戦姫絶唱シンフォギアW.Y (マルドゥーク)
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プロローグ
将軍様との謁見の間のような板床の部屋を六本のろうそくに灯った火だけが辺りを灯していた。
?? 「これは・・・まずいことになりそうだね。」
一人の少女が側近の巫女から言われたことに対してそう答えた。
?? 「あんな辛い思いを彼女たちにはしてほしくないんだけどな・・・。」
彼女は数年前までのことを思い出していた。
それは、とても辛く、痛く、寂しく、毎日が絶望のようだった。
巫女 「―――様が―――だったときは、毎日のように攻めてきていましたからね。今の―――たちは遊ぶ時間があるだけ恵まれています。それに――」
?? 「それに彼女たちには仲間がいる、って言いたいんでしょ。」
巫女 「そうです。」
側近の巫女の言葉の続きを言い当てた少女だったが、あまり良い表情をしていなかった。
巫女 「どうされたんですか。」
?? 「仲間がいる、確かにそれは恵まれているかもしれない。それこそ仲間がいなくてたった一人で戦っていたボクとは天と地ほどの差があるかもね。でもね・・・」
少女の表情を見て不安に思った巫女の問いかけに、少女はこう答えた。
?? 「でもね、仲間がいることが必ずしも良いこととは限らない。仲間がいることで生まれる油断や危機管理能力の欠如だってある。現にこの神託がそれを告げている。」
少女は優しく、でも悲しそうでもある声色で言った。
巫女 「では、―――様は仲間の存在を否定するのですか。」
巫女は少女の答えにそう返した。
当然であろう。少女の発言を聞けば、十人中十人が巫女と同じ答えにたどり着くだろう。
?? 「いや、仲間の存在は否定しないよ。そんな権利はボクにはないしね。」
しかし少女は、仲間の存在を否定してはいなかった。
?? 「でも、ただ仲間がいれば良いってわけじゃない。強くないと、身も心も。」
巫女 「今の―――たちは弱いと?」
?? 「彼女たちはまだ戦い始めたばかり・・・。強くなるのはこれからさ。ただ、このままだと強くなる前に死ぬ!」
少女は先ほど聞いた神託の内容を思い出していた。
そして、同時に何かを考え込んでいた。
巫女 「何か考えがあるようですね。」
?? 「まあね。外の世界に助けを求める。」
巫女 「外の世界・・・・・・ですか?」
巫女は少女の言っている意味がわからず、思わず聞き返した。
巫女 「しかし、―――以外はすでに滅んでいますが。」
?? 「それは―――様の結界の外の世界の話でしょ。」
少女はゆっくりと立ち上がり、そして巫女の方に上半身だけ振り向き、こう言った。
?? 「ボクが言っているのは、異世界さ!!」
オリキャラ二人しか登場していないプロローグですが、あくまでも主役はシンフォギア奏者と勇者たちです。
少女の正体は次回明らかになります。
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第一話 交わる世界
正直予想外でとても嬉しい!!
お気に入りをしてくれた人達ありがとうございます。
今後も応援お願いします!
