ラブライブ! ジードサンシャイン!! (ベンジャー)
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第1話 『決めるぜ、覚悟!』

かつて「ウルトラマンゼロ」とその仲間達によって倒された光の国で唯一悪の道へと墜ちた戦士、「ウルトラマンベリアル」がとある出来事から復活し、同じく復活した「ギガバトルナイザー」を手にした彼はとある宇宙で悪逆の限りを尽くしていた。

 

そんなベリアルを止めるため、光の国からウルトラ兄弟や宿敵であるゼロを始めとしたウルトラマン達がベリアルの悪行を止めようとその宇宙へと現れた。

 

そして光の国の戦士達とベリアルとの戦いに終止符を打つため、科学者でもある「ウルトラマンヒカリ」は「ウルトラカプセル」と呼ばれるアイテムを開発し、そのカプセルにはウルトラマン達の強大な力が宿っており、それらは手の平に収まるほどの大きさでしか無かったがたった1つで戦局を覆すほどの可能性を秘めていたのだ……。

 

しかし……ウルトラカプセルが完成したほぼ直後のことであった……。

 

『ウアアアアア!!!!』

 

同じ頃、地球では宇宙警備隊隊長「ゾフィー」とその「ウルトラマンベリアル」の力を合わせた「ウルトラマンオーブ サンダーブレスター」と「ウルトラマンノア」によって授けられた鎧「ウルティメイトイージス」を装着した「ウルティメイトゼロ」がベリアルと激戦を繰り広げていた。

 

『シュアアア!!!!』

 

オーブは強烈なパンチをベリアルへと繰り出すのだが、ベリアルはそれをギガバトルナイザーで受け流し、オーブの腹部に叩きつけて電撃を流して吹き飛ばし……そこへゼロが右腕に装着された剣「ウルティメイトゼロソード」を振るい、ベリアルも同じようにギガバトルナイザーを振るって激しくぶつかり合うが一度距離を取ったベリアルはギガバトルナイザーを振るって鎌状の光線を発射する「ベリアルデスサイズ」を繰り出し、ウルティメイトゼロを切り裂き、それによってイージスも粉々に破壊されてしまいゼロはその場へと倒れ込む。

 

『ぬああああ!!?』

『っ……! ゼロさん……!』

 

立ち上がったオーブはゼロを庇うように立ち、両腕に光と闇の力のエネルギーチャージさせた後、腕を十字に組んで放つ必殺光線「ゼットシウム光線」をオーブはベリアルへと発射。

 

『ゼットシウム光線!!』

『フッハハハハハ!!!!』

 

しかしベリアルはギガバトルナイザーを回転させて光線をかき消してしまい、ベリアルはギガバトルナイザーから強力な稲妻を放つ「ベリアルジェノサンダー」をオーブへと喰らわせ、大ダメージを受けたオーブは本来の姿である「オーブ オリジン」へと戻ってしまう。

 

『ぐあああああ!!!?』

『フン、俺様の力とあのゾフィーの力を使っておいてそのザマか!』

 

そこにウルトラ兄弟や他の光の国の戦士も駆けつけるが……。

 

『超時空消滅爆弾、起動……!』

 

静かにベリアルがそう呟くと頭上に巨大な爆弾のようなものが出現する。

 

『フッハハハハ!! 精々あがくが良いさ!』

 

ベリアルの用意した「超時空消滅爆弾」と呼ばれるものが地上へと落下して周りに強烈な炎が吹き出し、ベリアルはその炎の中へと消え……ゼロ達はすぐさま宇宙まで待避するのだが……その爆弾の威力は地球どころかこの世界の宇宙そのものを滅ぼすレベルであり、ゼロとオーブは何とかしなければとしたが……それをゼロの父親である「ウルトラセブン」に止めらる。

 

『行くな! この宇宙は、もうもたない!』

『だけど……!』

『クソ……この地球にも……!』

 

そして地球は爆発し、それによって地球を中心に生じた次元の断層は宇宙全体に広がり……星々は消滅した……かに思われたのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後……静岡の「浦の星学院」というとある学校……そこでは校門前に「浦の星学院 入学式」と書かれた看板が置いてあり、学校の中には部活動をしている生徒達が新入生達を勧誘しており……そんな生徒達の中にメガホンを持って「スクールアイドル部でーす!!」と宣言し、チラシを配って他の生徒達と同じように新入生を必死に勧誘している生徒が3人。

 

「スクールアイドル部でーす! 春から始まるスクールアイドル部でーす!!」

 

メガホンを持ってそう叫ぶ少女の名は「高海 千歌」でチラシを配っている少女は彼女の幼馴染みでもある「渡辺 曜」……そしてどこかやる気が無さそうに「よろしくおねがいしまーす」と新入生を勧誘している少年の名は「栗本くりもと 無爪なつめ」という名前の生徒達であり、千歌は「なっちゃんもっとやる気出して!!」とやる気の無さそうな無爪を注意する。

 

「いや千歌ねえ! 僕も新入生なんだけど!? なんで新入生の僕まで勧誘の手伝いさせられてるの!?」

「まぁまぁ細かいことは良いじゃん! 部活とか特に興味ないんでしょ? だったらちょっとくらい手伝ってよ~」

 

そんな風に両手を合わせて「お願い」としてくる千歌だったが、無爪は「ふざけんな! 確かに部活に興味ないし入る気ないけど僕だって暇じゃないんだよ!」と怒鳴り、曜はそんな無爪を「まぁまぁ」と落ち着かせる。

 

「それに千歌ねえ! 周りよくみろ! 人いなくなってんじゃんか!」

「ふぇ……? あぁー!? ホントだぁー!? だ、誰かぁー! スクールアイドル部に入りませんかぁー!! スークアイドル部でぇ~す。 今、大人気のぉ~スクールアイドルでぇ~す!」

 

と慌てて千歌は大声を出して新入生を勧誘するのだが……効果は無し。

 

(最後の方ちょっと涙ぐんでたな千歌ねえ……)

 

数分前……彼女達が学校へと向かう少し前の出来事である。

 

『今日は、『クライシス・インパクト』の真実に迫ります』

『えー、かつてのクライシス・インパクトは隕石の落下が原因とされていますがそれは違います。 これをご覧ください。 クライシス・インパクトの影響で当時の記録は全て失われたとされていますが偶然にも発見された写真の1枚です。 名前は……『ウルトラマンベリアル』』

 

千歌の家の旅館の……彼女の部屋で曜と無爪はおり、横でそんなTVの放送がされている中、千歌が「スクールアイドルやる!」と言い出した今まで覚えたスクールアイドルのダンスを2人に見て欲しいということで呼び出されたのだが……その途中ついつい転んでしまい、尻餅をつく千歌に曜は「大丈夫?」と心配そうに声をかける。

 

ちなみに両親のいない無爪は幼い頃にこの家に引き取られ、彼もこの旅館に住んでいたりする。

 

「へーきへーき! もう1度! どう?」

 

千歌は立ち上がって決めポーズを取り、無爪と曜に感想を聞くと曜は「多分、出来てると思う!」と敬礼しながら答え、それに対し無爪は「まぁまぁじゃないかな……?」とどこか興味なさそうに答える。

 

「もうなっちゃん、ちゃんと見てた?」

「だって僕、スクールアイドルのことよく知らないし……。 『ペガ』は分かる?」

 

自分の影に向かって無爪はそう話しかけると無爪の影の中から1人の宇宙人……「放浪宇宙人 ペガッサ星人ペガ」がひょっこりと現れる。

 

『うん、僕は無爪と違ってスクールアイドルのことは大好きだからね! ダンスもそれなりにって感じだったと思うし……千歌ちゃんがスクールアイドルやるなら僕全力で応援するよ!』

 

とガッツポーズをしながら応援するそんなペガに千歌は「ありがと~! なっちゃんと違ってペガくんはちゃんと応援してくれて私嬉しい!」と抱きつき、それを見た無爪はムスッとした表情を浮かべているとそんな表情を浮かべていたことに気づいた曜がニヤニヤとした笑みで無爪を見つめてくる。

 

「な、なんだよ曜ねえ……!」

「昔っからなっちゃんは大好きな千歌お姉ちゃんが他の人に抱きついたりしてるといっつもそういう顔するよね~? 嫉妬かなぁ?」

「べ、別にそんなんじゃないし……! あと別に大好きでも……!」

 

「じゃあ千歌ちゃんのこと嫌い?」と曜が尋ねると無爪は何も言い返せなくなってしまい、曜はそんな無爪にクスクスと笑ってしまい、それに少し腹を立てた無爪はそっぽを向いてしまう。

 

「あ~もうごめんごめん? それよりも千歌ちゃん、本当にスクールアイドル始める気?」

 

未だにペガとじゃれ合ってる千歌に曜がそう問いかけると千歌は「うん! 新学期始まったらすぐに部活を立ち上げる!」と力強く答えて彼女は手書きの『スクールアイドル陪』と書かれた看板を持って来て無爪達に見せる。

 

ちなみにスクールアイドル「部」ではなく「陪」となっているがこの誤字には誰も気づいていなかった。

 

「あはは……他に部員は?」

「ううん、まだ。 曜ちゃんが水泳部でなければ誘ってたんだけど……。 もしくは……」

「なんで僕を見るんだ千歌ねえ? 入らないからね? そもそも僕男だし!」

 

そんな風に答える無爪に千歌は「えっー!?」と不満そうな声をあげるが、無爪は「入らないものは入らないから!」と答え、それに千歌はガッカリと肩を落としてしまう。

 

「でもどうしてスクールアイドルなの? 今までどんな部活にも千歌ちゃん興味ないって言ってたでしょ?」

 

曜は疑問に思ったことを千歌に聞いてみたのだが……千歌は「えへ」とにっこりと笑うだけで答えず、そんな彼女に無爪、曜が首を傾げていると……。

 

ペガが時計を見て「君たちそろそろ学校行った方が良いんじゃ無い?」という言葉を聞いて彼女達は学校に遅れそうなことに気づき、一同は慌ててジタバタとしつつも家を出てどうにかバスに乗ることができた。

 

バスに乗れた3人はホッと一安心し、千歌は「間に合った~、危うく無駄になるところだったよ」と言いながら手作りのチラシを鞄から取り出し、曜と無爪は「そんなのまで作ってたんだ……」と少しだけ驚いていた。

 

「そりゃやるならちゃんとやらなくちゃ! こういう時は『ジード』だよ! ジーッとしててもドーにもならないんだから!」

「はぁ、またそれか……」

 

千歌の言葉にどこか呆れた様子の無爪だったが、曜の場合は彼とは逆にそんな千歌の気持ちに自分も少しでも力になりたいと思い、彼女は「よっしゃ! 今日は千歌ちゃんのために一肌脱ぎますか!」と新入生勧誘を手伝うことになったのだ。

 

そして……現在に至るのだが……。

 

「スクールアイドル部で~す……。 大人気、スクールアイドル部でぇ~す……」

「こんだけやってるのに人っ子一人どころかチラシすら受け取って貰えないとは……」

 

3人の周りにももう殆ど他の生徒達はおらず、無爪はそうでもないのだが、千歌と曜が誰も来ないことで意気消沈していた時のことである。

 

3人の前を2人の少女……「国木田 花丸」と「黒澤 ルビィ」がどこか楽しげな様子で横切り、曜はそんな2人を見て小さく「美少女……?」と呟くと……先ほどまで後ろにいた千歌がいなくなっていた為か彼女はバランスを崩して倒れ込んでしまい、千歌に至ってはいつの間にか「あの!」と声をかけながら花丸とルビィの目の前にまで回り込んでいた。

 

「大丈夫か曜ねえ? っていうか千歌ねえいつの間に……」

「あなた達、スクールアイドルやりませんか!?」

 

そして突然声をかけられたことで花丸は「ずら!?」と驚きの声をあげ、千歌は「ずら?」と首を傾げるが花丸は「いえ!」と慌てて両手で口を塞ぎ……千歌はチラシを見せながら花丸とルビィを勧誘する。

 

「大丈夫! 悪いようにはしないから! あなた達きっと人気が出る! 間違いない!!」

「で、でもマルは……」

 

花丸は戸惑う様子を見せるものの彼女の後ろに立っているルビィはジィッと千歌の持つチラシを見つめており、それに気づいた千歌は「興味あるの!?」と尋ねるとルビィは「ライブとか、あるんですか!?」と興味深そうに質問をし、それに対し千歌は「ううん、これから始めるところだから……」と答える。

 

「だからね、あなたみたいな可愛い子に是非!」

 

そう言いながら千歌がルビィの手に触れるとルビィは突然青ざめた顔を浮かべ、それに花丸は慌てて耳を塞ぐと……。

 

「ピ……ピギャアアアアア!!!!!?」

 

とルビィは顔を真っ赤にして大声をあげて千歌は驚いて思わず尻餅をつき、花丸は「ルビィちゃんは……究極の人見知りずら……」と小さく呟く。

 

さらにその時のことである、今度は頭上から誰かの叫び声が聞こえ……千歌が頭上を見上げると木の上から1人の少女……「津島 善子」が地面へと降り立ち……転ぶことなく高い位置から着地したため凄く足を一瞬振るわせ……直後に彼女が持っていたと思しき鞄は頭部へと激突した。

 

「ちょっ、色々大丈夫……?」

 

善子は痛がるのを堪えて笑みを浮かべて不敵に笑い出すと辺りを見回す。

 

「ふっふっふ、ここはもしかして地上……?」

 

それを聞いた瞬間一同は「ひっ!?」と声をあげる。

 

「大丈夫じゃ……ない?」

「ということは……あなた達は下劣で下等な人間ということですか……?」

「ホントにいたんだな、中二病患者って……」

 

曜も「うわっ」とちょっと引き気味であり、千歌は「それよりも足大丈夫?」と善子の足をチョンっとすると善子は涙目になりつつも必死に堪え……「痛いわけないでしょ!? この身体はたんなる器なのですから!」と答え、これには千歌も思わず「えっ?」と戸惑ってしまう。

 

「ヨハネにとってはこの姿はたんなる器……あくまで仮の姿! おっと名前を言ってしまいましたね……堕天使ヨハネ……」

 

善子がそこまで言いかけると花丸が何かを思い出したような表情を浮かべて「善子ちゃん?」と彼女に尋ね、本名を言われた善子は戸惑いの様子を見せる。

 

「やっぱり善子ちゃんだぁー! 花丸だよ! 幼稚園以来だねぇ!」

「は・な・ま・るぅ……? に、人間風情が何を言って……」

 

すると花丸は不意に「じゃーんけーんポン!」と彼女にじゃんけんを仕掛け、それに善子は思わずチョキを出してしまうのだが……善子のチョキは明らかにチョキとは思えない変わった形をしていた。

 

「そのチョキ! やっぱり善子ちゃんだ!」

「善子言うな! いい!? 私はヨハネ! ヨハネなんだからねー!!?」

 

そう言い残して善子はどこかへと走り去っていき、花丸は突然善子が逃げ出したことが分からず「どうしたの善子ちゃーん!?」と彼女を追いかけ、ルビィは「待ってー!」とそんな花丸に慌ててついて行くのだった。

 

「ダメだ、あのチョキできない……!」

「いや出来なくていいでしょ……?」

 

と善子のチョキを真似しようとする無爪に苦笑しながら曜がツッコミを入れ、また去って行く彼女達を見て千歌は「後であの娘達をスカウトに行こう!」と拳を握りしめて気合いを入れるのだった。

 

すると後ろの方から「あなたですの? このチラシを配っていたのは?」という誰かの声が聞こえ、3人は声の聞こえた方へと顔を向けるとそこには1人の少女……「黒澤 ダイヤ」が千歌の作ったチラシを見つめており、ダイヤは千歌に「いつ何時、スクールアイドル部なるものがこの学校に出来たのです?」と千歌の方を見て尋ねてくる。

 

「あなたも1年生?」

「このバカ千歌ねえ!」

 

千歌がダイヤにそう問いかけると無爪は慌てて千歌の頭に軽くチョップを入れ、千歌は「いたっ!? なにするのなっちゃん!?」と涙目で訴えるが……。

 

「なにするじゃないよ! リボンの色見ろバカ千歌ねえ! 1年な訳ないだろ!」

「そうだよ千歌ちゃん! この人は……」

 

曜がこっそりと千歌に耳打ちし、それを聞いた千歌は「嘘!?」と驚きの声をあげる。

 

「生徒……会長……?」

 

その後、千歌はダイヤにあとで生徒会長室にまで来るように言われ……今現在彼女はなぜスクールアイドル部の勧誘をしていたのか説明していたのだが……。

 

「つまり、設立の許可どころか申請もしていない内に勝手に部員集めをしていたという訳?」

「悪気は無かったんです。 ただ、みんな勧誘してたんでついでというか~焦った~というか~」

 

千歌は笑いながらそう説明し、ダイヤは「部員は何人いるんですの? ここには1人しか書かれていませんが?」と部活の申請書の紙を見ながらそう問いかけると彼女は苦笑しつつも「今のところ1人です」と答えるのだが……ダイヤは「部活の申請は最低5人は必要なのは知ってますわよね?」と若干肩を震わせながらそう尋ねると千歌は……。

 

「だぁ~から勧誘してたんじゃないですかぁ~」

 

と笑って説明するがそれに苛立ったダイヤは申請書の紙を机の上に「バンッ!」と叩きつけると力強く叩きつけ過ぎたせいでダイヤは「あいった~!?」と手を痛めてしまい、それに千歌は思わず笑ってしまうが……そんな彼女にダイヤは人差し指を突きつけ「笑える立場ですの!?」と怒鳴りあげる。

 

「す、すいません……」

「兎に角、こんな不備だらけの申請書受け取れませんわ」

「えっー!!?」

 

ダイヤの言葉に千歌はショックを受け、生徒会室の扉が開いて外から曜が「千歌ちゃーん、1回戻ろ?」と声を……千歌はだったら5人集めてまた持って来ると言い残して立ち去ろうとしたのだが……ダイヤは「別に構いませんけど、例えそれでも承認は致しかねますがね?」と答え、それに千歌は「どうしてですか!?」と驚きの声をあげる。

 

「わたくしが生徒会長でいる限り、スクールアイドル部は認めないからです!!」

 

とダイヤがそう宣言すると同時に強い風が窓から入り、千歌は涙目で「そ、そんなぁ~!!?」と悲痛な声をあげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、千歌、曜、無爪の3人は船に乗ってある場所へと向かっており……船に乗ってる千歌はダイヤに言われたことにショックを受けて落ち込んでいた。

 

「はぁ~、失敗したな~。 でもどうしてスクールアイドル部はダメなんて言うんだろ?」

「嫌い……みたい。 クラスの娘が前に作りたいって言いに行った時も断られたって……」

 

曜が言いづらそうに千歌にそう説明すると千歌は「えぇ!? 曜ちゃんダイヤさんがスクールアイドル嫌いなの知ってたの!?」と驚きの声をあげ、無爪も「そう言えばそんな話聞いた気がするな……」と小さく呟く。

 

それに曜は両手を合わせて「ごめん!!」と千歌に謝り、千歌が夢中だったから言い出しづらかったらしい。

 

「兎に角、生徒会長の家、網元で結構古風な家らしくて。 だから、ああいうチャラチャラした感じの物は、嫌ってるんじゃないかって噂もあるし……」

「……チャラチャラじゃないのにな……」

「まぁ、よく知らない人が見ればそう見えるのかもな……」

 

曜、千歌、無爪の3人はそんな話をしている内に船は目的地へと到着し、すぐそこのダイビングショップへと向かうとそこにはダイビングスーツを着た1人の少女……「松浦 果南」がおり、果南は千歌達が来たことに気づいて彼女達の方へと振り返る。

 

「遅かったね、今日は入学式だけでしょ?」

「カナねえ……。 それが千歌ねえが色々やらかしまして……」

「ちょっ、なにその言い方!? 私がなんか悪いことしたみたいじゃん!?」

 

千歌が「ムスーッ」と睨み付けるが無爪は「全然怖くないわ」と笑い、それに千歌が「もー!」と怒るがそれを果南が「やめなよ2人とも」と2人の喧嘩を止める。

 

「それよりはいこれ! 回覧板とお母さんから!」

 

千歌がそう言って果南に渡したのは大量のみかんと一緒に袋に入った回覧板であり、果南は「またみかん?」と苦笑しながら尋ねると千歌は「文句ならお母さんに言ってよ」と言葉を返しそれに果南は思わず笑ってしまう。

 

それから3人は少しだけダイビングショップのベランダで果南と今日あったことを話すこととなり、曜は「それで果南ちゃんは新学期から来れそう?」と尋ねると果南は「それはまだかかりそうかな」と答える。

 

「まだ家の手伝いも結構あってね~。 父さんの骨折も治るのにもうちょっとかかりそうだし」

「そっかぁ~、果南ちゃんも誘いたかったな~」

「誘う? なにを?」

 

果南が尋ねると千歌は「うん、私ね、スクールアイドルやるんだ!」と元気よく答え、それを聞いた果南は少しだけ暗い表情を浮かべたが……3人はそれに気づくことはなく、彼女は「でも私は3年生だしね~」と答えながらすぐそこにあるある物を取りに行く。

 

「知ってる~? 凄いんだよぉ!」

 

と千歌がスクールアイドルのことを説明しようとすると果南に「お返し!」と千歌の顔に干物を押しつけたのだ。

 

「また干物~?」

「文句なら母さんに言ってよ」

 

先ほどの千歌と同じように言葉を返す果南に千歌はなにも言えなくなってしまい、果南は「まっ、そういうことでしばらくは休学が続くから学校でなにかあったら教えて?」と言い、千歌はそれに「う、うん」と頷くとその時……大きな音が聞こえて空を見上げると1台のヘリが空を飛んでおり、千歌は「なんだろ?」と首を傾げる。

 

「……小原家でしょ?」

 

果南がそう答えると無爪はどこか険しい表情の果南に気づき、彼は「カナねえ、表情険しいけどどうかした?」と少し心配するが彼女はすぐに笑みを浮かべて「なんでもないよ」と無爪の頭を撫でる。

 

「カナねえ、僕もう小さくないんだから頭撫でられるのちょっと嫌なんだけど……?」

「えー? 良いじゃ無い、弟みたいなもんなんだから♪」

「あっー! 私もなっちゃんの頭撫でる~♪」

「じゃあ私も! ヨーソロー!!」

 

という感じで千歌や曜に果南に一斉に頭を撫でられる無爪は「やめんかー!!」と怒るのだが結局最後まで3人の気が済むまで彼女達が撫でるのを止めることは無かった。

 

一方、同じ頃ヘリの中では1人の少女……「小原 鞠莉」が乗っており、彼女はヘリから街を見下ろし小さく呟いた。

 

「……2年ブゥ〜リですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、無爪と千歌は帰りのバスを降りて曜と別れ2人は同じ道を歩いて帰るのだが……千歌はチラシを「どうにかしなちゃな~」と呟いており、無爪はそんな千歌を見て「まだ諦めてないんだ」と言うが千歌はそれにガッツポーズをして「当然だよ!」と答える。

 

そんな会話を2人がしていると千歌は1人の制服を着た少女が立っていることに気づいき、それに無爪も気づく。

 

「この辺だと見かけない娘だな……」

「うん」

 

するとなんとその少女はなんと服を当然脱ぎだし、千歌は思わず「へっ?」と声を出し無爪は顔を真っ赤に慌てて目を瞑った。

 

「ちょっとなんで急に服を脱ぎ始めるのあの娘!?」

「大丈夫だよなっちゃん! あの娘下に水着着てるみたいだから!」

「あっ、なら安心……じゃないだろ!? まさかあの娘海に飛び込む気か!? まだ4月だよ!?」

 

無爪の言う通り服を脱いで水着姿となった少女は海に飛び込もうとしており、それを千歌が慌てて少女の腰に後ろからしがみついて引き止めるが……。

 

「まだ4月だよ!? 死んじゃうから!?」

「離して行かなくちゃいけないの!!」

 

無爪も千歌と同じように少女を止めようと駈け出すが……次の瞬間、千歌と少女は足を滑らせて海の中へと「ドボーン!」と大きな音を立てながら落っこちてしまった。

 

「うわああああ!!!!? 千歌ねえ!?」

 

無爪は慌てて上の服を脱いで2人を助けるために自分も海に飛び込んで行き、その後……2人はどうにか無爪に助け出され、それから3人は焚き火をして身体を温めていた。

 

「大丈夫……? 沖縄じゃないんだから。 海に入りたければダイビングショップもあるのに……」

 

千歌は少女にタオルを渡しながらそう話すが少女が言うには「海の音が聞きたかったの……」と答え、千歌と無爪は「海の音?」と首を傾げ、千歌は「どうして?」と尋ねるが……少女は答えようとせず、千歌は諦めて「分かった、じゃあもう聞かない!」と言うのだが……。

 

「海中の音ってこと!?」

「おいもう聞かないんじゃなかったのか千歌ねえ?」

 

しかしそんな千歌の言葉に少女はクスリと笑い、少女は「私、ピアノで曲作ってるの。 でもどうしても海の曲のイメージが浮かばなくて……」と話し始めそれに千歌は興味深そうに感心した。

 

「ふーん。 曲を? 作曲なんて凄いね! ここら辺の高校?」

「……東京」

「東京!? わざわざ!?」

 

少女の答えに千歌は驚きの声をあげ、無爪もこれには少しばかり驚きの表情を浮かべていた。

 

すると千歌は少女の隣に座り込み「そうだ! じゃあ誰かスクールアイドル知ってる?」と尋ねると少女は「スクールアイドル?」と首を傾げ、千歌は東京ならば有名なグループが沢山いるのではないかと思い彼女に話を聞こうとしたのだが……。

 

「なんの話?」

 

どうやら彼女はスクールアイドルについてはあまり詳しくないらしい。

 

(そりゃ全員が知ってる訳ないよね……)

 

これには千歌は驚き「まさか知らないの!?」と声をあげ「スクールアイドルだよ!? 学校でアイドル活動して、大会も開かれたりする!」と少女に説明するが少女はやはりスクールアイドルのことはよく分からないらしい。

 

「有名なの?」

「有名なんてもんじゃないよ! ドーム大会も開かれたりするぐらいで超人気なんだよ! って私も詳しくなったのは最近なんだけどね」

 

それに少女は「そうなんだ、私ずっとピアノばかりやってきたからそういうの疎くて……」と話し、そんな彼女に千歌は「じゃあ見てみる? なんじゃこりゃ~ってなるから!」とスマホを取り出す。

 

少女はそんな千歌の言葉に「なんじゃこりゃ?」と首を傾げるが、千歌は「そうなんじゃこりゃ!」とだけ答えてスマホのある9人のグループのスクールアイドルの画像を見せて千歌は「どう?」と感想を尋ねる。

 

「うーん、どうって言われても……普通? いえ! 悪い意味じゃなくてアイドルって言うからてっきり芸能人みたいな感じかと思って……!」

「だよね! だから……衝撃だったんだよ」

 

そんな千歌の言葉に少女は「えっ?」と少しだけ戸惑う。

 

「あなたみたいにずっとピアノ頑張ってきたとか、大好きなことに夢中でのめり込んで来たとか、将来こんな風になりたいって……夢があるとか……。 そんなの1つも無くて……。 私ね、普通なの。 私は普通星に生まれた、普通星人なんだって……。 どんなに変身しても、普通なんだって。 そんな風に思ってて、それでも何かあるんじゃないかって……思ってたんだけど、気がついたら高2になってた……」

 

千歌は昔のことを思い出しながら少女にそう話し始めると突然両手で頭を抱えて「まっず! このままじゃ本当にこのままだぞ!? 普通星人を通り越して普通怪獣ちかちーになっちゃうーって!」と身体で慌てる様子を表現する。

 

「なんだよ普通怪獣ちかちーって。 弱そう……ふふ」

「もう、笑わないでよなっちゃん! それでまあガオーって! ビー! ドカーンっと!!」

 

そんな風に少しはしゃいだ後、千歌は少女の方へと振り返って笑みを浮かべると少女もそれに釣られるように「フフ」と笑みを浮かべた。

 

「そんなとき、出会ったの。 あの人達に……」

 

千歌はそう言いながら以前東京に行った時、「UTX」という学校の大きなモニターに先ほど見せた千歌がスクールアイドルを始める切っ掛けにもなったスクールアイドル……「μ's」のライブが映し出されていた時のことを思い出していた。

 

挿入歌「START:DASH」

 

「それで思ったの。 一生懸命練習してみんなで心を1つにしてステージに立つとこんなにもかっこ良くて感動できて……素敵になれるんだって! スクールアイドルってこんなにも! こんなにも! こぉーんなにも!! キラキラ輝けるんだって!!」

 

千歌はとても楽しげに少女にそう語り、「気づいてたら全部の曲を聴いてた! 毎日動画見て歌を覚えて! そして思ったの! 私も仲間と一緒に頑張ってみたい、この人達が目指したところを私も目指したい」と語る。

 

「私も……輝きたいって!!」

 

すると少女は千歌に「ありがとう」とお礼を言い、少女は「なんか頑張れって言われた気がする。 今の話」と先ほどと比べると少しだけ表情も柔らかくなり、それに千歌も「ホントに?」と嬉しそうだった。

 

「えぇ、スクールアイドル、なれると良いわね」

「うん! あっ、私、高海 千歌! あそこの丘にある、浦の星学院って高校の2年生!!」

「同じく栗本 無爪です。 1年生、よろしく……」

 

すると少女は立ち上がって「女の子の方とは同い年ね」と呟き、自分も名前を名乗る。

 

「私は桜内 梨子。 高校は……音ノ木坂学院高校……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから梨子と別れた無爪は千歌だけを先に家へと帰らせ、少し寄りたいところが出来たため、帰りが少し遅くなることだけを伝えて無爪はある場所へと向かうこととなった。

 

するとその時、ひょっこりとペガが顔を出し「またあの場所に行くのかい?」と尋ねると無爪は「そうだよ」と頷いた。

 

そこは古びたとある天文台であり、周りに人の目もなかったためペガは無爪の影から出てくる。

 

『確か無爪が赤ちゃんの時、ここで保護されたんだよね』

「あぁ。 それで千歌ねえ達の両親が引き取ってくれて……今はあの旅館で暮らしてる訳だ」

『君のお父さんとお母さん、どんな人だったのかな?』

 

ペガがそう疑問に思ったことを口にすると「さあな」としか答えず、天文台の近くへと寄る。

 

『さあなって……両親のこと、知りたくないのかい?』

「知りたくない訳じゃないんだ……。 だからこうしてたまにここに何か手がかりがあるんじゃないかって来てるんだ……」

 

天文台の壁に触ろうとしたその時、突然無爪の目の前に浮遊する球体が現れ……無爪は「うわ!?」と驚きの声をあげて尻餅をついてしまう。

 

「なんだよ……これ!?」

『大丈夫かい無爪!?』

「あ、あぁ……」

 

無爪はどうにか立ち上がって目の前を飛ぶ球体を恐る恐る人差し指で触って見ると突然「バチィ!」という音が鳴り、無爪は慌てて指を引っ込める。

 

「いった!? 刺しやがったこいつ……!」

『Bの因子、確認。 基地をスリープモードから通常モードへと以降します。 権限が上書きされました。 マスター、エレベーターへどうぞ』

 

球体が突然喋りだし、目の前にエレベーターのようなものが出現し無爪とペガは顔を見合わせて首を傾げる。

 

『お乗りください』

「あっ、はい……」

 

取りあえず、無爪とペガは言われた通りエレベーターへと乗り込み、エレベーターは地下を目指して進みドアが開くとそこにはそれなりに大きな部屋があり、無爪達を案内してきた球体はその中央に設置された黄色い球体のようなものの近くに「コトン」っと置かれ、そして黄色い球体が光り出すと突然無爪達を案内して来た球体と同じ声で喋り始める。

 

『お待ちしておりました、マスター』

「君は……?」

『報告管理システム、声だけの存在です。 そしてここは天文台の地下500メートルにある中央司令室です。 この基地はマスター、あなたに譲渡されました』

 

無爪はペガの顔を見てもしかしてこの球体は誰かと間違えているのではと思ったが……球体は「誤認ではありません」と答えた。

 

『既に血液の採取を行いDNA検査を終了させています』

「……あの時か!」

『っていうか、君の声なんかどこかで聞いたことある気がするんだよね~? 誰だったかなぁ?』

 

ペガは無爪の隣でそんなことを呟いていたが無爪は先ほど球体に触った時のことを思い出し、球体は「お渡しするものがあります」と中央のテーブルに幾つかのあるアイテムを出現させた。

 

『フュージョンライズ用のマシン、ライザーとウルトラカプセルです』

「これを……僕に?」

『はい』

 

しかし無爪にはどうしてこれを自分に球体がくれるのか分からず、そのことについて尋ねると球体が言うには「時が来ればあなたに渡すことになっていたからです」と答え、球体が言うにはそのライザーというものを使用することで無爪は本来の姿に戻り力を行使することができるのだという。

 

「本来の姿……?」

『あなたはこの星の住人ではありません。 あなたはウルトラマンの遺伝子を受け継いだ異星人です……』

「なっ……!」

 

その球体の言葉に無爪は衝撃を受けて驚愕したが、一方で無爪はそれについて少しだけ心当たりがあった。

 

それは以前、高い所にある物を取ろうとしてジャンプしたら天井にまで頭をぶつけてしまったことや……ペガが以前にも「君は地球人じゃない、そう思い込んでるんだ」と指摘を受けたことがあったため、その時はまさかと思っていたが……。

 

本当に宇宙人……しかも都市伝説だと思われていた光の巨人「ウルトラマン」であることを球体から教えられ、無爪は唖然としていた。

 

一方その頃……とある場所で黒い服を着込んだ1人の男性が無爪に渡された物と同じ「ライザー」を手に持っており、男性はウルトラカプセルと酷似した「怪獣カプセル」を取り出し、それの「古代怪獣 ゴモラ」と「どくろ怪獣 レッドキング」という2体の怪獣のカプセルを専用の装填ナックルへ装填し、それをライザーでスキャンする。

 

「時は来た。 ゴモラ、レッドキング……。 これでエンドマークだ!」

『フュージョンライズ!』

 

すると男性の姿が「ウルトラマンベリアル」の姿へと変わり、ベリアルの前にゴモラとレッドキングが現れると2体は粒子のようになってベリアルの口の中へと吸い込まれ、ベリアルはゴモラとレッドキングの姿を組み合わせたような巨大な怪獣……「ベリアル融合獸 スカルゴモラ」へと変身する。

 

『ゴモラ! レッドキング! ウルトラマンベリアル! スカルゴモラ!』

 

場所を戻し、無爪達はというと……。

 

『マスター、怪獣が出現しました』

「怪獣……!?」

『えぇ!?』

 

突然球体にそんなことを言われて無爪とペガは驚きの声をあげ、1つのモニターを出現させるとそこには確かに怪獣……スカルゴモラが街を破壊しながら歩いている光景が映し出されており、無爪はまさに空いた口が塞がらないという状況だった。

 

『怪獣って、ホントにいたんだね……』

「ってこの場所……なんか見たこと……。 あっ! ここって近くに家の宿がある場所だ」

 

無爪は慌ててスマホを取り出し、千歌に連絡を取ろうとするのだが……彼女は電話に出ることはなく、無爪は「クソ!!」と床を蹴る。

 

『マスター、現場までエレベーターで向かいますか?』

「行けるのか!?」

『座標を設定できます。 通信には先ほどのマシンを使ってください。 触れていれば会話は可能です』

 

それを聞いたペガは「なにする気!? まさかあの怪獣と戦うつもり!?」と心配するが……。

 

「このままじゃ千歌ねえが危ないかもしれないんだ!! 千歌ねえだけじゃない、街を滅茶苦茶にされて多くの人が死ぬかもしれない。 僕なら……ウルトラマンなら、怪獣を倒すことってできるんだろ!?」

 

無爪のその質問に対し球体は「可能です」と答え、それを聞いて「なら僕が行くしか無い!」と無爪はスカルゴモラのいる場所に連れて行くように頼む。

 

『でも無爪……自衛隊とかが怪獣を倒すかもしれないし……』

「自衛隊を待ってる時間なんてない! ペガはここで待っててくれ」

 

無爪はそう言ってエレベーターへと乗り込むと「レム、頼む」と言うが「レム」と呼ばれた球体は「レムとは私のことですか?」と尋ねる。

 

「あぁ、名前がないと色々と不便だろ?」

『レポート、マネージメントのイニシャルですね?』

「まぁ、そんなところかな? という訳で頼むよレム。 それと、僕のことも『無爪』って呼んで?」

 

球体改め「レム」は「分かりました、無爪」と無爪に返事をするとエレベーターの扉を閉じて転送を開始し、スカルゴモラのいる場所にまで無爪を転送する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無爪はエレベーターに乗って転送された場所へと辿り着き、エレベーターから出てスカルゴモラの姿を確認する。

 

「……これどこで〇ドアだよなぁ……」

 

無爪はそんなことを呟いたが今はそんなことを言っている場合ではないと思い、腰につけている装填ナックルに触れてレムと通信を行う。

 

「レム、状況は?」

『怪獣の進行方向に大勢の人々が逃げ惑っています。 フュージョンライズしますか?』

 

レムの問いかけに無爪は「あぁ」と答え、レムから「フュージョンライズ後の名称を決めてください」と言われる。

 

「……」

 

そしてこの時、無爪は千歌の言っていたある言葉を思い出していた。

 

『こういう時は『ジード』だよ! ジーッとしててもドーにもならないんだから!』

 

その言葉を思い出していた無爪はフュージョンライズ後の名称を「ジード」にすることに決め、ライザーも「そしてこれはジードライザーだ!」と新たに名付け、ジードライザーを取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

無爪はそう言い放つと腰のカプセルホルダーの始まりの巨人「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現する。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルをナックルに装填させた後、さらにそれとは別に最凶最悪のウルトラマンと呼ばれた「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの姿を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

「はああ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

そしてジードが大地へと降り立ち、スカルゴモラの前に立ち塞がる。

 

その様子を基地から見ていたレムは「フュージョンライズ、成功しました」と無爪に変身が成功したことを伝え……それを見たペガはその姿を見て「アレは……!」と驚いた様子を見せていた。

 

また怪獣が出現し、慌てて家から出て避難していた千歌やその姉2人である「高海 志満」「高海 美渡」はジードが出現したことで一度足を止め、彼女等は唖然とした様子でジードを見上げていた。

 

「あれ……なに?」

「さ、さあ……?」

 

美渡と志満が不安そうにジードを見つめる中、千歌はジードの目を見て「あの目、どこかで……」と今朝のニュースのことを思い出していた。

 

戦闘BGM「カイザーベリアルのテーマ」

 

『これが……今の僕……』

「グギャアアアアアア!!!!」

 

スカルゴモラの鳴き声を聞き、ジードは感心している場合じゃないと思いスカルゴモラの方へと高くジャンプして接近する。

 

『うわわ!? すっげージャンプ力!!?』

 

ジードはそのままスカルゴモラの頭部に蹴りを叩き込み、スカルゴモラは多少後退するが……すぐさまジードはスカルゴモラの角に掴みかかり、スカルゴモラのこれ以上の進行を阻止しようとするがスカルゴモラはジードの腕を振りほどいて右手でジードの顔を殴りつける。

 

『ウアア!!?』

 

殴りつけられたジードは倒れ込み、その際に建物の1つが破壊されてしまう。

 

『無爪!! 聞こえる!?』

 

ペガが基地を通してジードに話しかけ、ジードは「ペガ!」と声をあげながら壊れた瓦礫を拾いあげる。

 

『どうなったんだ!? 建物も道路も、柔らかい! まるで砂で作ったみたいだ!!』

『今の君……まるで……』

 

すると、スカルゴモラは再び進行を開始する。

 

『これ以上、進行させてたまるか!!』

 

今はそんなことを気にしている場合ではないとジードはそう言い放ちながらスカルゴモラに飛びかかるのだがスカルゴモラは尻尾を振るってジードを海の方へと叩き落とし、スカルゴモラはジードに追撃しようと接近し、ジードに噛みつこうとするがジードはスカルゴモラの顔を左手でどうにか押さえつけて右拳を何発もスカルゴモラの胸部に叩き込む。

 

「グルアアアアアア!!!!!」

 

だがスカルゴモラは右足を振り上げてジードを蹴り飛ばし、倒れ込んだジードを踏みつけようとするがジードはそれをどうにか避けて立ち上がり、スカルゴモラの顔面を狙って何発も拳を叩き込んでいく。

 

『シュアア!!』

「ギシャアアア!!!!」

 

しかしスカルゴモラはジードの両手を掴んで受け止め、頭突きを喰らわせるとそれにジードはフラつき、スカルゴモラは尻尾を振るってジードを叩きつけて吹き飛ばす。

 

『ウグアアア!!!?』

 

ジードはすぐに立ち上がって助走をつけてからのドロップキックをスカルゴモラの腹部に喰らわせ、スカルゴモラは多少後退するものの再びジードに向かって尻尾を振るって攻撃を仕掛け……ジードはそれをどうにか両手で受け止める。

 

『ヘアッ!!』

 

ジードは尻尾を掴みそのまま力いっぱいにフルスイングし、スカルゴモラを投げ飛ばす。

 

勿論、街に被害が及ばないように海の上に叩きつけ、倒れ込んだスカルゴモラに馬乗りとなってチョップを繰り出すがスカルゴモラはすぐに起き上がってジードを振り落とし、スカルゴモラはジードに向かって口から「スカル振動波」という光線を吐きだしてジードに直撃させ、それを喰らったジードは身体中から火花を散らして倒れ込んでしまう。

 

『ウグアアアアア!!!!?』

 

それによってジードの胸部のクリスタルであるカラータイマーは激しく点滅を始めてレムから「間も無く活動限界時間です」ということが伝えられ、レムが言うにはこの星でウルトラマンでいられるのは3分が限界らしく、次に変身できるのは約20時間後だというのだ。

 

『ぐっ……20時間も……待ってられるか……!』

 

そしてスカルゴモラはジードを放ったらかしにして再び千歌達のいる方へと進行を開始し……それをジードはどうにか立ち上がろうとする。

 

『まずい! 千歌ねえが……! みんなが危ない!!』

 

どうにか立ち上がったジードはスカルゴモラに向かって駈け出して行く。

 

挿入歌「GEEDの証」

 

ジードは背後からスカルゴモラに掴みかかり、どうにか持ち上げて千歌達とは真逆の方へと投げ飛ばす。

 

『マスター、光子エネルギーを放出することを提案します』

『レム……。 それのやり方は!?』

『もう知っている筈です』

 

レムの言葉に無爪は「はぁ!?」と驚くが……突然、その方法が頭に浮かび、ジードは「よし!!」と言いながら千歌達を守るように立つ。

 

『千歌ねえ達に……近づくなァ!!』

 

するとジードは全身を発光させながら赤黒い稲妻状の光子エネルギーを両手にチャージさせ、両腕を十字に組んで放つ必殺光線「レッキングバースト」をスカルゴモラに向かって発射する。

 

『レッキングバァーストォ!!!!』

 

ジードの放った光線……レッキングバーストがスカルゴモラに直撃し……身体中から火花を散らしながらスカルゴモラは倒れて爆発したのだった……。

 

「やったぁ!! 勝ったぁ!!」

 

ジードがスカルゴモラに勝利し、千歌や周りの子供達は喜びの声をあげ……ジードは肩で息をしながらも千歌達を守れたことに安心し、その姿を消し去るのだった。

 

そして基地にいるペガはレムに「無爪の中に眠る、強大な力って……?」と疑問に思ったことを質問するとレムはペガに答えたのだ。

 

『血液からBの因子が確認されました。 彼はこの基地の本来のマスターと99.9%の確立で親子関係です』

『親子ってことは……無爪の両親のことを知ってるの!?』

『はい、彼の父親は……ベリアル、ウルトラマンベリアルです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪獣の出現により、ほんの数日間だけ浦の星学院は休校となったのだがジードが即座に怪獣を退治したためにそこまで大きな被害が出ることはなく、そのために学校はすぐに授業が再開されることとなっていた。

 

ちなみに千歌の家は無事だった。

 

そして千歌、曜、無爪は何時も通り3人でバスで通学し、バス停を降りた際千歌がもう1度スクールアイドル部の申請に行くと言い出したのだ。

 

「うん! ダイヤさんのところに行ってもう1回お願いしてみる!」

「でも……」

「諦めたらダメなんだよ! あの人達も歌ってた! その日は絶対来るって!」

 

そんな千歌を見て曜は笑みを浮かべて「本気なんだね……」と呟く。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならないもんね、千歌ねえ」

「うん!」

 

また無爪も本気でスクールアイドルを目指す千歌を見て笑みを浮かべ、すると曜は千歌の隙を突いて彼女の持ってる申請書を奪い取りそれに千歌は「ちょっと!?」と怒るが曜は千歌の背中へと突然持たれる。

 

「私ね、子供の頃からずぅーっと思ってたんだ。 千歌ちゃんと一緒に夢中で、何かやりたいなぁって」

「曜ちゃん……?」

 

すると曜は鞄からペンを取り出し、なんと申請書に自分の名前を書き込んだのだ。

 

「だから水泳部と掛け持ちだけど! えへへ、はい!」

 

そして自分の名前を書き込んだ申請書を千歌に渡し、そんな彼女の行為に千歌は思わず涙になってしまい、思わず曜へと抱きついたのだ。

 

「う、うぅ……! 曜ちゃぁ~ん!!」

「うわあ!? く、苦しいよぉ……」

「よぉーし! ぜったい凄いスクールアイドルになろうねぇ!!」

 

千歌と曜はそう高らかに宣言したのだが……先ほど千歌が曜に抱きついた際、彼女は申請書を手放してしまい、その申請書は「ポチャリ……」と音を立てて水たまりの中に入ってしい「あぁー!!?」と2人揃って叫ぶのだった。

 

そしてそれを見た無爪は頭を抱え「バカ千歌ねえ……」と呆れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、結局千歌と曜の2人はそのずぶ濡れの申請書をダイヤに提出しに行ったのだが彼女は「ふぅ。 よくこれでもう一度持ってこようという気になりましたわね? しかも1人が2人になっただけですわよ?」と彼女も呆れた様子を見せていた。

 

「やっぱり簡単に引き下がったらダメだって思って!! きっと生徒会長は私の根性を試しているんじゃないかって!!」

 

しかしそんな千歌の言葉に対しダイヤは「違いますわ!!」と大否定。

 

「何度来ても同じとあの時も言ったでしょ!?」

 

そんなダイヤの言葉に千歌は「どうしてです!?」と尋ねるがダイヤは「この学校にはスクールアイドルは必要ないからですわ!!」と答えるが当然それだけでは千歌は納得せず「なんでです!!?」と聞き、2人は睨み合う。

 

それを曜は「まぁまぁ」と止めるがダイヤは「あなたに言う必要はありません!!」と言い放ち、そもそもやるにしても曲は作れるのかと言われてしまい、それについて千歌達は全く考えていなかったらしい。

 

「ラブライブに出場するには、オリジナルの曲でなくてはいけない。 スクールアイドルを始める時に最初に難関になるポイントですわ」

(スクールアイドル嫌いって聞いてたけど詳しいなあの人)

 

部屋の外で話を聞いていた無爪はそんなことを思っていたが……だが彼女の言う通りだと思い、ダイヤの「東京の高校ならいざ知らず、うちのような高校だとそんな生徒は……」という言葉にも無爪は納得した。

 

(やっぱ難しいのか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人もいなぁ~い、生徒会長の言う通りだった」

 

それから千歌と曜は無爪を巻き込んで作詞作曲ができる生徒を学校中捜し回ったのだが誰1人として見つからず、千歌と曜の2人は机に突っ伏していた。

 

「はぁ……なんで僕まで……」

「っていうかなっちゃんもマネージャーとかで良いからアイドル部入ってよ~」

「それはヤダ。 部活入ったらリアルタイムでドンシャイン見れないだろ」

 

ちなみに無爪が言う「ドンシャイン」というのは「爆裂戦記ドンシャイン」という名前の特撮番組であり、彼はこの作品の大ファンなのだ。

 

それに曜は「好きだね~」と言いながら無爪の頭を撫で当然ながら無爪は恥ずかしそうにして「やめてよ!」と陽の手を振り払い、もう少しで授業が始まるので無爪は「じゃあまたね」とだけ言い残して2年の教室を出て行くのだった。

 

「じゃあねなっちゃ~ん。 よし、こうなったら!!」

 

すると千歌が音楽の教科書を取り出し「私が! なんとかして!!」と自分でなんとかしようとするが曜に「できる頃には、卒業してると思う」と的確なツッコミを受け千歌も「だよね~」とその辺は取りあえず諦めた模様。

 

とそこで授業のチャイムが鳴って担任の教師が入ってくると今日は転校生が来ていることを生徒達に説明し、教師がその転校生に入ってくるように言うとその転校生の少女が教室へと入ってくる。

 

「くしゅん! 失礼、東京の音ノ木坂という高校から転校してきました」

 

その少女を見ると千歌は「わあ……!」と嬉しそうな顔を浮かべる。

 

「桜内……梨子です。 よろしくお願いします」

 

それはこの前出会った少女で千歌は「奇跡だよ!!」と勢いよく立ち上がり、梨子は千歌の姿を見るや彼女も「あ、あなたは……!」と驚きの表情を浮かべる。

 

 

 

 

 

 

(それが……全ての始まりだった……!)

 

 

 

ED「決めたよhand in hand」

 

 

 

 

そして千歌は梨子の元までやってきて手を差し伸べる。

 

「一緒に、スクールアイドル始めませんか!?」

 

そんな千歌を見て梨子は一瞬笑みを浮かべると……彼女は頭を下げ……。

 

「ごめんなさい」

 

と断ったのだ。



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第2話 『リトルスター』

1話の変更点。
無爪が高海家に同居。
レムの名前をつける時のシーンをちょっと追加。
ちなみに起動可能な3つ目のカプセルがあります。

あと今回ジード本編のような戦闘シーンが良かったとか言われるような気もしますが、それはそれ、これはこれです。




「ハァ……ハァ……!」

 

彼女、「桜内 梨子」が千歌や無爪と出会った日の夜……。

 

彼女は突如として眩い光が胸から溢れ、それとほぼ同じタイミングであの怪獣……スカルゴモラが出現した。

 

光はすぐに収まったが、スカルゴモラがこちらに向かって歩いて来ていることに気づいた梨子は必死に怪獣から逃げる為に走っていた。

 

しかし、その後は「ウルトラマンジード」が駆けつけ、スカルゴモラを撃破したこととその日以来、身体に異常も無く、胸がまた光ることもなく事なきを得るのだった。

 

 

 

 

 

 

それから数日後の夜……。

 

『音ノ木坂高校1年、桜内 梨子さん。 曲は『海にかえるもの』』

 

とあるピアノのコンクール会場にて、そうアナウンスが流れて紹介されると梨子が現れて彼女は観客たちに向かって一礼した後、椅子に座りピアノを弾こうとするのだが……。

 

「……っ」

 

梨子はどこか不安そうな表情を浮かべており、なぜか手が震えていた。

 

何時まで経っても演奏が始まらないため、観客達はざわつき始める。

 

それが……少し前の、彼女……桜内 梨子に起こった出来事。

 

現在、彼女は以前のピアノコンクールで演奏ができなかった時のことを思い出しながらもどうにかピアノを弾こうとするのだが、結局は弾くことが出来ず、気分転換にベランダに出て静かに空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌朝、無爪の部屋にて。

 

『先日、出現した巨大生物に対し『怪獣』という呼称を用いることが本日正式に決定いたしました』

 

彼の部屋でなぜか曜と千歌が一緒になってニュースを見ており、無爪自身も「なんで僕の部屋でテレビ見てるんだ」とでも言いたげな視線を2人に送っていたが、2人は全くそのことに気づいていない。

 

『一方、怪獣と対峙した巨人はクライシス・インパクト時に撮影された存在ではないかとの見方もあります』

 

ニュースに映る人物はクライシス・インパクト時に撮影されたウルトラマンベリアルと今回現れたウルトラマンジードの写真を比較し、目の形などが似ていることから同一人物、または何か関連があるのではないかという説が出ており、またその人物はジードのことも危険視していた。

 

「ねえ、千歌ちゃんはあの怪獣と巨人を近くで見たんだよね? やっぱり、怖かった? 私は、テレビでしか見てないんだけどちょっとどっちも怖いかなって思っちゃうんだよね……」

「まぁ、確かに怪獣は怖かったけど……」

 

と千歌がそこまで言いかけた時である。

 

「ぼ、僕ちょっとトイレ行ってくるね!!」

 

どこか慌てた様子で無爪は部屋を出ていき、そんな彼の慌てた様子に千歌と曜は互いに顔を見合わせて「んっ?」と首を傾げるのだった。

 

それから無爪は廊下をしばらく歩いた後、「はぁ」と大きなため息を吐いてその場に蹲ると、無爪の影の中からヒョコっとペガが顔を出す。

 

『無爪、大丈夫?』

「曜ねえに怖いって言われるのがこんなにショックだなんて思わなかったよ。 曜ねえでこんなにショックなんだ。 千歌ねえにも同じようなことを言われたら僕、二度と立ち上がれないかも……」

『それは、重症だね……』

 

ペガは苦笑しつつ蹲る無爪の背中をポンっとそっと手を置き、励ます。

 

「よし、決めた!! もうフュージョンライズしない!!」

 

それを聞いてペガは「えぇ!?」と驚きの声をあげる。

 

「僕が出ていくとみんなが怖がるし、曜ねえや千歌ねえをこれ以上怖がらせたくもない! そうだろ? レム?」

 

無爪は腰に装着した装填ナックルに触れながら秘密基地のレムに話しかけるとレムはネットに書いてある情報を彼に教える。

 

『ネットの記事によれば無爪とベリアルを同一視して脅威を感じている人の割合は全体の75%、世間はあなたに怯えている……。 と判断して良いでしょう』

 

それを聞き、無爪は「ほらね!」と笑い飛ばすが……その笑みはどことなく、無理して作っているようにペガには見えて仕方がなかった。

 

『無爪……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、学校にて……。

 

「ごめんなさい」

「だからね! スクールアイドルって言うのは!!」

 

今は曜と無爪を引き連れて千歌は梨子をスクールアイドルに勧誘していた。

 

だが梨子は謝罪だけをして千歌の誘いを断り、スタスタとどこかへと行ってしまう。

 

しかし千歌はそんなことではめげず今度は食堂にてスマホでμ'sの画像を見せてスクールアイドルの説明をしながら梨子を勧誘する。

 

「ごめんなさい」

「学校を救うことが出来たりして!! 凄く素敵で!!」

 

すると梨子は飲み干した缶を少し強めに「コトッ」とテーブルの上に置くと千歌、曜、無爪と周りの生徒たちは思わずそれに「ビクッ!」と肩を震わせる。

 

そのまま彼女は缶を持って立ち上がり、その場を立ち去っていく。

 

体育の授業のランニングでも相変わらず千歌は梨子と一緒に走りながら彼女の勧誘を続ける。

 

「どうしても作曲できる人が必要でぇ~!」

「ごめんなさぁ~い!!」

「待っ……うわっと!!?」

 

そして千歌はつまずいてその場に思いっきりこけてしまうのだった。

 

その後の昼休み、千歌と曜は中庭でダンスの練習を行っており、無爪は千歌に「練習で悪いところあったら教えて!!」と半ば強引に連れて来られ、2人の練習風景を見守っていた。

 

「またダメだったの?」

「うん! でも、あと一歩! あと一押しって感じかな!」

 

また梨子の勧誘を失敗したのかと曜が尋ねると千歌はそれに対して自信ありげに答えるのだが、正直そうとは思えない気がしてならない。

 

「ホントかなぁ……?」

「とてもそんな感じには見えない気が……」

 

しかも見事に無爪の意見とほぼ一致、それから一旦休憩を挟むことになり、曜はベンチに腰かける。

 

「だって最初は! 『ごめんなさい!』だったのが最近は! 『うぅ……ごめんなさい』になって来たし!」

「明らかに遠ざかってるだろそれ!! あと一歩、あと一押しどころか10歩くらい遠のいてる!!」

 

苦笑しながら無爪はそう話す千歌にツッコミを入れ、曜もどう聞いてもそれは嫌がっているようにはしか聞こえなかった。

 

「だいじょーぶ! いざとなったら!! ほい! なんとかするし!!」

 

千歌はそう言いながら音楽の教科書を取り出すが……。

 

「それは、あんまり考えない方が良いかもしれない……」

「不安要素が拭えないんだけど、大丈夫なの? そんなんで?」

 

すると、そんな無爪の言葉を聞いて千歌と曜はなぜかジーっと彼の顔を見つめて来る。

 

「な、なに?」

「いやぁ、なんやかんや言いつつ、なっちゃんは心配してくれてるんだなぁーって思って」

 

そんなことを言いながら「にしし……!」と笑う千歌に、無爪は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

 

「べ、別に心配なんかしてないし! 千歌ねえが梨子さんに変なことしないか見張ってるだけなんだからな!!」

(おぅ……! なっちゃんの見事なツンデレ頂いたであります!)

