真龍様は今日もワガママ! (虹野衣司)
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①セルエルとノイシュ、空回る

ロイヤル交渉、真龍様の前に敗れる!


「我に介護せよと申すのか」

「いやぁ俺もあんまりお願いしたくないんだけどね?それに介護って俺まだ元気だよ?」

「仕方あるまい。良いだろう。代わりに…この町を案内せよ」

「お、スカーサハちゃん、お出かけしたいの?いいよいいよ、いこいこ!」

「たわけ!人の営みを見ておきたいだけだ」

「またまた~」

「ふんっ…」

「ええ、あ、ちょっとおいていかないでよ~」

 

****************

スカーサハがグランサイファーに搭乗してから、何日か過ぎた。

最初は大変だった。基本的に過保護なノイシュもセルエルも、無理やりにでも光属性に連れていこうとし、ジータ団長にとめられていた。

「我は1人でも大丈夫だ。人の分際で案ずるな」

などとスカーサハも怒り出し、せめてヘルエスやノイシュのいる火属性に…と思ったが、これも失敗。結局スカーサハは風属性に来たのである。

 

そうと決まればロイヤル勢は動きが早い。

「シエテ様。お願いがあります」

「おや?アイルストの王子様じゃない?」

「今は国がありませんので」

「ああ…すまなかったね。で、こんなところに何のようだい?」

こんなところとは、シエテの剣拓コレクションルーム(通称:剣これ)である。

「十天衆だからね。自室は持てないからこうしてコレクションルームを作ってもらったってわけさ」

最も、物置部屋となんら変わりはないが。

「このたびスカーサハが風属性となることが決定いたしました。これを受けて、ジータはすぐにでもお試してゆぐまぐに向かうとおっしゃっています。どうか、スカーサハを守っていただけないでしょうか」

「それはできないかも」

「…そんな!」

「あなたたちだって戦いに絶対勝つとか、絶対守り抜く、なんて保証できないことは分かってるよね?だからだよ。もちろんスカーサハちゃんに何かがないように最善を尽くすよ。十天衆の頭目だからね」

「ありがとうございます…」

「ほら、こんなところに長居するとスカーサハちゃんに見つかっちゃうよ~」

「す、スカーサハちゃん!?」

「え~だって見た目はかわいい女の子だもんねー」

「シエテ様、見た目に騙されては…」

「…おいノイシュ。さっきからシエテとなんの話をしているのだ?」

「あ、こ、これは…スカーサハ様、どうしてこちらへ?」

「質問に質問で返すな。我が先に聞いている」

「ノイシュ、私が。スカーサハ様、申し訳ありません。今シエテ様とスカーサハ様の話をしていました。私たちは旅の同行を認めましたが、戦いに参加することにはいささか疑問を抱いております。どうかディアドラ召喚石のままでいていただけないでしょうか。そして倉庫で待っていていただけませんか」

「断る。安心せい、この器が壊れても、我の存在は消えぬ。それに我は強い」

「ですが1度このノイシュに負けているのですよ」

「そこまで我が心配か?ぬかせ。国が心配なのであろう」

「私たちは本当にスカーサハ様のことを心配しているのです。どうかお分かりください」

「ふん。人間の言葉ほど信じられぬものはないが、まぁいい。どちらにせよ、我は戦闘に行く。シエテと申したか。ジータが呼んでいるぞ」

「おお、ジータちゃんからの呼びだし?うれしいね~!あ、セルエルさん、ノイシュさん」

ウインクだけしてさっさと行ってしまった。

「おぬしらはそこで見ておれ。平気じゃ」

シエテに続くようにして、スカーサハも行ってしまった。その後ろ姿を、まるで父親のように、ただただ見守るしかなかった。

 

 




ストーリーイベント前に書いたのですが、シエテもっとピックアップしたくなりました。
海パン最高でしたね!笑


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②シエテとスカーサハ、出陣する

更新遅くてごめんなさい。


「へい、ゆぐまぐ!ヘイズ!アマブレ!他心陣!ついでだからエーテルブラスト!」

「ぬおおおお!でやあああああああ!」

「本気出しちゃおっかな~」

「真龍の名、伊達ではないぞ」

そしてスカーサハの3アビ。これは自身のHPを犠牲にしてバリアを貼るものだ。HPを減らせるため、背水を使用する風パでは初速の出る貴重な戦力だった。

そして何より。健康レベルを気にするシエテの介護にはうってつけなのである。

「おお、スカサハやるじゃん!ゆぐまぐでもシエテが活躍するなんて!私の采配に狂いはなかった」

「さすがだよ、スカーサハちゃん。ありがとね!健康に戦えたよ」

「ふん、気軽に呼ぶでない。我を誰と心得ている」

「はいは~い、真龍様だもんね~かわいいなー!」

「少し黙らぬか。してシエテと申したか。おぬし、背水にはめっぽう相性が悪そうであるが」

「うお、今それを言う…?そうなんだよ~、今日みたいな3ターンくらいの戦いだと、ネツァさんの方が火力出してるね」

「長期戦になってもおぬしだけHPが高いのでは、話にならん」

「あはは…HLマルチなら回復飛んでくるからHP減らなくて僕の強さが分かるはずなんだけどね」

「まぁよい」

「それで、お願いがあるんだけどさ…」

「我に介護せよと申すのか」

「いやぁ俺もあんまりお願いしたくないんだけどね?それに介護って俺まだ20代だよ?」

「仕方あるまい。良いだろう。代わりに…この町を案内せよ」

「お、スカーサハちゃん、お出かけしたいの?いいよいいよ、いこいこ!」

「たわけ!人の営みを見ておきたいだけだ。最近は出歩いていないからな」

「またまた~」

「ふんっ…」

「ええ、あ、ちょっとおいていかないでよ~」

「こら!団長に許可取らずに色々決めない!まずはふねに戻るのよ」

「いやじゃー!」

「どこの師匠だよ!」

「我は戻らぬ。口うるさいアイルストの人間どもがいるからな。シエテ。行くぞ。」

「はいよ~ってあれ、俺は十天衆の頭目なんだけどなぁ、なんか完全にお供になってる?」

「何か言ったか?」

「なんでもないでーす、行くよスカーサハちゃん。こっちに行くとね、団長ちゃんのおうちがあるんだ。あ、団長ちゃんとはまた今度デートしようね!このお詫びに、高級レストラン予約しちゃうよ~、そういえばアウギュステのさぁ――」

「ええい、勝手に行ってきなさい、ただし日が暮れるまでには戻るのよ!もう」

 

こうしてシエテとスカーサハは、ザンクティンゼル島を散策することになったのである。




FGOになんか浮気してないです、平気です。


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③セルエルとランスロット、邂逅する

フェードラッヘとアイルストの絡みが書きたくて書きたくて書いちゃったものです。
もちろんスカーサハとシエテも仲良しです!