◆『魔法少女事変』からしばらくの時が過ぎた。
キャロルとの最終決戦で崩壊した東京都心の復興もかなり目途がたってきた。
そんな中、立花響たちシンフォギア奏者は、超常災害対策機動部タスクフォース(S.O.N.G)の本部に集まっていた。
といっても何かあったわけではなく、立花響、暁切歌、月読調のための夏休みの宿題回のためだった。
なぜ本部でしているかというと、何かあったらすぐに動けるようにするためだ。
響 「あぅー・・・宿題が終わらないよ~」
切歌 「まったくデス、宿題が多すぎるデス!」
調 「切ちゃん、文句言ってても終わらないよ。」
クリス 「まったくだ。バカはバカ(響)だけで十分だ。」
クリスは響を指さしながら言った。
響 「クリスちゃんがヒドい!」
未来 「クリスの言うとおりでしょ。」
響 「未来まで!」
響は半泣きになっていた。
マリア 「はいはい、騒がない。宿題をするんでしょ。」
翼 「宿題が片付かなくても知らないからな。」
響・切歌・調 「「「はーい(デス)」」」
響たちは渋々と宿題を再開したが、苦戦していた。
弦十郎 「相変わらず騒がしいな。」
エルフナイン 「そうですね、でも皆さん頑張っていますし、ボクも頑張ってウェル博士が残したチップの解析を急がないと。」
エルフナインが響たちの頑張る姿を見て気合いを入れ直した時だった。
けたたましい非常ベルの音とともに白い煙が本部内を満たした。
弦十郎 「何事だ!」
友里 「わかりません。正体不明の白い煙のせいで状況が確認できません!」
友里が弦十郎の問いに答えた直後、煙が薄れ、煙の中から人影が二体現れた。
?? 「あなた方が神樹様に選ばれた勇者たちですね。」
煙の中から現れた人影は、意味深いことを言ったのだった。
◆S.O.N.Gの本部に謎の陰が現れる少し前のこと・・・
巫女 「これは・・・一体・・・・・・。」
巫女は目の前にある巨大な扉を見て驚きを隠しきれていなかった。なにせ神樹様の声を聞くことができる巫女ですら知らない扉であったものだからだ。
?? 「これは、異界の扉。扉を開いたものが望む世界に行くことができる。」
巫女 「そんなことが可能なのですか。ではなぜこの世界の住民を逃がすために使わなかったのですか。」
?? 「当然な疑問だね。答えは簡単、一度に扉をくぐることができるのは最大二十人まで。次に開くことができるのは扉をくぐった人が全員死んだ後。つまり、逃げるには適していないと言うことだ。」
少女は少し寂しげな様子で言った。
巫女 「では、異世界に行った私たちはどうなるのですか。」
?? 「それについては大丈夫。帰ってくるだけならいつでも可能だよ。また、異世界からの客人が帰るのもね。」
巫女 「何というか、ご都合主義ですね。」
?? 「神樹様が作った扉だからね。そこは神樹様の恵みだと思えばいい。」
巫女が呆れたように感想を言うと、少女は神樹様を敬えと言わんばかりに言い返した。
?? 「さて、説明はこの辺にしてそろそろ行くか。」
巫女 「そうですね。時間も無いことだし行きましょう。」
そうして二人は扉を開いたのであった。『自分たちの助けになってくれる人たちがいる世界へ』と念じながら。
◆場所は戻りS.O.N.G本部にて
?? 「・・・といった感じでやってきました。」
煙の中から現れた少女たちはここにきた方法を語って見せた。
一人は長い黒髪に典型的な巫女装束を着ていた。もう一人は紫色の長い髪を後ろで束ね、中性の男性貴族が着ていそうな着物を着ていた。
弦十郎 「異世界だとぉ。」
エルフナイン 「確かに錬金術師たちの間で異世界の存在は噂されていましたが、本当にあるとは・・・。」
みんなが少女たちの話を聞いて呆然としている中、一人能転気とも言える響は先ほどから聞きたかったことを聞いてたみた。
響 「何しにこの世界に来たのか聞きたいことはいっぱいあるんだけど、とりあえずこれだけは聞かせて。」
?? 「何を?」
響 「あなたたちの名前。」
響に名前を聞かれて少女は自分たちが名を名乗っていないことに気がついた。
?? 「これはすまない、人としての礼儀を忘れていた。」
少女は慌てて謝り、一呼吸おいて名乗った。
?? 「ボクの名は八神紫怨、十四歳。神樹様を奉る大赦の最高責任者、八神家の当主です。」
巫女 「私は上里ひなた、十八歳。紫怨様のお世話係をしています。ちなみに名前はご先祖様から頂いたものです。」
