機動戦士ガンダム00第08MS小隊 (アニュー・リターン)
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プロローグ

はい、こんにちは。駄文の天才アニューです。今回は異色のコラボで行きます。きっかけはMSVの陸戦型フラッグです。それにティンと来たわけです。はい…それだけです。台本風なので見辛いかもです。


青空がどこまでも続くユニオン領旧南米アマゾン基地…。

 

そこに、強化E‐カーボンアーマーを装備した陸戦型ユニオンリアルド二機、ホバートラックが一台と大きめの指揮官型重装甲モビルスーツ一機(どこかの世界ではズゴックEと呼ばれているらしい)が潜行していた。

 

「みんな…気をつけて進んで。」

 

 

これは…ソレスタルビーイングが武力介入するずっと前にあった物語…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************

 

 

 

 

火星軍事コロニー…ユニオンが宇宙で活動する唯一の場所。そこでは、デザインピープルとして数人の軍の家族が住んでいた。過酷で劣悪な環境の中、人々はシェルターを作り、畑を耕し、偶然見つけた水源地から水を引いた。小さな村だが、少しずつ発展している。

 

そんなコロニーから数人の兵や…今回の主人公となる『カレン・シノミヤ』も乗っていた。

 

 

 

「(コロニーに住むパパ、ママ…やっと憧れの地球へ降りられる事になりました。とは言っても密林の中だそうですけど。)」

 

その兵士の一人、まだ14になったばかりの金髪の女の子『エミリー・スチュアート』伍長は熱心に筆で日記を書いていた。ふと、彼女は後ろを振り向いた。後ろでは可憐な姿をした美少女が他のユニオンの兵士とチェスに興じている。

 

「(最悪です。乗り合わせたカレン・シノミヤっていう少尉、実戦の経験はあるらしいんですけど、戦場に向かうというのにまったく緊張感がないんですよ?まるでピクニックの気分です。でもパパ、ママ、 心配しないで。エミリーは、必ず生き残って戻るから…)」

 

「チェックメイトだ!!」

 

「あぅ…また負けました…。」

 

カレンはガッカリと俯いた。と、その時…信号弾が宇宙に輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

「なんでしょう、あれ…」

 

「信号弾です!!」

 

「え!?」

 

「信号弾?」

 

「そんなバカな!?」

 

「爆発した。戦闘だ!」

 

「なんてこった、この辺りは非戦闘地帯のはずだぞ!」

 

「戦闘なんてあってたまるか!」

 

「しかし、現に…アレです!!あぁ…」

 

「どけぇ」

 

みんな揃って窓に映る光景を見ていた。

 

 

「リアルドがやられました…相手は人革連みたいです!!」

 

「人革めっ!」

 

「ティエレンの宇宙型です」

 

「こっちに来るんじゃねぇぞ。巻き添えはまっぴらだぜ」

 

「巻き添え?」

 

エミリーはガクガクと震えていた…。

 

 

 

 

 

「確かに救難信号は出ているが…」

 

「支援に向かいましょう」

 

カレンは艦長に支援の申請をしていた。

 

「コイツでは、戦闘支援なんて無理だよ、少尉。」

 

「…」

 

「何か方法があるはずです、何か…」

 

「無理だよ、君。モビルスーツでもあれば話は別だが」

 

「乗艦のとき見ました。リアルドがありましたね!!」

 

「リアルド?」

 

「一応、作業用に配備したワイヤーは付いてるけど」

 

オペレーターの女性が云とカレンは目を輝かせた。

 

「それだけで十分です。使わせてください」

 

「あんなモノで、何ができるというんだ。下手に仕掛けて、本艦を危険にさらすことになれば…」

 

「それに、進路の変更も無理よ。それにリアルドは宇宙用に改造してないのよ?」

 

「それでも行くというのかね?」

 

「はっ!是非やらせてください」

 

カレンは敬礼するとその場を去った。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっとぉ!」

 

「なんだ?!」

 

「これから、どうしようというんです?」

 

「支援に行くんです!見ていてください。」

 

「支援って…」

 

「まさかあのポンコツで?」

 

「巻き添えはご免ですよぉ!」

 

 

 

「(味方が死ぬのを、ただ見てるなんて)」

 

「出すぞ!準備はいいか!」

 

「はい!」

 

