蒼空の魔導書 カーニバル・クロノファンタズマ (蒼空の魔導書)
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カーニバルの始まり!

この作品は蒼空の魔導書の息抜き小説です、台本形式&手抜き描写なので注意して下さい。

〔〕内はそのキャラの心の声です。




ここは謎の閉鎖空間、見渡す限り蒼い光が空間を照らしているだけの殺風景の空間に三組のグループが何所からか転移されて来たのだった。

 

ルーク「おいっ!何所だよ此処はっ!」

 

カナタ「さーな・・・魔甲蟲の体内じゃね?」

 

クロエ「いや、わたし達小隊室で次のランキング戦に向けてのミーティングをしていたんだし、それは有り得ないと思うんだけど・・・」

 

ロイド「それはわかりませんよ、もしかしたら狙った獲物を直接胃袋に転移させる事のできる新型の変異種(キメラ)かもしれませんし」

 

ギドルト「そんな事ができる魔甲蟲が存在していたらもうとっくに人類は滅ぼされていると思うのですけど・・・」

 

一組目は《空戦魔導士》と呼ばれる空の守護者達が活躍する世界で最強の小隊を目指して空を飛び続ける五人の候補生の少年少女達——《ルーク・スカイウィンド》《カナタ・エイジ》《クロエ・セヴェニー》《ロイド・オールウィン》《ギドルト・ストラトス》———学園浮遊都市《ミストガン》に所属する《E128小隊》の隊員達とマネージャーだ。

 

幸斗「おおっ!超広れぇっ!ヤッホォォーーーーッ!!」

 

涼花「やめなさいお馬鹿!子供みたいなマネして恥ずかしいったらありはしないわ・・・」

 

重勝「まあこんだけ広けりゃ叫んでみたい気持ちも判るけどな・・・でも何所だ此処?傭兵時代にも行った記憶がねーなぁ・・・」

 

二組目は《伐刀者(ブレイザー)》と呼ばれる異能の使い手達が活躍する世界にある《魔導騎士》養成学校の一つ《破軍学園》に在学する元傭兵の三人の少年少女達——《真田幸斗(さなだ ゆきと)》《佐野涼花(さの りょうか)》《風間重勝(かざま しげかつ)》———立ち塞がる運命を覆す為に日々戦い続けている戦士達だ。

 

出雲那「何だよ此処・・・まさかあの化物達が居る空間に引き込まれたのか!?」

 

明日香「・・・いや、たぶん武内君が思っているような場所じゃないと思うわ〔異界の反応はしなかったけれど、この空間が普通じゃないって事ぐらいは素人でも判るわ。視たところ何かの怪異の気配は感じないし空気中に害は無さそうだけど・・・〕」

 

一輝「それにしても不思議な空間だね、目を凝らして遠くを見ても蒼い光しか見えないや」

 

ステラ「他の世界から来た人達も居るみたいよ・・・あの三人が着ている学生服なかなかセンス良いわね、今着ているセーラー服も嫌いじゃないけれど・・・あの制服を見ているとなんか妙な気分になるわ・・・」

 

善吉「で?これからどうするんだよ?俺はこんな所で一生を終えるなんて絶対に嫌だぜ」

 

マイ「私も嫌・・・かな?」

 

リィン「何で疑問形なんだよ・・・」

 

アリサ「マイ、気をしっかり持ちなさい、突然訳の解らない空間に放り込まれて頭が混乱するのは解るけど・・・」

 

そして最後の三組目は様々な強力な能力者達がそのチカラを振るう群雄割拠の世界にある未来の戦士を育成する《戦島都市スクエア》内にある《青竜(せいりゅう)学園》に通う八人の少年少女達———《武内出雲那(たけうち いずな)》《柊明日香(ひいらぎ あすか)》《黒鉄一輝(くろがね いっき)》《ステラ・ヴァーミリオン》《人吉善吉(ひとよし ぜんきち)》《マイ・ナツメ》《リィン・シュバルツァー》《アリサ・ラインフォルト》———世界の未来を担うであろう若き戦士達だ。

 

どのグループも突然謎の光に包まれてこの場に転移してしまったので一同は動揺のあまりしばらくオロオロしていたが、とりあえず自己紹介を済ませ(ルーク達は重勝がカナタに似ている事に笑い、幸斗達は異世界の一輝とステラに少し驚いていた)、これからどうするのかを考える事にしたのだった。

 

幸斗「とりあえずオレの龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)でこの辺り一帯を吹き飛ばしてみるか?地面の下に何かあるかもしれねぇし」

 

ルーク「その龍殺剣っつうのが何だか知らねぇけど、それ賛成!俺も竜巻杭打(パイルトルネード)を派手にぶちかましてやるぜ!!」

 

出雲那「アホだろお前ら!?もし地下に街とかが在ったら崩落して埋まっちまうだろうが!!・・・とにかく手分けして其処ら辺を探索しようぜ。ここで屯ってても仕方ねぇ」

 

??「その必要は無い!」

 

明日香「っ!?誰っ!!」

 

一同は唐突に呼び掛けて来た声に警戒し、声の聴こえて来た方に視線を向ける。

 

クロエ「なっ!何あれ!?」

 

マイ「あれは・・・魔導書?」

 

一同が向けた視線の先には蒼いブックカバーに覆われた一冊の魔導書が浮いていた。

 

カナタ「人間の姿は見えねーな・・・ひょっとして、あの魔導書が俺達に声をかけて来たのか?」

 

重勝「んなアホな、メルヘンやファンタジーじゃねーんだし・・・」

 

??「そんなアホな事があるんだよねぇ~」

 

善吉「マジで喋っりやがったぞあの蒼い魔導書!!」

 

??「イカにも!!自分が《蒼空の魔導書》だっ!!」

 

ステラ「ちょっと何!?あの本いきなり光りだしたわよ!」

 

喋り出したうえに突如眩い光を放ちはじめた魔導書に一同は警戒心を剥き出しにしてそれぞれ自分の得物を手に持ち臨戦態勢に入った。すると魔導書はなにやら封を解く解号(ワード)らしき言葉を言い放ち出す。

 

??「第六六六拘束機関解放!次元干渉虚数方陣展開!!」

 

解号に合わせて魔導書が開き出す。

 

??「見せてやるよ!これが正真正銘の・・・【蒼空の魔導書】だっ!!」

 

そして魔導書は完全に開かれた。

 

??「コードH.Y、蒼空の魔導書(ブレイブルー)———起動っ!!!」

 

ルーク「くっ!?」

 

幸斗「うおっ?まぶしっ!!」

 

解号を言い終えると同時に魔導書が放つ光が一気に溢れ出し、それがこの空間内を包み込んだ。

 

やがて光が収まると、なんと魔導書が消えて無くなっていて、代わりに腕にシルバーアクセサリーを巻いている蒼髪の青年が宙に浮いていた。

 

蒼空「ようこそ、戦いに明け暮れる厨二病達!自分は【蒼空の魔導書】の化身だ。まあ、気軽に《蒼空》とでも呼んでくれ!そして君達をこの場に強制転移させて呼び出したのは他でもない!この自分・・・だ?」

 

ウザッたい笑みで名乗る蒼空の身体は突如【黒いリング】に縛られて、宙に拘束された。

 

重勝「隙だらけだったから簡単に重力の拘束具(グラビディバインド)に掛けられたな・・・」

 

ルーク「テメェが俺達をこの変な空間に転移させた迷惑野郎か!!」

 

幸斗「ブッ飛ばしてやるっ!!」

 

出雲那「貴重な休校を台無しにしてくれやがって・・・おい、決闘(デュエル)しろよ!」

 

蒼空「み、皆さん?な、何でそんなにピキピキして一斉に自分に大技をブチかまそうとしているのですか?なんでカナタ君とクロエちゃんは突然原作の年齢に成長しているんでしょうか?あとステラさん?君はまだ竜神憑依(ドラゴンスピリット)は修得していない設定だった筈なんですけど!?ちょっと皆さん——」

 

ルーク「問答無用じゃあああああぁぁぁっ!!」

 

魔蹴術戦技————竜巻杭打(パイルトルネード)

 

カナタ「じゃあなオッサン、あの世でも元気でな!」

 

魔砲剣戦技————光翼ノ帝剣(アストラル・ブレイカー)

 

クロエ「うふふっ、たっぷりと頭を冷やしてね、あの世で」

 

魔砲杖戦技————極光殲滅砲(スターダスト・ストリーム)

 

ロイド「やれやれ、少々キツイ攻城剣撃陣(バテリング・ソード)ですけれど、恨むならノコノコと僕達の前に姿を現した自分の浅はかさを恨んで下さいね」

 

魔剣戦技————紅突一刃(ヴォーパル・ストライク)

 

幸斗「吹っ飛べ!龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)ァァァァアアアアアッ!!!」

 

涼花「アンタがブラッドエッジごっこをしている間に鉄の剣山を仕掛けておいたわ、串刺しになりなさい」

 

重勝「んじゃ、あばよオッサン・・・これが俺の全力全開!光翼ノ帝剣(アストラル・ブレイカー)ッ!!」

 

出雲那「刀華さん直伝!雷切ィィーーーッ!!」

 

明日香「第一、第二、第三拘束術式解放・・・終焉の魔剣———コールド=アポクリファ!!」

 

一輝「・・・終の秘剣———追影」

 

ステラ「よくもイッキとのデートを邪魔してくれたわね!蒸発しろっ!!蒼天を穿て、煉獄の焔!天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)ァァアアアアッ!!!」

 

善吉「さっさと元の世界に帰しやがれぇぇぇええっ!!(渾身の蹴り)」

 

マイ「これが私のとっておき!朱臨、緋蓮蒼朔耶っ!!」

 

リィン「無明を切り裂く閃火の一刀・・・終ノ太刀———暁!!」

 

アリサ「ショッピングの時間を返しなさいよっ!!大いなる輝きよ、我が弓に宿れ!レディエンスアーク!!」

 

少年少女達の怒りの極大火力攻撃が宙に拘束されて無防備状態の蒼空に一斉に放たれた。

 

蒼空「うえぇぇぇっ!!?超オーバーキル過ぎでしょこれぇぇぇえええええっ!!!」

 

直後、爆心地点から半径千数キロメートルに及ぶドーム状の超極大爆発が巻き起こった。新星爆発とも見紛うその規模は某管理局の三大エースすらもドン引きするレベルであり、直撃を受けた蒼空の生存は絶望的かと思われる・・・が———

 

????「マタカテナカッタ・・・」

 

一輝「・・・出雲那君・・・あそこで倒れて目を回している女の人って・・・」

 

出雲那「・・・ああ・・・どう見てもシグナム先輩だな・・・」

 

爆煙が晴れ、爆心地に倒れる人物は蒼空ではなく、出雲那達の世界の住人である《流離の烈火の将》《八神(やがみ)シグナム》であった。

 

善吉「シグナム先輩が死んだ!」

 

幸斗「この人でなし!」

 

ギャグ補正が働いたおかげで死んではいない(笑)、これがもしシリアスだったら細胞一つこの世に残らなかったであろう・・・それよりも———

 

リィン「何で突然シグナム先輩が現れたんだ?蒼空の奴は重勝さんの重力の拘束具で動きを封じられていた筈なのに、本人の姿が見えないんだが・・・」

 

カナタ「・・・あそこに居たぜ」

 

戦技を撃ち終えて元の13歳に戻ったカナタが指をさした先に蒼空は居た。引っ掛けるところが無い筈の空から何故か垂れ下がる空中ブランコの上に立って道化のようにウザく高笑いをしている。

 

蒼空「ハーッハッハッハッハッ!言った筈だ、君達を此処に強制転移させたのは自分だと!ならば君達の世界の誰かを緊急転移させて身代わりにする事や、自分自身が転移して君達の一斉爆撃を回避する事なんて造作もないに決まっているだろうっ!!」

 

ステラ「アンタ本物の人でなしね!」

 

明日香「それで?貴方の目的は何?返答次第ではタダじゃ済まないわよ」

 

蒼空「まあまあ落ち着いて♪」

 

剽軽に一同を宥める蒼空。ウザッたい調子は鼻に付くが、とりあえず一同は一旦矛を収めて蒼空の話を聞く事にした(何時でも迎撃できる様に身構えて)。

 

蒼空「君達をこの場所に呼んだ理由・・・それは・・・」

 

一同「「「「「「「それは?・・・」」」」」」」

 

蒼空「息抜きの為に色々と遊びたいからさっ!(キラッ☆)」

 

ルーク&幸斗&出雲那「「「ふざけんなぁぁああああああああっ!!!」」」

 

怒りとウザさのあまりに主人公ズはシャウトと共に魔力弾、剣圧閃光、星墜としを舌出しウィンクをする蒼空に向けてブチかます。再び爆煙が巻き起こり、それが晴れると爆心地点に白眼を向いて倒れていたのは———

 

静矢「—————」

 

涼花「あれはウチの世界の《桐原静矢(きりはら しずや)》ね・・・これ以上は止しておきなさい、どうせまた誰かを転移させて身代わりにするだけだから無駄よ」

 

蒼空「まったく、自分の本体(作者)が設定したオリ主達から総攻撃をされるとは、バトル中心の作品とはいえちょっと血気盛んにし過ぎたかなぁ」

 

重勝「後ろに居たよコイツ・・・んで?何で息抜きしたいんだ?」

 

蒼空「いやね、自分の本体(作者)が書く作品ってバトルばかりじゃん?・・・いや日常やラブコメよりバトルの方が好きで得意だからいいんだけど、流石にバトル構成ばかり考えていると疲れてきちゃうんだよ、精神的に」

 

ギドルト「メタいのです〔だから手抜きで台本形式なのですね(汗)〕・・・じゃあ番外編でも作れば良いじゃないですか?何で新作出して君の本体(作者)が書いている作品の主要キャラを纏めて集めたのです?」

 

蒼空「やっぱりさぁ、どうせなら皆で集まって色々とワイワイとやりたいじゃん?他作者様ともコラボがしやすいし・・・・・とにかく偶には皆で盛大にやりたいじゃぁぁぁぁぁあああああああああんっ!!!」

 

夕陽に向かってシャウトする蒼空(此処には蒼い光しか無いが・・・)、一同は呆れるあまり沈黙し、暫く間を置いてから仕方がないなと警戒を解いた。

 

ルーク「・・・ったく、しょうがねぇな、本編に影響が無ぇなら息抜きに付き合ってやるよ」

 

幸斗「そうだな。それになんだか色々って面白そうだし♪」

 

出雲那「んで?具体的に何やるんだ?」

 

蒼空「それは色々なんでもさ♪実はこのクソ広い空間は自分の本体(作者)が好き勝手に事象を具現化させる事のできるご都合空間でさ、様々な遊び道具やアトラクションを出現させる事ができるんだ!だから毎回毎回君達の世界や他作者様の作品(もちろん他作者様に許可をいただいてから)の住民をこの場に呼び出してソレ等でハチャメチャに楽しんでもらおうって訳♪」

 

一輝「うん、把握したよ」

 

カナタ「それじゃあさ、最初は何をやるんだ?」

 

蒼空「そ☆れ☆は・・・・・次回までに考えておくねっ♪」

 

一同「「「「「「「ズコーーーーーーーッ!!」」」」」」」

 

一同は盛大にズッコケた・・・。

 

蒼空「それじゃあ皆!楽しい時を過ごしてくれ♪自分の役目はこれで終わりだから自分はもう出ないけれど、君達がこの空間で楽しんで戦いの疲れを癒してくれたなら自分は・・・・・満足だ!!」

 

某満足同盟のリーダー風にそう言って蒼空はこの場から姿を消して行った。

 

何はともあれ次元を超えた楽しいカーニバルが今、始まる。

 

色々とは言ったが、果たして蒼空の魔導書はルーク達に何をやらせるつもりなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 




さて、皆さん。存分に楽しんで下さいね♪

ルーク「それはいいが、息抜きばかりして各本編の更新を疎かにするんじゃねぇぞ?」

幸斗「【運命を覆す伐刀者(こっち)】なんて今やっている学内選抜戦編の決着を楽しみにしている読者がいっぱいいるんだからな!」

出雲那「【クロス・スクエア(うち)】の物語の進行も忘れるなよ!」

分かってるって・・・そんなわけでこの作品はたぶん超不定期更新となると思います。息抜きがしたいと思った時に書いていきたいと思うのでよろしくお願いします!



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カルタ団体戦!初陣の蒼空主人公ズ!!(前編)

息抜き作品ではあるが、折角各本編を気にせず色々な事をやれる作品なのにしばらく何もやらないというのもどうかと思ったので、もう一話書き上げました♪(いきなり前後編分かれたけど・・・)

【色々】とはどんな感じなのかをこの話で確かめてみて下さい!

それではどうぞ!




蒼空の魔導書に導かれ、集結した三つの世界の戦士達。

 

彼等はこの謎の空間で蒼空が用意する様々な事に挑戦する事を余儀なくされたのだった。

 

そして彼等が行うべき最初の挑戦は———

 

『明日への札(カード)を掴み取れ!カルタ団体戦!!』

 

善吉「カ・・・カルタだぁぁああああっ!?」

 

目の前に出現した空間モニターに表示された競技名を見て声を荒げる善吉を余所に辺り一帯の風景が映像作品の場面転換のように一瞬にして切り替わった。

 

クロエ「あれ?・・・わたし達、一体いつの間に何処かの建物の中に移動したの?」

 

その空間は古風な屋敷の一室のようであり、床は畳張りである。大勢の人間が入っても広々としている大広間でその中央スペースには無数のカルタの札が散らばっていた。

 

重勝「成程な、これが蒼空が言っていた具現化ってやつか・・・」

 

カナタ「既に協議の準備はできているみてーだな・・・ところでさ、【カルタ】って何だ?」

 

明日香「そうか、住んでいる場所や世界が違うから知らない人も居るのね・・・【カルタ】って言うのは——」

 

 

 

 

 

 

————少女説明中(手抜き描写ゴメンッ!)————

 

 

 

 

 

 

ロイド「成程、大体ルールは解りました」

 

アリサ「でも聞いた限りだとこの競技って個人種目じゃない?」

 

明日香「ええ、そうね・・・この【団体戦】ってどういう事なのかしら?」

 

?「そのリユウは俺達が説明するぞ!」

 

ルーク「っ!?誰だっ!!」

 

幸斗〔アレ?このリユウ付けの口癖って・・・〕

 

広間の奥の襖が開き、三人の男女が入室して来た。

 

破軍学園の制服を着たアホ毛が立った黒髪の少年、何処かで見覚えがあるピンクブロンドポニーテールの巨乳の女性、ミストガン空戦魔導士科(ガーディアン)本科生の制服を身に纏った茶髪を後ろで一纏めにした温厚そうな少年・・・彼等は———

 

重勝「なっ、烈?お前何でこんな所に?」

 

出雲那「シグナム先輩!?アンタ前回で死んだんじゃ・・・」

 

ロイド「これは意外な人が出て来ましたね・・・まさかオリバー先輩まで此処に呼ばれていたとは・・・」

 

破軍学園校内序列第三位《空間土竜(ディメンショナルモール)》《如月烈(きさらぎ れつ)》、前回蒼空の身代わりにここに居る一同の新星爆発級一斉攻撃を受けて悲惨な目にあった【流離の烈火の将】八神シグナム、学園浮遊都市ミストガン空戦魔導士科本科一年生《C140小隊》隊長《オリバー・ヒューイック》———なんと三人共この場に居る一同の三つの世界の人間であり、しかも全員彼等の知り合いであったのだった。

 

シグナム「フッ、武内、貴様に勝つまで私は死なん。地獄の底から這い上がって来てやったぞ、さあ私と戦え、武内出雲那っ!」

 

オリバー「カルタでだけどね・・・」

 

烈「まっ!簡単に言うと俺達はお前達の最初の対戦者として呼び出されたってリユウだ」

 

オリバー「そういう訳でカルタ団体戦のルールを説明するよ。ルールは簡単、三人一組でチームを組み、ローテーション方式の一対一で指定された札を取り合う。取った札はチーム共有とし、全部の札を取り終えた時に持っている札の枚数が多いチームの勝利だよ」

 

シグナム「ローテーションの順序は一枚札を取る毎に次の奴と交代して行き、取れなかった場合は交代せずにそのまま次の相手と札を取り合う」

 

烈「御手付きした場合はその時に指定された札はその時点で相手の持ち札となり、御手付きしたプレイヤーもその場で交代、ペナルティーとしてそのプレイヤーはチームのローテーションが二巡するまで参加する事を禁止されるってリユウだ」

 

涼花「本当に手抜きの進行ね、彼等と対戦する事に誰も疑問を言わないで進めるなんて」

 

重勝「まっ、おかげでスムーズに事が進むけどな♪グダグダ停滞するのもイライラするだろーし」

 

烈「それじゃあ俺達に挑む三人を決めてくれってリユウだ」

 

そう言われてルーク達は円状に集まってひそひそと相談する。そして結果は———

 

ルーク「決まったぜ!俺達が相手になってやるよ!!」

 

幸斗「一番最初はやっぱ主人公が出るのが筋ってもんだろ。へへっ!戦闘とはまた違った感覚だけど、何だかワクワクするな!」

 

出雲那「おう!やってやろうぜ!!」

 

主人公ズに決まった。

 

一輝「審判と指定の札の読み上げは僕がやるね。それじゃあ一番手の人、前へ!」

 

シグナム「先陣は私が務めよう・・・さあ、誰が相手だ?やはり武内、貴様か?」

 

無数の札の前に正座し、取りやすいように両手を畳に着いて前のめりになるシグナム。その際に彼女の持つ大きな実りが下方に垂れ下がって揺れ、周囲の目を惹き付けた。

 

リィン〔目のやり場に困るな・・・〕

 

ロイド〔風紀が乱れていますね〕

 

涼花〔【おっぱい魔人】なんて呼ばれていそうね〕

 

本人は無自覚だが、ある意味強烈な威嚇であった。シグナムの豊満な果実に一同は様々な感情(半数以上は失礼極まりない事を考えている)を抱いているのだが・・・生憎目の前に居る主人公ズは年中戦闘の事ばかり考えている馬鹿者共の為、その対男最終兵器では威嚇にすらならない(汗)。

 

出雲那「・・・ああ、お望みなら——」

 

幸斗「待った!一番手は元西風の特攻隊員だったオレが出るぜ!」

 

出雲那「よし、任せた」

 

こうして主人公ズチームの一番手は幸斗に決まった。

 

ルーク「アッサリ譲ったな・・・あの女テメェのライバルじゃねぇのかよ?」

 

出雲那「アイツが一方的にオレをライバル視しているだけだ。毎日のようにしつこく決闘を挑んで来るもんだから正直鬱陶しくて堪らないし、おかげでアイツと決闘をやった回数は五百戦に達しちまったな」

 

ルーク「因みにどっちが勝ち越してんだ?」

 

出雲那「オレの全勝」

 

ルーク〔E35(雑魚)小隊の約百倍負けてんのかよ・・・そりゃあ悔しいだろ・・・〕

 

ルークと出雲那がひそひそ話をしている中、幸斗は床に散らばる札の前に座ってシグナムと向かい合い、好戦的な不敵な笑みを彼女に向けていた。

 

幸斗「よろしくな、騎士のネェチャン!そしてオレが勝つ!!」

 

シグナム「フッ、威勢の良い少年だ。視たところお前も相当な修羅場を潜った歴戦の戦士のようだが、ベルカの騎士に一対一の勝負を挑むのはお前では役不足だ。それをこれから教えてやろう」

 

出雲那〔一対一の勝負において負完全級の負け癖持ちが何をほざいてんだか・・・〕

 

幸斗「へっ!いいぜ、それが運命だって言うんなら———その運命を覆してやるっ!!」

 

幸斗の決めゼリフが決まったところでカルタ団体戦、蒼空主人公ズチームVSネタキャラチーム(仮)の火蓋が切って落とされた。

 

一輝「それじゃあ一つ目の札を読み上げるよ・・・【天光満つる所に我はあり、黄泉の門開く所に汝あり、出でよ神の———」

 

幸斗&シグナム「「そこだぁぁああああっ!!!」」

 

二人の手は【帯を振り回して天高く手を掲げている天才少女がマントを羽織った全身黒タイツの男に巨大な雷を落としている絵札】目掛けて勢いよく振り下ろされる。

 

シグナム〔勝った!若干私の方が速い!!〕

 

幸斗「うぉぉぉおおおおおおおっ!!!」

 

シグナムの手が指定の札を捉えようとした時、彼女の手の甲に幸斗の手が接触する。そして——

 

シグナム「っ!!?うわぁぁぁあああああああああっ!!!」

 

シグナムの身体はロケットのように横に見える壁に吹っ飛び、その壁をブチ破ってそのまま外の和風な塀に正面衝突———

 

シグナム「マタカテナカッタ・・・」

 

塀からムッチリとした尻を突き出すような格好で上半身が壁にめり込み、シグナムは昇天した。(笑)

 

オリバー「シグナムさんが死んだ!?」

 

烈「この人でなし!」

 

明日香「何このデジャヴ・・・」

 

アリサ「気にしない方がいいわよ明日香・・・それにしても手が接触しただけで相手が吹っ飛ぶなんて、とんでもないバカヂカラね・・・」

 

この場に居る幸斗とは違う世界から来た者達は、振り下ろした手同士が接触しただけでも相手を身体ごと吹っ飛ばす幸斗の圧倒的な膂力に目を丸くして驚いている・・・まあ知らない者が驚くのも無理は無い、幸斗はパラメーターが攻撃力に全振りされていて、紙防御力で魔力量最低値なのに攻撃力EX(測定不能)という頭がおかしいとしか言い様がない超攻撃特化ステイタスなのだから。

 

一輝「え~、八神さんが競技続行不可能な状態になったので、今回指定した札は真田君の取得となります。よって蒼空主人公ズチームは団体戦のルールに則って二番手の人に交代。ネタキャラチーム(仮)も繰り上がりで二番手の人に交代してください」

 

出雲那「次こそオレが出るぜ、構わないだろ?」

 

ルーク「まあ、いいぜ。三人いる中の二番手って格好付かない感じがするしな」

 

オリバー「ハハハ・・・それじゃあ君の相手は僕が務めさせてもらうね」

 

次は出雲那VSオリバーとなった。

 

一輝「読み上げます・・・【エターナル・フォース・ブリザード!相手は死ぬ!!】」

 

出雲那「ハイィッ!!」

 

オリバー「あっ!」

 

目を凝らしてオリバーが探している最中に出雲那が指定の札を奪取する。またしても蒼空主人公ズチームに一枚入った。

 

オリバー「ハハ・・・凄い速いね、あっという間に取られてしまった・・・」

 

烈「ドンマイ、次取り返せばいいってリユウだ」

 

そして蒼空主人公ズチームから三番手のルークが出て、オリバーと向き合う。

 

ルーク「ようやく俺の出番か・・・へへっ!オリバー先輩、手加減無しで頼むぜ!!」

 

オリバー「ハハハ・・・お手柔らかに頼むよ」

 

一輝「それじゃあいくよ・・・【闇の炎に抱かれて消えろ!!】」

 

明日香〔何なの、このカルタ・・・〕

 

オリバー〔え~と・・・あった、これだ!〕

 

オリバーは指定の札を見つけてそれに手を伸ばそうとする・・・しかし——

 

ルーク「もらったぁああっ!!」

 

オリバー「しまっ!?」

 

もたもたしている間にルークに取られてしまった・・・。

 

オリバー「ハハハ、いや~まいったまいった。一瞬の隙を突かれちゃったよ」

 

烈「次だ次、切り替えて行けってリユウだ」

 

そしてオリバーは順番が一巡して出て来た幸斗と向き合う。

 

一輝「【ブチ殺すぞ人間(ヒューマン)!】」

 

ステラ「イッキッ!?」

 

幸斗「よっと!」

 

そしてオリバーは全く動く事ができずに幸斗に札を取られてしまった。これで彼は三連敗だ、マイペースな烈も流石に額を右掌で押さえて溜息を吐く。

 

烈「・・・・しっかりしてくれ」

 

オリバー「ハハ・・・いや、まいったまいった!みんな凄いね、反射神経が良く鍛えられているよ」

 

烈「わかったってリユウだから!頼むぞオリバー・・・」

 

オリバー「ハハ・・・できるだけベストを尽くすよ・・・」

 

そう言って危機感無さそうにオリバーは再び出雲那と対峙する。そのやり取りを見た重勝はおかしいと訝し気に眉を顰めた。

 

重勝「・・・なあカナタ?(ひそひそ)」

 

カナタ「ん?」

 

重勝「オリバーっつったか?アイツ貪臭い感じが目立っているけれど、烈やシグナムと比べるとなんだかキャラが弱く感じないか?」

 

確かに三人揃って【ネタキャラチーム】だなんて失礼な名が付けられているのに、普通に常識人っぽいオリバーがその一人に数えられているのは妙だとは思う。しかし———

 

カナタ「・・・まっ、そう思うのが普通だよな。でもな重勝、あの先輩は——」

 

????「あっ、いたいた、小隊長!」

 

オリバーが位置に着こうとした時に突然部屋の奥の襖が開き、濃い茶色の長い髪を白いリボンでツインテールにしたミストガンの空戦魔導士科予科生の少女———C140小隊の《ミレーユ・グレイス》が腕に巨大な長方形の刀身を持つ魔大剣を抱えて入室して来た。

 

クロエ「ミレーユ!?あなたも来ていたの?」

 

ミレーユ「クロエ達も此処に居たんだ・・・小隊長が自分の魔装錬金武装を置いたままどこかへと消えて、それで探していたらいつの間にか此処に居たの・・・小隊長、どこかに行くなら一声かけてからにしてください」

 

オリバー「ごめん、心配かけちゃったね」

 

ミレーユ「まったくですよ。小隊長がしっかりしてくれないとあの馬鹿に示しがつかないんですからね・・・はいこれ、忘れ物ですよ」

 

そう言ってミレーユは腕に抱えているオリバーの魔装錬金武装———魔大剣《ワイルドカード》の柄を差し出し、オリバーはそれを手に取ろうとする。

 

E128小隊一同「「「「「あ・・・」」」」」

 

オリバーが差し出された魔大剣の柄を握った瞬間、ルーク達が間の抜けた声を洩らす、すると———

 

幸斗「っ!!?」

 

出雲那「な、何だよコレ!?急に空気が重k———なあっ!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリバー(?)「テメェ等・・・よくも散々好き勝手やってくれたなぁ、オイッ!!」

 

魔大剣を手にしたオリバーは雰囲気が別人の様にガラッと変わっていた・・・・・後編に続く!

 

 

 

 

 




はい!どうでしたでしょうか?

このような感じで彼等は自分の思い付きで色々な事に挑戦していきます♪

ギャグあり、グダグダあり、シリアスなんて各本編にポイ!

そんなハチャメチャな感じで行きたいと思います!

各本編優先の息抜き作品なので、超不定期更新ですが、たぶん本編のどれかを一回更新したらまた書きたくなる確率が高いと思いますので、次話の更新は結構早いかもしれませんね・・・。

それでは、カルタ団体戦の後編でまたお会いしましょう♪



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カルタ団体戦!初陣の蒼空主人公ズ!!(後編)

後編です。

ミレーユから自分の愛剣を受け取り、鬼神モードとなったオリバーの逆襲が今始まる!

果たして勝利はどちらのチームに齎されるのか!?




