月明かりで出来たシルエット (有栖川アリス)
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プロローグ
怪盗×忍者


怪盗と忍者。なかなかない組み合わせだと思います。是非お楽しみくださいませ。それでは始まります!


澄み切った満月の光に照らされてできた二人のシルエット。白い月あかりだけが全てを見ている…。

 

「まてー!!!!ムーン、小町。今日こそ捕まえる。」

このうるさいくらい大きな声を出したのは大和警部。大和警部とは怪盗ムーンと忍者の香由月小町を追っている鈍臭い刑事。突然ムーンと小町は止まる。大和警部はまさか本当に止まるとは思わず足を踏み外した。

「大和警部は待てって言われて待ちますか?多分ですが待ちませんよね??」ムーンはよく通る美しい声で聞く。

「そりゃそうだろ!追われてるのにお前らみたいに待てって言われて待つ馬鹿がいるか!」大和警部は当たり前だろ!という顔で答える。「なら何故わざわざ待てというんだ?矛盾している。私達は待たぬ。」小町が透き通る様な美声で言う。「ではアディオス。」そう言い残しムーンと小町は満月が輝く夜空の下で暗い闇の中に消えていった。「くっ、くそー!!!!!またムーンと小町に負けた。次は絶対捕まえる!」悔しそうに大和警部は叫ぶ。するとムーンと小町が消えた闇の中から1枚の紙が大和警部の元へ。それはゴシック体でこう書かれていた。『大和警部に捕まるような弱っちい怪盗じゃないですよ!ちゃんと自分の実力を理解してあげましょう。また会いましょう。 ムーン』大和警部の怒りは頂点に。でも何より不思議なのはこんな短時間で文字を打ち、印刷するなんてなんて技術なんだ。大和警部は心の中でそう思ったはずだ。

 

儚い現実に追われて焦りながら生きている人間。お金があればなにもいらないという捻くれた考えを持つ人間。自分さえ幸せならば周りがどんなに不幸でも良いという自己中心的な考えを持っている人間。そんな人間には必ず不幸が待っている。そう信じて生きている。この怪盗と忍者はそんな人間に不幸を届ける。必ずそのような捻くれまくった考えを持つ人間の家の宝を盗む。淡い現実に身を任せ、周りを理解しようとしない人間達の宝は彼ら達にとっては最高の獲物だ。それと同時にその人間に最悪の不幸を届ける。どんなに困難な獲物でも華麗に盗んでいく。それがムーンと小町。この2人が居れば不可能なんてないのかもしれない。最先端の技術を使った完璧な演出、見事な変装、とても回転の早い頭にずば抜けた運動能力それに加え、華麗な容姿、とても美しい声。彼らは何処をとっても完璧という言葉で表わすことができる。依頼があれば小さな女の子の願いも叶える。それが盗みならどんな人からの依頼でも。次は何をとるのかなんてどんな専門家でも予測不可能。さぁ次は何を盗むのか…

 




お楽しみいただけたでしょうか??読みづらかったり、分かりにくかったりが多かったかも知れません。そんな時は遠慮なくコメント欄にお願いします。

次は謎の女忍者 香由月小町についての話を書く予定です!
もし宜しければ次回も宜しくお願い致します。



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誕生
1人の忍者は何故うまれたのか


この小説を見ていただき誠にありがとうございます。

今回は忍者 香由月小町の誕生秘話?に迫ります!
誤字、脱字があったらコメント欄などにお願いします。
それではお楽しみください!


扉の向こうからとても大きなため息が聞こえる。たまに声も聞こえるが、その声も声にもならないような声だった。ここは寿家。実名 香由月家。さぁ皆さんお気づきだろうか?香由月と聞いて思い浮かぶことはありませんか?そう!あの謎の忍者、香由月 小町の苗字。つまりここは小町の家。実名 香由月家と言っているが、実はややこしいことに本当の名前は寿家。初代忍者の御先祖様が香由月と名乗り、忍者の時は香由月、普段は寿となっている。(じゃあ実名じゃないし…苦笑)まぁそこはどうでもいい。(いいんだ…)そしてこの香由月家では代々、長男が忍者とし世界の宝を盗む。が、62代目の今、なんと香由月家では男が産まれず、女が3人も産まれてしまった。さぁどうするか。そこで父は三姉妹のうちの姉二人のどちらかに忍者を頼もうと思った。そして今、こうして説得している。だが、やはり姉二人のどちらも嫌がって父の説得に耳も傾けようとしない。

「頼むよ~。62代目で終わったらいけないんだよ!なっ、二人のうちのどちらかに忍者になってほしい!頼む!!!」父はペコペコと頭を下げて姉二人にお願いするが、二人には通じない。誰に似たのか、とても気が強い。それでも父は何度も頭をさげる。父は世界的有名な忍者。そんな威厳もない。これを世界一の忍者と呼んでいいものなのか…。

「忍者になってくれ!」 「え~無理ー!だってウチらだって学校あるしー。」「ほーら今が人生でいう青春っしょ!楽しみたいしー。忍者ってチョーださくねー!」

姉二人は時代遅れなギャル語で父に反論。はい、完敗。父はどんな警察にも勝てても、この姉二人には勝てない。何を言っても二人からは家の事情など関係ないという回答しか返ってこない。そして父が困り果てていると、扉をノックする音が聞こえた。コンコン。それは控えめな性格がよく出ていた遠慮した音だった。

「誰だ?」父は念のために刀を構える。するととても美しく澄み切っていて、よく通る声、でも決してうるさい訳ではない声で「仁琴です。」と言う。仁琴、それは香由月家の3女。現在16歳、高校一年生。学校には必ず変装をしていく。家族とは12年間顔を会わせていない。勿論、修学旅行などといったものには一切参加しない。つまり12年間1人を除いて誰も彼女の素顔を見た事がない。彼女は頭がよく、運動神経もいい。だがとても地味だ。長い髪を2つに結び、前髪で顔を隠している。だれもその下は見ようとしない。さぁ何故そんな彼女が急に声を発したのかそれだけで父、姉は驚いた。それに加え、びっくりするほどの美声。そんな父達の驚いた様子が扉ごしだが目に浮かんだのか、仁琴はすかさず謝る。「突然申し訳ございません。あの、後継ぎの話をなされていると天晴から聞いたもので…」天晴というのは唯一仁琴の素顔を毎日見ている人物。17歳、高校二年生でクールなイケメン。だが仁琴にしか興味がないようで女子の告白は最後まで聞かず、即断る。だがとても人思いで知識を豊富に持っていて、仁琴と同じ部屋。「それで、どうしたんだ?急でびっくりだよ!」父はどこか嬉しそうに聞く。「わたくしが62代目香由月家忍者、香由月小町として世界中の宝を盗ませていただきます!」

「えー!!」これには皆、びっくりだ。ずっと家族にも顔を合わせなかった人が急に忍者になるとかいいだす。びっくりしない者は少なくないだろう。仁琴はまたまたそれが予測出来ていたようで、涼しい声で答える。「宜しいですか?」父は即答で「あぁ。頼む。」と答えた。仁琴の顔はこちらからは見えないが、きっと涼しい顔をしている事だろう。「毎回行われているが、お披露目会がある。お前が主役で同じ業界の人達を誘い、お前を紹介する。いいかな?」「勿論です。わたくしは香由月家62代目忍者。毎回行われている披露宴には必ず出席されていただきます。」そうして彼女、寿 仁琴は、香由月小町となった。だが、披露宴までは1人を除いて誰も彼女の姿は見れない…




終わりました!!どうでしたか?
謎だらけの少女、仁琴。次は披露宴の事を書こうかと思ったんですが、怪盗ムーン誕生秘話を書きます。

~登場人物~
寿 仁琴(ことぶきにこ)16歳 高1 A型 4月7生 牡牛座
香由月家62代目忍者、香由月小町(かゆつきこまち)

上杉天晴(うえすぎたかはる)17歳 高2 B型 10月20生
天秤座 小町の助手。仁琴の助っ人。

今回登場した人物の中で今後もよく出てくると思われる人物は二人!
次もお楽しみに!!!


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怪盗ムーンの日常は至って普通である

こんにちは!この小説のページを開いて頂きありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

今回は怪盗ムーンの日常です!それと初めて登場した人物の名前の後に読み仮名もつけています。(読みやすくなるといいのですが) キャラが…という所も多いですがご了承ください >︿<。


静かな部屋。とても落ち着く。はずだった…

バーン、バン!!急に聞こえた爆破音。鼓膜が破けそうな位大きな音。それと同時に階段をドンドンいわせて急いで登ってくる音も聞こえ、「月、どうしたの?!」と誰かが言う。優しくてふわふわした声、その声の持ち主は怪盗ムーンの助手兼親友の白馬優(はくばゆう)。高校一年生でクラスの女子からイケメンで頭良くてスポーツできて優しいと言われ、男子からは威張らないし、話しやすいと評判。クラスのアイドル。(王子と呼ばれている)優が2階の部屋の扉を開けると、「いたーい!優、助けてー(>︿<。)」次は高いトーンでとてつもない美声が聞こえた。その声を発していたのは須久里月(すぐりるか)。高校一年生。鈴花端(すずかばしけ)家62代目怪盗、怪盗ムーン。両親は海外赴任しており、月と2人暮らし。サラサラの前髪、可愛げのある笑顔、嫌味のないワガママ。クラスの女子からはこれまた優同様、頭良し、顔良し、運動神経良し、性格良しで男女に人気。可愛い系男子でルカっちという愛称で呼ばれている。「月?何処にいるの?」優が辺りを見渡すが月の姿は見当たらない。そりゃそうだ。何故なら部屋の中の物があちらこちらに散乱しているから。すると足元から声が聞こえた。「うわーん。ここだって!」まさかと思い、優は足元を見る。するとそのまさか。優は思いっきり月のお腹に乗っていた。「ごめんね。気づかなかった。」優はすぐ月から降り、手を出した。「いいよ!助けてくれてありがとう(*^^)」月は優の手を掴みながら笑顔で言う。優はいつもの通り笑顔!だが…だんだん笑顔が消えていく。「る~か~君っ♡何してたのかな?違うと思うけどベットをトランポリンとか言ってジャンプしてパソコンに当たって火花散らしてテレビ壊してないよね♡」

声はいつもよりワントーン高いが、顔が怒っている!それに対して月は「そんな事してないもん!ベットじゃなくてソファーをトランポリンにしたもん!」と正当を言った加のような顔で言う。プチっ!何が切れる音がしたと思ったら、優の顔がどんどん怖くなっていく。さっきの音は優の堪忍袋の緒が切れた音だった。月の顔色は変わらない。「るーかー!!!!」ものすごい剣幕で優は月を睨みつける。それを察した月は静かにあとづ去りして、ベランダに出る。月が1歩下がると優は1歩近づいてくる。完全に月は逃げ場を失った。「ルーカー君♡何分怒られたい?あっ、間違えた何時間怒られたい?」ゾッ。恐ろし過ぎる。「うえーん!ごめんなさい。」月は上目使いで優を見るが今の優には何も効かない。それを確信した月はヒョイと軽々ベランダから飛び降りた。「えっ?!月!」そりゃそうだ。人が2階のベランダから飛び降りて驚かない人は滅多にいない。びっくりし過ぎて優は怒る気力も無くした。「ハハハハァ!もう月最高(笑)もう怒んないよ!」それを聞くと月はヒョイと1階の壁を上手く使って2階のベランダに戻ってきた。「ハァ。相変わらず月の運動神経は凄いよ!ハハハハァ!」それにつられ月も笑う。それが謎だらけの怪盗、怪盗ムーンの日常だ。今日もまた笑い声が響いてる事だろう。




最後までありがとうございました!

今回の登場人物
須久里月(すぐりるか)高一 16歳 B型 12.29 山羊座
鈴花端家62代目怪盗、怪盗ムーン。

白馬優(はくばゆう) 高一 16歳 O型 4.7 牡牛座
怪盗ムーンの助手。月の親友。


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怪盗ムーンと香由月小町の出会い
怪盗ムーンの初めての正座はお披露目会だった。


こんにちは(๑´ڡ`๑) 有栖川アリスです。

今回は怪盗ムーンと香由月小町の出会いを書きたいと思います!上手く書けないですが宜しければごらんください。


今日は仁琴のお披露目会。お披露目会といっても大きな和室で関係者だけが集まる飲み会のようなもの。来ても30人くらいだろう。皆そこまで仁琴に興味がある訳でもない。ただ久しぶりの仲間との飲み会を楽しんだりしているだけだろう。

「えー、この度は香由月家62代目お披露目会にご出席頂き、心より感謝申し上げます。えーこの香由月家はーーーー」毎年同じような内容をズラズラダラダラと聞かされる。こんなにいるか?ってくらい長ーい。三十分は聞かされた。途中からは皆聞いておらず、ボーっとしていた。だが、ただ1人最後まで真剣に聞いていた青年がいた。それは鈴花端家62代目の怪盗ムーン(須久里月)だ。こんな美少年いたっけ?と周りがざわめく。話が終わると、月は優の所へ行く。「ゆっ、優。」今にも消えそうな声で月は言う。「どっ、どうしたの?」「もう、僕ダメかもしれない(泣)」半泣きでいうものだからよっぽどの事があったのかと思い、優の顔は真っ青になる。「ぼっ、僕…」ゴクリ。優は息を呑む。

「人生で初めて足が痺れたよー。いたーい!!助けて(泣)」優の心配を見事に裏切り、ただ足が痛いだけだった。そりゃあ月は1人だけ正座をしていたから、痺れるだろう。それに月はいつもテーブルと椅子。正座も生まれて初めてだった。でも優には関係ない。プチッ!はい、切れました。「月ー!」優はいつもより控えめに怒った。顔はいつもの何倍も怒っている。「いたーい!!」ぐすっ。月は優が怒ると大体まずは上目遣いをする。「月、僕がマッサージをしてあげるから大人しくしててね!」月の足を優しくマッサージする。でもだんだん力が強くなっていく。優の顔は怒っている。「痛いって。優、ごめんなさい~」優は構わず強めのマッサージ。「おいおい、優。そろそろ止めてやれ笑笑 ホント優は月が好きだな笑笑」そう言って仲裁に入ってきたのは月の父親の友達の鈴木川 海竜。彼はコンピュータを得意としていて、よく最先端技術で月達を助けてくれる。「僕は月の教育係をしてるだけです!」好きすぎるという所にカチンときたのか優はムキになって言う。「はいはい。月、足痛てぇーか?」「あっ、治ったよ!優、ありがとう!」あの強く痛いマッサージでよくなるって…この時、優と海竜は思った。

「で、なんでここに海竜さんがいるの?」「俺は毎年来てんの。月達は?今まで来たことねぇーだろ!なんかあったか?」月はどう説明しようか分からなくなったようで優に救いの眼差しを送る。「言ってなかったんですが、実は鈴花端家62代目の怪盗ムーンって月のことなんです。」代わりに優が答える。「へー」もっと驚くかな?と思ってたが意外に驚かなかった。「そんくらい知ってるぞ。だいたいの人知ってっから!」これはビックリ!まさかの優も知らなかったなんて!

 

「いよいよ62代目忍者、寿 のお披露目です!」始まって一時間後にようやく主役かよ!誰もがそう思った。ドキドキ。小町とはどんな人物なのか。みな、まだ知らない。




ありがとうございました!今回は月中心に書いてみました。

~人物~
鈴木川 海竜(すずきかわ かいり)38 3月13日 魚座
A型 175cm 月の父親の友達。コンピュータのプロ。


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香由月小町は皆が二度見するほどの美少女だった

皆様、アリスです!今回も見て下さり、ありがとうございます!!
今回はお披露目会で初めて小町が登場します!是非最後までお付き合い下さい。


「それでは本日の主役、香由月小町の登場です。」アナウンスが終わり、ほんのわずかの時間ざわめきが消えた。サッと横の障子が開く。そこから一筋の光が差し込んできたと思うとクラクラするほど視界が明るくなった。そしてふわっと何かが前を通る。何枚も何枚も前を通っていく。それは桜の花びらだった。だんだん光が弱まっていく。そして完全に消えて皆が目を開けると、なんと前の幕の前に美しい着物に身を包み1人の少女が立っていた。足音一つたてず、横から移動していたのだ。そこも驚いたがそんなことは皆、どうでも良かった。だって小町はとても美しかった。透き通った新雪のように白い肌、サラサラとしたロングヘア、大きく潤いのある目、触るだけで壊れそうな華奢な体。完璧な美少女だった。もう光は消えているのに小町の周りだけ光っているように見えた。普段よく見るはずの桜の花びらもとても綺麗で何故か儚くも見えた。小町は長い指でマイクを受け取る。「皆様、本日はお忙しい中、私などのお披露目会にご参加頂き心より感謝申し上げます。これからどうぞ宜しくお願い致します。」決して大きいわけではないのによく通る声で律儀に挨拶をする小町に皆見とれていた。勿論、月も優も。ただ1人平然と小町の後ろに立っていたのは上杉天晴だけ。「皆様、是非この後も会をお楽しみください。」小町はそう言い終えると深く一礼し後ろにいた天晴の隣に立った。天晴は冷たい表情だったが、小町と並んでもおかしくないようなイケメンだった。

「あのさ、月。」「な~に?」「あの2人さ、どこかで見たことある気がするのって僕だけかな?」優は小声で月に言う。月は何かに気づいたようだ。「僕もそれは思ってたんだけど、学校でな~んか見たことある気がする~!まぁ勘違いだろうけどねっ♡あんな美少女いないよ~♡」そう言って月は小町を見る。だんだん月の頬が赤く染まり、今にでも爆発しそうなくらい真っ赤になる。「どうした月?もしかして小町さんの事好きになったの?」優は意地悪っぽく月に聞くが、月には聞こえていない。

ーかっ、可愛い…可愛すぎる。動作にも言葉にもどこか可愛げがある。こんな子初めてだ。ー

次の瞬間ボコッ。何かが殴られる音がした。優が月の頭を軽く殴ったのだ。「いったー!もう!」月はいつものように頬を膨らませる。だが、その頬は真っ赤なままだった。「もう帰るよ!今日も仕事だからね!はい、自分の物は自分で持って!」そう言いながら優は月を引っ張る。玄関の所まで行くとなんと小町が立っていた。優達が部屋を出る時はまだ居たのにいつの間にか追い越されていた。「えっ?!小町さん、どこから来ました?」

優は驚きを隠せない。「小町でいい。ほら、今日のみあげだ。ムーンとスノー(優)で食べてくれ。」そう言って小町は紙袋を渡した。「小町、誠にありがとうございいましたです。」今度は月が言う。「敬語じゃなくていいぞ。お前、仕事以外の時は敬語使えないんだろ。仕事の時は紳士だったからな。」「えっ、そんなことなんで知ってるの?僕、今日初めて会ったよね。」「さぁな。」素っ気ない返事がかえってきたがそんなことより月は小町と話が出来た事が嬉しかった。「あの、僕と友達になって下さい!」勇気を出して言う。「あぁ。仕事上の友達な。改めて私は香由月小町だ。宜しくな。」

この言葉は私に深く関わらないでという彼女の意志が

入ってると優は感じた。

ー彼女は何かある。悪でも善でも無いものがある。彼女とはどこかで会った気もする。とても身近な所で。ー

優の推測は当たっている。でもその何かが何なのかは天晴を除いて誰も知らない。

 




皆様、最後までありがとうございました!今回の話で小町の謎が深まったかと思います。これからどんどん晴らしていくのでご安心を!
次からは学校の事を書こうかなと思っています。また宜しくお願い致します❀.(*´▽`*)❀.


