許嫁と幼馴染と同級生と後輩 (kikukiri)
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再開と新たな出会い編
許嫁と幼馴染


どうもkikukirと言います。
ラブライブサンシャイン!!の恋物語がずっと書きたいと思ってようやくできました。
現実での恋愛がよくわからない作者が想像で書いた物語です。
拙い文かと思いますがどうぞよろしくお願いします



2019年3月14日 追記:一部表現を変えました。


「…………今日からここに通うのか」

 

 

僕の名前は紫 優奈、なんかいろいろあって今は『浦の星』と

呼ばれる学校を目の前に戸惑ってます。

何せこの学校の正式名称は『浦の星女学院』である。

つまり女子校です。わーい!ハーレムだ〜……ってなれるわけ

もなくこれからの学校生活を考えると前途多難すぎて死にそう

 

 

「……絶対溶け込めるわけないよ」

 

 

幸いここには顔見知りが三人通っているが学年が違うので残念

ながら助けを乞うことはできない。

まあさらに言うともう6年の月日が経っているからちゃんと覚え

てくているのやら…

ああ行きたくない。不安しかありません!足が重いや……

あっ、ちなみに今は校門前で一人で待機するように言われてる

から一人校門前で待機中です。もはや罰ゲームレベル。

登校してくる女生徒の視線が痛いです

 

 

「ん?……あのヘリは」

 

 

上空からヘリの音が聞こえてきた……それはいいけどなんかこちら

に下りて来てるのは意味不明…あれ?なんか目の前…約数メートル付近まで近づいてきたんですけど!?

本当にイミワカンナイ!

それと同時にハッチが開いて見覚えのある人物が姿を現わ……

 

 

「シャイニー!!ゆうなー!」

 

 

あっ!金髪の美少女がヘリから飛び降りた。

きっと見事な着地を見せて…………んなわけあるか!

 

 

「鞠莉姉さん!」

 

 

俺は金髪美少女、もとい鞠莉姉さんをしっかりと抱きとめる。

もちろんお姫様抱っこの形で

 

 

「That's great!しっかり抱きとめてくれるって信じてたわ!」

「あはは……クレイジーすぎます。心臓に悪いです鞠莉姉さん」

 

 

このクレイジーガールは先ほど言っていた顔見知りの一人、

小原鞠莉、鞠莉姉さんである。まあどんな関係とかなぜこの学校に

通う事になったのかとかは後ほど……

とりあえず鞠莉姉さんを降ろすために腰を下ろそうとすると

 

 

「抱っこしたまま理事長室まで運んで?優奈」

「ええー……ちょっとそれは周りの視線が…」

 

 

もうすでにキャーキャー周りの女生徒が大騒ぎしているのにこのまま

校内入ったらより面倒な事に…

 

 

「……お願い」

 

 

いきなりの上目遣い、ちょっとうるっとした瞳…逆らえません。

もうヤケだ!腰を上げてこのまま理事長室に向かおう。

ん?…何やら物凄い勢いで校舎から誰かが走って…ん?

あれって?……まさか?

 

 

「ま〜り〜さ〜ん!!!」

「げっ!?…面倒なのが来たわ……一旦降ろして」

「あ、う、うん」

「まだ生徒が登校してる時間にヘリで登校など言語道だ__キャ!

「危ない!」

 

 

気付いたら体が動いていた。

転びかけた女性をそのまま正面から抱きとめる。

また周りからキャーキャー言われてるがこれは仕方ないでしょ。

抱きとめる形以外で助けられなかったんだから

 

 

「な////……ああ////」

「えっと……大丈夫ですか?」

「あちゃー……」

 

 

わなわなと震えながら一歩二歩離れて行く女性。

なんか面倒くさい事が起こりそうだ

 

 

「あ//貴方////責任は取れますの!!////」

「えぇぇ!」

「殿方に抱きしめられたとあれば責任を////」

「ちょっと落ち着きなさいダイヤ」

「落ち着けません!」

 

 

予感的中……もう帰りたいな。

ん?……

 

 

「行こう」

「え____

 

 

突然手を引かれそのまま校舎に方に連れて行かれた。

途中で鞠莉姉さんが「あっチョット!抜け駆けはナッシングよ」とか言って

いたけど問答無用で引っ張られました

 

 

そして俺を引っ張ていた女性は玄関前で止まってくれた。

走ってる途中から思ってたけど、この綺麗な深い青い髪には覚えがある。

 

 

「ずっと…ずっと会いたかったよ……優奈」

「え?////ちょ////えっ//」

 

 

いきなりハグされて正直パニック状態です。

主に胸がもろに当たってしまって動揺を隠せません。

でも一つだけ分かった。こんな行動を取るのは間違いなく…

 

 

「か、かな姉////一度離れて////」

「もう少し…もう少しこのままで」

 

 

その…女性の胸がこんなに気持ちいいものだと///

……って違う!もうこうなったら無理やりにでも!

 

 

 

「ダイヤのとこに行くの?」

 

 

………まあそう思う…か。黒澤家の長女は一応代々許嫁を持つことになっている。

許嫁って聞くと親が勝手に、と言うイメージが強いがダイヤ姉さんは違う。

ダイヤ姉さんは幼い頃に僕を選んだのだ。まあこの話はいずれしよう

 

 

「その話は保留にするつもりだよ」

「…………そう」

「………あの…かな姉////…えっと////」

 

 

ここは登校時間の丁度玄関前つまり今周りの女子の目が凄いです。

いつまでもハグしてたらいろいろと大変な事に……あっまた走って来た

 

 

「か〜な〜ん〜さ〜ん!!」

「ちょっとダイヤ!」

 

 

無理矢理間に割り込みハグを強制解除された。

た、助かった……いろいろと………

 

 

「こんなところで殿方とだ//抱き合うなど一体何を考えてますの///」

「こんなところ?……あ//////」

 

 

かな姉は周りに気がつき顔を真っ赤にして俯いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご感想があれば書いてほしいです。よろしくお願いします


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許嫁と幼馴染2

どうもです。お気に入りにしてくださった皆様ありがとうございます!
今回は前回の続きとなります。字数的には少ないので読み応えはイマイチかもしれませんがこれからも読んでくれたら嬉しいです。



 

 

「優奈……待っていました。ずっと……ずっと……」

「ダイヤ姉////!?」

 

 

はい、どうも紫 優奈です!……誰に言ってんだ…

まあ、それよりも今ダイヤ姉さんに抱きつかれています。

もう…何というか………理性が壊れても知りませんよ?

………いやいや!それはダメだ!まあとりあえず何が

あったか振り返ろう

 

 

 

 

 

 

 

数分前……

 

 

果南姉が顔を真っ赤にして俯いて俺は何か果南姉に何か言おうと

考えようとしてた時

 

 

ダイヤ「ん?殿方?……なぜこの学校に男性がいるのですか!?」

 

 

ええー……鞠莉姉さん何も言ってなかったの?

 

 

「Why?ダイヤに言ってなかった?今日から「浦の星女学院」は

「浦の星学院」に変わるってこと?共学化するのよ?」

「はぁ!?聞いてませんわよ!ひ・と・こ・と・も!!」

「sorry!ダイヤに伝えるの忘れてたわ」

「ま〜り〜さ〜ん!本当に貴方という人は……」

 

 

ああ……このまま説教に入ったら面倒くさいな。

と言うかダイヤ姉まだ僕のこと気付いていないっぽい…少し悲しい。

果南姉や鞠莉姉はすぐ分かってくれたのに……

まあとりあえずこの状況を壊そう

 

 

「ダイヤ姉!」

「え?」

「ダイヤ姉……僕だよ。優奈だよ」

「ゆう……な?」

「ただいま。ダイヤね____へ?」

「ちょっ!ダイヤ!?」

 

 

ダイヤ姉さんは俺の右手を引っ張ってそのまま校舎に向かう。

と言うかまたこのパターン?鞠姉に「果南姉をお願い!」

とだけ言ってそのまま校舎に入れられて生徒会室まで連れ

さられてしまった

 

 

 

 

 

そして時刻は戻り……

 

 

「優奈……待っていました。ずっと……ずっと……」

「ダイヤ姉////!?」

 

 

今現在です……とりあえずこのまま抱きつかれたままでは拉致が

あかないので一度ダイヤ姉の肩を軽く掴んで離れよう

 

 

「ダイヤ姉一旦離れるよ」

「あ……す、すみません」

「いや……いいんだけどその////…えっと////」

「ふふ…約束通り戻って来てくれたのですね」

「……約束…守りたかったから」

「ありがとうございます、約束を守ってくれて私嬉しいですわ」

「…っ///」

 

 

ふとした上目遣いがやけに可愛いく見えてしまう。

まともに見てたらおかしくなりそうだから僕は思わず目をそらし

てしまう。きっと今の僕は顔が赤いんだろうな……

 

 

「チョットダイヤ!生徒会室に……来て…も」

 

 

バットタイミング!

 

①ダイヤ姉の肩を掴んでる僕

②上目遣いで顔を赤らめてるダイヤ姉

③少し目をそらして顔を赤らめてる僕

④キスした後っぽくない?

⑤そんなシーンをかな姉と鞠姉さんに見られる

⑥あれ?もしかしてキスしてたとか誤解されるんじゃ?

⑦バットエンドじゃね?……オワタ\(^o^)/

 

 

「優奈?……うそ…だよね?」

「いや!かな姉!ちょっとま……」

「果南!」

「果南さん!?」

 

 

予想通りの誤解をしたのか、かな姉は走り出して生徒会室を

走り出した。それと同時に僕も走り出して生徒会室を飛び出す。

 

 

「かな姉!」

 

 

全力で追いかけてるうちに屋上にたどり着いた。

これ以上行き場のないかな姉は息を切らして屋上の柵に右手を

そっと置いていた。そして振り向いたかな姉は____

 

 

「ゆう……な…」

 

 

顔を赤らめて泣いていた。

 

 

「優奈……」

「かな姉…」

 

 

抱きついてくるかな姉をそっと抱きしめる。

男の子としてはかな姉みたいな人に抱きつかれたらいろいろ

不味いけど…今はそんな事はどうでもいい

 

 

「かな姉……さっきのは」

「知ってるよ」

「え?」

「優奈は私達に何も言わずにそんな事しない……一瞬暴走し

ちゃってごめんね……」

「……いや////…あれは勘違いしても仕方ないよ///」

「うん……やっぱり優しいね優奈は…変わってない」

「うん////」

 

 

とりあえず誤解の件は解決したけど……

かな姉気付いてないんだろうか?その//…胸が当たったり////

女性特有の香りが妙に僕の感性をやたらと刺激してる事を////……

自分が綺麗な美人だともっと自覚してほしいです////

 

 

「あの……かな姉////そろそろ生徒会室に行かないと…」

「あ!そっか!そろそろ行かないとね。案内するよ、付いて来て」

 

 

ふぅ……助かった?いや?……いや、うん。

た、助かったんだ。あのままハグしてたら////……………前途多難だな

 

 

 




ご感想があれば是非お願いします!


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同級生

「ふう…ギリギリ間に合った」

 

 

今僕の目の前には教室のドアと言う怪物がいる。

そう、このドアの向こうには女子の世界が待ってる。

そんな世界に男子が一人飛び込んで行くのだ。

さらには毎日ここで生活をして行かねばならない。

憂鬱……足が重い。きっと羨ましいとか思う人もい

るのだろう。

実際こんな状況を体験してみてほしい。

中々厳しいよ?いや、冗談抜きでさ……

 

 

「ふふ…今日は転校生を紹介します。それもただの

転校生じゃないので皆さん驚くと思います」

 

 

え?驚くってなに?まさか男子だって事を伝えられてないはずは…ね?

 

 

「それでは入って来てください」

 

 

嫌です!……とか言えるわけないよね。

覚悟決めてこの地獄の門(ドア)を僕は開けて教壇に立つ。

反応は「男子!?」「どう言う事?」「男子だー!」などなど…

嘘だろ…鞠莉姉さん

 

 

「えー、東京から来ました紫 優奈です。この学校に編入したのは理事長が

共学化を考えていたためです。最初のテスト生と言う形で編入させていた

だきました。これからよろしくお願いします」

「はい、それじゃあ紫くんの席はあそこの桜内さんの隣です」

 

 

ん?桜内?……いやまさか…まさかね。

そう思いつつ先生の指す方を見ると見覚えのある人物がいた。

 

 

「梨子…?」

「優奈!?」

「あれ?知り合いなの?じゃあ桜内さんに校内の案内をお願いしてもいいかしら?」

「…………噓、こんな事って」

「桜内さん?」

「あ、ひゃい!」

「校内の案内を「是非やらせて下さい!」」

「ふふ…じゃあお願いします」

 

 

 

まさか梨子と再会するなんて……どんな偶然だろうか?

いや奇跡と言ってもおかしくないんじゃないだろうか?

内浦を離れた間は東京暮らしで、その時出会ったのが

今俺の隣にいる少女、桜内 梨子なのだ

 

 

「じゃあHRは終わります。皆んな柴くんと仲良くしてね」

 

 

そう言って担任が出て行くと複数人の女子が寄って来た。

これは転校生特有の質問攻めかな?意外とここの女子は

積極的だなぁ。自分から行くのは気がひけるから助かる。

案の定質問攻めにあってる間梨子はオレンジ髪の女の子と

銀髪の女の子と何やら話してた。

 

 

「ねぇねぇ?梨子ちゃん、東京にいた時の友達なの?」

「う、うん。小、中が一緒だったから…それで」

「凄いね!まさか同じ場所に転校して来るなんて…」

「……奇跡だよ」

「え?千歌ちゃん?」

「これはきっと偶然じゃないよ!奇跡だよ!」

「あー……多分これ」

 

 

ん?オレンジ髪の娘がこっちに?梨子との話が終わったから

質問しに来たのかな?

 

 

「柴くん!」

「は、はい?」

「Aqoursのマネージャーになって下さい!」

 

 

………………はい?

僕が困惑してると銀髪の娘が「あー…」と呟いてる。

呟いてないで助けてと目でサインを送ると梨子と一緒に

こっちに来てくれた。

 

 

「あーえっと〜……ごめんね?千歌ちゃんいっつもこんな感じで…」

「千歌ちゃん、説明を省きすぎ…と言うか説明も何もないけど」

「梨子……」

「優奈……えっと…久しぶりだね」

「久しぶり、まさか転校先で再会するなんて思ってもなかった…

そのピアノはもう大丈夫なの?」

「うん!大丈夫!心配してくれてたんだ……ありがとう」

「別にお礼なんて…だってあの時の梨子辛そうな顔してたから」

「ふふ…やっぱり優しいね優奈は」

「……っ//」

 

 

梨子ってずるいと思う。

ふとした時に見せる笑顔によくドキっとさせられる……

 

 

「はいはいストッープ!!二人だけの世界に入らないでよ!」

「千歌ちゃん!ここは一旦引くであります」

「えーなんでさ!曜ちゃん」

「二人が再会の喜びを分かち合ってからでもいいでしょ?」

「ごめんよ、えっと…」

「私は渡辺曜、こっちは幼馴染の高海千歌ちゃん、これからよろしくね」

「うん、よろしくお願いします」

「むー…後で絶対話聞いてね。それじゃ」

 

 

渡辺さんは気を使って高海さんと席に戻った。

まあ再会した事もあっていろいろ話したい事もあったしありがたい。

渡辺さんありがとうございます

 

 

「梨子、そういえばさっき高見さんがアクアって言ってたけど…」

「うん、実はスクールアイドルやってるの、私と曜ちゃん、千歌ちゃんに

他3年生と1年生を合わせて9人で」

「そうだったんだ」

「私がアイドルって変…かな?やっぱり私って地味だし……」

「全然変じゃないよ、その……俺は梨子可愛いと思うし」

「////…あ、ありがと////」

 

 

 

 

「むむ…まさか梨子ちゃん」

「どうしたの?曜ちゃん」

「千歌ちゃん!あれを見るであります!」

「梨子ちゃんと柴くんがどうしたの?」

「梨子ちゃんの表情見てみなよ。あの惚気た表情を」

「え?梨子ちゃん!?」

「にしし……これはおもしろそうであります」

 

 

 

 

 




なんか曜ちゃんも同級生枠に入れようかなとか思いました。
ちょっと考え中です。
あとヤンデレ要素を果南ちゃんに入れようかなとか考えてます。
ではでは


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同級生2

長らくお待たせしてすみません!
それでは第4話の始まりです


今現在お昼休み、僕は梨子に校内を案内して貰っていた。

思い出話しに花を咲かせながら校内を歩き進んでるんだけど……

 

「(むー…なんか決定的な瞬間が見れないであります)」

「(ねー曜ちゃん別に二人には特別な気持ちなんてないんだよ)」

「甘い!甘いぞ千歌乗組員!」

「(わー曜ちゃん声が大きいよ!バレちゃうバレちゃう!)」

 

 

……バレてまーす、いや割と最初に気づいちゃったけど。

まあ上手く尾行できてるつもりだったんだろうね、確か……渡辺さんか。

渡辺さんが食い入るように凝視してくるから何となく視線で気づいちゃったよ。

梨子は気付いてない様子。お年頃だからきになるのだろう。

まあ彼女達の尾行理由何て可愛いもんさ!だって……

 

 

「……」ジー

「……」ジー

 

 

彼女達とは別方向から跡をつけてる鬼がこっちを向いてるのだから

一人は鬼の目で「浮気ですわ!」とか言ってる。うん!怖いね。

もう一人は死んだ目でめちゃくちゃ何か呟いてる。凄く怖い!本当に怖い!

仕方ない…ここは逃げるが勝ちだ!

 

 

「梨子、そろそろ一階に行こう」

「へ?まだ二階の案内終わってないよ?」

「そっか……」

 

 

うーん…すんなり肯定の言葉が飛んで来ることを祈ってたけど仕方ない。

普段ならこんな真似は絶対しないが……

 

 

「梨子…ごめん!」

「へ!?……えぇぇぇぇ/////」

 

 

僕は梨子の手を握ってそのまま一階まで走り出す。

鬼から逃げるために全力で走った……まあそのうち修羅場と化すのは

分かっているのだ現実から目を背けたくてついつい逃げてしまった

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…上手く撒いたかな?」

「撒いた?どう言う事なの?」

「えっと〜高海さん?と渡辺さん?が跡をつけて尾行してたんだよ」

「へ?千歌ちゃんと曜ちゃんが!?」

「やっぱり気付いてなかったんだね」

 

 

まあ正直な話渡辺さん達はどうでも良かったよ。

もちろんよろしくはないよ?でもあの二人と比べたら大した問題じゃないもん

 

 

「ねえ、いつ気が付いたの?」

「最初からかな、何となく視線でね」

「ハァ…あの二人は……」

 

 

まあ逃げた理由は姉さん達のせいだけど……

って、階段の方からから足音聞こえるんですけど!?まだ追って来るか!

 

 

「梨子、追って来た…どこか一階にバレなさそうな場所とかないかな?」

「うーん…そうだ!じゃあ部室に行かない?ルート的にもバレないと思う」

「そうしよう」

 

 

僕らは廊下を後にして体育館の方向…部室を目指した。

ちなみに「見失いましたわ!」「そんな!どこいっちゃったの?」とか聞こ

えて来たが知らなかった事に……

 

「ねえ、今の声ダイヤさんと果南さんじゃ……」

「姉さん達を知ってるの?」

「姉さん?優奈、ダイヤさん達とどう言う関係なの?」

「昔話した幼馴染の事だよ」

「ああ……なるほど」

 

 

中学生の頃よく内浦の話もしてたからね。

『幼馴染が〜』などの話に当てはまるのは全部姉さん達だ

 

 

「何で追いかけられてるの?」

「……聞かないで欲しいかな?僕も詳しくは知らないし」

「…そう」

 

 

そうこうしてる間に体育館に着いたみたいだ

 

 

「ここが体育館…は知ってるよね、体育館に設置されてるこの部屋が私達の

部室、スクールアイドル部だよ」

「スクールアイドル………ここが」

 

 

ふと僕は横を向いて見るとそこには普段から使い込まれているだろう

ホワイトボードが飛び込んで来た。

そこに書かれていた目標であろう言葉は……って

 

 

「…………もういいか」

「どうしたの?」

「ダイヤ姉!かな姉!」

 

 

おお!面白いくらいにビクってなった!

部室の窓から頭が飛び出てたからもう言い逃れは出来ない筈だ。

恐る恐る二人は部室に入っ来た。全く…

 

 

「えっと〜いつから気がついてた?」

「最初から?かな」

「嘘ですわ……私達は完璧に」

「完璧には程遠いから!それとやってる事は完全にストーカーだから!」

「ストーカー?……私達はただ優奈を見張っていただけですわ!」

「うん?それをストーカーと言うんです」

「それよりも優奈!梨子ちゃんとどう言う関係なの?」

 

 

ああ……そう言う事ですか、はい。

まあ気持ちは理解できるけど褒められる事ではないよ

 

 

「と、友達だよ。東京に転校した時始めて出来た最初の友達だよ」

「………」

「本当に?」

「それ以外に答えられる事はない」

「…………怪しいですわ」

 

 

ああ……面倒くさい…帰りたいな(泣)

そう思っていたら…

 

 

「いいですか!仮にも貴方は私の許嫁ですのよ!他の女性に色目を

使う何て言語道断ですわ!」

 

 

ワオ!このポンコツ姉さんはかな姉の前で爆弾を落としたよ!

ああ!もう本当に帰りたい!逃げ出したい!

 

 

「ちょっとダイヤ〜?何を言ってるのかな?」

「事実を言ったまでですわ!」

 

 

最悪だ!かな姉笑ってるけど笑ってないよ!

もうどうしてこんな事に……って

 

 

「…梨子?どうした?」

「……そ…か……ダ……んと」

 

 

梨子が下を向いて何やら呟いてるが姉さん達が騒いでるせいか聞き取れない。

もちろんその表情も見ることはできない

 

 

「梨子気分が悪いなら……」

「あ!いや、だ、大丈夫!それよりそろそろ教室戻らないと」

「あ!確かに、じゃあそろそろ教室戻ろう」

 

 

そう言って俺と梨子は部室を出たが相変わらずあの二人はずっと言い合ったままだ…

もう放っておこう

 

 

「あの二人はいいの?」

「もう止めれないからいいよ」

 

 

……ちなみに二人はチャイムで我に帰りギリギリ次の授業に間に合ったらしい

 

 

 

 




次は早く更新します!具体的には来週あたりに……少なくとも再来週には投稿します!


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後輩

皆さんこんにちは!
今回は花丸ちゃんの登場回です!


キーンコーンカーンコーン

 

今日の全授業が終わり、帰りのHRもたった今鐘とともに終わりを

迎えた。

高海さんの言っていたスクールアイドル部を見に行こうと思って

いたのだが…

 

 

「ごめん!今日はアクアの活動お休みの日だった!」

「あはは…私も練習休みだってこと忘れてた、ごめんね」

「私も優奈に休みだって伝えてなかったね。ごめんなさい」

「……ああ…うん」

 

 

とてつもない脱力感だよ

 

 

「と言う事で是非明日見に来てね!それじゃあまた明日ね」

「わかったよ。明日楽しみにしてるよ」

 

 

そう言って高海さんと渡辺さんと梨子は学校を去っていった。

同じ部活なだけあって仲がいいんだね。

ただ…お昼休みの後、梨子の様子が少し変だった気がしたけど

大丈夫だろうか?

何かある気はするけど…それは明日聞いてみよう

 

 

とりあえず今は何で僕が放課後学校に残っているかだけど……

 

 

「チャオーユウナー!」

「やあ鞠莉姉さん…スクールアイドルをしてるって事、高海さん達から

聞いたよ」

「うん、チカッチが私達の事を話したって聞いたよ」

「そっか」

「それよりもチカッチから聞いたわ!スクールアイドル部のマネージャー

になってくれるんでしょ?」

「いやいや!まだ決まってないから!とりあえず明日見学しに行くから

よろしくって感じだよ」

「ならもう決まったようなモノよ!」

「何で?」

「フフ……だって」

 

 

 

鞠莉姉さんはイタズラっぽく笑うと僕にいきなり抱きついて来て

両手でそっと僕の頰に触れた……って!ちょ///

 

 

 

「ユウナが私の期待を裏切ったりするわけないでしょ?」

 

 

 

綺麗な瞳だ……頭回んないや

 

 

 

「顔…真っ赤よ」

 

 

 

でしょうね……

 

 

 

「たまには雰囲気に流されたって……イイわよね?///」

 

 

 

よくない……とは分かってるけど身体が強張ってどうにも動かない。

ゆっくりと鞠莉姉さんの顔が近くなってくにつれ心臓の鼓動が早く

なる……多分人生で一番心臓がうるさい

 

 

 

 

 

後7cm……6cm……

 

 

 

 

 

 

5cm……4cm……

 

 

 

 

 

 

 

3cm…2cm…

 

 

 

 

 

後いっ…

 

 

 

「ブッブー!ブッブー!ですわ!!!」

 

 

 

突如としてダイヤ姉が僕たちの間に割り込み軽く突き飛ばされた。

その衝撃で僕はハッとなって少し冷静差を取り戻した。

一方鞠莉姉さんはプクーとほおを膨らませて怒っていらっしゃる

 

 

「もー!後少しだったのに!何で分かったの!?」

「女の勘ですわ!それも貴方わ・た・く・しの優奈に何をしようと

していたのかしら?」

「キスだけど?」

「ま〜り〜さ〜ん?いい度胸をしていますわね」

「アメリカではキス何てただの挨拶よ?」

「ここは日本です!いいですか!キスとはお互いが…………」

 

 

 

ダイヤ姉が説教モードに入ったよ…多分僕がここにいても蚊帳の外だろう。

いや違うな、多分僕も説教される……ならばここは逃げるが勝ち!

 

 

 

「あ!ユウナ!?どこ行くの?」

「ごめん!鞠莉姉さん!一人で頑張って!」

「聞いてますの?ま〜り〜さ〜ん?」

「そんな〜!ユウナの薄情者ー!」

 

 

 

鞠莉姉さんの叫びが響いた2階廊下を後にして、とりあえず一階に逃げた。

一階って何かあったかな?と思った矢先スマホのバイブ音がなったので

ふとスマホを付けるとメールが一件、かな姉だ

 

 

 

 

『ダイヤか鞠莉に何かされてない?』

 

 

 

 

……正直ゾワッとしたよ。これも女の勘と言うのだろうか?

とりあえず『大丈夫』と返信しておこう。

さて、一階って何かあったろうか?それともこのまま帰ってしまおうか?

うーむ……ん?あそこは…

 

 

「図書室か…今日は放課後でも開いてるんだ」

 

 

よし、ちょっと本でも読んでいこうか

 

 

「失礼します」

「…あれ?」

 

図書館のカウンターには一人読者している女の子が一人僕を見て驚いた表情を

している。元々女子校だから無理もないだろう

 

 

 

「驚かせてすみません。僕は今日編入して来た2年の柴 優奈です」

「あ…そう言えば男の人がこの学校に来たって噂になってたず…ました」

「まあ噂になりますよね」

「はい…えっと一年の国木田 花丸です。よろしくず……お願いします」

「そっか一年生だったんですね」

 

 

 

まずい…学年とか分からなかったから敬語で話してしまった。

でもいきなり砕けるのも…上手いこと砕けた話し方にしたいけどどうしよう…

この微妙な感じわかるだろうか?ここで軽いノリで行けば普通にタメ口を使え

るのだろう。

でも軽いノリとか……あんまりそう言うのは柄ではないのだ

 

 

 

「えっと、先輩なんですよね?じゃあ敬語じゃなくても…」

「……………………もしかしてだけど…表情に出てた?」

「はい、凄く『どうしようどうしよう』って顔してましたよ?きっと敬語で

話した事を気にしてるんだろうなって」

「うっ…ちょっと恥ずかしいな//」

「ふふ……なんだか面白い人ずら………あ…………ですね」

「…………」

「その///えっと、今のは//」

 

 

国木田さんが頰を赤くしてあたふたしてる…凄く微笑ましくて可愛い。

なんだかこんな姿をした国木田さんをずっと見ていたい気もするね。

でもそれじゃあ話が進まないからこの姿は思い出として記憶に刻んでおこうか

 

 

「別に隠さなくてもいいよ、そう言う話し方なんでしょ?」

「えっと……はい///」

「別に恥ずかしいなんてことないよ、僕はむしろ…その、可愛いかと思うし//」

「…………え////…」

「ご、ごめん、初対面の人にいきなり可愛いとか言われるのは嫌だったかな?」

「い、いえ!………その、男の人とほとんど話した事なくて……それでちょっと

びっくりしちゃって……嫌なんて事ないです……むしろ///………嬉しかった////」

 

 

良かった、嫌だったわけではないようだ。

最後の方は本で口元を隠しながら言ったせいか良く聞き取れなかったけど多分

照れ隠しなのだろう……可愛いの一言だよ

 

 

「嫌じゃなかったのなら良かったよ。もう話し方何て気にしなくていいからね。

何なら敬語じゃなくても構わないよ」

「え、えっと……流石にそれは…」

「あはは……まあ、それは自由にしてくれていいよ」

 

 

話がひと段落ついたとこで本来の目的を思い出した。

思い出したはいいけどどんな本を読もうか……せっかくだし国木田さんのおススメでも

聞いてみようかな?と思ったら図書室のドアが開いた。

どうやら僕以外の来客が来たらしい

 

 

 

 

 

「ククク……堕天使ヨハネ!降臨!」

 

 

 

 

 

………………僕は格好良く決めポーズを取った人物に対して言葉が出なかった

 

 

 




次回は僕の推しメンの回です!
多分来週には更新します!


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後輩2

予定より一週間も遅れてすみませんでした。
完全な僕の私情(シャド○)が原因で投稿が遅れてしまいました。
次の投稿予定を言うときはもうちょっと先を見据えてから言います。申し訳ないです。

さらに言うと行き当たりバッタリすぎてこの回がヨハネ回と言えるのかどうか微妙になってしまいました。
ただ行き当たりバッタリなのは変えるつもりはありません。と言うか行き当たりバッタリじゃないと僕は動けない人間なので、そこら辺を理解して読んでくれたら嬉しいです。

ダラダラと長文すみません…ただヨハネの登場回である事は確かです!ではどうぞ!


 

ヨハネ……確かキリスト教関連の人物だった気がする。

申し訳ない、僕もあまり詳しく知らない。

でも今目の前にいる娘が刺すものはおそらくキリスト教の

ヨハネではないのだろう。堕天使と言ってるし

 

 

「………………」

 

 

どうしよう?彼女も僕を見た後固まっちゃったよ

 

 

「えっと…」

「先輩、気にしないで大丈夫ずら。善子ちゃんはいつもああずら」

「ヨハネ!」

「そ、そうかい…」

 

 

何だか変わってるな……初めて中二病と言うものを見たよ。

実際にいるんだね、そう言った人

 

 

 

「それよりも何で男が女子校にいるのよ!」

「あれ?男子が編入して来たって噂知らなかった?」

「え?……そう言えばクラスがいつもよりガヤガヤしてた気がするけど」

「全部先輩の話題ずら」

「そ、そうだったのね…全く聞いてなかったわ」

「あはは……驚かせてごめんね」

 

 

 

僕も驚いたけどね。彼女の登場に

 

 

 

「じゃあこの学校はもう女子校じゃなくなるの?」

「それはワターシが説明します!」

 

 

 

唐突にドアを開けて入って来たのは鞠莉姉さんだった。

あれ?説教はどうしのだろう?

 

 

「鞠莉姉さん?ダイヤ姉はどうしたの?」

「もうあんな硬度10の人間に付き合ってられないわ!」

「逃げて来たわけかい…」

 

 

 

後でどうなっても知らないよ?

