緋弾のアリア〜狂戦士の力を持つもの〜 (ユウ0725)
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1話
俺はかの有名なトロイアのアマゾネスの戦士の王である人の記憶と力を受け継いでいる。
まあ、友人の金次みたいなモードになってしまう。
あいつの場合は性的興奮だが、俺の場合は『かっこいい』とか『美男子』とか言われるとスイッチが入ってしまう。
これは先祖が最後の戦いで敗北した時、相手の将に『美しい』と言われたからみたいだ。
正直に言おう。
異常すぎる!!
東北の武偵中学では、模擬戦の時に相手から『綺麗な顔をぶっ潰せる』と言われて発動してしまった。
結果は相手がボコボコにされ、なおかつ全治3ヶ月の大怪我をさせてしまった。
そこでついたあだ名が『凶戦士』だそうだ。
あるワードをきっかけに大激怒し、相手をボコボコにするという事だからだそうだ。
え?
ボコボコにしなければ良いって?
無理を言わないでくれ。
これは体質みたいなものなんだから勘弁してくれ。
それ以降結構ワードを聞くたびにボコボコにしていた。
しかも叫び声がかっこいいのもあれば、酷いものなんか『アキレウスゥゥゥゥゥゥ!!!』って叫ぶだけだぜ?
体質のせいで、ワードを言った奴は全てアキレウスに見えるからそう叫ぶらしい。(母ちゃんの話ではな。)
ちなみに母ちゃんも同じ体質だったみたいで、結婚するのにかなり苦労したらしい。
友人には一回行き遅れと言われてバーサーカーしたらしい。
さて、なぜこのようなことを思っているかと言うと…………。
「何でセグウェイにMINIMI付いてんのさ。」
現在は半バーサーカーして走っているからちょうど良いくらいの間隔が開いている。
「不要因子を排除します。」
しかも機械音でさ!
地味にホラーだよ!
「イケメン殺すのは致し方ないけど殺します。」
あ、こいつなんて言った?
イケメン……だ………と?
心の奥底にある黒い恩讐が湧き上がる。
「…………す。」
俺はひたすら繰り返す。
足を止めて、ひたすら繰り返す。
「こ…………す。」
セグウェイのMINIMIが発砲する。
「殺す、コロス、コロス、殺すぅぅ!!」
瞳が黒く染まり、周りから色が抜け落ちる。
あるのはひたすらの赤、緋、朱、紅、赫!!!
「うぅぅぅ、うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
普段装備してるモーニングスターで潰す。
数の暴力ではなく、個々の暴力で一つ一つ、そして全て潰す。
加減は必要ない。
しようとも思わない。
感情のまま、気の向くまま、相手が動かなくなるまで、息を止めるまで、這いつくばるまで、潰す。
「グルァァァァァァァァァ!!!」
1人の狂戦士が雄叫びを上げた頃には、周りは鉄の塊と抉られた地面があっただけだった。
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2話
その頃の強襲科では………
ーーーーァァァァァ!!!!
「「「「「っ!!!」」」」」
全員が飛び跳ねた。
「ヤバい! あの人が来るかも……。」
「誰よ! あの人にバーサーカーさせたの!!」
「いや、冗談じゃない……。」
その時、強襲科に酒を飲みながら蘭豹が入って来た。
「ん? お前らどないしたんか?」
強襲科の生徒は蘭豹が入って来ただけでどこかに隠れようとヤケになっていた。
「せ、先生………アイツがバーサーカーしました。」
「は?」
蘭豹は酒を床に落とした。
「お前ら、ホンマなんやな?」
「はい、先ほど雄叫びが聞こえました。」
「アカンやつやん。」
何故強襲科の生徒及び蘭豹が恐れている理由は、ここにいる全員がバーサーカーした例の奴にフルボッコにされているからである。
「つーか、バーサーカーさせた奴は誰なんや!!!」
蘭豹は怒りに任せて銃を乱射する。
その時奴は来た。
ズズッ、ガシャ、ズズッ、ガシャ、ズズッ………
「アカン来よった。」
ドォォォォォォォォン!!!
