流れていく時間のなかで (なゆたとふかしぎ)
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第一歩

九州弁を多用します。
似非ですけど( ノД`)…


道を進む。

決められた道を。

一歩一歩ゆっくりと。

目の前にはナニもない。

明るいようで、白と黒と灰色の二色しかない世界を歩く。

それ以外は、何もない。

足跡はつかない。

前に進んでいるのかさえ、分からない。

彼(もしくは、彼女)は、道を進む。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どこまでも広く、そして天晴れとした青い空。

青々とそびえ立つ木々と山々。

白波たてる穏やかな、しかし広大な海。

ここは、ビーチ。

 

サンダルなしでは歩けそうもない砂浜に、高松 隆二(タカマツ リュウジ)は1人突っ立っていた!(かき氷三つも持って!)

 

「アッチー。何が悲しくて、こんな夏の暑い日に海に行かんと行けんのかね?」

 

気だるさと、不平を一心に顔に表して、彼は、手に持っていたかき氷の一つ(イチゴ味)を片手で器用に食べる。(勢いよく)

 

冷たいものを食べた後特有の頭痛に顔をしかめつつ、彼が歩はまたき出す。

 

「てか、あいつらは何処に場所をとったんだよ。」

 

キョロキョロしながら、あっち行ったりこっち行ったりしていると、気づけば、浜辺の端まで来ていた。

 

「ありゃりゃ。こっちじゃなかったか。また戻らんばとかい。ダルかって。」

 

色々と、不平を言いつつ、一緒に来た友人二人(場所取りにいった二人)を探しだそうと振り替えると、目の前に女の子がいた。

 

とても可愛らしい顔をした、幼さが残る女の子だった。

大きすぎず、小さすぎずと言った顔立ちと、くりくりとした目に、少し丸みを帯びた輪郭は、まるで【小説の中に出てくる少女】と言うよりも【童女】といった印象を受けた。

 

年は、10歳くらいだろうか?あまり、身長が伸びていなくて、やはり、からだのラインも直線的だ。

しかし、その直線的なラインから延びる手足は、スラッとしていて、妙な色気(そして、背徳感)があった。

 

しかし、リュウジが驚いたのは、女の子の容姿ではない。

 

驚いたのは、女の子の目線。

 

年相応に笑ったら、可愛いであろうその口は、子供のものとは思えない、大人のような微笑を浮かべていて、目線はしっかりとリュウジを捕らえている。

不良やガラの悪い人たちのように睨むわけでもなく、怯えて見つめているわけでもなく、ただひたすらに見据えている。

 

(ッ!いつの間に、てか何で俺を見てんの?!)

 

思わずたじろぐリュウジは、ひきつった笑みを顔に浮かべて冷や汗を背中に流しつつ女の子に話しかけた。

 

「や、やぁ。どうしたの?迷ったの?」

 

女の子は、声をかけられるのを待っていたかのように、少しだけ口角を上げてゆっくりと口を開けた。

「う、うん。ま、ま、迷った。」

 

女の子は、表情は変えずにリュウジよりも強張った口調になってしまっていた。




人物紹介。
高松 隆二(タカマツ リュウジ)
本作の主人公。
年齢16歳くらい
高校生で友人二人有。
最初の一歩で女の子(ヒロインの予定)に出会う。
身長は170前後の平凡?な顔立ち。
大崎工業高校(架空の高校)にいます。
慎重派と言う名の引きこもりがちなオタク。


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第二歩

女の子の正体とは?
※ただのヒロイン


 白と黒は、混ざりあって灰色になる。

 黒には、何も色をのせられない。

 ただし、濁すことはできる。

 反対側の白を使って。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「う、うん。ま、ま、迷った。」

 

 小学生?の女の子は、リュウジ以上にオドオドしていた。

 

 どーも神様(作者)です。少し質問。

 オドオドした男が、オドオドした女の子に話しかけました。

 さぁ、どうなると思いますか?

 1話が円滑に進む。

 2話進まない。

 3女の子がこけて、リュウジのラッキースケベになる。

 

(いやいや、ちょっとまてぃ!!この場合、2番しかないだろ!助けてよ神様ッ!)

 

 リュウジは、この状況で、さらに話しかけるほどの度胸はない。

 ついでにだが迷った女の子を親元(もしくは友達のところ)まで返してあげれるほど、この砂浜を知っているわけではない。

 

 つまり

 

(ヤバイよ。ヤバイよ。詰んじゃうよ!どうしたらいいんですかカミサマッ!)