その頃、グランサイファー。

「シエテ殿は大丈夫だろうか…」

「ああ見えて十天衆の頭目です。力は十分にあります」

「しかし――」

「ノイシュ。気持ちは私も同じです。ですが、案じていても事態は動きません。どうです?お茶を入れてはくれませんか」

「はっ。ただいま入れて参ります」

こんこん、音がする。

「どなたでしょう」

「私ですよ、セルエル。それと、ランスロットさんを連れてきました」

「おや?珍しいですね。どうぞお入りください」

「失礼します!白竜騎士団団長ランスロットです。どうぞよろしくお願いします」

「これはこれは。セルエルです。どうぞお堅くならずに。ではノイシュ。お茶会にしましょう。お菓子も用意できますか」

「はっ。すぐに用意します」

「ふふふ。あなたの分も忘れずに用意するのですよ」

「その…セルエル殿…気を遣わせてしまい、申し訳ない」

「何をおっしゃる。せっかくいらっしゃったのだから、ゆっくりしていくといいでしょう。ノイシュの入れるお茶は本当に良いものです。それに何より、今は同じ団員です」

「そうですよ、ランスロットさん。それからセルエル、同じ団員なのだから、もう少し色々な人と話してみてはいかかです」

にこやかにほほ笑む。

「…それはそうかもしれませんね」

「失礼します。お茶にございます」

「ありがとう、ノイシュ」

穏やかな午後の陽が、窓から差し込んでいた。

 

 

********************

「ここは田舎だな」

「そうだね、でも悪くないでしょ」

「うむ。とても穏やかだ。団長はここで生まれ育って…まだ15年か」

「そうなんだよ、まだ15年だ」

「同意するな。我からすれば15も30も大差ないぞ」

「お、俺はまだ30なんかじゃ…」

「ふん。そんなにたった1年、2年の違いが大事か」

スカーサハが寂しそうな顔をする。

「…そうだよ、大事だよ。1年経てば色々な経験ができる。1年で人間は大きく変われるんだ」

「なんだ。我に説教のつもりか?」

「いいやぁ。そんなんじゃないよ~。でもね、スカーサハちゃん。覚えててほしいんだ。人間は1年で大きく変わる。いいや、もっと言うと1日でがらりと変わってしまうんだ。だから今のこの瞬間を大事にしなきゃいけない。それは、スカーサハちゃんにとっても一緒だよ。人間の何倍も何十倍も生きようが、大事な大事な今この瞬間を共有していることに違いはないんだから、ね!」

「おぬしは20代のくせに年寄りくさいことを言うな」

「う~ん、それは傷つくなぁ。とにかく、先のことを考えないで、今を一緒に楽しんでくれたらうれしいなぁ~!」

「魔物に囲まれたこの状況を楽しむというのはいささか疑問ではあるがな」

「さすがスカーサハちゃん、よく気付いたね~」

「バカにするでない。我は真龍であるぞ」

「はいは~い。真龍様のお力をお借りするわけにはいかないね~」

このクエストは特殊なクエストです。主人公がいないため、召喚石の選択はありません。

 




次回更新は8月22日とかになりそうです…ちょっと用事が立て込んでいて。
のんびり待っていていただけると嬉しいです。

そういえば復刻イベントどうですか?
私は「デイリーミッションが初日からある」のを忘れていて、3日目から始めました。
そう~それはね~おとぎ話(だといいのに~)


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④ランスロットとロイヤル勢、談笑す

ちょこっと大事な用事があって更新遅くなりました。
前話から見直すこと推奨です。


「ふふふ。では、ヴェインさんは本当に山から帰れなくなってしまったと」

「はい。ヴェイン以上の方向音痴を見たことがありません」

「そうですか。料理や部屋の片づけは得意と聞きましたが」

「ええ!そうなんです!ヴェインの作る料理は最高にうま…おいしいのですが、方向音痴だけはひどくて」

「そういえば、団長も初めてフェードラッヘを訪れた時は、大変だったと聞きました」

「あの時は本当に申し訳なかった…」

ランスロットと元アイルスト王族一行はとりとめもない話で盛り上がっていた。ランスロットはヴェインの話ばかりするものの、それはそれでもう最高かよ。のろけんな、ふざけんな。

「ランスロット殿はお料理などされないのですか?」

「え、ええ、まぁ…。野営の時などは、ほとんどヴェインとその後輩たちが作ってしまうので。俺は魔物の見張りなどをしている時の方が多くて。ヴェインに作ってもらってばかりでは申し訳ないと思うのですが」

「そういうことでしたらノイシュ。あなたの出番です」

「姉上、とても良い考えです。ノイシュ、いいですね」

「はい。お任せください」

「えっと…一体どうなさったのですか」

ランスロットが首をかしげる。

「ノイシュはお茶はもちろん、料理もとても上手なのですよ」

「ですから、ランスロットさんが嫌でなければお料理を一緒に作ってはいかがでしょう」

「はい。わたくしでは力不足かもしれませんが、尽力いたします」

「そ、そんな!お忙しいでしょうに、俺なんかのために…」

「ランスロットさんは何のためにこの騎空団へ?」

「それは、様々な国を視察して、今後の国作りに生かすためです」

「であれば様々な国の文化――料理を学ぶことも立派な勉強ではないですか」

「姉上のいう通りです。遠慮するべきではありませんよ」

「…ありがとうございます。ノイシュ殿、ぜひご教授いただきたい」

「もちろんです。ヴェインさんに感謝の気持ちを伝えましょう!」

「ランスロット殿は、善は急ぐものだと考えますか。果報は寝て待つものだと思いますか」

「急ぐべきです。…師匠にそういうと、もっと周りを見ろ、と怒られますが」

「ふふふ、ランスロットさんのお師匠さんの言う通りです。状況に合わせるべきでしょうね。でも…」

「ええ。私が果報を寝て待ったばかりにアイルストが滅んでしまった。善は急ぐべきです」

「というわけでノイシュ、私たちは向こうで資料を整理しますから、あとは任せました」

「はっ!」

「頼みましたよ、ノイシュ。ランスロット殿もそれでよいでしょうか」

「(なんなんだこのロイヤル力は…歯が立たないぞ!)」

「どうしました、ランスロット殿」

「いえ。お気遣いありがとうございます。今日の午後は特に予定がありませんので、ぜひ教えていただきたいです」

「ふむ。ではノイシュ、ランスロットさん。頑張ってくださいね。私たちも何かあれば手伝いますから、何でも言ってください」

「姉上は手伝わないほうが…」

「なにか?」

「いえ」

「では、ごきげんよう」

 




