五反田家長姉はアクティブレズで一夏の想い人 (柳川)
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レズは許されてホモは許されない

どうも。
これはインフィニットストラトスと刃牙とnew game!をローテーションで見てた結果生まれた小説です。
第1話は刃牙要素はないですが、まあ若干の百合はあるのでよければ見ていってください。


遂に、遂にこの日がやってきた!

周りを圧倒的多数の女子に囲まれた教室の中、僕は心の内で叫んだ。 女の子の香り、高水準なルックス、世界各国からやってきたであろう様々なジャンルの美人!

 

(嗚呼… この日まで全力で勉強しててよかったぁ…)

 

僕はひとしきり悦に浸ったあと、隣で頭を抱える友人に声をかける。

 

「一夏、ねえ一夏。 聞こえてる?」

 

その友人はギギギ、と。 まるでブリキのオモチャのように顔をこちらに向けて引き攣った笑みを作った。

 

「あ、ああ。 確かグ○ンドラインに突入する辺りの話だろ? お、俺あの辺の話好きなんだよな。」

 

「落ち着け一夏。 誰も何巻まで出てるのかわからない漫画の話なんてしてない。」

 

一夏は呆けたような顔をしたあと、もう一度口を開く。

 

「…ああ、悪い。 確かタイトルが若干アウトなアニメが第2期決定したって話だったか? 確か題名は天使の3…」

 

「確かにその話は散々したけど数日前のことだよ。 今はロリ三人がバンドを組む話はいいんだ。」

 

金城ちゃん可愛いハムハム。

 

「やっぱりすごい参ってるよね? 大丈夫? こんな天国なのに。」

 

「どこが天国だ… それは女好きのお前にとってだろ、仁。」

 

「一夏は女の子好きじゃないの? いや、BL路線もそれはそれで需要あると思うけど…」

 

「俺はノーマルだ…」

 

などと、小声で会話をしていると教室の前の戸を開けて、緑色の髪の先生が入ってくる。

やったぜ! 童顔低身長! しかも僕は一夏と並んで最前列の席だからわかる! でかい! おっぱいがでかい!

 

「どうもみなさん。 私は副担任の山田真耶です。 よろしくお願いします!」

 

声も素晴らしいぞ! 天使だ! 天使が居る!

しかもサイズが大きいのか、ズレた眼鏡を直す時に胸が揺れた! 凄い! なにあれ誘ってるんですか!?

 

「みなさん揃ってますね? それじゃあSHR始めますよー。」

 

凄いとしか言いようがない! 語彙力が溶かされる! 一つ一つの動作の度に豊満な胸が…!!

僕、あれ枕にして寝たい!

 

「ここIS学園は全寮制で、放課後も一緒です。 皆さん、仲良くしましょうね!」

 

「はい!」

 

…あれ? 返事をしたのは僕だけ?

何で皆んなは返事を… はっはーん、山田先生に見惚れてるんだな?

 

「それはお前だけだと思う。」

 

隣から小声で声をかけてくる一夏。

 

「そんなことないよ。 っていうか、何でわかったのさ?」

 

「お前の表情見りゃわかる。 何年一緒にいると思ってんだ…」

 

僕、そんなに表情に出やすいのかね?

 

「それでは、自己紹介をお願いします。 五十音順で。」

 

先生に言われて、教室の端の方の子が立ち上がる。

ふむふむ、相川清香ちゃんね? 趣味はハンドボール、と。 OK覚えたよ!

 

「それじゃあ次は… 織斑くん。」

 

「はい。」

 

指名をされて立ち上がる一夏。

その瞬間教室中が静まり返る。

まあ一夏はイケメンだからね、女子的には気になるんだろう。

 

「えー、織斑一夏です。 特技は料理で、昔ちょっと剣道やってました。 この学校への入学が決まったのが突然だったので、わからないことが結構あるので、迷惑かけてしまったらスイマセン。 よろしくお願いします。」

 

ペコ、と頭を下げて着席する一夏。

 

「ふむ、まあ上々と言ったところか?」

 

その瞬間、後ろから声が聞こえてきた。

うんうん、そこにいるのはわかってましたよ! この一夏と似た匂いと、かっこよくて可愛い声は…

 

「げえっ、関羽!?」

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者め。」

 

スパァァン、と破裂音がした。

振り向いた先にいるのは黒いスーツが似合う超絶美女。

 

「な、何で千冬姉がここに!?」

 

「織斑先生、だ。」

 

再度の破裂音。 そう、彼女こそ一夏の姉にしてこのクラスの担任である織斑千冬さんだ!

