元・英雄殺しがダンジョンにいるのは間違っているのか? (黒犬@ダクソ民)
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プロローグ

初投稿です。少々バルバトスの最期を改変していますがご了承ください。


金髪の少年の剣が青い髪の狂戦士の胸を貫く。

 

「馬鹿な…この俺が、敗れる…だと…?」

「ああ、これで終わりだ。バルバトス…」

「カイル・デュナミス…!俺は…貴様のような英雄ごっこに敗れるというのか…?そうか…こういう結末か…所詮俺は英雄のなりそこない…。俺のやってきたこそ事が…英雄ごっこだということか…フフフ…なんとも滑稽ではないか」

「ああ、確かにお前は英雄になれなかった男かもしれない。だけれどその力は本物だった」

「なん…だと…」

「フフフ…お前に認められるとはな…。いや、俺は本当は誰かにこの力を認めてほしかっただけかもしれない」

「じゃあな、バルバトス。次があるなら今度は道を誤るなよ…」

「ではな、カイル・デュナミス。いや、『英雄』よ」

 

そしてバルバトスは神の目に飛び込んだ。

 そこで彼の意識はいったん途切れる。そしてそのあとカイルたちの手によって歴史は巻き戻る。そして青い髪の狂戦士の蘇生自体がなかったことになった、かに見えたが…。

 

 

 

 

「ん…?ここはどこだ…?」

 

気が付くとバルバトスは洞窟に倒れていた。

 

「どういうことだ…?俺はカイルに殺されたはず…傷もなくなっている?それに、ここはどこだ?俺は神の目に飛び込んで死んだはず…?」

 

彼は困惑していた、確かに神の目に飛び込んで死んだと思ったら。見たこともない洞窟で倒れていたのである。これで混乱するなという方が無理というものだろう。

 

「また、エルレインが俺を復活でもさせたか?だが、ここは神殿というわけでもないしな」

 

すると、奥の方から…

 

「ぶもおおぉぉぉ‼」

叫び声をあげながら二足歩行の牛が走ってきた。そしてバルバトスを視認すると襲い掛かってきた。

 この世界ではミノタウロスと呼ばれるレベル2のモンスターである。レベル2ではあるが強くレベル2の冒険者でも苦戦する。レベル1はおろか神の恩恵を受けてない人では逆立ちしても勝てない相手ではあるのだが…。

 襲い掛かった相手が悪かった。

 

「屑が…」

 

 一撃。まさしく一撃であった。無造作に振り上げた斧の一撃でミノタウロスは真っ二つになり断末魔をあげる暇もなく塵となった。そしてそこには小さな石が転がっていた。

 

「なんだ?この雑魚は?切り飛ばしたら石になりやがった」

「ぶもぉぉぉぉ‼」「うわー‼」

 

近くの脇道からミノタウロスと少年らしき声が聞こえてきた。

 

「次から次に…?引き裂いてやる!」

 

脇道に入ってすぐに斧を振った。そして、斧から放たれた衝撃が波となってミノタウロスを襲う。殺・魔神剣と呼ばれる技であり。バルバトスの基本技である。

 

「ぶるぉぉぉぉ…」

 

そのまま、ミノタウロスは上半身と下半身が別れ倒れた。

 

「所詮雑魚か…何やら人間らしい声も聞こえたが…」

 

ミノタウロスの居た先を見るとミノタウロスの血を浴び真っ赤になった少年が呆然とした顔でこちらを見ていた。

 

「小僧、大丈夫か?ところで聞きたいのだが「こ」…こ?」「怖かったー‼」

 

少年はそのままへたり込んでしまう。バルバトスはあきれたように話しかける。

 

「おい小僧、ここはどこだ?」

「えっ?ここ、ですか?五階層だと思いますけど…」

「そういうことを聞いているのではない。この洞窟はどこなんだと聞いている」

「えっと、ダンジョンですけど?」

 

少年は不思議そうにこちらを見ている。

(どういうことだ?生きていただけではなくけがもなぜか治っている上に知りもしない場所に飛ばされている?訳が分からん)

唸るように考えるバルバトス。そして後ろから新たなミノタウロスが襲い掛かる。

 

「うううううう、後ろぉぉぉ!」

 

