インフィニット・ゲッターロボ (赤バンブル)
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登場人物紹介と一部の設定

今更登場人物と設定です。


主要人物

 

織斑一夏

 

「インフィニット・ストラトス」の主人公で本作の主人公。白騎士事件後に姉の千冬と死別したため、幼馴染の箒の家である篠之家の居候になる。姉との死別後は空手も学ぶ様になり、中学の時は達人レベルになっている。しかし、大会で相手を大怪我させて以降は高校において帰宅部の身となっている。束の推薦でゲットマシン・イーグル号のパイロットになる。白騎士事件において束が千冬を白騎士のパイロットにしていたことは知っていたため最初は束を仇と思い、束と再会後はひどく冷たく当たっていたが恐竜帝国の登場と千冬の死の真相を聞いた後は軟化していった。箒とは仲がいい方で切っても切れない関係。

初期構想では苗字が「流」になり、原作の竜馬同様の登場をする予定だった。

 

 

篠ノ之箒

 

「インフィニット・ストラトス」のメインヒロインで本作のヒロイン。原作とは違い、両親と同居しているため、性格は軟化しており、道場破りをする一夏のストッパーになっている。千冬を亡くした一夏にとっての心の支えでもあり、彼の力になりたいと強く思っている。ゲットマシン・イーグル号のサブパイロット。束とは、仲がいい方だったが自殺(実はトリック)したときは相当のショックを受けていたが再会後は以前のように接している。

初期構想では、彼女が一夏と最初に接触する人物だった。

 

 

更識簪

 

「インフィニット・ストラトス」のヒロインの一人。原作とは違って捻くれてしまい、実家から離れて不良校を支配し、学生運動家へとなっていた。姉である楯無に対しては出来の違いによる嫉妬もあり、冷たく当たっていたがゲッターチームに入った後はやや改善されたらしい。ゲットマシン・ジャガー号のパイロット。ちなみにスリーサイズは原作よりも成長しており、胸の方は姉よりも大きい。

初期構想においてのこのポジションは、ラウラがやる予定だったが結びつけるなら日本人の方がいいという判断で彼女に変更された。

 

 

巴武蔵

 

「ゲッターロボ」の登場人物。こちらでは一夏の友人、五反田弾と友人で共に柔道をやっていた身だった。大雪山で修行をしていたところを恐竜帝国から逃げてきた蘭を保護して、共に行動するようになる。ちなみに原作ではイーグル号に乗り込んだがこちらでは後の愛機でもあるベアー号に乗り込んでいる。

初期構想ではこのポジションは弾の予定だったが「武蔵のポジは武蔵しかいない!」という判断で原作同様に彼になった。

 

 

 

早乙女束(篠ノ之束)

 

「インフィニット・ストラトス」におけるISの生みの親であり、本作ではゲッターロボの開発者。白騎士事件後に謎の死を遂げた千冬の件で偶然同じ現場で出会わせた早乙女博士の元に行くためにISの研究資料をすべて処分し、偽の自殺を行って姿を暗ました。早乙女博士の死後は彼の研究を引き継いでゲッター線の研究をする傍ら、ゲッターロボの開発を行った。本作では、博士の長男である達人と結婚し、長女のミユキを授かっている。一夏と箒への対応は原作と同様だが、助手であるクロエを火炎放射器で焼き殺したり、殺し屋に一夏を襲うように言うなどマッドサイエンティスト的な面もある。

大雪山戦ではクロエの代わりにベアー号を操縦する。

 

 

早乙女ミチル

 

「ゲッターロボ」のヒロインで束の義理の妹。研究所に運ばれた一夏の手当てをした。一応、コマンドマシンに搭乗している。

 

 

クロエ・クロニクル

 

束の助手。いつ死んでも「ゲッターロボアーク」における巴武蔵司令官の如く、研究所の地下にある予備の体で復活する(本人も了承している)。ベアー号のパイロットが不在のため彼女が操縦している。大雪山戦においては達人の元へデータを届けに出かけてしまったため、搭乗していない。

 

 

布仏本音

 

簪の専属メイドであり、幼馴染。一度、簪に追い出されるがゲッターチーム加入後はメカニックとして呼び戻される。性格は原作とほぼ同じ。

 

 

更識楯無

 

「インフィニット・ストラトス」のヒロインの一人。こちらでも更識家当主となっているが身体能力は簪より劣っている。簪のゲッターチームへの加入に反対していたが一夏の発言と簪の意志を認めた上で了承した。お目付け役として本音を研究所に派遣する。

 

 

早乙女ミユキ

 

束と達人の娘。好奇心旺盛で所長室の壁いっぱいに落書きをする、かくれんぼで戦闘中のベアー号の中に隠れるなどトラブルを引き起こすことが多い。束は彼女を溺愛している。束のことは「ママ」、ミチルを「ミチルおばちゃん」と呼んでいるが一夏たちに対してはどう呼んでいるのかは不明。

名前の元ネタは、テレビアニメ版「ゲッターロボ」に登場する帝王ゴールの娘「ゴーラ王女」の人間態「早乙女ミユキ」から。

構想段階ではこのポジションは元気の予定だった。

 

 

五反田蘭

 

一夏の友人、五反田弾の妹。原作同様に一夏に好意を持っていたが本作では箒がいるため、距離を置いている。武蔵のことを「武蔵先輩」と呼び、彼のことを慕っている。同級生と担任と共に大雪山のハイキングコースの下見をしに来たところを恐竜帝国に捕まりそうになり、逃げて怯えていたところを武蔵に見つけられ、以降は共に行動するようになる。恐竜帝国の手により、弾も含める家族を失ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐竜帝国

 

 

地底魔王ゴール

 

恐竜帝国の支配者。地上を支配するべく、行動しているもののゲッターロボの妨害により手を焼いている。白騎士事件後の帰還中であった白騎士をメカザウルスに襲わせるように命じたことを一夏に話したせいで一夏につけ狙われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他

 

 

篠ノ之両親

 

箒の両親。本作では深くは語られていないがどちらも健在。

 

 

織斑千冬

 

一夏の姉。白騎士事件時に白騎士に搭乗し、ミサイルを迎撃するが帰還中にメカザウルスに襲われ死亡する。

 

 

五反田弾

 

一夏の友人。武蔵とは柔道仲間であったが背骨を傷めて引退する。恐竜帝国の手で家族諸共死亡する。

 

 

早乙女達人

 

早乙女博士の長男でミチルの兄。原作・アニメでよく死ぬがこちらでは束と結婚して死んではいない模様。

 

 

 

 

 

設定

 

世界観

 

「白騎士事件」後に束が資料もすべて処分した上で自殺したため、ISは「白騎士」のみとなっている。そのため、「女尊男卑」になっていない。

 

 

ゲッターロボ

 

本作では早乙女博士の研究を束が引き継いで完成させている。デザインは漫画版だが製作者が束のため、魔改造される危険性がある。

 

 

 

 

 

 



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一夏が行く

本当は漫画版をベースにしたかったのですが漫画がどの店でも売っていなかったため大半は私の脳内記憶と漫画版にちょっと似た「新ゲッターロボ」をベースにしています。


200X年

 

篠ノ之束は宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ、「IS」正式名称『インフィニット・ストラトス』を学会で発表。その一月後、第一世代型IS「白騎士」が日本に向けて発射された2341発以上のミサイルを撃墜するという驚異的な性能を披露する。

 

本来の歴史ではここでISは兵器としての価値を見出され、社会は女尊男卑へと移り変わるはずだった。

 

 

 

だが、事件終結間もなくして、篠ノ之束は突然、謎の自殺を遂げた。ISに関してのデータを全て抹消した上に全てが謎に満ちていた。。

 

 

既存の兵器全てを上回る超兵器になりえると考えられたISは闇に葬られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、10年後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある空手道場

 

「オラオラ!もうこんなもんか!?」

 

一人の少年が道場で多数の相手を捻じ伏せていた。

 

「この野郎!!」

 

一人の大柄な男が少年の顔に向かって思いっきり殴りつける。

 

「ハッハハハ!どうだ?たった一人のくせに道場破りになんて来るから・・・・・何!?」

 

大柄な男は、自分に殴られても全く動じない少年の反応を見て驚く。少年は、男の腕を掴むと曲げて関節を固定させる。

 

「いでででででで!!!」

 

「どうしたよ?もう泣きわめいてやがんのか?こんなんでよく空手なんかやっていられるもんだな?」

 

少年はニヤリと笑いながら言う。

 

「わ、わ、わ、悪かった!俺が悪かったから手を離してくれ!」

 

「手を離してくれだぁ!?」

 

少年は腕に力を入れて関節を外そうとする。

 

「だ、だだぁ!?」

 

「今更許してくれだぁ!?ふざけるんじゃねぇ!!てめえら遊びで空手やっていやがったのか!恥を知りやがれ!」

 

少年は男を思いっきり蹴り飛ばす。男は道場の壁に激突し、それを見て他の門弟は恐怖に震える。

 

「へっ!つまんねえな!これが空手だって!?生温いぜ!これじゃあ、ダンスだ!!・・・・・おい、次俺を相手にする奴はいねえのか?」

 

少年は、周りを見て言う。無論、答える者はいない。

 

「なあんだ、全員で飛び掛かってくればいいのによ・・・・・・肝っ玉のちいせえ奴らだな・・・・・」

 

「一夏!!」

 

「あぁ?」

 

少年は後ろを振り向く。そこにはポニーテールの同じぐらいの年の少女が息を切らせながら入ってきた。

 

「なんだ、箒じゃねえか。」

 

一夏と呼ばれた少年は、鼻から出ている血を手で拭いながら言う。そんな一夏に対して、箒はさっさとハンカチを取り出して鼻血をふき取る。

 

「なんだ、じゃないだろ!あれほど道場破りとかするなって言ったのに!!」

 

「それはお前が勝手に決めた約束だろ?俺が知ったこっちゃねえ。」

 

「とにかく!道場の人に謝れ!勝手に上がってきたうえにこんなに暴れて・・・・・・・・もう、何でいっつもこんなことしかしないんだぁ・・・・・うぅ・・・・いつもいつも・・・・・・・」

 

箒は泣き始める。

 

「お、おい!?な、泣くなよ!?」

 

「だって・・・何回言ってもやめないし、学校ではいつも無視するし!家では構ってくれるのになんで私のことを見てくれないんだあぁ!!私のこと嫌いなんだろ!!そうなんだろ!?わあぁぁ~!!!」

 

「なんで急にそんな話になるんだよ!?・・・・・っておい、てめえら!そんな哀れそうな目で俺たちを見るんじゃねえ!!」

 

泣いている箒を泣き止ませようとする一夏は慌てて彼女を引っ張りながら道場から逃げるように出て行った。

 

「ほら、もう泣くなよ。俺が悪かったからさ。なあ?もう、やらねえからよ・・・・・・泣き止んでくれよ・・・・・」

 

「うぅ・・・・・」

 

一夏は、箒に語り掛けながら歩いて行く。その様子を何者かが付けて観察しているというのに気付かないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・・目標を確認しました。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

 

『候補者・織斑一夏。

 

年齢16歳。血液型A型。

 

幼少期、唯一の血縁者である姉に続いて剣道を学び、篠ノ之箒とは幼馴染の関係。200X年に起きた白騎士事件後に姉は事故死。その後、篠ノ之家に引き取られ、以降は居候。

 

姉との死別後、空手も始め、数年で段位を習得、それだけではなく剣道も怠らずにたしなんでいるため、篠ノ之家道場では稽古をつけることもたまにある模様。

 

しかし、それとは別に性格がかなり好戦的で道場破りをしに行くなど問題点が多く、かつて中学生の3年の全国大会で対戦相手を大怪我させるという事件を起こしています。これ以降は部活には入らず、現在通っている藍越学園では帰宅部状態。

 

しかし、篠ノ之箒とその家族といるときは、昔のように接しているようです。』

 

「はいはい。報告お疲れ様。じゃあ、今夜早速仕掛けて。」

 

『しかし、よろしいのですか?死んでしまっては・・・・』

 

「大丈夫大丈夫。こんなことで死ぬようないっくんじゃないから。」

 

『はあ・・・』

 

「じゃあ、私もそっちに行くから。」

 

『博士自らがですか?』

 

「うん、十年ぶりに妹の顔が見たくなったしね。」

 

『分かりました。』

 

暗い部屋で通信を終えると女性は、部屋から出て、格納庫へ行く。

 

「私の目に狂いがなかったらいっくんがこれに乗ることになるのか・・・・・」

 

目の前には赤いボディーカラーの鬼のような二本角を持ったロボットの上半身がぶら下がれていた。

 

「ゴメンね、ちーちゃん。私はいっくんもこの件に巻き込ませることになっちゃったよ・・・・・・でも、どうしても必要なんだよ。十年前、ちーちゃんを殺した奴らを倒すために・・・・・・・」

 

女性は一枚の写真を見ながらつぶやいた。そこへ黒ずくめの男二人が来る。

 

「早乙女 束博士、準備が整いました。」

 

「うん、じゃあ、行こうかな。十年ぶりの実家へ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之家

 

「・・・・・・」

 

一夏は胡坐をかいて目の前にある仏壇を見ていた。

 

「一夏、夕飯ができたぞ。今日は父さんと母さんは、結婚記念日で家には私たち二人・・・・・また、千冬さんを見ていたのか。」

 

箒は、一夏の隣に座る。

 

「千冬姉は、『天才』って呼ばれていた。俺みたいな中途半端な奴じゃなくて勉強もスポーツも何でもできて俺にとっては憧れの存在だった・・・・・・・なのに・・・・あの事件が起きた日から帰ってこなくなって、届いたのは死亡届だけだった。」

 

「・・・・・一夏。」

 

「俺はどうしても知りたかった。千冬姉がどうして死んだのか?どうして、遺体すらなかったのか。だから、俺は千冬姉の遺品の中から手がかりになるものを探した・・・・・それで犯人が分かった!」

 

一夏は拳を強く握りしめ始める。

 

「千冬姉の日記帳に消える数日前の日に束と接触してあることを計画していたことが分かった!それがあの白騎士事件だった!!そして、千冬姉が白騎士だった!」

 

力が強くなってきているせいか一夏の拳から血が流れ始める。

 

「あの日のニュースに白騎士が落ちたとか搭乗者が死んだとかそんな知らせはなかった!!真実を知ろうにも束の奴は証拠を全部消して死にやがった!!アイツが千冬姉を殺しやがったんだ!!」

 

一夏は悔し涙を流し始める。

 

「アイツが!アイツが!!」

 

「一夏、姉さんのことは・・・・・」

 

「俺はアイツが憎たらしい!!千冬姉を奪って!証拠も残さず死んで逃げて行ったアイツのことが!!」

 

「もういいからやめてくれ!!」

 

箒は彼を抱きしめながら叫ぶ。

 

「姉さんはもういないんだ・・・・・・・・それに何をやっても千冬さんは帰ってこない・・・・・だから・・・・もう、そんなことを言わないでくれ・・・・・」

 

「ほ、箒・・・・・」

 

「私は、優しい一夏が好きだ・・・・もう、これ以上・・・・・・これ以上・・・・怖い一夏にならないでくれ・・・・・・」

 

箒は泣き始めた。一夏は頭が冷えたのか箒の背中をさすりながら落ち着かせようとする。

 

「俺が悪かった・・・・・・辛いことを思い出させちまったな・・・・・・箒は束・・さんと仲が良かったから、死んだときショックだったもんだよな・・・・・・・悪い。」

 

一夏は、箒が落ち着くまで抱きしめていた。しばらくすると箒は少し顔を赤くして一夏と顔を見合わせる。

 

「は、恥ずかしいところを見せてしまったな・・・・・」

 

「き、気にすんな!俺たちの仲だからな!?そんな細けえことは気にしなくていいんだよっ!」

 

「そ、そうだな!?もう、夕飯にしよう!」

 

二人はさっさと部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 

そのとき丁度玄関からチャイムが鳴った。

 

「あれ?父さんたちが帰ってくるのにはまだ早いはずなんだが。」

 

箒は玄関へと向かい戸を開ける。

 

外には小柄の男と飾りなのか刀を腰に付けた和服の男が立っていた。箒は一瞬、一夏にやられた被害者なのではと思った。

 

「あの・・・・こんな遅くに家へ何の用に・・・・・」

 

「逃げろ箒!!」

 

一夏が叫んだ直後、小柄な男が懐からナイフを無数に取り出し、箒に向かって投げて来た。

 

「きゃあぁぁぁ!?」

 

箒は一歩早く姿勢を低くしたため、ナイフを回避することはできた。しかし、引き続いて和服の男が刀を引き抜いて、箒に斬りかかってくる。

 

「箒!」

 

一夏は箒を引っ張り上げ、攻撃を回避させる。

 

「家の中じゃ不味い!」

 

一夏は箒を抱いたまま窓から飛び出し、外へと逃げる。外は雨でどしゃ降りになっており、二人は瞬く間にずぶぬれになった。

 

「俺の手を離すんじゃねえぞ!」

 

一夏は箒の手を握ったまま道場の方へと行く。道場の中に入ると箒には取りあえず防具を付けさせ、自分は木刀をとる。少し経つと男二人組は道場へと侵入する。

 

「箒、いざとなったらお前だけは逃げろ!そして、おじさんたちにこのことを知らせるんだぁ!」

 

「でも、そんなことをしたら一夏が・・・・」

 

箒が言いかけた直後、後ろの壁がふきとび、二本の腕が一夏の頭を捕らえる。

 

「なぁにぃ!?」

 

一夏は木刀を放し、拘束している腕を取り外そうとする。しかし、力は強く、一夏の頭は今にも押し潰されそうだった。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!?」

 

「コイツ!一夏を離せ!!」

 

箒は思いっきり木刀を一夏の頭を握り潰そうとしている大男の股間の間に向かって叩きこむ。

 

「ぐ、ぐぅう!?」

 

大男は股間に両手で押さえて倒れ込む。

 

「助かったぜ、箒!」

 

一夏は態勢を整え直すと大男へ回し蹴りを喰らわせる。吹き飛ばされた大男は刀を持った男と衝突し、刀の男は自分の剣に突き刺さり倒れる。

 

「ひっ!?」

 

ナイフの男は、二人が倒れたことに動揺して、箒に向かってナイフを数本投げる。

 

「させるか!」

 

一夏は刀の男の折れた刀の一部をナイフ男に向かって投げると同時に箒の前に立ってナイフを弾き飛ばす。

 

「ぐっ!?」

 

しかし、一本返し損ね、ナイフが一夏の腕に刺さる。

 

「一夏!?」

 

「ひぃぎゃぁぁ!?」

 

一方のナイフ男は一夏の投げ飛ばした刀の一部で腕を切断され、出血に混乱しながら倒れた。

 

「い、一体何だったんだ?」

 

一夏はナイフを抜きながら言う。すると少し離れた場所から拍手の音が聞こえた。

 

「「!?」」

 

「いやぁ~ブラボーブラボー~。やっぱり私の目に狂いはなかったね~。」

 

一夏は声のした方を見る。そこには黒ずくめの男二人と一人の見覚えのある女性がいた。

 

「て、てめえは!?」

 

「ね、姉・・・・・・さん?」

 

「はあぁい、元気にしていたかな?いっくん、箒ちゃん。」

 

束(?)は手を振りながら笑う。

 

「てめえぇぇぇぇぇ!!!生きていやがったのかあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一夏は、怒りの眼で束(?)に襲い掛かる。黒ずくめの男たちはピストルから銃声を鳴らすが怒りのあまりに一夏は何も気にしていない。

 

「ば、馬鹿なぁ!?」

 

「てえぇりゃあぁ!!!」

 

「ぐわあぁ!?」

 

「この!!」

 

「うおぉ!?」

 

 

パチンッ!!

 

 

「!?」

 

一夏が黒ずくめの男を攻撃している隙に束(?)は自分の履いていたハイヒールで一夏は頭を叩きつけられた。

 

「・・・・・・・・」

 

「もう、大の男の子がそんなに怒っちゃダメ。」

 

「・・・・・・は、ハイヒール?・・・・って、てめえぇぇ・・え・え・・・えぇ・・・・・」

 

一夏は力尽きるように倒れた。

 

「一夏!?」

 

箒は倒れた一夏の元へと走り、抱き上げる。

 

「一夏!一夏!!」

 

「大丈夫だよ、ちょっと眠っただけだから。」

 

箒は説明する束(?)の方を見る。

 

「ほ、本当に姉さんなのか?」

 

「うん、正確には篠ノ之束じゃなくて早乙女束なんだけどね。」

 

「?それは一体どういう・・・・・」

 

「悪いけど箒ちゃんも一緒に連れて行くよ。いっくんにとっては大事なキーパーソンだから。」

 

そう言うと束(?)は懐からピストルを取り出し、箒に向かって発砲した。箒はその場で倒れる。

 

「君たち~いい加減に起きなよ。」

 

束が声をかけると一夏に倒された黒ずくめの男二人が起き上がる。

 

「な、なんて奴なんだ・・・・・・狩猟用麻酔だぞ。」

 

「普通の人間なら致死量の物だ。」

 

「まあ、今のいっくんは昔のいっくんと違って普通じゃないからね。」

 

束はニヤリと笑いながら眠っている一夏を見る。

 

「しかし、よろしいのですか?妹様にも同じように撃って。」

 

「大丈夫、少し薄くしているから。」

 

「全然大丈夫ではないと思いますが・・・・・」

 

「そんなことよりも二人を研究所に運んで。」

 

男は一夏と箒を担ぎこんで移動する。

 

「あと、家に書置きを残して・・・・・修理代は後で渡しますっと。これを家のリビングに置いてきて。」

 

束からメモを受け取ると残った方の男もその場から離れる。それを確認すると束は携帯をいじる。

 

「あっ、ミチルちゃん?私なんだけど、帰ってきたら救急箱持ってきて医療室のベッド二つ準備して。すぐ帰るからよろしくね。」

 

そう言うと束もその場から消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして、ここから本来の歴史とは異なる物語が始まろうとしていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 




突如、早乙女研究所の拉致された一夏と箒。

しかし、そこで会ったのは自殺したはずの束。

彼女は、十年前の真実と自分たちの敵について語ろうとする。

しかし、そこへ魔の手が!!

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「明かされる事実と敵」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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明かされる事実と敵

中古、書店、全部探してみたけど・・・・・・漫画版、なかったぜ(ヽ''ω`)




???