 

「お久しぶりです千冬さん! さあ、その胸に飛び込ませてください!」

 

「織斑先生と言っておろうが。 胸については自分の物でも揉んでろ。」

 

スッパァァァン! と、一夏のよりも数段大きな破裂音が私の頭の上でなる。

千冬さんは出席簿を手に持っていて、そしてそれを僕の頭に振り切った状態で立っている。

つまりは出席簿がと頭がぶつかる音が件の破裂音、ってことだね!

っていうか僕に胸なんてないです!

 

「さて諸君。 私が織斑千冬だ。 私の仕事は諸君らをこの一年で使い物になるまで育て上げることだ。 私の言うことはよく聞き、よく理解しろ。 逆らっても構わんが、私の言うことは聞け。」

 

「イエスマァム! 何でもするので僕と結婚してください!」

 

「断る。 お前は少し静かにしていろ。」

 

「ご褒美をくれるのなら!」

 

「山田くん、こいつを黙らせてくれ。」

 

「ええっ、私ですか!?」

 

「カモォォン!」

 

相変わらず冷たいぜ! でもそこが素敵ィ! 抱いて!

山田先生でもいいよ! 揉みしだかせて!

 

「あー、もう時間がないな… 自己紹介は後で各々でしろ。 ただし五反田。 お前だけは今この場でしろ。」

 

「はいっ!」

 

返事をして立ち上がり、最前列にいるので後ろを振り向きながら言う。

 

「どうも、五反田仁です!漢字は仁義の仁ね? 好きなのは女の子で趣味は女の子と遊んだりお話ししたりすること! 因みにそこの一夏とは幼馴染かどうか微妙なラインからの友達だよ! よろしくね!」

 

「…と、非常に危険な同性愛者だ。 それを否定するつもりはないが、全面に押し出してくるから襲われないように注意してくれ。 ついでにそいつは空手の有段者で、私でも苦戦するレベルだ。 何かあったら立ち向かおうとせず素直に逃げてくれ。」

 

「女子が女子を好きではおかしいんですか!?」

 

「否定はしないと言っている。 たとえお前が男だったとしても、私は今のと同じような注意を促していたぞ。 」

 

頭が痛そうに溜息をつく千冬さん。

 

「体調が悪そうですね! 僕が保健室に連れて行くので安心してください!」

 

「体調は悪くないし一片も安心できん。」

 

千冬さんからのツッコミが入った時、ちょうどSHRの終わりを告げる鐘がなった。

 

 

「あー、ぜんっぜんわかんねぇ…」

 

1時間目の授業はIS基礎理論。

僕には簡単だが、隣の一夏はグロッキー状態だ。

 

「入学前に渡された必読の参考書、見た?」

 

「…電話帳と間違って捨てた。」

 

「相変わらず抜けてるねぇ…」

 

教科書を捲りながら答える一夏。

 

「あれ? それ読んでも何とかならない? 山田先生の授業結構わかりやすいと思うけど。」

 

「あー、そうなんだが。 この教科書も授業もある程度の基礎知識を前提として作られてるみたいでよ。 分からない単語を調べたら分からない単語で説明されるんだ。」

 

「なるほど、それじゃあ今度、僕が教えてあげよう。」

 

「マジか、ありがとう。」

 

パタン、一夏が教科書を閉じた時に黒髪の女の子がこちらに近づいてきた。

周りの女子が牽制しあっている中で、一人だけ。

まあ一夏はこの学園に一人しかいない男だからね、仕方ない

え? 何でも女ばっかりなんだ、だって?

だってこのIS学園は女にしか乗れないISの操縦者を育成する学校だからね。 男でISを動かせる一夏(イレギュラー)一人しかこの学園にはいないんだよ。

 

「すまない、一夏を借りてもいいか?」

 

「うん、いいよー。 …あ、君もしかして篠ノ之さん!? 一夏に聞いてるよ、幼馴染の子だよね?」

 

「い、一夏が私のことを…!? …いや、何でもない。 五反田、悪いが一夏を借りて行くぞ。」

 

「OK〜、あ、僕のことは仁でいいよ。 僕も箒ちゃんって呼んでもいい?」

 

「構わない。」

 

「じゃあ箒ちゃん、早速その大きな大きなお胸を…」

 

「やめんか。」

 

黙っていた一夏からのチョップが僕の額にあたる。

 

 

(にしても… まったくわからん!)

