Diavolo Bianco (artisan)
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Happines Daily (何気ない日常 編)
Daily.1 ある1日 part1


どうも。今回から日常の話を。

たまーに投稿していくので。では、どうぞ〜。



...因みに、時間帯は最終回から1ヶ月ぐらい経ってます。


「ふぁー.....」

ショウの朝は早い。外はまだ暗く時計の短針が示すは5。

欠伸をしながらポストに入った新聞を取りに行く。

「んー.....今日は晴れか。」

今日の天気と番組表をチェック。

ニュースは、あまり新聞では見ない。大体はテレビで見ている。

「.....そろそろ作るとしましょうかね。」

よっこらせ、とソファーから怠そうに立つ。

今日が金曜日という事を幸いに思いながら、早速今日の弁当を考えていく。

「.....冷凍使うか。」

冷凍庫から数個の冷凍食品を。

今日は作る気力が無い。少々頼っても良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーし。完成、と。」

時間は6時30分。3()()()の弁当が完成した。

そろそろ起きる頃だな、と思いつつそれらを包みに入れていく。

「...おはよ〜.....」

「おはようございます.....」

リビングに未だ眠そうな声が響く。

見ると、同じ仕草をしている2人が立って居た。

「お。やっと起きたか。おはよう、()()()()()。」

そう、彼等は3人で住んでいるのだ。

元はショウが住んで居たが、その彼が誘った事により同居する事になった。

「兄ちゃーん.....」

「どうしたー?」

包みに入れた弁当を保温物に入れながら、いつもの受け応えを。

はいはいと言いながら、彼は渡された櫛を持つ。

「んー.....」

「ったく.....どうやったらこんなになるんだこの双子は.....」

全くだ。それはもう.....うん。(説明のしようがない)

取り敢えず、あらゆる箇所が爆発していると言っておこう。特にユウキが。

「...うし。出来たぞ。ほれ、アイ。」

「はーい.....」

ユウキと同じような声を出しながら、ストンと彼の膝に座る。

彼女程ではないが、結構な寝癖がついていた。

「.....まだ眠たいのか?」

「はい.....ダイブし過ぎました.....」

呆れ半分を含めた苦笑をしながら頬っぺたをムニョーンと伸ばす。

あうーとまだ寝ぼけている声を出しているが、そんな事は気にせずに遊ぶ。

 

ぐぅ〜。

 

「.....朝飯作るか。」

「...そうですね。」

「うん.....」

3人の腹の虫が鳴った事で、ようやく朝飯を作る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、今日はショウさんも学校に来るんでしたっけ?」

玄関にて。制服に着替えたアイとユウキが。

そして、思い出したかのようにアイが問いた。

「ああ。ちょっと野暮用でな。」

「じゃあ!一緒に登校出来るの!?」

「おう。一緒に行こうか。」

「やったー!」

ピョンピョンと飛び跳ねるユウキを他所に、ショウは肩掛けカバンを持った。

中には色々と本が入っているが.....それは次回にでも触れようか。




次回に続く.....


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Daily.2 ある1日 part2

「ふんふふんふふーん♪」

「危ないぞー。」

 

今日はいつもよりも.....いや、いつものように機嫌が良いユウキ。

ただ違う事があるなら、今日はアイも嬉しそうな事ぐらいか。

まぁ、そう言う俺も今日は楽しみにしてたからな。あまり人の事は言えない。

 

 

「お、ショウじゃないか。」

「おはようございます!」

 

と、交差点に入ったところで右から和人と明日奈が歩いてくる。

.....ホントに仲良しだなぁ。他人の事言えないけども。

そういえばだが、コイツらとリアルで会うのはあのパーティー以来になるな。ずっとALOでしか会ってなかったからそういう雰囲気がしないけども。

 

 

「お前らも学校.....だよな。一緒に行くか?」

「じゃ、お言葉に甘えて。ラン.....じゃなかった、アイとユウキも良いか?」

「全っ然大丈夫だよー!」

「大丈夫ですよ。大勢の方が話も和みますし。」

 

という事で、彼等も一緒に学校へ行く事になった。

いやー、なんか良いな、こういうの。今までずっと朝早くに一人で出勤だったからな。初々しいわ。.....あ、そういや俺の仕事が何か言ってなかったな。俺は今も医者を続けてるんだ。と言っても外科医だけど。因みに病院名は“琴葉外科クリニック”。シンプルな方が好きです。(謎の報告)

 

 

「.....なぁ、ショウ。」

「んあ?なんだね和人君?」

「その言い方ウゼェ.....じゃなくて。お前、スーツなんか着てどうしたんだ?いつも着て行かないだろ?」

 

.....確かに。疑問に思うよな。ま、別に隠す事も無いし、話しても良いか。

 

 

「まぁ、教えてやるよ。俺は━━」

 

 

 

 

 

「何の話してるのー?もう学校着いたよー?」

「「!」」

 

え、と思い、前を見ると既に学校が。.....あ、そういえば学校は近かったっけ。

んじゃ、読者の方々にはヒントを出そう。

俺は未だ19歳だが、それでも大学は卒業したし、言ってしまえばもう大人だ。

 

なら、大人が学校で子供に対してやる事はなんだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んあー.....授業かぁー.....」

「さっきまでのテンションは何処に行ったの.....?」

 

朝礼が始まる前の、ある教室。

其処で、項垂れているユウキを見て苦笑するアイが居た。

この2人、普通の高校生よりも数が多いクラスの中で、奇跡的に一緒のクラスになったのだ。しかも、上の階には和人に明日奈、それに珪子(シリカ)里香(リズベット)も居る。ホントにミラクルなのだろうか。

 

 

「.....そう言えば、今日、新しい先生が来るんだって。」

「新しい先生ー?」

 

新しい先生と聞いて、何故かショウを思い浮かべる。

いや、そんな筈は無い。彼は医者で忙しい.....と思うから。

 

 

「おーい、HR始めるぞー。」

「.....いつもの先生じゃん。」

「アレ.....?」

 

結局いつもの担任が来た事に疑問を思いながら席に着く。

ただの噂話だったのだろうか。それとも.....

 

 

 

 

 

「席に着いたな。HRを始めるぞ。

 

の前に、今日より新しい副担任が着く事になった。.....入ってきてくれ。」

 

いや、間違いではなかった。担任ではなく副担任だったのか。

扉が開けられ、其処から入ってきたその人物は━━

 

 

 

 

 

「どうも。今回から副担任を務める事になりました、()() ()()だ。宜しくな。」

「「!?」」

 

━━やはり、彼であった。



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the Special Story(外伝 編)
Episode.another 堕天使の奮闘記ぱーとわん


スペシャルストーリーです。時系列的に言えば、UWに入る前です。

P.S.ガルパンおじさん様、誤字報告有難う御座いました!


「んー.....」

ある店の前で唸っている青年が一人。

我らが主人公、アートである。

「えーと.....ここを、こうして.....」

パリンッ。

「にゃぁぁぁ!!」

.....何をやっているのだろうか。

見たところ、裁縫?をやっているように見えるが.....

「クソォ.....何で難しいんだよ.....このクエスト、ホントに初心者向けなのか?」

実は『思い出は永遠なり』というクエストなのだ。

内容は至って単純。自分が欲するアイテムを自分で作る、という物だ。

本来ならば、手順はそれ程難しくなく、簡単に出来るのだが.....

パリンッ。

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

━━この男、不器用である。

そして、その叫び声が聞こえたのか、ある者達が近づいてきた。

「.....アートさん?」

「何してるのー?」

「ひあうっ!?」

彼女達━━ランとユウキが後ろから彼を呼ぶ。

その声にビクッとしながら、彼はゆっくりと振り向いた。

「.....よ、よう、奇遇だな。」

「ええ、こんにちはです。で、何やってるんですか?」

「ク、クエストをやってるんだよ。そっちはどうしたんだ?」

「さっきまで結晶とかを買いに来てたんですよ。」

「そうだよー!」

それを聞いたアートはなんだと言わんばかりに胸を撫で下ろす。

二人は首を傾げるが、何でもないと話す。

「.....お兄ちゃん、何か隠してる?」

「はぁ!?ななな、何を言ってるんだよ!!」

まるで、『そうです。嘘吐いてます。』と言わんばかりに慌てるアート。

いつもと違った彼の状態に目を光らせたユウキは次のように言った。

「ふむー.....隠してないなら、別にボク達が此処に居ても大丈夫だよね?」

「へ、何を言っt「いいよね、お姉ちゃん!」うぉい!?話を聞いてくれません!?」

彼が狼狽えるも、それを無視してユウキはランに聞いた。

対する彼女は少し考えてから、こう言った。

「んー.....そうね。じゃあ、お邪魔します。」

「うぐっ......分かったよ、好きにしろ!」

ランも一緒に居る(監視する)つもりらしい。

そんな彼女達に彼は遂に折れた。

そして、先程と同じように作業を再開する。

「で、何を作ってるんですか?」

「.....秘密。」

「むぅー.....ケチですねぇー.....」

頬を膨らませるランをよそに、彼は黙々と何かを作っていく。

因みにユウキはじっくりと見守っている。案外面白いのだろうか。

パリンッ。

「.....」

「アハハ.....」

「だ、大丈夫.....?」

だが、それでも作れない。

ポリゴン体になった物を儚げに見つめるアートを二人は気遣う。

別にそこまで作りたい物なのか。そう聞こうとするが.....

「.....うし、もう一回!」

すぐさま行動に移した。

一体、何を作ろうとしているのか気になってきた彼女達は黙って見続ける。

 

━━そして。

「.....出来た。」

遂に、出来上がった。

既に周りには多数の観客が居た。

何回も挑戦し続けたアートに皆、心を惹かれたのだ。

「やったね、お兄ちゃん!!」

「何が完成したんですか?」

二人共、興味津々である。

その答えとして、彼は堂々と見せた。

「ほれ。これさ。」

見せられたのはカチューシャとリボン。

それぞれ、彼女達にあった色だ。

「カチューシャに、リボン.....?」

「ああ。.....んで、カチューシャはユウキで、リボンはラン。はい、どうぞ。」

自慢げに頷き、ランとユウキに差し出す。

そんな、いきなりの行動に目を丸くする。

「え.....くれるの?」

「おう。確か、今日はお前らの誕生日だろ?VR内で悪いが.....プレゼントだ。」

プレゼント。その言葉を聞いた彼女達の頭は、一瞬真っ白になる。

だが、それも本当に一瞬。すぐに微笑んで.....

「ありがとう、お兄ちゃん!!」

「ありがとうございます!!」

精一杯、自分達が出来る限りの礼を言った。

「いえいえ、どういたしまして。.....ちょうど時間もいいし、ホームに帰るか。」

「「はいっ!(うんっ!)」」

彼らは手をつなぎながら、ギルドホームに帰っていった。

尚、その場に居た観客達は、皆、温かい微笑みを浮かべていたそうだ。




こういう、ほのぼのした話もいいねぇ.....

あ、次回は.....出来れば明日に投稿するよ!!


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Episode.Specialー1 無型の剣聖

コラボストーリー!

お相手は超大物の『SAO ~無型の剣聖~ 』を書いていらっしゃるmogami様です!


「ってことなんだよ。分かるかおっさん?」

「誰がおっさんだ。」

35層にある、血盟騎士団本部にて。

2人の男が雑談を交わしていた。

「兎も角、アート君が疲れているのはわかった。

...しかし、私の元へ来るのが理解不能なんだが?」

「んなもん、俺の精神治療の為に決まってンだろ?」

「こんな弟は嫌だ.....」

溜息を吐く彼━━ヒースクリフ。

...まぁ、疲れたから此処(本部)に来る彼━━アートもアートだが。

「.....っと。そろそろ()()だな。」

「...いつもすまない。私がすればいいものを.....」

「何言ってんだ。アンタがやったらスキャンダル間違いなしだ。

それなら、知人で裏に向いている奴がやらないといけない。そういう話だろ?」

気軽に事を話すアート。

それとは対称に、ヒースクリフは右手をグッと握りしめていた。...例えるならば、血が滲みそうな程に。

「じゃ、行ってくるぜ。アンタも頑張れよ、()()()。」

「.....ああ。」

そう言って、彼は部屋を出た。

.....ま、今日はそれだけで終わらず、なのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!」

「ガッ!?」

最後の一人を難なく斬り飛ばす。

既に危険域(レッドゾーン)に入っていた為、すぐにポリゴン体に変わった。

「.....今日は5人か。最近、なーんか増えてきてんな.....何でだ?」

この頃オレンジプレイヤーとオレンジ擬き(グリーン・オレンジプレイヤー)が増えてきた事に愚痴を溢しつつ、転移門の方向へ向かう。

すると.....

「ハァァァァッ!!」

「!?うぉっ!?」

近くの森からいきなり人が出てきて、俺に斬りかかってきた。

辺りは当に夜を迎えているせいで、相手の姿がよく見えない。

「(チッ.....さっきの仲間か.....?)」

恐らくだが、先程殺した奴らの仲間なんだろう。

なら、やる事はただ一つ。

「...殺す.....!」

「!?.....グァッ!?」

改めて気持ちを切り替える。

受け止めるのに使っていた愛刀を、滑るように斬り込んだ。

突然の事で相手は反応できず、ダメージを負い、後ろへ下がった。

「クソ.....ハァ!」

しかし、それも束の間。

相手はそのまま“細剣単発SS シューティングスター”を放っ.....

.....ん?()()?なんで片手剣で.....

「ヤァァァ!!」

「!!」

その事に驚いている暇はこちらに無い事を、すぐに思い知らされた。

俺は本能的に左へ避けようとするが、肩に傷を負ってしまった。

.....ごちゃごちゃ考えるのは止めるか。取り敢えず今は.....

 

「.....流殺法、起動...!」

━━コイツを殺すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!」

「シッ!」

二つの剣が色を纏いながら交差する。

“片手剣単発SS ホリゾンタル”と“流刀殺法・一の型 刹那”。

どちらも《地面と平行に放つ》という共通点を持つそれらは、それぞれ跳ね返される事になって終わった。

「ラァァァァ!」

「なにっ.....!?」

しかし、相手はただ終わっただけでは無かった。

驚異の反射力で、跳ね返された勢いを使いながら地面を蹴り、アートに突進した。

 

「クソが.....!!」

「!?」

だが、それに当たるという事象は無かった。

スレスレの所で刀を滑り込ませ、得意の【 反射(リフレクティング) 】でまたもや跳ね返す。

「消えろ.....!」

「ガッ!?」

そのまま何も持っていない右手でソードスキルを撃ち込む。

“流手殺法・一の型 餓狼”。先程と同じように、水平に撃ち出されたそれは見事に鳩尾に決まった。

そのお陰で相手は少し離れた場所まで吹き飛ばされる事になった。

「...強ェな。どんな反射神経してンだよ.....」

あの動きは只者の動きではない事を、アートは分かっていた。

まるで、攻略組のような動きを奴は.....

 

「ウラァァァァ!!」

「!?」

すると、奴が態勢を立て直して、再度突進してきた。

油断していた俺は、刃を受け止める...いわば、鍔迫り合いの状態になってしまった。

「グッ.....復讐心強すぎだろ.....」

「あぁ!?何訳分かんねェ事言ってやがるッ!?

お前は人を.....()()()()()()人を殺しやがったッ!それだけだ!!」

.....はい?何か食い違ってない?

「...お前、もしかして勘━━」

「ハァァァァッ!!」

「ッ!?」

もしかしての事態に気づいたかもしれない俺は、相手に聞こうとするが言う事を聞かずにどんどん押されてしまう。

.....このままじゃ埒が明かない。そう思った俺は━━

「だから...話を聞けやァァァァ!!」

「いづっ!?」

━━ハイ、普通に押し返してチョップを喰らわせました。

いきなりの事に、奴は変な絶叫を上げる事になった。

.....取り敢えず、話聞くか。




この話は多話投稿でお送りします。


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Episode.Specialー2 勘違い

パート2なり。
もう完結したから投稿しないと思ってた?

フッフッフ。まだコラボストーリーがあるお陰で投稿できるのさ!
.....終わったらマジで完結だけど。


「ハァァァァ!?オレンジプレイヤー!?」

何とも大げさ.....とは言えない絶叫...絶叫?が響き渡る。

叫んだ彼──残念ながらまだ名は聞いていない──は、告げられたまさかの展開に混乱している。

「.....まさかとは思ったが、ホントに勘違いだったとは.....」

アートはガックリと項垂れる。

一体、何分を無益な戦いに費やしてしまったのだろうか。本当に無益過ぎた。

「うっ.....悪かった...」

「え?ああ、別に大丈夫だよ。お前こそ大丈夫か?」

まぁ、それは先程の事(オレンジ狩り)が終わっていなければの話だが。

しかし、これが起きたのもそれが原因なのでとやかく言えないのが苦しい。

「俺は大丈夫だけど.....何か気が済まないな。俺に飯でも奢らせてくれ」

「いや、それは気まずいからいいよ」

「でも.....」

この瞬間、アートは直感した。

コイツ、意外と面倒くさいキャラなんだ、と。

瞬時に悟ったアートは少しの間沈黙し、溜息を吐いてから答えた。

「.....はぁ。分かったよ。んじゃ、行こうか」

「!.....ああ!」

彼が折れてくれたことにより、パァァァと顔を輝かせる少年。

二度とこんな奴には関わらまい、とアートが決めた瞬間でもある。

.....まぁ、後に似たような奴(キリト)と出会い、更には記憶を消失した状態で再会する事になるのだが、それは本編とあちらの作品を見ていただきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ.....お前、攻略組なのか」

時間と場所は変わって、あるレストランにて。

豪華.....とは言えないものの、普段よりは贅沢な食事を野郎二人で取っていた。

「ああ。.....ま、相棒と一緒に二人でやってるんだけどな」

彼──名前はArusu(アルス)と言うらしい──は苦笑交じりにそう答えた。

話によると、その相棒って奴と一緒に攻略組の一員を成しているんだとか。

「ふーん.....んで、そんな攻略組のお前が、こんな所に何しに来たんだ?」

「うぐっ.....」

何だその、如何にも『はい、何かあります』と言っているような詰まり方は。

アートが若干顔を引きつらせている間に、アルスはポツリポツリと話し始めた。

「.....俺、此処にあるクエストを受けに来たんだ。...自分の見解だけど、俺ってあんまり活躍できてなさそうに思えてな。だから、此処の層に来たんだ」

「.....!」

━━何とも、重要な話だった。

自分を強くしたい、または他人を助けてやれる強さが欲しい。

その今にも壊れそうな姿は、嫌でも昔の自分を思い出させることになって━━

 

「ッ.....」

「?.....アート?」

思わず顔を顰めてしまった。

余程の表情をしていたのか、アルスに心配されてしまう。

「...いや、なんでもない。それよりさ、そのクエスト.....俺も手伝ってやるよ」

「え....良いのか!?」

ガタッと身を乗り出すアルス。

それを苦笑と共に答えた。

「ああ。乗りかかった船だしな。つー事で、これからよろしくな」

「おう!」

━━此処に固い握手が結ばれた。

その経験が、アルスに大きな影響を及ぼすのは、目に見えていた。



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Episode.Specialー3 絆

最終話です。


「.....なぁ」

クエストを一緒に回ると決めた、その翌日。

アートはアルスと共に、40層にあるフィールドで佇んでいた。

「.....何だよ」

...そう、佇んでいたのだが.....

 

「...ホントに、此処で合ってるのか?」

アートが率直な疑問をぶつける。

まぁ、無理もないだろう。

何故なら、目の前に()()()()()が施された扉があるから。

フィールドでそんな扉があるとすれば、その先がどんなものなのかは容易に想像がつく。

つまるところ━━

 

「「ボス戦かよぉ.....」」

━━まさかのボス戦であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うし.....準備出来たか?」

「勿論」

装備を確認し、改めて準備する二人。

まぁ、言わずもがな、最強装備に変えたのだ。

アートは愛用の刀━━五月雨(さみだれ)へ。

アルスも自身が持つ至高の剣━━ホワイトライダーへと持ち替える。

「.....へぇ。良い剣だな」

「そっちもな」

お互いに何ともない話を一言交わし、次の瞬間には真剣な表情へと変える。

アルスが扉に手をかけ、そのまま開く。

中へ入ると、其処は古代遺跡のような場所が。もう少し詳しく言うなら、闘技場と言ったところか。

「.....来る」

アートが何かを感じ取り、呟く。

その瞬間━━

 

 

「■■■■━━!」

「来たぞッ!」

上から、奴が降臨する。

背中に生えた右翼は天使のようで、しかし左翼は悪魔のようで。

その名は【The destroyer】。簡単な英語であり、この場では最凶の存在へと至っている。

HPバーはたったの3本。つまり、それだけ強い。

その事象に臆することもなく、彼等は剣を再度握りなおした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやぁぁぁ!」

.....何時間たっただろうか。

再度、アルスが仕掛けに行く。

黄色の閃光(ヴォーパル・ストライク)は牙をむくように、奴の足へと襲い掛かる。

「■■■!」

「チッ.....!」

しかし、それは当たり前のように阻まれる。

そのまま奴は吹き飛ばし、壁へ激突させた。

「フッ━━!」

「!!」

その後ろから、アートが飛ぶ。

六つの芒星は刺突となり、奴の足へ突き刺さる。

「■■■!!」

「ガァッ!?」

だが、それは怯ませるには至らなかった。

足を振り抜いて空中に浮かせ、手に持っている大剣で彼を斬り裂いた。

 

「クソ.....あと一本が削れねぇ.....!」

アルスが悔し気に吐き捨てる。

二本は既に削れている。しかし、残り一本となったところでパターンが大きく変化したのだ。

「.....」

そんな彼を横目に、アートは何かを考える。

無論、奴への対抗策だ。だが見つからない。

交互にぶつけてはダメ。攻撃した後の隙をつく作戦はも通用しない。

.....ん?()()()

「.....アルス。ちょっと良いか?」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「■■■■━━!!」

天使(悪魔)が吠える。

見方によっては、敵を探しているように見える。あくまで個人の見解だが。

 

「おい」

「!!」

後ろから獲物の声がする。

振り向くと、其処には探していた二人が。

「さて....今までやられた分、きっちり返させてもらう、ぜ!」

その言葉と共に、二人が駆ける。

速さは神速の如く。誰にも見えやしないだろう。

「■■!」

奴が横へ大剣を薙ぐ。

しかしそれは届くことなく、更に彼等はソードスキルを当てた。

一の型 刹那(ホリゾンタル)は青と黄のクロスを描きながらダメージを与える。

.....そう、これこそが作戦。『二人で同時に仕掛ける』というものだ。

一人ずつやるから手こずる。なら、二人でやれば大丈夫、という何ともメチャクチャだが、思いの外有効だ。

「ハァッ!」

「シッ!!」

更に連続技を放つ。

それは奴の身体を赤く染め上げていき、そして遂に━━

 

「これで.....」

「止めだァァァァ!」

同時にラストアタックを決める。

彼等が地に降り立った瞬間、奴は青いポリゴン体へと変わった。

 

 

「終わった.....」

「疲れたぁ.....」

奴が消滅したことを確認すると、へたりと座り込む。

そんな中、戦利品を確認していたアルスが何かを見つけた。

「.....ん?【エンジェルライダー】?」

「んあ?何だそれ」

恐らく、アルスのLAボーナスだろう。

何はともあれ、大きな力になる事は目に見えている。

「おぉ.....結構強ぇ.....」

「良かったじゃん」

何と、ホワイトライダーよりも性能が少し上だったらしい。流石は天使悪魔。

 

「ん.....?え゛.....マジか....」

「?」

様子を見るに、メールが届いたのか。

それを確認していく内に、彼は顔と声を苦しいものに変えていった。

「.....すまん。終わって早々なんだが、急に用が出来た。だから.....」

「...大変だな、お前も。.....じゃあ、此処でお別れだな」

そう、此処でお別れ。俺は中層プレイヤーでコイツは攻略組。もう会う事も無いだろう。

 

「楽しかったぜ。色々とな」

「ああ。

 

じゃあ、またな!」

そう言って彼は、結晶を使って転移した。

今回、彼だけが良い経験をしたと思ったが.....どうやらそうでもないらしい。

お陰で、もう一度自分を見つめなおす良い機会になった。

ああ.....

 

 

 

 

 

本当に楽しかったな。




一応言っておきますが、mogami様の公認設定であります。
因みにエンジェルライダーの画像はこれで。


【挿絵表示】


手書きですいません.....



で、コラボストーリーはこれで終了となります。
コラボしてくださったmogami様。本当にありがとうございました!

そして読者の皆様、これで『Diavolo Bianco』は完結です。
長い間、ありがとうございました。また何処かでお会いしましょう!


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Mother's Rosario (母なる十字架 編)
Episode.0 プロローグ


·····えー、ど、どうも、おうどんっす。
まず最初に。色々すいませんでしたァァァァァァ!
何でこうなっているのかというと、
最終回が思い付かないので自分が書いた話を見ていたんです。
すると、何という事でしょう。ぐちゃぐちゃしまっくてるじゃねーか。
という事で、リメイクさせてもらいました。
こんなバカでアホで間抜けなおうどんですが、
もし読んでくださるのならこれからも宜しくお願い致します。

※改稿しました。


「はぁ.....」

舞台はある高等学校の中庭。

其処にはある一組のカップルが居た。

一人は黒い髪に黒い瞳を持った童顔の少年。

もう一人は栗色の髪を持つ大人びた少女。

 

少年の名は桐ヶ谷和人(きりがやかずと)

彼は世間を揺るがした最悪のVRMMO、“SAO”をクリアした英雄である。

 

そして少女の名は結城明日奈(ゆうきあすな)

彼と共に仮想現実を駆け抜けた仲間の一人である。

 

そんな彼らが何をしているのかというと·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....ったく()()()()()()()()?」

 

まさかの人探し。

何故こんな英雄様が人探しをしているのか。それは彼らがSAOをクリアした時まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、私はそろそろ行くよ。改めて、ゲームクリアおめでとう。」

 

此処は最悪のゲームであるSAOのフィールド、“アインクラッド”。

まぁ、今は着々と崩壊が進んでいるが。

何故なら、つい先程このゲームのラスボスであったヒースクリフ──“茅場晶彦(かやばあきひこ)”を彼──“キリト(桐ヶ谷 和人)”が2年の年月を経て、やっとの思いでヒースクリフを倒したのだ。

自身が敗れた今、現実での体はもう死に体。ヒースクリフは、新たな可能性を求め、旅立とうとしていた。

.....しかし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....そうだ、伝える事を忘れていた。」

 

ヒースクリフは何かを思い出したらしく、歩き出そうとした足を止めた。

そして彼は英雄に向かって、こう言った。

 

「君が仮想現実(VR世界)を手放さないのなら、アーティザン.....いや、()()()という少年を探すと良い。必ずや、君の助けになるだろう。」

 

そう言って彼は姿を消した。

アーティザンという少年。茅場 晶彦が言っていた彼を探す為、和人は奮闘していたのだった。

だが.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何処にいるんだよ....ここまで探して手掛かり無しはキツイぞ.....」

 

結果、彼はまだ見つけていなかった。

まぁ、仕方ない。幾ら探してみると良いと言われても、ただそれだけしか言われていない。

探す情報が一切無いのだ。

 

「せめて特徴とか言ってくれれば良かったんだけどね.....」

「ホントだよ·····。さてと、ソイツを探すのは置いといて。明日奈、()()()って?」

 

明日奈「ああ。えーとね?前の話の事なんだけどね·····」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。VRMMOの一つ――“ALO”――では一人の少年がトラブルを起こしていた。

 

 

 

「アレレ~?もう三人?弱いな~。」

「う、うっせぇ!!てめぇら行くぞ!!」

 

ある森の中、一人の少年と三人の男が戦っていた。何故、戦っているのかというと·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「畜生·····!!もう()()()()()()()()()()()·····!」

 

突如、少年が襲い掛かって来たのだ。

最初男達は三人だけじゃなく、三十人程は居た。

だが、彼らは少年の事を『一人で集団に突っ込んできたバカ』と捉え、手を抜いていた。

しかし、少年は━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「油断し過ぎだ。バーカ。」

 

吐き捨てるようにそう言って()()()()()()()()()()()()()()

そのまま時は進み、一度もダメージを与える事が出来ず今に至る。

 

そして━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····フッ!」

 

 

ドガガッ!!

 

 

「ガハァッ!?」

 

男達は少年の多彩な剣術によって足を斬られてしまった。

最も、相手が弱かっただけかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

「あらら、もう終わりか。もうちょっと粘って欲しかったんだけどな~。まぁ、いっか。それじゃあバイバーイ。」

 

「ま、待っ──」

 

 

 

 

 

 

ザシュッ。

 

少年は相手の言葉を待つ事無く、首を切り落とした。

そのまま流れるようにして剣を直すと、肩をグルグルと回しながら溜息を吐いた。

 

 

「はぁーあ·····集団の割には結構弱かったな·····。やる事無くなっちまったじゃんか。」

 

少年はさっき戦った集団の評価を簡潔に纏めながら次は何をしようか、と考える。

特に理由は無くメニューを開く。そして、朧げながらも思い出した。

 

「そういえば、デュエルを申し付けてる奴がいたな·····。確かインプだっけ?だいぶ日が経ってるけど·····まぁ行ってみるか!!」

 

そう言ってワクワクしながら少年は飛ぶ速度を速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが運命の出会いになる、と知らずに。

 




ややこしくてすみません!


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Episode.1 出会い

?「はぁ·····やっと着いた·····。」

 

ああ···疲れた·····。

デュエルをするためとはいえ流石に無謀だったな。

まぁ、いっか。取り敢えず着いたし。

ええと···?うおッ!?11連撃OSS!?ちゃんと見てみるとスゲーもん出してるなぁ!?

