主人公の代わりにプラチナ世界を救うことになった (モナカアイス)
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プロローグ

初投稿です。
コレは作者が自己満足で書いているというのと。
文章力がないので、駄文になってしまっているかと思います。
なので、生暖かい目で見てもらえると幸いです。


---土日の課題がやっと終わり、久しぶりにポケモン(プラチナ)をやろうかと思い、今度の6体メンバーを何にするか考えながら家に帰っていた…はずなんだけどなぁ。それが何で…

 

…何で、こんな状況になってるわぁけぇい?

 

 

気付いた時には、淡い感じの黄色い空間で1人ぽつんと座っており、誰もいないのにも関わらず、平静を装っていながらも、心では語尾に意味の分からない英語発音っぽいのをするぐらいプチパニックを起こしていた。

 

そのとき、直接頭に声が響いて聞こえてきた。

 

『いきなりゴメンなさいね。アスカさん…でしたよね?やっぱり、あなたはあまり驚かないわね。…いえ、あまり驚かないようにしているって感じかしら?』

 

「…。」

 

急に何もなかった空間からいきなり話しかけられて、内心ビックリしつつ(もしかしたら肩が少しビクッとなったかもしれない)後ろを伺うように振り返る。

 

 

するとそこには、話しかけてきた?と思われる…ユクシーが居た。

この場合、フヨフヨと浮いていたと言うのかもしれないね。

 

これには思わず、え。と声を漏らし、ポカンとした顔をしてしまったのは仕方がないよね。あまり驚かない私が驚いてるんだから相当だよね、うん。

 

『初めまして、ユクシーと言います。…ふふ。驚いたところを誰かに見られるのはそんなに嫌なのかしら?』

 

「え。…あ、た…ぶん。」

 

『ふふふ、そう緊張しないで。』

 

いや無理でしょ。と心の中で軽くツッコミつつ、どもってしまったのは驚いていたからなのと、いきなりポケモンが…それも伝説のポケモンが現れたからだと言い訳を誰に言うでもなく、心の中で溢す。

 

『ふふふ、まあいいわ。それよりも本題に入りましょう。まず、何故あなたがココに居るかなのだけど。…あなたが死んでしまったからなのよ。覚えてないかしら?』

 

悟らせるように、落ち込ませないように。気を遣っているのか分からないけど、ユクシーは淡々と口にした。

そのおかげなのか、あまり取り乱すことなく。あぁ、やっぱりか。とあまりにも軽く考えていた。

…自分が死んだというのにね。

 

 

でも、そう口にして聞かされた時、思い出したんだ。信号が赤で立ち止まっている時に、こっちに突っ込んでくるトラックの影を。

どうやら私は、交通事故で死んでしまったようだ。

 

未練がないわけではない。親や友達と2度と会えなくて寂しくないわけがない。

ただ、そうなってしまったのなら仕方がない。そう…思い込むことにした。

立ち止まってしまう気がしたから…。

 

 

そっと目を瞑って軽く深呼吸してから、こちらの様子をジッと窺っているユクシーに目を向ける。

 

『…とりあえず大丈夫そうですね。では、改めて説明を。実はこの世界、私達の世界が大変な事になってしまい、それをどうにかすべく本来天に帰るはずのあなたの魂を、私がこちらにお連れしたのです。』

 

「大変なこと?」

 

それはゲームでいうシナリオ内で起こる出来事を指しているのかな?

あの通りなら、ゲーム主人公達がどうにかしてくれるんじゃない?と他力本願な事を考えていると。

ユクシーが困ったように笑った。

 

『はい。本来ならそうなる筈でした。しかし…どうやらアルセウスがドジって、その人達が生まれてくるのを遅らせてしまったようで。』

 

 

 

…え?

 

今、ユクシーは何て言ったのかな?あれ、私の聞き間違いかな?

さっきまで流れてたシリアスな雰囲気がどっかいっちゃったような気がするんだけど…。

またポカンとした顔を出しそうになったよ。

 

ていうか、アルセウスがドジ?主人公達が遅らされた?

私のアルセウスのイメージでは、そんなドジっ子要素なんてなかったと記憶してるんだけど…。

 

それが通じたのか、ユクシーは答えた。

というか今更だけど、ユクシーはエスパータイプだから私の考えがバレてるんだろうなと、やっぱりどこか他人事のように考える。

 

『あなたが居た世界でのこちらの事について、私はあまり詳しく知りませんが。こちらの世界でのアルセウスは、たまにドジを踏んでしまう困った神様でして。』

 

…何か、聞いてはいけない事を聞いてしまった様な…というかユクシー。

ふぅ、やれやれ。って感じでに頭を横に振ってため息ついてるけど、それホントに大丈夫なの?それで世界はちゃんと回っていけてるの?

 

『だからこうして、あなたをこちらの世界に連れてきたのです。』

 

 

…う、うん。そうなのか…。

 

どこの世界も下の人は苦労するんだなと思い、もうこれ以上ツッコまないことにした。

 

 

「えっと…主人公達が生まれてくるのが遅れることになったから…私がやることになったってこと?」

 

『はい、大体そんな感じです。察しが良くて助かります。…やってくださいますか?』

 

私がどう答えるか分かっているのか、言葉だけだと自信なさげに聞こえるけど、顔は変わらずニコッとしている。

 

「…このまま死んでしまうより、ポケモンの世界に行けるっていうなら、行くしかないよ。でも、なんで私なの?ちょうどポケモンの事を知ってる私が死んだから?」

 

『それも少しありますが…そうですね。あなただから…ですかね?ふふふ。』

 

そう言って楽しそうに笑うユクシーを見て。まぁ、いいかと思い、今までの話からずっと気になっていた事を聞いてみる。

 

「つまり私は、その主人公達がやるはずだったギンガ団との戦いをするって事?トリップ…いや、転生?ていう形になるの?」

 

『厳密に言えば、あなた達3人…ですね。あなたの他にもう2人が既にトリップして旅立っているので。1人の場合もあれば、3人で…という事になるかもしれませんね。』

 

それはまた、随分とアバウトな…。他の世界から3人も呼び寄せといて、そんな適当な感じでいいのかな…。ま、いいか…。こういうのを考えるのはあまり得意じゃない。ユクシーたちがいいって言うんなら、それでいいでしょ。

 

2人…多分、私がユクシーに選ばれたという事を考えると、エムリットとアグノムが選んだんだろうな。会う時が楽しみだね。

 

『あと出来れば、あなたの言うシナリオ通りに進んでくれると助かります。出来るだけ、歪めてしまった時間の流れを元に戻しておきたいのです。』

 

「私たちがこっちに介入してる時点でどうかと…。」

 

『大丈夫です。ギンガ団のやろうとしてる事に比べれば、大したことではありませんから。』

 

そういうものなのかな?いや、まぁ。ギンガ団がやろうとしてる事は、世界を作り直す事だし。それもそう…なのかな。

 

それにしても、シナリオ通りか…難しいな。上手くいけたらいいけど。

顔をしかめそうになるが、それを表情に出さないようにする。

まあ、ユクシーにはバレバレだけどね。

 

『そして、トリップの事なのですが。そのサポートの為にも、こちらからいろいろとお贈りしようと思います。所謂、トリップ特典というものでしょうかね。…あ!ポケモンの声が聞こえるようになるとかは無理ですので。それと、魂をこちらに持ってくる際に、身体の方が10歳の頃に戻ってしまいました。申し訳ありませんが、ご注意を。』

 

…いきなり欲しかった特典が無くなってしまった。まぁ、いいか。アニメとかを見る限り、ちゃんと向き合えば意思疎通が出来るみたいだし。

身体のことに関しても特に問題はないね。たぶん周りが10代前半の人が多いだろうし…。

 

『特典として、新人トレーナーの持ち物を参考に。お金や道具は勿論。トレーナーカードなどの戸籍情報を操作しております。あと、基本的な知識と身体能力…アスカさんの場合、主に体力ですね。これも旅をする上で必要かと思い、事前に付け加えさせて頂きました。』

 

お~、それは助かる。出身とかどうなってるか気になるけど。なりよりも、基本インドア派且つ身体能力が低い私が、旅をする程の体力なんか持ってなかったから、これは非常に助かる。

 

『他に何かありませんか?なければ、ナナカマド研究所前に直接お送りしようかと思いますが。』

 

う~ん、ほんとに急な事だったからね…。というか既にちゃんと用意されてたけど。…まぁ、うん。大丈夫でしょ。

 

『ふふふ。余裕があれば、またこうしてお会い出来ますので。その時に言ってくだされば大丈夫ですよ。シナリオ通りならば、ギンガ団の行動を事前にお知らせする事が出来ますしね。』

 

なるほどね。そうやって行動していけばいいと。まぁ、3人いるし。私1人で全部のシナリオに携わなくていいかもだけど…。

 

『今更ですが、勝手な事に巻き込ませてしまい申し訳ありません。ですが…』

 

「大丈夫だよ。むしろ、まだ生きるチャンスを。これから会うポケモン達との出会いのチャンスを与えてくれたことに感謝してるんだから。どこまで上手くいけるか分からないけど、やってみるよ。」

 

『…はい、お願いします。ですが、アスカさんの旅は、アスカさんだけのものです。第2の人生という事ですし、楽しんでいってくださいね!』

 

ユクシーがそう言うや否や、視界が白くぼやけていくのを感じ、私はユクシーに---

 

 

-行ってきます。

 

 

薄れていく意識の中で『行ってらっしゃい。』という優しくて温かい声が聞こえた気がした。

 




タグに「ポケモン擬人化」とありますが。
実際に擬人化するのは、10話辺りになるかと思います。
しかも、擬人化している描写が少なめかもしれません。

それでもOKという方は、続きも読んで貰えると嬉しいです。


誤字脱字等があれば、ご報告してくれると助かります。


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1話 これからよろしく

今日は2話投稿しますが。
基本、1話投稿でやっていきたいと思っています。

後、今回は1話という事もあって、4000字ということになっていますが。
文字数少なめですけど、基本3000字ぐらいの文字数でやっていこうと思っています。


太陽の暖かな光と、気持ち良いそよ風を肌で感じ、そっと目を開けると---

 

--- 一軒の風車付きの大きな建物が目に入った。

 

きっとこれがナナカマド研究所だね。ユクシーが言ってたっていうのもあるけど。アニメやゲームで見たことのある建物だし。

 

 

…それにしても、本当に大きいなぁ。

まあ。10歳の身体に戻って、目線が低くなったのも影響してるんだろうけどね。いやむしろ、16歳だったときとあまり変わらい方が逆に困る。

 

前は平均身長より低い154.9cmだったから。だからせめて…せめてこの世界では155は越えたい!いや、160はいってやる!とフラグめいた決意をしてみる。

そこ!小さい願望だなとか思わない!

 

 

身長に対する身体の違和感から、服も変わっていることに気づく。

そういえば、服もユクシーが用意してくれたのかな。さっきまでは前の服を着ていたんだけど。

 

今の私は、黒のシャツの上に赤い半袖のジャケット、そして長ズボンを穿いて、赤いキャスケットを被っていた。靴は歩きやすそうなスニーカーを履いていた。

うん。私好みの実用性のあるボーイッシュな服装だね。ジャケットにポケットが4つもあるよ。よくいろいろとポケットに物を入れるから嬉しいね。また会った時にユクシーに感謝しておこう。

 

 

後、伸びていた髪も短髪に戻ったから軽く感じるな。…切るのめんどいから、また伸ばすけど。

そして、いつの間にか背負っていた赤いリュックに気づきつつ、正面にある研究所の出入り口を見つめ、私はようやく歩き出した。

 

 

ドアを開けながら「ごめんください。」と言って、入り口から研究所内を覗き見る。

 

部屋全体を見渡せる大きな部屋の奥の方に、ナナカマド博士と助手が数人。そして博士の傍にある机の上に、3つのモンスターボールが並べられているのが確認出来た。

 

 

「うむ。君がアスカくんだね、待ってたぞ。私がナナカマドだ。ようこそ、ナナカマド研究所へ。」

 

気づいたナナカマド博士が私に声をかけて、厳つい顔付きで(多分元から)私を招待する。それに続くように、他にいる助手の人達も気づいて挨拶をし、私に入ってくるよう招き入れてくれた。

 

私は再び挨拶をしながらお辞儀をし、ナナカマド博士の元へ歩き出す。

 

 

「初めまして、ナナカマド博士。アスカと言います。」

 

私はナナカマド博士が差し出してきた手に握手を返し、改めて挨拶をする。

 

私は驚いたり怖がるといった表情は出さないようにしてるけど。笑顔や愛想笑いは基本、普通に表に出している。

人間、見た目の9割で第一印象が決まるって言うしね。

 

「うむ。改めて、私がナナカマドだ。よく来てくれた。ではさっそく、アスカくんにポケモンを託すとしよう。」

 

 

博士は、机の上に並べられているボールを端から順に、ポケモンを出していき、それぞれの種族名と簡単な情報を述べていく。

どの子も進化前ということもあって、すごく可愛い…!!

 

でも私は、最初から決めていた。ポケモンゲームを初めて以来、最初のポケモンはこのタイプでいくと決めていた。

そしてこの子は、その今までやってきたポケモンの中で1番のパートナーだ。

 

 

「さて、君はこの中からどのポケモンを選ぶのかな。」

 

 

 

「ヒコザルです。…私は、ヒコザルにします!」

 

 

私はヒコザルの目を見て答えた。ヒコザルの意思を感じ取りたいからだ。もしヒコザルが私を認めなければ、残念だけど他の子にしようと考えていた。

例え初心者用ポケモンとして育てられたとはいえ、ちゃんとその子の意思を尊重したかったから。

 

でも、そんな心配は要らなかったみたいだね。ヒコザルも、私の目を見て答えてくれた。

 

言葉で言い表せないぐらい嬉しくて、笑顔でヒコザルを抱きかかえた。これからよろしく、と。

ヒコザルもそれを感じ取ったのか、笑顔で答えてくれた。

 

 

「うむ。どうやら決まっていたようだな。アスカくん、これがヒコザルのモンスターボールだ。大事に育ててやってくれ。」

 

「はい!」

 

「うむ、良い返事だ。そしてこれがポケモン図鑑とタウンマップ、そしてモンスターボールだ。餞別として受け取ってくれ。」

 

受け取る際に気を遣ってくれたのか、ヒコザルが肩に移動してきた。

気を遣えるいい子のようだね。

 

ポケモン図鑑等を持ってきた助手さんから、空いた両手で貰い受け、ポケモン図鑑の簡単な説明をしてくれた。

アニメで何となく分かっていたけど、ポケモン図鑑でポケモンをかざして見ると、そのポケモンのレベルや技、簡単な健康チェックなどが分かるらしい。

かがくのちからってすげーと思わず言いたくなる程のハイテクっぷりだよね、ホント。

説明書も付属として貰ったので、念のため読んどこうかな。私は説明書とか読まない派だけど、他にもいろいろと機能があるかもしれないし。

 

 

「アスカくん。旅には楽しいこともあれば、その分、辛いこともあるだろう。だが、越えて行け。ヒコザルと、そしてこれから会う新しい仲間たちと共に。そうすれば、君たちの旅は一生の宝物となるだろう。」

 

ナナカマド博士の言葉を噛み締め、ヒコザルと顔を見合わせた。決意した私たちはナナカマド博士に力強く返事をした。

満足そうに頷く博士に、いってらっしゃいの言葉をもらい、私はお礼と別れを告げて、出入り口へと歩き出す。

出る前にもう一度、博士と助手さんたちにお辞儀をし、私たちは研究所を出て新たなスタートを切る為、1番道路へ向かった。

 

 

 

1番道路へ向かっている時、私はある事に気づいた。ヒコザルの名前だ。

 

私は基本、ゲーム初回時は新ポケモンの種族名を覚える為に、そのままプレイしてから2回目以降に名前をつけることにしている。

ゲーム内では、ヒコザルを選んで一緒に旅したことは何度もあった。

その中で一番、気に入っていた名前は確か…

 

 

「…ユウ。」

 

 

急に足を止めて言い出した私に、ヒコザルはどうしたのかとこちらを見て首を傾げている。

うん。まあ、そうなるよね。

 

「名前だよ、キミの。…気に入らなければ別のを考えるから。あっ、名前を付けられるのがまず嫌だったかな?」

 

ヒコザルは目をパチクリと瞬いた後、ハッとしたと思ったら勢いよく首を横に振り、嬉しそうに声を上げる。

言葉が通じないから身体で気持ちを表しているのか、それともこの子の性格なのかは分からないけど。

そうやって身体で表現してくれる分、すごく分かりやすいな。

 

まぁ、とりあえず気に入ってくれたみたいで良かった。

 

 

「…そういえば。私の名前、言ってなかったね…それじゃあ、改めて。私はアスカ。これからよろしく、ユウ。」

 

ヒコザルを向かい合うようにように地面に降ろして、目線を合わす様にしゃがみこみ、手を差し出して自己紹介をする。

ヒコザルも笑顔で返事をし、握手に応じてくれた。

 

そして再び。私とユウの旅が始まる。

 

 

 

---

 

 

 

「ユウ、「ひのこ」!」

 

「ヒコッ!」

 

 

最後の止めと言わんばかりに、ユウの口から放たれた「ひのこ」がビッパに当たり、無事に勝利を得た。これで3連勝だ。

 

私はユウにお疲れ、良かったよと声をかけ、頭を撫でる。

今のバトルでユウは全くダメージを受けなかった。完全勝利というものだね。私もユウも少しずつバトルに慣れてきている証拠かな。

そして…相手がビッパだからというのもある…かな。

 

 

ユウとの初めてのポケモンバトルの相手は、野生のビッパだった。

初めての指示に戸惑ってしまったけど、難なく勝利。

 

 

その次もまたビッパが出てきて、2度目という事もあって無事に勝利を得る。

 

 

そして先ほどのバトルで3度目。

…ここら辺はビッパしかいないの?

ビッパの行動パターンを大体把握できたから、攻撃をかわしつつ、ダメージを与えることが出来、少し弱った状態で最後の一撃を決め、完全勝利した。

 

 

…さすがに次は、ビッパ以外と戦いたいな…。

 

 

私は次のバトルこそはと思いつつ、3連戦で少し疲れてるユウにキズぐすりをかけていると。

 

向こうの方からトレーナーがやってきた。

 

 

「あっ、トレーナー発見!なぁなぁ、オレとバトルしようぜ!」

 

 

どうやら私の初のトレーナー戦は、短パン小僧のようだね。

相手は既にモンスターボールを片手に、勝負する気満々の様子である。まだユウしかいないので、1vs1のシングルバトルにしてもらった。

 

ユウが私を見て頷くのを確認し、ユウを前に出してその勝負を受ける。

 

 

「お前はそのヒコザルだな!よしっ、いっけー!オレのポケモン!」

 

 

男の子と同じく、元気よく出てきたのは…またしてもビッパだった。

 

 

…うん、何となくそんな気はしてた。

 

 

若干、テンションが下がった気がする。しかも、ポケモン図鑑で確認するとLv5。

野生のビッパとのバトルも。2、3、4と順に上がっていたのを考えると、もしかして次戦う筈だったビッパを捕まえたのでは?と変な考え事をしているとバトルを早く始めようと相手が言っているのが聞こえたので、考えるのを止めてバトルに集中する。

 

 

 

-結果は分かるでしょう?圧勝だったよ。

レベルが上がっているとはいえ、それはこちらも同じ。覚えている技も変わらない。

そうなると攻撃パターンも一緒である為、ユウも楽々と攻撃を躱し、急所を当てることが出来た。

 

短パン小僧…名をユウタくんというらしい。

ユウタくんが賞金を支払い、(心苦しかったけど。これは勝負に対する礼儀だというのがユクシーからの知識で分かっていた為、有難く頂戴した)ビッパをボールに戻して帰ろうとしたのを私は引き止める。

 

コトブキへの道があっているのか、それまで手持ちが戦えないユウタくんと一緒に街へ行こうかと話を持ち掛ける。

方向音痴ではないけど、全く見慣れない土地でちょっと不安だったんだよ。顔には出さないけど…。

ユウタくんからの了承を得て、一緒に街まで同行する事に。

 

その道中、ミニスカの女の子(名をルミちゃん)と勝負をし、難なく勝利。(ルミちゃんは他に手持ちが居たので大丈夫とのこと。)

それから野生のポケモンと2回バトルして、コトブキに到着した。

…その3戦ともビッパだったことに…もうツッコまない。

 

 

 

ユウタくんの案内でポケセンへ行き、そこで別れた。

いろいろと情報も聞けて助かった。

XYのチップシステムがあれば、賞金分を返してあげたかったよ。

 

 

もう暗くなり始めていたので、今日はそのままポケセンで泊まることにし、ポケモン世界にきて1日目が終了した。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「ねぇ、アスカはポケモンをボールに戻さないの?」

 

コトブキに向かう道中、ユウタくんが私の肩に乗ってるユウを見て質問してきた。

 

「まだユウとは知り合ったばかりだから、お互いの事を知るために出来るだけ出しておきたいんだよ。」

 

それに、進化したらもう肩に乗せてあげるというのも出来なくなるし…。モウカザルになったら、抱っこが限界かな…。

…まだトレーナー歴は短いけど。ユウの進化があっという間なんだろうなと思うと、ちょっと…悲しいね。

 

「ヒィコ」スリスリ…

 

ユウが私の気持ちを察してか、私の頬に擦り寄ってきた。

…くっ、かわいい‼︎

ユウにありがとうという意味も込めて頭を撫でる。

 

「へぇ~、なるほどな!アスカは頭良いな!オレもアスカみたいなお兄ちゃんになりたいな!」

 

「…え、お兄ちゃん?」

 

「うん。だってアスカって、お兄ちゃんでしょ?」

 

「…。」

 

 

 

この後、必死になってユウタくんが謝り、ユウが私を励ましていた。

…うん。外見的に見て男の子っぽいし、話し方や名前も中性的だから、そう思われても仕方がないよ。…うん、そう。仕方…が、ない…よ…(遠い目)。




技は4つまでとしますが。進化するレベルとかはゲーム通りにならない場合があります。
今までのゲームの中で、レベル低いのに進化してる!?というのがトレーナーや野生でたまに見かけるので。そういうのをアリにしました。
しかし、基本はそのレベル通りに進化するという設定です。


誤字脱字等があれば、ご報告してくれると助かります。


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2話 大誤算だ…

ナナカマド博士からユウ(ヒコザル)を貰い、ビッパを倒しまくって、コトブキのポケセンに着いて1日目が終了。
というのが前回の流れですかね。

このあらすじっぽいの続けていこうかな、どうしようかな。
と悩みつつ、本編スタートです。


「今日は何匹かポケモンをゲットしようと思う!」

 

「ヒコッ!」

 

いきなり何だと思うかもしれないけれど。そのままの意味だ。

ポケセンの食堂で朝食をとっているときに、ユウに今日の予定を伝えていたんだよ。

 

ホントは昨日、お目当てのポケモンが出てきたら捕まえようと思ってけど、トレーナーを含めて何故かビッパにしか出くわさなかった…。誤算だった…。あ、ダイゴさんではないからね、うん。

 

 

 

---

 

 

「ムックー!」

 

「…ホント、昨日は何だったの?」

 

街を出て直ぐにムックルに会ったんだけど。昨日のアレは何だったの?新たな嫌がらせ?そんなちょっとした現実逃避をしていると、ムックルがユウに攻撃しようと突撃してきた。

それに気づいた私は、ユウにかわすよう指示を出し、バトルに集中する。

 

ユウは難なく攻撃をかわして「なきごえ」でムックルの攻撃力を下げた。

 

「ユウ。次はいける?」

 

「ヒコッ!」

 

ムックルが再び「たいあたり」をしてくるのを見て、私たちは集中する。距離がどんどん近づいてくるのに対し、焦らずタイミングを見計らう。

 

…今だ!すぐに指示に応じて、ユウがムックルの攻撃をジャンプして躱し、空中で態勢を変えて「ひのこ」を繰り出す。

 

これは、昨日ユウに伝えていた戦闘パターンの一つで。…と言っても昨日、「たいあたり」しか攻撃手段のないビッパしか出なかった為、単純な方法になってしまったが。

ちなみにかわした時、出来れば「なきごえ」をするように指示していた。これはもし攻撃をくらったときの保険だ。しといて特に問題がないのなら、使ったほうがいいでしょ。

 

不意を突かれたムックルは、後ろからの攻撃をモロにくらい、地面に突き落とされる。

私は素早くムックルにモンスターボールを投げた。ムックルがボールの中に入り、赤いランプを点滅させながらボールが揺れ動く。

 

一撃だけとは言え、不意を突いて大ダメージを与えることが出来たと思ってボールを投げたけど。さすがに一撃ではダメだったかな…。

そんな私の心を表すかのように、ボールが揺れ動いていた。

 

 

…カチッ!

 

「…や、やったのか?」

 

 

思わずフラグめいた事を言ってしまったけれど、それぐらい不安だったんだよ。顔には出さないけど。

それに今にも飛び出てきそうで、恐る恐る近づいてボールを手に取る。

 

ユウと顔を見合わせると、ユウが嬉しそうな声を挙げて喜んでいる姿を見て。やっと安心した。

これは…想像以上の嬉しさだ!ゲームで初めてゲットしたときより喜んでいるかもしれない。

 

ユウにありがとうを言い、今ゲットしたボールを見せる。

早くムックルを出したいけど、街から近いことだし、キズぐすりをちょっとでも節約しておきたいから、(そこ!ケチとか言わない!倹約家と言うんだよ!)ムックルをポケセンへ連れて行こうとしたとき。

 

 

草むらから勢いよく飛び出してグルル…と私たちの前に出て威嚇するコリンクが居た。

 

ユウが直ぐに私の前に立って戦闘態勢に入る。

するとコリンクがユウ目掛けて突進してきた。いきなりの展開に戸惑いつつも、ユウに躱すよう指示を出してポケモン図鑑を取り出す。コリンクのレベルを見ようとポケモン図鑑を向けると-

 

 

「10Lv⁉︎」

 

さっきのフラグのせいなのコレ、高過ぎじゃないかなコレ。

ここは204番道路であって。ゲーム内ではまだまだ序盤の段階のはずだけど。確か最高で昨日のビッパ(ルミちゃんのビッパ)同様、6Lvのはず…。

 

いや、ここはゲームではなく現実だったね。なんでこんなに高レベルのポケモンが出てきたのか知らないけど。

コリンクもゲットしたいと思っていたし…捕まえよう。そう決心し、改めて戦況を見る。

 

ユウはかわした後に「なきごえ」を入れることが出来、攻撃を外したコリンクは、また「たいあたり」を繰り出してきた。ユウを見ると、こちらを横目で見て頷いていた。

レベルがある分、さっきのムックルより素早いけど。やることは同じ、焦らずタイミングを見計らう。… …よし、今だ!

 

…躱すタイミングは完璧だった。でも、私は見てしまった。

 

ユウがジャンプして躱そうとしている瞬間、コリンクがニヤリと笑ったのが見えた。コリンクはユウがジャンプするのが分かっていたのか、直ぐにコリンクもジャンプして、ユウのお腹目掛けて「たいあたり」をしてきた。

 

もしかしたら、あのタイミングで登場してきたのを考えると、さっきのバトルを見ていたのかもしれない。だから上へジャンプするのが分かっていたんだ。

 

「ヒコーッ!」

 

「ッユウ!」

 

クリーンヒットをくらって飛ばされたユウが、ズザザザという音をたてて地面に倒れた。

ユウがゆっくりではあるけど立ち上がる姿を見て、ほっと息を吐く。が、コリンクがまだ立ち上がってきたユウに少し驚きはするも、また「たいあたり」を繰り出してきた。

 

私はユウに躱すように指示を出す。

でも、クリーンヒットをくらったからあまり体力がないみたいで。横にジャンプして躱すけど、キレがなく肩で息をしている状態だ。「なきごえ」をする余裕もないみたいだ。

 

これ以上躱し続けても、直ぐに体力が底を尽きてしまうな。それに対してコリンクはまだまだ余裕があり、レベル差もある。これでは…

 

私が諦めかけていたその時、ユウの身体が赤いオーラで包まれ、お尻の炎がいつもより赤く燃え上がる。

 

「ヒッコーッ!」

 

「!」

 

「ユウ…。」

 

たぶん、ヒコザルの特性であるもうかが発動したんだ。

でも…何でなのかな。それだけではない気がする…。ユウから感じる炎からは、パワーだけじゃなくて、何か別の…暖かな…。

 

そのとき私は、ある作戦を思い付いた。

上手くいくか分からない。体力の少ないユウがどこまでいけるか…でも不思議だね。そんな不安な気持ちが、炎に包み込まれて無くなっていく、そんな感じがしたんだ…。

 

ユウと目を合わせ、お互いに笑顔で頷く。ユウ、私はきみを信じるよ…!

 

「体力勝負といこうか、コリンク!ユウ「ひのこ」!出来るだけ範囲を広げて、コリンクに当てて!」

 

「ヒコッ!ヒッコー‼︎」

 

出来るだけ広範囲の攻撃という指示を出したから、その分威力も拡散されて威力が落ちるかと思ったけど。

それを全く感じさせないパワーの上がったひのこがコリンクに迫りかかる。

 

コリンクは「ひのこ」を躱しつつ、出来るだけ一定の距離を保ったまま、ユウを注意深く見ていた。多分、ユウの体力が尽いてスキが出来るのを待ってるんだろうね。速攻で決めるより、確実性を選んだようだ。

もしかしたら、パワーアップした「ひのこ」を警戒してるのかもしれない。

 

今のところ、作戦通りにいってる。後はユウの体力と、私が想像した通りの展開になるかどうか…まだまだ気は抜けないな…。

でも私が想定していたよりも、展開が早まることとなった。

 

 

ジュウッ!

 

「リグッ!」

 

「今だ、ユウ!最大パワーで「ひのこ」!」

 

「…ッヒコー!」

 

先に動きを見せたのはコリンクだった。コリンクは不意を突かれダメージを負ったんだ。でも、コリンクは確実に「ひのこ」をかわしていた。

そう、かわした「ひのこ」によって熱された地面に足が軽い火傷を負って、その隙をついて最大パワーの「ひのこ」を浴びせたんだ。

 

隙を突かれてモロに「ひのこ」をくらい、大ダメージを受けたコリンクは、負けじと熱せられた地面を無視してユウに攻撃を仕掛けようと近づいてきた。おそらく「たいあたり」をするつもりなんだろうね。

 

「っ!そうだ…ユウ!「ひっかく」で地面を巻き込んで砂をかけて!」

 

「ヒコッ!ヒイッコー!」

 

ユウは「ひっかく」で地面を抉り、そのままコリンクに向かって砂をかけた。

とっさに思いついて指示したのに、上手くいったな。ちょっとした疑似「すなかけ」が出来た。

 

コリンクも驚いていたのにも関わらず、ギリギリのところでかわしていた。でも、足にはその分ダメージを負ったのか、足を崩して倒れこんだ。

 

今だ!と思い、モンスターボールを投げた。コリンクはそれに気づいたようだけど、時すでに遅しボールの中に入った。

ボールが揺れ動くのを見て、今回の作戦が何とか上手くいったことにホッとしていた。

 

これを思い付いたきっかけとなったのは、アニメのサトシvsシゲルとの最終戦において、サトシがリザードンの「かえんほうしゃ」でフィールドを熱していたのを思い出したからだ。

 

固い岩のフィールドとは違って、柔らかい砂地であったこと。通常の「ひのこ」ではなく、もうかでパワーアップした「ひのこ」であったこと。

コリンクが出来るだけ距離を保っていたおかげで、同じところに何度も「ひのこ」が当たった事…様々な要因が重なって何とか繋がったコレは、作戦ではなくてただの結果論だね。

でも偶然で上手くいってホントによかった…。

 

 

…カチッ!