 

 

 

「まあそれは置いておいて、今日を持って正式にここは『浦の星女学院』から

『浦の星学院』に変わるの!要するに共学化!」

「はぁー!?聞いてないわよ!そんな話し!」

「急に決まった話だから発表は明日の朝会でするの」

「鞠莉さん唐突過ぎるずら」

「あはは……まさかここまで弾けたキャラになってるとは僕も驚きだよ」

「ん?…先輩は鞠莉さんとどう言う関係ずら?」

 

 

そう言えば何も言ってなかったか。

とりあえず説明しようとした矢先ガラッと大きな音を立ててドアが開けられた。

ああ…鞠莉姉さん……ご武運を

 

 

「まーりーさーん!こんな所にいたのですね!」

「げ!硬度10が来た!」

「誰が硬度10ですの!今日はたっぷりと教え込ませてあげますわ!」

「ユウナ助けて!アレを何とかして!」

 

 

鞠莉姉さんは僕の後ろに隠れるように助けを求めてくるが正直な所僕も今の

ダイヤ姉を相手にしたくない

 

 

 

「鞠莉姉さん無理があるよ。大人しく…」

「嫌よ!2時間も正座しながらダイヤの説教を聞くなんて」

 

 

二時間の正座か…僕も絶対したくないね。

まあ……あんまりガラじゃないけど僕なりに何とかしてみようか

 

 

「ダイヤ姉」

「何ですか優奈?鞠莉さんを庇うつもりですか?と言うか貴方もなぜ雰囲気などに

流されそうになっていたのですか!」

 

 

ヤバイ!火の粉が僕にまで降りかかって来た!

もう鞠莉姉さんを大人しく引き渡す最終手段が使えない…はあ……

 

 

「ずら丸これどう言う状況なの?放って置いて大丈夫なの?」

「さあ?何か楽しそうにしてるからいいんじゃないかな?」

 

 

楽しくない!全然楽しくない!もう逃げ出したい気持ちで一杯です!

でも、後には引けない……仕方ない、覚悟を決めよう

 

 

「ダイヤ姉、あんまり怒らないでよ、せっかく綺麗な美貌をしてるんだから

しかめっ面何てしないで笑顔でいようよ」

「な///…き、綺麗って///」

 

 

 

ダイヤ姉は顔を真っ赤にして俯いてボソボソと何かを呟いてる…もしかして上手く行った?

 

 

「さっすがユウナ!あのダイヤを抑える何て」

「いや…」

「ククク……貴方中々やるようね」

「へ?」

「あの来訪者を抑え込むとは見所があるわ。どう?貴方も私のリトルデーモン

になってみない?」

「リトルデーモン?」

「先輩、善子ちゃんの言うことは無視していいずら」

「どうしてよ!無視何てしたら許さないわよ!」

 

 

どうして面倒な感じの状況が絶えないのかな?

申し訳ないが僕はまだ君の言いたい事を完全には理解できてないのだが…

 

 

「要するにファンになっててことネ!」

「眷族!」

「友達になっててことずら!」

「だーかーら眷族!眷族だってば!」

「はぁ…えっと、色々気にはなるけどとりあえず鞠莉姉さんの言っていた

ファンとは?」

「あーえっとねここにいる二人もアクアなの、スクールアイドル!」

「ええ!そ、そうだったんだ……」

「これからユウナはアクアのマネージャーをしてくれるの!二人ともヨロシクしてね!」

「いや、まだ決まったわけでは…」

「まだそんな事を言ってるの?私の期待を裏切らないんだから決定も同然でしょ?」

 

 

 

そんな無茶な…………全く、そんな「期待を〜」とか言わずにもっと真っ直ぐに伝え

てくれればいいものを…ってなんか国木田さんの目が輝いてるし

 

 

 

「先輩、マルは先輩にアクアのマネージャーやってほしいずら!」

「まだ出会って間もない俺に?」

「だからこそです!もっと先輩の事を知れたらなって…ダメずら?」

 

 

 

またもや国木田さんは本に顔を半分隠して上目遣いで僕を見る。

その照れ隠しは反則だよ…可愛いすぎて思わずドキっとしてしまうから

本当にやめて貰いたいものだ。

そんな風に言われたらここで思わず決定してしまいそうになる

 

 

「…………ダメじゃないけど…とりあえず一度見学って形でね?」

「…うーん……わかったずら!」

「ズラ丸…随分と積極的ね」

 

 

 

確かに結構必死だったと思う。まあ先ほどの会話で気に入られてしまったの

だろう。僕は面白いらしい

 

 

 

「とりあえず話を戻すけど国木田さんの言ってた友達と言うのは?」

「善子ちゃんは、りあ充?になりたいから」

「ん?リアル充実のことかい?」

「ちょっとズラ丸!リトルデーモンは違うの!眷族なの!後ヨハネ!」

「ちょっと善子〜貴方まさかリアル充実の相手にユウナを選んだの?」

「マリー?目がちょっと怖いんだけど…それと私のリア充はそっちの意味

じゃないから!私はただリトルデーモン増やしたいだけなの!」

 

 

リア充……ふむ、多分堕天使さんの言うリア充とはリトルデーモン(ファン)

を増やす事なのだろう。え?あってるよね?

 

 

「じゃあヨハネ!貴方の力でユウナを説得しなさい!」

「フッ…そんな簡単な事」

「いやだから鞠莉姉さん、マネージャーの件は一度見てからでいいでしょ?」

「少し黙ってなさい!私のリトルデーモン?」

「!?」

 

 

っ……この堕天使さんは随分と大胆だ。まさか僕の口に人差し指を当てて

制止させるなんて思ってなかったよ

 

 

 

「ちょっとこっちに来て」

 

 

 

そのまま堕天使さんに手を引かれ、廊下へと向かった

 

 

 

 




次回の方がヨハネ回と呼ぶのにふさわしい回になるかと思います。
それともう一人の後輩が登場します。
次の投稿は……今月以内には必ず投稿します!それだけは自信を持って約束します!



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後輩3

この回が実質ヨハネ回です!
……予定より早く投稿できてよかったです


 

 

「頭のおかしい娘だと思った?」

「……はい?」

 

 

目の前の堕天使さんに人気のない廊下に連れられ、最初の第一声が

飛んで来た。

僕を説得するために何かしら言うとは思っていたが全く関係のなさ

そうな内容だった

 

「だから、頭のおかしい娘だと思った!?」

「ふむ…それは堕天使ヨハネさんのことかい?」

「それしかないでしょ!「ヨハネって何?」とか「堕天使?」とか「厨二病な

んだ…引くわ」とか思ったかって聞いてるの?」

「……?…ああ、そう言う事気にしてたんだ」

「うう……普通気にするでしょう」

 

意外と小心者なんだね……いや、だからこそかな?

なんだか……いや、まだ多くはわからない。だから_

 

「君にとってその…堕天使ヨハネってどう言う存在なんだい?」

「へ?……私にとって……」

「そう、君にとって」

 

僕の勘が外れていなければ君にとって堕天使ヨハネは_

 

「……普通だった…なんの取り柄もない私に憧れを、夢を、仲間を、

居場所をくれた掛け替えのない大切な存在なの!」

 

…僕の勘は外れてなかったようだ

 

「それが君の…善子さんの本音なんだね」

「……そうよ、それが私“津島善子”の本音」

「うん……僕らって漫画やアニメの主人公の様に魔法とか、超人的な能力とか

使えないからね…僕も憧れちゃうよ」

「…………まさか貴方も?」

 

おっと、何か勘違いされたね。残念ながら僕は厨二病と言う物ではない。

でもだからこそ…だからこそ僕は_

 

「いや、そう言った事は行動はした事ないよ……現実しか見てないつまらない

人間さ……だから僕には君がカッコイイと思うよ」

「か、カッコイイ!?私が?」

「うん……少なくとも俺よりは…いや、そう言った魔法何て使えないと決めつ

けている人なんかよりもずっとずっとカッコイイ」

「……//……あ、貴方頭おかしいじゃないの//」

 

えぇ…どうやら堕天使さんから見たら僕は頭がおかしいらしい…………

まあいいや、これが僕の本音だからね

 

「確かに頭おかしいのかもね……でも君も魔法とか使いたいと思わないかい?

僕なら使ってみたい!手から魔法陣を出して炎や氷、風や光を出してみたいよ」

「わ、私だって魔法使ってみたいわよ!」

「でしょ?だから少しでも近づこうとする君の行動や言動はおかしいだなんて

僕は思わないよ……むしろカッコイイと思ってしまうんだ」

「そ、そんな事…初めて言われたわ……」

 

そうかい、周りの人はつまらない人間ばかりだったのかもしれない。

だって僕はこんなに堕天使さんが素敵だと思ってしまうのだから

 

「………………ど、どうすればいいかわからないじゃない//……」

「ん?」

「だから…そんな事言われの…は、初めてだから//……」

 

そう言って堕天使さんは俯いてしまった。

少し顔が赤かったから照れているのだろうか?

まあ今までずっと誰からも認められない日々を送っていたのだろう…

だったらこれからは

 

「誇ればいいと思う。周りはどう思うか知らないけど、僕は誇ったっていいと思う」

「誇る?誇っていいの?こんな私が私自身を?」

「そうさ!誇ってもいいじゃないか、自分の好きなものを大好きだって

自信を持って君ならさらけ出せると思うんだ」

 

堕天使さんは僕を見て固まってしまう。

また僕は変な事を言ってしまったのだろうか?僕の本音はそこまで変なのだろうか?

自分の感受性に自信をなくしてしまいそうだよ…

 

「…………そう…ふふ、アッハッハッハッ!」

 

どうして急に笑いだしたのだろうか?

僕は真剣に答えたつもりなんだけど…

 

「えっと、何か面白い事を言ったかな僕?」

「ごめんなさい……貴方みたいな人初めてだったからちょっとおかしくて」

 

そうかい…やっぱり僕はおかしいらしい

 

「凄く元気が出た、でも誇るにはもう少し時間がかかりそう。だから今は_

 

堕天使さんは決めポーズ?を取りながら僕を指差す。

常識的に考えたら失礼だけど目の前にいるのは堕天使だ。無礼なくらいが丁度いい

 

「先輩の前でだけ誇る事にする。そして喜びなさい!先輩をリトルデーモン一号に

してあげるわ」

「そうだね素直に喜ばせてもらうよ」

 

良かった、どうやら僕は堕天使さんの…いやヨハネの力になる事ができたみたいだ

 

「そうだ先輩!私も先輩にアクアのマネージャーをお願い……いや堕天使ヨハネか

ら命ずる!アクアのマネージャーになりなさい!」

「忘れてなかったんだね…」

「何よ!その残念そうな反応は?これは下僕であるリトルデーモンへの命令よ!」

 

下僕だなんて初耳だよ…眷族じゃなかったっけ?

まあ置いておこう。そうだね…じゃあ

 

「ヨハネ、アクアのメンバーは全部で何人いるんだい?」

「だからヨハ……へ?」

「アクアのメンバーは何人いるんだい?」

「ぜ、全員で9人よ」

「じゃあその9人全員が僕にマネージャーをやってほしいと思ったらマネージャー

やらせて貰うよ」

「それだと決まったような物……いや、そう言えば」

「どうしたいんだい?」

 

ヨハネが考え込む仕草をして何やらブツブツ言い始めてる。

こうして見ると頭が回る賢い人に見えるな

 

「よし!先輩今すぐ説得に行くわよ」

「説得?どう言う事?」

「メンバーの一人に男性恐怖症がいるのよ」

 

何ですと!?それじゃあ僕がマネージャーになる件はほぼ無理じゃないか。

説得何て出来るものじゃない気もするが…

 

「説得何てできるのかい?」

「やってみるしかないでしょう?」

「……まあやるだけやってみようか」

「図書室に戻るわよ」

 

 

 

こうして僕らはひと気のない廊下を走り去った。

そして図書室へ_

 

 

「ただいま」

「ピギッ!」

 

ピギッ……?もしや?

 

「あ!善子ちゃんに先輩!どうだった?」

「ヨハネ!……クク、私は十分にやり遂げたわよ」

「本当に!?」

 

そう言って国木田さんは背伸びをしながら僕に迫ってくる。

顔が近い…と言うわけではないが、こう迫ってくると少しドキっとしてしまう…

やめて欲しいものだ。と言うか鞠莉姉さんとダイヤ姉さんがいないし

 

「えっと…アクアのメンバー全員が僕にマネージャーをやって欲しいと思った

ら即決する事にしたよ」

「……善子ちゃん?」

「何よズラ丸!?ここまで説得したんだから十分でしょ?」

「あはは……それより国木田さん、ダイヤ姉達は?」

「正気に戻ったダイヤさんが鞠莉さんを連行したずら」

「ま、鞠莉姉さん……」

 

ああ、なるほどね。鞠莉姉さんは今頃正座して説教されているのだろう。

いい薬になってくれればいいんだけど……

それはさて置き、先程から赤髪がチラチラ机の端から見え隠れしてる。

そろそろ姿を見せて貰えないだろうか?

 

「…………そこにいるのルビィちゃんだよね?」

「ピギャ!?」

 

ありゃりゃ…驚かせてしまったようだ。

そんな中ヨハネが不思議そうな顔でこちらを向いてくる

 

「先輩ルビィの事知ってたの?」

「まあね……昔時々顔を合わせていたからね」

「そう言えばダイヤさんのこと「ダイヤ姉」って呼んでいたずら」

「僕はダイヤ姉さんと幼馴染なんだ。鞠莉姉さんと果南姉さんも同じ

で昔はよく4人で遊んでたよ。ダイヤ姉さんの家で遊んだ時は当然ルビィ

ちゃんも家にいたからね」」

「そう言う事だったんですね」

「うん…昔から人見知りが激しかったけど……」

「今は男性恐怖症までレベルアップしてるわ」

 

 

………参ったね、ルビィちゃんが男性恐怖症の間はマネージャーなどでき

ないだろう。前途多難だね

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
次回はルビィ回です


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後輩4

後輩の話長くね?と思った方、申し訳ないです。
これで出会い・再開編は終わりですので許してほしいです…


 

 

昔から人見知りが激しい娘だった____

 

 

『ピギッ!』

『大丈夫ですわルビィ…優奈は優しい人だから」

 

確か僕が小学五年生くらいの頃だったろうか?

許嫁の妹さんはとても人見知りで僕が彼女の家に行けば必ず

自分の母親の後ろか姉さんの後ろに隠れていた

 

『ダイヤ姉、無理させなくていいよ。大丈夫だから』

 

確か僕はいつもこの様な事を言っていた気がする。

内心残念と思いながらも表情には出してないつもりだった…

でもそれはあくまでもつもりなだけで表情に出ていたのだろう。

毎回ダイヤ姉さんはルビィちゃんを説得していたからね、多分僕

の残念そうな表情を察してのことだったんじゃないかと思う

 

せっかくこんなに近くに歳の近い子がいるんだから一緒に皆んな

で遊べればいいなと考えていたんだ

 

『…………』

 

時々片目を出してこちらを見つめるルビィちゃんの瞳はどこか

寂し気だった気がする

 

 

 

 

 

××××××××××

 

 

 

 

 

「……うーん、国木田さん」

「ん?」

「ルビィちゃんが男性恐怖症になった理由…聞いてもいいかい?」

「えーと……」

「え?ズラ丸知ってるの?」

「いや…実は丸も知らなくて。聞こうとしてもルビィちゃん怯えちゃって……」

「そうかい、ありがとう国木田さん」

 

こうなるともはや姉さんに聞くしかないか。

仕方ない今日のとこはおとなしく帰ろうかな?

 

「じゃあそろそろ僕は帰るかな?」

「先輩…もう帰っちゃうずら?」

「…!………まあそろそろね」

 

国木田さんの寂しげな目………その目昔もよく見てた気がする。

思わず返事に微妙な間ができてしまった。

まあそれはそうと上目遣いはやめてほしいね、先程も思ったけど

 

「?…私もそろそろ箱舟が来る頃地獄へと帰らせて貰うわ!」

「箱舟?」

「バスのことずら」

「そうかい」

「善子ちゃんももう帰るずら?」

「ヨハネ!……今日は少し早めにね」

「ふーん……まあルビィちゃんもいるし今日はいいずら。先輩、善子ちゃん

さよならずら」

 

 

僕とヨハネは国木田さんに別れを告げて帰路についた。

結局ルビィちゃんとは一言も話せずに終わったなぁ

 

 

「ねえ先輩」

「ん?なんだい?」

「さっきずズラ丸と話した時ドキッとしてなかった?」

 

……さすがは堕天使さん。鋭い観察眼をお持ちの様で…

まあドキッとしてないわけじゃないけど、それよりも

 

「ドキッとしたと言うより、何処か寂し気な目を見て昔を思い出したんだ」

「昔?それって先輩が内浦にいた頃?」

「うん……凄く人見知りで弱気な少女のね」

「ふーん」

 

出来ればあんな目はさせたくないけど、僕から行っても拒否されるだろう。

だったら彼女の勇気に僕は掛けてみようか

 

「そう言えば先輩の家ってどこなの?」

「沼津だよ」

「え?じゃあ私と一緒じゃない!」

 

ヨハネの顔がパアッと明るくなった。

まさか同じ街とは…喜んでくれるのは大変光栄なのだが

 

「ヨハネも沼津なんだね」

「そうよ、じゃあこれから行き帰りは毎日一緒ね!」

「うん……そうなんだけどまだ引越しが終わってなくてね、数日は鞠莉

姉さんのとこのホテルに泊まるんだ」

「…そ、そうなのね」

「申し訳ないね、でも数日間の間だけさ」

 

あちゃー…なんか嬉しそうにしてたからね。その分ショックなのだろう。

まあ一人で行き帰りするより誰か知ってる人と一緒がいいよね。

おっと、どうやらバス停に着いたようだね。

しかもタイミングよくバスも来た。ラッキーだね

 

「それもそうね……ククク、では私は箱舟に乗って地獄へと帰るとするわ。

あなたも帰り道には気をつけなさい?私のリトルデーモン」

「ヨハネもね」

 

そう言ってバスに乗り込んだヨハネは不敵に笑っていた。

でもバスの扉が閉まるとまたこの堕天使さんまでも寂し気な表情を見せて

来てしまった。堕天使も寂しさには少々堪えるようだね

 

「…後輩は寂しさに弱いのかね?」

 

………真っ直ぐ帰るつもりだったんだけどな

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「ルビィちゃん、そろそろマル達も帰ろ?」

「うゅ…うん、そうだね」

 

時刻は6時過ぎ、あまり暗くならないうちに帰ろうと考えてのこと。

もうすでに太陽は沈み始めている.。

二人はそそくさと帰路に着く

 

「ねえルビィちゃん?」

「何?花丸ちゃん?」

「前に言ってた『勇気を出して話し掛けたい人』って先輩のことずら?」

「ふぇ?えっと……うん」

「やっぱり…先輩が怖い?」

「えっと……怖くないってわかってるの」

「じゃあどうして?」

「私ね___

 

 

 

 

 

昔から人見知りが激しかった。だから頻繁に来る彼が、優奈さんが怖かった。

いつもお姉ちゃんかお母さんの後ろにか隠れては、彼の少し悲し気な表情を

見て後ろめたい気持ちになってた。だから勇気を出して話しかけようと思って

たんだ……でも

 

 

 

「結局勇気を出せなかったと」

「うん……情け無い話だよね」

「じゃあこれから勇気を出そうよ!ルビィちゃんならできるずら!」

「……できるかな?」

「できるずら!マルが保証するずら!だってルビィちゃんはちゃんと勇気を

出して本音を言うことのできる強い娘だってマルは知ってるずら!」

「…花丸ちゃん!」

「もしもまた怖くなったらAqoursに入った時を思い出して」

「うん!ガンバルビィしてみる!ありがとう花丸ちゃん!」

「どういたしましてずら」

「ふふ…」

「あはは!」

 

 

「ねぇ君達?」

「はい?」

「浦の星女学院の生徒さんだよね?」

「は、はい」

 

笑い合う二人に水を差したのは若く、柄の悪い感じの男性二人組だった_

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「黒澤家はこっちだったよね?」

 

街がおおきく変わった訳ではない。しかし浦の星方面から黒澤家に向かうの

が初めてな物で少々自信がないのだ。

ん?なぜ黒澤家に向かうのかって?……数年ぶりの挨拶とダイヤ姉さんに

ルビィちゃんの事を聞くためだよ。ちなみに後者がメイン

 

 

「……何か聞こえる」

 

なんか男女が言い争ってる?いや、ナンパだね。まさか田舎でもナンパする人が

いるとは……驚きだね。でもこの交差点の右にあるのってお寺だったけ?

なぜお寺方面から聞こえるのだろう?気になって片目で除いてみると_

 

「だから丸はいやずら!」

「そんな事言わずにさ」

「い、嫌だよぉ…誰か……」

 

手首を掴まれて無理矢理車に乗せられそうになっている国木田さんとルビィちゃん

が視界に映った。そしてその瞬間僕はスマホを片手に走り出してた。

スマホでこの現場を写メに収めて僕は国木田さんとルビィちゃんの手を掴んでた

男達を蹴り飛ばした

 

「ぐあ!」

「ぐへ!」

 

一人は車のバックミラーに頭をぶつけて気絶してくれた。

だけどもう一人は残念ながら倒れ込んだだけだった……参ったな

こういった事は初めてだから一撃でやられて欲しかったんだけどね……

 

「てめぇ……やりやがったな!」

「手を出してたのはそっちだろ」

「せ、先輩……」

「ゆ、優奈さん…」

「二人とも逃げるよ!」

 

男がよろめいてる間に二人の手を取って逃げよう!

残念ながら僕はここで二人同時に倒せる様なカッコイイ選択肢取れるヒーロー

ではないのだ。でも…

 

「ご、ごめんなさい、ルビィ腰引けちゃって…」

 

まじか…………っ…仕方ない!緊急事態だ!

 

「国木田さんは大丈夫だね?」

「ず、ずら」

「よし……ごめんねルビィちゃん…少し我慢して」

「ピギッ!……ピギャャャャ!」

「ルビィちゃん、暴れないで!」

 

僕はルビィちゃんをお姫様抱っこしたんだけど……まあ予想してけど、

足と手をジタバタさせて暴れてる。ダメだまともに走れない

 

男はだんだんとこちらに迫ってるのに……仕方ない

 

「国木田さん……ルビィちゃんを頼むよ」

「え…先輩?」

「立てるかい?ルビィちゃん」

「ピギッ!……は、はい」

 

僕はルビィちゃんを下ろす。まだふらついてるから三人で走って逃げるのは

厳しいだろう……なら僕がやるだけやってみるしかない!

 

「二人とも、時間ぐらい稼いで見せるから逃げろ!」

「ゆ、優奈さん…」

「でも先輩が……」

「どこのヒーロー気取りだ!」

「グフ……いてぇ」

 

始め頰を殴られた……めちゃくちゃ痛い。

でも彼女達が味わった恐怖と比べればまだまだ

 

「先輩!」

「早く!早く逃げるんだ!」

 

「ッ…先輩どうか無事で……ルビィちゃん!丸の家が1番近いから行くずら!」

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

花丸とルビィは急いで花丸の自宅であるお寺に向かった。

運が良いことに丁度お寺前には箒を持った花丸の父親がいた

 

「はぁ…はぁ…ただ今ずら」

「お帰り花丸、今日はルビィちゃんもいるんだね。慌ててるようだけど

どうかしたのかい?」

「お父さん!…先輩が……先輩を助けて!」

「先輩?……一体何があった?」

「マル達変な人達に絡まれて車に乗せられそうになって…でも先輩が助けてに来て

くれて……それで!」

「!?…警察には?」

「まだずら…」

「わかった、ちょっと待ってなさい。警察を呼んでから助けに行く」

 

 

花丸の父は警察に通報し、住職を数人連れて優奈の元へ急いだ

そしてたどり着いた先には___

 

「先輩!」

「優奈さん!」

 

電柱に背を預け、頭から血を流した優奈が座っていた

 

「…っ……やあルビィちゃん、国木田さん…それと貴方達は?」

「花丸の父親です。後ろの者はうちの住職です」

「国木田さんの…なるほど」

 

そうか…このお寺は国木田さんの……納得したよ

 

「優奈さん!……ケガが!」

「ちょっと痛いけど大丈夫だよルビィちゃん」

「先輩、あの悪い人達は…?」

「えっと……情けないんだけど…取っ組みあってるうちに僕が電柱に頭を

打って倒れちゃってね……血を流した僕を見て殺したと勘違いしたらしく

て…凄く焦った顔で倒れていた仲間を車に乗せて逃走したよ」

「っ…良かったずら」

 

ああ……どこかのカッコイイ主人公の様には行かなかったけれど、無事で

済んで安心したよ……本当によか_

 

「先輩!」

「優奈さん!…優奈さん!」

「うちに連れて治療する!運ぶぞ!」

「「はい!」」

 

 




なんかこうなりました。可愛いシーンがほぼなくて申し訳ないです。
なるべく早く次回を投稿します


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Aqoursと恋の日常編
後輩の涙


早めに投稿できました


「……?……ここは?」

 

 

…………状況確認しよう。

和室、布団、頭に巻かれた包帯、頰に貼ってある湿布。

そして、最後に見た後輩二人と住職さん達の姿___

 

どうやら意識を失っていたらしい。そしてここに運ばれ、今目覚めた

んだね。多分ここは花丸ちゃんのお家かな?

 

「……ご厄介になっちゃったみたいだね」

 

とりあえず誰かを__

 

「…先輩」

「…国木田さん」

「先輩……先輩!…先輩!!」

「へ?」

 

うん、皆にはわからないだろうから説明しよう。

花丸ちゃんがいきなり抱きついて来た。て、照れてしまうのと同時に

困惑してしまう。目覚めたばかりで頭が回りづらい

 

「ふぇぇん!良かったずら〜!心配したずら!もしかしたらもう

目覚めないんじゃないかって……凄く怖かったずら〜」

「…ごめんね、心配かけて」

「…ズズ…ヒック……本当にマル…心配で…心…配で…たまらなくて…

心がはち切れそうで」

 

……僕は涙を流している後輩を軽く抱きしめて頭に手を当てて、

ゆっくりなでなでした。

 

「…本当にごめんよ?僕は大丈夫、大丈夫だからどうか泣き止んでくれないかい?」

「………もう…ズズ…もうちょっと待って…ずら」

「そうかい…」

 

…もっと僕に力があれば国木田さんを泣かずに済んだのかもしれない。

いや、そんな事を今考えても仕方ない。今は目の前の後輩を笑顔にしてあげたい。

ただそれだけ、ただそれだけだ

 

「ごめんなさい先輩…もう大丈夫ずら」

「落ち着いたかい?」

「はい」

 

花丸ちゃんはちょっと名残惜しそうにしながらも、そっと離れた。

頭を撫でてあげたのが良かったのかな?

 

「先輩、助けてくれて本当にありがとうずら…」

「お礼はいいよ、先輩が後輩を助けるのは当然さ」

「…そう言う風に思ってるのきっと先輩だけずら」

「……そうかもね」

 

東京にいた頃、困っている人がいても見て見ぬ振りをする者ばかりで溢れていた。

だから当然とは言えないのかもしれない。

でもさ……放っておくなんて僕にはできない、できなかった

 

「……先輩って変な人ずら」

「おやおや、僕は面白い人じゃなかったのかい?」

「面白くて変な人ずら…」

「……面白くて、は別として、変な人だとはよく言われるよ。あ!つい最近「頭お

かしいんじゃないの?」とかも言われたよ」

 

最近というか今日言われたんだけどね。とある堕天使さんに

 

「それはきっと先輩の別の一面ずら……」

 

……明るく茶化す感じで言ったつもりだったんだけどね。

それで国木田さんが微笑でもしてくれれば勝ちだったんだけど…

花丸ちゃんの表情はあまり変わらなかった

 

「先輩…ごめんなさい。もう一回、もう一回だだけ泣いていいですか?」

「あ………」

 

国木田さんの表情を見て気付いた。さっきの涙は僕に、僕だけに流してくれて

涙なんだと

 

あんな怖い人達に腕を掴まれ、無理矢理車に乗せられようとされたら

誰だって怖い。凄く怖いはずだ、女の子ならなおさらだ

 

「先輩…」

「いいよ」

 

俺は両手を広げて国木田さんを抱きとめた。

 

「怖かった、怖かったずら……もしもあのまま連れて行かれたらと思うと

体が震える…震えて仕方がないずら。止まらないずら!」

 

俺のために泣いてくれた時とは違い、静かに涙を流しながら自分の感情に

そって「恐怖」を吐き出している。

 

今だって震えてるこの娘に出来ることは優しく抱きしめ、頭を撫でてやる事。

これ以外出来ることなどない__

 

「心の中で必死に叫んでた!助けてって必死に呼んでたずら!でも本で現れる

様なカッコイイヒーローなんていないって、現実ではいない……ずっとそう

思ってました。だから無駄だと思ってたずら___

 

 

 

 

 

 

『離してください!』

『暴れんなよ、別に悪くはしないさ』

『嘘ずら!こんな事してる時点で…』

 

(ダメ…振りほどけない、このままじゃルビィちゃんまで)

 

『誰でもいいから……助けて』

『ここは田舎だぜ?さらに人通りもないと来た。助けなんか来なねぇよ」

 

男は腕に力を込めて無理矢理腕を引っ張り出す。

ああ…助けてよ…お父さん、お母さん、じいちゃん、ばあちゃん…

アクアの皆んな……………先輩

 

いろんな人達の顔が浮かんでく中には先輩の顔も浮かんでくる。

今日会ったばかりなのに一番強く頭に思い浮かぶ…どうして?どうして何だろ?

 

ああ…ああ…わからない…どうして先輩に期待してしまうのだろう?

 

 

『い、嫌ずら!』

『花丸ちゃん!』

『まだ言うか』

 

『だから丸は嫌ずら!」

『そんな事言わずにさ』

 

 

 

 

きっとヒーローなんて来ない

 

 

 

 

現実にカッコよくピンチを救ってくれるヒーローなんていない

 

 

 

 

 

いないはずなのに____________

 

 

 

 

 

 

「そこにはカッコイイヒーローがいたずら」

「……」

「無駄じゃなかったずら_

「国木田さ…ん?あれ?」

「スゥ……スゥ……」

 

 

……泣き疲れたのだろう。国木田さんは可愛い寝息をしながら安心した顔で

眠っていた。

僕はと言うと__

 

「…////」

 

照れやら嬉しさやらで頭がパンクしそうだ。

もう僕のキャパシティの限界を軽く超えている。

 

正直もうどうしたらいいかわからない…この感情をどう表せばいいかわからない。

混乱しそうだ……それくらいの嬉しさと照れが僕の思考を縛ろうとしてるが、それ

に負けては拉致があかない

 

「……と、とりあえず///…とりあえず家の人にお礼を言おう」

 

花丸ちゃんをそっと離そうするとギュッと右手で征服を掴まれる。

…できればこのまま側にいてあげたいが、それじゃあいつまでたってもこのままだ。

少し罪悪感があるけど国木田さんの右手を離し、そっと布団に寝かせた

 

 

「……先輩」

「!…………寝言か」

 

本当にドキッと来る、止めてもらいたいね

 

 

 

 




後輩ばかりの話ですね笑
次は後輩メインではないので楽しみにしててください


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許嫁からのご褒美

最初に言っておく!……この話、前半面白くない気がする

それと、お気に入り100件超えてましたね。ありがとうございます!
ちなみにAUも1万超えてましたね。たくさんの方に読んで貰えてとても嬉しいです!
これからも暇つぶし程度に読んでいただけたら幸いです!


「ここがリビングかな?」

 

さっきまでいた和室を後にし、居間と思わしきドアをコンコンとノック

した。

 

「すみません、柴で_

「優奈!」

「グフ!」

 

すぐさまドアが開けられたかと思いきやいきなり押し倒されたよ。

一応怪我人なんだけど……犯人は…え?ダイヤ姉さん?