ドアが吹き飛んだ。
「ウゥゥゥゥ………殺す、殺すぅ!!!」
ドアの直線上にいた生徒はドアとともに吹き飛ばされた。
「アカン、かなり怒髪天や。」
「誰がかっこいいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こいつをバーサーカーさせた奴はマジで殺す!!」
あたり次第に暴れ出した。
モーニングスターをぶん回し、鉤爪で切り裂く。
「あの根暗がいないと収まらへんぞ!!」
「金次呼んで来い!!」
「いや、校長呼べ!!」
「もう嫌だーーーーー!」
阿鼻叫喚とはまさにこのこと。
「このバカタレが! いい加減に死ねや!!」
蘭豹は銃を乱射して、攻撃しているが、全く当たりも擦りもしない。
当たったと思ったら、モーニングスターで弾かれる。
「このバケモンが………!」
だが、急に止まった。
「どないしたんや?」
さっきまで暴れに暴れていた奴は急に止まった。
「ウゥゥゥゥ………う?」
張り詰めた空気が霧散していく。
「あー、またやっちゃいました?」
「このタイミングで戻りおって………。」
生徒と先生は安堵のため床に座り込む。
「や、凄くすみません。」
「お前なぁ………。」
「相変わらず人間辞めてるな。一回死んで人間になれや。」
強襲科もいつもの空気を取り戻して来た。
「流石人間やめてるランキングの殿堂入りした奴だな。」
「うるせぇやい!」
なんでこんなに傷口抉ってくるかなぁ!
「札幌武偵高より任務を終えて俺、『藤原・P・悠人』戻りました!」
「どの口でそんな挨拶できるか教えろや。」
「やー、いふぁいでふよー」
「後で教務科に来いや。」
蘭豹は去っていった。
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3話
あの後、教務科に呼び出されて、蘭豹にこっぴどく怒られた。
まぁ、人間辞めてますランキング殿堂入りした俺が暴れたからだろう。
「はあ、戻ってきてから疲れる。」
別にバーサーカーしなくても普通に勝てるんだけどさ、その戦い方も問題だからね。
「あ、藤原君なのだ!」
ぴょこぴょこと歩いてきたのは平賀さん。
「お、アレは出来たのか?」
「勿論バッチリなのだ!」
そう言って取り出したのは斬糸のグローブだ。
どういうものかと説明すると、目に辛うじて見えるようなワイヤーで相手を巻き取ったり、切り刻んだりするものだ。
「試してもいいか?」
「勿論なのだ!」
俺は平賀さんと訓練場に行き、早速試してみた。
「うん、手に馴染むし、使い辛くもない。」
丸太に向かってワイヤーを振るう。
すると丸太は6つに切断された。
「ほお、いい感じじゃん。」
「お気に召したようで良かったのだ!」
だが、使うとなると周りを巻き込んだりしそうだな。
慣れるようにしなくてはな。
「ちょっと、ワイヤーが鋭いから扱いには注意してもらいたいのだ!」
「わかった。これでアイツらボコボコにできる。」
「武偵憲章は破らないで欲しいのだ。」
「分かっている。」
そんなやり取りをして、平賀さんと別れた。
そして、ひさびさに教室に戻ってきた。
さて、入ろうかとすると、銃弾がいきなり飛んできた。
それを難なくはたき落とす。
ちょっと、イラッと来たかな?
俺は教室のドアを蹴破る。
クラス全員がこちらに注目する。
「おい、俺に向けて銃弾撃った奴出てこい。」
教室中に『あ、やばい奴来た。』という空気が流れる。
「ん? 俺は聞いてるだけだが、誰なんだ? なるほど、遠山か、遠山なんだな?」
「俺じゃねぇよ! 勝手に決めるなよ! 撃ったのはアリアだ!」
「なぜ、出てこない?」
「お前が、その武器持ってるからだろうが!!」
「あ? これか? これは俺なりの銃を構えてますアピールだよ。」
「いやいやいや!! お前のは洒落にならねぇよ!」
「そうか。んで、俺に向けて発砲した奴は?」
クラス全員がアリアを指差す。
「そうか、そのちっこいのか。」
その瞬間に何かが切れるような音がした。
「おい、ちっこいの、悪いことしたら『ごめんなさい』だろう? そんな事も出来ないのか? ちっこいの、それにここは小学生が来るところじゃない。分かったかちっこいの?」
「ばっ!? おい!?」
「ん? 何か悪いこと言ったのか?」
「ちっこいのとか言うなよ!!」
何言ってんだコイツ?