「ハッチを開きます!」

 

「いつでもどうぞ!(もうあの時の事故の二の舞はごめんです!!)ロックの解除をお願いしま す!」

 

「放します!」

 

「ロック解除確認!出します!今、離脱しました!!」

 

宇宙のフラフラとポンコツが舞う…。

 

 

 

「どこだ…どこに行った?いた!」

 

そこには宇宙用に改造された半壊したリアルドがいた…。

 

『く…また死なせてしまった…。』

 

「聞こえますか?リアルドのパイロット。」

 

『お前…まさかそんなモビルスーツで…』

 

「ブースターがまだ動くならすぐにあそこを真っ直ぐ行った先にある宇宙艦に救援を頼んでください。私が時間を稼ぎます!!」

 

リアルドはフラフラとデブリの中へ入っていった…。

 

『あのパイロット…若い女性だったな…。』

 

戦っていたリアルドのパイロットは辛うじて動くブースターを使って退避した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこ……!!」

 

咄嗟に振り返るとティエレンがカーボンブレイドを振り下ろしてした。

 

「きゃっ!!……ッ!!なんとおおおおおおおお!!」

 

右腕と右足を落とされたが同時にワイヤーがティエレンの頭に刺さる!!

 

「これで…こうすればああああああ!!」

 

リアルドのブースターをフル稼働させ、高速旋回する!!ティエレンはそれにぐるぐる巻きになり、引っ張ったと同時に爆発した。

 

「やった!!…って…!!リアルドも損傷?まずい!!爆発する!!」

 

カレンも慌てて脱出して間もなくリアルドも爆発した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでよく生還できたなぁ!」

 

「おい、急げ!こら!光を出すな!敵はまだ居るんだぞ!」

 

整備班がリアルドの修復に入る。中にいたのは褐色の男だった。

 

「報告は聞いている。間違いないか、軍曹」

 

「ええ。宇宙型のティエレンに、護衛機らしいのが1機。1機は落としました…」

 

「味方は?」

 

「自分以外は…」

 

男は俯いた…。

 

「敵が2機いるんだと」

 

「だからって、あんなスクラップで出ることは…」

 

「また居場所がなくなってしまった…」

 

「ん?」

 

「いえ!で、彼女のエアーは?」

 

「あと…2時間がいいところだろうが。 我々としては、待ち続けるわけにはいかん」

 

「いえ、2時間ください。捜します」

 

「無理ですよ!」

 

「なにが無理だ!」

 

「爆発を、二つ確認しました。あのポンコツもきっと…だいたい、無茶ですよ!あんなガラクタなんかで出て行くなんて」

 

「ただ見ていたヤツに、何がわかる!」

 

男は激昂し、ノーマルスーツのエミリーの胸ぐらを掴んだ。

 

「も、申し訳ありません!」

 

「なにっ!」

 

「失礼しました。撤回します!あ?ああぁぁぁぁっ!」

 

エミリーはぶん投げられた…。

 

「だったら、最初から言うなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…壊れた宇宙船…。」

 

カレンは減っていくエアーを確認しながら宇宙を泳ぐ。

 

「どこかにまだ空気があるはず…。」

 

直感で、ある一室の扉を開けた。中から空気が漏れだしてきた。慌てて中に入ると戸を閉めた。

 

「うーん…ここの空気もかなり薄いです…どうすれば…」

 

カレンはじっと考えていたが…。

 

「よし、火薬を探しましょう!!」

 

宇宙服にエアーを入れると部屋を出た。

 

「ここは…?うーん…。」

 

探す事十分…。カレンはミサイルの不発弾を見つけた。

 

「これです!!」

 

ぶつけないように運ぶと、宇宙に飛び出しそれを少し離れた宇宙船にぶつけた。

 

「うっ…。」

 

宇宙船は大爆発した…信号弾には充分すぎるだろう。

 

「望みは繋ぎました…。」

 

 

 

 

 

 

 

「爆発…あそこか!!」

 

リアルドのパイロットは爆発を見つけ、ボロボロの機体を動かしカレンを見つけた…。

 

「こちら、ぺパー軍曹…」

 

リアルドのパイロット…『ぺパー・ブライアン』軍曹は微笑んだ。

 

「ただ今、少尉を救助しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************

 

 

 

 

 

 

 

