俺が異世界に最強のスロースタート勇者として降臨した件 (御こけし)
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幕開け

 

狭い道を抜けると、そこには一軒の家があった。

 

「こんな場所あったっけな…」

 

 

 

俺の名前は鳥賀 漢。

 

高校1年生だ。

 

両親は既にいない。

 

「漢」という漢字はぜんと読む。

 

この漢字の意味にあますことのない人、全人、全能、完全などの意味がある。

 

でも、俺のテスト…これが問題だ。

 

定期テストではいつも25点~35点を彷徨っている。高校では30点未満を「赤点」という。この点数を取り続けると留年となってしまうそうだ。

 

いや、中学の時までは成績上位の方だったんだぜ?でも、中学の時と同じような勉強方法を取っていたら……詰んだ。

 

そして何より家で勉強するっていうことが面倒くさい!これが一番の問題点なんだよなあ。

 

面倒くさがりなんだよ……ごめん。

 

何でテストってあるんだろうな!!意味わかんねえよな!!

 

まあそんなわけもあって今俺は猛烈に子供の時に戻るか、他のテストとかが一切ない世界に行きたい。

 

そんなこととか空の夕焼けが青紫色できれいだなとか思いながら帰路についてたわけなのさ。

 

そしたらね?家の前に見たことのない不思議な道ができてたのさ。

 

もう家には15年も住んでいるのに見たことのない道なんて家の前にあるか?ふつう。いや、ない。

 

六分の恐怖と四分の好奇心に駆られて俺はその不思議な道に入った。

 

 

 

狭い道を歩くこと数分、少し開けたところに出る。

 

するとそこには、一軒の古い家があった。

 

目の前にある一軒の家。

 

(こんな家あったっけな…)

 

看板が汚れていてよくわからないが、「屋」という文字が確認できたので、きっと何かの店なのだろう。

 

入ってみよう。何か惹きつけられるものを感じるんだ。

 

俺は重い引き戸を開けた。

 

「ッ…!なんだこれは!!」

 

そこにあったのはこの世のものとは思えない道具類。俺の身長より大きな杖や剣などがある。

 

ふと、奥から人の気配を感じる。

 

恐怖より好奇心が勝り、奥へと歩みを進める。

 

「ッッ…!!」

 

そこにいたには……老人だ。

 

白い髭と髪の毛を生やしたザ・老人って感じの老人だ。

 

「……あのー…こん…にちは…?」

 

勇気を出して声をかけてみる。

 

すると、老人は

 

「ほう…」

 

とだけ言い、俺の体を上から下まで見ている。

 

「…あの……」

 

俺が疑問の言葉を呟くと

 

「ああ、すまんかったの。ところでお主、どうやってここに来た?」

 

「えぇ…っと…家に帰ろうとしたら見知らぬ道を見つけて、家を見つけて、なんだか惹きつけられるような感じがしたからかな…?」

 

「ほぅ……お主がそうか…」

 

といい続けざまに言う。

 

「お主…こことは違う世界で勇者とやらにならんかの?」

 

「はい。おねがいします。」

 

即答だ。即答大事。

 

「フォッフォッフォ。決断が速いとはよいことじゃ。では、この世界とは全く異なる剣と魔法のファンタジーの世界へと転生してもよろしいかの?」

 

(よしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!剣と魔法だと!?まじか!特に魔法!実は最近異世界転生系のライトノベルを読み漁って憧れていたのだ!まさか叶おうとは…。)

 

「うむ。では、隣の部屋に移動してくれぬか?」

 

俺は言われたとおり移動する。

 

するとそこには、大きな魔方陣が床一面に広がっており、幻想的な雰囲気をかもし出していた。

 

少し遅れて老人が部屋に入ってきた。

 

「うむ。では、真ん中に立ってくれ。」

 

言われたとおりにする。内心心臓バックバクなのだが、一応涼しい顔をしておく。ビビりとか思われたくないからな!

 

そんな事を考えていると老人の方から聞き覚えのない言語が聞こえてくる。なにやら詠唱的なものをしているようだ。

 

 

 

老人が詠唱を完了し、最後に言葉を唱える。

 

「――――インカーネーーションッッ!!」

 

刹那。俺の体が光に包まれた。徐々に体が軽くなっていき、そして―――浮いた。

 

俺はそのまま天に昇って行った




初めまして!
本日は4話投稿ですが、原則2日に1回の更新にします!


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神との出会い

 

「――――インカーネーーションッッ!!」

 

刹那。俺の体が光に包まれた。徐々に体が軽くなっていき、そして―――浮いた。

 

俺はそのまま天に昇って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は目が覚めた。

 

「ん…ここはどこだ…?」

 

あたり一面見渡す限り闇だ。

 

なんだか怖くなってきた。

 

「…だれかー…だれかいませんかー…?」

 

周りが見えないとこんなにも落ち着かないのか…。

 

(……て……すか……?)

 

なんだ…?頭の中にこえが…?

 

(聞こえて、ますか?)

 

誰だ?こんな闇の中に姿も見えないのに人の声なんて聞こえるはずが…。

 

(え~こほん。私は神です。それも最高位の。)

 

……は?こいつは何を言っているんだ?

 

というかさっきから姿が見えない。幻聴か?

 

「幻聴ではありません!そうですね、見えるようになれ~と念じてみてください。」

 

言われたとおりにやる。すると目の前に俺より少し小さいぐらいの女の子が立っていた。神と瞳はピンクで、頭の上には太陽を思わせる輪を浮かべている。右目の下には涙のような、水が大地に落ちていくような形をかたどった紋章がある。

 

「あ、やっと目を合わせてくれましたね~!」

 

まて?まずは現状把握だ。

 

あ、そっか。俺転生したんだっけ。だから神のところにいるのか?

 

「ぴんぽ~ん。理解が速くてたすかるよ~」

 

理解が速いってところが唯一の取柄といっても過言ではない。……というかこいつ心の中読めるのか…。

 

「というか、転生してくれてありがとね?最近転生者少ないから面白くないんだよね~」

 

「面白くないって…まあ俺は向こうの世界がいやだったからな。」

 

「そっか~。でも世界所有魔力量第1位の君が転生してくれたのはすごくうれしいな~。」

 

なんだそのランキング。……ん?まてよ?俺がそのランキング第1位…?ど、どういうこと…?

 

「ん?聞かされてないのか~。それじゃあ私が説明するね?」

 

「お、おう。」

 

「この世界には魔法があることは知ってるよね?」

 

「ああ」

 

そりゃあそうだ。それでどんなに喜んだことか。

 

「ふふ。それでね?一般的な成人男性の魔力所有量は100くらいなんだけど、君は1000万なんだよね~。」

 

は…え…?1000万?1000万!?それってすごくね?実際何でもできるんじゃ…?

 

「そうだね~。なんでもできるね~。」

 

…どんな表情していいかわからん。

 

「まあその話は置いといて、ここからが本題なんだけど、いいかな~?」

 

正直1000万にビビってるからよくないけど、とりあえずいいことにする。

 

「転生してくれた人には転生特典ってことで超強力な武器とか魔道具とかプレゼントしてるの~。それで君には、この13個の中から選んでもらいま~す。」

 

「分かった。」

 

「じゃあまずは、現物を見てみてね~。」

 

そういって神は虚空からものを出現させた。



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力を手に入れるまで

「じゃあまずは、現物を見てみてね~。」

 

そういって神は虚空からものを出現させた。

 

 

 

 

 

 

 

何もないところから急にフィードして13個のものが現れた。おそらく魔法だろう。

 

剣が1つ、鎧が1つ、杖が1つ、弓矢が1本、杯が1つ、箱が1つ、本が1冊、そして紙切れが5枚ある。

 

「じゃあこれの能力とかの情報をいま送るね~」

 

ん?送る?何のこt…うおッッ!?脳に情報が流れてくる感じがする!

 

〈チートな転生特典12選!!〉

 

No:1神剣カタストロフィ

 

(この世界の大陸を4つに割った剣。斬撃を飛ばすことができる。)

 

No:2聖鎧プロス

 

(どんな攻撃も守ってくれるといわれている。鍛冶の神お手製。物理耐性、魔法耐性共に最高品質。)

 

No:3世界創造の杖

 

(神がこの世界を創るにあたって使われた杖。威力は使用者の最大魔力量に依存。)

 

No:4チェイス・アロー

 

(どんな弓にも使え、打つとターゲットを貫くまで追跡する。壊れない。)

 

No:5生命の杯

 

(杯の形をしている。軽く振るとみずがたまる。杯の持つところを持って出ろと念じると水がたまる。)

 

No:6魔石ガチャ

 

(魔物から時々たまに出る『魔石』を使ってステータスをランダムで上昇させる。上昇率は魔物の強さに依存。)

 

No:7全知の書

 

(この世のすべてのことが書かれている本。通常は薄めの本だが、中のページは時空属性の魔法で異空間にあり、表紙を見たまま知りたいことを念ずればそのページが開く。)

 

No:8アイテムボックス

 

(無限になんでも物を入れられる。しかし自分以外の人が持っているものはしまえない。中の時間は止まっている。)

 

No:9ステータス表示

 

(自分や人の能力値を数値化して見たり、スキルの確認をしたりできる。なお、この世界にはレベルの概念はあるものの、能力値の概念はない。)

 

No:10万物鑑定

 

(この世界には『鑑定』というスキルがあるが、この場合の鑑定だと自分よりも強いものの鑑定をできない。しかし『万物鑑定』はどんなものでも鑑定できる。)

 

No:11全属性の心得

 

(魔法を使うにあたって全属性を使用できる。)

 

No:12最高神の加護

 

(全スキルの獲得可能化、獲得率上昇、レベルアップ時のステータス上昇率の上昇。)

 

No:13アナウンス・ウィズ

 

(高い知能を持った神が創ったAI。レベルアップ時などに脳内にアナウンスしてくれる。また、魔法を使用するときに必要な演算処理も担当してくれる。)

 

俺はじっくりとその12個のものについて考えた。しかしまとまらない。

 

んーーどうしようかな…決められない。なのでダメもとでこんなことを聞いてみる。

 

「全部っていうのはだめだよね?」

 

「ん~」

 

神は考える素振りを見せている。よしッ!これはいけるぞ!!

 

「そこをなんとか!!」

 

「ん~しょうがないな~特別だよ~?」

 

え?まじでいいの?ほんとに?やったね!!!

 

「じゃあ力を与えるから目を瞑って?」

 

目を瞑る。刹那、体の奥底から力が湧いてくる。

 

これで俺のまったり異世界ライフも安定だな。

 

――――と思っていた時代が俺にもありました。俺の考えは次の神の言葉によって打ち砕かれた。

 

「あ、そうそう。頼みたいことがあるんだ~。実はね~?この世界を最初に創ったとき、魔力の乱れが全然安定しなくてね~?それで『聖金』っていう金属を触媒にして魔力の乱れを安定させようとしたの。それで、今ほとんど乱れがなくなったから、回収したいんだけど神は地上に降りられないの。だからそれを回収してきてくれない?ちなみに今は聖金の周りには結構強力なダンジョンができてしまってて一般人じゃ太刀打ちできなくって…。だから頼まれてくれないかな…?」

 

申し訳なさそうに神が上目使いでお願いしてくる。

 

こうなってしまっては断れない。というかだれも断れないと思う。うん。

 

しかもチートな力まであるんだ。いけるだろ。

 

「わかったよ。集めることにする。」

 

「えっ本当?やったあ!!じゃあお願いねっ!」

 

本当に嬉しそうにして笑顔をほころばせる。

 

「じゃあさっそくその世界に転送させるね!」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

神が言葉を唱えると俺の体が光に包まれる。

 

「ばいば~い!」

 

「ああ、じゃあな。」

 

そういって俺の意識は暗転した。



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重要なことに気が付いた

神が言葉を唱えると俺の体が光に包まれる。

 

「ばいば~い!」

 

「じゃあな。」

 

そういって俺の意識は暗転した。

 

 

 

明転。

 

意識が覚醒すると俺は広い野原にいた。あるあるだ。

 

さて、最初にやることはステータス確認だ。

 

 

名前 :ゼン・トガ

 

種族 :人間

 

職業 :勇者

 

性別 :男

 

レベル:1

 

【Low】

 

HP:100/100 MP:10000000/10000000

 

物理攻撃:102 物理防御:98 魔法攻撃:112 魔法防御:110

 

うん:10

 

【High】

 

HP:100/100 MP:10000000/10000000

 

物理攻撃:1102 物理防御:1098 魔法攻撃:1112 魔法防御:1110

 

うん:100

 

〈装備〉

 

武器:神剣カタストロフィ—封印

 

 世界創造の杖—封印

 

身体:聖鎧プロス—封印

 

〈スキル〉

 

アイテムボックス ステータス表示 万物鑑定 全属性の心得 最高神の加護

 

アナウンス・ウィズ スロースタート

 

……ん?Low?High?封印?スロースタート?見覚えのない単語が4つもある。なんだろうか。

 

その瞬間頭の中に音が鳴り響いた

 

「あ~。あ~。聞こえる?一つ大きな問題が発覚したの!もう確認したかもしれないけど、このLow、High、封印、スロースタートっていう文字なんだけど。」

 

「ああ。今疑問に思ってたことだ。」

 

「これなんだけど、どうも転生特典を全部受け取っちゃったのが原因みたいなんだよね~。」

 

「ん?まったく意味が分からん。」

 

「あのね?君は特典全部受け取っちゃったから強くなりすぎたの。その状態で転送門をくぐっちゃったもんだから世界が君の能力を改変して弱体化させて均衡を保つようにしちゃったの!!多分この世界の脅威になりうる奴が違う世界から来たって誤認したんだと思うの。」

 

「ちなみに、弱体化の内容は何だ?」

 

「弱体化の内容は装備の機能を封印すること、スキル:スロースタートの追加だよ。」

 

「ああ、それで封印か。で、スロースタートってなんだ?」

 

「スロースタートていうのは戦闘開始から30分後までステータス【High】にならないってことだよ。」

 

「要するに戦闘が始まってからのステータスは【Row】で30分経つと【High】になるってことか?」

 

「うん~!そういうこと!流石の理解度だね~。」

 

まだ戦ったことがないからわからんが、それはきっとやばいことなんだろう。

 

「なあ、その30分ってどうやって稼げばいいんだ?」

 

「ん~、主な方法としては、敵と対峙すると戦闘開始判定になるから…例えば仲間に代わりに戦ってもらうとか、召喚魔法で召喚獣を呼び出して契約して戦ってもらうっていうのがあるよ~?」

 

「召喚魔法?」

 

「まだ見てないのかな~?まあそれは後から全知の書で見てみてよ。」

 

「分かった。」

 

「それじゃあね~!また何かあったら連絡するから~!」

 

「ああ。ありがとう!またな。」

 

……声が聞こえなくなった。接続が切れたんだろう。

 

「よし。とりあえず全知の書で魔術について調べてみるか。」

 

えぇっと全知の書はっと。あ、アイテムボックスに入ってるのかな?

