バカとテストと最高のFクラス (夜光華)
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第1問

桜咲く通学路、俺が通う文月学園に向かって歩いていた。

 

今日は早めに目が覚めたのでいつもよりは早い登校だ。

 

「おはようございます。西村先生」

 

「ああ、おはよう吉井」

 

俺を待っていたのはスーツを着た筋骨隆々の教師が立っているのを見付けた。

 

西村先生だ。

 

西村宗一先生、担当は補習。補習は鬼のように厳しいのとトライアスロンが趣味なのであだ名は鉄人と呼ばれ恐れられている。

 

「いつもご苦労様です。今日は何か手伝う事はありますか?」

 

早速今日の手伝いを西村先生に聞いてみた。

 

俺の肩書きは“観察処分者”教師達の手伝いをする事がメインだ。

 

「いや、今日はまだないな……それよりも吉井」

「何でしょうか?」

 

「振り分け試験の時に余計な気遣いをさせてすまなかったな」

 

西村先生はそう言って俺に頭を下げて来た。

 

「構いませんよ。どちらにしてもFクラスに行く予定でしたし、姫路さんのおかげで手間が省けましたね」

 

「だかな……俺としては不本意な気分だ」

 

俺の発言に表情が曇る西村先生。

 

「まっ、これも学園長の依頼の内の一つですよ」

 

俺はそう言って肩をすくませた。

 

振り分け試験の時に俺は普通に試験を受けていた途中に姫路瑞希さんが体調不良で倒れたところから始まった。

 

 

その時に対応した担当教師の態度が余りに酷く、気遣いなどない言動に思わず体が動いた訳だが………ただで去るのも面白くないので姫路さんの倒れた時からの会話を記録しておいたテープレコーダーを学園長に提出し、一部始終を報告、担当教師は処分された。

 

「依頼か……確かにお前のおかげで色々と助かっている部分はあるのだがAクラスにいけるだけの成績は取れるのだろ……もったいない」

 

「まあ、そのおかげで色々とよくしてもらってますから気にしませんよ」

 

「ああ、わかった。ほら、振り分け試験の結果だ」

 

西村先生から封筒を受け取り中身を見ると予想通りの結果が待っていた。

 

吉井明久 Fクラス

 

まっ、振り分け試験を途中退席したから当たり前だが保健室に運ぶ途中の姫路さんから申し訳無さそうな顔と謝罪の言葉に少々居心地が悪かったのは余談だ。

 

「それと昼休みに学園長室向かってくれ。用があるそうだ」

 

「わかりました。それでは失礼します」

 

俺は西村先生に頭を下げて学園内に向かっていった。

 

学園長から新たな依頼かな?

 

まっ、どんな依頼もこなすだけだし。ついでにFクラスの様子を報告しますか。さあ、新しいクラスの始まりだ。

 

この1年を楽しく過ごす俺達の学園生活の為に

 



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第2問

早くも三百人突破、頑張ります


早速校舎内に入り、教室を眺めていくが……。

 

「凄いな……これは」

 

思わず足を止めて、見いってしまった。

 

Aクラスの教室の中にはシステムデスク、リクライニングシート、ノートパソコン、個人エアコン、冷蔵庫まであり、まるで高級ホテルのような感じだ。

 

しかし、ずいぶんと金を掛けてるな………。

 

まあ、Aクラスに入るには相当な努力をした人達なのでふさわしいと言えばふさわしいのかもしれない。

 

「んっ?」

 

教室の中にひときわ目立つ存在の人物がいた。

 

「霧島翔子さんか……」

 

黒髪ロング美少女で、霧島財閥の娘だ。

 

 

その容姿から告白されたりするのだが全部断っているとの事だ。

まあ、彼女にはいろんな噂があるとは言え。

 

目立つ事は目立つな……。

 

俺の予想が当たっていれば彼女が首席でAクラス代表だろう。

 

しばらくAクラスを眺めた後、俺のクラスに向かう事にした。

 

――――――――――――

 

「なんだ、これは?」

 

Fクラスに着いた、俺が思わず呟いた一言だ。

 

見た目からしてぼろぼろ、完全にゴミ屋敷みたいな感じだ。

 

初っぱなから格差社会を感じさせられるがあまりにもやりすぎだ。

 

とりあえず、この教室を映像に収めておくか。

デジカメを取り出して、Fクラスの教室を撮影した。とりあえず学園長に聞いてみる必要があるな。

 

教室内も調べる為に扉を開けたのだが。

 

「早く座れ!このウジ虫野郎!」

 

Fクラスの教室に入り早々俺に待っていたのは罵倒からだった。

 

「聞こえなかったのか?ああ!」

 

俺を罵倒したヤツを探すと教壇に立っているやつがいる

 

坂本雄二、ゴツい上に赤毛の体格で中学の頃悪鬼羅刹と呼ばれていたらしい。まあ、喧嘩が強い事は確かだな。

 

とりあえずやるか。

 

そんな罵倒して来た雄二に俺は無言で近付きそして蹴飛ばした。

「いきなり何しやがる!?」

 