「だ〜れ〜が!!! 小学生でちっちゃいかぁぁぁぁ!!!!」
「おお! キレたキレた。」
「お前な! 煽るなよ!」
「ちょっとはかっこいいからって、馬鹿にして!!!」
「「「「「「あ」」」」」」
「皆さん! 逃げてください!!」
担任の高天原ゆとり先生が焦ったように言ったが遅かった。
あの馬鹿!!
「馬鹿アリア! それは言ってはいけない言葉だ!」
「何がよ!!」
「アイツにカッコいいとか言ったらダメなんだ!!」
「うっさいわね。当たり前のことを言って何が悪いのよ!」
「アリア、お前死ぬぞ?」
一周回って冷静になったのだろう。
「え? それはどう言う『グルァァァァァァァア!!』っ!」
「誰が、誰がカッコいいだぁぁぁぁぁ!」
「何なのよ!」
アリアが後ずさる。
「おい! 逃げることに専念しろ!!」
アリアとキンジが窓から飛び降りる。
「逃すかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
二人の顔近くをモーニングスターが過ぎ去る。
「ちょっと! 今の当たってたら死んでたわよ!!」
「お前が原因なんだよ!!」
「グルァァァァァァァア!!」
人間離れした跳躍で、正面に回られた。
マズイ。
そう思った時、藤原を鎖が拘束した。
「ウゥゥ! ガアァァァ!」
もがくが解けそうにない。
「やあ、無事かな?」
そこには緑の長い髪をした男性(?)がいた。
「はぁ、間に合ってくれたか。」
俺は脱力し地面に座る。
「ねえキンジ、アイツは何なの?」
「ああ、アイツは人間辞めてますランキング殿堂入りした奴だ。」
「は? まさか、あのランキングの?」
「それ以外に何があるんだよ。」
「え? 嘘? だって、それまでは山の翁とか言う人だったじゃない?」
「アイツが超えたよ。アイツの二つ名は『凶戦士』だ。」
アリアは呆けてしまった。
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4話
ぼやけた視界から景色があらわになる。
保健室のようだ。
「あー、またやっちまったか。」
教室で何か言われた後から記憶がない。
おそらく、禁止ワード言われてバーサーカーしたんだろう。
「やあ、目が覚めたんだね。」
「よお、エル。悪い目覚めだ。」
「仕方ないよ。思いっきり絡めたからね。」
どおりで身体中が打撲みたいに痛むわけだ。
「流石回復は山の翁を倒しただけあるね。」
「勘弁しろ。鐘の音が鳴らなかったから勝てたんだからさ。」
それでも剣術化け物、気配消すの化け物、攻撃化け物、遠距離も化け物の存在が化け物をなんとか下したんだからさ。
鐘の音が鳴っていたら寒気がする。
「それでもだよ。僕たちの所属する組織、そして組合の長として誇らしいよ。」
「そうか。」
照れるな。
あ、組合で思い出した。
あいつら大丈夫かな?
特にポートラルの長は変態だし、テンペストは露出狂だし、シルヴァニアは四人しかいないし、仲良くやってるかな?
