なんだ。

それに想像できないのはこっちも同じである。

さやかと自分の父親、中の人同じとか全然思えない。でもプロフィール見ると同じなのである。そんな話はどうでも良いか。

「あのマミさん、いつまで手を繋ぐんでしょうか?」

「ずっとだけど?」

「はい?」

「冗談、学校までよ。正確にはクラスまでね」

「そすか....」

カズマってマミさんから好意(多分)を寄せられていて、なおかつシスコンなのか。考えてみると結構なヤツだと思う。反面教師的な意味で。別に自身の事ではないと思ったが、現在和真自身がカズマという

存在である事を思い出し、再び意気消沈する。

どうせ学校でひゅーひゅー言われたりするパターンだろう、こういうのは。今のうちに覚悟を決めておこう。

 

そんなこんなで話しながら(和真は精神的にやられつつ)学校に到着した。仁美、さやか、まどかとは学年が違うので途中で別れ、マミさんと共にクラスへ向かう。

廊下で誰かとすれ違うたび、

「オイあいつら手ェつないでるぜ、しかも相手マミさんだし。あの顔完璧出来てるだろクソリア充が」とか

「鹿目ってシスコンでもあるらしいぞ」とか

「鹿目テメェ...オレァクサムヲムッコロス!」とか

「マミさんが鹿目なんかと...ウゾダドンドコドーン!」とか

言われる始末。予想に反して怨嗟の言葉がほとんどである。アレかマミさんて学園のアイドル的な存在なのか。ならば理解できなくもないが。というか最後の2つは日本語じゃない気もする。オンドゥル語か何かだろうか。

 

ともあれなんとか教室に辿り着く。席はどこなのかと思っていると、マミさんが自分の隣の席を示す。あと頰を染めてんじゃねえよ、やりづらいじゃないか!てか嘘だろう、そこじゃクラスの男子勢の「オレァクサムヲムッコロス!」をフルで見る羽目になるではないか。マミさんの隣だから確かに嬉しいけれど。

アニメからキャラ崩壊がここまでなったマミさんというのは、自分では予想していなかったので、対応していくので精一杯である。

結局予想通り、クラスの男子(一部女子もいたが)からのムッコロフェイスで自習時間などロクに過ごせず、授業へと突入した。

 

 

放課後になった。帰りのHRを終えて教師は去り、クラスからはどんどん生徒が出て行く。

「ってもう放課後?!授業なにかやったの?!」

「まったくカズマったら...ちゃんと現代文も古典も他にも受けたじゃない。覚えてないの?」

「うん」

「しっかり頷かなくていいから。まぁカズマの寝顔は脳内にインプットされてるのだけれど」

「なんだ、つまりは寝てたのか。てっきり紅王症候群にかかったのかと思った。」

「あかおう、何?」

「何でもないよ。帰ろうぜ、まどかも待ってるだろ」

マミさんの手を引き、教室を出る。不思議と違和感がなかった。

前にもこんな事があったのだろうか。女子と一緒に帰るとかそういうのが。思い出せないので、放っておく事にした。どうせ伏線にもならんだろう、親と違って。だと良いんだけど。

 

 

昇降口に戻ると、まどか達は居なかった。待ってろとは言っていないが、どこに行ったのかと思い、あまり期待せずにカバンの中を探してケータイを見つける。

他人のだとか云々言ってられん。メールを開くと

『さやかちゃんとお茶してから帰るね。遅くならないように気をつけるよ』

寄り道...だと?アニメだとハンバーガーショップに寄って、その後CDを見て、その後は....

(不味いな、魔女の結界に閉じ込められるぞこれじゃあ)

マミさん、と話しかけようとしたところで和真はため息を吐く。

巴マミの姿が消えていたのだ。

(あいつ、まどかを助けに行ったのか?魔法少女としても有能ではあるんだが....もうすぐあの日が来てしまうんだよな)

空を仰ぎみる。ハァ、とため息を吐いて和真は駆け出していた。

まどかの為に、巴マミの為に。



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魔女inショッピングモール(多分)

はい、というわけで始まりました『仮面ライダーに変身して(以下略)』第3話ですね!

いやあこの作品も3話ですか....長いですねえ...

「長くねえよ、むしろまだ3話なのか!のレベルじゃねえの?」

そうですかね...1巻完結モノの小説より良いと思うんですが

「リアルな小説と比較すんな。」

たまにあるでしょ、二次小説なのにリアルな小説並みにクオリティ高いやつ。

「そんな話してるんじゃねえよ、確かにあるんだろうけど」

んじゃスタートしますねー

「無理矢理話変えるなオイ!ってえ?始まるの?!」

「「「第3話キターーーーーッ!」」」

「キャラ安定しねえな」

 

 

 

学校という辛い1日が終わり、放課後になる。まっすぐ帰ろうかどうしようかと悩んでいると、さやかが話しかけてくる。

「まどか、今日どっか寄ってこうよ。仁美は...アレ?」

「仁美ちゃんなら帰っちゃったよ?外せない用事があるらしくて」

「ふうん、仁美が帰っちゃうなんて珍しい...ま、用事があるなら仕方ないか。まどかはどうする?ちょっと他にも行きたいとこがあって、一緒に来て欲しいんだよね」

「良いよ。ちょっと待って、お兄ちゃんにメールしてくから」

ケータイを取り出してメールを打つ。打ち終わり2人で昇降口へ降り、そして外へ出て、2人は最寄りのショッピングモールに足を向けた。

 

到着してまずはハンバーガーショップへ。中学女子のお茶とは言うが、優雅に紅茶を飲める金を持ってるわけでもない。バイトをしていないのが大きな要因だが。まあ節約して使わねばならないのが中学生なわけで、結局のところハンバーガーショップで落ち着いてしまうのである。

さっさと注文して受け取り、席に着いた。

ハンバーガーを齧りながらさやかが口を開く。

「そういや今日ウチのクラス転校生来たけどさぁ、あの子よく分からないよね」

「....うん、でも前にあったことあるような....そんな気がするような...」

「どゆこと?」

疑問を抱いたらしく、さやかが聞き返す。

「うーんとね、夢の中で会ったというか...見たというか」

「それ会ったって言わないでしょ。しかも夢の中でって....」

「そう...なのかな?でもかなり似てたんだよ?夢の中の女の子と」

「ふうん...あたしはそういうの無いから分からないけどね」

ハンバーガーを平らげ、今度はポテトをつまみ始めるさやか。

まどかも一応頼んだのだが、話してしまって手はつけていない。

買ったけど使ってないようなのと、似たようなものである。

その後も会話を続け、気付いて時計を見ると結局30分ほどが経過していた。

「意外と経っちゃったね....」

「そだね、そろそろ出ようか」

トレーを返して外に出ると、さやかが思い出したように言った。

「あ、そうだ!寄ろうと思ってたとこあるんだった!」

「どこなの?」

「CDショップ。新しいCD買いたいんだ」

「良いよ、まだ家には間に合うから」

そうしてCDショップに向かうことになった。

到着すると、行動は別に。さやかは自分でCDを選びに行き、まどかは備え付けのへッドホンを装着して、曲を聞き始めた。

しかし曲の途中で声が聞こえてきた。

外部からというよりは、脳内に直接響く感じだった。

『たすけて...』

(....?声...かな?)

周りを見渡すが、それらしき人はいない。気の所為だろうと思い再び

ヘッドホンを装着する、が。

『たすけ...て...』

今度は途切れる感じだ。さやかにひと言かけるべきか悩んだが、そのまままどかはCDショップを飛び出した。

声がどこから聞こえているかは分からない。けれど何故か分かるのだ。声が導いてくれている、と。そして走り続けると、いつの間にか

モールの奥の方に来ていた。器具の使用後などがあるあたり、建設現場と言うべきところだろうか。

「だれかいないの?確かわたしを呼んでた声ってここか...」

言い終わる前に天井から派手な音を立て、何かが落ちてきた。

それは白い、まるで小動物のようだった。

だがその白さの中で際立つのは、赤い血である。誰かに撃たれたか、斬られたか。どちらにしろ肩で息をしているレベルだ。重傷としか

言いようがない。

「酷い傷...大丈夫かな?あぁ、包帯もないしどうしよう?!」

慌てるまどか。だがそんな彼女を他所に、再び天井から何かが降りてくる。

見上げると、それが既に知っている顔であることが分かった。

今朝見滝原中学に転校してきた少女。

「ほむら....ちゃん?」

まどかが疑問形で言ったのには意味がある。

第1に何故ここに暁美ほむらがいるのか。第2に何故見滝原の制服ではなく、ダークグレーなセーラー服然としたスタイルなのか。加えて左腕には盾のようなものまで付いている。

まどかの言葉を防ぐように、ほむらは言葉を放った。

「今すぐそいつから離れて。」

「で、でも!怪我してるよ?助けないと...」

「離れて」

「でも!」

ジャリ...と下にあった鎖を踏むほむら。おまけに盾のところから黒光りする危なそうな物が既に見えている。白い小動物を庇うように抱き寄せるまどか。

一瞬の後、どこからか白い煙が噴射された。

その方向を見るとCDショップにいたはずのさやかの姿が。

「さやかちゃん!」

「まどか!こっちに!」

小動物を抱えて、さやかの方へ駆け寄る。そしてそのまま2人は来た方へと駆け出した。

「何なのあの転校生!?学校で口数少ない転校生だと思えば、外じゃあ怪しいコスプレで徘徊なの?!それとも通り魔?!てかその動物何?捨て猫?」

「分かんない。でもこの子、わたしを呼んでた....ような」

「またまどか変なこと言う!今日のまどかちょっと変だよ?って...」

「「あれ?」」

ふと周囲の異変に気付き、立ち止まる。

来た道を戻っていたはずなのだ。はずなのだが、今いるそこは知らない場所だった。綿のようなモノが動いているし、形容し難いと言うのだろうか、何とも言えない場所だった。

ただし、ひとつだけ言えることがある。ここを知らないまどかとさやかも分かる。

ここは自分達がいて良い場所じゃない。危険なところだと。

逃げねばならないと。

だが耐えきれなくなったのだろう、まどかが叫んだ。

この場合は耐える云々や音量云々の話ではない。

「助けてよぉ!ここどこなの?!」

しかしそこによく知っている声が聞こえた。

「よォ、生きてるかァまどか」

 

 

時は1時間くらい遡ることになる。

半ばマミさんから置いて行かれる形で、学校から駆け出した和真。

アニメは視聴したが、あの暗い場所がどこなのか詳しく分かるはずもない。

もともとこちらの住人ではないし、アニメ序盤の記憶など欠落しているところもあるので場所は不確定だ。

なんとか四苦八苦しながらも予想したモールへと辿り着いたが、マミさんの姿は当然というか見当たらない。やはり先を越されたかと思い、ハンバーガーショップをスキップしてCDショップへ。

けれど店内にはまどかやさやかの姿は見当たらず、ふうむ、と考え込んだ。

暗そうな所といえばどこだろうか。記憶を探り、場所を特定して行く。だがこちらはかなり情報が劣っているという点がある。

外界から来たとはいえ、元の住人に地理情報などで勝てるわけもないのだ。仕方ないので聞くことにした。

「あのすいません、ここのモールで」

普通にスルーされた。仕方ないか。

「すいません、知り合いを探しているんですが」

再びスルー。クソが。

「あのう、妹を探してるんですけど」

結局スルーされた。この世界は他人に冷たいのか、クソ野郎共が。

まぁそんなことはどうでも良い。他人が当てにならない以上、独力で

探し出すしか手はないのだ。

はァ、とため息をついて移動しようとした時、ふと視界の端に映り込む黄色の髪。ヘアスタイルも間違いない。アレはマミさんだ。

バレないように追いかけると、途中で通路の奥の扉を開けて中に入ってしまった。

「なんだあそこ....まさかあの奥なのか?あの暗いとこって」

考えても分からないし、それにここに居てもどうしようもない。変にストーカーの疑いをかけられる可能性も捨てきれないので、そそくさと扉の中へ体を滑り込ませた。

 

中に入ると予想はしていたが、電気はあまりついておらず薄暗い空間が続いていた。しかし音は聞こえる。

だんだんと遠ざかる足音が響いており、それを追って和真も走り出した。相手に気付かれないように走るなど容易いことだ。理由は鍛えられたからなのだが。

だが背中が見える辺りまで接近した時、マミさんの姿が忽然と消えた。綺麗にさっぱりとだ。

「あれ?消え...た?」

しかしそれは間違いだとすぐに分かる。マミさんは柱の前で消えたのだが、その柱に光に放つ亀裂が入っていたのだ。それはまるで、彼女が殺されたあの結界の入り口と同じようなカタチをしていた。

時系列的に大丈夫であろう事は分かるのだが、不吉なものを感じずにはいられない。

思い切って一か八か、その亀裂へと飛び込んだ。

かなり身構えていたので、あっさりと入れたのには少々驚かされた。

17年間生きてきたが魔女の結界など入った事もないので、これから

どう進んで行けば良いのか分からない。そんな時は道なりである。

真っ直ぐ曲がらずに怪しい道を進んでいくと、追いかけていた背中を

見つける。駆け寄ってさりげなく話しかけた。

「よっ、こんなトコで奇遇だな!」

「カズマ?!なんで貴方がここに?」

「俺知らないなー(棒読み)」

「あからさまに棒読みなのだけれど。それよりホントになんで貴方ここにいるの?」

やはり聞かれるだろうとは思っていた。一般人がこんな所にくるわけがないので当然ではあるのだが。

「あーそれはまぁアレだよ。作戦なんて動いてから立てれば良いんだよ」

「明らかに話を逸らそうとしてるわよね。貴方半熟探偵じゃないでしょうに」

「はっはー!どやぁ!」

「キャラ....」

はぁ、とため息をつくマミさん。そんなにならんでも良かろう。確かに自分が来たのは計算外ではあるだろうが。

おっと、このままではまどかとさやかが死んでしまう。行かねば。

駆け出そうとしたカズマの腕をマミさんが掴んだ。

「どこに行くの?」

「妹とそのフレンドを助けに。マミさんもそうだろう?あ、魔女討伐も含まれてるか。すまない」

「.....ッ!」

息を飲むマミさん。何故貴方が知っているの?とでも言いたげだ。

「何故貴方が...」

「どした?はよせんとあいつら死ぬぞ」

「ああもう!後で説明してもらうわよ!カズマ!」

「へいへい」

そして2人は歩みを早めて進んでいった。しばらく歩くと開けた場所に出た。綿のようなものが動き回り、その先にデカイ何かが居る。

手前あたりで和真はガクブルな2人を見つけた。

「よォ、生きてるかァまどか」

「お兄ちゃん!」

和真の声に喜ぶまどか。さやかも安堵の表情だ。というか泣くな、まどか。こっちが泣かしたように見えてしまうではないか。多分だが。

「アレか、ターゲットは」

「魔女、ね。ここまで一緒に来たのに悪いけど、あの魔女を片付けないとね」

意気込みながら言うマミさん。だが和真は彼女を制した。

「待ってくれ。マミさん、あんたは変身するな。」

「何を言っているの?変身なんて一言も言って....」

「魔法少女。ソウルジェムを使って変身する少女達の名称だな。ま、そこのキュウべえのお陰なんだが...」

「貴方、何者?何故そこまで知って...」

「何者?俺は鹿目カズマさ。鹿目まどかの兄だよ」

そう言って和真は内ポケットからブレイバックル(カードセット済み)を取り出した。当然ながら彼女らには分かるはずもないが。

腰に装着すると同時、カードのような赤いベルトが巻かれる。

そして叫んだ。

「変身!」



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結婚と仮面ライダーと魔法少女(大丈夫なのか?)

やっと3話終わりましたけど、かなり急ぎ足で進めちゃいましたねえ、前回の話は

「まぁ否定できないけどなァ、その点に関しては。でも仕方ないだろ?このままじゃ4話にならないと変身出来なさそうだったし」

そんな理由でストーリーを一気に進めたんですか。

「うん」

ヒーローものの総集編でも、もう少しマトモだと思いますよ。

ディケイドみたいに劇場版に投げるつもりとかじゃないでしょ?

「流石に劇場版に投げたりはしないさ。けどここまで来ても、主人公のバトル一切ないってのはアレだからなぁ」

そですか....んじゃあ雑談もこれくらいで始めましょうか

「ま、そだな時間も時間だし」

「「「さあ、ショータイムだ」」」

「またライダーかよ」

 

 

 

「変身!」と叫ぶと同時、『Turn Up』の音声と共に青い光のカードが目の前に出現する。そしてカードが和真の身体を通り過ぎ、和真は

仮面ライダーブレイドへと変身した。

「俺が誰かって聞いたな?少しばかり訂正させてもらうぜ。俺はまどかの兄であり、仮面ライダーブレイドだ。」

「かめん....らいだー?」

「ぶれいど?」

何故平仮名で聞き返すのかは別にどうでもいいか。それより今は彼女達を護らねばならない。

「質問は後で受けつける。それに何でも1つ言う事聞いてやるからさ。マミさん、あの2人を頼むぜ」

「なんでも?!やるわ!」

不安要素が残る事を言ってしまった気もするが引き受けてもらい、こちらは魔女と向かい合う。

ホルスターから醒剣ブレイラウザーを引き抜き、構える。

「初戦闘で魔女ってよォ....面白えよなァ。くははっ!」

そして和真は地を蹴った。剣を振るい、綿を思わせる煩いザコどもを蹴散らしていく。荊と裁ちバサミが合わさったようなモノが襲いかかってくるが、素早く剣で切り裂き、ぐしゃりと踏み潰した。

いつだったか誰かが言っていたことがある。優しさだけでは戦いは生き残れないと。全くもってその通りだと思う。慈愛などバケモノに通じるわけがなかろう。だからこそ和真の戦闘におけるモットーは、『慈悲などいらぬ』となっているのである。

と、背後から綿のザコが飛びかかってくる。だが切らずに和真は蹴り飛ばした。ここで無駄に大見得はって負けるなど、妹にもマミさんにも合わせる顔がない。最後は倒せれば良いのだ、倒せれば。

ふと不穏な気配に目をやると、デカい何かがこちらに向かって突進してきていた。アレはもしかしてというか間違いない。

「ターゲット発見...と。これで決まりだな」

ブレイラウザーのオープントレイを開き、2枚のカードを取り出す。

『キック』と『サンダー』をラウズし、『ライトニングブラスト』を

発動させる。

助走して跳躍し、ちょうどキックを叩き込める高さまで飛び上がる。

「ウェェェェェェイッ!」

そしてそのまま和真は突進魔女へと、雷を纏わせた蹴りを放った。

命中した感覚を足に感じるとすぐ着地、念の為ブレイラウザーを再び構えたが、その必要はなかったようだ。

元々混沌としていたその姿はバラバラに散っていき、空間も元の色彩を取り戻していったのである。

「万事解決って....オイなんで居るんだ」

「.....」

「ま、いいか。今回は俺が倒したからオマエの出番はないぜ、暁美ほむら」

「......誰?」

「ああァ?」

「魔法少女でも無いのに、魔女を倒した。魔女を倒せるのは魔法少女だけのはず。何故」

「知らねーな、つうかよォ...疲れたんだから今日は帰ってくれ」

結局それ以上は何も言わずに、暁美ほむらは立ち去っていった。安易過ぎた気もするが、ひとまず安堵の息を吐く。まどか達に何も無くて良かった、それだけでこっちは安心だ。

変身を解くと、マミさん含めて全員から質問が投げかけられた。

「カズマ、そのベルト何?かめんらいだーって何なの?」

「お兄ちゃん...だよね?前はそんなもの持ってなかったと思うんだけど....」

「カズマ先輩強いじゃないですか!何ですかあの技?」

「興味深いね、キミ。」

一気に言われると辛いものである。順番に答えたい所だが、今はなんだかんだで時間が遅れてしまっている。というかキュウべえはまどかに用があったのではなかろうか。だが少なくともほむらは、未だにまどか目当てなのは間違いないだろう。

しかし現状かなりストーリーへと介入してしまっているので、修正をしなければなるまい。

「あーじゃあ俺ここら辺で帰るから。それにキュウべえオマエ、まどかとさやかに用があるんだろ?」

「まぁそうだけど。なんでキミがが知って...それに僕のことはキミには見えないはず」

「マミさん後よろしくな。」

クールに去ろうとした和真の腕が、再度掴まれる。

「ちょっと待って。カズマ貴方のことも説明してほしいんだけど。それにここで帰ろうったってそうはさせないわよ。」

「えーなんで」

「なんでも1つ言う事聞くんでしょ?」

「う」

どさくさに言ってしまったのを思い出す。この類の事は言わないのが常識なのに。困ったものである。後悔先に立たずというヤツか。

それにこのマミさんの表情。断ったら不味い感じがする。

「わーったよ、1つだけ言う事聞いてやるよ。けどまぁアレだな、一回戻ろうぜ。こんなトコにずっといるつもりか?」

「そうね」

そして結局4人プラス小動物1匹はモールを後にし、マミさんの提案で彼女の家に行くことになった。

 

少しばかり後、彼らはある家の前に立っていた。

予想していたあのマンションの方角ではなく、普通に住宅街の方へと歩いていたので驚いたのだが、行き着く先がまさか普通の家とは。

これもストーリーに介入した影響なのだろうか。

設定がこれまた変化している。

「入って良いわよ。カズマとまどかは何回か来てるわね」

「はい!邪魔します」

「お邪魔しまーす」

「へぇ、何回か来たのか。」

「5回以上は来てるんじゃないかしら」

そんなに女子の家に行けるものではないと思うが。幼馴染とかならば別かもしれないけれど。一応幼馴染という事になっていた気もするので、そういう事にしておこう。

ともあれ家に上がらせて貰い、部屋へと移動する。

「紅茶淹れてくるからくつろいでいて良いわよ。」

「ありがとうございます」

「はーい」

マミさんが紅茶を淹れに出て行き、急に会話が途絶えてしまった。

「さやかちゃんが聞いてよ...」

「まどかの兄さんでしょ、まどかが聞いてよね」

「....聞きにくいよ、やっぱり」

「だよねぇ」

こそこそ会話しているつもりなのだろうが、ダダ漏れである。この少女達はもう少し考えてみるべきだと思う。

そんな訳で暇になってしまい、やることが思いつかない。まあ変身する必要もないので、テキトーにごろごろすることにした。

すこしするとトレーにティーカップとケーキなどをのせて、マミさんが戻ってきた。

 

そしてケーキと紅茶が全員の所に来たところで、マミさんが会話を再開させた。

「こうやって集まったのだし、色々と話したい事もあるでしょう。どうしましょうか?」

「そっちが聞いてくれよ。どうせ俺に聞くことが大半なんだろうしさ。答えるぜ、ある程度は」

トップバッターをきったのはマミさんだった。

「じゃあカズマ、貴方のそのさっき使ってたベルトはなんなの?」

「ああアレか、変身用のベルトってところかなァ。ブレイドになる為の」

「んじゃ先輩、かめんらいだーぶれいどって何ですか?」

平仮名で聞くな。

「良い質問だけど...こればかりは説明が面倒くさくてなァ」

「というと?」

「ひと言じゃ説明出来ないんだよねェこれ」

「うんうん」

「うんうんって説明させるつもりかよ!マジで面倒なんだって!」

「そうなの?」

「そうなの!分かってくれよなァ...っても無理か。見た事もないものは何なのか知りたくなるものだからなァ」

いちいち聞いてくるとかやめてほしいが、女性の特性とでも言うべきものはどうしようもないか。

だからというか「なんでも1つ言う事聞いてやる」とか言ったのは間違いだったと改めて思う。どうせ大した事ないことだろうからさっさと済ませよう。

「あーそうだ、1つ言う事聞くんだっけ?俺」

「....そうね」

「んだよ、はよ言わないのか」

「カズマにはね...婿に来てほしいなぁ...とか」

「はぁ?」

何を言いだしているのだ、この子は。婿の意味が分からないわけではない。婿に来てくれとか、結婚イコールだということを知っているのだろうか。デートとかそんなものスキップしてないか?ゲッシュじゃないが、かなり響く。精神的に。

確かに1つ言う事聞かないといけないのだが!

「え、だって前に大きくなったらお嫁さんにするって言ってくれたじゃない。だからここで私も言おうと思って」

「確かに前に言ったね、お兄ちゃん」

「なんでまどかは覚えてんだよ!覚えてねえぞ俺」

「うっ....ひどいわ...覚えてないなんて....」

「お兄ちゃんマミさん泣かしたー」

「先輩ひどーい」

「ちょっと待てい!もう俺が悪かったよ!婿になれば良いんだろ!

クソォォォ!てかおまえらキャラ変わりすぎじゃねえの!?」

もうやだ何なんだ、この空間。キャラ崩壊激しい上に、いきなり婿に来てくれとか。結局言う事聞いてしまったが。畜生め。

「やった!これでもう夫婦よね!」

元どおりになるのが早い。本当にベテランの魔法少女なのだろうか。

疑問に思う所である。

「そだねー(気が重い)明日から面倒くさそうだよホント」

「ひゅーひゅー」

「ひゅーひゅー」

ここに来た意味を見失っている気がするのだが。明らかにキュウべえの出番ないし、ケーキ齧ってるだけになっている。

「でも結婚できる年齢にまだなってないよな?じ、じゃあ!」

「じゃあ婚約ってことにしましょ」

「え」

最後の退路が断たれた。もうこれは結婚しか道が無いのだろうか。

だがなんとか避けねば。

「そ、そうだよ!まだ親には言ってないじゃないか!」

「もう連絡したわよ」

「返事は?NOだよな?」

「お似合いだって言ってたわ(ポッ)」

「親ァァァァ!クソォォォ!」

了承する親も親だが、自業自得ってこういうことなのかと初めて思った和真であった。

作品内で「ダーリン」と言われているキャラの気持ちが分かったような気がした。

「はぁ.....もうどうにでもなれよ。」

溜息をつき、ぱたりと倒れこんだ。後は勝手に進めてくれて構わない。この一件で体力の大半を使い果たしたので、しばし横になる事にした。

「んじゃあ話進めてくれて良いぜ、キュウべえ」

「やっと出番だね!」

「俺寝るからあとよろしくー」

話を振り、和真は目を閉じた。世の中おかしくなりすぎである。

まぁ和真の世界も充分周りが混沌だったが。



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学校行ったらバトる羽目になった(ウゾダドンドコドーン!)

やれやれ八坂さん、やってくれましたねェあんた

時の運行に支障きたしますよコレ

「すんません。けどアレ言ったのマミさんですよ?!俺知りませんって!」

何でも1つ言う事聞くって言ったの八坂さんですからね?

「はい....」

まぁこればっかりは仕方ないですし、八坂さん本人に解決してもらいますよ。

「マジかぁ」

マジです。んじゃさっさと始めますよ

「「「目覚めよその魂」」」

「そろそろ違うヤツだせよ」

 

 

 

「....きて、起きて」

「んあ?起きるから起きるから...」

体を揺すられ、ぐらぐらとしながら和真は起こされた。まったく手荒なものだ。誰だこんな事をするのは。

「まったく、こんな時間まで寝ちゃって」

「はぁ?まだ4時か5時じゃ.....」

と思って時計を見ると午後7時。ちなみにぐらぐらと揺すっていたのはマミさんだった。まどか達は既に居らず、帰ったと見える。

「やっと起きたわね。起こすのこんなに大変だったかしら?前はすぐに起きてくれたのに」

「お、おう...悪かったな。次は直ぐ起きるよ、次があればだけどな。」

急いでカバンを引っ掛け、部屋を出る。

「待ってよ!泊まってっても良いじゃない。その....」

「夫婦ってか。あ、あの後話はしたのか?」

「え、ええ。明日から放課後出掛ける事になったわ。暫く一緒に居られないわね。」

「そだなぁ。でも登校はできるだろ?」

「そうね!」

「んじゃまた明日な!」

今度こそ外に出、家に向かって駆け出した。

帰宅すると既に家は静まり返っており、全員が寝ているのであろうことが伺い知れた。母親は残業でもしているのだろう、靴がない。

さっさと風呂に入って寝る事にした。

 

「よォ、和真君」

「誰だあんた。てかここ何処だよオイ!」

「うーんそだなぁ、ここ一応神の部屋って事になってるけどねえ」

「その割にはオタクグッズ多くないか?まどマギ多めだな特に」

「そう!その事で話があるんだよ和真君」

「はぁ」

「今直ぐその世界から出てけやテメェ」

「ああァ?神だかなんだか知らねえがな、何ほざいてんだ?この世界から出てけだァ?!ふざけてんのかテメェ!」

「ふざけてねえし!オマエが介入した所為でストーリーがめちゃくちゃになってんだよ!それにこれじゃまどかまで助かっちゃうだろうが!」

「何が悪いんだよ!オメェそんなんで神やってんのか?うわー」

「いや正確には神っていうかヨグソトースだけど」

「マジか...だからって俺に出てけと?」

「全員助けたらほむほむの努力無意味になるし、まどかのプリティな魔法少女姿拝めないだろうが!」

「そんな理由かよ!クソ野郎だなオイ!」

 

次の日目覚めると、全身汗だくだった。やけに鮮明に夢が思い出される。酷い夢だ、ヨグソトースと口論している夢っていうのは。

しかも最後がしょーもない気がしてならない。

さっさと朝食を済ませて、迎えにきたマミさんと共に学校へ。

学校の廊下ですれ違う奴らの視線が更に厳しくなっているのは、気のせいだろうか。

「俺が戦う。人間として、ファイズとしてなァ!お前を潰す!」

「さあ、お前の罪を数えろ」

「お姉様の為に戦う。その為に貴方には消えて貰うわ」

と何故かそのうちの3人が変身ベルトを取り出している。

しかも半狂乱といったところか。

だが所詮おもちゃであろう。と思ったのだが.....

「「「変身」」」

『Complete』『ジョーカー!』

『タカ・トラ・バッタ!タトバ・タトバ・タトバ!』

次の瞬間、仮面ライダーファイズと仮面ライダージョーカー、そして仮面ライダーオーズがそこに居た。

そして突如メールの通知音。

『刺客送り込んだから。やっぱりここで消えてもらいたくてねぇ、キミには。まどかとほむほむの為にも死ねよオマエ by最強のヨグソトース』

「あの野郎...嘘じゃなかったのか。しかもこの世界の奴らを使って俺を消そうたァ考えるじゃねーか」

内ポケットからブレイバックルを取り出そうとすると、マミさんの手が和真の手を抑えた。

「暴力は良くないわよ。妻として説教します」

「馬鹿か?!んな事言ってられるかよ!それにこんなトコで言ったら....」

刹那、和真に向かって明らかに3人以上が殴りかかって来た。

その全員がキレている。間違いない。それにいつの間にか他の奴らの腰にもベルトが装着されている。

「「「「変身」」」」

残りの全員がライオトルーパーに変身した。ヨグソトースめ、一瞬でベルトを更に出すとは。大方皆の自分に対する怒りの感情を利用したのだろうか。これでは明らかに不利である。ラウズアブソーバーを持ってない以上、外に出られないのでここでケリをつけるしかない。

「マミさん下がってくれ。ここを切り抜けねぇといかんからな」

そして飛びかかってくる彼らに向かって立ち、ブレイバックルを腰に装着。

「変身!」と言うと、『Turn Up』の音声と共に青い光のカードが出現して奴らを弾き飛ばして和真の身体を通過、和真は仮面ライダーブレイドへと再び姿を変えた。

 

そこからは圧倒的にこちら側の不利だった。

ブレイラウザー1本がこちらの唯一の戦力である上、明らかな人数差だ。それに相手はキレている、全力全開で向かってくるわけだ。

ブレイラウザーを振るってライオトルーパーはなんとか変身解除まで追い込めたが、ファイズとジョーカーとオーズが面倒だ。

いくらこっちがパワー、スピード共に勝っているとはいえ相手が3人となると話は別である。

だがファイズはアクセルフォームにはなれないようだし、ジョーカーにフォームチェンジはない。オーズもコイツはフォームチェンジはなさそうだ。つまりは全員ノーマルスタイルという事だ。

『ウェェェイ!」

と叫び、和真は再度彼らに斬りかかった。

 

ふと気づくと周囲の壁はボロボロで、窓ガラスも割れていた。そして床にはライオトルーパーだったと思われる一般生徒が倒れており、立っているのはファイズ、ジョーカー、オーズそしてブレイドの3人のみであった。

一般教師も倒れてる気がしたが、今はどうでも良い。

「そろそろやめないか?お互い決着つかねえぞ」

「ハッ、知るかよ。お前を潰すの俺の目標だからな」

「ハードボイルドに決めてやるぜ」

「お姉様を守る為にも私は戦うの。つまり貴方を倒す」

これでは拉致があかない。お姉様お姉様とほざいてる奴もいるのだ。

厄介なことこの上ない。というかこれは周りに気付かれていないのだろうか、明らかに気付かれてもおかしくないレベルだと思うのだが。

だとすれば急いで決着をつけねばなるまい。

ただ問題は3対1だということ。加えてあまり多人数相手は得意ではないのだ。敢えてそれも考えてこういう編成にしたのなら、ヨグソトースは嫌なやつである。まあやりかねないが。

『エクシードチャージ』『ジョーカー・マキシマムドライブ』

『スキャニングチャージ!』

それぞれの音声と共に、技が放たれる。クリムゾンスマッシュにライダーキック、タトバキックが連続して炸裂する。

ブレイラウザーを盾にして防ぐが、かなりの威力だ。反対側の壁に叩きつけられてしまう。

「ってて...やれやれキツイぜこりゃ」

物陰に隠れたマミさんに目をやりつつ、呟く。実際魔法少女になって

戦ってくれた方が楽なのだが、人前では変身しないのが決まりらしく

1人の少女のままだった。よし、ならばここは速攻で決めねば。

「ここからは俺のステージだぜゴラァ!」

『サンダー』と『スラッシュ』をラウズして、『ライトニングスラッシュ』を発動させる。

ゆっくりと剣を構え、一気に廊下を蹴った。

数秒後、ベルトのみを砕かれた3人が廊下に倒れ伏していた。

やはり慣れない物を使うものではないと思う。ましてや彼らは本来これを使わない側の人間だ。ヨグソトースも酷い事をしてくれる。

まあ別にキャラ崩壊がどうだとかそういう事は言わないが。

結果的にストーリーに介入し過ぎて、色々とこっちの世界がおかしくなっているのかもしれない。紅王症候群にでもかかってワルプルギスの夜まで飛んでくれないだろうか。

とまあそんな事より教室に向かわねばならない。後片付け?そんなものは知らないのである。

 

 

6時間の授業が終わり、放課後になる。一緒に帰ろうと声をかけたのだが

「ごめんなさいね、まどか達と用があるから」

「あー放課後出掛けるって言ってたアレか」

「ええ」

ならば仕方ないだろう。マミさんには先に帰ってもらい、自分は少し後から帰る事にした。ストーカーしようと言う意味ではない。

ケータイを取り出し、ある番号へとかける。

思ったより相手はすぐ出た。

「もしもし?」

『あら和真。急にどうしたの?」

「ああ、ちょっと頼み事があってさ」

『何?大抵の物なら1時間あればそっちに届けられるわよ」

「前に話題出したことあったと思うんだけどさ、ラウズアブソーバーって作れる?今ないジャックとクイーンとキングもカードもあると良いな」

沈黙。なぜ黙るんだろうかアト子さん。ブレイドのシステムに問題はないと前に言われたのだが、不備でもあったのか?

『そういえばまだ言ってなかったわねぇ、ブレイドの秘密って』

「そんなものあったのか。知らねえぞ」

言いながら和真は教室を出た。驚いた事に朝争った場所は綺麗さっぱりに元通りになっていた。邪神の便利なんとかってヤツだろうか。

などと思いつつ学校を後にした。

『実はブレイドのシステム...後に作ったカリスとレンゲルもそうなのだけど、ラウズカードにはホンモノのアンデッド封印してるのよね』

「え?アレってサンダーとかスラッシュとかの能力のみ使えるカードじゃねえの?」

『説明するの忘れちゃった。てへっ!」

そろそろキレてもいいだろうか。説明忘れるっていうのは作った側としてはどうかと思う。アト子さんだから仕方ないのかもしれないが。

「で、ホンモノのアンデッド封印してあるからなんだって?」

『実は和真がブレイドを使えているのは、偶然とかそういうのではないの。剣崎一真同様にアンデッドの融合係数が1番高いからなのよ』

「んで?融合係数云々で結論は何が言いたいんだ?」

『ラウズアブソーバーを渡すのが心配なのよねぇ』

「何故?問題ないだろうに」

和真の言葉にアト子はため息を吐いた。これだから貴方は、みたいに。

『はぁ...ラウズアブソーバーを使うとジャックフォームとキングフォームになれるのは知ってるわね?』

「ああ、テレビで観たしな」

『ジャックフォームはまだ良いのよ。けれどキングフォームがね....』

言葉を区切るアト子。再び沈黙が続く。

「んだよキングフォームが何だ?問題あんのか?!」

『貴方の融合係数から見るに、13体全てのアンデッドと融合したキングフォームになりそうなのよね。結末は剣崎と同じに...』

それだけの事か。むしろ面白いではないか。

「なんだよそんな事か。融合係数だかなんだか知らんけど、俺が制御してやるさ」

『だと良いのだけどね....』

「まだなんかあるのか?」

『いいえ。んじゃ今日届くようにするわ。メモも入れておくから読むようにね。使い方は分かるだろうけど』

それだけ言って電話は切れた。今日...か。原作では中盤辺りだった気がするが、まあ構わない。先は思いやられるが。かなり。

 



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狂戦士 和真

どうも八坂さん、前回も凄えカオスな話になりましたねえ

まさかヨグソトースの奴が出張るとは思いませんでしたけど

「ホントな。自分でも意味わかんねーよあの話」

OVA的な感じにします?ハイパーバトルDVDとかでも良いですよ?

仮面ライダーですし。

「そだなぁ.....まぁひとまずこの6話か?をなんとかしないとな」

頼みますよ?毎度毎度ストーリー無茶苦茶にして終わらせるんですから。それで上から怒られるのこっちなんですよ?

「気を付けます....」

はい!では始めますね

「「「ひとっ走り付き合えよ!」」」

「マジでそろそろ違うやつ出そうぜ!」

 

 

話は前回の最後に戻る。まどかとさやかを連れて帰ったマミさんが心配になり、結局和真は後を追う事にしたのだ。

彼女が死ぬのが今日なのか明日なのか、時系列があやふやになってしまいとりあえず確認だけでもすることにしたのである。

「さてと、えーとどこだったかなぁ....病院だったかデカい建物の壁だったよなアレって」

一度家に帰ってバイクに乗り、現在見滝原の都市部を走り回っているのだが、一向に彼女達は見つからない。それも考えてみれば当然ではあった。彼女達がいるとすれば魔女の結界内なのだ。

再びバイクを走らせ、建物の壁を見て回る。

いくつ目かの建物のところでようやく、和真は彼女達の入ったであろう入り口を見つけた。

周りは駐輪場、壁にはひびのようなものが光を放っている。間違いない。記憶が正しければ、マミさんが殺される場所だ。

バイクを停め、和真は結界の中へと足を踏み入れた。

 

中は当然というか、前と変わらず暗めのところであまり気分は良くない。だがひとつだけ異なる所もあった。1人の少女が黄色の紐で空中に

縛られていたことである。

理由は分かるが、敢えてわざとらしく聞いてみる。

「お前そこで何してんだ、暁美ほむら」

「....っ!」

睨まなくても良かろうに。ならば質問を変えよう。

「まどか達見なかったか?」

「....奥に行ったわ」

「どうも」

助けてくれとは言われてないので、紐は切らないでおいた。決してそういう趣味ではなく、面倒なのである。解いたら、時を止めて殲滅という名目でまどかを助けに走りそうだからでもあるのだが。

そんな訳でさっさとほむらを置いて、和真は奥へと走っていった。

 

最深部と思われる所まで辿り着いた和真であったが、中々に悩んでいた。かなり悩んでいた。考える人くらいは。

現在内部状況が分からないし、ほむらを置いてきたので紐の有無でマミさんの生存を判断することも不可能なのである。

「よし、考えるのはやめだ!行こう!」

気合を入れて柔らかなそうな(実際柔らかかった)扉を蹴っ飛ばし、中へと入る。

高い視力を活かして奥を見ると、今まさにマミさんをバケモンのデカい頭が喰らおうとしていた所だった。

そのあとは無意識とか反射と言った方が正しかった。すばやく背中に手を入れ、バールを取り出す。取れるだけすべてだ。

「はあああああああああ!」

全力で投擲した。もちろん下にいるまどかとさやかは確認済みなので、当然当たらない軌道をとる。そして投擲されたすべてのバールは寸分違わず、バケモンの頭を直撃した。

「なっ?!」

「マミさん!」

まどかとさやか、2人が叫んだ。きっと驚きと心配の表情が入り混じっているんだろう。少しはこちらに気付いて欲しいが、仕方ないか。

遠目で一応確認出来たが、マミさんも相当驚愕の表情を浮かべていた。それもそうだろう、自分が喰われかけているところで敵にバールが直撃するなんていうのは。

だがそんな風に言えるのも今のうち。バールを直撃させた以上、あのバケモン(魔女だと思うので以後魔女と呼称する)がこっちを敵として認識するのに時間はかからない。

そして案の定魔女はこちらを見つけて、突進しながらそのデカい口を開いた。何故かまどかとさやかは避けて来たのが驚きである。

やはり強い魔法少女になる奴らだからだろうか。

なんて呑気な事を言っている場合ではなかった。向かってくる以上は潰さねばならない。それにコイツを倒せばマミさんの死の運命は変えられるのだ。

「変身ッ!」

青い光のカードを通り抜けてブレイドに変身、ブレイラウザーを引き抜いて和真は一気に魔女へ飛びかかった。

「カズマ!?」「お兄ちゃん?!」「先輩?!」

3人の声が聞こえたが、今は構わない。殲滅が優先だ。

まずはデカいその面を回し蹴りで吹っ飛ばす。しかし魔女とてしぶとい。めげずにその顎門を開く。

「邪魔だぁ!」

ブレイラウザーを振るい、その頭を切りつけていくが、時間を置かずに再生するのを見る限り、剣撃はあまり効果がないのであろう。

一度剣をしまい今度は、シンプルに殴りつけた。

「おっ、これ意外と効果あるのか?」

剣は効果があまり無く、殴れば効果がある。まるで夏の鉄拳聖女マルタのようだと思った。説明は省く。察して頂ければ幸いだが。

とまあそんな事なので、和真はひたすらに殴って蹴った。

「オラオラオラオラオラァッ!」

そこからはほとんどブレイドの名に相応しくない、殴り蹴りのオンパレード。

まるで星の白金が如くラッシュを繰り出していった。

魔女の体がボドボドになった所でブレイラウザーのオープントレイを開き、和真はラウズカードを取り出した。

『キック』『サンダー』『マッハ』の3枚をラウズし、『ライトニングソニック』を発動させる。

『マッハ』で加速して魔女に肉薄、何発かパンチを叩き込み、最後に空中に跳躍した。そう、あのキックの高さまでだ。

「ウェェェェェェイ!」

そして和真は雷を纏わせた蹴りを放った。

 

前回同様魔女が消滅したので変身を解く。色彩が元の世界へと戻る。まあグリーフシードは自分には必要ないので、触れないでおいた。

暁美ほむらに関しては既に自力でなんとか抜け出たらしく、何も残っていなかった。どうやったのか疑問ではあるが。

その後当然ながら3人からは色々と言われる羽目になった。

「どうしてここが分かったの?」とか「よく来られたよね?知らないはずなのに」とか「先輩凄いですね!前回もそうですけど(以下略)」とかである。これ以外にも色々言われたが、かなり多いので記載しないでおこう。

3人にケーキと紅茶を奢って宥め、その後家に帰ったのが今回の(ヒドい)オチである。

 

家に帰ると、メガネ野郎(父親)から和真宛に、小包が届いていたと知らされた。部屋に置いておいたとの事なので、開けてみることにした。

開封してみると...

「おっ、遂に来たかラウズアブソーバー」

中にあったのはJ、Q、Kの3枚のカードとラウズアブソーバーだった。アト子さんは今日届くと言っていただろうか?言っていたな。

などというのは関係ない。いつ届くなどというのはもう関係ないのだ。届いた以上、これで戦力は確保できたも同然。

早速ブレイドに変身し、左腕にラウズアブソーバーを装着してみる。

なかなかにしっくり来るものである。

ジャックフォームとキングフォームも試そうと思ったが、流石に時間も時間である。親にバレると面倒でもあるので変身解除し、さっさと寝ることにした。

 

次の日になり、朝がやってくる。カーテンを開けると射し込む、眩しい日差し。雲ひとつない快晴だ。今日は洗濯物がよく乾くだろう。まあ自分は洗濯などしないのだが。

などと思いつつ制服に着替え、下に降りる。珍しくというほどでもないが、マミさんは部屋に来ずに下で待っていたのが少し驚いたことではあった。

「おはよう。マミさんもう来てたんだな」

「ええ....そう。実は言いたい事があって今日は来たのよ」

「言いたいこと?なんか悪い事したかねぇ俺」

「そうじゃなくて...昨日はありがとうね。助けに来てくれて」

何か勘違いされている気がする。確かに助けに行ったのは間違いではないのだが。色々と理由はあるのだ。

「まぁうん...そうだな。俺はお前に死なれたくないしな」

「...それって妻として?1人の人間として?」

難しい事を言ってくれる。しかも後ろにはニヤニヤ顔の親達とまどかがいる。というか何故まだ出掛けていないのだ母親。

「それは.....どっちもかなぁ」

あやふやに答えておけば問題あるまい。

「まあ!嬉しいわぁ」

抱きつかないで頂きたい。胸が当たるのと、かなり恥ずかしいのが入り混じって、顔が相当赤くなっているであろうことが予測できる。

そろそろヤンデレキャラとかに変貌するのではないか?などと勝手に心配してしまうのは、自分だけなのだろうか。

我妻由乃や清姫、緋山茜などのようなのはやめて頂きたいが。

障害物は排除(殺害)するような奴らだし。

なんてのどうでも良いので、脱線しすぎた話を戻そう。

現在マミさんに腕に抱きつかれているわけであって、この状況をどうするかである。

「マミさん?そろそろ離れて貰えませんか?」

「私のこと嫌いなの?」

なんだコイツクソ面倒くさい。元からキャラ変化し過ぎではないか?