前回のあらすじ———カルタ団体戦で如月烈、八神シグナム、オリバー・ヒューイック等【ネタキャラチーム(仮)】と勝負をする事となったルーク達。

 

ネタキャラチームに相対するはルーク、幸斗、出雲那の我らが【蒼空主人公ズ】!初っ端から幸斗が一番手で出て来たシグナムを瞬殺(笑)し、二番手のオリバーからも札を連取してネタキャラチームを圧倒、このまま蒼空主人公ズの圧勝かと思われたその時、突然来訪したオリバーの部下ミレーユがオリバーに魔大剣ワイルドカードを手渡した事で———

 

オリバー(?)「さあ、とっとと続きをおっぱじめるぞ!逆襲の時間だ・・・さっさと札を読み上げやがれ!!このモヤシ野郎っ!!!」

 

一輝「〔モ、モヤシ野郎って僕の事?〕は、はい・・・それじゃあ両者位置に着いてください」

 

鬼神が降臨してしまった・・・出雲那の目の前には魔大剣ワイルドカードを左手に床に巨大な刀身を突き刺し、片膝を着いて野獣の様なオーラを発する男が威嚇するように出雲那をその猛獣の様な目線で睨みつけている。

 

出雲那〔おっかねぇぇ!!マジ別人じゃん!?金色の闘気を出して髪が逆立つとか超ヤサイ人かっての!!〕

 

身体中から脂汗を流してビビる出雲那、まるで蛇に睨まれた蛙・・・否、ライオンの前に居るチワワである。

 

善吉「マジかよ、魔導星防軍(エトワール)のエース・オブ・エースの集束魔法を前にしても一歩も引かなかったあの出雲那がビビッてやがる・・・」

 

アリサ「い・・・いったい何なのよあの人?いきなり現れたツインテールの女の子が渡した某神喰いに出てきそうな形の大剣を持った瞬間にヤクザの御頭のような強面の男に変身しちゃったわよ?さっきまであんなに優しそうな人だったのに・・・」

 

カナタ「ん?言わなかったか?オリバー先輩は普段は温厚な人格だけど、魔装錬金武装を持つと狂暴な人格になるっていう、二重人格者だって」

 

重勝「一言も言ってねーだろそんな事、テキトーな事言って周りを引っ掻き回すんじゃねーよ」

 

涼花〔どの口が言っているのよ・・・〕

 

鬼神モードと化したオリバーに戦慄して戸惑う外野、審判役の一輝も鬼神オリバーが発する重圧に脚が竦んでしまっているが、競技を続行する為に勇気を振り絞って次の読み札を手に取った。

 

一輝「そ、それじゃあ読み上げます・・・すぅ~っ・・・【響け!終焉の笛、ラグナロク】っ!!」

 

キラリッ!読み上げられた瞬間、鬼神の眼(まなこ)が【魔法少女のコスプレをして黒い翼を背中に付けている子ダヌキっぽい少女】の札を捉える、そして———

 

鬼神オリバー「もらった!くたばれっ!!」

 

振り上げた拳を振り下ろして、子ダヌキをグシャリと潰し、周囲に散らばる札が拳圧で宙を舞った・・・。

 

一同「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」

 

あまりにバイオレンスな鬼神の取り方に絶句する一同、圧倒的な変貌を遂げたオリバーを前にもはや有象無象共は縮こまるしかない。鬼神の手に拾い上げられた潰れた札に描かれている子ダヌキっぽい少女がシクシクと泣いている様にも見えて哀感がハンパない・・・。

 

烈「・・・さてと、これでようやく俺の出番ってリユウか・・・よしっ!一丁気合いを入れt———」

 

鬼神オリバー「なにをグダグダとやってやがる!とっとと位置に着きやがれ、このデコスケ野郎っ!!」

 

烈「痛っつ!?」

 

烈の許へと戻って来たオリバーが罵声と共に烈の尻を理不尽に蹴り飛ばした、あまりの痛みで烈は尻を両手で押さえて前に飛び撥ねてしまう・・・。

 

烈「な・・・何すんだってリユウだ!?いきなr——」

 

鬼神オリバー「うるせぇ、後が突っかえてんだよっ!!チンタラしてんじゃねぇっ!!早く行けっ!!」

 

烈「ぐはっ!?分かった!分かったからケツを蹴るなってリユウだ!!」

 

そうして烈は蹴られまくった尻を押さえながら位置に着いた、後方では鬼神オリバーが【ヘマしたらブッ飛ばす】的な熱視線を烈の背中に向けている。

 

出雲那&烈〔〔恐ぇぇよ(ってリユウだ)あの暴君!?眼とプレッシャーがハンパじゃねぇしよ!!〕〕

 

鬼神の視線に晒されて猛烈にビビる二人、その心境はもはやライオンの周囲を飛ぶ子バエであった。

 

烈〔こ・・・これはもうどんな手を使ってでも札を取るしかねぇってリユウだ!でないと俺の命は無い!!〕

 

一輝「では次の札を・・・・・【うっ!?また疼き出した・・・し、沈まれ!俺の右腕!!】」

 

ステラ「イッキ!?本当に何なのこのカルタ!?」

 

烈〔何所だ?何所にあるってリユウだ!?〕

 

己の命が懸かっているので必死に指定の札を探す烈——

 

出雲那「よしっ!見つけたぜ!!」

 

しかし、その奮闘虚しく出雲那が先に指定の札を発見し、烈の気も知らずに無情にもその札に手を伸ばす。

 

烈「なっ!?しまった!!」

 

出雲那「もらったぁぁああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烈「させるかってリユウだっ!掘り進め、《神楽土竜(かぐらもぐら)》っ!!」

 

出雲那「な・・・何ぃっ!?札が消えた!!?何所に行ったんだ!!」

 

出雲那が伸ばした手が指定された札に触れる寸前、烈は起死回生の策として自身の持つ鉤爪型の霊装【神楽土竜】を顕現し、それで指定の札が落ちている所の中間辺りの空間をその鉤爪で抉った。するとその瞬間に出雲那の手に取られる筈だった札が消えてしまった・・・札は何処に行ったのかというと——

 

烈「此処だ此処!へへっ、残念だったなってリユウだな」

 

烈の手の中に有ったのだった・・・。烈が伐刀者として持つ異能は霊装で抉ったモノを【削り取る】という概念干渉系の能力であり、彼は今の瞬間に自分と指定された札の間の空間を削り取って札を自分の許に瞬間移動させたのだった。これが烈の伐刀絶技の一つ、《空間切削(シュナイディング・ディメンション)》である。

 

幸斗「ちょっと待てよ!おいっ!霊装使うなんて反則じゃねぇのか!?」

 

一輝「え~と・・・ルールブックには反則と載っていないから・・・いいんじゃないかな?」

 

ルーク「そんなテキトーでいいのかよ審判!?」

 

鬼神オリバー「ごちゃごちゃと女の腐った奴の様に言ってんじゃねぇっ!!次の札を読みやがれモヤシ野郎!!」

 

一輝「うわっ!?この人もう位置に着いているよ!?」

 

出雲那「ちょっ!?ちょっと待て!まだ心の準備が———」

 

一輝「れ・・・【Let’s Party!Here We GO!Yeah!!】」

 

善吉「いい滑舌してるな一輝!?」

 

鬼神オリバーが発する獣の様な気当たりがあまりにも恐ろしかった為に一輝は出雲那の心情を無視して滑舌の良い読み上げを披露する・・・そしてツッコミを入れている暇は無い——

 

鬼神オリバー「ハハハハハハッ!!一撃で仕留めてやらぁっ!!!」

 

出雲那「お・・・オイィィッ!?冗談だろォォォオオッ!!!」

 

戦慄の鬼神が・・・その手に持つ魔大剣を天高く振り上げているからだ・・・。

 

鬼神オリバー「くたばれぇぇぇえええええっ!!!」

 

魔大剣戦技————大雪断下ろし(ギガバスタード・ブレイク)

 

出雲那「ぬああああぁぁぁぁっ!!!」

 

明日香「た・・・武内君ーーーーーーーっ!!?」

 

【馬をバイクの様に乗りこなす独眼竜】が描かれた札に向けて振り下ろされた魔大剣が畳を爆砕し、その爆風に巻き添えをくらった出雲那が無数の札もろとも広間の奥の壁に吹っ飛ばされる。謎の木材でできた壁を突風のように数枚突き抜け、明日香の叫びと共に外の池に巨大な水柱が立ったのだった・・・。

 

ルーク「い・・・出雲那!」

 

幸斗「おい、やられちまったのか!?」

 

池の水が舞い上がった事により数秒の激しい豪雨が外の庭に降り注ぐ・・・一同は出雲那が吹っ飛んで突き破って行った壁の穴から外を覗き、恐る恐る崩壊した池の淵を凝視する・・・そこには全身から雷光を迸らせる人影が居た。

 

出雲那「へへ・・・そうかよ、何でも有りのルールでいいんだな?・・・」

 

その人影の正体は聞くまでも無い、青竜学園の《瞬雷(ブリッツ)》武内出雲那であった。出雲那は額から血を流しながらも顔に陰を落としてニヤニヤと不気味な笑みをしながらゆっくりと屋敷の中に戻り、見つかる限り周囲から掻き集めた数枚の札を挟んで再び交代した烈と対峙する。

 

一輝「い、出雲那君・・・その怪我で競技の続行は・・・」

 

出雲那「へへっ、構わねぇよ一輝・・・いいから次の札を読めって」

 

マイ「でも出雲那、これはあくまでも遊びなんだから無理は・・・って何、その左腕に嵌めた大きな鉄パイプ!?」

 

出雲那「気にする必要はねぇよ、いいから続きをやろうぜ!」

 

烈「・・・黒鉄・・・コイツもこう言ってんだ、これ以上は平行線だってリユウだし、コイツを気遣うならば早く終わるようにさっさと競技を進めるべきじゃないかってリユウだな」

 

一輝「・・・わかったよ・・・・・【ジャスト一分だ、悪夢(ゆめ)は見れたかよ?】・・・」

 

烈〔おっ?その札なら俺の目の前にあるってリユウだ!〕

 

自分の手前に指定された札を発見した烈はこの位置ならば霊装を使う必要はないだろうと判断してそのまま札に手を伸ばそうとする・・・これでネタキャラチームが三連続で連取するのかと思われたが———

 

出雲那「すぅ~・・・ハァ~・・・」

 

烈「・・・へっ?」

 

その刹那、出雲那が何故か正座をしたまま鉄パイプを装着した左腕を腰に据え、呼吸を整えていた・・・その鉄パイプには出雲那の異能によりバチバチと電光が迸っており、内部には強力な磁界が形成されている・・・。

 

烈「お・・・おい、それってまさか・・・冗談ってリユウだろ?・・・」

 

烈は出雲那の左腕に装着されている鉄パイプが電光で発光しているのを見て表情を青くする。何故ならば今出雲那がやろうとしているのは、あの《雷切(らいきり)》の二つ名を持つ伐刀者の伝家の宝刀を応用し、新たな技を創り出そうとしているからに他ならないからだ。

 

磁界による強力な斥力と鞘の滑りを利用し異次元の速度で刀身を射出する【雷切】と同じ要領で鉄パイプから左腕を引き抜き、何よりも速く狙った札を引っ手繰る・・・名付けて———

 

出雲那「———《雷取(らいとり)》ぃぃぃいいいいっ!!!」

 

烈「うぎゃぁぁあああああああっ!!!」

 

まさに爆雷の如く!雷速で鉄パイプから引き抜かれた出雲那の左手は烈の手前にあった札を一瞬にして掻っ攫い、同時に発生したソニックブームが出雲那の正面に座していた烈の身体を後方に吹き飛ばしたのであった。

 

鬼神オリバー「フンッ!」

 

烈「ぐぎゃっ!?」

 

善吉「これはヒデェッ!自分に激突しそうになったからって、肘で脳天から叩き落しやがったぞあの暴君!?」

 

涼花「・・・というか、これカルタって言えるの?わたしの眼には【札奪の合戦】としか映ってないんだけど」

 

重勝「姫ッチ、もう気にしねー方がいいぜ、幸斗が出た時点で普通になる訳がなかったんだからよ・・・」

 

ロイド「あー、あの烈って人頭の上に星を回して気絶してしまいましたね・・・」

 

ギドルト「これで相手のチームはオリバー先輩一人なのです。取得している札の枚数はルーク君達が五枚、オリバー先輩達が三枚・・・残りの取札も今の雷取という技の衝撃波に殆どの数が何所かに飛ばされて行ってしまって三枚だけ・・・後一枚でもルーク君達が取ればこの勝負は決する計算になりますのです・・・」

 

ルーク「へっ!なら話は早ぇ、次の札を俺が取ってケリを着けてやるぜ!」

 

鬼神オリバー「ガキが、図に乗るんじゃねぇぞ!逆にオレ様が残り三枚をいただいてテメェ等に引導を渡してやるよぉっ!!」

 

ルークとオリバー、両雄が三枚の札を挟んで睨み合う、今こそ雌雄を決する時!

 

一輝「それじゃあ・・・読み上げるよ」

 

ルーク「ああ、いつでもいいぜ!」

 

鬼神オリバー「とっとと読み上げろモヤシ野郎!」

 

一輝「では・・・【I am the bone of my sword.(身体は剣で出来ている)——」

 

指定の札が読み上げられ始めた瞬間、ひりつく様な緊張感が空気を支配する。

 

一輝「——Steel is my body, and flre is my blood.(血潮は鉄で、心は硝子)Unknown to Death. Nor known to Life.(ただの一度も敗走は無く ただの一度も理解されない)——」

 

嵐の前の静けさのように沈黙が支配しているこの空気の中で、相対する二頭の獅子は目の前に散らばる三枚の札を獲物を狙うかの様に睨みつける。

 

一輝「——Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う)Yet, those hands will never hold anything.(故に、その生涯に意味は無く)———」

 

そして二頭の獅子が狙いを付けたのは・・・【無数の剣が刺さった丘に立つ、赤い外套を身に纏った男】が描かれた札———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一輝「So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS(その体は、きっと剣で出来ていた)】!!」

 

そう読み上げ終えた瞬間、二頭の獅子は同時に手を伸ばした。

 

ルーク&オリバー「「もらった!!うぉぉぉおおおおおっ!!!」」

 

二人の手の向かう先は当然【赤い外套の男】の札!大気を揺るがす咆哮と共に勢いよく繰り出された腕は突風を纏い、札に接触する直前でそれが小規模の上昇気流を発生させて、先程の雷取の衝撃波の影響で空いた天井の穴から札を上空へと吹き飛ばした。

 

一同「「「「「「「何でそうなるんだよォォォオオオオオッ!!?」」」」」」」

 

ルーク「逃がすかよ!空戦魔導士なめんじゃねぇっ!!」

 

ルークとオリバーは飛行魔術を発動させて上空に舞い上がった札の後を追う。

 

鬼神オリバー「ハッ!やっぱり空戦魔導士同士(オレ様達)のケンカは空に限るってこったな!!」

 

ルーク「当然だぜ!俺達のバトルフィールドはこのデッケェ大空なんだからよ!この空でケリを着けてやるよ!オリバー先輩っ!!」

 

鬼神オリバー「おもしれぇっ!掛かって来やがれ、この身の程知らずのクソガキ風情がぁぁあああっ!!」

 

そして二人は飛ばされて行った札を放置してドンパチと空戦をやりはじめたのであった・・・。

 

カナタ「・・・で?これどう収拾を付けるつもりなんだよ?」

 

重勝「さーな、もう引き分けでいいんじゃね?どうせこれ遊びだしな・・・」

 

クロエ「そんないい加減に終わらせていいのかな・・・」

 

アリサ「いいのいいの、こんなグダグダを続けるくらいならサッサと次に移った方が読者の為でしょうし」

 

リィン「メタいぞアリサ・・・」

 

涼花「まったく、これじゃあ先が思いやられるわね」

 

一輝「あはは・・・・・」

 

轟音が轟き、竜巻が大気を吹き飛ばす空の下で一同は盛大に溜息を吐く・・・こんな調子でこの作品、果たしてこれから先やって行けるのであろうか?不安に思いながらカルタ団体戦は幕を閉じるのであった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ハイ!という訳で、メチャクチャに暴れ過ぎた結果、収拾が付かず結局決着が着かずに終了ぉぉおおおって、あいたたたっ!?石を投げないで!ごめんなさいって!!だってアイツ等全然普通にやってくれないんだもん!(プンプン)

心配しないでも他作者様のキャラをゲストに招く回はちゃんとやりますから!アイツ等だってきっとその時はさすがに自重してくれるだろう・・・たぶん。(おいっ!?)

と、とにかくカルタ勝負はこれでおしまいです。次にやる出し物は何になるのか?ゲストは来るのか?次回またお会いしましょう!



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Sky Blue Grandprix【前編】 ※ゲスト有り

今作品・・・そしてこの自分———蒼空の魔導書が二次創作を書きはじめて初のコラボ回!!

今回、レタスの店長さんの作品【落第騎士の英雄譚 ~運命を覆し最強を目指す戦士達~】と火神零次さんの作品【落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~】の主人公とヒロインが参戦します!(レタスさん!火神さん!彼等のゲスト出演を許可してくださってありがとうございました!!)

彼等の参戦で今回行われる競技はどのような展開が繰り広げられるのか!?それではどうぞっ!!


市街の上を走るハイウェイ、蛇のように曲がりくねった峠道(ダウンヒル)、森の中に敷かれたオフロード、そして未来を導くサーキット(リ◯ク召喚では無い)・・・それ等の道が繋がるコースにて六組のカーレーサー達が激しいデッドヒートを繰り広げる!!題して!!

 

『Sky Blue Grandprix』

 

???『遂ぃぃにやって来ましたぁっ!カーニバル・クロノファンタズマ初のゲストを招いて行われる至上の音速バトルは此処、蒼空特設コースからお送りしますっ!解説はこの方っ!!』

 

霞『戦島都市スクエア、青竜学園生徒会庶務の《千種霞(ちぐさ かすみ)》でーす』

 

???『うわー、棒読みでやる気無しだよこの人・・・そしてそしてっ!実況はこの私、破軍学園新聞部の《日下部加々美(くさかべ かがみ)》がお送りします!(キラッ☆)』

 

霞『あれ?君って蒼空の作品に出てたっけ?』

 

加々美『壁新聞!【運命を覆す伐刀者】のあとがきで真田君達の記事を載せているの私だから!!・・・くっそー蒼空め!いい加減私を本編に出しなさいよ!!』

 

だってお前出したら話が長引くんだもん・・・。(by蒼空)

 

加々美『さーて、それではスタートを控えた選手の様子を見てみましょう』

 

具現化された大勢のスタッフ達が慌ただしく整備をするスタートゲートの近くでは六人の男女が談笑をしており、その内の四人は蒼空作品では見ない顔だ・・・そう、この四人こそ、他作者様の作品から招かれた、今回この作品初のゲストであった。

 

???「ダニィィィッ!!幸斗は出ないってどういう事だよ!?」

 

《落第騎士の英雄譚 ~運命を覆し最強を目指す戦士達~》の主人公《天崎翔(あまさき しょう)》が驚愕と共に目の前に立って苦笑する重勝と相変わらず不機嫌そうな顔をしている涼花に問い詰めている。

 

重勝「はは、すまんなショウ、幸斗は今回別件で居ねーんだ。だからこのレースには俺と姫ッチが出る事になっている」

 

涼花「幸斗と勝負をしたかったみたいだけど、わたし達が相手をしてあげるからそれで我慢しなさい。・・・・まっ、どっちにしても幸斗に車の運転なんて無理だから、あのお馬鹿が出ない事には変わりないわよ」

 

二人が幸斗不在の理由を話すとショウのヒロインである《エリシア・ヴェルモンド》が二人に尋ねる。

 

エリシア「別件って、真田さんはいったい今何をしているのでしょうか?」

 

重勝「ん?言ってなかったか?アイツは今、ルークと出雲那を連れてスペースシャトルで月に居るぜ。なんでも【悪の秘密結社の月面基地をブッ壊す】ってアトラクションをやっているらしいな」

 

ショウ「オイィィッ!!そっちの方が面白そうじゃねぇかよ!?俺もそれやりたかったぜ!なあ?」

 

ショウは隣に居る《落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~》の主人公《宮坂爛(みやさか らん)》とそのヒロイン《葛城六花(かつらぎ りっか)》に同意を求める。

 

爛「まあ、確かにそっちも面白そうだが、俺達が招待されたのはこのレースだ。せっかくだしレースを楽しまないか?」

 

六花「爛の言う通りだよ~。爛と二人きりで車に乗ってドライブ・・・く~っ!今日は僕が爛を独り占めで、邪魔する女共(リリー達)はいない!もう最高っ!!」

 

エリシア「あはは・・・〔そういえば私も今日はショウさんと二人きりだ・・・ふぇぇ!急に恥ずかしくなってきたよ!?どうしよう!〕」

 

ショウ「はぁ~、まあ仕方ねぇか・・・ところでよ、俺達がレースで乗るマシンは何処にあるんだ?」

 

六人がきょろきょろと周囲を見回すと、スタートゲート前のグリッド前でレースクイーンの格好をしているステラと明日香とマイの三人がパラソルを持って立っていた。三人の中央に陣取っているステラの腕には上から無数の棒が顔を出している大きめの箱が抱えられている。

 

加々美『各選手が使用するマシンは厳選なくじ引きで決定されまぁぁすっ!』

 

爛「なんかどこかで見たな、この展開・・・」

 

加々美『さあ、それでは今回レースに参加する選手達を紹介しましょう!!まずは【空戦魔導士候補生の情熱】枠の【カナタ・エイジ】&【クロエ・セヴェニー】の原作幼馴染ペア!二人が引いたのは!?』

 

『軽量高級車』

 

カナタ「おっ?【ポルシェ】じゃん!良さそうなの引いたな!まっ、人が浮遊都市に住む俺達の世界では車なんて無縁だから名前しか知らねーから、これが速いのかは知らねーけどな!」

 

クロエ「・・・確かに外観はポルシェなんだけど・・・運転席の足下に取り付けてあるのって・・・自転車のペダルじゃん!!?」

 

カナタ「これ人力車かよ・・・どうやらハズレを引いちまったみたいだぜ」

 

加々美『続いて【運命を覆す伐刀者】枠の【佐野涼花】&【風間重勝】ペアが乗るマシンは!』

 

『クールに去るぜ・・・』

 

重勝「ワゴン車だな・・・」

 

涼花「ワゴン車ね・・・運転はわたしがやるわ。アンタは屋根の上に乗って周囲を警戒して、場合によっては迎撃をお願い」

 

加々美『次は【特別】枠で【八神シグナム】!使用するマシンは!?』

 

『直線騎士』・・・所謂【ドラッグマシン】であった。

 

シグナム「いいマシンだな、フッ!この【レヴァンティカー】なら———」

 

加々美『さあドンドン行きましょう!次は待ちに待った特別ゲスト!【落第騎士の英雄譚~世界最強の剣士の弟子~】から【宮坂爛】&【葛城六花】ペア!そのマシンは!?』

 

『外車』

 

爛「六花、運転の邪魔だから膝の上からどいてくれ・・・」

 

六花「爛とドライブ爛とドライブ爛とドライブ爛とドライブ爛とドライブ爛と——」

 

爛「駄目だこれは、嬉しさのあまり自分の世界に入ってしまっているな・・・」

 

加々美『更に続いてもう一組の特別ゲスト!【落第騎士の英雄譚 ~運命を覆し最強を目指す戦士達~】から【天崎翔】&【エリシア・ヴェルモンド】ペアが乗るマシンはァァアアッ!!?』

 

『痛車』

 

ショウ「って涼宮ハ◯ヒとか古いな!?しかもこれ車自体はただの一般軽自動車じゃねぇかよっ!爛達は豪華なオープンカーだっていうのに!!」

 

エリシア「まあまあショウさん、一応これレース用に改造されているみたいですし、宮坂さん達の車と大きな性能差は無いとは思いますよ・・・私、車の事には疎いのでたぶんですが・・・」

 

加々美『さ~て!最後のトリは【幻想戦記クロス・スクエア】枠の《ユーリ・ローウェル》&《フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン》ペア!異なる原作キャラ同士のカップルである二人が引いたのはっ!!』

 

『スーパーカー』

 

ユーリ「おおっ!?なんか凄そうなのを引き当てたな」

 

フェイト「ユーリ、運転なら私に任せて!どんな車でも最速で駆け抜けてみせるよ!!」

 

ユーリ「うっし!任せた!さーて、それじゃあオレ達の相棒の顔を拝見させてもらおうとするかっ!」

 

二人に用意された車は鉄格子に囲まれた長方形の篭が前面にある・・・手押し車であった。その名も——

 

ユーリ「おい・・・これって・・・【スーパーの買い物カート】か?・・・」

 

フェイト「・・・ユーリ、運転任せたよ、私は篭に乗るから」

 

ユーリ「っていきなり前言撤回かよ、おいっ!?」

 

ユーリの文句も聞かずにフェイトはカートの篭の中に乗り込んで三角座りで座った。

 

フェイト「だって飛行系のスキルは使用しちゃ駄目って言うし・・・走るんなら星脈世代(ジェネステラ)のユーリの方が速いでしょ?だからこれは適材適所な役割分担だと思うんだけど」

 

ユーリ「それはそうだけどよ、フェイト・・・・・・パンツ見えているぞ・・・」

 

フェイト「・・・・・えっち」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斯くしてレーサー達は集い、いよいよレース開始の時を迎える。

 

加々美『さぁぁあ、各車グリッドに出揃いました!初のゲストを迎えて行われる今回のレース、大混戦が予想されますが、如何でしょうか千種さん?』

 

霞『そうですねぇ、お招きしたゲスト先の作者様方の印象を悪くしないよう、ウチ(蒼空キャラ)の連中には手加減しろとは言わないが、なるべくはっちゃけない様自重してレースに臨んでほしいものですね。特にあちこち壊さないようにしろよ、この世界のモノは蒼空の本体(作者)の妄想が具現化したモノの筈なのに、何故か事後処理をやらせられるからな・・・はぁ・・・』

 

加々美『そ、そうですか・・・さあ!いよいよ世紀の大レース【Sky Blue Grandprix】が間もなくスタートされます!最初にチェッカーを受けるのはどのチームか!?・・・今シグナルが赤からぁぁああ————碧に変わるっ!各車一斉にスタートッ!!』

 

レース開始を告げる碧色のシグナルが点灯し、スタートゲート横に立つ一輝がフラッグを振るうと同時にレーサー達のマシンは爆音を鳴らして一斉にコースへと飛び出して行った・・・と思われたのだが、一台だけスタートゲートに残っていた。

 

ショウ「ダニィィィッ!!?発進した瞬間にエンジンが止まっただとぉぉおおおおっ!!」

 

エリシア「ひょっとしてこの車にどこか欠陥があるのでしょうか?あるいは誰かが細工したとか・・・」

 

ショウ「何だと!?うぉのれ黒鉄家と連盟のクソゴミ共がぁぁああーーーーーーーっ!!!」

 

エリシア「いやショウさん、これは黒鉄家や連盟とは全く関係無いと思いますよ・・・」

 

加々美『おおっと!?どうした事でしょうかっ!?特別ゲストのショウ&エリシアペア、スタートと同時にマシンが停止してしまいましたぁぁああっ!!』

 

霞『あ~、これは【エンスト】だ。どうやらアイツ等の車は【マニュアル式】だったみたいだな・・・アイツ等もしかして免許持ってないのか?』

 

マニュアル式の車の発進はクラッチペダルを踏まないとエンジンが止まってしまう・・・霞の言う通りショウは免許を持っていない為にその事を知らず、アクセルのみを踏み込んでクラッチ操作をしなかったので、エンストしたのだった。

 

加々美『初っ端からのハプニングにレースはいきなり大波乱!コースに出た各選手のマシンを物凄いスピードで抜き去り、トップに躍り出たのは———』

 

シグナム「ベルカの騎士に負けは無い!ブッちぎってくれるっ!!」

 

加々美『シグナム選手だぁぁああーーーっ!!弾丸の様なスピードで後続を一気に引き離して行く!疾いっ!!』

 

シグナム「最高だ!私のレヴァンティカー!この爆発するかの如き速度!!たまらんっ!!!」

 

自分の運転するドラッグマシンのスピードに陶酔するシグナムであったが、彼女はこのマシンの致命的な欠陥を知らないでいた・・・。

 

爛「・・・なあ六花、知っているか?」

 

六花「ん?」

 

爛「ドラッグマシンはな・・・『チュッドォォオオーーーーッン!!!』・・・曲がれないんだ・・・」

 

爛が六花に説明し終わるより先に彼等の前方から耳を劈く爆発音が響いた。シグナムのマシンが超音速のスピードのままファーストコーナーに突っ込んでコースを外れ、壁に追突して盛大にクラッシュしたのだ・・・。

 

フェイト「シグナムが死んだ!?」

 

加々美『この人でなしィィーーーーーーッ!!』

 

霞『はっちゃけるなと言った傍からコレだよ。ああ、事後処理が・・・』

 

加々美『レース開始早々一台脱落!!各マシンは炎上するファーストコーナーを曲がってハイウェイコースに突入しました!トップを走るのは爛&六花ペア!その後すぐを涼花&重勝ペアがピッタリと付いて来ている!!』

 

霞『他はずっと後ろを走っているな・・・まあ、人力車と買い物カートじゃ当然か・・・』

 

重勝「へっ!どうやら今のところ俺達とお前達の一騎打ちみてーだな、宮坂!」

 

爛「あぁ、どうやらその様だな。順位がどうであれ楽しませてもらうぞ、重勝!」

 

重勝「上等だ!姫ッチ!宮坂達に揺さぶりをかけて前に出ろ!!」

 

涼花「わかっているわよ、振り落とされないようにしっかりと足を踏みしめておきなさいよっ!!」

 

爛「させるかっ!!」

 

涼花達のワゴン車が左右を小刻み大刻みに揺さぶりをかけて爛達の隙を突き彼等が乗る外車を抜き去ろうとする、横幅が広いハイウェイコースだからこそ効果のある走法だが、爛は上手く涼花の揺さぶりに対応してハンドルを切り、涼花達のワゴン車をブロックし続けて前に出させない。

 

涼花「くっ!なかなかやるわね爛!全く隙の無いドライビングだわ」

 

爛「そういうお前も中々のテクニックだ!対応するのがやっとだよ涼花」

 

六花「爛~、がんばれ~♪僕の元気も分けてあげるから、これで元気百倍だ!ぎゅ~~~っ♪」

 

爛「って六花!?いきなり抱き付くな!運転し辛い!!」

 

六花「えへへ~、爛~♥」

 

激しい攻防を繰り広げている最中に何を思ったのか爛の膝に座る六花はいきなり体勢を変えて爛にしがみ付き、両脚を爛の身体に絡めて抱き付いた。所謂【だいしゅきホールド】というやつで、そんな事を運転している最中にやられたら当然ドライビングに支障が出る・・・。

 

重勝「今だ姫ッチ!インコースからブッちぎれっ!!」

 

爛「しまったっ!?」

 

フラフラと爛達の外車が減速した隙を重勝達は見逃さない。涼花はハンドルを右に切って一気にアクセルを踏み、先に見えるコーナーでインコースから爛達を追い抜かそうと彼等の横に並んだ・・・その時——

 

フェイト「ハァァアアッ!!」

 

加々美『おおっと!?突如後ろから音速に近い速度で迫って来たユーリ&フェイトペアの買い物カートがイン・アウト・インのコースでトップ争いを繰り広げる二台を一瞬にして抜き去って行ったぁぁあああっ!!!このレースは爛&六花ペアと涼花&重勝ペアの一騎打ちかと思われましたが、ここでまさかの順位変動だぁぁああ!!』

 

爛「ちょっと待て、あれは速すぎだぞ!?」

 

重勝「んなアホな・・・」

 

涼花「フェイトの【真ソニックフォーム】・・・見落としていたわ」

 

スタート時はユーリが押していた筈の買い物カートを今はフェイトが押している。ユーリはフェイトと入れ替わる様に篭の中に立ち、片足を前側の鉄格子の上に乗せて自分の得物である《ニバンボシ》を肩に担いだ暴走族の総長スタイルをとっている。そしてフェイトは戦闘時に着る《防護服(プロテクター)》を纏い、それのマントと上着を脱ぎ捨てたレオタードに近い格好をして、ユーリが乗る買い物カートを押しながら超高速で走っていた。

 

※幻想戦記クロス・スクエアの魔導士(ウィザード)は例外を除いて基本的に【空戦魔導士候補生の教官】の設定に準じているのでフェイトのバトル衣装は外見こそ原作と変わらないが、【バリアジャケット】ではなく【防護服(プロテクター)】です。

 

フェイト「真ソニックフォームになった私は遊撃士協会(ブレイサーギルド)スクエア東エリア支部最速!例え飛べなくても全てを置き去りにしてみせるっ!!」

 

ユーリ「へっ、最初からこうすればよかったな!このままゴールまでかっ飛ばせ!フェイトッ!!」

 

フェイト「うん、行こう!揺るがなき境地のその先、ク◯ア・マ◯ンドへっ!!」

 

ユーリ「っておいっ!?光速超える気かよお前!?」

 

フェイト「集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く!光差す道となれ!!」

 

ユーリ「人の話全然聞いてねぇ・・・」

 

フェイト「アクセルシンk————」

 

フェイトがク◯ア・マ◯ンドの境地を掴みかけた瞬間、明後日の方向から突如飛来した紅い魔力砲撃がユーリ達の買い物カートに直撃し、フェイトが叫びかけた危ないセリフは爆音によって掻き消された。

 

爆風に吹き飛ばされてボロボロのユーリとフェイトは大破した買い物カートと共にハイウェイの外に吹っ飛ばされて下の街へと落下する。

 

ユーリ「おいおい、勘弁してくれ・・・幾らオレが星脈世代と言っても、この高さから落ちたら流石にキツイぜ・・・どうしてこうなったんだ・・・」

 

フェイト「うん・・・でも私は大丈夫だよ。ユーリと一緒ならどこまででも行けるから」

 

ユーリ「・・・ったく、まいったなこりゃあ・・・」

 

天然掛かったように微笑むフェイトとしょうがなさそうに後頭部を掻いて呟くユーリはそのまま奈落の街へと落下して行った。

 

加々美『ユーリ&フェイトペア、コースアウトォォオオオッ!!これで二台脱落だぁぁああああっ!!!』

 

霞『まさにリア充大爆発だな、ざまあみろ』

 

涼花「私情たっぷりな皮肉ね。でもあの二人結構幸せそうな顔をして落ちて行った気がするわ」

 

重勝「まっ、星脈世代も魔導士も一般人より頑丈と聞いたし、あの高さなら相当打ち所が悪くなきゃあ落ちても大丈夫なんじゃねーの?」

 

二人は他人事の様に言ってはいるが、人の心配をしている暇は無い、こうしている間にも重勝達と爛達目掛けて無数の紅と黒の魔力砲撃がどんどんと明後日の空から降り注いで来ているのだから。

 

六花「む~、五月蠅いなぁ、僕の至福の時を邪魔して、一体何なのこの砲撃音は?」

 

爛「半径5km圏内を探ってはみたが、砲撃主らしき人間はどこにも見当たらない。となるとそれよりも遠くからの超遠距離砲撃という事になる・・・何所だ、何所から砲撃している!?」

 

涼花「・・・・・あそこよ!」

 

爛が索敵範囲を広げて砲撃主を探り当てる前に眼が異常に良い涼花が砲撃主を見つけた。彼女が指さす方角にあるのは此処より約20km東に聳え立つ山の頂上・・・その高台に一台のポルシェが留まっており、その屋根に立つ少年少女・・・カナタとクロエが自分達の得物である魔装錬金武装——魔砲剣《グラディウス》と魔砲杖《ベネトナシュ》を射撃体勢で構えて砲撃魔術をバシュバシュと撃ち放っていた。それぞれの得物には白いレンズが取り付けられたスナイパースコープとまるでサイの角先のような異様な形をしたロングバレルがオプションパーツとして取り付けられていて、約20km先のコース上を走る重勝達に正確に狙いを付けて射砲撃を行っている。

 

クロエ「ミストガン(ウチ)の万融錬金科(アルケミスト)が開発したこの最新式の狙撃パーツ、凄い性能だね!狙撃が苦手なわたしでもこんな遠い距離から狙えるなんて」

 

カナタ「ああ!もしもの時を考えて用意していた甲斐が有ったってもんだぜ!マシンの性能で劣るんなら、全員潰しちまえばいい!!ガンガンかますぞクロエッ!!」

 

クロエ「うん!!」

 

カナタ「これでもくらいやがれっ!!」

 

クロエ「はぁぁあああっ!!」

 

魔砲剣戦技———収束魔砲(ストライクブラスター)

 

魔砲杖戦技———拡散多弾頭射撃(マルチプルバースト)

 

20km先の重勝達目掛けて暴力の塊のような漆黒の魔力砲撃と十六発に分裂する紅色の魔力弾が弾道飛距離を拡張するロングバレルの砲口から放たれて行く。風を吹き飛ばし、空気を貫いて空から魔力の塊が一直線に重勝達に襲い来る。

 

六花「ちょっと!?なんか大きいのが来たよ爛!」

 

爛「六花!ハンドルは任せた!!俺はアレを迎撃する!!」

 

重勝「へっ!俺もやるぜ!カナタの収束魔砲とは一度勝負してみたかったしな!」

 

涼花「頼んだわよ重勝、あれがコースに直撃したら大惨事は確実だから、必ずなんとかしなさい!」

 

重勝「おうっ!・・・未来(さき)を指し示せ!《重黒の砲剣(グラディウス)》!!」

 

爛「行くぞ、刻雨(こくさめ)!」

 

重勝がワゴンの屋根上でカナタのグラディウスと全く同じ形をした霊装を、爛が外車の後部座席に立って鋼の刀型の霊装をそれぞれ顕現し、空から飛来する災厄を迎撃する為に伐刀絶技を放つ。降りかかる火の粉は払うのみ!

 

重勝「収束重力砲(ストライクブラスター)ァァァアアアアアアッ!!!」

 

爛「壱の剣・八意表裏斬撃(やごころひょういざんげき)!」

 

漆黒の重力エネルギーの塊が漆黒の魔力の塊とぶつかり合い、十六の斬撃が十六の魔力弾を一発も残さず斬り墜とす、蒼穹の空は一瞬にして轟音と爆炎に彩られた。

 

加々美『風間重勝選手と宮坂爛選手!カナタ&クロエペアの超遠距離大火力攻撃を撃ち落としたぁぁああ!!二人は出身世界は違うとはいえ、さすが破軍学園最強格の学生騎士、お見事ですっ!しかぁぁしっ、カナタ&クロエペアは怯みもせずに次々と超遠距離砲撃を撃ち続けて来ています!このままだとコースが砲撃によって崩壊するのも時間の問題でしょう!各レーサー達はこのピンチにどう対処をするのでしょうかぁぁぁああああっ!!?』

 

霞『はっちゃけるなって・・・言ったのに・・・もうヤダこいつ等・・・』

 

重勝「チッ!カナタの奴、面倒な事しやがる。眼には自信はあるが、俺は姫ッチ程イカレた視力じゃねーから、あんな距離狙い撃てねーぞ」

 

爛〔突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)を投げるって手もあるが、投げると外れる予感がするな・・・陰陽師のチカラを解放して朱雀を召喚してもいいが、あの距離だと少し時間が掛かる。どうするか・・・〕

 

砲撃が降り注ぐ中コースを走りながらどう対処するか悩む重勝と爛。走る道は蛇のように曲がりくねって下がる峠道(ダウンヒル)コースへと変わった・・・その時——

 

爛「・・・・・来たか」

 

後方からブォォオオンというエンジンの駆動音が小さく聴こえてきた。その音は段々と近づいて来るかの様に大きくなっていき、それと共に後方から涼宮ハ◯ヒが現れ、追い縋って来た・・・・・否、【龍】がとうとう追い付いて来たのだ!!

 

重勝「・・・へっ!遅かったじゃねーか、もうリタイアしちまったのかと思っちまったけど・・・そうだよな、お前が簡単に終わるわけねーか!」

 

涼宮ハ◯ヒが描かれた痛車を不敵な笑みで乗りこなし、オレンジ色の髪と黒いマフラーを棚引かせて【龍】は来た!!

