この素晴らしい世界に黄色い閃光を! (新田トニー)
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第1話 この英雄に異世界を!


ミナトが最高にカッコよかったので書きたくなりました。



「俺…母ちゃんに言われた事全然出来てねぇけど!そこそこ頑張ってんだ!」

 

ナルトは涙を流しながらそう言った。

 

「夢だってちゃんとある!父ちゃんを越す火影になる!ぜってぇなるからな!」

 

「あっちで母ちゃんに伝えてくれ!俺の事は全然心配なんかすんなって!しっかり、やってんだって!」

 

ナルトは涙を溢れさせながら父ミナトに言った。

 

「……分かった。全部しっかり伝えておくよ」

 

ミナトは天に昇り消えてゆく。どんどん高く昇りそして見えなくなった。

 

ーー???ーー

 

「ここは……どこだ?」

 

目を覚ましミナトが起きた場所はどこか神聖な雰囲気を思わせる場所であった。

 

「ようこそ波風ミナトさん。ここは死後の世界、貴方は死んだのです」

 

正確に言えばミナトは屍鬼封尽を使った代償として、死神の腹の中にいたのだ。やっと天国に逝けたというべきか。

 

「これから俺はどうなるんですか?」

 

ミナトはこれから自分がどうなるかある程度予想はしていた。

 

「貴方には3つの選択肢があります」

 

「まず1つ目は天国に逝くか、そして2つ目は生まれ変わるか」

 

ミナトは最初は天国に逝くつもりだった。だが次の女神の言った言葉がミナトの心を揺らした。

 

「そして3つ目……そこは魔王軍の軍勢によって窮地に陥っていた!」

 

「人々は魔王の略奪と殺戮に怯えていた!」

 

「結構ノリノリですね」

 

「あっすみません少し熱く語ってしまいました」

 

女神は少し照れながら言った。

 

「しかし本当なのですか?その世界が窮地に陥っているというのは」

 

「はい。私達女神は別の世界で死んだ人達をその世界に転生させているというわけです」

 

「ですがただ送っただけではすぐ死んでしまう人達がいるので私達が特典を送って転生させています」

 

転生かとミナトは思案していた。本来なら天界に行ってクシナとの再会を果たそうと思っていたが、

 

「わかりました。その世界に転生させて下さい」

 

「そうですよね、分かりました今天界に……ってええ!?いいんですか!?」

 

女神は酷く驚き狼狽えた。

 

「はい。本当なら天界に行きたかったですけど人々が苦しんでいるのにそれを無視して行ってしまったら俺、クシナに怒られちゃいます」

 

ミナトは少し困ったように言った。

 

「確か貴方の生前は火影という大役を担っていましたね」

 

「はい、ですがなぜ先代の火影様達は転生させないんですか?」

 

「転生する際は若い人でなければいけなかったんです」

 

「ですが俺はそれほど若くも無いですよ?」

 

ミナトは疑問に思った。なぜあまり若くない自分を転生させようと思ったのか。

 

「貴方は四人の中でも特に若い方でしたので」

 

それにと女神は続けた。

 

「先程言った通りその世界は魔王軍の進行により窮地に陥っています。なので転生者の中でもとびきり凄い人を転生させようと思ったのです」

 

「それが俺……ですか」

 

「世界を救った英雄、ナルトさんの父ですから」

 

だがミナトは不安だった。

 

(だが俺なんかで良いのだろうか……生前の世界でも俺は失敗した。そんな俺が世界を救うなんてーー)

 

「何より火影になった父ちゃんを……バカにすんじゃねぇ!!」

 

かつて共に戦った息子の声が聞こえた気がした。

 

(……そうだよな父親の俺がくよくよしてたらダメだよな)

 

「分かりました。転生させて下さい」

 

「特典はいいんですか?1つだけ持っていけるんですよ?」

 

「大丈夫です。自分の力で戦えます」

 

「……分かりました。では魔法陣の上に立って下さい」

 

女神は何か分かったかのように微笑んだ。

 

「女神様」

 

「はい」

 

「名前を教えてはもらえないでしょうか?名前が分からないまま送られてはもやもやしてしまうので」

 

ふふっと女神は笑った。

 

「こちらからも1つお願いがあるのですが、向こうの世界に私の先輩の女神アクア先輩を特典として持っていったサトウカズマという人とパーティを組んで頂けませんか?正直あの人達だけでは不安なんです」

 

なるほど女神にも先輩後輩はあるのかと思ったミナトは分かりましたと返事をした。

 

「私の名前はエリスです。では勇者よ!数多の勇者候補の中から魔王を討つ事を願っています。もし倒せたらどんな願いでも叶えてあげましょう」

 

そうしてミナトは異世界転生をした。

 

ーー駆け出しの街 アクセルーー

 

「ここが異世界なのか?」

 

辺りは木の葉の里と違い西洋風の街であった。異なる文化の違いに驚きしばらく街を見ていた。

 

「さてまずはどうするか……」

 

本来なら『ぎるど』という場所で職業を登録しなければいけないのだが、初めて来た場所なのでどこにあるのか分からなかった。

 

「よう!アンタもしかして冒険者になりに来たのか?」

 

声をかけたのはいかにも冒険者のような服を着た少年だった。

 

「ああここは初めて来たからどこに行けばいいか分からなくてね、出来ればギルドに案内してくれないかい?」

 

「ああいいぜ!じゃあ案内するからついて来てくれ!」

 

(……これは俺の勘だがこの服装からしてこの人は確実に転生した人だ!あの頭のおかしいパーティを少しでも改善する為に入ってもらわねぇと…!)

 

「そういえばまだ名前を教えて貰わなかったね。僕は波風ミナト。君の名前は?」

 

「俺?俺はサトウカズマ」

 

「君がサトウカズマ君かい?僕は女神エリス様に君のパーティに入ってくれと頼まれたんだ」

 

「本当か!?あの駄女神じゃない方の女神様がそう言ってたのか!?」

 

「駄女神?うん確かにそう言ってたよ」

 

「マジかよ!?いやー助かったぜアンタがあいつらみたいな奴じゃなくてホント助かったよ」

 

カズマは涙を流しながらそう言った。過去に何があったのだろうか。

 

「君のパーティって一体どんな人達なんだい?」

 

「え?ああそれはーー」

 

カズマがその事について話そうとするともう目的の場所にはついていた。

 

ーー冒険者ギルドーー

 

「今日はどうされましたか?」

 

「はい冒険者になりたいのですが」

 

「それでは登録手数料をお願い致します」

 

登録手数料?とミナトはポケットの中を漁ってみた。すると中にこの国の通貨らしき物が多数入っていた。

 

「これでお願いします」

 

「承りました。では手をこの水晶にかざしてください」

 

言われた通り手をかざすと水晶が機械音と酷似した音を立て、カードらしきものを作っていた。

 

「はい、ありがとうございます。波風ミナトさんですね…てえええええええええええええええええ!!??」

 

突然受付の人が驚き大声を上げたためミナトとカズマはびっくりしてしまった。

 

「ど、どうしましたか?」

 

「どうしたなんてものじゃないです!!ステータスは平均以上を遥かに超えています!!これだったらどんな職業にでも……てあれ?こんな職業見た事ないですね」

 

「どれですか?」

 

「あっはいこの職業なのですが…『忍』?こんなの見た事ありませんね」

 

『忍』、それはミナトが生前就いていた職業だった。木の葉の里を守れるのなら命を賭けてもいい、命を投げ捨ててもいい、そんな職業であった。ミナトはその中でも最も偉い火影だった。

 

「……忍でお願いします」

 

「えっ?はっはい分かりましたでは忍として登録致しますね」

 

「こほん、では冒険者ギルドへようこそ波風ミナト様、スタッフ一同今後の活躍を期待しております!」

 

ミナトが周りの冒険者達に取り囲まれている中、カズマは

 

「なーんかどっかで見た事ある光景だなー」

 

そう呟いた。

 

「それで登録したけど次はどうする?」

 

「次はーそうだなメンバー紹介と行こうか!」

 

「ちょっと集めてくるから待っててくれ」

 

「ああ分かった」

 

待つ事数十分…

 

「悪りぃ待たせた!じゃあお前ら、テキトーに座ってくれ」

 

カズマのパーティは個性豊かな面々がいた。

 

「ちょっとなになにー?あたしさっきまでバイトしててクタクタなんですけどー大事な用じゃなかったら即帰るからね!」

 

水色を基調とした服を着た少女がダルそうに言った。

 

「カズマ、この男は誰ですか?何やら珍しい格好をしていますね」

 

赤を基調とした服を着た少女が不思議そうに言った。

 

「まぁまぁ二人ともとりあえずカズマの話を聞こうではないか」

 

どこか怪しげな雰囲気を帯びた鎧を着た少女が言った。

 

「ああすまねぇなダクネス、今回集まってもらったのは他でもない…新しいメンバーを紹介するために来てもらった!」

 

「じゃあミナトさん自己紹介を頼む」

 

「ああ、俺は波風ミナト、今日職業を登録したばっかりでほとんど何も分からないけどよろしく頼むよ」

 

「あたしはアクアよ!水を司る女神の女神アクア様よ!」

 

アクアは自信たっぷりと言わんばかりに言った。

 

「自称している可哀想な人です」

 

「なんでよぉぉぉぉぉ!!」

 

カズマとアクアが取っ組み合いをしているのを見て呆れたクルセイダーの見た目をした少女が

 

「私の名前はダクネスだ。私達のパーティにようこそ、歓迎するぞ」

 

この子は普通みたいだなとミナトはホッとした。

 

「最後に私ですね……我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、爆裂魔法を操りし者!」

 

「個性的な名前だね。よろしくめぐみん」

 

「おい私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

一通り挨拶を終えたところでカズマは切り出した。

 

「それじゃあミナトさん、突然で悪いんだけどクエストを受けてくれないか?」

 

「クエスト?ああいいよ」

 

「いやーミナトさんがさっきのですごい奴っていうのは分かったんだけどさ、俺達まだミナトさんの実力見せてもらってないから確認しておきたくて」

 

それも当然かと思いミナト達はクエストを受けに行った。

 

「じゃあ今回はジャイアントトードっつーでかいカエルを5匹討伐してください」

 

「5匹だけで良いのかい?」

 

「えっそれってどういうーー」

 

「はい終わったよ」

 

(何言ってんだこの人?ていうか一瞬消えなかった?)

 

改めてジャイアントトードの方を見るといつの間にか倒れていた。

 

「………ん?お前ら今何が起きたか分かった?」

 

俺がそんな事をぼーっとしながら聞くと

 

「………いっ今起こった事をありのまま話すわ……ミナトが一瞬消えたらジャイアントトード達は倒れていた。なっ何を言ってるか分からないかもしれないけどあたしも何を言ってるか分からなかった。頭がどうにかなりそうだったわ」

 

頭がおかしいのはお前だろと言いたかったが余りの突然の出来事に俺達は困惑していた。

 

「あれっ?そうか君達にはまだ教えてなかったね。このクナイにマーキングしてこれが飛んだところに移動出来るんだ」

 

すげぇ!!!後で教えてもらおう。

 

「じゃあ終わった事だし帰って報告しようか」

 

「えっああそうですね行きましょうか。おーい帰るぞお前ら」

 

なんて事だ。俺もさっきぼーっとしてたけどこいつらまだ抜けきれてないな。あれがミナトさんがもらった特典なのか?にしてはやけに慣れすぎてたような…まぁいいか強ければ。

 

こうして俺達の新たな仲間が増えた。でもミナトさんにはまだまだ秘密が多そうだ。そうしてこれから俺達が魔王を倒す為の冒険が始まるんだ!なんて思ってたのに……

 

「毎日毎日!!俺の城に爆裂魔法をポンポンポンポン打ち込んでくる大馬鹿者は誰だァァァ!!!」

 

………どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

 

 





ノリと勢いだけで書いてしまった。でも楽しいからいいや!(適当)


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第2話 怒りのベルディア


今回ベルディア戦行くかな?


やばい。なぜこんな言葉しか出ないかというと俺達は魔王軍の幹部、ベルディアに喧嘩をふっかけてしまったのだ。

奴は今凄くお怒りだ。あぁ…なんでこんな事になったんだろう。

 

「あれ?依頼の張り紙がほとんどないぞ」

 

「カズマ!カズマ!これにしようブラックファングと呼ばれる巨大熊討伐を!」

 

却下だ。

 

「これくらいならなんとかなるかもしれないな……」

 

いやミナトさんも何言ってんすか。

 

この日も俺達はこんな調子で1日を過ごしていた。

 

「しかも高難度クエストしかないぞ」

 

「申し訳ございません。ただいま魔王軍の幹部らしき者が近くの廃城に住み着いておりまして」

 

受付のお姉さんが親切に教えてくれた。

 

魔王軍の幹部か…あまり刺激しない方がいいな。それから俺達は別々に行動した。アクアはアルバイト、ダクネスは実家で筋トレ、ミナトさんは高難度クエストを連続で受けているらしい。あの人マジで何モンなんだ?ちなみになぜそんな事をするのかと聞くと

 

「ここのパーティを少しでも潤いを持たせないとね」

 

俺は感動してその場で泣いた。この人いい人すぎるだろ…

そして俺とめぐみんはめぐみんの爆裂魔法に付き合ってやっていた。

 

それがこのザマだよ。めぐみんが毎度撃っていたのはベルディアが住み着いている廃城だった。なぜあの時止めなかったんだ。己の無知を呪う。しかもこの時に限ってミナトさん居ないし。いやいやこの場を何とか切り抜けなければ!

 

「俺の城に爆裂魔法をポンポン打ち込んでくる頭のおかしい奴は誰だぁぁぁぁ!?」

 

そして今に至る。

 

「お前が爆裂魔法を打ち込んでくる大馬鹿者かぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ベルディアはめぐみんにこれまでの鬱憤を全部ぶつけた。

 

「俺が!?魔王軍の幹部だと知って喧嘩売っているなら堂々城に攻めてくるがいい!それが嫌なら街で震えているがいい!ねぇどうしてこんな陰湿な嫌がらせするのぉ!?」

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードにして爆裂魔法を操る者!」

 

一瞬沈黙が続いた。

 

「なんだめぐみんってふざけてんのかぁ!」

 

「ち、ちがわい!」

 

「フン、まぁいい。もう金輪際爆裂魔法は使うなよ」

 

「無理です。紅魔族は日に一度爆裂魔法を撃たないとダメな体質なんです」

 

「そんなこと聞いたことないぞ!?」

 

「そうか……どうしてもやめる気は無いと」

 

途端ベルディアの目つきが変わった。

 

「汝に死の宣告を……」

 

「まずい!死の宣告か!」

 

ベルディアの放った死の宣告がめぐみんに当たりそうになったその時

 

「ぐ…!」

 

死の宣告を受けたのはめぐみんを庇おうとしたダクネスではなく飛雷神の術で飛んできたミナトだった。

 

「ミナトさん!!」

 

ミナトは苦痛に耐えるがすぐにこちらに微笑み

 

「やあ、遅くなったね」

 

「そんな事はどうでもいいですよ!大丈夫ですか!?」

 

「痛みは消えたみたいだ」

 

「結束が固い貴様らだとこちらの方が応えそうだな」

 

「紅魔族の娘よその男は一週間後に死ぬ。お前のせいでな!」

 

「貴様がやったこれまでの行いを悔いるがいい」

 

めぐみんの顔が暗くなる。

 

「その呪いを解きたくば我が城に来い」

 

ベルディアは高笑いしながら消えていった。

 

めぐみんが立ち上がり、何か決意した表情で向かおうとしていた。

 

「めぐみん何をする気だ?」

 

「ちょっとあの城に行って爆裂魔法を撃ちこんで来ます」

 

「めぐみん」

 

ミナトがめぐみんに優しく言う。もしかして怒っているのだろうかとめぐみんは少しばかり涙目になる。

 

「君が行く必要は無いよ。これは俺が自分でやりたくてやった事なんだ」

 

「まさかミナトも私と同じーー」

 

「お前はちょっと黙ってろよ」

 

「でも!ミナトは私を庇って死の宣告を受けちゃったじゃ無いですか!私がベルディアに対して調子に乗ったばっかりに!」

 

「それは違うよ。めぐみん」

 

「!」

 

「君はあの中でたった一人でベルディアに立ち向かったじゃないか。誰でも出来る事じゃない。君は強い。この街で最強の爆裂魔法の使い手だよ」

 

「ミナト……」

 

「これは自分でやった事だからね。自分の事は自分で責任を取るよ」

 

「ちょっと!ミナトさんばっかりかっこいい真似はさせませんよ!」

 

「カズマ君…」

 

「でもやっぱりこれは私のせいで起きた事なので私も同行しますよ!」

 

「さっきは全然クルセイダーらしい事は出来なかったからな。今度こそはさせてくれ」

 

「お前のクルセイダーらしい事ってなんだよ」

 

「……良いのかい。生きて帰ってこれる保証は無いよ?」

 

「大丈夫ですよ!ミナトさんがいますし!」

 

結局他人任せじゃ無いですかとめぐみんはつっこむ。

 

「セイクリッド・ブレイク・スペル!」

 

「!これは!?」

 

ベルディアが放った死の宣告が体から消えて行くような感覚があった。

 

「このくらいの呪いだったら私の魔法で十分よ!」

 

あまりの突然の出来事に皆戸惑いを隠せなかった。

 

ウォォォォォォォォォ!と歓声が起こった。

 

「俺達の思いを返せよ」

 

周囲はとても盛り上がっていたがミナトは安心したように去って行った。

 

「ミナトさん!どこに?」

 

カズマがそう聞いた。するとミナトは

 

「少しばかりクエストに行って来るよ」

 

そう行ってミナトは去って行った。だが彼はクエストを終えたはずだ。一体なんのクエストに?

