鎮守府のやべーヤツら (アインスト)
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その1 ギャハハな提督

また性懲りもなくやっちまったよ‥‥‥。

では、どうぞ。


 

 

第七佐世保鎮守府。

 

それは変わり者が多く集まりすぎて、明らかにやべーヤツらの溜まり場になってしまった鎮守府である。

 

特に変わり者なのが、今執務室の椅子に座ってふんぞり返っているロボット(ノーマルAC)。

 

では、ご覧いただこう。

 

 

 

 

 

 

 

「キャロりん、お茶取って~」

 

「お茶が欲しいならさっさと仕事してください、主任」

 

「残念だけど、今の俺は主任じゃあない。"提督"さ」

 

「どちらにしろ主任である事には変わりありません」

 

「だよねー」

 

「司令官さん、お手紙が届いたのです」

 

「‥‥‥お?」

 

 

 

 

オッスオラ主任。

 

何て事ないサイボーグだぜ。

 

ん、なんでお前ハングドマン着てるんだよって?

 

そりゃあアンタ、こうしとけば俺が誰だかわかりやすいでしょ。

 

さて、何故俺が"提督"と呼ばれているかっていうと‥‥‥なんか成り行きでなっちゃったんだよねぇ。

 

まぁ頼りがいのある娘たちだし?別に問題無いでしょ!!ギャハハッ!!

 

 

 

 

「あのぉ、司令官さん‥‥‥?」

 

「あ、悪いね。で、手紙って何かな?」

 

「大本営からのお手紙なのです」

 

 

 

あぁ、ちなみにこのちびっ子は艦娘。

 

名前は確か‥‥‥電だっけか。

 

まぁどうでもいいけどねー。

 

んでー、内容はー?

 

 

 

 

「‥‥‥ナニコレ?」

 

「私達第七佐世保鎮守府の戦力状況を報告せよ、との事なのです」

 

「うーん、困ったなぁ」

 

「とか言ってますけど本当は困ってないですよね?」

 

「まぁねー。ま、これもいい機会だし確認しに行くかぁ」

 

「あの、私もついて行った方がいいですかね?」

 

「うん間違いないね。俺艦娘の事わかんないし」

 

「わかりました、電にお任せなのですっ!!」

 

「よろしくー」

 

 

 

 

と、執務室から出ようとした時、不意に肩を掴まれる。

 

あ、キャロりん?

 

どしたのそんな怖い顔して。

 

え?行く前に仕事しろって?

 

 

 

 

「えぇ。一応特例としてですが私は主任の助手のようなものですので」

 

「あ、そうなんだぁ‥‥‥で、何か問題?」

 

「大問題です、主任。きちんと仕事をしてください」

 

「そいつは無理だ。申し訳ないけど」

 

 

 

 

ドヒャアドヒャアとQBを噴かし、逃げる。

 

電ちゃんを肩に担いでね。

 

逃げるが勝ちって知らないでしょキャロりん。

 

 

 

 

 

「‥‥‥はぁ、逃げられましたか」

 

 

 

 

 

ふとキャロルが呟き、端末を手に取る。

 

画面には、"K.T."とある。

 

 

 

 

「‥‥‥もしもし?‥‥‥はい、私です。警備隊長殿」

 

『どうした、キャロル』

 

「えぇ、主任が逃げました」

 

『‥‥‥またか』

 

「はい。ですから警備隊長殿、貴方に主任の捕縛を依頼します」

 

『‥‥‥正直言って面倒だからパスしたいのだが』

 

「なら貴方の給料を減算してもいいのですか?」

 

『‥‥‥わかった、仕方がない』

 

 

 

 

憲兵寮の玄関から少々厳ついACが飛び出し、そのまま何処か‥‥‥いや、鎮守府の中へと入っていった。

 

後日談ではあるが、その数時間後には《愛してるんだぁ君たちをォォォォ!!ギャハハハハハッ!!》という叫びと共に、鎮守府内で爆発が起きたという。

 

幸いな事に、犠牲者はその声の主‥‥‥言わずもがな主任と、主任の確保に向かった警備隊長だけに収まったらしい。

 

 

 

 

 

「‥‥‥やっぱりさぁ」

 

「何なのです、司令官さん?」

 

「やるもんじゃないね、ガラじゃない事は」

 

「ならやらなきゃ良かったんじゃないのですか?」

 

「んー、次気ィ付ける」

 

「もう、司令官さんったら‥‥‥はい、リンゴの皮向けたのです」

 

「あ、じゃー切ったらちょーだい」

 

「わかったのです」

 

「やったね」

 

 




キャラクター

・主任
→第七佐世保鎮守府の提督。気分でやる事を決める。

・キャロル
→主任の助手のような存在。ただ、主任のやらかす事にはほとほと困っている。

・警備隊長
→マッハで胃に穴が開きそうな警備隊長。原因はだいたい主任のせい。

・電
→主任の秘書官その1。がんばり屋なため、よく主任に可愛がられる。






では、次回の更新で。

感想等お待ちしてます。

ではでは(´・ω・`)ノシ


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その2 ホワイトグリント

第二話です。

張り切って行きましょー。

では、どうぞ。


 

 

とある日。

 

"本日は快晴なり"と記録帳に記録しているACが一人。

 

そして、その隣でACの記録を見ている艦娘が一人‥‥‥いや二人に増える。

 

まず、彼女ら二人の艦娘に共通して言える事は二人とも"眼帯"をしている。

 

さらに、腰に刀‥‥‥なのか剣なのか言いづらいが、武器を帯刀している。

 

そして、二人の艦娘は一人のACをキラキラした瞳でじっと見ているのである。

 

彼女ら艦娘の名は"天龍"と"木曽"。

 

見つめられているACの名は"ホワイトグリント"。

 