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月と優の学校生活

こんばんは!アリスです❀.(*´▽`*)❀.
今回は… 月の密着学校生活~!! です。
是非最後までお付き合い下さい。


チリチリ。目覚ましが一台鳴る。その一秒後…

ヂリヂリ。チリッチリッ。コケコッコー。ヂリリリッ。

部屋中の目覚ましが鳴り響く。それを月は器用に消していく。全部消し終わったら1階からドンドンと音がする。そしてその音はどんどん大きくなっていく。ドンッという大きな音がして部屋のドアが開く。

「るーかー!!いつまで寝てるの?」とドアの所に立った優が言う。それから1秒後サッと月は優を避けて急いで1階に降り、朝食を食べ、歯を磨き、制服に着替えて、また2階に上がって優の前に座る。

「よし!今日は最速3分!」

「やったー!優が怒るからその前に全部できたー!」

「じゃあ学校行こうか。」

そして月と優は学校に行く。電車でも女子がチラチラ見てくる。駅から学校まで歩いていても声をかけられる。

学校の廊下では女子からの黄色い歓声と男子からの尊敬の眼差し。教室では先生と生徒から眺められる。これが月と優の普通の学校生活だ。

月は授業中、先生に当てられると、分かるのに面倒くさいからということで、先生にわかんないおいう顔で上目で先生を見る。すると先生は他の子を当てる。その都度後ろの席の優から頭をポカッと叩かれる。そんな優を見て女子は授業中なのにキャーと叫んでいる。

休み時間は王子ー!と叫ばれている。

(ちなみに王子とは優。そして月はルカっち。)

でも二人は気づいていた。ただ二人だけこの学校で優と月に興味がない人物がいるということを。何度アピールしても、月と優のことなんて眼中にも、入れていない。話しかけてもシカトされる。物を拾って届けても頭を下げられるだけ。その2人とは…

1人目は、一年生で同じクラスの寿 仁琴。

頭も良くて、運動神経もいい。眼鏡をかけていて、ロングヘアーの髪はいつもボサボサ。少し長めの前髪で顔を隠しているように思える。地味で男女にからかわれるが、相手にしない。天晴を除いて誰とも目を合わせないし、声も聞いたことがない。

2人目は、二年生の上杉 天晴。

仁琴同様頭も良くて、運動神経もいい。眼鏡で、結構カッコイイ。女子の一部からは眼鏡王子と呼ばれている。天晴の声を聞いたことがある人も目を合わせたことがある人も仁琴を除いては誰もいない。

この2人は授業中以外はずっと一緒だ。部活にも入っておらず 、皆と一線置いている感じもする。

月は意地でもこの2人と話してやると思っている。だが、本当は仁琴とは月も優も話したことがあるのだ。だって仁琴は香由月 小町だから。

それをまだ二人は知らない…。




ありがとうございました❀.(*´▽`*)❀.
今回は月と優の学校生活に仁琴と天晴との接点を加えてみました。これからもよろしくお願い致します!


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仁琴が突然、真面目ちゃんの変装をやめて、素で学校え行くと二人だけが仁琴と気づいた。

( ゚▽゚)/コンニチハ。 アリスです。
今回は仁琴の密着学校生活~!!です。
是非最後までお付き合い下さい。


4:30 ここは香由月家の離れ。

仁琴は目覚まし無しなのにぴったり目を覚ます。

サッと布団を押し入れの2段目にしまい、ジャージに着替える。サァーと部屋の障子が開き、仁琴はその障子の方を見る。そのスキを狙ったように押し入れの1段目から男が出てきて仁琴を後ろから殴ろうとする。それを仁琴は瞬時に避け、蹴りをいれる。

「仁琴っち、さすがやな。油断もスキもあらへん。完璧や。俺の方が修行歴、長いはずなんに…。」

「お前がいるのは起きてすぐ分かった、天晴。仁琴っちはやめろと言ってるだろ。お前、学校とキャラ変えすぎだ。関西弁チャラ男。」

天晴は学校でのキャラと全然違う。(仁琴も。)

 

その後、二人は3km、ランニングをしに出かけるが、なんと仁琴は2分、天晴は2.5分で帰ってきた。それから二人は朝食を食べる。その朝食は仁琴が作った。家にはたくさんの使用人がいるが、仁琴はきちんと自分と天晴の分を作る。まぁ誰とも顔を合わせたくないだけだと思うが…。仁琴は朝食の片付けを済ませ、セーラーの襟に青ラインと星がはいっており、星のボタンにシルク生地のおしゃれな制服に着替える。そして天晴に三つ編みのウイッグをつけてもらい、黒のカラーコンタクトをつけ、眼鏡をかけて完成!

「なんで仁琴っちは地味にしてるん?仁琴っちほんま可愛ええのに。」

「私は忍者とバレぬようにしているだけだ。それに私の髪は薄くシャモアかかっている。変だろ?」

「話し方と髪型かえたらバレへんよ?シャモア可愛ええ!小町はおろしてるけ、前髪わけて、ポニテにしたらめっちゃ可愛ええで!」

天晴は仁琴の意見を聞かずウイッグをとってポニーテールにし始めた。

ーいまの天晴になにを言っても無駄だな。ー

2分後

「ほら、出来たで!やっぱめっちゃ可愛ええ!!!天使やー!」

ー私の何処が可愛いんだ?私は可愛くないのに。ー

鏡を見た仁琴は、思う。

「は?おい、顔見えてる。」

「ええって!」

「ふーん。でもコンタクトまで外して大丈夫か?目にも桃色がかかっているぞ。」

「可愛ええけよか!」天晴は仁琴の可愛さに夢中で適当な返事だ。

「あと、話し方変えるって私は誰とも話す気ない。」

「俺以外と話さんで!だって俺、俺な、ずっと仁琴っちの事が…」

「あっ、もう時間だ。行くぞ。」

話に聞く耳も持たず仁琴は玄関へ向かう。急いで天晴は眼鏡をかけて追いかけ行く。

 

7:15

途中の電車の中では仁琴達の事をチロチロ見てくる人が多かった。 それを不思議に思った仁琴は小声で天晴に聞く。

『なんで皆ジロジロ見てくるんだ?私、変か?』

『仁琴っちは変じゃあらへん!可愛すぎるから皆見とれてはるんや!』

ーほんま仁琴っちって鈍いな~。そんなとこが可愛ええんやけど 笑ー

 

7:40

学校の校門を通ろうとすると、風紀委員がいた。だが、髪を染めていないか疑われる心配はない。この高校は普通の高校と少し違うのだ。仁琴達が通う学校は私立美鈴羽学園。超セレブ高で、偏差値75。いわゆるエリート学園。校則なし、凄いおしゃれな制服。校舎は広く、いつも綺麗。廊下の床は大理石だ。一方、その隣にひっそり建っているのは私立美鈴羽高校。普通の高校で、校則が厳しく、色々な委員会に入らないといけない。二つの高校は同じ門。立っているのは高校の風紀委員(学園に風紀委員はない)だから大丈夫だ。でも学園で髪の色が違う人は仁琴を入れて4人しかいない。

シャモアがかかった仁琴、グリーン·ヘイズがかかった月、ライト·クリームがかかった優、テラ·ローザがかかった天晴。つまり、怪盗&忍者4人だけ。この4人の髪は満月に照らされると美しく輝く。先祖代々そのような色なのだ。

 

仁琴は廊下が廊下を歩いていると、誰かが話しかけてきた。

「ねー、君転校生?マジ可愛いね!付き合わない?」

そう言ってきたのは昨日まで仁琴を馬鹿にしていた時代遅れのチャラ男さんだ。今まで通り仁琴は無視をすると、仁琴の肩を掴んできた。

「転校生のくせに無視とか調子乗りすぎー。」そんなこと言われても転校生じゃないからな…と仁琴は思った。無視もいつものことじゃんと思ったが触られたことにイラつき、相手を蹴ろうと構えた時にチャラ男さんが声をあげた。

「痛たっー。何すんだよ!」

ーいや、私はまだ何もしていないが。ー

仁琴は思った。でもそれは仁琴に言ったことでは無かった。チャラ男さんの肩をみると、優がぐっと掴んでいた。そして優は恐ろしい笑顔で言った。

「レディに触るのはマナー違反だよ。あと、転校生じゃなくて寿 仁琴ちゃんだから。可愛くなったからって急に構うなんてダメだから。」

周りがザワつく。

「あとね、仁琴ちゃんは僕のだからっ、皆触らないでっ…ダメっ?」

可愛い顔で皆に言う、月。そして優と月は仁琴と天晴を連れて、理事長室に入り、鍵をかけた…。




最後までありがとうございました❀.(*´▽`*)❀
今回は長くなりすぎたのでここで終わりにさせていただきます。
次回もよろしくお願い致します!


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恋の病

こんにちは!アリスです❀.(*´▽`*)❀.
最近、忙しくて投稿出来ませんでした(泣)
是非最後までお付き合い下さい。


カチャ。理事長室の鍵が閉まる。

「小町って仁琴だったの?!」

何も言わずに仁琴は頷く。

「なんで急に小町で学校に来たんですか?」

ー何でって言われてもな…。ーそんな小町の考えを読み取ったのか天晴が代わりに答える。

「俺が無理やりしたからだ。何か文句でも?」

天晴は学校バージョンだ。凄い殺気を出している。

「いいえ。文句などありません。」

天晴の殺気に負けて優は思わず3歩ほど後ろへ下がる。その様子にハマったようで急に月が笑い出した。優はサッと後ろを振り向き月を睨む。その空気はとても気まづいものだった。見かねた仁琴はその小さな口を開いた。

「それより勝手に理事長室に入っていいのか?」

「うん!だって僕の叔父さんってこの学校の理事長だもん♡」

ーこいつ、怪盗のくせに親戚が理事長?ー仁琴は思った。

「話戻しますが、逆に何故今まで地味にしてきたんですか?」

この言葉でまた空気が戻ってしまった。

「そんなんも分からないのか?」

天晴は逆に何故分からないのか不思議という言い方で問いかけ直す。

「えっ?!」

優は少しも分からない。勿論仁琴本人も。その時、

「あっ、僕分かった~♡」

と後ろにいた月が急に大声でいう。仁琴はその声がする前にわかっていたかのように耳を塞ぐ。

「仁琴、凄い可愛いいからモテる!それで他の女子が嫉妬していじめられるかもだからだ!あと、可愛すぎて変な男にストーカーされるかもだから!」

月は凄い自信満々だ。でもこの冷血な天晴がそんな馬鹿げたことを考えてるとは優には思えなかった。

「あぁ。そうだ。月、お前の言う通りだ。」

その瞬間仁琴は思わず身震いし、優は呆気にとられている。月は喜ぶ。

「仁琴は本当に可愛い♡髪とかもサラサラ!」

月はいつもならこんな事サラッと言えるが、仁琴の前では真っ赤だ。でも心から月は可愛いと思っていた。すると天晴の表情がみるみる変わって笑顔が見えてくる。

「やろ!わいの仁琴っちはめっちゃ可愛ええんや!少し入った天然がまたさらにいいねんや!ほんま天使や!」

この変わり方には優も月も驚きだ。仁琴はいつもの事だからと気にしない。

「でな、仁琴は……………………………………………………」

「そうなの?仁琴可愛い♡ 」

それから天晴と月は仁琴について語り始め、30分は語っていた。その間に理事長室の隣の第2理事長室に移動した。

「すみません。」

真っ先に仁琴は謝る。

「いや、少し驚いたけれど仁琴さんが謝る必要はありませんよ。」

「敬語やめろ。あと、さん付けも。なんか詰まる。」

仁琴は今までより少し表情を緩める。

「えっ、えと、仁琴。」

優は少し頬を赤らめおどおどしながらいう。その様子が仁琴には子羊に見えたようで思わず声を上げて笑った。

「人前で笑ったの天晴以外で初めてだ。」

仁琴は子供のような無邪気な笑顔を浮かべている。優はだんだん顔が真っ赤に染まっていく。優はこの時人生初めて病にかかってしまった。

恋の病というものに。




ありがとうございました❀.(*´▽`*)❀.
最後の優の恋病気……これからどうなるか?!
これからもよろしくお願い致します!


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仁琴は素敵な王子様だが相変わらず態度は変わらない

こんにちは❀.(*´▽`*)❀.アリスです(≧∀≦Alice)
今回は学校!
是非最後までお付き合い下さい!


「月?!どうしたの?何処か具合悪いの?」

それは仁琴と話した次の日、いつもならダラダラとして優が起こしに来るギリギリまで寝ていた月が自分からしかも時間通りに起きている。優は珍しいものを見るような目で月をまじまじと見る。

「何処も悪くないよ!早く学校行こー!」

いつもの2倍機嫌が良い。着ていた制服を見ると前までは閉めていなかった第一ボタンまできっちりと閉めている。

「月……。」

呆れて言う優もいつもより豪華な朝食にきっちり干された洗濯物、シワ一つない制服で月同様いつもより2倍機嫌が良かった。

2人は軽い足取りで乗車する。途中の駅で乗車している人の視線が2人から外れたことに気づき、その人達の視線の方を向くと仁琴と天晴がいた。思わず知り合いのはずの優と月も見惚れてしまった。仁琴は優達に気づき、優達と合流する。

「優、おはよう。あっ、月もおはよう。」

仁琴は優に向けて照れ臭そうに少し口角を上げる。それがまた愛らしい事。優はその場で倒れそうになる。でも優にだけ笑顔を見せたことに月は嫉妬して膨れていた。それに気づいた仁琴はすぐ謝る。

「すまぬ。昨日天晴以外の人と初めて二人で親しく話したもので優に思わず。月これから宜しくな。」

優と比べて少し表情は硬かったが仁琴にとって笑顔を見せる相手=信頼している人という証拠だ。それを月もわかってくれたようで月も笑顔を返してくれた。天晴はその様子が面白くないようで電車の中ではずっと仁琴の腕に掴まっていた。

ーこのクソ眼鏡。仁琴にベタベタと…………見た目通り大人しくクールにしてろ!ー

月と優は思った。まぁそんなこんなで学校の門に着くと、美鈴羽高校の生徒が優の前に急に出てきてなんと

「私、貴方に一目惚れしました。つ、付き合って下さい。」

そう言ってきた。手紙を差し出していた手は震えていた。サッ。その手紙を誰かがとる。勿論4人ではない。

「あのさ、普通の高校の生徒が王子と釣り合うわけないっしょ。考えな笑」

そう言ってきたのは美鈴羽学園の女子5人。いつも優について回ってるグループ。優に告白する女子を徹底的に締め上げるという怖いグループ。そのリーダーらしき女子が手紙を2つに破りさく。

「あっ、ごめん!手滑った。まぁいいっしょ!笑」

勇気を出して告白女の子は泣いている。仁琴はその光景に見覚えがあった。思わず天晴に抱きついてしまった。その手は拳を握っていた。天晴は事情を知っているようで優しく頭を撫でる。(月は勿論嫉妬中)

優は彼女に手を出す。

「お手をお取りください。お姫様♡」

そう言うと、優は彼女を優しく引っ張り抱き起こす。

「貴女のような方が泣いておられたら折角のお美しいお顔が乱れてしまいますよ。貴女のお気持ちはとても嬉しいですが私には愛する人がいます。その気持ちは変わる事はありません。これからもお友達としてお付き合い下さると嬉しいです。それでも宜しいでしょうか?」

「はっ、はい!」

優はニコッと笑うと彼女は走って行った。そして優達もその場を立ち去ろうとした。だが、急に仁琴は去ろうとしていたグループの女子のまえに。天晴はそれを止めようとしたが、仁琴は過去から変わろうとしていると思い、止めなかった。

何をするかと思ったら仁琴は突然膝間づき、リーダーの女子の手をとり、笑顔を見せる。でも振りまく用の笑顔なので優達に見せた笑顔とは全然違う。そしてその美しい唇から持ち前の美声で

「貴女のような方々がこのような事をしてはなりません。貴方がたはとてもお美しいのですから。」

いつもより少し低いトーンで喋る。周りはそのイケメンボイスに聞き惚れている。仁琴は軽くその手に口付けをする。そして見上げて涼しげな笑顔を見せる。これには男女問わずクラっとくる反則笑顔だ。

仁琴はサッと立つと彼女を引き寄せ耳元で囁く。

『もうこのような事はするな。しない貴女の方が美しい。』

彼女はクラっと倒れてしまった。

仁琴は何事も無かったかのように天晴達と校内に入っていった。

「仁琴りん、凄い格好良かった。///」

月は照れながら言う。

「おい、仁琴りんはないだろう(笑)」

天晴は楽しそうに笑う。

「天晴の仁琴っちもないだろう(笑)」

すかさず優が突っ込む。その様子を見て仁琴は少し笑ってしまった。それを見て3人は赤く頬を染めながら笑う。

廊下を歩いているとさっきの件もあってか男女問わず仁琴に集まってきた。だが、仁琴は今までの態度を変え、人気者になるつもりなんて微塵も無い。だからサッと人混みから抜け教室の端の自分の机に着く。天晴は仁琴の隣で相変わらず眼を飛ばしている。それに今日は優と月もいる。こうなると嫉妬する女子も出てくる。が、それは仁琴に対する嫉妬ではなく、優や月、天晴に対する嫉妬だった。全校、先生もほとんどが仁琴ファン。でも釣り合わないと分かっているし、3人ともイケメンなので敵わないので嫌がらせなどは一切ない。この学園は一応高校。義務教育ではない。なので学園には特別に飛び級制度がある。本来ならば試験があるのだが仁琴(全校1位)、天晴(2位)、優(3位)、月(4位)と成績優秀なため、試験無しで天晴以外の3人は2年に飛び級。全員同じクラスで席も斜め隣同士、グループも同じ。先生達が一気に眺めれると言うことで今日突然決まった。

ーさぁこれからどうなるのでしょう…………………ー




最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(❁´ω`❁)
今回は学校!もうすぐ怪盗&忍者としての活躍も?!
ただ今登場人物募集中!活動報告欄にて受付中です。
次回も宜しくお願い致します(❁´ω`❁)


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お昼休み

こんにちは!アリスです(≧∀≦)Alice♡
改めて1話から見ると話が吹っ飛びすぎでした ´ڡ`テヘ
あと、凄い現実とかけ離れた話ですが、もともと怪盗&忍者がいる時点で現実と離れているのであまり気にしないで下さい(*´艸`*)
それでは今回も最後までお付き合い下さい。


二年生飛び級から5日目。キーンコーンカーンコーン。

学校のチャイムが四時間目の終わりを告げる。それと同時に生徒達は走って購買部と学食へ走る!何故かというと購買部には美鈴羽学園特製カレーパン、学食には美鈴羽学園特製サイコロステーキのためだ。人気ですぐ完売してしまう。だからどの生徒も四時間目終わると猛ダッシュ!だから教室には仁琴、天晴、月、優しかいない。それ以外は皆中庭や学食、屋上等で食べる。中には一流シェフが料理したものを食べに行く人もいる。4人は手づくり弁当。この学園で手づくり弁当なのはとても珍しい。

「仁琴、今日の弁当も最高だ。いつもありがとう。」

天晴が言うと、仁琴は赤くなる。仁琴は個人的に関西弁の天晴よりも学校でのクールな天晴が好きなのだ。

まぁ、クールな方は偽りなので断じて天晴が好きな訳ではない。でも月と優は赤くなったのが許せないらしく、二人で1回目を合わせながら頷いて、月は天晴と仁琴の間に無理矢理入り仁琴の肩にもたれかかり、優はその反対側に座って片方の手で机に頬杖をつき、もう片方の手で仁琴の頭に軽く乗せ優しく撫でる。天晴は学校キャラなので軽く2人を手で払う。仁琴はだんだん鬱陶しくなってきたのかサッと椅子を後ろに引いて立った。するともたれ掛かっていた月は見事にこけ、頭に手を乗せていた優は机にゴンと頭を打った。まぁ仁琴はそんなことを企んでいたわけではなく、ただ単に立ちたかっただけだから。いつもこんな感じでお昼を食べている。