 

自分の手を前に突き出し、

 

「アイテムボックス」

 

と唱える。すると、目の前の空間に亀裂が入り、真っ黒な丸い穴を作り出した。

 

その中に手を入れ、全知の書と念じると、開いていた手に何かが当たったのでつかんで出してみる。

 

黒い穴から出てきた手には古びた一冊の本がつかまれていた。

 

たしか全知の書の使い方は、表紙を見たまま知りたいことを呟けばよかったはずだ。

 

表紙を表にして、

 

「魔術の属性について」

 

と呟く。すると、全知の書はペラペラーっとめくれて魔術の属性について書かれているページを開いた。

 



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はじめてのせんとう

「魔術の属性について」

 

と呟く。すると、全知の書はペラペラーっとめくれて魔術の属性について書かれているページを開いた。

 

 

全知の書がページをめくるのをやめた。そこに書かれていたことはこうだ。

 

『魔術の属性について』

 

まず、魔術のレア度について。これはレア度1~4に区分される。※このレア度は各属性の一番初歩の術のレア度であり、強力なものほどレア度、威力が上がる。

 

まずは、レア度1についてだ。

 

これは、ほとんどの者が身につけられるレベルの術だ。修行さえすれば誰でも習得できる。

 

レア度1の属性は『火』、『水』、『風』、『土』、『補助』、『回復』の5つがある。

 

次にレア度2についてだ。

 

これは100人に1人、身につけられるか身につけられないかのレベルの術。修行をしても適性がないものは身につけることができない。

 

レア度2の属性は『闇』、『光』、『雷』の3つだ。

 

そしてレア度3について。

 

これは10000人に1人、身につけられるか身につけられないかのレベルの術だ。修行をしても適性がないものは身につけることができない。

 

レア度3の属性は、『召喚』の1つだけだ。

 

最後にレア度4について。

 

これは、大昔に勇者が使っていたとされる術だ。書物によって存在は伝承されているが、現在、存在は確認されていない。

 

レア度4の属性は、『時空』の1つだけだ。

 

 

 

こんな感じ。俺は特典で全属性の心得をもらったから、多分全部使えるのだろう。

 

……ひょっとして、俺ってすごい…?

 

まぁ、今はそれを置いておくとして、一番の問題はやっぱり30分間の弱体化だ。

 

そういえば神は召喚してみろとか言ってたような…。よし!そうと決まればステータスから魔術の欄に移動して、使える魔術をみてみようかな。

 

 

……なんだこれ?本来術名があるであろう場所には鍵のマークとアンロックという文字がかかれている。ん?よく見てみると、『この術を獲得するのには2LP必要です。』と書かれてある。

 

LPって何だろうか。疑問に思ったら全知の書だな。

 

よし。早速調べよう。

 

 

 

調べた結果はこれだ。

 

LP…最高神の加護によってレベルアップする時にもらえるポイント。術の習得などに使える。なお、勇者ゼンのステータスは特殊で術の習得には一切の修行が必要なく、すべてLPで獲得することができる。

 

だそうだ。要するにとりあえずレベル上げろってことだな!!

 

多分レベルアップには経験値的なものが必要で、それはモンスターを倒すなどしたら手に入るのだろう。

 

そうと決まれば戦闘だな。近くに魔物いないかな…?スライムとかスライムとかスライムとか。

 

……あ、みつけた!スライムだ。

 

俺はゆっくりと近づき、弱体化でただの剣になってしまった神剣を振り下ろした。

 

するとスライムの体が真っ二つに割れ、丸い球を残して消えた。

 

こうして俺のはじめてのせんとうはあっけなく終わったのだった。

 

俺は万物鑑定を使って丸い球を鑑定した。

 

丸い球はスライムの核で討伐証明品だそうだ。アイテムボックスにしまっておく。

 

すると、目の前のステータスウィンドに文字が表示され、音声が聞こえた。

 

(トガ様、初めまして!転生特典No:13 アナウンス・ウィズのウィズです!これからよろしくお願いします!)

 

「こちらこそよろしく。」

 

俺は理解力が高いからすぐに適応できる。それが故のこの返答だ。

 

(いきなりなのですが、トガ様。レベルアップいたしました。)

 

うぉ!まじか!いきなりだな。

 

ステータスを確認してみる。

 

名前 :ゼン・トガ

 

種族 :人間

 

職業 :勇者

 

性別 :男

 

レベル:1

 

LP:5

 

【Low】

 

HP:100/100 MP:10000000/10000000

 

物理攻撃:104 物理防御:100 魔法攻撃:114 魔法防御:112

 

うん:10

 

【High】

 

HP:100/100 MP:10000000/10000000

 

物理攻撃:1104 物理防御:1100 魔法攻撃:1114 魔法防御:1112

 

うん:100

 

〈装備〉

 

武器:神剣カタストロフィ—封印

 

 世界創造の杖—封印

 

身体:聖鎧プロス—封印

 

〈スキル〉

 

アイテムボックス ステータス表示 万物鑑定 全属性の心得 最高神の加護

 

アナウンス・ウィズ スロースタート

 

 

お、うん以外のステータスが2ずつ上昇している。

 

あと、LPも獲得した!じゃあさっそくLP消費して術の獲得をしますか。

 

……よし。さっきの画面まで来たぞ。

 

ステータスウィンドに指先を当てて召喚の術を選択する。俺は2LP消費してロックを解除した。すると、俺の体が青白く輝いた。うぉっ!力が流れてくるようだ。

 

やがて輝きがおさまるとステータスウィンドに召喚という魔法が表示されていた。

 

早速だが使ってみよう。

 

まずは召喚という項目を選択。すると、召喚できる魔物が一覧で表示された。

 

一覧の下に行けば行くほど強力な魔物が表示され、また、強い魔物はそれなりに召喚のための消費魔力量が増える。まぁ俺なら何でもいけると思うけどね。

 

さて、話題は少し変わるが俺は大の犬好きだ。イヌ科の動物はたいてい好きだ。そんな俺の目にとまった魔物がこいつだ。

 

『フェンリル』だ。

 

消費魔力量10000だから普通は無理だというのがよくわかる。早速召喚しよう!!…ドキドキ。ワクワク。

 

俺は呪文を唱える。なんだかすらすら出てくる。

 

そして最後に俺は叫んだ。

 

「フェンリル!召喚ッッ!!」

 

目の前に大きな魔方陣が現れた。

 



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フェンリルとの出会い

そして最後に俺は叫んだ。

 

「フェンリル!召喚ッッ!!」

 

目の前に大きな魔方陣が現れた。

 

 

魔方陣がひかり輝く。まばゆい光に一瞬視界を奪われる。

 

 

目を開けるとそこには俺の身長の5倍はあろうかという大きさの青と白がまざった体毛をした大きなフェンリルがいた。

 

「俺の名前はゼン。君の召喚主だ。これからよろしく頼む。」

 

そういって俺はフェンリルの鼻に触れた。刹那、フェンリルの体が光に包まれた。

 

フェンリルは少しの間発光し続けた。そして、光がおさまった後、そこにいたのは……1人の少女だった。

 

フェンリル…メスなのか。まあいいや。いや、むしろこっちがいい。

 

フェンリルの時は何も着ていないはずなのに、今は、着ている。きっとここはそういう補正がかかる世界なんだろう。

 

「…ご主人様?」

 

少女が首をこてっと傾けて尋ねてくる。かわいい。

 

「…ああ、まあそうだな!」

 

俺が肯定すると、少女は俺に抱き着いた。俺は若干焦ったがすぐに受け入れる。ちなみに双丘の標高は低めだ。

 

「ご主人様!私に名前つけてっ!」

 

とフェンリルは言った。そうか、名前か。フェンリルのままだと変だしな。

 

「じゃあ今日からお前はリズ・スカイだ。名乗るときにはリズと名乗れ。」

 

「リズ………リズ!!いい名前!!ありがとうご主人様!!」

 

「ああ。どういたしまして。」

 

そういって再び抱き着いてくる。うん。たまらん。頭を撫でよう。

 

「……ん。」

 

恥ずかしそうに目を細める。らぶりー!!

 

「ねぇねぇご主人様!肩車して―!」

 

ん?肩車?いいけども。

 

リズを肩に乗せる。謎のフィット感だ。いい。リズも楽しそうだ。

 

そうだ、フェンリルのステータスを見てみよう。

 

 

名前 :リズ・スカイ

 

種族 :フェンリル

 

性別 :女

 

レベル:1

 

ランク:破級

 

【Low】

 

HP:500/500 MP:100/100

 

物理攻撃:445 物理防御:521 魔法攻撃:210 魔法防御:310

 

うん:45

 

〈装備〉

 

身体:村人の服 上下(人化)

 

〈スキル〉

 

人化

 

 

こんな感じ。というか俺のRowの時のステータス超えてる!?召喚獣なのにいいのかよ…まぁいいけど。

 

ところでランクってなんだ?フェンリルは破級だけど。

 

困ったときは全知の書だな。

 

〈ランク〉

 

魔物は7つのランクでその脅威度をあらわされる。

 

下級・中級・上級・超級・絶級・破級・滅級

 

なるほど。こんな感じか。ということはフェンリルって上から二番目ってことか。すげぇな。とんでもないやつを召喚したかもしれない。まぁとてもうれしいけども!

 

「ところでリズ、相談なんだけどさ、」

 

そういって俺の弱体化30分について説明して、手助けしてもらえないかどうか聞いた。

 

そしたら快くオッケーしてくれた。いい子だなぁ。

 

 

しばらく歩いていると、豚が人になったような魔物、オークが現れた。せっかくなのでリズに戦ってもらおう。

 

「リズ、いいかな?」

 

「うん!まっかせて!」

 

そういって俺の肩から飛び降りたリズは俺から少し離れて狼化した。そして爪を1振り。

 

刹那。オークは真っ二つに裂け、あたりに鮮血をまき散らして死んだ。うん。強い。強いよ!!流石破級!

 

「ご主人様すごいでしょ~えへへ~ほめてほめて?」

 

既に人化したリズが満面の笑みでこちらにやってくる。かわいい。手にはおそらくオークの核を持っている。討伐証明品だ。

 

「すごいな…」

 

そう言って頭をぽんと撫でる。リズは嬉しそうに目を細める。らぶりー!!

 

…ん?近くに気配がするな。そこに行ってみよう。

 

気配の近くまで移動してみると、そこにいたのは緑色で醜悪な見た目—ゴブリンだ。しかし、何やら頭上に豚を抱えているようだ。恐らく戦利品だろう。巣に持って帰っているのだろうか?ここで、俺はあることを思いつく。

 

「なぁリズ。多分あのゴブリンは巣に戦利品を持ち帰っている。そこでだ。俺達のレベル上げのために巣の殲滅をしないか?」

 

リズはキラキラした目でこちらを見ていた。

 

「いい考えです!!ご主人様ぁ!早速後をつけましょう!」

 

「おう。そうだな。」

 

そう言って俺らはゴブリンのあとをつけ始めた。

 



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封印解除

「いい考えです!!ご主人様ぁ!早速後をつけましょう!」

 

「おう。そうだな。」

 

そう言って俺らはゴブリンのあとをつけ始めた。

 

つけること数10分、ゴブリンは洞穴に入っていった。

 

「あれが巣だな。」

 

「流石です!ご主人様ぁ!」

 

俺の肩の上から言っている。もうすっかりそこが定位位置だな。かわいいからいいんだけど。

 

「結構の数の気配を感じるな。」

 

「そうですね!突入しますか?」

 

「ああ。…いや、一回洞穴に入って、フェンリルの姿になってから突入しよう。」

 

「そうですね!それがいいですね!ではとりあえず洞穴に入りましょーかー。」 

 

そう言って洞穴の入り口まできた。

 

高さは少し低めでフェンリル完全状態では高さが収まりきらないので完全状態の半分までで狼化をとめることにした。

 

ここで一つ。問題が発生した。

 

完全状態の半分の体長のリズは、ステータスも半分になるらしい。まぁ、負けることはないだろうが、時間は掛かりそうだ。

 

「でも、リズはご主人様のために頑張る!」

 

…何この生き物。可愛すぎる。見た目は狼なんだが、言葉がかわいい。異世界来てよかった。 

 

「ああ。任せたよ、リズ。」

 

リズはにっこり笑って、歩き出した。フェンリルのにっこりって怖い。 

 

歩くことほんの30秒。ゴブリンが曲がり角から現れた。

 

「グルァェギャァァ!」

 

ゴブリンが奇声をあげて棍棒を振りかぶる。

 

しかし、半減したステータスでも、フェンリルのほうが素早く、爪で薙ぎ払う。ゴブリンは壁の方まで吹き飛ばされ、壁を少しえぐる。しかし、ゴブリンは立ち上がる。そのことに俺達は驚きを覚えつつももう一撃与えてやっと倒す。…ふむ。半減ステータスでは、2回の攻撃を繰り出さないと倒せないようだ…時間がかかるな。

 

そうこうしているうちに、次は2体のゴブリンが現れた。

 

このゴブリン達もそれぞれに2回ずつ攻撃を与えて倒す。既にはじめの戦闘開始から5分経過している。

 

その後、しばらく戦っていると、下に続く階段を発見した。どうやら一層だけではないらしい。俺達は下に進んでみることにした。

 

下に降りると、一層目の入り口のような作りをしたところに出た。どうやら、作りは同じようだ。作りは同じだったのだが…敵が違う。

 

一層目では皆が棍棒を持っていたはずなのに、2層目ではばらばらで、剣を持っているゴブリン、メイスを持っているゴブリン、魔法使いのような杖を持つゴブリンと様々だ。

 

しかも今回は3回攻撃しないと倒れてくれない。リズも所々傷を負ってるな。

 

よし。回復属性の魔法を1つ覚えるか。

 

ステータスを開いて魔法の欄に移動。そして回復属性の最初の初めの術のロックを解除する。そしてリズに向けてそれを唱える。

 

「ヒール!!」

 

リズの傷は全回復までとはいかなかったものの目に見えて状態は良くなっている。

 

続けてヒールを打つ。幸い魔力量だけは異常なのだ。

 

そして3回打ったところでリズは全回復した。よかった。

 

その後しばらくすると、俺達は大きな扉の前に立っていた。おそらく、この巣の親分的な存在がいるのだろう。

 

俺達は重い扉を開けて入っていく。

 

そこにいたのは今までのゴブリンの2倍はあろうかと思われる体長に大きな棍棒をを持っている。

 

ちょっと興味が湧いたのでステータス確認をしてみる。

 

名前:なし

 

種族:ゴブリン・キング

 

性別:男

 

レベル:32

 

ランク:超級

 

HP 400/400 MP 0/0

 

物理攻撃:316 物理防御:253 魔法攻撃:102 魔法防御:302

 

装備

 

王のローマクロス

 

武器

 

ビッグシルバークレイモア

 

スキル

 

同族を統べるもの

 

こんな感じだった。まって。ゴブリンの種族って超級までいるの?強くない?

 

まぁうちのフェンリルであるリズには敵わないとは思うg…!?

 

「へ…?」

 

俺の間抜けな声とともにリズが壁に吹きとばされた。リズが負けた…?そんなことあるのか?リズは半減しているとはいえ、破級だぞ?……あ、そうか。俺がフラグ立てたのがだめだったのか。流石定番世界だな。…というか今はとりあえずヒールだ。

 

5回連続でヒールを唱える。恐らく演算処理はウィズが代わりに高速でしてくれているはずだ。努力の結果一応見かけ上は全回復した。安心した。

 

走行しているうちに既にゴブリン・キングは俺の前に立っていた。そして、棍棒を振り上げた。しかし俺は物怖じせずに立ち上がる。そう。この世界が定番世界なら今から起こることも恐らく定番の出来事として起こるはずだと思ったからだ。

 

(…ピロン♪)

 

ほら来た!

