ペルソナ4って何? (★Sprite★)
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プロローグ

後書きの方で、主人公の紹介等します!

駄文ですが、どうぞよろしくお願いします!


「ここ、どこ?」

 

回りは真っ白で何もなく、どこまでも果てしない空間が広がっていた。

 

どうして俺がこんな場所にいるのか、それは少し前に遡る。

 

~少し前~

 

PM11時55分。

 

俺こと神崎拓真(かんざきたくま)は明日提出の課題を終え、達成感に浸っていた。

 

「好きに書いていいとは言われた物の、これは書きすぎたか?」

 

目の前には100枚はあるだろう原稿用紙があった。

 

今回出された課題というのが、選択で詩か短編小説を1週間以内に書いて提出と言う物だった。

 

詩なんて書くセンス、俺にはまず無い。それなら、短編小説でも書いてやろうじゃないかと躍起になり、書いた結果がこれである。

「でも、この出来は見事な物だと思うよ、いやマジで」

 

ストーリーは典型的な主人公最強最強物。仲間と協力し、魔王を倒すというオリジナリティを微塵も感じさせない物だったが、俺は満足していた。

 

「あぁ、俺もこんな主人公みたいに仲間と共闘してみたいな…ま、無理か」

 

ふと時計を見たら、あと少しで12時になる所であった。

明日の為に早く準備して寝ようとした時、

 

「うっ、なんか眠く、なって…」

 

俺の意識は途切れた。

 

~回想終了~

 

まぁ、要するに、

 

「これは夢ってこったな」

 

しかし、これまでにここまで意識がはっきりした夢があっただろうか?

試しに、頬をつねってみようとした。

 

その時だった。

突然、強い光が辺りを包みこんだ。

 

「うぉっ、眩しっっ!」

 

数秒後、光が消え、目の前に見えたのは、

 

「この度は誠にすいませんでした」

 

正に絶世の美女といった感じの女性の土下座であった。

 

 

 

「あの、もう謝らなくても良いんで、顔を上げてくださいな」

 

「すいません、こんな事になってしまったのに優しくしてもらって」

 

涙目でこっちを見つめる金髪碧眼の美女。体には豊満な2つの…ゲフンゲフン、何を言ってるんだ、俺は。

 

「どうかされましたか?」

 

「い、いや何でもないっすよ!?」

 

危ない、危うく不審者になる所だった。

 

で何でこんな事になったかと言う事なんだが、

 

まぁテンプレですわ。

 

ここにいる美女は神様なんだが、どうやら間違って俺を殺しちゃったよ~と。

 

だから、お詫びとこれからの事について聞くと言う事になった。

 

ちなみに俺が殺されたと知った時、ふーん(゜-゜)って感じだった俺を見て、大層驚いていた。

 

まぁ、特別仲の良い友達がいた訳でもない、つまらない人生だったと思うが故に、気にする事も無かった。

むしろ、苦しまず死ねた事が嬉しい位だった。

 

 

「で、これからの事なんですが」

 

お、本題。

まぁ、テンプレ通りなら大体予想はつく。

この展開はお決まりの…

 

「あなたには別の世界で生活してもらいたいと思います」

 

はい、異世界フラグ。

あらゆる主人公最強物は大体転生する(?)からこの展開は読めていた。

じゃ、次はどんな世界に行きたいか、だろうな。

かやっぱり、剣と魔法のファンタジーだよな!

 

と色々考えていた俺の前に出されたのはよくくじ引きとかに使われる上に穴の空いた箱であった。

 

?を浮かべていた俺に神様はこう言った。

 

「では、これで今から行く世界を選んでもらいます」

 

「……え?」

 

マジで?と指を指すと、神様に頷かれた。

…マジか。

 

 

 

「頼むぞ、俺の右手ぇっ!!」

 

力を込めて精一杯叫ぶ俺。

呆気にとられる神様。

こちとら人生かかってるんで本気で引かせてもらうぜ!

 

話を聞けば、この箱は最高神のアイディアで『人生は思い通りにはいかないものだ』をコンセプトにしているらしい。

中にはアニメやゲームの世界に空想世界や平行世界などもあるそうな。

 

その中で俺が狙うのはもちろん、

 

「来い、ファンタジー世界ぃぃっ!!」

 

神様が若干引きながら、箱を差し出す。

手を入れて、1枚の紙を引き抜いた。

神様に手渡して、俺は祈った。

 

(頼む、来てくれ)

 

ついに神様から結果が言い渡された。

 

「はい!あなたは『ペルソナ4』の世界に行く事が決定しました」

 

それを聞いた俺は一言。

 

「『ペルソナ4』って何?」

 

 

 

話を要約すると、RPGの世界なんだそうな。

ん?要約しすぎ?

 

だって、説明聞いても分からなかったからさ。

もう一人の自分を認める事で力を得るとか、絆がどうたらこうたら。

 

意味が分からなかった俺は詳しく説明してくれと頼んだ。

 

「えーとですね、それは体感しなきゃ分からない物だと思います。これから、その世界に行くにあたり、ある試練を受けていただきたいと思います」

 

試練?試験じゃなくて試練?

 

何か、いやーな予感しかしないんだが。

 

「試練前に1つアドバイス。『受け入れて』ください」

 

どういう事?と聞こうとしたが、意識が遠ざかっていき、途切れた。

 

 

 

「2回目の気絶って…、やけに暗いな」

 

真っ暗ではないものの、薄暗いこの空間は、居心地の良い物ではないな。向こうに誰か人影が見えた。

 

???「やっと起きたのか?」

 

人影が話しかけてきた。

しかし、やけに聞き覚えのある声だな。

誰だろうと考えていたら、人影が近づいてきた。

そして、顔を見た時、心臓が止まりそうになった。

 

???「誰だろう?ハハッ、俺はお前だよ、神崎拓真」

 

そこにいたのは俺だった。

ってちょっと待てぇぇぃ!

何で俺がもう1人いるんだよ?

困惑している俺を見て楽しそうに笑っている『俺』はふいにこう言った。

 

俺?「それにしても、これから異世界に行けるなんて嬉しいなぁ、なぁ俺?」

 

「んぇ?ま、まぁ嬉しいな」

 

すっかり俺?のペースに飲まれてしまった。

頭が今の状況に混乱してしまっていた。

俺?は話を続ける。

 

俺?「そりゃそうだよな!なんたって、辛い過去とか思い出を忘れて異世界でエンジョイ出来るんだからさ!」

 

「は?」

 

突然、何を言い出した、こいつは。

辛い過去?忘れる?

何を言ってるんだ、この『俺?』は。

 

「俺が小さい時に両親を無くし、友達や親しい人もいなくて、独りだった今までの人生。」

 

俺は何も言えなかった。

さらに、『俺?』は話を続ける。

 

「苦しかったろう?寂しかったろう?でもこれで俺は異世界で新たな人生をエンジョイ出来る!もうこれで俺は自由だ、自由だーっ!」

 

『俺?』はしばらく高笑いしていたが、笑うのをやめ、俺の目を真っ直ぐ見つめた。

 

「お前はただこの状況から逃げ出したかっただけ。ただ物語のヒーローになりたいと夢見るだけの無力なガキなんだよ。」

 

そう言った『俺?』はまた笑いだした。

こう言われた俺だが、自分でも驚く位落ち着いていた。

 

俺は幼い頃に両親を事故で亡くしたらしい。

この話は、その事故後、預けられた親戚の爺さんから聞いた話だ。

 

その後、小学校、中学校、高校と進学したのだが、中学2年の頃に爺さんがなくなり、他に近い親戚もいない俺は、一人暮らしを余儀なくされた。

幸いにも両親が残した遺産があり、高校にも無事入学できたのだが、高校に親しい友人などいないため、毎日無機質な毎日を送っていた。

 

一人で何でも出来る様に努力したが故に、今さら他人に頼る事が出来なかったのだ。

どうやって人と話せばいいか分からなかった俺だったが、本を読む事で最低限のコミュニケーション能力を身に付ける事が出来た。

 

その頃からだろうな。

物語の主人公に憧れ始めたのは。

憧れるだけならまだいい。

俺は、成りきったつもりでいつも妄想していた。

それが原因でいじめにも遭ったが、やめようと思った事は一度も無かった。

 

「いずれお前は、物語のヒーローみたいに能力があれば、こいつらなんか一撃なのにとか思って、毎日妄想ばかり。努力もせず、ただ大きな転機がやってくるのを待つだけ。体は大きくても、心は幼稚。ガキのままなのさ」

 

認めたくはない。

今までやってきた事すべてが否定されたような気がして、認める事に恐怖すら感じる。

その時、ここに来る前、神様に言われた事を思い出した。

 

『受け入れて』ください。

 

あぁ、そういう事か。

この試練が始まる前に聞いた時は意味が分からなかったが、ようやく理解した。

不思議と恐怖も消え、スッキリ爽快な気分だ。

 

「あぁ、そうだ。お前は俺だな」

 

「そう!俺はお前…ってへ?」

 