「(なんという方なのでしょう!!あの状況での生還とは。手紙、書き直さなきゃ)」

 

「そっとしておいてやれ、伍長」

 

「ん?」

 

ぺパーは後ろの席で爆睡するカレンを横目でチラリと見た。

 

「疲れてるんだ」

 

「ぺパー軍曹!殿…殿…」

 

「落ち着け、嬢さん」

 

「あ、はっ!失礼しました!」

 

「ん!」

 

「実は、先程辞令が届きまして。自分も、軍曹殿と同じ隊となります。よろしくお願 いします!」

 

「…原隊復帰は時間の無駄というわけか…。(また、厄介払いか…)」

 

「で、第08小隊の隊長は、あの人です」

 

エミリーは横目でチラリと爆睡するカレンを見た。

 

「ん?(この少尉なら、俺のツキも変えてくれるかもしれない)」

 

ぺパーは座席に身を任せると静かに眠った…。



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2話

「すっごい匂いですねえ、緑の」

 

「ええ…やっぱりキツイです、地球は」

 

「じきに慣れますよ」

 

長い髪の男『ソルト・アレグロ』曹長は淡々と車を運転する。

 

「エアコンかけっぱなしのコロニーとは違うぜ」

 

さっきからヘッドホンを着けて何かを聞いている赤い髪の如何にも不良そうな少女は『ジュリア』伍長。

 

「ええっと、あなた。なんて名だっけ、曹長」

 

「は、ソルト・アレグロ曹長であります」

 

「あ…。そうだった、ソルト・アレグロ曹長。あなたはここ、長いのか?」

 

「…かれこれ3ヶ月になりますが、それが何か?」

 

「いやあ、別に他意はないんだ。ま、よろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

 

その時、重装甲のリアルドが視界に現れた。

 

「うわあっ、モビルスーツだあ!」

 

「陸戦型か…」

 

「私も、あれ貰えるんですね…すごい」

 

エミリーは満面の笑みを浮かべた…。

 

 

 

 

 

「カレン・シノミヤ少尉、第08小隊着任の挨拶に参りました」

 

「ごくろう。私が部隊長のタカギだ。 ま、楽にして。いや~、私はどうもエアコンというものが苦手でなあ。日中はこんな所に退避している」

 

「あの士官か?ポンコツで人革とやり合った奴は…。」

 

「しかも半分近く女の小隊だ…いいなぁ…毎晩とっかえひっかえできるぜ…?」

 

「キミたちも、人革側が秘密工場を隠し持ったという情報は耳にしとるだろう。しかし、何をしようとしているのかが、皆目わからん。また、絶対防衛線が我が方に伸び出すという事実により、我々は動き出したという訳だ。 ま、いずれにしても、この防衛線を突破し、敵を叩き潰さねばならん………え~、それから、ジャングル内の民間人だが、これは刺激するな。ま、そんなトコだ。後は曹長に聞け。いいな、ソルト」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、どいたどいた!」

 

「新隊長ご到着のようだな」

 

テンガロンハットを被った老兵『ヤマト・オロチ』大尉はウィスキーを飲んだ。

 

「ああ、一応ね」

 

「で、どんな女だ?」

 

「へっ、今んとこ未知数」

 

ジュリアは隣に座ると曲にあわせて踊り出した。

 

「これでお前たちも忙しくなるのお~」

 

「─という所が大筋です」

 

ソルトが報告する。

 

「どうだい、父っつあん?いつまでもつか賭けねえか?あの隊長よお」

 

「こくんじゃねえ、バカたれ!…じゃが、のった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「6小隊の支援要請が出た。武器・弾薬 のチェック、補充を急げ。ぺパー軍曹は3 号機!」

 

「はっ!」

 

「いいか、人革はこっちの都合に合わせて来ちゃくれないんだ。1号・3号!各機の偽装網を外せ」

 

「はっ!」

 

「カッコいい人だなあ。あ…あの、私のモビルスーツは?」

 

その時、ドヨヨンとした空気とともにジュリアがエミリーの肩を叩いた。

 

「オメーはオレの支援だよ、嬢ちゃん」

 

「え?!」

 

「コイツの砲手兼オレの助手」

 

ジュリアはまるで『お前も道連れだぜ』と言わんばかりに隣にあったホバートラックを指差した。

 