 

 

緊迫した空気の中、モンスターボールのゲット完了の合図である音が聞こえたと同時に、私とユウは地面に崩れ落ちる様に座り込んだ。緊張の糸が切れたみたいだね。

でも、お互いヘトヘトに疲れていながら、顔を見合わせてホッとしたように笑い合った。

 

本当にお疲れ様、ユウ。よく頑張ってくれたね。ゆっくり休んでて。と感謝と労わりの言葉をかけてからボールに戻して、ゆっくり立ち上がりコリンクの入ったモンスターボールを手に取る。

 

いろいろと予想外だった…でも、これは嬉しい誤算だ。あっ、ダイゴさんじゃないよ。

心の中でデジャヴを感じるセルフツッコミをして、今度こそポケセンへ向かおうとしたとき、またしても足を止めることになった。

 

 

---

 

 

「…だ、大誤算だ…。」

 

若干ボケを含ませたこのセリフを言うのは、もう少し経ってからのお話。




サブタイトルが数字だけだと、どういう話の内容か分からないだろうなと思って、主人公のセリフから取ることにしました。
と言っても、何となくコレかな?って感じでやってるだけなので。
それで話の内容がどんなだったかがちゃんと分かるわけではないです。だって今回のタイトルが大誤算ですもんw
ただ単に印象に残るようなセリフを選んでるだけですからね。今回のように面白そうなのを選んでいく場合があると思いますw


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3話 え、いいの?

直ぐにムックルに会ってゲット、ギリギリの勝負の末コリンクゲット、そして…大誤算?
という前回のあらすじ

次から2・3日に1話更新になるかと思います。
今回は短いです。


「スミ!」

 

「(え、いいの?)…なら良かったよ。」

 

 

いったい何の話かって?それは、数時間前に遡る。

 

 

 

―コリンクをゲットして、早くポケセンに行こうとしたとき、茂みの向こう側でスボミーが倒れているのに気づいた。

よく見れば所々火傷の跡がある。もしかしたら…

 

 

「(さっきのひのこが当たっちゃったのかな?)」

 

そうなると、勝手に巻き込んでしまった私の責任だね。あまり揺らさず、傷口に触れない方がいいかと思い、罪悪感はあったけど一旦という形でモンスターボールの中に入れ、急いでポケセンに向かって、回復してもらうことにした。

 

スボミーもゲットしたかったから仲間になってくれないかな…さすがに無理だろうな…。と淡い期待を寄せつつも諦めていた、が…。

 

 

ポケセンの一室にて。

 

スボミーに事情を話してから謝罪をして、出来れば仲間になってもらえないかダメ元で誘ってみると、あっさりとOKを貰ってしまったということだ…。

 

このときに思わず、ちょっとふざけて大誤算だ…。と言ってしまったけど、仕方がないでしょ。

 

だって昨日、全く出てこなかったのにも関わらず、あっさりと出てきたムックルをゲットして、その次に高レベルのコリンクとのバトルでギリギリのところで何とかゲットして、最後にコレだよ?仲間にしたかったポケモンをこうも一気にゲット出来ると誰が思うよ。

 

昨日とは違って、嬉し過ぎる大誤算であった。あっ、ダイゴさんじゃないよ。

多分、昨日はニイガタの呪い(分からない人は数十年前の某朝のポケモンバラエティー番組を見れば分かる)にかけられていたんだろうね。

 

きっとそうに違いないよと勝手に決めつけ、私を見上げて不思議がっている(急に大誤算と言ったからだろうなぁ)スボミーに何でもないと言って、これからよろしくと伝えてスボミーの身体を撫でる。

 

嬉しそうに身体を手に寄せてくるスボミーはすごく可愛い、ニイガタの呪いが吹き飛んでいくようだ。

元からそんなものはないけど…。

 

「あっ、ユウ達も出さないとね。」

 

ユウ達をモンスターボールから出す。スボミーの事もそうだけど。ムックル達と先に話しておきたいことがある。先にそちらを済ませようと、2匹に身体を向ける。

 

「まず先に確認しておきたくてね。いちようキミたちをゲットしたんだけど、改めて聞くね。…私たちの仲間になってくれるか「ムックー♪」…うん、ありがとうムックル。これからよろしくね。」

 

軽い、んでもって早い…。

いや、仲間になってくれるのはホント嬉しいんだけど…。何か軽いノリでオッケー♪っていう感じに聞こえたから思わず…うん、まぁ…いいや。

仲間になってくれたのには変わりないし。問題は…

 

 

「…。」

 

「…。」

 

 

お互いにジッと見つめ合ってるだけで、コリンクは何も反応を示さない。イヤなのかな…。

バトルしてる時は睨んでるだけかと思ってたけど、今も睨んでいるのは元からつり目なのか、警戒しているのか。…警戒しているのかな…そうかもしれない…のかな?

 

他の子たちも、この雰囲気に飲まれて緊張しているのが分かる。…いや、ムックルはしてないね。大物なのか、ただ単にマイペースなだけなのか。

まだ出会ってそう時間は立ってないんだけど、さっきの様子からして後者のような気がするな。

…あれ、もしかしてこんな事を考えてる私もそうなんじゃ?…ブーメランだったかな?

 

すると今度は、ユウを見つめ始めた。睨まれてると感じたのか、ユウがビクッと肩を揺らして情けない声を溢す。バトルしてる間、ずっと睨み合ってたと思うんだけどな…。

 

もしかしたらユウは、バトルとそうでない時とでスイッチが切り替わるタイプだったりするのかな。人間にもそういった人がいるし、ポケモンにもそういう子がいるだろうね。

サトシのピカチュウがボールに入るのを嫌がってるのと同じように、いろんな子がいるだろうなぁ。

 

そう別の事を考え込んでいると、またコリンクが私に視線を戻す。また睨み合いでもするのかな。目を閉じて何か考え始めた、と思ったら直ぐに目を開け―

 

 

コクンッ

 

静かに、でもしっかりと頷いてくれた。

 

 

「えっと…仲間になってくれるって解釈していいのかな?」

 

「…。」

 

多分、口数が少ない子なんだろうね。こういう時の沈黙は肯定と捉えることにしよう。そうなれば…

 

 

「私はアスカ。改めてよろしくね、3匹共。」

 

「ヒッコー!」

 

私が改めて自己紹介をしたのを始め、側で見守っていたユウもよろしくと言った気がした。

それに合わせ、ポケモンたちも自己紹介を始める。コリンクは相変わらず、無口で睨んだまま(つり目かもね)ではあるが、ちゃんとユウたちの方を向いて話を聞いているようだ。

 

 

「あっ、そうそう。3匹にも名前をつけようと思うんだけど、いいかな?」

 

スボミーとムックルは嬉しそうに頷き、コリンクは相変わらず何も反応を示さないけど。こっちを向いてくれてるみたいだし、大丈夫でしょ。

 

「それじゃあゲットした順に。ムックルは、ハヤテ。コリンクは、レオ。スボミーは、ロゼ。…どうかな?気に入らなけれ「ムク、ムックー♪」…うん、ありがとうハヤテ。気に入ってもらえて何よりだよ…。」

 

空笑いしてしまったのは許してね。まだキミのそのテンションに慣れていないだけだから…。その内、慣れるから…。

 

でも良かった。羽を羽ばたかせて全身で喜んでいるハヤテはともかく、ロゼも身体を横にユラユラと揺らして喜んでいるようだね。ユウもそんな2匹の反応を見て、自分の事のように一緒に喜んでいる。

 

レオは…こっちを見たと思ったらプイッと視線を外した。もしかしてイヤなのかな…と思ったけど、どうやら喜んでいるみたいだね。

 

頬を薄く赤らめ、シッポがちょっとユサユサと揺れている…。それによく見ると、口がさっきよりムッとして(にやけるのを)堪えているように見える。

…なにこの子、可愛い‼︎ツンデレ?キミはツンデレなのか…!!

 

レオの可愛い一面を垣間見て、私は表情が出ないようにしつつも、テンションが上がって喜んでいると、部屋に備え付けられている時計が12時を知らせる音を鳴らしているのに気づいた。

 

私はポケモンたちにお昼を食べに行こうと言ってボールに戻し、お財布などの貴重品を持ってポケセンの食堂に向かった。




作者のネーミングセンスはコレでもマシになった方なんです。ホント、昔は酷かった…。
何故かピカチュウにチカチュウという名前を付けてました。何故…?

名前の由来
ユウ…優しくて勇気のあるイメージがあったから、2つの意味を合わせて
ハヤテ…速そうな名前だから
レオ…ライオンっぽくてかっこいい名前だから
ロゼ…バラに関連してそうな感じの名前だから

…あ、ただ単純になっただけだコレ。


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4話 頑張ってきてね

大誤算の謎?が分かり、3匹のポケモンを仲間にし、それぞれに名前を付けた。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、スボミー(ロゼ)
しばらくは名前をここに書いて、覚えてもらえるようにしようかと思います。


-4日目の朝-

 

 

「今日は、明日開催されるポケモンコンテスト会場をみてから、特訓をしに行こうと思う。」

 

昨日、伝えていたということもあり、みんなからの了承の声が早かった。

それを聞いたと同時に、朝食のパンを食べる。うん、美味しい。

 

いきなり何だと思うかもしれないけど、そのままの意味だ。…え、デジャヴだって?うん、前にも似たような事を言った気がするからそれだね。あまり気にしなくていいよ。

 

え?クロガネに行かなくてもいいのかって?大丈夫だよ。昨日…というか今日?夢の中に現れたユクシーから聞いた限り、まだギンガ団は動かないみたいだし。出来ればアレをマスターしておきたいんだよね。

 

 

…あっ。ちなみに昨日は、2日目の午後から引き続いて。みんなのレベル上げをしていたよ。…その時、ロゼが隠れ特性だったことに驚いたのと。一番レベルの高かったレオが、あまりバトルできなくて不貞腐れていた…。

でも、そのおかげでみんなのレベルが平均的になって良かったよ、うん。

 

 

---

 

 

コンテスト会場へとやってきた私とロゼとレオは、その会場を見上げていた。なんでロゼとレオを出して歩いてるかって?レオは後で説明するとして。

 

ロゼは一昨日と昨日の様子を見る限り、こういうのが好きなんじゃないかと思ったんだよね。

街中をロゼを抱いて歩いてるとき、ポケモンにリボンなどのアクセサリーを付けている子を見かけては目で…というか軽く身体全体をそっちに向いたりしていたから。抱っこしているのもあり、分かりやすかった。

 

コンテストの説明はしてないよ。私、説明とかうまく出来ないし。この場合は見た方が早いと思って連れてきた。

 

今は朝の8時…明日コンテストが開催されるという事もあって、コンテストに参加するであろうコーディネーター達が会場の外でコンディションを整えているのを見て、レオの目的が果たせれればいいなと思い、そちらへ向かう。

 

 

もしかしたら、昨日と同じで居ないかもしれない。その時はサトシがやっていた方法を使おうと思うけど、出来れば見せてあげたいな。私が口で説明するよりも、実際に自分で見るほうがイメージがしやすいだろうからね。

 

私たちは、練習しているコーディネーター達の邪魔にならないように歩きながら、目的のものを探していると…ある人物を見つけた。

 

 

「ニャルマー「アイアンテール」!」

 

「ニャルッ!」

 

ニャルマーの技の練習をしているんだろうな…ニャルマーのシッポをバネの様に利用して高くジャンプし、そこから「アイアンテール」を地面に叩きつけることで、凄まじい威力を出していた。

…間違いないね。アニメのヒカリちゃんの良きライバルとして登場したノゾミだ。アニメでも、ああしてニャルマーのシッポを上手く使っていたのをよく覚えてるよ。

 

 

「ん?アタシに何か用?…あ~、悪いけどバトルはコンテストが終わってからでいいかな?今、調整中なんだ。」

 

ジッと見つめていたから、ノゾミが気づいたようだね。でも、バトルがしたいと思って見つめていたわけでは…

 

 

ジーッ

 

 

…あぁ、なるほど。レオが睨みつけるように見てたからか。多分、本人はただ見ているだけ…だと、思…う…。

この子、バトル好きだからなぁ…。

 

 

「あぁ、いや。そうじゃないんだ。実は私、この子に「アイアンテール」を覚えさせたくて、それで見てたんだよ。…よかったら、この子に「アイアンテール」習得のアドバイスとか貰えないかな?勿論、コンテストが終わってからで。」

 

これがレオを連れてきた目的。昨日にポケセンで会ったトレーナーや、フィールドでバトルすることになったトレーナーにも尋ねてみたけど、誰もいなかった。

ここに来る前に、ポケセンの外にあるバトルフィールドにも行ったけど居なかったし。

 

それでレベル調整が終わった今、ユウタくんから聞いていたこのコンテスト会場の外で。

たくさんのトレーナーに会うことが出来ると思ってやってきたんだ。勿論、練習の邪魔をしない程度に。

 

最初のジムが岩タイプだから、覚えさせよう思った技なんだよね。

例え、岩タイプのジムじゃなくても、タイプ相性の事を考えると「アイアンテール」はぜひ覚えさせたい。サトシのピカチュウも、サブウェポンとして重宝してるしね。

 

「なんだ。そういう事なら、喜んで協力させてもらうよ。あまりにもキミのコリンクが睨んでくるものだから、てっきりバトルの申し込みかと思ってね。アタシはノゾミ!キミは?」

 

「私はアスカ。この子がレオで、こっちがロゼ。…あ~、それに関してはゴメンね。この子目つきが悪いから。誤解するのも無理ないよ。」

 

ノゾミに自己紹介をした後、アイアンテールの練習に付き合う代わりに何か手伝えることはないか尋ね、ノゾミのパフォーマンスを見ることに。客観的な意見や感想が欲しいとのこと。

 

 

-1時間後-

 

 

「ありがとう、いいアドバイスを貰ったよ。」

 

「お礼ならレオたちに。私は何もしてないよ。」

 

「そんなことないさ。トレーナーならではの意見で、いい参考になったよ。アスカ・レオ・ユウ、ありがとう!」

 

私たちはそれぞれどういたしましてと言った。でもやっぱりと言うべきか、レオは素っ気ない態度だったよ…。

 

まあ。とりあえす、ノゾミの役に立てたようで何よりだね。私たちはノゾミのパフォーマンスや技を見て、私はレオをムウマに、ユウをニャルマーにそれぞれ技を使って見せた。

その内容については、恐らくコンテストで発揮されるだろうから、今は置いておくとして。それよりも…

 

 

「ス~ミ~!」

 

「…。」

 

 

このめちゃくちゃキラキラオーラを発しているこの子をどうしようかな…。何故だろう、花が飛んでる様にも見える…。

 

 

「ハハハ。どうやら気に入ったみたいだね、どうすんの?アカネ。」

 

「う~ん。今、考え中…。まさかここまでなるとは思ってなくて…。」

 

「…あまり両立とかは、オススメしないけど。一度出てみたら?コンテスト。」

 

え゛!?

 

思わず言ってしまった。それとは反対に、ロゼはさらに目をキラキラと輝かせてこちらを見つめてくる…。

ヤメて、そんな目で見ないで。断りづらくなる…。

 

「何もこういう公式な場でなくてもいいんだよ。確か、ソノオタウンの前にある小さな村で。お祭りとして開催されるコンテストがあった筈だから。それで試してみたらいいんじゃないかと思ってね。」

 

そう言えば、アニメでも。ヒカリちゃんとサトシのエイパムがそれに参加してたっけ…。確かにそれならまだいいかなと思うけど、いやでもなぁ…。

 

 

結局その答えは出ず。ノゾミたちが休憩をとっている時に軽く、「アイアンテール」のアドバイスとレオの練習の様子を見て貰い、それからまたノゾミたちの練習に付き合った。

 

 

---

 

 

コンテスト当日。

昨日まで何もなかった通りは、多くの人とたくさんの屋台が出揃っていて、お祭りみたいだったよ。いや、この世界ではそうなのかもしれないね。観客席の方は人でいっぱいだろうなぁ。

 

あっ。ちなみに私は待機室で見ることにしたよ。アニメでサトシたちも居たし、もしかしたらと思って聞いてみたら、すんなり入れたよ。

…ファンの人とかが押し寄せてこないのかな?そこはちゃんと対策を取っているのかな…

 

 

「それじゃあアスカ、行ってくるよ。」

 

「うん、ここで応援してるよ。頑張ってきてね。」

 

考えてる間に、ノゾミがスタッフに呼ばれていた。

ノゾミに声援を送り、自信に満ち溢れた返事を聞いてその場で見送り、ノゾミのパフォーマンスを見ようと上に設置されているモニター画面を見る。

 

さっきまで真っ暗だった画面が切り替わり、コンテスト会場の様子が映し出され、コトブキコンテストが開催された。

 

 

 

コトブキコンテスト…ここで私は、ノゾミ以外にもう一人の人物に出会うこととなる---




何か始まったコトブキコンテスト大会。そしてアニメ同じく、ノゾミ登場です!

作中でも言った通り、レオに「アイアンテール」を覚えさせたかったのと。作者が、ノゾミが好きで出させました。
ゲーム基準でストーリーを進めていくつもりではありますが。今回のように、アニメ要素をちょいちょい足していく場合があります。


そして、もう一人の人物とは。次回をお楽しみにしていただければと思います。


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5話 やっぱりあの子が…

コンテスト会場の方に行き、ノゾミに会って練習に付き合い、コトブキコンテストを見ることなった。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、スボミー(ロゼ)

今更ですが。戦闘描写とかって表現するの難しいですね、はい。
頑張って精進していきたいと思います。


『あの街、この街、盛り上げて…やってきましたコンテスト!ポケモン眩しく輝いて。リボン目指して弾けて…踊る!ご来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました!ポケモンコンテストコトブキ大会のお時間でーございます!』

 

待機室にある長椅子に座って、上に設置されているモニター画面を見ていた。

私の膝の上にロゼを乗せ、隣にユウとレオが座っている。

 

…ハヤテはどうしたって?あの子は今、寝てます。

ハヤテは結構マイペースなのか、ただ元気なのか、よく食べ、よく寝る。という感じの子でね。バトルが好きみたいだから、余計そうさせているのかもしれないけど。

コンテストには興味ないからかな。寝ようとしてたから、仕方なくボールに戻したよ。それよりも…

 

司会のモモアンさんが司会進行してる中、ロゼが再びあのキラキラオーラを出して、ワクワクといった様子で楽しみにしている。

…ロゼ、気持ちは分かったけど落ち着きなさい。周りにいる人がちょっと引いてるから…。何かちょっと恥ずかしいから…。

 

その間に、一次審査が始まってノゾミが登場してきた。

心の中でノゾミ頑張れと応援し、見守る。

 

 

 

-結果として大成功。アニメ通り、ムウマのゴーストタイプの特徴を上手く活かしたパフォーマンスと技の威力を披露していた。

 

「レオ。今の「でんげきは」、凄かったね。昨日より威力、上がってるんじゃない?」

 

「…ルゥ。」プイッ

 

まだまだだ。とでも言っているのかな。手厳しい意見だね。

 

実は昨日、ムウマにアドバイスをしていたのは、充電から放出までの流れを指摘していたのだ。

ムウマが「でんげきは」を使っているとき、レオでバトルをしていた時のが役に立つかもしれないと思って、アドバイスをしてみた。

 

それは、電気をどこまで貯め、どのタイミングで放つかによって威力が違うというもので。

昨日、あまりバトルが出来ずにいたレオが「スパーク」を覚えて、その特訓を自主的にやっていたら。分かっていたので、それが役に立つと思って教えたんだよね。

 

「どうだった、アタシのパフォーマンス?」

 

「あっ、おかえり。すごく良かったよ。「でんげきは」も昨日よりずっと威力が上がっててビックリしたよ。」

 

「ハハッ。それはアンタたちのおかげだよ。アタシもムウマも、実際に肌で感じてそう思ったしね。ホントにありがとう!」

 

「お礼ならレオに。ねっ?」

 

「…ルッ。」プイッ

 

相変わらず愛想がないレオらしい返事だったけど、ノゾミはちゃんと分かってくれたようで。笑ってありがとうと言っていた。

昨日からの付き合いではあるけど、レオの特訓に付き合ってくれたというのもあって。レオがこういう性格の子だと分かっている。

 

その後はノゾミと一緒に、他の人たちのパフォーマンスを座って見ていた。どれも技のキレが良かったり、ポケモンの特徴を充分に活かしたパフォーマンスをしたりと、どの演技もよく出来ている。

 

レオはもう用はないと言わんばかりに、勝手にボールに戻っていたよ。…キミは自由だよね、ハヤテもそうだけど。

…そして、ロゼのキラキラオーラもスゴイな…。ホントどうしよう…。

 

 

「続きまして!今回でデビューとなる…レイカさんでーす!」

 

そう悩んでいる間に、次の人が出てきた。どうやら新じ…ん?レイカって確か…

 

 

「さぁ!いくわよ、アメル!華麗に行きなさい!」

 

「ポッチャアッ!」

 

シール効果の星を纏って出てきたのはポッチャマ。

そして、隣でそのポッチャマを見たユウが何かに気づいた反応している、という事はやっぱり…

 

 

「「バブルこうせん」よ!」

 

着地すると同時に、横に回転して自分の周りにある星を「バブルこうせん」で撃ち落とす。星とバブルこうせんがぶつかり合い、キラキラと美しく光り輝く。

その中でポッチャマは、バレリーナの様にクルリと回り終えてから、トレーナーと一緒に可愛らしくお辞儀をする。

 

私は演技よりも、トレーナーのレイカの事で驚いていた。まさかこんな所で見つけるとはね…。そうしてる間にも、彼女たちの演技が続く。

 

「アメル、「ふぶき」!」

 

「ふぶき」?!技マシンの技が使えるのか。と表情に出さず、心の中で1人驚いていると。

 

また横に回転しながら上に向かって「ふぶき」を放ち、横に回っている「ふぶき」の雪がぶつかり合って、氷の塊を創り出していた。それが段々と大きくなっていったところで、

 

「今よ、アメル!「つつく」!」

 

「ポッチャア!」

 

ポッチャマがジャンプして。氷の塊を「つつく」を使い、スゴイ勢いで何かの形に削っていく…。

 

 

完成したポッチャマ型の氷像がドシーンという音を立てて落ちてきて、その上にポッチャマも降りてきてポーズをとる。

 

ワアアアァァァッ…‼︎

 

 

…すごい歓声だ。モモアンさんや解説の人たちも、彼女のパフォーマンスを高く評価している。この分だと、彼女も2次審査に進んでいくことになって、ノゾミとぶつかることになるかもしれないな。

それはノゾミも同じだったようで、彼女のパフォーマンスを高く評価していて。2次審査で当たった時が楽しみだと言っている。ノゾミらしいね、焦るどころか燃えてるみたいだよ。

 

ジャンプして降りてきたポッチャマと一緒に、お客さんたちに向けてまた可愛らしくお辞儀をしてステージを去っていった彼女を見て。私は、ずっと気になっていた事をユウに聞いてみた。

 

「ねぇ、ユウ。あのポッチャマって、研究所にいた子?」

 

「ヒ?ヒコッ、ヒココ!」

 

「じゃあ、やっぱりあのポッチャマって。ナナカマド博士のとこにいたポッチャマなのか、つまり…。(私と同じで転生してきた人・・・か。)」

 

 

昨日、夢の中へ様子を見に来てくれたユクシーに聞いてみたんだよね。あと2人いるという人物の名前を。

 

最初にカイセイっていう少年が送られて、その次にレイカっていう少女が送られたことを・・・。

ん~。レイカっていう名前の女の子と、私と同じでナナカマド博士から最初の一匹を貰ったていうだけじゃ、ちょっと判断材料が足りないのかな?でも可能性は十分にあるし、それとなく聞いてみようか。

 

 

彼女で最後だったらしく。一次審査が終了し、2次審査へ出場出来るコーディネーターが発表された。

ノゾミは勿論の事。やはりと言うべきか、彼女も無事通過したみたいで。

 

それから2次審査のバトルの組み合わせが発表されて、ノゾミと彼女がぶつかるのはファイナルだという事が分かった。

 

 

 

-おまけ-

 

 

眠りについたと思ったら。また、あの不思議な空間にいて。目の前にユクシーが浮かんでいた。

あの時と同じ感じだね。

 

「ユクシー、この服ありがとうね。動きやすくてすごく助かるよ。」

 

『いえいえ。私たちが出来るのはこれぐらいですから。…それよりも、旅はどうですか?楽しんでますか?』

 

「あぁ、うん。旅はこれからって感じだけど。ユウたちのおかげで楽しくなりそうだよ。」

 

でも。ホントにこんな感じでいいのかな…。本当なら、ギンガ団を倒すためにさっさとレベル上げたり、ジムを制覇とかした方がいいと思うけど…。

ま、いっか。その時はその時だ精神でいってるから。何かマイペースでいっちゃってるんだよね…。

 

『ふふ。そんなに気を張らなくてもいいですよ。最終的にギンガ団を倒して下されば、コーディネーターなり、ブリーダーなり。アスカさんの好きなように旅をしてくださればいいんです。』

 

「そんなんでホントにいいの?い、いちよう…世界の命運を託された…ていう感じだと思うんだけど…たぶん?」

 

あれ、何故だろう…。そうであるはずなのに…シリアスな感じの話をしてるはずなのに…そういった緊張感が感じられないのは…。

 

『正直に言ってしまえば…前にも何度かアルセウスがドジって問題が起きても。何だかんだいって大丈夫だったので。今度も大丈夫かな…なんて。ですから…今回も… …はい、大丈夫です、きっと!』

 

「(常識人?であるユクシーが現実逃避した?!)」

 

 

それから再び現実に戻ってきたユクシーといろいろ話し合い、目が覚めるが。

 

夢から覚めて早々、目の前の問題よりも、ユクシーたちの心配をするアスカであった。

 

「(…大丈夫なの、ホント?この世界、ゆるすぎじゃないかな…。)」




オリキャラのレイカちゃん登場です。
次回には、アスカと対面することになるかと思います。

そして、アルセウスという名の神様がドジっ子である分、問題を起こしても何だかんだ言ってゆるく世界が回っていけてるという現実。
恐ろしいですね(笑)
歴史抑制力でも働いてるのでしょうか(違います)


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6話 友達だからね

コトブキコンテストが開催され、ユクシーが言っていたレイカという女の子を見つけ、ノゾミとレイカが1次審査を突破した。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、スボミー(ロゼ)

ポッチャマ(アメル)

今回はレイカちゃんが出てくることが分かっているので、アメルも書きましたが。
ちょっとしたネタバレ防止の為に、記載しない場合もあります。
その時は、あとがきの方に記載しておきます。


「ノゾミ。一次審査通過、おめでとう!まずは第一関門、突破だね。」

 

「ヒィ、ヒコッ!」

 

「ありがとう、アスカたちのおかげさ。この調子で2次審査も頑張るよ。」

 

 

ノゾミと話しているときに、後ろから「アスカ?それにそのヒコザル…。」という声が聞こえてきて、振り返ってみると。

そこには、ポッチャマを抱えたレイカがいた。そしてその反応から察するに、

 

「初めまして。レイカ…ちゃんって言うんだよね?私アスカっていうんだけど。…もしかして、どこかで会ったことあるかな?例えば…湖…とか。」

 

「!…えぇ、そうね。私もそんな気がするわ。…改めまして。私はレイカ、この子はポッチャマのアメルよ。」

 

「ポッチャ!」

 

ユクシーたちのイメージ繋がりで、「湖」という単語を含ませて言ってみた…うん、やっぱりそうだったみたいだね。この子と共闘することもあるのかなと思ってると、ノゾミが知り合いかなのか尋ねてきた。

 

「まぁ、ちょっとね。」

 

「あら?確か…あなたは一次審査の時、最初だった…。」

 

レイカちゃんが何か言いかけていたけど。スタッフの方が入ってきて、ノゾミとその対戦者を呼んでいた。もう2次審査が始まるのか…。

 

「ノゾミだよ、よろしく。アンタとファイナルで会うの、楽しみにしているよ。それじゃあ。」

 

「行ってらっしゃい、ノゾミ。」

 

「ヒッコー!」

 

ノゾミを見送り、レイカちゃんと2人になる。

私から話しかけようかと思ったら、向こうから話しかけてきた。

 

 

「へぇ~、あれがノゾミか。アニメで見た通りの人だったわね。えっと…アスカってさ。5日前に来たのよね?ユクシーに選ばれて。」

 

レイカちゃんが隣に座って、話しかけてきた。

ポッチャマ…アメルは地面に降ろされてユウのところに行き、二匹で話している。

雰囲気的に、久しぶり~!うん、久しぶりだね~!という感じに聞こえる。久しぶりに偶然会った旧友の会話かな…?