「ねぇねぇ、今日さ、皆でお泊まり会しよー!」

突然月が言う。他の3人は何を言うかと思ったらという顔で月に冷たい視線を送る。

「月、お泊まり会って小学生じゃあないんだから。それに誰の家でやるの?」

「それなら僕のお家で良いじゃん!」

「いやー、部屋ないよ!」

二人のやり取りを聞いていた仁琴はなんだか面白い事が起きそうというような顔だ。すると、黙っていた仁琴が言う。

「なら、私の家でやればいい。部屋なら余っている。なぁ、天晴。」

「あぁ。仁琴がいいなら俺は反対しない。」

「やったー!!仁琴りん家ってお披露目会した所だよね!」

ということで仁琴の家でする事になった。天晴は嬉しかった。今まで誰とも話さず興味を示さなかった仁琴が自分から発言し、他者に興味を持つようになったことが……。

小町をやりたいと言い出した時は天晴は猛反対した。仁琴は何でも完璧だが、人前に出るのだけは嫌う。また、仁琴を犯罪者にはしたくなかった。でも、天晴の考えとは裏腹に仁琴は堂々と人前にたち、完璧な立ち振る舞いだった。忍者家に産まれたことを誇りにしていた。前の仁琴とは違った。目の前の事に怯えていた前の仁琴ではなく、目の前の事に興味を持ち、現状を楽しんでいた。だから天晴は何も言わない。仁琴の好きな事を全力でサポートしようと思ったのだ。これからどんな苦難、恐怖が待っていようと……。




ありがとうございました(❁´ω`❁)
さぁ月が提案したお泊まり会で何か進展があるかもしれませんね……。


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新たな始まり

こんにちは。アリスです(≧∀≦)Alice
今回はお泊まり会!自分で書いてて最初の仁琴からなんか印象がかけ離れたような気も…… まぁ細かい事は気にせずお楽しみください!(楽しめるかは……スルーして下さい!)
是非最後までお付き合い下さい。


夕方。扉の前。チャイムを押す。すると、ガタンという音を立て開く大扉。その瞬間、月と優は思わず言葉を失った。

そこは豪邸だった。艶があり黒く輝く大扉、庭は緑が多く、池は金鯉が沢山泳いでいて、時にカコンと鹿威しが鳴っていて、少し離れた所にある離は少し大きい一軒家とほとんどかわらない。

「此処だよね…仁琴りんの家って…」

「嗚呼……あそこの離に住んでいるらしいが…」

優は仁琴から貰った地図を見て言う。二人とも声にならない掠れた声だ。

「僕達も離に住んでいるけどその2倍以上大きい離…」

二人は思わず口を開けたまま呆気に取られている。

その時、正面の本家の玄関ドアが開いた。出てきたのは1人の美少女。いや、超超美少女。その美少女は美しい桃色の梅花模様の着物を着ていて、梅の花をぶら下げた簪を付けていた。ここまで着物が似合う少女はいないだろう。二人は思わず見とれていた。ゴホン。誰かが咳払いをしてやっと我に返った。その誰かも黒の着物を着ており、美青年だった。

「仁琴りん、凄い可愛い!似合う~! 」

凄い高い声で話す月。

「あっ、天晴も似合ってんじゃない…」

急に低いトーンになる。それが気に食わないのか天晴は全身から殺気を出していた。

仁琴達は離に移動した。まぁこれまた二人はびっくりしていた。

「荷物は適当に置いておけ。あと、天晴は殺気出しすぎだ。家の天晴でいいぞ。」

すると天晴からの殺気は一瞬にしてなくなり、トビっきりの笑顔になった。眼鏡を外し、セットしていた髪型を崩し無邪気に笑う。これにも二人はびっくりだった。

 

夕食

四人ともお風呂を済ませ、浴衣に着替える。そして、仁琴が作った夕食をたべる。

「仁琴、凄い豪華な夕食だね…」

「いや、普通だぞ。」

夕食は焼き鯛、刺身、手作り茶碗蒸し、釜飯、夏蜜柑のゼリー。本当に手作りなの?と疑いたくなる程の出来栄えだ。

勿論の事味も最高。下手するとそこらの旅館の夕食よりも美味しいかもしれないくらいだ。

夕食を食べ終えた仁琴達はテーブルのある部屋へ移動し、仁琴はレモンティー、天晴はブラックコーヒー、月はカフェモカ、優はハーブティーをそれぞれ手に取り、椅子に座る。仁琴は一口レモンティーを口にしてふぅと息をつき口を開く。

「なぁ、月達って怪盗初日いつにするか決めたか?」

怪盗初日とは初めて怪盗をする日。月もまだなのだ。その瞬間月の顔つきが変わった。いつもの月ではなく、とても真面目な表情をしている。そう、これは怪盗と言う名の一つの仕事。失敗すれば捕まり、人生パーだ。これは最大の賭けとも言えるのだ。

「決めたよ。次の満月。」

怪盗初日はほとんど満月の夜に行われる。月もまたそうだった。

「ちょいまち、月!!次の満月って来週の土曜日やないねん!」

天晴はガタッと椅子を引き、立つ。

「天晴、落ち着きなよ。僕達は天才世紀の大怪盗になる。盗む日の前日に盗むと決まっても焦らない。僕達はいつだって完璧だから。」

優はハーブティーを片手に微笑む。その姿はとても絵になっていた。

「それはそうと、仁琴りんは決めた?」

「いや、まだだ。」

「じゃあ僕達と一緒にしよーよ!」

ポンっと手を、叩き月が言う。いつもの月に戻っていたが、その笑顔は何処か違った。何か面白いことを思いついたような笑顔だ。天晴は訳が分からないというような顔をしている。

「あのな、冗談やめときー。俺らは忍者、月達は怪盗やで!」

天晴は少しちゃらけたような話し方で言う。明らかに戸惑っていることが分かる。仁琴は至って普通だ。頬杖をつき、ただ月を見つめている。

「冗談じゃないよ。月は怪盗の事では冗談を言わない。僕も月に賛成だ。怪盗&忍者って結構面白いんじゃない?」

優もまた月と同じような笑顔を浮かべている。天晴には分からなかった。何故急にそんなことをいいだすのか。

「いいんじゃないか?お前達もこの話をするためにお泊まり会とか言ったんだろ。」

仁琴は全てわかっていた。月達がどのような目的で泊まるなんて言い出したのか、全てお見通しだった。

「おい、仁琴!いいんか?俺らは何も用意ない。衣装とかメイクとかも、決めてへんよ!」

ー天晴、君はルックス重視なんだ……ー

ー天晴、馬鹿なのか?ー

ーえー!そこ!(笑)ー

3人は思った。それに天晴は気付かぬまま1人で悩んでいる。

「衣装とかはどうでもいい。私達の髪は月明かりに照らされると髪色が変わる。今は薄く別色がかかっているだけ。だが、月光に照らされるとその別色は濃くなり、黒色はなくなる。それが私達四人。別に共通点がない訳でもない。気が合いそうじゃないか?」

天晴は仁琴からきっぱり衣装とかはどうでもいいと言われた事にショックを受けていたがすぐに立ち直り、笑顔を見せた。これは天晴からのOKサイン。そう仁琴は悟った。

ーやりたいならやればいい。やめたい時に辞めることが出来るねんから。ー

「天晴もいいらしい。じゃあ決まりだな。」

月も優も笑顔を見せた。これはよろしくねの笑顔。仁琴は少し頬の筋肉を緩めた。上手く笑えないがこれは仁琴の本当の笑顔。これからもっと増えていけばいいと3人は思った。

「で、僕達が盗むのはウィストン·ホワイト。今、国際美術館に展示中。僕と天晴はサポート役。月と仁琴メインだ。方法は至って簡単。僕が天晴と監視カメラ室とセキュリティ室に行って全コンピュータ停止。で、仁琴と月が盗む。あっ、打ち合わせ無しね!そっちが面白い。」

優は細かく紙に書きながら説明する。

これから忙しくなりそうだ。まぁそれは天晴だけ。何故かってだって天晴は……と………を考えないといけないから……。




ありがとうございました(❁´ω`❁)
最後の部分は前の文を読んで見て下さい!仁琴、月、優がは?っとなったシーンです!
ではまたお会いしましょう。


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仁琴の美味しすぎる羊羹。それを食べて改めて優が思ったことは…。

こんばんは。アリスです(≧∀≦)Alice
今回は仁琴と優!いつもと違う仁琴をお楽しみください!
是非最後までお付き合い下さい。


優はいつも通りの時間に起き、周りを見渡す。隣を見ると、月が幸せそうな顔で寝ている。仁琴の家の美しいカーテンを少し開けて外を見たが、まだ暗く、何も見えなかった。高そうなふすまを開けて、キッチンへ向かう。流石に昨日の夜ご飯のような豪華なものは作れないけど泊まらせてもらっているからには何かしないとという優の善心から簡単な朝食位は作ろうと思った。(いつも作っている)キッチンのドアを開けようとすると、ドアの下から明りが漏れていた。ドアを開けて入ると、まだ午前四時なのに仁琴がいた。(午前四時に朝食を作ろうとする優も優だが………)

「にっ、仁琴?!どうしたの?」

仁琴はいつもの涼しげな顔で横目でチラッと優を見たが、また視線を戻す。

「優こそどうした?早いな。私はいつもこの時間だが優もか?」

仁琴はポニーテールにした髪を揺らしながら少し顔を傾けて視線を優に向ける。優は自分が茹でタコのような顔になっているのを気づき、視線を少し外す。

「ぼっ、僕は今日だけ。朝食作ろうと思って。」

「そうか。ありがとう。」

少し頬の筋肉を緩めて優しく微笑む。赤みが引いた優の顔にまた赤みが…。

「にっ、仁琴はさっきから何してるの?」

「嗚呼、今、白玉ぜんざいを作っている。」

優が仁琴の手元を覗くと、粉から白玉を作っていた。

「えっ?粉から?!いつもなの?」

「ハハッ。えらい驚きようだな。嗚呼。いつも和菓子を作っている。あっ、そうだ。」

珍しく声を上げて笑いながら、とても広ーいキッチンの奥にあるデカイ冷蔵庫から黒い箱をいくつかとってきた。その箱の蓋を開けると、美しい桜色、癒される抹茶色、輝きを帯びているチョコ色の直方体が入っていた。

「これって羊羹?仁琴が作ったの?」

「嗚呼。昨日作って1晩乾燥させた。寒天から作ったんだぞ。」

そう言いながら仁琴は包丁をだして器用に羊羹を薄く切る。そして漆の器にいれ、紅葉をしき、その上に切った3色の羊羹を置いて優に出してくれた。

「食べてみてくれないか?初めてで下手だが。」

仁琴は不安そうな顔をして、優に言う。優は遠慮なく頂くことにした。一口食べると抹茶の香りが口いっぱいに広がる。あっという間に優は完食した。すると仁琴はパァっと顔が明るくなった。

「良かった。誰かに食べてもらうの初めてで不安だっとんだ。ありがとう。」

仁琴は今までの微妙な笑顔ではなく、少し歯を見せて笑った。まるで子供のような表情で無邪気に…………。

「凄い美味しい!誰かに食べてもらうの初めてって言ってたけど、天晴は?」

「恥ずかしいから言ってない。」

「えっ?こんな美味しいのに!お店のよりも美味しい!」

優は心から思った。優は思わず立ってしまっていた。それほど美味しかったのだ。(仁琴の笑った顔が可愛すぎたのもありますが…。)そんな優を見て最初は不思議な顔をしていたが、段々笑顔になっていった。

ー本当に仁琴はお菓子作りが好きなんだ。ー

優は笑顔の彼女を見て、心から思った。

なのに何故このような可愛らしい少女が忍者をするのかが不思議でたまらなかった。本当に忍者のような忍術が使えて、体力があるのか。

忍者の家に生まれて来なければ、普通の美少女高校生として普通の日常を送れていたのだろうか。優は考えると止まらなくなる。まぁその謎解きは機会があればということで……




ありがとうございました!
話がぶっ飛んでいます!まぁ気にせずに…(気にしますよね…)
ではまた!


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前日 ー恐るべし天然?仁琴ー

こんにちは!アリスです(≧∀≦)Alice
特に前書きのようなものは必要ないのでそのまま本文へ!
最後までお付き合い下さい!


「あわゎゎ♡仁琴っち最強に可愛ええ~」

向こうからこんな声が聞こえてきた。月と優が見に行くと…。

「仁琴りん?だよね…!」

そこに居たのは黒い忍者服に腰の部分だけ桃色のラインがあり、口の部分には桃色のバンダナを巻き、ポニーテールを桃色のリボンに桃の花のアクセと黒のビーズがついているゴムで結んでいる。目尻をアイライナーでつり目気味にして、付けまつ毛をつけて、右目下に小さなほくろがある。

「可愛ええやろっ!」

天晴は自分の事のように自慢している。

「可愛いけどなんでほくろとかつけたりしてるの?ツケマだって仁琴は元々長いから影になるよ?」

「優、馬鹿ちゃうか?影にならな正体バレるやろ!それにほくろをつけてるなんて誰も思わへん。ちゅうかなんでアンタらおるん?お泊まり会はもう終わったで?どっから入ってきたん?明日の夜やから準備でもしとるんかと思ってたねんけど?」

天晴は仁琴を眺めながら興味無さそうに優達に聞く。

「嗚呼、準備とかはもう優がしてくれてる。裏口からこっそり入ったんだ♡」

月はウインクをしながら言うが天晴は見向きもせずに言う。

「不法侵入で訴えるで」

冗談なのか本気なのか分からないような声。

ー仁琴りんが可愛いすぎてこっちには興味無しか。ー

ー仁琴愛強いな…いや、強い所じゃないね…ー

二人は思った。当の本人はというと本を読んでいた。その本のタイトルは『鬱陶しく、過保護な人を黙らすには』。仁琴は天晴を鬱陶しいと思っていて黙らせたいんだなと二人は察した。まぁ天晴の過保護は凄いから仁琴も嫌になるのは当然。

「なぁ、ただ盗むだけなのに準備なんているのか?私達は闇同然。怪盗とは違う。」

仁琴は読んでいた本に桃の花が描けれている栞を挟んで閉じ、いつもより真剣な顔になる。仁琴にも香由月家の忍者という自覚がだれよりもあることが分かる。だが、月は思った。

ーまず、物を盗む時点で闇同然だと思うけどな…。ー

「ええんちゃう?別に今までがそうやったっちゅうわけで、これからもそれでいく必要は無い。なっ?」

天晴はいつものようなクシャッと顔面を崩した笑顔。だが少なからず声のトーンからして真剣だとわかる。

天晴はすぐに声のトーンを戻し、いいことを言ったといわんばかりの満面の笑みを浮かべていた。その笑顔の裏には多分、誰か褒めて!という意図が隠されている。

「天晴、珍しくいいこと言った! 」

優が褒めると天晴はそりゃあ嬉しそうな笑顔でもっと褒めてくれていいんだよと語っていた。

「ねっ、仁琴。おーい、仁琴ー!」

優が仁琴に同意を求めると、仁琴はまた本の世界に入っていた。

「なんだ?天晴、なんか言ったの?」

この一言には流石の天晴でもグサッときたようだ。

さっきまでの笑顔とは真反対の顔でその場をあとにした。仁琴は変わらず頭の上にクエスチョンマークを幾つも並べている。月はそんな仁琴が少し怖かったらしく、3歩程、後ずさりしていた……。

 




最後までありがとうございました(❁´ω`❁)
次回は投稿が遅くなると思います。


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ウィストン·ホワイト
実行日の月は白でした。


こんばんは。アリスです(*ˊ˘ˋ*)。♪Alice
投稿遅れました。でもこれからもよろしくお願いします!
最後までお付き合い下さい。


開いたカーテンから白の月の月明かりが差し込む。

「…………。」

その部屋にいた誰かが無言でクローゼットを開ける。その誰かは何かを感じ取る。その瞬間、クローゼットの衣服の中から何かが襲いかかってきた。誰かは華麗に避け、その何かを蹴り、縛る。そして誰かが電気をつけると……。

「おい、天晴。お前何やってんだ?」

そこには縛り付けられた天晴とそのロープを持っている仁琴が立っていた。

「 仁琴、今夜やで!ちゃんと寝たか不安やったけ。」

ーじゃあ普通に見に来いよ………ー

仁琴は縛られた天晴を見て、思った。

 

 

「仁琴りん、準備はいい?」

月が仁琴に聞く。

「とくに準備する事も無い。」

仁琴はあっさり月に返す。それが月には大ショックだったようで、1人、部屋の隅に座り込んでしまった。その場にいた3人は思った。

ー面倒な奴………………ー

誰1人として緊張感を持っていない。まるで、どこかの広い草原へピクニックに行く小学生のような表情。仁琴なんてまた寝ているくらいだ。この4人、実は打ち合わせなんてほとんどしていない。決まっている事は、仁琴と月が盗む。そして、天晴と優がコンピュータに侵入して、完全に停止するという裏方に回るということだけだ。ほかについては一切打ち合わせしていない。つまりノープランということだ。でもこの4人だったらノープランでも確実に盗むことが出来ると四人は皆確信していた。どんな根拠があるかって?根拠なんてない。あるのは、未知の確信だけだった。

 

四人は全員、衣装に着替えた。

仁琴はこの前、試着したものと同じ衣装だ。天晴は基本の忍者服に黄色と黒で豹のような柄が片方の袖と、腰巻についており、髪は7:3で分け、黄色の髪飾りをつけている。月は白のスーツのポケットに赤の薔薇を指し、白いマント、白い帽子は赤のリボンがついている。そして、優は眼鏡をかけ、青のスーツにこれも月同様で青マントに青帽子という怪盗らしい格好だ。

四人全員、目尻をアイライナーで上げているので、顔が変わってみえる。でも、衣装を着た途端、全員の雰囲気が変わった。緊張感もなかったが、急に真面目な雰囲気に変わった。それは極自然の事だった。ほんの一瞬の差。でも、感じることが出来るほどのオーラの違いだった。そう、お分かりいただけただろうか?この4人は怪盗、忍者というそれぞれの仕事に命を懸ける覚悟が十分過ぎるほどあるのだ。仕事で死ぬ事はとても素晴らしいこと。お宝のためなら、自分の身なんてどうでもいいだろう。

 

さぁ今夜はどのような夜になるのでしょうか??

 




ありがとうございました(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°! 投稿遅くなりすみませんm(_ _)m!これからもこんな私ですがよろしくお願いします!


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ついに国際美術館へ。だが…………。

こんばんは!アリスです°(*´꒳`*)°.Alice。
ついについに、月や仁琴達の………。
もうニヤケながら書かせて頂きました。(変態ではないですよ!(圧))
是非最後までお付き合い下さい。


今、国際美術館の前には約60台のサイレンが唸り、赤く輝いている。このパトカーの光は闇の住人の好奇心を高ぶらせる予兆。例えば、この4人も…。

 

走る。いや、これはもはや走るというスピードではない。風だ。その一方で美術館の館内は騒ぐ警察官の声が響く。今、仁琴と月は美術館の25階。ウィストン·ホワイトがあるのは30階。ここ、国際美術館は丸いドーム型で30階建てで、階段は螺旋状。仁琴と月は25階までペースを落とさず階段を駆け上がる。いや、これはもう上がるという域を超えている。今はもう、29階。そのまま行くと思った。だが、2人は突如足を止めた。

その先には黒いスーツを着た20歳位の男と仁琴と同い年位の男が立っていた。その2人は全身から殺気を出しており、普通の人ならここで即気絶だろう。

「どいて頂けませんか?私達はその先に進みたいのですが?」

月は2人の後ろにある鉄の扉を指差し、睨みながら言う。まるで獲物を見つけたかのような豹の目で。

「どかない」

20歳位の男が言う。そして、2人とも身構えをしている。今にも飛び出しそうな雰囲気だ。だが、仁琴達は飄々と立ったまま。身構えもしていない。

「どいて頂けないなら仕方がないですね。」

月はそのきれいな唇の両端を上げる。月の考えが伝わったかのように仁琴も同様。隠れた口の両端を静かに上げる。そして、仁琴と同い年位の男が指を1度鳴らした。それを合図かのように周りから隠れていた警察官が出てきた。約100人位だろう。でも、瞬殺。(一応殺してはない)仁琴はすぐ囲まれた。でも、そんなの予想内。軽くジャンプをし、(仁琴の軽くは凄い。)右足を伸ばし、右手を地面について軸にしながら、回る。そして、囲んでいた30人程の警察官は一気に倒れた。仁琴は回った風だけで倒したのだ。一方、月は自分の帽子に巻き付けておいた長いロープで戦う。警察官を40人程隅に追い込み、器用に右手でロープを回し、正確に1人1人に物凄いスピードで当てていった。残りの警察官も同じような状況だった。そして、残った2人。2人は逃げる事もせず、静かに見ていた。

「あんだけ倒せば疲れで俺達とはまともに戦えないな」

ボソッと男が呟く。

「そうとは限りませんよ。」

男の耳元で月が囁く。

ーなんだ、この怪盗ムーンという奴…気配も無く俺の後ろに……。ー

男は首筋から冷や汗を1滴垂らす。パッと月は男から離れ、仁琴の隣に立つ。

「では、そろそろ決着をつけさせていただきます。」

その瞬間男2人はサッと仁琴を挟み撃ちにする。

ー女から狙う愚か者ー

仁琴は思った。だが、仁琴にとってはラッキーなことでもあった。仁琴に飛びかかろうとする2人。その瞬間仁琴は上に飛ぶ。2人は体をぶつける。その隙にリボンで月が2人を結ぼうと投げるが、なんとよけられた。これには月も動揺を隠せなかった。そして、男2人は月に集中して攻撃を掛ける。仁琴は一つ大きなため息をつき、2人を後ろから蹴る。そして待ってましたとばかりの笑顔で月は1人の頭を思いっきり手で殴った。だが、男は気絶していない。でもかなり、ダメージはあったようだ。月はあえて受け身になり、相手の体力を消耗させることにした。

仁琴は攻撃しても三発中、1回は必ず外れる。それだけ、相手が凄いのだ。だが、当たっている回数が多いので、だんだん相手も弱ってきた。

そして月と仁琴はある程度倒した所で2人同時に蹴りをいれた。男は29階の硬化ガラスを破り、下に落ちていく。破れる程のキックだった。だが、2人は綺麗に落下し、着地。戦った際の傷以外は何も傷をつけていなかった。

仁琴と月は階段を駆け上がった。ウィストン·ホワイトがあるであろう30階の鉄の扉を開ける。そこには月明かりに照らされて輝くウィストン·ホワイトがあった。そしてその横には………………。




ありがとうございました!
この話で何故ニヤけるのか皆さん、分かりませんよね。実は私もです(∀`*ゞ)テヘッ
月の小さなピンチの時は特に……。(変な趣味ありません!)
是非次もよろしくお願いします!