 

「どうしてダイヤ姉さんがここに?」

「ダイヤ、離れなさい。優奈君が困っているでしょう?」

「え!?…おばさんまでここに?」

「こんばんは、優奈君。六年ぶりですわね」

「お久しぶりです……いろいろ積もる話しがあるんですがとりあえず」

「そうね、ダイヤ!いい加減に離れなさい!」

「はっ!…す、すみません」

 

慌てた表情でダイヤ姉さんはすぐさま離れてくれた。

助かった…と言うか国木田さんのご両親も居たんだね、今気がついたよ

 

「娘さんは本当に彼が好きなんですね」

「あ!//…は、はしたない姿を見せてすみません///」

「全く…本当にすみません国木田さん」

「いえいえ、若さの特権ですよ。それより優奈くんだったよね?

こちらに座ってくれないかい?」

「は、はい」

 

僕は案内されたソファに座った。その隣にはダイヤ姉さん、向かいには

おばさんと国木田さんのご両親が…なんか緊張するな

 

「優奈くん、お茶とコーヒーならどっちが好き?」

「えっと…じゃあコーヒーで」

「わかったわ、ちょっと待っててね」

 

国木田さんの母親がキッチンまでコーヒーを入れに…少し申し訳ないが

ここはご好意に甘えよう。ちょっと喉が渇いているし…

 

と言うかあの人本当に母親か?随分若く見える。でも姉妹にしては離れす

ぎているようにも見える…やっぱり母親だと思う。

それにしても国木田さんと似ているね

 

「優奈君、花丸は確か君の部屋に行っていたはずだけど…?」

「くにき…花丸ちゃんなら今は布団で寝かせています。ちょっと心配かけ過ぎた

みたいで…すみません」

「そうだったのね。はいコーヒーどうぞ」

「ありがとうございます。いただきます」

 

僕はコーヒーを一口いただいて、ご両親とおばさんに向き直った。

やっぱりこう…緊張してしまうね

 

「優奈君、花丸を救ってくれて本当にありがとう」

「それは私もです。ルビィを助けてくれてありがとうございました」

 

そう言って国木田さん達三人は深々と頭を下げる

 

「い、いえ!僕の方こそ…こうして手当てしてくださってありがとうございました」

 

僕は手当てしてくれた事に感謝すると、三人共頭を上げてくれた

 

「そんな事は当然だよ」

「貴方はうちのマルちゃんとルビィちゃんを身を呈して守ってくれたんだもの…凄く

感謝してるわ」

「そ、そんな…僕は別に」

 

ここまで感謝された事もないから返しに困る…

特にこんな立派な人達に言われると余計にだ

 

「優奈君」

「は、はい」

「立派になりましたわね」

 

おばさんはニコっと笑って言ってくれた。

やっぱり似てる…ダイヤ姉さんと

 

「……そ、そうだと良いんですけど」

 

ダメだ、褒められ慣れてないから照れてしまう。どうもよそよそしい

感じでしか返答できない

 

「あらあら?自信がないんですの?」

「…いや、自信がないとかじゃないんです。照れてるだけです」

「ふふ、可愛いらしいところもあるのね?」

「……返答に困りますね//」

 

ダメだ…さっさと話を進めよう。どうにも苦手だ

 

「ところで逃走した人達はどうなったか知りませんか?」

「警察に通報したがまだ連絡は来ていないよ」

「そうですか…」

「君はこの事件の重要参考人だ。明日警察署で事情聴取を行いたいと

警察側は言っていたよ」

「わかりました…明日か」

 

チラっとダイヤ姉さんを見る。すぐさまニコっと笑ったので察してくれたらしい

 

「学校側には私から言っておきますわ」

「ありがとう」

「ふむ…もう夜も遅い。優奈君家まで送っていこう」

「ん?時間?」

 

自分のスマホを見ると時刻は…21時頃。あれ?もう定期船なくね?

 

「そう言えば優奈、自宅は何処ですの?」

「……淡島ホテル」

「「「「へ?」」」」

 

この場いる全員が全員が?を頭に浮かべているのだろう…顔にそう書いてある。

まあそうなりますよね

 

「えっと、沼津への引っ越し準備が終わるまでです

「…な、なるほど」

「納得しましたわ」

「でもそれだと定期船がないと…」

「そうんですよね……」

 

本当にどうしようか?

 

「それじゃあ今日は一日うちに泊まって行くといいわ」

「え?…いや流石にそれはご迷惑です」

「そんな事ないわよ、ね?」

「もちろん。我々は君に感謝しているんだ…せめてこれくらいね?」

 

ふむ…幸い教科書類は貰ったばかりだから明日の荷物に困る事はない。

でも着替えは……まあジャージあるから大丈夫と言えば大丈夫か。

でもな〜……

 

「黒澤さんもどうですか?もう遅いですし…ね?」

「そうですわね……じゃあダイヤだけお願いできますか?」

「え?私だけ?」

「ダイヤちゃんだけでいいんですか?」

「はい、ダイヤも優奈君の事が心配で心配で…だから今日一日くらいは

優奈君も近くにいる場所にいさせてあげたいんです」

「そうですか…わかりました」

「ちょっとお待ち下さいお母様!明日は学校がありますのよ!?

着替えも何も準備が整っていません」

「私が後で届けるから大丈夫よ。それでは国木田さん、ご迷惑お掛けします

が…どうかよろしくお願いします」

 

ちょっと待て、僕泊まる事が決定してない?

……まあいいか。ここで泊まらないとあそこまで言ってくれた国木田さん達に

悪い気がするし

 

「わかりました、それでは気おつけて」

「はい…そうだダイヤ」

「はい?」

 

おばさんがダイヤ姉さんを呼んで何やら耳打ちしてる。

少しニヤけた表情をしてるからロクでもない事吹き込んでる気がする

 

「それじゃあ」

「ちょっとお待ち下さいお母様!一体何を…」

「それではよろしくお願いします」

 

おばさんは姉さんの言葉に耳を貸さずに帰って行った

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

……で、まあ鞠莉姉さんへの連絡だのかな姉への連絡だの食事やお風呂だの

を終えて現在借してもらった寝室で一息ついてる

 

「疲れた…」

 

本当に今日は疲れた一日だったと思う。女子校に行って、出会い、再開を果たし、

拉致されかけた後輩を助けた。

……まあ他にも鞠莉姉さんにキスされそうになったり、かな姉にハグされたり、

ダイヤねえに抱きつかれたり…こんな濃い一日は人生で初だろう。

 

時刻は日付が変わる直前……疲れたしもう寝ようか。

寝るにもいい時間だろう_

 

 

コンコン

 

 

「ん?どうぞ」

「失礼しますわ」

「ダイヤ姉?」

 

ご丁寧にノックをして入って来たのはダイヤ姉さんだった

 

「となり…いいです?」

「うん」

 

ダイヤ姉さんは体育座りのように膝を曲げ、体重を僕に預けるよに傾いて座る。

お風呂上がりのシャンプーの香りが僕を変な気分にさせそうだが気にしない

事にしよう……

 

「……ありがとう…花丸さんとルビィを救ってくれて」

「…先輩ですから」

「先輩なんて関係ないでしょう?」

「………」

「貴方はきっと誰がピンチに陥ってもその手を伸ばすでしょう?」

「.…この手が届くかどうかは別として、全力で伸ばすと思う」

「ほら、先輩なんて関係ないでしょう?」

 

僕の事を見透かしてるかの様にフフっと得意げに微笑んで言うダイヤ姉。

ふむ……確かに関係ないかもしれない。でも_

 

「助ける理由には関係ないかもしれない…でも気持ちは違うと思う」

「……と言うと?」

「僕の中で特別何だ…国木田さんもルビィちゃんも」

「特別…それは一体どう言う意味ですの?」

 

冷静ながらも僕に寄りかかる力が強くなってるよ。

何か勘違いしてるようだ

 

「後輩に寂しそうな顔をされた時…黙っていられなかった。困ってるのと

は違う。僕があの娘達の笑った顔が見たいと思ったんだ」

 

僕は今日出会った後輩二人とルビィちゃんの寂しそうな顔を思い出す。

みんな別れ際には寂しげな表情をしたのだ。

何かできまいかと思った…結果、黒澤家に向かおうとしたのだ

 

あれ?なんか腕つねられてる?

地味に痛いよ…

 

「姉さん、腕をつねるのやめてもらえませんかね?」

「お断りしますわ!」

「……なぜ?」

「それは…その…一年生の三人の内、誰かを好きになったのですか?

だとすれば許せませんわ!」

「いや、そう言った感情は別だよ」

「……わかりましたわ」

 

少し心配そうな顔をしながらもつねっていた手を離してくれた。

ダイヤ姉さんに嘘なんてついた事ないから信じてくれたのだろう

 

「優奈…」

「ん?」

「貴方の中で私は特別ですか?」

 

……ああ…この不安気な表情を僕は知っている。

空白となっていたこの六年でダイヤ姉さんは変わった

 

昔のダイヤ姉さんはもっと甘えたで泣き虫だったんだよ?

でも今は、生徒会長と言う大役を担って、綺麗になって、凛としていて…

とても強くなったと思う。

 

……でも不安を感じる彼女表情は昔のダイヤ姉さんと何も変わらない。

これが彼女の今も変わらない“弱さ”だ

 

こんな表情をした時は__

 

「ダイヤ姉は僕の人生で一番最初に出会った特別な人だよ」

 

頭を撫でながら安心する一言を、これが昔から変わらないやり取りである

 

「そ、そうですか//」

「うん」

「では…」

「へ?__

「ご、ご褒美です////……どうですか?///」

 

ダイヤ姉は僕を抱き寄せ自分の胸に顔を当てたのだ。

や、柔らかな感触と何故か甘い香りまでする///

 

「………///」

「な、何か言ってください!//////」

「いや…えっと……柔らかいです///」

「そ、そうですか///」

「………///」

「………////」

 

沈黙、言葉が見つからない。このままではおかしくなりそうだ

 

「で、では、ここまでですわ//////!お、おやすみ!///」

「…………///」

 

ダイヤ姉は慌てて部屋を出て行った。

残った僕はと言うと…

 

 

「眠れるわけないじゃないか……///」

 

 

 

寝不足が確定した瞬間であった

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
今回の話を書くのはとても難しくて悩みました。
結果これです…………もう自分ではこんな感じでいいのかどうかわからないです。
ダイヤ姉さんの可愛いさが伝わっていればいいな…

それと年内に次回を投稿できればいいな…



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同級生の想い

新年明けましておめでとうとうございます!
今年もこの作品を暇つぶし程度に読んで頂けたら幸いです。

それとダイヤ姉さん誕生日おめでとうございます!(昨日)
ダイヤ姉さんの誕生日を祝して、番外編を書こうと思いましたが間に合いませんでした。ヨハネと同じくらい押しメンであるダイヤ姉さんに申し訳ないです……


おはようございます、柴 優奈と申します。

現在寝不足で眠いです。

しかし時刻は6時半、頑張って起きなくては……?

 

「すぅ……すぅ…」

「……」

 

…!?なぜ国木田さんがここで眠っているのだろう?

……天使の様な寝顔だ。少し眠気も覚めてくる様な素敵な寝顔だ。

さて、起こした方がいいだろうか?と言うかなぜここで国木田さんは

眠っているのだろう?

 

……まあ理由は後で聞くにしてどうしようか?

 

コンコン

 

『優奈起きていますか?』

 

ダイヤ姉さん!?不味い!このままではあらぬ誤解を生んでしまう!

どうする?考えろ!考えるんだ柴くん!布団に隠すか?

 

「起きているよ姉さん!ちょっと待って!」

『はぁ?…わかりましたわ』

 

よし!無理があるが布団に隠そう!そしてさりげなくダイヤ姉さんを

向かいいれて

 

「ふぁ〜……あれ?先輩?…むぐ!」

 

ギャァァァァァァァァァァ!!

バッドタイミング!

 

僕は慌てて国木田さんの口を塞ぎ声を出せないようにした。

ごめん!申し訳ないけど僕の未来がかかってる

 

 

『む!…優奈!今花丸さんの声がしませんでしたか?』

「い、いや?気のせいじゃないかな?」

『…………怪しいですわ!問答無用で失礼しますわ』

「あ……」

 

 

神様…どうか僕に誤解を速やかに解く力をください

 

 

 

 

 

 

「う、う…浮気ですわぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

この後国木田さんが誤解を解いてくれたので何とか助かった。

どうやら夜中トイレで起きてそのまま僕のいる部屋に来てしまったらしい。

え?あるある?……いやいやそんな事ないでしょう

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

数時間後__

 

 

 

現在僕は警察の取り調べから解放されて浦の星の校門前です。

そしてまず思った事があります…やっぱり浦の星の校門通るのが嫌です!

 

だって男子生徒僕しかいないもん!しかも警察の取り調べ終わってからこ

の学校の校門通るんだよ?寝不足と慣れない警察の取り調べを受けて現在

 

眠い、帰りたい……けど、そうもいかないのでおとなしく学校に入って

自分の教室を目指す。はぁ………一歩ずつ進むごとに足取りは重くなる。

仕方ないじゃないか…クラスの人達がいい人達だって言うのはわかってる。

それでも女子だらけのクラスに行くのは緊張するんだ

 

いざ辿り着いた教室前のドア、昨日みたいに地獄のドアまでいかないが

このドアは僕にはまだまだ重く感じる

 

しかし立ち止まってもいられない。勇気を出して開いた扉の先に待ってい

たのはクラスの人達と授業中の先生。

当たり前と言えば当たり前の光景だ。でもその光景の中にとても心配そうな

目で僕を見つめている三人がいた

 

「……おはようございます、先生。ただ今戻りました」

「おはようございます、柴くん。事情は聞いているから大丈夫!席について」

「はい」

 

 

僕は自分の席を向かう。隣は梨子、その後ろには渡辺さんと高海さんが。

嫌でも表情は鮮明に見えてくる

 

ああ……僕が強ければこんな表情させずに済んだのだろうか?

こんな事を考えても仕方ないのに___

 

 

 

 

 

 

 

午後最後の授業を終え、帰りのHRも終えた。僕がここに来る時には午後3時

頃だったので今日の授業はあっという間に終わってしまった。

 

そういえばお昼食べてないな…まあ疲れてるせいか食欲はない。

よって問題ない……健康的には良くないけど。

俯きながら、そんな事を思ってる僕の前に人影が…顔は見る前に予想できる

 

「優奈」

「梨子…」

「……話し聞いたよ」

「うん」

 

昨日の出来事…先生方も把握しているのだ。きっとこの学校の生徒の大半は

知っているのだろう。ただでさえ唯一の男子として有名なのだ。

もう全校生徒が僕の事を知っていると考えていい

 

 

「心配……したよ」

「ごめん」

「こんなに怪我もして…ボロボロじゃない」

「あはは……」

 

梨子は目に涙を溜めながら…悲しさと怒りと喜びを含めているかの様な、とても

複雑な感情が入り混じった声で言う。気が着くと周りにクラスメイトはいなかっ

た。教室には僕ら二人の声しか響かない…そんな状況にいつの間にかなっていた

 

「でも…花丸ちゃんもルビィちゃんも、優奈も…三人とも帰って来てくれて

本当に良かった…良かったよ」

「心配してくれてありがとう……でも何とか無事?いや、怪我したから無事とは

言えないか…」

「そうよ…全然無事なんかじゃない…」

 

 

…少し上ずった声で、泣いている声で梨子は言葉を発する。

こんな女の子を、僕を大事に想ってくれている人を、僕のために泣いてくれて

いるこの娘を…ただ座って見ている何てできない

 

 

________________________________こんな気持ち初めてだ

 

 

僕にこんな事をする資格はないと思う____それでも

 

…それでも目の前で、僕のために泣いてくれている女の子を放ってなんて置けない。

だから僕は席を立ち梨子と向き合う。そして___

 

「優奈…?」

「泣かせて、ごめん」

 

 

人生で初めて自分からから女性を抱きしめた

 

 

僕がこんな事する資格はないと思う。僕は梨子の恋人でもなければ何でもない。

只の同級生、只の友達…それでも僕のために泣いてくれている梨子にできる事。

こうしてお互いの体温を感じる事が、抱きしめる事が一番安心する気がした。

ただ気がしただけ、根拠何て微塵もない

 

根拠とか、資格とか……そんな事を考えたところで僕の足は止められなかった。

ただ放って置けなかった…泣いてる女の子を前に僕の気持ちは冷静ではいられな

かった。溢れ出る気持ちを、感情を抑える事は出来なかった……

 

 

「僕はここにいる…怪我しちゃったけど、ちゃんと君の目の前にいる」

 

 

僕の胸にうずくまっていた顔を上げ、目と目が合う。君の目に、僕はどう映っているのだろう?

まだ目尻に涙を溜めている君の目に僕はどう映っているのだろう?

何せ、いきなり抱きつく何て初めてだ。梨子がどう思うか何て全く想像つかない

 

ただ僕は梨子に安心してほしいだけ__

 

その涙を止めたいだけ__

 

今はただ…それだけを願う

 

「…………」

「…………」

 

 

沈黙_____________

 

 

まるで時が止まっているかの様な沈黙

 

 

しかし、こんな状態が続くわけもなく、この沈黙は梨子の一言で破られる

 

 

「……優しいね」

「優しい…か……どうだろう?」

 

こんな行動が優しさと呼べるのだろうか?僕はただ願うだけだ。

ただ願いが叶う様に祈りながら行動しただけ

 

「優しいよ……優しすぎて………このままじゃ勘違いしそう」

「勘違い?それって…」

「……ダイヤさんがいるのに…許嫁がいるのに、こんな事していいの?」

 

なんで梨子が知って?…ああ…昨日の会話か。

 

僕とダイヤ姉さんの関係、それは単なる幼馴染ではなく許嫁と言う関係。

許嫁、それは必然的に将来結婚を約束した間柄である事を証明した言葉。

恋人とはまた違う、とても特殊な関係である

 

「…ダイヤ姉がこの状況を見たら怒るだろうね」

「なら_____

「関係ないよ。確かに僕とダイヤ姉さんは許嫁と言う特殊な関係である事は事実。

でも、だからってダイヤ姉さんが僕のお嫁さんって決めて良い事じゃない」

「……?…それって?」

「僕は、僕が好きになった人と恋をしたい」

「……へ?」

「____________それが誰かはまだ分からないけど」

「……そう…そっか……………じゃあまだ私も…」

 

 

今の梨子はもの凄くホッとした表情をしている…ダイヤ姉さんと僕の関係をそん

なに気にしていたのだろうか?それに元気も戻った様に見える。

 

僕の大胆な行動が良かったのかどうかは謎だ。でも暗い表情をしていないのらそれ

でいい。今はそれでいい……

 

10秒くらいの沈黙の後、梨子は一歩僕から離れて柔らかな笑顔を見せてくれた。

ああ…僕の願いは叶えられた様だ

 

 

「ふふ…ありがとう」

「いや、感謝するのは僕の方だよ……"こんな僕"のために心配してくれる何て」

「…………」

 

あれ?ムスッとしてる。なんでだろう?

 

「“こんな僕”とか……もうそんな事言わないで」

「え?…いや、でも____________

 

 

僕の言葉は梨子の人差し指によって静止させられた

 

 

「優奈はカッコイイよ///…だから自分を蔑む様な事言わない方がいいと思う」

 

 

指がゆっくりと離れ、僕の唇は解放される。今僕はどんな顔をしているだろう?

何と言葉を返せばいい?思考が回らない…顔が熱い……

 

 

思考は回らないけど、感情的にわかる事が一つ。

 

 

ほんのりと頰を染め、上目遣いでカッコイイと言われたとき、僕の時間は止まった。

 

 

その僅かに動く仕草が、表情が、僕を見つめる目がとても魅力的で

 

 

__________見とれてしまった

 

 

「あ、えっと////…なるべく気をつけるよ」

「うーん…まあ今はそれでいいよ。じゃあみんなの元へ行こ」

 

ハッとなって何とか返答した。とてつもない魅力だ……心臓がうるさい。

顔が熱いのは教室に入り込んだ夕日のせいだ……

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

私……諦めなくていいんだよね?優奈のこと好きでいて良いんだよね?

 

ああ……ああ……良かった…本当に良かったよ

 

ライバルは…多いんだろうな…

 

ダイヤさんに、果南さんに、きっと鞠莉さんも……もしかしたら他にも…

 

いつも内気な私だけど、地味だけど、それでもこの恋は実らせたいなぁ

 

 

 

 




ああ……ダイヤ姉さんの誕生日回書けなかった。本当にショックです。
一応ダイヤ姉さんがメインヒロインなのに……

さて、次回は……どうしよう?二通りの進め方が僕の中であるので、少し投稿に時間がかかるかもしれません。それとこの作品の方向性が完全に決まりそうなので、次回を投稿するときタグが少し変わるかもしれません。それに伴い少しこの作品についてお話ししようと思います。
本当は今すぐ説明するべきなのですが、まだちょっと考えてる事があるのでもう少しお待ちください



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知らない同級生

こんにちは!タグを少し変更しました。
それと前回言っていた説明に関してですが、それは後書きに書いてます。


「お待たせしました」

「失礼します」

「ようやく来ましたね」

 

僕は梨子との話を終えて、今スクールアイドル部の部室に到着。

テーブルには梨子以外のメンバーが自分の定位置と思われる席についていた

 

「柴くん、怪我は大丈夫なの!」

「うん、大丈夫じゃなかったら今ここにはいないよ」

「そっか…じゃあ話を進めてもいい?」

「もちろん、そのために来たんだから」

「皆んなは柴くんにスクールアイドル部、入って欲しい?」

 

さあ…どうなるか。僕は皆んなが望むのであれば速決すると約束した。

多分もう全員その事を把握しているだろう。

 

「私は賛成ですわ」

「マリーも!」

「私も優奈にいて欲しいな」

 

ダイヤ姉さん、鞠莉姉さん、果南姉さんが答える

 

「ヨハネも貴方がここで堕天する事を許可するわ!」

「マルも入って欲しいずら」

「私も…優奈が隣いてくれた方が…」

 

ヨハネ、国木田さん、梨子が答える

 

「えっと……優奈さん」

 

……ルビィちゃんが国木田さんの背中に隠れずに、僕と向き合ってる。

驚いた……男性恐怖症なのに…手が震えてるのに……

 

「昨日は助けてくれてありがとうございました」

「いやいや、ルビィちゃんと国木田さんが無事で良かったよ」

「それで、その……」

「うん?」

 

モジモジするルビィちゃん。手が震えながら、少し泣きそうになりながら…

それでも僕に自分の意思をはっきりと伝えようと頑張ってる事が伝わってくる

 

「その…ルビィ男性恐怖症なんですけど……それでも優奈さんは他の男の人と

違って、優しくて……だから…」

「ルビィちゃん!頑張って!」

「えっと……男性恐怖症も克服したいですし…それに優奈さんの事をもっと知れ

たらなって……だからルビィも優奈さんにマネージャーをお願いしたいです」

 

………いつもダイヤ姉さんか母親の背中に隠れていたこの娘が僕と向き合って

自分の気持ちをはっきりと…ああ________こんな日が来るなんて

 

「ようやく…ようやく向き合えた」

「え?」

「人見知りで、男性恐怖症なのに………よく頑張ったね。嬉しいよ」

 

ルビィちゃんにこんな事して大丈夫かわからないけど、僕はルビィちゃんの頭に

手を当ててなでなでしていた。こうしたくなったんだ…

 

「ふゅ……//」

「ありがとう。ルビィちゃんの気持ち、伝わったよ」

 

なでなでしているけど嫌そうな感じではない。良かった。よくよく考えたら男性恐怖症

なのだからいきなりこのアクションはまずいかなと思ったけど大丈夫そうだね。

 

…さて、そろそろ手を離して後2人の意思を聞くため僕は2人のいる席を振り向く

 

「もちろん私からお願いした事だもん!答えは決まってるよ」

 

無邪気な笑顔せ肯定を示す高海さん。…なんだか純粋無垢って感じがする。

是非とも変な知識は覚えないでもらいたいと思う。こんな感想どうでもいいか。

 

それより最後だ……正直渡辺さんとルビィちゃんが予想つかなかった。結果的にルビィ

ちゃんは僕を望んだ。後は渡辺さんだ

 

 

「千歌ちゃんが言うなら私も!」

 

 

「……………………」

 

 

 

「じゃあ決まりだね。これで優奈は正式にAqoursのマネージャーだね!」

「やった!きっと君がいればAqoursはもっと羽ばたける!きっと今よりももっと輝ける!

そんな予感がするんだ!」

 

高海さんは希望に満ちた表情で右手を差し出す。この娘は僕をなんだと思っているのだろ

うか?過度な期待を抱きすぎている…正直大して力になれる自信はない

 

それでも僕がこの手を取れば、僕は晴れてAqoursのマネージャーとなる。

それが約束、どれだけ過度な期待を抱いていても関係ない。約束だから____________

 

 

 

 

………でも

 

 

 

 

 

「優奈?……どうしたの?どうして手を取らないの」

「………………」

「柴くん?」

 

「ダメだ………」

 

「へ?」

「どうしたのです?」

「どうしてダメ何ですか?」

「そうよ!先輩私と約束したじゃない!私達全員が望めばAqoursに力を貸してくれるって!」

 

「……うん、確かに約束したよ」

「なら__

 

「でも、それは自分の意思であって欲しいんだ」

 

「……なるほどね」

「鞠莉ちゃん?」

 

鞠莉姉さんは分かってくれたようだ。他の人が疑問を抱く中、なぜ僕がダメだと言ったのか。

答えは鞠莉姉さんの視線の先を見ればわかる

 

「え?……鞠莉ちゃん?」

「ヨウ、貴方さっき何て言った?」

「え?千歌ちゃんが言うなら私もって…」

「それよ、ユウナが言っているのは」

「え?」

 

「渡辺さん、君は君自身の意思で言ってない。君は高海さんを尊重してるだけだ」

「あ……」

「僕は君自身がどう思ってるか聞きたいんだ」

「私は…私は正直わからないんだ。だって柴くんの事、まだ全然知らないし……」

 

 

…………多分一番まともな意見だと思う。ですよね、としか思えない。

 

許嫁、幼馴染である三年生組、東京で出会った梨子は僕の事をある程度知っている。

ヨハネと国木田さんは話す機会があった。ルビィちゃんは僕の事を知りたいと言って

くれた。そして望んだ

 

高海さんは…………うん。僕のことを何も知らないはず。きっと直感でマネージャー

になって欲しいと思ったのだろう……僕も高海さんの事をあまり知らないから断言は

できないけど。しかし事の発端は彼女だ。彼女が望んでマネージャーの話が出てきた

んだ。間違いなく彼女は僕がマネージャーになって欲しいと思ってる

 

でも渡辺さんは違う。僕とまともに話し合った事もないのはもちろん、高海さんの様

に直感的にマネージャーをやってほしいとも思ってない。多数派の感性だと思う。

 

「あ、でも柴君にマネージャーをやって欲しくないわけじゃないんだ。だから千歌

ちゃんの意見に乗っかってもいいかなって……別に嫌なわけじゃないし」

「でも、マネージャーをやって欲しいかって言われると?」

「うーん……私はどっちでもいいかな?」

「そんなー曜ちゃん!」

「あはは…」

「では、曜さん。これを機に優奈の事を知れたらいいとは思いませんか?」

「………うーん、私も柴くんの事を知れたらいいなとは思うよ?」

「じゃあ…」

「でもさ……じゃあマネージャーをやって欲しいかって言われるとまた別かなって」

 

ごもっともだ。彼女の感性は間違ってなんかいないと思う。

 

だって…

 

「僕らは互いの事を知らなすぎる、そう思ったって何ら不思議じゃない」

「うん、だから私は望まない。まだ君の事、全然知らないから。でも拒んだりもしない。

だからさ、柴くんはどうしたいの?」

 

……僕がどうしたいか…それは僕の視線の先に答えがある。ここにいる皆んなも僕の視線

の先を見る。初めてこの部室に来た時、その時見たホワイトボードに書かれた目標…いや願い

 

 

『輝きたい!』

 

 

「これは君達全員の願いなんだよね?」

「うん!これがAqoursの願い!私達輝きたい!」

 

9人の表情を見渡す。皆んなを見る限りこの言葉が本気だと伝わってくる

 

「……俺も、君達の願いを叶うよう手を貸したい」

「じゃあ決まりだね!次こそはちゃんと私の手を取ってね!」

「はは……その前に一ついいかい?」

「あれ?」

「僕がこの部に正式に入部するのは、渡辺さんが僕にいて欲しいと望んだら、これが

正式入部の条件。それまでは仮入部でお願いします」

 

「う〜ん…わかった!他の皆んなは?」

「仕方ないね」

「えー…まあユウナがそう言うなら」

「私もいいですわ」

 

高海さん、果南姉さん、鞠莉姉さん、ダイヤ姉さんが

 

「マルも先輩が言うならそれでいいずら」

「ルビィも!」

「………はぁ…しょうがないわね」

 

国木田さん、ルビィちゃん、ヨハネが

 

「私はそれでいいよ?」

「なんか謎の責任を感じるけど…まあ、とりあえずこれからよろしくね!」

「よろしくね、渡辺さん」

 

梨子と渡辺さんが、これで決まった

 

「よし!じゃあこれが三度目の……なんだっけ?」

 

高海さん……思わずずっこけそうになったよ。心の中で

 

「正直ね、三度目の正直」

「そうそう!それだよ!三度目の正直!……じゃあ、はい!これからよろしくね!」

 

3回目の差し出された手。三度目の正直、まさにこのことわざがぴったりだろう。

やっと僕もその手を取れる

 

 

「よろしくお願いします」

 

 




いかがでしたでしょう?
今回は可愛いらしい要素がほぼないのでちょっと物足りない感じがしたと思います。僕も物足りないのですがここらで切らないとタイトルをどうすればいいのかわからないので許してください。

さて…前回も言った通りこの場を借りて少しこの作品について話そう……と、思ったんですけどやめます。

本当はこの作品の方向性だとか、どれくらい行き当たりばったりだとか、細かい設定等を説明しようと思ってました。でもそれは、この作品を読んで行けばわかると思ったのでやめにしました。
この作品について質問等があれば、感想でお書きいただければ答えます。もちろんネタバレは答えられません。例えば時系列や、アニメに沿って進むかどうかなど……そんな感じです。質問があまりに多いようでしたら活動報告にまとめようかなとも考えてます。

作品についての感想、質問等をお待ちしてます!書いてくれたら嬉しいです!気づいたらなるべく早く返信しますので!ではでは!






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幼馴染と保健室

 

 

「よし!じゃあ練習しよう!」

「千歌ちゃん?その前に曲作りよ。歌詞…できた?」

「……えーと…」

「で・き・た・の?」

「できてません!」

 

おお…梨子が怒ってる。圧力が凄い

 

「じゃあ今日は曲作りにましょう」

「班に分けようか?」

「そうね」

「じゃあ、作曲、作詞、衣装ネ。二年生は別れて、他はどうする?」

「マルは作詞で!」

「ヨハネは旋律を創作するわ」

「ルビィは衣装かな?」

「ワタシハmusicで!」

「うーん…歌詞の方がまだできるかな?」

「じゃあ私は衣装に行きますわ」

 

みんなそれぞれ自分の担当する班が決まってゆく。あれ、僕は?

 

「じゃあユウナは作曲班にしましょ!」

 

作曲か……うーん、あんまり力になれる自信ないかな?