「嫌いじゃないから!ホラ、このままだとメシ食えないんだよ」

「なるほどね。私が食べさせて...」

「自分で食えるから!」

そしてトーストを咥えて、和真は逃げるように外に飛び出した。

ひとっ走りして気付くと、そこはいつもの通学路だった。

流石にこの速さについてこれはしないだろう。ふぅ、と息をついて歩き始めると

「どこに行っていたの?見失いかけたわよ。もう」

「うわおっ?!いつの間に?!」

知らぬ間に隣に立たれていた。完全に撒いたはずなのだが。

「どうして...ここが?...」

「それは....愛故にと言いますか...」

聞き取れないのでさっさと学校に行く事にした。既に校舎は見えており、あともう少しなのだ。

「あっ!置いて行かないでよ!」

「はいはい、置いて行かないから」

周りに誰も居なくて助かった。いたら間違いなく殺されているだろうから。まあ仮面ライダーブレイドを殺せる奴などこの世界にいないだろうが。

そんな調子で学校に着いた和真(とマミさん)であった。

 

教室に入ると、思ったより人は少なかった。むしろ寝てるやつが僅かにいる程度で、登校時間なのか?と思うレベルである。

半ば疑問に思いながらも席につく。

朝自習の時間になるが、一向に生徒が来ない。来てないわけではないが、クラスの半分もいない。何故だろうか。大方寝坊かそんなところだろうと思い、考えない事にした。

だが数分と経たない時に、突然下が騒がしくなり、教室のドアが蹴破られた。

「オラァ!てめえらおとなしくしやがれ!ぶっ殺すぞ!」

銃声と共に覆面を被った奴らが入って来た。人数は6人。ショットガンとサブマシンガン、ハンドガンが主装備だ。なんだ、ただの犯罪者ではないか。犯罪者?ただの?何でだ。何故和真が関わることは、ロクなことが起こらないのだろう。特にここに来てからは。ヨグソトースに犯罪者の学校侵入。うんざりだ。

「おい!手ェ後ろで組んで座れ!動くな!」

奴らが銃をぶっ放し、叫んでいる。女子達が悲鳴をあげ、男子も混乱している。

だが面白い。ロクなことが起こらないのなら、それを全てぶち壊す。どんな幻想だろうが、ぶち殺してやる。

それにこの程度、ナイトゴーントに比べればカス同然である。

犯罪者?ゴミクズと同じだ。和真は1人、立ち上がった。

「おい、クソ野郎。手ェ後ろで組めって言うけどよォ、それじゃあ身体動かす羽目になるぜ?ああァ?」

「なんだテメェ...動いてんじゃねえ!」

「うるさい。黙ってろ雑種」

ハンドガンを構えた奴らの1人にアッパーを見舞い、天井にめりこませる。それに驚いたのか、他の野郎もショットガンやサブマシンガンを乱射して来た。全く...それでは後ろに逃げた生徒に当たってしまうだろう。

バールを取り出して双剣のように構え、和真は一気に振るう。銃撃音が止んだとき、そこにはあったのは無傷でバールをクルクルと回す和真の姿だった。

「どうした?それで終わりか、犯罪者共。銃弾はないのか?もっとオレを楽しませろよ!それくらいしか能がねえだろう!ああァ?!」

「クソがぁ!お前ら、行くぞ!」

「「「「おう!」」」」

決死の特攻か。ナイフを取り出して、奴らが飛びかかってくる。

だが無言で繰り出した和真のラッシュが的確に奴らを捉え、殴り飛ばしていた。

「つまらない。弱すぎだぞ、ああァ?!多人数だから面白いと思えば、ゴミクズ以下の戦闘力だなァ!くはっ、これじゃあショッカーの戦闘員より弱え!弱すぎるんだよ!」

狂ったように笑い、気絶した奴らを踏みつける。まるでそれは、己の愉悦を見つけた神父のようでもあった。

教室の隅で怯える生徒を目の端で捉える。

「ひっ!」「か、鹿目だよな?」

「お前らァ...奴らは片付けたぜェ...早く次はないのか?蹂躙こそがオレの愉悦であると言うのに!くはっ、はははっ!雑種がァァァ!」

机を蹴り飛ばす。椅子を投げる。そんな狂った和真へと歩み寄る1人の少女がいた。

「ああァ?トモエ...マミか?何だァ?殺られにきたのかァ?」

だが予想に反して来たのは、頰の痛みだった。

「ああ...あ....ああああァァァァ!」

和真は絶叫する。正気に戻り目の前の惨状、自分の行った事、それらが頭の中に流れ込んで来たのである。何て事をしてしまったのだろう。これではただの蹂躙ではないか。イジメなど程遠い。

和真は崩れ落ちた。そんな彼を巴マミは、優しく包み込む。

「俺は....何て事を...」

「貴方は間違った事をしてない。少なくとも皆を助けてくれた事は事実。ただ...やり方が少し違うだけなのね。貴方に何があったのか、話して貰わないと。後片付けは先生にでも任せましょう。」

沈む和真とそれを支えるマミ。2人はゆっくりと教室を後にした。

 

そして2人は屋上へと来ていた。マミが屋上が良いと言っていたのだ。

屋上のベンチに腰掛け、マミが問いかける。

「カズマ、貴方何者なの?少し前にも同じ質問をした気がするけど」

「....何者って、鹿目まどかの兄だよ。それだけさ」

「そう言う事を聞いているのではないの」

「?」

「あの狂ったような貴方は見たことがない。これまで生きてきて、あんな貴方は見たことがないわ。」

「....ああ、アレか。偶になるんだよね、意識が飛んじゃうこと。その時の記憶が後から来るから、あまり良いもんじゃないけどねえ」

そう言って和真は乾いた笑いを浮かべた。

「よく分からないのだけど....つまり無意識下の行動ってこと?」

「....そだね。発作とでも思ってくれりゃ良いさ。いや、発作にしちゃ無理があるか」

空を仰ぎ見る。やはり世界はロクなことがない。こんな事まで起こるなんて。やはりマミさんを助けて運命を変えた事が原因なのだろうか。はぁ、とため息をつく。もう教室には戻れまい。

ならば放課後まで此処で過ごすとしよう。

そして和真は、ごろりと横になった。

「おやすみ」

寝る事にした。こんな時は寝るのが一番であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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俺とさやかと暁美ほむら

どれくらい寝ていたのだろうか。目を覚ますと、既にあたりは暗くなっていた。発作の影響で、今だに頭が痛い。

「あら、起きたの?」

「ああ、って何これ?!」

「膝枕」

「いやそうだけどさぁ....まぁいいか。今何時?」

「7時よ?」

なるほど。それならこの暗さも理解できる。だがこれだと家に帰れないかもしれない。帰った所で怒られるのがオチだろう。

だがマミさんの家に泊まるのもいけない気がする。

「そういや俺マミさんって呼んでるけど、マミって言った方がいいかな?今関係ないけどさ」

「呼び捨てってなんか親しい感じがするわね。なんというか嬉しい...」

「あ、うん。じゃあ今度からマミって言うぜ」

とまあこんな事は今ぶっちゃけ関係無い。今後の展開に多少影響はあるかもしれないが。

体を起こし、仕方なく教室に戻ることにする。荷物が全て教室に置きっ放しなのだ。

教室で荷物を取って外に出、マミと共に家へと向かう事にした。

 

「ただいま...って居るわけねーか」

マミと別れ、家に入る。既に父親もまどかもリビングに居らず、寝ているであろうことが推測された。そこに居たのは、母親だけだった。

「カズマ、遅かったじゃないか。話があるから座りな」

「ああ」

多分朝の件だろう。1日授業サボったのもあるかもしれない。

そう思いつつ、椅子に座った。

「学校から電話が来たんだよ。武装した不審者撃退したんだってな?」

意外と褒められているのか。そもそも誰が話したのか、大方クラスの奴らであろうが。

「まぁ...そう言われてるなら良いけどさ。アレについて言われてないならまぁ、うん。」

「だけどな、その時のお前が壊れていたっていう証言があるんだよ。

狂っていたというのか、そんなところらしいが」

「そう....か。やっぱ言われたのか.....」

「カズマ、こっちは普通におまえを育ててきたつもりだ。まどかもそうだ、普通の生活を送っていたはずなんだよ。それなのに....なんでこんな事言われんだろうな?」

これには黙るしかない。「俺はカズマじゃない、和真っていう別の人間なんだ」と吐くのは簡単だ。だが、そんなことをする勇気は和真にはない。この家族を苦しませたくないのだ。

「なんかあったのか?マミと上手くいってないとか?」

「...違う、そうじゃないんだ...俺は...俺は.....」

後の言葉が言えない。「ここの子どもじゃないんだ!」と言いたくない。親の驚き、悲しみ、苦しむ顔を見たくない。家出同然の感じでこの世界にきたのに、言える立場ではないだろうが。

「まぁ今言えとは言わないさ。後で話してくれても良い、けどいつかは話してくれると嬉しいよ」

「ああ....そうだな....いつかは...ね。ここに居られるのも、そう長くないんだがな」

「それってどういう...」

「いや、なんでもないさ」

それだけ言って和真は部屋へ向かった。親の顔をできるだけ見ないように。自身の秘密を知られ、怖がられるのは嫌だった。本当の親じゃない人には特に。

そしてその日は何も考えずに寝た。

 

次の日になり、また次の日になる。毎日が何もなく繰り返される。

ある日はまどかが沈んで帰ってきたり、またある日はさやかが遊びにきたりした。

何日目だろうか、その日も普通に学校だった。

休み時間の時、教室に1人の少女が入ってきた。

「失礼します。鹿目カズマ、という人はいますか?」

「オイ鹿目、どういう事だよ!なんで下の学年の暁美ほむらがここに居るんだ?しかもお前に用とか!」

クラスメイトの1人(剣崎とかいうらしい)が言ってくる。

騒ぎすぎだ、喚き立てるな。

「は?知らねーよ。暁美ほむらァ?暁美ほむら?!」

振り向くと、やはりその少女は暁美ほむらだった。声で少女とは認識できていたが。斎藤千和さんのファンなら気付くべきであった。

確かにルッキーニは分かりにくいが。

「鹿目先輩、すいません。用があるので来てもらえませんか?」

「はぁ...」

重要な用事でもあるのだろうか。時間を操る魔法少女直々にお出ましとは。そして後をついていくと、ある渡り廊下のところで止まった。

振り向き、彼女は口を開いた。

「あなたは何をしてくれているんですか。時間の流れに狂いが生じているんですが。死ぬはずの人が死なない所為で、所々がおかしくなっているんです」

「死ぬはずの人...だと?命を軽く見過ぎだぞ!そんな軽くねえんだよ!人の命はよ!」

「ですが、狂いが生じているのは事実です」

「ほう?例えば何だよ?」

「佐倉杏子と巴マミ。この2人です。」

「さやかは問題ないのか?」

「彼女は既に手遅れです」

なるほど、もう魔法少女になってしまったのか。

「クソが!で、佐倉杏子と巴マミに何かあるのか?」

はぁ、と溜息をついて暁美ほむらは続けた。

「本来外部から来るはずの佐倉杏子。これまでの《時間》でもそうだったのに、この世界で急にこの中学校に通うようになっている。巴マミもあなたが助けた所為で、まどかの魔法少女に対する更なる憧れの的になったんですよ。」

「だからどうした?てか魔法少女って何かなー」

和真のセリフに息を飲む、暁美ほむら。言ってしまった!という顔をしている。そう、彼女は魔法少女の存在を和真の前で口にしたことは無いのだ。

「だって!だって!これじゃ.....」

「鹿目まどかは魔法少女になってしまって、助からない。とでも言いたいのか?」

「.....何故、あなたが....あなたは何者なんですか?」

「さあねぇ、通りすがりの者じゃないのかなぁ」

「嘘!まどかが魔法少女になることを知っているのは、この世界で私1人のはず!」

「おいおい、自分1人が特別だとか思うなよ?それにお前が魔法少女になったところで、アレには勝てないんだ。」

「アレっていうのは?」

「何だろーな!じゃあ俺戻るから」

立ち尽くす暁美ほむらを置いて、和真はさっさと教室に戻った。

 

そしてその日の放課後、和真は美樹さやかの家を訪れていた。

場所は当然まどかに聞いたのだが。最もマミに気付かれるのが一番心配ではあったけれど。

ピンポンを鳴らすと、時間を置かずにショートカットの頭がひょこりと現れた。

「あれ?先輩じゃないですか、どうしたんです?」

「うん、ちょっと聞きたいことがあってさぁ」

「あーそこで聞くのもなんですし、上がってください」

「悪いな」

で、上がらせてもらったわけだが。マミの時とは違う部屋の感じに、

少しばかり驚く。別にどうこうするわけではないが。

お茶を運んできてお互いの所にコップが置かれた所で、和真は肝心の話題を切り出した。

「それでだ、さやか。実は聞きたいことがあったんだ」

「うん、さっき言ってましたね。何ですか?」

「ソウルジェムって聞いた事があるか?」

沈黙。なぜ知っているのか、という表情だ。

「.....それをどこで知ったんです?」

「そうだなぁ、そう例えばだ。例えばの話」

「(コクコク)」

「俺がこの世界じゃない所から来た人間で、全てを知っている奴だって言ったらどうする?」

「.....つまり異世界の人だとしたら、という事ですか?」

「そう。どう思う?」

「驚きますけど...なんかカッコいいですよね。全てを知っているのって」

「....なるほど。カッコいい、か。仮に俺がその全てを知ってる者だとして、ソウルジェムって聞いたことあるかい?さやか」

そして、若干観念したような表情を浮かべたさやか。逃げられないと思ったのか、ぽつりぽつりと話し出した。決して脅したわけではないので、あしからず。

所々抜けているところはあるが、さやかの話を聞き終えたので。

「なるほどね。んじゃ、ソウルジェム見せてみな」

「どうぞ」

さやかの手にのるそのソウルジェムは既に黒いところが大半を占め、

光る所はあと僅かだった。

「これじゃマズイな。さやか、おまえ一回暁美ほむらからのグリーフシード、断ったろ?」

「....ふふ、よく分かるんですね。さすが自称全てを知ってる者なだけありますね。」

「ああ、そうさ。それと、悪いがこのソウルジェムは壊させて貰うぞ。」

「えっ.....」

まずは自身とさやかの指に指輪をはめる。形は当然給料3ヶ月の方に近いが、能力はウィザードリングに近いモノである。

そしてソウルジェムを右手で握り、超人の如き握力でぐしゃりと潰した。黒と水色の光が溢れ出て、部屋を満たしていく。だが同時に別の現象も起きていた。

『『コネクト』』

という音声と共に、黒と水色のそれを塗りつぶすレベルの赤い光が、指輪から放たれたのだ。

「まっ...眩しい!」

「やったぞ、発動したぞッ!」

その全ての光が消え去ったとき、そこには先程までのあまり元気のないさやかではなく、ウェイクアップフィーバーなさやかが居た。

要するに回復したのである。

「あれ?ソウルジェム消えたのに....わたし生きてる?」

「ふんふん、俺も自信なかったんだがなぁ....まさか発動するとはな」

「どゆこと?」

「うむ、では説明しよう。先程までソウルジェムの中にさやかの魂が入っていたんだが、それがそろそろ違うモノ....つまり魔女のそれに変化しかねない危ない状況だったんだ。んで、それじゃあマズイなと。

んで潰したわけだ。」

「はい、しつもーん!」

「なんだ?」

「この指輪は何ですか?あの....結婚指輪とかじゃないですよね?」

やはりそう言われるか。仕方ないのだが、これは否定しづらい。

「まぁうん、違うと言えばそうなるし、それが今重要なんだよね」

「というと?」

「さっきソウルジェム割って、さやかの魂は消えるはずだったんだ。けど今は、その指輪で俺の魂がお前のに接続されているというのか.....」

「えーとつまり、先輩の魂と私の魂を共有しているってことなんですか?」

「うーん、なんていうのかなぁ....厳密にはお前自身の魂今ないんだわな」

「へ?」

あまりそう驚かないで頂きたい。確かに魂ないとか言われれば驚くだろうが。

「俺の魂がお前の魂でもあるというべきなのかな。俺の1つの魂を、さやかと共有しているってのが正しいか」

ボンッ!とやかんの如き音がした(と思った)。見てみると、さやかが

顔を真っ赤にしている。やはり魂の接続共有なんてのは、やるべきではなかったのかもしれない。

「さやか?問題あったら違う手もあるから、そっちにする?」

「あの、いえ、問題ないです。なんか恥ずかしいですね...魂を共有してるなんて...」

「そうかなぁ....まぁ用事は済んだし俺帰るよ。あ、絶対その指輪外すなよ!絶対だからな!」

そして和真が帰った後、さやかが両親から薬指の指輪について聞かれることになるのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ヤンデレって怖いよな

さやかのソウルジェムを壊し、魂をコネクトして和真は家に帰った。

珍しく親にバレずに部屋に入ると、ベッドの上に白い小動物がちょこんと座っていた。

「どうした、キュウべえ。何か報告でもあるのか?」

「はぁ...まったく鹿目カズマ、君はなんて事をしてくれたんだ」

「なんて事、とは?」

「美樹さやかの事だよ。彼女が魔女になる運命は避けられなかったはずなんだ。佐倉杏子も同時に消えるのが、本来のシナリオのはずだったのに....」

なるほど。つまりこの小動物はシナリオが書き換えられたことに、怒っているわけだ。実に単純な野郎である。

「あのな、インキュベーター。運命ってのはね、それに抗い、書き換えてこそ意味があるんだよ。ま、お前らみたいなヤツには分からないだろうがな」

「....前から思っていたんだけど、鹿目カズマ。君は何者なんだい?全てを既に知っているような感じの口振りだ。かと言って暁美ほむらとも違う。何者なんだ?」

ここの世界に来てからその質問は何回目だろうか。毎回はぐらかして来たが、こいつには答えても良いかもしれない。どうせこの世界からは、もうすぐおさらばなのだから。

「そうだなぁ....通りすがりの仮面ライダーとでも言うかなぁ.....」

「そういう意味じゃない、もっと違う意味でだよ。君は...鹿目カズマじゃないだろう?」

やはり見抜かれていたか。こいつなら見抜くだろうとは思っていた。

「ああ、そうさ。俺は...いや、今は言わないでおこう。」

「何故?」

「どうも聞かれてるらしい。俺たちの会話がな....」

ゆっくりとドアを開けると、「ふぎゃ!」という情けない声と共に、額をおさえたまどかが現れた。

「ってて....あ、あはは....コンバンワ」

「コンバンワ、じゃないぞまどか。寝なきゃ駄目だろ?」

「まぁうん、だけどさっきのお兄ちゃんがお兄ちゃんじゃないってどういう...」

「あーもう、それに関しては後で細かく説明するから!とりあえず寝なさい、寝ないと成長しないぞ?」

「.....分かった、今日は寝るよ」

そうしてまどかを部屋に帰し、再びインキュベーターと向き合う。

「で、どうするつもりだ?俺を別の世界に送るのか?それともヨグソトースに差し出すか?」

「別に僕に出来ることは何もないよ。ヨグソトースとは面識はあるけど、何かできるわけじゃない。当面は何もしないよ。」

「そうかよ。お前も別の世界じゃツインテのロリなのにな。ったくよォ.....」

「どういうことなんだい?」

「さぁね?お前の知る事じゃないさ、インキュベーター。せいぜい暁美ほむらに殺されないようにしろよ。」

「いや何回も殺されてるから」

それだけ言ってインキュベーターは、窓からひょいと飛び降りた。

今夜はゆっくりと熟睡出来そうだと思った。

そして夜は更けていく。

 

次の日になり、予想通り朝の迎え的な感じでマミがやってきた。

だが予想に反した奴が1人。美樹さやかである。何故いるのだろうか。

「おはよ...って何でさやかが?」

「えっ....それは....居た方が良いかなぁって...」

「あたしは付き添いな」

「あらぁカズマ....随分と好かれているのね....」

かなり目が怖いマミであった。その感じは、ヤンデレの域だと思うのは和真だけなのだろうか。

「あ、あはは....偶然だろう?後輩から好かれるのは良い事じゃあないか?作者は後輩から呼び捨てされてたらしいけどサ!」

「そんなこと聞いてないの....あの娘のあの目、明らかに貴方に向いてる目よね?何があったの?」

「いや、別に何もないよ!昨日確かに家行ったけどさ!」

「....何で、私を置いていったの?寂しかったのに....」

そろそろというか、もうヤンデレではないか?こんなになるとは思ってなかったのだが。まあ指輪がバレてないのが幸いであろう。

こちらも手袋をして誤魔化しているわけだし。

「まぁまぁ、そうならないそうならない。ご飯出来てるし、佐倉さんも美樹さんも上がって。コーヒーくらいは出せるからね」

なんて言いながらも割り込んでくる父親。今回はかなり助かった。

あのままだとバレかねなかったので、命拾いのレベルである。

そして既に上がっているマミも合わせ、和真とマミと杏子、さやかで

テーブルを囲むことになった。父親はキッチンに立っているので、ほぼその点外野に等しい。

「じ、じゃあ、いただきます。」

「いただくわ」

残りの2人はコーヒーを飲んでるだけ。なんだよこれは。

食事の間もマミからの視線がきつく、食べるのが大変だった。

なんとか食べ終えて、いざ出発となった。

 

通学路の途中、左腕にぴとりとくっつくさやか。右腕に抱きつくマミ。しかもちょくちょく睨み合っている。

「あのさ...なんでそう睨み合うかなぁ....」

「仕方ないでしょう、あの娘が離れないからよ!」

「あたしは先輩を支えてるだけだから!」

「てか先輩、あんたさやかに何したんだ!さやかは....」

流石にイラっときたので。

「はい静かに!静かにしないと俺、先に行くからな。」

「「「ごめんなさい」」」

3人が謝る。よろしい、それで良いのだ。ただでさえ周りが殺意をタイプフォーミュラにしているので、それに耐えるのもキツイのである。

そんなこんなで学校に着いたわけだが。

 

「んじゃ先輩、また後で...」

「じゃーな、先輩」

ついでにほっぺにキスしたさやか。昨日の一件で好感度上がってしまったのだろうか。処置が必要だったとは言え、流石にありえ....

と、そこに鬼が居た。

「どういうことかしら、カズマ?」

「あ....こ、これには意味がっ!ちょ、おまっ!?」

ナイフが空を切る。いつの間に隠し持っていたのか、という疑問と共に先日見た『恋愛暴君』の緋山茜を思い出してしまう。

アレはガチなヤンデレであった。確か声は沼倉愛美だっただろうか。

「待てよ、おい!おまえキャラ変わりすぎじゃないか?確かにヤンデレ感が何話か前からあったけどさ!っとぉ!」

今度は二本投擲され、イナバウワー宜しくかわしていく。

「吐いて貰うまでやめないわよ」

「マミちょっ....学校だからな!?他の人に当たるぞ!」

「大丈夫、貴方にしか当てないから」

「怖え!なんだよ....っとまたか!」

三本同時の投擲を、今度はそれぞれの指で挟むようにキャッチする。

それをズボンに差し、教室へと逃げ込む。

「よ、よう!おはよう!」

「「「「あ?」」」」

どうしたことだろう、全員ヤクザのようになっている。昨日まで普通だったではないか。

「どうしたんだよ、お前らおかしいぞ?」

「鹿目テメェ、マミさんだけならず、さやかたんにまで手を出すとはなぁ.....」

「さぁ、お前の罪を数えろ!鹿目ェ!」

「絶望がお前のゴールだ、死ぬがいい」

「は?意味わかんねーよ!」

転げるように教室から出ると同時、クラスを確かめてみると。

《8年93組》

なんだこれ。こんなクラスあっただろうか?だがよく見ると、《3年13組》を上書きしたものであることがわかった。

これならば納得である。だが現状は変わらない。

アサシンマミにバーサーカー複数に対処せねばならないのだ。ここは

いっちょ先生に協力を求めよう。と、偶然にも通りかかった先生がいた。まどか達の担任である。

「あ、すいません!助けてください!ちょっと今皆おかしくなってて...」

「はあ、別におかしくないと思いますよ?普通に歩いてるだけじゃないですか」

「へ?」

見やると、確かに歩いてるだけである。先程までのバーサーカーとアサシンはどこに行ったのか。マミだけは違ったが。

「では遅れないようにしましょうね」

立ち去ると同時、彼らが再び飛びかかってくる。

何故だろうか、この世界はロクなことが起こらない。特に急に変なことが起こる。もう嫌である。そろそろ最終回に飛んでくれないだろうか、などという望みも効果はないのだ。

「あ、そうだ!」

ふっと手を空に突き上げると、そこに飛来したのは赤いカブトムシ型のアイテム。カブトゼクターであった。

「変身」

『HENSHIN』

音声に続き、和真の体がアーマーに包まれる。マスクドフォームである。これに傷をつけられる者などいない。

ゆっくりと彼らに向かい合い、飛びかかるバーサーカーに腹パンを叩き込んで行き、気絶させていく。

だが、マミだけにはこれが効かないであろう。

ジャックザリッパーよろしいスピードを出しているのだ。あの巨乳で

よくスピードが出せるなぁ、などと思ってはいけない。

今の目標は彼女に落ち着いてもらい、和真自身の言葉を理解して頂くことなのである。

「キャストオフ」

『CASTOF』『CHANGE BEETLE』

キャストオフしてライダーフォームへと変わる。巴マミタイプスピードを抑える為に、やるしかないのだ。

「クロックアップ」

『CLOCKUP』

全てが低速化した。ほとんど動いていない。だが時間が遅くなっているのではない、和真が加速しているのだ。その中を動いてマミへと近づく。そしてマミを抱え、屋上へと来た。

『CLOCKOVER』

変身を解き、マミに向かい合う。いきなりの屋上に驚きを隠せていないマミ。

「ここならゆっくり話せるだろ、マミ」

「...どうして...いえ何が....起きたの?」

「いや確かにそりゃわかるけど...人の話聞こうや」

「そうよ!カズマ貴方、説明してもらえるんでしょうね!?」

「ああ、分かってるよ。説明するから....」

そして和真はゆっくりと昨日の事を話し出した。

 

話し終えて、マミはうーんと悩んでいる。

「理解できた?」

「一応理解はしたわ、でも許せない」

「ですよね!」

指輪の件に関しては遠回しにぼかして言ったので、なんとか殺されることはないだろうが。ただ問われるのは、時間の問題であろう。

「なんで貴方彼女の家に行こうと思ったの?」

「またそこから?!」

「そうよ、なんで?そもそも貴方言ってないはずの事を色々と知ってる。教えて、私になら言えるでしょう?妻なのだから」

「まだ婚約とか言ってた気がするけどな......まぁそうだな....理由なら簡単さ。俺は全てを知ってるからだよ。」

「はい?何を言ってるのかしら...あいつに変なこと吹き込まれたとか....」

「違う違う!だからなぁ...あーもう、良いよ言ってやるよ!」

「何を?」

「俺はな、ここの世界の人間じゃないんだよ。鹿目カズマとも関係ない、八坂和真っていう別の人間なんだ。だから....」

「カズマ、発想力豊かになったわね」

分かってもらえていない。別に理解されようとは思わない、ただ一度の敗走もないし、ただ一度の勝利もないのだが。

「ああ、そうだよ。俺は発想力豊かだろうさ。だけどな、違うんだよなぁ...まあそのうち話すよ」

「貴方の妄想を?良いわ、全部聞いてあげるわよ」

また変な風に理解されていないか。ワルプルギスの夜がくるのもそう遠くないと言うのに。

 

 

 

 

 



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切り札のK/世界にはいつだって希望がある

結局その日の放課後、帰る時になってしまうと全てが元通りになっており、何事もなかったかのように1日は終わりを告げた。

まったく何がどうなっているんだか。

家に着き、やはりというかさっさと寝た。装備の点検はする必要はないし、実際やる事はないのだった。

 

また数日が過ぎた。変えてしまった運命の歯車はそのまま回り続けていた。マミとさやか、杏子は生き残り、まどかも魔法少女に更に憧れるようになっていった。暁美ほむらから再度の忠告を受けたが、無視をした。

そしてある日、鹿目家のカズマの部屋に彼女達(暁美ほむら抜き)+和真と小動物が集まっていた。どうもワルプルギスの夜がやってくるのが、明日らしいのである。

司会を買って出たさやかが声を上げた。

「今日は集まって貰ってありがとうございます。1名金髪の変な人がいる気がしますけど、進めましょう」

「あら、青い髪の変な人がいるわね」

早速言い争うな、少女達よ。問題は他にあるだろう、ワルプルギスの夜とか戦力の低下とか。

そう...実はさやかのソウルジェムを壊した後、彼女は魔法少女ではなくなってしまったのだ。それに伴い、明らかな戦力低下が魔法少女サイドで起きていたのである。

「それよりも...あの、話し合うべきだと思うんですけど」

「確かにまどかの言う通りだね」

「そうね、今は話し合いましょう」

などと言いながらもお互い睨み合っている。そろそろやめて頂けないだろうか。

「暇だなぁ、キュウべえ」

「そうだねぇ...お菓子ある?」

「クッキーくらいならあるぜ、ほらよ」

結果的に部屋の隅でクッキーをつまんでいた和真とキュウべえは、出番がなくなってしまったのであった。

 

そんなこんなでぐだぐだに時間だけが過ぎていき、気付けば午後6時を

まわっていた。流石に長居もアレだし、遅くに帰すのもいかんだろうと思い、帰ってもらうことにした。

マミだけは家まで送っていけと聞かなかったので、仕方なく送っていく羽目になったが。

やっとマミの家から帰宅し、寝られると思えばそうでもなかった。

「やぁ、鹿目カズマ」

「....なんでまだ居るんだよ、ほむらの前につき出すぞ」

「酷いなー何回殺されたと思ってるんだい?」

「知らん。だいたいキュウべえさんよ....お前ここ家だと思ったんじゃねえだろな?」

「ここ僕のホームだお」

「よし今投げ捨ててやる待ってろ」

さっとその尻尾を掴んで、和真は思いっきり投擲した。全開の窓から投げられたインキュベーターは、綺麗な直線を描き、飛んでいった。

多分アレはビルか何かに当たるんだろう。

今夜はすっきりと眠れそうな気分である。

 

翌日になり、さっさと着替えて下に降りた。テレビでは速報が流れており、キャスターが焦るように喋っていた。やはり台風や大雨やらくるらしい。

「今日は仕事休みだってさ」

「そうかぁ...なんかさっき放送入って、町内の人たちは避難しなさいって言ってたよ」

親達が不安げな表情を浮かべて言い合っている。昨日のぐだぐだな話し合いは意味を成していないが、情報だけは確かだったようだ。

大方インキュベーターが情報でも流したのだろうか。そんなことは今はどうでも良いが。

「まどか、カズマ、避難しなきゃいけないらしいから。出よう」

「うん....わかった準備してくる。」

「やれやれ...避難かよ....(避難する必要なんかねえのに)」

仕方なく部屋に戻る。自分の荷物などリュック1つである。この世界では学校指定のヤツばかり使っていたが、自身のリュックもあるのだ。中身は出してないので、背負うだけで済む。まどかは女子なので

色々準備するかもしれないけれど。

しばらくするとまどかも準備が終わったようで、皆で避難所に行くことになった。

和真はバイクを押して、残りの3人は歩いて向かって行く。

 

一口に避難所とは言うが、この街の人口は意外と多い。避難所避難所と言ってつくったものは、結果的に体育館並みの大きさとなってしまっていた。だがこの場合はそれが幸いとなっていた。

全員が全員避難してきているわけだから、十二分にその機能を生かせていたのだ。

「避難....とか、要らねーのにな」

だが和真の呟きも、降り始めた雨に掻き消されていく。

4人で避難所の中に入りひと息ついていると、マミやさやか、杏子の姿も見えた。まだ戦闘はしていないのか。

さっそく打ち合わせといこう。

「ついに今日が来たなぁ」

「まあわたしは戦闘できないんだけどね」

「私はカズマを守るために戦うわ」

その必要はない気がする。むしろマミを守れると思う。状況によるが。

「暁美ほむら...彼女も来たのね...」

「なんで分かるんだ?」

「魔力を感じるのよ...相変わらずこの感じは嫌ね」

「はあ」

考えるな、感じろと言うヤツだろうか。無理がある。だが彼女が来た以上、ワルプルギスは近い。むしろすぐそこにいると言っても過言ではないかもしれない。

「行ってくるか」

「私も!」

「ダメだ!3人とも来ちゃいけない!....いやそれは言い過ぎか、でも見るだけに留めてくれないかな?」

「「「何故?」」」

「まぁ付いて来いよ、良いだろ?母さん」

「危ないからやめ...」

初めて赤の他人を、母さんと言ったかもしれない。よし、これであの家族にはお別れと言っても良いだろう。

そして3人を引き連れ、和真は外へ出た。さっそく雨が体に打ちつけてくる。

なんとか空を見上げると、何とも形容しがたいモノが浮かんでいた。

あれは間違いない。あれが、まどかを神にしてしまった魔女であろう。だから...

「ここで決着をつけてやる。変身!」

『Turn Up』の音声と共に、青い光のカードが現れて体を通過する。

そしてそこに居たのは青と銀の騎士。仮面ライダーブレイド。

「ここからあの魔女見えるか?」

「ええ」「まぁ見えるね」「見えるけどなぁ...」

「よし、ならオッケー。じゃあ初めてだけど、やってみるか!」

ラウズアブソーバーを開き、クイーンとジャックのカードを取り出した。

『アブソーブ・クイーン』『フュージョン・ジャック』

そしてそこに居たのは先程の姿のブレイドではなく、背中に翼が生えた騎士だった。装甲も金色が混ざっている。

「その姿は....?」

「説明する暇はないぜ。手っ取り早くやっつけねえと」

オリハルコンウィング(たった今命名)を展開し、和真ブレイドは暗い空へと飛翔した。

 

飛行に関しては割とすぐ慣れたが、問題はあの魔女であった。

何度も斬りつけてはいるが、なかなかに傷がつけられていない。多少は傷はついているのだが、大したダメージになっていないと言った方が正しいだろうか。

「いっちょ試してみますか!」

『ビート』『サンダー』『マッハ』の3枚をラウズ、剣崎一真も使ったことのないであろう技を発動する。

『ライトニングスマッシュ』のボイスと共に和真は加速。ワルプルギスの下へと潜り込み、拳を握りこむ。

そして、思いっきり殴りまくった。

「オラオラオラオラオラオラァ!」

マッハで繰り出される、雷を纏わせたラッシュがヒットするたび、ワルプルギスの体はどんどんと上空へと殴り上げられていく。

ちょくちょくほむらのランチャーやらタンクローリーやらが飛んで来たが、そんなものはワルプルギスを盾にして防ぐ。むしろダメージ受けて貰いたかった。

 

高度がどれくらいになったかわからない。周りにまだ雲があるのだから、少なくとも地球であろう。

下を見ると、見滝原の上空に未だにいることが推測できた。

だんだんと高度が下がり、はっきりとモノを見えるようになってくると正確にはそれが、避難所の上であることが理解できた。

(くそ、やべえなァ....キングフォームしか倒せる当てはないけど、変身したことないしなァ)

だが迷っていても進まない。キングフォームになることを決意する。

「キング、俺に力を貸してくれ!」

『エボリューション・キング』という音声と同時、13枚の金色のカードが出現して体の中へ取り込まれていく。

「.....っ....あ、ああああああああああ!」

叫び、なんとか痛みに耐える。輝きが収まった時、和真の体は青でも銀でもない別のアーマーに包まれていた。

金色の重厚な装甲に、各部にはアンデッドの模様の様なものが描かれている。

「なんだこれは....いやこれは剣崎の、あのブレイドのキングフォームか!やった!これなら....」

手頃なビルの屋上へ降り立ち、専用武器重醒剣キングラウザーを構えた。

そして和真の手には、5枚のカードが握られていた。

その5枚のラウズカードをキングラウザーへと読み込ませる。

『♠︎10・J・Q・K・A』

『ロイヤルストレートフラッシュ』

ワルプルギスに向かって5枚の光のカードが現れる。ゆっくりと剣を構え、和真は一気に振り抜いた。

キングラウザーから放たれた光がカードを通り、さらに巨大な光の奔流へ姿を変える。

「吹っ飛べぇぇぇぇぇぇぇ!」

光の奔流がワルプルギスへ直撃し、シールドと思わしきものを破壊し、ボディを貫通した。光線は曇天をも貫き、街に一条の光をもたらした。そして和真は光が出る限り、剣を薙いだ。

魔女を切り裂くように、この街に光をもたらすために。しかしそれも数十秒間しか続かず、変身が解除される。

けれど、それで良かったのだ。ワルプルギスは爆発四散し、空から太陽の光が降り注ぐ。

「やった....か。初めてにしちゃあ、上出来か.....」

思ったよりキングフォームの反動が大きかったようで、身体がふらつき、数歩あるいて倒れ込んでしまう。

「カズマァァァァ!」「ったくよォ...さやかの奴なんでこんな」

「いいから運んでよ!お願い!」

3つの声が聞こえる。だがそれも遠くなっていく。

(やっぱ無理あったかなぁ.....)

それを最後に、和真の意識は途切れた。

 

目を覚ますと、そこは知らない天井だった。ゆっくりと体を起こす。

隣にはマミが居る。

「ここは....?」

「目を覚ましたのね。3日も寝てるから心配したのよ」

「はあ、3日ね....」

「全て天気も元通りになったから避難は解除されて、皆家に帰ったの。で、貴方も家に運んだのよね」

「ありがとな....」

これでまどかも魔法少女になってないはずだ。少なくともあの時、ピンク色のあの光は確認していない。

一応急ぎ足ではあったが、解決したい事は解決できた。

「そろそろ行かないといけないかもしれないなァ。」

「行くって...何処へ?しかもまだ医者からOK出てないのよ?」

「バイクは?」

「庭にあるけど....」

「了解」

ベッドから出て、アクセルで私服へと着替える。ちなみにこれを使っていると、キチガイでない限り、和真を捉えることは不可能なのである。

リュックを背負い、外に出る。

「待ってよ!まだ貴方....」

「ああ、そうそう。家族全員呼んできてくれ」

「あ、はい」

マミに鹿目家を呼びに行かせ、こちらはバイクを起動させる。

「「「どうしたの?」」」

ハモっている。どうでもいいことだが。どうせこいつらとはもう関係なくなるのだ、別れの1つでもしてやろうではないか。

和真はバットを取り出した。

「悪いな、お前ら」

瞬時に全員の頭を叩いた。このバット、メモリブレイカーといって使用者の望む記憶のみを、対象者から消せるのである。叩けば1時間は起きないので、安心だ。

そしてここで望んだのは、彼女達の鹿目カズマに関する記憶の消去。

「あばよ、鹿目家」

これで鹿目カズマの記憶が消えれば、自然と周りからもその存在は消えて無くなるだろう。さやかと杏子もそうなることを願おう。

再びディスプレイを操作し、今度はこの世界へ行くことにした。

「ウィッチーズの世界へ」

バイクのエンジンをふかし、和真は光の中へと消えていく。

その頰には一筋の涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Wの戦争/少女達の空

ワルプルギスの夜を倒し、まどマギの世界を後にした和真。
彼が次に向かうのは1944年、戦時中の日本である。
そこは魔法少女とは違う、ウィッチと呼ばれる少女達が戦う世界であった。


ようやくまどマギの世界編終わりましたねェ....早かったような短かったような....

「まぁそうだな....うん。次がかなり心配なんだよなぁ」

何故?ウィッチーズでしょう?作者の趣味全開じゃないですか

「そうなんだろうけどさ....キャラが個性的すぎて喋りかけにくい....」

あーなるほど。それに1期は基本宮藤のそれぞれとの絡みですからねえまぁ頑張って下さいな

「はあ?!ちょっ...おま、投げるのかよ!?俺1人とかきついわ!あそこ女しかいねーしよ!」

そですね。コミュニケーション能力が問われますね

「くそがぁぁぁぁぁ!」

「「「英霊七番勝負、楽しみですよねェ!あとは宮本武蔵と沖田さんを(以下略)」」」

「当たらないからってそうなるなよ....」

作者も武蔵ちゃんや沖田さんは欲しいですよ。クイックがジャックと武則天とクーフーリンくらいじゃねぇ....

「作者なんで出張るんだよ!引っ込めよオイ!てかそんだけいりゃ充分じゃねえの?!」

「「「START YOUR ENGINE」」」

「もうさっさとやれよ.....」

 

 

 

鹿目家からカズマに関する記憶を削除し、次の世界へと向かった和真。前回同様の光の中へ突入したのだが、今回は何かが違った。

具体的にいうならば、前回までは光だったものが、今回は霧にいるような感じであった。しかもただの霧ではなく、所々で電流が流れている。

「なんだ...これ?目的地は示したはずなのに....」

そう言ってから、和真は1つの結論に至った。もしかしてだが、いやもしかしてというより、かなり自信を持って言える。

「やっべ.....ストライクかブレイブか言ってねえんだったなァ....」

現在アニメ化されているのはストライクとブレイブ。なお両方、ウィッチーズという名前がついているので、どっちかを選択しないと行けないのだろう。

しかしまぁなんと言うのか、どっちにしろ「やっぱ魔法少女は最高だぜひゃっはー!」になってしまう気がしてならない。

作者は大丈夫だろうか?捕まらないことを願うが。

そんなこんなでも選択まで時間はない。そして、和真は選んだ。

「ストライクウィッチーズだッ!ブレイブ全部見てねーしな!くははは!」

途端に再び、あの光が体を包む。結局眩しさのあまり目を瞑ってしまう。そして...

 

「うーん....ってて、どこだよここ?結構暗いなぁ」

またこの感じであった。予想だが、どうせまた入れ替わってるのだろう。起きたら入れ替わってた、というのは前の世界で体験済みである。

だがこの感じは、前と完全に違う。おまけにこの場所はかなり暗く、周りが見えない。懐中電灯を取り出してつけてみた。

一気に視界が広くなる。パッと見たところ、倉庫のようだ。

「ん?もしかしてこれ、ストライカーユニット...かな?」

見たことのあるソレは、やはりアニメでも小説でも活躍しているストライカーユニットであった。

「....待てよ、ストライカーユニットあるってことはここ....格納庫か何かだよな?てか俺の服はどうなって...」

自分の服を照らしてみると、教科書などでしか見たことのない、戦時中の服装をしていた。ご丁寧に帽子まである。

「てか俺のバイクどこ行った?!アレないと移動もクソもねえんだがな!」

格納庫(?)の中を歩き回ると、端っこのほうに、縛られて置いてあった。なんとも酷いことをしてくれるものである。

「ったくよォ...前の世界の方がよかったじゃんか....ンだよ、起きたら格納庫でした!とかねえだろ...」

ぶつぶつ言いながら縄を解いていると、突然の衝撃。ぐらんっ、という揺れで体が壁に叩きつけられた。

だがこの揺れ、海の波で起きるものではない。素人でも分かる。

海?格納庫。揺れ。考えるんだ八坂和真、予想するのだ。

「まさか物語の最初の戦闘じゃ...」

全部言い終える前に、天井に穴が開いた。砲撃音も聞こえたので、戦闘で間違いないだろう。

そしてその天井の穴から落ちてくる人影が。助けねば。

「よっと!危ねえなァ、まったく...っとこいつ、宮藤芳佳じゃねえか」

落下してきた少女は、左右のくせっ毛というのか、はねている髪というのか、特徴的な髪をした少女であった。それに和真はこの少女を知っている。アニメで見た勢だが分かる、こいつはストライクウィッチーズの主人公の宮藤芳佳であった。

この後宮藤がストライカーユニットを履いて出撃するのが、本来のストーリーなのだが、意外にも彼女は気絶している。どうせすぐ起きるだろうが。

そして色々と考えた結果、結論に達した。ここは赤城の中であり、現在外ではネウロイと戦闘中だ。坂本少佐が戦っているはず。

「ネウロイと戦闘中なんてした事ねえけど、やってみるか!ま、時間稼ぎくらいにはなるだろ(潰したい)」

宮藤を横たえ、和真は倉庫を後にした。

艦内を走るのは得策ではないが、致し方あるまい。なんとか迷わずに外にでると、空母のデカい甲板が目に入る。砲撃音とネウロイの放つビームも認識できた。

「過去でやって良いのかなァ....ま、作戦なんか動いてから考えれば良いんだから良いよな!」

勝手に納得し、「変身!」と叫ぶ。

仮面ライダーブレイドに変身し、すぐさまノーマルからジャックフォームへと変わる。

空の戦闘は、ジャックフォームしか対応できないのだ。

「坂本少佐ァァァァ!どけぇぇぇぇぇ!」

「なにっ?」

オリハルコンウィングを展開して飛翔、ブレイラウザーを振りかぶり、ネウロイへと叩きつけた。

だがまあ坂本少佐が驚くのも無理はなかろう。いきなり誰かも分からないヤツにどけと言われ、しかもそいつが剣でネウロイに斬りかかるとか。

あ、なんだかんだで坂本少佐も剣使っていたか。

「無事か?少佐」

「あ、ああ。にしてもその姿はなんだ?見たことがないが...新しいユニットなのか?というかお前は....?」

「説明は後でしよう。それと今格納庫で宮藤芳佳が倒れている。俺が時間を稼ぐから....とその必要はなかったか」

空母赤城の方をみると、飛行甲板からプロペラの駆動音が聞こえてきた。離れていても聞こえるほど邪神は耳が良いのだ。

「坂本さぁぁぁぁん!」

「宮藤ぃぃぃ!ってどこに飛んでんだぁ?!」

感動的だとでも思っておくか。にしても宮藤は起きるのが早い。恐らく主人公補正であろう。だがネウロイは止まってはくれない。

着実に艦隊も壊滅へ向かっている。501はあと15分くらいで着くはずだが、そんなもの待ってくれはしないのだ。

とりあえずこの敵を倒さない事には、何も始まらないのである。

『サンダー』『スラッシュ』『マッハ』をラウズし、『ライトニングスラッシュ』の上位技とでも言うべき技を発動する。音声は『ライトニングスラッシュ』のままなのだが。

ウィングを全開にして加速、サンダーを纏わせたブレイラウザーを振るった。

「食らえええっ!シャイニングカリバーァァァァ!」

あまりセンスは無いので、別に気にしないで貰いたい。(アギトの武器の名前パクっただけ)

ともあれ、この斬撃は通常のライトニングスラッシュでは一撃だけのところを、マッハのカードで高速の多段斬撃と化している。

高速で振るわれる雷の剣は、確実にネウロイの体を切り裂いていく。

何度目の斬撃だか、ガキンッ!という音がした。見ると、それは多面体の物体...ネウロイのコアだった。

「これで決まりだ....オラァ!」

全力でコアを殴りつけた。銃弾如きで壊れるコアなので、邪神のパワーを持つ和真の拳ならば一撃で壊せるようだった。

 

ネウロイは大空に散った。艦隊もある程度は生き残っている。

坂本少佐、宮藤芳佳は未だに空にいるが、まあ良いだろう。宮藤にとってはこれが初飛行なのだ。しばらく飛んでいても良いと思う。

ふと複数のプロペラ音が聞こえ、その方向を見る。

すると、編隊を組んだ10人ほどの少女達が見えた。

「あれだな....正式名501統合戦闘航空団だっけか、ストライクウィッチーズって」

「そうだ。宮藤をそこに連れていくのが目標だがな...」

「坂本少佐?!」

いつの間にそこに居たのだ。気付かなかった。学校生活で少し衰えただろうか。驚く和真に、はっはっは!といつもの笑い声を上げる。

というかまだこちらはブレイドの姿のままなのだが。

「誰かも分からないのに話し掛けて良いのか?攻撃するかもしれないんだぞ?」

「まさか。あんな風に戦ってくれたのに、こちらを攻撃するはずがないだろう?」

よくお分かりだ。確かに攻撃する意思はない。その点、坂本少佐はヒトを見る目があるのかもしれない。面接官とかオススメするが。

宮藤はまだ上手くは飛べないらしく、あーれーなどと言いながら飛んでいる。ダメだこりゃ。

「で、宮藤を補充要員として連れてきたんだろ?俺も補充要員として

置いてくれないか?」

「何故だ?助けてくれた事は事実だが、まだ正体が分からんだろう」

「あーそういえばそうだな。基地に着いたら明かすよ」

「そうか...ミーナ達が近くにいるんだ、ここで明かしても良いだろうに」

「いやぁそう言われてもな...海に落ちるぞ?」

「ああ...なるほど」

流石にいきなり補充要員になるのは無理なようだが、一応分かってくれたらしい。ウィッチとてストライカーユニットを外せば人間、空中でユニットを解除すれば海に落ちるのは分かっているのだ。

その後、坂本少佐が何かミーナに言い、宮藤を抱えて他のウィッチと共に基地まで飛んでいった。空母も後を追うように基地に向かい、結局和真は1人で寂しく飛ぶ羽目になったのであった。

 

仕方なく1人でふらふらと基地まで辿り着くと、格納庫の荷物はすべて下ろされており、バイクやリュックも半ば捨て置く感じで、滑走路に置いてあった。人の荷物をなんだと思っているのだ。

けしからんが、あまり言わないでおこう。やったのが誰か分からないので。

バイクを駐車場とおぼしき砂利のスペースに停め、リュックを背負い建物の中に入った。当然怪しまれると事なので、変身は解除したが。

「あれぇ?おかしいなァ....ここら辺で合ってるような気もするがなぁ」

場所をよく調べずに突入したので、案の定迷子になった。坂本少佐に待っててくれとも言ってないので、助けを求めようにもどうしようもない。しばらく歩くと声が聞こえ、慎重に進んでいくと、ある扉の奥から数人の気配と音声が。

「......ぜ、を....」

「....それは.....からでな....」

かなり途切れ途切れではあるが、坂本少佐と多分だがミーナさんの声であろうものも聞こえた。

(....誰だろ....まさか俺の話かなぁ)

なんて思いつつもドアへ近づくと、バンッ!といきなりドアが開け放たれた。

「ぐぺっ?!ってえなぁ....畜生誰だよ」

「何だ?畜生とは」

「.....すんません、気を付けマス....」

バルクホルンだった。顔がクソ怖い。何か言いに来ていたようで、こちらをひと睨みして、さっさと立ち去っていった。

中に居たのは、予想通り坂本少佐とミーナさんだった。

「あ、ども。お邪魔します」

「入室許可取ってないんだけど....」

「はっはっは!細かい事は良いだろう、本題に入ろうじゃないか」

「....はぁ...美緒あなたって時々、ものすごいテキトーよね」

「細かい事気にしていたら、部下との信頼関係も何もないだろう」

「....だからそういうところなのよ....まあ戦績は私達と同じくらいだし良いのかしらねぇ」

再度のため息を吐くミーナさん。リポビタンDをオススメする。

そして佐官のお2人がこっちを見た。

「で、美緒。この子誰なの?」

「そういえば誰なんだ?」

「美緒...あなたねえ....」

ミーナさんの視線に、はっはっは!と笑って誤魔化す坂本少佐。

そろそろ自己紹介した方が良かろう。

「あー自己紹介良いですかね?」

「まあ名乗るだけ名乗って貰いましょうか」

「坂本少佐には既に話はしてありますが、俺は八坂和真と言います。

補充要員の志願でやってきました。先ほどのネウロイ撃墜の際、覚えてますか?少佐」

「ああ、あの時のヤツか。合わないな、外見とやった事が」

「はあ」

「でもこう言っても、証拠がないわよ。美緒には分かっても、私には分からないもの」

なるほど。確かにそうだ、坂本少佐には補充要員志願を言ったが、ミーナさんには言ってないのだ。証拠、証拠とな。

「えーとつまり、補充要員足り得る実力を証明せよ。と?」

「ええ、そうね。そしたら考えてあげても良いわ」

ミーナさんの言葉が終わると同時、警報が鳴り響く。ネウロイ出現の

アレだ。この八坂和真、急に変な事が起こるのは慣れている。

「じゃあこの戦闘、俺1人で敵を倒したら、補充要員にしてくれるか?」

しばし考え込むミーナさん。そして渋々口を開いた。

「良いわ....ただし1人でね」

「やってやるよ」

数分の後、ストライクウィッチーズのメンバーが滑走路に集まり、和真はその先、滑走路の端に立っていた。

先程借りたインカムからミーナさんの声が聞こえる。

「ここに居るウィッチ全員で見てるから、不正したら撃つからね」

怖い。やはりキャラクターの変化はここでも起きるようだ。

もっとも不正もクソもない気がするが。

ふと海の方を見ると、黒い物体が高速で接近中。ネウロイだ。

「行くか」

ブレイバックルを取り出す。ベルトが巻かれると同時、和真は叫んだ。

「変身!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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Yの憂鬱/性別とは何なのか

滑走路の端、もう下を見れば海、という場所に主人公こと八坂和真は立っている。

先程の交渉で、1人でネウロイを殲滅すれば補充要員として考える、ということであの場はお開きとなった。

(この世界の軍は緩いので許してもらえるのだ)

その後すぐ警報が鳴り、場面が巡ってきたわけだが。

いくらなんでも、後ろで見てる=銃持ってユニット装着はないだろうと思う。別に構わないけども。

とはいえ、現在向こうの空から黒い物体、ネウロイがこちらへと侵攻中。

迎撃は和真が墜ちたら...になったらしいが責任は重大だ。

この場所、欧州の迎撃地点でもあるからだ。我ながらかなり言ってしまったと思っている。だが俺は謝らない!

ブレイバックルを装着し、『Turn Up』と同時、仮面ライダーブレイドへと変身した。

後ろで驚きの声が上がるが、無視無視。気にしていたら倒せない。

「さぁて、決めますかねえ」

ラウズアブソーバーにカードを読み込ませる。

『アブソーブクイーン、フュージョンジャック』の音声と共に、ジャックフォームへと変わった。

そして大空へと飛翔する。ネウロイより少し低く、 ちょうど刃が届くくらいの高さまで上昇し、ブレイラウザーのオープントレイからカードを取り出した。

『スラッシュ』『サンダー』の2枚をラウズ、『ライトニングスラッシュ』を発動させる。

剣を構え、ネウロイに向かって和真は加速していく。

「でりゃあああああああああ!」

ネウロイの下を飛びつつ、剣はしっかりと対象を斬り裂いていく。

尾の方まで飛んだところで振り返ると、綺麗にネウロイは真っ二つに

なっており、コア共々散った所だった。

「うわ凄え弱え、なんだよこんなんで銃弾無駄にしてんのかよ」

ぶつぶつと言いながらも滑走路へと戻る。降り立つと、直ぐにも坂本少佐が歩いてきた。ミーナさんも居る。

「やはり凄いな!これは補充要員決定だろう?なあミーナ」

「.....ええ、実力はそうだけど....」

「何か問題でもあるのか?」

「男だと思うんだけど」

「なるほど、そうか。女装でもさせるか?」

「え(なんだ、その男だと思えないみたいな発言)、て女装?!」

「うーんそれならいいかしら....でも部屋ないわよ」

「良いのかよ!?」

「そうか....相部屋でも良いやついるか?」

坂本少佐の声に沈黙する501。

(ですよねえ)

流石に男性恐怖症は居ないと思うが、初対面の男子と相部屋はそりゃ嫌だろうと思う。良いと思うヤツは当然いないか。

というか女装って何だ。男なのだが。

「んじゃ今は決まらんから、客間でも使っておけ。あとで連絡する」

「はあ」

そうして結局ネウロイ退治についてはあまり言われぬまま、戻ることになった。このウィッチーズ大丈夫なのだろうか。

 

夕方になり、案内された客間でゴロゴロとしていると、不意にドアを叩く音が。

「はーい、どちら様で?」

「坂本だ。入るぞ」

「はあ、どーぞ」

ドアを開け、坂本少佐を部屋に通す。

部屋に入ると直ぐに彼女は口を開いた。

「お前の入る部屋決まったぞ。えーと名前なんだ?」

「八坂和真ですけど....(言った気がする)」

「よし。八坂、お前は宮藤と相部屋になったぞ。明日からな。ああそれと、これは服だから着ておけよ?それ着ないと、ミーナがこの基地に置かないらしくてなぁ」

そう言って坂本少佐は服一式を置いた。どう見てもこれ、扶桑の女子の水着もとい服装だと思う。パンツじゃないから恥ずかしくないもん!とかいうのがあるが、これはそんな比ではない。

「これ女物じゃないか!なんでだよ!?」

「だから、これ着ることが条件なんだ。それに男っていうが、おまえ女に見えるぞ?」

「......嘘だろ」

「ホントホント。んじゃ朝それ着て、ミーナの部屋行くんだぞ?」

「ちょっ!?一生の恥だろ!ンなもん着られるかよ!」

とは言ったが、これを着なければここに置いてもらえないらしい。

女よりのこの顔は悩みだったのに、更にこうなるとキレそうだ。

しかし既に坂本少佐は去ってしまっていた。

もう明日ミーナさんに抗議するしか無いだろう。とりあえずサイズが

合わないと言って言い訳するか。

 

朝になり和真は起床と同時、扶桑の女子服一式を掴み、ミーナさんの

部屋へと向かった。

返品する為である。こんな物を着たら、精神崩壊しかねない。

惣流なんとかラングレーになっては元も子もない。主人公なので。

隊長室に辿り着き、ドアを開け放つ。

「すいませーん!八坂ですけど!って.....」

誰も居なかった。ここは隊長室のはずだ。昨日と同じ場所に来たのだから。

しかし誰も居ないようなので、戻ろうとしたところ。

「何か用かしら?」

「.....Oh,お、お邪魔してマス....」

後ろからミーナさんの声が。かなり怖い。

「退いてくれないかしら、通れないのだけど」

脇に避け、ミーナさんを通す。そして中央の椅子に腰掛け、彼女は切り出した。

「それ美緒に渡してもらったものでしょ?なんで着てないの?」

「いや、だってこれサイズ合わないし。そもそも俺男.....」

「それ着ないとここに置かないわよ?」

「いや...すげえ恥ずかしいんだけど。この顔で悩んだ事もあるのに」

「じゃあ整備員呼んで着替えさせてもらう?」

「結構です!着替えくらい自分で出来ますよ」

と言ったとき、再びドアが開けられた。

「ミーナ!八坂がどこかに.....あ、いるじゃないか。なんだ、まだ着替えてないのか?あと10分だぞ?」

「は?」

「10分経って着替えてなかったら、海に落とそうか...」

なんて恐ろしい事を考えてるんだ。鳥肌のレベルではない。

ここの世界の坂本少佐、下手すると母親より怖い。

「あーもう!クソ、覚えてろよ!」

「「はいはい」」

 

そして5分後。整備員呼ばないはずなのに、整備員呼ばれて無理矢理着替えさせられた結果がそこにあった。

「.....もう生きていけない.....」

「これは...思ったより女の子ね。意外と可愛いわ」

「だな。宮藤と同室でも問題あるまい」

「問題あるから!女だよこれじゃ!」

「「だってこれから女として過ごしてもらうんだから」」

何言ってんだろうか。それつまり、和真は女として過ごせと言ってるのも同然ではないか。

「やだよ!着替える!」

「でも補充要員、女性2人で提出しちゃったなぁ...」

「バカか!?」

ツッコミ入れてしまった。反射だった。

「何が女性2人だよ!男1人いるって!」

「じょ、冗談だから。あ、これなら...美緒ちょっと来て」

 

一体何を言っていたのか。こそこそと話し合っている坂本少佐とミーナさん。

「なるほど....それなら良いかもしれないな」

「でしょ?」

「.....で、何?」

「男の振りしてる女って事で!」

「......は?」

改めて何を言ってるんだ、この女性は。それは男装趣味の女ということか?ネロじゃあるまいし、そんな事しなくても....いや、これなら良いのか。

男の姿のまま、ここに居られるのだ。

「要は前の服のままで良いってことだろ?」

「そそ」

「っしゃあ!」

これでオッケー。とガッツポーズ取ったものの、男の振りということは、女扱いなのだろうか。風呂とかどうなるんだ。

聞こうと思った時には、既にミーナさんと坂本少佐は居なくなっていた。逃げたか。

士官にあるまじき行動だ。和真とて軍人ではないが。

もう前回の世界より無茶苦茶ぐだぐだになってきている。さっさと着替えて元の服へと戻り、ひとまず宮藤の部屋に向かうことにした。

後で整備員殴っておかねば。

 

ぶっちゃけ場所が分からないので、予想したところから部屋をノックしていく。

何度目かのノックで福圓美里さんの声が聞こえたので、ドアを開けた。

「失礼しま.......すいませんでした!」

マッハでドアを閉める。綺麗なお肌だった。発展途上の胸も最高だった。.....ではなく!

