カルデアで送るベル・クラネルの日常 (自堕落キツネ)
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一応の設定
ベル・クラネル
クラス:セイバー
クラススキル
対魔力
自身の弱体耐性をアップ
神性(DかE)
自身に与ダメージプラス状態を付与
絆レベルに応じてHP,ATKアップ
「魅了」無効
対異常
自身の状態異常耐性をアップ(毒やヤケド等)
女難
厄介な性格の女性に好かれやすくなる(美の女神)
保有スキル
『剣姫の教え、冒険者の心得』
「人型」特攻付与(Lv、2ターン)
「魔性」特攻付与(Lv、2ターン)
回避状態付与(2回)
『異形の乙女達の愛』
自身にターゲット集中状態を付与(1ターン)セイレーンのレイ
被ダメージカット状態を付与(Lv、1ターン)
HP回復 (Lv)
『未完の英雄』
味方全体のNP獲得量アップ(Lv、3ターン)
カード構成
Quick×2
Arts×1
Buster×2
宝具
Buster
『
バスター性能アップ(オーバーチャージで効果アップ)
敵全体に強力な防御力無視攻撃(Lv)
味方全体にNP獲得(20固定)
セイントグラフのイメージ
基本の立ちは左足を半歩下げ、腕を垂らした状態
1:初代
背景、土色の岩壁
2:変更点:サラマンダーウール、左手に牛若丸
背景、赤色の岩壁
3:変更点:ウンディーネクロス、左手に白幻
背景、青色の岩壁、小さめの水晶群が幾つか
4:『
絆礼装:『幸運の白兎』
絵柄:白兎の横顔が刻まれたアミュレット
フィールドに出ている間、ドロップ率上昇
稀にドロップしたものが二倍になる
サマーver
クラス:アサシン
クラススキル省略
保有スキル
『ビーチフラワー(偽)』
味方全体の攻撃力アップ「Lv」(3ターン)
味方全体の[男性]のスター発生率アップ「Lv」(3ターン)
『影なき疾走』
Quick性能アップ「Lv」(3ターン)
回避状態付与(3回)
『ウェディング・ベル』
味方全体がNP獲得「Lv」
カード構成
Quick×2
Arts×2
Buster×1
宝具
『未熟な
Quick
敵単体に強力な攻撃「Lv」
中確率で即死付与(オーバーチャージで確率アップ)
モーションA案
敵の上方に投げ、跳躍。数回空中前転して踵落としで飛ばす。
B案(スカサハ介入)
「どれ、私が手伝ってやろう。」「ありがとうござます、師匠。」
槍を上に投げ、二人で跳躍。スカサハがベルの揃えた両足の裏をオーバーヘッドキック、その勢いで槍にライダーキックで敵に突き刺す。
セイントグラフ
1:右腕で胸を隠し、左手で立てた槍を持つ
2:かき氷を頬張りながら横目でこちらを見る
ザックリした設定、と思ってます
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思いついたけど使わない設定集
サーヴァント
アーチャー:ナァーザ・エリスイス
クラススキル
トラウマ
モンスターに対し、クラス問わず自身に対する攻撃がweak判定になる
フィールドにモンスターがいる場合ターン毎に確率でスタン(1ターン)
幕間の物語:『あの日の恐怖を乗り越えて』クリアで消滅
薬師
味方への与回復量アップ
敵への毒ダメージアップ
保有スキル
薬師の本領
敵全体に猛毒付与(Lv、5ターン)
新薬開発
味方一体のHPとNP回復(Lv)
マイルームボイスでベディヴィエールとナイチンゲールに相互に個別ボイス有り(義手のアガートラムに関して)
アーチャー:ベル・クラネル
ビリー・ザ・キッドなどの銃を使う面々の戦いを見てカッコいいと目を輝かせ、ダ・ヴィンチちゃんがマンガで魔法をチャージする銃、パズルのように組み合わせを変えて違う形態になる武器(主に烈火の炎)を知ったことで創作意欲を掻き立てられ、それらを知ったメディアがそれを口実にベルにコスプレをさせようと画策、協力を申し出たことで生まれた変形する遠距離武器『アラギ・トクソ』(訳:変化・弓、ギリシャ語)によりアーチャーへとクラスチェンジした。
師匠はビリー(リボルバー形態)や対抗心を燃やしたスカサハ・アサシン(弓)などの銃と実際の弓を使う全員である。
アルジュナの弓などは特殊な為除かれる。
グリップ部分にベルの魔法をチャージする宝石を設え(メディア担当)、弓というよりはアーチェリーの形状の他、アサルトライフル、リボルバー、スナイパーライフルなどに変形可能である。普通の弾丸も使用可能(ダ・ヴィンチの拘りらしい)。
クラススキルも保有スキルも未定。
宝具
『
敵全体に強力な攻撃(Lv)
敵全体に火傷付与(10ターン、OC)
着弾までの時間差を使って次々に形態を変えて撃ち、最後の一発と同時に最初の一発から今まで撃った弾がほぼ同時に敵を撃ち抜く。
ライダー:ベル・クラネル
ゴールデンとのツーリングによりバイクの楽しさに目覚め、マスターにおねだりしダ・ヴィンチちゃんにバイク『
宝具はゴールデンとほぼ同じ。
概念礼装
クロッゾの魔剣
攻撃5回(宝具を除く)まで自身のクラスをキャスターに変える
Busterに火傷付与の効果(5ターン)
Artsに凍結付与の効果(凍結、2ターン後解除、凍結中被ダメージ増加)
Quickにスタン付与の効果(1ターン)
敵からターゲットにされにくくなる
エリクサー
ガッツ付与1回(HP、NP最大回復)
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プロローグ:英雄志願の少年は英雄の集う地に喚ばれる
カルデアの召喚室に、重要人物達が集まっていた。
「いよいよだね、マシュ。」
「ハイ、先輩。」
「まったく、どうして貴重な資源をこんな実験に使わなきゃいけないのよ。」
「まぁまぁ、所長。失敗しても普通の召喚になるだけの筈ですから。」
「ふふん、それはどうかな?もしかしたらイレギュラーな召喚になるかもしれないよ?私としては成功すれば大変興味深いけとね。」
カルデア最後のマスター、藤丸立香。
デミサーヴァント、マシュ・キリエライト。
カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィア。(メディア(魂担当)とダ・ヴィンチ(肉体担当)の尽力により、奇跡的に蘇生)
医療部門トップ、ロマニ・アーキマン。(通称、ドクターロマン)
召喚成功例第三号、レオナルド・ダ・ヴィンチ。(本人希望、ダヴィンチちゃん)
実験内容は、ライトノベルと呼ばれるジャンルの小説を触媒として登場キャラクターを召喚できるか、というものだ。
使用するのは『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』、藤丸立香の愛読書でもある。これを発売している全巻を揃えて中央に置き、召喚を始める。
廻る三本の光の輪、現れるはセイバーを示す金のカード、ワクワクと胸を高鳴らせる一同(オルガマリーを除く)の前にサーヴァントの姿を現れた。
「サーヴァントセイバー、ベル・クラネルです。よろしくお願いします。」
名乗った少年に、立香とマシュは近寄り挨拶をする。
「よろしくね、ベル、でいいかな?私は藤丸立香、好きに呼んでね。」
「よろしくお願いします、ベルさん。私はマシュ・キリエライトといいます。お好きにお呼びください。」
「はい、立香さん、マシュさん。」
「それでね、ベル。ちょっと頭を触ってもいいかな?」
「?はい、良いですよ。」
読んでいる小説の主人公が目の前にいる、その事実にウズウズしながらも冷静に挨拶はできた。だがそこまでが限界だったようで、頭をサワサワと触り始めた。
「わぁ、スゴいモフモフだぁ。マシュも触ってみなよ。」
「はい、失礼しますベルさん。これは………スゴくモフモフです。フォウさんに勝らずとも劣らずなモフモフです。」
「ほほぅ、そうなのかい?フォウ君は触らせてくれないからね。私も参加させてもらおう。」
「わぷっ。」
左右に美少女、正面に美女(偽)がほぼ密着という状態に、ロマンは羨ましそうに見つめている。隣ではオルガマリーがブツブツと考え事をしていた。
「もしもこれが他のにも使えるならもっと強いのも呼べる筈よね。神霊もランクダウンしてるとはいえサーヴァントとして呼べるんだし、マンガやゲームのキャラクターならかなりの戦力になるわね。うまくいけば私と契約してくれるサーヴァントも………。」
オルガマリーの傍からそっと離れるロマン。
いまだ囲まれているベルに挨拶をしようと近寄っていく。
ベルの人理修復の旅の始まりである。
「ちょっ!!僕の挨拶は!?」
地の文へのツッコミはご遠慮ください。
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第五次組による戦闘力と宝具検証
書く余裕がないです
最近、精神と時の部屋が本気で欲しい
小説(書き、読み)とゲームのために
ベルがカルデアに所属するスタッフやサーヴァント達へ挨拶回りを終えたあと、カルデアのシミュレータールームで新人お決まりの戦闘力、宝具検証を始めようとしていた。
「では、これよりベルと私達で色々な検証を開始します。」
「はい。」
「まずはランサーとです。彼は速さに定評があり、ベルには彼の攻撃を防御してもらいます。」
「応、よろしくな坊主。」
「はい!!」
「では、双方構え。」
ベルは二振りのナイフを構え、
「始め!!」
アルトリアの合図に二人が一気に肉薄する。クー・フーリンの突きをベルは横から払い、ずらしたことで空いた空間に身を滑り込ませる。それを幾度も繰り返し、どちらも慣れてきた所で更に速くなっていく。
「ハハハ!いいぞ坊主!!もっと速くいくぞ!!」
「くっ。」
更に加速していく途中で処理しきれなくなったのかクリーンヒットを貰ってしまう。
「そこまで!!」
「ふぅ、中々に良い反応速度だったぜ坊主。」
「ハァ……ハァ……ありがとうございました。」
「では、次はライダーとです。彼女には対異常の強さを計ってもらいます。」
「よろしくお願いします。」
「ハァ……はい、お願いします。」
「くっ。」
「どうです?動けますか?」
「かなり動きづらいですけど、なんとか。」
「ふむ、それなりに強いようですね。確か、魅了は効かないんでしたね。」
「そうらしいですね。」
魔眼封じの眼鏡を戻し、壁際に戻っていく。
「次は魔法の威力ですね。あのマトに当ててください。キャスター、お願いします。」
「はい。」
「えぇ、分かったわ。」
ベルは少し離れた場所に現れた案山子を模したマトに右腕を向ける。
「ファイアボルト!!」
マトに当たった魔法を観察していた
「まずまず、ね。魔力の消費量と詠唱速度を考えれば威力は優れているけど、サーヴァントとの戦いでは牽制が精々じゃないかしら。」
「そうですか。では今度は五秒程チャージしてから撃ってください。」
「はい。」
リン、リン、と五秒キッカリ、チャージしてから魔法を撃つ。
「たった五秒でこれだけ変わるなら中々じゃないかしら、戦いながらチャージできるなら結構有用だと思うわ。」
「ありがとうございます、キャスター。次は攻撃速度ですね。」
「では、
「はい。といっても、これはダヴィンチちゃんが」
『ハイハ~イ、今回はこの私が提供させて貰うよ~。この万能の天才ならばこんな事もできるのさ、ポチッとな。』
軽い調子で押されたであろうスイッチ音と共に現れたのは
『101羽しか用意してないから大丈夫大丈夫。さ、頑張ってくれたまえ。』
「ほほぅ、あれが例のツバメでござるか。ではベル、どちらがより多く斬れるか勝負でござる。」
「は、はい!!」
二人が構えるのを待っていたかのように、101羽の高速で飛来するイグアス。
なんとか乗り切った二人共にスコアは50、残りの1羽は地面に激突して弾けたため、引き分けである。
「はっはっはっ、中々に斬り甲斐のあるツバメでござったな。まぁ、あの日のツバメよりは斬り易かったでござるが。」
「ハァ……ハァ……どんなツバメですかそれぇ。」
「お疲れさまでした。ベル、まだ動けますか?」
「はい、まだ大丈夫です。」
「では、次は宝具です。アーチャー、お願いします。」
「ヤレヤレ、そのための私ということか。まぁ、宝具がどれ程の威力かは見ないと分からないし、それでシミュレータールームを壊してしまっては怒られてしまうからな。」
口では何だかんだ言いつつもノリノリな
「じゃぁ、撃ちますね。」
何処からともなく黒い大剣を取り出したベルはチャージを開始する。本来ならば最大時間、三分ものチャージを必要とするが、宝具へと昇華した影響かほんの数秒で完了する。
「ハァァァ!!『
撃ち放った一撃はかなりの威力を誇るのは、破壊されたアーチャーの心証風景の世界を見れば分かる。アーチャーがorz状態になっているが。
「これは中々ですね。では最後に、私と実践形式で戦っていただきます。30分程休憩した後に始めましょう。」
「はい。」
30分後、ベルと
「では、始めましょう。ここでは致命傷を負っても治療できるサーヴァントも居ますし、例え死んでも霊基復元ですぐに復活できますから遠慮は不要です。」
「はい。」
ベルは全身全霊で戦った。お互いかなり消耗はしたが、アルトリアは強かった。
「フゥ……フゥ……ありがとうございました。」
「これで発展途上とは、先が楽しみですね。本日は以上ですね。今日は自室で体を休めてください。」
「分かりました。アルトリアさん、皆さん、お疲れさまでした。」
隅で体育座りをして待っていた
なお、未だにエミヤはorzのままでなにやらブツブツと呟いて落ち込んでいた。そっとしておこう。
纏まってないな~、とか詰め込んだな~、とか思ってます。
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ランサー:アルトリア・オルタと乗馬訓練
特異点ではどれだけの移動距離があるか分からない、その為の手段として馬を選択するのは必然だろう。まさかずっと走る訳にはいかないし、マスターにも負担がかかる。
殆どのサーヴァントは経験があるが、ベルは馬を引いた事はあっても乗ることはあまり無かったらしい。
まずは二人乗りで感覚を掴み、馴れたら一人で。という手順だ。
「背を丸めるな、バランスが悪くなる。それに馬を信用しろ、馬はそれを察するぞ。」
「あの、でもですね。ランサー・オルタさん。」
「なんだ。」
「あの、胸が当たって気になるんですけど。」
「そんなことか、一々気にするな。私は気にならん。」
「僕が気にするんですよ~。」
背の高さからオルタの方が後ろに座る形になる、当然その胸がベルの後頭部にずっとムニムニポヨポヨ当たるため、年頃の少年としてはどうしても気になってしまう。
