Fate/night of Apocrypha (完全院)
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異常の発覚、外典へ

これは、英雄の物語ではない

これは、魔術師の物語ではない

ましてや、人間が願いを叶える物語ですらない

 

これは、転生者達のエゴの物語だ。

 

 

 

 

…………と外典のオマージュをしてはいるが別に外典の世界線にいるわけじゃない。

しかし、第五次聖杯戦争が極めて異常な事態に陥ってるのは確かだ。

どう言うわけか戦争が始まると同時に全ての陣営が同盟を組んだのである。

そのおかげで本来どの戦争にも関わらないはずのこの俺、サザール・オッズマンに令呪が宿ってしまった。

なんでわかるかって?それは、俺が前世でハマってた作品なんだ当たり前だ。

 

俺はこの世界に来るに当たって3つの権能、特典を貰った。

一つ、魔術の才能

この世界では魔術回路という魔術の行使に当たって重要な器官の量によって魔術師としての格が決まる。少なければ恥さらしと殺され、多ければ天才とされる。というのは建前で本当は折角型月世界に行けるんだから魔術を使ってみたいってだけなのだが。

一つ、知識

才能があってもそれを運用する知識がなければ宝のもちぐされだ。その為に知識を欲した。

一つ、黄金律EX

魔術の研究には莫大な財産が必要だ。ならば、いつかはなくなる巨万の財産よりも、それを得る手段を欲した。

 

そうして生きてきて十数年、冬木にて第四次聖杯戦争が開催された。

このことを知るのは後、数年後なのだが結果としては自分の記憶と大差は無かった。

とは言っても多少は差異がありそれを纏めると次の通りだった:

・間桐がランスロットをバーサーカーで召喚しかし暴走により間桐蔵硯の死亡。

・ケイネス・アーチボルトの生存*ただし、魔術回路を負傷。回復の見込みなし。

・それに伴いウェイバー君がエルメロイの刻印を継承。

・セカンドオーナー遠坂時臣の生存。

更に不可解なのがバーサーカーが暴走したにも関わらずマスターである間桐雁夜はその後も生きてるという事だ。代わりに監督役の言峰瑠正の息子、言峰綺礼が死んでいる。

確実に冬木で本来辿る歴史を乖離させる何かが起こっている。そう踏んでこの第五次聖杯戦争に参加する事を決意した。

 

まずは、聖遺物を確保しないとな。

幸いFGOプレイヤーだったおかげで召喚前でもサーヴァントのスペックはある程度分かるし、どんな聖遺物を確保するべきかも分かるしな。後は相性だけだ。

取り敢えずロッコ教諭とエルメロイ先生、ダーニックさんにでも話を通しておくか………………

獅子郷さんの様な頼りになる人が来るといいなぁ。



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召喚、そして……………

ロッコ教諭には、彼の信頼する魔術師を呼んでもらう事に決まり聖堂教会にも彼の方から話を通して貰えた。

エルメロイ先生と、ダーニックは自身が参加するそうだ。

協会の調べによると日本の冠位人形師の蒼崎燈子、そしてアニムスフィア家のご息女にも令呪が宿ったそうだ。

 

あれ?所長って確かマスター適正無かったんじゃ…………

そしてダーニック、いくら第三次聖杯戦争の時に大聖杯強奪の時に邪魔してきた間桐蔵硯が死んだとはいえ、いくらなんでも安心するにはまだ早いと思うよ。

 

こうして協会側での準備を終えた夜。早速召喚に取り掛かる事にした。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

 

ーーーーー手向ける色は灰。

 

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国へ至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ。

閉じよ。

閉じよ。

閉じよ。

閉じよ。

 

繰り返すつどに5度。

ただ満たされる刻を破却する。

 

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!

 

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

 

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

 

魔法陣がまぶしく光り

 

「サーヴァント・ランサー、エルキドゥ。懐かしい気配がするね。断言するよ、マスター。この聖杯戦争一筋縄で済みそうになさそうだ。」

 

どうやら召喚は無事成功した様だ。しかし、同時に波乱が予言されてしまった。胃が痛くなる。

 

「ああ、よろしく頼むよ。ランサー、いやエルキドゥと呼んだほうがいいかな?」

「どちらでも構わないよ。」

「では、ランサー。もうすでに気づいてるだろうが言っておく。君には彼の相手を頼みたい。」

「兵器に頼みごととは変わったマスターだけど。いいね、久しぶりに彼と性能を競い合う事が出来るのは僕としても願ったりかなったりだからね。しかし、いいのかい?マスター。僕と彼が本気を出せばあの街は確実に消滅するよ?」

「構わない、魔術協会、聖堂教会、ユグドミレニアが不発弾の発掘と称して現場と近隣の避難は済ませてある。魔術の秘匿という観点でも準備は万全だ。」

 

 

 

 

 

ーーーー冬木ーーーーー

 

 

 

 