 

「ちょっと待ってよ!作曲は難しいから優奈は歌詞にしようよ!」

 

歌詞…ふむ。まだ作曲よりかはまだできるかな?……確信はないけど

 

「お待ちください!衣装を作るのには人手が多い方がいいです!ですから

優奈は衣装班ですわ!」

 

衣装か……簡単な作業しかできないかな?難しいところはちょっと…

 

と言うか見事なまでに学年ごとにバラバラだね。まあ三年生がバラバラに

なると喧嘩が始まりますよね。知ってました

 

「ヨハネがリトルデーモンに命ずるわ!貴方は私と一緒に旋律の創作をす

ることを!言っておくけどこれは命令だから拒否権はないわ!」

「えー…作曲の力になれるかって言われたらちょっと…」

 

…ん?梨子に腕を掴まれ、上目遣いで何かを訴えてる。

一体何を_____

 

「側にいてくれるだけで充分だから…」

「…………」

 

「先輩鼻血!鼻血出てるずら!」

「え?優奈?」

「ああ…ごめん。大丈夫大丈夫、ちょっとキャパシティオーバーを起こして…」

「大丈夫?保険室に行きまショ」

「お待ちください!何をサラッと優奈を連れてこうしてるんですか?鞠莉さん?」

 

えー……僕鼻血出してるんですけど。そんな事言ったら

 

「どうしたのダイヤ嫉妬fireしちゃった?」

「違いますわ、ここは許嫁であるこの私が優奈を保険室に連れて行くべきですわ!」

 

ダイヤ姉さん、許嫁を強調してる……と言うか許嫁だとか幼馴染がどうとかどうでもいい!

早く保険室に言ってティッシュを……

 

「優奈大丈夫?はいティッシュ」

「ありがとう…」

 

梨子の優しさが身にしみる…こうなった原因も梨子だけどね。

と言うかもう一人で保険室行っていいですか?

 

「もう一人で保険室行ってくるね」

「ちょっと待ってよ」

「ん?何果南姉さん」

「保険室の場所わかるの?」

 

……しまった、よくよく考えたら保険室の場所知らない。

 

「図星みたいだね、行こ!」

「え?ちょ……」

「え?果南さん?」

 

僕は果南姉さんに腕を引かれそのまま部室を後に。後ろから後輩たちの抗議が

飛びかってるけど、僕も状態が状態なのでこのまま果南姉さんに任せよう。

言い争ってるダイヤ姉さんと鞠莉姉さんは知らない……

 

 

 

 

 

 

 

「そこに座って」

「あ、うん」

「えーと、とりあえず下は向いてるから…後は冷やさないと」

 

僕は保険室のベッドに座って果南姉さんがタオルを絞ってくれる。

…こう、改め見ると成長したなと思う。いろいろと……

 

「はい、これでちょっと冷やせば止まると思うよ」

「ありがとう…」

 

タオルを手渡してくれた果南姉さんは僕の隣へ腰掛ける。座るのはいいんだけど

これまた近すぎる。女性特有の香りが襲ってくるからやめてもらいたい…

 

「……二人きりになれたね」

「そ、そうだね………」

「ねぇねぇ…」

 

ふと、立ち上がり僕の前でヒラリと回るかな姉。スカートもヒラリとして中身が

ギリギリ見えない際どいライン……ハッ!…ああああ!もう!どうした俺!僕!

あれ?もう一人称すら不安定だ……

 

「どう?六年ぶりに見た私は///」

「へ?…えっと///……とても綺麗になったと…思います//」

「そ、そう//……へへ//」

 

あれ?さっきよりティッシュが赤く染まっているような…?

いや、仕方ない。昔と変わらない無邪気な笑顔を見てたらなんだかドキマギして

しまうのだ。僕の立場になればわかる。そう断言できるほど魅力的だ

 

「その感じだと私のこと、ちゃんと女の子として見てくれてるんだね!」

「そ、それはまあ…//」

「ふふ…じゃあさ…………」

「え?ちょっと……」

「こんな事したら//……ドキドキする?」

 

かな姉は僕をベッドに押し倒して制服の襟を少しはだけさせる。

少しだけ見える綺麗な片肌は僕の理性を襲う。そのまま少しずつ、少しずつ胸の部分へと

かな姉の手が降りて行く。その姿を僕はドキドキしながら見つめてしまっている。頭では

ダメだとわかってる!わかってるけど…わかってるけど…

 

「ブッブー!ブッブーですわ!」

「げっ…いいとこだったのに」

 

ナイスタイミング……危なかった!本当に危なかった!ギリギリ理性を保てて良かった

 

「は、破廉恥ですわ//果南さん!ここは学校ですのよ!節度を持って行動して下さい!」

「ああ、はいはい…」

「ちょっとダイヤ!……って果南?」

「鞠莉まで…」

「あらあら果南もユウナにオ・ト・ナの魅力でアタックしてたのね?」

「何が大人の魅力ですか!それは破廉恥と言うのですわ!」

 

いやいや、昨日「ご褒美ですわ!」って僕の顔を自分の胸に当てた人が何を言っている

のだろう?あれも破廉恥と言うだろう。断言する。

 

「なーに、ダイヤ?まあダイヤはちょっと私達と比べたらスレンダーだから?どうにも

オトナの魅力に欠けるわよね?」

「なっ!……言わせておけば…!」

「まあまあ…鞠莉もダイヤもそこまでにしておきなよ?」

「誰のせいだと思ってるんですか!」

「え?私のせいなの?」

「そりゃそうでしょう!元はと言えば貴方が悪いのではないですか!破廉恥な行為に

移って殿方を落とそうなど片腹痛いですわ!」

 

………まあツッコミどころあるような、ないよな……そんな気がするけど同意だね。

まあ流されそうになった僕も僕なんだけど…

 

「ねぇねぇ…2人が言い争ってる間にさ」

「何?」

「私とキスしよ?」

「へ?」

 

何を言っているのだろうか?キス、きす、Kiss?

いや接吻…どれも同じか

 

「いやいや、何言ってるの////」

「……私とキスするの…嫌?」

 

上目遣い…ヤバイ////

……断言しよう。世の中の男性の99.9%はここでキス

してしまうだろう。僕も思考が…いや!ダメだダメだ

 

「…ふふ……顔赤いね////」

「か、かな姉だって////」

「はは//…じゃあ…いただきま____

「果南さん?」

「げっ…あとちょっとだったのに」

 

ああ……デジャヴ

 

口喧嘩はまだまだ終わりそうにもない…

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「ね、ねえルビィ!?先輩がダイヤの許嫁ってどう言うこと?」

「ま、マルも聞きたいずら!」

「え、えー?」

 

残った一年生、二年生は許嫁の件をルビィちゃんに尋ねていた。

まあ中々許嫁って立場の人がいないだろうから気になるよね。

でもあの焦り用は…

 

「そ、そのままの意味だよ。お姉ちゃんは優奈さんの許嫁だよ?」

「いや〜まさか柴くんに許嫁がいたとは…」

「しかも相手はダイヤさんでしょ?美男美女だね」

「ルビィちゃんは婚約相手とかいるの?」

「いえ、ルビィにはいません。許嫁は代々黒澤家の長女か長男に課せらられる

ものなので……」

「課せられるって…それって自由に恋ができないって事だよね?」

「そんな…酷い……」

 

私が気になっていたこと。それは親の強制的な力が働いているのか。例え優奈

が自分の好きな人ができたとしても……もし強制的な権力が働いてるなら!

 

「いえ、みんな顔が強張ってますけど…実はそこまで厳しくないです」

「え?」

「どう言う事ずら?先輩もダイヤさんも無理矢理…」

「ううん、違うよ。許嫁って聞くと親がって思っちゃう人も多いみたいだけど

お姉ちゃんは自分で決めたの」

「自分で決めた?許嫁を?」

「うん、小さい頃にお姉ちゃんが決めたの。優奈さんを許嫁にするって」

「ええ!そんな事ができるの?」

「できた見たいです……ルビィも詳しい事情はわからないんですけど」

「そ、そう…」

 

無理矢理決められたわけじゃないのならいいけど……

 

それよりも、まだまだ私の知らない優奈がいるんだな……そもそも許嫁がいるなんて

東京にいた頃は知らなかったし………

 

「まさかリトルデーモンはすでに契約を交わした身だなんて……」

「先輩……」

「……なるほど」

「どうしたの曜ちゃん?」

「いや、ちょっとね…それより千歌ちゃん?そろそろ歌詞作らないと」

「そ、そうだった…」

「そろそろ戻ってこないと全然進まないで終わっちゃうよ…」

 

全く…幼馴染か……優奈のバカ

 

「お待たせしましたわ…」

「ごめんねー」

「ソーリー」

「なんか疲れた…」

 

あ…!ようやく戻って来てくれた。優奈…

 

「大丈夫?優奈…」

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

 

ああ……彼の優しい笑顔を見ると酷く安心する。

 

やっぱり………好きだなぁ…

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

……?昨日の梨子は何処か様子が変だったけど…今の感じ

だと大丈夫かな?それよりもヨハネと国木田さんが落ち込

んでる気が…て言うか難しい表情をしてる

 

「さて、じゃあ分担して作業を始めましょう。優奈は衣装

係で!」

「ちょっとダイヤ、何さらっと優奈を自分の所に入れよう

としてるの?」

「そうよそうよ!ユウナを1人占めにしようったってそう

は行かないわよ!」

 

ああ、拉致があかないな…このままってわけにもいかない。

……僕が決めようか

 

「ダイヤ姉さん」

「はい!?優奈も衣装がいいですわよね!?」

「悪いけど衣装は力になれる自信がない。作曲も同様。だから歌詞でいいかな?」

「そ、そんな……ぐぅ……優奈がそう言うなら………仕方ありませんわね」

「ツマンナイデース!」

「ふふ、私を選んでくれんだね?はい!喜びのハグ!」

「え!?ちょ///」

「果南ちゃん!?大胆すぎるよ!」

 

高海さん!感想述べてないでどうか助けてください!果南姉さんは無自覚すぎるんだ!

こう言ったスキンシップはお年頃の男子には毒だと言うことを!

 

「えへへ///」

「えへへ、じゃないよ////」

「ブッブーですわ!」

 

はぁ…はぁ…助かった。ダイヤ姉さんが僕らを離してくれたおかげで何とか理性が殺さ

れる前に脱出できた……もう少しで下半s…ゲフンゲフン。何でもない

 

「か〜な〜ん〜さーん?貴方はまた私の優奈に…」

「ちょっとダイヤ?誰が誰のユウナだって言ってるの?」

 

ああ…またこれか……

 

「あはは……柴くんってモテてるんだね?」

「渡辺さん………うーん…」

「優奈は否定できないでしょ?」

「……まあ」

 

正直モテてないと言えば嘘になる……かな?梨子は知ってるだろうけど。

 

「月に一回は告白されてたんじゃない?」

「流石にそれはないよ…」

「へ〜…モテると大変だね!」

「…………返答しづらいね」

 

大変と言えば大変だったなぁ…それで事件も起こったし。

あ、ちなみに梨子はこの事件の事を知らないけど。

 

「…………」

「本当に大変だったんだね」

「あれ?顔に出てかな?」

「うん。曜ちゃんの目はごまかせないのだ!」

「さいですか…」

 

 

思い返せば____________いや、やめよう

 

こんな事を思い返して顔に出てたら大変だ。それで梨子に問い詰めらたら

最悪の事態になるかも知れない。この事件についてはまた後ほど……

 

「……はあ、どうなる事やら」

 

三人の喧嘩を見てたら先が思いやられる

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょう?
果南姉さん可愛かったかな?

今月中に次を投稿したいなと思ってます


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幼馴染とデートの約束

ちょっと期間が空いてしまいました、すみません!
1月中に投稿するつもりが、ちょっとお話が変な方向に進みかけてしまったので……その修正に時間がかかってしまいました。申し訳ないです。





あらから何とか喧嘩は収まり今現在_

僕は作詞のため高海さんの家の前にいます

 

「ここが高海さんの家…まさか旅館だったとは」

「びっくりした?」

「うん…結構驚いたよ」

 

ご立派な家だ……僕の元いた家とは比べ物にならない。

まあ鞠莉姉さんの家と比べたらあれだけど、それでも十分だ

 

「さあ行こう!ただいまー!」

「お帰り千歌ちゃん」

「「お邪魔しまーす」」

「いらっしゃい、果南ちゃん、花丸ちゃん……あら?」

 

ドアの先にいたのは高海さんのお姉さんと思わしき人物。

高海さんと似た顔立ちに、おしとやかな雰囲気、何より美人だ。

内浦って美人だらけだね……

 

「初めまして、先日から浦の星に通っている柴 優奈です」

「あら!貴方が…千歌ちゃんから聞いてるわ。高海 志満です。随分イケメンさんね」

「そ、そうでしょうか//……あ、ありがとうございます//」

「ふふ…何もない所だけどゆっくりしてってね」

「はい…っ〜!」

 

なぜ腕をつねられるのだろう?しかも両腕……何で国木田さんまで?

 

「優奈のバカ…」

「……ずら」

「あらあら…両手に花ね」

「はは……」

 

刺々しい花だね。できればもうちょっと優しい花がいいな…

 

「ほらほら三人共早く行くよ!」

「お邪魔します」

 

僕らは急かされて高海さんの部屋へと向かう……はずが僕は

お姉さんに呼び止められた。

 

「ねえ?…えっと優奈くん…だっけ?」

「はい」

「好きな子はいるの?」

「……恋愛的な意味でしょうか?」

「もちろん」

 

ですよねー…まさかお姉さんにそんな質問されるとは予想外だ。

純粋な疑問なのだろう。元女子校に立った一人の男子。

そうなると男女関係が気にもなるのだろう。

 

お姉さんの顔はニヤニヤしてるけど…半分はからかっているのだろう。

少し尺だけど……まあいい機会かもしれない。

 

「……」

 

ふと目を閉じ、自分自身に自問自答する。

 

(今の俺は恋をしてるのだろうか?今目を閉じれば誰か心の中に

思い浮かんでしまうのだろうか?……)

 

「…………」

「……?」

 

 

思い浮かんだものは____________

 

『何して___________』

『これは____________』

 

『それさ________________________

 

 

 

 

「…………少し考えたんですけど、どうやら僕はまだ恋はしてないようです」

「そう……」

「では、僕はこれで」

 

僕は高海さんの部屋に向かうためお姉さんに背を向けた。

そこで不意にお姉さんが口を開く

 

「ここで素敵な恋ができるといいわね」

「…………そうですね」

 

それだけ言い残して僕は高海さんの部屋へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

「ここかな?」

 

僕は高海さんの部屋と思われるドアの前に立つ。

久しぶりの女子の部屋。なんかやけに緊張する…

ドキドキしながらノックをする

 

『入っていいよー』

「お邪魔します」

「遅いよ優奈!何話してたの?」

「ただの世間話しだよ」

「本当ずら?さっき志満さんと話してた時の先輩」

「顔、少し赤かったよね?」

「…記憶にございません」

「優奈?私の目はごまかせないよ?」

 

どうしよう?逃げ道がない。くっ…仕方ないじゃないか。だって美人だし?

おしとやかだし?しっかりしてそうだし?なんか大人の魅力と言うものを

感じてしまったんだ!きっと全国の男子が僕と似たような事を感じるはずだ!

 

「そんな優奈にはお仕置きが必要だね?」

「なっ…一体何を……」

「後でのお楽しみだよ…フフ」

 

イタズラする表情で果南姉さんは不敵に微笑む。一体何を企んでいるんだろうか?

 

「でもとりあえず…」

「え?…」

「最初はハグだよ♫」

「え、へ///」

「ずら!?」

「大胆だねぇ〜」

 

だからいろいろ当たってるんだよ!///理解してるの?

本当に…本当にかな姉は////……

 

「かな姉///国木田さんと高海さんも見てるから////」

「…?皆んな私がハグしてる姿何て見慣れてるから大丈夫だよ」

 

そう言う問題じゃない!僕男子!男の子ですから///

かな姉さんみたいなスタイルの女性は特に不味いんです!

思春期の僕には刺激が強すぎる////……

 

「果南さん、先輩」

「ん?」

「そろそろ…作詞始めるずら」

「……そ、そうだね」

「あはは、ごめんねマル」

「それと…後で先輩にお話があるずら」

 

今の国木田さんの表情いつになく真剣で、そして…悲しげだ。

さっきの表情とどこか重なる気がする。そんな後輩を放ってな

んか置けるわけもなく……

 

「わかったよ」

 

これで彼女の悩みが解決するのであれば本望だ

 

「よし!じゃあ頑張ってこー!」

「今回の曲は何をテーマにしてるんだい?」

「恋!恋の曲が書きたい!」

「恋?千歌にかけるの?」

「うーむ…千歌には難しいかもしれないけど今は果南ちゃんがいるじゃん!」

「へ?」

 

なるほど、確かに書けるのではないだろうか?

と言うかこのテーマ…まあ音楽にはありがちなテーマだけどこのタイミングで

ぶっこまれるなんて……僕は神様に試練でも与えられてるのだろうか?

 

「ちょ、ちょっと待ってよ千歌///協力はするけどどうして私が///」

「だってねぇ」

「…ずら」

「な///…ねぇじゃないよ////」

 

果南姉さんが顔を赤らめて追い込まれてる…恋する乙女な部分が出てる。

いつも僕にハグして攻めてくるかな姉が…これはある意味チャンスかもしれない!

普段攻められてる分ここでお返しができるかも……

 

「果南ちゃん!お願い!」

「マルも恋の詞見てみたいずら」

「っ〜///や、やだよ!?恥ずかしいもん//////」

「かな姉、僕もかな姉が書いた恋の詞、見てみたいな?」

「優奈まで///…優奈に見られるのが一番恥ずかしいんだってば///////」

 

かな姉が顔を真っ赤にして抗議している。でもかな姉は僕のお願いには

弱いはずだ…昔通りならね?

 

「ダメ…かな?」

「うぅ…いくら優奈の頼みでも///」

「果南ちゃん!」

「果南さん!」

「かな姉……お願いだよ」

「っ〜//////うぅ…///じゃ、じゃあさ優奈//」

「うん?」

「私と今度の土曜日、デ、デートしてよ////」

 

……………………why?

 

「え?……え?…」

「いいじゃん!それくらい///…それとも嫌なの?」

 

嫌なわけじゃない。かな姉と一緒にお出かけするなんて普通の男性なら

飛び跳ねて喜ぶものだろう。だって美人だもん。

 

でも、デートをした事を許嫁ともう一人の幼馴染が知ったら面倒くさい

事になる事間違いない…でも作詞するのにこれも必要な事なのだろう。

それにいい機会かもしれない。どんな形になるかわからないけど、いず

れ答えは出さないといけないのだから

 

「…わかった。じゃあデート行こうか」

「本当に!////……えへへ///」

 

これでもかと言うくらいニヤニヤするかな姉…でもこうして喜んでくれる

姿を見れるのはとても役得だ……それに可愛い///…し//

 

「……こんな果南ちゃん初めて見たよ」

「……意外ずら」

 

 

 

こうしてかな姉とデートに行くことが決まり、本日は解散となった。

僕と果南姉さんは一足先に外へ。国木田さんはお手洗いを済ませてる

 

 

「優奈は淡島だよね?一緒に帰ろ?」

「ごめん、ちょっと僕は国木田さんと話を済ませてから帰るよ」

「……むー」

 

わかりやすく子供みたいに頰を膨らませるかな姉は、もはや姉さんとしての

威厳を全く感じられない。ただ甘えたがりな一人の女の子だ。

 

こんなかな姉がどうしようもなく可愛いく見えてしまい、どうにも頰が緩ん

でしまう。しかし後輩の事を疎かにできるわけもない。ここは我慢して貰おう

 

「後輩だって大事だからさ…それは果南姉さんも一緒でしょ?」

「それはそうだね……うん、マルのこと頼んだよ」

「もちろん」

 

かな姉と別れて僕は一人、国木田さんを待つ。

どうか可愛い後輩の悩みを解決できますよに

 

そう夕焼けに願いながら僕は一人黄昏る事にした

 

 

 

 

 




さて…いかかがでしたでしょうか?今回は珍しく、少しシリアスなシーンがありましたね。
次回は特別編…もとい過去編を書きます。
どう言う表記になるかわかりませんが、優奈くんの過去を描きます。

本編は……まあ過去のお話を書いてからになるかと思います。行き当たりバッタリなので確実とは言えませんが、一応そう考えてます。

次回はバレンタイン日に投稿できたらいいなぁ……と言うかバレンタインに投稿しなきゃ


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幼馴染と恋の試練

お待たせしました!鞠莉姉さん回をようやく投稿する事が出来ました


夕焼けに黄昏て数分、国木田さんがヒョコッと視界に入って来た。特になんの前触れもなかったあたり僕を軽く驚かせようとしていたのだろう。少しドキッとしたかな?

 

「お待たせずら、先輩」

「うん…ここで話すと旅館のご迷惑になるしどこか行こうか?」

「近くに公園があるのでそちらはどうずら?」

「構わないよ。行こうか?」

「はいずら」

 

僕らはゆったりとした足取りで公園へと向かう。こうして辺りを見ながら歩いてると本当に変わらない街並みだなぁと感じる。都会と比べて静かでやんわりした雰囲気がある気がする

 

「先輩は……」

「ん?」

 

隣で歩く国木田さんがふと上目遣いでこちらを振り向き声をかける。国木田さんの整った顔立ちが僕の目にダイレクトで映り込む。……ついつい見とれてしまいそうになる

 

「先輩はダイヤさんの事…好きですか?」

「それは…恋……的な意味かい?」

 

国木田さんは静かに首を縦に降る。やっぱり…………

 

「…………」

「…………」

 

沈黙した。どうゆう理由か定かではないが沈黙してしまった。僕がダイヤ姉さんを好きかどうか……すなわち僕がダイヤ姉さんに恋をしているかどうかという事だろう

 

「マルにはダイヤさんと先輩の関係が成立してるとは思えないずら」

「……うん、成立してないよ」

「やっぱり」

 

僕とダイヤ姉さんの関係は許嫁となっている……でも…

 

「…………」

 

何故だろう?国木田さんに理由を話そうとしてるのに……話さなきゃいけないのに言葉を発せない。どうしても口が開いてくれない

 

「……先輩?」

「ごめんよ…」

 

僕の様子が変だと察したのだろう。国木田さんはキョトンとした表情を見せる。多分疲れてしまったんだと思う。今日の出来事に昨日の出来事全てに……恋という試練に…人の『好き』という想いに

 

「うぐっ…」

「先輩!?」

 

視界が一瞬ボヤけ、足がふらつく。あれ……?参ったな…立ってるのが辛いや。こんな状態の僕を察して国木田さんがとっさに寄り添ってくれた。僕の体を軽く支えてくれる小さな手を見て申し訳なさが込み上げてくる。女の子の…それも後輩の前で情け無いな

 

「先輩!まだ怪我が!?」

「はは…多分貧血かな?ごめんよ国木田さん」

「マルは大丈夫ずら!でも先輩が…」

「これくらい少し休めば大丈夫だよ」

 

焦っている国木田さんを安心させるために僕は強がる。でも実際のところ結構辛いな…だって立ってるだけでやっとだし。さて、どうしたものかと考えてると黒いリムジンが僕と国木田さんの前で止まる。こんな高級な車を所持してる人なんてここら辺では一人しか思い当たる節がない。この車から出てくる人物はもちろん

 

「大丈夫⁉︎ユウナにマル、一体どうしたの?」

「鞠莉さん!先輩が貧血になって…」

「はぁ…全く無理するからよ?マル?ユウナは車でホテルまで送って行くわ。マルも家まで送ってあげるわ。乗りなさい」

「いやでもマルは家近いし…ご迷惑は」

「私はノープロブレム!近くてもいいから乗って行きなさい。昨日は危険な目に遭ってるんだから今日は安全に家まで帰りマショ?ネ?」

「わ、わかったずら」

「ありがとう、鞠莉姉さん」

 

 

こうして僕らは小原家のリムジンで帰ることになった。人生初のリムジンは言葉も出ないくらい凄かった。

国木田さんは「未来ずら〜」を5、6回くらい言っていた気がするな

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「はい、ここがユウナの部屋よ」

「ありがとう鞠莉姉さん」

 

僕は鞠莉姉さんに軽く支えてもらいながらホテルの部屋まで案内してもらってた。リムジンに乗ってる間休めたから大分楽にはなってるんだけどね。それでも鞠莉姉さんが念の為と言うから甘えることにした

 

部屋のドアを開けた先には、流石高級ホテルと言わんばかりの高価そうなソファやベット、カーテンなどが目に飛び込んでくる。ここでずっと生活できたら幸せだろうなぁとか思う。でも一つだけ気になる部分があるんだよね…

 

「ねぇねぇ鞠莉姉さん?」

「ホワイ?」

「あの、僕の目が正しければなんだけど、一人用にしてはやけに広い部屋に二つのベッド……ここって二人用の部屋だよね?明らかに一人用とは思えないんですが……」

「That’s right!見たとおりよ?ここは二人部屋デース!」

「鞠莉姉さん?僕はシングルルームを取るようにお願いしたと思うんだけど?」

「そうヨ?」

 

……鞠莉姉さんにはちゃんと僕のお願いが伝わっていた。となると導き出される結論は一つ!もう既にシングルルームは予約済みで部屋の空きがなかったという事か。まあ人気のホテルだし仕方ないか

 

「違うわよ?」

「へ?僕何も言ってないよ?」

「なんか勘違いな事を思ってそうな気がしたから」

「……女の勘というものかな?」

「YES!」

「そうかい」

 

……女の勘とやらは相手の思考まで当てる事ができるようだ。で、一体僕の考えの何が違うと言うのだろうか?ご説明を求めるとしよう

 

「で、なんでダブルルームなのかな?」

「私もここに泊まるから」

「……はい?」

「だから、私も今日はここに泊まるのよ」

 

ふむ、僕の耳はどうやら重症のようだ。正常に機能していない。さて、近くの病院にでも行こうかな?

 

「この近くに病院ってあったかな?」

「何言ってるの?それよりも早く荷物を下ろしましょ?」

「あ、はい……いやいやそうじゃなくて!どうして鞠莉姉さんまでホテルに泊まるの?」

「貴方を放って置けないからよ」

「へ?」

「二人を出し抜こうだなんて気持ちは一つもないわよ。ユウナ、さっき倒れそうになってたじゃない?それで急遽私もホテルに泊まる事にしたの」

「いや、でも……」

「大丈夫、ちゃんとダイヤとカナンにも許可貰うから。それにね__

 

鞠莉姉さんは自分の荷物を降ろしてから僕の瞳を真っ直ぐに見る。その表情を見て僕は彼女の心情を察した。

そして鞠莉姉さんが僕のほおをペチっと優しく叩く

 

「本当に…本当に心配でたまらないのよ」

 

ああ…僕はこんなにも…こんなにも鞠莉姉さんに悲しい想いをさせていたんだ。それは鞠莉姉さんの悲しそうに、静かに流れる涙か物語っていた

 

「……ごめん」

「…分かればいいわ。さぁ今日はゆっくりくつろぎマショ?」

「そうだね」

 

僕も部屋に荷物を降ろしてゆっくりと過ごすことにした。因みに連絡を入れたダイヤ姉さんと果南姉さんから怒号の電話が来たが理由を話したら渋々受け入れてくれたらしい。かなり唸っていたらしいけど

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

あの後食事をして温泉に入って、僕らは寝支度を済ませた。食事は本当に豪華だった。場所はホテルにあるバイキングだったけど鞠莉姉さんが来たせいか、鞠莉姉さんの好みの物がやけに多かった。急に泊まる事になったのだからコックさん達も大変だったろうと思う。

温泉は疲れた身体を癒してくれた。昨日は出会い、再開、そして後輩を救出した。今日は警察に事情聴取した後に部活、そして恋の試練……恋に関しては自分の問題だけど………まあそれらの疲労が少し癒えた気がする

 

 

「さて、今日は疲れたでしょ?もうsleepにしましょう?」

「そうだね」

 

今日は疲れた…明日は金曜、学校もあるしそろそろ眠りに着こう。瞼が重いや。部屋の明かりを消して僕らはベットについた

 

「おやすみ鞠莉姉さん」

「おやすみ…ユウナ」

 

「…………」

「…………」

 

 

………瞼は閉じているもののすぐには眠りにつけないな…やっぱり恋の試練は重い……そんなことを思わず考えてしまう

 

「…………」

「ねぇ…起きてる?」

「起きてるよ」

「そっちのベットに行ってもいい?」

 

……?"今"の鞠莉姉さんならばそんなことを聞かずに問答無用で来るんじゃないかと思ってだけど……この感じ

 

「……いい?」

 

顔を横に向けて鞠莉姉さんを視界に入れる。そこには不敵に笑う訳でもなく、イタズラをする時みたいな笑顔でもなく……

 

一人の"少女"が不安げな表情でこちらを見ていた。なんで…なんでそんな顔を今みせるのだろう?そんな顔をされたら

 

「……いいよ」

 

断れないに決まってる。本当はダメだと思う。でも…あんな表情されたら断らなきゃならない事も断れない。ズルい

 

鞠莉姉さんは自分のベットを出て僕のベットに。至近距離で見たらいろいろ大変な気がするので鞠莉姉さんとは反対の壁際に寝返りを打つ

 

でも僕の行動をまるでわかってたかのように鞠莉姉さんは背中に抱きつてきた。

 

「ごめんなさい…」

「?…なんで謝るの?」

「いろいろ背負ってるでしょ?」

 

「………」

 

「無言は肯定の返しよ」

「……」

「肝心な事はいつも隠して……私はもっとユウナのホンネが聞きたいと思ってるわ」

「…」

 

 

「覚えてる?…前私に言ってくれた事?ユウナは私に__

 

『困ってたら力になりたい、悩んでたら一緒に悩みたい、泣いているのならその涙を拭いたい、落ち込んでいるなら励ましたい、一緒に笑顔を分かち合いたい、幸せでいてほしい……マリー』

 

_________こういってくれた事」

 

「覚えてるよ…マリー」

「貴方があの時励ましてくれたおかげでまた私は立ち上がる事が出来たの…だから今度はマリーが貴方を励ます番」

「ありがとう…鞠莉姉……そうだね………正直辛いかな………でもそれは鞠莉姉も一緒じゃないか」

「ううん…私は今凄く充実してるわ。カナンやダイヤとまたスクールアイドルができて…貴方が帰って来てくれて……今はこうして近くにいる…今はそれだけでいい」

 

ああ______本当に優しいな。でもやっぱり不器用だ。今はその不器用さに甘える以外の選択を取ってしまったら僕は壊れるかもしれない。情けないのは誰よりも自分自身が理解してる。でも…

 

「本当にいいの?」

「いいも何も貴方次第じゃない?だからマリーは貴方の選択をずっと待ってるわ…ずっとずっと待ってる」

 

本当に鞠莉姉さんは……もう自然に涙が出ていた。静かに、静かに涙は頬を伝う。鞠莉姉さんの優しさが僕に響いた事を証明している

 

「だから…貴方に何があったか話してくれないかしら?どうしてそんなに苦しんでるのかを?」

 

…僕の不感情の根源……話していいだろうか?……そんな問いに答えはない。分かってる。でも今日はもう我慢とかできなさそうだ…

 

僕は鞠莉姉さんと向き合う。ここで初めて彼女の表情を見た。本当に僕は…僕は……幸せ者だと自負する。ベットから腰を上げて僕は問いかけた

 

 

 

「もう眠れそうにないや…少し長くなるかもしれないけど……それでも聞いてくれるかい?」

 

「…もちろんよ」

 

「………僕は______________」

 

 

僕は初めて語った事ない恋の過去を語った

 

 




いかがでしょうか?優奈くんの過去は過去遍(番外編)でいつか語られます。知りたい方はその来るべき時まで待ってほしいです。

それでは感想などお待ちしております


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涙の後輩

『Root if』前に本編を更新しました!『Root if』をお持ちの方々には申し訳ないんですがもう少しお待ちください。これもまた行き当たりばったりですね!すみません


 

 

 

「…………」

 

目が覚めた……僕の視界には見慣れない天井が映る。目覚めたばかりでまだ思考も視界をもまだボヤけている。そしてまだ眠い。夜遅くまで起きていた代償が僕を襲う。シャワーでも浴びてスッキリしようと思い、僕は起き上がろうと身体に力を込めた。そこで初めて気づいた……右腕が動かない事に

 

隣を見てみると鞠莉姉さんが僕の右腕を抱き枕にして寝ていた。とても心地良さそうに眠っていらっしゃる。

鞠莉姉さんの寝顔を見るなんていつぶりだろう?……本当に僕等は成長したと思う。昔の幼さなどなく今目の前で寝ている幼馴染は間違いなく一人の女性だ

 

「一体どこのラノベ主人公何だか…///」

 

本当に異常だよ!ラノベだよ!全く……鞠莉姉さんは無防備すぎる////…こんな姿を全国にいる男性が見たら殺意持つよ。目の前で僕の心情を読んでいる君も殺意が湧くだろう?…誰に問いかけているのだろう?