「私が前に座ってはお前の訓練にならないだろう。そもそもこんなもの脂肪の塊だ、戦いには邪魔になることも多い。」
特定の女性にケンカをガッツリ売る発言だが、周りには誰も居らず安心だ。
しかし胸だけがベルの集中力を奪っている訳ではない。
姿勢の関係でベルの体を包むように腕を回してベルの手ごと手綱を掴んでいるし、馬に乗る以上足を開くために足も密着し、ベルの後ろ半分はオルタに密着していると言っていいだろう。
「ふふっ、なんだ。戦いの時はあんなに勇ましいのに私と触れ合うだけでこんなに真っ赤になるのか。」
「あうあう。」
ポンポンと片手で耳まで赤く染めたベルの頭を優しく叩く。
「本当ならもう少し後にしようと思っていたが気が変わった、私の胸が気にならない程度に荒療治といこうか。」
「あ、あの、ランサーオルタさん?何をする気なんでしょう。」
「言っただろう、荒療治とな。なに、少しラムレイに早駆け
させるだけだ。」
「ラムレイの早駆けって僕より速いじゃないですかぁ。」
「(なんだこの感覚は、このもっとベルを困らせたいという感覚は。そうか…これが萌えというやつか。)」
若干涙目になりつつあるベルに、怪しげなナニカを悟りそうなオルタはそれを微塵も
「(ぐ、ダメだ。これ以上は私が持たん。)」
そこそこの距離(ラムレイからすればほんの数キロ程)で歩行に戻らせる。しがみついていたベルは慌てて離れ、降りてペコペコと頭を上げ下げする。
「す、すいません。ランサーオルタさん、僕のためにしてくれたのにずっと目を閉じちゃってて。」
「いや、私も少し急かしすぎた。次からは徐々に馴れていこう。」
「はい!!次もよろしくお願いします!!」
こうして本日の乗馬訓練は終了した。
しかし、オルタが一人前と認めることは無いだろう。
特異点の移動中は自分の前に座るベルの頭を独占してモフるために。
自分は乗馬したことないんでその辺テキトーです。
はたしてこんなんでイイのだろうか。
こんなんならまだ色々頭にあるけど。
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カルデアサマーメモリー:ベルの受難 TSあり
レイシフト中に発生したナニカにより無人島に辿り着いたカルデア一行、スカサハの提案から着替えに向かう女性陣とスカサハに引き摺られるベル。
「スカサハさん!?僕は男なんですけど!?」
「………っ!?」
「いやいや、なんで驚いてるんですか!?」
「冗談だ、お前には少しだけワシの実験に付き合ってもらおうと思ってな。」
「実験………ですか?」
「あぁ、痛くはないから安心しろ。」
なにか嫌な予感がするベル。男性陣に目を向けるとサッと視線を反らされる。スカサハが器用に槍をリフティングしているからか、巻き込まれたくないのか、気の毒そうな視線を向けるだけに留められている。
「うぅ、ヒドイですよスカサハさぁん。」
「うんうん、似合っているぞ、ベル。」
「えぇ!!とっても似合っているわ、ベル。」
女性陣から似合っていると言われても嬉しくはない。
何故ならベルはスカサハのルーンによって霊基を弄られ、女性体になってしまっているからだ。水着はスカサハとお揃いなのは何故だろう。
一部からはやたらと胸に視線が集まっているのはきっと仕方ないのだろう。サイズはヘスティア程ではないといったところか。
「さて、では行くか。羊飼いあたりが覗きに来ないとも限らんからな。」
「流石にそれはないと思うんですけど。」
「甘いな、そういう無防備さは泣きを見るぞ。」
「じゃぁ、戻してくださいよ~。」
「それは却下だ。いい加減女の体にも馴れてもらわんとな。一々赤面されては戦闘に支障をきたすかもしれんからな。」
「うぅ。」
比較的露出の高い格好のサーヴァントもいる以上、馴れるのは必要なのだ、対処がオカシイ気もするが。
寝泊まりする場所は流石にベルには個室を与えられた、男性陣と寝させるのは(主にダビデが)不安だし、女性陣と寝るのは刺激が強すぎるだろうから、と。(むしろ抱き枕として望んだ者もいたらしい。マスターとか。)
「そうだ。常に間合いを頭にいれ、最適な距離を保て、突きに緩急を持たせれば相手のリズムを崩せるようになる。セタンタ、手を抜くなよ、抜いたら蹴りボルクだからな。」
「はい!!」
「分かってるよ、師匠。」
開拓が進み、様々な物が建築されていく中、その空き時間ではクー・フーリンを稽古相手にスカサハから槍を教わっていた。
速さを主軸としたベルの戦い方や、基本使う武器がナイフであること、大剣の使い方が拙いのもあって、大型の敵に対応しやすいようベルにゲイボルクの複製を与え修行を課していた。
基本的にサーヴァントは完成された存在だが、未だ発展途上のベルに血が騒いだらしい。
槍を振るう度に揺れるベルの胸元を死んだ目で凝視していた海賊コンビの片割れなどが見られたらしいが、そっとしておこう。
ベルの無人島生活はまだまだ続く。女性体のまま。
イメージが泉の如く湧いてくる………全部書けたらいいなぁ。
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酒呑童子のアルハラ
カルデアの資料室にあった様々なマンガや小説にハマったベルは、今日も夜更かしをしていた。
コンコン、と日付も変わる頃に、呼び鈴に設定されていたノック音に反応し扉へ向かう。
「こんな時間に誰だろう?は~い。」
開いた扉の向こうには、
「フフフ、こんばんはぁ~。」
酒瓶「鬼殺し」を片手に頬を赤らめた酒呑童子(以降、酒呑)が立っていた。
「こ、こんばんは。酒呑童子さん、こんな時間にどうしたんですか?」
「茨木の部屋で呑んどったんやけど、潰れてもうてな?ベルの部屋で続き呑もかぁってな?」
なお、部屋では茨木童子が
「酒呑~、吾はもう呑めぬ~。」
と目を回してベッドに倒れている。
「そうなんですか?すみません、僕ももう寝ようとしてたんですけど。」
「そない固いこと言わんと、一緒に呑も?なぁ?」
「イヤイヤイヤイヤ、僕まだ14歳ですから!マスターからもダメって言われてますし!」
「ちょこっとだけ、一本位ならかまへんて。」
「一本!?全然ちょこっとじゃないですって!」
「ウチらからすればちょこっとなんやけど?それともナニ?ベルはウチの酒が呑めへんの?」
ぐいぐい押す酒呑にベルは圧倒されつつもなんとか抵抗していたが、焦れったくなったのか酒呑は実力行使をしてしまう。
「そないに嫌がるなら仕方ないわぁ。よいしょっと。」
「へ?わ、わわ!?」
ベルをベッドに押し倒し、膝で腕を挟みヘソの辺りに座って押さえつけた。器用にベルのシャツを首もとまで捲り直にベルに座っている。
「しゅ、酒呑さん!?」
「ん~?どないしたん?ベル。」
「いや、その、どうしてこんな体勢に!?」
「フフフ、それはなぁ?ベルが逃げへんようにするためや。」
言うまでもないことだろうが、酒呑童子は『外見』は紛うことなき美少女である。そんな彼女に、女性に対して免疫が強いとは言えないベルが腹部に直接座られて平然としていられる訳がない。混乱し、身を捩って逃げようとするも、悲しきかな酒呑の筋力は外見に反してAランク、ベルの抵抗はアッサリと抑えこまれてしまう。
「ほぉら、たんと御上がり?」
「わぷっ、ひゅ、ひゅへんふぁん?(しゅ、酒呑さん?)ふぁにふふんへふふぁ。(なにするんですか。)」
「ん?こうするんよ。」
ベルの口に指を二本突っ込み、舌を弄りながらもう片手に持つ酒『鬼殺し』を指に垂らす。
口内に感じる液体、つまりは酒にベルは呑み込まないよう抵抗しようとするも、舌を弄られているためマトモな抵抗などできる筈もない。そのままコクコクとビンの半分程呑まされたベルはたちまち顔を真っ赤にし、そのまま眠ってしまった。
「あらら、ホンマはただのお水やのに、思い込みで酔うやなんて。仕方ないなぁ。………そぉだ、フフッ。」
何を思いついたのか、着物を脱いで下着?姿になり、ベルの眠る隣へとベルの腕枕で横になった。
「フフフ、起きた時にどないな反応するのか、楽しみやわぁ。」
そう独り言ちた酒呑だったが、ベルが酒呑の方に寝返りをうち、腕枕をしている腕で酒呑の背中を、もう片方の腕で抱き締めるようにして頭を、ポンポンと親が子供にするように叩くといえない強さで叩き始めた。
「なんや、えらい落ち着くなぁ。父親ってこない感じなんかなぁ。」
予想外の行動に驚いていたが、その安心感に頬を弛め、酔いとは別に赤らめる。
「ふわぁ~、もうこのまま寝てまおうか。」
ベルに抱き締められたまま酒呑も眠りについた。
翌朝、癒しを求めてこっそりとベルの寝顔を見に来たマスターとマシュと一騒動起きるのだが、それはご想像にお任せする。
呑まされるくだりは実体験だったりするんですよねぇ
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静謐のハサンとアニマルセラピー(偽)
モフモフ…モフモフ…モフモフ…モフモフ…モフモフ
椅子に座るベル、その後ろに立ったままひたすらにモフモフする静謐のハサン。
マスターのお願いでもあるため、顔を赤くしながらも大人しくしているベルは頭を動かさないように注意しながら用意されたクッキーや紅茶(ストロー付き)を口にする。
この状況ができるキッカケはベルが召喚されてからの挨拶回りに遡る。
「ベル、彼女が静謐のハサンだよ。呪腕さんや百貌さんと同じでハサン・サッバーハの一人。静謐ちゃん、今この子の挨拶回りを付き添ってるところなの。」
「この度召喚されたセイバー、ベル・クラネルです。よろしくお願いします。静謐さん、でいいですか?」
「はい、その方が呼びやすいでしょうし。よろしくお願いします。」
「はい、……っと、わわっ。」
素顔と衣装に顔を赤くしながらも、しっかりと挨拶をして次へ向かおうとしたベルを、仕掛けたの忘れられていた
咄嗟の出来事にマスターと静謐は顔を青ざめるが、
「す、すいません!?」
バッ、と真っ赤になりながら勢いよく飛び退けるベルにアレ?と二人揃って首を傾げる。静謐の身体はサーヴァントにも効く猛毒が人の形をしていると言える程のモノであり、軽い接触でも効果はある筈なのだ。
「ベル、なんともないの?」
「へ?な、なにがですか?」
マスターが問うも、真っ赤になったままクエスチョンマークを頭に浮かべ問い返してくる。
静謐のハサンの特性を教えても、特に何も無いらしく三人で首を傾げていると、何処からともなく自称「万能の天才」ダ・ヴィンチちゃんが現れた。
「説明しよう!!ベル君のクラススキル『対異常』は静謐のハサンちゃんの毒にも対応しているのさ!!いくつかの実験でそれは立証済だからね。つまり、彼女はマスターと同じようにベル君と触れ合うことが可能なのさ!!では、私は忙しいからね、もう一人の私と新たな実験を準備中なんだ。去らばだ!!」
まるで徹夜明けのテンションで嵐のように去っていった背中をポカーンと見つめていたが、マスターはいち早く復帰し、ベルにこんなお願いをしたのだ。
「ベル、静謐ちゃんは草花とか小動物が好きなんだけど、さっき言った理由で触れることができないの。だからベルの頭を触らせてあげてもらえないかな?」
「えぇ!?………うぅ、分かりました。」
突然のお願いに少々悩んだものの、自分がガマンすれば良いだけだと判断したベルは受け入れた。
「ほらほら、静謐ちゃん、試しに一回触らせてもらおうよ。ベル、ちょっと屈んで?」
「は、はい。」
困惑する静謐をよそに話が進んでいく。ベルは目の前に静謐のヘソ部分があるためすぐに目を閉じる。マスターに手を引かれ伸ばされた静謐の手のひらがベルの髪に触れた時、彼女の胸にナニかが去来した。
モフモフ…モフモフ…モフモフ…モフモフ…モフモフ…
無言でモフり続ける彼女に、ウンウンと腕を組んで満足げな顔をするマスター。こうして、時折静謐の部屋でベルをモフモフする時間が設けられた。
以来、ほぼ毎日誰か(サーヴァント、職員の女性陣)の部屋に招かれてモフモフされるベルであった。様々な話しを聞けたり、ファッションショー(何故か女性物byメディア×2)をさせられたりと色々有るそうだが、大半はベルにとっても有意義なモノらしく、楽しげである。
飽きることなく、彼女はベルをモフり、二人で穏やかな時間を共有する。次の戦いへと備え、心を充実させる。
まだ、マスターの旅は終わっていないのだから。
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タマモキャットと毛繕い
某煩悩少年のように「なんでじゃ~!!」って夜中なのに叫びそうになりました。
タマモキャットはブレブレなのがブレないらしいので多分大丈夫な筈、言葉遣いとかね
ベルのマイルーム、ベットにうつ伏せになるタマモキャットの尻尾にベルはクシをいれていた。なお、服装は最初の和装メイドであるためベルも余計な緊張はしていない。ベルに裸エプロンは厳しいだろう。羞恥心的に。
「こんな感じですか?キャットさん。」
「うむ。いい感じだぞ。ニンジンはやれぬがご褒美にキャット特製のオムライスを進呈しよう。」
何処から取り出したのかベット傍のテーブルにラップ付きで置かれた。
さて、何故ベルがタマモキャットの尻尾にクシを通し、お手入れをしているかと言えば、
「キャットは良妻ゆえ、ご主人が素材集めに奔走している間にマイルームの掃除や料理の仕込みは終わってしまったのでな、ペット仲間のベルと毛繕いをしあおうではないか。ご主人のクシも魅力的だが、ベルのクシ捌きも中々と聞いたぞ?さぁ、まずはキャットの尻尾を繕うがよい。」
とマイルームで休んでいたベルの元に突撃してきた為だ。
「うむ、キャットは満足したぞ。次はキャットが毛繕いをしよう。そこに座るがよい。」
ベットに座らせ、髪にクシを通す。勿論違うクシで。
「どうだ、キャットのクシ捌きは。なんならネコ缶をくれてもよいのだぞ?」
「ハイ、スゴく気持ちいいです。ネコ缶は前にマスターに頂いたのが有りますから、後でお渡ししますね。」
「おおぅ、随分と用意が良いのだな。これにはキャットも満足である。ところで、こんなところにウサ耳カチューシャが有るのだが、付けてみるか?キャットの耳は狐だが、お揃いであるな。なんなら、首輪も用意するぞ?」
「なんで用意してるんですか………、付けるしかないですよね。」
「うむ、何事も諦めが肝心なのだな。」
「えぇ、まぁ、色々諦めてますけど。」
「よろしい、ではそろそろご主人のお帰りの筈である。美味しいご飯を用意してステイしておこうではないか。その為にこれを着用するのだな。」
取り出したるはウサギ柄の白いエプロン(フリル付き、若奥様仕様)
「いえ、柄はともかく流石に
「ふむ、だがご主人がこれしか用意してないゆえ、他には無いぞ?