 

 互いに無言になり、気まずい雰囲気が作り出されたその空間は、リュウジにとって喋り出すことさえ罪のような、重苦しい《あくまでもリュウジにとってだが》ものとなっていた。

 

 黙って見つめあい時間が過ぎていく。

 30秒。

 1分。

 2分。

 ・

 ・

 ・

 

 

 3分が過ぎようとした時、意を決したように女の子が話しかけて来た。

 

「あ、あの。ま、迷ったときに、ゆ、ゆうかが、そ、その、あの、かっか、かっ、か、かき、かきごうり、屋さんに、いっ、行けば、よかっ、よかって。」

 

もどかしい位に話が進まなかった。

 

しかし、リュウジにとってこの程度の噛みぐあいなら、問題なく(その時点で問題ということは置いておいて)話せるのだ。

 

(かきごうり屋さん?あぁ。かき氷屋さんかな?そっちに迷ったら行けばいいって言われたのか?)

 

あの読みにくい、(中の人にとっては、聞き取りづらい)会話を読みといたリュウジも、意を決して、(忘れられているかもしれないが、女の子は、表情だけはめちゃくちゃ落ち着いて)鋭く自身を見つめている女の子に話しかける。

 

「え、えと。かき氷屋さんは、あっちだよ。その、一緒に、行く?」

 

その一言を、言っただけでリュウジは、かなり体力を削られているような感じではあった。

 

(コミュ症には、こんなシチュエーションは、辛いのに。)

 

軽く泣きそうになるリュウジの放った一言に女の子は、安堵したようで1度大きな深呼吸をする。

 

「えと、その、あ、明道(アキミチ)、アキミチ 奈緒(ナオ)ですッ!ふ、不束ものですが、あの、よ、よろしくお願いしまふッ!」

 

盛大に自己紹介で噛んだ、表情キリリのオドオド少女と、コミュ症少年の夏の出会いの始まり始まり~。




テナワケデ、ヒロイン名前公開どす~。
りゅうおうのおしごと!を読んだばかりなので、名前にアイを入れたかったけど、踏み止まってナオにしました。
第二歩終了です!
明日?の第三歩にコウゴキタイ。


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第三歩

めちゃくちゃゆっくりと物語を進めようとして、1日一歩の千文字前後でやっているのに、進むのが速いような。


見渡す限りの灰色となったそれは、色を付けられないこともないぐらいにはなった。

しかし、灰色となったそれに、色を乗せようとすればその色は濁ってしまう。

しかし、だからといって白を多く使っても、他の色たちが霞んでしまう。

また、大前提として、彼(彼女)がいる場所には、もともと、白と黒、そして灰色の三色しかない。

では、灰色となったそれにどうやって色を付けていく?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「す、すみません。か、かき氷を売ってるお店って、あっちであってますか?」

「いや、違うよ~。そっちじゃなくてあっちだよ~。」

「す、すみません。有難うございます。」

 

リュウジが、声を震わせながらも、ナオと名乗った女の子の道案内を買って出たのは、良かったのだが。

 

「ご、ごめんね。長々と、その、あっち行ったりこっち行ったりして。疲れてない?」

 

リュウジ本人も、このビーチに詳しいわけでもなく、また、1度行ったとはいえ、友人二人を探しているうちに、方向感覚がぐちゃぐちゃになってしまっている。

 

たしか、情景の描写はしてないが、このビーチは、アホみたいに人間が多い。そして、アホみたいに広いので、少し動くと、ガラリと見える景色が変わる。

 

そんな、ビーチを、ナオを連れて10分ほど歩いていたリュウジは、まさに道案内を買って出た10分前の自分を殴りたくなっていた。

 

「え、えと、かき氷屋さん。一緒に行く?」

 

その一言は、確かにこの場面で言うべき正しい一言なのだが。

 

【正しい一言】と、【正解の一言】は必ずしも一緒とは限らない。

 

この場合、リュウジは他の誰かを頼らせるべきだった。そして、リュウジも友人二人を探しに行けば、もっと効率的に出来たのではないか?

 

そんな事を考えつつ、あっち行ったりこっち行ったりして、かき氷屋さんを目指す二人だったが。

 

定期的に、リュウジはナオの調子を見ていた。

相変わらず、表情は大丈夫そうだ。しかし、足取りに関しては、どうも先程と比べて覚束ない。

 

実際にナオは、水着を着ているのだが、そのために肌の露出が高い。

そして、ナオの肌は、とても白かった。

 

(疲れてるのか?やっぱり、あんまり外に出たこととか無いのかな?だとしたら、慣れない海や慣れない人と、こんなに長く関わることはなかったから、余計疲れてるのかな?)

 

リュウジの心配は、事実的を射ていた。10分間とはいえ、知らない人間と一緒に、しかも慣れない炎天下の砂浜を歩いているのだ。

 

またナオは、友人とも離れて焦っていたのもあるのだろう。

それらは、想像以上にナオの精神を、体力を削り取っていた。




人物紹介
明道 奈緒(アキミチ ナオ)ちゃん。
本作のメインヒロイン(の予定。)
小学生(実は3年)の、表情だけは大人?な女の子。
以外と打たれ弱いはずです。!


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第四歩

灰色の世界に色をつけるとしたら、それは、その世界では不可能なことだ。

何せ、色は三色しかない。

他の、赤や青、黄と言った概念が存在しない。

その世界単体では不可能なのだ。

では、どうする?

