Re.サテラと歩む物語 (しょうぷー。)
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嫉妬と怠惰

誤字、脱字などがあれば教えてください


「ねぇ…どうして…あなたは…私を助けてくれるの?」

 

つれないこというなよお前と俺の仲じゃないか

 

「知らな…私は…あなたを知らない」

 

君は知らなくても俺は知っている。

君が優しくて世間知らずでハーフエルフなことも全部知ってる。

 

「…何をいってるの?私はあなたとはじめてあったは…はず」

 

「リア!今すぐそいつから離れて!」

 

パックか…相変わらず猫のままなんだな

 

「黙れ…!この魔女教徒が。けがわらしいその姿で僕のリアに近づくな!」

 

はぁ、まったくお前はいつまでたってもリアリアリアとそろそろ娘離れしたらどうだ?

 

「いい加減口を閉じなよ。じゃないと苦しみながら死ぬことになるよ」

 

そうかまだ俺を殺さないか。

殺せる時に殺さないとは…後で嘆くなよ、喚き散らすなよ、全てはお前がまねいたことだ。

 

まったくお前は怠惰だなぁ

 

「くる!リア逃げて!」

 

俺から伸びる無数の影の手がパックとエミリアを包み込もうとする。

 

「パック!嫌だよ、私も戦う」

 

「ダメだ!君がいたら僕は…ッゴフ!」

 

「パック!」

 

本当に怠惰だなお前は、そんなんだから俺に体を貫かれるんだよ。

 

「そんな…パック…?」

 

お前にその姿になられると迷惑だ。

悪いけどオドは壊させてもらった。これでお前は周りからマナを吸い取れない。

 

「嫌だよ…パック。私…」

 

「エミリア!」

 

おお、どうやら君の騎士様の登場だ。

サテラからの寵愛を失った彼にできることは何か怠惰な俺に教えて欲しいなぁ。

 

「エミリア!大丈夫か?すぐに逃げるぞ!あっちに行けばベアトリスやガーフィールもいる。ここは…エミリア?」

 

ちょっとずつエミリアに変化が現れている。見た目にはなんとも変化などは見られない。しかし彼女の纏っている空気がマナがどんどん瘴気に侵されていくのが目に見えてわかる。

 

「エミリア!しっかりしろ!お前…エミリアになにをした!」

 

そんなこと、見て分からないかな?今彼女は己が器に相応しい事を身を以て証明している最中じゃないか。

ああ、すごい。さすが試練を突破しただけある。この純粋でドス黒い瘴気、随分とこの器と相性が良いらしい。

 

「…ふふ。カイトあなたにやっと会えた」

「はぁ本当だよ。お前に会うためにどれぐらい苦労したと思ってるんだ」

 

本当に苦労した。こいつに会うためにライを使ってレムとクルシュをレグルスを使ってホーシン協会をカペラを使いルグニカを業火に包ませたのも本当に苦労した。こう考えると本当は俺って勤勉じゃないかと考えると時もある。

 

「どうしたのカイト?私と会えた事が…不満?」

 

「まさか全然そんなことないよ。俺もちょっとびっくりしちゃって。だってもう…殺しちゃったんでしょ?」

 

「うん、だって私たちの再開をじゃまするんだもん。それはいけないこと、カイトの視線は心は求むべき相手は全部私じゃないといけないから、カイトの視線を奪うあいつは殺さないといけない」

 

「そうかよ、俺は幸せものだな」

 

俺の後ろに転がる先ほどまでスバルであったもの。もはやそれには原型のかけらもない。四肢はバラバラ内臓も飛び出し誰が見ても死んでいると答えるほどの醜い損傷だ。

 

「それじゃあいくかって言いたいことところだけどまだする事があるんだわ」

「なに?まだ私からあなたを奪うやつがいるの?教えてカイト、私がそいつを殺してあげる、ううんもう全部殺しちゃおうそしたら私とあなただけの世界をつくろう。そうしたら絶対に幸せになれるよね、じゃあまずはそこの『剣聖』を殺しちゃおっか」

 

突然嵐が止み俺とサテラには似合わない太陽が雲の隙間から光をのぞかせる。きっと彼が望んだろう。

サテラの大胆な告白の最中に現れたそいつは決して楽な表情などしていなかった。鋭い眼光に手に握られている龍剣レイドも熱を帯びているのが目に見えてわかる。

彼を包み込もうとする瘴気が全て無に還る。

それもまた彼が望んたことなのだろう。

 