 

(戦闘開始から30分経ちました。スキル、スロースタートによる封印が解除されました。)

 

アナウンスが流れると体にすごい大きな力が湧いてくるような感じを受けた。今ならなんでもできる気がするな。

 

俺は真剣カタストロフィを構える。そして一歩だけ軽く地面を蹴って踏み込んだ。

 

刹那、俺はゴブリン・キングの目の前にいた。そのまま頭の上から剣を振り下ろしてゴブリン・キングの体を縦に真っ二つにした。鮮血が舞う。俺が着地すると同時にゴブリン・キングは倒れ、絶命した。俺の足元には大きめのゴブリンの核と、1つの石が落ちていた。

 

鑑定してみる。

 

ゴブリン・キングの魔石

 

ゴブリン・キングが落とす魔石。

 

どうやら魔石のようだ。初めての魔石だな。

 

「ご主人様…すごい!!」

 

リズがこちらを見ていた。急いでリズに近づく。

 

「リズ!!大丈夫か…?」

 

「うん。へーき。ご主人様のヒールのおかげなのー。」

 

そう言って、リズは笑みを浮かべた。なんて破壊力なんだ。

 

「じゃあリズ、とりあえずここを出よっか。」

 

「うん!」

 

そう言って俺達はこの洞穴をもときた道を戻って出た。既にゴブリンの姿はなかった。

 



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街に行ってみよう

 

「じゃあリズ、とりあえずここを出よっか。」

 

「うん!」

 

そう言って俺達はこの洞穴をもときた道を戻って出た。既にゴブリンの姿はなかった。

 

洞穴の外に出ると太陽の光が俺達の体を包み込んだ。

 

「くぅ〜やっぱり太陽の光はいいなぁ。」

 

リズも気持ち良さそうに伸びをしている。かわいい。

 

「あ、そういえば魔石手に入れたのにガチャ回してないな。」

 

ふと思い出した俺はアイテムボックスから転生特典の魔石ガチャを取り出す。俺の顔より一回り大きいぐらいで、上の面の真ん中に穴が開いている。どうやらそこから魔石を入れるらしい。

 

早速投入してみる。

 

すると、魔石ガチャの上に

 

(レバーを引いてください)

 

というステータスメッセージが表示されたので、おそらくレバーだと思われる先端に赤い球体がついた棒を上から下におろす。

 

すると、今度は、前の面の下の方に四角形に空いたところから銀色のカプセルが落ちてきた。

 

カプセルを開けると、一瞬俺達の視界をまばゆい光が覆った。そして、目を開けると、

 

全てのHP+100 全ての能力値+10

 

と表示された。すごいな。めちゃくちゃパワーアップするじゃないか。

 

しかも、これはリズにも反映されるそうだ。よかった。

 

さて、まずこの異世界に来てやるべきことの定番というのは、冒険者登録だな。

 

そうなると街に行かなきゃな。

 

そうと決まれば全知の書で地図を調べよう!

 

ここからまっすぐ東に進めば、アークという街がある。そこに行こう。

 

「リズ、街に行かないか?」

 

「リズはご主人様と一緒にどこまでも行くのー。」

 

かわいいな。

 

よし、出発だ!

 

道中、そういえば、洞穴で敵を倒しまくったから。レベルアップしたんじゃないかと言う話になり、レベルを確認することになった。

 

するとまぁ、結構上がっていた。

 

俺が14レベル、リズが17レベルだ。

 

どうも、経験値は実際に戦った人だけではなく、近くにいた人ももらえるようだ。ラッキー。

 

そのおかげでLPが60も溜まっていたので、新たにスキルを覚えることにした。

 

まずは4大属性魔法の一番初歩の魔法を1つずつ。あとは、回復魔法をすべて極めたところでLPが尽きた。回復魔法は、俺がLowのとき、リズが傷つけばすぐに治せるようにするためだ。リズには苦しんでほしくないしな。

 

他の魔法は…少し興味本位だ。これから極めていけばいいかな。

 

さて、それからしばらく歩いていると恐らくアークと思われる街が見えてきた。外からは魔物侵入防止のために建設されたと思われる外壁で囲まれているため中は見えないのだが。

 

さぁ、あと100mというところで門のところに人がいるのが見えた。多分門番だろう。

 

近づいて門をくぐろうとすると門番に止められた。

 

「すみません。通行証を見せてください。」

 

なにッ!?通行証がいるのか…。もってないな。

 

「お持ちでないですか?ならば、仮登録をしますので、300ゴールド、お願いします。あ、2人分なので600ゴールドですね。」

 

お金…………持ってねぇ!!というかこの世界のお金の単位ゴールドなんだな。定番すぎる。

 

どうするよ…。

 

「…あの、魔物の素材とかってここで売れたりしますか?」

 

「はい!できますよ!」

 

可能とあらばアイテムボックスからゴブリンの角をあるだけ取り出す。門番はあっけにとられて顎が外れるんじゃないかと思うほど開いている。なんか面白い。

 

「…あの、これお願いします。」

 

「……あっ、はい!し、少々お待ちください。」

 

門番は我に返ったのかゴブリンの角の本数を数え始めた。

 

「…はい!計算終わりました!全部で700ゴールドになります!なお、ここからが600ゴールド引いて仮登録をして、100ゴールドを、お渡ししたのでよろしいですか?」

 

ぎりぎり足りていたようだ。

 

「はい。それでお願いします。」

 

俺は門番から100ゴールドを受け取り、仮登録のカードをもらう。

 

「冒険者ギルドで冒険者登録していただくと、街への出入りが無料で自由にできるようになりますので、是非お立ち寄りくださいね!」

 

親切な門番だったな。

 

俺達はその足で冒険者ギルドへと向かった。

 



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ご主人様の伝説のはじまり

 

「冒険者ギルドで冒険者登録していただくと、街への出入りが無料で自由にできるようになりますので、是非お立ち寄りくださいね!」

親切な門番だったな。

俺達はその足で冒険者ギルドへと向かった。

 

しばらく歩いていると一際目立つ大きな建物があった。きっとあれがギルドなんだろう。

扉は良くアニメとかに出てくる酒場の扉みたいな感じの扉だ。

「いらっしゃいませ〜」

若い女の子の声が響いた。すると、ギルドにいた人たち。一般人のみならず、ヒャッハーな感じの筋肉ムキムキの3人組、ローブをかぶったいかにも魔道士みたいな人。たくさんいるが、そのすべての視線が俺へと向けられた。

数秒経ってもその視線は俺を捉えて離さない。

なんだ?あの装備、とか、なんか子ども連れてるぞ、とか聞こえる。あ、俺の装備そういえば派手すぎるんだった。完全に忘れてた。できるだけ目立ちたくなかったんだけどなー。

 

俺とリズが立ち往生してると少し離れたところから話しかけられた。

「新規登録ですか〜?」

「ああ。頼む。」

「わかりましたぁ〜。では、説明しますね〜。」

なんか軽い感じの女だな。まぁいいや。

「冒険者はランクで強さが区別されています。そのランクで受けられるクエストも変わってきます。ランクは下からG、E、D、C、B、A、Sです。基本的にDランクまでは、薬草の採取依頼、下級モンスターの討伐依頼、Cランクからは中級、上級モンスターを、Bランクでは、数人でパーティを組んで超級、破級を、Aランクは単独での超級、破級のクエストそして、数人での絶級、複数のパーティでの滅級のクエストをSランクはすべてのクエストを受けることができます。まぁ、絶級より上のクエストはあまりありませんが。ちなみに、ランクはクエストの数をこなす事で上がります。」

軽いやつだと思ってけど、めちゃくちゃしっかりしてるな!

「本来はGランクからのスタートですが、それなりに強い人のために最初だけランク飛び級試験があります。」

ほう。最初の頃は薬草採取とかしなきゃなんないのかーとか思ってたけどそれなら良かった。

「試験の内容は骨の洞穴というところで行われます。…この試験に自分には力があると過信した者が挑むと、ほとんどが死にます。」

え、死ぬのかよ…。

「ですから、ギルドではGランクからのスタートをオススメしています。」

まぁ死ぬことはないだろうし、薬草採取とかしたくないから試験受けようかな。

「いえ、試験受けます。」

「…そうですか。わかりました。では、明日の朝ギルドに起こしください。」

「わかりました。」

そういって俺達はギルドを出ようとした。しかし、俺達の前に現れたヒャッハーな感じの3人組に行く手を阻まれた。

「おい、新入り。おれはDランク冒険者のマツだ。なに粋がって試験受けてんだ?ちょいと腕試ししようぜ!!」

なんかこういうのは嫌いな。無視しよう

「………。」

「っおい!何無視してやがる!」

無視されたことが意外だったのか、手を伸ばして肩を掴もうとしてくる。それを俺は躱して振り向きざまに殺意を込めてみる。

「ヒッ!!」

男は外見に似合わない高い声を出して顔を引きつらせた。今まで自分は関係ないとばかりに顔を俯けていた周りの人たちも俺の殺意に反応してこっちを見ている。

「…お、覚えておけよ!」

そんないかにも雑魚キャラが吐きそうな定番セリフを吐いてギルドを出ていった。俺達もなんだか周りの人たちの視線が怖くなってギルドから出た。まぁそんな中でもご主人様流石ですと言わんばかりのキラキラした目をして俺を見上げていたリズの視線はとても可愛かったから今日あった不愉快なことは全部忘れてしまった。

「じゃあリズ、宿を探そうか!」

「はい!ご主人様と一緒に寝たいです!」

サラッととんでもないことを言うリズには少しまいったが、とりあえず宿を探すことにした。

 

しばらく歩いていると『竜の巣窟』という宿を見つけた。なんかかっこいいな。よし、とりあえず入ろう。

 

「へいらっしゃい。」

低い声の筋肉ムキムキのの人が出迎えてくれた。いかついな。

「一部屋空いてますか?」

「ああ。一部屋用意しよう。お題は100ゴールドなんだか、ここでは食事は出せないんだ。すまないな。」

まぁだからこそこの値段なんだろう。

そういって俺たちを2階の端の部屋に案内してくれた。

中は普通の宿といった感じだ。決して悪くはない。

俺達は風呂に入り、布団に入るとすぐに睡魔に襲われて、眠りについた。



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飛び級試験

 

俺達は風呂に入り、布団に入るとすぐに睡魔に襲われて、眠りについた。

 

 

ーー翌朝。

目が覚めると俺の腕で腕枕をして眠っているリズが目に入った。何なんだこのかわいい生き物は…

そんなずっとそのままでいたいようなシチュエーションの中自分に鞭打って飛び級試験のためにギルドにいる支度をする。

「ほら、リズ。起きろー。今日は試験だぞー。」

「…ん、ご主人様ぁ。待ってくらさいよぉ。」

ちょっと口元が緩みそうになるが首を振ってリズの支度もする。

さて、行こうかね!

 

ギルドに入るとやはり視線が俺に集まった。しかし、すぐに視線は俺に集まらなくなる。

(さすが冒険者。慣れたんだな。)

ーーそう思ってた時期が俺にもありました。その後聞こえてきたひそひそ話には、あいつと目合わせたら殺られるぞ、とか、とにかく目合わせないように下むいとけ、とか聞こえる。おい、聞こえてるんだからな。

まぁいいや。俺は昨日の受付の人に声をかけた。

「試験お願いします。」

「…ほんとにいいんですね?」

なんだよその言い方は…怖くなってきたじゃないか!受けるけど!

「いえ、受けます。」

「…わかりました。では、奥について来てください。」

そう言われて受付の人はギルドの奥に入っていった。俺達はあわてて追いかける。

 

しばらく歩いていると、庭みたいな感じの開けた場所に出た。何やら庭の中央部には魔法陣みたいなものがある。

「あれは骨の洞穴に通じる魔法陣です。骨の洞穴の出入り口はギルドの方でふさいでいるんです。何分危険ですから。ですから、骨の洞穴に行く方法は1つ、ここから行くしかありません。あ、あと一つ、これを渡しておきます。」

そういって受付の人は何かカードのようなものを渡してきた。

「このカードは、あなたが倒したモンスターの数や種類が自動で記載されます。なので、倒した数や種類は偽装できなく、また、本当に倒したのか?などと疑われることもありません。」

これはすごいな。冒険者になればもらえるのだろうか?

「なお、ダンジョンからは、最深部のボスを倒すと現れるオレンジの魔法陣かこのカードに魔力を流して、脱出、といえばここに帰ってこられます。ピンチになったら必ず脱出を使ってくださいね…?使う間もなく死んでしまう人が多いのですが…。」

更にすごいな!

「では、そろそろ出発です。ご武運を。」

そういわれて俺は魔法陣の中に入った。すると、転生したときと勝るとも劣らないような光に包まれ視界が暗転した。

 

目が覚めると、土の中のトンネルみたいな場所にいた。恐らくダンジョンだろう。

とりあえず、一本道なので地道に歩いて行こう。リズは狼化してついてくる。

 

歩くこと5分、目の前に魔物が現れた。

 

名前:なし

種族:スケルトン

性別:なし

レベル:12

ランク:中級

HP 30/30 MP 15/15

物理攻撃 32 物理防御 26 魔法攻撃 12 魔法防御 30

武器

なし

装備

なし

スキル

なし

 

万物鑑定で見てみる。

これは多分1番雑魚いやつだな。

…ほら、リズが爪でつついただけて粉々。

まぁ当たり前かな。

 

さて、どんどん進んでいると、……うん、囲まれちゃった。

これはちょっとピンチか…?

ーーと思ってた自分を殴り飛ばしてやりたい。

リズが一瞬で終わらせた。

流石っすリズさん。

あ、ちなみに俺は2回目に出てきた魔物に炎属性の初歩の魔法をくらわせたので、戦闘開始してる扱いにはなっている。

 

さてさて、そんなこんなであっという間に大きな扉の前に立っています。なんかかんたんだったんだよなーこのダンジョン。こんなときは大概ボスは…。

そんなことを思いながら扉を開く。

………はい、完全にフラグ立ちまくりだった!

 

名前:なし

種族:スケルトン・キング

性別:オス

レベル:40

ランク:絶級

HP 480/480 MP 15/15

物理攻撃 400 物理防御 396 魔法攻撃 407 魔法防御 430

武器

ミスリルの混紡

ミスリルの大盾

装備

王のマント

スキル

スケルトンを統べしもの

 

…はぁ今まで中級とか、いっても上級までだったのに…いきなり超級越えて絶級って!あんまりだ…。

まぁうちのリズさんなら破級だし?まぁ余裕かn…!

またこのパターン。圧倒的に勝っているのに、俺のフラグによって…リズは吹き飛ばされる。

俺はすかさずリズにこの前覚えたスパティブヒールを唱える。回復魔法の最上級技だ。

リズの体からは一切の傷がきえ、元気だ。今は飛び跳ねている。よかった。でも、まだ俺は戦闘に出られない。それまで頑張ってリズに戦ってもらうしかないかな…。

 

(ピロン♪)

…もしかして! 

(戦闘開始から30分経ちました。封印を解除します。)

来た!俺の体に力があふれるのがわかる。

ここで、俺は言いたい言葉というか決め台詞があるんだ。昨日の夜考えた。

ーーータイム・フルズ!!ーー

俺は地面を一蹴りし一気にスケルトン・キングに肉薄する。そのままの勢いで抜刀してスケルトン・キングを上下2つに切り裂いた。

やっぱり俺、強くね…?