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ウィストン·ホワイト ~仕事終了!~

こんばんは!Aliceです(๑>؂•̀๑)
やっとテストも終了ッス!ヤッタ\( ‘ω’)/ヤッタ
久しぶりの投稿でした。是非最後までお付き合い下さい。


ウィストン·ホワイト。その横には2人の影があった。でも仁琴も月も警戒せず、その2人の方へ向かった。

「開きましたか?」

お仕事モードの月はいつもとは違うクールな笑顔で2人に聞く。

「開いたでー。」

そのうちの1人、天晴が答えた。隣にいた優はウィストン·ホワイトの入ったガラスケースをひょいと持ち上げた。その瞬間、ウォーンと美術館中にサイレンが響く。バリンと大きな音を立てて、5m程離れたガラス張りのドアが割れ、たくさんの警察官が出てきた。

だが、4人は誰1人として焦りもしなかった。これを予想していたから優はわざと開けたのだ。打ち合わせなんてせずともこの4人は通じていた。

「騒がしくなりましたね。」

月は嬉しそうに笑う。その笑みはその場を凍らせる程のものだった。

「怖いぞ。」

優はいつもとは真反対のキャラである。愛想がなく、表情に乏しいキャラ。

「えぇ。確かに怖いです…。」

仁琴はお姫様のような可愛らしい喋り方だが、異様な空気が漂う不思議少女。月達3人はいつもこのキャラだったらいいのにと心から思った。

「おい、お前ら悪戯はやめろ。名刑事とは俺、大和のためにある言葉。世の中の悪は俺が…イテッ!」

大分カッコつけてきたが最後がマヌケな人が出てきた。

下には何も段差なんてないのにコケるなんてこの人大丈夫か?。ここにいる全員がそう思ったことだろう。

だが、ここは皆、スルーすることにした。

サァー。警察官が4人を囲む。100を超える銃口が一気に向けられた。それに優はとてもキレたようだ。

「はぁ?てめぇら誰に銃口向けてんだよ。王子の俺に向けるとは覚悟出来てんだよな…」

優はガチ系できれていたようだ。

さっと優はマントを広げてターンすると拳銃が一気に吹っ飛んだ。優は帽子を深くかぶり直し口だけニヤリと笑う。目はメイクのせいもあり、とても怖く、そこにいた数人の警察官は腰を抜かした。

月は8m程上にある天井からぶら下がっているシャンデリアにジャンプをして掴むと上からリボンで警察官を倒す。

天晴は白煙を出して視界を遮り後ろに回り込んで、ヌンチャク(忍者だけど……)で首をうち、倒す。でも、凄いことに誰1人として怪我をさせず、気絶させた。

仁琴は木刀で腹を切っていく。切った相手は天晴と同じように気絶させただけだった。

4人は残った警察官20人程と大和警部の方へ向きを変える。

「大和警部?でしたよね。降参なさって下さいよ。」

月が苛めたような声で言う。いや、これは完全に馬鹿にしている。だが、大和警部は不思議な事に笑を浮かべた。そして隣にいた警察官を全員、自分が持っていた警棒で気絶させた。

「俺が降参?笑わせんな。」

そう言い放つと、月と優に襲いかかる。警棒で優を殴るがそれを腕で支える。後ろから来ていた月を蹴り、一回転して1m離れて着地。天晴はヌンチャクで足を狙ったがすぐ交わされた。

その時、仁琴は思った。

ーそういう事か…。ー

「おい、4人で行くぞ。」

仁琴は笑っていた。赤い唇の両端を少し上げて…。

月と優は2人で蹴りをいれ、その瞬間、前から天晴がヌンチャクで足をとり、仁琴は腹を切る。大和警部は少しダメージを受けていたが、サッとその場から離れた。

そして天晴に襲いかかるが、天晴が受ける前にサッと仁琴が天晴の前に入る。木刀と警棒が鳴り合う。仁琴は木刀をグルッとまわし、警棒を飛ばして、相手の喉仏の所に木刀の先をつけた。

「おふざけはおやめ下さい。父上。」

はっ?そこに居た皆は目を丸にした。

「げっ!バレてた…。」

大和警部ーーいや、仁琴父は目を逸らした。

仁琴はとても大きくて長いため息を思わず漏らした。

「実は皆を試したくて…。コケたのは本物の大和警部だけど、ほら」

そう言って指を指した部屋の隅に眠った大和警部を指指した。

「仁琴、強すぎ!本当に負けたよ。」

そういいながら呑気に頭を掻いている。

まぁお仕事終了ということでいいのか…?。でも仁琴達はまだ知らなかった。これが大きく報道され、ある人がやって来ることを……。




ありがとうございました(❁´ω`❁)
是非、アドバイスやコメントをよろしくお願いします((。´・ω・)。´_ _))ペコリ


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アビスという1人の美少女。

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice
お久しぶりでーす、月シル!!
是非最後までお付き合い下さい( ・∇・)


静かで暖かい冬の日差しが差し込んでくるとても心地よい雰囲気。ガラガラ!!!ドッシャーン!!!!

一瞬にして壊されてしまった。

「なんだ?どうした?」

薄いだぼだぼのシャツパジャマを着た仁琴が居間の襖を丁寧に開けた。すると、そこには天晴とある少女が戦っている最中だった。仁琴は天晴と少女の間を切り裂くようにして蹴りをいれる。

「おい、天晴。どういうことだ?誰だ?」

仁琴の入れた蹴りの風で思わず倒れてしまった天晴に尋ねる。

「それがよう俺にも分からへんのや。居間で前茶を注いでたら急に襲ってきたんや。この子が誰なんかも分からへん。」

天晴はそう言って彼女の顔をまじまじと見る。彼女は天晴には目も向けず、真っ先に仁琴の手を握った。

「ずっとお会いしたかった。我が親愛なる小町様。」

仁琴は初めて彼女の姿をみた。その瞬間仁琴は握られていた手を払い、膝まづく。

「お初にお目にかかります、レイラ·シェイドハート殿。私、香由月家62代目忍者、香由月小町と申します。先程は私のパートナーが大変失礼な行為を取ってしまい申し訳ございませんでした。」

「いいえ!小町様にお目にかかれただけでアビス(ハンドルネーム)、幸せでございます!もし宜しければレイラとお呼びください。」

仁琴はそれに応えるようにアビスに笑いかけた。

「仁琴っち、誰??」

天晴がそう言った瞬間仁琴は勢いよく天晴の頭を叩いた。天晴は頭を押さえながら床で痛みと奮闘している。

「馬鹿………。こちらはドイツ一番の怪盗一家シェイドハート家のお嬢様だ。見て気づけ。」

そう言われて天晴は彼女を上から下までじっと見つめる。

黒猫がニヤリと笑っている所が描かれている不気味な仮面を頭の左上につけており、スタイル抜群。金髪で左目の瞳の部分が金、右目の瞳の部分が青のオッドアイの美少女。

こんな少女見たことないけどな…?何故仁琴は知っているんだ?天晴の頭の中にはたくさんの疑問が浮かんでくる。

その時、玄関の扉が開く音が微かに聞こえた。3人はその瞬間思わず身構える。殺意がする訳ではないが3人とも嫌な予感がしたからだ。ドドドドッ!廊下を思いっきり走ってくるような音が響き渡る。ガラッ!居間の襖が開く。そこから入ってきた影は真っ先に仁琴に飛びつこうとする。が、仁琴はその前に手裏剣を投げていた。その影はやがて人の形となり、藁人形のような体勢だ。

「月、会ってすぐ飛びつこうとするのはやめろ。」

その影は月だった。月はヘラっと笑うとゴメンネというように、ペロッと舌をだした。

「月、人の家の廊下を走ってはいけないよ!」

そう言って出てきたのは優。

「優、それもアカンけど人の家を自分の家のように扱っているのははもっとアカンような気ーするねんけどなー。」

天晴が面白そうに優をからかう。仁琴はそこで何かを思い出したかのようにアビスの方を向いた。

「レイラ殿、こちらは……………」

仁琴が月と優を紹介しようとするとアビスはそれを遮るように月と優を睨む。

「月、優、貴方がたが小町様とお知り合いだったなんて許せませんわ!!」

「だから今回、連れてきてあげたじゃ~ん♡」

多分この3人は怪盗という所で何らかの接点があったのだろうと仁琴は悟った。

なんか嫌な予感が………。




ありがとうございました(❁´ω`❁)
今回登場させたアビスちゃんは登場人物を募集した際に
駄ピン·レクイエムさんから考えて頂きました!
月シルも君僕(君と僕のキセキの手紙)もよろしくお願いします!


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アビスと仁琴のハチャメチャお菓子作り?!

皆様、ごきげんよろしくて?(笑)
改めましてこんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice
今日はアビス風な挨拶でしたー!
では、アビスの可愛げある憎めない行動を御満喫下さい!
是非最後までお付き合い下さい!


ガラガラドシャー!!!!

夜中の静寂が一気に失われた。

「レイラー!!何やっとんねん!」

天晴の叫び声が響く。

「気安くわたくしの名前を呼ばないで下さらない?」

アビスはその叫び声に対し、落ち着いた声で答える

「レイラ殿、お怪我は?」

仁琴は呆然と立っている天晴を蹴り除け、小麦粉が散らばったキッチンに座り込んでいるアビスに手を伸ばした。

「どうしたの??」

目を擦る月を抱き抱えて優がキッチンに来る。

「レイラ殿、何をなさっていたのですか?」

「小町様のためにパンを作っていたのですが上手く出来なくて(泣)」

アビスは涙を手で拭いながら下から仁琴の顔を覗いた。

「レイラ殿、貴女って人は本当に可愛いですね。」

仁琴は持ち前の演技力、イケボでアビスの耳元で囁いた。するとアビスは頬を真っ赤に染めて下を向いた。

「私で良ければ一緒にお作り致しますが?」

「是非お願い致します!」

そして2人は簡単なチョコレートクッキーを作り始めた。

「チョコは湯煎出来ましたか?」

「はい!この通りちゃんと鍋にかけておきましたわ!」

その瞬間見ていた月達は真っ青になった。

「えっ?!ぶっ、分離しちゃうよ~、焦げちゃうよ~(泣)」

月は涙目で言う。仁琴はその分離しきったチョコレートを10秒レンジにかけ、よく混ぜてそれを瞬間冷蔵庫(すぐ冷たくなる冷蔵庫)に入れる作業を数回繰り返した。すると、分離していたチョコレートが元通りになった。

「流石仁琴様!感激でございます!」

アビスはそれを尊敬の目で見ていた。月と天晴は驚きだ。だって2人とも仁琴がお菓子を作れることも知らなかったから。優は2人の秘密を少し知られたような気がして心臓の辺りがズキンと痛みを覚えていた。

ーだめだ。感じないように見ないように。そうやって自分に言い聞かせてきたけどやっぱり自分の心は誤魔化せないんだ。そしてこの胸の痛みは『嫉妬』……ー

 

チョコレートクッキー完成。アビスは本当によく色々な問題を起こしてくれたがその度に仁琴がフォローしていった。

「ねぇ、レイラちゃん~♪僕、レイラちゃんのクッキーが食べたいな。ダメ??」

月の下からアングル攻撃!勿論、アビスには全く効かない。

「えぇ。」

アビスは冷たい目で月に答えた。月はやったー!と飛び跳ねながらクッキーを一つ口の中に入れた。パタン。その瞬間、月は倒れてしまった。顔を真っ青にして。

「るっ、月?!」

アビスを除いた他3名は同時に叫ぶ。仁琴はそのクッキーをハンカチで一つ取り、月をお姫様抱っこで急いで地下にある研究室に向かった。

研究室には全く名前の分からない薬品、道具が勢揃いしている。その中で仁琴は赤色の液体と桃色の粉を取り出し、ビーカーで混ぜると紫色の液体になった。その中にクッキーを丸ごと入れるとクッキーが真紫になった。

「やっぱり。」

仁琴はそれだけ言うと棚のなか中から何種類もの粉、液体を取り出し加熱しながら混ぜ、それを月に飲ませた。

「うん?僕は何をしてたの?」

月のいつも通りの元気な声と元通りの顔色に仁琴は安堵の表情を浮かべた。

「仁琴様!申し訳ございません!わたくしのせいで仁琴様のお手を煩わせてしまい泣」

仁琴は一生懸命頭を下げるアビスに向かって優しい表情で言った。

「レイラ殿、次に会う時はもっと上手くなっておられるのを期待しておりますよ!」

「はい!では今から仁琴様のためにパリに行って修行してきますわ!では皆様ごきげんよう!」

アビスはすぐ自家用ジェット機に乗り、パリに向けて出発した。

こうして仁琴達に平和な日常が返ってきたのだった。

 




ありがとうございました(❁´ω`❁)
如何でしたでしょうか?仁琴のためにパリに行くなんて(涙)アビス、なんていい子なの!!

この間、学校の道徳の時間に今日の授業の感想を書きなさいっていうのがあって、そこでやばいこと書きました…。劇(ミュージカル)があっている途中、一番前の席でずっと俯いている女性がいて、劇団員は寝ていると思い、彼女の前では大声を出したりして起こそうとしたんですが、一番最後、拍手の時に女性がやっと顔を上げたと思ったらその女性は盲目だった。という話を読んでの授業でした。
『彼女が盲目であった。それを知った時、彼らは(劇団員)後悔の渦にハマっただろう。盲目でも必死に耳で聞き取り、一生懸命拍手を送る彼女に最高の劇を見せることが出来なかった。だが、彼女のお陰で彼らは早とちりはやめよう。と思った事だろう。そう思っていて欲しい。第一印象でその人の内側まで決めつけるのは良くない。決してしてはならない…………。』
という感じの感想を書いてしまいました(泣)小説の癖がついつい………。
うん。これから気をつけよう!!


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ある宝石
ある宝石と二家の関係


お久しぶりです!アリスです(❁´ω`❁)Alice


君僕にどっぷりハマっていた作者が戻ってきました!でも文章力が上がったりなどのLevel UP!は一切ございませんのでご注意ください。


是非最後までお付き合い下さい!


最近の仁琴達4人は暇していた。

 

~仁琴邸にて~

「ひ〜ま〜!!」

「最近は簡単に盗めてしもてつまらんなぁ。」

「わかる〜!」

「なんか警戒がないというか…。放置プレイ?」

その一言で月と天晴はピシッと音を立てて凍った。

「なんだそれ?」

仁琴が聞くと優は顔を青くして3人とも「空耳」と言い張るのだった。

「まぁでも確かに変やな…。」

天晴が手を少し尖った顎に添えながら言う。

「う~ん。ちゃんと返してるからじゃない?」

月はそう言って苺のタルトを齧った。

確かに4人は目当ての宝石でなければ返している。

「でも目当ての宝石って何だろう?」

優は思いついたように仁琴の方を見て聞く。

「確かに!」

「せやせや!」

2人も優の質問に同意する。仁琴は…目を丸くして3人の顔を玉視していた。

「え?知らなかったのか…?」

3人は同時に頷いた。仁琴はそれを見て頭を手で支え、深い溜息をついた。

「その宝石は代々香由月と鈴花端が探していて、二家の繋がりとも言える。私達の髪は特殊だろ?それもその宝石の影響だ。

確か14代目だったか、その当時の二家の馬鹿な当主はある宝石を煎じて飲んだらしい。すると次の日に目が覚めると髪の色が変わっていたそうだ。こんな奇怪な話は誰も信じておらず、誰もが染めたと思っており、一月もばかり経てば元に戻るだろうと笑っていたが、戻らなかった。それどころか生まれた子供の髪も妖美な色だったらしい。代を重ねるごとに髪色は変化していき、今の私たちに至る。」

仁琴はそれだけ話すと席を立ち、台所に向かった。お気に入りのレモンティーを入れ、香りだけ確認してまた月達のいる部屋に戻って椅子に座った。

「でもそれがほんまなら仁琴っちの姉2人も髪色が違うはずなんやないんか?2人は黒やで?」

「天晴や僕の髪色が違うのもおかしいんじゃ…?」

そこで今まで黙っていた月が口を挟んだ。

「もしかして……もしかしてだけど、姉2人は……養子…とか?」

言葉は途切れ途切れだが、確実に紡がれた。それを聞いた仁琴は満足そうな顔をちらつかせた。一方、天晴と優はわかっていない様だ。

「そうだ。双子の姉2人は養子だ。本人達は知らないがな。父がある人を調べていてその人が人身売買に手を染めていることを突き止めたんだ。その日のオークションでは当時4才だった姉2人が出されていた。父は曲がったことをする人間が大嫌いでな。まるで宝を盗むかのように華麗に二人の姉を連れて帰ってきたよ。まぁ生憎私は覚えていないがな。その後上手いこと戸籍を操作して養子にしたそうだ。」

レモンティーを1口飲み、また話し始めた。

「お前達二人の髪のことだがそれはさっき話した宝石に関係する。ある占い師が言ったそうだ。『この二家の62代目の時、助ける者二人現れし。そしてこの4人が変えるだろう』とな。」

「その助ける者二人が…天晴と優ってこと?」

仁琴は頷いた。

「それは分かったねんけど何を変えるんや?」

「さぁな。全てはその宝石を手にすれば分かる。」

全ての鍵は宝石が握っている。だが天晴は気付いていた。仁琴だけは全てを知っているということに。




ありがとうございました!

これからもよろしくお願い致しますm(*_ _)m


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仁琴の表情 天晴の思い

こんばんは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

本日2話目!

是非最後までお付き合い下さい!