「なんでマスターがそのエプロンを………。」
「なんでも、
なかば強引にエプロンを着けさせられ、ベルはウサ耳カチューシャとフリル付きエプロンという装備で食堂のキッチンはと連行されていった。どうやって察知したのかメディアとメディア・リリィがカメラを手に待ち構えていて、激写された。
この後、帰ってきたマスターやマシュ、他女性サーヴァント数名に撫で回されたり、一部サーヴァントに同情の目を向けられたりしたそうな。
「うむ、覗き見とはいかんぞ。これはお仕置きが必要なのだな。」
え?あ、ちょ、ギャーッ!!(ザシュッ!!
「では読者諸君、Goodbye。」
相変わらず我ながら読みづらい書き方だなぁとは思ってます。
あぁ、文章構成力が欲しい。
小説読んでるからって上手く書けるとは限らんのですよね。(下手の横好き?)
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ライダーゴールデンとツーリング
「戯れに足を運んでやるか。」と思って頂けたらなぁ、と考えておりますゆえ、そちらもお願いします。
ベアー号という
「どうだい、ベル。俺っちのベアー号は。」
ツーリングの途中で遭遇し、意気投合したバイカーの一人から貰ったドリンクを飲みながら、興奮した様子のベルに問いかける。
「はい!!速いし、カッコいいし、楽しいです!!」
流石に一般人の前で「自分の脚で走る時と感覚が違って」という言葉は飲み込んで素直な感想を口にする。
「ハッハッハッハッハッ!!そうかボウズ、初めてがこんなイカしたマシンで良かったな!!これだけのモンは中々無いぞ!!正直俺が乗りたいぐらいだ!!」
中々に強面だが、かなり気さくな兄ちゃん(おじさんではない)がバイク初乗りというベルの肩をバシバシ叩きながらチラチラとゴールデンに目を向ける。
「わりぃな、
申し訳なさそうに断るゴールデンに、それなら仕方ねぇと大笑いする兄ちゃん。
「なぁに、それなら諦めるさ。無理矢理乗って振り落とされたらかなわねぇからな。んじゃ、この後はどうすんだ?予定がねぇなら俺達と一緒にどうだ?」
「お、良いのかい?俺っちは良いが、ベルはどうだ?………ってあれ?ベルは何処行った?」
先程まで後ろにいた筈のベルの姿が忽然と消えていた。
キョロキョロと見回すゴールデンに兄ちゃんは、
「あぁ、ボウズならほれ、あそこで弄られてるぞ。」
クイッと指を指した先には、
「ねぇ、この子の髪ホント真っ白ね。」
「えぇ、しかも瞳は綺麗な
「あぁ、なんて言ったっけ、行動もウサギっぽいし。そうだ、このお菓子食べる?一回ハグさせてくれたらあげるわよ?」
「は、離してくださ~い。」
女性のバイカー達に髪をモフられ、両手で頬を挟まれ瞳を凝視され、口元にお菓子をセットされ両手をワキワキして待ち構えられているベルの姿があった。
「あ~。ベルはココでもあんな感じなのか。」
「なんだ、あのボウズは家とかでもあぁなのか?」
「あぁ、大体母親か姉を自称するメンツにあぁやって弄られてるな。」
「ハッハッハッ!!羨ましいとは言えねぇなぁ。大変そうだ。」
その後、アチコチへと走り回り、帰るが遅くなる連絡や時間を忘れた二人は、
「金時、ベル、どうしてこんなに帰りが遅れたのですか?」
涙をポロポロ流しながら怒るランサー:頼光に正座の状態で叱られていた。
「あ~、その、意気投合した奴等といたらすっかり忘れちまって………。」
ヒザの上で両手をキッチリ揃えて正座しながら
「せめて連絡ぐらいは欲しかったのですよ?二人になにかあったのかと、母はとても心配したんですよ?二人の為に作った
なお、冷めたら作り直すという彼女の言葉に反応した騎士王と獅子王が、きっちり頂いている。
「食材、ムダにするべからず。」だそうだ。
「あ、あぁ、そいつらと一緒に食ってきたぜ。」
急な話題の切り替えに疑問を抱きながらも返答すると、
「では母とお風呂に入りましょう。子供が遊ぶのは仕事のうちですが寝る前にキチンと汚れを落としたいですし、母がキッチリ洗ってあげます。」
ポム、と手を合わせてまさかな発言をする彼女、これには流石のゴールデンも
「い、いやいや、俺っちは自分でできるからベルを頼むぜ、ライコーの大将。」
ベルを生け贄に逃げるつもりのようだ。そのまま男性用のシャワールームへと駆け込んでいった。
「えぇ!?ゴールデンさん!?ま、待って、置いていかないでくださ~い!!」
正座で足が痺れたのか前に崩れるように倒れてしまう。
「すまねぇベル。流石にライコーの大将に洗われるのは勘弁だ。」
引き留めようとするベルに小さく謝罪の言葉を口にしながらゴールデンは逃げていった。
倒れたベルの頭はポスリと頼光の胸元に収まってしまった。
「あらあら、それではお風呂に行きましょう。大丈夫ですよベル。アナタの身体は母が綺麗にしてあけますからね。」
これ幸いとベルを横抱き(お姫様抱っこ)の形で抱き上げて女性用の風呂場へと連れていこうとする。
「あ、頼光さん。流石に水着着用と看板掛けておいてくださいね~。」
一応は、と最低限の事を頼む、傍で見ていたマスター。
「それで良いんですか?先輩。」
少々困惑しつつも混ざりたそうに視線を頼光に向けるマシュ。
「多分大丈夫だよマシュ、それじゃ私達も行こう?」
行き先は風呂場、二人ともベルを構いたいようだ。
次回、「ベルの羞恥心ギリギリ!!水着着用とはいえベルの心は大丈夫なのか!?禁断の女湯!!」に続かない。多分
沖田さんが欲しいです。
ネタは有っても居ないサーヴァントが多いんですよねぇ。
フレンド(平行世界のカルデア)とかちょっと惹かれましたけどね。
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水着の彼女達とお風呂場で
キャラを出しすぎたようだ。
カルデアの娯楽施設の一つ、温泉。
身体を清めるだけでなく、湯に浸かり、日頃の疲れや悩み、その他アレコレを忘れてリラックスできる場所である。
ココでは相手が怨敵であろうと戦闘行為は禁止であり、破れば一定期間、使用禁止の刑が与えられる。(何名かは一度その罰を受けている。誰とは言わないが。)
さて、その女湯の入り口には
『現在、ベルを引き込み中、入られる方は水着着用を厳守願う。』
という看板が立てられていた。(それを読んだ黒髭が突入して、中で見張りをしていたケイカに撃退されている。散り際に「何故、クラネル氏だけ……ずるいでござるぅぅぅ。」と言っていたが、諦めてほしい。普段からの行いの差であろう。因みにケイカへの報酬は数本の希少な酒である。『温泉で一杯セット』付きの。)
「ふふ、さぁベル。しっかり汚れを落としましょうね。」
ベルの正面では、ニコニコとしながら髪を丁寧に洗う、水着へと着替えた頼光。
「意外にベルって筋肉質なんだね、でもそんなに硬くないね。あ、マシュ、そこのボディーソープ取ってくれる?」
ベルの斜め後ろ、洗体用スポンジを片手に腕や背中の筋肉をツンツンとしているこちらも水着のマスター。
「戦う為の筋肉というのはしなやかさが必要だそうですよ、先輩。前にレオニダスさんが
マスターの反対側に居て、ボディーソープのボトルを渡しつつ、以前聞いた筋肉豆知識を披露する、もちろん水着のマシュ。
「う~。」
と、目のやり場が無く、顔を真っ赤にして
「さぁ、ベル。今度は母の背中を流してください。ふふ、一度やってみたかったんですよ。背中の流し合い。」
ベルの髪を洗い終わった頼光が、スポンジを渡してベルに背中を向けた。「えぇぇ!?」と驚くベルをよそに「あ、じゃぁ私もお願い。」「では、私は髪をお願いします。」と頼光の案に乗っかる二人。
かなり照れながらも、優しく、宝物を扱うように丁寧に洗われた三人は、実に満足げに息を
ベルを中心にワイワイと楽しく喋っていた四人だが、不意にガラガラ、と扉が開き、水着を着た数名が入ってきた。
「おぉう、まだ入っとったか。ま、知ってたけどネ。使ってる籠があったしのぅ。」
「そうですわね。それにしても、今日は普通に男の子なんですのね。」
「うん。その方が良いよ。(自身の胸元を見ながバキューン!!アウチ!!)」
「どうしたのよいきなり撃って。危ないわよ?」
「うん。なにか失礼なことを言われた気がしたんだ。」
「そう。でも跳弾とか危ないから止めておいた方が良いわよ。」
「うぅ………あつい………みず~………。」
「おぉ!!楽しそうだなマスター!!余も混ざるぞ!!」
「ちゃんと身体を洗ってからね?」
「うむ!!」
ペタペタ、と足音を響かせながらやって来たのは、ノブナガ、アン、メアリー、エレナ、フラン、ネロであった。
それぞれがしっかりと身体を洗った後、フランは涼しさを求めてフラフラと水風呂へ、他はマスターの元へ、つまりベルを囲むように集まった。
「ノッブは今日何してたの?」
「うむ、更なるロックンロールを目指して特訓しとったんじゃ。おもに金の腕で。」
「アンとメアリーは?」
「私達は普通に休んでましたわ。」
「海賊のマンガとかをずっと読んでたよ。」
「私はシミュレーターを使って、クマラ・ホイールでアメリカを走り回ったわ。たまにはこういうのも良いわよね。風を切る感じが楽しかったわ。」
「うむ、余は花嫁姿の余とエリザベートとカラオケで特訓していたのだ。おかげで更に余の攻撃も強くなっておるぞ。次の特異点では楽しみにしているがよい!!」
そんな雑談を続ける水着の女性達に囲まれて、とうとう目を瞑ってしまったベル。それを見ながらも話を続け、イタズラの機会を伺うマスターやノッブ。
硬さを確かめるように筋肉に触ったり、わざと胸を接触させたりとベルが色々と限界になってきた頃、見計らったかのように。
てい、と脇腹を突っつかれ「わひゃっ!?」と反応してしまったベルはそのままクスグられ続け逆上せるまで続いた。その為、頼光に大層怒られた。
更衣室のイスに横になりパタパタとウチワで顔を煽られていたベル。
「それじゃぁベル。このままにするのは不安ですし、今日は母と一緒に寝ましょう。」
と頼光がヒョイと抱き上げ歩き出す。
熱で頭が働かず、体も思うように動かないため抵抗できず、そのまま連れ去られていった。
頼光に正面から抱き締められ、ベットに横になっているベルは、『ベル』の『ベル』が『アルゴノゥト』しているのをバレないように頑張った。普通に頼光にはバレていたが、本人曰く、「男の子なら仕方ないことです。」らしいので、気づかないフリをしてくれたようだ。
洗い合いの事が広まり、暴走しかけるサーヴァント達がいたとかいないとか。
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エルドラドのバーサーカーと(殺)試合
アンケートの残り時間が24時間切りました。
彼女にとって、ベル・クラネルとは殺そうと思える相手の筈だった。
本人は知らなくとも、ゼウスに育てられ、ヘスティアの眷族である。つまりはギリシャ神話に関係する男だ。
世界が違い、血の繋がりは無くとも、ヘラクレスの甥に当たり、ハーレムを願う辺りがゼウスの価値観を受け継いでいる。