切歌 「調、何考えているのデスか。」
調 「切ちゃん、たいしたことないんだけどこの小説のタイトルの意味って何かなって」
切歌 「そんなの簡単デス。『鷲尾須美は勇者である』のW、『結城友奈は勇者である』のYデス。」
調 「おお。さすが切ちゃん、常識人。」
切歌 「これくらい当たり前デス。」
調 「でもしばらくは結城友奈編は関係ないんだよね。」
切歌 「それは言っちゃダメデス。」
調 「あと前回伏せ字だったところを伏せ字にしなかったのはクロス先を示してし・・・「調ストップ、ストップデース。」何するの切ちゃん。」
切歌 「それ以上は言っちゃダメデース。」
調 「納得できないけど、切ちゃんが言うなら・・・」
切歌・調 「次回をお楽しみに(デース)」
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第二話 シンフォギア奏者と勇者の出会い 前編
◆S.O.N.G本部にて
紫怨たちが自己紹介した後、S.O.N.G側も自己紹介をした。
弦十郎 「互いの自己紹介が終わったところで、そろそろ本題に入らせてもらおうか。」
エルフナイン 「そうですね。なぜこちらの世界に来たのか、先ほどからおっしゃっている神樹様とか神樹様に選ばれた勇者とはどういう意味ですか。」
弦十郎の言葉に乗っかり、エルフナインも疑問に思っていたことを聞いてみた。
紫怨 「うん、確かに時間も無いし本題に入らせてもらうね。実は・・・」
紫怨も弦十郎の話題の切り替えに乗っかり、本題に入った。」
紫怨 「今から三〇〇年ほど前、突如として怪物が襲ってきたんだ。」
切歌 「怪物デスか?」
紫怨 「うん、後でわかったことだけど怪物の名前はバーテックス。天の神様が人類を滅ぼすために遣わせた存在なんだ。」
弦十郎 「人類を滅ぼすためだとぉ」
響 「そんなっ!そんなことって・・・」
翼 「天の神が遣わせた・・・か」
クリス 「ちくちょう、どこの世界でもろくでもねぇ神ばかりか!」
紫怨 「・・・?」
紫怨が言った怪物の正体にS.O.N.G一行が衝撃を受けている中、クリスが言ったことに引っかかった紫怨であった。
マリア 「一つ気になったんだけど、どうして怪物の正体を知っているの。」
ひなた 「それは神樹様が教えてくれたと言われています。詳しくは三〇〇年ほど前のことなのでわかりませんが、神樹様の声を聞くことができる当時の巫女が聞いたと伝えられています。」
調 「その神樹様っていうのは何なの?」
紫怨 「神樹様というのは人類に味方してくれた複数の神様が一つになった姿のこと。そして勇者というのはバーテックスと戦うために神樹様に選ばれた儚い少女たちのことなんだ。ちなみに大赦は勇者たちのバックアップも担っている。」
友里 「なんだかシンフォギア奏者たちと私たちS.O.N.Gの関係性に似ていますね。」
尭藤 「そうですね。」
ひなた 「今この時も三人の勇者がバーテックスと戦っています。そして私たちがここに来るきっかけになったのは神樹様の神託があったからなのですが、その内容が『近日勇者の一人が死ぬ』と言うことです。」
S.O.N.G一行 「・・・っ!」
紫怨 「大赦の最高責任者としては死なせるわけにはいかないんだ。だから・・・・・・」
弦十郎 「バーテックスとわたりあえる力を持つであろう俺たちに助力を求めに来たわけか。」
紫怨 「そうです。情けないことだとはわかっているんですが・・・」
響 「そんなことないよ!情けなくないよ!」
弦十郎 「響君の言うとおりだ。助けを求められるのも立派な強みだ。だが大赦の中に戦える者はいないのか?」
紫怨 「いませんね。大赦のほとんどが成人した大人ですし、他にいるのは巫女やボクぐらいですが巫女は勇者として戦えないですし、ボクは・・・」
そう言った紫怨は着ていた服を脱ぎ下着姿になった。紫怨の身体には深い傷跡がいくつもあり、右手・両足にいたっては義手・義足になっていた。
紫怨 「数年前、両親が事故死して八神家の当主の座に就くまではボクも神樹様に選ばれた勇者として戦っていたんだ。ボクには一緒に戦う仲間が居なかったからね。人類を滅ぼす力を持つバーテックスと戦い続ければこうなることはある意味必然だったんだ。」
ひなた 「私が紫怨様のお世話をしているのはこういう意味もあったのです。」