着替えの途中だったようだ。そういえばウィッチとして現役でいられるのは20歳以下だっただろうか。つまり小・中学生は問題なく現役ウィッチというわけだ。決してロリコンなわけでは無いが、だからルッキーニとクロエが似ているのはそういう

「ぐぱっ?!」

もたれかかっていたドアが急に開けられて思考が中断、吹っ飛ばされる。

ウィッチのパワーは何気に強いようだ。流石に邪神には劣るだろうが。

とにかくまずは挨拶からだ。

「お、おゔ....はじめまして....」

「はぁ、はじめまして?」

「なんか同室になったんでよろしく、と思ってね」

「え、えっ?!同室!?ここ1人部屋だよ?!」

「そこらへんは坂本少佐に聞いてくれよ。こっちも知りたい」

「聞いてくる!」

「いってらー」

まったく元気なものだ。早速部屋に入らせて頂くことにする。

案外中はシンプルだ。まだ家具もさほどないので、後々持ってくるのだろう。

床に寝っ転がった。

「はぁ....宮藤すげえ純粋だしなァ....なんか悪い事してる気分だなあ」

「にしてもこの世界、来たはいいけど何を救えば良いのかね....」

「親父の気持ちもわかる気がするなァ」

などとぶつぶつ呟いていると、福圓美....もとい宮藤芳佳が突入してきた。

「やっぱり坂本さん、同室だって言ってた!これから宜しくね、八坂さん」

「あ、そう....(八坂さんて、女って言いやがったのか?)。ま、宜しく」

「どうしたの?元気ないよ?」

「いや問題ない。まあこれから頑張っていこうな」

「うん!」

やれやれ、こんな純真な子相手に嘘をいうのは良くないと思う。だが真実を話すのも気は引ける。和真はため息をついた。

(間違った世界にきちまったなぁ....さっさと次のとこ行きたい)

そんなこんなで夜は更けていく。



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Oの乱入/少年の決意

次の日。朝は早く起こされる羽目になった。

正確には宮藤芳佳の寝相が悪く、和真の身体を蹴っ飛ばし、そのままこっちが眠れなくなったというのが事実だが。

まあとにかくそんな訳で、眠れないので外に出ることにした。

ドアを開ける時にギィ....という音がしてしまい、

「お、おはよ....」

「どしたの?早いね...」

ミスったか。起きてしまったようである。1人で出ようと思ったのだが。

「いや少し気分転換にね...」

「私も行くよ」

駄々をこねられると面倒なので、結局2人で外に行くことに。

廊下を歩きながら話す。

「えーと名前、なんて呼んだら良いかな?」

「私は宮藤芳佳。芳佳でいいよ」

まさか最初から打ち解けられるとは。やはり邪神のコミュ力恐るべしである。(嘘だ)

「えーと、八坂さん....だよね?下の名前って何なの?」

「え、下の名前.....?」

はて、どう答えたものか。現在一応私服を着ているが、薄暗いのでまあバレやしないだろう。にしても坂本少佐から聞いていないのか。

「....和真だ。」

「和真かぁ....男っぽい名前だね!」

「.....ははは、そりゃどうも」

喜ぶべきなのだろうか。男だと明かすのは簡単だ。

しかしコイツが他のヤツにしゃべって此処から追放、なんてことになりかねない。

この世界での居場所は、今のところ此処しかないのだ。

だが.....それもどうかと思ってしまう。

今回は前回と違い、既知の間柄ではないので、やりにくいところもあったりする。

いっそ別の世界に行くか?などとも考える。

「和真ちゃん?どしたの?」

「和真ちゃんて....どうにか出来ないのか?それ。なんていうかまぁ....」

非常に返答に困るのである。和真ちゃんて誰も呼ばないだろう。

リネットがリーネちゃんなのは分かるが。

(もう去ろうかな....精神的なダメージがきつい)

「女の子同士なんだから良いんじゃない?」

「アホか!いや....なんでもない」

「へっ!?」

「いや.....別になんでもないさ」

いつの間にか既に外にいたようだ。空を仰ぎ見る。

「行くかなァ....」

外に居たのも束の間、さっさと部屋に戻る。リュックを担ぎ、再度外へ出た。もう行こうと決めたのだ。

ここに居ると、1日で発狂する。

「どこか行くの?これからメンバー紹介あるらしいけど」

「....旅に出るとでも言っとけよ。」

そのまま宮藤を連れてバイクが置いてある所まで来る。

ブルースペイダーのエンジンを掛け、またがる。

「んじゃ行くよ、まあ会う機会ないだろうがな。」

「そういやそれ、見た事ない機械だよね。何なの?」

「説明面倒なんだが」

ハァ、と溜息をつく。時間稼ぎでもしようとしてるのだろうか。

すると突然チャイムのようなものが鳴った。

「何だこれ?」

「集合なんじゃない?行こう」

結局行けずに、講堂のような部屋に和真と芳佳は呼ばれた。

和真は荷物を持ったまま、芳佳はまぁ着替えてあるようだ。

結局行けなかったのが悔しい。それに今の服装とて、この時代のものではない。黒いTシャツとカーゴパンツ。そして赤い襟付きシャツを羽織っている。何故バレていないのかも疑問ではある。

「えーとじゃあ紹介するわね。八坂和真さんと宮藤芳佳さんね。

両方とも階級は軍曹になるわ。リネットさん、2人に色々説明してあげてね?」

「は、はい」

「.....チッ、何が軍曹だよ。しかも『さん』付けとか.....」

などと和真が文句を垂れていると、芳佳がミーナに言った。

「あの、それは要りません。」

「でも万一の場合は必要になるわよ?」

「要りません」

拳銃が要らないというのは、固い決意のようだ。坂本少佐は笑っているが。おっと、ペリーヌがイライラし始めている。シノンとは大違いだ。2人とも沢城みゆきさんなのだが。などというのはどうでも良いか。

などと考えていると、いつの間にか解散になっていたようだ。

芳佳はリネットについて行ったので、こちらもついて行こうとすると、ミーナさんに呼び止められた。

「あなたに客人が来てるわ」

「は?」

疑問しか抱かなかった。この世界に知り合いなど居ない。何かの間違いだろうと思った時、1つの予想が頭の中に浮かぶ。

(もしかして俺と同じような奴が?まさかな...世界間移動のバイクはあと1台....1台あったァァァァ!それ使ったのか?!)

「どうかした?」

「いや、何でもない。前の客間?」

「そそ」

取り敢えず、その客人とやらに会ってみる事にした。

 

客間に入ると、ミーナさんや坂本少佐は素早く下がった。

僅かに違和感を抱いたが、話さないことには始まらない。

客人...2人居たので客人達で良いだろう。の向かいのソファに腰掛け、

問いかけた。

「で、あなた方ですか?客人達というのは」

答えの代わりに、剣が2本和真に向かって突きつけられる。

「オイオイ、ちょっと待てよ。こっちは聞いてるだけだぜ?なんで剣を....」

同時、和真が座っていた所が斬り裂かれた。

「チッ...」「姉さん、どうする?」

「宇宙CQC パート2よ!」「OK」

そして2人の姿は消えて刹那、無数の斬撃があらゆる方向から襲ってきた。

「ンだよ....危ねえ!てか人の話聞けよ!」

転げるように廊下に出て、走る。勿論2人も剣を構え、追ってくる。

今度は双剣らしく、陰陽紋が刻まれた白黒の2本の剣を装備していた。

「逃さない!」

「分かってる!」

声から察するに、両方とも女性のようだ。これでは攻撃できない。

それを既に見抜いている?だが聞こえるのは声だけ、全身をフード付きのコートで隠していて、姿は見えない。

「誰か知らねえけど....ここはお前らのテリトリーじゃないんじゃねえのか?!」

再び叫ぶものの、あまり応えない。

いや、そうでも無かったようだ。足が止まっている。

「どうする?姉さん。覚えてないみたいよ」

「ならダメージ与えて思い出させるまでね。私達の宇宙CQC パート2ダッシュ」

「了解」

再び姿が消える。だがそれはウィッチ達の視点、和真には全部見えていた。

「なら....こうだっ!」

バールを取り出し、窓に投げつける。当然もろい窓ガラスは壊れ、和真はそこから身を躍らせる。と、見せかけて壁を走っていく。

これは邪神の力を持つ和真でも、流石に特訓して出来るようになったもの。仮にこれが出来るのならば、和真と同等かそれ以上のヤツでしかない。

後ろを見ると、

「マジかよ!?」

2人して壁をこちらに向かって、走ってきていた。バール2本取り出し、こっちも双剣のように構える。

だが2人は双剣を捨て、バックルのようなモノを取り出した。

それぞれを装着し、彼女達は「変身」と叫んだ。

『Change』

『Open Up』

そしてそこには仮面ライダーカリスと仮面ライダーレンゲルが居た。何故知らないヤツらが使っているのだろう。もしやアト子さんのところから盗まれたのだろうか。ならば取り返さねばならない。

「変身!」

『Turn Up』

こちらもブレイドに変身し、向かい合う。建物の壁で向かい合う仮面ライダーというのは、中々に変な感じである。

カリスアローとレンゲルラウザー、ブレイラウザーがぶつかり合い、

火花を散らす。

「誰なんだお前ら?!何しに来た?」

「忘れているのね...なら思い出させてあげるわ」

「行こう!姉さん!」「ええ!」

同時に蹴りが炸裂し、和真は吹っ飛ばされる。当然ながら足場が無くなるわけで、地面に叩きつけられる。

変身が解けた。

「がはっ....」

スッと降りてくるカリスとレンゲル。フロートでも働いているのだろうか。

地面に叩きつけられても、彼女達が誰なのかさっぱり分からない。

むしろ教えて欲しいくらいだ。

「ってて....誰なんだよ!お前ら!」

「ならダメージを...」

「姉さん、待って。顔を見せれば分かるかも」

「それもそうね」

フードを取ったその顔には、見覚えがあった。だが、明らかにここに居ないはずのヤツらだった。

「お、お前ら....風香と吹雪か?」

顔でようやく判断できた。彼女達は風香と吹雪、ハス太とルーヒーの

子供で、姉妹なのだ。昔はよく遊んでいたことも思い出す。

いわゆる幼馴染というヤツだが、高校は凄いエリートの所に行ったと聞く。まあそこで離れ離れになってしまったのだが。

「なんでここに居るんだ?」

「やっと思い出したのね...」

「ほら、顔見せたら分かったじゃん」

「...いや、だから何でここにいるの?」

黙り込む2人。そのまま和真の腕を両側から掴んで、引きずっていく。

「人の話聞けよな!てか弁償どうすんだよ!」

「「はぁ....」」

同時の溜息。息が合っていると思う。オンドゥル勢よりもダブルをオススメするが。

手ごろなベンチに座ったところで、風香と吹雪は話し始めた。何故両脇に座るのか疑問ではあるけれど。

 

話し終えたところで、ふむ...と考え込む。

簡潔にまとめると、和真の世界間移動が他の世界に影響を与えてしまっているので、今すぐ元の世界に連れ戻せ、との事らしい。

カリスやレンゲルのそれはアト子さんから貰ったとの事。

「俺、そんな周りに影響与えてないよね?」

「「いやいや、かなり与えてるから」」

「そうかねェ.....んじゃ分かった。荷物まとめてくるから」

あっさりとした反応に若干驚く姉妹。荷物をまとめるというのは建前だ、本音はさっさとこの世界から逃げてやろう!だ。

建物の中に入り、部屋に入ると見せかけて反対側から出る。

リュックは既に背負っているので、荷物はもう無い。

ブルースペイダーの所まで戻り、素早くエンジンを掛ける。

「ふっ...俺が大人しく従うとでも思ったかァ!」

ブルースペイダーが発進した数十秒後、エンジン音が聞こえた。明らかにストライカーユニットとは違うので、バイクだろう。そう思い見てみると。

「なんで律儀にバイク乗ってきてんだ!?しかも2台あるし!アト子さん何やってんだァァァァ!」

カリスのシャドーチェイサーとレンゲルのグリンクローバーが、砂煙をあげながらこちらを追ってきている。

振り切る為、橋へと向かう。僅かにだが、この島からヨーロッパへの連絡橋とおぼしき橋が見えたのだ。

更に加速、橋が見えてくる。

「これで決まりだ!」

橋を途中まで来たところで、ブルースペイダーのディスプレイを操作する。前のように丁寧にやっている暇はない。テキトーに操作し、前方に光のゲートが現れる。

「あばよ!風香に吹雪。また会えると良いな!」

「あっ....」「待てぇぇぇぇぇぇぇ!」

待つわけがない。和真はフルスロットルで、バイクを光の中へと突っ込ませた。何処へ行くかも分からないのに。

そして和真はまだ知る由もない。さほど時間を置かずして、彼女達と再び会う事になるとは。



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思い出のS/ザ・ビギニング

ストライクウィッチーズの世界から追跡者をまくために別の世界へとんだ和真。だがそこは《デートアライブ》の世界であり、高校は一大イベントである修学旅行の直前だった。
修学旅行先の島を舞台に、和真の戦いが始まる。


逃げるようにゲートを開き、突っ込んだまではよかったのだが。

テキトーに操作したせいでどこに出るのか、和真自身分からないのであった。

「やっべ....どうしよ、一応逃げれたけど....」

周りを見渡しても、当然ながら白い光の中である。

だがしばらくすると、前方に分かれ目が生じた。向こう側からも光が射し込み、和真の視界を奪った。

 

しばらくして目を開けると、そこは見知らぬ場所だった。まあ当たり前ではあろう、突然別の世界に来れば誰でもそうなる。

確認の為体を起こすと、自分が居るのはベッドの上であることが認識できた。

「うっわ...またベッドの上始まりかよ」

文句を垂れながらも、ベッドから降りる。今着ているのは制服のようで、どうやら予想するに保健室のベッドに寝ていたようだ。

来禅高校の制服のようではあるが。

ひとまずは担当の先生が居るはずなので、出てみた。のだが.....

「なんで誰もいねーんだよオイ」

そう、誰も居なかったのだ。あるのはベッドの他に、机その他必要なモノだけ。肝心の先生は居ない。

「ま、教室行ってみるか。誰かいるだろ」

腕時計を確認すると午後3時を過ぎたあたりだった。つまりまだ学校には人がいるはずである。

その前にこの制服の持ち主...つまり和真が入れ替わった可能性のあるヤツが誰なのかを調べなければならない。

名簿を漁っていく。だが、

「コイツ元誰なのか分かんねえええええ!」

そう、誰もいないので聞きようがない上、確認も取れない。名前すら呼ばれないので、聞けないのである。

「どうしようかなぁ....いっそ職員室行ってみるか」

結局職員室行ってみることにした。リュックを担ぎ、いざ職員室へ。

こういうのは大体、適当に歩いていれば行けるものなのだ。

少し歩くと、職員室と書かれた部屋に辿り着く。荷物を置いていざ入室。

「失礼します、あの....(名前分かんねえし、どうすりゃ良いんだ?!)」

「あれ、殿町じゃないか?どした?」

「あの...教室行きたいんですが」

「てかお前ホントに殿町か?かなり畏まってるぞ」

「はあ」

殿町宏人は確かに、そんなに畏まってるキャラではなかった...気がする。

だが今の言葉から察するに、八坂和真はココでは殿町宏人というわけだ。

「ま、いいか。教室戻りたいんだろ?修学旅行の班決めもあるからなぁ....」

「なるほど。ありがとうございます」

リュックを背負い、教室へと向かう。確か殿町は五河士道と同じクラスで、2年生だったはずだ。小説での記憶が正しければ、4組だった。

到着してドアを開ける。

「ただいま帰りました!殿町宏人帰還であります!」

沈黙。『誰コイツ』のような目で見ないで欲しい。ただでさえ殿町のこのキャラ使った事ないのだ。苦労するのも当たり前ではないか。

まあ彼らに分かるはずも無いだろうが。

「ありゃ?先生もどうしたんです?俺ですよ?殿町宏人ですって」

「「「「「「誰?」」」」」」

「酷くね?!俺だよ、殿町だってば!」

「なんかあれ殿町じゃないね」「知らないヤツに見える」「誰だよあいつ」「五河君、なんか分かるんじゃないの?」「ホラ親友でしょ?」「そんな事言われてもなァ」

イジメじゃないのか、これは。などとなっていると、教壇に立つ29歳独身の岡峰教諭が口を開いた。

「はい皆さん、殿町君も戻って来たことですし、修学旅行の班と飛行機の席決めますよ?」

そうだ、修学旅行の色々を決めるらしいのだ。皆が席につき、残ったところに座らせてもらう。恐らく殿町の席なのだろう。

席に着いたところで、再び岡峰教諭が話し始めた。

 

数十分後、班は綺麗に分かれていた。

五河士道は犬井拓海。殿町宏人(和真)は立花咲夜というヤツと同じ部屋になった。男子女子それぞれで20名ずつだったようで、余りが出ずに偶数で分かれることが出来た。

最も決まるまでに、夜刀神十香が男子になろうとしたり、士道が女子になりかけたりしたが。

そんな事は些細なこと。決まればそれでオーケーなのである。

だが肝心の場所が分からない。

「そういや場所ってどこなん?」

さりげなく聞いてみる。

「ああ、或美島だってさ。まったく急に変わるなんてな....」

「或美島ねェ.....」

そしてある程度話も纏まったところで、岡峰教諭は改めて言う。

「では土曜日に、学校に朝6時に集合ですね」

クラス全体で了承の返事。時計には今日が木曜日と表示されている。

時間なさすぎではないのか?自業自得な気もするが。

 

そんなこんなで解散、放課後になった。

日直で教室に残っていた士道に、和真は話し掛ける。

「よ、よぉ...五河。」

「どしたんだ、殿町?変だぞ今日」

「...は、ははは...まぁその話じゃなくてな」

「何?」

「家の場所分かんねえ」

「アホか。なんで自分の家の場所も覚えてねえんだよ!」

「面目無い」

はぁ、と溜息をつき、五河は教室を出る。

「途中まで行ってやるから。遅くなると面倒だろ?お互い」

「そーだな」

 

五河士道に先導され、和真は殿町家の近くまで来た。

「ここまっすぐ行けば家だから。にしても...なんでいきなり忘れんだろうな?」

「さあな?俺も知らん」

そう答えてバイクを押していく。インビジブルを発動させているので、士道にはバレやしない。ただのバイク程度にしか認識されないだろう。それから薄暗がりの道を歩き、家に着いた。

その後、夜は特に何もなかったようなものなので、割愛しよう。

 

次の日は準備日ということで、休みになっていた。そんなものこっちは知らないが、そうなっているのだから仕方ない。

殿町宏人というヤツは妙に真面目だったようで、既に荷物は準備されていた。ので、和真のやる事はなくなっていた。

「あークソ暇だ。暇すぎてやる事ねえ」

或美島への修学旅行。島に行くとか、無駄に金をかけていると思う。別に和真が金を払っているわけではないので、問題ないのだが。

というかジャックフォームで飛んだ方が節約になる気もする。

なんて考えてもどうしようもないが、かと言ってやることもない。

昼寝で1日潰すことにした。

 

 

土曜日、朝5時に和真は起床した。目覚ましが起動したので、問題なく

起きられたのである。さっさと制服に着替え、キャリーバッグを引きながら学校に向かう。

学校に着くと、既にある程度の奴らは揃っていた。

和真とコンビになった立花も既にいた。本人曰く、「ボドボド」になるまで楽しむらしい。意味が分からない。

まあともかくバスも来ていることなので、乗り込んでいく。

部屋の順で席は座るようになっているらしく、和真は立花と隣同士で

座る羽目になった。

発車して数十分後、立花が口を開いた。

「ブレイド観るか?公式配信されたんだぜ。漢字違うけど、俺と同じ橘朔也ってヤツが出てるんだ。それに面白いしな、ブレイド」

「ブレイド?仮面ライダーか?」

「そそ」

自身が仮面ライダーとはとても言えない。遠回しに断り、外を眺める。全く...遠くの島が修学旅行とは。クレイジーにも程があろうに。

そして眠気が和真を襲ってきたので、そのまま寝た。

 

肩を叩かれる感覚と共に、和真は目を覚ました。寝すぎて、もう空港に着いてしまったようだ。自分としたことが。

眠気を覚ますように首を振り、立ち上がる。そして最後にバスから降り、クラスの列に並び搭乗ゲートに向かった。

(あ、バイク置いて来ちまったなァ....ま、いいか)

金属探知機を通りながらそう思っていると、機械がピーッピーッと

高い音を立てた。

「あのお客様、金属類をお持ちでしたらここで外して頂けると.....」

「持ってないんだけどねぇ....(ブレイバックルとか銃とか心当たりかなりあるけど)」

一回戻って再び通ると、今度は音は鳴らなかった。

偶然だかなんだか知らないが、通れたのならば良い。和真はさっさとクラスの列についていった。

 

1時間もしないうちに、飛行機の搭乗時間がやってきた。

立花達と話しながら、搭乗口へと歩く。

「そういやさぁ、さっきから金髪の女性が居るんだが」

「カメラマンらしいよ?同行するんだとさ」

「ふーん...カメラマンね...」

「彼女を知ってるのか?」

「いや、まぁ別に....」

やや含みのある言い方に、立花や士道が首をかしげた。

無理もあるまい、こちらは全て知っているなどと言えるはずもなかろう。

ちらりと金髪の女性(本名はエレン・メイザース)を見やり、和真は飛行機に乗り込んだ。当然気付かれてはいない。

さて、どうなることやら。この修学旅行。

だが和真が1つだけ言えることもある...この世界は救う価値はある、ということだ。

 

飛行機の座席は和真は、やはりというか立花と隣になった。

士道は折紙と十香に挟まれているのだ。

当然と言えば当然なのだろうが、羨ましい。まあ主人公はアイツなので、仕方ないのだろう。

せいぜいこちらとの共通点といえば、同じ窓側の席だということくらいだろうか。しかし座席の背は高く、話しかけられない。

「なんかねえの?暇つぶしにちょうどいいヤツ」

「殿町お前なァ...なんか変だぞ?一昨日から。」

「人って変わるもんだろ?」

「言い訳になってねえよ。まあ良いけどさぁ別に」

はあ、と深い溜息を立花はつく。そしてごそごそとリュックを漁り、

何かを取り出した。本のようだ。

「それは?」

「プリズマイリヤだけど」

「ロリコンかお前」

「失礼な!クロエは可愛いだろ!あの褐色肌!最ッ高だ!」

「何言ってんだ、イリヤ一筋だろうそこは!あのいかにもロリな感じが良い!SNでもZeroでもGOでも可愛いんだぞ!イリヤは!」

などと言い争ってると、声が掛けられた。やや機嫌が悪そうだ。

「「「うるさい」」」

「「スイマセンデシタ」」

声の主は女子。3人組なので、いつものアイマイミートリオだろう。

なので、そこからは静かに過ごす事にした。

 

飛行機に揺られて数時間ほどだろうか、アナウンスが流れ、目的地に

到着した事がわかった。

クラスごとに降りて行き、ゲートをくぐって空港から外に出る。

外はひと言でいうのなら、そう....

「すっげえ夏だな!」

「南の島だしなぁ、そりゃそうだろ」

「ふむ、なるほど。ってあれ?五河どこ行ったんだ?」

「そういえばそうだな....さっきまで居たはずだけど」

「まあすぐ見つかるだろ」

そうして和真達は、クラスの奴らについて行く感じで宿に向かった。

宿と一口にいうが、泊まるところはホテルに近い造りだった。

ビジネスホテルを少し大きくしたようなところ、といえば分かりやすいかもしれない。

ロビーに全員集まったところで、自動ドアが開き、五河が戻ってきた。正確には五河+十香+美少女2人というべきだろうか。

美少女2人の正体は精霊である、ということは周りの奴らは知らない。

和真以外に知ってるのは、ラタトスクサイドの村雨解析官と士道くらいだろう。

岡峰教諭に一言二言言ったところで、精霊達を連れて村雨解析官は

去っていった。

あの2人は転入生ということを伝えられ、その場は解散となった。そして各自部屋に戻るように言われた。

部屋に戻る道中、犬井と立花はかなり興奮して話していた。

「よう五河、美少女2人も連れてくるなんてやるじゃあねえか」

「紹介してくれよ!頼むぜ」

本当に欲望に素直なようだ。

「彼女達...やはり...」

「どうした殿町?また考え事か?」

「あ、いやなんでもない。お前ら先に部屋に戻っててくれ。やる事があるから」

「お、おう」

彼らを先に部屋に帰し、和真は1人になる。自身の部屋番号は既に先生から聞いてあるので、問題はない。

それに、今から向かうのは関係ないところだ。

まずは担任の岡峰教諭の所へ。

「すいません、タマちゃん先生。カメラマンの人の部屋ってどこですか?」

「エレンさん?それなら....」

その後部屋をなんとか聞き出し、向かう事に。

途中まで来たところで、追跡者達に声を掛ける。

「お前ら何してんだよ。犬井に立花も」

「「ナンデモナイヨ」」

「怪しすぎだろ」

理由を聞くと、どうにも和真の動きが怪しかったらしく、追跡してみようということになったらしい。まったく何を考えているんだか。

だが今回は連れて行くわけにもいかないので、何も言わずに目的地へと歩みを進めていった。

 



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最強のE/高校生と魔術師

始まった修学旅行。
目的地の或美島で、夏を楽しむ高校生達。
そんな中、最強の魔術師と最強の高校生が邂逅する。
2人は戦うのか、それとも.....


そして、エレンの所へと向かっていく和真。あとをつけてくる奴らは今は、気にしないでおこうと思う。

しばらく歩き、エレンの部屋に辿り着く。では入るとしようか。

後ろの奴らが囁いてくる。

「おい、そこカメラマンさんの部屋だぞ」

「いくら金髪が好きだからってな...」

なんだこいつら、妙にうざい。まったく....

「違えわ!俺はロリが好きなんだよ!」

「「うっわ...お前の方がロリコンじゃねえか」」

「幼女も好きなだけだ!20以上はババアってロリコンじゃないし」

などと言い合っていると、ドアが開けられた。チャンスだ。

「貴方達でしたか。ここで騒がれると眠れないのですが。」

「「スイマセン」」

殿町お前も謝れよ、と小声で立花が言ってきたが、無視する。

「立花達は戻れよ。俺はカメラマンさんに話があるんだ」

急な和真の威圧感に、彼らは下がっていく。

再び彼女に、向かい合う。

「貴方、何の用ですか?」

「ああ...自己紹介がまだだったか。俺は八坂和真だ。以後よろしく」

「はあ...でも殿町と言われていたような」

「気のせいでしょうね」

無言の時間。黙っていてもどうしようもないので、入らせてもらう。

「ふうん、案外普通の部屋なんだな」

「そりゃ普通の旅館ですし」

と次の瞬間、エレンに銃口が向いていた。しかもリボルバーという、今時珍しいやつだが、和真のものである。

「何のつもりです?」

「悪いなァ...何も言わんで。とりあえずテメェを殺さないと、世界は上手く進まんのだよ。それと、五河士道の為にもね」

「......何者?貴方、本当にこの生徒なの?」

「一応はそうだがな。とか時間稼ぎのつもりかよ!」

引き金を引く。弾丸は、エレンの頰の僅か数センチ横を通り過ぎた。

少しだが、エレンの顔に恐怖の表情が混じる。生身だとこの人、マジで弱いのである。CR-ユニットを着ければ別だが。

「で、でも、今の銃声で誰か来るわよ?そしたら貴方が捕まってそれで終了よ!」

「そいつァどうかね?」

と言い、シャツの襟を掴んで持ち上げる。

「悪りぃがな、お前のせいで主人公死にかけんだよ!許せるか!」

「?!」

和真の言葉の意味が分からなかったのか、目をパチクリさせるエレン。とぼけているようだが、こちらにはわかっているのだ。

本編(デートアライブ)を読んでいるからッ!

「お前の罪を数えてみやがれ!」

そのまま投げ飛ばした。殿町は出番はあるものの、マジなサブキャラクターだ。どうなろうと知ったことではない。思う存分暴れられる。

「かっ...はっ...」

壁に叩きつけられたエレンの方は、なんとか息をしているようだ。

しぶといものだ、やはりDEM社のヤツは一筋縄ではいかぬか。

再度拳銃を向ける。

だが廊下を走ってくるドタバタという音が聞こえてきた。

「チッ...投げたのは間違いだったか」

「こ、これでチェックメイトよ!」

急展開でここまで来たとは言え、今ので多少なりともエレンには危機感を抱かせることは出来たはずだ。

発煙筒を部屋の中に放り、和真は窓から身を投げた。

「あっ....」

その後エレンの部屋で何が起こったかは知らないが、和真はボドボドになりながらも枝に捕まって助かり、そのまま部屋に戻った。

一方部屋では、犬井や立花、五河が駄弁っていた。

テレビでは『蒼き鋼のアルペジオ』をやっている。別の世界ではイオナが「パンツァーフォー」と叫んでいるなど、ここの奴らは思いもしないだろう。

「よぉ...今戻ったぜ」

「おう...ってオマエそれどしたん?」

「ボドボドだな!」

「何したんだよ、殿町」

口々に叫んでいる。なるほど確かに服を見てみると、一部破けたりしており、中破一歩手前といったところだろうか。

「あーマジかぁ、んじゃちょっと着替えてくる。」

そういって時間帯的にも遅いので、風呂へと向かうことに。

バレるのも時間の問題なので、さっさと風呂を済ませて部屋に戻る。

部屋にはまだメンバーが残っていて、今度は昼間の精霊について話していた。

だがこちらにはあまり関係ないわけで、明日に備えて和真は布団に横になった。

そうして夜は更けゆく。

 

2日目になった。今日は海水浴で、朝から水着の人達が多く見受けられる日だった。だが和真は泳ぐ気はない。

砂浜で座り込んでいると、1人の女子が話しかけてきた。

「あのさ...殿町くん、だよね?泳がないの?」

「まあな....てか誰?」

「同じクラスの神城睦月だよ」

知らない奴だ。聞いたこともないので、世界に介入した際の異常で生じた人間か誰かだとでも思っておくことにする。

などと考えていると、手を握られた。

「殿町くん、泳ごうよ。せっかく修学旅行で来たんだから」

「は、はあ」

半ば引きずられる感じで和真は、海へと連れ去られていった。

 

一方その頃近くの砂浜では、士道は精霊達の攻略に付き合い、これまた別の所では犬井と立花が、水着の女子達を写真におさめていた。

とそんな時、犬井が驚愕の表情を浮かべた。

「お、おい...ダディャーナサン...」

「なんだよ日本語喋れよ。んで何かあったのか?」

「あ、あれ見ろよ....」

犬井が指差した先には、女子(しかも結構美少女)に引っ張られていく

殿町(和真)の姿があった。

「がはっ....なンだよありゃ....」

「殺るか」「殺ろうぜ」

「「うおおおおおおおおお!」」

瞬間、2人はクロールを開始していた。しかもただののクロールではない。クロックアップに匹敵するであろうレベルのクロールなのだ。怒りと憎しみはヒトを強くするという。過去にそれで戦っていた副隊長もいたらしいが。

数秒後、特殊部隊よろしく犬井と立花は岩陰に隠れて、殿町と女子の

様子を見ていた。

「まさか一生孤独同盟の言い出しっぺの彼奴が破るとはな...」

「ヒトは変わるものだよ」

「悟ってんじゃねえ」

言いつつも監視を続けていると、爆発音と共に犬井と立花は吹っ飛ばされた。まるで手榴弾か何かを使った感じだ。

「ぎゃれん?!」「ふぁいず?!」

何メートルか飛ばされて、海面に叩きつけられる。

顔を上げると、そこには殿町が立っていた。

「何してんだお前ら」

「い、いやぁ、一生孤独同盟の条約違反が見受けられたのでね」

「そーそー」

はぁ、とため息をつき、殿町は口を開いた。

手に手榴弾が握られているのは気のせいだと思いたい。

「あのな、俺だってあの女子誰だか知らねえんだよ」

「「は?」」

「は?じゃねえよ。知らねえヤツはしらん」

「殿町ならクラスの女子を全員把握してるはずなのに」

「とか言っても、俺達も知らんけどな」

3人して例の女子を振り返る。笑顔で手を振ったりしている。

「ふうむ....」

確かに悪い奴には見えないのだが。正体が不明だ。

「一応自己紹介はして貰ったんだが....」

「「してもらったんかい!」」

ならどうして言わぬ、というのはもう叫んでも遅かろう。

それにここまで来ればやることは1つだ。

「ナンパするか」

「せやな」

「納得早え!少しは考えろよ!」

殿町の言葉を無視し、犬井と立花のアホ2人は女性陣へと突撃して行ったのだった。

 

その後の事は、まあ一言で言えばお決まりだったと言えよう。

水着の女子軍に突撃してナンパを試みるなど、愚行なのだ。

細かく言うと、

「「「「嫌ァァァァァ!」」」」

などという悲鳴が聞こえ、殴られるような鈍い音と共に2つの人影が空中を舞った。

犬井と立花だ。また海面に叩きつけられた2人ではあったが、妙に満足した表情だった。

「ガーデンオブアヴァロンてあれだな」

「タマモナインだろ」

「意味わかんねえ事言ってんじゃねえよ。そもそもマーリンも玉藻も

いねえんだよ!キャスター玉藻はウチにいるっちゃいるけどさ」

とか言った後に2人は気絶した。仕方ない、旅館まで引っ張って行くとしようか。

2人を引きずって旅館に帰り、部屋に放る。

そして再度砂浜へと戻った和真ではあったが...心配事もあった。

エレンの動向だ。ヤツはこの二泊三日の修学旅行中に何をしでかすか

分かったものではない。もちろん原作は読んだものの、和真の介入に

より行動が変わっている可能性がある。

おおまかな予想で、士道のいる砂浜へと走って行った。

或美島はそんな大きな島ではないので、最悪一周すれば見つけられるのだが、今回は案外あっさりと見つける事ができた。

岩陰から士道や八舞姉妹、十香を監視するエレンを視認。

インカムをつけているところをみると、空中艦に連絡をとっていると見て間違いないだろう。

(ここで銃ぶっ放すのは得策じゃない。かといって変身するのも、後々面倒になる可能性がある。どうしたものか....)

双眼鏡を覗きつつ、考え込む。

だがすぐ作戦を思いつき、和真はニヤリとした。

とは言うものの、作戦と言えるか怪しいレベルではあるが。

 

数分後、同じ場所に和真はあるものを抱えて戻ってきていた。

持っているのはライフルタイプの水鉄砲二丁だ。

片方を背中に背負い、もう片方を肩に担ぐ。

コマンドーじゃねえか!と言いたくなる感じのスタイルである。

だがこの水鉄砲は、そこらへんのヤツとは違うのだ。アト子さん作の

特殊水鉄砲なのである。だから威力もかなり高い(はず)。

そして水鉄砲ライフルを構え、撃った。

するとどうだろう、エレンが隠れていた岩を見事なまでに粉々にした。穴が開いたとか、そういうのではない。

「すっげえ....よっしゃ!どんどん撃つぜ!」

「なっ?!え、ちょっ」

わざとエレンに当たらぬように撃っていき、砂浜は瞬く間に荒地と化した。

だが士道達は気付いていない。当然といえば当然、所持MPの大半を使って結界を張っているのだから。この為だけに使うのは気が引けたが、仕方あるまい。

「覚悟しろよ、エレン・メイザース」

「何?!どうしたというの?!」

「とぼけるんじゃねェ....DEM社第二執行部部長さんよォ...」

「.....何の事?私はただのカメラマンよ?そんなことある訳...」

だがエレンの言い訳じみた言葉に被せるように、和真は続けた。

「そうかいそうかい。んじゃあその耳のインカムを取っても、何もねえんだよな?ああァ?」

「......」

睨み合う2人。西部劇のような空気が漂った。先に口を開いたのは、エレンだった。

「.....仮に私が、そのDEM社のヒトだとしたらどうします?」

一気に口調が原作に近くなった。これまでのは演技、そういうことなのだろうか。別にどちらでも構わない。DEM社を潰すのが、和真の目的なのだから。

「そうだな....ひとまずは」

最後まで言わず、水鉄砲の引き金を引いた。水流はエレンの顔のすぐ脇を擦り、背後の岩をも砕いた。

「これが答えさ。最強の魔術師(ウィザード)」

「....ここまでバレた以上、一般人ではないのでしょう、貴方は。〈プリンセス〉の前に、この少年を排除します。〈アルバテル〉バンダースナッチを」

『何故だ?プリンセスもベルセルクも、活動をしていないではないか!バンダースナッチを出す必要がないッ!』

「いいえ、念の為です。排除対象が思ったより危険なので」

『だが....こんな事で壊されでもしたら事なんだが』

「倒せばアイクに褒められるかもしれませんよ」

『よし!バンダースナッチ降下!』

アホだ、この通信相手。社長に褒められるというだけでバンダースナッチを送るとは。

「バカなのかDEMって」

「バカもいる、というだけです。では10秒あれば充分ですね」

言って、エレンはユニットを装着した。カラーリングや装備から察するに、恐らくは〈ペンドラゴン〉....彼女の専用ユニットだろう。

白銀のユニットはまさに〈ペンドラゴン〉、聖騎士の名に相応しい姿をしている。

けれど、こちらとて負ける訳にはいかない。だがMPの残量を考えると、結界も5分が限界だ。

「ならこっちもさっさと決めてやる!バンダースナッチ諸共消え失せろ!変身!」

『Turn Up』という音声に続き、和真の身体をアーマーが覆う。

そして仮面ライダーブレイドへと姿を変えた。

「その姿、見慣れないですね。何かは知りませんが、直ぐに楽にしてあげますよ」

「ケッ、よく言うぜ。お前には聞きたいこともあるが....それはまあ倒してからでも良いか。」

両者共に、得物を構える。和真ことブレイドはブレイラウザーを、エレンはレイザーブレイドを。

刹那、2人は砂浜を蹴った。

この世界最強の魔術師と、最強の高校生の戦いが始まった。



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剣と銃と修学旅行

そうして和真とエレンのバトルが始まったわけだが....

正直なところ、和真はここでケリをつけるつもりはなかった。

ここでエレンを消すと後々の展開に影響を与えかねないし、ストーリーの進行に問題が出る。

確かに先に倒すことに越したことはないが....やはり和真は第三者視点でもあるわけだから、あまり介入するのは良くないかな〜と思ったりする次第なのである。

と考えつつも、素早く振るわれるレイザーブレイドの刃を受け流して

行く。

「っとと...危ないな〜まったく」

「そう言っていられるのも今のうちですよ」

悪役じみたセリフを吐くエレン。そして突如として空中に飛翔した。

今思い出したが、CR-ユニットは飛べるんだった。

空を切り裂くようにエレンは飛行し、レイザーブレイドを構えて和真に突っ込んできた。

原作よりも弱く見えるのは気の所為だろうか。

きっとこっちの戦闘力の方が上だからだと思う。

和真もブレイラウザーを握りしめて、衝撃に備える。

が、エレンが接触する直前になり、行動を起こした。

『アブソーブクイーン』『フュージョンジャック』

翼が生えたジャックフォームへと変わって接触までの残り1秒を耐え、

そして全力で飛び上がった。

エレンはバカみたいに砂浜に頭ごと突っ込んでおり、一言でいうなら

アホっぽかった。

ギャグ時空でもあるまいに。

とは言え、これではわざわざジャックフォームまで変身した意味がない気がする。

変身解除しようとした時、視界の端に数機のメカが見えた。

バンダースナッチだった。

「なるほどアレを壊せば....ってもう結界の効果効いてねえ!MPゼロだし!うっわどうしよ、エレンも気絶してるしこのアホめ」

とりあえず自称カメラマンの金髪女エレンは放置し、和真はバンダースナッチと空中艦〈アルバテル〉の殲滅を優先させることにした。

まずはバンダースナッチ3機を秒単位で斬って、次は〈アルバテル〉を見やる。

まあどうせエレンはユニットさえあれば帰還できるわけだし、空中艦は破壊しても問題なかろう。

むしろこれを壊すことで、ウェストコットやDEM社の行動が鈍くなる可能性もある。そんなことは殆どないと考えられるが。

さてバンダースナッチを殲滅したのは良いが、相手の空中艦をどう壊すかが悩みどころなわけだが。

下手に地上に落とせば、宿泊先が壊れかねない。いっそ高火力で叩き潰す手もあるが、目覚めたエレンに邪魔されたら元も子もない。

薄闇の空に浮かぶ空中艦を睨みながら、和真はうーんと唸る。

視力が人間よりも遥かに良い和真が悩むのは、他にも理由があった。

あのアホ空中艦〈アルバテル〉とラタトスクの空中艦〈フラクシナス〉がさして距離を置かずに居たからである。

通信が切れた今、フラクシナスの副司令のドM神無月がここでどのような指示を出したかは知らない。

もう本来の世界ではないので、和真が来たことにより僅かでも何かが変わっているかもしれないからだ。

とは言うが、戦闘シーンを見られるのも少し厄介なのだ。

そう、色々と厄介な事情があるのだ。

けれど悩んでいたところで事態は進まない。よし、気合を入れて和真は行動を開始した。

まず空中艦〈アルバテル〉の直上へと飛翔し、

『エボリューションキング』

ジャックフォームから重厚なキングフォームへとチェンジ。

『♠︎10・J・Q・K・A』の音声と共に5枚のラウズカードをキングラウザーにラウズし、『ロイヤルストレートフラッシュ』を発動させる。

〈フラクシナス〉に当たらない角度で、和真はキングラウザーを〈アルバテル〉へ向けて振り下ろした。

そして放たれた光の奔流は確実にその巨体を捉え、随意領域(テリトリー)などを完璧に無視して全てを破壊した。

爆音と閃光が辺りに広がり、立ちこめ始めていた雨雲さえも消しとばした。

その後の和真はというと.....起きたエレンを敢えて殴って気絶させ、旅館まで運んだまではよかったのだが、時間も時間だったせいで教師達のきついお叱りを受けてフラフラになって部屋に戻る羽目になった。

けれどそれで良かったと思う。エレンが気絶しているお陰で、士道の精霊攻略もスムーズに進んだはずだ。ウェストコットへの連絡手段も途絶えて、今は何も出来ないと思われる。

ユニット以外の機器はエレンから全て奪っておいたのだ。愉悦愉悦。

そんなこんなで夜は更けていった。

 

最終日になり、帰る時間が迫ってきた。

荷物を纏めて全員がロビーに集まる。しかしそこには1人居ないヤツがいた。エレンだった。

今朝から姿が見えないらしく、部屋にも居ないんだとか。

「おい殿町オマエ何かしたのかよ」

「してねーよ何でだよ」

「いや、だってカメラマンさんの部屋に入ったじゃん。なんかその時したのかなーってな」

「ばっ、声でけえよ!」

皆がこっちを見た。うっわコイツ何やってんだ、みたいな目で見てくる。それを言ったら五河もそうだと思うのだが、そこらへんは情報操作されているのか話題になっていない。

これでは変態扱いされてしまうッ!

「安心しろ、何も見てねえからよ」

「俺たち友達だろ?」

「解決になってねえよ!ったく...もう良い、俺が探してやろうじゃねえか!」

立ち上がり部屋へと向かう、と見せかけて和真は裏口から外に出た。

手元にあるヤツの機器を駆使すれば、場所は特定できるはずだ。

色々吟味しながら歩いていると、建物の陰に見覚えのある金髪が見えた。

音を立てずに近づくと、どうやらどこかに連絡を取っているようだ。

空中艦は破壊した以上、連絡相手はウェストコットぐらいだろう。

確かにエレンの言葉の中に「アイク」という単語が聞き取れる。

連絡相手はウェストコットで間違いない。

さりげなく話し掛けることにした。

「よォカメラマンさん....集合の時間だぜ」

「?...あなたは....」

「まあ待てよ身構えるなって。とりあえずアンタが来ねえと帰れねえんだよ皆」

「そうでしたか。では行きます。決着は帰路にて」

「意味わかんねえよ、さっさと行けよ」

「年上は敬いなさい」

「あ、年増なのか」

「喧嘩売ってるの?」

「さあねぇ」

ギャーギャー言い合いながらもロビーへと戻り、空港へと向かうバスに乗り込む。帰り道に決着をつけると言っていたが、まあさして気にすることでもないだろうと思い、のんびりとバスに揺られることにした。

空港に着き、チェックを済ませて搭乗口へ。

全員問題なく乗り込み、無事に飛行機は飛び立った。

その後も特に何も無く、和真達は全員揃って東京へと帰還した。

士道は色々あって疲れていたようではあったが。

エレンも特に何もアクションを起こさなかったので、決着をつけると言っていたのはただの脅しだったのだろう。

その後は学校までのバスに乗り、再び何時間かの旅。終わるまでが修学旅行なのだ。

 

学校へ向かう途中の高速で、それは起きた。

突然バスが衝撃と共に止まったのだ。頭をぶつけたりする生徒もいたようで、車内は少しの間混乱に陥った。

だが間髪入れず、どこからか声が聞こえてきた。

『おいそのバスに殿町宏人というヤツが乗っているだろう?そいつを引き渡し、変な行動を取らなければ攻撃はしない!』

ありきたりすぎる&くだらない事を言っているが、この声は...いやまさかアイツはこの世界に来ていないはずだ。加工音声か何かか。今気付いたが、エレンはこのバスに乗っていない。

決着というのはそういうことなのか?

と、クラス全体がこっちを見ていた。

((((お前が行けば俺たちは助かるんだよ))))

仲間というのを大事にしないのか。やはりマトモなのは士道だけか。

だがこの状況。敢えてこの誘いに乗ってみるのも一興だろう。

降り口へ向かうと、フロントガラスから向こう側が見えた。前方に居たのは

「吹雪と....バンダースナッチだと?」

予想に反し、前方に待機していたのは仮面ライダーレンゲルに変身する吹雪とバンダースナッチだった。

ということは風香が変身したカリスもいるのだろうか。しかしバンダースナッチがいるのならば、DEM社が絡んでいるに違いない。

つまりエレンが居る確率も高いということだ。

和真はバスを降り、吹雪へと話し掛けた。

「なあ吹雪、どうしたんだよ?お前ら何してんだ?」

「そりゃ当然あなたを連れ戻す為ですよ」

「いやだからなんで、DEM社と協力してる?」

「それは....」

吹雪レンゲルが続けようとした時、バスの上から声が聞こえた。

「それは、目的が一致したからよ!」

「そうですね」

バスの上に立っていたのは、風香ことカリスと最強の魔術師エレンだった。

よく見ると空中にも何やらメカが展開している。

「おいどういうことだよ!暴力振るうつもりなのか?!」

「いいえ、貴方を捕まえるだけです」

「それで目的が一致したから、一時的に協力してるの」

なるほど。どこで接触したとか、そういうのは今は関係ない。

「俺を捕まえる、それだけの目的で協力体制か」

「ええ」

「....くだらねえ。俺を捕まえるなんてできるわけねぇ」

「ならばやりますか?」

「いつでも良いわ」

「バンダースナッチ攻撃開始」

命令に応え、バンダースナッチが攻撃を開始する。

「させねえよ!クソ野郎!」

取り出したバールでバンダースナッチを叩きのめし、バスのフロントを背に和真は立つ。

エレンはユニットを既に装着しており、そのまま降りてくる。

風香、吹雪、エレン、バンダースナッチと睨み合う和真。

「「「変身」」」

『Turn Up』『Change』『Open Up』

同時に3人は仮面ライダーへと変身、エレンもレイザーブレイドを構える。

クラスのメンバーがバスの中から見ているのが、なんとなく分かる。

そりゃいきなりこんな状況になれば、驚きもするし興味も湧くだろう。

とりあえずそれは置いておいてだ。現在の状況は非常に不味い。

3対1な上に、相手もトップギアとみて良い。

(畜生やってくれるじゃねェか。これじゃあ俺はこのバスも守らないといけないしなァ....クソ戦い辛え)

わざとこの状況にしたのだとすると、これは考えられた作戦と言える。それゆえに通常フォームでは太刀打ちできないだろう。

人数差と戦力差的にも。

ならば現状やる事は1つだ。全力で倒すしかない。

『エボリューションキング』

ジャックフォームをすっ飛ばしてキングフォームへ変わり、キングラウザーとブレイラウザーを両手に構える。

「どりゃああああああああああ!」

そして剣を構え、地を蹴った。凄まじいスピードとパワーに、レンゲルとカリス、エレンは圧倒されていく。

だがそれも少しの間だった。予想に反し、彼女たちにも策があったのだ。

『エボリューション』

『アブソーブクイーン』『フュージョンジャック』

カリスはワイルドカリスへ、レンゲルは分厚い装甲を纏ったジャックフォームへと変身した。

「その姿は....」

「ふっふっふ、策が無いとでも思ったか!」

「これで勝ったも同然ね」

「油断はできませんが」

こうなるとは予想外だが...バスの奴らを傷付ける訳にはいかない!

「だからどうしたァ!俺は負けねえ!」

迷いなく一直線に突っ込んだ先に待っていたのは、ギャレンとカリスのダブルキック。内臓のあたりをやられたか、口から血が溢れる感触がした。

「もうあなたに勝ち目はない」

「投降した方が身の為よ」

エレンからの無慈悲な宣告。確かにここで負ければ、バスの奴らは助かるだろう。だが今の和真にその選択肢はなかった。

「...確かにな。俺が大人しく捕まれば、それでこいつらは解放されるだろうさ。けどなァ俺にはやる事があんだよ!」

先のダメージでHPの半分くらいを持っていかれた。しかし力を振り絞って、和真は立ち上がる。

「何を言ってるんだ?」

「さあ?」

『♠︎10・J・Q・K・A』

5枚のカードをラウズし、『ロイヤルストレートフラッシュ』を発動。

彼女達と和真の間の空間に、光るカードが5枚現れる。

「お前らが知る必要はねえよ」

一気に剣を振るい、そのカードごと光の奔流が3人を吹っ飛ばした。

さすがにダウンまでは出来ず、なんとか起き上がってきた。

「しぶといな、クソッ!」

「元はと言えばあなたの責任なのだけどね」

「そうなんですか」

「細けえ事は良いだろ!もう俺は行くからな」

「誰も行っていいって言ってないんだけど」

「帰る時間遅くなると怪しまれるだろ?」

「「「ふむ」」」

今がチャンスと見た。バスに向かって叫ぶ。

「バス出せ!フルスロットルだ!」

「は、はい!」

和真が乗り込んで、バスは全速力で走り出した。

後ろからバイク2台と特殊車両が追ってくるが、それはなんとかするしかない。

「あれ?何でみんな俺避けてんの?」

「「「「いや、だってうんまあ殿町っぽくないし」」」」

「そんな理由か」

「あとあの姿なんだ?ブレイドじゃねえか」

「そこらへんも纏めて後で説明するから!」

ひとまず黙らせて、窓から屋根へと登る。既に変身は解除したので、

戦力は銃器とカブトだけになる。

先程の血に薄い緑が垣間見えたのは気のせいだろう。

後方から迫る特殊車両とバイクを睨みながら、和真は屋根に立つ。

アサルトライフルを取り出して構えて刹那、引き金を引いた。

凄まじい銃撃音が響き渡り、バスから悲鳴が聞こえてくる。

それでも引き金を引き続ける。

バイクには余裕で避けられ、特殊車両にも大して効果はないようだ。

「チッ...これだから女ってのは」

「よっ、1人で行けるか?」

悪態をつく和真の前に現れたのは、友人(多分)の立花だった。

意外にも和真と同じようにバスの上に余裕で立っている。

「お前、何しに来たんだよ?バスん中いろって。死ぬかもだぞ?」

「ふっ...死ぬのは怖くねえよ。俺は1度死んでるからな」

「まさかのゾンビ発言?!」

「そうだ。俺は1度死んでる。アンデッドに殺されたんだ」

「ごめんそれだとお前、マジで橘朔也になるんだが」

「だからそうだと言ってるだろ」

「マジか!?」

「マジだよ」

ならば心強い仲間だ。和真と立花でブレイドとギャレンという事にもなる。

「ならやろうぜ!俺たちライダーなら出来る!」

「ああ、そうだな」

『Turn Up』の音声と共に、立花はギャレンに変身した。

和真は弾が尽きた物を捨て、新しいアサルトライフルを2丁取り出した。

ギャレンラウザーとアサルトライフルの銃口が、後方車両へと向く。

修学旅行最後にして、和真の命運を賭けた戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 



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仮面ライダーは何処へと向かうのか

後方を見ると、今だに彼女達は和真の乗るバスを追ってきていた。更に後方からは、やはりというかサツが迫っているようだ。

銃を構えつつ和真は、立花へと問いかける。

「どうすんだ?この件、降りるなら今のうちだぞ?」

「何を今更。前世は俺のせいで死んだ人が居たんだ。そんな事はしたくないからな。守るためにも俺は戦うぜ」

「ハッ、お前らしくねえな。いや...流石というべきか橘」

2人はニヤリと笑って刹那、アサルトライフルとギャレンラウザーの引き金を引いた。

再びバスから悲鳴が聞こえたが、無視して撃ち続ける。

予想はしていたとはいえ、バイクの2人には避けられ、特殊車両にも

何といった効果が見られない。

「クソ固すぎだろ!あとバイク誰だよ避けるのうまいなオイ!」

「仕方ないんじゃねぇの?あとバイクの2人は知り合いなんで」

「知り合い撃つなよ!」

「事情あんだよ!」

言い争っている間に特殊車両はサイドについてしまい、バイクを収納してそこから風香と吹雪が飛び移ってくる。

「なんだ可愛いじゃないか」

「まぁ見てくれはな」

こそこそと言い合っていると、2人の声に遮られた。

「もう逃がさないよ」

「覚悟しなさい」

ビッと指を突きつけられる。立花は何やったんだよオマエ、という風に見守っている。見てないで助けて欲しいものだが。

「い、いやぁ奇遇だねェ...あ、あははは」

「連れてきましょう」

「おー」

がしっと腕を掴まれ、特殊車両へと引きずられる和真。

暴力反対なのがモットーなので、かなり反対したい所だ。

「あのーすいません俺用事あるんで戻って良いですかね」

「「何?」」

「隙ありィィィィィ!」

一瞬の隙を見て両腕の拘束から抜け出し、バスへと跳躍。

ドンッという音を立てて、屋根に着地した。

立ち上がりながら、のんびりと空を眺めている立花へ話しかける。

「どうだった?久しぶりの戦闘になるんじゃないのか?」

「そうだな...高校生になってみて、色々経験したがな。以前の人生も

なかなかに悪くはなかったけども、現世も悪くはないか」

「そうか....1つ提案なんだが、俺の旅に同行する気はないか?」

「どういうことだ?旅してんのかお前?」

「まぁな。おっと、サツのお出ましだぜ」

振り向くと、赤いサイレンが見えるところまで来ていた。

何か叫んでいるが、無視して収納ポケットに手を突っ込み、武器を取り出す。

「耳塞いでろ」

そう言うと、和真はその武器を担ぐように構えて撃った。

狙いは逸れず、パトカーへと弾丸はぶち当たり、車体を爆発させた。

それを見た立花は、仰天した。

「ちょっ、おまっ、ロケランパトカーに撃つとか捕まるぞ!何やってんだよ!」

「安心したまえ、手前に撃ったから。」

「あ、ホントだ。気のせいだったんだな、ってそーじゃねーよ!」

「まあ事情は後で全部話すよ。俺がここにいる理由も含めて。」

そして車内へと戻り、和真がハンドルを握り帰ることになった。

先生もドライバーもいつの間にか気絶して、運転はレースゲーが得意なヤツがやっていたのだが、責任を取る1つのカタチで和真がハンドルを握るハメになったのであった。

絶対捕まるであろうこの状況だが、生徒も大半が気絶しているので大丈夫だろう。

その後本来のルートをかなり迂回して学校へと到着した。

皆は起きたら自然と家に帰ると思い、さっさとバスを止めて和真は

降りた。

既に日はとっぷりと暮れ、暗闇が辺りを覆い尽くしている。

「いやあ、凄え旅だったなァ....」

「そうだな。楽しかったぜ、前を思い出すくらいは」

「そうか....とりあえず帰ろうぜ」

「皆は良いのか?」

「良いんだ。起きたら帰り道の事は全て忘れるよう、記憶改竄してある」

「無茶苦茶だぜ...お前はよ」

長旅の疲れでため息をつきながら、和真と立花は道を歩いていく。

ある程度歩いたところで、和真は立ち止まった。

「どうするかなぁ....これから」

「どうするって?」

「旅の話だ。俺はこれからどうすれば良いんだろうってな」

「ならいっそ最初から話せよ。バス結局お前が運転してたから、話できなかったしな」

自販機でコーヒーを購入し、立花は片方を放ってきた。

ベンチに腰を落ち着けたところで、和真はぽつりぽつりと話し始めた。

 

話し終えたところで、立花はふう、とひとつ息を吐いた。

「随分と冒険してるんだなぁ、殿町。いや、八坂と呼ぶべきだよなこれからは」

「どっちでも良いさ。何にしろ俺はここに長居はできないからな」

「そう...か。でもあと1週間くらいで文化祭があるはずだ。それくらいは出て行かないか?」

沈黙。和真は考え込む。確かに文化祭に出るのもアリだろう。

しかしそれは裏を返せば、外部の者が多く来るわけで、彼女達に会う可能性も捨てきれない。

「文化祭か.....これは、使えるかもしれねえな」

「やる気になったか?」

「色々と思いついただけだ。んじゃ、またな!」

今日も何事も無く、と言うと嘘になるが、夜は更けていくのだった。

次の日になり、いつも通り学校へと行くと、クラスが何やら騒がしかった。

十香達精霊と士道がイチャイチャなのは変わらないが。

「お、立花。皆何か気にしてるらしいけど、何かあるのか?」

「ああ、転校生がくるらしいんだよ。このクラス」

「またか?これ以上誰が....」

「はーい、席についてくださいね〜」

続けようとしたが、のんびりとした岡峰教諭ことタマちゃん先生が

教室にきたお陰でホームルームになってしまった。

だが転校生が分かるのも基本、ホームルームだ。まぁ期待せずに待つとしよう。

ひと通りの話を終えたところで、タマちゃん先生が「転校生を紹介します」と言い、その転校生とやらが入ってきた。

「ごめん嘘だと信じたい」

「俺もだ。なんでだよ」

がくりと机に突っ伏している和真と立花をよそに、転校生は自己紹介を始める。2人居たので、転校生達になるか。

「八坂風香です。よろしくお願いします」

「八坂吹雪です。よろしく。」

(嘘だろォォォォォ!)

