運命絶唱シンフォギア・オーダー (まんまフラグ)
しおりを挟む
プロローグ
それでも見てやってもいいよって方はお進みくださいませ。
俺は絶望と戦い続ける。
「壇ノ浦……八艘飛び!」
舟を出現させ、その上を高速で移動する。本来は攻撃宝具なのだが、ここではただの移動として使った。なぜならば、そうしなければ目の前の相手、回帰の獣の一撃を回避できなかった。
歌を謳うがごとく、常に俺に重圧をかけて来る獣。その正体は人類悪。神名をティアマトと云う。
「ああ、くそったれ!かれこれ二回は殺してるぞ!」
恐らくは連鎖顕現の影響で何度も産まれていることになってるのだろうが、それが冠位暗殺者の力を借りてなお、俺を劣勢に追い込む要因となっていた。
「今日という今日は絶対に倒す!」
もはや人類は俺を含めて三人しかいない。斬撃皇帝や、オリジナルのブラックバレル遣い。そして俺。
それぞれがそれぞれの場所で現在進行形で全力を尽くしている。斬撃皇帝は比較の獣と、ブラックバレルは快楽の獣:Rと戦っている。
斬撃皇帝さえあれば人類は救われると思っていた頃、連鎖顕現で自動的に復活して来ることを知らなかった頃。俺はアラヤとガイアからの援助を受け、英霊の力を任意で借りることが出来るようになった。
俺はその力の意味も理由もわからず、ただ家族を守りたい一心で使った。
けど、その家族はもうこの世に存在しない。俺の戦いは無意味だったのだ。
だけど、諦めてたまるかよ。生きて、生き延びて、みんなの墓の前で勝ったって、胸を張って報告するんだ。
だから……
「いい加減たおれろぉっ!」
無敵艦隊を展開し、一斉砲撃する。周囲のラフムを一掃し、その間を八艘飛びで一気に突っ切る。
「収束型……
「AA、AAAAaaaaaa!!!」
星の息吹を束ねた一撃を刀身に収束させ、角に叩きつけた。ビキリと音を立ててへし折れた片方の角。
「よし!もう一歩!」
接近さえ出来れば、宝具をラフムによって減衰されにくい。スカサハ先生の宝具やクーフーリン・オルタ、など一対一専用の宝具すらあるのだから、こうして接近したほうがいい。
そこは月のアリストテレスの力を借りてブーストしている。本来ならば人類の敵となるはずのアリストテレスたちだが、地球のSOSが人類悪の出現で変わったらしい。故に力を貸してくれるようになったのだ。
そのブーストを使って、ティアマトの霊基に一撃を加えダメージを与えた。
「とど、めぇぇっ!!!」
その時、笛の音鳴り響き。
「!?」
俺とティアマトを黒い穴に突き落とした。
続けるべきか否か……迷うなぁ……
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
墜落の英雄候補
「おち、るぅぅぅ!?」
いきなり空高く投げ出された俺は必死にティアマトの姿を探す。しかしその甲斐なく、ティアマトの巨体は全く見つからない。
「畜生!逃げられた!」
ヒビが入りそうなほど歯を噛みしめる。だがいつまでもそういう事をしているわけにはいかないと、とあるサーヴァント(ヒント・魔法少女)から得た能力で飛翔する。
ただ、その場所から見えた景色に、俺は驚いた。
呆然とする。そのせいで浮くのが地面ギリギリになってしまった。何やら大きな屋敷の庭に降り立った俺は先ほどの光景を思い出した。
「海が……青い……?」
世界中の海は、ティアマトの出現によってケイオスタイドに変わってしまった。だというのに、上空から広く蒼い海が見えたのは何故なのか?
「動くな!」
どういう事なのかを思案していると、屋敷の方から黒服の男達が現れあっという間に拳銃を俺に突きつけていた。
日本語だ。ということはここは日本?でも日本は前にケイオスタイドに沈んだはずだが……
しかも生きている人間がいる。俺たち三人以外はもう全滅したと思っていたんだけど、どこにこんなに人が生き残っていたんだろう。
……いや、今はこの場を切り抜ける事を考えよう。とりあえず武器を貸してくれる英雄を検索する。力を貸してくれるのは、エミヤ、モーさん、静謐ちゃん、清姫か。他の奴らはさっきの戦闘で使いすぎたか。ごめんみんな。
「すまんエミヤ、力を貸してくれ」
何やらモーさんから抗議が来たけど、お前だと殺しちゃうだろ?ん?そんなことしない?いや、単純に力が強すぎるんだよ。こいつらからマナやオドの使い手のような流れを感じないし、普通の拳銃を使う時点で強度は普通の人間と同じと思われるから、魔力放出とか使えばたちまち死人が出ちまう。
だからこそ、殺さずに無力化できるエミヤの魔術でこの場を収めるのは必然だろう?
だから静謐ちゃんも落ち込まないの。また今度ね。
「干将・莫耶」
白と黒の対となる中華剣を生み出す。刃は当然潰してある。そしてその動きによって、拳銃が弾を放った。
弾丸をかわして、放った相手の腹部に柄の部分で一撃、それによって一人が戦闘不能に陥る。
そして刃を潰した双剣で相手を殺さない程度に殴りつける。数秒後には全ての黒服を無力化した。
息をついてから改めて周りを見渡すと、本当に立派な屋敷だった。そりゃこれだけの警備があってもおかしくはないだろう。って、これは完全に俺が悪いよな。相手にせずに逃げ出せばよかったか?
その時、襖が開いた。
その先にいたのは、威圧感に溢れる老人。
「何者だ」
その老人は俺に問いかける。
「名はツナグ。お前は?」
「風鳴訃堂。ツナグとやら、来るがいい。貴様が欲するものをくれてやろう」
「そうか爺さん。話が早い」
なんというか、いきなりこの状況の情報を得ることができそうな人を見つけることができた。ラッキーというべきだろうか?まぁ、利用できるだけしてやるさ。その間相手が俺を利用しようが構わない。ギブアンドテイクだ。
そうして俺は屋敷の中に入っていった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む