私がヒーローになる理由 (かっちゃん)
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プロローグ

俺は、人が嫌いだった。

そう思い始めたのがいつだったかは覚えてない。

どんな理由でそう思ったかも覚えてない。

そもそも記憶がほとんど無い。

だが、俺が『死んだ』ということは覚えている。

死んだ時の痛みも覚えている。

だが、

自分が死んだ原因も覚えてない。

ただ、自分が死んだという事実だけは覚えていた。

今思うのは、

次の生では人間を好きになろうと思った。

もう、人を嫌い続けながら生きるのはこりごりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチリ

俺は目を開けた。

「?」

目を開けた時に、俺は疑問に思った。ここはどこなのか、なぜ俺が生きてるのかを。

 

そう思った瞬間だった。

「っ!」

直後、頭に鈍器で殴られたような衝撃が走った。

衝撃が走った時、数多の記憶が頭の中に流れてきた。まるで、さっきの疑問に答えるかのように。

そして、俺は理解する。この体が俺の体じゃないことに。そして、ここが俺がいた世界じゃないってことを。

それを知った時俺はつい、笑ってしまった。

 

「くくっ、これが転生ってやつなのか?いや、この場合は憑依って言った方がいいのかもしれないな。まあどっちでもいいや、そんなことよりも、ここが、『僕のヒーローアカデミア』の世界ってことの方がずっと大事だ」

 

そう、俺はきてしまった。『僕のヒーローアカデミア』の世界へ。

 

 

 

 

 

 

 

俺の今の名前は、如月葵(きさらぎ あおい)今は4歳だ。

容姿は、サラサラの銀髪のロングに、眠たそうな透き通るような青い目。まあ、美少女だ。と言うか、美少女に転生とか嬉しい限りだよ、全く。

まあ、俺の個性を使えば、あまり美少女とか関係ない気がするけど。

 

個性は俺がこの子にならなければ圧縮する個性だったらしい。何を圧縮するのか?と問われれば、空気だったり、物だったり、色々だ。と言うか、圧縮する個性ってめっちゃ強いと俺は思う。まあ、まだ発現してなかったらしいけど。と言うか、なんで発現しなかったのか知らないけど。まあ、なんで発現しなかったのかは置いといて、

 

なぜ俺がこの子の個性を知っているかと言うと、

正直俺もよく分かっていない。

なぜか今までの記憶と共に、この子の未来まで見えた。

まあ未来は所々見えなかったところがあったが、あまり関係ないだろう。だって俺が憑依したってことは未来が絶対に変わるのだから。同じ未来なんて絶対にやってこないのだから。

 

まあ、そんなことは置いとくとして、次に、俺の個性についてだが、俺の個性は最強だ。

そう、俺の個性は、『身体変化』だ。

この個性は、普通に考えたら身体を変化させるって言うことだから体を強化したりする個性じゃないのかと思うが、この個性は、体を強化するだけじゃなく、相手の体と同じにすることも可能。つまり、あいての個性も使えるようになるってことだ。

だいぶ調整は必要になると思うが。

 

まあ、意味が分からないかもしれないが、個性のコピーや、身体強化ができると思ってくれれば良い。

いや、それ以外にも、この個性のすごいところがあった。

この個性、相手にも使うことが可能ってことだ。

つまり、相手の力を弱くしたり、相手の個性を無くしたりすることが可能ってことだ。

まあ、個性の話はこれぐらいにして、

とりあえず、お腹が空いたからご飯を食べよう。

俺はそう思い、自室を出てリビングに向かう。

俺の部屋は二階、リビングは一階にある、ごく普通の一軒家だ。

 

さあて、ご飯だご飯だ。今日のご飯は何かな?

そんなことを思いながらリビングのドアを開けると、菓子パンが一つ置いてあった。

そう言えば両親二人共朝から晩まで働いてたっけ?

それと今日は休日だったな。

と言うか、この体って女子…なんだよな。

うん、本当に四歳児で良かった。もし、高校生とかだと、色々とやばかった。色々と…

まあ、そんなことはどうでも良い。と言うか、俺の個性で男の体になったりできるから女子か男子かなんて些細な問題だ。

そんなことよりも、

四歳児って何するんだ?

確かに記憶を見たけど、こいつ全くって言って良いほど喋らないし、本読んでばっかだし、外で遊ぶ時もいつも日陰でみんなが遊んでるのをボーっと見てるだけだし。誘われても断るし…

何がしたいかマジで分からねえ。

まあ、俺が男だから分からないって言うのもあるだろうけど、でもこいつは、家族ともあまり喋らないし、本当にもうどうしよう?

 

どうしよう?と言うのは例えば、過去のこいつみたいに過ごせば良いのか?あるいは、もっと喋れるようになれば良いのか?とか、色々だ。

 

まあ良いや、今日は休日だしゆっくり考えよう。

 

 

 

 

俺は朝食を食べた後、まずは個性の把握をしないと。と思い、自分の体を強化したり、他の生物の体になってみたり、色々調べた。

そして、分かったことは、

 

「この個性、まじで最強だ」

若干、自分の個性にひいたぐらい最強だった。

 

確かに、転生やら憑依やらした主人公が最強の能力を手に入れて無双する話とかあるけれど、まさか、自分がなるとは思わなかった。

この個性で分かったことがあった。

最初に言った、身体強化や、コピーは出来た。

が、それだけじゃなかった。

 

ただ、自分がなりたいものを想像するだけで、そのなりたいものになれたり、強くなりたいとか、そんなあやふやなものでも、どんな強さなのか、どの程度の強さなのかを察知して、その強さにしてくれたりとか…というか、調整しなくても創りたい個性を思うだけで、俺がしなくてもあとは個性がどうにかしてくれるからめちゃくちゃ楽だった。

まあ、色々なことができる個性ってことは分かったけど、

 

これからのこと考えないとな…

 

・・・・・・はっ!思い出した。

 

そう言えば、俺、ほぼコミュ症だった。

うん、ってことは過去のこいつみたいに過ごせば良いってことだね。

と言うか俺も保育所の時、こんな感じだったな…

なんで忘れてたんだろう?

まあ、そんなことはどうでも良いか。

 

それよりも、出久君を探そうかな…

物語の世界に来たんならやっぱり主人公にあって見たいしね。

 

そうと決まれば、外に行くか。

と言うか、内心すごい楽しみだ!

さあてと、行くか。

俺はそう思い、自室に戻り、パジャマを脱いだ後、

代わりに青のワンピースと、麦わら帽子をかぶり、玄関に行く。もちろん、顔と歯を洗った後。

 

俺は下駄箱の上の籠の中の鍵を取る。

戸締り…は良いだろう。兄が家にいるんだし。

というか、俺、兄って欲しかったんだよな。よし、帰って来たらお兄ちゃんって呼んでみるか。どうやら兄はシスコンらしいけど。

まあ、そんなことは置いといて、

俺は下駄箱の上にある、両面白い紙に、遊びに行って来ます、5時には帰ってくるので安心して下さい。

そう書いて、鍵を持ち、家を出た。

さあてと、探しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、なんていうか、すぐに見つかった。と言うか、これ、あのシーンじゃないか。

そう、俺の目の前には、泣いている少年と、それをかばうようにファイティングポーズをしている緑髮のそばかすの少年と、それに対するように近づいてくる金髪の目つきの悪い少年と、他モブ二人。

 

「ひどいよかっちゃん…!」

俺が今いるのはとある公園だ。まあ、公園の名前は言わなくても良いだろう。

それよりも、まさか出久君を探しに行って、1巻の1ページ目の瞬間に立ち会えるなんてすごく嬉しいな。

 

「泣いてるだろ…⁉︎これ以上は」

ガクガク ガクガク

「僕が許さゃなへぞ」

 

おっと、そんなこと思ってる暇は無かった。

早く助けないと。

やっぱり、助ける時の言葉はあれだよね。

 

「“無個性”のくせにヒーロー気取りかデク‼︎」

ニョキッ、バサッという音とともに、モブ二人の個性が発動して、ボムッという音とともに、爆豪の個性が発動する。

俺はそれを見て、飛び出した。

爆豪が殴りかかるのとほぼ同時に俺は後ろのモブ二人を殴り飛ばした。もちろん個性を使って強化した拳で。

「グヘッ」

「ゴフッ」

俺がモブ2人を殴り飛ばしたので、爆豪がこちらを向いた。

 