「2人は今日からこのクラスで勉強することになります。仲良くしてあげてくださいね」

((無理だろ))

この時ほど立花と意見があった時はないと思う。

と、ずかずかとこちらへ転校生が歩いてくるではないか。

対応せねばならぬ。

「やあどうも。転校生なんだって?」

「少し付き合いなさい」

「あーれー」

こちらの意見は無視され、和真は引きずられていった。

着いたところは屋上。ある程度の広さがあり、戦うにはうってつけだからだろうか。

「で、また俺に用か?」

「ええ、あなたを連れ戻すの」

「まぁ、姉さんは和真がす...(むぐむぐ?!)」

「吹雪の戯言は置いておいて。戻る気はないの?和真」

「.....皆、そう言うよな。けど俺は、戻らない。戻らないよ」

「何故なの?待ってる人もいるのに」

「俺は、このままでいいんだよ。世界を旅し続ける事、それが今の俺の生き方だしな。」

「そう...でも諦めないわ。必ず連れ戻す!」

「流石姉さんだな!」

ため息をお互いにつき、和真は問いかけた。

「1つ聞きたい。お前達とDEMが協力したのは、利害が一致したからだと言ったな。その利害って何だ?」

それは数秒のようにも、数分のようにも感じられた瞬間だった。

そして風香が口を開く。

「あなたよ。あなたが目的でDEMと手を組んだの」

「本当にそれだけか?お前達は俺を連れ戻す為だろ?だとしたらDEMには俺の何が目的だ?」

「....そういえばそうね...吹雪何か知らない?」

「さあ?」

こうは言っているが、まだ確証はないとはいえ、和真には予想は出来ている。自分がDEMに目をつけられている理由が。

「じゃあ俺戻るから」

「「え?!」」

面倒になったので、さっさと話を切り上げて和真は教室に戻る事にしたのだった。

 

授業も全て無事に終わり、放課後になった。

帰りのホームルームで文化祭の出し物も決め、和真はそそくさと学校から出る。

だが帰りもそう簡単には行かぬようで、校門で待ち構える女子2人組が

視界に入る。

わざと無視して立花と話しながら、校門から出る。

と、がしっと肩が掴まれる。

「何帰ろうとしてんの?諦めないって言ったわよね」

「ストーカーは男子に嫌われるぞー」

「「うっさい」」

「はい」

2人の迫力に黙り込む立花。これでは話にならない。時間もあまりないというのに。

はやくヤツに会って詳細を聞かねばならない。その為にはこいつらは邪魔だ。

「あのさ〜マジで帰りたいんですけど」

「貴方がやったことバラすわよ」

「脅すつもりか?それならそれで対策もあるぞ」

瞬間同時に動いた和真と風香。

ハンドガンを秒単位で取り出して互いに突きつける。

「まだ決着はつかないか」

「なら今日は延期ね」

そうして歩み去っていく彼女達を見送る。

夕焼け色に染まる空を見上げ、1人和真は呟いた。

「俺もいつか....人やめるのかな?」

 

 

 

 

 



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青・春・謳・歌

時間は流れ、日は過ぎていき、遂に文化祭の日になってしまった。

ここの文化祭は天央祭というもので、10校の高校が合同で行う、大規模なモノ。ステージ企画なども大掛かりだ。

和真の所属するクラスの企画も、通ったは良いのだが。

「だからってさァ、メイドカフェっておかしいだろ!」

キッチンでスポンジを握りしめ、何度目かの叫びを上げた。

「まぁまぁ、仕方ないじゃないか。メイドカフェなんだから、男子は厨房で決まりだっての。ったく五河も来れば良いのになぁ」

「五河は色々あるにしても....俺ァやる事あんだよ!ここで呑気に皿洗ってる場合じゃないんだけど!」

「....お、おう。ひとまず落ち着けよ。それにメイド見られるわけだし、特と言えば特だろう?」

メイドカフェにしたのは女子の側だし、和真としてはあまり、メイドには萌えないタイプなのだが。

ひとまず深呼吸をし、息を整える。

「ふぅ....そういや他校の生徒も来るのか?」

「ああ。竜胆寺のお嬢様も来るらしいぞ。意外だよな」

今のは犬井。いつの間に情報を仕入れていたのか知らないが、流石と

だけはいうべきだろう。

「竜胆寺のお嬢様か。誘宵....美九だったな」

「名前は流石に知ってるか。有名人だしな。なんか男は近づけないらしいって噂だけど」

その理由を話せば相当時間はかかるので、黙っておくことにした。

精霊である美九に、変に勘付かれても困る(多分だが)。

ただでさえ、DEM社のエレンに狙われているようなものなのに、余計なことを増やしたくはない。

丁度シフトチェンジの時間に入り、和真達3人は外へと出た。

「どこに行くんだ?殿町」

「デカいとこだよ。多分犬井は入れないぞ。」

「なんでだ?俺も連れてけよ」

アイコンタクトを取り、和真と立花は裏手に走り出した。

「あとで全部話すから!あとまぁクレープくらいは奢るぜ!」

そういうと犬井は追いかけず、ただ手を振るだけに留めた。

友人の隠し事には極力踏み込まないのようだ。

そういう対応は有り難い。良い友人を持ったと思う。

「このあいだ話した手筈で、下は任せるぜ」

「ああ。ここでもジャックまでなら変身できるからな、空中戦も任せてくれ。生きて帰れよ」

そう立花には事情はある程度話してあり、当面は共闘することにしてあるのだ。

そして2人は停めてあったバイクにお互い跨り、フルスロットルで発進させた。

「行くわよ」

「了解」

後ろからの追っ手に気付かぬまま。

 

クラス企画のシフトも余裕が多少あるとはいえ、ステージ企画を見る時間もあるので、行動できる時間も限られてくる。

全速力でバイクを飛ばして着いたところは、昼であっても暗い雰囲気を醸し出す高層ビル。

天宮市にあるDEM社の社屋だった。

物陰に隠れながら、こそこそと話し合う。

「あれか?こないだ言ってたヤツ。」

「そうだ。でもなぁ....やっぱお前を連れてくのは気が引けてくるな」

「何故だ?ギャレンとして戦えるんだぞ。戦力になるだろ」

「そういう意味じゃない。そういう意味じゃないんだ」

狙われているとは立花には言ってあるが、予測範囲内であるが故、理由は述べていない。

「任せろって。上手くやるからよ」

「まぁここまで来りゃ同じか。よし、行くか」

物陰から出て入口へと向かい、入って行く。

「オイこれ、正面じゃねえのか?」

「そうだよ。だから悩んだんだ。連れてくかどうか」

「ここまで来てそれ言うか」

と、突然和真と立花の周りにCR-ユニットを装着した複数の女性が現れた。女性と分かったのは当然ながら胸のサイズだが、恐らく彼女達は警備か何かだろう。にしては妙に準備がよすぎる。

まさか.....

「ここは頼むぜ」

「おう、これくらいお茶の子さいさいだぜ!行きな殿町!」

「また会おうぜ。グッドラック」

警備の隙をくぐりぬけ、階段へと転がり込む。

銃撃音が聞こえ始めたのはその直後だった。

 

社長室はだいたい目星はつけてあるので、その階層まで上がり、廊下を部屋へと向かって歩いていく。

社員に見られたが、無視しておく。対応が面倒だ。

焦げ茶色のいかにもなドアを見つけ、立ち止まる。

深呼吸をしてドアを開ける。

「来てやったぜ、エレン!ウェストコット!」

中に居たのは、やはりというか予想通りエレンとウェストコットだった。

まるでエレンが秘書のように見える。気のせいではあるまい。

「やぁ、キミがトノマチ...ヒロトか。いや、ヤサカ・カズマというべきなのかな?」

「そこまで知ってるのか....なら良い。俺を狙う目的を聞かせてもらおうか!」

「おいおい、銃突きつけての問答は気が進まないなぁ。エレンには手を出さないように言ってあるからってねぇ」

「非常時はやりますが」

随分と本編と印象が違う気がする。フランクな感じというのか、割と軽めなキャラに見えるのは気のせいだろう...と思いたい。

「答えろ、俺を狙う目的は?」

「物騒だなぁ、銃なんて。まぁいいか、目的なんて簡単だ。君の身体だよ」

「うわっ、嘘だろ腐ってんのかよ」

「そのままなんだけどね。アンデッドと融合しかけてる人間なんて、興味がわくだろう?」

既にアンデッドの事まで知っているのか。厄介だ。

風香と吹雪の口が軽すぎたということか、あるいは独自で得たものなのか。ウェストコットは色々と情報網を持っているので、平行世界のことも知っていてもおかしくはなさそうだ。

「それで?仮にアンデッドと融合した人間が居た場合、どうするんだ?解剖して血液とって、自分にその血液入れるとかじゃないだろうな?」

「違うね。だがやはり間違いはなかった。イツカシドウ同様、捕獲対象にして正解だったか。」

「ふん、五河も捕らえる気か。大方ジェシカとその部下でも向かわせたんだろ?」

「何故それを?!」

エレンが動揺してどうする。こちらは何もできないのに、色々いう必要もないだろうに。あと動揺しても萌えない。

「さぁな。ま、俺はウェストコット、あんたをどうこうする気はねぇよ。今はな」

「そりゃ有り難いね。」

そのとき、ドアが勢い良く開かれた。

「ウェストコット、フロントで怪しい男を見つけたから連れてきましたけど。どうしましょうか?」

この声は風香の奴、ウェストコットには敬語に近い感じで話すのか。

吹雪は黙っているので分からないが。

「知らない顔だな」

ふと気になって見てみると、そいつは身近にいる....

(立花オマエ何捕まってんだよ、アホか!?)

(すまん、あのお姉さん達倒したのは良いんだが、いきなりカリスとレンゲルにやられてなぁ)

ああ、と納得してしまう。確かに風香と吹雪はカリスとレンゲルだ。

変身していれば、姿はバレない。

してやられたというわけか。予想外の展開になってきた。

「ウェストコット。俺は手を出さないと言ったな」

「そうだね。」

「あれは嘘だ」

言いながらブレイバックルを取り出して仮面ライダーブレイドに変身し、ブレイラウザーを構える。

「友人がやられた以上、穏便に進める気はない。スクエアにいるジェシカも含めて全てぶっ壊してやる!」

2人もカリスとレンゲルに変身しており、エレンもユニットを既に装着していた。

戦闘が始まった。

 

風を切って振り下ろされる刃を素早く弾き、迷わず3人を蹴り飛ばす。

煙幕をはって立花に肩を貸しながら、和真は部屋を脱出した。

階段を使ってる暇はないので、窓を蹴り破って外へと出る。

もちろん自由落下の豪華特典付きだが。

立花を抱えて着地し、バイクまで戻る。

「お前は早く天宮スクエアに戻れ。五河を保護するんだ」

「お、おう....分かった...よく分からんが、死ぬなよ」

「迷惑を掛けるが....頼むぜ」

「何、友人の頼みは断らんよ。基本的にな」

「んじゃ、天宮スクエアで合流だ」

立花をバイクでスクエアに向かわせ、和真はDEM社の前に立つ。

当然ながら、割れた窓からエレン達3人が降りてくる。

ドンッとデカイ音を立ててカリスとレンゲルが着地、エレンは空中で

浮遊している。

「粘りますね。ですが天宮スクエアの方は、もう手遅れでしょう」

「何故そう思う?」

「ジェシカに手負いの人間が勝てるはずがない。いくら嫌なジェシカといっても」

「そうかね?まぁ絶対俺はスクエアに戻ってやるさ」

『エボリューションキング』

キングフォームに変身し、再度戦闘を開始する。

防御がバカみたいに高くなっている今、生半可な攻撃では傷などつかない。加えて友人が狙われている今、和真の心は決まっていた。

(五河も立花も、皆も助けて、DEMを叩く!)

レンゲルラウザーとカリスラウザーが装甲にヒットするが、傷すらつけられていない。

剣を振るいながら、2人へ問いかける。

「お前らさぁ....利用されてるだけなんじゃないのか?」

「まさか」

「んなわけないじゃん」

そう思っているのか。だが協力体制とはいっても、ウェストコットに

利用されている可能性も捨てきれない。

気づいていないだけかもしれないが。

溜息を1つつき、キングラウザーを薙いでカリスとレンゲルにダメージを与え、距離をとる。

「では私も出るとしましょう」

「遅えよ、年増」

何かが切れる音が聞こえた(気がした)。

刹那、白銀の疾風と化したエレンが、和真を襲った。

だが今の和真にレイザーブレイドごときで傷をつけられるはずもなく、ポッキーのように簡単にエレンの剣は折られた。

「アイザック・ウェストコットの剣であるエレン・メイザース...か」

「何ですか、その目は」

「いや別に。ユニット外せばあんた弱えもんな。そして今はユニット解除された状態だ。誰でも勝てるね」

そう吐き捨て、歩み去ろうとする和真の背中に声が掛けられた。

「逃げるつもり?」

「今度こそ逃さないぜ」

またか。そのセリフ何度も聞いたことか。文化祭準備期間も何回も言われた。

それに今和真は、一刻も早くスクエアに戻らねばならない。

「聞き飽きたセリフを何度も言うな。俺は行かなきゃいけないんだ。

だから...俺は戻らない」

それだけ言うと変身を解除し、バイクに跨り、発進した。

 

スクエアに帰還すると、既にギャレンとDEMの部隊が上空で戦闘を繰り広げていた。予定よりも早い気がするが、その点折紙との戦闘にならなかっただけはマシだろう。

全回復したMPを使って結界を貼り、再度和真はブレイドへと変身。

ジャックフォームになり、空へ飛翔する。

「よく耐えられたな、流石俺のダチだぜ立花」

「ま、これくらい朝飯前だって」

そうは言うが、現状立花はかなりボロボロになっていた。

やはり無理を言い過ぎたかもしれない。

「謝るこたぁねえよ。俺がやりたくてやったことでもあるからな」

敵の1人に向かって引き金を引きつつ、立花は言う。

「長い間こんな戦闘なかったからな。楽しいんだ」

「ほう、なるほど。でもまだ敵はこんなにいるけどネ」

「言うな言うな。鬱になりそうだ。」

「改めてそんじゃ、行きますか」

「おう!」

そして2人は加速、それぞれカードをラウズし、雷を纏わせた斬撃と

炎の弾を放っていく。

数分後、その空域には和真達以外には誰も居なかった。

全て墜としたのだ。

「やったな、殿町」

「そう...だな」

倒せたは良いもの、何か疑問が残る和真だった。

しかしこれ以上考えるのもどうかと思い、地上に降りてステージ企画の為、天宮スクエアに入っていった。

文化祭も後半戦、いよいよ精霊達のライブがスタートする。



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仮面ライダーブレイドは人気アイドルの夢を見るか?

結局その後天宮スクエアに向かおうとした和真&立花はクラスの女子達に捕まってしまい、クラス企画の後片付けを任されて、スクエアに

行けるようになったのはかなり後になってしまった。

そんなわけで、現在割と暗くなってきた道を歩いているのだった。

「ったく...これだからお人好しは」

「まぁそう言うな、女子からの頼みは断れないだろ?」

「剣崎みたいに優しいのかよオマエ....橘とは思えねぇなあ」

「ははは、っと何だ?なになに、突如現れた美少女?名前は五河士織?五河に似てるような...殿町何か知らん?」

何故こっちに振るかな。

「お、俺何もシラナイヨ?」

「絶対知ってる顔してんぞ、関係くらい教えろよ」

「し、知らないから!それよりもライブ終わっちまうぞ?」

無理矢理に話題を変え、スクエアへの道を急ぐ。あと少しの所で、ふと和真は足を止めた。

「.....立花、先にライブ行っててくれ」

「何故?」

「良いから、頼むよ」

「お、おう?パンフくらいなら取ってくるぜ」

立花を先に行かせ、和真は再び一人きりになる。闇が支配し始めた空を見上げながら、口を開いた。

「なぁオイ。誰だか知らねえけど隠れてないで出てこいよ、気配バレバレだぞ?」

「そうか、まぁ別に通りすがっただけだから、気にするな」

「通りすがっただけ....か。というか今思った事1つ聞いて良いか?」

「構わないが」

「テメェ、何で俺とそっくりのツラしてやがる!?」

「まあまあ落ち着けよ、八坂和真」

「落ち着けるかよ!お前ワームか何かなのか?」

「はぁ....この世界の和真は、いやここにいる和真は随分とキレやすい

みたいだな?」

「遠回しな言い方し過ぎなんだよ、端的に述べろ」

吐き捨てるように言った和真に対し、和真のそっくりさんは溜息をついてから、口を開いた。

「高校生の八坂和真....お前はこの世界に居てはならない。この世界から出て行け」

「ディケイド剣崎気取りか?俺はここでやる事があるんだ、邪魔される訳にはいかないんだよ」

「全く....これじゃあ風香と吹雪を差し向けた意味ないじゃないか。」

「おい、それって風香と吹雪に俺を追わせたのはテメェだってのか?」

「まぁ簡単に言えばそうかね」

いきなり過ぎる事に、脳が半ばついていけない。風香と吹雪に追わせたのなら、わざわざ出向く必要もない気がするが。

「確かに最初のところなら出向く必要はなかったかもしれないさ。だけどな、今となっては世界の歯車が狂い始めてるんだぞ」

「歯車だァ?知らねえよ、ンなもん」

「存在しないはずの『まどかの兄』という存在を創り出した上に、本来存在する鹿目タツヤを消したってのはどう弁解するんだ?」

「.....うっせえな!お兄ちゃんって言われたいだろ普通はよ!CV悠木碧だぞ?少しは考えろよ!」

「いやそういう話じゃなくてな....とそろそろ時間か。俺は1回ここで

消えるが、ちゃんと帰れよな、家には」

最後にそういうと、和真のそっくりさんはフッと姿を消した。

まるでホログラムか何かだった、とでも言わんばかりだ。

スクエアを振り返り、足を踏み出そうとした時、脳内に電気が走るような感覚を覚えた。

「そうか....このライブは.....時間的にもまずい!五河、立花、犬井!」

和真は叫び駆け出していた。走りながら防音結界を張り、会場に入る。だが手遅れだったようだ。

防音結界のせいで聞こえなかったが、既に美九の精霊は顕現しており、美九の口が動いているのが見える。まるで歌を歌うように。

「くそ、間に合わなかったのか。いや立花はどこかにいるはずだ!」

ゾンビの如く動く皆を跳ね除け、通路を走り回る。

ある程度走ったところで、後ろから声が掛けられた。

「何してんだ?殿町。あ、これパンフな」

呑気にイヤホンを耳にさしながらライブのパンフを渡してくる立花。だがどうして、コイツは正気を保っている?

手招きして結界の中へ入れ、イヤホンを取らせる。

「何で正気保っていられるんだ?普通なら操られるとこだぞ?」

「面白くなさそうなんで、アニソン聞いてた。」

「それいかんだろ....けど今回はそれが功を奏したとも言えるか」

立ち上がりステージの方を見やると、キャットウォークに2人の人影。

髪型的に、士道(士織フォーム)と十香だ。お互いメイド服姿なのは、まぁ文化祭のアレだろう。十香は霊装を限定顕現させているので、メイド服感は薄れているが。

原作ならばもうすぐエレンが来る頃だ。

「戦えるか?」

「ああ、問題ねえが....何故だ?敵でもいるのか?」

「まぁそんなとこだ」

エレンが来る可能性があるとか、美九が精霊なんだとか言ってもどうせ信じては貰えまい。ならば敵が居るとだけ言っておくのが、正しい選択だろう。

「俺は五河を助けに行く。立花、お前は外でエレンが来た場合迎撃を頼みたい。」

「エレンてアレか、あの金髪っぽい女か?」

「そそ」

「分かった。お互い操られることだけは避けないといかんな、これは」

「ま、そうだな。行くぞ!」

「ラジャー」

そして和真は手すりを飛び越え、立花は外へと走っていった。

 

手すりを飛び越えてステージまで走り、美九の所へ一気にジャンプ。

ドンッという音を立てて、ステージに着地する。

「あのーすいません。その歌やめて貰えませんかね?」

「.....誰ですかぁ?話しかけないでください、穢れますぅ。空気そのものが汚れるので、近付かないでください。というか消えてください」

おやおやこれはこれは。予想はしていたが、相変わらず男には毒舌なんてレベルじゃない。ロンギヌスの槍を言葉にして放っているかのようだ。ぐさぐさ刺さってくる。

「は、はは、キツイねェ....『宵待月乃』。かつてのアイドルもこうなっちゃ原型とどめちゃいねえなァ。」

和真の言葉に美九は、俯き、黙り込んだ。無視しているのかさっぱりだが、何を考えているかすらも分からないのが事実だ。

「お姉様?」

「お姉様?」

メイド服の他の精霊達が美九に近寄っていく。

今美九の天使を全力で撃たれれば、間違いなく操り人形である彼女達も傷つく。それは出来ないはずなので、こちら側が有利と見ていい。

「.....さい。うるさいうるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁい!」

咆哮ともいえる叫びに霊力を込め、美九は声を張り上げる。

「っくそ!五河、お前からも何か言って.....あれ?」

キャットウォークを見上げると、そこにあった十香の姿はなく、五河が足を引きずりながら、舞台裏へ向かう士道の背中だけが見えていた。

「〈プリンセス〉が連れさられたということは、ギャレンが敗北した

という事か....折紙が来ていても無理だったと見ていいか。」

「....激昂。怒りました、死んでください」

「お姉様を泣かせた罪、死んで償うが良い!」

「ええええええ?!ちょっ、何も泣かせてはないよな?ベルセルクも

ハーミットも極端だなオイ!」

初撃を回避し、舞台裏へとなんとか転がり込む。

「五河、五河!いるか?」

「ああ....殿町か。十香を助けないと....」

「今は身を隠すのが先だ!今はひとまず俺の背中側につけ!」

複数の気配が迫ってくるのが分かり、ステージ側に向かって手榴弾を2つ投げ、ロケットランチャーを1発ぶち込む。

「逃げるぞ!」

「四糸乃...耶倶矢に夕弦も....」

「身の安全を確保するのが先だっての!馬鹿か?!」

足をやられているようなので、肩を貸して士道と共に外に出る。

外には既にボドボドになっていたが、立花が待っていた。

空では真那の纏う〈ヴァナルガンド〉とDEMの戦闘が展開されているのだろう、火花のようなものが様々なところで見受けられる。

「俺が行ったらソッコーで落とされたぞ?あいつら無茶苦茶強え」

「マジか、強化されてんのかなぁ」

「てか五河の目が死んでないか?何か大切なモノを失った後みたいだぞ?」

「まぁ、間違いじゃないがな」

スクエアを離れる為、3人で操られた暴徒が迫る中を走る。

正確には五河を気絶させて和真が背負い、走ったというのが正しい。

「流石に重いぞ、どうにかしないと」

「それは思った。ひとまず警察も呼んでおこうや」

 

電話を終えて立花が戻ってきたので、1度スクエアの辺りまで戻ることに。説明をしないといけないと思ったからである。

いざサイレンが聞こえて滑り込んできた車を見てみれば.....

「ナニ、アレ。赤いパトカーとか知らねーよ?しかもタイヤ6つとか」

「いや、脇にいるバイクもどうなん?てかバイクの人私服だろどう見ても。警察じゃないよな?」

囁きあっていると、車とバイクからそれぞれ降りてきて、こちらへと

歩いてくる。警察とはなかなかに怖いものだが、この人竹内○真にみえるのは気のせいか?

「通報があって来たんだが、五河士道という奴はいるか?」

「あ、五河ならコイツですよ?」

「よし、ご苦労」

「「「へ?」」」

なんとその警察と思われる人、士道に手錠をしてスクエアに入って行ってしまったのだ。間違いなく彼は....

(操られてるぅぅぅぅぅ!あれ絶対マインドコントロールされてるぅぅぅぅぅ!何、あの天使の効力は警察まで入るのか?)

「どーすんだよ、五河取られたぞ?」

「どーもこーもあるか!そこの私服を抑えろ!」

「お、おう!」

再びスクエアへと走りだす和真。

後ろで立花がバックルを取り出すのが見え、それを応じるように私服の詩○剛に似てる青年もマッハドライバーそっくりのモノを取り出す。

『Turn Up』

『シグナルバイク・ライダー・マッハ!』

ギャレンとマッハに変身し、2人はそれぞれゼンリンシューターとギャレンラウザーの引き金を引いた。

 

スクエアに入り、真っ先に和真はステージへと向かった。

恐らくステージにいる美九のところに士道を届けるのだろうと予測したからである。

その予想は当たり、ちょうど士道をステージに置き、階段を登って来た泊進之介そっくりの彼と鉢合わせした。

「よう、泊進之介....仮面ライダードライブ」

「なんで俺の名前を?」

「言う必要はねえ!そこを退け!」

「悪いが通すわけにはいかない。引いてもらいたい」

「押し通ると言ったら?」

「力づくでも止める」

僅かな沈黙。そして和真はブレイバックルを、進之介(仮)はシフトカーを取り出す。

「「変身!」」

『Turn Up』

『ドライブ・タイプスピード!』

刹那、ハンドル剣とブレイラウザーで鍔迫り合いながら、2人はステージへと転げ落ちた。

何回も斬撃を繰り出し、それをお互い弾いて、両者共に攻撃が当たらない。

「そこを....退け!」

「断る!」

精霊達も観客も目を丸くする中、2人は戦い続ける。

正直、こんな事をしている場合ではないのだが。

『スピ・スピ・スピード!』

シフトカーを操作し、ドライブは更に加速。

ブレイラウザーの斬撃が躱され、腹に蹴りがきまってしまう。

妙に上手く決まったようで、口の中に血の味が広がる。

「かはっ....畜生、これだから長期戦は嫌なんだ!」

『ヒッサーツ・フルスロットル!』

タイプスピードの必殺技、スピードロップを受け、和真ブレイドはステージの端にまで吹っ飛ばされる。だが流石はアト子さんが作ったライダーシステム、一回の必殺技程度では変身解除はされないようだ。

「ってぇなあ!ならこれだ!」

『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』

ジャックフォームになり、未だに気絶したままの士道を抱えて飛び上がる。

流石にドライブとて空は飛べまい。

と思ったらそうでもなかったようで、八舞姉妹がサイクロンマキシマムドライブで追いかけて来ていた。

「しぶといなぁ....おい立花」

『ったく!ちょこまかと!なんだ殿町?』

「五河確保した。身を隠すから、大通りで集合」

『おう!』

立花への連絡を終えて、和真は加速。大通りへと向かった。

 

夜の大通りは暗く、人影もない。文化祭のアレもあるのだろうが、声すらなく、逆に不気味だ。

そんな中、士道をベンチに横たえた後、和真はコンビニを漁っていた。非常時だ、何かを取っても問題はないだろう。多少の金さえ置いておけば。

ひと通り揃えベンチに戻ったところで、立花も合流。

士道も目を覚ました。

「で、どーすんだ?これから」

「四糸乃達の事もどうにかしないとな」

「まぁまぁ。とりあえず身を隠すのが先決だと言ったろう」

「「移動手段は?」」

「あれだ」

和真が指差した先にあったのは。

 

「だからってさぁ、四輪駆動ってないだろ。そもそも免許ねえよ?」

「まあこんな時くらい、冒険した方が楽しいって」

「冒険って....」

「楽しむって......」

微妙な表情を浮かべる2人。何故そう暗くなるのだろう、こんな時だからこそ、明るく行くべきだろうに。

「んじゃシートベルト閉めろよ?隠れ家まで多少あるし、揺れるだろうからな」

「「ぎゃああああああああ!」」

和真はアクセルを思いっきり踏み込み、四輪駆動は勢い良く走り出した。

次回はようやくあの人とご対面、最終決戦と戦いまっすぅ(若本規夫)

 

 

 

 



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俺たちのクラスメイトが魔王になるわけがない(なっちゃったけど)

その後、隠れ家として用意した廃ビルに辿り着いたのだが、そこで免許とか道路交通法云々と言われたのはまぁ置いておいてだ。

現在ビルから外を見てみても、ゾンビのように人々が徘徊しているのがはっきりと分かり、恐怖すらいだかせる。

「おいおい、ここホントに大丈夫なんだろうな?」

「流石に操られてる人達は来ないと思うけどね、俺は」

そう言いあう立花と五河をよそに、和真は冷静だった。

「どうしてそう冷静なんだ?ゾンビみたいなのがうろついてんだぞ?」

「まあ落ち着け、応援は呼んであるから。多分五河なら知ってるはずだぜ」

その言葉から程なく、影から1人の少女が現れた。

「く、狂三っ?!」

「久しぶりだな、時崎狂三」

「まあまあ、士道さんに和真さんではありませんの。今回呼んだのは和真さんでしたわね?」

「ああ、そうだ。時崎、お前の目的地が俺たちと同じだから呼んだだけであって、余計な事をすれば容赦はないぞ」

「あら怖い」

会話についていけてないのか、立花が?マークを浮かべている。

若干士道もパンクしかけているが。

「簡単に説明するとだな、時崎狂三とはかなり前に一度会ったことがあるんだ。ま、仕事の途中でだけどな」

「ひどいですわ、共同戦線まで張りましたのに」

「あれは偶然だろ。勘違いすんな」

「あーつまり、えーと、今回の協力者って狂三なのか?」

士道の問いに和真は頷く。

立花は発狂寸前の喜び様だが、まあそれも当然だろう。

一度消えたはずの美少女が再び目の前に現れれば、誰でもそうなる。

そして和真・立花・五河の3人はカロリーメイトを齧りながら、狂三は

精霊だからか食事はしないようだが....作戦を立てることにした。

 

しばらくして、作戦を立て終わり、4人は外に出た。

既に外に出た事はバレたようで、ゾンビのように操られた人々が近づいてくる。

「良いか、絶対に人間には攻撃するなよ?よぉく聞いておけよ、攻撃した途端に居場所が特定されると思え。」

今は誰かが外に居る、程度にしか見られていないだろうが、少しでも人間に触れた瞬間が運の尽きと見るべきだ。

美九の精霊としての能力は『音』だ。触れたことすら、振動として伝わる可能性がある。

「よし、乗れ。時崎もだ」

全員乗ったところで、四輪駆動のエンジンを掛ける。

和真はアクセルを踏みこんで発進させた。

「そーいや....このエンジン音ってバレるんじゃね?」

「.....」

「.....」

「ピンチはチャンスって言うだろ?」

「「バカか?!」」

後ろを見ると、赤いスポーツカーっぽい車と白いバイクが迫っていた。

「おいどー見てもアレ、さっきのあいつらだよなぁ?!」

「喋るな、舌噛むぞ!」

無理矢理ハンドルを切り、大型の四輪駆動を路地に突っ込ませる。

そこから更に加速するが、ドライブ&マッハは追いかけてきた。

(もういっそ出るか)

最大までアクセルを踏んで、路地から天宮スクエアへの道を選んで、ひた走る。トライドロンも間近に迫っている。

「おおおおおおおッ!」

路地から天宮スクエアの前に出たところで一気にブレーキを踏むと同時ハンドルを左に切り、ドリフトさせた。

そして予想通り、操り人形と化し、機械的な事しか出来なくなっているのかドライブとマッハはハンドルを切れず、スクエアへ突っ込んでいった。

車から降り、和真達4人はスクエアに向かい合う。

明らかに多勢に無勢だが、仕方ない。

「よし、行くか」

「ああ」「了解」「分かりましたわ」

五河と時崎狂三が天宮スクエアにて美九の説得を試み、和真と立花は

先にDEMに乗り込むというのが、今回の作戦である。

五河と時崎を置いていく形になってしまったが、それは作戦上是非もないのだ。

なんとか持ち直したドライブとマッハに追われる感じで、和真と立花は再度四輪駆動に乗り込む。

「ま、しゃあねーよな」

「半分お前のせいだけどな」

バイクも何も置いてきてしまっている今、移動手段がこれだけなのも

また事実。

上手く撒きながら、和真達はDEM社へと接近していった。

 

ある程度走ったところで、和真と立花はなんとかDEM社の正面に辿り着いたわけだが。

しかし警備は前より強化されており、ユニットを装備したピーポーがあたりを哨戒していた。

車の影に隠れて様子を伺いつつ、こそこそと話し合う。

「どうすんだ?思ったより警備厳重だぞ」

「そうだなァ....あ、1つだけ手があったな」

内容を話すと、立花は明らかに嫌な顔をしたが、この際それ以外に策は思い付かない。

「「変身」」

『『Turn Up』』

そしてブレイドとギャレンに変身した和真と立花は、四輪駆動を正面玄関めがけて蹴っ飛ばした。

2人の仮面ライダーによって蹴り飛ばされた四輪駆動は、正面の自動ドアをぶち破り、フロントへと進入した。

加えてそこにロケットランチャーを撃ち込む和真。

車は爆発し、社屋の一階付近は大混乱状態に陥った。

「今だ行くぞ」

「ああ」

爆煙の中をブレイドとギャレンは走り抜け、階段を駆け上がる。

敵が現れては斬り、敵が現れては撃ち、の繰り返しだ。

ある程度上がったところで、ケータイが鳴る。

「着いたか?」

『もうすぐ正面玄関のはずなのですけれど、燃えててよく分かりませんわ。

何があったのか教えて欲しいですわよ』

「後で説明するからさぁ、五河と美九を連れてきてくれ」

それだけ言って和真は電話を切る。

「そろそろ来るらしいぞ」

「誰が?」

「時崎狂三さ」

そしてしばらくすると、時崎狂三と美九と五河士道が階段を上がってきた。美九と五河が言い争っているのは原作通りか。

「では私はここで」

「おう、すまなかったな」

時崎狂三は虚空にとけるように消え、残されたのは美九と男子3人と

なってしまった。

下手すりゃ美九に殺されかねない状況ではあるが....そこは五河の言葉に期待するしかあるまい。

 

またしばらく歩いて、先日和真と立花が来たことのあるあそこではない、別の部屋まで来た(事前にアニメで調べておいた甲斐がある)。

美九が喚いているようだが、無視してドアを蹴り開ける。

「世話ンなるぜ」

「度胸あるなぁ」

言い放った和真に対して、立花が囁く。これくらいしないと、時間がなくなってしまう気がするのだ。

早くしないと十香が《反転》してしまう。いわゆる黒化である。

早くエレンを倒さないと

「ぐうっ.....」

ギィンという鈍い音を響かせ、影から鋭く振るわれたレイザーブレイドとブレイラウザーが火花を散らす。

「て、てめえ...不意打ちたァ、騎士道もクソもねえなぁ!」

「生憎私は騎士ではありません。アイクの剣であり続けるだけです」

「〈ペンドラゴン〉とかいうユニット使ってるくせに、よく言うね」

ブレイラウザーを薙ぎ、僅かにエレンを下がらせる。

よく見れば、ウェストコットも居るではないか。

そしてガラスで仕切られた向こうには十香の姿も。

(このガラス、防刃か何かだな。そして五河を送り届ける為には、アレを壊さないといけない....か)

ゆっくりと和真はブレイラウザーを構え、立花もギャレンラウザーを

握る手に力を込める。

五河が前に出るよりも早く、和真は一歩踏み出した。

「アイザック・ウェストコット、エレン・メイザース。俺の声は聞こえているだろう!夜刀神十香を解放しろ、クソ野郎!」

「いやいや、2度目とはいえ、相変わらず物騒だなぁ....ヤサカ・カズマ」

「俺の名前は今はどうでもいいだろ!良いから夜刀神十香を解放しろって言ってんだよ!」

そこらに転がっていた機械をウェストコットに向かって投擲するが、

当然ながらエレンに切り裂かれる。

「ふむ、ならばこうしよう。エレンが君の後ろの少年、イツカ・シドウを殺すのが先か、君がエレンを倒してこのガラスを壊すのが先か。

勝負といこうじゃないか」

結局自らの手は汚さない戦法を取るようだが、それも面白い。

『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』

ジャックフォームになり、和真とエレンは相対する。

静寂がその場を支配し、刹那、2人は加速した。

空中で繰り出されていく高速の斬撃。

2人の騎士は更に加速していき、ついには天井すらもぶち破った。

そして次の瞬間、ブレイドの刃が届くかと思われた時、エレンの姿が

消えた。

「なっ....?!」

何が起こったのか分からなかった。

あたりを見回しても姿は見えず下を見てみると、ちょうど五河の背中が斬り裂かれて、倒れ込んだところだった。

「おい、五河!生きてるか?!おい!」

立花の声が虚しく響き、エレンはウェストコット何事もなかったかのように話しかけている。

「まさかここでアクセルを使う羽目になるとはね。驚きだよ」

「申し訳ありません。思ったより手強く.....」

エレン達に構わず下に降り、変身を解いて五河と立花のところに歩み寄る。

「すまない....俺の力が及ばなかったんだ...何とでも言ってくれ」

「お前は悪くねえよ、この会社が悪いんだ....クソっ、五河の野郎...」

沈黙がその場を支配した。大切な友人を失うというのは、こんなにも

きつい事なのか。和真は今日初めてそれを理解できた。

だが、こうなってしまうと、《魔王》が生まれるのも時間の問題と言えるだろう。

そう思い、ガラスの方を見やると、プリンセス十香の体からは既に黒いオーラが溢れ始めていた。反転するまで、あと僅かだ。

(せめて後始末くらいはしないといけないな)

「ああああああああああああああああああッ!」

そして十香は絶叫し、膨大な霊力が溢れ出す。

黒いオーラが十香を中心に膨れ上がり、防刃ガラスをも砕き、部屋を

包み込む大きさで広がっていく。

慌てて結界を張り、死に体の五河と立花、美九を庇う。

(原作より凶暴になってないか?流石〈暴虐公〉を扱うだけはあるが)

予想以上に危険な存在となっている十香を前に、和真は決断をしなければならなかった。

十香を殺すか、助けるか。どっちみちエレンとウェストコットを倒すのが今の目的なのだが。

だとしたら過程でそれを達成する、それだけだ。

「変身」

『Turn Up』

再びブレイドに変身する。体に再生の炎が燻りはじめ、五河も〈鏖殺公〉を顕現させて立ち上がった。こうなると、五河を十香の元に送り届けるミッションも発生してしまうが....まぁいいだろう。

「立花は援護射撃を」

「任せてくれ」

アクセルを使わせる暇も与えず、床を蹴ってエレンに肉薄する。

随意領域を無視してブレイラウザーを突き出し、その刃はそのままユニットもろともエレンを貫いた。

「ふっ、一瞬の隙が仇になったな....」

「う、嘘....でしょう」

今の和真はキレていた。下手をすればあの発作も起こりかねないが、

必死に抑え込む。

復活したとはいえ、五河を一度死の瀬戸際にまで追いやられ、十香も

反転しかけている。

元凶にキレない方がおかしいだろう。

「残念だったな、お前は弱かったんだ」

冷たく告げ、剣をエレンの体から抜くと同時、彼女の体を無言で壁へ蹴り飛ばす。血飛沫が、照明の切れかかった半壊の部屋を舞う。

原作とかなり違う配置な気がするが、知ったことではない。

「次はお前だ、アイザック・ウェストコット」

「おいおい、ちょっと待ってくれたまえ。私は何も悪いことはしてないはずだが?」

「黙れ、ゲス野郎が。消えるがいい」

『サンダー』と『スラッシュ』のカードをラウズ、『ライトニングスラッシュ』を発動させる。

そして、無言で和真は剣を振るった。

綺麗にウェストコットの首は飛び、胴体をもその刃で切り裂く。

グロ描写になってしまったが、是非もない。

「これで奴らは消えたな。あとは....」

死体には目もくれず、和真は黒化しかけている十香を見やり、五河達に話し掛ける。

「五河、今からお前を彼処に送り届ける。あの姫さんを戻せるのは、お前だけだからな。覚悟しろよ?」

「ああ、覚悟ならできてるさ。この建物に踏み込んだ時点でな」

「強くなったよなぁ、五河も」

「なぁに、ヒトは成長するのさ」

和真たちはわずかに笑みをこぼす。そして立ち上がり、並んで十香に向かい合った。

瞬間、十香がいる場所から強力な霊力が放たれ、3人を吹き飛ばして、

『彼女』は誕生した。

例えるならば、黒き女性剣士といった感じか。否、それをも超越した

何かに十香は成っていた。

なんとか立ち上がり、3人は再び十香の方を向く。

「やっぱり男は駄目ですね〜、でもそこの馬鹿な女装趣味の変態さんの方法とやらを聞いてみたのでぇ、あくまで十香を人形にするために!やってみますぅ」

(てめぇ、やる気か?ああァ?)

(落ち着けよ、今は少しでも美九に時間稼ぎをしてもらおうや)

(女装趣味の変態さんて....)

美九の後ろで密かに行われる乱闘など気にせず、美九は己の天使〈破軍歌姫〉を顕現させる。

その一部である銀筒が壁と床から出現し、いくつかが十香の方を向いた。まるで砲門のようだ。

ゆっくりと息を吸い込み、そして歌姫は口を開いた。

「ーーーーーーーッ!」

その口から放たれた美声は天使を介して不可視の拘束具となり、十香に巻きつく。

「さっき言ってた方法とやらをやってみたらどうなんですぅ?変態さぁん」

「ぐはっ....」

「これはちょっとな...フォローできんわな」

「死にかけてるけどねえ」

なんとか五河士道を立ち上がらせ、再度3人は魔王の前に立つ。

「変身」「〈鏖殺公(サンダルフォン)〉」「変身」

和真はブレイドに、立花はギャレンに、五河士道は〈鏖殺公〉を顕現させ、魔王へと変貌したクラスメイト兼攻略相手に対峙する。

無言で十香は使える方の手を虚空に掲げると、瞬間彼女の手に大剣が握られていた。黒く、邪悪な何かを感じる剣だった。

「畜生、こいつァ楽じゃねぇな」

「弱音吐くなんざ...らしくないぞ」

「何言ってんだ、十香を助けるって言ったろ?ほら、行くぞ!」

やる気満々の五河の言葉に首をすくめ、ブレイドとギャレンも各々の

得物を手に取る。

というわけで、最終決戦は次回!

伸びてしまって申し訳ありません!(スタッフ一同)

 




デートアライブ編延長してしまって申し訳ないです。
次回でデートアライブ編は絶対完結させます。
(銀魂みたいに延ばし延ばしにはならないと思いますが)


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剣ノ王と黒十香

さて前回の続きから始まることになるのだが、各々が攻撃をしかけても軽くあしらわれ、ほぼ何も出来ていないというのが現在の状況であった。

霊力の波動だけで和真達は何度も吹っ飛ばされ、近づくことはおろか、攻撃を当てることで精一杯だった。

「っくそ...ンだよ、強すぎだろッ!」

「分かってたんじゃないのか?そんくらいはよ」

「そりゃそうだがよォ...」

膝をつき、肩で息をする和真と立花とは反対に、〈鏖殺公〉を杖のようにして立ち上がり、再生の焔を纏いながらも何度も向かっていく五河士道が居た。1人の少女の為、命を賭ける高校生。

その姿は、さながらお姫様を助ける為に戦う勇者のようであった。

「ぐあっ......」

霊力の塊をぶつけられ、ボロ雑巾のように五河の体が宙を舞い、和真達のところへ落下する。

「.....ッ、と、十香っ....」

「無理すんじゃねえよ、お前まだ半分以上人間なんだぞ?これ以上やったら死ぬぞ!」

「と、殿町....どいてくれ....俺、は、十香を...」

「だからって目ェ閉じんなァ!起きろォォォ!」

彼には悪いが、ガクガクと体を揺すって無理矢理起こさせる。

応急処置とは言えないものの、五河は一応目を開けた。

「もう後は1回チャンスがあれば良いトコだろうな。俺たちの体力とか鑑みると、そうなっちまう」

「そう...か。1回で充分だ、十香を....助けに行こう」

ボロボロの五河に肩を貸し、和真・士道・立花は立つ。

だが既に和真と立花も変身が解けてしまっていた。

(なんかこれ前回もやった気がするな)

「人間ごときが、私の前にまだ立つというのか?愚かな。身の程を知るが良いッ!」

魔王が剣を振り上げ、強力な霊力で和真達を飲み込もうとした瞬間、

何かが剣を抑えていた。それはまるで、バールだった。

否、名状しがたいバールのようなモノだと言うのが適切か。

「作戦変更で悪いな。魔王は俺が倒すぜ」

「なっ?!そしたら十香は....?!」

「そこらへんも考えてある。っと、うおおおおおおおお?!」

剣に違和感を覚えたのだろう、十香は大剣に力を込め、バールを粉砕した。

「まだ生きていたのか。今度こそ跡形も残さず消し去ってやる!」

十香は霊力を凝縮し、塊として放ってくるが、和真はありったけのバールを投擲して相殺とはいかないが、なんとか打ち消すことに成功した。

しかし、このままでは埒が明かない。

「ったくそっちがその気ならな、こっちだってガチで行くぜ!...変身!」

『Turn Up』

再度仮面ライダーブレイドに変身し、和真は魔王と独り、対峙する。

今の状況で、五河は絶対に守らねばならない。和真はそう思った。

(アイツ、この魔王に対抗できる唯一の手段だしな)

キスによって精霊を封印するのが、現時点での五河士道のメインの能力である。その力がなければ、この魔王は封印できない。

いくら火力で攻めたところで所詮はカス同然なのだ。

「おい、五河。おまえは今はそこの歌姫さん守ってやれ。好感度アップにはなるぞ?」

「マジか?そうは思えんが」

「良いから良いから。早く行ってやれ」

とりあえず美九の元に走り寄る五河を見送り、和真はカードを取り出した。ブレイドと十香の戦いが始まれば、〈氷結傀儡(ザドキエル)〉を否応でも使う羽目になるはず。それで美九を守る事で、好感度アップを狙うのが作戦だ。

「...で、俺はなにをどーすんだ?」

「あーそだな、立花お前は外で、精霊達の助けでもしてみたらどうだね?」

「雑な指令だなー、別に面白そうだし良いけどよ。ま、おめえも死ぬなよ?」

「お互い様ってか」

ジャックフォームになって飛び立つ立花を見送り、改めて十香の方を向いた。

「待っててくれるたァ、随分と良い魔王じゃねえかよ」

「待とうが待つまいが、私の勝利は揺るがないのだからな」

「へいへい、そいつは嬉しいねェ」

言い合いながらも、お互い睨み合う。

『エボリューション・キング』

キングフォームへと変わり、キングラウザーを握る。

十香も〈暴虐公〉を構え、魔王へとブレイドは床を蹴った。

 

何分かたったが、両者ともに譲らぬ戦いが続いていた。

正確には十香が【終焉の剣】を使おうとするのを和真が阻止し、それから剣戟が開始され...というのを繰り返しているだけだったのだが。

和真も十香も一歩も引かず、激しい鍔迫り合いになった。

「ぐ、お、おおおおおおおッ!」

「ふん、全力のようだが、この程度か」

口では余裕をかます十香、しかし顔には明らかに焦りが見て取れた。

しかし突然一旦引き、2人は剣を持つ手を下げた。

「俺はお前を殺すつもりはない。五河士道の為にも引いてはくれないだろうか?お前の信じた五河士道の為にな」

「イツカ....シドウ?シドウ、シドウ、シドー、シドー...?」

まさか記憶が戻りかけているのか?