 

「・・・・・・う、うぅ・・・・・」

 

一夏が、意識を取り戻すと目の前には見覚えのない天井が映っていた。

 

「俺は確か・・・・・・・そうだぁ!束の野郎!!・・・・・痛!?いててて・・・・・・・」

 

「無理しちゃダメよ、動くと傷に響くから。」

 

「ん?」

 

一夏は聞き覚えのない声を聞いて起き上がる。寝かされていたベッドのすぐ脇には、自分よりも少し年上か同じぐらいの女性が座っていた。

 

「あ、アンタは?」

 

「早乙女ミチル。運び込まれたあなたたちの面倒を見るように言われたの。」

 

「そ、そうか・・・・・・ほ、箒は!?」

 

「貴方の隣のベッドで眠っているわ。」

 

一夏は反対側を見る。反対側では箒も同様にベッドで寝かされていた。

 

「し、死んじゃあいねえだろうな?」

 

「眠っているだけよ。」

 

「ホッ。」

 

一夏は安心してホッとする。

 

「お姉さんの言う通りね。箒ちゃんのこと一番大事に思っているって。」

 

「そ、そんなわけじゃねえよ!?コイツ、強がりなところがあるだけどいざとなると俺がいねえとダメになっちまうんだ!だからついて・・・・・・・って、お姉さんって誰だよ?」

 

一夏は不思議そうにミチルに質問する。

 

「束お姉さん、貴方たちをここに運び込んで面倒見るように言ったのはあの人なのよ?」

 

「あの野郎!」

 

一夏はベッドから飛び上がって部屋を出ようとする。

 

「ちょ、ちょっとどこへ行くのよ!?」

 

「アイツをぶちのめす!!千冬姉の仇を取ってやる!!」

 

「お姉さんには好きにしてもいいって言っているけどまず着替えないと・・・・・・」

 

「えっ?」

 

一夏は自分の下を見る。そこでようやく自分が何も履いていないことに気がつく。

 

「ぱ、パンツまで脱がしたのかよっ!?」

 

「だって、ここで運び込まれたとき二人ともびしょ濡れだったのよ?」

 

ミチルは後ろを振り向いて答える。一夏は慌ててベッドの脇に置いてある下着と服を着る。着替え終わると同時に部屋のドアが開いた。

 

「!?」

 

「織斑一夏さんですね。束様がお待ちしております。」

 

それは、黒の眼球に金の瞳に流れるような銀髪を持った少女だった。

 

「私は、クロエ・クロニクル。束様の助手をしている者です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所 

 

「おい!一体どこまでついて行けばいいんだ!?」

 

箒が目を覚ました後、一夏たちは、クロエの案内の元、研究所の中を歩いていた。

 

「この地下エレベーターにお乗りください。」

 

「・・・・・・」

 

一夏は不審に思いながらもエレベーターに乗る。

 

エレベーターは、地下へ地下へと降りて行き、止まると唖然とする光景が広がっていた。

 

「な、なんだぁ!?このロボットの残骸の山は!?」

 

そこにはいくつものロボットの残骸が転がっていた。どれもこれも中途半端になっているものもあれば壊れたようなものもある。

 

「こ、これは一体・・・・・・」

 

箒は思わず一夏に抱き付いて怯える。そんな二人に構わずクロエは冷淡に答えた。

 

「これは束様の研究実験で失敗したものです。」

 

「じ、実験だとっ!?」

 

「はい。」

 

「・・・・・・・けっ、まあ、千冬姉を平気で殺したってんなら納得できねえわけでもねえがな。」

 

「一夏・・・・」

 

一夏はそんなことを言いながらも施設の中を歩いて行く。しばらくすると一つの部屋の前へとたどり着いた。

 

「ここで束様はお待ちしております。」

 

「ここにか。」

 

一夏は鋭いまなざしで見る。

 

「では、私は次の仕事がありますので。」

 

そう言うとクロエはもと来た道を去って行った。一夏はミチルにセキュリティーを解除してもらうと部屋の中へ入る。

 

「束!!どこにいやがる!!姿を見せやがれ!!」

 

部屋は暗く、何があるのかさっぱりわからない。確認できるのは机の上に何かが布で隠されているぐらいだった。

 

「おかしいわね?今日はもう部屋に閉じこもっているって言っていたのに・・・・」

 

ミチルも不思議そうに言った。箒は、布で何が隠されているのか気になって取ってみる。

 

「ひっ!?」

 

「どうした、箒?・・・・・ってなんだぁ!?」

 

それは容器に不気味な液体に入っている・・・・・・・女性の右手だった。

 

「お、女の・・・・・・右手?」

 

 

 

 

 

 

「そう、それが唯一残ったちーちゃんの体の一部だよ。」

 

「何ィ!?」

 

一夏は後ろを振り向く。そこにはさっきまでいなかったはずの束が立っていた。

 

「お姉さん!?」

 

「姉さん!?」

 

「改めて言うと十年ぶりだね、いっくん。」

 

「どういうことだ束!?これが千冬姉の右手だと!?ふざけるんじゃねえ!!」

 

一夏は束の襟をつかんで言う。そんな一夏の行動に動じることなく束は冷静に話し始める。

 

「私が殺したと思っても無理もないだろうね。なんせ、あの事故でちーちゃんを死なせちゃったのはどうあれ私に原因があったんだから。」

 

「何をゴチャゴチャ言っていやがる!?」

 

「・・・・・・・あれは十年前の白騎士でのミサイル迎撃が終わってすぐ後のことだったよ。」

 

束は一夏の手にそっと手を置いて、拘束を解くと近くのソファーに腰を掛ける。

 

「私はちーちゃんと連絡を取り合いながら彼女がこれから帰ると言ってすぐ後だったよ。白騎士の反応が突然レーダーから消失しちゃったんだよ。」

 

「消失!?でも、そんなことなんの報道もされなかったぞ!?」

 

「表では信じてもらえそうになかったからね。反応が消えて二時間後、心配になった私は、試作機でちーちゃんが消えた辺りのポイントを調査に行ったんだ・・・・・・そして、見つかったのがその右手と待機状態に戻った白騎士。」

 

束は、暗い顔をしながら話を続ける。

 

「私には信じられなかったよ・・・・・ミサイルを全て撃墜してシールドエネルギーをかなり消耗したとはいえ、ちーちゃんが右手だけ残していなくなるなんてね。そんな唖然としていた私の元に一人の男が来てこう言ったんだよ。『おそらく彼女も奴らにとって邪魔だと判断されたんだ。』とね。」

 

「奴ら?」

 

「私はその話を聞いて決めたんだ。『ちーちゃんを殺した奴を絶対に許さない』と。そして、私はその人の力を借りて自分の自殺を装って君たちの前から姿を消した。」

 

「でっ、でも、姉さんの死体はその時に起きた火事で一緒に燃えて・・・・」

 

「あぁでもしないと証拠が残っちゃうからね。私は、その男、早乙女先生の元で奴らに対抗するための兵器を開発することにした。そして・・・・・」

 

「早乙女って・・・・」

 

「私のお父様のことよ。もう、いないけど・・・・・」

 

ミチルは悲しい表情で答える。

 

「いないって・・・・・」

 

「先生は、病魔に侵されていて私と会ったときは既に立っていることが不思議なぐらいの人だったんだよ。その後も私に研究のすべてを託すまでの間5年間生き続けたよ。」

 

「でも、どうしてアンタはISでその『奴』とかって言うのをやろうとしなかったんだ?あのミサイルを全部撃ち落とした代物だったら簡単だろ?」

 

「ISは飽くまでも宇宙進出のためのマルチ・スーツとして作ったんだよ。それとあるプログラムを入れたせいで兵器としても不十分。だから、どうしても別の方法でやるしか道はなかったんだよ。」

 

「他の方法って・・・・・」

 

 

その直後、部屋に緊急サイレンが流れる。

 

「今度は何だぁ!?」

 

一夏が動揺している中束は机のパネルを操作する。

 

「何が起こったの?」

 

『け、研究所にトカゲの大群が・・・・・・うわあぁぁぁ!?』

 

連絡先の声の主が悲鳴を上げて何も聞こえなくなる。

 

「ちっ、奴らめ。もうここへ攻めて来たか。」

 

束は椅子に座ると椅子が勝手に動き出し、壁を開けて移動して行く。

 

「ミチルちゃん、いっくんたちを格納庫に連れて行って!」

 

「でも、お姉さん!ゲッターはまだ未完成よ!?達人兄さんだってロールアウトまでにあと三日は・・・」

 

「イーグル号だけなら何とか出せるよ!!それにたっちゃんからは私が言っておくから!急いで!私もちょっと取りに行ったら合流するから!」

 

そう言い残すと束は壁の中へと消えて行った。

 

「ちょ、ちょっと待ちやがれ束!!」

 

一夏は壁を壊して追おうとするが壁が固すぎたのかあまりの痛みに右手を押さえる。

 

「痛~!!なんて頑丈な壁なんだ!」

 

「一夏、今はそんなことを言っている場合じゃないぞ!」

 

箒は一夏の手を引っ張りながらミチルについて行く。

 

「こっちの非常用エレベーターで行くわよ!」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究所 地上部

 

エレベーターで地上に出た三人を待ち構えていたのは狂った研究所の所員たちだった。

 

「ケケケッ!!」

 

「うわあぁ!?何だこいつ等!?」

 

一夏は飛び掛かってきた所員を容赦なく叩きのめす。

 

「こ、この人たち・・・・いったいどうして・・・・・」

 

「箒、ミチルさん、伏せろ!」

 

「「えっ?」」

 

二人は急いで伏せると一夏はその真上で何者かに強烈な蹴りをお見舞いする。

 

「くそ!いくら倒してもきりがないぜ・・・・・」

 

倒れた所員は何度でも起き上がってくる。その中には先ほど自分たちを案内したクロエまでいた。

 

「くっ、なんてこったい・・・・・・」

 

一夏は所員たちを見ながら言う。所員の体には複数の自分の腕くらいはありそうなトカゲが何匹も取り付いていた。

 

「いっくん、そこを退いて!」

 

そこへ束が背中に何かを背負って現れた。

 

「束!」

 

「姉さん!」

 

「お姉さん!」

 

「そんなやり方じゃ無駄に疲れるだけだよ!私が見本を見せてあげる!」

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そのとき、クロエが一夏を背後から襲い掛かってきた。

 

「し、しまった!?」

 

「一夏!」

 

しかし、その寸前、束は、クロエに向かって火炎放射器を放つ。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」

 

「ゴメンね、クーちゃん!」

 

「があぁぁぁぁぁ!!!」

 

それでも所員たちは襲い掛かってくる。それに対して束は容赦なく所員たちを焼き殺していく。

 

「ぐがあぁぁぁぁぁああ!!!」

 

「先生から受け継いだ研究所を滅茶苦茶にしてくれたお礼だよ!!跡形もなく焼き殺してあげる!!」

 

束は怒りの眼差しをしながらその場にいた所員を全員焼き殺した。

 

「束、てめえ!!千冬姉だけじゃなく今度は自分の助手や部下まで殺して、人の命を何だと思ってんだ!!」

 

束のあまりの行為に一夏は怒鳴る。しかし、束は深刻な顔をしていた。それはかつてヘラヘラして何を考えているのかさっぱりわからない彼女とは思えない表情だった。

 

「いっくん!この人たちの死にざまをよく見て!!私たちが戦う敵の恐ろしさをよく見て!!今のようなやり方じゃ次に炎に包まれるのはいっくん、箒ちゃん、そして世界全てなんだよ!!!」

 

束の凄まじいリアクションに一夏は思わず動揺した。

 

「ま、待ってくれ。俺には一体何だがさっぱりだ。一体全体何がどうなってんだよ?」

 

「私も一夏と同じだ。次に炎が包まれるのは私たちだとか、世界全てがどうかって・・・・一体姉さんは何と戦おうとしているんだ!?私たちが戦う敵って言うのは一体何なんだ!?」

 

「トカゲだよ!!」

 

「トカゲ!?」

 

束の言葉に一夏は疑問に感じた。束はすぐ近くでこと切れていたトカゲを拾うと握り潰してそれを見せる。その掌には大きなブヨブヨしたものがあった。

 

「見て、これが奴らの脳みそだよ。こんな小さな体にしては異常なほどの大きさなんだよ。もし、こいつらが私たちと同じぐらいの大きさの体を持っていたら私たち以上の働きをするだろうね・・・・。」

 

「俺は生物には詳しくないけど理科の教科書じゃトカゲの脳みそは小さいはずだ。そんなでっかい脳みそを持ったトカゲがいる筈がないじゃねえか?」

 

「そう、いなかった。いや!いないとされてきた!!でも、現実にこうして私たちを襲い掛かってきているんだよ!!」

 

束は脳を火の中に向かって捨てる。

 

「ちーちゃんが死んでから先生との調査で存在自体は確認しつつあったけどまさかこうまで襲い掛かってきたのは今回が初めてだよ・・・・・。」

 

そのとき、ものすごい地震のような物が起こった。

 

「こ、今度は何だ!?」

 

「お姉さん!敵がもうすぐ近くまで来ています!!」

 

ミチルは、端末で研究所の外を確認していた。外には巨大な翼を持った翼竜のような物が翼についた爆発物を落として研究所を攻撃していた。

 

「まずいね、このままだと研究所は木っ端微塵になっちゃう。」

 

束は火炎放射器を捨てて走り出す。

 

「ついてきて!二人に見せたいものがあるんだ!!」

 

「お、おい!待ちやがれ!!」

 

一夏たちは急いで追いかけて行く。

 

「本当はゆっくり段取りを取って説明するつもりだったんだけど、こんなことが起きたんじゃ仕方ないね!」

 

束は壁の一角までつくとミチルに隠しパネルに入力をさせる。すると壁が開き、地下への入り口が開く。

 

「また地下か・・・・(この研究所、忍者屋敷かよ・・・・)」

 

四人は急いで階段を降りていく。しばらくすると広い空間に出た。

 

「こ、これは!?」

 

一夏の目の前には赤い二本の角を持ったロボットの上半身が吊るされていた。

 

「さっきのロボットの仲間!?姉さん、これは一体・・・・・」

 

「ゲッター」

 

「えっ?」

 

「何?」

 

「ゲッターロボ!」

 

「ゲッター・・・・」

 

「ロボ?」

 

二人は、束の言葉がよく分からなかった。

 

「こんな時にふざけている場合かよ!?何がゲッターロボだよ!?少しは現実を見ろよ!!」

 

「フッフフフ、世の中に見えていないのがすべて現実でないとは限らないんだよ。現実とは時に漫画のような出来事を引き起こすことだってあるんだよ。」

 

そんな会話をしているうちに格納庫も揺れ始める。

 

「お姉さん、こんな時にふざけている場合じゃないわ!」

 

「いけない、いけない。さあ、いっくん、箒ちゃん。早くアレに乗って!」

 

「えっ!?私たちが!?」

 

「おい、いい加減なこと言うなよ!俺はバイクにしか乗ったことがねえんだぜ!?それに何で箒まで巻き込まなきゃいけないんだよ!?」

 

「細かいことは気にしない!!いいから乗って操縦桿を握って!その後は私が指示するから!」

 

一夏は、箒を見た後、目の前にあるゲッターを見る。

 

「なあ・・・・あれに乗ればなんとかなるのか?」

 

「なる!」

 

「あれで戦えば千冬姉の仇がとれるのか?」

 

「とれる!」

 

 

 

 

外での翼竜の攻撃は強まりつつある。

 

「急いで!もうそんなに長く持たないから!」

 

二人は急いで操縦席に乗る。

 

「いっくんは前、箒ちゃんは後ろの補助操縦席!」

 

一夏は箒を後ろに乗せると席に座る。

 

『いい?私が言うと同時に右のレバーを引くんだよ?』

 

「一体どうするつもりなんだよ!?」

 

『奴は止めを刺しに行く際、また研究所に接近して来る。その時を狙って体当たりするんだよ!』

 

「待てよ!そんなことしたら・・・・」

 

『大丈夫!だからちゃんとタイミングを合わせてね。』

 

一夏は後ろの箒の方を見る。箒も不安そうな顔をしていた。

 

「悪いな、俺の日頃の行いが響いちまったみたいだ。」

 

「もう、慣れてるさ。でも、自覚があるならやめてくれよな。」

 

「ははは、悪い。」

 

少し気を紛らわせると一夏は慎重にタイミングを計る。

 

研究所を破壊した翼竜は様子を見るために研究所へと近づいて行く。

 

緊張感で静まり返る空間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今だよ!!』

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

 

一夏は勢いよくレバーを引く。するとゲッターの目に光が放たれ、勢いよく飛び出して行った。

 

「!?」

 

翼竜は突然の敵に動揺したせいか避ける間もなく、その二本の角に体を引き裂かれた。同時に大爆発し、ゲッターはスピンしながら地面へ落下して行った。

 

 

「すごい壊れようね・・・・」

 

ミチルは破壊されてしまった研究所を見て落胆する。

 

「大丈夫だよ、ミチルちゃん。研究所はまた直せばいいんだから。」

 

 

 

(ちーちゃん、やっと始まったよ。ちーちゃんの仇をとるための戦いが・・・・・・・)

 

空は束の心を現すかのように雨が降り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、冷てえぇ・・・・・・・」

 

一夏はゲッターのコックピットの中から空を見上げた。

 

「私たち・・・・・生きているんだな・・・・・」

 

「あぁ・・・・」

 

一夏と箒は雨に濡れる。

 

「千冬姉・・・・・・とってやるからな・・・・・・・仇を。」

 

 

 

 




束への誤解を解いた一夏。

その束の間、束は、二人に次なるゲッターパイロットの標的としてある少女を連れて来るように言う。

しかし、その少女はとんでもない奴だった!

喧嘩上等!腕がなるぜ!!

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「少女が来る」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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少女が来る

ISファンの方は速攻で避難してください。

今回はISヒロインキャラの性格変貌っぷりにご注意を!

隼人の校しゃの内容、一部欠落して忘れているから違いが結構あります。





・・・・・・・・・私には居場所がない。

 

小さい頃から私の存在は、姉の影に隠れてしまっていた。

 

姉は、あらゆる点でも私よりも優れていた。

 

そして、自己中心的で嫌というほど私に対して過保護だった。

 

“あなたは何もしなくていいの。私が守ってあげるんだから”

 

虫唾が走る。私のことを何だと思っているんだ。

 

それを理由に私は荒れた。

 

そして、家にいるのが嫌になって高校に上がってから実家から出て行った。

 

専属のメイドも追い払った。

 

あんな姉の傍にはいたくもない。

 

というよりも姉ばかりに大事にして私はどうでもいいと思っている実家自体が嫌になった。

 

実家で猛反対されたが関係ない。

 

何が対暗部用暗部だ。

 

何が更識家だ。

 

そんなものみんな壊れてしまえばいい。

 

そう、今の社会も・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

雨で静まり返る校舎。

 

その一室で複数の生徒が集まっていた。

 

「・・・・・ゴクリ。」

 

生徒一同が深刻な顔で机の上を見る。机の上には銃器や手榴弾などの数々。

 

「・・・・・なあ、本当に実行するのか?」

 

「簪さんが言うんだ。絶対にやるに決まっているだろう。」

 

「でも、本当にこの時間に大臣を乗せた車がこのポイントを通るのか?」

 

「実家に忍び込んで暗部のデータベースからハッキングして確認したらしい。ついでにスナイパーライフルとかも闇ルートで裏取引した上で購入してるし。そして、大臣が車から降りた瞬間・・・・」

 

生徒たちは小声で会話をする。その生徒たちの中で怯えながら、こっそり出て行こうとする生徒が二人いた。

 

「う、うっ・・・・・・」

 

「狂っていやがる・・・・こんなことやっていられねえよぉ・・・・・」

 

生徒二人は前を向いて逃げようと前を見た瞬間、鋭く長い爪が生えた腕が顔に喰い込む。

 

「「ぎゃあぁぁぁぁ!?」」

 

生徒二人の叫びに他の生徒たちが一斉に振り向く。

 

「「「あぁ!!簪さん!」」」

 

二人の顔を掴んだのは水色の乱れた長い髪の薄気味悪い少女だった。

 

「どこへ行くつもり?今更逃げるの?」

 

少女は冷徹な表情で睨みつけ手の力を強める。生徒の一人があまりの恐怖に許しを請う。

 

「ゆ、許して下さい!簪さん!!僕たちは、大臣暗殺なんて・・・・・・僕たちはまだ高校生ですよ?」

 

しかし、簪の表情は薄気味悪いままだった。

 

「君たち、遊びで我々のグループに参加したの?革命をゲームや自慢話の種だと思っていたの?」

 

手の力は更に強まる。一見して気弱そうな外見の少女とは思えない握力だ。

 

「簪さん、そいつらは先月転校してきたばかりの新入りですよ。まだ、我々の組織について何の知識もないんです。」

 

 

「わあぁぁあ!!許して下さい!僕たちは実は革命という言葉のかっこ良さだけでついて来たんです!お願いです・・・・・あぁ・・・・・・許して下さい・・・・・・・」

 

「許してください?ふん、私たちの掟を破り、そのうえ・・・・私たちの秘密を聞いて許せると思うか!!ゴミムシがあぁ!!!」

 

簪は一人の生徒の顔を思いっきり引き裂く。生徒の顔の皮膚はごっそり持っていかれる。

 

「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

「わ、わあぁ!!」

 

もう一方の生徒は力を入れられる前に急いで簪の手から逃れる。するとすぐに近くにあった木片を取り、簪に振り上げる。

 

「この悪魔め!!」

 

しかし、簪はすっと受け止めた瞬間、木片を握り潰した。

 

「あぁあ・・・・・・」

 

「目だ!」

 

簪は生徒の目を潰す。

 

「ぐわあぁ!」

 

「耳だ!」

 

「うえぇ!!」

 

「鼻!」

 

「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」

 

目に続いて耳を削ぎ落とし、鼻をちぎり取られて生徒はその場に倒れもがき苦しむ。

 

「・・・・・・・続けて。」

 

「「は、はい!」」

 

簪に命令されると他の生徒たちは倒れた二人をリンチにする。

 

「この組織の秘密を漏らす恐れのある者は一人もいてはいけない。だから裏切ろうとするものに見せつけてあげるの・・・・・」

 

 

ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所

 

土砂降りに降る雨の中で傘を差した四人が何やら話していた。

 

 

「『闇の更識校しゃ』

 

日本には裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部というものが存在します。その中心に立っているのが更識家です。

 

しかし、その更識家の中からひと際変わった女性が現れました。

 

彼女は地元でも評判の悪い高校に入学し、彼女はそこの問題児に厳しい掟を強いて一つの組織へとまとめ上げました。

 

その女性の名は更識簪。

 

現在当主として付いている更識楯無の実の妹で地元でも恐れられている不良生徒たちをたった一人で鎮圧しました。

 

初めの頃は彼女に挑んで病院送りになった者が多かったそうですが結局彼女の下に就くことになり、現在はその高校も沈黙を保っているそうです。

 

つまり、本来裏で日本のために働いている暗部の家の娘が今では不良校のトップとして君臨しているというわけです。

 

これが『闇の更識校しゃ』のいわれです。」

 

 

傘を差した女性が言う。

 

「フフフ・・・・・アンタが言いたいことは大体わかった。でもな。」

 

一夏は傘を上にあげる。

 

「何で話すのが束の野郎じゃねえんだ!!しかも、クロエ!てめえこの間焼き殺されたのにどうしてピンピンしていやがるんだ!?説明しやがれ!!」

 

「まあまあ、一夏君落ち着いて。」

 

「一夏、そこまで怒らないでくれ。」

 

何故か生きているクロエを目の前にして一夏は叫ばずにはいられなかった。

 

「私は、正確には二十八番目の“クロエ・クロニクル”です。」

 

「に、二十八番目!?」

 

「はい、私は束様によって万が一自分が死亡したとき、脳内に埋め込まれている記憶メモリーを通じて研究所の地下最下層にある培養室にある次の私に継承するようにできるシステムになっているのです。」

 

淡々と説明するクロエを目の前に一夏と箒は唖然とする。

 

「あ、貴方はそんな目にあって何ともないんですか?何度も自分が殺されるという所を見て。」

 

「束様のためなら何度死んでも私は戻ってきます。私はそう決めてこの研究所で働いているので。」

 

クロエの発言に何とも言いようがない二人。

 

「それで・・・・・・姉さんはどこへ?」

 

「お子さんのお迎えに行っています。」

 

「なんだよぉ、こんな時に限って・・・・・ん?おい、クロエさんよ、今なんて言った?」

 

「お子さんのお迎えに行きました。」

 

「「・・・・・・・ん!?」」

 

「だからお子さんの・・・・・」

 

「「お子さんっ!?」」

 

クロエの言葉に二人は驚く。

 

「アイツ、結婚していたのかよっ!?まあ、苗字を変えたから大体そんな予感はしていたけどよぉ・・・・・」

 

「え、えぇ、達人兄さんと5年前に。」

 

「ね、姉さんが結婚して・・・・・子持ち?」

 

「はい、性別は女の子で名前はミユキちゃん。現在は4歳で・・・・・」

 

「・・・・・・と、とにかくその更識簪って奴を連れてくればいいんだな?」

 

長々と説明しようとするクロエを止めて一夏は言う。

 

「はい。しかし、向こうはもはやテロリスト集団になりかけているようなものなのでお気をつけください。」

 

「喧嘩上等。そんくらい朝飯前だぜ。」

 

一夏はそう言うと箒と一緒に歩いて行った。

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・あの二人に任せても大丈夫なの?」

 

「束様から言う事なのでおそらく大丈夫だと思います。」

 

そこへ一台の車が来た。窓を開くとそこには束の顔があった。

 

「ただいま~。いっくんたち行った?」

 

「先ほど出発しました。」

 

「よしよし、ゲットマシンをいつでも運び出せるようにしておいてね。」

 

「かしこまりました。」

 

「じゃあ、私はミユキちゃんお昼寝させてから行くから。」

 

「お姉さん、あんまり無理しない方が・・・・」

 

「大丈夫大丈夫、私は一日35時間生きているんだから!じゃあ、ミユキちゃん。ママと一緒にお家に入ろうね~。」

 

束はそう言うと車の窓を閉めて研究所の中へと入って行った。

 

「これ見せたらあの二人お姉さんのことなんて言うのかしら?」

 

「親バカとでも言うと思います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「闇の更識校しゃ」を目指して一夏と箒は一つの傘に一緒に入っていた。

 

「いやな雨なもんだぁ・・・・」

 

「この間研究所が襲われたときもこんな雨だったもんな・・・・・」

 

二人が歩いている道の途中、狂暴そうな犬二匹がいた。

 

「怖いなぁ・・・」

 

箒は思わず一夏に抱きつく。

 

「心配ねえよ。襲い掛かってきたら・・・・・」

 

と言おうとした瞬間、一匹が二人にめがけて飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガッ

 

 

「キャン、キャ、キャキャイィン!!」

 

もう一匹の犬の方に犬の首が飛んできた。一夏の方を見ると一夏の右手が犬の血で汚れていた。

 

「ケッ、長雨で犬まで気が立ってやがる。」

 

「一夏、いくらなんでも殺すのは・・・・・」

 

「飛び掛かってきた野良犬が悪い。それにそのおかげでもう一匹は逃げただろう?」

 

「そういう問題じゃ・・・・・・」

 

一夏は雨水で濡らしながら血を落としていく。

 

 

 

 

 

 

そんな二人の後ろを誰かが付けて来ていた。

 

「お嬢様、間違いなくあの方角は妹様が通っておられる高校の方角です。」

 

「そう。虚、実家の方から応援を呼んで。」

 

「よろしいのですか?」

 

「これを逃せばきっと簪ちゃんは、とんでもないことをやるに違いないわ。だから、手遅れになる前に止めなきゃ。」

 

「・・・・・分かりました。本家に応援を要請しておきます。」

 

二人を追跡していたのは二人組の女性だった。

 

 




闇の更識校しゃに到着した一夏と箒。

更識簪を説得しようとした束の間、彼女の姉楯無が彼女を連れ戻すべく乱入。

しかし、そこへ敵の魔の手が!