「誰だ!」

俺は、その言葉を聞いた後、言った。

「もう大丈夫。何故って?私が来た!」

俺はできるだけオールマイトの顔になり、言った。もちろん個性を使って顔は変えた。

うん、これで顔は分からないだろう。もし、道端でたまたま出会って殴り飛ばされたりしたら嫌だからね。

それを聞いた出久は衝撃的な顔になり、爆豪はイラついた顔になる。

「誰って聞いたんだよ!オールマイトごっこなら他所でやりやがれ!」

そう言って、爆豪は殴りかかって来た。

俺はモブ二人を殴る時に個性を使って、身体を高校生ぐらいまで強くして、五感をだいぶ上げていたので爆豪の拳はスローモーションに見えた。

俺は爆豪の拳を受け止める。

くっ、爆豪が個性を使ったせいで手のひらが熱いし痛い。

「なっ!」

爆豪が驚いたような声を上げる。

 

ここで一つ言っておくと、腕は強化してあるが、腕の見た目は4歳の女の子そのものだ。まあ、つまり何が言いたいかというと、見た目4歳の女の子が同じ4歳児を殴り飛ばすのって側から見たらホラーだよねってこと。

 

話は戻すが、

俺は爆豪の声を聞いた後、拳をオールマイト並みの強さにまで高め叫ぶ。勿論、腕の見た目は華奢な女の子のままだ。

 

「デトロイト スマッシュ!」

 

もちろん、爆豪に当たらないように爆豪の横に向かって。

もし当たったら、大怪我どころじゃ済まないからね。

「っ…!」

 

爆豪が驚いて横を見ているすきに、俺は力を弱くして鳩尾を殴る。

「ゴフッ!」

 

その声とともに爆豪は気絶してしまった。

少し不意打ち気味だった気がするが気にしない。気にしない。

「大丈夫だったかい、出久君」

俺は出久君にそう聞く。

 

「えっと…色々と聞きたいことがあるんですが、一つだけ聞かせて下さい。」

 

同い年に敬語って…

まあ、あれだけやったら敬語も仕方無い…のか?

…まあ良いや、それよりも今は出久君の言葉を聞こう。

「何かな?」

 

「あなたは…オールマイトの親族ですか?」

 

なるほど、そうくるか。

俺はてっきりなんで僕の名前を知ってるんですか?とか聞くのかと思ってた。

 

「私の名前は如月葵、別にオールマイトの親族じゃ無いよ」

 

「そうですか」

 

そう言ったっきりデク君は何も話してこない。

なんだかきまずいな。

うーん、何か話さないといけないのかな?でもな…俺ほぼコミュ症なんだよな…今やったことのせいで、だいぶ説得力がない気がするが…いや、今気づいたが、俺コミュ症っていうよりも単に人と接することが苦手なだけだ。

 

まあ、それはおいておくとして、本当に困ったな…

あ、そう言えば顔オールマイトのままだった。

 

俺は個性で元の顔にする。

俺の個性って、使ったら元に戻すことが出来ないんだよな。上書きは出来るけど。

そんなことをおもっていると

「へ?顔が変わっ…それって個性ですか?」

 

最初は顔が変わったことに驚いた出久君だったが、すぐに個性だと判断し、そう聞いてくる。

 

「うん、そうだよ」

 

「じゃあさっきのオールマイト並みのパンチは何ですか?」

 

「それも個性だよ。まあ、個性の詳しい話は…うーん、そうだな…よし、雄英高校に出久くんが入学したら教えるよ。それまでに、まあ色々あると思うけど頑張って」

 

「は、はい」

うーん、同い年なのに、なんで敬礼してるんだろう出久君。

まあ良いや。

あ!それともう一つ言いたいことがあった。

「それと出久君」

「な、なんでしょう?」

 

「無個性でもヒーローは出来る!」

 

俺は力強くその言葉を言った後、全速力で走って帰った。

くー、なんか恥ずい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

俺はそう言って玄関の鍵を開けて家に入る。

俺は玄関で倒れている人を発見した。

あ、これお兄ちゃんだ。

「どうかしたの?お兄ちゃん」

 

そう言うと兄は驚いたような声を上げる。

「な!葵が俺に話しかけてくれただと!馬鹿な、そんなことが現実で起こるのか?否、そんなこと、あるはずが…」

「お兄ちゃん、うるさい」

 

うん、マジでシスコンだ。いや、まだシスコンって決めつけてはいけない。

「ま、また、喋ってくれただと!」

 

俺は、兄を無視し、靴を脱ぎ、脱衣所へ行く。シスコンじゃ無かったとしても、うるさいから今度から話しかけないでおこう。

というか、一瞬で俺のお兄ちゃん像が崩れ去ったよ。

はー、それに、俺前世でもあまり喋ってなかったし、家族だろうと話しかけるのは無理だな。

そう考えると、この子になれたのは運が良いと言えるのか?

 

「今からお風呂か?」

 

俺は一旦考えることをやめて兄の方を見てコクリと頷く。

ああ、いつもの妹に戻ってしまった…いや、まて、妹にツンデレ属性があるんじゃ…とか言ってる兄はほっといて早くお風呂はいって汗流して、これからのこと考えよう。

「なあ葵」

「なあに?」

 

俺は少し不機嫌そうに言う。

と言うか、妹が喋るだけで嬉しそうにする兄とか色々終わってる気がする。

って言うか、小学生でこれはやばい気がする。今はあまり関係ない話かもしれないが俺の兄弟、俺も合わせて6人いるんだよな。はー、なんて多いんだろう。喋るのが面倒くさい。

まあ、それは良いとして、兄は何が言いたいんだろう。

 

「い、一緒に入らないか?」

 

・・・・・・

うん、こいつ殴っても良いかな?まだ、この言葉だけだったら俺も我慢出来た。が、こいつ、ハアハア言いながら言いやがる。まじで変態じゃん。なんでこんな変態が生まれてきてしまったんだ!

はー、これでシスコン確定だ。

「良い加減にしないと私の個性で殴り飛ばすよ」

 

俺は殺気を放って言った。

流石に殺気を受けたのでビビるかな?と思っていたが、

「そうか、もう4歳だから個性が発現したのか」

そう言って、うんうんと頷いていただけでビビリはしてなかった。

そういえば兄の個性って気を操る個性だったっけ?

と言うか、気を操るってどんな個性だ?記憶の中には無かったが…

まあ良いや、早くお風呂に入ろ。

 

「そ、それで、どうなんだ?お兄ちゃんと一緒に入ってくれるか?」

 

はー、

 

「だから、入らないって!」

 

「えー、良いじゃん、兄妹同士だろ?」

 

「兄妹同士でも駄目」

 

「良いじゃん、良いじゃん、な、一緒に入ろうぜ!」

 

どれだけ一緒に入りたいんだこいつは!

もう殴って良いかな?

 

「無言ってことは肯定として受け取るけど良いよな?」

俺は個性で自分の力を上げて、兄の鳩尾を右手で殴る。

 

あ、やべ、あまりにうざくて殴っちゃった。まあでもこれぐらいの威力だったら…

「グフッ!い、良いパンチだ。けど、俺にはきかん」

やっぱり倒れないか。

 

でも、グフッ!って言ってるしもうちょっと威力上げれば倒れるか?

「妹と一緒にお風呂に入ることが出来るのならこれぐらいの攻撃、屁でもない!」

そのやる気を他のことに注いでくれたらな…

俺はそう思いながら再度右手で兄の鳩尾を殴る。

今度はさっきよりも力を上げて。

「ゴフッ!」

兄はようやく気絶してくれた。

よし、これでお風呂に入れるぞ。

俺はそう思いながらお風呂に向かった。

 

 

 

「ふー」

俺は頭と体を洗って汚れを落とした後、湯船に浸かっていた。

勿論湯は沸かしてある。

あー、お風呂は落ち着くな。

そう思った直後だった。

 

「っ!」

急にものすごい頭痛がした。

頭が割れるような頭痛がした。

いや、鈍器のようなもので殴られたような痛みかもしれない。

もしかしたらどちらでも無いのかもしれない。が、

一つだけ言えることは、死んだ時以上の痛みがするということだけ。

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

 

「うっ、あがぁ…」

耐えられない耐えられない耐えられない耐えられない。

こんな痛み耐えられない。

俺はとうとう泣いてしまった。

「うっ、うあ…ああ…」

 

「ゲホッ、ゲホッ、カハッ!」

そして、泣きながら血を吐いてしまった。

理由は、個性によるものか、もしくは、ストレスによるものか分からない。

ただ、血を吐いたという事実があるだけだ。

 

なんだこの痛みは何なんだこの痛みは!