 

 

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥」

 

 

 

暫しの沈黙が続く。

 

そしてついに、ACが言葉を発する。

 

 

 

「‥‥‥俺に、何の用だ‥‥‥?」

 

「え?あぁいや、別に‥‥‥」

 

「オレらはただお前の仕事を見てただけだぜ、うん」

 

「‥‥‥そうか」

 

「‥‥‥なぁアンタ」

 

「なんだ、二本角」

 

「二本角ぉ!?あのなぁ、オレにはちゃんと天龍って名前がなぁ!!」

 

「落ち着けって天龍、ホワイトグリントが名前をあまり覚えないのはいつもの事だろう?」

 

「だけどよぉ‥‥‥」

 

「‥‥‥要件を手短に言ってくれ。俺も暇じゃない」

 

「暇じゃないって、お前記録書いてるだけだろ!?」

 

 

 

"してやったり"とドヤ顔かました天龍だが、ホワイトグリントは「そう言うならこれを見てもそう言えるのか?」と記録帳を手渡す。

 

内容を見た天龍は、ペラペラとページをめくるにつれてだんだんと顔色が悪くなる。

 

記録内容としては"天候"、"本日の訓練内容"、"艦娘の健康状態"、"本日のスケジュール"、"艦娘との会話内容"etc‥‥‥と、なんとまぁ複雑な内容なのである。

 

これを木曽が出来ても天龍には出来るか、と聞かれると無理な話である。

 

何故なら彼女、天龍は。

 

 

 

 

「先日のテスト、解答を見たぞ」

 

「あれ、確かホワイトグリントって私達の教育係だったか?」

 

「一応、な‥‥‥だいたいはフィオナやスミカがやっている」

 

「ふーん‥‥‥で、天龍の解答はどうだったんだ?」

 

「‥‥‥数学、17点」

 

「ぶぅっ!!」

 

 

 

 

そう、彼女‥‥‥天龍はいわゆる勉強がちょっと出来ない"おバカ"なのである。

 

特に数学。

 

"平方根の意味を書け"という振り返り問題があったのだが、本来「a=bの2乗の時、aに対するbのこと」と書けばだいたい丸、あるいは花丸がつく。

 

しかし彼女、天龍は何と書いたか。

 

 

 

 

「"平方根の意味を書け"の解答‥‥‥"平たい根っこ"、だそうだ」

 

「ひ、平たい根っこ‥‥‥」

 

「だ、だってわかんねぇんだもん!!あんなのわかる方がこえぇよ!!」

 

「‥‥‥つまりお前の知能は中学生以下だな」

 

「なんだとぅ!!」

 

「まぁまぁ落ち着け天龍。私はお前がおバカでも気にしないぞ、うん」

 

「そんな憐れみの目で見んなぁ木曽ぉ!!」

 

「‥‥‥勉強しろ。それだけの事だ」

 

「ぐぬぬ‥‥‥でもお前はオレには勝てないだろ!!実技で!!」

 

「‥‥‥今ここでアサルトアーマーを使ってもいいんだぞ?」

 

「マジスンマセンッシタ」

 

「頼むから私を巻き添えにしないでくれよ‥‥‥」

 

 

 

 

ホワイトグリントの爆弾(物理)発言の後、彼の頭が誰かに叩かれる。

 

不意に彼が振り向くと、そこには金髪の女性が立っていた。

 

 

 

 

「ダメよ、女の子にそんな事言ったら」

 

「‥‥‥フィオナ」

 

「まったくもう‥‥‥どうして貴方は平気でそんな事言えるのかしら。いつも私を心配ばかりさせて」

 

「‥‥‥すまない」

 

「あ、どうもフィオナさん」

 

「あら、木曽ちゃん。ここで何を?」

 

「いや、ホワイトグリントの仕事を見学してたんですよ」

 

「そうなんだ。それで?あそこで転げ回っている天龍ちゃんは?」

 

「数学の点数暴露されて恥ずかしさを紛らわしているんだと思う」

 

「‥‥‥ちょっと?」

 

「‥‥‥本当にすまない」

 

「はぁ‥‥‥ちょっと来なさい。お話がありますから」

 

「え、いやだが俺は仕事が‥‥‥」

 

「いいから、来なさい」

 

「‥‥‥」

 

 

 

 

この時彼女、木曽は後にこう語る。

 

 

 

「え?あの時のホワイトグリント?」

 

「えっと、なんかあぁやってフィオナに引きずられていくアイツの姿を見てるとどうもなぁ‥‥‥」

 

「簡単に表現してくれって?そうだなぁ‥‥‥」

 

 

 

あれは、女房の尻に敷かれた旦那のようだった‥‥‥と語っていた。

 

 

 

「どうして貴方はいつもいつも‥‥‥」

 

「‥‥‥俺は何も」

 

「何か言った?」

 

「いや、何でも」

 

 

 

 

今日も第七佐世保鎮守府は妙に平和である。

 

 




・ホワイトグリント
→真面目なヤツ。だがたまに平気で人を傷つけるような爆弾発言をぶちかます。

・天龍
→戦闘は強い。しかし頭が弱いおバカ娘。でもなんだかんだでホワイトグリントに可愛がられている。

・木曽
→天龍と同じようにホワイトグリントを尊敬している。唯一の常識人であり、彼のオペレーターであるフィオナの愚痴を聞いてあげてるいいヤツ。

・フィオナ
→ホワイトグリントのオペレーター(正妻)。普段彼にあまり可愛がってくれないのか、ちょっと妬いている。
ストレスが溜まると、良き理解者である木曽に愚痴(彼に対して)をこぼしに行く。