果たして一夏は彼女を説得できるのか!?

そして、ゲッターロボは間に合うのか!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「発進 ゲッターロボ」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!






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発進 ゲッターロボ

最初の頃、隼人のポジはラウラにする予定でした。でも、なんか隼人の校しゃを再現しきれなかったので簪にしました。



一夏と箒は尾行者がいるのも気づかないまま、簪が在学しているという高校に到着する。

 

「ここが簪が通っている学校か。」

 

「不良校って言っていたもんだからぼろいと思っていたけど思っていたよりもきれいなんだな。」

 

目の前に見える校舎を見て、二人は言う。

 

「さて、問題はその『闇の更識校しゃ』がどこにあるかってわけだ。」

 

一夏は、校舎の窓が開いていることに目を付け、声をかける。

 

「おーい、そこの学生!『闇の更識校しゃ』ってどっちなんだ?」

 

一夏の声を聞いて、校舎の中にいた生徒たちは驚いた様子で二人を見る。

 

「な、何か私たちを注目しているぞ!?」

 

「こっち?ちょっと聞いただけなのにそんなに俺たち珍しいのか?」

 

よく見ると校舎にいるほとんどの人間が一夏と箒を見ていた。

 

「えっと・・・・こっちの校舎かな?」

 

一夏の問いに答えることなく校舎の生徒たちは怯えるように窓を閉めてしまった。その後、少しの間だけ二人は、沈黙する。

 

「なんだ!?ここの学生は!?礼儀って奴を知らねえのかよ!」

 

「一夏、そんなこと言ったらお前も言えないぞ?」

 

「俺はいいんだ・・・・・ん?」

 

箒のツッコミを他所に一夏は、反対側の廃校舎から生徒たちが重傷を負った生徒を運び出しているのに目につく。

 

「・・・・・なるほどな。察するにここが『闇の更識校しゃ』か。」

 

一夏は、廃校舎の方へと歩いて行く。

 

「い、一夏・・・・」

 

箒は、少しビビりながらもついて行く。

 

「なんだ貴様?」

 

運んでいた生徒の一人が一夏に気づく。

 

「雑魚には用はねえ。俺が会いてえのは更識簪って奴だ。」

 

「何!?」

 

生徒たちは一夏と箒を取り囲む。

 

「一夏。」

 

「簪に会うには、この取り巻き共を捻じ伏せなきゃならねってわけか。まあ、予定通りだな。」

 

「何だと貴様!」

 

生徒たちは、一斉に一夏に襲い掛かる。

 

「遅いんだよ!」

 

一夏は持っていた傘で生徒の一人を叩きつける。

 

「ぐえっ!?」

 

「この!」

 

「うわあぁぁぁあ!?」

 

「へぶっ!?」

 

もう一人の生徒が一夏を背後から襲うがこちらはガムシャラに殴り掛かった箒の一撃で倒れてしまった。

 

「邪魔するぜ。」

 

一夏たち二人は校舎の中へと入る。生徒たちが校舎の中で身構えている中、校舎の奥からひと際、異彩を放った少女がふらっと歩いてくる。

 

「・・・・・・」

 

「アンタが簪か。」

 

「誰だ貴様は!」

 

生徒たちは一夏と箒に警戒しながら言う。

 

「・・・・・流石は束の野郎が選んだだけのことはあっていい目つきをしていやがる。これならあの化け物どもと戦うのにぴったりだぜ。」

 

「貴様!」

 

生徒たちのことを無視して一夏は話を続ける。

 

「俺はある奴から頼まれてアンタを迎えに来たんだ。大人しくついてきてもらうぜ?簪さんよ。」

 

「「貴様!簪さんに向かって!!」」

 

生徒の一部が一夏に向かって襲い掛かる。

 

「雑魚は引っ込んでいやがれ!!」

 

そんな生徒たちに対して、一夏は容赦なく傘で叩き返すと一人の生徒の手に傘の先端を突き刺した。

 

「ぎいぃやああああぁぁぁ!?」

 

「アンタだっていつまでもこんなガキどもと革命ごっこでもあるまい。だまされたと思ってついて来いよ?あんたにもっとぴったりの戦場があ・・・・・」

 

「いいえ、そんなものは必要ないわ!」

 

「あぁ?」

 

会話の途中で割り込まれた一夏が後ろを振り向くとそこには簪と少し似た女性がいた。

 

「・・・・・更識楯無。」

 

簪は、面白くないような顔で彼女の名を言った。そんな簪に対して楯無は、護衛を引き連れて校舎の中へ入ってくる。

 

「更識家の連中だ!全員、武器を取れ!」

 

生徒たちは一斉に隠し持っていた武器を取り、構える。そんなこともお構いなしに楯無は、護衛を待機させ二人の前に来る。

 

「何だよてめえは!?突然割り込んできやがって。」

 

「やっと、見つけたわよ。簪ちゃん。前の高校を勝手に退学していたから探すのに手間がかかったわ。」

 

「・・・・・・何の用?」

 

簪は、楯無を睨みつけながら言う。

 

「もうお家へ帰りましょう。貴方は、こんなところにいる必要なんてないわ。」

 

「ふん、またあの居場所のない牢獄に私を閉じ込めておくの?」

 

楯無の言葉に対して、簪は冷たい態度で彼女に言い返す。

 

「貴方は自分が何をしようとしているのかわかるの?」

 

「今の社会の一部を壊すだけ。それが何か?」

 

「貴方は犯罪に手を染めようとしているのよ!?やめてそんなことは!」

 

楯無は、簪の肩に手を置く。

 

「私は、犯罪に手を染めるあなたを見たくないの。昔の簪ちゃんに戻って、そして、一緒にお家に帰りましょう?お父さんもお母さんもあなたのことを・・・・・」

 

「うるさい。」

 

「!?」

 

説得しようとする楯無の顔に向かって簪は長い爪で引っ掻こうとする。何とか避けたものの、その隙に応じて簪は彼女の腹に向かって強烈な蹴りを入れる。楯無は、後ろに吹き飛ばされて倒れる。

 

「お嬢様!」

 

近くにいた女性は慌てて楯無を起こす。

 

「何を言われても私は帰る気はない。あんなところに帰ってもまたあなたと比べられるだけ。」

 

「か、簪ちゃん・・・・・・」

 

「帰って、お姉ちゃん。」

 

「・・・・・」

 

「だとよ。嫌われてんな、アンタ。」

 

簪の冷徹な言葉に楯無は言葉を失う。簪は、再び一夏に視線を戻す。

 

「貴方も誰に頼まれたかは知らないけど随分この校舎で暴れてくれたのね。(私の校舎を騒がせたらタダでは済まさない・・・・)」

 

「・・・・・やるか?」

 

簪の目を見て一夏は身構える。

 

「俺は元々口で言うのは苦手なんでな!どうしても嫌だって言うなら力づくで連れて行くまでだ!コイツでてめえののびた体を引きずって行ってやるぜ!」

 

一夏は腕を振るいながら言う。

 

「ひっ。」

 

「!?」

 

「シャアァァァァァァ!!!」

 

一瞬怯えたと思いきや簪は一夏に目にも見えない速さで爪を顔に近づける。一夏は避けようとしたが、頬に僅かに掠り、血が出る。

 

「オリャ――――――――!!」

 

一夏は、再び接近する簪の顔に向かって下から蹴りを入れ、距離を取るが簪は怯まず彼の背後に回る。

 

「空手ね・・・・」

 

「何ィ!?」

 

「キャアァァア!!」

 

「くっ!?」

 

今度は脇腹を掠めた。

 

簪は更に追撃を仕掛ける。

 

それに対抗するために一夏は一回伏せる。

 

「そうはいかねえぜ!!」

 

逆立ちするように足を上げ、簪の腹に向かって強烈なキックを繰り出す。強烈な一撃に簪は腹を押さえながらも態勢を整えながら着地する。

 

「フフフ。」

 

「並の人間と動きが違う・・・・・・それにタフだ。俺の蹴りを喰らってるってんのに。コイツはできるぜ。」

 

「ひっ!ひっ!」

 

簪は、息を荒くしながらも一夏と向かい合う。

 

「コイツは一筋縄ではいかねえな・・・・・」

 

「お願い、簪ちゃん!もうこれい・・・・」

 

「簪さん!!」

 

「「「!?」」」

 

上からの悲鳴に三人は階段の方を見る。

 

「簪さん・・・簪さぁん・・・・・」

 

何と上から右腕がない生徒が助けを求めるように降りて来たのだ。生徒は倒れると簪は慌てて生徒を起こす。

 

「どうしたの杉山!?その腕は?」

 

杉山は怯え怯え簪の顔を見る。

 

「く、喰われちまった・・・・・・・」

 

「えっ?」

 

「明日の準備をしていたら・・・・・・化け物が窓から入ってきて・・・・・・俺の腕を喰っちまったんだアァァぁぁぁぁぁぁァ!!」

 

「!!誰か、コイツの止血お願い!」

 

簪は、杉山から手を離すと上階へと上がって行く。

 

「待て!簪!!」

 

一夏は追いかけようとする。

 

「もしかしたら奴らかもしれねえ・・・・・そうだ!きっと、奴らだ!!」

 

「簪ちゃん、どこ行くの!?」

 

「誰か、その二人を押さえて!!」

 

簪の命令で複数の生徒が一夏たちを取り押さえる。簪はその間に一人で向かって行く。

 

「待て、簪!てめえもやられちまうぞ・・・・・・ああ!!どけ、チンピラ共!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪は一人上階の教室へと向かった。

 

「うっ!」

 

彼女の目の前に生徒の首が転がっていた。

 

「安田!!」

 

簪は恐る恐る教室の中へと入って行く。

 

中は、地獄絵図の如く大量の生徒の死体が転がっていた。それも無残に食い荒らされたような状態で。

 

「!?」

 

簪は教室の奥を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリ、ガリ、くちゃくちゃ・・・・・・・

 

 

 

 

「ひっ!」

 

 

そこには翼の生えた人のような体をしたトカゲが生徒の死体を貪り食っていた。怪物は簪に気づくと喰いかけの腕を捨て、近づいてくる。

 

 

「げっ!!」

 

簪は、黒板の方に下がるが黒板の方から彼女が気付かないようにカメレオンのような怪人が待ち構えている。

 

「こりゃあ、面白いもんが見れそうだ。簪と怪物の戦いが見物だな。」

 

「何言ってんのよ!早く簪ちゃんを助けて!!」

 

教室の影では、一夏たちがこっそり見ていた。ようやく後ろに何かいると感づいた簪は、恐怖に震える。

 

「ひっ!ひゃあっ!げっえ、げっ!」

 

目の前の怪物は涎を流し、カメレオンの怪人は彼女のすぐ脇に両手を出している。

 

「グワアァ!」

 

「キャ!!」

 

背後から襲ってくるカメレオンの怪人の攻撃を避け、簪はその顔を掴む。

 

「ケ――――!!」

 

そして、その顔から眼玉を抉りだすと顔に容赦なく攻撃を加える。

 

「キィ――――――――――――――――!!」

 

「うわあぁ―――――――!!!」

 

更に襲い掛かってくる怪物に向かって、簪は攻撃中のカメレオンの怪人を投げつけ、教室の後ろにぶつけた。

 

「くくっ。」

 

「ウグ・・・・」

 

しかし、怪物たちは起き上がってくる。

 

「あ、あぁ・・・・・」

 

「キィ―――――――――――――――!!!!」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

簪は、近くにあった鉄パイプを取るや怪物の口に向かって突き出す。鉄パイプは怪物の口に入るとすぐさま貫通し、先端は怪物の頭の後ろに飛び出す。

 

「はあ!はあ!」

 

「・・・・・・・(ニヤリ)」

 

「!?」

 

怪物は笑うと簪の顔に向かって両手を前に出そうとする。簪は恐怖のあまりに何も考えられなかった。

 

 

 

 

 

「ゲッ!?」

 

その時、怪物の背中に椅子が投げつけられた。怪物が振り向くとそこには一夏が拍手をしながら壁に寄りかかっていた。

 

「やんや、やんや。流石、簪さん。その怪物どもを始めて相手したわりにゃあ中々の戦いっぷりだったぜ。これならゲッターロボの乗組員にぴったりだ。」

 

「貴方、私の妹になんてこ・・・」

 

「だがな、こいつらを相手にするんだったら普通のやり方じゃダメだ。」

 

一夏が傘の持ち手のボタンを押すと先端が刃物に変化する。

 

「こいつら爬虫類の化け物はしぶといんでな。目玉を抉ろうが、穴を開けようが生きていやがる。そして、すぐに元通りに治っちまう。」

 

「クワ―――――――――――!!」

 

一夏が説明している間に傷が治ったのか、怪物は一夏にめがけて襲い掛かってくる。しかし、一夏は怪物の方を見るなり傘の先端を向ける。

 

 

そして

 

 

 

 

「しぶとい奴は基から絶たなきゃダメなんだぁぁ!!」

 

怪物の首を一瞬にして切断した。すかさず切断された胴体に突き刺し、電流を流し完全に殺す。

 

「簪の部下はあっさり殺せても俺たちは違うぜ!!」

 

「キッ、キエッ!?」

 

カメレオンの怪人は、状況がヤバいと判断したのか窓から飛び逃げようとする。

 

「おっと、逃がすもんか!箒!」

 

一夏は箒にビニールが取れてしまった傘を渡す。

 

「分かった!」

 

箒は、カメレオンの怪人に向かって傘を向けると持ち手のボタンを押す。

 

「これでも喰らえ!!」

 

すると、傘の骨の部分が銛状になって、発射されカメレオンの怪人の体を貫いた。

 

「ギッ、ギッ、ギエェェェ!!!」

 

カメレオンの怪人は窓から下へと堕ちて行った。

 

「ナイスショット!」

 

「流石姉さんが作った対爬虫類用の武器だな・・・。人間に向けたら絶対危ない代物だぞ・・・・。」

 

「まあ、こうでもしなきゃ奴らくたばらねえからな。ハハハッ。」

 

「・・・・・・・・」

 

一夏たちが笑っている中、簪の顔は冷や汗でびしょ濡れだった。

 

「簪、さっきの元気はどうした?顔が引きつっちゃってよ、へへ・・・・・・ん?」

 

一夏は簪のことを見る。よく見るとあまりの恐怖に失禁していた。

 

「・・・・・・・・ま、まあ無理もねえな。何せ今まで怖いものなしの不良集団の親玉だったんだからな。こんな化け物見たらだれでも腰が抜けるさ。」

 

一夏は、最早傘ではなくなった傘を箒から受け取ると先ほど切断した化け物の首を突き刺して見せる。

 

「これからは束の野郎がおめえに怪物どものことを教育してくれるよ。」

 

「そんな必要はないわ!簪ちゃんはこれから家に帰るの!もう、こんな化け物たちとやり合う必要なんてないの!」

 

簪を庇うように楯無が一夏の前に来る。

 

「おいおい、まだそんな甘ちゃんなことを言うのかよ?」

 

「こんなもの見せられて妹を『はい、どうぞ。』って渡す人間がどこにいるのよ!!それにあんなに怯えていたのに助けもしないなんて・・・・・・アンタたち人間としてどうかしているわ!」

 

「へえぇ・・・・・そうくるかい。でもよ、決めるのは簪だぜ?なんでてめえが決めるんだよ?」

 

「いいの!簪ちゃんは何も危ないことしなくて!私が代わりに・・・・・」

 

「それが一番やっちゃいけなかったんじゃねえのか?」

 

「えっ?」

 

一夏の言葉に楯無は思わず動揺した。

 

「俺にも姉貴がいた。てめえと同じように兄妹を大事にした姉貴がな。もういねえが姉貴だったらきっとこういう選択をさせるとき俺に選ばせる。だが、てめえはどうだ?簪が言う前に自分で決めようとする。それが本当に兄弟を愛していると言えるのか?そこは本人に決めさせるのが筋ってもんじゃねえのか?」

 

「う、うぅ・・・・」

 

「どういう生き方をしてきたのかは知らねえがてめえのやっていることはアイツにとっちゃかえって毒にしかならねえ。なんかの家のご当主なんだろ?だったらさっさと家に帰って仕事しな!」

 

「・・・・・・・」

 

楯無に対して一夏が言った直後、簪は先ほど落とした鉄パイプを拾って一夏に向ける。

 

「むっ!?てめえ!」

 

しかし、簪は鉄パイプを一夏の後ろへと投げた。後ろの机の山にぶつかると観察していたのか先ほどの化け物と同じものが飛び出して窓から逃げて行った。

 

「野郎!まだ生き残っていやがったのか!!」

 

一夏は窓の外を見る。上空には巨大な長い首の恐竜の頭部を二つ持った巨大な飛行物体が浮遊していた。

 

「こりゃあ、まずいぜ!箒、簪!急いでここから出るぞ!あんな奴が襲ってきたらこんな学校一瞬で終わりだ!」

 

一夏は箒の手を繋ぐと急いで教室から出る。簪は混乱している楯無を引っ張ると教室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グワアァァァァ!!!

 

ギャアオォォォォ!!!

 

ギギッ!!

 

 

恐竜のようなモンスターは校舎を破壊し始める。

 

「・・・・・・・・とうとう現れたようだね。」

 

少し離れたところから束が双眼鏡を見て言う。

 

「・・・・・束様。」

 

「どうやら怪物たちはゲッターロボが動くのを恐れていっくんたちを先に始末しようと考えたんだ。クーちゃん、急いでいっくんたちを助けるよ!」

 

「かしこまりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三台の大型トレーラーが学校を目指して進む。

 

「いっくん、箒ちゃん、えぇっと・・・・・かんちゃん!待っててね!束さんがとっておきのプレゼントを持っていくよ!!」

 

トレーラーの荷台が開くと三機の戦闘機が姿を現す。

 

『こちら第一トレーラー、イーグル号、発進準備完了!』

 

『こちら第二トレーラー、ジャガー号、発進準備完了!』

 

『こちら第三トレーラー、ベアー号、発進準備完了!パイロット、“クロエ・クロニクル”ナンバー28を搭乗させます!』

 

 

「ゲッターロボ、発進用意!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアァァァ!!!!」

 

モンスターの攻撃により、学校は倒壊していき、落石が一夏たちを襲う!

 

「うわぁぁあ!?」

 

「一夏!」

 

「うっ!」

 

その中の一つが簪に命中する。

 

「簪ちゃん!」

 

楯無は、倒れてしまった簪に肩を貸して担いで行く。

 

「ヒイィ!」

 

「ぎゃあぁ!!」

 

生徒たちも次々と犠牲になり、被害は大きくなっていく。

 

「一夏・・・・・」

 

箒は、一夏に抱き付きながら言う。

 

「とても手に負える相手じゃねえ・・・・・・くそ!束は、何もたついているんだ!このままじゃ俺たちも奴の餌食だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で学校を目指して走っているトレーラー。

 

「ベアー号、発進準備OK!」

 

「よし!そのままクロエさんはそのまま待ってください!」

 

『了解。』

 

戦闘機の一台が発進しようとしていた。

 

「風速は13メートル!」

 

「ゲッターエネルギー、チャージOK!」

 

「第一ロケット、点火!」

 

「発進!!」

 

黄色い機体色のベアー号はロケットを点火し、上空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルルルォォオ!!!」

 

「うおぉ!?」

 

モンスターの攻撃を一夏はどうにか避ける。

 

「箒、大丈夫か!?」

 

「何とか、でも・・・・・・・・」

 

箒は後ろを見せる。

 

「スカートの後ろが持っていかれた・・・・・」

 

「馬鹿野郎!?こんな時にこんなもん見せるな!!このままだとあっちの二人も含めて喰われちまう!」

 

そんなところへベアー号が飛んでくる。

 

「おっ!やっと来やがったか!」

 

ベアー号はミサイルを発射し、モンスターを怯ませる。

 

『一夏さん、聞こえますか?』

 

一夏の腕時計からクロエの声が聞こえる。

 

「その声はクロエか!?」

 

『まもなくゲットマシンがそちらに届きます。到着し次第、妹様と共にご搭乗してください。』

 

一夏は前の方を見る、前方には二台の大型トレーラーが待機していた。

 

「あれか!」

 

一夏はすぐさま箒を抱きかかえると急ぐ。

 

「おい、お二人さん!急いでこっちへ来い!」

 

 

四人が到着するとゲットマシン二台は既に発進準備が整えられていた。

 

「コイツをジャガー号に乗せるんだ!」

 

「私をどうするの!?」

 

「うるせえ!黙って言われたとおりにしろ!お前の仲間の仇打ちだ!!」

 

「うっ!」

 

一夏は所員たちと強引に簪をコックピットに乗せると機器だらけのヘルメットを被せる。

 

「ちょっと何するの!」

 

妹を訳の分からん戦闘機に乗せられて楯無は動揺する。

 

「いいか?てめえはこのマシンについちゃあ、ズブの素人だ。だから何もしなくていい。頭にくっつけたその電子頭脳がすべてやってくれる。ゲッターロボの動きを体で覚えるんだ。」

 

「い、嫌だぁ・・・・・・」

 

簪は怯えた声で答える。

 

「なんで私がこんなことをしなくちゃいけないの!?」

 

「うるせえ!俺もお前も束の野郎に見込まれたんだ!!運命だと思って覚悟を決めろ!」

 

一夏はそう言うと簪は何も言い返せなかった。

 

「怖いのはてめえだけじゃねえ。何度か訓練を受けた俺と箒だって怖いんだ・・・・・」

 

一夏はそう言うとジャガー号から降りる。

 

「ジャガー号を発進!ベアー号に誘導を任せろ!!」

 

「あっ!ちょっと!私も乗るから待ちなさい!」

 

「ジャガー号、発進!」

 

「「きゃああぁ!!」」

 

楯無が無理矢理乗るとジャガー号は勢いよく発進する。

 

「ハハハ!簪、腰抜かすなよ!怖いのはこれからだ!」

 

一夏は箒が待っているイーグル号に乗り込む。

 

「一夏、急いで!」

 

「わかってらぁ!イーグル号も発進だ!!」

 

しかし、その直後、モンスターの頭部がイーグル号を乗せたトレーラーにぶつかる。トレーラーは回転し、イーグル号も放り出された。

 

「うわああぁぁぁ!?」

 

「一夏!!」

 

あまりの怖さに箒は一夏にしがみついた。イーグル号は何とか上昇する。

 

「危ねえ、危ねえ。行くぜ、怪物よ。今までよくも好き勝手に暴れてくれたな!!たっぷり、礼をさせてもらうぜ!!そして・・・・・千冬姉の仇を討つ!!」

 

一方、ジャガー号は混乱状態だった。

 

「いやだっ!!」

 

「か、簪ちゃん!?」

 

「私は怖い・・・・・・ここから出してえぇ!!なんで私がこんなものに乗らなきゃならないの!?」

 

そんな簪のジャガー号にお構いなしに一夏はイーグル号でモンスターに近づく。

 

「よし!まずは腕試しだ!!」

 

イーグル号は、モンスターに向かってミサイルを発射する。しかし、モンスターは反撃するように無数のミサイルを発射してきた。イーグル号のミサイルを破壊すると残りのミサイルは、イーグル号に向かい後部に命中する。

 

「うわぁ!?」

 

イーグル号は被弾するが軽傷で済んだ。

 

「ひゅう~!やられたかと思ったぜ・・・・」

 

『いっくん!!』

 

「ビクッ!?」

 

モニターに束の姿が写る。どうやら外から連絡しているらしい。

 

『一人で無茶なことをしちゃダメでしょ!コックピットに当たっていたら危なかったんだよ!』

 

「はあぁい、すみませんでした~。」

 

『ゲッターロボの操縦は、チームワークなんだよ!!一人で勝手な真似をしちゃダメ!メッ!』

 

束が怒っている合間にモンスターは飛行をし始める。

 

『怪物が飛行を始めました。』

 

「逃げるつもりか!?」

 

しかし、モンスターは全身のミサイル発射口から無数のミサイルを三機に向かって発射した。

 

『上昇します!!』

 

「いや、このまま突っ込む!下手に機体の方向を変えない方がいい!」

 

一夏は、ミサイルを回避しながらも突き進む。

 

「簪、俺と合体しろ!!」

 

『ゲッター1への合体を開始します。』

 

クロエは遠隔操作用の合体ボタンを押す。

 

するベアー号がとジャガー号の後部に合体する。

 

するとジャガー号の両側面から骨組みのような物が現れると細かい装甲が展開し、巨大な腕を形成、ベアー号の後部から巨大な足が二本出現する。

 

イーグル号も変形し、二本の角が特徴のロボットの頭部へと変形する。

 

「チェーンジッ!!」

 

機体は上昇し、三機は合体する。するとゲットマシン三機は一体のロボットへとなった。

 

「ゲッタ―――――――――!!!!ワン!!」

 

ゲッター1は、マントを展開するとモンスターに向かって落下していく。

 

 

 

 

 

 




ついに完成したゲッターロボ。

敵を倒したのも束の間、一夏たちは真の敵「恐竜帝国」と遭遇する。

彼らの目的とは!?