 

その時、思い出したかのように俺の頭の中に、俺のデメリットが流れてきた。

 

それは、自分の個性を使えば、死にも勝る痛みが襲いかかるというものだった。

 

俺の個性は最強だった。だが、デメリットも最凶だったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はあれから5分ほど痛みに耐えていた。

いや、正確に言えば、あれから徐々に増す痛みを耐えていた。

 

最初は頭痛だけだった。が、その痛みは1分も経つと、全身にまで広がっていった。

 

その間俺はずっと歯を食いしばって我慢していた。

 

俺は思う。

きっと、個性を使い続ければ俺はいつか死んでしまうだろう。

そう思うほどの痛みだった。

 

 

俺はそう思った後、浴槽を出て、体をタオルで拭き、着替える。

 

着替え終わった後、おれは自室に行き、ベットに倒れ込み、死んだように眠った。

 

 

 

 

 

 

 



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プロローグ2

最近頭が回らなくなって来たかっちゃんです。
今回、おかしな点があるかも知れませんので見つけたら感想などで教えてもらえたら嬉しいです。まあ、前回もあったかも知れませんが…
まあ、前回のことは置いといて、本編どうぞ。



「あおい〜ご飯よ〜」

 

俺はその声で目を覚ました。

ここは…ああそうか、そういえば俺僕のヒーローアカデミアの世界に来たんだっけ?

俺はそのこととお風呂での痛みを思い出し顔を歪める。

 

僕のヒーローアカデミアの世界に来たことは嬉しかったし、美少女になれたのも良かったと思ってるけど、あの個性のデメリットがきつかった。本当にショック死するんじゃないかと思った。

はー、こんなことなら転生したく無かったな。

・・・まあ前世の記憶が無いから今より酷く無いとはいえないんだけど…

 

俺がそんなことを思ってると、

 

“ねえ、聞こえる?”

と、声が聞こえた。

 

ん?

俺はどこから声が聞こえたか分からずきょろきょろと周りを見る。

 

数冊の本が入っている本棚。

まだ新品同様の勉強机。

そして、今俺が座っているベット。

 

特におかしな点は無かった。

だが、気のせいとは思えなかった。

 

“聞こえているのなら返事をして欲しいんだけど…”

 

うん、やっぱり聞こえた。女の子の声だ。

 

はいはい、聞こえてますよ。

 

俺は心の中でそう言った。

だいたい予想はついた。

この声は多分、この体の主人だろう。

そして、話しかけて来た予想も大体は出来る。

 

“良かった。どうやら聞こえてたみたいだね。それと、その予想は正解”

 

どうやら、俺の考えまで聞こえるようだ。

 

それで、何?この体返して欲しいの?

 

俺はそう聞いた。

それ以外に話しかける理由が無いと思ったからだ。

 

“まあ、返してもらえるならそれでも良いけど…そしたらあなたが困るでしょ?”

 

うん、まあそうだね、っていうか返し方も分からないし。

 

“だから、私が言いたいことは、今まで通りの私で過ごして欲しいってこと”

 

あ、うん、それは頑張ってみるけど…

そのことで話しかけたの?

 

“まあ、うん、そうだね。あ、でも、もしかしたら私は誰かと話したかったのかもね”

 

彼女の声は少し寂しそうに聞こえた。

 

そんな寂しそうな声出すなよ…

はー。

 

俺はため息を吐いた後、個性を使った。

 

 

俺の指から徐々に肉が出てきたり、硬そうな半透明のものが出てきたりした。

俺から出てきた肉はベチャベチャと音を出しながら指から落ちていき、たまに、硬そうな半透明のものが落ちる。

 

見ていて気持ちの良いものでは無かったが、俺はずっと見ていた。

その肉が俺の指から落ちるところから、人の形になるまで全部見ていた。

 

 

肉から

指が、

足が、

胴体が、

手が、

首が、

顔が、

徐々に出来ていく。半透明のものは指の先端にいき、爪となった。

 

そして、どろどろの肉は、硬そうな半透明のものは、人の形になった。何から何まで、俺の身体と一緒にした。

いや、何から何まででは無いな。そう、一つだけ違うことは、『個性』だ。

俺は、この子の個性を本当は俺が入っている体が発現するはずだった、『圧縮』にした。

いや、もう一つ違うことがあった。それは、声だ。

俺は、自分の声と聞き分けられないと思って、声を少し変えた。

 

 

出来上がった後、俺は彼女に言った。

 

出来た、これが君の新しい体だ。

 

まあ、ほぼ俺は何もやっていない。俺がやったことと言えばただどんなことをしたいのか思い描いただけだ。

それだけだし、彼女も俺の個性のことは知っているはずだ。

俺の考えが分かっているんだから。

だけど、だけど彼女は言ってくれた。

 

“ありがとう”

 

と。

俺は、ようやく思い出した。

とある、一つの感情を。

長年忘れていた感情を。

そう、嬉しいという感情を。

 

ああ、これが嬉しいという感情だったな。

 

“ねぇ”

 

ん?

 

“何で泣いてるの?”

 

俺はその言葉でようやく自分が泣いていると分かった。

 

“もしかして、個性のデメリットが痛くて泣いてるの?”

 

俺は少しだけ笑い、何でも無いと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“と、とうとう入るんだね”

 

ああ、だから早く入れよ

 

俺たちはあれから特に何もしていなかった。

そう、何もしていなかったのだ。

まあ、まだ10分くらいしか経ってないが。

 

“は、入るよ”

 

こいつは勇気がいるとか言ってずっと深呼吸したりしていた。

はー、流石に十分もいらない気がするんだが…

 

俺に、良い加減にしないと…

「うぐっ!」

 

チッ、とうとう来やがった、デメリット。

 

“えっと…大丈夫?”

 

い、良いからお前は早く体の中に入れ!

 

「ぐっ…がっ…」

 

今回も、前回と同じで、頭痛が始まり、徐々に痛みが増していく。

 

「は、早ぐ…はい、れ・・・ぐあぁ…」

 

痛い…言葉にならないぐらい痛い!

多分1分くらいしたら全身に広がるんだろうな…

 

“わ、分かった、私入るよ”

 

そう彼女が言うと、お腹から何か抜かれたような、なくなったような感覚がする。

 

「グガッ!」

 

そう言った後、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆさゆさ、ゆさゆさ

俺は誰かに体を揺すられて起き上がる。

と言っても、起きたばかりで、頭がちゃんと働かない。

 

「やっと起きたね」

 

その声で、ようやくちゃんと目を覚まして、昨日のことを思い出す。

 

「ああ、そうか、そうだったな。えっと…」

 

まあ、こいつが俺の造った体の中に入ることが出来て良かったが、

俺はこいつのことをなんて呼べば良いんだ?

 

「ああ、私の名前?・・・その前に、言いたいことがあるんだけど」

 

どうやら気づいてくれたようだ。なんて呼べば良いか分からないことに。

それにしても、名前を言う前に言いたいことって何だ?

 

「?」

 

俺が疑問に思っていると

ガチャッ

と言う音とともに誰かが入って来た。

そう、入って来た人物は

 

お父さん、

お母さん、

お兄ちゃん三人

お姉ちゃん二人

計七人、うーん、多い。

いや、そんなことよりも、何で入って来てるんだ?いや、別にこの部屋に入ってくることはおかしく無い。でも家族全員入ってくるなんて…は!もしかして…

 

「うん、あなたの思った通り私は家族に全部話したよ」

 

ん?ちょっと待て二つの意味でちょっと待って。

 

「二つ聞いて良い?」

 

「何で全部話したかと、何で私があなたの思ったことを読めてるかって?」

 

「う、うん」

 

そう言うと彼女は少し考えたような素振りを見せて言う。

「何でかは私も分からないけど、まあこの体に入るまで読めてたから不思議じゃ無いんじゃ無いかな?」

 

そう言った後、彼女は微笑んだ。

不思議じゃないかどうかは一旦置いとくとして。

俺が今一番言いたいことは、

似合わないな〜その微笑み。

 

「それよりも、お父さんとお母さん、お姉ちゃんやお兄ちゃんから言いたいことがあるらしいよ」

 

俺は思考を切り替えお父さんやお母さん、お兄ちゃんお姉ちゃんの方を向き、ゴクリと唾を飲み込んだ。

何を言われるんだろうか?やっぱりこの家から出てけ!とかかなるそれとももっと別のことだろうか?