「それはこっちのセリフだ。いきなり罵倒されれば誰だってそうなる」

 

蹴りを食らって詰め寄って来た雄二に俺はそう返した。

 

「ぐっ。だがな……」

 

「ところでどこに座ればいいんだ?」

 

イラついてる雄二を気にせずに聞いてみた。

 

よくみるとちらほらとグラスメイトが座っているが自分の席が決まっているかわからない状態である。

 

「特には決まってないぞ自由に座れ」

 

「ずいぶんとアバウトな……」

 

「はいはい。皆さん席について下さい」

 

呆れる俺をよそに担任らしき先生が教室に入って来た。

 

「えー、Fクラスの担任を勤めます。福原慎ですどうぞよろしく」

 

担任は福原先生か担任は社会科。若干みすぼらしい格好だが授業は分かりやすく、俺にはいい先生に見える。

しかし、チョークすらないのかぼろぼろに落ちた粉で書いていた。

 

せめて担任にはちゃんとしたのを寄越してやれよと内心ため息しかわかない。

 

「何か設備に不備なところはありますか?」

 

「先生、座布団の綿がないのですが」

 

「我慢して下さい」

 

はい?

 

「先生、隙間風が入ってくるんですが……」

 

「我慢して下さい」

 

は?

 

「先生、ちゃぶ台の脚が壊れてしまったのですが」

 

「木工ボンドがありますのでそれで直して下さい」

 

おいおい……。

 

クラスメイトの言い分を聞いての福原先生の対応に呆れてしまった。

 

いくら最下層のクラスとはいえ、ここまで設備が悪すぎるのは異常だ。

 

これでは俺達の事を人とも思ってないような対応だな……。

 

福原先生の顔を見るとどうする事も出来ないのか申し訳無いような表情をしていた。

 

この事は学園長に最重要として報告する必要があるな。

 

俺はそう心に固く誓い福原先生の言葉を聞く事にした。

 



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第3問

3問目投稿します。ここまでは順調です


「それでは廊下側から自己紹介をお願いします」

 

福原先生の指示に従い次々と自己紹介をしていく。

 

「木下秀吉じゃ、1年間よろしく頼むぞい」

 

木下秀吉。演劇部所属、双子であり、お姉さんである木下優子さんはAクラスにおり、容姿はそっくりなのだが……

 

「後、こう見えてわしは男じゃから告白は受けつけんぞ」

 

「「「「「な、何だって!?」」」」」

 

秀吉のカミングアウトに教室が揺れた。

 

「あんな可愛い容姿をしているのに男だと!?」

 

「バカな!俺は美少女双子姉妹だと思ってたぞ」

 

「ああ、俺もそう思う」

 

クラスメイトの言葉を聞いてガックリと肩を落とす秀吉。

 

女の子に見られるのでよく告白されている。しかも優子さんよりモテる(男限定)のでよく嫉妬と怒りを買ってしまっているので秀吉自身は男に見られる様に努力している。

 

とりあえず心の中で秀吉にドンマイと言いつつ次の人が自己紹介を始める。

 

「…………土屋康太。趣味はカメラだ、よろしく」

 

土屋康太。やや寡黙だが情報処理には誰にも負けないくらいにカメラや機械関連を得意にしている。

 

まあ、趣味でムッツリーニ商会を開くほど彼の撮影技術は群を抜いているので顧客が絶えない。

 

逆に撮って欲しいと言ってくる人もいるとか。

 

実は康太は俺の相棒であり、学園長の依頼をこなす為に情報や映像などで助かっている。

 

「島田美波です。海外育ちで日本語は話す事は出来ますが読み書きは苦手です。趣味は料理です」

 

島田美波。ドイツからの帰国子女で去年からこの学園に転校して来た。

 

彼女は日本語が話す事が出来なくて上手くコミュニケーションが取れず、孤立しているところに俺が手を差し伸べた訳だ。

 

親しくなる内に島田の良さをわかってくれる人達もおり、孤立する事はなくなったのだが少々難点があった。

 

事あることに彼女は俺に暴力をふるってくるのだ。

他の女生徒に近付いただけで間接技を仕掛けてくる始末。

俺もある程度は許容していたが度が過ぎた為に堪忍袋の緒がキレて島田を調教もとい教育する事で解決した。

 

それ以来島田は暴力を振るう事はなくなったのでこちらとしてはありがたい。

 

っと、次は俺の番か

 

「吉井明久です。一年間よろしくお願いいたします。趣味は料理です」

 

とまあ、無難にこなした。

 

最初でつまづく訳にはいかないし、ボケる必要もない。

 

さて、次の人が自己紹介を始めようとした時。

 

「あの……遅れてすみません」

 

遅れて教室にやって来たのは体調不良で途中退席した、姫路瑞希の姿だった。

 

そういえば彼女もFクラスだったな……。

Fクラスの視線が集まる中俺は姫路さんの様子を伺う事にした。




どうでしたか?

自己紹介の話にありましたが島田は明久に暴力を振るう事はなくなりました。


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