しかし、ミノタウロスが掴みかかる直前で逆にバルバトスに掴まれてしまう。

 

「へ?」

「俺の背後に立つんじゃねぇぇぇ‼」

 

そのままミノタウロスは地面に叩きつけられ絶命する。

 

「素手で倒してるぅぅ!?」

 

さっきまで自分の剣で歯もたたなかった相手を投げるだけで絶命させる男の力に驚く。そして同時に男の姿に憧れた。斧の使い方はもちろん素手でモンスターを屠れる力に憧れた。

 

「この牛もどきが俺に勝てるとでも思っていたのかぁ? ふぅ…まあいい。おい小僧」

「は、はいぃ!」

「ここの出口まで案内してくれないか?」

「わかりましたぁ!」

「その代わりこの石みたいなのはお前にやる、そこの牛みたいなのの角もやろう。ちょうど落ちていたからな」

「えっ!? この魔石やドロップアイテムをですか?いいんですか?」

「いらん、こんな石ころ。代わりにしっかりと案内を頼むぞ。小僧」

「はい!あっ、僕の名前はベル・クラネルです」

「そういえば名乗ってなかったな。俺の名前はバルバトス、バルバトス・ゲーティアだ。よろしく頼むぞ、ベル」

「はい、バルバトスさん!」

 

そして二人は出口に向かって歩いて行った。

 

そんな二人を陰から見つめるものが一人。ロキファミリア所属のLv5冒険者「剣姫」アイズバレンシュタイン。実はバルバトスは気づいていたが敵意がないため放っておいたのだ。

 

「あの人の強さは私たちのと違う…?」

 

 

数奇な運命により出会った英雄に憧れる少年と元・英雄殺し。ここから二人の不思議な物語が始まる。




誤字脱字があった場合報告していただけると幸いです。


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英雄殺し、この世界を知る

皆さんおはこんばんわ。
調子に乗って続きを書きました。ここまで見てくださる方がいるとは…ありがとうございます。
今さらですが少々バルバトスがキャラ崩壊しているかもしれませんがそこは生暖かい目でお願いします。
では、始まります。ぶるぁぁぁぁぁ‼




 ダンジョンから出てきたバルバトスとベル。ベルは自身の身の上を話しながら上がってきた。上ってくる途中でモンスターに遭遇はしたのだが…

 

「屑が!」「微塵に砕けろぅ!」「いつまで寝てんだ!」

 

全てバルバトスの一撃で砕け散っていた。そもそも、レベル2最強クラスのミノタウロスでさえも一撃で砕け散ったのだ、コボルトやゴブリン程度では相手にならない。

 

「す、すごすぎる…」

 

ベルは圧倒されていた、そしてバルバトスのことをどこか高名なファミリアの一級冒険者だと思い込んでいたが…この思い違いはすぐに正されることとなる。

 

「ベル君!? どうしたのそんな血だらけで!」

 

ダンジョンから出てきたばかりのベルを見つけて彼の担当受付嬢であるエイナ・チュールが駆け寄ってくる。

 

「あっ、エイナさんどうも」

 

「どうも…じゃない‼ どうしてこんなに血まみれなの‼まさか勝手に下の階層に潜ったんじゃ…」

 

「いえ、そうじゃないんですが…」

 

そうしてベルは五階層でミノタウロスに襲われたことを説明する。

 

「五階層でミノタウロス!? どうしてそんな上までミノタウロスが…?」

 

「さあ? それでですね、壁に追い詰められてもうどうしようもないと思ったところでこちらのバルバトスさんに助けられたというわけです」

 

そこで初めてエイナはベルの隣に立っている男に気が付いた。重量感のある斧を持ち、固そうな鎧を着たいかにも熟練の冒険者の風体をした男に。

 

「あなたは…? どちらのファミリアの冒険者の方でしょうか?」

 

エイナは曲がりなりにも受付嬢である。たとえ担当でなくともソロでミノタウロスを倒すような冒険者の事ならば頭に入っているがこの男の風体に見覚えがなかった。装備だけ見ればロキファミリアの「重傑」ガレス・ランドロックを彷彿とさせるが目の前の男はどう見てもドワーフではなくヒューマンなのである。それ故にこの問いを問いかけたのだが…。