「どうして邪魔するの?私とカイトはただ愛しあってるだけ、それをどうしてあなたみたいなレイドの栄光にすがっている奴らに邪魔されなくちゃいけないの?」

 

「それが真っ当な愛で誰も傷つけないというのならば僕も陰ながら応援ししましょう。しかしあなた達は多くの人たちを傷つけすぎた。クルシュ様もユリウスもエミリア様もそして…スバルさえも」

 

「だってさサテラ、なんか覚えある?ちなみに俺はないぞ」

 

「私もないよ、きっと死んだ人たちは一生じゃ背負いきれない罪を背負ったんだと思う。例えば…私の彼と目があったとか」

 

サテラが人を殺す基準は全てそこにある。誰にも理解されぬ嫉妬。サテラにとって俺こそが全てでありその他などは有象無象に過ぎないのだ。

 

「もうあなた達とは話す気も失せました。僕の全てを持ってあなた達を殺します」

 

そのままのしのしとゆっくり近づいてくる。その一歩にはどれほどの怒りが込められいるのか、そんな事を考える余裕が今の俺にはある。なぜなら、

 

「はぁー。今回もダメか」

 

もう今回の周回は諦めているからこの先のことなどどうでもいい

 

俺の首が飛びサテラが嫉妬と怒りと悲しみに支配されるのにそう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

それは突然やってきた。

目まぐるしく動く時の中で彼はうんざりしていたのだ。

きっかけは誰にもである小さな願望。

救いの神を求めただけ

たまたまだったのだ。神の気まぐれか前世の行いが悪かったのか彼はその時代から弾き出された。

 

そう、しかたなかったのだ。手を差し伸べてくれた少女が自分の好みのどストライクでしかも性格も器量も良かったのだ、ただ彼女が世界から良しとされていない魔女だからといって誰が気にするか。

 

 

 

 

日はまだ登っていない。うるさくなく害虫もいなければ部屋から出て来いなんていうやつもいない。

聞こえるのは透き通るようなら声でただ自分の事を呼ぶ少女。

 

「カイト、大丈夫?」

 

「ああ大丈夫だよ」

 

君のその声を聞くだけで何度でも頑張れる。今度こそうまくやる。だから今だけは泣くのを許してくれないかな

 

「カイト、どうしたのいきなり涙なんか流して。嫌な事でもあった?もしかしてまたエキドナにいじめられたの?それともダフネに食べられたの?よし!わかった。私がみんなを叱ってくる」

 

「違うんだサテラ、これはエキドナにいじめられたとかそんなんじゃなくて、ただ君の顔を見たら急に出てきただけ」

 

「つまりいじめてたのは私?」

 

「そうじゃない!そうじゃない!つまりは、えーと、ほら改めてかわいいなと思っただけ」

 

咄嗟に言い出したこれは見苦しいか?だっていきなり変な事言ってもしょうがないしいつもの彼女ならこれでうまく丸め込めるんだけど…

 

「…あはは。何それ」

 

今のサテラは怒ってもいなければ嫉妬もしていない。

ただそこにいるのは年相応に笑って少し照れて頬を赤く染めている1人の可愛らしい少女だけだった。

その姿に俺は見惚れてしまった。きっとどこの野郎が見ても一度は心を奪われてしまう。カーミラとはまた違う、純粋でただ彼女の事を知りたいと思ってしまうほどの美貌は永遠に見ていたいと心を奪われてしまった。

 

ゆらゆらと揺らめく木陰の中で俺は今もう一度彼女に惚れ直した。

 

 

200年後

 

俺がサテラにさっきの質問をされたのは通算3回目だ。

嫉妬の魔女に一方的に愛され死ぬ事を許されぬ日々を過ごして体感時間は1000年を超えている。

しかし、どれほど時間をかけても俺の中にある魔女因子は言う事を聞いてくれない。

さっきだって暴走して自分ではない自分が出てきてしまった。

サテラもきっとそうだろう。

彼女はもっと愛に満ちていて決して俺のために殺人なんておかすわけがない。

はぁ、困った困った。今回は一体どうしようか……

 

 

「って事で助けてくれよ」

 

「いきなりやってきて何を言ってるのかしら」

 