 

まるで面白いものを見たかのような表情を浮かべる曜はなぜか心の中で無爪に対し敬礼するのだった。

 

「変なことなんかしないよぉー! もう! あっ、そうだ! そういえば曜ちゃんの方は?」

 

そこで千歌が曜に頼んでいたことを思い出し、それについて問いかけると曜は「あっ!」と彼女もそのことを思い出して声をあげて手を叩く。

 

「書いてきたよ!」

 

その後、千歌と曜は自分達の教室に戻り、無爪も千歌に首根っこ掴まれて強制的に自分達の教室へと連れて行かれる。

 

そして曜はスケッチブックに書いてきたアイドルの衣装の絵を千歌と無爪に見せて「どう?」と自信ありげな顔で感想を求めるのだが……。

 

その絵は女の子が駅員の格好をしているようにしか見えず、とてもアイドルの衣装には見えなかった。

 

「おぉう……。 凄いね? でも衣装と言うより制服に近いような……。 スカートとかないの?」

「あるよ~! はい!」

 

すると曜は次のページを捲ると今度は府警の格好をした女の子が描かれており、これもまたアイドルらしくは見えなかった。

 

(っていうか、このイラストの女の子って千歌ねえがモデルなのかな? これはこれでこの格好をする千歌ねえが見たいかも……)

 

無爪がそんなことを考えていると曜は彼の考えてることを見透かしたのか、ボソっとあることを呟いた。

 

「なっちゃんのムッツリめ」

「えっ? 曜ねえなんか言った?」

「ううん、何でも」

 

無爪の問いかけに曜は首を横に振って誤魔化す。

 

「もっと可愛いのは……?」

 

千歌が曜に尋ねると彼女は「あるよ!」と答え、さらに次のページを捲ると今度は花柄の軍服を着てライフルを持っている女の子の絵が描かれていたのだった。

 

「武器持っちゃった!」

「可愛いよね~」

「花柄は可愛いかもしれないけど……」

 

どこか感性がズレている曜に思わず苦笑する千歌と呆れる無爪。

 

「可愛くないよ! むしろ怖いよ!」

 

千歌からもそうツッコまれる曜だが、彼女はなにがいけないのか分かっていないらしく、「んっ~?」と首を傾げていた。

 

「もっとスクールアイドルっぽい服だよ~」

「っと思ってそれも書いてみたよ! ほい!」

 

そう言いながら曜は次のページを捲り、無爪はまたおかしなイラストが描かれているのでは無いかと思ったのだが……。

 

今度はフリフリっとした頭にリボンがついているしっかりとしたアイドルらしい衣装が描かれており、これには流石に無爪も千歌も文句は言えなかった。

 

「すごーい! キラキラしてる! こんな衣装作れるの?」

「うん! 勿論、何とかなる!」

 

それを聞いて千歌は嬉しそうに笑みを浮かべ、「よーっし!」と気合いを入れて放課後、彼女は再び生徒会長であるダイヤに部活申請をしに行くのだった。

 

ちなみに無爪もまた千歌に首根っこ掴まれて強制連行された。

 

「だからなんで僕まで!?」

「良いじゃ~ん! ダイヤさんの説得手伝ってよなっちゃ~ん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから結局は無爪も生徒会室までついて行くこととなり、千歌はもう1度部活申請の紙をダイヤに提出するのだが……。

 

「お断りしますわ!!」

 

当然、前回の話の流れ的にもダイヤが部活申請を認めるはずもなく。

 

「こっちも!?」

「やっぱり……」

「5人必要だと言った筈です。 それ以前に、作曲はどうなったのです?」

 

ダイヤがそう尋ねると千歌はどう答えようかと一瞬悩むが……。

 

「それは~! いずれ~、きっと!! 可能性は無限大!!」

「それで話が誤魔化せる訳ないだろ、バカ千歌ねえ」

「うぅ、だよね~?」

 

どうにか話を逸らそう(?)とする千歌だったが、無爪に即座にツッコまれてしまい、ガックリと顔を俯かせる。

 

「で、でも……最初は3人しかいなくて大変だったんですよね。 『ユーズ』も」

 

「ユーズ」……その名前を聞いてダイヤは眉をピクッと動かし、無爪の影の中で話を聞いていたペガも「はい?」と少し不機嫌そうにする。

 

「知りませんか? 第二回ラブライブ優勝! 音ノ木坂学院スクールアイドル、『ユーズ!』」

 

千歌はその「ユーズ」と呼ばれるスクールアイドルのことをダイヤに説明するのだが、その際ずっとダイヤが苛立つように指を申請書の上でトントンしていることに気づかず、千歌の説明が終わるとダイヤはゆっくりと椅子から立ち上がる。

 

「それはもしかして……『μ's(ミューズ)』のことを言っているのではありませんですわよね?」

 

それを聞き、「あっ……」と千歌と曜は顔を見合わせてゴクリと唾を飲み込む。

 

「あっ、もしかしてアレ、『ミューズ』って読む……」

「おだまらっしゃーい!!!!」

 

その瞬間、ダイヤは大声で千歌達に怒鳴り声をあげる。

 

「なんか分かんないけど地雷踏んだっぽいよ!? ちゃんと謝れバカ千歌ねえ!?」

「えぇ!? え、えっとごめんなs」

 

しかし、ダイヤはそんな千歌の言葉を遮ってズイッと詰め寄ってくる。

 

「言うに事欠いて、名前を間違えるですって!? あぁん!!? μ'sはスクールアイドル達にとっての伝説! 聖域! 聖典! 宇宙にも等しき生命の源ですわよ! その名前を間違えるとは!! 片腹痛いですわ……!」

 

ズイズイと千歌に詰め寄って怒鳴るダイヤ、それに千歌はどんどん後ろに追い込まれてしまい逃げ場を無くしてしまう。

 

「ち、近くないですか?」

 

ちなみにここで今のダイヤの心情を「ウルトラマンは知ってるけど、ラブライブ! サンシャイン!! のことはあんまり知らない」という方に分かりやすく説明すると「ウルトラセブン」を「ウルトラ『マン』セブン」と呼ぶようなものである。

 

「フン! その浅い知識だとたまたま見つけたから軽い気持ちで真似をしてみようと思ったのですね?」

「っ、そんなこと……!」

 

千歌から一度離れ、そう言い放つダイヤの言葉に反論しようとする千歌だが……。

 

「ならばμ'sが最初に9人で歌った曲、答えられますか?」

「えっ……?」

 

するとダイヤはまたもや千歌にズイッと詰め寄ってくる。

 

「ブー!! ですわ!! 『僕らのLIVE 君とのLIFE』、通称『ぼららら』。 次、第二回ラブライブ予選でμ'sがA-RISEと一緒にステージに選んだ場所は?」

(あれ? もしかしてこの人……)

 

そこで無爪は何かに感づいたようだったが、特に何も言おうとはせず、取りあえず今は成行きを見守ることにする。

 

「……ステージ?」

「ブッブー!! ですわ!! 秋葉原UTX屋上! あの伝説と言われるA-RISEとの予選ですわ! 次、ラブライブ第二回決勝! μ'sがアンコールで歌った曲は……」

 

そこで千歌は今度こそと言わんばかりに手をあげて答える。

 

「知ってる! 『僕らは今の中で』!」

「ですが……。 曲の冒頭をスキップしている4名は誰?」

 

という引っかけ問題に千歌は思わず「えーっ!!?」と驚きの声をあげると又もやダイヤはズイズイっと千歌に詰め寄ってくる。

 

「ブッブッブー!! ですわ!!」

 

その際、あまりにもダイヤが千歌に詰め寄ってくるため、千歌は思わず後ろにあった校内放送のためのマイクのスイッチを入れてしまい、全校内にダイヤの声が聞こえてしまうという事態になるのだが、ダイヤはそれに気づかず話を続ける。

 

「『絢瀬 絵里』『東条 希』『星空 凛』『西木野 真姫』!!  こんなの基本中の基本ですわよ!」

「す、凄い……!」

「生徒会長もしかしてμ'sのファン……?」

 

千歌がダイヤにそう尋ねると彼女は自信たっぷりな様子で答える。

 

「当たり前ですわ! わたくしを誰だと……んんっ! 一般教養ですわ!! 一般教養!!」

 

慌てて誤魔化すダイヤだが、曜と千歌、さらには珍しく無爪も一緒になって「へー?」とジト目でダイヤを見つめる。

 

「と、兎に角……! スクールアイドル部は認めません!!」

 

 

 

 

 

 

 

「だって! 前途多難過ぎるよ~」

 

放課後、海辺でそんな風に落ち込む千歌だったが……。

 

「「じゃあ、やめる?」」

「やめない!」

 

無爪と曜がそう尋ねると彼女は元気を取り戻したように強きな表情を浮かべる。

 

「だよね~」

 

するとそこで千歌が後ろを振り返ると彼女は花丸が歩いていることに気づき、千歌は彼女に向かって「おーい!!」と声をかけると彼女の方も千歌に気づいたらしく、挨拶する。

 

「こんにちわ」

「あー、やっぱり可愛い! んっ?」

 

すると千歌は何かあることに気づき、ジッとある方向を見て目を懲らす。

 

「どうかした千歌ねえって……あそこに隠れてるのは……、ルビィちゃん?」

 

無爪が千歌と同じ方向を見ると確かに彼の言ったとおり、木の後ろにルビィが隠れており、彼女の存在に気づくと千歌は大きくルビィに向けて手を振る。

 

「あっ! ルビィちゃんもいるー!!」

「ピギィ!?」

 

千歌はルビィの元へと駆け寄って行くのだが……前回のことを思い出してか怖がらせてはいけないと思い、彼女はポケットから飴を取り出してそれをルビィに差し出す。

 

「ほ~らほら、怖くなぁ~い。 食べる?」

 

するとルビィはその飴に釣られるように木の後ろ側から嬉しそうに出てきて飴を受け取ろうとするのだが、ルビィが飴を取ろうとした瞬間、寸でのところで飴を引っ込める。

 

千歌はそのまま「ル~ルル~」と歌いながら飴を餌にルビィを誘導。

 

「犬かな? っていうか餌付け……?」

 

無爪が呆れた視線を千歌に送っているが、彼女はそんなことには気づかず、「フッ」と不敵な笑みを浮かべると飴を大きく放り投げる。

 

それを見てルビィが驚いている間に千歌は彼女に抱きつく。

 

「捕まえた!」

「うわわ! うゆうゆ!?」

 

いきなり抱きつかれたことにビックリするルビィだったが、丁度先ほど投げて落ちて来た飴がルビィの口の中に見事収まり、それを見て無爪は「スゲぇ!」と感心するのだった。

 

「でも今のはルビィちゃんが凄いのか千歌ねえが凄いのか……」

 

その後、途中まで花丸とルビィは帰りのバスが一緒ということで一同は全員でバスに乗ることとなり、千歌は花丸とルビィにスクールアイドルのことを話していた。

 

「スクールアイドル?」

「すっごく楽しいよ! 興味ない?」

 

地味にここでも勧誘する千歌だったが、花丸は図書委員の仕事があるからと断り、千歌はルビィはどうかと尋ねるのだが……。

 

「ふぇ!? えっと、ルビィはその……お姉ちゃんが……」

「お姉ちゃん?」

「ダイヤさんはルビィちゃんのお姉ちゃんずら」

 

花丸からの説明を受けて千歌は「えっ!?」と驚きの声をあげ、そこで曜はルビィが戸惑う理由を理解した。

 

「なんでか嫌いみたいだもんね、スクールアイドル」

「……はい……」

 

下を俯きながらそう答えるルビィ。

 

(いや、絶対好きだと思うんですけど……。 少なくともあの人絶対μ'sの大ファンだよ……)

 

とは思った無爪だったが、それを口にすべきかどうか少し悩み、ダイヤがあそこまでスクールアイドル部を拒否するには何か理由があるのではと考え、下手に踏み込むべきでもないだろうと考え結局は黙っておくことにするのだった。

 

「今は、曲作りを先に考えた方が良いかも。 何か変わるかもしれないし!」

「そうだねー。 花丸ちゃんはどこで降りるの?」

 

千歌が花丸にそう尋ねるとなんでも彼女は今日は沼津まで学校を休んでる善子にノートを届けに行くらしい。

 

「そう言えばあの娘、入学式以来全く見てないな……」

 

ちなみに無爪も花丸達と同じクラスである。

 

「実は入学式の日……」

 

花丸の説明によるとクラスでの自己紹介の時に善子は色々とやらかしてしまったらしい。

 

『堕天使ヨハネと契約してあなたも私のリトルデーモンに、なってみない?』

 

なんていう強烈な自己紹介をかました後、「ウフ♪」と不敵な笑みを浮かべ、クラスメイトの殆どが唖然。

 

『ピーンチ!!』

 

その光景を見たからか、彼女はすぐさま教室から出て行き、それ以来全く学校に姿を現さないのだという……。

 

「それっきり、学校に来なくなったずら」

「そうなんだ……」

 

これを聞いて曜は苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、千歌と無爪はバスを降りて曜達と別れるのだが……その時、バス停のすぐ側にある海辺に梨子がいることに気づく。

 

「桜内さーん!」

 

梨子の存在に気づいた千歌は彼女の名前を呼びながら手を振り、梨子はこんなところまで自分を勧誘しに追って来たのかと思い、「はぁ」と溜め息を吐く。

 

「まさか、また海に入ろうとしてる?」

 

すると千歌は梨子の元に駆け寄るといきなり彼女のスカートを捲り、梨子は「してないです!!」と慌ててスカートを押さえるのだが……。

 

「あっ……」

 

そこで梨子は両手で目を塞いでいる無爪の存在に気づき、彼女は顔を真っ赤にして彼に「見たの?」と問いかける。

 

「み、見てないです!! ちょっとしか……! あっ……」

「結局見てるんじゃ無い!!」

 

顔を真っ赤にして怒る梨子だが、無爪に非は無いので彼女はそこまで怒ることはなく、無爪も顔を赤くしつつ千歌の頭に軽くチョップを叩きこむ。

 

「いたっ!? なにすんの!?」

「千歌ねえのせいでしょ!」

 

「むぅ~」っと頬を膨らませる千歌。

 

「それよりも、こんなところまで追いかけて来ても答えは変わらないわよ?」

 

梨子のその言葉に千歌は一瞬「えっ?」となるが、すぐに梨子が何か勘違いしていることに気づく。

 

「違う違う! 通りかかっただけ! そう言えば、海の音、聞くことができた?」

 

千歌は梨子にそう尋ねるのだが、梨子は暗い表情を浮かべたまま黙り込んでしまい、千歌はそれを見て未だに彼女が悩みを解決できないのを察するとあることを1つ彼女に提案した。

 

「じゃあ今度の日曜日、開いてる?」

「……どうして?」

「お昼にここに来てよ! 海の音、聞けるかもしれないから!」

「聞けたらスクールアイドルになれって言うんでしょ?」

 

梨子が千歌にそう問いかけると彼女は「うーん、だったら嬉しいけど」と言いながら両腕を組む。

 

「その前に聞いて欲しいの! 歌を……」

「歌?」

 

梨子が首を傾げると千歌は梨子はスクールアイドルのことを全然知らないから、だから知って貰いたいのだと語り、千歌は梨子にそれではダメかと尋ねる。

 

「あのね、私ピアノやってるって話したでしょ? 小さい頃から、ずぅーっと続けてたんだけど、最近、幾らやっても上達しなくて……やる気も出なくて、それで環境を変えてみようって!」

「成程、つまり……梨子さんは今はスランプ中ってことですか?」

 

無爪の問いかけに梨子は静かに「そう」と頷く。

 

「だから、海の音を聞ければ何か変わるのかなって」

 

梨子はそう言いながら両腕を伸ばして手の平を海に向ける。

 

「変わるよ、きっと」

 

そんな梨子に千歌はそう言いながら彼女の両手を握りしめる。

 

「簡単に言わないでよ!」

「分かってるよ、でも、そんな気がする。 ジーッとしてても、ドーにもならないんだから!」

 

千歌のその言葉に梨子は思わず少しだけ笑い、「変な人ね」と呟いた後、千歌の手から離れようとする。

 

「兎に角、スクールアイドルなんてやってる暇なんて無いの。 ごめんね?」

 

しかし、千歌は離れようとする梨子の手をもう1度握りしめ、それに梨子は少し驚いた様子を見せる。

 

「分かった! じゃあ海の音だけでも聞きに行ってみようよ! スクールアイドル関係なしに!」

「えっ?」

「なら良いでしょ!?」

 

笑みを浮かべながら千歌がそう言うと梨子は少しだけ口元に笑みを浮かべる。

 

「ホント、変な人……」

 

その時のことである。

 

突如として梨子の手が熱くなり、手を握っていた千歌は「熱っ!?」と思わず手を離してしまう。

 

すると梨子の胸に眩い光が溢れ、そのことに千歌や無爪、梨子自身も驚きの表情を浮かべる。

 

「なっ、そんな……また!?」

「な、なに!? 梨子ちゃん大丈夫!?」

 

梨子は身体が熱くなるのを感じ、彼女は胸の光を両手で押さえ込む。

 

その光はすぐに消えたが、彼女の身体は熱いままであり、梨子の不安そうな表情は消えていない。

 

「何だったんだ? 今のは……? 梨子さん、身体なんともない?」

「え、えぇ、でも、この前もさっきみたいに胸に光が溢れたことがあったの……。 お医者さんに診て貰っても身体にはなんの異常も見当たらなかったらしくて……。 しばらく光が溢れることも無かったから、もう大丈夫だと思ったのに……!」

 

梨子は無爪と千歌にそう語り、彼女はどこか怯えた様子を見せており、千歌と無爪はどうにか梨子を取りあえず落ち着かせようとする。

 

「怪獣が現れたのも、この光が溢れた時だった……。 しかも、怪獣はあの時、心なしか私の方に向かって来てる気がして……。 だからまた……!」

 

どうやら、梨子が怯えているのはまたこの光が発祥したせいで再び怪獣が現れないか心配だったらしく、そんな風に不安そうな梨子を励ますように千歌は「大丈夫だよ!」と声をかける。

 

「あの怪獣は、あの巨人がやっつけてくれたじゃん!!」

「で、でも……!」

「見つけた……!」

「「「っ!!!?」」」

 

その時だ。

 

突如として一同の背後から全身黒ずくめの……黒い帽子と黒いマスクをしたいかにも怪しさ満載の男がこちらに向かって不気味な笑みを浮かべながら近づいて来ていた。

 

「な、なんですかあなた!?」

 

気配に気づいた無爪は後ろを振り返って男にそう言いながら梨子と千歌を後ろに下がらせる。

 

「ダダァ……!」

 

男は無爪の頭上を軽々とジャンプして飛び越えると一気に梨子の元まで辿り着き、千歌を押し退かして彼女の左腕を掴むのだが……。

 

「い、嫌!? 来ないで変態!!」

 

梨子は右腕を突き出すとそこから炎が溢れ出して男の身体を燃やし、男は悲鳴をあげながら吹き飛ぶとその正体を表した。

 

それはシマシマ模様の身体とオカッパのような頭が特徴の異星人「三面怪人 ダダ」であり、ダダは「ミクロ化器銃」という武器を梨子に向ける。

 

「うぇ!? 梨子ちゃんの手から炎が! っていうかな、なにあれ!?」

「も、もしかして……宇宙人……!?」

 

梨子が炎出すのを見て驚く2人。

 

だがそれ以上にダダの姿を千歌と無爪は見て驚く。

 

「何してんだこのオカッパ野郎!!」

 

だがそこですぐに無爪がダダに向かって掴みかかり、そのままウルトラマンとしての腕力を使ってダダを遠くへと投げ飛ばす。

 

『ぐわああ!!? チッ! 邪魔をするな!!』

 

地面を転がって倒れ込むダダ、無爪はそのまままダダに向かって駈け出して行き、再び掴みかかろうとするがダダはパッと姿を消してしまう。

 

「あれ!? どこに行った!?」

 

無爪が辺りを見渡すと瞬間移動したダダが梨子の目の前に現れており、梨子を助けようとダダに飛びかかる千歌だったが、又もや瞬間移動で躱されてしまう。

 

そしてダダは今度は梨子の背後に姿を現し、ミクロ化器銃を梨子に向けて引き金を弾くとそこから光の粒子のようなものが放たれ、それを梨子が浴びると彼女は身体が縮小され、ダダの持つ1つのカプセルの中に吸い込まれてしまった。

 

「きゃあああ!?」

『ダダァ……!』

 

そのままダダはカプセルに入った梨子を連れ去って走り去って行き、無爪と千歌は急いでダダのあとを追いかける。

 

「待てー!! 梨子ちゃん泥棒ー!!」

 

その後、ダダを追いかけて人気のない場所行くとダダは突然立ち止まり、小型の光線銃を取り出して無爪達に向ける。

 

「危ない!!」

 

咄嗟の判断で無爪は千歌の肩を掴んで一緒に頭を下げ、ダダの放った光弾をどうにか躱すことができた。

 

「ありがと、なっちゃん!」

「それより梨子さんを助けないと!!」

 

無爪は人間とは思えないほど大きくジャンプしてダダの背中に跳び蹴りを叩き込み、地面を転がるが……ダダはそれでも梨子の入ったカプセルを離さず。

 

「こんのぉー!! 梨子ちゃんを返せ~!! 今度梨子ちゃんと一緒に海の音を聞きに行くんだからぁ!!」

 

そう言いながら今度は千歌が立ち上がろうとしているダダに後ろから跳び蹴りを喰らわせ、それによってようやくダダは梨子の入っているカプセルを手放し、それを無爪が見事にキャッチ。

 

『な、なんて乱暴な奴等なんだぁ……!』

「お前にそんなこと言われたく無いんだけど!?」

 

そのままダダは逃げ出していき、カプセルに入れられていた梨子もダダがいなくなると彼女はカプセルから出てきて元の大きさに戻り、千歌は慌てて梨子の元へと駆け寄る。

 

「梨子ちゃん大丈夫だった!? 身体、なんともない!?」

「え、えぇ、一応平気よ……。 でも、まだあの力は消えてないみたい……」

 

梨子はそう言いながら右手から少しだけ小さな炎を出し、千歌も無爪も一体彼女の身に何が起っているのか分からず、首を傾げていた。

 

(レムなら何か知ってるかな……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、とある廃工場に逃げ込んだダダだったが……そこに、スカルゴモラに変身していたあの黒ずくめの男性がダダの前に現れた。

 

『誰だ? 貴様は……?』

「光に引き寄せられて来たか? 研究の邪魔は控えて貰おうか……」

『貴様、『ストルム星人』か! あれは俺が見つけた光だ! 渡さない!!』

 

しかし、「ストルム星人」と呼ばれた男はそんなダダの言葉を一蹴するように「無駄だ!!」と言い放った。

 

「あの光、『リトルスター』は宿主からの分離が難しい。 分離されるのは、宿主が祈った時だけだ。 ウルトラマンに……」

『っ、黙れぇ!!』

 

逆上したダダはミクロ化器銃を構えて男に光線を放つが、男は片手でバリアのようなものを張り巡らせて攻撃を防ぎ、一瞬で姿を消す。

 

『むっ……!?』

 

すると背後に男は現れ、右手から衝撃波をダダにち、ダダは身体が粉々に砕け散る。

 

『ぬぐあ!!?』

「フン……。 それよりも、奴はリトルスターの宿主を保護したか。 この状況、利用させて貰う!!」

 

男はそう呟くと「怪獣カプセル」を取り出してそれを起動させ、それを装填ナックルに装填。

 

「『ドレンゲラン』!! エンドマークを打ってこい!!」

 

そのまま「ライザー」を取り出して装填ナックルをスキャンし、ライザーを外に向かってかざすとそこから「宇宙鉱石怪獣 ドレンゲラン」を召喚した。

 

『ドレンゲラン!』

 

それからドレンゲランは無爪達の元へと一直線に進んでいき、それに気づいた梨子は再び怯えた表情を見せる。

 

「ま、また怪獣……!?」

 

そしてドレンゲランの姿を見て無爪は思わず装填ナックルに手を伸ばしたが……。

 

『フュージョンライズしますか?』

「……いや、しない」

 

レムのその問いかけに無爪はそう答え、無爪と千歌は兎に角今はドレンゲランから逃げようと3人は一斉に逃げ出す。

 

「兎に角逃げよう!」

 

千歌が無爪と梨子にそう言って2人は頷き、3人はその場から逃げるように走り出す。

 

その後、3人が逃げていると偶然買い物中だったという梨子の母親と出会い、一同は梨子の母親と一緒にドレンゲランから逃げようと走り出すのだが……。

 

「……アレ?」

 

なぜか、無爪だけはその場から動くことができなかった。

 

「……ペガ、僕の足、なんで掴んでるんだ?」

 

するとひょっこりと無爪の影からペガが顔を出す。

 

『何もしてないよ? ペガは』

「じゃあ、どうして足が動かないんだ?」

 

無爪のその疑問にペガは答える。

 

『それは、君の意思だ』

「僕の……?」

『君はベリアルの息子、でも……君は君だ! 梨子ちゃんを怪獣から救いたいと、本心では思ってる筈だよ?』

 

ペガにそう指摘され、少しだけ黙り込んだ無爪はそのまま千歌達とは反対の方向に走り去って行く。

 

「あれ!? なっちゃん!? そっちには怪獣がいるよ!! 危ないよぉー!!」

 

千歌は怪獣の方に向かって行く無爪に気づき、彼女は無爪を追いかけて来るとだけ梨子に言い残して彼を追いかける。

 

「千歌ちゃん!!」

「危ないわよ!!」

 

しかし、梨子と梨子の母親の制止を振り切って千歌は無爪を追いかける。

 

そして人気のない場所に行くと無爪は「ジードライザー」を取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

「なっちゃん……?」

 

そこに千歌も現れるのだが、無爪はそれに気づかず「ウルトラマン」のカプセルを起動させるとそこからウルトラマンが現れる。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルをナックルに装填し、続いて無爪は「ウルトラマンベリアル」のカプセルを起動させ、今度はそこからベリアルが姿を現す。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルを無爪はスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

「はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

ジードへと変身した無爪は大地へと降り立ち、それを見た千歌は目を見開き、驚きの顔を浮かべていた。

 

「なっちゃんが、あの巨人……? 嘘……!?」

『行くぞ!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンジードプリミティブ」

 

ジードはファイティングポーズを取りながらドレンゲランへと駈け出して行き、助走をつけて勢いよく膝蹴りを叩きこむが……ドレンゲランは「だからどうした」と言わんばかりにその長い首を横に振るってジードの身体を叩きつけて吹き飛ばす。

 

『ウアッ!?』

 

フラつくジードに対してドレンゲランは口から吐く火炎弾を放って攻撃し、ジードは前面に円状のバリアを展開する「ジードバリア」でどうにか攻撃を防ぐ。

 

『シュア!!』

 

バリアを解除してジードは再びドレンゲランに駈け出して行くが、ドレンゲランは首をさらに長く伸ばしてジードに頭突きを喰らわせ、首を元に戻すとさらにまた火炎弾を撃ち込んでくる。

 

「ギシャアアア!!!!」

『ぐううう……!?』

 

するとドレンゲランは高くジャンプしてその巨体を生かしてジードを踏み潰そうとするが、ジードはどうにか飛行してそれを回避し、空中へと逃げる。

 

『レッキングリッパー!!』

 

前腕の鰭状の部位から放つ波状光線「レッキングリッパー」をジードはドレンゲランの背中に炸裂させ、ドレンゲランは少し悲鳴をあげなたことから多少のダメージを与えることに成功。

 

ジードはそのままドレンゲランの背中に乗り込むとそのままドレンゲランにチョップなどを叩きこんでいく。

 

『かったぁ……!?』

 

しかし、流石に直接攻撃するのはキツいらしく、逆にこちらの方がダメージを受けてしまう。

 

さらにそこでドレンゲランが尻尾でジードの首を後ろから締め上げ、そのまま後ろの方へと投げ飛ばすとジードは地面を転がる。

 

『グゥ……!?』

「グルルルル……!!」

 

ドレンゲランはジードの方に振り返ると口から火炎弾を発射。

 

しかしジードはそれをジャンプして躱し、一気に詰め寄るとドレンゲランの頭を左手で掴んで右拳で何度もパンチをドレンゲランの顔面に叩きこむ。

 

『顔の部分は背中ほど硬くないみたいだな!』

 

だがドレンゲランは首を激しく左右に振ってどうにかジードを突き飛ばし、再びジャンプしてその巨体を生かした重い体当たりを喰らわせ、ジードは吹き飛んで地面に倒れ込む。

 

『シェア!!?』

 

そこからドレンゲランは又もや首を伸ばして頭突きを喰らわせようとしてくるが、ジードはそれを避けて脇にドレンゲランの首を挟み込み、そのままフルスイングしようとするのだが……。

 

『お、重い……! こいつ、前に戦った怪獣より重いぞ……!?』

 

そのままドレンゲランはジードを掴んだまま首をさらに長く伸ばして首を上にあげるとそのまま首を上下に動かして自分の首を掴んでいるジードを地面に叩きつける。

 

『ウゥ……』

 

腕を離してなんとかドレンゲランの攻撃から逃れるジードだが、ドレンゲランは今度はその長い首をジードの身体に巻き付けて拘束し、零距離からの火炎弾を撃ち込んでいく。

 

『ウグアアアア!!!!!?』

「なっちゃん!!」

 

それを見て悲痛な声をあげる千歌。

 

そしてドレンゲランは拘束を解くとジードはその場に倒れ込み、カラータイマーが点滅を始め、ドレンゲランは再び梨子の方へと向かって歩き出す。

 

しかも、梨子と梨子の母親はまだこの街に来たばかりなこともあり、道に迷ってしまい、行き止まりに追い込まれてしまった。

 

「な、なんでこっちに来るのよ!?」

 

梨子の母親は悲痛な声でそう叫び、梨子も怯えきった様子を見せている。

 

『無爪、怪獣には目的があるようです』

『目的……?』

『怪獣はあなたへの追撃より、移動を選択しました』

 

そこで無爪はレムの教えでやはりあの怪獣は梨子の光、「リトルスター」を狙って行っているのだと確信し、立ち上がろうとするが……先ほどの攻撃がかなり効いたのか、ジードは思うように立ち上がれなかった。

 

「なっちゃあああああああん!!!!!」

『っ!?』

 

その時、千歌が自分を呼ぶ声が聞こえ、ジードは千歌の方へと顔を向ける。

 

『えっ? 千歌ねえ? もしかして今、こっちに向かって言った……?』

『どうやら、無爪が変身したところを目撃されたようです』

『嘘だろ……』

 

レムに言われ、無爪は頭を抱えて「やってしまった……」と落ち込むが……。

 

「なっちゃーん!! 梨子ちゃんを、助けてあげて!! お願い!!」

『千歌ねえ……』

「私は、なっちゃんのことをずっと信じてる!! だから、立ち上がって!!」

『……』

 

そして、その言葉を受けたジードはコクリと頷いて拳を握りしめ……フラつきながらもどうにか立ち上がる。

 

『千歌ねえにそう言われちゃ、立つしかないよな!! それに、今思ったけどもしかしたらアイツ……!』

 

ジードは立ち上がるとさらに無爪は新たに別のカプセル、「ウルトラマンオーブ エメリウムスラッガー」のカプセルを起動させる。

 

『融合!!』

 

するとカプセルからオーブ エメリウムスラッガーが現れ、無爪はカプセルをナックルに装填。

 

続いて無爪はベリアルのカプセルを再び起動し、カプセルからベリアルが現れる。

 

『アイ、ゴー!!』

 

ベリアルのカプセルもナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルを無爪はスキャンする。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!』

『飛ばすぜ、光刃!!』

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッを押す。

 

「はあああ、はあ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマンオーブ エメリウムスラッガー! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード! トライスラッガー!!』

 

最後にオーブ エメリウムスラッガーとベリアルの姿が重なり合い、2人の力を合わせた姿「ウルトラマンジード トライスラッガー」へとジードは姿を変える。

 

トライスラッガーへと姿を変えたジードは大きくジャンプしてドレンゲランの頭上を飛び越え、振り返るとそのままジードはドレンゲランに掴みかかって進行を阻止しようとする。

 

『これ以上、梨子さんの元には行かせない!!』

 

しかし、それでもドレンゲランの進行は止まらない。

 

ドレンゲランは近距離から火炎弾をジードに撃ち込もうとするがジードはドレンゲランの顎を掴みあげて顔を上に向け、火炎弾を何もない上空に撃たせる。

 

するとジードは顔だけを梨子の方へと向け、「任せろ」とでも言うように頷く。

 

「あの巨人は……」

 

それを見てか、梨子はジードが必死に怪獣をこちらに向かわせないようにしているのだと理解し、彼女は両手を祈るように握り合わせる。

 

(もし、本当にそうなら……お願い、助けて……!)

『こんのおおおおお!!!!』

 

挿入歌「GEEDの証」

 

するとジードは左手でドレンゲランの頭を掴みあげて右拳で何度も素早く顔面にパンチを叩き込み、最後にアッパーカットを叩きこむ。

 

ドレンゲランは火炎弾をジードに撃ち込むがジードは素早く後退して攻撃を躱し、頭部にある2本のブーメラン「アイスラッガー」を両手に持って構える。

 

『ハアアアア!!』

 

そのままジードはドレンゲランに向かって駈け出して行き、ドレンゲランは火炎弾を放つが、ジードはそれらを全て切り裂きながら突っ込んでいき、身体を勢いよくスライディングさせてすれ違いざまにアイスラッガーでドレンゲランの右の足の膝を斬りつける。

 

するとドレンゲランは膝から火花を散らし、背後に回り込んだジードはさらに中央のアイスラッガーと両手のアイスラッガー、合計3つを飛ばして1つはドレンゲランの尻尾を切り裂き、もう2つはドレンゲランの足の膝の裏を切り裂く。

 

「キシャアアアア!!!!?」

『狙い通り! 硬い奴は関節が大体弱いからな!!』

 

アイスラッガーを頭部に戻し、ドレンゲランはジードに振り返って首を伸ばして頭突きを喰らわせようとするが、ジードはジャンプしてそれを回避し、右足に炎を宿して急降下キックでドレンゲランの首を踏みつけるように蹴りつける。

 

「グア!?」

 

そのままジードはドレンゲランから離れると3本のアイスラッガーを放ち、そこに腕をL字に組んで光線を発射して反射させ、拡散させ四方八方から浴びせる必殺技「リフレクトスラッガー」をドレンゲランへと繰り出す。

 

『リフレクトスラッガー!!』

 

そしてドレンゲランは自慢の身体の硬さもこの技を完全に耐えれるほどの防御力は無かったらしく、1番脆い間接部に幾つも光線が直撃したこともあり、火花を散らして爆発したのだった。

 

「グルアアアアア!!!!?」

 

ドレンゲランが倒され、梨子や彼女の母、千歌は「やったああああ!!!!」と喜びの声をあげる。

 

すると、梨子に宿っていたリトルスターの光は彼女から分離し、光はジードのカラータイマーの中へと吸い込まれ、ジードの中にいる無爪の持つカプセルを入れる小型ケースの中に宿る。

 

それを見て無爪はケースを開けるとその中に新たなカプセルがあり、それを取り出すとカプセルに「ウルトラマンレオ」の姿が浮かび上がる。

 

『ウルトラマンレオカプセルの起動を確認しました』

『これは、新しいカプセル……?』

 

そしてジードは空へと飛び去るのだった。

 

また、ドレンゲランを召喚した男はジッと空に飛び立つジードを見つめていた。

 

「これで必要なカプセルは残り……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいたたた……」

『無爪、大丈夫?』

 

戦いを終えた無爪は腰を押さえてペガに支えて貰っており、無爪は「はぁ」と溜め息を吐くと彼はそのまま近くにあったベンチに座り込んだ。

 

「ふぅ、疲れた……」

 

するとその時、無爪の頬に「ピトッ」と冷たい感触が伝わり、慌てて振り返るとそこには缶ジュースを持った千歌が立っていた。

 

「お疲れ様、なっちゃん」

「あ、うん、ありがとう……。 千歌ねえ、さっきも……」

「それにしても驚いたよ! なっちゃんがあの巨人だったなんて!」

 

千歌はどこか興奮した様子でズイズイ顔を近づけ、無爪はそれに少し頬を赤くしつつ「取りあえず説明するから」と言って千歌を隣に座らせる。

 

それから無爪は千歌に自分がジードというウルトラマンにどういう経緯でなったのか、また父親がかつてクライシス・インパクトを引き起こした張本人「ウルトラマンベリアル」で、自分はその息子なのだということを彼女に一通り説明した。

 

「なっちゃんが、ベリアルの息子……」

 

ただでさえ無爪がジードであることに驚いたというのにさらにベリアルは実在し、無爪は彼の息子だという事実に、千歌も流石に驚きを隠せなかったようで、そんな様子の彼女を見て無爪は沈んだ表情を浮かべる。

 

「やっぱり千歌ねえも僕のこと……怖い?」

 

本当は千歌がジードを、自分のことをどう思っているのか聞くのが怖かったが……こうなってしまっては気になって仕方が無い。

 

一緒に暮らしている仲ならば尚更だ。

 

その為、無爪は勇気を振り絞って千歌が自分が怖いかどうかを問いかけた。

 

「ううん、私はなっちゃんのことをずっと信じてるってさっきも言ったじゃん。 最初にジードとして現れた時も、必死に怪獣を止めようとしてジードは私達を守ろうとしてくれてるってすぐ分かったもん」

「千歌ねえ……」

「よく頑張ったね。 ナデナデ♪」

 

すると千歌はそう言いながら無爪を抱きしめて彼の頭を撫で、無爪は照れ臭そうにしつつも抵抗せず受け入れるのだった。

 

(無爪、嬉しそう。 良かった……)

 

またそんな2人の様子をペガは微笑ましく見守るのだった。

 

「さっ! 梨子ちゃんも心配だし、そろそろ探しに行こう!」

「そうだね」

 

そして千歌は無爪の手を引いて2人は立ち上がり、梨子を探しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

日曜日、あれから梨子の身体に異常が起こることもなくなり、今日は約束通り海の音を聞く為、果南の家のダイビングショップに訪れていた。

 

ちなみに曜や無爪も千歌に誘われてダイビングショップには来ている。

 

「イメージ?」

「人間の耳には、音は届きにくいからね! ただ、景色はこことは大違い! 見えてるものからイメージすることは出来るとは思う」

 

そして今は果南からダイビングについてのことを説明しており、梨子の「海の音」を聞きたいという意見に対しても色々とアドバイスを受けていた。

 

「想像力を働かせるってことですか?」

「まっ、そういうことね。 用は勝利のイマジネーションってこと! できる?」

「やってみます」

 

それから梨子、千歌、無爪、曜、果南の5人はダイビングスーツに着替えて一緒に船に乗ってある程度進むとそこから海の中に4人で潜り、梨子は「海の音」を聞こうとするのだが……。

 

「ダメ?」

「残念だけど……」

 

一度船の上にあがり、曜は「海の音」を聞くことができたどうかを尋ねるが、やはりそう上手くはいかないらしい。

 

「イメージか、確かに難しいよね」

「海の音をイメージしろってことだし、千歌ねえの言う通り難しそう」

「そうね、簡単じゃないわ。 景色は真っ暗だし」

 

すると千歌は梨子の「真っ暗」という言葉を聞いてなにか思いついたのか、「もう1回良い?」と言って千歌と曜はもう1度海の中に飛び込み、それを追うように無爪も海の中へと飛び込んだ。

 

梨子もまた3人を追いかけるように再び海の中に潜り、しばらく4人で泳ぐのだが……。

 

そこで梨子は以前のコンクールでスランプからピアノを弾けなかったことをフッと思い出し、このままでは何時まで経ってもスランプから抜け出せないのではないかと不安になる。

 

その時、突然、海の中が明るくなり、梨子は曜と千歌が上を指差していることに気づいて見上げると蒼くて光輝く美しい光景が広がっていた。

 

それを見て梨子はなにかが聞こえたような気がした。

 

それはまるで、ピアノの音のようなもので……。

 

彼女はピアノを弾く時のように両手をあげるとさらにピアノの音色のようなものが聞こえ、それから4人は海面から顔を出す。

 

「ぷはぁー!」

「聞こえた!?」

「うん!」

 

どうやら梨子が聞いた音色は他のメンバーにも聞こえていたらしく、曜や無爪にも聞こえていた。

 

「私も聞こえた気がする!」

「ホント!? 私も!」

「僕も聞こえたよ!」

 

それに千歌、梨子、曜、無爪は思わず笑い合い、その光景はとても楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日……。

 

「うぇ!? 嘘!?」

「ホントに!?」

 

なんと梨子は自分が曲作りを手伝うと申し出、それを聞いて千歌は涙目に「ありがと~!」とお礼を言いながら彼女に抱きつこうとするのだが……梨子はそれを華麗に躱す。

 

「待って、勘違いしてない?」

「ふぇ?」

「私は曲作りを手伝うって言ったのよ? スクールアイドルにはならない!」

 

それに対して千歌は「えぇ~!?」と不満そうな声をあげる。

 

「そんな時間はないの!」

「そっかぁ~」

「無理は言えないよ」

 

曜にもそう言われた為、千歌は「そうだねぇ」と残念そうにしつつも曲作りの手伝いをしてくれるだけ十分だと思い、梨子へのスクールアイドルへの勧誘は取りあえずは諦めることに。

 

「じゃあ詩を頂戴?」

「詩?」

 

すると千歌は「詩?」と言いつつ教室の扉を開けてみたり、ベランダを開けてみたり、なぜかみかんが2つ入ってある鞄の中を開けてみたりする。

 

「詩ってなに~♪」

「多分~、歌の歌詞のことだと思う~♪」

 

そこで千歌と曜は歌いながらそんな会話をし、最終的に2人は「歌詞?」と首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は歌詞についてのことを考えるために一度千歌の家の旅館に行くことに。

 

「あれ? ここ……旅館でしょ?」

 

尚、千歌の家が旅館であることに梨子は驚きの様子を見せていた。

 

「そうだよ!」

「ここなら時間気にせずに考えられるから! バス停近いし帰りも楽だしね~」

 

するとそこで志満が「お帰り~」と外に出てきて千歌達を出迎えてくれたのだが、その時、梨子はすぐそこに高海家の飼うペットの犬の「しいたけ」がいることに気づく。

 

そしてしいたけを見るや否や彼女は顔をなぜか引き攣らせる。

 

「そちらは千歌ちゃんが言ってた娘?」

「うん! 志満姉ちゃんだよ!」

 

千歌は長女である志満を梨子に紹介し、梨子も慌てて名前を名乗って自己紹介を行う。

 

それから梨子はまた視線をしいたけに戻し、彼女は冷や汗を流す。

 

「わん!!」

 

そしてしいたけが一吠えすると梨子は「ひぃ!?」と悲鳴をあげてそのまま旅館の中へと逃げ込むように入る。

 

ちなみにそれと同時に次女の美渡も志満に用があったのか彼女の名前を呼びながらやってきていたのだが……、その手には食べかけのプリンが握られていた。

 

「美渡ねえ……。 そのプリン、もしかして……!」

「やばっ!」

 

そのまま美渡は千歌から逃げるように走り去って行き、千歌はそれに怒ってすぐに彼女を追いかける。

 

「待てぇー!! 私のプリーーーーーン!!!!」

 

その後、千歌、曜、梨子はなぜか無爪の部屋に訪れて千歌は自分の部屋の海老のぬいぐるみを抱きしめながら椅子に座り、頬を膨らませてふて腐れていた。

 

「だからなんで何時も僕の部屋に来るんだ……。 梨子さんだって嫌でしょうし、異性の部屋とか……」

「嫌というか……何というか、凄いわね……」

 

尚、無爪は「ドンシャインの再放送があるから」ということで一足先に家に帰って来ており、また梨子は無爪の部屋がドンシャインのポスターや武器の玩具、アクションフィギュアやソフビ、DVDなどが大量に置かれている部屋を見て唖然としていた。

 

「しかも特にこれ凄いわね……」

 

その中でも特に目立っているのがアメコミヒーロー映画みたいに部屋に飾られているドンシャインのコスプレ衣装だった。

 

「っていうか無爪くんって千歌ちゃんと一緒に住んでるの!?」

「色々複雑な事情があるもんで……。 っていうか何時まで千歌ねえはふて腐れてるんだ?」

 

無爪が千歌に視線を移すと彼女は未だに頬を膨らませてプリンを勝手に食べられたことを怒っていた。

 

「酷すぎるよ! 志満ねえが東京で買ってきてくれた限定プリンなのに!! そう思わない!?」

「それより作詞を……」

 

梨子はそんな千歌に苦笑しつつ、作詞を考えようと言い出そうとしたのだが、その時彼女の後ろにあった部屋の扉が開いて美渡が現れる。

 

「何時までも取っておく方が悪いんです~!」

 

「べーっ」と美渡は舌を出し、そんな彼女に「うるさい!!」と海老のぬいぐるみを千歌は美渡に投げるのだが……それは見当違いな方に飛んでいき、梨子の顔面に激突。

 

(……フェイ〇ハガーかな?)

「甘いわ!!」

 

さらに今度は美渡が浮き輪を千歌に投げるのだが……それは千歌ではなく梨子の頭の上から首まですっぽりと入り、それに美渡は「やばっ」と呟く。

 

すると梨子その状態のまま立ち上がって美渡に振り返る。

 

「失礼します」

 

梨子はそれだけ言うと扉をピシャっと閉めるのだった。

 

「新手のホラーだこの光景……」

 

そしてその光景を見て苦笑する無爪だった。

 

「さあ、始めるわよ?」

 

そこで梨子は作詞作曲についてのことを始めようとするのだが……。

 

「曜ちゃんもしかしてスマホ変えた!?」

「うん! 進級祝い!」

「良いな~」

 

とこんな風に千歌と曜は作詞作曲に全く関係のないことで話し込んでおり、それに梨子は力強く「ドスン!」っと床を踏み、千歌、曜、無爪は肩を「ビクッ」と震わせる。

 

「は・じ・め・る・わ・よ?」

 

海老のぬいぐるみが顔から外れると物凄く怖い形相で睨むように梨子は千歌達にそう言い放ち、それに千歌、曜、無爪は顔を引き攣らせつつ「は、はい……」と返事をするのだった。

 

そこから作詞は千歌が考えることになり、「どうせなら恋の歌が作りたい!」ということでそれをテーマに作詞を考えようとしたのだが、中々良いのが思い浮かばず、彼女は「う~ん」と悩みながらテーブルの上で突っ伏していた。

 

「やっぱり、恋の歌は無理なんじゃない?」

「嫌だ! μ'sのスノハレみたいなの作るの!」

(スノハレってμ'sの中でもかなりの神曲だし、スノハレみたいなのはハードル高いと思うなぁ)

 

無爪の影の中で話を聞いていたペガはそんなことを思い、梨子がいるので変わりに無爪にそのことを言って貰おうかと思ったが、言ったところで千歌が素直に聞くとは思えないのでペガは取りあえず黙っていることにした。

 

「そうは言っても恋愛経験ないんでしょ?」

「なんで決めつけるの!?」

 

梨子と千歌のその会話に漫画を読んでいた無爪はほんの少しだがピクっと反応し、視線を漫画に向けたまま聞き耳を立てる。

 

またそれに気づいた曜は無爪を見てニヤっとした笑みを浮かべた。

 

「じゃああるの?」

「っ……、それは……」

 

千歌は一瞬、無爪の方を見たあと、梨子の質問に答える。

 

「な、無いけど……」

 

漫画を読んでるフリをして聞き耳を立てていた無爪はその千歌の返答にがっかりとする。

 

(あれ? もしかして千歌ちゃんも割と……)

(なんで高海さんは今無爪くんの方を見たのかしら? ハッ、まさか……!)

 

しかし、そのことに無爪だけは気づかなかったが、曜とペガ、梨子だけはしっかりとそのことに気づいていた。

 

「でも、っていうことはμ'sの誰かがこの曲を作った時、恋愛してたってこと? ちょっと調べてみる!」

 

話を逸らしたい為か、千歌はそう言ってノートパソコンを開くのだが、梨子と無爪はなんでそうなるんだとツッコむ。

 

「でも気になるし!」

「千歌ちゃん、スクールアイドルに恋してるからね」

「本当に……」

 

そこで、今ほど呟いた曜の言葉に梨子は「あっ!」とあることに気がつき、それに続くように曜も今の自分の発言の中に作詞のヒントになるようなものがあることに気づく。

 

「なに?」

「今の話聞いてなかった?」

「スクールアイドルにどきどきする気持ちとか! 大好きって感覚とか!」

「それなら書ける気しない?」

 

曜と梨子の言葉を受けて千歌はハッとなり、彼女は顔をあげる。

 

「成程、スクールアイドルに対しての憧れっていうか愛を書こうってことか」

「そうだねなっちゃん!! 確かにそれなら書ける! 幾らでも書けるよ!! えっと、先ず輝いているところでしょ! それから!」

 

曜と梨子の言葉からヒントを貰った千歌は早速色々と紙に文字を書き込んでいく。

 

そんな楽しそうな千歌の様子を見ながら、梨子は幼い頃の昔のことを思い出していた。

 

『梨子ちゃん、とっても上手ね!』

『だって、ピアノ弾いてると空飛んでるみたいなの! 自分がキラキラしてるの! お星様みたいに!』

 

するとそこで千歌が「はい!」と1枚の紙を梨子に手渡し、彼女はもうできたのかと驚く。

 

「それは参考だよ、私その曲みたいなの作りたいんだ!」

「……『ユメノトビラ』?」

「私ね! それを聴いてね! スクールアイドルやりたいって、μ'sみたいになりたいって本気で思ったの!」

 

そう楽しげに語る梨子は「μ'sみたいに?」と首を傾げて尋ねる。

 

「うん! 頑張って努力して力を合わせて奇跡を起こしていく! 私でも、できるんじゃないかって。 今の私から、変われるんじゃないかって! そう思ったの!」

「本当に好きなのね?」

「うん!! 大好きだよ!!」

 

そして梨子の問いかけに千歌は満面の笑顔でそう答えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから夜、家に帰った梨子は薄暗い部屋の中でベッドにボーっとしながら座っていた。

 

梨子はなんとなくスマホを取り出して動画画面を出し、そこには「ユメノトビラ」と書かれた動画があり、彼女はそれを再生させる。

 

『みんな私と同じようなどこにでもいる普通の高校生なのに、キラキラしてた。 スクールアイドルって 、こんなにも、キラキラ輝けるんだって!!』

 

梨子は千歌と初めて会い、話した時のことを思い出しながらμ'sの「ユメノトビラ」のライブ動画を視聴する。

 

すると彼女はベッドから降りて立ち上がり、自分の部屋に置かれたピアノの元へと向かい、椅子に座り込む。

 

「……」

 

そして彼女はピアノを開いて「ユメノトビラ」の曲をピアノで弾きながら歌い始めたのだ。

 

その時だ、彼女が窓の外を見ると……そこには風呂上がりなのか、頭にタオルを巻いた千歌がこちらを嬉しそうに見つめながら立っていた。

 

それは梨子の部屋と千歌の部屋は丁度向かい合う形となっていたからである。

 

「高海さん!?」

「梨子ちゃん! そこ梨子ちゃんの部屋だったんだ!」

 

梨子はそのことに驚き、梨子は引っ越したばかりで隣が千歌の家の旅館だということに全く気づかなかったらしく、梨子は窓を開けてベランダに出る。

 

「今の『ユメノトビラ』だよね! 梨子ちゃん歌ってたよね!?」

「いや、それは……」

 

梨子はなんとか誤魔化そうとするが……。

 

「ユメノトビラ……ずっと探し続けていた……」

「……そうね」

 

千歌にそう言われ、特に誤魔化す必要もないだろうと思った彼女は観念し、その曲を歌っていたことを認める。

 

「その歌、私大好きなんだ! 第2回ラブライブの……!」

「高海さん!」

 

とそこで梨子が千歌の名前を遮るように彼女の名を呼び、それに千歌は「へっ?」と首を傾げる。

 

「私、どうしたら良いんだろう? 何やっても楽しくなくて、変われなくて……」

「梨子ちゃん……」

 

どこか落ち込んだ様子を見せる梨子、そんな彼女を見て千歌は……。

 

「やってみない? スクールアイドル?」

 

梨子に右手を伸ばし、再び彼女をスクールアイドルへと誘ってみる。

 

「ダメよ! このまま、ピアノを諦める訳には……!」

「やってみて、笑顔になれたら、変われたらまた弾けば良い……! 諦めることないよ! 言ったでしょ? ジーッとしててもドーにもならないって!!」

 

しかし梨子は千歌は本気でスクールアイドルをやろうとしているのに、そんな気持ちで自分が一緒にやるのは失礼だと言って彼女はその場に蹲ってしまう。

 

しかし千歌は……。

 

「梨子ちゃんの力になれるなら、私は嬉しい。 みんなを、笑顔にするのがスクールアイドルだもん」

 

彼女はそう言い放って身を乗り出し、さらに右手を梨子に伸ばすのだが、その際風によって頭に巻かれていたタオルが取れる。

 

「あっ、千歌ちゃん!!」

 

それに気づいた梨子は慌てて立ち上がるが、千歌は変わらず笑みを梨子に向けながら手を伸ばし続けていた。

 

「それって、とっても素敵なことだよ?」

「あっ……」

 

千歌にそう言われて梨子も薄らと笑みを浮かべながら彼女も自分の右手を千歌に伸ばす。

 

しかし、その手は僅かに届かない。

 

「流石に、届かないね……」

 

梨子が手を引っ込めようとした時だ。

 

「待って!! ダメぇ!!」

 

それでも千歌は諦めずに必死に梨子に手を伸ばし、それを見て梨子もさらに手を伸ばす。

 

そして、互いの一差し指が触れ合い、梨子と千歌の2人は嬉しそうな笑顔を浮かべるのだった。

 

「わああ……!」

「はぁあ……! ふふっ♪」

 

 




尚、このドレンゲランはそこまで動きが遅くなく、並みの怪獣くらいにはそれなりに動けます。


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第3話 『ファーストステップ&ゼロ参上』

千歌ちゃん、誕生日おめでとう!!