『俺?』は唖然としていた。

それとは対象的に、俺は清々しい顔で続けた。

 

「お前の言う通りだよ。俺はずっと物語のヒーローになれたらと夢見て、現実逃避してたただのガキなんだよな」

 

「俺がお前だと認めるのか?」

 

信じられないといった様子で『俺』は言った。

何を今さらと俺は苦笑した。

 

「認めよう。ここまで俺の事分かってる奴は、『俺』しかいない。お前は俺だ」

 

そう言うと、『俺』は俺を見つめ、頷いた。

すると、『俺』の足元から青い炎が上ったかと思うと、『俺』の姿が大きく変化した。

 

そこには、銀色の軽鎧に身を包んだ西洋の戦士のような風貌の男がいた。

全身に何か筋の様な紋様が光り、浮かび上がっている様は実に神秘的であった。

 

しかし、姿は変われど、こいつが俺である事に変わりはない。

俺はこれから世話になるのだろう『俺』に新たな名前と共に話しかけた。

 

「これからよろしく頼むぞ、俺。いや『エンキドゥ』。」

 

 

『エンキドゥ』が微かに頷くのを見て、俺は意識を失った。

 

 

 

 

目を覚ますと、微笑を讃えた美人、否神様がおりました。

 

「『受け入れて』くれた様ですね。」

 

「あぁ、ありがとうございました」

 

神様はこの試練の意味などを説明してくれた。

もう一人の自分を認める事がペルソナ4の世界でどれ程重要か分かった。

このもう一人の自分はペルソナと言うらしいが、俺のペルソナ、エンキドゥは愚者という分類(アルカナ)になるそうな。

愚者のペルソナを持っているという事は大変特殊らしく、神様も予想外だったそうな。

なんでも、俺はワイルドという性質で、ペルソナを複数体身に付ける事が出来るらしい。

この性質はその世界でも主人公しか持っていないんだとか。

俺なんかについていいのか、主人公補正。

 

説明も終わり、これで異世界に向かうのかと思いきや、今度は特典についての話に入った。

 

特典なんかあるのか、何か貰いすぎなんではないかと思ったが、俺を間違って殺してしまったという責任と神様としての面目があるらしく、そう決まった。

 

まず、金銭面、生活面の援助。

これは俺に不自由が無いよう、存分にやるらしい。

また、保護者として名義上、神様が俺の母親になるそうな。

 

「ってえ!?マジすか!?」

 

「? ダメでしたか?」

 

「いや、むしろ光栄というか、何というか」

 

何か恐れ多い気がします。はい。

神様いわく、

 

「一度は母親になってみたかった」

 

との事です。

とはいっても、母親は海外で仕事があるため一人暮らしと言う設定ではあるんだが。

設定としては母親の持っていた家で一人暮らしをしたいと希望した俺が、新しい地で高校生活を始めたという物らしい。

なんとも親不孝な息子。

俺が抱いた感想である。

 

そして次に、その世界で巻き起こる事件に介入するための支援の説明に入った。

 

まず、俺の家に大型のテレビを置く。

この事件は、テレビの中にある異世界と関係が深く、そういう意味では、必要不可欠な物であろう。

 

テレビの中にある異世界には霧が立ち込めているらしく、その中でも探索出来る様にと作られたメガネを渡された。

これで探索が霧で邪魔されることは無くなるらしい。

 

また、テレビの中にある異世界の探索時や戦闘のサポートなど万能な働きをするアプリを俺のスマートフォンにいれてもらった。これがないと、間違いなく遭難するらしい。

 

普通なら一度入ると一方通行で出られなくなるらしいが、

俺が入るそのテレビの向こう側には、脱出用のテレビと何も寄せ付けない結界があり、初心者な俺にも優しい設計なようだ。

 

ちなみに、主人公とその仲間はスーパーにある大型テレビから往き来するそうな。

 

そして、最後に、殺してしまったお詫びにと3つまで特典を選ぶ事になったんだが…。

 

「また…っすか」

 

「すいません、規則みたいなので」

 

目の前には、くじ引きの箱があった。

 

俺はまた自分の右手に運命を委ねた。

 

 

 

 

特典が決まった。

 

それがこれである。

 

・盗賊王の鍵

どんな鍵でも開けられる最強のピッキングツールがいつでもどこでも使える。

 

・料理人の魂

料理スキルが飛躍的に上昇する。

 

・不屈の精神

根気の値が限界突破し、様々な効果を発揮する。

 

 

喜んでいい…よな?

盗賊王の鍵って、犯罪臭があるんだが。

 

料理人の魂?元々料理はする方だが、他人に食わせる機会なんかそうそう無いだろうしな。

 

不屈の精神。まぁ色々とタフになるんだろう。どんな効果かは知らんが。

 

結論。

もっと良いのあったんじゃね?

 

orzのポーズで落ち込む俺だったが、

 

「この3つの特典はその世界では大変有用になると思いますよ♪」

 

という神様の言葉に元気付けられた。

だよな。戦闘に役立つかと言われたら微妙だが、戦闘に関してはエンキドゥがいるしな。そう思い、拳で胸をドンと叩いた。

 

『任せろ、俺』

 

そう聞こえた気がした。

そして、とうとう異世界に飛ばされるようだ。

 

「神崎さんのスマートフォンに私の電話番号とアドレスを入れておきました。何かあれば、連絡してくださいね」

 

「分かりました。あと俺の事は拓真でいいっすよ」

 

「では、私は愛里(あいり)と呼んでください。戸籍上そうなっているので」

 

「分かりました。じゃ愛里さんまた後で」

 

「はい、また」

 

そういって、俺はペルソナ4の世界に送られた。

 

 

 




主人公紹介

名前 神崎拓真 (かんざきたくま)

高校2年のごく普通の青年。

見た目は化物語の主人公にそっくりですが、影の中にロリ吸血鬼いませんし、自然治癒能力が高い訳でもありません。

いつも物語のヒーローに憧れを抱いていたと共に、現実から逃げていた自分に気づかされ、認めた事でペルソナ『エンキドゥ』が覚醒した。

性格は基本的に優しく、明るい好青年。
しかし、たまに感情が荒ぶる事がある。

各ステータス

勇気 怖いものなし
根気 タフガイ (不屈の精神の影響でカンスト)
寛容さ 太っ腹
伝達力 心に響く
知識 物知り

特典
盗賊王の鍵(最強のピッキングツール)
料理人の魂(最強の料理スキル)
不屈の精神(異常なまでの根気)


ペルソナ紹介
名前 エンキドゥ

説明要約 かつてギルガメッシュを倒すために神が造り出した刺客。
造り出された頃はまだ知性のない獣のような姿をしていたが、聖娼婦と1週間抱きあった事で人としての知性を手にいれた。
その後、ギルガメッシュと力合わせをしたところ意気投合。ギルガメッシュの友人となったと言われる仮想の人物。

アルカナ 愚者

初期能力値
力 6
魔 4
耐 4
速 5
運 4

相性(数値はダメージ補正率)
物理 100
火炎 100
氷結 100
電撃 耐 50
疾風 弱 125
光 無効 0
闇 50

初期スキル
ジオ(単体電撃小)
スラッシュ(単体物理小)
ディア(味方単体回復小)
ラクンダ(3ターン単体防御力低下)

LV1の割に能力値も高ければ、スキルも多いかもしれませんが、そこは神様補正という事で流していただけると幸いです。

不定期更新とはなりますが、よろしくお願いします!
では、また。



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1話目

すいません、遅くなりました。
たぶん1週間に1回ペースになるかと…orz

今回は設定説明回みたいな物になってます。
バトルやペルソナ4らしい部分は次からとなります。
すいません!

では、どうぞ!


「知らない天井だ。…くぅ異世界に来たら言ってみたかった台詞、まさか言える機会が来るなんて、感動」

 

とはいっても、目覚めたのは元の世界にもあったような、ごく普通の天井なのだが。

ベッドから起き上がり回りを見てみる。

広さや雰囲気的に、ここは俺の部屋のようだ。

勉強机の上には教材一式と思われる本の山がある。

 

「勉強からは逃れられない…か」

 

勉強机とは別に真ん中に小さなテーブルがあった。

テーブルの右、窓際にはソファー、テーブルを挟んで右側には立派なテレビ台に乗ったこれまた立派で大きなテレビがあった。

 

「異世界への入り口…これか、触れてみるか」

 

画面に触れると、画面が手に吸い付くように、というかマジで吸い込まれそうなんだが!?