·····ま、それは別に()()()()()んだけどな。

さてと、ごちゃごちゃ言ってないでさっさと行きますか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「んにゃ~·····今日も良い天気だなぁ!·····ゲームの中だけど。」

 

 

?「こら、ユウキ。夢が無い事言わない!!」

 

 

ユウキ「はーい、おね·····ラン。」

 

 

ラン「はぁ·····。こっちの名前で言わなくて良いって言ってるのに。」

 

 

ユウキ「それじゃあ面白く無いもん!!」

 

 

ラン「はぁ。·····というか、そろそろアスナさんと会う時間だよ?早く行きましょ!」

 

 

ユウキ「うん!わかっ·····」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「ちょっと待ってくれ!」

 

 

ユウキ「?·····ええと、ボクに用?」

 

 

?「ああ。アンタ、デュエル申し付けてるだろ?」

 

 

 

 

ユウキ「え?ボク、そんなことしてないよ?」

 

 

?「は?でも、ここに·····」

 

 

 

 

ラン「·····もしかして前やってた奴、切り忘れてるんじゃない?」

 

 

ユウキ「え?·····わ、本当だ!?」

 

 

?「·····えーと、もしかして前やってたって事か?」

 

 

ユウキ「う、うん。ゴメンね?」

 

 

?「別に良いぜ。しかし、これじゃやることが·····。」

 

 

 

 

ラン「·····ユウキ、デュエルしてきたら?アスナさんには伝えておくから。」

 

 

ユウキ「え···良いの!?」

 

 

ラン「うん。彼、困ってそうだしね。」

 

 

ユウキ「·····わかった!行ってくる!!」

 

 

 

 

?「さて、どうしたもんか·····。」

 

 

ユウキ「おーい!!待ってー!!」

 

 

?「?···どうしたんだ?」

 

 

ユウキ「やっぱり、デュエルやろう!」

 

 

?「本当か!?じゃあ早速やろうぜ!!」

 

 

ユウキ「うん!ボクに着いてきて!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「さてと·····《全損決着モード》で良いんだよね?」

 

 

?「ああ。」

 

 

ユウキ「じゃあ早速·····と、その前に自己紹介してなかったね。

ボクの名前はユウキ。恥ずかしいけど、皆から『絶剣』って呼ばれてるよ!そしてこっちが·····」

 

 

ラン「ランと言います。ユウキの乗りで行くと恥ずかしながら『舞姫』と呼ばれています。」

 

 

?「ふむふむ。ユウキにラン、ね。じゃあ俺も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はアーティザン。長いからアートで良い。

周りからは何故か知らんが『堕天使』って呼ばれてる。改めて宜しくなっ!!」



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Episode.2 VSユウキ

ユウキ「アーティザン···?どっかで聞いた事があるような·····」

 

 

アート「そうか?別にそれほど有名人じゃないと思うんだが。ま、それよりも早くやろうぜ!!」

 

 

ユウキ「う、うん!行くよ!!」

 

 

アート「おう!」

 

戸惑いながらもユウキは愛剣――“マクアフィテル”――を引き抜く。

対するアートも同様に腰の後ろに装備している両手剣を手に持った。

·····今さらながら彼の服装や装備を見る。

彼の服装は全身真っ白で一繋ぎのコートで、手や足も同じように白の手袋やブーツ。

だが、視認障害の性能を持っているのかフードの奥が全く見えない。何か理由があるのだろうか。

そう思っている内に·····

 

 

 

 

 

 

 

アート「········!」

 

考え事をしているのがバレたらしく物凄いスピードで突進してきた。

 

 

ユウキ「···!ハァッ!!」

 

 

ガキィィィン!!

 

ユウキはほとんど本能で剣を前に構え、何とか鍔迫り合いへ持ち込んだ。

しかし、それは誤った判断だと直ぐに重い知らされる。

何故なら·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「···んにぃぃぃ·····!」

 

とんでもなく()()のだ。

それは彼のALO最強と謳われるユージーン将軍を超えると思うほど。

これでは押し返せないと思ったユウキは剣をずらして攻撃をいなす。

そして、直ぐ様ソードスキルを発動させる。

 

ユウキ「でやあああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“片手剣4連撃SS ホリゾンタル・スクエア”

 

 

しかし、アートも負けじとソードスキルを撃つ。

 

 

 

アート「はああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

“両手剣4連撃SS ライトニング”

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァ!!

 

 

どちらも当てる事は出来ずに剣の打ち合いになる。

アートは体勢を整える為、一旦引き下がる。

しかし·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「逃がさないよ!!」

 

 

アート「ッ!?」

 

ユウキはそのまま下がらずに突っ込んだ。

そして、そのままソードスキルを放つ。

 

ユウキ「やぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

“片手剣単発SS レイジスパイク”

 

 

 

 

 

ドスッ!

 

 

アート「ぐっ!?」

 

アートは避けきれずにそのままダメージを負う。

ユウキは取り敢えず体勢を整える為に一旦引き下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ランは·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「アーティザン···?何処かで聞いたような·····?」

 

ランはどこかで聞いたことがある名前に首を傾げる。

そこへ、

 

 

アスナ「おーい!ランちゃーん!!」

 

ラン「あ、アスナさん!こんにちは!」

 

アスナが到着した。

ランは態々自分達の所に来てくれた事に嬉しくなりながらきちんと挨拶をする。

 

 

アスナ「ふふっ、こんにちは。それでユウキは?」

 

 

ラン「ユウキならあっちで戦っていますよ。」

 

 

アスナ「ホントだ。あ、今攻撃出来たよ!!」

 

 

ラン「はい!今回も勝つと思いますね。」

 

 

アスナ「ふふっ。そういえば彼?彼女?どっちか解らないけど名前は何て?」

 

 

ラン「アーティザンと言っていました。」

 

ランは名前を聞かれたので素直に答える。

すると・・・

 

 

 

アスナ「!?アーティザン!?」

 

 

ラン「?·····どうかしましたか?」

 

アスナが驚いたのでどうしたのか聞いてみる。

そうすると・・・

 

 

 

アスナ「えーと、ちょっと聞きたいんだけどあの人『アート』って言ってなかった?」

 

 

ラン「ええ。長いからそう呼んでくれって・・・・・。」

 

アスナは『アート』という名前を聞いてきた。

ランは彼がそう呼んでいいと言っていたので普通に答える。

すると、アスナは・・・

 

 

 

アスナ「やっぱり。·····実はね、今人探しをしてるんだけどその人の名前が『アート』らしいの。」

 

なんとアスナの探している人が彼らしいのだ。

 

 

 

ラン「!·····と、取り敢えずデュエルが終わったら聞いてみますか·····?」

 

取り敢えずデュエルが終わってから聞いてみるかアスナに聞いてみる。

 

 

 

アスナ「うん。ゴメンね?用事、遅くなっちゃうけど·····。」

 

 

ラン「大丈夫です。一応シウネー達にも知らせたので。」

 

 

アスナ「ありがとうね、ランちゃん。」

 

 

ラン「いえ、どういたしまして。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「へへっ、やっぱりスゲーな。()()()()()()()()()()。」

 

 

ユウキ「?どういうこと?」

 

 

アート「いやなに、俺はリアルである仕事をしていてな。目をみればある程度は解るのさ。」

 

 

ユウキ「へぇ~。何か解った?」

 

 

アート「ああ。お前さん、何か()()()()だろ。まるで時間が無いみたいな。」

 

 

ユウキ「ッ!?」

 

 

アート「おっと図星だったか。気に障ったんなら謝る。」

 

 

ユウキ「···ううん、大丈夫。さてと早く続きやろ!!」

 

 

アート「·····そうだな、と言いてぇがまぁ、ちょっと待ってくれ。()()()()()見せてやるよ。」

 

 

ユウキ「?」

 

アートはそう言うと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――デュエル中だというのに()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

ユウキ「!?」

 

ユウキは驚きはしたもののアートに手を出さなかった。

自分の本能が告げていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――『少し待て。出ないと()()()()()。』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「·····ふぅ、終わったぜ。待っててくれてありがとうな。」

 

 

ユウキ「良いよ。何だか面白そうなのが来ると思ったからね!」

 

 

アート「ああ。絶対に楽しめると思うぜ。」

 

そう宣言してからアートはソレを実行するためのボタンを押した。

すると出てきたのは·····

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャラララ·····!

 

 

 

 

アートの手に()()()()()

 

ユウキ「んなっ!?」

 

 

アート「さぁ、蹂躙の時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準備―――出来てるよな?」

 

 

 

 



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Episode.3 決着

アート「さぁ、蹂躙の時間だ。準備、出来てるよな?」

 

アートはそう妖しい笑みを浮かべながら言うと、そのまま前に突っ込み鎖を振り下ろした。

すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

ズガァァァァ!!

 

 

ユウキ「はぁっ!?」

 

なんと()()()()()()のだ。

まぁ、確かに考えてみたらアートの腕力では今の威力は納得出来る。

アートの攻撃には気をつけないと、とユウキは身をもって知る。

しかし・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「デュエル中に考え事かい?」

 

アートは待たせてくれず、鎖を横に振って再度攻撃を仕掛けてきた。

 

 

 

ドシュッ!!

 

 

ユウキ「うぐっ!?」

 

ユウキはそれを避ける事が出来ず、ダメージを負ってしまう。

さらに・・・

 

 

 

 

 

アート「まだまだいくぜっ!!」

 

 

アートはそれだけで手を休めず、ソードスキルを仕掛けてきた。

 

 

 

 

 

 

“鎖4連撃SS トリックオブウィッチ”

 

 

 

 

 

ドガガガガッ!!

 

 

 

 

ユウキ「く、ぅ・・・。」

 

 

ユウキはさっき受けたダメージのせいで避けることが出来ず、攻撃を諸に受けてしまった。

お陰で体力は一気に減り、今は危険域にまで陥っている。

このままじゃ負けてしまう・・・とユウキは焦る。

しかし・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「おっと、危ない危ない。もうすぐで全損しちまう所だったぜ。」

 

どうやらあちらも同じ状況だったらしい。

という事は彼はそんな状態にもかかわらず、あんな猛攻を仕掛けてきた事になる。

凄いな・・・、と彼に呆れ半分、驚き半分の声を心の中で称える。

 

そこでユウキはある案を思いついたので彼に持ち掛ける事にしてみた。

 

 

ユウキ「どっちも危険域なら、次で決めようよ!」

 

アート「次で決着をつけようって事か。いいぜ!」

どちらも了承を得たので互いに後ろへ引き、それぞれ切り札を放つ為の構えを取る。

そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「でやぁぁぁぁ!!」

 

アート「はあぁぁぁぁ!!」

 

同時に駆け抜けた。

先に発動したのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「はあっ!!」

 

ユウキだ。

ユウキは自身が持つ最高の技を放った。

 

 

 

 

 

“片手剣11連撃OSS マザーズ・ロザリオ”

 

 

対するアートは・・・

 

 

 

 

 

 

アート「・・・・・」

 

なんと()()()()()()

 

 

ユウキ「なっ!?」

 

アートは多彩なソードスキルを使いながらマザーズ・ロザリオを捌いていく。

 

 

 

 

“体術3連撃OSS 梅の乱舞”

 

 

 

ドガガッ!!

 

 

アート「ふっ!!」

 

 

 

 

“体術3連撃OSS 竹の乱舞”

 

 

 

ブゥゥン!!

 

 

アート「はっ!!」

 

 

 

 

“体術5連撃OSS 松の乱舞”

 

 

 

ドドドドドッ!!

 

 

アート「うららららぁっ!!」

 

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

アート「これで・・・終わりだぁぁぁぁ!!」

 

 

“体術重単発OSS 正拳突き”

 

 

ドガァァァァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Winner Artisan!!

 



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Episode.4 新たな仲間

今日はクリスマスですね~。
皆さんは何をしましたか?
私?学校ですが何か?(白目)


アート「ふぃ~・・・何とか勝てた・・・」

 

流石は『絶剣』って呼ばれてるだけはある。

俺に()()を使わせる程だからな。

ん?何か忘れてないかって?

・・・あ。

 

 

ユウキ「・・・・・」

 

蘇生すんの忘れてた。

ありがとう読者の方々。あと少しで『薄情大王』の異名が付けられる所だったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「納得いかない・・・」

 

 

アート「何でだよ。」

 

改めておっす、アートです。

今?コイツの愚痴を聞いてるんだ。

どんな愚痴かというと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「なんでアレ(マザーズ・ロザリオ)が受け止められたのさ!?」

 

 

アート「ああ、アレはシステム外スキルの一つで、

片手で交互にソードスキルを出す事で発動後の硬直を防ぐ事ができるのさ。

俺は接続(コネクティング)って呼んでる。」

 

 

ユウキ「へー、そうなんだ・・・って違う!!いや違わないけど!

ああもう!そっちも凄いけどボクが聞きたいのはもう一つ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで体術のソードスキルを使ったのに()()()()()()()()()()()のさ!?」

 

 

アート「・・・はぁ。何でそれにも気付くんだよ・・・。分かった、教えてやるよ。」

 

ったく面倒くさいなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「それもシステム外スキルの一つだ。自身が発動させた技で相手の武器をタイミング良く反対の方向に受け流す。

名前は反射(リフレクティング)って名付けた。」

 

 

ユウキ「リフレクティング・・・・・」

 

全く・・・まさかこれまで教えちまうなんて・・・・・はぁ、デュエルしなきゃ良かった。

・・・ん?どうしたんだコイツ。いきなり俯いて・・・俺何か言ったっけ?

そうやって俺がしでかした問題?を考えていると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「おーいユウキー!!」

 

 

ユウキ「!・・・姉ちゃん。」

 

・・・え。今更だけどコイツ等って姉妹だったの?全然似てなくね?

こうやって驚いていると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「どうしたのユウキ?」

 

 

ユウキ「アスナ!?何で此処に!?」

 

見かけない人が居るなーと思ったら知り合いだったらしい。

・・・つーか今()()()つったか?マジかよ・・・

 

 

ユウキ「いや、ちょっとね。アート、ボクからお願いがあるんだけど良いかな?」

 

 

アート「?・・・別にいいけど。」

 

何だ?今何かランと話してたっぽいが、何か関係あんのかな?

 

 

ユウキ「えーと・・・その強さを見込んでなんだけど・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボク達のギルドに入ってくれないかな?」

 

 

アート「・・・何で?」

 

 

ユウキ「詳しくは言えないんだけど・・・兎に角さっき言われたとおり時間が無いの。

だから・・・お願い!!」

 

 

アート「しかし俺にもちょっとな・・・」

 

そうなんだよな・・・俺にも外せない用事が・・・

 

 

ラン「そこを何とかお願い出来ませんか?もう時間が無いんです・・・!」

 

 

アート「うー・・・・・」

 

さてどうしたもんか・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「・・・私からもお願いできるかな?」

 

 

アート「?・・・何で?」

 

 

アスナ「私にはどうしても君の、その強さが必要なの。

理由は後で話すから・・・!!」

 

・・・・・はぁ。ホント、嫌な目をしてやがる。

まるで、()()()みたいな・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「・・・分かったよ。手伝ってやる。」

 

 

ラン「!本当で「但し!!」・・・?」

 

 

アート「手伝うって言ったからにはビシバシ鍛えてやるからな。

ちゃんと、覚悟しとけよ?」

 

 

「「「 !! 」」」

 

驚く三人をよそに俺はランに手を差し出す。

彼女は一瞬間を空けてから俺の手をグッと握った。

 

 

 

 

・・・・・ま、これも約束だしな。

久し振りに働きますかね。

 

 




なぜ『スキルコネクト』じゃなくて『コネクティング』って答えたのか。


ただ単純にキリトはキリトの技、アートはアートの技という風にしたかったんですよ。


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Episode.5 スリーピングナイツ

 

 

ユウキ「それじゃアートも仲間に加わった事だし、早速ホームに行こうよ!!」

 

 

ラン「そうね。アートさんは大丈夫ですか?」

 

 

アート「大丈夫だぜ。つーかお前等こそ大丈夫なのか?」

 

 

ユウキ「へ?何が?」

 

 

アート「あのなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が加わったこと、伝えたのか?」

 

 

ユウキ&ラン「「あ・・・」」

 

 

アート「はぁ・・・全く・・・」

 

 

アスナ「アハハ・・・」

 

不安になってきた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「あ、返信来たよ!!どれどれ・・・?」

 

 

ラン「『私達もその人に会いたいです。』と言っています。」

 

 

アスナ「なら大丈夫だね。行こう?」

 

 

アート「そうかい。なら挨拶しに行こうかね。」

 

こいつ等の仲間か・・・どんな奴らだろうな・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「着いたよ!此処がボク達のギルドホームだよ!!」

 

 

アート「へぇ・・・けっこう良いじゃねぇか。」

 

 

ユウキ「でしょでしょ!さあさあ入って入って!!」

 

 

ラン「はしゃぎ過ぎよ・・・」

 

苦労してんなぁ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「おーい皆ー!連れて来たよ!!」

 

 

アート「せめてただいまぐらい言え。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「あら、その人が新しい人ですか?」

 

するとどこか大人びているウンディーネの女性が出て来た。

 

 

ラン「はい!この人を紹介したいから皆を呼んで来てくれますか?」

 

 

?「ええ、分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「さてさて、皆集まったね。それじゃあ改めて自己紹介するね。

 

 

ボクはユウキ。種族はインプで、このギルドのサブリーダーをやってるよ!」

 

 

 

 

?「私はシウネーと言います。種族はウンディーネです。これからよろしくお願いしますね?」

 

 

 

 

?「俺はテッチ。ノームで登録してる。今回はユウキの我儘を聞いてくれて有難うな。」

 

 

 

 

?「僕はタルケンです。種族はレプラコーン。こんな小さなギルドに入ってくれて有難う御座います。」

 

 

 

 

?「アタシはノリって言うんだ!スプリガンでやってるんだ。また仲間が増えて嬉しいよ!」

 

 

 

 

?「俺はジュン。サラマンダーだ。宜しくなっ!」

 

 

 

 

ラン「私も改めて自己紹介を。私はラン。ギルド《スリーピングナイツ》の団長を務めています。

改めてよろしくお願いします!」

 

・・・へぇ。凄いなこのギルド。ユウキとラン以外全員種族が違うぞ。

つーか俺が入ったら全種族コンプリートじゃねーか。

・・・ま、つべこべ言わず挨拶するか。

 

 

 

 

アート「んじゃま俺も自己紹介をしますかね。

 

 

 

 

俺はアーティザン。種族はプーカだ。名前は呼びにくいからアートで結構。

これから宜しく頼むぜ?」

 

挨拶はこんな感じでいいだろ。

・・・ん?ジュンがこっちを見て固まってる。何か俺、こういうの多くね?

すると・・・

 

 

 

 

 

ジュン「今・・・・・アーティザンって言ったか?」

 

 

アート「お、おう。言ったけど・・・」

 

 

ジュン「てことはアンタ()()『堕天使』か!?」

 

 

アート「へ?俺の事知ってんの?」

 

 

ジュン「知ってるも何もバリバリの有名人じゃんか!?凄いなユウキ!まさかこんな人を連れてくるなんて!!」

 

 

ユウキ「え?そ、そうなの?というか『堕天使』って何なの?」

 

 

ジュン「はぁ!?お前知らねぇの!?『堕天使』ってのはな。

全ALOプレイヤーの中でただ一人伝説武器(レジェンダリーウェポン)を複数所持してる人なんだぜ!!

他にも新生アインクラッドのボスを一人でクリアしたとか、ユージーン将軍を簡単に打ち負かしたとか色んな逸話があるんだぜ!!」

 

 

ユウキ「ええ!?・・・あれ?でもさっき伝説武器なんて使ってなかったよね?」

 

 

アート「使ったつーの。途中で鎖を出しただろ?アレは『グレイプニール』っていう伝説武器だよ。」

 

 

ユウキ「マジですか・・・」

 

マジですぞ。

 

 

ラン「聞いたことがあると思ったら前ジュンが話してたわね・・・」

 

 

ユウキ「ボク、その時アスナとデュエルしてたからね・・・空耳程度にしか聞いて無かったよ・・・」

 

 

シウネー「取り敢えず自己紹介はこれで終わりにしてアートさんの歓迎会をしませんか?」

 

 

ユウキ「良いねそれ!早く準備しよっ!!」

 

 

ラン「じゃあ私達で調達して来ますので、アスナさん、先に()()を済ませておいて下さい。」

 

 

アスナ「分かった。有難う、ランちゃん。」

 

そう言ってアスナ以外のメンバーが外に出る。

にしても用件ね・・・。

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「さてと、アート君。ちょっと良いかな?」

 

 

アート「大丈夫だぜ。ま、大方予想はついてるんだけどな。」

 

 

アスナ「そう?まぁ一応言わせてもらうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート君。君は何者なの?」

 

 

 



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Episode.6 アーティザン

おっすおっすおうどんでござんす。
えーと、今日と明日で山代温泉という温泉に言ってくるので投稿できないと思います。

というか年末だし休ませてくれ。感想は返すけど。


 

アート「何者、ねぇ・・・それは俺がSAO生還者かどうかって事か?」

 

 

アスナ「うーん・・・それもあるんだけど・・・」

 

えー・・・他にもあんのかよ・・・・・そんなには答えられねぇぞ・・・

 

 

アート「・・・まぁいい。取り敢えずこの質問には答えておく。答えはYESだ。」

 

 

アスナ「!!・・・そうなんだ。それでもう一つ聞きたいんだけど、良い?」

 

 

アート「答えられる奴だったらな。ま、取り敢えず聞かせろ。」

 

さて、今度はどんな質問だ・・・?

 

 

アスナ「・・・団長・・・・・()()()()と面識があった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ああ、あった。つーか俺、()()()()()()()()()()()。」

 

 

アスナ「・・・はい?今、なんて・・・?」

 

 

アート「いや、だから、ナーヴギア作ったの俺だから。」

 

 

 

 

 

 

アスナ「・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!??」

 

 

アート「・・・はぁ。そんな驚く事か?」

 

 

アスナ「当たり前だよ!?まさかそんな人がVRをやってるなんて・・・」

 

失敬な。

それじゃあ作った意味が無くなるっつーの。

 

つーか・・・

 

 

アート「もっと言えばアミュスフィアも俺の作品なんで。」

 

 

アスナ「ええ・・・キリト君が聞いたら発狂しそうだよ・・・」

 

へぇ。ブラッキーさんとは仲良くなれそうだぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「というか聞きたいのってそれだけか?もう無いんだったらあいつ等の所に・・・」

 

 

アスナ「あ!まだあるから待って!」

 

 

アート「へいへい・・・で?後は?」

 

 

アスナ「えーとね。ここからは質問じゃなくて頼みなんだけど・・・」

 

頼み?コイツから頼まれるような事って無いと思うんだが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「・・・・・この事が終わったら一回、ランちゃん達とちゃんと向き合ってくれないかな?」

 

 

アート「向き合う?どういうことだ?」

 

 

アスナ「・・・彼女達は多分、何か大きな事を隠してるんだと思う。

だけど、私じゃちゃんと向き合ってあげられない。」

 

・・・成程。俺を誘ったのはそれもあっての事か。

まぁ、別に良いが少し言わなきゃいけない事があるな。

 

 

アート「・・・・・別にいいけど一つ、条件付きだ。」

 

 

アスナ「?・・・どんな?」

 

 

アート「俺だけじゃなくてお前もやれ。

それが最低条件だ。」

 

 

アスナ「!!・・・・・うん。解った!!」

 

・・・・・全く、いきなり暗くなったと思ったら今度は明るくなりやがって。

・・・ホントにアイツみてぇだな。

 

 

アート「(・・・!・・・疲れてるな、俺・・・。)」

 

これが終わったら少し睡眠をとろう。

さっきアイツらにあんな事を言ったのに俺がこの状態じゃダメだ。

・・・ま、今は楽しむとするか。

 

 

 

 

 

ユウキ「たっだいま~!!ってうわ!?食器が並べてある!?」

 

 

アート「おう、お帰り。流石に何もしないってのは気が引けるから食器並べといた。」

 

 

ラン「別に私達でやりましたのに・・・」

 

 

アート「お前等が良くても俺が駄目なんだよ・・・ほれ、買って来た奴全部出せ。料理作ってやるから。」

 

 

 

ジュン「え?アートって料理作れんのか!?」

 

 

アート「普通にコンプしてるけど何か?」

 

 

ノリ「完璧超人だ・・・」

 

 

アート「うっせ。ほれグダグダしてねぇでキッチンに案内してくれ。」

 

 

ユウキ「じゃあボクが案内するっ!!こっちだよ!!」

 

 

アート「ちょ、首根k、ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

一同「「「「ご愁傷様です・・・」」」」

 

 

 

こんな最後って・・・(ガクッ)

 

 



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Episode.7 活躍とは?

 

 

アート「うーん・・・・・」

 

おっす皆。アートですぜ。

作者に代わってだが新年明けましておめでとう。

これからも宜しくな~。

・・・ん?今?買い物してる。

買い物してるんだけど・・・・・

 

 

 

 

アート「売り切れかぁ・・・・・」

 

そうなんです。目当てのものが売り切れなんです。

どうしようかな・・・ポーションじゃなくて結晶なら売ってるんだけど・・・

 

 

アート「・・・昨日の奴で金が、なぁ・・・・・」

 

昨日の歓迎会で金を使っちまってあんまり無いんだよな・・・

・・・はぁ・・・・・クエストも一人で行く気にはならんしな・・・

すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「あれ?アートじゃん。どうしたの?」

 

 

アート「!・・・ユウキか。」

 

色々唸っているとユウキとランが歩いてきた。相変わらず仲良いな・・・

 

 

アート「いや・・・買い物しようと思ったんだけど金が無くてな。どうしようかなーって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「なら、今からダンジョンに行こうと思うんですけど一緒に行きませんか?」

 

 

アート「え、良いのか?」

 

 

ラン「ええ。沢山居た方が良いですし。それにアートさんの戦い方が見れる良い機会だと思うので。」

 

ふむ・・・確かにそうだな。

 

 

アート「ならお言葉に甘えようかな。」

 

 

ユウキ「よし!じゃあ、しゅっぱーつ!!」

 

早速かよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「そう言えば、お前等っていつもどんな戦い方をしてるんだ?」

 

ダンジョンに向かう道中、少し気になったのでランとユウキに聞いてみた。

 

 

ユウキ「ボクは『アタッカー』だね~。いっつもジュンと一緒にガンガン攻めてるよ~。」

 

 

ラン「私は『ヒーラー』ですかね。魔法攻撃が得意なので。アートさんは?」

 

あれ?言ってなかったっけ?

 

 

アート「俺?何でも出来るけど。」

 

すると一瞬だけ静寂が訪れた。・・・訂正、モンスターの呻き声がダンジョン内に響いた。

そして・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ&ラン「「えぇぇぇぇぇ!!?」」

 

 

アート「ん?そんなに驚く事か?」

 

 

ユウキ「当たり前だよ!全部こなせる人なんて聞いた事ないよ!?」

 

 

ラン「始めて知りましたよ・・・」

 

 

アート「そうかなぁ?・・・っと、色々話してる内に着いたぜ。さぁて、一稼ぎしますか!」

 

 

ユウキ「それダンジョンで言う言葉じゃないよね!?」

 

 

アート「気にすんな!さ、行くぜ!うらぁぁぁぁぁ!」

 

 

ラン「ちょ、待ってくださぁぁぁい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「はぁっ!」

 

 

 

ガンッ!!

 

アートはモンスター━━リザードマン━━と戦っていた。

アートは自身の愛剣━━『ロストメモリーズ』━━で受け止める。

そしてそのまま跳ね返し、ソードスキルを放つ。

 

 

 

 

アート「ぜぁっ!!」

 

 

 

 

 

“両手剣重単発SS ブラスト”

 

 

 

ガキィィィン!!

 

 

リザードマン「ガァァ・・・・・」

 

 

 

アート「ユウキ!スイッチだ!!」

 

 

ユウキ「任せて!!」

 

アートの攻撃でリザードマンが仰け反る。

そして流れるようにしてユウキと居場所を入れ替える。

ユウキは前進しながら敵の胸へと剣を穿つ。

 

 

 

 

ユウキ「でやぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

“片手剣軽単発SS レイジスパイク”

 

 

 

ドガァァァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リザードマン「グガァァァ!!」

 

すると別の場所に居たリザードマンがユウキ達を襲おうとする。

しかし彼らは逃げようとせずただ見ているだけだ。

なぜなら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァ!

 

 

 

ラン「させませんよ!」

 

ランが倒してくれる事を解っていたからだ。

ランは魔法━━“爆発 バーンストライク”━━でリザードマンをポリゴンに変える。

 

 

アート「ふぃー・・・このメンバー、結構戦いやすいな!!」

 

 

ラン「そうですか?私達、何も活躍出来ていないと思うんですが・・・」

 

 

ユウキ「うん・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「いや、十分活躍してたと思うけど。」

 

 

ユウキ&ラン「「え?」」

 

 

アート「あのな・・・確かに一人で戦ってたならそうかもしれないが、今はパーティーで戦ってるだろ?パーティーでの活躍ってのはいかに()()()()()()()()()()()だと俺は考えてる。お前等は俺が危なかった時にちゃんと助けてくれたじゃねぇか。これで俺の言いたい事は解ったか?つまりはそういう事。キャンユーアンダースターンド?」

 

 

ユウキ「・・・ボク、ちゃんと活躍できてたの?」

 

 

アート「勿論だ。さっきも言ったが、俺以上にな。一応言っとくがランもだぞ。」

 

 

ラン「・・・有難う、御座います・・・。」

 

 

アート「大丈夫だからこんな所で目を潤ませないでくれ!?お願いだから!?」

 

全く・・・そんなにだったか?

もうちょっと見ていた方が良かったな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「グガァァァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

アート「おいおい・・・こんな良い所でNMの登場かよ・・・。

ラン!ユウキ!ウルウルしてないで行くぞ!!」

 

 

ユウキ「うん!」

 

 

ラン「はい!」

 

 

 

 




~オリジナル魔法紹介~


“バーンストライク”・・・火の玉を一つだけ生成して相手にぶつける簡易魔法。属性は説明の通り《炎》。






感想・誤字報告宜しくお願いします!


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Episode.8 アートさんは怒ると怖い

書き方を変えてみました。
前の方がいいなら言って下さい。


全く.....まさかこんな所でKYに出会っちまうとは.....

えーと名前は...『iron skull swordman』か。大層な名前しやがって。

ま、それは兎も角.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「何空気読めない事してんだゴルァァァァァ!!」

 

 

自分が今思っている事を叫びながらソードスキルを放つ。

.....余談だがその時NMがビクッってなったのは見間違いかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

“両手剣2連撃SS ブラスト”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギァァァァ!?」

 

よっしゃ、スタンになりやがったな。

しかしながら俺は手を緩める気はない。

ということで.....

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「喰らえ!!」

 

 

 

 

“両手剣6連撃SS カラミティ・ディザスター”

 

 

 

 

 

『ガァァァァァ!?』

 

 

序盤から奥義技を発動する。

それでもしないと怒りが治まらなかったからな。

そして、NMが反撃のつもりか大剣を横に薙いでくる。

俺はそれを飛んでかわし、こう叫ぶ。

 

 

アート「ユウキ!スイッチ!!」

 

 

ユウキ「任せてッ!」

 

先程の事を踏まえて仲間(ランとユウキ)を使わせてもらう。

ユウキは飛び退いている俺の真下を通り抜けてソードスキルを撃った。

 

 

 

 

 

“片手剣4連撃SS バーチカル・スクエア”

 

 

 

 

 

『グルァァァ!!』

 

 

しかし黙って見ているモンスターではない。

奴は横に振った大剣をそのまま回転斬りとしてユウキに浴びせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「はぁッ!!」

 

だがそれをランが許さなかった。

ランは持っていた杖をストレージに戻し、自身がよく使う()()を出す。

そして、そのまま奴の腹へと技をお見舞いした。

 

 

 

 

 

 

“短剣単発SS ラピッド・バイト”

 

 

 

 

 

『グルァッ.....』

 

 

 

 

モンスターは足を斬り付けられたおかげで崩れ落ちる。

今がチャンス。そう思ったランとユウキは揃って彼の名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「アート(さん)!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとモンスターの後ろから()()()()()()()アートが出てくる。

そしてそのまま奴の背中を駆け上がり奥義技を放った。

 

 

 

 

アート「ぜぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

“両手斧6連撃ss グラビティ・インパクト”

 

 

 

 

 

 

 

『ガァァァァ!?』

 

 

 

 

奥義技全ての斬撃を食らったモンスターは流石に危機感を覚えたのか三人から距離を取る。

しかし.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「逃がす訳無えだろバーカ。」

 

堕天使(アート)はそれを許さなかった。

彼はそのまま手に持っている両手斧を投げつけた。

 

 

 

 

 

 

“両手斧単発SS カタパルト・トマホーク”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガァァァ.....』

 

体力が残り少なかったのかモンスターはそのままポリゴン体になった。

ランとユウキは戦利品を確認しているアートに駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

ユウキ「ふぃ~.....疲れたね.....」

 

 

アート「そうか?俺としちゃまだいけると思うんだが.....」

 

 

ラン「凄いですね.....そういえばさっき両手斧を使ってましたよね?あれは何ですか?」

 

 

アート「伝説武器かって聞いてるなら違うな。俺は全武器熟練度コンプリートとまではいかないが一応全部使えるんだよ。」

 

なんとアートは全種類の武器を使えるらしい。

聞く所によると現時点で完璧に使えるのは、“両手剣、片手剣、短剣、両手斧、刀”の五つらしい。

 

 

ラン「何か私の中のアートさんのイメージがあやふやになりつつあるんですが.....」

 

 

アート「よく言われるよ。さ、無事に勝った事だし帰って皆に自慢しようぜ!!」

 

 

ユウキ「いいねそれ!じゃあホームまで競争だよ!!よーい.....どん!」

 

 

アート「はぁ!?ちょっと待.....クソッタレェェェェ!!」

 

 

ラン「何でノリに乗っちゃうんですか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして彼らの一日が終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 



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Episode.9 決意

?「ふぁーあ.....」

 

オッスオッス、アートやで。

今俺は自分の家に居る。

残念ながら今日はゲームをするつもりは無い。

なぜなら.....