 

2時間目の授業でも、俺は内容が全く理解できない。

チラ、と隣を覗いてみたら、仁は教科書の下に隠してワークを進めているようだった。

本当こいつ可笑しいよ… 双子の弟の弾とは大違いだよ…

その後は、ボーッとその様子を見ていた。

 

(本当に黙ってりゃ美人なんだがなぁ… レズじゃなかったらなぁ…)

 

ロングの赤髪にで、顔立ちも端正で身長は170位と聞いた。

胸に関する話をすると機嫌によっては正拳突きが飛んでくるので注意せねばならないが。

 

「織斑くん、何か分からないところありますか?」

 

「あ、はい…」

 

どうしよう、全く理解できていないがここで『全くわかりません!』とは言えない…

いやしかし、言えば一時の恥。 言わぬは一生の端である!

 

「全くわかりません!」

 

「…え、えぇ!? 全部、ですか?」

 

「はい…」

 

山田先生は戸惑ったような顔をした。

 

「え、えっと。 この時点でわからない人はいますか?」

 

と、山田先生が生徒たちに問いかけるが挙手、または声を上げる人はいない。

 

「…やっぱり俺一人ですか…」

 

ガックリと肩を落とした俺の視界に顎に手をやり何かを考えている仁が映る。 まさか…

 

「先生、すいません。 僕も全くわからないので是非山田先生に教えていただきたいのですが!」

 

「やっぱりかぁぁ!! 嘘つけ! お前自分で主席だったって言ってただろうが!!」

 

「一夏貴様ぁぁぁ! 僕の『ドキッ☆ 可愛い教師と勉強会。 ドサクサに紛れてパフパフ大作戦』が台無しじゃないか!」

 

「阻止して良かった!」

 

と、その瞬間。 俺たちの後ろ、正確には後頭部から破裂音。 同時に痛みと衝撃が襲う。

 

「あいてっ!」

 

振り向けば出席簿の縁で仁の後頭部を殴りつけた千冬姉がいた。

…っていうか今音同時にしたよな? 殴った人のは一人だし得物も一つだ。

 

「馬鹿者どもめ。 織斑、入学前に渡された参考書はどうした? 必読と書いてあったはずだが?」

 

「古い電話帳と間違って捨てました!」

 

「馬鹿者。」

 

スッパァァァン!!

 

再度の痛み。

 

「ブッフォwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

お前はもっと駄目だろうが!

 

と、そこで教室が騒めき立っているのに気づく。

 

---織斑くんって意外と天然なんだねぇ。

---あれ? っていうか今五反田さん主席って…

---凄っ! レズ強い!

 

「そうだよー! レズは強いんだよー! っていうわけで君もこっち側にcome on相川さん!!」

 

「私はノーマルだよー!」

 

相川さんを声で当ててすぐさま勧誘。

出会って1日足らずで出来る芸当じゃ… あ、いや、こいつは五反田仁だったな。

さすがはハイスペックアクティブレズ。 やることが違う。



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イギリス淑女はレズの悪夢を見る(ことになる)

因みに私は男の両性愛者です。
女も男も好きダヨー!


2時間目が終了した休み時間、僕と一夏が駄弁っているところに近づいてくる影があった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「ん? なんだ?」

 

「何用でしょうか、麗しきお嬢さん。」

 

上が一夏、下が僕。

先ほど自己紹介は聞けていないが… 喋り方だの雰囲気だのから見ていいところの出だろう。

香水の香りはイギリス製。 恐らく人種もイギリスかそれに近しい者、それも貴族の部類に入るだろう。

なぜわかるのかって? 武道を嗜んでいる人間ならば、相手の立ち振る舞いから人柄を読み取る位容易だからだ。

 

「あら、そちらのお方は礼儀を弁えているようですわね。 しかし、そちらのあなたのその態度はなんですの? 折角イギリス代表候補生たるこのわたくし、セシリア・オルコットが話しかけてあげているというのに。」

 

「へぇ… そうなのか。 あれ? 代表候補生って仁もじゃなかったか?」

 

「あー、そうだよ。 いやぁ、全く、受験のシーズンとISの練習の期間が被って大変だったよ。」

 

あの日々は… 素晴らしかったと言えよう。

私の時間が殆ど無かった… のは、別に慣れていた。

小中と夏休みは師匠のところで空手やってたからね、むしろIS動かしてる方が楽だったから。

なんてったってISの先生が可愛い。 とても、可愛い。

そんでもって激しい動きをするわけだから、胸が揺れるわ揺れるわで天国だった。

 