「そうだ。彼女たちから連絡があったよ。」
「だれからだ?」
「屍からだよ。」
うわぁ、よりによってあいつからか。
「どっちだ?」
「黒い方からだよ。『くふっ、そろそろ大きな戦いが始まる。我らの王も参加せねばならない。どちらに着くか決めておけ。敵は任せておけ、所詮は豚と塵芥しかおらんのだからな。』ってさ。」
「極東戦役か。それしかねぇな。でも、イ・ウーが解体されるのか?」
「いや、予言らしいよ。トオヤマとアリアが解体させるみたい。」
そうか。
しばらくは様子見か。
「ふむ、なるほど。」
「で、どうする? 『人理修復機関カルデア』、生存組合『ポートラル』、『テンペスト』、『シルヴァニア』の統合団長たる君は参加するのかい?」
「ふっ、もちろんだよ。お前の友がうるさいんだよ。」
「ふふっ、確かに彼なら『我の街、我の土地で無粋な真似をするでない!!』って言いそうだもんね。」
「そうそう、だから参加する。そして、すぐに終わらせれるようにする。」
「そうだね。平穏な日々のために。」
そう言ってエルは立ち上がり、保健室から出て行った。
それと入れ替わりで、キンジとアリアが入ってきた。
俺を目の当たりにした瞬間にアリアは頭を下げた。
「ごめんなさい。あなたの事全く知らなかったの。」
「ああ、気にしてないさ。俺が、ああなるのはいつものことだったしな。」
キンジに目を配らせる。
「そうだな。」
遠い目をしてキンジが同意する。
「あの時は大変だった。蘭豹は一撃ノックアウト、校長は近づけず、狙撃は弾き返す、強襲科の先輩は薙ぎ倒されるって散々だった。」
「あの時は前日に腹が立った出来事があったし、それに朝から蘭豹の無茶振りでキレる直前だったからさ。」
「それは理解してる。」
「さて、昔話はそこらへんで、本題に入ろうか。」
二人を俺は見据える。
「さて、俺に何の用かな?」
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5話
薄暗い建物の中、そのホールに集まる四名の人影がいた。
「くふっ、もうじき大きな争いが始まる。」
「あたし的には争って欲しくはないんだケド。」
「はっ、争いじゃと? 下らん。儂に勝つことは彼の方しかできんて。」
「ふむ、この『万能の天才』でも、それは予測はできてなかったね。」
四者それぞれの意見を出す。
「所詮は豚と塵芥しかおらん。我らが勝利は確実だ。」
「かばねる、それはちょっとないと思うな。」
「何故じゃ?」
黄色いコートの女性は資料を広げる。
「見てみてよ。Rランクに鬼、吸血鬼、英雄の子孫がいるっしょ? 挙句の果てには『あの石』の神が出てくるかもしれない。」
「ふむ、人外とな?」
顎に手を当て、考える仕草をする銀髪赤目の女性
「そそっ、だから簡単には難しいと思うな。」
「ほほぅ、ならば『カルデア』より、本物の鬼を派遣しようか?」
「なんと!? そのようなものが実在するとな!?」
「ふふん、前任の所長が仕上げてくれた『英霊召喚システム』によって、もういるのさ。」
そう言ってモナリザ似の女性は懐から写真を出した。
「こっちが『酒呑童子』で、こっちが『茨木童子』さ。幼く見えるけど力は本物だよ。」
三人は久々に見る人外に対して興味深々だ。
「いや、今回はいい。儂の所から次女を出そう。あやつは卑屈すぎての、ちぃとばっかし自信を持って欲しいからの。」
「おお!! むぐ姉ですか!? あのおっぱい揉み放題の!!」
「貴様、儂の姉妹に手を出す気か?」
殺気が飛ぶ。
それに焦った黄色いコートの女性は冷や汗を流しながら手を左右に振る。
「いやいやいや、そんなことするわけないじゃないですかぁ。もう、ジョークですよジョーク!!」
「ふん。」
モナリザ似の女性は柏手を打った。
「さあ、無駄な争いは辞めにして、本格的に話そうではないか。」
三人は一斉に振り向く。
「まずは人材の派遣と滞在する戦力の確認、あとは、彼と共に宣戦会議に出る人を一名選出する。これでいいかい?」
