俺の兄貴は雪ノ下陽乃に似ている (鍵穴 光)
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本編
こんな幸先不安なプロローグは嫌だ


お久しぶりな人はお久しぶりです。初めましての人は初めまして。作主の鍵穴 光です。

自分なりに頑張ってみました。まぁ、評価は他人が付けるものですから意味無いですけどね。

それではどうぞ。


俺は比企谷大路、どこにでもいる普通の高校1年生だ。

 

今は4月なので入学したばかりだ。

 

突然で済まないが、人には表と裏の顔があると思う。つまり善と悪、人間には当然持っているものである。表は嘘、裏が本性。例えば、表では仲良くはしているが、裏では陰口を言っている人など、表と裏は人それぞれである。つまり軽い二重人格だ。二重人格は世間では希少とか特別視されていると思うが、俺にとっては人間は持っていて当然だと思う。だから俺は人とはあまり深く関わりたくない。

 

 

 

さて、深いのか深くないのか分からない話をしてしまったが、今の現状を確認しよう。

 

この時間帯は帰りのHR、俺は今帰る身支度をしている。目の前にはクラス担任の平塚先生……だめだ嫌な予感しかしない。

 

「比企谷大路だな」

 

チッ、めんどくさいがここは振り切るしかない。

 

「どうしましたか先生、何かご要件でもあるのですか?」

 

考えている事とは裏腹に満面な笑みで対応する。俺だって人間だ、表と裏はある。しかし俺は他の奴とは違う。俺の表は絶対にバレない自信がある。理由の一つは自分の情報を隠しているから。人は第一印象で型ができる。前に言われたことがある。「比企谷君って、いつも無表情だけど話しかけてみると、笑顔が良くて優しいよね」っと。完璧に騙されている。この言葉は誰にもバレないという再確認ができた。

 

ふと先生の顔を見ると、興味深そうにしている。まさかバレたのか……

 

「なるほど、確かにアイツに似ているな、だから興味を持ったのだな」

 

言葉からしてバレているな、まさかな化けの仮面がこうも簡単にばれるとは、やはり大人には難しいかな?

 

「ついてきたまえ、お前に会わせたい奴がいる」

 

「会わせたい人、ですか?」

 

普通に気になったため聞いてみる。なんかあったか?

 

「いや、詳しく言うなら、お前と関係も持っておきたい奴かな」

 

「……」

 

そうだとは思ってないが、色恋沙汰は御遠慮しておきたいんだが。

 

「まぁ、ついてきたまえ」

 

「……はい」

 

嫌な予感は当たるものだな。迷惑すぎるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

辿りついたのは、人気の無い1番端の教室、札には何も書かれていない。平塚先生は鍵を開けて教室に入る。俺はそれに続いて入る。目の前に写った光景は特に強い印象は無かった。ただ、長机とひとつの椅子が置いてあるだけ。

 

「少し待ちたまえ」

 

平塚先生は待てと言っている。仕方ない、待つとするか。

 

「静ちゃーん連れてきたー?」

 

ドアの方から声が聞こえたのでドアの方に顔を向けると、身の毛がよだった。そこに居たのは、学校の超有名人と言われている、雪ノ下陽乃。噂では色々と聞いているが、簡単に言うと完璧超人と言われている。確かに美人だ、だが俺はそれよりも印象が残るものがあった。

 

 

 

 

 

……なんなんだこの人、表と裏が他の奴と違う。

 

説明は出来ないが言うとすれば、表と裏がこの人にとっては裏と表?それとも表裏一体?そんなものを感じた。

 

そして、何故だか俺と似ている気がした。

 

 

俺は自然とその人から1歩遠ざかった。

 

それを見た雪ノ下陽乃は笑った。

 

まるで、面白い玩具を見つけた様な顔を。

 

「ふーん、やっぱり私の思った通りだね、君は他の人とは違う」

 

これに負けじと対応する。

 

「あなたこそ、人を弄ぶのが好きそうですね、他の人とは違う」

 

この発言に雪ノ下陽乃と平塚先生は驚いていた。図星かな?

 

「……へー、分かるんだ、私のこと」

 

「わかるも何も、似ている気がしたんですよ僕と貴女が」

 

そう、これはひとつの共感の芽生えなのかもしれない。

 

「気に入った。君。私の部活に入らない?」

 

「部活、ですか?」

 

「そう、奉仕部なんだけど、簡単に言うとボランティアかな」

 

「魚を食べたい人に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える感じですか?」

 

「そういうこと」

 

部活か……正直どうでもいいと思っていたが、この人の部活となると入っても意味がないことはない。

 

それに……この人と関わってみたいという気持ちがある。

 

「分かりました、入部を希望します。これからよろしくお願いします、雪ノ下先輩」

 

「あら?結構簡単に入ってもくれたわね」

 

「別に駄目ならいいんですよ入らなくても」

 

「ごめんごめん、冗談だからね」

 

「そうですか」

 

「あ、これからは一緒にお弁当食べようね♪」

 

「……それは本当に?」

 

「うん、ほんとだよ♪」

 

……やっぱり駄目だ、これから先が不安でしかない。

 

 




如何でしたでしょうか?

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プロローグは過ぎ去り、これからが始まる。

シリアス感出てるかな?


卒業式前日。

 

多くの高校生3年生は昔話に花を咲かせる。まるで別れを惜しむ様に。

 

そんな先輩方の横を何事もなく通り過ぎ、いつもの場所に向かう。

 

雪ノ下さんと一緒に作った教室の鍵(無許可で作った、悪気はない)を手に持って。

 

奉仕部の前に来るとドアが少し空いていることに気づく。ドアを開けて見えた光景はいつもと同じような感じ。

 

ひとつの長机と昔じゃ有り得ないくらい近すぎる二つの椅子。

 

その一つの椅子に座る女性。

 

「……なんでいるんですか、雪ノ下先輩」

 

明日卒業する唯一無二の先輩、雪ノ下陽乃。

 

明日この人はここには来なくなる。

 

「いいじゃない、今日が最後なんだから」

 

「そうですね」

 

雪ノ下先輩の答えに賛成しながら隣の席に座る。最初はお互いの席は長机の端と端だった。でも今では長机の真ん中に間隔10cm程になっていた。勿論、付き合っている訳でもない。でも、この1年でお互いに良き理解者になれたと思う。

 

「……色々とあったね、この1年」

 

「……はい」

 

思い返してみると色々な事があった。

 

まずは昼飯、お互いに持ってきた弁当を一緒に食べる。お互いに自分で作ったものだった。どっちが美味しい、というより料理の腕前はどちらが上か、だった。因みに俺は家庭の家事全般担当ですべてこなしてしまう。特に出来たのは料理だった。最初に作ったときはお母さんと小町を泣かせてしまう程だった。だがそれは身内の話、世界では俺よりも凄腕の人なんて沢山いる。俺はすぐに井戸の中の蛙にはならない。だから俺よりも完璧超人の雪ノ下先輩の方が腕はいいだろうと思ったが、料理の腕は俺の方が上だった。寧ろ雪ノ下先輩の胃袋を掴んでしまった。おい、普通は逆だろ。雪ノ下先輩曰く、「こんな美味しいもの、高級レストランでも食べたことないよ!」だそうだ。もうちょい頑張れシェフ。

 

他にも沢山あった。

 

夏休みのボランティア、文化祭の独占権限で運営、体育祭も独占権限で運営、また競技種目で無双、生徒会選挙で、雪ノ下先輩の陰謀で俺が生徒会長就任し、そこから渋々教師のわいせつ行為の監察、対処、学校のセキュリティをアップでウイルス防止(これは全て俺がやった)など、学校に貢献した。

 

しかし、二三年生の先輩方に長時間に及ぶ暴力(反撃はせず、奴らを社会的に殺したのと自分がこれまでやってきたとこの意味の無さに絶望した)を受け、雪ノ下先輩に無断でこの件を教師に報告、退学届けを出した、そこからは家族に内緒でしていた掛け持ちのバイトを10から20にした。その中にはバーなどもあった。学校のことは考えなくて済むようになりバイトに没頭し、給料が全てのバイト先で4倍にもなった。1ヶ月していると、雪ノ下先輩に見つかり、雪ノ下先輩の家の部屋に連行されて長い時間説教されている事もあった。そこから退学してから入ったバイトは辞めさせられ、退学前にしていたバイトは当分休まされた。そこから雪ノ下先輩と平塚先生が総力を挙げ、俺が総武高校に戻った。

 

生徒会長も引き続き就任し、仕事をこなしていたが、誰にも頼らずただ1人でひたすらにやっていた事を雪ノ下先輩に報告され、生徒会の仕事を他の役員に任せて奉仕部に戻り、精神回復に尽力を尽くしてくれた。だが、奉仕部にいるときは雪ノ下先輩の抱き枕だった。そのときに聞こえた、「誰にも大路は傷つけさせないし、誰にも渡さない……」等という声が聞こえ、これは幻聴と判断し流していた。

 

元に戻った俺は生徒会、奉仕部、バイト、家事、勉強を両立し、楽しく過ごしていた。ときにはクリスマスイベントやバレンタインデーに雪ノ下先輩と楽しく過ごしたことは忘れないだろう。

 

……あと、雪ノ下先輩の誕生日に遊びに行ったときに雪ノ下先輩のお母さんに雪ノ下先輩と一緒に連行されたときはマジで焦った。その後色々あって、雪ノ下の両親に気に入られちゃうし、頭がパンクする。

 

こうして振り替えてみると、俺と雪ノ下先輩は丸くなったと思う。まぁ、雪ノ下先輩は変わったとしても俺が変わったかどうかは俺が判断する事じゃない、他人がする事だ。

 

「バイト、どう?」

 

「ちゃんと守ってますよ、退学する前のバイトしかやってません」

 

「そう、良かった」

 

恐らく、心配しているのだろう。またああなってしまうのではないかと。

 

だから俺は安心して雪ノ下先輩が卒業できるように一言いう。

 

「雪ノ下先輩」

 

「なにかな」

 

「ご卒業、おめでとうございます」

 

「!?」

 

貴女にお世話になったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せめて、貴女だけに向けて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺ができる最高の笑顔を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう……ずるいよ」

 

「ずるくないですよ、今までの感謝のお礼ですよ」

 

「……ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卒業式当日。

 

 

俺は在校生の席に座っていた。いつもならただ座るだけの事なのだが俺は卒業式に仕事がある。

 

在校生の言葉。

 

これは現生徒会長の仕事、つまりは生徒会長の俺の仕事だ。

 

だが俺はこの仕事はあまりしたくない。

 

上級生による、暴力沙汰の一件があった為だ。2度と会いたくない。

 

因みに俺に暴力を振るった者は雪ノ下家によって、社会的に死んだ。まぁ、雪ノ下家が出なくとも、そうなる運命だったけどな。

 

まぁ、そんな訳で絶賛鬱だ。許してくれたまえ。

 

「卒業生、入場」

 

さて、卒業式も遂に始まり、卒業生が入場してくる。こんなにも大勢の卒業生がいる中でお世話になったのは一人だけだから一人ひとりに対する感情はない。

 

トラブルが起きることもなく、プログラムが進んでいく。

 

「在校生代表の言葉、在校生代表、比企谷大路」

 

「はい」

 

俺は静かに立ち、朝礼台の前に立つ。ゆっくりと息を吸い、言葉を出す。

 

「段々と暖かい季節になり、色鮮やかな時期になりました。まるで、先輩方の卒業を祝福しているかのようです………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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無事に卒業式も終わり、卒業生の生徒が校門の前で目尻に涙を浮かべながら話している。俺はそんなものを横目に生徒会室に向かう。卒業式の後片付けと言ったところだ。でも、俺は一人だけでやる。役員の先輩方は卒業生とお話したいだろうし、仕事はなしにした。俺的にこの判断は紳士的だと思う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……というのは建前で本当は1人になりたかっただけ。

 

俺としたことが、送辞のときに雪ノ下先輩のことを見てしまい、泣きそうになった。不覚だ。恐らくこの日にまた雪ノ下先輩の顔を見れば確実に泣くと思う。だから仕事の量を増やして遭遇する確率を下げた。

 

俺は思考は一旦やめてデスクチェアーの背もたれに寄りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんで俺はこんな事を考えているんだ。

 

昔の俺はこんなんじゃなかったはずだ。もっと物事を冷静に判断し、冷徹に、無感情で行動していたはずだ。なのに今はどうだ、リア充の様に自分のいいように考え、感情に流されている。昔の俺が今の俺を見たら失望するか、鼻で笑うぞ。

 

とりあえず、このことは後回しだ。今は目の前にある仕事を片付けないとな。

 

俺は仕事に移ろうと、ペンを取ろうとした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ッガタン!!