 

まあいいや、それよりも鞠莉姉さんを起こそう。残念ながら時間と言うのは待ってくれないからね

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

「ふぁ〜……眠いわ」

「僕だって眠いよ……」

 

眠ったのが3時だったからね、そりゃ眠くて当然だよね。今日の授業まともに聞ける自信ないなぁ

 

「おはようございます。優奈、鞠莉さん」

「おはよう優奈、鞠莉」

 

校門前にたどり着いた僕らを待っていたのは果南姉さんにダイヤ姉さん。二人ともちょっと不機嫌そう

 

「おはよう、果南姉さん、ダイヤ姉さん」

「グッモーニング、ダイヤ、カナン」

「優奈、鞠莉さんに何かされていませんか?」

「大丈夫だよ」

「本当に?」

「チョット!何で疑ってるの?昨日約束したでしょ!?」

「いや〜…だって鞠莉だし」

「前科もありますわ!」

 

約束?…ああ、過度なアプローチをしないとかっていう約束か。昨日電話でそんなような事を言っていた

 

「本当に大丈夫だよ」

「そのとうり!如何わしい事など一つもありまセーン!」

「そうですか、ならば安心です」

「そうだね、じゃあそろそろ教室行こうか?」

 

 

話はひと段落し僕等は足を学校へと運び廊下でダイヤ姉さん達と別れた。そして僕は二年生の教室へ向かう。

その途中で昨日の事を思い出す。僕が恋に苦しむ理由……一つの要因はバレンタイン。それともう一つある。

このもう一つは……って、気がついたら既に教室前に到着していた。今日もこの重いドアを開けて自分の席に向かう。僕が来ると周りがちょっとざわつくの、嫌なんだよなぁ…まあ数日の我慢か

 

席にたどり着くと、何やら梨子が俯いてちょっとだけモジモジしている。そして高海さんと渡辺さんがニヤニヤしている。一体何があったのだろうか?

 

「おはよう……三人ともどうしたの?」

「おはヨーソロー!優奈くん!」

「おはよう、優奈くん!」

「あれ?二人とも……」

「うん!これから一緒に活動するからさ、苗字呼びだと少し距離が遠すぎる気がして…嫌だった?」

「いや、そんな事はないよ。それにその意見には賛成だよ」

「良かった〜…もちろん私達の事も名前で呼んでね?」

「うん、改めてよろしく。千歌ちゃんに曜ちゃん」

「「うん!」」

 

おお…この二人の笑顔は眩しい。何というか元気がない朝にこの二人の笑顔を見るとこっちも元気が不思議と湧いて来る。本当にアイドル向きだなぁと改めて思う

 

……それで梨子は一体どうしたんだろう?ずっと俯いてるけど……と言うか中学の時もこんな事があったきがする。確か声をかけても全然聞こえてなかったな

 

「それで二人とも、梨子は一体どうしたの?」

「それはちょっと」

「私達からは言えないかなー」

 

ふむ、どうやら二人から言ってはいけない事のようだ。ならば本人から直接聞くしかない。さて…声をかけても無駄ならこれしかない

 

「梨子」

「ひゃっ!?……ゆ、優奈//////」

 

僕は梨子の頭に自分の右手をポンと置いた。僕に気が付いた梨子と目が自然と合う。するとどうしたのだろうか?梨子の顔がみるみる赤くなっていく

 

「おはよう梨子。顔が赤いけどもしかして風邪?」

「お、おはよう///……」

「大丈夫?保健室に行くかい?」

「う、ううん!?///だ、大丈夫!大丈夫だからー!//////」

「梨子!?」

「ちょ!梨子ちゃん!?もうすぐHR始まるよー!」

 

梨子は顔を真っ赤にしたまま教室を出て行ってしまった。あれだけ走れるのなら風邪ではないのかもしれないけど……一体どうしたんだろう?放っては……置けない…か。仕方ない

 

「千歌ちゃん、曜ちゃん。梨子を追いかけてくるからHR適当に言っておいてくれるかい?」

「了解であります!」

「任せておいて!」

「ありがとう」

 

二人にお礼を言って僕も教室を出た。さて…確か職員室は向こうだから、行くなら反対側の道だよね?僕は右側へと歩みを進める事にした。

 

「……何処に行ったんだろう?」

 

風邪ではないかも知れないけど、保健室が一番可能性が高いかな?保健室に向かおう

 

 

 

 

 

「失礼します」

「ピギッ!」

「ん?」

 

今の特徴的な悲鳴をあげる人物なんてたった一人しか僕は知らない。赤いツインテールをビックと跳ねさせた人物は保健室の椅子にちょこんと座っていた。

 

「ゆ、優奈さん…」

「おはようルビィちゃん。その怪我どうしたんだい?」

「えっと…廊下で転んじゃって」

 

ルビィちゃんの膝は軽く擦りむけ出血している。梨子がまだ見つかってないけど怪我人を放置する事なんてもちろん出来ない。

 

「ルビィちゃん、消毒してあげるからちょっと待ってて」

「だ、大丈夫です!これくらいなら一人でも…それにもうHRの鐘もなりますよ?」

 

ルビィちゃんがそう言った時、まるで計ったかのように学校の鐘が鳴り響いた。いわゆるフラグ回収と言う奴だね。

 

「あ…」

「HRは時間切れだね。大丈夫、HRに出れない事は任せてあるから。それにAqoursメンバーが怪我をしたら僕が治療する。これもマネージャーの務めじゃないかい?」

 

そう言いながら僕は救急箱を手に取り、消毒液、わた、ピンセット、絆創膏を準備する。どれも切らしてなくて助かった

 

「ふゅ…」

「ちょっと我慢してね?」

「っ……」

「………………はい、終わったよ」

 

最後に絆創膏を貼って作業を終える。

 

 

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、それより保健室の先生は?」

「それがルビィが来た時にはいなくて…」

「そっか、まあ職員室かな?…ところで梨子を見ていないかい?」

「梨子さん?ルビィは見ていないです」

「そっか、ありがとう」

 

ふむ…じゃあ何処に向かったのだろう?HRに間に合っていたらいいんだけど…

 

「あの、梨子さんがどうしたんですか?」

「それが、HR前に急に走り出して何処かに行ってしまって…」

「え?」

「顔が赤かったから熱でもあるのかと思ってね。僕も保健室まで来たんだ」

「そうだったんですね…心配ですね…」

「うん…」

 

本当にどうしてしまったのやら……はぁ…

 

「あの…優奈さん?ルビィ一つ気になってる事があって」

「ん?なんだい?」

「…優奈さんは……お姉ちゃんのこと、好きですか?」

「…………」

 

…想い…恋愛……感情………恋

 

「優奈さん?」

「恋はしていない……けど、ダイヤ姉さんは大事な人だ。これだけは言える」

「……やっぱり、そうなんですね」

 

ルビィちゃんの表情は曇ってしまう。大切なダイヤ姉さんを想うからこそ…本当に仲の良い姉妹だ。片方が傷つけばもう片方も傷つく。片方が笑えばもう片方も笑う。二人はそんな時間や感情を共有できる姉妹なのだ

 

「お姉ちゃんは…ずっと優奈さんの事を想っています。優奈さんのいなかった6年間もずっと…ずっと…本当に優奈さんが好きで…大事で…だから……!」

 

 

真剣に想いを、感情を僕に伝えてくれるルビィちゃんの頰には涙が伝っていた__

 

ああ…本当にこの娘はダイヤ姉さんが好きなんだ

 

だから僕の選択次第ではこの娘まで傷つけることになる

 

ああ___また恋が遠く…愛しく…切なく…醜く…愚かで……そして___

 

 

「僕は……ここで恋ができれば良いなと思ってる」

「……お姉ちゃんにですか?」

「わからない……僕が誰に恋をするかなんてこの先の俺にしかわからない」

「………」

「でも_____

 

僕が言葉を言いかけたタイミングでHRの終わりを告げる鐘が響いた。

まるで僕の失言を妨げかの様に__

 

ならば……今はそれに従おう

 

「そろそろ教室に戻ろうか?」

「え?……でも…今」

「……これだけはもう一度だけ言っておくよ。僕はここで恋ができれば良いなと思ってる」

「優奈さん…どうして…どうして___

 

ルビィちゃんの言いたい事が分かってしまった。でも今はその問いに答えられない。いや、答えたくないと言う方が正しい。今答えてしまったら僕は…俺は…

 

「ルビィちゃん?それ以上は止めにしよう」

「……どう…して…?」

「……今は答えたくない。今答えたら俺は_」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋……できないかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優奈さん……どうして……どうしてそんなに…

 

 

 

 

 

 

辛そうな顔をしてるの?

 

 

 

 

 

 

悲しい顔をしてるの?

 

 

 

 

 

 

ルビィはどうすればいいんですか?

 

 

 

 

 

 

優奈さんのため出来ることをしてあげたいです

 

 

 

 

 

 

例え、涙を流した本当の理由が伝わらないとしても

 

 

 

 

 

 

私が辛くなるって知っていても

 

 

 

 

 

 

私は優奈さんに幸せになって欲しいです。お姉ちゃんと一緒に___

 

 

 

 

 

 

 




なんかここ最近暗い話が多いですね。何が日常編なのかよくわからないですね。もしかしたら章タイトルを変えるかもしれません。変えた時は最新話の前書きでお知らせします。

それでは感想などお待ちしています


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同級生と壁ドン

2ヶ月以内に投稿したいとか言いながら思いっきり二ヶ月過ぎました。すみません!

あと章タイトル少し変えました


ルビィちゃんと別れて教室に戻って来た時には既に朝のHRは終わっていた

 

僕のことは軽い体調不良と先生に伝えられていた。ありがたい。そして問題の張本人、桜内梨子さんは何とHRギリギリで戻って来ていたらしい。正直何とも言えない気持ちが湧いて来た。良かったと言えば良かったんだけど……結局僕が出向いた理由が…まあ結果的にルビィちゃんの手当てができたし……なんか上手い具合に収まっていると言えば収まっている。このままじゃ腑に落ちないけど…このままじゃね

 

僕は迷わず梨子の席に向かうと梨子はすぐさま席を立ち、風の様にその場をさり教室を出た

 

「あ………」

 

彼女の元へ行こうとした足が、手が自然と動きを止めて思考までが一瞬停だけ停止した。そして……嫌な感情が少し沸いて…うん………ショックだ…

 

「っ………」

 

声にならない嘆きが僅かに漏れる。何だろう……僕はどうすれば良いんだろう…?それともやっぱり何か知らないうちにやってしまったのだろうか?…それとも本当は?…………いや…中学時代は関係ないか…

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

梨子ちゃんが優奈君から逃げてしまった。どうしよう…私と千歌ちゃんからかいすぎたかな?うーん…でもここまで悪化した状態で私達で解決できる気がしない?やっちゃた?私達もしかして取り返しのつかない事しちゃった?とりあえずここは小声で千歌ちゃんと…

 

(曜ちゃん?どうするの!?なんか思ったよりしゅらば?になってるかもしれないよ!?)

(いや、まさかこんな事になるとは……)

(…梨子ちゃんのことからかいすぎたんじゃないの?)

(うーん…でもさ……これは梨子ちゃんは梨子ちゃんで非がある気がする……だって

 

 

 

 

 

 

 

振り返る事少し前、優奈君が教室に来る前の出来事______

 

 

 

 

 

「ねえ梨子ちゃんってさ、優奈君の事好きだよね?」

「ふぇ!!??」

「へ!?そうだったの?梨子ちゃん?」

 

うーん…結構わかりやすいと思うんだけど……流石は千歌ちゃん。少女漫画を私より読んでるはずなのに察しが悪い。だって梨子ちゃんが優奈君と話してる時完全に乙女の顔だもん

 

「……っ///…何を言ってるのかな?//曜ちゃん////」

「いや、隠す必要ないでしょ…」

 

本当はただ確認だけしてみようと何気なく聞いてみただけだけど。ここで私は閃いてしまった。前に東京に行った時にチラッと見えた本の単語『壁ドン』これで梨子ちゃんをからかってみようと

 

「梨子ちゃんはやっぱり優奈君に壁ドンされて見たいの?」

 

そうこのからかうための最初の言葉で…さあこれからいじっていこうかと思ったら……

 

「ゆ、ゆゆゆゆ、優奈に壁ドン//////#$€£&※〆々@#¥%&£€¥#@$€£&」

 

もう最後何言ってるのかわからない…こうして梨子ちゃんは完全に自分の世界に入り込んだところで優奈君が教室に来ました。梨子ちゃんは優奈君が来た事で暴走して教室を出て行きましたとさ

 

 

 

 

______これが事の発端

 

 

これさ私悪いのかな?いや悪いんだろうけどさあ…この質問からスタートして梨子ちゃんをいじろうと思ったら最初の一言で終わっちゃった……こっちは不完全燃焼な上に優奈君が暗い顔になって…

 

と言うか優奈君って…………

 

いや、とりあえず今はこの状況を打破しないといけないよね……ん?ちょっと良い事思いついた!

 

「千歌ちゃん!私良い方法思いついた!?」

「本当曜ちゃん!?」

「任せるであります!きっと面白い事になるよ!」

「えー…それ本当に大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ!ニシシ」

 

昼休みが楽しみだなぁ!じゃあ打てる手を打ちますか!

 

「ねえねえ優奈君___

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

僕はあれから何とか気持ちを持ち直し一時限目に挑んだ。そして終わると同時に梨子の元へ向かうもまた逃げられ撃沈。二時限目も撃沈。三時限目現在も撃沈。もう僕の心はハートブレイク状態……これじゃあ曜ちゃんに言われた正気の沙汰とは思えない作戦も実行できる気しない。と言うか僕にできるのか?

 

そんなこんなを考えてるうちに四時限目始まりの鐘が響いた。もう無理だね。授業なんて聞いてられないよ。

 

「はぁ……」

 

(ちょっと曜ちゃん!もう優奈君死にかけだよ?)

(うん…相当きてるみたいだけどきっと大丈夫!)

(ねえ!?それ本当に信用して良いの?だって優奈君死にかけだよ?もうなんか天に昇ってもおかしくなさそうな感じの表情してるよ!?ねえ!?)

(あ、あはは……まあ次は昼休みだから、そこで何とか)

 

……なんか千歌ちゃん達がヒソヒソ話をしてるけど正直どうでもいい。もうこの授業眠ってもいいかな?でも僕はこの学校唯一無二の男子、眠ればすぐバレるだろう。

 

まあ起こされてもいいや…ただでさえ寝不足で眠かったんだ……もう………

 

 

 

 

ん?……鐘の音?…あれ?起こされなかった?僕は目立つからすぐ起こされると覚悟してたんだけどな。

起きた時には授業がちょうど終わっていた。何で起こされなかったか分からないけどダイヤ姉さんに授業中に寝てたと知られたら説教だね。

 

「おはよう優奈君に千歌ちゃん」

「おはよう曜ちゃん!…あれ?授業終わってる」

「おはよう…やってしまった……」

 

授業中に眠るとかいつぶりだろう?と言うかノート写してない。

 

「優奈君!ノートは梨子ちゃんに見せてもらいなよ?私は千歌ちゃんに見せてあげるから!」

「え?」

 

驚いたけど素晴らしい助け船だ。これで話を聞くきっかけを作れれば…

 

「え?よよよ曜ちゃん?///曜ちゃんが優奈に見せてあげれば…」

「梨子ちゃん」

「え、や、あの」

「梨子ちゃん」

「え、あ、はい…」

 

曜ちゃんは威圧で梨子納得させた。曜ちゃんって怖い一面もあるんだな…でもお陰で

 

「梨子…ノートは後でいいから話を聞いてほしい」

「う////…ちょっと待って////……」

 

(今だよ優奈君!)

 

曜ちゃんから何かサイン来てるけど…いいのか?本当にあんな作戦が実行して無事に済むのだろうか?

そもそも僕は梨子の彼氏じゃないのに……でも…

 

「とりあえずこっち来てほしい//」

「へ////////!?ゆ、優奈/////////////!?」

 

僕は梨子の手を引いて教室に出た。僕が梨子の手を引く姿を見た生徒が「キャー!」「優奈君って桜内さんと付き合って////」「そんな…」とかいろいろ聞こえて来たけどもうどうでもいい。自分でも恥ずかしい事してるのはわかってる。でもまた逃げられたら困る。

 

「ちょっと優奈//////どこ行くの/////!?」

「とりあえず人いない場所」

 

僕らは歩いて体育館前の廊下についた。うん、ここなら誰も来ないだろう……もう逃がさない。もう逃がしたくない。じゃあどうやって話せばいい?その答えは曜ちゃんに教えてもらったこの技しかなかった。

僕は梨子を壁際に追い込む様に手を引き、梨子と正面から向かいあった。そして自分の片方の手のひらを壁にドン!と打ち付け梨子の逃げ場をなくした。そう…いわゆる「壁ドン」と言うものだ

 

 

「へ/////!?え//////!?」

(こ、これってもしかして……私が妄想して夢見てたか、かかか壁ドン////////!?)

 

 

僕の目の前には驚く表情と共に顔を茹でだこの様に赤くする梨子。恥ずかしい事してる自覚はある。それでもこうすれば簡単には逃げられないはずだ。嫌われてもいい…でも本音だけは知りたい

 

(優奈が真剣な表情で私を見つめて////////…わ、私もう/////)

 

「梨子」

「ひゃ//ひゃい/////!?」

「こんな強引なやり方してごめん…でもどうし……梨子?」

「////////」

 

(も、もう耐えられない////)

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

もう崩壊寸前だった。だって優奈が私に憧れの壁ドンをしてくれて真剣な眼差しを向けて///////…いつも妄想や夢で見たりで終わっていたのに今現実に///////…で、でも恥ずかしすぎて耐えられないよ//////

 

「っ////////ご、ごめんなさい〜///////」

 

私は耐えられなくなってまた逃げようと手が壁についていない左側へと向かって走った。だってだって嬉しすぎてもう頭回んないもん!/////妄想するだけでも物凄く恥ずかしすぎて優奈に近よれなかったのにリアル何て早すぎるよー!////////

 

「待って!」

「ひゃ//////」

 

逃げようと2、3歩足を進めた所で優奈に手首を掴まれる。まるでこうなる事を想定してたかの様に……でも私からすればそれはあまりに突然で…想定外で…思わず変な声を漏らしちゃった……////

 

「………」

「っ…////」

 

数秒の沈黙…不思議と息が詰まって声が出しづらい。でもどうしてだろう///?…何だかこの状況が嬉しいと感じてる自分がいる。逃げようとしてたのに……優奈の手から伝わる温もりせい…かな//?

 

「梨子…一体どうしたの?僕何かしちゃったかな………もし何か自覚もないまま梨子を嫌な気持ちに____

「優奈は悪くないわよ!」

 

優奈の手振りほどいて私は彼の事を真っ直ぐに見つめて言い放った

 

「嫌うとかありえないから////…優奈は悪くないわよ……いつも自分のせいにしなでよ」

「ごめん…じゃあ何で?」

「////////…お、女の子にはいろいろあるんです!/////」

「……」

 

納得…できないよね……授業中もずっと悩ませてたぽいっし…でも何て言えばいいんだろう?まさか優奈に壁ドンされる姿を妄想してたせいとか言えるわけないし////……どうしよう?////////

 

「分かったよ」

「えっと…へ?」

「梨子に嫌われてないようで良かったよ」

「ちょっと待ってよ!?何で納得できるの?凄く悩ませてたのに…普通納得何てできる訳ないでしょ!?」

「良いんだよ、梨子が必死になって「嫌う何てありえないから」って言ってくれたし」

「でも…」

 

明るい笑顔でそう言ってくれる優奈が眩しい。優しい、優しすぎるよ……普通じゃないよ。どうして…

 

「梨子本当に良いんだ。確かに一瞬納得できないかもと思ったけど……でもよく考えたらそんな事はどうでもいいやって…それよりも僕が梨子を悲しませたとか、嫌な気持ちにさせたとかさ……そんな事じゃないなら良いんだ」

「……//」

 

少しのとまどいと呆れちゃうくらい真っ直ぐな言葉に照れてしまう。何て返せばいいのか分からなくてすぐに言葉が出てこない。どうしよう?どうしよう?///

 

「伝わったかな?僕の想い?」

「う、うん///……ごめんね…いろいろ」

「いいよ…本当にいいんだ。さあ、教室戻ろうか?」

 

彼はいつもの優しげな表情を向けて歩きだし、私も隣を歩き出す。こうして二人きりで歩くのって2年ぶりで懐かしくて……私にとっては特別で…嬉しいなぁ///…それに優奈が私の事でたくさん悩んでくれたんだよね?

申し訳なさもあるけど…優奈が私の事考えてくれたんだよね?それって嬉しいなぁ///

 

でもやっぱり優奈ってやっぱり普通じゃないよね?理由も聞かずに納得できるのも普通じゃないし…と言うか小学生の頃から感性が周りとは違ったのよね

 

「優奈ってやっぱり変な人だよね?」

「梨子は僕の事をよく変な人って前から言ってたけど…それってどう言う意味?」

「そのまんまの褒め言葉だよ?」

「そっか」

「それで納得するのも変だよ?」

「褒め言葉ならいいよ」

「本当に…変な人」

 

こうして笑い合いながら二人で歩く時間がまた味わえる事がとても幸せだなぁ………いつか手を繋げるような関係になりたいな////

 

 

 




いかがでしたでしょうか?ご感想いただけら幸いです。

あと次の投稿…もう自分で言っといて守れる気がしないので言いません。必ずまた投稿しますのでまた読んでいただけたら幸いです


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帰り道と同級生

遅いですがあけましておめでとうとうございます。今年もマイペースに更新していく予定なので読んでいただけたら幸いです。

それと今後の展開を少し変えようと思います。変えるにあたりタグを一つ増やしましたのでよろしくお願いします。そして、その先駆けがこのお話で分かるかと思います


さて、梨子とのやりとりが終わって気持ちが大分軽くなってから数時間後の放課後。本日も昨日の続きとして曲作りの日だ。僕は今日も作詞だろうと思ってたんだけど…

 

「今日は衣装に来てもらいますわ!」

「いいや!今日こそMUSICです!」

「何で!?優奈は作詞って決まってたんじゃないの!?」

 

うん、僕もそう思ってた

 

「果南さん……あなた優奈とデートの約束をしたそうじゃないですか?」

「え////…何でダイヤがそれを……」

 

へ?ちょっと待って

 

「一人だけ抜け駆けはズルいデース……と言う訳で?」

「いや、ちょっと待って!どうして鞠莉姉さん達がそれを知ってるの?」

 

そう言うと鞠莉姉さんは視線を千歌ちゃんへと写した。千歌ちゃん……

 

「あれ?まずい事だった?」

「……うん」

 

ギャァァァァァ!って心の中で発狂したいくらいまずい。笑えない。はぁ……

 

「リトルデーモン!ギルティよ!その罪旋律を創造する事と一日我が下僕となる事で償いなさい!//」

「え?」

「…………優奈?どう言う事?」

「え?あ、いや…ヨハネも梨子も急にどうしたの?」

 

ヨハネは若干顔を赤くし、梨子はなんか黒いオーラが湧き出てる気がする。気のせいだと思いたい

 

「ゆ、優奈さん……その、今日は衣装のお手伝いをお願いしたいです!」

「ルビィちゃんまで!?」

「先輩は歌詞のままでいいずら!」

「国木田さん!?」

 

 

今度はルビィちゃんに国木田さんまで………何だ?どこもここも手詰まりなのかな?まあ衣装作りも曲作りも簡単では決してない。難しいはずだ。三年生は別の理由で揉めてるけど

 

「今日と言う今日は衣装ですわ!」

「どうしてよ!作曲だってスランプ気味なのよ!ユウナに聴いてもらえば百人力よ!」

「ちょっと待ってよこのまま作詞にいてもらわないと困るよ!」

 

まったく終わる気配がない。このまま時間が過ぎ去ってしまったら今後に支障が出るな

 

「ほんっと優奈君はモテモテだよねー」

「ねー」

「………」

 

どう返していいか分からないな。否定したいけどできない…と思う。過去の事考えればね

 

「もう拉致があきませんわ!ここは正々堂々じゃんけんで勝負ですわ!」

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

えーまあじゃんけんの結果として___

 

「さあ衣装作りですわ!」

 

はい本日は衣装班へと決まり黒澤姉妹の自宅へとやってきました。衣装か…裁縫は正直得意じゃないんだね。

どこまで力になれることやら…ちなみに明日は作曲確定です

 

「「ただいま」」

「「お邪魔します」」

 

玄関へと足を踏み入れるとそこには六年前とあまり変わらない懐かしい景色が広がってた。そして僕らの声に気付いたおばさんが出迎えてくれた。

 

「お帰りなさいダイヤ、ルビィ。曜さんもいらっしゃい。今日は優奈君もいるのね」

「はい、六年ぶりにお邪魔させていただきますね」

「そんなに固くならなくてもいいのに……昔はよく泊まりに来てたんだし久しぶりに泊またっらいかが?うちの人も優奈君と会いたがってたわ」

「いや今日は衣装作りのためですし…泊まるためのものも「泊まりましょう!優奈」ダイヤ姉さん!?」

 

ああ……やられたわ。こうなる事を予想して泊まりの話題を振ったな。「ふふ」とか笑ってるけどあの顔は完全に計算してたろう

 

「まってダイヤ姉さん、今日いきなりは無理がある。準備も何もしてないし」

「ならば明日はどうですか?」

 

上目遣いでうるうるとした目で見つめてくるダイヤ姉さん。断る選択肢を強制的に消そうとしてる。しかし、ホテルに泊まらないとなると必ず鞠莉姉さんにバレる。うーん…………仕方ない…よね?だって断れないし……それにおじさんとも一度話をしておかないと

 

「分かった。それじゃあ明日泊まるよ。おばさん明日の朝ここに荷物置きに来ても大丈夫ですか?」

「OKよ」

「ありがとうございます」

 

お礼を言って僕らは家に上がった。ご機嫌のいいダイヤ姉さんに続いて懐かしい居間に案内された。…昔よく2人で遊んだ居間だ

 

「懐かしい…」

「はいはい物思いにふけるのは後にしてそろそろ作業しないと終わんないよ?」

「そうだね、僕はどうすればいいの?曜ちゃん」

「そうだな〜…とりあえずダイヤさんの作業はなしね?」

「ぬわぁんでですか!?せっかく正々堂々ジャンケンに勝ったと言うのに!」

「あのねダイヤさん…」

「ルビィ達あくまで衣装作りするために集まったんだよ?お姉ちゃんが優奈さんと一緒にいたら作業にならないと思うよ?」

「うぐっ……も、もちろん忘れてませんわ!ですから私が手ほどきをと…」

「はい、じゃあ優奈君は簡単な飾り付けお願いできるかな?もちろんやり方は教えるからさ」

 

意義を唱えるダイヤ姉さんを完全に無視をして曜ちゃんが話を無理矢理進めようとした。うん、このまま話し合っても無駄だろう。

 

「まあ難しくないなら」

「じゃあ決まりね。ルビィちゃんとダイヤさんは昨日の続き進めといて。私も優奈君に作業教えたら昨日の続き始めるから」

「ちょっとお待ちくださ__

 

ダイヤ姉さんが発言した刹那、机をバンッ!と叩く音が部屋に響いた。曜ちゃんだ。

 

「……ダイヤさん?」

 

ふむ顔は笑っているが心は笑ってない。かなりの迫力と少しドスの効いた声と言えばいいのだろうか?ふむ、曜ちゃんは怒らせてはいけないな…

 

「え?…あ、あの曜さん?」

「いいですね?」

「は…はい」

 

とまあ話はまとまり?ダイヤ姉さんはミシン作業のため別の部屋へ移動。ルビィちゃん、曜ちゃん、僕が部屋に残り作業へと入ることになった。正直裁縫はお世話にも得意とは言えない僕だったが曜ちゃんの教え方が上手なおかげ+あまり難しい作業ではなかったのもあってできそうだと実感した。

 

「曜ちゃんは裁縫好きなの?」

「裁縫と言うか制服が好きなんだ!それで趣味で制服作ってるうちに自然とできるようになったんだ」

「へぇ…制服か」

「そうだ!今度優奈君の制服も作ってあげるから着てみてよ!」

「え?…でも大変じゃないかい?Aqoursの練習に確か水泳部と掛け持ちしてるんでしょ?」

「そうだけど…制服作りは趣味だから負担じゃないよ?それに男の子に来て見てほしい制服があるんだ!」

「う、うん…分かったよ。制服楽しみにしてるよ」

 

そんな会話をしながら作業は順調に進んでいき時刻は18時を少し過ぎた頃、本日の作業を終えることとなった。ふむ…慣れてないのもあってちょっと疲れた。ふぅ…

 

「皆さんお疲れ様です。曜さんと優奈は気をつけて帰ってくださいね」

「うん、ありがとうダイヤ姉さん。お邪魔しました」

「お邪魔しました」

 

 

少し名残惜しそうな表情をしたダイヤ姉さんとルビィちゃんに見送られて僕らは帰路についた

 

 

「…ねぇ優奈君?一つ聞いてもいいかな?」

「……何だい?」

 

夕日が僕ら二人を照らす中ふと歩みを止め、どこか真剣混じりな声に表情をした曜ちゃん。まあ…聞きたい事は三年生以外のメンバーならいろいろあるだろう

 

 

「私がどうこう言うべきじゃないのかもしれないけど……変だよね?優奈君とダイヤさん達の関係?」

 

 

至極真っ当な疑問だろう。僕たちの関係はもはや矛盾してる。そもそも許嫁という関係が成立してない。昨日の国木田さんも同じ事を言ってたな

 

「それに優奈君ってもう好きな人…いるんじゃない?」

 

「…………」

 

逃げ出したい。それが僕の今の一番の気持ちだろう。鞠莉姉さんにはもう話してしまった内容だけど…僕はどうすればいい?ここで曜ちゃんに話すか?いや……

 

「三年生との関係は…特別大きい話があるわけじゃない。ダイヤ姉さんは果南姉さんと鞠莉姉さんが恋敵になる事を認めてる。でも問題は俺にある」

「…優奈君」

「曜ちゃん、これから言う事を絶対に梨子には言わないでほしい。約束できるかい?」

「………分かった」

「ありがとう…まあそう言っても多くは語れないんだけどね。中学時代にいろいろあったんだ。それと梨子と別々の高校に行った後もいろいろ」

「梨子ちゃんが関係あるの?」

「…………」

 

僕は無言の肯定を返す。ハッキリと口で言う事をためらう。ここで発言をして後に後悔しないために。ボロを出さないために。まるで彼女の真っ直ぐな瞳から逃げる様に。

 

「……詳しくは言えないの?」

「ダメかな…今は言えない」

「………分かったよ。優奈君もいろいろ悩んでるんだね」

「ありがとう…曜ちゃん」

「ううん…なんか私の方こそごめんね。ちょっとグイグイ聞きすぎたかもしれないし」

「いや、全部俺が悪いんだ。曜ちゃんの思う事は、言った事は何一つとして悪くないよ。でも時間がほしいんだ。決して焦る事なく、じっくりと自分の気持ちと周りの気持ちと恋というものに対して答えを得たい。それも前に向ける答えが」

「そっか…事情はよくわからないけどさ、もしよければ手伝うよ。君の答え探し。今は無理かもしれないけど、いつか力になれる時があれば私は君に力になるよ。」

「…ありがとう曜ちゃん。じゃあもしも何かあった時は頼むよ」

「曜ちゃんにドンと任せてよ!私にできることなら力になるよ!」

 

優しくて温かな笑顔を彼女は僕に向けてくれる。その嘘偽りのない、本当に優しさが身に染みる様な笑顔を見た時、一瞬だけ曜ちゃんがあの娘と姿が重なって見えた。沈んでいくだけの僕の感情を優しく温かなひだまりの様な笑顔を向けてくれたあの娘の顔が__

 

「……」

「優奈君?目見開いてどうしたの?」

「ああ、いや、何でもないよ」

 

まさかあの娘と重なって見える何て…やっぱり僕はまだ……

 

「そっか、ところで優奈君ってどこの高校通ってたの?梨子ちゃんが通ってた音ノ木坂は女子校なんでしょ?同じじゃないよね?」

「うん僕は梨子とは違う高校に通ってたよ」

「やっぱり!なんてとこ?」

 

 

 

 

 

「虹ヶ咲学園…僕の通っていた高校だよ」

 

 

 

 

 

 

 




この路線変更こそ完全にいきあたりばったりです。感想、質問あれば是非よろしくお願いします。


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後輩の名前

『おはよう。ねぇ…どうして___

 

『……君は?』

 

『私は___

 

 

あの日…春のおひさまがやけに眩しく見えた日。まるで照らした全ての物を陽のあたる場所へと導くような眩い光。そんな全てを明るく照らすおひさまでさえ、僕の感情を救う事は出来なかった。僕はそのおひさまから逃げるかの様に木の下の木陰へと向かって……それで________

 

 

 

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

「………」

 

憂鬱なのだろうか?罪悪感がないわけじゃない。でもまだ僕はあの娘の事を忘れられない。だからこんな夢を内浦まで来ても見てしまうのだろう。

 

「ん?…」

 

感傷に浸って数秒、なんか身体に違和感がありまくりだ。と言うか布団の膨らみ大きすぎだろう。まあだいたい分かった。僕は布団をおそるおそるまくると

 

「Good morning!ユウナ!」

「…………」

 

絶句した。言葉も出ないです。はい。

 

「あー……これは早急に引越しが必要だね」

「ユウナ!?そんな悲しいこと言わないで!」

「あのですね鞠莉姉さん!仮にも僕は思春期の高校生男子なんです!そういうことされたらいろいろ不味いんですよね!分かる?」

「……what?」

「いや、what?じゃなくて!」

「もー…ユウナったら何を想像してるのかな〜?」

 

分かりやすく鞠莉姉さんは強く抱きしめ自分の胸を当ててくる。しかもやけに色っぽい表情をしながら

 

「な///…っ///鞠莉姉///!」

「フフ…あれれ?ユウナもしかして……」

「あぁぁもう!」

 

強引に起き上がり鞠莉姉さんを引き剥がす。そして少し荒くなった息を整え、鞠莉姉と向き合う

 

「鞠莉姉はどうしてこう…かな姉もだけど……大人の魅力みたいなもので攻めて来るのかな?」

「それで流されそうになってるユウナもユウナだよ?」

「うっ…」

 

思い当たる節が二件くらいある…

 

「でもねダイヤの邪魔が入らなくても多分あのキスは失敗してたよ」

「え?」

 

いや…僕はほとんど抵抗できてた気がしないけど

 

「その感じだと無意識なのかしら?ユウナ右手でキスを止めようとしてたのよ」

「……そ、そうだったんだ」

 

そっか…ちょっとホッとしたな。僕の理性は中々に強いらしい。

 

「でも本当にやめてほしい。心臓に悪いから」

「じゃあ事前に言えばいいのね!」

「そう言う問題じゃない」

 

 

結局のところ何度もお願いしたものの時間が迫りうやむやになったままホテルを後にすることとなった。このまま時の流れとともに忘れない様にしなくては…へ?フラグ?そんなもん知ったことか

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「ククク…よく来たわね我がリトルデーモン。さあ旋律を奏でましょう!」

 

時は放課後へと進み本日は作曲の手伝いとなった。と言うか本当に作曲に関しては皆無だ。本当に僕は何をすれば良いのだろうか?と言うか鞠莉姉さんとヨハネは作曲できるのか?

