憑依転生ドMクルセイダー (ドSM)
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私はダクネスだ!
やぁみんな。
私の名前はダクネス。
本名はダスティネス・フォード・ララティーナだ。
私には誰にも言えない秘密がある。
それは前世の記憶と自我を持っていることだ。
別に紅魔族的な物じゃない。
本当に前世の記憶と自我があるのだ。
私がそれを取り戻したのは5歳の頃の話しだ。
それはもう驚いたものだ。
だが、それ以上に喜びが大きかった。
何せ「このすば」の世界に転生していたのだ。
ダクネスと言う原作キャラに憑依転生している事は非常に残念だったが、それ以上に原作キャラに会いたいという気持ちが大きかった。
絶対に原作キャラに会うのだと決めていた。
動機が不純で申し訳ないが、エリス教徒となって友達が欲しいと願った。
結果、女神エリス様はこんな不純な信徒にも拘らずクリスとして私の友人となってくれた。
クリスが冒険者として登録してから、私達は共に冒険した。
ちなみに私の職業は原作と同じクルセイダーだ。
そうして、クリスと共に冒険して、私は気付いてしまった。
私はただララティーナと言う人間に憑依転生したのだと思っていた。
だが、実際は融合したように混じっていたのだ。
ララティーナの魂と前世の私の魂が融合している結果……私はドMになってしまった。
モンスターの群れに突っ込んで蹂躙されたい。
力及ばずめちゃくちゃにされたい。
そんな欲望が私の中に疼いていたのだ。
前世の私の魂も混じっているから、原作の私ほど堂々と性癖を晒している訳ではないが、たまに我慢できなくなって突っ込んでしまった。
モンスターに突撃して蹂躙され、強い痛みを感じ、嬲られるあの感覚。
とても、とても気持ちよかった。
何度でも味わいたい、そう思うほどに強い快感を得た。
だが、蹂躙される私を涙目になって必死に助けに来たクリスを見て、考えを改めた。
確かに私には蹂躙されたいと言う、強い欲望が私にはある。
だが、パーティメンバーに迷惑をかけるわけにはいかない。
私は非常に硬いからどうとでもなるが、仲間となった冒険者たちは違うのだ。
前世の私の魂が、自分の快楽の為に、クリスを危険な目に合わせるわけにはいかないと思った。
事実、クリスは我慢ができなくなって突撃した私を助けるために怪我をした。
その時は大丈夫だったが、次は命を落としてしまうかもしれない。
私の性的趣向で誰かを死なせるわけにはいかないのだ。
壁として優秀な私だが、これ以上クリスに迷惑をかけるわけにもいかず、仕方なく……本当に仕方なく両手剣の修練スキルをとった。
幸い両手剣は一ポイントで取得できたので、原作のダクネスとあまり違いはないはずだ。
何せその一ポイントも、御父様に無理言ってスキルアップポーションを買ってもらい、防御スキルに振ったから問題ないからな。
そうして、万全になった私はクリスと一緒に色んなパーティに入ってみたが、すぐに抜けてしまった。
何故かって?
私の性癖が暴走しそうになるのだ。
一緒にパーティを組んだ人たちには、気が向いたらまたパーティを組もうと言ってくれたが……こんな変態な自分を曝け出す勇気がなかった。
凄く落ち込んでいた私をクリスは慰めてくれた。
とてもやさしく、まるで女神の様に……って、女神だったなクリスは。
ともあれ、そんなに優しくされると惚れてしまうのでやめてほしい。
前世の私は男だったこともあって、恋愛対象は女なのだ。
更に言うとちょろい男だった。
なので、クリスを好きになってしまうのも仕方ない事なんだ。
多少スキンシップが激しくなっても、それは女の子同士の戯れと言うやつだ、うん。
そんな私の恋愛観だが、実に困ったことがある。
……男に抱かれるのも悪くないと思ってしまうのだ。
だって、無理矢理押し倒されて、嫌がる私にあんなことやこんなことを……!
クリスが好きな私が無理矢理男に手籠めにされてしまうなんて……ッアァ!
想像しただけで興奮するじゃないか!!
い、いかん、一度落ち着かねば……!