毎度毎度困った時に助けを求めるのは魔女ではなく彼女にしている。確かに彼女は年齢の割に背が10歳前後くらいの歳の子ぐらいしかなく金髪でロリでドリルみたいな髪だがこれでもかってぐらい頼りになるのだ。

 

「それにベティーは禁書庫から出られないかしら。誰かに頼むならこの前言ってたがーるふれんど?なるものに頼むかしら」

 

「だーかーらー、『その人』ってのは俺のことなんだって言ってるだろ。いい加減認めてくれよ」

 

「母様がこの世界でお前と嫉妬の魔女は信じるなっていってたかしら」

 

「マジで許さねぇあの魔女、地元じゃ救世主なんて呼ばれているこの俺を詐欺師呼ばわりするなんて」

 

「自分がバカみたいにマナを出したせいで寄ってきた魔獣を倒して救世主なんて呼ばれたことぐらい知ってるかしら、マッチポンプもいいとこなのよ」

 

確かにそれは言えてるが今話すのはなしだろ。だってあれは酔った勢いでやったことでつまりはノーカンといっても問題はないだろう。いや、問題だらけか。

それにしてもこいつ…段々と俺が言葉を巧みに使ってきやがって、これじゃうかうか遠回しの軽口も言えない。

 

「なぁ、ベアトリス。そろそろマジで外に出てみないか?今はちょうどお日様がでてきて絶好のピクニック日和だと思うんだけど?」

「何度も同じ事を言わせるんじゃないかしら。ベティーは母様との契約が果たされるまで禁書庫から出るつもりはないのよ。それはお前も充分知ってるはずかしら」

 

「ああ知ってるさ。だけどお前の契約が果たされるのは…」

 

俺は次につなぐはずだった言葉を紡ぐ。

その先の言葉は嫉妬の魔女が許さない。

喋ってしまった途端誰の言葉も聞けない聞こえない空間でただ心臓を握り潰されるイベントが始まってしまうのだから。

 

だけどお前の契約が果たされるの…200年後だ。

 

なんて言えたらどれぐらい気が楽になるだろう。ベアトリスはこれから200年もの間ただ魔女の言葉を信じ禁書庫にこもりつづける。その時間はどれぐらいの不安が遅いどれほどの孤独がベアトリスを支配するかなんて考えただけでも魔女を呪いたくなってしまう。きっとあいつは聖域で呑気に暮らしているのだろう、そう考えるとなんかムカついてきたな。

 

「すまん、ベアトリス」

 

「なんのマネかしら…やめるのよ…そんな下衆な表情でベティーに近づいてくるんじゃないかしら」

 

俺はそのままベアトリスに一歩、着実に一歩ずつ歩み寄っていく。そんなベアトリスは嫌そうな誰かに助けを求める顔を浮かべている。しかしそんな奴は今この場にいない。

 

「やめるかしら、ベティーに……え?」

 

ベアトリスの気の抜けた言葉。しかしそれもしょうがない。だって俺はベアトリスを抱きしめたのだ。彼女に告げる言葉は懺悔の言葉。今から長い間孤独を味わせる申し訳なさの気持ちで俺の心は一杯だった。

 

「ベアトリス…ごめん。今からお前を1人にしてしまう。きっと寂しがりやのはお前は涙が枯れて尽きるまで泣きまくると思う。…!だけど、きっとお前が過ごして時の中でもセピア色にならない傲慢なやつが来るかもしれない。その時はそいつの手を取れベアトリス。」

 

「お前もベティーを置いて行くかしら…母様やロズワール…リューズのようにベティーを置いて行くのかしら」

 

ベアトリスが聞きたかったのはただそれだけ。

彼が訴えかけている戯言になんて目もくれず、ただ自分のことを抱きしめる彼が居なくなる、彼が遠回しにそう伝えていることなんて賢い彼女には分かってしまうのだ。

 

「悪い、けど!お前には…」

 

「もういいかしら、出て行くのよ。お前の顔なんて2度とみたくないかしら」

 

「ベアトリス…お前には絶対にい…」

 

「出ていくかしら!!」

 

「分かったよ。ごめん。」

 

俺はそのまま禁書庫を後にした。

ベアトリスの真意に気づけなかったわけではない。

瞳の奥底では俺の事を拒絶していないなんてことはすぐわかる。ただ、俺が次に進みやすいように、自分のことでつまずかないように自分という足かせを彼女自身が取り除いてくれたのだ。