そう彼女は考えていた。怒りを抑えて彼の物語を読むよう、マスターに勧められるまでは。
読んだあと、彼女の認識は変わっていた。女性に弱いところはあるが、女性を軽んじてはいない。むしろ、自分より強い相手に惚れ込み、追い越そうと努力している。
女性は守るべき存在であるとは考えているが、それはあくまでも戦うチカラを持たない立場の者に対してだ。
現に、自分より強い相手に必要だからと悩みながらも手を借りている。
だからこそ、彼女は考えを変えた。
戦士として戦いたいと。全力をぶつけ合いたいと。カルデアには全力で戦える相手はいるが、彼女の過去を考えれば、適任者は限られてくる。ベルはそれに当てはまるのだろう。
マスターに頼み、自身の考えを訴え、戦いの場を作ってもらった。
カルデアのシミュレーションルームには、エルドラドのバーサーカーとベルの二人だけが立ち、中を見れる観戦室には、マスターやマシュ、二人の戦いを見ようと集まった者達がいた。なお、この話を聞きつけた何者かが大々的に周囲に広めたのがこれだけの観戦者が集った原因である。(おのれ、作家め。)
マスターが眼前にあるマイクで中の二人に声をかける。
『それじゃあ二人共、細かいルールは無し。どちらかが死んだら終了ね。概念礼装で復活できるからって結構無茶なルールだけど、仕方ないか。それじゃ、二人共思う存分暴れてね。』
勝負内容に思うところは有るものの、彼女の望みを叶えるのにこれは必要だろうと判断した。
「あぁ、全力でイクぞ。」
ガシャリ、と爪の付いた手甲と、ジャラリとそれに繋がれたトゲ鉄球を構える。
「はい!!」
こちらも、ガシャリと大剣を構える。
「ん?お前の武器はナイフだろう。何故それを使う。私を舐めているワケではあるまい。」
手を抜くワケでは無いだろうとその理由を訊ねる。
「はい。エルドラドのバーサーカーさんの武器を相手にするにはナイフでは難しいと思ったので、僕のもう一つの武器で戦おうと思ったんです。」
回避主体の戦闘方法のベルだが当然武器で弾くことも有る、だが彼女の武器が相手ではそれは困難であると判断した為に、ベルは武装を変えた。
「そうか、ではお喋りは終わりだ。イクぞ!!」
言葉の終わりと同時に接近する彼女。
同じタイミングでベルも飛び出し、丁度二人が立っていた場所の中間地点で激突する。
ハラハラしながら見守るマスターとマシュを他所にどちらが勝つか、賭けを始める観戦者達。(胴元は誰であろうか?後でマスターに〆られたそうだが。)
決着がついた後、ベルを気に入ったようで度々試合を持ち掛ける彼女の姿が見掛けられるらしい。
決着の結果?
それは二人だけの秘密だそうだ。(賭けをしていた為にマスターとマシュが怒り、なんやかんやとしている内に概念礼装による復活まで終わっていた。)
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ニトクリスとお勉強
カルデアに幾つか存在する小会議室、その内の一室でベルとニトクリスは次のレイシフト先の様々な事を予習していた。
「と、いうことがこれから行く時代、国では有りました。故にそこでは『■■■■』と言うのは止めた方が良いのです。他にも、『■■■■』という、普段何気なくやっている仕草もその国の方々には不快感を与え、人理修復に影響を及ぼす可能性が有ります。分かりましたか?」
ホワイトボードの前、取り敢えず形から、とマスターに渡されたパンツスーツにメガネ姿で、映像資料も使ってベルに教えるニトクリス。
「はい。ニトクリス姉さん。」
根が真面目なベルはしっかりと話を聞き、返事を返すが。
「ベル?今は授業中です。私のことは『先生』と呼ぶように。」
クイ、と伊達メガネを上げるニトクリス、表向きは冷静だが、その耳のような礼装が機嫌良さそうにピコピコと動いているのに気付いていない。
なお、何故ベルが彼女を『姉さん』と呼ぶかというと、マスターの立香がベルに『お姉ちゃん』と呼ばれたいからと『呼び方を変えて絆強化』を謳い、ベルに呼び方の変更を頼んだからだ。
その影響で大半が『兄さん』『姉さん』、年が近いと思われる者は呼び捨てとなった。
マシュはマスターの案により『先輩』だが、初めて呼ばれた時は
「まるで少女漫画のようなエフェクトが見えた。」とマスターは語る。
「では、今日のまとめのテストを行います。合格点は80点、少々厳しいですがベルならできると信じていますよ。」
「はい!!」
「よろしい、ではスタート。」
サラサラ、とあまり躓くこともなく、ベルは問題を解いていく。見直しも含め、30分程で終わり、採点を待つ。
「それでは、今回の結果は………。」
ダラララララ、と最初の頃は拙かったマミーのドラムロールが鳴り
ダン!!
「92点!!中々の高得点です。ですが、少々ケアレスミスが目立ちますね。次回からはそこも注意してください。」
頭を撫でながら褒め、気を付ける部分をしっかり指摘する。
「はい、ニトクリス先生。」
嬉しそうに撫でられ、注意された内容、間違えた部分をしっかり確認する。そうして次に生かし、なるべく同じミスをしないようにする。
と、そうしているうちに次の予定の時間が迫る。
「ニトクリス先生、そろそろ僕はレオニダス先生の所に行かないと。」
「え?あ、あぁ。そうでしたね。ではベル、後片付けは私がやりますから、気をつけて行ってらっしゃい。」
「はい、行ってきます。」
レオニダスの待つシミュレーションルームへと向かうベル。なんでも、エルドラドのバーサーカーとの試合での大剣の使い方を見て、より習熟した方が良いと提案されたらしい。(そのお話はまた別で)
「………さて、それでは私も、と。」
ニトクリスは使っていた資料などを片付け、小会議室から資料室へと向かう。
そこで、多くの資料を机に積み上げ、次の授業の為の知識習得、飽きないように雑学も押さえ、分かりやすいように資料をまとめる。
「えぇ、先人として、
ニトクリスは、ファラオとして未熟な自分と、英雄として未完成なベルをなんとなく重ね合わせ、より良い英雄、勇者となれるよう背中を押す為に、(知られたら恥ずかしい、気がするから)周りには気付かれぬよう、なにより、「やっぱりニトクリス姉さんはスゴイ。」とキラキラした目でベルに見られたい為に、奮起する。
実は気付いてないのはほんの一部だけなのだが、本人はバレてないと思っているので、皆黙っている。
こうして、レイシフト先でのトラブルを(ベルは)回避していくため、ベルは更にニトクリスを尊敬し、ニトクリスはそれを糧に頑張る。という感じで連鎖していく。
未だ6章でウダウダしてますが、今回のガチャで武蔵ちゃんと柳生さんが来てくれました。
正直に言えば、新しい 女性陣が欲しかったです。
特に加藤団蔵が。
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ジャックとの一日
書き上げてから、本文の文字数が2525(ニコニコ)なのに気づいたんですが、なんか良いことあると良いなぁ。
早朝、ベルは布団とは違う温かさを感じ薄く目を開いた。
下に目を向ければ、小柄な人が居そうなサイズの膨らみがあり、モゾモゾと動いている。
ペラ、と捲ってみると、ジャック・ザ・リッパーがベルに引っ付いていた。
「………おはよう。ジャック。そこで何してるの?」
寝ぼけているのか、リアクションも少なく理由を問いかける。
「えへへ、おはよう、おにいちゃん。「兄は妹に起こされると喜ぶイキモノなんですぞ。デュフフ。www」っておしえてもらったからやってみたの。」
満面の笑みで答える彼女に、特徴的な話し方から誰が言ったのか察したベル。
ちなみに、彼女は最後まで聞かずに駆けていったので知らないが、「できれば拙者にもして欲しいでござ………ってあれ?」というオチが人知れず有ったりする。
時間を確認し、既に食堂が開いていると判断して部屋を出るためにパジャマから着替えようとする。
「それじゃ、朝ごはん食べに行こうか。着替えるからちょっと向こう向いててね。」
「は~い。」
クルリ、とベルに背を向けベッドのフチで足をパタパタ、体を左右にユラユラとしながら待つ。着替えはすぐに終わり声をかけると、ピョンと飛んで首に腕を回し、腰に足を絡めてベルの背中に貼り付く。
「っとと、今日はオンブなんだね。」
「うん!!」
急な行動に少々ふらつくもすぐに立て直し、そのまま部屋を出ていく。他には肩車、肩に座る(アステリオスとエウリュアレを見て)、抱っこがある。今日はオンブの気分のようだ。ちなみに、飛びつくさいにコートを羽織っているため、後ろからの盗撮には対応済である。誰からの、とは言わないが。
「やあ、おはよう。ベル、ジャック。」
「おはよう。エミヤ兄さん。」
「おはようございます!」
食堂に着いてすぐ、今日の朝食当番であるエミヤに声をかけられた。しっかりと挨拶を返す二人に、
「よし。朝の挨拶をしっかりできた良い子にはこれをプレゼントだ。皆には内緒だぞ?」
「うわぁ~い!!ありがとう!!」
「ありがとう、エミヤ兄さん。」
「ベルのはちゃんと甘くないモノだから安心するといい。」
ジャックにはエミヤ印のプリン、ベルには甘さ控えめな和菓子である。秘密と言いつつも、一定年齢以下の子供には大体配っているが。(一部大きな子供も居たりする。腹ペコな誰かとか。)
「「ごちそうさまでした。」」
「あぁ、お粗末様でした。二人はこれからどうするんだ?運動をするなら少し時間を置くようにな。」
両手をパンッと合わせて食後の挨拶を済ませた二人に予定を聞くエミヤ。
「ハイ。今日はシミュレーションルームで遊ぼうと思ってます。」
ベルは遊びと言っているが実際は訓練の色が強い。
遊び感覚でジャックも喜ぶのでそう言っているが。
「ふむ、そうか。ではもう少しゆっくりしていくといい。サーヴァントといえど食後すぐの運動は良くないだろうからな。」
「ハイ。」
「はぁい。」
まったりと過ごした後、ベルの背中に貼り付いて二人はシミュレーションルームへと向かった。
「じゃ、始めるよ。」
「うん!!」
シミュレーションルームの設定を霧深いロンドンに設定し、中央にマスターを模したマネキンをセット、それを中心に半径3m程の円のラインが淡く光る。
ルールは簡単、ジャックはベルに見つからずにベルをくすぐれば勝ち。ベルはジャックを視認した状態でくすぐれば勝ち。
これはベルがアサシンによるマスターの暗殺を阻止するために、ジャックは逆に特異点のボスを隙があれば暗殺するために、隠密技術を磨くために遊びの形でマスターが提案したモノである。ちなみにこの遊び、
「きゃはははは、くすぐったい。くすぐったいってばぁ。」
ベルの方が勝ちやすい。
「あ~あ、またまけちゃった。」
「もっと静かにそろ~っと来ないとね。足音とか結構出てたよ?」
「ん~。でもおにいちゃんにはすぐみつかるよね。」
負けたのに、嬉しそうなジャック。すぐに自分を見つけてくれるのは彼女としては嬉しいらしい。その存在の特質性が理由だろうか?