「ええ~!?助手!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銃口を引っ掛けるなよ!」

 

「3号機、100ミリキャリバーに換装終了!」

 

「同じくカートリッジ!」

 

「おおし!」

 

整備班が忙しなく動く。

 

「これが…これが私のモビルスーツ…」

 

「いえ、隊長のモビルスーツはその隣の」

 

ソルトはその隣のデカイ甲殻類のようなモビルスーツを指差した。

 

「え…。いやあ、よく整備してあるようですね、ソルト曹長(なにこれ…)」

 

「光栄であります」

 

「ではただいまより、出撃を前に隊長の訓示がある」

 

「ん。私はまだ諸君らの全てを知った訳ではないのが残念ではあるが…これだけは言っておきます。絶対に死なないで!私も戦死させることのないように、一層努力します。戦闘中いくら英雄的な行動をとっても、死んでしまっては何にもならない。隊長として、 小隊一人でもかけることなく生還し、勝利の喜びを、共に勝ち取ることを切望してやまない! 以上でしゅ!」

 

カレンは最後に盛大に噛んだ…。

 

「総員、出撃体制に入れ!解散!」

 

「…よく言うよ。ま、とりあえず腕前を見せてもらおうか」

 

「誰だって死にたかあないぜ。アマちゃんの隊長さんよお。泣けるぜ」

 

「でも、腕は確かです」

 

「へっ、今にわかるよっと!」

 

エミリーとジュリアはホバートラックに乗り込んだ。

 

「生き残って欲しいもんだな…全員な」

 

「ぺパー軍曹は右翼!ソルト曹長、あなたは左翼に着いて!!私がトップを取る!」

 

「?!」

 

「了解!」

 

「08小隊、出るぞ!」

 

 

甲殻類のようなモビルスーツ…ズゴックEが起動し、同時に陸戦型リアルドとホバートラックも動き出した…。

 

 

 

 

 

 

 

***********************

 

 

 

 

「隊長」

 

「なんですか?」

 

「そろそろ防衛ラインから出ます。ここから先は無線封鎖を」

 

「…わかってる!以後の通信は、指向性通信で行う!ライトは消して!レーザーセンサーと赤外線モニターに切り替えて!」

 

「せいぜい背伸びをしてるがいいさ」

 

「は?はあ…?!あ!」

 

ソナーを使い、ジュリアが索敵する。

 

「近い!嬢ちゃん、アマちゃんに連絡だ!」

 

「あ、はい!」

 

「音を立てさせるなよ…2時の方向…距離、2300…モビルスーツ、2機」

 

「識別できるか?」

 

「音紋照合…陸戦型ティエレンだ!」

 

ジュリアが要領よく指示を出す。

 

「6小隊の動きは!まさか、全滅?!」

 

「敵の攻撃は続いてるんだ。全滅のはずはない!」

 

「…確かにな」

 

「今から突っついてみる!」

 

ズゴックEが前進する。

 

「陽動する気?そんな事ができる腕なのか?」

 

「かかった!うわっ?!うう…まずい、宇宙とは違う!」

 

突然の機銃にカメラアイを守る。

 

「着任早々死ぬ気か!」

 

「うう…重い!」

 

「ライトを消して!」

 

「?!ジョシュア曹長!何のつもり!?」

 

「無茶です!あなたの腕では無理だと言ってるんです」

 

「何?あなたは私を侮辱する気ですか!」

 

「どう取られようと結構です」

 

「あれは私が必ず仕留める!見ててください!敵と渡り合うのは無理だと…上等だ」

 

「アマちゃんがティエレンを追ってる…あのソルトがケツに着いたぞ?!」

 

「隊長より連絡。敵を追い込みつつ、防衛拠点外へ追い払う、とのことです」

 

「何てこった、エライ事ですよコレは!軍曹に連絡だ!」

 

「はい!」

 

「ティエレンは2機いたはずだ…隊長ーっ!近すぎる!うっ!」

 

「軍曹!」

 

ぺパーの乗る陸戦型リアルドが砲撃を受けるがびくともしない。

 

「宇宙型とはケタ違いだ…コイツが陸戦型か…」

 

「ティエレンはどこ?!」

 

「隊長!深追いは危険です!」

 

ティエレンが視界に見えた瞬間にズゴックEの掌のリニアキャノンがティエレンを撃墜した。

 