課題は、その世界に色をつけること。

答えは・・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

覚束ない足取りは、さらに覚束なくなる。

ナオを連れてとうに二十分は経過している。知らない人との行動は誰でも疲れるものであるが、この二人は俗に言うコミュ症なので互いに余計に気を張ってしまっていた。

 

アホみたいに広いビーチでは場所が分からなくなると長時間迷うことになるとは、聞いていたのだがまさかここまでとは思っていなかった。

 

ナオの体力はすでに限界を見せていて、以外にもリュウジの体力もかなり削られていた。

 

(このままではまずい!手持ちのかき氷をあげきって、暑さはしのげてるけど、これ以上は精神的に無理!)

 

そう焦りは感じているが、その焦りは一行にプラスへは働いてくれない。(とはいえその焦りは、知らない幼女と一緒に歩いているという背徳感と、回りの視線というものでリュウジの意識のしすぎなだけであるのだが)

 

そんなこんなで、勝手に焦っているリュウジの後ろを歩いているナオはリュウジの感じている後ろめたさなどではなく、知らない人に付いていっている。といった罪悪感に否まされていた。

 

(うぅ。大丈夫だよね。えと、リュウジさんは、そのイイ人だから、かきごうり屋さんまで連れていってくれるよね?大丈夫だよねね?)

 

しかし、それでもかき氷屋さんは見えません。二人はまた歩き出していきます。

 

すると、リュウジの予期していたナオの体力の限界がついに迎えた。

 

リュウジがまたナオの方を見ると、完全に青くなった顔をして倒れそうになっていた。

 

(ッ!ヤバイよ!どうしよ?!もう、この子倒れそうじゃん!なんとか、なんとかしないと!でも、どうすれば?!どうすればいいッ?!)

 

普通に休憩すればいいのだが、焦っているリュウジにその発想はない。

 

顔を真青にした女の子に対し、声をかけることも踏み止まっていたリュウジに、必死になってあちこちを見渡すも、やはり人の壁以外何も見えない。

 

リュウジが、やったのことでナオに話しかけようとしたその時。

 

「ナオ?やっと見つけた!どこ行ってたの?!」

 

新しい人の声だった。その声は高校生ぐらいの女の人だった。

 

リュウジが反射的にそっちを見ると、やはり高校生くらいの女の子が、水着にパーカーを羽織った状態でナオを見つめてい




ヒロイン二人目登場!
出来れば、チョロインにしたい。(笑)


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第五歩

灰色の世界に終止符を。


長々と、灰色の世界を語っていたが、今回で最後にしよう。

まずは、前回の答えからだ。

答えは単純。

もしかしたら、トンチだと言う人間もいるだろう。

それは、単純に他の場所から色を持ってくればいい。

もともと、この世界にいた(居たと確認されている)のは、彼(彼女)だけなのだから、見方によってそこは、【彼(彼女)個人の世界】と言っても過言ではない。

なら、彼(彼女)個人の世界に無いものを存在させるには、その世界の【外側】から入れ込むしかないのだ。

だから、黒と白と灰色の世界に色をつけるならば、混ぜ混むならば。

もう、答えは言ったよね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後ろから声をかけられて、振り返ってみれば、その人は、同じくらいの年代の女の子で、ナオのことを知っていた。

 

(良かった。家族の人かな?ナオを引き取ってもらえば、これで一件落着。一件らくちゃ、く。か?)

 

リュウジは、自身の今の状況を、何故か客観的に見ることができた。

 

想像してほしい。

あなたには、可愛い妹(小学生)がいて、一緒に海水浴に来ていたが、その妹を見失い探していた。すると、その妹が、知らない男(高校生ぐらい)に手を取られ一緒に歩いていた。

 

さて、想像できただろうか?

あなたはどう思う?

 

(ヤバい!ヤバい!見つかったら通報されるやつじゃないのかこれ?!!)

 

リュウジはあせる。

 

がしかし、女の子は、ナオのことは見つけているが、リュウジのことを見ていなかった。見つけていなかった。

そして、その子はまっすぐリュウジたちに向かって歩いてきて。

余計に焦るリュウジ。リュウジの手を握ったまま、離さないナオ。

 

 

 

そして女の子は。

 

 

 

転けた。

 

リュウジたちの目の前で。

女の子は、ナオに倒れないように、とっさに空中で姿勢を変えようとしたが、その結果リュウジの方に倒れかかってくる。

 

結果、女の子はリュウジを押し倒した。

その後は省略するが、女の子が倒れたあとラノベによくある展開で胸を揉んでしまい、ぶっ叩かれるのはよくあるお話の一つに追加されるだろう。

 

 

(中略)

 

 

「で、君が、ナオを預かってくれた。と言うか、助けてくれた。感じ?」

 

女の子(橘 夕陽タチバナ ユウヒ)は、いかんせん納得が行っていないそして、信用していない顔でリュウジを見つめていた。

 