ジャックは気配遮断がA+だが、ベルはとある女神の視線に晒され続けたために視線には敏感である。距離は分からずとも正確な方角、高さを示せるため、特に長距離からの狙撃を得意とするアーチャーの天敵足り得るのだ。
実験としてシミュレーションルームで冬木を舞台に、エミヤの射程距離ギリギリまで離れても見られていると認識した。
その結果マシュと二人でマスターの護衛役に任命されている。
さらに幾度か
今日の昼食当番はタマモキャット、グイグイ進めるオススメを受け取り(ベルのにはやたらとニンジンが多かった気がする)、デザートのケーキも食べ終えたので、多くの絵本なども有る資料室で午後を過ごすようだ。
「こうして、勇者■■■■は世界を救い、王女様と結婚して、優しい王様として国を平和にしましたとさ。おしまい。」
「ねえねえ、つぎはどれをよむの?」
「ん?うん、そろそろ夕御飯の時間だよ?だから今日はもうおしまい。」
「ん~………は~い。」
少々つまらなそうに口をとがらせるが、素直に言うことを聞くようだ。
どうやら、「あんまり我が儘を言ってお兄様を困らせるのはレディのすることでは無いのだわ。」と言われているらしい。
夕食を食べ、ベルの部屋の浴室でシャンプーハットを着けたジャックの頭をベルが洗っている。二人とも水着を着て。
「はい、泡を流すからちゃんと目を瞑ってね。」
「はぁい。」
ザパー、と頭の泡を流し終わり、
「こんどはわたしたちがおにいちゃんのせなかをあらうね。」
と言うが早いかベルの背後に回り込みゴシゴシと背中を洗う。
「ありがとう、ジャック。」
「えへへ~。」
体を洗い終え、しっかりと肩まで浸かり、ゆっくり百まで数える。
「「い~ち、に~ぃ、さ~ん、よ~ん………ひゃ~く。」」
ほかほかと体から湯気を上げながら水滴を拭き取り、パジャマに着替えて同じベットに横になる。
部屋を薄明かるい程度にして、今日の最後の挨拶をする。
「「おやすみなさい。」」
ふたつの寝息が静かに部屋に満ち、朝『までは』平穏な時が流れる。
翌朝にナーサリー、ジャンヌサンタリリィ、バニヤン、マスターが部屋に突撃してくるまでは。
今更ですが、29日に日付が変わる少し前、キャンペーン中になんとか第一部クリアできました。
ストーリースキップしまくりでしたけどね。
クリア記念に札3枚ずつイシュタルと山の翁それぞれのピックアップ引いたら、イシュタルとエルキドゥが出たんですよ。
まさか虹演出で翁来たかと思ったらエルキドゥ。弟に変な顔してるとツッコミ入れられました。
キャスター:ギルガメッシュが元から居るのでその三人で何か書こう『とは』思っております。(どんだけ時間かかるのやら)
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アニメ化計画
そして書き方が安定しない残念仕様。悲しい。
謎の会社「カルデア」から電撃的に発表されたアニメ。
「Fate/Grand Order」
それは全八部の超長編であり、様々な国の偉人達をキャラクターとして起用した作品であり、世間の話題となった「空白の一年」に焦点を当てた物語である。
これは皆との頑張りを明確な形で残したい。カルデアを去った人達を忘れたくないというマスターの訴えから作られた。
のだが、当初の予定では実写だったのだが、カメラ等の機材が攻撃の余波で壊れるだろうことを指摘され、アニメへと変更したという背景がある。その方がアングルなどの無茶もしやすい為に。
声はそれぞれ自分のを担当し、当カルデアに居ない者は平行世界のカルデアからサポートとして来てもらう程の熱の入れようであった。
それが『何者か』によって大々的に公表され、世間へと一気に広まったのが発端であった。
人類最後のマスターは二人の男女で、マスターとベルが担当した。本人の特定を避けるために髪や瞳の色、名前を変えて。
アニメは好評で「FGO」という略称で親しまれ、ソーシャルゲーム、アーケードゲーム、家庭用ゲームが開発され、高い人気を誇っているという。
サーヴァントの召喚にはゲーム内通貨「QP」と、クエストクリア報酬、または敵撃破時に確率でドロップする触媒を用いる事で、決まった存在を召喚可能なシステム。
また、クエストエリアに於ける知名度補正システムにより、このサーヴァント一騎居ればOK、ということのない調整が施されている。
これらの人気が高まった事の副次効果として、本来ならば発生するであろう厄介事、カルデアの乗っ取りが非常に困難となった。何せ資料を読むだけでは分からない現場の空気、本人だからこそ出せる迫力などは当事者達にしかできない事なのだから。
特に「退去したくない。」「ずっと
カルデアの食堂、これから行われる収録に向けて台本を読み合せをしているベル達は、休憩の合間に広めた人物への推測をそれぞれ話していた。
「やっぱりダヴィンチさんじゃないんですか?」
お茶を片手に自身の推測を話すベルに、
「ダビデかミドラーシュのキャスター辺りはしそう………かな。」
ホットミルクをチビチビと飲みながらマスター、
「私には、ちょっと分かりませんね。はい、フォウさん、あーん。」
「ふぉう。」
「あ、マシュ。私も、あーん。」
「はい、あーん。」
「モグモグ ベルも食べる?」
「えぇ!?」
「ふふ、はい、あーん。」
「あ、あーん。」
膝の上のフォウにライオンのたてがみのようなドーナツをちぎって与えるマシュ。それを見て自分もと口を開けるマスターと流れのまま赤面しながらも頂くベル。
その光景を見てニヨニヨする黒ひげやカルデア職員達。
今日もカルデアは平和である。
「ふふ、これで不遜な輩もそうそう手出しできないでしょうね。」
「無論だ。マスター達の身を護るのはサーヴァントとして当然の事だからな。それに、英霊としては不安定な存在も多いからな。」
「お兄さんは大変ですね。」クスクス
「………ふん。」
そんな会話がカルデアの一室であったとか。
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ノッブとぐだぐだ新年挨拶
ほぼ会話ですが。
今年もよろしくお願いします。
「ワシと!!」
「ボ、ボクと!!」
「沖田さんの!!」
「「「明けましておめでとうございます!!ぐだぐだ新年挨拶~!!」」」(ワ~パチパチ)
「ってちょっと待てぃ!!何故に沖田がおるんじゃ!!お主このカルデアにはおらんじゃろうが!!」
「ふっふっふ~、それはですね。詳しくは作者さんからのこの手紙を読んでください。」
ミカンの乗ったコタツの対面から手紙を渡す。その際にコタツに乗り上げたことで、ベルの目の前にドテラに覆われた沖田の上半身が来るため、それはもうドキドキしているようだ。
「ふむ、何々『ぐだぐだレベル魔王級のノッブと、ぐだぐだレベル新米勇者級のベルだとバランスが悪すぎるから、対抗できるだろうぐだぐだレベル伝説の勇者級の沖田さんに平行世界のカルデアから来て頂くことを苦渋の決断でしました。来て欲しい願掛けも兼ねてるのが本音なのは内緒ね。』じゃとぉ?」
ワナワナと手紙を握りしめているノッブに、沖田が胸を張りどや顔で勝ち誇っている。
「どうです。沖田さんの人気は。所詮は配布と水着で人気取りしないといけないノッブとは違うのですよ。ノッブとは。いえ、なんでノッブに水着が有って沖田さんに無いのか運営さんに是非聞きたいところではあるんですけど。」
「なんじゃとぉ!?そんなの、ワシのこの声のファンが大勢おるからに決まっとるじゃろうが!!そもそもクラス相性はワシの方が有利じゃし?星5じゃからルーキーのマスターにはコスト重いし、期間限定ガチャでしか出ないから宝具重ねるのも大変じゃし?ぶっちゃけ配布のワシはスキルも中々に良いのが揃っとるし使い勝手も良い。どう見てもワシの方が優秀かつ有能じゃろ。ま、是非も無いよネ!!」
「ま、まぁまぁ。お二人共、新年からそんなにケンカしないでください。ほ、ほら、せっかく美味しい年越しウドンの差し入れも作者さんから有るんですし。」
「ん?なんでウドンなんじゃ。ソコはソバだと思うんじゃが。」
「あれ?ノッブは知らないんですか?なんでも作者さんの弟さんがソバアレルギーらしくて、ソバは食べたこと無いそうですよ?」
「ほぅ、そうなのか。って、なんでお主が知っとるんじゃ。」
「ほら此処、さっきの手紙の隅に書いてるじゃないですか。小さく※って。手紙の読み落としは天下人(笑)としてどうなんですかね。」(ププ)
「沖田さん、そんなにノッブ姉さんを煽らないでください。」
「はいはい、分かりました。この場はベルに免じてもう止めますよ。」
「ふん、仕方ないの。」
「ありがとうございます。では、改めて。」
「「「今年も、ボク(ワシ、沖田さん)達を、よろしくお願いします!」」」
「さ~て、ウドンを食うとするか。ベル、薬味などは準備済じゃよな?」
「はい、此処に、………あれ?ネギが無い。」
「ふぁ、ふひはへん。(あ、すみません。)ふぉふぁひひひははひふぇはふ。(お先に頂いてます。)」(ズルズル~)
そこにはてんこ盛りのネギを乗せたウドンを啜る沖田の姿が。
「あ~!!なんで全部使っとるんじゃ!!普通残しとくもんじゃろ!?」
「(ゴクン)そこはほら、あれですよ。早い者勝ちということで。」
「え~、ということで、読者の皆さん。今後もよろしくお願いします。」
後ろでケンカ、というよりはじゃれ合いをする二人を尻目に、最後の挨拶をするベルであった。
他に欲しいと言えば式、スカサハ、エレシュキガル、ジャンヌオルタです。
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バレンタインのお返しは?