 

「!?」

 

いきなりドアが乱暴に空いた。

 

何事かと思い、ドアに視線を向けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこんな所にいるのよ!」

 

 

 

 

 

 

雪ノ下先輩がそこに居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

……落ち着け、とりあえず冷静でいろ自分!

 

「なにって、卒業式の後片付けですけど?」

 

「……どうしたの?」

 

「……なにがですか?」

 

「涙出てるよ」

 

「!?」

 

思わず自分の顔に手を添えた。

 

手から感じるのは流れるような水滴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そうか、泣いているのか。

 

「……ただの汗です」

 

「嘘」

 

言葉も出ない。

 

「大路はさ、もっと楽にしてていいんじゃないかな、色々と考えすぎだよ。素直になろうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は君と関われて良かったと思うよ、君と一緒に居られた事で自分が変わった気がする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少なくとも君の言う表と裏、いつもは裏ばかりだけど君なら表が自然と出るし、そうしていたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君だって変わった、少し感情的になることがある。でも君はそれを受け入れてない。どうなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……確かに自分でも変わったとは思う。だけどそれは今までの自分を否定する事になってしまう。この現状で自分を否定すれば何を信じれば良いのか分からなくなる。だから、変わることが俺にとっては恐怖だ。

 

 

 

 

「今すぐに変えられないと思う、でも変わる努力はしていこうよ。それだけでも進歩だよ?」

 

「変わる……努力……」

 

「そう、だから自分なりに頑張ればいいよ」

 

自分なりに頑張る……。

 

今までの自分は否定したくない。それだけは確かだ。

 

でも、変わらなければいずれ俺という比企谷大路は壊れる。

 

……雪ノ下先輩は変われたと言う。あの人は俺にとっては憧れに近いのかもしれない。人は憧れる人を真似ると言う。なら雪ノ下先輩を真似てみる。俺なりの努力だ。

 

 

 

 

「俺は雪ノ下先輩を真似てみます。俺なりの努力です」

 

「うん」

 

雪ノ下先輩は優しく微笑んだ。いつもは裏の顔で周りに対応しているが、俺だけにはこのような表の顔を見せてくれる。

 

「それじゃあ、記念撮影しようか、まずは奉仕部からね!」

 

「……はい!」

 

俺と雪ノ下先輩は生徒会室を出て奉仕部に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年間という短い間だったけど、俺たちにとって、特別な場所へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?

自分の割には長くて誤字脱字があると思うのでありましたらコメント下さい。

コメント、評価、お待ちしております。


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今現在と入部部員?

1ヶ月遅れてしまいすみません。

色々とありましてこのような事になりました。

それではどうぞ。


「ん〜〜〜……」

 

 

俺、比企谷大路は四月の今現在、高校生活最後の年を迎えている。

 

あの雪ノ下先輩が卒業してからも色々な事があった。

 

まずは雪ノ下先輩と交流があった城廻めぐりと仲良くなった。実は同じクラスメイトで、クラス内で俺がどうなっているのかを雪ノ下先輩に伝えていたらしい。なるほど、だから雪ノ下先輩は俺がクラスでの生活習慣が分かっていたのか。

 

 

 

 

うん。取り敢えず、俺の学校でのプライバシーを返せ。

 

 

後はバイトの掛け持ちを辞めた。

 

俺の気に入った喫茶店があり、人も店長しか見た事がないのでここでバイトしてみたいな〜なんて思っていたら無意識にバイトの申請をしていた。自分が思う以上に気に入ったのだろう。優しそうな店長は1発OKしてくれたので真面目に働きたいと思い、他のバイトを辞めた。そこから一人バイト仲間が増えて現在3人でやりくりしている。

 

 

それから、あれから雪ノ下先輩の真似をしていたが、自分の感覚では余り変化はなかったと思う。だが城廻の話だと相当変わったらしい。

 

 

前よりもフレンドリーになり、たまに出るカッコイイ優しさと癒しの様な存在感などがあるんだと。身に覚えがないんだか……。

 

 

あと、何よりも変わったことと言えば俺が怒ったときと不機嫌な時らしい。そのときの行動や言動が雪ノ下先輩に凄く似ているらしい。

 

 

曰く、冷たい空虚な目と、それに似合わぬ笑顔、相手を打ち負かす言論が似すぎている。(城廻談)

 

 

ん〜まぁそうかもしれないな、何かあった時は相手はいつも震えているし、終わると泣いてるか、只の抜け殻みたいになっている。なんかごめんね……

 

 

後は変わらないかな、2年の体育祭や文化祭はいつも通り独裁権限、無双し、生徒会は俺の策略で城廻を生徒会長になり、裏でひとしきり笑い、職場体験では只働いていたら向こうの方々が凄い顔をしていた。因みにそこは料理店だ。

 

 

 

なんかしたっけ、俺?

 

 

それと、嫌なことは思い出したくないのでそれは言わないに事にする。八幡が気にしないでくれと言っているしね、本人が気にしないなら気にしない。

 

 

 

さて、長いのか短いのか分からない回想を止めて今の状況を確認しよう。

 

 

 

此処は奉仕部、いるのは寝ていた俺と俺を訝しそうに見ていた後輩部員の雪ノ下雪乃。

 

 

「部活中に寝るなんていい度胸ね、部長」

 

「ここの部活は依頼が来ない限り自由時間だろ、そんな事言うならお前だって読書してるから有罪だぞ」

 

何を隠そうこの子は前部長の雪ノ下先輩の妹なのだ。

 

外面的にも内面的にも全然似てね~

 

 

「そんなことはないわ、私は時間の使い方を有効に使っていますから。貴方とは違って」

 

確かに読書をしていれば速読や言葉の理解力、登場人物の心情や作者の意図を見つけ出すことが容易になるが、そこは違くないですか?自由時間ではなければ読書すらやってはいけないと思いますが。それと先輩なんだから敬語使え、敬語。

 

「聞いているのかしら?部長」

 

「聞いてるよ、分かったから敬語使え」

 

「聞いているならいいわ、でも貴方の様な人間に敬語は使わないといけないのかしら?」

 

「第一印象で判断するのは良くないぞ、雪ノ下」

 

実質、雪ノ下は余り俺のこの学校での立場を知らない。俺はこの学校では、頼れるお兄さん、裏の権力者などの存在となっている。おい、なんだ裏の権力者ってそんなものになった覚えはないぞ。(無自覚)

 

それに雪ノ下が入部してからそんなに大きい依頼はきていないので実力を出す機会が無い。故に雪ノ下は俺のことを全くもって知らない。

 

「第一印象をも何も無いでしょう貴方は」

 

「……了解、後でどうなっても知らんから」

 

「?」

 

不思議そうな顔すんのやめてくんない?美人なんだからさ、そういう男を抹殺するような顔。

 

 

 

ガラガラガラ

 

 

「比企谷、雪ノ下入るぞ」

 

 

おい、あの先生ノックもしないで入ってきたぞ。先生としてどうなんだ。

 

「先生、ノックを」

 

「済まない済まない」

 

雪ノ下は平塚先生に指摘しているが俺は本題であろう事に質問した。

 

「兎も角先生、なんで俺の弟が後ろにいるんですか?」

 

そう、平塚先生の後ろに俺の弟、比企谷八幡がいるのだ。おおよそで分かるが恐らく強制入部部員だろう。なんで兄弟揃ってこうなるんだよ……

 

「彼は今日からこの部活に所属する入部部員だ」

 

「あーー、どうも比企谷八幡ですっておい誰が入部部員だ」

 

「比企谷、お前は罰としてこの部活に入ってもらう、異論反論講義質問口答えは認めない。頭を冷やせ、反省しろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「巫山戯るな」

 

「「「!?」」」

 

何故、平塚先生、雪ノ下、八幡が驚いたのかと言うと俺だ。今の俺は頭にきている。

 

「何が罰でこの部活に入れだ、舐めてんのかこの三流教師。この部活は罰則部じゃない、この部活を作ったひとりなら一番分かるはずだ。貴女は俺とあの人の場所を傷つけるのか?入らせるならちゃんとした理由で入らせろこの独身女」

 

「っ!」

 

俺とした事が、平塚先生はこんな理由で八幡を入れることなんてしない。これは嘘で本当は人にメリットのある理由があると思う。でも嘘を付くために罰なんてもので誤魔化しこの部活に入れるようならば許さない。俺と雪ノ下先輩の大きな分岐点であり思い出の場所にこのような事をするなんて許せない。

 

 

「す、済まない比企谷。だが私にも本当の理由はあるのだよ」

 

「……すみません、少し頭に血が登り過ぎました。今日は帰ります」

 

俺は身支度を済ませ立ち上がりドアに手をかける。開けて出る前に一言言う。

 

「八幡を入れるかどうかは一任します。八幡は帰ったら俺に報告、いいな」

 

「わ、分かった」

 

「それでは失礼致します」

 

俺は奉仕部から出ていった。

 

 

 

 

 

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「ただいま〜」

 

「おかえり大路兄今日は早かったね」

 

俺を出迎えてくれたのは妹の比企谷小町。中学3年生で今年は受験生だ。

 

「あぁ、八幡は少し遅れるから後で本人に理由を聞きなよ?」

 

「了解であります!」

 

相変わらずあざとい。でも八幡に比べると度合いが低いんだよな。小町は八幡のこと大好きだからね。は〜兄弟愛が欲しい。

 

「今日のご飯何がいい〜?」

 

「ん〜、肉じゃががいいな!」

 

「了解」

 

早速、料理を始めようかな。っとその前に。

 

「ただいま〜カマクラ」

 

「ニャー」

 