 

ショウ「オッス!待たせたなオメーら!!天崎翔、ただいま参上だっ!!!」

 

【龍】は不敵に笑う!助手席に座る純白の姫にマニュアル車の教本を見せてもらいながら・・・ここからが、レースの本番だっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前編終了!!はい、今回の競技、おもっクソ某型月の共(狂)演のあのハチャメチャなカーレースが元となった内容ですっ!!(爆)

今回は二組が脱落し、最後にスタートで出遅れたショウが猛追!次回はどんな展開になるのか!?中編になるのか?後編になるのか?お楽しみにっ!!



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Sky Blue Grandprix【中編】 ※ゲスト有り

ショウのターン!!




加々美『これは予想外!カナタ&クロエペアの無差別超遠距離砲撃でコースに爆風が吹き荒れる中、スタート時のエンストによって大きく出遅れてしまっていたショウ&エリシアペアがここにきて追い付いたぁぁああっ!!そしてレースは難関の峠道(ダウンヒル)コースに突入!道幅が大きく狭まり、蛇の様に連続で折り返すヘアピンコーナーの下り道を下って行く!!曲がり損ねれば崖の下に真っ逆さま!速度の調節と運転手(ドライバー)のハンドル捌きが攻略の鍵を握る!!峠を攻める某走り屋の如く芸術的ドリフトでライバルに差をつけろっ!!!』

 

エリシア「ショウさん、さっきも言いましたけどマニュアル式は曲がる時に十分に減速してクラッチ操作をしながらギアを2速に下げて、ブレーキを軽く利かせながら曲がるんですよ!」

 

ショウ「おう!減速しながらクラッチ操作をして曲がればいいんだな!?」

 

エリシア「ショウさん!?ギアを下げる事を忘れていますよ!!」

 

ショウ「おっとっ!?あっぶねぇぇっ!!」

 

峠道コースの最初のヘアピンコーナーで運転操作を間違いそうになったショウは慌ててギアを2速に変え、もたつきながらもなんとかコーナーを曲がりきる。慣れない上に操作の難しいマニュアル式痛車の運転にショウは額から冷や汗を流していた。

 

重勝「危なっかしいなアイツ等、あんなんで良く追い付けたもんだぜ・・・」

 

爛「恐らくさっきのハイウェイコースでの抜き合いやあいつ等(カナタとクロエ)の超遠距離砲撃に対処してもたもたしている間に追い付いて来たんだろう、ハイウェイコースは道幅が広くて複雑な連続コーナーも無かったからな、初心者でも他に走行している車両が無いのなら問題無く走破できるだろうし」

 

エリシアにマニュアル車の教本を読んでもらいながらガチガチにフラついた運転をするショウ、その一方で涼花と爛は曲がる度に下降する連続ヘアピンコーナーを見事なドリフトで攻め、運転操作に悪戦苦闘するショウ達をグングンと引き離して行く。せっかく追い付いたというのにこのままでは再びショウ達が爛達に置いて行かれるのも時間の問題である。

 

ショウ「くっそ~、アイツ等速ぇーな!いっその事俺がこの涼宮ハ◯ヒを担いで走った方が速いんじゃねぇか?」

 

エリシア「ショウさん、焦るとまた操作ミスをしてエンストしてしまいますよ、リラックスしt———ショウさん!?前!前っ!!」

 

ショウ「ゑ?・・・どっわぁぁああっ!!?」

 

紅い砲撃がショウ達が走行する車線上に着弾し、ショウは突然訪れた災害に慌ててハンドルを切って爆風をやり過ごす・・・しかし急に大きく曲がって速度を停止寸前まで大幅に落とした為か爆風を避けた後にマシンのエンジンがドコン!と止まってしまった・・・。

 

ショウ「あ・・・」

 

エリシア「クラッチ操作を誤ったからまたエンストしてしまいましたね・・・」

 

ショウ「クソッタレがぁぁあああっ!!誰だ砲撃撃って来ている奴等は!?」

 

エリシア「わかりません。東の空から飛んで来ているのでたぶん15km以上先にある山々の頂上からの超遠距離砲狙撃じゃないでしょうか?・・・宮坂さん達と風間さん達が先を走っていて、八神って女の人と遊撃士の御二人がリタイヤした事を考えると・・・」

 

ショウ「あの昔のシゲに似たガキとその女らしきガキかっ!!ふざけやがって!!」

 

エリシア「ちょっ、ショウさん!?」

 

消去方で砲撃の実行犯を割り出したショウは怒りの形相(憎しみでは無く、揶揄われてカチンと来た感じ)でマシンの扉を開けて外に出た。今も尚砲撃が飛来して来る東の空を睨みつけて彼はその方角の【気】を探る。

 

ショウ「・・・・・・あの山かっ!!」

 

そして20km東の山の頂上で砲撃を撃ちまくっているカナタとクロエの【気】を感知した。どんなに相手が遠い場所に居て眼に見えずとも【気】を見つけさえすればショウにとってもはや距離など取るに足らないものだ。

 

ショウ「ガキ共が・・・目に物を見せてやる・・・」

 

そう言ってショウは脚を開いて腰を落とし、右の腰辺りで両掌を違えるように構えて精神を集中させた・・・全身の【気】をその両手に集束し、強大なエネルギーの塊が両掌が囲う空間に形成されていく・・・そう、これはかの《武天老師》と謳われた偉大なる武術の達人が50年の歳月を費やして編み出したとされる必殺奥義———

 

ショウ「か~、め~、は~、め~———」

 

達人クラス以上が全力をもって放てば月すらも消滅させる事ができると言われている【気】の奔流を撃ち出す。名を《かめはめ波》。

 

ショウ「———波ァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

ショウは両手首を重ね合わせて両掌が前方に向けて開くような形で両腕を東の空に突き出し、掌からその強大な【気】の塊を波動として撃ち出した。幸斗の剣圧閃光にも匹敵するその巨大なエネルギーの奔流は大気を押しのけ、約20km東に在る山に向かって一直線に突き進んで行く。

 

カナタ「おいおい、冗談だろ・・・補助無しでこの距離を、しかもあんな馬鹿デカいエネルギーを撃って来るなんてよ」

 

クロエ「ヤバイよカナタ!あの弾道だと確実にこの山に直撃しちゃう!!」

 

カナタ「しかも狙いも正確ときた・・・・仕方ねーな、相殺できるかどうかわかんねーけど、やれるだけやってみるか!」

 

カナタは魔砲剣を射撃体勢で構え、自分達が居る山に向かって来ているショウのかめはめ波にその標準を合わせる。漆黒の砲剣の柄に当たる部分に取り付けられているシリンダー型の魔力縮退炉を五回転させて縮退魔力を練成し、切っ先に膨大な黒い魔力球を形成する。

 

カナタ「今の時点の俺ができる全力全開(フルバースト)だ!行くぜっ!!」

 

魔砲剣戦技————収束魔砲(ストライクブラスター)

 

強大な威力を誇るかめはめ波を撃ち落とすべく、黒く巨大な暴力の塊が撃ち出された。

 

大空を翔け、二つの異なるエネルギーは山々の麓に広がっている森林の真上で衝突する。結果は一目瞭然、ミストガンのエース《黒の剣聖(クロノス)》である原作の時系列のカナタ・エイジならいざ知らず、学園浮遊都市に来て間もない未熟者である空戦情熱のカナタの収束魔砲では、あの《無慈悲の破壊戦士》が放つかめはめ波に対抗できる筈も無く、黒い魔力の塊は強大な気の奔流にアッサリと飲み込まれたのだった。

 

カナタ「ちぇっ、やっぱ駄目だったか~。こりゃあ潮時だな・・・逃げるぞクロエ」

 

クロエ「えっ!?でも飛行魔術は——」

 

カナタ「悔しいけど、ここでリタイアだ。サッサと逃げねーとあの波動に飲み込まれて細胞一つ残らず消滅させられちまうぞ~」

 

万策尽きたカナタとクロエはレースを放棄。飛行魔術を発動して二人は大空へと離脱し、その数秒後にショウのかめはめ波が山へと飛来して直撃、天を揺るがす大爆発と共に山は跡形も無くこの世から消え去り、平坦に焼け焦げた更地のみが残った。

 

加々美『ショウ選手のかめはめ波が炸裂ぅぅうううっ!!途方もない距離も何のその、カナタ&クロエペアが砲撃の狙撃地点として利用していた山を正確無比に狙い撃ち、跡形も無く吹っ飛ばしてしまいましたぁぁあああっ!!カナタ&クロエペアは飛行魔術を使い無事に空へと脱出!しかしレースのルール上、飛行系のスキルは使用禁止となっているので、カナタ&クロエペアは反則行為により失格となります!!』

 

霞『どっちにしても山と一緒にマシンも消えちゃったし、レース続行は無理でしょ・・・。ゲストの連中もやらかしてくれるな、マジで・・・』

 

加々美『さあ、これにより出場チームの半数が脱落!!残る三チームでレースの優勝を争う形となりましたっ!!果たして一位でゴールするのはどのチームなのでしょうかっ!!?』

 

ショウ「へっ!どんなもんだっ!!」

 

エリシア「ショウさん!ガッツポーズをしている場合じゃないですよ!もう風間さん達が見えないところまで行ってしまいました!!」

 

ショウ「ダァァァニィィィィィィッ!!?どうするんだよ、せっかく追い付いたのによ!!」

 

エリシア「・・・・・」

 

エリシアは折り返しのカーブを曲がる度に下へと下がるヘアピンコーナーが続く峠道コースの麓を見て考える、車の素人でもこの坂道を最速で駆け抜けることができる方法を・・・そして彼女はそれを思い付く——

 

エリシア「・・・ショウさん・・・確かこのレースは【飛行系】【転移系】【時間操作系】のスキルの使用は禁止されているけれど、それ以外のスキルなら使用しても構わないんですよね?」

 

ショウ「ゑ?・・・まあ、そうだな。他の奴等バンバンスキル使ってやがるしな・・・」

 

エリシア「・・・ショウさん、私にいい考えがあります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナタ「おいおい、あのオレンジ頭無茶苦茶だな・・・あんなの人に向けて撃っていい技じゃねーよ・・・」

 

ショウのかめはめ波が直撃して跡形も無く消滅した山の跡地を後ろに眺めて空を往くカナタは顔を引き攣らせて呆れていた。一撃で山を消し飛ばすような威力の技を人がそこに居ると判っていて躊躇なく放ったショウの事をイカレた奴だと思ったからだ。彼の隣を追従飛行するクロエもまた額から冷や汗を流して声を詰まらせるように苦笑いをしている。

 

クロエ「あはは・・・凄まじい破壊力だったしね・・・。私達の世界でもプロの空戦魔導士ならあれくらいの威力が出る戦技を使える人は沢山いるらしいけれど、流石に人を威嚇する目的で使用したりはしないかな?」

 

コイツ等はこの作品の第一話で未来の姿になって蒼空に核兵器級の戦技をブチかました事を忘れているのだろうか・・・。

 

カナタ「俺達が世界を知らないだけかもしれねーぜ?・・・クロエなら将来やりそうな気がするけどな(ボソ)」

 

クロエ「カナタ、何か言った?」

 

カナタ「なんでもねーよ、独り言だ」

 

クロエ「〔なんか怪しいな・・・〕ふーん・・・はぁ・・・ちょっと悔しいな、つくづく自分達の未熟を実感するよ。あ~あ、わたしもカナタみたいに収束魔砲が使えたらなぁ・・・」

 

カナタ「おいおい、こんな事で落ち込んでいたらこの先のランキング戦やっていけねーぞ?今度特訓に付き合ってやるから、元気だせよ」

 

クロエ「・・・うん、分かっているよ」

 

カナタ「よし!それじゃあ———」

 

その時、二人に何か巨大なモノの影が掛かる。何事かと思った二人は咄嗟に上を見上げ・・・固まった。

 

カナタ「な・・・」

 

クロエ「何なの・・・アレ?・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、トップを走る爛達と重勝達は頭文字にDが付きそうな走り屋達のようにライン際ギリギリを攻めるドリフトを駆使し、連続して続くヘアピンコーナーを駆け抜けて、現在峠道コースの終点に差し掛かっていた。

 

加々美『抜けたぁぁああっ!!トップで峠道コースを走破したのは爛&六花ペア!そのすぐ後ろを涼花&重勝ペアが追走する形で次のオフロードコースへと直進ですっ!』

 

六花「エリシア達、来ないね~」

 

爛「まあ、玄人でもあの峠を越えるのは至難の業だからな。素人のショウでは着いて来れないのは仕方がないと言えば仕方がないが・・・」

 

六花と爛はショウ達が後ろに着いて来ていない事に落胆の表情を浮かべている。トップを争うライバルが減った事は喜ばしいのだが、張り合いが足らなく感じているのだろう。

 

涼花「ふぅ、どうやらせっかくの追撃も無駄に終わったみたいね・・・・・だけど、なんか嫌な予感がするわ・・・」

 

重勝「俺もそう思うぜ、ショウは幸斗と同様に何をしでかすか予測不能なヤローだからな。もしかしたらそろそろ何か仕掛けて来るかもしれねーぞ」

 

六花「まっさか~、ショウの瞬間移動も転移系のスキルだから使用禁止だし、幾ら何でもあの峠道コースを素人が突破できるわけg———って寒っ!?」

 

突然吹いた冷たい風に六花は身震いをする。

 

涼花「妙ね、さっきまでは夏のように暑かったのに・・・」

 

気温がいきなり大きく変化した事を涼花は不審に思った。この世界は蒼空の本体(作者)の妄想で具現化されているので気温が急激に下がっても何の不思議も無いのだが・・・。

 

涼花「・・・強大な魔力を感じるわ・・・」

 

重勝「ああ・・・それも遥か後方からな・・・」

 

六花「寒いぃー、爛~、僕を温めて~♪」

 

爛「ちょっ、六花!?また急に抱き付いて来るな、危ないだろ!」

 

戸惑う爛の胸に顔を埋めて幸せそうにしている六花はさておき、どうやらこの冷風は魔力によって発生した事象のようだ。不審に思った重勝と涼花がワゴン車の屋根の上と運転席の横窓からそれぞれ警戒して後方に遠ざかる峠道コースを確認してみると———

 

涼花「っ!?・・・路面が凍っている?」

 

涼花が見たのは峠道コースの麓からこの先のオフロードコースまでの道が一直線に凍結している不自然な光景であった・・・そして重勝の目に見えたのは———

 

重勝「・・・はは・・・アイツ等やりやがった・・・」

 

峠の上から下までを一直線に凍らせて造られた一本の下り坂・・・その道を猛スピードで駆け下る一台の異様な車———

 

加々美『なっ、何だアレはぁぁああっ!?サイか?イノシシか?・・・いや———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———涼宮ハ◯ヒだぁぁあああああっ!!!突如として発生した冷気と共に路面が凍り付き、突然峠道コースの中央に一直線の氷の坂道が出現したかと思いきや!その道を涼宮ハ◯ヒがハ◯晴れユカイを登場BGMに物凄いスピードで滑走して来たぁあああああああっ!!』

 

爛&重勝&涼花「「「なん・・・だと・・・」」」

 

ショウ「ワーッハッハッハッハッ!どけどけ愚民共っ!!S◯S団団長様のお通りだぁぁあああっ!!!」

 

加々美『涼宮ハ◯ヒの正体は当然、ショウ&エリシアペアのマシンです!エリシア選手の伐刀絶技《氷河時代(アイスエイジ)》を使って峠道コースの中央に氷の坂道を造り、その上を走って強引にショートカットをして来ていますっ!!!』

 

霞『Aランク伐刀者ならではのチカラ技で来やがったか、確かにこの方法なら難いクラッチ操作やギアチェンジなんてしなくても下り坂でアクセルを踏む度胸さえあれば一直線に爆走できるからね、ウチの明日葉ちゃんもよくやるなーこの方法』

 

エリシア「ショウさん、テンションが上がってしまうのはわかりますけれど、少しはっちゃけ過ぎだと思いますよ、車の音楽プレイヤーを使って外に響く程の大音量でアニメソングを流すのもやり過ぎですよ・・・」

 

ショウ「ハーッハッハッハッハッ!!かっ飛べ【団長号】っ!!」

 

エリシア「名前付けたんですかっ!?」

 

加々美『S◯S団団長涼宮ハ◯ヒ、たった今峠道コースを走破!!そしてその勢いのまま直進!先を走るトップ二台に向かって凄まじいスピードで追い上げて行く!速い!涼宮ハ◯ヒ、爆走だぁあああああっ!!!』

 

ショウ「爛!シゲ!おっ先ィィイイイイイッ!!!」

 

加々美『そしてあっという間に中央から二台を一気にブチ抜いたぁぁああああっ!!そのまま路面の泥にタイヤが捕られやすい森のオフロードコースに突入!!行け行け涼宮ハ◯ヒ!かっとビングだ涼宮ハ◯ヒィィイイイッ!!!』

 

霞『涼宮ハ◯ヒ涼宮ハ◯ヒうるせーよ・・・』

 

六花「キャアァッ!?」

 

爛「くっ、オフロードの泥が撥ねたか!?これだからオープンカーは!」

 

六花「も~、僕も爛も身体中泥だらけじゃないかぁ・・・よぉし、こうなったら爛、せっかくだしこのまま僕と泥レスしよっか♥」

 

爛「しないからな!頼むから状況を考えてくれ!!」

 

・・・奇跡は起きた。エリシアの大胆な奇策によってショウ達が遂にトップに躍り出た。残すはたった今入ったオフロードコースとゴールのみ、熾烈を極めたレースもいよいよクライマックスだ。果たして勝つのは爛達か?重勝達か?それともショウ達か!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポンパンポーン!

 

加々美『えー、レースの途中ですが、只今宇宙観測センターより緊急の連絡が入りました・・・・・たった今、何らかのトラブルで機体が故障してしまった一機のスペースシャトルが大気圏に入り、こちらに向かって墜落して来ているようです。観客の皆さんは誘導スタッフの指示に従って速やかに避難をしてください・・・ってスペースシャトルが此処に向かって墜☆落ぅぅううううううううっ!!?』

 

ショウ達「「「「「「・・・・・は?」」」」」」

 

レースの盛り上がりが最高潮に達したこの時、突如として訳の分からない緊急連絡が入り、レーサー一同はまるで時が止まったかの様に唖然として思わず呆けた声を出してしまう。スペースシャトルがこの場所に向かって墜落?いったい何事かと思ったその時、蒼空特設コース全体に何か大きなモノの影が掛かった。

 

いったい何なんだと遥か上空を見上げてみるレーサー一同・・・彼等の目に入って来たのは巨大な機体全体から煙を上げて遥か上空より徐々に落下して来ているスペースシャトルであった・・・。

 

ショウ&六花&エリシア「「「な・・・何なんだ(の)(ですか)アレはぁぁああああっ!!?」」」

 

爛&重勝&涼花「「「・・・どうしてこうなった?」」」

 

予期せぬ状況に絶叫と唖然の声が入り交じって空に木霊したのであった・・・レースはいったいどうなってしまうのであろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




緊急事態発生!!これはひょっとしてもうレースどころでは無い?

ゲストが来ている大事な回でもまともに競技を進行させる事ができない蒼空キャラ達(汗)・・・このまま前回のカルタ同様に途中でうやむやになってしまうのか?それともこの事態に対処し、レースを最後までやりきれるのか?

次回、決着の【後編】!お楽しみにっ!!



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Sky Blue Grandprix【後編】 ※ゲスト有り

スペースシャトル来襲(墜落)!シャトルに乗っているのはいったい何者なのか!?

そしてレースは遂に決着!果たして優勝はどのチームか!!?




エリシアの奇策が功を成し、遂にショウ達がトップに躍り出た。

 

そしてレースは終盤のオフロードコースに入り、いよいよゴールは目前に近づいた・・・のだが、ここで予想外過ぎるアクシデントが発生したのだった。

 

ショウ「アイエエエエエエッ!?スペースシャトル?シャトルナンデェェエエエエッ!!」

 

エリシア「落ち着いてくださいショウさん、あれはニンジャじゃありませんよ!」

 

六花「これはさすがに予測不能だよ・・・」

 

爛「何であんなものがいきなり宙(そら)から・・・そういえば重勝、確か幸斗達は今日は月に行っているんだよな?スペースシャトルで・・・」

 

スタート前に重勝が言った事を思い出した爛が隣を走るワゴン車の屋根の上に居る重勝に確認すると重勝とワゴン車を運転する涼花は片手で額を押さえて溜息を吐いた。

 

涼花「どうやらニンジャより質の悪い奴等が面倒事を持って来たみたいだわ・・・」

 

重勝「だな・・・いったい何をやったんだよアイツ等?」

 

二人は今遥か後方の上空から斜めに滑空して墜落して来ているシャトル内に誰が乗っているのかを悟って再び溜息を吐く。シャトルの機体の後部にあるロケットブースターは炎上し機体全体から黒い煙が立ち昇っていて見るからに危険な状態だ。

 

??「ドラァッ!!」

 

そうこうしている内にシャトルが高度約4000mまで落下して来ていたが、その時にシャトルの上盤の一部が何者かによって内部から破壊され、その部分に機体内部に通じる大穴が空いた。するとそこから三人の少年達がシャトルの上盤に這い出て来る。

 

幸斗「ゲホッ!ゲホッ!なんだよ脆いシャトルだな!?【月の破片がぶつかった】程度でブッ壊れやがって!!」

 

出雲那「当たり前だ!あんなデッカイ破片がエンジンに直撃したんだからよ!!」

 

ルーク「うぷっ・・・や、やっと地上に着いた・・・うっ・・うおぇぇ・・・」

 

シャトルの中から上盤に上がって来たのは当然幸斗達蒼空主人公ズであった・・・。幸斗の手に奴の霊装である《鬼童丸(きどうまる)》が顕現されている事からどうやら幸斗が機体内部から剣圧閃光を撃ち放って機体の上部を纏めて撃ち抜いたのだろう。某滅竜魔導士並に乗り物に弱いルークの安否が気になるところだが、どうやら全員無事のようだ・・・。

 

カナタ「おーい、無事かー?」

 

そんな時先程ショウのかめはめ波から空へと逃れたカナタとクロエが三人を発見し、心配をして幸斗達の側まで飛翔して来て声を掛ける。

 

クロエ「三人共いったい何があったの!?このシャトルが墜落して来ている所為で地上は大騒ぎだよ!」

 

カナタ「動力が炎上してダメになってんじゃねーか。宇宙で何してたんだよ?確かお前等【悪の秘密結社の月面基地を壊滅させるアトラクション】をやりに行ったんだよな?」

 

出雲那「ああ・・・実は———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約一時間前、蒼空主人公ズは月の表面にできたクレーターの一部の内側に建てられたSF映画に出てきそうな軍事基地の最奥で悪の秘密結社の【幹部役の人】と対峙していた。

 

????『おーっほっほっほっ!待っていたよ、悪に刃向かうおバカさん達!』

 

栗色の長髪をツインテールに纏め、青いラインが入った白いドレスの様な防護服を身に纏って顔をピンクのパピヨンマスクで隠している魔導士の女性が左手に持った砲杖の赤い球体が取り付けられた金色のフレームの先端を目の前で横一列に並んでいる蒼空主人公ズに向けてワザとらしく高圧的な態度をとっている。彼女の左側には同じように赤いパピヨンマスクで顔を隠した金髪ドリルツインテールで赤いレオタードっぽい戦闘服を着ている女性が自分の周囲に赤い浮遊砲台を浮かべて堂々と立っていて、その反対の右側には他と同様に青いパピヨンマスクで顔を覆った空色の長髪で黒のピッチリボディースーツを身に着けた女性が茨の装飾が施された魔弓を携えて悪戯な笑みを浮かべている。

 

????『挨拶がまだだったね!私はこの悪の組織の第一幹部《白の天魔ナノーハ》!!」

 

????『同じく、わたくしは第二幹部《紅の薔薇クーレア》!!」

 

???『ウフフ・・・第三幹部の《蒼の茨リィカ》よ』

 

出雲那〔なんかあの二人、魔導星防軍(エトワール)のエース・オブ・エースとウチの学園の風紀委員長に似ているような・・・〕

 

ルーク〔ってあの魔弓の女どう見てもリカ姉じゃん!!何やってんだよこんなところで!?〕

 

ナノーハ『私達の基地をこんなにも荒らしてタダで帰してもらえると思わないでよね。少しと言わずたっぷりと頭を冷やしてあg———』

 

幸斗『しゃらくせぇっ!!運命を切り拓け!鬼童丸!!』

 

幸斗以外『『『『『ゑ?』』』』』

 

幸斗『うぉぉおおおおおおっ!!龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)ァァアアアアアアアッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出雲那「——という感じで戦場の叫び(ウォークライ)を使ってパンプアップした幸斗が龍殺剣を全力全開でブッ放した結果、月面基地どころか月の四分の一が崩壊してその破損した月の破片が無数のスペースデブリとなって地球に向かって飛んで行ってしまったから急いでシャトルに乗って月の破片を排除しながら戻って来たんだが、最後に幸斗が放った一発で砕いた月の破片のデカイ欠片が運悪くシャトルのエンジンに突き刺さって・・・こうなった・・・」

 

幸斗「イェーイ!(サムズアップ)」

 

カナタ&クロエ「・・・・・」

 

シャトル墜落の過程を聞いた二人はなんとも言えずに沈黙している・・・話を纏めると——

 

ショウ達『『『『『『要するに全部幸斗(真田さん)が悪いんじゃねぇか(ないですか)(ないの)っ!!!』』』』』』

 

幸斗「うおぉっ!?襟元からいきなり声が!?」

 

涼花『こんな事もあろうかとアンタ達が月に出発する直前にアンタの服の襟に月まで電波が届く特殊小型無線を仕込んでおいたのよ!こっちには今の話は拡声器を通じて全員に聞こえていたわよ。まったく、何月壊しているのよ、このおバカ!』

 

重勝『幸斗・・・一部とはいえ、とうとう月まで壊しやがったのか。いつかはやるだろうとは思ったけどよ・・・』

 

幸斗「だって、あの悪の幹部共が着けていたお面がウザッたかったから、ツイ・・・」

 

六花『いや、【ツイ】じゃないっての!?好きな人が他の奴に誑かされて寝取られたんならともかく、普通その程度の事で月を壊したりしないよ!』

 

爛『六花、他人に寝取られたらお前も月を壊すのか・・・』

 

エリシア『Aランクの騎士が全力で高火力の伐刀絶技を放っても月を四分の一も破損させる事ができる人なんて殆どいないと思いますよ・・・』

 

襟元の無線機から次々と野次と呆れ声が幸斗へと飛んで来る。皆言いたい事は分かるのだが、それよりも今の事態をどうするのかが先決だろうと最後にショウの声が聞こえてきた。

 

ショウ『とにかくそのシャトルを何とかしようぜ!幸斗、オメーはまず目の前の山をブッ壊せ!このままだと激突すんぞ』

 

幸斗&出雲那&カナタ&クロエ「「「「は?」」」」

 

ショウの警告を聞いて四人はシャトルの進行方向を向く、一同の目には前方数キロメートルにある先程ショウ達が走破した峠道コースがある山が映った。

 

出雲那「マジかよ!いつの間に!!?」

 

カナタ「どうやら気付かねー間に地上2000m以下まで機体の高度が下がっていたみたいだな」

 

クロエ「そんな呑気な事言っている場合じゃないでしょ!?早く脱出しないと!」

 

ルーク「うっぷ・・・な、なんでもいいから・・・は、早く地上に・・・うおぇぇ・・・」

 

爛『連れも限界のようだし迅速に行動するぞ。まず幸斗、ショウが言ったようにお前はシャトルの進路を塞ぐ目の前の山を破壊しろ。幸い幸斗以外全員空を飛べるようだしシャトルに乗っている人等はその後速やかに空を飛んでシャトルから退避、できるだけ遠くにな、ダウンしているルークは年長者の出雲那が背負ってやれ』

 

出雲那「オレが背負うのかよ・・・まあいいけど、飛べない幸斗は誰が背負うんだ?」

 

幸斗「へ?必要ねぇよ。オレは空気を蹴って空【跳べる】しな!」

 

クロエ〔月の四分の一を壊したうえに空を跳ぶって・・・〕

 

爛『全員の脱出を確認したら、俺・重勝・ショウ・エリシアの四人が一斉に無人のシャトルに高火力の伐刀絶技を撃ち込んで地上に墜ちる前に破壊。最後に六花と涼花が地上に降り注いで来るシャトルの残骸を処理して緊急ミッションはコンプリートだ』

 

幸斗「は?そんな面倒な事しねぇでもオレが地上に降りてこのデカブツを直接受け止めればいいんじゃね?」

 

重勝『ブッ壊した方が被害が少なくて済むだろ?この辺は森だらけでそんなデカイ物を置いとく場所なんかねーんだし』

 

幸斗「あ、そっか」

 

カナタ〔幸斗がシャトルを直接受け止めるってところにはツッコまねーのかよ・・・もうコイツ一人でいーんじゃね?〕

 

重勝『全員作戦は記憶したか?・・・よしっ、そんじゃあ幸斗!派手にブチかませっ!!』

 

幸斗「おっしゃあぁっ!うぉらああああぁぁっ!!」

 

幸斗は雄叫びと共に豪快に鬼童丸を一振りし、規格外の膂力で振るわれた一刀が事象改変を引き起こされる程の尋常ならざる剣圧が巨大な光の波となって正面に見える山へと撃ち出された。

 

閃光は山を貫き、直後にドーム状の超爆発が山は疎か周囲の森をも焼き払う。爆発が終わると山は跡形も無く消滅していて代わりに隕石が落ちたような巨大なクレーターがその跡地に造られていたのであった。

 

幸斗「ふぅ~、スカッとしたぜ!」

 

クロエ「本当に一発で消滅させちゃったよこの人・・・」

 

カナタ「クロエもこれぐらいならそのうち出来るようになりそうだけどな♪」

 

出雲那「ボサッとしてんじゃねぇっ!地上はもう目の前に迫ってんだ!手筈の通りこの場からサッサと離脱すんぞ!!」

 

ルーク「うぷっ!ゆ、揺れる・・・も、もうダメ・・・お、オェエエエエエエッ!!!」

 

出雲那「ア”ア”ーーーッ!?オレの頭に吐きやがったこのヤローーーッ!!」

 

幸斗「うっし、んじゃあ行こうぜ!後は任せたぜ、シゲ達っ!!」

 

ドタバタしながらも先程無線で爛から伝えられた通りにシャトル上に乗っていた面々は空へと飛び立って行った・・・後は地上に墜ちる前にシャトルを破壊するだけだ!

 

ショウ「よしっ!準備はいいか?ヤロー共っ!!」

 

ショウ以外「「「「「おう(はい)っ!!」」」」」

 

レースを一時中断し、コースの拓けた場所にマシンを停車させショウ達はショウを中央に横一列に並んで立ち、落下して来るシャトルを待ち構えていた。

 

ショウ「行くぜ!ドラゴンブロウ!!」

 

エリシア「貫け、細氷(ダイヤモンドダスト)!」

 

重勝「未来(さき)を指し示せ!重黒の砲剣(グラディウス)!!」

 

涼花「希望(ゆめ)を創り出せ!鉄の伯爵(アイゼングラーフ)!!」

 

爛「闇よ、光を侵食せよ、雷黒鳥(らいこくちょう)!」

 

六花「遡れ!撃剣・龍(げきけん・りゅう)!!」

 

一斉に霊装を顕現するともう目前に迫ったシャトル目掛けてショウ・エリシア・重勝・爛の四人は同時に大技を放つ——

 

ショウ「界王拳———三倍だぁぁああああっ!!か~、め~、は~、め~————波ァァァアアアアアッ!!!」

 

エリシア「全てを凍てつかせる剣と化せ、氷河の剣———永遠の極地の吹雪剣(エターナルブリザードブレード)っ!!!」

 

重勝「これが俺の———全力全開っ!光翼ノ帝剣(アストラル・ブレイカー)ァァアアアアアアッ!!!」

 

爛「光の聖剣は、黒のチカラを借りて、正しく最強となる———黒の騎士・未来を切り開く最強の聖剣(エクスカリバー・ファフニール)ゥゥウウウウウウウッ!!!」

 

界王の闘気に高められた気の奔流が!猛吹雪を纏った絶氷の大剣が!極限まで収束された白く膨大な重力エネルギーの柱が!全てを滅する黒の聖剣の光が!宙(そら)から墜ちる鉄の塊を一直線に飲み込んで行くっ!!あまりにも強大なチカラの奔流が蒼穹を蹂躙した為に天地が鳴動し悲鳴を上げたっ!!

 

やがて光は収束し蒼穹の大空が世界に舞い戻ると運良く光の蹂躙から免れたシャトルの部分が無数の残骸の流星となって地上に降り注いで来る・・・でも心配は要らない——

 

六花「涼花、なんならアレ全部僕一人で処理してあげようか?」

 

涼花「冗談。どんな戦況をも見極める為に鍛え抜いたわたしの眼を舐めないでもらいたいわね。アンタこそ、その眼に頼り過ぎて自分の感覚を疎かにしない事ね。どんなチカラも絶対では無いわ、過信し過ぎると痛い目見るわよ」

 

六花「もちろん!言われるまでも無いですぅ!」

 

天の眼を持つ少女と常に戦場を見定める眼を鍛えあげた少女の眼がそれ等を一つも見落とす事無く捉えているのだから!