俺は右足をテレビ台に乗せ、思いっきり引っ張った。

 

「これで、どうだ!ってうわっ!」

 

ガンッ(勢い余ってテーブルの角に頭をぶつける音)

 

ゴロゴロゴロゴロ(痛みの余り床を転がり回る音)

 

バンッ(転がり過ぎて体を奥の本棚やタンスに打ち付ける音)

 

「痛い、めっさ痛い」

 

床が剥き出しじゃなくてカーペットで良かった。

じゃなきゃ、余計に体を痛めつける所だった。

 

痛みが落ち着いた所で改めて部屋を見渡した。

タンスの中には、驚いた事に元の世界で使っていた服が入っていた。

神様が送ってくれたのだろうか。

 

本棚には勉強で使うような辞典しかない。

ここら辺には本屋があるのだろうか。

このままでは寂しいから何か買っておくことにしよう。

 

テーブルを見たら、封筒が置いてあった。

中には神様から俺宛の手紙が入っていた。

 

『無事に、異世界に着けたようですね。

まず、勉強机の上には教材一式と筆記用具などが用意してあります。

また、1階の居間には4月12日から通う八十神高等学校の制服とジャージがあります。忘れずにその日持っていって下さい。

ちなみに今日は4月4日。転校一週間前です。

この一週間で町に慣れる事はもちろんですが、テレビの中にある異世界にもなれてもらいたいと思います。

本格的にこの世界で主人公にあたる人物が関わるのが 18日。

その前にも何回か入りますが、本格的に事が大きく動くのもその日です。

その日まで約2週間あります。

なので、折角ですし、主人公より先に異世界に行ってみてはいかがと言う事で、早めに送らせてもらいました。

ここから先は、あなたの好きな様に学校生活を送って下さい。

主人公と共闘するもよし、別行動をとってみるもよし、行動は自由です。

 

なお、生活費については、居間に財布がありますのでそこから出して下さい。

一応不自由無い位、毎月入れておきますが、それでも足りない場合は、テレビの中にある異世界での戦いでお金を貯めたり、バイトをするなどしてください。

また、その町には戦利品を買い取って武器や防具を作ってくれる店もあるようです。

詳しい情報はスマートフォンのサポートアプリを見てください。

何かあれば、遠慮無く連絡してくださいね?』

 

なるほど。ここまでアドバイスしてくれるとは、神様優しいわ。

正直今日の日にちすら分かってなかったから、助かった。

 

ん?

手紙に続きがあったのに気づいた。

裏だったので気づかず、しまう所だった。

 

『PS 暇な時でも電話とかメールして下さいね?

その、えっと、母さんなんですからね?』

 

気づいて良かった。

いやぁ、神様、いや母さんの可愛い所が見えた2文だったね。

 

さて、じゃ1階に行ってみるか。

 

 

 

2階は自分の部屋と空き部屋だけだったが、1階は居間とキッチンがつながっていて、階段を降りて右に居間、左は玄関となっていた。

風呂や洗面所の場所も覚えた。

居間には母さんが言ってたように制服が掛けられており、ジャージが綺麗に畳まれていた。

そして、居間のテーブルの上には黒の財布が。

中を開けると、

 

「うわぁ、諭吉さんが一杯だわ」

 

こんなにたくさんの諭吉さんにエンカウントできるとは。

感動していたが、生活費とか考えると、これは普通より少し多い位なのかと意識を改めた。

 

ふと、居間の窓から外を見たら、桜の花びらが舞っていた。庭には桜の木があるようだ。

あとは倉庫があるようだ。

テレビの中にある異世界の探索には何か護身用の武器があるべきだろう。

エンキドゥがいるとはいえ、油断大敵だ。

後で倉庫は要チェックだな。

 

さて、これから何しようか。

 

そうだ。

町に行こう。

携帯と財布を持って、外に出た。

 

 

 

 

そうだ。京都へ行こう。みたいな乗りで出たは良いんだが

 

「ここどこよ?」

 

田舎町って雰囲気は分かるんだが、道がさっぱり分からん。

ふと携帯を見て思い出した。あのアプリを。

 

「んーと、あっこれか?P4サポートアプリってやつ」

 

押してみたら、初めての方へと出て、説明文が出てきた。

 

と言っても簡単だ。

メニューからただ選ぶだけだ。

 

項目にはマップナビ(町、異世界両方)、戦闘モードなど色々あった。

 

今回は町のマップナビを使う。

 

近くに商店街、少し離れた場所に『ジュネス八十稲羽店』という大型ショッピングセンターがあるようだ。

近くと言っても、歩いて10分位だろう。ジュネスは20分位のようだ。

 

まずは商店街に行ってみるかな。

 

 

 

商店街メインストリート到着、で、いいんだよな?

何か言っちゃ悪いが、人通りが思ったほど無い。

あぁ、あれか?

大型ショッピングセンターが地方に出来ると、便利だからってそっちにばかり行く。

結果商店街は寂れていく、的な?

まぁよくある負の連鎖(?)だよな。

 

とりあえず、散策しますか!

 

 

 

何!?

いきなり本命の本屋発見!

名前は『四目内書店』?

 

「よつめ?よんめ?何て読むんだ、これ」

 

店先でうんうん悩んでいたら、店から人が出てきた。

格好からして店主だろう。

 

「君、見かけない顔だね?そんな所で何してるんだい?」

 

「あぁ、今日引っ越してきたんです。本屋があったので、立ち寄ろうと思ったのですが、ふと店名が気になって」

 

そう俺が言うと、店主はハハッと笑った。

 

「愉快だろ?本屋なのに『よめない書店』なんてさ?店始めてからその失敗に気づいたんだよ。元々こんな小さな町だ、本屋もあまり人気が無くてね。今じゃ自分の趣味に合った本しか無いんだよね」

 

それでも良かったら、見ていってよ。

そういう店主の言葉に甘えて、見てみる事にした。

 

「んーと、何か良い本は、と。」

 

出来たら、ファンタジー系の本が欲しいのだが、『自分の趣味に合った本』とか言ってたし、無理か?

あとは、何か良い本は…

 

「おっ?これはいいんじゃないか?」

 

見つけたのは、『THE 武士道』と言う本だった。

見た所、武士の生きる道について熱く書かれた本らしく、他にも、刀の型など色々書かれていた。

値段は1500円だったのが半額の750円にまで落ちている。

 

「すいません、これ下さい」

 

「え?買うのかい?」

 

店主は大層びっくりしたようで、お金を受けとると、「ちょっと待っててくれな」と良い、奥へ駆けていった。

 

どうしたんだろ?

本一冊買っただけで、あんな驚いて奥へ駆けていくなんて。

 

数分後。

 

店主が1メートル位の細長い袋を持ってきた。

元の世界で剣道部がこんな物を持っていたのを覚えているが、まさか。

その予感は当たっていた。

 

「その本を買うなら、この木刀も持っていくと良い。本格的にやる必要は無いだろうが、たまに振ってみたらどうだい?良い運動になると思うよ?」

 

何でくれたのか理由を聞くと、

 

「最近の若い人はあまり本を読まなくて、うちにくる客も

年配者ばかりだからつい嬉しくて。

これからも贔屓にしてほしいからね。

その期待も込めて、それをあげるんだよ。」

 

どうせしまっとくだけで使わないし、持っていきなよ?と言われたので受け取っておくことにした。

 

やたら木刀にしては重いなと思ったら、中に鉄芯が入っているからだと言う。

また、木も丈夫な分、重い素材を使用しているらしい。

 

思いがけなかったプレゼントを持ち、店主に見送られて店を後にした。

 

 

 

とりあえず、商店街を一通り見てみた。

途中、スマートフォンのサポートアプリから、アラーム音が。

見てみると、だいだら.(だいたらぼっち)という店が、例の異世界での戦利品を買い取ってくれる店らしい。

場所も、本屋の前。

実に分かりやすい。

 

他にも、ぶらぶらと歩き回った俺は、そろそろジュネスに行こうと思い、いったん家に帰る事にした。

 

というのも、寄った店のうちほとんどの店で買い物をしたために両手が塞がってしまっていたためである。

それにジュネスに木刀を持っていく訳には行かない。

 

とりあえず、家に戻った俺だったが、そこである事に気付いた。

 

「…自転車、あったんだ」

 

歩いて移動したこの時間が無駄なように感じて脱力してしまった。

ジュネスに行くときは必ず使おう。

そう心に決めた。

 

 

 

 

ジュネス到着!

自転車があると便利だわ。

にしても、やっぱりこっちは人多いな。

商店街とはまさに対照的に賑やかだ。

 

案内図を見てみたのだが、ここに来たら何でも揃うだろう商品の充実した店なのだと分かった。

 

色々見て回りたい所ではあるが、今日の所は食料を買うだけにしよう。

夕方辺りまで異世界の探索に行くためだ。

 

とりあえず、まとめ買いしたい食材は取ったし、お菓子とか買ってみるかと、お菓子のコーナーに行ってみた。

 

「…冗談だろ?何だこの意味不明な菓子は」

 

『肉ガム』

 

作った人、何を考えてんだろう。

売れるのかね、こんな商品。

 

疑問に思っていたら、ふとスマートフォンがバイブレーションしているのに気付いた。

どうやらサポートアプリからの様だが、何だろうか。

 

『機能説明 アイテム検査 そのアイテムの写真を撮るだけで、効果が分かる。』

 

…使えって事か?これに?

 

物は試しなんで使ってみた。

 

結果。

味方単体HP25回復。

 

マジでか。

これでHP回復とか、なら他にあるんじゃないか?