「出たな!見ろ、やったぞ!えっ?きゃっ!」

 

ズゴックEが木の根に絡まって転ぶ。

 

「はあ…ど、どこへ行った?!」

 

「ん…があっ…!」

 

「♪ヒュ~ヒッデェもんだぜ」

 

ジュリアが耳を押さえながら呟く。

 

「衛生兵、こっちだ!」

 

「ジュリア伍長。隊長は戻ったか?」

 

「あれ?一緒じゃなかった?」

 

「エミリー伍長、何をしている。早く隊長を捕まえろ!」

 

「あ、はい!隊長、シノミヤ小隊長、3754 で応答願います!」

 

「ションベンでもしてんじゃねえの?」

 

ジュリアは毒舌を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どこ…どこに消えたの?」

 

一方のカレンは必死にティエレンを追いかけていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらレンジ外に出ちまったようだぜ」

 

「レスキュー要請、出しましょうか?」

 

「バァーカ!着任早々そんなモン出してみろ。全部隊の笑い者にされちまう」

 

「(隊長…)」

 

 

 

 

 

 

「…ナビゲーションシステムが壊れちゃうなんて! 参りました…」

 

「…生きてるんなら、救難信号ぐらい打ちゃいいのに…」

 

「く~、こんなモン着てたら汗に溺れちゃう!んええい。え~…しっかし、暑いなあ…。」

 

 

 

 

次の日…

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…明け方だってのに、なんて暑さ…ハァ、ハァ…んん!素敵だよ…とっても素

敵…」

 

 

カレンはズゴックEから降り、水を探しにいっていた。と、途中でドブで転んでしまった。起き上がってドブを払っていると…何やら服にヒルみたいなものが…。

 

 

「はっひゃあああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

カレンは服を脱いでブンブン振り回すとヒルを全部追い払い走った。

 

「 …ハァ、ハァ…なんてトコなの!こんなトコで暮らしてるヤツがいるなんて、信じられな…」

 

その時、目の前に綺麗な水が流れる滝を見つけた…。

 

「やった~♪」

 

カレンは服を脱ぎ捨てると服を洗ったり、肌に冷たい水を浴びていた。

 

「ふんふふーん♪」

 

綺麗な白い肌が水で艶っぽい雰囲気を醸し出す…。

 

「よし、気分転換終了。」

 

カレンはびしょ濡れの服を絞って着ると来た道を戻った。

 

 

 

 

「いた…昨日のティエレン!!」

 

スコープを覗くと狙撃に入る…。

 

「一撃だ…一撃で仕留めて見せる。さあ来い!あっ!?」

 

その時、鳥が飛び立ち危うく引き金を引きかけた。

 

「はあ…落ち着いて…落ち着いて、カレン。下手には下手なりの戦い方があるわ。早く私の視界に入って来て…来た!鼻持ちならないソルト曹長、見ていてください…私にだってできるってことを…!」

 

視界に入った瞬間、引き金を引き、ズゴックEのリニアキャノンがティエレンを穿つ。

 

「…はあ…はあ…はあ… ん!まだやる気なの?!うわああああああああっっ!」

 

ズゴックEのリニアキャノンを連発し、蜂の巣にするとティエレンは動かなくなった…。

 

「はあ…はあ…はあ…で、できるじゃないですか、地上でだって…ああ…やった~♪1機撃 破、これより帰投する」

 

 

 

 

 

「(パパ…ママ…、地球に着いて間もないというのに、私、初陣を飾りました。それはもう、 見せたかったくらいです。でも、とんでもない事になっちゃったんです。隊長がはぐれちゃったま ま、戻らないんです。地球っていうのは実は結構過酷で、私が生き残れたのは…)」

 

「おい、嬢ちゃん!戻ってきたぜ、アマちゃんがよおっ!」

 

ジュリアが指差した先には確かにズゴックEがいた。自動操縦で動いているが…。

 

「ええっ?!隊長!」

 

「ったく、驚きだよなあ!」

 

ジュリアは鼻を擦った。

 

「宇宙のときも、こうでした!」

 

「この運の強さに賭けてみるか…」

 

「ふっ、モビルスーツの性能に感謝するよ」

 

「うん…ああ…う、もうお腹いっぱい…うへへへ」

 