 

六花「僕の《絶対零度の戦術眼(インサイト)》はご飯粒一つ見逃さないよ!唸れ、龍雷(りゅうらい)っ!!」

 

涼花「一つも地上に落とさせはしないわ!全て打ち砕くっ!!」

 

六花の《天眼》が無数に降り注ぐ鉄くずの流星を纏めて捉え、捉えた全てに氷の柱を刺し込んで、それを目印に銃口から撃ち出された雷の龍が無数の鉄くずを喰らって行く。

 

涼花は異常なくらい広い視野と研ぎ澄まされた感覚をもって空間を掌握し、空から降り注ぐ全ての残骸を感知すると左腕に巻かれた無数の手拭いを纏めて右手に取り、霊装で触れた生物以外の物を鉄に変える因果干渉系の伐刀絶技《鉄化(エンダーンアイゼン)》を使用して無数の手拭いを鉄のブーメランへと練成し、全ての目標に向けて投げ放つ。

 

雷の龍と無数の鉄のブーメランは空でダンスを踊るように錐揉み状の軌道で空を蹂躙し、一つも取り零す事無く全ての残骸を滅する事に成功した。これでミッションコンプリートだ。

 

ショウ「よしっ!そんじゃあ、レース再開と行こうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、激しいデッドヒート(?)を繰り広げたこのレースも遂にクライマックスを迎えた。

 

加々美『思わぬアクシデントにも見舞われましたが、選手達の協力で危機を逃れ、レースもいよいよ大詰めです!果たして最初に最終コーナーから姿を現すのはどのチームだ!?』

 

霞『頼むからこれ以上何も起こさないでくれよ。コース上の破損多数に加えて山が二つも更地になったんだからな・・・』

 

加々美『さあ、最終コーナーをトップで曲がって来たのはぁぁっ!?』

 

サーキットのゴールより約800m先にある最終コーナー、重複するエンジンの駆動音を鳴らして経った今、三台のマシンがほぼ同時に現れてそこを曲がり切って来た。

 

加々美『来たァァアアアアッ!殆ど横一直線っ!!レースの行方はまだわかりません!!』

 

ショウ「いや、俺達が勝つ!アクセル全開だぜ団長号っ!!」

 

重勝&涼花&爛「「「なっ!?」」」

 

加々美『そしてここで涼宮ハ◯ヒ・・・もといショウ&エリシアペアが勝負に出たぁああっ!アクセルを踏み抜いて、他の二台の頭一つ前に飛び出して行くっ!!』

 

ショウ「へっ!どうやら最高速度は俺達の団長が最速だったみてぇだな!これでこのレース俺とエリーの・・・・ゑ?」

 

加々美『ああっと、どうしたんだぁぁ!?前に出たのも束の間、ショウ&エリシアペアのマシンがいきなり減速して他の二台に抜き去られ、そのまま停止しまいましたぁぁああ!!これはもしやショウ選手がまた運転操作ミスをしてエンストしてしまったのでしょうか?』

 

霞『いや違うな、停止しようとしている時ならともかくただ直線を走っていただけでエンストなんかする訳が無いんだよねぇ。たぶんアレは———』

 

エリシア「大変ですショウさん!ガソリンのメーターがもう0になっていますよ!!」

 

ショウ「ダァァァァァニィィィイイイイイイッ!!?何で俺達の団長号だけガス欠してんだよっ!!?」

 

霞『———という訳で止まっという事だな。アレの整備を担当したエンジニア共は残業をサボリまくるような弛んだ連中だったからねぇ、ガソリン補充の前に定時が来てやらずに上がりやがったんだろ。社畜の敵め、妬ましい』

 

ショウ「クソッタレェェェエエエエエッ!!どこまでもバカにしやがってぇぇぇえええっ!!」

 

エリシア「どうしましょう、もう打つ手がありませんよ!?」

 

ショウ「いや、まだだっ!まだ【最後の手段】が残っているぜ!!」

 

エリシア「はい?」

 

加々美『マシンのガソリンが尽きたショウ&エリシアペアはその場で立ち往生!さすがにこれはもうダメでしょう!これで後は爛&六花ペアと重勝&涼花ペアの一騎打ちとなりました!!ゴールまで残り約300m!先にゴールを切るのはどっちだぁぁあああああっ!!?』

 

爛「さて、少々名残惜しいがこれで最後だ。勝敗はどうでもよかったが、ここまで来たからには勝たせてもらうぞ、重勝」

 

六花「むぎゅ~!爛~♪」

 

もはや慣れてしまったのか、この愛する男と二人きりのこの時を最後まで謳歌しようと豊満な胸の双丘をこれでもかと身体に押し付けてきて自分に抱き付いている六花の事をそのまま放置して爛は自分達のマシンと横一直線に並んで走行しているワゴン車の屋根の上に乗っている筈の重勝を横目で見てさり気無く勝利を宣言する・・・が、そこに居たのは重勝ではなかった。

 

涼花「そう、でも残念だったわね。これでわたし達のトップは確定したわ」

 

重勝「~♪」

 

重勝と涼花はいつの間にか入れ替わっていた。ワゴン車の屋根の上に立っている涼花は三枚の手拭いを手に取って澄ました笑みを浮かべており、代わって運転席に座ってハンドルを手に持ちアクセルを踏む重勝はワザとらしく口笛を吹いている。

 

爛「何!?何故マシンを運転していた筈の涼花が其処に居て重勝が運転席に座って得意気にハンドルを握っているんだ!?」

 

重勝「ん?言ってなかったか?俺もライセンス持ちだぜ、姫ッチ程高度なドラテクはできねーけどな!」

 

爛〔くっ!前に出たショウ達に気を取られている隙に入れ替わったのか!マズイな、涼花の伐刀絶技から考えて、コイツ等がやろうとしている事は恐らくレースでゴールする時に横一直線の接戦だった場合、ギャグ系レースのオチとしてよく使われる必勝の一手———〕

 

涼花「これで勝負有りよ!鉄化(エンダーンアイゼン)っ!!」

 

ゴールまで残り50mを切った瞬間、涼花は屋根の上から前に身を乗り出すようにして三枚を捩じって縛り連結させた長棒状の手拭いを鉄化させて鉄の長槍を練成し、それを前方に突き出した。

 

爛〔やられた!これだと俺達のマシンがゴールラインを切る前に涼花が前に突き出した槍がゴールに届いてしまう!!くっ!このゴールまでの距離ではさすがにもう打つ手が間に合わないか!!〕

 

ゴールまで残り10m・・・今から対応するには鬼神の帝王(クレイジー=グラント)と呼ばれている爛でも流石にお手上げの距離だ。これでこのレースの勝者は重勝と涼花に確定したと言っても過言では無いだろう。

 

そうなったらもう、あとはゴールラインを割るだけだ。ゴールまで残り後5m・・・4m・・・3m・・・2m———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1mを切った瞬間、二台の後方からジェット機のような勢いで涼宮ハ◯ヒが【かっ飛んで】迫って来た。

 

ショウ「———波ァァアアアアァァアアアアアアアァアアアアアアアアアッ!!!!」

 

ショウ達以外の一同『『「「「「っ!!!?」」」」』』

 

そしてそのまま二台の中央をロケット弾のようにブチ抜き、涼宮ハ◯ヒはゴールラインを貫いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加々美『ゴ・・・ゴォォオオォォオオオオォオオオオルッ!!!大☆逆☆転!!涼宮ハ◯ヒが鳥になったァァアアアアアッ!!トラブル続出のレースを制したのはショウ&エリシアペア!エリシア選手の氷の異能でマシンの後部トランクに貼り付けられたショウ選手が後方に向かって全力全開のかめはめ波を放ち、それをロケットブースターとして脅威的な推進力を生みだしてマシンを無理矢理ゴールまで押し出すという無茶苦茶な方法でトップの二台をブチ抜いてしまいましたァァアアアアアッ!!』

 

霞『なんともまあ奇想天外な無茶をやりやがって・・・まあ、なんとか終わってよかったぜ』

 

加々美『さて、表彰式に移りましょう!』

 

ステラ「ショウ、エリ姉、優勝おめでとう!優勝カップと優勝賞品である某テーマパークの入場ペアチケットを贈呈するわね!」

 

表彰台に乗ったショウとエリシアはステラと明日香から優勝カップとチケットが入れられている封筒が手渡された。

 

ショウ「おっ、サンキュな!」

 

エリシア「あれ?貴方は蒼空さんの世界のステラちゃんですよね?その呼び方は?」

 

ステラ「ごめんなさいね、なんか貴方の事をエリ姉と呼びたくなっちゃって・・・迷惑だった?」

 

エリシア「い、いえ、そんな全然迷惑じゃあないよ!ステラちゃんがそう呼びたいんだったらそう呼んでくれても構わないから」

 

ステラ「フフッ、じゃあ遠慮なくそう呼ばせてもらうわね!・・・改めて、優勝おめでとう!」

 

ステラがそう言うと周りからショウとエリシアに盛大な拍手が贈られた。

 

明日香「そのペアチケットは元の世界でも使えるようにしてあるわ。これで二人でデートを楽しんで来てくださいね♪」

 

ステラ「あっ!それとゲスト全員に参加賞としてこのレースの映像を編集したDVDをプレゼントするわね♪元の世界に帰ったら皆で仲良く観賞しなさい!」

 

ショウ「おっ、悪いな!大切にするぜ!」

 

爛「俺達にも貰えるのか、随分と気前が良いな・・・」

 

六花「帰ったらリリー達も呼んでみんなで観賞会だね!僕と爛のラブラブドライブ、これを見せた時のみんなの悔しがる顔が目に浮かんで堪らないなぁ、グフフフフ!」

 

爛〔ヤバイ、このDVDをリリー達に見せたらとんでもない目に遭う気がしてならない。帰ったらコレはどこかに封印しておこう・・・〕

 

加々美『天崎翔選手、エリシア・ヴェルモンド選手、本当に優勝おめでとうございます!これにて初のゲストを招いて行われた【Sky Blue Grandprix】の幕を下ろさせていただきます!実況はこの私、日下部加々美!』

 

霞『解説は俺、千種霞がお送りいたしました!』

 

加々美『画面の前の皆さん!また会う日まで!さようならーーーーーーーーっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白熱のレースが幕を下ろしたその頃、シャトルを脱出した蒼空主人公ズは某所にある悪の組織の本拠地にて悪の組織の総帥との最終決戦に臨んでいた!

 

シグナァム「よくここまで来たな!私は悪の組織の総帥、《大将軍シグナァム》だ!!」

 

出雲那「雷切ィィー!イヤァァーーーーーーッ!!」

 

シグナァム「グワーーーーーッ!!?」

 

大将軍シグナァムは出雲那の雷切を受けて爆発四散、慈悲は無い(笑)!斯くして蒼空主人公ズは悪の組織を打ち破り、世界の平和を護ったのだった・・・しかし世の戦いに終わりは無い!戦え蒼空主人公ズ!己の意志を貫く為にっ!!

 

クロエ(着いて来た)「え?オチこれでいいの!?」

 

カナタ(上に同じく)「いつもの事だろ?今度は無事に競技をやりきったわけだし、めでたしめでたしじゃねーか」

 

シグナァム(正体は勿論シグナム)「マタカテナカッタ・・・レースも、戦いも・・・ガクッ」

 

 

 

 

 

 

 




大将軍シグナァムが死んだ!この人でなしっ!!

そして優勝したのは天崎翔&エリシア・ヴェルモンド!おめでとうございます!!

レタスの店長さん!火神零次さん!コラボありがとうございました!!ショウ達と爛達に贈呈したアイテムは番外編か何かで好きに使って下さい!

そして感謝の気持ちを込めてここで両作品の宣伝を———

Aランク以上のM(マスター)ランクのチカラを持ち、世界最強の剣士【比翼のエーデルワイス】を師に持った宮坂爛とその仲間達を次々と襲う世界の理不尽!それによって様々なトラウマを呼び覚ましていってしまう爛は仲間達と共に悩み苦しみながらもそれを乗り越えて行く!
落第騎士の英雄譚を原作とした【火神零次】さんが執筆する二次作品【落第騎士の英雄譚~世界最強剣士の弟子~】!絶賛連載中!!


更にもう一作品!


原作主人公の【黒鉄一輝】、Mランクのチカラを持つ化物伐刀者【宮坂爛】、長年の努力と実戦でEX級の攻撃力を身に付けた元傭兵の少年【真田幸斗】、そして最強の伐刀者を父親に持つ純粋なる竜族の血筋【天崎翔】・・・男達は、世界の運命を覆して最強の伐刀者となる為に降りかかる災厄や不条理な運命と戦い、どんな厚い壁をもブチ破るっ!!
幸斗達や爛達がショウ達と共に暴れまくる【レタスの店長】さんが執筆する多重コラボ作品【落第騎士の英雄譚 ~運命を覆し最強を目指す戦士達~】も絶賛連載中ですっ!!


両作者様、本当にありがとうございました!それでは今回はこの辺で!サラダバー!!



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2017年大晦日【クイズ蒼空の魔導書の記述 あんな~こ~と こんな~こ~と あった~でSHOU】年末スペシャル!

大晦日の特別編を投稿!

スペシャルなだけあって文字数一万字越えの大ボリュームでお送りいたします!どうぞお楽しみください!!




暖房、ホットカーペット、そしてコタツ・・・この大晦日の夜、我らが蒼空主人公ズはありとあらゆる暖房器具で暖められた質素な部屋でぬくぬくグータラと過ごしていた。

 

ルーク「あ~、あったけぇ。こんなに寒い日はコタツに限るぜ~」

 

幸斗「まったくだぜぇ~、あ~、みかんうめぇ~」

 

出雲那「この世界の物は蒼空の本体(作者)の妄想で具現化されっからコタツ+ホットカーペットの超HW(ハイワット)コンボをやってもブレーカー落ちねぇからな~、マジ最高~」

 

世界の性質を利用して庶民の冬の贅沢の限りを尽くす三人は極楽のあまり顔をだらしなく緩ませている。大晦日だからと言ってこの主人公共だらけ過ぎではないだろうか・・・。

 

出雲那「にしても蒼空が二次創作書き始めてからもう二年が過ぎたのか・・・今まで色んな事があったよなぁ」

 

幸斗「そだな。【運命を覆す伐刀者】なんか今月で五十話達成したし、随分と遠くに来たもんだぜ」

 

ルーク「なあ?どうせこのまま年明けまでグータラしてるんだし、せっかくだから今までの事を語り合わねぇか?」

 

幸斗「おっ、それ乗った!オレの選抜戦での熱い戦いの軌跡を熱く語ってやるぜ!」

 

出雲那「【幻想戦記クロス・スクエア】の連載がまだ一年しか経ってねぇからオレは話せる事が少ねぇけど、まあこれからの意気込みを決めるのにこれまでを振り返ってみんのも悪くねぇか・・・」

 

??『ふっふっふ、話は聞かせてもらいました!』

 

ルーク「へっ?」

 

幸斗「何だ?どっからか野郎の声が・・・」

 

出雲那「誰だ!?隠れてねぇで出てきやがれっ!」

 

声は聴こえど姿は見えず・・・突如として聞こえてきた奇妙な男の声に困惑して主人公ズはコタツから出て立ち上がり辺りを見回すが、目に見えるのは質素な部屋の壁と天井のみで人らしき姿や気配などどこにも見当たらない。

 

??『そういう事なら丁度いい企画があるんだよな~、君達三人にはその企画に参加してもらうとしましょうか♪』

 

出雲那「聞けよ人の話をっ!」

 

??『それでは三名様、《クイズ蒼空の魔導書の記述 あんな~こ~と こんな~こ~と あった~でSHOU》の特設スタジオにご案な~いっ♪』

 

出雲那「コラッ!話を勝手に進めんじゃn———」

 

どこの誰だかわからない声の主の自己中っぷりに出雲那がキレかけて文句を言うが、言い終わる前に突如として部屋の天井にワームホールが出現し、なんと彼等を部屋中の暖房器具ごと吸い込みだしたではないですか。

 

出雲那「———って何ぃぃぃいいいいいっ!!?」

 

幸斗「何でワームホール?普通床が抜けて落とされるとかじゃね?」

 

??『君達は三人共飛(跳)べるでしょう?落とし穴なんて意味が無いだろうから【吸引力の変わらない世界でただ一つのワームホール】なのさ♪』

 

ルーク「そのキャッチコピーは掃除機だろうが!ふざけんなぁぁああああっ!!」

 

そのルークのツッコミを最後に蒼空主人公ズはワームホールに吸い込まれて行ったのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い闇に覆われた空間・・・その空間の中央が今、無数のスポットライトに照らしだされた!

 

加々美「2017年大晦日!」

 

霞「今宵、蒼空の魔導書の投稿作品の今までを振り返る——」

 

加々美&霞「「【クイズ蒼空の魔導書の記述 あんな~こ~と こんな~こ~と あった~でSHOU】年末スペシャルゥゥゥッ!!」」

 

ライトに照らされて現れた日下部加々美と千種霞がバラエティー番組の司会者のようにマイクを手に持ってそう言うと闇の空間に光が満ちる。

 

天井に設置された無数のスポットライトに巨大なモニター、奥の壇上には前面に小型のモニターが取り付けられた机が六つ存在し、蒼空主人公ズは三人共その六つの机の席にそれぞれ個別に分かれて座っていた。

 

ルーク&幸斗&出雲那「「「なっ、なんじゃこりゃぁぁあああああああああっ!!?」」」

 

訳も判らず素っ頓狂にシャウトする蒼空主人公ズ・・・叫びたくなるのも無理はない、ワームホールに吸い込まれてしまったと思ったらいつの間にかこんなクイズ番組のスタジオのような場所の解答者席に座っていたのだから。

 

カナタ「ルーク、お前うるせーよ。耳鳴りがするだろーが」

 

ルーク「ぬぉっ!?カナタ?テメェいつの間に俺の隣に座ってたんだよ!?」

 

涼花「このお馬鹿。人の隣で何馬鹿デカイ声をあげてんのよ・・・」

 

幸斗「うぉっ!?涼花?」

 

明日香「武内君、気持ちは分かるけれど人の迷惑は考えた方がいいわ」

 

出雲那「いや、お前何平然と人の隣に座ってんだよ!?つうか此処何所だよ?」

 

クロエ「あはは、なんだかまた何かをやらされるみたいだね・・・」

 

ロイド「見たところ此処は何処かのスタジオみたいですね」

 

重勝「でもって俺達が今座っている席の机にある物はタッチパネルとタッチペン。それから・・・何だ、この人形?」

 

??「あら、カワイイわね。ピンク色のポニーテールと愛らしい吊り眼がキュートだわ♪」

 

善吉「てかコレ、シグナム先輩じゃねーか!?何であの人のSD人形が全部の席に四つ置いてあるんだよ?しかも一個だけ何故か金髪だし!!」

 

マイ「あはは・・・なんかこれ何所かのバラエティー番組で見たような・・・」

 

上の段の左側にルークとカナタ、その中央に幸斗と涼花、右側に出雲那と明日香が———下の段の左側にクロエとロイド、右側に善吉とマイ、そして中央には重勝と【運命を覆す伐刀者】の世界で貪狼学園の生徒会長をやっている《更識楯無(さらしき たてなし)》が何故かそれぞれペアで解答者席に着いている。

 

なんでも全員それぞれの大晦日を過ごしている最中に強制的に転移させられたとか・・・。

 

出雲那「おい、マスゴミビッチにネクラ社畜!これはいったいどういう事だよ!?説明しろ!!」

 

加々美「マスゴミビッチってひどくない!?私には【かがみん】ってあだ名があるからできればそう呼んで欲しいんだけど!!」

 

霞「社畜は事実だけど、ネクラのつもりはないんだけどなー・・・まあどうでもいいか。んじゃクイズのルールを説明すんぞ」

 

善吉「いや、別にそんな事聞きてぇんじゃねーから!!」

 

霞「このクイズは過去に蒼空の魔導書の奴が投稿した作品に関する問題が全部で合計三問出題されまーす。解答者である君達は今同じ解答者席に座っている人同士でペアを組んで、見ての通りの計六チームで出題される問題の答えをその解答用のタッチパネルに書いて解いて優勝を競ってもらいまーす(棒)」

 

ロイド「司会の人達ツッコミをスルーしてルール説明を始めてしまいましたね」

 

加々美「解答時に解答者の六チームはそれぞれの席に置いてある三つの《シグナムちゃん人形》と一つの《スーパーシグナムちゃん人形》の内の一つを賭けてもらいます!正解したチームには賭けたシグナムちゃん人形に応じた数のシグナムちゃん人形が与えられます、通常の【シグナムちゃん人形】を賭けていた場合は一個、そして【スーパーシグナムちゃん人形】を賭けていた場合は三個で~す!」

 

霞「そんでもってもし解答を外した場合はそのチームが賭けたシグナムちゃん人形またはスーパーシグナムちゃん人形はボッシュートさせてもらいまーす(棒)」

 

善吉「世界ふ◯ぎ発見かっ!?」

 

マイ「どおりで何所かで見た事があるなと思った・・・」

 

加々美「なお、賭ける時にその出題されている問題の作品に出ている人のチームはその時に限りスーパーシグナムちゃん人形を賭ける事ができませ~ん♪更にボッシュートされなくても前の解答で賭けに出したシグナムちゃん人形及びスーパーシグナムちゃん人形は再び賭ける事はできません!そして三問を終えた時点でより多くのシグナムちゃん人形を所持していたチームが優勝となりま~すっ!!」

 

重勝「それはいいんだけどさ、何でシグナムなんだよ?」

 

加々美&霞「「それでは参りましょう!第一問っ!!」」

 

解答者全員「「「「「「「話を聞け!!そして勝手に始めるな!!!」」」」」」」

 

ルーク達のツッコミはスルーされ、解答者席の隣にある巨大モニターの画面に蒼穹の大空に浮かぶ学園浮遊都市《ミストガン》が映し出された。

 

加々美「最初の問題はライトノベル【空戦魔導士候補生の教官】を原作とした蒼空の二次創作投稿作品の処女作【空戦魔導士候補生の情熱】からの出題です!!」

 

ルーク「俺達の物語が最初か・・・蒼空のヤロー、今年二話しか更新しねぇで他のばかり進めやがって(怒)」

 

カナタ「おかげで一年経ったのにまだ魔甲蟲の大群勢の都市襲撃が終わらねーしな」

 

クロエ「あはは・・・言いたい事は分かるけれど愚痴は後にしてとりあえず問題を聞こう二人共」

 

モニターの画面が切り替わる。ミストガン内にある全長1kmにも及ぶ規模のすり鉢状の【闘技場(スタジアム)】が映し出され、続けざまに闘技場フィールド内の空中で二組の五人小隊が入り乱れて魔法戦を繰り広げる映像が映し出された。

 

加々美「【空戦情熱】は原作より四年前の空白期———原作主人公のカナタ・エイジ君が空戦魔導士科(ガーディアン)予科一年生の新入生としてミストガンの学園に入学する時系列である【エグザイル歴四三六年】が舞台のオリジナルストーリーで展開される物語ですが———」

 

説明の途中でまたもや画面が切り替わり、今度は別格のオーラを漂わせている昔の飛空士が身に着けるようなゴーグル付きの革の被り物を被っている細目の少年を中心とした五人の小隊メンバーが映し出された。

 

加々美「———この物語においてのこの年度のミストガンの特務小隊(ロイヤルガード)《S45特務小隊》は通称何というチーム名で呼ばれているのでしょうか?シンキングタイムスタートッ!!」

 

全チーム解答開始————

 

ルーク「へっ、こんなの考えるまでもねぇな!」

 

ロイド「まあ、僕達にとっては知ってて当たり前の常識ですからね」

 

カナタ「というかその内二人が知り合いだしな」

 

クロエ「ふふっ、なんかわたし達に有利過ぎる問題で他の皆に申し訳ない感じがするね。でもここは確実にポイントを稼いでおこうよ♪」

 

幸斗「う~ん、わからねぇ。バ◯アン七皇とかじゃね?」

 

涼花「お馬鹿、どう見たって五人にしか見えないでしょう」

 

楯無「ホント可愛らしいわねぇ、一つお持ち帰りできないかしらコレ?」

 

重勝「扇の角でシグナム人形突ついて遊んでねーでお前も考えろよ」

 

出雲那「ん~、確かなんかの漫画に出て来るチームがモデルだった筈だ。確か———」

 

明日香「漫画とかアニメとかよく解らないのだけれど、五人だからプ◯キュア5とか・・・」

 

マイ「明日香、三人男だよ。でも一番右端にいる女の子はカワイイね」

 

善吉「言っておくがマイ、ああ見えてアレも男だからな!!しかも俺達と同い年っ!!」

 

全チーム解答終了。

 

霞「シンキングタイム終了~っと」

 

加々美「さ~てそれではまず全チーム賭けに出すシグナムちゃん人形を席の台座に置いてください!」

 

霞「解ってんだろうけど、ルーク&カナタチームとクロエ&ロイドチームは空戦情熱の世界の奴等だから金色のは賭けられないからなー」

 

そして各チームが選んだシグナムちゃん人形がポンポンと台座に置かれていく。

 

加々美「これは全チームがスーパーシグナムちゃん人形を使わず無難に六つのシグナムちゃん人形が出揃うという結果となりました」

 

霞「最初は様子見ってところか?まあ、下手に博打打って破産したら元も子もないしね。堅実な人生が一番って事か・・・」

 

加々美「私はいつか特大スクープを記事に載せて一山当ててみせますよォ~っ!それでは、アンサーオープン!!」

 

加々美の声と共に全チームの解答が巨大モニターに表示され、同時に各チームの席の前面にある小型モニターにぞれぞれの解答が表示される。

 

*各チームの解答———

 

ルーク&カナタ:眠りの森(スリーピングフォレスト)

 

クロエ&ロイド:眠りの森

 

幸斗&涼花:眠りの森

 

重勝&楯無:眠りの森

 

出雲那&明日香:チーム5D’s

 

善吉&マイ:眠りの森

 

出雲那「——ってアレ?オレ等以外全員同じ答えって・・・」

 

明日香「・・・・・」

 

善吉「お前らアホかっ!?何所をどう見たらアイツ等がバイクに乗ってカードゲームをする集団に見えるってんだよ!!」

 

加々美「それでは答えが出揃いましたぁ~。正解はこちらっ!!」

 

テッレッレー!加々美の声と共にモニター画面の出雲那達以外の解答の背景が青からピンクに変わった。

 

霞「正解は《眠りの森(スリーピングフォレスト)》!出雲那&明日香チーム以外のチーム全てにシグナムちゃん人形を一つずつプレゼント!」

 

幸斗「うおっ!?すっげ、机から同じ人形が【ニュッ】って生えてきた!」

 

霞「そんでもって不正解だった出雲那&明日香チームが賭けたシグナムちゃん人形はボッシュートさせていただきまーす!」

 

出雲那「クッソ、すまねぇ柊。オレが勘違いしたばっかりに・・・・・ん?」

 

解答を間違えた事を出雲那が苦い面で明日香に謝罪をしようとしたその目の前で、いきなり彼等の台座に置かれたシグナムちゃん人形がなんとピョコっと動き出した。

 

明日香「あら、この人形自律起動するのね。いったい何をするつもりなのかしら?」

 

明日香の疑問に答えるようにシグナムちゃん人形はどこからかミニサイズのレヴァンティンを取り出した。そして———

 

テレッテレ———グサッ!

 

出雲那&明日香「「ゑっ?」」

 

善吉「自害したーーーーーーーーっ!!?」

 

腹にミニレヴァンティンをブッ刺しコテンと可愛らしく俯せに倒れて動かなくなるシグナムちゃん人形・・・そのまま台座の床が沈んでボッシュートされて行くそのシュールな姿に解答者一同は凍り付くのであった・・・。

 

ルーク「なんっじゃこりゃぁぁああああっ!!?」

 

幸斗「シグナムちゃん人形が死んだ!?」

 

出雲那「この人でなし!」

 

霞「まあまあお落ち着けって、シグナムパイセンの死に芸はもうこの作品の看板みたいなモンだろ?これぐらいでいちいち騒いでんじゃねぇよ」

 

涼花「蒼空の奴そろそろシグナムファンの誰かに背中から刺されるんじゃないかしら?」

 

加々美「あはは・・・それでは次の————ひゃぁぁあんっ♥」

 

不正解だと賭けたシグナムちゃん人形が自害してしまうという一部の人達が怒り出しそうなシステムの所為でビミョーな空気になった中で次の問題に移ろうとしたその時、何者かがいつの間にか加々美の背後に回り込んでいて彼女の豊満な乳房を両手でネットリと掬い上げるように服の上から鷲掴み、揉み揉みしていた。

 

??「うほっ♪この弾力とボリューム堪らへん!ええオッパイやな~♪」

 

加々美「あっ♥んっ!やめっ、あぁんっ♥」

 

ルーク「ってソラ兄!?何してんだよこんなところで!?」

 

その正体は先程巨大モニターに映し出されていたS45特務小隊の中心に居た細目の少年———隊の小隊長にして《空の王(アトモス)》の異名を持つ現学園浮遊都市ミストガン最強の空士、そしてルークの兄貴分でもある男《ソラ・グローリー》その人であった。

 

ソラ「いやぁなんや、大晦日やからボウズ(ルークの事)達と忘年会をしようと思うて呼びに来たんやで♪」

 

加々美「んっ!やぁんっ♥」

 

クロエ「いやいや!今目的と行動が一致してませんよね!?なんで加々美さんの胸を揉んでいるんですか!」

 

ソラ「そんなんこないなカワイイ嬢ちゃんのデッカくてエッロいオッパイが目の前に有ったならモミモミせぇへんと失礼やろがっ!常識やで♪」

 

解答者一同〔〔〔〔〔〔〔そんな常識有ってたまるかっ!!〕〕〕〕〕〕〕

 

加々美「んっ♥らめぇ、おっぱい、もう揉んじゃらめぇぇえ~♥」

 

ソラ「ゲヘヘ、ええやないか~ええやないk———ぐへぇっ!!?」

 

このままではこの作品をR-18版に移さなくてはいけないかもしれない・・・そんな危険な状況になったその時、突然明後日の方角から何者かが放った一本の魔力矢が飛来して来て加々美の乳房を揉みしだいて超ゴキゲン状態のソラの服の後ろ襟を刺し穿ち、そのまま非常口から外に歩く猥褻罪(ソラ)を強制退場させて行ったのだった・・・。

 

出雲那「・・・・何だったんだ、今のは?・・・」

 

重勝「おいおいカナタ、今のセクハラヤローがお前らの学園の最強だってーのか?」

 

カナタ「ていうか全学生空士の頂点だな、信じられねーだろーけど」

 

善吉「マジかよ!?大丈夫なのかお前らの世界っ!!」

 

涼花「まあ何にせよ、危うくこの作品が18禁になるところ助かったわね。・・・それにしても今の魔力矢、いったい誰が放ったのかしら?わたしでも全然気配を感じ取れなかったのだけれど・・・」

 

ルーク〔リカ姉ェ、やっぱり一緒に来てたんだな。相変わらずの隠密と変態級の射撃精度だぜ。きっとソラ兄は今頃外でリカ姉にシバかれているに違いねぇな・・・〕

 

嵐のような出来事が過ぎ去って唖然とする解答者一同。たった今スタジオの外から地獄の底から来るような悲痛の叫びが聴こえて来た気がするが・・・知らぬが女神(エイドス)だ。

 

加々美「ハァハァ・・・ハァハァ」

 

霞「おーい、大丈夫ですかー?もしかして・・・感じちゃって◯れたとか?」

 

加々美「ハァハァ・・・ちょっと♥」

 

霞「〔うわぁドン引き・・・〕・・・そんじゃ次の問題行くぞ、第二問」

 

ペタリと床に座り込んで呼吸を整える加々美の爆弾発言に引きつつも霞はクイズの進行を再開する事にした。

 

霞「次は今日で丁度連載一周年を迎えた多重クロスオーバー作品【幻想戦記クロス・スクエア】からの出題」

 

巨大モニターには四角の形をした独特な島の上にある学園都市が映し出される。

 

出雲那「今度はオレ達の物語か。第一章の【壊れた非常識な日常編】もそろそろ大詰めだな!」

 

明日香「宿敵である【終末の蛇(ヨルムンガンド)】の執行者達と死闘を繰り広げたり、風紀委員長のクレア・ハーヴェイ先輩の偽物が出てきたり、シグナムさんが武内君の雷切によって一撃で昇天したりと最初の章だというのに凄く濃い内容だったと思うわね。今は武内君が危機的状況だけど、プロである私が付いているんだもの、何としても今回の異変を無事に収束させてみせるわ!」

 

マイ「張り切っているね明日香!私も頑張らないと」

 

善吉「ていうかこの作品でシグナム先輩の死に芸が横行しているのってウチ(クロス・スクエア)の所為だろ絶対っ!?」

 

シグナムが出雲那にボロ負けするのはいつもの事なので善吉の叫びなど気にも留めず霞は問題の内容を説明し始める。モニターに映し出されたのは【騎士甲冑を身に纏う鳳凰】のエンブレムだ。

 

霞「物語の舞台である【戦島都市スクエア】には俺や武内達が在学している【青竜学園】をはじめ【ヴァイスファング学園】や【聖ルシフェル学園】などの四つの戦士育成学校———まとめて【四大学園】と呼ばれている教育施設が点在しているけれど、季節毎に行われる四大学園対抗の闘技大会【四武祭(フェスタ)】においてここ三年間全ての大会で例外なく全てのタイトルを勝ち取っている名門中の名門校の名前は何?」

 

加々美「シンキングタイムスタートッ!!」

 

全チーム解答開始―――

 

出雲那「クッソー、それにしても【奴等】には毎度毎度優勝を持って行かれて悔しいったらありゃしないぜ!今年の四武祭は四つ全てオレ達青学が取ってやる!プライドに懸けてな!!」

 

善吉「カッ!当たり前だろ!俺は【アイツ】をブッ倒す為に青学に入ったんだからよ!!」

 

マイ「私もできるだけ皆のチカラになるよ」

 

明日香〔四武祭か・・・異界探索の妨げになりそうだし、たぶん私は全ての大会の出場を辞退するかもしれないわね・・・ちょっと残念だけど〕

 

ルーク「出雲那達でも勝てないとかどんだけバケモノ集団なんだその学園?」

 

ロイド「なんでも件の学園には世界に名を轟かせる程の猛者が多く在籍しているらしいですよ」

 

クロエ「中でも今の生徒会長である高等部一年の女子生徒は中等部時代に過去三年間全ての四武祭に出場してその全てで必ずベスト8以上の高成績を残したんだって。それでその人はその眼で【観た】相手の技・技術・異能を再現し【完成させて自分のモノにする】《完成(ジエンド)》という名のキチガイな能力を使う魔女(ストレガ)で実家は世界経済を担う冗談みたいなお金持ち、おまけに超が付く程の美人で欠点が見当たらない事から《完全無欠の聖人(ザ・パーフェクト)》という異名で呼ばれているそうだよ」

 

カナタ「ふーん。世の中にはとんでもねー奴が居るもんだな・・・」

 

幸斗「出雲那達でも勝てねぇのか!?やべぇ、オレそいつ等と戦いてぇっ!!」

 

涼花「いいからアンタも考えなさい。クロス・スクエアのストーリーが進めばこの作品にも反映されるんだから、どうせその内このカーニバルに出て来るわよ・・・蒼空がエタらせなければの話だけど」

 

重勝&楯無「「口にするとフラグが立つから言わねー(ない)方がいいぜ(わよ)姫ッチ(涼花ちゃん)」」

 

全チーム解答終了。

 

加々美「シンキングタイムが終了したところで出雲那&明日香チームと善吉&マイチームのスクエア組はもちろん、ルーク&カナタチームとクロエ&ロイドチーム等空戦情熱組も台座にシグナムちゃん人形を置いています!そしてなんと幸斗&涼花チームと重勝&楯無チーム等伐刀者組はスーパーシグナムちゃん人形を賭けに出しておりますっ!!」

 

霞「まあ消去方で考えて最後の問題はアイツ等の物語から出題されるだろうから、ここで使っとかないともう使えねーし、当然だな」

 

加々美「それでは———アンサーオープンッ!!」

 

*各チームの解答———

 

ルーク&カナタ:鳳凰学園

 

クロエ&ロイド:ナイツニュクス学園

 

幸斗&涼花:ナイツニクス学園

 

重勝&楯無:氷帝学園

 

出雲那&明日香:ナイツニクス学園

 

善吉&マイ:ナイツニクス学園

 

霞「んじゃ正解の発表」

 

テッレッレー!【ナイツニクス学園】と書いたチームの解答画面の背景がピンク色になった。

 

加々美「正解は【ナイツニクス学園】でした!出雲那&明日香チームと善吉&マイチームにシグナムちゃん人形を一つ、そしてスーパーシグナムちゃん人形を賭けていた幸斗&涼花チームにはシグナムちゃん人形を三つプレゼント!!」

 

霞「そして間違えた奴等が賭けたシグナムちゃん人形はボッシュートさせていただきま~す」

 

テレッテレッ―――グサッ!空戦情熱組が賭けたシグナムちゃん人形と重勝と楯無が賭けていたスーパーシグナムちゃん人形が先程と同じように動き出し、一斉に自害した後に台座よりボッシュートされて行った・・・。

 

善吉「・・・・・今思ったけどシグナム先輩って槍使わねー筈だよな・・・何で某槍兵みてーなネタで扱われてんだ?」

 

ルーク「アレ?鳳凰が描かれた校章だったからこれで合っていると思ったんだが・・・」

 

ロイド「見たまんまの名前な訳がないでしょうに・・・」

 

クロエ「あっちゃー、ケアレスミスで間違えちゃったね」

 

重勝「・・・おい楯無、お前に任せたのは俺が悪いけれど、何だよこの【氷帝学園】って!?テニヌか?王子様か!?王者名門は【立海大】だろ!!」

 

楯無「おーほっほっほっ!その氷一つ一つがお前の弱点よっ!!なーんてねっ☆」

 