探してみることにした。

 

数分後、俺はとんでもないものを見つけた。

 

ポ○ロング。

 

どうやらこの○テリングは、味方単体HP完全回復らしい。

値段は110円。

 

これは元々ゲームの世界らしいが、110円でHP完全回復アイテムが買えて良いんだろうか。

まさか、それほど、敵が強いって事か!?

 

※ゲームではそんな簡単にポンポン手に入りません。

 

用心には用心と言う事で、10個買っておく事にする。

他にも、SP(スキルポイントの略。魔法を使うときに消費。)10回復するミルクチョコも何枚か買っておいた。

 

このアプリのおかげで回復アイテムまでゲット出来た。

 

じゃ家に帰りますかね。

 

 

 

 

家に帰った俺は少し遅めの昼食を食べる事にした。

外食でも良かったかもしれないが、俺はずっと気になっていたのだ、この特典が。

 

「料理人の魂の実力見せてもらうぜ!今日はチャーハンだ!」

 

元の世界でも作ってはいたが、味は「不味くはない」だった。

そんな俺がどこまで変わるのか、試してやろうじゃないか。

 

調理開始。

その時に、頭の中に今からやるべき事やチャーハンを美味しくするためのアイディアが頭にポンポン浮かんできたのだ。

いつもと違うその感覚に戸惑いつつも、調理をしているんだが。

 

「凄い、俺料理できてる」

 

自分のやりたいように料理が作れると言えば良いだろうか。

自分の理想の中のチャーハンが出来上がっていく。

 

調理終了!

 

結果、見事なチャーハンが出来た。

 

めっちゃ旨そうなんだが。

俺が作ったとは思えない一品が出来た。

思わず、スマートフォンで写真を撮ってしまった。

 

すると、サポートアプリが発動。

 

『黄金のチャーハン』

効果、HP完全回復、状態異常(戦闘不能、ダウン以外) の解除。

 

思わぬ高スペック。

もはや笑うしかない。

サポートアプリによると、このアイテムはゲームの中には無いらしく、料理人の魂がどれだけチートなんだかよく分かった。

何せ、何気無く飯を作るだけで、最高級の回復アイテムが手に入ってしまうんだから。

 

飯を食べ終わった。

想像以上の旨さでした。

余ったチャーハンはおにぎりにして持っていく事にする。

 

「あとは、物置だけだな。行ってみるか」

 

 

 

 

物置は何処にでもあるような金属製、引き戸タイプで鍵は掛かっていなかった。

物置をあけた。

 

「工具類に、新聞紙が積み上がっていて、ん!?」

 

俺が見つけたのは、金色に光る宝箱だった。

新聞紙の陰にあるそれは実に異様だった。

蓋に手をかけるが、開かない。

 

「せーの!ふっ!…無理だな」

 

鍵穴があるみたいなので鍵が別にあるんだろうが、見当たらない。

 

「鍵、鍵ねぇ。…あ、特典」

 

盗賊王の鍵忘れてたわw

思い出した時、カチャッと音が。

 

目の前に金色の鍵が落ちている。

サポートアプリの解説を一応見てみた。

 

盗賊王の鍵

どんな種類の鍵でも何故か開ける事ができる最強のピッキングツール。

何回でも使用可能。

念じるだけで、出す、消すが可能。

 

まぁ、だろうな。

では、宝箱を開けてみようか。

鍵を差し込んで、鍵を外した。

開けると、一枚の紙と黒いリュックが入っていた。

 

『特典チュートリアル

この宝箱は特典『盗賊王の鍵』の使い方を学ぶための物です。

3つの特典を駆使してより良い生活を送って下さい。

ちなみにこのリュックはチュートリアル達成のいわば報酬であり、母さんからのプレゼントです。

容量、重量無制限なので、どうぞ使って下さい。』

 

○ラえもんのポケットかよ…

でも、母さん最高!

これは探索とか学校で使えるな。

 

とりあえず、今日買っておいた物やおにぎりを入れた。

リュックがある程度膨らんでいるように見えるが重さは全く感じない。

 

テレビの前にスタンバイ。

背中には母さんからもらったリュック。

右手には、書店のおじさんからもらった黒い木刀。

左手には書店で買った『THE 武士道』。

靴は玄関で母さんが用意したであろう普通の靴。

服装は至って普通のパーカー&ジャージ。

 

見た目は間違いなくお土産に木刀買った観光客。

『THE 武士道』がガイドブックに見えなくもない。

少なくとも今から異世界へ冒険しに行く格好ではないだろう。

 

「まぁ、探索すりゃ戦利品や金も集まるだろ。いざとなったら、帰ってくれば良いし」

 

さっきの事もあり、注意深くテレビに触れ、上半身、下半身といれ、俺はテレビの中の世界へ向かった。

 

 

 




次回、とうとうテレビの中へ!
やっとペルソナが活躍!

見ていただけたら幸いです!
では。



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2話目

はい、遅れました。
相変わらずの駄文ですが、よろしくお願いします。


さて、テレビの中へ入ってみた訳だが。

 

「濃霧にも程があるだろ…前が全く見えんぞ」

 

普通の霧なら少し位は見える物だが、これは全く見えない。

母さんからもらったメガネがあれば大丈夫らしい。

リュックからメガネを取り出してかけた。

 

「!? 視界が本当にクリアになってる!

いや、疑ってた訳では無いんだが」

 

回りが良く見えるようになっていた。

後ろには、脱出用であろう古い型のテレビがある。

ここは広い正方形の広場になっているようだ。

真ん中には、まるで魔法陣のような模様が書かれていた。

その模様の中央に紙切れがある。

 

「この魔法陣、踏んでも構わないよな?…よし、入れた。えーと、なになに?」

 

『拓真さんへ

初テレビの中ですね。

ここが拓真さんの拠点になります。

この魔法陣は中にシャドウや他の何かが侵入するのを防ぐと言う役割と探査を妨害する効果があります。

探査されると、目をつけられる危険がありますので。

そこの階段から下に降りると、安全地帯から離れてシャドウが出現しますので注意してください。

また、右にあるタンスの中には、つけるだけで探査を妨害する缶バッチが入っています。

忘れずに付けてください。

では、気をつけて』

 

…まずは1つ。

探査を妨害って、何か物騒。

目をつけられるって誰に?

まだ主人公も来てないのに、何てホラー?

 

とりあえず、タンスを開けてみた。

中にあったバッチは4種類。

赤、青、黄、緑の4つである。

 

黄のバッチを取り出して、付けた。

 

おっと、大切な事を思い出した。

 

「エンキドゥを出したいが…どうすればいい?」

 

もう一人の俺であり、相棒。

エンキドゥを出したい訳だが、本当どうしたら良いかね?

 

 

『分からないのか?しょうがない、教えてやるよ』

 

 

まさかのもう一人の俺からメッセージ!?

しかも、何気に上から目線。

 

『まぁ気にするな。まずは右手を前に、手のひらを上に、イメージするのはタロットカード』

 

一気にたくさん言うなよ!

とりあえず、手を出して、手のひらを上に。

 

『イメージしたらカードが出てくるから、ペルソナ!とかエンキドゥ!とか言って、カードを壊せ』

 

おっ、身体中から青い炎が!

カードってこれか?

壊せ、ってか。

まぁ、やってみるか。

 

「ペルソナ!」

 

そう言って、持っていた木刀を降り下ろした。

 

パリンと言う音と共に、目の前に現れた影。

 

「エンキドゥ、教授ありがとー」

 

『どういたしまして、俺』

 

 

 

今、俺は参考書がわりの『THE 武士道』を見て、刀の型を真似ている。

大体覚えた。

相手がどんな物か分からないが、無駄にはならないだろう。

ついでに俺のペルソナの技を覚えた。

雷の魔法に物理攻撃。

防御力低下魔法まであるとは、予想外のスペック。

 

「じゃ探索行くか、エンキドゥ」

 

頷いて同意したエンキドゥと共に階段の下へ向かった。

 

 

 

階段の途中、下に何かの影が見えた。

初戦闘の相手になるだろうし、油断は出来ない。

一体どんな奴が相手なんだ?と思い、目を凝らした訳なんだが、

 

「うぅわ、え、マジでか?」

 

そこにいたのは、黒とピンクの縞模様の丸い何かだった。

それだけならまだいい。

大きな口からは黒い舌が出ていて、後ろには仮面のような物がついている。

気持ち悪い事この上ない何かが3体漂っていた。

まだ階段にいるからだろうか、気づかれてはいないようだ。

 

「普通、初戦闘はスライムとかゴブリンとかが定番だろ…、しかも何気に大きいし」

 

サポートアプリで相手を調べてみた。

名前は『失言のアブルリー』

電撃に弱いって事らしいから、エンキドゥのジオで不意討ちしてみるか。

 

まずは階段にいるうちにエンキドゥを出しておく。

 

「エンキドゥ、頼むぞ」

 

コクッ

 