みんなが感心する中、一人腹一杯ご飯を食べる夢を見ていたカレンだった…。

 

 

 

 

 



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3話

「はぁ…はぁ…はぁ…ふぅ!」

 

ズゴックEが陸戦型リアルドの支援でティエレンを二機撃墜する。

 

「訓練の成果が出てきたようだな」

 

「曹長ーっ!」

 

背後からソルトを狙うアンフを見つけ、プラズママシンガンで蜂の巣にした。

 

「なんと!」

 

「無事か?曹長」

 

「おかげさまで。しかし、この距離で援護を受けたのは初めてです」

 

「私の腕もまあまあでしょ?」

 

「どこからだ、伍長!」

 

ぺパーの声にジュリアがすぐに返答する。

 

「山頂からだ!」

 

「それにしては正確だぞ!」

 

「っつぅ!?狙われてるぞ!」

 

「まさか?!」

 

ジュリアは耳を押さえながら笑顔で言った。

 

「ヤツらにも耳のイイのがいるんだよ!」

 

「ああ…はい!」

 

「隊長!敵の着弾が迫ってきます!」

 

「全機、捕捉された模様です!」

 

「くっそー、はまっちまったぜ」

 

ジュリアが悪態をつく。

 

「小隊!散開して後退だ!作戦を立て直す!」

 

「了解!」

 

カレンの指示で一旦退いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、カレン達は地図を広げ作戦会議をしていた。

 

「正面にはティエレン狙撃型を配した塹壕、おまけにキツい斜面ときてるわね…あのハイウェイは?」

 

「は。あれは補給路を維持する上で最重要ルートとなります」

 

「連邦にとっても、ね。あそこまでは何とか行けるけど、問題は村ね。」

 

「は。人革側に取られたのは痛いですね」

 

「この自然をうまく使った陣営をどう攻め上げるか…援護が欲しいところですね。」

 

「応援を待っていたら、こちらが追い詰められます」

 

カレンは唇に指を当てた。

 

「わかってる。わかってるけど…これは?」

 

「滝です」

 

「川沿いを西側斜面に迂回し、奇襲をかけ混乱に乗ずれば…」

 

「言うほど容易くありません。アマゾネスも徘徊する地域です」

 

「アマゾネス?!」

 

「で、奇襲をかけるのは?」

 

カレンは自信を持ってこう言った。

 

「この滝なら、行った事があります」

 

この言葉にメンバーがざわつく。

 

「隊長が?」

 

「奇襲をかける?」

 

「ま、陽動だけなら、経験の少ない隊長が適任じゃねーのお?」

 

「曹長、あなたはここの指揮を執ってください」

 

「しかし…」

 

「これは命令です。」

 

「そう言われるのであれば」

 

「お願いします。さて、時間は…3時間。必ず3時間で辿り着き、奇襲をかける。皆さんは正面から敵を惹きつけておいてください!」

 

「は!念のために申し上げておきますが、攻撃に持ち堪えられるのはせいぜい1時間で」

 

「わかっています。曹長以下4名は、15時にハイウェイ高架下に前進、待機!時を待って、総攻撃をかけて!以上!」

 

「アマゾネスなんかにとっ捕まんなよ」

 

「アマゾネスって…まさか。」

 

「ばーか。そのまさかだ!」

 

「よーし!こっちも出撃準備だ」

 

「へいへい」

 

「お気をつけて…隊長!」

 

ぺパーはそう祈った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…ふぅ…。あった!!確かここから…。」

 

と、地図を見ながら辺りを見回していた時、突然コクピットが開き、筋骨隆々とした女性が一斉に槍を向けてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あうっ!?」

 

コクピットから引きずり下ろされ手足を木に縛られるとどこぞの豚の丸焼きよろしく吊り下げられ連行された…。

 

 

 

 

 

 

 

カレンはアマゾネスの里に連れて行かれた。たくさんの屈強な女たちがいる中…カレンは族長の前に連れて行かれた。族長は褐色の女性だった。何やら現地語の訳の分からない言葉を連発してくる。…と、通訳のアマゾネスが話始めた。

 

「貴様、よくも我が縄張りに土足で入ったな。その罪は重い。」

 

「お願いです……私には時間が無いんです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…時間だ。ジュリア!」

 