そして、姉の仇を目の前にした一夏はいかに!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「姉の仇!その名は恐竜帝国」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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姉の仇!その名は恐竜帝国

やっと届いた漫画を読んだから前回の簪のセリフが隼人のまんまだった( ゚Д゚)。


「行くぜ!!恐竜の化け物!!」

 

ゲッター1は、モンスターに向かって強烈な蹴りを入れるとすかさず恐竜の頭をもぎ取る。

 

「すげえぇ・・・・・・とんでもねえパワーだ・・・・」

 

敵を圧倒するゲッター1に一夏は歓喜する。

 

『一夏さん、パイロットの更識さんの精神が不安定です。一機にかたを付けてください。ゲッター1の装備は腹部のゲッタービーム砲と肩に搭載されているゲッタートマホークです。』

 

「わかった!」

 

一夏は武装のボタンを押す。するとゲッター1の肩から斧のような武器が飛び出てくる。

 

「うおぉぉぉぉ!!ゲッタートマホークで叩きのめしてやるぜぇ!!!」

 

ゲッター1はゲッタートマホークを装備するとモンスターに向かって行く。

 

「まずコイツはこの間の研究所の人たちの分だ!」

 

ゲッター1は、モンスターのブースター部分を叩き斬る。更に逃げられぬように残った方の頭部を押さえる。

 

「コイツは、更識の仲間の分!」

 

残った頭部のトマホークで切断する。最早モンスターは戦闘能力を失っていた。

 

「止めは・・・・・・何!?」

 

その瞬間、機械の頭部が飛び出して、高速で逃げて行った。

 

「逃がすか!」

 

ゲッター1は再びマントを展開し、上空へと飛ぶ。

 

『いっくん、奴を逃がしちゃダメだよ!』

 

「あぁ!奴はきっと仲間がいるはずだ!その中に千冬姉を殺した奴がきっと・・・・・・」

 

ゲッター1は、高速で後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲッター1は、逃走した敵を追い続ける。

 

「くそ~!逃げ足の速い奴だ。だが、逃がす気はないぜ。どこまでも追いかけて行ってやる!」

 

しかし、ゲッター1のスピードは少しずつではあるが落ち始めていた。

 

『・・・・一夏さん。』

 

「クロエさん?」

 

『先ほどからジャガー号の更識さんの体調が悪化しているようです。少し様子を見てください。』

 

そういうクロエの顔色も悪く見えた。

 

「く、クロエさん。貴方も顔色が良くないですよ?あなたの方が・・・・・」

 

『心配することはありません。まだ培養カプセルから出て間もないせいで体が馴染んでいないだけです。私は体がダメになっても変わりはいくらでも・・・・・ブッ!』

 

言いかけたとき、クロエは口から血を吐き出す。

 

「おいおい、クロエさんよ!大丈夫かよ!?」

 

「こうも体調不良の多いんじゃこれ以上追跡するのは無理だ。一旦体勢を立て直した方が・・・・・・」

 

箒が心配そうに言うとクロエは首を横に振る。

 

『いけません。やっと追い詰めたのです。連中が戻る先に何があるのかを確認しなくては・・・・・・』

 

「クロエさん・・・・・」

 

『やっと・・・・・やっと束様の願い続けていたことに近づこうとしているのです・・・・・・ご友人の仇を取るための・・・・・』

 

「で、でもよ・・・・・・」

 

『私のことよりも更識さんの方を!スピードが落ちてきています!』

 

一夏はモニターでジャガー号の中を確認する。

 

『おええぇぇぇえ!!』

 

『簪ちゃん!大丈夫!?』

 

簪は激しく嘔吐していて、楯無は彼女の背中を必死に擦っていた。

 

「あらあら、こっちもこのスピードには無理があったみたいだな・・・・。」

 

一同がそうしているうちに敵は海中へと潜った。

 

『敵が海中に潜りました。こちらも潜って追跡しましょう・・・・。』

 

「無茶言うなよ!こんな面子で行ったら大変なことになるぞ!?敵の基地なんてあったらひとたまりもないぞ!」

 

『構いません!急いで!』

 

「ったく、どうなっても知らねえからな!」

 

ゲッター1は勢いよく海中へと突入した。海中はかなり濁っており、視界は悪かった。

 

「やけに濁っていやがるな・・・・。」

 

「最近の環境汚染のせいでこんな沖まで汚れてしまったのか?」

 

『いえ、いくら何でもそれはおかしいです。』

 

クロエも不思議そうに言う。

 

『ハア・・・・ハア・・・・こ、これって・・・・・・・・古代の海?』

 

やっと落ち着いた簪はさりげなく言う。

 

 

 

 

 

海中は簪の言う通り、海中は、絶滅したはずの生物に溢れていた。

 

古代に生息していた巨大な原生クラゲ。

 

化石ではよく見られる三葉虫。

 

イカと貝の特徴が合わさったような姿をしたチョッカクガイ。

 

現代ではシーラカンス以外は化石でしか見られない数々の古代魚・・・・・。

 

そう、まさにかつて海中で栄えた古代の生物たちの世界が目の前に広がっているのだ。

 

『こ、ここまで奴らの侵略が進んでいるとは・・・・これでは束様の予測通り日本の海は全てこの姿になってしまっている。何とかしなければ世界中の海も・・・・・・・』

 

一夏たちが動揺していると海中の岩が動き出し、巨大な魚のような要塞がゲッター1の目の前に現れる。

 

「うわぁ!?なんだぁ、このバカでかい魚のバケモンは!?」

 

「ま、まさかこれが敵の基地じゃ・・・・・」

 

『一夏さん、距離を取ってください!敵が巨大すぎて今のゲッターでは力負けしてしまいます!』

 

要塞の目はゲッター1を睨むように光る。

 

「いや、待て!何かが出てくる!?」

 

要塞の目の前に何かが集まり一つの形へと変わっていく。

 

『フフフフ・・・・・・・』

 

やがて、その物体は巨大なコブラの胴に人の顔を付けたような怪物へとなる。

 

『ようこそ、一夏君、箒君、更識君、クロエ君。私は地底魔王ゴール!宇宙にある全生物の支配者だ!』

 

怪物は名乗りを上げる。

 

「「ち、地底魔王?」」

 

『ご、ゴール?』

 

『全生物の支配者?』

 

ゴールの発言に一同は唖然としていた。

 

『人類よ!武器を捨て私に従え!お前たちの繁栄の時はもう終わったのだ!!』

 

「なによぉ!?」

 

『地球は新しい時代を迎える。新しい生物の時代・・・・・・ハチュウ人類の時代が訪れるのだ!!』

 

「何がハチュウ人類だ!この化け物め、一気に握り潰してやるぜ!!」

 

ゲッター1はゴールに向かって腕を動かす。しかし、その瞬間、ゴールは崩れるように避けられてしまう。

 

「えい!くそ!」

 

『フフフフ、バカめ。サルに毛が生えたぐらいの貴様らに私を倒せるものか。』

 

「一体どうなっているんだ?ゲッター1の手はアイツを捕らえているはずなのに?」

 

箒は何度も元通りに戻るゴールを見て言う。

 

『おそらく、アレは本人ではなくアメーバの一種を利用して作っている映像のような物だと思います。」

 

『ほう、どうやら人類の中にも少しはできる奴がいるようだな。そういう輩なら我々の力の強さが理解できるだろう?』

 

クロエの推理に関心をしながらもゴールは態度を崩すことなく言い張る。

 

『あなた方の強さは理解しました。しかし、あなた方は一体何者なのですか?それにその力を以て人類に対して何をしようというのですか?』

 

『何をしようとだと?』

 

クロエの質問にゴールは反応する。

 

『フッハハハハハハ!!サル共に我々の行動が分かってなるものか。』

 

「さ、サル!?」

 

「てめえ!黙っていれば人のことをサル呼ばわりしやがって!てめらだってトカゲの化け物じゃねえか!!」

 

『我々は元々地球の先住生物なのだ。』

 

「「『『『せ、先住生物!?』』』」」

 

ゴールの発言に一同は衝撃を受ける。

 

『そう!貴様ら人類が誕生するはるか昔、地上は我々ハチュウ人類が一大帝国を築き上げていたのだ!気温の変化によって体内構造が変化していく爬虫類にとって、この地球は最適の星なのだ。だから我々の進化のスピードも驚異的に進んだ。人類の進化とは比べ物にならないくらいの速さでな。科学も、芸術も、急速な発展を遂げた。』

 

ゴールは感慨深そうに話をし始める。

 

「へっ、大ぼら吹きやがって!だったらどうしてその証拠が残っていない!?」

 

「一夏の言う通りだ!人類の歴史とてその痕跡は必ず発見される。それに比べて貴様らはどうだ?貴様らの地上にいた痕跡などどこにもないんだぞ!」

 

『それは宇宙線のせいじゃ!』

 

「宇宙線?」

 

『ある日突然、その宇宙線は地球に降り注いだ。太陽の黒点の変化によって生じたその未知の宇宙線は、爬虫類にとってまさに見せぬ敵だった。皮膚が弱かった我々の同族は次々とその宇宙線によって死んでいった・・・・・。生き残った我が先祖たちは科学力のすべてを注ぎ、宇宙線の届かぬ地底へと逃げ、生き延びた。だが、ほとんどのものは逃げ遅れ死んだ。しかし、どういう事かその宇宙線を浴びて進化した生物がいた。それがサルだ!つまり、貴様ら人類は我々が地下に逃げ延びている間に地上を乗っ取った侵略者なのだ!!』

 

「侵略者だと!?」

 

『地上は我々ハチュウ人類のものだ!!宇宙線に対抗できる力を手にした今、再び地上に君臨するのだ!!人類は我々に従え!さもなくば絶滅させるだけだ!!』

 

「言いたいことばかり言いやがって!誰がてめえらのようなトカゲ人間どもに従うか!こっちにはゲッターロボって言う強い味方がいるんだぜ!」

 

『何を小賢しい。そんな玩具で我々の相手になると思っていたのか?』

 

ゴールは傲慢な態度で言う。これには箒に制止させられている一夏でも頭にきた。

 

「玩具だと!?このトカゲ野郎!!てめえらの言う玩具の力がどんなものか見せてやる!!」

 

ゲッター1は要塞に向かって突っ込んでいく。

 

『うわあぁぁぁ!?』

 

『一夏さん、落ち着いてください!今の私たちでは分が悪すぎます!』

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

ゲッター1は要塞の口に突入すると牙にあたるところを掴み、へし折ろうとする。

 

『愚か者めが、貴様らの力で壊せるものか!』

 

要塞の牙は逆にゲッター1を噛み壊そうとする。

 

「ぬうぅぅ!!フルパワーだ!!」

 

ゲッター1は、最大出力で動くが空いている口が閉じる一方でこのままでは押し潰されるのも時間の問題だった。

 

『ハハハハハ!!無様なものだ!たかがそんなちっぽけな玩具で挑んだばかりに無駄死にするとはな!十年前のあのサルのことを思い出すわ!!』

 

「十年前!?」

 

ゴールの言った一言に一夏は動揺する。

 

『くっくくく・・・・・・冥途の土産に教えてやる。思い出せば十年前、我々が地上偵察を開始し始めたころだ。諜報員からサル共が驚異的な兵器を作ったという情報を聞いてな、近辺を偵察していたメカザウルスたちを現場に向かわせたのだ。』

 

ゴールは面白そうに話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そう、それは空中を飛行した白い鎧を纏ったようなものだった。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十年前 ???

 

「束、聞こえるか?」

 

『はいはい、聞こえるよちーちゃん。」

 

ミサイルを撃墜し終えた白騎士は帰投している中、搭乗者の千冬は束と連絡を取っていた。

 

「ミサイルは全て撃墜した。これより帰投する。」

 

『お疲れ、いやあ~ありがとうね。これでISの性能を世界に見せつけることができたよ。』

 

束は満足そうだった。そんな束に対して千冬は少し不満そうだった。

 

「しかし、あんなのでいいのか?あれではむしろ兵器としての価値観しか見られないような気がするが・・・・・」

 

『まあ、そこはそこで以降の機体の改良も含めながら考えるよ。白騎士は飽くまでも第一世代だからね。兵器としての一面もアピールしないと開発援助してもらえないんだよ。』

 

「研究するための予算を確保したかったというわけか。」

 

『ははは・・・・じゃあ、通信を切るね。帰還ルートは言った通りだから。』

 

「あぁ。」

 

千冬はそう言うと通信を終える。

 

「早く一夏の所へ帰らないとな。」

 

思えば、遅くても明日には帰ると伝えていたが自分以外の家族がいない一夏のことだ。きっと心配して待っているだろう。そう考えながら千冬は帰還ルートへと方向を変える。

 

「ん?センサーに反応?」

 

そのとき、白騎士のセンサーが大きな反応をキャッチした。反応しているのは明らかに飛行機などではない。

 

「こっちに近づいてくる!?」

 

白騎士は、周囲を確認する。束の情報ではこの辺りを飛行する飛行機はもういないはずだ。すると巨大な翼を持った何かが白騎士を襲った。

 

「な、なんだコイツは!?」

 

相手の正体がわからないため、白騎士はコースから大きく外れて逃走する。しかし、反応はこちらを追い続けていた。

 

「あの形状・・・・・明らかに生物だ。しかし、白騎士のスピードについて来れる生物なんて・・・・・・!?」

 

考え過ぎていたせいか千冬は目の前にある何かに気づかなかった。目の前には巨大な恐竜のような生物が口を開いて待ち構えていた。

 

「くっ!」

 

千冬は急速上昇する。恐竜は口から火を吐いて白騎士の装甲を焦がした。

 

「火を吐く!?有り得ん!生物が火を吐くなんて・・・・・うわあぁ!?」

 

そのとき、白騎士の背後から何かが飛んできて命中した。

 

「ミサイル!?」

 

被弾した白騎士はバランスを崩して落下していく。

 

「ミサイル迎撃の時でエネルギーを使い過ぎた・・・・・・このままでは!!」

 

ミサイルは次々と白騎士に命中し、残されたわずかなシールドエネルギーを削って行く。

 

「束!応答してくれ!こちら、白騎士!未知の敵に・・・・!!」

 

束と連絡を取ろうとした瞬間、何かが白騎士の体に喰いついた。その牙は白騎士の装甲を噛み砕いて、千冬の体に喰い込んだ。

 

「こ、こんなことが・・・・・・」

 

千冬は口から血を吐き出し、意識が薄れていく。

 

「い、一夏・・・・・・すまない・・・・・・どうやら帰れそうにない様だ・・・・・・ごめ・・・・」

 

千冬の体は、食い千切られた。同時に白騎士のシールドエネルギーが切れ、待機状態へ戻り千切られた右腕と共に落ちて行った。

 

 

 

『こちら、メカザウルス・ズー。予定通り、兵器は破壊しました。』

 

『ご苦労であった。バド、サキと共に帰還しろ。』

 

『了解。』

 

白騎士を襲った三体の怪物はひっそりとその場を後にした。残された千冬の右腕はその後、束が現場に来るまでの間、雨に打たれ続けていた・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・そうか、てめえらが千冬姉を殺しやがったのか。」

 

一夏は顔を下に向けたまま言う。

 

『ほう、あの時のサルは貴様の姉弟だったのか。ならば、姉のところへ行けるのだから本望だろう。』

 

「一夏・・・・・・・」

 

箒は心配そうに一夏の後姿を見る。

 

 

顔を上げると一夏の顔は涙で濡れていた。

 

「・・・・・・・・・てめえらだけは・・・・・・・・てめえらだけは絶対に許させねえぇ!!!」

 

叫ぶと同時にゲッター1の目が光り、要塞の顎を開き始める。

 

『何!?まだそんな力が・・・・』

 

「許さねえぞゴール!!てめえだけは・・・・・・・てめえらだけは俺が死んでもぶっ殺してやる!!!」

 

ゲッター1はトマホークを出すと牙を叩き斬る。

 

「ゲッタ―――――――ビイィィィィィムウゥゥゥ!!!!」

 

ゲッター1の腹部からゲッタービーム砲が現れ、要塞に発射される。水中のせいなのか威力が弱かったが要塞は爆発し、所々が誘爆し始める。

 

『ば、バカな!?あんなロボットにこんな力が・・・・・』

 

「人間舐めるんじゃねえぇぇぇぇえええ!!!」

 

ゲッター1はトマホークを構えると要塞内部まで入ろうとする。

 

『恐るべしゲッターロボ・・・・・』

 

『ゴール様!このままでは我が要塞が完全に破壊されるのも時間の問題です!!』

 

『先ほどの攻撃でメガザウルスの発進口が破壊されました!このままでは!!』

 

『止むを得ん!ハリケーンを出せ!!奴が外に追い出された瞬間、撤退する!!』

 

要塞の中から衝撃波が放たれ、ゲッター1は要塞の外へと追い出される。

 

「うわあぁぁ!?」

 

ゲッター1は岩にぶつかる。

 

「あっ!いない!」

 

起き上がると要塞は既にそこにはいなかった。

 

「ゴール!!出てきやがれ!!尻尾を巻いて逃げる気か!!」

 

『勘違いするな!今日のところは貴様らの力を認めて引き上げるだけだ!だが、貴様ら人類に明日はない!それだけはよく覚えておけ!フハハハハハハハハ!!!!』

 

「ふざけるなあぁぁぁぁぁ!!!」

 

ゲッター1は見境なくトマホークで周辺の岩を破壊しながら探し始める。

 

『一夏さん、もう敵はいません。私たちも撤退を・・・・・・』

 

「うるせえぇ!!千冬姉の・・・・・・・千冬姉の仇がいたんだ!!」

 

『しかし・・・・地中に潜られたのでは追跡は・・・・』

 

「うぅ・・・・・・・千冬姉・・・・・・すまねえ・・・・・・・」

 

一夏は、悔しそうに泣く。

 

「一夏・・・・・・・」

 

そんな一夏を箒はそっと抱きしめた。

 

やっと見つけた姉の仇を逃がしたのだ。

 

一夏には、それが悔しくて悔しくて仕方がなかった。

 

 

 

 

『・・・・・・クロエさん・・・・・でしたよね?』

 

今まで混乱していた簪はようやく落ち着いたのか口を開いた。

 

『何でしょう?』

 

『ゲッターには地中に潜るための装備はないのですか?』

 

『・・・・・答えてもいいのですが答えたら乗ってくれるのですか?』

 

『・・・・・・』

 

簪は黙ってうなずく。

 

『簪ちゃん!?』

 

『私が選ばれたからにはきっと私にしかできないことがある。なら、私は進んでやる。』

 

『・・・・・・どうやら覚悟ができた様ですね。ゲッターは、万能にできています。しかし、現在の状態では万全ではありません。今日のところは私たちも撤退して体勢を立て直しましょう。』

 

ゲッター1は水中を進みながら戻って行く。

 

「・・・・・・」

 

一夏は黙って操縦する。

 

「・・・・・一夏、千冬さんのことは・・・・・」

 

「わかってるさ、さっきはつい感情が昂ぶっちまったんだ。すまねえな。」

 

「・・・・分かっているならいいんだ。でも、これだけは約束してくれ。」

 

「ん?」

 

「一夏の後ろにはいつも私がいる。だから、一人で背負わず私にも頼ってくれ。その・・・・・・・何でもできるわけじゃないけど。」

 

「フン、ありがとよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

敵「恐竜帝国」の存在を知り、千冬の死の真相を知った一夏。

 

姉の仇を討つには強大な敵を撃たねばならない!

 

がんばれ!一夏!

 

がんばれ!ゲッターロボ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 




簪を仲間に加えたゲッターチーム。

残りのメンバー一人を探そうとする中、北海道大雪山ろくの近くの村で異変が起きていた。

それを恐竜帝国の仕業と見た束は一夏たちを向かわせる。

起こった異変とは一体!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「大雪山の異変」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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大雪山の異変

すまん。

武蔵のポジに合うキャラいなかった。


一夏たちゲッターチームが恐竜帝国と遭遇して一カ月。

 

恐竜帝国は大きな動きを見せる様子はなく、一夏たちは平穏な日常を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所 一夏&箒の部屋

 

「一夏さん、あなた宛てにお手紙です。」

 

「俺宛てに?」

 

一夏は、クロエから手紙を受け取る。

 

「誰からなんだ一夏?」

 

「えっと・・・・・・・おぉ!北海道の弾からだ!」

 

一夏は懐かしそうに言う。

 

「えっと・・・・・誰だそれ?」

 

「憶えてねえか?小学校の頃、俺たちと同じクラスで赤髪の・・・・」

 

「あぁ!一緒に遊んでいた奴か!確か妹もいたな!」

 

箒も納得したかのように言う。

 

「久しぶりなもんだな~。なんせ、中学に上がるとき家が夜盗にが入って燃えちまったから新天地として北海道で新しく店を開くって言って別れたっきりだからな~。」

 

一夏は、手紙の内容を読み始める。

 

「え~っと、何々・・・・『よっ!一夏!元気にしているか?俺の方もいろいろ苦労しているけどようやく落ち着いたところだ。久しぶりの手紙で何だが衝撃な出来事が起きやがった。』ハハハ・・・・・弾の奴、また蘭に尻敷かれたか?」

 

一夏は笑いながら言う。

 

「一夏、さっさと続きを呼んでくれ。気になって仕方ない。」

 

「そう慌てるなよ。えっと、『蘭の奴に好きな人ができたんだ。』だってさ!ハハハハ・・・・・・・マジでかよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北海道 大雪山ろく

 

雨が降る中、一台の軽トラックが山道を走っていた。

 

「いやな雨だなぁ。」

 

運転している大柄な男性は雨が滴り落ちる窓を見ながら言う。

 

「全くさ、ここんところずっと降りっぱなしだもんな。」

 

相方の小柄な男性も皮肉そうに答える。

 

「しかし、大した降りじゃねえがこう連日降り続けると嫌になるぜ。」

 

「あぁ・・・・」

 

二人はそんな会話をしながらトラックを進める。

 

「見落とし利かねえからって事故なんか起こすなよ?」

 

「心配すんなって。めったに人が通らねえ大雪山だ。逆に事故を起こす方が難しいもんだってんだ。」

 

「そりゃあそうだな、アハハハハハ。」

 

「次の配達で今日の仕事も終わりだ。えっと、次の届け先は『五反田』・・・・あぁ!!」

 

次の届け先を確認しようとしたところ、目の前に何かが飛び出してきた。

 

「危ねえ!!」

 

トラックは急ブレーキをかける。突然の急ブレーキと雨水で滑りやすくなっていた道ではあったがどうにか止まった。

 

「ばっきゃろ~!死にてえのか・・・・・・えっ!?」

 

頭にきた運転手は、飛び出してきた者に文句を言おうとしたがその直前、目の前にいたものに唖然とした。

 

「はっ、はっ、はっ。」

 

目の前にいたのは人というよりもサル・・・・・・と言うかどっちでもないような存在だった。

 

「ヒイィ!?」

 

「な、なんだ!?ありゃあ!?」

 

思わず二人は、体を寄せあいながら人(?)を見る。一応服を着ているのだから人間だったというのは確かだ。体つきは人間というよりもサルかゴリラに近く見える。

 

「た、た、す・・・・・・」

 

人(?)はゆっくりとトラックに近づいてくる。二人の男はその姿をガタガタ震えながら見る。

 

「たす、けて・・・・・」

 

「「ヒィ!!」」

 