家の愛猫カマクラにただいまの挨拶を言う。

 

 

何故か俺は動物に懐かれやすく、ペットショップに行くと大惨事になるレベル。

 

「じゃ、料理やりますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------------

 

 

 

 

ふー料理完成いい出来だな。

 

「ただいま」

 

「おかえりーお兄ちゃん♪」

 

小町がおもむろに抱きつく。皆さん見ましたか?八幡がただいまの『た』を言った瞬間に行動に移してましたよ。それに台詞に音符マークが付くレベル。あ〜妬ましい。パルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパル。

 

「おかえり、料理できたから食べながら話そうか」

 

「おう」

 

「お兄ちゃん早く食べよ」

 

「はいはい」

 

もう2人の世界だな。疎外感が半端ね〜。

 

「「「いただきまーす」」」

 

暫く世間話と八幡の捻くれた話を聴きながら(俺はこれまでの会話に入っていない、というか入れてくれない。待って涙か……)本題に入る。

 

「それで入ることにしたのか?」

 

「不本意だか入ることになった」

 

「そうか。他には?」

 

「平塚先生が雪ノ下に俺の腐った目を矯正しろと依頼があった」

 

「よし、あの独身教師精神的に殺してやる」

 

「大路兄、ブラコン出てるよ」

 

おっといけない。

 

「それでお兄ちゃん、雪ノ下さんってどんな人?」

 

まぁ、答え100%で、

 

 

 

 

 

「(嫌な奴)」

 

はい、ビンゴ。

 

でも、部活でこれから関わっていけば評価も変わるし今はそっとしておこう。

 

「それじゃ分かんないよ、大路兄は雪ノ下さんをどう思うの?」

 

「ん〜結果で見れば毎回学年一位の成績優秀、類まれなる容姿など表面で見れば完璧超人ってとこかな」

 

それに比べて、中身はただ姉を追い続けている空っぽな哀れな子ってとこだな。言わないけど。

 

「もしかして大路兄その雪ノ下さんの事好きなの!?」

 

「有り得ないだろ、兄貴がそんなことあるわけない」

 

八幡は小町の言ったことに否定する。

 

「そうだな、寧ろ恋愛とか異性とか全く興味無いな」

 

そして俺も否定する。いやマジで恋愛?何それ美味しいの?

 

「えー、つまんないの」

 

お前は俺をなんだと思ってるの?

 

「まー兎に角八幡」

 

「ん?なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ奉仕部へ。歓迎すると共に君の成長に期待してるよ」

 

 




如何でしたでしょうか?

久しぶりでおかしいかもしれませんがご了承ください。

評価、感想、お待ちしております。


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バイトと後輩

早く最新刊買いたい衝動に駆られています。


八幡が入部した翌日、俺は放課後奉仕部ではなくバイトの喫茶店に来ていた。勿論仕事をする為だ。俺の弟は何故か社畜は嫌だ俺は専業主夫になると迷言を言っている。小町はそこにツッコミを入れているが俺はスルーしている。人の意見は人それぞれだし、時間が流れるにつれて気づくだろう。現実に。

 

おっと話が逸れた。

 

この喫茶店でバイトをする理由は沢山あるがその中で一番気に入っているのがこの喫茶店の雰囲気だ。

 

通常の喫茶店は少し騒がしい(※個人の意見です)と思うのだがうちの喫茶店はとても静かだ。客足も余り多くなく、聞こえてくるのは外の喧騒と中にある人の足音となんとなく聞こえる会話の声。

 

たまたま暇で街巡りをしていたらふと目に入ったので店に入ってみたらすぐに好きになり、会計の時に店長がでてくれたので働かせてくださいと交渉したら、二つ返事でOKしてくれた。店長の器の広さも好きである。因みにシフトは週5であるが曜日は適当、自分の都合に合わせていいと店長の心意気。店長、貴方は神様ですか?優しすぎる。

 

 

「こんにちはー、比企谷入りまーす」

 

 

喫茶店の裏口から入り、店長に挨拶をする。店長は30代位の男性で少し痩せているが肉付きはある長身、顔から滲み出る優しさオーラ全開の顔。うん、イケメンですね。因みに独身。モテそうなのに何でかなーと思って聞いてみると「これまでいい人に巡り会えないかったからかな」と言っている。何故だろう、何処ぞのアラサー教師の顔が浮かんだ。会わせてあげたい。

 

「学校お疲れ様大路君、今日は海奈さんも入ってるから厨房頼んでいいかな?」

 

「了解です」

 

なんだ今日は来てるのかあいつ。

 

取り敢えず制服に着替えて厨房に入る。

 

「何かする事ありますか?」

 

「んーさっきお客さん出て行ったから取り敢えず待ちかな。ちょっと海奈さんとお話してきていいよ」

 

「ありがとうございます、お客さん来たら戻りますね」

 

「お願いね」

 

会話から滲み出る優しさが分かりますか?俺はオーラの輝きが見えるレベル。

 

取り敢えず会計場にいるであろう後輩の元へ向かう。

 

「お疲れ様、海奈ちゃん」

 

「あ、お疲れ様です、大路先輩」

 

この子は七里ヶ浜海奈。この喫茶店のバイト人で後輩。学生で海浜高校の2年生で生徒会副会長をしているそうだ。頭も良く、回転が早い。性格は真面目だけど少し抜けている感じがある。たまにやらかしたりするので可愛らしい。年下なので八幡と小町がの言う『お兄ちゃんスキル』(無自覚)が発動してしまう。黒目で黒髪の纏めが上の方ののポニーテール。普通に言ったら美少女だ。容姿は一言で言うならスレンダーで胸は雪ノ下妹以上雪ノ下姉未満だ。うん、自分で言ってて気持ち悪い。変態じゃないぞ俺は。

 

あと呼び方だが口で説明するよりもそのシーンを聞いてくれた方が早いかな。

 

 

『七里ヶ浜って長いから海奈ちゃんでいい?』

 

『全然いいです!寧ろしてください!あ、でも呼び捨てで言って欲しい……です』

 

『いや、呼び捨てで言える程仲良くないからそれは出来ないかな』

 

『そうですか、分かりました……』

 

『?ま、取り敢えず海奈ちゃん宜しくね〜』

 

『は、はい!』

 

 

こんな感じである。

 

実はと言うと七里ヶ浜が長いからではなく、バイト仲間としてギクシャクするのも仕事をする中で嫌なので出来るだけフレンドリーにしようという俺の気遣いだ。決してやましいことなどない。あ、大路先輩は俺が適当に呼んでいいよ言ったのでこうなっている。

 

「大路先輩、私もう疲れました〜」

 

「はいはい、お疲れ様」

 

自然と頭を撫でてしまう。でも何故か気持ちいいのでやめられない。なぜだ。

 

「やっぱり気持ちいいです」

 

「ん?して欲しいならいつでもするが?」

 

俺も気持ちいいし、まさにwin-winだ。

 

「ん〜でも頑張ったときにして貰えると嬉しいので休憩とかバイト終わりや別れ際にして下さい」

 

「随分多いいな」

 

「嫌ですか?」

 

上目遣いはずるいと思うよ海奈ちゃん。

 

「嫌じゃないよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

カランカラーン

 

 

「お客さんも来たし、始めるぞ」

 

「了解です!」

 

お客さんが入ってきた為、バイトを始める。さてと、やりますかね。

 

 

 

 

 

 

-----------------------------------

 

 

 

 

 

現在の時刻は午後八時半、この喫茶店は午前六時開店の午後八時閉店で、開店時間は結構短い。店を閉めたら店長は事務作業、俺は明日のメニューの仕入れ、海奈ちゃんは店の掃除と三十分にしている。短い時間で集中して済ます店長の方針だ。実に効率がいい。また、誰かがいない時は時間を増やし、いない人の分までやる。この店ほんとに平和だな〜。

 

「2人共お疲れ様。あと、先月のお給料ね」

 

「「ありがとうございます」」

 

「じゃ、帰り道には気をつけてね」

 

「「はい、お疲れ様でした」」

 

二人でお店をあとにする。

 

「大路先輩、今日はお給料日でしたし、何処かに食べに行きませんか?」

 

唐突に海奈ちゃんに誘われる。

 

ん〜今日は両親は帰ってこないって言ってるし、晩御飯は軽いものでいいかな。時間がかからないが食べる時間が遅れるだけだし。

 

「軽くなら良いぞ、九時までな」

 

「ありがとうございます!じゃあ時間が余りありませんからサイゼでいいですか?」

 

「いいよ」

 

まぁ、普通の選択だな。時間もないし。

 

少し歩いてサイゼについた。

 

中に入り、椅子に座りメニューを見る。

 

「大路先輩はどうしますか?」

 

「これから家帰ってご飯食べるからドリアでいいかな」

 

「私もそれにします」

 

お互いに注文も決まり、頼んだら楽しく会話する。

 

「大路先輩って学校ではどうしてるんですか?」

 

「んー部活に入ってるからそれをこなしているだけかな。あとは適当にのんびりしてるよ」

 

「へー部活に入ってるんですね。因みに何部ですか?」

 

ここで注意、名前だけ言うと誤解されてしまうので活動内容もしっかり言う。

 

「名前は奉仕部って言って、活動内容は簡単に言うとボランティアだな」

 

「へーそうなんですか」

 

「あと、仲のいい人っていますか?」

 

「んー二つ上の先輩かな、部活の先輩」

 

「因みに性別は?」

 

「女性だけど?」

 

「……そうですか、どう思ってるんですかその人のこと」

 

その間は何と聞きたいが、聞かない方がいいとみたのでそのまま続ける。

 

「尊敬する人かな」

 

「尊敬、ですか」

 

「うん、その人は簡単に言うと完璧超人なんだ」

 

「さらっと言ってますけどどんな感じですか?」

 

「成績優秀、容姿端麗、スポーツ万能で一緒にいると落ち着くかな」

 

本当に落ち着く。今までで一番信用できる人だ。

 

「私とは居てどうなんですか?」

 

「へ?」

 

「だから、落ち着くかって聞いてるんですよ」

 

「お、落ち着くよ?」

 

「それなら良かったです」

 

何なのこの子、いきなり自分はどうですかなんで聞くなんて。これも少し抜けているから出せる技なのか?あ、もう時間だ帰らねば。

 

「そろそろ時間だから帰るわ」

 

「あ、私まだ居るのでここでお別れですね」

 

「そうだね、はいこれ二人のお勘定分」

 

「いいんですか!?」

 

いやいや、これくらい出さないと駄目だろ。

 

「いいよいいよ、じゃあまたね」

 

俺は店を出る……前にする事があった。海奈ちゃんの方に戻る。

 

「?」

 

不思議な顔してるが忘れてるな。仕方ない。

 

「よしよし」

 

俺は海奈ちゃんの頭を撫でる。

 

「!?!?」

 

あらら、顔真っ赤にしちゃったよ。ま、いいか。

 

「約束だからね、バイバーイ」

 

俺は店を出て帰路につく。やっぱ可愛いな海奈ちゃんは。

 

さっきの海奈ちゃんの顔を思い出しながら笑う。

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

私は今、顔が真っ赤だと思う。あんな不意に撫でられたら誰だって赤くなる。

 

なんなのよ!あの人!イケメンすぎるよ!