俺がそう思っていると、お父さんが口を開いた。

 

「お前孤児院から引き取ったことにしたからここを自分の家だと思って過ごせ名前は茜っていうことにしたから」

 

ん?ちょっと待って、早口で頭に入らなかったんだが…

そう思ったら、葵は俺の耳元で小さな声で言う。

 

「ようするに、自分の家だと思って良いよ。でも、あなたも葵じゃ呼ぶ時に困るから今度から如月茜として過ごしてね。って言うこと」

 

うん、まあ理解はしたし、俺が思ってるようなことが起こらなくてすんだ。

と言うか、素直に嬉しい。

そう思った後、お父さん以外の人が、

 

『ようこそ、如月家へ。今日からよろしくね』

 

と言ったので、何だかまた嬉しい気分になった。

お父さんたちが言いたかったことってこれだったのか…

 

俺は少し微笑みながら、

「こちらこそ、今日からよろしく」

 

と言って家族全員と握手した。

俺が全員と握手し終わった後、誰かのお腹がグ〜となった。

するとお母さんが、

 

「そういえば、まだご飯食べてなかったわね、じゃあ今からご飯にしましょう」

 

そう言って、お母さんたちは下に下りようとするが、俺は葵に聞きたいことがあったので、

 

「あ、ちょっと待って下さい」

と言ってお母さん達を止めた。

 

「どうかしたの?」

と不思議そうに聞くお母さんに

 

「少し、葵さんと話をさせて下さい」

と言ったら、お母さんは微笑みながら

 

「わかったわ」

と言って下に下りていく。もちろん俺と葵以外の人たちも。

 

「どうかしたの?」

 

その言葉を聞いて、分かってるくせにと思いながら言う。

 

「お前、俺のことをどこまで知ってる?」

まあ、当然の疑問だった。

 

すると葵は少し微笑みながら言う。

 

「あなたがその体に入ってから見て来たこととあなたの個性、それとあなたが考えてることかな」

 

「それと、もう一つ聞きたいことがあるんだが」

 

「何?」

 

と言うか、俺、こいつと話す時喋らなくてよくね?

…まぁ、後で言ってみるか。

それよりも今は、葵に聞かなくちゃな。

 

「お前はいつから俺の考えを読めるようになった?」

 

「うーんっと、確か、茜ちゃんに話しかけた時からだよ」

 

それを聞いて俺はそうか。と答えた。

そこから少し沈黙があり葵は思い出したように言う。

 

「そういえば茜ちゃん、私思ったことがあるんだけど」

 

茜…ちゃん?

まあいいや、ちゃん付けされたことは置いといて、って言うかさっきも言われてたな。まあ、今はそのことは置いといて、葵の話を聞こう。

 

「何だ?」

 

「茜ちゃんの個性のデメリットって茜ちゃんの個性で痛覚を消せばいいだけのことじゃ無い?」

 

うん、まあ言われるとは思ってた。

 

俺は少しため息を吐いた後言う。

 

「それは、俺も思ったんだけど、駄目だった。個性を使って痛覚を消したんだけど、その痛みだけは何故か消すことが出来なかった。しかも、デメリットを弱めたりしようとしたけど、効かなかった。だから俺はこれは一種の呪いなんじゃ無いかな?って思ってる」

 

俺は自分の手の平を見ながらそんなことを言った。

 

「デメリットを弱めたり、無効化したり出来ないのは分かった。だけどそれ以上に気になることがあった」

 

俺は顔を上げ、葵の方を見る。

気になること?

 

「そう、それは…」

 

それは?

 

「あなたが女の子なのに俺って言ったり、言葉遣いが荒い事よ!」

 

へ?そこ?

 

「へ?そこ?じゃ無い!駄目じゃ無い、せっかくの銀髪ロング美少女なのにオレっ娘なんて勿体無い。オレっ娘はショートで活発な女の子だけで良いの!」

 

へ?自分が美少女だって自覚してたの?しかも、4歳児がオレっ娘なんて言葉どこで覚えて来たんだ?

 

「私がどこで覚えて来ようがどうでも良いの!それよりも、あなたが女の子みたいになるまで私があなたを調教するから」

 

本当に、調教とか、オレっ娘とかどこでそんな言葉覚えて来たんだか。

 

「さて、それじゃあ始めるわよ」

 

そう言って、鞭を自分の手の平に叩きながら言ってくる。

 

ん?鞭?

 

「ちょ、ちょっと待て、その鞭どこから持って来た!と言うか、4歳児の銀髪美少女が鞭持ちながら調教とか言ってくるのは何かこう色々とアウトな気がするんだが…」

俺はそう言いながらベットの端に逃げる。まあ、あまり意味がない気がするが。

 

「そんなの今はどうでも良いわ、それより、そうやって私を見て縮こまりながら怯えるのを見るとゾクゾクしてくるのは何でかしらね?」

 

「いや、それ完全にSじゃないですか。サディストじゃないですか。と言うか、さっきからキャラどこに言ったんだ!最初の無口で大人しいキャラはどこに言ったんだ!」

 

「もう最初のキャラなんてどうでも良いのよ。ほら、私は過去を振り返らない女だから」

 

「いやいやいやいや、何かかっこよく言っても駄目だから。それただ単に過去から目を背けてるだけだから」

 

「ごちゃごちゃうるさいわね!」

 

そう言って葵は鞭を床に叩きつけた。

ヒィッ

俺は自分の両腕で頭を守るようにし、右足も少し上げた体制で怯えていると、

 

「その怯えた表情私好きよ。ゾクゾクしちゃう。もっと、もっとその顔して。そして私をもっと猛らして!」

 

4歳児にはあるまじき発言だった。

 

「お前本当に4歳児かよ!」

 

「本当にうるさいわね。そんなうるさい子にはお仕置きが必要かしら」

 

「な、何を…」

 

ピシィッ!

 

ヒィ…

 

「調教の時間を始めるわ」

 

そう言って葵はベットに上がり近づいてくる。

顔を赤らめながら恍惚とした表情で舌舐めづりをしたがら。

俺はこれを…この百合の花が乱れんとしているこれを、第三者視点から見たかった!

 

「い、い、いやあああぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちが下に降りた頃にはみんな朝ごはんを食べ終わった後だった。

 

私はさぞかしやつれたような顔をしているだろう。

反対に葵はすごいつやつやしていた。

 

と言うか、考えてることとかも私って言わないといけない何て…

 

「はー」

本当、溜息しか出ないよ。

 

俺と葵は朝ごはんを一緒に食べた。

言い忘れていたが葵は調教が終わった後Sキャラじゃなくなっていた。




感想でoenさんにデメリット簡単に解決できますよね。と言われたので、解決出来ない方向に行かせました。
もし、主人公無双が見たかったと言う方はすいません。
それと、この作品は基本行き当たりバッタリな感じで書いてるので、作者もどんな風になるのかよく分かってない状態です。
はい、何か本当にすいません。
それと、読んでくれてる方々ありがとうございます。
出来るだけ頑張って書いていくのでどうか、見捨てないで下さいね。


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第1話 秘密

やっぱり頭がちゃんと働かないかっちゃんです。
今回もおかしな点がありそうで不安です。見つけたらお手数をおかけしますが、感想などで言ってください。よろしくお願いします。
それでは本編どうぞ。


あの日から何年か経ち、私と葵は今中学3年生だ。

あれから、鍛えたり、偶に個性で実験して見たり、痛みに耐えきれず倒れたりと色々あった。

 

 

 

 

 

 

 

「えーおまえらも三年ということで‼︎本格的に将来を考えていく時期だ‼︎」

私たちは朝のHRにそう先生に言われた。

 

そうか、もうそんな時期か。

……ってことは出久君がオールマイトに会う日も近いってことか。

 

俺がそんなことを思ってると、先生が進路希望のプリントを配ると言ったり、そのプリントをばらまいて、だいたいヒーロー科志望だよねと言ったりしていた。

 

あれ?どの学校も進路希望のプリント配ったりする時ってこんな感じなの?出久君のところもそうだったけど…

…まあいいや。それよりも、今日は出久君を探しに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になって俺が帰る準備をしていると、

「茜、一緒に帰ろ」

と言って来た人物がいた。

それは葵だった。

まあ、私に話しかけてくる人なんかいないんだけどね。

…そうですよ、ボッチですよ。

葵は友達が何人かいるのに私はボッチですよ。

本当に葵の元設定どこ言ったんだろうか?

俺は元設定引きずったままなのに…

いや、大丈夫大丈夫。最近は結構話せるようになって来たし、きっと高校デビューくらい出来る…と良いな…

 

まあ、そんなことよりも、言いたいことは、

 

葵も自分もあれから普通に成長していった。ってことだ。

私は、心配だったことと言うか、怖かったことがあった。それは、葵の成長についてだ。

葵の体は私の個性で造った体だったから、成長しないかな?って思ってたけど、ちゃんと成長した。本当に良かった。もし、成長しなかったら、まあ、私に降りかかる痛みと引き換えに成長する体にするつもりだったが…

 

まぁ、それとは別の話になるのだが、

 

これは中学生になった時の話だ。

中学生になった時、私は葵に流石にもうちゃん付けはやめてくれないかな?と言ったら渋々だけど、了承してくれた。と言うことがあった。

今でも何で渋々だったのかは分からないままである。

まあ、そこまで気にならないし、本人に聞く気にもならないから別にいいんだけどね。

 

 

 

 

 

 

「ごめん、今日ちょっと用事がある…と言ってもどんな用事かは分かるよね?」

 

「うん」

 

分かるのは良いんだけど、まあ、良いんだけど、何で今でも私の心を読んだり、考えたりしていることが分かるのかな?