頷いてエンキドゥは自らの剣に手を掛けた。

俺も木刀を構え、一気にかけ降りた。

 

安全地帯から出てきた俺達に気づいたアブルリー達がこっちを向くと同時に、

 

「ジオ!」

 

と叫んだ。

エンキドゥのジオが3体の内1体に見事ヒットした。

ぐったりするアブルリー。

仲間がやられて、動揺する他2体。

 

チャンスを無駄にしないよう、俺は木刀をぐったりしたアブルリーに力一杯フルスイングした。

 

思いの外クリーンヒットした一撃でアブルリーは消え失せた。

 

まだ敵は2体いる。

アブルリー2体が同時に体当たりをかましてきた。

1回はかわせたのだが、

 

「ちょ、それは無理、グハッ」

 

後の1回をほぼ無防備で喰らってしまった。

受身は取れたものの、これは地味に痛い。

 

「やって…くれるじゃないか。ならお返しだっ!エンキドゥ、ジオ!」

 

ジオを受けたアブルリーとは別のアブルリーにもジオを浴びせると、2体とも動かなくなった。

 

「折角だ、エンキドゥ、スラッシュ!」

 

俺も木刀でアブルリーに一閃。

 

俺の初戦闘は何とか勝利する事ができた。

 

 

 

 

さっきの初戦闘から何回も戦ってみた。

レベルアップもし、金も貯まってきた。

もちろん、失言のアブルリーだけではなく、色々と戦ってみた。

例えば、色ちがいで黒白の縞模様をした虚言のアブルリー。

電撃に弱いのは一緒だったので、戦い方で苦労する事は無かった。無かったんだが…

 

「戦利品が歯って、何か、なぁ…」

 

シャドウ(敵の総称)が消え失せると、金と戦利品が落ちるわけだが、初めて戦利品としてみた時は、一瞬拾うのをためらってしまった。

 

まぁ、慣れればこっちのものな訳で、どんどん集まってきた。

 

今日の成果はこんな物だ。

 

レベル4アップ(レベル5)

 

New Skill

二連牙(物理攻撃小2回)

 

能力値

力 8

魔 8

耐 7

速 6

運 6

 

取得アイテム 多数

 

この取得アイテムと言うのが、なかなか大量に手に入った。

戦闘の戦利品もだが、宝箱からの取得が大きかった。

戦闘しながら歩いていたら、たまに置いてあったそれは、

鍵がかかっている物もあったが、特典で難なく奪取。

このリュックが無ければ、こんなに運搬する事は出来なかっただろう。

 

あえて何個か紹介するなら、

 

ケブラーベスト

防御 58

回避 10

 

来ました、念願の防具!

見た目は黒いベストだから、普段着ていても大丈夫だろ。

早速着て、アブルリーの体当たりをくらってみた。

 

「痛っ…けどダメージはあまり無いな」

 

防具としての性能は十分なようだ。

 

魔石

個人のHP30%回復。

 

見た目、神秘的で綺麗に光る石で、ファンタジーを感じたのだが…、

 

「効果はポテロ○グに劣るってどうなんだろ。」

 

正直、今回手に入ったHP回復アイテムもポテロ○グには敵わないという微妙な効果ばかりだった。

 

※これは特殊な状況であるため、魔石が微妙に感じられますが、ゲームでは貴重な回復アイテムです。

 

素材に関しては、歯に薄紙、布やカンテラなど大量だ。

 

初めて魔法を喰らった時はさすがに焦ったものの、戦闘は大きな問題もなく、今日の探索を終えた。

 

 

 

ただいま、午後5時。

まだ急げば、間に合うかもしれない。

 

今俺は、戦闘で消費したHPをポテロ○グを食べながら、『だいだら.』に向かっていた。

素材を売るためだ。

素材は数えていないが、幾らになるか楽しみだ。

 

何気に『だいだら.』の店主と初エンカウント。

中は様々な武器や鎧が並んでいた。

カウンターの奥には、立派な工房があった。

そこで俺に背中を向けて、金槌を振るっている男性の姿が見えた。

 

ぶっちゃけ緊張が半端ないです。

いや、マジで。

声かけていい、よな?

 

「あ、あのすいませ「座れ」へ?」

 

「そこに椅子があるだろう?あと少しで終わるから待っててくれ」

 

「あ、はい分かりました」

 

言われた通りにカウンターの近くにある椅子に座った。

声をかけられた時に横顔を見たが、まるで幾多の戦場を掻い潜ってきたかのような交差した傷痕のインパクトが凄かった。

 

作業を終えた様で、汗を拭いながらこっちにきた。

俺の顔を見て一言。

 

「良い目をしているな」

 

「へ?あ、ありがとうございます」

 

目を褒められるとは、予想外だった。

店主は続ける。

 

「真っ直ぐな目をしている。お前これから何かしようとしているな?それも凡人には理解出来ない様な偉業を為し遂げようとしている。違うか?」

 

まず一言。

この店主凄かった。

偉業かどうか知らないが、テレパシーかよっ!と思わず突っ込みかけた。

 

「それに俺も手を貸そう。お前のやろうとしている事に興味がわいた。何か素材を持ってくれば、それで武具を作ってやろう」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

とりあえず、協力してもらえるようだ。

そうでなきゃ、この素材がガラクタになっちまう。

 

「それにお前が持ってくる素材があれば俺も最高の作品が作れる気がするんだ」

 

店主は目を輝かせてそう言った。

なら、断る理由は無いな。

 

「これからよろしく頼むぞ、坊主」

 

「俺の名前は神崎拓真ですよ、これからよろしく」

 

「拓真、だな。よろしく」

 

俺と店主はがっちり握手した。

 

この後、リュックの中身を出したのだが、あまりの中身の多さに俺自身驚き、店主は一層目を輝かせていた。

 

結果。

 

大きい乳歯 10

精神の薄紙 5

軽くて丈夫な布 2

黒鉄のカンテラ 15

軽鉄 8

 

合計額 6380円

 

戦闘で消費したアイテム

ポテロ○グ 5個

計550円

 

利益 5830円

 

来たっ!これは来た!

まさか、ここまで利益がでるなんて!

 

(頑張ったな、エンキドゥ)

 

照れるからやめろよ。と聞こえた気がした。

いや、マジで頑張ったな。

店主に関しては、

 

「この調子で行けば、新しい挑戦をしてみても…。拓真、これからもよろしく頼むぞ」

 

何かやってみたい事があるようだ。

それが成功する事を期待する。

 

尚、黒鉄のカンテラでロングソードが作れるらしいので作ってもらった。

 

木刀の攻撃が50、命中が95だったのに対し、

ロングソードは攻撃60の命中92だった。

(サポートアプリ参照)

 

明日から、ロングソードを持っていこうと思う。

防具は今の所、ケブラーベストで十分なようだ。

 

こうして、大きな収穫を得て、帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと投稿できました。
いや、本当にごめんなさい。

次回は一気に1週間飛ばしますよ。
この間に、タグにある主人公最強?が目立ってくるのではと(笑)

では、また。


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3話目

遅くなって申し訳ありません!

1週間夜勤だったんで、書く暇が…。

すいません、言い訳ですね。

今回の話は、多数オリジナル設定が盛り込まれております。

本作と違っても、こういう物だと受け止めてもらえると嬉しいです。

では、どうぞ!


この町に来て1週間が経った。

 

え?飛ばすな?

だって、ひたすら修行して、金貯めたりレベルアップしたりしただけだぞ?

 

あ、あとアイテム収集も忘れずやりましたよ?

特典(盗賊王の鍵)様々でした。はい。

 

とりあえず、下に1週間の成果を上げておく。

 

所持金 65000円

 

武器 ロングソード(攻60命92)

防具 サバイバルガード(防62回12 耐1UP)

アクセサリー 風伏せの符(疾風属性の攻撃の回避UP)

 

エンキドゥ LV20

 

ステータス

力 15

魔 15

耐 14

速 16

運 14

 

相性 変化なし

 

スキル

ジオンガ(単体電撃中ダメージ)

マハジオ(全体電撃小ダメージ)

ディア(単体小回復)

ラクンダ(単体防御Down)

二連牙(単体物理小ダメージ×2)

スラッシュ(単体物理小ダメージ)

疾風見切り(疾風属性回避2倍)

 

 

 

毎日テレビの中で戦っていたら、こんな事になっていた。

 

この1週間でどれだけポテロ○グを消費しただろうか。

うーん、20から数えてない。

 

 

 

そして、4月12日。

 

「とうとう…来てしまったか。」

 

八十神高校への初登校日だ。

 

重い足取りで準備を進める。

 

昨日、母さんから応援メールが来た。

 

「明日は初登校日だね♪

サボろうなんて考えたら、天罰落とすから、頑張っていってらっしゃい!」

 

母さん、それシャレにならないっす。

 

ちなみに母さんとの関係はこの1週間で大分縮まった。

 

俺が、「母さんなのに、息子に敬語っておかしくない?」

と指摘した事に始まり、いつの間にやら冗談を言い合える仲になっていた。

 

弁当も作ったし、そろそろ時間だ。

神様仕様のリュックに必要な物を詰めて、家を出た。

 

 

 

 

スマートフォン片手に八十神高校へ向かう。

便利だわ、このナビ機能。

一家に一台、このスマホ。

 

「うわぁっ、ちょ、どいてどいて!」

 

後ろから声がしたので振り向くと、自転車が後ろからフラフラとこっちに向かって来ていた。

 

(危なっ!自転車下手すぎんだろ、こいつ!)

