ガンダムブレイカー・東方幻壊想録1 (双竜)
しおりを挟む

序章
旅立ち


初めまして、ですかね。
題名には『ガンダムブレイカー』と使っておりますが、どちらかと言うとガンダム無双に近いかもしれません。第2作の布石になりますのでご了承ください。


ブゥン…

ビームサーベルが抜かれ、振り抜かれる。受けることも可能だったが、回避行動に移る。

 

???「流石…です…!」

???「まだまだだよ!」

 

回避し、ビームサーベルの攻撃範囲から逃れた事を確認すると、すぐさまビームライフルで狙いを定める。当たる。が、引き金は引けなかった。

 

???「…想定内です…!」

???「ですよね!」

 

ビームライフルを投擲する。そして、バルカン砲でビームライフルを爆破する。

 

???「何を…?!」

???「王手(チェックメイト)、だよ」

 

相手がビームライフルに気をとられた隙に最大限に加速。加速中にしゃがみ、ビームサーベルを下からシールドと胴体の間に差し込む。少しでも動かせば首に当たる。いや、出力を最大にすれば貫ける。相手の武装には回避するための武装はない。つまり、終わりだ。

 

???「…降参、だよ」

???「ありがとうございました」

???「ありがとう…ございました」

 

コクピットから出る。と言っても、その機体のコクピットからではない。それとは別の、丸い物体からだ。そう、これはゲーム。命は負けても、殺されても、失わない。絶対に。

 

???「流石だよ!大妖精とこころ!いいデータが取れたよ!」

 

大妖精、こころ、と呼ばれた少女は顔を見合わせ、笑う。

 

大妖精「いえいえ。好きな事をして、それが助けになったのなら良かったです。にとりさん」

こころ「うん。…いつでも、手伝うから」

???「そう言ってくれるとありがたいよ」

 

大妖精とこころの笑顔につられてか、にとり、と呼ばれた少女も笑みを浮かべた。

 

それから数時間はこのゲームの改良した方がいいところ、改良ゆえにダメになってしまった事を3人で言い合った。

 

こころ「あ、そろそろ帰らないと…またね。大ちゃん…にとりさん」

大妖精「またね〜!」

にとり「じゃあね!」

 

時刻は午後6時を回ったぐらいだった。

 

にとり「大妖精は帰らなくていいの?」

大妖精「そうですね…。あと少し居ます」

にとり「そっか。ならさ、大妖精に試してほしい事があるんだ」

 

にとりは、いかにも怪しい、悪役が浮かべるような笑みを浮かべていた。しかし、大妖精はそこを指摘するようなお子様ではない。

 

大妖精「何をしたらいいんですか?」

にとり「大妖精の、1番強いガンプラで、ザクを何体倒せるか、ってことをやりたいだけだよ」

 

大妖精は少し考えた。確かにあの機体は強い。しかし、それゆえに制御が効かない時もしばしば。そんな機体を使って大丈夫なのか、と。ふと、にとりの顔をみる。にとりは頷いた。

 

大妖精「…わかりました」

にとり「そうこなくっちゃ!」

 

大妖精「大妖精、『ガンダムデルタカイ』行きます!」

 

にとり「やっぱり、すごいね…」

 

100000を超えるザクが、数分で壊滅した。流石は大妖精、流石はデルタカイ、と言ったところだ。

 

大妖精「はぁ、はぁ、はぁ…もう、終わり?」

にとり「バカ言わないで。機体は大丈夫でもパイロットが大丈夫じゃないじゃない!」

大妖精「…そう、みたいだね」

 

過呼吸に気付いたのか、すぐに大妖精はコクピットから出てきた。その様子を、いや、最初から見つめている目が1つ。

 

大妖精「今日は、もう帰りますね」

にとり「その方がいいかもね。ありがと。実験に付き合ってくれて」

大妖精「私でよければ、いつでも」

にとり「無理は、しないでよ」

大妖精「ははは…わかりました」

 

帰路につく大妖精を、黒い影がついていく。大妖精がそれを気にする様子はない。黒い影の手が大妖精に届きそうになる瞬間、大妖精は180度回転し、笑顔を向ける

 

大妖精「紫さん。何してるんですか?」

紫「知ってて黙ってるなんて、趣味悪いんじゃない?」

大妖精「覗きをした挙句、ストーキングしてる人の趣味はいいんですか?」

紫「1妖精風情が言うようになったわね」

 

黒い影の正体は紫だった。当然と言えば当然だろう。

 