【私の美技に酔いな!】と書かれた扇を広げてワザとらしく下手なお嬢様笑いをして楯無が場を掻き乱す————横で何時の間にか黒く美しい長髪が眩しい凛とした顔つきの美少女が楯無と全く同じポーズをしてその場に陣取っていた・・・純白の下着姿で・・・。

 

楯無「って誰君、いつの間にっ!!?」

 

???「気にするな、ただの通りすがりの生徒会長だっ!(凛っ)」

 

重勝〔俺が全く気配に気付けなかった!?何者だ、この痴女〕

 

突然現れた自称【通りすがりの生徒会長】。その正体は解答者の内の一人にとって招かれざる客であった。

 

善吉「ゲッ!めだかちゃn———《黒神(くろかみ)めだか》!!なんでてめぇが此処にっ!!?」

 

そう、彼女こそが噂の【完全無欠の聖人】黒神めだかである。

 

めだか「つめたいな善吉、そんなの家の面子の所為でたった一つの決められた学園にしか入学する事が許されない私を置いて別の学園に入学した薄情者の幼馴染の顔を見に来たに決まっているだろう!だが安心しろ、私はそんな薄情者の貴様の事を嫌ったりはしないぞ!今でも私は貴様の事が大好きだっ!!(凛っ!)」

 

出雲那&明日香「「愛の告白っ!?」」

 

善吉「いいいいいから服を着ろ服をっ!ていうか何で下着一丁なんだよ!?人目をはばかれって何回言ったら分かるんだてめぇはっ!!」

 

めだか「?・・・さっぱりわからん。練り上げたこの肉体を衆目にさらすことに一体何を躊躇う必要がある?寧ろ見てくれ!肌をジロジロと見られるとゾクゾクして気持ちが良いのでな!!」

 

重勝達の席を立ってバッと純白のブラジャーに包まれた美巨乳を強調するポーズを取るめだか。

 

カナタ「変態かよ・・・」

 

ロイド「変態ですね・・・」

 

めだか「フッ、何とでも言うがいい!」

 

涼花「変態痴女過ぎて小動物も逃げ出すわね」

 

めだか「がはっ!!?」

 

かいしんのいちげき!西風の鉄の乙女(アイアンメイデン)の毒舌が完全無欠の聖人に999999の限界突破特大ダメージをあたえた。

 

めだか「私は・・・私はどうしようもなく駄目な変態だ・・・可愛らしい小動物になついてもらえないなんて・・・」

 

霞「・・・クイズの進行の妨げになるからそろそろ部外者には退場してもらおうか」

 

霞がそう言って何やらラジコンのコントローラーのような物を取り出し操作する。すると【ず~ん】と床にブッ倒れている変態痴女の頭上から巨大なUFOキャッチャーのアームのような物が下りて来て変態痴女が衆目に晒している純白のブラジャーの紐を掴み、そのまま変態痴女を宙吊りにしてスタジオの端に何故か存在している通風孔にダストシュートをしたのだった・・・。

 

カナタ「・・・なあクロエ、今の変態痴女がさっきお前が言ってた欠点が見当たらない【完全無欠の聖人】なのか?」

 

クロエ「わたしはあくまでも噂の内容を話しただけだからね!」

 

霞「んじゃ文字も一万字超えちまったし、とっとと最終問題やって終わりにすんぞ」

 

一同〔〔〔〔〔〔〔身も蓋もないなっ!!〕〕〕〕〕〕〕

 

霞「最終問題。当然残った【運命を覆す伐刀者】からの出題だな、ライトノベル【落第騎士の英雄譚】を原作とした二次作品で生意気にも前の更新で50話を達成した蒼空の魔導書の作品の中でも一番の人気作だ」

 

巨大モニターにお馴染の破軍学園が映し出された。(最早テキトーである)

 

幸斗「やっとオレ達の物語の番か。最近オレなんかB◯EACHの◯護みたいに出番が遠のいている気がするんだけど・・・」

 

涼花「【学内選抜戦編】もクライマックスだというのになんか重勝の過去話なんてものをはじめてしまったのだしね。一部の読者からも【これ重勝が主人公じゃね?】なんて言われているわよ」

 

重勝「ハハハハッ!まっ、俺の過去をやり終わるまでの辛抱だぜ。これが終われば今までの伏線を一気に回収するお楽しみの選抜戦最終戦が始まるんだからな!」

 

楯無「因みに選抜戦最終戦を終わらせて【学内選抜戦編】が終了したら、今活動報告でやっている人気投票でベスト3になったキャラ三人をメインにしたそれぞれの番外編を書くみたいよ。人気投票は今日までが締め切りだから、みんな投票よろしくね♪」

 

【締め切り迫る!】と書かれている扇をバッと開く楯無のメタ発言を後目に巨大モニターには今まさに鬼童丸を振り上げんとする幸斗の姿が映し出された。

 

霞「【運命を覆す伐刀者】の熱苦しい熱血野郎な主人公【真田幸斗】は魔力量F-の無才伐刀者でありながらも過去の傭兵生活で想像を絶する鍛練や数多の戦場を踏み越えて攻撃力EX(測定不能)の埒外の膂力を一から鍛え上げた規格外のEランク伐刀者ですが、原作のヒロインであるステラ・ヴァーミリオンを選抜戦敗退に追い遣った決定打にもなった幸斗の代名詞である最強の必殺技の技名は何でしょうか?」

 

加々美「ラストシンキングタイムスタートッ!!」

 

全チーム解答開始―――

 

幸斗「へっへーんっ、楽勝!オレの自慢の必殺技だからな!!」

 

重勝「リミッター付きで関東地方の約半分を日本地図から消せるレベルのド派手な一撃だからインパクトがデケーしな・・・まったく、七年前の【あの戦い】でいきなりお前がコイツをブチかました時は俺でも胆を冷やしたもんだぜ」

 

涼花「重勝、気持ちは理解できるけれどそれはまだ本編で出していないネタバレだからこれ以上は止しておきなさい。後、重傷になるまで痛めつけた相手を拘束した上で禁技指定級の伐刀絶技でオーバーキルするアンタが言えた義理じゃないでしょう」

 

楯無「ふふっ、まさに幸斗君を象徴する【究極の一】ね♪しかもこれが魔力を一切使用していない【剣圧】だって言うのだから驚きだわ」

 

ルーク「この前のアトラクションで幸斗と出雲那と一緒に月に行った時に初めて見たけど、凄すぎて言葉にならなかったぜ。月の約四分の一をブッ壊したんだしな!」

 

カナタ「ただの剣圧ですら山を消すし、ホント幸斗ってブッ飛んだ奴だよな。重勝の奴は一体幸斗にどういう教導をしたんだよ?」

 

クロエ「昔は何をやってもダメダメだったって聞いたから、きっとどんなに苦しくても限界を超え続ける超特訓だったに違いないよ♪」

 

ロイド「何でそんなに嬉しそうにしているんですか・・・」

 

出雲那「ああ~、月面基地に行ったあの時はマジで死ぬかと思ったぜ・・・(汗)」

 

明日香「ただでさえ人の想像を絶する膂力を持っている上に【戦場の叫び(ウォークライ)】によって集中的に強化した両腕を全力全開で振るい、その手に持った霊装の規格外過ぎる剣圧で強大な事象改変を引き起こして16.8PJ(ペタジュール)の波動砲を撃ち放つ超破壊の一撃・・・剣圧だけでプルトニウム爆弾(長崎原爆)二百発分の威力を叩き出すなんて馬鹿げているわ。しかもこの数字はリミッター付きで計った発生エネルギー量だとか、呆れを通り越してもう笑うしかないわね・・・」

 

善吉「怖っ!!なんじゃそりゃあ!!?リミッター付きの時点でスクエアの都市全域を消滅させて余裕でお釣りが来るレベルの規模じゃねーかよっ!!!」

 

マイ「幸斗はこれまでにこの技で気象庁の人工衛星や国の惑星探査機を宇宙の塵にしちゃった事があったんだってさ。おかげで破軍学園の理事長の胃がもう危ないかもって噂だよ」

 

全チーム解答しゅーりょー!

 

加々美「さて!最後に各チームが賭けたシグナムちゃん人形は幸斗&涼花チームと重勝&楯無チームはルール上当然通常のシグナムちゃん人形を!そして残りの4チームは全てこの最終問題まで取っておいたスーパーシグナムちゃん人形を台座に置きました!!」

 

霞「ふあ~あ、これでようやく終われるな・・・そんじゃ———アンサーオープンッ!」

 

*各チームの解答———

 

ルーク&カナタ:龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)

 

クロエ&ロイド:獄殺剣(ダーインスレイヴ)

 

幸斗&涼花:龍殺剣

 

重勝&楯無:龍殺剣

 

出雲那&明日香:龍殺剣

 

善吉&マイ:究極戦略兵器剣(アルテマウェポン)

 

加々美「最後の解答が出揃いました!ここまでで幸斗&涼花チームがシグナムちゃん人形七つにスーパシグナムちゃん人形一つでトップ!二位である善吉&マイチームに2ポイント差をつけております!!」

 

霞「果たして優勝の栄冠に輝くのはどのチームなのかー(棒)。とっとと終わりにして明日葉ちゃんと兄妹水入らずの大晦日を過ごしたいところだし・・・そんじゃ最後の正解をはっぴょーうっ!」

 

テッレッレー!【龍殺剣】と書いたチームの解答画面の背景がピンク色に変化した。

 

加々美「正解は【龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)】でしたっ!幸斗&涼花チームと重勝&楯無チームにシグナムちゃん人形を一つ!スーパーシグナムちゃん人形を賭けていたルーク&カナタチームと出雲那&明日香チームにはシグナムちゃん人形を三つプレゼント!!」

 

霞「例によって例の如く、間違えたその他のチームが賭けていたスーパーシグナムちゃん人形はボッシュートさせてもらう・・・ハァ、もう面倒だしこれでいいか・・・」

 

霞はどこからか自爆スイッチの端末を取り出して手に持った。

 

善吉「ちょ、ちょっと待てっ!アンタ何しようとしてんの!?止めろぉぉおおっ!!!」

 

霞「いいや!早く愛する明日葉ちゃんに会いたくて限界だ!押すねっ!!」

 

ポチッとな。

 

不正解者達「「「「どあぁぁあああああっ!!?/きゃぁぁあああああっ!!?」」」」

 

クロエ&ロイドチームと善吉&マイチームの台座に置かれているパツキンのシグナムちゃん人形が爆発四散!慈悲は無い!!

 

クロエ&ロイド「「ゲホッ!ゲホッ!!」」

 

善吉「なんて事すんだよ社畜先輩ィィッ!!」

 

マイ「全身真っ黒焦げになっちゃったじゃないかっ!!」

 

霞「はぁい、終了~っと!かがみん、優勝チーム発表して」

 

善吉&マイ「「無視すんなっ!!!」」

 

加々美「はいっ!2017年大晦日【クイズ蒼空の魔導書の記述 あんな~こ~と こんな~こ~と あった~でSHOU】年末スペシャル、優勝は全問正解でシグナムちゃん人形をスーパー合わせて九つ所持しております!【幸斗&涼花チーム】デーーーーーーーーースッ!!!」

 

幸斗「グラッツェ!オレ達の優勝だ!!やっリィッ!!今までの努力の成果が出たぜっ!!!」

 

涼花「まあ、最後以外はわたしが解答したのだけどね・・・」

 

幸斗「おしっ!そんじゃ優勝祝いの祝砲を上げるぜっ!!」

 

一同「「「「「「「ゑ?」」」」」」」

 

幸斗「運命を切り拓け!鬼童丸っ!!」

 

一同「「「「「「「ちょっと待てぇっ!!!」」」」」」」

 

幸斗「うおぉぉおおおおぉおおっ!!龍殺剣ァァァアアアアーーーーーーーーーッ!!!」

 

幸斗は優勝した調子に乗って霊装を顕現させ、スタジオの天井に向けて龍殺剣を全力全開でブッ放してしまった。強大な事象改変によって発生した16.8PJの極大波動砲が解き放たれ、ハリケーンのような強烈な余波でスタジオ内を荒らしながら天井を消滅させて大晦日の夜空へとグングン昇って行く———

 

シグナム「何故私は武内出雲那に勝てんのだ。このままではベルカの騎士としての矜持が・・・いや、流離の烈火の将とあろう者が愚痴など見苦しいな。勝つ為には精進あるのみ・・・・・んっ!?何だアレh———」

 

そして偶然飛行魔法で夜空を巡回中だったシグナムを飲み込み周囲の雲を吹き飛ばして大気の層を突き貫く、そのまま衛星軌道上の人工衛星をも宇宙の塵にして、月をバックに大きな花火が咲き乱れたのだった。

 

幸斗「たーまやーってな!みんなっ!!来年も蒼空の魔導書の奴が投稿する作品をよろしくなっ!!!」

 

涼花「こぉのおバカッ!せっかくまともに終われると思ったのにスタジオがメチャクチャじゃないのよ!!」

 

重勝「ハハハ、周辺の建物も倒壊したしな!」

 

霞「あぁ・・・また事後処理で残業かよ・・・(泣)」

 

加々美「あはは・・・休憩用の年越しそばでも用意しておきますね」

 

善吉「こんなザマで来年もやって行けるのかよ?カッ!先が思いやられるぜ・・・」

 

明日香「頭が痛いわ。神話級グリムグリードの出現並に・・・」

 

クロエ「まあまあ。花火綺麗だし、この方がわたし達らしくて良いじゃないですか」

 

カナタ「正直季節外れだけどな・・・まっ、いいんじゃねーか?」

 

出雲那「そうだな・・・今年ももう終わりだ、過ぎ去る過去は思い出に変えて!」

 

ルーク「来年(あした)に向かって前進あるのみだぜっ!!」

 

彼等は征く!見果てぬ未来(さき)まで続く戦いのロードを!!

 

天の光は星々の輝き。そして今回も犠牲になったシグナムが、この大晦日の夜天で微笑んでいるような気がした・・・一筋の流れ星と共に。(キラッ☆)

 

 

 

 

 




読者の皆さん!今年一年お疲れ様でした!来年もよろしくお願いします!

実はというとまた二次創作の新作を考えていたりします(おいっ!?)。一月中にその短編予告を書く予定だったり・・・執筆遅い癖に懲りないな~自分・・・まあ、連載中の各作品の更新が優先なので、あくまで予定ですけど。

改めまして皆さん良いお年を!来年もお互い頑張って行きましょう!!それでは今年はこの辺で————サヨナラーーーーーーッ!!!



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風雲聖王のゆりかご城【城攻編】 ※ゲスト有り

蒼空キャラ達の狂宴、新年初更新&コラボ回!!

今回は【パッチェ】さん作、《新・魔法少女リリカルなのは~剣神と夜天の輝き》の可愛いカワイイ男の娘主人公がゲストとして登場します!

久しぶりという事で、いつもより暴走度が増し増しなカオスな回となっております!お楽しみください!




ルーク「荒ぶる最強の空戦魔導士のポーズ!(シャッキーン!)」

 

ハチャメチャな平和な日々が続く蒼空ワールド。

 

ルーク「へっ!決まったぜ・・・ん?」

 

そんなクソが付く程蒼い空に、突如として暗雲が立ち込めた。

 

ルーク「な・・・何だアレh———ぎにゃぁぁあ”あ”あ”ーーーっ!!」

 

油断して絶対空気感覚(フィール・ザ・アトモスフィア)を狭めた所為で落ちて来た雷に打たれたマヌケが真っ黒焦げになって空から墜ちて行く・・・その直後、暗雲の中から謎の巨大城塞空中戦艦が姿を現したのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、学園浮遊都市ミストガン空戦魔導士科執務室——

 

????「よく集まってくれたな、選ばれた精鋭共。俺はミストガンの空戦魔導士科長(ガーディアンリーダー)、《ジョバンニ・ジョルフィード》だ。早速だが作戦の説明を始めさせてもらうぜ」

 

背後の巨大空間モニターに映る突如として空に現れた巨大城塞空中戦艦を指し棒でさし、身長190cmの長身で筋肉質な偉丈夫———ジョバンニが目の前に集まった10名の精鋭達に毅然と作戦内容の説明を始めようとしていた・・・のだが。

 

幸斗「ぷはははっ!何だあの戦艦?紫色のデッカイ紙飛行機っぽいモノの上に安◯城が乗ってやがるんだけどーーーっ!!」

 

出雲那「ちょっ、幸斗!?たぶんここにいる全員が思った事を口に出して言うなよ!笑うの我慢できなくなるだろ・・・だ、だめだ。ぎゃははははっ!!」

 

モニターに映る城塞空中戦艦が実にヘンテコな形をしていたので一同はそれを見て騒然(笑)としていた。

 

楯無「あはは、アレってもしかしてリリカルな聖王のゆりかごじゃない?ぷぷっ。な、何で◯土城を乗せているのよ?(【奇天烈】と書いてある扇を開きながら)」

 

重勝「前から思っていたけど、あの形デザインした奴、相当頭ん中チャランポランじゃね?」

 

明日香「私はそれよりも何で安土◯みたいな和風な城がゆりかごの上に建てられているのかが気になるわ・・・聖王が治めていた古代ベルカって欧州に近いイメージだったのだけど・・・」

 

ジョバンニ〔イラッ!〕

 

???「・・・はぁ・・・」

 

人が説明しようとしている時に騒ぎ立てる連中に苛立ちを覚えて青筋を額に浮かべる空戦魔導士科長。それを見兼ねた彼の補佐役《フロン・フラメル》が溜息を吐いて集まった精鋭達を見回すと、なんだか人数が足りないような気がした。

 

フロン「?・・・ねえ、特務小隊(ロイヤルガード)の《リオス・ローレ》先輩は何処にいるの?それと【異世界の助っ人】の姿も見えないのだけど」

 

フロンの問いに全員が執務室を見回しだした。今回は《新・魔法少女リリカルなのは~剣神と夜天の輝き》の世界の主人公がゲストで来ている為、全員気になっていたようだ。

 

ジョバンニ「チッ、どいつもこいつもこの非常時に」

 

???&?「「ZZZ~」」

 

楯無「あら?可愛らしい鼾が二つ聴こえるわね・・・」

 

重勝「執務机からだな」

 

執務机の上の天井ギリギリまで積まれた書類の山を退かすと、そこには黒髪で女寄りな童顔の少年と銀の長髪が目に付く薄幸の美少女・・・もとい俗に言う男の娘が一緒に猫のように丸まってスヤスヤと居眠りをしているではないですか。

 

明日香&楯無〔〔か、カワイイ♥〕〕

 

出雲那「な、なんだかトニーみたいな事をしているなこの二人。チビで幼女面なのも共通しているし・・・」

 

重勝「確か黒髪の方がミストガンの特務小隊員のリオスで、銀髪の方が噂の———」

 

フロン「異世界から助っ人で来た《八雲夜(やくも よる)》よ。まったく貴方達ときたら、少しは緊張感をm——」

 

フェイト?「お・・・おお・・・」

 

出雲那「?・・・フェイト先輩、何震えてんだ?風邪でm——」

 

フェイト?「お持ち帰りィィーーーーッ!!!♥」

 

出雲那「はいィィッ!!?」

 

お昼寝タイムの二人のショタっ子の出現を前にフェイト・T・ハラオウンと瓜二つなミストガン【A16小隊】小隊長《フェイト・アストレイ》は己の欲望を抑えきれず、ル◯ン脱ぎで下着姿になって喜声(奇声?)をあげ、鼻血を流しながら不◯子ちゃ~ん♥と言わんばかりのル◯ンダイブで二人の眠り姫(?)に飛びつこうとする・・・のだが——

 

???「姉さん、いい加減に少しO★HA★NA★SHIしようか・・・」

 

魔双剣戦技———旋魂の円刃(ソウルブラー)殺傷力0ver

 

フェイトA「ぶげっ!?」

 

そこはお目付け役である弟兼A16小隊副隊長《アディア・アストレイ》がすかさず魔双剣《スワローテイル》を振るって放った真空円盤によって変態ショタコン姉さんは横に吹っ飛ばされたのだった。

 

出雲那「——って、フェイト先輩じゃなかったんかいっ!」

 

『ズドォォン!』

 

リオス「むにゃ?・・・んん~、うるちゃいな・・・」

 

夜「うにゅ・・・みんにゃ、おは、にゃ・・・うー」

 

楯無&明日香「「ブゥゥーーーッ!!(鼻血が噴水の如く)」」

 

幸斗&出雲那「「楯姉っ!!?/柊っ!!?」」

 

作戦を前にして女子三名が特大ダメージを負ってしまうという不測の事態(笑)。恐るべし男の娘・・・それを余所に壁に無言で背中を預けていた精鋭最後の一人が不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

????「フンッ、くだらん。戯れている場合か?」

 

出雲那「っ!!・・・そういや、どういうわけかテメェも来てたんだったな」

 

【幻想戦記クロス・スクエア】において出雲那の敵である筈の黒外套銀髪褐色肌オッドアイ野郎、結社《終末の蛇(ヨルムンガンド)》の執行者No.ⅩⅢ《プルート・A・イグナイト》・・・どうやらこのカーニバルは敵味方関係無しに参加させられるようだ。

 

プルート「莫迦莫迦しい、くだらない事をやっているのならば俺はもう行くぞ」

 

ジョバンニ「オイッ、テメェ勝手に何所に行くつもりだ!まだ何をするか——」

 

プルート「あのセンスの無い次元航行艦を墜とせばいいのだろう?馴れ合いはしない、俺は勝手にやらせてもらう」

 

プルートはそう吐き捨てて執務室から出て行ってしまった・・・言う事を聞かない問題児共にジョバンニはそろそろ我慢の限界だ。

 

出雲那「おいジョジョ!どうするんだよ!?あの野郎勝手に一人で行っちまったぜ!!」

 

幸斗「ジョジョ!楯姉達の出血量がヤバイ!輸血パックは何処にあるんだよ!!」

 

重勝「ん?・・・おいジョジョ、あの《聖王のゆりかご城》から武士甲冑姿のガジェットが大量に出て来てんぞー。急いだ方が良いんじゃねーか?」

 

夜「ん・・・ジョジョ・・・承◯郎?」

 

リオス「アハハッ♪そ~の~◯~の~さ~◯~め~、ジョ~ジョッ!なんちゃってね♪」

 

ブチィッ!

 

ジョバンニ「ジョジョ、ジョジョとやかましいっ!!鬱陶しいぞこの馬鹿共----ッ!!!」

 

響き渡る空戦魔導士科長の怒声。結局作戦内容は外に移動しながら通信結晶越しに伝えられる事となった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で(どんな訳だよ!?)地上三千メートルを浮遊するミストガンの十一番区発着場に揃った十名の選ばれし精鋭達!

 

ジョバンニ『イグナイトの奴がさっき言った通り、ミッションのクリアー条件は此処から約五キロ先の空域に出現した【聖王のゆりかご城】の制圧、及び撃墜だ!』

 

重勝「さりげなく俺が言った名前を採用しているな・・・」

 

ジョバンニ『各員目標の周囲を遊弋する《武者ガジェット》共を駆逐しつつ目標に接近し内部に進入、船首と船尾付近にそれぞれ設置されている駆動炉を破壊し後に上層部の城に進撃、天守閣を目指せ!そこにこの件の主犯が居る筈だ、そいつを倒せばミッションコンプリートだ!』

 

楯無〔既に情報収集済みって、まだあの城塞空中戦艦が出現してから三十分程度しか経ってないわよね!?〕

 

因みにこの三十分間で情報を集めたのは某毒舌戦術家であったりする・・・。

 

ジョバンニ『ゆりかご城を衛星軌道上に上がらせるなよ!原作のゆりかごと同様に月の魔力を取り込んで艦の性能を上昇させやがるそうだからな!その前に終わらせろ!!』

 

アディア「メタいですよ空戦魔導士科長・・・」

 

幸斗「ま、もしそうなってもオレが戦鬼の叫び(オーガクライ)+龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)で宇宙の元素にしてやるよ!」

 

出雲那「お前もう過去の古代ベルカにトリップして戦争終わらせて来たらどうだ?」

 

夜「ん・・・歴史改変・・・」

 

ジョバンニ『ずべこべ言ってんじゃねぇ、今言った事を胆に銘じてとっとと行け!目指すは風雲聖王のゆりかご城だ!!』

 

あの空に向かってTake-off!

 

リオス「アハハハ!それにしてもみんな空を飛べるんだね♪」

 

重勝「跳んでる奴(幸斗)と足場を造って踏み跳ぶ奴(明日香)も居るけどな」

 

フェイトA「空に浮かぶ空中戦艦が目標だからこの人選なんだと思うよ。空戦できないとどうしようもないし・・・まあそれよりも、何その夜きゅんのバリアジャケット!?着物!男の娘の着物姿!!萌えぇぇーー♥(鼻血ブー)」

 

幸斗「てか寧音先生がいつも着ているのと同じじゃねソレ?」

 

フェイトA「夜きゅぅ~ん!こっち向いて♥(鼻血だらだら)」

 

夜「んっ!」

 

幸斗「ちょ!?何でオレの背中に隠れやがる?引っ付くなよ!」

 

夜「んんーっ!」

 

いかがわしい煩悩を鼻から垂れ流して欲情を向けて来るフェイトに身の危険を感じ、必至に幸斗の背中に顔を埋める夜。その彼の行動を目の当りにして一瞬呆然となったショタコンは恨めしい歯軋りと同時に眼から血涙を流し、怨念が籠った視線を幸斗に向けるのだった。

 

フェイトA「よ、夜きゅん・・・おのれ真田幸斗ォォオオオ!」

 

出雲那「逆恨みでバルディッシュを幸斗に向けるなぁぁあっ!!何で名前も顔も声もスタイルも防護服(プロテクター)も魔装錬金武装に至るまでフェイト先輩と全く同じなのに変態なんだコイツはぁぁあああーーーー———」

 

プルート「莫迦が、前に集中しろ!ガラクタ共が来たぞ!!」

 

出雲那「——ってテメェ!?【馴れ合いはしない】とか言っておいてオレ達に着いて来てたんかーいっ!!てっきり遥か前に先行しているのかと思ったぜ!!」

 

ギャーギャーする中、前方から向かって来る武者鎧装甲の飛行型ガジェット達が雨霰の如くレーザーを撃って来る。数、無量大数。

 

針を刺すような点撃の絨毯攻撃が空を翔ける精鋭達に襲い掛かり、彼等をレーザー群の中に閉じ込めた・・・しかし——

 

出雲那「この程度屁でもねぇ!」

 

幸斗「纏めて正面から蹴散らしてやらぁっ!!」

 

夜「んっ!」

 

普通なら蜂の巣の如く全身を孔だらけにされるのだが、彼等は某時空管理局の魔導師ランクで言えば全員Sランクオーバーを超える戦闘力を誇る規格外軍団、レーザーの嵐の中を絶妙に避けながら縫うようにして進攻、または結界スキルで防御、或いは手に持つ得物やスキルでレーザーを薙ぎ払って降りかかる脅威を次々と駆逐して行った。

 

重勝「それにしてもこのガジェットドローンってさ、今撃って来てんのは戦闘機のような形だけど、他はカプセルだったりボールだったりと、デザイン手抜きじゃねーのかって思わね?」

 

楯無「そうね、ださいセンスよね。このポンコツちゃん達はなんでも古代ベルカ時代に存在した機械兵器を参考にとある科学者が製作したらしいのだけど」

 

リオス「うん、正直プラモにもならないくらいダサイよね!」

 

夜「ん・・・造って・・・みても・・・正直邪魔」

 

慣れてきて余裕ができたのか、レーザーの嵐の中を進みながらガジェットの外見を貶しだす始末・・・どこかの次元世界で無限の欲望の名で知られる科学者が落ち込んだ気がした。

 

明日香「捉えた!はぁぁっ、《ブリザードピアス》ッ!」

 

フェイトA「私のカワイイ天使達(リオス&夜)を傷付けるな!このガラクタ共がぁぁぁあっ!!」

 

そしてとうとう武者ガジェットの群に接近。同時に精鋭達による蹂躙が始まった。空域のあちこちで汚い花火が次々と咲き乱れ、哀れなガジェット達は次々とスクラップになって奈落へと墜ちていく。

 

夜「ん・・・僕・・・も・・・」

 

ゲストである夜もやる気のようだ。《重力を操る程度の能力》で身体を制御し殺到するレーザーを躱しつつ腰に差した刀型デバイス《夜刀(やと)》の柄を握り、身体を捻りながら一体の武者ガジェットに接近——そして自分と敵の影が交差すると同時に鞘から刃を抜き放った。

 

絶技———夜風ノ爪(よかぜのつめ)

 

チャキッ!と目にも映らぬ疾さで鞘に刀身を納刀した刹那、後ろの武者ガジェットが無数の鎌鼬現象に切り刻まれて無数の鉄屑に変わり、ガラガラという音を立てて奈落へと落下して行った。

 

夜「ふ・・・新しい技・・・決まった」

 

フェイトA「キャー!夜きゅぅぅうんっ♥カッコカワイイィィーーーッ!!」

 

幸斗「おおぉぉーーーっ、すげぇな!やっべ、ワクワクしてオレ夜と戦いたくなってきたぜ!!」

 

明日香「これが《剣神》の剣技・・・正直見えなかったわ」

 

出雲那「ああ、下手をしたら【風の剣聖】並かも・・・てか新技って?」

 

重勝「ん?蒼空の奴言ってなかったのか?八雲をゲストに借りたお礼に新しい八雲の剣技を複数考えてこのコラボで使用させて、本編でも使えるように八雲の生みの親にプレゼンするんだってさ。事前に許可は貰ったみてーだ」

 

アディア「お気に召してくれるといいんですけどね・・・」

 

ホントにね。許可してくれてありがとうございます!(感謝)

 

リオス「あ、大きいハンバーガーだ♪」

 

夜「ん♪」

 

出雲那「何でハンバーガーが浮いてんだよ!?」

 

リオス「はむ♪・・・んんー、おいひー!」

 

夜「ん♪(もきゅもきゅ)」

 

フェイトA「シャッターチャンス!フェイトフラッシュ!!」

 

アディア「ね・え・さ・ん!(怒)」

 

んでもって巨大なハンバーガーが雲の中から出現したり、武者ガジェット達の群の中に一体だけイカが混じっていたり、そのイカが剣道三段だったりと色々と可笑しなお菓子な事象が発生するが、全員無傷のまま武者ガジェットの数を着々と減らしていく。

 

プルート「ええい、面倒だ!纏めて灰にしてくれる!!」

 

そして短気な厨二病が痺れを切らし、厨二らしい漆黒の焔を纏う刀型の霊装《火ノ加具土(ひのかぐつち)》の切っ先を天に掲げて厨二的必殺技のお約束である詠唱を唱えはじめた。

 

プルート「≪冥界の底より出ずる死の黒焔よ、現世の光に陰を堕とす暗黒の陽と成りて、生きとし生ける全てを灰燼に帰せ。光は要らぬ、我が求める世界は深淵の暗黒、その内で屍の山を天まで積み上げる修羅の道こそが己の覇道!故に光は要らぬ、焦がれる黒き焔に抱かれ、捧げられし焔(ほむら)の破壊こそが我が愛だ!さあ、墜ちるがいい、闇の太陽よ!≫」

 

一同〔〔〔〔〔〔〔うわぁ・・・〕〕〕〕〕〕〕

 

プルート「《天カラ舞イ降リシ滅ビノ黒陽(デスヘリオス・カタストロフィー)》------ッ!!!」

 

厨二詠唱に全員がドン引きする空気の中、天に掲げられた切っ先に形成された超極大の黒焔の球形が、刃が振り下ろされると共に放たれた。

 

撃侵する暗黒の太陽が全ての武者ガジェット達を飲み込み、大空を焼き尽くして遥か彼方まで黒焔の空路(ダーク・フレイムロード)を開いて行くのだった。(痛)

 

プルート「闇の焔に抱かれて灰燼と帰すがいい!!」

 

出雲那「もうヤメロ、とっくにオレ達の精神のライフはゼロだ・・・」

 

プルート「ふんっ、ガラクタ共を一掃するには過ぎた一撃だったが、これで鬱陶しい塵屑は全て片付いた。貴様等、さっさと——」

 

その時、来た空路の下方から何故だか巨大な扇風機が首を伸ばしてせり上がって来た。

 

プルード「———・・・なんだあれは?」

 

出雲那「オレに聞くな」

 

幸斗「うっひゃー、相変わらずこの世界はわけわかんねぇなシゲ」

 

重勝「だな・・・だけどアレが俺達に何をしようとしているのかは大体見当がつくぜ」

 

アディア「当たってほしくありませんけど、現実は非情なんでしょうね」

 

明日香「・・・みんな、歯を食い縛りなさい!来るわ!!」

 

スイッチ————ON!(笑)

 

リオス「今だ、僕は鳥になるっ!」

 

夜「ん!」

 

男の娘以外「「「「「「「ぎゃぁぁあああっ!/きゃぁぁあああっ!」」」」」」」

 

リオス「アハハハハッ♪」

 

夜「あーれー」

 

扇風機が回り、凄まじい強風に飛ばされて行く精鋭達。本来ならこんな風彼等にとって屁でもないのだが、この世界には蒼空の強制力が働いている為、誰一人として抵抗できずに吹き飛ばされて行ったのであった。

 

幸斗「ふざけんな蒼空ぁぁあああっ!!」

 

出雲那「最近またワキガになりやがったくせにィィイイイイッ!!」

 

悪かったな。それとバラしてんじゃねぇカミナリトマト! by蒼空の魔導書

 

出雲那「誰がカミナリトマトだァァアアアアアアーーーーッ!!?」

 

アディア「飛行魔術の制御が効かないぃぃーーー!」

 

楯無「んー、これは激流に身を任せるしかないわね」

 

重勝「んじゃ焦っても仕方がねーか・・・そういや最近蒼空の奴がPSP版の某怒りの日を全ルートクリしたみたいだな」

 

明日香「こんな時に何の話をしているんですか!?」

 

幸斗「ああ、熊本先輩ルートのラストバトルは宇宙規模でスケールがとんでもなかったよな!オレもいつかはあんな究極の戦いを———」

 

重勝「お前が口にすると冗談になりそうもねーから怖ぇんだよ」

 

プルート「一言、くだらん」

 

リオス「でも先輩ルートのED前で言った再会の質問が【キミ、熊本行きたい?】だったのはおもしろかったよね♪」

 

重勝「おもしろかったシーン挙げるのそこなのかよ?」

 

楯無「最後のアフターストーリーでベア子が腐りかけてたのも笑ったわね♪男同士の絆に萌えて変な趣味に目覚めそう、【きゃー、夜のティーガー。みたいな】とか危険な事を手紙に書いていたし。私も興味・・・あるかも♪」

 

夜「すごく・・・一撃必殺・・・です」

 

出雲那「屑兄さんの創造で物理的に腐りやがれ」

 

ちなみに蒼空が一番大爆笑したのは黄昏の女神ルートの某足引きBBAのあんまりな扱いとその末路。(思い出して笑)

 

プルート「ただただ、くだらん」

 

重勝「危険なセリフと言えばバカスミルートの最終決戦で熊本先輩に問い詰められた子煩悩神父が言ったのもなかなか危険だったな・・・【私の子を産みなさい、テ◯ジア(某無限の欲望と同じ声)】」

 

明日香「うっ!?・・・それは、危ない人ね」

 

フェイトA「リオスきゅん、夜きゅん、私のk——」

 

アディア「言わせないよ」

 

ゴミを見るような眼の笑顔でカマイタチを放ち、変態ショタコン姉さんの頬に掠らせる。

 

アディア「次はないからね(ニコッ)」

 

フェイトA「ハ、ハイッ!(ガタガタガタガタ)」

 

楯無「黄昏の女神ルートのアホタルちゃんも紅騎士に捨て身で突っ込むシーンで危険・・・というより、もの凄い事を言い放っていたわ。【その歳で心まで処女だなんて、終わっているのよッ!】」

 

明日香「ぁ・・・ぁぁ・・・」

 

世の中の行き遅れた女性達を底知れる絶望の淵に沈めるような壮絶なセリフを聞いて明日香さん絶句・・・同時に多次元世界の某時空管理局所属のリリカルな人達の霊圧が纏めて消えたような気がした。

 

プルート「つくづく、くだらん」

 

出雲那「お前さっきからそればっかしか言ってねぇな?何だよ、話に混ざりたいのか?(ニヤニヤ)」

 

プルート「阿呆、そんなわけがあるか。貴様等、そんなくだらん雑談に現(うつつ)を抜かしている暇があるのか?風に飛ばされている間にもう目標は目の前だぞ」

 

プルートが心底馬鹿らしく鼻を鳴らして指をさした前方を一同は飛ばされながら視線を向ける、すると約500m先の空域に見えたのは何時の間にか撃墜目標である聖王のゆりかご城がその巨大でヘンテコな全貌を衆目に曝して宙に佇んでいるではないですか。

 

その周囲には城を守護するかのように武者ガジェット達が遊弋し、精鋭達の進行方向にて待ち構えている船首が彼等を見守っている。更には艦体の至る所に設置させている全ての半球のガラス状の対空レーザー砲門の標準が向かって来る(?)精鋭達に既に合わされていて、何時でも迎撃できる体勢が出来上がっているようであった。

 

幸斗「おおっ、いつの間に!?」

 

リオス「アハハハハッ!飛ばされながらおしゃべりしている間に目標に接近しちゃってたみたいだね♪」

 

楯無「アレが聖王のゆりかご城・・・夜君、あれどう思うかな?」

 

夜「すごく・・・大きい・・・です」

 

フェイトA「ガハァッ!!?(吐血)」

 

アディア「楯無さん、ゲストに危ないセリフを言わせないでください!」

 

楯無「あらあらゴメンね。私原作(IS)では妖艶で悪戯上手なお姉さんキャラなのに揶揄われてばっかりだったからツイ♪」

 

プルート「心底、くだらん」

 

重勝「で?どうするんだ楯無。このままだとあの迎撃体勢万全の敵陣のド真ん中に突っ込んで行く事になりそうなんだが」

 

楯無「そうね。聖王のゆりかごは原作だと船首付近に玉座の間が有って船尾後部に駆動炉が有ったのだけど、出発前の空戦魔導士科長さんからの通信によるとどういう訳か船首の玉座の間が二つ目の駆動炉に変えられちゃっているみたい。そうなると十中八九、玉座の間は天守閣にあると考えた方がいいわ。ゆりかご内部に入った後はさっき空戦魔導士科長さんが言っていた通りのプランで制圧するとして、問題は何処から侵入するべきかよねぇ」

 

幸斗「だったら簡単だな!正面の護りを火力でブチ破って船首にデッカイ風穴を空けて、そこから中に入りゃあいい!!それなら効率よく速攻で一つ目の駆動炉をブッ壊せるだろ楯姉?」

 

楯無「〔正面からは某管理局の魔導師が束になっても破れないとの情報なんだけど・・・〕うん、幸斗君ナイスアイディア♪ならそのプランで行きましょっか♪」

 

楯無は不敵に眼をギラつかせた幸斗を見て惚れ惚れするような満面の笑みをして作戦を決定した。

 

重勝〔楯無の奴、幸斗のバ火力で強引に正面の護りをブチ破るつもりのようだな・・・まっ、問題はねーな。幸斗なら不可能じゃねーし〕

 

夜「ん?・・・アレは・・・」

 

明日香「八雲君、どうかしたの?」

 

夜「アレ・・・ゆりかご城の・・・中から・・・」

 

一同「「「「「「「は?」」」」」」」

 

突然夜がゆりかご城の艦体の至る所にある射出口から続々と何かが射出されている事に気が付き、一同は夜が告げる言葉を聞いてゆりかご城の艦体の周囲に注目した。すると——

 

幸斗「は、はぁっ!?」

 

重勝「何なんだ、あのデカバエの大群はよ?」

 

なんと巨大な蝿のような形状をした不可解な蟲が大量に射出され、周囲を遊弋する武者ガジェット達と共にそれらが展開されて行く様子が窺えたのである。突然出現した大量の蟲の正体、それは空戦組が日夜戦っている宿敵。

 

アディア「ちょっと待ってください!?なんで《魔甲蟲(まこうちゅう)》が異世界の遺物であるゆりかごの中から!?」

 

リオス「アハハハ!全部《アルケナル級》みたいだね♪」

 

フェイトA「なーんだ、ザコじゃない。問題無いよ、構わず蹴散らしましょう」

 

アディア「いや、そういう問題じゃなくて!」

 

夜「ん・・・僕が道を・・・開く」

 

だが精鋭達の行く手を阻むにはこれでも足らないのであった。まずは敵艦の分厚いデカッ面をブチ破りに行く殲滅鬼(デストラクター)が通る道を切り拓く為、夜が道を塞ぐ有象無象共を一掃するべく前に出る。

 

夜「ん・・・」

 

足下に重力の足場を造り腰を落として闘気と魔力、そして意識を腰の夜刀に集中。柄を握り、静なる闘志を小さな身体の内にて燃やす。収束された魔力によって鞘が淡く発光し、その洗練されし刃を閃きと共に———抜き放つ!