「は、はい。そう、ですね。」

 

そして、リュウジもコミュ症の影響?でしっかりと返事ができず、余計に怪しくなっていた。

 

「あ、あの、ゆうひちゃん。リュウジさんは、その、へ、変なことしてないよ?」

 

ナオも弁明しようとしているが、上手く話せていない。

砂浜の砂は、まだまだ温度をあげそうな状態が続いていた。




チョロインこと、橘 夕陽(タチバナ ユウヒ)ちゃん登場!
一応女子高生のつもりです。
学年は、そのうち明かしていきましょう。


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第六歩

今さらですがおはようです!※PM9:30


彼(彼女)の世界になかった色は、急に、そして、突然に作られた。

いや、作られたと言うよりも、出現した。と言った表現の方がしっくり来る。

まぁ、実際は、灰色の世界に有色の色が出てきたのは、【他の世界から、他の誰かから入り込まれた】ことなんだけども。

真実がどうであれ、彼(彼女)の目の前に、それまで存在しなかった色《がいねん》が、急に出てきたことは彼(彼女)もさすがに驚いていたかな。

あっ、そうそう。

もちろん彼(彼女)には、その色が何色なのか解らないし、分からないことは、付け加えておこう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

だいぶ前に作者が質問した答えのうち、2番と3番を実践した(実践させられたとも言う。)リュウジは、左ほほに思いっきり紅葉をつけていた。

 

「うーん。納得いかない。」

 

リュウジとしては、感謝こそされても、警察を呼ばれる寸前までいくことはない。と思っているのだが。

まぁ、シチュエーションがそうだったのだから、仕方ないと言えば仕方ない。

 

何はともあれ、ナオは、友人?であるユウヒが引き取る話になり、ナオもリュウジもそこまでは納得していた。

 

そう。そこまでは。

 

何が納得できないかと言うと、その後のユウヒの態度なのだ。

ユウヒは、ナオを受けとるとあからさまにリュウジを疑っていた。主に誘拐犯として。

 

そして、あろうことか警察まで呼び出そうとしたのだ。

さすがに警察を呼ばれる筋合いはないと思い立ったリュウジも慌ててユウヒのケータイを取り上げ、必死に説得し、ナオも弁明を手伝ってくれたので、結果として警察は呼ばれなかったのだが、ユウヒはそれでもリュウジを信用できないようで、妥協案としてリュウジが互いにケータイ番号の交換を出さなければかき氷がもう三つほど無駄になっていただろう。

 

結果として警察は呼ばれなかったのだが、やはりあそこまで疑われるのは納得が行っていない。

不満は残りつつも、ケータイを取り出し一緒に来た友人二人を呼び出す。

 

(prrrrr)

10回ほどコールが流れるが、反応しない。

 

もう、先に海に入ってしまったのか?

 

そんな不安を抱きつつも、さらにもう一度10回コールを待つ。

 

ガチャリ

 

電話が繋がる。

安堵しつつ、リュウジは繋がったケータイに呼び掛ける。

 

「もしもし。今、良太(リョウタ)どこら辺にいるの?と言うか、今のコールをわざと出なかっただろ。」

 

友人の1人、橘 良太(タチバナ リョウタ)は、以外とイタズラ好きなので、こういうちょっとしたときにイラッと来ることをしてくる。

 

「そうだよ。場所はー、そうだね。さっきのかき氷屋こら左に行ったら、バーベキューするところがあるからそこら辺にいるよ。にしても、遅かったねぇ。どうしたの?」

 

リョウタに先ほどの理不尽を話ながら場所が分かったリュウジは歩き出していた。




やっと1人男友達登場。


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第七歩

駄目だ。今日休んだら、明日やらなくなるッ!


灰色の濁った世界に垂らした赤い色は、灰色と混ざり、濁り、汚され、清廉され、新しい同系色へと変化していく。

彼(彼女)の前に新しく現れたその赤は、瞬間的にその性質を変えた。

その濁った赤は、やがて形を変え、変化し世界に溶けるように人になった。

赤は、やがて世界を侵食し、調和し、塗り替え、塗り替えられ、世界を変えていく。

彼(彼女)の世界は、彼(彼女)のものでは無くなった。

彼(彼女)らの世界へと変化していった。

彼(彼女)は、また歩き出す。

新たな位相となってしまった、新たな変化方を得た世界を。

ゆっくりと、ゆっくりと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「オーイ。リュージー。こっちぞーい。」