 

……やっぱ諦められないな〜。

 

 

「大路先輩、私はあなたのこと諦めませんからね」

 

 

 

 

 

 

 

想い人には届かない声を静かに呟く。

 

 

 




大路って罪な男ですね〜www
海奈さんではなく海奈ちゃんですかね〜。そこは陽乃に似ているんじゃないでしょうか?
これからどうなっていくか楽しみです。

あ、話は変わりますけど、SAOの最新刊出ましたね、早く読みたいたいです。(フラグ)


評価、感想お待ちしております。


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二人の朝と黒紫色の宝石

遅れてすいません、一ヶ月ぶりです。

今回はあの二人のいつもの朝を書いております。


現在の時刻は6時半、俺は今朝食の準備と小町と八幡の昼の弁当を作っている。俺の家族での立ち位置は長男で家事全般できる万能お兄ちゃんだ。因みに金銭管理もしている。要は家族の大黒柱の一角を担っている。だが、俺はこの家族に情などない。なんせ家族である八幡の誕生日を祝わなかなったからだ。両親は小町しか見ていなかった。なんだこのブラコン、と思うかもしれないがどうでもいい、ただ俺は家族の誕生日を祝わない家族なんて家族ではないと思っただけである。そこからは家族イベントなんざ参加した事ない。あるときはバイトだの友達と遊ぶだの言って参加していない。

 

その時はバイトしてるか、陽乃さんか海奈ちゃんと遊んでいるか、雪ノ下家のイベントに参加しているかだ。あれ?一緒に遊んでいる人、陽乃さんと海奈ちゃんしかいなくない?気のせいだよね、うん、キノセイダー。

 

では何故俺が家事しているかというとこの先一人暮らしするつもりなので、その為の練習中と言う訳だ。そうしているうちに両親から(特に親父)は便利屋的な扱いになった。ま、どうでもいいけどね。

 

あー早く一人暮らししたい。その為にバイトをしている。だがここ最近気まぐれで買った宝くじで9桁のお金が当たった(衝撃の事実)。我ながら未だに信じていない。そのお金は先を見通して貯めている。まぁ、自分と八幡と小町の小遣いが千円アップしたくらいだ。これで大学の進学も可能になった。神様ありがとう、マジで感謝します。

 

「おはよぉー大路兄」

 

おっと両親からとっても愛されている我が妹の比企谷小町の登場だー。うん、巫山戯るのも大概にしよう。

 

「おはよう、小町」

 

「うーん、まだ寝てたいよ」

 

「だったらおまえが大好きな八幡お兄ちゃんのところで寝てろ」

 

「りょうかーい、起こしてくるねー」

 

安定のスルーである。日常茶飯事なので何も思わない。

 

2階に上がる小町を尻目に朝食に出す味噌汁の味を確認する。

 

「……ん、よしオッケー」

 

朝食ができたので配膳して2人が降りてくるのを待つ。

 

「んー……おはよう、兄貴」

 

「おはよう、八幡。2人とも席ついて、ご飯食べよう」

 

「はーい!」

 

「ん」

 

この2人のテンションは安定だな。まぁ、俺もそうなんだが。

 

「それでは……」

 

「「「いただきます」」」

 

朝食を食べ始め、八幡と小町は世間話をし始める。俺はその2人の話を聞きながら黙って食べる。俺は食事の時は最低限喋らない。なんかある時は喋るがね。

 

俺は2人よりも早く食べる終えると食器を台所に持っていき、洗ったら食洗機に入れておく。そこから俺と八幡と小町の弁当の準備を済ませて、テーブルに置いて自分の部屋に戻る。

 

制服に着替えて陽乃さんから貰った黒紫色の宝石が埋め込まれている指輪を右の薬指にはめる。この指輪は陽乃さんとのペアルックである。なんでもお互いに許しあった者達が付けると幸運が巡るらしい。まるで結婚指輪ですね、なんて言ったら陽乃さんの顔が赤く染まってしまった。あれは失言だった。怒らせてしまったからな。直ぐに謝ったがそれでも罵倒が降り注いだ。比企谷大路の黒歴史に認定した。まぁ、そんな事がありました。この指輪は結構大事にしている。まぁ、指輪二つを自腹で買ったというのもあるが何より陽乃さんとのペアルックだ。寝るとき以外は離さないでいる。学校では校則違反となっているが見過ごされている。それは今でも謎だ。

 

鏡を見て、服装が崩れていないか確認して荷物を持って部屋から出て玄関に向かう。基本登校は1人で行く。深い意味はない、習慣が付いてるだけ。

 

「いってきまーす」

 

「いっらっしゃーい!」

 

「後でな兄貴」

 

たく、八幡はいいかげん行ってらっしゃいって言ってくれないな。ま、いつもの事だけど。

 

ドアを開ける前に毎日の習慣である黒紫色の宝石の指輪に口付けをしながら願う。

 

今日も俺と陽乃さんに幸福がありますように……

 

俺はそっと目を開けて薄笑いしながら家のドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------

 

 

 

目覚まし時計のアラーム音が聞こえて目を覚ます。私は少し不機嫌になりながら目覚まし時計のボタンを押して五月蝿い雑音を消す。私は朝が嫌いな訳ではないがまるで叩き起されるような起き方は嫌いだ。

 

「大路が優しく起こしてくれたらどれほどいいだろう……」

 

は!私は今何を言ってるの!

 

思わず誰かに聞かれたのではないかと、私以外当然誰もいない自分の部屋を見渡してしまい、顔を真っ赤にしてしまう。

 

ここ最近、時間があれば大路のことを考えている。

 

 

そう私、雪ノ下陽乃は比企谷大路のことを愛している。でもこの想いを大路に伝えたことはない。それに大路は私に恋愛関係の感情を抱いているようには見えない。つまりは私の片思いだ。こんな状態が二年続いている。流石にもう耐えられない。早く彼の隣で人生を共にする関係になりたい。もう両親は彼を迎える了承は取っている。それよりも私が大路と結婚したいと言ったらすんなりと認めてくれた、それよりも早く婿と迎えろと口うるさくしている。両親曰く、『あれほど社会に順応している人間はいないしスペックもかなりのもの。それに陽乃を変えてくれたから彼なら任せられる』だそうだ。その時の私は口が閉じなかった。なんせ両親のことだから断固反対されると思ったからこれ程するなり了承するとは思わなかった。それからは雪ノ下家のイベントは全て出席している。その度にお父さんが大路を口説いている。

 

おっと昔のことに浸っている場合じゃなかった。

 

取り敢えず、ベットから立ち上がり大きく伸びをする。肩凝りが酷い。んーやっぱりこれのせいだよね。私は自分のものを見ながら思う。この肩凝りどうすればいいのかなー。あ、大路に肩もみしてもらおうかな!そしたら大路が……って何を考えているんだ私は。煩悩退散煩悩退散。

 

身支度の済ませて、部屋を出て広間で用意されていた朝食を摂る。んーやっぱり大路のご飯の方がいいなーってまただ。こんなんじゃ私が大路に胃袋を掴まされているようなものじゃないか。まぁ、実際そうなんだけどね。早く料理を上達して大路を越えて、大路の胃袋を掴まなければ。

 

朝食を済ませて大学に行く為に都築が準備した車に乗る。

 

「発車します」

 

都築の声が聞こえて、車が動き出す。

 

移動中にふと右手の薬指にはめている黒紫色の宝石が埋め込まれている指輪に目を移す。自然と顔が緩む。なんせこれは大路とのペアルック指輪だ。この指輪はお互いに許しあった者達が付けると幸運が巡ってくるという指輪だ。それに加えて宝石の色が黒紫色で前に大路とお互いにイメージの色は何?と聞いたときに紫と答えてくれた。私は彼のイメージカラーは黒だと思ったので大路と一緒に買いに行ったらなんと二つとも大路が買ったのだ。これには驚いた。なんせ二つで何十万という学生では買えない値段だからだ。こういう時に男を見せるのでずるいし、しかも自然に。本当にずるい。しかもそれ以上に顔を赤らめたのは大路の何気なく自然と発した一言だ。

 

『なんか、結婚指輪みたいですね』

 

もう顔が真っ赤になったのが自分でも分かった。そしてこの空気を破ったのも大路だった。それも、一番駄目なセリフで。

 

 

 

 

『す、すいません!変な事を言ってしまい。だからそんなに怒らないでください!』

 

どうやらあの時に私の顔を見て、怒ったと思ったらしい。

 

 

この鈍感な唐変木め。そこからは罵倒の嵐を降り注いでやった。

 

「ふふ……」

 

思い出すだけで笑ってしまう。おかしいな、大路と出会う前は思い出し笑いするのはなかった。こうやって笑えるのも大路のおかげ。もう感謝してもし切れないよ。

 

私は黒紫色の宝石の指輪に口付けしながら、彼を想いながら、深く願う。

 

 

 

……今日も私と大路に幸福がありますように……

 

 

 

 

……そして、私と大路が生涯を共に出来ますように……

 

 

 

 

 

「ふふ、叶うといいですね、陽乃様」

 

「!、き、聞こえてたの!?」

 

「ええ、恋する乙女の顔をしながらとても優しい声音で仰っておりましたよ」

 

「!、///……」

 

声に出ていたらしい、とても恥ずかしい。

 

「顔が真っ赤になっておりますよ、陽乃様」

 

「う、うるさいわよ都築!」

 

「はい、申し訳ございません。それともう着きましたよ」

 

「あ、ありがとう都築、ふぅー」

 

取り敢えず、自分を落ち着かせる。

 

 

 

 

……よし。

 

「行ってくるわ、都築」

 

「はい、行ってらっしゃいませ、陽乃様」

 

車から出た私は微笑を浮かべながら歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

千葉の何処で二つの黒紫色の宝石がキラリと輝いていた。

 

 

 




いやー、これで付き合ってないっておかしいですよね、作主もそう思いますww

感想、コメント、評価、お待ちしております。

次回もお楽しみに!


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現生徒会長と新入部員

はい、連日投稿です。
今回はどうなるのでしょうか?

それではどうぞ



放課後、今日はバイトではないので奉仕部に向かう。さてと、今日はどんな依頼が「大路くーん!」ん、この声は……。

 

「なんだめぐり、なんか用でもあるのか?」

 

「うん、実はね……」

 

彼女は城廻めぐり、同じクラスで現生徒会長である。そう、彼女が俺の戦略で強制的に生徒会長になった人物だ。彼女を選んだ理由は陽乃さんが信頼を置いている少ない人物の1人だ(というか俺とめぐり以外知らない)。俺の考えではめぐり以外が生徒会長になると折角俺が構成した学校が退化すると思ったからだ。まぁ、それでも退化しているが最小限なので気にしない。どうやって生徒会長になって貰ったかというと、成績がプラスになるとか経験になるだのでなってもらった。何故俺がこの役を押し付けたかというとただめんどくさくなっただけだ。異論など認めない。

 

「ねー聞いてるの!大路君!」

 

おっと、そういえば話し掛けられたんだった。

 

「済まない、少し考え事してた、でなんだ?」

 

「うんとね、ちょっと書類整理で量が多くてね、手伝って欲しいんだ」

 

「えー、めんどくさい」

 

マジでめんどくさい、やりたくない。

 

「ちょっと!まさか忘れたなんて言わせないよ!条約のこと!」

 

「あーそういえばそうだな、よしやるか」

 

条約というのは俺がめぐりに生徒会長をやってもらう為に作ったものだ。

 

内容は……

 

1、めぐりが生徒会の仕事関係手伝って欲しいときに手伝うこと。

 

2、学校行事などはサポーターとして必ず手伝うこと。

 

3、めぐりに勉強を教えること。

 

以上、この三つだ。

 

まぁ、妥当な所だろう。この位はしなければならないからな。え、さっき忘れてだろって?そこに関してはノーコメントだ。

 

「うん!ありがとね!」

 

「ま、条約で結んでるしな。でもちょっと待ってくれ雪ノ下に連絡するから」

 

雪ノ下に奉仕部に遅れることをメールで送る。報・連・相は大事だよ、\_(・ω・`)コレ重要!