そのことにまた、彼女を連れ出してやりたい気持ちが沸き起こるがすぐ首を横に振りその考えを却下する。

ベアトリスを救うのは俺じゃない。

そう自分に言い聞かせる。優しくて寂しがりやな彼女を救うのは彼しかいないことぐらいわかる。

だから…だから…

 

「はやくこいよ…スバル」

 

この世界にいない騎士の事を思ってしまうのだ。

 

 

 

 



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傲慢と嫉妬から人間へ

誤字、脱字などがあれば教えてください。



まだ日は登ったばっかりだ。人間誰しも1人になりたい時がある。

 

「まだ拗ねてるの?」

 

「拗ねてなんかねぇよ、ただミネルヴァとは2度と顔合わしたくないだけだ」

 

「それは拗ねてるんじゃないの?」

 

俺がいつも日陰として使っているこの木はとても居心地が良くて重宝している。そんなベストプレイスに妖精の様な雰囲気を見に纏い俺が絶賛恋してる女性がやってきた。

 

「どうしたんだよサテラ。今俺金持ってないぞ」

 

「まるで私がお金をたかりに来たみたいな言い方やめてよ、そうじゃなくて大丈夫?またケンカしたんでしょ?」

 

どうして知っているのかなんて聞かない。こいうことは100パーセント迷惑な魔女が教えたに決まっている。

きっと「彼女がどんな反応をするか見たかった」みたいな自分本意な理由に間違いない。

 

「ケンカなんかじゃねぇよ、ちょっと言い合いになっただけだ」

「またそんなこといって、今日はどんな事を話したの?

前みたいにミネルヴァのご飯にイタズラしたの?それともスカートめくりをしたとか?」

「サテラから見て俺は何歳児だよ、そんな子供みたいなことなんかしねーよ、ただミネルヴァの靴に石ころ入れだけだよ」

「それって子供のやることなんじゃないの?」

「チ•チ•チ、あまいなサテラ確かにそれは子供のやることだろう。だがしかし!俺はその後にーーーーー」

俺はちょっとキザぽく指を左右に揺らし説明する。

そんな俺の力説に感動したのかサテラは目をジト目にかえ、ほんの少しの軽蔑と俺から距離をとって

「やっぱり子供だよ」

なんて言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい天気だな」

「そうだね」

俺の隣に腰かけたサテラが応じる。

事実、本当にいい天気。

 

「ここでサテラに問題です!」

「なに?」

「ここにリンガがあります。」

俺の手にのっているのはこの木にできていた出来立てホヤホヤの新鮮なリンガだ。

「それがどうしたの?」

首をかしげるサテラ。かわいいなぁ〜と思う俺。

「このリンガを食べます」

「あー私が食べたかったな」

「もぐもぐ……ん!喉に詰まった!…ぐるじいぃ…たす…けて…」

「え!?なにやってるの!?」

「さて…ここでッゲホゲホ、サテラがとるべき行動は?」

「そんな命がけで私に問題をださなくても…えーとそれで私がどうすればいいかだよね?うーん……分かった!エキドナに聞く!」

「不正解!残念!そして助けて!」

「そ、そうだよね。たすけてー!エキドナー!」

「なにいってんだ!?どこぞの正義の菓子パンじゃないんだから助けに来てくれるわけないだろ!」

「そうだよね…ってあれ?大丈夫なの?リンガが喉に詰まったんじゃ…?」

「自力で治した」

「もう!自分で治せるなら自分で治してよ」

そう言いながら頬を膨らませプンプンと擬音が聞こえそうなサテラにやっぱりかわいいなぁと思ってしまう俺。

そんな俺を見てまた自分が遊ばれているのかと思ったサテラはそっぽを向いてしまった。

 

「なぁサテラ、やっぱり半分俺に任してみないか?そうしたら君は普通の魔女になれるかもしれないぞ」

そっぽを向いたサテラの真正面に座る。サテラは俺のやったことが意外だったのか多少の驚きの顔を見せる。

「なに、急に真面目な話?わたし、そんな事でごまかされるほど単純じゃないんだから」

そしてまたそっぽを向く。それをみて俺は先ほどと同じようにサテラの正面に座る。今度はそっぽを向けないように

目で向くなと訴える。だからなんだと開きなおったら意味がないがサテラは言葉ではないものに訴えられることに弱い。

 