 

 

「.....流石に今日は行かないとな。」

 

今日はある用事が入っているのだ。

といっても何時来ても良いと言われているが。

流石に一週間も開けてしまったので行かないと自分的にヤバイのである。

という事で俺はさっさと朝食を済ませて愛用のバイクを動かしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃー.....やっと着いた。」

 

此処は横浜港北総合病院。

何故病院に来ているのかというと.....

 

 

「えーと.....確か受付に言えば良いんだよな.....?」

 

ある人に会いに来たんだ。

という訳でそのまま受付に事情を話して待っていると.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「やぁ!久し振りだね!」

 

 

「ホントすいません.....こんなに日を空けてしまって.....」

 

この見るからに温厚そうな人は倉橋先生。

ある病気を持った子達の看病をしている人だ。

 

 

倉橋「別に大丈夫だよ。僕としては君みたいな()()()が来てくれるだけで嬉しいんだから。」

 

 

「それを言われると恥ずかしいんですが.....」

 

本当に恥ずかしい。

これは自分のお陰じゃなくて()()()()のお陰なんだけどな。

っと。こんな事話してる場合じゃなかったな。

 

 

「あの.....」

 

 

倉橋「おっと、話さなくても解るよ。じゃ、行こうか。」

 

さて、何処まで侵食されているのか.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....此処か。」

 

しばらく歩いているとある病室が目に見えてきた。

其処の扉を開けると窓ガラスが張られていてその先には機械に繋がられている少女達が居た。

 

 

倉橋「さて、此処がそうだけど.....呼んだ方が良いかい?」

 

 

「いえ、大丈夫です。一目見るだけで良かったので。」

 

そうだ。まだ話さなくて良い。話すのは了承を取ってからだ。

そうして俺と倉橋先生は病室にある椅子に座った。

さてと最初から本題に入るか。

 

 

「それで話って何ですか?」

 

そう、俺はこの人に話を聞きに来たのだ。

内容までは聞けなかったが。

 

 

倉橋「ええーとね.....単刀直入に言うけど良いかい?」

 

 

「?.....別に大丈夫ですけど.....」

 

 

倉橋「ありがとう。話っていうのはね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達を救ってほしいんだ。」

 

 

「彼女達.....紺野藍子(あいこ)ちゃんと木綿季(ゆうき)ちゃんの事ですね?」

 

 

倉橋「!!.....名前を知っているということは.....」

 

 

「ええ。AIDSですよね?彼女達。」

 

そうだ。彼女達━━木綿季ちゃんと藍子ちゃん━━はAIDSという病気を持っている。

 

AIDS。日本語表記では“後天性不全免疫症候群”と言われている。

簡単に言うと免疫力が下がってしまう病気だ。

今の科学なら治すことなど容易い。

しかし彼女達が持っているAIDSは薬に対して耐性があるものだった。

そこで倉橋先生は彼女達にある相談を持ち掛けた。

 

 

 

 

『VR被験者になってみないかい?』

 

倉橋先生が持ち掛けた事。

それは医療用VR機器━━メディキュボイド━━を使って延命するというものだった。

メディキュボイドはVR機器の中でも医療用の機械だ。

それを使用するというのが倉橋先生の考え。

木綿季ちゃんと藍子ちゃんはこの持ち掛けに首を縦に振った。

だが、それでも彼女達は治らなかった。

そこで、俺を最後の希望として話を持ち掛けたということだ。

 

 

倉橋「そこまで知っていたとは.....なら、尚更頼めるかい?」

 

 

「.....何故俺みたいな奴に?」

 

 

倉橋「なんでってこの()()()()()()()()()()()()、更には数々の難病を治したと言われている君しかもう居ないんだよ!!」

 

先生がここまで言うなんて.....

俺が出す答えは一つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心して下さい、先生。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は()()()()助けるつもりで居ますよ。」

 

 

倉橋「なっ.....本当かい!?」

 

 

「ええ。そうじゃないと()()を破ってしまうのでね。それにこの子達だけじゃない。この子達の友達も助けて見せます。」

 

ああ。こいつ等だけ助かっても友達が居ないんじゃ悲しむだけだからな。

問題は何時切り出すかだけど。

 

 

倉橋「ありがとう.....!これでまたこの子達に希望を見せる事が出来る.....!」

 

 

「希望だなんて大げさですよ。さ、それじゃ早速家に帰って方法を探してきます。」

 

 

倉橋「ああ!これから宜しく頼むよ!!」

 

 

「ええ。こちらこそ。」

 

 

彼女達は絶対に助ける。

たとえ.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を犠牲にしても。

 

 

 




今回はアート君のリアルでの決意回でした。
え?名前が出ていないって?
流石に出すのは早いと思いました。























別にまだ思いついていないとかじゃないからね!!


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Episode.10 SAOの勇者ご一行

やっと会わせる事が出来た.....


 

アスナ「ほら、早く早く!!」

 

 

アート「へいへい。」

 

おっす、アートでありんす。

今俺はアスナにある所に連れて行って貰っている。

その場所とは.....

 

 

アスナ「着いたよ!!」

 

 

アート「此処か.....」

 

.....言うより読んだ方が解ると思う。

実の所俺も何をされるのか知らないんだよ。

早速俺は其処に入っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「お、来たな。その人がそうか?」

 

中にはスプリガンで黒い少年が居た。

他にもサラマンダーの野武士面の男性や色黒のノーム、

レプラコーンやシルフ等、色んな種族のプレイヤーが居る。

 

 

アート「(凄いな.....ほとんど被っていないぞ。)」

 

俺が驚愕しているとさっきのスプリガンがやって来た。

どうやら俺が色々考えている内に話が進んでいたらしい。

 

 

?「えっと.....お前がアーティザンで良いんだよな?」

 

 

アート「?.....ああ、そうだけど.....」

 

すると少年はホッと胸を撫で下ろし、

次に俺を驚かせる言葉を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「俺はキリトだ。宜しくな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....は?今何て言った?」

 

 

キリト「え?だからキリトって.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ふんっ.....」

 

 

キリト「.....何で怒ってるんだ?」

 

 

アート「安心しろ。アンタには怒ってない。俺が怒ってるのは其処に居るウンディーネだ。」

 

 

アスナ「ご、ごめんなさい.....」

 

全くだ。

せめてもの最初に話しておくとかあるだろう。

なのにいきなり会わせやがって.....

 

 

?「.....子供ね。」

 

 

アート「うっせ。」

 

初対面のアンタには言われたくない。

そうやってピンク髪のレプラコーン━━リズベット━━に返す。

 

 

?「まあまあ、許してあげな。」

 

 

アート「.....はぁ、解ったよ。」

 

今、許してあげなって言ったのはサラマンダーであるクラインだ。

確かギルド“風林火山”のリーダーだった筈だ。

 

 

?「まさかSAO生還者が私達以外にも居たなんて.....」

 

 

アート「ま、VRは楽しいからな。」

 

この驚愕している小さいケットシーはシリカ。

SAOでは“竜使いシリカ”って言われていた.....はず。

 

 

?「にしてもこんなヒョロヒョロがナーヴギアを作ったなんてな.....」

 

 

アート「誰がヒョロヒョロだ。」

 

こんな色黒野郎に言われるとは.....

コイツはエギル。

おぼろげだが前線での商人として活躍していた気がする。多分。

 

 

?「というか堕天使さんがSAO生還者だったなんて.....」

 

この緑色のシルフはリーファ。

こいつはSAO生還者じゃないが脅威のスピードからスピードホリックとも呼ばれてる。

因みにキリトの妹らしい。

 

 

?「そりゃこの強さも有り得るわね.....」

 

このクールなケットシーはシノン。

何でも“ガンゲイル・オンライン”というゲームで名を轟かせたらしい。

 

 

アート「で、もう一度聞くが本当に会わせたかっただけなのか?」

 

 

アスナ「うん。」

 

 

アート「.....」

 

マジかコイツ。

ただそれだけで俺を連れてきたのかよ。

全く.....

 

 

アート「.....取り敢えず俺は帰るぞ。」

 

 

アスナ「え?何で!?」

 

 

アート「あのなぁ.....俺だって暇じゃないんだよ。」

 

ホントだよ.....

ただでさえS()A()O()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「それは薬の開発っていう用事か?」

 

 

アート「!!.....何でお前がそれを.....」

 

俺は何も話してない筈だぞ.....

何でコイツが知って.....

 

 

キリト「あまり頼りたくない奴だが確かな情報を持っている奴に頼んだんだよ。

.....気に触ったなら謝る。アート、いや()()()()()()()()()。」

 

 

アート「.....何処まで調べた?」

 

 

キリト「そんなに調べてはいない。調べたのはお前が医者をやっている、という事だけだ。」

 

 

アート「.....そうか。で、何が望みだ?俺をそれで呼んだって事は脅してるって事だろ?」

 

そうでもなければあの名前で呼んだりしないはずだ。

あの忌々しい名前で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「いや脅してなんかしていないさ。」

 

 

アート「.....は?」

 

 

キリト「俺が求めてるのはただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前の強さを見せてくれ。」

 

 

 

 




悲報;キリトは脅すという手を使う奴だった。




そういえばイラストを投稿したいんですけどどうやれば良いんですかね?




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Episode.11 勇者ってこんな奴

どうも即興で書き上げたおうどんです。
すこし、いや、大分ごちゃごちゃになってると思いますが許してヒヤシンス。

アート「それが作者のやる事かぁぁぁ!!!」アバランシュ


ギャァァァァァァァ!?


アート「.....言ってる事が意味解んないんだけど。」

 

 

キリト「いやなに、一緒にレベル上げに行って欲しいだけだ。」

 

 

アート「本音は?」

 

 

キリト「どんだけ強いか見てみたい!」

 

 

アート「はぁ.....」

 

何なんだコイツ。

.....はぁ、コイツらと居ると調子が狂う。

適当な理由でもつk.....

 

 

キリト「言っとくけど良いって言ってくれるまで帰さないからな!!」

 

 

アート「えぇー.....」

 

何でコイツに決められなきゃいかんのだ。

つーか、コイツってこんなキャラだったの?

何か悲しいんだが。

 

 

アート「.....解ったよ。行ったら良いんだろ?」

 

 

キリト「よっしゃ!!」

 

 

アート「そこまで嬉しい事なの.....?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「はぁっ!!」

 

どうも、無理矢理レベル上げに参加させられたアートです。

今は、俺の強さを見たいって言ってた奴が無双してます。

いやいや、おかしいだろ、とそこのアナタ。大丈夫。俺も思ってる。

とか言ってる内にハブられた一匹のリザードマンが此方に飛びかかってきた。

 

 

リザードマン「グガアアア!!」

 

 

アート「うっせぇ、よ!!」

 

しかしながら俺は既にソードスキルを準備していた。

普通のモブキャラが太刀打ちできる筈もなくそのまま“両手剣単発SS ホロウ・シルエット”によってやられてしまった。

そして、しばらくレベル上げをしていると倒し尽くしてしまったのか、モブが出てこなくなった。

すると、一休みのつもりか、黒の剣士(キリト)が此方に近付いてくる。

 

 

キリト「倒し過ぎたか.....しかし、アートって両手剣使いなんだな。」

 

 

アート「.....悪いか?」

 

 

キリト「いや、そうじゃなくて、俺のパーティーには使ってる奴が居ないからさ。

珍しいな、って思っただけだよ。」

 

両手剣使いがいないのか。

それはちょっと残念だな.....じゃなくて、

 

 

アート「今更だけど、言って良いか?」

 

 

キリト「?.....何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「何で()()()()()()()()()()!?」

 

 

キリト「いや、最前線だったらレベル上げしやすいかなって。」

 

 

アート「お前は何で茅場を倒せたんだ.....?」

 

ホント、何でこういう奴が倒せたんだよ.....

世の中って色んな意味で理不尽だ.....

 

 

キリト「それは俺にも解らん。」

 

 

アート「?.....何言ってんだ?」

 

 

キリト「.....ホントはあまり他人に言う事じゃないんだと思うんだけど.....

俺は茅場と戦った時、()()()()()()()。」

 

 

アート「.....とうとう可笑しくなっちまったか?」

 

 

キリト「そういう意味じゃない。

.....兎も角、俺は一回死んだ。

でも、その時『まだ死ねない。』って強く思ったんだ。

そしたら数秒だけだが、()()()()()()()()()()。」

 

 

アート「!!」

 

マジかコイツ.....

もし言ってる事が正しいんなら.....

 

 

アート「(コイツはあの人の理想の姿....!?)」

 

.....いや、まだ確証は無い。

だけど.....

 

 

アート「.....どうやらお前は俺が思ってる奴とは違うっぽいな。」

 

 

キリト「.....お前こそどうした?熱でもあるのか?」

 

 

アート「いーや。ただ単に気が変わっただけだ。」

 

そうだ。本当に気が変わっただけ。

いや、正確には()()()()と思っただけか。

 

 

アート「(茅場.....いや、茅場さん。アンタに変わって俺が試してやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この『心意』を扱う者をな。)」



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Episode.12 皆でレベル上げ

どうも、現在箕面温泉に来ているおうどんで御座います。
今回はキリの悪い所で区切ってしまいますが、あくまで前編なのでご了承を。


アート「うぉらぁぁぁ!!」

 

どうも皆さん、おはこんばんちは。現在無双しているアートで御座います。

今はダンジョン内でレベル上げをしている。

因みに.....

 

 

テッチ「うぉぉぉぉ!!」

 

.....ギルド全員で来ています。

何故、こんな珍しい面子で来ているのか。

今から説明していこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「はぁ.....」

 

 

ユウキ「どうしたの、アスナ。溜め息なんかして。」

 

アスナの溜め息から始まった。

側で寝転んでいたユウキが問い掛ける。

 

 

アスナ「.....なんか、このままじゃダメかも、って思って。」

 

 

ユウキ「え、何で?最近、アートっていう心強い仲間が増えたのに?」

 

そうやって疑問を問うと、アスナは頬杖を解いてユウキの目を見てこういった。

 

 

アスナ「それが問題なのよ。確かにアート君が入ってくれたのは心強いよ。

でも、ここ最近彼にずっと任せぱなっしなのよね.....」

 

 

ユウキ「ああー...確かに.....アートって何だかんだ言って優しいもんね.....」

 

うーん、と彼女達は疑問の縁に落ちてしまった。

何とか対策を練らないと。そう思った矢先、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「うーす。」

 

 

ユウキ「あ、アート!おはよう!!」

 

 

アート「おう、おはようさん。」

 

噂をすれば。

彼がログインしてきた。

そこでアスナは何も思い付かなかったので彼に聞いてみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「.....ということなのよ。」

 

 

アート「.....成る程。大体は解った。」

 

すると、アートは彼女達に向かってこう言った。

 

 

アート「別にそんな難しい事じゃないだろ。」

 

 

「「え?」」

 

 

アート「え?だって考えてみろよ。要は俺にばっか頼ってないで皆で強くならないと、って事だろ?」

 

 

アスナ「う、うん。そうだけど.....何かいい考えでもあるの?」

 

 

アート「ああ、あるぜ。」

 

 

ユウキ「どんなの?」

 

 

アート「何、フツーにシンプルだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆でレベル上げに行ったら良いんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....というのが発端だ。

.....そして改めて皆の戦い方を見てみる。

...うん。何か.....連携は取れてるんだけど.....

 

 

アート「何か.....違和感が大有りなんだけど。」

 

彼女達の戦い方を観察してみると、スイッチとかは結構出来てるんだけど、

.....その.....なんか.....

 

 

アート「ユウキとジュンしか戦ってなくね?」

 

そうなのだ。

あれだけの人数が居るのに二人しか前衛がいない。

これは.....教えてやった方が良さそうだな。

 

 

アート「おーい!一旦俺の所に来てくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュン「.....で、いきなりどうしたんだ?」

 

 

アート「いや、ちょっと助言をしようかと思ってな。」

 

 

ノリ「助言?」

 

 

アート「ああ。今から俺が教える事はただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当の連携の仕方って奴だ。」

 

 

 



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Episode.13 特訓の時間

アート「ジュン!振りが遅くなってるぞ!!!」

 

 

ジュン「お、おう!」

 

 

アート「タルケン!!!もっと腰を深く!!!」

 

 

タルケン「は、はい!」

 

 

アート「また、周りが疎かになってるぞ、ノリ!!!」

 

 

ノリ「うっ.....」

 

 

アート「援護するときは援護!!!回復するときは回復!!!」

 

 

シウネー「は、はい!」

 

おっす皆。最近プーカの役割を全然果たしていないアートさんだぜ。

今はご覧の通り、特訓しております。

特訓の内y.....

 

 

ジュン「なぁ!ホントにこれ意味あるのか!?」

 

おっと良いタイミングな事で。

 

 

アート「ああ。バリバリあるぜ。」

 

 

ノリ「ホントかなぁ.....」

 

 

シウネー「正直意味が無いような気がしますが.....」

 

 

アート「へ?何で?」

 

 

ジュン「何でって.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連携って言ってたのに()()()()()()()()()()()()()。」

 

.....ふむ、成る程。確かに疑問を浮かべるのも無理はない。

だけどな.....

 

 

アート「案外これって良いんだぜ?つーか俺もちゃんと考えてるっつーの。」

 

 

タルケン「そうですか?連携と言ったら皆で練習するものじゃ.....」

 

.....え、もしかしてまだ気付いていない感じ?

 

 

アート「何言ってんだ?ちゃんと皆で練習してるじゃねぇか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで。」

 

 

テッチ「.....え?皆で練習ってソッチ.....?」

 

そうだけど?という言葉を飲み込む。

理由は前方に鬼が二人発見されたから。

 

 

ノリ「アート.....」

 

 

シウネー「そんなおふざけが許されると思っているので.....?」

 

 

アート「ちょっと待とうか。別にふざけてなんk.....」

 

 

「「問答無用!!」」

 

 

アート「ギャァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「別にあそこまでやらなくても.....」

 

 

ジュン「俺にも解る。9割ぐらいアートが悪い。」

 

 

アート「なんでさ.....」

 

ホントになんでさ.....

そもそも俺は.....

 

 

アート「ふざけてなんかいないっつーの.....」

 

 

シウネー「え?どういうことですか?」

 

今の呟きが聞こえたのか、シウネーが聞いてきた。

しょうがない、説明してやるか。

 

 

アート「説明してやるよ。さっき練習してた時、()()()()()()()?」

 

 

タルケン「?何って私達に練習を教えて.....」

 

 

アート「んー.....それだとちょっと足りねぇな。じゃあヒント。どういう風にやってた?」

 

 

テッチ「どういう風にって.....何かいつもより大声で.....」

 

 

 

 

 

アート「そう。それだよ。俺は大声を出して教えていた。

そしてその時、お前らはちゃんと俺の方に向いていたよな?」

 

 

ジュン「ああ、そうだけど.....」

 

 

アート「じゃあ次の問題。俺が大声出してたときに俺は何処に居た?」

 

 

ノリ「何処にって、教えてる人の所にだよね?」

 

 

アート「大正解。つまりお前らは少なからず俺とそこで練習してる奴を見てたって事だ。」

 

 

シウネー「!.....成る程、そういうことですか!」

 

 

ジュン「?.....どういうことだ?」

 

 

アート「はぁ.....まぁいいや。答えはこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前らは短い時間だがちゃんと皆の練習を見てたって事だ。」

 

 

「「「「「!!!」」」」」

 

 

アート「人間ってのは無意識に見たものは意識して見たものよりも結構覚えやすいんだ。

ほら、今だって皆の練習姿を覚えているだろ?」

 

 

タルケン「そういうことですか.....」

 

 

アート「ほら、ちゃんと練習になってただろ?全く.....すぐ手をあげるのは良くないぞ?」

 

 

「「す、すいませんでした.....」」

 

 

アート「解れば宜しい。」

 

 

ジュン「許すのか.....」

 

何、俺ってどんな奴に見えてるの?

.....まぁ、いいや。取り敢えず.....

 

 

アート「.....一先ず、休憩もしたことだし、練習再開するぞー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早くアイツら(ランとユウキ)と並びたいだろ?」

 

 

ジュン「!.....ああ!!」

 

そして、俺達は練習を再開したのであった。

 

 

 




なんだかんだ言って皆を良く見てるアートェ.....
因みにラン達はアスナと一緒に練習してます。

あと題名を『Angelo Caduto』から『Diavolo Bianco』に変えました。


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Episode.14 堕天使

今回はちょっと過激かな.....


ラン「ユウキなんか大っ嫌い!!」

 

スリーピングナイツのホームで一人の怒声が響いた。

そして、直ぐ様彼女は勢いよく飛び出していってしまった。

 

 

ユウキ「こっちもお姉ちゃんなんか大嫌いだもん!」

 

ユウキもユウキで機嫌が悪くなっている。

何故こんなことになったのか。それはある一つの話題から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「アートへのプレゼント?」

 

最初はそれから始まった。

なんでも最近お世話になってばかりなので何か役立つ物をあげよう、という事らしい。

それにユウキは、

 

 

ユウキ「うん、良いね!あげようあげよう!」

 

嫌な顔をせず、喜んで賛成した。

賛成したのだが.....

 

 

 

 

 

ユウキ「よし!じゃあ、アートに聞いt.....」

 

 

ラン「ユウキ!」

 

 

ユウキ「へ、な、何?」

 

 

ラン「今、直接聞こうとしたでしょ?」

 

 

ユウキ「う、うん。そうだけど.....」

 

 

ラン「折角だからサプライズで渡しましょ?そっちの方が良いと思うの。」

 

と、ランは自分の意見を言った。

しかし、これにユウキは.....

 

 

ユウキ「えー.....それだとアートの好みが解らないじゃん.....」

 

という風に反対した。

最初は軽い言い争いだったが.....

 

 

ユウキ「もう!何でボクの言いたい事が解らないの!?」

 

 

ラン「それは此方の台詞よ!!」

 

このように段々エスカレートしてしまったのである。

そして遂には.....

 

 

ラン「ユウキなんか大っ嫌い!!」

 

と、彼女は飛び出してしまった。

因みにギルドメンバーは呆気にとられている。

 

 

ユウキ「こっちもお姉ちゃんなんか大嫌いだもん!」

 

そして、ユウキも追い掛けずにそっぽを向くだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「はぁ.....」

 

溜め息を吐く。

ランは今、近くの森まで来ていた。

こういった自然が多い場所に来ると、例えVRでも落ち着くのだ。

 

 

ラン「何であそこまで言っちゃったんだろう.....」

 

ランは深い後悔を感じていた。

今思えば何故あんなにエスカレートしてしまったのだろうか。

 

 

ラン「私はアートさんにもっと楽にしてほしかっただけなのに.....」

 

はぁ、ともう一度溜め息を吐く。

.....そういえば、と彼女は思った。

 

 

ラン「(私、アートさんの事になると変だなぁ.....)」

 

実際そうだった。

ここのところ、ランは彼を直視出来なくなっていた。

前に皆で特訓をしたときにアートではなくアスナと一緒に特訓したのもそれが原因である。

 

 

ラン「.....!私ったら何を!?.....ダメダメ。こんな事考えてる場合じゃない。兎に角ユウキに謝らn.....」

 

その言葉は最後まで続かなかった。

理由は一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「ぐ、う.....?(麻痺.....?.....何で...?)」

 

自分が()()()()()()()()()()

頑張って顔を動かすと腕に矢が刺さっていた。

何故矢が。そう思っていると.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「ケヒヒヒヒッ!まさかこんな大物が釣れるとはなぁ!」

 

 

?「今日はツイてるねぇ!」

 

 

?「ホントだよぉ.....!『舞姫』ちゃんが居るなんてぇ.....!」

 

前から三人の男が歩いてきた。

何が起こっているのか戸惑っていると.....

 

 

?「ケヒヒッ!まだ解らねぇって顔してるなぁ?おい!教えてやれ!」

 

 

?「安心してください。僕達と()()()()()()()()()()。」

 

その言葉で解ってしまった。

今から.....

 

 

ラン「(嘘.....そんな.....)」

 

今、着々とランに危険が迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「はぁ.....」

 

数分前。

一方ユウキも深い後悔に囚われていた。

 

 

ジュン「全く.....元気出せよ。」

 

 

シウネー「そうですよ。そんなユウキ見てると私達が元気を無くしちゃいますよ。」

 

 

ユウキ「うん.....」

 

そうは言っても。

あんな喧嘩はした事が無い。

そのせいでどうやって謝れば良いか解らなかった。

その悩みが解ったのか、ノリが話し掛けた。

 

 

ノリ「別にそんな悩む事は無いでしょ。」

 

 

ユウキ「.....え?」

 

 

ノリ「流石にあんな喧嘩は見た事無かったけど.....

そんな事関係無いじゃん?アンタ達は凄く仲良いし。

直ぐに仲直り出来るって。ね?」

 

そんな彼女の言葉にユウキは.....

 

 

ユウキ「.....うん。そうだよね!

.....解った。ちゃんと謝る!」

 

いつも通りのユウキに戻った。

この様子に皆は苦笑する。

後はランを待つだけ。

しかし、ふとアスナが一つ疑問を思い浮かべる。

 

 

アスナ「そういえばアート君は?ランちゃんが飛び出していってから帰って来てたよね?」

 

 

タルケン「そういえばいつの間にか居ませんね.....何処に行ったんでしょうか.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「わぁ.....ホントにランちゃんだぁ.....!俺ファンなんだよね.....」

 

三人の男の内の一人がランに近寄る。

そして男は舐め回すようにランを見た。

 

 

ラン「ぅ.....」

 

声を出そうとするが麻痺のお陰で呂律が回らない。

本当に油断していた。こんな所に来なければ、と後悔する。

すると、リーダー格の男が、

 

 

?「おい、そろそろ始めようぜ?正直もう我慢出来ねぇんだわ。」

 

 

?「ええ。それに、そっちの方がもっと楽しいですしね?」

 

 

?「確かにそうだねぇ.....じゃあまずは.....」

 

そういって男はランの手を掴み、メニューを開かせた。

そしてそのまま、『設定』を開く。

 

 

ラン「ぅ、ぁ.....(まさか、本当に.....!?)」

 

そう思っている間にも男達はどんどん作業を進めていく。

そして、『倫理コード』の部分をタップし、そのまま解除の所を押した。

 

 

ラン「ぐ、ぁ.....(誰か.....)」

 

もう一度声を出そうと頑張ってみる。

しかし、結果は変わらない。

そして.....

 

 

?「さてと、準備出来たな.....おい、お前先にヤっていいぜ。」

 

 

?「え、良いのぉ....?」

 

 

?「遠慮せずに。さ、早く。」

 

 

?「う、うん。.....ランちゃぁん。怖がらなくて良いからねぇ.....?」

 

 

ラン「く、ぅぅ.....!(お願い、誰か.....)」

 

男がランの服に手を掛けようとしたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、謎の声と共に何処からかナイフが男に飛んできた。

 

 

?「うわぁ!?」

 

間一髪、男は後ろに引いて避ける事が出来た。

続いて、男達は飛んできた方向を見る。

其処に居たのは......

 

 

 

 

ラン「ぁ.....!(アート、さん.....?)」

 

ランはアートらしき人物を見てから、そのまま意識を失った。

 

 

 




皆に言っておこう。
次は絶対にスカッとするぜい!


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Episode.15 中堅層の英雄

 

ラン「ぁ.....」

 

危なかった.....もう少しでランが襲われるところだった。

ランは.....気絶してるな。

.....逆に気絶してくれて良かったかもな。アレを見せると流石に怖がられると思うし。

 

 

?「お、お前何すんだよぉ!?」

 

 

アート「何って見て解らないのか?助けに来たんだよ。」

 

今、それを聞いてどうすんだよ。

別に何ら良いことはないはずだろ。

 

 

?「良い所を邪魔しやがって.....」

 

 

アート「..........は?」

 

今コイツ何て言いやがった?

良い所って言ったのか.....?

そうか.....仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()

 

 

アート「生還者か.....しかも元オレンジとは。」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

アート「何でって顔してんな。教えてやるよ。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

コイツらは結構解りやすい。

口調もそれぞれだし、外見もそのままコンバートしたのか面影がある。

 

 

?「捕まえた、だと.....?コイツ、まさか!?」

 

 

?「『白鬼』!?何で此処に居るんだよ!?」

 

 

アート「何だよ。俺が居ちゃいけないのか?」

 

コイツらに聞きながら手を広げて近寄っていく。

武器は既に短剣を装備。コイツら程度ならこれで充分。

 

 

?「こ、この野郎━━━!!」

 

すると、復讐を考えたのかいきなり持っていた片手剣で飛び掛かってきた。

.....はぁ。舐められたモンだな。俺はそれを━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「.....ごはぁ!?」

 

━━━拳で叩き落とした。

.....何だ。

 

 

アート「短剣すら要らなかったか。.....少し観察眼が衰えたな。」

 

 

?「こ、この野郎!!」

 

続いて独特の笑い方の奴が来た。

武器は片手棍。ソードスキル使用中。

.....残念だ。ソードスキルを使ったから少しは出来るようになったと思ったのに。

 

 

アート「遅い。」

 

 

?「がはッ!?」

 

俺はそのまま身体を左に逸らして回避。

そして右手で鳩尾を決める。

さっきの奴は一発で終わったが俺は簡単に許すつもりはない。

つまり.....

 

 

 

 

アート「ふっ!」

 

 

?「ぐぼぉッ!?」

 

 

“体術4連撃OSS クイックディスペンスド”

 

素早い手刀で4つの閃光を顔に当てる。

そのまま左手でコネクティングを発動。

 

 

?「ごはッ!?」

 

 

“体術6連撃OSS 獅子奮迅”

 

6つの光と化した手刀を六芒星を描くようにして斬りつける。

そのままソイツは腹を抑えて蹲ってしまう。

さて、最後は.....

 

 

アート「お前だなぁ.....?」

 

 

?「ヒ、ヒィィィ!?」

 

最も怒っている相手。

実際にランを手に掛けようとした外道だ。

コイツには.....

 

 

アート「誰にも見せたことのない技で決めてやるよ。」

 

偶然出来た技。

しかし偶然でありながらあの城で良く使ったスキル。

 

 

アート「うらぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“■■■15連撃SS 爆裂拳”

 

 

?「グガアアア!?」

 

15の拳撃が無差別に閃光を穿つ。

それらは顔、腹、腕.....足にまで届いた。

撃ち終わった後の姿は.....ご想像にお任せする。

さて、後は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「なに、逃げようとしてんだ?」

 

 

?「うがぁ.....」

 

最初に攻撃した奴の後始末。

やはり一撃だけでは物足りなかったようだ。

ならば.....