「上は静かなもんですよ。ヤツら、 ティータイムだったりして」

 

「曹長。隊長は無事に着いたでしょうか?」

 

「あれだけ自信を持って確約したんだ。 行くぞ!」

 

「は!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どう言えば、わかってもらえるの…あなたたちと、ユニオン共通の敵は人革連のはずです。占拠した村に設置された基地を潰せば、あなたたちにとって損ではないでしょう。作戦実行のため、仲間たちは私を待っている! 村を人革から解放すれば、あなたたちの仲間だって自由になれるんです!頼む、私を行かせてください!」

 

カレンは冷静に訴えた…。いきなり老婆が現れ彼女にひれ伏したのはその後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあっ、どんどん撃ってきな!」

 

「…隊長…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…あの……」

 

いつの間にかアマゾネス達は豪華な食事を並べ踊り出した。通訳曰く、カレンは戦神の生まれ変わりらしく…お祭り騒ぎになっているのだった。

 

「(そうだ!!今ならやれる…頑張れ…私!!)皆さん!!聞いてください。」

 

カレンの声にアマゾネス達が集まる。

 

「今こそ…皆さんの同志を救うべきです。私は人質になった同志を救う使命を帯びてここへやってきました。立ち上がるんです!!このまま人革の好きにさせてはいけません!!」

 

アマゾネス達は一斉に咆哮をあげた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…遅い!隊長の動きは?!」

 

「いえ、まだ確認できません!…!お客さんだぜ…」

 

ジュリアがスナック菓子を食べながら呟いた。

 

「どうしたんです?」

 

「静かに!」

 

ジュリアが菓子を置き、神経を尖らせる。

 

「隊長か?」

 

「…いや…ヘリだ…1機、いや、2 機!」

 

「戻ってきたのか…!全隊、上空警戒を厳にしろ!」

 

「は!」

 

「勘弁してくれよな!これも死神のせいかあ!?」

 

「死神?」

 

「おめーだよ!」

 

「へ?!」

 

エミリーは頭を軽くひっぱたかれた。

 

「グスコー大佐。這い上がろうとしているネズミどもは、我が隊がすぐに始末します」

 

「ティエレン2機は痛かったな」

 

運転手は威圧感を放つ男に振り向いた。

 

「…まあ、首相にはよしなに。 よりによって特別査察の日に、とんだ事になりまして」

 

武人の威圧を放つ男は人革連のエース『グスコー・スミルノフ』大佐。

 

「フン!」

 

「ああ、妹君のロマリー様はたいそうお美しい方と聞きますが…いえ、失礼

しました」

 

運転手の男は余計な事を言ったと反省した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそー…厄介な隊長を信じたばかりに!ぺパー、限界だ!ハイウェイ高架下に退がる!」

 

「しかし!」

 

「もうこれ以上は無理だ!」

 

「曹長!」

 

その時、砲撃が基地に撃ち込まれた。エミリーがそれに笑顔を見せた。

 

「間違いありません、隊長ですよお!」

 

「いよーし、いよいよおっ始まったかあ!掴まってろよ!」

 

「はい!」

 

ホバートラックが前進する。

 

「ふっ!待たせてくれるじゃないか」

 

「隊長は何事も完遂する人だ」

 

ぺパーは感心するように頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

「どこからだ!」

 

「あそこからです!川からの攻撃です!」

 

「挟撃する気か!?すぐ降ろしてくれ、 私はティエレンで出る!」

 

グスコーはヘリに用意していたティエレンに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

「やった!弾薬庫が吹き飛んだ!」

 

「あんた、ホントに少尉?」

 

さっきの通訳の女の子が怪訝な目で見ていた。この子にはバレていた。でもカレンを信じ、有利になるよう通訳してくれたらしい。

 

「悪いですか?あなた、降りるなら今です」

 

「案内した手前、最後まで付き合うよ」

 

「勝手にしなさい。」

 

 

 

 

 

人革連はこの奇襲で総崩れ。おまけに…

 

「うわあああっ!」

 

「早く出せー!」

 

「ほら、ティエレンが2機行くよ」

 

「ええ!」

 

「そうりゃああっ!行くぜえ!」

 

一斉にティエレンにアマゾネス達が襲いかかる!!