 

夜「飛翔・千刃津流(ひしょう・せんばづる)」

 

抜き放たれた刃から放たれたのは超圧縮された真空の刺線、それが無数の葬列となって真っ直ぐと突き進み、艦を守護する雑兵共に広範囲に渡って殺到した。

 

夜「ん・・・汚い花火・・・だ」

 

明日香「この子、なんて事を・・・」

 

出雲那「すげぇ、オレの【星墜とし】よりも効率的で圧倒的な殲滅力だぜ・・・」

 

真空の刺線に一斉に貫かれた有象無象共は破砕音と爆発音の協奏曲(コンチェルト)を奏でて次々と爆発四散!剣神の妙技の前に一同は唖然と瞠目し、刀身を鞘に納める金属音をもって静寂が訪れた・・・が、それは一瞬のみであった。

 

重勝「今だ。行け、幸斗っ!!」

 

幸斗「おおうっ!!」

 

神々を絶する脚力で空気を蹴り、大気の爆散と共に運命を覆す伐刀者が飛び出して行く。

 

幸斗「運命を切り拓け!鬼童丸っ!!」

 

左の手に燃えるような朱い刀身を持つ太刀型の霊装を顕現し、最速で最短、ゆりかご城の船首に向かって正面からの一直線だ。故に幸斗は敵艦の殺傷領域(キルゾーン)のど真ん中を突っ切る事となり、艦に取り付けられた全ての対空レーザー砲門の標準が無謀な姿を正面に曝す鬼に向き、同時に某管理局の航空戦力が放つ砲撃魔法を圧倒的に上回る破壊の光が一斉に撃ち放たれた。

 

幸斗「・・・へっ!」

 

一斉に正面から飛来して来る聖王の破壊光・・・そんなもん一昨日来やがれと言わんばかりに鬼は笑い飛ばしていた。砲弾の如く前進飛翔しながら朱い刃を振り被り——

 

幸斗「オレ流!エクスッ、カリバァァァアアアアアーーーーッ!!!」

 

振り下ろして、勝利の聖剣(剣圧閃光)を放った。

 

人知を超越する剣圧が事象改変を引き起こして通った空間を歪ませる圧倒的暴力の光波が、実に簡単に聖王の破壊光を押し退けて分厚い装甲に覆われた船首に直撃する。

 

天地を揺るがす激震と圧倒的エネルギー量の爆発による衝撃波が大気を伝って周囲に広がり、この空域に存在する総ての森羅万象を嬲り尽くした。

 

出雲那「のぁああっ!?相変わらずメチャクチャなバ火力だぜ!!」

 

リオス「アハハハッ!凄い凄ーい!噂には聞いていたけれど、実際に見てみるとケタ違いに凄いよね♪」

 

夜「・・・うん・・・幸斗・・・おもしろい・・・!(キラッ)」

 

アディア〔あれ?なんか今一瞬、夜君の眼が煌いたような・・・?〕

 

重勝「よしっ!そのまま内部に突入して一つ目の駆動炉を破壊しちまえよ幸斗!俺達も後から続く!!」

 

幸斗「おうっ!!」

 

立ち上がっていた爆炎と煙が晴れるとゆりかご城の船首は穴が空くどころか全体的に木っ端微塵となって空洞になってしまっていた。某管理局員達が悔し泣く幻聴が聴こえて来た気がする。幸斗はそこから内部に入って降り立ち、そこの大広間の中央に浮く巨大なキューブ状のエネルギー結晶体に視線を向けた・・・その時——

 

アナウンス『侵入者確認!侵入者確認!対象をSSSランク級の脅威と判断し、防衛システムを作動します!』

 

悲鳴のようなアラートが鳴り響くと同時に大広間中の空間に無数のビット兵器が召喚され、その全ての標準が幸斗に定められる・・・のだが、そうは問屋が卸さない。

 

明日香「させないわ!凍れ、世界よ———《セルシウスサンクチュアリ》!!」

 

リオス「僕もそろそろ役に立たないとね♪カチカチに凍れ!」

 

魔砲剣戦技————氷結拘束砲弾(フリーズキャノン)

 

後から先行して突入して来ていた二人が氷結系統のスキルを発動し、召喚されて来たビット兵器達は纏めて氷漬けにされて何もする事なく無力化されるのだった。

 

幸斗「二人共サンキュッ!おおぉぉーーーーっ!!!」

 

そして鬼は太刀を手にキューブ状の結晶体———駆動炉の動力源に突撃する。

 

幸斗「オラァァァアアアアーーーーッ!!!」

 

跳び上がり、振り下ろした朱い刃が動力源に叩き付けられると、大気を爆砕する轟音がゆりかご城中に轟いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その轟音を耳にして、天守閣にて待つ者は——

 

???「ふふっ、なるほど、なかなかの凄腕達がこの城に侵入して来たみたいだね。おもしろい」

 

◯十歳になっても結婚できなさそうな声音で不敵に笑うこの人物・・・果たしてゆりかご城に突入した精鋭達を待ち受けるのは?部屋の電球がチカチカと切れそうでイライラするこの気持ちはどうすればいいのか!?最近F◯RKで引くガチャの悉くがマ◯リア付き装備ばかりで爆死するなど色々あるけれど、全ての難関を蹴散らして、行け行け選ばれし精鋭達よっ!!

 

【進撃編】に続くっ!!

 

 

 

 

 




ルークェ・・・処女作の主人公なのに。(汗)

幸斗「まあ、アイツは精鋭じゃねぇからな」

出雲那「それよりもなんでオレ等、扇風機で飛ばされながらD◯es i◯aeの話題で盛り上がっていたんだよ?獣の爪牙以外の読者にはチンプンカンプンだぜきっと!」

重勝「それとさ、ちょっと某リリカル次元の奴等のライフを削り過ぎじゃねーの?」

まあまあ、【考えるな感じろ】って事で。(汗)


そんな事よりも、パッチェさん!八雲夜君を貸していただき誠にありがとうございます!!

今回こちらで考えた新剣技を二つ出しましたけどどうでしたでしょうか?そちらの本編で使えそうですか?

【進撃編】【制圧編】とまだコラボ回は続くので、次回もお楽しみに!!




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風雲聖王のゆりかご城【進撃編】 ※ゲスト有り

ども、新米の獣の爪牙、蒼空の魔導書です。

今回の話もまた一段とカオスな内容に仕上がりました!(笑)

ゲストキャラ夜君の自分が考えた新技もまた二つ披露!パッチェさんに気に入ってもらえればいいのですが・・・。

前回と同じくアホな雑談も多いですが——

プルート「くだらん」

と馬鹿らしく笑ってやってくださいね!ではっ!!



艦体を激しく揺るがす轟音。

 

シグナム「ぬぉおおっ!?何なんだ、この爆発するような音と揺れは!!」

 

船首付近の第一駆動炉・・・原作なら本来【聖王の玉座の間】がある大広間より通路を少し行って曲がり角を曲がった地点にて立ち、来たる精鋭達を待ち受けていた毎度お馴染の出オtゲフンゲフン!【流離の烈火の将】八神シグナムは突然の激震に体勢をよろめかせ、後方の駆動炉から聴こえて来た爆音を耳にしてキョドっていた。

 

シグナム「この音、第一駆動炉から聴こえて来たな・・・察するに奴等、正面の護りを突破して船首の装甲を破り、第一駆動炉に直接侵入した上でこの艦の動力源の一つを破壊したようだな。フッ、相変わらず出鱈目な連中だ」

 

幾何学模様が走る通路に立ち、精鋭達が来るのを心待ちにするように口端を吊り上げる。

 

彼女はゆりかご城の道中で待ち受ける関門の一つだ。リリなのStSの最終決戦時だとナンバーズのディエチがデカいライフルを構えてなのはを待ち受け、出オチ同然にアッサリとエクセリオンバスターで一撃で倒されていたこの場所で、シグナムは同じように待ち受けていたのだっ!まるで彼女のこれからの末路を予言しているかのようにっ!

 

シグナム「定石通りに側面を破り、こちらを目指して来るかと思っていたが・・・とんだ甘い考えだったようだなっ!」

 

手に持っていたレヴァンティンを腰の鞘に納刀し、後方の曲がり角から距離を取って居合の構えを取る、第一駆動炉の方からこちらに向かって来る複数の足音が聞こえたからだ。

 

シグナム〔フッ、常在戦場だ、悪く思うなよ。角を曲がって来たところを《飛竜一閃(ひりゅういっせん)》で不意打ちしてくれる!〕

 

笑みは勇ましいが、思考の説明がフラグをブッ立てるテンプレ過ぎて笑えてくる。しかも方角は違えどシチュエーションがなのはを待ち構えるディエチと被りまくっているのだから困る。(笑)

 

そして十秒後——

 

シグナム「〔KI☆TA!〕飛竜———一閃ッッ!!」

 

侵入者達が曲がり角を曲がって来た瞬間、鞘から炎を纏わせた連結刃を抜き放った。先頭を走るのは幸斗とプルート、その二人に向かって一直線に砲撃級の一撃が伸びて行き——

 

幸斗「ッ!?どりゃァァアアアッ!!」

 

プルート「くだらん策だ、《地ヲ焼キ滅ス煉獄ノ黒焔(アポカリプス・インフェルノ)》ッ!!」

 

テンプレ通り二人がノータメで放ったクソ火力の奔流にアッサリと飲み込まれた。

 

シグナム「な、何ィィーーーッ!!私の飛竜一閃を抜き撃ちd——」

 

それ以上のセリフは言わせてくれなかった(笑)。突き刺した火ノ加具土から無骨な床を焼き進んで来る黒焔と幾何学模様が走る壁と天井を圧倒的な質量で消滅させながら驀進する剣圧の光波に飲み込まれたシグナムは、エネルギーの大爆発と同時にボロ雑巾のような姿になって宙に投げ出され——

 

夜「ん・・・」

 

絶技———夜天輝剣(やてんこうけん)

 

シグナム「グハァッ!!」

 

後から続いて来た夜が抜き放った空間を斬り裂く神速の抜刀術を受ける事によってリフティング。そしてとどめは当然——

 

出雲那「邪魔だ!雷切ィィーーーッ!!」

 

シグナム「ひでぶっ!!」

 

『ドッカァァァンッ!!』

 

出雲那の雷切によっていつも通りに仕留められたのであった。(このひとでなし!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出雲那「あいつも懲りねぇな・・・」

 

爆発を後目に精鋭達は通路を駆ける。目指すは船尾後部にあるもう一つの駆動炉だ。

 

アディア「はは・・・それにしても今の夜君の抜剣、言葉にできない程凄絶な一閃だったね」

 

重勝「剣筋が通った跡の空間に傷が入っていたからな。なにか異能でも使ったのか?」

 

夜「ん・・・空間・・・干渉のチカラ・・・夜刀に乗せて・・・斬った」

 

つまり、さっき夜が使った新技(蒼空が考えたオリ剣技)【夜天輝剣】とは夜の【干渉する程度の能力】によって空間に斬撃を作用させる効果を得た夜刀による居合いによって相手を空間ごと両断する防御不可の抜刀次元斬なのである。空間を一閃のもとに剣で斬り裂き、空いた裂け目が夜天の星空のような輝きを放っているのでこの技の名なのだ(シグナムが真っ二つにならなかったのはギャグ補正(笑))、彼が主人公を務める【新・魔法少女リリカルなのは〜剣神と夜天の輝き】のタイトルにも因んでいたりする。

 

重勝「成程、お前が幸斗並に常識外れだという事は理解できた!」

 

へっ!と納得面で笑い、天井に張り付いていたカプセル型武者ガジェットを簡易的な重力砲撃で撃ち墜とす。気が付けば進行方向の先に武者ガジェットの集団が所狭しとズラリと密集していて、それ等がこっちに向けてレーザーを連射してきていた。

 

プルート「息を吐く暇もなく団体さんのお出ましだな。単純な攻勢しかやれぬガラクタ共め、こんな矮小な光線など眼を閉じていてもどうと言う事はない」

 

楯無「そういえばStrikerSでのなのはちゃん、このレーザーの連射を変な動きで躱していたわね」

 

重勝「インベーダーゲームのプレイヤー機のようなカクカクな動きしてたな。まあウケは取れたと思うけどさ、正直な話、アレ動きに無駄がありすぎるとおもわねーか?こんなの最小限の回避機動で避けれるだろ」

 

飛んで来るレーザーの連射を僅かに全身を傾けてヒョイヒョイッと避ける重勝。他の仲間達も意に介さず前から飛来して来るレーザーを避けたり斬ったりながら武者ガジェットの集団へと迫って行く。

 

幸斗「そんなのシゲのブッとんだ飛行制御能力が有ってこそできる芸当じゃねぇの?オレは軽い剣圧で纏めて薙ぎ払ってゴリ押しする事しかできねぇしな!(エッヘン!)」

 

出雲那「威張る事じゃねぇよ。つうかそっちの方がブッとんでんじゃん!」

 

夜「ん・・・五十歩百歩」

 

幸斗「あ、ところでさ。その高町なんとかって奴が後々【いちいち相手にしてられない】って言って出した【A・C・Sドライバー】ってやつ、アレってどう見ても武◯錬金のカ◯キのサ◯ライトハートⅡの突撃形態にしか見えねぇよな?」

 

重勝「高町ナッ◯な。読者でファンだったんじゃねーの?」

 

アディア「いや、それも違いますから。今さっき楯無さんが名前言っていたじゃないですか」

 

リオス「アハハッ♪読んでいたマンガに憧れてマネをするなんて、なのちゃんってカワイイよね♪」

 

夜「ん・・・少年心」

 

出雲那「あぁー、いい歳(19歳)こいてな。ククッ、ハハハハ——」

 

次々と飛来してくるレーザーを何とも思わずにやり過ごしつつ、精鋭達は高町なのはは武◯錬金の熱狂的なファンであると偏見で勝手に決めつけた。

 

プルート「ええいっ、くだらん!そしてガラクタ共も鬱陶しい!面倒だ、纏めて灰になれぃっ!!」

 

そして辛抱ができなくなった短気な厨二病が再び【地ヲ焼キ滅ス煉獄ノ黒焔】を床に走らせてレーザーを撃って来ている武者ガジェットの集団を纏めて焼き払った。破片一つ残らない、全てが黒焔に焼き尽くされて灰となり、そこらに散乱し複数の塵山を形成。精鋭達はその中央を駆け抜けて行く。

 

出雲那「——ハハハ!てか19って言うか、23、25になってもまだ魔法少女って!?ハハハッ、普通15までだよな、最低でも?しかもバツイチでもないのにシングルマザーだし!シングルマザーは魔法少女?何だよこのタイトル、アッハハハ!」

 

明日香「笑い過ぎよ武内君。先程の扇風機といい、この世界では取留めも無く何が起こるかわからないのだから、もっと気をしっかり———っ!?」

 

他愛ない談笑をしながら通路を駆翔し進攻していると・・・エ◯ック——

 

重勝「——上だ!幸斗っ!!」

 

幸斗「あいよっ!!」

 

何の脈絡もなく突如として天井をデッカイ剣(つるぎ)が突き破って彼等の頭上に降って来た。空間認識能力が異常に優れ、逸早くそれを察知した重勝の指示を聞いて幸斗は右拳を振り上げて跳躍する。

 

幸斗「宇宙を喰らい、メテオを殴り潰すようにして————打つべしッッッ!!!」

 

んでもって何やら常人には理解不能な気合いを言い放つと同時に剣の切っ先を殴り付けて砕いた。ダイナマイトで爆破したかのようにその巨大な質量は一瞬で粉微塵に砕け散り、更には規格外の腕力で振るわれた拳圧の暴風が破壊の嵐となって天井、壁、そして床、視認できる果てまでの全てを砕き崩落させていく。

 

一同「「「「「「「オイィィィイイイイッ!!?」」」」」」」

 

故に速攻魔法カード【総ツッコミ】が発動する。この場に居る全員が飛翔スキル(?)を行使できる筈なのに何故か万有引力の法則に【従わされて】空いた奈落に落下して行く精鋭達。

 

幸斗「へへっ、脆い剣だぜ!!」

 

重勝「おい、ここまでやれとは言ってねーよおバカ」

 

楯無「うーん、まさに大人顔負けの一撃だわ。幸斗君、しばらく見ない内にまた一段とパワーを上げたわね」

 

リオス「うん!大人っていうかもうOTONAレベルだね♪」

 

出雲那「あ、OTONAといえば蒼空の奴、某歌いながら戦うアニメを怒りの日を終えた後に視はじめるって言っていたな。聖遺物とか陽だまり繋がりで」

 

アディア「数日前に無印の視聴を始めていましたね。だからあんな天◯逆鱗みたいなトラップが——」

 

フェイトA「逆鱗ではない!剣だっ!!」

 

出雲那「うおっ!?なんかショタコン姉さんにSAKIMORIが憑依したぁっ!!」

 

フェイトA「この身は一振りの剣。防人の生き様、貴方達のその眼に焼き付けなさい!私は————総てのショタっ子を愛しているっ!!」

 

明日香「そしてその防人の生き様と魂は黄金のケダモノ(フェイトさん)の渇望によって一瞬で塗りつぶされたのであったと・・・」

 

夜「ん・・・覇道の流出」

 

プルート「地の果てまで、くだらん」

 

憐れSAKIMORI、黄金のケダモノには勝てなかったよ・・・全員真下の広間を満たす水面にダイブする。

 

出雲那「プハァッ!なんだよ、何でゆりかご内の部屋にm『ガンッ!』ガァッ!!?」

 

水面に浮き上がった途端、頭上にタライが落ちて来て直撃した。出雲那はタンコブができた頭を痛そうに押さえて叫ぶ。

 

出雲那「イッタイ!アタマガァァアアアーーーッ↑」

 

幸斗「ド◯フのコントかよ。永劫破壊にしろ歌にしろ、櫻井の一族が聖遺物に関わるとロクな事にならないぜ」

 

明日香「いや、それ今の状況と関係ないでしょう。それにどっちも櫻井が全ての元凶ってわけでもなかったでしょうに・・・」

 

フェイトA「おのれSAKIMORI----ッ!!」

 

アディア「いや別にSAKIMORIは悪くないでs———うわぁっ!?」

 

楯無「なんか水が流れ出したわね」

 

夜「ん・・・桃太郎の桃」

 

精鋭達は流れ出した水に広間から流れ出されて行く。どんぶらこ~、どんぶらこ~と・・・通路を流れ進んで行くと高くせり上がった縁に塞き止められ、全員水面から縁の上に這い上がった。

 

明日香「もう、酷い目にあったわ・・・」

 

立って衣服に滲み込んだ水分を絞り出す。

 

楯無「うふふ、水も滴るいい女ってね♪そう思わないシゲ君、幸斗君?美少女の服スケスケのブラジャー丸見えで男子の視線を惹きまくりよ♪」

 

重勝「馬鹿な事言ってねーで頭も拭いとけよ。風邪ひくぞ」

 

幸斗「あと楯姉、さすがに♂♀柄は引く」

 

リオス「アハハハッ、みんなビショビショだね~♪」

 

夜「ん・・・」

 

フェイトA「水も滴るイイ男の娘・・・グヘヘ~♥(また鼻血)」

 

アディア「頭冷やしても治らないのか、この姉は・・・」

 

プルート「まったく、莫迦阿呆ばかりだ。くだらん、こんな茶番とっとと終わらせに行くぞ」

 

出雲那「あ、テメェ勝手に先に行くなよ!」

 

全員衣服に滲み込んだ水を絞り終わり、スタスタと船尾後部の第二駆動炉を目指す。

 

往く手に塞がる武者ガジェット達をギッタンバッコン、スクラップド◯ゴンやく◯鉄のかかしに変えながら暫く進むと———

 

幸斗「ん?何だアレ?黒い蟲みたいなのがうじゃうじゃt——」

 

夜「ひっ!?」

 

幸斗「ってオイィッ!?何でオレの後ろに隠れやがる!!」

 

明日香「八雲君?」

 

フェイトA〔チクショー、真田幸斗!私の愛しの夜きゅんとあんなに身体を寄せ合って、羨ましい妬ましいィィッ!!(歯ぁギリギリィ~)〕

 

楯無「ちょっと、どうしたっていうのよ?」

 

夜「アレ・・・カサカサ・・・キモチワルイ・・・グスッ」

 

お姉さん達「「「グハァーーーッ!!?」」」

 

薄幸の男の娘の【震え涙目上目遣い必殺コンボ】によって女性陣、堪らず鼻と口から愛という名の赤を噴出させてしまい撃沈!【剣神】を怯えさせる程の生命体の群・・・いったい何なんだ、あの黒光りするデッカイ楕円形の生命体共は!?

 

出雲那「いやいやいや、デカ過ぎるだろ!?アレってどう見ても一匹見つけたら三十匹は近くに居るっていう台所の黒い悪魔・・・」

 

重勝「頭部に生える二つの触覚を動かし、カサカサと音を立てて俊敏に迫り来る黒い絶望」

 

人類の永遠の宿敵、黒光りするG———

 

幸斗「ってゴ◯ブリじゃねぇかぁぁぁあああああっ!!!」

 

夜「んーーーーっ!!」

 

アディア「なっ!?あれは最近教皇浮遊都市ベベルの下水で発見された新種の陸戦特化型魔甲蟲《ハダル級》じゃないか!これ程の数の群れ、どうして此処に!!」

 

出雲那「魔甲蟲の新種!?聞いてねぇっていうか空戦の原作にも空戦情熱にもこんなゴ◯ブリ型魔甲蟲なんか出て来てねぇだろうが、ふざけんなっ!!」

 

ギャーギャー揉めている内に巨大ゴキbゲフンゲフンッ!【ハダル級】の群れが騒ぎを察知したのか幸斗達の存在に気が付いたようだ。触覚の下付近にある赤黒く発光する眼光がギョロッと一斉に彼等を視線に捉え、不気味に黒く光る楕円形の巨体が床を、壁を、天井を埋め尽くしカサカサ・・・否、ガサガサと騒音を鳴らしてこっちに向かって黒い雪崩が雷鳴の如き速さで侵食して来る。キモイ!怖いっ!!

 

幸斗「速っ!黒で塗装したドラッグマシンかよ!?」

 

プルート「魔甲蟲と言えどもその特性はゴ◯ブリというわけか!ふざけた奴等だ、纏めて焼き払い灰にしてくれr——」

 

だがプルートが火ノ加具土を振るう間も無くハダル級共がもう目前まで押し寄せて来ていた。

 

夜「んっ、戦略的撤退!」

 

幸斗「あっ!?テメェ汚ねぇぞ夜!先に逃げんなっ!!」

 

プルート「チッ、場と速度的に分が悪いか、退くぞ!」

 

三十六計逃げるに如かず。鼻血を出して気絶した女性陣を抱え(重勝が楯無、出雲那が明日香、アディアがフェイトを)、精鋭達は迫り来る巨大ゴ◯ブリの群れに背を向けて来た道を戻り疾走する。

 

超人的身体能力と高速移動系スキルをフルに使い、追って来るハダル級の群を引き離して行く。

 

重勝「おっし!こんだけの距離が空けば収束重力砲(ストライクブラスター)で・・・って今度は何だ?」

 

????「「「「「「「ショウブ!ショウブ!ショウブ!」」」」」」」

 

十分に距離を稼いだので振り返ってゴ◯ブリ共を高火力スキルで殲滅しようとしたところ、進行する先からまたしても何らかの敵集団が武装してこっちに向かって来ているではないですか。

 

プルート「挟撃されたか、ガラクタの癖にやってくれるな!」

 

幸斗「ん?前から来る奴等、なんか妙に小っさいな?」

 

夜「カワイイ・・・」

 

????「「「「「「「ショウブ!ショウブ!タケウチイズナ、ショウブ!!」」」」」」」

 

出雲那「——って、テメェらは【シグナム人形】!」

 

敵の正体は大晦日のクイズスペシャルで大活躍(?)した自律起動型ね◯どろいどぷち【シグナムちゃん人形】の集団であった。ミニレヴァンティンを小さなおててに持ち、一斉に可愛らしくわーわーと向かって来る。もはや呪いにも近い腐れ縁の顔に、出雲那はいい加減苛立ちを爆発させた。

 

出雲那「い・い・か・げ・ん・に・し・ろ、雷切ィィィイイイイイーーーーッ!!!」

 

シグナムちゃん人形達「「「「「「「ポナペティーーーーッ!!」」」」」」」

 

幸斗「何だそのやられヴォイス!?」

 

雷・光・一・閃!怒りの雷速抜刀でシグナムちゃん人形達を纏めて薙ぎ払った・・・だが———

 

シグナムちゃん人形達「「「「「「「マタカテナカッタ」」」」」」」

 

アディア「ん?なんだかこの人形達、不自然に発光してませんか?」

 

リオス「アハッ、チッカチカだね♪」

 

夜「ん・・・キレイ・・・」

 

重勝「・・・そういや大晦日のクイズ大会で千種の奴が———」

 

霞『いいや!早く愛する明日葉ちゃんに会いたくて限界だ!押すねっ!!』

 

ここに居るクイズ参加者の面々はその時の事を思い出して見る見るうちに顔を青くする。

 

重勝「———やっべ、爆発s——」

 

だが時すでに遅し。

 

シグナムちゃん人形達「「「「「「「サラダバー!」」」」」」」

 

ドッカーンッ!後方から追走して来たハダル級の群れをも巻き込み、連鎖爆発(チェーンエクスプロージョン)による爆風が全てを吹き飛ばした・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからというもの、精鋭達によるゆりかご城内進攻は困難を極めて行った・・・。

 

明日香「もうだめ。お腹いっぱい・・・」

 

出雲那「しっかりしろ柊!お前プロだろ?」

 

明日香「大食いは専門外よ・・・」

 

幸斗「『ずるずるずるー、ちゅぽん!』うっま!これうめぇな!!」

 

夜「ん♪」

 

超山盛りのスペシャルラーメンを全員で完食しなければ先に進めないエリアがあったり・・・。

 

出雲那「フゲッ!?ああああぁぁー!!」

 

『ドボンッ!』

 

重勝「ピン張りした糸に足を引っ掛けてコケ、底に水が溜まった落とし穴に落ちてずぶ濡れになり」

 

出雲那「うぅ・・・こんちくしょu『ヒュー、ガンッ!』グエッ!?」

 

楯無「這い出て来たところにタライが落下」

 

アディア「ド◯フですか!?」

 

リオス「アハハッ、色んな仕掛けがいっぱいで楽しいね♪」

 

夜「ん♪」

 

ド◯フのコントで使うような仕掛けが満載なゾーンに悪戦苦闘し・・・。

 

出雲那「うおっ、まぶしっ!?」

 

明日香「・・・アレ?この場所って・・・」

 

夜「ん・・・船首・・・つまりスタート地点」

 

リオス「要するに今踏んだあの光る床はこの第一駆動炉に転移する仕掛けがあったみたいだね♪」

 

重勝「ふりだしに戻されたのかよ・・・ん?なんだこの貼り紙は?」

 

『ねぇ、今どんな気持ち?苦労して進んだのにスタート地点に戻されてどんな気持ち?ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?怒ってる?ガッカリした?それとも今までの苦労がパアになってハゲちゃった?あっはっは、それはゴメンちゃい!ぷぷっ!・・・あ、それから君達が今までにクリアーしてきた仕掛けやトラップ、この転移装置が作動すると同時にリセットされて元に戻る機能があるから、もう一度がんばってねん♪プークスクスクス!』

 

一同〔〔〔〔〔〔〔・・・・・・イラッ!〕〕〕〕〕〕〕

 

プルート「燃やす・・・このふざけた城塞戦艦、跡形も残さず灰にしてくれる・・・」

 

夜「うん・・・斬る(怒)」

 

自動転移装置と何故かその転移先に毎度貼ってあるウザイ注意書きに翻弄されて心身共に疲弊していく・・・・・そして——

 

明日香「見えたわ、第二駆動炉!」

 

重勝「ゴールは目前だ!踏ん張れお前ら!!」

 

数々の障害を乗り越え、精鋭達は遂にゆりかご城艦体船尾後部の第二駆動炉を目前に捉えたのであった。

 

出雲那「うおおおっ!テメェらどけぇぇえええーーーっ!!」

 

だが、現在状況はまさに地獄絵図であった。この辺りは原作だとステルス機能が搭載された蟷螂のような形をした多脚虫型ガジェットが駆動炉を破壊しに来たヴィータを不意打ちで重傷に追い込み、数の暴力で大いに苦戦させた難所であり、ここでも当然武者装甲を着けた同型のガジェットの群がステルス機能を利用して精鋭達に不意打ちを仕掛けようとしていたが、ステルス性能が桐原静矢の《狩人の森(エリア・インビジブル)》以下だった為か彼等はアッサリと見破り、其処ら辺の床に散乱している機械の残骸から漂って来る虚しさがそれらの辿った末路を物語っている。

 

なのでそちらは別に問題なかったのだが、問題はこの場に待ち伏せていた敵は武者ガジェット共だけではなかったという事である。

 

シグナムちゃん人形達「「「「「「「ショウブ!ショウブ!ショウブ!」」」」」」」

 

ハダル級共『『『『『『『ガサガサガサガサーーーッ!』』』』』』』

 

巨◯兵『『『『『『『ピピピピッ!ガガーーッ!!』』』』』』』

 

出雲那「いい加減しつけぇぞシグナム人形共ォォオオオオオオーーーーッ!!」

 

夜「嫌ぁっ!カサカサ、キモチワルイ、来ないでーーーっ!!(フェイトの腰にしがみ付く)」

 

フェイトA「よ、夜きゅんの顔が私のオッパイにっ♥・・・ふふふ、ふははははーーーっ!これこそが私の求めて已まなかった未知だ!あぁ、私は今、生きているっ!!」

 

アディア「姉さん、鼻血と渇望を流出させている暇があるんなら手を動かしてくれないかな?(怒)」

 

明日香「それよりも何でラ◯ュタに登場する巨◯兵まで!?」

 

楯無「さすがにネタが危なすぎるわよ蒼空・・・」

 

リオス「アハハハハ!お祭り騒ぎだね♪」

 

いったい何なんだこの混沌(カオス)な状況は?通路の壁という壁、床という床、天井という天井を突き破り、破壊光線で撃ち抜き、隙間から飛び出して来て、多種多様雑多な生物・兵器達が精鋭達に四方八方上下左右から襲い掛かり、蒼空の技量では描写困難なレベルで無茶苦茶な乱闘混戦が展開され阿鼻叫喚!