みなさん古戦場はいかがお過ごしでしょうか。
私はまだ全く走れていなくて、非常に焦っています。


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⑤スカーサハとシエテ、村へ着く

ゼノサジ武器を装備して強くなる(予定)のスカーサハとシエテ


「あれ~。なんかやけに今日は静かだね~」

「そうか。人通りがないわけでもあるまい。そなたの気のせいではないか」

「そうだといいんだけどね~。この手の予感って言うのは外れたことがなくてさぁ。やれやれ」

魔物を蹴散らし、ジータの故郷の村にたどり着いたシエテとスカーサハ。村の様子を不審に思いながらもジータの生家を目指して歩を進めていた。

「スカーサハちゃん、気付いてる?」

「おぬしが我をいやらしい目つきで見ていることか」

「いや、俺普通に見てるだけなんだけど。そんなに不審者に見えるかなぁ」

「むしろ村人がそういう目で見ておるな」

「うわぁ…落ち込むなぁ。でもそうなんだよね、僕らのことをすごく警戒してみている」

「警戒されておるのは、お主だけじゃがな。まぁ、差し詰め前回何かやらかしたのだろう」

「そんなことないと思うんだけどね~。ちゃんとジータちゃんと仲良くしてるって伝えたし」

「感じたか、今村人たちの視線が鋭くなったぞ」

「嫉妬ってやつ?うそでしょそれこそ!」

「ふむ。自尊心が高いのも考え物だ。我はそこの丘でのんびりしておるから、お主は何が原因なのか突き止め、解決せよ。あまり待たせるでないぞ」

「うおおい!まじかーい!やれやれ~あんまりワガママだとお兄さんも困っちゃうよ~」

「ワガママか?合理的で理論的な判断だと思うが」

「はいはい、そうですねー。ま、このままじゃ居心地悪いしね。ちょっと行ってくるよ」

「さっさと行くがよい」

「あはは…」

こうしてシエテと別れ、スカーサハはなだらかな丘の上でひとり寝転ぶ。

空は青く、心地よい風が包む。

「お昼寝がしたくなる気分、というのはこういうことであるな」

目を閉じる。自然と今までの旅が脳裏を駆け巡る。

アイルストを出ようと言って。ノイシュとセルエルに止められて。しかたないからびっくりさせてみたりして――

そのまま夢の世界へと身をゆだねる。夢の中でもスカーサハはノイシュとの思い出に…

 

「と、なるとでも思ったか?そこにいるのは誰だ」

「わわわ、お兄ちゃん、気付かれちゃったよ!」

「おいバカ、声出すな!寝言だろ?くそう、くそう、まだ活路は――」

「活路なんてないぞ」

「うわあ、やっぱり気付かれてる!逃げよう!」

「まあ待て、お主らが危害を加えるつもりがないことは分かっている。安心せい。我も子どもに手をだすほど野蛮な龍ではない。こちらに来るがよい」

「か、体が勝手に…!」

「お兄ちゃん、こわいよ!危害加えてるよこれ絶対!」

「たわけ。そもそも勝手にのぞき見していたのはお主らの方であろう」

「…」

「何か言うことがあるだろう」

「すみませんでした」

「ごめんなさい!」

「ふむ。悪いと思っているのか。我はてっきり何か用があるのかと思っていたのだが…まあよい。名はなんと申す」

「俺の名前はパズウ!ジータちゃんに言われてここに来たんだ!」

「お兄ちゃん!?」

「え、どうかしたか?」

「なるほど、事情は分かった。あの小娘…なにか企んでおるな」

「あ…」

「もう、お兄ちゃんのバカ!」

「に、逃げよう…」

「逃げられるものなら逃げるがよい」

「無理でした!」

「もう、ほんとお兄ちゃんのバカ!アホ!ドジ!」

「ところでそちらの娘の名前を聞いていないが」

「あ、私はザンクティンゼルのキャスター。真名はまだ明かせないわ」

「ふふ、キャスターか。笑わせてくれるわ!魔術回路を所持しておらぬというのに…。まぁよい、幼さゆえの戯れ言であろう、許す。ではキャスター、お主はどうしてここへ来た?」

「お兄ちゃん…どうしよう」

「我はお主に聞いているのだ、ザンクティンゼルのキャスターよ。なぜ来た?」

「そ、それは山へ芝刈りに…」

「うそだ!!」

カラスが背後の木から一斉に飛び立つ。

「それはそれとして…さ、話すがよい。だいたいジータのことだ、想像はつくがな」

「実は私たち…」

 




タイトルのなんとなくさむ~い感じは狙ってやってます、大丈夫です。


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⑥シエテとあのおばあちゃん、対決す

シエテとスカーサハの絡みが最高!と思い書き始めたこの作品。
まさかあのおばあちゃんが登場するとは夢にも思っていませんでした。


 

「ふう。いくらなんでも俺の扱いひどくな~い?スカーサハちゃんにいじめられて、村人にまでいじめられるなんて…」

塀の上でのんびり昼寝している猫に話しかけるシエテ。やばい。

「にゃぐるるる!」

「え、まじ…?猫起こしちゃった上に怒らせちゃった上に噛まれて逃げられるなんて…俺、そろそろなんのために十天衆やってんのかわかんなくなっちゃいそうだよー」

「おやおや…こんなところにお客さんかい?」

「あら、ご婦人!こんにちは。俺はシエテ。観光のつもりで来たのに村人みんなに嫌われてるみたいで、あはは…」

「そりゃそうだろうね。私らがシエテさんを避けるのには理由があるからね」

「え、そうなんですか?その理由を教えていただけますか?」

「いいじゃろ、教えてやるわい。もちろん、ただというわけにはいかん。私に力を示してもらわねばな!」

そういっておばあちゃんはいきなりエーテルブラストを放ってくる。

「うわ、いくら俺でも危なかったよ!?」

「ふむ。気を見ればお主の実力は分かるが…さすがじゃ、ただよけるでもなく、周りの被害を考えて完全に消滅させてくるとは。十天衆と相まみえるのは初めてじゃが、楽しいのう」