 

「うん、そうだよ。レイカちゃんは確か、9日前に来たんだよね?」

 

「えぇ、そうよ。エムリットにね。まさか、あなたとこんな形で会うことになるとは思ってなかったわ…。ったく、エムリットったら…。教えなさいよね!」

 

「そういえば…ユクシーも。エムリットたちに場所とか聞いてたみたいだけど。名前と性別以外は教えて貰えなかったって言ってたよ。何でも…私たちを驚かせたかったみたい。」

 

この事を聞いて、ユクシーって苦労してるんだろうなと思ったよ。

それがテレパシーで伝わったのか。ユクシーは溜め息を吐いて、えぇ、ホントに…。と哀愁漂よわせてたっけな…。

 

 

「あ~…、確かにあのエムリットならそうすると思うわ。えぇ、絶対!」

 

2人?の間に何かあったのかな、何か確信を持って言ってる気がするな。

 

「後、アグノムにも聞いてみたらしいけど。似たような事を言ってたみたいだよ。」

 

「あっ、そうそう。アグノムが連れてきたやつの事、聞いてない?エムリットが教えてくれないのよ!」

 

「え、聞いてないの?確か…11日前だったかな。一番早くこっちに呼ばれて来た人で、カイセイっていう男の子だって聞いたよ?」

 

「げ。男ぉ…?まぁ、みんな女子っていうのもね。…その人、どんな子かしら。イケメンだったらいいな~。」

 

レイカちゃんは手を前に組んで、ロゼ程…ではないけど。キラキラを発して、イケメンがいいな~と呟いている。

 

まあ、その気持ちは分からないわけじゃないんだけどね。顔が整っているのは、男女問わず目の保養になるし…。

っと、まぁ…イケメンかどうかはともかく。どんな人かは私も楽しみだな…。というか

 

 

「それにしても、エムリットは何で教えなかったのかな?私の事は聞いてたんでしょ?」

 

「あ~、何かね。エムリットとアグノムって仲悪いみたいなのよ。エムリットが言うには、アグノムが連れて来たやつだから、ロクなやつじゃないのに決まってる!って…アグノム関連の事を聞いたら、そんな事しか言わなくなるのよ。ホント困っちゃうわ…。」

 

…ホント、この世界の神様は大丈夫なのかな…。もしかして、他の地方もこんな感じなの…?何かデジャヴな不安を感じる中、気づけばノゾミの試合が始まっていた。

 

「あっ。もうノゾミの試合が始まってる。」

 

「そう言えばアスカ。ノゾミと一緒に居たわよね、友達?」

 

「うん、そうだよ。昨日、偶然会ってね。」

 

「ふ~ん。まっ、ノゾミとアスカには悪いけど。優勝は私が頂くから!」

 

「ポッチャア!」

 

レイカちゃんは随分と自信がある様で、胸を張って宣言していた。それはアメルにも聞こえていたのか、レイカちゃんと同じように胸を張っている。

ヒカリちゃんのポッチャマもよくそんな事をしていたから、ポッチャマという種族がそういうものなのかもしれないね。図鑑でもそんなのがあった気がする。

 

それを隣で見ていたユウは苦笑していたけど、見慣れてる様子だね。研究所のときも、こんな感じの事がよくあったのかな。

 

「ふふ。ノゾミは手強いよ?…まぁ、どっちも応援するけどね。」

 

「ま…まぁ、いいわ。そんなこと言っていられるのも今の内よ。私が優勝して、後悔しても知らないんだから!」

 

「(おお!そんなセリフを生で聞くことになるとは…。)その時はレイカちゃんをお祝いするよ。ノゾミもそうする筈だし。何より…2人共、私の友達だからね。」

 

「っ!…あ、あぁそう!その時が楽しみだわ!フン!」

 

お~、ツンデレだ。コリンクとは違って、分かりやすいツンデレだ。思わず心の中で感嘆をあげてしまう程に。

レイカちゃんは私の友達発言に顔を赤らめ、突き放すようなことを言いつつも、ちょっと嬉しそうである。

 

…フフフ。この子は弄りがいが…いや、カワイイ子だなと、ちょっと心の中で黒い発言が出そうになっていた時、圧倒的な実力でノゾミがバトルに勝利していた。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「そういえば、何で私にはちゃん付けで。ノゾミには付けないの?」

 

「ん~。むしろ、その逆かな。私、基本的に女の子にはちゃん付けで呼ぶようにしてるんだけど…。ノゾミはボーイッシュな格好してるから。何かちょっと合わない気がして…。」

 

「あ~、なるほどね。…それって、自分がそうだからなの?アスカも、ボーイッシュな格好してるし。」

 

「ん?いや。私は特に気にしないよ。ただ自分の中でそんな感じがしただけ。」

 

まあ。つまりは勝手に決めつけて呼んでるわけだけど…。あっ。相手が嫌がってたらやらないからね?

 

「あっ。ちなみにレイカちゃんはさ。どういう風に、ポケモンのニックネームを決めてるの?」

 

「あぁ、名前ね。私の名前が漢字表記で「麗華」っていうんだけど。「華」が付いてるでしょ?だから「華」つながりで。花のイメージに合わせて、名前を付けてるの。」

 

「へぇ~。いいね、それ。じゃあ「アメル」っていうのは?」

 

「アメル」って、花の名前ではないよね?お母さんの影響で華道をやってて、ある程度花の知識があるけど、聞いたことないし…。

 

「アメリカンブルーよ。それから文字を抜き取って「アメル」って名前にしたの。ブルーっていう名前が入ってるし、花言葉が「二人の絆」だから。初めてのパートナーポケモンにピッタリだと思ったのよね。」

 

「そうなんだ。うん、確かにピッタリだね。花言葉、詳しいんだ?」

 

「あ~、それは。ゲームやってた頃に調べて付けてた名前を使っただけよ。」

 

「あっ。それ、私と同じだ。…でも、その分問題もあって…。」

 

「アスカも?そうなのよね~。それで名前決めてたから…。」

 

 

「「名前つけたことないポケモンをゲットしたとき、どうしようかと思って…。」」




コレ、完全に作者の悩みです。ただでさえ、ネーミングセンスがないのに。
キャラの性格に合わせて考えないといけないので。

アスカ以外のキャラが持ってるポケモンの名前を決めるのが何気に難しいんですよ…。アスカの基準は、作者と同じなのでいいのですが。他の子が…。
考えるのは楽しいんですけどね。なかなか良いのが思い浮かばないんですよね。


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7話 優勝おめでとう

レイカちゃんと会って、ユクシーたちの事について話し合い、仲良くなって友達になった。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、スボミー(ロゼ)

コンテストバトルの描写…頑張ります!


「へぇ〜。彼女、随分トリッキーなバトルをするんだね。」

 

「うん。エスパータイプならではの魅せ方だね。ラルトスの能力かな。レイカちゃんの意思を感じ取って動いてる気がする。」

 

ノゾミの出番が終わり、レイカちゃんのコンテストバトルを一緒に見ていた。膝の上にいるロゼも相変わらずキラキラオーラ全快のご様子で…。

いやホント…ロゼの事どうしようかなぁ。コンテスト、ううむ…。

 

悩んでいる間に、どうやら決着が着いたようで、難なくレイカちゃんの勝利。デビュー戦とは思えない実力を発揮している。

 

「強力なライバル登場だったり?」

 

「ハハ、そうかもね。ますます楽しみになってきたよ。」

 

ふふ。嬉しそうなノゾミを見てたら、私も2人のバトルを見るのが楽しみだよ。

 

その後は、ロゼがここより観客席から見たいと言い出した(と思う)から。コンテストバトルが終わってからという事で、一旦別れることになった。

 

 

---

 

 

『いよいよきましたファイナルステージ!対戦者は…彼方、ノゾミさん!此方、レイカさん!』

 

 

ついにファイナルが始まる。ここまで2人のコンテストバトルを見てきたけど、ノゾミは勿論、レイカちゃんもスゴイ…。いったい、どんなバトルをしてくれるんだろうね…。

 

「制限時間、5分!参ります!」

 

「ニャルマー!Redy Go!」

 

「華麗に行きなさい!スミレ!」

 

モモアンさんの開始の合図によって、2人はポケモンを出し合う。先に動くのはどっちかな?

 

「先に行かせてもらうわよ!スミレ!「シャドーボール」!」

 

先に動いたのはレイカちゃんか。でもゴーストタイプの「シャドーボール」は、ノーマルタイプのニャルマーには効果がない。何をするつもりなのかな?

 

「「ねんりき」!」

 

「ラルッ!」

 

ドォンッ!

 

真っ直ぐニャルマーに向かっていた「シャドーボール」が、「ねんりき」によってニャルマーの目の前に落ち、その爆発でノゾミたちの視界を奪う。

なるほど、目くらましの為に使ったのか。

 

「なるほどね…。ニャルマー、ジャンプ!」

 

「ニャルッ!」

 

さすがノゾミ。素早い判断でニャルマーに指示を出して、煙を抜けた。しかもその際に、煙の動きがニャルマーの素早さとジャンプ力を魅せている。

でも…

 

「さすがね!でも、空中では身動きが取れないわよ!スミレ!「あやしいひかり」!」

 

クルリと回転し、指を鳴らして指示を出す。…ずっと見てたけど、アレはやらなきゃいけないのかな…。

他の指示のときも身体を動かしたりしてたし、癖なのかな?…ま、いいか。

 

 

スミレは瞬時にニャルマーの目の前に現れ、「あやしいひかり」で混乱にさせた。

「あやしいひかり」を頭のツノに集中させて、美しさとラルトスの特徴を上手くアピールしている。

 

あの瞬時に現れたのは多分、「テレポート」を使ったんだろうね。

指示はなかったけど、ラルトスはきもちポケモン。確か図鑑の説明で、頭のツノで人の気持ちをキャッチするとか書かれてたような…。

 

もしかしたら、レイカちゃんの考えを読み取っているのかもしれないな。

指示を出さなかったのは警戒されないため、というのも考えられるけど…

 

「「ねんりき」で叩き落としなさい!」

 

「ラルッ!」

 

ドォンッ!

 

「ッニャルマー!」

 

混乱か…これは痛いな…。それに「テレポート」も攻略しなきゃ、ノゾミは負けてしまうかもね…。ノゾミはどうするのかな?

 

「このまま押してくわよ!スミレ、「ねんりき」!」

 

「ニャルマー、「でんげきは」!」

 

「ニャルゥ、ニャルマァ〜。」

 

「ラ!?ラル゛ゥッ!」

 

「あっ、スミレ!」

 

ラルトスよりニャルマーの素早さが高いからかな。混乱してるのにも関わらず、ニャルマーの方が早かった。

混乱しながらも、ニャルマーは技を出すことに成功。

そして、「でんげきは」は必中技だから、ニャルマーが混乱中でも、真っ直ぐスミレに向かいダメージを受ける。

 

「ニャッ!ニャルゥ!」

 

「よしっ、混乱がとけた!」

 

ニャルマーの混乱がとけたみたいだね。

でも、今ので時間は半分を切った。ダメージはお互い同じぐらいだけど、ポイントはレイカちゃんの方が少しリードしてるみたいだし。

「テレポート」を攻略しない限り、さっきの二の舞いになるだろうからノゾミは厳しいね。

 

「ニャルマーいくよ!「シャドークロー」!」

 

「ニャルッ!ニャールッー!」

 

シャドークローで地面を抉るように掬い上げて、土を相手にかける。

 

これが昨日、教えてた戦法で。ユウの場合、「ひっかく」で相手に砂をかけて、怯ませる程度のものだったんだけどね。

…昨日も思ってたけど。「シャドークロー」でやってる分、すごい威力だな。

 

 

レイカちゃんは純粋に攻撃としてくると思ってたから、ビックリして指示が出せずに避けられなかったみたいだね。スミレは身体が小さい分、踏ん張るのに必死のようだね。

 

そしてニャルマーのパワーが上手く魅せることが出来、レイカちゃんのポイントを削って同点に持ってくる。

 

「ッ!スミレ、負けないで!「ねんりき」よ!」

 

レイカちゃんも負けじとスミレに指示を出し、反撃に出る。…だから、そのクルリからの指パッチンって…まぁ、いいや。

 

「きた!ニャルマー、後ろからくるよ!「アイアンテール」!」

 

「ニャルッ!ニャルゥーッ!」

 

「ラッ?!ラルッー!」

 

「えっ、嘘!?スミレ!」

 

?…ノゾミは、後ろからスミレがくることが分かってたみたいだね。どうして…いや、待てよ。もしかして…!

 

「アンタのバトル、ずっと見てたから気づいたよ。ラルトスが「テレポート」で後ろに回り込むとき、アンタは必ず指を鳴らして合図を出していた。」

 

ドキッ!「バ、バレてたのね…。」

 

やっぱりか。と言っても、私も今気づいたんだけど。

指パッチンで、「テレポート」を使って後ろに回り込むのを合図にするにも、それだけでは目立ってしまう。

だからあえて、他の指示のときもちょっと大袈裟に体を動かして、指パッチンの合図に気づかれないようにしてたんだ…。

 

「でも、それではこれは止められないわ!スミレ、「あやしいひかり」!」

 

「地面に向かって「シャドークロー」!」

 

「ニャルッ!」

 

ドォンッ!という大きな音を立てて、「シャドークロー」で土煙を上げてニャルマーの姿を隠す。

今回は相手にではなく、自分に目くらましを使ったんだね。

 

「っ!?でもこの土煙じゃ、そっちもこっちに攻撃出来ないわよ!」

 

「それはどうかな!今だ、ニャルマー!「でんげきは」!」

 

「あっ、しまっ…!」

 

ニャルマーの放った「でんげきは」によって、それを中心に土煙を吹き飛ばし、ニャルマーのパワーを表す。そして…

 

 

『ここでタイムアープッ!さあ、コトブキリボンを手にしたのは…ノゾミさんです!』

 

 

終わったか…。5分なんてあっという間だったなぁ。ま、とりあえず…

 

「ノゾミ、優勝おめでとう。レイカちゃんもデビューにしては、すごくいいスタートだったよ。」

 

観客席で一人、小声で2人に声を送った。小声だったから、観客の歓声にかき消されたけど、別にいいんだ。また後で、直接2人に言うつもりだから。

それでも今言ったのは、この事を早く言いたかった気持ちを抑えられなかったから…。

 

それぐらい、2人のコンテストバトルは、すごく良かったよ。本当におめでとう。

 

 

-ポケモンコンテストコトブキ大会は、ノゾミの優勝となり幕を閉じた。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「スミレって名前にしたのは、花言葉に『忠誠』って意味があるから?」

 

レイカちゃんと話し合っていた時、他にどのポケモンをゲットしているかという話題になり、ラルトス…スミレちゃんの名前の由来を聞いてみた。

 

「へぇ、よく知ってるわね。」

 

「華道をやってたから、多少ね。」

 

「そうなのね。でも、それだけじゃないのよ。他に『ひかえめ』『誠実』とかの意味もあるから、スミレにしたのよ。」

 

花の色によって、花言葉の意味が変わる場合もあるからね。だから複数の意味を持つ。

でもそうか。確かに、それらの意味を持っているなら。

スミレはピッタリな気がして、いいね。

 

 

 

…だと思いました。(by作者)




最初は、思ったよりこのコトブキ大会が長くなったので、このコンテストバトルをナシにしようかと思っていたのですが。
初回だし、レイカちゃんの紹介も兼ねて、書くことにしました。

次からは重要ではない限り、カットしていくつもりです。変に長くするつもりはありませんので。

ラルトス(スミレ)


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8話 嬉しいんだよ?

2次審査に進出した2人、ファイルで2人のコンテストバトルが繰り広げられ、結果ノゾミが優勝した。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、スボミー(ロゼ)

やっとコトブキシティから出れますね…。


「それでは改めて。ノゾミ!優勝おめでとう!」

 

「ありがとう。でも、大袈裟だなぁ。まだ2個目なのに。」

 

「アハハ、まあね。でもいいんだよ。めでたい事には変わりないし。」

 

それは私のポケモンたちも同じようで、ノゾミとノゾミのポケモンたちを祝っている。

 

…ハヤテ、祝ってから直ぐに食べるんじゃない。確かにキミ、ノゾミの特訓やコンテスト見てなかったけど!

そしてレオもだよ。ニャルマーたちに一言ぐらい言いなよ。特にキミは、ニャルマーに「アイアンテール」を教わっていたんだから尚更だよ?

 

2匹とも、ちょっとはロゼちゃんを見習いな。ロゼちゃんなんかものすごく興奮した状態で、ニャルマーたちにめいいっぱい祝ってるんだから。

…いや、これはこれでニャルマーたちが若干引いてるし、ユウがロゼちゃんを必死で宥めてるから…うん。3匹を足して3で割った感じが一番かな…あ、それユウだわ。

 

 

ポケモンコンテストが終わり、ノゾミが2個目のリボンをゲットすることが出来た。

お祝いも兼ねて、一緒に食べようかという事になり、今に至る。レイカちゃんも誘ったんだけど…

 

 

「行くわけないでしょ。帰ったら反省会するんだから。…今回はノゾミに譲ってあげるけど。次もこうはいかないんだから!アナタは私のライバルなんだからね!覚えてなさいよ!フンッ!」

 

という完璧な捨てゼリフを吐いて去って行った。…まぁ、何となく分かっていたし。よっぽど悔しかったんだろうな。今回の反省を活かして。もう次のパフォーマンスの事を一生懸命に考えてるみたいだったね。

 

「ふふ。レイカちゃんっておもしろい子だったね、ノゾミ。ライバルだって。」

 

「あぁ、そうだね。アタシも負けてられないよ。と、その前に…明日から「アイアンテール」の特訓、だね?」

 

「はい、よろしくお願いします。…あっ、ノゾミの旅に支障を出したくはないから、特訓の内容とかでも把握出来ればそれで良いかとも思ってるんだけど…。」

 

「う~ん、そうだなぁ。せっかく大都会であるコトブキにいるわけだから、揃えられるだけ準備しておきたいし。2、3日は付き合っていられるよ。」

 

「ありがとうノゾミ!レオ、頑張ろうね。」

 

「…ルゥ。」

 

相変わらず素っ気ない態度をとっているが。目がやる気だ。いつもよりギラギラと燃えているように思う。

…うん。睨んでない、睨んでない…たぶん。

 

 

---

 

 

「レオ!「アイアンテール」!」

 

「ルッグッ!」

 

ドコォーンッ!

 

「やったね、アスカ!たった2日でマスターするなんてスゴイよ!」

 

「ありがとうノゾミ。レオ、おめでとう!よくやったね。」ナデナデ

 

「…ルゥウ。」

 

特訓を重ねているうちに、2日目の午前中に1回成功し。念の為にと数回行った結果。どれも無事に成功、レオが「アイアンテール」を完全に習得したことが分かった。

 

レオも疲れてはいるようだけど、満更でもなさそうな顔をしている。本当にすごい…。まさかこんな短期間でイケるとは私も思ってなかった。

レオが頑張ってくれたおかげだね、本当にお疲れ様。

 

 

その後、レオをボールに戻し休ませて。ノゾミとショッピングに行く。

ユクシーから貰ったもの以外で、旅に必要な物などをノゾミに教えて貰った。ホント、ノゾミがいてくれて良かった。

 

その時にポケギアを買って、ノゾミと番号を交換した。そういえば、そんなものもあったね。レイカちゃんも持ってたら、しておきたかったな…。

 

ポケッチもキャンペーンで貰ったけど、通信などの機能はない。この世界では一般的に、ポケギアが通信手段として使われてるらしい。

多分、この何年後かにライブキャスターとかが普及されるようになる…のかな?

 

今日は「アイアンテール」習得とショッピングで終わったけど。

どれも必要な事であり、ノゾミの協力なしではここまですることは出来なかった。コトブキではこれで、もうすることはないかな。

…そういえば、買い物してる時に見覚えのある後ろ姿を見たような…まあ、いっか。

 

 

-翌朝-

 

 

「アスカ。アドバイスしてくれてありがとう。クロガネジム、応援してるよ。それじゃあ!」

 

「こっちこそ。「アイアンテール」を早く完成することが出来たし、他にもいろいろとありがとうね。また会おうね、ノゾミ!」

 

「スミッ!」

 

「ヒッコ!」

 

 

ノゾミと別れ、ロゼちゃんを抱えてユウは連れて歩き、旅を再開した。

目指すは一つ目のバッチがあるクロガネシティ。

 

…それにしても、コトブキではいろいろな出会いが会ったな…。仲間3匹と、友達が2人も出来た。しかもその内の1人は、同じ境遇の人物。

旅とは分からないものだなと思っていると、短パン小僧が勝負を仕掛けてきた。アレ?キミは…

 

 

「あっ!やっぱりアスカお姉ちゃんだ!アスカお姉ちゃん、久しぶり!またバトルしようぜ!」

 

やっぱりユウタくんだった。あれから1週間近く経ったんだっけ。日にちが過ぎるのは早いな…。

 

ユウもユウタくんの事を覚えていたようで、久しぶりーといった感じでユウタくんに話しかけている。ユウタくんの方も覚えてたようだね。

…ユウとユウタだと名前が似てて何か紛らわしいな…。

 

「スミッ!スミ、スミッ!」

 

「ロゼちゃんがいくの?いいよ、いってらっしゃい。」

 

ロゼちゃんはコンテストが終わってから、やけにバトルに出たがっていた。だから今日はロゼちゃんを出していたんだ。

まぁ、岩タイプジム攻略に草タイプのロゼちゃんは相性がいいし、レベルを上げるつもりだったからいいけど…。

 

 

「今度はスボミーが相手か!いけっ、ビッパ!」

 

「ビッパァ!」

 

おぉ!あのとき以来、ビッパとは戦ってなかったから逆に新鮮に感じる。そして、あの頃よりレベルが上がっているのを見ると、ちゃんと育てているようだね。

でも…負けるつもりはないよ?

 

 

 

-バトルが終わり-

 

 

「…いや、うん。嬉しいんだよ?嬉しいんだけど…何か負けた気が…。」

 

「ヒコッ?」

 

バトルに勝った後、ロゼちゃんがロゼリアに進化した。ロゼリアになるには朝・昼に十分に懐いてる状態でレベルアップすること。

つまり進化したということは懐いてくれたはずなんだけど…この様子だと。

 

「ロゼッ!ロゼ、ロゼ〜ッ!」

 

「おぉ~!オレ初めて進化見たー!」

 

ロゼちゃんが楽しそうに踊っている…それは一見、進化したことに喜んでいるのかと思うけど、そうじゃない。これはまるで…

 

 

「ポケモンコンテスト・・・(ボソッ)」

 

「ロゼ!ロゼロ〜!」

 

小さい声で呟いたにも関わらず、聞き逃さなかったらしいね。こっちを向いてあのキラキラオーラを飛ばしてる…。

 

実はコンテストが終わった後、ロゼちゃんのコンテストについては、親が子供に言う「大人になってから」というように。私もロゼちゃんに、「ロゼリアに進化してから」…と言ったんだよね…。

 

今になって思えば、何でそんな事言ったんだろうね…。どうせクロガネに着くまでにロゼリアに進化させようと思っていたのに。

これではまるで…ポケモンコンテストの為に進化したようなものじゃないか…!

 

 

「…はぁ。」

 

「ロ!?ロゼ!ロゼロ〜!」

 

ロゼちゃんはコンテストに出させてくれないと思ったのか、慌てて駆け寄り私を見上げて、ねぇねぇ!という感じで言ってくる。

 

「いや。やるよ?約束したしね。ただ…」

 

「ロゼ?」

 

「…まぁ、いいや。進化おめでとう、ロゼちゃん。」ナデナデ

 

「?…ロゼ!ロゼロゼ!」

 

「ヒコ、ヒッコー!」

 

「おめでとう、アスカお姉ちゃん!」

 

 

そう。ロゼちゃんがロゼリアに進化した。…何か被るな…まぁ、いいや。

手持ちのポケモンの初進化だもんね。喜ばないでどうするよ。進化した要因もアレだ…コンテストの為とはいえ、ある程度は私に懐いてくれていると思うことにしよう…うん、そうしよう!

 

その後、ユウタくんと別れ(今回はもう1匹いるので大丈夫とのこと)上機嫌なロゼちゃんとユウと歩いて、再びクロガネに向けて出発した。




コトブキシティに着いてから、ホントにいろいろありましたね。クロガネでジムを制覇した後も、またここに来ますが。
次はもうこんな長くはならないので大丈夫ですよ(笑)

という事で、次からはクロガネに向けてやっていきたいと思います。
次回をお楽しみに。


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9話 思わずボケを・・・。

レオが「アイアンテール」を習得し、ノゾミと一緒にいろいろ買い物し、ロゼちゃんがロゼリアに進化!
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


※ネタバレになってしまいますが、擬人化注意です


「・・・見知らぬ天井だ。」

 

 

部屋全体を簡単に見てみると、木で出来た作りになっていて。気づいたらそんな誰もいない部屋の中、私は一人ベッドに寝ていた。

ちなみに服はいつの間にか着替えられていて、私がいつも寝るときのラフな格好になっていた。

 

それにしても、こんなセリフを吐く機会がくるとは思ってなかったな…。ちょっとふざけた感じで言ったけど、ホントにどこだろな、ここ…。

私はそのままベッドで横たわった状態で、何があったか記憶を遡ってみることにした。

 

 

…えっと、確かユウとロゼちゃんと一緒にクロガネに向かってて…あ~。途中ですんごい豪雨にあったんだっけ?雷もなってた気がするな。

ユウたちはボールに戻して…そっからの記憶がないなぁ、どうしたんだっけ?

 

 

これ以上は覚えてないかな。と思い、次の行動をとるためにベッドからやっと起き上がると同時に、コンコンッとノックの音と「失礼します。」という女性の声が聞こえ、部屋に見知らぬ人が入ってきた。

 

「あっ。アスカさん起きたんですか!?は~、良かったですわぁ。あの、どこか怪我をしてるところはありませんか?気分が優れないとか…?」

 

「(怪我?)…どこも痛くないし、大丈夫だと思うよ。…ここは?」

 

「ここはクロガネゲート前にある山小屋ですわ。ちょうど私たちしかいないので、ほとんど貸し切り状態ですわね。って、そうですわ。アスカさん、朝食の準備が出来たそうなのですが。どうなさいますか?」

 

「そうなんだ。じゃあ頂こうかな、案内してくれる?」

 

「えぇ、勿論!こちらですわ。」

 

 

そう言って案内してくれるのは有難いんだけど。…誰なんだろうな、この人。

 

それにしても、キレイな人だなぁ。大人の女性って感じで、緑色の髪をした美人さんだね、うん。

…全く見覚えのない人…のはずなんだけど。何だろうな、この安心感は。

 

だからなのかな?普通に対応して、とりあえずもうちょっと様子みようとしちゃったんだよね。

 

 

「皆さん、アスカさんが目を覚ましましたよ!」

 

廊下を進んで突き当りにある扉を開けると、リビングのようなところになっていた。そこには人が2人いて。

 

一人は大人の男性かな?20歳ぐらいの灰色の髪をした人が、イスに座ってテーブルに置かれている料理を美味しそうに食べていた。

もう一人は…多分、体の大きさ的に16歳ぐらいかな。水色の髪をした男の人が、こちらに背を向けてソファに寝ころんでいた。

 

!…モグモグモグモグ、ゴックン!「おっ、やっと起きたのかアスカちゃん!いや~、良かったぜ。全然、元気そうだな!」

 

「アナタは元気すぎですのよ。それと、何でもう食べ始めてるんですか!アスカさんが起きてたら、一緒に食べましょうって言ってましたよね?」

 

「いいじゃんいいじゃん、ちょっとぐらい!アスカちゃんだったら、これぐらいじゃ怒らないだろうしさ!」

 

「アスカさんが怒らなくても、ワタクシが怒りますわよ!それにちょっとって言ったって…」

 

…何か勝手に2人で言い合い始めちゃったなぁ。とどこか他人事のように考えていると、さっき来たとことは別の扉が開き、そこから両手に追加の料理なのかな?お皿を持って、一人部屋に入ってきた。

 

年は今の私と同じぐらいだと思うから、10歳かな?のオレンジ色の髪をした少年が私に気づくと…

 

「あっ、良かった。どうやら無事みたいだね。朝食作ったんだけど、食べる?アスカ。」

 

「…うん、食べる。もしかして料理作ったのって…ユウ?」

 

何でなのかな。自然とユウの名前を口にしていた。でも、それと同時に納得している自分がいて。自然と顔が笑っているのを感じた。

 

「うん、そうだよ。実際に料理を作ったのは初めてだから、ホントに簡単なのしか作ってないんだけど…。研究所でいろんな人の手伝いをちょくちょくしてたから、それを真似て作ってみたんだ。」

 

「初めてで目玉焼きがそれだけ上手く焼けていたら十分だ「あぁー!」?どうしたのロゼちゃん?突然大声を出して。」

 

「…えっ。ワ、ワタクシがロゼだと分かるのですか?」

 

「あ~、うん。最初は分からなかったけどね。今、分かったから。」

 

「えっ。ロゼさん、説明してなかったんですか?」

 

うん。ロゼちゃん、どうやらやっと気づいたみたいだね。一様、今も驚いてるんだけど…

 

 

「初めてで料理がここまで出来るなんて。手先が器用だよね、ユウ。」

 

「「そっちなの(ですか)!?」」

 

「(おぉ、ダブルツッコミだ。)」

 

「…この姿のことだろ。」

 

「レオ、おはよう。まあ。それも含めて、昨日の事を聞きたいかな。…これでもパニックってるんだよ?だから思わずボケを…。」

 

「いやいや!何でそこにボケを入れるのさ!」

 

うん。いいツッコみだね、ユウ。…って、今は感心してる場合じゃないか。

そろそろ話を戻そう…

 

「とりあえず、念のために確認するね。ユウとロゼちゃん。そして、そっちのつり目がレオで。今もマイペースに食べている方がハヤテだね?」

 

「(…つり目。)」

 

「あっ!また勝手に食べているのですか、ハヤテ!」

 

「あぁ!ロゼちゃんも食ってみなよ、上手いぜ?」

 

「…ア、アナタはまた…「そうだね、冷めないうちに食べたほうがいいか。」っえ、いいんですの?アスカさん!」

 

「せっかくの料理が冷めちゃうからね。それに、レオも食べてるし。」

 

え、いつの間に!?と驚いているロゼちゃんを引っ張って、椅子に座らせる。

 

ロゼちゃん、そのマイペース2人にいちいちツッコんでたら、身が持たないよ?

ユウは苦笑しながらも、持っていたお皿を私とロゼちゃんの前に置いて座る。…何か慣れてるな。レイカちゃんのアメルに対してもそんな感じだったし、研究所でもこんな感じだったのかな。

 

朝食は、トースト・レタスとトマトとコーンのサラダ・目玉焼き、そしてこれは…モモンの実のジュースかな?ジューサーでもあったのかな。確かに簡単なものだけど、朝食として十分だし、何より美味しそうだね。それじゃあ…

 

「「「いただきます。」」」

 

話をする前に、まずは朝食を食べてからということで。…うん、ポケセンでも試しに飲んでみたことがあったけど。モモンの実のジュース美味しいね。

今度から、ユウに料理を教えようと思い、ちょうどいい感じに焼けているトーストを頬張った。

 

 

 

-おまけ①-

 

 

「あの、アスカさん。少し気になっていたことがありまして…。お聞きしても?」

 

「うん、いいよ。何かな?」

 

「どうしてアスカさんは。普段ワタクシの事をちゃん付けしていますのに、バトルの時は呼び捨てなのですか?」

 

あぁ、そういえば。私、バトルの時はちゃん付けしてなかったね…。

 

「特に意味はないけど…まあ、切り替えだね。そっちの方が、バトルに集中できる気がしてね。いやなら、どちらか止めようか?ロゼちゃんの方が年上だろうし。」

 

「あぁ、いえいえ。単に気になってただけですので、お気になさらないでください!後、アスカさんの好きなように呼んでくれて構いませんわ。」

 

「それじゃあ私の事も呼び捨てでいいんd「それはなりません!」…えっと、どうして?」

 

「だって、アスカさんはアスカさんですもの!」

 

…う、うん?そうなんだ。ん~、まあいっか。本人がそう言ってるんだし…。

 

ちょっとあのキラキラオーラを出して。顔を少し赤らめて、拳を自分の方にグッとしている姿(ぞいの構え)が可愛いなとか…そんなんで誤魔化されたわけじゃないからね?