 

 

アート「一杯当ててやるよ.....!」

 

さしずめ俺の必殺技Part1って所か。

そんじゃ、殺りますか。

 

 

アート「はぁッ!!」

 

 

?「ガアアアア!?」

 

“体術9連撃OSS 暴風雨”

 

拳の雨が倒れている奴に無慈悲に降り注ぐ。

こうでもしないと満足しなさそうだったからな。

コネクティングでまだやってやろうかと思ったが気絶していたので辞めた。

ふぅ.....終わったな。後は.....ランを起こさないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....ラン.....ラン!!」

 

 

ラン「う.....ん.....」

 

良かった.....どうやら無事みたいだ。

因みにクズ共はすぐさま逃げてった。もう近寄んな。

 

 

ラン「.....アート、さん.....?」

 

 

アート「ああ。そうd「アートさん!!」うぉっ!?」

 

 

ラン「怖かった.....怖かったよぉ.....」

 

 

アート「.....怖かったね。安心して。俺が傍に居るから。」

 

 

ラン「う、うぁぁぁぁぁぁ.....」

 

.....よほど怖かったんだろうな。

まだ、身体が震えている。これは当分周りに注意だな。

俺はそっと泣きじゃくるランを胸に抱き寄せたのであった。

 

 

 




アート、ゲス共をまさかの拳で撃退。
いつからチートになったんだ.....(遠い目)


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Episode.16 白鬼

どうも現在、中学校生活最後の学期末テスト中なのに平気で投稿しているおうどんです。
え?受験?.....い、一貫だから大丈夫さ!.....多分。
ま、まぁ結果は点数は教えて貰えませんでしたが合格だったらしいので大丈夫!


アート「よいしょ、っと。」

 

背中から落ちそうになったランを背負い直す。

今の状況はランをおんぶしながらホームに帰っている。

あの後ランは思いっきり泣いてから寝てしまった。

それから起こすのも気が引けるし、そのままおぶって帰る事にした。

.....っと。話している内に着いたな。

 

 

アート「おーい。開けてくれー。」コンコン

 

 

ユウキ「アート!?今まで何処に.....って、姉ちゃん!?どうしたの!?」

 

 

アート「後で話すから先に入れてくれ。」

 

 

ユウキ「う、うん。」

 

ま、こうなるわな。

喧嘩していても大好きな姉がこんなになってたら驚くモンだ。

さて、まずは事情を話さないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「━━━という訳だ。」

 

 

ユウキ「そんな事があったなんて.....」

 

 

シウネー「ランさんを助けて下さり有り難うございました.....!」

 

いえいえ、大丈夫ですよ。色々と吹っ切れたんで。(ゲス顔)

ま、兎も角は無事で良かった。流石にあの技はやり過ぎたと感じてるが。

 

 

アート「兎に角、今後は一人で移動しない事だ。解ったな?」

 

 

「「「「ああ!(はい!)」」」」

 

これで当分はイケる.....筈だ。

コイツらは固まったら大体の奴らには勝てるだろうし。

 

 

ノリ「でも、もしまたソイツらが来たらどうすんの?流石に私らでは勝てないっしょ?」

 

 

アート「ああ、その件についてだが.....

 

 

 

 

 

 

 

当分、俺はランとユウキの傍に居ようと思う。」

 

 

テッチ「そうか。なら安心だな!」

 

 

アート「だと、良いけどな.....」

 

 

アスナ「え?まだ問題があるの?」

 

そりゃ、あるに決まってんだろ。

え?解らないって?良いぜ、教えてやるよ。

それはな.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「俺が傍に居て良いのかって事なんだよな.....」

 

 

「「「「「..........。」」」」」

 

 

アート「こんな美少女達に俺みたいな奴が付いてても良いのか.....うーん.....」

 

この時、皆の考えは見事に一致したらしい。

どんなことを考えてたんだろ?

閑話休題。一先ずはランが起きるのを待つだけだ。

 

 

ジュン「そういえば、どうやってソイツらを撃退したんだ?」

 

 

アート「!.....えーと、企業秘密って事で.....」

 

 

ジュン「えー!良いじゃん、教えてくれよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....なら言ってやるよ。」

 

 

ジュン「よっs「但し!」.....ん?但し?」

 

 

アート「これを言った後に俺は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スリーピングナイツを辞める事にするよ。」

 

これだけは流石に言えない。

何せそれは、()()()()()()()になるからな。

 

 

ジュン「なっ.....はぁ!?」

 

 

シウネー「ど、どういう事ですか!?」

 

 

アート「それも言えない。すまんな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナ「それってキリト君が言ってた事?」

 

 

アート「.....どういう事だ?」

 

 

アスナ「キリト君が言ってたの。『アイツは自分に憎しみを感じてる』って。

 

 

 

何があったの?」

 

 

アート「.....はぁ。だから教えられないって言ってるだろ?」

 

 

アスナ「.....そっか「だけど。」.....?」

 

 

 

 

アート「もし、俺がちゃんとお前らを信じれる様になったら教えてやるよ。」

 

そう言って俺はホームを出た。

.....少し酷いかもしれないが俺はアイツらを完全に信用してはいない。

ま、そんな日は.....来たら来たで言いかもな。

 

 

 




遂に出せたぜ、アートの過去の伏線!


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Episode.17 変化

唐突だが、あの事件後の変化を教えよう。

何でって?まぁ良いから聞いてくれ。

その変化とはな.....

 

 

 

 

 

ラン「..........。」

 

ランが俺の後を何処までも付いてくるようになった。

例えば、ダンジョンに行く時。

 

 

アート「じゃあ、ちょっとレベル上げ行ってくるわ。」

 

 

ラン「あ、私も行きます!」

 

ショップへ買い物に行った時。

 

 

アート「結晶買ってくる。」

 

 

ラン「アートさん!一緒に行っても良いですか?」

 

クエストを受ける時も。

 

 

アート「暇だし、クエスト行ってくる。」

 

 

ラン「私も!」

 

 

全員「「「「「..........。」」」」」

 

とまぁ、こういう訳だ。

最早ランが猫に見えてきて仕方がない。

だから少々注意を促したのだが.....

 

 

 

 

 

アート「ラン、ちょっといいかな?」

 

 

ラン「はい?何でしょう?」

 

 

アート「最近ずっと俺についてきてるだろ?たまには皆とも一緒に居ろよ?」

 

 

ラン「..........」

 

 

アート「.....?ランさん?どうしました?」

 

次には馬鹿デカイ原子爆弾を落としやがった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「アートさんは.....私の事、嫌いですか?」

 

これを言われたら断れねぇよ.....

 

 

 

 

とまぁ、これが一つ目の変化。

そして、もう一つ。それは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「何してるの?()()()()()?」

 

これである。

コイツらの頭はどうなってるんだ.....

ずっと好きでもない男と一緒に居たり、赤の他人をお兄ちゃん呼ばわりするとは.....

もう、どうにでもなれと、思い始めてきた所存である。

とまぁ、変化を述べたが皆はどう思う?

俺の友達に相談したら、

『何その展開羨ましいんですけど。』って言われた。意味が解らん.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんは変化があってからある日の事。

 

 

アート「ボス攻略に行く?」

 

 

アスナ「うん。といってもお試しみたいな感じだけどね。」

 

どうやらユウキ達がボス攻略に行くそうだ。

しかし、真剣にやるのではなく、無理に回復薬を使わない方法でやるらしい。

なので、俺も攻略に行くように誘われた訳だが.....

 

 

アート「.....悪いが用事があってな。参加出来ん。」

 

 

ユウキ「えぇー.....そんな~.....」

 

こればかりはホントに外せない用事なんでな。

ラン達には悪いが、攻略には参加出来ない。

 

 

アート「少し遅れてからなら出来るが.....まぁ、今までの成果を見せてもらうって事で。」

 

 

ユウキ「はーい.....」

 

そこまで落ち込むことかな.....?

兎も角、俺は用事がある事を伝えてログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん.....結構し過ぎたな.....」

 

リアルに帰ってきた。

ここ最近ずっとALOをやっていたので頭の中がグワングワンしてる。

しかしやる事があるのでそんな事を気にせずにすぐに用事の準備を始めた。

 

 

「さーてと.....何処にあったかなー.....」

 

探しているのはある病気を治す薬。

その病気は『急性リンパ性白血病』。

治すのが難しいと言われているが実のところ前に()()()()()()()()ので、その時に使った薬を探している。

何故、今そんな薬を探しているのかと言うと.....

 

 

「(ラン達を治しても他の皆が居なかったら嫌だからな.....)」

 

そうだ。彼女達を治しても皆が居なくては意味がない。

それに.....

 

 

「.....()()、だからな.....」

 

約束したんだ。アイツと。

困ってる人は必ず救う、と。

それが()()()()使()()ような事態になっても。

 

 

「お、あったあった。」

 

丁度薬を見つけた。

薬が正常か検査をする為に机に向かう。

そして、その机がある壁には一つの名前が載っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スリーピングナイツ救済計画』、と。

 

 




どうも後書きでお久し振りです、おうどんです。

えー、突然ですがこの小説を一時休止にしたいと思います。
何故か。それは順を追って説明しましょう。


まず、私はこの小説に挿絵を投稿したいと思いました。

そして、イラストレーターをやっている友達にイラストを頼みました。

此処まではよかった。此処までは。


何と、その友達が色々やってしまい、イラストを描いていたスマホを没収されてしまいました。

そして、次々話にはアートの素顔が明かされてしまいます。

私的には今の格好を投稿したいと思っています。

なので、一時休止をさせて貰いました。

楽しみにしていた方。ホントにすいません。

活動再開は3月18日(日)からにしようと思います。


ロクアカは引き続き投稿しますので良ければそちらもどうぞ~。


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Episode.18 二大の英雄

お久し振りです!
今日から活動開始します!

それと、やっとイラストが完成したので載せておきます。

【挿絵表示】



「うー.....終わった.....」

 

あー.....疲れた.....

これ全部倉橋先生の所で視てもらった方が早かった気がする.....ちくせう。

.....そろそろ、ボス攻略も終わる頃だろ。さて、戦果を聞いてみますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「うーす、終わっt.....って誰もいない。」

 

早速ログインしたのだが、誰も居なかった。

あれー.....?計算違いだったか?

すると、テーブルの上に何かあったので取ってみた。

 

 

アート「これは.....伝言アイテム?...スゲー.....始めて見た。」

 

そのまま、アイテムを開いた。

すると、其処には.....

 

 

アート「.....は?闘いをギルドに観られてた?」

 

どうやらそのギルドの奴らがラン達の闘いを全て観ていたらしい。

.....成程。よく使われる手段だな。

つーか、そんな状況にも関わらずまた挑戦しに行ったのか。凄いな。

 

 

アート「.....こりゃ、早く行った方が良いな。」

 

少し懲らしめてやるか。

そう言うと、俺はすぐに()()の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「はぁ.....!」

 

アインクラッド最前線。

ユウキ達は今、さっき話したギルドと戦っていた。

彼女達が着いた頃にはもう既に大勢のプレイヤーが待ち構えていた。

普通なら諦めるのが一般的だが、ランとユウキは.....

 

 

ユウキ「ぶつからなきゃ伝わらない事だってあるよ。ね、姉ちゃん?」

 

 

ラン「そうですよ。所詮当たって砕けろって奴です。」

 

という風に諦めなかった。

その言葉は今のアスナに一番当てはまる言葉だった。

 

彼女は今、母親といざこざを起こしている。

理由は簡単。ALOだ。

VR空間に囚われたと言うのに、未だにそれで遊んでいたらそりゃ目を見張る物があるだろう。

アスナはVRの利点を伝えたかったが、無理だった。

だからこそ、当てはまったのだ。“ぶつからなきゃ伝わらない”、と。

その言葉のお陰でユウキ達と共にギルドに挑む事を決心したのだが.....

 

 

 

 

 

アスナ「くっ.....増援か.....」

 

ここに来てギルドの増援メンバーがやって来た。

自分がくよくよしていたせいで。と後悔したが、直ぐに立ち直り.....

 

 

アスナ「皆。この層は無理かもしれない。

だけど、次は必ず皆で倒そう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?.....全く.....往生際が悪いな.....」

 

一方、此方はさっき言った増援メンバー。

その内のリーダー格の男がイラつく様に呟く。

 

 

「...............。」

 

そして、一番後ろに居る()()()()()()()()()()()()()()()が居た。

彼らは驚いたかと思うと一瞬微笑み、そのまま━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「.....フッ!」」

 

━━()()()()()()()

そのままメンバーを越えて、俯きながら着地。

そして黒い少年は剣を突き立て、白い少年は肩に担いでゆっくりと前を見た。

 

 

「よし、間に合ったな。」

 

 

「だな。しかも、途中でお前と出会すとは.....

ま、今回は良い意味で、だが。

.....さて、悪いな、お前ら。」

 

 

「此処は.....」

 

 

 

 

 

「「通行止めだ!!」」

 

 

「「「「!!?」」」」

 

 

アスナ「キリト君!!それにアート君も!!」

 

最強の援軍が到着したようだ。

すると、アートはランの方へ振り向き、こう言った。

 

 

アート「待たせたな。少しだけ待っといてくれ。()()()()()()()()()。」

 

 

ラン「!!..........はい!」

 

 

 

 

 

「おいおい、先生方よぉ!

いくら、あんた達でもこの数は無理があるんじゃねぇか?」

 

 

キリト「さぁ?試した事が無いから分かんないな。」

 

 

アート「いや、出来るだろ。..........多分。」

 

 

キリト「そこは自信を持って言おうか。」

 

そう言いながらも彼らの顔には笑みが浮かんでいた。

.....キリトは苦笑いだったが。

 

 

「そうかい。.....なら、今ここで試させてやるよ!!

メイジ隊!魔法準備!!」

 

部隊長の掛け声と共に魔法が召喚されていく。

しかし、二人はただ見ているだけだった。

 

 

アスナ「キリト君!」

 

流石に危機を感じたのか、彼に駆け寄ろうとした。

だが.....

 

 

アスナ「.....!」

 

彼の肩に居る愛娘(ユイ)が大丈夫だと示してくれた。

その証拠に二人共、此方を見てしっかりとした笑顔を浮かべていた。

.....アートは笑顔と言うよりゲス顔、という方が合っていたが。

閑話休題。兎に角、彼らに策があることは分かった。

 

 

「よし!行けぇぇぇぇ!!」

 

そして、魔法が発射。

そのまま色鮮やかな魔法彈は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァ!!

 

 

大きな爆炎となった。

煙が晴れ、彼らの目にに映ったのは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「..........。」」

 

武器を持ったまま笑みを浮かべ、傷が一切無かった勇者達の姿だった。

 

 

 



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Episode.19 黒白の剣技

アートの顔出し出来なかったぜ.....
出来るだけ、頑張ります.....


「.....は?何で.....無傷なんだよ?」

 

命令を下したサラマンダーの男は動揺を隠せなかった。

無理もない。高威力の魔法をぶつけたにも関わらず、傷一つ無かったのだから。

それでは、何故無傷だったのか。リプレイという形でお見せしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、行けぇぇぇぇ!!」

 

色鮮やかな魔法が撃ち放たれる。

その数、およそ15。

 

 

キリト「まずは俺からだな。.....行ってくる。」

 

 

アート「おう、行ってら~。」

 

その言葉と共に突き刺していた剣を抜く。

そして、回転させながら肩に乗せ、ソードスキルを開始する。

 

 

 

 

 

“片手剣7連撃SS デッドリー・シンズ”

 

 

そのまま青く光る剣で━━━

 

 

 

 

 

キリト「.....シッ!!」

 

━━━()()()()()()

しかも、一度だけではなく、次々と斬っていく。

そして、ソードスキルが終了する時に彼はこう叫んだ。

 

 

キリト「スイッチ!!」

 

 

アート「任せろ!」

 

すると、彼を通り越してアートが出る。

その手に持つ刀の刀身は赤く染まっていた。

 

 

 

 

 

“刀8連撃OSS 鎌鼬”

 

そのまま、キリトと同じように魔法へと接近していき━━━

 

 

 

 

 

アート「でやぁぁぁ!!」

 

━━━()()()()()()()()

.....魔法って斬れたり跳ね返せたり出来るモンだっけ、と思った作者である。

とまぁ、これが無傷だった理由である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....という訳だ。解ったか?」

 

 

「.....は?何だ、それ.....」

 

どもども、お久し振りでござる。アートだお。

今、さっきやった事をサラマンダー野郎に説明したんだけど、嘘つけって顔された。何で?

 

 

「.....と、兎に角アンタらは敵なんだ!やれぇぇぇぇ!!」

 

 

「「「ウォォォォ!!」」」

 

んな、無茶苦茶な。

いきなり話題逸らしたぞコイツ。しかも言い訳が成り立ってねぇし。

.....ま、いっか。取り敢えず今は.....

 

 

 

 

 

アート「行くか。ちゃんとついて来いよ?」

 

 

キリト「それはこっちの台詞だ。.....最初から全力で行くからな。」

 

 

アート「了解。」

 

その言葉と共にアートが駆け出す。

しかし、ソードスキルを発動させていない。否、出来ない。

何故ならば、

 

 

 

 

アート「.....ええと、何処に.....あ、あった。」

 

()()()()()()()()()()()()()

しかし、それもほんの一瞬。

メニューを閉じた次の瞬間━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「うらぁぁぁ!!」

 

━━━()()()()()()()()()()()()

そのまま、脚に力を込め、高く跳躍。

そして、集団に向かって回転しながら突撃する。

 

 

「調子に.....乗んなぁ!!」

 

しかし、彼の後ろから刃が迫る。

だが彼は目を向けない。当たり前だ。

 

 

 

 

 

キリト「ハッ!!」

 

 

「!?...グァァ!?」

 

こちらにはあの黒の剣士が居るのだから。

SAOをクリアした勇者と、事情は解らないがオレンジから恐れられた英雄が組むのは何を意味するのか。

それは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「さてと、蹂躙される覚悟.....出来てるよな?」

 

━━━蹂躙を意味する。

 

 



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Episode.20 瞬殺

結構、間が空いちゃったなぁ.....
出来ればだけど、土日も投稿するつもりです。
金曜日は.....分かんないや。


 

 

アート「蹂躙される覚悟.....出来てるよな?」

 

その言葉は重く、そして冷たかった。

横で聞いていたキリトでさえゾッとした程だ。

 

 

「「「ヒ、ヒィィィィ!!?」」」

 

勿論、彼らにとっても。

その威圧に思わず後退りする。

だが、

 

 

アート「おい、逃げんなよ。折角相手してやるんだ。

もうちょっと楽しもうぜ?」

 

それを黙って見ている堕天使(アート)ではない。

誘いの言葉が合図となり、神速の如く、もう一度敵集団へ突っ込む。

 

 

「ガァァァ.....!」

 

それだけで、二、三人がポリゴン体へと変わる。

だが、それだけで地獄は終わらず、ソードスキルを発動させる。

 

 

 

 

 

“■■■5連撃SS 烈風”

 

 

「「ウァァァ!?」」

 

五つの風刃が切り裂いてくる。

それが終わると同時に続けてコネクティングを起動する。

 

 

 

 

 

“コネクティング ■■■6連撃 暁光”

 

 

「ゴハッ.....」

 

流れるようにして六つの牙突が煌めく。

心なしか、刀を纏う白い光が強くなっているように見える。

そのまま、もう一度続けようとしたが....

 

 

 

 

 

「ウラァァァ!!」

 

彼の背後から刃が迫る。

アートはそれを受け止めようとして、すぐに()()()()()()()

理由は単純だ。

 

 

 

 

 

キリト「やらせないッ!!」

 

 

「!?...ガッ.....!」

 

 

黒い人影が間に入り、敵の首をはねる。

その影は二つの剣を持っていた。

 

 

アート「.....ようやく本領発揮か。」

 

 

キリト「そっちもな。何だよ、あのスキル。」

 

 

アート「後で話してやるよ。それよりも、だ。

相手の数が予想よりも多い。だから一発で片付ける。異論は?」

 

 

キリト「勿論無しだ。」

 

そう言うとそれぞれソードスキルを発動する。

そして、先にキリトが駆け出し、ぶつけた。

 

 

 

 

 

“片手剣単発SS ヴォーパル・ストライク”

 

 

キリト「ゼヤアアア!!」

 

彼が今はもう無き剣技の世界で良く使ったスキル。

自身は閃光となり敵集団の中心を穿った。

そしてスキル硬直が終了すると同時にその場から飛びのく。

その直後。

 

 

アート「ハァァァ!!」

 

その手には先程と同じ白い光。しかし、若干黄色が混じっているようにも見える。

そしてそのまま横に一閃した。

 

 

 

 

 

“■■■()()()()SS 神薙”

 

光は破滅の光となり集団の者達に()()()()()()

そのまま煙へと化した。

煙が晴れたそこには.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....てことだ。解ったか?」

 

 

キリト「嘘だろ.....そんなユニークスキルが存在してたなんて.....」

 

白と黒の二つの人影。

アートとキリトだ。

アートは何か話していたと思うと、すぐに話を終えてラン達の元へ駆け寄った。

キリトはアスナに会釈してから転移結晶でホームに帰った。

 

 

アート「よ。終わったぜ。」

 

 

ラン「アートさん.....有難うございます。」

 

 

アート「礼なんていいさ。別に手応え無く倒したからな。」

 

そう言ってアートは彼女の背中を押しながらボス部屋の前へ行った。

すると、アートは彼らの前に出てこう言った。

 

 

アート「さて、これからボス攻略だ。勝ちに行くぞ。いいな?」

 

スリーピングナイツのメンバーは一瞬目を丸くしたが、

すぐに笑って皆揃って叫んだ。

 

 

「「「勿論!!」」

 

そう言って彼らは扉を開いた。

中には二つの頭を持った巨人。

 

さぁ、ボス攻略の始まりである。

.....待たせてごめんちゃい。

 

 




ボスの名前って何だっけ?


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Episode.21 いざ、ボス攻略

すまない.....遅くなって本当にすまない.....(ジー〇フ〇ート風)


あ、突然ですが、ユーザー名を『おうどんたべたい』から『artisan』に変えました。

今後ともよろしくお願いいたします!!


アート「うし、行くぞ!!」

 

その掛け声と共に二つの影が飛び出す。

ユウキとノリだ。

 

 

「「でやあああ!!」」

 

それぞれの足をソードスキルで攻撃する。

無論、二人にヘイトが向くが....

 

 

「ガァァァ.....!?」

 

突如として、頭に衝撃が響く。

驚きながらその方向を見るが、そこには誰もいない。

 

 

「グルルルル.....ガッ!?」

 

またしても後頭部にダメージ。

一体何処に居るのだ、と周りを見渡す。

姿が見えないのも無理はない。なぜなら.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ふっ!」

 

 

「ギアアア!?」

 

正体はアート。

素早さが活かせる短剣でひたすら速く、そして重い攻撃を当てていたのだ。

姿を見れた巨人はそのままスキルを発動。

それにより、アートは吹っ飛ばされる。

が、

 

 

 

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

今度は両足に重い攻撃。

タルケンとジュンである。

どうやらアートは囮だったようだ。

即座に二人を足で蹴っ飛ばす。

そのまま連続でダメージを与えようととするが━━━━

 

 

「グッ!?」

 

顔面に三つの氷弾が当たる。

勿論、後方支援組(アスナ達)だ。

巨人はそのままスタン状態になる。

これだけ見れば優勢。しかし、アスナとアートの顔は苦悶の顔だ。

 

 

アスナ「アート君.....!」

 

 

アート「ああ.....結構()()な.....」

 

彼らが言った事は実際そうだった。

あれだけの攻撃をしたにもかかわらず、巨人のHPは三分の一も減っていなかった。

 

 

 

アスナ「弱点は.....多分.....」

 

 

アート「十中八九、胸の宝石だろうなぁ.....だけど、あそこまで跳べる奴は居ないぞ?」

 

そこまで言って彼らはうーん、と悩みの種を持ってしまった。

そんな彼らの元に.....

 

 

ラン「それなら、考えがありますよ。」

 

アスナの隣で聞いていたランが意見を挙げた。

アートは目を丸くしながら彼女に聞いてみる。

その内容は━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....よし、行くか。準備は出来てるな?」

 

ランの考えが一番良い通り道だったので、それで行く事にしたようだ。

アートは今一度、両手剣を握りしめる。

因みに、アートが話しかけたのは━━━━

 

 

 

 

 

ユウキ「うん!バッチリだよ!!」

 

━━━━()()()()()()()()ユウキに、だった。

作戦の内容はシンプルだ。

アートがユウキを投げ飛ばすというもの。

彼が巨人の前まで近づき、そのままユウキを投げ飛ばして弱点部位を破壊するのだ。

 

 

アート「うし、じゃあ行くぜ。う...らぁぁぁぁぁ!!!」

 

何という馬鹿力。

流石は両手剣を片手で持てるだけある。

走るスピードも通常より少し遅いだけ。一体どれだけSTRに振り分けたのだろうか。

 

 

「グガァァァ!!」

 

その直後。巨人がそれを阻止しようと、道を阻めてくる。

だが、それは予想内だ。

何故なら.....

 

 

 

 

 

 

 

テッチ「やらせねぇ、よ!!」

 

彼が手に持つ大盾で攻撃を防ぐ。

そのままアートは、寧ろスピードを上げながら距離を詰めていく。

.....しかし。

 

 

「ギャァァァ!!」

 

巨人は強引にテッチを吹き飛ばし、またもや攻撃を仕掛ける。

しかもソードスキル発動中だ。一体どれ程壊されたくないのだろうか。

だがしかし、それも無意味に終わる。

 

 

 

ジュン「止めるッ!!」

 

 

 

 

 

“両手剣2連撃SS ブラスト”

 

今度はジュンがソードスキルで太刀打ちする。

そのせいで巨人はウィーク状態に陥る。

 

 

「ガ.....ァァァ!!!」

 

しかし、巨人は最後の足搔きの如くブレス攻撃を放つ。

それこそ、予想外だったので、アートとユウキは煙に包まれた。

 

 

アスナ「アート君!ユウキ!!」

 

煙が晴れ、中から出てきたのは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ウラァァァァ!!!」

 

 

「!?」

 

アートだ。

彼はソードスキルを発動してそのまま突っ込む。

 

 

 

 

 

“両手剣単発SS アバランシュ”

 

 

「グ、ガァァァ!!」

 

巨人は当たる直前で受け止めた。

しか、受け止めた瞬間に疑問に思った。

『小娘は何処に行った?』と。

答えは明白だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「でやあああ!!」

 

空から紫色の光を纏いながら降りてくる。

狙うは胸の宝石。

ユウキは自身が持つ、最高の技を発動した。

 

 

 

 

 

“片手剣11連撃OSS マザーズ・ロザリオ”

 

11の刺突が巨人の胸に殺到する。

それぞれ五つの突きでクロスを描くように。

.....そして。

 

最後の一撃は━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「届けぇぇぇぇぇ!!!」

 

━━━━見事に宝石を打ち砕いた。

彼らの画面にはこう映っているだろう。

 

 

 

 

 

『Congratulation!!』、と。



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Raidiant Hope (輝く希望 編)
Episode.22 驚愕


ちょっと設定を変えました。
前まではアスナはラン達の病気を知っていましたが、今は知らないことになっています。


ユウキ「.....お、終わった.....?」

 

肩で息をしながらユウキは前を見る。

目の前にはCongratulationの文字。

それを見たユウキは何とも言えない感情が全身に駆け回った。

 

 

ユウキ「.....やった、やったー!うわーい!」

 

そのまま嬉しさのあまり、アートに抱き着きに行く。

無論、アートはそんな事知る由もなく、後々地獄を見るのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「あぁ.....ホンット最悪.....」

 

 

ユウキ「うっ.....ご、ごめんなさい.....」

 

おっす皆.....元気-100倍アトパンマンだお.....

え?何があったのかって?

良かろう、説明してやる。(説明という名の愚痴)

 

あの後戦利品を確認していたんだ。

お陰でレアドロップもした。したんだけど.....

 

 

ユウキ「おにーーちゃーーーーん!!」

 

ユウキがタックルしてきた。

それがちょっとした攻撃になる。

その時の俺のHP、数ドットのレッドゾーン。トホホ.....

お陰でドロップ品が.....ああ.....

 

 

アスナ「げ、元気出して.....?」

 

 

アート「大丈夫。大丈夫だ。大丈夫な筈.....」

 

 

「「「「 こっわ!? 」」」」

 

後から聞くとこんな感じでブツブツと呟いていたそうな。

閑話休題。数分かけて元に戻った後、俺達はある場所に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「.....載ってる.....!」

 

勿論、黒鉄宮である。

ここにある石碑にはボスを倒した人たちの名前が刻まれている。

 

 

ラン。

 

ユウキ。

 

ジュン。

 

ノリ。

 

タルケン。

 

テッチ。

 

シウネー。

 

そして、俺とアスナ。

 

 

.....実のところ、此処に名前を刻んだのはこれが初めてだ。

ま、丁度良かったかもな。一回ぐらいこういうのしてみたかったし。

すると、ユウキが突然、話しかけてきた。

 

 

ユウキ「.....有難う。こんなにも助けてくれて。」

 

 

アート「何だよ急に。.....ま、当然のことだろ。

『手伝う』って言ったんだ。有言実行ってやつさ。」

 

 

アスナ「そうだよ。それに私達も結構楽しめたし。

また、このメンバーでボス攻略をしようよ!!」

 

それは良い考えだ。

コイツらとやるのは何気に楽しいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「.....それは出来ません。」

 

 

アスナ「?.....何で?」

 

 

ラン「スリーピングナイツは.....今日で解散です。

今まで助けてくださり、本当に有難うございました。」

 

そう言って皆はメニューを開く。

そのままログアウトのボタンを━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ちょっと待て。」

 

━━━━押させない。

俺にとって、ここからが()()だからな。

 

 

シウネー「.....何するんですか。私達は.....」

 

 

アート「それはお前らが重病を患わっているから、だろ?」

 

 

「「「 !!? 」」」

 

 

ラン「なぜ、それを.....?」

 

 

アート「それは後で説明する。

取り敢えず、ホームに行こうか。話はそれからだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「.....それで、何で知ってるの?」

 

ギルドホームにて。

ユウキが問いかける。

他のみんなも目を此方に向けてくる。

その目には疑問、そして恐怖が混じっていた。

.....大方、『それを理由に脅されるんじゃないか』みたいな事だろう。

その思惑をよそに、俺はハッキリと答えた。

 

 

アート「俺はリアルで医者をやっているんだ。その繋がりで知った。」

 

 

ラン「.....それでどうするんですか?私達を.....率直ですが、虐めますか?」

 

.....やっぱりか。

つーか、そんなに怖いのか。

余程、怖い思いをしたんだろうな。

.....だったら、尚更()()()()()()()()

 

 

アート「馬鹿。んなことする訳ないだろ。」

 

 

ユウキ「じゃ、じゃあ何するのさ。」

 

 

アート「よくぞ聞いてくれた!単刀直入に聞くぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前ら、まだ生きたいか?」

 

 

 



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Episode.23 契約

最近、無料版だけど、“Studio One”を買いました。
使っている人が居たら、是非とも教えてください。

どうやったらボカロの声を出せるんだ.....