 

「まさかな…」

 

カズマ薄々彼がやろうとしている事は分かっていたが彼には何か話しかけづらい雰囲気が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 





ベルディア戦は第3話に移ります!少し時間がかかるかもしれませんが堪忍して(涙目)


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第3話 異名の由来

戦闘描写は自信が……



「………おそぉぉい!!!」

 

「あいつら容赦なさすぎだろ!!なんで仲間が呪いかけられたのに助けに来ないの!?鬼畜なのあいつら!?」

 

ベルディアは一人腹を立てていた。それもそのはず仲間が死にかけているというのにそれを作った元凶を倒しに来ないのだ。当然元騎士だったベルディアも怒るだろう。

 

「全くなんなのだあいつらは!やはりもう一度俺が……」

 

ベルディアは何かに気づいたのか立ち上がるのをやめ、何かを待っていた。

 

「やはり来たか……さあ俺を倒し、仲間をってえええええええええええええええええ!?!?」

 

ベルディアは酷く声を荒げた。来たのは仲間の呪いを解こうとした奴らではなく呪いをかけられた本人だった。

 

「なっななななななななななんでぇ!?お前!お前は俺が呪いをかけた奴だろ!!なんでお前が来てんだよ!普通は仲間が来るところだろ!?なんでぇ!?」

 

「いや、俺はもう呪いはかかって無いよ」

 

「ふぇ?」

 

ベルディアは気の抜けた声を上げた。

 

「俺の仲間にすごいアークプリーストがいてね、その子に呪いを浄化して貰ったんだ」

 

「なん…だと……」

 

ベルディアは感無量とばかりに言葉を失った。

 

「で、では一体なんのために?」

 

「前あなたが呪いをかけようとしたアークウィザードの子はまたあなたの住んでいる廃城に撃ち込むつもりだからね、またあなたが来ると思ったからあなたには悪いけどここで倒れてもらうよ」

 

「名を聞かせてもらえぬか?貴様とはいい勝負が出来そうだ」

 

「波風ミナトだ」

 

「そうか……波風ミナトか。俺はベルディアだ」

 

「ここまで来たという事は我が配下を倒したという事か。面白い!このベルディア、全力を持ってお前の相手をしよう!」

 

「では参ります」

 

ミナトはクナイを飛ばした。ベルディアはただのクナイだと思い、それを躱した。だがそれがいけなかった。ミナトはなんの予備動作も見せずにベルディアの前まで迫った。ミナトは投げたクナイを手に取りベルディアの体まで迫った。が、ベルディアはすんでのところで手に持っていた己の剣でそれを弾いた。

 

「なんだ今のは!?消えたと思ったら一瞬でこちらに現れただと!?」

 

「あいにくだけど種明かしをする気は無いよ!」

 

ミナトは続けてクナイを投げた。だがベルディアは先程とは少し余裕を持った動きでそれを受け流した。

 

「大体だが貴様の能力が分かって来たぞ!貴様はその武器に何か術式を施し、その武器のところまで飛べるのだな」

 

「バレたか…だけど少し遅かったね」

 

何のことだ?とでもベルディアは言いたげで彼の言っていることが分からなかった。

 

「そろそろか…」

 

ミナトがそう呟くと、ミナトはまた飛んだ。ベルディアはどこから来るのかと辺りを見回したがミナトは現れなかった。だが次の瞬間

 

ドォォォォォォォォォン!!!

 

突然爆音がなった。だが鳴ったのは外では無く城の中だった。ベルディアは何が何だか分からず苦痛に耐えながら辺りを見回した。

 

「奴はどこにーー」

 

「ここだよ」

 

ミナトは思いきりクナイを振りかざした。

 

見事に当たり、ベルディアはよろめく。

 

「ぐぅ……貴様は一体何をした!?」

 

「言っただろ?爆裂魔法を撃つのが趣味の子だって」

 

「まさか貴様……爆裂魔法を瞬間移動させてこっちに持って来たのか!?」

 

「無事でしょうかミナトは」

 

「あれくらいで死なないよあの人は………多分」

 

「多分って何ですか!?」

 

カズマとめぐみんは廃城から離れた場所にいた。

 

「にしても驚いたよなぁ爆裂魔法を使うなじゃなくて使えなんて言われて」

 

「えぇ、でもまさか私の爆裂魔法を瞬間移動させるとは思いませんでした」

 

めぐみんはカズマにおぶられながら呟いた。

 

「でもただの実験だから良かったものの、もしベルディアに攻撃したらタダじゃ済まなかったもんな」

 

とカズマがため息を吐く。まさか本当にベルディアと戦ってるとは思わなかっただろう。

 

「俺も本気を出してやろう………行くぞ!!波風ミナトォォォォォォォォォ!!」

 

ベルディアは自ら己の頭を天高く上げた。ミナトはクナイをベルディアに向けて投げ、飛雷神の術を使った。だが

 

「見えているぞ!」

 

ベルディアはミナトが飛んで来た所をまるで分かっているかのようにミナトの攻撃を避けた。ミナトはベルディアの剣撃をクナイで弾く。そしてベルディアは上段の構えで剣を振り下ろすミナトはそれを白刃取りで剣を抑えた。

 

「貴様の力はそんなものか!?もっと俺を楽しませて見せろぉぉぉぉぉ!!」

 

ベルディアはミナトを蹴りで飛ばそうとしたが間一髪で飛雷神を使い別の場所に飛んだ。

 

「今度こそ、ここで終わらせるよ」

 

ミナトは手に力を集中した。それは彼が尾獣玉を参考に発案した彼の術、螺旋丸だった。

 

ミナトはベルディアの元に走り出した。

 

(おそらく近づいて来るのは直接相手にぶつけなければいけないと言うことだがなぜ奴はあれをしない?何か意味があるのか?)

 

「フハハハハハ!!血迷ったか!ここで貴様の命もーー」

 

ドォン!!

 

「は?」

 

気がつけば奴はいた。それがベルディアの率直な感想だった。

 

「螺旋丸!!」

 

ミナトは螺旋丸をぶつけるとそれを勢いよく上空へ飛ばし、それを飛雷神の術でベルディアの背後まで移動し、再び螺旋丸をぶつけた。するとさっきまで上空へ飛んでいたベルディアは一気に真下に落ちた。正確には落とされた。

 

「………ガハッ!!……何故だ………貴様……どうやって俺の前に………」

 

「簡単なことだよ。さっきあなたにマーキングしたんだ」

 

「マーキングだと………?俺はマーキングさせる隙など与えては………」

 

「さっきあなたが俺に剣を振りかざしただろ?その時剣にマーキングを施し、あなたの体に移動させたんだ」

 

「『黄色い閃光』これが俺の国にいた時の異名だよ」

 

「………………フフフ完敗だ。相手にとって不足なしといったところか…………」

 

ベルディアは満足そうに言った。もう彼はあと少しで死んでしまうだろう。

 

「満足だ………もうこの世に未練は無い…………最後にこんなに強い相手と戦えたんだからな………俺にはもったいないくら……いだ………」

 

ベルディアの兜の中の光が消えた。

 

「彼は強かった。少しでも気を抜いていれば俺もどうなっていたかわからなかったかもしれない……」

 

そしてミナトは城を去った。四代目火影ほ名が入ったマントをたなびかせて。

 

 

 

 

 




ねっ?だから言ったでしょ?(戦闘描写)


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第4話 先生再び


今回はミナトとがカズマ達の修行をします。ミナトにやらせたかったんですよ………


 

「おいっ!ダクネス!!援護してくれ!!」

 

「すまないこっちはこっちで手一杯だ!!」

 

「カズマ!私が爆裂魔法を撃って足止めさせましょうか!?」

 

「いやダメだ!規模がでかすぎる!」

 

「カズマー!私は何すればいいー?」

 

「お前はそこで遊んでろ」

 

「なんでよォォォォ!!」

 

あれ?なんで俺戦ってるんだ?というか誰と戦ってるんだっけ?ああそうだ。俺確かミナトさんと戦ってるんだ。

………ん?そもそもなんで俺達ミナトさんと戦ってるんだっけ?

 

ーー1日前ーー

 

「ええ!?ミナトさんあのベルディア倒したんすか!?」

 

「こらカズマ。ギルドの人達がびっくりしてるだろ、もう少し静かに」

 

ミナトはカズマに諭すように話す。

 

「あっすみませんってそんな事より!ホントですかベルディア倒したの!?」

 

「ああそうだよ」

 

「だが何故倒したんだ?別にあれから爆裂魔法を撃っていた訳でも無いのに…………ハッ!?まさかミナトも私と同じ趣向をーー」

 

「ハイハイ変態はお帰り下さいねー」

 

何故こいつはいつもミナトさんは自分の趣味と同じ趣味を持っていると思ってるんだ。カズマはそんな風に冷や汗をかきながらミナトの答えを待った。

 

「うん、実はめぐみんがアクアと一緒に爆裂魔法を毎度撃ち込んでいてね、またここにやってくるだろうと思って俺の方から行ったんだ」

 

途端冷や汗をかきながらロクに吹けない口笛を吹き出したアクアがいた。

 

「お前かァァァァァァァ!何ミナトさんに迷惑かけてんだよ!!お前がめぐみんと行かなきゃ!!ミナトさんにこんな事させずに済んだんだぞォォォ!?」

 

アクアは頬を思い切りつねられながら涙目になりながら言った。

 

「だってだって!他にやる事無かったしムカついてたからストレス発散したかったのよ!」

 

「お前なぁ!」

 

「まあまあ、落ち着いて。それよりもあの時君達は魔王軍幹部が来ても戦えなかった」

 

ミナトが真面目な表情をしながら言った。

 

「だから明日、俺が修行をつける」

 

修行?と4人は疑問を浮かべながらミナトを見る。

 

「修行は明日やるよ。4人共それぞれ準備をしておいてね」

 

ミナトさんはそういうと何かクエストを受けていた。あの人ベルディア倒したのになんでまたクエスト受けるんだろう。そんな事を考えていた俺は修行のため明日に備えていた。

 

「今日君達には俺から鈴取ってもらう」

 

「「「「は?」」」」

 

朝集まった4人の最初に放った言葉がそれだった。

 

「何故鈴を取る必要があるのですか?」

 

はじめに質問をしたのはめぐみんだった。ミナトはめぐみんによく言ったと言わんばかりに

 

「それはね、君達が連携して俺から鈴を取らせてチームワークを深めるっていう修行なんだ」

 

なるほどとめぐみんは納得した。

 

「まず俺からは手はなるべく出さない。でもそれなりにはやらせてもらうよ」

 

「それじゃあ前置きはこのくらいにして………始めようか!」

 

ミナトはクナイを構えた。カズマはハッと気がついた。

 

(そうだ……。もう修行は始まってるんだ………。何か作戦を練らないと!)

 

そうカズマが決意するとまずダクネスに指示を出した。

 

「ダクネス!ミナトさんの動きを抑えてくれ!」

 

「ああ分かった!」

 

ダクネスは己の剣を構え、ミナトに突撃した。

 

「ハアッ!」

 

ダクネスが思い切り剣を振るう。だが剣は当たらない。いや、当たらないと言うより当ててないのではというくらい剣が当たらなかった。

 

「………まず君は剣の振り方からだね」

 

「!!う、うるさい!!」

 

ダクネスは頬を赤らめながら剣を振った。だが当たらない。

 

「………あいつはダメだな。おいアクア!お前水の女神なんだろ?あっ宴会芸の女神だったか」

 

 

「なんですってぇぇぇぇぇ!?私は女神よ!?舐めないで頂戴!!」

 

そう言うとアクアは詠唱をし始めた。周りにはただならぬ神聖な雰囲気が漂っていた。これにはミナトも下手には動けず、様子を伺っていた。

 

「この世にある全ての眷属達よ。水の女神アクアが命ず。我が求め、我が願いに応えよ。その力を世界に示せ!」

 

(まずい!何か来る!?)

 

ミナトはクナイを持ち、別の場所に飛ぼうとしたが

 

「させるか!」

 

カズマとダクネスがミナトの周りを囲っていた。脱出するのは困難だ。

 

「セイクリッド・ウォーター!!」

 

アクアが魔法を発動した。辺りには洪水とも呼ぶべきレベルの水が流れ始めた。

 

「こんな量の水出せなんて言ってねーよ!!」

 

「うっさいわねヒキニート!私クラスだとこんくらい出せんのよ!すごいでしょ!」

 

まあ少し予想外だったがこれで少しは飛びづらくーー

 

「いやあ驚いたね。まさかこんな量の水を出せるなんて」

 

ん?あれ?あの人水の上に浮いてない?え?何あの人あんな事も出来んの!?

 

「あなたは水の上に浮く事もできるのですか!?」

 

「うん。あと他に壁にくっついたり」

 

「あなた何者ですか!?」

 

そうめぐみんが混乱しながら言った。そう言われるとミナトは自信たっぷりに答えた。

 

「忍だよ!」

 

アクアが唱えた水の魔法はようやく収まり、洪水の残りの水たまりが出来ていた。

 

「それで?まだ俺から鈴を取れて無いけど。一応言っておくけど、本気で鈴を取りたいのなら殺す気で来た方がいいよ」

 

(殺す気でかかって来いだって?それで本当に死んだらどうするんだ!?)

 

とカズマが悩んでいると

 

「カズマー!その事なら問題ないわー!私の蘇生魔法で生き返らせるからー!」

 

「えっ!?お前そんな事出来んの!?」

 

カズマはひどく驚いた。するとアクアは驚かれた事にキレまた口論が始まった。

 

「とにかくその心配はしなくていいからアンタはどんどんやっちゃいなさい!」

 

アクアに押されカズマは半信半疑ながらも皆を集め手短に作戦を伝えた。

 

「………つーわけでこんな感じだ。じゃあ頼むぞ!」

 

「分かったわ!」

 

「了解しました!」

 

「承知した!」

 

各々はカズマの言われた作戦を実行すべく配置についた。

 

「いよいよチームプレイが出来そうだね」

 

ミナトは嬉しながらも警戒を怠らない。そして

 

「ダクネス!突撃だ!アクアはさっきより小さい水魔法を!」

 

ダクネスがミナトに近づき剣を振りかざす。だがさっきと同じように剣は当たらず見当違いな所に当たっていた。ダクネスは頬を赤らめながら剣を振っている。対してアクアは水魔法を放っていた。だがミナトはダクネスの剣を躱しながらアクアの水魔法も躱していた。

 

「めぐみん!作戦通り頼むぞ!」

 

「分かってます!」

 

めぐみんは爆裂魔法の詠唱を始めていた。

 

(めぐみんの爆裂魔法は時間がかかり広範囲だが留まらせなければ意味がない。一体何をする気だ?)

 

ミナトがそう思案しているとカズマが

 

「今だダクネス!避けろ!」

 

カズマはダクネスに指示を出すと魔法フリーズを放った。放たれたフリーズはミナトに放ったのではなくミナトの足元の水たまりに放った。

 

(そういうことか!ダクネスとアクアに気をそらせて足元の水たまりを凍らせて動きを止めたのか!)

 

ミナトはすかさずクナイで飛ぼうとしたが少し遅かった。ちょうど詠唱を終えためぐみんがミナトの頭上に爆裂魔法を撃ち込んだ。

 

「エクスプロージョン!!」

 

ドォォォォォォォォォンッ!!!

 

地面にはクレーターが出来ており、ミナトの姿は何処にも無かった。

 

「お、おいホントに生き返らせる事が出来るんだよな?」

 

「も、も、も、もちろんよ!…………多分ね」

 

「お前ふざけんなよぉ!!??お前が心配すんなやれっつたから俺はやったんだぞォォォ!?」

 

「ハァァァァァァァ!!!?そんなのやったあんたが悪いんじゃない!?私は何もしてないわよ!?!?」

 

「皆!この勝負………ミナトの勝ちだ」

 

「「「は?」」」

 

ダクネスが突然訳がわからない事を言った。元々訳が分からない事を言っていたがこれはさらに訳が分からなかった。

 

「皆良いチームワークだったよ!」

 

「「「えええええええええええ!?」」」

 

ミナトはダクネスの背後を取りクナイを突きつけていた。

 

「な……どうやってあそこから?何処にもクナイは投げられてないしもし投げられてもさっきのアクアの魔法で流されてたはずじゃ………」

 

「それはね………」

 

ダクネスの鎧には何やら不思議な文字で書かれていた物があった。

 

「ダクネスの剣撃を躱していた時にダクネスの肩にマーキングをしたんだ。だからあの時クナイを投げて飛ぶ必要は無かったんだ」

 

「でももしそれをやってなかったらアレを使わなきゃいけなかったよ」

 

カズマはアレ?と何やら意味深な単語が聞こえたのでもう一度聞こうとしたがミナトが次に進んでしまったので聞くに聞けなかった。

 

「皆良くやったじゃないか。俺も少し焦ったよ。このまま連携がもっと深まればもっと強くなれる。日々の積み重ねを怠らないようにね!」

 

ミナトはそういうと服についた土を軽く落とし

 

「今日はこれで終わりだよ。それじゃあ帰ろうか」

 

皆に帰ろうと促した。

 

「やっぱりミナトさんには勝てねぇな………」

 

「ああ勝てるビジョンがまるで見えん」

 

「強すぎるのです」

 

「あの人ホントすごいわね〜」

 

皆が皆感嘆の声を上げていた。

 

(先生やったの久しぶりだな………)

 

ミナトはかつての部下達を思い出していた。オビト、カカシ、リン。

 

(もうあんな事は絶対に起こさせやしない!)

 

ミナトはかつて自分のせいで起こした失敗を思い出した。

 

(でも何だろうな………彼らなら絶対に間違わない気がするのは)

 

ミナトは何か安心感を覚えていた。彼らなら大丈夫だろうと、彼らなら乗り越えて行けるだろうと。

 

そしてミナトは歩を進めた。今度は大事な物を奪われない為に。

 

 

 

 

「ほ〜うミナトのやつ良くやっているようだな」

 




第4話書き終わりました!疲れましたー!そして最後の声の主は一体誰なのでしょうか?近いうちだす予定なので楽しみにしていて下さい!


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第5話 この若者に螺旋丸を!


少しばかり間が空いてしまいました。遅れて申し訳ありません。それではどうぞ!


 

俺達がミナトさんと修行をしてからはや一週間。時が経つ

とは早いものだ。俺達はギルド内で談笑していた。

 

「ミナト次は!?まだまだ続きはあるんでしょう!?」

 

めぐみんは目を輝かせながらミナトにずいずいと寄っていて、ミナトは少し困った顔をしながら話の続けた。ミナトさんが言うには絶対絶命の部下達を一瞬で倒したとか尾獣と呼ばれる化け物の半身を封印術で己の体に宿したなどありえない話だった。もっとも彼が言うにはこれが日常茶飯事だったという。だから戦い慣れしていたのだろうか?

 

「のぉ小僧、どう思う?あの最近活躍しているあのミナトとかいう奴は」

 

いきなり誰かが話しかけてきた。見てみると髪は白く顔はシワができておりいかにもじいさんといった見た目だ。

 

「えっ?ミナトさんですか?いやーもうすごいなんてもんじゃないですよ。クナイを投げたと思ったらいつの間にかジャイアントトード死んでてしかもたった1人で魔王軍幹部も倒しちゃうんですから」

 

そう俺がミナトさんの活躍ぶりを言うとじいさんはとても満足そうに

 

「だろうだろう!?忍者をなめるなよ?なんせ奴はこのワシが育てたんだからのお!」

 

「えっそれってどういうーー」

 

「ああそうだワシはクエストがあるからここを出る。それじゃあな小僧!ミナトを頼むぞ?」

 

「忍か………」

 

カズマは何やら聞きたいことがあった。それを察したアクアが

 

「なになにカズマさん。もしかしてあなたも興味あるんじゃ無いの?」

 

アクアはぷーくすくすと笑いながら話しかけてきた。こいつの顔はいつもムカつくな。

 

「それもそうだけどミナトさん、自分の事忍っつってただろ?だからなんか忍術みたいなのあるんじゃないかって。ほらあの瞬間移動みたいなのも便利だし習得したいと思ってさ」

 

「ふーんカズマのくせにいろいろ考えてんのね」

 

いちいち頭にくる事を喋る奴だな。ってそんな事より!ミナトさんに何か術を教えてもらおう。

 

そしてカズマはミナトとめぐみんとダクネスがいる席に近づきミナトに何か術を教えてくれと頼んだ。するとミナトは

 

「分かった。それじゃあ人の少ない場所に行こうか」

 

というとミナト達は森に入っていった。

 

「確かこの世界はスキルって言って冒険者は見ただけでスキルポイントを使って習得する事が出来る。そうだったね?」

 

とミナトがいうとめぐみんがその通りですと答えた。

 

「今から見せる術は俺がさっき言っていた尾獣の技、尾獣玉を参考にした取得難易度Aランクの術だよ」

 

ミナトは右手をかざし集中した。するとミナトの手にエネルギーの集合体が現れ渦を巻いている。

 

カズマはおおと興味津々に見つめていた。

 

「そしてこれを対象にぶつける!」

 

ミナトがカッと目を見開く。

 

「螺旋丸!!」

 

ミナトは螺旋丸を木にぶつける。すると木はみるみるうちに削れて行き螺旋状の傷ができた。

 

「す、すげぇ………」

 

これがミナトさんの必殺技か!こんなの食らったらまず無事じゃ済まないな。どれどれスキルポイントは………って高過ぎるだろ!でも今まで節約して来たからなギリギリ使える。よし習得しよう!