三人は頷く。
「私の所からは彼女を選出しよう。滞在する戦力はこの三名だ。」
写真を取り出す。
一人の写真は銀髪に褐色の肌に白い紋様、そして三色の剣を持った女性だった。
次に出された写真は、緑色のマントを羽織る青年と、金髪に派手な衣装を纏った赤い剣を持つ女性、最後に狐耳と尻尾があり、青い和服を着た女性だった。
「この四人は戦力的にも申し分ない。しかも、最後の彼女は結界も張れて、呪術も使える。」
「ほう、妖の術か。」
「モフモフしたいですねぇ。」
「くふっ。」
「ならば次は儂の所かの。儂の所は四人しかおらん。故に一人しかだせん。一番下の『ほとり』を選出するかな。」
その女性も写真を出した。
「其奴は、英雄の一部を移植したせいか、ちぃーとばっかし連携が取り辛かろうが、優秀じゃ。そして科学者故」
「ほほぅ。科学者とねぇ。」
「はいはい! 次は私の所からは、『ひさぎん』と『あやねる』を選出するよ! おおっと、理由は一番二人が強いからだぜ? といっても、『つづりん』がうちにはいるから問題はないのです!」
「ほほぅ、あの二人を出すか。」
「なんじゃ、知り合いか?」
「ちょっとな。少しチェスで完膚なきまでに叩き潰したが。」
「さっすが、全国三位の実力者!」
「ふん、次は私か。」
三人の目が一斉に向く。
「くふっ、私の所からは…………私自身が行こう。なに、他の奴は連携が取りにくい戦い方か、毒を使う奴だからな。それを考えた故に私が自ら赴くのだ。」
「おおぅ、組合の長が自ら動くとは!」
「くふっ、私の強さは彼がよく知っている。」
「話はこれで纏まったということでいいよね。よし、我が『カルデア』に招待しよう。」
モナリザ似の女性が指を鳴らすと、そこにいた四人は消えた。
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6話
「あなたに手伝って欲しいの!」
「却下だ。」
間髪入れずに俺は答える。
「理由については、俺はもう今後の予定で埋まってるんだ。」
「予定とは?」
「任務と私用で、ロアナプラまで行かなけりゃならんからな。」
「「は!?」」
おー、驚いてら。
「え? ロアナプラって、あのよね?」
「そこ以外にどこがある?」
「マジかよ。あそこって、各国の有名な犯罪者やマフィアが集まるところじゃなかったか?」
よく知ってるな。
「そうだ。今後の戦いに備えてそこに顔を出さないといけないんだ。そして、協力してもらう。まあ、知り合いがいるから安心して大丈夫だがな。」
「例えば?」
「『ラグーン商会』、『ホテル・モスクワ』、『暴力教会』、『三合会』と言った感じかな。あとは、個人で『フローレンシアの猟犬』かな。」
「何よそれ、殆ど世界の凶悪犯の上位者じゃない。」
驚いてるな。
ま、普段だったら会うこともないし、会ったらヤベー所でもあるからな。
「遊撃隊とか、敵にしたくないわよ。」
「お、遊撃隊のことまで知ってるのか?」
「当たり前よ! 元第318後方撹乱旅団・第11支隊よ! ソ連時代に名を響かせたとんでもないところよ!」
「でも、俺の敵じゃない。」
アリアを一回黙らせる。
「さっき上げた名前の所とは何回か対立した。だが、全て返り討ちにした。」
2人は息を飲む。
「純粋に俺が強いからだ。」
「そんなに強いのに何で今まで名前が上がってきてないの?」
ああ、それか。
疑問に思うのは仕方ないかな。
「理由については、俺がこの力を一切制御できてなかったからだ。」
思い出すなぁ。
何回死にかけたことか。
「それまではある施設でコントロールの修行をしてたからな。」
「だからなのね。」
「その後は修行の一環で、山の翁を倒してこいって言われてから、今に至るかな。」
「あんたの師匠はどんな鬼畜よ………。」
影の国の引き篭もりババァですが?
これは口に出したら殺されるな。
「お前、苦労してたんだな。」
同情すんなぁぁ!!
俺だって好きでやってたわけじゃ無いんだよ!