では、次回の更新で。

感想等お待ちしてます。

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その3 胃に穴が開きそうな警備隊長殿

遅れて大変申し訳ありませんでした‥‥‥。

では本編、どうぞ。


 

 

 

「‥‥‥辛い」

 

 

 

突如として口(?)を開いたAC。

 

辛い、という言葉には単純なようで異様な重みを成しているようである。

 

彼、警備隊長は常に頭を抱えながら書務をしている。

 

だいたいの原因がここ第七佐世保鎮守府の提督、主任なのだが。

 

だがそんな彼の手伝いをしている艦娘が二人。

 

 

 

「辛いのはわかるよー。だって実際辛そうだし」

 

「北上さんの言う通りです。貴方このまま誰かに頼らないと本当に死んじゃいますよ?」

 

「わかってはいる‥‥‥んだが、あの主任の事だ。困り果てる私を見てバカ笑いしているのだろう」

 

「だよねー。君はちょっと無理し過ぎだよー?まぁ私も大井っちに振り回されてるけど」

 

「ひどいですよ北上さん‥‥‥」

 

 

 

 

彼女ら北上、大井は警備隊長の元にこうして手伝いという名目で遊びにくる。

 

ただ、ここの大井はかなり特殊である。

 

通常、大井と言えば『北上に対してかなりの好意を持っている』のが普通、らしい。

 

だが、ここの大井はと言うと。

 

 

 

「でもさー、大井っちも物好きだよねー。警備隊長さんみたいな堅物相手に私と同じような態度取れてるもん」

 

「いやいや北上さん、確かに私は北上さんの事が大好きです。ですがね、警備隊長の事も好きですよ?」

 

「私がいったい何をした?まったく覚えがないのだが?」

 

「え、全然覚えてないんですか?」

 

「あぁ、まったく。お前のようなレズに好かれるような事をした覚えは無い」

 

「失敬な!!私は確かに北上さんが大好きですが警備隊長さん、貴方にもあてはまるんですよ!?」

 

「‥‥‥?」

 

 

 

首をかしげつつ作業を進める警備隊長殿。

 

そんな彼をよそに、大井が語り始める。

 

 

 

「そう、あれは私達二人がここ第七佐世保鎮守府に配属して五日‥‥‥あの時は深海棲艦の排除任務にあたっていました」

 

「あー、懐かしいねー。確か五、六ヶ月くらい前の話だっけか」

 

「そうです。あの時私達二人を含めた艦隊はみんな中破‥‥‥あと一撃くらえば大破していました」

 

「そうそう。しかもなんかよくわからない敵も出てきたしねー」

 

「よくわからない敵?」

 

「うん。なんか私達の方に近づいていきなり自爆するヤツとか、エネルギー攻撃仕掛けてくる小さなヤツとか。あとはなんか棒みたいな物のスリットから生きたミサイルみたいなのが飛んできたし」

 

「未確認生命体か‥‥‥主任め」

 

「いやぁ、あのあと聞いてみたんだけどさ、提督は身に覚えが無いーって言ってたんだよ」

 

「ふぅむ‥‥‥」

 

「ちょっと北上さん警備隊長さん、聞いてます!?」

 

 

 

北上から得た情報から、警備隊長はいくつか予測を立てる。

 

一つ目は主任の仕業。だが主任は身に覚えが無いらしい。

 

二つ目は自然発生したか。だが、自然発生したならある程度情報が開示されるはず。

 

なら、三つ目。

 

彼ら以外の第三者の手によるものか。

 

 

 

 

「(あくまで最悪の事態を考えて、だが)」

 

「そして私達が絶体絶命の瞬間に颯爽と現れたのが貴方ですよ」

 

「‥‥‥あぁ、そういえばそんな事もあったな」

 

「その時のカッコ良さと言ったらもう、もう最高ですよ!!偶然とはいえ私を抱きかかえて狙撃砲を撃つ様と言ったらもう!!」

 

「‥‥‥北上」

 

「警備隊長さんが言いたい事はよーくわかるよー。大井っちって一見レズっぽく見えるけど実はバイだからー」

 

「そう!!つまり私は北上さんと警備隊長さんを同時に愛せる特殊な艦娘ですよ!!」

 

「‥‥‥胃が痛い」

 

「はいこれ、胃薬」

 

「すまん助かる」

 

「ちょっと、無視しないでくださいよ」

 

「無視しているつもりは無いのだが」

 

 

 

 

やはり今日も胃に穴が開きそうな警備隊長殿だった。

 

もはや異常が正常みたいな物である。

 

 




・警備隊長
→マッハで胃に穴が開きそうなかわいそうな人。
何故か大井に好かれている。

・北上
→ただ話すだけでは掴み所の無い艦娘。
警備隊長の良い相談相手。

・大井
→北上&警備隊長LOVEな艦娘。
怒らせたらヤバい艦娘ベスト5(主任談)。



では、次回の更新で。

感想等お待ちしてます。

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その4 首輪付きと教官

ACFAでオススメのアセンありませんかねぇ‥‥‥。
※作者はいつもトーラスマン(両腕実弾ライフル両背中コジマキャノン)

では、どうぞ。


 

 

 

「‥‥‥」

 

「何をしているのです?」

 

「‥‥‥!」

 

 

 

第七佐世保鎮守府、食堂にて。

 

椅子に座ってメニューとにらめっこしていた黒いネクストの前に、駆逐艦が一人。

 

彼は首輪付きと称され、向かいに座っている彼女は電という。

 

 

 

「あぁ、メニューを選んでいたのですね」

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥あの」

 

「‥‥‥?」

 

「どうして首輪付きさんはいつも無口なのですか?」

 

「‥‥‥」

 

「何か、言えない事があるのですか?」

 

 

 

彼女はそう問いかけるが、彼はふるふると首を振り、今まで微妙に動かなかった口を動かした。

 