「それと、テストの時に教官のISを撃破したのはわたくしだけ、と聞きましたが。 なぜ教官を撃破していないあなたが主席に?」

 

「あー、それね。 教官を愛でて煽りながら避け続けたら制限時間割っちゃってさ。 ってことは君が次席かな?」

 

「なあ、悪いんだけど… 俺も教官のIS、倒したぞ。」

 

一夏の発言に、教室中の視線が彼に集まる。

 

「な、何をおっしゃいますの? 教官のISを倒したのは私だけ、と聞いていましたが…」

 

「女子では、ってオチじゃないか?」

 

何にも分かってなさそうな一夏の顔が妙に壺に入る。

と、その時に3時間目の開始を知らせる予鈴が鳴った。

 

「いいこと!? 覚えてらっしゃい! あなたもですわ、わたくしを差し置いて主席など認めませんわ!」

 

千冬さんは流石に怖かったのか、オルコットちゃんは捨て台詞を残して席に帰って行った。

 

「あららー。」

 

「俺、なんか悪いことしたか?」

 

「さあね?」

 

それにしても… オルコットちゃん、ね。

可愛い子だな、と僕は心の中で舌なめずりをした。

 

「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する。」

 

この時間では千冬さんが教壇に立つようだ。 これは素晴らしい! 一言一句聞き漏らさずノートに書きとらねば…

 

…でも実践で装備使う気ないんだよなぁ… 素手で十分だし…

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦にでるクラス代表を決めねばならないな。」

 

唐突に思い出したかのように、っていうか今まで忘れていたであろう千冬さんが教科書を閉じながら言う。

若干おっちょこちょいなところも可愛いです! 結婚して!

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。 クラス対抗戦のみでなく生徒会の開く会議、委員会への出席。 言ってしまえばクラス長だな。 因みにクラス対抗戦とは入学時点でのクラスの実力の推移を図るものだ。 現時点では大した差はないが、競争は向上心を生む。 一度決まると一年間変更はないからそのつもりで。」

 

教室中が騒めきたつ。

そして相川ちゃんが挙手して言う。

 

「はい、織斑君を推薦します!」

「あ、いいね! 私も織斑君に1票!」

「私も私も!」

 

「織斑に推薦だな。 他にはいないか? 自薦他薦は問わないぞ。」

 

おー、やっぱ一夏は上がるよね。

向いてるとは思わないけどマスコットとしては男は丁度いいし。

 

「え? ちょっと待ってください織斑先生! 何故俺が!?」

 

「自薦他薦は問わないと言った。 推薦されたのだから甘んじて受け容れろ。」

 

「えぇ…(困惑)」

 

あからさまに困った顔をする一夏。

諦めろ お前がやらずに 誰がやる …川柳である。

まあ、この状況ならオルコットちゃんも黙って…

 

「じゃあ私は五反田さんに1票。」

 

お? 僕にも来たね!

嬉しいね、女の子から期待されるのはさ!

 

「五反田に1票だな。 他には? …ああ、五反田は代表候補生だが専用機は持っていないぞ?」

 

黒板に写しながら言う千冬さん。

 

それを受けて、さらにクラスが騒ついた。

 

-え? 五反田さんって代表候補生なの?

-やっぱりレズは強いのか…

-胸の戦闘力は慎ましやかだけれど…

 

ちょっと最後の君、こっちこようか? 存分に教育してあげるから… さ?

と、その時。 バン、と机を叩く音が教室に響いた。

音の出元は、言わずもがなオルコットちゃん。

 

「このような戦術は認められません! 大体、男や同性愛者がクラス代表者などいい恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

カンカンに怒るオルコットちゃん、あれだ、無駄吠えしまくる子犬みたいな可愛さがあって微笑ましい。

 

「そもそも代表候補生とは実力で選ばれるはず! 順当なのはこのわたくしですわ! それを物珍しいからと言った理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこの島国までIS技術の修練に来ているのですよ!? サーカスに付き合うつもりは毛頭ございませんわ!」

 

あー、これを聞き続けてもいいっちゃいいけど… 雰囲気が悪いね、これは良くない傾向だ。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛でーーー」

 

うん、打ち止めだ。 これ以上は彼女を孤立させることになってしまう。

 

「そろそろやめときな。」「そろそろやめとけ。」

 

僕と一夏の声が被った。

お互い目を合わせて、一夏が「お先にどうぞ」と言ってきたので、先に言わせてもらうことにする。

 

「なんですの!?」

 

「オルコットちゃん、吠えるのはいいけどさ、気をつけた方がいいよ?」

 