 

よし、送った。

 

「よし、行こうか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

---------------------------------

 

 

 

暫く、俺は生徒会室で書類整理を手伝っていた。こういうのは大抵の人は嫌がるが、早く終わらせてしまえばなんてことはない。というより、陽乃さんに一年の時からやらされていたから慣れた。なんか嫌な慣れだな……よし、終わった。

 

 

「ふー、ざっとこんなもんかな」

 

「え、待って早すぎない?」

 

「こんくらい普通だけど?」

 

「大路君人間業じゃないよ、それ」

 

え、そんなに?ちょっと俺傷ついた。ぐすん。でも、陽乃さんもこんくらいの速さでやってたぞ。うん、あれは人間業じゃない。あれ?俺も同じ位の速さでやってたな、つまり俺も人間業じゃないってことか。ショック。

 

「そーかい、少し貰うぞ」

 

「あ、ありがとー♪」

 

確かに陽乃さんの言う通り天然オーラが凄いな。なに?めぐりんパワー?何それやばそう。

 

「そういえばさ」

 

「ん、なんだ?」

 

手を動かしながらめぐりが質問してくる。それを俺も手を動かしながら応える。

 

「はるさんとはここ最近会ってる?」

 

「んー会ってないかなー」

 

言われてみるとここ一ヶ月は会っていない。まぁ、大学やら家の事で忙しいのだろう。

 

「そうなの?じゃあ会いに行ってね、はるさん多分寂しがってると思うよ?」

 

「は?寂しがってる?」

 

「うん」

 

あの人が?いやないだろう。あの人の事だからひょっこり出てくるぞ。まるで神出鬼没。

 

「はー、大路君は女心を学んだ方がいいよ?」

 

「いやそんなこと言われてもな……」

 

そんなもの男である俺に分かるはずないだろう。分かったらそんな奴神様かオカマ位だぞ。

 

「取り敢えず、陽乃さんに会うこと、いいね?」

 

「わ、分かった」

 

「ふー、こっちは終わったよ。そっちは?」

 

「こっちも終わったよ。じゃあこれでお開きかな?」

 

「そうだね、ありがとね〜♪」

 

「気にすんな、じゃあまた明日」

 

「うんまた明日ね〜♪」

 

別れの挨拶をして懐かしき生徒会室から出る。

 

よし、奉仕部行くか〜。

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

 

さて、俺は今奉仕部の前に居るのだが前に聞いたことがある声がした。確かあの時のお団子ちゃんかな?

 

ドアを開ける。

 

 

「手伝ってくれたし」

 

「……おう」

 

……これはどういう事だ。お団子ちゃんが八幡に包袋を渡している。そしてやっぱりあの時の子だった。とてことは……ああ、そういう事。

 

ふとこの三人の光景を見ていると思う。

 

 

 

 

この三人なら、俺が見てみたかったものを見せてくれるかもしれない。俺が諦めていた八幡の『本物』を、この世界の『本物』を。

 

 

腐った理念を押し通し、自己犠牲をして、相手を守る優しい、八幡。

 

 

完璧超人に見えるが脆い人間で、訳ありの事情を持つ、雪ノ下。

 

 

いかにも高校生らしい、おバカそうに見えて芯がしっかりしている強い子、由比ヶ浜。

 

 

お互いにいい所を持ち、悪い所がある全くもって対象的な三人。

 

 

この三人が『本物』の関係になれたら……

 

 

「ん、兄貴じゃねえか。どうしたそんな所に突っ立って」

 

「あ、ああ済まない。こんにちは雪ノ下、由比ヶ浜ちゃん」

 

「こんにちは、比企谷先輩」

 

「あ、こんにちは、お兄さん」

 

「え、なに?由比ヶ浜と兄貴知り合いなのか?」

 

「え、えっとね……」

 

由比ヶ浜が黙りこくってしまった。ここで俺なら事情を説明するが、この事は本人の口で言うべきであろう。

 

「ああ、とあるきっかけで知り合うようになってね、そうでしょ、由比ヶ浜ちゃん?」

 

「あ、はい!そうなの」

 

「ふーん、そうか」

 

良かった、八幡は怪しがるが、今回は事情は深く探索しない方に転がったようだ。

 

「そういえば由比ヶ浜ちゃん、なんでこんな所に居るのかな?あ、依頼かな?」

 

「おい止めとけ兄貴その話をしたら……」

 

「はい!そうなんです。でもおかげで解決しました!」

 

「そうか、良かったね。2人ともお疲れ様」

 

「ありがとうございます、ではこの話は……」

 

「あ!そういえば依頼で頑張って作ったお菓子が余っているんでお兄さんもどうぞ!」

 

由比ヶ浜ちゃんがそう言って取り出した包袋はとても美味しそうじゃない香りを放っていた。横にいる二人は嫌そうな顔を浮かべていた。あ、そういう事ね、理解。

 

包を開けるとクッキーらしき木炭が見えた。見ただけで食欲が滅入ってしまった。これは一種の才能だな。

 

「……やっぱり不味そうに見えますか?」

 

上目遣いで弱々しくこちらを見ている。あ、これ素でやってるな。

 

「当たり前だろ、流石に自分でも不味いと思ってるのに渡す奴がいるか」

 

「そうよ由比ヶ浜さん、流石にそれは駄目でしょう」

 

「う、そうだよね……」

 

俺はクッキーを手に取り、目の前に持っていき見てから一口で口の中に入れる。

 

「「「あ」」」

 

ガリジョリバリゴリ

 

部室に響く咀嚼音(?)が不味さを物語っているのは四人理解できた。

 

八幡、雪ノ下、由比ヶ浜ちゃんは苦い顔をしている。

 

長い間噛み続けていた俺はようやく喉に通す。

 

取り敢えず一言。

 

「不味い」

 

「う……」

 

由比ヶ浜ちゃんは釘を刺された様な顔をしている。でも、感想は止まらない。

 

「見た目、食感が食べ物という概念を覆していて、食べ物じゃないものを食べている感じがした」

 

「うぐ……」

 

「そして味、不味い以外に何も出てこない、恐らくアンケートでこれを食べてもらい、不味い以外に何かありますかと聞いたら、ないですと全員が答えるレベルだ」

 

「う〜〜……」

 

由比ヶ浜ちゃんがもう泣きそうになっている。

 

「おい、兄貴何もそこまでいう必要性ないだろ、やめてあげろよ」

 

「そうよ、そこまで言う必要性は……」

 

「でも……」

 

「「「?」」」

 

俺が言葉を発すと三人とも耳を傾ける。

 

「想いが篭っている、というのであれば百点満点だ、食べていると作った人の想いがひしひしと伝わってくるよ。そういう気持ちは一番大事だからね」

 

「お兄さん……」

 

これで良いかな、言葉の飴と鞭は得意だからね。

 

「兄貴凄いな……」

 

「まさに言葉の飴と鞭ね」

 

お、雪ノ下は分かるか。あ、あとひとつ言うことが。

 

「それに味は俺からして全然不味くないよ」

 

「「「え」」」

 

あ、ハモった。

 

「何言ってるんだ兄貴あんなリアルな不味さないぞ」

 

「比企谷先輩は味覚がいかれているのかしら?」

 

コラコラそこ。

 

「俺はこれより不味い料理を作ったことがあるぞ?」

 

「あら、貴方は味覚も料理もいかれているのかしら?」

 

おい、敬語使え敬語。

 

「は?兄貴の料理は超美味いぞ、寧ろ三ツ星料理を軽く上回るレベル」

 

「そう、信じられないわね」

 

おい、信じるは兎も角、お前のお姉さんの胃袋はとっくに掴んでるぞ。

 

「まぁ腕前は兎も角、わざと不味い料理作ろうと思って自分が不味いと思う作り方したら自分の中で一番不味かった」

 

「「「それはどれ位?」」」

 

お前ら興味津々じゃねぇかよ。

 

「うーん、食べた時は一口で意識がなくなった」

 

「それやばくね?」

 

うん、ガチでヤバかった。三途の川が見えたもん。てかあそこで手招きしてた人誰?まぁ、知りたくもないけど。

 

「そんなに気になるなら食わせてやろうか?」

 

「「「お断りします」」」

 

「あら残念」

 

まぁ、食いたくはないわな。俺も二度と食いたくないし。

 

「あらもうこんな時間」

 

時計を見ると丁度いい時間だった。

 

「じゃあこれでお開きにしようか、二人は帰っていいよ、俺は少し由比ヶ浜ちゃんとお話しないことがあるから」

 

「了解」

 

「分かりました。由比ヶ浜さんなにかされたら明日言って頂戴、その時はこの男に罰を施すから」

 

「おい、俺はそんな事しないぞ。お前の中では俺はどんな評価なんだよ」

 

「変態部長」

 

「おい」

 

思ったよりも酷い評価だった。まぁ、それは直ぐに改められると思うけどね。

 

「それでは、お疲れ様でした」

 

「そんじゃ」

 

二人はそうして帰っていった。

 

ドアが閉まったのを確認をして、由比ヶ浜ちゃんに向かい合う。

 

「さて、俺が言いたいことは分かるよね?」

 

「はい……」

 

さ、ここからが本題だ。

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

「…………こんな感じです」

 

「ふーん、成程ね」

 

話してもらったのはあの一件から由比ヶ浜ちゃんはどんな思いで過ごしていたのかを聞いていた。

 

話を聞いてる限り分かるこの娘の優しさ。この優しさが八幡にどこまで通用するか、それと彼女自身も八幡と仲良くしたいという思いが。楽しみな所もある。

 

「じゃあ最後の質問」

 

「はい」

 

「この部活に入りたい?」

 

彼女が奉仕部に入ればこの三人は変われると思う。俺と陽乃さんみたいに。まぁ、俺の本来の目的は八幡の幸せ、つまり『本物』。

 

 

もし駄目だったら切り捨てるまでだ。

 

 

さあ、どうする?由比ヶ浜結衣。

 

 

 

 

「入りたいです!」

 

「そうか、じゃあ平塚先生から入部届けを貰って書いて提出しといて。できる?」

 

「はい!」

 

「じゃあ今日はもう帰っていいよ」

 

「はい!今日はありがとうございました!さようなら!」

 

「はい、気をつけて帰るんだよ」

 

由比ヶ浜ちゃんはドアを閉めた。それを見届けて俺は椅子に座り直して窓から見える夕陽を見つめる。

 

これで俺の目的が一つ増えた。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの三人がどうなるのかを見届ける事だ。

 

「ふふ……」

 

思わず笑が零れる。

 

「これからが楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

一人奉仕部で静かに呟く。




如何でしたでしょうか?
ようやく物語が動き始めたのでほっとしました。
それでは次回もお楽しみに。

感想、コメント、評価、宜しくお願いします。

【報告】

3作目、出そうと思います。3作目では剣の世界でお会いしましょう。


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もう一人の陽乃と厨二病


皆さんお久しぶりです。この作品のオリ主の、比企谷大路です。一ヶ月以上の間、投稿しなかったことに関して作主の代わりに謝罪させていただきます。

え?肝心の作主はって?安心して下さい、さっきから陽乃さんとオハナシしていますので大丈夫です。

ギャアアアアアアアァァァァァァァ!!!!