「ご主人様ぁぁ!!かっこいいです!!!流石です!!!!」

リズからは熱い言葉を受ける。言葉を考えたかいがあったというものだ。

そうこうしてるうちに、スケルトン・キングの体は綺麗な結晶となって霧散した。

すると、奥にオレンジの魔法陣が現れる。

「あれが受付の人が言ってた魔法陣か。さぁリズ、帰ろっか。」

「はい!!ご主人様!!」

俺はいつの間にか人化していたリズの手を引いて魔法陣の中に入った。そして、視界は暗転した。

 

…ん。眩しい光が目に差し込んでくる。ここは多分ギルドの庭だろう。

「……ッッ!!」

そこにいたのは受付の人だ。驚きのあまり声が出ていない。

「…もう帰ってきたんですか…?まだ一時間も経っていませんが?」

怪しげに目を細めるも、心配そうな声色だ。ずっとここにいてくれてたんだろうか。なんだか嬉しいな。

「…えっと。ただいまです。ただ今戻りました。」

なんだか照れてしまっておかしな喋り方になってしまったが、まぁ良いとする。

「…で、ではカードを見せていただいても…?」

「…ん?あぁ、はいどうぞ。」

俺は受付の人にカードを渡した。



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結果報告

「…で、ではカードを見せていただいても…?」

「…ん?あぁ、はいどうぞ。」

俺は受付の人にカードを渡した。

 

「…えっと、スケルトンが86体。スケルトンウィザードが43体。スケルトンアーチャーが29体。ハイ・スケルトンが21体。……えっ、スケルトン・キング!?ゼンさんスケルトン・キング倒したんですか!?!?」

目を見開いて驚いている。

「ああ。一撃だった。」

「えぇー!一撃!倒しただけですごいのに、さらに一撃だなんて!あの初心者殺しと言われていたスケルトン・キングを…。これはAランクからのスタートになりそうですかね…。」

お、なんかいい情報が耳に入った!

「ええと、ゼンさん、こちらのカードは預からせていただきます。試験はこれで終わりなので今日のところはお帰りください。明日の朝またギルドにいらしてください。ギルドマスターと会議をしてまいります。」

「ああ、色々とありがとう。じゃあ、また明日。」

そういって俺達はギルドを出た。

 

 

 

「くぁー疲れたなー。」 

「お疲れ様です!ご主人様!!」

なんだか立っているのも面倒くさくなってベットに座り込む。するとリズが走ってきて俺に飛びかかってきた。ロリ属性はないんだけど、なんだか新たな扉が開きそう。冗談です。

そうしてリズに押し倒されて抱き合っているとなんだか眠たくなってきた。そして、深い眠りに落ちた。

 

 

 

おはよう。目が覚めて体を起こそうとしたら上半身が動かなくて何かなーって思って目を覚ましたらリズが胸の上に座っていました。なんだか眠っているフェレットのようでした。らっぶりーー!

「リズー起きろー。」

「んんーまだ眠ぃー……」

「ギルド行くぞーー。」

そういって無理やり起こす。肩車の注文が入ったので肩車でギルドに向かう。

 

ギルドに到着。やっぱり入ると最初はみんな驚いたような顔をしてこちらを見るがすぐに視線をそらす。なんだよ。

「お待ちしておりました、ゼンさん。2階へどうぞ。」

受付の人はそういって階段を登っていった。俺たちもついていく。

「ギルドマスターに話したら是非会いたいと言われていたので今日はギルドマスターと会っていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

…ギルドマスターが何の用だろうか。ちょっと怖い。

「大丈夫ですよ、お願いします。」

そう言ってしばらく歩いていると1つの扉の前に来た。

「さ、こちらがギルドマスターの部屋ですよ。」

そう言って受付の人はコンコンとノックをしてドアを開けた。

「ギルドマスター、連れてきましたよ。」

「ああ、君が例の新人君か。」

すっごい野太い声をした筋肉ムキムキのおっさんがそこにいた。

「よし、シスカくん、席を外してくれないか?」

受付の人の名前シスカっていうんだ。初めて知った。

「わかりました。」

そう言って受付の人もといシスカは扉を開けて出ていった。

「さて、新人くん、早速話をすすめるが、君の強さには目を見張る者がある。冒険者登録してもないのにスケルトン・キングを倒してしまうのは凄まじいの他に比喩表現はない。なので君をAランク冒険者にしたいと思う。これは歴代で、最速のAランク冒険者昇格だ。胸を張ってもいい。」

お、まじか。やったね!!

「……だが、今の君はとても強そうには見えない。からくりを教えてくれないか?」

…ッ!こいつ俺の秘密に気づいたのか…?

「…なぜです…?」

「んーなんか際立ったオーラを感じないというか。」

そんなことわかるのかよ、反則だろ。

「…んー実は俺、呪いがかけられていて、ステータスが2つあるんです。」

「2つ…?」

うん、嘘は言ってないはず。

「それで、戦闘開始から30分間は低い方のステータスでその後は高い方のステータスになるんです。」

「そんなことが…で、そのステータスの差はどれぐらいなのかね?」

「大体1000くらいです。」

「……は?1000?高い方強すぎじゃね?」

…驚きすぎてキャラが変わっている。

「はい、最初の30分間は代わりにこのフェンリル、リズに戦ってもらっています。

「……!?フェンリル!?…どこにもいないじゃないか。」

「リズ、狼化してくれないか?」

「了解です!ご主人様!」

そういって、リズは狼化を開始する。

「……わぁお、こんなところでフェンリルにお目にかかれるとは…」

なんかキャラが定まってない。

「ま、まぁ君が強い理由はよーくわかった。晴れて君はAランク冒険者だ。下でカードを受け取ってくれ。あとはクエストを受けるなりなんなり、好きにしてくれ。」

「わかりました。ありがとうございました。」

そう言って、俺達は下に降りてカードを受け取り、早速クエストを受けることにした。

 



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ゼンさんについて

シスカside

 

みなさんこんにちは!シスカといいます。

ギルドで受付をやってます。

ここは始まりの町とも言われるところで、あまり強い人もおらず、こなされていくクエストは採取系や下級中級モンスターの討伐クエストばかり。なんだか、退屈な日々です。

普段はバリバリ尊敬語を使っているのですが、普段はもうちょっと砕けた感じなのです。そのせいで冷たいって言われることも多々ありますが…。

まぁ、そんなことはさておき、最近この町に面白い人物がやってきたのです。その人の名前はトガ・ゼンさんです。なんだか変わった名前ですよね。

最初ごっつい格好した人がギルドにやってきてめんどくさいと思っていました。さらに、飛び級試験を受けるとか言い出したんです。この試験を受ける約八割が試験中に死ぬので、できるだけ初心者には受けてほしくないのですが…。まぁ、個人が考えることなのでこちらからは止めることはできませんが。

次の日。やっぱり来ちゃいましたゼンさん。来ないと思ってたのになぁ。 

そんなわけで洞穴へと繋がる転移門まで案内しました。そしてゼンさんはその転移門に入って行きました。私は何日も覚悟でゼンさんの帰りを待って転移門の前にいました。なんだかゼンさんには特別なものを感じたのです。まだ出会って2日ですが、この気持ちは何なのでしょうか。

待つこと三十分、オレンジ色の光を放って転移門が輝き中からゼンさんが出てきました。カードの脱出機能を使ったのかと思いましたが、カードの脱出機能を使うと転移門は青色の光を放って人が戻ってくるので、おそらくダンジョンをクリアしたのでしょう。それにしても早すぎませんか!

その後、照れたようなゼンさんのただいまに不覚にもぐっとくるものがありました。

カードを確認させていただくとまぁびっくり。ダンジョンのすべてのモンスターを倒しているではありませんか。さらに、ボスも一撃で倒したと言っていました。たしか、ここの洞穴のボスってスケルトン・キングでしたよね…。あれを一撃?強すぎだろ、おい。

いけないいけない、キャラが崩壊していました。

それにしても強過ぎですよね。これはAランクからのスタートになりそうですかね。こんなこと異例中の異例ですよ!ますますゼンさんに惹かれてしまいました。

次の日、ギルドマスターに会っていただきましたが、私は席を外すようにいわれました。悲しい。ゼンさんの声を聞きたかったのに。あれ、この感情は何でしょうか。

 

ギルドマスターとの話が終わってゼンさんはクエストを受けて出発されました。ゼンさんと話せました。よかったです。

早く帰ってこないかな…ゼンさん。



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初クエスト

sideゼン

 

俺は今日、Aランク冒険者になった。

ギルドマスターにクエストでも受けてきたら?って言われたのでクエストを受けることにした。

クエストボードからクエストを選んで、シリカに持っていく。シリカの顔がちょーっとだけ赤かったが、どうかしたのだろうか?風邪かな?

まぁそんな話はさておき、俺はある魔物の討伐依頼を受けた。その魔物っていうのはリーフドラゴンっていうドラゴンの亜種だ。亜種っていっても、ステータス的には純血ドラゴンの八割ってとこだそうだ。それでも十分強いけれども。

で、今回、なぜこのクエストを選んだかというと、自分の力の度合いを測っておきたかったからと、どういう判定で封印解除されたり封印されたりするのかの検証がしたかったからという2つの理由があったからだ。自分のことを知っておくのは悪いことではないからな、うん。

ということでやってきました竜の森。なんでも、定期的な周期で奥の奥にドラゴンがポップするのだそうだ。そこからきている。で、毎回ポップするたびに討伐依頼が出るそうだ。今回は俺だったということだ。竜の森といってもそんなに出る魔物は多くなく、また、強くもない。ドラゴンが強すぎるだけだ。

俺はとりあえず最初に出てきた木の魔物を炎の魔法で燃やし殺して戦闘開始扱いにはしておいた。

 

---三十分後

ピロン♪という音とともに封印が解除された。その後、スライムをでこぴんで消滅させてみた。封印が解除されたあと、なんでも魔物を一体倒せば封印されるのかと思っていたがどうも違うみたいだ。

その後何体か倒してみたがやはり解除にはならない。どうしたら封印になるんだろう?

 

---最深部

目の前には大きな緑色のトゲトゲした竜がいる。多分こいつがリーフドラゴンだろう。なんだか他の魔物とは違うオーラを感じる。

力の測定も兼ねているから忘れずにやる。

とりあえずでこぴんから始めてみよう。

地面を蹴って肉薄する。そしてドラゴンの足の爪にでこぴんどーーん。

バキッッッという爆音とともにドラゴンの爪は骨ごと砕ける。俺TUEEEE…。

次はパンチ。そのまま足にパンチだ。

これまたバァァンという音とともにドラゴンの足は反対方向に折れ曲がった。グォォォ!!というドラゴンの轟音が聞こえた。俺は気にせず蹴りに移行する。次は胴体。

ドラゴンの横に回り込んで下から蹴り上げた。ドラゴンは五メートルは上に吹っ飛び、落ちてきたと思ったら、そのまま地に伏して絶命していた。まだ剣使ってないんだけど…。でこぴん、パンチ、キックでドラゴンK.Oしちゃったんだけど!俺強すぎ!まぁ、とにかく終わったな。さて、ここでステータスの確認だ。

 

--戻っている。ステータスが戻っている。1000減ってる。いつだろうか?ぐぬぬ…。

こういうときは!全知の書!忘れてたよ完全に!

〈封印について〉

封印の解除方法

何かの生き物に攻撃すると、30分のタイマーがスタートし、ゼロになると封印が解除される。

再封印の条件

戦っている本人が強く戦いの終わりを感じると、封印が施される。

 

なるほど。さっき、とにかく終わったなって言ったもんな。じゃあ戦闘はまだ終わってないと思い続けてたら封印されないのかな?それは難しいかも知れないけど。

 

さて、これでわかったな。いつか戦闘はまだ終わってない意識を持ち続けてみたの検証もしてみないといけないな。

さぁ帰るか!

 

ギルドにつくと満面の笑みを浮かべたシスカが出迎えてくれた。ちょっとかわいいと思ったことはリズには内緒だ。

 



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初クエスト

sideゼン

 

俺は今日、Aランク冒険者になった。

ギルドマスターにクエストでも受けてきたら?って言われたのでクエストを受けることにした。

クエストボードからクエストを選んで、シリカに持っていく。シリカの顔がちょーっとだけ赤かったが、どうかしたのだろうか?風邪かな?

まぁそんな話はさておき、俺はある魔物の討伐依頼を受けた。その魔物っていうのはリーフドラゴンっていうドラゴンの亜種だ。亜種っていっても、ステータス的には純血ドラゴンの八割ってとこだそうだ。それでも十分強いけれども。

で、今回、なぜこのクエストを選んだかというと、自分の力の度合いを測っておきたかったからと、どういう判定で封印解除されたり封印されたりするのかの検証がしたかったからという2つの理由があったからだ。自分のことを知っておくのは悪いことではないからな、うん。

ということでやってきました竜の森。なんでも、定期的な周期で奥の奥にドラゴンがポップするのだそうだ。そこからきている。で、毎回ポップするたびに討伐依頼が出るそうだ。今回は俺だったということだ。竜の森といってもそんなに出る魔物は多くなく、また、強くもない。ドラゴンが強すぎるだけだ。

俺はとりあえず最初に出てきた木の魔物を炎の魔法で燃やし殺して戦闘開始扱いにはしておいた。

 

---三十分後

ピロン♪という音とともに封印が解除された。その後、スライムをでこぴんで消滅させてみた。封印が解除されたあと、なんでも魔物を一体倒せば封印されるのかと思っていたがどうも違うみたいだ。

その後何体か倒してみたがやはり解除にはならない。どうしたら封印になるんだろう?

 

---最深部

目の前には大きな緑色のトゲトゲした竜がいる。多分こいつがリーフドラゴンだろう。なんだか他の魔物とは違うオーラを感じる。

力の測定も兼ねているから忘れずにやる。

とりあえずでこぴんから始めてみよう。

地面を蹴って肉薄する。そしてドラゴンの足の爪にでこぴんどーーん。

バキッッッという爆音とともにドラゴンの爪は骨ごと砕ける。俺TUEEEE…。

次はパンチ。そのまま足にパンチだ。

これまたバァァンという音とともにドラゴンの足は反対方向に折れ曲がった。グォォォ!!というドラゴンの轟音が聞こえた。俺は気にせず蹴りに移行する。次は胴体。

ドラゴンの横に回り込んで下から蹴り上げた。ドラゴンは五メートルは上に吹っ飛び、落ちてきたと思ったら、そのまま地に伏して絶命していた。まだ剣使ってないんだけど…。でこぴん、パンチ、キックでドラゴンK.Oしちゃったんだけど!俺強すぎ!まぁ、とにかく終わったな。さて、ここでステータスの確認だ。

 

--戻っている。ステータスが戻っている。1000減ってる。いつだろうか?ぐぬぬ…。

こういうときは!全知の書!忘れてたよ完全に!

〈封印について〉

封印の解除方法

何かの生き物に攻撃すると、30分のタイマーがスタートし、ゼロになると封印が解除される。

再封印の条件

戦っている本人が強く戦いの終わりを感じると、封印が施される。

 

なるほど。さっき、とにかく終わったなって言ったもんな。じゃあ戦闘はまだ終わってないと思い続けてたら封印されないのかな?それは難しいかも知れないけど。

 

さて、これでわかったな。いつか戦闘はまだ終わってない意識を持ち続けてみたの検証もしてみないといけないな。

さぁ帰るか!

 

ギルドにつくと満面の笑みを浮かべたシスカが出迎えてくれた。ちょっとかわいいと思ったことはリズには内緒だ。

 



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お食事会

ギルドにつくと満面の笑みを浮かべたシスカが出迎えてくれた。ちょっとかわいいと思ったことはリズには内緒だ。

 

「お、おかえりなさい!ゼンさん!」

「あ、ああ。ただいま。」

なんだろうかちょっと、ちょっとだけドキッと来たぞ。

その後、リーフドラゴンの討伐証明部位だけギルドに納品して、クエスト達成の報酬、50万ゴールドをもらった。小金持ちになったな。

「ではゼンさん!その…今はまだ夕方ですが、これからどうなさいますか?お帰りに?」

「んー、いや、今日はご飯食べて帰って寝ようかなぁ。」

俺がそういったとたんシスカは急にもじもじしだした。

「あ、あの!今日一緒にどうですか?」

手をクイッとしながらシスカがこっちを見ている。ご飯食べよーってことかな?どうしたんだ急に!