弦十郎 「わかったからとりあえず服を着てくれ」
未来 「そうだよ。女の子が男の前で簡単に素肌を見せちゃダメ。」
弦十郎と未来に「服を着ろ」と言われた紫怨はひなたに手伝ってもらいながら服を着直すと、頭を下げて改めてお願いをした。
紫怨 「お願いします。皆さんのお力を貸して下さい。」
ひなた 「私からもお願いします。今の勇者たちは三人ともまだ小学六年生なのです。」
弦十郎 「なっ!小六だとぉ」
響 「もちろんだよ。」
翼 「人類守護の防人として断るわけにはいかないな。」
切歌 「私もいくデスよ。」
調 「切ちゃんが行くなら私も。」
クリス 「やれやれ、後輩どもが行く気になっているのに私が逃げるわけには行かないだろ。」
マリア 「そうね。もちろん私も行くわ。」
紫怨 「皆さんありがとうございます。」
緒川 「待って下さい。さすがにシンフォギア奏者を全員送り込むわけにはいきません。いつこちら側でも危機が迫るかわからない以上は・・・。」
弦十郎 「確かに緒川の言うとおりだな。こうなったら戦力を分断するしか・・・」
紫怨 「その点には及びません。神樹様が作った異界の扉はご都合主義でできていますから。ボクたちの世界にどれだけ滞在しようとも今のこの時間に帰ってくることができます。また、二〇以下ならこの施設ごと行くことが可能なんだ。」
エルフナイン 「それは・・・」
マリア 「本当にご都合主義な話ね。」
弦十郎 「まあおかげであれこれ考えずに済んだ。全員三〇分以内に準備を済ませ。未来君は・・・」
未来 「私も行きます。」
弦十郎 「そうか、わかった。」
意思がこもった未来の鋭い眼差しを見て弦十郎は渋々折れた。いや、未来が居ることで奏者たち、特に響の精神に良い影響を与えてくれるかもしれないという考えもあったからだが。
そして三〇分後、紫怨、ひなた、響、翼、クリス、マリア、切歌、調、弦十郎、緒川、エルフナイン、友里、尭藤、そして数名のS.O.N.G職員たちは本部ごと異界の扉をくぐったのだった。
◆紫怨たちの世界にて
三体のバーテックスを相手に、三人の勇者たちが戦っていた。
先ほどまで遠足を楽しんでいたのが嘘みたいな光景が広がっていた。すでに二人の勇者、鷲尾須美と乃木園子は血まみれで倒れていて戦闘続行は不可能。もう一人の勇者、三ノ輪銀もかろうじて立ってはいるが、全身血まみれであった。
銀 「おいどこに行く気だ、おまえたちの相手はこの私だ!」
銀は自分を無視して何処かに行こうとするバーテックスに怒鳴った。その時の銀は確かな殺意と共に生きることを諦めたようにも見えた。
銀 「おぉぉぉぉ・・・・」
銀が叫びながらバーテックスに襲いかかろうとしたときだった。何処からともかく大量の矢のようなものが飛んできてバーテックスに襲いかかった。そして誰かがバーテックスに殴りかかった。
響 「この拳も!・・・命も!シンフォギアだ!!」
それは聖異物ガングニールをまとった響だったが、当然銀にわかるわけがなかった。
いやまぁ・・・銀生存ルートが書きたかっただけなんだけどね。
次回から本格的な戦闘が始まるわけだけど、戦闘描写の低レベルにはご容赦下さい。
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第三話 シンフォギア奏者と勇者の出会い 後編
◆神樹様の結界内
響 「良かった、間に合ったみたいだね。」
銀 「だ、誰?」
銀から見れば奇妙な格好をした人が誰なのか、勇者である自分たち以外にも結界内で動いてることに、銀は疑問を抱いていた。
響 「私は立花響、じゅう・・・・・・」
翼 「立花、自己紹介は後だ!今はこの化け物たちを倒すことに集中しろ!」
銀の質問に答えようとした響だったが、現状を冷静に判断した翼に止められた。翼に制止された響は改めて敵であるバーテックスたちを見た。 バーテックスたちは何事もなかったように結界の奥に進もうとしていた。響に殴られたバーテックスもだ。
クリス 「あのバケモンあのバカに殴られてケロッとしてやがるって、どんなけ硬いんだ。」
翼 「ああ、ノイズとは比べものにはなりそうにないな。」
クリス 「たくっ、強い力が必要だってのにどうなってやがるんだ。」
クリスは自分たちが纏うギアに違和感を覚えていた。また翼も響も違和感を抱いていた。では、その違和感とは何なのか、それは―――