駆け出そうとした五河を制し、様子を伺う。

すると突然床に剣を突き刺し、十香は左手に剣で傷をつけた。

「うぐっ....はぁ、はあ、ッ面妖な手を....!私を惑わすつもりか、人間ごときがァ!」

「畜生...傷付けて己を保ったか!夜刀神十香、いや魔王!」

和真の叫びに応えるように、黒化十香はその片刃剣に霊力をこめる。

刹那、漆黒の玉座が出現し、分解したかと思うと、その黒き片刃剣と

一体化し、1つの黒い巨大な何かへと変わった。

それはもうただの黒い剣と呼ぶには遠い存在で、その名の通り【終焉の剣】と呼ぶに相応しい姿をしていた。

「ならば我が一撃を持って、貴様らを消し去ってやる!」

十香が巨大なそれを振り上げると、刃の部分に黒い粒子が集まって行き、十香の体も空へと上がっていった。

まるでエネルギーの充填のようだ。

「こうなりゃヤケだな。五河、美九、お前ら絶対動くなよ!」

『♠︎10・J・Q・K・A』『ロイヤルストレートフラッシュ』

【終焉の剣】が黒い輝きを増すのと並行し、ブレイドと十香の間に、光り輝く5枚のカードが出現していく。

だが十香の目は和真ではなく、五河士道を捉えていた。

名前を呼んだからだろうか、あるいは混乱しているのか。

「十香?...どうしたんだよ?帰ろうぜ、俺たちの家に」

馬鹿なのか、この世界の五河士道は。

五河の声が届くと、十香は絶叫じみた声を上げ、剣を振り下ろした。

「〈暴虐公〉....【終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)】!」

五河士道と美九を守る為、負けじと和真もキングラウザーを振るい、

「うおおおおおおおおおおおおッ!」

全力で放たれた光と闇の奔流が空中でぶつかり合い、凄まじい明るさがあたり一帯を照らした。

視界の端で捉えただけでも、スクエアにいた精霊達やAST、数多くの人達がこれを目撃していた。ま、そんなことはどうでも良いのだが。

「ぐっ....クソッ....!」

予想を上回る強さの天使である。アニメの時よりも火力が明らかに向上している。下手をすれば負けかねない威力に思えてきた。

だがこんな所で負けるわけにはいかない。

体に違和感を感じ始め、血の味も鉄ではなく、別の何かになり始めたが、剣を離さない。寧ろ体の底から力が湧いてくるようだ。

「ここで....負けるわけには....いかねぇんだよ!」

和真の意志の強さに呼応するかのように、金色の光はさらに輝きを増した。

「なっ?!にん、げん、如きに?!」

「そんなセリフはなァ!雑魚の言うセリフなのさぁ!」

叫び、和真は渾身の力でキングラウザーを振り切った。

闇夜を包み込むが如き光の奔流は、最強の天使〈暴虐公〉を砕き、十香をビルの壁に叩きつけた。

変身を解き、和真と五河は十香に歩み寄る。

「....く、はっ...どうやら私の、負けのようだな」

「ああ、そうらしいな」

「イツカ...シドウか。良い名の少年に出逢えて良かったな...『十香』」

静かに黒い十香は目を閉じる。

原作とは違い、珍しく優しい雰囲気を出している。

再び永い眠りにつくかのように、目を閉じると、着ていた霊装も自然と消えていき、メイド服へと戻る。

和真と五河は、眠れる姫を見下ろし、呟く。

「結局何だったんだ?あの黒い十香は」

「さぁ...な。少なくとも悪の塊でない事だけは確かだよ」

全身から血を流しながらも、和真はなんとか二本の足で立つ。

「そういや、あのマインドコントロール的なのはどうなったんだ?」

「あ、そういえばそうだな」

「それならさっき、誰かさんが全力攻撃した途端に解除されてたぞ」

上空から声がし、見上げると立花の姿が。

なぜか両手で風香と吹雪を抱えていた。

「あの...そいつらは?」

「外から隠れて見てたんで、とっ捕まえといた(ドヤ顔)」

まあ2人ともギャーギャー言っているようだが、疲れすぎて何も怒る気にすらなれない。

「んじゃあな、俺は帰るよ」

「最後に1つ良いか?」

「どした五河?何か質問でも?」

「なんでさ、お前の血緑色なの?」

「「「え」」」

 

 

次の日、包帯を巻いた和真と他何人かは、駅前のファミレスに集まっていた。決して打ち上げなどではないので、あしからず。

休日だというのに人は少なく、本当にファミレスかと言いたくなる。

まあこういう所もあるんだろうが。

「んで、昨日から聞きたいんだけど、お前の血って何で緑色なの?」

「.....言っても信じられねえぞ?それでもか?」

「友達の事だ、心配するのは当たり前だろうに」

「まーまー着いて早々暗い雰囲気なのもアレだろ?なんか飲もうぜ」

「「男子だけでファミレスってなんかなー」」

「それ言うな!」

とりあえず各々は席を立ち、ドリンクバーへ。

ドリンクを確保し、再び席に座る。

和真はメロンエナジーソーダ、立花はレモンエナジーソーダ、五河は花道オレンジスカッシュである。決してフルーツ鎧武者は関係ない。

「んで本題に入りたいんだが」

「あら、貴方達もここに居たのね?ちょうど良いところに和真も居るじゃないの」

「連れてく?連れてくよね?!」

「うっせーよ吹雪」

なぜここにカリスとレンゲルが居るのか。

変身はしていないが、充分に和真には迷惑である。

もういっそのこと、この世界を去るという手もなくはない。

ここまで来たのもブルースペイダーだし、いつでも行こうと思えば行けなくはない。

だがやはり友達には話した方が良いと思う、和真の気持ちもあった。

「分かった、んじゃあ端的に言うとするか。ま、長くなるぜ」

メロンエナジーソーダを数口飲むと、和真は話し出した。

 

全てを話し終えた時、外は既に日が傾き始めていた。

立花には簡単にしか話していなかったし、風香も吹雪も『ストライクウィッチーズの世界』で久しぶりに会ったわけだから、別に構わなかったのだが。

「思ったより長くなったなぁ」

「マジかぁ、そんな冒険してたなんてなぁ」

それぞれが聞き入って、こちらもかなり饒舌になってしまった。

肝心の身体のアンデッド化の所は上手に避けてあるのは、気付かれていないようである。

皆が聞き入ってくれてこちらとしても嬉しい限りではあるので、頃合いを見計らってさりげなく金を机に置く。

「んじゃ、俺トイレ行ってくる」

と言って外に出ることに成功。

このファミレスは珍しい2階建てで、うまくいけば座席のピーポーにバレずに逃げられるのだ。

「まちなさーい!和真ァ!」

「逃げられると思うな!」

「マジかよ!?」

いち早く気付いたのだろう、風香と吹雪が2階のファミレスの窓から

飛び降りて来たのである。

追いつかれるわけにいかないので、慌ててバイクに跨る。

和真エンジンを掛けて発進するのと時を置かず、2人もバイクを発進させていた。

「早っ?!」

予想外に迅速な対応に、こちらが驚きを隠せない。

危険なレベルのスピードを出して右折しながら、ディスプレイを操作。

「なんでもいいから別の世界に飛ばせ!」

『OK!START MY ENGINE!』

「喋ったぁ?!」

これまた予想外の出来事に納得できぬまま、和真の身体は光の中に吸い込まれていった。

 



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女尊男卑の世界

中途半端に前の世界から逃げ出した和真。
次に訪れたのはIS学園。世の中は女尊男卑である。
この学園ばかりは違うようだが....
バランスの崩れたこの世界で、和真はどう生き抜くのか。



前回の最後、逃げるように光の中に飛び込んだのは良いものの、予想に反してバイクに乗った風香と吹雪が飛び込んできてしまい、現在結構めちゃくちゃな状況になっていた。

取っ組み合いに成りかけているというべきか。

「お、おまっ、どいてくれよ!動けねえ!」

「仕方ないでしょ!そっちこそ暴れないでよ!」

「はぁ....これだから(以下略)」

前の世界でかなり重要な事をやり残している気がするが、今はそんな事は気にしていられない。いち早く此処から離脱せねばならぬ。

ディスプレイを叩き、音声で指令を出す。

「早く出してくれ!どこでも良いから!」

『OK!進之介!』

「誰だよ進之介って?!俺和真なんだけど!」

『すまない。ブースタートライドロン!』

「これブルースペイダーなんだけど!名前すら間違えるAI載せんなアト子さん!」

ツッコミ虚しくブルースペイダーは、2人を振り切って加速した。

それは良かったのだが、目的地がさっぱり分からない。

加えてブルースペイダーの走り出しは良かったのに、風香と吹雪も素早く加速。追いつかれてきている。

「どこでも良いから早く!追いつかれる!」

『OK!FIRE All ENGINE!」

「意味わかんねえ事言ってんな!」

ガン!とディスプレイを叩くと、突如前方の視界がひらけてくる。

(出口かな?もう滅茶苦茶だし、こいつら道連れになりそうだ)

ちらりと後ろを見やると、あと数メートルのところまで接近していた。こりゃ道連れ確定だ。是非もない。

「いっけええええええ!」

エンジンを思いっきりふかし、三台のバイクは加速した。

同時、出口から溢れる光が3人を覆い、眩しさに目を閉じる。

だが引き返す事などできはしない。和真達はそのまま出口へと向かっていったのであった。

 

 

どれくらい経ったのか、どこに居るのか。

バイクには乗っていないようだが、場所が分からない。恐る恐る目を開けてみると、保健室のようなところだった。

いや保健室であっている。薬品などが置いてある棚、養護教諭のいそうな机。前の《デートアライブの世界》の最初で見たので、記憶に新しい。現在地を把握し、バイクを見つける為にも和真は体を起こした。

「ってて、どっか打ったかなぁ...ま、いいや。どの世界かも分からないし、気をつけて行くとしようかね」

となりの2つのベッドに気配があるが、恐らく風香と吹雪だろう。

彼女達も和真と同じルートを辿ったのならば、ここに来たか運ばれたかしているはずだ。別に居ても居なくても良いのだが。

とにかくドアを開けて廊下へ。

丁度昼なのか、日差しが廊下まで差し込む。

そこで気付いたのだが(気付くの遅すぎた)。

「なんで俺....IS学園の制服なんか着てんだ?」

とりあえず枕元にあったカバンを持ってきたのだが、中にあるのは『転入なんとか』である。

「ナニコレ?しかもご丁寧にこの転入ナントカの名前『八坂和真』になってるし!誰の仕業だゴラァ!」

その時スマホが鳴った。とってみると、

『やっほー八坂クソヤロー和真』

「テメェその声、ヨグソトースか?今頃なに出しゃばってきてんだ?

まどマギの所でお役御免になったんじゃねえのか?」

『言ってくれるなァ、邪神に対して失礼だぞ?』

「うっせーな、ただのオタクだろ畜生邪神が。で、本題は何だ?」

『あ、そーそー。今オマエIS学園の制服着て、疑問に思ってる頃だろう』

「テメェの仕業かよ、ヨーグルト」

『ヨグソトースだから!名前間違えんな!ま、単刀直入に言うとだな...愉悦に浸りたかったからだッ!転入手続き含め諸々は全部してあるから、まぁせいぜい頑張りな。2人余計なのが混ざってしまったが....』

余計なのとは風香と吹雪の事だろうか。別にこちらとしても戦闘の邪魔になりそうだし、余計ではあると思うが。

「んじゃそんだけか。あばよ」

『えっ、ちょっ』

最後まで言わせず、和真は電話を切った。

このまま続けていれば、しょーもない言い合いにしかならない。

そんなくだらないことに割いている時間などないのだ。今は状況把握をせねばならないし、何より重要なのはバイクだ。

アレがないと動けない。

「仕方ねェ....IS学園ならとりあえずあそこに行けば誰か居るだろ」

この世界で自分が何を為すべきなのか、和真は分からない。

だが分かるまで抗い続ける。それだけだ。

1つ大きなため息をついて、和真は歩き出した。

 

しばらく歩いて着いたのは、野球ドームのような建物、IS専用アリーナである。

ここなら基本的に誰かが、豊口めぐみもとい織斑千冬に怒られているだろうと思ったからだ。ひと飛びでアリーナの観客席へ。

さりげなく周りの女性陣に喋りかけてみる。

「すいません、今何の試合してるんですか?」

「えーとね....って...」

時が静止した。周りの女子達も含めてだ。「ザ・ワールド」でも使ったのかと思うくらい綺麗に固まっていた。

刹那、黄色い悲鳴が響き渡った。女子の悲鳴って黄色で良いのか?

ま、そんな小さい事はどうでも良い。

「男の子よ!IS学園の制服着てるわ!」

「なになに?転入生?!聞いてないよ?」

「織斑くんだけじゃなかったの?!」

五月蝿い。女性って本当に五月蝿い。美九は男が嫌いと言うが、女性も十二分にうるさいではないか。

「あのーそこらへんはまだ....説明がしにくいといいますか....」

言い訳しようにも迫ってくる女子達。こりゃ織斑一夏もキツイわけだ。

と思っていると、バトルが行われていたはずのアリーナの障壁を破って何かが突っ込み、ドン!という音を立てて着地した。

そもそも誰だろうか、バトルしていたのは。

「あれ戦ってたの誰?」

近くに居た物静かそうな女子に聞いてみた。

「.....織斑一夏と凰鈴音。2人ともクラス代表....かな?」

「不確定だな!ま、良いけどさ」

こうも急に状況が変化するのは慣れた。既に身体が半分以上人間で無くなっていることも自覚しているし、何が起ころうとも驚きはしない。それに教えて貰ったことで、記憶が間違っていない事も分かった。今はクラス代表戦、無人機襲来といったところか。

「さて、ひと仕事しますかね。」

階段を駆け上がり、通路を走ってアリーナへの出口へ。

いや戦いへの入口ともいうべきか。

さりげなく幾らかの文を書き、紙飛行機として『転入なんとか』と共に織斑先生のいる中継室(?)へと投げ込む事も忘れない。

そして和真はブレイバックルを取り出して装着。

「変身!」

『Turn Up』

仮面ライダーブレイドに変身し、無人機の元へ跳ぶ。

落下のエネルギーを利用し、固そうなボディにかかと落としを見舞い、着地する前に回し蹴りを更に1発叩き込む。

強力な蹴りを2発も食らい、御大層な無人機はアリーナの反対側の壁に叩きつけられる。

「お前...誰?今着てんの、それISじゃないよな?」

「というか今IS蹴っ飛ばしたわよね?!」

質問は基本的に受け付けません。ノーコメント。

だが流石に無言もまずいので、自己紹介くらいはしておこう。

「俺は八坂和真だ。一応転入生なんだけど....あ、そうそう。これISじゃないからそこら辺よろしく」

「「?!」」

突然の事に頭がついていけてないらしい。そりゃそうだ、突然転入生とか言ったりIS装着しないでデカいIS蹴っ飛ばしたりした訳だから。

おっとここで放送のようだ。

「おい、八坂!貴様何をしている?!保健室で寝ていたはずだろう!」

「あ、すんません。とりあえず全部このIS倒してからにしてくれませんか?」

織斑先生の言葉を全て聞いている暇はなかった。どうやらこのIS自体、ヒトの話を聞かないタイプのようで、突然奇襲を仕掛けてきたのだ。ダメ人間というかダメISじゃないか。しっかり作ろうよ束さん。

腰からブレイラウザーを抜いて応戦、その巨体を受け止める。

だが火花が散り、僅かに押され始める。

「ぐっ....お、おおおおおおおっ!」

しかし全力で押し返して瞬時に前蹴りを放ち、再度無人機をアリーナの壁に吹っ飛ばすが、今回はふわりと衝突を避けて青空へと舞い上がる。

「転入生だっけか?ここからは俺が、いや俺たちがやる。お前充分強いけどさ、空飛べないだろ?」

「行くわよ、一夏」

「おう」

そして2人は大空に飛翔した。まぁ、和真は地面に置いていかれた。

別に空は飛べるし、問題はないのだが。はてさてどうしたものか。

「おー高え高え、さっすが篠ノ之束が開発しただけあるなァ...まぁ両方とも専用機だからかね」

見ていると、2人とも攻撃は当たることは当たるのだが、イマイチ決定打を放つことが出来ていない。

このままでは膠着状態が続くだけだ。

『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』

和真はジャックフォームへと変わる。

「やれやれ、仕事がまた増えそうだ」

オリハルコンウィングを展開し、和真も飛び上がる。

蒼穹を飛翔し、戦闘中の雲海の中へ突入する。

思ったより彼らは早く見つける事ができ、和真はそこへ向かって更に

加速した。

「貰ったァァァァ!」

飛行しながら剣を構え、そのまま無人機へと激突。

反撃する隙を与えず、一夏と凰を空に残して、和真は無人機諸共地面へと落下していった。

 

身体が浮遊する。無重力に近い何かを、落下しながら和真は感じていた。それでいて1Gの重力が身体を地面へと引き寄せていく。

落ちていきながら、ブレイドは剣を無人機の固いボディに叩きつけ続ける。斬れないわけではないようだが、どうにも剣では相性が良くないらしい。

だとすればやる事は1つだ。

『キック』『サンダー』『マッハ』

3枚のカードをラウザーで読み込ませ、『ライトニングソニック』を

発動する。

「斬れねえなら...ぶっ潰すだけだッ!」

軽く蹴り飛ばして間合いを取ったところで、和真の足に紫電が走る。

オリハルコンウィングを利用して無人機に向かって加速しながら、蹴りのモーションに入る。数秒後、空中で雷を纏わせた蹴りが無人機に

クリティカルヒット。

装甲が砕ける音と共に地面に墜落。刹那、無人機は爆発炎上した。

仮面ライダーのお約束だ。倒されたら爆発、当たり前である。

と思っていると、意外にもしらけていた。

降りてきた一夏も凰も、全員がだ。織斑先生だけはため息をついているようだったが。

「アレ?なんで皆黙ってんの?何か問題でもあったのか?」

ポンと肩に置かれる手。

「あのな、IS着ないでIS壊すって、普通出来ないからな?」

「そうなんか?結構楽だったぞ、これ」

「.....空気読めよ」

「おう...せやな」

割と真剣な空気の中、織斑先生に呼ばれたので、一夏達の元を去って

中継室へ。

「貴様何をやってくれている?」

「えーと、そりゃ危ないのは排除するべきでしょう?」

「そういう話ではなくてだな....」

「あーはい、なるほど。残骸はある程度残ってるんで安心して下さいよ」

「....もう良い。この紙に今日の宿泊場所を書いてある、そこでひと晩過ごしたら、明日転入生として紹介する。丁度フランスとドイツの2人も来る日だからな」

しっしっ、と手を振る最強の教師を尻目に、和真はアリーナを後にして目的地に向かう事にした。

 

時は過ぎ、バイクを確認してその場所に向かった頃には夕方になっていた。

紙に書かれていたのは来賓者用宿泊部屋。複数人で1つの部屋を使うらしい。嫌な予感がしなくも無いが、この際気にしていられない。

開けると、既に奥の2つのベッドは占領されており、手前のベッドのみが空いていた。3人部屋の時点で予想はしていたが、こうなるとは。

とにかく風香と吹雪の言葉は無視し、シャワーを済ませて持ち歩いている予備の服に着替える。

さっさと布団に潜り込み、和真は目を閉じた。

良い夢を見られますように。おやすみなさい。



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IS学園の転入生(決して劣等生ではない)

翌日になった。

起きると時計の針は7時を指しており、丁度朝食の時間帯であることを

知らせていた。

和真・風香・吹雪の3人はIS学園の白い制服に着替えて部屋を出、食堂に向かう(まあ和真は風呂場で着替える羽目になったが)。

小規模な結界を張ってあるのでご都合主義な感じで周りに姿はバレておらず、和真達は席に着く。

「「いただきます」」

風香と吹雪は和風定食を食べ始めたが、和真はコーヒーを飲むだけ。

理由は恐らくキングフォームの多用による、自身とアンデッドとの融合割合の増加だと、和真は考えている。2004年でのことを踏まえた上での考察だ。

どうにも最近事情が事情でキングフォームを使う回数は増えていき、上記の理由か腹がすかないのだ。飲み物程度で全て間に合ってしまう。

人間の食べ物が合わない身体になってきているのかは不明だが、和真としては普通に食事も取りたいところではある。腹が空かないので元も子もないのだが。

「はあ....」

溜息をついて再びコーヒーを啜る。舌に感じる苦い味が人間の作り出したものであることが、何故だろう和真の心を落ち着かせてくれる。

やはり飲み慣れたブラックは自分に最適なのかもしれない。

「食べないの?おいしいよ?」

勧めてくれるのはありがたいが、和真はやんわりと断る。

この状態に関しては和真の独断で誰にも話していない。親に連絡を取るべきかは悩んだが、それも断念した。これは和真自身の問題だと思ったからである。

「「ごちそうさまでした」」

そうこうしているうちに食べ終えたようだ。食器やコップを返却し、和真達は食堂を後にする。入れ違いに織斑一夏やセシリア・オルコット、凰鈴音などが連れ立って食堂へと入っていくのが見えた。

(やれやれ、ハーレム王のくせして朴念仁たァ...不幸な奴だな)

結界の効果は切れていないので、彼女達に発見されることはまずないだろう。織斑先生にはどうだか知らないが。

「そろそろ解除するか」

「そうね。前から燃費がアレだものね」

MPの消費がかなり悪い和真の結界《デッドヒート》を解除し、3人の姿が周りに見えるようになる。ちなみに何故結界の名称が《デッドヒート》というのかは、命名者が親故に分からない。

のんびりと教室まで歩いていると、どうしてか織斑先生に見つかってしまい、外部者待機部屋と書いてあるところにぶち込まれた。

転入生や転校生の扱いってこういう感じだっただろうか。

それともIS学園が異常なだけなのか、和真には理解不能である。

しかし喋りだそうにも、部屋にいる皆が口を開かないせいで何を言えば良いのか分かったものではない。

かと言ってやる事もないので、観察でもするとしよう。

1人目は銀髪に近い長髪、黒い眼帯、高圧的な視線の少女。かつて織斑千冬が居たというドイツのIS部隊の1人だろう。名前はラウラ・ボーデヴィッヒ、階級は忘れた。少尉かそんなところだったか。

2人目は金髪に、中性的な顔立ちの男子。フランスから来た代表候補生であるシャルロ...シャルル・デュノアで間違いない。

記憶が正しければ、だ。使用機体は第2世代の《ラファール・リヴァイヴ》のカスタム機だった気がする。

そうしながらしばらく待っていると、8時を少し過ぎたあたりで名前を呼ばれて部屋から出ることに。

面接か何かなのかという空気の中、教室まで歩く。

小説でもアニメでも教室に来るまでのシーンがカットされているので、結局誰も分からないままであったが、こんなものだったとは。

「...では、転入生を紹介します」

室内から山田先生の声が聞こえ、順々にラウラ、シャルル、風香、吹雪、和真の並びで入っていく。

教室がざわめいたのが和真以外の4人が入ってきた時であることは、言うまでもないだろう。

各自が自己紹介を終えると、女性陣が黄色い声を上げた。

「男の子よ!しかも2人も!」

「なんか守ってあげたくなる系の!と、なんか微妙なの」

「なんだろー日本人ってのが織斑くんと被るからかなー、微妙だよねー」

喧嘩を売られているのか。こちらとて望んでこの場にいるわけではないのだ、全てはヨグソトースの所為なのだから。

まあ問題は色々ありそうだ。ラウラが一夏をビンタした事とか喧嘩を売ったこととか。

「そういや部屋割りって変わるんですか?男子3人で奇数になるんですけど」

シンプルかつ的確な質問をありがとう誰か。本来ならばシャルルを女子達と組ませるのが妥当だが....いやそうするべきではないか。

「別に俺は1人でも構わないぜ。寧ろその方が良い」

「逃げようったってそうはいかないわよ?」

「そういうんじゃなくてな....」

確かに逃げたいが、ここで投げ出しては男ではなかろう。

己が務めを果たすことが、男の為すべきことなのだ。

「だってさァ、1人の方が楽だぞ?色々な意味で」

「よし、なら俺が1人部屋に行くぜ」

「織斑てめえ何目の前の事避けようとしてんだ?」

ギャーギャー言い争っていると、織斑先生が出席簿で2人の頭にキラキラキラと星が舞うレベルの強さで、出席簿シャイニングストライクを叩きつけた。勿論出席簿で叩かれただけだが、織斑先生だから相当な痛さである。

「ギャーギャーギャーギャーやかましい。空いている席につけ。それから部屋割りに関しては今日中に、山田先生から伝えてもらうから安心しろ」

「「はい...」」

若干涙目になる和真と一夏、そして残りの女子達も席についたところで、織斑先生は続けた。

「今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。第二グラウンドだ、各人遅れるな」

それだけを告げると、織斑先生は山田先生と共に教室を出て行った。

微妙な空気が漂うが、兎にも角にも第二グラウンドに行くのが先決だろう。

「んじゃあ、行くか」

シャルルを案内しろとは一言も言われていないが、無視するほど薄情ではない。

軽く2人も返事をし、教室を出た。

が...そう簡単に行くものでもなかったらしい。他学年と思われる生徒達がクラスの前に、待ち構えていたのだ。女子の情報網は甘く見ない方が良いようだ。

人が少ない場所を選んで強行突破し、和真達は更衣室に向かって走り出した。

「おいどうすんだ?彼奴ら、バケモンみてえに追っかけてきやがるぜ?更衣室着く前に振り切れるのか?」

「安心しろって。抜け道があるのさ」

「抜け道?」

シャルルの疑問に答えるように、織斑一夏はある所で急に方向転換。

階段を一気に飛び降りた。

「なんだこりゃ?知らねえぞこんなの」

「まあ当たり前だろ。ここ教師くらいしか使わない通路だけど、その点女子達をまくには丁度良いんだ。っと!」

またある程度走ると、男子更衣室と書かれた部屋にたどり着いた。

各々がIS専用のスーツへ着替え、グラウンドへと向かう。

とは言ってもシャルルは既に下に着ていたようだが。

2人と違い、和真は体操服である。まだスーツは支給されていないからか、バッグに入っていたのがこの体操服だったからか。理由などどうでも良いが、ISを操る気など毛頭ない。

「まったく....困ったもんだな」

何度目か分からない溜息をつき、一夏とシャルルの後を追って和真も

外に出るのであった。

 

グラウンドについて早々、セシリアや凰から色々と言われたが、その愚痴も織斑先生の出席簿ストライクによって黙らされたので、特にこれといった問題もなく授業はスタートした。

のは良かったのだが。

「なんで見学なんだ?」

「知らないわよ、こっちが聞きたい」

「ISないからじゃないの?」

和真、風香、吹雪の順である。そう...授業は始まったのに、こちらは見学なのである。仮面ライダーという理由だからだろうか。

それは否と断定できる。なぜなら和真達は、自分たちが仮面ライダーであると明かしていないからである。和真は微妙だが、恐らくバレてはいないはずだ。

現状原作と違うところがいくつかある気もするが、気の所為だろう。

「「「暇だぁ〜」」」

結局ぐだぐだになってしまった。ぐだぐだIS学園というイベントもアリかもしれないと思っていると、織斑先生の声が飛んだ。

「暇なら手伝いでもしてこい、女同士なら問題ないだろう」

「「んじゃそういうことだから」」

「そういうことだから、じゃねえよ!俺どーすんだよ!俺男だよ!」

「「頑張れば?」」

「頑張ってなんとかなるもんじゃねーよ!アホか!?」

ツッコミを入れていると、和真のジャージが引っ張られた。

「.....分からない。教えて」

「あの....班に分かれてないんですか?」

「(コクコク)」

どうやらこの和真に教えて欲しい(らしい)少女、班に分かれる際、入り損ねたようだ。確かにこの社会、下手すればハブられる可能性もある。

だが、だからといってIS扱えない奴に教えてもらおうとするだろうか。普通は班に入れて貰えるはずだが....そうもいかないのか。

「あーもう、わーったよ。ほら教えてやるから」

「....ありがと」

この少女の外見、どう見てもロリだ。知らない人から見れば、兄妹にも見えるのかもしれない。どうでもいいが。

(ちなみに犯罪行為はしていないのであしからず)

そういうわけで、ISを扱えもせず、乗ったこともない一転入生が、IS学園の生徒にISの操縦云々について教える羽目になったのだった。

本来ならあり得ないはずなのだが。

 

 

どうやら寝てしまっていたようで、目を覚ますと教室におり、周りに人の気配はなかった。だがどうしたことだろう、先程までグラウンドにいた気がするのだ。服も体操服から制服に変わっている。

着替えた記憶はないのに、どうなっているのだ。

おまけに外は夕焼け色に染まっている。時間的には5時辺りだろう。

「ったく...また紅王症候群にでもかかったのかなぁ、やめて欲しいもんだよもう」

仕方ないのでカバンを持って教室を後にする。

だが重大なことが不明だ。

「アレ?俺、今日どこで寝れば良いの?」

寝ていたか紅王症候群にかかったか、そんなものはどっちでも良い。

問題はどこの部屋に入るか、なのだ。

どちらにしろ知らないものは知らない。覚えていないものは覚えていない。どの部屋に行くべきなのか、和真は知らないのだ。

(職員室にでも行ってみるか)

そう思い、職員室へと向かってみることにした。

 

運良く職員室で山田先生を見つけることができ、部屋の番号くらいは

聞き出すことができた和真。

怪しまれたものの、制服を着ているので深くは聞かれなかったのが

幸いといえば幸いか。

てくてく歩いて着いたのは学生寮の1号棟、通称〈フレイム〉と呼ばれているらしい建物である(建物は全部白なのだが)。どうやらこの世界のIS学園の寮棟にはこういう名前がついているらしく、他にも〈ハリケーン〉や〈ウォーター〉〈ランド〉というのがあり、教師用のは〈ビースト〉で通っているんだとか。

近頃の女子高校生のセンスはあるのかないのか、本当に不明である。

大して関係ないが、風香と吹雪は〈ランド〉に2人組として入ったとの事。属性的にも土が被っていないので、そうした可能性もある。

とりあえず突っ立っているわけにもいかず、和真はバッグを肩に掛けて建物に入る。

階段を登って到着したのは4階。最上階のようだが、イマイチ高いのか低いのか把握できない。

まずはインターホンを押して挨拶をしなければ。

『はーい』

「すいませーん、あの、ここに行くように言われたんですけど」

『ちょっと待って。今開けるから』

「はあ」

「「どもー」」

開けて出てきたのは2つの顔。一夏とシャルルの顔だ。

二人ともテンションが高いのか知らないが、にょきりとドアの脇から二人の顔が見えており、中々に面白い。

事情を説明して、とりあえず中に入れてもらえた。

どうやら2人も待っていたらしく、タイミングは良かったようだ。

「んじゃ、飯でも食いにいくか?食堂開いてるはずだし」

「良いよ。えーっと、名前は」

「八坂和真だ。和真でいいさ」

正直これまでいくつか名前を持ったことがあるので、そのどれで呼ばれても構わないというのはある。

そして食堂に向かう2人の後を、和真もついて行ったのであった。

(どうせまた飲み物だけで終わるんだけどな)

 

 




なんか今回の話、いつもにも増してクオリティ下がっちゃってると思います。
ですが!とりあえずこれからも書いていくので、よろしくお願いしたいと思う所存であります。


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これは和真の日常ですか? いいえ、ライダーの非日常です

そうこうしている間にも時間は流れ、日は過ぎ、あっという間に1週間近くが過ぎていた。織斑一夏やシャルルなどは放課後のIS特訓などでアリーナに行ったりしていたが、IS使えるわけでもない和真にとって、毎日が暇だった。

その数日の間にもシャルルが女という事を一夏が知って、凄い気まずい状態になったりもしたが、別に和真にとっては大したことではない。既に知っている事なので、驚きはしない。

というかその時部屋に居たのは、一夏だけだったし。

他にはラウラによってセシリアと凰がボドボドにされたりしていたが、話題の中心は一夏である故、和真は関わらなかった。

時間が過ぎるのは早過ぎると思うが、そんなこんなで学年別トーナメントの初戦当日になっていた。

観客席に腰掛けてソーダを飲みながら、和真達ライダー組は話していた。

「短い回想だったな」

「短過ぎるでしょ。そもそもなんで1週間近くの出来事飛ばすの?」

「実際さぁ、俺達やる事なかったろ?全部見学じゃねえか」

「まあそうだけど」

「全部ヨグソトースの所為なんだがな!あいつムッコロス!」

「「ヨグソトース関係ないよね?」」

ツッコミをいれる風香と吹雪。

なるほど、この2人はそもそもヨグソトースによってここに送られたこと自体知らないという事か。確かに和真は話していないし、話す気もない。ここで和真の事を追うのを諦めてくれれば、こちらも助かるが...そうもいかないだろうというのは目に見えている。

「まったく....最近は滅茶苦茶だな、ホント」

はぁ、と溜息をつく。やる事はなかったので短く1週間を纏めてしまったが、大した問題ではないだろう。

しかしやはり何かがおかしい。違和感なく時間は過ぎたはずなのに、時が過ぎた感覚がない。

(滅茶苦茶なのは俺なのか?まさかな....)

ボトルの最後に残ったレモンエナジーソーダを一気に飲み干し、和真は席を立った。

「どこ行くの?もうすぐ始まるわよ」

「ちょっとトイレ(嘘だけど)」

ボトルを捨て、和真はアリーナの外に出る。

日差しは問題なく眩しい。どうやらその類の感覚は鈍っていないようだ。ならば良し。

間違いなく1週間は過ぎたはずだ。それなのに何か違和感がある。

気の所為だと思うのだが。

(やっぱ何も起きねえよな、きっと...)

カウントダウンがされ、0になると同時にバトルが始まる。

きっと一夏がブーストして、ラウラのAICにぶつかった頃だろう。

一応原作ではこのバトルの最後でBTシステムが暴走する事件が起きるはずなので、何が起きても対処できるように感じだけでもしておくことにする。

地面を蹴ってアリーナの屋根へと跳ぶ。

「よっこらせ...っと」

あぐらをかき、白式達の戦闘を見守る。

現状ではどちらが有利かは微妙だが、僅かにラウラの方が優勢と見える。そもそも装備が違い過ぎる。

全距離対応である上にAICを持っている。しかし、シャルロット(もう女だと和真と一夏にはバレている)のリヴァイヴには、それを打ち砕くだけの物がある。まあお楽しみだ。

(にしてもなァ....やる事ねーのによくもまぁ、この世界に送ったよなあ)

事実、和真がこの世界でやる事が見つからないのだ。

ヨグソトースは内心何を思ってここに送ったのか、わからない。

為すべきことなど、ここにある訳もないのだ。

「あーあ、さっさとBTシステム暴走してくれよな。暇すぎてやることねえんだよ」

誰にともなく独り言を呟く。答えはない。

眼下では丁度リヴァイヴの秘密兵器、〈盾殺し(シールドピアース)〉がラウラの機体〈シュヴァルツェア・レーゲン〉を直撃した所だった。AICなど意味が無く、その黒き装甲は砕かれる。

「お、ようやくか」

だが変化は次の瞬間に起きた。

砕かれたはずの装甲が変わり、残った装甲と融合し、分解し、姿を変えてラウラを取り込んでいく。

出来上がったのは黒一色の姿のIS。否、ISと呼ぶには無理がある。

鎧を纏った黒き騎士。和真にはそう見えた。

屋根から身を投げながら、ブレイバックルを装着。

「やっと出番が来たと思ったらこれだもんな....変身!」

青い光のカードを通過して仮面ライダーブレイドに変身。

謎のISを倒すべく加速する一夏と、そのISの間に着地した。

「なっ?!お前、トーナメントでてないはずじゃあ....」

「まあ落ち着けよ。外から見てても分かったけど、この野郎を倒すんだろ?」

「そうだがな...おまえの戦いじゃねえんだよ!俺の戦いなんだ!」

「ごちゃごちゃ言うな!今のお前じゃ勝てねえ!」

「....分かってるさ。けど、俺がやらなきゃいけないんだ!どいてくれ」

どうやら強い意志があるようだ。ここは1度だけやらせてみるのもありだろう。

和真がどくと、一夏は加速。謎のISに切りかかるが、先の戦闘の消耗があるらしく、鋭く振るわれる剣によって弾き飛ばされ、アーマーも

解除されてしまった。

「くそっ....」

「だーから言ったのにな。ここからは俺のステージだ、まあ見てな」

言って和真は地を蹴った。

和真と黒いISによって振るわれる剣と剣が火花を散らし、剣速が周りには見えないレベルにまで上がっていく。

(ここだ!)

一瞬の隙。剣を振るうことのみに集中している(と思われる)黒いISの僅かな隙をつき、和真は前蹴りを食らわせる。

突然の強力な蹴りに反応出来ず、黒いISは揺らいだ。

所詮は人が作ったシステム、完璧ではないということか。

更に揺らいだボディにラッシュを叩き込み、反撃の隙を作らせない。

しかしあともう少しでトドメというところで、和真は攻撃をやめた。

「....おい、織斑一夏。最後はお前が決めてくれ。あの野郎もそれが

1番良いだろうさ」

「え?つまり最後は俺がやるのか?」

「ああ。あいつはお前が倒す事に意味があんだよ。シャルル、エネルギーを白式に」

「分かった。やってみる」

和真の言葉にシャルロットはケーブルを出して白式に繋ぎ、残ったエネルギーを白式へと送り込む。

しかしリヴァイヴも消耗していたのだろう、あまり多くは送れなかったようだ。

「白式を一点集中で展開しろ。それがベストな方法だ」

「お、おう」

一夏の右腕部分のみ、白式の装甲と専用武器〈雪片弐型〉が現れる。

これだけでもなんとか《零落白夜》は発動可能なはずだ。

武装を展開させた一夏は深呼吸し、目を閉じた。

ゆっくりとエネルギーを剣に込めていく。

目を開け、一夏は剣を振りかぶり...そして、黒きISを斬り裂いた。

そう、まるで幻影を断ち切るがごとく。

切った中からは、銀髪の少女ラウラが倒れこむように出てくる。

「よし、終わったな」

変身を解いた和真は、くるりと背を向けて歩み去っていく。

一夏が問いかけても答えないその背中は、先程の強さと裏腹に寂しさを感じさせた。

 

そして...それからの生活も大して変化はなかった。

ただ一つだけ変わった事と言えば、いつもの女子4人のところに、ラウラの姿が加わったことだろう。

トーナメント戦の次の日あたりだったか、ホームルームの際に激おこ鈴から一夏を守って、ファーストキスしたとかしなかったとか。

まあ実際したわけだが、どうもラウラに日本の知識を与えている黒うさぎ達はズレているらしく、ラウラは一夏の事を嫁と呼んだりしている。

「まったく...女ってなァ良く分からんな」

「そんなものよ。女は」

「そーそー」

後はシャルルがシャルロットになったりという事件もあったが、結局のところ和真達ライダー組は教室でのんびりしていた。

どうせ自分達には臨海学校と言う名の校外IS学習なんていうものは

役に立たないのだ。なぜか?ISを扱えないからである。

IS学園の役に立たない授業を聞き、今日も1日が過ぎていく。

 

帰りのホームルームになり、先生がやってくる。

今日はどうやら山田先生はいないようで、鬼の織斑先生が担当していた。担任だからといえばそうだが。

教師の話など、ここでは聞いても意味はない。和真は右から左に聞き流していたが、何故かホームルーム後に風香と吹雪に捕まった。

「なんでい?俺なんか悪い事したか?」

「水着買うから。日曜日朝9時に駅」

「姉さんアンタに水着(むぐむぐ?!)」

「ちょっと吹雪、黙りなさいな。じゃあそういう事で」

「え?えっ?!」

何がなんだか良く分からない。

要は日曜日の朝9時にモノレールの駅前に行けと?

なるほどそういうことか。はたから見ればこれはデートに見えるのだろうが、メンバーがメンバー故にそうは思えないのが現実だ。

「急展開にも程があんだろ...くそっ」

外を見ながら和真は溜息をついた。何度目か数えるのが嫌になる。

日曜日までそんなに時間があるわけではない。まあテキトーに済ませて帰って来れば問題なかろうが。

よし、と気合を入れて和真は寮に向かって歩き出した。

既にシャルロットはラウラと同じ部屋になり、和真は一夏と組んでいる。部屋が前より広く感じるのは気のせいではないだろう。

 

 

日曜日の朝。

少しばかり早めにモノレールの駅に着くと、先客がいた。

しかも知り合いである。ルームメイトだ。

「おい...お前なんでここにいんだよ?」

「こっちが聞きたいんだがな...」

なんと先客は織斑一夏だった。どうやらコイツも待ち合わせをしているらしく、一足先に来ていたとのこと。

「今日は疲れそうだなァ....」

「ホントな。お前も大変そうだぜ」

お互いなんとか正気を保ちつつ、待ち合わせの時間まで耐える。

現れたのはシャルロットと風香&吹雪だった。

どうやら一夏のお相手はシャルロットだったらしい(花澤香菜さんが相手とか羨ましい一夏ムッコロス)。

女3人に男2人。なかなかにキツいものがある。

発狂しないようにしながら、モノレールに乗り込んでいざショッピングモールへ。

 

ショッピングモールへ着くと、休日だからかそれなりに人が居た。

満員電車程ではないが、人が居ない場所はない。

久しぶりの一般人の世界に、和真は癒しに近いものを得ていた。

「はぁー久しぶりだなぁ、普通の世界って」

「普通の世界?何の話だ?」

「いや別に。何でもねえよ」

話し合った結果まずはテキトーに見て回り、ある程度の時間で集合して水着を選び、その後昼食というスケジュールになった。

しかしこれといって欲しい服もないので、和真は本屋で立ち読みをして時間を潰すことにした。

(ほほう、デートアライブ最新巻出たのか。アスタリスクの最新巻も良いな...悩むぜよ)

アレコレ吟味していると、あっという間に時間は過ぎており、和真は水着売り場へと急ぐ。

「悪りぃ遅れた!」

「「遅い」」

「スイマセン...」

風香と吹雪に睨まれ、流石の和真も頭は上がらない。

だがずっと謝るのもアレなので、使わないにしろ何にしろ和真も自身の水着を選んでみることにした。

「とか言ってもなぁ、水着なんて絶対着ねえっつのにな」

ぶつぶつ言いながらも、水着を選ぶふりをしておく。

すると違う列の所から女性の声が聞こえてきた。

女性用の水着売り場の方だ。

「そこの水着片付けておいて!男のあなたに言ってるのよ!」

男で女の水着売り場に入るのなんざ、一夏くらいしか存在しない。

何をやっているのだ、あの馬鹿は。

しかしよくよく考えてみればこの世界は女尊男卑。男が使われるだけの存在になっているのは、当然の事である。

(厄介な野郎に絡まれてんなぁ...しゃあねぇ、助けてやるか)

一旦水着売り場から出て、和真は向かいのスポーツ用品店へ。

出入り口にあるサッカーボールを見繕い、1番硬いヤツを手に取る。

周りの客は変な目で見るが、そんなものは関係ない。

軽くボールを宙に放り、タイミングを見計らってボレーキックでボールを蹴り飛ばし、一夏に喚く女性の後頭部に直撃させる。

ばたりと倒れこむ女性。

(おまっ、何やってんだよ?!捕まるぞ!)

(別に捕まらんし)

時を置かずに警備員が走ってくる音が聞こえてきた。

「おめえは早く更衣室に入れ!」

「いや今シャルがな...」

「入れって言ってんだよ!」

一夏を蹴っ飛ばして更衣室に入れ、ミッションコンプリート!

だが同時に警備員がどたどたとやってきた。どうやら警察も呼んだようで、サイレンも聞こえる。

「風香、吹雪。あばよ、俺ァ行くからよ」

床を蹴って跳躍、警備員達の頭上を越えて売り場の外に出る。

だがここまで来て捕まるわけにもいかない。

ならいっそここで急展開を起こしてみるのも一興だろう。

「タイミングも良い....待ってろよ、篠ノ之束!」

そう言って、和真はショッピングモールの中を駆け出した。

壁を走り、テーブルを越え、ソファの上を転がり、出口へと走る。

それに篠ノ之束の居場所は見当がついている。

少し無茶をしたとは思うが、無理矢理クラックを開いて入ったのである。地球(ほし)の本棚の中に。

我ながら無茶を承知の上だったので、初挑戦初成功は嬉しいものだ。

その中のある本の記述を頼りに割り出した座標に、彼女はいる。

和真は確信している。

「「「待ちなさい!そこの少年!」」」

ポリスメンに追いかけられていることを忘れていた。

方向転換し、和真はモノレールの方に向かった。

さあ、IS創造者とのご対面まであと少しだ。




やばいです。
和真君に久しぶりにアクションさせようと思ったら、こうなっちゃいました。ごめんなさい!
無茶苦茶どころの話じゃありません。ホントすいません!
てなわけで、次回からISの世界は最終章突入です。
頑張って書くのでよろしくお願いします


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ISの世界 研究所決戦篇

ショッピングモールを出て、和真はモノレールの駅に着く。

見ると、丁度モノレールがIS学園方向に出発する所であった。

後ろからはサツが追いかけて来ているし、決断しなければならない。

「...やってみるしか、ねえな」

地面を蹴って飛び上がり、和真は空を舞う。駅の屋根の上に着地し、助走をつけて再びジャンプ。

激しい衝撃が体を襲うが、なんとか車体の後面につかまることに成功する。車内からは悲鳴が聞こえるが、知ったことではない。

「ってて...まぁ冒険はしてみるもんだな。もうやりたくねえけど」

ぼやく和真と共にモノレールは加速、駅を後にした。

(IS学園って警察入れんのかな?)

 

当然ながら怪しまれて落とされかけたりもしたが、なんとかIS学園に

辿り着く。先に情報が届いていたのか、和真をとらえようと駅員(?)が飛びかかって来たのでとりあえず殴って眠らせておいた。

原型はとどめているので、さして問題にはなるまい。

それはそうとここで時間を取られるわけにはいかない。バイクを確保する為、和真は駐車場に向かって走りだした。

(我ながらすげえ事考えたもんだなァ...篠ノ之束に喧嘩売るとか。ま、織斑一夏の為にもなるわけだし、やるしかねえよな)

駐車場に着き、専用バイクブルースペイダーを発見。どうやら調子は問題はなさそうだ。

「おい生きてんだろ、AI」

『AIという名前ではないのだがね。せめて別の名を』

「分かったよ、ベルトさん」

『...結局あだ名なのかね?まあ構わないが』

ベルトさん(以後これで統一)の言葉を聞きつつ、バイクに跨る。

エンジンを掛けて発進させ、出口まで来たが、割と大きな問題にぶち当たった。

「えーと...これどうやって外に出れば良いんだ?」

そう、問題は外に出る為の経路なのだ。

ここIS学園は島であり、基本的にモノレールによって外部と繋がっている。港もあるし、船の出入りもあるといえばあるが。

出航まで待つわけには行かないし、かといってレールの上を走るというスリル満点のアトラクションを体験するなど真っ平ごめんだ。

「やべーよ、時間もねえのに出る道が無いとか。笑えてくるぜ」

『お困りのようだね。助けてやろうか』

「うるせえよ。口調微妙に変わってるしなんで上から目線なんだよ、ぶっ壊すぞこのAI」

『すまない。しかし外に出るのが目的なのだろう?』

「まぁな。策でもあんのか?」

『ディスプレイにある『フルーツバスケット』と表示されているボタンを押してみると良い』

「マジか、知らねえよンなもん。つかフルーツバスケットって何?」

『まあ押してみれば分かる』

「えーっと...これだな」

押してみると、突如バイクが振動し始めた。

壊れるのかと思ったが、どうやら違ったらしい。なんとバイクの両サイドに戦闘機チックな翼が付いており、全体的にバイクの原型は保っているが、飛行に適した形へと変化している。

ただし、変な音声が入ったのだが。

『ロックオープン!極アームズ!大・大・大・大将軍!』

「ナニコレ?何この音声?大将軍?!しかもこの形ブルースペイダーっていうか、ハードタービュラーに近くね?」

『まあ、うむ、そんなものだな。飛べば向こう岸にすぐ着くぞ』

「そんな便利な物があるなら先に言えよ、ったく」

ぼやきながらもエンジンを始動させ、ブルースペイダータービュラー(以後これに統一)は上昇する。

そして対岸に向かって加速していった。

途中で警察官が乗ったモノレールが見えたが、和真にとってはもう関係のないことである。

今度は出て来たは良いが、また問題が浮上した。

「おいベルトさん。このタービュラーってどうやって戻すんだよ。さっぱり分かんねえぞ」

『ディスプレイにもう1つボタンがあるはずだ。使ってないものが』

「あーこれか。『カチドキ』ってやつ?今度はまともなんだろうな?」

『...とにかく押してみたまえ。元に戻ることだけは保障しよう』

「はあ...そうですかい。まぁいい、時間ねえから押すぞ!」

それを押すと、確かに元には戻った。戻ったのだが、今度も明らかに変な音声が入っていた。

『カチドキアームズ!いざ出陣、エイエイオー!』

「なにこれ?確かに出陣だけど...マジで要らねえよ、戻ってるだけだかんな!つくづくアト子さんの考えてる事は分からねえよ!」

大きな溜息を吐くが、ブルースペイダーが元の状態に戻るということはできたので、良しとする。

さて、残された時間もあまりない。現在日曜日で、臨海学校が始まるのが翌日の月曜日だ。

篠ノ之束のいると思われる場所は分かるが、目立つのを避けるためにも陸路を使うのでそれなりに時間もかかる。

おまけに今は警察にも追われる身だ。

リミットは明日の午前5時と見ていいだろう。

とにかく間に合わねばならないので、和真はブルースペイダーを発進させて高速道路に向かった。

 

太陽の光を受け、建ち並ぶビル群。道行く人々の声。行き交う車の騒音。走り去る電車の轟音。都市(まち)の喧騒。

様々な音を聞きながら、和真はバイクを走らせる。

警察のサイレンが聞こえなくなる事はなく、執拗に追いかけて来ているのが判った。

「しつこい野郎共だな...ったく」

インターをすり抜け、高速に入る。ETCなど知ったことか。

目指すは山梨・静岡方面、富士山の麓。そこに篠ノ之束がいると和真は予想している。地球の本棚にて検索した結果、富士山の麓の一角のみ、異常があると判明したのだ。通常の検索機能ならば分からなかっただろうが、地球そのものを使って検索すればすぐ判るのだ。

まあ和真は本来あの本棚は使えないので、短時間しか居られなかったが。

(ま、それで充分だったんだけどな)

空を仰ぎ見、巡ってきた世界に想いを馳せる。

17、8にしてこんな旅をする高校生なんざ珍しいものだろう。

最も高校なんて行っていないも同然なのだが。

などと考えていると、背後からサイレンが聞こえてくる。

これまでの鈍足のパトカーとは違う、高速に対応した車だ。高速パトカーとでもいうヤツなのだろうか。

「マジかよ...サツも本気出してきやがったな、こりゃ」

「「「そこのバイク、止まりなさい!」」」

どうやら警告をするのは忘れないらしい。だがそんなものは無意味だ、今の和真には。

ようやくこの世界で為すべきことが見つかった今、警察などに捕まるわけにはいかない。

「ハッ、知ったこっちゃねえ。それに俺ァてめえらに捕まるほどヤワじゃねえんだ」

言って和真はブルースペイダーを更に加速させる。

法定速度を明らかにオーバーしているが、この世界の住人ではない故、ここの法も当てはまらないのだ。そもそも戸籍がここにはない。

そして走り続けること1時間程だろうか、富士山が見えてきた。

東京から静岡まで1時間って速いのか遅いのか、和真自身分からない。

元々ウチの親の車がオーバースペックだったので、法定基準を知らないのだ。

「そろそろ下りるか」

富士山が見える辺りでブレーキをかけて、和真はバイクを止める。

突っ込んでくる車は蹴っ飛ばして盾にし、後方車両が来るのを防ぐ。

背中に手を突っ込んで取り出したのは、一丁のショットガン。

実はただのショットガンではなく、アト子さん特製の強化ショットガンなのである。

これを脇のコンクリで造られた壁に向けて引き金を引く。

1発で壁は壊れ、下道への脱出経路が確保できた。

「じゃあな、クソッタレ共」

手榴弾を1つ後方車両へと放り、同時にブルースペイダーを加速させて先程開けた穴から飛び出した。

しかしここは高速道路、高さもそれなりにある所だ。

素早くタービュラーにチェンジし、バイクは富士山麓へと飛んで行った。

 

法定速度を無視して15〜20分ほど飛んだだろうか、しばらくすると都市部の雰囲気は消え去り、木々が生える田舎じみた風景が広がり始めた。

そろそろタイミング的にも下りても問題はあるまいと思い、元の状態に戻してバイクは公道を走りだす。

ある程度行ったところで見えてきたのは、白い外装の建物だ。

通っていく車両は皆、あの建物は見えていないようで、あそこで道が途切れているかのように曲がっていく。

「ステルス機能でも付いてんのか?まぁ付いててもおかしくねえけどよォ....篠ノ之束だしなぁ」

言いながらこれまたアト子さん特製の双眼鏡を覗くと、やはり建物の周囲に何かバリアとでもいうのか、そのようなモノが張り巡らされている。

人間には容易に突破するのは難しいかもしれない。そう、人間には。

「さてと...あれくらいならコレでも消せるかねェ」

取り出したのは一見普通のロケット弾。だが中身は全く別の物だ。

それを黒い筒にこめて、肩に担ぐように構え、和真は撃ち放った。

射出されたロケット弾は見事不可視のバリア直撃した。

「おー、バリア消えてやがるぜ。まさかこんなとこで役に立つなんてなァ...驚きだな」

実は先程の弾はただのロケット弾ではなく、アト子さん曰くあらゆるバリアを消し去る効果があると言われてだいぶ前に渡され、使わないでお蔵入りしかけていたものだった。

実際にバリアを消し去れるとは思わなかったし、使う日が来るとも思わなかったので、微妙な気分ではある。

「ま、行くとするか。ベルトさんはここで待っててくれや」

『1人で問題ないのかね?噂に聞いただけだが、奴は人間ではないらしいぞ。それでいて様々な世界で目撃されているとも聞く』

「へえ、面白いな...こりゃあ相手にとって不足はねえ」

和真は双眼鏡と筒をしまい、取り出したのは一振りの刀である。

それをベルトに差し、篠ノ之束がいるであろう白い建物へと和真は歩き出した。

 

ドアの前まで来たが、特別なにか罠があった訳でもなかった。

しかし和真は知っている。罠よりも強力なヤツが中に居ることに。

この刀はどうせ初戦のみでしか役に立たないだろう。名のある刀らしいが、折れるのは確定だし、本戦である篠ノ之束との戦闘では、変身するしか手はないと見ていい。

しゅらん、と刀を抜く。警戒を怠らず、和真はドアを蹴り開けた。

「どうもー八坂という者なんですがー」

「...お客様でしょうか?先程屋外のバリアが消されたのですが、それと関係しているのですか」

やはり避けては通れないようだ、クロエ・クロニクル。この世界ではメイド的なポジションにいるのか。

「やっぱ避けらんねえよな...篠ノ之束に会うためには」

「どちら様です?本日はめんか」

「だからァ...八坂という者だって言ってんだろうが!」

辛抱堪らず、和真は出迎えて来た灰色がかった銀髪の少女に回し蹴りを食らわせ、奥の壁にまで吹っ飛ばした。

外見中学生レベルではあるものの、この少女はヒトではない。

創られた少女、希少なヒト型のISなのだ。まあ希少だからといって手加減はしないが。

「てめえら人間モドキはあれか、ロボットみてえな事しかできねえのか?」

「...敵性反応。排除します」

「おお、やっぱロボじゃねえか」

閉じていた眼を開くと、その奥にあったのは黒い白眼に金色の黒眼であった。ワールドパージ編の一夏と同じものだ。

刹那、世界が変化した。全てが純白になり、把握が困難な空間へと変貌していく。確かこの少女の能力だったはずだ。元からだったか、束に付けられたものだったかは忘れた。

だが、しかし。

「...んなもん俺に通じねえよ。俺ァ篠ノ之束に喧嘩売ろうってんだ。この程度効きはしないぜ」

瞬時に間合いを詰めた和真の剣が、少女の胸を貫いていた。

「...なん、です、か?人間の速さ、では、ナイ」

途切れ途切れの言葉を吐きながらも、少女の手は刃を掴む。

足掻くのかと思ったが、違うようだ。血を流しながらも両手でその刃を掴み、なんと握力のみでその刃を砕いたのだ。

「...マジかーヒト型IS怖えなぁ」

これに対して和真は首をすくめるだけで、狼狽はしない。

刀が使えなくなることは想定した上で、ここに来たのだ。それにこれまで見てきたのは人智を超えたモノばかりだ。今更何を、という風にしか感じない。

「ま、安らかに眠れよ、クロエ・クロニクル。そのうちラウラがそっちに行くまでの辛抱だぜ」

次の瞬間、少女クロエの頭部が宙を舞い、胴体もボロボロになっていた。クロエが僅かに残る意識を向けると、丁度彼の最後の一撃が頭部へと放たれた時であった。

(ああ、これが“死”なのか。私は初めて“死”というものを知るのか)

そしてついに少女の命の灯火は消滅した。残骸に等しくなったクロエを見下ろして和真は呟いた。

「...すまねえな。お前に罪はねえが...あいつを倒す為なんだ。俺が今言うのもなんだが、安らかにな」

手にかけてしまったとはいえ、葬いの言葉くらいかけてあげたい。

愚かではあると自負しながら、和真は手を合わせた。

 




まあ少し遅れてしまいましたが、ISの世界最終章突入です。
今回と次回の2話でISの世界は完結させます。
その後はお楽しみということで。


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ISの世界 研究所決戦篇 2

クロエ・クロニクルとの戦い(?)を終え、和真は更に先へと足を進める。外観からは想像できない程、内部は迷路のように入り組んでおり、何度も迷子になりかけながらも、奥へ奥へと歩いていく。

何度目の部屋か分からないが、遂にそれらしき扉を見つけた。いかにも篠ノ之束らしいドアで、ピンクやらなんやらの装飾で彩られている。しかしこの中にはヒトを辞めた人間がいるのだ、何があろうとも

決して動揺せず、十全に装備を整えて行かねばならない。

背中からショットガンを取り出して肩にかけ、ハンドガンをベルトに差し、アサルトライフルを構えて扉を蹴破る。

「オラァ!八坂和真だ、挨拶に来たぜ!」

「....誰?どーでも良い奴だね、私は愛しの妹へのプレゼントの準備で忙しいから。んじゃ」

「ほぉ〜、クロエが死んだってェのに呑気なもんだな。さっすがIS開発者は違うなぁ」

ワザとらしく言ってみるが、篠ノ之束の手が止まることはない。

和真を無視し、紅椿をいじり続ける。

これでもクロエの事は信頼しているのだろう、やられる筈がないと。

何はともかく、このままでは紅椿は完成し、臨海学校に届けられてしまう。

(クソッタレ...思ったより上手くいかねえじゃねえか)

だがここで諦めて、ルームメイトである織斑一夏を生死の境に追いやるほど、和真とて鬼ではない。

それにここで紅椿は壊せば、箒の事は知らないが...基本的に上手く物事が回り始めるはずなのだ。

腹をくくり、和真はアサルトライフルを紅椿に向け、引き金を引いた。連射で撃ちだされた弾丸が見事に紅椿に当たる直前、それら全ては弾かれた。

たった1人の女性によって。

「やっぱ...そうなるわな。紅椿は妹への愛がこもってる訳だしなァ」

マガジンを半分ほど使った所で、和真はアサルトライフルを肩に担ぎ、束を見る。

紅椿の手前で魔法のステッキじみたものをくるくると回す、篠ノ之束。恐らくそれで弾丸を全て弾いたのだろう、驚くべき身体能力である。

「私の箒ちゃんのプレゼントに傷を付けようとしたね?これはギルティ確定ダネ!」

「ハッ、ヤケにテンション高えじゃねーか。なるほど...なら、どんどんいくぜ!」

マガジンに残った弾丸をありったけ篠ノ之束に向けて放つ。が、当然ながら弾かれる。しかしそれは想定内、ライフルを捨てて今度はショットガンを握る。

床を蹴り、紅椿へと迫りながらショットガンを撃ちまくる和真。

だが当然ながら意味はなく、弾かれてしまい、ショットガンも全弾命中ならず。

(強すぎだろ、このオンナ。絶対本気すら出してねえな...クソッタレ)

散弾もなくなり、ショットガンを投げ捨てる。

銃が効かないならもうやるしかない。例えこの身がアンデッドに変わろうとも。

ブレイバックルを取り出して「変身」と叫び、和真は仮面ライダーブレイドへと姿を変える。

「こっからはテメェごと殺る気で行くからな。覚悟しろ、篠ノ之束」

ブレイラウザーを抜きはなち、束に肉薄。

高速でお互いの得物が繰り出され、1秒とて気の抜けない剣戟が始まった。

だが突如として束の姿が消え、刹那、背中を衝撃が襲った。

「がっ...はっ...」

口の中に僅かに血が流れ込む。

だがそんな事には構わず、素早く後ろを振り向き、蹴りを繰り出す。

かなりのスピードで攻撃したのにも関わらず、束は余裕を保ちながらステッキでその蹴りを受け止めていた。

(普通ならこの速度反応できないはずだ...いや、ひょっとしたらベルトさんの言ってる事が確かなら...)

