シリウス (恋空mari)
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〜反逆者の巣〜

「ここがあのエリート能力者が集まる…"シリウス高校"か…!」

大きな校門の前でこれから起こる日常にワクワクしながら一歩を踏み出そうとしている青年の名は天草海斗16歳。小柄で気弱そうな見た目をしている。

「よぉし!友達たくさん作って立派な"ソルジャー"となるんだ!」

この海斗が住む世界は"ソルジャー"と呼ばれるものが存在する。このソルジャーは世界の半分を占める"反逆者の巣"と呼ばれる領域の反逆者から国を守るために闘う戦士のことだ。そしてこのシリウス高校は数少ないソルジャー育成施設なのだ。

「まずは教室!教室に行って近くの席の人と仲良くなるのだ!」

海斗は意気揚々と歩きだすが…

「あぁん?お前見ない顔だなぁ?」

いかにもヤンキーの3人組が海斗の前に立ちこちらを睨んでいる。

「あ、あぁ…新しく入学することになった天草海斗です…昨日入学式が終わって…」

ヤンキー3人組の胸元に付いている"バッジ"に目を向ける。そのバッジには色が付いておりそのヤンキー達は"赤"だった。因みに海斗は白。

「ん?お前の"バッジ"……白か!あははは!見ろよ!使えない能力の持ち主がここにいるぜぇ!」

そう。このシリウス高校には"バッジ"というものが各生徒についている。そのバッジには意味があり。

 

白→低級能力

 

赤→中級能力

 

オレンジ→ランキング上位能力者

 

紫→シリウス高校上位10名

 

シルバー→シリウス高校最強能力者(生徒会)

 

因みにこの色分けは校長が自ら行っている。生徒の能力を直で見て判断している。

「あの…自分急いでいるのでこの辺で…」

「あ?あぁ分かった分かった!お前みたいな低能力者に付き合うほど暇じゃないしな!ギャハハ!」

ヤンキー3人組はそう言って笑いながら去っていった。

「はぁ…入学早々最悪だよ…」

「あの…大丈夫ですか…?」

海斗が声に気付き顔をあげるととても清楚で見る限りお嬢様みたいな女性が立っていた。

「あ…だ、大丈夫です!少し絡まれただけで!」

海斗がブンブン手を振り否定をして女性に向かい叫ぶ。少し照れ臭い。

「そうですか…?ならいいのですが…♪」

その女性はニコリと笑い海斗を見てこう言った。

「入学式は昨日終わったみたいですね♪早めに教室へ行かれることをお勧めします♪」

ニコッと笑い時計を指差す。

時刻は8時35分。

HRまで残り10分。

「え…?ウオアアアアアア!!ヤバイ!時間だ!え、えっと何かありがとうございました!で、では!」

海斗は女性に手を振り教室に向け走り出した。

「あらあら…♪元気なこと…♪それでは私は"仕事"に戻りましょうか♪」

そう女性が言って歩き出した。胸元のシルバーのバッジを輝かせる。



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2話

 

 

「天草海斗と言います!趣味は絵を描くことです!よろしくお願いします!」

教室に無事着いた海斗は自己紹介を終え席に着いた。

「ねぇねぇ♪君どんな能力使うの?教えて!♪」

明るい口調で話しかけて来たのは海斗の席のとなりに座っている桐林琴音だ。見た感じは大人しそうな雰囲気で少し幼い顔立ちをしている。だが凄く活発な子だとわかる。

「え…?俺の能力はそんな強くないよ…」

海斗は自信が無さそうに白バッジに手をかける。

「そうなの?うーむ…」

顎に手をつけ何かを考えている。

「まぁ海斗くんの能力は今度あるクラス対抗試合で分かるからいいか!♪」

「クラス対抗試合かぁ…って海斗くんって何!?」

「え〜?だって初めて声かけて話せたから友達なりたくて〜ダメ?♪」

目をキラキラさせながら琴音は海斗に訴える。

「うー…分かったよぉ…じゃあ今日から友達だね…♪」

「うん!♪ありがとう海斗!私のことはことちんかことちんって呼んでね♪」

「どっちも一緒だし海斗くんから海斗になってる!?」

「あはは〜♪ごめんごめん♪」

琴音は人懐っこい笑顔で笑っている。

「はぁ…じゃあことちん…?」

「そう!私ことちん!♪」

「じゃあこれからよろしくなことちん…」

そう言って海斗と琴音は無事友達になれたのだが。彼女のバッジはオレンジだった。

琴音と話をしていると。

「先生!何故白と赤がここに!?私たちエリートであるオレンジは別のクラスにするべきでは!?」

席を立ち教師に抗議する女性は霧野香里。髪はロングで綺麗な黒色をしている。どこかのワガママお嬢様みたいだ。身体もスリムでモデルでもしているかのような容姿をしている。