ふぅ、ふぅ……すまない、少し我を失ってしまった。
私はモンスターに突撃するのを抑えるためにクリスと過剰なスキンシップを取ってしまっている状態だ。
……最初は本当に軽いスキンシップだったんだが、可愛くてついついやりすぎてしまうのだ。
すまない、クリス。
とまぁ、そんな訳で私の全てを受け入れてくれそうなカズマ達のパーティに入ることにしたのだ。
多少役に立つところを見せていれば、後から性癖がバレてもパーティから追い出されることはないはずだ。
……できれば、クリスも共にカズマのパーティに入ってほしいが……そんなことを思いつつ、私はカズマ達がパーティ募集の依頼を出すのをずっと待っていた。
せめて原作と同じように、めぐみん達が風呂に行っている時に……そう思っていたのだが、どうにも我慢できなかった。
私の視線の先では、めぐみんがカズマ達と食事をしている。
この後に、彼らはジャイアントトードの討伐に行くのだろう。
前世でも見た、冒険の始まりなのだ。
「募集の紙を見てきたのだが、少しいいだろうか?」
気がついたら、私はカズマ達に話しかけていた。
「「え?」」
「はむ?」
息がぴったりなカズマとアクア、そして食事をかき込むようにして食べているめぐみんに苦笑する。
「私の名はダクネス。クルセイダーを生業としている者だ。よかったら私を貴方達のパーティに加えてもらえないだろうか」
私がそう言うと、アクアが目を光らせて私を見た。
「クルセイダー!? ヤバいわよカズマ!! 今、私達は波に乗っているわ!! 爆裂魔法を使うアークウィザードに、堅牢なクルセイダー! 断る理由なんてないわよ!!」
「パーティの内三名が上級職ですか。中々凄いパーティになりますね」
「わかったから離せ!! ったく、俺の肩身が狭くなるのだが……けど、パーティに入ってくれるなら助かります」
興奮して掴み掛るアクアを払いのけながら、カズマがキリッとした表情でそう言ってきた。
カズマの内心を察して、苦笑する。
私の見てくれは良いかもしれないが、中身はドMで男も女もイケるド変態な私だ。
いずれ私の全てをさらけ出すつもりではあるが……もう少しカズマにも夢を見せてあげようか。
これも放置プレイの一つだと思えば……ッ……しばらくは耐えられるだろう。
しかし、カズマは私に対して何か感じることはないのだろうか?
原作では危機感知センサーが働いていた気がするが。
まぁ、それは良いだろう。
とりあえずパーティに入る許可が貰えたのだから、仲良くしていこう。
「ではよろしく頼む。貴方達は……」
「あ、私はアクアよ! よろしくね、ダクネス!」
「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者!!」
「それって毎回やるのかよ。俺の名は佐藤和真。カズマっで良いですよ」
三人の自己紹介を聞いて、私はできるだけ柔らかく微笑んだ。
「では改めて、アクア、めぐみん、カズマ、宜しく頼む。めぐみん、顔が汚れているぞ」
自然な形でめぐみんに寄り添って、ハンカチで汚れを取ってあげた。
その時にめぐみんから甘い香りがした。
クリスとは違った甘い香り……いつまでも嗅いで居たくなるが、私にはクリスがいるのだと意志を奮い立たせる。
「わぷ、ありがとうございます」
めぐみんが恥ずかし気に笑みを浮かべてお礼を言ってくれた。
むしろこちらがありがとうございますだ!!
討伐が終わったら一緒にお風呂だな!!
あぁ、これだけでもこのパーティに入れてよかったと思うよ!
思わず本音が漏れたが、女の子同士だから特に深い意味はない。
深い意味はないんだからな!
【ジャイアントトード討伐 残り3体】
「爆裂魔法を放つまで少し時間が掛かりますので、足止めをお願いします!」
「おう! やってやる」
「っ! カズマ、あっちにも!!」
「……二匹同時かぁ」
遠目に一体、更に方向から近づいて来るカエルにアクアが気づいて声を上げた。
原作で読んだ三人のやり取りに本当にこのすばの世界に来てるんだなと感慨深く思いながら、私はカズマに話しかけた。
「カズマ、ここは私に任せてくれ」
「え? 大丈夫なのか!?」
カズマの言葉に私は胸を張ってうなずいた。
「元々クルセイダーは壁としてのスキルがある。めぐみん、準備が整ったら私ごと爆裂魔法を放ってくれ」
「うえ!? ちょ、ちょっと!? ほ、本気なのダクネス!?」
「え!? そ、そんなことをしたらダクネスが!!」
「ちょ!? 最強の攻撃魔法だろ!? 何言ってんだよ!」
三者三様の言葉に私は思わず苦笑した。
自分の性癖をひけらかすことなく満たすことができるからむしろやってほしいのだが。
「大丈夫だ。私は防御系のスキルを多く持っている。それに直撃しないようにちゃんと逃げるさ」
そう言って、私は三人の返答を聞かずに駆け出した。
「【デコイ】! さぁ、こっちだ!!」
私がスキルを発動すると、二体のカエルが私目掛けて跳んでくる。
金属鎧を纏っている私に対してカエル共は捕食行為はしてこないだろう。
だから私を踏み潰しに来るはずだ……んぁッ……!
……ふぅ、ふぅ……
つ、潰されても平気だが、いきなり三人を心配させる訳にもいかないだろう。
……でも……あの巨体に潰されるなんて……どれだけ気持ちいのだろうか……アァッ……!!
駄目だ駄目だ。
今はまだ抑える時だ。
……クリスには悪いが、次出会った時のスキンシップは激しくなるかもしれない。
もしかしたら、鳴かせてしまうかも……あぁ、それもいいなぁ。
……もしかして、私は性的な意味ではドSなのかもしれない。
潰されても平気だからとカエルの踏みつけをギリギリで避けながら時間を稼ぐ。
あ、この時間もいいかもしれない……二体同時だと些か大変で、キュンキュンする!