 

「ファミリア? なんだそれは? ベル、ファミリアとは一体何だ…?」

 

なんとこの男ファミリアの事を知らないのである。これにはベルも驚いた。

 

「えっ!? バルバトスさんどこかのファミリアの団長とかじゃないんですか!?」

 

「そもそも、俺はファミリアなんぞというものは知らん」

 

「えーっと、ファミリアというのですね…」

 

そしてバルバトスはファミリアの話を聞き同時にこの世界の事を聞く。この世界では神が地上に降りてきていること。その神から人は恩恵《ファルナ》を受けダンジョンに潜っていること。そしてこの都市、オラリオが巨大なダンジョンの上にあるということ。

 

(なるほど…道理で話が合わないはずだ。ここはおそらく別世界というやつなのだろう。しかし、それにしても神が降りてきているか…神の降臨のためにいろいろと手を尽くしてきたあの女が聞いたらひっくり返りそうだな…)

 

バルバトスは脳筋と思われがちだが、実はかなり理解力が高いのである。そもそも脳筋ならばあそこまで魔法を使いこなせない。その高い理解力でバルバトスは自身の置かれている状況を理解した。

 

(まったく、どうしてこうなったのかは解らんが。カイル…お前の言う通り次こそは正道を歩いてみようと思うぞ。それにどことなくこの小僧にお前と似たものを感じるからな。これも何かの縁だろう)

 

「すまんな、エイナと言ったかな?」

 

「は、はい!」

 

「俺は実はここまでの記憶がなくてな、気が付いたらあそこの中で倒れていた。自分のできることだけは覚えているのだがそれ以外は覚えていなくてな。そこでベルに会ってな。しばらくこやつの所で世話になろうと思っているのだ。また後日、正式なファミリアの一員となってまた来る。それまでは俺のことを黙っていてはもらえないか?」

 

「えっ!? バルバ「いいから口を合わせろ」…はい」

 

「そうなんですよ、一応エイナさんの方でもバルバトスさんについての事を調べておいてもらえますか」

 

「え、ええ。別にいいけど…」

 

「では失礼します。バルバトスさん行きましょう」

 

「ではな、エイナとやら。よろしく頼むぞ」

 

「アッハイ」

 

そうしてバルバトスとベルは出ていってしまう。残されたエイナは混乱していた。なぜ、ミノタウロスを一撃で倒すような冒険者の名前も聞いたことがないのか。どうしてダンジョンの中に記憶喪失の男がいるのかなど。しかし、そこは彼女もプロである。しばらくして頭を落ち着かせるととりあえず調べるだけ調べようとその場を後にした…。

 

 

ギルドから出てしばらくしたところでベルは意を決して問いかける。

 

「どうして僕のファミリアに来るなんて嘘を…?」

 

「ん? 別に嘘ではないぞ、お前の話を聞いて迷惑でなければお前のファミリアの所で世話になろうと思ってな」

 

「えぇ!?」

 

「なんだ、迷惑か?」

 

「い、いや。迷惑だなんてそんな…でもいいんですか?バルバトスさんならもっと大きいファミリアの方がいいんじゃ…」

 

「いや、お前の話を聞いてお前のファミリアがいいと思ったから決めたことだ。それに、お前には素質がある。一緒に頑張っていこうじゃないか、ベル」

 

「バルバトスさん…はい!」

 

そして二人はホームに向かって歩いていく…。

 




 因みに作中では書いていないですがエイナと別れたあと二人はちゃんと魔石の換金に行っています。大体40000ヴァリス(適当)ほどになっています。


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ヘスティアファミリアの新人(笑)

みなさんおはこんばんぶらぁぁぁ!
作者の黒犬です。
少し新しいゲームをやっていたら更新が遅れました。
あっ!お客様ものを投げないで。
では、第三話どうぞ。


 私、ヘスティアは最近ファミリアを作った。地上界に降りてきてからしばらくは神友のヘファイストスのところに世話になっていたが、追い出されてしまった。それからすぐであったか、うちの唯一の団員であるベル君に出会ったのは。他のファミリアに入ろうとしては断られていた彼を見ていたら放っておけなくなって誘ってみたら僕のファミリアに入ってくれたのだ。彼は今日もダンジョンに行っているのだが…