「助けて!」

 

そう叫ぶと人(?)は目の前で倒れてしまった。

 

「ふう!・・・・今なんか言ったぜ?助けてくれとか?」

 

「人間なのか?」

 

二人は落ち着くと外に出て倒れた人(?)を見る。しかし、どう見ても人間には見えない。

 

「サルみたいだぜ?」

 

「でも、今言葉を話した・・・・・ん?」

 

小柄の男が人(?)の目の前に落ちている手帳を拾う。

 

「身分証明書だ。」

 

「どれどれ・・・・・」

 

二人は身分証明書を見る。確認する限りだとこの人(?)はここから近い分校の教師らしい。

 

「先生だとよ。」

 

「なんだ、最近のへき地の分校ではサルが先生をやっとるのか?」

 

「んなこと知るか。」

 

二人は倒れている人(?)を見る。

 

「とりあえず、近くの病院に連れて行こう。」

 

「それにしても本当に気味が悪いな。」

 

二人はひとまず近くの町の病院へと運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

病院に運び終えると二人は警察にこのことを報告、警察はその町の様子を確認するため、重要参考人である二人に警官二人を同行させ、町へと向かわせた。

 

丁度二日前、その村の近くにある登山のハイキングコースへ下見に行っていた中学の女子生徒数人が教師と共に行方不明になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山ろく 近くの村

 

「ダメです。分校の方は愚か、村の至る所にも猫の子一匹確認できません。」

 

雨が降り続ける中、二人の内の若い警官が報告する。

 

「本当に誰もいなかったのかね?」

 

「はい、電話線も電線もみんな切れてしまっています。村の入り口方面も土砂が崩れて塞がれています。完全に孤立状態です。」

 

若い警官の報告を聞き、中年の眼鏡をかけた警官は首を傾げた。

 

「んん・・・・・全く、どうしたというんだ?この村は。北海道では生えないはずの熱帯植物は生えているわ、いくら人口が少ないとはいえ住民は一人もいなくなるわで。」

 

彼が言うのはもっともだった。この村には何故か各住宅の床や屋根を突き破り、北海道では生えないはずの熱帯植物が生えていてまるでジャングルと化していたのだ。

 

「この村の荒れようではただ事ではありませんよ?ここは本署に応援を頼んでもっと詳しい調査をした方がええではないでしょうか?」

 

「うむ、そうしてくれ。長年いろんな事件にかかわってきたがこんな事態では説明がつかん。」

 

 

そう言われると若い警官は、少し離れたところに停めたパトカーへと走って行く。周辺がジャングルと化しているため行くのも一苦労だった。

 

「へえ、へえ・・・・。参ったな。」

 

若い警官は早速通信機で連絡を取り始める。

 

 

 

その背後で何かが近づいていることも気づかずに。

 

 

「あっ、はい。そうです。そういう訳なんです。」

 

その何かはふらりと木から飛び降りる。

 

「では、手配の方をよろしくおね・・・・・がっ!?」

 

若い警官は背後から何かに叩かれ、意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、随分経った頃

 

「遅いですね、あのお巡りさん。」

 

需要参考人として同行していたトラックの運転手二人組は、若い警官が歩いて行った方角を見ながら言う。

 

「う~ん、もう戻ってきてもいいはずなんだがな・・・・」

 

中年の警官も流石におかしいと思いながら答える。

 

「あの・・・・」

 

「なんだね?」

 

「わしら重要参考人はもう帰ってもええでしょうか?」

 

「・・・・うむ。構わんよ。」

 

中年の警官がそう言うと二人は去ろうとする。

 

「気をつけてな。」

 

「「はい。」」

 

 

 

 

 

 

 

そのとき、何かが近くの家の屋根から飛び降りた。

 

「「ぎゃあぁ!!」」

 

二人は瞬く間に警官の前で惨殺された。目の前に現れた存在に警官も度肝を抜かれる。

 

「ひゃあぁ!!何だこいつらは!?」

 

目の前に現れたのは人よりも巨大なサルのような物だった。ここで詳しい学者がいれば恐らく原人とでも言うだろう。

 

警官は腰に付けている警棒で原人を追い払おうとするが背後からも仲間が現れ、首から噛みつかれ、喰いちぎられる。

 

「うわあぁぁぁ!!!」

 

原人たちは、三人を喰いちぎって惨殺し終えるとサルの如くその場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を少し離れた雑木林から二つの人影が見ていた。一人は大量の荷物が入ったリュックサックを背負った大柄な少年でもう一人は、所々が破けてしまった制服を着た赤髪の少女だった。

 

「なんだ、こりゃあ?」

 

少年は、原人たちの行動を終始見たうえで答えた。

 

「一昨日に蘭ちゃんがボロボロの格好で俺んところに来て、帰すのとついでに買い足しで近くの村に来てみりゃあこの様だ。驚いたぜ、北海道で熱帯とはよ・・・・・・」

 

武蔵のすぐ隣にいる蘭と呼ばれた少女は、震えながら武蔵の手を掴んでいた。それに気づくと武蔵は蘭を落ち着かせるように言う。

 

「蘭ちゃん、心配すんなよ。俺がちゃんと家まで送り届けてやっからよ。五反田の奴もきっと心配しているからな。」

 

「は、はい。」

 

蘭は、震えた声で返事をした。余程のことがあったのだろう。

 

二人は、別の町を目指して歩き始める。

 

「とにかく一刻もみんなにこのことを知らせた方がよさそうだ。」

 

武蔵は蘭が離れないようにしっかりと手を握る。

 

「ん?」

 

茂みから物音がし始めた。それもかなりの数で。

 

「せ、先輩・・・・・・・」

 

蘭は、泣き顔で後ろを振り向くと数人の原人たちが木の棒を持って二人に襲い掛かってきた。

 

「あっ!」

 

武蔵が叫んだと同時に原人の木の棒が彼の頭に命中した。

 

「武蔵先輩!!」

 

蘭は思わず武蔵の顔を見るが驚いていたのは原人たちの方だった。

 

武蔵の頭が頑丈だったのか木の棒は逆に真っ二つに折れてしまったのだ。

 

「この野郎!蘭ちゃんを怖がらせやがって!!」

 

武蔵は原人の一人を捕まえると振り回して高く放り投げる。

 

「伊達に半年も大雪山に籠って体を鍛えたんじゃねえぞ!!」

 

原人は地面に落下すると目を回した。

 

「東葉高校、柔道部主将。巴武蔵を舐めるな!!必殺技大雪山おろしを見せてやるから覚悟しやがれ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所

 

「おい、簪。なんだよ、このなんか気が抜けたような女は?」

 

一夏はイーグル号を整備しながら聞く。簪の脇にはなんか抜けている様な少女がくっついていた。

 

「・・・・・・・・私の専属のメイド。別の意味で言えば私の幼馴染。」

 

「初めまして~。私は布仏本音といいまぁ~す。気軽にのほほんさんと言ってもいいよ~。」

 

本音と名乗った少女はどうもいまいち気が抜けたような挨拶をする。

 

「ま、まさかそいつをゲットマシンに乗せるつもりじゃ・・・・・・」

 

「本音はこう見えてメカニック関係の仕事には強いの。だから、お姉ちゃんからお目付け役兼メカニック担当として呼び戻した。」

 

「いや~かんちゃんが私を追い出した時はもう駄目だと思ったけど本当によかったよ~。危ない集団から抜けてくれて。」

 

「まあ、こっちは別な意味で危ないけどな。」

 

「何言ってんのよ。私たちがやることは世界を守ることにもなるのよ?」

 

ミチルにツッコまれながらも一夏は、イーグルの整備に戻る。

 

そこへ束が子供をおんぶしてやってきた。

 

「いっく~ん。ちょっといいかな?」

 

「ん?」

 

一夏は、イーグル号の下から顔を出す。

 

「なんすか?」

 

「イーグル号の整備が終わったら箒ちゃんと一緒に北海道に飛んで行ってくれない?」

 

「北海道?どうしていきなり?」

 

「実は、奇妙な情報が入ってね・・・・・・・・・こらこら、ミユキちゃん。ママが持っている紙引っ張っちゃダメ。」

 

「やだぁ~。」

 

「後で遊んであげるから、ね?」

 

ミユキの悪戯に手を焼きながらも束は話を続ける。

 

「北海道で人間とサルの中間の人種・・・・・簡単に言えば北京原人みたいな奴かな?詳しいことはわからないんだけど解剖を担当した医者がまるで人間が退化した姿だって言っていたんだよ。」

 

「なんだって!?」

 

一夏は思わず動揺する。

 

「私が行く。」

 

「あら、簪ちゃんじゃまだ無理があるわ。私が・・・・・」

 

「ミチルちゃんはコマンドマシンのテスト飛行。」

 

「あらら・・・・・・」

 

束に言われてミチルは思わず滑る。

 

「わかった。行けばいいんだろう?」

 

「うん、もしかしたらあの『恐竜帝国』の作戦かもしれないからね。気をつけてね。」

 

「あぁ、それよりも束さんはミユキちゃんの遊び相手をちゃんとやっておいた方がいいぜ?ここんところ部屋に籠りっぱなしだったから所長室の壁がミユキちゃんの落書きだらけになっちまっているって清掃員が嘆いていたぜ?」

 

「いいの!大事なミユキちゃんの力作の数々なんだから!」

 

「ママー。」

 

ミユキは、小さな手で束の白衣の端っこを引っ張る。

 

「何~?ミユキちゃん?」

 

「キョウリューテートクって何?」

 

「う~んとね、テレビに出てくる強いお姉さんたちの上の偉い人の一人だよ~。」

 

「そーなんだー。」

 

ミユキは納得したかのように言う。

 

「・・・・・・・姉さん。それ、きっと違う。」

 

 

 

 

その後、イーグル号は、一夏と箒を乗せて北海道を目指して発進していった。

 

 

「・・・・・・・何事もなければいいが。」

 

 




北海道大雪山に到着したイーグル号。

しかし、そこは既に恐竜帝国の秘密基地となっていた!

敵の攻撃に撃ち落されたイーグル号。

果たして一夏と箒の運命はいかに。

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「大雪山の地獄」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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大雪山の地獄

ゲッターロボ大決戦だと武蔵って志願しているんだ・・・


北海道 大雪山上空付近

 

「こちら、イーグル号。大雪山上空に到着。山の中腹から噴煙が上がっています。研究所どうぞ。」

 

イーグル号の後部座席で箒が報告する。

 

『はい、こちら早乙女研究所。情報局のデータで大雪山は、記録によるとここ数日、大噴火の前触れは確認されていません。』

 

通信相手はクロエのようだ。しかし、確かに大雪山の中腹は煙を上げている。

 

『イーグル号へ、こちら早乙女研究所。噴火の原因を突き止められたし。』

 

「了解、一夏。」

 

「おう!」

 

イーグル号は大雪山へと近づいて行く。

 

「しっかし、すげえ噴火だな・・・。」

 

「一夏!あれ!」

 

箒は噴煙の方を指さす。濃い噴煙で確認はしづらいが何か人工物のような物が見えた。イーグル号は火口から離れる。

 

「こちら、イーグル号!噴煙の中に何か人工物のような物を確認!」

 

「あと、周辺の温度がすごく上がっているぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所

 

「やっぱりね・・・・・・ハチュウ人類の基地かもしれないから気をつけて!」

 

『了解!』

 

研究所側で一通りの交信を終えると束の後ろに簪と本音が来た。

 

「博士~例のおサルさんが速達で届いたよ~。」

 

「はいはい。クーちゃん、ここをよろしく。」

 

「かしこまりました。」

 

その場をクロエに任せ、束はミユキが掴まっているのを気にしないで原人が運ばれた部屋へと向かう。

 

「っで、その原人はどうだったの?」

 

「はい、届いてからさっきまで片言を話していたんですけど今は全く喋らなくなりました。」

 

「ふんふん。」

 

「正直言いますと博士、アレは人間じゃありません。早く何とかした方が・・・・・」

 

「まずは見ないとね。束さんは直に見ないと信じない方なのだ。」

 

束は早速部屋の前に到着するとドアを開ける。

 

部屋の中では、二人の所員と拘束されたまま眠っている原人の姿があった。

 

「あっ、博士。」

 

「これが例の原人?」

 

「はい、先ほどまで暴れていたのですが麻酔でようやく大人しくなりました。」

 

「見ての通り、まさに原始人です。」

 

所員が緊張した顔で言う中、興味が移ったのかミユキは束から離れて原人の方に近づく。

 

「わあぁ~!大きいおサルさんだ~!!」

 

「こらこら、ミユキちゃん。それに触っちゃダメ。」

 

束はすぐさまミユキを抱き上げると本音に回す。そして、すぐに確認を始める。

 

「ふむ・・・・・」

 

「歯並びなどは化石で見る北京原人そっくりです。時間が経つにつれてだんだん退化していきます。」

 

「時間が経つにつれて?」

 

束は所員の方を見る。

 

「ええ、そうなんです。目撃者の証言ではもっと人間に近かったようなんです。人間の服も着ていましたし。」

 

「服と一緒に身分証明書まで所持していました。これがその身分証明書です。」

 

「・・・・・・・」

 

所員の証拠品の数々を見て束は思わず黙る。

 

生物が退化するというのは自然界においてもあることだが、それは飽くまでその環境に適応するために起こることでこんな短期間で起こることではない。現にこの目の前で眠っている原人は数時間前までは自分たちと同じ人間だった可能性があるのだ。

 

「・・・・博士、はっきりとしたことはわかりませんがこれは伝染病が原因ではないかと思います。」

 

「この原人を国立病院で精密検査を徹底的にやるべきです。伝染病だとしたら早く対策を立てねば・・・・・・・」

 

「・・・・・・・かんちゃん、のほほんちゃん、すぐに解剖の用意を始めて。」

 

「はい。」

 

「ミユキちゃんはどうします~?」

 

「そろそろミチルちゃんが戻ってくるから回しておいて。」

 

「は~い~。」

 

束の一言に所員たちは思わず動揺した。

 

「解剖ですって!?無茶です!人間かどうかわかってもいないのに解剖するなんて・・・・・」

 

「私も同意見です!もし、只の伝染病にかかっているだけだったら人間を殺すことになります!!人権問題になりますよ!?」

 

「多分、元々は人間だったんだろうね。この原人は。」

 

所員の言う事に束は否定することなく答える。

 

「だったら、解剖という無茶はやめてください。」

 

「今は人間どうこうと言っている場合じゃないですよ。もし、他の第三者がこの人間を原始人に変えたとしたらどう?それこそ第二、第三の同類が現れる危険性があるんですよ?」

 

簪の一言に所員は黙る。

 

「これからは、弱い人間は生きる資格がなくなる。生き抜くためには弱い部分を突き止めて刈り取る必要があるんです。」

 

「うわあぁ~かんちゃん、言う事が怖い~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山

 

「くそ~、煙でよく見えねえ。」

 

一夏はイーグル号から噴火口を見る。

 

「もう少し近づいてみたらどうだ?」

 

「そうだな。」

 

箒の意見を聞いて一夏はイーグル号を火口まで近づけようとする。

 

しかし、その直後、火口から顔に複数のチューブを付けたような巨大な怪物が飛び出してきた。

 

「うわあぁ!!」

 

一夏たちが驚いている間に怪物はイーグル号を叩きつける。コントロールを失ったイーグル号は落ちていく。

 

「しまった!うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

イーグル号は岩にぶつかりながらも何とか態勢を整えようとしたが結局山下の方へと転がり落ちて行ってしまった。

 

『クククク・・・・・・・・うまく仕留めたな。後は、あの中の人間を始末するだけだ。』

 

中には小隊長らしい怪人が乗っていた。

 

『飛行偵察隊、あの戦闘機が落ちた周辺を確認せよ!見つけ次第殺せ!』

 

怪人が命令すると火口から四体編成のプテラノドンに人間の下半身を持たせたような怪人たちが飛んでいく。

 

「了解しました!キャプテン・ランバ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーグル号 墜落現場

 

イーグル号は、大木と大木との間に挟まれた状態で墜落していた。

 

「例の戦闘機を確認!」

 

恐竜帝国飛行偵察隊はイーグル号の中を覗く。しかし、乗っているはずの一夏と箒の姿が見当たらない。

 

「中の搭乗者がいません!」

 

「逃げたか・・・・・ん?」

 

リーダークラスの個体がイーグル号に付着している血に気づく。よく見ると血の後は、茂みの方へと続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ・・・・・・イーグル号が壊れるとは・・・・・」

 

一夏は、左腕から血を流しながら箒と一緒に逃げていた。

 

「うっ!」

 

あまりの痛みに一夏は跪く。

 

「一夏!」

 

「フッ・・・・・肩の関節が外れたようだ。」

 

一夏は痛みにこらえながら言う。

 

「箒、俺をおいてできるだけ遠くへ逃げろ。お前の足なら振り切れるはずだ。」

 

「何を言っているんだ!?私は絶対に一夏を置いていかないぞ!嫌だと言っても一緒に連れて行くからな!!」

 

箒はそう言うと一夏の肩を貸すようにして移動し始める。

 

そのとき、少し離れたところに人影が見えた。

 

「よかった!人がいるぞ!おーい!!」

 

箒は助けを求めようと声をかけるが、振りむいた顔は人間ではなかった。

 

原人たちである。

 

「に、人間じゃない!?さ、サルだ!?」

 

箒は急いで一夏と一緒にすぐ脇の木の影に隠れる。しかし、原人たちはこちらへと向かってくる。

 

「まずい・・・・・このままだと・・・・・」

 

二人がそう思った直後、後ろから四本の手が二人の顔を押さえた。

 

「!?」

 

「だ、誰だ!?」

 

一夏たちは何とか振りほどこうとするが思っていたよりも力が強く振りほどけない。そうしている間にも原人たちはすぐそこまで来ていた。

 

(くそっ!ダメだ!振りほどけねえ・・・・)

 

原人は木の棒を持って一夏たちに振り下ろそうとする。

 

(くっ!こんなことになるんだったら、俺一人で来ればよかった!)

 

二人は目を閉じる。しかし、一夏の方を掴んでいた手が制すと原人たちは攻撃を中断した。

 

「・・・・・・・・えっ?」

 

「どういうことなんだ?サルたちが動きを止めやがった。」

 

「サル共よ、伏せろ!」

 

一夏のすぐ後ろから声がした。

 

すると原人たちは命令通りに茂みの中へと身を隠した。

 

「誰なんだ!?敵か!?それとも・・・・」

 

「いいからお前等も身を隠せ。ゆっくり、音を立てないようにな・・・・・」

 

そう言われると一夏たちはそろり、そろりと茂みの中へと引っ張られて行った。

 

 

 

 

 

 

しばらくすると例の飛行偵察隊が武器を構えて歩いてきた。どうやら一夏の血の跡を追って来たらしい。

 

偵察隊は、一夏の血の跡を見るや、近づいてくる。

 

(やっぱり、俺の血の跡を追って来やがったか・・・・・)

 

一夏は緊張しながら、息をのむ。

 

偵察隊は一歩、一歩と近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・来たな。」

 

そのとき、反対の茂みから物音がし、偵察隊は全員後ろを向く。そのとき、一夏のすぐ後ろから掛け声が出ると同時に今まで一夏を押さえつけていた人物が飛び出す。

 

「今だ!やっつけろ!!」

 

武蔵の指示で原人二人が一斉に茂みの中から飛び出し、偵察隊の頭に向かって木の棒を叩きつける。

 

突然の奇襲に驚いた偵察隊は倒れた一体を攻撃した原人に向かって武器を発射し、原人の頭をふっ飛ばす。しかし、倒れた一体の武器を奪った蘭が攻撃した一体を倒す。

 

「ゲッ、ゲッ!?」

 

「おい、どこ見てんだ?」

 

「!?」

 

思わずおじけづいた一体の後ろから一夏が容赦なく肘打ちを喰らわせる。こちらも攻撃で頭部が変形し、倒れた。

 

「大雪山おろし!!」

 

武蔵は最後に一体を勢いよく放り投げた。最後に一体もあっけなく木の幹に頭を貫かれて死んだ。

 

「ワッハハハ、これで全部片付いた!」

 

武蔵は手をパンパンと合わせながら一夏の方を見る。

 

「おう、さっきは悪かったな。怪我はねえか?」

 

「あぁあ・・・・・」

 

「あれ?一夏さん?」

 

蘭はようやく一夏に気づく。

 

「蘭!?蘭なのか?」

 

「お久しぶりです!まさか、こんなところで会うなんて!」

 

久しぶりの再会に驚く二人。

 

「どうしてこんなところに・・・・・」

 

「おいおい、感動の再会かとは思うけどよ・・・・・ここではまずいぜ。それに怪我しているみたいだしな。」

 

武蔵は一夏の肩を見て言う。

 

「俺は柔道やっとるからこういうのは少しはわかるからのう。少し痛いかもしれんが応急処置ぐらいならできそうだ。」

 

「お前は一体誰なんだよ?蘭とは知り合いみたいだけど・・・・・」

 

「俺は巴武蔵ちゅうもんだ。蘭ちゃんとはちょっとした付き合いでな。ここで話すのもなんだし、少し場所を変えよう。俺も聞きたいことがたくさんあるし。」

 

「あぁ、それなら・・・・・・」

 

四人(と言うよりは五人?)はその場から離れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“こちら、早乙女研究所”

 

“こちら北部方面第二航空師団です”

 

“大雪山山ろくでゲットマシンが遭難した模様。捜索をお願いします。繰り返します、大雪山山ろくでゲットマシンが遭難、捜索を願います”

 

“了解!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・ふあぁ~。」

 

その頃、束、簪、本音の三人は原人を解剖して何が起こっているのかについて調べていた。しばらく体の解剖を続け、三人は手術室から出てくる。

 

「ふう~。」

 

束は一息ついてソファに腰を掛ける。

 

「博士、何かわかりましたか?」

 

簪は白衣から着替えながら聞く。

 

「いや、全く手掛かりなしだよ。あったと言えば白血球が少し減っているだけであとは何も異常なし。」

 

「私はやっぱり脳の方に手がかりがあるんだと思います。」

 

「そうだね、明日は脳の方を徹底的に調べようかな。」

 

「え~、また明日もやるの~?」

 

二人の意見が合致している中、本音一人だけ嫌な顔をする。そこへミチルが慌てて部屋に入ってくる。

 

「お姉さん、一夏君と箒ちゃんが遭難しました!!」

 

「わかった、わかったよ・・・・ミユキちゃんのことは・・・・・・ってぬわにぃい!?」

 

束は思わずひっくり返った。

 

「なんでもっと早く教えてくれなかったのっ!?」

 

「だって、お姉さんが解剖中は誰も部屋に入れるなって、言ってたじゃない!!」

 

「え~らいこっちゃ、え~らいこっちゃ~!今すぐ出動させたいけど、クーちゃんは午後からたっちゃんのところへデータ届けるように言って秘密研究所の方に送っちゃったし・・・・・・・」

 

「じゃあ、のほほんさんがベアー何とかに乗るのだ~。」

 

「いや、多分無理だと思う。」

 

「しょぼ~ん。」

 

四人は硬直状態になる。

 

「・・・・・・お姉さん、こうなったら私が・・・・・」

 

「いや、ここは責任を取って束さんが行きましょう!」

 

束は決心したように言う。

 

「ミユキちゃんはどうするのよ!?」

 

「う~ん~・・・・・・・・・引き続きお願い。」

 

「もう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山 イーグル号

 

「へえ、武蔵は弾と同級生だったのか・・・・・」

 

一夏たちは、イーグル号の上で会話をしていた。

 

「まあな、五反田とはこっちに来てから知り合ってよ。柔道はじめたときに稽古の相手とかしてやったもんだぜ。」

 

「弾が柔道ね・・・・・。」

 

「前の店は泥棒に入られたせいで燃えちまったから今度は追い返せるようにってよ。でも、中学の地区大会の時に背骨痛めちまって、そのまま引退になっちまったんだ。今じゃ、静かに松葉杖をつきながら店の手伝いだ。たまに飯食いに行く時会うけどよ。元気でやっているぜ。」

 

武蔵はイーグル号の機器をいじくりながら言う。

 

「・・・・・そうか。手紙じゃそんなこと書いてなかったからな。」

 

「手紙?」

 

「あぁ、弾本人が書いた奴なんだけどな。そんなこと一言も書いてなかったんだよ。う~ん、じゃああの一言も冗談だったのかな?」

 

「えっ?一体どういう・・・・」

 

「まあ、今はそんなことは後回しだ。取りあえず整理すると武蔵はこの大雪山へ半年ぐらい前に修行しに来ていて蘭は二日前に近くの登山コースの下調べに来ていた最中にさっきの奴らに襲われたってわけだな?」

 

蘭は、暗い顔で返事をする。

 

「はい、近いうちに学校行事で行うハイキングのコースの下調べをしに先生と友達も含めて六人ぐらいで来たんですけど昇り始めてすぐに襲われて・・・・・・・みんな必死に逃げたんです。でも、私だけみんなと離れてしまって・・・・・・一人震えていたところを武蔵先輩に見つけられたんです。」

 

「・・・・と言う事は、他の生徒はみんな捕まってしまったのか。」

 

「はい。でも、もしかしたら・・・・・・」

 

蘭は思わず身震いをする。その姿を見て一夏は厳しい表情へとなる。

 

「畜生、恐竜帝国め。千冬姉や研究所の所員、簪の仲間に続いて・・・・・」

 

「恐竜帝国?千冬さんとどういう関係があるんですか?確か事故で亡くなったんじゃ。」

 

「正確には蘭たちを襲った連中の作った怪物に食い殺されたんだ。」

 

「・・・・・・・」

 

一夏の一言を聞いて蘭は唖然とした。

 

「まあ、仇は取ってやるさ。それにしても奇妙だな。」

 

一夏は唯一生き残った原人を見る。

 

「何でこいつは蘭と武蔵には襲わないで言う事を聞くんだ?」

 

「へへへ・・・・・こいつらはてんで頭が弱いのさ。最初は俺たちにも襲ったけれど、奴らより俺の方が強いとわかったら素直なもんよ。こいつらを支配しているのは力だけらしいや。強い奴には逆らわねえんだ。だから、俺と一緒に居た蘭ちゃんも強いって思ってんのよ!」

 

「まるでケダモノと同じだな。」

 

「うん、私もそう思った。」

 

「こらっ!しっかり見張れよ!」

 

「ゴホッ!」

 

武蔵に命令されると原人は素直に返事をした。

 

「な、素直なもんだろう?」

 

「ふうん。奴らがお前に従うのがなんとなくわかった気がするよ。」

 

「た、確かに見た目がゴリラそっくりだもんな。」

 

「ちょっと!箒さん!武蔵先輩に失礼じゃないですか!」

 

「えっと・・・・・ここの線とここの線でと。本当に動くのか?この車。」

 

「ああ、それで動くはずだ。」

 

武蔵が配線を直しているのを見ながら一夏は言う。

 

「それにしてもこのくらいの故障で済んでよかったぜ。よっぽど頑丈なんだな、この車!!」

 

「車じゃねえ、ゲットマシンだ。それよりも早くこっから脱出しねえと・・・・・ん?」

 

一夏は上から物音がしたため上を見る。よく見ると戦闘機が上を飛んでいた。

 

「自衛隊機だ!まさか束さんが頼んだのか?」

 

「まずいな!山の方に行ったら私たちを襲った奴が!」

 

「武蔵、急いでくれ!」

 

「分かってるって!これでも急いでるんだ。」

 

武蔵は作業のスピードを速める。

 

 

 

 

 

 

 




火口から現れたメカザウルス。

それを迎え撃つべく救援に駆け付けた簪たちと共に一夏はゲッターロボへ合体する。

しかし、帝王ゴールは「北海道灼熱地獄作戦」の阻止を防ぐべく、さらに二体のメカザウルスを送り込む!