でも、少しは強くなったし、制御も禁止ワードを言われなければなんとかできてるし、まあ、プラスにはなってるんだよな。
「協力が無理なことはわかったわ。でも、暇ができれば協力して欲しいわ。」
「その時が来ればな。」
ま、近いうちに来るだろうがな。
その時は、俺の所属する組織と、ロアナプラの全勢力で助けてやるよ。
「話は終わりよ。じゃ、失礼するわね。」
アリアとキンジは病室を出て行った。
「ふ、近いうちにそれは来るよ。その時は全力を持って助けてやるさ。」
俺の独り言は病室に消えた。
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7話
飛行機に乗ること数時間、目的の場所についた。
「また、ここに来ることになるとはな。」
俺は街並みを見ながら溜息をつく。
「相変わらずの掃き溜めだな。」
周りにはゴロゴロと柄の悪い人相をした人や、あからさまに俺を狙う目をしてこちらを観察している者達がいる。
「俺は餌じゃねぇっつーの。」
再度溜息をつく。
「よお、見ない顔だな? いいとこ紹介してやるぜ?」
「いえ、そういうのはいいんで。」
やっぱ絡まれたか。
「あ? 俺が紹介してやるって言ってんだ! 黙ってついて来やがれ!」
「この街で逆らっては行けない人物」
「あん?」
「一人はバラライカ、二人目はシスター・ヨランダ、三人目は二挺拳銃」
「んなこたぁ分かったんだよ!」
男は手を上げようとするが、それを俺は遮る。
「そして、四人目………いや、これは、最後の会社かな? カルデア所属の職員だ。」
「は?」
その瞬間、男はピンボールのように飛んで行った。
「そう、俺の事だ。文句あるなら掛かって来な。容赦なく捻り潰して、ブッ飛ばす。この街では弱肉強食なんだろ?」
俺は、モーニングスターを地面に叩きつけて威嚇する。
その瞬間、傍観していたゴロツキはそそくさと去っていった。
「これで歩きやすくなるな。」
「あまり騒ぎを起こさないでもらいたいものだね。」
後ろから声をかけられた。
近づいてくるのは知ってたからほっといたけどね。
「やあ、久しぶりとでも言おうか。」
「そうね。久しぶり坊や。」
「ハッ、老いぼれはさっさと引退しやがれ。」
「そっちの会社に勤めている方の方が老いぼれじゃないのかい?」
「バカ言え。アイツらは老いぼれじゃなく、バケモンだよ。」
まさか、ファーストコンタクトがバラライカとはな。
「頼みがあって来た。」
バラライカは驚いた顔をする。
「ほう。坊やが頼み事なんて、明日は銃弾の雨でも降るかしら?」
「お望みなら振らせてやるが?」
「それはやめてちょうだい。」
バラライカは焦った声を出す。
「お前のとこのオフィスに、レヴィ、ヨランダ、ロベルタを集めてほしい。これから大きな商売話だ。ただし、降りるなら今の内だ。降りたら、地の果てまでも追いかけるがな。」
「断れないじゃない。まあいいわ。明日、オフィスに来てちょうだい。」
「頼むぜ。マジで大きな話だからな。」
それだけ言い残し、俺は、目的の場所に向かう。
「よお、繁盛してるか?」
「こんな寂れたところに何の用だ。」
「お前から寂れたとか言うなよ。なに、情報収集さ。ここに雇わせたアイツがいるだろ?」
「ああ、そろそろ来るはずだ。」
入り口が開く。
「今日、頑張ろうかしら。」
「いや、毎日頑張れよ『マタ・ハリ』。」
そこに姿を現したのはサーヴァントである彼女だった。
「あら! マスター来たのね! うんとサービスしちゃうわ!」
早速俺の隣に座り出す彼女
「いや、仕事で来たんだよ。」
「そろそろ始まっちゃうのね。私、怖いわ。」
「お前が前に出ることはないから安心しろ。」
目の前に酒とベーコン豆が置かれる。
「奢りだ。彼女には争いも収めて貰ってるからな。」
「んじゃ、遠慮なく。」
早速食べる。
「味、変わんねぇな。」
「そりゃそうだろ。俺がやってんだからよ。」
「それもそうか。」
無心になってもそもそと貪る。
さて、明日からどうしようか。
そんなことを考えながら、飲んでいるといつの間にか、朝になっていた。
やべぇ、酒臭いままあそこに行かなきゃ行けねぇんだな。
ま、いいか。
どうせ荒くれ者の集まりだし。
余程の悪条件を付けられない限りは、大人しくしとくし、付けられたら暴れるだけだ。
俺は会計を済ませると、バラライカのオフィスに向けて歩き出した。
「………お前さんとこのマスターはどうなってやがるんだ?」
「私が知りたいくらいよ。」
カウンターの上には、空になった酒瓶が六本置いてあった。
酒瓶にはテキーラと書いてあった。
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