大妖精「それで、私に何か用ですか?」

紫「命令、いえ、あくまで私からのお願いだけど…。ある世界をガンプラで助けるために貴方の力が必要なの。力を、貸してはくれない?」

大妖精「報酬は?って聞くのは私らしくないですよね。わかりました」

紫「本当に?!」

大妖精「はい。そのお願いを聞いて誰かが、助かるなら」

 

本心だ。どこかの紅白巫女のようにお金には困っていないわけではない。が、普段人の役に立てない妖精が、誰かを、助けれるなら安いものだ。

 

紫「できるだけ早い方がいいのだけど、今からで、大丈夫かしら?」

大妖精「…はい」

 

本音を言えばチルノやにとり、こころに挨拶ぐらいしたかった。でも、挨拶をしてしまえば、今、誰かに会ってしまっては決意が歪みそうで、なくなりそうで、怖かった。

 

紫「…ここから行けるわ」

大妖精「ありがとう、ございます」

紫「行ってらっしゃい」

 

返事はない。紫が不気味な笑みを浮かべていたことに、大妖精は気付いていたのだろうか。それは本人以外、わからない。




最後まで読んでくれた方は少数でしょうが、ありがとうございました!
また会えると嬉しいです!
それでまた!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界で
異世界での仲間


こんにちは。でしょうか?
また会えたことを嬉しく思います!
それでは、よろしくお願いします!


ーーー回想ーーー

 

こころ「…1対1対1の時は、回避行動をしなきゃダメ…。…それに、大きな隙の出来る攻撃だけは、絶対にダメ」

大妖精「…なるほど」

こころ「…じゃあ、問題。…どんな遠距離機体でも、必ず接近戦用武器の『ビームサーベル』を装備しているの?」

大妖精「それは…、混戦になったとき、誤射してしまう可能性があるから、ですか?」

こころ「…65点、だよ。答えは、相手がスピード特化かつ接近戦が得意な場合、銃だけじゃ対処できないから。…あとは、相手の数が少なければ少ないほど避けられやすいから、だよ」

大妖精「…勉強になります!」

 

このやり取りは、大妖精がガンプラバトルを始めた頃、当時最強だった『秦こころ』から貰ったアドバイスだった。しかし、そう言う彼女のガンプラは、遠距離特化機体であり接近戦用の武器は対戦艦用タガーのみだった。

 

大妖精「じゃあ、なんでこころさんはタガーしか装備してないんですか?」

こころ「…それはね、私の前に立ってくれるパートナーが現れるのを待ってるからだよ」

 

嘘だと、直ぐに分かった。そんなことの為にタガーしか装備しない訳がない。

 

大妖精「本当のことを、教えてください」

こころ「……実は、さっき教えた事を覆せる条件があるの。…わかる?」

 

返答につまる。口を開こうとして、やめた。

 

こころ「…絶対に当てれる腕と、…隙が生まれない高火力の武器、…近づかれても振り切れるスピード。この3つだけで、十分。一言で言うと、『落とされる前に落とす』が出来ればいいの」

 

なるほど、と、素直に納得出来た。流石、最強(チャンピオン)だと思えた。

 

ーーー現在ーーー

 

大妖精「ここは…?」

 

どうやら気を失っていたようだ。気がつくとそこはコックピットの中のようだった。内装からすると、ガンダムデルタカイのコックピットだろう。脱出を試みるが、開かない。

 

???『ガンプラに選ばし英雄の諸君。気分はどうだろうか』

 

直接脳に語りかけるような声が聞こえてきた。思わず頭を抑える。しかし、声は止まない。しかも、それとは別に違和感を感じた。

 

???『今から諸君らが行う戦い(ゲーム)のルール説明を行う。

1.戦いの場所は異世界。

2.3人1組で出来るだけ行動。

3.チーム以外のプレイヤーと接触した場合は戦闘を行うこと(共通の敵である正体不明(アンノウン)がいる場合は除く)。

4.異世界にいる人物の力を借りることは可能。

5.ガンプラが全壊状態になるとゲームオーバー。

6.異世界のボスを倒したらこのゲームは終わる。 とする』

 

以外に簡単なルールではある。が、この戦い(ゲーム)をクリアすることが紫が言う『お願い』とは思えない。この程度なら紫だけでも問題ない気がする。なにか、トラップでもあるのだろうか。…可能性の一つとして頭の隅に置いておく事にする。

 

???『異論はないな。では、ゲームをスタートする』

 

その声が合図だったのだろう。次の瞬間には宇宙空間に。そして、自機の『ガンダムデルタカイ』に『搭乗』していた。周りを確認してみると、味方機の反応が2つ。恐らくこの反応が味方なのだろう。呼び掛けてみようと試みるが、やり方がわからない。

 

プッ!