ゲッターロボに勝機はあるのか!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「恐怖!北海道灼熱地獄作戦!!」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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恐怖!北海道灼熱地獄作戦!!

資料が中々集まらない。というよりはしばらく出せないかも。




大雪山上空

 

「管制塔、管制塔。こちら捜索機。大雪山が不気味な噴煙を上げている。どうぞ。」

 

『こちら、管制塔。その付近にイーグル号は不時着したものと思われる。周囲の捜索を開始せよ。』

 

「了解。」

 

自衛隊捜索機は、早速捜索を開始しようとする。

 

「!?こちら捜索機!火口から何かが飛び出してくる!?」

 

その直後、火口から何かが這い上がってきた。

 

「うわあぁぁぁ!?」

 

巨大なトカゲの顔を二つを首の下から出した頭部を持つ怪物は自衛隊探索機を握り潰し、もう一機の方は頭部から突き出ているトカゲの尻尾で破壊した。

 

 

 

「やばいな・・・・・どうやら本当に悪いことが当たっちまったぜ。」

 

「よし、これで修理は終わったぜ!」

 

武蔵は、そう言うと一夏と箒はコックピットに乗り込む。

 

「武蔵たちは、少しでもここから離れていてくれ!後で迎えに行くからよ!」

 

「そんな怪我で操縦できるのか?」

 

「私が補助するから大丈夫だ。」

 

「気をつけてくださいね。」

 

武蔵たちは、上から降りるとイーグル号は勢いよく飛びだって行った。

 

「うひゃぁ~。あの車、本当に飛ぶんだな・・・・・・・。」

 

 

 

 

イーグル号が上昇すると丁度ジャガー号とベアー号が飛んできていた。

 

「グッドタイミングだぜ!二人とも来てくれたのか!」

 

ジャガー号、ベアー号の方もイーグル号を確認する。

 

「心配してきて見たけど来る必要なかったみたい。」

 

簪は呆れたように言う。

 

「いやいや、でも向こうから現れてくれたんだから丁度いいと思うよ?この際合体して・・・・・」

 

『お姉さん!お姉さん!!』

 

束がそう言った直後、ミチルから通信が入る。

 

「ん?どうしたの?いっくんなら今見つかった・・・・・・」

 

『ミユキちゃんが・・・・・・・ミユキちゃんがどこにもいないのよ!?』

 

「ハッハハハハ、かくれんぼでもしてどこかに隠れ「私、ここにいるよ。」・・・・・・って、えっ?」

 

束は、後ろを振り向くとそこにはサイズの合わないヘルメットを被ったミユキがいた。

 

「・・・・・・・ミユキちゃん。どうしてママの後ろにいるのかな~?」

 

「ミチルおばちゃんに捕まらないように隠れてたの~!」

 

冷や汗をかいている束とは反対にミユキは、ニコニコしながら答える。どうやら本当にかくれんぼのつもりでいたらしい。そんな余所見運転をしていたせいでベアー号は怪物の頭部の尾で叩き落とされて行ってしまった。

 

「あ~~~れ~~~~!!!」

 

ベアー号は、回転しながら落下していった。

 

「博士!」

 

「えっ!?いきなり撃墜!?そりゃあ、ねえだろう!?」

 

「一夏!前!前!!」

 

イーグル号も危うく捕まりかけるが回避する。

 

「この野郎!よくも束さんを落としやがったな!」

 

イーグル号とジャガー号はミサイル攻撃を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山 地上

 

「一夏さんたち、大丈夫かな?」

 

少しでも離れた場所へと移動しながら蘭は心配そうに言う。

 

「なあに、アイツも大した男だしそんな簡単にはくたばらねえさ。」

 

「だといいんですけど・・・・・」

 

「ゴッホッウ!ウッキキキ!!」

 

原人が反対側を見て何かを伝えるように叫ぶ。

 

「ん?どうした?まさかさっきの怪物がこっちの方へ・・・・・・」

 

武蔵たちも見た瞬間、ベアー号がこっちに向かって墜落しようとしていた。

 

「なっ、なんだぁ!?」

 

「こっちに落ちて来る!?」

 

三人は慌てて逃げる。しかし、ベアー号は墜落後もスピードが落ちる様子なく、武蔵たちの方に向かってくる。

 

「うひゃあぁぁぁぁ!!?」

 

武蔵は蘭を担いで走る。その体系で出せるとは思えない速さでとにかく必死にベアー号から逃げる。原人もとにかくその武蔵に付いて行く。

 

しばらくするとベアー号はようやく止まった。

 

「し、死ぬかと思った・・・・・・」

 

三人は一体だれが乗っているのかを確認するためにコックピットの方へと昇ってみる。すると束親子が目を回して気絶していた。

 

「あら・・・・・・・」

 

「気絶してるだけ見たい・・・・」

 

「おい!大丈夫か!?おい、おばさん!」

 

武蔵は、必死に束を揺する。

 

「うわあぁ~!!覚めた!覚めたからそんなにゆすらないで~!それに私はまだ20代だよ~!」

 

束は離してもらうと気絶しているミユキを抱きかかえて起こす。

 

「うぅ・・・・お星さま・・・」

 

「ミユキちゃんったら・・・・・もう!帰ったらお仕置きだよ!」

 

「それにしても本当に頑丈な車だな。あんな風に落っこちて来たって言うのに壊れた様子は一つもないぜ・・・・」

 

武蔵が感心している傍ら、ゲットマシンに興味を持った原人は操作ボタンをさりげなく見ている。

 

「ウホッ?」

 

原人は発進ボタンを押してしまう。

 

「「「うわぁぁぁぁ!?」」」

 

ベアー号は五人を乗せたまま発進してしまう。

 

その一方イーグル号とジャガー号は苦戦しているところだった。

 

「ちっ!やっぱり合体しねえとダメか!」

 

「でも、まさか姉さんが操縦しているなんて・・・・」

 

そう言っている間にベアー号が合流した。

 

「おっ、ようやく戻って来やがった!」

 

「姉さん!だいじょ・・・・・って、えぇ!?」

 

箒はベアー号の中をモニターで見て確認するが一瞬驚いた。

 

「は、博士が退化した?」

 

簪も思わず言う。ベアー号は武蔵たちも乗せて押し寿司状態になってしまっているため、モニターに映っているのは原人の顔だったのだ。

 

「違う違~う!!私はこっち!もう、君は後ろに居なさい!」

 

束は原人の頭をポカポカ叩きながら後ろに下げる。

 

「おいおい、何で原人なんて乗っているんだよ!?」

 

「俺もいるぜ。」

 

「武蔵!ってことは蘭たちまで乗っちまったのかよ!?」

 

武蔵たちの姿を見て一夏は呆れる。

 

「とりあえず、今は戦いに集中しないとね!」

 

「そうしてもらえると助かります。なんせ、後ろからは例の化け物がいかけていますからね。」

 

簪が言うのももっともだった。ゲットマシンのすぐ後ろでは怪物が足のジェット噴射を利用して追いかけてきているのだ。

 

「よし!ゲッター1に合体だ!」

 

「いっくん、怪我しているようだけど大丈夫なの?」

 

「私がカバーするから大丈夫だ!姉さんの方はむしろ大丈夫なのか!?」

 

「まっかせなさ~い!この生み親たる束さんが・・・・・・こら、ゴリラ!そこのボタン押しちゃダメ!」

 

「「「・・・・・・」」」

 

ベアー号の状態に三人は思わず黙るが合体フォーメンションへと移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山 恐竜帝国基地

 

「ゲッターが合体します!」

 

「ククク・・・・・小癪にもメカザウルス・ドバに立ち向かうつもりか。」

 

基地では、責任者たるキャプテン・ランバがその様子を見ていた。

 

「キャプテン・ランバよ!」

 

「はい、ゴール様。」

 

キャプテン・ランバは後ろに入るゴールの方を見る。

 

「ゲッターを葬るのによいチャンスだ。お前の指揮するメカザウルスのすべてを以てゲッターロボを叩き潰せ!!一刻も早く邪魔者を消し、一日も早く『北海道灼熱地獄作戦』を終わらせるのだ!そのためにもゲッターロボを確実な方法で倒すのだ!!」

 

「はっ!直ちに私もメカザウルス・ボアに登場して前線に向かいます。」

 

キャプテン・ランバは司令室から出て行く。

 

「メカザウルス・ギロ!バル!ボア!出動せよ!なんとしても奴を叩き潰すのだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山

 

「よし!行くぜ!箒、チェンジレバーだ。」

 

「わかった、行くぞ!チェーンジッ!」

 

箒がレバーを引くと同時にイーグル号がゲッター1の頭部に変形し始める。それに合わせてジャガー号とベアー号が合体し、胴体へとなる。

 

「ゲッタ――――――――!!ワン!!」

 

「別に俺みたいに言わなくてもいいぜ?」

 

「い、言ってみたかったんだ・・・・・・・(ポッ)」

 

そんなことを言いながらもゲッター1はメカザウルス・ドバに強烈なキックを浴びせる。更に追撃で回転キックをし、ドバの右腕を吹き飛ばす。

 

「いいぞ箒!その調子だ!」

 

「うおぉぉぉ!!」

 

ゲッター1は、チョップでドバの左足を切断する。

 

「箒ちゃん、ゲッタービームでそいつの頭を破壊しちゃって!」

 

「分かった!ゲッタービ・・・・・あれ?」

 

「それは分離ボタンだ!すぐに戻せ!」

 

ボタンを押し間違えて、ゲッター1の頭部だけが飛び出しそうになった。

 

「間違えた・・・・・・改めてゲッタ―――――――ビィ――――――――ム!!」

 

ゲッター1はドバに向かってゲッタービームを発射するが僅かな誤差で首元を貫いたドバの頭部のトカゲは尾を伸ばしてゲッター1を拘束する。

 

「しまった!」

 

箒は、拘束を解こうとするが強力に縛られているのか身動きが取れない。ゲッター1の左腕からミシミシと嫌な音が出始める。

 

「まずいね・・・・・箒ちゃん!トマホークで斬りおとして!」

 

「ダメだ!トマホークの射出口が塞がれて展開できない!」

 

ドバは頭部のレーザー砲でゲッター1の胴に穴を開け始める。

 

「このままだとやられちゃう!」

 

 

 

 

 

 

恐竜帝国基地ではゴールが高笑いしていた。

 

「フハハハハハッ!ゲッターめ、それでは手も足も出まい。メカザウルス・ドバよ!そのままゲッターを締め付けておくんだ。もうすぐ、仲間がゲッターを葬りに行くぞ!」

 

 

ゴールの言う通り、既に近くに長い手を持つメカザウルス・ギロ、闘牛のような角を持つメカザウルス・バルがすぐ近くにまで来ていた。

 

ゲッター1は取れかけている左手を他所に何とか拘束を解こうと奮闘するが解ける様子はない。

 

「なんて強い力なんだ・・・・・ビクともしない。」

 

箒は焦った表情で言う。

 

「箒ちゃん、あのメカザウルスをよく見て。あの鞭はトカゲの尻尾なんだよ!おそらくあの頭部で力を増幅しているんだよ!あのトカゲを何とかすれば!」

 

箒はドバの頭部を再確認する。確かにドバの頭部の下には二つのトカゲの頭部がある。あのトカゲの頭部を潰せば力も弱まる筈だ。

 

「でも、この状態じゃ・・・・・」

 

「もっと力は出せないの?」

 

簪の言葉に一夏は考える。

 

(ゲッターの今動かすことができるのは足だけだ。でも、今の状態でキックをしたとしてもあの頭部を破壊できるかどうか・・・・・・・・・ん?待てよ?・・・・・・そうだ!)

 

「箒!さっきの分離ボタンの場所、憶えているか?」

 

「えっ?どうしたんだ急に!?」

 

「いいから俺の言う通りにしろ!」

 

一夏に言われて箒はゲッター1の角度を調整する。

 

「キックよりも強力なものがあるぜ!」

 

ゲッター1の頭部は、丁度ドバの頭部辺りに差し掛かった。

 

「今だ!押せ、箒!」

 

「うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

箒がボタンを押すとゲッター1の頭部は飛んでいき、ドバの頭部に直撃する。ドバの頭部は吹き飛び、ゲッター1の頭部が再接続されると、残った部分で首のなくなった胴体に尾を利用して頭部の残った部分を叩きつけて止めを刺す。ドバの体は見事に爆発した。

 

「な、何とか倒したな・・・・・」

 

「一難去ったのはいいけどまた一難来たみたい・・・・・」

 

目の前を見るともうすぐ近くまでギロとバルが迫っていた。

 

「箒、まだやれるか?」

 

「任せてくれ。」

 

「とりあえずゲッター2になった方がいいね。あっちの方が逃げる時も早いし。」

 

しかし、頭部を失った筈のドバの触手は再び体にまとわりついた。

 

「ゲッ!?コイツ、まだ生きていやがる!」

 

「頭部がなくなっても生きているなんて・・・・・・やっぱりトカゲ何だなぁ。」

 

そんな状態のゲッター1をギロとバルは、分かれて攻撃を行おうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐竜帝国基地 

 

「ハハハハハハ!ゲッターロボ、そこが貴様らの墓場だ。そこで一人死んでいくのは寂しかろう。このゴールが貴様らのために道連れを付けてやろう!北海道の人間どもを道連れとしてな!フハハハッハハハ!」

 

追い込まれているゲッターを見てゴールは満足そうだった。

 

「作戦開始じゃ!北海道灼熱地獄作戦開始じゃ!!」

 

「「「了解!」」」

 

ゴールの命令と同時に大雪山の中腹が眩い光に包まれて行く。大雪山周辺の木々は激しく燃え始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大雪山から少し離れた街にある一軒家

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

一方大雪山から少し離れた一軒の食堂ではある親子が心配そうに誰かを待っていた。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

そこへ一人の老人が店に入ってくる。

 

「あっ。お父さん・・・・・」

 

「じいちゃん、どうだった?」

 

少年の方は松葉杖をつきながら老人の方へ歩いて来る。老人は何とも言えない顔で首を横に振った。

 

「そんな・・・・・」

 

「蘭は・・・・・・蘭は死んじまったのかよ?」

 

少年、弾は思わず倒れそうになるが母親である蓮に支えられてまた椅子に座る。

 

「まだ、そんな情報はねえぇがぁ、向こうも向こうで今それどころじゃねえそうだ。蘭が出かけた山のふもとに捜索に出た警官が行方不明になったとよぉ。」

 

「まあ、蘭に続いてお巡りさんまで?」

 

「ここんところ妙なことが続いてるからなぁ。準備が整ったらまた捜索を始めるそうだ。」

 

厳は納得いかなそうな顔で言いながら厨房の方に入る。

 

「蘭も心配だがいつまでしょげても仕方ねえぇ。こっちはこっちでやってくまでよ。そういう訳で明日のための仕込みの準備だ。」

 

「・・・・・・そうね。お店の方もあるから。」

 

「・・・・・・蘭、死んでなんかいたら承知しねえぞ。」

 

そう言いながら五反田一家は、明日の営業のための仕込みを始めようとする。そのとき、弾は妙な異変に気付いた。

 

「・・・・・・なあ、母さん、じいちゃん。それにしてもいつもよりなんか暑くねえか?」

 

「ん?」

 

「・・・・確かにそうね・・・・・温度計は・・・・・・・室温45!?」

 

店の中の温度計を見て蓮は驚く。それどころかむしろどんどん上昇していた。

 

「一体全体どうなっていやがんだっ!?」

 

弾は松葉づえを動かして店の外に出てみる。すると信じられない光景が。

 

「だ、大雪山が光ってる!?」

 

彼が見たものはいつもと違って眩い光を発している大雪山だった。しかし、道路では、アスファルトが溶け、屋根が燃え始めていた。

 

「じいちゃん、大変だぁ!?大雪山が燃え・・・・・・」

 

弾の言いかけた言葉はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハハハ、見たか!北海道灼熱地獄作戦。地中のエネルギーを利用した人工太陽は、全て炎に包む。これで北海道全体を火の海にしてやる!マグマエネルギー増幅装置のパワーをもっと上げろ!!」

 

 

大雪山から放たれる灼熱は周囲の森をどんどん燃やし、少し離れた町の人間は死に絶えた。

 

その大雪山のふもとでゲッターロボはメカザウルス二体を相手にする。

 

「ギエェェエエ!!」

 

ギロとブルは挟み撃ちをするようにゲッターに向かって走って行く。一足早く接触したギロをゲッター1は捕まえ、ブルにぶつけようと背負い投げをする。

 

「キ、キ、キ。」

 

しかし、ギロは長い腕で攻撃を止め、逆に背後からゲッター1を捕らえる。ブルは角を発射し、ゲッター1を切断しようとする。

 

「キエェェェエ!!」

 

ゲッター1は逆にギロを餌食にしようとするが素早いギロは角を簡単に避ける。角はブルの頭部へと戻る。

 

「あの角が武器なのか・・・・・」

 

「しかももう一体の方はかなりの素早さを兼ね備えている。あの身軽さで攻められたらゲッター1じゃ相手にならない。どうします?博士。」

 

「しかもこっちはハンデが多すぎる。二対一でおまけに変なものが巻き付いて戦いにくい。」

 

「そうだね・・・・ここはいつでもチェンジできるように・・・・・」

 

「おばさん、こう蒸し暑くては敵わんのう。」

 

束が言おうとしたところを武蔵の一言で止まる。

 

「だ・か・ら!おばさんじゃないって!これでもまだお姉さんの部類なの!それに蒸し暑く感じているならまだ生きている証拠なんだから我慢しなさい!」

 

「どれか一匹に集中した方がいいという事か。」

 

作戦を立てている中炎の中から新たにキャプテン・ランバが搭乗したメカザウルス・ボアが現れる。

 

「ワハハハ!流石のゲッターロボもこうなっては手も足も出んな。ハハハッ!」

 

「なによぉ!?まだ負けたわけじゃねえ!!」

 

「だが安心しろ、死を迎えるのはお前達だけではない。北海道全てだ。」

 

「北海道全て!?」

 

ランバの言葉に蘭は動揺する。

 

「もしかして・・・・・・お母さん、おじいちゃんやお兄ぃたちも?」

 

「さあな?だが、貴様等には相応しい道連れだろう?フフフフ・・・・・」

 

「そんな・・・・・」

 

ショックのあまりに蘭は泣き出す。

 

「・・・・・・・今度は弾たちまで殺ったというのか・・・・・てめえら、どこまで人間を殺せば気が済むんだぁ!!」

 

怒りのあまりに一夏は怒鳴る。

 

「待って、いっくん!私の合図を待って!」

 

「せめてもの情けだ。ギロ!バル!一思いに地獄に送ってやれ!」

 

「グワ――――――――ッ!!」

 

ランバの命令でギロは飛び上がりながら頭部からミサイルを発射しゲッター1を攻撃する。それに合わせるようにバルも角を発射する。

 

「今だよ!あの角に体当たりして!!」

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

ゲッター1は角に向かって走り出す。

 

「バカな!?自殺する気か!?」

 

あまりにも馬鹿げた行動にランバは唖然とする。

 

が、それも束の間。

 

ゲッター1は頭部を切り離して角を回避し、残った体もゲットマシンに戻って飛び去る。

 

「ゲッ!?」

 

ゲットマシンはバルの背後に回る。

 

「今だよ!」

 

「「スイッチ、オン!!」」

 

ゲットマシンは、合体しジャガーが脚部、イーグルが胴体、ベアーが頭部になる。

 

「オオオ!!」

 

背後から現れた腕にバルは捕まり、身動きが取れなくなる。その力はどんどん強まり、体のあちこちが凹み、目玉が飛び出し、押し潰されて行く。

 

「ギエエェェェ!?」

 

「あ、あれは!?」

 

それはゲッター1とは全く別のロボットだった。

 

「ゲッター3登場!!」

 

 

 




恐竜帝国のメカザウルスに苦戦するゲッターロボ。

しかし、怒りに燃える若者たちはついに恐竜帝国の基地への突入に成功する。

だが、そこで見たものはあまりにも恐ろしい光景だった!

その正体とは・・・・・

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「見よ!これが地獄だ!」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!


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見よ!これが地獄だ!