「そんなじゃねぇよ、ただここ最近はちょっと調子が悪いだろ、だから俺に半分よこせっていってるんだよ。本来の力は出せないかもしれないが俺が近くにいれば問題ないらしい、俺はサテラと近くにいれて幸せサテラはリスクを回避できて幸せまさにwin winな関係を築いていけると思うんだけど…いやか?」

 

「ううん、あなたの提案はすごく嬉しい。本当に嬉しい。そんな事言ってくれるのはあなたぐらい…だけど、ごめんなさい」

 

本当に嬉しいそうな顔をしていた。だからいけると思ったが今回もダメだったか。

女の子にフラれるってこいう気持ちなのかと改めて実感させられる。

サテラが断ったのは、この力を独り占めしたい、みたいな悪どい理由じゃないと顔を見ればわかる。

だからこそ難しい。最悪はエキドナに頼んで無理やりでも実行するしかないかもしれない。まぁそうなれば結局ティフォンらが来て腕ちょっきんちょの未来真っしぐらだ。

だから難しい、

嫉妬の魔女因子を半分もらうのは…

 

 

 

 

 

そんな彼と彼女から遠く離れたとある大陸。

あたりには所々に木が生い茂っておりその高さは膝ぐらいしか無い物ものもあれば自分の背の何十倍もある木が点々としている。かつてここに住んでいた民はもうおらずいるのは2人の魔女だけ。

 

かたやこの世の全てを知りたいと願う透き通る様な白い髪をなびかせる強欲の魔女

かたやこの世から怪我をした人を無くしたいと願う憤怒の魔女。

そうして彼女が助けた人は数えきれないまたその結果死んだ人も数えきれない。

そんな2人の魔女がなにもなかったはずのこの場所で本来あるはずのないテーブルを挟んで会話を続ける。

 

「それで君は彼と仲直りがしたいのかな?」

強欲の魔女が憤怒の魔女に問いかける。しかしそれは彼女が憤怒の魔女を助けたいと思ったからではない。それは彼女の顔を見ればわかる。その黒い瞳に宿るのは激しい憎悪。親の仇を見る様な目で憤怒の魔女を見つめる。

 

「仲直りしたいわけじゃないわ、ただこのままこの事をひきずってあいつと軋轢を生みたくないだけ」

しかしそんな事を知ったことか憤怒の魔女はそのまま話を続ける。

はぁと一息つき魔女とはこんなものかと改めて認識した強欲の魔女。

「確かに彼と軋轢を生むのは得策とは言えないね。少なくとも彼を嫌に扱えば彼女が黙ってない」

「あなたといっしょにしないで、私は彼とそんな事を思って居たことなんて一度もないわ」

この魔女がやられぱなしで黙ってるわけがない。憤怒の魔女に向かって彼女が確実に突っかかってくるであろう言葉を投げかける。

 

「ごめんごめん、今のは私が悪かった。それで彼と仲直りしたいんだよね」

手をあごにおき考えるポーズをとる。その様子は彼女の腹黒な性格を知らないものは全員が見惚れていただろう。

 

「ではこいうのはどうだろう?久しぶりに茶会を開くのは?」

 

その提案に憤怒の魔女はその手があったかと言わんばかりに喜んでいる。しかし急に顔をしかめる。その理由はすごく単純でお茶会を開くために大前提な事。

 

「あいつはともかく他のみんな(魔女)はくるの?」

 

メンバーの召集だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「って事で君に頼みたいんだけどいいかな?」

 

突然呼び出された思ったらいきなりパシリに走らされる。

これが下に立つものの宿命とでも言いたそうな顔しやがって。サテラとのデートを楽しんでたらこれだよ、本当にこの魔女嫌いだわぁ。

 

サテラとのデートは彼の一方通行のような思いもあるが、強欲の魔女に急に呼び出され彼女の研究室のちの聖域に足を踏み込めた彼。

 

「ちなみに拒否権は?」

 

「………」

 

「無言の圧力やめろよ!行ってくるよ、行ってくらから場所を教えろ」

 

それから5人の魔女の行方を聞く。1人は自分の家で怠惰に過ごし、1人は罪人を裁くために傲慢に歩きつづけ、1人は腹を満たすために暴食を繰り返し、1人は愛を求め彷徨う、