 

そうしてカズマは螺旋丸を習得した。早速カズマは習得した螺旋丸を試そうと使ってみた。が、

 

「……………なんだこれ」

 

カズマの手のひらにはビー玉サイズの光が浮いていた。そのビー玉は今にも消えてしまいそうだ。

 

「ま、まぁ練度によっては大きくなったりするからまぁその……諦めないで!」

 

「チキショォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

「あ!カズマ!」

 

彼は泣きながら森の中に逃げ込んでしまった。よく見ると顔も真っ赤になっていた。

 

「ミナト!追いましょう!」

 

「ああ。でもカズマにはひどい事をしたな………」

 

「ミナトは悪くないぞ」

 

ダクネスがすかさずフォローした。カズマが悪いとも言えなかったが。

 

「カズマあんなちっちゃいのしか出せなかったなんてちょーウケるんですけどプークスクス!」

 

アクアはというと思いっきりカズマを煽っていた。もしこの場にいればカズマは確実にアクアに掴みかかっていただろう。

 

「あれは!ヤバイぞブラックファングだ!」

 

ダクネスが指刺したその先にはブラックファングに襲われそうになっているカズマの姿があった。

 

「ヒィィィィィィィィィィィ!!助けてェェェェェェェェェ!!」

 

「くっ…!間に合え…!」

 

ミナトがクナイを投げようとしたその時

 

「螺旋丸ッ!!」

 

カズマを殺そうと思いっきり振り上げられた腕が力が抜けたように空振り倒れた。

 

「ミナトォ、あとちょっと早く動かないともう少しでこの小僧が死ぬところだったぞ?」

 

そこにはブラックファングの死体の上に座りミナトと同じような服を着た男がいた。

 

「……………なぜ!?なぜ貴方がこの世界に!?」

 

現れたのはミナトのかつての師匠伝説の三忍、自来也だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





少し短い文章ですみません!なぜ自来也がこの世界に来れたのかは次回説明します!


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第6話 この師匠に弁明を!


夏休み何もする事なかったですね………自分なんてほとんどゲームですよ。あっそうだすみません!!出来れば早めに書き上げたいのですが最近意欲がなくなって来てしまって………


 

「………なぜ!?なぜ貴方がこの世界に!?」

 

久しぶりの師弟の再会。ミナトはとても驚いているが自来也は冷静だった。

 

「久しぶりだなぁミナト!元気にしてたか?ワシがいくら探してもこの世界にいなかったからそのまま天国に行ったのかと思ったぞ!」

 

「ミナト、この人は誰ですか?妙にミナトに馴れ馴れしいのですが」

 

めぐみんは少し不機嫌そうに言った。すると自来也が

 

「う〜〜〜〜ん30点だのう………」

 

何やらめぐみんを見て点数を付けていた。

 

「………おい、どこを見て点数を付けたのか正直に話してもらおうか」

 

「人それぞれ個人差があるからのう………」

 

「おい」

 

「まあそんな事よりなぜワシがここにいるか、だったかのう?」

 

「おい!?」

 

めぐみんがしつこく突っかかっている様子を見てカズマはそれをなだめていた。このままでは話が進まない。

 

「あれはワシがペインにやられた少し後の話での………」

 

「ここは………どこだ?ワシはあの時………」

 

そう。確かにあの時自来也はペインにやられたはず。だが傷は治っており服も元どおりである。だとすればここはあれしかない。

 

「ようこそ自来也さん。ここは死後の世界、残念ながら貴方は死んだのです」

 

現れたのは美しい羽衣を身に付けている美しい水色の髪を持つ美女であった。

 

「………ん?あの自来也さんそれって………」

 

「しっ、とりあえず自来也先生の話を聞こう」

 

「あっはい、確かにそうですよね………」

 

自来也は薄々気づいていたこれから自分がどうなるかを。

 

「貴方には選択肢がーー」

 

「あの世で頼む」

 

「………えっ?いや私まだ何も言ってないんだけど」

 

女神は目を丸くして聞き返す。

 

「ま、まあ貴方には選択肢が三つあります。一つ目は天国に行く。でもねでもね、天国ってのは実際ちょ〜〜〜〜〜つまんないとこなの!だからこれはなしね」

 

女神は話を勝手に進め始めた。

 

「そして二つ目!生まれ変わるか。でも赤子から生まれ変わるなんてめんどくさいからこれもなしかしら。そして三つ目!!そこは、魔王の軍勢によってーー」

 

「いや、だから天国でいいと言っているんだがのう」

 

「お願いよォォォォォォ!!アンタ強いんでしょう!?私見てたわよ!?アンタが変なピアスした集団と戦ってたの!!」

 

女神は突然泣き崩れ自来也に懇願して来た。

 

「本来なら若い人限定だけど私が偽造して異世界に送るから!!お願いよ異世界に行ってェェェェェェェェェ!!」

 

女神は見ていられないくらいに泣き自来也の足を掴みながら懇願して来た。

自来也は元々女性好きな人間だったので断るわけにもいかなかった。しかも女神と言えども見た目は10代の少女である。流石に可哀想だと思ったのか自来也は

 

「分かった分かった。だから泣くのはやめてくれんかのう?」

 

「ホント!?じゃあそこの魔法陣に立って!」

 

女神はさっきまで駄々をこねていたのが嘘のようにケロッと説明し始めた。そして自来也は異世界へと転生を果たしたのだった。

 

「………というのが事の顛末だのう!それにしてもあの女神様はすごい情緒不安定だったのう。会わせてやりたいくらいだのう!」

 

ジーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺はその自来也さんを転生させた女神だったものを見続けていた。

 

「フーフー」

 

するとどうだろう。下手くそな口笛を吹くアクアがいるではないか。

 

「またお前かぁぁぁぁぁぁ!?今度はなんだ天界のルールまで破ったのか!?」

 

「だって勿体無いじゃない!!こんなに強いおじいさんいるんだもんこっちの世界に連れてった方が絶対いいじゃない!?」

 

「お前やっていい事と悪い事があんだろうが!」

 

「まあまあ落ち着いて君には感謝しているよアクア」

 

「「え?」」

 

2人が素っ頓狂な声を上げる。

 

「アクアが自来也先生をこの世界に転生させてくれたおかげでまた会えたからね」

 

そうミナトがいうとアクアが自信たっぷりに

 

「そうね………そうよね!そうよこの女神アクア様に感謝しなさい!」

 

「うん。ありがとうアクア」

 

アクアとミナトさんがやりとりをしていると自来也が割って入って来た。

 

「お前はあの時の女神様じゃないか!こんな所で何しとるんだ?」

 

「聞いてよジライヤー!私が天界で案内をしてたのにこいつ私を無理矢理ここに連れて来たのよォォォ!?」

 

「無理矢理はいかんぞ〜えーと」

 

「カズマです」

 

…………これは俺の勘だが自来也さんも俺と同じベクトルにいるような気がする。さっきのめぐみんのといい間違いない。

 

「先生も一緒にどうですか?うちのパーティに入りませんか?」

 

ミナトがそう提案をすると

 

「いいのか?こんなジジイでも」

 

「カズマ、先生をパーティに入れてもいいかな?」

 

「いや俺は勿論良いですけど他の皆はどうか分からないんですけど………おーいお前らー自来也さんをパーティに入れても良いかー?」

 

「私は良いわよ。だって断る理由なんてないし!」

 

「私も構わないぞ。ジライヤからはカズマと同じ……いやそれ以上な気がするのだ!ハア…ハア………」

 

おい………

 

「私も構いませんよ?ジライヤからはただならぬ強者のオーラを感じるのです」

 

「つーわけで全員オーケーですよ。なんかおかしい事言ってる奴いましたけど」

 

後は本人の意志次第だけど………どうくるんだろう。

俺は自来也さんの答えを待った。

 

「わしでも良いのならお言葉に甘えさせてもらおうかのう!ちょうどミナトと話したい事もあった事だしな」

 

「ありがとうみんな」

 

ミナトさんは心からの感謝を述べた。余程この人には恩があるのだろうと感じ取れた。

 

「ところで自来也はミナトとどんな関係なんだ?」

 

ダクネスが不意に聞いてきた。確かにミナトさんと話しているときは仲がいいというか尊敬しているような様子だった。

 

「わしはのう…………ミナトの師匠だ!」

 

俺達4人は顔を合わせ

 

「「「「ふ〜ん」」」」

 

と相槌を打った。

 

「その顔は絶対に信じてないだろう」

 

「イヤーソンナコトナイデスヨジライヤハナントナクソンナキガシテマシタカラ」

 

「ワタシモソウオモッテタゾ?ソコハカトナクナ」

 

めぐみんとダクネスは感情のこもってないような声で言う。

 

「だって人の胸を見て点数をつけるような男がミナトの師匠と言われても………」

 

「それはそれ!これはこれだ!ミナト、お前もなんか言ってくれんかのう?」

 

そう自来也が言うとミナトは笑顔で

 

「趣味が何であれこの人は俺の師匠だよ」

 

「その通りだ!お前らもミナトと同じような寛大さを持って…………ん?今お前最初なんて言った?」

 

自来也が何か気にくわないと言った顔をしつつもそれをあえて流す事にした。

 

 

こうして俺達にもう1人仲間が増えた。なぜかこの人とはいい酒を飲めそうな気がする、そんな気がし俺達は家路へと歩を進めた。

 

 

 

…………あっそういえば俺家ないわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





更新遅れてすいませんでした!今後も少し遅れそうですが暖かい目で見守って下さい!


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第7話 幽霊屋敷の探索


このすばのゲームのアニメイトの限定版、予約しました。皆さんは予約しましたか?もう財布の中2500円しか無いです笑。しかもCDも買ったので残金1000円に………


 

「家が欲しいなぁ。冬を越せる家が」

 

「はあ!?そんなの誰だって欲しいに決まってるわよ!そして私をいつまで馬小屋で寝泊まりさせる気なの!?もっと私を贅沢させて!もっと私を甘やかして!」

 

こいつここぞとばかりに本音言いやがって!俺は思わずキレそうになったがそれではまたギルド内で目立ってしまう。

 

ここは我慢だとカズマは自分に言い聞かせた。

 

「カズマは自分の家は無いのかい?ベルディアを倒した時の報酬で家を買えば良かったじゃないか?」

 

いやそれだと俺達何もしてないのに勝手にお金使う事になるから使いづらいんですよ。

だがこのまま冬を迎えてしまえば確実に凍え死んでしまう。………やはりここはミナトさんの報酬でーー

 

とカズマが悩んでいると自来也が

 

「おおそうだミナト、ウィズの魔道具店行った事無かったか?あそこは売り物はちょっとアレだが掘り出し物が見つかるかもしれん。行ってみる気はないかのう?」

 

と自来也が提案をした。その時自来也は何やらニヤリと笑ったがミナトは気付かず

 

「魔道具店ですか………確かに何か売っているかもしれませんね。行きましょう!」

 

快く承諾した。

 

「いらっしゃいま………あっ自来也さんじゃないですか!?いついらしてたんですか?」

 

「おお久しぶりだのうウィズ」

 

自来也と話している女性はウィズと言って店を持っている。だが店を経営すればするほど貧乏になっていく不幸な店主さんだ。

 

「うむやっぱりウィズは育ちが良いのう!」

 

「あのそんなにジロジロ見ないで下さい………」

 

ウィズは少し顔が赤くなった。が、自来也はそれを気にせずウィズの胸をガン見している。

 

「いきなり来てセクハラしないで下さい」

 

「そう言ってお前も気になっているんだろう?」

 

「べべべべべ別に!?そんな訳ないじゃないですかいい加減にして下さいよ!」

 

「分かりやすい奴だのう………」

 

いきなり図星を突かれて焦るカズマにミナトは苦笑した。

 

「このクソリッチー!!私が馬小屋で寝てるのにアンタは店なんか持っちゃって!!女神であるこの私が成敗ーー」

 

アクアがここぞとばかりにウィズに八つ当たりも同然に喧嘩をふっかけて来た。それをカズマが抑えるためにアクアの頭を手刀で叩いた。もはや恒例行事。

 

「そ、それで今日はどんな御用ですか?」

 

「何か役立つ物があるかなって思って来たんだけど………ん?これはなんだい?」

 

「それは触ると燃えるポーションです」

 

「これは?」

 

「それは触ると爆発するポーションです」

 

「これは?」

 

「それは触ると身体が一日中動かなくなるポーションです」

 

「………これは?」

 

「それは触るとーー」

 

「わ、分かった!ポーションはいいよ!」

 

ミナトはウィズが出してくるポーションで大体察した。確かにロクなものが無い。

 

「……ん?これは………」

 

ミナトが見つけたのはミナトもつけている額当てだった。だが木の葉の里のでも他の里のマークはなかった。

ミナトは神妙な面持ちでウィズに質問をした。

 

「ウィズ………これは誰が作ったんだい?」

 

「えーとそれは確か………あっ!確かそれはミナトさんと同じような服を着ていた人だった気がします!」

 

ミナトはやっぱりかと一人合点がいったとばかりの表情をしながら自来也を見た。

自来也もうんうんと頷いた。

 

「やっぱり若くして死んだ者達も来ていたのか……」

 

ミナト達の世界は戦争中だった。血で血を洗うような、泥沼のような戦場で戦っていたのだ。

 

その中では勿論死者も出た。そして木の葉の里に九尾が現れ大損害をもたらし、多くの死者を出した。

 

(………だがもう死者が出る事はないだろう)

 

ミナトは確信を持ってそう感じた。理由は死神の腹の中から出てこられた時、戦争中である事を知った。だが戦っていたのは里同士では無かった。

 

里同士が結束し、戦っていたのだ。そして先陣を切って戦っていたのは息子のナルトであった。

 

(もう争いあう事は無い。後のことは彼らに任せよう)

 

額当てを見ながら感傷に浸っていたミナトを見ていたカズマとアクアは話しかけづらい雰囲気を帯びていたので困っていた。

 

「本当に何があったんだろう………」

 

「ちょっとだけ彼の世界見た事あったけどここと比べたらひどいとこだったわよ。もし転生場所があそこだったら私ここ以上に発狂してたかもしれないわ」

 

「そ、そんなにか」

 

ただでさえこの世界に転生した時でさえあんなんだったのにそれ以上に発狂したらどうなるんだろう。

と、俺がちょっと引き気味で答えると何かを思い出したようにハッと声を出し俺達に声をかけた。

 

「あの、カズマさん達って確か家ありませんでしたよね?ちょうど幽霊屋敷を除霊して欲しいと依頼がありまして」

 

「おかげで評判が悪いらしくて除霊の報酬として住んでいいとのことなのですが………」

 

俺は冬を越せるならと即答した。

 

「ここが幽霊屋敷か…………」

 

俺達は噂の幽霊屋敷を見上げる。うん、思ったより見た目はいいな。

 

俺達は噂の幽霊屋敷へと入っていった。中もそんな雰囲気は感じないが………

 

「ほお〜こりゃ随分大きい屋敷だのう、こんないいとこに住んでいいのか?」

 

自来也さんが屋敷の中を見回しながら感嘆の声を上げた。

 

そういえば、自来也さんはアクアに転生されたんだから何か特典を持っているのではないかと思い、なんとなく聞いてみた。

 

「そういや自来也さんってあの駄女神に転生させられる前に何か特典もらいませんでした?」

 

そう俺が尋ねると

 

「いや?ワシはそんなもんいらんといってそのままきたぞ?」

 

「じゃ、じゃあミナトさんは?」

 

「俺もいらないっていったよ」

 

…………まあこの人達は存在そのものがチートだしいらないか。

 

「あっそうだ!皆、ちょっといいかい?」

 

ミナトさんが突然何かするのを忘れてた!とでも言うかのように俺達に何かを渡した。

 

「………?これってミナトが使っていたクナイとやらでしたよね?」

 

めぐみんが確認するようにミナトさんに聞いた。そして続けてダクネスも

 

「なぜ武器を渡すんだ?」

 

「君達も今まで俺の戦い方を見てきただろ?」

 

俺達四人はうんうんとうなずく。

 

「そのクナイに何かマーキングを施してそこにテレポートができる、こんなとこでしょうか?」

 

とめぐみんが簡単に説明をするとミナトはめぐみんの頭を撫でながら

 

「流石めぐみんだね!」

 

と言った。………あれ?少し照れてる?何だろう何かムカつくな。

 

「わ、私もレディなんですからそういう事はやめて下さい」

 

とめぐみんが焦りながら否定した。

 

「「レディ?」」

 

俺と自来也さんは見事にハモった。この人ホント俺と波長合ってるな。

 

だがそれを聞いためぐみんが

 

「私の言葉に何か引っかかる事でも……?」

 

と爆裂魔法の呪文を唱えながらってヤバイヤバイヤバイ!