 

 

 

-おまけ②-

 

 

「ユウってさ。研究所で手伝いをしてたって言ってたけど。具体的にどんな事を手伝ってたの?」

 

「え?あ、うん。少しだけだけどね。え~と、そうだな…。まず、朝ごはんの準備とその後片付け。洗濯物を干した後は、掃除の手伝いでしょ。そして、お昼ご飯も朝と同じ感じで。その後は助手さんの荷物運びとか、干した洗濯物を取り込むとか、書類整理の手伝いをして。その後はまたご飯の準備の手伝いをして。終わり…かな…?」

 

手伝いって、何だっけ…?ていうか今のユウならともかく、ポケモンの姿でやってると考えると…。

いや、アニメでもニューラやバリヤードが料理とか作ったり、サトシのママさんのバリヤードなんか普通に家事の手伝いを一通りこなしてる感じだったし。この世界ではそんなもの…なのかな?

 

ていうか、ユウ。それはもう…

 

「手伝いって…普通に家事全般こなしてるじゃん。もうそれ、主夫レベルだよ。」

 

「え、主夫!?そ、そんなことないよ!ご飯の準備といっても、簡単なもので。混ぜたり、切ったり、焼いたりするぐらいだし…!」

 

「いやいや、十分だよ。料理苦手な人は、それすら出来ないからね?」

 

「くっ、負けましたわ…!女子力というものに!」

 

「いや!僕、男だから!女子力?なんてないから!」

 

大丈夫だよ、ロゼ。ロゼは野生のポケモンで、家事とかやる機会がなかったから仕方ないじゃないか。むしろそれは…私の方だよ…。

 

パートナーポケモン(しかも男)の女子力に、敗北したアスカで…あった。

 

「(…なにコレ?)」

 

「(フッハハハ…!ヤベ、コイツらおもしれっ!)」




はい、やっと擬人化しましたね。
個人的に、10話までにコレが出せて良かったです。

一様、注意書きを小説情報やプロローグの方に、書いていましたが。
念のためにと思い、前書きの方にも書くことにしました。軽くネタバレになってしまい、申し訳ありません。

これからはちょいちょい擬人化したユウたちを書いていくつもりですので。
よろしくお願いします。


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10話 返してくれる?

見知らぬ天井を見た後、ユウたちが突然擬人化していて、話し合う前に朝食を食べることになった。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)



「つまり気づいたときには、その姿になっていたって事?」

 

朝食を食べ終わり、山小屋に置かれていた借り物の食器や調理器具などをキチンと片付けてから。またテーブルを囲んで座り、昨日の事について話し合っていた。

 

みんなから聞いた昨日の出来事を整理すると…。

 

 

まず、ものすごい豪雨が降ってきて、私は雨宿りが出来そうなところまで走っていた。あともう少しでこの山小屋があるということは、マップや道中に建てられていた看板にも書かれていたので、そこまで行くつもりで走っていた。

そう。ここまでは覚えている。問題はこの後だ…

 

その走っている途中で雷が近くの木に落ち、その木が私の方に倒れてきたらしい。でも私はその下敷きにならなかった。

そうなる前に、危険を察知したレオが勝手にボールから出てきて「たいあたり」で私を突き飛ばしてくれたおかげで、大丈夫だったらしい。

 

それでも私は気絶してしまい(雷が近くに落ちてきた影響か、レオの「たいあたり」かは不明)、レオに続いて他のみんなも出てきた。

 

ハヤテが山小屋までの道のりを空から見てみんなを誘導し。他の子たちはいつの間にか人型になって、3人の中で力があるレオが私を背負い、ユウはこれ以上みんなが濡れないようにそこら辺に自生していた葉を傘代わりにさし、ロゼが私の荷物を濡れないように持って山小屋まで走っていったらしい。

 

 

それから山小屋に着いて。ロゼが私の服を取ってシャワーで泥を取り、冷えた身体を温めてからタオルで拭き取り、今のラフな格好に着替えさせている間に、ユウたちは備え付けられていたまきを使って暖炉を取ったり、山小屋内に他にポケモンや人がいないか見回ったり、私が寝れるようにベッドを整えていたとの事。

 

そして着替えさせられた後に、近くで見回っていたレオが寝室まで運んで寝かして。みんなも1人ずつシャワーを浴びてからタオルで拭き取った後、一旦ポケモンの姿に戻って私が寝ているベッドの上で寝ていたらしい。

 

 

「…うん、そうだね。とりあえず、みんなありがとう。おかげで助かったよ。心配かけてゴメンね」

 

みんなにお礼を言うと、みんなそれぞれ無事でよかったとかの言葉をもらう。…ちょっとうるってきそうだよ。絶対泣かないけど。

 

でも結局は、何でみんなが人型になったのかは分からずじまいだったな。

みんなの話を聞く限り、元から人型になれたわけではないみたいだし。何か原因があるのは間違いないはずなんだけどね。

 

「…まあ。悪いことではないし、いっか。」

 

「いいんだ!?い、いやまあ。確かに悪いことではないけど…。」

 

「アスカさんは、そういうところがありますわよね…。」

 

「ハハハ!そうだな。そういうところ、アスカちゃんらしいわ。」

 

「…。」コクンッ

 

「…何かひどいね、キミたち。(さっき、うるっときたの返してくれる?)」

 

 

その後、クロガネゲートが短くて、抜けた先に直ぐクロガネシティがあることがマップで分かっていた為。お昼に間に合わせようと準備をして直ぐに出発した。

 

 

---

 

 

「お~。ホントに短かったね、クロガネゲート。」

 

『うん。これならお昼に間に合うね。』

 

『…。』

 

私とユウとレオはクロガネゲートを抜け、ポケモンセンターに向かった。(2匹ともポケモンの姿に戻っている)

 

後、ユウたちがポケモンの姿になっていても、言ってることが分かるようになっていた。

でも野生のポケモンたちの声は、普通の鳴き声にしか聞こえなかったのを考えると。ユウたちの言葉しか分からないんだろうね。

まあ。それはまた会った時にユクシーに聞いてみるとして、今はポケセンに行こうか。

 

ポケセンに行って宿を取り、お昼まで時間があったので。ポケモンたちを回復させている間にショップで補充を行い、それらが終わった後にポケセンの食堂でポケモンたちと一緒に食べる。

 

「(う~ん、午後からはどうしようかな…。ジムに行って、誰か挑戦者がいれば見学とか出来るけど。いなければ北の方にあった草むらでレベル上げか炭鉱付近で技を磨くか…。あっ、炭鉱って言うだけあって硬そうだし、技の練習場としていいかもしれないな…。)」

 

お昼を食べながら、今日の予定を考え上げ。ポケモンたちに伝え、ハヤテを出してジムに向かう。

 

 

---

 

 

「…ハヤテはそこ好きだよね。」

 

『ああ!巣の感じがしてちょうどいいんだ!』

 

「あぁ…そうなの。」

 

ハヤテを出すと、決まって私の頭の上(正確には、キャスケットの上)に乗る。やっぱり、鳥の巣代わりにしてたみたいだね。

言葉が通じても、それが必ずしもいいものじゃないという事が分かったよ…うん。

 

ジムに入り、受付の人に聞いたところ。今日のジム戦は終わったとのこと。

予約はせず、炭鉱にでも行こうかと思っていたら、挑戦者かな…人が入ってきた。

 

「おぉー!コレがジムか~!…あっ。ジム戦お願いしま~す!」

 

「はい、じゃあ予約するから。トレーナーカードを出してくれるかな?明日の昼からなら、ジム戦出来るよ。」

 

「えー!今日出来ねーの!?」

 

「悪いね、ジムによるけど。うちは基本、予約制なんだ。明日の朝は炭鉱で忙しいみたいだから、昼からいけるよ。」

 

随分、元気のいい男の子だな。年は10歳ぐらいかな。

それと、へぇ~。ジムによって違うんだ。それはアレかな。ジムリーダーの性格によって、結構違ったりするのかな。

 

「ちぇ~、せっかくバトルが出来ると思ったのに。まっ、仕方ないか。なぁ、お前も挑戦者なのか?だったら、オレとバトルしようぜ!」

 

「(いきなりバトルか。まあトレーナーだし、いいけど。)うん、いいよ。でもその前に、予約を済ましておいたら?私はアスカ、よろしくね。この子はハヤテ。」

 

『よろしくなー!』

 

「おっと。忘れるとこだったぜ、サンキュー!オレはカイセイ!よろしくな!」

 

…キミがカイセイかよ!と思わず心の中でツッコんでしまった。そういえばそうだった。すっかりキミの事、忘れてたよ。

それに、この世界に1番早く来たから。もうココはクリアしてるものかと…しかもジム戦初めてみたいだし。いったい今まで何してたのキミ…?

 

「はい、これで予約は完了したよ。明日のジム戦、頑張ってね。」

 

「おう!絶対バッチ、ゲットしてやるぜ!んじゃあ行こうぜ、アスカ!」

 

予約を済ましたみたいだね。

私はカイセイと一緒にポケセンに行き、裏手にあるバトルフィールドでポケモンバトルをすることになった。

 

「悪いけど。ルールは使用ポケモンが2体、どちらかが先に2体倒した方の勝ち。道具なしのシングルバトルでいいかな?先攻、後攻はポケッチアプリのコイントスで決める。」

 

「あぁ、それでいいぜ!オレ表な!」

 

「じゃあ、私は裏で。…表、キミが先攻だよ。」

 

「よっしゃ!いけ、クロウ!」

 

「ヤミィッ!」

 

「ハヤテ、お願い。」

 

『オッケー、アスカちゃん!』

 

カイセイはヤミカラスのクロウ、こっちはハヤテ。お互いひこうタイプ同士の対決か。

こっちの世界で1番に来たカイセイが、どんな子なのか知っておきたいし、バトルを受けたけど。さて、どうなるかな…。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「ところでさ。みんなが人型になれるようになったことで、こうして人間の料理も食べれるようになったわけだけど…。これからもこっちの方がいい?それともポケモンフーズ?」

 

「ん~。俺は美味ければどっちでもいいぜ~!あっ。でもポケモンフーズは毎回、同じ味だし。定期的に料理の方も食いたいかな!」

 

「ハヤテはワガママですわね。…ワタクシはどちらでも構いませんわ。アスカさんのお好きなようにしてくださいませ。」

 

「僕も、アスカの好きなようにしてくれればいいと思うけど。…他に、いろんな料理を作ってみたいし。たまには食べたい…かな。アスカの料理の手伝いが出来ればと思ってるよ。」

 

「…どっちでも構わない。」

 

ん~。結構、似たり寄ったりな意見だね。思ったより、みんなそこまで気にしてないみたいだし。ハヤテとユウがたまに食べたいっていうぐらいか。

私に気を遣ってるのかな。それなら…

 

「ポケセンとか周りに人がいるところではポケモンフーズで。周りに人がいない時、外とかで食べるときは料理にしようか。ポケモンフーズの時の方が多いかもだけど。定期的に料理を食べれると思うから。」

 

「おっ。いいね、それ賛成!」

 

「ワタクシもそれでいいかと思いますわ。」

 

「うん。それならアスカの手伝いもいけそうだし。それでいいんじゃないのかな。」

 

「…。」コクンッ

 

よし。とりあえず、これで決定って事で…。あっ、こうして聞けるうちに味の好みも聞いておくか。

 

「それじゃあ、みんなの好きな味は何かな?」

 

「俺、激辛!」

 

「ワタクシは渋いのが好きですわ。」

 

「僕は…どの味も好きかな。」

 

…さっきと違って、バラバラだなぁ。まあ、味の好みは人それぞれだし。

それと、これってゲームにあった性格と好みが一致してる…って事だよね?

私ポフィンとかは、ヒンバスの進化の時とかたまに何となくあげるときにしかやったことないから、そこら辺うる覚えだなぁ。

まあ…比較的、分かりやすくて助かるかな。

 

「レオは?やっぱり、辛い味?」

 

「…甘い…味。(ボソッ)」プイッ

 

 

…ゴハッ…!くっ…か、かわ…可愛すぎかよ、チクショウ!

顔がクール系でつり目なのに、何でいちいち可愛いのこの子は!!

何ちょっと顔を赤らめて恥ずかしそうに顔そむけてるの!?可愛過ぎるでしょ!!

 

レオの意外な可愛らしい一面を見てにやけそうな顔を必死で抑えた後、準備をしてクロガネへ向かったのであった。




やっと10話ですね。

話せるようになって、ユウたちのキャラクターがより分かりやすくなって嬉しいです。しかしその分、セリフが多くなるのも困りものですね。
台詞式にならないよう気をつけていきたいと思います。


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11話 それはフラグというんだよ。

山小屋で昨日の事に着いて話し合った後、ジム戦見学しに行ったらカイセイに出会い、バトルをすることに。
という前回のあらすじ

ヒコザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)

ヤミカラス(クロウ)


「いくぜ、クロウ!「つつく」だ!」

 

「ハヤテ、「なきごえ」!」

 

ムックルの甲高い声がクロウに向けられているにも関わらず、辺り一帯を響かせる。

クロウは少し怯みスピードが落ちていながらも、ムックルに突撃してくる。

 

「「でんこうせっか」でかわして!」

 

素早くかわした後、もう一度「なきごえ」で相手の攻撃力を下げていく。これはユウから始め、レオにもしておくように指示している。

 

「また「なきごえ」かよ!そっちがその気なら。クロウ、「あやしいひかり」だ!」

 

「「でんこうせっか」!」

 

ハヤテは「あやしいひかり」を出される前に、何とか「でんこうせっか」を当てることに成功した。

・・・アレ?そういえば、ヤミカラスって「あやしいひかり」使えたっけ?(※タマゴ技です)

 

「頑張れ、クロウ!「あやしいひかり」だ!」

 

「ッ…ヤミィイ!」

 

『げッ!?うっ、クラクラする~…。』

 

「っ当たったか…。」

 

クロウが即座に立て直し、ハヤテが離れる前に至近距離で「あやしいひかり」に当てられ、混乱してしまった。

 

「今だ、クロウ!「おいうち」!」

 

「ハヤテ!早く混乱を治して、ハヤテ!」

 

無茶な命令だって分かってるけど。混乱状態では基本、ゴリ押すしか方法がない。

攻撃力を2段階下げているとはいえ、クロウが足でハヤテを掴んで連続で攻撃している間、ずっとダメージを受け続けている。早く混乱を解いてもらうしかない…。

 

『クラクラ~…ハッ!くっ、離せコノヤロー!』

 

「ヤミッ!?」

 

よしっ!混乱が解けてクロウを離した。

体力はどちらも同じぐらいかな、また混乱になったらお終いかもね…。っ!今ならアレが…。

 

「もう解けたのか。ならもう一回、「あやしいひかり」だ!」

 

「ヤミィッ!」

 

「ハヤテ、上に向かって!」

 

「逃がすか!いけっ、クロウ!」

 

クロウがカイセイの指示に従い、追撃しようと上を向くが。

太陽の光が眩しくてハヤテを見失い、その隙にハヤテがクロウの後ろへ急降下。その勢いを利用して、「つばさでうつ」でクロウを地面に叩き落とし、クロウは戦闘不能となった。

 

これは空を飛べるハヤテだからこそ、いつでも相手の上をとれるために考えた戦術の1つだ。正し、天候条件が必須であるため、練習する時とかが限られてるけど、上手く出来て良かった…。

ちなみに元案はサトシがやってた…と思う。何か他にもやってた人がいた気がするけどね。

 

カイセイは悔しそうにしていたけど、直ぐに立ち直ってクロウにお疲れの言葉をかけてボールに戻す。

 

「くっそ~…次は絶対に勝つ!いけっ、ダイト!」

 

「ハンガッ!」

 

「ひこうタイプのハヤテに対して、草タイプのハヤシガメで挑むの?」

 

「へっ、そんなの関係ないさ!最後はコイツ(相棒)にするって決めてるんだ!」

 

「ふふ、なるほどね。でも悪いけど、ハヤテは一旦お休みだよ。お疲れ様、よく頑張ってくれたね。」

 

『悪いね、アスカちゃん。』

 

うん。やっぱり大分と疲れているようだね。声がいつもより元気がない。…と言っても、ハヤテを出さずに決着つけるつもりだけどね。

それじゃあ…こっちも相棒を出すとしますか!

 

「お願い、ユウ。」

 

『うん、任せて!』

 

「おぉ!アスカ、ヒコザル持ってたのか!」

 

「ナナカマド博士から貰ってね。」

 

ユウとダイトがお互いを認識すると、やっぱり知り合いらしく、2匹とも嬉しそうにしている。

 

「ダイト!知り合いだからって手加減すんなよ!バトルはいつも、本気と本気のぶつかり合いだからな!」

 

「ハンガァ!」

 

あっちは気合充分。図鑑で見ると、やはりと言うべきか、進化してるだけあってLv18。それに対してこっちはLv13。相性や素早さが勝っているものの油断大敵だね。

 

「それじゃあ今度は、こっちからいかせてもらうよ。ユウ、「ちょうはつ」!」

 

「えっ。「ちょうはつ」って確か…あっ、しまった!これじゃ、「のろい」が使えねぇ!」

 

気づいたようだけど、もう遅い。ユウのぎこちない「ちょうはつ」が成功した。

…ゴメンね、ユウ。この技苦手だっていうのは分かってるんだけど、まだ使うつもりつもりなんだ…。

 

「仕方ねぇか、こうなったらひたすら「はっぱカッター」だ!」

 

「ハッガ!」

 

「「ひのこ」で打ち消して!」

 

『分かった!』

 

「ひのこ」で打ち消そうとしたけど、レベル差の影響かな。拮抗していたものの、後少しのところで押し負けてしまった。でもこっちの素早さが上だったおかげで、直ぐにかわしてダメージを受けずに済んだ。

 

「よしっ!このままドンドンいくぜ!「はっぱカッター」!」

 

「ハッガ!」

 

「ユウ!地面に向かって「みだれひっかき」!」

 

『アレだね、分かったよ!』

 

これは前に言ってた、ノゾミのニャルマーに教えていた戦術で。これを何回も行ったからなのか、本来このレベルでは覚えない技を使えるようになっていた。

「みだれひっかき」で土煙ができ、そこに「はっぱカッター」が襲いかかるが。私の合図で右に行き、すかさず「ひのこ」を隙のあるダイトに打っていく。

 

「ハガッ!?ハッガァ!」

 

「ダイトっ、頑張れ!もう一回、「はっぱカッター」だ!」

 

「ガァ…ハンガッ!」

 

まだ威力の低い技とはいえ、特殊の効果抜群の技であり、防御より特防の方が低いダイトにとっては、かなりのダメージを受けてるみたいだね、これなら…。

 

「ユウ、「ひのこ」!」

 

「へっ!それならまた…何っ!?」

 

「ハッ…ガァ!」

 

先程と同じ展開になると思ったんだろうね。

でもそれは、僅差で勝てただけであり、お互いに体力満タンの状態だった。でも今は、大ダメージを受けたダイトと体力満タンのユウ。

今なら、「ひのこ」で「はっぱカッター」を打ち消せる。そう、今なら…

 

「ガッ、ガァ…ハッガァ!」

 

「おぉー!やったぜ、しんりょくだー!」

 

「…さすがに、今のでは倒れないよね。やっぱり、こうなったか…。」

 

しんりょくが発動したことにより、また「ひのこ」が押し負けてしまった。でもすかさずかわしたことにより、ユウはダメージを受けてない。

 

ユウが息を整えて大丈夫だよと言っているが。ダメージを受けていないとはいえ、さすがに疲れてきたようで。呼吸が浅くなってきている。

 

この状態では、下手すれば強化された「はっぱカッター」で沈んでしまうかもしれないな。

またギリギリのところで躱して攻撃するのもアリだけど。2度も同じ手が通用するとは限らないし。

似たような手だけど、動揺を誘うことが出来るだろうし、アレでいこう。

 

「いくぜ、ダイト!「はっぱカッター」だ!」

 

「ハッガァア!」

 

「ユウ!地面に向かって「みだれひっかき」!」

 

「またコレか!範囲を広くするんだ!」

 

もう一度、みだれひっかきで土煙を作り、ユウの姿を見えなくする。その土煙全体に向けて、はっぱカッターが容赦なく襲いかかる。

 

「よしっ!やったか!?」

 

「それはフラグというんだよ。ユウ、「ひのこ」!」

 

「えっ?って、あぁ!ダイト!」

 

土煙が晴れたところには、ユウが地面にうつ伏せになって、頭を上げて技を出していた。

これはこの戦術を使った作戦の一つであり、こうして2回使うことで油断を誘ったのだ。

勿論。体力が少なくて遅いダイトが、避けられるはずもなく、力なく倒れた。

 

「やったね、ユウ。よく頑張ったね。」

 

『うん!作戦成功だね!』

 

その時、ユウが突然光り出した。…進化の光だ。

 

レベル的に、もうそろそろだと思っていたから出したわけだけど。

…もう肩に乗せられないなとちょっぴり悲しくもある。でもやっぱり…

 

1番のパートナーが進化したのは、ものすごく嬉しい!!

 

「おめでとう、ユウ!」

 

嬉しい気持ちのままに、ユウを抱き締める。ユウも喜んで抱き締め返してくれた。

2人で喜んでいると。カイセイがダイトをボールに戻して、こっちに近づいてきた。

 

…そういえば、バトルが終わった事すっかり忘れてた…。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「う~ん…。」

 

『どうしたんだ、アスカちゃん?』

 

カイセイと一緒にポケセンへ向かう途中。

私を心配したハヤテが肩に移動して、カイセイに気づかれないようにこっそりと尋ねてきた。

 

今、私はカイセイの少し後ろを歩いており、カイセイはバトルの事に夢中なのか、上機嫌な様子で、こちらに気づいていない。

 

「うん。もしカイセイも私と一緒で、こっちに送り込まれた人だったら。ハヤテたちが擬人化できることを話した方がいいのかなと思ってね。もしかしたら、それと関係があるかもしれないし…。」(小声)

 

『あぁ、それな。初日に聞かされた時、さすがに驚いたけど…。何かそういうのワクワクするから、アスカちゃんの仲間になってラッキー♪って思ったぜ。』(小声)

 

そんな風に思ってたのかよ…。

 

あっ、そうそう。ハヤテたちには事前に、私の事について話しているよ。

ハヤテたちを仲間に加えた日の夜に、ユウも含めて話してなかったと気づいて。晩ご飯を食べ終わった後に、部屋でその事をみんなに伝えたんだ。

 

最初、ご飯を食べた後という事もあり、眠たそうにしていたハヤテが聞き終わった後に若干、目を輝かせてたのはそういう事だったのか…。

ユウとロゼちゃんは理解した後、私に大丈夫だよって感じで話しかけてくれてたな。

…あぁ。レオもハヤテと似てるかもね。話を聞いた後、不敵な笑みを浮かべて何か楽しそうにしてたな…。悪役の顔かな、アレは?

 

『で。アイツに教えるのか?』

 

「ん?あぁ…そうだn…いや、まだいいかな。」(小声)

 

『?…それは…アイツがまだ信用できないとか。そんな感じの理由か?』

 

「いや…そうした方が、驚いた反応が聞けるでしょ?」(小声)

 

『(わぁ…アスカちゃん、悪い顔してるなー…。)』

 

黒い笑顔を浮かべたアスカと、それに珍しく顔を引きつっているハヤテを、カイセイが気づくことはなかった。




カイセイくんとのバトルに勝利しました。と言っても、今回はそこまで苦戦していませんでしたが。
まあ、カイセイのバトルとユウの進化を見せたかったので、それで十分です。

おまけが長くなった…。ていうかコレをおまけにしていいのか…いっか。(おい)

ハヤシガメ(ダイト)


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12話 運も実力の内

ヤミカラス(クロウ)を倒し、ユウがモウカザルに進化し、カイセイとの勝負に勝利。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)

ハヤシガメ(ダイト)、ヤミカラス(クロウ)

今更ですが。
ユウたちがポケモンの姿の状態で喋るなら『』で、擬人化の状態で喋るなら「」で表現しています。


「えー!お前もアグノムたちに連れられてきたのか!?」

 

バトル後、ポケセンでポケモンたちを回復させている間に、待合室でユクシーたちの事について話し合っていた。

 

この様子だと、アグノムは私たちの事を全く話さなかったのかな…。

大声で驚くカイセイを注意して、その事について聞いてみる。

 

「ん~…。あっ!そういえば、他にも2人くるとか何とか言ってたっけ。アレってアスカたちの事か!」

 

…うん。単に忘れていただけの様だね。いろいろと先行きは不安だけど。あっ、そうだ。

 

「カイセイはポケギア持ってるの?これからの事もあるし、連絡出来るようにしておきたいんだよね。」

 

「あぁ、なるほど!アスカって頭いいな~。それなら持ってるぜ!旅してる時に友達になったやつが、買っといた方がいいって教えてくれたんだ!」

 

ナイス友達!手間が省けてすごく助かるよ。

 

さっそく番号の交換をして。レイカちゃんの特徴を話し、どちらかがレイカちゃんと会えば、番号を交換して教え合おうということにした。

そして私はカイセイに、ずっと気になっていた事を聞いてみた。

 

「ねぇ、カイセイ。何で1番早くに来たキミが、こんな所にいるの?てっきり、もう先に進んでるのかと思ってたけど…。」

 

まだ会って数時間の付き合いだけど、カイセイの性格からして。レベルはあまり気にせず、ガンガン進んでいくタイプかと思ったんだけどな…。

でも、ダイトたちのレベルを考えるに、もしかしたら何処かで鍛えてた…のかな?

 

「あ~、それな!実はオレ、途中で道間違えちゃってさ!ここまで来るのに苦労したぜ!」

 

…うん。全然違った。…まぁ、その可能性もあるにはあったけど…そうであって欲しくなかった。先行きが心配だよ…すごく。

 

「何処から道に迷ってたの?コトブキ出てから?」

 

「えっと…研究所出て始めに入る草むらから!」

 

最初っからかよ…。

ジト目になりそうだったけど、何とかこらえて理由を聞いてみる。

 

「…何で迷ってたの?」

 

「あぁ、実はさ!道路に行こうとしたら、草むらの向こうにピカチュウがいるのを見つけてさ!そんで追っかけて行ったんだ!」

 

「あんなところにピカチュウが?」

 

ここはゲームの世界ではないことは分かっているけど、どうしてもゲーム基準でしまうな。

でもピカチュウは比較的、珍しい種類だと思うし。いるとしたら、アニメでやってた「ピカチュウの森」みたいに、もっと深い森にいるのかと思ってた。

 

「あぁ、オレもビックリしてさ!直ぐに追いかけて何とか捕まえたんだ!オレ、ピカチュウ大好きだからぜってー捕まえようと思ってたんだ!」

 

「それで…迷ったってわけ?」

 

「そう、迷った!」

 

…うん。カイセイの性格が読めてきた。そして、この子を選んだアグノムと、その犬猿の中であるエムリット…これは…うん。ユクシー、大変だな…。

 

「でな!6日、迷ったおかげでさ!チヒロに会えたんだ!あっ、さっき言ってた友達な!そいつがコトブキまで道案内してくれたんだよ!その後もクロガネに行くまでいろいろと迷っちまったんだけど、電話でチヒロに案内されながら、こうして無事に辿り着けたってわけ!」

 

2回も迷ったのか。しかし、よく6日も無事だったな…そして、チヒロちゃんGood job!