「俺十天衆なんて名乗ったっけ?」

「はっはっは、その纏う気だけで分かるさ。名ばかり頭目であることもな」

「それは言わないでほしいなぁ…ってマジ?俺そんな名ばかりオーラ放ってんの?ショックだなぁ」

「まぁよいではないか。さぁ、さっさと本気を出すんだね」

レイジ・デュアルインパルスからの連撃。今度はシエテもかわすのが精いっぱいだった。

「ご婦人、やけに強いね…」

火属性で攻撃をしてくる。

「ああ、このご婦人きっとあの人だ…まさかザンクティンゼルにいただなんて…」

「ふん!ありょーー!よそ見してる暇はないよ!」

「うわっ、健康レベルが!」

「若いんだから健康レベルなんて気にすんじゃないよ!ふんっ!」

「あちゃー、手荒な真似はしたくないんだけどね~。十天衆の頭目にして剣の最強の使い手…シエテ、まいっ、うおう!?」

「くだらないおしゃべりはいいんだよ!」

「ご、ご婦人、いつの間に剣を…それ古戦場で獲得できる七星剣だよね!?いつの間に?というかなんで持ってるの?」

「わしに勝ったら教えてやるわ!」

「やべっ」

いよいよシエテも剣拓を展開する。

「この剣で相手をしよう。ふむ。振れるのは3回きりかな」

ピニャコラタソード。特に使用に制限はないが、シエテ自らが科した回数は3回。

「ご婦人、悪いけどちょっと静かにしてもらうよ~」

「そんなふざけた剣で黙らせられるわけないだろう!」

「1回目!」

シエテは見事な剣筋でおばあちゃんを捕らえる。七星剣を折るつもりだった。強力な魔力を込めて打つが…

「ええ~、ディスペル使った上でそんなノーダメージなんて」

ファランクスにかばうでも使って防いだのだろう、左腕でいともたやすくはじかれてしまう。

「あと2回か…厳しいかもね…」

「だから本気で来るんだよ!」

にらみ合う2人。そこへ――

 

「そこまでよ!」

 

謎のレスラーが現れた。




どうでしたか、クラス4を取るために苦戦した方も多いと思います。
これだけの使い手です、きっと全空でも有名なんだろうなぁと思います。

次回の更新は明日!
自動更新のやり方が分からないので、毎回適当な時間に更新してます。
読んでくださっている方は本当にありがとうございます。


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⑦スカーサハと兄妹、駆ける

続きはできてるんです!ちょっと更新するのが遅いだけなんです!
通信制限なんです!許してくださいm(__)m


「実は私たち…」

スカーサハは物陰から様子をうかがっていた兄妹の少年少女を見つけ、捕らえ、尋問し…おっと、何かがこちらに向かって飛んできたのでやめよう。

そして妹が仕方なく発したのだ。

「実は私たち、ジータちゃんに『スカーサハっていう女の子と友だちになってきなさい!』って命令されてきたんだ」

「場所を聞いたけどいるわけないと思ったら本当にいて…でも、声をかけられなくて見ていたんだよ」

「「本当にごめんなさい!」」

「はて?お主らは何を謝っているのだ?」

「え、だってお昼寝の邪魔をして怒ってるでしょ?」

「ふむ、そこか。それは別に構わぬ」

「それに私たち…こっそり見ていたわ」

「そうさな、気分の良いものではないが…我は…そうだな、オーラといえばよいか?人間のオーラならすぐわかるからな。お主らが悪い人間でないことくらい、すぐに分かるさ」

「かっけえな!オーラが見えるのか?スゲーや!」

「ええ!すごい!スカーサハさんすごい!」

「ふん、当たり前だ…我は真龍だぞ」

「あははは、龍には見えない!」

「…お兄ちゃん、それジータちゃんに言っちゃダメって言われたでしょ…」

「ほう…面白いことを言う少年だ。いいだろう」

スカーサハの体が緑の光に包まれる。

「グギャアア…!」

顕現したのは、真龍ディアドラ。

「う、うわあああ!逃げなきゃ!」

「我から逃げられると思うのか?」

「無理です!でも逃げなきゃー!ってあれ、お話できるの?」

「龍をなんだと心得ている?まったく、これだからおとぎ話や伝承というものは…」

「やっぱ龍ってかっこいいな!スゲー!」

少年はディアドラの体を触り始める。

「そうであろう。それに我はそこらの龍とはわけが違う。真龍であるからな」

「スカーサハちゃん…。もしよかったら、私たちを背中に乗せてもらえませんか?」

「ふむ。我の背中に乗りたいと申すか」

「俺も!俺ものせて!」

「落ちたら死ぬぞ?」

「お、俺は落ちねえよ!」

「私だってキャスターだからある程度は…いいえ、絶対、大丈夫!」

「これで15を超えていたらほんとに痛いやつだと思うが、自らを魔法少女と信じているサラと同い年くらいの少女であるから…おばさん心がぴょんぴょんする」

「え?で、どうなんだ。乗せてくれるのか?」

「そう答えをあわてるな、少年。いいだろう。乗せてやるから…ジータの家まで案内しろ」

「やったぁ!」

「分かったわ!任せて!」

「では乗るがよい」

「え、え、体が勝手に」

「乗れたな。よし、では行くぞ。どちらに向かえばいい?」

「あっちよ!」

「背中で指さされても分からぬ」

「あ、そっか…しゅん」

「何やってんだよ!俺の妹がこんなにドジするわけがない!」

「まあいいさ。こっちだな。適当に指示してくれ。行くぞ!」

「おー!」

「おー!」

こうしてスカーサハたちは青空の元、広大な草原を駆け出した。




なんだろう、スカーサハちゃんって誰と絡ませてもかわいい…最高…


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⑧ランスロット君とノイシュ先生、奮闘す

ロイヤルジョークはどうでもいいので、ロイヤルストレートフラッシュを当てたいですよね。


「あの時は本当に国がダメになるかと思いました」

「苦労されたんですね。藤村さん…いえ、祭司様…?ん?」

「ああ、執政官イザベラですね」

「そうです。失礼しました」

「いえ」

ランスロットとノイシュは料理を作っている。ノイシュが先生でランスロットはひよっこの生徒だ。

「ああ、そうですね。そこの切り方はそれでもいいのですが、こうすると食べる時に楽ですよ」

「なるほど!やはり食べる時のことを考えるのが大事なんですね」

「そうですね。食べてもらえてこその料理ですから」

「ビィくぅん!!愛をこめて作るよ~!食べてね~ああ、食べる姿を想像するだけで…!」

「ランスロット殿、今何か聞こえたような…」

「私もです。いったいなんだったんでしょう?」

「まぁ、大丈夫でしょう。では、続きを」

「はい、ノイシュ先生!」

「せ、先生ですか…?」

「そうです。教えていただいているのですから、敬意をもってお呼びしたい」

「聞きましたか、姉上」

「ノイシュ先生ですか。悪くない響きです。ノイシュ先生」

「!?セルエル様にヘルエス様!いったいいつからそこに?」

「さぁ、いつでしょう」

「さっきセルエル様を最終上限開放してきましたが、盗み聞きされたことに関してさぞかしお怒りになられてましたよね?」

「さてノイシュ先生。準備のほどはいかがですか」

「…ランスロットさんはとても器用で呑み込みが早く、とてもよくできています。あとはこちらの食材とこれを使ってスープを作ります」

「なるほど。それは良かった」

「ノイシュ先生、実は先ほどジータから連絡がありました。ザンクティンゼルで迷子になっていたヴェインを見つけたから、シエテ様とスカーサハ様と合流してもうすぐ戻るとのことです」