 

 

 

「口は災いの元‥‥‥って言うから、かな」

 

「それだけの理由なのですか?」

 

「あぁ‥‥‥セレンが言っていた」

 

「セレンさんって‥‥‥あの?」

 

「そう。僕の恩人だ」

 

「という事は凄い方なのですか?」

 

「まぁな。僕よりずっと強く、誇り高い人だ」

 

 

 

 

そう答えたあと、どれにするのか決まったのか、彼は鳳翔さんにメニューを伝える。

 

鳳翔さんは「わかりました。いつものですね」とにこやかに笑い、厨房に消えていった。

 

 

 

 

「そういえば電‥‥‥だっけか」

 

「はい、電なのです」

 

「先生としてのセレンはどうだ?」

 

「えっと‥‥‥色々不器用な人なのです。丁寧に教えたいのでしょうけどどうしても上手くいかないみたいなのです」

 

「そうか。やっぱりセレンはセレンだな」

 

「と、言いますと?」

 

「いや、いつになっても不器用さは変わらないなって事だよ」

 

 

 

 

と、彼がそう言葉にした時。

 

彼の目の前に座っていた電の顔色が青ざめる。

 

どうかしたのか、と彼が問いかけるが彼女は「う、後ろなのです‥‥‥」としか言わなかった、いや言えなかった。

 

その原因が、彼の背後にいる。

 

 

 

 

「ほう‥‥‥何処で油を売っているかと思えばお前、私に対して陰口を叩いていたのか」

 

「‥‥‥ッ!?」

 

「言わなかったか?"口は災いの元"とな」

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥だんまりか」

 

「‥‥‥ごめん、セレン」

 

 

 

 

電は普段首輪付きを戦闘時にしか見かけていない。

 

だからこそなのか、こんな消極的な首輪付きを見た事に驚いている様子である。

 

 

 

 

「あ、あの、セレン先生」

 

「む、なんだ?」

 

「どうしてセレン先生は首輪付きさんにだけ厳しくしているのですか‥‥‥?」

 

「‥‥‥さぁ、何故だろうな。さて‥‥‥行くぞ」

 

 

 

 

彼女の一言で軽く頷き、食事を済ませた首輪付き。

 

だが、彼は電にある物を渡した。

 

そのある物は、一冊の本である。

 

 

 

 

「あの、これは何なのです?」

 

「僕の友達‥‥‥いや、仲間だったヤツが好んで読んでいた本だよ。僕はもう読みきったから君にあげるよ」

 

「そんな大切な物、頂いてもいいのですか?」

 

「うん。その代わり大事に読んでやってくれ」

 

「‥‥‥わかったのです。読んだら感想を言いに行くのです」

 

「あぁ、楽しみにしてるよ」

 

 

 

 

 

そうして二人は食堂から立ち去った。

 

恐らく彼は彼女に絞られる事だろう。

 

食堂に残った電の腕に抱かれていた本の一部に"空を悠然と漂う揺り籠"と読み取れた。

 

まるでかつて、揺り籠を落とし人類を次のステージに進めようとした彼のように‥‥‥。

 

 

 




・首輪付き
→セレンの部下(忠犬)。普段は無口だが、実力は確か。
駆逐艦組によく懐かれる。

・セレン ヘイズ
→首輪付きの師匠。第七佐世保鎮守府に来る前までは"霞 スミカ"と呼ばれていた。
現在は駆逐艦組の先生をしている。

・電
→暁型駆逐艦四番艦、いわゆる末っ子。
首輪付きによく懐いており、今回首輪付きから受け取った本を大事に読んでいる。




では、次回の更新で。

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その5 黒い鳥とビビリ

うーむ、ACVのオーダーミッション後半がなかなかに難しい。

こりゃクリアすんの時間かかるなと痛感した作者です。

では、どうぞ。


 

 

「‥‥‥なぁ」

 

「‥‥‥なんすか?」

 

「何故俺達はこんな事(芋の皮剥き)をしている?」

 

「そりゃあ‥‥‥鳳翔さんに頼まれたからっすよ」

 

 

 

 

そんな事をボヤきながら芋の皮剥きを続けるACが二人。

 

 

 

「‥‥‥もう面倒くさいからグラインドブレード使っていいっすかね」

 

「やめとけ。芋が消し炭になる」

 

「そっすね‥‥‥」

 

「RD、頼むからグラインドブレード外せ。邪魔にしかならん」

 

「えー、でも外し方がわからないんっすよ」

 

「なん‥‥‥だと‥‥‥」

 

 

 

 

RDと呼ばれるUCRタイプのACと、愕然としているUCRベース改造機のAC‥‥‥通称、"黒い鳥"。

 

彼らは傭兵としてここにいる‥‥‥が、今になっても傭兵らしい事が出来ていない。

 

逆に手先が器用になり、女子力的な何かが伸びている。

 

 

 

 

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥」

 

「‥‥‥何か喋ってくださいよ」

 

「‥‥‥ネタがない、以上」

 

「‥‥‥」

 

 

 

 

単純作業を続け過ぎてもはや機械的にしかこなしていない。

 

だが、そんな彼らにも癒しがある。

 

 

 

 

「はい、お二人ともお疲れ様でした」

 

「‥‥‥!」

 

「鳳翔さんじゃないっすか。どうしたんです?」

 

「いえ、今日は予定よりも早く下ごしらえが済んでしまいましたのでお二人ともにも早く上がってもらおうかと」

 

「あれ、でもまだノルマ達成してないっすよ?」

 

「え?もうしているじゃないですか」

 

「はい?」

 

 

 

RDが視線を移すと、隣で黙々と皮剥きをしている黒い鳥の姿があった。

 

フェイスパーツを展開(オーバーヒート)しながら、だが。

 