 

まぁ、あまり速く無かったからあっさりと避けましたが。

自転車はそのまま、フラフラと前進し、

 

ガシャーンッ!

 

電柱にぶつかった。

自転車に乗っていたヘッドフォンを首にかけた男子が股間を抑えて悶絶していた。

前にいたカッコいい青年がスルーしたのを見て、俺もスルーした。

 

(同情はするよ、痛いよな。分かる分かる)

 

 

 

八十神高校に着いた。

 

職員室に入ると、さっき見たカッコいい青年がいた。

何故か知らないが、出っ歯で目付きの悪い先生に説教されていた。

早速何かやらかしたんだろうか?

 

「おっ!君が神崎拓真君か?」

 

爽やかないかにも体育系なジャージ姿の先生から声がかかった。

 

「はい、ひょっとしたら俺の担任の…?」

 

「あぁ、2年3組担任の近藤だ!担当は体育と英語。よろしく頼むぞ!」

 

「あ、これからよろしくお願いします。」

 

「固い固い!もっとリラックスして!今からそんな緊張してたらもたないぞ?」

 

と、肩を叩いて元気付けてくれた。

 

この先生で良かったわ~。

もしも、あの出っ歯だったらと思うと…。

もう一度、あの出っ歯の方へ視線を向けた。

 

「最近の若者はみんなそうだ!大体なぁ…」

 

「……」

 

長々と続く説教を黙って聞いている。

何をやらかしたか知らんが、同情しよう。

そして、良かった。

あの出っ歯が担任でなくて本当に良かった。

 

「あぁ、さっそく洗礼受けてるな。あいつも今日転校してきたらしいからな」

 

なるほど。

何かやらかした訳じゃなく、あれがもはや定番なのか。

 

ん?待てよ?

さっき、近藤先生言ってたよな?

今日転校してきたって。

 

母さんは確か、本来の主人公と一緒の日に転校させるとか、言ってた。

じゃ、あの青年が主人公?

 

そう分かった時、思った事が1つ。

 

(ルックス完全敗北!これが主人公補正という奴か!)

 

「ん?神崎、どうした?3組に行くぞ?」

 

「あ、はい。」

 

 

 

教室の前まで来た。

中から話し声が聞こえる。

正直、少し緊張している。

先生が入るのを見て、俺も入った。

 

「静かにしろー!朝礼の前に、このクラスに新しく来た転校生を紹介する、神崎、自己紹介。」

 

「神崎拓真です。よろしく」

 

簡潔に自己紹介を済ませた。

まぁ、話す事も無いから、当然と言えば、そうなんだが。

クラスの人達の話し声が一層大きくなった。

 

「神崎の席は…、窓際後ろから2番目、小沢の隣だ!」

 

運よく窓際!しかも後ろから2番目。

 

俺の席の隣にいるのが小沢さんだろうか。

 

「小沢さん、だったよね?これからよろしく。」

 

「あ、うん。私は小沢結実(おざわゆみ)、よろしくね?」

 

やっぱり隣の人とも話せない様じゃ、気まずいからな。

第一印象は大切だよな。

 

それに母さんに前、言われていた事もあるし。

 

(絆があなたを強くする源になっているのです。より良いコミュニティを築いてくださいね)

 

まだこの意味が理解出来ていないが、じきに分かってくるだろう。

 

「おーい、神崎、だったよな?」

 

後ろから声がかかる。

後ろを振り向くと、これまた爽やかな男子がいました。

 

(異世界、容姿のレベル高くね!?俺微妙すぎ…)

 

※拓真もそれなりにカッコいいのですが、自分を下に見る傾向があるようです。

 

「せっかく近くの席になったんだ、仲良くしようぜ?あ、俺は一条、一条康(いちじょうこう)。よろしくな?」

 

「あぁ、よろしく頼む」

 

俺達はがっちり握手した。

 

「おいおい、俺を除け者にするなよ」

 

次は前から声がかかった。

 

前を見ると、そこにはいかにも体育系なジャージ姿の…ってえ?制服じゃないの?

 

「あぁ、この高校はこういう所基本緩いからな。何も言われねぇよ」

 

あぁ、さいですか。

 

「俺は長瀬大輔(ながせだいすけ)。よろしく頼む」

 

「おぅ、よろしく」

 

なんだかんだで仲良くなり、時間が過ぎていった。

 

 

 

「今日はこれで終わり、明日から授業が始まるからな?」

 

と言って、先生は教壇を降りた。

 

「やっと終わったか…」

 

「疲れた~。」

 

「明日から授業か…」

 

上から、長瀬、小沢さん、一条。

 

確かにちょっと疲れたな。

 

明日から授業とか。はぁ…。

 

 

ピンポンパンポーン

 

ん?何だ?

 

普段こういう事が無いのか、3人も辺りを見渡している。

 

『これより緊急職員会議を行います。職員は至急職員室に集まってください。生徒は次の放送があるまで教室にいてください』

 

緊急、職員会議?

 

「何かあったのか?」

 

「さぁ」

 

さぁ、と言ったが実際の所察しはついている。

 

(もう『事件』は始まってるっていうのか)

 

母さんに転送前、言われた『事件』がもう始まっているとするなら、この事態も納得する。

 

「はぁ…。早く外に行きたいんだが」

 

長瀬は体をウズウズさせていた。

余程、サッカーがしたいんだろう。

 

ちなみに、朝の会話で3人が参加している部活の話もした。

長瀬はサッカー部。

小沢さんは演劇部。

一条はバスケ部らしい。

 

まだ、部活募集には時間があるらしい。

考える時間は十分ある。

ゆっくり考えよう。

 

「転校早々、大変だね? 神崎くん」

 

「普段は静かなんだけどな~。そういや、最近霧出るの多くね?しかもめっちゃ濃いし」

 

小沢さんと一条は暇そうだ。

気だるそうに窓から外を眺めている。

 

「いつになったら帰れるんかな」

 

「さぁな~。やっぱ神崎も早く帰りたいか?」

 

「そうだな。明日も授業あるんだろうし、やる事無くて暇だしな」

 

「確かに暇だね。この霧見てると、気分まで『ピーポーピーポー!』え!?」

 

「何だっ!?パトカーの音?」

 

(パトカーまで…。こりゃ確定かな。)

 

窓際には何人か生徒がパトカーを見ようとしているが、

 

「くっそ!霧が邪魔で見えねぇ」

 

「どうなってる?誰か見えないのか?」

 

霧が濃すぎて、誰も状況が掴めていないようだ。

 

やがて、先生が来て、下校許可が出た。

やはり、何かあったようで

 

「絶対に寄り道はするなよ、明日から授業も始まるんだ。早く帰って予習に励めよ!以上!解散!」

 

と言って急ぎ足で教室を出ていった。

 

事態は深刻のようだ。

通り魔とかなら、集会のち集団登校とか思い付くけど、それすら出来ないくらい、慌ただしくなっている。

 

(いや、大した事でも無いから、そんな処置をしないのか…?)

 

「何考えてんだ~?一緒に帰ろうぜ」

 

一条の声に考える事をやめて、立ち上がった。

 

「今日は部活も無しだとさ。ハァついてないな。」

 

長瀬は心底うんざりしている様に見えた。

部活、好きなんだな。

 

「あれ?小沢さん1人で帰るのか?」

 

立ち上がって1人で帰ろうとした小沢さんに声をかけた。

 

「え? うんまぁね」

 

「1人は危ないって!俺達と帰ろうぜ?せっかく仲良くなったし」

 

咄嗟に出た一言で、俺自身テンパっていた。

 

(女子にこんな事言ったの初めてなんですけど!?うわっ恥ずかしっ!)

 

拓真は転送前、女子とまともに話した事が無かったためか、動揺しているのが誰でも分かる程明らかだった。

 

「邪魔、じゃない?」

 

「ん!?あ、いや全然邪魔じゃねぇよ?な?一条、長瀬」

 

「え?あ、いいぞ?」

 

「いいぜ、1人じゃ危ないからな(笑)」

 

長瀬は普通に、一条は必死に笑いを堪えながら了承した。

 

「じゃ、行くか」

 

「うん、ありがとね。神崎くん」

 

「いいって、行くぞ、一条、長瀬」

 

「おぅ」

 

「今行くわ(笑)」

 

そして、俺達4人は学校を出た。

 

ちなみにずっと笑ってる一条にムカついた俺がヘッドロックを決めたのは笑い話だ。

 

ざまぁ。

 

 

 




今回の設定は俺の想像上の物だと割りきってもらえる様、お願いします。

このお盆中にもう1話投稿したい…出来たらいいな。

では、また。


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4話目

遅くなりましたね。
すいません。

しかも、今回短いです。

きりの良い所で終わらせようとしたら、逆にきりが悪くなってしまいました。

では、どうぞ!