顔には出さないがな!
「ダクネス!!」
そんなことを考えているとカズマが声を上げた。
どうやら準備ができた様だ。
両手剣を抜いて、カエルが動けないように後ろ脚を一つを突き刺した。
これでこいつらは爆裂魔法から逃げることができないだろう。
私が少し距離をとると「エクスプロージョン!」と言う声と共に、凄まじい爆炎……いやここは、爆焔と言うべきか……と熱風が吹き荒れた。
なんてことを思いながら爆炎が私の肌を軽く焼き、爆風に乗って石が飛んでくる。
カズマ達を心配させないように直撃する位置には居なかったが、正直もったいなかったな。
これを直接受けたらきっと私は達してしまうかもしれない。
背筋にゾクゾクと来るものを感じつつ、その熱を逃がすように大きく息をついた。
今はまだ私の性癖を暴露する時ではない。
大丈夫だ、私はまだ、待てる。
「ダクネスーーー!! 大丈夫かーーー!?」
「ダクネスーー! 返事してー!! ねぇー!」
カズマとアクアの、私を呼ぶ声がする。
きっと大声出せないだけでめぐみんも私を呼んでいるのだろうな。
そう思うと、先程とは違う暖かな気持ちが胸を満たす。
爆風に飛ばされないように低くしていた見を起こして、私も声を上げながら二人の声がする方へ歩いた。
「私は大丈夫だ! 問題ない!」
「よかったー!! 怪我してない? ヒールいる?」
「至近距離であの爆発に耐えるとかマジか。けど無事でよかった。ほら、めぐみんも起きろよ」
砂埃が晴れて三人の姿が見える。
カズマは小さくため息をついて、倒れているめぐみんに声を掛けている。
アクアは私を見ると、急いで駆け寄ってきた。
私の体を見回してくるアクアに微笑む。
「ありがとう、アクア。大丈夫だ、特に怪我はしていない」
私がそういうと、アクアは感心したように息を吐いた。
「ふぁー、凄いわね。直撃していないっていてもかなり近くにいたのに無傷なんて。もしかして、直撃しても大丈夫だったんじゃないかしら! 凄いわダクネス!」
何処かキラキラした目で褒めて来るアクアに、少し照れて頬をかいた。
「そう褒めないでくれ……ちょっと恥ずかしい……」
「なにいってるのよ、ダクネス! 駆け出しのレベルで爆裂魔法に耐えたのよ? 爆裂魔法に耐えられる存在なんてそういないんだからもっと自信もって!」
「……あぁ……うぅ……ほ、褒め殺しは、私の望むところではないのだが……」
そういえば、アクアは致命的に空気が読めない子だったか。
そんなところも可愛いのだが……
「褒められるのが望むところじゃないなんて……この程度は当たり前って事ね! 流石だわ! 騎士の鏡って貴方の事を言うのね!」
「……も、もぅ勘弁してください……」
顔が赤くなっているのが自分でもわかるのだが!!
この羞恥攻めは私の望むところではない……!
「あ、今のダクネスってとってもかわいいわよ!」
「ほ、本当にもうやめてくれ!!」
「アクア! ダクネス! カエルがまた出てきたぞ!!」
グッドタイミングだ!!
「! ほら、アクア! 私がまた囮をするから離れていてくれ!」
これ以上褒め殺される前に、アクアに逃げる様に言う。
「わかったわ! けど、私だっていいところ見せなくちゃね!!」
「あ、おい、アクア!」
逃がそうと思ったら、物凄い速さでカエルに突っ込んでいった。
アクアの粘液まみれ回避できると思ったんだが、逆にやる気になってしまったらしい。
「アクアーーー!! 何してんだお前ーー!!」
突撃するアクアを見て、カズマが叫んだ。
「二人が良い所見せたんだから、次は私の番でしょ!」
「いい加減にお前は学習しろーーー!!」
二人のやり取りにこれから楽しくなりそうだと思いながら笑った。
その僅かな間にアクアはカエルに食われた。
「カズマ!」
「はい、カズマです」
「他の二匹は私がやるからアクアを頼む!」
私はそう言って、デコイを発動させて二匹の方へと走り出した。
「りょうーかい! あのバカ食ってる最中なら大丈夫だろ」
そう言ってカズマもアクアを捕食しているため、全く動かないカエルへと走っていった。
「めぐみんはもう少し待っていてくれ」
「おかまいなく」
倒れているめぐみんの傍を走り抜けながら、私は笑った。
やっぱり、ここにクリスも居てほしいなと思いながら、二体のカエルの処理に向かう。
「さぁ! 私たちの冒険はこれからだ!」
どうでしたか?
こんなダクネスはありでしょうか?
こんな感じで原作の話を少しづず変化させるつもりなので、評価や感想頂けると嬉しいです!
受けた様なら続きも書こうかな。
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