「だがなぁ霧野。これは決まりなんだ。皆能力やバッジの色が違くても同じ学年だ。わざわざ変える必要ないと思うぞ?色関係なく仲良くだ」

「ですが…!」

香里は教師に向かい抗議を続けようとするが。

「いいから座るんだ…」

教師の背中から黒いオーラのようなものが見えクラス全員が凍りついた。香里はそのオーラに負け椅子に座り込む。

「あはは〜ごめんごめん♪つい昔の癖で♪それじゃあこの学校の説明するね♪」

このシリウス高校には生徒会というものが存在する。校長が認めた最強クラスの能力者たちの集まりだ。その生徒会の役割は争いの阻止はもちろん学校行事などで働いているが"外部からの侵入者の排除"も含まれている。

「あっ言い忘れてたけど君たちのそのバッジ。我々教師や校長が"この生徒は上に行かすべき"と判断した場合は白から赤。赤からオレンジ。オレンジから紫。紫からシルバーへと変えることもあるから皆頑張るように」

クラス全員はこの言葉を聞いて驚きを隠せずざわざわしている時教師はこう言った。

「因みに〜バッジ進級試験や学年進級試験には我々教師に勝つもしくは力を認めさせた時に初めて進級出来るから♪それじゃあ解散!今日は授業ないから帰る人は帰る♪訓練する人は訓練♪お疲れ!」

クラスが解散しことちんともお別れした時。二人組から声をかけられ足を止めた。一人は眼鏡をかけ見る限り秘書風の女性。もう一人は身体が大きくガタイがかなり良い強面の印象の男性だった。

「ん…?この人の"匂い"初めてです…私ですから知らない"匂い"がします…」

「そんなバカな…お前ですら分からないとはこいつは一体…」

「あの…一体なんでしょう…」

急に匂いなどとよく分からず"能力の確認"だと言って話しかけて来たから尚更怖い。

「あぁすまない…俺の名前は熊谷幸輝。我々は"生徒会"だ。そしてこいつは俺の秘書の佐藤」

佐藤と呼ばれる女性はぺこりと頭を下げこう切り出した。

「あなた…一体どんな能力を…」

「能力って…俺は…」

戸惑ったように話していると。

「言わなくていいぞ天草海斗」

熊谷は海斗を指差しこう言った。

「天草海斗。俺はお前に模擬戦を申し込む」



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3話

 

「模擬戦…!?どうして急に…!」

「ん?それは君の力を試したいからだよ。そして生徒会でしか使えない"模擬戦"を使いたい。あっそうそう…我々は"模擬戦"だが君たちは"決闘"となるから注意な?」

そう言うと熊谷は佐藤に合図を出した。すると

「それでは2時間後に熊谷vs天草の模擬戦を開始します」

「え!?2時間後!?」

「何かマズイことでも?」

熊谷は首を傾げ海斗に問いかける。

「い、いえ…」

「では決まりだな!2時間後!ここに集合だ!」

 

「はぁ…どうしてこうなった…逃げたい…」

準備のため海斗は部屋に戻った。試合がある時は必ず"自分に必要な物"を用意する決まりなのだ。

「これとこれ…これがないと戦えない…でも怖いなぁ…」

ブツブツと愚痴を言っていると

約束の時間まで残り30分

「仕方ないか……よし!やるしかない!」

海斗は準備を終えると部屋を出て模擬戦のある広場に向け歩き出した。

 

「おや?早いなぁ。まだ20分もあるのに」

熊谷は準備がないのか制服のままで待っていたようだ。

「はい…待たせる訳にはいかないので…それにやるしかないからです!」

「うん♪いい顔だ♪それじゃあ始めるぞ!佐藤!」

熊谷が佐藤に合図を出し位置につく。試合の時は必ず15mは離れる決まりなのだ。

「ありゃ?あれ海斗じゃない?おーい海斗〜♪って熊谷先輩!?生徒会じゃない!」

「えぇ!?ことちん!?」

「なんだ?彼女か?仕方ない…君も佐藤のところへ行け!危ないぞ!」

熊谷に言われるがまま琴音は佐藤の元へ歩く。

(これなに…?喧嘩…?)

「それではこれより模擬戦を始めます!両者準備!」

「模擬戦始め!」

「えぇぇ!?模擬戦!?あの生徒会の熊谷先輩と!?海斗が!?」

琴音が訳が分からず叫んでいると熊谷と海斗はお互いにらみ合っていた。

「それじゃあ…行くかぁ!!」

そう言って四股踏みをすると地面が大きく振動した。まるで地面が水のように。

「わっ!?な、なんだ!?地面を水のように変える能力か…それとも波動…!?」

海斗が熊谷の能力を考えていると

「遅いぞ天草ぁ!!」

熊谷は一瞬で海斗の鼻の先まで来ていた。

「いつの間に…!」

「行動が遅いぞ!ふん!!」

海斗は熊谷から距離を取るが熊谷は地面を思い切り殴る。その衝撃により地面がかなりえぐれた。

「す、凄い…あれが熊谷先輩の"自己強化能力"…!」

「そろそろ能力使わないと危ないぞ天草!」

確かにこのまま能力を使わなければ海斗は負ける。そして大怪我をすることになるだろう。

「くっ…仕方ないか…!」

そう言うと海斗は持っていたバッグの中から一枚の紙を出した。

「これが俺の能力です!」

 



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