 

「と、取り敢えず落ち着いて!」

 

とミナトがめぐみんをなだめる。それを聞くとめぐみんは

 

「全く、私のどこがレディじゃないのですか………」

 

「いやだってそのまな板ーー」

 

「よーしカズマそんな事よりミナトの話を聞こうじゃないか!?」

 

これ以上いじるのはマズイと判断した自来也が強制的にカズマの口を塞いだ。

 

「カズマ………貴方にはゆっくり話をする機会が必要なようですね?」

 

あっ俺後で殺されんのかな。

 

「それじゃあさっきの話だけど君達に渡したのはちゃんとした理由があって、もし君達が敵に囲まれた時、ピンチに陥った時にいつでも駆けつけられるようにしたいんだ」

 

ミナトはそう真剣な眼差しで言った。

 

「大丈夫よ!私達はそんなに弱くないわよ?」

 

と能天気な元なんちゃらの女神は胸を張って言った。だがミナトは少し表情が曇り

 

「いや、過去に俺の部下達が囲まれた事があってね、その時にそれが活躍したんだ」

 

「それでミナトは部下達を救ったのか?」

 

ダクネスはミナトにそう聞くとミナトはさらに少し暗くなり

 

「いや………俺が来る前に部下の一人が死んだ」

 

辺り一面雰囲気が重くなった。………そうだこの人は忍者だったんだ。死人が出るのは当たり前の世界で生きてきたんだ。

 

「この世界には魔法がある。死者を蘇らせる魔法もある。でも仲間が死ぬ所を見たくはない」

 

「君達はちょっとあれだけど強いっていうのは分かってるから」

 

「今ちょっとアレって言いませんでした?」

 

俺はちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえたのでもう一度聞き直した。

 

「それじゃあ屋敷に入ろうか」

 

おい。

 

それから俺達は屋敷に入ったけど、屋敷はの中はやはり汚れていたな。だが掃除すれば屋敷の名にふさわしくなりそうだ。

 

「それじゃあ俺は屋敷の中を少し見てくるよ。一応どこに何があるか調べておきたいからね」

 

そう言うとミナトさんは屋敷の中を探索していった。まあ別に自由行動だしそれはそれで良いのだが。

 

「カズマ、ワシは少し出掛けてくる」

 

「えっ?どこか行くところでもあるんですか?」

 

「ん?いやなに少しばかり行きたい場所があっての、近いうちにお前にも教えてやろう」

 

もう夜になるのに行く場所ってなんだ?俺がそう勘繰っている間に自来也は出ていった。

 

………怪しい。

 

「まあそんな事は良いか!いやーやっぱり自分の部屋があるのは良いな!」

 

この後アクアが自分の隠していた酒を勝手に飲まれたとか言って幽霊退治にいった。

 

そういえばさっき自来也さん出て行くときニヤニヤしていたけど…………やっぱり気になるな。正直言っちゃうとあのエロ仙人の事だからそれっぽい事と関係してると思うんだが。

 

いや別に気になるとかそんなんじゃないけど。とにかく、やっと家が手に入ったんだ!今日は寝よう。

 

俺が寝に入ろうとしていたその時、人形が明らかにこっちを見ていた。

 

こっわ!!!!うわ嘘だろ。絶対こっち見てるよ。

てゆうかあんな人形あったか?

………無いわ!あんなの見た覚え無いわ!

俺は反対側の方を向き出来るだけ見ないようにした。

 

だが何だろう。昔子供だった時にテレビから目を背けてたけどやっぱり気になって目を開けた記憶が唐突に蘇ってくる。

 

まさか近づいたりしてないよな……?

 

俺は恐る恐るチラリと視線を向けた。なんと俺のすぐそばにいるではないか。

 

「うわあァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

「アクア様助けてェェェェェェェェェ!!」

 

「ミナトさんでも自来也さんでもどっちでも良いから!誰か助けてェェェェェェェェェ!!」

 

俺は屋敷のどこかにいるミナトさんと絶対怪しい店に行った自来也さんに助けを求めた。どっちもいる可能性がうんと低かったが、俺は逃げ続けた。

 

「呼んだかい?」

 

「ウォォォォォォォォォ!?」

 

えっ!?あれ!?なんでミナトさんこっちにこれーー

あっそうかクナイでこっちに飛んだのか。

 

「とりあえずアクアの所に行こうか。幽霊こっちに来そうだし」

 

「ま、まあとりあえず行きますか」

 

あっ意外と冷静だなこの人。

 

バンッ!と俺は勢い良くドアを開けた。ここはアクアの部屋だが多分ここにいるはーー

 

「………」

 

「………」

 

「ギィヤァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

「うわァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

「って何だよめぐみんか驚かせんな!」

 

「カズマこそなぜアクアの部屋に!?」

 

「いやそれはお前の方だろ」

 

「そ、それは……アクアに身の安全を保障してもらうのと………い、一緒にトイレにと…………」

 

お前もか。

 

「多分アクアはまだ屋敷内の除霊に行ってるんじゃないか?」

 

「そうですか………。ではダクネスも一緒ですね」

 

「ああそういやアイツクルセイダーだったーー」

 

俺は今緊急事態に陥った。まずい。

 

「めぐみん、少しだけあっち向いて耳塞いでてくれ。俺は失礼してベランダから………」

 

俺は出すべきモノを出すべくベランダに向かった。だが、

 

「離してくれ。さもないと俺のズボンとこの部屋の絨毯が大変な事になる」

 

俺がそう警告するとめぐみんは爽やかな表情で

 

「イカせませんよ?なに一人でスッキリしようとしてるんですか?私達は、仲間じゃないですか?イク時は一緒です!」

 

「ウォォォォォォォォォ話せ!こんな時だけ仲間の絆を主張するな!何ならそこに空いた酒瓶が転がってるからーー」

 

「いいい今とんでもない事を口走りましたね!?」

 

「こんな状況なのに二人は本当に仲がいいね」

 

ミナトさんは呑気な事を言っていた。

 

「そんな事言ってる暇があったら早くこいつを抑えて下さいよ!!」

 

「それよりも早く逃げた方が良さそうだね」

 

俺がそう促すとミナトさんは急に顔が変わった。えっ?それって………

 

窓ガラス一面に人形がいた。

 

「「」」

 

「走れ!!」

 

突然のミナトさんの声で我に返った俺達は反射的に走り出した。

 

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

ヤバイヤバイヤバイ!!後ろに物凄い量の幽霊がいる!!

俺達は幽霊達を撒くべく必死に走り出した。

 

「撒いたか………?」

 

俺はそんなフラグっぽい事を言いながら辺りを見回した。

 

「めぐみんももう限界みたいだ」

 

「えっ?」

 

ミナトさんのさりげない言葉が聞こえ、俺が後ろを振り向くとめぐみんは居なかった。アイツトイレに行ったな。

 

「とりあえず待とうか」

 

「早くしろよーめぐみん。俺ももうそろそろ限界なんだ」

 

「そんなに急かさないでください」

 

カサカサカサ…………

 

ん?

 

あれ?こっち見てね?

 

あっヤバイどんどん近づいてマズイマズイマズイ!!

 

「おい!めぐみん!!早くしろもうあいつらが迫って来てる!!」

 

だからそんなに急かさないでください!出るものも出ませんよ!」

 

「マジでヤバイから早く………ああもう限界だ!多少強引だけど開けるぞ!!」

 

「フワァァァァァァァァァァァァァァァ!?!?」

 

俺は目を瞑りながらめぐみんの手を引っ張った。

 

「ここまでカズマが非常識だとは思いませんでしたよ!」

 

「しょうがないだろ!もう寸前まで来てたんだから!」

 

「それにお前は半分も出せたんだからいいだろ!」

 

めぐみんにそう言うとめぐみんは花瓶らしきモノを取り出した。

 

「こんな事もあろうかと持って来ました。どうぞ」

 

「要らんわ!!」

 

だけどこのまま走ってても追いつかれる!!俺が何か作戦を考えてると

 

「二人共!先に行け!俺はここで足止めする!」

 

「ッ!でも!」

 

「大丈夫!アクアから支援魔法をもらったから!」

 

そう言うとミナトさんはクナイを出した。だが出したのは三本のみ。これでは人形を全部壊すには足りない。

 

「手裏剣影分身の術ッ!」

 

投げた三本のクナイはまるでクナイがクナイを呼び寄せるかのように増え続け、人形に当たった。

 

「スゲェ!一気にやった!」

 

「いやまだだ!俺が囮になる。だから先に行って!」

 

俺は一瞬の迷いもせずにめぐみんと共に走り出した。

 

「凄い速かったですね決断が。一瞬の躊躇もせずミナトを置いていくとは」

 

「しょうがねぇだろ!だいたい最弱職の俺と爆裂魔法の頭おかしい奴がこんな屋敷の中で戦えるわけないだろ!」

 

俺達は物置部屋のような所に逃げ込み様子を伺った。

 

「やべえめっちゃいんぞ………」

 

ドア越しには人形達の笑い声と足跡が聞こえてくる。

 

「黒より黒く漆黒に………」

 

めぐみんが爆裂魔法を唱えようとしていた。

 

「バッやめろバカッ!」

 

ドンッ!

 

「ウオッ!?」

 

ドアを思い切り叩く音が聞こえた。

もう俺達がここにいるのはお見通しみたいだ。

 

「しょうがねぇ……めぐみん!お前はここにいろ!俺は覚えたてのドレインタッチで人形一つだけでも吸い取ってやる!」

 

「オラァ!!あんま舐めてっとウチの狂犬女神けしかけんぞオラァ!!」

 

俺はチンピラみたいなセリフを言いながらドアを思い切り開けた。

 

ゴンッと鈍い音がした。何か物でもぶつけたような、そんな音だ。

 

「カッ…………ハァ……………」

 

「どうしたアクア!?」

 

うちの女神でした。

 

ーーギルドにてーー

 

「そうかそうかそれは大変だったのお!」

 

自来也さんはバカ笑いしながら話を聞いていた。

 

「いやそれだけじゃないですよ?なんで幽霊があんなにいたかって言うとですね?アクアが墓地に結界張ってあったらしいんですよ。だから幽霊はあの屋敷に逃げ込んでたってゆう訳ですよ」

 

完全なマッチポンプである。

 

「まあ苦労した分お前達は家を手に入れたんだからいいじゃないか」

 

「つーか自来也さん俺達が怖い思いしてる間に何してたんすか?」

 

そう俺が自来也さんに聞くと自来也さんは真剣な眼差しで

 

「男にとっての戦場だ」

 

そんな顔しても胡散臭いんだよなぁ。

 

「…………もしかしてあいつらもテンセイシャって奴か?うん」

 

一人の男が俺達を不思議そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





今までこんな量書いた事ない気がする…………。
さて最後の人物は誰なのでしょうか!?(白目)


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第8話 この青年とエロ仙人にサキュバスを!


今回はカズマと自来也さんのお話です。タイトルからネタバレしてない?


 

やっと俺は家を手に入れ、寒さを凌げる場所を確保した。

 

それはそれはとてもおめでたい話なのだが

 

「まさか私の爆裂魔法を理解してくれる方がいるとは!!

とても感激ですよ!!」

 

「おいらも同じ志を持ってる奴がいて驚いたぜ!うん」

 

なーんでこの世界も他の世界も頭のおかしい奴しかいないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「カズマカズマ!」

 

「カズマだよー」

 

「今日も爆裂魔法を放ちに行きましょう!」

 

それは数時間前に遡る。俺はミナトさんにスキルを教えてもらおうと話していた。だがめぐみんは俺にまた爆裂魔法を撃った後のおんぶ係に任命した。

 

「お前ってホント爆裂魔法好きだよな。それしか趣味ないの?」

 

「すいませんミナトさん、せっかくスキル教えようとしてくれたのに」

 

「ううん、気にする事は無いよ。また後で教えてあげればいいだけさ」

 

「なあめぐみん、おんぶ係にワシも誘ってくれてもいいのだぞ?」

 

「いえ自来也はセクハラして来そうなので私は状況が状況だと中々一線を超えれないヘタレなカズマで十分です」

 

コイツめッ………!

 

「まあ確かにカズマはいざチャンスが巡って来ても躊躇いそうだしのう」

 

このエロ仙人まで………!

俺は昨日自来也さんがどこに行っていたか言ってしまおうとしたが、確証が無いためどうしようかと考えていた。

 

「……ふん!ほらさっさと爆裂魔法撃ちに行くぞ!」

 

俺は少し焦るように飛び出した。

 

「さっきはミナトになにを習おうとしてたのですか?」

 

「ん?ああ言ってなかったか。水の上にや壁とかにくっついたり出来るスキルだよ」

 

「ええっ!?そんなスキルなんてあるのですか!?」

 

めぐみんが大げさと言わんばかりに驚いた。まあ確かに俺も最初聞いた時すんごい驚いたけど。

 

「ミナトさんがいた国だと、それが出来るのが当たり前だったらしいぞ」

 

「ニンジャって凄いですね………」

 

「俺もそう思う」

 

「ほら、着いたぞ」

 

俺達は目的の場所に着いた。ここなら人がいる心配もないし思い切りやれる。

 

「ではやりますか………」

 

そう呟くとめぐみんは魔法の詠唱を始めた。

 

俺はめぐみんの少し離れた場所から見守る。

 

……………ん?あれ?今何か動いたような………

 

俺は一瞬だが何か動いているのがはっきり見えた。しかもさらによく見ると………

 

「おいめぐみん!やめろ!人がいるぞ!」

 

「ああもう無理です!もう我慢出来ません!」

 

「いやもうちょっとは耐えろよ!」

 

いや、おかしい。普通だったらめぐみんの魔法の詠唱で辺りがざわめき、危険だと判断して逃げるのが普通だが、なぜか逃げずにそこにいたままだ。

 

「おーい!アンタそこにいると危険だすぐ逃げろ!!」

 

「エクスプロージョンッ!!!」

 

「ああーーーーー!?」

 

めぐみんが爆裂魔法を放った瞬間、向こうの男はこちらにもはっきり聞こえるようにこう言った。

 

「喝っ!!!」

 

粘土を使ったものを投げた瞬間それは一気に爆発した。爆裂魔法ほどではなかったが、もう少しデカいものを作ればめぐみんの爆裂魔法と同等、もしくはそれ以上の威力を引き出すかもしれない。

 

「お前のも中々の威力だったぜ!もっと上げりゃ俺のC3にも届くかもしれねぇな!うん」

 

「あなたのしーすりー?とやらも物凄く気になります!試しに撃ってみてください!」

 

そして今に至る。聞くとこの人はミナトさんと同じ世界から来たらしい。

 

「いやだけどよぉ俺もまさか同じ境遇の奴と同じ志の奴がいておいら感激だぜ。うん」

 

「同じ境遇?」

 

「ん?ああなんでもねぇ。そういや名前をまだ言ってなかったな。おいらの名前はデイダラだ。お前は?」

 

あっコイツに名前きいたらーー

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、爆裂魔法を操りし者ッ!」

 

ですよねー。

 

めぐみんが自己紹介(笑)を済ませると

 

「めぐみんって言うのか!よろしくな!」

 

あれっ?普通だと微妙な空気になるはず………。

まあこの爆裂狂いと感性が同じだから驚かないのかもしれないが。

 

それから小一時間くらい二人は爆裂トークをしていた。

………一人は俺の背の上で。

 

俺が疲れているのを顔に少しばかり出ていたのを見ためぐみんが

 

「すみません。ホントはもっと一日中話していたいくらいですがカズマが帰りたいオーラを放っていまして」

 

「うーんそうか。ならしゃあねぇな。今度会ったらまた話そうぜ!うん」

 

そうして俺達は反対の帰り道を歩いて行った。だが妙な奴だったな。悪い奴には見えなかったがやっぱりどこか怪しいような。

 

「まさか私と同じ考えを持っている人が居たとはっ!」

 

「はいはい良かったねー」

 

「あっ今適当に流しましたね?」

 

「全くジタバタするんじゃない!おんぶする身にもなってくれ!」

 

「むぅ……。それを言うのは卑怯ですよ」

 

「だって本当のことだろ?」

 

むしろおぶるためだけにきてやってるだけでもありがたく思え。

 

「………多分なんだけどさ、アイツもミナトさんと同じせ、国から来たんじゃないのか?」

 

これは完全に俺の勘だがなんとなーくそんな気がしたので相談してみた。

 

「確かに、言われてみればそうですね。ミナトのように変なスキルも持っていましたし」

 

「そうか……あとで聞いてみよう」

 

俺とめぐみんは屋敷に着き、しばらくの間屋敷にいたのだが

 

「それじゃあワシは少し散歩してくるかのう」

 

「言ってらっしゃーい」

 

「気をつけてな」

 

!来たか。

 

俺は自来也さんがどこに行っているのか前から気になっていた。

 

「よし。まだバレてないな」

 

俺はクリスに教えてもらった盗賊スキルとミナトさんから教えてもらったスキルで自来也さんの後をつけて行った。

 

裏路地に曲がった!俺は見失うまいと急いで追いかけた。だがそれがいけなかった。

 

「筋は悪くなかったがのう」

 

いつの間にか俺の背後に自来也さんがいた。そうだ、相手は本職の忍者だ。スキルを覚えた俺でもすぐに気づいていたようだ。

 

「おい!お前らも分かってるから出てこい!」

 

「お前らって?」

 

物陰から出て来たのは俺の友人と言っていいのか分からんがキースとダストだった。

 

「なんでお前らまで!?」

 

「実はその爺さんが出入りしているところをずっと盗み見してたんだ。もしかしたら噂のあの場所かもしれないとお思ってな」

 

とダストが答えた。

 

あの場所?と俺が聞くと代わりに自来也さんが答えてくれた。

 

「せっかくだしお前らも来るか?」

 

「「「喜んで!」」」

 

男とは単純な生き物だと自来也は改めて痛感した。

 

うん、サキュバスは凄かった。色んな意味で。記入の方は結構細かくて色んなシチュエーションやどんな子の夢がいいかなどの記入もあった。

 

「これでカズマも大人の階段を少し登った訳だ」

 

と自来也さんが茶化すように言って来た。

 

「あれ?そういえば自来也さんサキュバス呼ぶ時にいつも外出て一日帰って来ませんでしたよね?何してたんですか?」

 

「なにってそりゃあお前宿に泊まって来たんだよ」

 

宿?なんで宿なんかに泊まる必要があるんだ?

 

「それじゃあお前も適当な場所を見つけていい夢を見るといいのう!」

 

そういうと自来也さんは人混みに紛れて行った。

 

最後の自来也さんの忠告が気になっていたがまあいい!とりあえず今日は酒を飲まずに早く寝よう!

 

そう思っていたのに………

 

「カズマカズマ!今日の晩御飯はすごいわよ!カニよカニ!」

 

「ウチの実家から送られて来たんだ」

 

みるとそこには今まで生きて来た中で見た事がない量のカニがあった。

 

「あれ?カズマ、自来也先生はどこに?」

 

「えっ!?あ、ああなんか大事な用事が出来たって言ってましたね。多分今日は帰ってこないでしょう!」

 

「そうか………せっかくのごちそうなのにもったいないな………」

 

あっ、あっぶねぇ〜うっかり言ってしまうところだった。

 

「用事があるならしょうがないじゃない。全員いないのは残念だけど」

 

そういってアクアはいそいそとカニの足を取ろうとする。

今のアクアの表情は残念という割に嬉しそうだったが。

 

「あっちょっと待って」

 

ミナトさんが待ったをかけた。何事かと全員が手を止め、

ミナトの顔を見た。

 

「とりあえずいただきます言おうか」

 

お父さんみたいな発言だった。

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

うーんなんだろう。なんか五人家族の食卓みたいな気がする。ここに自来也さん加わったらいよいよだな。

 

そして俺達はカニを食べ始めた。俺は酒を飲んで熟睡してしまうとイイ夢を見れなくなってしまうため飲めない訳だが。

 

そんな俺の気持ちを知らずにアクアは蟹味噌が詰まった部分に酒を注ぎ美味そうに飲んでいた。

 

クソッあんなに美味そうに飲みやがって!