「どうしたんだ、急に?」

「い、いえ!だ、ためですか?」

断れるわけねぇー。

「べ、別にいいが…。」

一応リズにも聞いてみようかな。ちなみにリズはさっきからここが落ち着くと言って俺の足にしがみついたまま離れない。下の方に目を向けて、

「おーい、リズ。リズはシスカとご飯行きたい----って寝てる!?」

リズは足にしがみついたまま寝ていた。凄い腕力だ。

「寝てるのかよ…じゃあシスカ、行こうか。」

「…え、いいんですか?リズさん寝てますし帰ったほうがいいんじゃ…。」

と言いつつも、シスカは明らかに残念そうな顔してるし、リズは多分食べるところについたら、多分起きると思う。

「大丈夫だよ。じゃあ、そこでまってるよ。」

そう言って俺達はギルドの中にあるベンチに向かった。(一名寝ているが)

それと、周りの冒険者たちから、シスカにあんな感情あったのか、とか、あれは本物のシスカか、とか聞こえてきたが、一応無視しとく。

この待っている間がひまなので、リズの容姿の説明でもしておこうと思う。

リズの髪の毛は白色で、ロングだ。胸というものは存在していない。頭の上にはかわいいけもみみがついている。目はクリッとしていて俗に言う美少女と言うやつだ。こんならぶりーな子に好かれた俺は運がいいのかもしれない。

「お待たせしましたゼンさん!どこに行きましょうか!」

10分後、私服姿のシスカが出てきた。ギルドの制服とは違って、大人っぽくも清楚な感じだ。黒髪ロングってところが清楚感を出しているのかも。

「んー、この辺のことはあんまり知らないから、シスカいいとこ知らないか?」

「えっと…では、ミスニークというステーキハウスはいかがですか?お酒もお肉もとっても美味しいんです!」

肉か、いいな!酒は飲めないんだけど。

「よし、決まりだな!」

俺達はミスニークに行くことにした。ちなみにリズはまだ眠っている。

 

---ミスニーク到着

「さぁ着きましたよゼンさん!入っていきましょう!」

やけにテンションの高いシスカが扉を開けて、席の方へと歩いていく。

「ゼンさんは何にしますか?」

「んー、あんまりわからないから、シスカと同じものにするよ。」

「わかりました!すみませーん。」

シスカが店員を呼ぶ。ちなみにリズはというと、一回起きたものの、俺の胴体部分に移動してきて、そこに抱きついてまた寝た。なんてらぶりー極まりない生き物なのだろうか。そのリズの行動を見てシスカはほっぺたを少し膨らませていたが、なぜだろうか。不思議だ。

「はい!ご注文お伺いします!」

そう言ってやってきた店員にシスカはアックスコロバのステーキを二つと、キーンの瓶を一つ頼んだ。キーンはこの世界のビールらしい。

頼んでから一分。料理はやってきた。早っという言葉が出てしまったのはしょうがないことだと思う。

料理は400グラムはあるだろう肉と数枚のキャベツのような葉が鉄板に乗せられてやってきた。

シスカが酒を勧めてきたが、飲めないので断っておいた。残念そうな顔をしながら、シスカは自分のコップに酒を注いで、そして、飲み干した。途端、シスカの顔に赤みが差してトロンとした目になった。



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本心…じゃないよね?

シスカが酒を勧めてきたが、飲めないので断っておいた。残念そうな顔をしながら、シスカは自分のコップに酒を注いで、そして、飲み干した。途端、シスカの顔に赤みが差してトロンとした目になった。

 

 

「ゼンさぁーん、ゼンさんゼンさーんー。」

「どうしたんだシスカ…?まさか…酔った?」

「もぉー、どーしてゼンさんはわかってくれないんれすかぁー。」

「わかる、?なにをだ?」

「またまたぁー、気付いてるくせにぃー。」

ほんとになんだろう?

「なんでわからないのれすかぁー。」

ここで料理が届いた。大きな魔獣肉だ。おいしそう。

「し、シスカ料理食べよっか?」

「はぁーい、わかりましたぁーゼンさーん。言うこと聞けるいい子れすー。」

幼児退行してるな…。おい、聞いてないぞ。まぁ、なんとなくかわいいけども!

「あむあむ……んんーーおいしいれす!……ガツガツ」

俺も食べよっと。……んー!おいしい!地球の料理とほとんど変わらないな!

「シスカ、ゆっくり食べ…ってもう食べ終わったのか!」

「んふふ〜おいしかったれすー。ゼンさんと食べる料理だからおいしいのかもしれないれすー。」

なんだか少し嬉しい。

「ゼンさーん、なんでゼンさんはそんなにつよいのれすかー?」

んーなんて答えようかな?

「鍛えたからだよ。死ぬ気で修行したんだ。」

誤魔化してしまったな。まぁ転生のたぐいは言わないほうが良いだろう。

「おぉー。すごいれす!流石ゼンさんれすね!」

向かい側に座っていたシスカが身を乗り出して頭をなでてくる。ゆったりとした服装だったので胸元が…見てないからな!

「ふぁ〜、ゼンさん!明日もクエストお願いしますねー?」

「あぁ。わかったよ。」

「やったれすーー!」

そんなに嬉しいことなのかな?

「…これで明日もゼンさんに…フヒヒ」

「…ん?なんだって?」

「なんでもないれーす。」

今の聴き逃したのはなんだかとても痛い気がする。

「ふぁ〜。ねむくなってきたれすー。」

「俺もなんだか眠たくなってきたから今日はお開きにするか?」

「えぇ〜?いやれす!かえりたくないれす!ゼンさんとはなれたくないれす!」

おい、さらっととんでもないことを…。ドキッとしたじゃないか!!

「じゃあなんの話するか…っておい、シスカ?」

…寝ている。さっきまであんなに威勢が良かったのに…。じゃあ、シスカをシスカの宿に送って帰るか。

「おーい、シスカー。帰るぞー。」

「ふぁーゼンさん?おんぶれすー。」

「なっ…!き、今日だけだぞ…?」

「やったれす〜!」

俺はしゃがんでシスカを担ぎ上げる。そのまま代金を払って店を出る。さっきから胸が当たっている。大きな2つの丘が俺の背中に当たっている。すごくやわらかい。…っていかんいかん。何考えてるんだか!ちなみにリズはというと、足にしがみついて寝ています。どーなってるんだろう?

「シスカ、宿はどっちだ?」

「ふふ〜。ゼンさぁーん。ふふふ〜。」

だ、だめだ。完全に酔ってやがる。しかも一杯で。弱すぎだろ。…しょうがない、俺の宿に連れて行くか…。

 

---宿到着

……どす。よし、運送完了っと。このまま寝かせよう。この国には月に一度、仕事を全くせず体を休ませる日が設けられている。もちろんギルトも休みだ。だから、起きるまでここに居させてやろう。

「ん〜、ゼンさぁん。好き…れす…。」

…へ?今のははっきり聞こえたぞ?好き?ま、まじか…。ほ、本心じゃないよな?うん、本心じゃないはずだ。よし、俺も寝よう!と、いうことで、おやすみ!

俺はリズを抱えてシスカの隣で寝た。



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緊急警報

「ん〜、ゼンさぁん。好き…れす…。」

…へ?今のははっきり聞こえたぞ?好き?ま、まじか…。ほ、本心じゃないよな?うん、本心じゃないはずだ。よし、俺も寝よう!と、いうことで、おやすみ!

俺はリズを抱えてシスカの隣で寝た。

 

------おはよう。

なんで俺の隣にシスカが寝てるんだ…?…あ、俺が寝かしたんだった。酔っ払ってたみたいだな、俺も。

「んん〜、よく寝たぁ。」

シスカが起きた。

「…っ、頭痛い。昨日寝ちゃったのかなー。…ん?ゼンさん?あれ、私とうとうゼンさんの幻影が見えるように…?」

シスカが意味不明なこと言いながら俺に触ってくる。

「…あれ?触れる?ま、まさか本物!?あわわわわ。」

今度は慌てふためき出した。

 

数分後落ち着いたシスカはベットの上で、昨日あったことを聞いて正座している。

「ご迷惑をおかけしました、ゼンさん…。それに…一緒に寝ちゃって…。」

シスカが顔を赤らめる。そりゃ、恥ずかしい気持ちもわかる。

「大丈夫だよ、シスカ。気にしないでよ。体調は大丈夫?」

「ぜ、ゼンさん…!はい!大丈夫です!!なんの異常もありません!」

「そっか、ならよかったよ。」

「と、ところでゼンさん、今日のご予定は…?」

「んー、特にはないかな。どうしたの?」

「え、えっと…き、今日!一緒にか、買いも---」

「ウーーーーーーー!!!!」

「な、なんだ!?」

「こ、これはギルドで使用している緊急警報です!冒険者は直ちにギルドに集まるようになります!残念ですが…買い物は今度です!」

「わ、わかった!とりあえずギルドに行けばいいか?」

「はい!お願いします!」

リズを叩き起こして、ギルドに向かった。

 

-------ギルドにて

「えー、皆さん。お聞きください。今回、お知らせしたのは街の外にあるモンスターが発生しました。そのモンスターは…アースドラゴン。世界で3番目に強い竜種です。」

「なっ、竜種…?しかもアースドラゴンが…。なぜ…。」

となりでシリカがつぶやいている。

「なお、今回のアースドラゴンの発生の原因はわかっておりません。これは特別クエスト。報酬ははずみます。では皆さん、討伐お願いします。」

いや、ここは始まりの街だ。そんなに強い人もいない。勝つ確率はかなり低いだろつ。だが、今は俺がいる。30分の時間さえ稼げば多分俺は十分に戦えるはずだ。30分時間を稼ぐにはみんなの協力が必要だ。

「みんな、聞いてくれ。」

俺はみんなに協力を求めることにした。

 

 



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討伐大作戦

「なお、今回のアースドラゴンの発生の原因はわかっておりません。これは特別クエスト。報酬ははずみます。では皆さん、討伐お願いします。」

いや、ここは始まりの街だ。そんなに強い人もいない。勝つ確率はかなり低いだろつ。だが、今は俺がいる。30分の時間さえ稼げば多分俺は十分に戦えるはずだ。30分時間を稼ぐにはみんなの協力が必要だ。

「みんな、聞いてくれ。」

俺はみんなに協力を求めることにした。

 

ほんとはみんなにはこの事はバラしたくはなかったが、背に腹は変えられない。

「---俺は勇者だ。」

この世界にとって勇者とは救世主。それはこの世界の住民にとって絶対的な存在。その証拠に俺の口から飛び出したこの場に全員が全員顎が取れるのでは?というぐらい口を開けている。

「…しかし、この生まれ持った力があまりにも強大すぎたため、世界に呪いをかけられた。」

みんなは情報量が多すぎて思考が回っていないのか、微動打にしない。

「その呪いとは…戦闘開始からレベルが500低くなる。」

「…おいおい、ちょっと待て。お前が勇者?誰が信じるか!この非常事態に何ふざけたこと言ってんだ!混乱させるなよ!」

「まぁ、怒る気持ちもわかる。最近来た知らないやつがいきなり俺は勇者だとか言ったら信じることはないと思う。だが俺は本物の勇者だ。それを今ここに勇者の殺気をもって証明したいと思う。みんな、歯を食いしばって耐えてくれよ。」

「おい、ちょっと待---」

そんな声は俺の耳に入らず、全身に力を込める。仁王立ちし、拳に力を入れる。そして勢い良く開眼。俺から殺気という名の衝撃波が飛ぶ。棚や机はカタカタ音を鳴らし、既に二人は気絶している。5秒ほどで殺気を放つのをやめた。みんなは肩で息をしており、立つのもやっとのようだ。

「わ、わかった!お前さんが勇者だということはよくわかった!だから、殺気を放つのは金輪際やめてほしい。」

さっきつるんできた人がしんどそうな顔で懇願してくる。これでいいのだ。

「わかってくれたなら、嬉しい。さて、作戦会議といこうじゃないか。」

「わ、わかった。みんな!作戦会議だ!」

 

 

 

作戦会議は10分で終わり、すぐさま門へと向かった。作戦はこうだ。まず、各町が2つずつ常備している魔法強化装置。この装置は一番低ランクの魔法を最高ランクの魔法まで威力を引き上げる装置なんだとか。これは、強化するもののランクを上げれば結果は比例するので最高ランク以上の威力をもった魔法を行使できるということだ。その分とても高価で、日本円にすると1年の国家予算に相当するとか…。それを1つの町に2つ常備させている国はすごいと思う。

話がそれてしまったが、その魔法強化装置を使ってドラゴンの足を使えなくして機動力を奪う。が、おそらく地を這ってでもこの町に向かってくると予想されるので、土魔法の使い手の魔道士が4人でチームを作って巨大な落とし穴を作る。それにはまったあとはネチネチ攻撃して時間を稼ぐ。俺はギルドにある人工魔物製造機によって作り出されたスライムを倒し、封印解除までの時間を少しでも短縮中だ。そんな便利なもの手に入るならほしい…。人工の魔物でも俺が敵と認識すればいいので大丈夫だ。時間が稼ぎ終わったら俺の出番だ。速攻で終わらせてやる。それまではみんなに頑張ってもらいたい。

 

さて、門についたぞ。リズは既に狼化し、みんなはリズを敵だと勘違いして武器を構えていたが、俺の召喚獣だと説明すると、勇者ならありえるかという事で解決した。便利な言葉だな。仮にもリズはフェンリルで、伝説級の魔獣だ。この反応ですんだことのほうがおどろきだ。適応能力高すぎ!

目を凝らすと遠からこちらに向かってきている1匹の竜がいる。アースドラゴン。作戦が通用すればいいが…きっと大丈夫だろう。

さぁ!町の存亡をかけたデスマッチの始まりだ!

 

 

 

 



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戦闘開始!

目を凝らすと遠からこちらに向かってきている1匹の竜がいる。アースドラゴン。作戦が通用すればいいが…きっと大丈夫だろう。

さぁ!町の存亡をかけたデスマッチの始まりだ!

 

作戦開始だ。

まずは四人の魔道士。この人たちには2人1チームにわかれて、魔法強化装置を使ってもらう。使うのはチームで共通して使える最大威力の魔法。同じでないと、正常に作動しないからだ。魔法は詠唱後にすぐ発動する魔法よりも少しのためが必要となる魔法のほうが無防備になる分威力はかなり高い。今、魔道士はための前の詠唱の最後の節を言っている。

「「----雷轟----」」

「「----セイクリッド----」」

このためを取っている間にもアースドラゴンは近づいてくる。

「「--迎雷!!!」」

「「--ペネトレイト!!!」」

近づいてくるドラゴンの足に見事命中!!大きな的は外さないのが鉄則!ちなみに1個目は雷属性、2つめは光属性の魔法で2つともレベル2の魔法だ。本来の威力の十倍は出ているはずだ。

ドラゴンの足はセイクリッドペネトレイトで貫かれ、雷轟迎雷で焼き焦がされている。バランスが崩れているいい感じだ!