「それはよかった…!ヴェインはいつの間に迷子になっていたのか分かりませんが、本当によかった!」

「ランスロットさんったら。今晩はジークフリートさんやパーシヴァルさんもご一緒なさるとのことでしたから、お料理頑張るのですよ」

「姉上。それは内緒にと」

「あら、そうだったかしら」

「全く。困ったものですね」

「困っているのはお互い様よ」

「(なんなんだこの高貴すぎて仲がいいのか悪いかもわからないこの姉弟は!なにより、どうしてこの状況でノイシュ先生は微笑んでいられる?)」

「ヘルエス様。お料理が足りなくなるところでしたから、教えていただき、ありがとうございます。セルエル様もランスロット様にサプライズをしたかったのでしょう、ご配慮心に痛みます。万全の状態で晩餐が行えるよう、尽力いたします」

「ほら、セルエル。ノイシュ先生に気を遣わせてどうするのですか」

「姉上の一言が発端です」

「僭越ながら申し上げますが、お二人のうち先に『ノイシュ先生』と口にしたのはヘルエス様です」

「(なんだなんだ、今度はノイシュ先生が攻撃モードなのか?なんなんだこのアイルスト!どこからどこまでがロイヤルジョークなんだ??なんなんだこのアウェー感!)」

「あら、そうでしたっけ?それがどうかしましたか」

「…とにかく、今はお料理中です。ランスロット様もいらっしゃいますし、また後程にしましょう」

「(アイルスト組の中で怒らせちゃいけないのはセルエル様だと思っていたけれど、ノイシュ先生なのかもしれない…!)」

「姉上、我々はさっさと退場しましょう」

「そうですね。では、何かあれば私たちも手伝いますから呼んでくださいね」

「ランスロット様も優秀ですし、その必要はないかと。自室でおくつろぎください」

「ふふ、では行きましょう、セルエル」

「はい、姉上」

2人が去った後でノイシュがランスロットにも聞こえないような声で「もう少しお互いに素直になれないものだろうか…」などとぶつぶつ言っていたのは別の話。

 

 




プロットなしで進めてきた作品ですが、本日無事完結しました。あと5話ほどになる予定です。

更新をお待ちください!


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⑨シエテとあのおばあちゃん、和解する

別にシエテの扱いを邪険にしているつもりはないんですが…
この前のイベントでの扱いを見たら自然と…
(あれ、この前のイベントってもう1か月経つの!?)


「おやおや、お嬢さん。私たちの対決を邪魔するというのかい」

「そうだね、ジー…たったった、謎のレスラーさん」

「邪魔をするに決まってるじゃない!私の家の近くで騒いだらダメよ」

「ジー…えっと、レスラーさんのおうちはこの近くなのかい?それなら案内してくれよ」

「いやよ。怪しい男を入れるわけにはいかないわ」

「待て待て、わしとシエテさんの戦いを途中で止めたんだ、覚悟はできてるんだろうねぇ」

「なんのことかしら。この謎のレスラーXが現れたからには、覚悟するのはお前たちの方よ!」

「言いよるわい。ふん。その力はわしのおかげで得たであろうに…」

「あの時は、あの時。今は今。それに私、強くなったのよ?」

「いいじゃろう。ふん、生意気な小娘なんぞわが拳の前には塵も同然よ!」

「あ、あのー。ここは穏便に…」

「部外者は黙っとれ――」

「怪しい男は黙ってグラブルでもしてなさい。ほら、ゼノサジ1本で満足しない!妥協するな、走れ!」

「終盤に来ても俺の扱い…とほほ」

3人のにらみ合い…最もシエテは諦めきったすがすがしい顔で両者を見つめていた。

「おぬしら、何をしている」

「あ、あれってジータちゃんじゃない?」

「ほんとだ!それに最☆ツヨおばあちゃんだ!何してるのー?」

「ね、ねえ、俺の存在は?」

「あ、…ところでジータちゃん、今ね、スカーサハちゃんと一緒に遊んでたの!」

「ごめんなさい、ジータちゃんに言わないでって言われたけど言ってしまったわ…」

「チッ、今日はここまでだ。いったん退くが…次はないと思え」

「ふん、同じセリフをそのまま返してやるよ、小娘が」

「あの、え~と。状況説明お願いします」

「うるさい。シエテは黙っておれ」

「はい」

 

************************

「なるほど。スカーサハちゃんの事情は分かったよ。じゃあ今せっせと僕らのおやつを作らされて…自発的に作っている少年と少女はジータちゃんの差し金だったと」

「ふむ。そうだ」

「それでご婦人。俺が嫌われてる理由を教えていただけませんか」

「察しの悪いお兄さんだねえ」

「そうだな。まだわからぬか、シエテ」

「…いやぁ、なんとなくそんな気はしてたんだけどね?たぶん、ジータちゃんが何かを企んで村中に俺を歓迎しないように言いふらしたと」

「そんなところじゃ。さすが十天衆の頭目じゃな。名ばかりとはいえ」

「ごふじーん。最後の一言いらないよー」

「しかし、我でも何を企んでいたかは分からん。矛盾はしていないが…行き当たりばったりだからな。完全にジータの予想したストーリーの上ではないだろう、たぶん」

「俺たちがここに来るまでの時間でジータは村に先回りし、その道中に作戦を立てて村中に言いふらしたと」

「地の利があるからな。そこは無理ではないと思うが…さすがに準備期間が短すぎたな」

「よくわからないけど、これはジータちゃんに直接聞くしかないね」

「他にも手はあるぞ?そうだろ、ご婦人。お主はジータに何を言われたのだ」

「ここに見慣れない男が来たら応戦してくれ。それだけじゃ。他には…そうじゃな、他の人にはとにかくシエテが来たら冷たい視線を投げてくれと」

「なんのためだろう」

「ふむ。もう直接聞くしかあるまいな」

「スカーサハちゃん、できたよ!」

「あ、こっちまだだぞ!スカーサハちゃんも手伝ってよ」

「誰に向かって話しておる?」

「は、はい!真龍様もお手伝ってくれ」

「敬語も使えぬとは…日本語教育の水準が危惧されるわ。まあよい。ほれ、何をすればいい」

「え、スカーサハちゃんめっちゃ仲いいじゃん」

「そのようじゃな。はっはっは。幼い者が少ないから、こうして村外の人が仲良くしてくれるのは助かるのう」

「ふーん。そうか、だんだんジータちゃんの単純すぎる策が見えてきたぞ~」

 




伏線は回収されるもの――そんな固定概念を壊して見せる!!
(ごめんなさい、単純にジータちゃんの策をなんとなくでしか考えてなかったんです、それなのにシエテは見えてきたとか言ってて大丈夫かな)