千歌、曜、そしてスクールアイドルに入ることになった梨子の3人は曲も完成した為、朝から海辺でダンスの振り付けの練習を行っていた。

 

またダンスの練習はどこかズレたところや間違ったところがないかなどの確認の為、スマホで動画も撮影していた。

 

ちなみに無爪はというと、千歌が「なんやかんやで手伝ってくれるなっちゃんだけど、部員でもないなっちゃんをこんな朝早くから起こすのも可愛そうかな」ということで彼は来ていない。

 

そして一通り練習が終わると3人でその動画を見てどこかおかしなところが無いかを確認し、梨子自身はダンスなどは大分上手くなってきた気がしていたのだが……。

 

「でもここの切り上げがみんな弱いのと、ここの動きも!」

 

曜はダンスでの不自然な点を即座に発見し、そんな風に素早く間違いなどを指摘する彼女に梨子は「流石ね」と感心の声をあげた。

 

「高飛び込みやってたからフォームの確認は得意なんだ!」

「リズムは?」

「大体良いけど、千歌ちゃんが少し遅れてるわ」

 

千歌の問いかけに梨子がそう答え、自分がズレていることを指摘されて彼女は頭を抱えて「私かー!!」と嘆く。

 

その時、空を一機のヘリコプターが飛行しているのを千歌が頭を抱えた際に発見し、同じくそれに気づいた梨子は「なにあれ?」と首を傾げる。

 

「小原家のヘリだね?」

「小原家?」

「淡島にあるホテル経営してて、新しい理事長もそこの人らしいよ?」

 

梨子の疑問に曜がそう答えるのだが、直後……ヘリは心なしかなぜかこちらの方に向かって来ているが気がしたが、千歌達はまさかと思ったのだが……。

 

気のせいなどではなかった。

 

ヘリはやはりどう見てもこちらに近づいて来ており、彼女達は「うわああ!!?」と悲鳴をあげて慌ててその場に伏せる。

 

「なになに~!?」

 

するとヘリは千歌達の前に降り立つとヘリの扉が開いてその中から金髪の少女の「小原 鞠莉」が決めポーズをしながらウインクをして現れたのだ。

 

「チャオ~♪」

 

 

 

 

その後、学校の理事長室にて……。

 

そこでは千歌、梨子、曜、無爪の4人が集められており、4人の目の前には自身を「理事長」と名乗る鞠莉の姿があった。

 

「えっ? 新理事長?」

「えっ? でも3年生……ですよね? 制服着てるし」

 

無爪の言うように鞠莉はどう見ても千歌達ともそんなに歳が離れているようにも見えないし、3年生の制服も着ており、一同は自らを理事長と名乗る鞠莉に困惑した様子を見せていた。

 

「イエース!! 気軽にマリーって呼んで欲しいの! 紅茶、飲みたい?」

「あの、新理事長……!」

 

千歌が鞠莉のことを「新理事長」と呼ぶと彼女はムスっとしたふくれっ面となり、鞠莉は千歌に向かってズイっと詰め寄る。

 

「『マリー』だよ!!」

「ま、マリー……」

 

千歌は苦笑しつつ鞠莉が希望する名前で名を呼び、ちゃんと千歌に「マリー」と呼ばれた為か、どこか彼女は満足げな表情を見せる。

 

「その制服は……?」

「どこか変かなぁ? 3年生のリボンもちゃんと用意したつもりだけど~?」

「理事長ですよね!?」

 

やはり千歌も理事長なのになんで制服を着ているのか、本当に彼女が新しい理事長なのか疑問だったらしく、そのことについて戸惑いながらも尋ねる。

 

「しかーっし!! この学校の3年生!! 生徒兼理事長!! カレー牛丼みたいなものね~!」

「成程! 分かりやすい例えですね!!」

「無爪くんそれで理解出来ちゃうの!? 私は例えがよく分からないかな……」

 

自分の隣で鞠莉の言葉を理解する無爪の言葉に梨子は驚きの声をあげるが、梨子の言葉を聞いた鞠莉が困り顔で「えぇ~!? 分からないの~!?」と詰め寄る。

 

「分からないに決まってます!!」

 

その時、いつの間にか理事長室にダイヤが入って来ており、突然現れた彼女に驚いたのか鞠莉は尻餅をつくが……その顔は笑顔のままだった。

 

「生徒会長いつの間に……?」

 

無爪は何時、ダイヤが理事長室に入って来たのか不思議に思いながら頭に疑問符を浮かべる。

 

「オゥ! ダイヤ!! 久しぶり~! 随分大きくなって♪」

 

すると鞠莉はダイヤの姿を見るや否や彼女に抱きついて嬉しそうに頭を撫で回し、ダイヤはそんな鞠莉に呆れた視線を送る。

 

「触らないでいただけますか?」

「胸は相変わらずね?」

 

そう言いながらニヤニヤした笑みで鞠莉はダイヤの胸をワシッと掴み、それにダイヤは慌てて鞠莉を振り払う。

 

「やかましい……!! ですわ……」

「イッツ、ジョーク♪」

「全く、1年の時にいなくなったと思ったらこんな時に戻って来るなんて……。 一体どういうつもりですの?」

 

どこか不機嫌そうにダイヤは鞠莉にそう尋ねるのだが、鞠莉はそんなダイヤの言葉をスルーしてなぜかカーテンを勢いよくバサッと開く。

 

「シャイニー!!」

 

それに怒ったダイヤは鞠莉のリボンを掴みあげてグイっと自分の方へと引き寄せる。

 

「人の話を聞かない癖は相変わらずのようですわね!?」

「イッツ、ジョーク♪」

 

鞠莉は再び笑顔でそう言い放ち、ダイヤは呆れつつもその手を離して鞠莉を解放する。

 

尚、そんな鞠莉とダイヤのやり取りを見て無爪は「鞠莉さんってフリーダムな人だなぁ……」と心の中で苦笑いするのだった。

 

「兎に角、高校3年生が理事長なんて冗談にも程がありますわ!!」

「そっちはジョークじゃないけどね!」

 

その鞠莉の言葉にダイヤは「はっ?」と間の抜けた声が出てしまい、鞠莉はどこからか1枚の紙をダイヤに向かって突き出すように見せるとそこには「任命状」という文字が書かれていた。

 

さらにそれには「浦の星学院三年 小原 鞠莉 殿。 貴殿を浦の星学院の理事長に任命します」とも書き込まれ、判子まで押されている。

 

つまり、これは鞠莉が本当にこの学校の理事長になったことを意味していたのだ。

 

「私のホーム!! 小原家の学校への寄付は、相当な額なの」

「そんな! なんで……!」

 

確かな証拠を見せられたが、ダイヤは未だに信じられないといった顔を浮かべる。

 

「実は、この浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね?」

「まさか……それで?」

 

ダイヤの疑問に鞠莉は「そう!」っと胸を張って答える。

 

「ダイヤに邪魔されちゃ可哀想なので……応援に来たのです!」

「あの、それなら千歌ねえ達がここにいる理由は分かるんですが、なんで僕まで……?」

 

その無爪の問いかけに鞠莉は「ホワッツ?」と不思議そうに首を傾げる。

 

「なんでって、てっきりあなたは彼女達のマネージャー的なやつかと思ったからよ? 色々手伝ってるって聞いたし」

「いや、全然マネージャーとかじゃないんですけどね……。 手伝いとかたまにしますけど……」

「そうなの? なんか残念……」

 

なぜか少し残念そうにする鞠莉に無爪は「一体僕になにを期待してたんだ」と思ったが、あんまり深く考えない方が良いかと思い、取りあえずは気にしないことにした。

 

「それよりも! 応援に来てくれたって本当ですか!?」

「イエース! このマリーが来たからには心配ありません! デビューライブは秋葉ドゥームを用意して見たわ!」

 

そう言いながら鞠莉は手持ちの小型のノートパソコンを開いて秋葉ドームの画像を千歌達に見せる。

 

「ちょっと、それハードル高すぎない!?」

「そ、そうよ! いきなり……!」

 

無爪と梨子はいきなりそんな場所でライブなんてハードルが高すぎると思ったのだが、千歌はその辺は全く気にしておらず、「き、奇跡だよ~!」と感激していた。

 

「イッツ、ジョーク!」

「ジョークの為にワザワザそんなもの用意しないでください」

 

しかし、これも鞠莉のジョークであり、それを聞いて千歌はツッコミを入れ、千歌、梨子、曜、無爪の4人からジトっとした視線を送られる。

 

「実際には……」

 

 

 

 

そうして一同は鞠莉に案内されて連れて来られたのは学校の体育館であり、彼女が言うにはデビューライブの会場はここを使って欲しいとのことだった。

 

「ここを満員に出来たら人数に関わらず部として承認してあげますよ?」

「えっ? ホント!?」

「部費も使えるしね♪」

 

それにに千歌は「やったー!!」と嬉しそうに笑みを浮かべるのだが、そこで梨子が「満員に出来なければ?」と疑問に思ったことを彼女に尋ねる。

 

「その時は解散して貰うほかありません」

「えっ、そんなぁ……」

 

鞠莉のその言葉を聞いて千歌は今度は少し不安な表情になる。

 

「嫌なら断ってくれても結構ですけど……? どうします?」

 

ニヤリとした笑みで鞠莉は千歌達に視線を送り、曜も体育館は結構な広さであるため、ここを満員に出来るかどうかは微妙であると感じ、「やめる?」と千歌に問いかけるが……。

 

「やめない!! 他に手がある訳じゃないんだし!!」

「まぁ、数少ないチャンスだし、ジーッとしててもドーにもならないもんね、千歌ねえ?」

 

無爪の言葉を受けて千歌は「うん!!」と力強く頷き、それに同意するように曜と梨子も頷くのだった。

 

「OK、行うということで良いのね……?」

 

鞠莉はそれだけを言い残して体育館から立ち去って行くのだが、その時、梨子があることに気づいた。

 

「待って! この学校の生徒って、全部で何人?」

「えっと~……あっ!」

 

梨子の問いかけに対して曜は少し考え込んだ後、すぐにあることに気づくのだが、千歌と無爪はイマイチ分かっていないらしく、首を傾げる。

 

「分からない? 全校生徒全員来ても……ここは、満員にはならない……」

「そういうことか……。 あの理事長、多分分かっててあんなこと言ったな……」

 

 

 

 

その後、4人は学校の授業も終わって帰りのバスに乗っていたのだが、千歌は窓の外を見ながら「どうしよう……」と今後のライブのことで頭を悩ませていた。

 

「でも、鞠莉さんの言うことも分かる。 それくらい出来なきゃ、この先もダメということでしょ?」

「ラブライブみたいな大きな大会を目指すなら尚更だよね? これが成功してもまだ小さな一歩ってことだし」

 

実際にこれくらいやってのけなければこの先到底スクールアイドルなんてやっていけないだろうし、梨子も無爪も鞠莉の出した課題はそういうことなのだと理解していた。

 

「やっと曲が出来たばかりだよ? ダンスもまだまだだし!」

 

すると曜と無爪は苦笑しながら顔を見合わせると千歌にある言葉を投げかける。

 

「「じゃあ諦める?」」

「諦めない!!」

 

曜と無爪のその言葉を聞いて千歌は拳を握りしめて逆にやる気を出す。

 

「なんでそんな言い方するの?」

 

そこで梨子はその言葉を聞いて少しキツい言い方をした2人にどことなく不満そうな顔をするが、曜と無爪曰く「こう言った方が彼女は燃えるから」とのことで実際に千歌はいかにもやる気満々といった表情を浮かべていた。

 

すると彼女は何かを思いついたのか突然「そうだ!!」と言って立ち上がり、そんな千歌を見て曜は「ねっ?」と視線を梨子に送る。

 

 

 

 

 

 

「お願い!! いるでしょ、従業員?」

 

家の旅館に帰った千歌は居間でテレビを見ながらくつろぐ美渡にプリンを差し出して彼女が勤務している会社の従業員を今度のデビューライブに誘って欲しいと頼み込んでいた。

 

ちなみに曜、梨子、無爪は今は千歌の部屋で待機している。

 

「そりゃいることはいるよ?」

「何人くらい?」

「本社も入れると……200人くらい?」

 

それを聞いて千歌はぱあっと明るい表情を浮かべて自分達が制作したポスターを美渡に見せる。

 

「あのね! 私達来月の初めにスクールアイドルとしてライブを行うことにしたの!」

「スクールアイドル? アンタが?」

 

美渡は千歌の言葉を聞いて思わず笑ってしまうが千歌はそれにムスっとしつつもそれでも会社の人200人ほど誘って彼女にも来て欲しいとお願いするのだが……美渡は呆れたような表情を浮かべる。

 

「むっ、満員にしないと学校の公認が貰えないの!! だからお願い!!」

 

千歌は両手を合わせて改めて美渡にそうお願いするのだが、美渡はテーブルの上にあったマジックペンを手に取り……千歌の額に「バカチカ」と書き込むのだった。

 

 

 

 

「むぅ~、おかしい……! 完璧な作戦の筈だったのに!」

 

それから美渡に追い返された千歌は自分の部屋に戻り、濡れティッシュで額の文字を消そうと拭きながらそんなことをボヤく。

 

「普通そうなる」

「うん、私もお姉さんの気持ちも分かるけどね~」

 

無爪と曜も美渡の気持ちは分かるし、むしろ断られる可能性の方が高いのでこうなる結果は何となく分かっていた。

 

そんな2人に対して千歌は「えぇ!? 2人ともお姉ちゃん派!?」と驚きの声をあげるが……そこで彼女は一緒に来ていた筈の梨子がいないことに気づき、曜に尋ねるとお手洗いに行ったそうだ。

 

尚、その梨子はというと現在……千歌の部屋のすぐそこの廊下でしいたけが眠って道を塞いでいた為、彼女はしいたけを避けようとして襖と手すりに手と足をかけて移動しようとしていた。

 

「ぐぐぐ……!」

 

するとそこで襖が開いて千歌と無爪が顔を出し、そこでそんな梨子の今の状況に2人は気づく。

 

「あれ? そんなとこで何やってんの?」

「ストレッチ……?」

「違うわよ!」

 

それよりも今は先ず人をどうやって集めるかを考えなければならないのが先決だと曜は言い、千歌も腕を組んで考え込む。

 

「なっちゃんは何か良い案ない?」

「うーん、町内放送とかは? 頼めばできるんじゃない?」

 

それを聞いて千歌も「成程!」と無爪の意見に納得し、曜も「確かにそれならいけるかもね」と呟く。

 

あとは高校がいっぱいあるのでスクールアイドルに興味ある高校生もいっぱいいるだろうと考えて沼津にでも行って宣伝するのもありかもしれないと千歌は意見を出し、取りあえず人を集めるためにやることは大体決まった。

 

その際、丁度力の限界が来た梨子は手と足を手すりと襖から滑らせて「ひいいい~!!」と悲鳴をあげてしいたけの上に落っこちてしまうのだった。

 

 

 

 

翌日、学校の終わりに千歌、梨子、曜、無爪の4人は沼津駅にチラシを持ってライブの宣伝をするために訪れていた。

 

「東京に比べると人は少ないけど、やっぱり都会ね~」

「そろそろ部活終わった人達が来る頃だよね?」

「よーっし、気合い入れて配ろう!!」

「っていうか、やっぱり僕も付き合わされるのね……」

 

上から梨子、曜、千歌、無爪の順で喋り、千歌は右腕を上げ気合いを入れてチラシ配りを開始。

 

「あの! お願いします!!」

 

したのは良いのだが……千歌はチラシを帰宅中の2人の女子生徒に配ろうとしたが、見事にスルーされてしまう。

 

「意外と、難しいわね……」

「こういうのは気持ちとタイミングだよ! 見てて!」

 

曜は梨子にそう言った後、すぐに先ほどとはまた別の女子生徒2人を発見して下から顔を出すようにしてその2人の目の前に現れ、チラシを配る。

 

「ライブのお知らせでーす!! よろしくお願いしまーす!!」

「ライブ?」

 

すると女子生徒の1人はチラシを受け取り、もう1人の女子生徒は「あなたが歌うの?」と尋ねると曜は「はい!」と元気よく挨拶しながら「来てください♪」と敬礼する。

 

「日曜か~、行ってみる?」

「よろしくお願いしまーす!!」

 

そしてその光景を見て梨子は思わず「す、すごい……」と呟くのだった。

 

「コミュ力お化けだね、曜ねえ……」

「よーし私も!!」

 

もう1度気合いを入れ直した千歌は眼鏡をかけた、気弱そうな女子生徒に右手で「壁ドン」をして左手でライブのチラシをその女子生徒に見せる。

 

「ライブやります、是非……」

「えっ、でも……」

「是非……!」

 

すると千歌はキリッとした表情と声を出してその女子生徒に顔を近づけ、女子生徒は戸惑いつつもチラシを受け取ってその場から逃げるように去って行くのだった。

 

ちなみにそれを見ていた無爪はなぜか羨ましそうな視線を千歌に送っており、梨子はそんな無爪を見て「なんで羨ましそうに見てるの?」と疑問に思うのだった。

 

「勝った!」

 

そう言いながらガッツポーズを決める千歌、またその一部始終を見ていた曜は無爪と千歌を交互に支線を送り、何かを思いついたのかニヤリとした笑みを浮かべる。

 

「千歌ちゃん千歌ちゃん! ちょっと!」

 

曜は手招きしながら千歌の名を呼び、彼女「なぁに~?」と素直に曜の元に行くと彼女はゴニョゴニョと千歌にあることを耳打ちし、それを聞いた千歌は「よし!」と笑みを浮かべると彼女はジッと無爪の方へと顔を向ける。

 

「えっ、な……なに? なんか怖いんだけど……」

「あの2人何を企んでるのかしら……?」

 

すると千歌はドシドシと大きな足音を立てながら無爪の方へと歩いて行き、それに驚いた無爪は後ろ歩きで後方へと下がっていくのだが……すぐそこには壁があった為それ以上下がることはできず、千歌は「フフッ」と不敵な笑みを浮かべると……。

 

そのまま「ドン!!」っと無爪に壁ドンしたのだった。

 

「ふぁっ!?」

 

それに驚きつつも無爪は顔を赤くして少し嬉しそうだった。

 

「えへへ、驚いた~? 曜ちゃんがなっちゃんにもこれやればなっちゃんが喜ぶって言われたからやってみたんだけど……」

(ま、まさかの逆壁ドン……!?)

 

しかし、それだけには留まらず、千歌は再び不敵な笑みを浮かべてキリっとした表情を見せながら無爪の顎をクイっとあげる。

 

「ちょ、ちょっ……ちちちちちち、千歌ねねねねね……!!」

 

顔を真っ赤にして頭から湯気を出す無爪に曜はお腹を押さえて笑っており、また梨子はそんな2人を見て彼女も顔を赤くしつつも「千歌ちゃんの顎クイ……」と小さく呟いていた。

 

「よし、また勝った!!」

 

そして無爪を解放し、又もやガッツポーズを決めて誇らしげにする千歌。

 

「って勝負してどうするの!?」

 

と梨子がそこでツッコミを入れる。

 

最もなツッコミである。

 

「次、梨子ちゃんだよ!」

「えっ、私!?」

 

しかし千歌に突然そんなことを言われて梨子は戸惑ってしまう。

 

「当たり前だよ! 3人しかいないんだよ!」

「それは、分かってるけど……ってん? 3人?」

 

そこで梨子はここには自分、千歌、曜、無爪の4人で来た筈なのだが……なぜかチラシ配りをする人数が1人減っており、彼女は辺りを一旦見回すとそこには先ほどの千歌の「壁ドン&顎クイコンボ」が余程効いたのか、未だに頭から湯気を出して目を回してダウンしている無爪の姿があるのだった。

 

「ちょっ、無爪くん思いっきりダウンしてるじゃない!! 千歌ちゃんのせいで!!?」

「えぇ!? 私のせい!? それを言うなら元々曜ちゃんが……」

 

千歌と梨子は曜の姿を探すと彼女は既にチラシ配りの作業に戻っており、一生懸命頑張っている姿を見たら怒るに怒れなかった。

 

「はぁ、こういうの苦手なのに……」

 

そして意を決した梨子はチラシを手に取って堂々と宣伝を行う。

 

「あの! ライブやります!! 来てね……!」

 

映画のポスターに対して。

 

「……何やってるの?」

 

ごもっとも。

 

「練習よ、練習!」

「練習してる暇なんてないの! さあ!!」

 

千歌は素早く梨子の背後に回り込んで慌てる彼女の背中を押す。

 

「えっ? あっ、えっ? 千歌ちゃん!?」

 

その際、まだ春だというのにコートを着て、サングラスとマスクをつけたいかにも不審者なスタイルをした少女とぶつかりそうになってしまう。

 

「あっ、すいません!」

 

すぐさま謝る梨子だが、すぐにハッとしてこの際チラシを渡そうと思ったのか彼女は「あ、あの、よろしくお願いします!!」と戸惑いながらもチラシを不審者少女に渡す。

 

「うぅ……」

「……あの……」

 

しばらく受け取るかどうか悩んだような素振りを見せた不審者少女は最終的に梨子の持っていたチラシを受け取り、そのまま彼女は逃げるように走って行くのだった。

 

「受け取ってくれた……!」

 

それに梨子は嬉しそうな笑顔を見せる。

 

「あの人……どっかで見たような……」

 

またその光景を少し離れた位置で見ていた曜は先ほどの不審者少女に見覚えがあったのだが、思い出せず、取りあえず今はチラシ配りに専念しようと通りかかった人にそれを渡そうとするのだが……。

 

「アレ? 曜ちゃん?」

「へっ?」

 

そこにいたのは、ガタイがよく、物凄く厳つい顔をしたヤクザみたいな怖い顔つきの男性が立っていた。

 

「……んっ? はっ、ち、千歌ちゃん!! 大変!! 曜ちゃんがなんだか怖い人に絡まれてるわ!!」

 

また、それを見た梨子は曜がそのヤクザみたいな顔の男性に絡まれているところを目撃して慌てて千歌を呼ぶ。

 

「えぇ!?」

「ってアレ、レイジさんじゃないの?」

 

のだが、どうやら千歌や無爪の知人らしく、梨子は彼女のその言葉を聞いて「えっ?」と首を傾げた。

 

「ホントだ! あの人は『渡辺 レイジ』お兄ちゃん、曜ちゃんの従兄だよ!!」

「えっ、そうなの!?」

 

千歌のその言葉に梨子は驚きの声をあげる。

 

「もう、静岡まで帰って来てるんなら連絡くらいしてくれれば良かったのに……」

「ごめんね? 曜ちゃんを驚かせようと思って……」

 

再び場面は「渡辺 レイジ」と呼ばれた男性と曜が会話しているところに戻り、レイジは静岡県出身なのだが現在は東京の学校で教師として働いており、今回は少し長めの休暇が取れたのでこちらに戻って来たのだという。

 

「へぇ~、スクールアイドルやるんだね、曜ちゃん。 うん、曜ちゃんは可愛いし、人気者だからきっと人気出るよ、そのスクールアイドル!」

「うん!! それに千歌ちゃんや、東京からやってきた梨子ちゃんって娘と一緒に今度ライブやるんだ!! レイジ兄ちゃんも見に来れたら来てみてよ!」

 

曜はそう言いながらレイジにチラシを受け渡し、それを手に取った彼は「うん」と頷き、彼女の頭を撫でる。

 

「頑張ってね? 僕も応援してるから」

「えへへ♪ 頑張るであります!」

 

曜は頭を撫でられて嬉しそうにしながら敬礼し、レイジは「それじゃ、僕はこれから行くところがあるから」とだけ伝えて彼は千歌や無爪にも軽く挨拶した後、その場を去って行き、曜はそんなレイジに「バイバーイ!」と手を振って別れるのだった。

 

それから一同はチラシ配りを再開するのだが、しばらくすると千歌が花丸とルビィが一緒に歩いているのを発見。

 

「あっ、花丸ちゃーん!!」

 

千歌は手を振りながら花丸達の元へと駆け寄り、それを見てルビィは慌てて花丸の後ろに隠れる。

 

そして千歌は彼女にも「ライブ来てね?」と花丸にチラシを渡し、その言葉を聞いて反応したのか、花丸の後ろに隠れていたルビィが食いつくように飛び出して来た。

 

「やるんですか!?」

「えっ……?」

 

しかし、すぐに気恥ずかしくなったのか、ルビィはまた花丸の後ろに隠れてその場に膝を抱えてしゃがみ込んでしまう。

 

「絶対満員にしたいんだ? だから来てね? ルビィちゃん?」

 

千歌は優しい口調でルビィにチラシを渡し、その様子を見ていた無爪はというと……。

 

「……姉の嫌いなものを自分も嫌わないといけない……かっ」

 

今の光景に何か思うことがあったのか、彼はそんなことを呟いていた。

 

それから千歌はまだチラシを配らないといけないからと別れを告げて立ち去ろうとするのだが、そこでルビィに「あ、あのぉ!!」と呼び止められる。

 

「えっ?」

「ぐ、グループ名は……なんて言うんですか!?」

「グループ……名?」

 

千歌はルビィに言われてそこで未だにまだ自分達のスクールアイドルのグループ名を考えていないことに気づき、彼女は「あっ……」と小さく呟いた。

 

「やれやれ、千歌ねえらしいと言えばらしいけど……」

 

そして近くで話を聞いていた無爪も千歌に呆れて溜め息を吐くのだった。

 

すると……その時のことである。

 

突如、上空に赤黒い光が現れ、その光はやがてウルトラマンにも酷似した姿……「ダークロプスゼロ」となって地上に降り立ったのだ。

 

「うわあ!? なにあれ!? ウルトラマン……?」

 

突然現れた千歌達ははダークロプスゼロに驚くが……、無爪は直感からか、ダークロプスゼロがすぐにウルトラマンではないことを感じ取った。

 

「違う、アレはウルトラマンじゃない!! 千歌ねえ達は早く逃げて!!」

「あっ! なっちゃん!!」

 

無爪は千歌達にそれだけを言うと彼はすぐさまどこかへと走り出し、またダークロプスゼロは腕をL字に組んで放つ必殺光線「ダークロプスゼロショット」を放って1つのビルを粉々に破壊した。

 

「ピギャアアアア!!?」

 

突然の出来事にルビィは驚きの声をあげ、千歌は「みんな兎に角逃げよう!!」と言って彼女は曜、梨子、ルビィ、花丸を連れてすぐにその場から走り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

数十分前の宇宙……。

 

そこでは突如、丸い穴のようなものが開き、その中から銀色の鎧「ウルティメイトイージス」を纏った戦士「ウルティメイトゼロ」が姿を現した。

 

だがゼロは「うぐっ……!?」っと苦しそうな声をあげた後、ウルティメイトイージスは「ウルティメイトブレスレット」というブレスレットに変形。

 

ゼロの左腕に装着されるのだがブレスレットには所々に亀裂が入っており、ゼロはブレスレットをジッと見つめる。

 

『ありがとよ、ウルティメイトイージス……。 調子が戻ったらその内直してやるからな』

 

そしてゼロは視線を別の方向へと映すと、そこには1つの地球があった。

 

『キングの爺さん、久しぶりだな。 俺の声聞こえてるか?』

 

その後、ゼロは人目のつかないところで地球人としての姿……「モロボシ・ラン」へと変わって地球に降り立ち、彼はかつてのクライシス・インパクトで街に何か影響が出ていないか確認するため、歩き始めるのだが……。

 

「ぐっ……!? 地球人の姿になっても、身体へのダメージはやっぱり残ったままか……」

 

ランは古傷を押さえつつも再び歩き出し、しばらく街を歩いているとビルに設置された巨大なテレビ画面にのニュースでスクールアイドルと思わしき少女達の特集が取り上げられており、その中には現役時代のμ'sの姿も確認でき、ランはそれを見て少し驚いた様子を見せる。

 

「ありゃ、穂乃果達か? 成程な、この世界はどうやら、オーブのところと似た世界らしいな。 だがこの世界にも穂乃果達までいるとは驚いた……。 まぁ、アスカやコウマのどちらの世界にも響達とかがいたし、不思議じゃないか」

 

そう呟きながらランがまた歩き始めようとしたその時、突如として黒い光のようなものがどこからか放たれ、ダークロプスゼロが出現。

 

ダークロプスゼロは現れてすぐさま街を破壊しながら歩き始める。

 

「アイツは……ダークロプスゼロ!?」

 

それに以前対戦したことのあるダークロプスゼロを見てランは驚きの声をあげる。

 

さらにランはダークロプスゼロが元々はベリアルが作った「ダークロプス」というロボットだったことから、彼はまさかベリアルが生きているのかと考え、真相を確かめる為にもランはゼロに変身しようと変身アイテム「ウルトラゼロアイNEO」を取り出すのだが……。

 

『ウルトラマンジード! プリミティブ!』

 

そこに、ダークロプスゼロに対抗するため無爪が変身した「ウルトラマンジード プリミティブ」が現れ、ジードはジャンプして勢いをつけて拳をダークロプスゼロに叩き込む。

 

『ぐぅ!? いったぁ~!!? ってか硬い……!』

 

しかし、ジードはダークロプスゼロの予想以上の硬さに手をブンブン振り、その隙にダークロプスゼロはジードの肩を掴んで胸部を殴りつける。

 

『ウグァ!!?』

「アレは……! あの目は、ベリアル……!? いや、似ているが……違う……?」

 

ランはジードを見て一瞬自身の宿敵でもあるベリアルかと思ったが……。

 

ジードからはベリアルほど邪悪な気配を感じなかった為、即座にジードがベリアルではないことを理解した。

 

そしてジードは今度はダークロプスゼロに蹴りを入れようとするのだが、ダーロプスゼロは膝を曲げてそれを受け止め、ジードの右肩にチョップを叩きこむ。

 

『グア!?』

 

さらに続けざまにダークロプスゼロは2回連続で拳をジードに叩き込み、最後に腹部にストレートキックを炸裂。

 

『ウワアア!!?』

 

蹴り飛ばされ倒れるジードだが、なんとか立ち上がってジャンプし、ダークロプスゼロの背後に回り込むと後ろから掴みかかってバックドロップを決める。

 

『オリャアア!!』

 

それを喰らいながらもダークロプスゼロはなんとかすぐにジードから離れ、多少はダメージはあったのか若干フラつく。

 

しかしダークロプスゼロはすぐに体勢を立て直し、単眼から発射する破壊光線「ダークロプスメイザー」をジードへと撃ち込む。

 

『ウルトラマンジード! トライスラッガー!』

 

それに対してジードは「トライスラッガー」となるとジードは3つのアイスラッガーを操って扇風機の容量で光線をかき消そうとするのだが……ダークロプスメイザーはそれを撃ち破ってジードに直撃する。

 

『シェアアア!!!?』

 

火花を散らして倒れ込むジード、ジードはアイスラッガーの1つを頭部に戻した後、なんとか立ち上がって2つのアイスラッガーを両手に持ってダークロプスゼロに向かって接近。

 

それに対してダークロプスゼロも頭部の2本のブーメランである「ダークロプスゼロスラッガー」を両手に持ち、ジードはアイスラッガーを素早く振るうのだが……ダークロプスゼロはトライスラッガーの素早さにもついて行き、ジードのアイスラッガーによる攻撃をことごとく防ぐ。

 

「姿が変わった……。 アレはまかさ、ウルトラカプセル……? アイツが持ってるのか?」

『グッ、こいつ……硬いだけじゃなくて動きも読んでくる……!』

 

先ほどはドレンゲランの時と同じようにアイスラッガーでジードは相手の関節を狙おうとしたのだが、ジードの言うようにダークロプスゼロはこちらの動きを読んでくるため、ドレンゲランと同じようにはいかなかった。

 

さらにダークロプスゼロがジードの攻撃を次に受け流すと近距離からダークロプスメイザーが放たれて直撃し、直撃を受けたジードは膝を突き、ダークロプスゼロはジードにトドメを刺そうとダークロプスゼロスラッガーを振り上げる。

 

しかし、その時、ジードにトドメを刺そうとするダークロプスゼロを見てランはウルトラゼロアイNEOを目に装着する。

 

「デュア!!」

 

するとランは「ウルトラマンゼロ」へと変身し、ダークロプスゼロとジードの間に割り込むようにして現れる。

 

『お前等2人には色々と聞きたいことがある……! 先ずはダークロプスゼロ! なんでテメーがいる!? ベリアルは生きているのか!?』

 

しかし、ダークロプスゼロはゼロの問いかけには答えず、敵意だけを向けてダークロプスゼロスラッガーを構えて襲いかかってくる。

 

『なんとか言えよコノヤロー!!』

 

それに対してゼロも反撃しようと駆け出して行く。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロ アクション」

 

ダークロプスゼロはダークロプスゼロスラッガーを振るって攻撃するがゼロはそれを頭をしゃがめて回避し、後ろに回り込む。

 

それに気づいたダークロプスゼロは即座に振り返りざまにダークロプスゼロスラッガーを振るうが、ゼロはそれを受け流し、ダークロプス腹部に連続で拳を叩き込む。

 

『デヤアア!!』

 

ダークロプスゼロは一度後退してゼロから距離を取ると額のビームランプから放つ光線「ダークロプスゼロスラッシュ」を放つがゼロはジャンプしてそれを躱し、そのまま右足に炎を宿した跳び蹴り「ウルトラゼロキック」を急降下キックの容量でダークロプスゼロへと叩きこむ。

 

『ウルトラゼロキック!!』

 

それを喰らって身体から火花を散らしてよろめくダークロプスゼロだが……、その時、クライシス・インパクトの時のダメージによってゼロは一瞬苦しそうな声をあげて胸の辺りを右手で押さえる。

 

その隙にダークロプスゼロは腕をL字に組んで放つ必殺光線「ダークロプスゼロショット」を発射。

 

それに対抗するようにゼロもすぐさま左腕を伸ばした後、腕をL字に組んで放つ必殺光線「ワイドゼロショット」を放つ。

 

『ワイドゼロショットォ!!』

 

2人の光線がぶつかり合うが……ゼロの方が威力が上だったらしく、ダークロプスゼロの光線はアッサリとかき消されてゼロのワイドゼロショットがダークロプスゼロに直撃。

 

完全に倒せなかったもののかなりのダメージを受けたダークロプスゼロは部が悪いと思ったのか、ゼロに背を向けてその場から飛び去ってしまう。

 

『逃がすかよォ!!』

 

しかし、ゼロは逃がすまいと頭部の2つのブーメラン「ゼロスラッガー」を胸部のカラータイマーの左右に装着し、エネルギーをチャージしてそこから放つ強力な光線「ゼロツインシュート」を逃げようとするダークロプスゼロに発射。

 

『ゼロツインシュート!!』

 

そしてダークロプスゼロはゼロツインシュートの直撃を受けて空中で爆発し、完全に破壊されるのだった。

 

『はぁ、はぁ、流石に身体へのダメージはそれなりにあるせいで何時もよりは上手く戦えねえな……』

 

するとゼロは話を聞こうとジードの方へと振り返り、肩で息をするジードにゼロは「おい、大丈夫か?」と声をかけるのだが……。

 

『うぅっ……! あなたは……?』

『あっ、オイ!!』

 

そのままジードはその場に倒れ込み、それと同時に変身が解除されて無爪の姿へとジードは戻ってしまう。

 

そんな倒れ込んだ無爪の元に「大丈夫!?」と声をかけながら心配そうにペガと千歌が駆けつける。

 

『……仲間がいるのか?』

『い、行こう無爪!』

 

今は無爪の身体を安静にさせるべきだと考えたペガは取りあえずはゼロのことは置いておいて一旦秘密基地の「星雲荘」に行こうということで一同はその場を離れ、ゼロは「オイ!」と声をかけようとするのだが、その時……ゼロの目に崩れ落ちそうなビルが彼の目に飛び込んできた。

 

そしてビルが崩れて瓦礫が1人の小学生の少年目がけて降り注ごうとし、それをあのレイジという1人の男性がその少年の元に「危ない!!」っと駆け出そうとするのだが……。

 

その際、足下にあった「バナナの皮」に気づかず、レイジはそれを踏んづけてツルっとその場に盛大に倒れ込んでしまったのだ。

 

「うわあああ!!?」

 

しかも運の悪いことにバナナの皮を踏んづけてしまったことで道路にいきなり飛び出した形となり、1台の運転中のトラックと衝突してしまうのだった。

 

 

 

 

それからしばらく経った後の星雲荘にて……。

 

「いやぁ、曜ちゃんや梨子ちゃんに色々と誤魔化すの大変だったね? 私も途中で2人とはぐれちゃってなっちゃんを探しに行っちゃったから後で合流した2人から怒られるし」

「うん、今度からもう少し心配かけないようにしないとね……」

 

今は無爪は傷を癒やすことと倒されたとはいえ念のために敵の情報を知ること、そしてあのウルトラマンゼロについてのことを知るために、無爪、千歌、ペガはこの場所に訪れており、先ずはレムに頼んでゼロのことを調べて貰うことにした。

 

「っていうか、私、初めてこの秘密基地に来たけど凄いね~! カッコイイ!!」

 

千歌は興味深そうに辺りを見回し、それに対して無爪は「でしょ!」と言ってどこか自慢げな表情を浮かべる。

 

『あっ、2人とも! データ出たみたいだよ!』

 

ペガの声を聞いて無爪と千歌の2人は部屋の中央に出されたモニターに視線を送り、そこではゼロが今日戦ったダークロプスゼロと戦闘を行っている映像が映し出されており、レムはゼロについての説明を行う。

 

『彼の名前はウルトラマンゼロ、ベリアルと敵対するウルトラの星の戦士です』

「えっ? ってことは、僕のこと捕まえに来たのかな……? 僕が、ベリアルの息子だから……」

 

レムの話を聞いて無爪は不安な気持ちになるが、そんな無爪の気を使ってか千歌は「大丈夫!!」と言って無爪の両手を握りしめる。

 

「なっちゃんは何も悪いことなんてしてないもん!! 捕まる理由なんかないし、例えそうだとしても私がどうにかゼロに話を聞いて貰えるように説得する!!」

「う、うん……! ありがとう、千歌ねえ……。 でも、あの……」

 

両手を握られ、顔を赤くしてドギマギする無爪に千歌はキョトンっとした表情をしながら不思議そうに首を傾げる。

 

「あ、あの……! その、なんていうか、手を握られるのちょっと恥ずかしいっていうか……」

「あっ……」

 

無爪にそう言われて彼の両手を握りしめている自分の両手に視線を送り、そこで彼女は急に恥ずかしくなったのか千歌はパッと急いで手を離し、「あ、あははは!」と笑って誤魔化す。

 

「ご、ごめんね?」

「い、いや……」

 

ただ手を離された無爪はどことなく名残惜しそうにしており、同時にまた「千歌ねえの手、柔らかかった……」などと考えていたりするのだった。

 

『ところでアレは? ウルトラマンゼロに似てる! 親戚かな?』

「いや、親戚だったらゼロが倒すのおかしくない?」

 

ペガがダークロプスゼロの方へと指差すとレムはすぐにダークロプスゼロのことについての解説を行う。

 

『ダークロプスゼロ、かつてゼロを模して作られたロボット兵器です』

「成程、通りで硬い訳だ……。 しかもドレンゲランと違って機動性は高いみたいだし、あの時みたいに関節を狙うのは難しかったよ」

 

取りあえず、何にしてもゼロがダークロプスゼロが倒してくれたおかげでファーストライブのことにも心置きなく集中できるし、しばらくは大丈夫かもしれないということで千歌はライブのことは自分達に任せて無爪は寝て傷を治すように言い、彼を寝かしつけるのだった。

 

「なんだったら眠れるまで子守歌でも歌ってあげようか?」

 

「ニシシ♪」とからかうように笑う千歌に無爪は「いらないよ!」とふて腐れたように言い返す。

 

「第一、僕もうそんなに子供じゃないし!!」

「まぁ、何にしてもしばらくはここで休んでて。 それじゃ私は梨子ちゃん達と一緒にグループ名考えなくちゃいけないから!」

 

千歌はポンポンっと無爪の頭を軽く撫でたあと、彼に手を振ってからエレベーターに乗り、地上へと戻るのだった。

 

 

 

 

とある病院にて……。

 

そこでは少年を助けようとトラックに轢かれ、瀕死の重傷となったレイジが運び込まれており、彼の命はもう長くは持ちそうには無かった。

 

「ご家族にはもう連絡した?」

「いえ、まだ……」

「ちょっともう、急がないと!」

 

病院の看護師達がそんな会話をしているとレイジの前に周りには見えないようにしたゼロが現れたのだ。

 

『見てたぞ? お前は少年を助けようとした。 顔は怖いけど良い奴じゃねえか、気に入ったぜ』

 

ゼロはそう言い終わった後、彼の命を救うためにゼロはレイジの身体の中へと入り、レイジとゼロは同化……。

 

すると、ゼロがレイジと同化したことにより、彼の負っていた傷は瞬時に回復し、一気に生命力の戻った彼は突然パチリと目を覚まし、起き上がった。

 

「あ、あれ!? えっ!? なに!? ここは!?」

 

突然起き上がったレイジに看護師達は驚き、「きゃああ!?」と悲鳴をあげるが……そんなことは露知らず、レイジは自分の腕時計を見て「ヤバい!?」と言って病院を飛び出すのだが……。

 

「あれ? なんだこれ?」

 

その時、胸の内ポケットに違和感を感じたレイジは変わった形をしたメガネのようなアイテムを取り出すのだが……すぐに今はこんなことをしている場合ではないと考え、近くのタクシー乗り場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

夕方、海辺にて……。

 

そこでは準備運動をしながら自分達スクールアイドルのグループ名のことを話し合っている千歌、梨子、曜の3人の姿があった。

 

「まさか忘れてたなんて……」

 

梨子が呆れた様子で言うが……。

 

「梨子ちゃんだって忘れてた癖に!」

 

と千歌も言い返す。

 

「兎に角、早くグループ名を決めなきゃ!」

「そうだよねぇ……。 どうせなら、学校の名前が入ってる方が良いよね? 『浦の星・スクールガールズ』とか?」

 

しかし、そのグループ名には「まんまじゃない!」が梨子がツッコミを入れて却下。

 

すると千歌は「じゃあ、それなら梨子ちゃんが決めてよ」と無茶ぶり気味なことを言われて梨子は「えっ!?」と一瞬戸惑う。

 

「そうだね! ほら、東京で最先端の言葉とか!」

「そうだよそうだよ!」

 

曜と千歌に言われて梨子は「えーっと」と呟きながら少し考え込む。

 

「じゃあ、3人海で知り合ったからスリーマーメイドとか……?」

 

少し自信なさげな様子で梨子はそうグループの名前の案を出すのだが……。

 

あまりにもあんまりなネーミングだったのがいけなかったのか、千歌と曜はスルーして準備運動に戻る。

 

「待って! 今の無し!!」

 

それから3人は体力作りのジョギングを行いながら話の続きをし、千歌は曜にもなにか良い名前が無いかと尋ねるのだが……。

 

「『制服少女隊』!! どう?」

 

曜はそう言いながら自信ありげに敬礼しながら提案するのだが、千歌と梨子からは「無いかな?」「そうね」と見事に却下され、却下された曜は「えぇー!?」と驚きの声をあげてショックを受ける。

 

それから3人は砂浜に木の棒で色々なグループ名を考えては書き込んで行くのだが、やはり良いのが無く、中々決まらなかった。

 

「ねぇ、無爪くんにも電話で聞いてみたら? ほら、無爪くんってヒーロー好きだからカッコイイ名前の案とか出るかも……」

 

梨子は無爪にもグループ名を考えるのを協力して貰ってはどうだろうかと言うのだが、それには曜も千歌も反対だった。

 

「無理無理、なっちゃんに頼んだらそれこそスクールアイドルとは思えない名前になるよ。 ドンシャインに因んで『爆裂アイドル戦記』とかいう名前になるよ絶対」

「うんうん、他にもなっちゃんが考えそうなのは超人機なんたらとか特警なんたらとかになるよ多分」

 

千歌と曜のその説明に梨子は「成程、確かにあり得るかも……」と納得し、結局無爪に頼む案も無くなってしまう。

 

「こういうのはやっぱり言い出しっぺがつけるべきよね?」

「賛成!!」

 

と梨子と曜が言いだし、千歌は「戻ってきた!?」と頭を抱える。

 

「じゃあ制服少女隊でも良いって言うの!?」

「スリーマーメイドよりは良いかな……?」

「それは無しって言ったでしょ!?」

「だってぇ~」

 

千歌と梨子がそんな会話をしていると不意に千歌はすぐ近くに書いてあった名前に気づいて視線を送り、それに釣られるように梨子と曜も千歌と同じ方向へと視線を向けるとそこには砂の上に「Aqours」と書かれた文字があったのだ。

 

「これ、なんて読むの? えーきゅー、あわーず?」

「アキュア……?」

「もしかして『アクア』?」

 

曜の言葉に梨子は「水ってこと?」と尋ねると彼女は「うん」と頷く。

 

「……水かぁ。 なんか、よくない? グループ名に!」

「これを!? 誰が書いたのか分からないのに……」

 

千歌の意見に梨子は少し不満げな様子を見せるが……千歌曰く「だから良いんだよ!!」とのこと。

 

「名前決めようとしている時にこの名前に出会った! それって、凄く大切なんじゃないかな!?」

 

「そうかもね!」

「このままじゃ決まりそうもないし」

 

そんな千歌の言葉に曜と梨子も納得し、彼女達のグループ名はスクールアイドル「Aqours」に決定するのだった。

 

「この出会いに感謝して……! 今から! 私達は……! 浦の星学院、スクールアイドル!! 『Aqours』!!」

 

また、そんな時のことである。

 

しょんぼりとした様子で海辺の近くを歩いて帰っていたレイジが近くにやってきたのは。

 

「はぁ~……」

 

何やら落ち込んだ様子で肩をガックリと落とすレイジに、レイジと同化したゼロが心配して話しかける。

 

『なんでショゲてんだ?』

「今日、東京からこっちの学校に転勤して明後日から早速教師として行くことになったんですけど、前の日に色々手続きなんかもあって……。 でも今日その手続きの約束の時間に遅刻しちゃったから『やる気があるのか』って怒られて……」

 

レイジはその場に蹲ってしょんぼりとした様子で自分が落ち込んでいる理由を話す。

 

『成程な。 でもまぁ、あのダークロプスゼロの騒ぎに巻き込まれたんだから遅刻するのはしょうがねえだろ』

「あっ、そっか! ちゃんとその辺説明してませんでした! 急いでたから忘れて……んっ?」

『んっ?』

 

そこでようやくレイジは自分が見えない誰かと話していることに気づき、彼は「えっ? えっ!?」と戸惑い、辺りを見回すが自分のすぐ周りに人はおらず、頭を抱えて半分パニックを起こす。

 

「えっ、なんですかこの声!? ままままま、まさか!! おばおばおば……!!」

『お化けじゃねえよ! 俺はゼロ、ウルトラマンゼロ。 お前の命を助けるにはこうするしかなかった』

 

レイジは取りあえず耳を塞いでみるが、耳を塞いでいてもゼロの声は聞こえ、レイジはますますパニックを起こす。

 

「耳塞いでも聞こえるんだけど!?」

『そうだよぉ~』

「なななな、なにこれ怖い!!? おばおば……! お化けさんごめんなさい!! マジですいません!! 何がいけなかったのか分からないけど兎に角すいませえええええええん!!!!」

 

パニックのせいでゼロの話があまり聞いていないレイジはその場で土下座して未だにお化けと勘違いしているゼロに対して必死に何度も頭を下げる。

 

さっき子供を助けようとした男の姿はどこに行ったんだと言いたくなるくらいのヘタレっぷりにゼロは少しばかり呆れるが……ゼロは「いいから黙って聞け!!」と大声で言い放ち、それに対してレイジもビビりながらも「は、はいぃー!!」と返事をして言われた通りしばらく黙ることに。

 

『えぇっと、じゃあ話を戻すけど……。 命を助けるにはこうするしかなかった。 身体を一体化させ、お前の身体の傷を癒やした。 一体化には俺にも利点がある。 前の戦闘で深いダメージを負い、まだ治ってない。 お前の身体の中に入らなければ俺は地球で長時間の活動ができないんだ』

 

またゼロは一応、人間態でもある「モロボシ・ラン」になることは出来るが、それでも身体のダメージを完全に無くすことは出来ないのだということも説明し、同化の方がダメージを人間態の時よりも最小限に抑えられるというのだ。

 

『だからそうだな~。 まぁ、つまり、Win-Winの関係だな。 説明終わり! 分かったか? あっ、喋って良いぞ』

「いや、何を言ってるのかやっぱりよく分からな……」

 

その時、「ちょっと何するんですか!!」という聞き覚えのある声が聞こえ、レイジが声のした方に顔を向けるとそこには海辺で練習していた千歌達に4人のチンピラがナンパしていたのだ。

 

「君たち可愛いね~! なにしてんの?」

「え、えっとスクールアイドルのダンスの練習を……」

 

チンピラの質問に素直に答える千歌に梨子は「こんな人達に答えなくて良いわ!」と注意するのだが、そんな梨子の腕をもう1人のチンピラが掴む。

 

「こんな人達なんて酷いね~! 俺達傷ついちゃう!」

「梨子ちゃんを離して!!」

 

すると今度は曜が梨子の腕を掴んでいるチンピラの腕を引き離すのだが、それでもチンピラ達は千歌達にべたべたと触って来ようとする。

 

「スクールアイドルって今流行のやつだっけ? そんなものよりさ~、もっと楽しいことしようよ!」

 

リーダー格のチンピラがそう言って千歌達3人をどこかに連れ去ろうとし、それを見ていたレイジは……。

 

「あわわわ! たたたた、大変だ!! 曜ちゃん達が! な、なんとか助けないと……!」

『随分下らねえことしてんな。 おい、ちょっと身体借りんぞ?』

「えっ? 借りるって……」

 

するとゼロはレイジの意識を乗っ取って文字通り身体を借りると彼は素早く千歌達の元へと駆け寄り、彼女達の腕を掴みチンピラ達の腕を素早く振り払う。

 

「っ、なんだテメェ!!?」

 

チンピラ達はレイジの人相の悪さに少しビビるが、それでも臆せず怒鳴り声をあげてチンピラAがレイジに殴りかかるがレイジはそれを片手で受け止めて右拳を振り上げるのだが……。

 

(んっ? ちょっと待てよ、教師が暴力沙汰ってまずいよな?)

 

と考え、拳を下ろすと今度は後ろから回り込んだもう1人のチンピラBが殴りかかる。

 

しかし、レイジは拳を掴んでいたチンピラを盾にし、盾にされたチンピラは仲間の拳を顔面に受けて軽く吹き飛ぶ。

 

さらに今度は別のチンピラCが背後から殴りかかるのだが、レイジはジャンプしてチンピラBの後ろに回り込み、今度はBを盾にしてCはBを殴ってしまう。

 

「ぐふ!?」

「コノヤロー!!」

 

すると今度はリーダーがレイジに襲いかかるのだがリーダーの攻撃を受け流しつつ、一瞬の隙を突いて額にデコピンを喰らわせる。

 

「げふ!?」

 

『さてと、それじゃちょっと失礼しようか』

「「「わわわ!?」」」

 

そう言ってレイジはチンピラのリーダーが倒れている隙に千歌、梨子、曜の3人を纏めて抱えるとそのままスタコラさっさとその場から逃げ出すのだった。

 

「いやぁ、ありがとうね? レイジお兄ちゃん!」

「えっ? あっ、うん……。 どういたしまして」

 

それから一定の距離まで逃げ切ったゼロは意識をレイジに返し、曜達からお礼を言われるのだが……助けたのは自分ではないので何とも微妙な気持ちだった。

 

「それにしても、これじゃ今日は海で練習はできないわね……」

「うん、取りあえず今日はここまでかな……」

 

千歌と梨子は残念そうにしつつも今日はお開きということになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

それから千歌はレムから持たされた通信機でまだ無爪が星雲荘で休んでいるということを聞いて迎えに行こうと思い、無爪の元へと訪れる。

 

「なっちゃ~ん? もう大丈夫?」

『彼の名はウルトラマンジード、敵ではありません。 運命に逆らい、立ち上がる者です。 無爪、これで良いですか?』

「……なにしてんの?」

 

そこでは無爪が世間やゼロに対して自分は脅威ではないということを知らせるためにレムに文章を作らせており、そんな時に丁度千歌がやってきて彼女は不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。

 

「僕が世間に敵じゃないって知らせる為のメッセージをマスコミに送ろうと思って? それにゼロにも……」

「まぁ、確かに少しは効果があるかもしれないけど……『運命に逆らい、立ち上がる者』ってところはちょっとかっこ付けすぎじゃ無い?」

「えぇ~? そうかなぁ? まぁ、取りあえずこれで送るよ! レム、お願い」

 

無爪の言葉にレムは「了解しました」と返事をし、先ほどの文章をマスコミ宛てにメッセージを送るのだった。

 

「ところであのゼロって、僕の父さん……やっぱりベリアルと何かあったのかな?」

 

そこで無爪はフッと疑問におもったことを口にする。

 

「あぁ~。 そう言えば、クライシス・インパクトってベリアルと色んなウルトラマン達が戦ったって噂もあるし、その中にゼロもいたのかな?」

『はい、この宇宙はその影響で崩壊寸前にまで陥りました』

 

千歌と無爪が疑問に思ったことに対してレムがそう解答し、2人は「成程……」と納得する。

 

するとその時、パソコンを弄っていたペガがネットで何かを発見し、2人を呼んでパソコンの画面を見せる。

 

『ねえ! これ見て!』

 

無爪と千歌はパソコンの画面を覗き込むとそこには1人のまだ小学生くらいの少年が映し出されており、少年の頭上から瓦礫が振ってくるのだが……。

 

その瓦礫は少年の頭上に突然現れた光のバリアによって防がれ、少年は無傷だった。

 

『不思議な力……。 これってもしかして梨子ちゃんの時と同じあの不思議な力じゃ?』

「確か、リトルスター……。 早く探さないと……」

「ここってもしかして、今日行った沼津駅の近くじゃない?」

 

千歌の言う通り、動画が投稿された日が今日であることやこんな災害があった場所なんてダークロプスゼロが現れた辺りしかない。

 

それに明日もここでチラシを配る予定なので、その時に探そうということになるのだった。

 

「明日が学校じゃなければもっと早く探しに行けるんだけどなぁ……」

「しかも私は明日は町内放送で梨子ちゃんと曜ちゃんと一緒に宣伝しないといけないからなぁ……。 なっちゃんは先に行っといて貰える?」

 

千歌の言葉に無爪は「うん、分かった」と頷く。

 

 

 

 

 

そしてその翌日、千歌たちは町内放送でライブの宣伝をしていた。

 

「「「浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursです!!」」」

「待って! でもまだ学校の承認もらってないんじゃ?」

 

しかしそこで梨子があることに気づき、彼女に指摘され、千歌は「だぁー!?」と頭を抱える。

 

「じゃあ、えーっと……。 浦の星学院非公認アイドル! Aquaです!! 今度の土曜、14時から浦の星学院体育館にてライブを……!」

 

千歌は一応訂正を入れつつもライブの開催場所と時間を伝えようとする。

 

「非公認というのはちょっと……」

 

しかし、そこで梨子が「非公認」というのはいかがなものかとと言ってきたため、千歌は困り果てた表情を浮かべる。

 

「じゃあ、なんて言えば良いの~!!」

 

そして彼女の叫びは駅に向かって歩いていた無爪にも聞こえ無爪は呆れたような顔をしていた。

 

「はぁ、なにしてんだかバカ千歌ねえは……」

 

ちなみにペガは星雲荘で待機している。

 

 

 

 

同じ頃……とある喫茶店のとある席にて……。

 

そこではスカルゴモラに変身したり、ドレンゲランを呼び出したりした中性的な顔立ちの黒いスーツを着込んだ人物……「荒井」が椅子に座ってコーヒーを飲んでおり、彼は小説家としても活動しているため、今はその小説の編集者と打合せ中だった。

 

「先生、重版決まりました! おめでとうございます!」

「……そうですか」

「編集長も喜んでました!」

 

嬉しそうにそう荒井に対して語る編集者だったが、編集者は荒井がどこか暗い雰囲気を出していたことに気づき、何か嫌なことでもあったのかと問いかける。

 

「……気の合わない相手と、久しぶりに会うかもしれないのです。 あなたにもいるでしょう? そういう人が……?」

「は、はぁ……?」

 

すると荒井は窓の外を見つめ、その先には少し離れた場所から光の柱のようなものが立っていたのだが……それは荒井にしか見えなかった。

 

「気分次第でついたり消えたり……」

 

 

 

 

 

無爪が沼津に到着してから数十分後、彼はペガと一緒にあの動画に映っていた少年を捜し回っていたのだが……中々発見することができないでいた。

 

そんな時、チラシ配りを終えた千歌も合流し、一緒に探すことになるのだった。

 

「って千歌ねえ、曜ねえと梨子さんはどうしたの?」

「えーっと、『なっちゃんと一緒に寄るところがあるから先帰ってて良いよ』って言って先に帰らせたよ」

 

それに対して無爪は「ふーん、そっか」とだけ返すのだが……気のせいか、千歌の顔が少し赤かった。

 

「千歌ねえ? なんか顔赤いけど大丈夫?」

「へっ!? あ、イヤ、大丈夫大丈夫!!」

 

千歌は笑って誤魔化し、彼女は梨子と曜と別れる際に言われた言葉を思い出していた。

 

『無爪くんと一緒に寄るところ……。 それって……』

『デートだね』

『デートね』

『ち、違うよぉ!』

 

なんて2人にからかわれ気味に言われたものだから千歌は変に無爪を意識してしまい、彼女はまたも顔を赤くしてしまい、無爪に心配されるのだった。

 

(うぅ~。 もう~! 2人が変なこと言うからぁ~!)