さて、次の作戦としては落とし穴な分けだが、これはすでに作ってもらったそうだ。とてつもなく大きくて深い落とし穴。底には作った人の独断で棘をたくさん生やしているそうだ。落ちたら痛そう…。そうこう回想しているとドラゴンが落とし穴に落ちた!!作戦成功だ!あの底には棘が…ぐふふ…夫、醜い姿を見せてしまった。

「みんな!警戒は怠るなよ!」

俺と同じように喜んでいた冒険者が他の冒険者に注意される。はい、ごめんなさい。

俺の封印解除までの残り時間はあと5分。5分経てば戦える。それまで持ちこたえてくれるといいが…。

落とし穴に入ったからといって、攻撃の手は緩めない。みんな魔法をどんどん打ち込んでいく。俺はと言うと、既に無詠唱で打てるようになった炎属性の一番弱い魔法を無尽蔵にある魔力を使って休むことなく永遠とうち続けている。打ち続ける俺を見て勇者すげーという声しか聞こえなくなった。勇者とはそんなにもすごい存在なのかと改めて気づいたようだ。こんなことならもっと高レベルの魔法を覚えておくんだった!俺は目をずっと狙っている。いくら低レベルの魔法でも、何千何万発と打ち込まれたらただでは済まないだろう。このままいけばあと5分、いや、2分持ちこたえられるかもしれない。…………あ、しまった。フラグを……。

「グォォォォ!!」

ドラゴンの咆哮が響き渡りドラゴンが落とし穴の中から驚異的なジャンプ力で出てきた。正直焦った。一級フラグ建築士になれるかもしれない。ヤバイな、これは。幸いにも街までは少し距離が離れているので大丈夫だろう。俺が狙っていた目には血が滲み開かなくなっている。反対の目で俺を相当睨んだような目つきで見てくる。瞬間、ドラゴンのスピードがあがった。そして1キロはあったであろう道のりをわずか1分でここまでたどり着いた。早すぎだろ…。そして今、ドラゴンは俺の前にいて俺を見下ろしている。それに俺も睨み返す。

その後少しにらみ合いが続いて俺が静かの安否を確認したかったためにシスカの方を向いた。すると、ドラゴンは何かを察したようにシスカの方を向き、爪を上げた。そしてそのまま爪を振り下ろした。



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間に合った

その後少しにらみ合いが続いて俺が静かの安否を確認したかったためにシスカの方を向いた。すると、ドラゴンは何かを察したようにシスカの方を向き、爪を上げた。そしてそのまま爪を振り下ろした。

 

ヤバい。思った瞬間、俺の体は地を蹴ってシスカに近づいた。そしてドラゴンの爪を両手で受け止める。ズドォォォンという大きな音が聞こえた。痛い、熱い、息が苦しい。きっと何本か骨は折れていて内蔵に突き刺さっているだろう。だが、生きてはいる。ドラゴンが再び爪を振り上げる。回復魔法を使う時間は残されていない。どうする!俺!考えろ!そうだ、封印!あと何秒だ!確認すると文字は5という数字を表示している。あと5秒。

「ボンッボボボン!!」

瞬間、ドラゴンの腹部に横から炎属性の魔法を放った。もちろん俺ではなく街の冒険者がだ。ドラゴンは少したじろいでしまった。

(ピロン♪)

「ククク…。」

俺の不気味な笑い声にドラゴンのみならず街の冒険者まで俺の方に視線を送る。

「ドラゴンさんよぉ、戦闘中によそ見するとは言い度胸じゃねぇか。お前の敗因はよそ見だ。タイム・フルズ!!!」

俺は地を蹴りドラゴンに肉薄する。

「なぁ、ドラゴンさんよぉ、因果応報って言葉しってるか?これはなぁ、簡単に言うとやったことは自分に返ってくるって意味だよぉ!!」

そう言って俺は剣を振り上げた。

「いんがぁぁぁ---おうほぉぉぉう!!」

俺は剣を振り下ろし、ドラゴンを真っ二つにして絶命させた。

「オオオオォォォォォォ!!!!」

街の冒険者達から歓声があがる。清々しい気持ちだ。流石勇者だぜ!とか素敵!などの黄色い歓声も聞こえる。素直に嬉しい。そういえば、戦闘中はキャラが崩壊していた気がするが、うん、気のせいだろう。

リズが寄ってきて、

「ご主人様ぁ!流石です!!リズ、ご主人様かっこよすぎて倒れるかと思いました!」

とか言って抱きついてくる。らぶりーすぎるのだが。

そんな中シスカはと言うと…気絶していた。よほど怖かったのだろうか。

さて、ということで今回の緊急クエストは終了した。

ギルドに戻った俺達はと言うと…それはもうどんちゃん騒ぎだ。今回の緊急クエストで1人あたり約10万ゴールド。俺は特別で50万ゴールド貰った。特別報酬である。で、街の冒険者達は、

「今日は勇者様のおごりだぞォォ!!」

とか

「勇者様ありがとうございまァァす!!」

など、勝手に言い始め飲み食いを始めた。なんて奴らだ。まぁ、尤も彼らがいなければシスカも俺も殺されていたから、いいけどね!このどんちゃん騒ぎは朝まで続き、このまま夢の国へ……と思っていた時代がありました。今夜の飲み会での請求金額…10万ゴールド。くそったれぇぇぇ!!もう寝てやる、不貞寝してやるぅぅ!!そう言って、俺は寝た。おやすみ。



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間に合った

その後少しにらみ合いが続いて俺が静かの安否を確認したかったためにシスカの方を向いた。すると、ドラゴンは何かを察したようにシスカの方を向き、爪を上げた。そしてそのまま爪を振り下ろした。

 

ヤバい。思った瞬間、俺の体は地を蹴ってシスカに近づいた。そしてドラゴンの爪を両手で受け止める。ズドォォォンという大きな音が聞こえた。痛い、熱い、息が苦しい。きっと何本か骨は折れていて内蔵に突き刺さっているだろう。だが、生きてはいる。ドラゴンが再び爪を振り上げる。回復魔法を使う時間は残されていない。どうする!俺!考えろ!そうだ、封印!あと何秒だ!確認すると文字は5という数字を表示している。あと5秒。

「ボンッボボボン!!」

瞬間、ドラゴンの腹部に横から炎属性の魔法を放った。もちろん俺ではなく街の冒険者がだ。ドラゴンは少したじろいでしまった。

(ピロン♪)

「ククク…。」

俺の不気味な笑い声にドラゴンのみならず街の冒険者まで俺の方に視線を送る。

「ドラゴンさんよぉ、戦闘中によそ見するとは言い度胸じゃねぇか。お前の敗因はよそ見だ。タイム・フルズ!!!」

俺は地を蹴りドラゴンに肉薄する。

「なぁ、ドラゴンさんよぉ、因果応報って言葉しってるか?これはなぁ、簡単に言うとやったことは自分に返ってくるって意味だよぉ!!」

そう言って俺は剣を振り上げた。

「いんがぁぁぁ---おうほぉぉぉう!!」

俺は剣を振り下ろし、ドラゴンを真っ二つにして絶命させた。

「オオオオォォォォォォ!!!!」

街の冒険者達から歓声があがる。清々しい気持ちだ。流石勇者だぜ!とか素敵!などの黄色い歓声も聞こえる。素直に嬉しい。そういえば、戦闘中はキャラが崩壊していた気がするが、うん、気のせいだろう。

リズが寄ってきて、

「ご主人様ぁ!流石です!!リズ、ご主人様かっこよすぎて倒れるかと思いました!」

とか言って抱きついてくる。らぶりーすぎるのだが。

そんな中シスカはと言うと…気絶していた。よほど怖かったのだろうか。

さて、ということで今回の緊急クエストは終了した。

ギルドに戻った俺達はと言うと…それはもうどんちゃん騒ぎだ。今回の緊急クエストで1人あたり約10万ゴールド。俺は特別で50万ゴールド貰った。特別報酬である。で、街の冒険者達は、

「今日は勇者様のおごりだぞォォ!!」

とか

「勇者様ありがとうございまァァす!!」

など、勝手に言い始め飲み食いを始めた。なんて奴らだ。まぁ、尤も彼らがいなければシスカも俺も殺されていたから、いいけどね!このどんちゃん騒ぎは朝まで続き、このまま夢の国へ……と思っていた時代がありました。今夜の飲み会での請求金額…10万ゴールド。くそったれぇぇぇ!!もう寝てやる、不貞寝してやるぅぅ!!そう言って、俺は寝た。おやすみ。



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間に合った

こんにちは!シスカです!2回目ですね。

さて、今回は前回のゼンさんについてでお話したところより後に起こった出来事について話していこうと思います。

 

あの後、ゼンさんがリーフドラゴンの討伐クエストから帰ってきました。私は思ってもいないゼンさんのいきなりの登場に思わず頬が緩んでしまいました。だって嬉しかったですもん!

その後、私は勇気を出してお食事にゼンさんをお誘いしました。そうしたら、快くOKもらえました。死ぬほど嬉しかったです。ゼンさんとお食事…考えただけで息がしにくくなってきました。危ない危ない。

さて、お食事なのですが、ここで事件が発生しました。これは事件ですよ。私はお酒に強くもないのにお酒を頼んでしまい案の定寝てしまったようです。

そして、目覚めると居た場所は…ゼンさんの部屋。あわわわわ、思い出しただけで顔が熱くなります。寝顔、寝起き、ましてや寝言も聞かれたでしょうか…?恥ずかしすぎて死にたいぐらいです。

私はその日仕事が休みだったのでお買い物でも…と誘ってみたのですがそこで聞こえてきた音はゼンさんの声…ではなくけたたましく鳴り響く緊急警報サイレン。絶望していた私を引き戻してくれたのはゼンさんの説明を求める声。はいはい、答えますよー。

と、言うことでやってきたギルド。そこではゼンさんがリーダーシップを発揮し街の冒険者達をあっという間にまとめあげてしまいました。流石!というか、ゼンさんに呪いがかけられているとか初めて知りました。なんで言ってくれなかったんですかね!そんなことは置いといて、ゼンさんは30分経てばめちゃくちゃ強くなれるという。それまでの時間を街の冒険者達が稼ぐというのが今回の作戦でした。30分経てば俺が必ず倒すとのこと。かっこよすぎ!

--やってきました、街の門。ギリギリ見えるドラゴン。あれを今から倒すのかと考えるといくらゼンさんでも無理な気が…いえ、そんなのでは駄目です!私がゼンさんを信用しなくてどうするんですか!ここは、信用するしかないでしょう!

まずは片足の破壊。一斉に魔道士たちが魔法を放ちました。そして足はバランスを失い、2つめの作戦、落とし穴に落ちました。やりましたね!

し!か!し!ドラゴンはドラゴンでもアースドラゴン。すごく土と相性がいいです。やすやすと落とし穴を抜け出し襲い掛かってきました。それも私を。あれは死んだと思いましたね。ところがそこに割って入ったのは呪いが解除されていない状態のゼンさん。体力をたくさん削ってまで助けてくれました。ますます惚れてしまうではないですか!そして2回目の攻撃がきた…。耐えられる体力はきっと残っていないだろう。

---キィィィーーーン!!

けたたましい音とともに立ち上がったゼンさん。その右手には大きな剣が握られていました。その剣をどーん、ばーんとドラゴンにあわせてふるい、その後真っ二つにして勝利しました。なんか、このひとだけ別次元の強さですね…。

まぁ、何はともあれクエスト達成、街は救われました!ゼン様様ですね! 

このあと、ゼンさんが話しかけてくれました!すっごく嬉しかったです!

では、またの機会に!



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残りのイベント

今夜の飲み会での請求金額…10万ゴールド。くそったれぇぇぇ!!もう寝てやる、不貞寝してやるぅぅ!!そう言って、俺は寝た。おやすみ。

 

----おはよう。頭がとても痛いゼンです。昨日はドラゴンと戦って死にかけるわ、その討伐報酬の5分の1は飲み台で消えるわで散々な1日だった。

しかし、その中でも、この街の冒険者達、さらにギルドの人たちからの信頼を勝ち得たのはとてもよかったと言えるだろう。

さて、この世界をゲームに置き換えて表現すると、この街のイベントは大概終わったと思う。そろそろ次の…あ。「聖金」のことを忘れていた。この前全知の書で調べたのだが、「聖金」はそれぞれの街の近くにに最低1つは存在していて、それぞれが強力なダンジョンを作り出しているそうだ。よし、とりあえずギルドに行こうかな。

「リズー、起きろー。ギルドに行ってダンジョン探すぞー。」

俺のお腹あたりで丸くなって寝ていたリズを起こす。

「んー。もう食べられ…はっ!ご、ご主人様!今準備してきます!」

何か幸せそうな夢を見ていたな。最近リズは一人で支度ができるようになった。親離れかな……。まぁいいや。

 

---ギルドにて

見つけた。だいぶ昔から貼ってあったのか奥の方に貼られていて紙もボロボロだ。それくらい手もつけられないということなのだろうか。緊張してきた…嘘です。少し楽しみだ。これを剥がしてシスカのところに持っていこう。

「シスカ、これ頼む。」

シスカのところに持っていくと、なぜか笑みを浮かべる。

「あ、ゼンさーん!いらしてたんですね!今回は……ダンジョンですか!それもこんな上位の難しい…。ゼンさんなら大丈夫だとは思いますが…。早めにお戻りになられてくださいね!」

「わかったよ。できるだけ早く戻ってくるよ。」

「はい!」

シスカは満面の笑みでこたえる。どうしてこんなに笑顔なのだろうか。不思議な子だな。

さて!出発しようか!目的地は東の洞窟。ここからは1日あれば着く。リズの足だと半日あれば着くだろう。道中にスライムでも狩って封印は解除しておく。すぐに戦えるように戦いが終わったとは意識しないようにする。さぁ、いざ!東の洞窟へ!

 

----道中

「ふっふふ〜ん♪あの女〜よりさ・き・に!ご主人さ〜まとで・え・と!あの女〜に渡さな〜いご主人は私のも〜の♪誰にも渡さな〜い♪」

「!?!?!?」

 

----東の洞窟

街を出てから半日、空は赤に染まっている。道中、リズから恐ろしい歌が聞こえていたが…うん、あれは俺のことではないと信じよう。うん。あの女がシスカってことは…うん、ないな!

さて、東の洞窟の攻略だが…うむ、全く情報がないのだ。これでは作戦もくそもないな。

よし、ここは映画でよくあるあれだな。

……「作戦なし作戦!!」

よしいこう!

 

----in洞窟

なんと、入り口にこのダンジョンの説明が書いてあった。何を考えているのだろうか。

このダンジョンは第一層〜第五層までありそれぞれの層で種類が分かれているそうだ。

第一層は落とし穴の間。無数に落とし穴があるだけという層だ。仕組みは単純で決められた床を踏むことで床のスイッチが作動し、穴があくという仕組みだ。しかもこの落とし穴は落ちても死なず、洞窟のはじめに戻されるそうだ。やさしい。これは昨日ドラゴン戦で上がったレベルでもらったLPで取得した罠感知魔法が役に立つだろう。

 

第二層は上級トラップの間だ。

これもまた作動方法は特定の床を踏むことで、トラップの種類は殺傷性の高いものばかり。ボウガン、巨大ハンマー、迫り来る岩などがある。罠感知魔法は消費魔力量とかではなく、普通に目がつかれるのであまり使いたくない。なのでここをどうするかはその時考えよう。

 

第三層は業火の間。

ここの層のものはすべて燃えている。もちろんモンスターもだ。出現モンスターはファイヤーゴーレム、ファイヤーゴーストなどがおり、ここの層からはエリアボスというのが存在するそうだ。そいつを倒さないと次の層には行けないらしい。そいつの名前はプロミネンス。太陽で起こる現象でそんなのがあった気がする。

 

そして第四層はジャングルの間。

ここは大きな木が群生しており、色んな生物が生息している。もちろん弱い魔物から強い魔物まで。ここにもエリアボスはいる。その名はキング・コ⭕グ!もちろん自主規制だ。

 

最後は第五層。これは主の間。

おそらくここに「聖金」があってこの洞窟のボスもいるのだろう。洞窟のボスはどんなやつなのだろうか…楽しみだ。

 

さて、ダンジョンのことも分かったし、攻略開始だ!