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⑩シエテとスカーサハ、休息する

「おいしいね!2人でよく作ったね!」

「ふん、我も手伝ったのだから当然であろう」

「盛り付けだけだけどな!」

「お兄ちゃん、そんなこと言うと…」

「あー!俺のミックスパイが1切れなくなってる!?なんで!」

「自分で食べたのではないか?」

「スカーサハちゃん、人のを取っちゃダメです。謝りましょうね」

「シエテ。相変わらずうるさい。これではアイルスト王家の人間と変わらぬな」

「若いのがいると、大変楽しいのう」

全員でミックスパイをほおばる。それがいかに幸せなことであるか。シエテはかみしめていた。スカーサハも表情には出さないが声色が昂っていた。

「では、そろそろであるな」

「ちょっと世界救ってきますか」

「シエテお兄ちゃん、頭大丈夫―?」

「ただでさえニワトリみたいな頭してるのにやばくね?」

「ちょっと君たち…言っちゃいけないことってあるよね?」

「シエテ。いいから行くぞ」

「おわ、待って待って、ご婦人もお体をお大事に!」

「この通り元気じゃわい」

「何を言う。左足をかばっておろう。よいからゆっくり休め」

「え、最☆ツヨおばあちゃんケガしてるの?」

「病院行かなきゃ!」

「全く。いいんじゃよ、これくらい。ちょっと休めば治るから。さ、僕たちもおうちに帰るといい」

「えー、もうちょっとここにいるー!」

「そうよ!シエテお兄ちゃんが帰るまでは…キャスターの私がこの家を守るわ!」

「くうぅ…!」

「あ、ありがとうね。じゃあ行ってくるよ。ほらスカーサハちゃんもなんで顔赤くしてるのか分からないけど、行くよ?」

「ふん、言われるまでもないわ。さらばだ。元気でな」

「「ばいば~い!」」

 

こうして、スカーサハとシエテはジータの居場所…つまりジータの家まで行くつもりだったが…。

「お隣だもんね。もう着いちゃったよ」

「よいから中に入るぞ」

「お邪魔します…ってあらジータちゃん、何してるの?」

「見れば分かるわ。ポーションの作成よ」

アルケミストの姿をしたジータが魔方陣を使って怪しい薬物を調合していた。

「確かにポーションのようだな。これを使って何をするつもりだ」

「簡単なことよ。マハトマ・チェーンジ!」

ジータがベルセルクの姿に変身する。

「もしかして戦わないとダメっぽい?」

「うーがおー!」

「高らかに笑い笑えばフレンズという言葉もある。全力で行くぞ、シエテ。笑ってグランサイファーに戻るとしよう」

「著作権大丈夫かな…。ま、そういうことなら仕方ないね。外に出よう」

「レイジⅣ!ポンマス!ミスト!アマブレ!」

「うお、いきなりアビリティ全開だねぇ、ジータちゃん」

「うーがおー!」

「ボサっとするな。相手はバーサーカーだ。やられるぞ。ハート・オブ・ア・ドラゴン」

「あれ、バーサーカーだっけ?まあいいや、本気出しちゃおっかな~」

「出せ。全く…真龍の名、伊達ではないぞ」

「あー、こっち2人もいるのに見事にバフと攻撃アビリティしかないね」

「あちらのバーサーカーは火属性で六道武器・真を装備している」

「もともと風は背水だもんね。しのいでしのいで、最後に俺の3アビでとどめを刺す形かな」

「そんなにうまくいくとは思えんがな。やるしかあるまい」

こうして、最後の戦いの火蓋は切られた。

 




なんと気付けば次回が最終回で、その次のおまけ回でおしまいとなります。


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⑪シエテとスカーサハ、帰還する

一応、本編は最終回になります。今までありがとうございました!


「圧倒的不利だねー」

「十天衆あろうものが、あのような小娘に遅れを取ってどうする」

「健康レベルがなかなかたまらなくてねー」

「我が3アビのバリアが欲しいということか」

「お願いだよ~」

「断るわけにもいかない状況だな。いいだろう。もともと、村を案内してくれたら使ってやるという条件だった」

「そうなんだっけ?覚えてない人は読み返してみてね!作者も忘れてたって、その設定」

「だが、今回は特殊なケースだった。ジータの邪魔が入ったからな」

「そうかもしれないね…おっと、ここ見つかったみたいだからあそこまで走ろう」

「我に指図をするな」

「はいはい――それで、まだ真龍様のお気に召さない?」

「ふむ。では、次の町も案内せよ」

「ははーっ!必ずやご案内いたしましょう」

「決まりだな。では行くぞ。防戦一方は面白くない」

「次の1撃を防げれば健康レベルは3になる。頼んだよ、スカーサハちゃん」

「相変わらずなんか気持ち悪いな、お前にちゃん付けされると」

「そんなー。ま、それどころじゃないね!行くよ」

「いいだろう。我の加護を授けよう」

「うーがおー!」

「バーサーカーとは思えない見事な剣捌き…でも、もらった!」

ジータの攻撃を華麗に受け流し、その反動で剣を振り抜く。スカーサハのバリアのおかげで、ダメージはない。そして、必殺の3アビを使用する。

「こんなのはどう?」

「次で決めさせてもらうぞ、ジータ」

「七星剣――奥義!」

「真龍の名、伊達ではないぞ――」

「ディエス・ミル・エスパーダ!」

「クロイスタバイル!」

「「エアロデトネーション!!」」

「!?」

こうしてベルセルクジータは地に倒れ、ファイターの姿に戻った。

 

*********************

 

「はーい、ジータちゃん。特別に反省会でーす!」

「しゅん…」

「かわいいからゆる…ぶわっ」

「後ろから飛び蹴りさせてもらったが、さすがは十天衆名ばかり頭目。膝をつかないとは」

「そ、そりゃね…(俺じゃなきゃ死んでるよ!?)」

「えーと、かわいくても許されないことも世の中にはあるのです」

「そうだな。まずは犯行動機から述べてもらうとしよう」

「くすん…だって…2人が楽しそうに森に行くから…」

「だから?」

「まぁまぁスカーサハちゃん…ぶへっ」

「息の根を止めたつもりだったがかわしたか。してジータ、だから何だ」

「私も混ざろうかなって思ったんだけど…あ、いたずらしたほうが楽しいかな!って思って…」

「ほう」

「慌てていたずら考えてたらこんな感じになりました」

「ふむ、それが遺言でよいな。さて首を洗え」

「いやいやスカーサハちゃん、ストーップ!まだ聞かなきゃいけないことあるでしょ」

「そうか?」

「あるよ!やれやれ、まったくもう…まず、これは全部ジータちゃんの独断でやったものなの?」

「ビィ君も一緒に考えてくれたけど、全部私です」

「次。正直こんなくだらないいたずらを村の人が協力してくれるとは思えないんだけど…どうやって協力させたの?」

「わわ、私の言うことだからみんな聞くわよ!」

「そんなわけないと思うよ?」

「うう…高額のふるさと納税をしました」

「つまり金で解決したと。残念だなぁ、ジータちゃんをそんな風に育てたつもりはないんだけどなぁ」

「以後気を付けます」

「ジータちゃん。俺言ったよね。力には責任が伴うんだ。ノブリスオブリージュって聞いたことあるだろう?お金も力だよ。その使い方を間違えちゃったんだ。この責任はジータちゃんが思っている以上に重いと思うなぁ。きっとカトルやエッセルが聞いたら…。本当に残念だ」