……それでは、どうぞ。


放課後、今日もバイトはない為奉仕部に向かっていた。

 

「おう兄貴」

 

「ん、八幡か珍しいな用事がない時に部室以外で会うのはなないからな」

 

「そうだな、兄貴は今日奉仕部に来るのか?」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「んじゃ、一緒に行こうぜ」

 

「いいよ」

 

俺と八幡は一緒に奉仕部に向かう。いいね、弟と一緒に行く部活は。

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

部室の前に来るとドアの前で雪ノ下と由比ヶ浜が立ち往生していた。何事かな?

 

「おい」

 

「「ひゃあ!」」

 

八幡が二人に声を掛けたら雪ノ下と由比ヶ浜は変な声をあげながら驚いた。いやそんなにびっくりするか?するか、うんするね。

 

「なんだヒッキーか……とお兄さん」

 

「私とした事がこんなちっぽけな二人に驚かされるなんて一生の不覚だわ」

 

「おい雪ノ下、俺は先輩だぞ。あと由比ヶ浜、取ってつけたように俺を入れるな、それとお兄さんやめろ。先輩だからな」

 

「はい、比企谷先輩」

 

「先輩と呼べるほどの人間なのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチッ

 

今まで我慢していたのに静かに鳴った俺の堪忍袋の緒。

 

俺の変化に気づいた八っちゃんが慌てだす。

 

「雪乃ちゃん、面白いこと言うね。もっと詳しく教えて欲しいな、じっくり」ニコッ

 

「」ビクッ

 

あれ?可笑しいな、雪乃ちゃんが怯えてるような気がするけど気のせいだよね。こんなに笑っているのにな〜。

 

「あ、兄貴落ち着いてくれ。今はなんで立ち往生していたのか聞くことだろ」

 

「あ、そうだったね。ごめんごめ〜ん♪」

 

俺とした事が本題を忘れてたよ。うっかりうっかり♪

 

「ふぅ、でなんでお前らはこんな所で立ち往生してたんだ?」

 

「えっとね、中にね知らない人が居るの」

 

 

 

 

 

 

ブチッ

 

 

本日二回目。

 

俺は思いっ切りドアを開ける。確かにガハマちゃんの言った通り知らない奴がいる。

 

へ〜いい度胸してるね、俺の思い出の場所に了承なしに入る豚野郎がいるなんて。

 

「おー!まさかこんな所で再開する……」

 

「ね〜君は誰かな?此処は君のような下等生物が居ていいような簡単な場所じゃないんだけど?しかも不法侵入。俺に壊されに来たの?害虫♪」ニコッ

 

「ぷ、ぷひー!」

 

うるさいよ、耳障り。

 

「何?下等生物は言葉もまともに喋れないの?俺もそこまで万能じゃないからさ、さぁ、早く、話せ」

 

「ヒ、ヒイィ!」

 

取り敢えず、意識くらいは奪っていいよね。

 

「あ、兄貴!やめろ!そいつは俺の知り合いだ!」

 

「何?八っちゃん、こんな下等生物と知り合いなの?じゃあ尚更壊さないとね♪」

 

ごめんね、今の俺は凄く気分が悪いんだよね♪さ、この豚どうしよう?

 

「だからやめてくれ!な、兄貴」

 

……しょうがない。八っちゃんがこう言ってるから見過ごそう。

 

「……分かった。でもこの豚野郎がまた俺の機嫌を損ねるような事をすればどうなっても知らないからね?」ニコッ

 

「りょ、了解だ」

 

「ん?どうしたの二人とも?そんな所で居ないで此方に来なよ♪」ニコッ

 

「は、はい!」

 

「……」

 

「?どうしたの?雪乃ちゃん?」

 

「……いえ、なんでもないです」

 

「ふ〜ん、そう」

 

 

 

------------------------------

 

 

何故?何故なの?

 

私にとって今の比企谷先輩は……

 

 

 

 

私の姉、雪ノ下陽乃にしか見えない。

 

どうして?喋り方、振る舞い、仕草が全て全くもって同じ。

 

比企谷先輩、貴方は一体何者?

 

 

------------------------------

 

 

 

「それで、貴方は何故奉仕部の中にいたのかしら?」

 

「ケプコン!我は大昔の戦友、八幡に会いに来たのだ!」

 

バキッ!

 

「「「「!!」」」」

 

「……さっきの忠告聞いてた?早く本題言えよ」

 

俺は自然と水分補給で持っていたスチール缶を握り潰していた。

 

「材木座、早く本題を言わないとお前の命がなくなるぞ……」

 

「そ、そうだよ、早く言った方がいいって……」

 

八っちゃんとガハマちゃんが材木座という男を急かしている。

 

「え、えっと僕が書いた小説を読んで下さい」

 

素に戻った。はぁ、キャラを貫けないならやるなよ疲れるから。

 

そこから八っちゃんと厨二座は色々と話している。俺は聞く必要性がないと判断して聞き流していた。今は機嫌が悪いんだ。

 

少し経って会話に聞き耳をたてた。

 

「おい材木座」

 

「なんだ八幡?」

 

「感想の事だけど、ネットサイトより雪ノ下と兄貴の方が酷いと思うぞ?」

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

「ふあぁ……眠い……」

 

昨日の厨二座の依頼は自分の書いた小説を読んで欲しいとの事だ。

 

正直、この依頼は受けたくなかった。俺は言葉を大事にする方の人間だ。下手な文章を見ると気持ち悪くなる。それに執筆者は厨二病だ、まともな文章じゃない事は目に見えている。

 

で、案の定小説とは呼べない文章だった。

 

普通の高校生が読めるかどうか分からない漢字、文章の構成、句点の使い方、現代文ではない漢文、とても小説と呼べるものではない。小説家を目指してない奴が書いてもこれよりはまともな文章を書くことができる。つまり俺史上最悪最低の文章。俺はこれが小説とは俺が言わせない。

 

という訳で、俺は今絶賛不機嫌だ。

 

 

ブー、ブゥー。

 

 

ん、電話か。相手ははるさんか。

 

「もしも〜し」

 

電話の向こうからはるさんの声がする。

 

「もしもし、はるさんですか?お久しぶりです」

 

「およ?はるさんってことは大路は今不機嫌なのかな?」

 

そういえば俺は不機嫌になると相手の呼び方が変わる事があるんだったな。

 

「ま、そんな所ですね。雪乃ちゃんにも困ったものですね」

 

「ん?大路が怒っている原因は雪乃ちゃんなの?」

 

「まぁ、キレてる一つの理由ですかね」

 

「ふーん、そう。ま、大路が怒っている時はそっとしておく方が良いからもう切るね」

 

「有難いですが、いいんですか?何か要件があったのでは?」

 

「用がないと電話しちゃダメ?」

 

「っ!……そんな事ないですよ」

 

くそ、少し苦しくなった。

 

「そっか。今回は大路の声が聞きたいだけだったから、それじゃあね」

 

「はい、ではまた」

 

俺は電話切る。何故か気分が楽になった気がする。

 

ホント、はるさんには叶わないと思う。

 

「……行くか」

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

奉仕部の前に着いた。どうやらあの文章の感想会が始まっているらしい。早速、俺も参加して感想という名の拷問をするか。

 

「八っちゃん、雪乃ちゃん、ガハマちゃんひゃっはろー♪」

 

「「「「!!」」」」

 

俺が挨拶すると三人が肩を震わせる。えっ四人だって?やだな〜四人も居なかったよ?三人と一匹だよ?

 

「お、おう兄貴」

 

「こ、こんにちは比企谷先輩」

 

「やっ……こんにちは比企谷先輩」

 

因みに厨二座はガタガタ震えている。

 

「早速、感想言わせて貰おうかな」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「まず、俺はこんなの小説とは認めない、只の駄目な文章だ」

 

「ぷっぷひぃ!」

 

もうこいつ豚でいいんじゃないかな?それともわざとでやってる?だとしたら壊す、絶対。

 

「何?この読みずらい文章、漢字は難しいのがあってたくさんの人達に迷惑だし、もっと駄目なのは漢文が入ってる事。何?君もこれ小説だと思ってないんじゃないの?」

 

「は、は、はひいぃぃぃぃぃ!」

 

うるさい目障り。

 

「それと……」ガミガミ

 

「や、やめてくださいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

「……と、もっと言いたいけどここまでにするよ、厨二座気絶してるし」

 

「もう少し早めに止められなかったか、兄貴……」

 

「無理、最低限これ位言わないとプライド折れないからこういう奴」

 

「これで最低限なんだ……」

 

「もう鞭だらけだったわね……」

 

おいおい、これでも最低限だぞ?寧ろ感謝して欲しい位だ。取り敢えず厨二座起こさないと。

 

「おい、起きろ厨二座」

 

俺が厨二座を揺らすと、

 

「は、はひぃぃ!」

 

ものすごい速さで直立不動で綺麗に立っていた。

 

「兄貴、厨二座って……」

 

八幡が何か言った気がするが気のせいだ。

 

「それでさっきの話だけど」

 

「は、はい!」

 

「言いたいことは最低限言ったつもりだがこれ以上は聞きたくないだろ?」

 

「え!え、えっと……」

 

挙動不審になる厨二座。取り敢えず安心させるために厨二座に微笑む。

 

「いいよ、正直に言って。お前がなんと言おうとこれ以上ダメ出しするつもりはないから」

 

「わ、分かりました。……もう聞きたくないです」

 

「うん、素直でよろしい♪」

 

笑顔を向けてあげて場の空気を良くする。

 

「取り敢えず、一つアドバイスね。君はこの原稿を一人で書いた、そうだよね?」

 

「は、はい」

 

「そうか、なら言えることは一つ、他人に相談しなさい、他人に言われたことを素直に受け止めて実践してみなさい、いい?」

 

「は、はい!」

 

その厨二座の顔には怯えた顔はなく、明るい、希望に満ち足りた顔をしていた。

 

「それじゃ俺はここまで、次は八幡が感想を言いなさい」

 

「はい!八幡よ我の小説はどうだった!?」

 

厨二座は八幡に食ってかかるように感想を聞きたがる。八幡ならさっきの話を考慮して感想を出してくれる筈だ。

 

「えーと殆どか兄貴が言ったけど、俺から言えるのは一つだな」

 

「なんだ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、なんのパクリ?」

 

「ぐほわああぁぁ!」

 

おい、八幡流れを読め。





……い、いかがでしょうか?