 

「それは私にも分からないな」

 

今のは独り言だったんだけどな…

まあ、良いか。

 

私がそんなことを思っていると、

 

「ねえ茜」

 

と、葵が聞いてくる。

 

「何?」

 

「その用事、私もついて言って良いかな?」

 

まさか、そんなことを言われるとはびっくり…してないなあまり。

まあ、過去にもちょくちょく用事があるとか言うと、ついていきたがってたな…

何だかはわからないけど。

 

「うん、別に構わないよ」

 

俺がそう言うと、葵は喜んでいた。

私は何故かは分からないけど嬉しい気持ちになった。

まあ、それは置いといて、早く行こ。

 

 

俺たちはそんなやりとりをした後、学校を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確か、私立折寺中学校はこの辺だったはず…

 

俺と葵は今、私立折寺中学校を探していた。が、

なかなか見つけることが出来ないでいた。

 

ケータイぐらい買ってくれても良いのにな。そしたら電話できるし、ナビとか使えるのに。

 

と思っていると、葵が突然立ち止まった。

折寺中学校でも見つかったのかな?

 

「ねえ、茜」

 

「何?折寺中学校でも見つかった?」

 

私が聞くと葵は首を横に振り言う。

 

「折寺中学校は見つからなかったけど、出久君なら見つかったよ」

 

マジか!まさか、折寺中学校よりも先に見つかるとは。

 

「ねえ茜」

 

ん?どうかしたんだろうか?なんかこう、オーラ的なもの出てるけど。

 

「女の子がマジか!何て言葉使って良いと思ってるの?」

 

あ…やらかした。

 

「帰ったら久しぶりに、ちょ・う・きょ・う、だね」

 

私はその時の笑顔を久しぶりに見た。

最後に見たのって確か小学校三年生の時だったな…

 

私が葵に怯えていると、

 

「もう大丈夫だ少年‼︎私が来た!」

 

ん?ちょっと待って、

もうその段階なの?もう、出久君ヘドロヴィランに会っちゃってるの?

 

「ちょっと葵、何で出久君がヴィランと会ってる段階って言ってくれないの⁉︎」

 

「え?だって見つけたのついさっきだし、聞かれなかったし」

葵がオーラ的な何かを解いてそう言う。

 

あ、そういえば確かについさっきだったな。

と言うか、まさか出久君がオールマイトに会うのが今日だったとは…

 

そんなことを思ってると、

 

「スマッシュ‼︎」

 

と声が聞こえた。

 

ああ、もうこれオールマイトがヘドロヴィラン吹っ飛ばした後じゃ無いか。

 

私と葵は、声がした方に急いで向かう。まあ、そんなに距離は無いけど…

 

そこには、寝転がっている出久君がオールマイトに頬を軽く叩かれてる姿があった。

 

私は少し笑いながらオールマイトに近づく。

どうやらオールマイトもこちらに気づいたようだ。

 

「ん?君たちは?」

 

そうオールマイトが言ったので私は、

「えっと、中学3年生の如月茜です。それで、こちらが如月葵です」

 

やっぱりなんて言うか、画風が違うなぁ…

まあ、画風が違うことは置いといて、

 

私はオールマイトに右手を出す。

そう、握手をするためだ。

 

「握手かい?」

 

そう言って、オールマイトは私の手を握り握手をする。

 

おー、やっぱりオールマイトの手ってでかい。

は!それよりも

 

私はこれからのことを考え、オールマイトの耳に顔を近づけて、

 

「五年前にオールフォーワンにやられた傷は大丈夫ですか?」

 

と小声で聞いた。

 

その瞬間すごい速度で後ろに跳んで逃げられてしまう。

 

「酷いじゃないですかオールマイト、逃げるなんて」

 

私はニヤニヤしながらそう言う。

ふむ、私は一体何をしたいんだろう?何だか私にも分からなくなって来たぞ。

 

「貴様、どこまで知っている!」

 

どうやらオールフォーワンの仲間か何かと勘違いされたらしい。

 

「知ってることは結構ありますけど、別にオールフォーワンの仲間とかじゃじゃないですよ。と言うか、私ヒーロー志望ですよ」

 

そう言ってもオールマイトは警戒を解いてはくれない。

私はため息をついた後、

 

「ここはちょっとあれなんで、人のいないところに行きませんか?」

 

そう言って歩き出した。

私が歩き出すと、オールマイトは無言でついてくる。

私は、残った葵に、

 

「とりあえず、葵は出久君を家に入れておいて」

 

と言った。

 

「うん、分かった」

 

そう葵が言った後、私&オールマイト、葵&出久君で別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちは今、人気の無い路地裏に来ていた。

 

「大変そうだからトゥルーフォームで大丈夫ですよ」

 

そう言ってもオールマイトはトゥルーフォームに戻ろうとしない。

警戒しているのだろうか。

はー、どうやったら警戒解いてくれるのかな?

 

「本当にオールフォーワンの仲間でも、ましてやヴィランでもありませんよ。と言うか、私が知っていることなんて、オールマイトの個性や、オールマイトの怪我とかぐらいしか知りませんよ」

 

「いや、君結構知ってるじゃないか」

 

突っ込むぐらいには余裕があるらしい。

そんなことを思いながら話を続ける。

 

「私が何故貴方を連れて来たのか分かりますか?」

 

私がそう言うとオールマイトは分からないと答える。

 

「私が連れて来た理由は、貴方のお腹の傷を治すためです」

 

そう私が言うとオールマイトは驚いたような顔をする。

オールマイトのマッスルフォーム時の顔って同じ感じの顔だから分かりづらいと思ってたけど以外とわかるものなんだね。

 

「治せるのかい?この傷を」

 

どうやら、完全とまではいかないが、警戒を解いてくれたようだ。

 

私は少し微笑みながら言う。

「はい、治せますよ。それもすぐにね」

 

オールマイトは信じられないと言いたそうな顔をする。

まあ、治さないと色々と困る事もあるしね。

 

おっと、治す前にお願いしたいことがあった。

 

「あ、そうだ。オールマイトに一つだけお願いがあるんですが」

 

「何かな?」

 

マッスルフォームは解いてないが、もう、敵とは思っていないらしい。まあ、絶対とは言えないが。

 

私は少し笑い言う。

 

「さっきの緑髪の少年…まぁ、出久君って言うんですが、その少年にワンフォーオールを受け継いで上げて下さい」

 

そう私が言った後、オールマイトは難しい顔をする。

まあ、大方予想通りだな。

 

「彼は、昔のオールマイトと同じで無個性なんですよ」

 

オールマイトはまた驚いたような顔をする。

それは出久君が無個性なことか、または私がオールマイトのことを知ってたことにか、もしくは両方か。

まあ、どちらでも良いんだけどね。

 

おっと、オールマイトに言いたいことがあったんだった。

 

「あ、話は変わりますが、オールマイトにだけは言っておきたいことがあるんですが」

 

「何だい?」

 

私は笑いながら言った。

「私は、別の世界から来た、いわば異世界人なんですよ」

 

そう言うとオールマイトはまた驚いたような顔をした。

さっきからオールマイト驚いてばかりだな。

まあ、さっきから驚くようなことしか言ってないしね。

 

「そこでは、この世界のことを全部ではありませんが見ることが出来るんですよね」

 

またもオールマイトは驚いたような顔をする。

 

「私はそこでオールマイトのことや、オールフォーワンのこと、他にも出久君や、来年一年生になる雄英高校の人たちのことを知りました」

 

「そ、そうか」

 

オールマイトは本当に信じられないものを見たような顔をする。

まあ、それは置いといて、

 

「その世界から見たこちらの世界では当然ですが、私はいません。いわば、イレギュラー的存在なんですよ。まあ、そこは置いとくとして、私が今から言いたいことは私が見た、これからのオールマイトたちのことです」

 

オールマイトはちょっと待ってと言った後、考えるような素振りをする。

まあ、そりゃあこれだけ信じられないようなことを言ったんだ、考えたくなるくらい、普通だろう。

 

 

 

数分経って私は、

「そろそろ良いですか?」

 

と聞いた。するとオールマイトは、

 

「ああすまなかったね、少々取り乱してしまったよ」

 

と言って謝る。

別に謝らなくても良いのにな。

と思いながら話を続けた。

 

「えっと…あれ?何を話そうとしていたんだったっけ。あ、そうだ、これからのことだ」

 

そう言って私は話し始めた。前の世界で見た僕のヒーローアカデミアのことを。私が知っていること全てを。

まあ、覚えてないところも所々あったが、まあ、大体は話せた。

 

 

 

 

「信じられ無いが、君が嘘を言ってるようにも思えなかったし…」

 