 

 

「うわっ、アンタ何やってんすか!?」

 

「いや‥‥‥皮剥きを」

 

「もう終わりですって!!鳳翔さん言ってたでしょうが!?」

 

「あらあら、レイヴンさんは頑張り屋さんですね。ですが無理は"めっ"ですよ?」

 

「‥‥‥わかった」

 

「あーもうオーバーヒートしてるじゃないっすかアンタ‥‥‥ほら、工廠に行って明石さんに直してもらいに行くっすよ」

 

「悪いな、助かる」

 

「別にいいっすよ、ほら肩貸して」

 

「わかった」

 

 

 

そうして彼らは工廠へと向かった。

 

厨房に残った鳳翔さんはふとこんな事を呟いていた。

 

 

 

 

「‥‥‥厨房、もう少し広くしてもらえるか提督に相談してみようかしら」

 

「‥‥‥どうした?」

 

「あら、警備隊長さん。それがですね‥‥‥」

 

 

 

 

 

一方その頃工廠では。

 

明石が要らぬ改造を施そうとしたところ、RDに取り押さえられていた。

 

 

 

 

「いや、ですからねお二人とも!!私がこのスーパーな改造を施せば性能がうなぎ登り間違い無しな訳でしてって痛い痛い痛い痛い痛い!!」

 

「だから、オレたちはこんな身体だけど意外とデリケートなんすよ!!なんでわからないかなぁ!?」

 

「だ、だって改造する事自体浪漫を感じません!?」

 

「しないっすよ!!」

 

「アイタタタタタ!!ちょ、関節極まってる!!外れちゃいます!!」

 

「だったらもう下手な改造しないって誓ってくださいっすよ!?」

 

「わ、わかりましたよー!!」

 

 

 

今日も第七佐世保鎮守府は妙に平和である。

 

 




・黒い鳥(レイヴン)
→ノーマルACの中では一番強い。戦う様がまるで"何もかも焼き尽くす黒い鳥"のようらしいが、彼は皮肉と取っている。

・RD
→ビビリ。黒い鳥の弟子になるがやはりビビリ。だがグラインドブレードの使い方は上手い。

・鳳翔
→みんなのお母さん。普段は厨房である意味戦っている。

・明石
→魔改造大好き。以前黒い鳥に「お前将来は何を作るんだ」と聞かれた瞬間、胸を張って「そりゃあもちろん、空飛ぶ浮遊砲台ですよ」と答えたらしい。




では、次回の更新で。

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その6 メリーゲートとエイプール、リリウム

うーむ、ACVのスカベンジャーが強い強い。
倒すのが一手間だなぁ‥‥‥。
しかもCE属性の武装持ってなかったら絶望的ジャン。

では、どうぞ。


 

 

日が落ち、食堂が居酒屋に変わる時間帯。

 

ここには三人の女性が飲み交わしている。

 

‥‥‥ただ、愚痴さえこぼしてなければ美人なのだが。

 

 

 

「あーもう!!どうして彼は私達に振り向いてくれないのよー!!」

 

「まったくですよ‥‥‥」

 

「リリウムは悲しいです‥‥‥」

 

「あらあら、今日は荒れてますねぇ」

 

「うー‥‥‥鳳翔さん、もう一杯ちょうだい」

 

「はいはい、飲み過ぎないようにしてくださいね?」

 

「わかってるわよ‥‥‥」

 

「それで、今日も彼の事ですか?」

 

「‥‥‥えぇ」

 

 

 

彼女らが言う彼、とは首輪付きの事らしい。

 

つまるところ、彼女らは首輪付きに色目を使っているようだが、どうにも反応してくれないらしい。

 

 

 

「ですがリリウムは思います。彼を振り向かせる前に問題が一つあると」

 

「あー、確かに」

 

「確か‥‥‥セレン ヘイズでしたっけ?」

 

「はい。間違いありません」

 

「あの堅物オバサンったら私になんて言ったと思う?『お前みたいな尻軽女には奴はまだ渡せんよ』、だって!!私尻軽じゃないっての!!」

 

「どうどう、落ち着いてくださいよメリーゲート」

 

「じゃあエイプールはどうなのよ」

 

「え、あ、それは‥‥‥」

 

「どうしたんですか?リリウム気になります」

 

「う‥‥‥」

 

「まぁまぁお二人とも、エイプールさんが困っちゃってますよ。その辺にしておいてあげては?」

 

「‥‥‥それもそうね。ごめんなさい鳳翔さん、エイプール」

 

「あ、いえ‥‥‥私がはっきり言おうとしてないからですし‥‥‥」

 

「そういえばリリウムはどうなの?」

 

「‥‥‥聞きたいですか?」

 

 

 

リリウムが言うと、二人は力強く頷く。

 

鳳翔さんはニヤニヤしながら聞いている。

 

 

 

 

「私は‥‥‥そうですね、彼に何度も助けていただきました」

 

「ん?ちょっと待ってそれ初耳なんだけど」

 

「私もです」

 

「今言ったので初耳なのはあたりまえでは?」

 

「‥‥‥そうね。で?」

 

「彼はとても力強く私を抱きしめてくれて‥‥‥」

 

「‥‥‥」

 

「メリーゲート?」

 

「‥‥‥エイプール、手頃な壁無い?」

 

「ど、どうどう」

 

「‥‥‥話を続けても?」

 

「どうぞ」

 

「その時私を助けてくれた彼は何と言ったと思います?」

 

「‥‥‥」

 

「『お前は僕が守る』、ですよ‥‥‥!!うふふふふ」

 

「‥‥‥っせい」

 

「痛いッ!?」

 

 

 

 

リリウムが爆弾発言をした瞬間、メリーゲートは無意識の内にエイプールの顔面を殴っていた。

 