 

アート「お前ら.....まだ生きたいか?」

 

その言葉に一瞬、静寂が訪れる。

その静寂の中、口を開いたのはユウキだった。

 

 

ユウキ「.....無理だよ。ボク達の病気は薬じゃ治せない。」

 

そう言って、さらに皆の表情は沈んでしまう。

それを見兼ねたアスナがアートに何か言おうとして━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「お前らって馬鹿なのか?」

 

━━━━━━━━そのまま開けたままになった。

ここに来て馬鹿と言うなど思いもしなかったからだ。

 

 

ラン「.....馬鹿じゃありません。本当に━━━「違う違う。」━━━え?」

 

 

アート「はぁ.....俺、今なんつった?」

 

 

ジュン「何だよ急に.....「いいから。」.....“まだ生きたいか?”だろ?」

 

彼が答えると、アートはやれやれ、と言いながら手を広げる。

その仕草はまるで希望を見せようとしてるようで━━━━━

 

 

アート「俺が聞いたのは生きたいか死にたいかという事。

別に治せないとかそういうのは聞いてない。」

 

話しながらアートは椅子から立ち上がり、歩いて行く。

その顔は笑いながらも至って真剣の様子で━━━━

 

 

アート「で、どうなんだ?生きたいか?死にたいか?」

 

今の彼はとてもいつもの彼とは違っていた。

そんな彼の問い掛けにランはわなわなと堪えていた感情を爆発させた。

 

 

ラン「っ.....そりゃ生きたいですよ!!

まだ皆で笑って!皆で楽しんで!皆で遊んで!

 

 

 

 

 

 

 

 

皆で.....生きたいです.....!」

 

その言葉に彼は━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「....よく言った。」

 

 

ラン「うぁ.....」

 

━━━━━━━━優しく彼女を抱き締めた。

覚えがあった。この温かさは前に助けてくれた時と同じ。

 

 

アート「よく頑張ったな。よく我慢出来たな。よく泣かないで居れたな。

 

 

 

 

ああ、喜んで任せろ。俺が全員()()()()()。」

 

その言葉は彼らにとって希望を示す言葉だった。

どれ程待ち望んだことか。

『出来るだけ頑張る』ではなく、『治してやる』という言葉を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュン「.....そういえば、ちょっと聞きたいんだけど。」

 

皆が泣き終えてからの事。

ジュンが突然、疑問に思ったのでアートに問いかけた。

対するアートはランの頭を撫でながら答えた。

 

 

アート「何だ?」

 

 

ジュン「あんだけ泣いといてだけど.....

俺達の病気ってどうやって治すんだ?それだけ聞きたい。」

 

その言葉にまたしても皆の目がアートに向く。

対する彼は少し考える素振りを見せてから、まぁいいかと呟き、言った。

 

 

アート「実は薬はもう作ってるんだ。後はもう投与するだけ。」

 

その答えに彼らは驚きの声を上げる。

あの疑問を問い掛ける前から既に準備していたのだ。どれだけの覚悟なのだろうか。

 

 

アート「多分お前らに関しては治ると思うが、ランとユウキについては分からん。」

 

 

ユウキ「そうなんだ.....「だから━━━━」.....?」

 

 

アート「少しだけ()()()()()()ま、いざとなったら使うけど.....

 

 

ラン「?今何て言いました?」

 

 

アート「ああ、悪い悪い。ま、そういう事だからもう少しだけ待っといてくれ。」

 

そう言って彼はログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「の前に。」

 

訂正。まだ伝える事があったようだ。

その顔には少々苦笑が混じっている。

 

 

 

ユウキ「どうしたの?」

 

その顔を見て、ユウキが問い掛ける。

そして、次の瞬間、彼は思いもよらぬ言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「俺、明日からログイン出来ないと思うから。」

 

 

「「「「 はぁぁぁぁぁ!!? 」」」」

 

 

 

 




どうも、前書きでも色々喋りましたが、こんにちは。
最近、artisanに改名した旧おうどんです。


次回から、全くのオリジナルストーリーになります。

内容は、ただ単にアート君が現実世界で奮闘する話です。
そして、唐突ですが、アンケートを取ろうと思います。


お題は少し、ネタバレになりますが、

『最終回は生存ルートか。死亡ルートのどっちがいい?』

みたいな感じです。どうぞ、ご協力お願いします。


あと、章をつけてみました。
ここまでの話はリメイク前みたいな中二病的な名前ではなく、
普通に“マザーズ・ロザリオ編(母なる十字架編)”とさせて頂きました。


では、次回もお楽しみに!


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Episode.24 回りだす歯車

よぉ、久し振りだなぁ。(恐る恐る)
わー!待って待って!!石を投げないでくれ!!

新高校生活が忙しかったんだよ!!ごめんな!!


「ふー.....まずは、第一関門突破か。」

 

ある部屋にて。

そこで“アミュスフィア”を取った青年が一人呟いた。

勿論、我らが主人公である。メタい話、まだ本名は言わないつもりだが。

 

 

「さてと.....()()()。」

 

そう言うと青年は短時間で支度し、バイクに跨った。

目的は━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....ふぅ。着いた。」

 

場所は横浜港北総合病院。

用件は、勿論.....

 

 

「.....あれ? 先生?」

 

 

「うん!久し振りだねぇ!!」

 

倉橋医師が病院の入り口で待っていた。

.....手間が省けたようだ。彼らはそのまま中へ入っていく。

 

 

「外で待ってたなんて.....別に良かったのに.....」

 

 

「待つついでに外の空気を吸いたくなったんだよ。さ、ついておいで。早速聞こう。」

 

 

「ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと.....まずは何から聞こうかな。」

 

此処は病院の待合室。

そこにある椅子に二人は座った。

 

 

「先に先生からで大丈夫ですよ。」

 

 

「そう?なら話させてもらおうか。」

 

そう言って先生は持っていた二、三枚の書類を見せた。

それらには海上に浮かぶ亀のような形をした建物が写っていた。

 

 

「これは.....?」

 

 

「最近、ボクの所に自衛隊の人が来てね。君に用があったみたいだけど.....

いかんせん、君は居場所が分からないからね。次来た時に渡しといて、って言われたんだよ。」

 

あの金髪天パ野郎.....と言いながら彼は書類を詳しく見る。

“PROJECT Alicization”.....自衛隊も如何な物を考えるものだ。

青年は馬鹿馬鹿しいと考え、軽く見ながら先生に聞いた。

 

 

「.....成程。まぁ考えとく、と言っておきます。で、次は僕からで良いですか?」

 

 

「うん。.....ま、大体見当はついてるけどね。」

 

そう言って先生は別の書類を取り出す。

そこには━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━━ええ。完璧です。」

 

 

「僕も疲れたよ.....まさか、()()()()()()()なんてさ。」

 

すいません、と苦笑しながら謝る。そして、それを穏やかな笑みを浮かべて許す先生。

実際、先生はまあまあ大掛かりな事をしたのだが、それは先生のご愛嬌だろう。

 

 

「じゃあ、そろそろ帰ります。.....お忙しいところ有難うございました。」

 

 

「礼を言うのはこっちの方だよ。.....早く、あの子達を助けてあげてね。」

 

 

「勿論です。僕は約束破らない主義なんでね。それじゃ。」

 

そうやって青年は病院を出た。

.....改めて固めた決意を胸に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....一応連絡ぐらいしてみるか。」

 

病院の駐車場。

彼はバイクを動かさずにある電話を掛けていた。

 

 

 

 

 

その電話には『菊岡』と、写っていた事は誰も知らない。

 

 




読書お疲れ様です。


そして、アンケートの方もご協力お願いします。
.....と言いたい所なんだけども。そのアンケートについて一つ追加しまっしゅ。


もしも生存ルートを選んだ場合。それは最終回にならず、
そのままアンダーワールド編へと繋がります。それでもいいならどうぞ~。


あと、UAが10000超えました。これからも宜しくお願いします!


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Episode.25 希望には絶望が

「.....はぁ!?何言ってんだお前!?」

 

先程の電話の続きにて。

青年の怒鳴り声が駐車場に響いていた。

 

 

()()()()って言ってんのか!?ふざけるのも.....」

 

 

『そ、そういう事じゃないよ!!』

 

青年が持つ携帯から男性の声が響く。

彼は誤解を解こうと、話を紡ぐ。

 

 

『ただ、僕達の手伝いをしてほしいんだ。それだけ.....』

 

 

「その為に俺の体を使う、と?ふざけんな。

そんな事に使うつもりなんてねぇよ。わかったなら二度とかけてくんな!!」

 

 

『あ、ちょ.....』

 

男性が話しかける前に青年は電話を切った。

そして、はぁ、と溜息を吐く。

 

 

「(.....とは言ったものの、賞味、人の未来には役立つんだよな.....)」

 

それは事実だ。

“PROJECT Alicization”は必ず、成功すればだが、莫大な結果を残すだろう。

だからこそ、その()()が気に食わなかった。

 

 

「.....ごちゃごちゃ言ってても仕方無いか。

まずは、薬の開発だな。どうやって作るか.....」

 

すぐさま、科学者の顔から医者の顔へと切り替える。

そもそも、これは()()()()()()()()()()の勧めなのだ。

これが嫌なら、違う方法で解決すればいい。

 

そう思って、彼はバイクを動かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━一方、ユウキ達.....いや、ユウキは。

 

 

ユウキ「うー.....にゃー.....」

 

途轍もなく、暇を持て余していた。

まぁ、それも仕方が無い。

ある程度のダンジョンは攻略したし、新生アインクラッドはまだアップデートされていない。

そうなると、自然的に暇を持て余す(うーにゃー唸る)事になるのだ。

.....鳴き声については敢えて触れないでおこう。

 

 

ラン「暇だー.....」

 

そして、それはユウキだけでない事も簡単に想像出来る。

ランも少しばかりキャラ崩壊を起こしながら机に体を突っ伏していた。

 

 

ジュン「.....何か面白い奴ねぇのー.....?」

 

ソファーに顔を沈めながらジュンが聞く。

.....その状態が容易に想像出来る事は余談である。

 

 

アスナ「.....クエストもあんまり.....だね。」

 

現在のALOの情報を見たアスナが返す。

そして、グータラしてるのが気に食わなかったのか、ジュンが飛び起きる。

 

 

ジュン「うがぁぁぁ!!つまんねぇぇぇぇぇ!!!

攻略した所で良いからダンジョン行くぞぉぉ!!」

 

暴走しだしたジュン。

それをハイハイ、と適当にあしらうノリ。...なんだこれ。(汗)

 

 

シウネー「それにしても.....やっぱりログインしていませんね.....」

 

 

ユウキ「アートの事?...ホントみたいだね。ログイン出来ないって話。」

 

 

ジュン「.....頑張ってるんだろ。俺達の為に。

なんでも、俺達は違う病院に移されるんだってさ。

アイツは一生懸命動いてる。それを何も手伝えねぇってのは胸が痛いけどさ。」

 

ジュンは顔を下に向ける。

でも、と言いながらユウキ達を見て、

 

 

ジュン「アイツを待つことぐらいは出来る。

帰って来たら言ってやろうぜ。『おかえり!』ってさ!」

 

その言葉に皆はしっかりと頷く。

そして、暇潰し程度にクエストを受けに行く。

その姿は紛れもなく、輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼らはまだ知らない。

運命が切り替わる瞬間はすぐそこまで迫っている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命まで、あと24時間━━━━




感想、誤字報告、よろしくお願いいたします。

そして、アンケートの方もお願いします。
もう一度言っておきますが、お題は、



『最終回は生存ルートか、死亡ルート、どっちがいい?』



というものです。
そろそろ決めないといけないので、
締め切りは、4月21日(土) 20:00までにしようと思います。


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Episode.26 運命はいつだって残酷なり

現在のアンケート状況!


生存ルート:1票

死亡ルート:1票

両方:1票


と、なっております!
まだまだ全然待っておりますので、宜しくお願い致します!


※改正しました。


「.....という訳で、どうかなっ!!」

 

 

「..........。」

 

現時点での、彼の心情を述べておこう。

コイツは.....馬鹿なのか?

目の前には沢山のスイーツというスイーツ。

.....彼はハッキリと言った。

 

 

 

「.....ナメてんのか?」

 

 

「そんな訳ないよ。ちゃんと話がしたいからこうしてるだけさ。」

 

そう言いつつもそのニコニコとした笑顔は絶やしていなかった。

彼はイライラしながらも話を進める。

 

 

「まあいい。で、何だ?話って。」

 

 

「率直に言うよ。.....()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

「だから言ってんだろ。やらない、って。」

 

即答。確かにその計画は良い事なのかもしれないが、彼には無理だ。

何せ、『いつまでも傍に居る』と約束したのに、()()()()()()()()()()()()

 

 

「そこを何とか!お願い!!」

 

 

「.....逆に聞くけど、何で俺なんだよ。もっと他に居るじゃん。」

 

それを聞いた男性は目を丸くした。

青年が首を傾げると、彼は大きく溜息を吐いてこう言った。

 

 

「はぁ.....君、VR機器製作者って事忘れてない?

僕達にはその天才的な頭脳が欲しいんだよ!」

 

 

「ズケズケと言いやがって.....

.....分かってる。だから嫌なんだよ。」

 

そう言ってティラミスをぱくり、と食べる。

男性は頭を抱えて、うー、と唸っている。

 

 

「.....何が嫌なんだい?『天才』って言われるのが。」

 

 

「なんか特別視されてるみたいで嫌なんだよ。

.....だからって、普通視しても入る気は無いけどな。」

 

 

「そこを何とか!お願い!」

 

粘るなぁ.....という言葉を飲み込む。

それを言ってしまうと、()()()()()が言えなくなってしまうからだ。

 

 

「.....条件を満たせるなら、手伝ってやるよ。」

 

 

「ホ、ホント?何が望みかな?」

 

若干、男の顔に不安が浮かんでいる。

が、そんな事は意図せずに、こう言った。

 

 

「簡単な事だ。俺を━━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....成程。.....もう一度聞くけど、本当に良いのかい?」

 

 

「ああ。それで良い。」

 

 

「.....分かったよ。取り敢えず、手配だけはしておくよ。まだ日数はあ.....」

 

その直後。青年の携帯から着信音が鳴り響いた。

すぐに取り出して見てみると、『倉橋』と映っている。

 

 

「.....倉橋先生?どうしたんですか?」

 

 

『ああ、繋がった!!すぐに病院に来てくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人(木綿季と藍子)の容態が変わったんだ!!」

 

運命が切り替わる瞬間はどうやら近いらしい。

 

 

 

この運命がどう転ぶかは、あなた(読者)達次第だ。

 

 




倉橋先生と菊.....男性は同類説。


それと、もう一度言いますが、アンケートは4月21日(土)までです。
ご協力、お願いします。



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Episode.27 輝く希望、吠える絶望

現在のアンケート状況。


生存ルート:7票

死亡ルート:1票

両方:1票


となっています。
締切は、今日の20:00までです!


アスナ「ユウキ、ランちゃん.....!!しっかりして.....!」

 

ALO内にある大樹にて。

一人の涙声が発せられる。

それもその筈。二人の少女がその生涯を終えようとしているのだから。

 

 

ユウキ「アスナ.....」

 

 

ラン「ごめん、なさい.....」

 

笑顔で謝るも、それには余裕が含まれていなかった。

当然だ。激痛は走っていないものの、動く程の余裕は既に存在していなかった。

 

 

キリト「アートはまだなのか.....!!」

 

勿論、キリト達も居る。

彼は血が流れそうな程に手を握った。

当たり前だ。幾ら何でも早すぎる、と思ってしまうのも無理はない。

.....と、そこへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ラン!!ユウキ!!」

 

アートが到着した。

それを見たジュンは彼へと突っかかる。

 

 

ジュン「テメェ!!話が違うじゃねぇか!!」

 

 

アート「こんなに早いなんて思わなかったんだよ!!.....ああ、クソが!!」

 

どうやら彼も相当焦っている様子みたいだ。

頭をガリガリと掻きながら、何かを呟いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「(クソッ.....クソッ.....!幾らなんでも早すぎだろ......!?)」

 

今、俺はかつて無い程、焦っていた。

本当に早すぎる。一体、何で.....

 

 

アート「(考えろ、俺.....!まだだ。まだ.....)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「もう.....いいです......」

 

 

アート「.....は?」

 

 

ラン「やっぱり.....無理なんです.....だから、もう.....」

 

.....何やってんだ、俺は。

言ったろ。『たとえ、自分を犠牲にしても』って。

なのに、何だ?コイツらにこんな事を言わせて。

与えるんじゃ、恐らく助からない。

それに、今こそ使()()()だろ。

だから、俺は━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....まだ心の準備が出来てないんだけどな.....」

 

 

ジュン「へ?何言って.....」

 

 

アート「あー、こっちの事情だ。

で、ラン、ユウキ。()()()()()()()()()()か?」

 

その言葉に二人は疑問の色を浮かべる。

が、すぐに首を縦に振った。

それに、彼は.....

 

 

アート「.....うし。じゃあ、やるか。」

 

そう言って、立ち上がる。

それはまるで、()()()()()かのようで━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....システムログイン。ID:『 ()()()()()() 』.....!」

 

 

キリト「!?そのIDは━━━━」

 

キリトが驚愕の声をあげるが、彼はそれに構わずメニューを開く。

その色は普段と違い、管理者用のメニューだった。

何かを操作し、嘗てないスピードで打った所で口を開く。

 

 

アート「倉橋先生!!聞こえますか!!」

 

すると、大樹周辺で男性の声が響いた。

 

 

『え、ど、どうしたんだい!?』

 

 

アート「時間がないッ!!早く()()させてくれ、先生!!」

 

 

『!?それでは君が.....』

 

その言葉にアートは一瞬、迷う。

が、すぐに振り切り、場を震わせる程の声を発した。

 

 

アート「ッ.....なら、アンタはコイツらを死なせたいのか!!?

それに言っただろ!?覚悟は出来てる、ってさぁ!!?」

 

 

『!!.....分かった。今すぐ始めるよ!』

 

そう言って、通信が切れる。

そして、アートは二人の傍に座り、語り掛けた。

 

 

アート「.....もうちょっとだけ待ってくれ.....!

これが終われば、もう()()()()()()()()から.....!!」

 

それは最早、懇願の様だった。

こんな彼の姿を誰が予想しただろうか。

 

 

 

.....そして、2分が経過した時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「.....? 体が軽くなって......」

 

なんと、先程まで苦しそうな状態だった彼女が起き上がった。

ユウキも同様に、困惑しながらもいつもの状態に戻っていた。

 

 

アート「.....間に合った、か.....」

 

それと同時にアートはへなへなとへたり込む。

 

 

ラン「!? アートさ.....」

 

その言葉は最後まで言えなかった。

理由は単純。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼に抱き着かれたからだ。

 

 

アート「よかった.....本当によかった.....!!」

 

大粒の涙がこぼれ落ちる。

それに釣られて、皆も泣き始める。

『二人が死ななくて良かった』、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼女達は元々、死ぬ事が運命であった。

それを覆した代償はとても大きいという事を彼らは知ってしまう。

 

そして、それが遠くない事も。

 




一応、言っておきますが、このシーンでは既にユウキはアスナに『マザーズ・ロザリオ』を渡しています。描写が書けなかったんだ.....すまない.....


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Episode.28 願い

アンケートの結果が決まりました。

結果は.....


生存ルート:9票

両方:1票

死亡ルート:1票



と、なりました。
よって生存ルートを書く事にします!!
アンケートに協力してくれた方々、有難うございました!!


ユウキ「.....。」

 

スリーピングナイツのギルドホームにて。

そこにはラン達だけでなく、キリト達も居た。

 

あれから、アートは意外にもすぐに泣き止み、そのままログアウトした。

彼女達には『取り敢えず、皆でギルドに集合していてくれ。』と言ってから。

そう、言ったのだが.....

 

 

ユウキ「.....来ないね、アート。」

 

 

ラン「.....忙しいのよ。慌てて来たみたいだったし。」

 

 

キリト「そうさ。だから、そんなに心配しなくても良いよ。」

 

 

ユウキ「.....うん。」

 

そう言われるが、ユウキは不安を隠せなかった。

そして、それは皆も同じ状態だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、その時。

 

 

アート「よ、遅くなったな。」

 

 

「「「「 アート!! 」」」」

 

やっと帰ってきた。

その顔に苦笑が塗られるが、今はそれどころじゃない、と言わんばかりに近寄る。

 

 

クライン「何やってたんだ、アートよぅ!!」

 

 

アート「イッテ.....色々手続きをしてたんだよ。

.....で、皆。ちょっと退いてくれ。」

 

そう言って、彼は歩いて行く。

その先にはランとユウキが居る。

彼女達の前まで行くと、彼は━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....すまなかった。」

 

━━━━()()()()()

一瞬、静寂が場を包み込み、そして.....

 

 

ラン「え、えぇぇぇ!?な、何で、謝ってるんですか!?」

 

 

ユウキ「何も悪い事してないよね!?」

 

二人は慌てて手を振る。

ま、そうだろう。何せ、謝られるんじゃなくて、状態を気にされるかと皆は思っていたのだから。

すると、アートは重い表情を浮かべながら、口を開いた。

 

 

アート「.....いや、悪い事をした。

お前らは絶対救うって言ったのに、あんな苦しい思いをさせてしまったんだ。

ホントはこんな物じゃ済ませられないけど.....!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン「何言ってるんですか?」

 

 

アート「え?」

 

 

ユウキ「アートはボク達を助けてくれたんだよ?

寧ろ。ボク達が頭を下げないといけないのに。」

 

それを聞いたアートは目を丸くした。

そして.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....なんじゃそりゃ.....」

 

━━━━一気に萎んだ。

どうやら相当参っていたようだ。

 

 

ラン「ま、まぁ兎に角話を聞きたいんですが.....」

 

 

アート「あ?ああ、そうだったな。」

 

さっきの状態から一転、近くにあったソファーに座った。

そして、深々と座り、手を組む。

 

 

アート「さーてと。どっから話すかなー.....」

 

 

キリト「取り敢えず、ユウキ達がどうなったのか教えてくれないか?」

 

 

アート「おう、分かった。」

 

そして、プレイヤーの顔から医者の顔へと変わる。

皆も真剣な表情で彼の言葉を待つ。

アートが開いた言葉は.....

 

 

アート「率直に言うぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラン達の病気は治った。現実世界でも()()()()()()で動ける程な。」

 

 

ユウキ「!!」

 

 

ラン「ほ、本当.....ですか?」

 

 

アート「こんな時に噓吐く奴なんか居ねぇよ。」

 

その言葉はランとユウキを崩れさせる言葉で間違いなかった。

声こそ上げていないものの、その目には大粒の涙が浮かんでいた。

.....が。

 

 

ジュン「ちょ、ちょっと待ってくれ!?」

 

ジュンが疑問を問うように声を発する。

 

 

アート「ん?どうした?」

 

 

ジュン「リハビリ無しってどういう事だよ!?

もしかして、お前.....」

 

 

アート「あー、それ以上は言うな。ちゃんと説明してやるから。」

 

そして、もう一度、皆へ顔を向ける。

.....大きな溜息を吐いてから。

 

 

アート「ラン達をどうやって治したのか、気になる所だよな。

.....身体が少々特殊でな。俺の血にはどんな病気でも治せる細胞が流れているんだ。

俺はそれを使って、治した。」

 

その発言に皆は驚く。

無理もない。そんな身体を持っている人など、聞いた事がないからだ。

だが、一人だけ違う反応をしていた。

 

 

キリト「.....それって、病人の血を摂取したのか?」

 

 

アート「ああ。そうじゃないと、効果が薄いからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト「なら、デメリットは何だ?」

 

 

「「「「 !? 」」」」

 

 

アート「.....別にないk「噓を吐くな!!」.....!」

 

 

キリト「強力な能力ほど、代償が大きい。

それは誰もが知ってる事だ。だからこそ、知っておくべきだ。.....頼む。話してくれ。」

 

.....今、アートの頭には二つの意見が争っていた。

“言う”か“言わない”か。.....ま、結局、言わなければいけないのだが。

アートが決めたのは.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....分かったよ。話せば良いんだろ。」

 

 

キリト「ああ「但し!」.....?」

 

 

アート「これを聞いて、()()()()()()?」

 

その言葉に皆は首を傾げる。

それを待たずにアートは言う。

.....日常を壊してしまった、最悪の言葉を。

 

 

アート「説明は後でするから、率直に言うぜ?俺.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうすぐ死ぬんだわ。」

 

現実はそう、甘くない。

 

 




生存ルートだよ?
イチャイチャはまだ出来ないかもしれませんが、取り敢えず生存ルートです。取り敢えず。


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Episode.29 残酷

アート「俺.....もうすぐ死ぬんだわ。」

 

その言葉は気楽そうに言われて、とても重かった。

無論、ラン達は固まった。ま、いきなり『死ぬ』と言われたら、そうなるだろう。

 

 

ラン「な、何言ってるんですか.....?噓.....ですよね?」

 

 

アート「だから、こんな時に噓吐く奴なんて居ねぇよ。」

 

 

ユウキ「.....何で、死んじゃうの?」

 

 

アート「.....この能力にはデメリットがあってな。

病に罹った人の血を摂取しなくちゃならないんだ。」

 

ごめんな、という風にケラケラと笑う。

.....最も、フードで隠れている為に分からないが、恐らく唇を嚙み締めているのだろう。

そうじゃなければ、()()()()()()など、しない筈だ。

 

 

ユウキ「.....違う、違うよ.....」

 

すると、ユウキは何かを否定するかのように呟く。

そして、バッと顔を上げ、悲鳴にも似た声で叫んだ。

 

 

 

 

 

ユウキ「何でお兄ちゃんが死ななくちゃいけないの!?

どうして!?ボク達が救われて、お兄ちゃんが救われなくなるの!?

.....可笑しいよ。こんなの.....」

 

 

アート「ッ.....」

 

対するアートは無言。

.....無理もない。答えたくても、()()()()()()のだから。

 

 

アート「.....仕方無いさ。これが運命って奴だよ。」

 

 

ユウキ「でも...「ユウキ!!」...お兄ちゃん?」

 

アートは名を呼ぶ事で遮る。

そして、そのまま彼女の頭に手を乗せて、こう言った。

 

 

アート「お前は、()()()だろう?なら、それらしく心意気を持て。分かったか?」

 

それは慰めのつもりで言ったのだろう。

だが━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「.....だって、だってお兄ちゃんが、居なくなるなんてぇ.....うぁぁぁぁ.....!!」

 

━━━━それは逆に効果を発した。

ずっと我慢していたのだろう。次々と涙が零れていく。

 

 

アート「(.....ごめん、ユウキ。ごめん、ラン。ごめん、皆。

これだけは、どうしても譲れないんだ.....!)」

 

だが、アートは慰める事しか出来ない。

これは、新しく出来た目標であり、()()()()()なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「さて、と。そろそろ行くか。」

 

数分後。彼はユウキを慰めた後に、突然そんな事を言い出した。

その仕草は、何処か吹っ切れた様子が感じ取れる。

 

 

ラン「?.....行くって何処にですか?」

 

 

アート「んー?クエストだけど?」

 

 

キリト「.....残り少ない時間を、VRに費やすのか?」

 

疑問が彼に問いかけられる。

それに対して。アートは清々しい口調でキッパリと話した。

 

 

アート「ああ。特にやり残した事は無いし。それに.....」

 

 

ユウキ「.....それに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....此処だったら、皆と一緒に居れるからな。俺としてはその方が心地いいんだよ。」

 

その言葉に皆は目を丸くする。

それを悪く感じ取ったのか、アートは頬を膨らませる。

 

 

アート「.....何だよ、そんなに意外だったか?」

 

 

ラン「いや、そうじゃなくて.....嬉しいんですよ。いつもはそんな事言ってくれないから。」

 

 

アート「.....と、取り敢えず、クエスト行くぞ!!」

 

 

ジュン「あ、逃げた。」

 

 

アート「逃げてない!」

 

 

ユウキ「お兄ちゃん.....こんな時に噓吐く人は居ないんだよ?」

 

 

アート「うっせぇぇぇぇぇ!!」

 

.....どうやら、アート、いや彼らには『死』など関係ないようだ。

現に、こうやって日常を謳歌している。

まぁ、今日も今日で変わりない物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最も、クエストでアートがモンスターに八つ当たりしていたのは余談になるだろう。




ハイ、これにて原作でのマザーズ・ロザリオ編は終了となります。

後は何話か投稿してから、アンダーワールド編へと移ろうかと。


.....え?続きがあるのか、って?
やだなぁ、奥さん。これ、生存ルートですよ?(いつまで言うのだろうか)


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Episode.30 よくある系クエスト

文中で擬音を使ってみました。
嫌なら感想欄で呟いてください。良くても呟いてください。そして評価ください。(涙目)


余命があと数日となってしまったアート。

しかし、彼はその余命をVRに使う事を決意した。

そして、これから話す物語達はそんな中で起きた話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「暇だなぁ.....」

 

 

ユウキ「だなー.....」

 

現在、アートは暇を持て余して居た。

因みに場所はいつも通り、ギルドホームだ。

 

 

ラン「アートさん.....そんな事してるから、ユウキが真似するんですよ?」

 

 

アート「そう言ってもなぁ.....」

 

 

ユウキ「言ってもにゃー.....」

 

 

アート「このー.....!可愛い奴ー.....!」

 

 

ユウキ「うにゃー.....!」

 

全くもって不.....ゲフンゲフン、いつも通りである。

アートがユウキで遊んで彼女は目を竦める。最も、普通ならこんな状況にならない筈なのだが。

そんな事を言っている内に、ユウキが思い出したように言った。

 

 

ユウキ「そう言えば、前にクエストが出てたよ?」

 

 

アート「え、マジで?どんな奴だ?」

 

 

ユウキ「なーんか、誰もクリアしてないらしいね。それも序盤でゲームオーバーしてるっぽい。」

 

 

アート「.....いいねぇ。うし、行ってくる!!」

 

 

ユウキ「あ、ちょっと.....」

 

そう言って、ぴゅー、という効果音が似合うように駆けていった。

一回止めようとしたユウキの声も聞かず。

 

 

ラン「どうしたの、ユウキ?」

 

 

ユウキ「いやー.....そのクエストって.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中で止められないんだよね.....」

 

 

ラン「.....えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、アート視点では。

 

 

アート「此処か.....」

 

もう着いていた。

.....ユウキさん、ご愁傷様です。

 

 

アート「.....にしても、デカいなぁ。意外と長いクエストなのか?」

 

派手な飾りが施されている扉の前に立つ。

色々呟きながらもアートはその扉に手を触れる。

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

ズズズ.....!

 

 

アート「へ!?す、吸い込まれる!?」

 

何と、扉に吸い込まれていくではないか。

一瞬驚き、すぐさま手を引くがびくともせず、逆に引き込まれる力が増していく。

.....そして。

 

 

 

スポン!

 

 

アート「え、重力が.....のわぁぁぁぁぁぁ.....!!!」

 

突如、下から前へと変わった重力を感じながら叫び、落ちていく。

その時、クエスト発生の音が鳴った事に、アートは気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....あー、調子狂うなぁ.....」

 

強く打ったのに痛まない違和感を感じながら、立ち上がった俺。

周りを見渡すと、何処も彼処も闇、闇、闇。つまり、真っ暗だ。

 

 

アート「何だ此処。何か不気味だな.....」

 

その言葉を発した瞬間。

 

 

 

突然、存在していたらしい蝋燭に火が点いていく。

 

 

アート「!!」

 

何か起こると確信した俺は、素早く両手剣を手に持つ。

並べられていた蝋燭に次々と火が灯っていく。

そして、最後の火が点いたと同時に.....