「まあ、とりあえず、このことは、他言無用で。どこでオールフォーワンが聞いてるかわからないですし。まあ、もしかしたら、未来が変わるかも知れませんが、頑張って下さい。色々と。っと、忘れるところだった」

 

そう言うと、オールマイトは不思議そうな顔をする。

さてはオールマイトも忘れてたな。

まあ、衝撃的なことを色々言ったんだし、しょうがないか。

 

「オールフォーワンにやられた怪我を治すって言ったことですよ」

 

そう言うと、オールマイトは思い出したような顔をして、また、不思議そうな顔をする。

 

「どうかしたんですか?」

 

私は気になってそう言うと、オールマイトは、

 

「傷を治すと言ってくれたが、君の個性は何なんだい?」

 

うん、聞かれると思ってた。

 

「私の個性は、全部は言えませんが、オールマイトの傷を治すくらい造作もないような個性ですよ」

 

私はそう言ったが、オールマイトはまだ何か聞きたいような顔をする。

はー

 

「私の個性の話はここまでです。と言うか、きっと後から分かりますよ。私、雄英高校に入る予定ですから。まあ、私の個性を使えば造作も…無いとは言い切れませんが、大丈夫ですよ。まあ、何が言いたいかと言うと、雄英高校で私の個性を見ることができるでしょう。ってことです。そんなことより、早くやりますよ」

 

「ああ、分かった」

 

そう言ってオールマイトはシャツを脱ごうとする。

何だろう、何だか男の上半身を見るのが恥ずかしくなってきた。元男なのに。

これも葵の調教の所為なのだろうか?

 

「シャ、シャツを脱がなくても大丈夫ですオールマイト」

 

私はそう言いながらシャツを脱ぐのをやめさせる。

 

「それじゃあどうやって治すんだい?」

 

そう聞かれたので私はオールマイトの手に触れると、オールマイトは驚いたような顔をする。

それもそうだろう。何たって、もう治っているんだから。

 

「き、君は今何をしたんだい?」

 

「別に、個性を使っただけですよ」

 

そう言うと、オールマイトはまた驚いたような顔をする。

今日だけでオールマイトの驚いたような顔を何度見たことか。

 

「あ、でも、治したってことは受け継ぐ理由がなくなったってことですよね」

 

「まあ、そうだが、約束はちゃんと果たすよ。だからちゃんと出久君を鍛えて、個性を受け継がせるよ」

 

私は笑って、それは良かったです。と言った。

その後、オールマイトは聞いてきた。

 

「それで、君はこれからどうするのかな?」

 

これからか。

私は少し悩んだ後、

「とりあえず、出久君を呼んで、三人でどこかに行きませんか?色々と話したいこともあることですし。時間もまだ四時なので」

 

私がそう言うとオールマイトは笑って了承してくれた。

 

「それじゃあ行きましょうか。まずは私の家へ出久君を呼びに」

 

そう言って私とオールマイトは私の家へと向かった。




多分、土日は書けなくなる日が多くなると思います。
楽しみにしている方がいるかどうかはわかりませんが、いたら、土日はあまり投稿されないと思って下さい。
はい、色々とすいません。
そして、読んでくれた読者の皆様ありがとうございます。


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第2話 私と出久とオールマイト

少し遅くなってしまってすいません。
まあ、書けなかった理由はただ単に書く気が起きなかっただけなんですが…
それと、今回の話は何日かごとにおいて書いていたので、変なところがいっぱいあるかもしれませんので、もしよろしければ、おかしな点などは感想などで言って下さい。まあ、何だかこんなことを毎回言ってる気がしますが…
それは置いておいて、本編どうぞ


「それで、どこに行きますか?」

 

私はそう出久君とオールマイトに言った。

あれから私とオールマイトは私の家に行き、家の中にいる出久君を外に連れ出して、どこに行くか決めているところだった。

 

葵が私も行きたいと言っていたが、私は、駄目と言った。まあ、オールマイトのこととかは葵が私の心を読んでいたから分かってはいるんだけど、それでも連れて行くことは出来なかった。

 

 

「それじゃあ、私の友人が経営するラーメン屋にでも行こうか。そこでだったら私の秘密も話せる」

 

そうオールマイトがそう言ったので、私と出久君は頷いた。

 

残念ながら出久君にはオールマイトのことで話したいことがあるから来て。と言っただけなので、秘密とは何のことか出久君は分かってはいなかった。

 

「そう言えば出久君に聞きたいことがあるんだけど」

 

オールマイトの友人が経営するラーメン屋に行く途中に私は出久君にそう聞く。

 

「何かな?」

 

「私のこと覚えてる?」

 

そう、私が聞きたかったことは、出久君が私のことを覚えているかどうかだ。

あれから10年経ったし、成長もしてるから分からないんじゃ無いかな?と思って聞いた。

 

「うん、そりゃあ覚えてるよ。だってあの時に言ってくれた君の言葉は僕の心に突き刺さったんだから。それに、あの時のこと、衝撃的すぎて忘れるわけがないしね」

 

ああ、確かに目の前で自分と同じ4歳の子がオールマイトと同じような個性を使ったんだもんな。そりゃあ忘れるわけ無いよな。

 

「その時のことを教えてもらえないかな?緑谷少年」

 

何でそんなことを聞くんだろう?

…まぁ、十中八九興味本位だろう。

そんなことを思っていると出久君は、少し恥ずかしそうなどこか嬉しそうな顔をして話す。

どうやら憧れのオールマイトと話すことが出来て嬉しいみたいだ。

 

そう思っていると出久君は4歳の時に私が助けた時のことを話し始めた。

話しはじめたと言ってもすぐに終わる話だったが。

 

オールマイトはその話を聞いて、驚いたような顔をしていた。

 

「君の個性は本当に何なんだい?」

 

さっき雄英高校で聞けると言ったのに、また聞いてくるなんて…

まあいいや。

 

「わかりました、私の個性の話もラーメン屋に着いたら話します」

 

そう言った後、私は…個性のデメリットが発動した。

 

だが私は、長年このデメリットに付き合って来たおかげで、ポーカーフェイスは完璧になっていた。

 

確かに痛い、死ぬほど痛い。

………が、

気絶するほどじゃ無い。

そう、痛みなんてのは慣れだ。

だから私はもう、どんな痛みにも屈しないと思う。

 

まあ、そんなことは置いといて、ラーメン…楽しみだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがオールマイトの友人が経営ラーメン屋ですか。なんかこう、すごい、知る人ぞ知る店って感じがしますね」

 

そう言ったのは出久君だった。

 

まあその言葉に私も同感だ。

と言うか、私驚いちゃったよ。

まさか路地裏にあるとは…

と言うか、こんなところ人来るの?

でも確かに、本当に美味しいラーメン屋さんはこう言うところにあるって何かで言ってたな。

…気のせいかもしれないけど。

 

そんなことを思っていると、オールマイトと出久君が店に入ってしまったので、まあいいかと思い私も入ることにした。

 

中は普通のラーメン屋だった。テーブル席が四つあり、あとは、カウンター席という感じのラーマン屋で、本棚には雑誌や、漫画が置いてあった。

 

と言うか、人が一人もいなかった。

本当にこの店大丈夫なのだろうか?

 

そんなことを思っていると、出久君とオールマイトはテーブル席に座ったので、私も同じテーブル席に座った。

ちなみに出久君の隣に私、出久君と私の前にオールマイトといった感じの席になっている。

 

ちなみにオールマイトのおごりだ。

 

「まずは、ラーメンでも食べよう」

 

オールマイトはそう言って、注文を始める。

 

ちなみに、私とオールマイトは大盛りのラーメンで、出久君が並みのラーメンだった。

 

「じゃあまず、オールマイトの秘密から言ってください」

 

そう言ったので、オールマイトは個性の話をし始めた。

オールマイトは個性の話をしている途中に、言うよりも見せた方が良いだろうと言って、トゥルーフォームになり、出久君は驚いたり、個性のことでぶつぶつ言ったりしていた。

 

どうでも良いことかも知れないが、オールフォーワンにやられた傷が治っても一応トゥルーフォームにはなれるんだ…

まあ、そんなことよりも、

 

「それで、どうかな?緑谷少年、君さえ良ければ、この個性を受け取ってもらえないだろうか?」

 

そうオールマイトはが言うと、出久君は驚いたような顔をして、右手と左手を違うタイミングで横にふりながら、

 

「ぼ、僕がオールマイトの個性を引き継ぐわけにはいきません。だって、僕は弱いですから…」

 