 

すると・・・・・・。

 

2人が河原の辺りを歩いていると無爪が突然「あっ!」と声をあげ、隣を歩いていた千歌は「どうしたの?」と尋ねると無爪はある場所を指差す。

 

そこにはあの動画に映っていた少年が積み重ねた石をジッと見つめて立っていたのだ。

 

そして少年は右手に光を宿して石に向かって振り下ろすと石は見事に真っ二つに割れ、それを目撃した無爪と千歌は間違いなくあの少年がリトルスターの保有者であることを確信する。

 

「見つけた!!」

「行こうなっちゃん!!」

 

千歌の言葉に頷き、無爪と千歌の2人はすぐさま少年の元へと駆け寄る。

 

「探したぞ少年! ってん? あぁ!?」

 

すると無爪は少年の背負っていたランドセルについていたドンシャインのキーホルダーを発見し、彼は思わず大きな声を出して隣にいた千歌は思わず肩をビクリと振るわせてしまう。

 

そして少年はというと何も言わずにいきなり逃げだそうとし、慌てて千歌は少年の手を掴む。

 

「待って!! って熱!?」

 

千歌が手を握った少年は梨子の時と同じく熱かった。

 

少年は千歌の手を振り払って逃げようとするが無爪は素早く回り込んで少年の肩を掴んで引き止める。

 

「ちょっと待って!! 少年! そのキーホルダー、どこで買ったの!? 教えてお願い!!」

 

無爪は頭を下げて少年にドンシャインのキーホルダーをどこで買ったか聞こうとし、そんな無爪に千歌は呆れた表情を浮かべる。

 

「なっちゃん、今それどころじゃ……」

「それどころだよ!! ドンシャインだよ!?」

 

 

 

 

 

また、同じ頃……別の場所では。

 

『今日は学校とやらには行かなくて良いのか?』

「えぇ、出勤は明日からなんで……」

 

レイジは外を歩きながらゼロとそんな会話をしており、ゼロはレイジの身体の中から街の辺りを見回す。

 

『この街にはもうスッカリ破壊のあとは見当たらないな』

「……破壊?」

 

なにやら物騒な言葉が出てきたことにレイジは驚きつつも、どういうことかと尋ねてみるとゼロはかつてこの地球でクライシス・インパクトがあった時のことを説明する。

 

『この宇宙はかつて崩壊寸前の状態まで追い込まれていたんだ。 それを救ったのが、『ウルトラマンキング』の爺さんだ』

 

ゼロが言うにはこの宇宙は今のレイジと同じようにもう少しで死ぬところだったらしく、彼等ウルトラマンは身体を一体化させることで相手の傷を癒やすことができる。

 

それの応用とも言える形でキングはこの宇宙と一体化したというのだ。

 

『しかし、宇宙は幾ら何でもデカ過ぎた。 宇宙の崩壊は間逃れたが、キングの爺さんは宇宙全体に拡散し、呼びかけても返事がない』

「……知らなかった……。 あっ! それじゃ、テレビで言ってたベリアルのことっても?」

『全部本当だ。 だが、まだ終わっていない。 騒動の最中、光の国で開発された強力なアイテムが何者かに盗まれて行方不明だ。 俺はそれを探しに来た』

 

そこでレイジは「あるもの? それって……?」と尋ねる。

 

『戦況を覆し得る、究極の力。 無限の可能性……。 それは、『ウルトラカプセル』だ』

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、さらに別の場所では……。

 

人気のない場所に荒井は立っており、1つの「怪獣カプセル」を取り出し、それを起動させる。

 

「ダークロプスゼロ」

 

それを装填ナックルに入れ、ライザーでスキャンさせた後、ライザーを空に向けて掲げるとそこから紫の光が放たれる。

 

「エンドマークを打ってこい!」

『ダークロプスゼロ!』

 

やがてその光は昨日ゼロに倒されたのと同じ、「ダークロプスゼロ」となって街中に出現したのだ。

 

 

 

 

 

 

場所は無爪達のところへと戻り……。

 

ダークロプスゼロは無爪達からも近い場所に出現しており、無爪と千歌は昨日倒された筈のダークロプスゼロがまた現れたことに驚きを隠せないでいた。

 

「あれって昨日ゼロが倒したのに!?」

「それより今は! 少年! 君は狙われてる! 早く逃げろ!!」

 

無爪はすぐに少年に逃げるように言うのだが、少年は「イヤだ!」と言って言うことを聞かなかった。

 

「この力でみんなを守るんだ!!」

 

そう言いながら少年はダークロプスゼロに向かって走って行ってしまう。

 

「あっ! ちょっと!? もう! 子供って面倒だね!?」

「千歌ねえ、ブーメランって知ってる? 取りあえず千歌ねえはあの子をお願い! その間に僕は!!」

 

無爪の言葉に千歌は頷いて少年を追いかけ、無爪はジードライザーを取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

無爪はそう言い放つと腰のカプセルホルダーの始まりの巨人「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現する。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルをナックルに装填させた後、さらにそれとは別に最凶最悪のウルトラマンと呼ばれた「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

「はああ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

「あれは……!」

 

また、ジードの出現にあの少年は立ち止まって嬉しそうな表情を浮かべ、それと同時に千歌も少年に追いつく。

 

(……なっちゃん……)

 

ジードは出現と同時に跳び蹴りをダークロプスゼロへと放つのだが……。

 

ダークロプスゼロは両手を交差してそれを防ぎ、逆にその身体の硬さ故に逆にジードの方が弾き飛ばされてしまう。

 

『ウワアア!!?』

 

空中でバク転し、どうにか着地するジード。

 

『今度こそ僕が勝つ!!』

 

ジードはそう言いながらダークロプスゼロに向かって行き、ダークロプスゼロの胸部を殴りつけるのだが「カーン!」という音が聞こえ、逆に自分の方がダメージを受けてしまう。

 

『っ~~!!』

「うわぁ、やっぱり痛そう……」

 

そしてそれを見て千歌は小さくそう呟く。

 

『こんのぉ!!』

 

ジードはさらにダークロプスゼロを殴りつけようとするのだが、ダークロプスゼロはその手を掴み上げてジードの顔面を殴りつける。

 

『ウグッ!? シェアアア!!!!』

 

一度距離を取ってから勢いをつけてジードは走り出し、ドロップキックをダークロプスゼロに放つのだが……ダークロプスゼロはジードの両足を掴み取り、フルスイングして投げ飛ばす。

 

『シュアア!!?』

 

投げ飛ばされたジードはビルに激突し、崩れたビルの瓦礫に埋もれてしまう。

 

それでもどうにか立ち上がり、ダークロプスゼロに向かって行くジード。

 

「ウルトラマンゼロ、どこに隠れている! そちらが出ないのであれば、こうするまでだ!」

 

また荒井は新たな2つのカプセルを1つずつ起動させ、1つずつスキャンしてライザーを掲げる。

 

「お前達もエンドマークを打ってこい!」

『ダークロプスゼロ!』

『ダークロプスゼロ!』

 

それによってジードの周りに新たなダークロプスゼロが2体出現し、ジードは「増えた!?」と驚きの声をあげる。

 

『残存していた試作機か、もしくは量産された個体と推測されます』

 

レムへの説明を受けて、それで昨日倒されたダークロプスゼロが今日もまた新しく出現したのかとジードは納得したのだが……。

 

『って今は納得とかしてる場合じゃないか!』

 

3体のダークロプスゼロは一斉にジードへと向かって行き、1体は拳をジードに叩き込み、さらにもう1体はジードに鋭い蹴りを喰らわせ、さらに最後の1体が回し蹴りをジードへと喰らわせ……ジードは身体から火花を散らして倒れ込む。

 

『ウグゥ……!?』

 

また別の場所から戦いの様子を見ていたレイジとゼロはというと……。

 

「ひぃ~! なんか凄いことになってる!? ってアレ? ゼロさんは……その、行かないんですか……?」

 

少しレイジは恐る恐るゼロに尋ねるとゼロ曰く今は「様子見」だそうだ。

 

それを聞いてレイジはホッとした表情を浮かべる。

 

『古傷のせいで俺への変身時間は限られている。 それに、アイツを見極めたい』

 

そしてジードはというと……。

 

ダークロプスゼロが自身の単目から放つ破壊光線「ダークロプスメイザー」を3方向から同時に喰らい、大ダメージを受けてジードは倒れ込んでしまう。

 

『グウウウ……!?』

 

さらに倒れ込んだジードをダークロプスゼロの1体が首を締め上げながら持ち上げる。

 

「このままじゃ……ジードが負けちゃう……!」

 

千歌は不安そうな顔を浮かべながらそう呟くが……。

 

「そんなことない!! 僕は知ってるんだ!! ウルトラマンは、必ず勝つって!!」

 

そんな千歌の言葉を否定するように、少年はそう叫んだのだ。

 

「頑張れ……頑張れ!! ウルトラマンジード!! 頑張れー!!」

 

少年は必死に恐らく昨日のテレビのニュースの放送で知ったであろうジードの名を呼びながら彼を応援する。

 

一方でレムは通信でジードに撤退を提案するのだが……。

 

『ぐぅ……! 待って! 聞こえる……! 僕を、呼んでる!!』

 

ジードはダークロプスゼロに首を締め上げられながらも視線を少年の方へと向ける。

 

「頑張れええええ!!!! ウルトラマンジード!! 頑張れえええええ!!!!」

『名前だ……! 僕の名前を呼んでる!!』

 

すると少年の胸から光が溢れ、それは少年と分離してジードのカラータイマーの中へと入ると無爪の元へと行き、『ウルトラセブンカプセル』として起動したのだ。

 

『ジェアアアア!!!!』

 

ジードは力を振り絞って両足を振り上げ、ダークロプスゼロの腹部を蹴りつけてどうにか相手を引き離す。

 

『ウルトラセブンカプセルの起動を確認しました。 無爪、カプセルの交換を』

「……よし!! ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

そして無爪はジードライザーを構え、セブンカプセルを起動させる。

 

『融合!』

 

するとカプセルの中から赤い戦士の「ウルトラセブン」が出現する。

 

『アイ、ゴー!』

 

さらに無爪は赤き獅子の戦士「ウルトラマンレオ」のカプセルを起動させるとカプセルからレオが現れる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!』

『燃やすぜ、勇気!!』

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとセブンとレオの姿が重なり合い、赤い鎧を纏ったような姿……「ウルトラマンジード ソリッドバーニング」へと変身を完了させる。

 

『はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!』

『ウルトラセブン! ウルトラマンレオ! ウルトラマンジード!! ソリッドバーニング!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンジード ソリッドバーニング」

 

「おぉ! 赤くてめっちゃ強そう!!」

『これなら行けるかも!』

 

千歌と星雲荘にいるペガはソリッドバーニングを見て興奮した様子でそう言い、またソリッドバーニングとなったジードを見てゼロも思わずレイジの意識を交換してメガネを外し、驚きの声をあげた。

 

『あの姿は親父と師匠!? やはり、アイツがカプセルを持ってるのか!』

『シェア!!』

 

ダークロプスゼロの1体がジードに向かって駆け出し、右の拳を振るって殴りかかる。

 

それと同時にジードも駆け出して右腕を振り上げて腕部のブースターによる加速を加えたパンチを放ち、2人の拳は激突するが……ダークロプスゼロの腕はジードの放った拳によって破壊される。

 

『ダアアア!!!!』

 

さらにジードは連続で拳を何発も叩き込み、ダークロプスゼロを殴り飛ばし、吹き飛ばされたダークロプスゼロは地面に倒れ込む。

 

『全然痛くない! 鎧を着てるみたいだ!』

 

すると今度は別のダークロプスゼロが胸部を開いてそこにある「ディメンションコア」を展開して放つ光線「ディメンジョンストーム」を放つ。

 

それに対してジードは胸部のプロテクターから発射する光線「ソーラーブースト」を発射。

 

『ハアアア!! ソーラーブースト!!』

 

2人の光線はぶつかり合うが……ダークロプスゼロの光線はあっさりとかき消され、ジードのソーラーブーストがダークロプスゼロに直撃し爆発して倒された。

 

そして今度はもう1体のダークロプスゼロが頭部にある2本のブーメラン「ダークロプスゼロスラッガー」を両手に持ち、ジードに向かって突っ込んでいく。

 

『シュア!!』

 

それに対し、ジードは自身の頭部にあるブーメラン「ジードスラッガー」をダークロプスゼロに投げ飛ばすがダークロプスゼロダークロプスゼロスラッガーで弾き、ジードスラッガーは宙を舞う。

 

『タアア!!』

 

しかしジードは空中に飛んだジードスラッガーをジャンプして掴み、そのまますれ違いざまにダークロプスゼロを斬りつける。

 

腹部に傷を受けるものの負けじとダークロプスゼロはジードに振り返って向かって行き、ダークロプスゼロスラッガーを振るう。

 

それにジードもジードスラッガーを振るってダークロプスゼロの攻撃を防ぎ、ダークロプスゼロスラッガーを弾き飛ばした後、ジードスラッガーを足に装着し、回し蹴りを放つ「ブーストスラッガーキック」をダークロプスゼロに炸裂させる。

 

『ブーストスラッガーキィーック!!』

 

身体を斬りつけられたダークロプスゼロは爆発、ジードはジードスラッガーを頭部に戻す。

 

今度は最後に残ったダークロプスゼロがジードへと襲いかかるがジードはその攻撃を全て受け流す。

 

そしてジードは両肩にチョップを叩き込み、身体中のブースターを使いながら素早く後方へと下がり、装甲を展開した右手にエネルギーを集中させ、炎を纏った爆熱光線を正拳突きの姿勢で放つ「ストライクブースト」を放つ。

 

『ストライクブーストォ!!』

 

直撃を受けたダークロプスゼロは直撃を受け、攻撃に耐えきれず爆発するのだった。

 

『やったぁ!! 勝ったぁ!!』

「「勝ったぁ!! やったー!!」」

 

星雲荘にいるペガやあの少年や千歌もジードの勝利を飛び跳ねるように喜び、少年は千歌の方へと顔を向ける。

 

「ヒーローはね、必ず勝つんだよ!」

「……彼は、ヒーローだと思う?」

 

千歌は笑みを浮かべながら、少年にそう問いかけると少年は元気よく「うん!!」と頷くのだった。

 

「私も! そう思うよ!」

 

一方で戦いの光景を見ていた荒井は……。

 

「また新たにカプセルを起動したか……。 あと……」

 

 

 

 

 

 

その翌日……千歌達の教室にて。

 

「「……アレ?」」

「ほ、本日より、この学校で働くことになり、副担任となることになった……わ、渡辺……レイジです! よろしくお願いします!」

 

今日この日、レイジが副担任となって千歌達の教室へとやってきたのだった。

 

「「えぇ!?」」

 

そのことに千歌と曜は驚きの声をあげ、また梨子は「転勤してきたのね……」とボソっと呟くのだった。

 

ちなみにレイジはビクビクとした性格とは正反対に顔が怖いため、周りの生徒達は「副担任? ヤクザじゃなくて?」「顔怖っ!」と呟かれていたりしたが。

 

そして休み時間、曜はレイジに詰め寄って話を一切聞いていなかった曜は副担任とは一体どういうことなのかと問い詰めていた。

 

「レイジお兄ちゃんどういうこと!? 私、全然聞いてないんだけど!?」

「い、いやぁ~ごめんね? 曜ちゃん達を驚かせたくって」

 

レイジは照れ臭そうにしつつこのことを黙っていたのを謝罪。

 

「それよりもさ、折角曜ちゃんがいるこの学校で働くことになったんだから、僕も手伝わせてくれないかな? スクールアイドルって前々から少し興味もあったし!」

 

それを聞いて千歌と曜は「ホント!?」っと目を輝かせ、レイジは笑みを浮かべて「うん」と頷くのだった。

 

そして今日からレイジを加えて無爪、千歌、梨子、曜の5人は放課後からまた沼津でチラシ配りをすることになったのだが……。

 

『アイツ……』

 

レイジが無爪と会った際、彼の中にいるゼロが何かを感じ取ったらしく、レイジは「どうしたんですか?」と尋ねるのだが、ゼロは「いや、なんでもない」とだけ答えるのだった。

 

尚、千歌と無爪は何時も通りではあったが、最初恥ずかしかっていた梨子も今では普通にチラシを配れており、また曜はそのコミュ力の高さを遺憾なく発揮してチラシ配りついでに大勢と写真を撮ったりしていた。

 

「じゃあせーの! 全速ぜんしーん!」

『ヨーソロー!!』

 

と全員が曜と合わせて同じポーズを取っていることからも彼女の人気っぷりが伺える。

 

「流石曜ちゃん、人気者~」

「あはは……」

「やはり、コミュ力お化けだ曜ねえは……」

 

と曜の方を千歌、梨子、無爪の3人が見て呟く。

 

一方でレイジはというと……。

 

「あ、あの……」

「はい? ひぃ!?」

 

道行く女子高生にチラシを渡そうとするレイジだったが、その時顔が厳ついこともあって凄んでるようにしか見えず、旗から見たら怪しい勧誘しているようにしか見えなかった。

 

「あ、あの良かったらこの娘達のライブ……」

「ひ、ひい~!?」

 

そしてそのせいで女子高生は悲鳴をあげながらレイジから逃げ出すように走り去って行くのだった。

 

『お前、このままやると警察沙汰になりそうだな』

「うぅ……僕ってそんなに顔怖いですか?」

『まぁ、ヤクザレベルだな』

 

ゼロにそう言われレイジは「トホホ……」と落ち込むのだった。

 

 

 

 

 

 

その後は千歌の家で色んなことを打ち合わせることになり、無爪、千歌、曜、梨子の4人は千歌の部屋で色々と相談していたのだが……。

 

「千歌ちゃん! ここどう思う?」

 

ダンスの振り付けについて千歌に質問しようとした梨子だったのだが、千歌は疲れ果てたのか机の上に突っ伏した状態で寝てしまっており、それを見た梨子は思わず笑みを浮かべてしまう。

 

「最近は色々と忙しいから疲れたんだな千歌ねえ?」

 

無爪は千歌の肩を軽くポンっと叩くと彼は「でもベッドで寝ないと風邪引くぞ」と言いながら彼女を抱きかかえ、そっとベッドの上に降ろして布団をかける。

 

「おぉ~、なっちゃん意外と大胆な……」

「ほ、ホントにね……。 でも、千歌ちゃんがこれじゃ今日はもうおしまいね?」

 

梨子の言葉に曜も「うん」と頷くのだが、時計を見ると既にバスに乗れる時間はとっくに過ぎており、それを聞いた無爪は「志満さんに曜ねえを車で家まで送って欲しいって頼んでくる」と言って彼女の元へと行くのだった。

 

 

 

 

 

 

それから曜は志満に車で家まで送って貰うことになり、そのことを車の中で親に連絡。

 

連絡を終えると志満は「大丈夫だった?」と曜に尋ねる。

 

「はい! いい加減にしなさいって怒られちゃったけど」

「ホント、夢中よね? 千歌ちゃんがここまでのめり込むなんて思わなかった」

 

そんな志満の言葉に曜は「そうですか?」と不思議そうに首を傾げる。

 

「ほら、あの娘ああ見えて飽きっぽいところあるでしょ?」

「飽きっぽいんじゃなくて中途半端が嫌いなんですよ。 やる時はちゃんとやらないと気がすまないって言うか!!」

 

志満の言葉に曜はそう言葉を返し、志満はそれに対し「そっか……」と答えるのだった。

 

「流石曜ちゃん!」

「えへへ♪」

「それで、上手くいきそうなの? ライブは?」

 

志満のその質問に曜は不安な表情を浮かべ、彼女は自信なさげに「上手くいくといいけど……」と呟く。

 

「人、少ないですからねここら辺……」

「……大丈夫よ!」

「えっ?」

「みんな、暖かいから!」

 

そんな志満の言葉に曜は思わず笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

そしてライブ当日。

 

この日は雨が降っていたが、特に大した雨でもないので千歌達はアイドル衣装に着替え、体育館の裏側で待機しており、無爪も彼女達の様子を見る為にそこに来ていた。

 

「やっぱり慣れないわ、本当にこんなに短くて大丈夫なの?」

 

梨子は自分達の衣装のスカート丈が少し短くないかと不安になるが、それを千歌は「大丈夫だって!」と言いながらμ'sの最初のライブ時に彼女達が着ていた衣装の写真をスマホに表示させ、梨子に見せる。

 

(・・・・・・μ'sの人達も千歌ねえ達も露出度高いな・・・・・・)

 

尚、無爪は千歌のスマホを覗き込んでそんなことを思い、また梨子はこんなことならスクールアイドルなんてやめておけば良かったかなと少しだけ後悔した。

 

「でもまぁ、みんな似合ってますし、可愛いと思いますし・・・・・・その辺は自信持って良いと思いますよ梨子さん?」

「うん、ありがとう・・・・・・」

「あれ? もしかしてなっちゃん珍しく私のことも褒めた?」

 

無爪の「みんな似合って可愛い」という言葉に千歌が少し嬉しそうにするが、素直じゃない無爪は「そ、そんなこと言ってない!!」と顔を赤くして否定するが・・・・・・。

 

「いや言ったよ。 もう、なっちゃんってばホントにツンデレなんだから~」

「でもそこがなっちゃんは可愛いとは思うけどね~」

 

千歌と曜はニヤニヤしながら無爪の頬をツンツン弄り、「う、うるさい!」と2人の手を振り払ってすぐさま離れる。

 

「もう!! 兎に角、僕はもう表に出てライブ始まるの待ってるから!!」

 

無爪は顔を赤くしたままそう言ってその場を立ち去ろうとするのだが、途中でピタッと急に立ち止まり、千歌達は首を傾げる。

 

「そ、その・・・・・・頑張って・・・・・・」

 

千歌達に背中を見せたまま、エールの言葉を贈った無爪はそのまま急いでその場から今度こそ去って行き、そんな無爪に千歌は小さな声で「ありがとう・・・・・・」と呟くのだった。

 

「そろそろだね! えっと~、それからどうするんだっけ?」

「確かこうやって手を重ねて・・・・・・」

 

曜の言うように千歌、梨子、曜の3人はライブに気合いを入れる為にそれぞれ手を重ね合わせるのだが・・・・・・。

 

「繋ごうか」

「「えっ?」」

「こうやって互いに手を繋いで・・・・・・ねっ? 暖かくて好き・・・・・・」

 

千歌の言うように3人はそれぞれ互いに手を繋ぎ、曜も「ホントだ」と千歌の言葉に同意して頷く。

 

「・・・・・・雨、だね」

「みんな来てくれるかな?」

 

彼女達はまだ会場にどのくらいの人達が来ているのかを知らない、そのため梨子は「もし来てくれなかったら・・・・・・」なんて不安を口にするが、それに千歌は「じゃあやめて終わりにする?」と尋ねる。

 

「「「・・・・・・」」」

 

少しの間の沈黙が流れた後、3人はなぜか急におかしくなって笑い出す。

 

「フフ、さあ行こう!! 今全力で輝こう!!」

 

千歌の言葉に梨子と曜は頷き、3人はかけ声をあげる。

 

「「「Aqours、サンシャイン!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

そして体育館の幕が上がり、目を瞑って手を繋ぎ合った3人が目を開けるとそこには確かに観客が来ていた。

 

しかし、そこにいたのは無爪や鞠莉や花丸、ルビィにレイジ、変装した善子、体育館の入り口辺りにいるダイヤや外で傘を差して様子を見に来ていた果南に他数人の生徒だけで・・・・・・体育館を満員にするには程遠い人数だった。

 

「千歌ねえ・・・・・・あんなに頑張ったのに・・・・・・たったこれだけ」

『でも、μ'sファーストライブよりは多いんだけどね』

「でもそんなのなんの気休めにもならないな・・・・・・」

 

無爪と、無爪の影の中にいるペガがそんな会話をする中、この光景に千歌、梨子、曜は人があまり来なかったことに悲しそうな表情を浮かべるが・・・・・・。

 

すぐに3人は気が引き締まった表情を浮かべ、千歌が前に出て叫ぶ。

 

「私達は!! スクールアイドル!! せぇーの!!」

「「「Aqoursです!!」」」

 

千歌に合わせ、梨子と曜の3人が自分達のグループ名の名乗りをあげる。

 

「私達はその輝きと!!」

「諦めない気持ちと!!」

「信じる力に憧れ、スクールアイドルを始めました! 目標は・・・・・・スクールアイドル、μ'sです!! 聞いてください!!」

 

千歌はそう大きな声で宣伝し、そして始まる千歌達スクールアイドル、Aqoursのファーストライブ・・・・・・曲は「ダイスキだったらダイジョウブ!」

 

しかし、曲がサビに入ろうとしたその時だった。

 

外の電線に雷が落ちて切れてしまい、ステージのライトの光が消えてしまったのだ。

 

「えっ!? なに!? 一体なにが・・・・・・!」

『恐らく、雷かなんかで電線が切れたんだろうよ。 しっかし、このままじゃ・・・・・・』

 

レイジが停電に驚いている中、ゼロがそうレイジに説明し、ゼロは「発電機とかないのかよ?」と尋ねるとレイジは少しだけ考え込んだ後、「あるかどうか探してきます!!」と答えて外へと飛び出し、発電機を探しに行く。

 

その途中、ダイヤが体育館の近くにあった外の倉庫に向かって走って行くのが目に止まり、レイジは首を傾げる。

 

「あれって、生徒会長の黒澤さん?」

『もしかして・・・・・・おいレイジ! あいつを追いかけろ!! 多分、あの娘も考えてることは同じかもしれないぜ?』

「わ、分かりました!」

 

ゼロに言われるままレイジはダイヤを追いかけて行き、一方停電によってダンスが中断になってしまった千歌達はどうすればいいのか分からず困惑してしまう。

 

「どうすれば・・・・・・!」

「一体、どうしたら・・・・・・」

 

それでも、ここで諦めたくない千歌は「歌」の続きを不安な顔を浮かべながらも口ずさみ、それに曜も続いて歌を口ずさみ、それに梨子も続いて歌を歌う。

 

だが、やがて千歌は自身が口ずさんでいる歌詞の内容とは裏腹に、どんどん元気を無くしていき、彼女は顔を俯かせ、泣きそうな顔を見せる。

 

それを見た無爪は唇を噛み締める。

 

(千歌ねえの泣き顔なんて・・・・・・見たくない!! だから・・・・・・!!)

 

千歌の泣き顔をを見たくない、だからこそ、無爪は叫んだ。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならないだろうが千歌ねえ!! だから!! 頑張れええええええええええ!!!!!」

「っ!?」

 

大きな声で精一杯の声援を無爪が送り、その声に反応して千歌が顔をあげると次の瞬間、止まっていた電気の光が再びついたのだ。

 

「へっ?」

「バカチカー!!」

 

それと同時に体育館の扉が開き、千歌の姉の美渡や、他にも町中の人達が体育館にやってきたのだ。

 

「アンタ開始時間間違えたでしょー!!?」

「えっ?」

 

美渡の言葉を聞いた無爪が慌ててライブのチラシを取り出して見ると確かに彼女の言う通りライブの開始時間が間違っており、無爪は頭を抱え、同時にちょっとした怒りも覚えた。

 

「こんの・・・・・・! バカ千歌ねえーーーーー!!!!! なんか恥ずかしいことしちゃっただろうがーーーーー!!!!」

 

その無爪の文句に千歌も思わず「ご、ごめーん!」と苦笑いしながら謝り、そして町の人達によって満員になった体育館を見て千歌達は元気を取り戻す。

 

「ホントだ私、バカ千歌だ・・・・・・」

 

また、体育館の近くにあった倉庫・・・・・・。

 

そこではレイジとダイヤが協力して発電機を使い、体育館の電気を復活させており、レイジは「会長さんありがとう」と笑みを浮かべてお礼を述べるのだが・・・・・・。

 

「別に、このまま終わられるのも気持ちが悪いだけですわ!」

 

とそっぽを向くダイヤだったが、それを見てレイジもゼロも「素直じゃないな」と思うのだった。

 

そして場所は体育館へと戻り・・・・・・。

 

元気を取り戻した千歌はキッとした顔となり、ライブを再開させる。

 

やがてライブは今度は何事もなく無事に終了し、観客達は彼女達に拍手喝采。

 

千歌達も達成感に満ちた表情を浮かべており、それを見て無爪もライブが成功して内心ほっとするのだった。

 

「その、ありがとう。 美渡姉さん」

「んっ? なにがなっちゃん?」

 

無爪は自分の隣に立つ美渡にお礼を突然言うのだが、美渡はなんのことか分からず首を傾げる。

 

「結局千歌ねえのお願い聞いてくれたんだよね? この前こっそり幾つかの宣伝用のチラシ千歌ねえの部屋から持って行くの見たよ?」

「あはは・・・・・・。 バレてた? 先輩にチラシ貼りすぎだって怒られたけどね」

 

そして舞台に立つ千歌達は互いが互いに頷き合う。

 

「彼女達は言いました!!」

「スクールアイドルはこれからも広がって行く!! どこまでだって行ける!! どんな夢だって叶えられると!!」

 

曜と梨子の2人がそれぞれ言葉を言い放ち、2人に続いて千歌が続きを言おうとするのだが・・・・・・。

 

「これは今までのスクールアイドルの努力と街の人達の善意があっての成功ですわ!! 勘違いしないように!!」

 

そこへダイヤが前に出てきて厳しめな口調で千歌達に言うのだが、それに対し千歌は「分かっています!!」と言葉を返し、それにダイヤは少し驚く様子を見せる。

 

「でも、でもただ見てるだけじゃ始まらないって!! 上手く言えないけど・・・・・・今しかない、瞬間だから!!」

 

 

そして千歌は左右に立つ梨子と曜と手をつなぎ合わせる。

 

「だから!!」

「「「輝きたい!!!!」」」

 

千歌、梨子、曜の3人が言い放つとそれに大きな拍手を送る観客達。

 

それを見て千歌は満面の笑顔を浮かべるのだった。

 

 



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第4話 『AIB』

サンシャイン映画公開記念。


Aqoursのファーストライブは無事、体育館を満員にしたことで成功。

 

その為、鞠莉からは約束通り彼女等スクールアイドル部の設立の許可を貰い、今は彼女が色々と手続きしているところだそうで数日後には部室も与えられて本格的に部活動を行うことができるだろうとのこと。

 

そして現在、千歌、梨子、曜、無爪の4人は初ライブの成功のお祝いということで千歌の部屋でお菓子などを食べてプチパーティーをしているところだった。

 

「いやぁ、ライブが成功して本当によがっだよ~!」

 

千歌はライブ成功に感動して泣きながらポテチを食べており、そんな彼女に無爪は「感動するか泣くか食べるかどれか1つにしろ!!」とツッコミ、そんな光景に曜と梨子は苦笑い。

 

「でも、ホントに成功して良かったわ。 停電が起きた時は一時期どうなるか分からなかったもの」

 

梨子の言う通り、ライブの最中に停電が起きた時は本当に焦ったものだと彼女の言葉に千歌、無爪、曜は「うんうん」と同意するように頷くのだが・・・・・・そこで1つ疑問に思うのが「でも、なんでまた電気がついたんだろう?」ということ。

 

曜は普通に電気が復旧したんじゃないか、落ちたブレーカーが誰か戻してくれたのではないかと予想するが・・・・・・。

 

「今それ考えてもしょうがないんじゃない? 原因も僕達はよく知らない訳だし」

「まぁ、それもそうだね。 取りあえず今はパァーッとヨーソロー!! と行きますか!」

 

そう言いながら曜と無爪は自分の手に持ったコップのジュースを飲み始め、その時、無爪は千歌が自分に視線を向けていることに気づき、彼は「なに?」と彼女に尋ねる。

 

「へっ!? あっ、いや・・・・・・その、なっちゃんにお礼を言わないとな~っと思って」

 

それを聞き、無爪は彼女の言う「お礼」とは恐らくチラシ配りなどを手伝ったりした時のことなのだろうと考えるのだが・・・・・・千歌が言うには「それもあるけど」とのことでそれ以外にも何か無爪にお礼を言いたいことがあるのだという。

 

「停電が起こった時、なっちゃん私達に『ジーッとしててもドーにもならないだろうが』って励ましてくれたでしょ? なっちゃんが、あの時言葉をかけてくれたおかげで・・・・・・私達は・・・・・・私はきっと、最後まで諦めなかったんだと思う。 私が言いたいのは、そのお礼。 だから、ありがとうなっちゃん!」

 

満面の笑顔でお礼を述べる千歌、それに対して無爪は顔を赤くしつつ「べ、別に・・・・・・」と照れ隠しをするかのようにお菓子をパクパク素早く食べ始める。

 

「それに、僕があの時千歌ねえに声をかけなくっても、お客さんはいっぱい来てたんだ。 チラシ配りこそ手伝ったけど、あのライブでは僕は何もできてなんか・・・・・・」

 

無爪がそこまで言いかけた時だった。

 

「そんなことないもん!!」

 

無爪の言葉を遮るように千歌が声を上げ、彼女は無爪の頭を優しく撫でる。

 

「あの時、なっちゃんが励ましてくれてなかったら・・・・・・私は完全にそこで1度は諦めてた。 諦めかけてたけど、完全に諦める前になっちゃんが声をかけてくれたから・・・・・・最後まで諦めずにいられたんだよ?」

「そうだよなっちゃん!! あれでなっちゃんは諦めてないって私達は思えて・・・・・・だからこそ私達も諦めたらダメだって思えて頑張れたんだよ。 流石は私の弟だね!!」

 

曜はそう言いながら後ろから無爪に抱きつき、それを見て千歌はムスっとした表情を浮かべる。

 

「曜ちゃん!! なっちゃんは私の弟だよ~!! 私の家に住んでるんだから~!!」

「そんなの関係ないもんね~!!」

 

すると今度は千歌が前方から無爪に抱きつき、前から千歌、後ろから曜に抱きつかれた無爪は顔をみるみると真っ赤にして目を回し、恥ずかしいやら嬉しいやら色んな感情が渦巻き、半パニック状態に陥ってしまう。

 

(ちょっ、ちょっ・・・・・・2人とも胸が・・・・・・!! って曜ねえは意外でもないが千歌ねえやっぱり意外と胸大きいな・・・・・・って違う!! こういう時は奇数を数え・・・・・・あれ? 奇数だっけ、偶数だっけ!?)

「ちょっ、2人とも無爪くんがオーバーヒートしかけてるから!!?」

 

梨子が立ち上がって慌てて無爪から千歌と曜を引き離そうとするが・・・・・・その時、彼女は足をテーブルにぶつけてしまい、バランスを崩し、彼女は無爪達の方へと倒れそうになる。

 

「ひゃああ!!?」

「あ、危ない!!」

 

咄嗟に無爪が両手を突き出して梨子を支えようとするのだが・・・・・・その際、無爪の両手に「ムニッ」という感触が伝わり、彼女を支えようとした両手は・・・・・・丁度、梨子の胸の位置に・・・・・・。

 

「あっ・・・・・・あの・・・・・・えっと」

「ひっ・・・・・・いやあああああ!!!!?」

 

梨子は耳まで顔を真っ赤にして涙目になってすぐさま大量の冷や汗を流す無爪から離れ、そのまま彼女は走るようにして千歌の部屋から出て行くのだった。

 

それにしばらくの間唖然となり、千歌も曜も無爪も黙り込んだままだったのだが・・・・・・そこで無爪の影からひょっこりペガが現れる。

 

『ちょっと!! なにボーッとしてるの無爪!! 梨子ちゃんに早く謝りに行きなよ!!』

 

ペガにそう言われて無爪はハッとなり、「そ、そうだね!! 僕梨子さんに謝りに行ってくる!!」と急いで彼女を追いかけることになり、千歌も「私も行く!!」と言って無爪と一緒に部屋を出て行くのだった。

 

『それにしても、ずっと影から見てたけど、無爪さっきからハーレムものの主人公みたいだね』

「まぁ、実際女の子3人に囲まれてたらねえ? ペガくんは影の中にいる訳だし」

 

その後、無爪は梨子に土下座して謝ったこととワザとやった訳では無く、助けようとしてやった事故ということもあり、彼女に許して貰えたのだった。

 

ちなみにこの作品は主人公のハーレムなどになったりしないのであしからず。

 

『そう言えば、今日は美渡さんがいなかったけど、仕事かな?』

「そだよ-、ニコニコ生命保険・・・・・・だっけ? それのね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、その美渡はというと・・・・・・。

 

彼女はとある男性と一緒にある古びた建物の立つ場所へと訪れており、男性と美渡は互いに視線を合わせて頷く。

 

「それじゃ作戦通りに」

「しくじらないでよ?」

「お前こそな!!」

 

男性はそう言って物陰に隠れ、それを確認すると美渡はコンコンっと建物のドアを叩く。

 

するとすぐに1人の中年の男性が「どなた?」と尋ねながら扉を開けて現れ、美渡は「ニコニコ生命保険のものです!!」と営業スマイルで言うのだが、男性は「セールスか・・・・・・」と呆れたような顔を浮かべて扉を閉めようとする。

 

「あっ!! ちょっと待って!!」

 

しかし、そうはさせまいと美渡は扉に足を引っかけ、無理矢理部屋の中を覗くとそこにはいかにも怪しげな植木に入った花のような植物が置かれており、彼女は「今です!!」と声をあげると待機していた先ほどの男性が駆けつけて扉を無理矢理こじ開け、中年男性の腹部に蹴りを叩き込む。

 

「ぐあっ!?」

「なんだお前等!!?」

 

部屋にはもう1人、中年の男性がおり、美渡と一緒にいた男性は植物を見て「やはりな」と口元をニヤつかせる。

 

「ええい!! 退けぇ!!」

 

すると2人の中年男性は正体を現し、「集団宇宙人 フック星人」「冷凍怪人 ブラック星人」としての姿に変身し、彼等は美渡と男性を押し退かして逃げようとするのだが・・・・・・それに対して男性も両手がハサミで緑の1つ目の「脳魂宇宙人 ザム星人 ザルド」としての姿に変身。

 

ザルドはジャンプしてフック星人とブラック星人の頭上を飛び越えて道を塞ぐ。

 

そこに丁度、1台の車が現れ、中からまた別の・・・・・・レイジほどではないが強面の男性・・・・・・人間に擬態した「宇宙ゲリラ シャドー星人ゼナ」が現れ、ザルドと共に殴りかかって来たフックとブラックに応戦する。

 

ザルドはフック星人の放つ拳を受け流しつつ右手のハサミでフック星人の腹部を挟み込み、持ち上げて地面に叩きつける。

 

「ぐらあ!?」

 

それでもなんとか必死に逃げようとするフックだったが、逃がすまいと後ろから美渡は跳び蹴りを喰らわせ、倒れ込んだところにすかさずサソリ固めを決める。

 

「おりゃああ!! 大人しくしろ!!」

『ぐおおおっ!?』

 

しかし、どうにか美渡を振り払って逃げようとするフック。

 

だがそうはさせまいとザルドは胸から放つ「ザムビーム」を発射し、それが命中したフックは身体が痺れてその場に倒れ込み、ザルドに取り押さえられるのだった。

 

またゼナはブラックの放って来た拳を受け流しつつカウンターで自分の拳をブラックの顔面に叩き込み、それによってブラックは僅かに怯むもののすぐさま再びゼナに殴りかかる。

 

だがそれをしゃがみ込んで避けつつゼナは拳をブラックの腹部に叩き込み、膝を突いたところをゼナはブラックの後ろに回り込んで腕を押さえつけ、確保することに成功するのだった。

 

「うぐお!!?」

『我々はAIBだ!! 観念しろ!! 高海 美渡、油断するなと言った筈だ。 危うく容疑者を取り逃がすところだったぞ。 それとザルド、戦闘になると本来の姿に戻る癖を直せと言った筈だ』

 

「AIB」とは犯罪行為を行っている異星人の取り締まりを主な任務としている様々な星の宇宙人達で結成された組織である。

 

そしてゼナの言葉に対し、美渡とザルドは「す、すいません先輩!!」と謝罪し、ゼナはブラックとフックを車に放り込んだ後、ザルドと美渡に中を確認するように指示。

 

ちなみに、ゼナは全く口を動かさずに言葉を発しているのだが、これは彼が地球人の姿になって口を動かすのが苦手な為であり、自分の言葉を伝える時はテレパシーを使っているのである。

 

そしてゼナの命令を受け、人間態に戻ったザルドと美渡は「アスタナージ・ガン」と呼ばれる銃を構えながら建物内に侵入。

 

一通り見たところ、他に仲間の影もなく、美渡は先ほど見た植物が間違いなく自分達が予想していたものと同じものであることを確認し、インカムでゼナに美渡はそのことを報告。

 

「ありました! 『宇宙植物ルグス』!! 条例により栽培が禁止されている植物です!! これって強力な睡眠花粉を出してそれを吸っちゃうと眠くなるんですよね?」

「全く、アイツ等変なもん持ち込みやがって」

「ホントに余計な仕事増やしてくれちゃって。 確かこの黄色いところを触ると花粉が噴射されるんだよね?」

 

そう言いながら美渡はついついうっかりとルグスの黄色い場所を触ってしまい、ザルドは「あっ!! このバカ!!」と叫ぶが時既に遅く、ルグスから黄色い花粉が噴出され、それを吸い込んだ2人は強烈な眠気に襲われ、倒れ込んで眠ってしまうのだった。

 

千歌の姉だけあって、美渡も案外こういううっかりなところがあるのかもしれない・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ゼナにザルドと美渡は叩き起こされ、一同はフックとブラックを一件なんの変哲もない建物だが・・・・・・中身は異空間となっており、近未来的な光景が広がったAIB本部に連行。

 

『全くお前等は・・・・・・』

「は、は~い、すいません!!」

「いや、ルグスを触ったのは美渡さんで俺は関係ないっすよ!?」

『しっかりと見張っていなかったお前も悪い』

 

ゼナにそう叱られて不満そうな顔をしつつもザルドは「うっ、すいません」と謝罪。

 

『ルグスをちゃんと保管庫にしまっておけよ』

「「りょ、了解!!」」

 

ゼナは美渡とザルドにルグスを後で保管庫に仕舞っておけと指示した後、3人はフックとブラックを本部の中央部に連れて行く。

 

その後、ザルドと美渡はフックとブラックの2人をある場所に立たせ、ゼナは顔を地球人に変える為のインカム型の装置を取り外すと本来のデスマスク風の顔をしたシャドー星人の姿へと戻る。

 

「「おおっ!?」」

 

それを見て美渡とザルドは驚きの声をあげるが、それに対しゼナは呆れたような声を出す。

 

『いい加減に慣れろ。 というか、なぜザルドまで驚く?』

「こう言っちゃなんですけど・・・・・・ゼナ先輩の本来の姿の顔ってちょっと怖くて・・・・・・」

『1つ目のお前に言われたくはないな』

 

それからゼナは何かの装置を起動させる準備に取りかかり、それを見て美渡はブラックとフックの罪状を彼等に告げる。

 

「あなた達は違法な宇宙植物を栽培していました。 よって地球からの強制退去を命じます!!」

 

そう命じられたフックとブラックは「えっ!? ちょっと待っ・・・・・・!」と言いかけたが、勿論そんな言葉は無視され、ゼナは装置を起動させ、ブラックとフックは地球以外のどこかへと強制転移させられたのだった。

 

『達者で暮らせ』

「ふぅ、今日はもう仕事は終わりですかね?」

『いや、まだだ』

 

ザルドの言葉をゼナは否定し、ゼナは宇宙全域からベリアルに酷似していることからウルトラマンジードに関する問い合わせが殺到しており、それの対処に当たらなければならないのだという。

 

『ウルトラマンゼロも動いた。 宇宙警備隊も感心を寄せているのだろう。 ここは、ウルトラマンキングと融合した宇宙だからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、千歌と無爪はとあるスーパーへと訪れていた。

 

ちなみにペガは空気を呼んで留守番である。

 

「なんでスーパー? お使いとか、頼まれてないよね? しかもなんで私も連れて来たの?」

「梨子さんへのお詫びに、果物でも持って行こうかと思って。 千歌ねえ連れて来たのは同じ女の子としてどんなのが良いかアドバイスして欲しいから」

 

それを聞いて千歌は「へっ?」と首を傾げる。

 

なぜなら無爪はあの後、ちゃんと梨子に謝罪し、彼女もそれを受け入れて無爪を許してくれたのだから別にもうお詫びの品などいらないのではないかと千歌は思ったからである。

 

だが、千歌はそれを無爪の尋ねると無爪曰く「それだけじゃ僕の気が収まらない!!」とのこと。

 

「それに女の子の胸を触るとか事故とはいえ普通の重罪だよ重罪!! お小遣いも貯金も全部使ってお詫びしなきゃ!!」

「いやいや!! そこまでされると梨子ちゃん逆に困ると思うよ!?」

 

そんな無爪に、千歌は苦笑しながら「そこまで気負うことないと思うけど・・・・・・」と呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ゼナ達はというと・・・・・・。

 

ゼナは「Z車」という車をとある喫茶店の前に停めており、そこへ丁度ドーナッツとコーヒーを買ってきたザルドと美渡が戻って来た。

 

だが、その時2人は揃って「あっ!」と何かを思い出したかのように声をあげ、2人は急いで車の荷台を開けるとそこにはゼナに「保管庫に移しておけ」と言われたルグスが置きっ放しになっていたのだった。

 

それを見て2人は顔を見合わせて「ヤバい・・・・・・」と呟く。

 

「あ、アンタちゃんと仕舞っておけって先輩に言われたでしょ!?」

「お前も言われただろうが!! と、兎に角先輩に正直に言って謝ろう」

「そだね!!」

 

兎に角、今はゼナに謝罪するのが先決だと思い、「あ、あのぉ~」と2人は恐る恐る声をかけようとするのだが・・・・・・その直後にZ車に通信が入る。

 

『Z車、応答願います』

『こちらZ車、どうした?』

『ピット星人の科学者がスピード違反を起こして事故が発生、逃亡中です。 直ちに捕獲してください』

 

ゼナはその指示を受けて「了解」と返事し、場所を聞いた後、何かを言いかけているザルドと美渡に「行くぞ、乗れ」と命令し、2人は「は、はい!!」と慌てて返事をしてドーナッツとコーヒーを持って車に乗り込むのだった。

 

『名前は『トリィ=ティプ』、顔は分からないが、目撃者が服装を覚えていた。 我々の存在を地球人に悟られるな。 文明に影響が出ることをよしとしない』

「「はい!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、無爪は千歌の説得もあって果物の詰め合わせのセットをお詫びの品としてスーパーで購入。

 

2人は自転車に乗って家に帰ろうとするのだが・・・・・・。

 

突然現れた青い服を着た女性が現れ、女性は無爪を押し退かして彼の自転車に乗り、それを見た無爪は「なにしてんだ!!」と怒って女性の手を掴む。

 

「あっつ・・・・・・!!」

 

しかし、その女性の手は熱く、無爪は思わず手を引っ込めてしまい、女性は無爪の自転車を奪ってそのままどこかへ去って行こうとする。

 

「僕の自転車!!」

 

無爪は即座に脅威的なジャンプ力で女性の頭上を飛び越えて立ち塞がるのだが・・・・・・女性の胸の中央が光ると彼女の右手から光の剣が現れ、彼女はそれを振るい、無爪は慌てて攻撃を回避する。

 

その間に女性は素早くその場から逃走し、すぐに千歌が無爪の元に駆け寄る。

 

「どうしよう、なっちゃんの自転車が・・・・・・! ってか何あの剣!? あっ! 私の使って追いかける!?」

「うん、お願い・・・・・・」

 

しようとしたその時、「あれ? なっちゃん? 千歌?」と2人の名前を呼ぶ声が聞こえ、声のした方を見るとそこにはZ車から顔を除かせている美渡の姿があり、千歌と無爪の2人は彼女を見て「美渡ねえ!?」と驚きの声をあげる。

 

「あっ、丁度良いや!! 美渡ねえ車乗せて!! そっちの方が早い!! 自転車!! 僕の自転車盗まれたの!!」

 

無爪の指差す方を美渡が見ると自転車に乗った女性が逃走しており、その女性の格好は本部から聞いていたピット星人の服装と完全に一致しており、美渡はすぐに無爪の自転車を盗んだのが自分達が追いかけている人物と同じだと理解。

 

「分かったわ!! 2人とも乗って!!」

 

美渡は無爪と千歌を乗せ、一同は急いであの女性・・・・・・ピット星人のトリィを追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、無爪と千歌はZ車に乗せて貰い、全員でトリィを追いかける。

 

「っていうか美渡ねえ達はどうしてあの人追いかけてるの?」

「あっ、えっと~・・・・・・あの人事故を起こして逃げてるの。 私達ほら、保険のセールスしてるでしょ? 事故と保険はあの~、あれな訳で!! 事情を今すぐ・・・・・・あれしないといけないの」

 

千歌の疑問に歯切れ悪くもなんとかAIBのことは伏せて説明する美渡。

 

そんな彼女を見てザルドは「説明雑だな」とケラケラ笑っていた。

 

「じゃあアンタが上手く説明してみなさいよ!!」

「はぁ!? なんで俺が!? お前の身内だろ!!」

 

また無爪はこっそりとゼナ達に気づかれないように装填ホルダーに手を当てて星雲荘にいるレムに小声で連絡を取る。

 

「レム、聞こえる?」

『はい、聞こえています』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある喫茶店にて・・・・・・。

 

「先生、お疲れですか?」

 

そこでは荒井が担当者と小説の打ち合せをしている最中であり、担当者の男性は荒井の様子から少し疲れているのかと思ったが、本人は首を横に振ってそれを否定した。

 

「いいえ、報告をしていたんです。 現状を」

「報告・・・・・・?」

「宇宙のとある場所に、心の一欠片を置いていましてね? 目を瞑ればそこにおられる神と対話ができるのです」

 

それを聞いて担当者は「またご冗談を!」と笑い、荒井も笑みを浮かべた後、窓の外を眺めると荒井の目にだけ移動する光の柱のようなものが映っているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、外を歩いていたレイジは500円玉を手にしながら「はぁ」と溜め息を吐いており、手に持った500円玉を見つめながら「今月これだけしかないのか」と呟くのだった。

 

『無駄使いしすぎたんじゃねえの?』

「あはは、かもしれませんね。 でもまぁ、給料日までもう少しだし・・・・・・」

 

するとそこへ、自転車に乗ったトリィが「退いて!!」と叫びながら目の前を通り過ぎ、それに驚いたレイジは500円玉を池の中に落とし、彼は絶叫する。

 

「あぁ~!!?」

 

その時、レイジの中にいるゼロが何かが近づいて来ているのを感知し、すぐさま意識をレイジと切り替えて高くジャンプしながらその場を離れると地中から黄色い身体の怪獣、「宇宙怪獣 エレキング」が出現。

 

「キイイイイイ!!!!!」

 

エレキングはトリィを追いかけるように移動し、レイジはゼロに怯えた口調で「い、行くんですか?」と尋ねるがゼロは首を横に振る。

 

『いや、様子見だ。 本調子ではないからな』

 

それを聞いてレイジは内心ほっとするのだが・・・・・・。

 

『だが念のためにあの怪獣を追いかけるぞ。 いざって時の為にな!!』

『えぇ!? ちょっ!!』

 

ゼロはレイジの言葉を無視して急いでエレキングの後を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてトリィは人気のない山場まで行くと自転車を降りてそこに置いてあった車になんとか乗り込もうとしており、そこに丁度ゼナ達が乗ったZ車も駆けつける。

 

「「いたぁー!!」」

「後は私達に任せて2人はここにいなさい」

 

美渡にそう言われる無爪と千歌。

 

それに対し無爪は「えっ、でも美渡ねえ、あの人危険かも・・・・・・」と言うのだが、美渡は「大丈夫!」と答える。

 

「だって私、保険のセールスだから!!」

 

そう言いながらゼナ、美渡、ザルドの3人は車から降りてトリィを追いかけ、それを見て千歌は「保険のセールスって大変なんだね」と呟くのだった。

 

「えっ、いや・・・・・・これホントに保険のセールスなのかな・・・・・・?」

 

その時丁度、レムからの通信が入り、レムは無爪と千歌に怪獣が出現したことを知らせる。

 

「怪獣!?」

『はい、宇宙怪獣 エレキング。 ピット星人が惑星侵略の際に用いられることで知られています。 恐らく、無爪達が遭遇した女性もピット星人と思われます』

 

さらにエレキングがこちらに向かって来ていることをレムは知らせ、それに無爪は「分かった!!」と頷くと急いで千歌と無爪は車から降りる。

 

「レムの言葉からすると、その怪獣はあの女の人が操ってるってことなのかな?」

「いや、どうにも違うみたい。 レムが言うには、むしろ、怪獣はあの人のリトルスターを狙ってるっぽいんだ。 兎に角、このままじゃ美渡ねえ達も危ない!! 僕があいつを足止めする!!」

 

既に肉眼でハッキリと確認できるほど、エレキングがこちらに近づいて来ており、千歌は無爪の言葉に頷く。

 

「なっちゃん、頑張って!!」

 

笑顔を浮かべ、無爪にエールを送る千歌に、無爪も笑みを浮かべて「うん!!」と頷き、ジードライザーを取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

無爪はそう言い放つと腰のカプセルホルダーから「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルをナックルに装填させた後、さらにそれとは別に「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

「はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンジードプリミティブ」

 

ジードはエレキングの前に立ち塞がり、これ以上は進行させまいと駆け出していき、エレキングに膝蹴りを叩きこむ。

 

「キュイイイイ!!!!」

 

エレキングも反撃しようと尻尾をジードに向かって振るい、ジードは尻尾を掴んで受け止める。

 

だが、エレキングは自分の尻尾から強烈な静電気を発生させ、「バチィ!!」という大きな音が鳴るとジードは苦痛の声をあげて思わず両手を離す。

 

『いったぁ~!! 今のまるで静電気だ』

「キュイイイイ!!!!」

 

すかさずエレキングはジードに向かって突進し、ジードはジャンプしてそれを回避し、振り返りざまに前腕の鰭状の部位から放つ波状光線「レッキングリッパー」をエレキングに向かって発射。

 

『レッキングリッパー!!』

 

しかし、エレキングもすかさず振り返って口から三日月状の電撃光線を放ち、互いに光線はぶつかり合って相殺。

 

『シュア!!』

 

その爆発にエレキングは少しだけ驚き、その隙を突いてジードはエレキングに向かって駈け出し、勢いよく拳を突き出してエレキングの顔面を殴りつける。

 

『デヤアアア!!!!』

「キイイイ!!!?」

 

一方、トリィを追いかけていたゼナ達は見事彼女の両腕を掴んで捕まえることに成功。

 

「あっ、ゼナ先輩アレ!! ウルトラマンジードです!!」

 

そこで美渡はジードがエレキングと戦っていることに気づき、またトリィはそれを見て「エレキング!!」と怪獣の名を呼び、ザルドは「お前が呼んだのか?」とトリィに尋ねる。

 

「確かにエレキングは私達が育てた個体よ。 でも眠りにつかせておいたの! 私が仲間を裏切って・・・・・・地球侵略を中止に追い込んだ時に・・・・・・」

「なに?」

「裏切ったって・・・・・・どういうこと?」

 

トリィは視線を美渡に向けながら、彼女は自分が仲間を裏切った理由を語る。

 

「この星の文明が気に入ったから。 だけどあの子が目覚めるのを感じた。 あの子、私を狙ってる。 だから周辺に被害が出ないよう人が少ない場所を目指してたの」

「そういうことか・・・・・・」

 

ザルドはトリィがずっと逃げていた理由を知って「成程」と頷き、また美渡はそんなトリィに笑みを浮かべて彼女を優しく抱きしめる。

 

「ありがとう。 あなたはみんなを守ろうとしてくれたんだね」

「・・・・・・っ」

 

そしてジードはエレキングの顔のアンテナ部分から放つ電撃をバク転して避け、高く跳び上がってからの跳び蹴りをエレキングの胸部に叩きこむ。

 

「キュイイイイ!!!!」

『シェア!!』

 

さらにそこからジードはエレキングに掴みかかるのだが、エレキングはジードを両腕を振るって振り払い、さらに尻尾を振るってジードの身体を叩きつけて吹き飛ばす。

 

『グウウウ!!!?』

「キイイイイイ!!!!!」

 

エレキングは電撃を纏わせた尻尾を伸ばしてジードの身体を拘束し、ジードに強烈な電撃を流し込むとジードは身体中から火花を散らして大きく吹き飛ばされ、岩山に激突し倒れ込んでしまう。

 

『グアッ・・・・・・!?』

 

ジードを吹き飛ばしたエレキングは視線をトリィ達がいる方へと移し、エレキングは彼女達のいる方向へと歩き始める。

 

それを見てジードはエレキングを止める為になんとか立ち上がろうとするのだが・・・・・・先ほどのエレキングの攻撃のせいで身体の全身が痺れて動けずにいたのだ。

 

『身体が、痺れて動かない・・・・・・!!』

『高圧電流の影響です。 立ち直るまで、数十秒かかります』

 

レムがジードの身体が動かない理由を説明し、それを聞いたジードは「そんなに待ってられるか!!」となんとか身体を起こそうとするが、身体は言うことを聞かなかった。

 

そうこうしている間に、エレキングはトリィ達に迫っていたのだが・・・・・・その時・・・・・・。

 

『シェア!!』

 

突如、空中から「ウルトラマンゼロ」が右足に炎を纏わせた「ウルトラゼロキック」をエレキングに喰らわせながら現れ、攻撃を受けたエレキングは大きく蹴り飛ばされる。

 

「キイイイイ!!!?」

『ウルトラマンゼロ・・・・・・!!』

『追いかけてきて正解だったな。 ここは俺に任せな!!』

 

ゼロはファイティングポーズを取りながらエレキングに向かって駈け出し、エレキングは三日月状の電撃をゼロに向かって放つが・・・・・・ゼロはそれら全てを弾きながら一気にエレキングに接近。

 

ゼロはエレキングの頭を掴んで背負い投げを繰り出す。

 

『デヤア!!』

「キュイイイ!!?」

 

 

 

 

 

同じ頃、荒井は戦闘が行われている近くの場所で静かにゼロとエレキングの戦いを見つめていた。

 

戦いはゼロが圧倒的に優勢、しかし荒井はそれを快く思わなかった。

 

「・・・・・・困りますね。 リトルスターがジードに譲渡される前にエレキングを倒されては」

 

荒井はそう呟くとライザーを取り出し、2つの怪獣カプセルを起動させる。

 

「ベムラー」

 

1つは「宇宙怪獣 ベムラー」のカプセルでそれを装填ナックルに装填。

 

「アーストロン」

 

次に起動したのは「凶暴怪獣 アーストロン」のカプセル。

 

それも起動し、ナックルにカプセルを装填。

 

そしてライザーでナックルをスキャンし、ライザーのトリガーを引く。

 

「これでエンドマークだ!!」

『フュージョンライズ!!』

 

すると荒井の姿が「ウルトラマンベリアル」の姿へと変わり、ベリアルの前にベムラーとアーストロンが現れ、2体は粒子のようになってベリアルの口の中へと吸い込まれるとベムラーとアーストロンが融合した「ベリアル融合獣 バーニング・ベムストラ」へと変身を完了させる。

 

『ベムラー! アーストロン! ウルトラマンベリアル! バーニング・ベムストラ!!』

 

 

 

 

 

 

 

場面は戻り、エレキングの振るう尻尾を回し蹴りで弾き飛ばし、左腕を伸ばして「エメリウムスラッシュ」を発射する態勢になるゼロ。

 

そこへ一閃の光線がゼロの背中に直撃し、ゼロは苦痛の声をあげてその場に膝を突きながら後ろを振り返る。

 

『なんだアイツは・・・・・・!? 新手か!?』

 

そこには光線を吐いた後のベムストラの姿があり、ベムストラは両腕を広げてゼロに向かって突進。

 

鋭いパンチを立ち上がったゼロへと繰り出し、ゼロは両腕を交差してガード。

 

しかし、そこに今度はエレキングの放った三日月状の電撃光線が迫り、ゼロは手刀でそれを弾く。

 

すかさずゼロは次にベムストラが自分に攻撃を仕掛けて来ると読んで振り返りざまに拳から「ビームゼロスパイク」という光弾を放つのだが、ベムストラは青い球体になって攻撃を回避。

 

球体となったベムストラはゼロの周りを高速で飛び回り、ランダムに移動しながら球体状態から光線を発射。

 

『グウウウ!!? ウロチョロしやがって!!』

 

ゼロは頭部にある2本のブーメラン、「ゼロスラッガー」を球体状態のベムストラに投げつけるのだが、ベムストラはそれらを軽く回避。

 

『エメリウムスラッシュ!!』

 

だが、ゼロは額のビームランプから放つ「エメリウムスラッシュ」を先ほど投げたゼロスラッガーに向けて放ち、スラッガーに当たると光線は反射。

 

さらに反射された光線はもう1つのスラッガーに当たってまた反射し、光線が球体のベムストラに直撃。

 

落下する球体をゼロは回し蹴りで蹴り飛ばし、スラッガーを頭部に戻す。

 

『デアアア!!』

「グアアアアア!!!!?」

 

地面に激突し、元の姿に戻るベムストラ。

 

ベムストラはすぐに立ち上がるが、ゼロに両腕を掴まれて動きを封じられてしまう。

 

だが、ベムストラは頭を大きく振りかざして頭部の角でゼロを斬りつけ、自分から引き離す。

 

『グウウ!?』

 

そしてエレキングはベムストラがゼロの相手をしている間にトリィのリトルスターを狙って移動を始め、ゼロは「待て!!」とエレキングを追いかけようとするのだが、それを阻止するようにベムストラが立ち塞がる。

 

「グルアアアアア!!!!」

 

ベムストラは一度吠え、口から青い光線を発射する「ペイルサイクロン」をゼロに向かって発射。

 

対するゼロも左腕を伸ばしてから腕をL字に組んで放つ「ワイドゼロショット」を放ち、ぶつかり合った光線は両者の間で爆発が起きる。

 

その直後に、ベムストラのドロップキックがゼロに炸裂し、ゼロは地面に転がるように倒れる。

 

『クッ!? こいつ、中々やるな!!』

 

そしてエレキングが迫っているのを見てトリィは「あなた達は逃げて!! エレキングは、私の体内の光を狙っている!!」とゼナ達に逃げるように言い、胸の光・・・・・・リトルスターが輝くと彼女はピット星人の姿へと戻る。

 

『ここは私がなんとかする!! だから・・・・・・!!』

「・・・・・・あの怪獣は、トリィさんを狙ってるんですね?」

 

美渡はあることをトリィに尋ね、それに対し、トリィは「そうよ。 確実に来る」と頷き、だから自分が囮になって美渡達を逃がそうとするのだが・・・・・・。

 

トリィは美渡に強く肩を掴まれ、彼女はトリィに対し、首を横に振った。

 

「そんなことしなくても大丈夫。 私に良い考えがあります」

「お前それ大体失敗する時に言う台詞だけど大丈夫か?」

「大丈夫よ!! だから、トリィさんついて来てください」

 

ザルドの言葉に美渡はそう叫び、そしてそれを聞いたゼナは怪訝な様子で「何をするつもりだ?」と問いかける。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならないってね。 これ、あの男の子・・・・・・なっちゃん、無爪って子やウチの妹の千歌がよく言ってる言葉なんだ。 さぁ、早くしよう!!」

『おい!』

 

トリィ達は美渡に言われた通り、取りあえずは彼女について行くことに。

 

「千歌!!」

「あっ、美渡ねえ!」

 

彼女等はZ車のある場所に戻るとそこではジード達の戦いを見つめている千歌だけがその場に残っており、美渡は「なっちゃんは?」と問いかけると千歌は焦って「えっと、あの!」となんとか誤魔化そうとする。

 

「そ、その美渡ねえ達が行った後、急にお腹が痛いって言ってトイレを探しに・・・・・・!」

「何してんのよこんな時に全く・・・・・・。 兎に角!! 取りあえずは千歌も車に乗って!!」

 

美渡の指示によってトリィと千歌、念のためにザルド、ゼナを乗せ、ゼナはZ車でこのまま逃げるのかと思い、車を運転しようとするのだが美渡に「待って!!」と言われてゼナは引き止められる。

 

「このまま動かさないで!!」

 

それから美渡は車の後ろに回り込み、またこちらに向かって来ているエレキングを見てトリィは「やはり胸のリトルスターに引き寄せられてる」と呟く。

 

『リトルスターとはなんだ?』

『研究所仲間の話では幼年期放射の結晶で、発生条件は不明。 最近なぜかこの街を中心に同時多発的に発生してる!!』

「誰かが裏で操ってるってことでしょうか?」

『・・・・・・今はまだ、なんとも言えん』

 

そして美渡はエレキングが目と鼻の先というほどZ車の近くまで来ると彼女はZ車のトランクを開いてルグスを取り出し、それをバックミラーで確認したゼナは「何をしている!?」と慌てて車から出る。

 

「お願い、上手く行って!!」

 

すると美渡はルグスの黄色い部分を掴むと緑の花粉が放たれてそれがエレキングの鼻の中に入り、エレキングは苦痛の声をあげる。

 

「キュイイイイ!!!!?」

 

また、それを近くで受けたゼナは眠りにつき、美渡もまた急激な眠気に襲われるのだが・・・・・・。

 

彼女は眠気を必死に抑え、ルグスの黄色い部分を「ブチィ!!」と千切り取ると朦朧とする意識の中・・・・・・けれども確実に当てるように・・・・・・それをベムストラへと全力で力を込めて放り投げたのだ。

 

「届けええええええええ!!!!」

 