なるほど。その子のおかげでカイセイが此処にこれたわけだ。名前しか知らないけど、ありがとう!チヒロちゃん。

 

…聞いてみると。迷ってる間、アグノムの用意した野宿セットと、きのみがいっぱい実っているところにいたおかげで食料難にならず、チヒロちゃんはよくそこのきのみを取りに森の奥地へと足を運んでいたから、森に慣れていたとか。

 

「んでさ。そいつも旅に出かける準備してるとこだったみたいでさ!そのときポケギアとか、いろいろ教わったんだ!」

 

うん…チヒロちゃんが居て良かった…。

名前しか知らない相手に感謝をして、その子について少し聞いてみる。

 

「その子もリーグに挑戦するの?」

 

「あ~、アイツ。バトルよりコンテストの方が好きみたいでさ。それで、コンテスト巡りをしつつ、ブリーダーの勉強するって言ってたぜ!」

 

そうか。チヒロちゃんとバトル出来そうにないのは残念だけど…ブリーダーか。私も興味があるな。

今度、ブリーダーの本とかあったら買ってみようかな。買うとしたら、都会のコトブキがいいかもしれないね。

 

今後のちょっとした予定を考えていると、ジョーイさんからの回復が完了致しましたとのアナウンスが流れてきて、カイセイと一緒にポケモンたちを迎えに行く。

 

 

---

 

 

「ズカイドス、戦闘不能!ハヤシガメの勝ち!よって勝者、マサラタウンのカイセイ!」

 

…かなりギリギリのバトルで見てるこっちまでハラハラしてたけど。何とか勝てたみたいだね。でも、すごく熱いバトルで面白かったなぁ。

 

…手持ちポケモンがダイト・クロウ・ボルト(ピカチュウ)しかいなくて。クロウとかどう戦うんだろうと思ってたけど、運も味方してたおかげで、勝ててよかったよ。

まさか「あやしいひかり」とせいでんきのまひがあそこまで作用するとは…。本人としては結構ガンガン攻めるタイプだけど。何気に対戦とかで嫌がられる戦い方をしてるな。

 

あっ、ちなみに私はそういった知識はあるけど、基本エンジョイ勢です。

 

 

『アハハ、スゲェなアイツ!勝っちゃったよ!』

 

「だね。まぁ、運も実力の内って言うし。私たちも頑張らないとね。」

 

『おう!今回はアスカちゃんたちの応援に専念するわ。』

 

「悪いね、ハヤテ。次のジムには出してあげるから。」

 

さてと。そろそろハヤテを連れて観客席から、カイセイたちの所に行こうか。ちょうど、ジムバッチを受け取るところみたいだね。

 

 

「おっ。見ろよ、アスカ!ジムバッチだぜ、ジムバッチ!あっ、こういう時はアレだな。コホンッ…ジムバッチ、ゲットだぜ!」

 

「(ピッ、ピカチュウ!)」

 

うん、そうだね。いちよう心の中で合の手を入れるぐらい、私もそう思うよ。私もやるかどうかは別として…ね。

 

「カイセイくん、ジムバッチもそうだけど。この技マシンも受け取ってくれないかな?」

 

「あっ。そういや、そんなのもあったな。」

 

ジムリーダーのヒョウタさんが、審判の人から技マシンを受け取って、それをカイセイに渡していた。

 

ユクシーの知識から得たものによると。この世界での技マシンは、ブラック・ホワイトから今のと同じで、何回も使用可能とのこと。

そうなると、他のもいろいろとゲットしておきたいな。

 

「君は…アスカちゃん、だったかな?君は挑戦しないのかい?と言っても、今日はポケモンたちを休ませないとだから、明日以降になるけどね。」

 

「もちろん、挑戦しますよ。ただいろいろと作戦を立てておきたいので。バトルは…3日後でお願いします!」

 

「3日後だね、分かった。君の挑戦を楽しみに待っているよ。」

 

そう。カイセイのバトルを見てたのも、その対策を練るため。

それとユウがまだモウカザルになったばかりで、覚えたての「マッハパンチ」の練習とかもしておきたかったしね。

 

 

---

 

 

「何だ、明日バトルすんじゃねえのか。」

 

「うん…まぁね。カイセイはどうするの?もう行く?」

 

「あぁ!クロガネゲートを抜けるのは簡単だし。ダイトたちも回復したし、今日は山小屋に泊まろうと思ってるんだ!」

 

「次はハクタイジムだね。…もう迷ったりしないでよ?後、シナリオの事もあるんだから…。」

 

「シナリオ?…あっ、すっかり忘れてた!そうだよな!俺たちそれもやんなきゃいけねぇんだった!」

 

…言っといて良かった。不安であることに変わりないけど…。

 

「じゃあ、俺そろそろ行くな。アスカもジム戦、勝って来いよ!」

 

「ふふ、勿論そのつもりだよ。元気でね、カイセイ!」

 

「あぁ!またな、アスカ!ハヤテも!」

 

『おう、達者でな~!っても、アイツなら元気だろうな~。』

 

そうだねハヤテ。キミと同じぐらい元気だもんね。…よし、私たちも負けてられないから。まずはポケセンの部屋に戻って、特訓メニューと作戦を立てますか。

 

ポケセンの前でカイセイと別れ、私は部屋に行くためにポケセンの中に入っていった。

 

 

 

-おまけ-

 

 

ポケセンの一室にて、試しにユウを持ち上げてみた-

 

 

「んっしょ…ん~、まあいけるって感じかな…。長時間はさすがに無理だけど。」

 

『アスカぐらいの女の子でも持ち上げられるんだ。』

 

まあ、それは…ユクシーからある程度の筋力を貰ったからだと思うな…。

前の私だったら多分無理だったかもね。それに、この世界の人は平均でも充分に力ありそう…。

 

えっと、モウカザルという種族で見れば、22キロだったかな。

 

あぁ、そうそう。ゲームとかで見る図鑑は、あくまで平均体重で。人間同様、それより小さい子や大きい子もいるという事らしい。

それを考えるとユウは…

 

「…これ20キロもあるのかな。」

 

『えっ!?た、確かに…僕、他の子と比べたら小さい方だと思うけど…。』

 

『他の子って、研究所?には他にもヒコザルがいたのですか?』

 

『あ、うん。仲間が何匹かいてね。その中で…一番小さかったんだ…。』

 

うん…。現実ではゲームと違って、ちゃんと同じ種類の最初のポケモンを用意しているみたいだね。

まあ。私の時もカイセイたちが選んだ後であっても、ちゃんと3匹いたしね。施設とかそういうのがあるのかもしれないな。

…っと、話が逸れてしまった。

 

「まぁまぁ大丈夫だって!俺も小せぇ頃は周りの奴らより小さかったけど、今は逆にデカく育ったからな!」

 

『(というよりも、ふてぶてしいっていう感じがしますわ…。)』

 

『そ、それって本t「まあ、チビがチビのままってのも十分にあるけどな!」…。(ガーンッ!)』

 

うっ、気持ちと一緒に重くなった気がする…。というか…ハヤテ?

 

 

 

少ししてから私と、何故かビクビクしながらも必死に謝るハヤテによって、ユウが励まされて元気を取り戻した。

 

『(ア、アスカさん…ハヤテに何と言ったのでしょうか…気になりますが怖い気も…ですが…そんなアスカさんもカッコいいですわ!)』




アスカがジム戦に挑戦する時とほぼ同じ描写になってしまいますので、カイセイのジム戦をカットしました。
そしてその分、退場も早い(笑)

ハヤテは一体、何を言われたんでしょうね…。作者も知りません(おい)


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13話 勝ちにいくよ

ポケセンでカイセイと話し合った翌日、カイセイがクロガネジムを制覇したあと別れ、アスカはその3日後にジム戦をすることになる。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「これより!チャレンジャーアスカvsジムリーダーヒョウタのクロガネジム戦を始めます!」

 

ついに始まったジム戦…か。見学はしたけど、実際にこうしてジム戦をやるのは初めてだからなぁ。

 

ここに立って初めて分かるこの緊張感…。ゲームではそんなのなかったからね。

それに、こういうの緊張する方なんだよな…心としては緊張してないって認めたくないだけで、心臓はバクバク言ってるんだよな…。

 

カタカタカタカタ…

 

腰に付けているみんなのモンスターボールがカタカタと揺れている。私はそれぞれのボールを撫でた。

…うん、ありがとうね、みんな。トレーナーの私が元気づけられてしまったな…。

私は一旦、少し深呼吸をして落ち着かせる。

 

「それでは両者!ポケモンを一体出して下さい!」

 

あっ、いつの間にか審判の人が説明し終わってた。たまにこうやって人の話を聞き流してしまうことがあるんだよな…いい加減直しておきたい…。

まあ、カイセイの時に聞いてたから大丈夫だけど。

 

「いけっ、イシツブテ!」

 

なるほど。昨日とは違って、ヒョウタさんの一番手はイシツブテか。ズガイドスじゃないだけマシかな。それに、何が一番に来ようと作戦は立ててあるしね…

 

「お願い、ロゼ!」

 

『はい、任されましたわ!』

 

「なるほど。まずはセオリー通りというわけだね。」

 

いえ、たまたまですよ。どのポケモンに、どの子で対応するか決めてただけです。

 

まあ、カイセイは1番手のイワークに対してクロウだったから、ヒョウタさんの気持ちも分かりますけどね。

それと、カイセイは純粋なタイプ相性でいいのがダイトだけだっただけですから。

 

「では、バトル開始!」

 

「ロゼ、突っ込んで!」

 

「まずは距離を詰めようというのかな。イシツブテ、「ころがる」だ!」

 

よし、キタ!…それにしても、身体が重いはずなのに相変わらずのスピードだなぁ。

…でも、それぐらいのスピードなら余裕でいけますよ?

 

「ロゼ、「しびれごな」!」

 

『はい!…はあっ!』

 

「イシッ!?」

 

「!…「しびれごな」でかわした!?」

 

当たる直前に、地面に向かって一気に「しびれごな」をぶつけ、その反動を利用してかわした。そして…それと同時に大量の「しびれごな」が辺りを覆う。

 

「っそうか、しまった!イシツブテ!」

 

「ロゼ、「メガドレイン」!」

 

『これでチェックメイトですわ!』

 

気づいても、もう遅いですよ。イシツブテは標的を失って、方向転換をするために一度「ころがる」を止めてしまっている。

その時に「しびれごな」がイシツブテにかかってまひ状態になり。動きが鈍くなったところで、至近距離からの「メガドレイン」。

 

そして実は、ロゼが突っ込んでいるときに「せいちょう」をするように指示していた。それが2回も出来たみたいで。特攻が2段階アップしており、それによってイシツブテは一撃で戦闘不能となった。

 

 

カイセイのジムバトルを見てて、気づいた事がある。

イシツブテの「ころがる」は、方向転換するとき2種類あって。

標的が横とかにズレた場合、急カーブをするのに対して、標的が真後ろとかの死角に入った場合、一度動きを止めて確認してから方向転換をしていた。

 

今回は、その癖を利用して。「しびれごな」を利用してイシツブテの後ろを取れるようにジャンプしてかわした。この作戦が上手くいった様で良かったよ。

 

 

イシツブテのスピードに対してもそう。昨日、ハヤテだけを出して見学していたのには、理由が2つある。

一つは、ヒョウタさんにこちらの手持ちポケモンを見られるのを防ぐこと。

と言ってもコレは、ただの保険であって。例えヒョウタさんが見ても、対策を練らない場合がある。でも用心に越したことはないので、ハヤテだけにしておいた。

 

もう一つの理由が、ヒョウタさんのポケモンの素早さをハヤテと一緒に確認すること。

そのスピードでかわせるように特訓できるように。それより少し早めのスピードの方が、本番の時かわしやすくなると思ってね。

 

おかげで上手くいったみたいだよ。ありがとうね、ハヤテ。ハヤテのボールをそっと撫でると、ボールが嬉しそうに反応した。

 

「イシツブテ、戦闘不能!ロゼリアの勝ち!」

 

「ありがとう、ロゼ。」

 

『いいえ。アスカさんの作戦勝ちですわ。』

 

優雅にお辞儀をしながら、ロゼはそう言った。ノーダメージでいけたのは嬉しいね。

よし、まずは一体目。

 

「ご苦労様、イシツブテ。後はゆっくり休んでくれ。いや~、やられたよ。まんまと作戦にハマってしまったようだね。よく考えられているよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「だが次も、そうはいかないよ!いけっ、イワーク!」

 

「イワアァァァッ!」

 

おぉ!相変わらずデカいな、イワークは。やっぱり観客席で見ていたときより、こっちから見る方が何倍も大きく感じるね。さて…

 

「ロゼ、交代だよ。お疲れ様、おかげで大分と楽に進めたよ。」

 

『アスカさんのお役に立てて何よりですわ。ボールの中で応援しています。』

 

「ロゼちゃんの応援に応えようね。お願い、ユウ。」

 

『うん。ロゼさんの頑張りに応えれるように、頑張るよ!」

 

「次はモウカザル。いわタイプに相性が良い、かくとうタイプを持ってるポケモンか。」

 

イワークがアレをされる前に当てたいな…早速いくか。

審判の再開の合図とともに、ユウに指示を出す。

 

「いくよ、ユウ。まずは「マッハパンチ」!」

 

「また突っ込んできたか、なら今度はあえて受け止めよう!「かたくなる」!」

 

っやられてしまったか。「かたくなる」がくる前に、「マッハパンチ」を当てておきたかったんだけどな。でも、それなら…

 

「ユウ、「ひのこ」!」

 

『分かった!』

 

「カウンターを警戒して、特殊技に切り替えたか。(想定内ではあったのかな、判断が早い…。)」

 

「かたくなる」は防御力を上げる技。特殊攻撃に対しては意味がないからね。それに、イワークは防御はよくても、特防が低いポケモンだし。

下手に攻撃してこっちの体力を減らされるより、特殊で攻めていった方がいいと予め考えてはいた。

でも、やっぱりその前に「マッハパンチ」を当てたかったな…。

 

「(こうなると、どのタイミングで来るか分からないし。やられる前にやった方がいいね。)ユウ、「ちょうはつ」!」

 

『わ、分かった!…こ、この石頭ー!』

 

…それで「ちょうはつ」になるんだ。

ポケモンの性格によって大分と違うだろうな…。それにイワークは確かにいしあたまだよ、外見と特性が…。

 

「なるほど。「ステルスロック」を封じるために、モウカザルを出したのか。イワーク、「いわおとし」!」

 

「ユウ、来るよ!「マッハパンチ」!」

 

『アレだね、分かった!』

 

上から降り注いでくる「いわおとし」を、ユウは身軽な動きで上へ上へと伝ってジャンプしていき、一番上にある岩からイワークの頭に向かって「マッハパンチ」をする。勢いよく飛んできたというのもあり、イワークは大分とダメージを負ったみたいだね。

 

これも考えていた作戦の一つで。

アニメでサトシが「がんせきふうじ」に対してやっていたのを使わせてもらった。確かピカチュウは、「アイアンテール」の反動を利用して、登っていってた気がする。

ユウはモウカザルという種族であるおかげなのか、こういうアクロバティックな動きが得意で、そういった技とかナシでいけたけど。…猿だからかな。

これでイワークも…

 

「これも攻略済みか、やってくれるね。だが、イワーク!しっぽを掴んで叩き落すんだ!」

 

「イ、イッワアァァァッ!」

 

「!そんなに早く動けるのか。「かたくなる」が効いてるのかな…。」

 

イシツブテ同様、何でそんなに重そうな身体をしてるのに、早く動けるのかな。イワークが空中で上手く身動きが取れないユウのしっぽを、自分のしっぽに巻き付けて叩き落した。

空中でも、ユウならちょっと体をひねって手足を上手く使えば、ある程度なら回避できるんだけど。しっぽとか後ろの方から来られたから、されるがままだったね。

ヒョウタさんはそれを見越してやったのかな。

 

「(「ステルスロック」はまだ使えない。となると…)イワーク!「たいあたり」だ!」

 

「ユウ、突っ込んで!」

 

『分かった!』

 

素早いイワークの「たいあたり」にユウが突っ込み、縦に回転する。その回転によりイワークの上をいき、イワークの頭の尖ってる部分を踏み台としてジャンプし、回避する。

アニメではヒカリちゃん始め、サトシがよくコレを駆使していろんなのを編み出していたのを今でも覚えてるよ。ゲームではそんな事は絶対に出来ないからね。今でもすごく印象に残ってるよ。

 

「回転の動きを利用して回避したのか!」

 

「今だよユウ、「ひのこ」!」

 

『最大パワーでいくよ!』

 

ユウは、上から「ひのこ」でイワークに攻撃する。しかもそれが、イワークの頭から身体全体へと降り注いだ。ここまで上手くいったのは。ユウが空中で留まっている時に、イワークが真っ直ぐ向かってきたからだろうね。

 

…何かアレだな。工場とかのベルトコンベアの流れ作業的な。

ベルトコンベアでパンが流れてくのに対して、上にある機械はそのまま動かずに、ジャムを出してパンに詰めていく…あの感じ。

…アレ?何かこんな例え方したら、すごく地味っぽくな…うん、今のはナシの方向で。

 

「イワーク、戦闘不能!モウカザルの勝ち!」

 

よし、2体目もいけた。ユウもあまりダメージを受けてないし、何より「ステルスロック」を撒かれずに済んだのが良いね。

 

「見事だよ、アスカちゃん。君の作戦も、それに応える君とポケモンたちのコンビネーションには、驚かされてばかりだ。しかし、勝負は3体目のポケモンが倒れるまで、分からないよ!」

 

「勿論です。最後まで全力で戦います!」

 

「では僕の3体目だ。いけっ、ズガイドス!」

 

カタカタカタカタ…

 

ふふ、分かっているよ。君を信じて、ちゃんと作戦を立てたんだからね。

 

「ユウ。お疲れ様、あとはこの子に任せて。」

 

『分かってるよ、僕も信じてるからね。』

 

ユウをボールに戻して、私も3体目のポケモンを出す。

 

「勝ちにいくよ。お願い、レオ!」

 

『言われなくても…勝ちに行くさ。』

 

私の3体目はコリンクのレオ。いつもより相手を睨みつけて、やる気満々の様子だね。

クロガネジム、最後のバトルへといこうか!




アスカ初めてのジム戦ですね。
描写…これで精一杯です…。戦闘描写より心理描写の方が多い気がするなぁ…と書き上げたときに思いました。
戦闘描写の方も頑張っていきたいです…はい。

次回、この調子でズガイドスを倒せるのでしょうかね。お楽しみに。


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14話 え、ウソォん…

ロゼちゃんとユウがイシツブテとイワークを倒し、最後にズガイドスとレオの戦いが始まる。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、コリンク(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「ほう、最後にでんきタイプのコリンクできたか。何か秘策でもあるのかな。」

 

「さぁ、どうでしょうね。」

 

本当なら、特性のいかくを利用して。一旦戻してから、ロゼちゃんの「しびれごな」を使うところだったんだけど…。

 

一番強いヤツと1vs1でバトルがしたいという、レオの心意気を買うことにしたよ。だから、レオにはあまり作戦というよりも、技の技術力などの方で戦おうと決めていた。

だから、その為にも「ステルスロック」が封じれれば、それでよかったんだ。

 

「レオ。まずは「じゅうでん」!」

 

「(一気に勝負を仕掛けてくるつもりなのかな。)ならばこっちは、「にらみつける」!」

 

『…。』ギロッ!

 

…アレ、おかしいな。もうレオは「にらみつける」を忘れたはずなのに…使ってない?何かコレ、「にらみつける」でバトルしてるように見えるんだけど。気のせいかな…?

と、もうそろそろだね。

 

「レオ、「スパーク」!」

 

「こっちは「ずつき」だ!」

 

ドオンッ!

 

 

…互角かな。「じゅうでん」有りのタイプ一致「スパーク」と、いかくが入ったタイプ不一致の「ずつき」で互角とはね。

ズガイドスの攻撃の種族値も起因してるだろうけど。あのイシツブテとイワークも含めて。やっぱり、ジムリーダーのポケモンは伊達じゃないな。

 

でもどうやら…運はこっちに向いてるみたいだね。

 

「ズッ…ズガアァッ!」

 

「くっ、まひになったか…。」

 

なればいいかなっていう程度でやってたから。ホントにラッキーだね。これで素早さは完全にこっちが上だ。でも、まだ安心はしてはいけないな。ここは慎重にいこう…。

 

「レオ、「アイアンテール」で砂を巻き上げて!」

 

「視界を悪くして、攻撃させないつもりかい?それでは甘いよ!ズカイドス、コリンクの気配を感じ取るんだ。「ずつき」!」

 

レオが巻き上げた砂とは関係なく、ズガイドスは指示通り、冷静にレオの気配を感じったと同時に「ずつき」をしてきた。でも…

 

『それこそ甘いな。』

 

「っかわされた!?」

 

「今だよ、「アイアンテール」!」

 

『…ッ!」

 

「ズ、ズッガアァァァッ!」

 

「(何故あんな簡単にかわせたんだ?こっちの動きが完全に読まれていたのか…。)っそうか!コリンクの危険察知能力か!」

 

「その通りです。」

 

コリンクの図鑑説明によると、「危険を感じると全身の体毛が光る。相手が目をくらませている間に逃げる。」(ダイヤモンド版ポケモン図鑑参照)

つまりレオは、この危険察知によって。簡単にかわすことが出来たんだよ。

 

『…いや、違うぞ。』

 

「(え。違うの…?)」

 

『そんなものに頼らなくても。アイツ(ズガイドス)のように、気配を感知してかわすことぐらい簡単に出来る。』

 

「(…あ、はい。左様ですか…。)」コクンッ

 

ジムリーダーのポケモンが出来ることぐらい、オレにだって出来るという感じかね、キミは…。何か勘違いしてた私が恥ずかしいじゃないか…。絶対、顔には出さないけど。

後、そういうとき饒舌になるよね、キミは。…まあ。最近、喋るようになってきたけど。

 

ヒョウタさんは、レオが何を言ってるか分からないため。会話できることを悟られない為にアイコンタクトを送ってるように見せておく。

まぁ、バレたとしても。ジムリーダーのヒョウタさんなら大丈夫だろうけどね。でも、そういった情報はどこで漏れるか分からないし。警戒しといた方がいいでしょ。

 

「さて。畳みかけるとしま…(え、ウソォん…。)」

 

『フッ…。』

 

「(レオ、何なのかなその好戦的な目は?フッて…楽しんでるでしょ、キミ。楽しくない。全然楽しくないよ、この展開…。)」

 

 

え、何が起きたかだって?…進化したんだよ、ズガイドスが。ラムパルドに…。

 

 

「ラムッ、パアァァルッ!」

 

「ズガイドスがラムパルドに進化した!よおしっ!」

 

よおしっ!…じゃないですよ、ヒョウタさん。何でそのレベルで進化するんですか。(Lv14)

 

いや、これは本当にマズい展開ですよ?ガチで3タテとかありえますからね?ていうか、それはこっちの展開なんですよ。

…あれ、何この「それはこっちのセリフですよ。」の展開バージョン、新しい。

 

「さあ、掛かってきたまえ。アスカちゃん。」

 

「(…考えても仕方ないね。)いくよ、レオ!「アイアンテール」!」

 

『そうこなくっちゃな…!』

 

レオがいつもより目をキラキラさせてるよ…。ついでに口も、ニヒルな笑みを浮かべちゃってるよ。ホントにキミは戦闘狂だな。

 

「ラムパルド、「ずつき」!」

 

「!アレって…。レオ、ジャンプ!」

 

『っ!…グッ!!』

 

レオはアイアンテールを地面に叩きつけて、その反動でジャンプした。

咄嗟の指示によく反応してくれたけど、かすったみたいだね。でも…

 

「「しねんのずつき」を覚えたのか、ラムパルド。」

 

「(さらに絶望的状況だな。)レオ、「しねんのずつき」は怯ませる効果があるから気をつけて!」

 

『…。』

 

レオ?…あぁ、その目。戦いたいんだね。

そして、それをちゃんと私の目を見て訴えてるって事は、オレを信じろ。ってことなのかな。…本当だったら、こんな状況での真っ向勝負はゴメンなんだけどね。

でもキミはそんなこと言っても聞かなそうだし。それに…信じろって言われて、信じないわけにはいかないじゃないか。

 

「いくぞ、ラムパルド!「しねんのずつき」!」

 

「こっちもいくよ、レオ。「アイアンテール」!」

 

…あれ?ラムパルドが「しねんのずつき」でこっらに向かってくる中、レオが動かない…。

 

「っまさか、さっきので怯んで『…なよ。』…レオ?」

 

『ナメるなよ…、これぐらい動ける!』

 

「レオっ…!」

 

「っこの光は…進化するのか!」

 

突然光りだしたかと思ったら。レオがルクシオに進化し、怯みに打ち勝った。

ラムパルドの「しねんのずつき」に対しては、互角となったけど。これは…

 

「おもしろい展開になってきたね…。」

 

『…フッ。』

 

「まさか、お互いのポケモンが進化することになるとはね…。」

 

「…よしっ。レオ!次で最後にするよ!まずは「じゅうでん」!」

 

「ふふ。最後なのに、また最初の技で決めるつもりかい?いいだろう。ならこっちは、「きあいだめ」だ!」

 

お互いに最後の一撃を決めるため、技に集中する。この瞬間が長く感じるけど…勝負は一瞬だった。

 

「「スパーク」!!」

 

「「しねんのずつき」!!」

 

「っそのまま「アイアンテール」!!」

 

「何!?」

 

誰が「スパーク」のままでいくと言いました?

レオは「じゅうでん」を身体全体ではなく、しっぽに集中していた。レオも分かってたみたいだね、私がすることを…。

 

実は特訓中に、「スパーク」のパワーを「アイアンテール」に集中することができないか試していたけど。全くできず、手詰まりの状態だった。

でも進化した今なら。いや、レオなら…やってくれると信じてこの技に賭けてみた。だって、さっきの信じろってコレも含まれているんでしょ?

 

 

激しい衝突によって爆発が起き、2匹を包んでいた煙がゆっくりと晴れていく…。

そこにはボロボロになってもなお、何とか立っている状態の2匹がいた。そこで先に動いたのが…

 

『…ッグ!』

 

「レオっ!」

 

「ッパア。…ルッパァァァ…。」

 

「ラムパルド!」

 

先にレオが膝まづき、それにニヤリという表情を浮かべたラムパルドだったが、ゆっくりと倒れ伏した。つまり…

 

「ラムパルド、戦闘不能!ルクシオの勝ち!よって勝者、コガネシティのアスカ!」

 

「っ!」

 

『ハァ…ハァ…。(っ怯みを無理やり破った、ハァ…反動が)あぁ!?っ…いきなり抱き着くなよ。』

 

「っあぁ、悪いね。…っう、嬉しくて…つい…ね。」

 

『…フッ。最後にアレを指示したのはお前だろ。』

 

「ハハハ、信じてたからね。…お疲れ様。本当にありがとうね、レオ。」

 

『…お前の事を信じてやっただけだ。』

 

レオと勝ったことに喜んでいると、勝手にボールからユウたちが出てきた。お疲れ様の言葉と、勝利を一緒に喜んでくれた。そして…

 

「ポケモンたちを信じ、それに全力で応える君たちのバトル。見事だったよ。」

 

ヒョウタさんがジムバッチをトレースに乗せて持ってきたのを見て。ユウたちと協力して、レオを支えてゆっくりと立ち上がる。

 

「さあ、これがクロガネジムを勝ち抜いた証。コールバッチだ。心して受け取ってくれ!」

 

「ありがとうございます、ヒョウタさん。」

 

私は受け取った初めてのバッチをポケモンたちに見せて。改めて、ポケモンたちにお礼を言う。

そして、カイセイと同じように「がんせきふうじ」の技マシンを貰って。私の初のジム戦は、勝利に終わった。




ジム戦、初勝利です!レオが進化しました!ズガイドスも進化しました!…え?!

今回、ラムパルドに進化した事に作者が1番ビックリしてます。(おい)
ちなみに、出したかったけど最終的に考えて、ダメだこの作品には出せない。と思い、出さなかったキャラもいます。
あっ。後、アスカがコガネ出身というのも分かりましたね。

まぁ。それらに関しては、また活動報告の方で裏話として語ると思います…。


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15話 事実だった…

最後の3体目であるズガイドスとレオの対決が始まり、ラムパルドに進化したりと苦戦していたが、レオもルクシオに進化して初めてのジム戦に勝利。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムックル(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「進化しちゃった☆」

 

「…いつの間に?」

 

「さっきだぜ。」

 

クロガネジムを攻略して。一旦コトブキに戻ろうとしている途中。

お昼も兼ねて休憩していた時。それぞれ(人型/ポケモンの姿で)手伝ってくれていた。

 

ユウは私の手伝いで料理の準備を、ロゼちゃんは食器や敷物の準備、レオは薪を持ってきた後に辺りの見張りを…今、ポケモンの姿に戻って寝てるけど…み、見張っているよね?

そして、ハヤテには近くにきのみがあったら取ってくるように頼んでいたんだけど…。

 

何でちょっとボロついた状態で帰ってくるのさ。しかも「進化しちゃった☆」って、どういうことよ。

 

「きのみを取りに行っただけで、何で進化するのさ。野生のポケモンたちとケンカでもしてきたの?」

 

「いや~、まさかあそこが巣だとは気づかなくってさ。大量のスピアーが出てきた時は焦ったわ。」

 

大量のスピアーって…。何なんだろうな、スピアーの立ち位置って。

アニメではよく、スピアーとかリングマがそういう役をやってる気がするんだけど…。それって恒例行事なの?

 

「まあ。とりあえず、無事みたいで良かったよ。一旦、ポケモンの姿に戻って。治療するから。」

 

『おぉう!アスカちゃん、マジ天使!ありがとう!』

 

「正し。次も似たような事があったら…分かった?」

 

『…え、何それ!?何で肩ポンッてやったの!?何その含みのある言い方と超絶スマイルは!』

 

「あぁ。分からないなら…『いい!いいよ、言わなくて!あの時(12話のおまけにて)と同じで何か怖い感じがする!』そう。ちょっと残念。」

 

ハハハ。ヤダな~、ハヤテ。何もそこまでビクつかなくてもいいじゃないか~。(棒)

 

『…そ、そういう割に楽しそうだね、アスカちゃん…。』

 

「ふふ。そう見える?最近、ハヤテに対する扱いが分かってきたからね。」

 

『え。…オレの扱いだけ酷くね?ロゼちゃんは女の子だから分かるけど。ユウっちとレオっちには、そんな扱いしないじゃん!何でオレだけいじられてるわけ!?』

 

「(ユウっち…まあ、ハヤテさんの好きなように呼んでくれればいいけど。)」

 

『…その呼び方、止めろ。』

 

何を言うのさ、ハヤテ。いじられキャラは大事だよ?いじられキャラはポジティブでムードメーカーなやつが適任だと思うんだ。今、思いついた考えだけど…。

 

「…あっ。ご飯出来たよ、2人とも!治療は終わった?」

 

「お~、終わったぜ~!おっ、今日はシチューってやつか!美味そうだな!」

 

治療が終わったと同時に、人型になってご飯に向かっていったよ。やっぱり、進化しても性格はそのままか。まぁ、ユウたちもそうだったしね。

…ハヤテが進化するところは見逃しちゃったけど。

 

今のところ、全員が進化したことになったわけか。最終進化までは、しばらくこのままでバトルすることになるね。

 

 

---

 

 

…コトブキに着いた。何かすごく久しぶりな気がするな。

ここに留まってる間、いろいろなことが…何か、視界の端の方にあの特徴的なおかっぱ頭が見えるな。そういえば、ここでギンガ団に初めて遭遇するんだっけ…。

 

うん。こんなんじゃカイセイのこと、とやかく言えたギリじゃないね。ゲーム通りナナカマド博士が絡まれてるようだし、助けに行くか。

 

「さあ、さあさあさあ!ナナカマド博士、あなたの研究の成果をタダで我々によこし「レオ、「アイアンテール」!」って、うわあぁっ!な、何すんだお前っ!」

 

「おぉ、アスカくん!久しぶりだな。どうだ旅の様子は?」

 

「お久しぶりです、ナナカマド博士。この間、クロガネのジムバッチをゲットしました。」

 

「って、おい!無視か!何しれっと攻撃しておいて、のんきに挨拶してんだよ!」

 

アレ、ダメだったの?悪の組織だし。見たところ女性はいないようだし。攻撃していっかなって思ったんだけど。ちなみに女性なら、攻撃せずにポケモンを連れて割って入るところだったよ。まぁ、場合によるけどね。

 

「お前たち、うるさいぞ!本当に困ったやつらだな。」

 

「いやっ。それあんまり、あなたたちに言われたくないと思うんですけど!というかこうなったら…」

 

「あぁ!そっちがその気なら、力づくで奪い取るまでだ!いくぞ相棒!」

 

「いきますよ、シーさん!」

 

呼び方バラバラじゃん…。まあ、いいや。ナナカマド博士もいることだし、もう1匹はユウでいこうかな。

 

 

 

「なっ、ガキ相手に…負けた!?」

 

「これはいけません。作戦、大失敗ですよ!」

 

うん。こんなところでしたっぱに負けてたら、ユクシーたちの頼み聞けないしね。こっちとしては勝っておかないと。

 

「チッ、チクショー!憶えてろよ、お前!撤退するぞ、相棒!」

 

「あっ。待ってくださいよ、シーさん!」

 

え~、どうだろう。私、人の名前と顔を憶えるの苦手なんだよね。それに、したっぱってさ。みんな同じ格好と似たような顔してるからな…。

しかもギンガ団は髪型まで統一してるから、余計に見分けつかないよ。

 

「あの困った連中。ギンガ団とか言ってたか。進化のエネルギーが何だとか言っていたが…。確かにポケモンが進化するとき、何かしらのエネルギーを出しているのかもしれん。が、それは人にはどうにも出来ぬ神秘の力だろうな。なのにギンガ団はそれが何かに使えるエネルギーなのか調べようとしていたようだ。」

 

「そうですか…。まあ、とにかく。博士が無事でよかったです。」

 

「うむ。これもアスカくんたちのおかげだ、感謝しているぞ。ポケモンたちとの息がピッタリで、見事な戦いぶりであった。」

 

その後、ナナカマド博士は忙しそうに、挨拶もほどほどにしてその場を去っていった。

 

私は、ユウたちをポケセンに預けている間、道具の補充と前に考えていたブリーダーに関する本を購入した。

 

「ブリーダーへの道 (初心者向け)」と書かれたタイトルが目に留まり、ペラペラとめくってみたところ。

本が苦手な私でも簡単に読めるように、イラスト付きで解説が分かりやすくまとめられている参考書だったので、即購入した。ポケセンに戻ったら、じっくり読もうと思う。

 

 

---

 

 

『お久しぶりです、アスカさん。お元気そうで何よりです。』

 

「久しぶりだね、ユクシー。コトブキ以来かな?」

 

そのままポケセンに泊まり、眠りにつくと。久しぶりにユクシーに会った。

 

『まずは、アスカさんの疑問にお答えします。』

 

「まだ何も言ってないけどね。まあ、いいや。それじゃあ、お願いするよ。」

 

『フフ。何故、ユウさんたちが人型になれるようになったのか。それは、シンオウの昔話と関係があるのです。アスカさんは昔話の事、ご存知ありませんか?』

 

確かそんなのが2つあったよね。かなり衝撃的な内容だったから、覚えているよ。

 

昔はポケモンも人も同じだったから、その間に結婚するものがいて、それが普通だったとか。ポケモンは皮を脱いで人に戻ったり、また皮をまとってポケモンの姿になって人前に出てくるものもいた…とか。

神話の方にも、昔の人とポケモンの関係性が書かれていたっけ。

 

「つまり、ユウたちが人型になれるのは、昔からあったことで。別に普通の事だった…いや、ユウたちが人型になれたのは最近だし。何かきっかけがあって再び人型になれるようになったていう事?」

 

『ふふ、流石ですね。そう、元々人とポケモンは同じ生き物だったのです。それが太古の昔に2つに分かれ、別の種族となりました。段々、人の形になっていったものと。人になれる能力の他に、技は勿論。いろいろな能力を持てるポケモンになっていったのです。例え姿形が変わっても、人とポケモンは、支えあい助け合っていました。ですが、やはりと言うべきですか。月日が経つに連れ、両者の間に溝が出来ていき、いつしかポケモンたちは人になれる能力を忘れ、人も忘れていきました。そして、今の人とポケモンの関係になったのです。』

 

「シンオウの昔話と神話が事実だった…という事か。」

 

何か、ものすごく壮大な話になっていったな…。

コレって何気に、ポケモンの起源が語られたっていう事に…アレ?この場合、起源だっけ?根源だっけ?どっちの方が正しいんだろう。はぁ、日本語って難しい…。

 

『あっ、そうそう。再び人型になれるようになったのは、アスカさん。あなたが関係しているのですよ?』

 

「えっ?それって…私が異世界から来たからっていう事?」

 

『いいえ、それとこれとは全く関係ありません。ユウさんたちがその能力を使えるようになったのは、ユウさんたちがアスカさんを心から信頼してるからです。たまにいるのですよ。人になれる能力は忘れられただけで、失ってはいませんからね。』

 

…思わず、ちょっと泣きそうになった。泣いてないよ?泣きそうになっただけで、泣いてないからね?