名前と方向を呼ばれそっちに顔を向けてみると、爽やかな顔の人当たりが良さそうな青年が手をふっている。

先ほど電話で場所を教えてくれたリョウタだ。

リュウジは、手に持っていたかき氷三つを溢さないように小走りしつつリョウタのもとへ向かう。

「いやー。やっと見つけた。」

かき氷の一つをリョウタに渡し、空いた片手でケータイを取り出し時間を確認するリョウタ。

「うわー。思ったよりも時間たってるな。」

リュウジがリョウタに電話をかけてから、更に五分ほどたっていた。

リュウジのケータイを覗きこんだリョウタも、かき氷を食べつつ驚いている。

「確かに結構時間たってたけど、もうこっちについて30分以上時間がたってるのな。奈美(ナミ)ちゃんも結構キレてるぞ。真咲(マサキ)も宥めるのに大変だぜ?あ、あと、もうテント建ててあるからすぐ日陰入れるぞ。」

ちなみに、ナミはリュウジの妹で、マサキはもう1人の(女)友達。

「読者諸君に説明しておくが、ナミちゃんはリュウジラブなブラコンって設定だ。あと、マサキは俺の嫁さん。(予定。)」

「お前、誰に向かって話してるの?遂に気が狂った?にしても、マジか。そっちいきたくね。」

リュウジは、しぶしぶといった感じで、リョウタは、少しウキウキしてテントへと向かった。

 

「あ、リョウタ帰ってきた。」

マサキは、リョウタが戻ってくるのを見つけると、キャンプ場のBBQ用の台に木炭を入れながら、先程まで駄々を捏ねていたナミを見る。

ナミは両頬をぷくっと膨らませて、怒ってますよアピールをしていた。

(やっぱり可愛いなぁ。ちっちゃい子は。)

そんな事を考えつつ、この後リュウジがナミに小さくなりながら謝るいつもの劇を思いだし、口角が少しだけ上がる。

「やっぱり、夏は楽しまなくッちゃね。」

そんな事を呟きながら、マサキは戻ってきたリョウタたちに手を小さく振るのだった。




登場人物増えた。
物語の進展が難しい。
色々難しい。


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第八歩

たった三色だった世界に一つ色が入ると、たったそれだけで世界がガラリと変わる。

見えていたものが見えなくなり、見えなかったものが見えてきたり。

世界に形が、位相が、見え方が、人柄が、何もかもが、ゆっくりと変わっていく。

まるで、メガネを掛けていなかった人が、メガネをかけたら、逆に目が見えない人の気持ちが解るように。

健康優良児が、大病を患って今まで当たり前だった1日1日に意味を見いだすように。

 

世界の変化は、自分だけでは留まらない。

 

世界は常に代わり続ける。

果てしなく、ゆっくりと。

例えそれが、一つの大きな世界だろうと、那由多ほどの星よりも多い、しかし小さな世界の集合体であろうと。

 

世界は常に代わり続ける。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「全くもう!お兄ちゃんはいつも遅いんだよ?何をやらせても、亀さんよりゆっくりなんだよ?私が5分で出来ることをお兄ちゃんはーーー」

ナミは、かき氷を買ってくるだけのはずのリュウジが、かなり遅くに帰ってきたことにプリプリと怒っていますよアピールをしながらお説教していた。

とうのリュウジは、ナミの正論に反論できずずっと謝ってばっかりである。

しかし、謝り方は上の空のような怒られていることに少しだけ喜んでいるような、アブナイ悦に浸っていた。

リョウタやマサキたちは、いつものこの光景に苦笑いを浮かべつつも、いつも道理の二人に安心?しつつ、リュウジが買ってきたかき氷を二人でつついていた。(二人で一つを食べてる。)

ナミのお説教が、ちょうど佳境に入るときに、お昼を告げる鐘が鳴る。

かき氷を食べ終わっていたリョウタは、学生らしく腹を空かしたらしく、腹をさすりながらナミに呼び掛ける。

「ナミちゃん。そろそろリュウジを怒るのも面白くないし、マサキが買ってきたお肉でも焼いてお昼にしよう?」

お昼の鐘がなり、ナミも空腹を思い出したのか、リョウタの提案に笑顔で頷く。

マサキは、キャンプ場の台の一つに新聞紙などの燃えやすいものを加え、いつでも火がつけられる準備を整える。

解放されたリュウジは、クーラーボックスの中から四人分には多い七人分ほどの肉やジュースを取り出し、網を準備する。

リョウタは、新聞紙を一枚手に取り、リュウジから持ってきていた着火マンを受けとると、新聞紙に火をつけた。

火がついた新聞紙を、台のなかに放り込み他の新聞や木炭に引火させる。

リュウジは、火が他の新聞や木炭に回り始めたら、団扇で火をあおぎ火力を強め、リョウタは網をセットした。

毎年やっていることなので、役割分担はすでにできており手早く肉を焼く準備ができた。

「うし。そろそろ肉焼くか!」

リョウタの鶴の声に、リュウジ、マサキ、ナオの3人が声をあげる。




今年は友達と海に行けるかな?
もう夏ですね~ 
登場人物としては、前回登場の菊 真咲(キク マサキ)さんと小学校3年生のブラコンのヤバい妹こと、高松 奈美(タカマツ ナミ)ちゃんですね。
さてと。
どうでもいいけど、一応伏線?回収を明日から明後日ぐらいにやります。


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第九歩

別のサイトで投稿し始めたら、こっちに手が回りそうにない(ダメじゃん受験生!)