 

「どうしたカズマ?口に合わなかったか?」

 

とダクネスが心配な表情で聞いてきた。

 

「ん?い、いや俺実は今日の昼に酒飲んじゃってさ、明日!明日飲むことにするよ!」

 

そう俺が言うとダクネスはニコリと微笑み

 

「そうか。今日は楽しんでくれ日頃世話になってる礼だ」

 

ダクネスは曇り一つない笑顔で応えた。

 

やめてくれよ……日頃からドン引きする発言ばかりするお前が今日に限ってそんな後ろめたくなる事言わないでくれよ!

 

………そうだ。コイツらがこんなに楽しんでいるのに俺も楽しまないでどうすんだ。今日くらいは俺も楽しもう!

 

「お前ら、俺は腹一杯でもう眠いから寝る。引き続き楽しんでくれ」

 

自分の欲望には勝てなかった。

 

「あ、ああ分かった。おやすみ」

 

「カズマなんか今日はおかしかったですね。もう寝てしまうなんて…………あれ?そういえばミナトは?」

 

「ん?ああミナトももう寝た。酒は意外に弱いらしいな」

 

いつの間にかミナトの席は空いていた。

 

「ええ?見た感じから弱そうだったけど?」

 

とアクアはズバッと言った。

 

「酒は弱かったが戦闘では本当に頼もしい限りだ。それに今日いないジライヤも。………だが彼らのスキルは本当に変わってるな」

 

ダクネスは感心しながらも疑問に思った事があったのでふと呟いた。

 

「ええ、手を使って変な動きをしたり服装も変でしたしね。背中の文字はなんなのでしょうか?」

 

「ああ確かにあの読めない字も気になるな」

 

聞いて見たかったがミナトは酔いつぶれ、自来也は今日は帰ってこない。ダクネス達はそれでも気になっていた。

するとそれを聞いたアクアが

 

「私知ってるけどミナトの住んでた国の事」

 

とケロッと言った。流石にあまりの意外な言葉に驚いたダクネスとめぐみんは

 

「ええ!?アクアはミナトと自来也の出身地を知っているのですか!?」

 

「それは本当か?」

 

とダクネスが聞くとアクアはええと相槌を打ち話し始めた。

 

 

が、二人共半信半疑で聞いていたため大して相手にしてもらえなかった。

 

「ホントにホントなのよ〜〜〜!!なんで信じてくれないのよ〜〜〜!!!」

 

アクアは駄々をこね泣き崩れていた。

 

「いえ………自分を女神と名乗っていたのはちょっとあれですがそれでもやっぱり信じられませんよ」

 

「まあ信じてやるから!信じてやるから!な?」

 

「ううううううううううううう〜〜〜〜!!」

 

結局信じてもらえなかった。

 

 

 

 

「…………眠れないな」

 

俺は今緊張しすぎて寝に入る事が出来なかった。このままでは朝を迎えてしまうかもしれない。それではイイ夢が見れなくなってしまう。………一度風呂に入るか。

 

俺は風呂に入って寝れるようにしたいと思い脱衣所に到着した。

 

「あれ?誰かいるのか?」

 

ふと脱衣所のカゴに目を向けるとそこには服があった。綺麗に整頓されている。

 

「ん〜?誰だ?もしやこれはサキュバスの………」

 

俺は期待に胸を膨らませ入っていった。

 

「ん?ああカズマか。君も眠れないからここに来たのかい?」

 

そこには浴槽に浸かっていたミナトさんがいた。酒が抜けきれてないのか少し頬に赤みを帯びていた。

あれ?い、いや俺はそんな要望書いた覚えは無いぞ。俺はノンケだ。

 

「そうだ。せっかく男二人になったし背中でも流そうか?」

 

は?おかしいおかしいおかしい。ホントにこんな事書いた覚え無いぞ。どう言う事だよ。

 

「え、えーとそれじゃあ俺が背中流しますよ!」

 

「そうか。分かった頼むよ」

 

そう言うとミナトさんは浴槽から上がり腰にタオルを巻いた姿でこっちに来た。やはり本職の人だったせいかえらく筋肉質だ。

 

「えーとどこか痒いところとかありますかね?」

 

「いや、今のところはないよ」

 

まさかあまりに緊張しすぎて違う事書いたんじゃ無いかと自分を疑っていた時ミナトさんが

 

「俺をこのパーティに入れてくれてありがとう」

 

とミナトさんがいきなり言ってきた。

 

「え?あ、ああなんだそんな事ですか。いいんですよ。ウチのパーティ変なのばっかなんでミナトさんみたいなまともな人が来てくれるとすごく助かりますよ!」

 

俺がそう返事をするとミナトさんは少し苦笑しながら驚くべき事を言った。

 

「もし息子とまた会えたら、君達の事をいっぱい話したいな」

 

「えっ!?」

 

「?どうかしたかい?」

 

俺はミナトさんのいきなりの爆弾発言に思わず声を出してしまった。

 

「ミナトさん子供居たんですか!?それじゃあ結婚もしてるんですか!?」

 

「あっそうか言ってなかったね。そう、俺は結婚してるし子供もいるよ」

 

マジか………いやよく考えたらこんないい人に家族がいない訳ないな。

 

「じゃあもう完全にリア充じゃないですか」

 

リア充?とミナトさんがはてなマークを浮かべていた。

 

「そうだね………。でも一つ心残りがあるとすれば、家族との時間をもっと感じたかったかな………」

 

「えっ今なんて言ったんですか?」

 

「ん?ああなんでもないよただの独り言だよ」

 

俺は最後の部分が聞こえなかったので聞き直して見たがミナトさんは少しばかりうつむきながらなんでもないと笑った。

 

「それじゃあ俺は上がるよ。………あっそうだ、カズマ」

 

俺は名前を呼ばれはいと返事をしたらミナトさんは苦笑しながら

 

「アクアには気をつけた方が良いよ。それと君もするならバレないようにね」

 

俺はミナトさんの言っている事を理解し、手で顔を覆った。

 

 

 

「ハア、カズマもやっぱり年頃だからしょうがないけど、ナルトもそうなったりするのかなぁ………」

 

ミナトはしょうがないと思いつつも一応アドバイスはしておいた。だがやはり言うのには少しばかり抵抗はあったようだった。

 

「多分自来也先生ももしかしたら………」

 

自来也はアクアが女神だと知っているからここに呼ぼうとしなかったのだろう。

もし呼べばアクアがいち早く結界に気付き捕まえている事だろう。

 

「そうか……!もし自来也先生が呼んでしまったらサキュバスはアクアに滅ぼされてしまう。だから自来也先生は呼ばなかったんだ!」

 

やっぱり自来也先生はよく考えているんだなと思いミナトは自身の寝室に戻ろうとすると

 

「曲者ー!曲者よー!!出会え出会えー!!」

 

突然の怒号にミナトは驚いた。

 

「曲者?まさか…………」

 

ミナトは何か心当たりがあるのかアクアの声がした場所へと向かって行った。

 

そこにはカズマとめぐみん、そしてサキュバスを拘束しているアクアの姿が。

 

「これってどういう状況?」

 

「ふふん見なさいミナト!私の結界で捕まえたサキュバスよ!多分ここにいない自来也とあなたとカズマの精気を狙って来たんでしょうね!」

 

とアクアが自慢げに語る。そしてアクアはさらに続け、

 

「でも安心して!私がいる限りあなた達が狙われることはーー」

 

アクアがそう続けようとするとカズマがサキュバスの前に立ちはだかった。

 

「えっ?お客さん……?」

 

「逃げろっ………!」

 

「でもお客さん!そんなことしたら………」

 

「ゆけっ………!」

 

アクア気をつけろ!カズマはそのサキュバスに魅了され、操られている!」

 

ダクネスも来たがブツブツと独り言を言いながら頬を染めていた。

 

「カズマ……?アンタ仮にも女神である私の前でいい度胸ね?そのまま袋叩きにされたくなければそこを退きなさいな?」

 

アクアは手をゴキゴキと鳴らしながらカズマに警告する。

 

「行くぜっ………!」

 

カズマは覚悟を決め、三人に飛びかかった!

 

 

 

ーー翌日ーー

 

 

 

「ぶわーっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」

 

屋敷内に自来也の甲高い笑い声が響き渡った。

 

「まさかここで呼ぶとはのう!普通は宿なんかを取るだろうに!」

 

あの後カズマは果敢にも立ち向かったが自分よりもステータスが高い三人組には勝てず文字通り袋叩きにされた。

 

「ちょっとあんま大声で言わないでくださいよ!」

 

「ああすまんすまん、あまりにもの無計画さに笑いが出てしまってのう……………ぷっ!」

 

「笑うなっつってんだろうがァァァァァァァ!!」

 

あまりにも弄られすぎてカズマはマジギレした。

自来也はひとしきり笑い終わると紙の束を出し、ペンを持ち何か書き始めた。

 

「何してんすか?」

 

「ん?ああ実はワシのう………小説を書いとるんだ」

 

「小説?自来也さん作家なんすか!?」

 

「まあそれなりにはな。それにこの世界にも既に1冊作ってあるぞ?」

 

「本当すか?なら俺にも見せて下さいよ」

 

「自分で買えい!」

 

自来也はカズマにそう一蹴すると今度はミナトが、

 

「ではそれは新作………って事ですか?」

 

「ああ、今執筆中だ。だが何故ワシはあのシリーズは売れてこのシリーズは全く売れないんかのう………」

 

あのシリーズ?とカズマが聞こうとするとミナトは食い気味に

 

「それってド根性忍伝の続きですか!?今度のテーマはなんですか?」

 

「う〜んそうだのう………転生されて理不尽な状況に悩まされつつも主人公は仲間と共に根性で乗り越えていく、そんなとこかのう」

 

なんだろう。その主人公に妙に親近感が湧くのは気のせいだろうか。

 

「もしかしてそれって俺の事ですか?」

 

とカズマが聞いた。どことなくそわそわしている。

 

「ド根性?アンタにそんな言葉似合うわけないでしょ?せいぜいズル賢くて悪知恵を働かせながら借金を返済させていくストーリーがぴったりよ!」

 

「ああ!?もしそうだとしたらお前は特典莫大な借金と払っても払いきれない疫病神だわ!!」

 

「ぐぬぬ………今カズマ言っちゃいけない事言った!ねぇ謝って!馬鹿にしてごめんなさいって謝って!」

 

「ガーハッハッハッハッハッハッ!!いいぞもっと言ってやれアクア!」

 

「その辺にしておいたらどうだ?カズーー」

 

「うるせぇオッパイ!」

 

「うにゅぅぅぅん!?」

 

「ちょっとアクア泣いてますよ!?そろそろやめてあげたらーー」

 

「うるせぇまな板!」

 

「まな板っ!?」

 

「フフフ………ハハハハハハ!」

 

ミナトは思い切り吹き出し、笑った。

 

「おや!?そんなに笑いだした姿は初めて見ましたよ!どこが面白いのですか!?」

 

「いや………やっぱりここに来て良かったなってさ!」

 

「何言ってるんですか。私達はあなたや自来也を誘って良かったと思って………」

 

そのあとゴニョゴニョと聞こえない声で呟いた。

 

「その……大切な仲間ですし………」

 

「んん〜?今なんて言ったのか聞こえなかったのう〜」

 

「それ以上言うと爆裂魔法を放ちますよ!」

 

「やれるもんならやってみろ!ワシには幾らでも逃げれる手段はあるわい!」

 

「おい!?自来也は良くても私達は逃げられないのだが!?」

 

「困るんですけど!?ここで撃たれると困るんですけど!?」

 

「今度そのスキル教えてください自来也先生」

 

「お前は急に態度を変えるのが早いのう!」

 

ギャーギャーと屋敷の中で騒ぐ五人を見てミナトはこのまま一緒に生きたいと思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 





本当にすいませんでした!!!あまりにも亀更新過ぎて見てくれなかったらどうしようというプレッシャーで書けませんでした!感想などくれると意欲がとても湧きますので感想ドシドシ下さい!これからもよろしくお願いします!


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第9話 このニートと仲間達に冬将軍を!


このすば三期早く見たいですね。三期はどこまで作るつもりなのでしょうか?やはりアイリスは出て来ますよね!?
アニメバージョンのアイリスが早く見たい!いや別にロリコンとかそんなんじゃry


 

周りには何もなくあるのは二つの椅子だけである。

 

ここはいつか来たクソッタレ駄女神と出会った場所ととても似ていた。

 

「ここは?」

 

俺がそう聞くとここの主の本物の女神のような人が微笑みながらこう答えた。

 

「サトウカズマさん。ようこそ死後の世界へ。私は女神エリス。この世界であなたの人生は、終わってしまったのです」

 

死んだ?

 

ああそうか俺はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「カズマ!そろそろクエストを受けた方が良いですよ!いつまでそこでぐーたらしてるんですか!」

 

朝一番に聞こえたのはめぐみんの罵声。アクアやダクネスはまたいつもの事か、とでも言うかのようにため息を吐いていた。

 

「ミナトや自来也を見習って下さい!ミナトはデストロイヤーの偵察するクエストを受け、自来也は自室にこもって小説を書いているのに!あなたは何をやっているのですか!」

 

これだけ言われてもカズマは動じない。それにしびれを切らしたのかダクネスも参戦し、

 

「カズマ?私達がいつまでも堕落した生活を送るわけにはいかない。そろそろ何かクエストをーー」

 

ダクネスがカズマの肩に触ろうとすると、

 

シュバッ!!

 

とカズマは勢い良く飛び上がり近くの壁へと逃げた。

 

「「!?」」

 

めぐみんとダクネスは驚いた。いや、驚いたのはカズマが壁に足をついて立っている事だ。

 

「カ、カズマ?なんですかそれは?」

 

「壁にくっついたまま離れないぞ!?」

 

めぐみんやダクネスは未だ驚いていた。何に驚いているのかというとカズマがまだ壁にくっついている事だ。

 

「これはね、ミナトさんから教えてもらった壁にくっつけれたり水の上に立つ事が出来る術だよ。お前らから逃げる為にミナトさんから教えてもらったんだよ?」

 

あまりにも下らない理由にめぐみんとダクネスが死んだ魚のような目で見ていた。

 

「まったく、アンタホントに冒険者らしからぬスキル覚えちゃうわね」

 

とアクアがカズマと同じような体制になりながら呟いた。

 

「リッチーが使うスキルなんかも覚えちゃって。この高貴な女神様の前で良く顔を見せられるわね。恥ずかしくないの?」

 

と俺と同じだらしない体型で寝ている元なんとか様の事は放っておいて俺はもう立ったまま寝てしまおうかと思ったその時

 

「俺もクエストには行った方が良いと思うな」

 

その声の主は俺ののすぐ側に壁にくっついたまま立っていた。

 

「うおお!?ミナトさんびっくりするんでいきなり飛ばないで下さいよ!」

 

びっくりした。それしか言えない。だって今までいなかった人が突然現れて話しかけられたらびっくりするでしょ普通。

 

「最近ずっと外に出てないしそろそろ外に出ないかい?」

 

いくらミナトさんでもこの俺のテリトリーを奪う事は出来やしないぜ!

 

「こういうのはどうです?ゴニョゴニョ………」

 

ん?一体どんな話をーー

 

「えぇ!?グリフォンとマンティコアと一撃熊がいる場所に送ってはどうかって!?流石にそれはカズマがーー」

 

ごめんなさい俺が間違ってました。

 

 

 

 

というわけでギルドに来たわけだが、冬はロクなクエストがない。あるのはせいぜい上級モンスターの討伐くらいだろうか。冒険者達は冬までに溜めた金で宿暮らしをしている。

 

「あれっ?ミナトさんは?」

 

「ミナトはデストロイヤーの偵察だ」

 

だからデストロイヤーってなんだよ。

 

「なぁーやっぱやめた方が良いんじゃないか?」

 

俺がそう言うとダクネスが、

 

「何を言う!クエストをクリアすれば、困っている人々を助ける事が出来るのだぞ?も、もし失敗すれば一体どんな事に………触手型のモンスターだと尚良しだしゴブリンやオークなども…………フ、フフフフフフフ」

 

こいつの頭ん中どうなってんだ。一度しっかり見てみたいわ。

 

「じゃあこれはどうかのう?」

 

執筆中に部屋から引きずり出され少し不機嫌そうな自来也さんがあるクエストの紙に指をさした。

そのクエストの名は雪精の討伐だった。

 

「なんだ?雪精の討伐って?明らかに弱そうな名前じゃないか」

 

「雪精は倒すごとに春のおとずれが近くなると言われています。これならカズマも出来るのではないでしょうか?」

 

「雪精の討伐でいいのね?じゃあ私が受けに行ってくるわ!」

 

とアクアがルンルンと変なステップを刻みながら受付のお姉さんの所に行った。

 

「雪精の討伐か………フフフフフフフ」

 

あれ?なんで喜んでんの?

 

「雪精……雪精………何か重大な事を忘れている気がするような………」

 

と、自来也さんも呟いていた。

 

…………不安になって来た。

 

 

 

 

 

 

 

そして現場へと来たわけだが、これが予想以上に美味しいクエストだった。

なんだ。なにもないじゃないか。あの変態とか自来也さんの発言が心配だったけど、そんなに変に身構えなくても良かったな。

 

「カズマカズマー!」

 

「カズマです」

 

「ここら一体爆裂魔法で吹っ飛ばしても良いですか?」

 

「ああやっちまえめぐみん!」

 

めぐみんが詠唱を始めた。すると自来也さんがハッと顔を上げた。

 

「やめろっ!ここらは確かあの冬ーー」

 

「エクスプロージョンッ!!」

 

自来也さんがめぐみんに何かを言い終える前に放たれた。

めぐみんの爆裂魔法はあたりの雪精をまとめて消し飛ばしてしまったようだ。

 

「あぁ〜やっちまったか」

 

と自来也さんがため息混じりに呟いた。えっマジで大丈夫なのかこれ!?

俺がさらに不安になってくると追い討ちをかけるようにダクネスが頬を赤らめ官能的な声を出していた。

 

「来るぞ………冬と言えばこれ!なんていうどこかのバカが考えついた冬将軍の到来だ!」

 

はっ?冬将軍?