「なっ、吠えるですって!? それに一体何に気をつけろというのですか!?」

 

さらに顔を赤くさせるオルコットちゃん。

 

「周りの視線、かな? 一夏の他国へのスカウトを避けるためなのか、このクラスって日本国籍が多いみたいだよ。 ちょっと前みたいに愛国心の高い人はいないだろうけど、それでも自分の国を馬鹿にされたらよくは思わないよ。 少なくとも、相手の国を下にすることで自分を上に感じさせることは、僕は得策だと思わない。」

 

「真実を言って何が悪いというのですか!?」

 

「イギリスだって島国だろうが。 そもそも料理が不味い国ランキング何年か連続覇者だよ。」

 

僕の発言を遮って、一夏が口を開いた。

彼はこちらに目を向けて一言「すまん」と謝ってから続ける。

 

「あっ、あなた! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「侮辱じゃねえ、真実だ。」

 

「イギリスにも美味しい食べ物はたくさんありますわ!」

 

と、そこで一夏が特大のため息を吐く。

相手をイラつかせるため、とかじゃなく本気で呆れてる時の仕草だ。

 

「だったら日本も後進的ではないだろうが。 お前らが得意気に乗ってるそいつは一体何人が作った? それの大会で世界一になったのは一体どこの誰だ? …なあ、おい。 答えてくれよ。 お前が『男』を下に見る口実を作ったそれ(IS)を作り上げたのは何人で、大会で世界一になったのも何人なのか。」

 

「…くっ!」

 

唇を噛むオルコットちゃん。

マジギレ&マジ呆れしてる一夏が続ける。

 

「まあいいよ。 男の部分は許そう、ってかそこまで気にしてねえし。 しかしよ、何故仁の性癖が関係あるんだ? お前にはなんも分からねえだろうが。 受け入れろとは言わねえけど最低限文句は言うなよ。」

 

馬鹿馬鹿しい、と呟きながら一夏は続ける。

…昔っから僕の同性愛関係のこと馬鹿にされるとブチ切れるんだよね。

 

「そもそも元世界一位や日本代表候補生のいる教室の中で、イギリス代表候補生のお前がそこまで偉いのか? ISの実力で言えばイギリスは中の上、日本は上の上だ。 文化の進み方で国民の優劣が決まるならあんたは今この二人… いや、この教室にいる日本人よりも下だよな? 因みに俺は今、あえてお前の国を馬鹿にしている。」

 

「ISの戦闘では織斑先生には勝てずとも、他の生徒には勝てますわ!」

 

「…だってよ、仁。 どう思う?」

 

こっちに振ってくる一夏。

えぇ… どうするべきか… あ、このアイコンタクトは『いいから煽っとけ』だ。 しょうがない。

 

「…うん、この子なら飯の前でも構わないよ。」

 

出来る限りの笑顔を作って言う。

よほど癪に障ったのか、オルコットちゃんがまた机を叩きながら言う。

 

「決闘ですわ!」

 

「…千冬さん、決闘罪は…」

 

「適用されん。 IS学園は日本にあるが日本という国に属しているわけではない。 よって、日本の法律で咎められることは有り得ない。 …それと織斑先生と呼べ。」

 

決闘罪って本当にあるんだよね。 使われた例はあんまりないらしいけど。

 

「構わねえ。 四の五の言うよりよっぽどわかりやすい。」

 

「僕もいいよ。」

 

ふふふ、と笑うオルコットちゃんの顔には嘲笑があった。

 

「それで、ハンデはどうしましょうか?」

 

「いらないかな。」「そんなもんいらねえ。」

 

お、今日は良く一夏と被るな。

 

「負けた後の言い訳にされても困る。 真正面からぶっ倒させてもらう。」

 

「あら? 本当にいらないのですか? 方や男、方や専用機も持たない極東の猿がこのセシリア・オルコットとブルー・ティアーズに勝てると思って?」

 

「そうだよ、今からでもハンデもらった方が良いって。」

 

一夏を諭そうとする女子の声、一夏は… 若干カチンとしてる。

 

「男に二言はない。 ISの乗り方なんて知らないし勝てる確証もねえが、やるしかない。」

 

「よっ! それでこそ一夏! 馬鹿!」

 

「包み隠そうとせず罵倒してくんな!」

 

一夏のツッコミが入ったところで、千冬さんが手を叩いて注目を集める。

 

「話はまとまったようだな。 決闘は一週間後の放課後に行う。 用意をしておくように。」




最後の方はちょっと急いでたせいで適当になった感が否めない…


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