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洞窟攻略part1

さて、ダンジョンのことも分かったし、攻略開始だ!

 

俺達は第一層に足を踏み入れた。

確かここは落とし穴がメインの層だったな。死なないものの、落ちるとはじめからというのは面倒くさいので、常に罠感知魔法は展開しておくとしよう。

この層は見渡す限り直線。まっすぐにしか道はない。足元にはいくつかの反応があり、赤く点滅して見える。おそらくそこがスイッチになっているのだろう。そこを飛び越えていけばいいだけだな。

 

---はっきり言って簡単だった。飛び越えるだけのお仕事だったからな。

今、目の前には下へと続く階段がある。さて、レッツゴーだ。

 

---第二層。

第二層はたしか上級トラップの間だったはず。

ここも罠探知で足場を……まじか。ほとんどが赤で埋め尽くされている。歩く隙間もないくらいに…。

ここはあの技を使うしかないかな。その名も罠解除魔法!ビームを放ってそれに当たった罠の機能を停止する魔法だ。効果が絶大な分、消費魔力も非常に多いが、俺の魔力値は異常だから、問題ない。できるだけスリルを楽しみたかったが…。しょうがない!さて、罠解除!

ピーーーという音とともに俺の手から青い光のビームが放たれた。みるみるうちに床の赤が消えていく。

---解除終了。

削り取られた魔力は全体の10分の1にも及ばなかったが、最大魔力値を考えると膨大だ。おかげで床は元の色で見えている。

あとは歩くだけだな。休憩しながらゆっくり歩いていこう。

 

 

しばらく歩いていると、

「ご主人様ーー、リズは疲れましたー。」

という休憩要請が入ったので休むことにした。そこら編の壁にもたれ掛かってやす…カチッ。

なんか変な音がした。するとゴゴゴゴゴという音を立てて壁が凹んだ。ちょうどいいくぼみができたので少し休むことにした。

 

---5分後、リズが

「さぁご主人様ー!出発ですー!」

といったので出発!

 

それから2分ぐらい歩いていると、前から何かが来る気配がした。

「リズ、何かくるぞ。」

「そうですね、ご主人様。生命体ではないようですが…。」

俺達はふたり揃って頭の上に?マークを浮かべる。

だんだんゴロゴロという音が聞こえてきた。あれ、これもしかしてかのイン⭕ィージョー⭕ズ展開では…?

……やっぱり巨大な岩が来たぁぁ。

リズも俺も大発狂した。とにかく走った。が、俺はある境地に至った。もしかしてこれ、壊せるのでは?と。今の俺は封印解除状態。うん、いけるな。

俺はカタストロフィを抜刀し、構える。すぐに岩は迫ってきた。俺はそれを上から両断そして横から、斜めから、いろいろな方向から岩を切って粉々にした。1秒の間に。辺りは静かになった。危機は免れた!

 

---歩くこと10分。

俺達は再び下へと続く階段の前に立っている。おそらく第三層へと続く階段だろう。

「ご主人様!快進撃です!このまま次の層にも進みましょう!」

「ああ!そうだな!」

なんだか気分が良くなった俺は第三層へと進む。



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洞窟攻略part2

---歩くこと10分。

俺達は再び下へと続く階段の前に立っている。おそらく第三層へと続く階段だろう。

「ご主人様!快進撃です!このまま次の層にも進みましょう!」

「ああ!そうだな!」

なんだか気分が良くなった俺は第三層へと進む。

 

---第三層。このは業火の間。

階段を降りたところにあるセーフティーゾーンから先は岩だろうがなんだろうが燃えている。ダンジョン作ったやつはこれをどうやってクリアさせる気だったのだろう。

まぁ、もちろん手がないわけではない。むしろ好都合なくらいだ。

昨日、LPでいろいろ魔法を習得していたところ、水属性魔法でダイタルウェーブという魔法を覚えた。多分津波って意味だったはずだ!

この魔法は手から超大量の水を出すっていうだけの魔法。使いどころが限られるが、今回が使いどころというものだ!

さて、俺はセーフティーゾーンから手を出して魔法を使う。

「ダイタルウェーーーブ!!!」

瞬間、ドバァァっという音とともに俺の手のひらから大量の水が溢れ出してダンジョンを満たした。この水は魔法でできているのでいつでも消えるそうだ。ちゃんと水としての機能はあるけど!

1分後、満杯になったので水を消す。あとには焦げた石の道があるのみ。ここにはファイヤー系の魔物が出るって聞いたけど…こりゃ死んだな。若干のやり過ぎ感は否めないが、俺とリズはとりあえず走った。

 

---さて、扉前。

いま、巨大な扉の前に立っている。多分、中にはプロミネンスなるものがいるだろう。

扉の前にいても暑いので水の結界とやらを張っておきたいと思う。

ギィィィィという音ともに扉が開いた。さぁ、ボスバトルだ!

 

率直な感想。

「-----でけぇぇぇよ!!!!!!」

世界感を間違えたのではないかと思うほどでかい魔物がいた。いや、もうぶっちゃけ太陽である。

どう戦えば良いのやら…とりあえずダイタルウェーブでも打ってみるか…。

---ジュッ。

全然効いてねぇ…。

水がだめなら他の魔法も試してみよう。

風魔法…だめだ、かえって燃えた。

炎魔法…だめ、吸収された。

雷魔法…だめ、効くとかのレベルじゃない。

どうすればいい?この魔物を倒すためには…。

あっ、アイテムボックス。

たしか、アイテムボックスは人が持っているもの以外ならなんでも収納できたはずだ。そうと決まればレッツ収納!

 

 

---結果、できてしまった。アイテム欄にはプロミネンスと書いてある。どうやって処理しようか…。まあ今はそんなことはどうでもいい!これで第三層はクリアなはず。

 

おっ、階段への扉が開かれた。

さぁ第四層へと行こうじゃないか!!



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洞窟攻略part3

おっ、階段への扉が開かれた。

さぁ第四層へと行こうじゃないか!!

 

---第四層。ここはジャングルの間。

洞窟とは思えない明るさと、木々が生い茂っている。明るいのは多分、光るコケがあるからだろう。

ここで出てくる魔物はレベルは低いものの、知性が高いらしい。知性が高いということがどのようなことを引き起こすのかわからないが…まぁ、当たって砕けろだよね!

ジャングルの間というだけあって、歩くところもない。草を踏みつけて木を避けて行くしかないであろう。

人化のときのリズの身長を超える草。リズは肩車だな。

「リズ、肩車するか?」

「…!肩車!お願いしますです」

(ハァ…ハァ…ご主人様の…肩!!)

リズが息を荒げていてなんだか語尾もおかしいし大丈夫だろうか?

そのまま肩車してジャングルへと進む。

 

魔物の襲撃にあった。

その戦いからここの層の知性が高い魔物のいやらしさがわかった気がする。

ここの層の魔物は群れを成さない個体が多いのだが、徒党を組んでいる。1チーム大体6体で、地上で待ち構える2体、木の上から奇襲を仕掛ける2体、そしてまた木の上から弓を構える2体だ。それぞれは弱いものの徒党を組まれたら倒しにくさは倍以上だ。

「リズは上の2体を倒してくれ!あとは俺がやる!」

「わかりましたご主人様!リズにおまかせを!」

俺達はその徒党に対して、肩車をしたうえで、地上の魔物は俺が剣で一掃、上に乗っているリズが爪だけ狼化させて迎撃。弓の2体は魔法でどーんだ。集中を切らすと失敗してしまうため、精神力がゴリゴリ削られる。

しかし、その徒党は一種類のみで他の種類の陣形を取った徒党はおらず、慣れれば冷静に対処できるようになった。

 

---扉前。

あれから10戦くらいした後、扉の前にたどり着いた。

たしかここのボスはキ⭕グ・コ⭕グ。色々と面倒なのでここからはコングと表現しよう。

どんな魔物かは見てみないことにはわからないので扉を開ける。

ギィィィィという音とともに扉が開く。

現れたのは……あれケ⭕キングじゃね!?

日曜日のテレビを寝ながら見るお父さんみたいな態勢を取って鼻をほじっている。そっくりクリソツだ。

多分、この世界には一回行動したら一回休みなんてシステムはないだろうからもう怖い怖い。

とりあえず魔法を打ってみる。

……効かないや。鑑定してみると魔法攻撃無効と書いてある。いや、強すぎでしょ。しかも物理攻撃軽減(大)ともある。耐久力の権化だよ!

しかし、俺は神剣を持っていて今は使いこなせる状態。負ける気はしない。

とりあえず…斬り掛かっちゃえ。

ズバァァァンという気持ちのいい音とともにコングが切れた。あっけな…。強すぎるっていうのもなかなかに面白くないものだと思った時間でした。

コングの後ろの扉が開いて階段が現れる。…ほんとに死んどったんかい。

 

さて、次は最後の層だな。どんなものが待っているのやら…。心して挑まん!



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洞窟攻略part3

おっ、階段への扉が開かれた。

さぁ第四層へと行こうじゃないか!!

 

---第四層。ここはジャングルの間。

洞窟とは思えない明るさと、木々が生い茂っている。明るいのは多分、光るコケがあるからだろう。

ここで出てくる魔物はレベルは低いものの、知性が高いらしい。知性が高いということがどのようなことを引き起こすのかわからないが…まぁ、当たって砕けろだよね!

ジャングルの間というだけあって、歩くところもない。草を踏みつけて木を避けて行くしかないであろう。

人化のときのリズの身長を超える草。リズは肩車だな。

「リズ、肩車するか?」

「…!肩車!お願いしますです」

(ハァ…ハァ…ご主人様の…肩!!)

リズが息を荒げていてなんだか語尾もおかしいし大丈夫だろうか?

そのまま肩車してジャングルへと進む。

 

魔物の襲撃にあった。

その戦いからここの層の知性が高い魔物のいやらしさがわかった気がする。

ここの層の魔物は群れを成さない個体が多いのだが、徒党を組んでいる。1チーム大体6体で、地上で待ち構える2体、木の上から奇襲を仕掛ける2体、そしてまた木の上から弓を構える2体だ。それぞれは弱いものの徒党を組まれたら倒しにくさは倍以上だ。

「リズは上の2体を倒してくれ!あとは俺がやる!」

「わかりましたご主人様!リズにおまかせを!」

俺達はその徒党に対して、肩車をしたうえで、地上の魔物は俺が剣で一掃、上に乗っているリズが爪だけ狼化させて迎撃。弓の2体は魔法でどーんだ。集中を切らすと失敗してしまうため、精神力がゴリゴリ削られる。

しかし、その徒党は一種類のみで他の種類の陣形を取った徒党はおらず、慣れれば冷静に対処できるようになった。

 

---扉前。

あれから10戦くらいした後、扉の前にたどり着いた。

たしかここのボスはキ⭕グ・コ⭕グ。色々と面倒なのでここからはコングと表現しよう。

どんな魔物かは見てみないことにはわからないので扉を開ける。

ギィィィィという音とともに扉が開く。

現れたのは……あれケ⭕キングじゃね!?

日曜日のテレビを寝ながら見るお父さんみたいな態勢を取って鼻をほじっている。そっくりクリソツだ。

多分、この世界には一回行動したら一回休みなんてシステムはないだろうからもう怖い怖い。

とりあえず魔法を打ってみる。

……効かないや。鑑定してみると魔法攻撃無効と書いてある。いや、強すぎでしょ。しかも物理攻撃軽減(大)ともある。耐久力の権化だよ!

しかし、俺は神剣を持っていて今は使いこなせる状態。負ける気はしない。

とりあえず…斬り掛かっちゃえ。

ズバァァァンという気持ちのいい音とともにコングが切れた。あっけな…。強すぎるっていうのもなかなかに面白くないものだと思った時間でした。

コングの後ろの扉が開いて階段が現れる。…ほんとに死んどったんかい。

 

さて、次は最後の層だな。どんなものが待っているのやら…。心して挑まん!



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洞窟攻略part4

 

コングの後ろの扉が開いて階段が現れる。…ほんとに死んどったんかい。

 

さて、次は最後の層だな。どんなものが待っているのやら…。心して挑まん!

 

---さて、魔法陣に乗って転送されてきたわけだが……と、いうか最後の移動は階段ではなく魔法陣だった。豪華!

最後の第五層は主の間。ここの構造は大きな半円状のドームみたいな感じだ。結構広い。

 

---ドォォォーーーンという音とともに上からなんかでかいのが降ってきた。

間違いなく主のそれじゃん。

なんかでっかい亀で口と思われるところの上からは髭が生えている。仙人みたいだ。亀仙人ではないけど仙人だ。

いかにも防御力高そうだな…。まぁやるしかないからやるか!

 

とりあえず踏み込む。肉薄する。剣を振り上げる。すんでのところで…

「またまてまてまて。若いの、交渉を使用ではないか」

交渉ということよりも亀が喋ったことに驚いて後ろに飛ぶ。

「ど、どういうことだ?」

動揺しつつ聞き返す。

「うむ。若いの、お主はこの光り輝く金がほしいのであろ?」

亀の後ろには2つの重なり合うリングの真ん中に浮かぶ正方形の輝く金色の物体がある。きっとあれが「聖金」だろう。

「あ、ああ。そうだ。して、交渉とはなんだ?」

「うむ…実はわしには息子がおってな?その息子が今、己を鍛えに旅を出ておる。その息子が帰ってきたときの力試しとしてこのダンジョンを攻略してほしいのだが…いかんせんわれには発想力というものが乏しくこの程度のダンジョンしか作れん。そこでお主、何このダンジョン難しすぎだろ…というダンジョンを作ってくれんか?」

 

 

つまり亀が言いたいことはこうだ。

強くて攻略不可能かと思わせるようなダンジョンを作ってくれと。

「この金にはなんとダンジョンを作る機能があるのじゃ。それで作ってくれたら、その後はその金は必要なくなるからお主にやろう。どうじゃ?乗ってくれるか?」

ここでNOの答えはない。

「もちろんYESだ。じゃあ、作り方を教えてくれ」

剣を鞘に戻して亀に近づいて操作方法を教わる。

 

---30分後

大体操作方法はわかった。ダンジョンを改変する際は操作者の魔力を消費するそうだ。俺は馬鹿みたいな魔力があるからなんでもできるだろう。

じゃあまず、第一層の方から改変していくか。

 

 

 

 

 

 

-------

ここは投稿の際に1000文字以上でないとだめなので文字数を埋めている所です。無視していただけると幸いです。 

okokeciokokeciokokeci



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洞窟制作part1

大体操作方法はわかった。ダンジョンを改変する際は操作者の魔力を消費するそうだ。俺は馬鹿みたいな魔力があるからなんでもできるだろう。

じゃあまず、第一層の方から改変していくか。

 

まず、ここに来た最初に看板を見たのを覚えているだろうか。あの看板はこのダンジョンの情報が割と鮮明に書かれてあった。それでは難しい、簡単どころの話ではない。

なんせ次にどこからどう出てくるかが全て分かっているお化け屋敷みたいな感じで、怖さも皆無だ。それと同じように攻略情報が入り口に書かれてあるダンジョンの難しさも皆無だ。今回は看板を読んでからそのまま来たが、看板を読んで街に帰って対策をしてまた挑むという事もできる。そう考えると今までなぜこのダンジョンが無事だったのか不思議だ。

 

じゃあ、改変していこう!