 

???『そこのデルタカイ!お前が仲間だな!』

 

呼び掛けられた。呼び掛けてきた機体は…ガンダム試作2号機サイサリス。のようにみえる。

 

???2『2人とも、よろしく、かな』

 

そう通信に入って来た機体…エールストライクガンダムのパイロット。この2人が仲間みたいだ。

 

???2『そう言えば、まだ名乗ってなかったかな。僕の名前は『ベルリ・ウォント』。君達の名前も教えて欲しい』

???『俺の名前は『ウルク・バインドルト』だ』

 

エールストライクガンダムのパイロットは『ベルリ・ウォント』。ガンダム試作2号機サイサリスのパイロットは『ウルク・バインドルト』という名前のようだ。ここでいきなり問題が発生した。名前だ。『大妖精』なんて言えるわけがない。

 

大妖精「私の名前は…『大妖精』だよ。よろしくね」

 

偽名を考えるほど器用な事が出来る訳もなく、本名を名乗る

 

ウルク『おいおい!いきなり偽名かよ!俺たちが信用出来ねえってか?』

ベルリ『落ち着け、ウルク。相手は女の子だ。名前ぐらい隠したって問題ないだろう?』

ウルク『チッ!…そういうもんかねぇ』

ベルリ『そういうもんだよ』

 

納得してくれたようだ。説明が省けたことは良かったが、いつかはちゃんと説明ができたら、いいな。

 

???『挨拶は、済んだかな?済んだようなら、まずは味方同士で戦ってくれ。チームを組むとはいえ、味方の戦闘能力を知らなくてはいけないだろう?安心したまえ。今回のみ機体耐久値が0になれば終わりだ。機体は破壊されない。では、スタートだ』

 

ウルク『だってよ』

 

そう言うば早いか、いきなりウルクはアトミックバズーカ(核弾頭)をぶっ放した。

 

ベルリ『ちょっ!』

大妖精「…………」

 

ベルリはシールドで耐えるつもりだったのだろうが、エールストライクのシールドでは耐えられない。つまり、耐久値が0になるということ。そして、アトミックバズーカは撃った直後は硬直する。ようは、隙だらけ。

 

大妖精「私の、勝ちだね」

 

ファンネルシールドを貼り核の爆風から身を守りつつ、変形。サイサリスの目の前まで行き、変形を解除。ビームサーベルを喉元に突きつけた。

 

ウルク『速いっ!?』

 

慌てて回避しようとしたのだろうが、サイサリスは速度が出ない。当然、回避できる訳がない。

 

大妖精「降参、してくれる?」

ウルク『チッ!シャーねぇ。負けだ負け』

 

ウルクも素直に認めてくれた。どうやら筋肉バカというやつではないようだ。同じチームとしてはそれが分かっただけで満足出来る結果だろう。

 

ビービービーッ!!

 

敵機反応のサインが鳴る。反応の数は約10000。ジムタイプのようだ。しかも、正体不明(アンノウン)だ。流石に数が多すぎる。

 

ウルク『なんだありゃあ!?』

ベルリ『見たらわかるだろう!敵だ!』

大妖精「2人とも、逃げて」

ウルク『あ?!ふざけるなよ!俺だって!』

大妖精「ふざけてるのは貴方よ!アトミックバズーカの残弾だってない。それに!その機体は数に弱いのよ!」

 

2人の機体を見ての判断である。エールストライクは戦えるとはいえ、サイサリスを護衛なしで逃すのは難しすぎる。

 

ベルリ『大妖精さんは?!』

大妖精「私はまだ何もしてないし。それに、ジムじゃデルタの加速についてこれないから」

ベルリ『分かった。生きて、また会いましょう』

大妖精「了解」

 

2人に背を向ける。2人が撤退していくのを見届けると、大妖精は諦めたよう表情をみせる

 

大妖精「流石に数、多いよねぇ…。でも!負けるわけには!いかないの!」

 

限界まで加速し、ジムの群れに突っ込んでいく。

 

 

大妖精が去った後、秦こころは1人、呟いた。

 

こころ「…紫さん、貴女の都合に大妖精を巻き込むの〜?」




ありがとうございました!
誤字脱字ありましたら遠慮なくご指摘くださるとありがたいです!

それではまた次回、お会いできるのを心待ちにしております!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。