完全にとばっちりである。

 

 

 

 

「あの、凄く痛いんですけど」

 

「ご、ごめんなさいエイプール!!悪気があった訳じゃないのよ!!」

 

「完全に殴られ損ですよ、まったく」

 

「うふふふふ‥‥‥」

 

「ちょっと、そろそろ戻ってきなさいリリウム」

 

「ふふふ‥‥‥はっ、すみません」

 

 

 

 

リリウムが自分の世界から帰ってきた瞬間、新たな客人が居酒屋に入ってきた。

 

しかも間の悪い事に、話題に乗っている彼であった。

 

 

 

「‥‥‥!」

 

「あ、貴方!?」

 

「どうしてここに?」

 

「まさかリリウムに会いに来てくれたのですか‥‥‥?」

 

「あ、飲みたいから来ただけみたいですよ」

 

 

 

三人が妄想を膨らませようとした瞬間、鳳翔さんから首輪付きの事情を投下、彼女らの妄想を一撃で破壊した。

 

そりゃあもう音を立てて崩れるくらいに。

 

 

 

 

「‥‥‥鳳翔さん」

 

「は、はいなんでしょうメリーゲートさん」

 

「水を‥‥‥一杯ください」

 

「‥‥‥お疲れ様です」

 

「ありがと」

 

「‥‥‥?」

 

「あ、せっかくですし貴方もどうです?私達と飲みませんか?」

 

「‥‥‥!」

 

「あぁ、メリーゲートは仕方ないですよ。ちょっとうちひしがれただけでしょうし」

 

「リリウムもそう思います。さぁ、こちらに」

 

「‥‥‥」

 

 

 

 

今夜も妙に平和な第七佐世保鎮守府である。

 

ただ、受けたダメージはとんでもないが。

 

 

 

「私は諦めないわよ‥‥‥」

 

「はいはい、一杯私が奢りますから飲みましょうよ」

 

「エイプール‥‥‥!!」

 

「ま、これからもライバルですね。恋路の、ですが」

 

 

 

 

 




・メリーゲート
→装甲の硬いネクストACを扱っている。
首輪付きにぞっこんである。

・エイプール
→ASミサイル使いの女性。本人いわく、「ASミサイルは財布に優しくありませんが威力は保証します」との事。

・リリウム ウォルコット
→狙撃戦主体のネクストACを扱う女性。隙あらば首輪付きにアピールするというちゃっかりさを持っている。




では、次回の更新で。

感想等お待ちしてます。

ではでは(´・ω・`)ノシ


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その7 社長とジョシュア

久しぶりにこちらを更新。

楽しんでいただけたら幸いです。

では、どうぞ。


 

 

この日‥‥‥ここ第七佐世保鎮守府にとある企業からとんでもないヤツが視察しに来た。

 

そのとんでもないヤツが‥‥‥。

 

 

 

 

「有澤重工、雷電だ。よろしく頼む」

 

「ギ、ギャハハ‥‥‥参ったなぁ‥‥‥よりによってアンタが来ちゃったかぁ」

 

「何か不都合でも?」

 

「ああいや、そりゃないよ。歓迎するよ、盛大に」

 

「それはありがたい。確か名は‥‥‥」

 

「"主任"だ。それだけの名前だから覚えやすいだろ?」

 

「そうだな。それから、もう一人来ている」

 

「もう一人だ?」

 

 

 

主任が振り向くと扉が開かれ、新たなネクストACが入ってくる。

 

アナトリアの傭兵、ホワイトグリントやレイヴンの黒い鳥なら見覚えがあるACであった。

 

 

 

「アスピナ機関所属、ジョシュア オブライエンだ。よろしく頼むぞ」

 

「うっはー‥‥‥アンタもか‥‥‥」

 

「どうした?」

 

「いや‥‥‥なしてウチはこうも問題のあるやつしか来ねぇのかなぁって思ってさ」

 

 

 

その主任の一言に、本日の秘書艦である不知火が答える。

 

 

 

「いや、貴方も十分問題有りですよ提督。私もですが」

 

「あれ、そうだっけぇ?っつーかぬいぬいに問題って、何かあったっけ」

 

「ええ。ほら、あるじゃないですか。ロマン武器」

 

「あー‥‥‥ロマン武器に憧れちゃってるぬいぬいか‥‥‥」

 

「はい。特に提督のヒュージキャノンとか使ってみたいです」

 

「いやダメだって。ありゃ元々ACの規格を無視したある意味超兵器な訳だし」

 

「そうですか‥‥‥それは残念です」

 

 

 

心底悔しそうにする不知火。

 

よほどのロマン好きである事が伺える。

 

 

 

「あ、提督ー。何してんのー?」

 

「珍しいですね提督。誰かお客様が?」

 

「頼むから面倒事は起こさないでくれよ主任‥‥‥」

 

 

 

上から北上、大井、警備隊長が話しかける。

 

どうやら訓練中だったようだ。

 

 

 

「あらー、見事に戦車ですねぇ‥‥‥どうです?良ければ一緒に訓練でも」

 

 

 

大井の何気無い一言が、雷電の闘争心に火をつけた。

 

 

 

「ほう‥‥‥この雷電に削り合いを挑むか。浅はかな‥‥‥だがなかなかどうして面白い」

 

「‥‥‥あれっ、これ私やらかしたパターンですか?」

 

「主任だけじゃなくお前もか‥‥‥!」

 

 

 

そんな会話を余所に、主任とジョシュアはこう話していた。

 

 

 

「えぇーっとぉ、もしもの時は頼むね」

 

「‥‥‥遺憾ではあるが、仕方がないな。善処しよう」

 

「いやホントに頼むね」

 