世界は、1度変わってもそれに気づかない。

気づけない。自身の世界の異変を。

周りから見れば一目瞭然の変化は、自分からだと、中から見ると全く解らない。

例えで例をあげるなら、身長。

子供のころ、一年ほど親戚と会わなくて、久々に再開したら、大きくなった。と言われたことは無いだろうか。

あなたからしてみれば、その大きさは普通で、驚かれる要素は、何もないはずなのだ。

はたまた、一緒にいる親などが、その時になって子供が一年前より成長していることを気づくのもその例えの一つに数えられる。

世界の変化は、自分じゃ気づけない。

周りから指摘されなれば、はたまた、自分の、世界の過去を振り返らなければ。

変化していく世界の変化に、自分さえ巻き込まれてしまう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

肉を焼く。

聞こえはすごく簡単だ。

しかし、それは他人が見たら簡単なだけで、はたまた素人レベルの人間がやっても、ある程度雰囲気と調味料で美味しく感じてしまうから、それは凄く簡単に思えてしまう。

だが、タカマツ リュウジ、そしてタチバナ リョウタは違う。

幼少の頃は、親が連れていってくれた海に3人とも(親が一緒に海に来なくなってからナミは生まれている。)BBQをやっていたのだ。

そして、リョウタとリュウジは、BBQのメインとも言える肉を焼く仕事をやっていたのだ!(※単純に二人がやらせろと言っただけである。)

幼少の頃から毎年の海でのBBQは勿論、焼き肉パーティー、週一でしていた時期もあった焼き肉屋への特攻など、三人は肉を焼くことに対して命を張っている。

そして、異常なほどに張り積めたその空気からは、異常なまでに場違いなほど、美味しく焼けているであろう肉の香りが漂っている。

その香りと、お昼時と言うこともあり多くの人間の目線を釘付けにしていたBBQ台に、1人の女の子が近づいてくる。

「あ、あの!リ、リュウジ、さん!」

急に話しかけられたリュウジは、しかし、この時だけは真剣身が違い焦らず、慌てず、トングをリョウタに渡し振り向いた。

すると、そこにナオがいた。

相変わらずの顔だけは年齢離れしたお姉さん顔で。

「あ、え、えと、ナオちゃん。ど、どうしたの?」

ナオを見たリュウジは、一気に態度がおどおどになり、リョウタに助けを求めようと目をそらそうとする。

がしかし、リョウタは、肉を焼くことに精神を使いきっている。

こちらがまるで見えていない。

ナミたちはトイレに向かっているため、ここにいない。

つまり、また一対一の状況なのだが。

ナオは、リュウジがこちらをしっかり見たことを確認すると一言。

「わ、私たちも混ぜてください!お食事!」

リュウジに戦慄が走るのは言うまでもない。




あー、回収できなかった。
明日こそは絶対に回収しよう。
※伏線のはなし


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第十歩

世界は、最初は二色だった。

それら一部が、混ざりあい、溶け合い、調和しあい、結果として世界は三色になった。

彼(彼女)の世界の始まりは、きっとこの三色だった。

ある時、世界に一色、色が持ち込まれた。

その色の一部は、前の三色の一部と混ざりあい、結果として、たった一色の色が増えただけで世界は七色まで増えた。

色は、増える。

世界が、変わる。

しかし、彼は気づかない。

彼女は、分からない。

 

今はまだ、三色しかないキャンパスと色が増えたキャンパスの違いが分からない。

 

でも、あなたは知っている。

実は世界が変わっていることに。

そうじゃないと、何かが違うんだと、思うかもしれない。

 

何かが致命的に違うことは、世界が変わっているからだ。

 

世界の相違に目を背けないで。

逃げたって構わない。でも、目を背けないで。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(ナ、ナオちゃんが、俺たちと一緒に昼飯?!)

リュウジは、戦慄していた。

なにせ、先程わかれたはずのナオから急に話しかけられて、昼飯を下さいと言われたのだが、その判断は、リュウジ1人が単独で決断出来ることではない。

一緒に来ているリョウタやマサキ、妹のナミの許可も必要だろう。

また、この子の保護者役?の、タチバナ ユウヒさんにも許可を貰わなければいけないことだから。

そこまで考えて、リュウジは一つの疑問と、二つの違和感を感じた。

(ユウヒさんは、何処へ行ったんだ?)

その答えは、すぐ帰ってきた。

「コラー!ナオ!また1人で変なところに行って!迷子になっても知らないわよ!」

ユウヒは、別の女の子の手を引いて、こちらに向かってくる。

相変わらず?ナオしか目に入らないようで、先程さんざん疑っていたリュウジのことは、隣にいるはずなのに目に入っていないらしい。

ナオは、ユウヒから呼ばれたことに気づくと、少し残念そう(に見えた)顔をしている。

ユウヒは、ナオの手をとろうとゆっくり近づいてくる。

(さっきと違って妙に足取りが遅いな?)