HAHAHA
カルデアにおいても(何かしらの存在により)一大イベント(強制)となるバレンタインデイ。
朝から漂うチョコレートの香りに包まれながら、マスターたる立香も日頃の感謝の気持ちを込めて、チョコレートを一人一人手渡していた。
そんな彼女の前に、山のようにチョコレートの包みを両手で抱えたベルが向こうから歩いて来た。
「あ、おはようベル。凄いチョコの山だね。」
「?あ、お姉ちゃん?ごめんね。今ちょっと前が見えなくて。」
「あはは、それだけ抱えてればね。紙袋使う?」
渡すためのチョコレートを入れていた、今は空の紙袋をベルに渡す。
「ありがと、お姉ちゃん。」
ゴソゴソと抱えていたチョコレートを紙袋にしまい、改めて向き合う。
「はい、ベル。ハッピーバレンタイン!!」
「ありがとう、お姉ちゃん。」
差し出されたチョコレートをベルは笑顔で受け取った。
なお、彼に渡されたチョコレートは全て甘くない物である。甘い味が苦手なことを(14歳には珍しい、という認識が強い為に)皆が知っていたからだ。
「僕も用意してたんだけど、部屋に有るから来てもらっていい?」
「うん、いいよ。」
部屋は近かったので、二人で移動しベルは部屋に備え付けの冷蔵庫と収納棚から包装を一つずつ取り出し、立香へと手渡す。
「はい、お姉ちゃん。ハッピーバレンタイン。」
「わぁ、ありがとう!ねぇ、開けてもいい?」
「うん。」
中には、ヘスティアやヴェルフやリリ、シルやリュー等のベルの仲間や知り合い達の顔を模したチョコレートが並んでいた。
「おぉ~!凄いねベル!でも、食べるのがちょっと勿体無いかなぁ。」
「アハハ、うん僕も作ってから気付いたんだ。それと、もう一つの方が普通の人形(ねんどろいど風)だから。エミヤ兄さんとクロヒゲ兄さんに教わって頑張ってみたんだ。あ、削ったチョコはちゃんと再利用したからね?」
「アハハ、あの二人かぁ。」
「うん、クロヒゲ兄さんはお姉ちゃんに『このカルデアに居るサーヴァント全員のフィギュアを30CMverとねんどろいど風を作って贈る』って張りきってたよ。」
「おぉ~、流石クロヒゲ、凝ってるねぇ。」
「フフ、だから僕はカルデアに来れない僕の向こうの仲間達の人形を作ったんだ。それと、食べ辛かったらメディア姉さんが魔術で保存してくれるって。」
「ううん、美味しく頂くよ。」
「そう?今食べるならお茶を用意するけど。」
「うん、お願い。」
「じゃ、ちょっと待っててね。」
部屋の簡易キッチンで紅茶を淹れる。エミヤから教わり、『一応合格』と言われた腕前で淹れられた紅茶と共にベルのチョコを味わう。
まったりとしたベルの部屋での時間は、立香を探す面々に襲撃されるまでゆっくりと流れるのであった。
甘い展開なんて、自分にはムリですわぁ。
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今日のフラン(セイバー)
頭の中にある漫画形式のイメージを字に起こすのは難しいです。
「ベル~。アイスちょうだい。」
「はいはい。何味?」
「イチゴ~。」
ダランとベルのベッドの端から、頭と脚を出してユラユラさせているフランの言葉に、苦笑しながら自室の冷蔵庫からアイスを取り出すベル。
枕元の引き出しから木のスプーンを出して待ち構えているフラン。
「ん~、つめたくておいし~。」
幸せそうに食べるフランに頬を緩めながら、ベルはゲームの準備をする。アイスの後にゲーム。がフランが部屋に居る時のいつもの流れだからだ。
「何をする?」
「スマサヴァ~。」
正式名『大激突!スマッシュサーヴァント』
カルデアで新たに出したゲームであり、中々の人気を誇っているモノだ。
HP制でキャラ毎の特色が強く出ていて、バトルキャラ、サポートキャラ、概念礼装の組み合わせで特殊効果も発生するシステム。(例:移動は歩きのみ、防御、回避不可だが、火力、範囲が強いギルガメッシュとオジマンディアス等)
尚、強すぎるためギルガメッシュとオジマンディアスは大会では禁止されている。
「バベッジ先生もしますか?」
「ウム、ワタシモ参戦サセテモラオウ。」
バシュ~、と各所から蒸気、ではなく特性フィルターによって冷気を噴出しながら返答するバベッジ氏。
この特性フィルターは、蒸気を通す時に蒸気の汚れと熱を奪い、熱エネルギーを魔力へと変換、圧縮し、「聖昌石」と「聖昌石の欠片」に変えるフィルターである。
発案:マスター、作成:キャスター陣によるこのフィルターにより、夏場に居て欲しいサーヴァントにランクインしている。また、暑いのが苦手なフランの傍で気兼ね無く蒸気を噴出できるのは本人も負担が少ないらしい。
フランもいつでも冷気を浴びれて嬉しいそうだ。
尚、聖昌石長者となったマスターはかなりの回数召喚しているとか。(羨ましい限りである)
ゲームをする準備が終わり、それぞれに得意なサーヴァントを選び、バトルを開始する。
「とりゃ~。」
「まだまだ!」
「油断大敵ダ。」
「ほいっと。」
「危ない危ない。」
「一難去ッテマタ一難ダ。」
白熱したバトルに時間を忘れ、既に昼の2時を過ぎていた。三人は、遅い昼食を食べに食堂へ向かう。
「はい、ベル。おねがいします。」
何処からかフランが取り出したのは
特異点においては、移動距離や時間の都合等からマスターとマシュを乗せて足の速いサーヴァントが背負って移動したり、怪我人を乗せる事もあったりと大活躍なのだが、カルデアでは主に子供組や、新しい物好きのサーヴァントが使用している。
「む~。」
「コノ回路ナラバ、ココニコレヲ設置スレバ良クナルノデナハナイカ?」
「お~、さすがバベッジせんせ~。」
移動中、彼女は携帯ゲーム機で『ブロックで構成された世界で好きにクラフト』できるゲームで、オブジェクトにさせたい動きをできる回路に悩んでいたのだが、バベッジ氏のアドバイスでなんとかできたようだ。
その様子をベルは見ることは出来ないが、そのやり取りを聞いてオラリオのファミリアを思い出し、自然と笑みがこぼれた。
「あ、バベッジ先生、ちょっと来てもらって良いですか?」
「コノアイダノ研究デ造ッタ機関ノコトカナ?」
「はい、それで先生の感想が欲しくて。」
「ワカッタ、デハ私ハココデ。」
「あ、はい。分かりました。」
「いってらっしゃ~い。」
カルデア職員で蒸気機関を愛していると豪語している男に呼び止められ、バベッジ氏と別れた。また長時間の熱い議論を交わすのだろう。
「ベル、あ~ん。」
「はい、あ~ん。」
食堂到着後、フランは雛鳥のように、ベルから一口サンドイッチを食べさせてもらっていた。手が汚れないよう、カラフルな串で纏められたサンドイッチをタイミング良く口に入れていく。食べさせつつも自分も食べるという器用な事をしているベル。
フラン曰く「おなじセイバーだからいっしょにたたかうこともおおいとおもうので、れんけいのくんれんです。」らしい。
見た目には妹の世話をする兄にしか見えない。
「ふ~、おなかいっぱい。ベル、おひるねしよ~。」
「ここで寝たらダメだよ。部屋に行くまで待ってね。それじゃぁブーディカさん、ご馳走さまでした。」
「ごちそうさま~。」
「はい、夕食には遅れないようにね。」
「はい、気を付けます。」
「ます~。」
眠くなってきたようで語尾が延びているフランを背負いながら、今日の食事担当であるブーディカに挨拶し、ベルの部屋へと戻る。
そのまま二人で仲良く眠る様子は、仲の良い兄妹の図であったと、"偶然"カメラを持って覗きこんだ誰かは語ったという。
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亜種特異点『四巴迷宮都市オラリオ』
「彼氏に隠し事をされていたのを知ってキレた彼女が詰め寄る」構図に見えたのは仕方ないと思います。
それは、あり得た世界。
綱渡りと称される可能性に、敗北してしまった未来。
そして、本来ならばカルデアが関わることの無かった世界である。
ベル・クラネルは間に合わなかった。
『有翼の人型モンスター』発見の知らせに全力で駆けつけた。
だが、一級冒険者と呼ばれる者達はベルよりも高いレベル、ステータスを誇る。
スキルによって成長速度が速かろうと、潜在数値を含めても当然彼等、彼女等の方が素早く駆けつけることができた。
だからこそ、ベルの目の前で
その時、ベルはウィーネと目があった。
声を発することもできない程に弱っているのに、今正に灰と化しているのに、彼女の口はこう動いていた。
「泣かないで。」と。
灰となったウィーネに愕然とするなか、ベルの周りでは一般市民の歓声が響き渡る。神々は面白い娯楽を堪能したと笑い転げながら帰っていく。そして冒険者達は掃除が終わったとばかりに淡々と帰っていく。
ベルの目には、彼等こそがおぞましい怪物に見えた。
幼い子供のように無垢な彼女を殺し、平然と、あるいは歓喜しているなんて、と。
ベルはウィーネの灰に歩み寄り、灰を一掴み掬い上げ普段は魔石をしまう袋に入れた。
訝しむ周りを無視し、ゆらゆらと幽鬼の如く歩いてバベルへと向かった。
引き留める声も聞こえず、そのままダンジョンへと潜っていく。
冒険者としての本能か、あるいは経験か。道中の襲いかかってくるモンスターは、瞬時に魔石を切り裂き灰に変え進んでいく。
辿り着いたのは18階層「アンダーリゾート」。
なんとなく天井を見上げぼんやりとしているベルに、背後から声がかけられた。
「少年、世界が憎いか?」
それは男とも女とも、老人とも子供とも聞き取れる不思議な、だが感情のこもっていない無機質な声。
「はい。」
「それは何故だね?」
「ウィーネを、皆を否定するからです。」
振り返ることもなくぼんやりと、心に浮かんだ言葉をそのまま返す。
「では、君がこの世界を変えるしかあるまい。これを君に贈ろう。これに君の願いを祈りたまえ。そうすれば、いかなる形かはともかく、君の願いを叶えてくれるだろう。」
ベルの足下にはいつの間にか、黄金の杯が置かれていた。
それは、数多の冒険者の死に際の負の感情によって生み出された魔力を利用して作られた、狂った聖杯であった。
赤黒い血管のような物が浮いているが、ベルはそれを気にせず持ち上げ、額に当て願いを祈る。
それをニヤリと、何者かは笑いつつ見つめながら徐々に透けていき、姿を消した。
「君の新たな物語を楽しませてもらうよ。元『英雄候補』君。」
と言葉を残して。
ベルの願いを受け取ったソレはベルの体に同化した。
「あぐっ!?………ぐぅぅぅぅ!?」
体に流れる違和感と奇妙な力の奔流、特に『
ベルには見えないが、本来あったスキル『
『
『
という二つのスキルが発現していた。
この二つの効果は
名前の通り、壊せない物は無い
復讐対象と対峙した時、全ステータス超補正
が主だ。
また、聖杯によって自動でステータスが常時更新される。
そして見た目も変化していった。
眼球の白かった部分は闇を思わせる黒に染まり、瞳は蛇のように縦に裂けた。
処女雪を思わせる白髪には血を浴びたように深紅がまばらに混ざる。
そして、まるで血の涙のように瞳から全身に深紅の紋様が走り幾何学的な刺青となる。
突然のことに困惑するベルだが、狂った聖杯に精神を塗り潰され、直ぐに疑問を持たなくなる。
そして、紫紺の輝きから赤黒い輝きに変化した『
『
白い光粒は漆黒の光粒へと変わり、音も澄んだ
聖杯の恩恵かほんの数秒でチャージは完了し、ベルはナイフを真上から真下までゆっくりと振り下ろした。
威力は絶大だった。下はダンジョンの最下層まで届いたのでは、と思わせる程に深く、上はオラリオから覗きこめる程の広さの斬撃痕が、
サンッ
と軽い音で生まれたのだ。
突然の出来事にオラリオの神々や冒険者、一般市民だけでなく、
既に精神を塗り潰され、正常の思考ではなくなったベルはオラリオへ向かって何度も壁を蹴って飛び上がり、困惑する周囲の人々に手当たり次第に襲い始めた。
それは蹂躙、という言葉が当てはまるだろう。
襲いかかってくる冒険者達も軽く蹴散らし、ベルの暴走は続く。
───────────────
新たな特異点が現れた、とカルデアのブリーフィングルームに集められたメンバーは、それに困惑していた。
「えぇとつまり、ベルの世界のオラリオが特異点に?」
「あぁ、そうだ立香君、まるで一枚の半透明な布が被せられたように、異なる世界が突然本来のモノに重ねて表示されたんだけど、以前ベル君に聞いていた地形と一部が一致しているんだ。だから恐らくとしか言えない。もしかしたら、
「ベルが向こうの世界との縁を繋いでるかも、ってことですね。」
「その通り。」
う~ん、と左右のこめかみに人差し指を当てて情報を整理し、説明を理解した立香と、きちんと理解してくれて嬉しいのか、うんうん、と満足げに頷くダヴィンチちゃん。
「じゃぁベルには霊体化してもらってた方が良いかな?同じ人が居たら混乱させるかもしれないし。」
「そうだね。その方が良いと私も思うよ。」
「じゃ、後は現地で情報収集だね。」
「うん。よろしくね。」
「はい!!」
こうして、オラリオへのレイシフトは敢行された。
そこがどんな地獄へと変貌しているかを、当然知らずに。
───────────────────
「死ネェェェェ!!」
「お前が死ね!!」
「フッ!!」
「ヌン!!」
変質したベル。
好機と取り地上へ進出した
モンスターを駆逐せんと、一番の脅威を抑えるアイズ。
ベル、レヴィス、アイズとオッタルの三つ巴で激しい戦闘を行っている。
そして、
「「「「ガァァァァ!!」」」」
ダンジョンより這い出してきたモンスター達。
深層からも出てきたモンスター達に多くの冒険者達は対処が精一杯だった。
だがオラリオの住人達の避難は済んでいる。
オラリオ全体が冒険者、モンスター、
オラリオは全てが片付いてからもう一度復興させるしかない。
バベルは倒壊したが、地上をモンスターが悠々と闊歩する未来など許さない。
だがそれも勝てれば、の話だが。
「「邪魔だぁ!!」」
「「「グガァ!?」」」