 

 

ドォォォン!!

 

何かが落ちてきた。

それを見た俺は驚くしかなかった。

何故なら.....

 

 

“Heracules”

 

Heracules.....ヘラクレス.....へらくれす?

.....エェェェェェ!!?

 

 

アート「ヘラクレスってギリシャ神話のヤバい奴じゃん!?

.....って、待て待て待て、笑いながらこっちくんn...ウワァァァァァ!!?」

 

流石にあんな厳つい見た目で笑ってたら引くわ。

そして、俺はふと思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かで、「やっちゃえ、バーサーカー!」と聞こえたのは、気のせいなのか、と。

 




『第二章後半ちょっとだけfate要素』というタグを加えました。


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Episode.31 バーサーカー【前編】

どうも皆さん、こんにちは。アートです。

最近、UA15000突破して、作者が発狂してたよ。

.....ん?今の状況?.....うん、教えてあげる。今は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルァァァァ!!」

 

 

アート「ギャアアア!?コッチ来んなァァァァ!?」

 

背景、ランさん、ユウキさん。

今.....変態に追いかけられています。

 

 

アート「んのっ.....これでも喰らえ!」

 

全速力で逃げながら、投げナイフを二、三本投げる。

それらは全て、あの強靭な身体に当たるが、ダメージは.....

 

 

 

ガガガッ!!

 

.....うん、()()()()()()わ。

どうやら、厳ついのは見た目だけみたいだ。というか、そう思いたい。

だって見てみろよ、アイツのHPバー。

 

 

 

()()()だぜ?十二本。良いねぇ、って言った俺をぶん殴りたいわ。

つーか多すぎだろ!?何だよ、チートや、チーターやん!

 

 

「ガルァァァァ!!」

 

 

アート「ぬおっ!?」

 

俺の愚痴を感じ取ったのか、手に持っている岩のような大剣を振りかざしてくる。

回避するのが遅れた俺は、流れるように両手剣で防ぐが.....

 

 

アート「おっも.....」

 

ヤバい。流石はヘラクレスの名を冠しているだけはある。

防げたは良いものの、俺は膝をついてしまった。

.....威力がデカいなら━━

 

 

アート「━━受け流すッ!!」

 

刀身を少しズラしてそのまま接近。

そして、奴の目の前まで行くとソードスキルを発動した。

 

 

 

“両手剣単発SS アバランシュ”

 

 

「グガァァァ!?」

 

当てる事に成功。

しかし.....

 

 

「ガァァ!!」

 

 

アート「なっ.....ガッ!?」

 

何と仰け反らなかった。

宙に浮いた俺の足を掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

 

 

ドガァァ!!

 

 

アート「グ.....ゥ.....」

 

.....改めてコイツの強さを実感した。

 

強い。それも今まで戦った中で三本の指に入るくらい。

 

遠距離では、ダメージは入るがそれなりにしか入らない。

逆に近距離で挑めば、その馬鹿力で多大なダメージを負う。

 

言うなれば、『バーサーカー』。

このままでは勝てるどころか、蹂躙されるだろう。

なら.....

 

 

アート「.....やるか。」

 

武器を(両手剣から刀へ)変える。

ALOでの愛刀━━案山子━━を握り締める。

 

 

アート「さーて、行くか。」

 

そう言って俺は刀を━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━()()()()()

 

 

「!?」

 

奴は突然の行為に戸惑いながらもその刀を見る。

━━それが俺の目的とも知らずに。

 

 

アート「ウラァ!!」

 

 

「!? ガァァァ!?」

 

即座に相手の懐に入る。

そして、両手を光らせ体術のソードスキルを発動した。

 

 

 

“体術5連撃OSS 松の乱舞”

 

 

「グルルル.....!?」

 

 

アート「まだ、だ!!」

 

それだけでは終わらせない。(ゲス顔)

丁度、良い距離に落ちてきた刀を掴み、いつぞやの()()を発動した。

 

 

 

“■■■超重単発SS 神薙”

 

 

「ガルァァァ!?」

 

見事に、奴の胴体を切り裂いた。

だが、俺は決して優勢だとは思えなかったんだ。

何でかって?

 

 

アート「.....クソッ、五本だけかよ.....」

 

耐久力が極端に弱いのか、さっきまでの攻撃で五本削れた。

しかし、それでもまだ七本。全然油断出来ない。

 

 

アート「.....はぁ。此処に来て、()()を出さなきゃいかんとは.....

.....いいぜ、とことん付き合ってやる!!」

 

そう言って、今一度刀を握りしめた。

 

 



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Episode.32 バーサーカー【後編】

アート「うらぁぁぁ!!」

 

広く、蠟燭の火だけが灯りとなっている部屋。

そこで、俺とボスの叫び声、そして、剣の打ち合う音が響いている。

何とかソードスキルを放つが、5連撃中、2撃は止められる。

 

 

「グルァァァ!!」

 

 

アート「フ━━━━ッ!!」

 

迫りくる岩剣を己の得物で受け流す。

いや、正確にはパリィをしているんだけど。

 

 

「ガ、ァァァ!!」

 

 

アート「のわぁ!?」

 

コイツには効かない。

いや、最初の辺りは効いてたんだけど.....

何かアイツ、()()()()()()気がするんだよね。HPバーが減っていく度に。

恐らく、アイツの能力的なものかな。それで考えると、今で七本削れたから.....

.....ん? 元の身体能力+7?.....マジでヤバい。

 

 

アート「く、ら、えぇぇぇぇ!!」

 

苦し紛れにソードスキル発動。

ユウキ達を助けた時に使ったスキルだ。

 

 

 

“■■■5連撃SS 烈風”

 

 

 

五つの光は風刃となり、その巨体へと斬り裂く。

しかし、敵は本能のままにそれを落としていく。

 

 

アート「.....終わらねぇ、よ!!」

 

但し、それで終わるとは言ってない。

俺は、無理矢理だが【コネクティング】を起動した。

 

 

 

“コネクティング ■■■6連撃SS 暁光”

 

 

 

「ガァァァ!?」

 

流石にそれは予想外だったようだ。

六つの閃光は六芒星の頂点を描くように穿つ。

.....が。

 

 

「ガ、ルァァァ!!」

 

それでも尚、倒れない。

流石はヘラクレス。

全て打ち落とし、俺に剣を振りかざしてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこそ、気付かなかったのだろう。

 

 

アート「誰が終わりと.....言ったんだ!?」

 

 

「 !? 」

 

 

 

“コネクティング ■■■7連撃SS 叢雲”

 

 

 

━━━計、18発。

その合わされた威力は短時間であるが、ヘラクレスに放たれた。

 

 

「グガァァァ!?」

 

無論、それは耐える事など、出来る筈がない。

筋肉が引き締まったその身体に、無数の傷が刻まれていく。

これで、優勢になった。そう思った俺は敵へと迫った。

......が。

 

 

 

「グォォォォ!!」

 

━━━恐らく、最後のソードスキル。

そう思える程に威圧感が凄まじかった。

 

 

 

“両手剣9連撃SS ナインライブス”

 

 

 

岩剣が赤黒いエネルギーに包まれる。

アレは受けたらヤバい。本能で感じた俺は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「■■■■■━━━━ッ!!」

 

声にならない叫び声を上げながら、アレと同等に思えるスキルを放つ。

......単純なソードスキルでは勝てない。だからこそ━━━━

 

 

 

“超重単発SS 神薙”

 

 

 

近付けてはダメだ。

白い光を放つ刀はそのまま閃光と成り果てる。

 

 

「ガルァァァァ!!」

 

敵は再度吠えた。

そのまま白と黒の鍔迫り合いになる。

その決着は━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「ウラァァァ!!!」

 

━━━━アートだった。

全ての力を振り絞り、無理矢理前に進む。

その結果、ヘラクレスは白い光に飲み込まれ、ポリゴン体となった。

 

 

アート「.....はっ.....疲れた.....」

 

彼は一気に迫った疲労に負けて、座り込む。

当たり前だ。NPCとはいえ、あの大英雄と戦い、打ち勝ったのだから。

と、その時だった。目の前から()()()()()()()()に気づいたのは。

その人物は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石だな。.....だが、やはりユニークスキルを使えないのが、此処の痛い所だな。」

 

 

アート「アンタは.....!?」

 

━━━━SAOの創設者にて、その身を仮想世界へ捧げた男。

そして、今も生ける伝説として名を連ねている。

茅場晶彦。それがその人物の名だった。

 

 



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Episode.33 信念

中間テスト一週間前っす。
投稿頻度遅れるっす。
ごめんなさいっす。

そして、書き方変えたっす。
嫌なら言ってくださいっす。


「やはり、此処は綺麗だね。君はどう思う?」

「.....俺も同感だよ。」

アートとヘラクレスが戦っていたボス部屋。

その先にあった扉を潜った場所に、二人は居た。

風景は空中に見えない足場があるような状態だ。

「.....で、何の用だ、茅場さん。」

待ちきれなくなったのか、彼に問う。

対する茅場は、何食わぬ顔でこう返した。

「.....()()()でぐらい、顔を見せたらどうだい?」

「ッ.....」

そう言われたアートは一瞬だけ、身体を震わせた。

そして、何かを決心したかと思うと━━

「.....これで、良いかな。」

━━被っていたローブを取った。

茅場の目に映し出されたのは少しボサボサになった髪の毛に、何処かあどけなさを残す童顔。

「.....やっぱり、そのままコンバートしていたのか。」

「ああ。()()()との約束だからな。」

悲しげな表情を浮かべながら話すアート。

その顔を見た彼は、漸く無表情を崩して、微笑みかけた。

「.....色々聞きたい事があるが、それは別の機会にでも話そうか。.....私が聞きたいのは一つ。あの娘達に()()()()()()()気かい?」

その言葉は他の者が聞いても分からないだろう。

当たり前だ。この情報はアートと他数名しか知らない。電子体である茅場だからこそ出来た技だ。

「.....ああ。アイツらとは触れられない。この血に塗れた手では、な。」

アートは先程の表情とは打って変わり、真剣だ。

この事項はもう、曲げられない。それは彼が一番知っている事だからだ。

「まだそんな事を言っているのか。それは約束と矛盾してしまうのではないか?」

「そうかもな。.....それでも、俺には出来ない。」

「.....そうか。まぁ、答えはそれとして聞いておこう。」

何かが狂っているような答えに茅場は静かに頷く。

その返しにアートは少し俯く。.....それに気付いているように。

「.....はぁ。全く、君は━━」

言葉を紡ぎながらアートに近寄る。

そして、そのまま━━

「━━そんな状態で大丈夫かい?」

「ッ!!」

━━頭を撫でた。

その姿はデスゲームを作った者ではなく、一人の兄として映っていた。

「.....ホントはまだ話していたいが.....此方も忙しいからね。そろそろ行くよ。」

しかし、それも一瞬。すぐに元の『茅場 晶彦』に戻り、別れを促す。

「それじゃ、元気で。」

そうして、茅場はポリゴンの結晶になり、何処かへ去った。

それを見たアートはこう呟いた。

「.....俺は大丈夫だよ、()()()。」

 

 

 

 

 

そして、翌日。

ラン達の耳に、アートの容態が急変した、と聞かされた。




茅場のキャラ崩壊が激しい.....


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Saver Runs the Sky (天翔ける救世主 編)
Episode.34 告白と別れ


ヤバい。
SMAPの『オレンジ』とかまじ娘さんが歌う『心做し』を聞きながら書いてたら.....
妙にこの話にマッチしてて泣けてきた.....音楽怖い。

あ、挿絵が完成しました。

【挿絵表示】



「.....」

ALOにある大樹がそびえ立つ浮島。

アートは静かに立っていた。

「アートさん!!」

其処で彼女達.....スリーピングナイツが到着する。

彼の背中を見たランは名を呼ぶ。

それにアートはゆっくりと彼女達の方へ向いた。

「.....来たな。」

「おい.....お前、ホントに死ぬのかよ?」

ジュンが改めて彼の状態を問う。

その問いに彼はお気楽そうに、ああ、そうだけど?と返した。

「.....ホント、に.....?」

如何にも死にそうな状態ではなさそうなアートにユウキは疑問を持つ。

.....仕方無いだろう。自分達の時は動けない程弱っていたのに、彼は悠然と立っているのだから。

「ああ、ホントホント。ほら、証拠に━━」

そう言って彼は、腕を上げる。

そこには━━

「━━ちゃんと、光の粒になってるだろ?」

━━今にも消えかかっている、アートの手だった。

少しずつだが、身体からも粒子みたいな物が飛び散っている。

それを見た彼らは絶句したままだ。

「あらら、ちょっと衝撃的だったか?すまんn.....」

.....その言葉は最後まで紡げなかった。

理由は簡単。ランに抱き着かれたからだ。

「.....どうしたんだよ。そんな泣きそうな顏して。」

「ッ.....だって、だって.....!!」

次第に泣き声は大きくなっていく。

それを見たアートは小さな溜息を吐いて、ランの頭を撫でる。

「何でこんな.....理不尽なんだって.....」

「何言ってるんだよ。俺はお前らが覚えてくれればそれでいいさ。」

彼は自分の思いを零す。

「違う.....違うんです.....」

「?.....何が?」

彼の言葉にランは首を振る。

アートは何の事か分からず、彼女に聞いた。

そして.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....私、アートさんの事が.....好きでした。」

「.....は?」

今、彼女は何と言ったのだろうか。

アートは思考が一瞬止まり、そして.....

「.....マジで?」

「.....マジです。」

「.....Wow.」

まさかの発言により、アートは絶句を通り越して英語を出す。

.....今思えば、彼女の好意にまったく気づいてなかったらしい。おかしーなー。(すっとぼけ)

.....やっぱ辞めようかな.....

「.....え?今、何て.....」

「あ、ああ、何でもない。.....色々あるけど、ごめんな。」

彼が何か呟いたのを聞くが、何でもないと返されてすぐに話を戻される。

それに違和感を持つも、ランは再度彼の胸に顔を埋めた。

「もう.....私は、真剣なんですよ.....」

「.....悪いな。もう一緒に居られなくて。」

身体の半分が薄れてきた。それが何を意味するのか、彼らは分かっていた。

「お兄ちゃん.....」

「.....お前もか。全く、お前ら双子って奴は.....」

そう言いながらも彼は二人纏めて抱きしめる。

.....それが原因となったのだろう。ユウキの目から大粒の涙が止まらない。

「うぁぁぁ......いやだよ.....もっと、一緒に居たいよぉ.....!」

「.....ッ.....!」

一瞬だけ、彼の身体が震える。

しかし、それもすぐに治まった。

「.....さてと。そろそろ時間だな。」

その言葉と共に彼の足元が消えていく。

それを見た彼女達は更に顔を歪めた。

「!!待って下さいっ!!まだ伝えたい事が.....」

「.....いいぜ。まだ聞いてあげるよ。だけど、その前に.....」

彼はいきなりメニューを開く。

そして何かを操作し、メニューを閉じる。

すると、彼が被っていたローブが取れて素顔が見える。

整った容姿に少しボサボサな髪の毛、そして惹きつけられる青い目がそこにあった。

 

「うし、これでOK。で、話って何だ?」

「ひゃ、ひゃいっ!!」

アートの問いに慌てて返すラン。

彼はその動作に首を傾げる。(この鈍感めっ!!by作者)

「ふぅ.....アートさん。」

「おう、何だ?」

大きな深呼吸をして、再度彼の名を呼ぶ。

「私.....忘れません。貴方に教えてもらった事.....いや、貴方の事、全て。」

「.....ああ。」

「だから.....」

その言葉で、ランは言葉を止める。

既に涙は流れている。泣き声が言葉に混じらなかったのは奇跡と言えよう。

.....そして、彼女は━━

「.....今まで、有難う、御座いました.....!」

━━勇気を振り絞り、涙が混じりながらも、感謝の言葉を言った。

.....無論、泣きながらも笑顔で。

「.....ああ、良かった.....」

ずっと無言で聞いていたアートが、突然安堵の意を示す。

その顔には今まで見たことがない、本心の笑みだった。

「これなら.....心配する必要はなさそうだな。」

━━もう限界だったのだろう。

彼の身体が薄れていく。既に膝から下はもう実態すら無い。

「ラン。」

「っ、は、はい!!」

最後の、この言葉を伝える為に彼は名を呼ぶ。

そして、顔を見ながらこう言った。

 

 

 

 

 

()()()。」

「!.....はいっ!!」

そう言って、彼は安堵の気持ちを浮かべながら、目を閉じた。

 

この日、ALOから一人のプレイヤーが姿を消した。

尚、その日の天気は優しい雨が一日中降っていたらしい。




「.....」
青年が目を覚ます。
其処はいつもの自分の部屋ではなく、ある施設の一室だった。
「アレで良かったのかい?」
そんな彼を迎える者が一人。
金色の髪の毛に天然パーマ、そして胡散臭い笑みを浮かべている男性。
「.....ええ。俺では、幸せに出来ませんから。」
ベットから降りながら話す。
その口調は悲しさではなく、()()で満たされていた。
「それに、今更貴方達の約束を破るつもりは無いんでね。」
「.....分かったよ。で、ちょっと聞きたいんだけど、その敬語は.....」
「?.....上司関係はキッチリしないといけないでしょう?」
「いや、逆に歯痒いというか.....」
それを聞いた青年は大きな溜息を吐く。
そして、男性の方へと向き合った。
「.....じゃあ、普通に話していいんだな?」
「うん!やっぱそっちの方がいいねぇ!」
青年の心は『どれだけガキなんだ.....』というもので埋められている。
だが、男性が表情を切り替えた事で彼も真剣な表情になる。
「さて、此度は僕の計画に賛同してくれてありがとう。
ようこそ、我らが《Project (プロジェクト)Alicization(アリシゼーション) 》へ。歓迎するよ、剣匠(けんしょう)君。」
「.....ああ。俺の出来る限りだが、是非とも尽力しよう。菊岡さん。」
此処に固い握手が交わされた。
だが、彼らは知らない。
話がまた交わるのは、そう遠くない事を。
────────────────────────────────────────────
次回━━━━『アリシゼーション編』、開幕。


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Episode.special 設定&これからの事

色々纏めました。
次の話は.....まぁ、期待しておいてください。
.....絶対、お気に入り者数減るよなぁ.....


・アーティザン/Artisan

 

本作の主人公。

名前はまだ全部は出していないが、下の名前が剣匠(けんしょう)という事だけは明かされている。

残念ながら年齢もまだ出す気無し。あと少しだから待っておくれ。

リアルでは初のフルダイブ型VR機器を作った事で、結構そういった世界では有名らしい。

尚、ここで注意だが、表向きでは茅場が作った事になっている。

 

 

・SAO時

 

外装は不明。

ある事をしていた事から、『赤狩りのアート』、『白鬼』と呼ばれていた。

ユニークスキルも持っていたらしいが.....?

使っていた武器と防具も不明。

 

 

 

 

 

・ALO時

 

ラン達と出会った時は白いコートに長いローブを被っていた。

こちらでは天使を示すかのようなその色と、それに見合わぬ戦いぶりから『堕天使』と呼ばれている。

また、数少ない伝説武器を複数所持する人物でもある。

『アタッカー』とか『ヒーラー』とか何でも出来る系男子。

ただ、全てが完璧に出来るという訳ではなく、あくまでも人並みに出来る、という意味。

使っていた武器と防具は以下の通り。

 

 

 

~防具~

 

 

・エターナルホワイト

 

彼が着ている白いコート。意味は『永遠の白』。おい其処、灰色って言うんじゃない。

特殊能力は無いが、見た目通りに軽く、見た目に似合わずに防御力が高い。

因みに作者は仮面ライダーの中でエターナルが大好き。

 

 

 

・ブラッディーキングダム

 

コートの上に着けているローブ。意味は『血塗れの王国』。おい其(ry

エネミーだけでなくプレイヤーにも効果を発揮する《認知阻害機能》がある。

余談だが、何故彼がいつも着けていたか。それは、ただ単純に面倒臭かったからである。

そして更に余談だが、作者はKH愛好家である。

 

 

 

~武器~

 

 

・ロストメモリーズ

 

彼が愛用している両手剣。意味は『消失の想い出』。本音を言うと厨二心をくすぐられた。

特殊能力は無い。だが、攻撃力は上位の内に入る程。

更に剣の面積が広く、人一人が乗れる程に広い。

 

 

・グレイプニール

 

伝説武器の一つ。形状はそのまんま鎖。但し結構長い。

意味は分からない。気になる人は自分の手で調べるんだ。

破壊力が凄まじい。ただ、長さがアレなので、彼曰く「使い辛い.....」との事。

特殊能力は『破壊不能』。効果は文字通り。

 

 

・クレイジーボマー

 

一回しか出てきていない両手斧。

飾り派手。能力無し。説明終了。

 

 

・コールドアイ

 

Episode.15で出て来た短剣。

意味は『冷酷な目』。能力は『プレイヤーに対してダメージが少量アップ』。地味に強い。

だが、結局彼は素手で倒してしまったので使われる事は無かった。これ悲しきかな.....

 

 

案山子(かかし)

 

彼の真の実力を出す事が出来る武器。

実は、アートは元々両手剣使いではなく刀使いである。

また、これによりSAOの時に使っていた■■■の限定ソードスキル(厳密にはOSSだが)を発動出来る。

 

 

 

 

 

~これからの事について~

 

ハイ、どうもです。おうどn.....ゲフンゲフン、artisanでございます。

今回は彼についての設定を纏めたのですが.....どうでしょうか?

何か至らぬ点がありましたら、是非とも言ってください。

 

さて、ここではこの先の話について、少し触れていこうと思います。(少しになるのかなぁ.....)

アンダーワールド編では、何と彼はログインしません!

.....待つんだ君達。幾ら何でも友切包丁は.....ウァァァァァァ!!?

.....ハイ、それでですが、何も丸々出て来ない、という訳ではなく後編から、という意味です。

 

じゃあ、その間彼は何をするのか。

.....前話で分かったかもしれませんが、フツーに裏方仕事です。ハイ。

安心してください!ハッピーエンドですから!!(唐突)

という訳で、キリが悪いですが、この辺りで締めようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.....今思ったけど、コラボしたいのに何で『コラボ募集中!』みたいなの書かなかったんだろう。

という訳で、コラボ募集中でございます。大歓迎です。来たら昇天する具合に、です。




Twitter始めました。artisan0802です。(これで合ってるのかな?)


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Episode.35 挑戦

新章開幕!


「あー.....終わった.....」

あの出来事から、たったの2ヶ月。

ある施設でその青年━━プレイヤー名をアーティザン━━がプログラムを打ち終えていた。

何故、彼が生きているのか。それは彼から直接聞く事にしよう。

 

 

 

 

 

「.....え、何これ。何でカメラ置いてんの?」

━━A.作者の気分です。気にせずに言ってください。

「あ、ああ。.....さて、何で俺が生きてんのかって話だな。

前に、『Project:Alicization』って紹介したろ?アレに参加する為に態と死を装ったのさ。」

━━Q.死を装う、という事は別にしなくても良かったのでは?

「だから何その聞き方.....ああ、聞くなって事だろ?はいはい。

で、意味あったのかって?いや、効率的で言えば無意味だぜ?寧ろデメリットしかないな。」

━━Q.なら、何故そうしたのですか?

「んー.....アイツらとは馴れ合っちゃいけないから、かな。

だから離れたし、これからも会うつもりは無い。.....ランには悪いけどな。」

━━Q.馴れ合ってはいけない、とは?

「うーん.....まだ言わない、と答えておこうか。軽々しく言ってはいけないからね。」

「おーい、ショウくーん!ちょっと来てくれないかなー?」

「ん、お呼びをくらったから行くわ。もう充分だろ?」

━━A.はい。有難う御座いました。オワッター!ヨルハ、ヤキニクッショー!!

「.....何だアレ。テスト(中間)のお陰で可笑しくなったか.....?

.....まぁいいや。何だー?テンパ野郎ー?」

 

 

 

 

 

「んで、こうやって.....うし、出来たぞ。」

「頼もしすぎる.....!」

「よせやい、照れるじゃねぇか。」

改めておっす、アート君だぜ。.....いや、此処では本名言っていいか。

俺の名前は剣匠って言うんだ。ケンちゃんでもショウくんでも可。彼らからは後者で呼ばれてる。

さっきも言った通り、俺は『Project:Alicization』に参加する為に此処に来た。

此処は、何と海の上に建っている施設。名前は『オーシャン・タートル』って言うらしい。

で、其処で活動しているのが、俺達【ラース】だ。.....そうだ、主メンバーを教えておこうか。

「うわぁ.....書類が多い.....」

項垂れて居る金髪天パは《菊岡 誠二郎》。此処のリーダー的な存在だ。

何かと気楽そうな感じだが実は結構活躍している。俺には違和感に感じて仕方がない。

「菊岡さん.....ドンマイっス。」

「うっ.....ショウくーん.....比嘉君がひd」

「うっせぇ。こっちは説明してるんだからあっち行け。」

「(´・ω・`)」

で、彼にドンマイって言った人が《比嘉 タケル》。見た目はチャラい。

だが、この人は兄さんと一緒に『重村ラボ』で勉強していたらしい。何そのギャップ。

「先生.....年下勢が辛辣すぎるんだけど.....」

「普段の行いの罰と思えばいい。」

「ゴファッ.....」(効果はバツグンだ!)

彼は『ふくろだたき』を受けた!菊岡は倒れた!

.....えー、この強面な人は《重村 徹大》。

少し前に世間を騒がせた『オーディナル・スケール』の張本人。

しかし、根はいい人。良すぎるが故に彼のお悩み相談室みたいな物も出来ている。

因みに菊岡は常連らしい。流石だな。

「そういやショウ、少し聞きたい事があるのだが.....」

「はい?どうしたんですか先生?」

「このAIの設定を設定してほしいんだ。私にはまだ分からなくてね.....」

「ああ.....分かりました。」

兎に角、色々あるがこの生活は意外と楽しい、という事は知っておいてほしい。

 

.....だから俺はビックリした。

まさか、結局アイツらと会うことになるなんてな。




~唐突に思った場面~

ユウキ「ねえねえ、お兄ちゃん!!」


アート「何?」←現在、兄。


茅場「どうした?」←実質、兄。


アート「あ?」


茅場「あ゛?」


ユウキ「何かごめん。」

この後、それは言葉で表せないような修羅場が起こったそうな。


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Episode.36 運命は怖い

ああ.....どれも完結してないのに、新しい小説を考えちゃってるよ.....
.....大丈夫だ。貯めとけば問題無い.....筈。


「は?キリトがウチでアルバイトしてる?」

そんな呆けたような声を出したのは勿論俺だ。

菊岡が聞き捨てならない事を言ったので、もう一度確認した。

「うん。まぁ、此処じゃなくて六本木支部だけどね。」

「だから最近居なかったのかよ.....」

怒りはしないが、がくりと項垂れる。

正直、此処でやってたら俺は神の一撃ィ!(クリティカルジャッジメント)を決めていただろう。

「で、何やらせてるんだ?.....場合によってはただじゃ済まねぇけど。」

「三日間寝たきりにさせました。テヘッ☆」

「うし、殺す。」

「ノワァァァァァ!!?」

即刻その辺にあった分厚い本を片手に持った。

当たり前だ。というか.....

「お前、バカなの?絶対に怪しく思われてるじゃん!!」

「い、いや大丈夫.....な筈。」

「あ・ほ・か・!!」

ガンガン、と菊岡(阿呆)の頭を軽くぶつける。

ただでさえ、ロクでもないこの仕事を半端な気持ちでやらせるとはいい度胸だなぁ.....!

「.....まぁいい。軽い気持ちでしか見ていなかった俺も悪いからな。」

「ホ、ホンt「但し!」ひゃ、ひゃい!?」

「一つだけ、俺の質問に答えたら、の話だけどな。」

はぁ、と溜息を吐きながら、俺は再度椅子に座った。

菊岡も俺と対称に置いていた椅子に座る。

「.....何か、俺の事で話してたか?」

「!!.....心配性だねぇ。」

「うっせ。別に良いだろ。」

「ハイハイ。.....うん。言ってたよ。『かけがえのない人を失った。』って。

随分と悲しそうだったのを覚えてるね。」

「.....そうか。」

気付かれないように手を握り締める。

.....予想はしていたけど、まさかここまで胸が苦しくなるとは。

「.....やっぱり、一緒に居た方が━━」

「それは余計なお世話だ。そもそも腹を括れていない俺が悪い。アンタは気にしなくていいよ。」

「.....そうかい。ま、時間はまだまだあるんだ。それに、決めるのは君だからね。」

その言葉は、俺の心を突き刺す。

気遣いのつもりなんだろうが、俺にとっては逆効果でしかない。

「.....仕事やるか。」

俺はこの気持ちを誤魔化すように仕事に取り掛かった。

 

 

 

 

 

「キリトさんが、怪しいバイトをしている?」

一方、彼女達視点では。

エギルが経営するカフェ━━『ダイシー・カフェ』で何人かの面子が集合していた。

「そんなに怪しくはないけどな。」

カフェラテを飲みながらキリト.....いや、和人(かずと)は答える。

「でも、菊岡さんから頼まれた仕事なんでしょ?絶対ヤバいと思うんだけどなー.....」

むー、と嫌そうな顔をする彼女.....明日奈(あすな)は自分の簡単な意見を言った。

「明日奈の言う通りよ。あの人は、その.....正直言って胡散臭いからね。」

眼鏡を直しながら詩乃(しの)は明日奈に賛成する。

.....まぁ、彼がやってきた事は実際そうなのだから、自業自得としか言いようがない。

「しかも、仕事の内容が思い出せないんですよね?それは流石に.....」

苦笑いしながらラン.....藍子(あいこ)は危険を強調する。

因みにだが、スリーピングナイツの面々は全員が治り、今は人並みの生活を送っている。

「確かに胡散臭いけど.....それでも人の為になr」

「それとこれは別だと思うけど?」

「シノのんに同意。」

「シノンさんに同じく、です。」

「うっ.....」チラッ

「.....言っとくが、俺は介入するつもりはないからな。」

どうやら彼に仲間はいないようだ。

それを身を以って知った彼は誤魔化すように話題を変えた。

「そ、そういえば、ランはどうなんだ?」

「へ?私ですか?」

いきなり話を振られた事でキョトンと目を丸くする。

何の話題なのか分からずにいると彼が詳しく言った。

「ほら.....整理はついたのか、って。」

「あ.....」

その言葉で理解する。

言わずもがな、(アート)の事だ。

「.....皆心配してるんだよ。もう大丈夫なのかって。」

「.....ええ、もう大丈夫です。整理はつけました。

四の五の言ってるとアートさんに怒られちゃいますからね。」

「確かに、アイツなら言いそうね。」

「ホント、彼の事が好きだったんだねぇ?」

「ふぇ!?ち、違います!!.....いや、違わないんですけど.....うぅ.....」

揶揄われている事に気付かず、混乱してしまった。

そんな彼女を見てから、今日はそれでお開きとなるのだった。

 

だが、そんな幸せそうな日常もすぐに壊されてしまう。

それは、この事後、キリトが襲われて意識不明となった事で思い知らされるのだった。




次回は.....頑張って二話投稿しようかと。
水曜日に投稿するんでー。よろしくね!