そして、美渡の投げたルグスは見事ベムストラの鼻の中に「スポッ!」と入り、ベムストラもエレキング同様に目尻に涙を溜めて苦痛に満ちた鳴き声をあげた。

 

「グルアアアアアア!!!!」

 

その後、それを見届けた美渡は「よし!」っとガッツポーズをしてから、彼女は目を閉じて倒れ込んで眠ってしまうのだった。

 

『ありがとよねーちゃん!』

『エレキング、及び新たに出現した怪獣に異変発生』

『よし、僕もようやくなんとか動けるようになった!! 今の内だ!!』

 

レムからの報告を受け、痺れの解けたジードは立ち上がり、使用カプセルを交換する。

 

『融合!!』

 

1つは既に使用している「ウルトラマンベリアル」のカプセルをもう1度起動させ・・・・・・。

 

『アイ、ゴー!!』

 

それから新たに「ウルトラマンオーブ エメリウムスラッガー」のカプセルを起動させてナックルに装填。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!!』

『飛ばすぜ!! 光刃!!』

 

そこからジードライザーで装填ナックルをスキャンし、トリガーを引いてライザーを掲げる。

 

『はああああ、はぁ!! ジィィーーード!!!!』

『ウルトラマンベリアル! ウルトラマンオーブ エメリウムスラッガー! ウルトラマンジード! トライスラッガー!!』

 

そしてジードはプリミティブからウルトラマンベリアル、ウルトラマンオーブ・エメリウムスラッガーの力を融合させた「ウルトラマンジード トライスラッガー」に姿を変える。

 

戦闘BGM「ウルトラマンゼロ アクション」

 

一方でゼロはルグスの影響により、フラつくベムストラに向かってストレートキックを叩きこんだ後、ベムストラの身体を持ち上げて投げ飛ばす。

 

『シェア!!』

「グルアアアア!!!?」

 

それを受けてもベムストラはフラつきながらも立ち上がり、なんとか破壊光線、ペイル・サイクロンを放とうとするのだが、それよりも素早くゼロのアッパーカットが顎に炸裂し、ベムストラは殴り飛ばされる。

 

「グオオオ・・・・・・」

 

ならばとベムストラは今度は球体に変化してゼロに攻撃を仕掛けようとするのだが・・・・・・。

 

『その技は既に見切った!!』

 

ゼロはゼロスラッガーを融合させて三日月状の剣にした「ゼロツインソード」を構え、刀身を緑色に輝かせ・・・・・・こちらに向かって迫ってくるベムストラにすれ違いざまにツインソードを横一閃に切り裂く「プラズマスパーククラッシュ」を炸裂させる。

 

『プラズマスパーククラッシュ!!』

「グゥ・・・・・・ラアアアアア!!!!?」

 

球体は真っ二つに切り裂かれて爆発するのだった。

 

そしてジードはというと・・・・・・。

 

『トライスラッガーアタック!!』

 

ジードは頭部の3つのアイスラッガーをエレキングへと投げつけて切り裂く「トライスラッガーアタック」を繰り出し、斬りつけられたエレキングは身体から火花を散らす。

 

「キイイイイ!!!!?」

『デュア!!』

 

エレキングはどうにか電撃光線をジードに向かって放つが、ジードは腕を振るって弾き飛ばし、ジャンプして勢いよく拳をエレキングの顔面に叩き込む。

 

さらにそこからすかさず連続で拳を叩き込み、最後にまた拳をエレキングの顔面に喰らわせ、ジードはエレキングを殴り飛ばす。

 

「キュイイイ!?」

 

また、その様子を見ていたトリィは・・・・・・。

 

『エレキング・・・・・・!』

 

エレキングを可愛がりながら育てていたことを思い出し、彼女は車から勢いよく飛び出し、ザルドも彼女を追いかける。

 

「おい!」

『エレキング・・・・・・。 っ、お願い、その子を楽にしてあげて!!』

 

トリィのその叫びを聞き、ジードはその願いを聞き入れ、頷く。

 

ジードは右拳に黒いエネルギーを集めてから腕をL字に組んで放つ「デススラッガーショット」を発射。

 

『はあああ、デススラッガーショットォ!!』

 

デススラッガーショットはエレキングに直撃し、直撃を受けたエレキングは身体から火花を散らして倒れ込み爆発するのだった。

 

『ごめんね、エレキング・・・・・・。 ありがとう、ウルトラマン・・・・・・』

 

トリィが悲しげにそう呟くと、彼女の胸の光・・・・・・リトルスターが分離し、ジードのカラータイマーの中へと入り、無爪の手元へとウルトラカプセルとなって届く。

 

そして手にしたカプセルには青い姿の光の国の科学者、「ウルトラマンヒカリ」が描かれていたのだった。

 

「今度は青いウルトラマンか!」

 

その後、ゼロがジードに対して何か言いたそうにしていたが、活動限界が迫っていた為、結局は何も言えず2人はそれぞれ別々の場所で人間の姿へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

「ゲホゲホッ!! おのれ、あの小娘・・・・・・!!」

 

その一方でゼロに敗れた荒井はというと・・・・・・。

 

怪獣に変身していた為にルグスの効果を最小限に留められていた為、眠気こそあるものの気を失っておらず、荒井はルグスを投げてきた美渡に怒りを覚えていた。

 

「だが、これで新たな私のカプセルは手に入る」

 

すると荒井は何も描かれていないカプセルを空中に向けると、そこに漂っていた黒い霧のようなものがカプセルに吸収され、何も描かれていなかったカプセルにエレキングの姿が浮かび上がるのだった。

 

「恐怖に追い立てられ、人は祈る・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、トリィから自転車を無事返して貰い、また彼女はAIBに新たに所属することとなった。

 

また無爪はお詫びの品を梨子に渡し、彼女からは胸を触ったことを完全に許して貰うことができたのだった。

 

そして今は無爪がバイトしているという駄菓子屋「銀河マーケット」の飲食スペースで無爪、美渡、千歌、梨子、曜の3人が購入したお菓子を食べてくつろいでいるところだった。

 

ちなみに無爪は今日はバイトではなく普通の客として来ている。

 

「全く、なっちゃんは・・・・・・。 お腹壊したのは仕方ないけど、やっぱり怪獣が出たのに千歌を置いて行くなんてねぇ?」

「そ、その、その説は・・・・・・本当にごめんなさい。 美渡ねえ、千歌ねえも・・・・・・」

「い、いやいや!! 仕方ないよそりゃ!! だから謝ることないって!! 美渡ねえももういいでしょ! それよりもさ、美渡ねえ。 あの女の人だけど・・・・・・なんか変なとこなかった?」

 

不意に千歌がトリィのことを尋ねると美渡は飲んでいたラムネを吹き出しそうになり、「なななな、なんにもないよ!?」と目を泳がせながら誤魔化す。

 

「あ、あのぉ~」

 

そこへレイジが恐る恐る店へと入って来るとその顔を見た店長のハルヲが「ひぃ!? ヤクザ!?」と怯えていたが・・・・・・それは放っておいてレイジは無爪に話があると言って店の外に連れ出す。

 

「なんだろ? レイジ兄ちゃんがなっちゃんに話って?」

「さぁ?」

 

店の外に連れ出された無爪は「どうかしたんですか?」と尋ねると、レイジは意識をゼロに切り替え、レイジの身体を借りたゼロは無爪に「よぉ!」と挨拶する。

 

「えっ? レイジさん!?」

『俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ。 訳合って俺はこいつと今一体化している』

「えぇ!? レイジさんが・・・・・・ウルトラマンゼロと!?」

 

レイジ・・・・・・というよりも、ゼロから告げられた真実に無爪は驚きの声をあげる。

 

「確かに、今のレイジさん声もゼロに似てるけど・・・・・・」

『しばらくお前の戦いの様子を見させて貰ったぜ? お前には色々と聞きたいことがある・・・・・・がっ・・・・・・』

 

ゼロは視線を楽しげに談笑している千歌達に映すと、彼は「今日はまあいい」と言って無爪の肩に手をかける。

 

『頑張れよ。 スクールアイドルの手伝いもウルトラマンもな』

「は、はぁ・・・・・・」

 

ゼロはそう笑顔で言うと意識をレイジに戻す。

 

「あっ、驚いたよね? でも、僕も無爪くんがジードなのは驚いたし、そこはお互いさまってことで。 じゃ、じゃあ僕はまだちょっと仕事があるから・・・・・・。 曜ちゃん達によろしくね!」

「あっ、はい」

 

無爪はレイジの言葉に頷き、彼はそれだけを告げるとその場を立ち去るのだった。

 

 




デススラッガーショット
トライスラッガーアタックは本作オリジナルの技です。
デススラッガーショットは普通にスラッガー使わないリフレクトスラッガーです。

ちなみにザルドがゼナと同じ装置を使っても戦闘時になるとどうしてもザム星人の姿になります。
そしてジードサンシャインは戦闘要員が1人欠けている為それを埋めるキャラでもあります。



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第5話 『もう1つの炎』

今年はラブライブ!9周年なのでそれを記念しての更新です。


国木田 花丸は小さい頃から隅っこで遊ぶ目立たない子だった。

 

運動も苦手で、学芸会も木の役で・・・・・・だからだんだん、彼女は1人で遊ぶようになっていった。

 

彼女は本を読むことが大好きになっていったのだ。

 

中学頃の当たりから図書室はいつしか彼女の居場所となり、そこで読む本の中でいつも空想を膨らませていた。

 

そんなある日のこと・・・・・・。

 

彼女が何時ものように本を読み終え、本を読み終えて少し寂しさを感じていた時・・・・・・。

 

近くで「ガサガサ」と物音が鳴り、音のした方を見てみるとそこには赤い髪をしたツインテールの小柄な少女の姿があり、彼女は何やらアイドルの雑誌を読んでいるようだった。

 

そしてルビィが花丸の視線に気づくと人見知りな彼女は「わぁ!?」と少し驚きの声をあげて顔を雑誌に隠し、そんな少女を見て花丸は思わず笑みを浮かべる。

 

するとこっそりと雑誌の上から花丸の笑った顔を見て、少女も自然と釣られるように笑顔を浮かべるのであった。

 

『その娘は黒澤 ルビィ・・・・・・。 マルの大切な友達!』

 

そう、それこそが・・・・・・花丸とルビィの出会いだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレキングの騒動から数日が経ち、鞠莉の手続きが終了した為、千歌達スクールアイドル部の活動が承認され・・・・・・。

 

彼女等は今、与えられた体育館の部室にスクールアイドル部の表札をかけているところだった。

 

「それにしても、まさかホントに承認されるなんて!」

「部員足りないのにね」

「理事長が直々に承認してくれたんでしょ、別に良いんじゃない?」

 

「良いっていうかノリノリだったよね?」と苦笑しながら曜がそう無爪に言葉を返す。

 

「でも、どうして理事長は私達に肩を持ってくれるのかしら?」

「まぁ、『スクールアイドル目指すならここくらい満員にしてみせろ!!』ってちょっとキツいこと言って来たけどね」

 

無爪のその言葉を聞いて曜と梨子は鞠莉ってそんな言い方していただろうかと首を傾げるが、それよりも今は梨子が疑問に思った「どうして自分達に肩を持ってくれるのか」という部分である。

 

それに対して千歌は「鞠莉もスクールアイドルが好きなのでは?」と予想するが・・・・・・梨子はどうにもそれだけではないような気がしてならないのだった。

 

「兎に角入ろうよ!」

 

鞠莉のことも少し気になるが、今は先ず部室に入って中の様子を見ることが先決だということで千歌は貸して貰った鍵を使って部屋の中へと入るのだが・・・・・・。

 

「「・・・・・・おぉう」」

「片付けて使えって言ってたけど・・・・・・」

「これ全部ぅ~!!?」

 

その部屋はかなり散らかっている上に埃だらけの汚部屋で千歌、無爪、曜、梨子は少々どん引きし、千歌は文句を言っていたが梨子に「文句を言っても片付かないわよ!?」と注意される。

 

「もぉ~!」

「じゃあ僕は部員じゃないんでこれで!」

 

そして無爪は部員じゃないのを良いことにそそくさとその場から離れようとするが・・・・・・当然、彼女等が逃がす訳もなく、「逃がすかぁ!!」と千歌と曜に首根っこを掴まれて無理矢理引き止められるのだった。

 

「そんなこと言わないで!!」

「お願いだから手伝ってよなっちゃ~ん!」

 

曜と千歌にそう必死に懇願され、無爪は「えぇ~?」と嫌そうな顔を浮かべる。

 

「おねがぁい・・・・・・」

 

目尻に涙を溜め、上目遣いでそう頼み込んで来る千歌。

 

それを見て無爪は「うっ」と声をあげ、うるうるとした瞳で訴えてくる千歌に無爪は溜め息を吐き「しょうがないなぁ」と部屋の掃除を手伝うことを決めるのだった。

 

(なっちゃんチョロい)

「ホント!? ありがとうなっちゃん!!」

 

それに千歌は笑顔を浮かべて喜び、彼女は無爪の手を握りしめながらお礼を言い、それに対し、無爪は頬を赤くする。

 

「も、もぅ・・・・・・。 じゃあ早く済ませよう!」

 

無爪は千歌の手を少々名残惜しく思いつつも離し、掃除を始めようとみんなに言うのだが・・・・・・その時、千歌が部屋に置いてあったホワイトボードに何か書かれているのを見つける。

 

「んっ? なんか、書いてある?」

「歌詞・・・・・・かな?」

「どうしてここに?」

 

そこには歌の歌詞らしきものが書かれており、なんでこんなところでそんなものが書かれているのだろうと疑問に思う一同。

 

その中で無爪はそのホワイトボードを見て1つのある予想を立てていた。

 

(昔、アイドル部みたいなのがあったってことなのかな? 歌詞みたいなものが書いてあるってことは)

 

その時、一同は気づかなかったのだが・・・・・・外から部室の中の様子を伺っているルビィの姿があり、彼女は千歌達の姿を目にするとすぐにその場から走り去って行き、Aqoursに部室が出来ていることを親友の花丸に報告しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

学校の図書室にて。

 

周りには誰もおらず、そこでは図書委員である花丸が静かに本を読んでいるところだった。

 

そこへ、部屋の扉を勢いよく開いたルビィがやってきて花丸の元へと駆け寄り、彼女は嬉しそうに千歌達のスクールアイドル部が承認されていることを彼女に報告した。

 

「やっぱり部室出来てた!! スクールアイドル部承認されたんだよ!!」

「良かったね~」

 

それを聞いて花丸も笑みを浮かべ、ルビィはほっこりした様子で「またライブ見られるんだ~」と楽しげな様子を見せる。

 

その時、図書室の扉が再び開き、部室に置いてあった本を返しに来た千歌達がやって来たのだ。

 

「こんにちわ~!」

「ピギャ!?」

 

それに驚いたルビィは咄嗟に花丸の隣に置いてあった扇風機の後ろに隠れる。

 

「あっ、花丸ちゃん! っと・・・・・・ルビィちゃん!!」

「ピキャッ!?」

 

だが、すぐに千歌は扇風機の後ろに隠れているルビィを一差し指を指して発見し、それに曜は「よく分かったね~」と感心の声を出す。

 

「ってかルビィちゃん、その体勢スカートの中見えそうだからやめた方が良いよ」

 

図書館に入ったほぼその直後になぜか顔を天井に向けていた無爪だったが、今の言葉を聞いて梨子は「あぁ、だから上を向いてるのか」と納得した。

 

「ピギッ!?」

 

すぐさま顔を真っ赤にしつつ自分のスカートを抑えながら立ち上がり、彼女は小動物のように戸惑いながらも「こ、こんにちわ」と千歌達に挨拶し、それを見て千歌は目を輝かせる。

 

「かわいい~!」

「あっ、これ、部室にあったんだけど図書室の本じゃないかな?」

 

そこで梨子はここに来た目的を花丸に話し、花丸が本を確認すると「多分そうです」と言ってわざわざ返しに来てくれたことにお礼を言おうとした瞬間。

 

『ガシッ!』と花丸とルビィの2人は力強く千歌に手を掴まれる。

 

「スクールアイドル部へようこそ!!」

「千歌ちゃん・・・・・・」

「バカ千歌ねえ・・・・・・おいコラ」

 

その光景に梨子は呆れ、曜は唖然とし、無爪は頭を抱える。

 

「結成したし、部にもなったし、絶対悪いようにはしませんよ~!」

「それ悪い人がいう台詞でしょーが!! 離れろバカ千歌ねえ!!」

 

無爪はそんな千歌に怒りながら彼女を花丸とルビィから引き離す。

 

「だって2人が歌ったら絶対キラキラするもん!! 間違いない!!」

「で、でも・・・・・・」

「・・・・・・オラ・・・・・・」

「「オラ?」」

 

つい滑ってしまった言葉に、花丸は慌てて「いえ!!」と言ってなんとか誤魔化す。

 

「マル、そういうのは苦手っていうか・・・・・・」

「る、ルビィも・・・・・・」

 

花丸と同じように困ったような表情で「自分もちょっと」という感じのルビィ、そんなルビィを見て花丸は何か言いたそうな顔を浮かべる。

 

また同じようにそんなルビィの表情を察してか、無爪もまた「んっ?」とそんな彼女に対し何かを感じていた。

 

「千歌ちゃん、強引に迫ったら可哀想だよ!」

「そうよ! まだ入学したばかりの1年生なんだし!」

 

曜と梨子に注意され、反省する千歌。

 

「そうだよね、あははは。 可愛いから、つい・・・・・・」

「千歌ちゃん、そろそろ練習」

「あっ、そっか。 じゃあね!」

 

曜にそう言われ、千歌達は練習に行くこととなり彼女等は図書室を出て行ったのだった。

 

千歌達が部屋を出るのを見届けると、花丸はルビィに「やりたいんじゃないの?」と尋ねられ、彼女はそれに「へっ!?」と驚いたような声を出す。

 

「で、でも・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

学校の帰り。

 

海岸沿いにてルビィは自分がスクールアイドルをやろうとしない理由を花丸にそこで説明していた。

 

「ダイヤさんが?」

「うん、お姉ちゃん、昔はスクールアイドル好きだったんだけど、一緒にμ'sのマネして歌ったりしてた」

 

だが、高校に入ってしばらく経った頃・・・・・・。

 

『片付けて』

『へっ?』

『それ、見たくない!』

 

ダイヤはなぜか不機嫌な様子でスクールアイドルの雑誌を部屋で読んでいたルビィにそう言い放ち、それが理由でルビィは自分がスクールアイドルをやることに抵抗を感じていることを悲しげな瞳を浮かべながら、花丸に語るのだった。

 

「そうなんだ・・・・・・」

「本当はね、ルビィも嫌いにならなくちゃならいけないんだけど・・・・・・」

 

そんなルビィに対し、花丸は「どうして?」と疑問を投げかける。

 

「お姉ちゃんが見たくないって言うものを、好きでいられないよ!!」

 

そんな時のことである。

 

そう言い放つルビィの元に、学校帰りの無爪がやって来たのだ。

 

「あっ、ルビィちゃんに花丸ちゃん?」

「ピッ!?」

 

無爪の姿を見てルビィは突然現れた彼に驚きの声をあげながら花丸の背後に隠れ、それに対し、無爪は思わず苦笑してしまう。

 

しかし、人見知りの彼女に対し以前千歌がやっていた方法を思い出し、鞄の中にあった飴を取り出す。

 

「えっと、飴・・・・・・食べる?」

「あ、ありがとう・・・・・・ございます・・・・・・」

 

と言っても千歌のように餌付けする訳では無く、無爪は普通にルビィに手渡しで飴をあげ、ルビィはペコリと頭を下げる。

 

「そんなかしこまらなくても・・・・・・。 僕ら同級生なんだから。 敬語も無しでさ」

「は、はい・・・・・・。 あっ、いや、うん」

 

無爪の言葉にルビィは戸惑いつつも頷き、そんな2人を見て花丸は「なんか煮え切らない態度の2人ずら」と思うのだった。

 

「ところでさ、さっきチラっと聞こえたんだけど、ルビィちゃんは・・・・・・ダイヤさんが嫌いだって言うから、自分もスクールアイドルを嫌いにならないといけないの?」

 

無爪にそう質問され、ルビィはまだ無爪のことを少し警戒しているからか、ぎこちない様子で「うん」と頷く。

 

それを聞き、無爪は「それって、おかしくない?」と彼女に対して言葉を返し、それにルビィは「えっ?」と首を傾げる。

 

「だってさ、好きなものを・・・・・・そう簡単に嫌いになんてなれないでしょ?」

「そ、それは・・・・・・」

「ダイヤさんが強制した訳でもないのなら、尚更だよ。 好きって気持ちからは・・・・・・多分、逃げられないと僕は思う」

 

笑みを浮かべながら無爪はルビィにそう語り続け、それを受け、ルビィは顔を俯かせる。

 

それを見て無爪は「困らせちゃったかな」と不安になり、「ごめんね!」と両手を合わせてすぐさま謝罪する。

 

「余計なこと言っちゃったかもね。 また変なこと言う前に僕はもう帰るよ、じゃあまた明日!」

「あっ、さ、さようなら・・・・・・」

「ま、また明日・・・・・・」

 

無爪は手を振りながら自分はもう帰ることを告げてその場から立ち去って行き、無爪を見送った後・・・・・・ルビィはフッと思ったことを花丸に問いかけた。

 

「ところで・・・・・・花丸ちゃん自身は興味ないの? スクールアイドル?」

「マル!? ないない!! 運動苦手だし、ほら、オラとか言っちゃう時あるし・・・・・・」

「じゃあルビィも平気!」

 

ルビィは花丸に笑顔を見せながらそう言うのだが、花丸は悲しげな表情でそんなルビィを見つめており・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、果南の家のダイビングショップにて。

 

「ありがとうございました! またよろしくお願いします!」

 

果南はダイビングショップに来ていた客を見送り、店の手伝いに戻ろうと後ろを振り返った瞬間・・・・・・。

 

『ヌゥ・・・・・・!』っと怖い顔引っ提げて何かの袋を持ったレイジが立っており、それを見た瞬間果南は「ビクゥ!?」と肩を震わせ、「ひやああ!!?」と驚きの声をあげるのだった。

 

そんな果南の悲鳴に驚いてか、レイジも「うわあ!?」と驚き、彼は思わず尻餅をついてしまう。

 

『いや、なんでお前も悲鳴もあげてんだよ』

「だ、だって急に大声出すから・・・・・・」

『だからオメーのせいだよそれは!!』

 

そんな風に、ゼロにツッコミを入れられるレイジ。

 

すると果南はレイジの顔を見て見知った顔であったことに気づき、彼女はほっと胸を撫で下ろした。

 

「な、な~んだレイジさんか。 ご、ごめんねレイジさん? でもレイジさんも悪いよ? 振り返ったら急に怖い顔したレイジさんが立ってたんだから」

「ご、ごめんね? 別に驚かせるつもりは無かったんだけど・・・・・・」

 

ちなみに、レイジが曜の従兄で千歌や無爪と知り合いなこともあり、果南もレイジのことは昔から知っているので2人は互いに顔見知りである。

 

「聞いたよ、お父さん怪我して今果南ちゃん店の手伝いで学校を休んでるって」

「うん、実はそうなんだ」

「だからこれ。 こっちに帰って来て忙しくて遅れちゃったけど、お見舞いの品」

 

レイジの持っていた袋は果南の父に対してのお見舞いであり、果南は「ありがと~」とお礼を言いながらそれを受け取るのだった。

 

「折角だし、レイジさんもダイビングして行く?」

「うーん、そうだなぁ・・・・・・」

 

そんな時のことである。

 

突然、いつの間にか現れていた誰かが果南の腰に抱きつき、彼女が視線を下に向けるとそこには・・・・・・。

 

果南の胸に頬ずりをする鞠莉の姿があるのだった。

 

「えっ、理事長!?」

『おい、あれ完全にセクハラだろ』

「やっぱりここは果南の方が安心できるな~♪」

「って鞠莉!!」

 

果南は自分の胸に頬ずりしてくる鞠莉を引き離すのだが、彼女は身体をターンさせた後に今度は普通に「果南、シャイニー!」と言いながら嬉しそうに果南に抱きついてくる。

 

「・・・・・・どうしたのいきなり?」

 

険しい表情を浮かべながら、果南が鞠莉にそう尋ねると鞠莉は一度果南から離れ、レイジの方へと振り返る。

 

「ソーリー、レイジ先生。 少し、果南と2人だけで話したいことがあるの」

「あっ、は、はい!! 僕は席を外しますね!!」

 

鞠莉の言葉を受けてレイジはそそくさとその場から離れ、鞠莉は再び果南と向き直る。

 

「スカウトに来たの!」

「スカウト?」

「休学が終わったら、スクールアイドル始めるのよ!! 浦の星で!」

 

それを聞き、果南は険しい表情を崩さないまま「本気?」と鞠莉に尋ねると鞠莉は先ほどまでのおちゃらけた様子から一変し、真剣な顔つきとなる。

 

「・・・・・・でなければ、戻って来ないよ」

「・・・・・・」

 

それを受け、果南は目を滲ませながら何かを鞠莉に強く言い放った後、彼女は店の中へと戻って行くのだった。

 

「・・・・・・相変わらず頑固親父だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、黒澤家にて・・・・・・。

 

そこでは部屋の隅っこでルビィはμ'sの雑誌を読んでいた。

 

「・・・・・・」

 

すると彼女はふっと視線を別の場所に移し、彼女はその場所でよくダイヤと一緒によくμ'sの話を2人で楽しくしている時のことを思い出していた。

 

『ルビィは花陽ちゃんかなぁ?』

『わたくしは断然エリーチカ! 生徒会長でスクールアイドル、クールですわ~!』

 

エリーチカがクール・・・・・・?

 

ではなくルビィがそんな自分達の押しのことを話し合うという当時のことを思い出し、その時のことを思い出して寂しくなったのか、一瞬彼女は暗い表情となるが・・・・・・。

 

再びμ'sの雑誌に視線を映すとすぐに彼女は自然と笑みを浮かべた。

 

「・・・・・・」

 

そんな様子を丁度学校から帰ってきたダイヤがこっそりと覗いていたのだが、彼女はルビィがμ'sの雑誌を読んでいることに何も言わず、そのままその場を立ち去るのだった。

 

「あっ、そうだ」

 

するとルビィは冷蔵庫にアイスがあったことを不意に思い出し、彼女は丁度喉も渇いたのでアイスを食べようと台所に立ち上がって向かう。

 

「あった♪」

 

ルビィはそのアイスを手に取り、食べようと蓋を開けるのだが・・・・・・。

 

「えっ!? あれなんで!?」

 

なぜかそのアイスは既に溶けており、一瞬冷蔵庫が壊れたのかと思ったのだが・・・・・・見たところ冷蔵庫に異常はなく、ルビィは訳が分からず首を傾げ困惑する。

 

尚、その時ルビィは気づいていなかったのだが・・・・・・彼女の胸から米粒ほど小さな光が一瞬だけ宿っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、とある廃工場のある部屋にて・・・・・・。

 

そこでは壁にサーベルを始めとしたハンマーや銃など様々な武器が飾られており、その部屋の中央に置かれたソファには右目に傷があり、レスラーパンツのような模様の入った黒い身体の宇宙人・・・・・・「武装暴君 マグマ星人 マクリル」が武器の手入れをしながら座っていた。

 

『ふぅ~、なんかおもしれぇことねえかなぁ』

 

そんなことマクリルが呟いていると突然、彼が机の上に置いていた端末機が鳴り響き、それを受けてマクリルは慌てて端末機を手に取る。

 

『おっ! こいつは・・・・・・どうやら、例の噂の光を発症した人間が、この辺りにいるらしいな』

 

そう言いながらマクリルやニヤリと笑みを浮かべ、ソファから立ち上がり、壁に飾ってある武器を手に取っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、とある本屋で花丸がルビィと同じμ'sの雑誌を立ち読みしているところだった。

 

「μ's・・・・・・かぁ。 オラには無理ずら」

 

花丸はそう呟きながら次のページを開くとそこにはμ'sのメンバーの1人である「星空 凛」の姿があり、彼女は凛のページを少し興味深そうに眺めていた。

 

「・・・・・・んっ? あれって・・・・・・花丸ちゃん?」

 

尚、その時少し離れたところで漫画を買いに来た無爪がたまたま通りかかり、彼は雑誌を読んでいる花丸の姿を見て何か思うところがあるのか、「ふむ」と小さく呟く。

 

「ズラ丸降臨! しかも同じクラスの男子も! なんでここに!?」

 

その時、サングラスとマスクをした不審者がこっそりと移動していたのだが、花丸と無爪はその気配に気づき「んっ?」っと首を傾げるのだった。

 

「ってあれ? 無爪くん?」

「また会ったね、花丸ちゃん」

 

するとそこで花丸は無爪の存在に気づき、彼女はそれに驚いた表情を浮かべる。

 

「やっぱり花丸ちゃんも興味あるの? スクールアイドル?」

「い、いやぁ・・・・・・マルは・・・・・・。 ルビィちゃんがよく話してくれるから、少し気になっただけで・・・・・・」

「そう? その雑誌、凄く興味深そうに読んでたみたいだけど・・・・・・」

 

無爪にそう指摘され、花丸は「えっ!? そうずら!?」と声をあげる。

 

どうやら興味深そうに読んでいたのは無自覚だったらしい。

 

「ずら?」

「あっ、いや・・・・・・そうかな?」

 

また思わず「ずら」と言ってしまったことに慌てて言葉を訂正する花丸。

 

「うん。 興味深そうに見てた。 スクールアイドルが気になるのなら、千歌ねえ達の部活も良かったら見に来てね」

 

無爪はそれだけを言い残すと手を振ってその場を立ち去って行き、そんな無爪に影からこっそりとペガが誰にも気づかれないように顔を出す。

 

『なんやかんや言ってるけど、無爪って千歌ちゃん達の為に色々やってくれてるよね?』

「別に、千歌ねえの為じゃないし! 花丸ちゃんが興味ありそうだったから言ってあげただけだし!!」

『素直じゃないんだから』

 

何時ものようにそっぽを向いてツンデレ全開の無爪にペガは呆れたように苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、朝練として千歌、梨子、曜の3人は体力作りをするために淡島神社の長い階段を駆け上がっていたのだが・・・・・・。

 

流石に長すぎる為、彼女等は息を切らして途中で座り込んでしまっていた。

 

ちなみにこれには無爪も少し心配になって付いてきて一緒に階段を駆け上がっていたのだが・・・・・・そこはやはりウルトラマンだけあって彼は全く息切れをしていなかった。

 

「はぁ、はぁ、無理よ、流石に・・・・・・」

「でもぉ~、μ'sも階段登って鍛えたって~」

 

千歌の言葉を聞いて無爪は自分の影の中にいるペガに梨子にバレないようにこっそり「そうなの?」と尋ねる。

 

『いや、μ'sはここまで長い階段登ってないよ』

「だと思った。 千歌ねえ、もう少しペース配分考えようよ」

 

無爪は苦笑しながら千歌にそう言い、それに曜も「だね」と頷く。

 

「だってこんなに長いとは思わなかったし」

 

そんな時、「千歌?」と上から彼女の名前を呼ぶ声が聞こえ、声のした方に視線を映すとそこには走りながら果南が階段から降りて来た姿があり、千歌も「果南ちゃん!」と彼女の名を呼ぶ。

 

「もしかして上まで走って行ったの!?」

「一応ね、日課だから」

 

それを聞いて千歌達4人は「日課!?」と驚きの声をあげる。

 

「いやなんで無爪も驚くの? 無爪の方がとんでも体力じゃん」

 

果南にそうツッコまれ、無爪は「そういやそうか」と思わず納得。

 

「っていうか千歌達こそどうしたの? 急に?」

「鍛えなくっきゃって! ほら、スクールアイドルで!!」

 

果南の質問に千歌がそう答え、それに対して果南は「あぁ・・・・・・そっか」と納得し、「じゃあ店開けないといけないから」と言い残して彼女はその場を走り去って行くのだった。

 

「息1つ切れてないなんて・・・・・・」

「上には上がいるってことだね」

 

そんな果南を見てそれぞれ感心する梨子と曜。

 

また千歌も一度息を吐いてもう1度走り出そうと「私達も! 行くよ~」と言ってもう1度走り出そうとするのだが・・・・・・その時の千歌はかなり弱々しく見え、それに無爪達3人は苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、学校にて・・・・・・。

 

「えぇ!? スクールアイドルに!?」

「うん」

 

教室で花丸が突然、ルビィに「スクールアイドル部に入部したい」と言ってきたのだ。

 

尚、その言葉は同じ教室にいる無爪の耳にも入り、彼は慌てて「えっ、ホント!?」と嬉しそうに花丸達の元へと駆け寄る。

 

それに急に来たものだから花丸とルビィは「わっ!?」と声をあげて少し驚いてしまい、ルビィは思わず花丸の後ろに隠れてしまった。

 

「あっ、ご、ごめん急に・・・・・・驚かせちゃって。 でも、花丸ちゃんがアイドル部に入部してくれるって聞こえて・・・・・・つい」

 

無爪は申し訳なさそうに花丸とルビィに謝り、ルビィも花丸も「気持ちは分かるから、気にしなくて良いよ」と声をかけてくれたのだった。

 

「それで花丸ちゃん、急にどうして?」

「どうしって、やってみたいからだけど? ダメ?」

 

ルビィからの疑問に花丸はそう答え、花丸の言葉に対し、ルビィは「全然!!」と返す。

 

「ただ、花丸ちゃん興味とかあんまり無さそうだったから・・・・・・」

「いやぁ~、ルビィちゃんと一緒に見ている内に『良いな~』って! だから、ルビィちゃんも一緒にやらない?」

「ルビィも!?」

 

花丸はさらにルビィも一緒にスクールアイドル部に入らないかと誘い、それに驚きの声をあげるルビィ。

 

「やってみたいんでしょ?」

「それは、そうだけど・・・・・・人前とか、苦手だし、お姉ちゃんが嫌がると思うし・・・・・・」

「それは関係無いよ」

 

そんなルビィの言葉に、無爪が言ってきたのだ。

 

「人前はきっと、頑張ればどうにかなるし。 やりたいかやりたくないのかは、ダイヤさんじゃなくてルビィちゃん自身が決めることだよ?」

「うぅ・・・・・・」

 

しかし、それでもルビィはアイドル部に入部するのを躊躇い、それを見て花丸は「じゃあこうしない?」と1つの意見を彼女の耳元でささやいて提案したのだ。

 

「体験・・・・・・入部?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、放課後のスクールアイドル部の部室にて。

 

「ホントぉ!?」

 

花丸とルビィが体験入部をする為にこの部室に訪れ、そのことに対して千歌は嬉しさのあまり、目尻に涙を溜めた後、「やったぁ~!!」と喜びのあまり部室を飛び出してハイテンションなジャンプを披露。

 

「これでラブライブ優勝だよ!! レジェンドだよ~!!」

 

そう言いながら千歌は梨子と曜の間に入って2人の肩に腕をかけるのだが・・・・・・無爪はそんな千歌に呆れた視線を向ける。

 

「千歌ねえ、話聞いてた? 花丸ちゃんとルビィちゃんは体験入部する為に今日は来たんだよ?」

「ほぇ?」

 

つまり、お試しで一時入るだけでそれで行けそうならば入部するし、合わなければ入らずにやめるということを梨子は千歌に説明し、説明を受けた千歌は「そうなの?」と首を傾げて尋ねる。

 

「いやぁ、まあ・・・・・・色々あって・・・・・・」

「もしかして生徒会長?」

 

どうにもぎこちなさそうな2人に対し、曜は「もしかしてダイヤのことを気にしているのでは?」と思い、問いかけると花丸は苦笑しながら「は、はい」と頷く。

 

「だから、ルビィちゃんとここに来たことは内密に・・・・・・」

「僕は、気にする必要ないと思うんだけどなぁ・・・・・・。 っていうか・・・・・・!」

 

一方で千歌はAqoursの部員募集のポスターに「国木田 花丸&黒澤 ルビィ 参加」とマジックと書き込んでおり、そんな彼女に無爪は頭を抱えて後ろから軽めのチョップを千歌の頭に叩きこんだ。

 

「ほわっ!? なっちゃん何するの!?」

「何するじゃないよ!! 千歌ねえ、話はちゃんと聞こうか?」

 

無爪に注意され、梨子と曜もそんな千歌に対し思わず苦笑してしまうのだった。

 

「じゃあ取りあえず、練習やって貰うのが1番ね?」

 

梨子がそう言うと、彼女は部室のホワイトボードに色々なスクールアイドルのブログを見て参考に作ったという練習メニーが書かれた紙を貼り付け、それを見た無爪、千歌、ルビィ、花丸は感心の声をあげた。

 

「曲作りは?」

 

そこで曜が梨子の考えて来たメニューに曲作りの箇所がないことに気づき、彼女がそのことを手を挙げながら梨子に尋ねる。

 

「それは別に時間を見つけてやるしかないわね」

 

曜の質問に対し、梨子はそう説明を行う。

 

また、その光景を見てルビィは「本物のスクールアイドルの練習・・・・・・!」とスクールアイドルの練習場面を生で見れることに感動していた。

 

「でも、練習どこでやるの?」

 

次に曜がダンスの練習などはどこでやれば良いのかと疑問に思ったことを口にすると、すっかりそのことを忘れていたのか千歌は「あっ・・・・・・」と声を出し、一同は練習できそうな場所を探しに行くことにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、グランドも中庭も殆どの場所が他の部活の生徒達が使用しており、部室もダンスの練習ができるほど広くはないので千歌達は練習ができる場所に悩んでいた。

 

「砂浜じゃダメなの?」

「移動の時間考えると、練習場所はできたら学校内で確保したいわ」

 

曜がならばファーストライブの時のように砂浜でやるのはどうかと提案したのだが、それでは移動だけでも時間がかかってしまうということで梨子は却下し、他の方法を考えていると・・・・・・。

 

「それなら屋上はどうですか!?」

 

そこでルビィが練習場所で悩んでいる千歌達に意見を出し、千歌は「屋上?」と首を傾げ、それを無爪の影の中から聞いたペガは「成程」と納得する。

 

『屋上か。 確かに良い案かも』

「んっ? 屋上がどうかしたのペガ?」

『μ'sもね、ダンスの練習とかは学校の屋上を使っていたんだって』

 

無爪の問いかけに対し、ペガはそう答え、またルビィも千歌達にそのことを教えると彼女達も「そうか!」と納得し、早速一同は屋上へと向かうのだった。

 

「そう言えばペガもスクールアイドル・・・・・・μ'sが好きなんだよね? ルビィちゃんと仲良くなれるんじゃない?」

『確かになれそうだけど・・・・・・驚かせたくないし、でも、何時か話せたら良いなとは思うよ』

 

その道中、無爪は梨子達にはバレないようにペガに話しかけ、もしかしてルビィとペガは話が合うのではないかと言うのだが・・・・・・。

 

ペガ自身は「驚かせたくない」ということで、取りあえず今は黙っていることにするペガであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、屋上に辿り着くと思ったよりもその広く、その広さに千歌は「すっごーい!!」と飛び跳ねて喜んでいた。

 

「富士山くっきり見えてる~!」

「でも日差しが強いかも・・・・・・」

 

曜と花丸もそれぞれ屋上の感想を言い、また花丸の言葉に千歌は「それが良いんだよ!!」と返す。

 

「太陽の光をいっぱい浴びて!! 海の空気を、胸いっぱいに吸い込んで・・・・・・」

 

そう言いながら座り込んだ千歌は床に手を置き、笑みを浮かべながら「暖かい」と小さく呟く。

 

すると、そんな彼女の元へと曜達が歩み寄り、千歌と同じように床に手を当てる。

 

「ほら、なっちゃんも!!」

 

ただ一方で無爪だけは離れた位置に立っており、そんな彼の手を掴んで千歌は引っ張り、それに無爪は顔を赤くする。

 

「い、いや、僕が一緒にやるのはなんか場違いじゃない!?」

「全然そんなことないよ!! ほら、一緒に!」

 

そんな千歌に流されるまま、彼女と一緒に床に手を置く無爪。

 

それに無爪は「ホントだ、暖かい・・・・・・」と呟き、それに千歌は嬉しそうに笑顔を見せるのだった。

 

「ん~! 気持ち良いずら~!」

 

また花丸はそのまま寝転がり、そんな彼女の方をルビィは「花丸ちゃん?」と軽くつつく。

 

そんな光景に、千歌達はほのぼのとしつつ、「さあ、始めようか!」とダンスの練習を行うこととなり、千歌、梨子、曜、花丸、ルビィは立ち上がってそれぞれが手を重ね合う。

 

「なっちゃんも一緒にやらないの?」

「いや、だから僕はスクールアイドル部に所属してないから。 それこそなんか場違い感あるし。 まぁ、手伝いくらいはするけど」

 

千歌が無爪が参加しないことに少し寂しそうにしているが、無爪は「それこそ場違い」ということで拒否し、千歌も無理強いはできないので渋々承諾。

 

気を取り直して千歌は練習開始の号令をかける。

 

「じゃあ行くよー!! Aqours・・・・・・!!」

「「「「「サンシャイン!!!!」」」」

 

それから・・・・・・。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー! ワン、ツー、スリー、フォー!!」

 

曜の声に合わせて千歌とルビィはダンスの練習を開始。

 

「ふぅ、できた! できました!! 千歌先輩!!」

 

一通り終わると、ルビィは自分が想像してたよりもちゃんと出来たことに驚きつつも嬉しそうに千歌に「自分にも出来ました!」と話しかけるのだが・・・・・・。

 

千歌はルビィとは全く違うポーズを取っており、完全にダンスの振り付けが間違っており、そのことに千歌は「あれ?」と首を傾げる。

 

「千歌ちゃんはやり直し」

「今日始めたばかりの後輩に出し抜かれるとか、先輩の威厳はないね、千歌ねえは・・・・・・」

 

梨子と無爪にそう言われ、「あはは~」と苦笑いする千歌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日までって約束だった筈よ!?」

「あはは、思いつかなかったんだもん~」

 

その後、部室に戻った無爪達だったが・・・・・・。

 

「なにかあったんですか?」

「あぁ、新しい曲、今作ってて」

 

何か言い争っている千歌と梨子に首を傾げながら何があったのかと疑問に思ったことを花丸が曜に尋ねると、彼女が言うには現在、千歌は今日までに出すようにと梨子に頼まれていた歌の歌詞をやっていなかったので、現在彼女から怒られているところなのだという。

 

「あっ、花丸ちゃんも、何か思いついたら言ってね!」

「・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

不意に千歌にそう言われ、思わず返事をする花丸。

 

するとそこで、花丸がふっと隣にいるルビィを見ると彼女は小さくダンスの振り付けの練習をしていることに気づき、そんなルビィの姿に花丸は思わず笑みを零れた。

 

 

 

 

 

 

 

「これ・・・・・・一気に登るんですか!?」

 

その後、淡島神社の階段前に来た千歌達はルビィと花丸に練習の一環としてここの階段を駆け上がって走ることを説明。

 

それにルビィは驚きの声をあげ、千歌は「勿論!」と胸を張って答えるが、その後に曜から「いつも途中で休憩しちゃうんだけどねー」と説明が入る。

 

「でも、ライブで何曲も踊るには頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし」

 

さらに梨子からもこの階段を駆け上がる意味を花丸とルビィに話し、そして一同は千歌の掛け声を合図に階段を走って行くのだった。

 

「それじゃ、μ's目指して・・・・・・よーい、ドーン!!」

 

尚、無爪も今日始めたばかりの花丸やルビィが無茶をしないようにフォローをする為、彼もまた一緒に階段を駆け上がることになったのだった。

 

しかし、花丸はかなり早い段階で既に体力が付きかけてしまっており、花丸が遅れていることに気付いたルビィは立ち止まり、花丸が来るのを待つ。

 

「どうしたのー?」

 

そんなルビィに気付いた曜がどうかしたのかと尋ねるとルビィは「ちょっと息が切れちゃって」と苦笑しながら曜に話す。

 

「先行っててくださ~い」

「無理しないでね~?」

 

ルビィに先に行っててくれと言われ、曜達は頷き、無理しないようにだけ言って彼女等は先に階段を駆け上がって行くのだった。

 

「花丸ちゃん、無理しないでね?」

「だ、大丈夫だよ・・・・・・」

 

無爪からも花丸に無茶をしないように言うのだが、花丸は笑みを浮かべてそう言うのだが・・・・・・。

 

その時、花丸は上の方でルビィが待っていることに気づき、彼女は「ルビィちゃん?」と首を傾げる。

 

「一緒に行こう!」

「・・・・・・ダメだよ」

「えっ?」

 

一緒に階段を走ろうと誘うルビィだが、花丸から返って来た言葉に彼女は戸惑い、「花丸ちゃん?」と不思議そうに彼女の名を呼ぶ。

 

「ルビィちゃんは、もっと自分の気持ち大切にしなきゃ!」

 

息を切らしながらも花丸はそうルビィに語りかけ、顔をあげると花丸はさらにルビィに対して言葉をかける。

 

「自分に嘘ついて、無理に人に合わせても辛いだけだよ!」

「・・・・・・合わせてる訳じゃ・・・・・・」

「ルビィちゃんはスクールアイドルになりたいんでしょ? だったら、前に進まなきゃ!」

 

そう言いながら花丸は笑みをルビィに向け、彼女を後押しする。

 

「さあ、行って?」

「で、でも・・・・・・」

「・・・・・・さぁ!」

 

最初こそ、花丸の言葉に戸惑うルビィだったが、花丸の強い言葉にルビィも笑みを浮かべて「うん!」と頷くと、彼女は再び階段を駆け上がり始める。

 

「自分に嘘ついてるのって、花丸ちゃんもなんじゃないの?」

 

そんな2人の様子を見ていた無爪が、不意にそんなことを花丸に尋ねて来る。

 

しかし、花丸は苦笑いしながら「そんなことないよ」と言葉を返す。

 

「マルはただ、とても優しくて、とても思いやりがあって、でも・・・・・・気にしすぎで、素晴らしい夢もキラキラした憧れも、全部胸に閉じ込めてしまって・・・・・・。 マルはただ、それを切り拓いてあげたかっただけだよ。 中に詰まっている、いっぱいの光を」

 

花丸はそれだけを言い残すと、先に階段を降りていることだけを千歌達に伝えてくれと無爪に頼み、彼女は階段を降り始める。

 

そんな彼女を見て、ひょっこりと無爪の影から顔を出すペガ。

 

『花丸ちゃん、追いかけなくて良いのかな?』

「多分だけど、それは僕達の役目じゃないと思う。 でも、花丸ちゃんの言ってることって、殆どブーメランだよね」

 

そんな花丸の背中を見つめながら、思わず苦笑する無爪。

 

そして、ルビィはと言うと・・・・・・。

 

彼女は自分を頂上で待つ千歌達に追いつき、息を切らしながらもなんとか彼女は辿り着いた。

 

「やった、やったぁ!」

「すっごいよルビィちゃん!!」

「見て!」

 

すると千歌が祠の方を指差すとそこでは輝く綺麗な夕焼けがあり、それに「うわぁ~!」と歓喜の声をあげるルビィ。

 

「やったよ! 登り切ったよぉ!!」

 

そして、登り切ったことを飛んで喜ぶ千歌であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界の隅々まで照らせるようなそのルビィの輝きを、花丸は大空に放ってあげたかった。

 

それが花丸自身の夢だった。

 

花丸はその夢を叶えられたことに満足し、階段を降りると彼女は一瞬だけ笑みを浮かべる。

 

「なんですの? こんなところに呼び出して」

 

その時、聞き覚えのある声が花丸の耳に入り、声のした方を向くとベンチに座っているダイヤの姿があり、ダイヤの姿を見ると花丸は気を引き締めた表情をすると彼女はダイヤの元まで歩く。

 

「・・・・・・あの、ルビィちゃんの話を・・・・・・。 ルビィちゃんの気持ちを、聞いてあげてください」

「・・・・・・ルビィの?」

 

花丸はそれだけを言うとダイヤに頭を下げた後、その場を走り去って行くのだった。

 

「あっ・・・・・・。 そんなの、分かってる・・・・・・」

 

沈みゆく夕日を見つめながら、ダイヤがそう呟くと・・・・・・「お姉ちゃん!?」という声が聞こえ、ダイヤが声をした方へと顔を向けるとそこにはルビィ、千歌、曜、梨子、無爪の5人が立っていた。

 

「ルビィ!? これは、どういうことですの?」

 

鋭い目つきでこれは一体どういうことなのかとルビィに問いかけるダイヤ。

 

「あの・・・・・・それは、その・・・・・・」

「違うんです!! ルビィちゃんは・・・・・・」

 

そんなダイヤからルビィを庇おうとする千歌だが、そんな彼女の肩に手を置き、引き止め、首を横に振る無爪。

 

「なっちゃん・・・・・・」

 

それによって千歌は口を閉じ、ただ彼女は心配そうにルビィを見つめる。

 

「大丈夫です、千歌さん」

 

ルビィはそれだけを言うと、彼女はダイヤの元まで歩き・・・・・・。

 

「お姉ちゃん・・・・・・。 ルビィ・・・・・・!」

 

だが、そんな時・・・・・・。

 

『見つけたぞ、胸の光を持つ人間を・・・・・・!!』

『っ!?』

 

後ろから聞こえて来た突然の声に千歌達は驚いて後ろを振り返るとそこにはマグマ星人 マクリルが右腕に装着した「マグマサーベル」を構えながら、そこに立っており、マクリル出現に一同は慌て、動揺する。

 

「えっ!? なになに宇宙人!?」

「えっ、またぁ!?」

「な、なんですのあなたは!? いつの間に・・・・・・」

 

初めて見る宇宙人に特に動揺する曜、梨子はまた宇宙人と遭遇したことに危機感を抱き、ダイヤはルビィを後ろに下がらせて庇うように立つ。

 

『俺が用があるのはそこの赤い髪の奴だけだ!! 関係ない奴等は引っ込んでいろ!!』

 

マクリルはそう言うと左腕に銃のような武器を出現させて装着し、銃口をルビィに向けるのだが・・・・・・そうはさせまいと無爪がジャンプして大きく飛び上がり、膝蹴りを喰らわせる。

 

「おりゃああ!!」

『ぐはっ!?』

 

それに倒れ込んだマクリルに無爪は覆い被さり、早く逃げるように千歌達に言い放つ。

 

「こいつは僕が押さえ込むから、ダイヤさんや千歌ねえ達はルビィちゃんを連れて一緒に逃げて!!」

「えっ、ですがあなたは・・・・・・!!」

「こいつはルビィちゃんを狙ってる!! 早く!!」

 

一般の生徒を残し、自分達だけで逃げるなど・・・・・・と思うダイヤだったが、無爪はさらに力強く「早く逃げろ!!」と言い放ち、それにダイヤは確かに無爪の言う通り、あの宇宙人がルビィを狙っているのは確実。

 

ならばと考え、ダイヤは「わ、分かりました」と渋々頷き、ルビィの手を引っ張ってその場から走り去って行く。

 

「お姉ちゃん!」

「千歌さん達も早く行きますわよ!!」

「で、でも・・・・・・なっちゃんが・・・・・・」

『いい加減退きやがれ!!』

 

そうこうしている間にマクリルは力尽くで無爪を押し退かし、左腕の銃「マグマショット」から弾丸を無爪に向かって発射。

 

「うわっ!?」

 

なんとか躱す無爪だが、即座にマクリルから放たれたドロップキックを喰らい、無爪は吹き飛ばされてしまう。

 

「「なっちゃん!!」」

「無爪くん!!」

 

即座に千歌達は吹き飛ばされた無爪の元に駆け寄り、マクリルはその隙にルビィ達を追いかけて一気に彼女達の元へと追いついてくる。

 

『待てやコラァ!!』

「ひっ!?」

「こ、来ないで~!!」

 

すると、ルビィの胸が突如として眩い光を放ち・・・・・・咄嗟に突き出した両手から炎が放たれ、炎はマクリルを包み込む。

 

『おわっ!? あっつ、あっつい!!? 熱いんすけど!?』

「・・・・・・えっ?」

「る、ルビィ・・・・・・? 今のは、なんですの?」

 

それにはルビィやダイヤ、近くでその光景を見ていた千歌達も驚きの表情を浮かべ・・・・・・また、特に梨子は・・・・・・目を見開いて唖然としていた。

 

「あれって・・・・・・梨子ちゃんの時と同じ・・・・・・」

「じゃあ、ルビィちゃんが・・・・・・リトルスターを・・・・・・。 あの宇宙人はそれを狙ってるんだ」

 

小声で千歌と無爪は2人ではそんな会話を繰り広げ、またダイヤはルビィが両手から炎を出したことには驚いたもののすぐに彼女はハッと我に返り、ルビィの腕を引っ張ってその場から逃げようとする。

 

「あつっ!?」

「あっ、お姉ちゃん!? 大丈夫!?」

 

リトルスターを発症したせいか、ダイヤが腕を握るとその熱さで彼女は一瞬腕を引っ込めてしまうが、ダイヤは笑みを浮かべて「大丈夫ですわ」とだけ言うと、すぐに「兎に角逃げて!!」とルビィをその場から逃がそうとする。

 

『そうはさせねえぞ!!』

 

しかし、マクリルはルビィに燃やされた怒りもあり、彼女を逃がすまいと巨大化し、一度武器を消すとその巨大な両手でダイヤ諸共、ルビィを掴み取ろうとする。

 

「ルビィちゃん!! ダイヤさん!!」

 

だが、その直後……。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

いつの間にか曜や梨子に気付かれないように場所を移動した無爪がそう言い放つと腰のカプセルホルダーから「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルを装填ナックルに装填させた後、さらにそれとは別に「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

変身を完了させたジードは跳び蹴りをマクリルの顔面に喰らわせ、蹴り飛ばしてダイヤとルビィから一気に引き離すことに成功。

 

「ウルトラマン・・・・・・!」

「ジード・・・・・・!」

 

ダイヤとルビィがジードの姿を見て、彼の名を呟くとジードは2人に「もう大丈夫」とでも言うように頷き、ファイティングポーズを取りながらマクリルへと駆け出す。

 

『シェア!!』

 

ジードは勢いをつけた膝蹴りをマクリルに繰り出すが、マクリルはそれを受け流し、左腕のマグマショットをジードに突きつけて近距離から弾丸を発射。

 

『グアアッ!?』

 

さらにマクリルは両腕に爆発的なパワーを発揮させる効果のあるガントレット型の武器、「マグマガントレット」を装着し、その強烈なパワーによる拳をジードに繰り出すが、ジードは後ろの方へと後退しながら回避。

 

『レッキングリッパー!!』

 

それと同時に前腕の鰭状の部位から放つ切断光線「レッキングリッパー」をジードはマクリルに繰り出すのだが、マクリルは拳を前に突き出してレッキングリッパーを打ち砕く。

 

『フン!! オリャアア!!!!』

 

そのままマクリルはジャンプしてマクリルの拳がジードの胸部に直撃し、ジードは大きく吹き飛ばされる。

 

『ウワアア!!?』

 

それにより、倒れ込むジード。

 

『そこでジッとしていろ!!』

 

マクリルはそれだけを言うと、ジードに背中を向けて再びルビィに視線を向ける。

 

「ひっ!?」

『無爪、ここは防御力の高いソリッドバーニングの方が有効です』

 

そこでレムから通信が入り、彼女のアドバイスを受けてジードは「分かった!」と頷いて立ち上がる。

 

そして無爪はジードライザーを構え、セブンカプセルを起動させる。

 

『融合!』

 

するとカプセルの中から赤い戦士の「ウルトラセブン」が出現する。

 

『アイ、ゴー!』

 

さらに無爪は赤き獅子の戦士「ウルトラマンレオ」のカプセルを起動させるとカプセルからレオが現れる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!』

『燃やすぜ、勇気!!』

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとセブンとレオの姿が重なり合い、赤い鎧を纏ったような姿……「ウルトラマンジード ソリッドバーニング」へと変身を完了させる。

 

『はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!』

『ウルトラセブン! ウルトラマンレオ! ウルトラマンジード!! ソリッドバーニング!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンジードソリッドバーニング 」

 

姿を変えたジードは背中のブースターで一気にマクリルに接近すると、マクリルの肩を掴んでこちらに無理矢理振り向かせると同時に腕のブースターで加速させた強烈なパンチをマクリルに叩きこむ。

 

『ぐああ!!?』

 

ジードの攻撃を喰らい、膝を突くマクリルだが・・・・・・マクリルはすぐさま左腕をマグマショットに変えて銃弾を撃ち込むが・・・・・・ソリッドバーニングの装甲には一切効かず、ジードはマクリルを無理矢理立ち上がらせるとそのまま巴投げを繰り出す。

 

『うおわあ!!?』

 

ジードに投げられ、背中を地面に打ち付けるマクリル。

 

『なんでお前はあの娘を狙う!!』

 

倒れ込んだマクリルに向かってジードはなぜルビィを狙うのかと尋ねると、マクリルは「フン」と鼻で笑った後立ち上がる。

 

『あの胸の光を狙う奴は、他にも大勢いる。 だから俺はその光を持つ者を、欲しがる奴等に高値売りつけて一儲けしたい! その為に俺はそこの小娘を狙ってるだけだ!!』

『ふざけるな!! そんなのただの人身売買じゃないか!!』

『うるさいんだよぉ!! 仕事の邪魔すんな!!』

 

そう言うとマクリルは左手にフック、右手にマグマサーベルを装着してジードに向かって駆け出し、フックとサーベルでジードを斬りつけるが・・・・・・ソリッドバーニングの装甲はやはり硬く、一切のダメージを与えられなかった。

 

『デヤアア!!』

 

さらにジードは両手でマクリルの両肩にチョップを叩き込み、続けて回し蹴りをマクリルに喰らわせる。

 

『ぐはああ!!? ならば、これならどうだ!! 俺の最強武器!! 『マグマキャノン!!』』

 

だが、それでもマクリルは臆さず新たに両腕に装着した巨大なキャノン砲・・・・・・「マグマキャノン」を装備。

 

それを見て大技が来ると判断したジードは即座に装甲を展開した右手にエネルギーを集中させ、炎をまとった72万度の爆熱光線を正拳突きの姿勢で放つ「ストライクブースト」を発射。

 

『ストライク・・・・・・ブーストォ!!』

 

同時にマクリルもエネルギーをチャージし、一気の放出する巨大なエネルギー光線を放ち、2人の技がぶつかり合うのだが・・・・・・ストライクブーストはあっさりと打ち砕かれ、エネルギー光線はジードを飲み込み、ジードは身体中から火花を散らす。

 

『うあああああああ!!!!?』

 

火花を散らしながら、ジードは大きく吹き飛ばされてしまい、地面に激突。

 