「うーん…。」

 

どうも。

ただいま、PM11時30分。

俺は今、家にいる。

何をしているかと言うと、

 

「あの噂、事件と関係、あるよな…。」

 

それは、今日一条に長瀬、小沢さんと帰っていた時の事である。

 

 

 

 

「そういやさ神崎、『マヨナカテレビ』って知ってるか?」

 

『マヨナカテレビ』?

 

なにそれ?

ここらで人気の深夜番組かね?

 

「『マヨナカテレビ』の噂はよくクラスの女の子達ではなしてるよね?」

 

噂?怪談系か?

 

「…。知らねぇな」

 

思うが、長瀬は噂とか色事に疎すぎる気がする。

 

とにかく、有名な話らしい。

 

テレビって入ってるし、事件と何かしら関係があるんだろう。

 

「あれ?神崎も知らないのか?折角だし、教えてやるよ」

 

詳細を聞くと、

 

・AM0時に何も映ってないテレビを見ていると運命の人が映る。

 

らしい。

 

何だ、てっきり貞子でも出てくるのかと。

 

こりゃ長瀬が関心無かったのも頷けるわ。

 

長瀬は聞いた後も大して食いつく様子も無かった。

 

「まぁ、噂は噂だしな。俺もくだらなすぎてやった事ないし」

 

「まぁね。寝ぼけてたってオチじゃないかな?」

 

「それより、愛家行こうぜ、腹減った」

 

「このタイミングでそれかよ!?」

 

「小沢さんは大丈夫か?」

 

「うん、大丈…あ、お金無かった。」

 

「それなら問題ない。俺が出すから」

 

「おっ、神崎男らしい! ついでに俺も」

 

「断固拒否」

 

「ひどっ!」

 

こんな感じで遠慮がちだった小沢さんも流れに乗り、4人で飯を食べてから帰ってきた訳である。

 

 

 

「予習も済んだし、準備もした。さぁ来い『マヨナカテレビ』!」

 

俺が今考えているのは、マヨナカテレビとやらが映った時にテレビに入ったらどうなるか?である。

 

何が映るかは分からないが、少なくとも運命の人ではないだろう。

 

もうすぐ、0時になる。

 

テレビの前に立ち、その時を待った。

 

そして、遂にその時が。

 

 

「っ!!」

 

映ったよ…。

誰だ?

ぼんやりしてて見えないな。

何となく八十神高校の制服に見えるような。見えないような?

 

急いでテレビに手を入れると、

 

「あれ、消えた?」

 

マヨナカテレビは映らなくなった。

 

手を入れようとしたから消えたのか?

それとも時間切れ?

 

まぁ、いっか。

 

準備して背負っていたリュックを降ろした時、ポロっと落ちた携帯を見て、不意に手に取った。

 

「母さん、今電話しても大丈夫かね?」

 

思い立ったが吉日と言うし、電話をしてみる事にした。

 

 

 

※ここから先、母さんと主人公の電話になります。

 

「あ、母さ「拓真く~ん!学校どうだった?ね?どうだったぁ?」テンション高いなw」

 

「拓真くんの学校生活が気になって気になってね?いじめられたりしなかった?」

 

「無い無い。え?そんな心配してくれてたの?」

 

「当たり前じゃない!もしもの事があったら、私自ら天罰をっ!」

 

(良かった!学校の人みんなが親切な人で良かった!)

 

「お、落ち着いて。それより聞きたい事があるんだけど。」

 

「ん?何々? あ、スリーサイズは駄目だよ?」

 

「誰が母さんのスリーサイズを知りたいって言ったよ!? まず、この町の噂なんだけどさ」

 

「『マヨナカテレビ』だね~。主人公の鳴上くんより先に見るなんてさすが!」

 

「見たなんて言ってませんが」

 

「母さんに分からない事なんて無いのよ!」

 

(これが神様のスペックか…。)

 

「詳しくは言えないけど、事件と関連しているのは確かだよ。あとは、テレビをよく見たり、番組表を見たりするのも良いかもね」

 

「助言あざーっす」

 

(少しあからさま過ぎたかな、このヒント。まっ、拓真くんの役に立てたから良いや♪)

 

「で、2つ目の質問なんだけど。」

 

「はいはい、どんとこい!」

 

「甘い事言ってるかもしれないけど、俺のペルソナってエンキドゥだけなん?」

 

(FFだと、召喚獣と戦う事で仲間に出来たし、ペルソナもそんな感じで増やしたり出来ないんだろうか?)

 

「あぁ、説明して無かったね。拓真くんのペルソナ能力は

ワイルドって話はしたよね?」

 

「確か、最初のペルソナのアルカナが愚者で、複数のペルソナを持てるとか。

あれ?俺エンキドゥしかいないよな?」

 

「そう。『今は』いないよ。」

 

「今は?」

 

「拓真くんのワイルドは本来目覚める筈のない力だったから、少し特殊なんだよ」

 

「それって結構ややこしい感じ?」

 

「うん、まぁ、鳴上くんのワイルドに比べてややこしいのは確かだね。」

 

「マジですか~。」

 

「とりあえず、鳴上くんのワイルドについて話すと、まだ開花していないけど、彼は戦闘でペルソナを手に入れたり、合体させたり出来るんだよ。」

 

(正にゲームの設定って感じだな)

 

「だけどね、拓真くんは戦闘でペルソナを手に入れたり、合体させたりする事が出来ないんだよね。」

 

(ここでも出たか、主人公補正)

 

「格差あるなw じゃ、俺はどうやったらペルソナが増やせる?」

 

「ここで重要になるのが『絆』だよ」

 

「『絆』?」

 

「拓真くんがその町で会った人達と真の絆を築いた時、新しい拓真くんだけのペルソナを手に入れる事が出来るんだよ」

 

「真の絆、ねぇ…。」

 

「まぁ、そういう事だから今はエンキドゥだけで頑張って!」

 

「了解、まぁ属性攻撃については、アイテムで何とかなるだろうから、目立った問題もないかな」

 

「そう?ならいいけど、無理しちゃ、駄目だよ?」

 

 

「分かってるって。じゃ、また電話するわ」

 

「うん、分かった。またね!」

 

電話終了。

 

初めの頃はお互い緊張していたが、今じゃ仲の良い家族そのものとなっている。

 

にしても…。

 

「俺のワイルド、難易度高すぎっしょ…。」

 

真の絆の意味がまだ理解できていない俺は、うんうん唸りながら、ベッドに入ると、そのまま寝てしまった。

 

 

 

 




解説

真の絆=コミュMax

新しい拓真くんだけのペルソナ=原作には登場しない作者オリジナルのペルソナ

って感じです。

次回から、やっと物語が進むのではと思うので、よろしくお願いします。

あと、ついでですが。

今、主人公と共に戦う仲間が必要か悩んでいます。

一応、原案では2人程設定を考えていたのですが、少々強引な展開になるかと思っています。

仲間無しの場合はコミュMaxのペルソナを早く手に入れる必要があるので、一長一短という感じです。

さすがにアイテムのみで属性をずっとカバーするのは厳しいので。

では、出来れば、これについても意見お願いします!


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5話目

はい、遅くなりました。

今回は初コミュ発動回になります。

いつも通り駄文でありますがよろしくお願いします!


4月19日 火曜日。

 

この数日で事件に急展開が起きている。

 

まさか始まって数日で2人死んでしまうとは予想だにしなかった。

救えたかもしれない、そう後悔もしたが、悩んでばかりではしょうがないので、今は前を向いていこうと思う。

 

いつも通りの登校。

 

ん?