 

山から何かデカイモノが降りて来た。よく見てみると刀などを持っている。

 

冬将軍と言われるソレは明らかに俺達では勝てなさそうな雰囲気を醸し出していた。

 

…………あっでも2人人外いるの忘れてた。

 

「カズマ!土下座よ!土下座!冬将軍は寛大だから、土下座すれば許してくれるわ!」

 

と、言っている元なんとか様の土下座はそれはそれは見事な土下座だったそうな。

 

「ほら!ダクネス!お前もさっさと土下座しろ!やられるぞ!」

 

「や、やめろぉ!頭を下げたくない奴に頭を下げるなどっ!しかも頭を下げさせるなどっ!!どんなご褒美だ!」

 

「またここで変態発動かよ!」

 

「あっカズマ避けっーー」

 

とめぐみんが何かを言いかけたが

 

「えっ?」

 

ザシュッ

 

というわけだ。俺はあの場で冬将軍に斬殺された。あまりに一瞬だったので俺は少しの間放心していた。

 

「あの、すいません。もう少しここにいても良いでしょうか?」

 

俺の発言に驚いたのか女神エリス様がえっ?と声をあげた。

 

「構いませんよ?」

 

「それと、出来ればで良いんですけど向こうがどうしているか見る事は出来ますか?」

 

「いいですよ。少し待ってくださーー」

 

エリス様はそう言いかけたが途中で完全にフリーズした。

まるでありえないものを見ていたかのように。

 

「うそ……こんな………早すぎる………」

 

エリス様はそう言い俺にも見せてくれた。もしかして俺の弔い合戦なんてやってくれたりしてたのだろうか?でもそれで死んだら後味悪りぃよ!

 

「えっ?」

 

俺が見た向こうの現場は凄まじいものだった。

 

 

 

時は少し遡る。

 

「カズマッ!?大丈夫か!?」

 

嫌な予感が当たり、カズマが冬将軍に首を切られた所から始まる。

 

「そんな………俺はまた………」

 

ミナトの顔は次第に曇り顔をしかめる。そして空気を読めないアクアが

 

「安心なさいな!私のリザレクションでカズマを復活させてあげるわ!」

 

ミナトはそれを聞くとアクアをチラリと見ながら

 

「それは確かなのか?」

 

本人に悪気は無かったのだろうが、普段滅多に怒らないミナトが完全にキレている。流石のアクアもそれには気づいて

 

「え、ええだって私女神ですもの」

 

と若干たじろぎながら答えた。

アクアがそこまで言い終えるとミナトはカズマの遺体を担ぎアクアの元へと置いた。

 

「カズマを頼む」

 

とミナトが言った。今までキレた所を見た事が無かったのか三人とも怯えていた。

その事に気づいたのかミナトはいつもの笑顔で

 

「心配しないで。すぐ終わらせるから」

 

とミナトは冬将軍の前に立ちはだかる。すると自来也もミナトの隣へと並んだ。

 

「ワシも同じ美味い酒を飲めそうな奴をそう簡単に死なすわけにはいかんからのう」

 

「仲間が死ぬのは、いつだって慣れないものですよ」

 

「全くだ」

 

ミナトは己のクナイを手に取り、数本のクナイを投げた。

投げたクナイは冬将軍の元へと向かっていた。

 

「影分身の術!」

 

5人に増えたミナトの分身は一瞬にして消え、投げたクナイへと飛び、冬将軍目掛けて、

 

「「「「「螺旋丸!」」」」」

 

5発分の螺旋丸は冬将軍の体力を削るにはもってこいの技だった。さらに冬将軍は油断していたので完全に入った。

 

「屋台崩しの術!」

 

自来也は指を噛み、噛んだ指から出た血を使い素早く印を結び、地面へと手を合わせた。

 

突然上から降ったのはみんな大好きジャイアントトードだった。

 

するといきなりジャイアントトードが降って来たのを見た3人が

 

「イヤー!カエルはもうイヤなのォォォ!!」

 

「怖い………怖い………カエル怖い………」

 

「はぁぁぁぁぁぁっ…………!自来也はカエルまで呼べるのか!ではいつでもぬるぬるプレイをする事が出来るのだな!」

 

カエルに酷い目に遭わされた経験者達が酷く怯えていた。

中にはおかしな事を口走る変態もいたが。

 

「なんで怯えとるんだアイツら………」

 

「先生!次が来ます!」

「分かっとるっ!」

 

カエルを振り払い、体勢を整えた冬将軍は2人目掛けて刀を振りかざして来た。

 

だが、

 

「これでも喰らえいっ!火遁・炎弾!」

 

自来也は口から炎を吹いた。炎の塊が冬将軍に襲いかかり、それを刀で弾きつつも少し喰らった冬将軍はよろめいた。

 

「見ましたか今の!!口から火を吐き出しましたよ!!」

 

「ああ!あんな魔法は見た事が無いぞ!」

 

「ああーそういえばあんなの出せたわね。生で見るのは初めてだわ」

 

めぐみんとダクネスはとても驚いていたがアクアは初めてでは無いのか冷静に見ていた。

 

………だが少しソワソワしていた。

 

「ちょっと!言わないでよ!」

 

「誰に言っているアクアッ!?」

 

「いや、なんか誰かに私をを貶めてそうな発言が聞こえた気がしたから!」

 

訳の分からない発言にダクネスは混乱する、めぐみんもまた大丈夫なのかアイツ………と言った目をしていた。

 

「ガマブン太でもいればもっと火力があったんだがのう」

 

自来也はガマブン太の事を思い出す。

 

「アイツは元気にしてるかのう……」

 

自来也はかつての相棒のガマガエルのガマブン太の事を思い出していた。

 

そして気持ちを切り替えた自来也はミナトに声を掛けた。

 

「ミナト!久しぶりのアレをやるぞ!」

 

と自来也がミナトに声をかけるとミナトは思い出したようにニヤリと笑った。

 

「良いですね……もう一度出来るとは思いませんでしたよ!」

そういうとミナトと自来也は集合し、お互いの手を合わせた。

 

「あれは………ラゼンガンとやらでしょうか?ですがミナト達は1人でやっていたはず………」

 

とめぐみんが推敲していると何か分かったのかめぐみんはハッと顔を上げ、

 

「まさかラゼンガンを合体させるつもりですか!?」

 

とめぐみんが聞くとミナトが

 

「良い所を突くねめぐみん!その通り。もう1人の術者がいれば最強の螺旋丸が完成する!」

 

とミナトが解説すると中二心に火がついたのかめぐみんは、

 

「最高です!最高ですよミナト!!必殺技を合体させるなんて!!今度紅魔の里に来てください!きっと馬が合いますよ!!」

 

とめぐみんが熱く語り出した。

 

「いやー今日はいいものが見れるわね。ここにいないカズマが可哀想だわ〜」

 

いやここにいるわ。

 

途中からエリス様見せてもらったけど凄いな。一体どんだけ力隠してんだよミナトさんは。

 

「凄いですよねミナトさん。流石は4代目火影と言った所でしょうか」

 

俺は4代目火影というワードに反応する。そういえばなんだったのかと聞こうと思っていた事を思い出した。

 

「エリス様、4代目火影って一体なんなんですか?」

 

「あれ?ミナトさんから聞いていないんですか?4代目火影とは貴方の世界で言う大統領や首相、この世界で言うところの王様です」

 

は?今なんて言った。エリス様は今王様って言ったのか?

 

「えっ?それじゃあミナトさんは王様みたいな存在だったって事ですか?」

 

「はい」

 

マジかよっ!?ミナトさん凄いとは思ってたけどそんなに凄かったのか………!

 

俺がもっとその事について聞こうとしたがエリス様はストップ!と声を掛けた。

 

「見てください!そろそろ決着がつくかもしれません!」

 

と無邪気な笑顔で言った。……ああ尊い。この人が本物の女神様なんだなぁ。

 

……っとそうだ!俺も気になってたんだった。早速見てみよっと。

 

二つの螺旋丸は巨大な竜巻を発生させ、他を寄せ付けないチャクラ……いや魔力の塊を纏っている。

 

「行くぞォ!ミナト!!」

 

「はい!自来也先生!」

 

冬将軍は来たる脅威に備えるべく己の刀に魔力を蓄え続け、刀身を鞘へと納める。おそらく抜刀術をする気だろう。

 

だが冬将軍は一つ見落としをしていた。

 

「甘いのぉ!土遁・黄泉沼!」

 

自来也の影分身に足をすくわれた冬将軍は体勢を崩してしまう。だが構えは変えず目の前のミナトと自来也に目を離さない。どうやらここで決めるようだ。

 

ミナトと自来也は天高く飛び、冬将軍に向け声高らかに叫んだ。

 

「「太極螺旋丸!!!」」

 

冬将軍は刀身を螺旋丸に叩きつける。2人の最強の螺旋丸と

冬将軍の全力の抜刀術はギリギリと耳障りな音を鳴らす。

 

「ウォォォォォォ!!吹き飛べぇ!!!」

 

「ハァァァァァァァァ!!!」

 

パキンッ!!

 

冬将軍の刀が砕け、冬将軍の胸部に侵入した太極螺旋丸は

冬将軍もろともまとめて空彼方まで冬将軍を吹き飛ばした。

 

米粒大までのサイズになった冬将軍はひとしきり見えなくなった後、収縮した太極螺旋丸は爆散した。

 

太極螺旋丸と共に爆散した冬将軍のカケラが舞い、綺麗な雪のようなものが降っていた。

 

「…………凄すぎて言葉も出ません」

 

「アクアが言っていた事もあながち嘘ではないかもしれんな………」

 

「だから嘘じゃないって言ってるでしょ!」

 

とアクアが憤慨していると戻ってきたミナトが

 

「アクア、カズマを蘇生してくれ」

 

「あっそういえば忘れてたわね。カズマー?リザレクションかけたからもう戻ってこれるわよー!」

 

と元気な声でカズマに呼びかける。

 

一方その頃カズマと女神エリスは

 

「それで次はそのミナトさんのお子さんのナルトさんが友達のサスケさんとキスしちゃったんですよ!」

 

「アハハハハハハハハハ!それマジですか!?男同士でしちまうなんて可哀想っすよ!」

 

2人仲良く談笑中だったようで、アクアが声を掛けてもなかなか気づかなかった。

 

「ねぇカズマ聞いてるー!?もうあなた復活できるわよー!?」

 

とアクアがちょうどよく水を差した事でエリスとカズマは途中で会話が止まってしまった。

 

「あのクソ女神!俺達が仲良く話してる時に邪魔しやがってぇ!」

 

とカズマが愚痴っているとエリスは慌てて

 

「ダメですよ!天界規定で蘇生させる事は出来ないんですよ!」

 

とエリスが言うのでカズマはそれを伝えるべく

 

「おーいアクアー!なんか天界規定とやらで俺は復活できないんだとさー!」

 

カズマがそう返すとアクアは

 

「ちょっと誰よそんなバカな事言ってるやつ!アンタ名前名乗りなさいよ!」

 

さらにアクアは続ける。

 

「このエリートの日本担当の女神様にこんな辺境担当の女神が誰に向かって口聞いてんのよ!」

 

あっやばいエリス様めっちゃ顔引きつらせてる。

 

「エリス様だよー!」

 

俺はエリス様に代わり俺が答えた。すると今までキレていたアクアがさらにキレ

 

「ハァァァァァ!?エリスってこのへんぴな世界でちょっと崇拝されてるからってお金の単位にまでなった上げ底エリス!?」

 

「なっ!?」

 

おっ顔が赤くなった。

 

「ちょっとカズマ!もしそれ以上エリスがゴタゴタ言うようだったらその胸のパッドーー」

 

「わかりました!分かりましたから!今門を開けますからー!」

 

「マジですか!?パッドなんですか!?」

 

それから俺はエリス様にパッドについての質問をしまくったが答えてもらえず蘇生の準備を始めていた。

 

「もう……こんな事は普通ないんですよ?特例なんですから」

 

「はい……すみません」

 

エリス様は俺を見つめ

 

「カズマさんと言いましたね?」

 

「え?ああ、はい」

 

俺は唐突に聞かれ少々テンパり気味に答えた。

するとエリス様は俺に

 

「この事は………内緒ですよ?」

 

と正真正銘の女神様のような笑顔で俺を見送ってくれたエリス様に俺は

 

「パッドも好きですよー!」

 

と言った。

 

 

 

 

「ん?ここは………?」

 

「「カズマー!!」」

 

俺が蘇生されたのを見て安心したおっぱいとロリっ子は俺に抱きついてくる。…………あっ自来也さんめっちゃ悔しそうにこっち見てる。

 

「たくホントあの子は頭堅いんだから!」

 

「ほらカズマー私に何か言う事ないの?アクア様一生ついてきます!とか今すぐアクシズ教に入信します!とかさ」

 

ピキッ

 

「女神チェーーンジ!!」

 

「ハァァァァァァァァァ!?そんなにエリスに会いたきゃ私が送ってあげるわこのクソニート!」

 

アクアが俺を殴ろうとした瞬間ミナトさんがアクアの肩に手を置き、アクアを近くの樹木に飛ばした。

 

「あっ痛ーーー!?!?」

 

「落ち着いてアクア。とりあえずカズマは生き返ったしとりあえず帰ろう?」

 

「んむむむむむむ………まぁしょうがないわね。雪精もある程度片付いたし!」

 

木にぶつけた手を抑えながらアクアは渋々承諾した。

 

「しかも凄いですよ!冬将軍も討伐してしまうなんて!」

 

めぐみんは興奮しながら褒め称えた。

 

「まぁまさか討伐するとは思わなかったからな。それにしても凄かったなあの技。あれは何だ?どうやったらあんな魔力の塊のような物を出せるんだ?」

 

ダクネスは感心してミナトや自来也に聞いた。たしかにあんな漫画の必殺技みたいなの出した時俺もびっくりしたけど。

 

「凄いだろう!あれはミナトが開発したんだぞ?」

 

自来也はミナトの背中をバンバン叩きながら弟子自慢をしていた。

 

「あれは本当に凄いですよ!技の威力も凄いですが必殺技の名前もヒライシンの術とやらも紅魔族の琴線に触れますよ!!」

 

今度は必殺技の名前について語り出した。それを言われた瞬間自来也の顔が一瞬引きつった。

 

「例えば私の爆裂魔法ならなんて名前をつけますか?」

 

「めぐみんのかい?うーんそうだなぁ………あっこういうのはどうだろう。爆遁・煉獄灼熱ーー」

 

「よぉーし!とりあえず寒いから帰ろう!な?な!?」

 

「えぇー!?最後まで聞きたかったです!」

 

「やっぱりミナトはネーミングセンスが絶望的に中二チックね。正直ダサいわよ?」

 

「意外だな………。ミナトにこんな面があったなんてな」

 

俺達はいつも通りのふざけた会話をしながらアクセルへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは冬将軍討伐報酬をどうぞ!」

 

俺達は報酬を受け取りこの莫大な金をどうしようかと考え………………ん?なんだ受付の人が袋離さないんだけど。

……まあ気持ちはわからんでも無いが。

 

「ありがとうみんな。クエスト一緒に行ってくれて」

 

ミナトさんはそんな事を言いながら俺達と話していた。

 

「ふぃやふぃや、ふぉんふぁこほぉないれすよおろおろほろへへなはっはひ」

 

「とりあえず口の中のもの飲み込んでから話そうか」

 

俺はミナトさんにそう促され飲み込んでから話し始めた。

 

「いやいやそんな事ないですよ。元々外出てなかったし」

 

「ぷーくすくす!カズマったらもう子供じゃないのにお父さんに叱られる子供みたいになってるんですけど!ぷーくすくす!」

 

ムカッ。

 

「アナログスティール!」

 

俺はそう言うとアクアが飲んでいた酒を取り自分のコップに入れた。

 

「あぁー!?返してよ!それかなり高いやつなんですけど!返して!かーえーしーてー!」

 

「返して返してうるせぇ!!子供かお前は!!」

 

「本当に仲がいいねカズマとアクアは」

 

ミナトは2人の喧嘩を微笑ましく見ていた。めぐみんとダクネスがやや困惑しながら

 

「そうでしょうか?めちゃくちゃお互いを睨み合ってますけど」

 

「アレで仲がいいと言えるのはミナトくらいのものだ」

 

「ハハッそうかな?……あっ!そうだ忘れてた。みんな!聞いて欲しい事があるんだ!」

 

4人は何か重要な事でもあるのかとミナトの方に向いた。

ミナトは呼吸を置いてから喋り始めた。

 

「実はね、あの時ベルディアと戦った時に俺は城で戦ってただろう?」

 

4人はうんうんと頷く。

 

「その城は元々はアルダープっていう領主のものらしくてね、お金を要求されたんだ」

 

「ええっ!?普通なら逆にお金払うとこじゃないですか!

自分の城取り戻してくれたのに!」

 

めぐみんが激昂する。それを聞いたミナトは苦笑いしながら

 

「まぁアレはしょうがないよ。壊してしまったのは事実だし」

 

ミナトにそう言われると、めぐみんはうーんと唸りながら考え込む。

 

「まっ、金は取られたけど逆にそれ以上の金は貰えたわけだ。万々歳じゃないかのう?」

 

自来也は前向きに考えさせようと明るい声で皆に言った。

 

「…………」

 

5人が話している中、1人カズマは物思いにふけっていた。

 

(あの女神様………。コイツらとは違う、色物枠じゃない

王道のヒロインだ!死にたくないけど………もう一回会いたいなぁ………)

 

カズマが女神エリスに想いを馳せていると

 

「カズマー?食べないならもらっちゃうから!」

 

そう言いアクアはカズマの料理を躊躇せずに奪い取った。

 

「お前なに人のモン奪ってんだ!?」

 

「だってさっき私のも取ったじゃない!」

 

「カズマ!明日も冬将軍のような爆裂魔法の撃ちがいのあるモンスターを討伐しに行きましょう!」

 

めぐみんがカズマに顔を近づけながら言うとダクネスも便乗し

 

「いや、それも良いがもっと私を辱め………じゃない強いモンスターを討伐しに行こう!」

 

「それならジャイアントトードはどうだ?」

 

自来也はなんとなく不意にそんな事を言うとカエルにトラウマありの2人が

 

「「カエルはイヤ(なのぉ〜!)(です)!」

 

一連のやりとりを黙って聞いていたカズマは目に一筋の涙を流し、

 

 

 

なんでこんな奴らばっかなんだよォォォォォォ!!??

 

カズマは悔しがり泣いていたがどこか嬉しそうな表情を見せ泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ全くこのパーティは見ていて飽きませんね」

 

天界で全てを見ていた女神・エリスはまるで誰かと話しているように振舞っていた。

 

「えっ?ミナトさんに気は無いかって?な、ななな無いですよ!………それでどうするんですか?なるほど、サプライズですか。それならミナトさんも喜びますね!」

 

エリスは面と向かって話しているわけではなく鏡のような物を使って話していた。

 

「分かってますよ。全く貴方はミナトさん一筋ですね………」

 

 

 

 

 

 

 

「クシナさん」

 

エリスは微笑みながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





長い期間が空いてしまいごめんなさい!でもその分の物語は楽しめるかと思います!えークシナさん出ましたね!
最初どうやって出そうかと迷ってましたがこんな感じで出しました。多分次か次の次に出てくるかと!次回もどうかご期待下さい!


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第10話 このピンチなアクセルに救世主を!


このお話もついに10話まで来ましたね。正直たかだか10話なのにここまで続けられるか不安でしたが皆様の有難いご感想や評価してくれたことでここまで書けました。
これもひとえに皆様のおかげです!ありがとうございます!それではどうぞ!