 

「進めー!わあああっ!」

 

「みんな来てくれたんだ!」

 

「!残りの1機が来たぞ!」

 

「退散!!う、うわああー」

 

アマゾネス達は散り散りになった。

 

「へっお前ら全員取っ捕まえて?!ぐあああっ!」

 

いつの間にか掘られていた落とし穴にティエレンが落ちた。

 

「今だー!突っ込めー!」

 

出てきた人革連の兵士にアマゾネス達が槍を向けた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何?!アマゾネスどもも加わっただと?! フン、落とされるのも時間の問題だな。撤退だ!オレは時間を稼ぐ!」

 

「は、北側斜面は私が食い止めます」

 

「そうしてくれ。オレは西側のモビルスーツを叩く」

 

「は!」

 

ヘリから密林潜行型の迷彩柄ティエレンが下ろされ、一気に斜面をかけ降りる!!

 

 

「きゃー!」

 

「ジュリア!民間人の誘導を頼むぞ!」

 

「やってますよ!」

 

ジュリアはスナック菓子の袋をもう1つ開けた。

 

「よーし!…なんだ、あれは?」

 

「うわあああああー!」

 

アマゾネス達が一斉に人革の男達をリンチにする。

 

「アマゾネスが?!」

 

「曹長、聞こえる?」

 

「隊長!」

 

「遅くなってごめん!みんな無事!?」

 

「は!」

 

「村を解放する!民間人には特に注意!」

 

「了解!軍曹!聞いたな?」

 

「は!…?!」

 

「行かせん!」

 

突然現れたヘリから機銃が発射されるが、ぺパーは冷静に陸戦型リアルドに搭載されているマシンガンで両翼を破壊した。

 

「…!う、うわああああああああっ!」

 

ヘリは墜落し、安全地帯で爆発した。

 

 

 

 

 

「ユニオンはアマゾネスと共同作戦を…!」

 

グスコーはティエレンでズゴックEを捕捉、襲いかかってきた。

 

「来るよ!」

 

「!」

 

ズゴックEとティエレンが取っ組みあい、川に沈む際にティエレンが蹴りを入れる!!

 

「あ…きゃああああっ!」

 

「ああっ!」

 

「ぬうう…ぬうう、敵ながらやるではないか!だが、これまでだあ!」

 

ティエレンの拳がズゴックEに何度も打ち込まれる。

 

「だあっ!」

 

「きゃ!」

 

「じ、邪魔ですよ!」

 

少女が転がりカレンにぶつかる。

 

「んな事、無理だよ!ああ!」

 

「ぐあ!ぐう!」

 

「ぎゃあ!ぎゅう!」

 

「!目を閉じてーっ!」

 

ズゴックEの魚雷コンテナから閃光弾を発射する!!閃光がティエレンを襲う!!

 

「ぐあああっ!だあっ?!」

 

「くらえ!」

 

その隙に頭部バルカンをティエレンに撃ち込む!!

 

「ふおおおお!」

 

「…はぁ、はぁ、はぁ…仕留めた?」

 

「わかんないよ…はっ!」

 

水面から穴だらけのティエレンが這い出す。如雨露のように水が出て滑稽だ。

 

「へっ、水中戦ができるヤツがいたとはな…」

 

ティエレンはよたよたと逃げ出した…。

 

「ほら、あっちだ!逃げちゃうよ!」

 

「いや、もういい。深追いできるほどの状態じゃない。はぁ…はぁ…」

 

「チェ!もうちょいだったのにい!むぅ…」

 

「…はああ…」

 

カレンは大きく息を吐くと座席に身を沈めた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけで軍曹。一日だけよろしく♪」

 

「え、ちょ!?隊長~!!」

 

実は内緒でアマゾネス達と交わした契約…それは『手を貸してもらう代わりにいい男を一人、一日レンタル』というものだった。

 

「軍曹は犠牲になったのだ(棒)」

 

ジュリアはスナック菓子を食べながら呟いた。

 

 

「隊長~!!」

 

「許してね~!!」

 

「(アマゾネスを味方につけるとは…な)」

 

ソルトは感心するようにカレンを見ていた。

 

 

「そうだ、まだあなたの名前を聞いてなかったですね…。」

 

少女はその言葉に笑顔で応えた。

 

「あたし、ミネ。よろしくね♪」

 

「私はカレン・シノミヤ。」

 

二人は固く握手した………。



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