はー、出久、そういう謙虚なところもいいが、せっかくオールマイトがくれるって言ってるんだから素直にもらっとくのも優しさだとは思うよ。

そう思っていると、オールマイトは何か言いたいけど、でも、ちゃんと言葉に出来ないと言った感じの顔をしている。

まあ、オールマイトは出久君とあまり話してないから、何を言えばいいか、わからないのも分かるけど…

というか、何か出久君に対してイラっとしてきている自分がいる。

確かに、そういう謙虚なところも出久君の良さでもあるが、私はこういう出久君は好きじゃない。

 

「出久君」

 

「な、何?」

 

おっと、少し怖い顔をしていたかも知れない。

私は深呼吸をして、気持ちを落ち着かせて言う。

 

「出久君はオールマイトみたいな笑って誰かを助けるヒーローになりたいんだよね?」

 

「う、うん、そうだけど…でも、僕は弱いし…」

 

「じゃあ、出久君に聞くよ」

 

そう言った後私は息を吸い言う。

 

「じゃあ、強さとは何?弱さとは何?」

 

「へ?そ、それは…」

 

「ただ単に力が強い人?それとも、個性が強い人?」

 

そう聞くと出久君は黙ってしまう。

私はそんな出久君を無視して言う。

 

「力なんて、鍛えればどうとでもなるし、個性は、使い方や、場所によって最強になったり、最弱になったりする。だから、力や個性は関係ない…と、私は思う」

 

まあ、他の人の考えは分からないが、私が思う強さとは…

 

「私が思う強さとは…えっと…どう言えばいいんだろう?」

 

そう言った時、出久君もオールマイトも、ええ…と言っていたのは無視しておこう。

 

「まあ、つまり、私が求める強さとは、心の強さなんだ。だからさ、出久君、昔、無個性で力の弱い君が泣いてる子を爆豪君から守ろうとした勇気は、私が求める心の強さに値する!…まぁ、心の強さって言うのは誰かの受けおりだけどね、でも、私もそう思ってるんだ。だからさ、出久君、オールマイトの力を受け継いで、君もヒーローになりなよ」

 

私がそう言った後、出久君は何かを決断したような顔になり、

 

「分かりました、僕、ワンフォーオールを受け継ぎます」

 

そう聞いた後、私もオールマイトもホッとしたような顔をする。

 

もし、このまま出久君が出久君が受け継がなかったら、どうしようかと思ったよ。

まあ、その時は私の個性で何か良い個性をあげてたけどね。

まあ、それは良いとして、

 

「出久君がワンフォーオールを受け継いでくれる宣言をしたので、次は私の個性…いや、私の秘密について知ってることをほとんど話そう」

 

私がそう言うと、オールマイトは生唾を飲み込み、出久君は秘密ってなんだろう?って言いたそうな顔をしている。

さて、話すか。

 

「まず、オールマイトには言ったけど、私は、別の世界から来ました。まあ、転生と言うか、憑依に近い感じで。ああ、一つ言っときますが、質問は後で聞きます。だから今は質問しないで下さい」

 

そう言うと、オールマイトも出久君も挙げようとしていた手を引っ込める。

手を挙げて質問をしようとするなんて律儀だぁ〜

なんて思いながら話しを続ける。

 

「次に、私の個性ですが、私の個性は、しんた…いや、個性の名前を言うと説明が面倒くさそうになりそうなので、能力だけ言いますね。それでですね、私の個性の能力は、自分や相手の身体を変化させたり、個性を消したり、個性を作ったり出来る個性です。まあデメリットがあるんですが、それは今は言えません。まあ、一言で言ったら、万能ですね。まあ、特出すべき秘密はこんなところですかね…あ、じゃあ、はい、質問したいならしても良いですよ」

 

俺がそう言うと、二人とも手を挙げた。

と言うか、本当に律儀だな…

 

「はい、じゃあ出久君」

 

そう言うと出久君は身体をビクッとさせる。

別にそんなビクビクしなくても良いのにな…

 

「えっと、別の世界から転生して来たって言ってましたよね?それって個性か何かで転生したってことですか?」

 

ああ、そう言えば言ってなかったな。

 

「残念ながら向こうの世界には個性はありません。それと、私たちのいた世界ではこちらの世界は漫画の世界なんですよ。だから、向こうの世界には個性がない。まあ、何個か言い忘れてましたけど、私って、向こうにいた頃の記憶が、あまり無いんですよね。でも、漫画やアニメ、ゲームのことなら結構覚えてるんですよね。本当、良い脳みそしてますよ。ああ、一つ勘違いしないで下さいね。今、良い脳みそって言ったのは嫌味的な意味での良い脳みそなんで…」

 

っと、一気に喋りすぎちゃったかな?

…まあ良いか。

 

「それで、何か質問ありますか?」

 

「えっと…いっぱいあるんだけどね…ひとつだけ良いかな?」

 

「なんですか?」

 

「君は、今、幸せかい?」

 

へー、まさかオールマイトがこんなこと聞くなんてね。まあ、考えるまでもなく、

 

「はい、最高に幸せです」

 

そう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、オールマイトと、出久君に、向こうの世界はどうなのかを聞かれたので、覚えてる範囲で答えた。まあ、こっちの世界とあまり変わらないから話すことが少なかったけど…

それと、出久君には未来のことは話していない。

まあ、話しちゃうと色々と面倒だからね。

 

「そう言えば、個性を継がせるための特訓って明日から始まるんですか?」

 

私は帰り道にオールマイトにそうたずねた。

 

「うん、そうだよ。もう試験までに時間が無いからね」

 

なるほど、まあ、そうだよな。原作でもそうだったし。

…あれ?違ったっけ?2日後だったっけ?

まあ良いや、とりあえず、

 

「じゃあ、私はこれでもう帰ります…っと、忘れてました」

 

私は、オールマイトと出久君に、一枚の紙切れを渡す。

 

「これ、私の電話番号とメールアドレスなので、何かあったら電話やメール下さいね。それではまた」

 

そう言うと、オールマイトはああ、またね。と言い手を振った。

さーてと、オールマイトと出久君に色々と話し終わったし、家に帰って寝るか。

あ、そう言えば、私の個性のことで最近分かってきたことを言い忘れていたな。

…まぁいっか。

…というか、何か忘れているような…

 

 

 

 



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第3話 入試試験

いつも言ってることですが、おかしなところがあるかもしれないので、ご了承下さい。

それと、皆さんこの作品を読んで下さってありがとうございます。
それでは本編どうぞ。


とうとう、この日が来た。

そう、待ちに待った雄英高校の入試試験だ。

 

それとは別の話だが、

あの日帰ったら、葵に調教された。

いつもよりも酷かった。何かもう、色んな意味で凄かった。というか、あれ、下手したらR18いくんじゃない?ってくらいにやばかった。

 

まあ、それは置いとくとして、

 

また、入試試験とは関係ない話をしよう。

 

私は出久君とオールマイトには出会ったあの日から出久君とオールマイトに会っていない。

まあ、私の都合が悪かったり、出久君や、オールマイトの都合が悪かったりして、会う機会が無かった。

 

でもまあ、雄英に入ったらオールマイトと出久君にも会えるし、何より、ヒーロー科のみんなに会えるから別にそんなに気にしていなかったりする。そんなに気にすることでもないからね。

 

というか、ヒーロー科の人たちに会うの今から楽しみだな。すっごい興奮して来た。(変な意味ではありません)

 

私はそう思いながら、葵と一緒に雄英高校の入学試験会場に向かう。

そう、私だけでなく、葵も雄英高校を受験するらしい。

それを聞いた時は驚かされた。しかも、言われたのは昨日だった。

まあ、私が個性のことや、勉強のことで聞く時間がなかったってのもあるけど。

 

…っと、それよりも早く行かないと遅刻しちゃうな。

 

そう思った後私達は電車で会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

そう言ったのは、プロヒーローのプレゼント・マイクだった。

ちなみに、私たちは、結構余裕で会場に着いた。

遅刻しそうだと思ってたら昨日から家の時計が壊れてたのを電車に乗った時に思い出した。

だから、遅刻はしなかった。が、時間があるんならもうちょっと何かしたかった…

まあいいか。

 

それにしてもやっぱり、私がこの世界に入っちゃってるけどもあまり変わらないんだな。

…まあプレゼント・マイクを見ただけだし、断言できないけど、入試試験の内容も一緒だし、出久君が飯田君に物見遊山のつもりならどーのこーの言われてたし、まあでも、私が雄英に入るってことは、A組かB組の誰かがいなくなるってことだよね。

つまりは、やっぱり原作とは違ってくる。

 

どうか、良い方向に違ってくれないかな?