『香由月62代目の忍者は天才だ。あの宝石を探し、盗むことが出来るだろう。コルダ流星群が通り過ぎる前に。そして我らの仇を取ってくれるだろう。』

 

 

「ねぇ、仁琴?」

昨日は月と優も泊まり、今は5時30分。仁琴は優と一緒に朝の軽い(仁琴にとっては軽い)運動を済ませて朝食を作っている。

「なんだ?」

「いや、その…大丈夫?」

仁琴は相変わらず無表情だったが一瞬、眉を動かした。

「気付いていたんだな……。天晴にも気づかれなかったのに。」

そう言って仁琴は辛そうな顔を優に見せた。

「少し…嫌なことを思い出してしまってな…。」

仁琴は泣くのを耐えてそうな目をしていた。

「僕が役に立つとは思えないけど、何かあるなら聞くよ?聞くくらいしか出来ないからさ。」

優はどこか寂しそうに笑った。

「今は…言えないな。でもどうやら一番先に優に言わなければいけないみたいだな。」

そう言って仁琴は笑った。勿論だが優は顔を赤くして照れ笑いのように笑った。

そして優は思った。

 

僕に守れるものは少ない。この手から零れてしまうものも多くある。だけどこの少女だけは何があっても、命に代えてでも、必ず守ってみせる。

それが例え、どんなに暗くて、深くて、臭くて、息苦しい沼のようなものが迫ってこようと絶対に守る。守らなければいけない。

 

どうしてこんなことを思ったのかは…正直、優にも分からなかった。ただ仁琴の言葉と表情から感じた。それだけの事だった。

 

 

 

 

「朝だよ!月、起きて。」

優は月の布団を無理やり剥がして起こした。

「ねむいよぉ〜!!!」

月は優に奪われた布団に諦め悪く、くっついている。

優は月を思いっきり蹴り、起こした…というより殺りかけた……。

月は優の顔を見るや否や10秒で身支度を済ませ、優の前で正座をした。

「よし!最初からそうやって起きればいいんだけどね…。」

「へへへっ!」

月は反省してるのかしていないのか、分からないような反応でヘラヘラ笑っている。

「朝ごはん出来てるから、行こうか。」

そう言うと目を輝かせて、優よりも先に部屋を出て、居間に行ったのだった。

 

 

「天晴、起きろ。」

仁琴が天晴を起こしにいくと、天晴は窓際に座り、外を見ていた。

紺色の縦しまの寝間着を身につけており、テラ·ローザのかかった髪が朝日に包まれてほのかに輝いて見える。その天晴の表情は哀愁漂っているというか、なんというか、思いつめた様子だった。

「仁琴か。」

天晴はいつもより低い声で仁琴っちなどという呼び名ではなく、仁琴と呼んだ。

「天晴、もしかして……。」

仁琴は何かを悟ったようで、確認するように天晴の様子を伺う。

「ああ、いや。少し役作りは疲れたなって思って。」

二人の間には少しの沈黙があった。その空気を先に破ったのは天晴だった。

「仁琴っちのためや!大丈夫。あんじょうやるから!」

そう言って仁琴1人、部屋に残して居間に向かった。

背中を見ていた仁琴は気づかなかった。天晴が何かを強く恨み、憎んでいるような…バケモノのような顔をしていたのを。




ありがとうございました!



ネタバレとかになるかもしれないんですけど、天晴は仁琴達の仲間なので裏切りなどではありません!ご安心(?)下さい!

今後ともよろしくお願い致しますm(*_ _)m


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天晴と仁琴 (天晴回想回)

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

二日連続の投稿でございまする!╰(*´︶`*)╯




是非最後までお付き合い下さい!


仁琴は1人で抱え込みすぎている。

 

 

俺と仁琴が初めて出会ったのは、俺が5歳の時だった。俺が生まれてすぐ、髪色を見た両親が前々から繋がりがあった香由月家に駆け込んだ。両親は俺を香由月家に預けて、今も2人で暮らしている。勿論、未だに会いに行っており、仁琴の父親は一時帰省も勧めてくれる。でも俺は帰らない。それは両親も承諾してくれているし、メールや手紙は定期的に送っている。俺は仁琴を守らなければいけない。

初めて仁琴を見た時、天使だと思った。シャモアのかかった長い髪に、透き通るような白い肌、ローズクオーツのような大きな瞳に長く毛先がカールしたまつ毛。まだ鮮明に覚えている。そして幼いながら直感した。

ああ、俺はこの子を守らなければいけない と。

 

それから仁琴の父親によって鍛えられた。身体以外に、勉学、メンタルなど役に立ちそうなものは全て教えられた。確かに大変だったが、辞めたいなどは思わなかった。それは仁琴のおかげだった。

 

守らなければいけない。その思いはあの事件が起きてから一層強くなった。仁琴はあの事件から変わった。無表情を纏い、笑わなくなった。あの時、俺がもっと強ければ、大きければ、震えていた仁琴の肩を抱きしめることが出来ていた。守ることが出来たはずだった。

 

仁琴は自分を強く持つために必死に修行を始めた。仁琴の父親からは仁琴の我儘を出来る限り聞いてほしいと頼まれた。だから2人だけで離れに住み、誰にも素顔を見せないようにしていた。

 

初めて素顔で学校に行かせたのには理由があった。勿論、小町となることが決まったのもあるが仁琴は変わりたいと思っていた。だから自分から小町になりたいと申し出たのだと思う。素顔で学校に行く前日、仁琴は悔しそうな顔をしていつもの黒髪のウイッグを握りしめていた。その時、初めて俺は気づいた。本当は変わりたいんだ。だけど誰かに背中を押してもらわなければ、いけない。その1歩先を知るのが凄く怖い。もっと早く俺が背中を押してあげなければいけなかったんだ。気づかなかった自分がいかに未熟なのか思い知った。もっと早く気づいていれば、仁琴はまた違う未来にいたのかもしれない…と。

 

 

俺は仁琴の苦しそうな顔を何度か見たことがある。さっきもそうだ。俺を起こしに来た仁琴はどこか変だった。まるで寂しさや悔しさ、悲しさを押し込めたような表情だった。その時、どうすればいいか分からない。

そんな俺の迷いを打ち消すように日々演技をして暮らす。演技は疲れないのか?そう聞かれると疲れる。でも辛そうな仁琴に何もしてあげられない自分を思い知るのがもっと疲れる。

 

俺は怪人十二面相……までは行かないが最低6つの顔を持っている。

 

 

 

学校での自分

 

仁琴の前での自分

 

忍者の時の自分

 

両親の前での自分

 

本当の自分

 

********の自分

 

 

 

 

 








ありがとうございました!


つい最近、閲覧設定から背景の色や文字の色を変えました!

はい、すみません。ただそれだけです(笑)


また次回もよろしくお願い致します!


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おかしな仁琴

こんにちは。アリスです(❁´ω`❁)Alice


投稿遅くなりました( ´⚰︎` )
次の投稿はだいぶ遅れます(テスト関係です)!

是非最後までお付き合い下さい!


今日、仁琴達は学校にいた。確かに仕事もあるが、やはり普通の高校生でいたいという願いもあるのかちゃんと毎日通っている。素顔の仁琴はあっという間に人気者。天晴は最初は告白されたりして彼氏ができないかと心配していたが、仁琴は高嶺の花すぎて誰も話しかけてこれないらしい。それに仁琴は未だに優、月、天晴以外とは滅多に話さない。だが、そんなクールな姿勢も素敵だと女子が騒いでいた。

 

「寿、また全国模試も1位だったな!」

担任は仁琴と遭遇する度に褒める。地味な姿の時は周りから勉強だけが取り柄だしね〜と嫌味を言われていたが、今は全校生徒の憧れの的だ。

 

だが、今日の仁琴はどこか落ち着きがなかった。周りからしてみれば可愛い、癒されるといった感じだが、天晴と月にとっては大丈夫?!というほどであった。普段あれほどのポーカーフェイスだからだ。

「仁琴、どうした?」

天晴(学校用)が聞く。

ちなみに天晴が未だに学校でキャラを変えてる理由は単に気に入ってるかららしい。(余談)

「いや、何でもない……。」

そう言って仁琴は読書を始めたが、その読んでいる本は逆さまだった。

【ねぇ、仁琴りん、やばくない?!】

【めっちゃやばいやん!どないしたんやろう!!】

天晴と月は小声で話す。

「ゴンッ!!!」

急に大きな音がして、天晴と月は驚いた。別に音に驚いたわけではない。驚いたのはその光景だ。

なんと、仁琴が自分の頭を本で叩いた音だったのだ。

周りは声も出ないくらい驚いている。

「ど、どうしたの?!仁琴りん!」

「いや、その、心配してるとかじゃなくてっ……。」

ほんのり顔を赤らめて言う仁琴。2人は最初、なんのことを言っているのか分からなかったが、空いている席を見て、やっと理解することが出来た。理解出来た喜びと同時にそれを遥かに上回る怒りが湧いたのも事実だった。

「優が学校来てないのがそんなに気になる?」

月はいつもとは違う怒ったような顔をして仁琴に聞いたが、すぐにいつもの笑顔に戻って言った。

「今朝はやーくどこかに出掛けたみたいだよ?僕もどこに行ったかは知らないけど!」

そう言って一枚の紙を仁琴に渡して、天晴とどこかに行ってしまった。仁琴は急に立ち上がり、鞄を持って教室から出た。そしてさっきの紙に書いてあった場所に電話をかけた。

『はい?どちら様ですか?』

『ほぉ、学校休んで何してるんだ?』

すると電話の主は驚愕の声をあげた。

『仁琴?!なんで僕の番号を?!』

『ふふっ。元気そうで何よりだ。月から貰ったぞ。』

『なるほど…。あ、じゃあまた。』

そう言って優は電話を切った。居場所を知られたくなかったのだろう。仁琴ならば数分通話しただけで場所が分かるだろうと悟ったまでは良かったが、仁琴を舐めすぎていた。

「あの鐘の音は正教会の音色。この当たりで正教会の教会は…マトリアル教会だけか。あのくらいの響きなら教会から半径1km以内にはいたな。また今は…北西の風か。物凄く音が伸びていたから優はマトリアル教会から半径1km以内の北西にいる。」

仁琴はスマホで調べながら1人呟く。そして、スマホを直し、鞄をしっかり肩にかけ直して軽くあたりを見回して助走をつけて走った。妙に速く走るよりも、人には見えないくらいの速さで走った方がいいと仁琴は思った上での判断したらしいが、この二択は仁琴と他3人以外は迷うことも出来ないだろう。

 

マトリアル教会についた仁琴は、教会の屋根のてっぺんに立ち、街を見下ろした。北西の方を向くと、高校生くらいの男子が1人、売り地という看板が立てられた空き地の真ん中で寝転んでいるのが見えた。

ーなぜあんな所で寝転んでいるんだ?男子高校生が昼間からあんな所で寝ていたら通報されるリスクもあるのに。ー

そう思いながら仁琴は屋根から降り、やや足早に空き地へ向かった。



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優と仁琴 闇を纏う烏

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice


テストが終わりようやく投稿です!



是非最後までお付き合い下さい!


「優。」

優はビクッと1度肩を震わせて仁琴の方を振り返った。

「なんで…?」

すると仁琴はいつものポーカーフェイスで答える。

「鐘の音。」

「あ……そっか。」

優はどこかホットしたような表情で胸を撫で下ろした。

「本当は気づいて欲しかったんじゃないか?自分がどこで何をしているのか。そうじゃなければあんな分かりやすい鐘の音なんて電話中に入れないだろ?それとも私を甘く見ていたのかな?」

仁琴は少し右側の口角を上げて、どこか誇らしげに言った。

「ふふっ。流石!参りました!ぜーんぶ仁琴様の仰る通りでございます!!」

そう言って優は寝転んだ。それを真似てか仁琴まで寝転んだ。優はそれに驚いたのか大きく目を見開いていた。

「ここは優の思い出の場所か?」

仁琴は青く澄んだ空を見ながら問いかけた。優しい温かみのある声で。

「思い出…なんかじゃないよ。逆に悪夢の欠片かな。 」

優はいつもとは違う冷めたような、悲しげな声で返答した。

「悪夢の欠片……か。優は悪夢の欠片を拾いに来たのか?」

優は少し考えてから答えた。

「僕は意外と怖がりなんだ。だから拾いになんて来れない。ただ、悪夢の欠片を見に来ただけの見学者さ。」

「じゃあ私は侵入者だな。」

仁琴はそう言ってキラキラと眩しく輝いている太陽に両手を翳した。目は眩しそうに細め、太陽の光が仁琴にめいいっぱい降り注がれる。

「優、ここは優にとっては悪夢の欠片かもしれないが私にとっては幸せの場所だ。緑があって、近くには水色もあって、上には赤とも橙ともいえないような眩しく輝く光がある。闇の世界の私にとっては天国のような場所だ。優がどんな辛い悪夢を見たかなんて私には分からない。でも私はここが好きになった。そんな私の好きな場所を悪夢の欠片のありかなんて言うな。誰だって悪夢の欠片は持ってる。その大きさが違うだけであってな。優のことはまだほとんど知らない。だから少しずつ教えて欲しい。」

そう言って仁琴は目を閉じた。優はそんな仁琴を見て、ぽつりぽつりと話し始めた。

「この場所は僕と両親と姉が暮らしていたところなんだ。決して大きいとは言えないけど、可愛い家だった。でも僕が5歳の時、全身黒で染まった闇を纏う烏のような人たちがやって来て突然、両親と姉を撃った。僕は怖くて動けなかった。今でもなぜ奴らが撃ったのか分からない。理不尽な無差別殺人かも分からない。怖くて腰が抜けてしまって、あの時、あの人が助けてくれなかったら死んでたよ。」

優の口から紡がれたその言葉は仁琴の耳に届いたあと、風に揉まれて消えていく。仁琴は目を閉じたまま、優に聞いた。

「あの人……とは?」

「分からない。今でもその人が誰なのか分からないけど、凄いかっこよかった。仁琴みたいに運動神経が良くて、奴らを殺すことなく軽々と倒していった。仁琴みたいにといえば……あの人も忍者だったみたいだよ。なんか雲斎明星大陰翳馨水……みたいなことを呟いてたのを覚えてるから。僕は絶対に奴らの幹部を懲らしめたい。」

「ほー。昔から優は頭がよかったんだな。5歳で聞き取れるのは凄い。」

仁琴は目を開けて、少しだけ笑った。風に遊ばれていた仁琴の髪が風から解放され、落ち着いた。周りは静かで聞こえるのは鳥のさえずりだけ。

「私も探してるんだ。」

「何を?」

優は隣に寝ている仁琴の横顔に問う。

「闇を纏う烏をだよ。」

優は今まで以上に驚いた顔をした。驚きすぎて起き上がっていた。

「奴らの情報は優より持っていると思うぞ?例えば闇金で大儲けしていて大金持ちだとか、何億ともする宝石を持っていることとか、小さな古民家を襲って…殺して…楽しんで…いる……とか。」

そう、別に優の家でなくても良かった。どこの家でも良かった。誰かを殺して、面白がって。そんな奴らなのだ。

優の目には大粒の涙が溜まっており、拳は爪痕ができそうなくらい握りしめていた。

「……っ。なんだよ……。絶対許せねぇ。許さない…!!」

「優。私と闇を纏う烏を探してくれないか?」

仁琴はゆっくりと起き上がり、優に向かって手を伸ばした。

「ああ、勿論だよ。絶対に捕まえる。」

優もまた、その手を握った。

「じゃあ、あの人……に相談してみないか?」

「あの人って……まさか。」

仁琴はイタズラっ子の少年のような顔をして言った。

 

 

「あの人の正体は私の父だからな。」

 



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仁琴と優は忍者の家に不法侵入をする

こんばんは。アリスです(❁´ω`❁)Alice


投稿遅れてすみません。その上、今回は内容が激薄です!本当にすみません!!!!



是非最後までお付き合い下さい。


優と仁琴は今、走っている。と言っても速すぎて目には見えない。

「仁琴、本当にあの人が香由月当主なの?」

優は不安げに聞く。

「嗚呼。普段は姉2人に頭が上がらないヘタレだが、忍者の時は凄くカッコイイ。昔、天晴と父の仕事現場に行ったことがあって、その時初めて自分の父親を見た。まぁ昔は一緒に暮らしていたが、赤ん坊の時で顔も覚えていなかった。俊敏な動きとしなやかな身のこなし。あの日から父は私の目標であり、最大のライバルとなった。だが……あのヘタレぶりには驚いたな……。」

仁琴はそう言って苦笑いをした。本人は気づいてないだろうが家族や天晴の話をしている時の仁琴はどこか嬉しそうだ。

 

そんなことを言ったり言わなかったりしているうちに仁琴の家についた。

「今から本宅に行くから着替えよう。天晴ので大丈夫だろう。はい。」

そう言って仁琴は立派な着物を優に渡したが、優は困ったような顔で言った。

「着物……着たことないんだよね……。」

すると仁琴は少し驚きながらも着付けを手伝い、それが終わると手際よく仁琴も着物に着替えた。

「す、凄い。初めて着た。」

ライト.クリームのかかった優の髪に良く似合う白の生地に金や黒で花の模様が刺繍されていて、袖には龍のような動物が描かれている。羽織は紺色でこれが着物の白を1層際立てている。

「流石だ。よく似合っている。」

そう言う仁琴も控えめな藍色の生地に幾つもの桜の木が刺繍されており、お団子にした髪には桜の簪が刺さっていて、仁琴の顔の白さと小さな顔の輪郭が強調されている。

「本宅には1度しか行ったことがないが、何度も忍び込んでいるから勝手は分かっている。安心しろ。」

さらりと爆弾発言をした仁琴だが、涼しそうな顔で本宅に向かった。

 

「でかっ……。」

離であれだけの大きさなのだから本宅が相当な大きさなのはわかってはいたが、想像以上だった。決して絢爛豪華という訳では無いが、どこか煌びやかな雰囲気が出ていて思わず引き込まれた。

仁琴は着物のまま柵を超えて家の敷地内に入ったので、優も少し迷ったが、仁琴の後を着いていった。

「ねぇ、仁琴?門から入らないの?」

とうとう耐えきれず、優は広い庭を歩きながら聞いた。

「だっていつも不法侵入だったから門からの入り方知らない。」

さらりと仁琴は言ったが、自宅に不法侵入するとは…と優はなんとも言えない気持ちだった。

 

「着いたぞ。」

優が謎の気持ちとは知らない仁琴が言った。着いたぞとは言ったが、そこは玄関ではない。

「まさかこの窓から入るの?!」

「当たり前だろ。」

仁琴は針金を使って器用に外から窓の鍵を開けた。外から開けれるのは世界でも仁琴だけだろうと優は確信した。

「完全に不法侵入だよね…。」

優は思わず言ってしまったが、仁琴は涼しい顔をして長い廊下を歩き始めた。

 

そしてある部屋の前で止まり、着座したので優も仁琴に習って着座する。

「失礼致します。」

そう言って仁琴は慣れた手つきで障子を開け、美しい姿勢のまま、部屋に入っていった。優は仁琴と同じように…とはいかなかったが、背筋を伸ばし、堂々とした態度で入った。




ありがとうございました!



本当に最近忙しくて何も出来てません…。やだやだ。忙しいのは嫌だ……。


頑張るのでこれからもよろしくお願いします!!


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仁琴と優と仁琴父の密会~壱~ アザゼル

こんにちは、アリスです(❁´ω`❁)Alice


是非最後までお付き合い下さい!