『マッハ』のカードをラウズして加速、全身全霊を込めてブレイラウザーを振るっていく。

身体の内に在る邪神の力を限界まで高め、身体がアンデッドに変わっていくのを感じながら、それでも和真は剣を振るい、その刃を篠ノ之束へとぶつけていく。

しかし当の束には本気が感じられない。遊ばれているのだろうか。

事実そうなのだろう、篠ノ之束と本気でやり合えるのは織斑千冬だけであり、また束自身が好敵手と見ているのも、織斑千冬だけなのである。

(この野郎、織斑千冬と織斑一夏、あと篠ノ之箒以外は眼中にねーもんなァ)

やれやれ、とため息をつく。我ながら何故このような厄介女を敵にしたのか、改めて疑問にしか思えない。紅椿輸送阻止という目的はあるが、やはりこのオンナは面倒だ。

ふらつく身体に気合を入れて、なんとか和真は立ち続ける。

予想以上に彼女の動きが速すぎる。まさかとは思うが....

「お前、外見はヒトだが...中身人間じゃねえだろ?」

「だとしたらどーするの?」

ベルトさんの言葉と、先程の瞬間移動にも等しい動き。それで確信できた。あれは、ワームの能力。

「さっきの動き、あれクロックアップだな?他の世界で目撃されたって聞いたから不思議に思っていたが...自らの身体すら変えてしまうに至るとはなぁ」

「私の身体にはたしかにクロックアップする力はあるけどねー、ホントにそうかなー」

「黙れ、嘘をつこうが直ぐに分かる。それにまぁ、俺の身体も既にヒトである事は放棄した。あんたばかりが特別じゃあないんだぜ」

沈黙の時間。

瞬間、2人は加速した。束のステッキは剣に変わり、和真もノーマルフォームからキングフォームに変身する。

束が加速し、和真はそれを追うように。それを繰り返し、2人の速度はいつしかクロックアップと見紛うほどになっており、周りが停滞して見えるようになっていた。

クロックアップに和真が対応出来るようになってきているのだ。

邪神としての力は100%以上限界を超えて出しているし、もう身体は既に完全なアンデッド化を果たしてしていると見て良いかもしれない。

「けほっ...これでも、無傷かよ...」

「あーれー?おかしいなぁ、とっくに死んでてもおかしくないのに」

「ははっ、悪りぃな...俺はもう死ぬこたぁできねえよ」

キングラウザーを杖代わりにしつつ、和真は束を睨む。

反対に余裕10割で此方を見る篠ノ之束。

いくらクロックアップに和真が反応しきれたとしても、そもそもの実力が違いすぎるのだ。

キングフォームになっても勝てる気があまりしない。

「んじゃー雑魚はそこで這いつくばってるのをオススメするよ?私は箒ちゃんにプレゼントを届けに行くからサ」

「っくそ!行かせねえ!」

なんとか束を追うが、それでもあちらは余裕で出口へと行ってしまう。明らかに差をつけられた。

こちらが外に出た時にはもうあのウサ耳姿は見当たらず、代わりにブルースペイダーが出口に停まっていた。

「...なに、してやがる?」

『追うのだろう?分かっているさ、お前のやりたい事は。彼女は黒と緑のバイクで、臨海学校の行われる海岸へと向かっている。』

「おかしいぞ。何故篠ノ之束はバイクを使うんだ?あいつの身体能力を考えれば、生身で行っても問題はなかろうて」

『そこらへんは知らんが...あまりもたもたしている暇はないぞ。早く行かねばならんのだろう』

「ああ!」

体力も考えて変身を解除し、ブルースペイダーに跨る。

アクセル全開でバイクは走り出した。

 

そんなに時間を経ずに、高速道路でそいつは見つける事が出来た。

このAIの探知機能のおかげでもあるが、何より彼女、篠ノ之束は外見故に相当目立つ。

(見つけたぜ...篠ノ之束!海には行かせねえ!)

マキシマムにドライブさせ、ブルースペイダーは更に加速する。

篠ノ之束の跨る黒と緑のバイクに接近し、和真は声を張り上げる。

「おい!篠ノ之束!ここで引き返すなら、見逃してやるぜ!」

「わー速い。けどお断りだネ。ばいばーい」

なんともウザったらしい生き物である。高速をおりて下道に入る束を追って、和真は前方のトラックの荷台を利用してジャンプ。

再度束のバイクに近づく。

法廷基準を軽くオーバーしているバイクが二台もいるのだ、そりゃあ警察も黙ってはいない。

何時間振りだろうか、和真はまた警察に追われる羽目になった。

しかしサツは無視し、束だけを見据える。

そして現在時刻はなんと月曜日の11時。

(オーシャンズ・イレブン....海に着いたら11時というわけか)

これでは僅かに遅れて和真達が乱入することになる。当然織斑千冬からお仕置きを受けることになるだろうが、今は構っていられない。

自身のバイクを束のバイクに並走させ、旅館の手前に来たところで和真は、束のバイクを蹴り飛ばした。

「オラァ!」

ここら一帯は岩が多い。下手に激突すれば爆発も避けられないだろう。案の定黒と緑のバイクは束を乗せたまま巨岩に激突、爆発炎上した。だがこれしきではヤツは死なない。

砂浜にバイクを止め、和真は慎重に現場に近づく。旅館から声が聞こえてくるので、もうすぐ織斑千冬が来ると見てよかろう。

そして爆炎の中からゆらりと立ち上がる影。素早くブレイドに変身して身構える。

炎の中から声が響いた。

「キミ、死刑ね」

刹那、殺気を殺す程の殺気が放たれた。見れば待機状態で腕に付けていたのだろう紅椿が、ボロボロの状態になっている。

紅椿は見た目も中身も、待機状態は非常に脆いと思っていたが。

(でも、やっぱ待機状態じゃあ壊れるのかァ....ま、大変なのはここからだが)

今の篠ノ之束は、死神を超え、悪魔をも上回り、憎悪ですら生温い感情が渦巻く。

これほどまでの妹への愛に溢れた姉など、早々いるものではない。

篠ノ之箒は知るべきだ。自らを想う姉がいる事を。

妹の為にその仇を殺そうとする姉がいることを。

『エボリューションキング』

和真はキングフォームへと変わり、キングラウザーを握る。

道中で聞いたのだが、どうやら束とのクロックアップ戦闘の所為らしいが、あと1回クロックアップ戦闘を行ってしまうと、強制的に別の世界に飛ばされてしまうという。

時空ナントカと言っていたが、よく分からない。つまりあと1回クロックアップしたら、和真は無理矢理別の世界に送られるというワケだ。

「まったく...やるしかねえな、篠ノ之束。決着の時だ!」

無言でクロックアップする篠ノ之束。

和真も呼応するように『マッハ』の能力で加速する。今の和真は13体のアンデッドと融合した状態だ。カードをラウズさせずとも、その能力を使えるのだ。そして邪神の力もフルで稼働させる。

神速の戦いの最中、外からこちらを見る織斑千冬の姿が。

本来ならば抱き着きにいくはずの束だが、今回はバトルにのめり込んでいた。

(クソッタレ...アンデッドになっても勝てやしねえのか?強すぎて笑えるぜよ)

一度剣を下ろし、2人は向かい合う。

箒への愛故に殺意の塊と化した束、彼女を倒す為にアンデッド、ジョーカーと化した和真。

和真の身体は既に半分が消えかけており、どうやらあのAIの言った事は間違っていなかったようだ。バイクも消えかけているということは、バイクも別の世界に送られるということか。

それとこの姿、外からは消えかけているように見えるが、下半身の感覚は別の場所に移っている。何も感じない...が、どこか別の世界だろう。

声と言えぬ絶叫を上げ、バーサーカーと化した束が剣を振り下ろす。

しかし。その刃は彼に届く事はなく、直前に八坂和真はこの世界から消え去った。

見ていた者は全員、何も言わない。言えない。

織斑千冬、八坂風香、八坂吹雪、織斑一夏。

目撃した4人は無言で立ち尽くしていた。目の前の現実を受け入れられなかった。

物語は必ず誰かがハッピーエンドを迎え、必ず誰かがバッドエンドを迎えるという。

この状況は誰も、誰1人として、ハッピーエンドを迎えた者は居なかった。




これからは投稿がかなり不定期になる可能性があります。
ごめんなさい。
まあなんつーかこの話無茶苦茶ですね。
書いてる本人が言うのもなんですけど。
とりあえず頑張りますんで!


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雪降り積もる幻想の世界

ISの世界にて消えた和真。
次に彼が行き着くのは如何なる世界なのか。
幻想的で万華鏡のように多彩な世界は存在するのか。
次に彼が行き着く先で出会う者とは...



人は過去を忘れることで、生きていけるという言葉がある。

巡ってきた世界、関わりあう人々。時に対立し、戦う事も避けられない。

あの浜辺を最後に、彼があの世界から消え去ったことは事実である。しかし、消えた後、彼は何処に行ったのか。

雪に覆われた、知らない世界で彼は目を覚ます。

しかしそれは新たな旅の始まりでもあった。

 

閑話休題

 

場所は変わって何処かの世界の上空4000メートル。

突如として光とともにその場所に、1人の少年と1台のバイクが現れた。比喩ではなく、突然、何の前触れもなく。

「え?何、どこ此処?しかも雪?!」

慌てふためく少年の名は八坂和真。前の世界から飛ばされてきたのだが、どうやら予想とは反した状況が展開されている模様。

それも当然だ、浜辺で消えたと思えば、雪が降りしきる上空4000メートルにいきなり出てきたのである。

(まぁひとまず状況確認....って高っけええええええええ!)

下を見て絶句。落下しているのは体感出来ているが、にしても高すぎる。4000メートルの高さから落ちる事など通常ではあり得ないのだ。

「えーと、あれ?」

改めてみてみると、自身より下方を急速落下中の物体が。

自身の愛用バイク、ブルースペイダーである。色々と積んである故重いのは分かるが、このまま見過ごす訳にもいかないし、自身の事も考えて和真は変身することにした。

すぐ変身するのはあまり好まないが、この際仕方ない。方法がそれしかない故だ。

「変身!」

『Turn Up』

青い光のカードを通過し、仮面ライダーブレイドへと姿を変える。

そしてそのままジャックフォームへ。

オリハルコンウィングを展開して加速、高速落下していくバイクをなんとか捕まえて減速し、地面につくと同時に変身を解く。

(ふう...なんとかひと段落か)

バイクを停めて周りを見てみると、さほど遠くない所に、石造りの階段があるのが認識できた。上の方には鳥居らしきモノもおぼろげにだが、見えなくもない。

恐らく神社だろう。誰かはいるはずだし、ならばここが何処なのかも分かると思われる。

よっこらせ、とバイクを押しつつ石造りの階段を登っていく。先程からこのバイク、だんまりを決め込んでしまい、どうしようもない。

「おお、やっぱ鳥居じゃねえか。つかやっぱ冬なのか?雪積もってるし、てかクソ寒ぅ!」

ごそごそと有能収納スペース&バッグを漁り、なんとか服を冬仕様に変える。

やはり夏の服では限界がある。

ロングコートがあったのが幸いだろう。

再度バイクを押して階段を登りきった和真。そしては彼が目にしたのは....

 

「いや、たしかに雪降ってるけどよォ....冬なのかもしれんけどさぁ。

多分別の世界だしな。だからって、神社の境内で雪合戦するか?普通」

呆れ気味に和真は呟く。いくらなんでも神社の境内で雪合戦をする奴がいるだろうか。少なくとも和真には、問題児にしかみえない。詳細は不明だが、人数は3人は確認できる。

おまけに向こうはバイクに手をかけている和真の姿はまだ視界に入っていないらしい。

(よくもまぁこんなんで怒られてねえでやんの)

凄いのか凄くないのかさっぱりだが、今は第三者として止めに入るべきであろう。

バイクを停めて、和真は足を踏み出す。

と、突然雪合戦をしていた片方の奴、金髪の少女が声を上げた。

「お、あんた雪合戦やるのか?やるよな?よし、これで2対2だ!行くぞ、丞一!早苗!」

おおよそ反対側には丞一と早苗と呼ばれたのであろう、少年と少女が雪玉を手にこちらを見ていた。

(なんか敵の2人かなり出来る感があるな。てか強制参加なのかよ)

一方的に参加させられたことへの怒りを感じながら、ため息をつく。

何故こんなことになってしまったのだろう。というか予想ではあるが、この早苗と呼ばれた少女や声を掛けてきた金髪の少女は人間離れしている気がしなくもない。丞一と呼ばれた少年もだ。

「はぁ...神社ってなァ、あんまり俺には相性良くない気がするんだよなあ」

「ん?なんか言ったか?」

「別になんでもねェよ。気にするな」

やけくそ気味に言い、和真は雪玉を握りしめて振りかぶる。

やる時は加減は無しで行くのが和真の主義である。

「つーわけで意味分かんねえが、(割とムシャクシャしてるから)全力で行かせてもらうぜ!」

そして再び神社の境内は、雪玉飛び交う戦場と化したのであった。

 

数分後、突然の乱入者によって雪合戦は終わり、全員して雪合戦を止めさせた少女のお小言(?)を聞いていた。

この少女、見かけは15、6かそこら辺だろう。しかし何より特筆すべきなのは装いである。

黒髪を赤いリボンで留め、纏うのは赤と白の巫女服だ。そう、つまり巫女さんなのだ。

神社から出てきた以上ニセモノではないと見て良い。

(やっぱ人いるじゃねーか。ったく...まぁこれなら多少は何か聞けるかもしれねえな)

心の中で若干喜ぶ。無慈悲に外来者を雪合戦に参加させた奴らよりは、マシな人間であることを期待したい。

などと思っているとお小言が終わったようである。

「そういえばさ、コイツ誰よ?」

和真を指差す巫女服少女。その質問は有難い。

「そういや知らねえ顔だな」

「同じく」

「あ、ホントだ。誰だコイツ」

終始コイツ呼ばわりとは不敬であろう。まあ敬えなどとは微塵も考えていないが。せめて名前くらいは聞いておくべきではないのか。

「おい、お前ら来訪者勝手に雪合戦に参加させんなよ!自分で言うのもなんだけどよ、せめて自己紹介その他諸々くらいさせてくれよ!」

「まあ...そうだな...自己紹介くらいはしておくか。俺は慶条丞一だ、まぁよろしく」

「私は東風谷早苗。よろしくお願いします」

「私は霧雨魔理沙だ。雪合戦については悪いとは思っていない!」

「私は博麗霊夢よ。ここの神社で巫女をやってるわ。」

どうやら和真の自己紹介は後回しになるらしい。無茶苦茶な展開にイライラしつつも、自制して耐え抜く。落ち着け、これくらいは日常茶飯事だったではないか。

「よし、つーわけで俺なワケだな。俺の名は八坂和真って言うんだが、色々あってこの神社に来てみたんだがなァ...金髪の少女に無理やり雪合戦させられてなぁ...」

視線だけを動かして金髪少女を睨み、彼女は苦笑いで済ます。

「っとそうだそうだ、本題に入るか。お前らの名前は分かった、けどな、ここが何処だか俺にはさっぱり皆目分からねェんだよ。お前ら知らねえか?」

沈黙が5人のいる空間を包み込む。そして和真を置いて、ひそひそと話し合い始めた和真を除く4人。

(ここが何処だか聞いたらおかしいのか?普通聞くだろ、普通はよ)

瞬きのうちに彼らは素早く元の状態に戻っていた。おそらく気の所為だったのだろう!きっとそうだ。

そんな和真に巫女もとい博麗霊夢が口を開く。

「ここは博麗神社って言ってね、私が巫女をしてるところなの。それでこの神社を含めた此処の世界全てを『幻想郷』っていうのよ」

「....げん、そう、きょう?」

「そ、幻想郷」

「幻想郷...幻想郷ねェ...」

ゆっくりと考え込む和真。

(知らねえ世界だな、クソ...マジかよ...)

IS世界からの移動で脳内データベースが傷ついたのかどうか分からないが、いくら考えようとも思いつかない。

ならば導き出される答えは1つ。まったく知らない世界に飛ばされた、ということだ。

「うん、分かんねーや。」

開き直った。分からないものは分からないとはっきり言うしかあるまい。分からないところは授業中に聞いておけと先生も言っていた(気がする)。

そんな和真を微妙な顔で見る4人が居た。

 

彼らを無視し、外の雪は降ることをやめない。

その雪がこれから事件の中心になるとは、まだ誰も知りはしないが、

着実に事態は進んでいた。

 

続く!




かなり期間空いてすいません。
この話から、暁にて投稿中のかりーぱん先生とのコラボ回が始まります。
東方に関しては詳しくありませんが、かりーぱん先生のと合わせて読んでくだされば幸いです。
ではまた次回!
そんな遠くないうちに投稿できると思います(多分恐らく)。


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アンデッドの俺が、ロリコンなわけがない(多分きっと)

八坂和真は新たな世界へと足を踏み入れる。
様々な人物達が存在するこの世界を、皆は『幻想郷』と呼ぶ。
新たな世界を舞台に、和真は誰と出会い、如何なる物語を紡ぐのか?


和真がこの『幻想郷』と呼ばれる世界に来て、1週間が経過した。

相も変わらず雪は降り続いていたが、意外だったのは博麗の巫女である霊夢が社に泊めてくれていた事であった。

流石にあの寒さの中に放置するのは鬼畜な所行だが、雪合戦で面倒をかけたにも関わらず、見知らぬ外来者を寝泊まりさせてくれるのには和真とて疑問を抱く。

しかし詳しいことまでは話して貰えず、微妙な感じではぐらかされてしまった。最も彼女の事を事細かに知ろうとは思わないが。

とは言うものの、知っている情報が全くない世界で、直ぐに寝泊まりできる場所を確保できたのは幸運だったと言えるだろう。

(にしてもなァ...やっぱ世話になってる身で、1日中に引きこもるのも迷惑になるよな)

安定のこたつ篭り巫女と化した博麗霊夢を視界に捉えつつ、なんとなく考える。

「よし、俺ァ少し気分転換してくる。ま、帰りはテキトーに帰るからヨロシクな」

「そー」

返事がやる気の欠片も感じられない。

冬の寒さで鈍っているのだろうか、この神社の巫女は。

とりあえず身支度をし、和真は外へと出る。

さあ、散歩を始めようか。

勝利のナントカは決まっていないが。

 

 

というわけで、出て来たは良かったが。これと言った目的などなく、

雪景色を眺めつつ、歩き続ける。

ひとしきり歩くと、なにやら少女達が遊んでいる様に見えた。

少女達というか、金髪ロリに青髪ロリ。が特に和真には、目立って見えた。いやあの、決してロリコンというわけでは。

しかしどうやらこの世界で統一して言えるのは、黒髪の割合が極端に少ないということであろう。もちろん和真が知っている範囲内でだが。

敢えて言わせて貰えば、和真はロリは好きだが、ロリコンという訳ではない。いつだったか、ペドフェリアの疑いをかけられた事があったが、勿論言った奴は半殺しにしておいたのは言うまでもない。

そんな些細な事はさておき、純真無垢な姿を見てから、和真は方向転換し、更に散歩を続ける事にした。

最初に言っておく!幼女観察などという、怪しい趣味はないッ!

 

 

随分と歩いたように思えたが、時間にしてさっき方向転換してからまだ数分しか経っていない。

はてさてどうしたものかと考えていると、なにやら見たことのある金髪ロリと青髪ロリ(数えるのが面倒なのでその他複数人)がいた。

暇を持て余しているのだろうか。

というか、さっきの場所に戻ってきてしまっていた。

(アホか!なんで戻って来ちまうんだよ!訳わかんねえ!)

心が叫びたがっているようだが、そんな事はどうでも良い。

なんとか戻らねばならぬ。ここの地理には詳しくないのだ。

如何したものだろうと考えていると、声が掛けられた。

「雪合戦したいのかー?」

「するのかー?」

「はあ?」

見ると、金髪ロリと青髪ロリである。

あとその他複数人の視線を一度に浴びるのは、かなりきつい。

あとは名前は...なんだっただろうか。この八坂和真一生の不覚!ロリの名前を忘れるとは!最も、教えられていなければ知る事もできないが。

「えーとだな...雪合戦ねェ...」

そんな期待を込めた眼差しで見るな、少女達!

だがしかし。

男なら誰かの為に強くならなければならない。見てるだけでは始まらず、これが正しいと言える勇気があれば、それだけで英雄なのである!

我ながら何を言っているのかさっぱりだが、要はアレだ。

光は絆であり、どれだけ蔑まれようが幼女が居るかぎり、その魂は受け継がれ、再び輝くのだ!

(なんか地の文、俺の事ロリコン扱いしてねえか?)

微妙に地の文に不快感を覚えたが、まあ作者を後で殴れば万事解決になるだろう。

とりあえず少女達を泣かせるのは男として最低であるし、雪合戦くらいはしてあげるべきだろう。

「よし、俺もやってやろうじゃねえか!」

早速雪玉を作成し、投擲する。

1対複数の状況だが、面白い。

1週間ぶりに、和真は雪合戦へと身を投じた。

 

しかし雪合戦をする以上、雪合戦がまっすぐ飛んで行くわけなどあるはずがない。

ふっ、と青髪ロリ(名前はチルノというらしい)が投げた雪玉は、勢い余って別の方向へと飛んで行った。

(あ、アレ丞一か?なら良いか、アイツなら確定回避やしな)

外れた雪玉を呑気に見送る和真。

当然ながら丞一は回避し、こちらを向く。

「ジョジョ!よくアタイの雪玉をよけたな!」

「さすがなのだー」

「おう、丞一。お前もやるか?雪合戦」

「和真。お前まだ懲りてないのか?雪合戦なんかやってみろ、死人が出るぞ?」

それに関しては丞一と早苗のタッグが異常なだけであろう。

「それはお前らだけだからな!...ったく」

この異常な丞一と早苗のコンビ、先日の雪合戦にて、謎のドライバーなどを持ち出して『雪玉アームズ』なるものを創り出した挙句、ボドボドにしやがったキチガイにストロンガーな奴らなのである。

まあそれでも霊夢にムッコロされない辺り、信用があるだろう。

丞一と会った所で、雪合戦は終わりにする。

このままではロリコンのレッテルを貼られてしまうッッ!

(既に貼られてんだよバーカ)

一瞬何処からか約29人分の声が和真の心を抉ったが、なんとか意識を保つ。

丞一に誘われ、和真は一路、早苗が担当しているという守矢神社へと向かうことになった。

道中、ふと和真は思い出したようにつぶやいた。

「それにしても、この世界は平和なんだな。キチガイがこんなにいるのに」

「どういう意味だ!?ま、平和だからこそマイペースにやっていけるんだろうがな」

たしかに此処は平和だ。雪は降っているが、それも季節感だろう。

だからこそ、和真は悩む。

「まだ悩んでるのか?自分がここに来た理由とかなんとか」

「...ああ」

平穏な世界に居る自分は、何をすべきなのか。何の為にいるのか。

数日前に丞一達から色々と教えてもらったが、更に謎が深まってしまった。

簡単に言うとすればだ。

和真は自ら望んで此処に来たわけではない。恐らくバイクとてそのはずだ。

どうやら此処に来るのには四つの方法があるらしく、和真はそのどれにも当てはまらないのだという。

・1つ目は、早苗がそうだったらしいのだが、自ら此処に入るというやり方。これは違う。

・2つ目。これは丞一がそうだったらしいが、紫という女性に連れて来てもらうという方法なのだとか。これも絶対違う。

・3つ目は博麗神社に存在するという結界、これが綻び、そこから入ってくるという方法。完璧に違う。

・4つ目は、『幻想郷』側から召喚するという手。明らかに違う。

 

この全てに和真は該当しない。和真は望んで此処に来たのでもなければ、誰かに連れて来られたわけでもなく、偶然に導かれて来たのでもないし、この世界の側から召喚されたなんてあり得るわけがない。

しかしこの世界に来たのであれば、何かしら成すべきことがあるはずなのだ。

救世主ですらなく、勇者など程遠い。

そんな和真に、今度は何を求めるというのか。既に身体はジョーカーアンデッドに近しい存在になっているに違いない。

絶対にそうだ。自分で分かる。アンデッドであるということが。

そのような存在に何を求める?

何を望む?

悩む和真に丞一は明るく言う。

「気長に待てよな。こんな時にこそ異変ってのが鉄板だが、まさかねー」

「異変?」

初めて聞く単語に、首をかしげる。

それから手短に異変とやらについて説明してもらったわけだ。

「なるほど。大体わかった。」

「そんな訳だ。気長に雪明けを待とうぜ」

「雪明け?冬明けじゃあねェのか?」

「何言ってんだよ?今、五月だぜ?」

「.....は?」

理解が不能なのだが。

そもそも五月に雪など、おかしすぎるだろう。

異常気象以外の何者でもない。

異常気象?異常、異変、異常気象?

まさかとは思うが。

「丞一!よくよく思えばこれ、異変なんだぜ」

「ああ...たしかに」

突然現れたのは出会った時と同じフル装備姿の魔理沙である。

空が飛べるとはいえ、アンデッドを驚かすのは良くないと思う。

そのうちジョーカーの力が解放されて、世界が滅ぶのも遠くないかもしれないではないか。

というのを置いておいて。つまりまとめるとだ。

今のこの雪は異変ということになる...ようだ。

解決するのだろうが、和真も駆り出されることになるのだろうか。

先が少しばかり思いやられる。

 

 

 

 

 

 

 

 




てなわけでコラボ2話目ですね。
これからも頑張るぜ!ウェイ!
....あと、ロリコンとかペドフェリアってのが、メンタル的にこたえますな。
俺はロリコンじゃねぇ!...とは言い切れないのがリアルでして。
今日も世界は青いな(現実逃避)



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問題児達が異変解決に行くそうですよ?

遂に異変解決に突入した和真達。
しかし目的地で待っていたものとは....?
八坂和真久々の変身!
さあ実験を始めようか!


始まり方がそろそろ思いつかなくなってきそうで、尚且つ説明が面倒くさいというのが、今の心境である。

一言でいうなら、異変とやらを解決することになったのだ。

その準備をすると言って、丞一は守矢神社へと上がりこんで行った。どうやら色々と必要らしいが、一体何を準備してくるか分かったものではない。フォークとかは見慣れたものだが。

まぁ武装云々に関しては知ったことではないが、未だに降り続く雪をどうにかせなあかんというのが和真の思う所である。

そして当の和真であるが、守矢神社には入っておらず、博麗神社に戻るという選択肢を選んでいた。

(ううぁ...クッソ寒いな!ったく...これだからなァ)

これだから何なのだ、という話だがそんなものはどうでも良い。

一度こちらも神社に戻って、異変解決云々の話を博麗の巫女サマにせねばなるまいと思う所存だからだ。

歩きつつ、雪が降り続く空を見上げる。

世界を巡り続けてきたが、この雪が初めてであった。

吹雪く白雪、初雪は深雪の如く、叢雲より降りしきる...と。

磯波がないのは勘弁してほしい。なんせ此処は海がないのだ。

浦波・敷波・綾波は当然ながら存在しない。

(吹雪型か...)

ふと気付くと、和真は博麗神社の階段の前にたどり着いていた。

考え事をしていると、どうやら時間は早く進んでしまうらしい。

取り敢えずはこの階段を登るとするか。

 

戦いから時間が空き過ぎていたのだろうか。

階段登るので息切れとか、マジ勘弁である。

一応の所集合時間は決められているので、遅れるわけにもいかない。

神社へと戻り、博麗霊夢へと声を掛ける。

「あー霊夢?なんか異変ナントカって言われたんで、呼びに行こうと思ったけどやっぱり良いや準備してやがるぞこの巫女さん!」

和真が来た意味である。

「で、行くの?」

「あ、ああ。俺は戦わなきゃいけねえからな。むしろ戦うのが目的と言いますかね...」

若干言い淀む和真だが、もしやと思い問いかける。

「アレ、ひょっとして異変のこと知ってたりしますかね?」

「知ってるも何も、解決してるの基本私よ。というか今回のも私がやるのよねぇ...ハァ...」

仕事に疲れたOLのような溜息をつかれても困る。

まあ年増など微塵も興味はないし、むしろBBAと煽る格好の対象だと和真の中でなっているが、勿論死地に自ら足を突っ込むような馬鹿な真似はしない。

この幻想郷で合法ロリが何人いるか分かったものではない。

(ま、俺みたいな真人間がンなことするわけねえんだがな)

「じゃあ行くわよ保坂」

「誰が保坂だ?!八坂って言ったろうが!」

「あら、そうだっけ?」

「忘れるなよ霊夢。保坂と八坂って似てるからかね、どこかの性犯罪者と間違えられて逮捕されかけたことがあんだよ!ったく...」

「そう...なの?」

「そうなの!」

いい加減異変解決の前に、精神的ストレスでジョーカーになって世界壊しそうで怖いものである。

『「いい加減名前覚えてくれよな」』

「今別の声しなかった?」

「気のせいじゃね?」

恐らく作者の心からの叫びが、博麗神社まで届いたのだろう。

博麗神社の中心でココロから叫ぶバカ、というヤツか。

いやはや世界は不思議で充ち満ちているが、何は兎も角集合せねばなるまい。

霊夢と和真は、集合場所へと向かった。

 

霊夢と和真が向かうと、既に丞一と魔理沙が来ていた。

もう1人は銀髪に白と紺色のメイド服を着た少女...外見などから鑑みるに霊夢達よりも明らかに歳は上に見えるが。

名は十六夜咲夜らしい。霊夢によれば、洋館で吸血鬼の少女達のメイドをしているとか。

いつかは見に行ってみたいものである。少女達ではなく洋館の方を、ですよ?いやあのですね、決してロリコンというわけでは。

「何だ、和真も連れてくのか?」

「ほら、働かざる者食うべからずってね言うじゃない?」

先程と完璧に違う事を口走る霊夢。

だがしかし、確かに丞一の疑問も最もであろう。

ここに来て戦闘の一つもしたことがないのに、そんな奴を異変解決に

連れて行こうとしているのだから。

けれど。

「俺は運命と戦う。だから頼む、連れてってくれ。他でもない、俺の為に」

「和真、男の仕事の8割は決断だ。あとはオマケみたいなもんだ。お前が決めた事だ、何も言わねーよ」

否定されると思いきや、そうでもなく、僅かに安堵する。

「父さんの受け売りじゃない」

「何故知ってるんです(ナズィミテルンディス)!?」

「バカやってないで、早く行くわよ。こたつを取り戻しにッ!」

「ぜってー目的間違ってる!すり替わってる!」

やはり霊夢は何かズレた巫女なのだろう。

改めてそれを認識しつつ、和真を含めた異変解決メンバーは出発した。

 

 

...出発したのは良いのだが、移動方法がそもそも何故空を飛ばねばならないのだろう。

どうせ地面が凸凹すぎてロクでもない道だから、歩くよりも空を飛んだ方が早いという判断に至ったのかもしれない。

それともバスも車も無い、というのではないだろうな?

しかしふと、和真の頭の中に疑問が湧いた。

どうやら丞一と十六夜咲夜も疑問が湧いたらしい。

「一つ良いかしら、霊夢」

「奇遇だな俺もだ」

「同じく」

「何よ、下から答えて行くわ。はい和真」

「んじゃ聞かせてもらうけどよォ...今どこ飛んでんの?」

「「そこ?!」」

丞一と十六夜咲夜からツッコミが入るが、当然のことを聞いたまでである。和真はここにきてひと月とて経ってはいない。

全てを把握している訳では到底ないし、ましてや空を飛ぶとなれば気にするのは当然であろう。

なんせ幾ら飛んでも山しかないのだ。白い雪山が続いて行くばかり。

変わることの無い景色が続き過ぎて、流石に不安を抱く。

こたつの為に征く巫女をメンバーに加えた時点で、それなりに不安ではあったが....

「ゑ?違うの?!」

「じゃあ次は丞一と咲夜ね。2人いっぺんに頼むわ。どうせ同じなんだろうし」

「「犯人に目星はあるのか(んでしょうね)?」」

丞一と十六夜咲夜の質問は、確かにごもっともだ。

異変はそもそもの犯人が分からなければ解決のしようがない。

これまでどうやって解決したかは知らないが、流石に犯人特定しないで冤罪にしたわけでもあるまい。

「当たり前でしょう。私をなんだと思ってるの?」

「ケチ巫女」

「楽園の素敵な取り立て屋」

「まともなのがないな?!」

しかし己に不都合なのは自動的に聞こえないシステムになっているのか、霊夢は勝手に名探偵のように話し出した。

「いい?要は雪が降って喜ぶ奴が犯人なわけでしょ?」

「そりゃあ、そうだよね」

「じゃあ雪が降ったらどうなる?寒くなるでしょ?そこがみそよ」

「うん。で?」

「つまり、寒いのを好む奴ら。そんなの幻想郷でも限られてるわ。そんな物好き、幻想郷でも少ないもの。例えばチルノなんかはそうよね。あとは冬に湧く妖怪なんか、ね?」

貧乏巫女の戯言を何となく聞き流していると、どうやら目的地についたようである。

さあ、降りるとしようか。

 

 

「というわけで。貴女“を”犯人よ!レティ・ホワイトロック!」

「どういう意味で⁉︎それと誤字についてもツッコませて貰っていいかしら⁉︎」

霊夢に連れられて来た所にいたのは、白い少女だった。

ひと言で言うなら、雪を擬人化させたという風に感じた。

雪の中に在っても薄れることはなく、その白い少女は和真にとっては

圧倒的に存在感を感じさせた。

「レティ、何でお前が....」

「丞一まで?!私が1番怪しいというのは分かるわ、でも証拠が無いじゃない!」

「その言葉が証拠みたいなもんよ」

結局どこまでも無計画に無鉄砲な奴なのか、博麗の巫女というのは。

正直勘弁願いたい。これ以上無茶苦茶やらないでほしいものだ。

しかしドヤ顏で霊夢は続ける。

「犯人は大体そう言うのよ。『証拠を出してみろ』とか『大した推理だ。まるで推理小説だな』とか『犯人と同じ部屋なんかに居られるか!俺は自分の部屋に帰らせてもらう!』とか。ねえ、和真?』

「何が『ねえ、和真?』だ!俺に振るな。ていうか俺がいつフラグ建築士になった!?それと最後のとこツッコませて貰っていいか?このままじゃあ俺が犯罪者みたいじゃねえか!」

必死の答弁も軽くスルーされた。

自分は犯罪者ではないのだが。(前科殺人など)

「もういいわ。ヨクゾキタナユーシャヨ(棒読み)」

霊夢の言葉に疲れたのか、言葉が棒読みになっているレティ・ホワイトロック。魔理沙は腹を抱えて笑っているが、今は目の前の事をなんとかせねばならん。

「貴様が中ボスか」

「いや中ボスじゃねェよ!?」

「よく見破ったな私が中ボスダー(棒読み)」

「誰が戦う?」

「切り替え早いんだぜ」

「私ついて行く自信無くなってきたわ」

そりゃあそうだろう。霊夢の奴が暴走しすぎなのだ。加えて何気にレティもノリが良い。メイドさんにはキツイ仕事か。

「誰が戦うって...そりゃあ和真しかいないでしょ」

「ゑ?俺?」

「それもそうだな。私も和真がどんな戦い方をするのか気になるしな」

「そもそも、戦えるかどうかハッキリするし、良いんじゃないかしら?」

「えっ?ちょっ、あの!」

「ハイ満場一致、いってらー」

「ヒドっ!?」

皆で和真を前に突き出した。

自己犠牲の欠片も感じられない、酷いやり方である。

もう少しオブラート(?)という物を知るべきであろう。この世界の住人は。

「....貴方も大変ね」

「幻想郷にまともな人間がいるとはね」

意外にもレティ・ホワイトロックはまともな部類であるらしい。

感動のあまり拳を床に叩きつけて喜びたいレベルだ。

そしてこのヒトならば、話し合いで解決でk

「まあ戦うんだけどね」

一瞬で砕かれる幻想。幻想郷では人の夢とは、儚くも散ってゆくものなのか。

ならば仕方ない!

「ああもういいよ!やってやろうじゃねえか!」

取り出したのはブレイバックル。♠️のAのカードを差し込み、そのブレイバックルを装着する。

右手の掌を上にし、ゆっくりとそれを左斜め上に持って行く。

「変身!」

『Turn Up』

そして素早く裏返し、同時にブレイバックルを操作する。

カードが見える方が反転し、♠️のマークが描かれた方が表を向く。

蒼い光のカードが体を通過すると、和真の身体は蒼銀のアーマーを纏った姿へと変貌していた。

これこそが和真の本来の戦闘スタイル。仮面ライダーブレイド。

久方振りの変身に、懐かしさを覚える。

ブレイラウザーを抜き放つ和真に対し、レティ・ホワイトロックも戦闘モードに移行する。

「「遠慮なしで使わせてもらう(わ)!」」

「冬符『フラワーウィザラウェイ』!」

レティは自らが放ったスペルカード(というらしい)により、飛翔する。雪空を舞う彼女だが、彼女含めてここに居る奴らは知らない。

和真とて空を飛べるという事を。

『アブソーブクイーン・フュージョンジャック』

アーマーが変化し、オリハルコンウィングが展開されて、ジャックフォームへと変わる。

「そんなのありっ?!」

驚愕と好奇の入り混じった瞳でジャックフォームをみるレティだが、彼女は知らないのだ。

和真はヒトではないということを。

しかし手を緩めることなく、レティはレーザーと弾幕を駆使して和真を襲う。そりゃあ当然だ。戦いの場において、先制攻撃は悪とはならない。勝てば良し。結果のみが全てである。

(クソ...負けるわけにはいかねえ!)

飛来するレーザーと弾幕の嵐を、和真は危なげながらも回避して行く。

「くっ!白符『アデュレイションレイ』!」

新たに展開されるスペルカードを視界の端で捉えながら、和真はラウズカードを取り出し、ブレイラウザーで読み込ませた。

『スラッシュ』『サンダー』『ライトニングスラッシュ』

ゆっくりと刀身が雷を纏い始める。

レーザーを回避しつつ急上昇し、素早く身を翻して急降下、加速しながら、ブレイラウザーを振り下ろす。

「ハァァァァァァァ!」

「くっ!キャァァァ!」

雷を纏った刃が直撃すると同時、何故か爆発エフェクトが起こった。

これまでの世界ではなかった分、意外である。

そしてレティは器用なことに空中で倒れており、全くよく分からない。

何はともあれ、初戦闘で初勝利である。

丞一や十六夜咲夜が和真の姿を見つつ、何かを呟いていたが、敢えて何も聞かないでおくとしよう。

それが得策なのかもしれないと思った。




なんでしょうな、この感じ。
コンチクショウなんで俺が、性犯罪者扱いされなきゃいけないんだ!
と言うのは置いておいて。えーとね、話題変わりますが。
平成ジェネレーションズに期待してます。
フォーゼとオーズに出番よこせ!
っていうのもありますが、最後に一つ。
俺、ロリコンなんですかね?
ものすごい疑問なんですけど。


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迷いの家

レティ・ホワイトロックは犯人ではなかった。
ならば誰が犯人なのか。
一行は『マヨイガ』と呼ばれる館に歩みを進める。
そこで待ち受けるものはなんなのか。




あの後、仮面ライダーブレイドの『ライトニングスラッシュ』による会心の一撃!をくらったレティの手当てをしていたのだが...

「え?犯人じゃないの?!」

「じゃないに決まってんでしょうが!」

半ば無理矢理犯人に仕立て上げられた感はあったものの、どうやらレティは犯人ではなかったようだ。

まあそれもそうである。冬だからだの雪だからだの、で犯人扱いされては堪ったものではない。

和真は何気に共感できる。冤罪で留置場に叩き込まれたり、偶然小学校の前を歩いただけで手錠かけられたりしたことがあるのだ。

まあその時は警官殴りとばして事なきを得たけれど。

にしてもやっぱり博麗の巫女は当てにならないのではなかろうか。

 

 

「さて、振り出しに戻ったわけだけど」

「はてさて、どうしたもんかな」

丞一と十六夜咲夜が考え込んでいた。霊夢が大して当てにならないと分かったからだろう。いや、もう彼らにはそれは理解できている気がしなくもない。

和真とてそうだ。

と、霊夢が口を開いた。

「行き先は決まってるわ」

随分と自信ありげに言うが、皆が皆同じ事を思う。またか、と。

どうせロクでもないことをいうのだろう。

「マヨイガよ」

「「マヨイガ?」」

「あ、聞いたことあるぜ。妖怪の山のどこかにあって、そこから何でもいいから持ち帰ると幸運が上がるとか」

魔理沙の説明に、丞一と十六夜咲夜が頷く。

和真には皆目分からない。それも当然ではあるが、どうにも『マヨイガ』という単語から連想できるのがピンク色のリュックを背負った蝸牛の怪異の幼女なんだが。

「付け加えるなら、紫の仮住まいという噂もあるわ」

「え、紫さんの?」

微妙に記憶に残っている気がしなくもない。幻想郷の説明の際に出てきたような気が....全然しなかった。やっぱり気のせいだった。

聞いておくに越したことはなかろう。

「紫?誰だ、そいつ」

「八雲紫。幻想郷最古参の妖怪の1人であり、最強の妖怪の1人であり、賢者とも称えられる妖怪の1人よ。幻想郷も彼女が考案し、博麗大結界を提案したのよ」

(うっわ〜...BBAってコトかよ)

全然まよいマイマイ関係なかった。蝸牛の怪異の幼女は居ないのか。

嗚呼、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を(以下略)

「つまり霊夢はマヨイガに行って、紫を探そうってわけか」

「あわよくば前例があったかとか聞ければ幸いね。なんなら連れてってもら....おう、かし、ら」

後半になるにつれて小さくなっていく、霊夢の声。

丞一や十六夜咲夜、魔理沙は考え込むように唸る。

何かあったのだろうか。

遺書でも書き忘れたとか。いやそんなわけない、と思う。

じゃあアニメの録画か。

なぁにやっているんだ、この人達は。と思っていると刹那、叫び声が響き渡った。

『あんのスキマババアがァァァァァァァ!』

これほどまでにないくらい、全力で叫んでいた。

理由はまあ紫という人物のことだろう。

「あいつ遂にやりやがったな」

「ええ、冬になったら見かけないのはいつもの事だけど。こんな季節になっても起きてこないのが気にはなっていたのよ」

「働きたくないが為に?」

「やりかねないな」

和真を除く4人が立て続けに紫を批判していた。

まあ会ったことはないし、和真は分からないのだが。

マヨイガに行くというのなら、一応聞いておいた方が良い事がある。

「あの、さ。その紫(BBA)とやらが、マヨイガにいなかったらどうすんだ?」

あくまで噂なのだ。いない場合は空振りにしかならないと思う。

「いや、収穫くらいあるだろう」

丞一が続けた。

「さっきの話で思い出したんだが、マヨイガは猫達の集会所になっているはずだ。そして妖怪の山っつーか、幻想郷の猫の頭といえば『橙』だ」

「つまり何か知ってるかも、と」

「ザッツライト」

猫、ときたか。どこかに「なんでもは知らないわ。知ってる事だけ」って言ったり、知識を売って戦闘機チャーターしたり、南極からアロハシャツのオッサン連れ帰ってきたりするヤツはいるかもしれない。

あとは途中で虎になったり。

「ていうわけだから、ひとっ飛び付き合いなさない!」

「霊夢ちょっといいか?」

フルスロットルでロケットステイツ装着して、インフィニティードラゴンゴールド並みに飛び立ちそうな霊夢を、魔理沙が制止した。

「マヨイガって字面だとカタカナだけど、漢字で書くと確か」

「『迷い家』。迷う家と書くわ」

「ていうことは、普通に見つからないから『迷い家』っていうんじゃないのか?」

「.......」

「.......」

「....そうかそうか、ならそうなんでしょうね。あなたの中では」

「無理だわアホ」

結局また振り出しに戻ったようだ。

「なら降りて迷えば良いのよ!」

その時不思議な事が起きた。

ように感じられた。

地の文と皆の言葉が重なったのだ!

 

 

.........何を言っているんだ、こいつは。

 

 

一応まあその提案をのんで、下に降りた訳だが。

「迷ったわ!」

「迷ったな」

「迷っちまったな」

「迷ったわね」

「いや迷うなよ!」

自分はツッコミ担当ではないと思うのだが、ついツッコミを入れてしまった。不覚。

ツッコミいれようといれまいと、事態は変わらない。

みんなで楽しく遭難中である。

「どうするんだぜ?」

「魔理沙出番よ!」

「いやいや、いくら魔法使いでもこんな窮地を脱するマジックアイテムは...」

「お宝センサー全開よ!」

「ねえよ!」

「今こそ覚醒の時よ魔理沙!普段使われそうにない時こそ、ドロ設定を使いなさない!」

「ないもんはねえ!いくら霊夢でも、魔理沙ちゃん怒るぞ!丞一、咲夜お前らからもなんか言ってやってくれ!」

「でもあながち間違ってねーだろ」

「それならパチュリー様の本を返してから言いなさい。あと盗みに来るのもやめなさい」

「おい!誤解を招くような言い方はやめてほしいんだぜ!私はただ死ぬまで借りてるだけなんだぜ!」

「魔理沙、自首するなら今のうちだぞ?」

「お前にだけは言われたくないんだぜ」

全く、いつ自分が犯罪を犯したというのか。

自首しなければならないようなことはした覚えはない。

アレは寺子屋の前を偶然通り掛かっただけではないか。

蝸牛の迷子とか、金髪のロリ吸血鬼とか、四糸乃とか、ラストオーダーとか探して何が悪いのだッ!

ベクトル操作する知人とかバスケ部コーチとかに、画像くらい送ってやりたいものだ。

きっと喜ぶに違いない。

そういえば、慧心学園初等部は中々に素晴らしいものであった。

バスケはよく分からないが、素晴らしかった。

アクセラレータとか拳を叩きつけていたし、まあそれはラストオーダーが練習に参加していたのもあるだろうけれど。

 

その後、魔理沙を先頭に歩き続けて十数分。

何故かそのマヨイガとやらを見つけることが出来た。

家というか、館に近い姿をしている。

「何でだぜ?!」

「流石お宝センサーね」

「やめてくれそんな呼び名!」

「もう盗っ人から怪盗に変えるか?」

「どっちもお断りだぜ!」

「Marisa the third♪」

「霊夢戻ってこい!お前がそっち側いくと手に負えない!」

魔理沙があまりに哀れに思えたのか、皆で館に入ることにした。

入る事にした...というより、丞一と霊夢が蹴り開けた。

「紫!いるんなら出てきなさい!」

「紫さーん、藍さーん、橙ー!いるかねー?」

割と温厚に話しかけていたが、全員が中に入った瞬間に、扉が閉められた。外から鍵もかけられている。

「ちょ?!鍵閉められたァ?!」

「チッ、和真そこどけ!『ダークワン』!」

「『ルナ・ダイヤル』!」

丞一と十六夜咲夜が叫ぶと同時、和真の顔面スレスレを『何か』が通り過ぎ、扉を直撃した。

その後も『何か』は扉を乱打していくが、傷1つ付いていない。

カタチが無いようで、そこには存在している。

心象を現したモノなのかもしれない。

なんて思っていると、

「ちょっ、危なぁ?!」

「む!こいつこれだけ殴ったのに、結構堅いやつね」

「こいつァ、紫さんの四重結界か。だったら...」

「『ルナ・ダイヤル』」

「『ダークワン』」

「「『ザ・ワールド』!!」」

刹那、全ての時が静止した。

世界の時間そのものが止まったのである。

(あったな、この感じ。ルルイエに行った時かな?)