「任せろ、とでも言っておこうか」

 

 

 

なんだかんだで本日も第七佐世保鎮守府は平和である。

 

一部を除いて、だが。

 

 

 

「お、おかしい‥‥‥何なんですかあの大砲の威力!?馬鹿げてますよ!?」

 

「社長砲怖い」

 

 

‥‥‥平和である。

 

 




・雷電
→有澤重工の社長。砲弾などはたまに有澤重工から寄せられるそう。社長砲を自由自在に使いこなす。

・ジョシュア
→アスピナ機関所属。とんでも兵器を研究中。とても強い。

・不知火
→通称ぬいぬい。落ち度が無い艦娘。ロマン武器、もといイカレ武器に強い憧れを持っている。目標はいつか主任のヒュージキャノンを使ってみることらしい。




短いですがいかがだったでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです。

では、次回の更新でお会いしましょう。

感想、質問等いつでもお待ちしてます。

ではでは(´・ω・`)ノシ


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その8 あれれぇ、ビビっちゃったぁ?アハハハ!!(震え声)

今回はコラボ回。

なんと『隠蔽された鎮守府』を執筆されている黒い玉さんとコラボさせてもらえる事になりました。

ちなみにコラボ回はあと数回続きます。

では、どうぞ。


 

 

「と、いう訳でこんな感じの編成で任務に行こうと思うんだけどどうかな、キャロりん?」

 

「問題はありません‥‥‥が、一つ報告が」

 

「どしたの?」

 

「いえ、最近その作戦海域近辺の磁場が不安定らしくて‥‥‥今まで行方不明になった艦が多いそうです」

 

「ふーん‥‥‥あそうなんだぁ‥‥‥で、それが何か問題?」

 

「‥‥‥主任なら問題無いと思いますがくれぐれも油断しないでくださいね」

 

「はいはいわかったよキャロりん。んじゃ、行ってくるよ」

 

「わかりました、お気をつけて」

 

 

そんなキャロりんのお小言を聞いておき、執務室を後にする。

 

確か今回の編成は‥‥‥と。

 

長門に金剛、それから天龍、龍田、電、木曽。

 

んで、同行機が俺とホワイトグリント‥‥‥と。

 

やれやれ、面白い事が起きるのはいいんだが面倒事は嫌だなぁ。

 

 

「お、みんな揃ってるねー?」

 

「当たり前だ。提督の指示通り私を旗艦にして編成させてもらった。概ね問題はあるまい?」

 

「ま、そうだな。ホワイトグリントも準備いいかな?」

 

「‥‥‥問題無い」

 

「ギャハハハ、やっぱ無口だねぇー!!」

 

「提督がハイテンションすぎるんじゃないデスカー?」

 

「いやそうとしか考えられないだろ」

 

「だよな」

 

「えと、それでどちらに出撃するのです?」

 

「まーながもんのリハビリも兼ねて鎮守府近辺の海になるかなー?」

 

「ながもん言うな」

 

 

 

そんな提案をするが、天龍から報告が。

 

 

 

「だけどよぉ提督、最近雨ばっかだぜ?こんな天気で大丈夫なのかよ?」

 

「大丈夫でしょ。レーダーをフル活用すればお互いの位置ぐらいなら把握できるだろうし」

 

「なんか不安になってきたんだけど‥‥‥」

 

「そ、そうだな‥‥‥」

 

「あらぁ?天龍ちゃん、もしかして怖いのー?」

 

「ーッ、ばっ、バカ龍田!?お、オレが怖い?そんな訳ねぇだろ!!あ、アハハハ‥‥‥はぁ」

 

 

 

龍田が天龍を指摘。

 

けど天龍は反抗する‥‥‥けどやっぱり怖いみたいだ。

 

まぁ俺たちにとってはあんま関係無いけど。

 

だって死ぬのは怖くないし。

 

ぶっちゃけレイヴンとかリンクスはいつも死と隣り合わせな戦いをしてる訳だし。

 

むしろ恐怖が無くなって、いや、麻痺してるってのが正しいか。

 

だけど彼女ら艦娘は違う。

 

俺たちのように修羅場をくぐり抜けてきたんだろうけど感覚が麻痺するほど戦ってきた訳じゃないからやっぱり死への恐怖はある訳で。

 

だから肝心な所でミスをしてしまう。

 

そこを俺たちが埋めてやるっていうのが仕事な訳だ。

 

なんでかわからんが提督になっちゃったけどね。

 

 

 

「‥‥‥んじゃ、そろそろ行こうか」

 

「そうだな‥‥‥ところで提督」

 

「何かな、ながもん?」

 

「その変な渾名で呼ぶのをやめていただきたいッ!!」

 

「ギャハッ!?」

 

 

ながもん渾身の一撃。

 

うへぇ、一発でAPが三割削られたよぉ。

 

まるでレーザーブレードみたいだな。

 

「‥‥‥では、出撃!!」

 

あの長門さん、仕切るのはいいけどせめて俺に何か言ってくんないかな?