 

「あっ、じゃあ。ポケモンは信頼できる人がいれば、みんなその能力を使えるの?というか、信頼と能力の関係って…?」

 

『例が少ないので、私たちもよく分かっていないのですが。信頼できる人間に対して、何かしら強い思いを抱くと。その能力を使えるようになるみたいです。思い出すというよりも、能力が使えるようになるだけみたいですけど。だから例え、信頼できる人がいたとしても、能力が使えないままのものもいるみたいなのです。』

 

「強い思い…?あっ。」

 

『はい、私もそう思います。おそらくあの豪雨の時、アスカさんが倒れたので。それに対する強い思い…何とか助けたいという思いで、能力が使えるようになったのだと思いますよ。』

 

…っ泣いてない。泣いてないからね?ちょっと、うるっときただけであって…っ泣いてないから。

 

その後、今日会ったギンガ団の事について話、今のところシナリオにズレがないことを確認し。ユクシーに別れを告げて、ゆっくりと夢から覚めていった…。

 

 

『ふわぁ…あっ、おはようアスカ。』

 

「…おはよう。」

 

『…どうしたのアスカ?何かあった?』

 

「いや…何でもないよ。顔、洗ってくるからっ。」

 

起きてさっきの話を思い出していると、ユウがボールの中から出てきた。

…せっかくどもらないで挨拶できたのにな。何か変なところでもあったのかな…。

 

『(アスカ、ちょっと嬉しそうな顔してた…いい夢でも見てたのかな?)』




ハヤテが進化しました!…見てないところで。
ギンガ団が出てきましたね!…何か妙なキャラが出来てしまったような。
擬人化の事が分かりましたね!…設定捏造しまくりです(笑)

そんないろいろあった15話でした。


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16話 楽しんでいってきなよ

ハヤテがいじr…進化し、ギンガ団(したっぱ)を倒し、擬人化の事が分かった。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)



…ムクバードと打とうとしたら、六クバードが出てきて、ある南国果実頭を思い出して笑ってしまいました(笑)


「ここが…その村かな。何かお祭りしてる…みたいだし。」

 

『ここですのね!ポケモンコンテストが行われるのは!』

 

『と言っても、非公式の。それこそお祭り感覚のものなんだろ?』

 

『それでも構いませんわ!コンテスト…一度でいいからやってみたかったのです!』

 

ロ、ロゼちゃんがまたあのキラキラオーラを…しかもあの時より輝いてるし。

…て、アレ?あの女の子、もしかして…

 

「…レイカちゃん?」

 

「っ!あら、アスカじゃない!久しぶりね。」

 

やっぱりレイカちゃんだった。あれから1週間ちょっと…ぐらいかな。元気そうで何よりだけど…。

 

「何でレイカちゃんがここに?もっと先に進んでるのかと思ったよ。」

 

「あぁ…実はね。って、それは後で話さない?今から受付に行って、ここのポケモンコンテストのエントリー登録をしないといけないのよ。」

 

「あぁ。そういう事なら、私も一緒に行くよ。私もここのコンテストに出場するつもりだったから。」

 

 

2人で受付に行き、無事にエントリーを済ましてから、お祭りの出店を2人で見て回っていた。

 

「なるほど、フワンテか。そういうところはゲーム通り、1週間に一度なんだね。」

 

「そうなのよ。アタシが着いた日がちょうどその日でね。早速ゲットしに行こうとしたら、もう逃げられちゃってて…。」

 

「風の周期の関係で、フワンテが発電所近くに流れ着くのが1週間に一回なわけか。」

 

「そう。おかげで1週間も、ソノオタウンにいなくちゃいけなくなったってわけよ。せっかくソノオ大会で優勝したのに…。でも、そのおかげで私たちのパフォーマンスに磨きがかかったわけだし。せっかくだから、今日開催されるこのコンテストでデビュー戦にしようと思って、一旦この町に戻ってきたのよ。ヨスガのコンテストまで、まだまだ時間があるわけだしね。」

 

あぁ、そうそう。バッチ1個で思い出したけど。

コトブキシティから北の方へ進んで、洞窟の中に岩があったのを覚えてるかな?

 

ゲーム内では、バッチ1個持ってなかったら「いわくだき」が使えなくて通れないとかあったけど…実は現実でもそうゆうのがあって。

 

バッチ1個、またはその洞窟の外にいる門番のような役割をしているトレーナーと戦って、認めてくれれば通してくれる事になっているらしい。

それは、レイカちゃんみたいなジム戦巡りをしないトレーナーの事を考えての配慮だと思う。

 

「お互いに1個ずつゲットしたわけだね。…あっ。お互いのポケモンにとって、今日がデビュー戦になるわけか。」

 

「アスカも含めてね。私はもうコンテストに出てるし。…それよりも、ロゼをコンテストに出すのって今日の一回だけなの?」

 

…少し痛いところを突かれてしまったな…。正直、まだ迷ってるんだよね。本当にこれでいいのか。

ロゼちゃんはもっとコンテストに出たいのかもしれないのに、私のわがままにつき合わせちゃっていいのかなって…。

 

するとロゼちゃんが、ズボンの裾を軽くクイクイッと引っ張ってきた。

 

『アスカさん、ワタクシの事はお気になさらないでください。元々、ワタクシのわがままで今日、ここのコンテストに出してもらえるんです。それだけで十分ですよ。進化する前に、その約束をしてくださったアスカさんに深く感謝し、こうして進化することも出来たのです。本当に感謝してるのですよ?』

 

「…ロゼちゃん。…頑張ろうね、ロゼちゃん!」

 

「あら、言っとくけど。私がいるのも忘れないでよね?私が優勝するんだから!」

 

「ふふ、お手柔らかにね。」

 

『優勝してみせますわ!』

 

 

-ユウ視点-

 

 

「それではナナナ村祭りのメインイベント。ポケモンコンテスト特別大会を始めようと思うでガンス!」

 

ナナナ…。それにガンスって、変わった口癖だなぁ。

あっ、どうも初めまして。僕はユウっていいます!

 

せっかくロゼさんがポケモンコンテストに出るという事で、応援をする為に人の姿になり。

今、僕を含めレオさんとハヤテ(呼び捨て希望との事なので)と一緒に、観客席にいます。

 

わわ、レオさん!もう寝ようとしないでくださいよ。まだ始まってないですよ。って、ハヤテも!

アスカからもらったお金で買った屋台の料理、そんなに食べないでくださいよ。みんなの分をまとめて買ったんですから!

 

…はぁ。アスカに2人の事を頼まれてたけど、もう疲れてきちゃったよ。研究所でアメルたちの面倒見てたときより大変かも、大丈夫かな…。

 

 

「最初のエントリーは、レイカさんでガンス!」

 

「あっ、始まりましたよ2人とも!レイカさんが出てきました!」

 

「…オレたちは、ロゼの演技を見にきたんだろ。他の奴はいい…。」

 

「ん?モグモグ…ゴクンッ!おぉ、ちょうど食い終わったところだぜ。」

 

…2人の面倒、最後まで見れるかな…。

 

「華麗にいくわよ、フウラ!」

 

「フワワ~ン。」

 

アレって、シールの効果だったよね…?煙がモクモク出てきてる…。

煙が覆う前に、フワンテの姿を確認できた。名前はフウラさんっていうみたいですね。

 

「フウラ、「ちいさくなる」!」

 

煙で影しか確認できないけど、「ちいさくなる」っていう技の効果なのかな?技名通り、フウラさんの身体が小さくなった。

小さくしてどうするつもりなんだろう…?これじゃあ演技が出来ないんじゃあ…。

 

「今よ!「おどろかす」!」

 

「フワアァッ!!」

 

「うわあぁっ!?」

 

「ッハハハ!ユウ、驚きすぎ…ッハハハ、笑える…!」

 

煙の中から一気に大きく膨らんで出てきたから…ビックリした!

 

レオさんは微動だにしないし…ハヤテは笑い過ぎだよ。

ていうか、何で2人はビックリしてないんですか?他のお客さんたちもビックリしてるのに…。

 

「フィニッシュよ、フウラ!「めざめるパワー」からの「かぜおこし」!」

 

「めざめるパワー」を上に打ち上げて、フウラさんは逆さまになったらと思ったら。身体全体を横に回転して、2本の手?のようなところから「かぜおこし」をする。

その2つが衝突したことによって爆発が起き、「めざめるパワー」のキラキラが辺りを包み込んだ。

 

確か、ポケモンコンテストって。ポケモンの特徴と技のパフォーマンスを見せるものだったよね。

 

最初の「おどろかす」は、フワンテのふうせんポケモンという特徴を活かして、最後のは技の威力を見せたのかな?

 

「うわあぁ…。やっぱりすごいね、レイカさんは。」

 

「こういうの何てったっけな…キレーな花火だな。…だったっけ?」

 

「え、えっと…。何か違う気がするよ…何となく…。」

 

 

その後も、他の人たちが次々とパフォーマンスをしていくんだけど…。その間、レオさんは寝てるし、ハヤテは甘いものを買いに行ったり…していた。

…ゴメン、アスカ。僕では2人を止めることは出来なかったよ…。

 

 

「それでは最後のエントリー!アスカさんでガンス!」

 

「あっ、レオさん起きて!ロゼさんたちの番だよ!」

 

「モグモグ…グフッ!?ッ…!!へっ、変なとこにっ、詰まっ…!!」

 

「ちょっ…ハ、ハヤテ大丈夫!?そんな口いっぱいに頬張るからだよ!」スリスリ…

 

 

「それじゃあいくよ。お願い、ロゼ。」

 

『楽しんでいきますわよ!』

 

ハヤテがちょっと涙目ではあるけど、何とか落ち着いて顔を上げると。

泡のシールの効果と一緒にロゼさんが現れた。…ロゼさん、顔がイキイキしてる。本当にコンテストが好きなんだね。

 

はぁ、何とかレオさんを起こすことが出来てよかった。せっかくのロゼさんの演技だもんね。

 

「ロゼ、まずは甘い香りでアピールだよ。」

 

『はい!疑似「あまいかおり」ですわね。』

 

ロゼさんは指示通り、優雅に踊りながら辺り一面に甘い香りを漂わせた。

シールの効果の泡と相まって、キラキラと輝いて見える。

 

でも、ロゼさんは「あまいかおり」を覚えていない。これはロゼリアの特徴である花の香りをアピールをしているらしい。

 

お客さんも、ロゼさんの花による甘い香りに、気持ちよさそうにリラックスしている。

僕もこの甘い香りを嗅いでると、さっきまで慌ただしかったのが嘘のように心が落ち着くよ…。

 

「決めるよロゼ。「どくばり」!」

 

『これで…チェックメイトです!』

 

甘い香りから一変して、「どくばり」が泡に命中。辺りに充満していた甘い香りから、一瞬にして爽やかな気分にさせた。

泡が消えたことによって、キラキラがロゼさんを輝いて見せている。

 

「うわあぁっ、ロゼさんすごい!」

 

「…観客の反応、いいみたいだな。」

 

「だな!これ全部、ロゼちゃんが考えたんだろ?すげぇよな~。」

 

 

そう。アスカが、どうしても考えつかないから、ロゼちゃんに考えて欲しいとクロガネに着いた日、前もって言っていたんだ。

 

ジム戦ではすごい作戦を考えられるのに、コンテストでは全く思い浮かばなかったみたいで、ちょっとビックリしたな…。

でも、ロゼさんは既に考えていたみたいで。即答して、すごく張り切っていた。あの時のロゼさんも、キラキラ輝いてたな…。

 

 

その後、一次審査結果発表に移り、無事にアスカとレイカさんが二次審査を通過した。

そして…

 

「さあ!二次審査コンテストバトル開始でガンス!制限時間5分、始め!」

 

「華麗にいくわよ、フウラ!」

 

「せっかくのコンテストなんだから、楽しんでいってきなよ。…お願い、ロゼ。」

 

『えぇ、行ってまいりますわ!』

 

タイプ相性でいうなら、ロゼさんのくさ・どくタイプはゴースト・ひこうのフウラさんにすごく悪い。けど…

 

「頑張ってください、ロゼさん!」

 

「おう!頑張れ~、ロゼちゃん!」

 

僕らはロゼさんとアスカを頑張って応援しよう。

レオさんも、声に出して応援はしてないけど。目がバトルしてるときと同じで真剣だ。きっと、コレがレオさんなりの応援なんだと思う。

 

小さな村で行われたコンテストバトル…ロゼさんが優勝できればいいな。




ロゼちゃん、コンテストに出れて良かったね!
…頑張るね!(描写を)

アニメでは、小さな村でコンテストが行われた…と言う風に書かれていたので。ナナナ村というのは適当に付けました。


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17話 コンテストもいいもんだな

ナナナ村で行われたコンテストに、アスカとレイカちゃんが参加、そして二次審査が始まろうとしていた。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)

フワンテ(フウラ)


ロゼちゃんの為にも、ここは負けられないね。コレはバトルじゃなくてコンテストバトル。魅せる演技をしないとな…。

 

「こないならこっちからいくわよ!フウラ、「かぜおこし」!」

 

「ロゼ。かわして、「しびれごな」!」

 

「「かぜおこし」で防いで!」

 

身体全体で横回転し、「かぜおこし」をしてくるのに対して、ロゼがかわして仕掛けるけど。それも防がれてしまった。

 

しかも、ただ防ぐだけではなく、こちらの「しびれごな」を利用し、フウラの周りに散りばめて美しく見せている。

痺れないのは「かぜおこし」で上手く調整してフウラに当たっていないからか。

 

コレがコンテストバトル…、やっぱり厳しいな…。

 

「仕方ないね…突っ込んで、ロゼ。」

 

「近距離から「しびれごな」をするつもり?…フウラ、「めざめるパワー」!」

 

「ロゼ、ジャンプ!」

 

『はい!』

 

ロゼが「めざめるパワー」をジャンプでかわす。

その際に両手の花からキラキラと甘い香りを放っており、さらに横に回転していることもあって、美しく避けることに成功し、レイカちゃんのポイントが減った。

 

「今だよ、「どくばり」!」

 

「「ちいさくなる」でかわしなさい!」

 

フウラが小さくなった事により、ロゼの「どくばり」が外れてしまい、またポイントが減らされる。

 

「今よフウラ!「おどろかす」!」

 

「フワッ!フッ、フワァ…。」

 

「えっ。どうしたのフウラ!」

 

「今度こそ「どくばり」!」

 

ロゼが下から「どくばり」を命中させる。そして、またその際にキラキラと甘い香りも放ち、美しいコントラストを魅せた。

おかげでレイカちゃんのポイントを大きく削れ、半分に持ち込むことが出来た。

 

「フウラ!…もしかして痺れているというの?でもどうして…。っ!もしかしてさっきの「どくばり」…」

 

「よく気づいたね。その通り、さっきの「どくばり」はフェイクで。「どくばり」を発射させるのと同時に、「しびれごな」も混ぜておいたんだよ。」

 

「っやられたわ…。でも勝負はこれからよ!フウラ、「かぜおこし」!」

 

「ジャンプしてかわして!」

 

低空飛行の状態で。フウラは、地面を巻き込んで「かぜおこし」をし、ロゼを襲おうとするも、またさっきと同じように美しくジャンプしてかわす。

 

「かかったわね。フウラ、「おどろかす」からの「めざめるパワー」よ!」

 

「フウワッ!!フウゥ、フッフワアァ…。」

 

「っしまった。やられたか…。」

 

まさか「かぜおこし」の中からフウラが出てくるとは…。

それはただ単に、フウラを隠すカモフラージュだったわけか…考えたね。おかげでポイントも多く減らされてしまった。

 

でも、まひで「めざめるパワー」が出なくて良かった。くらってたら終わってたかもしれないな。

残り時間も、もう僅かか…。

 

「ロゼ、大丈夫?」

 

『えぇ、もちろんですわ!』

 

「よしっ。それじゃあ「せいちょう」!」

 

「一気に決めるきね。そうはさせないわ!フウラ「かぜおこし」!」

 

「っ早いね。…ロゼ、ジャンプしてかわして!」

 

直ぐに攻撃を仕掛けられてしまい、「せいちょう」がうまく決まらなかった…けど。

ヒカリちゃんのポッチャマがやってた縦回転をしてる中、「せいちょう」をすることが出来、「かぜおこし」の力を利用して上を取ることが出来た。

 

残り時間もあまりないし、やるしかないね…。

 

「決めるよロゼ、「どくばり」!」

 

「こっちも決めるわよ、フウラ!「めざめるパワー」からの「かぜおこし」!」

 

「せいちょう」で強化された「どくばり」と、「かぜおこし」でスピードが増した「めざめるパワー」が衝突し、キラキラとロゼたちを輝かせる。互角だった。

 

それと同時にタイムアップ。結果は…

 

「タイムアップです!接戦の中、見事優勝を果たしたのは…レイカさんです!」

 

「優勝のレイカさんには、この村の特産品であるバナナ一年分をプレゼントするでガンス!」

 

…負けちゃった…か。最初のと、あの「かぜおこし」からの「おどろかす」がポイントに響いてたなぁ…。

いや、まずはそれよりも…

 

「ゴメンよ、ロゼちゃん。私の力不足だったね…。」

 

『いいえ、アスカさん。こうしてコンテストをすることが出来て、とても楽しかったですわ。とても貴重なお時間を頂きました。本当にありがとうございます!』

 

「…その事なんだけどね、ロゼちゃん。また…コンテスト、やってみない?」

 

『え。お、お気持ちは嬉しいですが…。アスカさんにはジム戦が。』

 

「うん。たまには、コンテストもいいもんだなと思ってね。だから、またこういうイベントみたいなのにしか出してあげられないと思うけど。それでもよければ…どうかな?」

 

『アスカさん…。っはい、それはもう…喜んで!』

 

うん。ロゼちゃんが嬉しそうで良かった…。

特訓の合間に、一生懸命パフォーマンスの練習をしてたもんね。コンテストの間、本当にずっと輝いて見えたよ。

 

だからたまになら、コンテストもいいかなと思ったわけだしね。やっぱり、女の子の笑顔はこうでなくっちゃね。

 

「アスカ、ロゼ。ありがとう。おかげで、とてもいいコンテストバトルをすることが出来たわ。」

 

「おめでとう、レイカちゃん。それはこっちのセリフだよ。私もロゼちゃんも、楽しませてもらったからね。ありがとう!」

 

『ワタクシからも、お礼をさせて頂きますわ。』

 

「ふふ。ロゼちゃんも、お礼を言ってるよ。」

 

「それはどう致しまして。…それより…さ。あのバナナ、どうしたらいいと思う…?」

 

…あ~、確かに。そうだよね。

バナナ一年分とか、食べきれるわけないし。ていうか食べきる前に腐りそう…。

本来なら、家に送って親戚とかに回していくんだろうけどね…。あっ。

 

 

---

 

 

「…という事で。ナナカマド博士にそのバナナを差し上げようと思うのですが…ご迷惑でしょうか?」

 

「いや、そんな事はないぞ。ナナナ村のバナナは有名だからな。菓子にして食べてみるとしよう。ポケモンたちのおやつ代わりにもなるしな。ありがとう、レイカくん、アスカくん。有難く頂くとするよ。」

 

「喜んで頂けてるようで何よりです。それでは…ふぅ。ナナカマド博士って、目つきがちょっと怖いから緊張しちゃうなぁ…。それにしても、ナイスアイディアよ、アスカ!おかげで助かったわ。」

 

「いや~。ナナカマド博士が貰い受けてくれたおかげだよ、良かったね。」

 

それに、確かナナカマド博士って甘いもの好きだったはずだし。いろいろとバナナのお菓子にして食べるんだろうな…。作るのは研究員の人かな?

 

「ねぇ、アスカ。明日、ソノオタウンに行くんでしょ?」

 

「うん、そうだよ。…ユクシーが言うには、もうそろそろギンガ団が来るらしいしね。」

 

「…うん、エムリットも同じことを言ってたわ。一人でやるのは不安だったけど…。」

 

「それは私も同じだよ。ここはゲームの世界ではないからね。だから、2人で一緒に頑張ろうよ。」

 

「…えぇ!2人で頑張りましょう!ヨスガ大会に向けて、ちょうどいい練習相手だわ!」

 

良かった。レイカちゃんに自信がついてきて…。

この話をしていた時、レイカちゃんの顔、少し強張っていたから…。

 

その後、私たちはユウたちが買ってきてくれた出店の料理を一緒に食べ、ギンガ団との戦闘について話してから、各自部屋に戻って眠りについた。

 

…ユウたちが擬人化できることを隠すのが大変だったな…まだ隠し通せるなら、隠し通したいんだよね。

…レイカちゃんの驚いt…こういうのは自分で気づくべきだと思うんだよね、うん。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「♪~♪~」

 

「ご機嫌だね、ロゼちゃん。」

 

「それはもちろん!アスカさんにまたコンテストの約束をしてくれましたもの!」

 

ふふ。こんなに喜んでくれると、約束して良かったよ…。ロゼちゃんはホント、コンテストが好きなんだね。

 

「…それにしても、アスカさん…。」

 

「何、ロゼちゃん?」

 

「…どうして、いつもドライヤーで髪を乾かさないんですか!寝るとき、まだ湿ったままの時もありますし!それでは髪が傷んでしまいますわ!風邪を引いてしまう可能性もありますのよ!」

 

あ~。その事か…いや、だって…さ…

 

「め、めんどくさくて…。」

 

「いけませんわ、そんなことでわ!アスカさんは女の子なのですから、ちゃんとキレイにしなければなりません!めんどくさいと言うのなら、ワタクシがやりますから!」

 

「え。いや、いいよ。悪いs「そのままの方がいけませんわ!ワタクシにお任せください!」…はい、お願いします…。」

 

『こういう時のロゼさんは、アスカに対しても厳しいんだね。ちょっとビックリ…。』(小声)

 

『お前に対する態度と大違いだな。』(小声)

 

『アハハ、そうだな。…って!本当の事だけど、ひどいよレオっち!…それにコレは、単にアスカちゃんがそういうのに無頓着なだけで。それがオシャレ好きなロゼちゃんにとっては、すっげぇ気になるところだったっていう事だと思うよぉ、オレは?』(小声)

 

 

…この日を境に、アスカの髪の毛をロゼが乾かすことになり、アスカの髪が前より数段キレイになったとか。




レイカちゃんたちはいつ気づくでしょうね、ホント…。(おい)

…私もロゼちゃんに髪の毛、乾かしてもらいたい…。(願望)


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18話 いや、全然

コンテストの2次審査で、レイカちゃんが優勝し、ロゼちゃんとまたコンテストの約束を交わした。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)

ポッチャマ(アメル)、ラルトス(スミレ)


たにま発電所に、2人の男性が倒れている。

…わあ。これだけ言うと、まるでサスペンスだね。って、まあ…。犯人は私たちだけどね。

 

「…アスカって、こういうの躊躇いなくやるのね…。」

 

『ア、アハハ…。』

 

「え、そう?」

 

何でユウとレイカちゃんがちょっと引いてるのかというと。出来るだけギンガ団と戦わないようにしようと思い、スキをついて見張りのギンガ団2人に攻撃を加えたからである。

 

…と言っても、レオの電撃で気絶させただけなんだけどね。某ドラゴン使いさんなんて、「はかいこうせん」を人に当てちゃうんだからね。アレと比べたら全然マシだよ。

むしろ、よく「はかいこうせん」をくらって死なないよね。どんだけこの世界の人たちは頑丈に出来てるのさ。

 

「さて。中に入るとしますか。」

 

「ゲームにはなかった裏ルートね…。」

 

お花畑の方に居たしたっぱのポケットに入っていたカードを取り、それを使って中へ入る。

…わあ。コレ完全に私たち泥棒だね…。

 

でも、仕方ない。あの女の子(ゲームで、パパが帰ってこないと言っていた女の子)が悲しんでいたんだから。ロr…いや、幼j…うん、女の子が悲しむのはよくないよね。

 

…いちよう言っとくけど、私はロリコンじゃないからね?フェミニストだから。どこぞのネイティオみたいな目をしたオッサンとは違うから。

 

「…よし。中の構造も、ゲーム通りみたいだね。レイカちゃん。」

 

「えぇ、分かっているわ。スミレ、引き続きお願いね。」

 

「ラルッ!」

 

『よろしくね。』

 

『…。』

 

作戦はこうだ。

敵に会ったら、スミレの「あやしいひかり」で混乱にして。そのスキに素早いユウが、敵のモンスターボールを奪って、戦力を無くしてから、レオの電撃で気絶させる。

 

見張りの2人もコレで気絶させられたのだ。…しっかり首の後ろ側を狙って気絶させたから、しばらくは起きないだろうね。

 

 

「ん?っあ、お前。コトブキのっ…お~おぉぉぉ…っ!」

 

「あっ、シーさっ、ん~…っ!」

 

「…知り合い?」

 

「いや、全然。」

 

『そうだな、知らん。』

 

『…ふ、2人とも…。』

 

何を言ってるんだい、ユウくん。あんな変な2人組、知ってるはずがないじゃないかー(棒)

 

…と、ふざけるのはここまでにして。

他に2人を伸した後、…残るは奥にいる幹部(マーズとプルート)と、周りにいる下っ端か…。

 

「…そこに隠れているの、出てきなさい。」

 

「あ、やっぱりバレてたか。そりゃそうだよね。監視カメラとかどうにかしてなかったし…。」

 

「え!?それに気づいてて、作戦立ててなかったの!?」

 

「うん、そうだよ。だから…速やかにここから出て行ってもらえますかね?」

 

「いや!そうだよ…じゃないわよ!それに、黙って出て行ってくれるわけないじゃない!」

 

レイカちゃんの慌てている様子を見て、マーズが余裕そうな笑みを浮かべていると。突然、耳に手を当て。顔をしかめた。多分、下っ端の報告を聞いてるんだろうね。

 

「っこんなにも早くに嗅ぎつけるなんて。…もしかして、アンタのせい?」

 

「ほう…。その様子を見るに、奴が来たようじゃの。何、データはすでに取っておる。…今はまだ、その時期じゃないじゃろう。」

 

「…いったい何のことですか?」

 

「ふんっ…。まあ、いいわ。もうここに用はないし、撤収するわよ!」

 

マーズが的確な指示で、他にいる下っ端たちに気絶させた下っ端たちを裏手に運び込んでいくのを、私たちはいつでも攻撃をできるように警戒しておく。

と言っても、向こうとしてはさっさと逃げておきたいところだろうし。態々、私たちに時間をかけるような事はしないだろうけど、念のためにね。

 

ちなみに、今ここでマーズを逃がしておかないと、シナリオ通りではなくなってしまうので、私たちとしてはとりあえずこれでOKだ。

ゲーム通りに戦うとしても、ここは現実。マーズのポケモンのレベルが、ゲーム通りではなくて高レベルの可能性があるという事があり、こうして戦えないようにしておいた。

…その場合、戦うとしても足止め程度かな。

 

周りの偵察でハヤテに確認させてみたら、広い場所があってヘリを見つけたとのこと。

きっとそれで本部…トバリの方へ帰還するんだろうね。

 

「マーズ様!準備が整いました!」

 

「よし、行くわよ。…今度、同じように邪魔したらただじゃおかないから。覚えときなさい。」

 

そう言ってマーズが下っ端を引き連れて立ち去ったのを確認してから、レイカちゃんが床に力なく座り込んだ。

 

「お疲れ、レイカちゃん。もう大丈夫だよ。」

 

「はぁ…全く。警察呼んでるなら先に言いなさいよ~!」

 

「おぉ、よくその考えに辿り着いたね。でも残念。私は警察なんか呼んでないよ。」

 

「?…え、どういう事?」

 

レイカちゃんが続きを聞こうとしたけど。発電所の人たちが私たちに礼を言いに来て、それどころではなくなってしまった。

そんな中、あの女の子がやってきた。

 

「パパー!あっ、くさい!シャワーしなさい!」

 