 

 

「ヨハネは作曲できるの?」

「………我にできない事などないわ!」

「嘘つかないで善子ちゃん。善子ちゃんは早く歌詞を進めてね」

「分かってるわよ!あとヨハネ!」

 

ふむヨハネは作曲できないらしい。でも歌詞ってどう言う事?そういえば曲も歌詞もで来てないのに衣装作れるのだろうか?昨日作ってた衣装って一体…?聞けばわかるか

 

「梨子、ここは作曲班だよね?」

「ああ……ええとねAqoursには三人づつ三組に別れたユニットが存在するの__

 

 

なるほど。梨子の説明をまとめると……幅広く活動するために三組のユニットに別れたらしい。

 

元気なイメージの強いCYaRon!

アザレアの花がイメージのAZALEA

小悪魔でクールなイメージのGuilty Kiss

 

この三組に分かれてると…今回の歌はあくまでAqoursがメインだが、歌詞ができるまでは衣装班と作曲班はユニットの作業を進める事になっていたらしい。ちなみに昨日作ってた衣装もユニット衣装だったらしい

 

「そうだったんだ」

「ええ、夏休みに各地のイベント周るにはユニットが一番最適だったのよ」

 

確かに効率的かつ一人一人の個性が出やすい。Aqoursの知名度に人気も出やすい。

人数を生かしたやり方は素直に素晴らしいやり方だと感心してしまう

 

「さて、じゃあ僕は何をすればいいかな?」

「その前にやるべき事があるわよ?ユウナ?」

「へ?」

「その通りよ!リトルデーモン!このヨハネと交わすべき契りがあるわ!」

「へ!?」

「そうだね…先に済ませないといけないわね」

「へ!!?」

 

どう言う事だ?僕何かしたっけ?梨子に関してはなんか怒って_

 

「怒ってないわよ?」

「え!?」

 

心読まれた?いやそんな事よりやっぱ怒って_

 

「怒ってない」

「あ…はい」

 

きっと女の勘とやらなのだろう。もう触れるべきじゃないと心が叫んでる

 

「それでやる事とは?」

「あら忘れたの?カナンとデートの約束をした件」

「………………フッ…俺に過去など必要ない」

「カッコイイ!」

「Wao!?ユウナいつのまにリトルデーモンに?でも確かにCoolな台詞じゃない!」

 

異常事態につい僕も堕天してしまった。顔半分を右手で隠す様に手をあてそれっぽいポーズを取った結果ヨハネと鞠莉姉さんには好印象だったようだ。でも梨子の表情は俯いてるためわからない。でも雰囲気がよろしくない事だけは察知した。そして俯いた顔を上げた梨子の表情を見て僕は氷ついた

 

 

「…優奈?バカなこと言ってないで、ね?」

 

 

うん…笑顔でいられるのが一番怖いパターン。変になっていたテンションは強制的に元に戻る

 

「はい、すみませんでした」

「じゃあ話を戻すけど優奈は作詞の案を出すために果南さんとデートするのよね?」

「その通りです」

「……//…今回は果南さんを中心に作詞して私は作曲を担当してまします」

「う、うん//」

「…何か私にもするべき事が……あるんじゃない//…かな////」

 

梨子は何やらソワソワして横目になりながら話を進めてる。その仕草が可愛いくて見てるこっちは少しドギマギしてる自分がいる。でも梨子の言うすべき事が残念ながら僕にはわからない

 

「すべき事……作曲に必要な事だよね?」

「ええ//…作曲に必要な事よ」

「………」

「………」

「……う〜ん」

「どうして分かんないの!?」

「いや、そう言われても…」

 

「はぁ…ユウナってこう言う時は鈍感なのね」

「本当によくわからない人よね…」

 

え?なんか鞠莉姉さんにヨハネまでため息ついてるんでけど?だって作曲に必要な事でしょ?作曲知識ゼロの僕に何かできることと言えば

 

「…?」

「っ〜////どうして分かんないの!?」

「リコ?ここは一旦落ち着いて。ここはチェンジよ」

「……はい」

 

顔を赤くして興奮気味となった梨子を鞠莉姉さんが制してチェンジとか言ってる。

ふむ、もうついていける気しない

 

「さ〜てユウナ?一旦梨子の話は置いておいて…マリーともデートしてくれるよね?」

「それはもちろんなんだけど…とりあえず引っ越しが終わってからでいいかな?休日に予定を入れすぎると最悪学校を休んで引っ越し作業になるからね」

「うーん…少し先になるけど仕方ないわね。OKよ!」

「ありがとう」

 

果南姉さんとデートすると決まった時点で鞠莉姉さんとダイヤ姉さんともデートしないといけないと思っていたから、僕自身躊躇はなかった。鞠莉姉さんは恥じらいがない分あさっりと約束を交わせてホッとしてる。

 

「リトルデーモン!」

「どうしたんだいヨハネ?」

「あなた昨日私が言ったこと覚えてる?」

「あー……下僕がどうとか言ってた気がする。気のせいと思いたい」

「気のせいじゃないわよ!いい!こ、今度…//…こん…ど//…っ〜//」

「ヨシコ!ファイトよ!」

「うっさいわい!」

 

何か言いづらいことなのだろうか?一体何をやらされるのだろうか?できれば無理な事は避けたい…

 

「っ〜//………ふぅ…リトルデーモンに告げるわ。私は今度次の黒魔術の儀式に必要な贄を調達しに行かなくてはいけないわ。本来ならば一人で調達するものなのだけれど……今回は特別にリトルデーモンを連れて行ってあげるわ!ヨハネに感謝しなさい!」

「おー!じゃあ感謝してついて行くよ!」

「「え!?」」

「え?」

「…Why?」

 

ん?どう言うことだ?感謝してついて行くと言ったら梨子とヨハネに驚かれた。鞠莉姉さんは僕と似た反応なんだろうけど…どうして驚いているんだ

 

「ちょっと待ってよ優奈!どうして儀式とかよくわからない事言ってる善子ちゃんの誘いに乗るのよ!?」

「よくわからないって何よ!あとヨハネ!」

「善子ちゃんは少し黙ってて!どうしてなの優奈!?」

「お、落ち着いてよ梨子。別にヨハネの誘いを断る理由がない。それに僕自身その黒魔術の儀式とやらに興味があるしね」

「せ、先輩……うん!流石我がリトルデーモン一号だわ!」

 

ヨハネがちょっと泣きそうになりながら感動してる。どれだけ自身の趣味が受け入れられて来なかったのか何となくわかる反応だな。

 

「ゆ、優奈…さっきもだけど……もしかして優奈も厨二病?」

「厨二病って……まあヨハネの影響は受けてるだろうね」

「フッ…流石リトルデーモン一号。我の美しさの虜になってしまったのね」

「そんなぁ〜…」

「そう言われてもね…とりあえず今度ヨハネと儀式に必要なものを調達に行けばいいんだね?」

「その通りよ!この契約は絶対に破れないわよ!」

 

(ヨシコも不器用ね〜まあ遠回しとはいえ結果オーライか)

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「さーてユウナ?貴方この流れで梨子の言いたい事も少しわかったんじゃないの?」

「え?」

「いやいや流石に分かると思うんだけど…」

「………作曲って考えるとどうも」

「Oh…OK…梨子?貴方もうぶっちゃけた方が早いわ」

「ぶっちゃけるって…えぇぇぇ!?」

「まあ昔から天然な部分はあったけど…まさか妙なとこで鈍感になるとは」

「本当に先輩ってよくわからないわよね」

「ふむ?話が全く持って理解できないよ。一体どう言うことなんだい?」

「どうして分かんないの!?優奈って勘は鋭い方だよね?」

 

中学生時代優奈と一緒に過ごして私が思った事がある。それは勘が鋭い事。と言っても私がピアノで悩んでる時にいつも勝手に側に来て…頼んでもいないのに必要な時にいつも寄り添ってくれて……それくらいしか例はないけど、でもそれって察しが良いからだと思うんだけど…

 

「……どうだろう?でも現に今梨子が求めてる事が分からないし…」

「うぅ…じゃあ聞くけど今回の歌のテーマは何?」

「えーと……恋…だよね?」

「そうよ!だ、だから果南さんと作詞のためにデートに行くのなら///…その作曲をする…わ、私とも/////…」

「え//?り、梨子///?」

「いい、よね/////?」

 

自分の顔の熱が上がってくのがわかる。恥ずかしさで目を合わせられくて…

横目で指先を合わせながら彼に問いかける

 

「うん//…僕でいいなら///」

「う、うん///…果南さんの作詞ができたら…」

 

そう!これはあくまで作曲のため!作曲のためなんだから!

 

「さてじゃあ各々デートの約束もした事だし、Let’s make a song!」

「僕はどうすればいいのかな?」

「ヨハネと作詞!」

「うーん…まあ音楽作りはよくわからないだろうし今回はヨハネと作詞でいいんじゃないかしら?」

 

うぅ…本当に側にいてくれるだけでいいのに。でも優奈にピアノを聞いてもらう時は二人きりがいいなぁ…とも思ってたし……それに善子ちゃんの歌詞厨二全開すぎるし…あの歌詞をもう少し良くしてくれるかもしれないし……そ、それに本来はAqoursのためだし……

 

「決まりね!行くわよリトルデーモン!」

「え?ヨ、ヨハネ!?」

 

優奈が善子ちゃんに手を引かれて…

 

「あぁ…優奈…」

「やれやれね…じゃあわたし達で作曲スタートといきましょ?」

「……鞠莉さんはこれで良かったんですか?」

「ウーン…良くはないんだけど……勘違いしたままってのも可哀想だしね?」

「?……」

 

勘違い?私はその意味を察する事が出来ないまま作曲作りする事となった

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「さて、ここで詠唱するべき新たな呪文を創作するわよ」

 

私がリトルデーモンを連れて来た場所は放課後の空き教室。ここで作詞をする訳だけど…まず確かめないといけない事があるわ。私は自分の席に腰掛け、先輩は向かいの席の椅子を借りて向かい合わせになって座る。

座って思ったけど…想像以上に先輩との距離が近い///……なんか調子狂いそう///

 

「よし、じゃあ始めようか」

 

先輩は机にノートを広げペンを手に持ち、作業体制に入ろうとしてる。でも作業を始める前に確認したい事がある。本来なら他人事なのに…どうしても放っては置けない事

 

「先輩、作詞の前にちょっといい?」

「ん?いいよ」

「先輩は、その…ダイヤさんの事が好きなの?」

「……それは恋愛的な…意味合いだよね」

「はい」

「今は特にはいない…それにね。僕は僕が好きになった人に恋をしたいと思ってる」

「え?」

 

先輩の言葉を聞いたとき何故か鼓動が高鳴った気がする。 そもそもどうして私はこんな事聞いたんだろう?でも聞いとかないと何かモヤモヤしてしまう自分がいて…そして今嬉しいと思ってる自分がいる///

なんで!?わからない…

 

「先輩は…あの、その//」

 

最初から私を受け入れてくれて…変な娘とか思わなくて…むしろかっこいいって言ってくれて……誇っていいって言ってくれて…私が言うのもアレだけど本当に変な人…よくわからないわ。自分の気持ちも目の前の先輩の事もよくわからない……少なくともただのリトルデーモンでは済ませられない

 

「私の事///…どう思ってますか?/////」

 

なんか恥ずかしくてうつむき気味で横目を向けながら問うてしまった///

 

「…////……んと…それはこの前も言った気がするけど」

「そ、そうじゃなくて…ヨハネヨハネ言ってる私じゃなくて今の津島善子のことです////」

「…え、えっと…まだよくはわからないかな?でも…津島さんは……その//…か、可愛いんじゃないかな?//」

「…!?///」

 

先輩も横目を見ながら少し頰を赤くして言ってる!それにか、可愛いって//////どうしよう!////嬉しすぎてど、どうすればいいかわからない////私にはわからないよ/////

 

「えっと、あ、ありがとう///…ございます////」

「う、うん////」

「そ、それと……その////」

 

もうよくわからない。こんな時に限ってなぜかヨハネが出てこない。何故か二人でいるとヨハネじゃなくて正真正銘の津島善子として喋ってしまう。こんなこと今まで一度もなかったのに////

 

そのせいか普段だったら絶対に思わないような事を思ってしまった。今までじゃ絶対にありえない事を望みたくなってしまった

 

「ふ、二人でいる時は///…ヨハネでもなくて、津島でもなくて…よ、善子って名前で呼んでほしいです/////」

 

恥ずかしくて、恥ずかしすぎて目を瞑りながらお願いしてしまった…目を開けるの怖い!

 

「うん、いいよ…えっと……善子ちゃん?」

「…ちゃん付けなんてしないでください///」

「っ…//わ、わかったよ………よ、善子///」

 

帰ってきた返答に目を見開く。ちゃんと名前で呼んでくれた事に胸が熱くなる様な感覚を覚える。先輩は恥ずかしいのか少し頰を赤くしながら横目になってる…先輩の照れてる姿可愛い////

 

(基本的には後輩のこと名前呼びにしないからなんか慣れない。それに……///)

 

「先輩!ありがとう!嬉しいです////」

「っ/////…う、うん///」

 

理由はわからない。でもきっと私にとって先輩は凄く特別なリトルデーモンなんだと思う。津島善子にとってもヨハネにとっても

 

「う…そろそろ始めようか//」

「そ、そうですね…ふぅ……」

 

ギラン!と目を見開き自然とヨハネスイッチが入る。普段はスイッチとかなく普通にでてくるのだけれど…

 

「ククク…リトルデーモン!まずは貴方の紡ぐ人々を魅了してしまう言霊を聞かせてちょうだい?」

「うーんと…ユニットの曲だよね?それで持って小悪魔なイメージ…貴方のハートを掴み取るとか?」

「悪くないわね…まあ適当に案を並べて並べていきましょ」

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

そしてヨハネもとい…つし…じゃなくて善子との作詞も終わり一人の帰り道。あたりは薄暗く、かすかに夕日が差し込むなか、今日の事を振り返る。本当にいろいろとあった一日だった。鞠莉姉さんとデートの約束をして、ヨハネと買い物?…てゆうかもしかしてデート?の約束をして、梨子ともデートする事になるとは…この内浦に帰ったらいろいろあるんだろうと思っていたけど完全に予想以上だ。と言うか異常事態と言ってもいいだろう。Aqoursの仮マネージャーになって…ダイヤ姉さん達と梨子と再会して……自分の考えや想いを過去の出来事、いや自分が引っ張り………あの娘を思い出すようになったり…ため息出るね

 

それにしても……誰よりも女の子なのって本当は善子なんじゃないかなと思った////国木田さんといい善子といい、後輩も可愛いすぎてドギマギする…///後輩を名前呼びするのって……ルビィちゃんを除いて一人しかいなかったのに…それも立った一度だけだし…

 

 

頰が熱くなるのはかすかに刺す夕日のせい……と言う事にしてダイヤ姉さんの家へと一人向かう

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?感想いただけたら幸いです。
もうすぐバレンタインですがroot ifが書ける気しません。すみません。もし2月14日に上がってたら奇跡と思ってください。ではでは


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許嫁と俺の気持ち

Root Ifを書いていたら本編を書いていました……一応書き進めてはいます。Root Ifを楽しみにしていただいてる方には申し訳ないですがもう少し待っててください。

あとこの話…結構重要な話です

2/28追記 タイトル変更しました


「お邪魔します」

「いらっしゃいませ。優奈」

 

ダイヤ姉さんの家へとたどり着つくと昔ながらのようにダイヤ姉さんが向かい入れてくれた。

ダイヤ姉さんの家に泊まるのは…これも6年ぶりか……

 

「夕飯がもう少しでできるので居間の方で待っててください」

「うん」

 

玄関に靴を置き、居間へと入るとそこにはおばさんが座っていた。

 

「いらっしゃいませ。優奈君」

「おじゃまします。おばさん」

「ええ…もうすぐ夕飯ですけど……少しお話しましょうか?」

「……はい」

 

正座で座るおばさんに対して僕は足を崩して座る。本当は僕も正座するべきなのかもしれないけどちょっと僕には厳しいんだよね。まあそれよりも……多分おばさんは知っていた見たいだ。まあ僕が内浦に帰ってくる事くらい、僕の母親から伝達していたのだろうけどね。

 

「優奈君…この先どうするおつもりなの?」

「わからないです……わからないから帰ってきたんです。恋愛沙汰には一度うんざりしたくせに…それでもダイヤ姉さん達を信じていたかった。いろいろあってもダイヤ姉さん達の顔が浮かんで離れなかったんです」

「そう……」

「……おばさんはどこまで聞いてるんです?」

「東京で苦労したとしか聞いていませんわ。詳しい詳細は一つも…」

「そうですか…いずれはおばさんにもおじさにも話しますが……先ずはダイヤ姉さんに話したいんです。本当は一番最初に話すつもりだったのに…」

「?…もう既に誰かに話されたのですか?」

「鞠莉姉さんに簡単に見破られましたよ。流石は理事長やってるだけの事はあるのか、人の事をよく見てると思いましたよ。おかげで少し楽になりましたけど」

 

軽く俯いてしまう。内容が内容だけに明るくはなれない。それでも前よりかはマシに話せる気がしてる。僕だって臆病で怖がりな情け無い人間だ。この過去を伝えるのは勇気がいる。それもダイヤ姉さんとなるとなおさらだ。この想いをダイヤ姉さんに告げるのが怖いし逃げ出したい____

 

「まあ…やはり話しづらいのですか?」

「………ダイヤ姉さんから見れば罪と言われても仕方ないと思ってます」

「優奈君…」

「お母様〜?!優奈〜?夕飯ができましたわよ!」

「…行きますか」

「はい」

 

暗い話しはダイヤ姉さんの明るい声で遮られ、とりあえず話はひと段落した。ふぅ…正直お腹空いてしまっていたので結構楽しみにしていた。待っていましたと言わんばかりに胸を躍らせながら食卓のテーブルへと移動するとそこにはご馳走が並んでいた。…自然とヨダレが垂れてしまいそうだ

 

「今夜はご馳走ですわ!」

「凄いね…これは全部ダイヤ姉さんが?」

「いいえ、ルビィも一緒ですわ。ルビィ」

「…こんばんは、優奈さん」

「こんばんは、ルビィちゃん」

 

ダイヤ姉さんに呼ばれたルビィちゃんはキッチンから姿を見せて挨拶をしてくれた。その顔は笑顔と言えば笑顔なんだけど…若干苦笑いにも見えるような気がする笑顔だった。僕の気のせいかもしれないけど…

まあ、とりあえず今は座布団に腰を下ろしてご飯を頂くとしよう

 

「それにしても…この量食べきれるのだろうか?」

 

テーブルにぎっしり並んだ料理達。もはやちょっとしたパーティくらいの量はあるだろう。唐揚げ、エビフライ、ポテトフライ、ナポリタン、野菜炒め、サラダの盛り合わせ…などなど。

 

「そうですね…まあ優奈君も育ち盛りの男子高校生のなのです。たくさん食べなさい」

「あ、はい…」

 

内心まじか!と悲鳴を上げている。いくらお腹すいてるからと言ってもこの量は後2人くらいいてほしい。

しかしおばさんに言われてしまっては食べるしかない。全員で手を合わせて「いただきます」といいおかずをさらに乗せて口に運ぶ

 

「美味しい!美味しいよダイヤ姉!ルビィちゃん」

「当然ですわ!花嫁修行の一環としてこの6年、料理スキルも向上させましたわ!それに今回はルビィにも手伝ってもらいましたしね」

「えへへ…美味しくできたのなら良かったです」

 

笑顔で答えるダイヤ姉さんにルビィちゃん。量は多いけどこの美味しさと二人の笑顔のおかげで全て食べきる事ができた。4人で「ごちそうさま」を言って食器をキッチンへと運んでいく。しかしここである事に気がついた。全部食べてしまったけどおじさんの分が取り置きされてる気配がない

 

「ダイヤ姉さん。お父さんは帰ってこないの?」

「はい、帰りは明日のお昼過ぎになるはずですわ」

 

マジですか…おじさんにはいろいろと言わなくてはいけない事があったのだけれど……まあ仕事ならば仕方ないと割り切るしかないか

 

「あ、食器洗い手伝うよ」

「いえ、優奈はお客様ですから居間で適当に待っていてください。食器は私とルビィでやりますわ」

「なるほど、じゃあルビィちゃんは居間で適当に過ごして貰っても大丈夫かい?」

「うゅ?」

 

うむ、我ながら説明もなにもかもすっとばした発言をしたと思う。何がなるほどなのか全く持ってわからない顔をルビィちゃんはしてる。?マークしか思い浮かばないだろう

 

 

「優奈…貴方はお客様何ですから休んでと言ったばかりではないですか!」

「断るよ。僕にも手伝わせてもらうよ。それとも僕と食器洗いするのは嫌?」

「うっ…//そんな言い方ずるいですわ//…でも本当にいいんですの?」

「そうですよ優奈さん。優奈さんにお手伝いさせるのは…」

「ありがとうルビィちゃん。でも少しくらいお手伝いしないと僕の心が痛むからさ」

「……わかりました。それじゃあお願いします。ルビィはお部屋で宿題してきますね」

 

ルビィちゃんは二階へと向かい僕とダイヤ姉さんだけがキッチンに残る。

 

「よし、さっさと食器洗おうか」

「全く…私はまだ心苦しいのですが……」

「いいからいいから。早く終わらそうよ。早くやらないと話す時間も遊ぶ時間も減っちゃうよ?」

「!…そうですわね。早急に終わらせましょう!」

 

僕らは食器洗いに取り掛かる。ダイヤ姉さんが食器を洗って僕はまな板や包丁などの料理器具を洗い、乾燥機に入れてゆく。二人で作業する時間がなんだか平和で…またこうしてダイヤ姉の側にいられる事に妙な安心感を感じながら、ふと思った事がある………二人で作業を進めるこの絵面はなんだか…

 

(優奈と二人で食器洗い…二人で……なんだか////)

 

((夫婦みたいじゃ////))

 

 

ダイヤ姉さんは気にして____

 

優奈は気にして____

 

 

「「あ…//」」

 

僕が気になってダイヤ姉さんの方を向くとダイヤ姉さんも僕の方を振り向いた

 

二人同時にそっぽを向いてしまう。お互いに少しだけ頰を赤く染めながら。僕は恥ずかしいだけだったのだけれど…ふと振り向き直ったらダイヤ姉さんは笑ってた。とても嬉しそうに微笑んでいた。

 

「ふふ…//…なんだか夫婦みたいですわね///」

「…う、うん////…」

「嬉しいですわ!///…こんな未来を当たり前にしてみせますわ//果南さんにも鞠莉さんにも負けはしません」

 

 

………………胸が痛んだ。ダイヤ姉さんが微笑みながら負けないと言う姿を見て胸が痛んだ。6年と言う月日がたったのにも関わらず、こんなにも純粋で僕の事を好きでいてくれるダイヤ姉さんを僕は…俺は…

 

 

 

 

「………ダイヤ姉さん…食器を洗い終わったら話があるんだ________

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

少し神妙な雰囲気を感じながら僕はダイヤ姉さんと共に彼女の部屋に入った。綺麗に整えられた部屋にベッドには昔プレゼントしたペンギンのぬいぐるみが置いてあった。僕が内浦を離れる前に送ったぬいぐるみ…机には二人で撮った写真も飾ってあった。これらを見てますます胸が痛む。

 

今までも人の悲しむ顔を見て胸を痛める事はあった。勇気を振り絞り、告白してきた女の子の好意を断るたびに悲しむ顔を見てきた。胸を痛めてきた。しかし今感じてる痛みは比にならない。

 

こんなに痛いのは初めてかもしれない……

 

 

「優奈…座布団を引きましたから座ってください」

 

 

ダイヤ姉さんは何かを察した顔で言いながら手招きしてくれる。言われた通りに座り、ダイヤ姉さんと僕らは互いに向き合った。ダイヤ姉さんの表情は何故か和らげで…何かを察してる様に見える

 

 

「っ…ダイヤ姉……」

 

 

言葉が詰まる。言わなきゃいけない事がたくさんあるのに……あるのに…

 

 

「優奈…貴方が過ごした6年間、ここで聞かせてください」

「え……?」

「いろいろあったのでしょう?…それもとても言いづらい事が……貴方が恋心に対して何か抱えているのにも繋がる話なのではないですか?」

 

何でそれを!…と一瞬思ったけど鞠莉姉が分かったんだ。ダイヤ姉が分からないわけないか…

 

「うん……僕は!……お、俺は…!俺は!……」

「……全く仕方ありませんわね」

 

言葉が詰まる僕を見てクスっと微笑みながらダイヤ姉さんは僕に近寄る。そして僕の前髪をそっとかき分けておでこをあらわにさせる

 

「大丈夫…貴方が何を言おうと私は貴方の全てを受け止めるから……もし勇気が足りないなら_______

 

 

言葉が切れる刹那____

 

 

おでこに柔らかな感触を感じた

 

 

これ…ダイヤ姉の勇気のまじないだ……昔僕とルビィちゃんにやってくれた勇気のまじない。理屈なんかなしに不思議と勇気が湧いてくるおまじないだ。不安でも、怖くても…それを乗り越える力をくれる暖かいもの

 

「これで足りるはずです……大丈夫、大丈夫ですから…貴方が抱えてるものを全て吐き出してください」

 

真っ直ぐ見つめる柔らかな瞳が優しくて、愛おしいくて……だからこそ言わなくていけない

 

「中学の時、多分だけど…梨子に対して恋に近い感情を抱いていたと思う。梨子と一緒にいるうちに好きになってたんだと思う。二人でいる時間が好きだった……梨子のピアノが好きで、ピアノを弾いてる姿や笑った顔を見るのが好きだった。でもダイヤ姉、鞠莉姉、かな姉の事が頭から離れる事は無かったせいか……付き合うと言う考え事態僕の中で思い浮かぶ事はなかったんだ」

「そうですか…梨子さんの事を」

「でもいつも一緒だったからさ…周りからは付き合ってるって勘違いされて……嫉妬心からか梨子は周りにいた女子生徒のイジメの対象になってしまったんだ」

 

「……そうですか」

 

「だから俺は梨子にバレないように嫌がらせを全部跳ね除けたんだ。やり方は陰湿で簡単なものだったから幸い跳ね除けるのはそう難しくなかったんだ。でも……いずれ矛先は俺にも向いた。梨子からもらった物や二人で買ったもの…知らない間に壊されて……そんな事があったせいか…いつしか梨子に対する恋心も消えて…恋に対して疑問や不信感を持つようになって……多分俺の恋心は壊れたんだ」

 

「…そうですか」

「その時はダイヤ姉達の事も頭に浮かぶ事がなくて…梨子と一緒にいても気持ちは晴れなくて……晴れないまま中学を卒業して梨子とは違う高校に……虹ヶ咲学園って高校に入学したんだ」

「そう…それでどうしたのですか?」

「そこで僕は彼女と出会った…上原歩夢って言う素敵な女の子と________

 

 

彼女は俺にとってひだまりだったんだ。初めて会った時…優しげに微笑む彼女が…今思えば天使に見えてたのかも知れない。彼女と過ごす時間が俺にとってのひだまりだった…桜の木の下で彼女と過ごした時間が僕の心を少しずつ癒してくれたんだ…

 

 

 

やがて僕は初めて確信したんだ。梨子の時よりもハッキリと鮮明に僕は上原歩夢と言う女の子に対して恋に落ちた________

 

 

 

「……そう」

「でも俺は中途半端で曖昧な気持ちを抱えてた。彼女が好きなのに…好きなはずなのに恋に対する不安や疑問は完全に拭いきれず…好きなはずなのにダイヤ姉達の事が頭から離れなくて……ハッキリしない…だから答えを見つけるために帰って来たんだ」

「………そうですか」

「…僕は…俺は最低だ。ダイヤ姉を裏切ったのに…今度はダイヤ姉に最低なお願いをしようと思ってたんだ」

「いいですよ…言ってください」

 