「君があの時の子か…。」

優を見て仁琴の父はなんとも言えない複雑な気持ちで言った。

一方、優は少し緊張しているものの、憧れ・尊敬の眼差しを向けていた。

「あの…僕、怪盗なんですけど凄く貴方様に憧れてます…!」

すると仁琴父は優しく笑った。

「ここからは僕の…憶測なんですけど、僕が鈴花端家に養子に入れるように裏で手を回して下さってましたよね…?」

優は少し戸惑いながら、仁琴父を見た。

「嗚呼。その髪の色が気になったし、鈴花端家だと安心して任せられるからな。本当は香由月に連れてきたかったが、姉2人もいたしな。」

優の目は益々輝きだし、仁琴父は恥ずかしそうに顔ごと優の視線から逃れた。

「あのー私の存在、忘れてるよな?」

痺れを切らしたようで、仁琴は呆れた顔で手を挙げて言った。すると2人は慌てて そんなことないよ とフォローを入れてきた。

「別に忘れても構わないんだが、そろそろ本題に入る。闇を纏う烏についての情報を各自、限界まで出して欲しい。私はアイツらを後悔させてやる。」

そう言った時の仁琴の顔はいつもと一緒だが、嫌悪感や怒りのオーラが出ていた。そして憎しみの塊を秘めたような瞳で仁琴は父親を見ていた。父親の方もその理由が分かっているみたいで気まずそうに下を向いた。

「まず俺から話そう。」

「可哀想になってきた。いつも通り話して。」

仁琴父が話し始めたと思ったら仁琴が遮った。

「分かったよ!じゃあ父さんから話すね。

闇金で大儲けしていて大金持ち、何億ともする宝石を持っている、小さな古民家を襲っている、コードネームで呼びあっている…くらいかな。」

「あの…僕の知ってること全て言われました…。」

優は申し訳なさそうに言った。

「気にするな。優だって何も情報がない中でそこまで調べるなんて凄いからな。

じゃあ私の知っている情報を話す。

闇を纏う烏というのは表向きの総称。組織内ではアザゼルと呼ばれている。アザゼルとはユダヤ神話に出てくる堕天使で、ヘブライ語で[強い、ごつごつした]を意味するアズと[強大]を意味するエルの合成語だ。何らかの超自然的存在や魔神、荒野の悪霊を指す場合もある。

そして組織のNO.6はチェスの駒で呼ばれる。NO.1キングから始まり、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、ポーン。そしてそれ以降は幹部、又は幹部に近いものにはNATOコードネームで呼ばれ、他は適当に番号とかだ。下級だと幹部との接触もないからコードネームの必要性がないらしい。

奴らは世界各国に存在する。本部はアメリカ、シンガポール。

麻薬の密輸、生産にまで手を出しているが、日本警察おろかFBI、CIAまでもが足取りを掴めていないらしい。まさか世界的警察組織が本部の場所も掴めていないとはな。」

仁琴は呆れたような声で言った。一方、仁琴父と優はとても驚いていた。

「その情報…どこから?」 「全部一人で?」

この問に仁琴は当たり前のように答えた。

「1人に決まってる。こんな危ない組織に誰も関わらせるわけがない。情報は全て私独自で調べた。まあ奴らが経営してるホストクラブとか違法カジノとかに行ったり、幹部の人間と接触して潜入したり。」

当たり前のように言ってのけた。

「…。本当に仁琴って…。」「高校生…だよな?」

2人には仁琴が年齢詐称しているとしか思えなかった…。



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仁琴と天晴 神っているのか? 幸せってなんだ?

こんにちは。アリスです(❁´ω`❁)Alice




サボっていてごめんなさい:;(∩´﹏`∩);:





是非最後までお付き合い下さい!!


あれから仁琴父は仕事があるため退室し、部屋には仁琴と優の2人だけとなった。

「仁琴、ホントに潜入捜査したの?」

優は真面目な顔で聞いてきた。

「嗚呼。まぁお得意の変装で20代後半の女性になりすましてだがな。」

そう言うと優は少し悲しそうに目を細めて笑った。

「凄いな、仁琴は。僕なんて…。」

自虐的なことを言い始めた優の言葉を遮るように仁琴はいつもより穏やかな声で言った。

「優は凄いな。私には優みたいにコミニュケーション能力がない。見下したような物言いしかできない不器用な人間だ。周りをよく見ることが出来るのは凄いことだと思うぞ。」

そう言うと優は細めていた目を今度は大きく開いた。

仁琴はそれが面白かったようで、控えめに声を出して笑っていた。

 

 

 

 

「なぁ、天晴。」

仁琴は濡れた髪をタオルで拭きながら話しかけた。

「ん?どないしたん?」

天晴はハッキングしていた手を止め、仁琴を椅子に座らせて仁琴に代わってドライヤーで仁琴の髪を乾かし始めた。

「 神 っていると思うか?」

予想外の質問だったようで天晴は一時停止状態になったが、暫くして話し始めた。

「んー、居るかもしれへんなって思うことはあるで。

でもな、神なんて居ても意味無いんや。神が居たとしても今、幸せじゃない人はぎょうさんおる。あんじょうやってるつもりでも、富んでても、幸せと感じない人もおる。その中には神にただ願うだけの奴もおる。でもな、願うだけじゃ無意味なんや。ただ上から見てるだけの神様なんてクソ喰らえや!

神頼みもええけど、人間なら人間らしく地に足つけて這いつくばって生きていかなあかんって思うてる。」

話を聞いて仁琴は右に首を傾けながら言った。

「幸せじゃないってなんで?お金があれば何でも手に入る。それは幸せじゃないのか?」

仁琴の質問攻めに嫌な顔一つせず、答える。

「確かにそれは普通の人から見ると幸せに思えるかもしれへん。でもな、人は幸せに慣れてしまってるんや。お金を手にした瞬間は幸せやと感じても、それが日常になって当たり前になる。するとその幸せに慣れてしもうて幸せやと感じなくなる。

んー、つまり人生谷あってこその山や。夏の暑い日に食べるアイスが美味しいのと同じやな。」

「でもそこの底に堕ちてしまって立ち直れない人もいるだろ?」

そう言うと天晴はドライヤーの電源を切り、手を止めた。

「せやな。そのあとの幸せが来ないうちにギブアップしてまう人もぎょうさんおるさかい、幸せになる方法なんて無いかもしれへん。でも不幸のあとに幸せが訪れるっちゅうことを知っておけば少しは楽になるんやないかと俺は思うで?まぁぜーんぶ俺の自論やから、仁琴は仁琴で考えてみ?」

そう言い終えると、またドライヤーの電源を入れた。

「っていうかなんで突然神の話なんや?」

「いや、何となく…な。」

そう言って仁琴は天晴がハッキング途中だったパソコンでICPOの情報をハッキング……いや、クラッキングし始めた。

 

 

室内に響くドライヤーの音がやけに大きく聞こえたのは気の所為だろうか…




ありがとうございました!


春休みは京都の旅館で過ごしておりまする!
なので関西弁から京都弁になりかけてます(笑)





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東洋の鶯
東洋の鶯


こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice



今日は君僕も更新しました!キャラ崩壊半端ないですが!読んでくださると嬉しいです。


是非最後までお付き合い下さい!!


「仁琴りん!これ見て!」

休み時間、月が慌てた様子で私にスマホを見せてきた。東洋の鶯という翡翠色の宝石が日本の国立博物館にやってくるという記事が表示されていた。

「このジュエル…。」

ーこのジュエルの絵をアザゼルで見たことがある。ナイトが言っていたな。このジュエルがあれば世界を変えることが出来るが、贋作が多くある。その中に一つだけ本物がある。だが、それを見極める方法が分からない…と。

確か家の蔵にあった巻物にも書いてあった。その宝石は月明かりに照らすとシルエットが黒から赤に変わる。それと同時にある曲が流れると。曲名までかは分からない。もしかしたら洗脳音楽かもしれないな。

最悪の場合、アザゼルの狙うジュエルと私達が狙うジュエルは同じかもしれないな…。そしてそのジュエルが東洋の鶯かもしれない…。ー

「…仁琴りん、この件について今日、話し合おう!」

月はそう言って自分の席に戻った。仁琴達は電話やメールでは盗聴されている可能性を考慮して、大切なことは話さないようにしている。

仁琴は天晴と優に 今日の17時、離れで とモールス信号を使って伝えた。

 

 

「で、東洋の鶯…盗むんか?」

「嗚呼。だが、今回は厄介だ。」

仁琴はそう言って優を見て、2人は軽く頷き合った。

「なになに~!お2人さんお熱ですか??」

月がニヤニヤしながらからかうと、天晴が月をボコッといい音を出して叩いた。

「殺すで…?」

「しゃーせん…。」

10秒ほど氷点下の空気が流れた。

「殺すのは盗んだ後にしろ。取り敢えず、作戦会議だ。」

仁琴の一言で場の雰囲気は柔らかくなり、そのあとは円滑に作戦会議が進んで行った。

「じゃあそのプランでいこう。今回は厄介だから気を抜くな。あ、2人は泊まるか?」

仁琴が月と優に聞くと2人は頷いた。それを確認すると仁琴は料理を台所から運んできた。あらかじめ作っていたらしい。

「今日はイタリアンなんだね。流石仁琴。」

優が褒めると仁琴は少し照れながらありがとうと言った。

「ねぇ、なんかあの二人、雰囲気甘くない?」(ボソボソ

「せやせや。俺も思ってた。」(ボソボソ

仁琴は2人の会話が聞こえないふりをしていた。すると突然、ブー、ブーと仁琴の携帯からバイブ音が鳴った。

仁琴は表示された名前を見て、少し急いで違う部屋に行った。

「もしもし。……今から?いいわ。……ええ。じゃあまた後で。」

仁琴の声は色っぽい女性の声だった。そして携帯を閉まって、少し大きめのバックを窓の外に投げた。

 

「天晴、悪いな。今から走ってきてもいいか?」

「え?今から?どこまで?」

「分からないが、もっとプランを考えたいからな。」

「ええよ!気をつけてな?」

「嗚呼。」

仁琴はそう言って優の肩をポンと1回軽く叩いてから玄関に向かった。優は急いで玄関に向かい、仁琴に言った。

「気をつけて。」

「嗚呼。あ、余計なことはするなよ?」

そう笑いながら言って家を出た。

 

家の外に投げておいた鞄から黒い服を出し、着替えてメイクも済ませる。

すると、そこに居たのは仁琴ではなく、色っぽい綺麗な女性だった。少し妖チックな秘密の多そうな女性で仁琴とは似ても似つかない風貌だった。実は仁琴は変装術にも長けていた。

 

仁琴は少し歩いて古い納屋に向かい、中から綺麗に手入れされたバイクを取り出した。黒に赤いラインが入っており、とても凝ったデザインだ。

仁琴は鍵を挿してエンジンをかけ、バイクを走らせた。ヘルメットからはみ出るシルバーの髪は仁琴のものとは全く違った…。




ありがとうございました!


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本当の仁琴 四つの顔

こんばんは!アリスです(❁´ω`❁)Alice



是非最後までお付き合い下さい!


仁琴がバイクを止めたのは港の何個かある倉庫の一つの前。

「おせーぞ、ルーク。」

黒コート、サングラスをかけ、金髪を後ろで一つに結った長身男にルークと呼ばれた仁琴。

「何よ。急に呼び出したのはそっちでしょ?」

そう言って仁琴は腕を組み、鉄骨になんかかった。

「まあまあルークちゃん!僕は今日も君と会えて嬉しいよ。」

こんなセリフを飄々と吐くのはナイト。黒髪赤メッシュでチャラそうに思えるが、仕草にはどこか品がある情報屋。仁琴がよく情報提供を求める相手でもある。

「うるせぇ、キザ野郎。」

「そういう貴方こそ、そんな顔でクイーンよ。不似合いにも程があるわね。」

そう、金髪のコードネームはクイーン。幹部で1番の存在。組織のNo.2とも言えるが生憎、キングには助手が1人いる。だが組織のNo.1やその助手は特に命が狙われやすいので、誰も会ったことがなく、いつもメールでやり取りをする。

「クイーンって呼ぶなっつてんだろ。」

この男はクイーンと呼ばれるのが嫌で、殆どの人が『リヴァル』と呼んでいる。フランス語でsans rival(敵無し)から取られた。確かに敵無しと言える見た目と技術を兼ね揃えている。

「うるさいですね。それで何故私達は呼ばれたのですか?」

それまで気配を消していたビショップが話に入ってきた。中性的な顔立ちで細渕眼鏡の奥の瞳は冷たく、真っ黒な髪は闇とも捉えられる。

「今度はコイツを殺せと命令があったぜ。」

そう言ってリヴァルが見せてきた写真と資料を見て全員が息を呑んだのを仁琴は感じ取った。

「それ…アメリカ……国務長官…。」

そう口にしたのはポーン。長身、茶髪、左目に黒の眼帯で口数が少なく、怖いイメージだが、実はコミュ障なだけ。しかし銃の腕前は組織でもずば抜けている。

「国務長官を殺しちゃうんだ~!おっもしろそー!」

ナイトはこう言うが仁琴はあることが気になって仕方なかった。

「何故わざわざ日本支部の私達に米国国務長官を殺させるのかしら?確かにリヴァル、ポーン、ビショップは米国本部の人間よ。でも私とルークは日本支部。米国国務長官を殺せというのなら本部の貴方達が殺ればいいじゃない。」

そう、リヴァル、ポーン、ビショップはシンガポール本部の人間で今日はわざわざ米国からやってきた。

「それが俺らにも分かんねぇんだよ。」

「キング……幹部……殺れ…って。」

キングが幹部内だけで片付けろと命令したらしい。

「そう。なら仕方ないわね。殺るわ。」

「あの、もう解散してもいいですか?プランはメールしましたので何かあったら私に連絡下さい。では、私はこれから日本でのバカンスを楽しむので。」

そう言ってビショップ、キング、ポーンは帰り、倉庫には仁琴とナイトだけになった。

「ルークちゃん!あそこ、行こっか!」

ナイトの一言で仁琴達も夜景の綺麗な展望台までバイクを走らせた。

 

「どうです?仁琴の方は何か情報ありました?」

ナイト…いや、横端要(よこはし かなめ)が仁琴に聞く。

「いや…。特にないな。そっちもだろ?」

「ええ。中々…ね。」

要はFBI潜入捜査官。日本人だが、実はアメリカ国籍でグリーンカードまで持っている。

「でも要には本当に感謝している。証人保護プログラムまで受けさせてくれてありがとな。」

「いいえ。私も仁琴の頭脳に助けられてますからね。でも大丈夫ですか?寿 仁琴、香由月 小町、ルーク、####、四つもの顔を持つのはキツくないですか?####という本当の貴女を失わないで下さいね。」

要は唯一、仁琴の全てを知っている人間。

「要が居るだけでとても私は楽だ。本当の私は要以外知らない。でもここ何年も本当の私に会っていないな…。」

仁琴はそう言って遠くを見つめる。

 

仁琴の過去に何があったのか。本当の仁琴とは何なのか。それを知るのは要以外いない…。




ありがとうございました!いかがでしたでしょうか?ᔦ๑° ꒳ °๑ᔨ

もうだんだん怪盗とか忍者から離れていってる気が……(笑)
グダグダな小説ですが、今後ともよろしくお願いします!


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仁琴と優の秘密の花園

こんばんは。アリスです(❁´ω`❁)Alice


最近、頭痛、吐き気、ドライアイ、花粉症が酷いです!!(;´・ω・)/Help me! !



是非最後までお付き合い下さい!


「ただいま。」

仁琴は真っ暗になった家に小さな声で言った。

「優、わざわざお出迎えか?」

仁琴は電気をつけず、暗く長い廊下に向かって言った。

「やっぱバレてた?」

そう言ってパジャマ姿の優が今まで暗かった廊下を手持ちランプで照らした。

「まぁな。さぁ、今から出掛けようか。」

仁琴は藍色の百合柄の浴衣を身につけ、パジャマ姿のまま優を連れ出した。

「ねぇ、僕本当に寝巻きなんだけど…。」

「嗚呼。私も寝間着だ。」

「いや、音は一緒だけど漢字変換したら違うからね?」

「まぁ気にするな。敷地内からは出ない。」

ようやく優は納得して、パジャマについては何も言わなくなった。

 

「ほら、ここだ。」

そこは和風な香由月家には不似合いな大きくて、オシャレな西洋風温室があった。温室内にはアンスリウム、カトレア、薔薇、ガーベラ、月下美人、胡蝶蘭、ガジュマル、水中花などの植物が咲いていた。真ん中にはブロンズ製のオシャレな机と椅子があり、証明が淡いおかげで、透明な硝子の天井から白い半月とその周りに疎らに散りばめられた星が静かに輝いている。

優は椅子に座りながら呟くように言った。

「月も星も太陽無しじゃ輝けない…。」

「嗚呼。人も一緒だ。私達が盗みを続けられているのは私達だけの力じゃない。何事も同じだな…。」

仁琴は珍しく饒舌に話している。

「ねぇ、仁琴。大丈夫…?」

優は前触れもなく仁琴に聞いた。仁琴は言葉を詰まらせることなく言った。

「組織のことだろ?大丈夫だ。ちなみに東洋の鶯の話は出なかった。」

そう仁琴が断言すると、優は求めていた答えと違ったようで不満そうな顔をした。

「そうじゃなくて。仁琴、なんか疲れてない?疲れてないとしても…なやんで…る?」

優は自信がなさそうに言った。仁琴は動揺しそうな心を抑えて淡々とした口調とポーカーフェイスで言った。

「嗚呼、悩んでるぞ。組織を壊すためのシナリオをどれにするか…な。」

そう言ってニヤリと右の口角を上げる仁琴は、イタズラを考えている子供のようだった。

「そう。ならいいけどね。」

「大丈夫。何かあったら言う。優は東洋の鶯について調べてくれ。」

「分かったよ、仁琴。東洋の鶯については僕に任せて!」

「助かる。優のハッキング技術は本当に尊敬する。」

仁琴は自分より少し上のハッキング技術を持った優に敬意を払った。

「それに、疲れた時はこの温室に来るんだ。素敵だろ?全て私が植えて、普段はAIが水量や温度を調整してくれている。鍵も私の指紋認証で、私以外登録されていないから防犯対策もバッチリ。と言っても私以外ここの存在は知らないがな。」

そう言って仁琴が天井を見上げた時は、月は黄色に輝いていた。優は仁琴が持ってきてくれたミルクティーを一口飲み、同じように月を見た。

「綺麗…。」

どちらが口にしたのかは分からなかった。だが、この景色を見て綺麗と思わない人は少ないだろう。

「あ!僕、ミルクティー飲んじゃったよ?寝れなくなるよね…。」

すると仁琴は自分のミルクティーの入ったカップを軽く上げて笑った。

「ホットミルクには安眠効果があるし、紅茶のカフェインも適量なら安眠効果があるぞ。」

その言葉に優は安心してミルクティーをもう一口飲んだ。

「でもいいの?仁琴の秘密の場所なのに僕が知っちゃって。」

「嗚呼。ちなみに優の指紋も設定しておいたから自由に出入りしてもらって構わない。2人の秘密な。」

実はこの温室、外からはただの倉庫にしか見えない。世の中で言うマジックミラーのようなもの。

「ありがとう…。素敵な場所のプレゼントだよ。」

2人は暫く夜空を眺め、煌めく星の数を数えている途中で寝てしまった。

そしてまた夜は朝を連れてくる…。




ありがとうございました!


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東洋の鶯 見に来ちゃったよ!

こんばんは。アリスです(❁´ω`❁)Alice



今回は題名、巫山戯てみました(ノ≧ڡ≦)☆



是非最後までお付き合い下さい!