この度は一ヶ月以上に及ぶ未投稿をお許しください。作主は逃げませんのでご安心(?)を。

また、新しい作品に関してはもう暫くお待ち下さい。

それではこれからも宜しくお願いします。

感想、評価、誤字脱字、お待ちしております。


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八幡の天使?

皆さんおはこんばにちは、作主の光です。
皆様お待たせしました。ほんとにすいません。
本日3本目の投稿です、もう俺の手が死にそうです。

それではどうぞ!


「は?八幡がテニス部?」

 

「いや、なんでそんな驚いてんの?」

 

現在、放課後の奉仕部にて俺と八幡、雪ノ下が八幡がテニス部に勧誘された事について話していた。

 

「何を言っているのかしら比企谷君、驚くに決まっているじゃない」

 

「いやなんでお前まで驚いてんだよそんなに可笑しいか?」

 

いやだって……

 

 

 

 

 

「「集団行動できんの?(できるのかしら?)」」

 

「うぐ……」

 

八幡、図星である。

 

「あと魂胆丸見えだぞ、奉仕部辞めて、テニス部で嫌われて段々フェードアウトするつもりだろ。お兄ちゃん騙そうなんてまだ早いぞ」

 

「ぐ……」

 

ほんとにそう考えていたらしい、全くこいつは。

 

「それでも、つくづく集団心理が理解できていない人ね。ぼっちの達人ね」

 

「「いやお前が言うなよ」」

 

八幡と俺の台詞が被る。うん八幡、気持ちは良くわかる、俺もそう思ったから。

 

「もっとも、」

 

あ、こいつ無視しやがった。

 

「貴方という共通の敵を得て一致団結することはあるかもしれないわね。けれど、排除する為の努力をするだけで、それが自身の向上に向けられることはないの。だから、解決にはならないわ。ソースは私」

 

前提は置いといて確かにそうだなその行動は相手を落とすためだけのものでそんなものは自分の向上には繋がらないよな。

 

ん?ソース?

 

「なるほどな……。え、ソース?」

 

「ええ。私、中学のとき海外からこっちに戻ってきたの。当然転入とい形になるのだけど、そのクラスの女子、いえ学校の女子は私を排除しようと躍起になってたわ。誰一人として私に負けないように自分を高める努力はしなかった……あの低能ども……」

 

何故だろう、雪ノ下の後ろになにか黒い炎が燃えてるように見えるんだか。これは不味いな地雷踏んだな。

 

「要するに何でもかんでも聞いてあげて力を貸すばかりがいいとは限らないということね。昔から言うでしょ?『獅子は我が子を千尋の谷に突き落として殺す』って」

 

「「殺しちゃ駄目だろ」」

 

ここでも口が揃う。正しくは『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』な。それでもお前は学年首席かよ。

 

「お前ならどうする?」

 

恐らく、テニス部が上がる為にはだろう。

 

「私?」

 

自分ならどうするかを考え始める。いやいやいや、もう何となく察せれるわ。「死ぬまでなんたら」だろ?

 

「全員死ぬまで走らせてから死ぬまで素振り、死ぬまで練習、かしら」

 

ほらな言わんこっちゃない。おいその微笑みはやめろ、怖いから。

 

「やっはろー!」

 

元気な声で入ってきたのは奉仕部の中で唯一高校生らしい高校生の由比ヶ浜が入ってきた。

 

だが、その後ろには深刻そうな顔をした女の子……じゃないな、よく見たら男の子だな。いやー初めて見たな、オトコの娘。

 

「あ……比企谷くん!」

 

深刻そうな顔からぱっと笑顔になるオトコの娘。え?なに?八幡と面識ありなの?

 

「戸塚か……」

 

戸塚という名前のオトコの娘は八幡に近づき、八幡の袖口を握る。見てて思う。仕草からして完全に女の子だね、うん絶対。

 

「それで?戸塚は何しに来たんだ?」

 

「えっとね、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

どうやら彼の名前は戸塚彩加という名前らしい。名前だけ見ても女の子だよね。君の両親はどんな神経してるのか気になるよ……。

 

取り敢えずお互いに自己紹介して、戸塚からは大路先輩と呼ぶことにしたそうだ。うん、行動も言動も女の子だ。そんな彼は由比ヶ浜から奉仕部の存在を知り、依頼、と言うよりはお願いに近い。

 

彼の依頼は『自分を強くしてほしい』との事だ。

 

「それで?雪ノ下どうするんだ?」

 

八幡は自然に雪ノ下にどうするかを問う。ん?違くない?それ俺に向かっていうセリフだよね?俺が奉仕部の部長なんだけど。

 

「さっき言ったじゃない。覚えてないの?」

 

「おい、まさかあれ本気で言ってたのかよ……」

 

八幡はさっきの雪ノ下の練習方法を思い出しているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが……

 

「ストップだ雪ノ下」

 

俺が雪ノ下を静止させる。

 

「何かしら部長、なにかわからない点でもあるのかしら?」

 

「その練習方法は駄目だ。奉仕部の部長として却下する」

 

これを聞いた雪ノ下は不機嫌そうな顔をする。

 

「何故かしら、私の案になにか不服かしら?」

 

「不服も何も不服だらけだ、流石にそれを毎日やるのは本人の意識にも影響が及ぶ。そしたら練習の意味がない」

 

俺が戸塚を指差し、雪ノ下に戸塚の顔を見せる。戸塚には顔を蒼くしていた。

 

「……では、何かいい案でもあるのかしら?とても部長の頭脳では無理かと思うのですが?」

 

「あるにはある。でも確信ではない」

 

「は?」

 

雪ノ下はこいつ頭おかしいじゃないのかという顔をしている。

 

俺はそんな雪ノ下を無視して話を続ける。

 

「まずは戸塚のテニスの実力を見てその実力に合った練習方法をする。たったこれだけだ」

 

「そんなものは素人の考えね」

 

俺と雪ノ下はもう言葉の暴力と言えるほどの会話をしていた。この状態を見て由比ヶ浜と戸塚はあたふたしている。

 

「確かに素人の考えかもなだが……」

 

「?」

 

「俺は他の連中とは違う」

 

「!?」

 

何を驚いてるんだか、さて雪ノ下様に俺の実力をお見せしますかね。

 

「取り敢えず、今回は俺がメインでやる。雪ノ下と八幡と由比ヶ浜は手伝いと傍観に徹してろ」

 

「……分かったわ」

 

ようやく雪ノ下か折れてくれたよ。

 

「了解だ」

 

「はーい!さいちゃん頑張ってね!」

 

「う、うん」

 

「それじゃあ戸塚」

 

「は、はい!」

 

「放課後はテニス部の練習があるだろうから昼休みに特訓するぞ」

 

「はい!」

 

いい返事だ。さてやりますかね……

 

 

 

 

 

 

久しぶりの依頼解決に向けて。




如何でしたでしょか?
誤字脱字等があれば教えて下さると幸いです。

感想、評価、お待ちしております。


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大路によるテニス教室

皆さんおはこんばちは、比企谷大路です。
今回は手が死んでしまった作主の代わりにやっております。この位で音をあげるとかほんとに作者として駄目だと思う。ホントに。
まあこれでも頑張っているので暖かく見てあげてください。
本日、4つ目の投稿です。

それでは、どうぞ。


そして翌日の昼休み。奉仕部と戸塚がテニスコートに集まった訳だか……

 

「なんでお前いるの?厨二座?」

 

「けぷこん!我も八幡とその兄貴分の勇姿を目に焼き付けようと思って見参した次第である!」

 

「そうか、じゃあ手伝いとかしてくれよ、助かるし」

 

「了解だ八幡の兄貴!そんな事造作でもない!」

 

あれ?俺ちゃんと自己紹介したよね?した……はず。

 

「兄貴、なんかこの前と対応違くない?」

 

「そりゃあの時はキレてたし、会話内容も小説であれだからな。でもそれ以外なら普通に接するよ面白いし」

 

あの時の顔を見て見直したなんて口が裂けても言いたくないのでそこは触れないようにした。

 

「取り敢えず戸塚、準備運動終わったか?」

 

「はい、終わりました」

 

「じゃ、戸塚の実力見るために実践に近いラリーやるぞ」

 

「はい!」

 

そこから戸塚の実力測定が始まった。最初は普通のラリーをしてから前後左右にバラしてストローク力と対応力を確認した。また、強めの打球を打ってパワーがあるか曲がるスライスで技術や柔軟性、俺が左に持ち替えて対左の強さを確認して終わった。

 

余談だが、俺は実を言うと両利きである。

 

「……驚いたわ、部長が左でも打てるなんて」

 

「ね!ほんとに凄いね!万能って感じ!」

 

「兄貴がテニスをやるの久しぶりに見たな」

 

「なんという強さだ!これなら軍勢を一網打尽に出来るぞ!」

 

観戦組はそれぞれの感想を言っていた。それにしても厨二座はキャラブレねーな。

 

「ありがとうございました!大路先輩凄かったです!」

 

戸塚からはキラキラした目でこちらを見つめる。ほんとに女子にしか見えないんだが……。

 

「まぁ、教えるんだからこれくらい出来ないとな」

 

おっと、話が逸れてるな。本題に戻らないと。

 

「それで戸塚の能力だが……」

 

「はい」

 

戸塚は真剣な面持ちで聞いている。強くなりたいと思う気待ちがひしひしと伝わる。

 

「対応力、ストローク力は申し分ない合格点だ」

 

「やった!」

 

「やったねさいちゃん!」

 

……何故だろう、由比ヶ浜の台詞に似た言葉を聞いたような気がする……。

 

「だけど、パワーと体力がないな。技術もそれなりにあるがパワーが無くて活かしきれてない。」

 

「はい……」

 

今度はしょぼんとし始めた。何なのこの子?感情豊かすぎるわ。

 

「それで戸塚にはベストな練習は基礎からだな、という訳で体幹トレーニングをやってもらう」

 

「「「体幹トレーニング?」」」

 

由比ヶ浜、厨二座、戸塚が頭にハテナマークが付いている。由比ヶ浜と戸塚の容姿なら良いかもしれないが、厨二座、お前はやめとけ。

 

「ああ、筋トレよくありがちな腹筋、腕立て伏せ、背筋は筋肉、つまりアウターマッスルという外側の筋肉を鍛えてるんだ」

 

「なるほど」

 

「でもそれだけを鍛えても意味はない。だからその筋肉を最大限に引き出す為にインナーマッスル、体幹を鍛えるんだ。最近のスポーツのプロの選手は体幹を鍛えて自分のフィジカルを高めているんだ」

 

「へーそうなんですか」

 

何となく分かって貰えたと思うがもっと重要性を認識してもらった方がいいな。

 

「戸塚、春の桜の木をイメージして見ろ」

 

「は、はい」

 

「桜の木は桜が満開だととても綺麗だよな」

 

「はい」

 