大雪山編終了。





「うおぉ!!」

 

ゲッター3はスクラップと化したバルをギロに向かって放り投げる。いきなりの出来事に驚いていたギロだったがすぐに目の前の戦闘に集中し直し、高くジャンプし避ける。更に追撃を仕掛けようと腕を伸ばすゲッター3の腕を避け、スピードを上げ、周りを徘徊する。

 

「な、何をする気だ!?」

 

ギロのスピードはとうとうギロ本体が確認できないほどに上がりゲッター3は回転しながら宙を回った。

 

「「「「「う、うわあぁぁぁぁ!?」」」」」

 

宙を回るゲッター3に一夏たちは動揺する。

 

「なんてスピードだ!」

 

「あまりのスピードで竜巻が起こっている・・・・・奴は自分の体で人工的に竜巻を作っているんだ!」

 

簪が言うと同時にギロはゲッター3を捕らえ、地面へと叩きつける。

 

「むむむぅ・・・・・・敵はどうやらこれを繰り返して私たちを弱らせていく作戦のようだね。」

 

「呑気に推測している場合かよぉ!?こんなもん連続で喰らっちまったらまいちっまうぜ!」

 

そんなことを言っている間にもギロは同じ戦法を繰り出そうとする。

 

「キ、キ、キ!」

 

「来た!」

 

ギロはまた周囲を回り、真空を作り出そうとする。

 

「ここはゲッター2で行くよ!」

 

束の指示でゲッター3は分離する。そして、ギロの回った軌道を利用して再合体する。その姿は腕にドリルを付けた地上専用の機体だった。

 

「チェーンジッ!ゲッターツー!!」

 

簪が言うと同時に合体したゲッター2はギロの後を追う。

 

「グオッ!?」

 

自分にスピードについてくるゲッター2を見てギロは動揺する。

 

 

ゲッターロボの他の形態に変形する姿を基地から見ていたゴール達は唖然としていた。

 

「ぬぬ・・・・・ゲッターにあのような変形機能が備わっていたとは・・・・・恐ろしや!!メカザウルスの中でスピードを一、二を誇るギロに勝るとも劣らぬ。」

 

 

ゲッター2のスピードに遅れ始めたギロはこれでもかとミサイルを発射する。しかし、ゲッター2は既にギロの背後に回り込んでいた。

 

「キ、キィ!?」

 

「こっちの方がスピードが上なの。」

 

ゲッター2のドリルは容赦なくギロの頭部を貫く。

 

「やった~!ざまあぁ見やがれ!!」

 

一夏たちは、今まで苦戦していた敵を見ながら言う。

 

「ふう、ゲッター2は、地上戦での機動力はマッハ以上で動けるんです。」

 

ギロまでやられてしまった様子を見て基地の兵士たちは呆然とした。無論、ゴールも含めてである。

 

「・・・・くう!爆破じゃ!ギロ諸共ゲッターを爆破しろ!」

 

「はっ!」

 

兵士は早速自爆スイッチを押す。

 

 

するとギロは光を発し始める。

 

「な、なんだぁ!?」

 

驚いた束の間、ギロは大爆発してしまい、ゲッター2もその爆発の中へと消えて行った。

 

「やったぁ!」

 

その様子を見てゴールは勝利を確信する。

 

「やったぞ、ゲッターを!!これで地上は我々ハチュウ人類のものだ!!ついに我々の地上を取り戻す時が来たのだ!!」

 

同時に人工太陽の出力を上げさせる。

 

「マグマ熱を上げろ!!北海道と言わず日本全土を焼き尽くせ!!」

 

人工太陽は巨大化し、周囲のあらゆるものを焼き尽くしていく。

 

「ウハハ!人類共よ!お前たちはもはやこの灼熱地獄から逃げられん。滅びよ!愚かな種族よ!!」

 

ゴールの笑いは止まらない。

 

最早あの頭の上のたんこぶともいえるゲッターロボを倒した今、自分たちの野望を阻むものがいないのだ。

 

ついにかつての故郷を取り戻す日が来たのだ。

 

「ワハハハハハハハハ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん!?ゴール様、地中から何か近づいてきます!」

 

「何!?」

 

一人の兵士の言葉にゴールの笑いは止まる。

 

「これは・・・・・機械音です!」

 

「まさか、ゲッターが・・・・・・」

 

 

 

 

 

ゴールの予感は的中した。

 

ギロと共に消えたと思われていたゲッター2は、ドリルで掘り進んで大雪山地下にある基地へと近づいていた。

 

「ふう・・・・・流石にさっきには危なかったな。」

 

箒はホッとしたように言う。

 

「フフフ、ゲッター2のマッハのスピードで地中に逃げればあのぐらいの爆発何ともないよ!」

 

「よおし、このまま敵陣へ突入して千冬姉と弾たちの弔い合戦だ!!」

 

ゲッター2はどんどん基地へと近づいて行く。

 

「間違いありません!こちらに向かってきます!」

 

「地中魚雷を撃て!基地に一歩たりとも近づけてはならん!!」

 

兵士たちは急いで魚雷発射口に弾頭をセットする。

 

「急げ急げ!」

 

「第一弾、発射!!」

 

地中魚雷はゲッター2に向かって発射される。

 

「フフ、来た来た。」

 

簪は、反応を見ながら言う。

 

「連中も必死のようだね。」

 

「そりゃあそうだろうぜ。せっかく作った怪物を三匹もやられて、その上基地もやられたら大損害だからな。」

 

「かんちゃん、ゲッタービームを発射して。」

 

「えっ?そんな機能ありました?」

 

「昨日取り付けました~。左から二番目のボタンを押せば出るよ。ゲッター1みたいな出力は出せないけど魚雷くらいなら余裕で落とせるよ。」

 

「わ、分かりました・・・・(仕事早い・・・・)」

 

簪は言われたボタンを押す。するとゲッター2の目からビームが発射され魚雷を破壊する。魚雷の反応がなくなりゴールは動揺する。

 

「やったか!?」

 

「ダメです!エンジン音はますますこちらへ近づいています!!」

 

「ありったけの魚雷を撃ち込め!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

兵士たちはありったけの魚雷を集めて発射口に装填する。

 

「ゲッターがすぐそこまで来てい・・・・・」

 

魚雷発射口を破壊して、ゲッター2が基地の中へと入りこんだ。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

「で、でたぁあ!?」

 

兵士たちは一目散に逃げだす。

 

「ハハハハッ!ゲッターの力を見たか!今度はこっちがてめえらを叩き潰す番だ!!貴様らの基地を潰してやるぜ!!」

 

「ええど、ええど!!五反田たちの仇取ってやれ!!」

 

ゲッター2は基地の中を破壊しながら突き進んでいく。兵士たちは蟻のように踏み潰されたり、瓦礫の下敷きになる。

 

「おのれ、ゲッターめ!覚えておれ!!」

 

ゴールは蜘蛛の子散らすように逃げていく。

 

「逃がさない。」

 

簪はゲッター2の腕で魚雷を掴み、ゴールに向かって投げる。魚雷は落下した瞬間大爆発する。

 

「やったぁ!!」

 

「いや、どうやら外れたみたいだよ。」

 

煙の中からメカザウルス・ボアが現れる。どうやらゴールの盾になって防いだようだ。

 

「フフフ・・・・・ゲッター、ここから先は通さんぞ!」

 

「何だてめえは!?ゴールの野郎はどこだ!?」

 

「ゴール様は貴様ら如き虫けらの相手はせん。その代わり、このキャプテン・ランバが相手になってやる。」

 

「そんな小さなサイズでゲッターに勝てると思っているの?」

 

ゲッター2は、ボアにドリルを向ける。

 

「おっと、動くなゲッターロボ。このメカザウルス・ボアの足元をよく見ろ。」

 

「何・・・・・・!?こ、これは!?」

 

一夏たちは、ボアの足元を見て愕然とする。足元には、原人は愚か中途半端なものもいれば猿人に見える人々がいた。それどころか周囲を見ると解剖された者や頭だけにされアルコール漬けのようになっているものが多くあった。

 

「フフフ・・・・ここ大雪山基地はな、人間虐殺研究所でな。いかにシドのようにしたら人間を簡単に滅ぼすことができるかを研究しているのだ。異常気象やお前たちが見たサルなどを作り出したのもこの施設よ。フフ。」

 

「・・・・・・あっ!あれは!?」

 

蘭はベアー号のモニターでモルモットにされている人間たちが入れられているカプセルを見る。

 

「先生!みんなも!!」

 

「何だって!?」

 

「さあ、女や子供を殺してまで先に進むかね?こんな姿でもこいつらは人間だ。この人間たちを蹴散らしてでもこのランバと戦うかね?」

 

「な、なんてひどいことを!」

 

「グハハハハ!!ここで私と戦えば当然此処の人間どもが死ぬことになるぞ!」

 

挑発するようにランバは言う。そんな様子を見て簪一人は黙っていた。

 

「・・・・・・・ぶち殺す。」

 

「待て、簪!まずは蘭の同級生たちとかを救出する方が先だ!!」

 

「何を甘いことを言っているの、一夏?あいつらは私たちの心の隙を付け込んでいるんだよ?それにあれはもう人とは言えない。」

 

「しかし・・・・」

 

「今この基地を壊さないと更に犠牲者が増えるだけだよ!一夏のお姉さんやその子の家族みたいに!!」

 

「待って、かんちゃん!」

 

束は攻撃しようとする簪を止める。

 

「束さんも、ここが奴らの研究所だとわかったら、壊すのが惜しくなったよ。できれば無傷で手に入れたいんだよ。それに研究所ならそれなりの重要機密も握っているからね。」

 

「しかし、博士・・・・・」

 

「その代わり一発勝負だよ。ゲッター2には奴を一息で息の根を一発で止める武器があるんだからね。」

 

「・・・・・あれですか?でも、失敗は許されませんよ。」

 

そう言うと簪はゲッター2を後ろに向けさせる。これにはキャプテン・ランバも笑わずにはいられなかった。

 

「イッヒヒヒヒ!大人しく引き上げろ!!人間愛とは悲しいものよの。敵を目の前にして引かねばならんのだからな!!」

 

ゲッター2は慎重に時を窺う。

 

「ワハハハッ!!まともに戦ったら、とても手におえぬゲッターが私に背を見せて逃げるぞ!!」

 

キャプテン・ランバは完全に油断していた。引き上げると見せかけたゲッター2はボアに向かってドリルを向ける。

 

「ドリルロック!」

 

ゲッター2の腕のドリルが飛ばされ、ボアの腹部を貫く。

 

「何!?」

 

更に動揺するランバに動かす隙を与えず、ゲッター2は残った右腕でボアの頭部を握り潰す。

 

「ば、バカな!?」

 

ランバはゲッター2に握り潰されて行く。

 

「こ、こんなことが・・・・・・グワアァァァァァアア!!!!」

 

操縦者を失ったボアは完全に機能を停止し、その場に立ち尽くす。

 

「やりぃ!!」

 

「あの、お願いします!!先生と私の友達を・・・・」

 

蘭が言おうとした瞬間、突然基地が崩れ始める。

 

「なっ!?」

 

基地全体が爆発しはじめ、モルモットにされた人々もそれに巻き込まれて吹き飛ばされて行く。

 

「まずい!早く脱出しないと!!」

 

ゲッター2は止むを得ず基地から脱出を開始する。

 

『フッハハハハ!!人間どもに我々ハチュウ人類の秘密を渡してなるものか!!』

 

どこかからゴールの笑い声が聞こえたがゲッターはそれに構っている時間はなかった。

 

ゲッター2はドリルを取り付け直すと基地から脱出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方 五反田食堂跡地

 

ゲッターは基地から脱出した後、蘭の家へ向かった。しかし、そこには最早何も残っておらず燃え尽きた瓦礫が散乱しているだけだった。

 

「・・・・・・・・お母さん・・・・・おじいちゃん・・・・・お兄ぃ・・・・・」

 

蘭は、何もなくなってしまった我が家を見て立ち尽くす。

 

「蘭ちゃん・・・・・」

 

武蔵は心配そうに蘭の肩に手を置く。

 

「あぁあ・・・・・・・ああああああ!!!」

 

蘭は、友を・・・・・・・かけがえのない家族を失った悲しみのあまりに泣き叫ぶ。武蔵はそんな彼女を見て切なくなる。

 

その後ろでは一夏たちが立っている。

 

「・・・・・ねえ、ママ。あのお姉ちゃん、どうして泣いているの?」

 

まだ幼いミユキはよくわからなそうに束に聞くが束は何も言わずにミユキを抱きかかえて強く抱きしめた。

 

「ミユキちゃんもいつか経験する大事なことだよ。」

 

 

「・・・・・・・・弾。」

 

一夏は悔しさのあまり、拳を強く握り、血を流した。

 

また、失ってしまった。

 

姉に続いて今度は友を。

 

そして、助けることができなかった。

 

その妹の友達も。

 

「・・・・・・・俺は、一体何のために戦っているんだ・・・・・・」

 

「一夏・・・・・」

 

箒は何とも言えない顔で一夏の手をそっと握る。

 

「一夏、どちらにしても基地のことはどうしようもなかったと思う。今の医学では治療することができなかっただろうし。」

 

「私もかんちゃんと同じ意見だよ。モルモットにされた人たちは死なせた方がよかったのかもしれないよ。生きていたとしても苦しむだけだったし。」

 

「でも・・・・・・弾は・・・・・・弾は死ぬことはなかったはずだ!!」

 

一夏は、地面に拳を打ちつけて言う。

 

「帝王ゴール・・・・・・・俺は、俺は絶対にこの手で、てめえを!!」

 

 

 

 

 

一夏は空に向かって叫ぶ。

 

「絶対に許さんぞおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 




ゲッターにより基地を失った恐竜帝国。

だが、帝王ゴールは科学者ガリレイ長官に新たなメカザウルスを開発させる。

その頃、友の仇を討つため、そしてゲッターに惚れ込んだ武蔵が何とかパイロットになろうとする。

メカザウルスの正体とは!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「誕生!驚異の生物兵器!」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!



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誕生!驚異の生物兵器!

久しぶりの投稿だけど結構短め。


爬虫類・・・・・それは有史以前、地球を支配し暴れまわっていた。

 

しかし、その爬虫類も自然の猛威により絶滅したかに思われた・・・・・。

 

だが、生き残り・・・・・地下に逃げ延びた爬虫類がいたことを知っているのだろうか?

 

そいつらが地下マグマまでも逃げ延びたことを。

 

そして、一大帝国を築き上げたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐竜帝国 マシーンランド

 

「ガリレイ!ガリレイはおらぬかぁ!」

 

恐竜帝国 マシーンランドにおいて帝王 ゴールは、メカザウルス研究所を訪ねていた。

 

「こ、これはゴール様!」

 

技術員たちは態々訪問してきたゴールに頭を下げる。

 

「頭を下げんでもよい。技術長官 ガリレイはおらぬのか?」

 

「はっ、ガリレイ様は、地下研究所の方でございます。」

 

「うむ。」

 

ゴールはそう言うと地下エレベーターに乗って移動する。

 

「おのれ・・・・・・・ゲッターロボ・・・一度ならず二度までもこのゴールの行く手を阻みおって!奴がいる限り、地上侵略計画が遅れる一方だ。地上侵略は奴を倒さねばあり得ない!なんとしても倒してくれるわ!!」

 

エレベーターが研究所に到達すると一般のハチュウ人類よりも小柄で各部がサイボーグ化している技術長官 ガリレイが待っていた。

 

「お待ちしておりました、ゴール様。」

 

ガリレイは頭を下げてゴールに言う。

 

「挨拶はよい。ガリレイ、例の物は?」

 

「ははぁ、ついに完成しました。ゴール様に命ぜられて早一年・・・・・・改良に改良を重ねて、ようやく新種が・・・・・どうぞ、こちらへ。」

 

「うん。」

 

ガリレイの案内の元 ゴールは地下研究所の中を歩いて行く。そして、奥には組み立て終えたメカザウルスがあった。更にその透明な胴体の中にクラゲのようなものが入っていた。

 

「おぉ・・・・・これが・・・・・」

 

「左様、これが原生クラゲを培養し、品種改良をを繰り返して完成させたメカザウルス ゲラでございます。」

 

ガリレイが指を鳴らすと所員が何やらレーザー砲のようなものを用意する。

 

「これは我々が苦心して作り上げたゲッタービーム砲です。」

 

「うむ・・・・忌々しい奴らの兵器の模倣品か。」

 

ゴールは少しイラっとした表情をする。

 

「そう、怒らずに。これをご覧になればゴール様のいら立ちもなくなるでしょう。ゲッタービーム砲をゲラに向けて放て!」

 

「はっ!了解!ゲッタービーム砲、発射します!」

 

ゲッタービーム砲がゲラに撃ち込まれる。するとゲラの体が光り出した。

 

「うん!?」

 

「ご覧ください。ゲラの変化を!」

 

通常のクラゲサイズだったゲラが少し大きくなり始めた。

 

「次はレーザー光線、火炎放射器を撃て!」

 

「はっ!」

 

次々撃たれていくがゲラは死ぬ様子を見せない。それどころか巨大化する一方だった。

 

「お、おぉ・・・・・・」

 

「いかがでございますか?ゴール様。」

 

驚いているゴールに対してガリレイが問う。

 

「す、素晴らしい・・・・・・、クッ、クックック・・・・・これならやれる。ゲッターを・・・・・いや、それだけではない。地上をコイツ一匹だけで破壊できるぞ・・・・・・!」

 

ゴールは牙を剥き出しにして笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

「早速コイツを地上に送り出せ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所 トレーニングルーム

 

「ひいいぃぃぃいいい!!!」

 

武蔵は叫び声を上げながら回転する。

 

「よし、今だ武蔵。撃て!」

 

「はい!?」

 

武蔵は一夏の指示でレバーを引く。しかし、訓練システムから放たれた銃弾は一夏たちに目掛けて飛んできた。

 

「ひゃぁあ!?」

 

「何をやっているんだ!?私たちは的じゃないぞ!?」

 

「そんなこと言ったって、目があっちゃこっちゃになって~~!!」

 

銃弾は更に箒に向けられる。

 

「きゃあぁ!?」

 

「箒!?武蔵、てめえ~!!」

 

「ごめんちゃ~い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練終了後

 

「反射神経及び運動神経ゼロ。」

 

一夏は、束の部屋で武蔵の身体能力テストの結果を報告する。武蔵はしょぼんとしながら正座しており、その隣で蘭は心配そうに彼を見つめる。

 

「知能指数100、これもダメ。忍耐力、これも失格。・・・・・以上が武蔵のテストの結果です。」

 

「う~ん。」

 

束はミユキを抱きながら武蔵を見る。

 

「やっぱりムサシ君には、ゲッターの操縦は無理だったかな・・・・・・・」

 

束の言葉に武蔵は驚愕の顔をする。

 

「そんなことはありません博士!!」

 

「えっ?でもね~」

 

「オイラは実戦向きなんです。こんなテストでは僕のすべてはわかりません!とにかく一度ゲッターに乗せてください!そうすれば、オイラの力がわかります!」

 

「そ、そうなんです!武蔵先輩こう見えてやればできる人なんです!」

 

「ん~~」

 

「武蔵、悪いことは言わねえ。諦めろ。ゲッターの操縦はそこらのオートバイなんか比べ物にならないくらい難しいんだ。」

 

「私も同じ意見だ。サブパイロットをやっている私だって覚えるのに苦労したんだし・・・・・・」

 

「うるへえ!!」

 

武蔵は、一夏と箒の言葉を怒鳴って遮らせる。

 

「お前らのテストには手落ちがある!ゲッターを動かすのに一番大事なものを見落としとる!!」

 

「へえ・・・・・じゃあ、一番大事なものって何なの?」

 

束のすぐ傍のソファーで雑誌を読んでいた簪が武蔵を見て聞く。

 

武蔵は胸を張りながら堂々と答えた。

 

「それは、勇気と知恵と正義を貫く正しい心を調べるテストです!!」

 

「ほへっ!?」

 

「「「そんなテストがあるか!!」」」

 

一夏、箒、簪の三人で思わずツッコミを入れた。

 

「やっぱ、やめようか?」

 

「え~!!」

 

「博士、そこを何とか・・・・・」

 

「そのやるって気持ちは嬉しんだけど、クーちゃんですら大変な操縦を君に任せるのはあまりにも荷が重いからね。」

 

「そ、そんな・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夕方、研究所から遥かに離れた阪神コンビナートを一体のメカザウルスが襲った。

 

メカザウルスは頭部から破壊光線を放ち、コンビナートを一瞬にして火の海へと変える。

 

そして、その炎から発せられる熱エネルギーは、メカザウルス ゲラの成長源となり、その体を徐々に成長させていった・・・・・・・・。

 

 

 




メカザウルス ゲラを倒すために出動したゲッターチーム。

メカのボディを破壊し、本体を破壊するため一夏はゲッタービームを放つ。

しかし、メカザウルス ゲラは逆にゲッタービームを放出してしまった!

この敵を倒す術はあるのか!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「不死身の怪物 ゲラ!?」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!



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不死身の怪物 ゲラ!?

ぶっちゃけ言うと元気って途中から唐突に出てきたよね・・・・(汗)。


早乙女研究所 食堂

 

「なあ。頼む、一夏。お前の力で、なんとかその・・・・・ゲッターの乗組員に混ぜてくれ~!お願い!」

 

武蔵は束に言われてもなおゲッターのパイロットになることが諦めきれず、食事をしている一夏たちのところにまで上がりこんでいた。

 

「頼む、一夏!簪!箒!俺を男にしてくれ!」

 

「私からもお願いします!どうか先輩をパイロットに加えてあげてください!」

 

蘭も一緒に頭を下げながら頼み込む。

 

「武蔵、蘭。お前たちの気持ちがわからんでもないがな。ゲッターの操縦は、頭で考えるほど生易しくはないんだ。」

 

「貴方の運動神経だと無理があると思う。体つきもいいんだし、田舎に帰って別のことをした方がいいよ。」

 

「そんな・・・」

 

一夏と簪に言われて武蔵は若干諦めかけたような顔をする。

 

「そりゃあ、運動神経じゃお前たち二人どころか箒ちゃんにも劣るけどよ。けどよ・・・・・腕力じゃ誰にも負けやしないぜ!!」

 

「そうそう!見てくださいよ!この武蔵先輩の太い腕を!」

 

「・・・・・・腕力でゲッターが乗りこなせるんならパイロットがみんな相撲取りになっちゃう。」

 

「「!?」」

 

簪にズバリと言われ二人はショックな表情をする。

 

(きついな・・・・・・)

 

武蔵はしょんぼりとした表情で落ち込む。

 

「ムサシ君、何もゲッター、ゲッターって騒ぐことはないわよ。まだ若いんだし、他に楽しいことたくさんあるわ。」

 

「そうだよ!ムサシさん、元気出しなよ。」

 

一同に言われて落ち込んでいる武蔵にミチルと元気が慰める。

 

「ぐす・・・・・ミチルちゃん、元気ちゃんありがとう。」

 

「ミチルお義姉さんは、慰めるのがうまいな。」

 

「武蔵、男は諦めが肝心だぞ。」

 

「バカ野郎!俺はまだあきらめねえ!!」

 

「「うわあぁ!?」」

 

武蔵が勢いよくテーブルを叩いたせいで一夏たちの顔に茶碗に入っていたご飯やみそ汁がかかる。簪はうまく回避したが一夏と箒は失敗し、2人の顔はご飯だらけになった。

 

「五反田を殺った奴らの息の根を止めるまであきらめてたまるかってんだ!!こうなったら、もう一度博士と直々に談判したる!!」

 

武蔵は決心すると食堂から出て行こうとした直後、警報が鳴りだした。

 

「うん!?」

 

「何だこんな時間に警報だなんて・・・・・・・」

 

『阪神コンビナートで異常事態発生!!ゲッターチーム、出動願います!!』

 

「何?」

 

警報を聞くなり、武蔵は驚く。

 

「メカザウルスだなぁ!?ゲッター行くぜ!!」

 

「おい、待てこの野郎!」

 

飛び出そうとする武蔵に一夏は顔にご飯をつけたまま止める。

 

「おめえは関係ねえんだ!でしゃばるな!」

 

「一夏さん!そんな言い方は・・・・・・」

 

「あっははは・・・・・冗談だよ、冗談。」

 

今までの態度から急変して武蔵はニコッとして一夏の手を降ろす。

 

「武蔵?」

 

「先輩?」

 

「俺は、ゲッターなんて興味なかったんだよ・・・・。ほんじゃ、田舎に帰るね。蘭ちゃんも早く新しい身寄りが見つかるといいな・・・・・・・ばいばい。」

 

武蔵は荷物をまとめると出て行ってしまった。蘭は、一夏たちを見て半泣きの顔をする。

 

「皆さんひどいですよ!武蔵先輩にあんな言い方するなんて!!」

 

「蘭、俺たちは別にそんなつもりじゃ・・・・・・・・」

 

「もういいです!私も先輩と一緒に帰ります!!それじゃあお元気で!!」

 

蘭は、手荷物だった鞄を手にすると武蔵の後を追うようにその場から去って行った。

 

「・・・・・・なんかちょっとかわいそうね、あの二人。」

 

「ムサシさん、すねちゃったみたい。」

 

「こうでも言わないと諦めないからな。もう、第二の千冬姉や弾を作りたくないんだ。せっかく親しくなった奴を・・・・・。」

 

「・・・・・あれも一夏なりの優しさなんだ。ん?っという事は私がベアー号を?」

 

「ベアー号のパイロットはクロエさんがやるそうだから。箒はいつも通り一夏のサポートに回って。この間も博士が褒めていたし。」

 

三人はそう言いながら更衣室に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、蘭は、武蔵を追いかけていた。

 

「先輩!待ってくださいよ!」

 

武蔵は、自分のことを追ってきた蘭を見るや驚く。

 

「蘭ちゃん!?なんで俺を追って・・・・・・・・」

 

「先輩は諦めるんですか!?」

 

「えっ?」

 

「先輩言ってたじゃないですか!男は一度決めたことは最後までやり遂げるって!家のお兄ぃや私に言ってたじゃないですか!それなのに諦めるんですか!?」

 

「・・・・・・・・」

 