それと同時にカラータイマーも点滅を始める。

 

『ぐっ・・・・・・うぅ・・・・・・』

『よっしゃ、効いたぜ!!』

「ジード!!」

 

大ダメージを受け、倒れるジードを見て悲痛な声をあげる千歌。

 

また曜や梨子、ダイヤやルビィもその様子を見てどうすれば良いのか分からず、困惑してしまう。

 

『もう1発喰らいな!』

 

そう言うとマクリルはもう1発マグマキャノンから光線を発射しようとエネルギーをチャージする。

 

『ぐっ、うっ・・・・・・!』

 

また、ジードは傷つきながらもなんとか立ち上がるのだが・・・・・・既に身体はフラフラであり、立つのがやっとであった。

 

「ど、どうしよう・・・・・・私達じゃ、なんの助けにも・・・・・・」

 

最初こそ、「少し怖い」とジードのことを評していた曜だったが、今までのジードの活躍から少し警戒が解けた為か、ジードのことを彼女は心配する。

 

「・・・・・・いや、もしかしたら、ルビィちゃんなら・・・・・・! ルビィちゃん!!」

「ひゃ、ひゃい!!?」

 

梨子に突然名前を呼ばれ、驚きの声をあげるルビィ。

 

「実はね、私も前にルビィちゃんと似たような現象が起きたことがあるの。 その時、私も手から炎が出た」

「そ、そうなんですか・・・・・・!?」

 

それを聞き、ダイヤは「それであなたはどうなったんですの?」と尋ねると、梨子は症状が治った時のことをダイヤとルビィに説明する。

 

「ジードに、助けて欲しいって願ったんです。 そしたら、私の胸の光が分離してジードの方へ飛んでいって力が消えたんです。 もしかしたら、あの光はジードに力を与えてくれるのかも・・・・・・」

 

「だから私と同じように、ジードに願って!」と強く言い放つ梨子。

 

「ですが、ジードはベリアルと何か関係のある・・・・・・」

 

しかし、どうやらダイヤはジードはベリアルと何か関係があるのかもしれないという疑念を抱く側の人間だったらしく、そのことに少なからず彼女は抵抗感があったのだが・・・・・・。

 

「ベリアルとか、そんなこと関係ありません!! ジードは私の時も、今も・・・・・・ルビィちゃんを守ろうと必死に戦ってくれています!!」

「そうだよ、ジードはみんなの為に戦ってくれてる・・・・・・ヒーローだよ!!」

「・・・・・・お姉ちゃん、ルビィもね・・・・・ジードさんはあんなにボロボロになるくらい戦ってくれてる。 だからルビィもジードさんを信じたい」

 

梨子と千歌、そしてルビィの3人に力強くそう言われ、ダイヤは困惑するが、ルビィはダイヤの返事を待たず、ジードの名を叫ぶ。

 

「ジードさああああん!! 負けないで・・・・・・頑張れええええええ!!!!」

 

ルビィがジードに向かって叫ぶと・・・・・・彼女の胸から光が溢れ出し、光の球体となって彼女と分離。

 

光はジードのカラータイマーの中へと吸い込まれて、カプセルとなって無爪の手に届く。

 

そこにはレオによく似た赤い戦士の姿が描かれていた。

 

『レオの弟、『アストラカプセル』の起動を確認しました。 レオとのフュージョンライズが可能です』

『ぐっ、分かった・・・・・・!!  気合い・・・・・・入れないと!! 融合!!』

 

無爪はジードライザーを構え、再びレオカプセルを起動させる。

 

するとカプセルの中から赤い戦士の「ウルトラマンレオ」が出現する。

 

『アイ、ゴー!』

 

さらに無爪はそのレオの弟「アストラ」のカプセルを起動させるとカプセルからアストラが現れる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!』

『たぎるぜ!! 闘魂ン!!』

 

何時もよりも気合いの入った決め台詞を言うと、ジードライザーで装填ナックルをスキャンし、トリガーを引いてライザーを掲げる。

 

『はああああ、はぁ!! ジィィーーード!!!!』

『ウルトラマンレオ! アストラ! ウルトラマンジード!! リーオーバーフィスト!!』

 

頭部は逆立った髪や炎を思わせる形状に変化し、腕には手甲や包帯を装備している赤い姿、「ウルトラマンジード リーオーバーフィスト」へとジードは姿を変える。

 

『マグマキャノン!! 発射ぁ!!』

 

しかし、その直後にマクリルがマグマキャノンからエネルギー光線を発射しようとするのだが・・・・・・光線が発射されるその前にジードが一瞬でマクリルに詰め寄ると右手に炎を纏った手刀を振るい、マグマキャノンを真っ二つに切り裂いたのだ。

 

『ぬあっ!?』

 

切り裂かれたマグマキャノンは爆発し、その爆風に巻き込まれてマクリルは吹き飛ばされ地面を転がる。

 

『ぐっ!? なんだ!? さっきまであんなに弱っていたのに・・・・・・!!』

『そんなもの・・・・・・気合いだぁ!!』

『はぁ!!?』

 

ジードから返って来た言葉に、訳が分からないといった様子のマクリル。

 

戦闘BGM「真紅の若獅子」

 

マクリルは慌てて両腕にマグマショットを装着し、2丁の銃から弾丸をジードに向かって放つが、ジードは両手に炎を宿した手刀で弾丸を全て弾き、一気に詰め寄るとマクリルの胸部に連続で何発もの拳を叩き込み、最後に顔面に強烈なパンチを喰らわせる。

 

『シェアアア!!!』

『ぐああっ!?』

 

パンチを喰らい、大きく吹き飛んで倒れ込むマクリル。

 

『この姿になってから妙に身体が熱い・・・・・・。 凄く気合いが入る!! 魂が燃えるようだ!!』

『防御力、パワーはソリッドバーニングに劣りますが・・・・・・その分リオーバーフィストはどうやら攻撃特化、手数で攻める形態のようです』

 

レムからの説明を受け、「成程」と納得して頷くジード。

 

そのままジードは倒れ込んでいるマクリルに近づくのだが・・・・・・マクリルは不意に立ち上がって右腕をハンマーに変えた「マグマハンマー」をジードに振りかざすのだが、ジードはそれを両手で受け止めると押し返し、マクリルの腹部に蹴りを叩き込む。

 

『ぐあっ!?』

『ハアア、ダァ!!』

 

さらにジードは回し蹴りをマクリルの腹部に喰らわせ、後退するマクリル。

 

『クソがぁ!!』

 

すると今度はマクリルは左腕をフックに変えてチェーンを伸ばしてジードの腕を拘束しようとするのだが、逆にジードはチェーンを掴んでフルスイングし、マクリルは空中へと放り投げる。

 

『シェアアア!!!』

『おわああ!!?』

 

そしてジードは足にエネルギーを纏って跳び上がり、空中のマクリルに連続キックを叩きこんだ後、さらに最後の一発の蹴りを繰り出す「バーニングオーバーキック」を炸裂させる。

 

『バーニングオーバァー!!!! キックゥ!!!!!』

『ぐあああああああ!!!!!?』

 

それらを喰らい、耐えきれなくなったマクリルは空中で爆発し、ジードは地上へと着地するのだった。

 

「やった!! ジードが勝ったよ!!」

 

ジードが勝利し、そのことに喜びの声をあげる千歌。

 

また、そのことにルビィやダイヤ、曜に梨子もホッと一安心するのだった。

 

それからジードは空に向かって飛行して飛び去り、危険が去った今、ルビィは改めてダイヤと向き合い、自分の気持ちを伝えることにするのだった。

 

「お姉ちゃん、さっきルビィが言いたかったこと、聞いてくれる?」

「ルビィ・・・・・・?」

「お姉ちゃん、ルビィ・・・・・・ルビィね・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、荒井は遠くからジードとマクリルの戦いを静観しており、彼はジードが新たな姿となり、マクリルを倒したことにニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「あんな小物でも、少しは役に立つらしいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、生徒会室にて。

 

「良かったね、希望が叶って?」

 

ダイヤが窓の外を眺めていると、不意に生徒会室に入って来た鞠莉にそう言われるのだが・・・・・・。

 

「なんの話ですの?」

 

ダイヤはなんの話か分からないと惚け、誤魔化すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、Aqoursの部室にて。

 

そこではルビィがアイドル部に正式に入部するための書類を書いており、それを千歌に提出して彼女は正式にAqoursのメンバーとなるのだった。

 

「よろしくお願いします!」

「よろしくね!」

「はい!! 頑張ります!」

 

しかし、そこで梨子がルビィが入部してくれたのは良いのだが、一緒に体験入部をした花丸はどうしたのだろうとルビィに尋ねると、彼女は「あっ・・・・・・」と声を出し、どこか沈んだ表情を浮かべる。

 

「・・・・・・いこっか、ルビィちゃん」

「えっ?」

 

不意に無爪からそんな言葉をかけられ、首を傾げるルビィ。

 

「昨日花丸ちゃんがルビィちゃんに言ってたこと、ルビィちゃんなりの言葉で言い返してやろう。 『お前が言うな』って感じで」

 

無爪にそう言われ、少し考え込むルビィ。

 

だが、彼女はすぐに決意し、「うん!!」と頷いて彼女は花丸のいそうな場所に向かって駈け出して行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、花丸はというと・・・・・・。

 

彼女はルビィの背中を押し、スクールアイドル部に入部させることに満足して図書室で図書委員の席に座っていた。

 

(これでマルの話はお仕舞い。 もう夢は叶ったから、マルは本の世界に戻るの・・・・・・)

 

すると、花丸の目に僅かに開けられた机の引き出しからμ'sの特集雑誌が見えており、彼女はそれを手に取るとμ'sのメンバーの1人、「星空 凛」の姿が映っているページを開く。

 

「大丈夫、1人でも・・・・・・バイバイ」

 

そして、凛のページを閉じようとしたその時・・・・・・。

 

「ルビィね!!」

「っ!? ルビィ・・・・・・ちゃん?」

 

声のした方を振り返ると、いつの間にかルビィがそこに立っていたのだ。

 

「ルビィね、花丸ちゃんのこと見てた!! ルビィに気を使って、スクールアイドルやってるんじゃないかって!! ルビィの為に、無理してるんじゃないかって!! 心配だったから・・・・・・。 でも、練習の時も屋上にいた時も、みんなと話してる時も、花丸ちゃん・・・・・・嬉しそうだった!!」

「っ・・・・・・」

「それ見て思ったの。 花丸ちゃん好きなんだって! ルビィと同じくらい好きなんだって!! スクールアイドルが!!」

 

ルビィに力強くそう言われ、花丸はハッとした顔を浮かべる。

 

「マルが・・・・・・? まさか・・・・・・」

「じゃあなんでその本、そんなに読んでたの?」

 

ルビィは机の上に置かれたμ'sの雑誌のことを指摘し、花丸は「それは・・・・・・」と呟く。

 

「ルビィね! 花丸ちゃんと一緒にスクールアイドルできたらって、ずっと思ってた!! 一緒に頑張れたらって!!」

「うっ・・・・・・。 それでも、オラには無理ずら。 体力ないし、向いてないよ」

 

しかし、それでも花丸はルビィの言葉に「自分は向いていない」と首を横に振り、彼女の誘いを断ろうとする。

 

「そこに映ってる凛ちゃんもね、自分はスクールアイドルに向いてないってずっと思ってたんだよ?」

 

ルビィは雑誌の開かれた星空 凛のページを見ながら、花丸にそう呟き、それに彼女は「えっ?」とでも言うように驚いた表情を浮かべる。

 

「でも好きだった。 やってみたいと思った。 最初はそれで良いと思うけど?」

 

そこへ、いつの間にか千歌、梨子、曜、無爪の4人が図書室に訪れており、梨子が花丸にそう語りかけると千歌が手を花丸に差し伸ばした。

 

「っ・・・・・・」

 

それでも、未だに迷いを捨てきれない花丸。

 

そんな時・・・・・・。

 

「ルビィ! スクールアイドルがやりたい!! 花丸ちゃんと!!」

 

目尻に涙を浮かべながらも、自分の本心を花丸に打ち明けるルビィ。

 

「あっ・・・・・・。 マルに、できるかな・・・・・・?」

「私だってそうだよ? 1番大切なことはできるかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ!!」

 

手を差し伸ばしたまま、千歌は花丸に笑みを向けながらそう語りかける。

 

そんな彼女の言葉に、花丸も笑みを浮かべ、千歌のその手を・・・・・・掴んだのだった。

 

「千歌ねえにしては、良いこと言ったんじゃない?」

「えっ? なにその言い方? なっちゃんひど~い!」

 

頬を膨らませながらジトーっとした視線を無爪に向ける千歌。

 

しかし、すぐになんだかおかしくなり、思わず笑ってしまう千歌と無爪。

 

それに釣られるように他のメンバーも笑い出し、手を握った千歌と花丸の手に他のメンバーも手を重ねていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行くよ! せーの!!」

 

部員も5人になったことで、ネットで正式にスクールアイドルとして千歌は登録。

 

するとネットに「RANK4999」と書かれた文字が浮かび上がる。

 

「4999位・・・・・・」

「上に5000組もスクールアイドルがいるってこと!? 凄い数・・・・・・」

「スクールアイドルってホントに人気なんだね。 僕、多くて500組くらいだと思ってた」

 

今現在、活動しているスクールアイドルの数に梨子やルビィ、無爪は驚きつつも、それでも尻込みすることなく、花丸は笑顔を浮かべて右手を挙げる。

 

「さっ、ランニング行くずらー!!」

『おー!!』

 

そして一同はランニングする為に外へ出て行くのだが・・・・・・その時、ルビィは机の上に置かれたあのμ'sの雑誌に一瞬だけ視線が向くと・・・・・・彼女は嬉しそうに笑い、自分もランニングする為に外へと向かうのだった。

 

「フフ♪」




武装暴君 マグマ星人 マクリル
右目に傷があるのが特徴のマグマ星人。
サーベルやフック以外にもマグマキャノン、マグマショット、マグマハンマーなど様々な武器を扱う為「サーベル暴君」ではなく別名が「武装暴君」となっている。
特にマグマキャノンはソリッドバーニングですら耐えきれない程の強力な威力を持つ。
リトルスター保持者を狙う宇宙人に高値で売るためにリトルスターを発症したルビィを捕えようとした。


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第6話 『堕天使降臨』

とある人気のない場所にて・・・・・・。

 

そこでは1つのダンボールが置かれており、「ぼくをもらってください」という文字が書かれた紙が貼られていた。

 

そこへやってきたのはそのダンボールの中に「不思議な生き物がいる」という通報を受けたAIBのエージェントの3人、ゼナ、ザルド、美渡だった。

 

3人はそのダンボールの中を覗き込むとそこにはサメのような姿をした小さな怪獣、「海獣 サメクジラ」の幼体がいたのだ。

 

「これがサメクジラ? 可愛い!! 私、初めて見ました」

『まぁ、地球上には存在しない生物だからな』

 

ゼナはそう言うとサメクジラを優しく抱き上げる。

 

そこでゼナは様々な星でサメクジラはペットとして飼われていたそうなのだが、成長すると恐ろしい怪獣兵器になることが判明した為、廃棄が相次いでおり今問題になっているのだということを美渡とザルドに説明。

 

そしてこのサメクジラは恐らくそれらの過程で地球に漂着してしまったのだろうとゼナは美渡とザルドに説明し、美渡が「可哀想・・・・・・」と呟きながらサメクジラの頭を撫でようとする。

 

『触るな! 噛むぞ!!』

「ちょっと撫でるだけじゃないですか~! 敵意は無いんだからそんな心配しなくても大じょ・・・・・・」

 

そう言いながらザルドがサメクジラの頭を撫でようとした瞬間・・・・・・。

 

『ガブッ!!』

 

と思いっきりサメクジラはザルドの手に噛みついたのだった。

 

「うっぎゃあああああ!!!!?」

「ぷはっ!!」

『だから触るなと言っただろ?』

 

その光景に美渡は思わず吹き出し、ゼナは呆れた視線をザルドに向ける。

 

その時、美渡の持つAIB専用の端末機の音声が鳴り響き、彼女は端末機を取り出して画面を見るとメッセージで今度は「ルナー」と呼ばれる生物の目撃情報があったという報告を受ける。

 

「今度はルナー種の目撃情報があったそうです」

『ルナー種? サメクジラ同様宇宙に棄された生物だ。 7年前にエチオピアで捕獲に失敗したのと同じ個体かもしれん』

 

美渡はその「ルナー」という生物の画像を表示すると、そこに映っていたのはモコモコした小さく丸っこい生き物であり、そのルナー種を見て美渡は思わず「可愛い!!」と言い放つ。

 

「もう見た目に騙されないぞ! 絶対こいつも噛むだろ!!」

『サメクジラはお前の接し方が悪かっただけだ。 だが、ルナーも危険なのは変わりない。 子供達が接触する可能性もあるからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、あるマンションの一室・・・・・・。

 

そこでは頭のシニヨンが特徴的な少女、善子が黒い羽のついたゴスロリ風の衣装を身に纏ってロウソクを灯しカメラの前でポーズをつけながら動画の生配信を行っていた。

 

「感じます。 精霊結界の損壊により魔力高層が変化していくのが。 世界の数世が、天界議決により決していくのが。 かの約束の地に降臨した堕天使ヨハネの魔眼がそのすべてを見通すのです!! すべてのリトルデーモンに授ける!! 堕天の力を!!」

 

そうして厨二全開の台詞を言いながら、最後の締めにロウソクを消して放送を終了。

 

「・・・・・・フッ」

 

放送が終了した後、善子は不敵な笑みを浮かべると彼女は窓の方に行き、勢いよく締めていたカーテンを開けて叫ぶ。

 

「やってしまったぁ~!! 何よ堕天使って!! ヨハネってなに!!? リトルデーモン? サタン? いる訳ないでしょ!! そんなも~ん!!!!」

 

一通り彼女がそう叫んだ後、「モ、モコォ~!」という鳴き声が聞こえ、それにハッとなって善子が振り返るとそこにはゼナ達が探している「ルナー」と呼ばれるモコモコした白く丸っこい生物がいたのだった。

 

善子が叫んでいるのを見て何か怒っているのかと思ったのか、身体を振るわせて怯えた様子を見せ、それに善子は「ごめ~ん!!」と謝りながらルナーを抱きかかえる。

 

「ごめんねモコ? 別に私、あなたに怒ってる訳じゃないのよ? どちらかと言えば自分に怒ってるっていうか・・・・・・。 でも、怖がらせてごめんね?」

「モコォ~」

 

善子は「モコ」と自分が呼ぶルナーの頭を優しく撫で、鏡に映る自分を見つめながら、小さな溜め息を吐く。

 

「はぁ。 もう高校生でしょ、津島 善子! いい加減卒業するの! そう、この世界はもっとリアル、リアルこそ正義・・・・・・! リア充にぃ~! 私はなる!!」

「モコ!! モコ!!」

 

ガッツポーズを取りながらそう意気込む善子、そんな善子を応援するように鳴き声をあげるモコ。

 

『堕天使ヨハネと契約して、あなたも私のリトルデーモンに、なってみない?』

 

しかし即座に学校で自己紹介した時のことを思い出し、彼女は頭を抱えて悶え苦しむ。

 

「うわああ~!!!! なんであんなこと言ったのよ!! 学校行けないじゃな~い!!」

「モコォ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aqoursの部室にて。

 

千歌達はノートパソコンを開いてネットを立ち上げ、自分達Aqoursのランクがあまり上がっていないことに悩んでいたのだった。

 

「今日も上がってない・・・・・・」

「昨日が4856位で今日が4768位・・・・・・」

「まぁ、落ちては無いけど」

 

梨子が昨日と今日の順位を言い、それに曜は昨日より少し上がったとは言え、やはりもう少し順位が早く上がってくれないかと思わずにはいられなかった。

 

『まぁ、だってまだ千歌ちゃん達はスクールアイドル始めたばかりだし、ライブも1回しかやってないし、これくらい普通な気もするけど・・・・・・』

 

無爪の影からそう小さくペガが呟き、ペガの言葉に無爪も「確かに」と同意して頷く。

 

「千歌ねえ達はまだ活動も少ないし、ほんの少しでも順位が上がって来てるなら今はこれで上出来だと僕は思うけどなぁ」

「うーん、でもなぁ・・・・・・」

 

それでもやはり新しく2人も加入したのだからもう少しペースが速くなっても良いかもしれないと曜は考え、またルビィも「ライブの歌は評判良いんですけど・・・・・・」と呟く。

 

「それに、新加入の2人も可愛いって!!」

「そうなんですか!?」

 

千歌が新加入の2人、つまり花丸とルビィのことを可愛いと書かれたコメントを読み上げるとルビィは嬉しそうな声をあげ、さらに曜が言うには特に花丸の人気が高いらしい。

 

「『花丸ちゃん応援してます』」

「『花丸ちゃんが歌ってるところ、早く見たいです!』」

「ねっ! ねっ! 大人気でしょ!?」

 

梨子と曜がそれぞれ2人で花丸に関してのコメントを読んでいき、千歌が花丸に「人気でしょ?」と言っていると、ふっと花丸が不思議そうにパソコンを見つめていることに千歌達が気付き、彼女等は首を傾げる。

 

「こ、これがパソコン・・・・・・?」

「気にするところそこなの?」

 

花丸は興味深そうにノートパソコンを見つめており、そんな彼女に気にするところそこなのかと無爪にツッコまれるが、彼女は聞いておらず、キラキラした視線を花丸はパソコンに送っていた。

 

「もしかして、これが知識の海に繋がってるというインターネット!」

「そ、そうね、知識の海に繋がってるかは兎も角として・・・・・・」

 

梨子の言葉を聞いて花丸は「お、おぉ~!!」と歓喜の声をあげ、千歌がルビィに花丸はもしかしてパソコン使ったことないのかと尋ねると・・・・・・ルビィ曰く、花丸の家は古いお寺であり、その関係で電化製品などが殆どないというのだ。

 

「そうなんだ」

「この前沼津行った時も・・・・・・」

 

 

 

 

 

数日前、沼津のどこかの女子トイレにて。

 

『こ、この蛇口、回すとこないずら』

 

トイレに行った時、花丸が自動的に流れる蛇口の下に向かって手を伸ばし、水が出た時は「お、おぉ~!!」と今、パソコンを見た時と同様に目を輝かせ・・・・・・。

 

また、その後ハンドドライヤーの所でも頭をあててドライヤー代わりにしていたりしていたらしい。

 

『未来ずら!! 未来ずらよ! ルビィちゃん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「って・・・・・・」

「現代機器に疎いって・・・・・・余計に花丸ちゃん人気上がりそうだね、それ」

 

ルビィの話を聞いて思わず苦笑いする無爪。

 

また花丸は千歌達に「パソコン触っても良いですか!?」と尋ね、千歌は「もちろん!」と返事を返すと花丸は嬉しそうに笑みを浮かべ、パソコンに触れようとするのだが・・・・・・。

 

「わぁ~! んっ?」

 

花丸はノートパソコンのキーボード右上にある光るボタンの存在に気付き、彼女は何気なくそのボタンを「ずら!」と言いながら押すと、パソコンの画面が消えてしまったのだった。

 

「うわっ!?」

「えっ、なに押したの!? いきなり!?」

「えっ、あ・・・・・・えへ? 一個だけ光るボタンがあるなーと思いまして・・・・・・」

 

直後、梨子と曜が素早い動きで花丸の横を通り抜けてノートパソコンの元に駆け寄り、急いでデータの確認をする2人。

 

「大丈夫!?」

「衣装のデータ保存してたかなぁ~!?」

 

それに対して花丸は何かやっていけないことをやってしまったのかとみるみると不安げな顔になって今にも泣きそうな表情になり、恐る恐る梨子と曜の方へと振り返る。

 

「ま・・・・・・マル、何か行けないことしました・・・・・・?」

「あははは、まぁ、大丈夫大丈夫・・・・・・」

「まぁ、機械に疎いって最初にルビィちゃんに聞いてたのに押しちゃダメなところ教えなかった僕達にも問題があったよ」

 

千歌と無爪は2人でそう言いながら花丸を慰めた後、一同はダンスの練習のため屋上へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は練習の為に屋上へとやってきたのだが・・・・・・。

 

「おお! こんなに弘法大師、空海の情報が!」

「うん! ここで画面切り替わるからね?」

 

練習の前に曜が花丸にノートパソコンの操作方法を説明しており、それを受けて「凄いずら~」と花丸は歓喜の声をあげていた。

 

「もう、これから練習なのに・・・・・・」

「でも、さっきみたいなこと起こらないようにしないとだし、多少は大目に見ようよ、梨子さん?」

「それは、そうかもだけど・・・・・・」

 

無爪にそう言われ、確かに一理あるかもしれないと考える梨子。

 

また千歌はそれよりもランキングをどうにかする方法を考えなくては・・・・・・と意見を出し、毎年スクールアイドルは増えているからと話すルビィ。

 

「僕が想像してたよりずっと人気だったんだね、スクールアイドル・・・・・・」

「そうだよ~! 悪いことじゃないんだけど、私達はこんな何もない場所の地味&地味&地味!! ってスクールアイドルだし・・・・・・」

 

無爪はスクールアイドルの人気っぷりを改めて確認し、千歌は海や空、そして自分を指差して地味と評して落ち込む。

 

「千歌ねえはそんなに地味じゃない気もするけど・・・・・・」

「えっ」

 

ボソッと呟いた無爪のその言葉を聞いて顔を赤らめる千歌。

 

それにハッとなった無爪は慌てて自分の口を塞ぐ。

 

「じ、じゃあなっちゃんは私のこと地味じゃなかったらどんな風に思ってるのかな~?」

 

少しニヤついた笑みで千歌が尋ねると・・・・・・無爪は「それよりもAqoursの人気をあげる方法でしょ!!」と話題を逸らそうとする。

 

「あっ、ちょっと話題を変え・・・・・・」

「やっぱり目立たないとダメなの?」

 

千歌は話題を逸らそうとする無爪に文句を言おうとするがそれよりも先に梨子がやはり目立たないとダメなのかと千歌に尋ね、それに千歌は「うーん」と腕を組んで悩む。

 

(梨子さんナイス!!)

「うん、人気は大切だよ」

 

また曜からも人気は大切だと言われ、千歌は何か目立つことがないかと考え込む。

 

「例えば、名前をもっともーっと奇抜なものに付け直してみるとか?」

 

そこで梨子は例えとして自分達のスクールアイドル名をもっともっと奇抜なものにしてはどうかと提案する。

 

「奇抜って、スリーマーメイド・・・・・・?」

「っ!?」

「あっ、ファイブだ!」

 

以前梨子が提案した「スリーマーメイド」の名前を出し、即座に今5人いるのでファイブと言い直す千歌。

 

それに梨子が耳まで真っ赤にして肩をワナワナ震わせる。

 

「ファイブマーメイド・・・・・・!」

 

それを聞いてルビィは気に入ったのか、嬉しそうにな顔を見せ、自分と千歌、梨子、曜、花丸が5人で人魚の格好をしたイメージを頭に思い浮かべる。

 

『私達は・・・・・・』

『『『『『ファイブマーメイドです!!』』』』』

 

尚、そのイメージの中なぜか花丸だけパソコンを弄っていたが。

 

(人魚姿のAqoursか・・・・・・。 ちょっと見たい・・・・・・!)

 

また無爪も人魚姿のAqoursを思い浮かべ、少し見てみたいと思うのだった。

 

「なんで蒸し返すの!?」

 

そして梨子はファイブマーメイドを蒸し返されたことを千歌に怒るのだが、彼女は話を聞いておらず、「ってそれじゃ踊れない!」と人魚では足が魚になっているので踊れないと嘆いた。

 

「あっ、じゃあみんなの応援があれば足になっちゃうとか!!」

 

ピョンピョン跳ねながらルビィが意見を出し、それに対して千歌も「なんか良い!! その設定!!」と気に入った様子だった。

 

「でも代わりに、声が無くなるという・・・・・・」

「ダメじゃん!」

「本末転倒じゃないか」

 

曜の言葉に千歌はダメじゃないかと頭を抱え、無爪も呆れた顔を見せる。

 

そして未だにマーメイドで弄って来る千歌に梨子は掴みかかって身体を大きく揺さぶる。

 

「だからその名前忘れってって言ってるでしょ!!?」

「おわあ~!」

「・・・・・・悲しい話だよねぇ、人魚姫」

 

そんな時、花丸が誰かの視線を感じ、階段の方へと顔を向けるとそこでは壁に隠れてこちらの様子をこっそり伺う今まで不登校だった善子の姿があり・・・・・・。

 

またそんな花丸の様子に気付いた無爪も彼女と同じ方向に目を向けると彼も善子の姿を発見する。

 

「なんでこんなところに先客が・・・・・・」

「アレ? あの娘は・・・・・・」

「善子ちゃん?」

 

それに対して善子も花丸と無爪の2人が自分の存在に気付いたことに気付く。

 

「ずら丸!? それに、アレは確かクラスメイトの男子・・・・・・!」

 

そのまま彼女は咄嗟に身を隠し、そのままどこかへと立ち去って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げた善子は誰にも見つからないようにと廊下に設置されている戸棚の中に隠れ、蹲っていた。

 

「うぅ、いきなり屋上から堕天してしまった。 うぅ、今すぐ帰ってモコに抱きつきたい・・・・・・それでモフモフしたい・・・・・・」

 

するとその時、戸棚が突然開かれ、ニヤッとした笑みを浮かべた花丸が現れ、それに善子は驚いて小さな悲鳴をあげる。

 

「学校来たずらか」

「全然学校に来ないから、みんな君のこと心配してたんだよ?」

 

ちなみに花丸の後ろには苦笑いしている無爪の姿もあり、彼は戸惑いつつも善子に「えっと、大丈夫?」と声をかける。

 

「わあぁ~!!?」

 

そしてそのことに驚いた善子はすぐさま戸棚の中から飛び出し、2人から距離を取ると彼女は尻餅をつく。

 

「き、来たって言うか、たまたま近くを通りかかったから寄ってみたって言うか・・・・・・」

「制服着てるのに?」

「たまたま?」

 

無爪と花丸が制服も着てるのにたまたま学校に寄っただけなのかと尋ねると善子は「どうでもいいでしょそんなこと!!」と怒鳴り、それよりも彼女は無爪と花丸にクラスのみんなが自分に何か言ってなかったかと2人に尋ね、それに無爪と花丸は顔を見合わせて「えっ?」と首を傾げる。

 

「私のことよ!! 変な娘だねーとか! ヨハネってなに~? とか!! リトルデーモンってなに? ぷふ! とか!!」

「「・・・・・・はぁ」」

「そのリアクション! やっぱり噂になってるのね~! そうよね、あんな変な事言ったんだもん。 終わった! ラグナロク・・・・・・まさにDead or Alive!!」

 

そのまま嘆く善子は再び戸棚の中に入って扉を閉め、閉じこもってしまう。

 

「それ生きるか死ぬかって意味だと思うずら」

「っていうか、そんなこと言う人ウチのクラスにはいないよ、善子ちゃん」

「でっしょ~? んっ? えっ?」

 

無爪の言葉を聞いて「えっ?」となる善子。

 

「それよりもみんなどうして来ないんだろうとか、悪いことしちゃったのかなって心配してて・・・・・・」

 

無爪に続いて花丸もクラスメイト達は善子のことをバカにするどころか心配してくれているということを伝え、それに善子は「ホント?」と扉を少しだけ開けて尋ねる。

 

「うん」

「ホントね? 天界堕天条例に誓って、嘘じゃないわよね?」

「てん・・・・・・えっ? なんて? まぁいいや、それに誓って嘘じゃないよ。 僕も心配だったし」

「ずら!」

 

無爪と花丸も誓って嘘ではないと善子に伝えると彼女は勢いよく「よし!」と戸棚から飛び出して立ち上がり、右腕を掲げる。

 

「まだ行ける! まだやれる! 今から普通の生徒でいければ・・・・・・!!」

 

そこで善子は自分が勢いよく飛び出した際に尻餅をついた花丸にずいっと顔を近づける。

 

「ずら丸! それとこの際だからそこのクラスメイトの男子!!」

「な、なんずら~!?」

「無爪です」

「じゃあ無爪くん!! 2人にヨハネたってのお願いがあるの・・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、善子は清楚でおしとやかな雰囲気を溢れさせながら学校に登校して歩いて来ており、その様子に同じクラスメイトらしき他の生徒達も驚いた様子を見せていた。

 

「誰だよ」

 

尚、遠目から無爪もその様子を伺っており、善子のことはあまり知らないのだが、なぜかそう言わずにはいられなかったのだった。

 

(フフ♪ 見てる見てる、花丸やあの無爪って人が言ってたようにみんな前のことは覚えてないようね。 よぉーし!)

 

そこで善子は一度立ち止まって生徒達に振り返り、朝の挨拶を行う。

 

「おはよう♪」

「「「お、おはよう」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、教室にて・・・・・・。

 

善子のことを心配した女子生徒達が彼女の周りを囲んでおり、花丸や無爪の言うように善子をバカにするような者は誰1人おらず、それどこから生徒達は気立て無く善子に話しかけていた。

 

「雰囲気変わってたから、ビックリしちゃった~」

「みんなで話してたんだよ。 どうして休んでるだろうって!」

「ふふ、ごめんね? でも今日からちゃんと来るからよろしく!」

 

善子は生徒達にそう笑みを浮かべて言葉を返す。

 

「こちらこそ! でも、津島さんって・・・・・・名前なんだっけ?」

 

すると、女子生徒の1人が申し訳無さそうに善子の下の名前が何だったのかを尋ね・・・・・・それに一瞬ビクッとする善子。

 

「酷いなぁ、アレだよ!」

「確かよ、よ・・・・・・ヨハ・・・・・・」

「善子!! 私は津島 善子よ!!」

 

自己紹介の時に行った「ヨハネ」という名前を生徒の1人が出そうとしたので慌てて善子は立ち上がって自分のフルネームを教え、それから善子と生徒達は互いに笑い合って打ち解け合うのだった。

 

それを見ていた無爪は善子がちゃんと他の生徒達と仲良く話せていることに安心し、また花丸と一緒にいるルビィも善子が学校に来ていることに驚いている様子だった。

 

「ずら! マルと無爪くんがお願い聞いたずら!」

「お願い?」

 

それは昨日のこと・・・・・・。

 

『監視?』

『そうなの。 私、気が緩むとどうしても堕天使が顔を出すの。 だから・・・・・・』

『堕天使が顔を出すとか言うパワーワード・・・・・・。 よく分かんないけど、自己紹介の時みたいなことをしないようにってことだよね?』

 

無爪が善子が自己紹介した時のことを言うと彼女は顔を真っ赤にして「アレは忘れなさい!!」と怒鳴られたが・・・・・・兎に角そういうことらしく、善子は無爪と花丸に堕天使が出ないように監視してくれと頼むのだった。

 

「危なくなったら止めてっと!」

「堕天使が出ちゃう・・・・・・?」

 

花丸の言葉に首を傾げるルビィ。

 

その時、クラスメイトの1人が善子に「趣味とかはないの?」と問いかけると善子は「趣味!?」と驚いた声をあげ、どう答えるべきか一瞬迷う。

 

「と、特に、なにも・・・・・・」

 

堕天使のことなど本人的には言える訳がないので趣味は特にはないと答えようとしたが、そこで善子はふっと「ちょっと待って!」と思い、ある考えが頭を過ぎった。

 

(いやこれは! クラスに溶け込むチャンス!! ここで上手く好感度を上げて・・・・・・!)

 

それはここで堕天使のことは兎も角、自分の趣味のことを話せば少しでもクラスに馴染めるかというもので彼女はクラスメイト達に自分が占いを少し嗜んでいるということを話す。

 

「う、占いを、ちょっと・・・・・・」

「ホント!? 私占ってくれる!?」

 

占いとなれば気にならない女子は基本いない為、女子生徒の何名かが自分を占ってくれと頼み、善子はそれを快く承諾。

 

「良いよ!! えーっと、あっ! 今占ってあげるわね!」

 

そう言うと善子は鞄から黒い布を取り出し、さらには黒いロープを取り出して羽織り、頭のシニヨンに黒い羽を差し込む。

 

『・・・・・・えっ?』

「これでよし♪ はい、火をつけてくれる?」

 

その光景に生徒達は若干引いており、生徒の1人はその光景に戸惑いながらも火をつける。

 

「ちょっと、幾ら何でもこれ派手過ぎない? 占いってこんな大がかりだっけ?」

『ず、随分本格的(?)だね・・・・・・』

 

無爪や影の中のペガも引き攣った笑みを浮かべ、また生徒の1人は戸惑いながらも善子に言われた通りロウソクに火をつける。

 

「天界と魔界にはびこるあまねく精霊、憐獄に堕ちたる眷属たちに告げます。 ルシファー、アスモデウスの転生者、堕天使ヨハネとともに、堕天の時がきたのです!」

 

そう言いながら両手を広げて高らかに宣言する善子。

 

そこで善子はハッと自分がやってしまったということに気づき、周りを見ると全員引き攣った顔をしている。

 

(や、やってしまったぁー!!?)

 

そしてそんな善子に呆れた視線を送りながら花丸はふーっとロウソクに息をかけて消すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、Aqoursの部室にて・・・・・・。

 

「どうして止めてくれなかったのーーーーー!!!!」

 

善子はこの部室に逃げ込んで花丸や無爪が自分を止めてくれず、堕天使が出てしまったことに膝を抱えて嘆いていたのだった。

 

「ごめん、まさかあんなに本格的だとは思わなくて・・・・・・圧巻されて止められなかった」

「そうずら。 マルもまさかあんなものまで持ってるとは思わなかったずら」

 

無爪は両手を合わせて申し訳無さそうに謝り、花丸はじっとした視線を善子に送っていた。

 

「どういうこと?」

 

しかし、千歌達はイマイチにこの状況が飲み込めていならいらしく、曜が「どういうこと?」と尋ねると先ほど善子から話を聞いたと言うルビィが説明を行う。

 

「ルビィも、さっき聞いたんですけど・・・・・・。 善子ちゃん、中学時代はずっと自分は堕天使だと思い込んでいたらしくて・・・・・・」

 

例の1つとして、昔善子は中学時代、学校の屋上へと行って決めポーズを決めながら厨ニ全開の台詞を吐いていたのだと言う。

 

『天界より舞い降りしフォーリンエンジェル、堕天使ヨハネ。 みんな一緒に堕天しましょ? フフ♪』

 

とまぁ、こんな感じだったらしい。

 

「つまりは厨ニ病」

『多くの人が通る道だね』

 

ルビィの説明を無爪とペガがボソッとそう呟き、ルビィ曰く「まだその頃の癖が抜けきっていない」とのことである。

 

するとそこで善子が机の下からゆっくりと立ち上がって来た。

 

「・・・・・・分かってる。 私が堕天使の筈ないって・・・・・・。 そもそもそんなのいないんだし・・・・・・」

 

善子はみんなに背中を見せた状態で肩をぷるぷると震わせてそう語るのだが・・・・・・そこで梨子が「ならどうしてあんなもの学校に持って来たの?」と占いに使ったアイテムをどうして持って来たのかを尋ねる。

 

「それはまぁ、ヨハネのアイディンティーみたいなものでぇ~。 アレがなかったら私は私でいられないって言うか!!」

 

そう言い放ちながら善子はみんなの方へと振り返って厨ニ病的なポーズを思わず取ってしまい、そのことで善子はすぐに「またやってしまった」ということに気付いてハッとなる。

 

「なんか、心が複雑な状態にあるということは、よく分かった気がするわ」

「ですね。 実際今でもネットで占いやってますし」

 

そこでルビィがノートパソコンを開いて善子がやっている動画のページを開き、みんなで視聴。

 

『またヨハネと堕天しましょ?』

「わぁー!! やめて!!」

 

しかし、即座に恥ずかしくてたまらなかった善子がノートパソコンを閉じてみんなが自分の動画を視聴するのを阻止する。

 

「兎に角私は普通の高校生になりたいの!! なんとかして!!」

 

目をうるうるとさせながら花丸達に頼み込む善子。

 

しかし、なんとかしてと言われてもどうすれば良いのか分からず、困惑する一同・・・・・・。

 

だが、ただ1人だけ・・・・・・千歌だけは善子の動画を見て何かを閃いたのような表情を浮かべていた。

 

「・・・・・・可愛い」

『えっ?』

 

千歌の呟きに首を傾げる一同。

 

「これだ!! これだよ!! 津島 善子ちゃん!! いや、堕天使ヨハネちゃん!! スクールアイドル、やりませんか!?」

 

千歌は立ち上がってグイッと顔を善子に近づかせ、彼女は善子をスクールアイドルに勧誘するのだった。

 

「・・・・・・なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、一同は高海家の旅館、十千万にやって来ると千歌の部屋で無爪を除く6人は黒のゴスロリ衣装を着ることに。

 

ちなみに善子の衣装は自前である。

 

尚、無爪も一緒にいるのは衣装の感想を聞く為である。

 

「こ、これで歌うの!? この前より短い・・・・・・。 これでダンスしたら、流石に見えるわ・・・・・・」

 

しかし、その衣装はやたらとスカートが短く、梨子はこれでは流石にスカートの中が見えてしまうと懸念。

 

そのこともあって無爪は座らせずに立たせている。

 

「大丈夫♪」

「っ!? げほっ!!? ごほっ!!?」

 

だが、梨子の隣に立つ千歌は下にジャージのズボンを履いているので平気でスカートをたくし上げ、ズボンを履いてるなんて知らなかった無爪は千歌のその行為を見てついつい咳き込んでしまう。

 

そしてすぐさま梨子は「そういうことしないの!!」と強く注意しながら千歌のスカートを元の位置に慌てて戻す。

 

「ほらもう無爪くん咳き込んじゃってるし!!」

「それで、どうかななっちゃん、衣装の感想は?」

 

そこで千歌は無爪に自分達の衣装の感想を求められ、無爪は一瞬戸惑う。

 

(良いと思います!! って凄い言いたい・・・・・・!! 言いたいけど、言ったら曜ねえ辺りに絶対からかわれるし!!)

「なっちゃん? おーい?」

「わ、悪くはないとは・・・・・・思うけど・・・・・・」

 

歯切れ悪く千歌の問いかけにそう応える無爪。

 

「なっちゃんが悪くないって言うなら、つまりは良いってことだね!」

(いや、でもなっちゃんのことだから下心ありそう)

 

千歌はツンデレの無爪が言うことなのできっと特に問題はないのだろうと判断するのだが、曜からはそんな風に思われる無爪だった。

 

「はぁ、良いのかな本当に・・・・・・」

 

こういう感じで大丈夫なのだろうかと小さく梨子

 

「調べたら堕天使アイドルっていなくて結構インパクトあると思うんだよね!!」

「確かに、昨日までこうだったのが・・・・・・」

 

曜はベッドに置かれた自分達のファーストライブの時に着ていた衣装を見た後、同じようにゴスロリ服を着た他のメンバーを見渡す。

 

「こう変わる・・・・・・」

「うゆ、なんか恥ずかしい・・・・・・」

「落ち着かないずら」

 

曜や千歌は結構ノリ気ではあるもののルビィや花丸も梨子と同様この衣装はなんだか恥ずかしいしあんまり・・・・・・という感じであり、梨子はこんな格好で本当に大丈夫なのかと千歌に問いかける。

 

「可愛いね~!!」

「そういう問題じゃない!」

 

千歌の的外れな解答にツッコミを入れつつ、善子も本当に良いのかと疑問を口にするが・・・・・・千歌は「これで良いんだよ!!」と応える。

 

「ステージ上で堕天使の魅力をみんなで思いっきり振りまくの!!」

「堕天使の・・・・・・魅力・・・・・・?」

 

そんな千歌の言葉に善子は惹かれるが・・・・・・すぐにハッとなって彼女は「ダメダメ!!」と両腕を交差して×を作る。

 

「そんなのドン引かれるに決まってるでしょ!?」

「大丈夫だよ~、きっと!」

 

それを受けて、善子は少しだけステージに立った自分の姿を想像してみる。

 

『天界からのドロップアウト、堕天使ヨハネ・・・・・・。 堕天降臨!!』

「大人気・・・・・・くく、ふふ・・・・・・」

 

膝を抱えて蹲りながら、歓声を浴びる自分の姿を想像して不気味に笑う善子。

 

「どうやら善子ちゃんもノリ気になったみたいだね」

「うん、協力・・・・・・してくれるみたい」

 

無爪とルビィが善子が協力してくれるようだと言うと、梨子も渋々「しょうがないわねぇ」と了承。

 

その後、梨子が一度部屋を出ることになったのだが・・・・・・。

 

梨子が部屋を出るとそこには犬のしいたけを可愛がっている美渡の姿があり、しいたけの姿を見ると梨子は徐々に引き攣った顔になっていく。

 

「あっ、来てたんだ」

「・・・・・・っ」

 

次の瞬間・・・・・・。

 

「いいいやああああ!!!!?」

 

梨子はしいたけに追い回され、美渡は必死に梨子を追いかけ回すしいたけを止めようとする。

 

しかし、しいたけは一向に止まらず梨子を追いかけ回す。

 

「やめて来ないでえええええ!!!!?」

「梨子ちゃん!? 大丈夫! しいたけはおとなし・・・・・・」

 

千歌がそこまで言いかけた時、梨子は咄嗟に千歌の部屋の隣の部屋に逃げ込み、そのまま襖が千歌の方に倒れて下敷きになり、その際巻き添えで無爪軽く吹き飛ばされ、そのまま彼は真っ直ぐ曜の胸の辺りに顔を埋めるような形でダイブ。

 

「がふっ・・・・・・!?」

「おぉ!?」

「ご、ごめ・・・・・・!!」

 

それに曜も驚いた様子を見せるが、特に恥ずかしがる様子もなく咄嗟に無爪は曜から離れようとするが逃がすまいと曜は無爪を抱きしめて彼の頭を撫で始める。

 

「ちょっ、何してんの曜ねえ!?」

「いやぁ、久しぶりになっちゃん可愛がりたくなっちゃって~」

 

2人がそうこうしている間に梨子は真っ直ぐ千歌の部屋の開いている窓からジャンプし、身体をくるくる回転させながらそのまま自分の部屋のベランダに尻餅をつきながらも着地するのだった。

 

「とおおりゃああああ!!!!」

 

その光景を見た一同は「おぉ~、飛んだ」と感心の声をあげながら拍手喝采。

 

そんな千歌達に梨子はすぐ立ち上がり、文句を言おうとするのだが・・・・・・。

 

「お帰り・・・・・・」

「っ!? ただいま・・・・・・」

 

梨子の部屋には彼女の母親が掃除をしており、彼女は恥ずかしさからかその場にへたり込んでしまうのだった。

 

「っていうか、曜ねえはいつまで僕を抱きしめてるつもりなんだ・・・・・・! 早く離して恥ずかしいから!!」

「私だってたまには弟を可愛がりたいから無理」

 

また曜達に気付いた千歌が「あっ!」と声をあげ、千歌は曜と無爪を引き離そうとする。

 

「だからなっちゃんは私の弟だってば~!!」

「千歌ちゃんは何時でもなっちゃん可愛がれるでしょ!?」

 

そんな風に千歌と曜による無爪の取り合いを見て、善子はボソッと一言呟いた。

 

「なにあのリア充・・・・・・」

 

 

 

 

 

「じゃあ衣装、よろしくね?」

「ヨーソロー!!」

 

千歌、梨子、無爪はバス停まで曜、善子を見送り、またそこで花丸とルビィも無爪達に別れの挨拶をして2人は家に帰り、今日はみんな解散することに。

 

「あいたた・・・・・・」

 

ルビィと花丸と別れた後、梨子は尻餅をついた衝撃で未だに痛む自分のお尻を撫で、それに千歌は思わず笑ってしまう。

 

「笑い事じゃないわよ! 今度から絶対繋いでおいでよ!」

「梨子さんが無駄にしいたけを怖がりすぎてるだけな気もするけど」

「そんなことないわよ!」

 

無爪と未だに笑ってる千歌に対して梨子はムスッとした顔を浮かべ、「人が困ってるのがそんなに楽しい?」と不機嫌そうに梨子は千歌に尋ね、千歌は「違う違う」と首を横に振って否定。

 

「みんな色々個性があるんだなーって」

「えっ?」

「ほら、私達始めたは良いけどやっぱり、地味で普通なんだなーって思ってた!」

 

千歌のその言葉を聞き、梨子は「そんなこと思ってたの?」と問いかけると千歌は「そりゃ思うよ!」と頷く。

 

「一応、言い出しっぺだから責任はあるし! かと言って、今の私にみんなを引っ張って行く力は無いし・・・・・・」

 

どこか暗い表情を浮かべ、そう語る千歌に梨子と無爪はなんと声をかけて良いか分からず、困惑。

 

「でも、みんなと話してて少しずつみんなのこと知って、全然地味じゃないって思ったの! それぞれ特徴があって、魅力的で・・・・・・だから、大丈夫じゃないかなって!」

 

しかし、すぐに笑みを浮かべながらそう語り出す千歌に梨子も釣られるように笑みを見せ、「やっぱり、変な人ね」と呟き、それに千歌が「えぇー!?」と驚きの声をあげる。

 

「初めて会った時から思ってたけど」

「それね、僕もずっと思ってた」

「なに!? なっちゃんまで! 褒めてるの貶してるの!? ってかなっちゃんにだけは変って言われたくないよね! 特オタだし!」

 

そんな千歌に梨子は「どっちも?」と褒めて貶してるかもと意地悪く返し、それに同調するように無爪もコクコクと頷く。

 

「兎に角、頑張って行こうってこと! 地味で普通のみんなが集まって、なにができるか・・・・・・ねっ?」

 

そう言いながら梨子は千歌の肩を軽くポンッと叩き、そのまま彼女は自分の家に向かって歩き出す。

 

「よく分かんないけど・・・・・・まっ、いっか」

「ウチまで競争~!!」

 

すると梨子が突然その場から「競争!」と言い出して走り出し、それを千歌は慌てて追いかける。

 

「えっ!? あっ、ちょっとズルい~!!」

 

それに千歌も慌てて梨子の後を追いかけるのだった。

 

『無爪は競争しないの?』

「加減しても、僕の方が早い可能性あるからね。 なんか邪魔しちゃいけない気もするし」

 

ペガとそんな会話をして、走る千歌と梨子の背中を見つめながら、彼女等の後を歩いて追いかける無爪だった。

 

 

 

 

 

 

 

善子の住んでいるアパートにて。

 

「ただいま~」

「モコォ~!」

 

自分の部屋に入るや否や、留守番をしていたモコが善子に飛びつき、それに善子が両手で受け止め、モコの頭を撫でる。

 

「ただいまモコ、良い子にしてた?」

「モコ!」

 

尻尾を振るうようにして返事をするモコ。

 

善子は一度モコを机の上に置き、帰りにコンビニで買って来たパンを袋から取り出し、それをモコに差し出す。

 

するとモコは大きな口を開けてパンを吸い込むようにして食べ、その様子に善子は思わず苦笑いしてしまう。

 

(モコって普段可愛いけどご飯食べる時だけは怖いわね・・・・・・)

「モコ! モコ!」

 

パンを食べ終えるとモコは何やら窓の外を見ながら何かを訴えている様子を見せ、それに善子は「あぁ、外に行きたいのか」とモコが何を言いたいのかを理解し、ロングコートを着てサングラスとマスクを装着した善子はモコをコートの内側に入れ、こっそりと家を出るのだった。

 

(このアパート、ペット禁止だからね。 誰にも見つからないようにこっそり外に出なきゃ)

 

こっそり外に出るならその格好は逆に目立つ気もするが。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、学校の屋上にて。

 

「はぁ~い? 水のビーチから登場した待望のニューカマー、ヨハネよ!! みんなで一緒にぃ~、堕天しない?」

『しない?』

 

屋上で善子を中心に、堕天使スタイルのAqoursがポーズを取りながらの撮影を行っていたのだった。

 

その後、一同は元の制服に戻って動画編集した後、動画サイトに投稿。

 

「やってしまった・・・・・・」

 

ただ梨子だけは若干の後悔があり、軽めに頭を壁にぶつけていた。

 

「どう?」

「待って、今は・・・・・・」

 

千歌と曜の2人がそんな会話をしていると昨日まで4768位だった自分達のランクが953位となっており、それに千歌は「嘘!?」と驚きの声をあげる。

 

「堕天使効果凄いね・・・・・・」

「コメントも沢山!!」

 

無爪はまさかここまで凄まじくランキングを彼女等が上げたことに驚き、またルビィも複数のコメントが送られていることに気付く。

 

「『ルビィちゃんと一緒に堕天する!』」

「『ルビィちゃん最高!』」

「『ルビィちゃんのミニスカートがとても良いです』・・・・・・」

「『ルビィちゃんの笑顔』・・・・・・が・・・・・・」

 

ただ、そのコメントの大半はルビィに関することばかりであり、それにルビィや「いやぁ、そんなぁ~」と照れるのだった。

 

ちなみにメンバー全員が堕天使スタイルで個別に自己紹介する映像も撮っているのだが・・・・・・その中のルビィの自己紹介映像が・・・・・・。

 

『ヨハネ様のリトルデーモン、4号。 く、黒澤 ルビィです。 1番小さい悪魔・・・・・・可愛がってね!』

 

モジモジして恥ずかしそうにしながらもなんとか自己紹介を行い、決めポーズを取るルビィ。

 

その映像を見た無爪とペガは心の中で一言。

 

((何これあざとい!!))