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Episode.37 死ぬんじゃねぇぞ、色々なァァァァ!!

「.....」

どうも皆さま、剣匠で御座います。

.....え?何で敬語なんだって?何と無くだよ、何と無く。

そして、今目の前で起こっている事を話そうか。

ベッドとVR機器が合体したような機械.....【STL】で眠っている人物。

彼━━()()()は規則正しい息をたてながら眠っている。

.....はっきり言おう。

「.....何で、こうなった?」

「.....誰が、連れてきたのかな?」

「絶対に、お前だろッ!!」

「ギャフン!!」

奴の頭にチョップを喰らわせる。

頭を抱えながら転がっているが、悪い事はしていない。断言する。

「全く.....周りの人達には伝えたんだろうな?」

「う、うん。親御さん達には伝えたよ。」

「そうか。明日奈達にも?」

「あ.....」

「.....え?」

おいちょっと待て。その反応はもしかして.....

「伝えてない、のか?」

「.....YES.」

「フンッ!!」

「ヘブラッ!?」

“体術単発OSS 正拳突き”を喰らわせる。悪い事h(ry

「馬鹿なんじゃねぇの!?絶対此処来るだろ!?」

「い、いや、そんな事はないよ!!此処は関係者以外来れないし.....」

「.....確か、午後から凛子(りんこ)さんが来るんだよなぁ.....?」

「え、そ、そうだけど.....それが、何かあるのかい?」

「馬鹿。明日奈達と凛子さんは面識あるんだぞ。絶対それに乗っかって来る!」

「成程.....ん?じゃあショウ君はどうするの?」

「俺は変装でもするさ。凛子さんとは知り合いだからな。」

あの人は絶対に「あ、ショウ君だ!!元気だった!?」とか言って即効バラすだろう。

それだけは避けないといけない。.....なんかバレそうな気がするのは気のせいだろうか?

「.....取り敢えず、俺は着替えてくるから。ちゃんと仕事しとけよ!!」

そう言って俺は白衣をロッカーに入れてから、自室に向かった。

.....その後ろで、菊岡が微笑んでいた事も知らずに。

 

 

 

 

 

「.....ショウ君や、それは如何なものかと.....」

「うっせぇ!これしか無かったんだよ!これしか!!」

着替えた。着替えたんだが、何故これしか無かったのかと言いたくなる。

今の俺は黄土色で足首まであるコートを着ている。つまるところ.....

「一回、『勝利の法則は決まった!』って言ってもらっていいっスか?」

「ノリに乗んなぁぁぁぁ!!」

━━桐生戦兎である。ホントに何でこうなったんだ.....

「.....やっぱ、さっきの服で良いや。」

「ダメだよ!もうそろそろ来るから、その姿で接待し.....フフッ。」

「おい今笑ったよなぁ!?絶対普段の仕返しだろ!?」

「YES!」

「あぁぁぁぁぁぁ!!!」

叫ぶしかない。こんな所で仕返しをしてくるとは、誰が予想出来ただろうか。

.....ん?さっき菊岡が笑ってたって?.....後で憂さ晴らしに作者を叩こうか。(いやぁぁぁぁ!?by作者)

「!.....どうやら来たみたいだね。取り敢えず座っとこうか。」

「うむ。さぁ受け入れろ、ショウ。」

「了解.....」

愚痴愚痴言うのもアレなので、渋々椅子に座った。

そのままパソコンを弄るフリ.....ゲフンゲフン、パソコンを打つ。

そして、ちょっとしてから.....

ガシュン!

「あら、久し振りね。菊岡君。」

扉が開いて凛子さんと()()()助手が入ってくる。

「(.....二人?てっきり、明日奈だけかと思ったが.....)」

「ええ、お久し振りですね。.....して、其方の二人は?」

「ああ、この二人は私の助手の.....」

 

「もう演技は大丈夫ですよ、神代先生。」

突然、その内の一人が声をあげる。

その発言に凛子さんはやれやれ、という手振りをしている。

「ええ。此処まで来れば充分です。」

そう言って、()()()は変装を解いた。

 

「単刀直入に言います。キリト君は何処です?」

「貴方達が匿っている事は分かってるんです。白状してくださいな。」

彼女達━━明日奈と藍子は菊岡を睨みつける。

この時の俺の心情は複雑な物でいっぱいだったのは言うまでもないだろう。




次回のDiavolo Biancoは.....

明日菜だけでなく藍子も来てしまう、という予想外の事態に!
剣匠はどうなってしまうのか!!

次回、『剣匠死す』、デュエルスタンバイ!


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Episode.38 複雑

「単刀直入に言います。キリト君は何処です?」

「貴方達が匿っている事は分かってるんです。白状してくださいな。」

彼女達.....明日奈と藍子が睨み付ける。

.....マジですか。これは予想外だぞ。

「.....あらま。これは、ちょっとややこしい事になったねぇ.....」

おい菊岡、お前噓下手か。殆ど棒読みじゃねぇか。阿呆なのか?阿呆なんだな。

そしてこっちをチラチラ見るんじゃない。あとニヤニヤもすんな!

「菊岡さん、どうするんスか?」

「.....説明、しようか。じゃあ、剣.....じゃなかった。ええと.....」

「響也です。全く、何で名前を忘れるんですか.....」

そう言いながら俺こと()()はキーボードを打つ。

因みに、名前は即興で考えた。意味は無い。いきなり話しかけてきた菊岡が悪いんだ。菊岡が。

「.....それじゃ、プロジェクターで映しますね。」

ブゥゥン.....!

「!キリト君!!」

画面に彼が映し出される。

それに明日奈が動くが、藍子が止める。

「.....それで、彼の状態は?」

「それについてはボクが。まず、現状としては脳細胞の一部が損傷。昏睡状態にあるっス。」

「.....彼は治るの?」

凛子さんが比嘉さん.....ではなく彼は菊岡に問う。

それに対して菊岡は誤魔化さずにちゃんと答えた。

「.....今の現代医学じゃ治せない。」

「.....嘘.....じゃ、キリト君は....」

「まだ話は終わってないよ。だからこそ此処に彼を連れてきたのさ。

此処の機械.....STLなら彼を治せる。と言っても時間はかかるけどね。」

妖しい笑みを浮かべながらも、キッパリと答える。

それに明日奈は涙を溜めながら胸を撫で下ろす。

「さて、話は変わるけど.....神代先生。此処に来てくれたって事は.....」

「分かってるわ。約束だもの。」

凛子さんは苦笑いしながら頷く。

それに菊岡は手を大きく広げて言った。

「なら、歓迎しようか。

.....ようこそ、我らが《 Project(プロジェクト)Alicization(アリシゼーション) 》へ。」

「.....ええ。宜しくね。」

.....なんだ。意外と乗り気じゃん。

まぁ、その方が進めやすくていいけど。

「それじゃ、改めて自己紹介をしようか。

此処の纏め役である 菊岡 誠二郎と言います。以後、宜しく。」

「比嘉 タケルっス。此処のメインコンピューター制御は俺が設計したんスよ!!」

「重村 徹大だ。主に部下達への指示を出している。度々話すだろうから、宜しくな。」

さーてと、俺の出番か。苗字は.....適当でいいか。

「えー、東雲(しののめ) 響也(きょうや)です。

担当はアンダーワールドの全体的な管理。アイデアが思いついたら僕に言ってください。」

こんな感じで充分だろう。

どーよ、俺の演技力。夜は焼肉っし(ry

「あ、あのー.....」

「.....ん?お....じゃなかった、僕ですか?」

「は、はい。」

藍子が俺に訪ねてくる。

「ど、何処かで会いませんでしたか?」

「!!」

.....あれま。

これは、もしかして.....?

.....バレたか?

ヤバイヤバイ.....!?

ととと、取り敢えず落ち着け、落ち着け.....!

「.....どうだろうね。僕も君達と同じ所に住んでいるから、もしかしたら、会ったかも。」

「ぁ......そ、そうですか。」

何やってんだ俺は!?否定しろよ、否定!

なんで曖昧な答えにしちゃったんだよ!?

「さてさて、じゃあ先生には此処で何をしてるのか説明しよう。響也君、お願い。」

「.....はい。」

.....今だけは、菊岡に感謝だな。

心の中で感謝しながら、俺はパソコンのエンターキーを押した。




名前を見て、「あ!」と思った方は、結構私の作品を読んでくれてる人。



あ、感想・誤字報告・コラボ・フォロワーさん。いずれも受け付けてます。


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Episode.39 心

「ふー.....極楽、極楽。」

カポーン、という言葉が似あう大きな風呂場。

そこで、俺ことけn.....間違えた、響也が居ましたとさ。

「.....なんだかんだ言って、結構慣れてきたなぁ.....」

ここでの生活を改めて振り返る。

.....藍子達と離れる、というのはまあまあな辛さがあったが、今は(大体)吹っ切れた。

ゆくゆくは【Project:Alicization】を完成させ、彼女達の元へ━━

「.....あれ。何考えてんだ、俺。」

そこで気が付く。無意識の内に『帰りたい』と思っている事を。

もう帰らないと決めていたのに。ぐちゃぐちゃになった思考を考えないように、俺はブクブクと泡を立てた。

 

 

 

 

 

「あぁ.....肩が痛い.....」

「それ、年寄りの言葉っスよ。」

一方、メインルームでは。

菊岡がコリコリと首を回していた。

「いやー.....結構彼に頼ってたんだね。久々に疲れたかも。」

「僕等としては、ショウ君と同じくらいやってたと思ってたんですけどね.....」

そこで重村教授がお茶を持って来てくれたので、それを貰う。

ズズズ、と温かいお茶を飲みほした。

「.....今思えば、私達は彼の事をよく知らないな。」

「確かに。ナーヴギアを作ったとしか.....」

「.....まぁ、彼が秘密にしてるからね。

そもそも彼の性格上、自分の事を話したがらないし。」

まだまだ信用度が足りてないね、と菊岡は苦笑いを浮かべた。

実際、そうだった。彼等から自分の話を聞こうとすると、『いや、そんな大層な話でもないから。』という風に何故か自分の体験談を話そうとしないのだ。

「.....まぁ、いいんじゃないスか?無理に聞く話じゃないですし。」

「それもそうだな。「うーっす。今上がりましたー。」.....ふむ。噂をすれば、だな。」

「?.....何の話してたんですか?」

「いや、ちょっとした世間話さ。さぁ、休んだ事だし再開しようか。」

「あ、その件なんですけど.....ちょっと良いですか?」

「ん?何か発見したのかね?」

「最近、UW内でALICEの素質を持つ者が現れたんですよ。

それで、念の為にその人のバックアップを取ろうかと.....」

「ふむ.....やっておこうか。では、その名前を教えてくれ。」

「えーと.....確か、【ユージオ】だったと.....」

 

.....ねぇ比嘉君。僕には仲の良い親子にしか見えないんだけど。

奇遇っスね。僕もそう思います。

だよねぇ.....

「何コソコソ話してるんだ?」

「「ウワァァァ!!?」」

「.....え、何でそんなに驚いたし。」

「な、何でもないよ!!ねぇ比嘉君!?」

「そ、そうっスよ!気にしないで良いっス!!」

「?.....そうか。」

.....変な所で鋭いショウ。

何とも言えない所で、また彼の新しい一面を見つけた菊岡御一行だった。

 



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Episode.40 動き出す、運命の歯車(ファンキーマッチ!)

疲れた.....俺はもう寝るよ.....(書いた時の時間=Episode.39を投稿した後)


「.....終わった.....んんー.....!!」

薄暗い、しかし日が昇り始めつつある朝。

机に向かってカタタ、と打ち込んだ俺はようやく終わった事に背伸びをして労っていた。

「しっかし、まさかここになって()()()()とはな。」

パソコンに映っているデータをよそに、俺は独り言を呟いた。

超高性能AI、『A.L.I.C.E』を持つ者が現れた。

名は【ユージオ】。どうやら、内部では黒ずくめ野郎の親友的存在だったようだ。

「.....ん、終わったか。じゃあ、これをこうして.....」

バックアップ.....いや、保護システムの準備が完了。

そして俺はエンターキーを押して、椅子に座り込んだ。

「.....徹夜してたのか。」

今になってようやく外の景色に気付いた。

やっと寝れる。と思っていたらまさかの徹夜って.....経験した人多くない?

「ふぁ~.....アレ、もう起きてたの?」

すると、菊岡が欠伸を吐きながら出て来る。

「いや、徹夜してたんだよ。少しやる事があったんでな。」

「絶対少しじゃないでしょ.....あ、お茶かコーヒー、どっちがいい?」

「コーヒー。砂糖少なめで。」

「砂糖少なめ、か。了解。」

何気ない日常の会話を紡ぐ。

.....今思ったが、コイツと二人で話すのは初めてかもしれない。

「ふぅ.....朝のコーヒーはいいねぇ。」

「同感だ。」

「.....ショウ君、少し寝てきたら?凄く眠そうな顔してるよ?」

「いや、大丈夫だ。このぐらいの事は慣れてる。

それに、俺が居ないと話にならないだろ?」

「.....否定出来ないのが悔しいね。」

悔しがる必要は無いさ、と苦笑いする。

実際彼の顔にも冗談の笑みしか浮かべていない。

「.....今更だけど、こうして二人で話すのは初めてだねぇ。」

「.....さっき、同じ事考えたんだけど。」

「あ、そうなの?」

そう言って二人同時に笑う。

.....こういう時間も偶には良いかもな。

「.....さて、一つ聞きたい事があるんだけど。」

「ん、なんだ?」

 

「何を悩んでるんだい?」

「!.....なんでバレてんのかねぇ.....?」

まさか、心の内を見透かされてるとは驚きだ。

誤魔化しても無駄だと思った俺は、素直に悩みを話した。

「.....心の何処かで、アイツら(ラン達)の所に戻りたい、って思ってる自分が居るんだ。」

「.....」

「バカげた話だとは自覚している。こんな()()()の自分が戻りたいなんて.....だけど、それでもあの日常が輝いていたように思えてくるんだ。」

「.....」

「なぁ菊岡。俺はどうすれば良いんだろうな?俺にその答えを教えてくれよ。」

此処に来てずっと悩んでいた事を一通り打ち明けた。

それに菊岡は.....

 

「別に、戻ってもいいんじゃない?」

「.....へ?」

予想だにしなかった言葉が返ってきた。

俺が疑問に思っていると、菊岡はそのまま意見を言った。

「人間っていうのは心の動きには逆らえないものさ。なら、それのままに動けばいい。

帰りたいなら、帰れば良い。傍に居たいなら、傍に居ればいい。これが僕の意見さ。」

「.....だけど.....」

「.....まだ迷ってるのかい。

なら君が作った()()()()()()()は、何の為に作ったんだい?」

「!!.....それは。」

「あれはもしもの.....皆が危険に陥った時に助けにいけるよう、作ったものの筈だ。

なら君も自覚してるんだよ。彼等の所に帰るのが一番いいって。」

「.....そう、か。.....うん、色々吹っ切れた気がするよ。有難うな。」

「いえいえ。逆に、感謝するのはこちらの方だからね。」

そうやって自分の仕事を始める為に、菊岡は着替えに行った。

俺は、その背中が広いように感じていた。

 

そして、菊岡が言った言葉は俺の思い.....心意を押し通す言葉になる事を実感する。

それは、今日の昼頃.....テロリスト達が侵入してきた時だった。

 




今更ですが、この小説は基本的にショウ視点で進めていきます。

なので、アドミニストレーター戦などは出ません。
期待していた方、申し訳ありません。


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Episode.41 襲来

「クソッ.....!!!」

青年の怒号が響き渡る。

施設内ではアラーム音が途切れることなく、鳴り続けていた。

理由は言わずもがな。テロリストがオーシャンタートルに侵入してきたのである。

こんな事は今までで初めて。しかも既に侵入されているというのだから大騒ぎだ。

「.....ダメです!エリアA6、占拠されました!後退します!!」

「エリアA7で持ち応えるんだ!!」

護衛兵が訴えるように言う。

それに菊岡は冷や汗を掻きながらも、即座に命令した。

「.....ッ!?き、菊岡さん!!内部から応答ですッ!!彼です、桐ケ谷君です!!」

「な.....響也君ッ!!」

「分かってますッ!!」

まさかの内部からの応答に菊岡は一瞬狼狽える。

しかし、すぐに正気に戻り、響也に任せた。

「キリト君!僕は此処のスタッフの東雲 響也です!応答出来ますか!?」

『シノノメ.....?何があったか知らないけど、アンタ達がやった事は.....っ!」

「っ.....その話は後で聞く!今其処に、【アリス】という少女は居るか!?」

『アリス.....?ああ、彼女なら此処に.....』

「よし.....なら其処から《ワールド・エンド・オールター》という場所を目指してくれ!

場所は今から説明するから、よく聞いて.....」

指示する場所を細かく、しかし簡素に伝える。

が、それも束の間。

 

「.....不味い!奴ら、主電源ラインの切断を開始した模様ッ!!」

「んなっ!?それはヤバいっスよ!?」

反応したのは菊岡でも響也でもなく、比嘉だった。

「今切られたら、キリト君のSTLに過電流が.....彼の心に、大きなダメージを与えちまいます!!」

「なんだと!?だが、STLには厳重なプロテクトが何重にも.....」

「全部切ってるんですよ!!治療中なんだから!!」

キーボードを器用に打ちながら答える比嘉。

数秒の沈黙を破ったのは、響也だった。

「兎に角、ロック作業は僕がやります!菊岡さんは明日奈さん達の非難を!!」

『.....アスナ?おい、今其処にはアスナが━━』

その言葉は最後まで紡がれなかった。

いや、厳密には遮られたと言うべきか。

「畜生.....電源、切れます!スクリュー停止、皆さん衝撃に備えて!!」

その言葉が言われた瞬間、大きく場が揺れる。

それと同時に内部からの通信も途絶えた。

.....しばらくして揺れが収まり、全員が顔を上げる。

「.....収まったか。よし、兎に角退避する!!護衛兵は明日奈くんと神代先生を護衛しろ!!」

どうこうしている内にも、敵は攻めてくる。

そう考えた菊岡達は、迅速に行動を起こした。




駆け足感あるなぁ.....


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Episode.42 ダイブ

遂に彼女達が、あの世界へ.....?


「私は.....キリト君が元に戻らなかったら、一生あなたを許さない。」

今、この状況はどういう事だろうか。

自分よりは数cmもある男をその少女が胸倉を掴み、更にはその踵を浮かせている。

「.....分かってるよ。キリト君は絶対治す。」

「っ.....」

その言葉を信用したのか、手を放す少女━━明日奈。

よろけた彼女を、素早く藍子が支えた。

「.....大丈夫ですよ。キリトさんなら、必ず帰ってきます。」

「.....うん、そうだよね。ありがとう。」

改めて気を持ち直し、目尻に少しだけ溜まった涙を拭った。

流石だ。彼女がそういう事に長けているのもあるが、やはり自分の経験に基づいてだろう。

それを思った響也は、ズキリと胸の奥が痛くなった。

「(.....明日奈を、自分に重ねてんのか。畜生.....もうちょっと速かったら.....!)」

彼は後悔していた。自分の無能さに。

ここまで、頑張って貢献していたつもりだった。

だが、肝心な時ではどうだ?逆に足を引っ張っている。

「(.....後悔するのはまだだ。今は俺が出来る事を.....!)」

自分も出来る事がある。それを表すように、今の状況をもう一度振り返る。

占領されたのは、メインコントロール室と第一STL室。予備のSTLがある第二STL室は無事だ。

【ユージオ】のフラクトライトも俺が持っている。アイツ(キリト)を治すにはコイツが必要だからな。

なら、今やる事は.....

「明日奈さんに藍子さん。」

「.....何かしら。」

「何でしょうか?」

 

「彼を.....助ける意欲はありますか?」

「!.....勿論!」

「ええ。今度は、私達が.....!」

一瞬、戸惑った素振りを見せたが、すぐに肯定の意を示した。

.....その意気、流石は【閃光】だな。それなら尚更━━

「菊岡さん。第二STL室、使っていいですか?」

「.....やるんだね。」

「ええ。彼を助けるのは、僕じゃなくて彼女達ですから。」

━━技術者の意地ってモンを見せてやらないと。

 

 

 

「さて、アンダーワールドに今からログインする訳ですが.....

スーパーアカウントについては大丈夫ですか?」

「ええ。」

「大丈夫です。」

第二STL室にて。

彼女達が横になっているのを横目に、俺は注意をもう一度確認していた。

「なら最後に。彼方では【最終負荷実験】が始まっていると思います。

それにはテロリストも参加している事でしょう。充分に気を付けてください。」

恐らく、二人か三人は居る筈。言えることはどいつも手練れという事だけ。

そんな中行かせるのは無理があるかもしれないが.....これしか方法がない。

「.....では、ダイブさせます。」

閑話休題。俺はSTLのスイッチを押す。

その瞬間、彼女達の顔に苦痛.....いや、激痛の表情が塗られる。

スーパーアカウントは能力が強いが、その能力の容量が多すぎるのだ。

.....まぁ、こればっかりはどうしようもない。心が痛むけど。

「.....ダイブ成功、か。比嘉さん!」

「オッケーっス!【ユージオ】確認!条件再構築します!!」

ユージオを生き返らせるには少々時間が必要だ。最も、彼の出番が無ければ良いのだが。

彼はあの世界で死んだ。なら、少しでも死に対する恐怖がある筈。それを再度味わせたくなかった。

「.....考えは無用だな。さて、こっちは散々プライドを削られたんだ。

 

覚悟しろよ、テロリスト共.....!」

そう言って、俺は獰猛な笑みを浮かべた。




次回の『Diavolo Bianco』は.....

「気になるんだろう?」
「君の仕事は、彼女達を守る事っス。」







「.....行くか。」

遂に......!?


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Episode.43 再臨&重神化

創世神 ステイシア。
太陽神 ソルス。
地母神 テラリア。
文明神 アルカノス。
闇神  ベクタ。

五つの神、顕現せり。
これらが出でる時、全てに勝る神が、降臨しよう。
その名は━━━━。

〜禁忌目録、【神の存在】より抜粋〜


「.....やっと50%か。」

【ユージオ】再起動にようやく半分を切った。

比嘉さんの話によると、敵勢力は中国、韓国プレイヤーを仲間に引き込んだみたいだ。

しかし、それに対抗するように、ALOプレイヤーも参戦しているらしい。

.....十中八九、ユイの仕業だな。この場合はありがとうって言っとくべきか。

『.....此処は.....?』

画面から声が出てくる。

.....早ェな。流石は【A.L.I.C.E.】に覚醒しただけある。

「お、目が覚めたか。気分はどうだ?」

『!?.....貴方は?いや、それよりも、僕は.....』

「ああ。確かにお前は死んでしまった。ま、厳密には()()()()()()()()、って感じか。」

『っ.....キリトは、彼はどうなったんです?』

「.....アイツは今、結構危険な状態にある。

そこで、だ。今、お前には選択肢がある。アイツを救いに行くか、此処で待機するか。どっちを選ぶ?」

さて、どの答えを出すのか.....

 

『行きます。』

.....迷わずに即答か。

いいねぇ。それでこそ.....

「.....腕がなるなぁ。うし、じゃあ準備するから、ちょっと待ってろ。」

『はいっ!!』

今は.....62%か。もう少しだな。

そんな事を考えながら、俺はプログラミングを進めていった。

 

 

 

「ふぅ.....これでよし、と。」

ユージオの完全再起動よりも、早くに奪還プログラムが完成した。

後は、これを菊岡に渡すだけ。

「おい、菊岡。出来たぞ。」

「マジで!?さっすがショウ君!」

バシッと俺の背中を叩く。いや結構痛いんだけど。

「さてと。んじゃ、俺はユージオを.....」

 

「君は、行かないのかい?」

「.....えっ?」

いきなりの菊岡の発言に戸惑う。

.....何言ってんだコイツ。

「.....行かねェよ。ユージオに任せるさ。」

「でも、気になるんだろう?」

此処でニヤニヤしてんのがやけに苛立つ。

.....まぁ、言ってみるのも手か。

「.....まぁな。正直言って、俺はアイツらの所に行きてェよ。

だけど、俺の手は血塗れだ。そんな手でアイツらには.....」

 

「まだ言ってるのか!」

「ッ!?」

菊岡が怒鳴り声を上げる。

「確かに君の手は血に塗れているのかもしれない。

だからこそ、行くべきじゃないのかい?」

「.....!」

「ただ罪を背負うんじゃない。

それを理解して正しい行動を取る事が、本当の罪を償うって事だろう?」

.....まさか、こんな奴に()()()()()()とは。

「.....そうだな。うし、俺も行くわ。」

「やっと気付いたね。うん、準備しておいで。」

あのアカウントを用意しておいて正解だったな。

少し違うのは、皆を守るために使う事、ぐらいか。

「ああ、菊岡。」

「?.....なんだい?」

 

「ありがとな。」

「!.....いえいえ、どういたしまして。」

それだけを使って、俺は第2STL室に向かった。

 

 

 

「じゃあ、準備はいいっスね?」

「ええ。」

STLに寝そべっている俺に、比嘉さんが聞いてくる。

アカウントはもちろん()()だ。

.....へ?聞かされてない?.....じゃあ、出てからのお楽しみって事で。

「.....菊岡さんが何か言ったんだし、僕も何か一つ言っておくっス。

君は、前に《自分の仕事は既に終わった》と言ってましたよね?」

「?.....はい。」

「それは大間違いっスよ。

君の仕事は彼女達を守る事っス。それを肝に命じてください。」

「!.....はい!」

ありがたい。これで全部吹っ切れた。

此処からは.....俺が決める出番だ。

 

「.....行くか。」

決意を固める。

ユージオの方も準備が出来たようだ。

「.....後は頼みましたよ。」

そう言って俺はアンダーワールドへと旅立った。

全ては、もう一度自分の使命を果たすために。




今更なんだけど、これって処女作なんだよなぁ.....
最初の頃が駄文すぎて恥ずかしい.....


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Episode.44 降臨

スーパーアカウント00起動。
その名は『戦神 メルティア』。
ただ()()()()()を前提に作られたアカウントである。


「グッ.....」

振り落とされる包丁を、何とか【夜空の剣】で受け流す。

先程まで精神喪失状態だった彼━━キリトにとって、この状況は大分キツい。

アスナ達の努力によって勇者は覚醒した。

そして、その世界を混沌に陥れようとする者━━PoHを倒そうと尽力する。

しかし、目覚めたばかりの身体は充分に衰えている。

「ハッハッハッ!!やっぱキツいよなぁ!!」

「そういうお前も、お喋りしていて大丈夫なのかっ.....!?」

「戦ってる相手を気遣うたぁ、随分余裕なんだな!!」

そう言って、再度包丁を振り下ろす。

キリトが弱っているのもあるが、奴の武器が異常なのもある。

奴の武器━━友切包丁(メイト・チョッパー)は、(プレイヤー)を殺す事で強くなる凶器である。

現在、包丁は何十人もの命を吸っている。

それが何を意味するのか。

「ハァ━━ッ!!」

「ガッ!?」

━━最凶である事を示す。

PoHはキリトを強引に吹き飛ばし、見事倒れさせることに成功した。

「オイオイ.....俺ん中には失望しかないぞ?

かつてのお前(黒の剣士)は何処に行った!?お前はそんなものか!?」

呆れ、笑い、怒り。

多種多様な表情で彼を精神的に追い詰めていく。

「キリト、君.....!!」

彼を助けようと、身体に鞭を入れるアスナ。

しかし限界はとうに来ており、それは叶わない。

「は、ぁぁぁぁ.....!」

同じ状態にあるランが動く。

立ち上がる事は出来た。だがそれだけだ。

「ク、ソ.....!!」

動かない。代わりに、両手にある二刀を悔しさから握り締める。

彼は思った。

 

━━これじゃ、アイツ(ユージオ)に頭が上がらないじゃないか。━━と。

 

「ァァァァアアアア.....!」

“心意”を募らせる。

目は黄金色に変わり、緑色の粒子が身体中に纏わり付く。

 

 

「ハァッ!」

だが、遅かった。

魂を吸い取る包丁は、そのまま彼に━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやぁぁぁぁ!!」

「!?...ガァッ!?」

━━振り下ろされる事は無かった。

突如として、彼方より現れた閃光にPoHは吹き飛ばされた。

光が止み、其処に立っていたのは.....

 

「.....やぁ。久し振りだね。」

「.....ユー、ジオ?」

亜麻色の髪に、黄緑色の目。

かつて、白亜の塔で死んだ筈の彼、ユージオだった。

「お前、なんで.....生きてるんだ.....?」

キリトは驚きを隠せない。

当たり前だ。彼は確かに目の前で死に、そのまま光の粒と成り果てた筈。

だが、今目の前に居る彼は紛れもなく本人だろう。

()()()に助けてもらったのさ。もうすぐ来る筈だけど.....」

 

「痛ェなァ、オイ!」

怒声を上げながら起き上がるPoH。

それに反応するように、ユージオは顔を向けた。

「.....流石に倒せないか。」

「当たり前だろォ!つーか何邪魔してんだ!!お前はいらねェよ!!」

そんなPoHの言葉にユージオは.....

 

「.....そっか。じゃあ()()()()()()()よ。」

ただ、笑った。

しかし、どこか恐怖を覚えるような笑み。

「貴方はすぐに.....()()()()()()()()に邪魔される事になる。」

「あァ?何言ってやが.....」

PoHがその言葉の意味を知ろうとした、その時。

 

彼目掛けて、()()()()()が、閃光となって放たれた。

「!?.....畜生ッ!」

咄嗟に横へ転がる。

そして、すぐさま射出元を見て、()()()()()()()()()()()()

彼につられて周りの者も見る。

其処には.....

 

 

「ったく.....一人で行くなっての。」

白い服に白い髪で。

 

「ゴメンゴメン。結構危なかったからね。」

「それでも、だ。ったく.....」

かつて、命を散らせようとしていたラン達を救い、その身を焼いた筈の。

 

「アート、さん?」

「.....よう。久し振りだな。」

もう会えないと思っていた、最強の男。アーティザンだった。




再会、完了.....!

じゃあ、次回はもう、分かってるよね?(ゲス顔)


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Episode.45 戦神の無双

本格的な無双は次回だべ。すまねェな。


〜ランside〜

 

「アート、さん?」

...私は.....いえ、私達は理解が出来ませんでした。

彼は.....私とユウキの為に、死んでしまった筈。

それなのに今、こうして現れたのだから。

「よ、久し振りだな。元気にしてたか?」

「...う、ぁ.....」

その言葉で、やっと理解出来ました。

目の前に居るアートさんは、本物だという事に。

此処の不思議な力で出来たものなら、まだ耐えられたかもしれません。

だけど、こうして本物の彼が居る事に、私は涙を流してしまいました。

「おいおい、泣くな.....って皆もかよ。」

周りを見ると、皆も泣いていました。

傷で声が出ないだけであって、その目からは大粒の涙が。

「.....ま、話すのは後だ。さて、暴れますかね!」

そう言って、アートさんは剣を構えました。

.....ええ。話すのは、後で。

 

だから、必ず勝ってください.....!