例えば、敵襲撃とか起こらなかったり、例えば、インゲニウムがステインにやられなかったり、例えば…

まあ、何が来ようと私がどうにかすれば良いか。私の個性でどうにかできるかどうかわからないけど。

 

「最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と‼︎」

 

「“Plus Ultra”‼︎」

 

「それでは皆良い受難を‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いざ、実物見てみるとでかいな〜

 

私たちは今、模擬市街地演習の会場に来ていた。

正確には、模擬市街地演習の会場の外にいると言った方が正しい気がするが、まあ、それは置いとくとしよう。

 

私は、深呼吸をして、心を落ち着かせる。

ちなみに、出久君と爆豪君、葵とは違う会場だった。

 

っと、そろそろ始まるな。

それと、最初に言っておく、

 

「ハイスタートー!」

 

俺は、10秒までならデメリット無しで個性を使えるようになった。

……ん?なんだか悪寒がしたが気のせいだろうか?

 

そんなことを思いながら私は、駆け出した。まあ、誰の目にも止まらぬ速さで。

というか、まだみんな状況が飲み込めていないようだった。

好都合!

 

「まず三体同時!」

 

私は、3P敵の頭を、近くにある1P敵2体に向かって蹴り飛ばす、もちろん個性を使って、信じられないくらいに強化した足で。

そのせいで、1P敵だけでなく、その向こうにいた、3P敵と、建物まで破壊しちゃったけど、大丈夫かな?

主にPダウン的な意味で。

まあ、次から気をつければ良いか。

そんなことを思いながら私は次の仮想敵に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10秒後私は、建物の屋上で休んでいた。

 

まあ、一言言うとしたら、疲れた。本当に疲れた。

確かに、デメリットは発動しなかったが、かなり、体力を使った。

 

それは置いといて…

体力回復次第、またやるか。まあ、もう100Pくらい集まってるから良いんだけどね。

 

でも、ヴィランPだけじゃ爆豪君と同じく、敵Pだけに……

あ!しまった!

どうしよう、私……

爆豪君のP超えちゃった!

 

これじゃあ入学した日から爆豪君にからまれてしまう。しかも、雄英体育祭の時に、選手宣誓とかしないといけなくなる…

 

…まあ、すぎたことは仕方がないか。

っと、体力も、回復して来たし、Pかせぎに行こ。

まあまずは、降りないといけないな。

 

私は、仮想敵を壊している時に拾って置いた、仮想敵の装甲を建物に突き刺しながら降りて行く。

こっから先は個性を使わない。

まあ、4歳の時から鍛えてたおかげで身体能力はかなりあるから、結構闘えると思う。

 

私はあらかじめ片手で持ちやすいように折っておいた装甲二つと、出久君が雄英体育祭の障害物競争の時に使っていたような大きさの装甲を持っている。

装甲を使うって発想は雄英体育祭の出久君を真似た。

普通は仮想敵の装甲を使おうなんて思わないだろう。

と、私は思ってる。

まあ、何はともあれ、

「どんどん倒すぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は降りた後、仮想敵をさっき言った仮想敵の装甲で斬っていく。

装甲がない部分を狙って斬ると、結構大変だけど意外と斬れることが分かった。

 

なんか、こういうの楽しいな〜ゲームみたいで。

まあ、そんなこと言ったら相澤先生辺りが三年間そんな腹づもりで過ごす気か?とか言って来そうな気がするが、気にしないことにしよう。

 

っともうすぐか。アレが来るのは。

 

そう思った途端、ズーンという音とともに、奴が現れた。

そう、みんなご存じ0P敵

 

「ついに来たか」

 

私は、そう言いながら0P敵のもとに行く。

……と言っても、結構近くなんだけどね。

 

というか、みんな必死に逃げすぎ。

そういう風に逃げるからモブの皆さんは雄英に入れないんですよ。

押されてこけてる人もいるし、

……お前ら本当にヒーロー目指してんのか?

なんか、こういうの見てるとイライラしてくるな。

ヒーロー目指してるくせに、同じ受験生だからとかいう理由で助けなかったり、そもそも相手のことを考えてなかったり、まあ助けようとしている人はいるが、それ以外の奴にはヘドが出る。

ステインもオールマイト以外のヒーローに対してこんな気持ちなのかな?

 

私は、見ていられなくなって、いつの間にか叫んでいた。

「皆さん!落ち着いて下さい!」

私の声に何人かが振り向きそれ以外の人たちは逃げていた。

 

「皆さん何で周りを見ずに逃げてばかりなんですか!?それでもヒーロー目指してるんですか!?」

今度は逃げてる人も何人か振り返る。

 

「そんな風に自分が助かるためだけに逃げて、周りのことは一切考えたり見たりしない、皆さん、なんで自分のことばかり考えてるんですか!?こういう状況下でも人のことを気にかけたり、助けたりするのがヒーローなんじゃないんですか!?背を向けて一生懸命逃げるのがヒーローなんですか!?そんな人たちがほんもののヒーローになれるとは到底思えません。だから私は、あなた達に見せてあげます!個性を使わずに、あのデカブツを倒すところを!」

 

私は、スーっと息を吸って叫んだ。

「お前らに言ってやるよ!お前ら、ヒーローをバカにするな!!!!」

 

私はそう叫んだ後、0P敵に向かおうとした…ところで腕を掴まれた。

私は振り返り言った。

 

「なんですか?私は今から0P敵を倒さないと…」

 

が、途中で止まってしまった。

だって、私の腕を掴んだ人、泣いてるんだもん。顔を上げたまま。

というか、この人切島君じゃないか。

 

「まさか、あんたみたいな人がいるとは思いもしなかったぜ。俺の名前は切島鋭児郎。お前がやろうとしている0P敵退治、俺も混ぜてくれないか?」

 

私は、少し口角を上げて言う。

 

「もちろん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵はこっちだぞ!0P敵!」

 

そう言いながら切島くんは両手を振りながら0P敵の前に出て、自分が敵だと認識させる。

 

私はというと、さっきまで建物の陰に隠れ、様子を伺っていた。

 

切島くんが0P敵に自分が敵だと認識させたの見計らい私はこっそりと出て、0P敵の背中をよじ登り、0P敵の肩に乗った。

0P敵は、私が肩に乗ったのに気づいていなかった。

 

好都合。

 

私はまだ持っていた装甲で、0P敵の、装甲が付いてない部分に向かって斬りつける。

斬りつけたせいで0P敵は私に気づき私を排除しようと腕…のようなものを伸ばしてくる。

が、私は止めようとしない。

2度3度4度…何度も斬りつける。私のところに0P敵の腕が迫るが、私は止めようとしない。

だって、言っちゃったからね。

 

個性を使わずに倒すって。

 

確かに0P敵は硬い。硬いが、装甲のない、同じところを何度も何度も斬りつければ、そこだけはもろくなる。

そう、私の役割は0P敵の首をもろくすることが目的だ。

 

ドギャッ!

というおかしな音が聞こえた。

 

そう、残念ながら私は、とうとう、0P敵に殴られてしまった。

が、装甲で斬りつけられたところはすごくもろくなった。

私は殴られ、宙に浮いているが、大声で、

「切島くん!頼んだ!」

と言った。

 

0P敵は私を敵だと認識して、切島くんを見ていなかったので、切島くんが腕から肩まで登って行くのに気づいていなかった。

そして肩まで登った切島くんは0P敵の頭を個性を使って殴った。

切島くんが私に0P敵退治に混ぜてくれと言った時にすぐにもちろんと言ったのは切島くんの個性が硬化だからいけると思ったからだ。まあ、他の個性だったとしても最大限発揮させるようにするんだけどね。だから切島くんの個性が違っていても、私は切島くんと一緒に0P敵退治をしていたと思う。

 

多分、今の切島くんのパンチで倒れるはず。

 

そう思ったが、

 

0P敵はピンピンしていた。

 

いや、そう見えただけで、実際かなりのダメージを負ってるはず。

「切島くん!殴り続けて!」

グッ!

どうやら0P敵に殴られた時にあばら骨が折れたらしい。

まあ、一つ言えるのが、

個性のデメリットを受け続けたせいか、そんなに痛くないってことだ。

というか、あばら骨が無い違和感の方が大きいんだけど…

そういえば、個性のデメリットも最近慣れてきたんだよな…あれ?つまり私って最強なんじゃね?

 

まあ、最強かどうかはおいといて、個性で体の痛みを治そ…っと。よし、これでかんぺ…

 

き。と言おうとした瞬間、ドゴン!という音とともに0P敵の頭が吹っ飛ばされた。

うおっ、まさか0P敵の頭を殴り飛ばすとは…

 

その光景にみんな口をポカーンと開けたままだった。

 

っと、早く切島くんに手伝ってくれたお礼を言わないと。

 

「きりし…」

 

まくん。と呼ぼうとした瞬間に

 

「終了〜!!!!」

 

というプレゼント・マイクの声が聞こえた。

まあ、それと同時に私の個性のデメリットが来た。

っていうか、最近、個性使ってからデメリット来るまでの時間が短い。

まあ、そんなに大事なことじゃ無いが。



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