 

髪が跳ねたように乱れ、身に付けている衣服はだらしなく爛れ、顔面はシグナムちゃん人形の自爆などで飛び散って来た煤がこびり付いて真っ黒クロスケと、ある意味StrikerS決戦時にこの場にやって来たヴィータ以上にクソボロになって精鋭達は死力(?)を尽くして突破を図る。さあ行け!もうゴールは目の前だ!!

 

重勝「そこだ、収束重力砲(ストライクブラスター)ァァアアアアーーーッ!!」

 

プルート「焼き尽くせ、【地ヲ焼キ滅ス煉獄ノ黒焔】ォォオオオオーーーーッ!!」

 

夜「斬り拓く・・・」

 

絶技———万華鏡・白夜(まんげきょう・びゃくや)

 

重黒の砲剣の切っ先から放たれた重力エネルギーの砲弾が、床を走る滅びの黒焔が、刹那の内に抜き放った千を超える抜刀をもって飛び散る真空刃が壁・天井・床に乱反射し広範囲に渡り斬撃の乱舞を及ぼす空間攻撃が、駆動炉の前に広がる敵集団を纏めて蹴散らした。

 

重勝「道は拓けたぜ。今だ、駆動炉に入って動力源をブッ壊せ、幸斗!!」

 

幸斗「おっしゃああっ!任せろぉぉおおおおおおおっ!!!」

 

朱く煌く鬼童丸を手に皆の手で切り拓いた道を雷鳴の如く駆け抜ける幸斗。駆動炉内の中心には船首付近で破壊したモノと同じ、赤く光る巨大なキューブ状のエネルギー体が浮かんでいる。原作ではヴィータがリミットブレイクまで使用し気絶寸前まで何度も叩き続けてようやく破壊できた程強固な物体だったが——

 

幸斗「ドラァァアアアアーーーッ!!」

 

真田幸斗という規格外の赤鬼はそれを一撃で叩き壊す!ゆりかご城全体を轟かす鬼童丸の一撃は防衛セキュリティーを起動させる間もなく容易に赤いキューブを粉々に砕き割った・・・あまりに簡単に破壊した為かこれを破壊するのに散々苦労を要した赤い永遠の幼女がどこかの次元世界でいじけた気がする・・・。

 

幸斗「グラッツェ!後は上の安◯城の天守閣に登って主犯をブッ飛ばすだけだな!首を洗って待っていやがれ!!」

 

出雲那「いいから、駆動炉ブッ壊したんならとっとと戻って来いよ!コイツ等まだうじゃうじゃと湧き出て来ているんだからな!!」

 

シグナムちゃん人形達「「「「「「「ショウブ!ショウブ!シゴトハシタクナイデゴザル!!」」」」」」」

 

出雲那「マジいい加減にしやがれ!そして働けニート侍共がぁぁああああーーーっ!!!」

 

・・・まあ何はともあれ、ゆりかご城の艦体内部は無事に制圧し、後は城の天守閣に登り主犯を叩くのみ!果たして其処には何が待ち受けているのか?雨の湿気とメ◯クリウス超ウゼェーーーーッ!とかSAKIMORIの恋の桶◯間に腹筋を持っていかれたーーー!とか、落第騎士原作最新第14刊の寧音先生が超カッコよかったなど色々あるけれど、天の栄光を目指して行け行けー!精鋭達よっ!!

 

シグナムちゃん人形「ショウブ!ショウブ!ショウブ!」

 

夜「ん・・・これ・・・みんなのお土産に持って帰ろうかな・・・?」

 

明日香「・・・え?」

 

 

 

 

 




再び登場シグナムちゃん人形!もうこの作品のマスコットにしちゃおうかなぁ、銀◯のジャ◯タウェイ感覚で。(笑)

出雲那「YA☆ME☆RO!」

それからパッチェさんからのメッセージには夜はゴ◯ブリが苦手と書いてあったので、デカいゴ◯ブリ型魔甲蟲を登場させましたが、ゴ◯ブリに対する夜君の苦手意識ってこんな感じでよかったですかねパッチェさん?あと新技二つ、どうでした?

落第騎士原作最新第14刊の寧音先生、本当にカッコよかったッスよね!【ムカつくから、憧れるんだ。憧れだから、勝ちたいんだ!】このド直球な信念とド根性に痺れました。新宮寺理事長とのライバル関係はまさにス◯ライドのカ◯マと劉◯みたいで熱かった・・・。

では次回、風雲聖王のゆりかご城、決着の【制圧編】!お楽しみに!!



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風雲聖王のゆりかご城【制圧編】前編 ※ゲスト有り

一話で納まり切らなかった(汗)。【制圧編】は前後編に分けます。

さあ、いよいよ【風雲聖王のゆりかご城】のボスが登場だぁっ!果たして今回の騒動の黒幕とは一体何者なんだ?

聖王が出るか?魔王が降臨するか?はたまた・・・。



聖王のゆりかご城の二つの駆動炉を破壊し、艦内部を制圧した精鋭達は甲板の上にドンッと建つ安◯城へと突入し天守閣を目指して登り、進撃して行く。

 

水の敷かれた通路の上に設置された数々の障害物を渡り切り。

 

高々と佇む反り立つ壁を乗り越えて。

 

吹き抜けた床の上の狭まった両壁の間を両手両足で跳び付きながら宙を進み。

 

底なしの奈落が下を支配する廊下の壁に出ている出っ張りを掴み、握力のみでぶら下がる全身を支えながら出っ張りを伝って行き。

 

そして最後に空中に垂れ下がるロープを登り切ると——

 

出雲那「なんだこのS◯SUKEセットはっ!!?」

 

そこが玉座の間であった。木材で建築されたような城の中なのにメカメカしい原作リリなのStSの聖王の玉座の間そのまんまの空間が精鋭達の視界全体に広がっている。

 

最奥を見やると其処に設置されている複数のエネルギー供給パイプに繋がれた聖王の玉座に座る人影が存在していた。

 

???「ふふふ、待っていたよ」

 

幸斗「テ、テメェはっ!!」

 

その人影は黄金色の機械的な穂を持った槍状のデバイスを左手に携え、明るい栗色の頭髪をしている二十歳前後の美女でその顔は美しいというより可憐と表現した方がしっくりくる。それでいて真っ直ぐに人を視る大きな碧い瞳は凛々としていて人を惹き付ける独特な格好良さも持ち合わせていて、まさに【出来る女】という印象だが、いい歳した女性がする白いリボンで縛ったツインテールと身に纏う白を基調とした魔法少女風のバリアジャケットがその印象全てを台無しにしている。(笑)

 

???「ようこそ、聖王のゆりかご城の天守閣へ。わたしは——」

 

妖艶な笑みをして目の前の精鋭達を見据える彼女こそが今回の騒動の主犯【聖魔王】。その正体は——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重勝「なんでこんなところに居るんだよ《高町なのは》」

 

なのは「ズコーーッ!」

 

そう、かの有名な時空管理局のエース・オブ・エース、【高町なのは】であった

 

玉座から立ち上がり、名乗ろうとしたところで先に言われたので、彼女はキョドって床に躓き、新米芸人も弟子入りを求めるような鮮やかなズッコケを披露。十九歳独身、年齢=彼氏イナイ歴のエース・オブ・エース待望のファーストキスはメカメカした床となってしまった。(爆笑)

 

楯無「いや、ファーストキスならもうとっくの昔のセットアップの変身シーンの時にレイハちゃんにあげているわ、全裸になって(【なのは×レイジングハート】と書いてある扇をバッと開いて)」

 

アディア「うわぁ・・・」

 

明日香「そ、それはなんとも・・・凄まじく独特な愛情ね・・・」

 

なのは「コラーーッ!?人の性癖をアブノーマルに思わせるような誤解を招く事を言わないでよね!わたしはちゃんと男性が好きだよ!イケメンとか大好きだよ、ノーマルだよぉっ!!」

 

凄まじく見当違いな事を言われたのでガバッ!と顔を上げて猛抗議し、プンプンと立ち上がるなのは。

 

精鋭一同「「「「「「「えぇぇ~?」」」」」」」

 

なのは「何、その【そんなまっさかぁ~】と言いたいようなリアクションは!?みんなしてジト目向けて来なくてもいいじゃない!!」

 

楯無「だって・・・ねぇ(今度は【なのは×フェイト】の扇)」

 

フェイトA「ん?私は関係ないよ。だってショタっ子命だし」

 

夜「ん・・・百合の花」

 

プルート「くだらん、そんな事などどうでもいいだろう」

 

なのは「そんな事っ!?」

 

人の性癖が無機物愛だろうが同性愛だろうがどうでもいいと吐き捨てられてショックを受け、眼を白くする行き遅れ第一候補生など放置して、そろそろ本題に入ろう。

 

幸斗「そうだな。それよりも高町なんとか、どうしてテメェがこの世界に居る挙句にこのダサいデザインの城塞戦艦で騒動を起こしているんだよ?テメェは【幻想戦記クロス・スクエア】に登場する予定はあるらしいけど、まだ顔見せすらして無ぇ筈だろ!?」

 

なのは「な・の・は!ヴィータちゃんみたいな名前間違いしないでよ!・・・そうだね。わたしが此処で聖魔王なんて訳の分からないものになっている理由は———」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日前———

 

なのは「んんーーっ!新部隊でのわたしの部下として良い逸材も見つかって今日は有意義な一日だったぁ」

 

今度地上に設立される新部隊《古代遺物管理部 機動六課》。この日なのははその前線メンバーとして入隊させる将来有望な新人魔導師を選別しスカウトする目的で【魔導師ランク昇級試験】の試験監督をやり、試験と新人の獲得を成し遂げて気分良く教導隊女性寮の自室に帰って来た時の事・・・なんか途轍もなく突拍子も無い出来事があったのだ。

 

なのは「いやー、育て甲斐のありそうな良い子達だったなぁ。まさか四年前の空港火災の時に救助した子がわたしに憧れて魔導師になっていたなんてね♪あんなにキラキラした眼で慕ってくれて・・・えへへ~、なんだか照れるなぁ~」

 

自室で誰も見ていないからといい、この仕事が恋人の人デレデレと気が緩み過ぎである。

 

なのは「これは気合を入れて育ててあげないとね♪さてとっ、それじゃあ新部隊始動初日に向けて早速新人達の訓練メニューを考e『ギュゥゥン!』・・・えっ?」

 

珍しく仕事が定時で終了したというのにこの仕事中毒(ワーカーホリック)は性懲りも無く自主的に教導官の仕事を敢行しようと自室にあるデスクの椅子に腰を下ろそうとしたその瞬間・・・突然底に楕円状のデッカイ孔が開き———

 

なのは「え、ええぇぇええぇぇええぇええーーーーっ!!?」

 

訳もわからず素っ頓狂な声をあげてその孔の中に落ちて行ったのだった。

 

落ちた先の空間は銀河の星々が煌く大宇宙のような壮大な景色が広がっていた。

 

蒼空「よくぞ参られた、私の本体(作者)が創造する新たなる物語を彩る愛し子(ヒロイン)よ」

 

そこでなのはを待っていたのは某怒りの日に登場する水銀コズミック変態ニートのコスプレをした蒼空であった。

 

なのは「え、何?どういう事なの?貴方はいったi———」

 

蒼空「ふふ、なに、何も気に留める必要は無い。君は選ばれたのだ、今宵の宴にて騒乱を起こし、歴戦の英雄らと刃を交える聖と魔を司る王を務める役者として」

 

なのは「は、はぁっ!?貴方、何を勝手n——」

 

蒼空「それでは、私の遊びで行う歌劇をご観覧あれ」

 

なのは「いや、遊びでって!?」

 

蒼空「筋書きは出鱈目だが、役者が良い、至高と信ぜよう。故に面白くなると思うよ?主に私が」

 

なのは「貴方がかいっ!て言うか何が何だか訳が解らないよ!?ちゃんと説明sきゃぁぁああああああーーーっ!!?」

 

なのはの意志をシカトしてとんとん拍子で話を進めて行く蒼空に対してなのはは必死に事の説明を要求しようとするも、健闘虚しく彼女は狂宴の蒼空ワールドへと強制的に墜とされて行った。

 

蒼空「では、今宵の狂宴(カーニバル)を始めよう」

 

なのは「人の話を聞けぇぇぇええええーーーーーっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「———という事があってわたしは聖王の魔力とチカラ、その他諸々を与えられて魔改造されて、こうして聖王のゆりかご城とかいうふざけた趣味の城塞戦艦を聖王の魔力で操ってこの世界を襲い、君達と対峙しているって訳なんだ。うふふふ、にゃはははは!・・・すぅぅ~———蒼空超ッウゼェェェェエエエエエエーーーーーッ!!!!」

 

精鋭達「「「「「「「・・・・・・・ご愁傷様」」」」」」」

 

まあ当然だが、高町なのはがこのカーニバルに現れた原因はやっぱり蒼空の仕業であったのだ。(爆)

 

話を聞いていると、どうやらこの【聖魔王なのは】は今年三月末に連載投稿を始めた蒼空の魔導書の最新作二次、《THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡》の世界から連れて来られたなのはのようであり、蒼空のウザさを思い出してキャラを崩壊させて狂い叫んでいる。なんて理不尽なのだろう、金はくれてやれないが同情せざるを得ない。

 

なのは「ハァッ、ハァッ、思い出しても腹が立つよ!まったく、吭が痛い・・・」

 

プルート「同情はする。だが・・・貴様の事情など知った事ではない、苛立ちを抱いたまま灰となるがいい!」

 

なのは「ほえ?」

 

プルート「【地ヲ焼キ滅ス煉獄ノ黒焔(アポカリプス・インフェルノ)】ッッ!!」

 

なのは「って、にゃぁぁああああーーーーっ!!?」

 

だが、そんな事など気にしない厨二病が相手がイライラを募らせて吐き気を催している最中にも係わらず無情にも気を乱しているなのはに向けて不意打ち気味に地を走る黒焔を放った。こんなビミョーな空気の中でまさか攻撃して来るとは予想していなかったなのはは当然プルートの厨二的な伐刀絶技を回避できずに直撃をくらい、黒焔に飲み込まれると共に猫のような情けない悲鳴を上げたのであった。

 

出雲那「オイィィーーーッ!?何してんだテメェッ!!」

 

プルート「解り切った事を聞くな、この女を仕留めれば今回の騒動は終息するのだろう?こんな茶番に何時までも付き合ってなどいられるか!」

 

重勝「ま、これは敵を前にして油断を見せた高町が悪いな。変身シーンや長ったらしい口上シーンで大人しく待っている奴なんかは想像を絶するようなおバカだけだ。隙を見せたら殺られるのが戦場の常だぜ」

 

夜「ん・・・常在戦場・・・・・ん?」

 

聖王の玉座を覆い尽くして燃え上がる黒焔の壁の前でボロクソに言っていると、突然その黒焔の中から天井に向けて飛び出して来た桜色の極太レーザーに黒焔が薙ぎ払われ消滅、すると其処には虹色の魔力光を全身に纏わせたなのはが眉端をピクピクさせながら呆ける精鋭達に満面の笑みを向けて来ていた。そしてその眼は笑っていない、氷塊で押し潰すような冷たく怖ろしい威圧を放って来ている・・・。

 

なのは「ふふふふ・・・やってくれたね(ニコニコ)。正直蒼空に聖王のチカラを渡されていなかったら美人薄命の通り今ので焼け死んでいたよ・・・」

 

アディア「自分で【美人薄命】って言ったよこの人!?」

 

夜「ん・・・自意識過剰」

 

楯無「あらら、やっぱり《聖王の鎧》も使えるのね」

 

重勝「確か聖王の身に危険・危機が及ぶと自動的に展開して主を護るっつうスキルだったな。ならバ火力で押し潰すのが手っ取り早いか・・・よし幸斗、また出番だぜ」

 

幸斗「おうっ、任せr———」

 

なのは「そうはさせないよ。レイジングハート」

 

レイハ『OKマスター。アクセルシューター』

 

幸斗が行動するよりも先になのはは自らの周囲に桜色の魔力弾を複数出現させる。その数32・・・幼い頃から彼女が幾戦も行使して来た圧倒的な練度を誇る中距離誘導射撃魔法であり、攻防一体に優れた誘導攻撃魔法の完成型とも言われている。

 

楯無「出たわね、なのはちゃんお得意の射撃魔法の一つ、アクセルシューターが」

 

フェイトA「確かリリなのの世界では20操作できれば異常呼ばわりされるんだっけかな?」

 

アディア「あの数で僕達を同時に相手するつもりか?」

 

リオス「アハハッ、お手玉をするにはちょっと多すぎるかなぁ?」

 

夜「ん・・・おっきいなのは・・・凄く怒っているね」

 

なのは「ふふふ、今の不意打ちもそうだけど。さっきから此処に来る前の君達を艦内の監視映像を使って視て聴いていれば、人の事をやれ【いい歳こいて漫画の技をマネする痛い人】だの【魔法少女シングルマザー(23歳)】だの【◯十歳になっても結婚できなさそうな声してる】だの、人が見ていないと思って好き勝手な事を言いたい放題に言って馬鹿にしてくれて・・・」

 

幸斗「この女、ちゃっかりと盗み視してやがった・・・しかもそれ全部出雲那が言った事じゃねぇかよ・・・」

 

出雲那「ちょっ!?待てよ!最後のはオレじゃねぇぞ!!」

 

自分は知りません。ええ、憶えがありませんとも!※by蒼空の魔導書

 

なのは「・・・全員、少し頭を冷やそう・・・か・・・!?」

 

冷徹な怒りのままに聖魔王の蹂躙が開始されようとした直前、突如として目の前に顕れた【量】になのはは言葉を失ってしまい、ハイライトが消えていた眼を点に変えた。

 

重勝「《誘導重力球(グラビディシューター)》」

 

なのは「は・・・ははは・・・(あんぐり)」

 

開いた口が塞がらないとはこの事か・・・なのはのアクセルシューターと同じように重勝が重力エネルギーで形成した誘導弾を大量展開させて、黒い球がこの天守閣中を覆わせている光景を目の当たりにしてなのははビックリ仰天するあまり誘導弾制御を停止させ、口端をヒクヒクさせた苦笑いを浮かべて後退りをしてしまっている。何故ならばその量は彼女の最大誘導制御数を圧倒的に上回る・・・200。

 

なのは「ははは・・・君、まさかその数を操作してわたしにぶつけて来るんじゃ・・・ないよね?」

 

重勝「ん?これぐらい余裕だろ?俺、魔力の消費を気にしなければこの六倍はいけるし」

 

なのは「いやいやいやいやいや!!?それはおかしいでしょう!!一体どれだけの並列思考(マルチタスク)を使ったらそんなn———」

 

重勝「シューーーーーーーーートッ!!」

 

なのは「ちょ、ちょっと嘘でsにゃぁぁあああああああーーーーっ!!!」

 

彼女の制止を待たずに天守閣中に展開された200の誘導重力球が戸惑うなのはに向かって全方位から一斉に殺到し、連鎖被爆(チェーンエクスプロージョン)によって発生した無数の爆炎の奔流が周囲に展開されている32のアクセルシューターごと再び彼女を飲み込んだ。

 

明日香「な、なんて惨い光景なのかしら・・・」

 

出雲那「ああ、重勝の奴、悪魔だな・・・容赦ねぇ」

 

幸斗「さすがシゲ!いつ見ても悪魔レベルの魔力制御能力だぜ!!」

 

リオス「わーい!はーなび、花火♪」

 

夜「んー♪」

 

重勝「お前ら気楽そうに言っているけどな、気を緩めてんじゃねーよ、たぶんまだ終わってねぇ。奴の要塞級の防御力と聖王の鎧の組み合わせはこの程度じゃ抜き切れねーだろーしな」

 

そうして燃え上がる爆炎の壁を見つめていると、いつぞやの鉄槌のエターナルロリータが「悪魔め・・・」と言った時のように、なのはが炎の中から無言で出て来た・・・しかし栗色のツインテールの所々で毛が跳ねていたり、白いバリアジャケットの至る所が焼け焦げていたりと無傷ではない故か何処か窶々(やつやつ)しく、なんだか哀愁を漂わせている。ぶっちゃけ今の彼女は悪魔というよりも火災に遭った被害者と見た方がしっくりとくる雰囲気である。

 

なのは「・・・・・」

 

フェイトA「あ、ホントだ。出て来た」

 

プルート「ならば灰になるまで燃やし続けてやる」

 

明日香「さすがに止めてあげて。精神衛生上によくないわ、可愛そうすぎて」

 

火ノ加具土に黒焔を纏わせて無情にも追撃を仕掛けようとした厨二病を溜息交じりで制する。哀愁漂う空気の中で同情の眼を向けられたなのはは———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「も・・・もぉぉおアッタマに来たのっ!!全員まとめてブッ飛ばしてやるから覚悟しろなのぉぉぉおおおおおおっ!!!」

 

ハジケた。

 

出雲那「なんかリリなの二次の地雷作品でよく見る高町なのはのように【なのなの】言いだしやがったぞ!?」

 

なのは「レイジングハート!ブラスタービットなの!!」

 

レイハ『イ、イエス、マスター!ブラスター2!!』

 

不屈の心は何処かの虚数空間に落としていってしまったようだ・・・なのははヤケクソ気味に激昂してエクシードモード時のレイジンg・・・もう面倒だし【レイハ】でいいや♪(笑) レイハの穂先と同じ形をしたビット兵器を四機展開した。

 

楯無「あれれ、ブラスターモード?さっき話していた内容からして、確か君ってStrikerSのアニメ時間軸で言えば第一話が終わった直後あたりから来ている筈だからブラスターモードはまだ完成していないんじゃ?」

 

なのは「蒼空によって既に完成済みなの!しかも使用時の負担ゼロというおまけ付きで!!」

 

夜「ん・・・ご都合主義」

 

出雲那「ビット兵器が相手なら任せろ!葵柳流抜刀術———【星墜とし】っ!!」

 

ブラスタービットの展開を確認した出雲那がすかさず愛刀である《黄旋丸(おうせんまる)》を抜刀!そこから放たれた三日月状の飛翔斬撃がブラスタービットの一つを貫き、破壊と同時に無数に分裂した飛翔斬撃が周囲に飛び散って行き、残りの三つのブラスタービットをも飛び散った飛翔斬撃の内の一片がそれぞれ貫いて行って残らず破壊し、一瞬にして全滅させた。なのはは一瞬の出来事に眉間を寄せて黙り込む。

 

なのは「・・・・・」

 

リオス「よぉーし!なのはちゃんが般若さんみたいな顔をしている今がチャーンスッ!夜君、僕達で叩みかけに行くよー!」

 

夜「ん・・・わかった・・・」

 

なのは「え?」

 

ここで男の娘コンビが動き出した。小さな手で得物を構え、小さな弾丸が銃口より撃ち出されるかの如く標的に向けて突貫して行く。

 

リオス「燃えちゃえーーーっ!」

 

魔砲剣戦技————紅蓮一閃(ぐれんいっせん)

 

夜「ん、これははやての剣」

 

絶技———八神ノ疾風(はちじんのはやて)

 

なのは「誰が般若なのぉぉぉおおおおーーーっ!!」

 

紅蓮の炎を纏った砲剣による斬炎と擦れ違い様に疾風の如く抜き放った夜刀の瞬間同時八連斬がなのはが纏う聖王の鎧を切り崩していく。展開してきたラウンドシールドが斬撃を阻んだりもしたが、それは一撃で砕け散らせた。

 

なのは「ああーー、もおうっ、なのっ!!」

 

レイハ『フラッシュムーヴ!』

 

二人の猛攻に耐えかねたなのはは飛行魔法で天守閣の天井ギリギリまで飛翔し、瞬間的な高速移動魔法を行使して距離を取る。それでもって精鋭達が立つフィールド全体を狙うようにレイハを下に向けて構えた。

 

なのは「私の本分は圧倒的な火力で制圧する砲撃士スタイルなの!この位置と距離があればみんな纏めて粉砕☆玉砕☆大喝采してやれるのぉぉおおーーーっ!!」

 

重勝「戦術を大声でバラす程、頭が蒸発してやがるのか・・・どうする楯無?俺か幸斗が火力で押し返すか?」

 

楯無「んん~?気にしなくていいんじゃな~い?それよりもこの部屋湿気が籠ってきたのか蒸し暑いわねぇ~。男子の前だけど我慢できないから脱いじゃおうかな~♪」

 

アディア「なっ!戦闘中に何を呑気な事を言っているんだ!あの位置から砲撃されたら一溜りもないでしょうが!迅速に障壁を展開して護りを固めるか撃たれる前に撃墜しに行くかしないと!」

 

重勝「・・・いや、確かに楯無の言う通りだな。蒼空のウザさのあまりにキャラを崩壊させてアホになったアホは放っておけよ」

 

アディア「ちょっ!?重勝さんまで!」

 

高低差の高い位置を取られて砲撃されようかという非常事態なのに【湿気は失敬】というオヤジギャクが書いてある扇で自分を仰ぎ寛ぐ楯無に対して真面目なアディアが抗議するが、重勝もまたそんな楯無を肯定し何所吹く風だ。こんな事をしている間にもなのはが大火力砲撃を行使する為に必要な魔力をチャージしていく。

 

重勝「まあ落ち着けって、どうせアイツは【自爆する】からよ」

 

アディア「・・・はい?」

 

重勝「・・・楯無、もう【充分湿度は高まった】だろ?やれよ」

 

楯無「あぁん、もう、シゲ君ってばせっかちさんなんだからぁん♪しょうがないわねぇ、おねーさんの出血大サービスよぉっ!《清き情熱(クリア・パッション)》っ!!」

 

そう言い放つと共に楯無が纏う全身装甲型の霊装《霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)》に高密度の魔力が注ぎ込まれ、淡く発光すると共に空間を伝播してなのはが滞空する辺りに充満した水分の温度を一気に上昇させる。

 

なのは「エクセリオォォォン、バスt———」

 

『チュドォォオオーーーッンッ!!!』

 

なのは「———にゃぁぁあああああーーーーーーっ!!?」

 

すいじょうきばくはつ!桜色の魔力の奔流を今まさに撃ち出そうとした瞬間なのはは本日三度目の爆撃を喰らうのであった。

 

なのは「うにゃ~・・・」

 

ひゅぅぅうう~・・・ズガンッ!

 

夜「あ、墜ちた」

 

ズタ袋のように無惨な姿で床に叩き付けられて倒れ伏すなのは、その可哀想な醜態に哀愁漂う空気がなんとも言えない静寂を醸し出している。

 

明日香「ねえ武内君・・・なんなのコレ?」

 

出雲那「聞くなよ、オレだってコレがあの高町なのはだって言われてもピンと来ねぇんだから」

 

楯無「うーん。なのはちゃんが聖王のチカラを使うとか、普通の人から見たら最悪の悪夢の筈なのだけどねぇ。元世界最強クラスの傭兵団【西風】団員の幸斗君にシゲ君、裏世界の戦闘のプロである明日香ちゃんにプルート君、ミストガン特務小隊員のリオス君、おまけに剣神の仇名を持つ夜君と・・・これだけのチート軍団が揃っているのだから、名だたるエース・オブ・エースや聖王が纏めて掛かって来ても敵にならないのは仕方がないわねぇ」

 

夜「んー・・・不完全燃焼・・・幸斗・・・後で摸擬戦・・・しない?」

 

幸斗「マジでっ!?よしやろうぜ!後でと言わずに今すぐやろうぜ!!」

 

重勝「お馬鹿。こんなところでお前らがドンパチやったら地上にも被害が行くだろうが。まずはここかr——」

 

なのは「・・・ふふふふ。何を勝ったつもりでいるのかなぁ・・・かなぁ?」

 

ミッション終了の空気になっていたところだったが、そこへ聖魔王たるなのはが正気を取り戻してムクリと起き上がってきた。

 

プルート「ふん、まだ立つか。俺が手を出すまでもないと思っていたが、いい加減にこの茶番を終わらせてやるか。最後は俺の手で灰にs——」

 

なのは「あぁ、そうだね。確かに私と聖王のチカラだけじゃ君達には勝てない、それはよく解ったよ・・・・・でもね、さっきも言ったけれども、何も蒼空に与えられたのは聖王のチカラだけじゃないんだ・・・例えば、こんなモノもね!!」

 

一同「「「「「「「っ!!?」」」」」」」

 

聖魔王なのはが持つチカラ、それは世界に混沌(カオス)を齎す・・・・・気が付くとこの天守閣の角四点の床にそれぞれ召喚術式が施された魔法陣が出現していて、その陣は魔力光の輝きを帯びている。

 

やがてその輝きは増していき、増大した光の中に魔法陣の姿が一同の視界から眩ますと急速に光が収束していき、そこに姿を現したのは———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四体の・・・アステカの石像であった。

 

精鋭達「「「「「「「な・・・なんだコレはぁぁあああぁぁああぁあああああっ!!?」」」」」」」

 

なのは「にゃははははっ!さあ、今宵の狂宴(カーニバル)を始めましょうかっ!!」

 

 

 

 

 

 

 




はい。てなわけで、【風雲聖王のゆりかご城】のボスとは、ワタクシ蒼空の魔導書の分け身である蒼空によって強制的に魔改造されて狂宴(カーニバル)の舞台へと連れて来られた、かの時空管理局のエース・オブ・エースにして皆さんご存知【魔法少女リリカルなのはStrikerS】の主人公として知られる【高町なのは】一等空尉でしたぁっ!!(爆)

彼女は自分の最新作の連載二次作品、【THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡】のメインヒロインで、物語開始前の時間軸から本人の意志をシカトして強制的に転移させました!(ヒデェ・・・)

聖王のゆりかごを起動するには聖王のチカラが必要なので、彼女を作者(マスター)権限で魔改造を施しまして、聖王の魔力とチカラを得た彼女ならば幸斗達の前に立ちはだかるボス役として不足は・・・・いやぁ~、不足だらけでしたねぇ~(汗)。あの【管理局の白い魔王】に聖王のチカラとか普通は絶望的な悪夢の筈なんですが・・・そういや奴等は常識外れでした。(笑)

熱血バカ主人公による熱血バトルモノばかりだった今までの蒼空の二次作品とは雰囲気と作風をガラッと変更し、【THE LEGEND OF LYRICAL 喪失の翼と明の軌跡】は蒼空の二次作品初のクール女顔主人公で、敵TUEEE!なパワーインフレモノです。絶望的な逆境やキャラの戦死シーン多し―――ですが、そんな深い闇の中で不屈の心と多くの仲間達と共に足掻いて足掻き抜き、大切なものを失い傷つき絶望しながらも何度でも立ち上がり希望の未来を目指して進んで行く、例えその【黎明】が絶望だとしても・・・そんな感じの物語です。(宣伝)※ぶっちゃけるとDies iraeに影響されまくっているのでそのネタが特に多かったりします。(笑)

さて、不足だらけだったので【聖魔王なのは】には更なるチカラを与えました。それは世界に混沌(カオス)を齎すチカラです!

混沌(カオス)とは一体どうカオスなのか?それは次回のお楽しみに!ぶっちゃけ次回は最初から最後まで大暴走!そして今度こそ【風雲聖王のゆりかご城】編を完結させる予定です!ではっ!!



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風雲聖王のゆりかご城【制圧編】後編 ※ゲスト有り

お待たせしました!今回で【風雲聖王のゆりかご城編】は完結です!

今話の文字数は実に一万四千字以上の大ボリューム!最後の最後までネタに突っ走った大暴走戦闘でお送りします!



メタ発言を飛び交わしながらも比較的にまともな戦闘を繰り広げていたが、それもここで打ち止めだ。聖魔王なのはがアステカの石像を召喚し、遂に混沌の宴が始まった!