「(グサッ!)い、いや~、あっはっはー。無理やり働かされてたからね…。」

 

パパさん、大丈夫ですか?傷は浅いですよ。…たぶん

 

「お姉ちゃんたち、ありがとう!」

 

「どういたしまして。パパに会えてよかったね。」

 

「うん!」

 

「失礼!ここにギンガ団が現れたと聞いたのだが。」

 

突然、誰かがやってきたと思い、その場にいる全員がその声に反応して振り向くと…

 

「っ!あの人って、確か国際警察のハンサムさんよね?」(小声)

 

「そうだよ。この町に着いたとき、カフェテラスに居たのをたまたま見つけてね。ハヤテに手紙を持たせて、ギンガ団がここにいる事を伝えるようにしていたんだ。」(小声)

 

「いつの間に…?」(小声)

 

「偵察をさせた後にね。手紙は偵察をさせてる間に。」(小声)

 

「!それじゃあコレを見越して「いや~。まさかホントに来るとはね、おかげで助かったよ。」…って、自信なかったの!?」

 

急にレイカちゃんが大声を上げた為、みんなの目がハンサムさんからこっちに移った。

するとハンサムさんがこっちに来た。

 

「君は…確かコトブキでギンガ団と戦ってた子だね。」

 

「あっ、見てたんですね。はい、アスカと言います。あなたは?」

 

「おっと。これは失礼…。私は国際警察のハンサムというものだ。コトブキの事もそうだが、ここで起こったことも聞かせてほしい。今、時間はいいかな?」

 

あっ。国際警察である事、バラしちゃうんですか。

…あ、でも。ゲーム内で最初に会った時からバラしてたか…自分で。

 

…そんなので大丈夫なのかな、国際警察って。

 

「あぁ、はい…って、いいんですか?今ならギリギリのところでギンガ団に追いつけると思いますよ?」

 

「っ!キミは奴らが何処に向かったのか分かるのかね?」

 

その後、森でギンガ団らしき連中を見かけたというのをハンサムさんに伝えると、お礼もそこそこに追いかけていった。

 

 

---

 

 

レイカちゃんと一緒にポケセンの待合室で、ポケモンたちの回復を待っていた。

するとアナウンスが流れ、ポケモンの回復が完了したことが告げられる。

 

「ポケモンたち、迎えに行こうか。…レイカちゃん大丈夫?」

 

「あぁ、うん…。はぁ…あの時、緊張したぁ…。」

 

「あはは、そうなるのも無理ないよ…。でも、これからもギンガ団と関わっていくことになるし…」

 

「うん、大丈夫。…フッ、こんな事で立ち止まる私じゃないわ!次もドンと来いっていう感じよっ!」

 

力強く言って立ち上がるレイカちゃんを見て。…良かった。もう大丈夫そうだね。

…こういう子だと分かってて、エムリットはレイカちゃんを選んだのかな…。

 

…とか何とか言ってるけど。私も、レイカちゃんが居なかったら、そうなってたかもしれないなぁ…。絶対に言わないけど。

一人っ子で、兄弟とかに憧れてたから。お姉ちゃんぶりたいのかもしれないね。…年齢、聞いてないけど。

 

その後、元気になったレイカちゃんとポケモンたちを迎えに行き、時間も時間であったため、一緒にポケセンの食堂でご飯を食べることになった。

その時に、お互いに今後の予定を話し合った結果。ハクタイの森の手前にある山小屋まで一緒だという事が分かり、そこまで一緒に行くこととなった。

 

 

 

-おまけ-

 

 

「ねぇ、レイカちゃん。この前…聞きそびれた事があったんだけどさ。」

 

「ん、何?」

 

「うん、あのさ。アメルって、何で「ふぶき」を覚えてるの?」

 

コンテストの1次審査の時、アメルが「ふぶき」を使っていて、聞けるなら聞きたいなと思っていたのに。それよりも聞くべきことがあったから、そのまま忘れてたんだよね…。

 

「あぁ、アレね!アレは技マシンを使ったのよ。」

 

「えっ、技マシン?何処かで拾ったの?」

 

「違うわよ。ほら、ゲーム内でもあったでしょ?コトブキでクジ引きをする所。アレの景品の中に、「ふぶき」があったのよ。多分、マスターボールの代わりね。」

 

そういえば、ノゾミとデパートで買い物をしてる時、抽選券でクジ引きしたな…。1000円お買い上げ毎に1枚とかだったような。

ゲームではポケモンのIDだったから違うものかと…。

 

特に景品とか気にせずにやって、ハズレ賞のポケットティッシュだったしね…そうか。技マシンだったのか。

 

ゲームでは景品に技マシンとか無かったけど、現実の方ではそういうのがあるんだ。

…まぁ。でも、マスターボールは本来、非売品だからそういうものなのかな。

 

「すごいね、レイカちゃん。よく当てたね。一番、良いものだったんじゃないの?」

 

「えぇ、そうね…。苦労したわ…。」

 

…な、何でレイカちゃん、遠い目をしてるんだろう。何かあったのかな…?

 

「(「ふぶき」をゲットする為の抽選券集め、苦労したわ…。なかなか当たらなくて、抽選券が落ちてないか探したり、トレーナーと戦って賞金を稼いだりしてたわね…まさかこんなところで貧乏生活してた時の癖が働くとは…っ長い…長い道のりだったわ…!)

 

…な、何かよく分からないけど。そっとしておこう…。

何処となくレイカちゃんから何かを感じ、見ていないフリをする為、そっと目線を外した。




マーズとの戦闘も考えていたのですが、アスカがココがゲームではなく、現実だという事を考慮すると。自然と戦わない流れになりましたので、こういう形になりました。

…まぁ。いつかは戦うことになると思うので、その時に…。


…またあのしたっぱ2人組が出てくるとは。(おい)


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19話 めちゃくちゃ好きです!

たにま発電所に行き、ギンガ団幹部(マーズ)と遭遇、何とか退くことが出来た。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「それじゃあレイカちゃん、またね。チェリンボ、見つかるといいね。何か会ったら、いつでも連絡していいから。」

 

「えぇ、ありがとう。ゲットしたら報告するつもりよ。アスカも元気でね!」

 

ハクタイの森の中腹で、レイカちゃんと別れた。

何でも、チェリンボを見つけるまではハクタイシティに行かず、森の手前にあった山小屋で寝泊まりをするとの事。

 

 

---

 

 

「何事もなく森を抜けることが出来たね…。」

 

『だな~。何かおもしろいことでもあったらよかったのに。』

 

『いやいや。これでいいんだよ?無事に行けたんだからいいじゃない。』

 

うん。まあ、そうなんだけどね。何か…森って言うから何かあるのかもしれない感じが…っと、あそこにいるのは…

 

「カイセイ?(まだハクタイにいたのか…。)」

 

「ん、おぉ!アスカじゃん、久しぶりだな!ジム戦クリアおめでとう!」

 

「ありがとう。カイセイは?もうハクタイジム、クリアしたの?」

 

「あぁ、もちろん!…ほら、この通りだぜ!」

 

そうやって見せてくれたバッチケースの中には。確かにハクタイジムのジムバッチがあった。

それに対してカイセイに、すごいじゃん、やったねと言おうとした時…

 

「あっ、カイセイくん。良かった、まだここに居たのね。…あら?隣にいるのはお友達?お話の途中だったかしら…ゴメンなさいね。」

 

「あぁ、シr「チャンピオンのシロナさんですね!初めまして、アスカと言います!」…きゅ、急にどうしたんだ、アスカ?」

 

どうした?イヤだな~、カイセイくん。私はいつもこんな感じだよ?(棒)

それとユウ・ハヤテ、キミたちもだよ。何で口開けてポカンとしてるのかな?

 

「は、初めまして…アスカちゃん…ね。シロナよ、よろしく。あ、そうそう。カイセイくんにいいものをあげたくて探していたの。このポケモンのタ「コレ、トゲピーのタマゴですよね!」…え、えぇそうよ。よく分かったわね。」

 

「シロナさんはトゲチックかトゲキッスをお持ちで?」

 

「えぇ。このタマゴは私のトゲキッスが持っていたの。…アスカちゃんはトゲキッス好き?」

 

「っ!めちゃくちゃ好きです!大好きです!トゲピー、トゲチック、トゲキッスみんな好きです!」

 

「…フフフ、分かったわ。どうやら本当に好きみたいね。本当はこのタマゴ。カイセイくんに渡そうかと思ってたけど、あなたに差し上げるわ。いいかしら、カイセイくん?」

 

「ん?あぁ、別にいいっすよ。オレも。アスカが貰った方が、そのタマゴのためになると思うし。」

 

ありがとう、カイセイ!

もし、この時に貰えなかったら、またタマゴが発見されたときに貰おうとしてたから。早めにゲット出来てよかったよ!

 

「それじゃあ決まりね。フフ、この子は幸せ者ね。きっと、この子も喜んでいると思うわ。…アスカちゃん。この子の事、よろしくね。」

 

「そ、それはもちろん!大事に育て上げますよ!」

 

これは現実か?って思ってしまう程に嬉しいことが起きて、どもってしまうが。

しっかりシロナさんからトゲピーのタマゴを受け取る。思ったよりずっしりとしていて、中から伝わってくる熱が、このタマゴの中に生命が宿ってるんだと肌で感じさせた。

 

 

… …っわーーー!トゲピーだ!トゲピーのタマゴだ、よっしゃあああぁぁぁぁぁっ!トゲピーのタマゴ、ゲットしたよ!やったね、いっえ~い!…

 

「…。(ピカーッ!)」(心の中で狂喜乱舞中…)

 

『…すげぇな、アスカちゃん。俺こんなに喜んでるアスカちゃん見たの初めて。ロゼちゃんのキラキラオーラよりすげぇぞ。光ってるもん。顔はちょっと笑ってるぐらいだけど、おもっきし光ってるもん。』

 

『僕も初めて見たよ、こんなアスカを見るの。…と言っても、ハヤテたちと僕。アスカと知り合った時間はほぼ同じだしね。あんまり表情に出さないようにするとこは、アスカらしい気はするけど。』

 

『…?ユウっちー、どしたー?』

 

『っえ?い、いや…何もないよ。ア、アハハ…。』

 

『…ふーん、そっか。』

 

後ろでそんな会話がされている事など知るわけもなく、シロナさんが私たちの様子を見てニコッと笑い、別れの挨拶を告げた。

 

「フフ。アスカちゃん、カイセイくん。またどこかで会える日を楽しみにしているわね、それじゃあ!」

 

「あぁ、シロナさん。いろいろありがとな!バイバーイ!」

 

「…っ!あ、あぁシロナさん!タマゴありがとうございました!またどこかで会いましょうね、さようなら!」

 

はぁ、危ない所だった…。感動のあまり、シロナさんが立ち去ろうとしてるのに反応が遅れてしまっていた。

 

…それにしても。あ、ヤバい。またにやけそう…。うん、まずは深呼吸しよう。スーハ~…よしっ。これで大丈夫だ。

 

「それにしても、さっきのアスカ。すごかったな!オレめっちゃ、ビックリしたぜ!もう誰?っていうレベルだったからさ。」

 

「…あ、あはは。…ゴメン、今の内緒にして。(ポケセンの)食堂で何かおごるから。」

 

「えっ、マジで?なんかよく分かんねぇけど…ラッキー!じゃあさっそく何か食べようぜ!オレ腹減ってきた。」

 

 

---

 

 

「え。もうハクタイビルにいるギンガ団やっつけたの?…あ~。だからシロナさん、カイセイの事を知ってたのか。」

 

「んん。ふぉうふぉう!ふぃんばばんをふぉれと、ふぃふぃろがふぁっふへはんふぁ!」

 

「…食べながら喋るのはよくないよ、カイセイ。ちゃんと食べてから話しなよ。」

 

「ガツガツガツッ…ゴックン!ぷはぁ~…。あぁ、わりぃわりぃ!ポケセンのメシ、美味しくってさ、つい。」

 

「まあ、いいけどね。何となく分かったし…。」

 

さっきのを翻訳すると…「そうそう!ギンガ団をオレと、チヒロでやっつけたんだ!」だろうね。

 

でも、たにま発電所からのハクタイビル…展開が早いな…。

いや、ゲームでも数時間の内にこの2つをすることは出来るか。別に、ゲーム内でもどれぐらい経ったかなんて明記されてなかったし…。

 

それに、そんな事よりも。ジュピターがカイセイとバトルする前に直ぐに退散したというのはどういう事なのかな…。ハンサムさんは発電所の方に居てたから違うだろうし、近くにシロナさんが居たから…?

カイセイが言うには、ビルに入る前にシロナさんに会っていたようだし。もしかしたらシロナさんとカイセイが会っているのをギンガ団の誰かが見て、知り合いだと勘違いした…とか?

 

…まぁ、いっか。いくら考えても、確証がない以上仕方ないからね。

 

それよりも、またチヒロちゃんか…。

今、カイセイと一緒にいないという事は…。

 

「その子はもうハクタイを出たの?」

 

「あぁ、そうだぜ。早くヨスガに着いて、コンテストの練習をしておきたいんだってさ!」

 

「そっかぁ…。じゃあ、レイカちゃんがその子とバトルをするかもしれないんだね。」

 

「あぁ。そのレイカってやつな。ちゃんとメール届いたぜ。オレたちと同じやつのことだよな。」

 

あぁ、そうそう。ナナナ村の時に、私がレイカちゃんにカイセイの番号を教えて。レイカちゃんの方からメールで、カイセイに番号を教えたんだよね。

これで3人、いつでも連絡を取り合えるようになったよ。

 

「レイカってやつも、コーディネーターなんだな。じゃあ、チヒロのライバルになるんだな!」

 

「そうだね。このまま行けば、ヨスガのコンテストに間に合いそうだし。2人のコンテストバトルが見られるかもしれないね。」

 

「ヨスガって、サイクリングロードを下って、テンガン山を超えた先にあるんだよな?」

 

「そうだよ。カイセイは工事が終わり次第、出かけるんだよね?」

 

「あぁ、そうだぜ。今日にでも出発しようとしてたのに、ちょうどそこに巨木が倒れたみたいで。それをどかして整理するのに時間が掛かるんだってさ。ホント参ったぜ…。」

 

ゲームだと、この町でやっと自転車を手に入れて、移動がすごく楽になるんだけど。山道とかを歩くこともあるのを考えると、そういう時の為に出来るだけ荷物は少ない方がいい。

例え、折り畳み式の軽い自転車が売られていたとしても買わないだろうね。ユクシーからの知識でも、持っている人はいないみたいだし。

 

だからゲームとは違って、下のサイクリングロードは自転車を買うのではなく、レンタルして行くのだ。

話を聞く限り、この前の豪雨によって雷に当たり、脆くなっていた木が昨日の夜、サイクリングロードに倒れ込んできたとの事。

今はその撤去作業に見まわれており、最悪の場合1週間掛かるとの事。

 

他の道もあるにはあるのだが、森の中を突き進むことになる為、迷いやすく何日もかかってしまうという事で、迷いたくないカイセイはこうして大人しく待っているらしい。

 

 

…ちなみに、コトブキからハクタイの森までの道のりでまた迷っていたらしい。ハクタイの森は、モミさんのおかげで迷わずに行けたとか…。

ありがとうございます、モミさん。ゲームでも現実でも、お世話になったようですね…。

 

「あっ。アスカはどうすんだ、ジム戦。せっかくだし、お前のジム戦見に行きたいんだけど。」

 

「うん。この後、予約しに行くつもりだよ。出来れば、明日のお昼過ぎがいいかな。」

 

「あれ?今回は随分と早いんだな。クロガネの時は3日も空けてたのに。」

 

「あの時はユウが進化したばかりで。いろいろと準備しておきたい事があったからね。」

 

それと、クロガネの時はじっくりと作戦を練ってたけど。いつかチャンピオンリーグに挑戦する事を考えると。短期間の間に作戦を立てれるようにしておきたいからね…。

 

「じゃあ明日、挑戦することになったら応援しに行くぜ!メンバーはどうすんのか決めてるのか?」

 

「ふふ。それはもちろん。だから明日のジム戦を楽しみにしておくといいよ。」

 

 

---

 

 

「これより!チャレンジャーアスカvsジムリーダーナタネのジム戦を始めます!」

 

2回目のジム戦。1回目の時とは違って、もうあの緊張感はない。大丈夫、今日もポケモンたちを信じて指示をすればいいだけ。

カイセイの情報をもとに、ちゃんと作戦も練ってきたしね。

 

 

「それでは両者!ポケモンを一体出して下さい!」

 

 

さあ。2回目のジム戦を始めようか…!




え?アスカがキャラ崩壊してた?
…そんなわけないですよ。アレは当時ゲームをしていた初回の作者の反応(心情)を語っていただけなんですから…!(確かあんな感じの反応だったはず)


作者の1番好きなポケモンはトゲピー、トゲチック、トゲキッスです。
…可愛い…。の一言に尽きます。


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20話 せっかくだから

ハクタイに着いてカイセイと再会し、シロナさんからキャラ崩k…珍しく感情を全面的に表に出しながらトゲピーのタマゴを受け取り、ハクタイのジム戦が今始まる。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「いけっ!ズバリ、ナエトル!」

 

「お願い、ユウ!」

 

『うん、頑張っていこうね!』

 

「アスカ、ユウー!気合でいけーっ!」

 

カイセイ、頑張って応援してくれるのはありがたいけど。タマゴ…落とさないでよね。

バックに入れるのもなんだからと思って預けたけど、ジム戦よりそっちの方が心配になるな…。

 

「ズバリ!まずは、相性の良いほのおタイプのモウカザルでいくのね!でも相性が良いからって、勝てるとは限らないわよ!」

 

「分かってるつもりです。油断せずに行きます!」

 

「うん。アナタたちの本気、伝わってくるわ。どこからでもかかってらっしゃい!」

 

「では遠慮なく…ユウ、「ひのこ」。」

 

…ゲーム内でも思ってたけど。「かえんほうしゃ」とか使えるようになりたいな…。自力で覚えられないのが残念だけど…。

 

「かわして「はっぱカッター」!」

 

「ナアゥ、トゥッ!」

 

「(アニメ同様、早いな…。)「かえんぐるま」に切り替えて!」

 

「かえんぐるま」に切り替えたことにより、「はっぱカッター」をものともせずにナエトルに迫りくる。

 

「ナエトル、「リフレクター」!」

 

「ユウ、「ひのこ」!」

 

「ナウッ、ナ!?…ナエッ!」

 

「ナエトル!」

 

ナエトルが「リフレクター」を使えるのはゲームでもそうだったけど、カイセイの情報で知っていた。

 

あえてそのまま当たりに行き、その弾かれる反動を利用して後ろに下がりつつ、攻撃を与えた。

「かえんぐるま」は物理だけど、「ひのこ」は特殊だからね。

おかげで防ぐことが出来たという油断から、スキを突いた。

 

「ユウ、「かえんぐるま」!」

 

「フッ、今よナエトル、「だいちのちから」!」

 

「っ!?」

 

「だいちのちから」!?カイセイから聞いた限り、そんな技なかったのに…。

 

「残念だったわね。カイセイくんからある程度の情報を聞いていたんでしょうけど。ジムリーダーの持っているポケモンが、その3匹だけとは限らないのよ。」

 

「(っそういう対策がちゃんと立てられてたのか。甘かった…。)ユウ、大丈夫?」

 

『っさすがに効いたけどね。大丈夫、まだいけるよ。』

 

「ユウ、あまり無理はしない方がいい。まだ序盤なんだから、一旦戻ってきて。」

 

予想外の攻撃にビックリしたけど、仕方がないね。最後に取っておこうと思ってたけど…。

 

「ユウ、しっかり休んでて。…悪いね。せっかくだから最後のポケモンに出させてあげたかったけど、予定変更だ。お願い、ハヤテ。」

 

『その気持ちだけでオーケーさ!ユウっちの分もいってくるぜ!』

 

「今度はひこうタイプ。ズバリ!じめん技は効かないし、くさタイプにも有利なポケモンね。」

 

ハヤテにとって初めてのジム戦。有利なタイプのジムという事もあって、最後に回してあげたかったけど。

まさか「だいちのちから」とはね。完全にやられた。

 

「ハヤテ、「でんこうせっか」からの「つばさでうつ」。」

 

「くるわよナエトル!「はっぱカッター」!」

 

「…今だよっ「かげぶんしん」!」

 

「ナエ!?ナッ、ナォー!」

 

「はっぱカッター」が当たる直前、「かげぶんしん」で作った分身を身代わりにして避け、その直後に速攻で「でんこうせっか」で素早さを上乗せさせた「つばさでうつ」でとどめを刺した。

 

「ナエトル!…ギリギリまで引き付けてから、「かげぶんしん」で避けたってわけね。」

 

「ナエトル、戦闘不能!ムクバードの勝ち!」

 

ふぅ。とりあえず1体目か…。いくら「リフレクター」を張ってるとはいえ、ユウのダメージが相当効いてたみたいだね。

さっきの「はっぱカッター」も威力が上がってたし、しんりょくの効果があったからなんだろうなぁ。当たらなくて良かった…。

 

「アスカちゃん。モウカザルからムクバードに代える冷静な判断、良かったわよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「それじゃあ、こっちの2体目は。…いけっ!ズバリ、チェリム!」

 

「(とりあえず、ポケモンの種族はそのままか。)…ハヤテ、ありがとう。次に備えて、ゆっくり休んでおいて。」

 

『おう!ユウっちの分も頑張っといたぜ~!』

 

「かげぶんしん」で避けるやり方は見られたけど。ノーダメージでいけたから、そこまで作戦に支障は出てない…と思う。

…さて、チェリム(ポジフォルム)か。情報にはなかった天候系の技を使ってくる可能性があるならユウだけど…。とりあえず、作戦通りにいってみるとするか…。

 

「お願い、ロゼ。」

 

『任されましたわ。』

 

今回はタイプ相性的にユウ、ハヤテ、ロゼにしたよ。

まぁ、逆にレオだけが不利だったからね…いやぁ、(戦闘狂な)レオを説得するのは骨が折れたな…。

 

コトブキで買った(ブリーダーへの道)本が役に立ってくれて良かった。

本に書かれていたレシピで、試しに作った甘いポフィンで意外とあっさり承諾してくれて良かった。

…食べてる時に、ニヤけそうな顔を必死に堪えてる姿はめちゃくちゃ可愛くて癒されたなぁ。

 

「わあぁっ!アスカちゃん、ロゼリアを持っているのね!いいわね、そのロゼリア!よく育てられているわ!」

 

「アハハ!ナタネさん、ホントにくさタイプ好きだな~。オレのダイトにも、同じような反応してたぜ!」

 

あ~、そういえば。アニメのナタネさんって、ものすごいくさタイプ好きだったなぁ。コジロウのサボネアに「ミサイルばり」をお願いしてたしね…。

 

「あぁ、ゴメンなさい!つい熱くなっちゃって。大丈夫、バトルで手は抜かないわ!」

 

「ではいきますよ。ロゼ、「マジカルリーフ」。」

 

「こっちも「マジカルリーフ」よ!」

 

『っ!…きゃあぁっ!』

 

「…っロゼ!大丈夫?」

 

『えぇ、これぐらいでは倒れませんわ。』

 

お互いの「マジカルリーフ」がぶつかり合って健闘するも、こちらの「マジカルリーフ」が負けてロゼがダメージを負ってしまった。

さすがに純粋なパワー比べでは、向こうの方が上みたいだね。こうなったら…

 

「「どくばり」を相手に向かって打ち上げて。」

 

「(スキを作るためのワナかしら…。)突っ込んで、チェリム!」

 

「かかりましたね。今度こそ「どくばり」!」

 

「チェリム、かわして!…えっ、痺れてる!?」

 

これは以前、レイカちゃんとのコンテストバトルでやったのと同じで。「どくばり」を発射させるのと同時に、「しびれごな」を放ったのだ。

 

…でもコレは、ある意味まだ不完全なもので。

上に発射するとき、針と粉の重さの関係か。「どくばり」はともかく「しびれごな」の方はあまり飛距離が伸びず、途中で落ちてしまうのだ。それを今回は、逆に利用してみた。

もし、相手が近づいてこなければ、今度は相手に向けてもう一回するつもりで。

 

いやぁ…「リフレクター」の効果が切れてたみたいで良かった。おかげで半減されることなく「どくばり」が通って、抜群のダメージを与えることが出来たね、あともう少しだ。気を抜かずに頑張ろう…。

 

「いつの間に「しびれごな」を、やられたわね…。チェリム、「マジカルリーフ」よ!」

 

「ロゼ、アレいくよ!「マジカルリーフ」!」

 

『待ってましたわ!』

 

ロゼは「マジカルリーフ」を横に回転しながら出し続け、「マジカルリーフ」がロゼの周りを円を描くように回転しながら、次々と相手の「マジカルリーフ」を打ち落としていく。

さらに広がりを大きくしていき、痺れで動きが鈍っているチェリムに襲いかかる。

 

「チェリム、戦闘不能!ロゼリアの勝ち!」

 

「っチェリム!…何?あの「マジカルリーフ」の動きは…。」

 

「何…と言われると、返答に困りますが。この子がコンテスト大好きなもので。コレは、コンテストとして通用するのを考えたものです。」

 

「コンテストバトル…、なるほどね。でも、あまり何回も使えないみたいね、その技。…ズバリ!その技は、それを維持するためのエネルギーを使用する分、ロゼリアの体力の消耗が激しいようね!…そんなんじゃ、アタシの3体目は倒せないわよ!いけっ!ズバリ、ロズレイド!」

 

おぉ、さすがジムリーダー。いや、この場合はくさタイプのエキスパートって言うのかな。たった一回見ただけでこの技の弱点を見破るとはね。

 

この技は、相手の攻撃を防ぎつつ、攻撃をするというアニメでやっていたカウンターシールドを基に、「マジカルリーフ」でやってみた。

一見、成功しているように見えるのだが。残念ながらナタネさんの言う通りで、攻撃力があまりない分、相手の攻撃を防ぐのにたくさんの「マジカルリーフ」を出す必要があり、その分エネルギーを使う量も多い。

 

だから最初から使えず、チェリムとの距離が近づくあの瞬間を待っていた。

…もうボールに戻してしばらく休ませないと。ただでさえ少ないロゼの体力が持たないんだよね。息も上がってるし。

 

この体力の問題がいけたら、あのコンテストバトルでも使えたかもしれないけど。まぁ…そこはこれから鍛えて頑張っていくしかないね。

 

「ありがとう、ロゼ。「マジカルリーフ」、上手くいってたよ。この調子で頑張ろうね。」

 

『は、はい。ッハァ…後をお任せいたしますわ…。』

 

「勿論。それじゃあ…お願い、ハヤテ!」

 

『おう!張り切って頑張るぜ!』

 

さっき出したとはいえ、ノーダメージなのはハヤテだけだからね。ジムリーダーのポケモンはラスト1体。ハヤテで勝つつもりでいこう!




2回目のジム戦が始まりました。
ユウは体力の半分ぐらいを削られ、ロゼちゃんはダメージはそこまで受けていませんが大分と体力が疲労してしまっており、ハヤテだけが体力満タンという感じでしょうかね。

次回をお楽しみに。


いつも夜に投稿しているのですが、もしかしたら出来ないかもしれないと思い、この時間に投稿することにしました。
…でもコレ、予約投稿が出来たな…まぁ、いいや。


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21話 それはないね

ユウとハヤテがナエトルを倒し、ロゼちゃんがチェリムを倒してから、最後にロズレイドとムクバードの戦いが始まる。
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「ハヤテ、「でんこうせっか」!」

 

「ロズレイド、「しびれごな」よ!」

 

「「つばさでうつ」で吹き飛ばして!」

 

ハヤテは素早く切り替え、「つばさでうつ」の力で「しびれごな」をロズレイドの方へ吹き飛ばして逆に、浴びせることに成功した。

 

ナタネさんはまず、「しびれごな」で動きを封じようとしたんだろうね。くさタイプならではの戦い方だ。

だから対策として、ハクタイシティに向かう途中にロゼちゃんと練習していた。

ロゼちゃんとバトルスタイルがあまり変わらないだろうからね。「しびれごな」とかの粉系の技対策をしていた。

 

「っ!逆にやられてしまったわね…。でもその態勢なら…「マジカルリーフ」!」

 

「っハヤテ、防御して!」

 

『っ!…いまひとつとはいえ、くるもんだな。流石ジムリーダーってわけか…。』

 

マヒ状態ではあるけど。思ったより素早い攻撃だったから咄嗟に羽でガードして、幾分かダメージを軽減させてるけど。やっぱりきくみたいだね。

でも、まだまだ大丈夫そうだね。それにさっきより近づいたわけだし…

 

「「でんこうせっか」と「つばさでうつ」!」

 

「ロズレイド、「みがわり」!」

 

『!…こいつも分身を作れるのか!』

 

「今よ、「ヘドロばくだん」!」

 

「っハヤテ!」

 

ハヤテの「かげぶんしん」の使い方と同じか。「みがわり」で避けて至近距離からの「ヘドロばくだん」か。これはかなり効いたね。ハヤテが何とか立ち上がってる感じだな…。

至近距離でくらって倒れたから、2匹の距離間がそのままだ。このままだと、またすぐに攻撃を受けてしまう…アレさえ決まればいけるのに…!