 

「今日はやけに騒がしいな。何かあるのか?」

 

見てみると、朝だと言うのにジャージ姿で何かしていた。

 

飛んできたチラシを見て、勘づいた。

 

『部員募集!』

 

今日からか。運動部の入部受付。

 

教室に入ると、一条がやけに笑顔で近寄ってきた。

 

「…どうした?」

 

「いや、今日から運動部の入部受付開始だろ?神崎はもう部活決めたのかな~と」

 

「今日がその日だって事すら頭になかったが」

 

「マジ!? まぁ、いいだろう。 それならバスケ部に来ないか?」

 

「そういえば一条ってバスケ部だったな。 うん、考えておくわ」

 

「頼むぞ?部員少ないから、入ってくれると助かるからさ」

 

そう言って、教室から出ていった。

新入生の勧誘にでも行ったんだろう。

 

「おはよう、神崎君」

 

「おはよう、小沢さん」

 

隣の小沢さんといつも通り挨拶を交わす。

 

転校した時に比べると、だいぶ打ち解けてきた。

よく話をするようになったし、長瀬や一条、俺と小沢さんで帰るのが定番になりつつあった。

 

「早速一条くんから勧誘うけたの?」

 

「まぁな。まだ考えてる所だけど。」

 

「そっか~。そういえば25日から文化部の入部受付が始まるんだけど」

 

「25日から?忘れてたわ。」

 

「神崎君さえよければ、演劇部に入ってみない?」

 

おっと、まさかの結実からも勧誘ですか。

バスケ部と演劇部、迷うな。

 

「ちなみに、運動部と文化部は掛け持ちできるから、考えてほしいな」

 

へぇ、掛け持ちなんてのも出来るのか。

なら、バスケ部と演劇部両方に所属してみるのもいいかもな。

真の絆というのも気になるし。

 

まぁ、放課後まで時間もあるし、ゆっくり考えておくか。

 

 

 

そうこうしているうちに午前の授業が終わり、昼休みとなった。

 

昼休みはいつもの4人で昼飯を一緒に食べるのがいつの間にか定着していた。

 

だけど、最初一緒に食べ始めた時から気になっていたことがあった。

 

「なぁ、お前ら」

 

「ん?」

「何だ?」

「どうかした?」

 

3人が反応するも、視線はある一点に集中している。

 

「なんで俺の弁当を注視してんの?」

そうなのだ。

この3人、初めて俺の弁当を見た日から、毎回の様に弁当を注視してくるのだ。

しかも、黙って見ているもんだから、何がしたいんだか分からない。

 

「いや、だって、なぁ?」

 

一条は狼狽え、

 

「え?だって、ねぇ?」

 

結実も似た反応を見せ、

 

「旨そうだから、羨ましいなと思ってな」

 

長瀬は理由を適切に述べてくれた。

 

あぁ、そういう事な。

なら、そうと言ってくれればいいのに。

 

そう思いながら、肉団子を一口。

うん、いつもながら旨い。

 

「もう我慢できない!神崎、一口何かくれぇ!」

 

「神崎君、良かったら私にも一口何かくれない?」

 

「神崎、俺も頼むわ」

 

上から一条、結実、長瀬である。

 

「じゃ、肉団子食うか?」

 

そう言って、弁当を差し出した。

 

すぐに3人は肉団子を取っていった。

俺はひじきの煮物を口に運んだ。

うん、これも旨い。

 

恐る恐る肉団子を口に運ぶ3人。

んな、大袈裟な。

反応はどうだろうか。

 

「旨い!こんな肉団子初めて食ったぞ!」

 

「本当、スーパーの惣菜の何倍も美味しいよ、これ!」

 

「お前の『母さん』、本当、料理旨いな!」

 

3人のテンションがハイになっていた。

騒ぎを聞いたクラスメイト数人が、俺の弁当を見て、

 

「神崎君うらやましいな~。」

 

「めっちゃ旨そうだな、あの弁当」

 

「神崎の母親ってまさか一流のコックとか?」

 

「あ、それあり得る」

 

などと話していた。

さて、それじゃそろそろ訂正しとくか。

 

「一条、勘違いしているみたいだが、俺は一人暮らしだぞ?」

「「「「「え?」」」」」

 

その場にいた全員が俺を凝視した。

そんなに見つめんなや、恥ずかしい。

 

「えーと?じゃ、隣のおばさんとか」

 

「ないない。」

 

「じゃ、もしかしてこのお弁当って神崎君が…。」

 

「あぁ、まぁな」

 

「「「「「…。」」」」」

 

一同の沈黙。

それに構う事なく、ポテトサラダを口に運ぶ。

うん、これも「「「「「えーっ!?」」」」」 みんなうるさいな。

 

「マジか?嘘なら嘘って言えよ?」

 

「そ、そうだよ?見栄はっても良いことないよ?」

 

「本当なら凄いことだが」

 

3人の他、全員が驚愕していた。

 

「分かってるよ、ここで嘘ついても良いことなんてないって事くらい。でも本当の事だし」

 

料理人の魂様々です。

なかったら、大変だったろう。

 

女子一同心の声

『ま、負けた…。男子に負けた…。』

 

男子一同心の声

『これが女子なら間違いなく最強なんだが、男にしておくには…。』

 

こいつら、何か変な事考えてやがるな?

 

「なぁ、神崎。今度お前の家に行ってもいいか?」

 

一条から突然、こう言われた。

何故に?

 

「ついでに昼食なんかも食わせてもらえれば」

 

あぁ、それが狙いか。

まぁ、問題は無いかな。

 

「OKだ。結実、長瀬も来るか?」

 

「行ってもいいの?」

 

「構わないさ、1人前作るのも4人前作るのも大して変わらないし」

 

「神崎の飯が食えるのか。行けたら俺も行こう」

 

こうして、騒動も終わり、午後の授業が始まった。

 

ちなみに、これ以来、クラスメイトから『天才コック』と呼ばれる様になり、学校全体に噂が広まったのは後の話である。

 

 

 

そして、放課後。

俺は体育館に来ていた。

 

「今日からこのバスケ部の部員になった神崎拓真です。よろしくお願いします」

 

「神崎硬い硬い!この部活の一員になったんだ。もっと肩の力抜け!」

 

ハハハッと笑う近藤先生。

でも、こういうのって緊張するよな?

 

「そんな緊張すんなって~」

 

「まぁしょうがないかもな~。」

「でも、もっと気楽になってもいいんじゃないか?」

 

部員のみんなから声をかけられた。

みんな良い人そうだ。

この部活に入って良かったと思えた。

 

 

 

「じゃ、神崎。試しにシュートしてみろよ。入らなくてもいいからさ」

 

一条がそう言って、俺にボールを渡してきた。

シュート、ねぇ。

今頭にあるイメージはテレビの中でやった攻撃アイテムの投擲である。

 

投擲物の大きさは違えど、感覚は同じだろう。

 

俺はボールを投げた。

いわゆるフックシュートである。

 

「ちょ、なにしてんの!?」

 

部員も先生も唖然としている。

まぁ、しょうがないかもしれない。

俺は確かにボールを投げました。

 

ただし、センターラインから。

 

投げたボールは天井スレスレまで上がり、落ちていく。

ゴールの真下へ。

 

スパン

 

ボールは見事ゴールを通り、落ちた。

 

「神崎、マジかよ…。」

 

一条はただただ呆然としてそう呟いた。

 

「少し飛ばしすぎたな。うん、もっと力抜いてもいいかもな」

 

力の加減も覚えたし、次はもっと良いシュートが打てるだろう。

その後、何回か違う場所から打つように言われ、やってみたが、その全てが入った。

ちなみに全てフックシュートである。

 

部員達は最初こそ呆然としていたが、今ではゴールに入る度に歓声をあげてきた。

 

「もう神崎、部長で良くね?」

 

いや、勘弁してください。

 

「神崎なら部長にふさわしいと俺も思うぞ?」

 

先生、やめてください。

 

「神崎、お前ならこの部活任せられる、どうよ?」

 

一条、いい加減にしやがれ?

 

こうして、初部活はやり過ぎ感が漂う結果となった。

 

 

 

部活後。

俺と一条は体育館に残っていた。

 

「いや~、ボール拭きに付き合ってくれるなんて感激」

 

「いや、困った時はお互い様、だろ?」

 

「嬉しい事言ってくれるじゃないか! 何かあったら俺に言ってくれよ? 出来るだけ力になるからさ」

 

「助かるよ、ありがとさん」

 

俺達は2人で笑いあった。

 

一条とは良い仲を築けそうだ。

 

その時だった。

 

――我は汝、汝は我 汝新たな絆を見出したり……絆とは汝が意思の結晶なり……

汝新たに大いなる剛殻の力を生み出す手掛かりを与えん。――

 

「っ!?」

 

「? どうした」

 

「い、いや何でもない。大丈夫だ。」

 

内心大丈夫ではなかった。

突然、頭に違和感が…と思っていた矢先、この不可思議な声である。

俺に何が起こったのか、未だに分かってはいないが、

 

(これが真の絆とやらに繋がるのはほぼ確実か。 母さんに後で聞いとくか)

 

「おーい、一条。またボール拭きしてんのか?」

 

部活が終わったのだろう長瀬がやってきた。

後ろには、同じサッカー部なのだろう生徒が…。

 

(って主人公じゃないっすか~!マジか…。)

 

この世界の主人公ポジションである鳴上が俺の視線に気づいたのか、首をかしげていた。

思わず何でもないとジェスチャーしたのを一条や長瀬に見られたのを見て、笑われてしまった。

 

長瀬や鳴上にもボール拭きを手伝ってもらい、早く終わった所で一緒に帰ることにした。

 

色々話した結果。

 

やっぱり主人公良い人。

 

何て言うかな、無口でクールでカッコいいナイスガイ。

 

主人公補正うらやましいなぁ、おい!

 

 

 

 

 

 




次回はやっと初ダンジョン、そして…。

って感じです。

今回のコミュ発動時、ゲームと言葉が違っていたと思いますが、ペルソナ合体をしない主人公を考慮してアレンジしてあります。

仲間については考え中ではありますが入れる方向で前向きに考えています、はい。

では、次もよろしくお願いします!


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