和真は静止した...フリをした。

親から受け継いだ体質が、こんな所で仇になるとは思わなかった。

「かったるいことは嫌いなんで」

「この静止した世界の中で」

『ぶち壊させてもらいますよ!』

 

「っ!!バカな?!」

「私達の超キョウリョクラッシュでも.....」

『ビクともしないなんてっ?!』

驚愕の表情を浮かべるギャラリー&丞一と十六夜咲夜。

「え?ちょっ、え?!」

止まっていなかったとは言え、何が起こったのかはよく分からない。

何かがドアを連打し続けていたというのは理解できたが、ラッシュっていうと殴っていることになる。

何も殴っていない気がするのだが。

それはともかく、収穫がないのではどうしようもない。

帰ろうかと提案しかけた時、猫の鳴き声のようなのが聞こえた。

ニャン、と。

(猫がいるのか?集会所だのなんだのって言ってたけど)

全員が音の聞こえた方を向くと、2つの猫のしっぽが見えた。

ブラック羽川でも1つだったはずだが。

「あ、藍さんだ」

「藍しゃま!......あ」

凄い速さで、そいつは出てきた。猫耳とか尻尾とかついてる、所謂猫耳娘という奴だ。

「.....」

「.....」

一拍おいて、その猫耳少女は喋り出した。

「よ、よくじょ、ここを見つけたにゃ!えっと、お前たちはマヨイガからは、あ、間違った。ここから脱出しゅることは、かか、かなわにゃいのにゃ!」

猫だからといっても、相当噛んでいた。

カンペも持っているのにもかかわらず。

将来苦労するかもしれん。

んで、皆がどうしたかというと。

「霊符『夢想ぉ」

「恋符『マスタぁ」

『Joker!』

「俺....変し」

「ストップだにゃぁぁぁぁぁ!待って欲しいのにゃ!」

「「「チッ!」」」

これだから脳筋バカどもはいかんのだ。

もうすこし和真を見習うべきだろう。

この冷静沈着かつ釈迦の如き1ミリの汚れも無い高潔な魂を。

なんて若干偉ぶっていると、尋問チックなのが始まっていた。

尋問じゃないと思うけれど。

「おい、橙。紫を出しな」

「.....えっと、どうするつもりで?」

「犯人かどうかを聞く。殴るのはそれからだ」

「ゆ、紫しゃまは犯人じゃないのにゃ!」

「.....何故そう言える?」

「紫しゃまの冬眠を長引かせるためにやったんじゃないかという疑いをかけられるのは、藍しゃまが計算していたのにゃ。でも、それはあり得ないのにゃ。何故なら、それすらもめんどくさくてはやらない人だからにゃ」

「「「「た、確かに」」」」

「どちらにしろ、酷い理由だな?!」

恐らく部下であろう猫耳少女に諦めかけられている気がするが、それで良いのか?

一応妖怪であろうに。あ、ババァなのか?

「......で、この結界はなんの真似だ?」

「.....最近紫しゃまが脱出ゲームにハマってまして」

「おい!スキマBBA出てきやがれ!!やっぱぶん殴るッ!」

「落ち着けぇ!」

暴れる丞一を羽交い締めにし、なんとか抑える。

殺気がダダ漏れになっているせいで、これでは敵に見つかることを請け合いだ。

「そ、それでにゃ。この屋敷にいる猫の尻尾に結界を破錠させるお札を巻いているにゃ。その猫を探してお札を取るにゃ」

「...確かにな。結界を破壊できない以上、なんとかするしかねーな。てか取れてるとかねえよな?」

「それは大丈夫なのにゃ。そうなんないように、きつく縛ってあるのにゃ。そりじゃあ、ゲームを始めるわけだけどにゃ、ある言葉を聞くよう伝言を預かってるにゃ」

「「俺の(私の)魂を賭けよう!」」

「「盟約に誓って(アッシェンテ)!」」

丞一と十六夜咲夜がよく分からない言葉を言うと、橙が録音を再生させた。

『グッド!Open The Game!ゲームを始めよう』

「何これ?」

周りと違い、和真は普通に疑問を返していた。

普通そうじゃないのか。

そんな彼と違い、丞一達はさっそく取り掛かっていた。

「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

「で、具体的にどう探すの?」

「なあ、お札って尻尾にきつく結びつけてあんだろ?だったらその猫、暴れているんじゃあないか?」

結局お札を付けた猫は丞一達によって無事発見され、ゲームとやらは速攻でクリアされたらしい。

なら次のステージに進むまでである。




なんかすげえ久しぶりに書いた気がしますね。
あと和真くんロリコンぽくなってないですか?
気の所為だと思うんですけどね。
あと平成ジェネレーションズとガルパン最終章第1話みました。
平成ジェネレーションズは財団Xの出番ほとんどなくねえか、アレ。
スマートブレインとかの方がマシじゃねえか。
ガルパンは新キャラ出てきやがったな。
てか桃さん序盤からひでえ扱いやん。
てなわけでぼちぼち書けていけたらな、と思っております!


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白玉楼

あれから一行がどこへ向かったかというと。

名前は(恐らく)さっぱり聞いたことがないのだが、白玉楼というところに向かうことになった。

なんだかんだで手前とおぼしき階段まで辿り着いたのはよかったが、その後が問題であった。

階段が長いったらありゃしないわけで、登れど登れど序盤からも頂上は見えず。

文句垂れつつも登ってもひたすらに階段しかない。

『終わらない歌』という歌を1980年代くらいの歌手のグループが歌っていた気がするが、今のこれは『終わらない階段』だ。

いつか終わるのだろうが、まあこんな所二度と来たくない。

サブカルくそ女共に脅されたって、高木さんにからかわれたって、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの写真やると言われたって二度とやらないと心に決めた。

(ま、どーせそういう時ってフラグの可能性あったりなかったり)

和真の心中など正直あまり物語上関係ないので、物語を続けよう。

その後銀髪の少女剣士が出てきたので丞一達が戦闘になりかけたが、十六夜咲夜が相手をすることになり、和真を含めた4人は更に先へと進んでいく。

(銀髪繋がり...なのか?まあメイドって基本強いだろうけど、若干心配ではあるな)

あのメイドも相応の手練れのはずだが、少女剣士の方もかなり強そうだった。このご時世、メイドのドラゴンがいるという噂も巷では広まっている。なんでも小林という女性会社員の家に居候兼メイドとして居るらしい。

ぶっちゃけ和真の心境など実際どうでも良い事であり、今は頂上に到達する事を優先させる事にした。

 

 

どれくらい登ったのだろう。

かれこれ数分かもしれないし、数十分、あるいは何時間の可能性もある。とはいえなんとか4人は辿り着いた。

和真的には、およそ頂上と呼ぶには微妙な感じがしたが。

(なんかすっげー御屋敷なんだが!?そこらの武家屋敷以上じゃねえのか?)

入るのを躊躇っていると、丞一達があっさり入ろうとしていた。

「いやいやこれ、明らかにお金持ちの家だろ!喧嘩売ったら不味い感じがプンプンしてるぜ!」

「いやでも、当てがこれくらいしかないというかな...」

「可能性があるのが彼女なわけだものね」

「西行寺幽々子...ここに住んでるお嬢様だぜ」

「お嬢様ァ?!」

庶民サンプルでもないのに、お嬢様という言葉を耳にするとは思わなかった。正直余計入りづらくなる。

「「「じゃあお先に」」」

「えっ?!ちょっ...」

と言って...和真の背中を押す3人。「お先に」の意味が違う気がするし、これでは「お先にどうぞ」ではないか。

(お先に失礼します。じゃないのかよォォォォォ!)

抵抗虚しく...というかどうしようもなく、和真は白玉楼へと突っ込むことになった。

他人を犠牲にするのが得意なのかこのメンバーは。というか、もうちょっとヒトの心を持つべきではなかろうか。

いざ入ってみるとこの白玉楼とやらもそんなに悪いところではないようで、平安時代の貴族の屋敷の感じが漂う。

お嬢様というのは嘘ではないのだろう。

池があるあたり風情というのか、そんなものが感じさせる。

最もご本人は...探すまでもないようだが。

「この人か?えーと、あの、西行寺幽々子さんってのは」

「彼女が犯人でいいでしょもう」

「霊夢流石にテキトーすぎだろそれ」

「多分彼女が犯人だとは思うのよ、私は」

「だからって決めつけは良くないだろ」

若干言い争い気味になる霊夢と丞一。

「で、どうなんですかね?この雪とのご関係は?」

「好きな人と一緒にいる時の雪って、特別な気分になれて私は好きだけれど?」

「んなこと話しにきてねえんだよ!いい加減イライラがフルスロットルなんだっつーの!なんだよあの階段!クソみてえに多いじゃねえか!1000くらいなかったか?!」

「それはまあ、そういうものですし」

「アレはアレか、年齢と共に増えますとかじゃねえだろうな!?つまりはえーと、あ」

「「「....」」」

凍りつく空気。これは喧嘩を売ってはいけない相手に喧嘩を売ってしまった時の感じだ。ということは、今の発言はマズイわけだ。

雪云々関係なく、これは『虐殺...始めるよ』ということか。

ポン、と肩に置かれる手。

『終わったなオマエ』という目で見るな、このひとでなし!

助けようとは思わないのか!

「少しはサポートって言葉は?」

「「「頑張れ」」」

「コンチクショウ!俺が悪いのは認めるけど、オマエら楽しみたいだけなんじゃねえのか!?」

「まあ...」

「それはね...」

「否定しないぜ」

「オイっ?!」

つまるところ、また戦闘は和真が請け負うことになったということ。

正直戦闘はしたくないのが現状だ。戦えないのではなく、戦ってはいけない。合計変身回数は覚えていないが、キングフォームの多用は和真の身体に明らかに悪影響も及ぼしている事は間違いない。

(だけどま、やるしかないですな)

溜息と共にブレイバックルを取り出して装着。

既に幽々子さんはブチ切れて和真に弾幕を撃ち放ってきている。

ホワイトロックの時のあれを、更に過激にした感じである。

「変身!」

『Turn Up』

目の前に現れた青い光のカードを潜り抜け、同時にブレイラウザーで弾幕を斬っていく。

「はああああああッ!」

ゲートオブバビロンを思わせる弾幕。おまけに属性が不明なため、触れることはできない。

触れたら死んでしまう系統の攻撃だったら、下手に殴ろうとしなくて良かった。

僅かなタイミングを見計らって、ジャックフォームへ変わって空中を舞う。再び弾幕を斬っていく。

「ん?気の所為かな...桜の花びらが舞ったような...」

今月が何月かは忘れたが、雪が舞っていたりする中で桜が咲くはずはない。異変だとしても桜吹雪などあるはずがない。

地面に降り立ち、フォームをジャックからキングに。

『エボリューションキング』

膝をつく。かなり負担が来ているのだ。元はと言えば自ら墓穴を掘ってしまったようなものであるが、彼らとて和真1人に戦闘をやらせるか普通。別に構いやしないが。

口の中に血の味が広がるのを感じながら、和真は立ち上がった。

「こいつァ...やべーかもな。クソが」

あとかなりキレ気味の幽々子さんが怖い。弾幕よりも本人が。

女に年齢のことを言ったりしてはいけません。みんな、これテストに出るからメモしておくように。

『♠︎10,J,Q,K,A』

『ロイヤルストレートフラッシュ』

(正直これで人間の姿保てるかあやしいけど)

不安を掻き消すように、和真は現れた光り輝くカードに向かって黄金の重醒剣キングラウザーを振り下ろすと、光の奔流が彼女を呑み込んだ。

「はあ、はあ...っくそ、目の前に桜の木が見えるぜ。チクショウめ!」

キングラウザーを手放し、変身解除した和真。

しかしおかしい。人間としての理性が働かなくなって来ている。

(ジョー...カー...)

「ガァァァァァァァ!」

希望はない。

妖の如く朧げな桜が咲き、桜吹雪がゆっくりと舞い始める。

「なんだアレは...?」

「見たことないわ...あんな化け物」

そして白雪の上で、和真が変貌していく。漆黒のバケモノじみた身体へとその全体を変えていき、オリジンとは別のブレイドジョーカー、仮面ライダーブレイドを更に黒く禍々しくしたボディへとなった。

世界の崩壊はもう間もない。

ジョーカーにぶつけるのは...ジョーカーだ。

 




すいません、前の投稿から相当時間過ぎてますね。
諸事情がありましてごめんなさい。
クオリティも低下の一途を辿っている事でしょう。
まあ頑張ります。
あと...なんだっけ、まあいいか。
人生明るく行こうぜ!


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Re.ワールドウィッチーズ

アレは夢だったのか。
幻想郷など夢の中の出来事だったのか分からないままに、しかし彼は懐かしい世界に帰還する。
20世紀のネウロイ戦線を舞台に、再び仮面ライダーブレイドは空へ飛び立つ。


世界が壊れていった。

おぞましいバケモノに自身が変わり果て、ヒトとしての外観を保てなくなっていく。幻想の世界も彼の前には壊れる運命なのか。

異形と化した彼は拳を地面に振り下ろし、同時に凄まじい光が全てを包み込んだ。

 

「...は、夢...だったのか?」

八坂和真が目を覚ましたのはどこかのベッドの上だった。

雪の世界でもなければ、巫女や魔法使いなどいない。平安時代のような感じは全くなく、どうみても現代の部屋である。

でも確かに彼は彼女達の事は覚えている。

彼だけが見た夢の世界だったのか、それとも別の次元に存在する世界だったのか。本当のところは分からない。

「まあいっか...とりあえずここどこなのかすら不明だしなあ」

起き上がってみると、どうやら彼がいるのは今度はどこかの部屋らしい。少なくとも平安時代ではないことは確かだ。

幻想郷で彼が着ていたコートは影も形も無く、普通のシャツにズボンというスタイルだ。

着ていた服すら夢の中という事なのか。まあどうでも良いが。

リュックは床に置かれており、特にいじられてはいないようだ。

「さて...と」

まず衣装チェンジで上はミリタリージャケット、下は予備のジーンズをはく。これで割と変わるはず。

改めて部屋を見てみると、どこか見覚えがあるような。どこか懐かしいような。

「アレ...どこだっけ?どこかで見たことある部屋のような気が...」

朧げな既視感と共に彼は部屋の扉を開いた。

石造りの建物で、部屋がいくつもある。だいぶ前に彼は同じような建物を見た事がある気がした。

いま彼がいたのは医務室だったようだが、担当の医師はいないし、ひとまず黙って抜け出しても良いだろう。

(けどなんか見たことあるんだよなあ、この昔ながらの感じ)

思い出せない。単に記憶力が悪くなったのかもしれないが。

人は居ないし、今は使われてない建物である可能性もある。

しかしふと外を見ると、空に飛び立つ機影。

獣耳と尻尾が生えており、足にストライカーユニットを付けている。

「なんだ、ストライカーユニットあんだからウィッチーズの世界か」

先程からの建物の既視感はそういうことか。

流石に風香と吹雪も再び彼がこの世界にいるとは思いもしないだろう。

(ならミーナ中佐とか宮藤とか501メンツいるだろうし、挨拶しとかねえとなあ)

一度は顔を合わせているわけだし、こうして医務室に運んでもらったんだから礼のひとつくらい言っておかねばなるまい。

「中佐いるかなー」

歩みを進めていくと、彼は妙な感覚を覚えた。

確かに作りは非常によく似ているのだが、どうにも違う気がするのだ。ブリタニアの501基地とは何かが。

隊長室と思しき部屋まで来て、彼は重そうなドアを開けた。

「どうも、おひさ...し...ぶり?て誰?!」

「あら、目を覚ましたのね。基地の前で倒れていたから医務室に運んでもらったのだけど」

「え、いや貴女どちら様?なんか服的には階級高そうだけど...あー待って、見たことあるかも。劇場版で」

「劇場版??」

「なんでもない。あ、そうだ!ロザリー・エムリコート・ド・グリュンネさんだっけ?」

「え、まあ、そうだけれど。急に私の名前言ってどうしたの?」

「いや俺いまいち場所の把握が出来てなくてさ。ここってどこ?ガリア?カールスラント?ロマーニャ?」

「ガリアの506統合戦闘航空団のセダン基地ね。ガリア解放以降の防衛任務を主として行なっているわ」

「ガリアかぁ...」

中途半端に遠いところに飛ばされたものだ。

ブリタニアは海の向こう側ではないか。飛べばいい話ではあるが。

「今ストライクウィッチーズの基地ってどこにあります?ブリタニアから移ったりしたとか?」

「ロマーニャに移ったって話は聞いたわね」

「なるほど。ありがとうございます」

やはり2期か。

このロザリーって人は結構美人なのだが、確か506は貴族階級が集まったとかいう部隊だった気がする。今思うとよく声をかけたものだ。

あと告ってみようかなと思ってしまった。

でもどうせ無理だろう。貴族と凡人の差以前に、初対面で告るとか不審者の極みか。

ドアを開けて出ようとすると、警報が鳴り響いた。

「ネウロイ...みんなが出撃したタイミングを狙って?!」

「嘘だろォ...しゃーねえな」

焦るロザリーを尻目に彼は走り出した。

ブレイバックルを装着し、叫ぶ。

「変身!」

『Turn Up』

仮面ライダーブレイドに変身し、窓から飛び降りつつジャックフォームへ変わる。

上空のネウロイを視認。

「久しぶりだな。ネウロイとやり合うのも」

ブレイラウザーを抜き放ち、彼は翼を広げ、ネウロイへと加速していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かなりお久しぶり。
結局書かなくて色々あったりして、今回ようやく仮面ライダーブレイドのこの話最新話投稿になります。
なんだかんだで俺のワールドウィッチーズ熱が冷めなくて、またウィッチーズで書くことになってしまいましたね。
それはともかくあけおめ!
遅いけど。
つーわけで不定期だろうけどあげていくつもりです。
今年はヘブンズフィールとガルパン最終章2話ダナ。
小さーニャと公式コミックアンソロジーも買わねえとな。
ではでは!


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インヴィンシブル・ジャスティス(1945ver)

日が沈み始め、蒼かった空は橙色になっていく。

今は水平線に太陽が落ちるわずか手前といったところ。

2つの影が夕焼けに染まる空を舞う。

仮面ライダーブレイドこと八坂和真と黒と赤のネウロイ。

「クソ、思ったよりも速え...前よりパワーアップしてやがんな」

ブレイラウザーが空を切り、ネウロイが赤色のビームを放つ。

回避して体勢を立て直す和真。

ここにきて仮面ライダーブレイドの弱点が露見したらしい。

名前の通りブレイドは剣を主装備としているが、言い換えれば近接戦闘特化型なのである。

(しっかしなんだか異様に速いよなこのネウロイ)

前は余裕で勝てたのだが、今回はどうにも調子が悪い。

体がアンデッドに変わり始めている影響ではないと思いたいものの、これに勝てなければどうしようもない。

「けど今の俺は!負けらんねえんだよ!」

世話になった人達の場所を守らなければ。

邪神の子だなんだといっても、助けて貰った恩を仇で返すような真似はしない。

『スラッシュ』『サンダー』『マッハ』

ラウズカードを読み込ませる。

ブレイラウザーが雷を纏い、ブレイドは高速ネウロイに向かって加速していく。

そして風を切り、剣が振るわれる。

「クソがァァァァァァァ!!」

叫びと共にブレイラウザーがコアを斬り裂き、ネウロイは空に散った。

***

ひとまずの戦闘を終え、和真は基地に帰還する。

しかし出迎えたのはロザリーではなく、赤い髪の別の女性だった。

「まったく、勝手に医務室から出られては困る。少佐から聞いたが、どうやらネウロイと戦闘をしたらしいじゃないか」

「あーすんません。とりあえず倒しましたし、見逃してはくれませんかね?」

「そこは少佐に聞かないと分からないけどなあ...何倒せたのか?ストライカーユニットなしで?」

「まあそうなりますね」

事実を偽って何になる。ウィッチに対して嘘をついたところで厄介なことに巻き込まれるのは御免だ。

なにせ相手は美少女たちとはいえ軍組織なわけだし、下手に諜報部とかに連れて行かれるのも嫌だから。

「黒田中尉と姫様は夜間哨戒に出たから紹介は後回しにして、私と彼女はしておこうか」

彼女とは誰だ?

ロザリーではないとすれば、もう1人ウィッチがまだいるのか。

劇場版でも出てきたハインリーケとかいうやや性格がキツそうな女性だろうか。

けれど予想に反して来たのは茶髪の少女だった。

2人が順に自己紹介をする。

「私はアドリアーナ・ヴィスコンティ。階級は大尉だ」

「イザベル・デュ・モンソオ・ド・バーガンデール。階級は少尉。名前は長いのがここの部隊の特徴だからね。アイザックでいいよ」

どれくらいの付き合いになるのか分からないのに丁寧な自己紹介で助かる。アイザックてニュートンじゃあるまいし。

「八坂和真だ。カズマでいい。階級はどうなんだろう、短期間軍にいたことがあるけど…」

「まあそこらへんは隊長に話してみてからだね。階級は僕たちじゃ決められないから」

要はまたロザリーに会えということか。

「じゃあまた後で」

「談話室で待ってるよー」

談話室なんてあるのか。ホグワーツじゃあるまいし。

とにかく軽く会釈をして隊長室へ向かうことに。

せめて階級は欲をいうなら軍曹くらいが良いのだが。

(まあ戦果はゼロみたいなもんだし下士官でもいいけどさ)

 

再び隊長室にて。

ロザリーと和真が向かい合う。

外には夜の帳が下りており、部屋の明かりだけが2人を照らす。

「あのー俺を当面ここに置いてもらえませんか?さっきから言ってますけど」

「難しいのよね...弾薬も限りがあるわけだし」

「弾薬も銃も自分で調達しますって!そこをなんとか頼む!この通り!」

日本古来の土下座をしたところで通じるか分からないが。

先程からこんな感じの会話を繰り返しており、老人かと思いたくなる。

「あなたね...まあ熱意は分かるのだけど。魔法力もないでしょ?というかさっきもどうやってネウロイ倒したのか凄い疑問なのよね」

「それはまあ...剣でズバッと。扶桑のウィッチだって剣使うじゃないか。坂本少佐とかさ」

「剣で倒したの?信じ難いけれど」

「じゃあアレだ、次の出撃の機会にでも見せるよ。ロザリーさんも上がるだろ?」

「私は飛べないのよ。色々あって」

「なんかすまない」

年齢による魔法力減衰というあたりか。

見た感じ十代後半から20代という感じがする。

実際ウィッチは10代が基本だし。

その後色々と交渉した結果、全員の見ているところでネウロイを撃墜できれば置いてくれるということになった。

1回やったことある気がするけど。

そのやり方。




はいどうも。
私再び書きまして。
珍しいねこの作品短期間で2話書けるなんてね。
前が期間空きすぎたんだよね。
そんなわけでノーブルウィッチーズ編2話目です。
時間的には黒田とプリン姫が夜間飛行出た後の話にしてるつもり。
だから2人はまだ出ないの。
あとこの話の題名インヴィンシブル・ジャスティスてヤツね。
ミリオンライブのアイドルヒーローズの曲名から引っ張りました。
これでも私プロデューサーの端くれですので。
最近シャニマスも始めてみた勢。
でも今は765の三浦あずささんと桜守歌織さんが担当かな。
あれ担当2人っておかしかった?
まあいいや。後書き長くなりそうだから、とりあえずこの辺で。
じゃあねー


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ロイヤルストレートフラッシュ

次の日。

夜間哨戒から帰還した2人を迎えて自己紹介を済ませたところで、広間には506のA部隊+1名が揃っていた。

しかしロザリー、アドリアーナ、イザベル、和真の4名である。

昨晩の夜間哨戒にてハインリーケは負傷したために医務室に行き、黒田那佳は慣れない夜間哨戒だったとのことで現在爆睡中。

結局のところは。

「なんだよ昨日と変わらないじゃないか」

「まあまあ。姫様のあの全治1週間の怪我も湖に落ちた衝撃でのものだからね、ぷっ」

吹き出すアドリアーナ。

なんとか堪えようとしていたが、どうにも我慢できずに笑ってしまったようだ。

しかもそれが黒田那佳が支えきれずに落としてしまったことが原因であるためか、余計に笑ってしまったらしい。

会ってそんなに経ってないから2人がどんなキャラなのかは今のところ掴めていない。

(ま、劇場版出て来てないんだよね。ハインリーケとロザリー以外)

ぱっと見黒田那佳は扶桑、和真でいうところの日本出身だろうということは名前と顔から判別できた。

「これじゃ自己紹介してもらった意味ないわね...」

溜息をつくロザリー。しかしそれも状況が状況なら仕方あるまい。

一応現在は戦闘待機中で、次の出撃で和真がネウロイを撃退したのを確認できればここに置いてもらえることになっている。

まあ彼女たちは実質確定で1日は休みが貰えるわけだ。

なんとも羨ましく思える。

(これまで割と忙しかったもんなぁ)

度重なる戦闘に加えて、幼馴染に追いかけられたりなんだりで、正直のんびりと休んでいた時間があまり無い気がする。

どうせもう間もなくネウロイの襲撃があるんだろう。

だんだん諦めてきた。

警報が鳴り響き、ネウロイの襲撃を知らせる。

「やれやれ」

重い腰を上げて基地から出る。

予想としてはまたあの速いタイプかもしれないが...地底潜行型のネウロイでは手に余る可能性がある。

残った506メンバーも基地から出て、和真の動向を見守る。

見守るというよりかは監視に近い気もするが。

「で、警報鳴った割にネウロイいないんだけども?」

「あれ?おかしいわね、確かに鳴ったのに」

壊れているみたいなので、1回その警報機は処分するべき。

室内に戻ろうとすると、ふと異変が。

大地が揺れていた。

ゴゴゴ、という音が響き、刹那。

大地をぶち破って巨大な黒い物体が姿を現した。

「いやおい...デカすぎだってこれ」

体長は40メートルほどあるだろうか。

やや怪獣に似た姿をしており、ゴジラ映画で映っても違和感無いくらいではあった。

でもこれがネウロイの反応を示したとするなら、倒すしかない。

ブレイバックルを装着する。

「変身」

『Turn Up』

仮面ライダーブレイドに変身。

彼女たちが驚く中、ジャックフォームへ変わって飛翔する。

怪獣ネウロイが現れたのは基地からそう遠くない。

加速してそのまま殴り付けるが、ビームを発射され、なんとか回避。

「思ったより厄介だなあ」

ビームを回避しつつ飛びながらぼやくが、それで状況が好転するわけでもない。見ればいつのまにかストライカーユニットをつけたアドリアーナとイザベルがカメラを手にこっちを向いている。

証拠として撮るのかもしれないが、半分楽しそうにしているのは気のせいだと思いたいところだ。

「ったく、どいつもこいつも...」

ラウズアブソーバーにカードをいれる。

『エボリューション・キング』の音声に続き、仮面ライダーブレイドはジャックフォームからキングフォームに。黄金の鎧を纏う。

『♠︎10・J・Q・K・A』

『ロイヤルストレートフラッシュ』

専用の武装キングラウザーにカードを読み込ませ、彼の前に金色の光カードが現れていく。

「こんちくしょうがぁぁぁぁぁ!」

光のカードを落下を利用して通りつつ、彼の剣は黄金色の光を纏っていき。

そのまま1Gの重力に引かれながら、怪獣ネウロイの身体を縦に切り裂いていった。

「...またキングの力、使っちまったな」

薄れる視界に映るのは2人の少女。どうやら既に変身は解けているらしいことを理解しながらも、ガリアの大地に八坂和真の身体は落ちていった。

 

 

 




クオリティ低いなやっぱ。
まあそりゃそうか俺だもんな。あははは!
なーんてな。この話また投稿できたけど、今後の展開お悩み中。
また期間空くかもしれんな。
そんときは気分転換兼ねて別の作品書いてるかもしれないね。
シャニマスの凛世の着物姿が好きです。
じゃあまたねー


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アナザーワールド

目覚めたのは、またしてもベッドの上だった。

太陽の光が差し込んでないことを考えると、まだ夜というとこか。

「どんくらい寝てたんだ…」

1時間か1日か、それとも1週間か、分からない。

ゆっくりと起き上がり、和真はベッドの上にあぐらをかく。

大型ネウロイをロイヤルストレートフラッシュで撃破したところまでは記憶しているが、それ以降の記憶がない。

大方気を失ったのだろう。

(気絶してこうも介抱してもらうとは)

早々に情けない限りだが、506のメンバーにこんな非正規のメンバーを助けて貰うのも申し訳ない。

彼女達の本職はネウロイを倒して世界を守る事であり、本来ここの住人ではない彼を置いておくことがおかしいのだ。

こちらの正体を彼女達は知らないわけだし。

「邪神と人間のハーフですって言ってもまぁ…信じてもらえないだろうけど」

正直自分でも忘れかけていたことであったが。

もともと本来彼は通りすがりに過ぎない。

過干渉は本来の歴史の維持に関わりかねず、この世界の未来すら変えてしまう可能性がある。

(けどそれも今更と言やぁ、今更だろうがな)

いくつもの世界を旅し、彼はいくつもの歴史の流れを変えた。

その瞬間瞬間は良かったとしても、長い目で見た時、別々だと思っていた世界が実は繋がっていて、その先に影響を与えてしまっていたとしたら。

『過去は変えられないが、未来なら変える事ができる』という言葉があるが、その逆だ。

『過去を変えてしまったら、未来そのものは変わってしまう』のだ。

「アレ?よく考えたらやばくねえか」

ペルム紀での事件が、人の存在を消してしまうことだってある。

かなり前に自身と瓜二つの姿をした人物に『世界の歯車が狂い始めている』と言われたことも思い出し、冷や汗が背中を伝う。

「ま、まさかね」

兎も角早めにこの世界を後にするに越したことはない。

手早く身支度を整え、音を立てぬように外へ出てバイクの所へ向かう。

(よし、まだ動く)

エンジンをかけ、いつもと同じ手順で時空を超える扉を開く。

冷静に落ち着いてバイクを発進させ、和真はその光の中へと飛び込んでいった。

後ろからの視線に気付くこともなく。

***

和真が初めに感じたのは違和感だった。

光の中へと飛び込んだはいいが、バイクがおかしいのである。

トランスフォームをし始めたとかではないのだが。

突如として計器が変な動きをし始め、動きも鈍くなり始めたのだ。

「何なんだ…?」

故障かと思ったが、煙は出ていない。ガソリン漏れというわけでもないらしい。

変に酷使しすぎたのだろうか。

「うーん…」

これを作ったのは彼ではなく、銀アト子という邪神なのである。

細部がどうなっているかまでは考えた事もないし、バイク自体最低限の整備しかしていない。

分解しないと分からない内部の不具合だった場合、目的地を現代に設定する必要があるが。

「っておいおい!壊れんなよ!?」

まだちゃんとした目的地すら決めていないのに、こんなところで壊れてもらってはどうしようもない。

そして溜息をついて今後の行動を考え始めた時だった。

バイクが消えたのだ。

丸ごと、綺麗さっぱり、跡形もなく、彼だけを残して。

「壊れんなって言ったろうがぁぁぁぁぁ!」

バイクという足場を無くした和真は断末魔の如き絶叫と共に、時空の狭間を落ちていく。

考えた事もなかったが、こんな所にも重力が働いているという事をこんな形で、彼は嫌にでも思い知らされる事となった。

「なんで急に?!なんで!?」

訳も分からないままに墜ちていっていると考えていた彼は、やがてその考えが間違っていた事を知った。

(なんだ…これ?)

彼がその目に視たモノは、彼の常識を遥かに超えていたのだ。

明確な暗闇。

光すら逃げ出せない暗黒。

(ブラックホール、か?)

光もそこには存在する事を許されないブラックホール。

それに似た『何か』がそこにあり、彼をそこへと引っ張っていたのであった。

どうすればいい?どうすれば逃げ出せる?

ブラックホールは物質を消滅させるという。

決まったわけではないが、離れた方がいい気がした。

逃げなければ。

そんな分かっている。

けれど、焦りのあまりに『変身してどうにかする』という選択肢が有効打に思えなくなってしまう。

最も…彼を引き寄せる力が強すぎて、変身する余裕はあまりなかったのだが。

 

「っくそ…また、寝たのか…」

ここの所寝すぎな気もする。

睡眠は大事なのだが、睡眠過多もいかがなものか。

「っつぅ…」

痛む頭を抑えつつ和真は立ち上がる。

どうやら血は出ていないようなので、包帯や絆創膏の類は必要なさそうだ。

見渡した感じ、ここは『どこか』だ。

知ってはいるのかもしれない。

でもイメージができない。

ここがどこで、自分がどこにいるのかが理解できない。

何よりおかしいのが『人間』の生活感が感じられないということであった。

「誰も、いないのか?」

和真の問いに答えたのは、意外にも聞き覚えのある声だった。

「誰もいない。人ならざる者以外はな」

「お前は…」

「久しぶりだな、八坂和真」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




日付見たら1年ぶりくらいなんですね。
1年以上か。
色々ありまして。書いてませんでした。
他の作品書いたり消したり、あとは大学のレポート書いたりとか。
コロナウイルスが騒がれてますんで、このタイミングで書き進められないかなと思ったり。
外出自粛なんて言われてますからね。
最新話まだ勘とか1年前の書いてた頃の記憶とかが戻ってなくて、クッソ下手かもしれません。
ま、いつものことでしょうけど。
勘弁してください。
ノーブルウィッチーズ最近読んでなかったから感覚戻ってないっていうのと、あとなんか目新しいのを考えたらこうなりました。
変身は…してないですね。
まあデート・ア・バレット買ったからかな。
近いうちに次も書けると思います。
たぶんね。
サブカルコーナーやりたいんだけどさぁ、デート・ア・バレット買った以外があまりなくて。
いやあるか。
デアラそういや最終巻買ったな。
うん、個人的には良かったの一言に尽きますね。
まだ買ってない人いるかもなんでネタバレはしませんけど。
狂三やっぱ好き(十香グッドエンドだけどね…)
あと新・サクラ大戦のアニメが5月からだった…かな?
ストライクウィッチーズも10月からやるって。
pv出たからなぁ!
こりゃ期待するしかねえわ。
ミーナさん18歳!ミーナ38歳じゃないからね!
エイプリフールとかあるけど嘘は書かないよ!
じゃ、またねー


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なぜ彼はこの世界にいるのか

「久しぶりだな、八坂和真」

和真と瓜二つの姿をした青年は、そう言った。

確かに彼には見覚えがある。

かつて和真を天宮市から出て行くよう促したはずだ。

「天宮スクエア以来か?だいぶ性格丸くなったな。少し痩せこけて見えなくはないが」

「まぁ…まぁ、な」

「事態が飲み込めないんだろう?こっちにも非があるからな、少々手助けしようと」

「バイク無くなるわ、よく分からないブラックホール的なのに飲み込まれるわ、挙げ句の果てに知らない場所だからな」

「割とこっちに責任もあるんでね。少々複雑なんだが話を聞いてもらえるか?」

 

そしてしばらく彼の説明を聞きながら歩き、住宅地らしきところへとやってきた。

そこで彼は説明を終え、和真は問い返した。

「つまりアレか、俺を操ったと?」

「まあそれは、否定できないな。前にも言ったようにその世界から出て行ってもらう為に思考を弄ったんだが…やはりやりすぎたかもな。強制転送装置も不完全だったみたいだし」

「…ったく勘弁してくれ。見ろよ、それでこんな変なとこに来ちまったわけだろ」

歩いても人っ子ひとり見当たらない街だ。

無理矢理連れ帰ろうとしたら、変なところで事故って寄り道をする羽目になったというのが分かりやすいのだろうけれど、だからといってこんな薄気味悪い街は嫌だ。

「変なとこって言うなよ。『隣界』って名前が一応あるんだ」

「そもそも『隣界』のこと自体よく分かってないんだぜ?説明聞いてもさ、実際にそのものを見たことはないし」

「精霊が現実世界に現れる前にいる場所、ってのが一番分かりやすいんだろうけど…どうにもそれだけじゃないっぽいんだわな」

「なんだ?バトルファイトでも起きてんのか?」

「間違ってない。今ここは10個の領域に分かれてるんだが、それぞれに支配者、ドミニオンってのが存在してる。そいつらがまあ、危険なわけさ」

「その、たぶんドミニオンってのも精霊だと?」

「いや、準精霊。精霊になる前の卵みたいなもんだ。っても人間なんかよりかはよっぽど強いから、人ならざる者しか存在していないっつーことになる」

「…で、どうしろと?見知らぬ土地で頼れるバイクもなし、事前情報もほぼゼロに等しい俺は何をすれば?」

「どうにもここじゃあ強制転送装置は使えなさそうだからなぁ」

「壊れてるの間違いだろ」

「うるさい。ともかく自力でここから出てもらわない事にはどうしようもないんだ。今ここにいるこの姿もホログラムみたいなもんなんだよ、前と同じで」

「はー…なるほど」

彼はこう言いたいのだ。

連れ戻すのに失敗したから、回収できるポイントまで自力でこの地図も何もない土地を行けと。

「要はこの『隣界』の外に出れば万事OKと?」

「その通り。言っておくけどな、この『隣界』で自分を見失ったら命はないらしいぜ。自己を強く持った方が良い」

「アイデンティティ的な?」

「まあそんなとこだ。チッ、そろそろタイムリミットか。あと最後に有益な情報を1つ。時崎狂三には気を付けろ」

「何…?!彼女がここに!?」

「ああ、じゃ、またな」

「おいコラ!」

あまりに雑な切り方にキレかけた。

というか割とキレていた。

散々振り回した挙句に、よく分からない世界に置き去りとは。

「ったくナメた真似を…」

しかし嫌でも彼を見たからか、それなりに荒れていた昔を思い出してしまった。

もうあの頃には戻ることはないし、戻りたいとも思わない。

(とにかく時崎狂三…彼女を探し出すところから始めようか)

この世界で唯一知っている名前。

だが彼は時崎狂三には気を付けろ、とも言った。

元々彼女は時を喰らう天使を操る悪夢のような精霊であり、人を何人も平気で殺してきた。

彼自身、時崎狂三はそういう人物だと認識している故、彼女のそういう行動に関しては恐怖という感情は抱かない。

であれば何をもって彼女を危険というのか。

最も全ては彼女を見つけ出さなければ分からないことである。

和真は息を吐くと、空っぽの街を歩き始めた。




うーん、やっぱ雑な気がする。
ま、クオリティ低いのはいつも通りなんだろうけどさ。
しかし昨日の今日だと喋ること思いつかないね。
あんまりサブカルコーナー期待してる人いないと思うけど喋ろう。
デート・ア・バレット3巻のロリ狂三可愛すぎないか。
めちゃくちゃ可愛すぎる。
ロゥリィ・マーキュリーを思い出すぜ…
いいぞ、もっとやるんだッ!
次の話もできるだけ早く挙げます。
つーわけで飯食ってくる。
またねー


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空っぽの少女

舞台は準精霊たちの住む世界『隣界』へ移り、そこで和真は空っぽの少女エンプティと精霊・時崎狂三と出会う。
けれど再会した時崎狂三は彼を覚えていないらしく…



静まり返った街を歩くのは、やはり気味の悪いものだった。

『生きている』というのが感じられないのが薄気味悪い。

ここには準精霊なる者達が存在しているらしいが、こうも静かだとこの世界に彼1人しかいないような感覚に陥る。

他にも誰もいないのではないか、と。

(でもどーせ誰かいるに決まってる)

今はまだ会えていないだけだ。

一応時崎狂三に加え、少なくとも10の領域の支配者(ドミニオン)がいるということなので、最低限10人の準精霊(と1人の精霊)がここにいるのは確定事項と言って良い。

どこに居るのかまでは分かっていないけれども。

「ん?アレは…?」

ふと彼が視界に認めたのは白い少女だった。

白い髪に白い装い、綺麗を通り越して不気味なほどに白い肌。

全てが純白。

まるで元々あった彼女の色彩を全て奪い去り、空っぽに、真っ白にしてしまったようだ。

そんな彼女が唯一色を持つのは赤い瞳。

それが彼女が彼女である証なのかもしれない、和真はそう感じた。

「ってそうじゃない!」

少女に思わず見入ってしまったが、そうではない。

初めて人(恐らく人間ではなく準精霊の類だろうが)を見つけたのだ。

「おーい!」

声をかけてみるものの、どうやら彼女には聞こえていなかったようで、近くの建物へと入っていってしまった。

「なんだよ…ったく追いかけろってか」

仕方なく彼女を追ってその建物へ入るが、彼女がどこへ行ったのか皆目見当が付かない。

しかしこんな何もないようなフロアで何かを漁ったりするのもおかしいだろうし、となれば彼女が向かったのは上か。

大方屋上であろう。

(あー全く…)

階段を一気に駆け上がり、屋上までやってきたところで、彼はこの街で2人目、そして彼が探すべき人物を見つけた。

「時崎…狂三…」

最悪の精霊はそこにいた。

古めかしい短銃を片手に、先ほどの白い少女と向かい合っている。

鮮やかな真紅の右眼、時計の刻まれた黄色の左眼。

妖しくも美しい黒と紅の血のようなドレス。

和真が知っている彼女の姿であった。

「時崎…」

でもここからどんな風に言葉を続ければいいのかわからない。

五河士道は元気か、天宮市は今どうなっているのか。

聞きたい事が山ほど溢れてくる。

「生きていたんだな」

最初に口をついて出たのはそれだった。

「どちら様でして?」

「えっ?」

「は?」

先に疑問系を投げたのは白い少女、続いて和真。

どうやら白い少女は和真が来たことを気付かなかったらしい。

「わたくしの名前を知っているようですけれど…わたくしは知らないですわよ」

「何を…言ってるんだ?覚えてないのか?」

「覚えてませんわね。というか名乗りもせずに誰ですの?」

「八坂。八坂和真だ」

「そうですの」

「えっ?!えっ?お2人知り合いなんですか?」

「そうだ」「違いますわ」

「なんだよ」

「そちらこそなんですの?もう彼女といい、貴方といい…」

やや蚊帳の外になり気味の白い少女は、おずおずと口を開いた。

「あの〜質問いいですか?」

どっちに問いかけるべきなのか困った顔をしつつ、彼女は続けた。

「ここが何処でわたし誰でなんでここに誰もいないのかって知りたいんですけど」

「質問多すぎないか」

「聞くのは一度に1つにしてくださいませんこと?」

というかこの質問はどちらに向けているものなのだろうか。

和真か時崎狂三か…まあ時崎狂三に向けているものだとは思うが。

とはいえ知らぬ存ぜぬと言われたところで、彼女の性格を全く知らない和真ではない。

「あー俺が…説明しようか?」

「できますの?」

「まあ一応は。そっちは何か用事があるんだろ?」

「よくお分かりですこと」

面倒なことは好まないのが時崎狂三、そう彼は認識している。

最も白い少女の方は和真に対して半信半疑そうではあるが。

丁度その時だった。

新たにもう1人少女が姿を見せた。

「うっわ…なんだあの服装」

その少女が空を飛んでいるということよりも、ツインテールがとんがっているという事よりも、着ている服装が際どいということの方が、彼にとっては重要だった。

そのせいで、まだ準精霊らしき者はいるという情報は後から彼の中に入ってきた。

「来ましたわね」

「アンタね、アタシを呼び出したのは」

「ええ。そうですわ」

まるでその少女が来ることがわかっていたようだ。

知らないところで待ち合わせでもしていたのだろうか。

「何が始まるんですか?」

「第三次大戦…じゃなくて、殺し合いだ」

彼女に代わって和真が答える。

ツインテールの少女が時崎狂三を空へと招き、戦いの火蓋が切って落とされた。

「分かるんですか?」

「俺が知る時崎狂三はそういうヤツなのさ」

例え今の彼女が和真を知らないとしても、和真は時崎狂三という少女を知っている。

怖いほどに彼女に殺戮と血がよく似合うということも。

「…っとそっちの質問に答えるんだったか。その、名前…名前ないんだっけ?」

「ないですね。全くこれっぽっちも」

「じゃあエンプティでどうよ?空っぽってことで」

「雑すぎません?」

「そのうち良い名前が付くさ。あとアレか、ここがどこかっていうのとなんで誰もいないのか、だっけか」

彼から聞いたのを丸パクリするようで気は進まないのだが…和真は隣界について掻い摘んで説明をすることにした。

 

「正直不安なところもあるけどこんなとこで良いか?」

「まあ、はい」

「時崎には当然まだ言ってないんだけど、俺もここに来てあんまり経ってない。そこまで詳しくはないんだ」

1日と経ってないとは口が裂けても言えないし、言ったら信頼されなくなってしまうだろう。

あまり経っていないといえば嘘ではない。

望んで来たわけではなく、迷い込んでしまったというのが正しい気はするが、細かい事は気にしない。

「じゃあなんでここには人がいないんですか?」

「それは…なんでだろうな。俺にも分からない」

中空を見上げると、どうやら勝負はついたらしく、ツインテールの少女が落ちていき、黒と紅の少女が降りてきたところであった。

「さっきの人は…」

「死にましたわ」

目をパチクリさせて言葉の意味を理解しようとするエンプティ。

こういうあたり時崎狂三はドライなのである。他人が死んでも一切の動揺を見せない。

それが例え自分の手を汚したものであっても。

「あら、怖いのですか?」

エンプティは彼女に恐怖したのだろう。殺す事に躊躇を覚えない者は、ただの殺し屋だ。

「でも、今あなたに立ち去られたらわたし滅茶苦茶困るので。彼だけだと頼りなさそうですし!今しばらくお付き合い願います!」

「おいコラ失礼だな」

とはいえ和真としても空っぽの少女を連れて歩くのは気が進まない。

保護者として時崎狂三がいた方が都合は良いだろう。

「…分かりましたわ。良いでしょう。使いでがありそうですしね」

「よろしくお願いします!」

やけに返事は元気なエンプティであった。

 

 




何が外出自粛だよ面倒くせえんだよ大学にも入れねえ!
つーわけで時系列的にはデート・ア・バレット1巻の最初のあたりですね。
できるだけ原作小説に沿って書くつもりです。
ウルトラマンでも何か書きたいんだけどねェ…
これ前にも言ったな。
ティガで1つ書いたことはあるんだがなぁ…アレ原作エヴァで書いたから難しいんだわな。
ま、次の話は今日か明日には挙げられると思うよ。
またねー


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キル・ステージ

先の建物を離れ、和真とエンプティ、そして時崎狂三は『どこか』を目指して歩いていた。

どこに向かっているのか分からないのは、2人が時崎狂三についていく形を取っているからであり、それ故に目的地を知らない和真とエンプティは半ば彼女のお荷物でもあった。

とはいえ、先程は時崎狂三に対して恐怖の表情を見せたエンプティだったが、今はしっかりと彼女の手を握っている。

その姿はさながら親に見捨てられたくない子供のようだ。

「あの、この街にはなんで人がいないんですか?」

和真にも投げた質問を、エンプティは時崎狂三にも投げかける。

「ここはただの舞台、ステージですから。居なくて当然です」

「舞台?こんな街1つ使って歌ったり踊ったりするのか?」

誘宵美九など比べ物にならないレベルではないか。

規模が違いすぎる。

「ええ、わたくし以外の誰かが歌いますわねぇ。喩えるなら…絶望の悲鳴と苦痛の絶叫のアンサンブルを」

「あー…」

「??」

和真は意味を理解したが、エンプティはいまいち飲み込めていないようだった。

「あの…」

「忘れなさい」

「絶望の悲鳴とは一体…なんでもありません!忘れます忘れます!」

理解されずに恥ずかしい事を言ってしまったと気付いた狂三に短銃を突き付けられ、エンプティは必死。

「まぁ落ち着け。銃を突きつけられちゃ、ビビって話にもならんだろ」

「…そうですわね」

下手すれば撃ちかねない勢いだったので、和真は彼女を宥め、3人は再び歩き出した。

 

「アレですわ」

少々歩いた所で、時崎狂三はその建物を指差した。

周囲にビルが立ち並ぶ中、一際目立つ建物がある。尖塔か、ピラミッドの類に見えなくはないが、とにかく異様な建物だった。

「わたくしの目的は、あの校舎です」

「学校…なのか?」

「学校?!マジですか」

「えらくマジですわね」

日本の学校とは明らかに異なる外見をしており、どこぞの魔法学校の1つと言っても違和感はないだろう。

「じゃあつまり学校に通うわけですね。学校生活、いいですね。何も考えないで勉強すればそれでいい感じですか!」

「まぁ、今はそう思ってくださると助かりますわ」

絶対に違うと和真は分かっていたが、敢えて彼は言うのを避けた。

エンプティが彼女のやる事を知ったら悲しむだろうから。

(何があるかはまだ分からないが…血を見るのだけは確かだな)

その姿で彼女が通った後に、血が無かった事が無い。

そしてニヤリと浮かべた笑みを、彼は見逃さなかった。

 

時崎狂三に続くようにエンプティと和真は校舎の中へ入った。

感想を抱くのが非常に難しいくらい、これといったものを見つけることができない。

何かがあれば感想があるわけだが、そもそもがない。

するとふと立ち止まり、時崎狂三は確認するようにエンプティに言った。

「気紛れで連れてきましたけれど。エンプティ、ここから先、あなたには荷が重すぎますわよ?」

「…そもそもここに何があるのか知らないんですけど」

何も知らぬエンプティはまだここに恐怖を認めていない。

けれどここの建物が何のために創られ、何のために時崎狂三がここに来ているのか、最終的な目的は知らずとも彼にはそれが理解できる。

(殺すのか…)

誰かは分からない。何人死ぬのかも。

けれど純粋無垢で空っぽな少女に再び血を見させるのは、彼としては抵抗があった。

止めた方が良い気がしたが、時崎狂三は続けた。

「痛いのはお嫌いかしら?」

「それは、まあ」

「怖いのもお嫌いかしら」

「それはもう」

「戦うことは…お好きかしら?」

「え?」

よく分からないと言うふうな反応をするエンプティ。

至極当然の反応であろう。

「エンプティ、エンプティさん。これからわたくしはね、準精霊を殺すんですの。可愛らしい女の子の形をした、準精霊たちを殺しにいくんですよ?」

「なんっ…?!」

これにはエンプティだけでなく、和真も驚きを隠せなかった。

準精霊はドミニオンだけではないということ。

更に彼女はその準精霊たちを殺戮しにいくということ。

やはり準精霊も精霊と同じ、女の子の姿をしているということ。

(つまり…この隣界には準精霊ってのはかなり居るってことか?)