 

無論、良い意味でだが。

 

 

 

 

 

 

「Oh! プリティーボンバーハート!」

 

一方、生徒会室ではダイヤと鞠莉も動画を視聴しており、鞠莉はルビィの動画を見てプリティーと評する一方、ダイヤはワナワナと肩を震わせていた。

 

「プリティー? どこがですの・・・・・・!! こういうものは破廉恥と言うのですわ!!」

 

という訳で、千歌達はダイヤに呼び出されてお説教を受けることになり・・・・・・。

 

「なんで僕まで!?」

『止めなかったからじゃない?』

 

無論、無爪も一緒に。

 

「い、いやぁ~、あれはそういう衣装というか・・・・・・」

「キャラと言うか・・・・・・」

 

千歌と曜が怒るダイヤに対し、そう言い訳をし、梨子は「だから私は『良いの?』って言ったのに・・・・・・」と呆れた視線を送りながら千歌に呟く。

 

「そもそも! わたくしがルビィにスクールアイドル活動を許可したのは節度を持って自分の意思でやりたいと言ったからです!! こんな格好をして注目を浴びようなど・・・・・・!!」

「ごめんなさい・・・・・・! お姉ちゃん・・・・・・」

 

そこでルビィが前に出てダイヤに謝罪し、彼女から謝られ、少し黙り込むダイヤ。

 

「・・・・・・兎に角、キャラが立ってないとか個性がないと人気が出ないとか、そういう狙いでこんなことをするのは頂けませんわ!!」

「努力する方向性、間違えたな、千歌ねえ達・・・・・・」

「うっ、でも・・・・・・一応、順位は上がってるし・・・・・・」

 

曜の言うように、堕天使スタイルのおかげでAqoursの順位が急激に上がったのは事実。

 

しかし、ダイヤ曰く「そんなものは一時的なもの」らしく、彼女は自分の傍にあったノートパソコンを曜に渡してサイトを開かせる。

 

すると、そこには確かにダイヤの言う通り・・・・・・先ほどまで953位だったのが1526位にまで下がっていたのだった。

 

「あっ・・・・・・!」

「本気で目指すのならどうすれば良いか、もう1度考えることですね!」

「は、はい・・・・・・」

 

またその時の善子は、この中で誰よりも暗い表情を浮かべていたのだった。

 

 

 

 

 

「失敗したなぁー」

 

Aqoursと無爪のみんなは防波堤の上で座り、千歌は膝を抱えてしょんぼりした様子を見せていた。

 

「確かにダイヤさんの言う通りだね。 こんなことでμ'sになりたいなんて失礼だよね」

「千歌さんが悪い訳じゃないです!」

 

落ち込む千歌にルビィがそう声をかけると善子も「そうよ」と呟き、その言葉に全員の視線が善子に行く。

 

「いけなかったのは、堕天使・・・・・・」

「えっ?」

「やっぱり、高校生にもなって通じないよ・・・・・・!」

 

そう言葉を続ける善子に、千歌は「それは!!」となにか声をかけようとするが・・・・・・善子はそれを遮るように立ち上がり、両手を広げる。

 

「なんかスッキリしたぁ! 明日から今度こそ普通の高校生になれそう!!」

「じゃあ、スクールアイドルは!?」

 

ルビィの問いかけに対し、善子は腕を組んで少しだけ考え込む。

 

「うーん、やめとく。 なんか、迷惑かけそうだし」

 

そう言って善子は「じゃあ」とだけ別れの言葉を告げ、そのまま帰ろうとするのだが・・・・・・一度だけピタリと止まり、振り返る。

 

「少しの間だけど、堕天使に付き合ってくれてありがとうね? 楽しかったよ!」

 

善子はみんなに笑みを浮かべお礼を述べるのだが・・・・・・その顔はどこか悲しそうであり、みんなはそんな善子に何も言えず、ただただ彼女が帰るのを見送ることしかできないのだった。

 

「・・・・・・なんで堕天使だったんだろ?」

 

善子が帰った後、ふっとそこで梨子が気になったことを呟いた。

 

「マル、分かる気がします」

 

そこで幼稚園と一緒だったこともあってか、花丸が梨子の疑問に応えるように話だす。

 

「ずっと、普通だったんだと思います。 私達と同じで、あまり目立たなくて・・・・・・そういう時、思いませんか? これがホントの自分なのかなぁって? 元々は、天使みたいにキラキラしてて何かの弾みでこうなっちゃってるんじゃないかって」

「そっかぁ」

「確かにそういう気持ち、あった気がする」

「そういうことなら、善子ちゃんの気持ちも少し分かるかも・・・・・・」

 

ルビィや梨子、無爪は花丸の言葉に納得し、また黙り込んだままではあったが曜や千歌もみんなと同じような気持ちだった。

 

「幼稚園の頃の善子ちゃん、いつも言ってたんです」

 

それはずっと昔、花丸や善子が幼稚園児だった頃・・・・・・。

 

『私、本当は天使なの!! いつか背中に羽が生えて、天に帰るんだ!!』

 

善子は滑り台の上に乗って、右手の一差し指を天に向けそう言い放ち、滑り台の下では花丸が目を輝かせながらそんな善子の姿を『ず~ら~!!』と言いながら見つめていた。

 

「って・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

それから、千歌と無爪、ペガは今日はみんなと別れ、3人は何となく星雲荘に来ていた。

 

善子のことをどうすれば良いか、このまま黙って彼女が堕天使をやめるのを見過ごすか、それに自分達がどうすれば良いのか落ち着いて考える為に、3人は静かな場所で考えようと思ったのだ。

 

「ねえ、なっちゃん・・・・・・善子ちゃんのこと、どうすれば良いのかな・・・・・・」

「そんなの、僕にも分からないよ。 最後に決めるのは、善子ちゃん自身だもの・・・・・・」

 

無爪はそんな風に、千歌に言葉を返すのだが・・・・・・。

 

「でも、自分の好きなものを、ワザワザやめる必要ってあるのかな?」

「・・・・・・えっ?」

「見た感じ、善子ちゃんは堕天使のことが好きなんじゃないかな? それなのに、ワザワザやめる必要ってあるのかな・・・・・・」

 

無爪は善子を見ていて彼女は別に堕天使のことを嫌っている訳ではないのだから、無理にやめる必要があるのかと思い、疑問を口にし・・・・・・。

 

それに千歌はどう返せば良いか分からず、黙り込んだまま・・・・・・。

 

『無爪! 千歌! ペガ! テレビをつけて観てください!』

 

そんな時・・・・・・突然、レムが無爪達の名を呼び、彼女が星雲荘にあらかじめ設置されてあったテレビをつけるように言い、慌ててペガがテレビをつける。

 

「一体どうしたのレム?」

『無爪! これ・・・・・・!』

 

テレビの画面にはニュースで「噂のあの人を直撃」というコーナーが放送されており、その番組の女性キャスターはなんでもどんな傷でも治せるという少女について取材してきて紹介していたのだ。

 

『今日は今噂の『ヒーリング堕天使』について取材をしてきました。 なんと彼女は、ありとあらゆる傷を治すことができるそうなのです!』

「「『ヒーリング・・・・・・堕天使?』」」

 

そのニュースを観て無爪、千歌、ペガはなんだか最近物凄く聞いたようなワードが出てきて首を傾げ、次の瞬間、テレビの場面は代わり、その「ヒーリング堕天使」と思われる少女が映し出される。

 

「なんか・・・・・・見覚えのあるシニオンが頭にあるんだけど・・・・・・羽差してるし」

 

その少女はロングコートを着てサングラスとマスクを装着しているがどう見ても善子その人であり、「一体なにやってるんだ・・・・・・」と思わずにはいられない無爪達。

 

「あれ、でも善子ちゃん堕天使やめるって・・・・・・」

「数日前の映像なんじゃない?」

 

千歌は先ほど善子は堕天使をやめると言っていたのになぜまた堕天使を名乗っているのか疑問に思うが、それは無爪の言うように、これは数日前に撮影された映像なので特に矛盾はない。

 

『フフフ・・・・・・、今こそ見せてあげましょう! 我が堕天の力・・・・・・、堕天使ヨハネの力を!!』

 

そう言うと善子は自分のいる公園に来ていた怪我をしていた人々を1人ずつ、胸を光らせて右手をかざすとそこから光が溢れ出し、怪我人の傷を次々に治して行ったのだ。

 

「えっ!? アレって・・・・・・リトルスター!!?」

「でも、善子ちゃんそんな素振り全然・・・・・・!」

 

当然、それに無爪達は驚き、無爪は善子がリトルスターを発症しているにも関わらず、全然そんな素振りが無かったことを疑問に思う。

 

『能力を使いこなしてるって・・・・・・ことなのかな? 梨子ちゃんやルビィちゃんはいきなり能力が発現してる感じだったし・・・・・・、ダークロプスゼロの時の子供は自分の意思で能力を使ってたみたいだし・・・・・・』

「かもしれない。 でも、リトルスターを発症してるなら身体が熱くなる筈だけど・・・・・・」

「取りあえず善子ちゃん探してみよう! 善子ちゃんを狙って怪獣が現れるかも!!」

 

千歌の言う通り、善子がリトルスターを発症しているのだとすればこれまでの例からしてまた怪獣が現れ、リトルスターの保持者を狙うかもしれないと思い、3人は急いで善子を探しに行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃・・・・・・とある公園では・・・・・・。

 

そこでは不審者スタイルの善子がテレビに映っていた時と同様、スーツを着た男性の怪我をした腕を治しており、腕が治った男性は嬉しそうに「ありがとう!!」と頭を下げてお礼を述べ、財布を取り出してお金を支払おうとする。

 

「ちょ、ちょっと!! お金なんていらないわよ!!」

「えっ、でも・・・・・・腕の怪我を治して貰ったのにタダって訳には・・・・・・」

「い、良いから!! 私、元々お金が欲しくてこんなことやってた訳じゃないし!!」

 

善子はそう言って男性から代金を受け取るのを拒否し、今日はもう怪我を治して欲しい人もいないので彼女は逃げるようにしてその場から走り去る。

 

「それにしても、堕天使やめると言っても・・・・・・ヒーリング堕天使の方はどうしようかしらね。 調子に乗ってテレビの取材なんか受けなきゃ良かった・・・・・・」

 

人気のない場所まで行くよ善子は頭を抱えて「やってしまった」とテレビの取材に応じたことを後悔していると、胸ポケットにしまっていたモコが顔を除かせ、鳴き声をあげて来たのだ。

 

実は、人の傷を治すのは善子の能力ではない。

 

それはこのモコの能力であり、善子はモコの存在を秘密にしながらモコの力を借りて人々の傷を癒やしていたのだ。

 

「モコォ~?」

「モコ? どうしたの? お腹空いたの?」

 

善子は右左を見て、誰も人がいないのを確認すると彼女は傍にあった置物の後ろに隠れ、パンを取り出してそれをモコに差し出す。

 

「モコォ~!」

「んっ? お腹が空いてるんじゃないの?」

「モコ!」

 

そんな時のことである。

 

「すいません!!」

「ひゃあ!!?」

 

当然声をかけられ、善子は慌ててモコを隠す。

 

「あれ? あなた・・・・・・この前、家に来てた・・・・・・」

「あっ、あなた・・・・・・あの千歌って人の、お姉さん?」

 

善子に声をかけたのはペットキャリーを担いだ美渡であり、その後ろからひょいっとザルドが顔を出す。

 

「んっ? なんだお前等知り合いなの?」

「まぁ、妹の友達。 えーっと、善子ちゃんだっけ? 実はさ、私・・・・・・保健所の人で・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

その後、美渡とザルドはなんとかAIBに関することは伝えず、善子に納得して貰う形でモコを回収。

 

そのことを美渡とザルドがゼナに通信機で連絡を入れ、報告するのだが・・・・・・。

 

「えっ? 傷を癒やす力はない?」

『特殊な事例かもしれない。 兎に角地球に1体しかいない貴重な種だ。 速やかに本部へ届けろ』

 

モコ・・・・・・ルナー種には本来、傷を癒やす力は存在しない。

 

そのため、連絡を受けたゼナは「なにか特殊な個体なのでは」と考え、美渡とザルドに本部の帰還を促し、それに2人は「了解!」と返事をして本部へとモコを届けに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃・・・・・・。

 

モコを美渡とザルドに連れられ、モコと離ればなれになってしょんぼりした様子で顔を俯かせて家に向かって歩く善子。

 

「はぁ・・・・・・。 堕天使も卒業して、モコもいなくなって・・・・・・これから寂しくなるな。 悪いようにはしないって言ってたから多分モコのことは任せて大丈夫なんだろうけど・・・・・・」

 

何より、あのザルドという人物のことは知らないが、美渡は自分によくしてくれり、気を使ってくれた千歌と無爪の姉なのだ。

 

ならば信じても問題はないだろうと善子は考えるが・・・・・・やはり寂しいものは寂しい。

 

その為、彼女は大きな溜息を吐きながら歩く。

 

そのせいで未だにサングラスとマスクは装着しているので不審者スタイルに磨きがかかってしまっており、周囲の人達がヒソヒソ話し始めているが善子は気付かない。

 

そんな時・・・・・・。

 

「あの! すいません!! 今噂になってるヒーリング堕天使の人ですよね!!?」

「はい・・・・・・?」

 

後ろから声をかけられ、善子は振り返るとそこには強面の顔面が・・・・・・。

 

そう、なにを隠そうそれは強面フェイスのレイジである。

 

「きゃあ!!? ヤクザ!!?」

 

レイジの顔を見て善子は驚きのあまり尻餅を突いて転んでしまう。

 

『お前はいい加減後ろから登場するのやめろよ』

「うぅ、今度からそうします・・・・・・。 ってそれよりも!! あ、あの!! 僕はヤクザじゃないですよ!! こんな顔で勘違いされやすいですけど!!」

 

レイジは尻餅をついた善子に手を差し伸べ、それに善子は「ここで差し伸べられた手を拒めば殺られる!!」と思い、彼女はすぐさまその手を掴み、レイジに引っ張られて立ち上がる。

 

「え、えっと・・・・・・す、すいません・・・・・・。 それで、私に何の用でしょうか・・・・・・?」

「あ、あの! どうか治して欲しいんです!! 僕の中の人!!」

「はっ? 中の人・・・・・・?」

 

善子はレイジの言っている意味が分からず、首を傾げる。

 

というか、傷を癒やす能力を持っていたモコは美渡とザルドに連れて行かれてしまった為、どっちにしても彼女にはもう誰かの傷を治すことはできない。

 

しかし、ここで断ってしまえば・・・・・・。

 

『あぁ!? テメェ、テレビでやってたのはインチキだったのかゴルァ!!?』

 

とレイジにキレられてしまうのではないだろうかと思い、善子はサングラスの中で目尻に涙を溜め、冷や汗を流しながらなんと言い訳すれば良いかを必死に考える。

 

(どうしようどうしよう!! なんて言って誤魔化そう・・・・・・!!)

 

そこに・・・・・・。

 

「いたー!! 善子ちゃん!!」

 

千歌と無爪が駆けつけて来たのだ。

 

「アレ? レイジさん?」

「無爪くん!! 千歌ちゃん!!」

 

そのまま千歌は善子、無爪はレイジの元に駆け寄り、無爪は先ほどチラッと聞こえたことをレイジに尋ねる。

 

「さっき中の人を治してって言ってたよね? もしかしてゼロのこと!? 怪我してるの!?」

 

するとレイジはメガネを外して人格をゼロと交代。

 

『バラすんじゃねえ! 色々あるんだ!! シーッ!』

 

ゼロはそう言って無爪に口止めし、無爪も戸惑いつつ「は、はい!」と頷く。

 

また千歌は善子の手を触れてみるとやはり善子からはリトルスター保持者特有の体温の熱さは感じず、今度は千歌は咄嗟に善子の胸部辺りをまさぐる。

 

無論、その時無爪は目を見開いて凝視していた。

 

「ひゃあ!!? ちょっ、なにすんのよ!?」

「あっ、ごめんね善子ちゃん!?」

 

咄嗟に手を引っ込めて頭を下げて謝る千歌。

 

「それより、善子ちゃんに聞きたいことがあるんだけど・・・・・・」

「・・・・・・えっ?」

 

頭を振って余計な考えを振り払い、無爪は善子に「あの胸の光はなに?」と人々の傷を癒やしていたあの光はなんなのかを尋ねる。

 

「えっ、な、なに・・・・・・? もしかしてあなた達もモコのこと探して・・・・・・」

「「「モコ?」」」

 

ついモコの名前を口走り、ハッとなって咄嗟に口を両手で塞ぐ善子。

 

「・・・・・・話してくれるかな? そのモコについて・・・・・・」

 

無爪はそのモコという存在について話してくれないかと善子に頼むが、善子はどうすべきかと悩み、顔をしかめる。

 

「お願い、善子ちゃん!」

 

千歌にも頼まれ、善子は渋々モコについて話し始めることに・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前。

 

その日善子は沼津で買い物を終え、帰宅している時のことだった。

 

突然といった感じに急に天気が曇り始め、激しい雨が降り始めたのだ。

 

『もぉー!! なんでいっつもこんな目に~!!』

 

今日の天気予報は晴れだと言っていた為、傘も持たず善子は出かけてしまっていたので、当然ずぶ濡れになってしまい、さらにはその途中足を滑らせて転んでしまい、右膝を擦りむいてしまったのだ。

 

『うぅ、ツイてないわね・・・・・・ホント・・・・・・』

 

その為、彼女は帰る途中にある公園で擦りむいた傷を水で洗うために立ち寄ることにしたのだが・・・・・・。

 

『モコ!!』

『んっ?』

 

そこで善子はモコと出会ったのだ。

 

公園の屋根のある場所で雨宿りしているらしきモコの姿に善子は気づき、彼女は興味本位から恐る恐るモコに近づいてしゃがみ、彼女は首を傾げる。

 

『なに? この動物? 犬・・・・・・じゃないわよね?』

『モコォ~!』

 

するとモコが突然善子の左の方の膝の上に乗るとモコから眩い光が放たれ、善子の擦りむいて怪我をしていたた右膝があっという間に完治したのだ。

 

『えっ、嘘!? 傷が・・・・・・! あなたが治してくれたの・・・・・・?』

『モコ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

善子曰く、「そのお礼としてモコを内緒でウチで飼うことにした」とのことで彼女を話を聞き、無爪達は「そういうことか」と納得したのだった。

 

「でも、リトルスターがまさか動物にまで発生するなんて驚いた」

「えっと、それでその動物に治療させて金儲けを・・・・・・?」

「金儲けだなんて人聞き悪いわね!! 私は一切お金なんて受け取ってないわよ!! ただ、モコがそういう人達を助けたかったみたいだから、私はそれを手伝っただけよ!!」

 

レイジは人々の傷を治しているなんて凄い能力を持っているので、てっきりお金を貰っているものなのだと思ったのだが・・・・・・どうやら早とちりだったようだ。

 

「す、すいません・・・・・・」

「それで、そのモコはどうしたの?」

 

そのモコという動物が今、善子の元にはいないようなので彼女にどこへ行ったのか尋ねると彼女は美渡とその同僚っぽい人・・・・・・つまりザルドがモコを保護したということを話す。

 

「美渡ねえが? えっ? でも美渡ねぇって生命保険の人じゃ・・・・・・」

「取りあえず、美渡ねえを探そう! 早くしないと怪獣が現れちゃうかも!!」

 

兎に角、今はモコを保護しているという美渡とザルドを探しに向かおうとする千歌と無爪。

 

「えっ!? なに!? 怪獣!?」

 

千歌の言葉に善子は「怪獣ってどういうこと!?」と尋ねようとするのだが・・・・・・その時・・・・・・。

 

突如として地響きが鳴り、地中から襟巻きをした恐竜のような怪獣・・・・・・「エリ巻き恐竜 ジラース」が出現したのだ。

 

「グルアアアアアアアア!!!!!!!!」

「わああ!!? やっぱり出てきた!?」

「やっぱりあの怪獣もモコって動物を狙って・・・・・・」

 

善子は千歌や無爪の会話の内容を聞き、2人の話はよく分からなかったが・・・・・・。

 

兎に角善子はモコが怪獣に狙われてると聞いたらいても立ってもいられず、彼女は無意識の内に身体が動き・・・・・・モコの名を叫びながら全力で走り出したのだ。

 

「モコーーーーーーー!!!!」

「善子ちゃん!?」

「危ないよ!!」

 

無爪と千歌が呼び止めるが、善子の耳には全く入っていなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

出現したジラースは真っ直ぐモコを保護しているザルドと美渡の方に向かって歩いて来ており、ザルドと美渡は「なんで追いかけてきてるんだー!!?」と叫びながら逃げ惑っていた。

 

「ちょっと!! アンタ巨大化してあいつと戦って来なさいよ!!」

「無理無理!! 俺巨大化できない個体だし!! 大体そんなことしたらAIBの存在がバレる可能性だってあるし!!」

 

その時、美渡は自分が抱きかかえていたペットキャリーの中が光り出し、美渡とザルドはそれに慌ててキャリーの中を覗き込む。

 

するとそこにはモコがリトルスターの輝きを放っており、それを見てザルドと美渡は「まさか・・・・・・」と同時に呟く。

 

「「リトルスター!!?」」

 

「グルアアアアア!!!!」

 

気付けば、ジラースは目の前にまで迫ってきており、それに驚いた美渡は驚いて転んでしまい、その拍子にキャリーを落としてしまう。

 

「きゃああ!?」

 

その衝撃でキャリーの扉が開き、モコはコロコロとどこかに転んで行ってしまうのだった。

 

「大丈夫か美渡!?」

「それよりもルナーが・・・・・・って怪獣が!!?」

 

ジラースは美渡達のすぐそこに立っており、後一歩踏み出せば自分達は踏み潰されてしまう・・・・・・。

 

そんな時・・・・・・。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

無爪はジードライザーを構え、腰のカプセルホルダーから「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルを装填ナックルに装填させた後、さらにそれとは別に「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。

 

「はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

無爪は「ウルトラマンジード プリミティブ」に変身を完了させ、ジラースに向かってドロップキックを炸裂させる。

 

「グルアアア!!!?」

 

蹴り飛ばされたジラースは大きく美渡達から引き離され、ジードは大地に降り立つ。

 

「アレは・・・・・・」

「ジード・・・・・・すまん、助かった」

 

美渡はジードの登場に驚き、ザルドはジードに礼を言うとジードは頷き、立ち上がって来たジラースに向かって駈け出して行く。

 

『シュア!!』

 

ジードは先ず、勢いをつけて膝蹴りをジラースに叩き込み、ジラースが怯んだところにジードはさらに掴みかかるのだが・・・・・・ジラースは身体を大きく左右に揺らして振り払う。

 

「ガアアアアア!!!!」

 

振り払ったジードに向かってジラースは尻尾を振るって攻撃し、それをジードはしゃがみ込んで躱すが続けざまにで口から放つ熱線を放ってジードに直撃させ、吹き飛ばす。

 

『ウアアアア!!!!?』

 

吹き飛ばされ倒れ込んだジード。

 

ジラースはジードが倒れ込んだところを狙い、ジードに向かって突進。

 

『ぐっ! 燃やすぜ、勇気!!』

『ソリッドバーニング!!』

 

しかしジードは「ウルトラセブン」と「ウルトラマンレオ」の力を使う「ソリッドバーニング」へとチェンジすると両手でジラースの突進を受け止める。

 

そのままジードはジラースを押し返し、腕のブースターを使ったパンチをジラースの顔面に叩きこんで怯ませる。

 

『ハアア!!』

「グアアア!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でモコはというと・・・・・・。

 

ジラースから逃げている途中、モコは勢い余って漁船の網に絡まってしまい、身動きが取れないでいたのだ。

 

「モコォ~」

「モコーーーーー!!!!」

 

そこへモコを探していた善子がモコを発見。

 

彼女は網に絡まっているモコを見るとすぐさまモコを助けようとモコに絡まった網を解こうとする。

 

さらにそこに少しばかり遅れて善子を追いかけていた千歌とレイジも合流。

 

「あ、危ないよ君!! 早く逃げないと・・・・・・」

「モコを置いて逃げられる訳ないでしょ!!? モコは、私が落ち込んだ時ずっと励ましてくれてた!! そんな優しい子を、放っておける訳がないじゃない!!」

「モコォ~」

 

レイジの言葉に善子は噛みつくようにそう言い返し、それを受けてか千歌も「そうだね」と頷き、一緒にモコに絡まった網を解こうとする。

 

『いざとなれば、俺も行く。 レイジも手伝って来い!』

「わ、分かりましたよ・・・・・・。 僕だって、これくらいの勇気!」

 

ゼロにもそう言われ、レイジはジラースの存在にビクビクしながらも千歌と善子を手伝い、3人でどうにかこうにかモコに絡まった網を解き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、互いに向き合ったジード ソリッドバーニングとジラースは同時に走り出し、2体同時にジャンプすると空中で僅かな時間だが凄まじい殴り合いを行い、最終的にジードがジラースを地面に叩き落とすことに成功。

 

「グアアアア!!!」

 

それでも膝を突きながらもジラースは熱線をジードに向けて発射。

 

それをジードは両腕を交差してなんとかジラースの熱線の直撃を耐えきり、真っ直ぐジラースに向かって駈け出す。

 

対してジラースはエネルギーをチャージし、先ほどよりも強力な熱線を発射・・・・・・ジードはもう1度両腕を交差し、直撃を耐えようとするのだが・・・・・・。

 

先ほどよりもより強力な威力である為、ジードは空中に投げ出されるように吹き飛ばされてしまうのだった。

 

『ウアアアア!!!!?』

 

しかし、ジードは空中に吹き飛ばされながらも「ウルトラマンオーブ エメリウムスラッガー」と「ウルトラマンベリアル」のカプセルを使い、「トライスラッガー」にチェンジし、空中で体勢を立て直す。

 

『トライスラッガー!』

『シェア!!』

 

ジードはそのままジラースに向かって急降下キックを繰り出し、蹴りを受け、怯むジラース。

 

その隙にジードは背後に回り込んでジラースの尻尾を掴み、ジャイアントスイングで投げ飛ばす。

 

『ハアアア、シュア!!』

「グアアアア!!!?」

『今だ!!』

 

そしてジードは今がチャンスだと思い、両腕をL字にして放つ「デススラッガーショット」を放とうとするのだが・・・・・・。

 

『待ってください無爪! その怪獣の後ろにガスタンクがあります。 今光線を撃てばタンクが爆発し、大きな被害が出ることが予想できます』

 

不意にレムからの通信が入り、それによって光線を放つのを中断するジード。

 

『くっ、投げ飛ばす場所ミスった・・・・・・!! どうにかしてあいつをガスタンクから遠ざけないと・・・・・・!』

 

しかし、ジラースをガスタンクから離れさせる方法を考えている間に立ち上がったジラースは熱線を放ってジードに直撃させ、ジードは地面に倒れてしまう。

 

『グアアアアア!!!!?』

 

その際、その衝撃で今まで耐えていたがバランスを崩した千歌と善子が倒れそうになり、それを慌ててレイジが咄嗟に両手で背中を支えるように受け止める。

 

「危ない!!」

「あっ、解けた!!」

 

だが、それと同時にモコに絡まっていた網が解けるのだが・・・・・・。

 

「グルル・・・・・・!!」

 

その光景を睨むようにジラースが見つめており、それに驚いた千歌と善子は「ひっ!?」と怯えた声を漏らす。

 

「モコォ~・・・・・・」

 

そんな2人の怯えた様子を見て、モコはジードに振り返ってジードを見つめる。

 

「モコォ~!! モコ~~~!!!!」

 

すると、モコは身体を輝かせ、その光はモコから分離し、光はジードのカラータイマーの中へ。

 

そしてジードの中の無爪はホルダーから新たなカプセル、「慈愛の勇者」と呼ばれる青き巨人、「ウルトラマンコスモス」が描かれたカプセルが起動する。

 

『コスモスカプセルの起動を確認しました。 ヒカリとのフュージョンライズが可能です』

『よし、分かった!! 融合!!』

 

レムの言葉に無爪が頷くと無爪はジードライザーを構え、最初に青い姿の光の国の科学者、「ウルトラマンヒカリ」のカプセルを起動させる。

 

『アイ、ゴー!!』

 

続いて無爪は先ほど手に入れたコスモスカプセルを起動させ、ナックルに装填。

 

そこからジードライザーで装填ナックルをスキャンし、トリガーを引いてライザーを掲げる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!!』

『見せるぜ、衝撃!!』

 

そしてジードはトライスラッガーからウルトラマンヒカリ、ウルトラマンコスモスの力を融合させた青い姿、「ウルトラマンジード アクロスマッシャー」に姿を変える。

 

『はああああ、はぁ!! ジィィーーード!!!!』

『ウルトラマンヒカリ! ウルトラマンコスモス! ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!』

 

戦闘BGM「ウルトラマンジードアクロスマッシャー」

 

「青い、ジード・・・・・・?」

 

千歌が姿の変わったジードに向かってそう呟き、ジードはジラースをタンクから離れさせる為に両腕を回しながらエネルギーを貯め、左手を右腕の関節に乗せて十字を組み、大気を収束させた青い光輪状の波動光線「アトモスインパクト」を放つ。

 

『アトモス・・・・・・インパクト!!』

 

それを受けたジラースは空中に浮かび上がり、ガスタンクから遠ざけられ地上に落下して叩き落とされる。

 

『シェア!!』

 

それによってジードも大きくジャンプしてジラースの元まで行き、立ち上がったジラースは唸り声を上げながらジードに向かって突進。

 

『ハアア!!』

 

しかし、ジードはそれをひらりと躱し、後ろに回り込むと同時にジラースの首元に肘打ちを喰らわせる。

 

「グル!!? グルアアアアア!!!!」

 

一瞬、ジードの攻撃を受けてフラつくジラースだが、すぐさま振り返りざまに左手でジードに殴りかかって来るがジードはそれを両手で受け止め、そのままジラースの右腕を両腕で掴むとジラースの足に自分の足を引っかけ、足払いをして投げ飛ばす。

 

『シェア!!』

「ガアア!!?」

 

それによって地面を転がるジラースだが、転がりながらも熱線をジードに向かって吐き出し、攻撃を仕掛ける。

 

『スマッシュビームブレード!!』

 

それをジードは右手から光の剣を形成、「スマッシュビームブレード」を出現させ、熱線を縦一線に切り裂く。

 

『アレは・・・・・・ウルトラマンヒカリの技か!?』

 

またその戦いの様子を見ていたゼロも今度はジードがヒカリの力を使ったことに驚きの様子を見せていた。

 

『ハアア!!』

 

起き上がったジラースはさらに強力な熱線を放とうとエネルギーをチャージし始めるが・・・・・・。

 

『ハアア、スマッシュムーンヒーリング!!』

 

ジードは両手から興奮抑制効果のある光線「スマッシュムーンヒーリング」を放ち、それを受けたジラースはエネルギーチャージを中断。

 

ジラースは大人しくなり、ジードに向かって背を向けるとそのまま地面に潜り始め、やがて姿を消すのだった。

 

「怪獣を、大人しくさせた・・・・・・?」

 

その光景を見て千歌は小さくそう呟き・・・・・・。

 

『成程、コスモスの力か・・・・・・らしいな』

 

またレイジの中のゼロは感心したようにそう呟くとレイジは「こ、コスモスってなんですか?」と尋ねてくる。

 

『それは後で説明する』

 

 

 

 

 

 

 

 

それからジードの活躍もあり、善子もモコも怪我もなく、善子は手の平にモコを乗せてほっとした笑みを浮かべていた。

 

「モコォ~」

「もうこの子に、傷を癒やす力は無いんだね」

「これじゃ、ヒーリング堕天使も、無理・・・・・・かな?」

 

リトルスターをモコはジードに譲渡してしまった為、もうモコは傷を癒やす能力は使えない。

 

しかし、善子はそんなことなど気にした様子は無い。

 

「良いのよ、モコが無事なら」

「アレ? なっちゃんに千歌?」

 

すると丁度そこへモコを探していた美渡とザルドが現れたのだ。

 

「あっ、保健所の・・・・・・」

「んっ? 保健所? 美渡ねえがやってるのって保険のやつじゃ・・・・・・」

 

善子の言葉に疑問に感じた無爪はそのことについて美渡とザルドに尋ねるのだが、美渡は冷や汗流しながら必死に誤魔化すように「そ、そうよ!」と応える。

 

「だだだ、だから保険の仕事じゃない? ほら、両方にほほほ、『保険』ってあるしな?」

(ザルド、アンタキョドりすぎ!!)

「んっ? 保険のセールスってこんなことまでやるの?」

 

ザルドと美渡はどうやって誤魔化そうかと必死に悩むが・・・・・・どう考えても2人とも上手く応えられないので美渡は強引に自分達の仕事を全うすることにした。

 

「い、色々あるのよ保健所には! それよりも、その子!! ごめんね、これも仕事だから・・・・・・」

 

美渡は申し訳無さそうにしつつも善子からモコを自分の手に取り、それに善子は「あっ」と物凄く悲しげな顔を浮かべる。

 

「えっ、ちょっとそれは酷いんじゃない美渡ねえ!?」

「そうだよ!! 酷いよ美渡ねえ!!」

 

千歌と無爪にそう言われ、「うっ・・・・・・」と罪悪感に蝕まれる美渡。

 

「このままこの動物持って帰ったら、完全に俺達悪者になるぞ」

「で、でも・・・・・・」

「・・・・・・はぁ、仕方がない。 俺に1つだけ提案がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

結果的に言えば、モコは善子が引き続き飼うことになった。

 

しかし、善子の住んでいるマンションはペット禁止で何時までも隠しておく訳にもいかないので浦の星で飼うことに。

 

勿論、鞠莉の許可も貰っており、またザルドが必死にゼナに対して頭を下げて頼んだこともあり、定期的にAIBの監視付きという条件で学校で飼うことになったのだった。

 

ただ色々と飼う為の道具なども必要になってくる為、準備ができるまではAIBが保護することに。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その翌々日。

 

前々日は怪獣騒動もあり、昨日は昨日でモコの問題などでバタバタしていた為、彼女はAIBにモコを一時預かって貰っている間、自分の持っていた堕天使アイテムを処分するためにそれらをダンボール箱に入れており、一通り入れ終えると彼女は「これでよし」と言ってダンボールの箱を閉じる。

 

彼女はダンボールをいつでもゴミに出せるように玄関に一度置くと、何気なく外に出てみることに。

 

そんな時だった。

 

「堕天使ヨハネちゃん!!」

 

不意にそう呼ばれ、声のした方に顔を向けるとそこには千歌をはじめ、あの堕天使衣装を着ていたAqoursのメンバーがいたのだった。

 

「「「「「スクールアイドルに入りませんか!!!!」」」」」

 

5人は声を合わせて善子にそう言い放つ。

 

「・・・・・・はぁ?」

 

それに善子は何がなんだか分からず、首を傾げる。

 

「ううん、入ってください!! Aqoursに!! 堕天使ヨハネとして!!」

「・・・・・・なに言ってるの? この前話したでしょ?」

「良いんだよ!! 堕天使で!! 自分が好きならそれで!!」

 

千歌は力強く、真剣な眼差しで善子にそう訴えかけるのだが・・・・・・。

 

しかし、善子は小さく「ダメよ・・・・・・」と呟き、千歌達に背を向けて逃げ出したのだ。

 

「あ、待って!!」

「生徒会長にも怒られたでしょ!?」

「うん、それは私達が悪かったんだよ!! 善子ちゃんは良いんだよ!! そのまんまで!!」

 

千歌達は善子を追いかけながら、言葉を投げかけるのだが・・・・・・善子はなんとか一度建物の影に隠れて身を潜める。

 

「千歌ねえの言ってること、分からない?」

「おわぁ!? あなた・・・・・・無爪くん!?」

 

しかし、いつの間にか彼女の後ろに無爪が立っており、先ほど千歌達と一緒にいなかったが無爪もまた自分を捕まえようとしているのかと思い、逃げようとするが・・・・・・無爪はそんな善子に慌てて待ったをかけた。

 

「僕は捕まえるつもりはないよ。 それはきっと、千歌ねえ達がやるべきことだから」

「・・・・・・」

「僕さ、爆裂戦記 ドンシャインって特撮ヒーローが大好きなんだ!」

「・・・・・・なによ、突然」

 

いきなり無爪はドンシャインが好きだと言う話を善子にし始め、なんで今そんな話をしてるんだと怪訝な顔になるが、無爪は話を続ける。

 

「特撮ヒーローってさ、子供向けに一応は作られてる訳じゃない? それを高校生にもなってってたまにバカにされることがある。 幼稚だとかなんとかって・・・・・・腹立つし、悲しいよね、そういうのって。 高校生が観ても面白いのいっぱいあるのに。 よく知りもしないのにさ。 なんでそういうこと言えるかな」

「それがなに・・・・・・? 愚痴言いに来たの?」

「違う、そうじゃない。 僕が言いたいのはそれでも僕はドンシャインが好きであることをやめない。 だって本当に好きなんだから。 何かを『好き』だという気持ちに、嘘はつけないんだよ。 そして誰にもそれを否定する権利なんてないんだ。 僕が言いたかったのはそれだけ」

 

無爪は笑みを浮かべて「それじゃ、後は千歌ねえ達に任せようかな」とだけ言い残すと彼はその場を歩き去って行き、善子は「なんなのよ・・・・・・」と不満げな顔を見せるが・・・・・・。

 

そこへ無爪と入れ替わるように「見つけたぁー!!」という千歌の声が聞こえ、善子は慌ててまた逃げ出す。

 

「しつこーい!!」

「私ね、どうしてμ'sが伝説を作れたのか! どうしてスクールアイドルがそこまで繋がって来たのか、考えてみて分かったんだ!!」

 

やがて体力の限界が来たのか、善子の足は徐々に遅くなり、遂に立ち止まる。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・。 ステージの上で自分の『好き』を迷わずに見せることなんだよ!!」

 

荒くなる息を整えつつ、千歌は必死に自分の考えを口にして善子に伝える。

 

「お客さんにどう思われるか、人気がどうとかじゃない! 自分が1番好きな姿を、輝いている姿を見せることなんだよ!! だから善子ちゃんは捨てきゃダメなんだよ!! 自分が堕天使を好きな限り!!」

『何かを『好き』だという気持ちに、嘘はつけないんだよ』

「・・・・・・っ」

 

千歌にそう言われ、善子は無爪に言われた言葉を思い出しつつ、彼女は戸惑いながらも千歌達の方へと振り返る。

 

「・・・・・・良いの? 変なこと言うわよ?」

「良いよ!」

 

善子の問いかけに、曜が応える。

 

「時々、儀式とか始めるかもよ?」

「それくらい、我慢するわ?」

 

善子の言葉に今度は梨子が応える。

 

「リトルデーモンになれって言うかも!」

「それは・・・・・・。 でも、ヤだったらヤだって言う!」

 

一瞬苦笑いする千歌だったが、すぐにそう言葉を返し、千歌は善子の元に踏み寄ると黒い羽を彼女に差し出す。

 

「っ・・・・・・!」

「だから・・・・・・!」

 

すると、善子はそっと千歌の手に触れ・・・・・・それは、「Aqoursに加入する」という善子の答えであり、千歌と善子は互いに笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善子と別れ、きっと千歌が上手く彼女を勧誘することに成功しているだろうことを信じて無爪は自宅に帰っている途中・・・・・・彼はある男性とすれ違い、不意に立ち止まった。

 

その男性に見覚えがあったからだ。

 

「アレって・・・・・・あの! すいません!!」

 

無爪が呼び止めた人物・・・・・・それは荒井であり、無爪は荒井の元に歩み寄ると内ポケットからメモ帳を取り出す。

 

「いきなりすいません。 実は、友達があなたのファンなんです! サインして貰えないですか?」

 

尚、無爪の言う友達と言うのは花丸のことであり、彼女が荒井の書いている小説を愛読していることを少し前に知った為、無爪は荒井にサインを頼んだのだ。

 

そして無爪が荒井にそう頼むと彼は笑みを浮かべ、「良いですよ」と快くメモ帳にサインを書き上げ、それを無爪に渡す。

 

「ありがとうございます!」

 

無爪は頭を下げて荒井にお礼を言うと振り返ってそのまま歩き去って行き・・・・・・そんな彼の姿を荒井はニヤリとした笑みを浮かべて怪しく見つめた後、無爪とは反対の方向に歩いて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒井は無爪と別れた後、人気のない物陰に隠れ、ライザーを取り出す。

 

「今のお前の力を試してやろう。 ウルトラマンジード・・・・・・! 少しは私も楽しまなければなぁ?」

 

荒井はそう呟くと2つのカプセルを起動させる。

 

「エレキング!」

 

1つは「宇宙怪獣 エレキング」のカプセルでそれを装填ナックルに装填。

 

「エースキラー!」

 

次に起動したのは「異次元超人 エースキラー」というロボット怪獣のカプセル。

 

それも起動し、ナックルにカプセルを装填。

 

そしてライザーでナックルをスキャンし、ライザーのトリガーを引く。

 

「これでエンドマークだ!!」

『フュージョンライズ!!』

 

すると荒井の姿が「ウルトラマンベリアル」の姿へと変わり、ベリアルの前にエレキングとエースキラーが現れ、2体は粒子のようになってベリアルの口の中へと吸い込まれるとエレキングとエースキラーが融合した「ベリアル融合獣 サンダーキラー」へと荒井は変身を完了させる。

 

『エレキング! エースキラー! ウルトラマンベリアル! サンダーキラー!』

「キイイイィィィ!!!!!」

 

街中にサンダーキラーが現れるとサンダーキラーはビルを腕を振るって破壊し、そのまま街を蹂躙する為に歩き出す。

 

「・・・・・・怪獣!」

 

怪獣の出現に気付いた無爪はすぐさま怪獣の元に向かって駈け出しながらジードライザーを取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

『ウルトラマンジード! プリミティブ!』

 

無爪は「ウルトラマンジード プリミティブ」に変身し、サンダーキラーの前に立ち塞がり、戦いを挑むのだった。

 

『行くぞ!!』



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第7話 『守るべきもの』

突如として出現した「ベリアル融合獣 サンダーキラー」。

 

街で暴れるサンダーキラーを止める為、無爪は「ウルトラマンジード プリミティブ」に変身し、サンダーキラーに立ち向かう。

 

一方、星雲荘ではジードとサンダーキラーの戦いの様子をレムが球体型偵察機「ユートム」を使ってその様子を星雲荘のモニターに映しており、ペガや星雲荘にやってきていた千歌がその光景を見つめていた。

 

また、それと同時にレムの調べでこの辺りの住民の避難は完了しているとのことで近くにリトルスターの反応なども全くないとのことだった。

 

『じゃああの怪獣はリトルスターを狙って現れた訳じゃないってこと?』

『恐らくは』

「じゃあ、あの怪獣はなんの目的で・・・・・・」

 

ペガの問いかけにレムはそう応え、千歌はサンダーキラーがなんの目的で現れたのか首を傾げる。

 

またジードはサンダーキラーに向かって膝蹴りを繰り出し、それによってサンダーキラーが怯むとジードはサンダーキラーの顎を左手で掴みあげる。

 

「キイイイイイ!!!!」

 

しかし、サンダーキラーは電撃を纏わせた左腕の鉤爪でジードの身体を斬りつけ、引き離すと黒い三日月型のカッターを口から吐き出し、ジードに直撃させる。

 

『ウグアアア!!?』

 

サンダーキラーは続けざまに口からカッターを放つが、ジードはジャンプして飛び上がることで攻撃を回避し、サンダーキラーの頭に向かってチョップを叩きこむ。

 

しかし、サンダーキラーの頭部は非情に硬く、逆にチョップを繰り出したジードの腕にダメージがいってしまい、ジードは思わず飛び退いてしまう。

 

『ウグアア!!? いってぇ~!! 硬い奴が相手なら!!』

 

そう言うとジードのインナースペース内で無爪はジードライザーを構え、セブンカプセルを起動させる。

 

『融合!』

 

するとカプセルの中から赤い戦士の「ウルトラセブン」が出現する。

 

『アイ、ゴー!』

 

さらに無爪は赤き獅子の戦士「ウルトラマンレオ」のカプセルを起動させるとカプセルからレオが現れる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!』

『燃やすぜ、勇気!!』

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとセブンとレオの姿が重なり合い、赤い鎧を纏ったような姿……「ウルトラマンジード ソリッドバーニング」へと変身を完了させる。

 

『はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!』

『ウルトラセブン! ウルトラマンレオ! ウルトラマンジード!! ソリッドバーニング!!』

 

ソリッドバーニングとなったジードはサンダーキラーに向かって跳び蹴りを放ち、サンダーキラーはそれを左腕を振るって受け流すが・・・・・・。

 

ジードは素早く頭部に装着された「ジードスラッガー」を右足に装着し、加速させた回し蹴りを放つ「ブーストスラッガーキック」をサンダーキラーの顔に向かって叩きこむ。

 

『ブーストスラッガーキック!!』

「キイイイイ!!!?」

 

ジードの攻撃を受けて後退するサンダーキラーだが、サンダーキラーはお返しとばかりにジードの頭を左手で鷲掴みにし、ジードに電撃を流し込む。

 

『ウアアア!!? こんの・・・・・・離せぇ!!』

 

だが、防御力の高いソリッドバーニングにはあまり電撃は効いておらず、ジードは即座に反撃しようとするのだがそれよりも早くサンダーキラーはジードの腹部を力強く蹴りつけて少しだけ自分から引き離すと素早く左腕の鉤爪でジードを斬りつける。

 

『ウアアア!!?』

 

攻撃を受けながらもジードはなんとかジードスラッガーを今度は右腕に装着し、装甲を展開した右手首の発射口にエネルギーを集中させ、炎をまとった爆熱光線を正拳突きの姿勢で放つ「ストライクブースト」をサンダーキラーに繰り出す。

 

『ストライクブーストォ!!!!』

 

しかし、サンダーキラーはジードの光線を吸収し、そのままジードのストライクブーストを跳ね返してしまったのだ。

 

『なっ!? うわああああああ!!!!?』

 

そのままジードは跳ね返ってきた光線の直撃を受けて吹き飛ばされ倒れ込んでしまう。

 

さらに、倒れ込んだジードに素早くサンダーキラーは接近すると、立ち上がろうとするジードを力強く踏みつけ、ジードが立ち上がるのを阻止する。

 

『ぐっ、この!!』

 

だが、パワーならこっちが上だとジードはサンダーキラーの足を掴んで無理矢理押し退かそうとするが、サンダーキラーは三日月型のカッターを口から吐き出し、ジードの顔面に何発も攻撃を浴びせる。

 

『グアアアアアア!!!!?』

 

幾ら防御力の高いソリッドバーニングでも、顔面に近距離攻撃を浴びせられてはノーダメージという訳にも行かず、ジードは苦痛の声をあげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、自分の暮らすアパートで学校に行く準備をしながらテレビのニュースでジードとサンダーキラーが戦う様子を観ていたレイジは・・・・・・。

 

「あっ、ジードが・・・・・・!!」

『レイジ!! ちょっと身体借りるぜ!』

「えっ、でも僕これから学校が・・・・・・」

 

ゼロはレイジに身体を貸すように頼むが、レイジ自身臆病な性格なこともあり、学校に行かないといけないことを理由に断ろうとするが、レイジは自分の意思とは関係なく、服の内ポケットから「ウルトラゼロアイNEO」を取り出してしまう。

 

「えっ、ちょっ、待ってくださいゼロさん!! ゼロさん? 聞いてますかゼロさん!!?」

『このままじゃジードがヤバイんだ! 腹をくくれレイジ!! お前ならできる!!』

 

そのままゼロに成されるがままレイジはウルトラゼロアイを目に装着し、スイッチを押すとレイジは「ウルトラマンゼロ」へと変身を完了させるのだった。

 

ちなみに、ベムストラやエレキングが出現した時もこんな感じでほぼ強制的にレイジはゼロに変身したとか・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてゼロはサンダーキラーを自身の操る頭部に装着された2本のブーメラン、「ゼロスラッガー」を投げてサンダーキラーを斬りつけてジードから引き離し、そのままゼロはゼロスラッガーを頭部に戻してサンダーキラーとジードの間に割って入るかのように現れ、ファイティングポーズを構えてサンダーキラーと戦おうとする。

 

『俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ!!』

『・・・・・・ゼロ?』

 

しかし、サンダーキラーはゼロの姿を見ると突如としてその姿を消し去り、それにゼロは驚き、周囲を見渡すが・・・・・・やはりどこにもサンダーキラーの姿は見当たらなかった。

 

『っ!? 消えた・・・・・・?』

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

その後、変身を解除した無爪はサンダーキラーの攻撃によってボロボロになっており、同じく変身を解いたレイジと迎えに来た千歌に抱えられ、3人は星雲荘にやってきたのだった。

 

ただ、星雲荘に初めて来るレイジは「えっ、なにここ!?」と当然ながら驚きを隠せず、またレイジはペガの姿を見ると「宇宙人!!?」と驚きの声をあげていた。

 

「なっちゃん、大丈夫?」

『無爪! 救急箱用意してあるから傷の手当てを』

 

無爪はペガと千歌の2人によって椅子に座らされ、ペガは救急箱を持って来て無爪の傷の手当てを行うことに。

 

「っていうか千歌ちゃんもなんで・・・・・・一体どうなってるの!? もう訳が分からないよ!!」

『レイジは少し黙ってろ、ややこしいから』

 

何がなんだか分からず、騒ぎ立てるレイジを黙らす為にゼロはレイジと自分の人格を入れ替えてレイジがかけていたメガネを外す。

 

しかし、そうは言っても色々と聞きたいことだらけであり、再び人格がレイジに戻ると「えぇ、でも・・・・・・」と黙っていることはできないという風だった。

 

「それよりも!! レイジさんがウルトラマンゼロだったの!? 私、全然知らなかったよ! ビックリしちゃった~」

 

また以前ゼロから直接説明を受けていた無爪は兎も角、千歌はレイジがゼロであることをたった今初めて知った為、彼女もまた驚きを隠せず、ゼロも詳しい事情を説明する必要があると思い、またゼロが自分とレイジの人格を入れ替えて表に出て来る。

 

『俺がこの地球で暮らす為にはだな・・・・・・』

「いやちょっと待って!! なんかもう訳分かんないから!! レム、これなんとかならない!?」

 

さっきから人格入れ替えってばっかりで色々とややこしさを感じた千歌はレムにこの状況をどうにかできないかと尋ね、レムは「分かりました」と彼女の頼みを聞くとレムはある機械を用意する。

 

その機械をレイジの頭に取り付けると星雲荘の空中に映像が投影され、その映像の中にはゼロの姿が映る。

 

これによって映像に映るゼロとの会話が可能となり、ムが言うにはこの状態ならば人格を入れ替える必要は無くなるとのことだった。

 

『まぁ、そんな訳でしばらくこんな感じで行こうってことになったんだ。 つまりその、Win-Winの関係だな』

 

それからゼロは一通りの事情を千歌達に説明し、それによって千歌やペガは「なるほど~」と納得。

 

一方で傷の手当てをすませた無爪は休みがてらソファに寝転びながら星雲荘に設置されたテレビを見ており、先ほどの戦いがニュースとして取り上げられていた。

 

『苦戦するジードのピンチを救ったのは、もう1人のウルトラマンでした!』

 

またジードのピンチに駆けつけたゼロのこともニュースで取り上げられており、取材でゼロのことをどう思うかと町の住民達に聞いてみたところ、ある1人の女性は「単純にかっこよかったですね、やっぱり見た目大事ですよ」と言ったり、子供達は「かっこいいー!!」という純粋な意見を言ったりとジードに比べて好意的な意見が多かった。

 

『ジードってのは面構えが気に入らねえ。 あいつはベリアルにそっくり・・・・・・』

「っ・・・・・・」

 

さらにある老人がゼロに比べジードについてどう思うかという質問をしたところ、そんな意見があり、それを聞いた無爪はどこかショックを受けたかのような暗い表情を浮かべる。

 

そんな老人の言葉に、憤りを感じずにはいられずにいられなかった千歌はムスッとした表情を浮かべてテレビの電源を切る。

 

「なにあの言い方! 面構えが気に入らないって酷いよ!! 人を見た目で判断するなんて!!」

「千歌ねえ・・・・・・」

 

千歌が自分のことに怒ってくれたことに少し嬉しさを感じる無爪だったが、すぐにまたゼロばかりみんなが持ち上げていたことを思い出し、無爪はまた暗い表情を浮かべてしまう。

 

そんな無爪を励まそうとレイジは無爪の肩に手を置き、「気持ちは分かるよ」と励ましの言葉を送る。

 

「僕も、見た目はこんなんだから、外見のことで色んな人に怖がられちゃうし、通報も何度かされかけたから・・・・・・」

 

レイジはそう言って「あはははは!!」と笑い飛ばすが、ゼロも無爪も千歌もペガも「笑えないよ・・・・・・」とツッコまずにはいられなかった。

 

「でも、やっぱり・・・・・・なんかズルいよ、ゼロは。 最後の方に出てきてほぼ立ってただけなのに・・・・・・」

『あっ? いや、それはお前がやられてたから助けに・・・・・・』

 

そう言うゼロの言葉を遮り、「やられてない!!」と反論する無爪。

 

「ちょっと休んでただけだし、あんな怪獣僕1人でも・・・・・・!!」

『いや、お前はあの時防戦一方だったじゃねえか』

「っ・・・・・・!!」

 

無爪はゼロの言葉に上手く反論することができず、言葉を詰まらせて悔しそうに拳を握りしめ、千歌はそんな無爪を心配そうに見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、浦の星学院では強張った表情のダイヤが突然理事長室に押しかけるかのように現れて椅子に座る鞠莉の元まで行くとダイヤは力強く机を叩き、学校に送られて来た「あるメール」の件について彼女は鞠莉に問いただす。

 

「鞠莉さん!! あのメールはなんですの!?」

「なにって、書いてある通りデース・・・・・・」

「そんな・・・・・・」

 

鞠莉からの返事を聞いて、今よりもさらに驚愕しかのような表情を浮かべ、拳を力強く握りしめるダイヤ。

 

「嘘でしょ・・・・・・?」

「沼津の高校と統合して浦の星学院は廃校になる。 分かっていたことでしょ?」

 

何時も通りおちゃらけた雰囲気を最初こそ出していた鞠莉だったが、徐々に彼女は真剣な口調で沼津の高校と統合するに当たってこの浦の星学院が廃校になることを告げ、そのことを告げられたダイヤもその可能性については前々から気付いてはいたことなのだが・・・・・・。

 

「それは、そうですけど・・・・・・」

 

だが、できることならばそうならないことをダイヤは願っていた。

 

ただし、鞠莉曰くまだ確定した訳ではないらしく、まだ待って欲しいと彼女自身が強く頼んだことで今はまだ猶予を貰っている状態だとのことで少なくともすぐに統廃合ということは無いらしい

 

「鞠莉さんが?」

「なんの為に私が戻って来たと思っているの? この学校を無くさない、私にとって・・・・・・どこよりも、大事な場所なの・・・・・・」

 

そう語る鞠莉はどこか儚げな様子で、静かだが確かな強い意志を持ってダイヤにそう言い放つ鞠莉。

 

「・・・・・・方法はあるんですの? 入学者はこの2年、どんどん減っているんですよ?」

「だからスクールアイドルが必要なの。 あの時も言ったでしょ? 私は諦めないと。 今でも決して終わったとは思っていない。 ジーッとしてても、ドーにもならないってね?」

 

鞠莉は無爪の口癖を借りながらダイヤに握手を求めるかのように手を差し出し、ダイヤは「なんですのそれ?」と怪訝な表情を浮かべながら先ほどの言葉のことを尋ねる。

 

「無爪くんの口癖らしいわ。 まさに今の状況のピッタリの言葉でしょ? ねっ? ダイヤ?」

「・・・・・・わたくしは、わたくしのやり方で廃校を阻止しますわ」

 

しかしダイヤはそう言い残して鞠莉の差し出された手を取らずに理事長室を後にし、鞠莉はそんな去って行くダイヤの後ろ姿を見て寂しそうな表情を浮かべるのだった。

 

「ホント、ダイヤは大好きなのね。 果南が・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、モコは無事に学校で飼うこととなり、堕天使キャラも続けることを決めた善子は今日はしっかりと学校に来ていたのだが・・・・・・。

 

やはりまだ表立って堕天使キャラを披露するには抵抗があるらしく、彼女はなるべく可能な限り堕天使を抑えつつ、クラスメイトの女子達と談笑していた。

 

「そ、そうだよねー。 マジムカつくよね~? よねー・・・・・・」

「だよねー」

 

そのまま会話を終えると、クラスメイトの女子達は「じゃーねー」と善子と別れの挨拶をし、善子の方も苦笑しつつも「またねー」と手を振りながら別れの挨拶を返す。

 

その際、クラスメイトの1人が「善子ちゃんって面白いよね~」と好意的に言っていたので、特に以前の占いの時のような失敗は犯していないようだった。

 

「はぁ、疲れた~」

 

クラスメイトと話し終えた善子は机に突っ伏してしまう。

 

「普通って難しい・・・・・・」

「無理に普通にならなくても良いと思うずら~よっ!」

 

そう言いながら花丸はどこからか黒い羽根を取り出し、それを善子のシニヨンに突き刺すと彼女は「ギラリン!」と目を光らせて勢いよく立ち上がる。

 

「深淵の深き闇からヨハネ堕天!!」

 

善子はついつい決めポーズを決めながら堕天使キャラになってしまい、そのことに「はっ!?」となり、「またやってしまった」とでも言いたげな彼女。

 

「そのシニヨンと羽根何かのスイッチなの? でも、そうだよね、花丸ちゃんの言うように無理することないと思うよ。 堕天使やってもここのクラスのみんななら受け入れてくれそうだし・・・・・・」

 

さらに花丸に同意するように、無爪も善子は堕天使やってもきっと問題は無いだろうと主張。

 

しかし、善子はスクールアイドルの活動でなら「アイドルだからそういうキャラ」と説明できるし、事情を知っている千歌達の前なら遠慮はいらないが、それ以外のことを善子はそう簡単には割り切れないようだった。

 

「絶対大丈夫だよ。 面構えが気に入らないってだけで嫌われるジードに比べれば、善子ちゃんのキャラみんなから好かれそうだし」

 

そんな風にジードに比べれば好意的に受け止めてくれる人は多いと思うと自虐的に言う無爪に善子と花丸は首を傾げ、無爪はなんだか元気がないようでそんな彼を心配した善子は「具合でも悪いの?」と尋ねる。

 

「それと善子じゃなくてヨハネ!」

 

ちゃんと自分の呼び方を訂正するように言うのも善子は忘れずに。

 

「あっ、いや・・・・・・具合が悪いとかじゃないんだ。 心配かけてごめん」

「別になんともないのなら良いんだけど・・・・・・」

「無理はダメずらよ、無爪くん?」

 

善子と花丸は無爪にそう言い、そんな彼女等の気遣いに無爪は「ありがとう」と笑みを浮かべてお礼を言い、そこでふっと善子は先ほど無爪が言っていた言葉を思い出し、「えっ、ってか普通にかっこよくない?」と彼女は無爪にそう言って声をかけた。

 

「えっ?」

「いや、面構えが気に入らないって昨日ニュースに出てたお爺さんのやつでしょ? 私的には、むしろカッコいいと思うんだけど・・・・・・あの悪そうな目つきとか特に!! ダークヒーローみたいでカッコイイじゃない!! モコのことも助けて貰ったしね」

 

まさかの善子からの意外な言葉・・・・・・。

 

彼女曰く、むしろジードはあの悪そうな面構えが逆にカッコイイと思っているらしく、善子は特にアクロスマッシャーのジードが気に入っているらしく、「青い悪魔みたいで好き」とのこと。

 

「青い悪魔ってアボラスかよ・・・・・・。 アボラスってなんだっけ?」

「知らないわよ」

 

正直、最後の評価は微妙な気がするが、それでも1人でもこんな風に好意的なことを言ってくれるのは無爪は素直に嬉しく、少しだけ感性ズレているような気がしないでもないが、それでも無爪はそんな善子に対し笑みを浮かべ、「ありがとう」とお礼を述べるのだった。

 

「なんで無爪くんがお礼を言うのよ」

「いや、なんとなくだよ」

「・・・・・・あれ? この作品のヒロインって善子ちゃんだったっけ?」

 

花丸がそんな風にメタいことを言っていると、突然教室の扉が勢いよく開き、そこから息を切らし、慌てた様子のルビィがやってきたのだ。

 

そんな彼女の頭の上には無事に学校で飼うことになったモコが乗っかっており、どうやら善子のことを迎えに来たようだった。

 

尚、学校で飼っていると言っても誰かと一緒という条件ではあるものの基本的にモコは自由に学校内を移動することが可能となっており、夜などは学校の用務員などが餌などを与えて世話をしてくれているそうだ。

 

「モコォ~!」

 

モコは善子の姿を確認するとモコはぴょんっと跳ねるように善子の方へと飛び、善子はそれを見事に両手でキャッチする。

 

「モコ! 迎えに来てくれたの?」

「モコ!!」

 

善子はモコを優しく抱きかかえ、それにモコは嬉しそうに尻尾を振る。

 

「ってルビィちゃんは一体どうしたずら?」

 

そこで花丸が息の上がっているルビィに一体どうしたのだと尋ね、ルビィは少しだけ息を整えた後、無爪達に大事なことを伝える。

 

「はぁ、はぁ・・・・・・大変!! 大変だよ!! はぁ、はぁ、大変!! 学校が!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『統廃合!!?』

 

部室にて、そこに集まったAqours6人+無爪はルビィによってこのままでは学校が統廃合になってしまうという話を聞かされ、なんでもルビィが言うには沼津の学校と合併して浦の星学院は無くなってしまうかもしれないのだという。

 

「そんなぁ!!」

「いつ!?」

 

曜はそれは一体いつ統廃合になってしまうのかとルビィに尋ねるのだが、ルビィもまだそこまでは分かっておらず、どうやら今はまだ可能性が高いというだけの話のようだ。

 

「一応、来年の入学希望者の数を見てどうするか決めるらしいんですけど・・・・・・」

 

だが、このまま何もしないのならば統廃合になるのはほぼ間違いないようで、ルビィの話を聞いてショックを受けたのか、千歌は先ほどからずっと顔を俯かせたままだった。

 

「千歌ねえ?」

 

そんな千歌の様子のおかしさに真っ先に無爪が気付き、もしかして学校が統廃合になってしまうことが余程ショックなのだろうかと心配になり、無爪は彼女に声をかけるのだが・・・・・・。

 

その瞬間、千歌はバッと勢いよく顔をあげ、その表情は落ち込んでいるどころかむしろ「統廃合? 来た!!」とまるで嬉しそうにしており、それに目をまん丸とする無爪。

 

「はっ?」

「遂に来た!! 統廃合ってことはつまり廃校ってことだよね!? 学校のピンチってことだよね!?」

 

なぜかはしゃぎ出す千歌に「こいつ何言ってんだ」とでも言いたげな視線を無爪は送るのだが、千歌はそれに気付かず、そんな千歌に対して梨子や曜も動揺する。

 

「まぁ、そうだけど・・・・・・」

「千歌ちゃん? なんだか、心なしか嬉しそうに見えるけど?」

 

曜はなんでそんな嬉しそうにしているのか、千歌に尋ねると彼女は勢いよく部室の扉を開いて外に出て部室の周りを突然駆け出す。

 

「だって、廃校だよ~! 音ノ木坂と、一緒だよぉ~!!!」

 

部室の周りを一周すると、出て行った方向とは反対側の部室の扉を開いて再び部室に入り、「これで舞台が整ったよ!!」と言いながら善子の両手を握り、それに善子は驚いて目を見開く。

 

「私達が学校を救うんだよ!! そして輝くの!! あの、μ'sのように!!」

「そんな簡単にできると思ってるの?」

 