 

 

 

「索敵厳かに‥‥‥って提督、なんだその頭の上に浮いている物は?」

 

「あ、こいつかい?こいつはRECON。索敵レーダーの役割をこなすやつさ」

 

「‥‥‥素直に空母を編成に入れればいいものを」

 

「だって燃費が‥‥‥」

 

 

 

と、他愛の無い話をしているとちょっとした異変が。

 

‥‥‥正直自分自身の目を疑いたいけど、レーダーが使い物にならなくなっている。

 

しかも、RECONを飛ばしても反応無し。

 

‥‥‥おかしい。

 

 

「‥‥‥なぁ提督」

 

「なにかな天龍」

 

「やけに海が静かだ‥‥‥こんなのおかしすぎるぞ?」

 

「クッフフ‥‥‥あれれぇ?ビビっちゃったぁ?アハハハ!!」

 

「び、ビビってなんかねぇし!!」

 

「天龍ちゃん、素直になりなさいなー?」

 

「龍田、お前まで‥‥‥」

 

「‥‥‥提督、前方に機影」

 

「おっと‥‥‥なんだ、アレ」

 

 

 

目の前には、見た事がない生物がいた。

 

いや、生物じゃないな。

 

あれは一見すれば置物だ。

 

だが‥‥‥。

 

 

「‥‥‥皆、アレから絶対に目を放すな」

 

「提督‥‥‥?」

 

「アレから目を放したらヤバい。直感だけど」

 

「‥‥‥全艦、全速前進!」

 

 

じっと置物を見ていた。

 

そしてその置物から通りすぎて離れた時、嫌な予感がして振り向いた。

 

‥‥‥いる。しかも近い。

 

 

 

「‥‥‥ッ、急げ!速く!」

 

「り、了解!」

 

 

 

なんとかアレを振り切り、やっとたどり着いたのは‥‥‥。

 

 

 

「鎮守府‥‥‥か?」

 

「そのようだが‥‥‥」

 

「誰かいるかねぇ?」

 

 

RECONも元通りに直ったみたいだ。

 

再びRECONを飛ばしてみる。

 

熱源反応多数‥‥‥って事は誰かいるみたいだな。

 

しばらくして、男が出てきた。

 

 

 

「‥‥‥おや?」

 

「あ、どうも」

 

 

 

第一村人(恐らく提督じゃね?)、発見。

 




という訳でコラボ回でした。

いかがだったでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです。

では、次回の更新で。

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その9 なんなんだこいつは‥‥‥

コラボ回二話目。

あーでもないこーでもないと四苦八苦しながらやっと捻り出せた物です。

では、どうぞ。


 

 

「‥‥‥なるほど、つまりあなた方は気がつけばここにいたと」

 

「そういう事なんだよねぇ。で、2日か3日程泊まっていってもいいかな?」

 

「それに関しては問題ありません。ですがここの鎮守府にはちょっと特殊な存在がありまして‥‥‥」

 

「あー、見たよ。あの気味悪い置物とか」

 

「ああいった存在を我々の方では"SCP"と呼んでいます。まぁ‥‥‥簡単に言えば"特異性が見られる生命体もしくは存在、概念"です」

 

「難しい話だねー」

 

 

 

司令室にて俺の目の前に座っている提督と話をする。

 

どうやら今俺たちがいるこの鎮守府は通称"隠蔽された鎮守府"って呼ばれているそう。

 

ただ、隠蔽された理由を聞いた所‥‥‥ああそうだ、こいつは帰る時は他言するなって言われてたんだ。

 

‥‥‥ま、大丈夫でしょ。

 

まぁ簡単に説明すると"今このご時世に出るとかなりマズイ存在を監視、管理している鎮守府"みたいな感じ。

 

 

 

 

「おーいしゅにーん、話まだ終わらねぇのかー?」

 

「ああいや、終わったよ天龍ちゃん」

 

「ち、ちゃん付けするな!」

 

「ごめんねー。で、龍田さんや」

 

「わかってるわよー?ちょっと調べてみたんだけど、どうやらここは深海棲艦とも共存してるみたいねー」

 

「は?深海棲艦と共存?そんな事できんのかよ?」

 

「出来てるからこう言ってるのよ天龍ちゃん。確かにこれは公には出来ない。だから隠蔽されてるの」

 

「ふーん‥‥‥」

 

「あとそれから」

 

「まだ何かあるのかな?」

 

「他の艦娘たちに提督について聞いてみたんだけど‥‥‥なんか‥‥‥ねぇ」

 

「なんか、どうしたのさ」

 

「なんというか‥‥‥目に光が灯ってないというか‥‥‥一途すぎるというか‥‥‥一方的というか‥‥‥」

 

「あぁ、ヤンデレちゃんたちの集まりな訳か」

 

「ヤンデレ‥‥‥何だそれ?」

 

「簡単に言えば‥‥‥あれだ、好き過ぎて愛が重い娘の事だよ」

 

「は、ハハハ‥‥‥なんだよそれ‥‥‥」

 

「天龍ちゃん怖いのー?」

 

「ばっ、怖くなんかねぇし!!」

 

 

 

いつも通りの絡みも見れた訳だし、平常運転だ。

 

‥‥‥うん?

 

なんだあの猫?

 

下半身が無い‥‥‥というかどうやって歩いてんのあれ。

 

 

 

「にー」

 

「ギャハハ、可愛いねぇー!ほれほれ」

 

「にー!」

 

「それ、猫‥‥‥なんだな」

 

「みたいねー」

 

「‥‥‥そうだ、確かここに‥‥‥あった、チーズが」

 

「主任の肩ってどうなってんだ‥‥‥」

 

 

 

たまたまあったチーズを猫にあげようとした時、ここの艦娘の暁って娘が通りかかって注意してきた。

 

 

 

「あ、ジョーシーちゃんにチーズあげたらだめよ」

 

「え、あげちゃったんだけど。なんでダメなのかな?」

 

「だって‥‥‥ほら」

 

「‥‥‥にー‥‥‥」

 

 

小さなチーズを食べ終えた猫、いやジョーシーは満足な量を得られなかったからか、すごくションボリとしていた‥‥‥可愛い。

 

 

 

「満足な量が得られないと悲しんじゃうのよ」

 

『か、可愛い‥‥‥』

 

 

 

なんてこった、可愛すぎる。

 

 

 




という訳でコラボ回二話目でした。

いかがだったでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです。

では、次回の更新でお会いしましょう。

感想、質問等いつでもお待ちしてます。

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