 

(大丈夫かな、ベル君。僕は君のことが心配だよ、なんだか胸騒ぎがするしさ)

 

 

「ここが僕たちのファミリアのホームなんですよ!」

 

 ん?そんなことを考えているうちにベル君が帰ってきたのかな?誰かつれてきているみたいだけど…

 

「ただいま帰りました。神さま」

 

「お帰り、ベル君! 怪我はないかい?」

 

「ええ、大丈夫ですよ神さま。ここで神さまに嬉しいお知らせがあります!」

 

「ん? なんだいなんだい?」

 

「なんと! 新しいファミリア入団希望者を連れてきました!」

 

「ええ!? それは本当かい!?」

 

(新しいファミリア入団希望者を連れてきてくれるなんて…何てベル君は僕思いなんだ…でも、自分で言うのもなんだけど僕らみたいな貧乏ファミリアに入りたいなんて物好きな人珍しいな。はっ!? まさか。ベル君に惚れたやつじゃないだろうな…)

 

そして、ベルの後ろから大斧を背負った大男が入ってきた。

 

「貴様が神ヘスティアか…」

 

「へっ…?」

 

「おい、ベル。固まってしまったのだが…」

 

「あれ? 神さま?かーみーさーまー?」

 

「はっ!? す、すまない。まさか君みたいな強そうな子が出てくるとは思わなくてね…」

 

「なるほど…では、自己紹介をさせてもらおう。俺の名前はバルバトス・ゲーティア。ダンジョンの中で迷っているところをベルに案内してもらってな。その縁で話を聞いて今回このファミリアに入団を希望するものだ」

 

「バ、バルバトス君かぁ…聞いてると思うけど僕はヘスティア。このファミリアの主神さ」

 

「バルバトスさんはすごいんですよ! 僕がミノタウロスに襲われているところを助けてくれたんですけど…」

 

「ちょっとベル君! ミノタウロスに襲われたのかい!?」

 

「ええ、理由は分からないんですけど何故か五階層にミノタウロスが出てきて。それで、バルバトスさんは一撃でミノタウロスを倒したんですよ!」

 

「ミ、ミノタウロスを一撃で倒すって…バルバトス君は冒険者じゃないのかい?」

 

「ああ、俺には神の恩恵何てものはないな」

 

「す、すごすぎるよぉ…」

 

ヘスティアは少し考える素振りを見せたあと。

 

「ベル君、少し夕御飯の買い物に行ってきてくれないかな?」

 

「別に良いですけど…」

 

「その間に少し彼と話をしたいからさ」

 

「分かりました。行ってきます」

 

そして、ベルは走って出ていく。

 

「さて…バルバトス君、いくつか質問しても良いかな?」

 

ヘスティアがこちらに向かい直すさっきまでと違ってかなり真面目な顔をしている。

 

「別に構わんぞ」

 

「じゃあ、一つ目。何でこのファミリアに入ろうと思ったのかな?」

 

「ベルから話を聞いてな。それにベルと知り合いの姿が重なってな、少し面倒を見たくなった」

 

「ふむ…じゃあ、二つ目。君はどこから来たんだい?」

 

「まあ、いって信じるかどうかはそちらに任せるが。実は俺は異世界からこっちに来てな。気がついたらダンジョンに居たのだ」

 

「い、異世界!? でも、君は嘘を言ってないしな…」

 

「ああ、そういえば。神には人の嘘がわかるのだったな」

 

「じゃあ信じるとしよう。最後、これからどうするつもりだい?」

 

「…実は俺は前の世界では歴史を変えるという最大の禁忌を犯したのだ。その過程で多くの人を殺した。そして最後に戦った少年が俺が死ぬ直前に俺の事を認めてくれな…俺は誰かに認められて讃えられたかったのだと気がついた。だからこの世界ではベルと共に冒険をしてみたいと思う。…奴から最後に次は正道を歩けと言われたからな」

 

「へぇ…その少年とベル君が似ていると?」

 

「ああ、姿は違うがあの小僧もベルも英雄に憧れた。そしてあの小僧は英雄になった。ベルにもその資質があるだろう。その成長を見てみたいのだ」

 

「なるほど…分かったよ。君はちゃんと前の世界の事を反省しているようだし。それに君みたいな強い人の近くならベル君にも良い影響があるだろう」

 

「では…」

 

「ああ、君を僕のファミリアに迎えよう。これからよろしくね。バルバトス君」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

二人はガッチリと握手をした。ヘスティアファミリアに新しい家族が増えた。




バルバトスが仲間になった!