 

 

 

 

 

「さーてと。.....悪いな、待たせちまって。」

意外と元気そうで良かった。

.....皆に泣かれたのはビックリしたけど。

「大丈夫だ。.....しっかし、こんな所でお前さんと戦えるとはなぁ。

正直、黒の剣士よりも楽しめそうだ。」

「それはなにより、だな。.....ちっとも嬉しくないが。」

「つれないねェ.....!」

そう言って、奴は包丁を構えた。

.....能力が厄介だな。殺す度に強くなるとか、どんだけ悪趣味なんだよ。

「.....チート対策は流石にしてないんでな。最初から()()()()()()()()()()。」

「ッ!!」

PoHが身構える。が、そんな事はどうでもいい。

息を整えろ。無心になれ。

精神は水の如く。身は機械と成り果てる。

.....そして、俺は高らかにこう叫んだ。

 

「【(りゅう)(さっ)(ぽう)】、起動!」

....その瞬間。俺はシステムの動きに従って、高くバク転。

と同時に、紫色の雷が俺の周りに迸った。

「.....いいねぇ。こういう展開は好きだぜ!」

「そうかい。じゃ、この後の展開も分かってるんだよ、なッ!」

吐き捨てると同時に、地面を蹴る。

身体はブレて旋風と化し、一気に奴へと近づいた。

「ッ!ウラァ!!」

鍔迫り合いに陥る、がそれも一瞬。

勢いがついた俺の力に勝つことは出来ず、押し負けた。

.....ま、それを見逃す程、俺はバカではない。

そのまま俺はソードスキルを発動した。

 

“流刀殺法 一の型 刹那”

 

「グゥッ!?」

ダメージ成功。

だが、我慢は可能だったのか、体制を立て直した。

「はぁ...はぁ.....やっぱスゲェなオイ。」

「まぁな。そういうモンだから仕方ねェよ。」

その会話もすぐに終了。

俺達は、再び斬りかかった。




やっと名前出せた.....
流刀殺法としたのは、『刀の流殺法』という事です。

つまり、他にも.....?


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Episode.46 奴の最後

「ラァッ!!」

奴が包丁を振りかざす。

俺はそれを避け、ソードスキルを発動した。

 

“流刀殺法 二の型 烽火”

 

二つの、砲撃のような斬撃。

が、それは単直過ぎたのか、全て跳ね返される。

.....このやり取りは何回続いただろうか。数えるのは既に止めた(と書いて飽きたと読む)。

奴も、俺の動きに着々と対応してきている。

「.....流石、笑う棺桶(ラフィン・コフィン)のリーダーを務めただけあるな。」

「そりゃどうも。.....全然勝てるイメージが湧かねェけどな。」

ふざけたやり取りをして、すぐに終わる。

こちらが優勢に見えるが、そんな訳がない。

アレに触れたら終わり。今だって大分危なかった。

だからこそ、油断はしない。絶対だ。

「.....ッ!!」

もう一度地面を蹴り、突きを放つ。

無論、それは躱されるが、もちろん想定済み。

返ってきたカウンターを身体を捻って避け、ソードスキルを発動した。

 

“流刀殺法 四の型 尼鷺(あまさぎ)

 

「ウラァァ!!」

「ッ.....ァア!!」

四つの斬撃が重なり、奴に襲い掛かる。

しかし、それを全て──ほぼ本能だろうが──奴は躱して見せた。

奴は口元を緩め、そのまま包丁を━━

 

 

 

 

 

「終わらねェ、よ!!!」

「!!?」

それを振り下ろすことは無かった。

.....いや、()()()()()()()()()と言うべきか。

理由は実にシンプル。目の前に青白く光った愛刀の刃があったからだ。

 

()() 五の型 烈風”

 

「ガァァ!?」

五つの旋風が奴の身体に傷をつける。

そのまま勢いに流されながらも、ふわりと着地した。

「.....そういや、そうだっけか。それが真髄だったな。」

「ああ。ま、気付いたところで()()()()けどな。」

俺がその言葉を言った瞬間、()()()()()()()()()()

スーパーアカウント00『戦神 メルティア』の能力、【状態異常付加能力】だ。

対称に触れた時、状態異常を与える事が出来るという代物。

今、奴の状態は《麻痺》。効果は.....言わないで充分だろう。

「.....ま、楽しめたから良いとするか。

今度は、リアルで殺り合おうぜ?」

流石は最凶のレッドプレイヤー。

あれ程のダメージを受け、痛みはとても耐えられるモノじゃない筈。

だというのにこれだ。

.....が、奴の問いに答える事は出来ない。

 

「残念だが、お前は此処で終わりだ。」

そう言って、俺は奴に触れた。

その瞬間、奴の身体が石化していく。

「!?.....何、しやがった.....?」

「.....お前の身体に、二つの状態異常を与えた。

《石化》と《永遠》。お前は、現実での身体が朽ち果てるまで此処で石像になってもらう。」

「.....これで終わり、か。

まぁ、なんだ。楽しかったぜ。」

そうやって、奴の全身は石像へと変化した。

最後に見せたその笑顔は、紛れもなく、心からの笑顔だっただろう。




PoHさん.....アンタ、良い奴だったよ.....


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Episode.47 再会

期末テストがぁ.....という事で更新が遅れます。ごりょーしょーください。


「ふぃ〜.....終わったか。」

やっと終わった。

カッコ良く言えば長年の因縁が遂に決着した、ってところか。

「.....さて、まだやる事があったな。《システムコール》!」

神聖術と共に心意を発動。

俺の周りに青い粒子が纏わり付き、目は銀色に変わる。

「《ムーブ・マイ・ヘルス・レフト・トゥ・エリア》。」

詠唱を終えると俺から緑の粒子が飛び立ち、四角形の結界を生成していく。

体に脱力感が襲ってくるが、すぐに心意で回復。心意(チート)凄い.....

「...アート.....」

キリトが話しかけてくる。

.....ヤベェ。咄嗟に出て来たから、何て話せば良いのやら.....

「.....何で生きてるとかは聞かない。だけど、これだけは言わせてくれ。

 

ありがとう。助けてくれて。」

「.....おう。」

.....なんだ。悩む必要、無かったじゃん。俺はこんな事でウジウジしてたのか。

「さてと.....皆。こんな所にまで助けてくれてありがとう。

この成果は.....絶対に無駄にしない。」

そうだ。これで終わりじゃない。

あくまでもPoHという中ボスを倒しただけ。本命はベクタだ。

心意で位置を把握し、飛び立つ準備をする。

 

 

「.....アート、さん。」

「!.....ラン。」

ランが俺の名を言う。

.....たった二ヶ月間。されども二ヶ月間。

そんな短いような長いような時間も、会っていなかったのだ。

しかも、俺は死んだと偽装。...そりゃ.....そうだよな。

「.....ほら、おいで。」

「ッ.....アートさん!!」

勢いよく、俺の胸に飛び込んで来る。.....大粒の涙を流しながら。

今日までずっと溜めていたんだろう。誰にも迷惑をかけまい、と。

「アートさん...あーと、しゃん.....!」

「.....悪かったな。嘘吐いて。」

「うぅぅぅ......うぁぁぁぁぁぁ......!」

遂に、声を上げて泣いてしまった。

そんな彼女を、俺は優しく抱き締めた。

その時、心が温かく感じたのは、おそらく気の所為ではないだろう。

 

 

 

 

 

「さーて、お二人さんや。もう大丈夫か?」

真っ黒黒助がニヤニヤしながら揶揄ってくる。ウゼェ。

「はい。.....もう、離しませんから。」

俺の手を強く握る。

.....え、恥ずかしくないn......いや、顔が赤いな。

「.....だそうだ。ま、俺もそのつもりだし。」

そう言って、わしゃわしゃと撫でてやる。

.....これも久し振りだな。これからはとことんやってやろう(ゲス顔)。

「さて.....そろそろ行くぞ。ユージオもついてこい。」

「うん、神様。」

おし、行くか。.....ん?

「.....今、なんつった?」

「え、うんって.....」

「その後は?」

「...神様って言ったけど.....」

「うぉい!?神様ってなんだ!?」

「神様は神様だよ。なんてったって、僕の命を救ってくれたんだから!」

「...はぁぁぁぁぁぁ!?」

この後、3分ぐらい言い争って、負けちゃいました☆

 

 

 

 

 

「はぁ.....行くぞ.....」

「アハハ.....」

まさか、ユージオがこんな奴だったとは.....置いてった方が良かったかもしんない。

閑話休題。時間をかけ過ぎたが、取り敢えず奴の位置を把握するために心意を発動する。

再度、目は銀色に光り、青の粒子が出現する。

「......見つけた。行くぞ!!」

そして、俺達五人は白い光に包まれ、飛び立った。

.....全ては決着をつけるために。




期末テストの割には、『one for all』を出そうと考えてる。
これ、いかに.....?


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Episode.48 戦神と闇神

遅れてすみません.....
今日からちゃんと投稿しますので。(フラグ)


「.....倒されたか。」

黒色に染まり禍々しい翼をはためかせる、得体の知れない怪物。

その背中で、闇神ベクタ──名をガブリエル──は呟いた。

傍には、誰もが容姿端麗と言える美貌を持つ少女──アリス──が深く眠っている。

「どのような者か.....見せてもらおうか。」

そう言って彼は、こちらに向かってくる閃光を見つめた。

 

 

 

 

 

「...そろそろだな.....」

同時刻。暗く佇む空の下にて。

アートが忠告する様に言った。

「闇神ベクタ.....能力はあるんですか?」

「能力.....いや、奴は既に倒されている筈だ。入る前にそう確認した。」

確かに真新しい記憶にそう確認されている。

しかし、皆にとって嬉しい心情など無い。奴を倒した整合騎士は、既にこの世に居ない(奴と刺し違えた)のだから。

敬意を表しながら、今は眼前に迫る敵を見る。

「.....ヤバイな。心意を使いこなしてやがる。

ラン、アスナ。アリスを取り戻したらすぐに下がってくれ。

ユージオは俺と一緒に()()()()()ぞ。」

「「「「 了解!! 」」」」

自然とリーダー的な立ち位置に居るが、まぁ、それは気にしないでおこう。

閑話休題(それはともかく)。既に流殺法は起動してある。だが、()()()()で倒せるかは正直分からない。

だからこそ.....

「キリト。トドメはお前に任せるぞ。」

「え、でも.....」

「ごちゃごちゃ言うなよ、黒の剣士(ヒーロー)。.....大丈夫だ。お前なら、()()()なら出来る。」

「!.....ああ、分かった。」

よし、良い顔付きになったな。それでこそ勇者ってモンだ。

さーて、終わらせに行きますか!

そう言って俺は、既に始まっている戦闘に身を投じた。

 

 

 

 

 

「やぁぁぁぁ!!」

ユージオが閃光となり、敵を貫こうとする。

しかし、ベクタは興味なさげに剣を少し振り、その軌道をずらした。

「っ.....なら!」

だがしかし。受け流されたその勢いを持って、ソードスキルを撃ち出す。

“片手剣重単発SS ヴォーパル・ストライク”。放たれるその速度──約二倍。

「フン.....」

だが、それも叶わず。外見では分からない身のこなしで、閃光を避ける。

そして、そのまま無慈悲に剣を振り下ろした。

 

「ハァッ!」

「!」

━━最も、それは(アート)が間に合わなかったら、の話だが。

ユージオに当たるその直前に、何とか刀を滑り込ませた。

「.....ほう。貴様、()()()?」

「...ああ。少なくとも、アンタをボコボコに出来るぐらいには、な。」

そうやって両者は狂気的な笑みを浮かべた。




疲れた.....久々に書くとキツいなぁ。


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Episode.49 思いを希望に

「.....ッ!」

先手を切ったのはガブリエルだった。

息を出さずに、しかし驚異のスピードで横薙ぎ。

「ハッ!」

ま、それは躱されるのは皆も承知だが。

お得意の反射(リフレクティング)で軌道をずらし、ソードスキルを()()()()

「ッ!?.....フッ!」

一瞬、顔が驚きに染まる。が、すぐに戻り連撃を打ち返す。

そして、両者とも反動で後ろに下がった。

「...ソードスキルを使わないとは。流石、【白鬼】だな。」

「何で知ってるんだよ.....

...アンタに使ったらその時点で滅多斬りにされそうだからな。()()()()()で相手してやるよ。」

「それは楽しみ、だなッ!」

ますます狂気を深め、またもや先手を切るガブリエル。

目が黒くなり(心意を使い)、周りに黒弾を召喚。

そのままアートに解き放つ。...解き放たれた数━━約、23弾。

「!.....ラ、ァァァァァァ!!」

対するアートも目を銀色に染めて、能力を自分に付与する。

効果は“高速”。通常の3倍まで上がり、全て叩き斬った。

エネルギーの爆発によち、煙が上がる。

 

 

 

「馬鹿め。」

「!」

其処を見逃す筈が無い。

ガブリエルは一気に詰め寄り、剣を振るった。

アートはそれに追いつけず.....

「グァッ!?」

ズブリ、と腹に突き立てられた。

そこから血が滴り落ちていく。

「.....フッ。」

しかし、それで終わらず。

ガブリエルは力を込め、その心意を剣に宿す。

その、次の瞬間。

 

「ガァァァァァァ!!?」

勢いよく剣から放たれた光線が、彼の腹を貫通した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....!」

一方で、キリトは。

奴を倒す為の準備をしていた。

それ即ち、夜空の剣の【記憶解放術】だ。

人々の祈りや思いを集め、それを以って倒すというモノ。

しかし.....

「ガァァァァァァ!?」

「アートさんッ!?」

遂に彼が倒れてしまった。

その最悪の光景にランは軽く悲鳴を上げ、猛スピードで駆けつけた。

「(畜生.....もう力は溜まってるのに.....!)」

ならば何故仕掛けないのか。

至極単純な事。奴に勝てる()()が無いからだ。

今の彼の装備は“夜空の剣”ただ1振り。

それだけでは勝てない事ぐらい、重々承知している。

せめて、二刀流が出来れば。そう、不覚にも思ってしまった。

 

 

 

「キリト!」

すると、先程まで戦っていたユージオが近付いて来る。

その姿は何処も彼処もボロボロで、血が滲んでいた。

「.....勝てる算段が、思い付かないんだね?」

「ッ.....」

やはり、2年も共に歩んでいた相棒には分かってしまうようだ。

その事にキリトは俯いてしまった。

 

「.....はい。」

すると、ユージオは突然“青薔薇の剣”を差し出した。

いきなりの事に、キリトはぽかーんと呆けている。

「...?何やって━━」

「僕の剣を貸してあげる。やっぱり二刀流が良いんだろ?」

「!.....ありがとう、ユージオ。」

無駄な言葉はいらない。

ただ目を交差するだけで、言いたい事はハッキリと伝わった。

ならば、彼が成さなければいけない事はただ1つ。

「...行ってくる.....ッ!」

さぁ、そろそろ名場面が来るぞ。

勇者が魔王を倒すという、テンプレにして王道的な場面が。




次で最終回アル。今週中にはあげようかな。


そして!遂に!




コラボストーリー考案中!
お楽しみに!!(ヒント:『無型』)


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Episode.50 祈りは力と成りて(スターバーストストリーム)

珍しく長いような気がする.....


「やぁぁぁぁぁ!!」

「フンッ.....」

同時刻。暗黒の空では、ガブリエルとランが戦っていた。

一見すれば、ランが優勢だ。...そう一見すれば。

彼女は奴に致命傷を与える事が出来ていない。まぁ、理由は至極シンプルだ。

「...グッ.....」

「ッ!?」

「余所見か?」

「キャア!?」

彼女の腕にはアートが。その腹は大きな穴があり、下に血の道を作り出している。

それが劣勢の原因だ。無論、攻めれば弱点にもなる。

そして今、遂にそうなった。ランは致命傷を覚え、地に膝をついてしまう。

「...やはり、そうなるよな。守りだけで攻めをしないなど。

本当に勝てるとでも思ったのか?それとも、お前らの言う『希望』を信じていたとでも?」

ガブリエルの容赦ない挑発。

...無論、ただの挑発ではない。彼が()()()()()()()()疑問としての挑発だ。

そんな攻撃に、ランは.....

 

「.....ええ。信じていましたよ。」

━━その言葉の通り、頷いた。

既に口からは血を吹いている。しかし、ランはどこ吹く顔で笑った。

「.....なに?」

「...ただ違うのは、過去形じゃなくて現在形ですけどね。」

何を言っているんだ。そのガブリエルの言葉はすぐに掻き消されることになった。

その理由は.....読者の皆も、想像はつくだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやぁぁぁぁ!!!」

「!?」

突然の()()()()()により、思わず怯む。

それを与えた者はただ一人。黒の勇者(キリト)だ。

「.....大丈夫か?」

「...本音を言うなら、物凄く痛いです。

だけど大丈夫。貴方が来てくれると分かっていましたから。」

「...そうか。.....ラン。アートを頼む。」

「ええ。そっちこそ、頑張って下さい。」

そう言ってランは意識を失っているアートを連れて下がった。

.....残ったのは勇者と悪魔のみ。背景は暗黒の空だ。

「.....成程。貴様が希望か。」

「馬鹿な事は言わないでくれ。俺は希望なんて大層なモノじゃないさ。.....俺が名乗れるのは一つだけ。

 

俺はキリト。黒の剣士だ.....!」

キリトはハッキリとそう言った。その発言が勇者を意味する事も知らずに。

そんな彼を前に、ガブリエルは狂気の笑みを深めた(心意を強化した)

「.....面白い。黒の剣士よ。其方の首をもらうとしよう.....!」

「それはこっちのセリフだ。アートの仇、取らせてもらうぞ.....!」

言いながら、両者共に構えた。

無駄な打ち合いは必要なし。故に撃つのは自身の持つ奥義。

静寂が流れ、先手を打ったのは.....

 

「.....ハァァァアアアアアッ!!!」

━━ガブリエルだった。

黒く染まった右手は鋭利な剣へと変化し、更に心意を纏って突進する。

それを目前にキリトは......

 

「...頼む。皆の力を貸してくれ.....!」

━━ただ、願う。

皆の力を受け継ぎ、奴を倒す事を。

その誓いは光となり、金色の光となった。

まるで星を例えたような、その技の名は━━

 

 

 

「スターバースト、ストリーム..........!!」

かつて鋼鉄の城(アインクラッド)で何度も使った技。

何もかも強化されたソレは.....

「ハァァァァ...!!」

「ッ!?」

見事に拮抗した。

しかし、それも一瞬ですぐに黄金の光は跳ね返されてしまった。

 

「ッ.....ァァァアアアア!!」

だが、まだ終わらない。終わるわけにはいかない。

これが後15回。充分に勝てる筈だ。

「.....舐めるなァ!!」

そんな可能性に、ガブリエルは激怒した。

闇は闇黒となり更に光を喰らわんと、ソレは肥大化した。

「グッ.....!!」

相手の剣が強化された事により、キリトは思わず苦悶の声を漏らした。

しかし、即座に思い出す。これに負ければ、アンダーワールドは━━

 

「■■■■■━━━━ッ!!」

最早、声にならない声。

それ程の物を出してまで、キリトは斬撃を続けていく。

そして、15撃目を撃った時。遂に.....

「グッ.....!?」

遂に、奴が怯んだ。

この一生の機会を逃すキリトではない。

そのまま16撃目の、最後の攻撃を━━

 

「...当てれるとでも思ったか?」

「なに.....!?」

━━当てることは、出来なかった。

アレはフェイント。最後の攻撃を受ける為の罠だったのだ。

それは、いとも簡単に受け止められ、キリトは奴のカウンターを.....

 

 

 

 

 

「そっちもな.....!」

「なっ...!?」

.....受けなかった。

見ると、前にはアートが刃を受け止めていた。

...いや、違う。刃を捕まえている。真剣白刃取りだ。

「やれッ!キリトッ!!」

「!.....ああッ!!」

そして、彼は振り下ろした。

幻の.....いや、最高の17撃目を。

光り輝く刃が、ガブリエルに触れた途端。

 

「ガァァァァァ!?」

━━閃光が漏れ出し、身体は爆散した。




次で最終話です。.....ごめん嘘吐いた。

この章は次話で終了です。
次は.....日常(イチャイチャ)でも書こうかと。


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Episode.51 決心(結末)

ランの画像が出来上がりました!


【挿絵表示】



「...はぁー.....はぁー.....」

地に降り立ち、肩で息をする。

今、勝利したのだ。あの絶望をそのまま形にしたような、彼に。

それだというのに、キリトとアートの顔は━━

 

「.....」

━━とても、そのような表情では無かった。

まるで、()()()()と言わんばかりに。

「...すまねェ。俺があの時に倒していれば.....!」

「良いんだ。これは、俺自身が決めたんだ。.....こうなる事も。」

目の前には、色が無くなったシステムコンソール。

率直に言うと、この世界から出る為のモノ。

それの色が無くなったという事は、もう脱出が不可能になったという事。

...実は、ガブリエルと戦う前に、二人には菊岡からこのような通信が入っていたのだ。

『アート君、キリト君!よく聞いてくれッ!あと20分程でそっちの時間が元通りに.....いや、更に加速してしまう!そうなると脱出が出来なくなってしまう。それを分かっていてくれッ!!』

「分かった!」

「.....おう。」

そして、恐れていた事が起きてしまった。

アンダーワールド内の時間は現在、加速しており.....1分に10年を過ごす計算になっている。

あちらでは最速で直そうとしているらしいが.....恐らく20分はかかるだろう。

つまり、200年。そんな時間を生きる事など、人間には到底不可能だ。

そしてそれは、もう愛する人と会う事すら出来ないという、残酷な事象を見せつけられたと同じで━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな顔は君達らしくないよ?」

━━その声は、幻聴に聴こえたのも仕方がなかった。

声がした方に顔を向けると、其処には.....

 

「そうです。世界を救ったんですから、それらしい顔をしましょうよ。」

黒と白の剣士が愛した者達。アスナとランが居た。

「な、んで.....」

「行った筈じゃ.....」

それに彼等は戸惑う。

伝えていなかったのもあるかもしれないが、脱出する時間は思いの外あった筈。

それだというのに、彼女達は最後まで残っていたのだ。

「.....大切な人を置いていく訳ないじゃん。」

そう言って、キリトの前に座るアスナ。

.....その笑顔に、勇者はどれだけ救われた事だろう。

精神喪失状態だった彼を救ったのもまた、彼女だった。

そして、それを再度見れる事になるとは━━

 

「...ごめん.....ごめんよ.....!」

「謝らなくていいよ。.....よく頑張ったね。」

その言葉を境に、キリトは泣き崩れた。

アスナは彼を支えるように抱きしめた。

そして、一方では.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ラン。」

「.....」

━━白鬼と舞姫が、改めて再会を果たしていた。

だが、感動ではない。.....アートは責任を感じているのだ。この事に巻き込んでしまった事に。

「...何で、どうして残ったんだよ.....」

歯軋りをして俯きながら、叫ぶように問う。

そんな彼に、ランは.....

 

「アートさん。」

━━優しく、そして力強く彼の名を呼んだ。

その言葉に後悔は微塵の欠片も含まれていない。

「そんなの決まってますよ。.....もう会えないと思ってた人に、会えたんですよ.....?

なら、こうしようって.....思っちゃうじゃないですか.....!」

段々と泣き声が混じっていく。

それを見たアートは、一瞬表情を歪ませるも、すぐに.....

 

「.....馬鹿だな、俺は。」

「うぁ.....?」

━━柔らかい笑みを浮かべ、彼女を優しく抱きしめた。

彼の言葉にも、もう後悔は残っていなかった。

「.....ただいま。」

「!.....アートさん.....もう、離れませんよね.....?」

「ああ。.....ずっと、一緒に居よう。」

「...はい.....!」

聞きたかった言葉をやっと受けると、ランは更に抱きしめる強さを上げる。

アートも同じように、満足そうに抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、アンダーワールド内戦は終了した。

後に、この世界を治める【星王】と【星王妃】。

そして、彼等を守る【姫騎士】、世界各地を旅して調査する【戦騎士】が誕生するのだが.....

 

それは別の機会に話そう。また、別の機会に。




コラボストーリーの日程が決まりました!

日程は8月16日です!


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Episode.52 Diavolo Bianco(白鬼)

ひとまず、区切りかな。


月日は、流れるのが本当に早い。

あの事件(UW事件)から、もう3ヶ月も過ぎちゃった。

見事200年という長い時間を過ごし、生き延びたキリト達は負担を消す為に記憶を消し、リハビリも終えて普段通りの生活に戻っていた。

.....いや、アートは違った。彼だけ、記憶を残したんだ。せめてもの覚えておくだけでも、と。

お陰で彼は2ヶ月もリハビリをする羽目になった。.....なんて事は無かったけど。

彼の持つ特殊体質により、彼等と同じ時間をかける結果になった。この体欲しいな(唐突な欲望)。

.....報告はこれぐらいかな。さて、今日も飽きずにやってきた日常だが.....今回ばかりは少し違うみたい。

今日は夜に、エギルのバーでパーティーをやるんだとか。さぁ、僕達も覗いてみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...そろそろかな.....」

ある学校の正門前にて。其処には二人の少女が。

言わずもがな、藍子と木綿季だ。

彼女達は今、ある人()を待っていた。

その相手とは.....

 

「お待たせ~!」

「遅くなったな」

━━和人と明日奈だった。

どうやら、この四人でバーに行くらしい。

アートは、何やら『やる事がある』と言っていたそうな。

「大丈夫ですよ。ちょうどだったので」

「そうだな。...んじゃ、行くか」

「うん!早く行こー!」

皆して待ちきれない様子。

彼等も特別授業が終わった事で、早速向かって行った。

 

 

 

 

 

「.....ようやくいつもの日々が戻って来たな」

バーに向かう道中。

唐突に和人がそんな言葉を発した。

「確かに。違うのはアイちゃん(藍子の愛称)達が増えた事ぐらいかな」

「私たちが知り合ったのは最近ですからね」

思い返せば、偶然だらけである。

自分達の手助けをしてくれる人を探すためにデュエルを始め、アスナと知り合う。

更に、それの消し忘れでアートとも。何たる奇跡か。

「.....色んな事がありましたね」

「うん.....兄ちゃんが死んだ時はショックだったけどね」

そうだ。彼が死んでしまった──実際には死んでいなかったが──時も。

.....あの時はどれだけ泣いただろうか。少なくとも1週間は立ち直れなかった筈だ。

「でも、実際生きてたじゃない。あの時に抱き着いたアイちゃんは可愛いかったなぁ.....」

「うぅ.....その話は止めてください.....///」

明日奈の言葉で彼らが思い出したのは、UWの時の事。

あの時はダントツで感動の場面、そしてメチャクチャ可愛かったシーンと即座に認定された(解せぬbyアート)。

「.....そういや、アートは何処に居るんだ?確か、今日初めて会うんだろ?」

「ええ。『やる事がある』って言ってましたけど.....」

何気に今回の主役が何処に居るか、彼女に聞く。

が、どうやら彼女も知らないらしい。何処行ってんだあの真っ白白助(作者より)。

...そして、ふと前を見ると.....

「あ.....着いたよ!」

どうこうしている内に、バーはもう目の前だった。

.....中から聞こえる賑やかな声を聞くに、既に人は集まっているのだろう。

盛り上がり過ぎじゃないか、と苦笑しながら扉を開けると.....

 

「お!遅いぞ主役共!」

クライン──本名を、壷井(つぼい) 遼太郎(りょうたろう)が気付き、此方へと一斉に目を向けられる。

一瞬静寂が訪れるも、すぐに笑声が響き渡る。

「おっせーぞ!」

「ほら、早く早く!」

数人のALOプレイヤーに急かされ、何故か準備されていた表彰台のような物の上に立つ事に。

困惑しながらもマイクを渡されたので、取り敢えず話す事にした。

「えー.....今回は、集まってくれてありがとう。.....正直、俺には祝辞やら何やらは言えない。だから、代表してこれだけ言っておく。

 

俺達は、帰って来たぞ!!」

「「「ウォォォォォ!!」」」

「「此処の男性陣は馬鹿だ.....」

ご最もである。

しかし、藍子は呆れておらず、辺りをキョロキョロと見回していた。

「...?どうしたの?」

「あ、いえ.....アートさんは来ていないのかなって.....」

すると、近くで聞いていた女性が振り返り、答えを言った。

「いや、彼なら厨房で━━」

 

 

「呼んだか?」

━━ふと、後ろから.....いや、厨房の入口から聞き慣れた声がした。

振り返って見てみると、茶髪のボサボサ髪に、冷静さを醸し出す眼鏡。

言わずもがな、もう一人の主役━━アートが其処に居た。

 

 

 

 

 

「調子はどうだ?ちゃんと飯食ってるか?」

「ええ。元気いっぱいですよ」

ワイワイと盛り上がっているテーブルを横目に、二人はカウンターで話していた。

話によると、アートは一番早く来て、エギル──名前が長いのでエギルと呼んでいる──の手伝いをしていたらしい。

「そちらもどうですか?アートさ.....じゃなかった、えーと.....」

「ああ、そういや自己紹介してなかったな。琴葉(ことは) 剣匠(けんしょう)だ。ケンやらショウやら何でもいいぞ」

「剣匠さん.....じゃあ、ショウさんで。ショウさんは?その足がちゃんと治ってないと.....」

そう言って、彼の足を見る。

先程は普通に歩いていたが、大丈夫なのだろうか。

「大丈夫だよ。完治はしてないけど、一応歩けるぐらいには回復したから」

「そうですか.....無理はしないでくださいよ?」

だからこそ、彼に頼む。.....辛い思いはしてほしくないし、何よりも見るのが嫌だ。

しかし、彼は一瞬だけ目を丸くし、次の瞬間には笑っていた。

「勿論。つーか、今の方が丁度いいかな。.....でもな、アイ.....」

「キャッ!?」

ショウは突然藍子の頭を、しかし、優しく腕を回して抱き寄せた。

いきなりの事に驚くが、次の言葉でそれは無くなっていた。

「お前も無理はすんなよ?.....分かってるんだよ。ホントは俺に甘えたいってな」

「う.....///」

まさかの隠していた心情をカミングアウトされた事に、藍子は顔を紅潮させる。

と、咄嗟に周りを見渡し、誰にも聞かれていない事を知ると、ホッと胸を撫でおろした。

「.....分かってますよ。これからドンドン甘えるつもりですから」

「...そうか。それならいいや」

ハッキリとした答えにショウは満足そうな笑みを浮かべた。

.....まるで、縛られた呪いから解放されたような、満面の笑みを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....」

そして時刻は進んで場面は移り変わり、ALOの夜空にて。

アートは一人、月に照らされている城を眺めていた。

「.....作り物だってのに.....やっぱ綺麗だな」

そう。これは作られた幻想。本物は空想に在り。

しかし、作り物であってもその姿は本物だ。

「さて、そろそろ時間だな.....って、アレ?」

そろそろ広場で二次会が始まるはず。

其処から飛び立とうとしたアートは、一人の少年を見つけた。

すると、あちらも気付いたのか、此方に近寄ってきたではないか。

「.....へぇ。まさか、お前も居るとはな」

「.....何?文句ある?」

まさかの知り合い。それも、挑発をされる程には。

全体的に黒く、如何にも無口そうな少年は欠伸をしながら返した。

「さて.....俺の出番はこれで終わりだな。後は任せたぜ、()()()()()君?」

「.....うっさい、()()()()

そう呼ばれた少年は、笑いながら差し出された手をパシッと叩いた。

 

.....ああ。今宵も月が、綺麗だな。




最後に出てきた彼。一体誰なんでしょうねぇ.....

.....ほぼ言ってるけどなぁ。


あ、一応最終回と言えば最終回です。
ここからはオリジナルですね。取り敢えず、有難うございました!


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