 

「追撃よ、「マジカルリーフ」!」

 

「ロッ…ロゼェ…。」

 

今マヒがきたか!ハヤテも何とか態勢を整えたみたいだし…

 

「決めるよ、ハヤテ!「がむしゃら」からの「つばさでうつ」!」

 

「「がむしゃら」!?あっ、ロズレイドっ!」

 

「ロズレイド、戦闘不能!ムクバードの勝ち!よって勝者、コガネシティのアスカ!」

 

「うおおぉぉぉ!やったな、アスカー!」

 

ロズレイドが攻撃を仕掛ける前に、ハヤテが「がむしゃら」で体力を削ってから「つばさでうつ」でとどめを刺した。

あの至近距離だと。どちらが早く動けるかの勝負の中で、倒れてしまっているハヤテでは無理かと思ったけど。

 

良かった…。マヒがなかったら、「がむしゃら」が決められなかったな…。

「しびれごな」の対策をしていて良かった…。最初の頃は、上手く気流を作れずに「しびれごな」をまき散らしたりして大変だったな…。

 

とりあえず結果として、上手く出来て良かった…。

…カイセイの声が響くな。

 

 

「お疲れ様、ハヤテ。よく頑張ったね、カッコよかったよ。」

 

『フッフッフッ…惚れるなy「それはないね」…せめて最後まで言わせてくれない?後、そんなに爽やかな笑顔で言わないで…普段そんな笑顔見せない分、余計に悲しいんだけど…。』

 

うん、結構ボロボロかと思ってたけど。そんな軽口が叩けるなら、大丈夫そうだね。むしろちょっと涙目になってる今の方がボロボロかもね。身体ではなく心が。

…いや~、何でだろうな~(棒)

 

…出来れば「がむしゃら」を使わないでいけたら良かったけど。

私、ゲームやってるときもそうだったけど。本当にピンチの時にしか、「がむしゃら」とか「カウンター」とか「ほろびのうた」みたいな、デメリットのある技は使いたくないんだよね。

 

…いや。ジムリーダー相手に、そんな悠長なことは言ってられないよね。

実際、ユウでナエトルを倒せるだろうと思っていたけど、出来なかったわけだしね。油断大敵…ということだね。

 

「最後の「がむしゃら」は効いたわね。まっ、それの決め手となったのが、ロズレイドの「しびれごな」だったわけだし…。ズバリ!こっちの技を利用するその戦法、素晴らしかったわ!」

 

「ありがとうございます。マヒがなかったら、ハヤテが負けてましたね。今回は、運のおかげで助かりました。」

 

「運も実力の内ってね。それに、まだ2体残っていたわけだし、アスカちゃんの実力は本物よ。…そしてズバリ!これがハクタイジムを勝ち抜いた証。フォレストバッチよ!」

 

ナタネさんが審判の人から、ジムバッチと技マシン「くさむすび」を貰って私に渡してくれた。

カイセイも観客席からタマゴを抱えてこっちにやってきた。

 

「ありがとうございます、ナタネさん。」

 

「アスカっ、お前すげぇな!1体もやられずに勝ったぞ!」

 

「ありがとう、カイセイ。後、タマゴも預かってくれて助かったよ。」

 

「あっ、そういやそうだった。あはは、わりぃわりぃ忘れてたわ!」

 

…ホントに、タマゴが無事でよかったよ…。

 

 

ジム戦の後、カイセイは何か思いついたのか、それとも用事があったのか、回復の為にポケセンに行く途中にどこかへ行ってしまった。

 

私はとりあえずポケセンの一室に行き、今回のジム戦の事と今後の事について話し合うことにした。

 

 

-レイカ視点-

 

 

はぁ…はぁ…。全く、あの子どこに行ったのかしら…。

 

やっとサクラ(チェリンボ)のゲットに成功し、道案内も兼ねて一緒に歩こうと出したのだが。

どうやらサクラは無邪気な性格らしく、突然何かに反応を示したかと思ったら、急に走り出してしまった…。

 

直ぐに追いつけるかと思ったけど。サクラをゲットするまで歩き通しだったのと。

サクラが走り出した方向が草むらが生い茂ってる所で、スカートを履いてる私にとっては歩きにくい場所だったという事もあって、見失ってしまった…。

でも、そのままで終わらないのが私なのよ…!

 

「フワ~。」

 

「っ!フウラ、見つけた?!」

 

「フワッ、フワワ~。」

 

「よくやったわ、案内して!」

 

やっぱり、探すなら空からよね!草・虫タイプ対策にフウラを出しといて良かったわ!

 

…でもその後、追いかけるように言っても、待って~…という風にすごくのんびりだったのよね…。

あの時にちゃんと引き止めていれば…いえ、いいわ。サクラを見つけてくれたことに変わりないものね…。

気を取り直して、フウラの案内を元に草むらを突き進んでいくと…

 

 

「…こ、ここなの…?」

 

「フワワ~。」

 

そうだよ~。…じゃないわよっ!

えっ。ホ、ホントにココなの?どうしても…は、入らないとダメ…なのかしら?

 

フウラが案内してくれた場所は、ゲームでビクビクしながら進んでいたあの…森の洋館だった…。

 

 

 

-おまけ-

 

 

ハクタイシティに着く前の日の夜にて…

 

 

「…よし、こんなものかな。どうかな、ロゼちゃん?」

 

『はい!おかげ様でキレイになりましたわ。』

 

「なら良かった。(一度、みんなをキレイに洗ってあげたかったんだよね。)」

 

何をしてるかだって?みんなの身体を洗っているんだよ。

と言っても、ロゼちゃん(くさタイプ)とハヤテ(ひこうタイプ)にはシャンプーとかが要らないみたいだから、シャワーで洗い流してからタオルで拭き取って、ドライヤーで乾かしただけだけど。

ひこうタイプ…というかハヤテみたいな鳥のようなポケモンにはそれようのブラシがあるみたいだけど。今回はそれはナシで。

 

あっ。ちなみに、ポケセンによっては、今回みたいにお風呂が部屋に取り付けられている場合や、(フエンタウンのような)公衆浴場の場合があるみたいだね。(ユクシーからの知識より)

脱衣所のところには、水が苦手なポケモンの為のドライシャンプーとかが置かれていて、ユウにはそれを使ってブラシで毛並みを整えたよ。

よし、最後は…

 

「レオ、電気出さないようにしてね。」

 

「…。」コクンッ

 

レオに注意を促してから、シャワーでサーッと流し風呂場に置かれていた人間用の横に置かれていたポケモン用のシャンプー(大体のポケモンはコレで大丈夫だとか)を使って洗い流した。

 

…なるほど。犬とか飼ってたらこんな感じなのか…。と思いながら、ゴシゴシとレオを洗い流した。

 

その時、レオが気持ちよさそうにしていたのを必死に顔に出さないようにしていたのがすごく可愛かったなぁ。それに対してニヤけないようにするこっちも大変だった…。

…それに気づいていたのか分からないけど、めっちゃお湯をかけられた。あの…犬とかが身体中ずぶ濡れの時にブルブルとするアレ…何か、ちょっと悪意を感じたんだよな。つり目がいつもよりキリッてなってた気がするし…。

まぁ。癒されたし…いいや、うん。

 

しかもそれがドライヤーで乾かしている時と、ブラッシングしてる時もだったからな…いや~、良いものが見れた。うん、いいね。ツンデレいいね、美味しいね。

ロゼちゃんたちは洗ってあげてる時とか素直に気持ちよさそうにしてて可愛いけど…私的にはこっちの方がいいかな。

 

…さて。身も心も?スッキリしたし、次のジム戦も頑張っていきましょうか!




ポケダンの空の探検隊で「がむしゃら」にはお世話になりました。
仲間になったムックルが覚えていて、ジュプトルとの戦闘を2、3ターンで倒せました。…なんかゴメンなさい、ジュプニキ。


…デ、データがあぁ…更新、もしかしたら途絶え…頑張ります。
その時は活動報告のところに書きます。


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22話 もう、帰りたい…

ギリギリのところでハヤテがロズレイドを倒し、その後精神的なダメージを負う、レイカちゃんはサクラを追い森の洋館へ?
という前回のあらすじ

アメル(ポッチャマ)、スミレ(ラルトス)、フウラ(フワンテ)、サクラ(チェリンボ)


細かく装飾が施されており、高級感のあるこの大きな扉をギギィ…という立て付けの悪そうな音とともに開け、少し怯えながらも小さく、お邪魔しますと今にも消え入りそうな声をかける。

が、洋館の雰囲気から見るに、明らか廃墟と化したこの大きな洋館では、当然中に人が居るわけもなく、大きな扉の開閉音がよりいっそう大きく掻き立てるだけであった…。

 

「…小説だと、こんな感じの描写が入りそうだわね…。」

 

「フワ~?」

 

「な、何でもないわ…。」

 

学校の図書館で、よく本を…特にミステリー系を読んでは犯人の正体に驚いていたわね、懐かしいわ。

…でも、今回はミステリー系ではなく、ホラー系の方ね。

 

…か、帰りたい…!!

 

うぅ…怖い。私、こういうのダメなのよね…怖くてお風呂とかトイレになかなか行けなくなるタイプなのよ…。

まだ夕方になる前ぐらいだから明るい方だけど…。ゲームよりものすっごく怖い雰囲気が漂ってるんだもの!こんなの誰が来ても怖いわよ!

 

でも…そんな事ではサクラを探すことは出来ないわ!私なら出来るわよ!と自分自身に強く言い聞かせ、洋館内に入ると自動で扉がバタンッ!と大きな音を立てて閉まる。

 

「ヒィッ!…こ、こういうお約束みたいなの、忘れてたわ…。」

 

「フワワ~?」

 

「だ、大丈夫よフウラ。さあ、サクラを探しましょう。」

 

相変わらずノンビリとした感じで大丈夫かと尋ねてくるフウラに返事をしてから改めて洋館内を見渡してみた。

 

見たところ、洋館の構造は大体ゲームと一緒かしら。違うとしたら、左右の壁にはいくつかの扉が並んでいるぐらいかしらね。

ゲームでは、正面にある両開きの扉…おそらく食堂ね。それしか無かったけれど、流石に現実では他にも部屋があったというぐらいで、特に驚くことではないわ。

その両開きの扉の横に、2階へと続く階段があるわね。見たところ、2階の部屋も少し増えたぐらいで特に変わっていないみたいだし…そうね。

 

まずは…左側の部屋から行きましょうか。

確か何かのマンガで、迷ったときは左!みたいなのを聞いたことがあるわ!

うん、それで行きましょう!

 

 

---

 

 

探すなら多い方がいいのと、少しは怖さが和らぐだろうと思ってアメルとスミレも出したけど…無理!

この洋館が怖すぎてもう早くココから出たいわ!

 

「うぅ…もう、帰りたい…。」

 

「ポチャ、ポーチャァ…!」

 

そうよね、そうよねアメル!ココ…ほんっと怖いわよね!

フウラはゴーストタイプだからいいとして、スミレよく平気でいられるわね!その精神が羨ましいわ!

 

私が強く抱きしめたからなのか、アメルも強く私を抱きしめ返してきた。身体も小さく震えて泣き出さないように必死に堪えているように見える。というか、私も泣きたいわ…。

 

とりあえずは1階の全部の部屋を見て回ったのだけれど、サクラの姿は無かった…けれど、ホコリで小物類の位置が変わっていることに気づいて、誰かが来ているのは見て分かったわ。

…こういうの、ミステリー小説とかであるわよね…。

 

だからサクラがココにいる可能性は充分にある、そして今のところ怪奇現象なども起こっていないけれど…それよりも怖すぎるのよ!この洋館!

 

何で人物画ばかりあるのかしら。変に視線を感じて捜索に集中できないじゃない!

 

それに、人形もあり過ぎよ!何なのあの数は!20体ぐらい居たわよ!不気味過ぎるわよ!

しかもフランス人形!何でよりによってフランス人形なのよ!日本人形も怖いけど…今にも動き出しそうで怖いわよ!

というか、何でフランス人形あるのよ!?何かの嫌がらせなの!?

別にあそこ子供部屋とかじゃ…え、趣味なの?しかも部屋的に男の人の…か、変わった趣味を持ってる人もいるのね…。

 

変なことに気づいてしまったからなのか、寒気を感じてアメルをより強く抱き締める。

アメルが若干、苦しそうにしているのを見て慌てて力を緩めたが、それでもアメルを手放すつもりはない。手放したら1人だと感じてしまいそうで、余計に怖くそれでいて心細く感じてしまう…。

 

…1人?あっ、そうか…。

 

「ラル、ラルラ?」

 

「!…だ、大丈夫…うん。大丈夫よ、スミレ。サクラを早く探し出さないとね。」

 

そうだったわ。今、サクラは1人でいるのよね…。1人で怖くて…泣いてるかもしれないのよね…。

 

「…改めて。サクラを探しに行きましょう。サクラが私たちを待っているわ。」

 

「っ!ポッ、ポチャアッ!」

 

「ラル、ラルルー。」

 

「フワァ〜。」

 

うんっ!そう決まったら、この調子で洋館を…あっ、そうだ!

 

そうよ、ココって森の洋館じゃない!

だとしたら、森の羊羹が…いえ、この場合はレシピかしら?あるかもしれないわね…!

食堂にはそれらしい物は無かったから…ゲームと同じく、2階にあるのかしら?

 

…ふふ。そう考えると、2階へ行くのも楽しくなってくるわね…!

 

「みんな、よく聞いて。今、思い出したんだけど。この洋館にはものすっごく美味しい羊羹があるのよ!サクラのついでに、それも見つけましょう!」

 

「ポーチャア?」

 

「甘くて冷んやりとした、美味しいお菓子よ。きっとみんなも気にいると思うわ。」

 

「ポチャアァ!ポチャ、ポチャポー!」

 

ふふ。アメルも大分と元気が出てきたみたいね。スミレたちも、やる気になってきたみたいだし…。

 

「それじゃあ。サクラ改め、羊羹のレシピも頑張って探しに行きまっ《ガタッ》しょおぉぉおおっ!?」

 

「ポチャアッ!?」

 

ちょっ…い、いきなりなによ!ビックリして思わず変な声出しちゃったじゃない!

 

今のは…に、2階から…かしら?今いる右側の部屋の真上から聞こえてきたわよね…。あっ、もしかしてサクラ…?

 

「…い、行きましょう。もしかしたらサクラかもしれないわ。」

 

「ポッ、ポチャァ…。」

 

アメルと一緒にスミレも抱きかかえ、フウラに側にいるように言ってから、部屋を出て階段を一段ずつ慎重に上がっていく…。

 

ちなみに、今もそうだけど。捜索中もサクラを呼びかける声をナシで捜索していた。

…こ、こういう時に声をあげると、その…ダメな気がする…のは私だけかしら?

 

確か…聞こえてきたのは2階へ上がって右側の部屋からだったはず、位置的に奥の方かしら…。

階段を上がって右側の回廊を進み、部屋の扉を開けようとすると…

 

「うおおぉぉぉ!オレのポケモンー!」

 

「キャアアアァァァッ!!?」

 

「うわぁっ!?」

 

 

---

 

 

「えっ、レイカのポケモンも?じゃあ一緒に探そうぜ!」

 

「…えぇ。」

 

…最後の男子がコレか…。はぁ…まぁ、顔は悪くないけど。中身がダメね、子ども過ぎるわ。

なるほどね…何となく、エムリットとアグノムの仲が悪いわけが分かったわ。

 

どうやら話を聞く限り、バトルを積極的にやるタイプの人ね。

ジム巡りをしてない私にとっては、有難いことだわ。

 

「あぁ、そうそう。カイセイは…その、お宝は見つかったの?」

 

「いんや、まだだぜ。それに、モミさんが言うには、お宝は隠し部屋?みたいなところにあるって言ってたし。オレ、まだそれを見つけてねぇんだよ。」

 

「ゲームにはそのお宝とか無かったし、隠し部屋のようなものも無かったけど…裏設定とかかしら。」

 

何の話かと言うと。カイセイがココに来た理由は、トレジャーハンターであるモミさんに、この洋館にお宝があることを聞いたからのだと言う。

モミさんも1度来てみたのだが、そのような物は見当たらなかったらしい。また挑戦したいが、今は他の物に夢中なのだとか…。

 

それでその話を聞いたカイセイが、面白そうだと思って洋館内へ入り私同様、一階から順に探しているときに、住処を荒らされていると思ったゴーストタイプのポケモンたちが襲いかかってきたらしい。

 

相性の良いクロウ(ヤミカラス)で対処していたけれど、さっきの部屋でバトルしていた時に「さいみんじゅつ」を受けてしまい、寝てしまったとのこと。

それで下の階から何やら物音が聞こえ(おそらく私が捜索していた時の音)、目を覚ますとクロウが居なくなっていることに気づいて、慌てて扉を開けたところで私と鉢合わせたらしい。

 

…最悪のタイミングだったのね…。

まぁ、でも…私はこの洋館に入ってから1度もポケモンに会っていないから、カイセイがバトルをしてくれていたおかげで、バトルをせずに済んだのかもね。

そこ…だけ!は、感謝しておくわ。

 

「…それで。カイセイは1階と、2階はもう全部見たの?」

 

「いや、まだ2階の全部は見てねぇよ。まだ中央の扉は見てねぇんだ。」

 

「中央…確かゲームでは、その扉の先は廊下になって、いくつか部屋が並んでいたわね。」

 

やっぱり、中央の扉の先へ行かなくちゃいけないのね…。

もし、ゲームと同じ構造と仕様があるのなら、あの…あの部屋は…。

 

「ん?どうしたんだレイカ?顔が青いぞ?」

 

「っ!な、何でもないわよっ!さ、さっさとサクラとクロウを見つけて帰りましょう。早くポケセンに行って休みたいわ。」

 

「っ!そうだな。クロウがオレを待ってるかもしれねぇもんな!よぉし、絶対に見つけ出してやろうぜ!」

 

…ふぅ。な、何とか誤魔化せた…のかしら…。

と、とりあえずこのまま気づかれずに…

 

「それにしても、お前忙しいよなっ。」

 

「…え、忙しい?何の事…?」

 

「顔だよ。最初に驚いてちょっと涙が出てたり、次に何かホッとして、話してるときは呆れてたり、考え込んだかと思ったら急に顔を青ざめ始めたりして…ハハ、レイカっておもしれぇな!」

 

 

…み、見られてた!?しかも涙も見られてた!ていうか何コイツ、意外と鋭いわね。

…もしかして。私って感情が顔に出るタイプ?いやいや、そんなまさか…

 

「あっ、ほらっ!今も顔が…「あっ、あーもう、うっさいわねっ!とっとと次の部屋に行くわよ!」…お、おう?(急にどうしたんだ、コイツ。何に怒ってるんだ…?)」

 

 

---

 

 

その後、2人で中央の扉の先へ行き、廊下に出て左から順に見て回ることにした。

そして全ての部屋を見回ったが、サクラもクロウも居らず、ゴーストタイプのポケモンも姿を現すことはなかった。

 

「う〜ん…いねぇな。クロウたちも、他のポケモンも。」

 

「むしろ、これだけ静かだと逆に不気味ね…。」

 

全部の部屋をカイセイと私のポケモンと一緒に捜索してみたが、結局何も見つからなかった。

ゲーム内だとちょっとしたイベントがあるテレビのとこや女の子の幽霊が出る部屋なども特に注意深くして探していたけれど、そういったイベントもなく終わった。…良かった…。

 

でも、私たちのポケモンがココに居るのは確かだし、探さないといけないことに変わりないわ。

そう思ってカイセイに言うと、カイセイも同じように諦めていないらしく、もう一回、1階から順に捜索することにした。

 

ココは部屋の中だから部屋の電気のおかげで明るくて見やすいけれど。窓から外を見ると大分、暗くなってきてるわね…。

早く見つけなきゃ…とカイセイと一緒に部屋を出ようと扉に手をかける。

 

 

…が、その前に扉が一人でに開ききり、そこには暗闇にぼんやりと白い顔だけの者が、こちらを覗いているのが見えた。

驚きのあまり声が出ず、そこで私の意識は途切れ、気を失う事となった…。




も、文字数が4444文字だ…何この数字… …すごい!(怖さよりも感動が勝った(笑))

アスカが出てないので、サブタイトルはレイカちゃんのセリフからにしました。(いつかこうなるって思ってた)

クロウ(ヤミカラス)


…次回の更新については明日の活動報告で。


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第23話 手を繋いでくれないかな

レイカちゃんが森の洋館でサクラ(チェリンボ)を探していると、ポケモンに眠らされていたカイセイと出会い、一緒に探索をしている中レイカちゃんが気絶?!
という前回のあらすじ

モウカザル(ユウ)、ムクバード(ハヤテ)、ルクシオ(レオ)、ロゼリア(ロゼ)


「ココが森の洋館…か。」

 

『わぁ…!古びてはいるけど…大きくて立派な建物だね…。』

 

『…。』

 

 

…と、言うことでやってきたね、森の洋館。わぁ…やっぱりゲームより雰囲気あるな~。

 

…え?何でココに来たかって?うん、それはだね。理由がいくつかあるんだよ。

 

1つは森の羊羮。

…ダジャレじゃないよ?それを言うならアレだよ。それを考えた人に言ってきなさいっていう事になるから。

あぁ…本題から逸れちゃったね。まぁ、森の羊羮を食べてみたいからっていう単純な理由なんだけどね、うん。甘いもの好きなんだよ、私。

 

2つ目はちょっとした息抜きを。

特にユウのね。

…と言うのも、実は回復し終わった後にポケセンの部屋で今回のジム戦と、今後の事について話し合っていたんだけど…ユウが相当落ち込んでいてね。

作戦としては本来、ユウがナエトルを倒す予定だったけど。不意打ちで大ダメージをくらって戻ったのが、ユウにとっては大分と責任を感じていたみたいでね…。

 

アレは、ちゃんとそういった対策をとらなかった私が悪いから、ユウは悪くないとか言ったんだけどね。それでも…と責任感の強いユウが引き下がらなくて。ハヤテが空気を読んで場が沈まないようにしてくれたから、少し助かったかな。

うん…やっぱりキミはムードメーカーだよ、ハヤテ。これからもイジっていくからね!…あれ、何かが違う?いやいやまさか、気のせいだよ。

 

…まぁ。そんなこんなで、ちょっとした息抜きを兼ねてね、来たわけだよ。…肝試しみたいな感じだけど、あのまま考え込むよりはマシでしょ。

あっ。皆には肝試しとしてではなく、森の羊羹と次のジム戦の為にもゴーストタイプ対策とかを練る為に行くって伝えているよ。そのまま伝えたら、またユウが落ち込んじゃうからね。

…後、それらの理由とは関係なしに、行く用事もあった…いや、出来たわけだしね。その事もユウ達に伝えているよ。

 

『…で。入るんだろ、中…。』

 

「あぁ…うん、そうだよ。ゴーストタイプが出たら頼むね。」

 

『…分かってる。』

 

『う、うん。大丈夫だよ…。』

 

ユウが少し自信なさ気なのは、まだ引きずってるからかな…。フォローしてあげてね、レオ。

…と言っても、レオもなぁ…。

 

 

…お化けとか苦手みたいなんだよな…。森の洋館にはお化けとかが出るかもしれないって言ったら、ちょっとビクッてしてたんだよね。

 

私以外は視界にレオの姿が映ってなかったから知らないだろうし、レオが冷静に取り繕ってるけど…よく見たらプルプル震えてるんだよね…。しかもすごく速いから震えてるのか最初、分からなかった…ケータイとかの振動みたいな感じなんだよ。

…どうやったらあんな振動が出来るんだろう。

 

あっ。何故、お化けが苦手そうなレオにしたかというとね。怖がる顔が見t…他に適任がいなかったんだよ。

 

洋館内は恐らく、ゲーム同様ゴーストタイプの溜まり場みたいな感じになってるだろうから、相性的に言えばノーマルタイプをもってるハヤテがいいだろうけど。洋館内…特に部屋とかだと狭くていつも通り上手く飛べないだろうし。特にハヤテは平均より大きい身体をしてるからね。

ロゼちゃんは相性的にあまり良くないし、狭い密閉空間じゃ「しびれごな」とか使えないしね。

 

でもレオは、最近「かみつく」を覚えたこともあって相性的に大丈夫だし。機動力とかもいい方だから、狭い空間内でも大丈夫だと思うんだよね…だからレオになっただけで、他意はない。…他意はないんだよ、いいね?

 

…精神的な問題では、レオとは違ってハヤテもロゼちゃんもこういうのノリノリな感じだったけどね。大勢だと移動が大変かもしれないと思って、2人には悪いけどボールに戻したよ。意外なことに、ユウもケロっとしてたから大丈夫そうなんだよね…。

そして私も、お化けとかそういうのが好きで。こういうのはアトラクション感覚で楽しむタイプなんだよね。

 

お化け屋敷とかでいつお化けが出てくるのかというドキドキ感もいいし、お化けが出てきた時の驚く人の反応も一つの楽しm…いや、だからレオを選んだのに他意はないからね、ホントだからね?

 

『?…どうしたの、アスカ?』

 

「…あぁ、いや。何でもないよ。う~ん…どうなるのかな~…てね。」

 

『?』

 

不思議そうに私の顔を見るユウに何でもないと言って中に入り、扉を閉めて中を見渡す。

うん…さすがに外から見るだけでも雰囲気が出てたこともあって、中も…あるね。出る雰囲気がすごくあってワクワクするよ。今、暗くなり出している為、持ってきた懐中電灯の明かりで周りを照らしているのもあって、よりそれっぽい雰囲気が漂ってるね。…ロウソクの方がもっとそれっぽかったかな。

 

まぁ。今回はあくまで2つの目的…特に森の羊羮に関しては、あの事があるからね。

 

「…さっさと済ましちゃおうか。2階に行こう。」

 

『えっ?1階から見に行かないの?』

 

「うん。そこしか用事ないからね。何処かは聞いてたし。」

 

ユウは納得したのか、頷くのを見て2階へ行くことにした。

が、その前にユウがある事に気づく。

 

『…レオさん、大丈夫ですか?少し顔色が悪い様な気が?』

 

『…気のせいだ。』

 

ユウが指摘してくれた為、改めてレオの様子を見てみたら、洋館に入る前より悪くなってる気がして、流石にマズいかと思い、怖いのが少しでも和らげばとコレを提案した。

 

「…レオ。人の姿になって、手を繋いでくれないかな?レオ達が近くにいるとはいえ、少し不安でね。戦闘になったら戻ってくれていいから。」

 

『えっ、レオさんに?…僕じゃダメ…かな?役不足かな?』

 

心配したユウが控えめにそう言ってくれたけれど、コレはレオじゃないと意味ないしね。だからユウには、室内だとユウの方が動き回れるだろうからという理由で、申し訳なさを感じながらも、やんわりと断った。

ユウがうん、分かった。というものの、いつもより元気がなさそうに感じる。まだ引きずっているのかもしれないな…羊羹でも食べて気分が少しでも晴れれば良いんだけれど。…ユウはそんな単純じゃないか。

でもハヤテだったらコレでいけそうだな。…いや、やっぱ弄r…何も言ってない、何も言ってないよ私。

 

『…あぁ、いいぜ。』

 

「(あっ。今、一瞬嬉しそうな顔したな。余程怖かったのか…。)」

 

レオは私の提案に対し、勢いよくバッとこちらを見て嬉しそうな顔をした後、直ぐに人間の姿になって顔を戻し平静を装っていた。

と思ったがどうやら違うらしく、何かに気付いたのか2階の方をじっと見つめて何かが居ると呟いた。

 

「ゴーストタイプ…とか?」

 

「分からない。だが、何かいる…。」

 

相変わらずレオはスゴイな…。あの雷の時の危険察知や、クロガネ戦でズガイドスの気配を察知したりと…レオはこういうの得意だよね。

それはレオが気配に敏感なのか、種族的に気配に敏感なのかは分からないけど…レオがそう言うのなら間違いないだろうね。

 

しかし2階か…まぁ、2階に行くとこだったし、どの道その…人?ポケモン?…それとも幽霊?と鉢合わせになるだろうから…

 

「…じゃあ、先にその…人に会いに行くか。どの道、2階に行くことだし。」

 

「!」

 

『うん、分かった。』

 

…今、レオが一瞬ビクついていたけど…大丈夫なのかな。いちよう人の可能性もあるからね?…あぁ。単純にこの洋館内を進むのも怖く感じるのか。

顔はいつもと変わらずつり目で無表情だけど…いや、いつもより鋭いかな。怖いのを堪えてる感じがする。

 

さすがにこのままでは進みづらいだろうし…と思い、手をギュっと握りしめ、レオに口パクで大丈夫と言って安心させる。

レオはさっきの私の言動の意味に気づいたのか、ムッとした表情をして顔を逸らし、小声ではあったけど、ありがとうという言葉が聞こえて手を握り返してきた。

 

…え?ボールには戻さないのかって?いやだってレオの驚く顔をまd…ははは。あまり本調子じゃないユウを残して、そんなことは出来ないよ。何を言っているんだい?

入る前に言ってた通り、頼れるのはこの2人だけなんだから。バックに入ってるタマゴの事もあるし、何かあった時の為にも常に2人いる方がいいでしょ。

 

そんな事を考えていたから、この時ユウがこちらをじっと見ていることに気づくことがなかった…

 

 

2階へ行き、渡り廊下の真ん中の扉を開けると。やはりと言うべきか、部屋へと続く扉が並んでいる廊下に出た。

 

『レオさん。何処から気配がするか分かりますか?』

 

「右端…の部屋から聞こえるな。しかも…複数だ。」

 

「(あの部屋は確か…。)」

 

外観から内装まで、ほぼゲーム通りだったことも考えると…レオが聞こえたと言った部屋からは、あの女の子の幽霊がいるかもしれないという…。うん、レオの驚く顔が楽しm…頑張れ、レオ!

 

「(…あっ、そうだ。)確か、あの部屋って女の子の幽霊g…ッイタタタタ!」

 

「っ!わ、悪い…大丈夫か?」

 

『えっ。ど、どうしたの2人とも?』

 

くぅ…イタかった…。手が握り潰されるかと思った…。しかも反応が早いよ、どんだけ怖かったの…。

確かに、レオが怖がるかなと思って言ったら、体をビクつかせる程すごく怖がってくれたけれど…その報い?を受けることになるとはね…。

 

2人に大丈夫だと告げて、改めてその部屋へと向かう。

近づくに連れてレオの目がいつもより鋭くなっていて、顔つきも強張っているのを見るに、大分緊張しているのが分かる。

 

ちょっとからかい過ぎたかなと思いつつ、扉の前に着いて開けようとすると。

懐中電灯の光が点滅している様に見え、電池切れかなと思い扉を開けつつ懐中電灯を上に向けて見る。

扉を開けると元に戻ったので、顔を上げるとー

 

 

「(あっ、点いた。)…えっ、レイカちゃん!?」

 

後ろに倒れるレイカちゃんの姿が見えた。

 

 

---

 

 

「…とまぁ。そういう感じで此処に来たっていう訳。だから…ゴメンね、レイカちゃん。」

 

レイカちゃんが気絶から回復した後、その部屋で3人。どういう経緯でこの洋館に訪れたのかを話し合っていた。

 

それにしても不運だったね、レイカちゃん…。

あの時、私が持っていた懐中電灯の不具合もあるけど。部屋を出るからとカイセイが部屋の電気を消して全体的に真っ暗になったのが、ちょうどあの扉を開けたタイミングと一致してしまったから、余計に懐中電灯の光が眩しく見えて、古典的なものではあるけど、白い顔に見えたわけだね。

…重なるものなんだね、こういうのって。

 

「はははっ!それは災難だったな、レイカ!」

 

「もう私…この洋館、嫌いだわっ!」

 

「(うん、ホントにゴメンね…レイカちゃん。)」




お久しぶりです一か月と少しぶりの更新となりました。どうせならとUSUMの発売1週間前にしたというのもありますが。プレイしたいけど出来なさそうな気が…(リアル事情により)
今後の更新については明日、活動報告にてお知らせします。


このしょうもないオチの為に1ヶ月も気絶させてゴメンよレイカちゃん…。でもアスカと合流させるのにちょうど良かったんだ。


最近、クトゥルフを動画などで知り、思ったのですが。
森の洋館でクトゥルフとかってありそうですよね。…あるのかな?(やったことはないから分からない)

1回、シナリオ作ってGMとしてするか、キャラクターを作ってRPをしてみたいです。
でも…ルルブが高い。そして周りに知ってる人が…。それに、そんな事したら余計に更新遅れるから出来ない。(1番の理由はコレかな)


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