「ごめんなさい…」

「俺やスカーサハちゃんに謝るのは当然だけど、他にも謝る人いるよね。最後。巻き込んだ村人にどう謝罪するの?」

「これからみんなの家に寄って行こうと思います」

「だってよ、スカーサハちゃん。どうする?」

「我は帰るぞ。実につまらん。ジータよ、あまり我を失望させるな。シエテもついて参れ。まさか幼い小娘を一人で歩かせはしまいな」

「そうだね。俺も行くよ。今回はしっかり反省してもらわなければならない。頼むよ、ジータちゃん」

「あ、シエテお兄ちゃんとスカーサハちゃん」

「へぇ、こういうタイミング見計らった感じ、作り話でしかないと思ってた…あ、おうちお隣だから本当にタイミングを見計らってたのか」

「ほう。してお主ら、何か用か?」

「えー、ひどい、友だちでしょ?これ、あげる!」

「友だち、か。悪くない。して、これは…石か?」

「そうだよ、俺のとっておき!」

「私からはこれ!」

「これはCCさくらの持っている杖…か」

「そうだよ!CCさくら知ってるんだ!すごい!さくらちゃんのお話今度しようね!」

「あ、ああ。いいだろう。ふん、では特別に最後に我が真龍に変身して貴様らをグランサイファーに連れて行ってやろうぞ!」

「え、うそ?スカーサハちゃん、それは…」

「よいなシエテ。お前はしっぽにでもつかまっておれ」

「やったー!楽しみ!」

「ありがとう!やったぁ!」

「えええー!」

次第に空も暗くなっていく。明るい月がこちらを見て笑っている。スカーサハは、やはり人里を歩くのは悪くない、と思うのであった。

 




最終回ということで、いつもの2倍の文字数です。
次回はおまけ回ですが、書いていて1番楽しかったです。


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エピローグ

2000文字中、地の文は最後の1文のみです。


「「いただきます!」」

「さあみなさん、思う存分食べてください!」

「こちらのお料理はランスロット殿が作られたものです。みなさまにお取りいたしましょう」

「いえ、セルエル様御自ら取り分けるなど…」

「ノイシュ。私もこちらの騎空団の一員です。それくらいはします」

「さ、左様でしたか」

「ふふふ、セルエルも随分気が利くようになったものね」

「姉上はそちらのノイシュ特製のお料理を取り分けてあげてください。全員に食べていただきたい」

「はい、わかりました。ふふ」

「我のいぬまに何やら楽しそうなことをしていたようだな」

「ノイシュがランスロットにアイルストの料理の作り方を教えていたのですよ。お味はいかがですか」

「ふむ。誠に…形容しがたいな…お世辞にも美味とは…」

「おまたせランちゃん!ってうおお、なんだこれ、うまそうだな!あのランちゃんがついに料理をするとは…俺、涙が出てきたぜ」

「お、おいヴェイン。セルエル様やヘルエス様のいる前で何を…」

「いいのですよランスロット。ようこそお越しいただきました、ヴェインさん。あちらへどうぞ」

「…本当に駄犬は騒々しい」

「お、パーさんじゃんか!パーさんも呼ばれてたんだな!」

「うるさい駄犬!それ以上その名を呼べば…貴様の料理は全て消し炭にしてくれる」

「ランちゃんやノイシュさんが頑張って作った料理を消し炭にするのは良くないと思います!な、そう思うよな、兄ちゃんも!」

「そうだな、人の作った料理は大事にしなきゃだ」

「だってよーパーさん」

「うるさい駄犬。子どもを味方につけるとは…その愚行、後で正してやらねばならんな」

「シエテお兄ちゃん、あの2人仲良しだねー!」

「あははは、そうだね、仲良しだ」

「それに赤いほうのお兄ちゃんはいちごが好きなのかな?」

「どうしてそう思うの?」

「え、俺もそうだと思うよ!だってあのお皿で大事そうに取ってるもん!」

「そうなんだ、パーさん」

「シエテ…貴様も消し炭にされたいのか?」

「い。いやぁ(俺ってせめて騎士の方々からは尊敬されてると思ってたんだけどなぁ)。それよりパーシヴァルさん、どうなんだい?いちご好きなのかい?」

「ああ。いちごは好きだ」

「私も好き!」

「そうか。ならやろうか」

「そんな大事そうに取ってたのに…」

「遠慮するな」

「ほんとにいいの?」

「ああ。ほら、皿を貸せ」

「ありがとう!」

「ふん。礼には及ばん。おいしくいただいてくれ」

「へへへ~いただきます!」

「かー!ランちゃん見たか?パーさんがさぁ…」

「みなさん本当に楽しそうですね。今日1日、充実されていたのでしょう」

「そうですね、姉上」

「あなたはどうでしたか」

「それはもちろん…姉上のマッサージに午後丸々費やすことができて大変光栄です」

「あら、丸々だなんて。たったの2時間じゃないかしら」

「…その言葉、お忘れなく」

「ふふふ、シエテ様も無事スカーサハ様を連れて戻ってこられたわ」

「それどころか、友だちまでできたようで…とても楽しそうですね」

「こういった人間の営みを経験されることも重要なことなのでしょう」

「ええ」

「これ、そこ!我の話をしていたであろう。真龍たる我にはなんでもお見通しであるぞ」

「これはスカーサハ様。友だちもできて、今日の旅はとても充実されていたようですね、という話をしていたのです」

「そうであろう。お主らが心配する必要などないのだ。安心するがよい」

「こら、スカーサハちゃん!心配してくれてる人にそういう態度はないでしょ?」

「ふん、シエテ。お主も余計なお世話だ。…だが、そうだな。たまには…その…ありが…とう…」

「ノイシュ。聞きましたか!」

「はい、セルエル様。これは事件です。なんということでしょう!!」

「うるさい、騒ぐでない」

「スカーサハちゃん、いいじゃねーか今日くらい!みんなで騒ごうぜ!」

「うるさい駄犬!おいランスロット!しつけは貴様の役目だろう!何をしている!早く黙らせろ」

「すまない、最後のデザートの準備で手が離せないんだ」

「うわお、ランちゃんがそんなことを…俺は感動したぜ!」

「黙れ駄犬。いや黙らなくてもいいから落ち着いて座れ!おすわり!」

「セルエル。そろそろ時間です」

「分かりました…えー、みなさん。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。ここで今日の出し物…ジータwithジークフリートのお二人に、宴会芸をしていただきましょう」