目障りだ。とばかりにモンスターはベルとレヴィスに切り捨てられる。
その隙に斬りかかるアイズとオッタル。
それを二人はそれぞれ違う方向へ回避する。
レヴィスはついでに魔石を回収し喰らう。
こうしている間にもベルは強くなっていく。
それに対抗するにはどうすれば。
そうアイズに考えが過った時、どこからか声が聞こえた。
「何をやってるんだ!!」
目の前の少年と同じ、いや、こちらの方が見慣れた姿のベル・クラネルが、そこに居た。
ベルは心底驚いていた。
見た目が変化した自分が、アイズを殺そうとしている。と。
だが、その問い掛けは下策だった。
「何を、だと?」
背筋が冷える声で、ベル・オルタは返す。
「決まってる。リド達が自由に地上を過ごせるように、邪魔な人間を皆殺しにするんだよ。」
「な、なんで!?そんなことしても誰も喜ばない!!ウィーネだって!!」
「ウィーネは死んだ。」
その返答にベルは硬直する。
更に畳み掛けるように、アイズへとナイフの先を向ける。
「そいつの団長、フィン・ディムナがウィーネの魔石を貫いてな。」
「それに、お前も対象だ。」
「どうして!?」
「決まってる。間に合わなかった俺が、間に合ったお前を憎いからだ。」
ナイフを構えるベル・オルタにベルもナイフを構える。
「死にたくないなら、精々抵抗するんだな。」
「アイズさん!!オッタルさん!!力を貸してください!!」
「うん。」
「あぁ。」
「話は済んだか?」
会話をしている間、魔石を喰らい続け回復に専念していたレヴィスも立ちあがり構える。
そして、再び凄烈な戦いが始まる。
結末は皆さんのご想像にお任せします。
というぶん投げスタイルで。
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ジャンヌ・ダルクと干し草のベッド
カルデアでは、マスターとマシュの休養とサーヴァント達との交流の為に、休養日を設定し、シミュレーションルームを開放している。
マスターは以前、ジャンヌとの雑談で「干し草の山で眠るのは抗いがたい魅力がある。」と話していたのを思い出した。
その為、今日のシミュレーションルームではのどかな村を再現していた。
「「「「はふぅ~。」」」」
ふにゃふにゃとした顔で干し草の山に寝転がる立香とマシュ、ジャンヌにベル。スカートは不用心なので女性陣はズボンを履いている。
ポカポカとした陽気と時折吹き抜ける風、このまま眠りそうな程穏やかで安らぎを得る空間に、立香とマシュは確かに抗いがたい魅力だと感じていた。
ベルは故郷の村を思い出し、幼い頃はこうして寝転がりながら、祖父に英雄譚を語ってもらっていたのを懐かしんでいた。
他の干し草の山にも生前を懐かしみ寝転がっている者や、動物達と過ごしている者が居る。
少し離れた所では、料理上手な面々が簡易キッチンで調理をしていた。
厚切りのパンに半熟の目玉焼きを乗せた『天空パン』や、温められた山羊のミルクと、トロリと溶けたチーズを乗せた黒パンの『アルプスセット』等々。美味しそうな香りを辺りに漂わせている。
尚、エミヤはフードファイターのような勢いで食べる剣、槍、槍黒、弓のアルトリアにせっせと料理を提供していた。助けを求める視線からは皆目を逸らし、それぞれの時間を楽しんでいた。
「アキレウスゥゥゥゥ!!」
「ちょっ、待て待て!?頼むからもうちょい昼寝させてくれぇぇぇ!!」
やや離れた所では、うたた寝していたアキレウス(Lv.50)がエルドラドのバーサーカー(Lv.90)に見つかり全力で逃げているが、マスターからの頼みで訓練の無い休養日は戦闘は非常時以外自重するようにしている。
強制的に彼女に我慢させるのは生前の因果から考えると困難なため、一時的な発散としてガチ鬼ごっこが唐突に開催されるのだが、こちらも下手に関わると怖いので皆視界から外している。
目の色が反転している彼女だがマスターの意見は尊重し、命を獲ることはしない。
───────────
「ふふ、本当は彼女にもこの気持ち良さを知ってほしいのですが、彼女は
「ジャンヌオルタさんですか?」
「えぇ。」
「きっといつか来てくれますよ。」
「えぇ、その時を楽しみにしてます。」
「………。」
「………ベル?」
ウトウトと眠気を感じながら会話を交わしていると、不意に会話が途切れた。
ジャンヌが覗いてみると、クカー、と眠っているベル。
その寝つきの良さに少々驚いたジャンヌだが、不意にイタズラを思いついたらしく、笑顔になるとベルに近寄り横から抱き着いた。顔をベルの髪に埋めるようにすると、髪の感触が心地良い。
ベルの顔はジャンヌの胸に埋まる形になり、起きたらどんな反応をするんだろう。
とワクワクしながら、ジャンヌも陽気に身を任せ眠るのであった。
ベルの目覚めが実に面白いことになったのは、言うまでもないことである。
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Wイシュタルとカジノ
「バカな!!あれがイカサマでは無いだと!?」
「はい。恐るべきことに彼は純粋な幸運であれを成しているようです」
「「もっと、もっとよベル!!ジャンジャン稼ぎなさい!!」」
「ま、まだですか?イシュタル様~」
とある国のカジノにて、色違いのドレスを着た二人のイシュタルが、目の前で積まれていくチップに高笑いをしながら、集まってきた周りの視線を気にしているベルに更に稼げと指示を出す。
さて、こうなった原因とは何か。と問うならば、それはベルの物語に関係する。
原作『ファミリア・クロニクル episode:リュー』において、ベルはカジノのルーレットで大勝ちしている。
それ故か、カルデアでの遊戯の一種としての賭博全般において無類の強さを発揮してしまうのだ。
具体的には
ポーカーならば配られた時点で「ロイヤルストレートフラッシュ」が完成しているなど、手札で勝負する物は開始時点でほぼ完成しており、
ブラックジャックではハートとスペードのジャックをスプリットしたらハートとスペードのエースで二つのブラックジャックが完成(作者のゲーム内での経験)したり、
ちんちろりんでは親の出目が「五」、子の一人目が「ピンゾロ」次と自分が「奇の見」(前の人と同じ出目になる)になったり(こちらも実体験)ととにかく賭け事に強い。
そのため、ベルはカルデア内での賭博全般を自粛していたのだが、それを聞きつけたイシュタルに引っ張られ、カジノでの荒稼ぎへとなってしまった。
どうやらイシュタルは何かの目的を持って荒稼ぎを
ベルにも詳しくは明かされていないが、それが「カルデアの為になる」と断言されたために積極的ではないが協力はしたようだ。
――――――――――
「「~♪それじゃあベル、お疲れ様。私達はこれから用があるから………」」
鼻唄混じりに満面の笑顔でカルデアへと帰ったイシュタル達は、
「む?そこに居るのは
「やぁ、ベル君」
「おはようございます。神イシュタル、クラネルさん」
廊下の向こうから現れたのはギルガメッシュ(術)とエルキドゥ、概念礼装「献身の巫女」のシドゥリであった。
「「げぇ、ギルガメッシュ、それにエルキドゥまで。あぁ、おはよう、シドゥリ。って、ギルガメッシュ、あんた今変なルビ無かった?」」
「おはようございます。ギルガメッシュさん、エルキドゥさん、シドゥリさん」
「フン、ベルよ、何故お前が
「そうそう、早く離れた方が良いよ」
「え、えぇ~っと」
顔を合わせてすぐにイシュタルをディスる二人に冷や汗を流すベル。
ギルガメッシュとエルキドゥはベルを気に入っているため、イシュタルと居ることをよく思っていないようだ。
何故二人がベルを気に入っているのか。
これもベルの物語に関係している。
そして何よりも、世界がそもそも違い神の権能を使えないとはいえ、美の女神であるイシュタルの魅了をはね除け、『美の女神』の顔に無自覚に泥を塗ったのが理由である。
初めてその場面を読んだ時は二人とも珍しい程に大笑いしたそうだ。
ベルがイシュタルにカジノへと引っ張られた事に、ベルを連れていった事に理解はしたが、何を企んでいるのかと訝しんでいたが、どうせ失敗するだろうと判断した。
「フン、
だが、念のためと釘を刺してはおくようだ。
「「大丈夫よ。私達が失敗なんかするわけないじゃない」」
「ハ、どうだかな」
「「今に見てなさい。吠え面かかせてやるわ」」
余裕綽々に見下すギルガメッシュとその態度が気に入らないイシュタル、二人のやり取りにオロオロしているシドゥリとベル、ニコニコと見ているエルキドゥというやや
「やっほー、て、どうしたの?
「なに、いつものことだ(イシュタルが何かやらかす前兆)」
「あぁ、いつものことね(単なるじゃれあい)」
認識に齟齬が有るのに気づかずに、会話は進む。
「じゃ、私はマシュと約束があるから!」
ガシッ「へっ?」ピューーー「ホワァァァァ!?」
わざわざ魔術で強化してベルを連れていったマスターに、残された五人は微笑ましく思う。
「では行くぞ。エルキドゥ、シドゥリ」
「そうだね」
「はい、ギルガメッシュ王。失礼します、神イシュタル」
「「あ、うん、じゃぁねシドゥリ」」
すぐに別れ、それぞれの行き先へと向かう。
イシュタルがこの後何をするのか。その結末までを見たギルガメッシュが堪えきれずに笑い声をあげるまで後数分。
ギルガメッシュ(術)とエルキドゥはマイルームボイスでは会わない雰囲気でしたが、このカルデアではベルが「サーヴァントにとっては一時の夢のようなもの、なら友達と会っても悪いことじゃない」みたいなことを言って説得した感じで納得いただければ。
読み返してみて、「拉致」は止めておきました。
配慮、というよりは文字のイメージがなんとなく違ったので。
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ナイチンゲールと歯磨き
カルデアでは、婦長ことナイチンゲールによる指導でうがい、手洗い、食事の30分後と睡眠前の歯磨き、などの生活習慣が徹底されている。
守らなかった場合は婦長による指導(ヘルアンドヘルモード)が成されるため、破る者はほぼ居ない。誰だってオキシドールでジャブジャブされたくはないからだ。
だが、意識していても徐々に歯磨きが雑になっていってしまう者も少なくないため、不定期に指導とチェックが行われ、また、子供組と呼ばれるサーヴァント達は二人一組となり相手の歯を「悪い菌と汚れをやっつける」という遊び感覚で磨くため、ルールの再確認として婦長がお手本を見せることから始まる。今回もベルがお手本の相手となる。他の子達より口のサイズが大きめのため、見せやすいからだ。
「では皆さん、これから歯磨きの見学を始めます。画面はちゃんと見えていますか?」
は~い!と元気よく返事をする見学者達。
歯医者で見かけるベッドに寝かされ、口を大きく開けたまま固定され、頭や腕、体も固定されたベル。
天井からカメラが吊るされ、見学者達はそれをモニターで見ている。
「分かっていると思いますが、見づらくなりますから動かないように」
「
「歯は順番を決めて磨きます。例えば、右下、左下、右上、左上、のように順番を決めておくと磨き忘れが無くなります。次に歯の外側、内側、食べ物を噛む噛み合わせの部分、とこちらも順番を決めて磨きます。では実演を始めます」
ナイチンゲールは歯ブラシを装備し、ベルの口に入れた。
口の中、というのは感覚器官の一つであり、実際はかなり鋭敏である。
いつものこととはいえ、他者に触れられ、刺激されるのはいまだ慣れない。
しかも婦長は真剣にやるため、その端正な顔が近いうえに、豊満な胸部が顔の傍で揺れ、時折当たるのだ。
年頃の少年であるベルにとって喜ばしくも気恥ずかしいことであるし、普段面倒をみている子供たちは歯磨きの復習のため真剣に自分を見ているため逃げ出すこともできず、ただ顔を赤く染め、この時間が終わるのを待つことしかできない。体が固定されている理由の一つでもある。
シャコシャコと口内を磨かれ、歯を綺麗にされたベルはしかし、まだ解放されない。
「次に、舌の汚れを除去します、こちらは
コクコクと素直に頷く子供たちへ、舌の表面を掻くための器具を見せながら説明をする。
それは木製で、草刈りの鎌を連想される形状だった。
「では開始します。舌を動かさずにいてください」
再び、ベルの羞恥に耐える時間が始まる。
こうして、婦長の尽力とベルの心労により、カルデアは清潔、健康を維持された生活が保証されている。
「アナタはたしか、まだ歯を磨いていませんでしたね」
「クハハハハ!鬼たる我がするわけが」ガッ
「強制連行します」
「離せ~!!」ズルズル
どうやら、悪い子に婦長の指導がなされるようだ。
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リュー・リオンに似た声
今回は声優ネタ、ということで複数のサーヴァントの話を詰めております
カルデアには、似た声の人物達、というのが何組も存在する。
中にはベル・クラネルのオラリオの知り合いに似た声のサーヴァントも居るため、不意に聞くとオラリオでの生活を思い出し、懐かしくなることもあった。
自身が知る人物との違いに微笑ましくなることもあるのだが。
─牛若丸の場合─
「ベル殿ぉ~!!」
カルデアの廊下の向こう側から、大きめの声をかけながら彼女が駆け寄ってきた。
この呼び方に、ベルはいつも同じファミリアの『ヤマト・
「おはようございます。牛若丸さん」
「おはようございます。朝から鍛練ですか?」
進行方向には、サーヴァント用のトレーニングルームが存在する。鍛練を生前からの日課としている者が多いため、サーヴァントの身体能力や破壊力に耐える器具を設置しているのだ。
なお、筋肉トレーニング用の器具やサンドバッグは、発明担当のサーヴァント達により発電システムを併設してあるためカルデアの負担が多少減っている。
主な利用者はレオニダス、スパルタクス、ベオウルフ、エルドラドのバーサーカー等のマッスルなサーヴァント達だ。