 

「で?おっぱい魔女は?」

「それはミネルヴァの事を指しているのかな?」

「そうそう、それそれ。どこいるの?」

「君と彼女の仲の悪さも困ったもんだね、ミネルヴァなら心配いらない、もう茶会の席に座っているよ」

「べっ別に心配なんかしてねぇよ!」

「ふむ、それが君が以前言っていた“つんでれ“なるものなのかな?」

「はぁ?ふざけるのはその知識欲だけにしておけよ。」

 

本当にいい加減にしてほしい。俺の中でツンデレとは、金髪でドレスを身にまとって語尾に「〜かしら」「〜なのよ」をつけるドリルロリしか認めない。

 

「それでまずは誰から行ったらいいんだ?できればダフネは最後にしてほしいんだけど…」

「それは残念だね。最初はダフネだよ」

「嘘だろ!?」

「では、行ってらっしゃい。無事に帰ってこれる事を願ってるよ」

その言葉を皮切りに俺はダフネがいる砂漠まで歩きつづけた。

 

 

 

 

 

 



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暴食のうつる飢餓の少女

前回書き忘れましたが時系列的には401年ぐらい前です。
誤字、脱字が教えてください。


暴食の魔女 ダフネ

 

絶え間ない空腹でどれだけ食べても滅多に満たされらことはなくしかも拒食症も患っており食べても吐き出してしまう。

満腹になる事が彼女の夢。過去にはそんな彼女を助けようとしてありったけの食べ物を持って来た者もいた。ガブガブと食べるダフネをみて喜びに包まれたり、まだ彼女の空腹は満たされないのかと嘆いたり、そんな彼女には俺が必要だと思い上がった奴もいた。

そんな奴らは全員ダフネの目を見た。どんな顔しているのか?悲しみのドツボにはまっていないか?お腹いっぱいになったかな?長く生きてきたものほど相手の目を見ればそれがどんな奴か分かるらしい。

 

 

 

 

 

訪れたのは1人の少女。

ここにお腹を空かせた女の子がいると聞いてやってきたのだ。

少女は女の子にパンをあげた。自分の朝ごはんをあげた。昼ごはんもあげた。晩ごはんは自分で食べた。

 

そんなある日少女は女の子が魔女であると知った。

それは父が教えたのか母が教えたのかそれとも野菜売りのおっちゃんが教えてくれのか。そんな事少女にはどうでもよかった。

 

「あの子が…魔女?」

 

そんなはずないと思いながらも少女は走った。向かうのはいつもご飯をあげていた村のはずれの森。

そして見つけた。今日もいつも通り木の横で寝ている魔女を。

 

「スピー……スピー……」

 

今日も起きてないか、と思いながらも彼女は魔女の肩を掴んで揺さぶった。彼女は魔女が起きているとこなど見た事ない。ただ、食べ物を魔女に向かって投げただけ。

 

起きて!起きて!大変なの、このままじゃあなたが…

 

少女は魔女に必死に呼びかけた。ここにいることの危険性を絶え間なく訴えた。

さしてようやく

 

 

「………だれですかぁ?ダフネを起こすのはぁ?」

 

 

そこで初めて魔女と少女は対面を果たす。

灰色がかった髪を2つくくりにしなにも害がなそうな風貌、年は少女とそんな離れていないぐらい。

だからこそ油断してしまった。

 

この子は魔女なんかじゃない

 

直感的にそう思った。

こんな子供が魔女なわけがない。

だからきっと村のみんなに言えばこの子の誤解も解けるはず。

そのことをこの少女にも伝えよう。

 

落ち着いて聞いて…あの、その、あなたが魔女だってうたがわーーーーー!!!!」

 

これは少女が悪かったわけではない。

ただの常識。

話すときは相手の顔を見て話す。そう、ただの常識。

だからこれは少女が悪かったわけではない。かといってこれを教えた父と母が悪かったわけでもない。

ただ、運が悪かった。

少女は魔女の金色の瞳を見てしまったのだ

 

やってくるのは強烈な飢餓。猛烈な空腹。お腹が空いたなんてだれもが感じることなのにいつもと全然違う。

声が出ない、ただ地面を転がることしかできない。

腹が減った。やむことがない空腹が少女を襲っている。

腹が熱湯を浴びせられたように熱い。

そして少女は気づく。

自分が先ほどから何を食べているのか。と

目にに映るのは真っ赤でまだ生暖かい血、手に握っているのは臓物と思われるもの、そして先ほどから熱かった腹はもう原形などとどめていない。内臓はとびちり血はたれその血を自分がすする、内臓はしっかり噛み締めて食う。

腹が空いた、腹が空いた、腹が空いた、腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹が空いた腹がーーーーーーーーーー

今度は左手を食べよう、そしたら今度は右手。食べ終わったら足を食べて目を食べる。

 

そうしたら満たされるかな?