「ほう、我が友を召び出すとはよほど死にたい様だ。」

「?どういう事だ?ギルガメッシュ。」

「雑種が。いつ我が貴様に喋る事を許した?しかし、今は機嫌がいい。特別に教えてやろう。

ーーーーーー我が友、エルキドゥめが召喚された。」

「なっ?!」

「フハハハハハハ!此度の戦争は楽しくなりそうだ!」



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灰の陣営

我々、灰の陣営は冬木潜入前に落ち合う事は事前に連絡済みだ。

場所は東京都の秋葉原の特に人気のあるコスプレ喫茶。

理由は単純に日本人離れしたメンツにそれぞれの服装が独特である為の配慮だ。

獅子郷さんや、蒼崎燈子、エルメロイ君はまだいい。

オルガマリーもギリギリセーフだとしよう。

しかし、ダーニックの正装はもう完全にコスプレだし、カレンに至っては戦闘服で来る始末。

クールに澄ました顔してる割にはノリノリですね。

……………個室にしといて良かった。

 

「今回、灰の陣営を取りまとめ役を担わせて頂くサザール・オッズマンだ。サーヴァントのクラスはランサー。真名はエルキドゥ。今回の戦争の最大の不安要素であるアーチャー・ギルガメッシュを抑える役割を担っている。すでに聞き及んで理解されてると思うが冬木のマスターが開幕早々同盟を組み緊急時のシステムである追加召喚が行われた。更にルーラーの召喚も確認されている。言っておくがルーラーは戦争の調停役を担っている。こちら側から敵対行動をしなければ攻撃される事はまずない。そして、開幕早々敵対者同士であるはずのマスター達が同盟を組んだ。大聖杯に異常が見つかった可能性が大いにある。それの解明と対処が参戦に対する前提条件だ。それをくれぐれもそれを忘れないでくれ。

 

ーーーーーーさて、状況の説明も終わった事だし自己紹介をしよう。これから背中を預ける者の名前を知らないのは嫌だろう?」

 

「では、私から。

 

カレン・オルテンシア。聖堂教会より監督役として参戦します。サーヴァントはジャック・ザ・リッパー、アサシンです。」

「ママ、あの人殺しちゃダメ?」

銀髪ショートヘアの幼女は俺を見ながらナイフを取り出す。

「まだダメです。お仕事が終わってからなら構いませんが。まだダメです。」

胃が痛い上に頭が痛い。カレンめ、なに殺人幼女呼び出してるんだよ。しかも、「まだ」を強調するあたり「いつか」やらせる気だな。痴女母k………………

「なにか?」

オレハナニモオモッテマセンヨ。

「では次の方に自己紹介をしてもらいましょうか。」

 

「蒼崎燈子。サーヴァントはヴィクター・フランケンシュタインの名もなき怪物。クラスはバーサーカー。取り敢えず呼ぶ時はフランか、クラス名で呼んでやってくれ。フランケンシュタインと呼ばれるのは不快らしいのでな。」

「ウゥゥゥゥゥ…………」

やはり、フランちゃんは可愛い、フランちゃんは正義。と考えてると蒼崎がニタァっと笑みを浮かべ口パクで何かを伝えて来る。

<ロ・リ・コ・ン>

断じて違う。

(マスターが望むなら、あの姿になっても構わないよ。お代は高くつくけどね。)

(……………やめておく。)

悩んでしまった。くそう、これじゃ言い逃れはできないじゃないか。

 

「獅子郷界離だ。クラスはセイバー、真名はモードレッド。一次的な同盟だがよろしく頼む。」

おお、反逆の騎士とはありがたい。向こうに青王がいるのは確実だからな。どの王様か、までは分からなかったけど第四次の災害が起こってるということはいるのは間違いないだろう。すごくありがたい。モードレッドだけならば。

 

「ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。アーチャー・トリスタンが私のサーヴァントだ。」

そうなのだ。あのヒトヅマニアの片割れのアノ、トリスタン郷だ。そして今尚、俺とモードレッドに殺気を送ってる張本人だ。聞いた話によるとダーニックが使った触媒で獅子郷さんが召喚を行いその時にモードレッドがその触媒である円卓の欠片を踏み砕いてしまったのだ。

胃が痛い。仲間同士で殺し合いとかマジでやめてくれないかな?そういうのはジャックちゃん一人で間に合ってるから。

 

「エルメロイ二世だ。そしてこの方が「征服王イスカンダルだ。余は嬉しく思うぞ。この戦争で一時的にとはいえ余の幼き頃の夢を叶えられるのだからなぁ。」ハァ…………」

第四次の一騎がいるのはありがたい。そしてこのまま指揮権を渡して逃げてしまいたい。この王様ならきっとこの亀裂と爆弾だらけの陣営をうまく纏められるだろう。しかし残念かな、それをしてしまうと今度は協会の方から首を切り落とされかねない。なぜなら、英雄王の足止めはエルキドゥにしかできない。

 

「オルガマリー・アニムスフィアです。未熟ながらキャスター・ソロモンのマスターとして最大限努力しますのでよろしくお願いします。」

この礼儀正しい上に出来る女モードの彼女は別世界ではカルデアの所長を務めるオルガマリー・アニムスフィア本人である。彼女がチキンを発動してないのは単に後方支援中心のキャスターのクラスである事、グランドクラスのソロモンを引いた事、そして連れ出す際にアニムスフィア郷にこの戦争中は必ず彼女を守り通す事をセルフギアススクロールにて誓わされたからである。