蘭の言葉に武蔵は黙り込む。

 

「私、そう言って前を向いて全力を尽くしていた先輩に憧れていました!だから、ここで諦めないでください!!」

 

「蘭ちゃん・・・・・・そうだな、確かに俺は一度やりたいと思ったことは諦めたことがねえ!こうなったら意地でもゲッターに乗り込んでやる!!」

 

「そこで作戦なんですけど・・・・・・」

 

二人は廊下でひそひそと話をする。少しするとパイロットスーツに着替えたクロエが走ってきた。

 

「ん?お二人ともお帰りになるのですか?」

 

「はい。クロエさん、博士に伝えておいてください。僕、もうゲッターに乗るの諦めました・・・・。どうも短い間、お世話さまでしたと。」

 

「そうですか・・・・諦めましたか。残念ですね、貴方ならゲッターをうまく乗りこなせると思っていましたが。」

 

「いえ、いいんですよ。僕にはやっぱり才能がなかったんです。」

 

少し残念そうにするクロエに武蔵たちはにこやかな顔で答える。

 

「ところで・・・・・・・今後の私たちの身の振り方を人生の先輩であるクロエさんに相談に乗ってもらいたいんです・・・・・。」

 

「えっ?み、身の振り方・・・・・ですか?」

 

蘭の言葉にクロエはキョトンとする。

 

「忙しいのはわかっているんですけど手間は取らせません。どうぞ、こっちへ・・・・・」

 

「えっ!?」

 

「さあさあ・・・・こっちへ。」

 

2人の言われるままにクロエは近くにあった男性用の更衣室へと誘導される。

 

 

 

 

『そうですか・・・・・・・うんうん・・・・・・あなた方が望むのならそう言うのも悪くないと思いますよ。』

 

『そうですか?あっははは・・・・・』

 

少しするとクロエ?と何故かパイロットスーツに着替えた武蔵が出てきた。

 

「では、蘭さん。ムサシさんをお借りしますよ。」

 

「あぁ、忙しい忙しい!」

 

更衣室に向かって言うと二人はゲットマシン格納庫へと走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲットマシン格納庫ではすでに一夏たちが搭乗して待機していた。

 

「クロエさん、ずいぶん遅かったじゃないですか?」

 

「えぇ、束様から少しお話があって・・・・・・・」

 

「あれ?どうして巴を一緒に連れてきているんだ?」

 

「束様から言うには最後のチャンスだそうです。私と一緒に搭乗して操縦感覚を掴んだ後に最終テストをしてよければ候補生にとどめるとか。」

 

「へえ・・・・・・博士も意外に甘いんですね。(なんか喋り方がぎごちないように感じるけど・・・・・・)」

 

「っというわけだ諸君、また少しの間付き合わせてもらうぜ。」

 

そう言うとクロエ?は、武蔵と共にベアー号に乗り込む。

 

「よし!箒、各機器異常ないな?」

 

「全機器、異常なし!いつでもいけるぞ!」

 

「イーグル号、発進準備完了!発進する!」

 

「同じくジャガー号、発進!!」

 

研究所の射出口から二機のゲットマシンが勢いよく発進する。

 

「ん?」

 

「どうしたんだ一夏?・・・・・・あれ?」

 

一夏と箒が研究所の方を見るといつもと違ってベアー号がかなり遅れて発進してきた。

 

「どうしたんですか?クロエさん。遅れていますよ。」

 

「大丈夫!大丈夫です!!」

 

「?」

 

いつものクロエらしくない態度に一夏は違和感を覚えたものの三機は急いで阪神コンビナートへと急行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阪神コンビナート

 

「ゲエェェェェェエエアアア!!」

 

コンビナートの方では、メカザウルス ゲラが暴れ放題だった。消火活動に来た消防隊も満足に消火活動ができず、辺りは火の海に包まれていた。

 

そして、その透明ボディに入っているクラゲ本体は既にボディ一杯になっていた。

 

そのコンビナートへゲットマシンは到着した。

 

「見ろ、一夏。メカザウルスだ!!」

 

「あぁ・・・・これ以上奴らに好きにはさせねえ・・・・・・ゲッター1で叩きのめしてやる!!」

 

『待って。ここはゲッター2でやる。』

 

ゲッター1で攻めようとした一夏に簪が反発する。

 

「ばか言え!ゲッター1の方が炎の中では戦いやすいんだ!」

 

『地上ならゲッター2の方がいい。』

 

「だが、ゲッター2の装甲であの炎を耐えられるのか?」

 

三人の意見でどれに合体するのか迷う。

 

「仕方ない。ここはクロエさんに聞こう。クロエさん、合体指示をお願いします。」

 

しかし、クロエは何とも答えない。

 

「クロエさん!」

 

『う、うんん・・・・・・』

 

『早くしてください、クロエさん。こっちは早く敵を倒したくてウズウズしているんですから。』

 

『う・・・・・・う・・・・・・・』

 

クロエ?は一瞬戸惑っていたがすぐさま答える。

 

『ゲッター3で行きま~す!!!』

 

『「「!?」」』

 

クロエ?の声が明らかに変だと感じた三人は思わず顔を驚愕させる。

 

「ゲッ!?そ、その声は!?」

 

「まさか!?」

 

『・・・・・五反田さん?』

 

『ワハハ!諸君、敵は目の前だ!さあ、気張ってチェンジと行こうか!!』

 

操縦席を交代して武蔵は操縦席に乗り込む。

 

「何言ってやがる!武蔵、蘭!クロエさんはどうした!?」

 

『ははは・・・・・・えっと・・・・実は私たちが帰ろうとしたときクロエさんが体調崩して倒れちゃって・・・・』

 

『それと博士も子供の子守りで動けないからベアー号の操縦を頼まれてね。俺は未熟者だから、いやだって断ったんだけどよ。博士が蘭ちゃんと一緒にどうしてもって言うからさ・・・はっはははは・・・・・』

 

「「嘘つけっ!!」」

 

『『ひっ!』』

 

一夏と箒の両方に画面越しから怒鳴られ、武蔵と蘭はビビる。

 

その直後、ゲラが爆発した。

 

『一夏、メカザウルスが爆発したわ!?』

 

「何!?本当か!?」

 

一夏は武蔵たちが映っている画面をグリグリしながら外を見る。

 

しかし、そこにはボディが巨大なクラゲになったゲラが三機に向かって襲い掛かってきていた。

 

「な、なんなんだアイツは!?まるで体が巨大なクラゲになっているぞ!?」

 

「武蔵!操縦桿から手を放せ!」

 

『はいっ!?』

 

一夏に怒鳴られて武蔵は操縦桿から手を放す。

 

「簪、ベアー号を自動操縦にして誘導するんだ!」

 

『分かった!』

 

簪はジャガー号の誘導電波でベアー号を後部に寄せ、合体させる。

 

「よし、行くぜ!チェーンジ、ゲッターワンッ!!」

 

イーグル号を頭部に変形させて合体させるとゲラの目の前にゲッター1が姿を現した。

 

「よし!行くぜ!クラゲの化け物!!ゲッターキック!!」

 

ゲッター1は勢いよくジャンプをしてゲラの頭部に強烈なキックをお見舞いする。

 

「グワァァァアア!!」

 

「その体をバラバラにして中華クラゲの具材にしてやるぜ!!」

 

ゲッター1は両腕で頭部をへこませるとすかさずゲッタートマホークを展開する。

 

「ゲッタートマホォーク!!」

 

ゲッタートマホークはゲラの頭部を素早く斬り飛ばした。

 

『やった――――――――!!』

 

『わはは!見たか!ゲッターの力を!!』

 

『二人とも、まだ喜ぶのが早いわ!一夏、一気にクラゲを蹴散らして!!』

 

簪が言うのは尤もだった。確かにゲラは頭部を失ったが本体と思われるクラゲ自体は無傷のままだった。

 

「言われるまでもねえ!!ゲッタービィィイーム!!」

 

ゲッター1の腹部からゲッタービームが発射される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ゲラに直撃した直後、凄まじいエネルギーがゲッター1を襲った。

 

「うわああぁぁぁぁああ!?」

 

ゲッター1は後ろへと転ぶ。

 

「だ、大丈夫か?箒?」

 

「私は大丈夫だ。しかし、一体なんなんだあの光は!?」

 

『私が見た限り、ゲッタービームを跳ね返したように見えたけど・・・・・』

 

「いや、跳ね返したというより体全体で受け止めて放射したんだ。」

 

『一夏さん・・・・一夏さん、聞こえますか?』

 

通信機が反応し、箒が操作して画面を切り替える。

 

「クロエさん!」

 

『いけねえ、クロエさんだ!』

 

『もう気がついちゃったのね・・・』

 

『あのクラゲにもう一度ゲッタービームを撃ってみてください。』

 

「しかし、一体どうして・・・・・・」

 

『いいから、撃ってみてください。』

 

クロエに言われて一夏はもう一度ゲラに向かってゲッタービームを撃ってみる。

 

「ゲッタ―――――ビィイ―――――――ムッ!!!」

 

ゲラは吹き飛ぶどころかむしろ大きくなっているように見えた。

 

研究所の方でクロエは束と共に苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「束様・・・・・・」

 

「やっぱりね・・・・」

 

『クロエさん、どうするんだ?』

 

『ゲッタービームがまるで通用しない。どうすればいいんだ?』

 

『だったらゲッター2で・・・・・』

 

しかし、束の口から出たのは一夏たちが予想もしなかった言葉だった。

 

「攻撃中止!すぐに奴から離れて!手を出しちゃダメだよ!!」

 

『『『『『!?』』』』』

 

 

 




束から突如出た攻撃中止。

ゲラに対してゲッターチームは打開策を考えるもののすべての攻撃が通用しなかった・・・・・

その間にも人や物を取り込んで無限に成長していくゲラを見て一夏はある秘策を思いつく!

ゲラを倒す秘策とは!?

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「生か死か!?一か八かの大勝負!!」




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生か死か!?一か八かの大勝負!!

ゲラ戦これにて終了。




阪神コンビナート 住宅街

 

「「「うわあぁぁあああ!?」」」

 

侵攻を続けるメカザウルス ゲラに対して住宅街はパニック状態へ陥っていた。頭部を失い、体のみとなったクラゲの怪物はそこの住民を見境なく触手に取り込み、溶かして自分の栄養源としてその体を徐々に大きくしていく。

 

「何故だ束さん!?」

 

その様子をゲッター1のコックピットから見ている一夏は束の命令に驚愕しながらも聞いた。それはサブパイロットの箒も同意見だった。

 

「どうしてなんだ姉さん?今、目の前で次々と街の人たちがあの怪物に喰われているんだぞ!」

 

『博士、訳を聞かせてください。』

 

簪の言葉に束はいつもの飄々とした態度をとる様子はなく、返答する。

 

『・・・・・ダメなんだよ。今回ばかりはゲッターロボで戦える相手じゃない・・・・・いや、地球上のあらゆる兵器をもってしても奴を倒すことはできないんだよ・・・・・・・・』

 

『お姉さん・・・・・』

 

『ママ?』

 

束の近くにいるミチルとミユキが心配そうに見ている。

 

「何故なんだ!?まだ戦ってもいないのにどうして勝ち目がないって言えるんだ!?」

 

「姉さん、姉さんは言ってたじゃないか?『私にできないことは可能にする!』って。何時もの姉さんらしくないぞ。」

 

『・・・・・・いっくん。箒ちゃん。あのクラゲの化け物をよく見て。さっきよりも大きくなったとは思わない?』

 

「「えっ?」」

 

一夏と箒はゲラをもう一度見て見る。確かにトマホークで頭部を切断した時と比べて見ると明らかに巨大化していた。

 

「そう言えば最初に見た時よりも明らかにデカくなって・・・・・・!?ま、まさか!?」

 

『私が言いたいことが分かった?』

 

「そんな・・・・・そんなことが!?」

 

『どうしたの一夏!?』

 

束との会話で何かを悟った一夏に簪は聞く。

 

「・・・・・こいつは・・・・・こいつは人間を取り込んでエネルギーに変えてどんどん大きくなっているんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早乙女研究所

 

「人間だけじゃないよ・・・・ゲッター線は愚か、核エネルギーだろうが何だろうがあらゆるものをエネルギーに変換して自分のものにしちゃうんだよ。」

 

束はミユキを抱きしめながら怯えるように言った。

 

「束さんが小学生の頃、ちーちゃんと一緒にテレビでアメリカの光を高エネルギーに変換する超高速ロケットの研究実験の話を見たことがある。その時の映像も奴と同じく青白い光を放っていた・・・・・・奴が青白い光を発した時もしやと思ったけど・・・・まさにその通りだよ・・・・・。」

 

『それじゃあ・・・・・・ゲッターのあらゆる攻撃も奴にとっては単なる食事にしかならないのか?』

 

「・・・・うん。」

 

『でも、博士。このまま攻撃しないで奴を放置すれば・・・・・・』

 

「おそらくあのクラゲの化け物はエネルギーの供給源・・・・・つまり、私たち人間は愚か生物・物質がなくなるまで大きくなり続けるだろうね・・・・そして、その途方もなく大きくなった体はやがて日本、いや、世界までも包み込むことになっちゃう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシーンランド 恐竜帝国

 

「フハッハッハッハッハッハッハッ!!見たか!愚かなるサル共め!!」

 

一方、マシーンランド 恐竜帝国ではゴールがゲラの暴れっぷりに爆笑していた。

 

「フッフフフ・・・・おぬしらが抵抗すればするほど、己の首を絞めるわ、ワッハハハハハ!!」

 

笑うゴールの隣では満足そうな顔をしているガリレイといまいち納得できないような顔をした幹部であるバット将軍がいる。

 

「フッフフ、我々は見ているだけで、地上の人間どもは消滅されて行きます。貴君が放った者共は無駄だったようですな、バット将軍。」

 

「・・・・・フン!」

 

冷やかすように言うガリレイに対してバット将軍は不満そうにそっぽを向いた。

 

「ハッハッハッハッ・・・・・・バット将軍。そうがっかりするな。あの兵共は呼び戻せばよい。クッククク・・・・・気持ちが良いぞ。こんな気分は初めてじゃ。まさに、見世物としては最高の代物じゃ!ハッハッハッハッハッハッ!ハ~ハッハッハッハッ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阪神コンビナート

 

「トマホォオク、ブーメランン!!!」

 

ゲラを何とかしようと一夏はゲッタートマホークをゲラに向かって投げる。しかし、頭部を切断するほどの切れ味を持ったゲッタートマホークでもゲラの体内に入った瞬間、みるみる内に溶かされていった。

 

「ダメだぁ・・・・・・・トマホークも溶かされてしまった・・・・・」

 

「科学的な武器もダメ。トマホークのような原始的な武器も役に立たねえ・・・・いったいどう戦えばいいんだ?」

 

一夏は悔しそうな顔でゲラを睨みつける。

 

『うぅ・・・・・私たちをあざ笑うかのようにエネルギーを放出しているよ。』

 

簪の言う通りゲラは有り余るエネルギーを放出しながら捕食を続けていた。

 

「・・・・・・ん?なあ、一夏、奴は確かあらゆるものを取り込んでエネルギーに変えるんだよな?」

 

「ど、どうした箒?急にわかっていることを聞くなんて。」

 

「おかしいとは思わないか?熊とかリスとかの動物は冬を越すために冬眠する前に余分な栄養を自分の体に貯めこむだろ?あのクラゲの化け物も自分の体を大きくするためにエネルギーが必要だ。それなのにどうして自分の体に蓄えないで放出しちゃうんだ?」

 

「い、言われてみれば・・・・・・・」

 

箒の何気ない疑問に一夏も納得する。その疑問に答えるかのように通信で束が答える。

 

『その答えがわかったよ!今計算してみたんだけど奴は一定時間ごとに成長しているんだよ!』

 

「っという事は・・・・・」

 

『奴の細胞は一定の規則をもって分裂・増殖しているという事なんだよ。つまり、大量のエネルギーを与えたとしてもそのエネルギーの分成長するわけじゃないんだ。だから、余分なものはあぁして空中に放出しているんだろうね・・・・・・まあ、分かったところで奴は確実に成長して少なくともあと60時間も経てば東京を覆いつくして終いには・・・・・・・』

 

「いや、待ってくれ束さん!」

 

『ん?』

 

「確かあの化け物の細胞は一定のエネルギーを受けて規則通り成長して余分なものは放出するんだよな?」

 

『そうだけど・・・・・・・・』

 

「じゃあ、奴の体の中でその一定以上のエネルギーを与え続けたらどうなるんだ?」

 

『う~ん~、実例はないけどSF映画とかを考えれば細胞分裂の活動に乱れが生じて、そこから分解・崩壊して行くかもしれ・・・・・ん!?まさか、いっくん!』

 

一夏が何を考えたのか見抜いたのか束は表情を変える。

 

「あぁ・・・・こうなった以上、ゲッターで奴の体内に飛び込んで一定以上のエネルギーを放出するしかない。奴が参るかゲッターが参るか。幸いエネルギーも十分ある。」

 

『や、やめていっくん!そ、そんなことをしていっくんの身に何か起こったらちーちゃんに会わせる顔がないよ!?それ以前にそんな攻撃でゲッターが勝てる確率なんて極めて0%に近いよ!!』

 

「ここまで来たらもう確率の問題じゃありません。このまま黙って見ていても日本は終わりなんだ。それに何かすれば地獄に行ったとき閻魔様に言い訳しやすいし、運が良ければ千冬姉や弾にも会えるかもしれねえ。」

 

『面白いジョークを言うね、一夏。私も閻魔様の顔でも拝ませてもらうかな。』

 

笑えないジョークでありながら簪は笑いながら言う。

 

「悪いな箒。お前まで一緒に行くことになるなんて。」

 

「フッフフ・・・・・これも私とお前の縁なのかもしれないな。でも、一夏が一緒なら怖くない。」

 

「ハハッハッハ・・・・・」

 

2人で笑い合うと今度はモニター越しで武蔵と蘭を見る。

 

「武蔵、蘭。お前たちも運が悪いな。テキトーな嘘をついて乗り込んだのが運の尽きだな。」

 

『はっはは・・・・いいんだよ。どうせ俺死ぬ気で乗ったんだから。』

 

「まあ、お前なら死んでも日本の損失にはならないから俺たちも気が楽だよ。」

 

『言いたいこというね~。畜生。』

 

「俺にしては蘭を巻き込んだことが許せないけどな。あの世で弾になんて言い訳すればいいのやら・・・・・・・・」

 

『私も後悔してないから大丈夫ですよ・・・・・グスッ。』

 

一通りの会話を済ませるとゲッター1はゲラに向かって走り出した。

 

「ゲッタァア――――――――ウィング!!」

 

ゲッター1の背部からマントが展開され、勢いよくジャンプしてゲラの真上に飛び立つ。

 

「うぉぉぉおおおおお!!行くぜ、クラゲ野郎!貴様がゲッターをエネルギーに変えちまうのが先かゲッターが貴様を吹っ飛ばすのが先か勝負だぁ!!!」

 

ゲッター1は、マントで全身を包み込みゲラに向かって真っ逆さまに飛び込んで行く。

 

「いっくん!!」

 

「な、何ッ!?バカな!?奴等、気でも狂ったのか!?」

 

それぞれの陣営が驚愕の声を挙げる中、ゲッター1はゲラの体内へと突入した。

 

 

 

 

 

 

『「「『『うわああぁぁぁああああ!?』』」」』

 

ゲッターのコックピットの中で想像をも絶する衝撃が走る。

 

『一夏!全エネルギーを放出して!!』

 

「放出はしているんだ・・・・・してはいるが奴のエネルギーの方が強いんだ!!」

 

『ビームを発射して!!』

 

「ビームの・・・・・ビームのスイッチは・・・・・・」

 

意識が今にも消えそうな中、ゲラの中ではゲラとゲッターの熾烈な戦いが繰り広げられる。

 

その様子を研究所で心配そうに見る束達。

 

「お姉さん、ゲッターが溶け始めたわ。」

 

「ああまでしてあの程度しか溶けないならまだいい方だよ・・・・・・でも、その前にいっくんたちが持たない・・・・・」

 

束の言う通り一夏の意識は既に朦朧としていた。

 

「ほ・・・・・箒・・・・・・・ビームのスイッチは・・・・・・・・・・」

 

「す、すぐそこに・・・・・・・・ダメだ・・・・・私も意識が・・・・・・・・」

 

箒は意識が消えかける中どうにかゲッタービームの発射スイッチを押す。するとゲッター1の腹部からゲッタービーム砲が展開し、ゲラの体内の中で放出が開始される。

 

ゲラは一定の基準に戻そうとエネルギーを放出し続けるが体内からの放出のため間に合わず、水風船のように体が膨らんでいく。そして、限界が訪れたのか頭部跡から水しぶきのように体液が溢れ出す。

 

「何!?」

 

ゴールが驚いている中、ゲラの体が徐々に崩壊し始める。そしてそこからゲッター1が姿を現す。

 

「勝ったぁ!勝ったんだ!ゲッターのエネルギーが勝ったんだ!奴の体をバラバラにしたんだ!!」

 

しかし、喜んだのも束の間。ゲラの足がゲッター1に襲い掛かろうとしていた。

 

「束姉ちゃん大変だ!まだ足が生きている!」

 

「ぬわにぃッ!?いっくん早く逃げて!」

 

しかし一夏からの返事が全く返ってこない。

 

「大変だ!?エネルギー放出には勝ったけど皆のびちゃってる!!」

 

もはや止めようがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉおおおお!!!」

 

その直後ゲッター1の足が動きゲラの触手を踏み潰した。

 

「「「えっ!?」」」

 

その光景を見ていた束達は思わず唖然とした。

 

「わははは!!わいじゃ!」

 

モニターで確認をするとボロボロになった武蔵の姿が写った。そして、何故かその後ろにいる蘭もボロボロでありながらピンピンしていた。

 

「わははははは!丈夫で長持ちのムサシさんはこの通りまだまだピンピンしとりまっせ!!」

 

「さあ、先輩!あのクラゲにとどめを刺しちゃってください!!」

 

「おうよ!こんなろ!こんなろ!!」

 

とどめと言わんばかりに武蔵はゲッター1でゲラの触手を踏みつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その様子を遠くで眺めている者が。

 

「ものの見事にやられたな。」

 

「フフフ・・・・・でもいいじゃねえか。これで俺たちが手柄を上げられるチャンスができたんだしよ。」

 

「そうだな、いよいよ俺たちの出番だ。」

 

その者たちはハチュウ人類にしてはかなり異形な者たちだった。

 

「相手がゲッターなら不足はねえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の早乙女研究所 医務室

 

「ははは!しかし、めでたいな。命は助かるしよ。」

 

一夏たちはベッドで寝かされながら言う。

 

「今度は姉さんも巴の力を認め始めているな。」

 

「お前らも博士からその話が出たら推薦せにゃあならんよ。なんせ俺と蘭ちゃんは命の恩人じゃけんね。」

 

武蔵は笑いながら言う。その隣で椅子に座っている蘭も満足そうだった。

 

「しかし、2人ともあの衝撃の中でよく気を失わなかったな。」

 

「体のつくりがお前たちと違うのよ!!ハッハハハ!!」

 

「蘭はともかく、武蔵は体のつくりよりも頭のつくりが違うんじゃねえのか?」

 

「頭?」

 

「つまり、鈍感ってやつ。」

 

「あた!?」

 

三人に言われて武蔵はひっくり返る。

 

「・・・・・フッ、まあいい。言いたいことほざきなさい。今にわかる時が来る。」

 

武蔵は立ち上がりながら言う。

 

「そうさ。僕が本格的にゲッターに乗って合体した時こそ、僕の本当の力がわかる!!それまで君たちの屈辱的な言葉を甘んじて受けようではないか!!!ワッハハハハハ!!!」

 

武蔵は大笑いしながら言う。その姿を見て蘭も少し嬉しそうだった。

 

「よかったですね。先輩。」

 

 

「ガンガン、ガン!!若い力が真っ赤に燃え~て~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を研究所の外から何者かが聞いているとも知らずに。

 

「行くか。」

 

「ケッケケケケ・・・・奴らの命もこれま・・・・・」

 

 

ゲッターゲッター!!

 

 

「・・・・・・なんかうぜえな。」

 

「あぁ。確かにうざい歌だ(汗)。」

 

 




メカザウルス ゲラを倒し晴れてゲッターチームに加わった武蔵。

だが、その束の間恐竜帝国からの刺客「地リュウ一族」がゲッターロボを破壊せんと早乙女研究所を狙う。

爬虫類野郎どもめ、これ以上好き勝手にされてたまるかってんだ!!

次回、インフィニット・ゲッターロボ

「刺客 地リュウ一族」

さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!
 


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