「っ……俺は…俺が好きになった人と恋がしたい!自由に恋がしたいんだ!」

 

 

 

とうとう言ってしまった……ダイヤ姉さんに…自分の正直で最低な気持ちを

 

 

 

「よく言えましたね____

 

 

 

そう聞こえた刹那…ダイヤ姉に抱き寄せられてダイヤ姉の胸に顔を当てられた。いつの間にか流れていた涙も…嫌な感情も全て包み込んでくれるかの様な暖かい温もりにして包まれた

 

「辛かったんですね」

「っ……どうして…どうして!」

「言ったでしょう?ちゃんと受け止めると…大丈夫、大丈夫ですよ」

 

大丈夫と聞いた瞬間、よりいっそう涙が溢れでて来た。暖かすぎて…優しすぎて…もうどうしようもなくて

 

 

 

 

ただ…ダイヤの胸で静かに泣き続けた____

 

 

 

 




いかがでしたか?このお話しを書く上で虹ヶ咲学園編を同時に書き進めました。どう言う形で投稿しようか悩んでます。どう言う形になるかわかりませんが、近日中に投稿しようと思ってます


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許嫁の温もりに包まれて

……ええと…先に本編を投稿しました。番外編マジで書き進められないです泣
今日ホワイトデーなので今日中にRoot ifを投稿したいなぁーとか思っていたものの…無理です。申し訳ないんですがもう暫くお待ちください。
それと虹ヶ咲編を本編より先に投稿するつもりだったのですが、ちょっと前回の話に付いていけない読者様が多いんじゃないかと思った部分があったので先に本編を進める事にしました


 

『私…私…っ…嫌ですわ!優奈が遠くに離れるなんて!』

 

涙を流す少女は僕に訴えてきた。僕が遠くに行くのが嫌だと。

そこで僕はある約束をする事にした

 

『…離れる事はどうにもできない。でも約束するよ。僕は果南姉、鞠莉姉、ダイヤ姉以外に恋はしない』

『本当ですの?…じゃあもう一つ約束してください!必戻って来ると!私達の元に戻ると!」

『わかった。きっと戻ってくるから…それまで僕は他の誰かに恋しないで戻ってくるから』

 

そう言って僕は彼女の事を抱きしめた。歳年上の女の子の頭を撫でながらずっと…彼女が泣き止むまで

 

 

 

 

そして月日が過ぎて行く中で俺は大きな過ちを犯したのだ

 

 

 

 

 

大事な人との約束を破ると言う罪を犯してしまったのだ____

 

 

 

 

 

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ち着きましたか?」

 

「うん…」

 

私の胸からゆっくりと離れてゆく優奈。目元を赤くしながらもしっかりと向き合う。

 

「でも…どうして許せるんだ?僕はダイヤ姉にダイヤ姉と果南姉と鞠莉姉以外には恋をしないと約束を交わしたはずなのに……どうして」

 

そう、優奈は私と幼き日に約束をした。私達3人以外に恋はしないと優奈は約束をして内浦を離れて言ったのです。確かに優奈の言う事は約束を破る裏切りです。しかし…

 

「確かにその約束は破りましたが……貴方はもっと大事な約束を守ってくれたではありませんか。ここに…私のいる場所まで戻ってきてくれたではありませんか。私はそれだけで十分です」

 

「………確かに…そうだけど」

 

「そんな難しい顔をしないでください。確かに私に果南さんと鞠莉さん以外に恋をしないと約束を交わした時は嬉しかったですわ。でもゆくゆく考えてみると……その約束はどうでもいいと気がつきました」

「そんな…どうでもいいだなんて…」

「どうだっていいんですよ。だって____」

 

 

これは私が気がついた答え……いいえ、最初から本当はそうであった事を私は笑顔で伝えます

 

 

「誰が相手だろうと、誰が貴方を好きになろうとも関係ないんです。私が…黒澤ダイヤが優奈にとって世界で一番魅力的であると教えてあげるだけで全てが解決するのですから//」

 

 

「っ……//」

「だからいいのです。ちゃんと今の私を見てくださるのであればそれで私は満足です」

 

これで私の言いたい事は全て…いえ、そう言えばもう一つありましたわね

 

「それと…言うまでもないとは思いますが…果南さんと鞠莉さんの事もちゃんと見てくださいね?後は優奈が心行くまま決めてください…何にも縛られずに自分の意思で…きっと優奈の口から私が好きだと言わせてあげますわ」

「ダイヤ姉……」

 

どこか不満気な表情をする優奈。まだ罪悪感が拭いきれないのでしょうか?ふむ…どうしましょうか

 

「優奈……罪悪感を振り払うにはそれ相応の償いをするべきだと私は判断します」

「そうだね、ダイヤ姉さんから貰える罰なら何でも受け入れるよ」

 

罰って…まったく…そんな覚悟を決めていた目をされても困りますわ。でも……

 

「……そうですわね。では目を閉じていてください」

「わかったよ」

 

何の疑問も抱く様子も、戸惑いも、一切の躊躇もせずに目を瞑る優奈。覚悟が…重さが見えてしまいますわ。

こちらとしてはため息ものですわ…

 

 

 

まあ唇を奪うのは優奈に恋してる皆さんに申し訳ないので、今はこれで我慢しましょう________

 

 

「…!?」

 

 

目を閉じてる優奈の頰に自分の唇をそっと当てる。要するに頰にキスをしました。今はこれでよしとしておきましょう……ゆっくりと唇を離して目を開けた優奈と見つめ合う

 

「ダイヤ姉!?////一体何を…」

「ふふ//…」

 

少し混乱してる優奈をそのまま押し倒して抱きついてしまいました。優奈の胸に頰を当てる様に…

 

「優奈もドキドキしてるのですね///」

「そ、そりゃ////…てゆうかこんなの罰とは言えないよ…むしろ//」

「ご褒美ですか?その通りですわ!」

「いや、どうしてそうなるのさ!////」

 

 

顔を赤らめて言ってるせいでやけに可愛いく見えますわ。このまま適当に誤魔化してずっとこのままでいたい。でもそうですね…また少し真面目に話しましょうか。名残惜しいですが優奈から離れてもう一度お互い向き合う。お互いが目をそらさずに…

 

 

「だって貴方は裏切った以上に頑張ったんだもの……迷って、傷ついて、苦しんで、悲しんで、葛藤して……それでも勇気を捨てる事なく貴方は花丸さんとルビィを救い、自分の抱えてる闇を私に打ち明けてくれた…それも自分から…」

「っ…でも裏切ったのは変わりない。やっぱりそれ相応の報いを受けたいんだ」

 

まったく…本当に強情ですわね。裏切りの代償ですか…仕方ありませんわね。では…

 

「分かってます。貴方はそれ相応の覚悟を決めて話をしてくれのはちゃんと伝わりましたから。だから私も一つ優奈の想いを裏切る事にしました」

「裏切るって…?」

「貴方の報いを受ける覚悟を私は裏切ります。優奈も私にした約束を裏切ったのです。私は優奈の裏切りを許します。ですから優奈も私の裏切りを許してください」

 

優奈は少し複雑な顔をする。やがてため息を吐き、諦めた表情をして

 

「わかったよ…僕の負けだよ」

「ふふ…素直でよろしい」

「ダイヤ姉さんには敵わないな……ありがとう」

「別にお礼を言われる筋合いはありません。私は私のしたい様にしただけですもの…さて、それじゃあ話も終わりましたし私の作ったプリンでも食べましょうか?」

「プリン?自分で作ったの?」

「私の自慢の一品ですわ。二人の分とルビィの分も取ってくるので少し待っててください」

 

そう告げて私は部屋を出て行き、冷蔵庫にあるプリンを三つトレイに並べてルビィの部屋へと向かう。部屋の前に立ってノックをすると『はーい』と声が聞こえて来たのでドアを開けてルビィの部屋へと入る

 

「失礼します。ルビィ宿題は終わりましたか?」

「お姉ちゃん…あ!プリン!」

 

ふふ//…プリンを見たときのルビィの表情が可愛いですわ!今回は自信作ですから是非3人で食べたいと思って持ってきました。

 

「ふふ…宿題が終わったのでしたら三人で一緒に食べませんか?」

「あ……はぁ…」

「ルビィ?……」

 

ルビィは口を開けてどこか…悲しそうな顔をしたと思ったら呆れたかの様にため息を吐く。どう言うことか私にはわからないですわ…

 

「あのねお姉ちゃん…そこはちゃんと優奈さんと二人きりで食べなきゃダメだよ」

「え?……」

「ルビィは一人で食べるから優奈さんと二人で食べてきて。二人きりじゃないとできないこともあるよ?」

「でもルビィだって…」

「ありがとう、お姉ちゃん……でも3人で食べるのはまた今度にしよ?でものんびりしてたら果南さんや鞠莉さんに取られちゃうよ?」

「うっ…」

 

先程自信満々に振り向かせるといった手前、実はそれなりに危機感は感じていました。果南さんはデートの約束をして鞠莉さんは私より先に優奈と先程の話しをしていた様ですし…しかしルビィだって私にとって大事で掛け替えのない妹なのです。だから3人で…

 

「お姉ちゃん…せっかくの自信作なんだから優奈さんにあーんしてあげるといいと思うよ?」

「なっ//…まあ考えてなかったわけではないけれど……」

「早く行ってあげて」

 

ルビィに背中を押されて半ば強引に部屋を出されてしまいます。いつの間にか強引になったものです。でも…

 

「ルビィ…ありがとう」

「ううん。お姉ちゃん!がんばルビィ!」

 

ルビィも私の恋路を応援してくれて大変嬉しいです。本当にいい妹を持って幸せですわ…

 

 

 

(これでいいんだよ…………これで)

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

「うん」

「これが私の作った自慢のプリンですわ!」

 

そう言って私は自慢のプリンを部屋の小さなテーブルに置いて優奈の隣へと腰掛ける

 

「ん?ダイヤ姉さん?//」

 

そしてスプーンで一口分すくって優奈の口元へと運ぶ

 

「優奈…あーん//ですわ////」

「へ!?////いや、えっと////」

 

優奈も照れてるのがわかりますが私だって恥ずかしいのです///

 

「口を開けてください//」

「あ、うん///…あ、あ〜ん////」

 

優奈の口へとプリンを運び、口を閉じてプリンを食べる優奈。味はどうでしょうか?

 

「…美味しい!ダイヤ姉、このプリン美味しいよ!」

「当たり前ですわ!私の自慢の一品ですのよ!美味しくないわけありませんわ」

「じゃあ私も一口食べてみましょうか」

「待って」

 

私がプリンを食べてみようとしたら優奈に止められました。なんでしょうか?

 

「ほらダイヤ姉さん…あーん」

「んな//…ふふ…私は動じません!あ〜ん」

「…///」

 

仕返ししようといたずらぽっく笑ってた優奈に対して一瞬動じたものの目を閉じ、平然と食べる私。私は簡単にはやられませんわ!それよりもこのプリン

 

「流石私ですわ!上出来の出来栄え!」

「うん、本当に美味しいよね」

「……あまり残念そうな顔をしないのですね」

「う、うん…美味しそうに食べてるダイヤ姉をみてたらどうでもよくなったよ」

「…そ、そうですか//」

 

なんだか思惑がどうとか恥ずかしがるかとかバカみたいに思えてきましたわ…もっと普通に楽しみしょうか

 

(言えない…ダイヤ姉さんがあ〜んした時の顔が可愛いくてどうでもよくなったとか//)

 

その後は流石に自分達それぞれでプリンを頬張り、食べ終わった後にある事に気づく

 

そういえばこのスプーン…一口優奈(ダイヤ姉)に食べさせたスプーンだ(ですわ)!

 

 

ダイヤ姉は気が付いて____

 

優奈は気づいて____

 

 

「「あ……プッ…あははは!!」」

 

 

お互いの目があった瞬間、今度はお互いがそっぽを向くのではなくお互いが同時に笑い出す。恥ずかしいですけれどそれ以上におかしく思いますわ

 

「関節キス…してしまいましたわね//」

「う、うん////」

 

私はまだ笑ってるけれど優奈は恥ずかしい様で横目を向いて顔を赤らめています。嬉しいのかよくわかりませんが私は嬉しいですわ。好きな人との関節キス//…嬉しくないわけがありません//

 

「デザートも食べ終わりましたしそろそろお風呂にしますか。優奈が先に入ってください」

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

お風呂に入って、就寝前にすべき事を全て終わらせて後は眠るのみだ。時刻は22時30分頃と少し眠るには早い時間帯だけど…今日はそろそろ眠りたい。少し疲れてしまった

 

「ねえダイヤ姉さん」

「何ですか?」

「僕はどこで眠ればいいんだい?」

「私のベッドです//」

 

はい?ちょっと行っている事の意味がわからないぞ?または僕の耳は正常じゃないのだろうか?

 

「うーん…ちょっと聞き間違いをしたみたいだ。申し訳ないんだけどもう一回言ってくれるかな?」

「…私のベッドです//」

「うん、ちょっと耳鼻科に行ってくる」

「この時間に病院はやっていませんわ」

 

ドアに向かおうとした僕に容赦ないツッコミが入ってくる。うん知っていた。知っていてもなお、病院に向かわねばと思ってしまったのだ

 

「それにおそらく耳は正常のはずですよ」

「そうだろうか?僕には『私のベッド』とか理解しがたい言葉が聞こえてきた気がするんだ」

「やっぱり大丈夫ですね。今日は二人で眠りましょう…昔みたいに」

「いや、あのですね…」

「優奈は私と一緒に眠るのは…嫌ですか?」

 

反則だよ…潤んだ瞳で見つめられると断れるに断れない。

 

「ああ!もう分かったよ////」

「ふふ//…それでは電気を消しますわよ」

 

二人でベッドに入って電気を消す。もちろんこんな状況で眠れるわけもない。ましてやダイヤ姉さんの方を向くことなどできるはずもなく、僕はダイヤ姉さんに背を向ける様にして目をつむる事にした

 

「優奈…どうせお互いにすぐに眠る事なんてできません。こちらを向いてください。少しお話ししましょう」

 

少し恥じらいながらもダイヤ姉の方を向く。カーテンがしっかり閉じられてなかったのか僅かに月明かりが差し込んでダイヤ姉さんを照らしていた。その姿があまりに綺麗で僕は沈黙し…見とれた

 

「………」

「優奈?」

「ああ…ごめん」

「もしかして…見惚れたんですの?」

「…………うん」

「まあ私ですからね//…見惚れても仕方ありませんわ」

 

昔から変わらないな…こういう自信満々の発言。でも本当にその通りだと思う

 

「そうだね」

「そうですわ」

「………」

「………」

 

互いに沈黙する時間が心地いい。ただ見つめ合うだけの時間が心地いい。こんな綺麗な女の子を見つめられる事を幸福と感じる。昔の幼さがなくなり、大人になって綺麗になったダイヤ姉さん…

 

「………綺麗だ」

「っ//…優奈だってカッコよくなりましたわ」

 

沈黙の中ポツリと口が滑った。無意識に思った事が口に出てしまった。その言葉に僅かに頰を赤くした後、僕にも嬉しい言葉をくれるダイヤ姉さん。でも残念ながら僕はそこまで自信を持てる人間ではない故に返答に困るんだ

 

「どうだろうね…」

「謙虚ですわね…大丈夫です。優奈はカッコイイです。ちゃんと私が保証します。」

「…ありがとう……ねえダイヤ姉さん。今度デートに行こう」

 

……今日の僕はどうにもダイヤ姉に甘えたい様だ。今日ダイヤ姉さんがくれた温かいぬくもりがもう一度欲しい。

恋人でもないのにこんな事求めていいのかわからない。わからないけど……いまだけでいいから…どうかワガママを許して欲しい。

 

「ねぇ…ダイヤ姉……手握ってもいい?」

「…優奈から求めてくるなんて嬉しいですわ。でも手を繋ぐより__

 

ダイヤ姉は僕を抱き寄せ、自分の胸に僕の顔を押し付ける様に僕のことを抱きしめる

 

「今日はずっとこのまま眠りましょうか」

「っ〜/////………」

「安心して眠りなさい…頑張ったのですから……」

「ダイヤ…姉……」

 

優しさが身に染みる。温もりが温かい。今までの辛い想いが溶けていく様な感覚を覚える。このままこの温かい場所で眠りたい。でも眠りに着く前にまだ言わないといけない事がある。

 

「裏切ってごめん…許してくれてありがとう……ダイヤ」

「ええ……おやすみ…優奈」

 

ダイヤ姉の温もりに包まれながら僕は眠りについた____

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?次の本編はいよいよアレですよ!アレとはアレです!分かる人には分かる筈です!
その前に虹ヶ咲学園編を投稿するので少し待っててください。

虹ヶ咲学園編は…この小説内で投稿するのは良くないかなぁーとか思ってます。まだ決めてませんが8割くらいの確率で新規小説として投稿する気がします!その時にはこちらの小説内のあらすじ欄にてリンク貼る予定ですので、もしよければそちらも見てください!まあ僕はいきあたりばったりなのでまだどうなるかわかりませんが笑

それでは感想待ってます!


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過去編(番外編)
Black Valnetine


バレンタインに間に合いませんでした。申し訳ありません!
どうしても忙しくて書けませんでした。何とか徹夜で書ききったので許してほしいです……

それと今回のお話は優奈君が中学二年の時の物語です。番外編みたいなものなのですが、本編の優奈君と深く関わる部分もあります。この過去編を読まなくても本編は読めますが、読んだらより、本編が楽しめるかも知れません!……多分




 

2月14日、バレンタインデー

 

確かローマ帝国発祥……だった気がする。

もう各国でいろいろな歴史があるからもはやバレンタインデーとは

それぞれの国独自のものとなっているのではないだろうか?

 

確か日本では1950年代後半ごろから出てきたものの、定着せず……

1973年のオイルショックを機に売り上げが上昇。それ以降は若者を

中心に定着し、今では義理チョコ、友チョコとかいろいろ聞くよね。

だが本来は女の子が好きな男の子にチョコレートをプレゼントする日。

これがごく一般的に知られるバレンタインデーだろう。

 

ちなみににわか知識だから正しいかどうか怪しい…

 

「ふぅ…」

 

ついつい溢れるため息、理由は学校の下駄箱にある。

自分の下駄箱の中を見たらそこには三つの包装されたチョコレート

 

青い箱が一つ。赤い箱が二つ。

去年より一つ増えてる。

 

「誰からだろう?」

 

もちろん三つの箱にはそれぞれ手紙がある。

一つは後輩、一つは先輩、一つはクラスの女の子から

 

こうして気持ちを伝えてくれるのは嬉しいんだけどね……残念ながらこの

人達に良い返事はできない。だって僕は恋と言うものをしていない。

よく聞く、とりあえず付き合っている人達やとりあえず告白されたからOK

を出す人……それは片方の恋であり、恋愛では決してない。

僕はとりあえずでOK何て出せない、出したくない。そんな曖昧でふわっと

した関係何て持ちたくない

 

ちなみに…まだ恋はしていないけど、頭にチラつく人物が4人いる。

それは許嫁に幼馴染、それと同級生に1人

 

 

恋とは言えない______________

 

 

恋とは言えないが、僕はこの4人の事を間違いなく特別視している

 

困ってたら力になりたい、悩んでたら一緒に悩みたい、泣いているのならそ

の涙を拭いたい、落ち込んでいるなら励ましたい、一緒に笑顔を分かち合い

たい、幸せでいてほしい……そう願っている

 

だから、このチョコレートをくれた3人の想いは実らない。僕がこの人達の望

む返事をする事は出来ない……

 

ふと人気のない場所へと移動して箱の中身を確認してみる。どれも手作りだ。

きっと僕の事を想って作ってくれたのだろう……僕のために時間を割き、僕に

『好き』と言う気持ちを伝えるために

 

でも、僕には僕の想いがある。僕は僕の気持ちを大事にしたい。だから僕は

この人達にごめんなさいと断る事しか出来ない。

できれば誰かの悲しむ姿を見るなんて事はしたくないさ。それが僕を想って

くれた人達ならばなおさらだよ…

 

「バレンタインって本当に迷惑だよね」

「どうして?」

「へ?…梨子!?どうしてここに?」

「優奈がこっちに行くのが見えたから……迷惑だったかな?」

「いや、そんな事ないよ」

「そう…良かった」

 

見られる相手が梨子で良かった。他の人に見られたら面倒な事になっていた

かもしれない……クラスの男子に見られたら場合は一日中追いかけ回されて

いたかもしれない

 

「それで、どうして迷惑なの?」

「……バレンタインデーってさ、女の子が好きな男の子にチョコレートを

渡す、又はそれを機に告白何がしやすいイベントだと思うんだけどさ」

「う、うん、そうだね」

「人に気持ちを伝えやすいって考えたら素晴らしいイベントだとも思う。でも僕個人としては辛いイベントなんだ。この手元にある想いを受けとった後に僕は彼女たちの悲しい表情を見なきゃいけないから……」

「……断るの?去年と同じように?」

 

……僕のどこが良いんんだろう?別に特別関わった関係ではないはず何だ。

一応委員会に入ってるから先輩後輩関係がないわけじゃない。でもちょっと

考えづらい人何だよね

 

 

「優奈は優しいね」

「…どうして?」

「相手の気持ちを考えて悲しませたくないって言えるから…優しいよ」

「そ、そうかな?」

「うん…でも優しすぎると思う。だって“また”傷つくでしょ?」

「………多分」

「あんまり考え過ぎないでね?」

「ありがとう梨子…そろそろ教室に行こう」

「うん」

 

そう言えば梨子は僕にチョコをくれないのかな?

去年は下駄箱に梨子の義理チョコが入ってたけど…

僕は梨子のチョコが食べたいんだけどな……

 

そんな事を思いながら校舎裏を後にした

 

「……」

 

 

僕らの姿を見ていた視線に気づかずに

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

お昼休みを…憂鬱を知らせる鐘が学校に響き渡る。

僕はこれから校舎裏に行って彼女達の申し出を断ら

ないといけない。彼女達の悲しむ表情を見なくては

いけない

 

 

席を立ち、校舎裏に向かうとしよう_____________

 

 

「柴先輩…好きです!どうか私と付き合っていただけませんか?」

 

少し潤んだ瞳に上目遣い、見た目は少し幼さが残る顔立ちで、かなり

可愛いと思う。実際モテているのではないだろうかと思う。

足が震えてるし…何となく引っ込み思案な印象を受けてしまう。

 

きっと、相当勇気を振り絞って今僕の目の前に立っているのだろう。

そして想いを告げたのだろう。素直に尊敬するよ。

できればこの娘が笑っている姿を見てみたいが……それ以上に大事な

物が、譲れない気持ちがある。だから___

 

 

「ごめんなさい」

「……あ…やっぱり……そうですよね」

「やっぱり?」

「はい…先輩は桜内先輩とお付き合いされてるんですよね?」

 

ん?……梨子と?もしかして周りには勘違いされてるのだろうか?

まあ確かによく2人でいるけど……

 

「いや……別に付き合ってはいないけど」

「え?付き合ってないんですか?」

「うん…」

「他に付き合っている人がいるんですか?」

「いないよ、好きな人がいるわけでもない」

「そうなんですか?………でしたら…その……試しに付き___

 

「ごめんね……僕は試しにとか、そう言う曖昧な関係は築きたくない」

 

「…………私じゃダメでしょうか?」

「………………」

 

僕は沈黙し、無言の回答を言い渡す。これ以上は、はっきりした言葉は不要だろう。

それにもう…必死になっている彼女を見たくない、悲しい顔を見たくない

 

「……そうですか。しつこくかったですよね?すみませんでした。今日は来てくれて

ありがとうございました……私の想いを聞いてくれてありがとうございました」

「うん……」

 

こう言われるとどう返していいかわからない。だって僕は彼女の申し出を、お願いを

断ったのだ。下手な事は言えないし、言いたくない

 

「それじゃあ私は教室に戻りますね……今日はありがとうございました!

そして………さよなら」

 

僕は走り去って行く彼女の後ろ姿をただ眺める事しか出来なかった。

……ああ…………本当に嫌になる

 

こんな事を後二回も繰り返さなければいけないのだ……憂鬱にもなるさ。

でも彼女達の気持ちを蔑ろにする事は出来ない。先輩が待っているであろう

屋上へと僕は重い足を運ぶことにした__

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

「………///」

 

放課後である現在…私、桜内 梨子は彼の下駄箱の前でいろいろ想い悩んでいます。

理由はもちろんチョコレート

 

ちなみに優奈は委員会で私はピアノのレッスンがあるから今日は一緒に帰ることは

できないです……だから今こうして彼の下駄箱に私のチョコレートを入れました

 

本当は彼に直接渡すつもりだったけど、恥ずかしくてできませんでした。

優しい彼ならちゃんと貰ってくれるとは思うけど……うう///

彼に告白した人達はすごいなぁ……どうしてそんな勇気が出るんだろう?

今回渡すチョコレートだって去年同様いつものお礼と言う名目で渡すのに

 

「…去年みたいに美味しいって言ってくれるかな?」

 

……///……誰もいないよね?…うん、どこを見ても人の気配はしない。

良かった、今の独り言を聞かれなくて…

 

きっと彼は傷ついて帰ることになる…だから少しでも私のチョコレートで

癒すことが出ればなぁ……何て/////

 

「ああもう/////……早く行こう///」

 

私は熱くなりつつある頰を感じながら一人で走り出してしまう///

胸のドキドキを押し隠すかのように……

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

「失礼しました」

 

思ったより早く委員会が終わった…いつもは1時間する会議が40分程度で終わ

ってしまった。理由は委員長が好きな高校の先輩にチョコレートをあ渡しに行

くためらしい……委員会メンバーの前でよく言えたなと思う。

と言うか完全に私情なのだが良いのだろうか?まあいいや…考えてもしょうがない

 

「……さて、行きますか」

 

僕は最後の呼び出しに応じるために足を玄関先まで運ぶ。最後は同じクラス

の女の子だ。彼女は放課後に2人で話したいと申し出てきていたので校舎裏で

待ち合わせをしている。もちろん委員会の件は伝えてある。

少々時間がずれてしまったが遅くなったわけじゃないからよしとしよう

 

 

僕は玄関先まで足を運び終えると、そこには_______

 

 

「何してるの?」

「これは……その…」

「それさ…………梨子のチョコレートだよね?」

 

 

僕の目の前には無残に踏みつけられた赤い箱があった。

それとその上に置いてあったであろうメッセージカードは真っ二つに

破り捨てられていた

 

 

『いつもありがとう』

 

梨子より

 

 

「…………」

 

言葉を失う。僕が一番欲していた梨子のチョコ。先ず、梨子が僕のためにチョコ

を作ってくれてた事に喜びたい…でもそのチョコは目の前にいる彼女が……僕に

チョコレートを渡して想いを告げようとした彼女が踏み潰していた

 

もはや怒りなんて感情は通り越してる。ただ酷く悲しみが僕の感情を支配するだけ

 

「どうして…どうして君は梨子が作ってくれたチョコを踏み潰しているんだい?」

「っ……だってズルいじゃない。あの女は少し私より貴方と会うのが早かっただけ

で貴方の隣にいる。貴方に寄り添える……貴方を励ませる」

 

励ませる?……もしかして朝の校舎裏の一軒を見ていたのか?

 

「貴方の隣にいるのが私だったら良かったのにって思ったわ…あんな地味で目立たな

い娘がどうして貴方の隣にいるのよ!目障りなのよ!」

「………それで君は梨子が僕のために作ってくれたチョコを踏み潰していたのかい?」

「梨子梨子って……そんなに彼女が作ってくれたチョコが大事なの!?」

「大事だよ!」

 

僕の怒号が廊下に響き渡る。僕が怒鳴ったせいか目の前の彼女は少し怯えた表情を

しているがどうでもいい

 

「“俺”にとっては大事なんだ!大好きな事に夢中になれる彼女の力になりたい!悩んで

たら一緒に悩みたい!泣いているのならその涙を拭いたい!落ち込んでいるなら励まし

たい!一緒に笑顔を分かち合いたい!……俺に取って梨子はそんな特別な存在なんだ!」

 

「……っ…」

 

彼女が言葉に詰まると同時に僕は彼女から貰ったチョコレートを差し出す

 

「え?……どう言うこと?」

「君から貰ったチョコレートは受け取れない……だから返す」

「ふざけないで!私だって貴方の事を想って……」

「梨子だって俺の事を想ってくれたと思うよ?」

「っ!……また梨子って…」

「ここで君のチョコレートを踏みつけてもいい」

「な!?嘘でしょ?」

 

うん、嘘だよ。僕には人の作ったチョコレートを踏み潰せる自信がない。

でも俺なら上っ面の脅しくらいならできる

 

「嘘じゃない」

「っ………」

「もう一度言うよ、これは返す」

「……」

 

彼女が渋々チョコレートを受け取ると、僕は梨子のチョコと二つに破れた

メッセージカードを拾いあげる。できれば綺麗な状態で見たかったがそれは

もう叶わない

 

「……君が僕の中で特別になる事はない」

 

僕はそう一言だけ彼女に吐き捨てるかのように言い残し学校を出て行く

 

彼女の小さな泣き声を聞きながら____________

 

 

 

 

 

 

帰り道、僕は形の崩れた箱を開けてその中に入っていたチョコを口に運んだ。

甘さ控え目のビターチョコレートだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ_____________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋とは何だろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……恋は人をあんなに苦くしてしまうのだろか?

 

 

 

 

 

 

 

……恋がわからなくなってしまいそうだ

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
初めての過去編(番外編)でしたが……皆さんが望むようなお話ではなかったと思います。

感想お待ちしております


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Root If
Root If Valnetine Day/White Day


本日はホワイトデーと言う事でそれにちなんだお話を3話に分けて書いていく事を突発的に決めました!
これぞ計画性なし!まさに行き当たりばったりです!

このお話は『許嫁と幼馴染と同級生と後輩』の分岐点がもしもバレンタインデー/ホワイトデーだったらこんな感じかな〜とか思って書きました!今回のお話は本編と9割関係ありません!それと千歌、曜、ルビィも恋愛対象となっております!

本編や過去編(番外編)より圧倒的に会話文が多いですし書き方が違います!
それと本編とほぼ関係ないので、そこはご了承お願いします。
これを十分に理解して読んでみたいと思ったら読んでみてくれたらと思います




許嫁:黒澤ダイヤの場合

 

2月14日……バレンタインデー…優奈がいない6年間は特に何もしていませんでした。バレンタインだからって人にチョコを送る…あまりに月並みすぎて言葉も無かった…正直興味もなく、とりあえずバレンタインだからチョコを渡す…そんなの賄賂と一緒ですわ!

 

 

……そんな事を言っている時期が私にもありました

 

 

しかし!いつまでもこのような事を言っていたら鞠莉さんや果南さんに負けてしまいますわ!なので私は優奈のためを思って贈り物をする事に決めましたわ!べ、別にバレンタインなど関係ありません!ただたまたま2月14日にチョコと言う贈り物を渡す…それだけ………いえ、嘘ですわ。

 

 

これは遡る事数日前__

 

 

果南さんと二人で帰り道を歩いていた時の事でしたわ

 

 

「ダイヤは優奈にチョコ渡さないの?」

「チョコ?何故チョコ何ですの?果南さん」

「いや、だってもうすぐバレンタインじゃん」

「……は、はぁ?」

「何で疑問形?」

「逆に聞きますが果南さんは優奈にチョコを渡すのですか?」

「渡すよ、当たり前じゃん?」

「……果南さん…貴方はバレンタインなどと言うおちゃらけたイベント事に乗っ取り、バレンタインだからとりあえずチョコを渡すなどと言った訳の分からない阿諛追従の儀に落ちると言うのですか?」

「あゆついしょう?って何?……と言うかいいの?チョコ渡さなくても?」

「私はモノには頼りませんわ!自分の口ではっきりと本心を、愛を伝えますわ!」

「まぁダイヤらしいような気もするけど……本当にいいのかな〜?じゃあ私は想いの込めたチョコとダイヤの言う愛を伝えるよ」

「御勝手になさい!私はバレンタインなど言うものに屈しませんわ!」

「相変わらず硬いなー…それじゃあね」

 

ここまでは特に何の問題もありませんでしたわ。しかし分かれ道でそれぞれ帰路に着く時、果南さんのある独り言が問題でした

 

「優奈喜んでくれるかな〜?」

 

私の中で何かがピキッと音を立てた瞬間でしたわ。優奈が喜ぶ……!もしも私が優奈にチョコを渡せば喜ぶ?