胃が痛い。どうしよう?人理消滅とかしないよね?お兄さんというかおじさん心配で頭が割れそうだよ。

 

「よし、自己紹介も終わったし、そろそろ解散しようか。明日から冬木に潜入後すぐに拠点を作り調査を始める。」まずは、大聖杯があるあの洞窟からだな。アンリマユ君が居てくれればいいんだけど。正直このSN世界線が転生者によるものだったとか笑えないし。転生者同士でうえきの法則の様なバトルとか嫌すぎる。



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そして、時計の針は動き出す

まずは1ヶ月以上宣言もせずに放置していた事を謝罪します。
すみませんでした。
主な理由としましては勉強不足で世界観を壊してしまう恐れがあったので設定や世界観を見直していたのが一つ。
自分で納得できる続きが書けなかったのがもう一つです。
常識に囚われない自由人が一人いるだけでこうもややこしくなるとは思いませんでした。
全てのキャラクターの思考、行動パターン、能力をトレースする事が出来ていればいいのですが……………
王のお考えを雑種である自分がトレースできてる自信がないです。

この前書きは本編の第2戦が書き上がる頃には削除して本編を読み易いようにするつもりです。


無事冬木入りを果たし、一直線に大聖杯の元へと向かおうとしたのだが嘆きのトリスタンから待ったがかかった。仮にも戦争ならば宣言せずに攻撃をかますのは騎士の沽券に関わるとの事。魔術師の俺には関係ないと切り捨てたいが却下してzeroのランサーみたいな終わり方はゴメンだ。さらに征服王もこの提案には肯定的だ。

カレンも教会の様子も見ておきたいとのことなので仕方なく陣営を三つに分ける事にした。

大聖杯には獅子劫さん、青崎さん。

教会にはカレンとエルメロイくん。

そして挨拶組は俺、オルガマリー、そしてダーニック。

できるだけ聖杯の奪取をしそうな輩を遠ざけ、かつ戦力が一定以上下がらないよう配慮したつもりだ。

 

未だ裁定者が誰なのか不明だが天草四郎時貞はまずない。

野心がありすぎる。

ジャンヌダルク?それとも鉄拳聖女様?

叶う事なら調査の邪魔にならなければいいんだが…………

 

さてと、敵とはいえ連絡や手土産もなしに行くのは貴族、そして何より大人としてどうかと思うし

なぜかあるあの不思議生物の喫茶店アーネンエルベも調査として

そう調査の一環として行ってみよう。

つかお前ら避難指示はどうしたんだよ。あれか?下等な人間の指示なんぞ受けてられるか、とか言って無視でもしたのか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

冬木 新都

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近代の高層ビルが雑居する街の中で聖女は空を眺め思考する。

「古都ってわけでも無いのに活気どころか人気も無いですね…………

前のような依代を介しての召喚では無いのは幸いですが、

裁定者としてのスキルが殆ど機能してないようですし……………

まさか聖杯に異常でも?

これは調べる必要がありそうですね。

召喚時に得た啓示も不可解ですし、

まずはこの世の理に沿っていない彼に会うとしましょう。」

 

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衛宮邸

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ブカブカのフードを被った少年は和室内で行ったり来たりしていた。爪を噛み、ブツブツと独り言を言っている。

(挨拶に来るだと⁈戦争中の敵に?一体なにが狙いだ?協会はまだ俺は一般の出の魔術回路を持つだけの少年という認識のはずだ。なのに俺に会いに来る?なぜ?あれか?ギルガメッシュとエルキドゥを引き合わせてドンパチでもおっ始めるつもりか?それとも俺たちをここに留めておいて大聖杯でも掻っ攫うつもりか?クソッ!相手の意図が読めねぇ!)

「ハンッなにを焦っておる雑種。向こうにもこの我がいる事は既に知り渡ってるだろうよ!ならば向こうから挨拶に来るのは当然だ。であれば豪勢に出迎えてやるのが王の務めというもの。友との語らいを邪魔するのであれば貴様のその首が繋がっていられると思うなよ?」

「ははは、滅相も無い王のたった一人の親友との感動の再会を邪魔するほど無粋じゃ無いさ。ただ裏で何かされないか不安なだけだ。」

「フンッ覚えておけよ雑種。貴様が今まで生きながらえたのはただ単に運が良かっただけなのだと。」

そういうと英雄王は出て行った。

 

(わかってるさ。あんたが俺が転生者であることを見抜いてることも。それをただ単に見逃されてたってことも。聖杯戦争に首を突っ込んで無事なのも運が良かっただけだということも。)

英雄王がいなくなったのを確認すると少年は虫の吐息よりも小さく呟いた

 

ーーーーーーーーーーーーけど、あんたは知らない。俺の本当の切り札を。それを使えば貴様程度どうにでもなるってことを。



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