クラスで陰キャでオタクな俺がカースト一位にまで成り上がる。 (イケメンになりたい)
しおりを挟む

第一話






 

  どこぞの誰かさん方は口を揃ってこう言った。「人は皆平等だ」と。俺はそれを聞いたときに笑いを抑えきれないほど腹を抱えて大爆笑したのを覚えてる。

 何が平等だ。この世は顔と金だけが優劣を決める。俺はそう思ってる。そういう俺はフツメンで普通の家庭に生まれたただのオタク、家ではアニメを見て外では事件なんて起こさず大人しく勉強をしているただの一般人だ。だからこそイケメンに対して嫌悪感を抱くのは間違っていないはずだ。……多分な。

 

 そんな俺だが、とある日にこんなことを思いついた。

 これ、ただ言ってるだけじゃ負け犬の遠吠えってやつじゃね?よし、行動に移してみよう。失敗しそうで怖いが何とかなるさ、人間だし。

 

 そうして高校デビューを機に、俺は髪型を今時のイケメンがしているような髪型にして、メガネからコンタクトへと変えた。

 鏡を見れば、あれまビックリ!そこにはちょいイケの自分が写っているではありませんか!

 

 さて、そんなこんなでオシャレなどにも気を使った結果、俺のアニメを見る予定だけの春休みは超充実した春休みに変貌していた。

 

 ****

 

 そして来ました入学式。因みに通学路歩いている途中に同じ学校の制服を着ていた女子達が俺を指差して何か言っていた。あれれ?これ意味なかったパティーンか?

 いや待て待て落ち着け。クールになれ俺。大丈夫だ、そう、カーストの上位に上り詰めるために春休みを費やしたんだろ?

 そうやって自分に言い聞かせて何とか発狂しそうになるのを抑えた。

 

 さて、ここで俺が春休みに特訓していたことの一つを教えてやろう。まあ見ておけ。

 

 前を歩いている女子へ近づき声をかける。ここは挨拶からだな。うん。

 

「おはよう」

 

 声をかけられた女子は俺の存在にビビったのか少しびっくりしながら笑顔で挨拶を返してくれる。ほら!見て!すごいでしょ!やべっ、なんか小学生みたいになってた。

 

「君達も一年生?」

 

「は、はいぃ!」

 

 微笑みながら言ったらドン引かれた件について。

 あー泣きそ。でもぐっと我慢するのが大人への第一歩と俺は思ってるぞ。

 

「そっか、俺もそうなんだよ。同じクラスになったらよろしくね」

 

 そしてまた畳み掛けるように微笑む。相手の女子は顔を赤くして声を裏返しながら応えてくれた。

 

 …………あれ?これ失敗なパターンに入った気がするぞ?

 

 取り敢えず気を取り直し、さっきの女子と分かれて校門前からも目立って見えていた体育館へと足を運ぶ。

 因みに俺が受かった高校はある程度の進学校らしく、偏差値も高かった。

 

 体育館へ入ると、そこには頭の良さそうな人たちと超学生生活エンジョイしてますウェーイ!みたいな人たちで溢れていた。うわぁ、超帰りてぇ。

 取り敢えず見つけた適当な席へ腰をかける。すると、何故か隣の女子から悲鳴が。

 

「あ、ごめんね。隣、いいかな?」

 

「う、うん。い、いいよ!」

 

 隣にいた大人しめな女子は小さい声でそう言った。

 ほらぁ、やっぱり嫌がられてんじゃん。

 

 そして来る静寂。俺が一番嫌いな時間はこの静寂だ。別に喋らなくてもいいんだろうけど、何か気まずいじゃん?

 

「やっぱり、隣迷惑だったよね」

 

 おおい!何言ってんだ俺!当たり前だろ!隣の女子の気持ちも考えてみろよ!いきなり陰キャ臭がプンプンする男に話しかけられたら迷惑以外の何物でもないだろ!

 

「ううん、全然迷惑じゃないよ」

 

 にこりと笑ってそう言ってくれた女の子。あ、ヤヴァイうっかり惚れて告白しちゃいそう。それでいて告白したら振られるんですねわかります。

 

 なんて頭の中で馬鹿なことを考えていると、入学式の開始の時間へとなっていた。さて、後は時間に身を任せるだけだな。

 

 *****

 

 入学式が終わると、配られたプリントに書かれているクラスへと移動することになった。因みに入学式の途中、隣の女子からチラチラと見られていたからやっぱり迷惑だったっぽい。

 

 書かれていたクラスは『1-A』だ。なんか隣の女の子も同じクラスらしいので、一緒に行くことになった。

 

 

 そして歩くこと数分、ちょっと迷いそうになったが、隣の女の子が教えてくれたお陰で迷うことはなかった。ありがとう!名も知らない女の子よ!

 教室の前へとついた俺はドアに手をかけた所で止まってしまった。

 ここで俺に過ぎった心情は?期待?楽しみ?否、不安だった。

 

「どうしたの?早く入ろ?」

 

「あ、ああ、そうだな」

 

 うし、やるか。このために春休みから今まで頑張ってきたんだ。

 自分の頬に一発かまし、気合いを入れ直し、俺は教室のドアを開いた———

 

 

 

 






作者もイケメンになって学生生活エンジョイしたい人生でした(遺言)


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。