彼が喜んでくれる?…優奈の喜ぶ顔と私自身のプライドが天秤に掛かりましたわ。結果はもちろん

 

「果南さん!」

「あれ?どうしたの?もしかして気が変わった?」

「……たしかにバレンタインは理解しがたい風習ですが……優奈の喜ぶ顔を見れるのであれば」

「さっきまで、おちゃらけてるだのあゆ…何たらだのいろいろ言ってたじゃん?」

「ぐっ……しかし優奈が喜んでくれるのであれば私はプライドを捨てますわ!」

「おお…そうかそうか……じゃあ勝負だね!誰が一番美味しいチョコを作れるか」

「望む所ですわ!果南さんと鞠莉さんには負けません!」

「あー…ダイヤ?今回の敵は私と鞠莉だけじゃないと思うよ?」

「梨子さんの事ですか?」

「いや、多分Aqours全員だよ」

「……はい?」

 

私の聴覚が正常であれば今、Aqours全員と聞こえたのですが……まさかね

 

「Aqours全員だよ」

「……それ、本当ですの?」

「まさかルビィまで!?」

「うん」

「…………どうしてAqours全員がチョコを渡すと思うんですの?」

「だって全員優奈のこと好きっぽいよ?ダイヤも薄々思ってたんじゃない?」

「まあ、梨子さん、善子さん、花丸さんはもしかしたらと思ってましたが……」

「曜と千歌にルビィちゃんも多分好きっぽいよ」

「そうですか……でしたら尚更気合いを入れて作りませんと!」

 

 

 

 

と言う事で_____________

 

「ある程度の材料は揃えましたわ」

 

私はキッチンに材料を並べこれからチョコレートを作りますわ!誰よりも美味しくて誰よりも強い気持ちを込めますわ!

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

後輩 国木田 花丸 津島善子 黒澤ルビィの場合

 

バレンタインデー…今までは全くの無縁だったずら。でも今年はとても大事な日…好きな人に…先輩に想いを伝える大事なバレンタイン

 

先ずは先手必勝ずら!という事で学校にいる間に先輩と約束を

 

「先輩にメール打っておかなきゃ…」

 

お昼に図書室に来て欲しいです………っと…次いでにお弁当も一緒に

 

しばらくすると返信で『了解したよ』との返信。後は明日のバレンタインに二人きりで落ち合えば……なんか今から緊張してきたずら

 

 

「ずらマル、何見てるのよ?ずいぶん機嫌いいじゃない?」

「何かいい事でもあったのかな?」

「ずらぁ~…実は先ぱ…あ!」

 

あああぁぁぁ!やっちゃったずらぁぁぁぁぁ!

 

 

そしてお昼休み_

 

 

元々人気がある訳がない図書室、少し悲しいけどここならお昼も二人きりかな~とか思ってたずらが…

 

「ヨハネ!聖典の間に降臨!さあ黒魔術の義を始めるわよ!」

「あはは…が、がんばルビィ」

 

善子ちゃんとルビィちゃんも来ちゃった…まあ、マルがボロを出しちゃったから…はあ

 

「フフ…この私を欺こうだなんて無駄よ!ヨハネの千里眼は貴方の全てを見透かす事も可能なのだから!」

「…じゃあ聞くけど先輩が誰を好きなのかも見透かせるずら?」

「へ!?」

「確かに!それなら優奈さんの想い人も分かるね!?」

「そ、それは~……この堕天使ヨハネに決まってるじゃない!」

 

「へ~」

「な、何よ?」

「花丸ちゃん?」

「先輩はヨハネちゃんが好きなんだね?善子ちゃんじゃなくて」

「な!?…」

 

動揺してるずら……冗談でも少し嫌だったから軽くお返しずら!

 

「確かにそう言う事になるのかな?」

「な、何を言ってるの!?何が言いたいのよ!?」

「空想の人物なら大丈夫ずら」

「空想言うな!本当に堕天使はいるんだから!」

「あの~2人とも?」

「先輩を現実に戻せば解決ずら!」

「ふん!堕天使なら今ここにいるじゃない!美しすぎるが故に天界を追放され堕天使となったこの私ヨハネが!」

「だから二人とも!」

「「何(ずら)よ!?」」

「もう優奈さん来てるよ!」

「へ!?」

「ずら!?」

「あはは…」

「い、一体いつから!?」

 

「『堕天使ヨハネに決まってる〜』あたりかな?」

「な、ななな//////……」

「それで僕がヨハネを好きだとか何とか……?」

「っ〜//////……先輩!///そ、その…明日///…先輩の部屋に行っていいですか?//////」

 

ず、ずるいずらぁぁぁぁ!完全に善子ちゃんの特権ずら!

 

「…//…わかったよ……善子」

「だからヨハ……いえ……ありがとう…ゴザイマス//////」

 

しかも完全に恋する乙女ずら!いつもの堕天使はどうしたずら!?

 

「あの、優奈さん?明日部活終わった後少しいいですか?」

「う、うん、いいよ」

「あ、ありがとうございます//」

 

ルビィちゃんにも先を越されたずら!マルが呼んだのに〜!

 

「で、花丸ちゃん?何か花丸ちゃんもお話しがあるのかい?」

「あ…えっと…マルも明日二人で会えたらと///」

「………わかった」

 

 

この後4人でお昼を楽しく過ごしたずら!楽しかったけど……次はきっと…二人切りで///

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

同級生渡辺 曜 桜内 梨子 高海 千歌の場合

 

 

いつから私は彼を好きになっていたのだろう?最初はただの友達だった。

 

「ねぇねぇ千歌ちゃん?」

「なーに?曜ちゃん」

 

お昼休み、私と千歌ちゃん、梨子ちゃん、優奈君で過ごすお弁当の時間。今日は優奈君が呼び出されたらしくて今日はいない……と言うか今日は2月13日…明日はバレンタインだから何となく予想がつくけど

 

「単刀直入に聞いていい?」

「…一体何を聞こうとしてるの?」

「千歌ちゃんは優奈くんの事好きだよね!?」

「ぶほっ!……ゴホッ…」

「千歌ちゃん大丈夫?」

 

千歌ちゃんがむせちゃった…お弁当食べる時に言う事じゃなかったかも……でも優奈くんがいない今くらいしか直接聞けないし

 

「ス、ストレートすぎるよ曜ちゃん///」

「あはは…ごめんごめん……でさ?一つ提案と言うか…」

「提案?」

「私さ…明日告白しようと思うんだ」

 

カシャーンと音が鳴り響く。梨子ちゃんが箸を落とした。そこまで動揺するかな?

 

「……え、えっと、曜ちゃんは何を言ってるんですか?」

「り、梨子ちゃん、きっと聞き間違いだよ〜!私には明日曜ちゃんが優奈くんに告白しようと思うんだって聞こえたけど聞き間違いだよね?ね!曜ちゃん!?」

「いや、そのまんまだよ」

「………ほえ?」

「だからさ、明日二人も告白しない?」

「……な、なななな!?/////本当に何を言ってるの?曜ちゃん///」

「いや〜だってさ?明日バレンタインじゃん?これを機にと……でさ、せっかくだから二人もこれを機に告白しちゃわない?……なんか一人だけ先に告白しちゃうとさ二人もいろいろ気がかりでしょ?」

「…まあ確かにそうかもしれないけど///でもこういうのはもっと自分のペースで//……」

「そう言って何年間片想いしてるのさ梨子ちゃん?」

「うぐ!……でも//…でも〜///」

「はぁ…じゃあ千歌ちゃんはどうする?」

「私もさ…実は告白しようかなって……タイミング良きに///」

「近未来ハッピーエンドだけに?」

「うん!///……」

「おお!……流石作詞をしてるだけある……と言うか近未来ハッピーエンドの歌詞って」

「……うん!/////」

 

(うぅ二人ともいつの間にか覚悟決まってるし…)

 

「じゃあ私と千歌ちゃんは明日告白するってことだけど…」

 

私は梨子ちゃんを見て無言で梨子ちゃんに問う

 

「私は……」

「そっか…梨子ちゃんは梨子ちゃんのタイミングがあるからね。困らせてごめんね?」

「う、うん大丈夫」

 

……本当にいいのかな?これでもし私と優奈くんが付き合う事になれば絶対後悔しちゃうと思うんだけどな…まあ私の告白が成功するとは到底思えないけど

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

 

幼馴染 小原 鞠莉 松浦 果南の場合

 

明日はバレンタイン!そして今年のバレンタインはユウナに直接チョコを渡せる特別なバレンタイン!

 

そしてきっとこれで__

 

「endよ…貴方も異論はないでしょ?」

「うん」

「全く!まさかAqoursみんながユウナに惚れちゃうなんてユウナはプレイボーイデース!」

「いや、鞠莉あんまり意味わかって言ってないよね?」

「モテモテって意味よね?」

「あー…うん、まあいいや。それよりさ、Aqoursの皆が明日全員告白するとは限らないと思うんだけど?」

「告白するしないわどっちでもいいわ。ただ告白するならホワイトデーに返事をと提案するだけヨ?後はユウナ次第」

「そっか…これで決まるかもしれないんだね」

「まあ、マリーが勝つと思うけどネ?」

「いいや、優奈は私が貰うよ?ダイヤにも鞠莉にも後輩たちにも負けるつもりはないよ」

 

フフ…もうこんな話もできなくなるわね…ユウナを取り合ってダイヤやカナンと喧嘩する事も……明日で最後。ううん喧嘩と言うより戦争ネ

 

「……もしかして鞠莉さ」

「ん?」

「明日で終わるって確信ある?ユウナ次第とか言ってたけどさ?」

 

アラアラ……表情にでてたかしら?

 

「エエ……きっとこれで終わる。そんな予感がするの」

「そっか…じゃあ後で皆んなに話してその後はチョコ作りだね!」

「ソウネ、そろそろお昼も終わるし、今日はAqoursの練習は休みだから後で通話ネ!」

 

 

 

ちなみに何処かの生徒会長はチョコ作りに夢中で通過に中々出なかったのは別のお話……

 




この続きは次の本編を更新した後になるかと思います。
最近忙しいのでちょっと更新ペースが遅れると思います。すみません!


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Root if Valnetine day/White Day 2nd

お久しぶりです。お待たせしてすみませんでした。最近忙しい上にこのお話を書くのにめちゃくちゃ手間取り時間が凄くかかりました。申し訳ないです…

それと内容は……正直キャラによって文字数が違ったり内容がちょっとアレだったり………まあ文句出てもおかしくない内容となってます。そこを踏まえて読んでいただけたらと思います。

※本編とは一切関係ないです


津島善子の告白

 

 

「お、お邪魔します!」

「いらっしゃい」

 

き、来ちゃった////…等々この日が///……今まで言いたくても言えなくて…喉奥まで来ていた言葉はいつも逃げ道を選択し、先延ばしを何度も繰り返して来た。でももう逃げない!今日の私は堕天使じゃなくて一人の女の子として先輩に想いを告げるわ!

 

いつもなら慣れた足取りで入って行く先輩の部屋。でも今日は正直ガチガチかも…お、落ち着きなさい!私!

私は堕天使ヨハネ!……って今日は違う!今日は、今日だけは////

 

「どうしたの?ヨハネ?」

「善子じゃなくて……ああ//…違くて///…き、今日は…ヨハネじゃなくて……善子って呼んで/////」

「!!?//////」

 

不意に私は先輩の胸におでこをコツンと当てていた。自分の真っ赤な顔を隠すために

 

「わ、わかったよ…善子//」

「………///」

「………///」

 

数秒の沈黙…告白したいのに……ここでチョコを渡して好きだって言うつもりだったのに!い、言わなきゃ!

今日は…今日だけはヨハネじゃなくて!津島善子として好きだって言わなきゃ!

 

「……先輩///」

「……な、何?善子///」

「…そ、その//////」

「…//////」

 

あ……先輩の心臓…凄くドキドキしてる。そっか…私だけじゃなくて先輩もドキドキしてたんだ。おでこ…くっつけてたのに今初めて気づいた。そっか……先輩も私と一緒にいてドキドキしてくれてるんだ///

 

「……好き///」

「…よ、善子////」

 

私はおでこを離して鞄から黒い箱に赤いリボンで包装されたチョコレートを取り出す。そして今度はちゃんと先輩と向き合って見つめ合う

 

「善子///」

「これ//……言っておくけど義理なんかじゃないから!////」

「それって…」

 

ああああぁぁぁもう!何遠回しに言ってるのよ!もっとちゃんとはっきり言わないと!他のメンバーも今日告白するのよ!?だから私の言葉で言わないと…後悔するかも知れない……だから____

 

 

 

 

 

「好きよ///…優奈先輩//////…どうか私を選んでください///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

黒澤ルビィの告白

 

 

 

今日の練習が終わった現在……ミーティングも着替えも何もかも終わっちゃったよ!

残りは優奈さんに//////……どうしよう///…す、凄く緊張するよぉ〜///

みんなはもう告白したのかな?…うぅ……屋上に向かう足が今にも止まっちゃいそうだよ。

優奈さん…もう屋上にいるかな?

 

屋上のドアノブを手に取り、ドアを開けた先には一人夕焼け空をぼんやりと見ていた優奈さんがいた

 

 

「ゆ、優奈さん!お、お待たせしました!」

「やあ、ルビィちゃん。待っていたよ」

「すみません、遅くなっちゃって」

「大丈夫だよ、こうして夕焼け空を見るの嫌いじゃないしね」

 

 

優奈さんの視線は再び空に。それにつられてルビィも夕焼け空へと視線を移す。いつも何気なく当たり前にすぎて行く夕焼け空…何だか自然と切ない気持ちが込み上がってくる

 

「どうして、夕焼け空を見てたんですか?」

「別に大した理由はないよ?ただぼんやり見つめて…今日が終わるなってさ」

 

今日が終わる…今日が終わればもう二度と優奈さんに想いを伝える事は出来ないかもしれない。仮に伝える事が出来たとしても、もうその時には遅すぎるかもしれない。だから…だから今伝えなきゃ…今伝えたい!

 

「優奈さん////」

「ルビィちゃん?」

「わ、私……優奈さんのことを////……好きになってしまいました//////」

「……ルビィ…ちゃん///」

「チョコレート…ルビィ一生懸命好きだって想いながら作りました//////」

「ふぇ///…あ///…ありがとう///」

 

優奈さん…顔を真っ赤にしながらルビィのチョコを受け取ってくれた。嬉しい…のかな?

 

「あ、で、ででも、お口に合わなかったら.……無理して食べなくても」

「そんな事ない!…俺の口に合わないとか//…絶対にない///」

「優奈さん……ありがとうございます」

「…うん//」

 

嬉しい/////…どうしよも無く嬉しい//////…これだけで満足できればルビィは傷つかないで済む。でももうこの想いは…この欲張りな気持ちは止まらないから

 

 

 

 

 

「もしも…もしも優奈さんが私の事をえ、選んでくれたその時は____

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

国木田花丸の告白

 

 

 

静寂と言う言葉がぴったりな図書室………また今日もマルは一人この知識と物語が詰まったこの場所へやってきたずら。いつもならここで時間が許す限り読書をして帰るとこだけど、今日は特別…今日は特別な想いをこの手元のチョコレートと共に先輩へ伝えるために来たずら

 

でも緊張するずら……それにとても不思議ずら。ドキドキしたり、顔が熱くなったり、胸が苦しくなったり、嫉妬したり……マルがこんな感情を抱くなんて今まで思ったことなかったなぁ……

 

「花丸ちゃん?」

「……あ…先輩」

 

もんもんと考えて気づいたら先輩が目の前に……気づかなかった

 

「あ……//////…」

「……//」

 

チョコレート…手に持ったままだったずら!まだ心の準備ができてないのにぃぃぃ!!/////////

 

「花丸ちゃん……それ…///」

「わあ!ちょっと待ってほしいずら!///」

 

思わず先輩に背を向けてしまったずら…で、でも………心臓がドクンドクンと脈を打って、身体が震えて、顔が熱くて………好きだって感情が止まらない/////////…し、深呼吸して…深呼吸して……よし!

 

「先輩!…マ、マルは……マルは…せ、先輩の事が………す…す」

 

喉奥まで来ている声が出ない…後少しなのに……後少しなのに…

 

「す………」

 

っ……言葉が…出ない……ダメずら…先輩の顔を見ながらはっきり言うなんて。でもこの想いのこもったチョコレートを持ちながらなら勇気が出るかかも///

 

マルはチョコレートを両手で持って口元を隠し、少し俯きながら…でも視線を前を向けることができず、つい横目にしちゃったずら///…でも

 

「好き…//////好き、です」

「花丸ちゃん///…」

 

 

チョコレートを持ってようやく想いを伝えられた…良かったずら……後は__

 

 

 

「このチョコ…先輩に.……マル、チョコなんて初めて作ったけど…きっと美味しく出来たと思うずら///だから受け取ってください//////…これがマルの気持ちずら/////////」

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

高海千歌の告白

 

 

 

日のさした明るい部室で私は優奈君が来るのを待っていた。私の人生初めての初恋。ずっと優奈君を好きで想い続けていたダイヤさん達には悪い気はしてるけど黙ってはいられないもん。結果がどうであれこの想いを伝えられずにはいられない。すごいなぁ…少女漫画の中にいる男の子や女の子達もみんな告白を乗り越えてからハッピーエンドに向かっていくんだもん。本当に尊敬しちゃうなぁ

 

覚悟を決めたつもりでもいざとなると緊張が止まらないもん!さっきからスマホの電源を入れては消し、入れては消し……これを幾度となく繰り返し約束の時間を確認してしまううちに時間は徐々に進む

 

「あ、あと5分!」

 

もう間もなくで約束の時間!もう少しで…もう少しで……

 

「千歌」

「どぅえー!?///…ゆ、ゆゆゆゆうなくん?///」

 

いきなり背後から声をかけられて思わず変な声出たよ!?

 

「いや、流石に驚きすぎだと思うよ」

「だって約束より5分早いもん!///」

「そんな事ないよもう約束の時間だよ」

 

そう言って優奈君は自分のスマホを見せて来た。そこには時間通りの時刻が表示されていた

 

「嘘!?私のスマホでは5分前だよ?」

「千歌…そのスマホの時計ズレてるよ?」

「え〜優奈君がずれてるんじゃない?」

「そんな事ないよ。今の時間を検索してみれば分かるよ」

 

そう言われて渋々検索してみると私のスマホが表示している時間と5分間の違いがあった

 

「嘘……本当に時計ズレてる……こんな大事な時に!?」

 

うぅ……どうして…いや、それよりも…

 

「……ゆ、優奈君」

「何だい?」

「……こ、これ///」

 

あれ?なんか思ってたのと違う……こんな渡し方するはずじゃなかったのに

 

「……千歌」

「え、えっと…///」

 

どうして声が出ないんだろう?どうして好きって言えないんだろう?

 

「っ……//////」

 

言わないきゃ…言わなきゃいけないのに……声出ない…

 

「千歌」

 

そんな時、硬直していた私に優奈君がそっと頭に手を置いて軽く撫でてくれた。

少し恥ずかしいけど…温かくて優しさを感じる///

 

「千歌__

「大丈夫!もう大丈夫だよ!///ありがとう優奈君/////」

 

結局言葉に詰まっちゃって優奈君に助けて貰っちゃった。ちょっとカッコ悪いかも…でもこんな優しくて温かい人だからきっと好きになったんだ!

 

「大好きだよ///優奈君///このチョコには優奈君への気持ちをたくさん込めたんだ///…そして…もしも……もし良ければ私と__

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

渡辺 曜の告白

 

 

 

誰もいない中庭。お日さまが眩しく、風が心地いい木の日陰の中で優奈君を待ってる。緊張は……多少する。でも…ダメ元な告白のせいか多分他のみんなと比べたら私は胸の高鳴り、顔に込み上げてくる熱、彼に対する強い願い……そう言ったものが足りない。

 

本日の曜ちゃんは自信がないのであります……だって私は他の人と比べたら話す事も少かった。少ないからこそ私から何度か話しかけようともしたけど…彼はダイヤさんや他の人達に猛アタックされてるから…一歩引いてしまった。それに皆んな可愛いしカッコいいしさ……私じゃ無理かなって……………

 

そう思うたびにさ、胸が苦しくなる。悲しみの感情が心を蝕む

 

 

もう辛いからさ…今日で終わりにしよう

 

 

 

「お待たせ曜」

「やあ…優奈君……待ってたよ」

「…………」

「……どうかした?」

「なんでそんなに元気ないの?曜らしくないよ?」

 

知ってるよ……らしくない事も…

 

「………本日の曜ちゃんは自信がないのであります。理由は…わかるよね?優奈君」

「………」

 

彼はどこか読めないような表情で無言の回答を私に返す。予想通りだよ。だからこそ恥じらいもなく、躊躇する事もなくワガママをぶつけられる

 

「好きだよ、優奈君……君を好きになっちゃった」

「……曜」

「はいこれ…今日はバレンタインだからさ、曜ちゃんからプレゼント」

 

辛いな…

 

「こんな可愛い女の子から本命チョコレートをもらえるなんて君は幸せ者だね」

 

 

苦しいな…つい強がりしちゃった。何が可愛い女の子なんだろうね?それに幸せなんて感じてないだろうに

 

 

「でもさ……君は私を選ばないよね?だからさ気持ちだけ…気持ちだけ言っておきたかったんだ。悔いのない様に…ちゃんと諦められる様に、明日からまた友達として過ごせる様にさ」

 

 

私、上手く笑えてるかな?彼の重荷ならない様に、彼がなるべく罪悪感を感じない様に振る舞えてるかな?

 

 

「だからさ……今日の事さ、明日になれば忘れていいから。そのチョコ今日食べちゃって…それで私の想いは全部終わるから」

 

 

そう、終わらせないと。これ以上お互いが余計な感傷をしないように…もう傷つきたくないから

 

 

「それじゃあね……私のワガママ聞いてくれてありがとう」

 

 

 

さよなら、私の初恋____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

桜内 梨子の告白

 

 

 

告白……私が長い間できずにいた事をほぼ強制的にせざるを得ない状況に追い込まれました。だって皆んな優奈に告白するって言うんだもん!もう!…なんでこんなにライバルがいるんだろう?優奈モテすぎ……

 

私はまだ……私はまだ………優奈に告白なんて…

 

「はぁ……なんでこんな事に…」

 

私以外誰もいない教室にはため息と苦言ばかり響く。夕焼けか……このくらいの時間だったかな?中学の時の放課後に二人で歩いた帰り道…ああ……あの時間が恋しい。二人きりで過ごした時間がとても幸せだった。

あの時はよく二人でいたから周りからは付き合ってるって思われたりしてたな。でもその勘違いが実はちょっぴり嬉しかったり……///

だって、それって周りから見れば恋人に見えたって事だもんね?優奈はどう思ってたか分からないけど、私は素直に嬉しいと思ったなぁ//////えへへ////…自然と顔がニヤけるなぁ//

 

「何ニヤけてるの梨子?」

「ヒァァァ?ゆ、優奈!?/////////」

「また考え事してたの?」

「え、えっと…まぁね///………それよりいつから?」

「今来たばかりだよ?」

「そ、そう……」

 

もう//もう//…呼び出したはいいけど…どうしよう?

 

「梨子…また何か悩んでるの?」

「………悩んでるのって……バカ」

「え…」

「全部貴方のせいじゃない!!///」

「……僕何か………しちゃったかな?」

 

彼は酷く落ち込んだ表情をして少し俯きがちになる。どうして彼はこうも真に受けてしまうのだろう?別に彼は何も悪い事などしていないのに。

 

「あ、いや、えっと…」

「ごめん……僕が自覚なしに何かしてしまったなら謝る。ごめん…」

「待って!違うの?怒ってる訳じゃなくて…責めてる訳じゃなくて」

「でも僕が梨子を悩ませた事に変わりないよ」

 

ああ〜もう!どうしてこうなるの!?なんで?…なんで?……っ…こうなればもうヤケよ!////////

 

「確かに悩んだわよ……だって…いつも優奈は///…私の心をかき乱すから//////」

「梨子?」

 

どうして疑問形!?ここまで言ってまだわかってないの!?この鈍感バカ!ここまで…ここまで言ったのに!

私の中では八割くらい告白したつもりなのに!?

 

「〜っ/////////…ずっと近くにいたくせに……どうして分からないのよバカ///」

「え?…ごめん………近くにいながら…全然梨子の気持ちに気づけなくて」

 

また悪化してるし!そんな死にそうな顔しないでよ!もう//////もう//////……

 

「……//////…もういいよ……私が優奈に素直に…はっきりと言えなかった事がそもそもの原因だし」

「え?」

 

もういい……これ以上素直になれずに、ちゃんと伝えられなかったら後悔する結果になる気がする。それだけは嫌だもん。だから覚悟を決めよう…今まで言いたくても言い出せなかった想いを今日告げよう

 

「私はね///」

「……」

 

顔が熱い。心臓がうるさい。身体が震える

 

「……///」

 

声が詰まる。言葉がはっきりと出ない……告白ってこんなに難しいんだ。そうだよね…だって今までの綺麗で素敵で掛け替えのない貴方との思い出を綺麗にとって置きたい。でもそれはそれ以上前に進まないと言う事。

それは嫌だもん……だって好きだから。だから__

 

「いつもは感謝とか…建前をつけてチョコレートを渡していたんだ。でも本当は感謝なんかよりも強い想いがあるの。貴方が…優奈が大好きだって想いが//////」

「梨子……」

 

 

「ずっと大好きだったんだよ///……これは「嘘」をつけたチョコじゃない。これが本当に渡したかったチョコレート//////…受け取って//////」

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

小原 鞠莉の告白

 

 

 

夕暮れ時の理事長室…残念ながらいろいろやる事があるせいでここで告白タイムを過ごさなきゃいけないわ。

でもこの夕日の景色は綺麗でいいんだけどネ?こればかりは理事長である私だけの特権ネ!

 

コンコンとノック音が響く。そして彼の声が聞こえる。この声を聞くだけで胸が高鳴る。さっきまで少し憂鬱だった気持ちも全部忘れて彼に「入って」と返答する

 

「失礼しま___

「ユウナ!ハッピーバレンタイン!」

「あ、ありがとう鞠莉姉さん///」

 

フフ、ちょっと戸惑いながらも頬を少し赤してチョコを受け取るユウナも可愛い!でも……

 

「うーん…もうちょいいい反応してくれると思ったのに……」

「いや、だって…正直鞠莉姉さん達はさ」

「もう分かってた?…でも私にとっては大事な事なの」

「それは…その手を見ればわかるよ」

「あはは…料理はあまりしないから…」

 

本当はバレたくなかった。でも隠しようもないし…仕方ない。正直チョコレートの作り方とか分からなくて結構苦労したわ……

 

「でも…やっぱり手作りの方が気持ち…伝わるデショ?」

「…そうだけど///」

「フフ…ねえユウナ……」

 

私は理事長室のソファに腰掛け、その隣に座るようにポンポンと手で示す。もちろんユウナは隣に来てくれた。でも……当たり前にユウナが隣に来てくれる…この関係ではいられない。いたくない…ずっと…ずっと…本当は…隣にいて欲しい……誰よりも私を選んで欲しい。私を好きになって欲しい

 

そう思ったら自然とユウナの腕に抱きついていた。腕を離さないようにギュッと

 

「鞠莉…姉さん?//////」

「選んで欲しい」

「……」

「ずっと…こうして隣にいて欲しい…そばにいて欲しい……向こう何十年…何百年……こうしてそばで貴方の温もりを感じていたい。一生私のそばにいて欲しい」

 

 

 

 

「だってユウナのこと大好きだから___

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

松浦果南の告白

 

 

 

「はい!優奈!ハッピーバレンタイン?って言うんだよね?」

「う、うん。間違って…ないと思う」

「そっか〜良かったよ」

 

(ハッピーバレンタインって言うんだっけ?……考えるのやめよ)

 

時刻は少し薄暗さを感じる夕方18時頃。Aqoursの練習も終わり、その帰り道にて私は優奈に手作りチョコレートを渡した。学校にいる時でも良かったけど、優奈大変そうだったからね。少しだけ肩の力を抜ける時に渡すことにしたんだ

 

「私なりに結構頑張って作ったんだ」

「……分かるよ。寝る間も惜しんで作ってくれた事くらい…それくらい俺でも分かるよ」

「っ///…」

 

真剣に私を見つめながらくれた言葉とその姿にほおが熱くなる。言葉にできない嬉しさが込み上げてくる

 

「ホント優奈は///…そう言う不意打ちズルイよ///」

「え?いや、不意打ち?」

 

恥ずかしくて私は背を向けた。顔…絶対赤い……///

 

「そうやって私の事を分かってくれて…私の気持ちに本気で向き合おうとしてくれてさ……やっぱ独り占めしたい……優奈の気持ち全部独り占めしたい」

 

「………っ…」

 

 

今どんな顔して何を思ってるんだろう

 

 

振り向けば全部分かってしまうような気がして向き合えない

 

 

やっぱり怖いよ…もしもの事を考えたら震えて動けない

 

 

今私を抱きしめてくれたらどれだけ安心できるんだろう

 

 

どれだけ喜びで満たされるんだろう

 

 

怖くて、辛くて、切なくて……それなのにどうしようもなく愛おしい

 

 

だからさ…簡単で真っ直ぐな一言を言うよ

 

 

「好きだよ……今も昔も…そしてこれからもずっと…変わらないよ」

 

 

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黒澤ダイヤの告白準備

 

 

 

部活が終わり日が沈みかけ空は暗くなる寸前。そんな中私は家の居間で一人正座していた。理由は心を落ち着けるため。これから優奈が来る。両親は仕事の都合…いや、気を使ってわざとと言う事もあるかもしれませんが……今日は帰って来ません。妹のルビィは花丸さんのお家にお泊り……つまり!完全に二人っきりですわ!

 

ルビィと花丸さんには申し訳ない気持ちがあります。でも……今日だけは…どうか今日だけは私の我儘を許してください。これから起こる事は私にとって最も大切で貴重で…儚い時間となるでしょう。

正座して深呼吸をしても全く落ち着かない。心臓が動く速度が変わる事はない。

 

答えを…覚悟を決めた優奈が来る。期待と不安と焦りが心の中を駆け巡って止まらない…

 

そんなもんもんとした時間は不意に終わりを告げた。家のインターホンが鳴り響き彼の声が聞こえた。

駆け足で玄関まで向かい、玄関を開けようとした時__

 

 

 

「……あ」

 

 

 

ふとその手が止まった___

 

 

だって分かってしまう

 

 

この扉を開けてしまったら彼の答えが分かってしまう

 

 

私が彼の顔を見てしまえば直ぐに分かってしまう気がした

 

 

それだけ彼の事を知ってる、知ってしまった

 

 

もしも私が望む答えじゃなかったと分かった時に私は素直に愛を伝えられるだろうか?

 

 

答えは否。そんな事ができる強さが私にあるとは思えない

 

 

手が震え、開けられない

 

 

 

 

私には開ける事ができなかった

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょう?まあいろいろ思う事があるかもしません。でもまだRoot ifは完結していません。完結していない事を踏まえて感想をいただけたら嬉しいです。

それとしばらくは本編を書き進めるつもりです。なるべく遅くならないように投稿しようと思ってます。少なくとも2ヶ月以内には投稿したいなと思ってます


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