「でも、幹がしっかりしていないと桜の花の魅力を失ってしまう。簡単に幹が折れたら嫌だろ?」

 

「そうですね」

 

「それとおんなじだ。実力という大輪の華を咲かせるにはより強固な土台が必要になる。体幹の重要性が分かったか?」

 

「はい!分かりました!」

 

どうやらちゃんと理解してくれた様だ。

 

「それじゃ、今から教える体幹メニューを覚えてもらって、部活終わりや家での自主トレでやってもらうぞ。あと、走り込みも重要だからな、まずはそこから始めよう」

 

「はい!」

 

俺は戸塚に適した体幹メニューを教え終わると丁度いい時間だったので今日は解散と言う形になった。

 

 

 

 

------------------------------

 

 

こんな感じで日々は過ぎて、次の段階に移った。

 

基礎トレーニングをある程度積んで今度はボールを使って練習を始めた。

 

俺が前後左右、強弱、回転をかけたりなど、実践に近いボールを打ち返す練習をひたすらやっていた。

 

効果は誰から見ても出ている事が分かった。前は強い打球に押されていたが、今ではちゃんと打ち返せるようになっていた。本人もそれが感じれているようで嬉しそうな表情をしていた。そこからもっと上手くなりたいという欲求から戸塚は自らハードルを上げていった。

 

まあ俺の一つの目的は達成された。

 

それは自立心だ。自分の中でこんなのもいいんじゃないかという探求心が芽生えることだ。正直にいうと人にやらされる練習はあまり成果が出ないが、自分からやる事で成果は何倍にも跳ね上がる。だから俺が想定していた成長よりも更に成長していた。

 

これは教えている身に取ってはとてもいい気持ちになる。

 

だが、今見ると戸塚は少しバテ始めた。少し体幹トレーニングの方を重視しすぎてしまったかなと少しばかり反省した。

 

でも、ハプニングは一瞬に起きた。

 

「きゃ!」

 

戸塚が転んだのだ。

 

「うわ、さいちゃん大丈夫!?」

 

俺の後ろで八幡と厨二座と一緒に後ろに転がっていたボールを拾うのをやめ、戸塚に駆け寄る。

 

「大丈夫です、続けて下さい」

 

本人はこう言ってるが、休憩した方がいいなと判断した。

 

「いいや駄目だ、少し休憩しよう」

 

俺の一言で休憩をした。

 

「まだ、やるつもりなの?」

 

雪ノ下が戸塚に質問している。珍しいな、あまり自分から質問するなんて滅多にないな。

 

「うん、少しでも上手くなりたいしね」

 

「そう、では部長少し頼みます」

 

「おう」

 

雪ノ下は踵を返して、テニスコートから出ていった。

 

「なんか僕、怒らせる様なこと、したかな?」

 

戸塚は少し不安げな表情で見送くり、ぽつりと呟いた。

 

それに対して八幡が答える。

 

「大丈夫だろ、あいつは罵倒してないから機嫌がいいだろ」

 

「そうだよ、ゆきのんは見捨てたりなんかしないよ」

 

八幡に続いて、由比ヶ浜も戸塚を安心させるようにした。

 

「そうかな?」

 

「大丈夫だよ、あいつは今保健室から救急箱持ってきてるだけだから安心しろ」

 

「分かるんですか?」

 

「分かるよ、分かんなかったら奉仕部の部長なんて出来ないしな」

 

戸塚は少し安心したそうでほっと息を付いていた。

 

「それじゃ、練習再開とするか」

 

「はい!」

 

そこから練習をし始めたのだか……

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!テニスやってんじゃん、テニス!」

 

……もう嫌な予感しかしない。

 




如何でしたでしょか?
トレーニング系のこと書いたけど間違ってないよね?お兄ちゃんちょっと不安です。それでは次回もよろしくお願いします。

感想、評価、お待ちしております。


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テニス勝負

すいませんでした。ほんとにごめんなさい。
どーも鍵穴 光です。

突然ですかアンケートとります。
後書きに書いてあるので見て下さい。
お願いします

それではどーぞ!


「あ!テニスやってんじゃん、テニス!」

 

何とも頭が悪そうな声が聞こえて、中断となった。

 

金髪のクルクル女子は由比ヶ浜や八幡、俺を無視して戸塚に話し掛ける。

 

「ね、戸塚ー。あーしらもここで遊んでいい?」

 

「三浦さん、僕は別に、遊んでる訳じゃ、なくて……練習を」

 

「え?何?聞こえないんだけど?」

 

えーと?三浦?の言葉で押し黙ってしまう戸塚。

 

「れ、練習だから……」

 

「ふーん、でもさ、部外者混じってんじゃん。ってことは男テニで使ってるわけじゃないんでしょ?」

 

「そ、そうだけど……」

 

「じゃ、別にあたしら使っても良くない?ねぇ、どうなの?」

 

「……だけど」

 

こんな会話の中、俺はふと目に入った人物を見つけた。

 

葉山隼人。雪ノ下家の専門弁護士の葉山家の息子だ。あんなやつが総武高校にいるとはね~。雪ノ下でも追ってきたか?

 

まあ、ほっといて戸塚の手助けでもしますかな。

 

「おい、そこの三浦?かなお話ちょっといいかい?」

 

この一言で視線が俺に集まる。当然、葉山も俺に気づいたらしく困惑している。

 

「あ?なんだし、てかあんた誰?」

 

「おっとこれは失礼、俺は比企谷大路、3年生だ」

 

「あっそ、で、なに?」

 

わお、自分よりも年上の先輩相手にタメ口とは、なに?今の2年生ってタメ口で聞いていいの?それに自分のことを名乗らないとは、雪ノ下に三浦、相当上の人舐めてんな。

 

「確かに俺らは部外者だが関係者だ。戸塚に上手くなりたいという依頼で練習に付き合っているんだ」

 

「はあ?何意味わかんないこと言ってんの?キモイんだけど」

 

そして三浦はこっちの話を聞く気がない。ねぇ俺年上で先輩なんだけど?

 

「ま、まぁまぁけんか腰になんなって」

 

顔を少し青くして間に入る。相変わらず薄い仮面ですこと。

 

「なんだ葉山か久しぶりだな、陽乃さんとは仲良くやってるか?」

 

「……お久しぶりです、大路さん。それ、本気で言ってます?」

 

「さあ?どうだろうね?」

 

俺は少し相手を挑発するようにおどけて見せた。

 

「何隼人?知り合いなの?」

 

「……ああ」

 

「それよりも隼人、あーしテニスしたいんだけど」

 

テニスやりたいなら放課後行けよという、思いは心に留めとく。

 

「じゃあテニスで勝負しないかい?部外者同士で勝負。勝った方が今後昼休みに使えるってことで。もちろん、戸塚の練習にも付き合う。強いやつと練習した方が戸塚の為になるし、皆で仲良く楽しめる」

 

出たよみんなで仲良くルート。心底気に入らない。それにまだわかってないのこいつ、真剣に人が練習してるのに皆で楽しむなんてよく言えたな。

 

「葉山、お前、最後の台詞言ってみろ」

 

「?皆で仲良く楽しめる……がどうかしたんですか?」

 

「……いや、なんでもない」

 

「テニス勝負?……なにそれ、超楽しそう」

 

ここにも分からずやが居たよ、どうしようホントに……

 

「じゃあルールはどうしますか?素人ですから細かいルールは無しにしませんか?」

 

「いいよ、分かった。じゃあそっちから2人だせ、こっちは俺一人で行く」

 

「……流石に舐めてませんか、大路さん」

 

「いいや、わからず屋には俺がちゃんと教えないとな。ほら、言うだろ?答えがわかんない奴に答えだけ教えても意味が無いって。途中式を教えることによって理解が深まる。お前ら頭悪いから今回だけ特別に途中式教えてやるから感謝しろよ?」

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

「HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!」

 

うるさい葉山コールがありそのあとにウェーブがあった。うん、とてもうるさい。

 

俺は少し柔軟体操している。

 

「すいません大路先輩、ご迷惑をお掛けして」

 

戸塚が申し訳なさそうに俯いていた。

 

「いいんだよ、これくらい。先輩に頼りなさい、先輩に頼る事は後輩に取ってはアドバンテージだよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「それよりも兄貴大丈夫なのか?凄いアウェーだぞ」

 

「何言ってんだ八幡これくらい造作でもないこと、お前は分かるだろ。安心して見てろ」

 

「……了解」

 

そして俺はテニスコートに立つ。向こうを見ると三浦が凄いイライラしていた。

 

「あんたあーしら舐めてんの?」

 

「いや?俺は先輩だからこれくらいのハンデはやらないとな」

 

「は?あんたがあーしと隼人に勝てるの?隼人は運動神経抜群であーしは中学のとき県選抜に選ばれてるし、勝ち目ないんじゃない?」

 

「ふーんそう、じゃあ一つ忠告ね」

 

「は?」

 

 

 

 

 

「先輩は敬うもんだぜ」

 

 

------------------------------

 

「それでは試合を始めます。4ゲームの1セットマッチで行います」

 

大路はどこぞのバスケ部のキャプテンのセリフをキメる。

 

戸塚が審判を務めて貰い、試合を始める。

 

「あーし舐めてると痛い目見るし!」

 

「なあ、その語尾ってなに?それ流行りなの?」

 

「うるさいし!」

 

うわーそれはない、会話の途中でサーブするとかないわ。

 

移動して、ボールの前に来る。

 

確かにボールの強さは中の上、県の選抜に選ばれることはある。でも……

 

「たかが中の上だな」

 

打ったボールは凄まじい音を鳴らしながら三浦と葉山の間を切り裂く。あ、仲のはなじゃないから、そんなゲスいことしないから。ウン。

 

後に転がっている。ボールを見た三浦がいるがそんなこと気にはしない。

 

「さてと、教育だ」

 

 

 

------------------------------

 

 

「ゲームセット、勝利比企谷先輩」

 

「まあ、ざっとこんなもんだな」

 

終わってみれば相手に点をやらずにゲームセット。正直、手にも及ばなかった。

 

「さて、答えは分かったかい?」

 

「な、なにがだし」

 

しょうがないなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教えて上げるよ。




読んで頂きありがとうございます。
それでは早速アンケートとります。
実は俺ガイル、もう1度書き直そうかなと思ってます。
理由はどうしても納得のいく小説が書けないからです。俺ガイルの二次創作者、あるいは俺ガイルファンとして。どうしても納得のいくオリ主×陽乃を創りたい!そんな思いが自分の中にあって、もっと別の観点から書きたいという思い。でも、見てくれている人に申し訳ない。そんな2つの思いが交差しているのです。

結局決めきれずにこんな形になってしまいました。申し訳ないありません。

書いてくれると嬉しいです。

選択肢はこんな感じです。

1、そのまま続行して欲しい。
2、書き直して新しくつくって欲しい。
3、その他(コメントつきでお願いします)
(1と2にも理由や一言をかいてるくれると嬉しいです)
本当に駄目な作主でごめんなさい。
活動報告の場で答えを受けっとっております。
感想欄には書かないでください。

どうか宜しくお願いします。

SAOは継続していくのでそちらも見てくれると幸いです。


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