ラスボスより強い中ボスが仲間になるとはな…
次回にはバルバトスのステータスがわかると思います。さて、狂キャラのステータスは如何に。


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動き出す物語

皆さんおはこんばんぶらぁぁぁぁ!(挨拶)

 まさかUAがここまで伸びて応援コメントまでもらえるとは…本当にありがとうございます。調子に乗っての連日投稿です。

ああっ!!お客様物を投げないでください。調子に乗ってすみません。

では第四話を始めていきたいと思います。

*バルバトスのステータスを修正しました



 バルバトスとヘスティアが握手をしているころ…

 

……同時刻ロキファミリアホーム〈黄昏の家〉

 

「それは本当かい? アイズ」

 

少年のような見た目の人物が問う。見た目は少年だが実は40代のベテラン冒険者であり。ロキファミリア団長Lv6「勇者」フィン・ディムナである。

 

「うん…本当…あの人は私よりも強い」

 

バルバトスの戦闘を陰から見ていたアイズが答える。

 

「…だが、そんな冒険者と言えば有名な奴だろう、見たことある奴ではなかったのか?」

 

緑髪のエルフの麗人が苦言を呈す。リヴェリア・リヨス・アールヴ、ロキファミリアの副団長であり「九魔姫」の二つ名を持つLv6の冒険者である。

 

「アイズたんの見間違え…とはいいたかないけど。青髪のヒューマンのそんな風体の冒険者ワイも聞いたことないしな」

 

 赤い髪をした貧にゅ…スレンダーな糸目の神が唸る。ロキファミリアの主神、天界のトリックスターことロキである。

 

「まあもう少し情報を集める方向性で行こうか。僕も興味あるしね」

 

「せやな。あー、話していたらもうこんな時間か。しゃーない、遠征成功祝いは明日にしよか」

 

「そうだね、じゃあ解散」

 

(あの人の強さの秘密を知れば私も…)

 

アイズは一人考えていた。

 

 

 

 

 夕食を終えたベルたちはステータス更新とバルバトスに恩恵を刻む作業に入っていた。

 

「・・・・・・」

 

「神様?」

 

「あっ! うん…ベル君のステータスは意外と伸びているね、成長期かな?」

 

「へぇー、ステータスの伸びにも成長期なんてあるんですね…」

 

「う、うん。じゃ、じゃあベル君は一回外に出ていてね」

 

「分かりました」

 

「ヘスティアよ、何かベルに隠したな」

 

「うっ…やっぱり分かるかい?」

 

「ベルのような素直な男でなければばれていたぞ」

 

「ははは、多分このスキルは君の姿を見たもんで発現したんだろう。こんなユニークスキルなんて娯楽に飢えているほかの神にばれてたら大変なことになる」

 

「…ベルには黙っておこう。では俺の方も頼む」

 

「う、うん」

 

そして、ヘスティアはバルバトスの背中に血をたらし恩恵を刻んでいく。

 

「な、なんじゃこりゃ―‼」

 

その日、オラリオにヘスティアの声が木霊した。

 

 

 

ベル・クラネル Lv.1

 

基礎

 

力:I77→I89

 

耐久:I13

 

器用:I93→I99

 

敏捷:H148→H178

 

魔力・・・I0 

 

発展

 

 

≪魔法≫

 

≪スキル≫

『英雄憧憬』

・早熟する。

・憧憬が続くかぎり効果持続。

・憧憬の丈により効果向上。

 

 

バルバトス・ゲーティア Lv.?#%

 

基礎

 

 力・・・S  925

耐久・・・S  998

器用・・・A  829

敏捷・・・C  716

魔力・・・A  841 

 

発展

【怪力】【耐異常】

【魔斧の担い手】【魔導】

【魔法スロット増加】

 