---ゼンのダンジョンクラフティングー!!!---

ゼンの脳内にはポップな音楽が流れ始め頭の中ではゼンがいた場所はテレビスタジオへと姿を変えていた。

「さて始まりました、ゼンのダンジョンクラフティング。今日はアークという街の東にある東の洞窟の第一層〜第四層までを改変して超高難度ダンジョンへと姿を変えさせていきましょう!今日の助手はリズ・スカイさんことリズさんでーーす!」

 

「はーい、みなさんこんにちは!ご主人様の助手のリズでーす!今回は特に改変自体はしませんが改変の解説を担当したいと思いまーす!どうぞよろしくお願いしまーす!」

ペコリと二人で頭を下げて始まった緊急番組。ナレーションは変わりまして、作者です!

「じゃあ、まず先程行った看板を撤去します」

 

「します!」

 

「第一層の名前を改め、まとめて基本の罠の間とします」

 

「します!」

 

「無数にある落とし穴はそのままに、他の落とし穴トラップではないところに別の吹き矢やボウガン、振り子や大岩などのトラップを設置し、安全な足場をなくします」

 

「なくします!」

 

「これで第一層の改変は終わりです」

 

「です!」

 

「続いて第二層、ここは上級トラップの間を改め水流の間とします」

 

「します!」

 

「ここはトラップなしの一本道に設定しておきます。そして、1分後立つと第三層へと続く階段がある方から大量の水が流れてきます。また、この水は正しい道を通らないと即作動し、プレイヤーを押し流していきます」

 

「いきます!」

 

「また、その水を生み出すための魔法陣を第三層へと続く階段側に、水を排出するための魔法陣を入口側に設置し、水は循環するようにします。こうする事で魔力にも、環境にも優しいダンジョンができます」

 

「できます!」

 

「さてさて、続いて第三層です。ここは火炎の間でしたが、改め、噴射と圧迫の間。この層は元々火炎の間で、燃えていましたが自分の広範囲殲滅魔法で消化し尽くしてしまったため効果を成していない層でした」

 

「でした!」

 

「しかし!!洞窟の壁や天井、床に無数の穴を開け、そこに一定感覚で超高温ガスが噴射される魔法陣を展開します」

 

「します!」

 

「噴射されるガスを避けるために走っていくプレイヤーが現れることは容易に予想ができます。恐らく、必死になりすぎて急に止まることは不可能かと思います」

 

「思います!」

 

「そこで!最後の10メートルほど天井をくり抜いて巨大な岩を設置します」

 

「します!」

 

「その10メートルの大岩の手前10メートルに、岩が落下するようの罠を設置します」

 

「します!」

 

「これにより、ほとんどのプレイヤーが落ちてくる大岩の餌食になるでしょう!」

 

「なるでしょう!」

 

「これで第三層の改変は終わり。次は第四層です」

 

「です!」

 

こうしてゼンのダンジョンクラフトは後半戦を迎える。



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洞窟制作part2

「これで第三層の改変は終わり。次は第四層です」

 

「です!」

 

こうしてゼンのダンジョンクラフトは後半戦を迎える。 

 

 

「さてさて、後半に差し掛かってきたこの、ゼンのダンジョンクラフティングですが、どんどん頑張っていきたいと思います

 

「思います!」

 

「助手のリズさんは仕事をしておりませんが、早速第四層の改変をしていきたいと思います」

 

「…ッ……ます」

 

「まずはここに生えている木。これを破壊不可能なオブジェクトとして設置し、また、全体を巨大な迷路のようにします」

 

「……なぜ破壊不可能にするのですかー?」

 

やっと仕事らしい仕事をするリズ。

 

「理由は二つあります。プレイヤーが木を全部刈り取って眺めを良くしそのまま強行突破されるのを防ぐことが一つの理由。二つ目は魔物の攻撃無効化です。破壊不可能になるということは、木の表面に凄まじく強力な結界が貼られるということであり、そこの中にはじめから待機している魔物はもはや無敵です。また、魔物からの攻撃は外側に向かって通し、プレイヤーの攻撃は反射するという効果を付け足すことで、より鬼畜な設定になります」

 

「流石ご主人様です!そんなことを思いつくなんて…。迷路のようにするのは…大体わかりますね」

 

「今、改変しているのは第四層。これだけでは足りません」

 

「……と言いますと?」

 

「…ここからは本当に鬼畜なルートを作っていきたいと思います!」

 

「な、なんだかご主人様のテンションがおかしいです……。(そんなご主人様も好きっ!)」

 

「まずはこの空間に細工を…よし。迷路を抜けてから10分経つと死ぬように設定しました」

 

「い、いきなり鬼畜…(ハァ…ハァ…そんなご主人様も…)」

 

「なんだか寒気がしますが、次です。一見普通の床に見える通路を用意します。しかし!この通路は魔法によって普通の通路に見えているだけ。そこにはぐつぐつとマグマが滾っております」

 

「最先端落とし穴…(死)」

 

「さて、このマグマを見切ったとき…普通は飛び越えようとしますね?」

 

「もちろんそうですね」

 

「しかし!そんな甘いては俺には通用しない。このジャンプしてから、上昇している中盤ぐらい、見えないブロックを設置しておきます」

 

「するとどうなるのですか?」

 

「そう!見えないブロックに当たるとそれ以上は上昇ができなくなる→強制的に落ちるということです!」

 

「…ハッ!そういうことですか!」

 

「これを通称、孔明◯罠!」

 

「流石です!ご主人様!」

 

「ああ。これの回避方法は、横からそのブロックにあたること。そのためには壁を使う必要があります」

 

「壁を走るということですね!」

 

「そういうことです!しかし、その壁にもトラップを…」

 

「な、なんて鬼畜ーー!!」

 

「その壁数カ所に第一層で設置したトラップを設置」

 

「それは……難易度が上がります!」

 

「このトラップ3連撃によってきっと、プレイヤーは心が折れることでしょう!」

 

「そうですね!…、ところで気になったのですが、このトラップで死んでしまうと、後に情報が伝わらず、元も子もないのでは?」

 

「そう、そのことを考えて、今回のダンジョンは、ゲーム感覚で挑戦できるようにしたいと思う」

 

「げえむ?」

 

「ああ。ゲーム感覚を出すために、まず入り口で自分の分身体を作ってもらい、それを遠くから操縦してもらう。そのループ分身体は死んでも、本人が死ぬことはなく、代わりに幾つかのアイテムがロストする仕組みにする予定だ。」

 

「なるほど!それでダンジョンにも利益を出すと!流石です、ご主人様!」

 

「ありがとう。だが、何度も何度も挑戦されるのは困るので、1人1日1回までの挑戦とさせてもらう」

 

「それが妥当だと思います」

 

「それで、さっきのトラップ3連撃のセットをあと5つ配置。慣れてきた最後には壁と床を逆転させ、油断を誘います」

 

「より鬼畜になりましたね!」

 

「ああ。これで第四層は終わりです。最後は第五層、主の間。ここは亀に戦ってもらうとして、改変は無しです」

 

「わかりました!これで全層の改変が終わりましたね!」

 

「そうですね。おっと、お時間となってしまいました…。ではこれにて、ゼンのダンジョンクラフティング、終わりで〜す。ありがとうございましたー」

 

「ありがとうなのです!」

 

「また次回、お会いしましょ〜」

 

こうして俺はダンジョンの改変を終えた。改変には魔力を使うそうで、心なしか疲れた気がする。

 

「おーい、亀ー。改変終わったぞ」

 

「む、はやいのぅ。どれ、見せてはくれぬか?」

 

「ん、ああ。好きにしてくれ」

 

「……なんじゃこれは…鬼畜すぎる」

 

「そうか?」

 

「わしが思とったもんより鬼畜じゃわい」

 

「あ、ああ、ありがとう?」

 

「にしても、すごいもんを作ってくれたのぅ。これがわしのダンジョン…これがわしのもの…」

 

「ああ、そうだよ。さ、約束通りその金をくれないか?」

 

「ん?あ、そうじゃったな。ほれ」

 

「ありがとう」

 

「そういえば、新しいダンジョンができると電波を発信するそうで、ギルドはそれを感知する魔道具を持っていると聞いたが…それが本当なら冒険者の一人や二人、派遣されとるかもしれんの」

 

「じゃあ、もう少しここにいれば俺が作ったダンジョンに誰かが挑戦するということか?」

 

「そうじゃな、どれ、一緒に待ってみんか?」

 

「それはいいな。待とう」

 

そうして俺と亀はギルドから派遣されたであろう人を待つことにした。



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待ち構えるはゼンと亀

「じゃあ、もう少しここにいれば俺が作ったダンジョンに誰かが挑戦するということか?」

 

「そうじゃな、どれ、一緒に待ってみんか?」

 

「それはいいな。待とう」

 

そうして俺と亀はギルドから派遣されたであろう人を待つことにした。

 

 

30分後…かの冒険者は来た。しかし、ここは街からはかなり離れていて、とても一日では着くはずもない場所…。どうやってここまで来たのだろうか…?

 

「なあ、亀。あいつはどうやってここまで来たんだ?」

 

俺は各階層のいたる所に設置した防犯カメラを見て亀に尋ねる。

 

「あぁ、彼は恐らくテレポートの魔法を使ったのじゃろうな…。テレポートの魔法使える者は今この世には各国に一人しかおらず、新しいダンジョンができたなどの人々に害を与える可能性があるものが生まれたときに冒険者が送られてくるのじゃ。多分こやつもその一人じゃろう」

 

「へぇー。そんなものがあるのか」

 

納得してモニターを見ていると何やら男が呟いている。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

俺の名前はアギト。名前だけがかっこよく顔はまずまずの冒険者だ。

詳しい説明はいいとして、今日ギルドから至急の呼び出しがあった。なんだろう?と行ってみると、なんでも東の方に新しいダンジョンができたという事だった。それもとびきり上位の…。俺もまぁ冒険者登録して早3年。今やAランク冒険者だ。スピード出世だと周りからもてはやされていい気分だ。

そんな俺に舞い込んできた新しいダンジョンの探索。これは信頼の証とも言われるクエスト。腕がなる。

なんでも、新しいダンジョンで、一般人の被害があってはならないため、早急な対策が必要だそうだ。なのでテレポートの魔法を使える人を呼んですぐ行くらしい。今からワクワクが止まらないな!

 

---20分後

テレポートを使える魔術師がやって来た。その人は魔法陣を急ピッチで地面に書いていく。なんでも、書き終わってから5分以内じゃないと効果を失うとか。

 

それから3分後、魔術師は書き終わったらしく、俺を手招きして呼ぶ。

俺も魔法陣の中に入り静かに目を閉じる。

魔術師が何かを唱え、俺の体は光に包まれた。

 

目を開けるとそこには洞窟があった。入り口はつると苔に包まれていてわかりづらい。

 

中に入ると……なんか機械があった。ゲート?のような機械が3つ、道を塞ぐように設置してある。…なんだろうこれは。なんか機械の上に書かれてある…。

 

ようこそ東の洞窟へ!

ここは今までにない新しいダンジョンとなっています。

まず、挑戦者には挑戦料を払っていただきます。一人1000ゴールド。

しかし、このダンジョンで死ぬことはありません。下のゲートをくぐると、くぐった人のアバターを制作します。アバターとは、分身体のようなものであり、その分体身体が死んだ場合は元の体に意識が戻ります。そうして、何度でもこのダンジョンに挑戦していただいて構いません。

全五層で、ボスは幻獣、亀仙人。

第四層までの様々なトラップをクリアした者のみがボスと戦えます。ボスは貴重なアイテムをドロップします。

是非、挑戦ください。

 

……なんだこれは。

今までこんなダンジョン見たことがない。人間が作ったのでは?と思えるような流暢な言葉遣い。これがもし、ボスモンスターにやって作られたものなら、ものすごく高い知能を有しているということ。この世で1番恐ろしいものは、高い知能を持った魔物達。これは面白そうなダンジョンだ…。それじゃあ、攻略していこうかな…!



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待ち構えるはゼンと亀part2

……なんだこれは。

今までこんなダンジョン見たことがない。人間が作ったのでは?と思えるような流暢な言葉遣い。これがもし、ボスモンスターによって作られたものなら、ものすごく高い知能を有しているということ。この世で1番恐ろしいものは、高い知能を持った魔物達。これは面白そうなダンジョンだ…。それじゃあ、攻略していこうかな…!

 

 

ということでゲートのところまでやってきたのだが…なんだこれは。

外見は近未来的なメタリックな感じ。そしてここを通れと言わんばかりの矢印が表示されている。

まぁ、通るしか道はないのだから通ってみよう。

……ピピッという音とともに俺の視界は一瞬暗転して、すぐに明転した。体にこれといった変化はない。何だったのだろうか?とりあえず先に進んでみよう。

 

……第一層という看板を見つけた。

木の看板に第一層と達筆で書かれている。

先を見通す限り…何もない。不気味なほどに一本道が続いている。

まぁ、行くしかないのだが…。

俺は進む……。

カチッという音がなった。恐らく足元から。この音は多分落とし穴のトラップが発動した音だろう。ここは剣の腹を空気に叩きつけるようにしてより高く飛び、落とし穴のトラップを回避する。予想通り落とし穴のトラップが作動する。フッやはりな。あとは着地を……ッッッ!!

「うわぁぁぁぁ……」

こうして俺は別の落とし穴へと落ちていった……。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

「おい、亀。来たぞ、挑戦者!」

 

「おお、きたな。どうなるか見ようじゃないか」

 

「ああ、そうだな。まずは最初の落とし穴トラップだが…よし踏ん……だ?なんだ、飛んだぞ!?空中で!」

 

「わしもびっくりしておるとこ……」

 

「「…あ」」

 

彼は最初のトラップを華麗に避けたと思いきや着地のときに落とし穴に落ちた。……残念なやつだった。次回の挑戦を待っている!

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

俺の視界は落とし穴に落ちたところで暗転した…。

 

明転。なんか、広い部屋にいた。なぜだ?俺は落とし穴に落ちて。そして気づいたら広い部屋にいた。話が繋がらない。体には異常はない。

しばらく部屋を観察していると出口らしき穴を見つけた。行ってみるとそこは先程来たこのダンジョンの入り口だった。戻ってきたということか。

……恐らく、先程まで俺の体だったのは俺の体ではなく、アバターというものだったのだろう。ダンジョンの説明にもあるように、恐らくそうだろう。そして、俺はダンジョン内で死んだ。そして魂的な何かが元の身体に戻ったということだろう。

どうやってそれを可能にしてあるかは分からないが、それはもうすごい技術でしているのだろう。

そんなことより、このダンジョン。なんだろうか、今までに見たことのない構造をしている。まず、一本道のダンジョンなんて見たこともない。それにあの落とし穴トラップの間隔。非常に狭く足場もないよっな状況だろう。そんな中では、トラップのないところを慎重に歩いていかないと攻略は不可能だろう。しかし、俺は罠感知系のスキルを持っていない。だから、本部に対応をしてもらわなければならない。

…一旦連絡だな…。はぁ、この連絡用の結晶は一つあれば一月は遊んで暮らせるくらいの値段がする。そんなものを今使うことになるとは…。不運をいいところだな。

さ、とっととギルドに連絡しよう。

 



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