ユウヒの登場に、もとからパニックになっていたリュウジは、一周回って冷静になっている。

そんなことを考えていると、手を引かれている女の子の顔が、次第にはっきりしてきたのだが。

女の子はずっと目を瞑っていた。

(あ、あれ。あの子、もしかして目が。)

ナオは、ナオで、ユウヒが女の子と一緒に来ているのを確認すると、慌てて女の子のところに向かう。

「だっ、大丈夫?!千秋(チアキ)ちゃん?!




眠い。
千字じゃ書きたいこともまともに書けない時がある。


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第十一歩

彼(彼女)は、世界を歩いている。

とても、鮮やかな世界を歩いている。

だがしかし、彼(彼女)には、その世界が見えていない。

悲しいことに、その世界の美しさに気づいていない。

悲しいことに、その世界の残酷さに気づいていない。

良くも悪くも彼(彼女)は、視界が狭かった。

見ようとするものが少なかった。

だから、彼(彼女)は、世界の良さに気づかなかった。

だから、彼(彼女)は、世界の悪さに気づかなくてよかった。

 

いや、もしかしたら、すべて、気づいているのかもしれない。

 

世界が広がっていることにー

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

盲目の少女は、最初から世界が見えていなかった。

だから、視界に写るはずのものが変化しても、気づけなかった。

これが、彼女が最初から持てなかったもの。

少女は、光が見えない。

だけど、人よりもずっと耳がよかった。

少女は、頭がよかった。

だから、少女は耳で聞いた世界《おと》を、しっかり理解できた。

良くも悪くも、理解できてしまった。

 

「大丈夫?チアキちゃん?」

ナオは、チアキと呼ばれた少女にもう一度問いかける。

チアキは、相変わらず目を閉じたままだ。

「はい。大丈夫ですよ?」

自分がなぜ心配されているか、よく解っていない?様子で返事を返す。

「それよりも、お腹が空いちゃいました。一緒に食べてもよろしいですか?リュウジさん。」

チアキの問いかけに、リュウジの存在に気づいたユウヒは、嫌そうな顔をしたが、空腹には耐えられないのか、はたまた、可愛い妹分たちの頼みからか、すぐさまその提案を蹴ろうとはしない。

お前もか!と感じながら、他の友達全員が良いって言わないと無理だ。と説明しようとして、リュウジは気づく。

(えっ?何でこの子は、俺の名前を知ってるの?)

名前を教えた覚えはない。

その事実と、教えてもいない自分の名前を知られていた恐怖に、リュウジは取り乱す。

「ちょ、ちょっと待って!何で君が、俺の名前を知ってるの?!」

少女に問いかける。

問われた少女は、さも当然のごとく、答えた。

「先程、ナオがあなたの名前を呼んでいましたから。」

先程。とは、リュウジがナオに食事をさせろと言われたときだ。

しかし、その時にチアキはおろか、ユウヒさえ見えないところにいた。

チアキが盲目のためどれだけ耳が良かろうと、ナオの声ならばともかく、全く聞いたこともない、会ったこともない男の声などを拾えるかと言われたら、まずあり得ないだろう。

しかし、チアキはそれをやってのけた。

リュウジは、驚きを隠せないでいると、後ろから肉が焦げる臭いがした。

慌てて振り替えると、リョウタが、大きく目を見開いて、固まっていた。

口は何かを言おうとして、開いたり、閉じたりを繰り返し、こちらに指先を向けている。

かすかに聞き取れた、リョウタの声に更にリュウジは、驚くことになる。

「ユ、ユウ、ヒ?」




やっと書けた。
疲れた。


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第十二歩

彼(彼女)は、山を登る。

山頂は、靄がかかったかのように見えることのない物だった。

あるいは、黒一色しかなかったのかもしれない。

彼(彼女)は、迷わず前へ、右へ、左へ移動しながら確実に前進する。

どれ程時間がたっても、山頂には全く届く気配がない。

しかし、彼(彼女)の後ろは、とても鮮やかだった。

まるで、モノクロの写真を見ているような彼(彼女)の目にその鮮やかな今までの現実は写らない。

映えない。

それでも、彼(彼女)は、進むことをやめない。

彼(彼女)の後ろの景色は、いつの間にか、とても多くの色が増えていた。

そして、色はまだまだ増え続ける。

 

彼(彼女)の全身が止まらない間は。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「ユウヒ?何でここにいる?」

リョウタは、あり得ないものを見たといった顔だ。

そして、リョウタの存在に気づいたユウヒも驚いている。

「な、なんで、あ、あなたが、ここに?」

二人とも同じ質問をして、動揺しきっていた。

動揺するユウヒに、気づいたのか、チアキがユウヒに訪ねる。

「姉さん。あの人がどうかしたのですか?」

チアキの質問は、単純に二人の関係を聞いていたのだが、ユウヒは動揺したためか、まともに返答ができずにいた。

ナオも、ユウヒの驚きに驚いている。

リュウジは、ユウヒの名字タチバナを聞いたときに、なんとなくそうではないかな。と感づいていたので、さほど動揺はしなかったものの、まさかあり得ないだろうとも思っていた。