「ジータなんかやんのか!」

「ジータちゃん頑張って!キャスターの私も応援してるよ!」

「おい駄犬!なぜジークフリートがあのような服装をしている!」

「それはこっちのセリフだぜ?ランちゃん、どうなってるんだ?」

「お、俺もわからん…ジークフリートさん?」

「これも人間の営みなのか?」

「そうだよ、スカーサハちゃん。こうやって食事を楽しんで、芸を楽しむんだ。いいだろう、人間の宴会」

「そうだな。悪くない」

それぞれの思いを胸に、ひと時の暇を楽しむ一行であった。

 




これにてひとまずこの世界線とはお別れです。
圧倒的に地の文を減らして、可能な限り会話文で頑張ってきました。
読み返してみると説明不足だと思うところも多々あり、会話文だけで成立させるのは本当に難しいのだと改めて実感しました。

別のお話も書いていきますので、またどこかでお会いしましょう。


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エピローグ

2000文字中、地の文は最後の1文のみです。


「「いただきます!」」

「さあみなさん、思う存分食べてください!」

「こちらのお料理はランスロット殿が作られたものです。みなさまにお取りいたしましょう」

「いえ、セルエル様御自ら取り分けるなど…」

「ノイシュ。私もこちらの騎空団の一員です。それくらいはします」

「さ、左様でしたか」

「ふふふ、セルエルも随分気が利くようになったものね」

「姉上はそちらのノイシュ特製のお料理を取り分けてあげてください。全員に食べていただきたい」

「はい、わかりました。ふふ」

「我のいぬまに何やら楽しそうなことをしていたようだな」

「ノイシュがランスロットにアイルストの料理の作り方を教えていたのですよ。お味はいかがですか」

「ふむ。誠に…形容しがたいな…お世辞にも美味とは…」

「おまたせランちゃん!ってうおお、なんだこれ、うまそうだな!あのランちゃんがついに料理をするとは…俺、涙が出てきたぜ」

「お、おいヴェイン。セルエル様やヘルエス様のいる前で何を…」

「いいのですよランスロット。ようこそお越しいただきました、ヴェインさん。あちらへどうぞ」

「…本当に駄犬は騒々しい」

「お、パーさんじゃんか!パーさんも呼ばれてたんだな!」

「うるさい駄犬!それ以上その名を呼べば…貴様の料理は全て消し炭にしてくれる」

「ランちゃんやノイシュさんが頑張って作った料理を消し炭にするのは良くないと思います!な、そう思うよな、兄ちゃんも!」

「そうだな、人の作った料理は大事にしなきゃだ」

「だってよーパーさん」

「うるさい駄犬。子どもを味方につけるとは…その愚行、後で正してやらねばならんな」

「シエテお兄ちゃん、あの2人仲良しだねー!」

「あははは、そうだね、仲良しだ」

「それに赤いほうのお兄ちゃんはいちごが好きなのかな?」

「どうしてそう思うの?」

「え、俺もそうだと思うよ!だってあのお皿で大事そうに取ってるもん!」

「そうなんだ、パーさん」

「シエテ…貴様も消し炭にされたいのか?」

「い。いやぁ(俺ってせめて騎士の方々からは尊敬されてると思ってたんだけどなぁ)。それよりパーシヴァルさん、どうなんだい?いちご好きなのかい?」

「ああ。いちごは好きだ」

「私も好き!」

「そうか。ならやろうか」

「そんな大事そうに取ってたのに…」

「遠慮するな」

「ほんとにいいの?」

「ああ。ほら、皿を貸せ」

「ありがとう!」

「ふん。礼には及ばん。おいしくいただいてくれ」

「へへへ~いただきます!」

「かー!ランちゃん見たか?パーさんがさぁ…」

「みなさん本当に楽しそうですね。今日1日、充実されていたのでしょう」

「そうですね、姉上」

「あなたはどうでしたか」

「それはもちろん…姉上のマッサージに午後丸々費やすことができて大変光栄です」

「あら、丸々だなんて。たったの2時間じゃないかしら」

「…その言葉、お忘れなく」

「ふふふ、シエテ様も無事スカーサハ様を連れて戻ってこられたわ」

「それどころか、友だちまでできたようで…とても楽しそうですね」

「こういった人間の営みを経験されることも重要なことなのでしょう」

「ええ」

「これ、そこ!我の話をしていたであろう。真龍たる我にはなんでもお見通しであるぞ」

「これはスカーサハ様。友だちもできて、今日の旅はとても充実されていたようですね、という話をしていたのです」

「そうであろう。お主らが心配する必要などないのだ。安心するがよい」

「こら、スカーサハちゃん!心配してくれてる人にそういう態度はないでしょ?」

「ふん、シエテ。お主も余計なお世話だ。…だが、そうだな。たまには…その…ありが…とう…」

「ノイシュ。聞きましたか!」

「はい、セルエル様。これは事件です。なんということでしょう!!」

「うるさい、騒ぐでない」

「スカーサハちゃん、いいじゃねーか今日くらい!みんなで騒ごうぜ!」

「うるさい駄犬!おいランスロット!しつけは貴様の役目だろう!何をしている!早く黙らせろ」

「すまない、最後のデザートの準備で手が離せないんだ」

「うわお、ランちゃんがそんなことを…俺は感動したぜ!」

「黙れ駄犬。いや黙らなくてもいいから落ち着いて座れ!おすわり!」

「セルエル。そろそろ時間です」

「分かりました…えー、みなさん。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。ここで今日の出し物…ジータwithジークフリートのお二人に、宴会芸をしていただきましょう」

「ジータなんかやんのか!」

「ジータちゃん頑張って!キャスターの私も応援してるよ!」

「おい駄犬!なぜジークフリートがあのような服装をしている!」

「それはこっちのセリフだぜ?ランちゃん、どうなってるんだ?」

「お、俺もわからん…ジークフリートさん?」

「これも人間の営みなのか?」

「そうだよ、スカーサハちゃん。こうやって食事を楽しんで、芸を楽しむんだ。いいだろう、人間の宴会」

「そうだな。悪くない」

それぞれの思いを胸に、ひと時の暇を楽しむ一行であった。

 




これにてひとまずこの世界線とはお別れです。
圧倒的に地の文を減らして、可能な限り会話文で頑張ってきました。
読み返してみると説明不足だと思うところも多々あり、会話文だけで成立させるのは本当に難しいのだと改めて実感しました。

別のお話も書いていきますので、またどこかでお会いしましょう。


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