 

なのは「アステカの石像達よ、やっておしまい!」

 

アステカ『『『『アステカッター!』』』』

 

出雲那「おいコラッ!?予想はしていたけど、ぶ◯らじネタじゃねぇかぁぁああああーーーーっ!!!」

 

強面のアステカの石像達が天守閣の四角位置にそれぞれ陣取って精鋭達を包囲し、聖魔王なのはがかのボンテージ衣装の愛されし悪役が子分達に命令する時に使っていた伝説の号令を言い放った途端、アステカの石像達が平長い両腕をコック帽っぽい形をした頭部の上に掲げ、その両手で挟んだカッターを前に振り下ろしてぶん投げて来たので出雲那がツッコミを入れた。少し前に放送が終了した某格ゲーのラジオ番組にてとある人気声優が生み出したネタそのままだったからだ。

 

幸斗「おっと、あぶねっ!?」

 

夜「ん・・・完全に・・・包囲された・・・ね・・・これはちょっと厄介・・・」

 

四方から飛んで来るカッターを精鋭達は躱し、弾き、撃ち墜としていくが前後左右広くに意識を集中しなければならない包囲状況に苦戦を強いられる・・・そんな忙しい間に通信結晶を通じてジョバンニからの緊急連絡が入った。

 

ジョバンニ『おい、何をもたもたしている!?こっちから見た予測だとあと3分もしない内にゆりかご城は大気圏外に出るぞ!急げ!!』

 

さっきなのはが砲撃で撃ち抜いて空いた天井部分を見上げてみると昼の筈なのに闇の帳が降りた星空が其処から覗かせている。

 

出雲那「ゲゲゲッ!?」

 

リオス「の鬼◯郎♪」

 

明日香「言っている場合じゃないでしょう!このまま手を拱いたままだとゆりかご城は衛星軌道上に到達してしまうわ!そうなったら二つの月の魔力を吸収して艦の機能は大幅に強化されてしまって制圧が困難になるわよ!!」

 

幸斗「じゃあそうなる前に月をブッ壊せばいいんだな?よしっ!!」

 

出雲那「いや、【よしっ!!】じゃねぇぇーーーっ!!聞くだけ無駄だと思うけれど、それじゃあどうやって月をブッ壊すつもりなんだ!?某歌いながら戦うアニメのカ・◯ィンギルでも持って来るのかよ!!」

 

幸斗「そんなのオレが龍殺剣で——」

 

重勝「できそうな気がするけど止めとけよ。最悪その某歌いながら戦うアニメ第一期の最終回で地球に落とされそうになった月の欠片よりもデカい質量が地上に落ちるかもしれねーぜ。この前のレースでの前例もあるしな・・・」

 

アディア「ですよね・・・それなら一刻も早くこの天守閣を制圧しtおおっとっ!?」

 

後方から自分の首元に飛来してきたカッターをアディアは咄嗟に身を屈めてギリギリ回避する。急ぎ制圧するにも敵にこう包囲されていては多少の時間を要してしまう。それではとても間に合わないだろう。

 

なのは「にゃはははは!数の利が生きるのは包囲戦、逆に数の利が有って包囲されると行動範囲が密集によって限定されて不利になる!個人なら広範囲殲滅スキルを使ってまとめて殲滅すればいいけれど、味方を密集させられていたらそれも出来ない!よって君達は時間をたっぷりとかけてアステカの石像達を一体一体倒していくしかないんだよ!!」

 

流石は戦技教導官、見事な采配だ。これでゆりかご城が衛星軌道上に到達するまでの時間を稼ぐ事ができるだろう・・・そう、普通なら———

 

プルート「生憎だがそれは無い。何故ならばお前達がもたもたしている間にこの天守閣の全ての範囲を《第七園》の領域圏内に置く術式の構築が完了したのだからな!」

 

パチンッとプルートは指を鳴らす。その瞬間に複数の箇所で黒い炎が盛大に燃え上がった。

 

アステカ『『『『ア、アステカァアアアアーーーッ!!?』』』』

 

なのは「にゃぁぁああああああーーっ!!?火が、火がぁぁああああーーーーっ!!」

 

出雲那「あぎゃぁぁあああああーーーーーっ!!何でオレまでぇぇえええええーーーーっ!!?」

 

その瞬間に発火した黒焔にアステカの石像達は四体纏めて包まれて無惨にも物言わぬ石炭と成り果てた。更には同時に采配を揮って愉悦に笑っていたなのはの身体にもその黒焔が発火し、バリアジャケットと聖王の鎧越しだというのに強烈な熱さを感じて堪らず床を転げ回る。そして何故か出雲那も黒焔に燃やされて転げ回っていた。

 

プルート「ふははははっ!【この身体に流れる血族だけが使える】眷属秘呪(シークレット)【第七園】!これは指定した領域内で術者が行使する炎熱系スキルの発動過程(プロセス)を省略する事ができるようになるとっておきだ!この場は既に我が死の黒焔が支配する冥界の領域!薄汚い動く石像の群れ如き、一瞬にして全て灰にしてくれるわ!ふはははははーーーっ!!」

 

出雲那「葵柳流帯刀術———《円旋陣(えんせんじん)》!うぉぉおおおおーーーーーーっ!!」

 

夜「ん・・・身体の回転・・・竜巻で炎を・・・・・出雲那もなかなか・・・やる・・・」

 

出雲那「ぜぇっ、ぜぇっ!プルート、テンメェッ・・・」

 

周囲一帯が燃え盛る黒焔に包まれている中で気持ち良さそうに高笑いをするプルートに全身に大火傷を負った出雲那がブチギレている。葵柳流の体技の応用で全身に纏わり付いた炎を吹き飛ばしたのはいいが、わざと自分を炎術の巻き添えにしておいて悪びれる様子も無く哄笑している事がウザかったのだ。

 

明日香「武内君、怒るのは後にしなさい。それよりも今の内にゆりかご城を止めないと!」

 

なのは「おっと、そうはいかないよ!!」

 

プルート「何っ!?貴様、俺の黒焔を!!」

 

気が付けばなんと周囲一帯を黒い炎の海にしていたプルートの死の黒焔をなのはがレイジングハートの穂先に集束して球形に固めていた。

 

楯無「おかしいわね。他人が発したスキルの制御を奪い取るレアスキルなんてなのはちゃんは持っていなかった筈なんだけど・・・」

 

重勝「・・・さっき言ってた蒼空から与えられたチカラってやつか?」

 

なのは「ご明察、これが混沌(カオス)のチカラだよ。理屈を無視し、ありとあらゆる事象を改変・創造する事ができる」

 

明日香「要するに何でもありの能力って事なの?」

 

そう問われたなのははレイジングハートの穂先でうねり流動している死の黒焔を徐々に何かの【形】に変化させながら肯定する。

 

なのは「その通り、理(ことわり)を無視した文字通りの無秩序(カオス)って訳・・・例えば質量保存の法則を無視してペットボトルに入っている1リットルの水の量を琵◯湖くらいの規模に増加させたり、等価交換のルールを無視して其処らに転がっている石を宝石に変えたりもできる。そしてこの闇の炎を———」

 

説明をしている間に黒焔は新たなる己の【形】を完成させていた。それはやがて灰色の毛並みが全身を覆う生命の身体へと再構成されていく。

 

明日香「こ・・・この生命体は!?」

 

楯無「も、もしかして!」

 

フェイトA「あのとある空の女神の信仰が世に浸透している世界で有名な!」

 

つぶらな瞳は外側に下がり、何時でも何所でも困った顔。二足歩行で立つ姿は愛らしく、眼元に上げる両掌に浮き出ているプニプニしてそうな肉球を視界に入れればついプニプニ触れ合いたい衝動に駆られてしまうだろう・・・猫耳と髭がキュートな某ワンダーランドの偉大なるマスコット!その名も———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「———《みっしぃ》に変身させる事だって可能なの!!」

 

みっしぃ「みししっ!」

 

リオス「あ~、みっしぃだぁ♪」

 

出雲那「何でやねぇぇえええーーーーーーーーんっ!!?」

 

リオスが目を輝かせる横で出雲那の関西弁ツッコミが冴え渡った。(笑) 目の前に現れたのはどうしようもなく英雄伝説軌跡シリーズのマスコットの地位を確立している【みっしぃ】だった・・・・。

 

出雲那「何故にみっしぃ!?何でここでみっしぃなんだよ!!」

 

なのは「それはもちろん、わたしがみっしぃのファンだからだよ♪さすがにエプスタイン財団の某研究主任ほどマニアじゃないけれど」

 

その証拠にとレイジングハートのグリップ部分に紐でぶら下げてある限定版レインボーみっしぃストラップをドヤ顔で見せつけるなのは。ホント清々しい程の超ドヤ顔だ。

 

出雲那「んな事を聞いてるんじゃねぇよ!ここは普通禍々しい姿の魔獣とか悪魔とかが出てくるシーンだろうが!何でマスコットキャラ?おかげでシリアスになりそうだった空気が虚数空間に落ちて行っちまったわァァーーーーっ!!」

 

重勝「シリアスなシーンなんてここまでであったか楯無?」

 

楯無「ううん、シュールとギャグの一本道よ♪(開いた扇に【ギャグ道】)」

 

リオス「わーい、みっしぃだあ~♪」

 

夜「ん・・・猫さん・・・遊んで♪」

 

みっしぃ「みししっ♪」

 

出雲那の発狂が天守閣中にエコーしているシュールな空気の中で無邪気な男の娘二人はさっそくみっしぃと戯れだしている。リオスが丸みのある胴体に抱き付き、夜が大きな丸い頭部によじ登って寛いでいる光景はショタコン姉さんの変態的渇望を十分に刺激し鼻から赤い愛を流出させた。

 

フェイトA「もう我慢できない♥」

 

アディア「なに昔やってたコーンフレークのCMに出ていたゴリラみたいな事を言っているのさ。それよりも——」

 

フェイトA「うん、分かってる・・・分かっているから私も混ぜてぇぇーーーーーっ!!」

 

アディア「いや、違うでしょっ!!?」

 

眼をハートにして山なりに跳躍し、変態姉さんはル◯ン脱ぎで下着姿になっていざ、桃源郷へとル◯ンダーイブ!

 

みっしぃ「み・・・みっしぃぃいいっ!!(怒)」

 

フェイトA「ぶげらぁぁーーーーっ!!?」

 

だがマスコットは悪意に敏感だ。何故かいきなりみっしぃの足下にちゃぶ台が出現し、そのまま怒りの星◯徹クラッシュを炸裂させて飛来してきた痴女の鼻血塗れの顔面にちゃぶ台がクリーンヒット!そのまま変態は玉座の遥か上部の壁に吹っ飛ばされて場外ホームラン!突き破って壁の向こうに去って行った・・・。

 

楯無「どうやらあのみっしぃは接近してきた不純物を排除する本能を持っているみたいね」

 

アディア「・・・なんでだろう?自分の姉が不純物呼ばわりされているのに否定ができない(泣)」

 

プルート〔く・・くだらんな!せ、世俗を堕落させる娯楽の為にしか、そ、存在する価値しかない偶像生物など!!〕

 

明日香〔あれ?気の所為かしら?なんだか冥界の焔があのみっしぃに興味津々な視線をチラチラと向けているような・・・〕

 

なのは「にゃはは!さて、じゃあお遊びはこのぐらいにしておきましょうか」

 

みっしぃ「バイバイー!エンジョーイ、みっしぃーーーっ!!」

 

リオス「ほえっ?」

 

夜「むぎゅ!?・・・猫さん・・・消えた・・・」

 

唐突にみっしぃがパアッ!と消滅し、じゃれて遊んでいた男の娘二人が目をパチクリさせて呆然と座り込む。どうやら混沌のチカラで創造したモノは創造者の意志で消す事もできるようだ。

 

なのは「さぁて、いい加減にそろそろ決着を着けましょうか!」

 

幸斗「へっ、そうだな!タイムリミットも目前だし、このふざけた戦いに決着をつけようぜ!!」

 

聖王のゆりかご城が衛生軌道上に到達するまで一刻の猶予もない。だからいい加減に終わらせよう、このクソッタレな狂宴を!

 

なのは「混沌のチカラに導かれ、出でよ!人類の天敵たる雑音よ!!」

 

なのはは今度はガチで精鋭達を葬り去りにいく化物の大群を召喚した。アメーバのような液体状の何かがナメクジやらバ◯タン星人やら二足歩行をするブドウやらの様々な姿を模り、接触した人体の元素を分解して炭化させてしまう特異災害生物———

 

出雲那「ってさっきからネタにしていた某歌いながら戦うアニメのノ◯ズじゃねぇか!?ガチなやつ出して来やがった!!」

 

重勝「これはさすがにちょっと厳しいぜ。アイツら高次元に逃げるから普通に攻撃しても効かねーし、接近して触れれば炭化させられてアウトだからな」

 

夜「ん・・・なら僕が・・・干渉のチカラを使って・・・」

 

幸斗「それよりもオレとシゲの戦鬼の叫び(オーガクライ)と悪魔の叫び(デモンクライ)の特性でノ◯ズ共の位相差障壁を——」

 

出現したノ◯ズ達を倒す方法についてあーだこーだ言っているとノ◯ズ達が待っていられるかと言わんばかりに液体状の身体を放射状に変化させてレーザービームの如く精鋭達に襲い掛かって来た。

 

出雲那「でぇぇえええっ!?アイツら来やがった!空気の読めるノ◯ズさんというのはガセだったのかよ!!」

 

なのは「にゃーっはっはっは!炭になっちゃいなさい!!」

 

幸斗「させるかよっ!ドラァァアアアアーーーッ!!!」

 

ノ◯ズ達が飛来して来る直前で幸斗が裂帛の気合いと共に規格外の脚力をもって床を踏みつけた。その床は大きく陥没し、その分だけ奥の床が盛り上がり、壁となってノ◯ズの飛来を遮る。次々とノ◯ズ達が盛り上がった壁に激突して行き、べちゃっ!という音を立ててその場の床に落下していった。

 

幸斗「へっ、どんなもんだ!」

 

なのは「くっ!OTONAみたいなマネを!!」

 

重勝「幸斗ナイス!今の内だ、【悪魔の叫び】で———」

 

楯無「ちょっと待って、そんな負担がかかるスキルを使う必要は無いわ」

 

ノ◯ズ達が壁に激突して怯んでいる隙に【特性事象の優先化】を攻撃に付加できるスキルを使用しようとした二人を呼び止めて楯無は胸元から何かのリモコンを取り出して何かを操作する。

 

楯無「ノ◯ズに有効なのは聖遺物・・・なら定石通り聖遺物で対抗すればいいのよ!」

 

明日香「いや、この人何を言っているの?聖遺物なんてどこにm『ブォォオオオオオーーーンッ!!』・・・え?何、何処からかエンジン音が?」

 

その瞬間、ズッカーーーン!という破砕音と共に聖王の玉座を突き破り、勢いよくサイドカー付きのバイクが飛び出てきた。

 

なのは「アイエエエエッ!?バイク?バイクナンデーーーーッ!!」

 

出雲那「【ツェンダップ】だぁぁあああーーーっ!!」

 

楯無「形成(イェツラー)——【暴風纏う破壊獣(リングヴィ・ヴァナルガンド)】ってね♪」

 

重勝「シュ◯イバーの聖遺物じゃねーか。こんなもの何所で手に入れたんだよ・・・」

 

バイクは聖遺物、これ怒りの日の常識・・・派手に登場したツェンダップが行く道を塞いでいたノ◯ズ数体を轢き潰し、エンジン音を轟かせて鮮やかなターンを決め、出雲那と明日香の眼前に停車する。

 

楯無「二人共それに乗ってノ◯ズ達に突っ込みなさい!」

 

出雲那「アンタ無茶苦茶言うな!?オレ、バイクの運転免許なんか——」

 

出雲那が無免許アピールをしていると迅速にツェンダップの操縦席に跨った明日香が出雲那に呼び掛けた。

 

明日香「武内君、乗って!出すわよっ!!」

 

出雲那「柊!?お前バイク運転できるのかよ!?」

 

明日香「私はプロよ!単車の操縦程度なら直感で熟せるわ!!」

 

出雲那「おい?今テメェ【感】って言ったあぁぁあああああーーーーーーっ!!?」

 

おもむろに出雲那がサイドカーの座席に乗り込んだのを確認すると自信満々に不吉な発言を言い放ち、彼がその事について確認してくる前に明日香はツェンダップをノ◯ズの密集地帯に向けて発進させて行く。

 

明日香「ハァァアアアアーーーーッ!!」

 

出雲那「クソッタレ、こうなりゃヤケだ!ガンドコ行ってやるっ!うおぉぉおおおおお———」

 

????「ショウブ!ショウブ!タケウチイズナ!ショウブ!!」

 

出雲那「———おおおおぉぉ・・・ん?」

 

明日香が《エクセリオン=ハーツ》を片手に、出雲那が腰のベルトに帯刀した黄旋丸の柄を握り締めてツェンダップと共にノ◯ズ群の中央まで切り込んで行くと、ふとサイドカーの後部からどこかで聞いた事のある声がしたので、サイドカーの座席の背凭れの上に視線を向けると其処にちょこんと座っていたのは——

 

シグナムちゃん人形「ショウブ!ショウブ!シゴトハシタクナイデゴザル!」

 

明日香「・・・・・カワイイ・・・」

 

出雲那「また・・・・・またテメェかぁぁあああああーーーーーーっ!!!」

 

シグナムちゃん人形「サラダバー!」

 

ドッカーン!と爆発四散!怒りの日の教訓として【バイクに3ケツすると事故る】というジンクスがある・・・。

 

幸斗「い、出雲那ぁぁああああーーーーっ!!?」

 

リオス「アハハハッ!爆風に巻き込まれてノ◯ズ達が消滅していくのが見えるよ♪」

 

夜「ん・・・絶唱だね・・・」

 

楯無「どうやらシグナムちゃん人形には位相差障壁を破壊できる威力がある次元干渉爆弾が搭載されていたみたいね。うふふ、なかなかおもしろいわ♪」

 

アディア「関心している場合ですか!?そんな爆発に出雲那君と明日香さんが——」

 

明日香「凍れ、世界よ!セルシウスサンクチュアリッ!!」

 

夜「あ、炎が凍り付いた・・・」

 

プルート「フンッ!しぶとさだけは一人前だな」

 

出雲那「ぜぇ、ぜぇ・・・酷い目に遭ったぜ・・・」

 

氷った炎を掻き分けて全身に火傷を負った出雲那と無傷の明日香が出て来た。爆発したシグナムちゃん人形と同じサイドカーに座っていた出雲那だけが爆発をモロにくらったようだ。世は不条理である。(笑)

 

楯無「二人共お疲れ、二人の活躍でノ◯ズは全滅したわ♪」

 

出雲那「それはどうも。おかげさまで昔死んだダチと花畑で再会する事ができたぜ(怒)」

 

明日香「まあ、聖遺物に乗るのは滅多にできない貴重な体験でしたが・・・しかし、それはそうとなのはさんの姿がさっきから見当たりませんね。あの爆発に巻き込まれて吹き飛んだのでしょうか?」

 

確かに出雲那と明日香がツェンダップに乗り込んだあたりから、今回の騒動の主犯である聖魔王なのはが何時の間にやら姿を晦ましている。ゆりかご城が衛生軌道上に到達するまで後もう一分も無い。

 

重勝「周囲に意識を張り巡らせば直ぐに見つけられると思うが、もう時間がねーな・・・仕方ねぇ、最終手段だ。月をブッ壊すぜ!幸斗!!」

 

幸斗「おうっ!待ってました!そんじゃa——」

 

なのは「そうはいかないよ!」

 

プルート「っ!?上かっ!!」

 

周囲に散らばっている膨大な魔力素が経った今なのはの声が聴こえて来た天に吸い寄せられているのを感じ取り、精鋭達は全員一斉に天を見上げる。すると天井に空いた穴の先で再び展開した四機のブラスタービットが張った酸素を供給する結界の中に入って宇宙空間から精鋭達を見下ろしている聖魔王なのはが、その全てのブラスタービットとレイジングハートの穂先にその膨大な魔力素を集束して巨大な魔力の塊を形成し、精鋭達にその標準を狙い定めていたのであった。

 

なのは「もう手加減はしない。此処から全力全開の魔法を撃ち込んでやる!」

 

出雲那「なっ!?あんなところから!!?」

 

楯無「なのはちゃんの代名詞にして最強の魔法《スターライトブレイカー》、しかも出力の限界突破を可能とするStrikerS最強モードの《ブラスター3》を使用した正真正銘の全力全開・・・これはさすがに驚いたわね、まさか宇宙空間に飛び出してあんな無理矢理な方法で酸素を補給しながら同時に魔力を集束しているだなんてね」

 

ジョバンニ『テメェら何をしている!?早く制圧しろ!ゆりかご城が月の魔力を吸収し始めたぞっ!!』

 

怒鳴るように焦燥を凝らしたジョバンニの声が通信結晶を通して精鋭達の耳に響き、なのはの後方にてその存在を大きく主張している満月に意識と視線を向けてみると、なんと月から放出されている白い光がこちらに向かって来ているではないですか。

 

出雲那「ゲッ、マジだ!?徐々に二つの月から強大な魔力がゆりかご城に吸い寄せられて来ているのを感じるぜ!ヤバイッ!」

 

アディア「これはかなり危機的な状況だね。なのはさんが集束している魔力素の量からしてこの天守閣を砲撃で全壊させるのには十分な威力が出せるだろう。その上宇宙空間から狙ってきているからこっちから彼女の砲撃を潰しに接近するのは不可能だろうし——」

 

リオス「あれ~?たっちゃんは宇宙に出られないの?」

 

楯無「ごめんなさいねリオス君。残念ながら私の霧纏の淑女はISじゃなくて固有霊装(デバイス)なのよ。私はあくまでも伐刀者だからね」

 

アディア「———そう、だから彼女が撃って来るスターライトブレイカー以上の火力で押し返すしかないわけなんだけど、タイムリミットがギリギリな現状だと今すぐに二つの月を破壊しなければとても間に合わない。従って確実になのはさんの火力を超えられる幸斗は月を破壊する事に専念してもらわなければならないから——」

 

明日香〔真田君が月を破壊する事にはもう誰も疑問を抱かないのね・・・〕

 

幸斗「だぁあああっ、もうまどろっこしいな!だったらなのはの奴を撃ち落として同時に月もブッ壊せばいいだろうがっ!オレがやらなくったってなのはの火力に対抗できる奴ならシゲにプルート、夜だって居るんだしよ!!」

 

アディア「そうは言っても月はあの穴から見えているの以外にももう一つ・・・破壊しなければならない月は二つあるんだ。それを実行するには正直言って手が足りない」

 

夜「ん・・・だったらいいものがある・・・」

 

そう言って夜は半眼をキラッと光らせて懐から何か【小さな人型】を取り出し、それを皆の注目を集めるように左掌の上に乗せて上に掲げた。その小さな人型は金色のポニーテールを揺らして「任せろ!」と言ったドヤ顔で手に持ったミニレヴァンティンを翳している・・・そう、この人型の正体は——

 

スーパーシグナムちゃん人形「マタセタナ!(某蛇の人風)」

 

出雲那「ま・た・お・ま・え・かぁぁああああーーーっ!!」

 

夜「ん・・・金髪シグナムは・・・拾った・・・これを僕が・・・月に飛ばして・・・ぶつける」

 

明日香「ええぇ・・・?」

 

また突拍子の無い事を・・・とツッコミを入れている場合ではない。

 

なのは「何を危機感無くわたしを無視してざわざわしているの!?もう許さないんだから!」

 

プルート「貴様ら馬鹿な話をしている場合ではない!もう奴は集束魔法を撃つ体勢に入っているぞ!!」

 

揉めている内に気が付けばなのははレイジングハートと四つのブラスタービットに魔力の集束を完了させてゆりかご城の天守閣に向けて五発のスターライトブレイカーをブッ放つ体勢を万全にしていた。

 

なのは「これがわたしの全力全開っ!」

 

重勝「仕方ねーな。ここは俺とプルートとリオスでなのはのスターライトブレイカーを足止めする、その隙に幸斗と夜は月を・・・・・ん?何だ、アレは・・・」

 

二つの月を破壊するのにしろ、聖魔王なのはを倒してゆりかご城を制圧するのにしろ、いい加減にそろそろタイムリミットだ。この危機を打開するのにはもうこれしかないと重勝が苦肉の策を切ろうとしたその時、なのはと月の間を横切る一筋の金色が・・・。

 

明日香「アレは・・・流れ星?」

 

否・・・あの金色は——

 

フェイトA「・・・・・」

 

アディア「・・・姉・・・さん?」

 

そう、その正体とは先程みっしぃのちゃぶ台返しによって場外ホームランされたフェイトであった。鼻から赤い愛を噴出させてさっきまでの変態的に恍惚としていた雰囲気とは打って変わり、彼女のその表情は怜悧で勇ましく、まるで戦場の武士のような雰囲気を纏いつつ何故か魔大剣(ザンバー)フォームのバルディッシュの上に立ち、流星の如く星空の中を縫うように滑空し、必殺の魔法を放たんとするなのはに対し背後からの強襲を狙う。

 

なのは「スターライトォォ・・・っ!?」

 

フェイトA「ハァァアアーーーッ!!」

 

金色の魔大剣の上から跳び上がり、勢いよくその柄尻を某仮面ヒーローの必殺キックの如く踏みつけて蹴押し、巨大な切っ先で聖魔王を突き刺さんと高速落下で狙い打つ!

 

魔大剣戦技———天ノ逆鱗(サキモリ・ストライク)

 

出雲那「おい技名のルビィィィーーーーーーッ!!?」

 

重勝「もはや伏字無しでネタを自重する気もねーな」

 

明日香「それよりも何故あのフェイトさんは宇宙空間で平然としていられるのかが気になるわ。もしかして空戦の防護服は宇宙空間でも耐えられる性能だっていうの?」

 

幸斗「いや、変態に不可能は無ぇんだろ、きっと」

 

アディア〔否定できない・・・(泣)〕

 

サッと目を逸らす変態の弟・・・ショタっ子の為に人間すらも超越してしまう変態な姉の更生をアディアはもう諦めた方がいいのかもしれないと遠い目をする。以前どこかのお悩み相談のハガキコーナーに相談を出した事もあったが、その返答すらも【諦めましょう】だったのだし・・・。

 

なのは「甘いよ、舐めないで!」

 

フェイトA「なっ!?」

 

そしてショタコンSAKIMORIメテオは難なく回避され、フェイトを柄尻に乗せた魔大剣は天守閣の屋根を突き破って玉座の間の床に突き刺さった。

 

なのは「いくら集束魔法を放出する直前の魔導師は動きが鈍くなるからといって、そんな大雑把な不意打ちが回避できないと思っているの?たとえ見た目や声がどんなにそっくりでも君はわたしの知っているフェイトちゃんでもSAKIMORIでもない!自分の欲望の事しか考えていない半端者の君が信念を持った人の技を使おうが、このわたしに傷一つ付ける事すらできはしないよ!!」

 

フェイトA「確かにショタっ子を愛する自分の渇望が私の唯一の原動力だ。しかし、たとえ今日折れて死んだとしても、明日に可愛いショタっ子達を愛でる為に———フェイト・アストレイが振るうのはバルディッシュだけではないと知れっ!!」

 

出雲那「SAKIMORIとフェイト先輩と原作のフェイトに謝れ!」

 

突き立った魔大剣の柄尻の上で毅然となのはを睨み返すフェイトの両手には何時の間にか漆黒の魔双剣が握られていた。

 

アディア「——ってそれ僕のスワローテイルじゃないか!?いつの間に!」

 

なのは「人の世界が変態を受け入れる事なんてありはしないよっ!」

 

アディア「人を無視して勝手に話を進めないでくれないかな!?」

 

フェイトA「人に受け入れられる云々ではない!私が世界にどう在るかだ!他人に自分の存在価値を認めてもらえなければ生きていけないなんて安っぽい女になるつもりなど私は毛頭ないのでなっ!!」

 

なのは「っ!!?」

 

アディア「いや、聞いてよっ!」

 

フェイトA「他人に対して自分の価値観でO★HA★NA★SHIするような女にとやかく言われる筋合いなど無いっ!半端者はどっちだッ!!」

 

その燃え上がる激情を象徴するかのように両手に持つ漆黒の魔双剣の刀身に激しい炎が燃え上がる。

 

リオス「あれ?フェイトちゃんって火の属性変換付与、使えたっけかな?」

 

幸斗「変態は何でもありなんだろ」

 

フェイトA「他人(ひと)の事を変態変態って———」

 

そして自らが炎の鳥となり———飛翔!

 

フェイトA「25歳になっても処女な上に魔法少女だなんて、終わっているのよッ———!!」

 

魔双剣戦技———炎鳥極翔斬(サキモリ・フェニックス)

 

出雲那「またしてもルビィィーーーッ!!?そしてそのセリフネタひでぇぇーーーーっ!!!」

 

重勝「D◯esかシ◯フォギアかせめてネタを統一しろよ・・・」

 

プルート「女の言い争いなど、くだらん」

 

仲間達が呆れ果てるなんとも言えない空気の中、火の鳥は宇宙にて桜色の砲を向けてきている聖魔王目掛けて翔け抜けて行く。

 

なのは「黙れっ!原作のわたしとわたしは違う!だからわたしは絶対に———勝ち組になるんだァァァアアーーーーッ!!!」

 

レイハ『パンプキn・・・スターライトブレイカー!』

 

明日香「こっちはア◯メが斬る!のマ◯ン!?」

 

夜「ん・・・中の人ネタ」

 

銀河の果てまで届きそうな心の絶叫と共に放たれた五条の魔砲が炎の不死鳥を襲う。不死鳥の纏う炎は桜色の光を喰らい、五つの光柱は不死鳥の翼をむしり取っていく。

 

フェイトA「うぉぉぉおおおーーーっ!!」

 

なのは「くぅぅぅううーーーっ!?」

 

数秒間互いの技は拮抗していたが、徐々にフェイトが桜色の魔砲を押し返しだした。なのはの表情に苦悶が浮かぶ。やはり変態は強しとでもいうのか?水飛沫のように桜色の魔力光が弾け、不死鳥の嘴が五つの柱を切り裂いて行く。

 

フェイトA「もう、少しぃぃいいいーーーっ!!!」

 

なのは「負けて、堪るかぁあああーーーーーっ!!!」

 

そしてフェイトがなのはを近接(クロスレンジ)に捉え、ラストスパートに入ったこの時をもってこの戦いに突如として終止符が打たれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シグナムちゃん人形「ショウブ!ショウb『がしっ!』ピギャー!?」

 

プルート「これ以上付き合っていられるか。ふんっ!」

 

ポイッ☆ピュー!

 

シグナムちゃん人形「サラダバー!」

 

なのは&フェイトA「「ゑ?」」

 

どっかーん!たーまやーっと!あまりにもふざけ過ぎた茶番にスカシた厨二病の苛立ちのメーターがとうとう頂点に達した・・・先程ツェンダップが玉座をブチ破って現れた時に飛び散った瓦礫の陰から偶然現れたシグナムちゃん人形を掴み取り、変態と聖魔王がいる宇宙目掛けてブン投げる。そして距離が詰まった彼女達の間に入り込み・・・大☆爆☆発ッ!戦いの決着は見事なまでの爆発オチで締めくくられた・・・。

 

重勝「よし、今だ幸斗!夜!月をブッ壊せっ!!」

 

幸斗「待ってましたっ!うぉぉおおおっ、戦場の叫び(ウォークライ)全開っ!!」

 

夜「ん・・・シグナム・・・トス・・・」

 

スーパーシグナムちゃん人形「シュヨ、ワガコエヲキキトドケタマエ」

 

その爆発を合図に出た重勝のGOサインに応じ、幸斗は黒い闘気を全身全霊で放出して鬼童丸を振り上げ、夜は掌に乗せたスーパーシグナムちゃん人形をトスして居合の構えを取る。

 

幸斗「カ・ディ◯ギルなんざ必要無ぇっ!これでブッ壊れろ、バ◯ルの呪詛ごと!!龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)アアアアアアアアァァァーーーーーーッ!!!」

 

夜「ん・・・明日もまた・・・陽は昇るっ!」

 

絶技———明ノ陽昇(あけのひしょう)

 

人に理解が及ばぬ剛力で振るわれた朱い刃が絶大な剣圧を引き起こし、強大な事象改変を成してバカでかい波動砲が月へと向かってグングンと昇って行く。

 

スーパーシグナムちゃん人形「オノレ、ソンザイエックスゥゥーーーッ!!!」

 

それと同時に下から払い上げるように鞘から抜き放たれた夜刀の刀身の側面は宙にトスされたスーパーシグナムちゃん人形を綺麗に捉え、スパコーン!という音が鳴り響くと共にスーパーシグナムちゃん人形が先程フェイトが空けた天井の穴を通り抜けてもう一つの月へと旅立って行った。【明ノ陽昇】———抜刀した夜刀の側面で物質を弾き飛ばして遠距離攻撃を打ち放つ。その威力は着弾する距離が伸びる程に勢いが増し、1km程度で列車砲の砲撃に匹敵する。

 

出雲那「おおおぉぉーーーっ!!?」

 

リオス「いっけぇぇぇえええええーーーーっ!!」

 

ゴオオオオオオンッ!!と宇宙を揺るがすレベルの轟音が星々を蹂躙していく。やがて波動砲の光が月に到達すると、二つの月は一欠片も残さずに爆散したのだった・・・。

 

重勝「ふぅ~、終わったか・・・」

 

夜「ん・・・大勝利・・・ブイッ!」

 

楯無「ほーっほっほっほ!ホラ見てご覧なさい!ザー◯ンさん!ド◯リアさん!こんなに美しい花火ですよ♪ほーっほっほっほっ!!」

 

明日香「楯無さん、最後くらいネタは自重してくださi『ひゅー、ドサァッ!』ん?」

 

なのは&フェイトA「「きゅ~・・・(眼がぐるぐる~)」」

 

アディア「姉さん!?」

 

出雲那「どうやら二人が爆発に巻き込まれた時に居た空間がゆりかご城の重力磁場圏内だったおかげで二人とも此処に引っ張られて落ちて来られたみたいだな」

 

リオス「アハハハッ!ゆりかご城も止まったみたいだしこれで一件落着だね♪」

 

幸斗「グラッツェ!変なミッションだったけれど、楽しかったぜ!!」

 

プルート「ふん!ようやくケリが着いたか。こんな茶番はもう二度とやらん、終わったのならとっとと此処かr『ウゥゥーーーンッ!』っ!?今度は何事だ!」

 

やり遂げた達成感の中、突如として視界の景色が赤く染まり、低く唸るようなアラートが鳴り響きだした。

 

アナウンス『駆動炉全損、及びに聖魔王様の戦闘不能により艦の動力は停止、更には魔力供給目標の月の消滅を確認しました。よって本艦の防衛システムは【フェーズ0】に移行されます———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———間もなく本艦は虚数空間へと破棄されます。搭乗員は速やかに本艦から離艦してください』

 

精鋭一同「「「「「「「な・・・なんだってーーーーっ!!?」」」」」」」

 

ここで創作物語に登場する空に浮かぶ建造物のお約束☆ 最後は崩落する運命。(笑)

 

出雲那「ゲッ!?もう玉座が虚数空間に!!」

 

明日香「みんな、急いで此処から脱出するわよ!」

 

アディア「姉さん、しっかり!」

 

フェイトA「んん・・・うへへ~、男の娘とお風呂ぉ~♥(鼻血だらだら~)」

 

重勝「そいつは弟のお前が背負って行けよ。俺は高町を引き摺って行く」

 

楯無「引き摺るって・・・もう、シゲ君は。女子はやさしく扱いなさいよねー」

 

幸斗「やべっ!?虚数空間がこっちに向かって来た!」

 

シグナム「貴様らぁぁああっ!やっと追い付いたぞ!あの低度でこの流離の烈火の将を倒したと思ったら大間違いd——」

 

リオス「にっげろーーーーっ!」

 

夜「んー!」

 

シグナム「———ちょっ!?貴様ら何所に行く!私を無視するなぁぁーーーーーっ!!」

 

ボロボロになって玉座の間まで追いかけて来た執念深いシグナムの横を通り抜け、精鋭達は迫り来る虚数空間の波に背を向けて崩れゆく聖王のゆりかご城から脱出すべく全速力で城内を走り抜けて行く。

 

出雲那「クッソ!何でいつもいつもこんなオチばかりなんだよォォオオーーーッ!!」

 

シグナム「待て貴様ら!私を置いて行くな!待て、待って!お願いだからぁーーーっ!!」

 

リオス「あ、後ろから追いかけて来た」

 

出雲那「待つかよヴァーカ、ヴァーカ!おっぱい魔人!!」

 

シグナム「た・・武内っ!ききき、きさm———ウボァーーーッ!?」

 

シグナムは侵食して来た虚数空間に落ちて行った・・・。

 

幸斗「シグナムが死んだ!?」

 

一同「「「「「「「このひとでなし!」」」」」」」

 

重勝「やっぱりアイツは生き残れない運命なんだな」

 

幸斗「いいぜ、シゲがそう言うんなら————その運命を覆して・・・いや、やっぱ無理!」

 

楯無「運命を覆す伐刀者が匙を投げる程、彼女の運命は決定的なのね」

 

明日香「切ないわね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プッララララ、プッララララ、プッララララ、プッカンプカン♪ パララ~、パラッラ、パララ~♪ パララ~、パラッパパラ、パララ~♪ ← メ◯ナイトの逆襲っぽいエンディングBGM

 

かくして、無事に聖王のゆりかご城から脱出した精鋭達は、学園浮遊都市ミストガン十一番区の発着場から夕陽が沈む空に浮かぶ聖王のゆりかご城が消滅して行くのを見届けるのであった・・・。

 

ジョバンニ「よくやったな精鋭共!払った犠牲は大きかったが、その悲しみを胸にこれからも精進しろ!解散っ!!」

 

精鋭達の戦いは終わった・・・しかし、その後の記録にはこの戦いの出来事は記されていない。何者かによる隠蔽工作とも考えられたが何もわからず、事件の真相は当事者達だけが知る都市伝説となったのであった・・・。

 

キラッ☆

 

夜「あ・・・シグナム座だ・・・」

 

これにて、一☆件☆落☆着!

 

【風雲聖王のゆりかご城】 THE END

 

 

 

 

 

 

 




【風雲聖王のゆりかご城編】決着DAAAAAーーーッ!!画面の前の読者の皆様、この果てしなくくだらない戦いに付き合ってくださって本当にありがとうございました!

ゲストの八雲夜君の生みの親であるパッチェさんもコラボしてくださってマジ感謝感激です!!

では、ここで前の他作者様とのコラボ回のあとがきと同じように、ゲストキャラの出身作品の宣伝を行います!


*新・魔法少女リリカルなのは~剣神と夜天の輝き

剣を極めし【剣神】《八雲夜(やくも よる)》・・・その少年は三人の家族と共に神によって転生し、その世界で古の魔導書に呪われた少女《八神(やがみ)はやて》と運命の出会いを果たす。
笑いあり!涙あり!感動あり!変態と鼻血は盛り沢山!!(笑)
みんな大好き男の娘主人公に萌え、世のお姉さん達の愛(鼻血)で世界が沈む!・・・てのは半分冗談で(半分っ!?)、本当は感情を知らない少年が家族の愛を知り、少女達と絆を深めて呪われた運命に立ち向かっていく物語です!東方Projectを中心にかなりの要素がクロスしているので多重クロスオーバーが大好きな読者の方も必見ですよ!


あ、今回ボス役として登場したなのはさんは記憶を消して一旦元の世界に戻しました。まだ彼女の世界の主人公が本格登場していないので、新作のキャラ達のカーニバルの参戦は物語がある程度進んだらになりますね・・・少なくとも物語に主人公が本格参戦するまでは。

ではみなさん、またお会いしましょう!アウフ・ヴィーダーゼン(さようなら)!!



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