そうして、その場の全員(チアキを除く)が動揺や驚きに固まっていると、トイレに行っていたマサキとナミが帰ってくる。

「ち、ちょっとこれどういう状況?!」

マサキは、リュウジやリョウタが驚いているよりも、何故か自分達のBBQ台に女の子3人が追加されているのとと、リョウタの意識を向けている相手が自分じゃないことに妬んでいた。

「あなたたち誰よ?!何でここにいるの?」

嫉妬によって怒気をはらませた問いかけに答えたのは、チアキだった。

「いえ、先程友達のナオが、リュウジさんに助けていたいただいたのでそのお礼に伺ったのです。それと、ここで会ったのも何かの縁ですし、一緒に昼食でもと思いまして。」

的確な説明だが、この説明にリュウジの背筋が凍った。

「お兄さん?ちょーっと。宜しいですか?」

いつの間にか後ろに移動していたナミが、リュウジの首根っこをつかむ。

抵抗と言うか、こういうことにウェルカムなリュウジは、ナミのお誘いに乗って何処かへ連れ去られるのであった。

 

なお、リュウジとナミの一悶着あった間に、ユウヒたちは、リョウタと打ち解けていたのは、また別の、と言うか明日でのお話。




遅くなってすみません。


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第十三歩

前振りのネタがそろそろなくなってきた二週間後です。(笑)


彼(彼女)は、うずくまっていた。

足下には、多くの色がごちゃごちゃに入り乱れている。

彼(彼女)は、泣いていた。

足を抱えて。

差しのべる手はなく、彼(彼女)は、ずっと一人だ。

山頂は、相変わらず見えない。

黒いような、白いような、日の光が届いていない深海のような世界に見える。

ポツリポツリと雨も降りだした。

しかし、絵の具のように、乾いていない筈の彼(彼女)の足元の色たちは、雨を受けてもなお模様を崩さない。

彼(彼女)は、雨に打たれて、撃たれて、討たれて。1人でうずくまる。

更に小さく閉じ籠ったように見える。

鮮やかだった目下《かこ》の景色も、雨に濡れて、霞んでしっかり見ることさえできないー

 

―――――――――――――――――――――――――

 

リュウジとナミが、兄妹の逢瀬?を済ませたあと、昼食をとるために戻ってくると、やけにマサキとユウヒが仲良くなっていた。

リョウタはリョウタで、二人に関わるまいと一心不乱に肉を焼いている。

チアキとナオは、リョウタが焼いたお肉を美味しそうに頬張っている。

呆気にとられた高松兄妹は、変なテンションになっている女子二人?に何があったと(心の中)で同時に突っ込む。

二人が固まっていると、、チアキがお肉を頬張る手を止めて、二人に話しかけてくる。

「リュウジとナミさん。お先に頂いています。それと、いつまでもそこに固まっていないでこちらに入らしたどうですか?」

言うやいなや、1人分だけ隣にずれて、座れそうなスペースをつくる。

軽く思考が止まっていた兄妹は、言われるがままにそこに座る。(自然にナミはリュウジの膝の上に座った。)

リョウタが蒼白になりながら肉を持ってきて、思考が動き始めたリュウジは、膝に座っているナミを下ろして、リョウタのところへ肉を焼きに行く。

「なぁ。あの二人に何があった?」

蒼白になっていたリョウタは、リュウジに話しかけられることで、少しばかり落ち着きを取り戻したようで、自分達も食べる分の肉を取り出し、半分をリュウジに渡しながらゆっくり語り始める。

「ユウヒをお前は知ってるんだったな。あいつは、俺の妹だよ。血の繋がった、双子の妹。」

なんとく感づいていたリュウジは、さほど驚かない。

無言のまま話の続きを促す。

「まぁ、生き別れって言うのかな?少しだけ早く生まれた俺は、今の両親のもとに、少しだけ遅く生まれたユウヒは、小さな児童保護施設に預けられた。」

なんとなく、リュウジは、聞いてはいけないことを聞いているような、そんな気がした。

リョウタは、そんなリュウジの心を読んだように、むしろ聞いてくれたほうが楽になる。と話を進めた。

「施設に行ったあとも、俺や両親はちょくちょくあいつに会いに行った。だから、顔は知ってたし、あいつがどういう生活かは知ってる。無論向こうも、俺の生活を知ってるわけだが。」

程よく焼けた肉の一切れを自分の皿にとり、リョウタとリュウジは、肉を食べながら話を進めた。

肉の味は、あまり覚えていなかった。




初めてこんな長々と書いたよ。
この物語で!


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