複数形でいうのだからそれなりにはいるはずだ。

学校ということもあるし、授業のような事でもしているのであろうか。

まあさっき彼女が言った感じだと、まともな授業というわけではなさそうだが。

とはいえ選ぶのはエンプティだ。和真ではない。

時崎狂三に問いを投げかけられているのは、彼女だからだ。

ここで悪夢と離別するか、悪夢について進むか。

それでもエンプティは、彼女と進む事を選択した。




どうも最新話です。
なんか自己紹介みたいですけど、ま、いいでしょう。
進み具合遅いかもしれないですが…そこはマジですみません。
色々とやる事があったりしまして。
小説書くだけの生活っつーわけでもありませんからね。
まあまあそれは置いといて。
コロナウイルス、マジでなぜ流行するかな。
秋葉原行けないじゃないか!
コロナ…てめぇなんか怖くねえ!野郎オブクラッシャー!
と言いたいとこですけども、流石に感染したくはないですので。
昼食以外は外に出てないです。
大学5月かららしいしさぁ…早く収まってくれよコロナ。
ネイバスター光線でなんとかできたら苦労はしないけどさ。
あれコロナモードだしコロナウイルスなんとかならんかな。
すいませんホント急にウルトラマンコスモスの話してしまって。
何言ってんだコイツですよねそうですよね。
じゃ、次の話は明日かな?
たぶん明日にでも挙げられると思うんで、じゃあまたねー


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10人の少女達

どうやらこの隣界という場所は、薄々感じてはいたが、現実世界とは構成自体が異なっているようだった。

明るさはあっても太陽のような光源があるわけではないようで、時崎狂三が言うには太陽は『大きすぎる』のだという。

宇宙ステーションか何か、あるいは小惑星あたりの位置付けなのだろうか。

「細かい説明は後回しにしましょうか。できるならば、ですけれど」

「!」

「わぁ…」

そこは教室だった。やや薄汚れた部分は見受けられるが、和真も知っている日本の教室。

黒板にはチョークでだろう、乱雑に文字が書かれている。

そして教室の椅子にはエンプティや時崎狂三と同年代と思しき『少女』達が座っていた。

恐らく時崎狂三が言ったのはこの少女達の事なのだ。

皆それぞれに服装は異なり、制服らしき者もいれば私服の者もいる。

「良かったぁ…やっぱり生きてる人がいたんですね」

先ほど時崎狂三から準精霊を殺しに行くと言われておきながら、エンプティはだいぶ呑気なものである。

肝が座っていると捉えるべきか、半ば浮かれているのか、エンプティには分からないようだ。

この空間が敵意、悪意、殺意に満ち溢れているということが。

(下手すりゃこっちを殺しかねない勢いだぜ)

各々の武器もしっかりと手にしているあたり、本当に下手をすれば洒落にならなそうだった。

教壇には誰が置いたのか知らないが、小さな子供くらいの人形が2体腰掛けていた。

栗色の長髪に赤い着物の少女のような人形と、金色の短髪の少年のような人形。

本来なら綺麗や可愛らしいとかの言葉が当てはまるのかもしれないが、和真には何故かそれらが酷く歪で気持ち悪いものに見えた。

すると着物の人形が両手をぱたぱたと振ったかと思うと、教壇を飛び降りて近づいて来た。

自分の力で、誰かに操られるでもなく。

「人形って動きました…っけ…?」

「いや動かないだろ。普通は」

「ええ、普通は動きませんわね」

人のように動く着物の人形は、鈴を転がすような声で問いかけた。

「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

人形の口が普通に動いている。

どこかから録音した声を流しているでもなく、当たり前のように喋っているのである。

もう深く考えない方が良いのかもしれない。

「新たにエントリーした、時崎狂三ですわ」

人形の動きが止まる。

「招待状をお持ちでなければ、このゲームに参加はできません」

「あらあらあら、何という偶然でしょう。わたくし、招待状を拾ったばかりですの」

時崎狂三の放ったその言葉に、教室にいた10人の少女から剃刀のような視線が彼女へ向けられた。

(招待状を拾った…そういうことか)

先刻殺したツインテールの少女の姿が脳裏をよぎる。

彼女が本来ここに来るべきだったのを、時崎狂三は殺してその権利を奪って来たというわけである。

(結構なやり方してんだな、時崎)

人形は渋々といった風で首を縦に振った。

「…承りました。そちら2人は?」

時崎狂三は笑顔で答える。

「彼女は囮、彼は奴隷ですわ。どちらもこちらに着いたばかりのようですし、折角なら使わない手はありませんので」

「そうです、わたしは狂三さんの囮…囮?!囮ですか!?」

「デコイの方が良かったかしら?」

「意味同じでしょう!」

「じゃあ何で俺が奴隷なんだ?囮2人目にすればすっきりするのに」

「肉体労働ならできるでしょう?珍しい男性の準精霊なのですし」

「そういう?」

奴隷扱いされたのは非常に気に食わない(囮2人目というのもアレだが)事だが、和真を準精霊だと誤解してくれたのはこちらにとっても非常に好都合であった。

和真の服装は明らかに私服だが、ここを見る限り準精霊といえど霊装は常時纏わず、何もなければ普通の服で過ごしている。

彼もそういう類だと認識されたのだろう。ただ勘づかれるのも時間の問題といえるが。

「確かに、霊結晶(セフィラ)の力は彼女は砂利のようにちっぽけですし、彼に至っては無に等しいです。わかりました、囮及び奴隷としての扱いを認めましょう」

そう赤い着物の人形が応じ、

「感謝いたしますわ」

時崎狂三は慇懃に礼の言葉を述べた。

そして教壇に少年の人形が立ち、ぱん、と手を叩いた。

続けて2、3度叩く。

「皆様、これにて今回の参加者が規定に達しました。エントリーを締め切らせていただきます」

教壇に戻り、着物の人形が告げる。

「申し遅れましたが、わたしの名前は朱小町。ゲームの審判を務めさせていただきます」

「同じく、審判を務めることになるリュコスという。我ら2人の言葉は即ち、“人形遣い(ドールマスター)”のお言葉である」

“人形遣い(ドールマスター)”という言葉に全員が複雑な反応を示す。

恐怖、不安、怯え、闘志、憎悪…いくつもの感情が教室の中に入り乱れた。

「それでは順番に名前を呼ぶ。手を挙げ、自己紹介を始めよ。なお、武器と霊装の虚偽申請はこちらで指摘する」

リュコスが朱小町に促し、朱小町はリストらしきものを手に、ゆっくりと教室を巡って呼びかけ始めた。

 

 

 

 




なかなかバトル始まらなくてすいません。
できるだけ早く始めたいところなんですがね。
次の話は今日挙げられるかな…今日か明日か。
がんばります。
じゃあまたねー


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殺し合いの時間

かくして各々が自己紹介を始めたわけだが、自分の名前と武器と霊装だけ言うのかと思いきや、始まってみるとそれが間違いだったと知ることになった。

正直聞いていたところでエンプティよりかは理解できていると思うが、彼とて準精霊の全てを知っているわけではないため、理解できない部分もあるにはあった。

とはいえ聞く限りでは彼の知る精霊と違い、準精霊特有の識別方法のようなものも存在しているようだった。

纏めると…

①準精霊、精霊には1〜10までの霊属なるものがあり、彼女達は必ずそのどれかに属している(時崎狂三は第三霊属だった)。

②精霊が扱うのが天使であるのに対し、準精霊は無銘天使というものを扱う(能力は大差ないのかもしれないが)。

③精霊の霊装が神威霊装なのに対し、準精霊の霊装は神威ではなく、無銘天使=武器を反映した名前(刀なら特攻、苦無なら隠形)になる。

といった具合である。

これから更に数が増えたら、覚える方が大変になってしまいかねない情報量である。

まあ覚えたとしても、ここにいる少女達は最終的には死んでしまうのだろうが。

時崎狂三という予想していなかった悪夢がやってきたのだから。

「あ、あの。わたしの自己紹介とかは…?」

ひと通りの自己紹介が終わったところで、エンプティがおずおずと手を挙げた。

「不要である」

うんざりそうに切り捨てたのはリュコス。ちびっ子に見えて大人びた口調をしているので、やけにイメージが強い。

「な、なんか仲間はずれっていうのはダメな気がするんですよわたしは!」

「はいはい。えーと、名前は?」

「エンプティ!です!これはそう付けて貰ったので」

「霊装(ドレス)は…なさそうですね」

「霊装(ドレス)というものがよく分からないので、たぶんありませんね!」

ここまでなるといっそ清々しいくらいの性格をしている。

リュコスが『お前は良いのか?』という風にこちらを見る。

準精霊と誤解されている以上こちらも一応答えた方が良いのだろうが、天使はおろか無銘天使すらなく、霊装など欠片もない彼はどう答えるべきか悩んだ挙げ句、エンプティに似た事を言うことにした。

リュコスにはバレるかもしれないが、それも覚悟の上だ。

「第一霊属、八坂和真。無銘天使、霊装はよく分かっていません」

「…よろしい」

なんとか一応乗り切れたようだった。

彼もまだ日が浅く、ここではあまり物事を知らないエンプティと同じような扱いをされているおかげで、嘘でもなんとか誤魔化せた。

最も支配者かこの人形にバレるのは時間の問題だろうが。

そしてリュコスと朱小町は教壇にて交互に宣言を始めた。

「ここにいる10人は殺し合うために集まった」

「これは戦争だ」

「これは殺し合いです」

「最後に立つべき者を決めるために」

「皆さんで精一杯殺し合ってください」

リュコスは鞄の中から恭しく宝石のようなものを取り出し、皆に見せた。大きさは野球のボール程度だが、何か欠片をくっつけあって1つにしたように見える。

「勝ち残った者には、第十領域(マルクト)の支配者である“人形遣い(ドールマスター)”より、この霊結晶(セフィラ)が贈与される」

「この霊結晶は準精霊100人分。つまりこれを得た者は100人分の力が与えられる事になります」

「100人分か…」

誰かが呟く。

圧倒的なまでの闘志が部屋を満たしていき、審判がいなければ今にも殺し合いが始まるのではないかというくらいだ。

「この力を手に入れたいのであれば、強者であることを吼え立てよ。それがあの御方の伝言である」

「こんなものを一時の戯れのために放り出すなんて…」

誰かが呟くが、朱小町はそれを首を振って否定。

「あの御方にとっては戯れではありません。本気です。この霊結晶(セフィラ)を手にする事で、ようやくあの御方と勝利者は対等な立場で戦う事ができる。そうしなければ、あの御方は生きていけない」

「なるほど」

戦わなければ生き残れないとはよく言ったものである。つまり殺し合いをしなければ、生き残れないと。

「皆、異存はないのだな。拒むのであれば、黙って今日から出て行けばよろしい」

「ではこれより5分に1人ずつ教室から出て貰います。誰が出て行くかはくじ引きで」

「ふーん。なら、できるだけ最初に出て行った方がいいんだね。待ち伏せして片っ端から仕掛ければいいんだから」

金髪の少女(名はパニエだったろうか)の言葉に、皆の視線が時崎狂三へと向く。

刀を持った少女だけは違ったが。

「それならできるだけ前を狙いたいですわね。わたくし、後になればなるほど狙われてしまいそうですわ」

「はい!はい!はい!わたしたちは前にして欲しいです!」

「くじ引きだって言ったろ。ドジるんじゃないぞ時崎」

「わたくしを誰だと思ってまして?精霊、時崎狂三ですわよ?

かくしてくじ引きが始まったのだが。

 




ようやく最新話書けたぁ…
誤字脱字あったら後で修正するけどまぁ…
なんか狂三がキャラ崩壊しそうで怖いんだよな。
気をつけるけどさ。
今日か明日に次の話挙げられると思いますんで、じゃ、またねー


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悪運ガール

くじ引きを引いた結果、時崎狂三は綺麗に最後となっていた。

最後の方ではなく一番最後。

当然和真とエンプティも彼女と同じ扱いになるわけで、特にエンプティは気にしているらしかった。

「最後だなんて!狂三さん、くじ運どうなってるんですか!もう今日は厄日ですよ!」

「うるさいですわね。ま、わたくしにとってはいつでも良いといえば良いのですけれど」

「わたしの命、ちゃんと考慮してます?」

「まさか」

「この和真さんは?」

「死ななければ良いですわ」

「わたしよりマシじゃないですかあなた!」

「どこがだよ、奴隷扱いなんだぞ。奴隷解放宣言しようぜ、リンカーン呼べって」

奴隷扱い云々は置いておいても、エンプティが死ぬのだけはどうにかして回避する必要がある気がした。

彼女は空っぽで、何も無い、何も持たない少女だが、今の彼には彼女は守るべき存在であるように思えたのだ。

なぜかは分からないが、死なれたら困るような。

「ならあなた、わたくしの役に立ってみせる気はないかしら?」

「それやったら生き残れます?」

「前向きに善処くらいは致します」

時崎狂三の提案に縋り付くように、エンプティは何をすれば良いかと尋ねた。

「簡単です。皆さんが抜けて行く前に話を聞いてくるだけです。何を願い、何を以って戦うのか。幸いあなたが無力であることは知られていますから…心を開いてくれるかもしれません」

「やってみます」

それが命の保証というには程遠くとも、彼女はどうにか生き残らなければならない。死ぬのは容易いことだが、ここで死ぬのはエンプティとしても嫌な事なのだろう。

(ここから出りゃいつ始まるのか分からないっつーのに)

エンプティが話を聞き、1人、また1人…と教室から少女達は出て、戦場へと赴いて行く。

五臓六腑を撒き散らして死ぬか、華々しく綺麗に散るか。

少なくとも血生臭そうなここで名誉の戦死を遂げるのは難しそうではあったが、どのみち彼女達はいずれ死に、最後に1人だけが残る。

「生きて帰れるといいんだけどな」

「保証はできませんけれど」

「それで実は提案があるんだけどさ…」

「何ですの?」

やがて時崎狂三の前の順番の少女が教室を後にし、残されたのは3人だけとなった。

「時間です、それでは時崎狂三様」

立ち上がって教室から出る寸前、狂三は残された和真とエンプティに声をかけた。

「行きますわよ、目撃者さん達」

「あ、うん…分かった、行くよ」

「ああ」

和真とエンプティは時崎狂三についていくような形で、教室を後にした。

 

誰もいなくなった教室で2人の人形、リュコスと朱小町は再度宣言する。

「出席9名、欠席1名、代理1名」

「汝ら準精霊の名を冠する者達よ。無銘天使と共に敵を屠る殺戮装置よ」

「渇望と希望、絶望と願望を身に纏い、踊り狂え」

「血と魂を全て差し出せ。神座に至る道を作れ」

「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう」

応える者はない。

静かな空間に、手を叩く音だけが響く。

だがそれは明確な殺し合いの始まりを意味していた。

 

教室を出た途端、エンプティは怯えたのか時崎狂三の背中にへばりついた。

「何ですの」

「いや、だって、もう始まってるんですよね?」

「ええ」

「奇襲を仕掛けられる心配とかは?」

「ストップ」

和真は2人に声をかけた。殺気が強い。

「時崎!エンプティを連れて早く!」

エンプティを掴み、廊下の窓ガラスをぶち破って時崎狂三は外へと身を躍らせる。

最も言われてなくても彼女はそうしたろう。理由は明確。3人のいた場所が、どろりと融解したからである。

「チッ…厄介だな」

遅れて飛び出しつつ、彼はサブマシンガンを取り出した。

丁度ヤンキーのような少女が槍を手に、2人を攻撃しているところだった。先に出た準精霊達は、唯一の精霊である時崎狂三の戦いを見るべく、小競り合いをせずにこちらを見ている。

「せっかちですわねぇ」

「あと1000年くらい待って欲しかったです!」

(そりゃすぐだな)

よく見るとどうにもヤンキー少女の扱う槍はただの槍ではなく、毒か何かが放出される仕組みらしく、恐らく廊下を融解させたのもそれであろう。

「舐めるな!」

彼女の槍から放出された液体は落下せず、曲がりくねって空中の2人を追尾して行く。

「最初はこっちが相手だ!名前忘れたけどヤンキーっぽいヤツ!」

「乃木だ!覚えとけ!」

叫んだ乃木は声が聞こえた方を見て、驚いた。

先ほど飛び出たのは時崎狂三とエンプティの2人のみで、もう1人はどこに行ったのかと思っていた。

殺れたかと思い込んでいたが、思い込みだったようであった。

生意気にも生きており、武器まで手にしている。

「行くぞ!ターボタァァァイム!」

叫び、和真のサブマシンガンが火を噴いた。

当然乃木は回避行動を取るが、意識は時崎狂三から和真へと移り、毒の軌道も彼の方へと向かう。

「って、おいおいこいつは洒落にならんてば!」

回避しつつも和真はサブマシンガンの引き金を引くのを止めない。

彼女に効いているかいないかで言えば、効いていない。

勿論和真もそんな事は承知している。

彼の役目はそこではない。

「時崎!」

「分かっておりましてよ」

乃木が振り返るが一足遅かった。

彼女の古式短銃の銃口が乃木に向けられており、そして引き金が引かれた。

 




最新話ですね。
クオリティはいつも通り低いですが、できるだけセリフに色々仕込んでみました。
次の話は明日か、1000年後か。
ウルトラマンで何か書いてみたいんで、少し休むかもしれません。
この流れだと書き続けたいけどな。
ではまたねー


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ファースト・ブラッド

時崎狂三の放った銃弾は見事に乃木を直撃し、彼女は墜ちていく。

血が溢れ、霊装も崩れて。

時崎狂三に抱えられたエンプティが助けようと手を伸ばすが、墜ちる彼女は驚いた表情を浮かべつつも、その手を握らなかった。

とはいえ時崎狂三とエンプティも落下し、和真も2人を追っていく。

(トドメを刺すのか?)

少女とはいえ彼女は準精霊。撃たれたとて並大抵のことでは死にはしないだろう。

地面に着くと同時、エンプティは乃木に駆け寄る。

「あ、あの大丈夫ですか?」

「…無事に見えるかよ、くそ…」

「これで、わたくしが精霊だと認めてくれまして?」

どうやら乃木は時崎狂三を精霊だとは認めていなかったらしい。そんな話は全然知らなかったが…エンプティが話を聞きにいった時にでも話したのだろうか。

「やなこった」

「そう」

時崎狂三は笑顔で短銃を構えるが、乃木は笑みを浮かべてその銃口を睨む。

「さよなら、乃木さん」

「けっ、アバズレが」

最後の最後で力を振り絞って時崎狂三を罵った乃木だったが、しかし時崎狂三が再度放った銃弾によってその霊結晶(セフィラ)を打ち砕かれることとなった。

「え…?」

驚愕するエンプティ。どうやら状況が飲み込めていないようだ。撃つとは思っていなかったのかもしれない。

これはあくまでゲーム。命までは取らないものなのだと。

「何で、撃ったんですか?」

「バカな事を問わないでください。生きていたからに決まっているじゃありませんの」

「でも…」

「一時的でも戦闘不能に陥ったら敗北だと?その再起不能の敗北を誰が認めるのです?それを認めさせるには、殺すしかありません。誰も彼もが死に絶えた先に、勝者だけが残るのです」

「それは…」

そうなのだ。他者を蹴落とし、その血と肉でもって勝者が決められる。現実ではそれが間違っていたとしても、この世界ではそれがルールなのである。

恐らくエンプティもそれを理解したのだろうが。

「それでも…それでも、間違っているんです。間違っていなきゃ、ダメなんです」

「戯れ言、ですわね。そんな甘っちょろい見方で生きていけたなんて、さぞや幸福だったのかしら」

「違います!違うと…思います」

「おいおい、もう争うなって。今ここで争っても何にもならないだろ。ここじゃいつ狙われるか分かったもんじゃないんだぞ?」

エンプティはやはり誰かが死ぬのを見るのが嫌なのだ。

相手が自分の命を狙ってきた人物であったとしても。確かにそれは甘すぎる考え方なのかもしれない。時崎狂三にしてみれば人の死は見慣れすぎて、もう生と死の感覚は麻痺しているのだろう。

(これが一般人と殺し屋の違いってヤツか)

「…とっと離れますわよ。ここは空気が悪いですわ」

時崎狂三はそう告げ、3人はその場を後にした。エンプティは乃木が倒れていた場所を振り返ったが、そこには既に何もなく、一陣の風が吹き抜けるだけだった。

生きてさえいれば良い。だが死ねば無価値、この世界そのものから排除されてしまう。極端だがそれがこのゲーム、さらに言えばこの世界で唯一のルールでもある。

(エンプティが逃げ出したりしないと良いんだけどな)

 

気付けば陽が傾き、夕方になっていた。

乃木の後は大した戦闘もなく、包帯を全身ぐるぐる巻きにした怪しげな少女(?)とも小競り合い程度で済んでいた。

小競り合いといっても向こうが襲いかかってきたのを、和真の銃弾(機銃弾200発とチェーンガンをフルパック)で追い返した程度で、撃破までは至っていない。

とはいえ先程は色々言っていたエンプティもどうやら順応したらしく、だいぶのんびりしている。

(下手すりゃエンプティの方もメンタルとかやばいんじゃ…)

「1日目だと、こんなものでしょう」

「え?明日もやるんですか?」

「明日も、明後日も。誰か1人が勝ち残るまで」

そう呟いた時崎狂三の顔に、僅かに暗い情念が感じられた。

そして街にチャイムの音が鳴り響いた。

ゲームの一時的な終了を知らせるものだと時崎狂三は言う。

「協定のようなものですわね。夜討ちだけは禁止されているのです」

「へえ。破ったらどうなるんだ?」

「当然ペナルティですわ。未遂なら警告、仕留めた場合は、主催者によって粛清されることになっています」

「でもそれって意味あるんですか?勝てばカングンとかいうじゃないですか」

(カングンて…漢字使えって)

「そうならない為に人形達が見張っています。いくら夜襲を仕掛けたところで、彼女には勝てないでしょうからね」

「彼女?」

「いずれ分かりますわ」

時崎狂三はくすくすと笑うが、エンプティは首をかしげる。

「えっと、すいません。整理させてください」

「どうぞどうぞ」

「狂三さんは精霊で、他の準精霊さんより強いんですよね?」

「それはもう」

「でもこのゲームの管理をしているのは支配者(ドミニオン)っていう準精霊なわけですよね?」

「ええ」

「準精霊さんの作ったルールに精霊が従うんですか?何か、うーん、おかしくないですか?他の準精霊さんが従うのは分かるんですけど…」

「気紛れ、ですわ。ルールはキチンと守らなくては面白くありませんもの」

そのルールの穴を突いているのが和真なわけだが…正直夜討ちのペナルティよりも、先にこちらが粛清をされかねない。

他の準精霊か、人形か、はたまたこのゲームマスターたる支配者(ドミニオン)か。誰が彼を狙うか分かったものではない。

「あなたも気紛れで生かされていることを、お忘れなきよう」

時崎狂三の言葉にエンプティは何度も首を縦に振る。

それは悪魔の囁きか。

気紛れで生かされているということは、気紛れで殺されることもあり得るということである。

(つくづくナイトメアって名前が似合うヤツだなぁ)

 




最新話ですね。
明日か、1000年後かと言ったな。あれは嘘だ。
嘘でもないけど。今日挙げたわけだし。
つーかタイトルもタイトルだな。
もう乱暴じゃなくてランボーだよ。
そろそろ『デート・ア・バレット』じゃなくて『デート・ア・コマンドー』なんて名前付けてもいいんじゃないか?
無理か。無理だな。すいません、流石に無茶でしたね。
ウルトラマンで何か書きたいっつって、まだキャラすら考えてないんですけどね。
ま、次の話もできるだけ早く挙げるつもりですので。
じゃ、またねー


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束の間の休息、そして次の日へ

少々歩き、ある一軒家の前で時崎狂三は足を止めた。

「…ここでいいかしら」

「え?ここですか?」

「どう見ても普通の家だけどな」

何か特別な物を隠しているとか、そういうアレだろうかと思っていると、時崎狂三はあっさりとドアを開けて中に入り込んだ。

「ちょ、ちょっと狂三さん?くーるーみーさーん?他人の家ですよね?」

「いや人はいないってば。どうせ家も形だけだろ」

続くように中に入った先には、何もなかった。いや、何もない空間が存在していた。

とりあえず特別な物は少なくとも無さそうであった。

「そう。家の中なんて、ここでは存在しなくても良い。外側さえあれば街として成立するんですわ。住んでる人がそもそもいないのですから」

「ははー…なるほど」

「とはいえこれだと不便ですし。少々造った方がよろしいですわね」

彼女はそう言ってしゃがむと、白い空間に手を乗せた。

特に魔法陣的なものは出ないようだが、時崎狂三に何かを創造する能力があったろうか。

違和感を感じつつも、造り出された空間はなかなかのものだった。

色彩があり、各所にインテリアが置かれ、人が暮らすに相応しい。まぁ「てーい」という気の抜けた掛け声で造り出されたにしては、充分と言える。

「もう休みますわ」

「あ、はい。狂三さんお風呂とか、入りません?できれば一緒に」

ぱたぱた可愛らしく手を振るエンプティに、時崎狂三は露骨に顔をしかめる。

「結構です。入りたいなら好きになさい」

素っ気ない言葉に少々落胆した表情を見せるエンプティ。

「あ、はい。…おやすみなさい」

残されたエンプティと和真。

「覗かないでくださいね」

「誰が覗くか!はよ入れ!」

 

そうしてエンプティが1人優雅に風呂に入る頃、和真は家の屋根に上がっていた。

夜討ちはルール上ないというが、念の為見張りは必要かと思ったのである。いくら傷をつけようとも、命さえ取らなければ未遂扱いになる可能性があり、それを狙ってやってくる連中がいないとも限らない。

未遂が警告で済むというのもアレだが。

(けどまぁ準精霊も風呂入るんだな)

エンプティの風呂シーンを覗く気がないといえば嘘になるが、多少打ち解けているとはいえ、会ってまだ1日と経っていない少女の風呂を覗くのも紳士ではない。

まあ命が惜しいのでそもそも覗きはやらないが。

(星空か…久しぶりに見たかもな)

パッと見れば本物のように見えるが、もしかしたらこの星空は作りものかもしれない。

この世界自体、全て誰かが創り上げた箱庭の可能性だってある。

「さてと…」

そんなやや浮世離れした事を考えつつも、和真はアサルトライフルを取り出してマガジンを確認。弾は充分、グレネードランチャーも問題なし。

念には念を入れ、家の周りに防御線を築き、地雷も張り巡らしてある。

(何もなければいいけどな)

静かに夜は更けていく。

 

昨晩は特にこれといった襲撃もなく、平和に過ごすことができ、時崎狂三とエンプティもしっかり睡眠を取れただろう。

和真は一睡もしていないので睡眠不足ではあったが、それを言っては彼女達に変に心配をかけかねない。

心配をされるかどうかは別としてもだ。

(ん?なんか美味そうな香りが)

香りにつられて下りていくと、ダイニングテーブルに向かい合って時崎狂三とエンプティが座っていた。

良い感じの色合いに焼けたトーストとコーヒーが置かれており、これが今朝の朝食ということらしい。

「おはよ」

「おはようございます、和真さん。和真さんは何か欲しいものとかあります?」

「え、なんで?どっか行くのか?」

トーストをかじりながら問い返す。

「ショッピングモール行くらしいですよ」

「ショッピングモール?そんなものが?」

「ええ、ちゃんと店員もいますのよ」

「へえ…なんかよく分かんないけど行ってみるか。面白そうだしな」

「そういえばお金は…」

「この世界でお金なんて、鼻をかむ紙にもなりませんわ」

「「世紀末!」」

 

というわけで食事を終え、出発しようとして外に出ると、人形が立っていた。右は赤、左は青を基調としたゴスロリ衣装を着ており、人形のくせしてバイオリンやフルートを手にしている。

「こんにちは」「こんにちは」

人を真似たそれらしい声。

「はい、こんにちは」

「何ですの」

エンプティは律儀に返すが、時崎狂三は不機嫌そうに応じる。

人形は表情を変えずに淡々と告げた。

「昨日の戦闘において乃木あいあいが時崎狂三に、指宿パニエがシェリ・ムジーカに、佐賀繰唯が蒼に殺されましたよ」

当たり前のように人形はそう言う。

準精霊達の名前はあまり覚えていないため、名前を言われたところでどんな風貌だったかすら大して覚えていない。

覚える以前に殺されないようにしなければならないのだ。

「敢闘賞のメダルです」「どうぞどうぞ」

「…結構ですわ」

時崎狂三は人形を今にも蹴り飛ばしそうなほど苛立っている。

何がそうさせているのか分からないが。

「そうですか」「残念です」

「精霊の本当の力、今日こそは見せて貰えると」「とっても嬉しいです」

「…ええ、前哨戦も終わりましたしね」

「今日、狙われるのは確実なので」「覚悟してくださいね」

「そうですわね」

気付けば彼女の手には短銃が握られていた。

「何ですか」「この銃は」

「精霊故の気紛れです。次はもう少し、こちらを苛立たせない人形にしてくださいね。支配者(ドミニオン)さん」

避けようとしたが遅かったようだ。

彼女の放った銃弾が人形は砕かれ、醜くその屍を晒した。

「うう、朝から嫌なものを…」

エンプティは血が流れなくとも、こういうのは苦手意識が消えないらしかった。和真は特にこれといって感想も抱かない分、エンプティがどこか新鮮に感じられた。

「ところでコレ、怒られませんか?」

「怒られたところで、どうなるものでもありませんわ。わたくし、精霊ですもの。さあ行きましょう」

時崎狂三と和真は歩き出し、人形に南無南無と手を合わせてからエンプティが追いかけてくる。

(何事もなけりゃ良いけど…絶対襲われるよな)

もしかしたら変身する必要も出てくるかもしれないと思いながら、彼はショッピングモールへと歩いていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 




最新話ですね。
続けて書きたいけど、ウルトラマンの方も書きたいし、でも悩んで結局こっちをまだ書いてるわけですけど。
今回はネタは1つかな?
ま、次の話は今日の午後か明日には挙げられるかと。
じゃ、またねー


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八坂ターミネート

特にこれといって奇襲を受けることはなく、問題なく3人はショッピングモールへと辿り着いていた。

道中エンプティが消えたり現れたりしている左手を気にしているようだったが、和真はどうしようもないことであり、こればかりはこちらの専門外のため、彼女自身にどうにかしてもらうしかないと考えることにしていた。

「なるほど、こりゃ中々よく出来た店員だな」

ショッピングモールの中は確かによく見かける吹き抜けのあるショッピングモールそのものだが、それぞれの店にいる店員は明らかにマネキンであった。

顔はあるが目も鼻もなく、耳と口は外側の形だけ。

服屋などで見本のような感じで服を着させられているアレである。

『イラッシャイマセ、ナンニナサイマスカ?』

「喋るのかよ…ホラーじゃん」

和真の感想を特に気にすることもなく、エンプティはそのマネキンに向かって話しかけた。

「あのー服が欲しいんですけど。お勧めとかあります?わたしほら、この通り真っ白なもので。なんかこう、もうちょっとバシッとイメージチェンジできる服をですね」

『イラッシャイマセ、ナンニナサイマスカ?』

「…これだけですか、喋れるの」

「マネキンだぜ?初めからンな期待するなよ…」

「そうかもしれないですけど、普通聞きません?」

「うーん、聞かないなぁ」

そしてじっとりとした目で時崎狂三を見るエンプティ。どうやらもっと人間のように喋れると思って話しかけたらしい。

「まあまあ、もうちょっとその愉快な一人芝居をお続けになってもよろしかったですのよ?」

「やらないですよ!」

そう言ってエンプティは近くの店に入っていったが、和真は付いて行かなかった。

(女モンの下着かよ…やれやれ)

時崎狂三もなんだかんだでその店に入っていってしまったため、和真は実質暇を持て余すこととなった。とはいえ何もしないで待っているわけにもいかない。

(銃でも置いてないかなあ)

長いこと補給をせずに旅を続けたのが災いしたのだろう、銃火器が結構不足してきているのである。館内マップらしきものは無さそうなので、自分の足で歩いて探すしかなさそうだったが、ふと近くにそれっぽい店があるのが目に付いた。

(アラモ…ガンショップ?」

どこかで聞いたことのある店名のような気がするが、まあ名前に関しては深い事を考えてはいけない気もした。

「じゃあ買い物(100%off)するとしますかね」

『イラッシャイマセ、ナンニナサイマスカ?』

単調に台本通りにしか喋ることができない大根野郎…もといマネキンは放っておき、店の中を見て行くと、なるほど結構な品揃えである。

まあ店員がアレなので、とりあえず使えそうな物を片っ端から取って行くことにした。

「可変式プラズマライフルは…まぁないよな」

鉄砲店がある時点で充分おかしいのに、プラズマライフルなど置いているわけもない。

ただ唯一の救いといえたのは、店の銃火器に手がつけられていなかったことだった。恐らくこの世界の準精霊は自身の霊装と無銘天使のみで戦う故、このような銃火器を使わないのだろう。

「ま、こんなもんでいっか」

5分ほどで和真は店の銃火器をほぼ全て買い込んでいた。無論タダなので調子に乗ったところはあるが、今後準精霊との戦いが激化する可能性も考えると、これでも足りない気はする。

少なくともこのゲームが終わるまで、仮面ライダーブレイドに変身するのは極力避けなければならないのだ。

(こんなデカいショッピングモールだ、襲撃はされるだろうな)

それが誰なのかは知る事はできない。残ったメンバーが全員で狙ってくることも考えられるが、それは最悪すぎてあまり考えたくは無いが。

 

和真が買い物を終わらせて、エンプティと時崎狂三の入っていった女性用下着店のところまで戻ってくると、丁度2人が出てきたところだった。

「そっちは…いや、いいや。女性用下着のことは知らないし。それよりこの後はどこか向かうのか?」

「まだ決めてないですけど…」

まだ決めてないと言いつつ、エンプティは歩き出すとこの店に入ろう、あの店に入ろうと言い出す。

3人集まれば姦しいなどとは言ったものだが、1人で充分3人分の仕事を果たしている気がする。

「もー、何なんですか狂三さん。和真さんも」

「ここには遊びに来た訳ではありませんの」

「じゃあ何しに来たんですか?」

「待ち伏せを受けるためですわ」

彼女は古式の短銃を手に宙を見、和真は機関銃を取り出して構える。

「何物騒なもの取り出してるんですか!?しまってくださいよ!」

「もう遅いぞ。早く隠れるんだ」

吹き抜けの上の方から落ちてくる人影を認め、和真は銃口を上に向け、狙いを外さずに引き金を引いた。

 

 




タイトルがデート・ア・ライブシリーズっぽくなりました。
というかそうしないとしっくり来ないかなーって。
まあ十香デッドエンド並みに物騒なタイトルになりましたけど。
鳶一デビルもそこそこ物騒かな。そうでもねえか。
そろそろウルトラマンで何か書こうっていって全然手ェ付けられてないから、そっちやろうかな。
でも第十領域(マルクト)の話はキリがよくなるまでやりたい感もあるんだけどなぁ…正直次の話はいつ挙げられるか分かんないですね。
じゃ、とりあえずまたねー


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スカイフォール

初戦で乃木あいあいと戦う前、和真は時崎狂三にある作戦を提案していた。

「あなた正気ですの?」

「失敬な。これでもルールには一応違反してない…はずだし、時崎の方にもメリットがある。やってみる価値はあるだろ?」

「まぁ、そうですわね…死んでも責任は取れませんけれど」

「ノープロブレム。これでも頑丈に出来てるんでね」

和真が提案した作戦の主目的は、時崎狂三の天使を出来るだけ使わせないことにあった。

確かに彼女の持つ天使は非常に強力で、時間と影を操ることができるが、その分自身の時間を削っていく。下手に敵に逃げられでもすれば、時間を無駄に浪費したことになってしまいかねない。

それにここには喰える人間がいないのだ。

その為に彼が相手の準精霊を出来るだけ消耗させ、そこで確実にとどめを刺そうというわけである。

ルール違反かと言われそうだが、彼が知りうる限り準精霊及び精霊のバトルゲームということくらいしか明確にはなっておらず、“準精霊でない者が実弾銃を準精霊に向けて撃つ”ことは禁止とはされていない。

まぁそれはかなりの屁理屈なのだろうけれど。

 

落ちてくる人影に向かって、和真は機関銃の引き金を引き続ける。向こうはこちらの銃撃はある程度予想していたようで、空中で機関銃の弾丸を避けていく。

「〈原初長弓(クロトス)〉【螺旋矢(スピラ)】!」

「時崎!下がれ!」

落ちてきた準精霊は弓型の天使の狙いを和真ではなく時崎狂三へと向ける。

「来ましたわね」

しかし彼女は動かない。自分がターゲットであると分かっているからこそ、敢えて動かないのか。

準精霊は驚愕の表情を浮かべながらも、その矢を放つ。螺旋を描いた矢はライフル弾のように時崎狂三へと迫るが、彼女は僅かに体を反らして回避。

「危ないだろ!」

首をすくめる時崎狂三。準精霊の方は空中でブレーキをかけ、作戦を変えたのか、連続して矢を射出してくる。

「きゃあああああああああ!!」

悲鳴を上げるエンプティにはとにかく逃げてくれることを期待し、和真は機関銃の残弾を全て準精霊に向けて撃ち放つ。

(…これ、向こうは当てる気はあんまりないのか?)

間を置かずに連射される矢は時崎狂三を狙ってはいるが、確実に当てるつもりもないらしい。

時崎狂三はハンガーラックを掴むと準精霊に向けて放り投げる。

空中の準精霊の視界が覆われ、矢の雨が止む。

「待て!撃ったら…」

和真の言葉を待たず、彼女は銃を1発撃った。

「イサミ!今よ!」

空中の準精霊が叫ぶ。やはり2人目が居たのだ。

攻撃を当てなかったのも時崎狂三をここから動けないようにするためで、自分ではなく2人目が本命。

視界を遮ったところでターゲットが銃を撃って仕舞えば、場所が割れてしまうが。

(ああ、そういうことか)

そして轟音と共に遠く五階から床をぶち抜きながら、刀を持った準精霊が姿を現す。

「〈堕天一箇神(いっぽんだたら)〉ァァァァァァァ!」

咆哮。少女の声だが、それは獣のようである。

シンプルイズベストな刀を以って、イサミと呼ばれた準精霊は弾丸の如く迫ってくるが。

「…って、いないよ?!」

「え…?」

驚く2人の準精霊。彼女達は時崎狂三の能力を知っていないらしい。仮に知っていたとして、対応できるかは別の話だが。

「忠告するなら…もう少し、手を組むという意味を重要視すべきでしたわね」

「う、あ、ああああああああああああぁぁぁぁぁっ!」

振り向きざまに刀を振るうが、遅すぎた。

無慈悲な銃声。

イサミの霊結晶(セフィラ)へ弾丸が撃ち込まれる。

最早彼女は死を免れ得ないだろう。

「イサ、ミ…」

それでも死を目前にしながら、イサミは時崎狂三にしがみつく。

「射て…射てぇぇぇぇぇ!」

感動的と言うべきか、美しい友情というべきか。

弓を構え、準精霊は時崎狂三に狙いをつける。いくら彼女でも体を掴まれた状態で天使をもろに受ければ、ダメージは確実だ。

「〈原初長弓(クロトス)〉…」

「ぶっ飛べ!」

阻止せんと、グレネードランチャーを取り出して構えた時だった。

地面が揺れた。地震のようだが何かが違う。

準精霊達と時崎狂三は顔色を変えている。

「『隣界編成(コンパイル)』…こんな時に!」

どうやらまた知らないことが増えたようだった。




クオリティいつも通り低いよね。
つーわけで最新話いつになるか分かんないとか言っといて、あっさり投稿するあたりなんていうかね。
次こそはウルトラマンで何か書こう。次のウルトラマンはゼロの弟子らしいけど…見た目的にオーブとかフーマに近いし、O-50出身説あり得ると思ってる。
まあカラータイマーがZの形だからちょっと自信ないけどさ。
オーブもカラータイマーの形Oだし無くはないか。
てか全然変身しねえな和真!
次の話も明日あたりに挙げるかもしれないけど…
どうだろ。分かんないや。
とりあえず今日はここらで、またねー


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ニューアイデンティティー

凄まじい衝撃が5人を襲う。

床を破って漆黒の柱が吹き抜けにそびえ立ち、その柱から無数の棘が生え始めた。攻撃的で禍々しいが、それでいて何かを感じさせる。

「きゃあああああああああ?!」

見れば先の戦闘と、今の柱の誕生により崩落しかけたフロアからエンプティが滑り落ちていく。

相変わらずというか、見ていられない。

時崎狂三はイサミにつかまれて身動きが取れないが、なぜか彼女は空っぽの少女に手を伸ばす。

届くはずがないと互いに分かっていたはずなのに。

「エンプティ!掴まれ!」

主人公を気取ったか、愚かな行動だったかもしれないが。

和真はエンプティへと手を伸ばしたのだ。

純白の少女は赤い瞳で彼を見、そしてその白い手は和真の手を掴む事に成功した。

だが手を伸ばした時、1つだけ彼は失敗した。

(今空飛べないじゃん)

やはり愚行。2人は重力には抗えずに、黒い柱へと落ちていった。

 

***

(ここは、どこだ?)

ショッピングモールの床に落下するか、柱に突き刺さるオチかと思っていたが、実際にはそうではなかった。

目を開けると、彼はどこかの教室にいた。何者かによって破壊されたか、半壊しているが、此処は学校だ。

ふと見ると、彼の隣にいるのはエンプティではなく、夜刀神十香、彼女であった。

「なんでここに?」

彼の問いに彼女は答えない。彼の声が聞こえていないのか、何度も呼びかけたが、反応がないために和真は問うのを諦めた。

どうやら手などを見るに体が半透明になっており、彼は死んだような扱いになっていたからである。

(ま、死んだなら死んだでもいいけどさ)

机に腰掛け、彼は息を吐く。

だが左程時が経たぬうち、事態は変化した。教室に1人の少年が現れたのである。

「お前!」

当然彼の言葉が聞こえるはずもない。だがよくよく考えれば、簡単な話である。半壊した教室、夜刀神十香、来るのは必然的に士道しかいない。

彼は十香と対話した。優しく、彼は彼女に対する救いであった。

士道は彼女を否定せず、話をした。

そして彼女の名を呼ぶ。

十香、と。

「名前、か」

破壊だけが彼女の象徴であったが、今彼女に初めて名が付けられた。

徐々に世界が色を失っていく。

否、彼女だ。エンプティだ。十香はエンプティだったのだと、なぜか今確信を持って言えた。

空っぽの彼女に名が付いた。それは彼女が彼女たる証明であり、そしてこれからの生きる為の指針となろう。

「やれやれ、こんなんで世界に色が付くなんてな。色づく世界の明日からとはよく言ったもんだ」

首をすくめながら和真はどこか嬉しいような気持ちもあった。幼子が初めて何かを成し遂げたのを見たような。

世界は色を失い、本来の色を取り戻していく。

***

 

ショッピングモール1階フロアで和真とエンプティは目を覚ました。どうやら彼女の手を握った影響で、エンプティの見た夢か幻か分からない朧げなものを、彼も見る羽目になったらしい。

最もゴースト扱いだったので少々腹立たしいところはあるが、彼女は自己を確立した。彼はそのギャラリーに過ぎない。

そんな2人を見下ろし、1人の新たな少女が告げた。

「ごめんなさい。ちょっと人質になってくれますか?いえ、貴方は結構ですけど」

「はあ」

どうやら和真は逃し、エンプティだけを人質とするらしかった。彼は解放(?)されてしまったわけで、時崎狂三の元へと戻る事にした。

(俺はなんもねえのか)

Mではないが、なぜか彼に価値を見出せないと言われたような気がして、少々腹立たしかった。

彼に価値がないというなら、それでもいいが。

「面白い奴だな、気に入った」

それ相応のものは見せてやるつもりだ。

 

 




だいぶ久しぶりです。
多分そうね、14年ぶりくらいかな。冗談だけどさ。
進みかなり遅くなってるから、駆け足で行こうかな。どう駆け足にすんだかサッパリ分からんけどね。
最近オンライン授業だなんだっつって意味がわかんねえ。
サブカルコーナー行きたいけど、何話せばいいの。
かぐや様最新巻?アニメ2期?レヴュースタァライトの愛城華恋のフィギュア買ったこと?
うーん、それより部屋掃除しようかな。
ウルトラマンで何か書くって言って、まだ書いてないのは、はい。
すんません。
資格等で忙しくてですね。じゃあ何でこれ書いてんだよって話になりますけど。
じゃあまた、近いうち。


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命の選択を

時刻は夜7時少し前。

エンプティが人質に選ばれ、和真が時崎狂三と合流してから2時間以上は余裕で経っている頃合いである。

「はぁ・・・俺も人質になってればよかった」

「今更何を言っていますの?エンプティを助けると意気込んでいたのは貴方でしょう」

「いやまぁ、一応そうだけど」

彼女が捕まっている工場を物陰から見る影が2つ。

当然和真と時崎狂三である。

積極的ではない風を装いつつも来た時崎狂三と、自身が人質に取られなかったことに不満を抱く和真。一見ミスマッチな意見を持っていた2人であったが、結局はこうして彼女を助けに来たわけだ。

「行くか。相手の方も痺れを切らしてる頃合いだろ」

「ええ。仕掛けるのはわたくしからですわよ」

「俺はダメなのかよ。あの準精霊達に目にもの見せてやろうと思ったんだけどな」

「貴方は戦闘要員ではないでしょう」

そういうと彼女は物陰からから出、工場の方へと向かっていく。

確かに彼女のいう通り、彼は戦闘要員ではない。丁寧な言い方に変えれば御付きの人に過ぎず、この戦いにおいて彼が得られるメリットも殆どない。

仮に勝ち残って霊結晶(セフィラ)の塊を手にしたとして、使えないのだから土塊同然の扱いとなるのは目に見えている。

かといってこのまま時崎狂三を1人で行かせても、相手は2人。このような工場にエンプティを捕らえている以上、かなりな数の罠も仕掛けていられるのは間違いない。

ASTのような雑魚とは違い、こちらは霊力を有する準精霊が相手。おまけにエンプティを守りつつ戦わねばならないと来た。

「無茶な事しやがる…」

仕方なく彼女の後を追う形で工場へと足を向けたが、偵察などしている間も無く、彼女の銃声が聞こえてきた。

戦闘が始まったのである。恐らく仕掛けたのは時崎狂三からであろうが、2対1では分が悪いはずだ。

「ならやるか、久しぶりに」

自身の力を知られる可能性もあり、身体に少々の負担を強いることも避けられないかもしれないが、しかし致し方ない。

ブレイバックルを腰に装着して和真は呟く。

「変身」

『Turn Up』

青と銀の騎士、仮面ライダーブレイドに変身。黄金のキングフォームへとチェンジし、重醒剣キングラウザーを握る。

『♠︎10・J・Q・K・A』

ラウズカードをキングラウザーに読み込ませると、金色の輝きを放つカードが5枚、彼の前に現れた。

「はああああああああッ!」

キングラウザーからカードを貫きながら光の奔流が放たれ、工場をぶち壊し、夜闇を照らし出す。

「相変わらず凄え威力だな」

エンプティや時崎狂三を巻き込んでいないかということもあり、慌てて半壊した工場へと踏み込むと、どうやら無事ではあるようだった。

かなり、紙一重であったようだったが。ネオが地下鉄を避けた時くらいには。

「邪魔するよ。あ、えーと、怪我は?」

「ないですわよ。死ぬかと思いましたけれど。というか貴方その姿は、何ですの?」

「まぁ、後で説明するよ。なんか1人仕留め損なったみたいだな」

あの光を上手く躱したのか、小柄な少女が入り口のあたりまで逃げており、そこからこちらを振り返った。

そこから右腕を向け、陽光を放つ。狙いは時崎狂三と、用済みとなったエンプティだろう。

「わお」

彼が反応するより速く動いていたのは、時崎狂三であった。反撃するかと思ったが、意外にも彼女はエンプティの前に立ち塞がった。

自己犠牲など欠片もないはずの彼女が、空っぽの(少なくとも今はそうではないのかもしれないが)少女を庇ったのである。

光は時崎狂三の腕を切り落とす事に成功したが、まあなんというかグロい絵面が出来上がってしまった。

「いや女の子の腕が切り落とされてるのってどうなのよ」

「美しいでしょう?私の腕」

「そうじゃねえって。いや、冷静なのもどうかと思うけどさ」

「パーツが外れてるのグロいですよ!どう考えても」

「ほらな」

和真が動かなかったせいもあり、時崎狂三の治療は急ぐ必要がある。

精霊とて血は流すし、痛みも感じる。

陽光を放った準精霊の腕に光が再度収束しているのを見るに、既に2発目を発射しようとしているようである。

(使った事ほぼないけど、試してみるしかないな)

和真が腕をその準精霊へ向けると刹那、彼女の全てが停止した。

収束していた光も、思考も、体の動きも、すべてが。

「これは・・・?」

「良いから離脱するぞ。長くは保たない」

二人を抱えて和真が工場を後にした直後、3人がいた場所を光が直撃、眩いまでの爆発を起こした。




何でしょうね。明日からまた授業が始まると思うと、また鬱になりそうで。
いやマイナス思考はやめよう。
でもなんていうか、時間に余裕あっても精神的な余裕がねえの。
これ書いてても追い詰められてる感が否めない。
現実逃避したくてもできん悲しさね。
じゃ、近いうちに書けたらいいな。
またねー


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男の戰い

工場から脱出した3人は、しばらくの後、再び例の家へと戻って来ていた。トラップ等をそのままにしておいたので、2人には危ない箇所を指示しながら家の中へと入る。

すぐさまエンプティが時崎狂三の治療に取り掛かったのを確認すると、和真はメモ書きをテーブルの上に静かに置き、物音を立てぬように外に出た。

エンプティは手当で慌てているだろうし、時崎狂三も傷の修復に専念すると見て良い。当面は和真に構っている余裕は2人ともないはずだ。

最もあの傷で戦線復帰は難しいと思われるが。

(あーメモ書き要らなかったかな)

不気味なまでに静かな街を歩き、記憶を頼りに和真はある場所を目指して進んでいく。

 

このゲームで生き残っていると思われるのは、時崎狂三とエンプティの他に2人。蒼(ツァン)という少女だが、あまり彼女とは戦いたくはない。彼女は危険なのだ。まともに戦ったことはないが、そう感じる。

もう1人はフォルス・プロキシ。ピロシキのような名前をしているというのは置いておくとしても、だ。

生きているかどうかすら憶測に過ぎないが、彼女(?)は準精霊の中でも特殊なポジションなのではなかろうか。

他の準精霊と同じ土俵で戦いを挑んではいるように見えて、何か内側に違う物を秘めているように見える。

包帯を全身で覆っているあたり、何かしら秘密はありそうだが。

「さてと…」

しばし歩いて辿り着いたのは、少女達と初めて出会ったあの学校。ここに何か、このゲームの核心に迫るものがあると彼は踏んでいる。

時崎狂三という案内人もいない今、どこでどんな目にあおうが自己責任。仮に今襲われても敵地にのこのこ入ってきた愚か者でしかない。

「これで、行こうかな」

チョイスしたのはショットガン。

重火器はいくつか手持ちはあるとはいえ、敵の数も不明な今、小回りが利く武器の方が良い。

まあショットガン好きだからというのもあるけれども。

 

敵が無数にひしめいているかと思っていた校内は意外にも静かであり、偵察程度に数体の人形らしきものが動いているのみだった。

(まだバレていないな。バレなければ、そのままで良いんだが)

ひとまず目指すはファーストコンタクトの場となった、あの教室。恐らくまだあの人形モドキはいるはずだ。

ゲームの主催者が誰なのか、この領域の支配者はどこにいるのか、知る必要がある。

抜き足差し足忍び足で進もうとした矢先、けたたましい警報音が鳴り響いた。

「バレたかぁーそりゃいつかはバレるだろうと思ってたけどさ!」

ショットガンの引き金を引いて人形を黙らせるが、どうやらまだ残っている人形がいたようだ。

立て続けに撃ち、和真は教室へと進んでいく。こうなってしまえばバレるバレないは気にしていられない。

ともかく一刻も早くあの教室へ行かねば。

「どけ!人形モドキが!」

お化け屋敷顔負けのレベルで群がる人形を相手にしつつ、和真は教室へ着実に近づいていく。

(これだから人形は気に食わねぇんだ。人の都合も考えずに、身勝手な連中だよ…)

ネオもといジョン・ウィックよろしくショットガンとハンドガン、アサルトライフルを使い分けて粗方の人形を片付け、ようやく教室へ踏み込むと、そこには異様な光景が広がっていた。

「なんだ、これは…」

人形がいる、それは確かだ。だが一度倒されたはずの準精霊が、僕として、人形として蘇るなどということがあり得るのか。

そして中でも一際異様さを放つ、フォルス・プロキシ。

ただ丁度和真が踏み込んだタイミングが悪かった。

人形として生き返ったイサミ達を目視したのも束の間、フォルス・プロキシは彼女達3人を飲み込んだのである。

「グロ…」

「あなたは」「異端者」「不届き者」「このゲームにあってはならない存在」

口々に叫ぶ人形達。

「いや酷え言いようだな」

「まずは彼からだ」「弾け飛べ、フォルス・プロキシ」

コクリと頷いた包帯女は、無言で和真へと迫ってきた。

 

 

 




クソッタレですよ大学とか。
なんとかまぁ課題終わらせてこうやって書いてるわけだけど、色々うん大変だったわ。
本来ならもっと早く終わってたはずなのにな。
最近愚痴ってばかりな気がするな。ポジティブに行こう。
なんかこう、デート・ア・バレット、劇場版になるんだっけ。
白の女王出るらしいな。まだ俺の話だと出てないけどさ。
デアラ4期も確定したとかで。
やっぱテンション上がってきた。
3期が鳶一デビルまでやったんだっけか。
でもこのままやると士道暴走から始まるんだよなぁ。
アニメ勢居たら、ほんとすいません。
原作からだったので(土下座
でも六喰と二亜までやるのかな?たぶんそれで丁度良くなるのか。
いやでもどうだろう、流れ的に士道暴走を4期最後に持ってきて5期に繋げる気もしなくはない。
というかここまで来たら全部やってくださいお願いします。
あと黒十香が好きな人!
六喰ファミリー、じゃなくてたぶん4期で観られるはずだから喜んで!たぶん5期でも(やってくれたら)
親父も十香好きだし!
またすいません親父が、十香と十香の中の人推してるもので。
じゃ、話逸れたけどまたねー


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心のかたち 人のかたち

文字通り、和真に迫ってきたフォルス・プロキシは弾けた。

正確には彼に掴みかかり、もつれ合って壁をぶち抜き、校庭と思しき場所に落下してからであったが。

それは気持ち悪いほど綺麗に弾け飛んだが、撒き散らしたのは五臓六腑ではなく、飲み込んでいたらしい人形達であった。

「すっげえ入ってたんだな…」

イサミをはじめとした彼が知る準精霊の他に、彼の知らない顔もかなり混じっている。このゲームに惜しくも破れた者達の成れの果てか。

(こりゃあなんというか、厄介そうで)

全部で何体いるのか、数えるのは面倒だからしないが、彼が異端分子でありイレギュラーと分かった以上、全力で彼を消そうとしているのは明確である。

「変身!」

素早く仮面ライダーブレイドに変身、ブレイラウザーで人形を切り裂きながら、例の教室へ急ごうとする和真。

当然人形達が黙って見ているわけもなく、数の差で徐々に動きを抑えられてしまう。

「だからァ!お前らに構ってる暇はないんだってば!」

跳ね除けようとするが、人形とはいえ彼女達(人形に性別があるのか不明だが)は準精霊。精霊の下位互換と認識しているものの、複数で掛かってくれば精霊に匹敵する力を発揮できると見て良い。

「ちっ、知らない準精霊までいるのが面倒なんだよな」

攻撃方法を把握していないため、対策を立てづらいのである。

おまけに近距離、中距離、遠距離すべて網羅されており、変に気を抜けば死角からやられかねないと来た。

なにやら銃らしき武器を持った者もいるようで、彼女が味方の人形に構わずに撃ちまくるのである。

『エボリューションキング』

もはや手段は選んではいられない。キングフォームになり、気は進まないものの、あの手段を使う事にした。

幸い人形達は彼を囲んで密集しているため、当てるのは簡単だ。

そして和真と人形達が向かい合うと、再びあの現象が起きた。

全てが静止、水滴の落下も、人形の動きも、時間そのものが凍結したように動かない。

「ずるいからなぁ、これ」

そう呟く彼の身体の2箇所が光り、それが右足に収束すると同時、ブレイドは跳躍、ドロップキックを人形達へと見舞った。

「リスタート」

刹那、彼を包むように大爆発が起こり、少し離れていた人形も爆風に巻き込まれ、吹っ飛んだ。

「再起動にゃ少しかかるかな?」

キングラウザーを手にブレイドはゆっくりと浮上し、例の教室へと戻ってきた。

「ゲームマスターは、この階層の支配者はどこだ?」

口をつぐむ人形達。教える気が無いということだろう。

「そうか」

金の剣を人形へと向けるが、怯えた表情は見せない。そりゃ人形に表情や感情などあるわけもないのだが。

ゆっくりと拳を握りしめ、和真は例のちっこい人形2人を殴り砕いた。

「なら俺が見つけてやる。このゲームも全部終わりにする」

 

静寂が訪れた教室を後にし、振り返る事なく彼は進んでいく。彼が成すべきことは、シンプルである。

このゲームを終わりにし、この世界から脱出する。

遠い昔にソ連式の方が能率的だと教わったが、今は彼自身のやり方を貫く。

「どこに隠れたんだ、ゲームマスター」

出会うたびに人形を斬り捨てていくが、一向に支配者は姿を見せない。そろそろ姿を見せても良さそうなものなのだが。

(もうあぶり出すしかないのかなぁ)

軽く息を吐くと、ゆっくりと和真は剣を構えた。




久しぶりですね。
こんちくしょうゼミの方が忙しくてまた最近書けてませんでして。
まあ次はいつか分かんないけど。
ウルトラマンの方も書きたいなあ、書けてないけど。
じゃまたね


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