千歌は左腕で善子を抱きかかえるようにして右手の一差し指を天に向け、そう高らかに宣言するのだが・・・・・・。

 

梨子はそんな彼女に呆れ顔を見せ、無爪にはなんのことを言っているのか分からず、こっそりとペガに彼女がなんのことを言っているのかを問いかける。

 

『あのね、そもそもμ'sが生まれた切っ掛けは学校が廃校になるかもしれないってなったからなんだ。 それで、μ'sは見事に人気が出て、学校を救うことに成功したんだよ』

「あぁ、成程。 つまり、好きなものと同じシチュエーションが来て喜んでいると・・・・・・」

 

ペガからの説明を受けて、無爪はなんとなくではあるが、千歌の気持ちが分かった。

 

自分が初めてウルトラマンジードになった時、レムから自分には怪獣と戦う力があると聞いて「ドンシャインのようなヒーローになれるかもしれない」と、少なからず喜ぶ自分がいた。

 

勿論、それ以上にそれはみんなを守りたいという強い想いがあったからだが。

 

なので「好きなものと同じ状況」になるという気持ち自体はなんとなく共感することはできる。

 

その為、何時もなら何かしらのツッコミを入れるところだが、彼女の気持ちは少なからず分かるので敢えて黙っていることにする無爪。

 

だが、それと同時に無爪は蓋を開けてみれば別に悪いことしてないのにベリアルに酷似した見た目のせいでみんなからは賛否両論の嵐が未だに巻き起こっていることを思い出し・・・・・・。

 

そんなことまで思い出してしまった無爪はどんどん表情が暗くなっていき、それに気付いた千歌は「どうしたの?」と意気消沈していく無爪に心配そうに声をかける。

 

「えっ!? あ、いや、なんでもないから・・・・・・」

 

無爪は無理に笑みを作って誤魔化すが、千歌はなんとなく、無爪がそんな顔をすることに思い当たる節があるため、もしかして昨日のニュースの件で落ち込んでいるのだろうかと首を傾げる。

 

「私は信じるよ、なっちゃんのこと」

 

千歌の小さな呟きに、「えっ?」と首を傾げる無爪。

 

「花丸ちゃんはどう思う?」

 

無爪は千歌に先ほどなんと自分に言ったのか聞こうとしたが、それよりも前にルビィが喋ったことで遮られ、彼女は統廃合について花丸はどう思うかと問いかけたのだ。

 

「統廃合・・・・・・!?」

「こっちも!?」

 

尚、花丸の方もなぜか統廃合について嬉しそうにしていた。

 

「合併ということは沼津の高校になるずらね!? あの街に通えるずらよね!?」

「ま、まぁ・・・・・・」

「うわぁ~♪」

 

そんな花丸の様子を見て、善子は「相変わらずね、ずら丸」と呟き、彼女が言うには昔から花丸はあんな感じなのだそうだ。

 

「そうなの?」

「そうよ、幼稚園の頃なんて・・・・・・」

 

幼稚園児の頃、花丸が自動点灯するライトの下に、足をゆっくり滑り込ませ、範囲に入ると、ライトが点灯。

 

それを受けて彼女は両手を挙げて「未来ずら~!!」と言いながら興奮していたらしい。

 

「そうだったんだ」

「善子ちゃんはどう思う?」

 

するとルビィは今度は善子に統廃合についてどう思うかを尋ね、それに対して善子も統廃合には賛成派だった。

 

「そりゃ統合した方が良いに決まってるわ! 私みたいな、流行に敏感な生徒が集まってるだろうし!!」

「良かったずらね~、中学の頃の友達に会えるずら!」

 

しかし花丸のその指摘を受けて、善子は「うっ」と苦い顔を浮かべる。

 

「あぁ、そう言えば善子ちゃん中学時代に・・・・・・」

「わー!! 統廃合絶対反対ーーーーー!!!!」

「モコ!」

 

中学の時、堕天使キャラのせいで色々とやらかしてしまった為、善子は中学の同級生に会いたくないということで即座に手の平を返して統廃合反対を主張し、彼女の頭の上に乗っているモコも同意するように鳴く。

 

「ってかこの子が噂のモコちゃん? 可愛い~!」

 

そこで曜がモコの存在に触れ、善子の頭の上に乗っているモコの頭を撫でると、モコは「モコォ~」と鳴きながら嬉しそうに尻尾を振り、梨子もなんだか触りたそうにしている。

 

「あれ? 梨子さん犬苦手なんじゃ・・・・・・」

「この子犬なの? いや、でも・・・・・・なんかこの子は凄く、見てると触りたくなる衝動が・・・・・・モフモフが・・・・・・」

 

無爪はてっきり、犬が苦手な梨子のことなのでモコのことも苦手がると思ったのだが、どうやらモコのモフモフはそれほどまでの魔力を持っているらしい。

 

「何事も例外ってあるものよ」

「際ですか・・・・・・」

 

なんにせよ、これを切っ掛けに犬が苦手なのも治ってくれるかもしれないと無爪は思い、梨子は恐る恐る善子の頭の上に乗っているモコの頭を撫でるとそのモフモフっぷりに梨子の顔はとろけそうになってしまう。

 

「っていうか!! 今はモコちゃんじゃなくて!!」

 

するとそこで千歌が部室の机を「バン!!」と叩き、みんなが自分に注目するようにする。

 

「兎に角、廃校の危機が学校に迫っていると分かった以上、Aqoursは学校を救う為・・・・・・行動します!!」

 

千歌はそう言い放ってこれからのAqoursの活動方針について高らかに笑顔で宣言し、それに曜や梨子も同意するかのように笑みを浮かべ、曜は「ヨーソロー!!」と言いながら敬礼する。

 

「スクールアイドルだもんね!!」

「でも、行動って何するつもり?」

 

そこで梨子が千歌に行動するにしても何をするつもりかを尋ねるのだが・・・・・・。

 

「・・・・・・へっ?」

『えっ?』

 

どうやら何も考えていなかたっらしい。

 

「そんなこったろうと思ったよ、バカ千歌ねえ・・・・・・」

 

無爪は頭を抱えてそんな千歌の無計画さに呆れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、千歌達は屋上に行って準備体操をしながら今後のことを話し合うことになり・・・・・・。

 

ちなみに無爪は千歌と曜によって強制連行され、ほぼ強引に話し合いに参加させられたりしていた。

 

「結局μ'sがやったのはスクールアイドルとしてランキングに登録して・・・・・・」

 

尚、モコも善子の傍にいたいようだったのでモコもついてきている。

 

次に、千歌達は体力作りの為のランニングとして淡島神社に行き・・・・・・。

 

「ラブライブに出て有名になって・・・・・・」

 

ランニングを終えた一同は最後に砂浜に行ってみんなで寝そべりながら廃校阻止の為、スクールアイドル活動をどう生かすかの話をすることになるのだった。

 

「生徒を集める・・・・・・」

「それだけなの!?」

「みたい・・・・・・」

 

つまり、今まで千歌が言ったことを一言で纏めるとμ'sがやったのはスクールアイドルとしてランキングに登録し、ラブライブに出場して有名になったということだった。

 

正確に言えば廃校阻止自体はラブライブに出場する前に達成しており、μ'sがラブライブに出場したのは第2回の方である。

 

第1回ラブライブの時もμ'sは大会に出場することを目指していたが、文化祭の時にちょっとしたトラブルが発生したことでランキングを除外することとなり、彼女達は大会を辞退した為、それが理由でμ'sは第1回ラブライブには出場していないのだ。

 

「それだけって言うけどさ、多分そんな簡単なことじゃないと思うよ。 スクールアイドルのことをよく知らない僕でもそれだけは分かる」

 

無爪に指摘され、「それだけなの?」と言った本人である曜は苦い顔を浮かべ、無爪の言葉に千歌達も「確かに言うだけなら簡単だよね」と納得するのだった。

 

『あっ、そうだ』

 

すると影の中からみんなにバレないようにこっそりと何かを思いついたかのような様子のペガが千歌の耳元にこっそりと耳打ち。

 

『取りあえず、μ'sの活動記録を参考にしてみたら? ほら、μ'sって確かPVとか作ってたでしょ?』

 

ペガからの意見を聞いて、ハッと目を見開く千歌。

 

それを受けて勢いよく起き上がった千歌は「成程!」と納得し、みんなの方へと顔を向ける。

 

「そうだよ、PVを先ずは作ってみよう!!」

「「PV?」」

 

千歌のその発言に、不思議そうに梨子と無爪は首を傾げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、生徒会室では・・・・・・。

 

ダイヤがノートパソコンを開き、なぜ浦の星が廃校になりかけているのかを調べており、その1つとして分かったことはそもそも浦の星を受ける受験生が減っているというものがあった。

 

「そもそも受験生が減っているんですのね」

 

それに何か打つ手はないかと考えるダイヤだったが、その時、生徒会室の扉から誰かがノックする音が聞こえ、パソコンを閉じて「はい」と応えると、扉を開けて妹のルビィがオドオドとした様子で入って来たのだ。

 

「お姉ちゃん?」

「どうしたんですの?」

「実は、今日もちょっと遅くなるかもって・・・・・・」

 

ルビィはこれからみんなでPVの撮影を行う為、それのせいで帰るのが遅くなるかもしれないというのをダイヤに伝えに来たのだ。

 

「今日も?」

「うん、千歌ちゃんが入学希望者を増やす為にPV作るんだって言ってて」

「・・・・・・」

 

少しの間だけ沈黙が続くが、ダイヤは「分かりましたわ」と頷き、それに嬉しそうな顔を浮かべるルビィ。

 

「お父様とお母様には私から言っておきますわ」

「良いの? ホントに!?」

「ただし、日が暮れる前には戻って来なさい」

 

ダイヤは優しい口調でそう言うとルビィは「うん!! じゃあ行ってくる!!」と頷き、千歌達の元へと戻ろうとするのだが・・・・・・。

 

その時、不意にダイヤから呼び止められる。

 

「どう? スクールアイドルは?」

 

それにルビィは慌てて立ち止まり、ダイヤの問いかけに少し驚いた様子を見せつつも、彼女は応える。

 

「大変だけど、楽しいよ」

「・・・・・・そう」

「他の生徒会の人は?」

 

今度はルビィがダイヤに今、ここにはダイヤしかいないのかと尋ねると、彼女曰く、他のメンバーは他の部と兼部で忙しいからいないというのだ。

 

「そう・・・・・・」

 

ルビィは何か言いたそうにその場に佇んでおり、彼女は何か意を決したようにダイヤに何かを言おうとするのだが・・・・・・それは先に出たダイヤの言葉に遮られてしまう。

 

「おねえ・・・・・・!」

「早く行きなさい!!」

「っ・・・・・・」

「遅くなりますわよ?」

 

ダイヤに力強くそう言われ、ルビィは口を閉じて黙ったままその場を去って行き、彼女は千歌達の元へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

それから、ルビィは千歌達と合流し、仕事を一通り終わらせ、手伝いたいと言うレイジと一緒に彼女達は今、PVの撮影をする為に外に出ていた。

 

ちなみにレイジと初対面の花丸や・・・・・・特にルビィは彼の強面顔にビビって尻餅をついていたりした。

 

まぁ、最も、そこはすかさず曜がレイジが見た目に反して気弱な先生であると2人に教えてフォローしてくれたりしたが。

 

「それでPVってどんなことするの?」

「千歌ねえ曰く、内浦の良いところを撮影したい・・・・・・だそうです」

 

一応、PV撮影をするということ自体は曜から聞いてはいたのだが、具体的になにをするかまでは聞いていなかった為、それに無爪は応える形で教え、レイジは「成程」と納得する。

 

「内浦の良いところを動画にして色んな人に知って貰って、それで生徒を集めようって言う感じ?」

「その通りだよ、レイジさん!!」

 

レイジの言葉に千歌がビシッと一差し指を彼に指しながら、言い放ち、彼女は両腕を広げてさらに詳しくPVの説明を行う。

 

「東京と違って外の人はこの街のこと知らないでしょ? だから先ずこの町の良いところを伝えなきゃって!」

「それでPVを?」

「うん、μ'sもやってたみたいだし、これをネットで公開してみんなに知って貰う!」

 

先人達のことを参考にし、浦の星の受験生を増やす為に町の良いところを紹介するというのは確かに理に叶っているとレイジや彼と同化しているゼロも感心し、さらにゼロに関しては「これが本格的に動き出したスクールアイドルの活動か」なんて興味深そうに呟いていたりもした。

 

「ゼロさんはスクールアイドルのこと知ってるんですか?」

 

以前にレイジが千歌達と一緒にチラシ配りを手伝ったことやファーストライブを観に行ったりはしていた為、彼と一体化しているゼロも少なからずスクールアイドルのことについて多少なり知る機会はあっただろうとは思うものの・・・・・・。

 

だが、それだけであんな言葉が出て来ることにレイジはなんとなく違和感を感じ、もしかしてゼロは以前からスクールアイドルのことを知っていたのだろうかと気になってレイジはゼロに尋ねる。

 

『ある程度はな。 μ'sのことも。 とある俺の後輩のウルトラマンがその辺詳しくてな。 光の国に訪れた際に、アイツちょっと広めて行ったんだよ。 おかげでちょっとプチ流行したぞ』

「へぇー、ウルトラマンの中にもスクールアイドルが好きな人いるんですねぇ」

「レイジお兄ちゃん、さっきから何ブツブツ言ってんの?」

 

ゼロの声は基本レイジ以外には聞こえない為、先ほどから1人で何かブツブツ言っているレイジに背後から怪訝そうな顔を浮かべた曜が現れ、それにレイジは「ぴゃっ!?」と驚いて思わず飛び退いてしまう。

 

「そんなに驚かなくても・・・・・・」

「あっ、ご、ごめんね曜ちゃん? なんでもないから、なんでも・・・・・・」

「なら良いんだけど・・・・・・」

 

レイジは両手をぶんぶん振って慌ててゼロと会話していたことを誤魔化す。

 

そこでそれよりもと千歌は早速曜にカメラを持たせて内浦の良いところを伝えようと高らかに宣言し、PV制作について「知識の海ずら~」と感心していた花丸に「1つよろしく!」と千歌が言うと、曜はカメラを花丸に近づけ、それに花丸はビクッと肩を震わせる。

 

「あっ、いや、ま、マルには無理ず・・・・・・! いや、無理・・・・・・!」

 

次に曜はルビィにカメラを向けるのだが、それにルビィも花丸同様にビクッと肩を震わせ、彼女は恥ずかしがってどこかに行ってしまい、姿を見失ってしまう。

 

「んっ? あれ?」

 

曜が首を傾げながら辺りを見回しても、ルビィの姿は発見できず・・・・・・。

 

「見える!! あそこ~っよ!!」

 

そこで善子はルビィがいそうということで大きな木の上を指差すのだが、全然別のところから「違います~!!」と言いながらルビィが出て来る。

 

しかし、どちらにせよそれでルビィの姿が見つかったので曜はすぐさまビデオカメラをルビィに向けるのだが、それに驚いた彼女は「ピィ!?」という小さな悲鳴をあげながらまたどこかに逃げ去ってしまう。

 

「おぉ~、なんだかレベルアップしてる!?」

「えっ? いや、むしろレベルダウンしてない?」

 

そんなルビィに感心の声をあげる千歌だが、むしろ逃げ足が速くなっているのはレベルダウンなのではとツッコミを入れる無爪。

 

「ってそんなこと言ってる場合!?」

 

そこで梨子に注意されて花丸やルビィには少し街の紹介などはハードルが高いということで街を紹介する係は主に千歌が担当することとなり、一同は移動して先ずは富士山の見える場所へと向かう。

 

花丸がカチンコを鳴らすと、早速千歌が両手を広げて富士山の存在をアピール。

 

「どうですか~? この雄大な富士山!!」

 

次に海がよく見える場所に行き、今度は梨子はカチンコを鳴らして今度はそこでの撮影がスタート。

 

「それに、この綺麗な海!」

 

さらにまた別の場所に移動し、ルビィがカチンコを鳴らすとみかんが大量に溢れた箱を手に持った千歌が現れる。

 

「さらに! みかんがどっさり!!」

 

そこからさらに移動して、次の内浦の良いところを紹介しようとするのだが・・・・・・。

 

「そして街には・・・・・・!! 街には・・・・・・特に何もないです!!」

 

と笑顔でサムズアップする千歌だが、それを言ってしまってはおしまいである。

 

「それ言っちゃダメ・・・・・・」

「うーん、それじゃ・・・・・・」

 

そこから一同は今度は都会の方まで行き、今度は曜が街のことを紹介。

 

「バスでちょっと行くと、そこは大都会!! お店もたーくさんあるよ!」

 

さらに再び一同は場所を移動し、千歌達は自転車に乗って伊豆長岡の商店街を目指すのだが・・・・・・そこに行くにはそこそこ長めの坂を登ることになり、辿り着く頃には無爪以外全員息切れを起こし、大量の汗をかいていた。

 

「そして・・・・・・ちょっと・・・・・・!」

「自転車で、坂を越えると、そこには・・・・・・伊豆長岡の商店街が・・・・・・!」

 

花丸とルビィも既に体力の限界で、坂をどうにかこうにかみんなと登り切って息を切らしながら2人は息を切らしながら背中合わせになってその場に座り込んでしまう。

 

「全然、ちょっとじゃない」

「沼津に行くのだって、バスで500円以上かかるし・・・・・・」

「行き帰りで、合計1000円するのは・・・・・・確かに高い、かも・・・・・・」

 

ゼロと一体化していても、人格をゼロと入れ替える時以外、基本人格や身体能力は元のレイジのままなので、レイジ自身も坂を自転車で登った際には息切れを起こしてその場にへたり込んでいた。

 

尚、無爪は自転車などは一切使わず、普通に走って坂を登ってきたのだが・・・・・・それでもやはり超人的な体力を持つ無爪は顔色1つ変わっておらず、千歌と曜はジトっとした恨めしそうな視線を向けていた。

 

ちなみにモコは最初、善子の自転車の籠の中に入ろうとしていたが、流石に危ないということで無爪に抱きかかえられている。

 

「な、なに? そんなに見つめて・・・・・・」

「相変わらず体力お化けだよねぇ、なっちゃん」

「その身体能力の高さ、羨ましいよ、なっちゃん」

 

千歌と曜にそう言われ、どこか複雑そうな顔をする無爪。

 

それに気付いた千歌は「あっ」と声をあげ、今の無爪の気持ちを考えると、嫌味に聞こえたかもしれないと思い、慌てて千歌は「ご、ごめんね!」と無爪に謝罪する。

 

「えっ、なんで千歌ねえ急に謝るのさ?」

「そ、それは・・・・・・その・・・・・・」

 

どう言って良いのか、分からず千歌が困っていると・・・・・・。

 

その時、少し遅れてやってきた善子がガシャンっと音を立てて倒れ、それに驚いて「大丈夫!?」と無爪がモコと一緒に善子の元に駆け寄る。

 

「うぅ、いい加減にしてよ・・・・・・」

「モコォ~」

「もうちょっと、なんか良いのないかな、千歌ねえ?」

「うぅん、じゃあ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

善子に注意され、無爪にもう少し何か良い感じのものはないかと言われた千歌は今度は善子に街のことを紹介して貰ってみようということになったのだが・・・・・・。

 

「フフフ、ウフフ、リトルデーモンのあなた。 堕天使ヨハネです。 今日は、このヨハネが墜ちて来た地上を紹介してあげましょう。 先ず! これが・・・・・・土!! アーハッハッハッハ!!」

 

堕天使スタイルの衣装に着替えた善子が、土で出来た小さな山を手で指して高笑いしながら紹介するのだが・・・・・・なぜそんなものを紹介しようと思ったのかと首を傾げる無爪。

 

「やっぱり善子ちゃんはこうでないと~」

「モコ!」

「いや、でも千歌ねえの『街に何も無い』って言うのと同じくらいダメでしょ、これ」

 

花丸はそんな善子に彼女らしいと評するが、正直PVにはあんまり使えそうにないということで、曜はこれはもう根本的に考え直さないとダメだなと呟く。

 

「そう? 面白くない?」

「「面白くてどうするの!?」」

 

梨子と無爪の双方からツッコまれ、取りあえずもう少しだけ話し合おうということで無爪達はとある喫茶店へと向かうことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は喫茶店で再びみんなで話し合うことになったのだが、モコを頭に乗せた善子が怪訝な顔を浮かべながら「どうして喫茶店なの?」となぜ喫茶店に来たのか分からず、千歌達に尋ねる。

 

「もしかして、この前騒いで家族の人に怒られたり・・・・・・」

 

なぜ今日は千歌の旅館ではなく喫茶店での話し合いなのか、それは以前、Aqoursの堕天使スタイルの件の時、騒いだせいではないかとルビィは気に病むが・・・・・・なんでもそういう訳ではないらしい。

 

「ううん、違うの。 梨子ちゃんはしいたけいるなら来ないって・・・・・・」

「っ、行かないとは言ってないわ! ちゃんと繋いでおいてって言ってるだけ!」

「モコは平気みたいなのにね」

 

善子が頭の上に乗っているモコをテーブルの上に降ろして注文したお菓子を手に取ってモコに差し出すと、モコは鋭い牙を見せながら口を大きく開き、吸い込むように食べる。

 

「えっ、モコちゃんってそんな風にご飯食べるの!?」

 

例外があると言っていた梨子も、流石にこれには驚いていたが・・・・・・それでもやはりモコに対してだけはそんなに苦手意識を持つことはできず、梨子もお菓子を差し出してそれをモコに食べさせる。

 

「ホント、梨子さんモコは平気なのになんで犬だけ・・・・・・」

「ここら辺じゃ、家の中だと放し飼いの人の方が多いかも」

 

曜がこの辺りでは家の中だけとはいえ放し飼いしている人が多いと聞いて、梨子は「そんなぁ・・・・・・」と溜め息を吐くが・・・・・・その直後、「ワン!」という声が背後から聞こえ、それにビクッと肩を震わせた梨子は恐る恐る後ろを振り向く。

 

そこには小さな黒い子犬がおり、それにルビィ達は「可愛い!!」と目を輝かせるが・・・・・・梨子は顔を引き攣らせて「ひい!?」と悲鳴をあげる。

 

「こんなに小さいのに!?」

「モコとそんなに変わんないよ大きさ?」

 

まさかこんな小さな子犬にまで恐怖を感じるとは思わず、無爪や千歌は驚きの声をあげる。

 

「大きさは関係ないわ! その牙! そんなの噛まれたら・・・・・・死!?」

「そうそう死ぬことはないと思うけど」

「そうだよ、噛まないよ~」

 

千歌は子犬を抱きかかえ、無爪はその子犬の頭を撫でる。

 

「あ、危ないわよ!? そんな顔を近づけたら・・・・・・」

「あっ、そうだ! ワタちゃんで少し慣れると良いよ!」

 

どうやら、この子犬の名前は「ワタアメ」こと「ワタ」というらしく、千歌はワタで少しは犬に慣れて見てはどうかと梨子の目の前にまでワタを近づけると・・・・・・ワタはペロリと梨子の鼻先を舐める。

 

「あっ・・・・・・あっ・・・・・・! うううううう!!!!」

 

しかし、梨子はそのまま逃げるようにしてトイレに駆け込み、避難してしまう。

 

「ダメだこれ」

「梨子ちゃーん?」

「話は聞いてるから、早く進めて!!」

 

千歌はそんな梨子に「しょうがないなぁ」と呆れたように言いつつ、ノートパソコンで編集をしている善子にPVの出来具合はどうかと尋ねると、丁度彼女は編集を終わらせたようなのだが・・・・・・。

 

「簡単に編集しただけだけど、お世辞にも、魅力的とは・・・・・・言えないわね」

「モコォ~」

 

両手でやれやれといったポーズを取りながら、そう報告する善子。

 

「やっぱりここだけじゃ難しいんですかね・・・・・・」

 

ルビィがそう呟くと、千歌はワタを抱きかかえたまま「うーん」と唸る。

 

「じゃあ沼津の賑やかな映像を混ぜて~」

 

千歌は「これが私達の街です!!」と賑やかな街のイメージを浮かべるが・・・・・・。

 

「そんなの詐欺でしょ!?」

「なんで分かったの!?」

 

トイレの中から即座にツッコミを梨子から入れられてしまい、思考を読まれたことに驚く千歌。

 

「梨子さんも千歌ねえの行動パターン、だんだん読めて来たね」

「んっ?」

 

その時、曜は窓から見えるバス停に、終バスが来たことに気付き、「うわ!? 終バス来たよ!?」とこれに乗り遅れたら帰れなくなるので曜と善子は慌てて会計を済ませてみんなに別れの挨拶を済ませる。

 

「モコのこと、学校まで返しておいてね!」

「あっ、うん」

「モコォ~」

 

善子は千歌にモコを預け、モコは寂しそうにしつつも両耳を左右にピコピコ動かすことで「バイバイ」と善子と曜に伝え、その動作が可愛くてついつい見とれそうになるが、本当にもうバスが出発しそうだったので2人はすぐさまその場を後にするのだった。

 

「フフ、じゃあまた」

「ヨーシコー!!」

「むっ、もう!」

 

自分の名前を弄られ、善子は文句を言いながらバスの方まで走った曜を追いかけながら自分も急いでバスに向かって行くのだった。

 

「結局何も決まらなかったなぁ」

「なあああ!!? こんな時間!? 失礼しまーす!!」

 

モコとワタを抱きかかえつつ、千歌がそう呟くと突然ルビィが叫ぶようにして立ち上がり、彼女は時計を見てもうじき家の門限の時間が近づいていることに気付き、彼女は未だにデザートのお菓子を食べている花丸の首根っこを掴んで会計を済ませるとルビィと花丸の2人は別れの挨拶を千歌達に済ませ、急いで帰宅するのだった。

 

「・・・・・・意外と難しいんだなぁ。 良いところを伝えるのって」

 

家に帰宅するルビィと花丸を見送りながら、千歌がそう言うと、トイレの方からそんな千歌に対し、梨子が話しかける。

 

「住めば都。 住んでみないと分からない要素も沢山あると思うし」

「うん。 でも、学校が無くなったらこういう毎日がなくなっちゃうんだよね」

 

どこか悲しげな口調で、そう語る千歌に梨子は「そうね・・・・・・」と小さく頷く。

 

「スクールアイドル、頑張らなきゃ」

「今更?」

 

千歌はモコをテーブルの上に置き、ワタを床に降ろしつつ、改めてスクールアイドルとして頑張ることを宣言。

 

「だよね。 でも、今・・・・・・気がついた。 無くなっちゃダメだって! 私、この学校好きなんだ・・・・・・」

「あっ・・・・・・うん」

 

そう言い放つ千歌に、梨子はトイレの扉を開いて顔だけを覗かせながら、千歌に同意するように頷き、そんな風に言える千歌を無爪は少しだけ羨ましさを感じてしまう。

 

「強いよね、千歌ねえは・・・・・・」

「無爪くん?」

 

誰にも聞こえないくらいの声で、そう小さく呟く無爪だったが、無爪のすぐ隣の席に座っていたレイジにはハッキリと聞こえており、元気が無さそうな無爪の様子に、レイジは首を傾げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、小原家の鞠莉の部屋にて・・・・・・。

 

そこにダイビングスーツを着たままの、水浸し状態の果南が静かに部屋に入ってきたのだ。

 

せめて着替えるかスーツを乾かしてから来い。

 

「来るなら来ると先に言ってよ。 勝手に入って来ると家の者が激おこぷんぷん丸だよ?」

 

しかし、水浸しで部屋に入ってきた果南に鞠莉は特に怒ることもなく、むしろ彼女はどこかうれしそうな様子を見せていたが・・・・・・。

 

「・・・・・・廃校になるの?」

 

果南が鞠莉の部屋に訪れたのは、学校が廃校になるかもしれないという話を聞いたからであり、そのことを鞠莉に問いかけるのだが、彼女は首を横に振って否定する。

 

「ならないわ。 でも、それには力が必要なの」

 

そう言って鞠莉は部屋にある机の上に置かれた「復学届」と書かれた紙を果南に見せる。

 

「もう1度、果南の力が欲しい」

「・・・・・・本気?」

 

怪訝そうな顔で、果南がそう問いかけると、鞠莉はうっすらと笑みを浮かべてみせる。

 

「私は果南の、ストーカーだから」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、学校の理事長室にて・・・・・・。

 

昨日作ったAqoursのPVの出来映えを確認するために、鞠莉に動画を見せに理事長室まで来た千歌達。

 

無爪やレイジもPVの出来の感想が気になったのでこの2人も理事長室に訪れており、鞠莉は目を細めながらジッとノートパソコンに映るAqoursのPV動画を見つめ、視聴していた。

 

『以上、がんばルビィ! こと、黒澤 ルビィがお伝えしました!』

 

動画から聞こえる台詞から、動画が終了したことが分かった千歌は鞠莉に緊張した様子で「どうでしょうか?」と恐る恐る尋ねる。

 

しかし・・・・・・。

 

「・・・・・・ZZZzzz・・・・・・」

 

鞠莉はいつの間にか眠ってしまっており、「さっきまで起きてたでしょうが!!」と無爪がツッコミを入れると、それに気付いた鞠莉は「ハッ!」と目を覚まし、それにずっこける善子以外のメンバー達。

 

「もう! 本気なのに! ちゃんと観てください!!」

「本気ぃ?」

「はい!!」

 

鞠莉の問いかけに力強く応える千歌だったが、鞠莉はそっとノートパソコンを閉じ、呆れたような視線を千歌達に向ける。

 

「それがこのテイタラァ~クですか?」

「テイタラーク?」

「為体って言いたいのね」

「えっ、流石にそんな言い方・・・・・・」

 

若干発音がおかしかったので、無爪が訂正するとすかさずレイジが流石にそんな言い方はないのではないかと抗議する。

 

それに同意するように、曜や梨子も鞠莉の言い草に意見する。

 

「そうだよ! それは流石に酷いんじゃ・・・・・・?」

「そうです! これを作るのにどれだけ大変だったと思ってる・・・・・・!」

 

すると、鞠莉は梨子の言葉を遮るように机の上に両手を「バン!」と叩き、身を乗り出して梨子達に反論する。

 

「努力の量と結果は比例しません! 大切なのはこのタウンやスクールの魅力を、ちゃぁーんと理解してるかでーす!」

『確かに。 彼女の言うことは一理あるぜ』

 

鞠莉の話を聞いていたゼロも、彼女の意見に一理あるとして頷き、それにレイジは「ゼロさんまで!?」と心の中で驚きの声をあげる。

 

「それってつまり・・・・・・」

「私達が理解してないということですか?」

「じゃあ理事長は、魅力は分かってるってこと?」

 

善子が鞠莉にそう尋ねると、鞠莉は「当然」とでも言うような表情を浮かべる。

 

「少なくとも、あなた達よりは・・・・・・。 聞きたいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、結論から言えば・・・・・・千歌は鞠莉からの話を聞かなかった。

 

鞠莉の話を終えた後、千歌達は昇降口にて一同は靴を履き替えつつ、梨子がなぜ先ほど鞠莉の話を聞かないことにしたのかと千歌に尋ねる。

 

「なんか、聞いちゃダメな気がしたから」

「なに意地張ってるのよ?」

「モコ!」

 

モコを頭に乗せた善子がそう言うと、千歌は「意地じゃないよ!」と言葉を返し、それに善子は不思議そうにモコと一緒に首を傾げる。

 

「それって大切なことだもん。 自分で気づけなきゃPV作る資格ないよ」

 

鞠莉から街の良さなどを教えて貰うのは簡単だろう。

 

だが、それは楽して逃げているだけだ。

 

だからこそ、千歌はあそこで鞠莉から話を聞かなかった。

 

自分達で街の魅力に気付いてこそ、意味があるのだと千歌は感じたのだ。

 

「・・・・・・そうかもね」

 

それに梨子も千歌の言葉に共感して頷いたのだ。

 

「ヨーソロー!! じゃあ今日は千歌ちゃん家で作戦会議だ! 喫茶店だって、タダじゃないんだから、梨子ちゃんも頑張ルビィして!」

 

曜はジト目で隣にいる梨子に視線を移し、それにムッとした顔を浮かべる梨子。

 

そんな梨子達のやり取りを見て「フフ」と思わず笑みを零し、笑い出す千歌。

 

「ふふ、あははは! よぉーし!!」

 

千歌はそう言い放ちながら、右拳を突き上げるようなポーズを取るのだが・・・・・・。

 

「あっ、忘れ物した」

 

気合いを入れた直後にこれである。

 

これによって一気に力が抜けて、ずっこけそうになる梨子達。

 

「締まらないなぁ、千歌ちゃん」

 

どうにも締まらない千歌にレイジが苦笑し、千歌は「ちょっと部室見て来る~!!」と言い残して彼女は部室へと向かって行くのだった。

 

そんな風に去って行く千歌の背中を見つめながら、また暗い表情を浮かべる無爪。

 

「無爪くん? どうしたの?」

 

そのことに気付いたレイジが、無爪に声をかけると、無爪はビクッと肩を震わせつつも、頬をぽりぽりと掻きながら先ほどの千歌を見て思ったことをレイジに話し出す。

 

「いえ、やっぱり、千歌ねえは強い娘だなって思ったんです。 あんな風に厳しく言われても、へこたれないで自分で道を切り拓こうとしてる姿を見ると・・・・・・。 自分なら鞠莉さんに街の良さを聞いてたかもしれないし」

「無爪くん・・・・・・」

 

レイジは、もしかしてサンダーキラーが現れた時のことを気にしているのだろうかと思い、レイジは何か、無爪に励ましの言葉をかけようとしたのだが、上手い言葉が見つからず、口ごもってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、忘れ物を取りに行く為に部室のある体育館へと戻って来た千歌はというと・・・・・・。

 

体育館の中に入ると、そこでは壇上で舞をただ1人披露しているダイヤの姿があり、それを目撃した千歌そんなダイヤの舞の美しさに見惚れ、彼女は思わずダイヤに向かって拍手を送る。

 

「凄い! 私・・・・・・感動しました!」

「な、なんですの!?」

 

ダイヤの方も千歌の存在に気付いたようで舞を見られていたことに恥ずかしそうに頬を赤くする。

 

「ダイヤさんがスクールアイドル嫌いなの分かってます! でも、私達も学校続いて欲しいって・・・・・・無くなって欲しくないって思ってるんです! 一緒にやりませんか!? スクールアイドル!」

 

ダイヤが自分達と同じように生徒会の方で学校を存続させる為に行動していることは小耳に挟んだ程度ではあったが聞いていた。

 

だからこそ、彼女は目的は同じならばと、千歌はダイヤをここでスクールアイドルに誘ったのだ。

 

そんな彼女達の様子をこっそりついてきた無爪達が体育館の入り口から覗き込んでおり、ルビィはダイヤの方に視線を向けながら複雑そうな心境で「お姉ちゃん・・・・・・」と小さく呟く。

 

「・・・・・・残念ですけど」

 

しかし、ダイヤは千歌の誘いをそう言って断り、壇上を降りてその場から立ち去ろうとする。

 

「ただ、あなた達の気持ちは嬉しく思いますわ。 お互い頑張りましょう?」

 

ダイヤはそれだけを言い残し、彼女は口元に笑みを浮かべながらそれだけを言い残してその場を去って行くのだった。

 

「ルビィちゃん、生徒会長って前は・・・・・・スクールアイドルが・・・・・・」

「はい。 ルビィよりも大好きでした」

 

曜の問いかけにルビィはそう応え、千歌はダイヤが壇上に降りる際に落とした1枚のプリントらしきものを拾いあげるとそこには「署名のお願い」と書かれており、それは学校を存続させる為、署名運動に使うプリントだったのだろう。

 

「っ・・・・・・!」

 

また千歌はルビィの「前はルビィよりもスクールアイドルが大好きだった」という話を聞き、ダイヤの方へと振り返って何か言葉をかけようとするのだが・・・・・・それを遮るようにルビィが声をあげたのだ。

 

「今は言わないで!!」

「ルビィちゃん・・・・・・」

「ごめんなさい・・・・・・」

 

言葉を遮ったことに、謝罪するルビィだが・・・・・・ルビィがなぜそんな行動に出たのか、そんなのは言われなくてもなんとなく分かった千歌は特に追求するようなこともせず、黙り込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館を出て昔、自分と果南と鞠莉の3人でスクールアイドルをやっていた日のことを思い出しながらどこか暗い表情でダイヤが歩いていると・・・・・・。

 

「ダイヤ。 逃げていても、何も変わりはしないよ?」

 

不意に、鞠莉に声をかけられてダイヤは思わず立ち止まってしまった。

 

「・・・・・・」

「進むしかない。 そう思わない?」

「逃げてる訳じゃありませんわ。 あの時だって・・・・・・」

 

ダイヤはそれだけを言い残し、彼女は再び歩き出してその場から去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌の家の旅館にやって来た曜達。

 

今彼女達は千歌の部屋に集まってPVのことについて話し合うことになっていたのだが・・・・・・梨子だけは千歌の部屋に入らず、障子からしいたけがいないか警戒しながらこっそり確認しており、部屋の様子を伺っていたのだ。

 

「梨子さん幾らなんでもビビりすぎだって」

「そうだよ、しいたけいないよ? ねっ? 千歌ちゃん?」

 

そんな梨子に無爪は苦笑しながら部屋にしいたけがいないことを教え、曜もしいたけのことをなぜかベッドの上で布団を被っている千歌に尋ねると彼女は布団の中でモゴモゴしながらもしいたけがいないことを伝える。

 

「それよりもPVだよ! どうすんの?」

「確かに何も思いついてないずらー」

「それはそうだけど・・・・・・」

 

その時、みんなが話し合っていると「あら、いらっしゃい?」とそこにお茶を持って来た志満が現れたことで流石にずっと廊下にいる訳にもいかない梨子はやむなく千歌の部屋に入りベッドに腰かける。

 

「あら、レイジくんお久しぶりね~!」

「あっ、はい! ご無沙汰しております志満さん!」

 

また志満はレイジの存在にも気付いたようで、何気なく挨拶を交わす2人。

 

「ところで、みんなで相談?」

「あっ、はい」

「いいけど、明日はみんな早いんだから今日はあんまり遅くなっちゃダメよ?」

 

志満にそう言われて「はーい!」と返事をする一同の言葉を聞いて志満は部屋を出て行くのだが、梨子は明日一体なにがあるのか分からず、曜に明日何があるのかを尋ねるのだが・・・・・・曜は「なんだったっけ?」と彼女も明日何があるのか忘れている様子だった。

 

「現地民でしょうが曜ねえ」

「あー、明日アレだよねぇ。 もうそんな時期かぁ。 懐かしいな」

 

無爪とレイジは明日何があるか覚えているようでそこで丁度障子の方からひょっこりと千歌が顔を現し、梨子に明日何があるのかを教える。

 

「海開きだよ!」

「あれ!? 千歌ちゃん!?」

 

海開き・・・・・・つまり、海水浴場を開設する為に明日は街のみんなで海のゴミ拾いなどをしなくてはいけない日であり、志満が遅くならないようにと言っていたのは海開きは朝早くから行われる為。

 

それを聞いて梨子は「成程」と納得したのだが・・・・・・1つだけ疑問が。

 

それはベッドの上にいる筈の千歌がなぜか目の前にいること。

 

「じゃあ・・・・・・」

 

ならばベッドの中にいるのは一体誰なのか・・・・・・。

 

薄々、ベッドの中にいる誰かに物凄く心当たりのある梨子は顔を引き攣らせ、その時ベッドの布団が膨れあがると・・・・・・。

 

ガバッとその中からしいたけが姿を現したのだ。

 

「あ・・・・・・あ・・・・・・!」

「なんかホラー映画みたいな演出になってるね・・・・・・」

 

そんな梨子の様子を見て、まるでホラー映画を観ているようだと呟くレイジだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日の、午前4時半頃。

 

梨子はタイマーをセットしていた時計が鳴ると音を止め、彼女は未だ残る眠気をなんとか振り払いながら起き上がり、学校のジャージに着替えて海の方へと向かう。

 

「おーい! 梨子ちゃーん!!」

「おはヨーソロー!!」

「おはよう、梨子さん」

「おはよう」

 

そこでは梨子と同じくジャージを着て提灯やゴミ袋を持った千歌や曜、無爪が既に海辺に来ており、4人はそれぞれ朝の挨拶を交わす。

 

「梨子ちゃんの分もあるよ?」

「こっちの端から海の方まで向かって拾っていってね!」

 

千歌は梨子にゴミ袋を差し出し、曜はどこからどこまでのゴミを拾えば良いのかを教えるのだが・・・・・・その時、梨子はふっと海辺に集まった人々を見て少しだけ疑問に感じたことを曜に尋ねる。

 

「曜ちゃん」

「なに?」

「毎年、海開きってこんな感じなの?」

 

梨子は不思議そうに海辺に集まった多くの人達の姿を見つめ、曜も「うん!」と梨子の問いかけに応えると彼女曰く「町中の人がここに集まって来ている」とのことだった。

 

「町中の人が来てるよ! 学校のみんなも!!」

 

確かに町の住民達だけでなく、自分と同じ学校のジャージを着ている人もチラホラ見え、花丸に善子、ルビィ、ダイヤや果南、鞠莉にレイジの姿も確認でき、そんな風に町のみんなが一致団結している姿を見て、梨子は感心したように「そうなんだ」と呟く。

 

「・・・・・・これなんじゃないかな?」

 

その様子を見て、梨子はハッと何かに気付き、自分達が探していたのはこれなのではないかと感じたのだ。

 

「この町や、学校の良いところって・・・・・・」

 

梨子の言葉を聞いた瞬間、千歌は「そうだ!!」と言って何かを閃いたらしく、彼女は道路沿いにある階段の方へ行き、彼女は声をあげてみんなに呼びかける。

 

「あの! みなさーん!! 私達、浦の星学院でスクールアイドルをやっているAqoursです!! 私達は、学校を残すために、ここに生徒をたくさん集めるために、皆さんに協力してほしいことがあります! みんなの気持ちを、形にするために!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌のお願い、それは・・・・・・町の人達みんなに協力を呼びかけ、PVのライブシーンで使う『スカイランタン』の製作を手伝ってもらうことだったのだ。

 

町の人達は千歌の頼みを快く引き受け、結果数多くのスカイランタンが完成し、千歌達は屋上でライブシーンの撮影を行うことに。

 

そのライブで使う曲は・・・・・・「夢で夜空を照らしたい」

 

その曲はサビに入る瞬間、空がふっと暗くなり、そんな夜空を照らすかのようにスカイランタンが町の人々の手によって浮かび上がり、その光景をビデオカメラを持って撮影していた無爪や後ろの方で念のために待機していたレイジ、影の中から見ていたペガは圧巻され、感動を覚えていた。

 

『凄く、凄く綺麗だね、無爪・・・・・・』

「うん。 とっても・・・・・・」

 

曲が終わると、ペガと無爪はその感動を互いに共感し合い、そこにレイジが静かに無爪の隣に立つ。

 

「ねえ、無爪くん」

「レイジさん?」

「最近、無爪くん元気なかったよね? それって、やっぱりこの前のことを気にしてるから・・・・・・なんだよね?」

 

レイジの言葉に、無爪は戸惑いつつも「はい」と頷く。

 

「君は千歌ちゃんが強い娘だって言ってたけど、僕からしたら無爪くんだって強いと思う。 だって、僕なんて怪獣が出たら今でも怖くて、臆病なのに・・・・・・無爪くんは何時も臆さないで立ち向かって行くじゃない?」

「それは・・・・・・」

「それは君に、どうしても守らないといけないものがあるからじゃないのかな?」

 

レイジにそう言われて、「えっ?」と不思議そうにレイジの顔を見つめながら目を見開く無爪。

 

「確かにこの町の人達の何人かはジードに警戒している人も多いと思う。 でもね、だからと言ってこの町の人達のこの『温かさ』が無くなる訳じゃない。 もしかしたらだけど、君はそういう人の中にある『温かさ』を守りたかったんじゃないのかな?」

「っ・・・・・・人の中の、温かさ・・・・・・」

「でも、君の場合はこの町の人達だけじゃないよね。 世界中の人達の温かさを守りたい、きっとそう思ってる筈だ」

 

レイジに指摘され、無爪は初めてジードに変身し、スカルゴモラと戦った時のことを思い出す。

 

確かにあの時、無爪は「みんなを守りたい」と思った。

 

でも本当にそれだけだったのだろうか?

 

人を助けるのに理由なんていらないとはよく言うし、実際その通りだとは思う。

 

だが、自分には守る理由があった気がずっとしていた。

 

でもそれが何かは分からず、梨子がこの街の良さに気づいて、レイジが指摘してくれるまで、気づけないでいた。

 

梨子やレイジが気付いてくれたおかげで、ようやく自分も気付くことができたのだ。

 

あの時、戦おうと決心したのは・・・・・・。

 

ただ単純にみんなを守るだけじゃ無い、世界中の人々の中にある「温かさ」を守りたいのだと。

 

「私、心の中でずっと叫んでた。 助けてって・・・・・・ここには何もないって。 でも違ったんだ!」

 

学校の屋上で夜空を見上げながら千歌はそう言い放つ。

 

「追いかけて見せるよ。 ずっと、ずっと! この場所から始めよう! できるんだ・・・・・・!!」

「千歌ねえ・・・・・・」

 

千歌は自分がジードだと知って、ベリアルの息子だと知っても以前と変わらず、接してくれた、信じてくれた。

 

そうだ、彼女のような人が持つ、温かさを守る為に、自分は今まで戦ってきたのだ。

 

その時、千歌は自分の方へと視線を向けている無爪に気づき、彼女は彼の元に駆け寄って来て彼女は無爪に笑みを向ける。

 

「なっちゃん、きっと何時かはこの町の人達はジードのことを受け入れてくれる。 そしてそこからどんどんジードのことを受け入れてくれる人達が増えていくと思う。 根拠はないけど、そう思うんだ。 だって、この街の人達は・・・・・・こんなにも、温かいんだもん。 だからね・・・・・・」

 

千歌は優しく無爪の手を握りしめ、それに戸惑う無爪。

 

「みんながジードのことを受け入れてくれるまで大変かもしれない。 ニュースとかでまたジードのことを悪く言われるかもしれない。 でも、そんなの気にしないでなっちゃん。 だってなっちゃんは何も悪いことなんてしてないんだもん! みんなに教えてあげよう、どれだけ時間がかかったとしてもウルトラマンジードは・・・・・・みんなの味方、ヒーローだって!」

「千歌・・・・・・ねえ・・・・・・うっ、く・・・・・・」

 

千歌にそんな言葉をかけられ、思わず涙ぐんでしまう無爪。

 

2人の話の内容は聞こえなかったものの、そんな2人の様子を今までニヤニヤした顔で見ていた曜は「あっ、なっちゃん泣かした!」と千歌を指差し、それに彼女は「えぇ!?」と驚きの声をあげる。

 

「ちょっ、曜ちゃん私別になっちゃんを泣かした訳じゃ・・・・・・!」

「そ、そうだよ、別に泣いてないし・・・・・・!!」

 

だが、そんな瞬間をブチ壊すかのように・・・・・・。

 

「キュイイイイイイ!!!!!」

 

学校から離れてはいるものの、屋上からでも見える位置に「ベリアル融合獣 サンダーキラー」が突如として出現したのだ。

 

突然現れたサンダーキラーに「ピギャア!?」と驚いて尻餅をついてしまうルビィ。

 

「る、ルビィちゃん大丈夫ずら!?」

「う、うん・・・・・・」

「ってか唐突に現れたわね、あの怪獣・・・・・・」

 

いきなり現れたサンダーキラーに善子は疑問を覚えつつ、そこでレイジがみんなに避難するように呼びかける。

 

「みんな!! 早く避難して!! 無爪くんは学校の中に取り残された生徒達を避難させて欲しい!」

「っ!」

 

レイジは無爪が怪獣の元に行けるように建前を作り出し、それに気付いた無爪はレイジに向かって「分かりました!」と頷くとすぐにその場から立ち去ろうとする。

 

「なっちゃん!!」

 

だが、その際、千歌が無爪を呼び止め、思わず立ち止まった無爪は千歌の方へと振り返る。

 

「私は、なっちゃんを今も昔もこれからも、ずっと信じてるから」

「・・・・・・うんっ」

 

無爪は千歌の言葉を受けて、笑みを浮かべると校内に戻って人気のない場所に行くとジードライザーを取り出す。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねえ!!」

 

腰のカプセルホルダーから「初代ウルトラマン」のカプセルを取り出し、スイッチを押して起動させるとそこからそのウルトラマンが出現。

 

「融合!!」

 

ウルトラマンのカプセルを装填ナックルに装填させた後、さらにそれとは別に「ウルトラマンベリアル」のカプセルを取り出し起動させると今度はそこからベリアルが出現。

 

「アイ、ゴー!!」

 

同じくベリアルのカプセルをナックルに装填し、ジードライザーで装填したカプセルをスキャンする。

 

「ヒア、ウィー、ゴー!!」

『フュージョンライズ!』

「決めるぜ、覚悟!!」 

 

そしてジードライザーを掲げて胸の前でスイッチを押すとウルトラマンとベリアルの姿が重なり合い、無爪は2人のウルトラマンの力を合わせた「ウルトラマンジード プリミティブ」へと変身を完了させたのだ。 

 

「はああ!! はぁ!! ジイィーーーード!!!!」

『ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード!! プリミティブ!!』

 

ジードはサンダーキラーの前に降り立ち、ジードはファイティングポーズを取って構える。

 

『僕の名はジード、ウルトラマンジードだ!!』

 

サンダーキラーは右手で「クイクイ」とジードを挑発すると、敢えて乗ってやるとばかりにジードは飛び膝蹴りを繰り出すが、サンダーキラーは左手の爪で受け流すと右手の拳でジードを殴りつける。

 

『ウアッ!?』

 

さらにサンダーキラーは三日月型カッターを口から放ち、ジードを攻撃するがジードはそれを腕を振るって弾き飛ばし、サンダーキラーの頭部を掴んで屈ませるとその顎に膝蹴りを叩きこむ。

 

『ヘアッ!!』

「キュイイイ!!」

 

サンダーキラーはその攻撃によって怯むものの左手の爪でジードの腹部を斬りつけ、さらに右拳ででジードの胸部を殴りつけ、続けざまに電撃を纏わせた尻尾による連続攻撃を喰らい、ジードは吹き飛ばされて地面に倒れ込む。

 

『グアアッ!?』

 

さらに倒れ込んだジードに向かって容赦なく三日月型のカッターを放ち、ダメージを受け続けるジード。

 

『ウアアアアッ!!?』

「ジード!!」

 

避難するために学校のグランドにまで出た千歌達は丁度そこからジードがサンダーキラーに苦戦する様子が見え、それを見て千歌はジードの名を呼びながら悲痛の声をあげる。

 

そしてサンダーキラーは片膝を突きながら立ち上がろうとするジードを容赦なく蹴り飛ばし、地面に背中を打ち付けるジード。

 

『グッ、ウゥ・・・・・・!』

 

倒れ込んだジードの首をサンダーキラーは右手で掴みあげて無理矢理起き上がらせる。

 

「っ、頑張れジードオオオオオオオ!!!!」

『っ!?』

 

その時、ジードが応援する声が聞こえ・・・・・・声のした方にジードが視線を向けると、そこに自分に向かって「頑張れ」と応援する曜の姿があったのだ。

 

「曜ちゃん・・・・・・」

「頑張れ、ジード!!」

 

それに千歌も驚いて目を見開くが、すぐに彼女もジードに精一杯の声援を送ることに。

 

「頑張れジード!! 頑張れええええええ!!!!」

「頑張ルビィだよ!! ジードさん!!」

「頑張るずら!! ウルトラマン!!!!」

「ボディ狙いなさい!! ボディを!!」

「モコォ~!」

 

曜や千歌に続いて梨子やルビィ、花丸、善子に避難する時一緒について来させたモコもジードに精一杯の声援を送り、他にも全生徒でないにしてもジードを応援する一部の生徒達がチラホラと見えていた。

 

「みんな!! 早く避難を・・・・・・」

 

レイジは応援よりも早くみんな避難するように注意を促そうとしたが、すぐに思い留まり、レイジも声を張り上げてジードに応援の言葉を送る。

 

「頑張れ、ジード!! 負けるなああああああ!!!!」

『千歌ねえだけじゃない。 曜ねえ達が僕を・・・・・・応援してくれてる・・・・・・! そうだ、こんなところで立ち止まってなんていられない!!』

 

千歌達の声援の声を受け、ジードは自分の首を掴むサンダーキラーの右腕を両手で掴みあげる。

 

『僕は・・・・・・みんなを守るんだ!! みんなの中にある、『温かさ』を!!』

 

そう言い放つとジードはサンダーキラーの腹部を蹴りつけて無理矢理サンダーキラーの右手を自身から引き離し、距離を取るとインナースペース内の無爪は右手を掲げる。

 

『ジードクロー!!!!』

 

すると、二又のかぎ爪型「ジードクロー」がインナースペース内の無爪とジードの手に握られ、ジードは新たな武器を構える。

 

『機は熟した。 そういうことですね』

 

星雲荘で戦いの様子を見守っていたレムが1人、そんな言葉を呟く。

 

挿入歌「スリリング・ワンウェイ」

 

『今の自分を飛び越える!!』

 

無爪はトリガーを1回引いてボタンを押すとジードはジードクローの刃先から赤黒いカッター光線を放つ「クローカッティング」を放ち、サンダーキラーはそれを胸部で受け止めて吸収しようとするが・・・・・・吸収し切ることができず、ダメージを受ける。

 

『クローカッティング!!』

「キュイイイ!!?」

『よし、効いてる! 行けるぞ!』

 

インナースペース内の無爪はヒカリカプセルを起動させ、ナックルに装填。

 

『融合!』

 

続いて無爪はコスモスカプセルを起動させ、ナックルに装填。

 

『アイ、ゴー!』

 

そこからジードライザーで装填ナックルをスキャンし、トリガーを引いてライザーを掲げる。

 

『ヒア、ウィー、ゴー!!』

『フュージョンライズ!!』

『見せるぜ、衝撃!!』

 

そしてジードはウルトラマンヒカリ、ウルトラマンコスモスの力を融合させた青い姿、「ウルトラマンジード アクロスマッシャー」に姿を変えるのだった。

 

『はああああ、はぁ!! ジィィーーード!!!!』

『ウルトラマンヒカリ! ウルトラマンコスモス! ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!』

 

サンダーキラーはジードに向かって三日月型のカッターを連射して放つがジードは素早い動きと共にジードクローを振るって弾き飛ばし、すれ違いざまにサンダーキラーをジードクローで斬りつける。

 

「キュイイイ!!?」

 

さらにそこから目で追えないレベルの素早さでジードは動き回り、気付けばジードクローで気付けばジードクローでサンダーキラーは身体中を斬りつけられており、サンダーキラーは身体中から火花を散らす。

 

『ショア!!』

 

続けてジードはもう1度高速でサンダーキラーに突っ込み、一撃を喰らわせようとするがなんとかサンダーキラーはジードの動きに反応し、左手の爪で攻撃を防ぐ。

 

『スマッシュビームブレード!!』

 

だがジードは本来は右手だが、今ジードクローを右手に持っていることもあり、応用として左手に光の剣「スマッシュビームブレード」を出現させることでサンダーキラーの腹部に刃を突き立ててダメージを与えることに成功し、さらに素早くスマッシュビームブレードとジードクローをX字に振るって切り裂き、火花を散らすサンダーキラー。

 

「キイイイイイ!!!!?」

 

そしてジードはブレードを仕舞い、無爪がジードクローの片側の刃をジードライザーでリードした後クローの中心を押してクローを展開、トリガーを3回引いてボタンを押すとジードはジードクローから無数に分散させた光線を相手の頭上に向けて放つ「ディフュージョンシャワー」をサンダーキラーに繰り出す。

 

『シフトイントゥマキシマム!』

『ハアアア、ディフュージョンシャワー!!!!』

 

それを受けて耐えきれなくなったサンダーキラーは身体中から火花を散らし、爆発。

 

サンダーキラーはこうしてジードに倒されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの怪獣の目的は、あなただったのかもしれません』

 

翌日、星雲荘に訪れていた無爪、ペガ、千歌は先日再び現れたサンダーキラーが現れた理由についてレムから説明がなされていた。

 

最も、説明と言ってもあくまで予想でしかないのだが、ゼロが現れた途端に消えたことや再び現れ、ジードと対峙した際にはジードを挑発するかのような動作をしていたことからレムはサンダーキラーはジードと戦うこと自体が目的だったのではないかと予想したのだ。

 

『でもどうして?』

『ジードの活躍を快く思わない人物の仕業かもしれません』

 

ペガがレムになぜそんなことをと尋ねると、彼女は誰かがジードを邪魔だと感じた、だからジードを倒そうとしたのかもしれないと話す。

 

「なっちゃん・・・・・・」

 

レムの話を聞いて、心配そうに無爪の方へと顔を向ける千歌。

 

「大丈夫。 これから先、もっと予測のつかないことや自分に危険なこととか起こるかもしれないけど、それでも僕は戦うよ。 みんなの心の温かさを守る為に・・・・・・」

 

武器を使うには使う人間にもそれ相応の器がいると誰かが言っていた。

 

あの武器が自分に与えられたのはほんの少しかもしれないが自分が成長したからかもしれない。

 

自分が守りたいものの為にも、新しい武器・・・・・・ジードクローもより使いこなせるように無爪はレムに用意して貰った木刀を持ってレムの手ほどきの指示の元、彼は自分を少しでも鍛える為、それを振るうのだった。

 

「頑張ってね、なっちゃん」

「うん」

 

そんな風に、みんなの為に戦う無爪の姿を見つめながら、千歌は笑みを浮かべて彼を見守る。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある薄暗い空間にて・・・・・・。

 

「全ては順調です。 我が主、ベリアル様・・・・・・!」

 

不気味な笑みを浮かべながら、そう語る荒井の目の前には・・・・・・。

 

ジードの父親にして、光の国で悪の道に墜ちた巨人、「ウルトラマンベリアル」が立っていた。

 

ベリアルは自身のカラータイマーから紫色のエネルギーのようなものを荒井に与え、荒井はそれを両腕を広げて受け止める。

 

「あなたがお与えになったこの力で、私はまた・・・・・・フュージョンライズできる! さて、そろそろ邪魔者には退場して貰いましょうか」

 

目を赤く光らせながら、荒井はそう呟くのだった。




花丸ちゃんに渡そうと思ってた荒井のサイン普通に無爪、忘れてます。
原作だとリクが守るべきものを探すという感じの話でしたが、こちらではあの町に住んでたら逆に守るべきものが何か気付くって感じになりそうって感じの話になりました。


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