響 「マフラーがない?いや、というよりはこれって亮子さんとの戦いでXDによる限定解除される前の・・・初期のシンフォギア!」
そう、クリスたちが持っていた違和感とはギアが初期段階だったということだ。響・翼・クリスはこれまで対フィーネ戦、対ネフェリム戦、対キャロル戦で三回XDによる限定解除を経験し、その分高いフォニックゲインを誇っていた。なのに今フォニックゲインが低い初期のギアでしか纏えなくなっていた。
クリス 「アンチリンカーを持ってるやつも使う意味もねぇしどうなってんだ。」
アンチリンカーとはウェル博士が作ったもので、奏者の適合係数を強制的に引き下げて無力化するというものだ。
アンチリンカーを作れるのはウェル博士ただ一人。クリスの言うとおり、今この場においてアンチリンカーが存在するはずがなかった。
響 「・・・・・・、今は悩むよりやるだけだ。翼さん、クリスさん、その二人を頼みます。」
翼・クリス 「「おぅ、まかせとけ!」」
翼とクリスは今二人の勇者、鷲尾須美と乃木園子が倒れている場所にいた。須美と園子は全身血まみれで見ていて痛々しかった。
クリス 「にしてもこんなにボロボロになってまで戦っていたのか。」
翼 「外見だけなら私とクリスが単体で絶唱を歌った後みたいだな。」
翼とクリスは過去に単体で絶唱を歌い、翼は何日も意識不明となり、クリスも天高くから落ち、一時は死んだとさえ思われていた。
奏者たちがギアについて考え決心するまでの間、バーテックスはご丁寧にも待ってくれていた・・・・・・・・・はずもなく着実に結界の奥に進んでいた。勇者や奏者には目もくれずに。
紫怨 『バーテックスの目的はあくまで神樹様を壊すことで、勇者と戦うことじゃないから無視されることも覚悟しといてね』
クリス 「とは紫怨から聞いていたものの頭にくるぜ!」
銀 「くそっ、これ以上進ませてたまるか!」
響 「ダメだよ、そんな傷だらけの身体で。」
勇者としての意地で最後の力を振り絞って戦おうとした銀をそんな状態で戦わせるわけにはいかないと響が止めに入った。
響 「後は私たちに任せて休んでいて。」
銀 「・・・う、うん」
銀は響の言葉にうなずいた後、疲れからか気を失った。
響 「歌います!絶対に―――♪」
歌うのは響の胸に最初に浮かんだ歌、『撃槍・ガングニール』
響 (やっぱり融合していたあの時よりも出力が低い。でも――一番しっくり来る。)
響は殴っては蹴り、殴っては蹴りを繰り返しバーテックスたちを結界の外に追い返そうとしているが、なかなか上手くいかない。響の感覚に一番しっくりきていてもフォニックゲインを補えるわけではないのだ。
響 「翼さん、クリスさん、後は頼みます。」
響はこのままだと切りがないと必殺技を持つ頼れる仲間に留めを任せた。
翼 「任された。防人の名にかけて守り切る。行くぞ、雪音。」
クリス 「わかってるって先輩。」
翼 「蒼ノ一閃」
翼はアームドギアである刀を巨大化し、巨大な青いエネルギー刃を放ち、バーテックスを両断した。
クリス 「MEGA DETH PARTY」
クリスは腰部アーマーから小型ミサイルを一斉発射させ、バーテックスを一体仕留めた。これで残るは一体、誰が仕留めるのか・・・・・・
園子 「根性ぉぉぉぉぉ!」
須美 「行っけぇぇぇぇそのっちぃぃ!」
響 「あの子たち!」
いつの間にか倒れていたはずの二人が再び立ち上がりバーテックスと戦っていた。弓使いの勇者、須美は弓でバーテックスを牽制し、槍使いの勇者、園子が槍を突き出しバーテックスに突進していた。
園子 (なんだか状況がよくわからないし彼女たちが誰なのかもわからないけど・・・)
須美 (銀は無事でバーテックスを二体も倒してくれた。なら少なくとも敵ではない!)
園子 (でも私たちは勇者!勇者のお役目は・・・)
須美 (バーテックスを倒し神樹様をお守りすること!)
園子・須美 ((だから最後の一体は私たちが倒す!))
二人の決意が重なったとき、園子の槍がバーテックスを貫通した。そして―――
銀 「留めは私がーーー!」
これまたいつの間にか目覚めていた銀が両手に持った剣のような斧でバーテックスを切り刻んだ。そしてついに三体全部のバーテックスを倒すことに成功した。
戦闘シーンのクオリティー上げたいな~
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