仁琴達4人はフランスに居た。

 

「パリ、パリ!パリ~♡」

月は軽い足取りでセーヌ川沿いを歩いている。

「あれだよね?」

優が指をさした先にはとてつもない面積を誇る世界最大級の美術館、ルーヴル美術館が堂々たる存在感を放っていた。

「あの中に東洋の鶯がおるっちゅうわけやな?」

天晴はニヤリという効果音がつきそうな笑い方をした。

「頼むから目立った行動はしてくれるなよ?」

仁琴は飛行機の中からこのセリフを何度も繰り返している。今回は整備状況や宝石の特徴などを見に来ただけなので目立った行動をされると困るという意図があってのセリフだろう。

 

美術館の中は凄かった。もう一度言う。美術館の中は凄かった。

古代ヨーロッパの城だっただけある。柱、天井、床の至る所にこれでもかと言いたげなほど金が使用されており、大きなシャンデリアや絢爛豪華な家具が多く存在した。平日だが人で溢れかえっており、まるでひとつのテーマパークと化していた。

「うわぁ…。」

優は口を大きく開けたままフリーズしている。月は来たことがあるようで、

「夜に来たかったなぁ~」

とボヤいていた。天晴は展示品に夢中のようで、内装など気にもしていなかった。

「これが東洋の鶯か…。」

仁琴は1人だけ先に半地階に展示されている東洋の鶯の元へと足を運んでいた。

人々はついついマルリーの馬へと目がいってしまい、こじんまりと佇むように展示されている宝石には目もくれないだろう。でも仁琴はマルリーの馬などには目も向けず、引き寄せられるかのように"Oriental Rose"の文字に触れた。仁琴にはどうしてもその翡翠色の輝きが儚く見えて仕方がなかった。

「仁琴りん?!」

悲しげな目でプレートに触れている仁琴を見て、月は声をかけた。今、声をかけなければ人魚姫のように消えていってしまいそうな錯覚に陥ったので少し慌てていたかもしれないと月は反省した。

「どうした?大きな声を出して?」

仁琴はサッとプレートから手を離し、いつもの表情で月に問いかけた。

「ううん。別に…なんでもない!」

月は話題を変えるかのように宝石へと視線を移した。

「寂しそうな宝石…。」

そう口にした月。口にしたというより零れでたと言った方が自然だろうか。

「何故そう思う?」

仁琴はその言葉に質問で返した。すると月は「声にでてた?!」と言いながら恥ずかしかったのか顔を手で覆い隠した。

「だって…この宝石、大きいのに輝きが薄いじゃん。何カラットとかそう言う次元の話じゃなくて、なんて言うか、上手く言えないけど、濁ってる。まるで西洋から見た東洋のようにね。」

そう、昔、ヨーロッパの国々が東洋植民地化を進めていた頃はアジア諸国を汚い国とヨーロッパ人達は認識していたらしい。当時は技術、法律、国家体制の全てにおいて西洋の方が遥かに勝っていたため、東洋人を卑下していたと考えられる。

「でも…月の淡い光に照らされるときっと綺麗だと思う。眩しい光じゃなくて、優しい輝きだと思う。」

月は目を瞑り、想像しているようだった。

「せやな。そしてその光は人間が汚しきってもうた自然を優しく包み込む母のような存在とも言いきれるんちゃう?」

自然と話に入ってきた天晴。優も続けて言った。

「見てみたいよね。そんな景色。どんなに汚くても綺麗にする訳じゃなく、そのままでもいいんだよって認めて包み込んでくれる景色。」

「嗚呼。見せてやりたいと思う。自分のことしか考えられない輩に。この宝石は日本で展示された後、買い取られる。買い取るのは日本で最も厄介な組織だ。人を平気で惨殺する。」

仁琴がそう口にした瞬間、4人の目は変わった。半地階には平日は人があまり来ないので良かったが、一般人がいたら4人の殺気で倒れていただろう。

「「「「It’s show time…」」」」

 

4人のその小さな声は誰かの耳に届くことなく、消えていった…。







ありがとうございました!

ああ…なんて文章力が無いんだろうか…。毎話書きながら思ってます…。

表現や物語構成などアドバイスがあればお願いします!!!


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仁琴の過去 謎のウエイトレス

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice



是非最後までお付き合い下さい。


暗い、暗い、暗い。誰か!ねぇお母さん!

 

少女は暗闇に向かって手を伸ばす。でも母はいない。少女の母親は彼女の目の前で惨殺された。その光景は数々の殺人現場に居合わせていたインタポールで活躍する者やFBIの一匹狼さえも目を伏せてしまいたくなる酷さだった。周りは彼女がショックで事件を忘れてしまうことを期待していたが少女は忘れることなく、成長した。年相応の笑顔はなく、自分を保つため睡眠時間以外は勉強か身体を鍛えることしかしなかった。そして成長するにつれ、ピアノ、絵画彫刻、ハイジャンプなどにも手を出し、才色兼備となった。

 

 

寂しいよ、助けて!早く早くそっちに行きたいよ…。

 

 

 

「…………。」

仁琴は額の汗を手で拭い、胸のあたりまでかかっていた布団を無造作に剥いだ。そしてそのまま、また目をつぶった。

ー悪夢は最近見なかったんだがな…。どうも月達といると調子が狂うな…。ー

仁琴は重たい身体をゆっくり起こし、久しぶりに寝たベッドのシーツを正した。

シャワールームに向かうと、服を着たまま頭の上からシャワーを浴びた。それでも仁琴のモヤモヤは消えることは無かった。

「クソっ………。」

シャワーを止めてそう呟いた仁琴の頬を一滴の水が流れる。それを誤魔化すようにまた仁琴はシャワーを浴びた…。

 

 

 

仁琴は濡らしてしまった服を部屋に干し、着替えて部屋を出た。そしてそのままホテル内の飲食施設に向かった。

「仁琴りん!こっちおいでよ!!」

隅にある机で月が手を振って仁琴を呼ぶ。

「仁琴…濡れて…ないか…?大丈夫か?」

席に着いた早々、お外モードの天晴が仁琴の髪の毛を触りながら言った。

「嗚呼。シャワーを浴びたからな。ドライヤーをするのがめんどくさくて放置してしまった。ほら、いつも天晴が乾かしてくれるから。」

そう言って仁琴は注文を聞きに来たウエイトレスと話し始めた。フランス語が悠長すぎたのかウエイトレスも驚いている。

「今日は東洋の鶯が日本に運ばれる日。私達は警備員に化けて日本に帰る。根回しは優がしっかりとしてくれているからな。」

優はハッキングしただけだよと笑いながら言っているが、警備情報をハッキングするのは凄い技術が必要だ。

「じゃあ朝食とったら僕は月と天晴と一緒に仁琴の部屋に行くよ。」

話が一段落したところで、ウエイトレスが4人分の朝食を運んできた。ウエイトレスは最後に仁琴の耳元で

『Tir d'argile』と呟いた。

仁琴は軽くニコッと笑ってそれに応えた。もちろん、月達は気付いていなかった。

 

「私は食べ終わったから先に戻る。」

仁琴はそそくさと食事を済ませ、ホテルのロビーにある喫煙所に向かった。仁琴が喫煙所に入ると、後ろからつけていた先程のウエイトレスも入ってきて、喫煙所の内側から鍵を閉めた。

「さぁ、少しお話しましょうか?」

 

 

 




ありがとうございました!


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ウエイトレスと赤い月

こんばんは!アリスです(❁´ω`❁)Alice



早く盗めよ~と思われてるかもしれませんがもう少しだけ作者の茶番じみた小説をよろしくお願いします!



是非最後までお付き合い下さい!


仁琴は怪しげなウエイトレスと鍵のかかった喫煙室にいた。

「さぁ、なぜここにいるのか説明して頂けませんか?」

ウエイトレスはポケットから出した煙草を咥えて、右手でライターをつけた。

「それを聞きたいのはこっちよ。何故この国にいるのかしら、ナイト…?」

仁琴がそう言うと、ウエイトレスはまるで奇術師のようにウエイトレスの変装からナイトの変装へと素早くチェンジした。

「いやぁ、ヨーロッパ支部の動きが怪しいから探れってリヴァルが言うから来ちゃった!」

ナイトはいつもの調子で言ったが、仁琴にはナイト…いや、要がフランスへ来た本当の目的が分かっていた。念には念をということで2人ともナイト、ルークとなっている。

「それで、動きはあったのかしら?」

「ううん、全く。」

そう口にしたナイトはニヤリという効果音がピッタリの表情をしていた。

「じゃあね、ルークちゃん!」

そう言ってまた奇術的な変装を経てウエイトレスとなり、出ていった。

仁琴は煙草の香りが残った喫煙所で1人で答え合わせをしていた。

 

Tir d'argile とはフランス語でクレー射撃のこと。クレー射撃とは散弾銃を用いて、空中などを動くクレーと呼ばれる皿を撃ち壊していくスポーツ競技だ。クレー射撃の散弾銃は多数の小弾丸を散開発射する大型銃で狩猟、有害鳥獣捕獲等で使用される。つまり組織(アザゼル)は動く有害な獣を打ち壊していくという意味。

組織にとって有害な獣というと組織に潜っているネズミ、つまり潜入捜査官のことだ。要は組織が潜入捜査官を始末しているから気をつけろという警戒の意を示したかったのだろう。こんなことが1度もなかった訳では無い。でもあの要がこんな簡単な単語で、しかも組織の目が少ないフランスで伝えなければいけないほど切羽詰まった状況なのだろう。

 

仁琴はウエイトレスと同じようにニヤリと笑って、喫煙所をあととした。

 

 

 

「仁琴りん、フライト時間に遅れちゃう!はやくはやく!」

仁琴は月に急かされながら飛行機乗り場へと向かったが、まだフライト時間まで30分もあったのでなぜ急ぐのかが分からなかったが、そのあと、ワクワクした顔でお土産コーナーで買い物をする月を見てその謎は解けた。

 

「ただいま、僕の日本。」

優は飛行機から降りると、右足の踵で軽くトントンと地面を叩いて呟いた。仁琴達はその無意識な優の行動にイケメンにしか許されない行動だなと心から感じていた。

その後、仁琴の家へ4人で泊まった。

「東洋の鶯の警備は今まで以上に厳しいんちゃうか?買取者もおるし。」

天晴はチョコアイスを食べながら言った。

「だろうね。僕もそう思ってたよ。」

「うんうん!めっちゃ厳しそうだよね!ああ、ゾクゾクしてきたよ…。」

月は武者震いのようなものをしながら興奮の絶頂のような顔で言った。そんな月を見ながら3人は違う意味で武者震いをした。

「ま、まぁそれは置いておいて、警備データのハッキングは優に任せる。天晴は予告状準備と私達のサポート、私は真っ先に東洋の鶯に向かう。月は好きに暴れろ。」

「えっ…。」

月は仁琴の言葉を聞いて、捨てられた仔犬のような顔をした。

「月は誰かに命令されて動くよりも暴れる方が十八番だろ?まぁ、人は殺すなよ。」

そう言って笑った仁琴はどこか自信に満ちていた。

 

 

 

夜の静寂に包まれて静まりかえった家。仁琴は温室に居た。今日は優もおらず、温室に1人だけの仁琴は世界に自分だけしかいないのではないだろうかと疑った。

「今日の月は赤く輝いている…。あの赤とは違って……な。」

仁琴が口にしたこの言葉は誰の耳にも届くことはなく、夜の静寂と月の朧気な光に消えていった…。

 

 




ありがとうございました!


優の ただいま、僕の日本 というセリフはただ私が優に言わせたかっただけです!すみません(笑)


またよろしくお願いします。


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東洋の鶯と男達

こんばんは。アリスです(❁´ω`❁)Alice


投稿遅くなりました(汗)


是非最後までお付き合い下さい!


「じゃあ、行くか。」

 

仁琴の掛け声で全員一斉に走り出した。

優は管理室へと向かい、天晴と仁琴は25階建てのビルの23階にある東洋の鶯に向かう。月は早速入口の警備員をメタメタにしていた。それを見て天晴は月の元に戻って耳元で「殺すなよ」と囁いて、仁琴の元へ走った。

 

 

「待て。ここを通すわけにはいかない。」

12階に達した所で大柄の2人の男が仁琴と天晴の前に立ちはだかった。

「あら?お久しぶりです!」

仁琴は小町キャラで2人組の男に言った。そう、この男たちはウィストン・ホワイトの時に会った厄介な2人だった。

「あの時は世話になった。今度はこちらが世話してやるよ。」

男達はニヒルに笑った。

「それはそれは!光栄です、黒蝶組の幹部のお二人にお世話して頂けるなんて。 」

仁琴はパチンと手を叩いて笑った。

「なぜ…っ…?」

「あんたらの生年月日も知ってるで?なんせこちらは天才の集まりなんでね。黒蝶組の恨みを買った覚えはないねんけどなぁ、ウチの大事な姫さんを二人がかりで襲おうとしたそうやな?そんな輩は始末せなアカン。自分らから来てくれたからわざわざ行く手間省けたわ、おおきに!」

天晴はいつもの関西弁で喋っているが、天晴の関西弁を知っているのは仁琴、優、月だけだからそのままだそうだ。

「やれるものならやってみろ。」

男達は今にも飛びかかってきそうな勢いだ。仁琴と天晴は一瞬目を合わせた後、一気に階段を駆け登り始めた。

男達も必死に追いかけるが、追いつかず、男達の息も上がり始める。

「くそっ…!」

「なんていう体力だっ…!」

男達は走りながらそう呟いた。その声はもう空気同然なくらいに小さく、弱くなっていた。

 

男達が目的の23階に着くと、仁琴と天晴、月、優と4人が揃っており、宝石は既に無かった。

「お前ら、姫を襲った…。地獄、落としてやる…。」

優は狼のような目で相手を睨む。

「違いますよ。そういう時は天国見せてやるって言うんですよ。」

月は手袋をつけ直しながらニヤリという効果音がつきそうな顔をした。

「ウチの姫さんを傷付けた代償は高いで?」

天晴はボキボキと手の間接から音を鳴らし、隠し刃を出す。

「やれるものならやってみろ。」

1人はフッと笑いながら手で前髪をあげ、もう1人は軽く屈伸をした。

「まだまだ役者が足りていませんが一旦、幕開けと致しましょう!さぁ、第1ラウンドの幕開けです。」

仁琴は目を細めて、無邪気に笑ったが、纏っていたオーラは光っており、眩しかった…。

 




ありがとうございました!

今回はあまりストーリーがすすんでません!すみません:;(∩´﹏`∩);:


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男AとB

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

めっちゃ投稿遅れました!┏○┓

細かいことは気にせず(本当は気にしなければいけない)、是非最後までお付き合い下さい!


月明かりのみに照らされているため、お互い相手の姿がよく見えず、戦いにくい。でも昔から訓練していた仁琴と天晴は動体視力がいい上に夜目が利く、優と月はちゃっかりモノクルに暗視レンズを入れており、暗視モードにしていた。モノクルをつけている右目だけしかはっきり見ることが出来ないが、少しは訓練をしていたので左目も見える。

「この暗闇で勝負を仕掛けてくるとは馬鹿なんですか?あ、失礼しました。大馬鹿でしたね!」

月は挑発するように、煽る。案の定、男達の逆鱗に触れたようで殺気が増す。

「暗闇だろうとこっちも暗視ゴーグルくらい用意している。」

「打ちのめしてやるよ、この黒蝶組の名にかけて。」

そしてまたまた余計なことを天晴が口にする。

「黒蝶組ってぎょうさん人がおるわけでも経済力があるわけでもないねんけどな。そんな威張っていられる神経、凄いねんなー!」

「殺す……。」

極めつけは優のこの殺気と暴言。この優の殺気と暴言は他人よりも多分、いつもの優を知っている月たちの方が怖いと感じているだろう。言うまでもない。殺気100倍、男達。(元ネタ:某パンのヒーロー)

男達は刃物に手をかけ、それを抜くと同時に全員が動き出し、周りに風がおこる。

仁琴はサッと音を立てずに気配を消し、東洋の鶯が待つ23階へと1人で向かった。

 

天晴達は殺したら仁琴に怒られるため、自制しながら日頃のストレスを男2人にぶつけていた。でも2人もヤクザとして名高い黒蝶組幹部の大男。3人に少し遅れを取りながらだが、戦えていた。

天晴はさすがに隠し刃で刺すのはダメかと諦め、忍者刀の鞘を外さず竹刀のように扱い、得意なスポーツである剣道の技の過激版を披露していた。本来忍者刀は「突き」を目的としていて、斬ることには特価していないため殴っても死にはしない。まぁ…失神はするけど…。

 

優はまるでダンスを踊っているかのような軽やかなステップで帽子に着けていた殺人リボ……じゃなかった、普通のリボン使って、男Aの足もとに絡めて体勢を崩していく。男Aは最初は避けていたが、優が一発腹に入れたことにより隙が出来てしまって見事に絡まり、月は男Aの足に絡めたリボンを持ったままジャンプし、足で見事に男Aの顔にキックを食らわせた。バキッという物凄い音がしたが、月と優は何事も無かったような顔で男Bの方へ目をやると鍾馗様のような顔をした天晴からお得意の剣道を、悪い意味でバージョンアップさせた技で殺されかけていた。忍者刀は鞘から出す一瞬手前で男Bはさっきまでの殺気は何処へ行ったのか焦点のあっていない目を白黒させていた。

「それ以上やると死にますよ。」

見かねた月がこえをかけるとあっさり「せやな!」と言って殺しかけていた相手を離した。

「さぁ…これでもまだやりますか?」

月が深く帽子を被り、不気味に笑うと男達は「くそっ…」と悔しそうに12階の窓から飛び降りた。

「びっくりした……自殺…か…と思った。」

優は驚きを隠せずに言う。

「でもこの前なんて29階の硬化ガラスを破って飛び降りましたからまだ窓開けて出ただけマシですよ。」

月は前回を思い出して苦笑いをしたが、直ぐに真面目な顔になって仁琴の元へと向かった。

 

 

「お疲れ様でした!あら、無傷ですね。本当に第1ラウンドで終わってしまうとは…。」

仁琴は周りに死んだように倒れている大和警部を無視して年相応とも言える笑みを浮かべて言った。

「でもあのお2人は流石でしたね!仲間を連れてこず、正々堂々と戦われたんですもの!」

パンと手を叩いて、BLACK SMILE で相手を嘲笑うような口調で言った。

「ま…まぁそれは置いといて、鶯は?」

天晴が聞いたが、この言葉の意味は鶯を盗めたか?と聞いているのではなく、目当ての宝石だったのかということを聞いている。

「違いました。なかなか見つかるものではありませんし!まぁ目星はついてますけど。」

仁琴はそう言って屋上へと足を進めた。今回はパラグライダーで逃走しようという算段だった。

屋上へと向かう途中に仁琴が強く爪がくい込み、出血するほど手を握りしめ、餌を追い詰める獣のように餌を食べる楽しみと生き物を殺すことに対する怒りを隠しているような顔をしていたことを誰も知らない。




ありがとうございました!
本当に小町ちゃんの時、可愛いです!私の好みに近づけたらこんな感じになりました笑笑

ちょっと投稿ペース遅くなってきてます( ̄▽ ̄;)

次回もよろしくお願いします!


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秘密
駒鳥のお葬式


こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice


なんか、いつ終わるんだろ、この連載…(笑)


是非最後までお付き合い下さい!


「####、世の中には解き明かさない方がいい謎もあるのよ。でも、その謎を自らの手で明かしてしまった時、決して誰かを勿論あなた自身を、責めたりしないで。」

「そうだ。####がどんなにその真実が信じられなくても、それが真実だ。ちゃんと受け入れろ。」

 

そう、それはマジックのようなもの。その種を知ってしまったらあんなにワクワクして見ていたものが急につまらなくなる。でもそれが真実。生クリームだけ知って生きていくことは決して出来ないのだ。

私は幼いながらに両親の言った言葉の意味を理解しようとしたが難しかった。

 

 

「####、お父さんとお母さんとお兄ちゃんは危ない人と関わってるの。だからね、もうすぐ会えなくなっちゃうの。」

「お前は賢い子だから分かるだろ?####のことはある人に任せてある。お前は1人じゃないからな。」

確かに私は1人じゃなかった。父も仲間もみんないい人。シンデレラに出てくるようないじわるな姉2人じゃなくて、少しやーさんっぽいけれどとっても優しい人。でもまだアザゼルは許せない。

 

 

「優しさと勇気があれば大丈夫って言ってあげたいけどそんなヤワな世の中じゃないわ。でも大丈夫。貴女ならきっとね。」

「####という名前は隠せ。いつか必ずその名前を言えるようになる。さあ、分かったら早くこの棚に入って隠れるんだ。」

 

あの時は分からなかった。でも今ならわかる。####という名前は親からもらった唯一の秘密のプレゼント。このプレゼントのせいで私の身に危険が及ぶことを恐れたのだ。全て私のためだったのだ。

「大切なのはね、「完璧なんかこの世にないってことを理解すること。」」

そう口を揃えて言った家族の顔は覚えていない。でも本当の私と同じ、ペールアイリスがかかった髪と瞳の母、身体は大きかったけど私と同じで色白、目の彫りがちょっとだけ深い父、私と同じような細くてしなやかな指とほんのり赤い頬を持つ兄だったってことは覚えている。

 

私には秘密しかない。月、優、天晴、父にまで嘘を塗り重ねている。中には優しい嘘もあるがほとんどが私のための都合のいい嘘。要は私の8割を知っているけど残りの2割は嘘。

ウソツキな私はもう誰も頼れない。

 

『誰が駒鳥 殺したの それは私 とスズメが言った

私の弓で 私の矢羽で 私が殺した 駒鳥を』

これは私の家族の合言葉だった。父は、急に知らない人がお前を引き取ると言ってきても信用してはいけないが、この言葉を俺と似ている男が言った時は信用しろ、と言った。

 

 

 

選ぶということは何かを捨てるということ。

私は自分を選んで、自分を捨てた。

自分の憎しみの心を選んで、自分を大切にするという心は捨てたのだ。

 

必死に1人、暗くて狭い棚の奥に隠れていた。爆破音や銃声、怒号が飛び交う中で震えながら鎮まるのを待った。静かになったと思ったら今度は1人の足音が聞こえてきてそれは私の隠れていた棚の前で止まった。

この時ほど怖いと思ったことはない。ギイっと音を立てて扉が開き、男の人の手が私の脇下に伸びてきたと思ったら、そのまま棚の外へと出されたのだ。

その男の顔は酷く穏やかでどこか父と似ている顔だった。

そしてその男は微笑みながら言った。

「誰が駒鳥 殺したの それは私 とスズメが言った

私の弓で 私の矢羽で 私が殺した 駒鳥を」

父が言っていたのはこの人のことか、と幼い私は理解することができた。

 

そしてその男は今の父親。優達には私の姉が養子と言ったが、実際は私だけ養子。

宝石の話は本当だが、それは優達3人の話であって私の本当の髪と瞳の色はペールアイリス。今の父親と相談して私にも宝石の力が働いていてシャモアがかかってしまったということにするために染め、カラーコンタクトを入れた。

染料は特別なもので元の髪色を傷つけずに染めれるもので滅多に落ちない。わざわざ今の父親が作ってくれた。

天晴が稽古に出ている隙に外出・露出禁止の私はコソコソ出かけていた。その際に要と出会い、何故か私は要を懐かしく感じてしまい、お互いに秘密を打ち明け、FBI証人保護プログラムを受けさせて貰って完全に仁琴として生き、組織にも潜入した。

アザゼルは多分、私の家族を殺した奴らだということをつきとめたのだ。

 

 

ああ、私はスズメなの?なにか前世で私が悪いことをしたから、私への罰なの?もう失いたくない。

必ず守る。守られる姫なんて嫌。私は戦う。

どんなに危険でも必ずアイツらを野放しになんてしない。

どんなコネクションを利用してでも…。




ありがとうございました!