 

「はぁ〜今日も平和だな!」

 

俺は1人散歩しながらアクセルの街の中を歩いていた。最近やっと厄介事がなくなって来たのだ。俺は明日も何もない日になりますようにとどっかの使えねぇ方の女神ではないエリス様に祈った。

 

ガチャ。

 

ドアを開けてみるとそこはまるで大災害でも起こるのかというくらい緊迫していた。

 

「何やってんだ?」

 

俺はそこにいるアクアに何気なく聞いてみた。するとアクアはアンタバカじゃないの!?とでも言いたげな目で

 

「デストロイヤーよ!デストロイヤー!!これからデストロイヤーがこの街を通過するのよ!」

 

またか。デストロイヤーってなんなんだよ。

 

そんな顔をしているとそれを察したミナトさんが

 

「デストロイヤー、動く要塞だよ。巨大で脚がある古い国が作った機動要塞さ。わかったかい?」

 

うーん。なんとなく分かったような分からないような。

まあ言った通りの動く要塞か。

 

ブーン!!ブーン!!ブーン!!

 

「な、なんだ!?」

 

突然の警報に驚いた一行は驚き、混乱していた。

 

「来たか………」

 

ミナトさんは真剣な表情で呟く。

 

「デストロイヤー警報です。マズイです。このままだとデストロイヤーがこの街を壊滅させます」

 

「ハァッ!?ふざけんなせっかく苦労して手に入れた家を壊させてたまるか!」

 

………別の理由もあるが。

 

「ああ。この街を壊すわけにはいかない!」

 

珍しくカズマの意見に賛成した。

 

「この街には大切なものを失いたくない人が沢山いる。俺も、ここの生活が気に入ったしそれを奪うなんて許せない!」

 

「「「ミナト………」」」

 

アクア達3人はミナトの演説に感動していた。

 

「よし!それじゃあいっちょ巨大要塞解体と行こうかのお!」

 

………多分この人も同じ目的だな。

 

サイレンが鳴り響いても構わず執筆していた自来也は手を止め、声を上げ扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに来てみるとそこには沢山の冒険者達が血相を変えて集まっていた。しかもよく見ると男ばっかだな。

 

「おお来たかカズマ!それにエロ仙人とミナトさんも一緒か!」

 

「おい!今度はこの世界でも呼ばれる事になるのか!?勘弁してくれ!」

 

前も呼ばれてたのかよ。

 

俺は辺りを見回す。なんか思ってたよりも凄い事になってんな………。

 

俺は事の重大さに改めて気がつく。いきなり街に歩く要塞が来るなんて言われたらどうする?想像つかんわ。

 

「皆さん集まってくれた事に感謝します!これよりデストロイヤーの進路をご説明いたします!」

 

俺が物思いにふけっていると受付のお姉さんがかなり慌てながら説明を始めた。

 

「……これで以上になります!何か質問などはありますでしょうか?」

 

お姉さんが一通り説明を終えた。つまりはこうだ。デストロイヤーには結界が張られ爆裂魔法でも破れない。

近づけば轢き潰される。

まさに鉄壁だな。どうしようもないじゃん。

俺はどうにも出来ない事をどうにかしようと頭を回す。何か……何かないのか!?解決できる方法は!?

 

「やっぱりここ出てった方が良いわよね………別にここにこだわる必要も………」

 

あったわ。こんな所に。

 

「おい女神」

 

俺はアクアに声をかける。するとアクアは何か勘違いしたのかニヤニヤしながら

 

「何よカズマ。遂にこの女神アクア様に解決してもらおうとお祈りする気になったの?でも残念だけど今の私はちょっと調子がーー」

 

「お前デストロイヤーの結界破れるか?」

 

「えっ?まあ頑張れば出来ない事も無いけど?」

 

「こいつ出来ます!」

 

一つ目は解決した。あとは………

 

「どうすれば動きを止められる?」

 

そう、もう一つの課題デストロイヤーの動きを止める事だ。

 

すると意外な人物が手を挙げた。

 

「それ、俺でもいいかな?」

 

ウチのパーティのエース、ミナトさんだ。

 

「えっ!?ミナトさんでも流石に無理があるんじ

ゃ………」

 

でもミナトさんはそんな冗談を言う人じゃない。それはおれたちも知ってるし、このアクセルの冒険者達も知っている。

 

「まぁ心配するな!コイツは出来ない事を言う奴じゃない!」

 

自来也さんがすかさずフォローをする。やっぱり師弟関係だからか絶大な信頼があるんだな。

 

つまり作戦はこう。アクアがデストロイヤーの強固な結界を破壊、その後ミナトさんがデストロイヤーの脚部を破壊し動かないようにする。かなりガサツだがアイツは腐っても女神だし大丈夫だろう………多分。

でもミナトさんどうするんだ?いくらミナトさんの螺旋丸でもアレは壊さないと思うんだが………。

 

「お前ら!あの店の為にも死ぬ気で行くぞ!」

 

自来也さんが先陣を切る。するとそれにつれて周りの冒険者達も

 

「おう!勿論だ!あの店を壊させる訳にはいかねぇ!」

 

そうだそうだとギルド内の男冒険者達が声を上げた。おそらくコイツらは同じ目的だな。まあ俺もそのうちの一人だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

配置についた俺達はかなり不安ながらミナトさんを見ていた。

 

「これで失敗したら一貫の終わりじゃないか!?」

 

「大丈夫ですよ。ミナトが言ったんですから」

 

「お前ホントミナトさんの事信頼してんな。さては好きなのか?」

 

俺はからかうように言ってみた。するとめぐみんはしれっと

 

「いえ、ミナトはそういう感じでは無いのです。優しいお父さんと言った感じですね」

 

まあ確かにそうだけど。なんかこう、もっといい反応するかと思ったけどなんか違うな。

 

「確かにミナトはそういう感じでは無いな。というよりミナトには奥方がいるからな」

 

ミナトさんの奥さんか、少し気になるな。ミナトさんみたいに優しい人なのかそれともすんごい怖い人なのか、どっちなんだろう。

 

「き、来たぞ!」

 

俺がそんな事を考えているうちにデストロイヤーは来てしまった。

 

「アクアー!頼むぞ!マジで!!」

 

「任されたわ!」

 

アクアは杖を構え、詠唱を始めた。辺りには神聖な雰囲気が漂い、見る者を魅了させる。

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!」

 

放たれたアクアの魔法は遥か彼方にいるデストロイヤーに直撃した。強固な結界を破ろうとする光がぶつかり、結界にヒビが入り始めた。

 

「おりゃーーー!!」

 

アクアはさらに力を振り絞り、遂に結界を破壊した。

 

「おお!やったぞ!」

 

周りの冒険者は歓喜の声を上げる。結界は破れた。残りは足のみ。

 

「ミナトさん頼みますよ!!」

 

「分かってる!」

 

ミナトは離れた場所に移動した。そして

 

『全くお前もこんなことに巻き込まれて大変だなぁ?」

 

突然語りかけたのは、かつて木の葉で暴虐の限りを尽くした九尾。だが九尾も今はそれほど荒れてはいない。

 

「この街も守りたくなっただけさ」

 

『流石にこんな状況は慣れてるって事か。ほら見てみろ。あのチビなんかすげえ震えてるぞ?』

 

そこには杖を持ちながらガタガタと震えているめぐみんの姿があった。九尾は笑いながら指を指して笑う。そんな九尾に苦笑しながら

 

「早く終わらせなきゃね」

 

そして意識は現実に戻り、再び前を向く。

 

「さあ………行くよ!九尾!」

 

『ああ!さっさと終わらせんぞ!』

 

「あれ?ミナトさんなんか光ってね?」

 

うおお!?やべえ!凄い光ってるぞ!?

 

それだけでは終わらなくミナトは宙に浮き、九本の尾を持つ巨大な狐へと変わった。

 

「「「「「えええええええええええ!?!?」」」」」

 

冒険者達は驚き混乱している。それもそのはずさっきまで普通だった人間がいきなりデストロイヤーにも劣らない巨大な狐へと変わったのだ。

 

「ミナトは………こんな事も出来るのか……?」

 

「これってもしかして前に話してた九尾と呼ばれるやつですか!?カッコいいです!是非ウチのペットにしましょう!?」

 

「デカすぎるわバカ!いやでもホントデカイな!?こんな奴があと八匹向こうにいるのか!?」

 

九尾なんてのがいるなら一尾も二尾もいるわけか。ここと同じくらい変な世界だな。

 

『オラァァァ!喰らいやがれぇ!!』

 

九尾はデストロイヤーの脚部を掴み思い切り振り回した。

デストロイヤーはまさか自分と同じサイズの敵が出るとは思わなく、あっけなく吹っ飛ばされてしまった。

 

『こんなもんじゃ終わんねぇぞォ!』

 

さらに攻撃は続きアッパーを繰り出した。

 

「おい!壊すなら足にしろ!」

 

『分かってんよォ!!』

 

いやいや絶対目的忘れてただろとミナトは心の中で呟く。

暴れるのをやめ九尾は足を狙い始めた。

 

「すげえあのデストロイヤーが抵抗出来ねぇ………」

 

カズマは感無量とばかりに呟いた。

 

『これでももらっとけ!!』

 

九尾は口を思い切り開け、何かを始めた。

 

「何でしょうか………。何か凄く私の立場が危うくなってきました」

 

めぐみんが冷や汗をかきながら九尾の力を溜めている光景を見ていた。

 

押さえつけられているデストロイヤーはどうにか逃げようと動こうとする。だが

 

「そうはさせんぞぉ!」

 

自来也はデストロイヤーに向けてそう言うと

 

「土遁・黄泉沼ァ!」

 

冬将軍と戦った時にも使った敵を拘束する術。そこで立ち上がろうと力を入れていたデストロイヤーはさらに足を滑らせた。

 

「これで終わりだ!!」

 

遂に尾獣玉を撃った。脚を狙って撃ったがやはり威力は大きく脚だけではなく胴体の部分も激しく損傷していた。

デストロイヤーは突然脚を失い大地に倒れる。もう攻撃手段は無いようにも思える。

 

「おお………すげえ………本当にやりやがった!!」

 

ちょっとフラグ臭いな。

 

「俺……これが終わったら結婚するんだ!」

 

おい………今定番のセリフが………

 

「さあ終わったら乾杯よ!報酬はおいくらかしらね?」

 

「このバカー!!なんでお前はそうお約束事が好きなんだ!!」

 

もう既にボロボロのデストロイヤーからサイレンとおぼしき音が鳴った。

 

「被害甚大につき自爆機能を作動します。乗組員は直ちに避難してください。繰り返します。被害甚大につき自爆機能を………」

 

「「「「「マジかよォ!?」」」」」

 

突然の警報にもう手遅れと思った冒険者達は一目散に逃げ出した。

 

「む、無理だ!逃げるしかねぇって!!」

 

絶望的状況に屈した冒険者達は逃げた。だがこの状況にミナトさんは元に戻ったあと直ぐにデストロイヤーにクナイを投げ、乗り込んだ。

 

「オイオイオイ!?ミナトさんがデストロイヤーに臆する事なく向かってってるぞ!?」

 

「あんなの見せられて俺達だけ逃げる訳にはいかねえ……

よっしゃあ!俺達も行くぞぉ!!」

 

「「「「「「「おお!!!」」」」」」」

 

沢山の冒険者達は逃げるのをやめデストロイヤーにフックを引っ掛けデストロイヤーへと乗り込んだ。

 

…………ん?あれ?おかしい。あれ?おかしいぞ。さっきまでアイツらのやかましい声が聞こえてたのに突然聞こえなくなった。

俺は中が気になりフックを引っ掛け登ってみた。するとダクネスがデストロイヤーから出てきた。

 

「あれ?お前あんなに張り切って入ったのになんだその顔は。何かあったのか?」

 

俺がそう聞くとダクネスが驚くべき発言をした。

 

「ミナトが中のモンスターを全部倒していた」

 

えっ。

 

 

 

 

 

 

 

「こいつか………」

 

俺はおそらくこのデストロイヤーを作ったとおぼしき人物を見つけた。明らかに未練を残して死んでそうなんだが。

 

「この人なんの未練も残さずに成仏してるわ。それはもうすっきりと」

 

いやでも雰囲気とかが………

 

「見て!多分この人が残した手記みたいね………」

 

とアクアが指を指した先にはほこりをかぶった随分古いものだった。

 

だが書いてある事は雰囲気を完全にぶち壊す内容だった。

この骸骨が言うには蜘蛛を潰した設計図が案外好評で自分の知らぬ間にどんどん作り上げていく。そして伝説級のコロナタイトを持って来いと適当に言ったらホントに持ってきてしまった。そしてヤケ酒して機動要塞の核であるコロナタイトに根性焼きと称しタバコでグリグリ押し付けたとか。そして当然このデカブツは暴走し、国をぶっ壊してしまった。

 

俺がその内容を朗読すると周りにいたみんなは冷めた目で俺を見ていた。

なんだよ。俺は悪くねぇぞ。

 

「まあコレが作られたワケはわかったとして、どうする?」

 

そう。問題はこれから爆発するコイツをどうやって破壊するかだが………多分規模はデカイ。どうにかしてこれをどっか人が居ない場所に………。

 

「俺に任せてくれ。もう先手は打ってある」

 

「早っ!?用意周到っすね」

 

流石と言わざるを得ない。ミナトさんは多分デストロイヤーを偵察してた時にクナイをいくつか人が居ない場所に刺しといたんだろう。

 

「とりあえずこれは俺が処理するよ」

 

頼れる上司って感じだな。

と俺が物凄く感心しているとミナトさんはクナイを持ちながらコロナタイトに向かって手をかざす。

 

「ここはやらせないよ」

 

とミナトさんが呟いた瞬間、今の今まであったコロナタイトは一瞬で消えた。

 

「よっしゃあ!これで万事解決だな!」

 

俺も言ってはならない事を言ってしまった。大体こういう事言うと

 

「カズマ、私の鼻がまだ香ばしい危険な香りを嗅ぎつけている。まだ終わってないぞ」

 

「えっ」

 

ダクネスが真剣な表情でバカな事を言っていると

溜まった熱を吐き出す為の冷却機能を失ったデストロイヤーからまたあのアナウンスが流れた。

 

「やべえ!一旦外に出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、皆出たか?」

 

カズマが聞くと皆は頷く。

 

「それじゃあめぐみん。アレをお前の爆裂魔法で吹っ飛ばしてくれ」

 

まだめぐみんは爆裂魔法を使っていない。そうなればあのデストロイヤーを完全に破壊できる。カズマはそう考えた。

 

多分さっきのミナトさんの攻撃でもう装甲はボロボロのはず………

 

「分かりました!やっと私の活躍を見せる事が出来ます!」

 

「そうよーめぐみんやっちゃいなさい!」

 

とアクアがめぐみんを応援する。アクアに応援されてスイッチがさらに入ったのかめぐみんはさらにテンションが高くなった。

 

「ふっふっふ。美味しい所を持っていくとは紅魔族の血が騒ぎますね………」

 

そしてめぐみんは詠唱を始めた。周りは暗くなり禍々しいオーラ、雰囲気が辺りを包み込む。

 

「エクスプロージョンッ!!」

 

遂に爆裂魔法を発動した。めぐみん渾身の爆裂魔法は足を失い装甲を失い、さらに結界まで失ったデストロイヤーには決定的な一撃となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デストロイヤーを破壊し、このアクセルの街を救ったカズマ達はいつも通り屋敷で暮らしていた。ある日そんな5人に王都から派遣があった。どうやら伝えたい事があるらしくカズマ達はどんな報酬が貰えるのか楽しみにしていた。

 

「さて何が来るのか………」

 

ギルドに集まったカズマ達は派遣された騎士達と1人の女性と面向かっていた。

 

「サトウガズマ、ナミカゼミナト」

 

女性に声をかけられた2人は次の返事を待った。だが次の言葉は期待していたものでは無かった。

 

「貴様ら2人を領主アルダープ様の別荘にコロナタイトを転送し殺害しようとしていたとアルダープ様が訴えている。自分と一緒に来てもらおうか」

 

「えっ」

 

そういえばそうだった。ここは常識が通用しない世界。

なんでこうも上手くいかないんだろう。ああ神様。

 

「!逃げたぞ!追え!」

 

神様!今度は俺をこんなロクでもない世界に転載させないでくださいィィィ!!!

 

カズマは涙を流しながら全速力で逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一ヶ月も更新遅れてすみませんでした!


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第11話 カズマとミナトの取り調べ室


やっと第1期分を終わらせられた…………。あっそうそうこれからあの人が出て来ますよ。


 

「大丈夫ですか!?アルダープ様ァ!?」

 

「やべえ息してねぇぞ!!」

 

「おい誰か!誰か早くプリーストを!」

 

殺伐とした雰囲気の中俺はあのおっさんを殴った張本人を見ていた。凄いストレートをかました腕は細く、どう考えても数十メートル吹き飛ばす腕には見えない。

 

「まったく、人の旦那様に口汚く罵らないで欲しいってばね!」

 

そう愚痴を言った女性はこちらに振り返り手を伸ばした。

 

「大丈夫?」

 

「えっ!?あっハイ大丈夫です!」

 

俺はあのおっさんを殴り飛ばした手に引っ張られ立ち上がる。

 

「あ、あのお名前を伺っても?」

 

そう聞かれた女性はきょとんとしながら彼女は紅い髪をたなびかせ

 

「私?私の名前はーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨォこそ地獄へ!あんちゃんここに来るなんて一体どんな事やったんだァ!?俺にも詳しく聞かせてくれヨォ!」

 

イカツイ男達がギャハハハとゲスい笑い声がそこかしこに聞こえる牢獄の中で俺は体育座りで泣きながら座っていた。

 

「日本に帰りたい」

 

「これからどうしようか」

 

俺がこんなにも取り乱してるのにミナトさんはこれからの事を冷静に考えていた。現在俺とミナトさんは壁越しでこれからどうするか相談していた。でもなんだか何か様子がおかしい。

 

「………俺は所有地じゃなく人が来ない場所にクナイを置いたはず。なのにいきなり領主の別荘に攻撃したと訴えられた。でもそれは事前に調べたはずなんだけど………」

 

「えっ?ミナトさんそれだと嵌められたってことになるんですけど………」

 

おかしい。それは本当におかしい。だとしたらあの領主が一方的にここまで誘導したって事になる。

 

「カズマ〜!」

 

と俺達が真剣に話してた時に空気を読まない声が聞こえた。

 

「ん?なんだアクアか。どうしたー?」

 

「どうしたじゃないわよ!はいこれ!」

 

ポイッと渡されたそれは映画などでよく見る脱出するための針金だった。

 

「今めぐみんとダクネスが爆裂魔法で気を引いてるからアンタはそれで脱獄なさい!分かったわね!?あっヤバイ看守さんが!」

 

アクアは看守に見つかりそうになったので帰っていった。

 

でもなぁ…………

 

「これじゃ開けられねぇよ」

 

残念な事に鍵穴ではなく番号を合わせるタイプだった。

 

「いらね」

 

ポイッと捨てた俺は再びこれからどうするかふりだしに戻った。

あっそうだ。なんであん時アクアは俺に針金渡してミナトさんには渡さなかったんだろう。

 

「ミナトさーん。なんでアクア俺だけにくれたんすかね?