 

その光景を魔女は黙って見ていた。

少女はもう人間の形をしていない。

四肢はどれも繋がってなく見るのも無残なその光景を魔女は黙って見ていた。

そのまま後ろを向いて魔女はひとりでに歩きだした。

今のを見て魔女はなんと思ったのか。

悪いことをしたなんて思ったのか

あいつがいけないんだ!あいつが…なんて思うのか。

それは常人なら思いもつかない。そもそも魔女のことを理解できる常人なんていない。

ただ、もしかしたらこの少女なら分かるかもしれない。

魔女と一瞬でも同じ気持ちになったこの少女ならば……

 

「お腹がすきましたぁ」

 

最後に魔女はそう言い残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これが暴食の魔女ダフネという人物だ。金色の左目に見たものを自分と同じ飢餓感をうえつける魔眼を持っている。では、今の話を聞いて君はなんと思う?」

 

強欲の魔女は自分の研究室でできたばかりの精霊に問いかけた。

火の精霊は答えない。いや、分からない。どうやって何を思うのかをまだ教えてもらってないのだ。

 

「そうだったね、君にはまだ何も教えてなかったね、

 

パック」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ〜、あいつどんだけ田舎にいるんだよ」

 

ダフネを探しに来てから5時間が過ぎた、エキドナに教えてもらったところまでやって来たのだがいまだにダフネが姿をあらわすことはない。

 

「おっ!やっと村発見、ちょっと疲れたしあそこで休憩してからにしよう」

 

そうと決まればやることははやい。残しておいた体力を全て使い全速力で村まで向かう。

 

村につくと『ラームア村へようこそ』の看板を見かけた。聞いたこともない村だと思いながらもはいってみると祭りがやっているのかと勘違いしてしまうほどの人数が1つの家に駆け込んでいるのがうかがえる。

 

近くの建物に身を潜みそいつらが何を話しているのかを聞こうとする。いつもはこんなことをせずに堂々と聞きに行くのだが今回は聞き逃せない単語が耳に入った。

 

「だから言ったんだ!!すぐに討伐するべきだって!」

「ばかやろう!そんな事してみろ、返り討ちにされるに決まっている」

「だからと言ってあのまま放置することはなかったんだ!」

「じゃあどうすればよかったんよ!」

「静まれ!!」

 

2人の若者の言い争いを1人の老人が止める。直後のあいつらの態度を見ればあいつがここの村長だということ分かる。

 

「今回のことは残念だったと思う。しかしかといって魔女に刃向かうなど言語道断!」

 

『魔女』

 

これこそが聞き逃せない単語

 

「めんどくさいことになってるな」

 

それからも村長と2人の言い争いは続く。

その言い争いを黙って見守っている幾人もなど村人達。

もしかしたらこれはこの村の風習なのかもしれない。

村の中で事件があった場合は村長と誰かが話し合う、そして残りの者はそれを見守る。

 

「結局どっちになるにしても、俺の知り合いだしなぁ」

 

残念なことに7人の魔女と知り合いな彼は今回の事件について罪悪感が湧いてしまう。

 

「どんな事件が知らないがサテラがやったことなら一緒に謝ろう。他の奴らがやってたら知らん」

 

そう自分に言い聞かせている間に1人の少年が後ろから近づいていた。

 

ゆっくり、ゆっくりと慎重ひ近づき手には近くで拾って来た木の棒を持ち先ほどから怪しいおとこを捉えようと左手にはロープも持ち合わせている。

そしていよいよ木の棒が届く距離までやって来たことを確認して思いっきり怪しいおとこの頭を木の棒で叩いた。

怯んだ瞬間にロープでぐるぐる巻きにしそのまま勝利を収めた、

 

「捕まえたぞこの魔女!…ってあれ?おとこ?」

 

勘違いはおこっていたが。

 



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