なんか急いでネタ明かした感じになりました…(T_T)
誰か文章力を恵んで下さい…


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黒蝶組のお頭とアザゼル

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice


よし、バンバン組織編を出していくぜ!と意気込んでおります!

是非最後までお付き合い下さい!


「仁琴、黒蝶組から手紙きてたでー。」

天晴がそう言って仁琴に手紙を渡したのは盗んだ日から2日後の朝だった。

住所も招待も分からないので手紙はお披露目会の会場だった部屋の真ん中に置かれていたそうだ。

仁琴は手紙を受け取り、封筒を慎重に開けると、組長直筆の手紙が入っていた。あまりの長さに仁琴はだいぶ省略した内容を天晴に伝えた。

 

「『今回は悪かった。自分の管理不足だ。東洋の鶯を手に入れたい訳ではなく、アイツらは君達と戦いたかったようだ。本当に済まなかった。』と書かれている。」

仁琴はそう言って手紙を着物の懐に入れ、自室へ入った。

 

仁琴は盗聴器などの類のものがないか念入りに確認した後、パソコンを起動させて懐に入れた手紙からUSBメモリーを出して差し込んだ。手紙に同封されていたものだが、天晴には言っていない。

USBにはたくさんファイルがあったが、『㊙組織』というファイルに仁琴は目をつけた。きっとこのUSBは黒蝶組の持つ最大限の情報でお詫びだろう。

そのファイルを開くと、今までスクロールしていた仁琴の右手が止まった。その目は大きく見開かれており、ピンクオパールのような瞳が零れ落ちそうなくらいだった。

 

『アザゼルについて』

 

確かに1文目にこう書いてあったのだ。国内では一二を争う規模のヤクザ集団黒蝶組が国際的犯罪組織アザゼルを知らないことはないとは分かっていたが、何ページにも渡る資料を持っているとは夢にも思っていなかった。仁琴は持ち前の速読力で秒の速さで113ページにも渡る資料に目を通した。その中の殆どが仁琴の知っている情報だったが、2つだけ知らない情報があった。

 

『アザゼルのボスは下半身が不自由だ』

『ボスはペールアイリスの少女とその兄と、不老不死の聖水を探している』

 

 

この情報が正しいのかは分からないがもし仮にそうだとしたら仁琴はアザゼルより先に聖水を見つけなければいけない。多分その聖水は水色の小瓶に入っていていつも母が首から提げていたものだから。

「####、このお水は凄いお水なの。世界を壊そうとする悪い人達が狙ってるお水。お母さんの次は貴女がこの凄いお水を守るのよ。」

幼い頃の母の声がふと蘇るように思い出される。その凄いお水は、私の元に来ることなく母と一緒に消えてしまった。

でも『ペールアイリスの少女とその兄』ということは兄は生きていて、母を殺したが聖水がなかったのだろう。

 

仁琴はパソコンを乱暴に閉じ、無言で刀を見つめた。

「刀ではダメだ。」

 

その声は誰にも届くことなく朝日に溶け込むように消えていった。




ありがとうございました!


最近、読んでくださってる方が減ってきている…。
悔しい!もっと頑張りますので見捨てずにながーい目でご閲覧下さい!

そろそろ新作だそうかなーとも考えてます!


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仁琴の様子の変化

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

ちょいと投稿サボりました!しばらく忙しくなるので、遅くなります!



是非最後までお付き合い下さい!


「仁琴、おはよー!」

今日も当たり前の日々が過ぎていく。仁琴はその当たり前の日々がいつまで続くことを願わずにはいられなかった。自分はどうでもいい。この大切な人達の平和を願った。

「ねぇ、仁琴!最近、大丈夫?」

優が通学電車内で急に聞いてきた。恐らく大丈夫?とは組織のことだろう。

「嗚呼。動きはない。」

それだけ告げると仁琴は足早に優達をおいて電車から降り、学校へと向かった。

優は巻き込みたくない。傷つくのは私だけでいい。

仁琴は心でそう呟いて優に秘密を持っているという罪悪感を打ち消した。

 

「仁琴りん…なんかおかしいよね?」

「月もそう思う?僕も最近、というか黒蝶組の手紙が届いた時くらいから深刻そうな顔が増えたよね…。」

「そういやー、この前の夜、どっか行っとったでー!仁琴っちのことやからヘマはせぇへんと思うねんけど、いつも1人で抱え込んでまうやろ?心配や…」

仁琴のいない理事長室でこんな会話が繰り広げられていた。仁琴も勘の鋭い3人のことだから隠し通すことは無理だろうとは薄々思っていたが、こんなに早く気づくとは思いもしないだろう。だが仕方ない。この3人は仁琴のこととなると、好きすぎてバカみたいに調べ抜くのだから。

「仁琴は1人で抱えすぎる…。もっと自分を大切にして欲しい…。」

「うん。仁琴りんは自分が犠牲になればいいって思ってるみたいだけどさ。」

「でも仁琴っちが傷ついてもうたら俺らも悲しいんやで…。」

3人は悔しそうな表情で言葉を絞り出すようにして紡ぎだした。

 

 

 

「どうも、こんばんは!貴方が黒蝶組の組長さんですか?」

その日、小町は黒蝶組の本部の場所をハッキングして探し出し、組長へ挨拶に来ていた。

「ああ。そうだ。」

「小町、と言います。もちろん、ご存知ですよね??」

「ああ。今回は本当に済まなかった…。」

長身で体が大きい50代ほどの組長は怖そうな顔のまま丁寧に小町に向かって頭を下げた。その様子を見た小町は2階の窓から室内へと足を運ばせた。

「しかしまた、今夜はなぜ?」

「今夜私がここに来たことは秘密にして下さいね!今日、ここに伺ったのはアザゼル…についてです。」

そう言った途端、組長の顔が少し強ばった。

「あのデータは本当なんですか?」

「本当だ。あの組織には色々とやられていてな。仕返しに粗探しをしたがあれだけの情報しか得られなかった。」

組長は座っていた椅子からおもむろに立ち上がりながら言った。

「なんでしたっけ?あの…あ、そうそう!なぜボスの下半身が不自由だって分かったんですか?」

「それはウワサだ。組織内でもやはり噂というのは絶えない。組織の助手に関しても潜入した部下からの情報だが、髪が長く、長身で、顔に大きな傷があって、真っ黒な黒髪を持ち、睨まれただけで息が出来なくなるような眼力を持つ男だとか、色々と報告されている。」

それだけ言い切るとタバコに火をつけ、咥えた。

「なるほど。流石は黒蝶組の方々です!!それでは失礼しました!」

そう言って小町は入ってきた窓から出ようと身を乗り出したが、また再度振り返って組長に言った。

「もしかしてこの組って銃の違法取引…してます??」

その途端、組長は咥えたてのタバコを灰皿にグシッと音を立てて押し付けた。

「ほぉ…なぜそれを?」

「ふふっ!小町ですから!」

小町はまた窓から手を離し、組長の方を体ごと向く。

「それで何をお望みかね?」

「さすが、お話が早いですね!その銃、いくらかこちらに回していただけますか?」

そう言うと組長は今までに無いくらい吃驚した顔を見せた。

「ほぉ…まさかとはおもうが…?」

「嫌ですねー!私達が殺しをする訳ないじゃないですか。ただ護身用と興味本位ですよ!」

「まぁそちらには迷惑をかけたからな。いくらか回してやろう。」

「感謝します!銃の件は組長と私だけの秘密ということでよろしくお願いしますね!この捨てアドにご連絡ください。では本当に失礼しますね!」

そう言って小町は窓から屋根に飛び移りながら宵闇に姿を消した…。



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招かれざる住人

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice

最近は本当に暑いですね…。暑くて溶けそうです(笑)


是非最後までお付き合い下さい!


「仁琴、紹介したい奴がいる。」

学校から帰ってきた途端、父が仁琴を呼んだ。せっかく天晴達を撒いて帰ってきたというのに休みのひとつもない自分の日常に内心、苦笑いをしながら父の声に了承の意を表す。

「はい。今すぐ伺います。」

仁琴は紹介したい人が信用出来る人なのか分からなかったため、仁琴(ver.school)である敬語キャラで声もワントーン高くして返事をした。スクールバッグを少し荒く机に置き、念の為、学校が特定されないように着物に着替えようかと思ったが、さすがにお客様を待たせる訳にはいかないので、すぐ着れるワンピースを着る。天晴曰く、今流行りのオフショルコーデでラベンダー色の生地に袖は7分丈でパフスリーブになっている。着物より断然動きやすく、涼しい。

仁琴は1度、姿見の前でくるっと周って確認したあと、急いで客間へと向かった。

「失礼致します。」

そう言って襖をあけると、「ここにおいで。」と優しい笑顔で上座に座る父が手でポンポンと隣の畳を叩きながら言ったので、素直に父の横に座り、やっと顔を上げて客人を見た。

「初めまして、仁琴さん。僕は警視庁交通課の神谷龍之介です。」

そう言って胡散臭い笑顔で笑う端整な顔立ちの若い警官を見て仁琴は表情を保った自分を褒めて欲しいくらいだ。彼はダークグレーの真新しいスーツに身を包み、茶色がかった髪で、長い前髪を耳にかけ、額を出しているからか、ベビーフェイスな印象を受けた。手は拳銃の扱いに慣れてるかのようなゴツゴツと男らしい手をしていて、ラテン系を思わせる茶系の瞳をしていて、容姿や雰囲気から本当に日本人なのかという疑問さえ抱いた。

─この男、どこかで見た気がするな。…─

「こんにちは、初めまして。私の名前、ご存知なんですね。」

仁琴はポーカーフェイスを心がけながら話しかけたが、返ってきたのは父の声だった。

「今日から神谷くんはうちに住むことになったから、よろしくな。彼は私も信頼を寄せる善良な警官の1人だよ。ちなみにこの間、新聞に大々的に掲載されていた放火魔にやられてしまったんだよ、彼のシェアハウスがね。」

爆弾発言をした父に続いて神谷が言う。

「僕は生憎のところ孤児院出だから頼る親戚もいないんだ。でも、放火魔を捕まえてくれた君のお父さんが僕を一期間預かると申し出て下さったんだよ。」

父が放火魔を捕まえたのを知らなかった仁琴は、父が普段なんの仕事をしているのか不思議でたまらなかった。

「なるほど。私は基本、離れにいますので関わることはないと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。何かあれば使用人にお声かけ下さい。決して離れにはいらっしゃらぬようお願い致しますね。」

怪しい奴とは関わりたくないのと、どこか見覚えのあるような気がする奴に対して、仁琴の心の警鐘が鳴り響いている。しかし、父はそんな仁琴の心情を分かっているのかどうなのか、「ごめんな。うちの娘もついに反抗期みたいでな…。」などと言って悲しんでいた。

 

それから仁琴は逃げるように客間の隣の部屋に入り、神谷を思い出す。

─どこで見たんだ…?私が覚えていないということはただ街中ですれ違っただけなのか。それとも…………変装を…していた…とかか…?いや、それはないか。ない…よな?─

仁琴は苦戦していた。

─ん…でもあの声ってポーンに似てるよな…。もしや、ポーンなのか?!…って、アイツはコミュ障のはずじゃ…。でも演技の可能性もある。─

こうして結局、ポーン疑惑が浮上したところで仁琴は考えるのを中断せざる得なかった。

「仁琴、ご飯は今日も離れかい?」

父は私と食べたいのだろうが人と関わるのは面倒臭いため、首を横に振ろうとした…が、やめた。

なぜなら父の後ろに立っている神谷の左目が柱に隠れている姿が、いつも眼帯を身につけているポーンだったからだ。

どうしても確認したい。その一心で首を縦に振ったのだ。

 

「仁琴っち、酷いやん!置いて行かんといてや〜!」

神妙な足取りで離れに戻ると置いてきた天晴がすっかり寛いでいた。多分、仁琴が本邸に向かってすぐ帰ってきたのだろう。

「すまない…。」

仁琴がそう言うと、いつもと様子が違うと気づいたのか天晴が妙に落ち着いた声で言った。

「なぁ、仁琴っちはなんでそない1人で抱えこむんや?俺らがそない信用ならんか?さっき、客間に来てた神谷っちゅう男がなんかあるんか?」

えらく饒舌な天晴から論破ともとれるほど追い詰められ、仁琴は思わず黙った。そこまで天晴が鋭いとは思ってなかったからだ。

「天晴…。あの神谷には近づくな。えらく愛想のいい顔をしていたが、騙されるな・絆されるな・深入りさせるな。アイツは…まだ確信はないが、気をつけろ。」

そう言うと仁琴は天晴がいるのにも関わらず、ワンピースを脱いで下着姿のまま天晴の横に寝転んだ。

「ここまで気を許してるのはお前だけだがな。」

多分、なんで1人で抱え込むのかという問いの答えだろう。

私は十分あなたに気を許しているから、もう立ち入ってこないでください。

そう言われている気がしてならなかった。

「というかあの盗聴器はやはり天晴だったんだな。」

仁琴は隣に座る天晴の顔を下から眺めながら言った。

「せやで!客間だけねんけどやっぱり家の情勢は知ってたがええやろ?」

平然とした顔で答えた天晴に仁琴は笑った。

「フフッ、父も気づいてないようだよ。」

「え?まじか!なんでなん?すぐ気づきそうなんにな…。」

「父は昔から機械音痴で時代遅れらしいからな。」

そこで会話は終わり、仁琴は珍しいことに夕食まで寝ると言って布団を持ってきて、読書を始めた天晴の膝に頭を置いて眠った。

それがいやに懐かしい気持ちになったのは何故だろう…。




ありがとうございました!ε٩(๑>▽<)۶з


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バカな人達

こんにちは!アリスです(❁´ω`❁)Alice


毎日暑い!雨も降る!テンションも下がる!
だるい・眠い・暑いの三拍子です。



是非最後までお付き合い下さい!


「仁琴さん、全然箸が進んでいませんが、体調でも崩されましたか?」

神谷が仁琴に聞いてくるが、仁琴は無視をしている。箸が進んでいないのは仁琴が少食すぎてあまり食べれないからだ。

「仁琴、そんなに無視することないじゃないか。」

見兼ねた父が仁琴に聞くと、やっと仁琴は顔を上げた。

「別に体調がどうだろうと、貴方に関係ありませんし、一緒に住むと言っても別邸なので私のことには興味関心抱いて頂かなくて結構です。」

仁琴はどこで呼吸した?!と疑問を抱くくらいに早口で一気に言った。それも神谷の顔も見らずに。

「ハハハッ!仁琴さん最高…!」

神谷がいきなり爆笑し始め、右手で腹を抱えて左手では涙を拭っている。一方の仁琴と天晴はドン引きである。

そんな視線に気づいてか、神谷はコホンと1度咳払いわして姿勢を正した。だが、まだ顔は笑っている。

「失礼しました。なかなか仁琴さんみたいにズバっと言ってくださる方がいないし、呼吸のタイミングとか分かんなかったし!大抵の女性はニコッと笑いかければ目をハートにするのに仁琴さんはニコッとしたら逆に嫌そうな顔するしさ。今までにないタイプでなんか笑っちゃったよ。」

仁琴は思った。

─こいつ、バカなのか…?─

そして天晴も思った。

─月を超えるバカっておったんやな…。─

そしてそんなことを思われているなんて知らない神谷は仁琴の父と仁琴のことで盛り上がっている。

─こいつは本当にルークなのか…?だって容姿端麗、コミュ力の化け物だ。でも、この声…ルークの時はワントーン低いが、声質はほぼ一致している。じゃあ私の正体を知ってるのか?偶然か?─

仁琴は考えるが分からなかったようで考えることを放棄した。

「私、気分が悪いので失礼します。」

そう言って仁琴は天晴の腕を掴み、部屋を出ようとすると、

「仁琴、またお父さんと一緒に食べような!」

と父が言ってきたが、仁琴は冷たく「考えておきます」

と言い放った。

そして仁琴は部屋を出る寸前、横目でルーク疑惑の神谷を見て震えそうになった。

だって神谷の口元はいやらしく笑い、目はスナイパーの目だったからだ…。

 

 

 

 

 

天晴は部屋に入るとそうそう仁琴に言った。

「なんやあのアホくさいジジイは!!大抵の女性は目をハートにするやと?!そんな訳あるか!仁琴っちと一般人を比較すんなや!あんなイケメン、禿げればええんや!俺よりもイケメンでムカつく!」

褒めてるのか貶してるのかよく分からない…。

「胡散臭いイケメンより天晴みたいなバk……じゃなかった、素直なイケメンの方がいいと思うな。何考えてるのかよくわからん。」

仁琴が天晴にそう告げると、天晴はジトーっという効果音がぴったりの目で言った。

「今、仁琴っちさ、俺の事バカって言いそうになったよな?いや、俺よりもあのクソイケメンの方がバカなんちゃう?!」

そう抗議する天晴を無視して、組織専用の携帯が揺れるのを確認した仁琴は天晴を部屋から追い出し、メールを確認した。

 

 

『ノックがいる。誰か探れ。キンダはFSBに潜入させた。 スファレライト』

 

 

スファレライト とは、ガレナという鉱物などと見分けがつきにくいことから、ギリシア語のsphaleros(嘘つき・裏切りもの・あてにならない)に由来して名付けられた。

ダイヤモンドに匹敵する高い屈折率で、分散度はダイヤモンドの約4倍で、良質なものからはファイア(虹色の輝き)を見ることができるので、「幻惑の石」とも呼ばれる。しかし、硬度が低いので“宝石”と名乗ることはできず、カットが難しい石。

 

確かにスファレライトは自分の損得で動くので裏切ることもあるかもしれない。まあ組織No.1の助手なので輝いてはいるが、取っ付き難い。ピッタリなコードネームだ。

 

さぁ、ノックを探さねばいけないらしい。いつもノック探しは大抵、仁琴に頼んでくる。その度に仁琴は嫌いな組織員をノックと言って証拠を捏造して殺させていた。

 

だが犯罪者と言っても人間だ。罪悪感がない訳では無い。仁琴は自己嫌悪に近い感情をねじ伏せ、復讐に力を入れているのだった…。



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