2人分渡してくれれば良かったのに。…………あれ?ミナさん?」

 

俺は反応がなかったのでもう一度声をかける。

 

「ミナトさーん?………ミナトさん!?いるんすよね!?そこにいるんですよね!?こんな所で1人にしないでくださいよ!からかってるんすよね!?そうですよね!?」

 

返事は来ない。てかどうやって脱出したんだ!?あの時クナイは没収されて………あっそっかあの人屋敷にもクナイ置いてるから行けるのか……

 

それでも…!それでも…!

 

「一人にしないでくれよォォォォォォ!!!」

 

俺の魂の咆哮が狭い監獄に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまないカズマ………」

 

「いや、こればかりは仕方がない。カズマには少し我慢しててもらおう」

 

「大丈夫ですよ。カズマも男の子ですし。これくらいなんの問題もないですよ!」

 

「あっそういえばミナトさんこっちにも来れたわね!忘れてたわ!」

 

「忘れとったのかお前……」

 

カズマ以外の6人が集まり脱獄と言っていいのか分からない出方によって戻ってきたミナトは皆に訳を話した。

 

 

「そうか……確かにあの領主ならやりかねん。………だがどうする?アルダープは様々な不正をしながらも証拠は出て来なかった」

 

ダクネスは腕を組みながら悩んでいた。

 

「とはいえ脱獄までしたのですから見つけないわけにもいかないでしょう」

 

「そうよ!探すしかないわ!とりあえずここは忍者らしくあの領主の屋敷に行って潜入してくるのよ!」

 

とアクアは突発的に言った。シンプルだがそれ以外方法はないだろう。それを聞くと自来也は耳をピクリと立て

 

「それ、ワシにもやらせてくれんかのう?」

 

最初に声をあげたのは自来也だった。潜入といっても素人が行ってはすぐに捕まってしまう。だがここにはそれに特化したプロが2人もいる。

 

「それじゃあカズマが裁判に掛けられる前には証拠を見つけよう。いいかい?くれぐれも騒ぎを起こさないでね?」

 

「何を言っているのですか!私達がそんな風に見えますか!」

 

「いやそういう風に見えるから言っとると思うんだが……」

 

かくしてカズマ救済の為の潜入ミッションを開始した。

 

 

 

 





皆さんお待たせして申し訳ありません!テスト期間だったので執筆できませんでした!これからは出来るだけ早く登校するつもりです!


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第12話 再会


クリスマスですね。やはりクリスマスといえばクリスマスツリー。ツリーを見てると聖なる気分に浸れます。
それとクリスマス=恋人イチャコラおっせっせする日ではありませんよ。いや別に羨ましいとかそんなんじゃry


 

「ここか……」

 

カズマを無実の罪から解放する為アルダープの屋敷に潜入した自来也とミナト。忍の中でもトップクラスの2人は当然見つかる事は無く、無事アルダープの部屋までたどり着いた。

 

「良し………ヤツが居ない今がチャンスだ。今のうちに探すぞ、ミナト」

 

「はい、自来也先生!」

 

そして部屋を漁り始めた2人。探し始めたのは良いのだが、疑わしい書類が一つも無い。もしや本当に自分のミスで失敗してしまったのかとミナトが思い始めた時、自来也がある本を見つけた。

 

「ミナト、ちょっとこっちに来てくれ。日記だ」

 

自来也が発見したのはアルダープの日々の行いが書き記された日記であった。

 

「もしかしたらここに何か重要な事が書いてあるかもしれん」

 

「流石自来也先生。もう見つけたんですね」

 

とミナトが褒めると自来也はふふんと笑いながら日記を開く。パチンとボタンを取る音がした。

 

『〇月△日。まったく、何故アイツはいつも言ったことを忘れるんだ。ワシはヤツにも分かるように言っているはずなんだが………ヤツはやっぱりおかしい……』

 

日記の内容はその日あったことを書いているというよりは半分愚痴のような内容だった。

 

『〇月△日。やっとヤツはワシが言ったことを聞いた。これで最近名を挙げている冒険者達から金を巻き上げる事が出来そうだ。クク、ヤツらは何故訴えられたかも分からんだろうな………』

 

とそこにはミナト達についての事が書かれていた。

 

「……先生これ………」

 

「ああ、間違い無いな」

 

やはりアルダープは俺達を嵌めた。とミナトは確信したがソレを証明する証拠が何処にも無い。一体どうやって?

そうミナトが思案している時、自来也は日記の続きを見ていた。

 

『あぁそうだ!今日は気分が良い。メイド達の風呂でも見てくるか。あの場所なら絶対見つかる事は無いからな。だが最近忘れっぽいから場所を書き記しておこう。場所はここを出て………』

 

 

「…………」

 

「…先生?どうかしましたか?」

 

「ミナト。ワシは他にも調べてくる。お前は先に帰ってて良いぞ」

 

と真剣な表情をしながらミナトに言った。それを聞いてミナトは

 

(流石先生だ……。ここまでカズマを心配しているとは……

しかも調査を怠らない………)

 

ミナトはその献身的な姿勢に感動していた。

 

「いえ、まだ続けます!証拠が見つかるまで探しますよ!」

 

とミナトが言うと自来也は

 

「いや、お前は戻って皆にこの日記を持って行ってくれ。ワシはまだシなければならない事がある」

 

そういって自来也は部屋から出て行った。

 

「先生にも何か考えがあるはず……今日は帰ろう」

 

 

 

 

 

そしてしばらくして。

 

「あっジライヤ!どうだった?カズマを無罪にする証拠とか見つかった!?」

 

「いや、ヤツは手強かった。まさかあんなものまで……ゴ、ゴホン、アイツは只者じゃあなかった」

 

「ジライヤがそこまで言うとは………やはりアルダープは見られたくないものがあるというわけか……」

 

「あ、ああ全くなんてヤツだ……」

 

自来也は罪悪感に苛まれながらもアクア達に報告していた。

 

「となると………証拠はこの日記くらいでしょうか?」

 

「めぐみんがアルダープの日記を持ちながら言った。

 

「ですがコレだけで攻めても無罪は勝ち取れ……あれ?なんでしょうか、ここだけ切り取られてますね」

 

「…………」

 

「あっ本当ね!ここだけ切り取られてるわ!もしかしたらこっそり忍び込んだ誰かがこの日記を見て自分の得になる事が書いてあったからここだけ破いて持ってったっていう可能性もあるわね!」

 

ギクッ。

 

「あの性悪領主の事ですからメイド達の入浴シーンが観れる部屋でも作ってあったんじゃないですかね」

 

「ああ、それを知った何者かがそこのページだけを盗って行ったという可能性もあるな」

 

「……………」

 

何故か喋らない自来也を不思議に思ったのかアクアが自来也をチラッと見ると

ダラダラダラと汗をかき目が泳いでいる自来也がいた。

 

「アンタまさか………」

 

とアクアが勘繰りを入れているとミナトが

 

「皆、明日がカズマの裁判の日だ。今日はもう寝て明日に備えよう」

 

ミナトがちょうどいいタイミングで来た事に自来也は安心した。

 

「もう明日!?早すぎるわね〜」

 

「そ、そんな悠長な事言ってる場合じゃありませんよ!もし私達の弁護が失敗すればカズマ首チョンパですよ!?」

 

「でも私のリザレクションでどうにかなるんじゃない?」

 

それを聞いためぐみんはあっそれもそうかも……と手をポンと置きながら納得していた。本人がいたらマジギレしてるだろう。

 

「まあとりあえず今日は遅いしもう寝よう。もしもピンチになったら、その時は私に任せて欲しい」

 

とダクネスが言った。彼女の言葉に決意が混じった気がしたミナトはどこか疑問に思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして裁判当日。

 

枷を付けて歩かされたカズマの顔は少し痩せ、どこか生気が抜けたような顔で立っていた。

 

「カ、カズマ………」

 

あの時カズマに黙って消えてしまった事にさらに罪悪感を覚えたミナトは顔を伏せた。

 

現在ミナトは監獄から脱獄したため、仮面を付け服装も変えた状態で人々に紛れながら裁判を見ていた。

 

耳障りなカラスの鳴き声聞こえ、カズマの周りを飛んでいる様は明らかに不吉な事が起きそうな雰囲気を醸し出していた。

 

「フーッフーッ……!」

 

「あっカズマが緊張で今にも嘔吐しそうに……」

 

「そ、そこまで追い詰められてたのか………」

 

「カズマ!大丈夫です任せてください!あの検察官が泣いて謝るくらいに論破してやりますよ!」

 

「カズマ、今回に関してはお前は何も悪くない」

 

「ダクネス…!めぐみん…!」

 

なんて頼もしい奴らなんだ…!だが、

 

「まぁ任せときなさいな!私達が絶対に無罪を勝ち取ってみせるわ!」

 

不安だ。………ん?そういえば自来也さんはいるけどミナトさんは……ってそうか脱獄したからここにはいないか。

いやでもいきなり何も言わずに出て行くのは酷いだろ。

あの時わりかしショックだったな。

 

「てゆーかなんかこっち見てる人いるんですけど!」

 

アクアが目線で示す先にはいかにも性格が悪そうなオッサンが居た。

 

「アレが領主のアルダープだ」

 

アイツが………

 

「これよりサトウカズマの裁判を開始する!」

 

そしてついに裁判が始まった。

 

「検察官は前へ!」

 

そう言われて前へ出てきたのはパリっとしたスーツを着た女性検察官セナ。

 

「領主という地位を脅かした事は、国家を揺るがしかねない事件です!よって被告人サトウカズマに国家転覆罪の適用を求めます!」

 

続けてセナが証人を連れてきた。

 

「クリス!?」

 

「アハハ……なんか呼び出されちゃった」

 

セナはクリスにズイと近づき

 

「貴方は公衆の面前でスティールで下着を剥がれたと……

間違い無いですね?」

 

「まぁ確かに間違いでは無いけど……」

 

クリスが言葉を濁していると

 

「私、見たんです!」

 

女性が傍聴席から手を挙げた。

 

「路地裏でパンツを振り回しているところを!」

 

「その男とは?」

 

そう言われると女性は目を逸らしながら俺にに指を……

 

「ヒィィ!!」

 

「事実だったという確定がとれただけで結構。ありがとうございました!」

 

続けてさらに証人を連れてきた。

 

「ミツルギキョウヤさん。貴方は被告人に魔剣を奪われ、売り払われたと?」

 

「ま、まあその通りです。ですがアレは元はといえば僕から挑んだ事で」

 

「ありがとうございました!」

 

「あのーちょっと僕まだ!?」

 

セナはマツルギをスルーし、次の証人を呼んだ。

 

出てきたのはムツルギの連れの女共だった。

 

「そしてそちらの2人は魔剣を取り返そうとした時に公衆の面前で下着を剥ぐぞと脅されたと?」

 

「そうそうそうなんです!俺は真の男女平等主義者だから女の子相手でもドロップキックを喰らわせられるぞって!この卑怯者ー!」

 

「そうなんです!この公衆の面前で俺のスティールが炸裂するぞーとか!」

 

やばい。元々不利だったものがどんどん不利に………

 

「み、見ました!確かにアレは怪しい手の動きで……アレは怪しい手の動きでしたー!!」

 

すると皆口々に俺の悪口を………

 

「酷いッ…」

 

「「最低ッ…」

 

「人間の屑がこの野郎……」

 

ただでさえヤバイ状況なのにどんどん追い込まれていってる。これは本当にマズイぞ!

 

「もういい。さっさと極刑にしろ。それにもう1人の逃亡者はまだ捕まらんのか!?」

 

オッサンが唐突にキレ始めた。

 

「逃げたという事はやましい事があったから逃げたんだろうが!冒険者風情がワシの家にコロナタイトなぞ転送しよって!」

 

ピキッ。

 

ん?ピキッ?

なんか今音がしたような……

 

「いくらデストロイヤーを破壊したからといってこればかりは許されん!今すぐ捕まえて極刑にしろ!ワシの家を破壊した事を泣いて謝ってもら………」

 

「私の……私の旦那様に口汚く罵るんじゃないってばねッ!!!」

 

「ブフォア!?」

 

オッサン目掛けて跳躍し、勢い良くパンチを繰り出した。

オッサンがありえないくらい吹き飛び壁に追突したんだが。ていうか今のホントに普通のパンチか?

 

「大丈夫?何日も無実なのに監獄に入れられて……」

 

そう言って女の人は俺に手を差し伸べてきた。

 

「あっはい大丈夫です。あのそういえばさっき私の旦那って………」

 

「そうよ。私はミナトの妻の、ミナトの妻の!うずまきクシナ。よろしくね!」

 

凄い綺麗な人だな。俺はしばらく見とれていたがあのオッサンが治療され意識が戻った事に気付いた。ヤバイ、このままじゃクシナさんも…!

 

「な、なんだ貴様は!?」

 

「ふん、アンタなんかに名乗る名前なんて無いわ!」

 

クシナさんはオッサンを余計に刺激した。いやそれ以上言ったらマズイと俺はクシナさんを制止させようとしたがその必要は無かった。

 

「ぐぬぬ……コイツも捕まえて目に物を」

 

「オイ」

 

カズマとクシナの前に現れたのは先程まで変装していた時とは違い、普段の格好で出てきたミナト。

 

「俺の妻に、手を出すな」

 

鋭い眼光で睨まれたアルダープや兵士達が冷や汗をかき蛇に睨まれた蛙のようにたじろぐ。

 

「来てくれると信じてた!」

 

「だからってこんな派手な事しなくても……」

 

ミナトさんとクシナさんがイチャラブしてる中ダクネスが前に出てきた。

 

「カズマ、お前はまだ言わなければならない事があるだろう?」

 

言わなきゃならない事?………あっ!

 

「そうだ……俺は………俺は魔王軍の手先でもなんでもなァァァァァい!!」

 

周囲は俺の発言により黙り込んだ。

 

「なっ……魔道具が反応しない!?」

 

「これでは検察側の主張が崩れてしまいますな……被告人サトウカズマを無罪とす……」

 

裁判長は木槌を振り下ろそうとした時アルダープが

 

「ダメだ裁判長。ワシに恥をかかせる気か?んん?」

 

そう言われた途端に裁判は慌てだした。そして苦渋の判断とでも言うように木槌を再び振り上げ

 

「被告人サトウカズマは死、死刑に……」

 

「ちょっと!そんなのおかしいじゃない!」

 

クシナさんは抗議の声を上げたが裁判長の耳には入らず

 

「こんなの………こんなのおかしいだろォォォ!?」

 

絶体絶命のピンチの時、ダクネスが待ったをかけた。

 

「裁判長。この裁判、私に預からせてはもらえないだろうか」

 

そう言ってダクネスは何かを全員に見せた。

 

「それは…!ダスティネス家の紋章!?」

 

周囲は唖然とする。今まで顔見知りだった奴がいきなり貴族だと言い出した。そりゃあ誰だって驚く。

 

「お前……良いのか?言わないで置いてやったのに」

 

「いや、こればっかりは仕方がない」

 

「時間を貰えれば、この男の身の潔白を必ず証明してみせる」

 

「いくらダスティネス家の威光があろうと…!」

 

「なにも無かったことにしてくれと言ってるわけではない。これは私から貴方への借りになる。だから私が出来ることなら、なんでも一つ言う事を聞いてやろう」

 

それを聞くなりアルダープは顔色を変え、邪悪な笑みを浮かべた。

 

「なんでもォ?」

 

「ああ。なんでもだ」

 

ダクネスが毅然とした態度で言うと周りから歓声が巻き起こった。

 

「ダクネスさん……」

 

「ダクネス……」

 

「そうだ!カズマは悪くねぇ!」

 

「「「「「カーズマ!カーズマ!カーズマ!」」」」」

 

「静粛に!静粛に!………静粛にって言ってんだろうがボケェ!!」

 

「アファ!?」

 

 

 

一連の騒ぎから一気に静かになり人々はカズマの判決を待つ。

 

 

 

「オホン、他ならぬダスティネス家の令嬢の頼みですからな、貴方の言葉を信じましょう。被告人サトウカズマの判決は保留とする!」

 

歓声が起こった。皆……そんなに俺の事を…!

 

どうにか俺の命は繋がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁホントに大丈夫か?あのオッサン、お前を見る目がやばかったぞ……何か凄いこと要求されるんじゃないのか?」

 

「凄い事…!」

 

俺の心配を返せよ。

 

「まぁ今回ばかりは助かったよ。ありがとな。その……頑張れよ」

 

「ああ行ってくる」

 

「………ララティーナ」

 

「その名で呼ぶな!」

 

ダクネスが帰ってくるまで……踏ん張るしかないか……。

ここから新たに、俺達の冒険が始まるんだ!

 

「行け行け!高く売れそうな物はドンドン回収していけ!」

 

「やめてェェェ!!それだけは!それだけはァァァ!!」

 

「嫌だァァァァァ!!これはダメだ!!俺の故郷の唯一の服なんだよォォォ!!」

 

「ダメだ!!コレはワシの商売道具だ!絶対に渡さんぞォ!」

 

俺達の、俺達の冒険は、ここからだ…………。

そういえばあの2人元気かなぁ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか君もいるなんて。あの時どんな反応すればいいか分からなかったよ」

 

ミナトは苦笑いしながら言った。

 

「でもあの時こう言ったじゃない。『俺の妻に、手を出すな』って!」

 

「あの時は君が危なかったからね。そりゃあ必死にもなるよ」

 

「もーミナトったら!」

 

監獄の中でも構わずイチャイチャしてる2人の声を聞いて囚人達はウンザリしていた。

 

「でも、嬉しかったわ。あの時もまた颯爽と助けてくれて」

 

「俺も。君とまたこうやって話せる事が……凄く、嬉しいよ」

 

ミナトは普段は見せない表情で涙を流した。

 

「んもう、泣かないの。……ナルト、どうだった?」

 

クシナは優しく聞いた。ミナトは思い出すように天井を見上げ

 

「ナルトは、君の最期の言葉をちゃんと守ってるって言ってたよ。多分……いや、必ず立派な火影になるよ。なんだって俺達の子供だからね!」

 

「その通りだってばね!………あの子ならきっと大丈夫」

 

ミナトとクシナの会話に囚人達は号泣しながら聞いていた事に2人は知る由もなかった。

 

「あっ!そういえば近い将来その、孫も出来るわけよね?

その、どんな人と結婚すると思うってばね?誰かそれっぽい人いた?」

 

「んー。でもナルトだからなぁ、鈍感だし自分の気持ちに気づかなそうだね」

 

「確かに!九尾と戦ってる時も私のこと九尾だと思ってたのよ!」

 

「ハハ!それ本当かい!?そういえば俺も面白い事が…」

 

2人は朝が来るまで語り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





やっとミナトとクシナくっつける事が出来た。私自身、2人の後日談が見たかったです。まぁ、自分が書くとは思いませんでしたが。でも2人をもう一度会わせる事が出来て本当に良かったです。


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