「はい、なんでもこの間のクリスマスのプロレス?というのが今流行ってるらしくて、昨日誘われたのでレオニダスさん達に技ルールを教わりに行くんです」
「そうだったのですか、では、歩きながら私の用は済ませてしまいましょう。」
コホン、と咳ばらいした牛若丸は、真剣な表情でベルの顔を見る。
「なんでもベル殿はオラリオに居た頃、武神である武御雷様と知り合いであったとか」
「はい。神様、ヘスティア様の
「
「タケミカヅチ様のファミリアの人達は、極東の島国からお金を稼ぎに来たそうなんです」
「極東の島国、ですか。こちらでの日ノ本のことですね」
「そうみたいですね。あと、ツクヨミ様、という神様も居らっしゃったそうですよ」
「ほうほう、興味深いですね。しかしその口振りだとよくご存知ではないようですし、話を変えますが、なにやらベル殿は私と同じ名前の短刀を持っていたとか」
「そう、ですね。僕が初めてランクアップする切っ掛けになったミノタウロスの角で作ってもらったんですけど、『ミノたん』って名前になりそうだったんですよ」
「ふふふっ、武器につけるには少々可愛らしい銘かもしれませんね。っと、ここまでのようですね、ではベル殿。鍛練頑張ってください」
「はい、ありがとうございます。牛若丸さん」
談笑している内にトレーニングルームの入口に着いた二人は、そのまま挨拶をして別れていった。
なお、牛若丸の格好にベルの目が終始、挙動不審気味だったのは仕方ないことであった。
─アタランテの場合─
素材集めのために山を訪れていた一行は、一時休憩として一旦解散していた。自然溢れる光景に故郷を思い出したのか、ベルは許可を貰って散策しようとしていたのだが、念のためと同じく散策をしようとしていたアタランテと共に行くことを条件として出されたため、連れ立って森へと入った。
アタランテにとって、ベル・クラネルは実年齢と外見、精神年齢が一致している、カルデアでは数少ない子供と断言できるサーヴァントだ。
ゆえに彼女にとってベルは、強いが庇護すべき対象である。そんな彼女がベルと行動を共にするのは、マスターにとって自然とも思っていた。
「汝とは、間接的に色々と縁があるな」
そういえば、とふと思い出したようにアタランテはベルに問いかけた。
「そうなんですか?」
「汝はヘスティア様の
「それに、私の宝具はアルテミス様と、その・・・アポロン様に加護を願い奉るモノだからな」
「あ、あはは・・・」
ベルと神アポロンがどう関係するのかを、彼女はマスターである立香から聞いていた。ベルの世界の神々の大半が、普段の軽薄な振る舞いをする黒髭と近いものがあるということも。
ましてや、神アポロンはベルの尻を狙っていたのでは、とも聞かされていたため、申し訳なく思っていた。
「あぁと、でもほら!向こうとこちらではアポロン様も違うかもしれませんし!」
「そ、そうか?うむ、そうだな。そういうことにしておこう。他には、そうだな。汝のスキル、『
急な話題の変換に、揃って乗る二人。話題に出してしまったが、お互いにあまり深く突っ込みたくないようだ。
「イアソンさんが金羊毛を求めて、アルゴー号に集めた英雄達、ですね!」
「汝は本当に英雄譚が好きなんだな」
目をキラキラと輝かせたベルにアタランテは、カルデアで彼が様々な英雄に話を聞きに行き、英雄譚を読み漁っていたのを思い出す。顔馴染みということでメディアから愚痴を聞かされていたのも含めてだ。(その代わりに女装させて遊んでいたそうだが)
「あとはウィーネといったか。あの幼子を、汚名を被ってでも守ろうとしたのは私には好ましい。孤児院の子供たちを泣かせたのはあまりよくないがな」
「たしかに、ライ達に裏切り者って言われましたけど。それでも、ウィーネを守りたかったですから」
照れながら、だが決意を持った返答にアタランテは顔が綻ぶ。
「その後で和解もできたようだしな」
「はい。仲直りできてよかったです。でも、なんだかルゥだけ様子が変だったんですけど」
「もしかしたら、何か気づいたのかもな」
「何かって何です?」
「さぁ?本人に聞かないと分からないな」
「意地悪言わないでくださいよ~」
クスッ、と笑うアタランテに、ベルも冗談染みた、子供のように口を尖らせて抗議している。
と、渡されていた通信端末のアラームが鳴った。どうやら休憩時間も終わりが近いようだ。
「ではマスターの所へ戻るか。どちらが先に着くか競争だぞ。言っておくが負けるつもりは無いからな」
「はい!僕だって負けませんよ!」
「「よ~い、ドン!」」
決着は、同時であったそうな。
─マルタの場合─
ベルにとって彼女、マルタは戦闘を共にすることがなかったため、その戦い方を知らなかった。
聖女という言葉から、オラリオで最高と評される
だが、
「そこっ!!」
トレーニングルーム、サーヴァント仕様のサンドバッグからは、壊れていないのが不思議なほどやたらと重い打撃音が鳴り続けている。
ライダーの方は聖女っぽいんだけどねぇ、と立香からは聞いていたが、まさかルーラーの方の戦い方がアマゾネスを思わせる
しかし思い返してみれば、そういう言動はしていた気もする。不意な発言や頭をワシワシと撫でられる時など、アミッド(聖女)よりもミア母さん(凄女)を思い出させることがあった。
決して口にしてはいけない。と以前立香から言われているため、うっかりがない限りは大丈夫、の筈だ。
「それで?ベルはさっきからそこで何してるのかしら?」
ギシギシと揺れるサンドバッグの前で、ふぅ、と息を吐きながら残心をしていたマルタが、先程からずっと見ていたベルに振り向きながら声をかけた。
「え!?あ、いや、そのぉ」
と、マルタの胸に少し視線が引き寄せられていたことを自覚して慌ててしまっているベルに
「もしかして組手の相手をしてほしいの?いいわよ、体も温まってきたことだし、三十分一本勝負いくわよ!」
視線には気づいていたが、年頃の少年だから仕方ない、とベルには「マルタお姉ちゃん」(
ベルの意外な奮闘に血が騒いだのか、設定した時間を大幅に越えタラスクまで呼び出したことで、二人とも大説教を受けるはめになることを、この時は想像だにしなかった。
─メルトリリスの場合─(季節外れ過ぎてますが)
「ほら、早くしなさい。
カツカツ、と音をたてて歩くメルトリリスの後ろを、ベルとパッションリップの二人がついていく。
ベルの両腕には紙袋が連なり、背中にはリリルカ・アーデが使っているのと同じ大きさのバッグを背負っている。
現在ルルハワにて、サバ☆フェス開催までの暇潰しとしてあちこちを出歩き、なんとなくでアレコレを買い占めていた。
本番で使うお金は大丈夫か、と心配になるだろうが、メルトリリスは自身の能力を活用(主にネットでの本来ならハイリスクハイリターンな稼ぎかたを)して資金を用意したのだが、稼ぎ過ぎて余りあるため「邪魔になるから豪勢に使う」と二人を連れ回していた。
フィギュア仲間で裁縫の腕も優れているメディアへの現地特有の布などの土産や、嫌味な童話作家のアンデルセンへの嫌がらせじみた土産、物好きなマスターへのからかいを含んだ土産などをベルに持たせ、背負わせ、上機嫌で歩いていた。
「ごめんね、ベル。メルトったら、こんなに物を持たせちゃって、私の分もだけど」
「いえ、いいですよ、リップ姉さん。お二人だけだと不便でしょうから」
ベルの隣でパッションリップが申し訳なさそうに謝るが、ベルは気にした風もなく、むしろ「二人の力になれて嬉しい」ように見える。
メルトリリスとパッションリップ、二人はそれぞれの事情で腕が不自由なため、ベルが二人の腕として色々代わって行動していた。
「リップ、ベル。次はあそこよ」
「カフェ、ですか?」
「そうよ、あそこのパフェが絶品らしいの。何人かの舌の肥えたサーヴァントがべた褒めしてたそうよ」
食事を取るようになって、特に甘味を好むようになったメルトリリスとパッションリップ、買い物の次は何軒も梯子しての甘味巡りを行うようだ。
ところで先程書いたように二人は腕が不自由である。
「・・・ということは」
「えぇ、そうよ。今度は溢さずに食べさせなさい?朝みたいに服にこぼしたらお腹にヒザ、だからね」
「あ、あはははは」
ベルは引き攣った笑顔になってしまう。
朝食の時、ベルは二人の口元へ食事を運んでいたのだが、うっかりメルトリリスのスカート、パッションリップの胸元にパンケーキのメープルシロップを溢してしまい、着替えを余儀なくされたメルトリリスに大層怒られてしまったのだ。
パッションリップは水着に近い格好だったため胸に直接かかったしまい、ベルもパッションリップも顔を真っ赤にしていて無理そうだったため、傍を通りがかった優しい女性に拭き取ってもらっていた。
「さ、早く行くわよ」
足早に向かうメルトリリスを二人も追いかけ、店の中へと入っていった。
ベルは無事溢すことなく食べさせ終えられたことに心底安堵していたそうな。
今更ですが、書くにあたってキャラクターのマテリアルとボイスを見て、聞いてから書いてるのですが、キャラクターの人物像をきっちり把握できてる自信はないので
「このキャラはこんなんじゃない!」っていうのはご容赦ください
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水着獅子王とカジノ
相変わらずの低クオリティに空笑いしかでません。
水着剣豪の騒動も一段落し、新たに複数のサーヴァントが召喚されたカルデアには、新たな遊戯施設が設立された。
今日は、ようやく予定を作れたマスターとマシュが初めて遊びに訪れていた。
「ようこそ、我がカジノキャメロット、カルデア支店へ」
笑顔でマスターを出迎えているのはバニー姿の獅子王。
そして、
「よ、ようこそ、カジノキャメロットカルデア支店へ」
ウサミミカチューシャを付け、ディーラー服を着た、笑顔の少々固いベルであった。
「あの、どうしてクラネルさんはあのような格好をしているのでしょうか?」
良いよ~ベル~!!うわわ、辞めてよお姉ちゃん!!
鼻息荒くベルの姿を写真に納めているマスターをスルーしつつ、マシュは兎王に自身が抱いた疑問を口にする。
「彼の格好でお分かりだと思いますが、ここのディーラーとして協力してもらうつもりでした。彼はイカサマに全く向かない性格だとカルデア中に知られていますから、公正にゲームを楽しんでいただけると思っていたのです」
「なるほど、そうだったんで「しかし……」?」
納得したマシュの言葉に、悲しそうな顔で否定の言葉を続ける。
「彼の特性を、幸運を甘く考えていたのです」
そう、試しに、とベルがディーラーを勤めた時、例えば、ディーラーとの対決の形をとるブラックジャックなどでは、誰もベルに勝てない。常に21か20を出し続けるディーラーとはマトモな勝負になんてならない。
ならば、とポーカーなどのテーブルに着けば、客が皆高い役を連発してしまうのだ。読み合いやブラフなどの駆け引きを主とする本来のゲームとは変わり果ててしまうので、これも難しい。
故にオーナーたる彼女が摂った選択とは
「あ~もう!!なんなのよ!!」
「む、どうやら出番のようですね。ベル、あのテーブルのジャンヌダルク・オルタ氏にお願いします」
「は、はい!分かりました。ではお客様、失礼いたします」
ペコリとマスターとマシュに一礼してから、荒れた声をあげるお客の下へと、ベルがグラスとボトルをトレンチに乗せ、向かった。
「お客様、こちらをお飲みになって一度リラックスして、気分を変えるのはいかがでしょうか」
「チッ………えぇそうね、いただくわ」
「お二人共、あれが彼の役目です。お客様に楽しんで頂く為に、荒れているお客様や負け越しているお客様の下へベルを派遣します。そうすると」
「ふふふ、来た来た。ごめんなさいね。ロイヤルストレートフラッシュ(決まった!)」ドヤァ
「あのように、ほぼ確実に勝てます」
「「おぉ~」」パチパチ
思わず小さな拍手をしてしまうほど、ジャンヌのドヤ顔が決まっていた。
「スゴいですね、クラネルさんの幸運」
「だね~」
「彼の逸話を活用させていただいて、おかげでカジノも賑わっています。長く程々に楽しんで頂くのが一番良いと思いますので」
「うんうん、変にハマって破産とか自殺なんてニュースもあるもんね。程々が一番だよ」
ホワホワと緩く会話している三人だったが
「そういえば、まだ渡していませんでしたね。こちら、初来店の記念チップ10万枚です」
「おわ、こんなに良いの?」
「えぇ、景品も有りますので楽しみながら頑張って下さい。景品は『聖晶石』や『金の種火』、『鈴』や『卵』などの素材を上限無しで扱っています。QPへの変換も可能ですよ。サーヴァントの皆さんは自身の強化に必要な素材を主に交換していますね」
「ほほぅ、だからたまにスキルレベルが上がってる人が居たんだ」キュピーン
目の端を光らせながら納得した様子のマスターに
「あの、先輩?程々に、程々に楽しみましょうね?」
どうやらマシュの声は聞こえていないようである。
このためにスカサハスカディにアイスをダース単位で渡してベルの霊基変換してもらった獅子王
クラス:アーチャー
宝具
『
スロットマシンが現れ、ベルが回すと777が揃い、メダルが大量放出される。敵をメダルの津波が襲う。
味方にバフ色々
スキル
『カードシャッフル』
味方単体のコマンドカードが揃う
味方単体にNP獲得付与(レベル)
『ラッキーダイス』
サイコロを三つ振り、出目の数値だけ味方全体に強化付与(上昇値固定、レベルで出目に極端な偏り)
『運命のルーレット』
敵全体に防御ダウン(レベル)
確率で弱体(クリティカル発生率ダウン、各カード耐性ダウン、宝具威力ダウン)
高額のQP、素材、イベントアイテムを高確率でドロップ(レベル)
イベントアイテムのドロップ数アップ(レベル)
攻撃はカジノに関する物は全部投擲する。
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