《魔法》

・バーンストライク

超短文詠唱

詠唱式「灼熱の」

 

・グランバニッシュ

超短文詠唱

詠唱式「破滅の」

 

・エアプレッシャー

無詠唱

追加詠唱により「シリングフォール」発動

追加式「絶望の」

 

・ネガティブゲイト

無詠唱

追加詠唱により「イーヴィルスフィア」発動

追加式「殺戮の」

 

・エクセキュ―ション

超短文詠唱

詠唱式「断罪の」

追加詠唱により派生魔法「ルナシェイド」発動。

追加式「闇の王よ来たれ、全てを切り裂く闇の刃にて我が敵を断罪せよ。」

 

《スキル》

『英雄王道』(ヒーローロード)

・全ステータスに高補正

・何者かのあこがれであり続ける限り効果持続。

 

『鋼体』(ぺネトレイト)

・あらゆる攻撃で後退しなくなる。

・ダメージを10分の1にする。

 

『毒結界』(ポイゾニックフィールド)

・近くの対象に毒を与える

・自身との距離が近ければ近いほど効果上昇

 

「狂戦士の血」(ヴァイオレットペイン)

・感情の高ぶりにより発動

・耐久低下

・力大幅上昇

 

 




 何か意見がありましたらよろしくお願いします。

 ではまた次回。


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受付嬢は強し

皆さんおはこんばんぶらぁぁぁぁ!(挨拶)作者の黒犬です。
ここまで投稿してお気に入りが100件を超えたときにはうれしくて涙が出そうになりました。皆さんありがとうございます。これからもテンションに任せて頑張っていこうと思います。

今回は少し筆が乗ったので長くなってしまいました。
ああっ‼お客様物を投げないでください。


 では、第五話をどうぞ!

*一部修正しました


 バルバトスがヘスティアファミリアの団員になってから次の日ギルドにて…

 

「おはようございます。エイナさん」

 

「ああ、おはようベル君…」

 

書類から目をあげると確かに最近自分が面倒を見ているかわいらしい冒険者が居た。だが、その隣に昨日見たインパクトの強い青髪の大男が居た。

 

「エイナ…だったかな? おはよう」

 

「お、おはようございます。バルバトスさん」

 

「じゃあ、エイナさん後はよろしくお願いしますね。僕はダンジョンに行くので」

 

「えっ!? ちょ、ちょっとベル君!?」

 

「いってきまーす」

 

そうしてベルは手を振りながらダンジョンへと消えていった。

 

「・・・・・・」

 

「エイナ嬢、冒険者登録がしたいのだが?」

 

「えっ!? はい…ってあなたは記憶を失っていたのでは?」

 

「俺のことは調べてくれたのだろう?」

 

「ええ、ですが特にこれと言った情報が出なくて…」

 

「やはりな俺はこの都市出身ではないらしい」

 

「ええ!? なんで…」

 

「ヘスティア…俺の今の神が恩恵を刻んだところほかの神の名前が出なかったらしいからな」

 

「ええ!? じゃあなんでダンジョンでミノタウロスを倒せたりなんか…」

 

「今から教えてやるからとりあえず冒険者登録のための書類を貰えないか?」

 

「は、はい…」

 

戸惑いながらとエイナが差し出した書類を受け取り書いていく。そして、書き終えた書類を再びエイナに差し出す。

 

「これでいいか…?」

 

「か、確認しますね。ヘスティアファミリア所属、バルバトス・ゲーティア、Lv7と…ん? んんん? あ、あのなんですか、このLv?って?」

 

「俺のレベルだが?」

 

「へぇ、そうなんですか…ってえぇぇぇ!?」

 

あまりの驚愕にエイナはつい大声をあげてしまう。

 

「騒がしいぞ、エイナ嬢…」

 

「す、すみません…」

 

「で、でもこれって本当なんですか? 別にバルバトスさんのことを疑うわけではないですけど」

 

「理由は俺にもわからんがどうもLvのところが読めなくなっているらしいそんなに信じられないなら確認するか?」

 

「い、いや。冒険者のステータスは秘匿情報ですし…それにここに嘘を書くメリットもないと思いますし…

 

便宜上Lv1にしておきましょうか。初めて冒険者になられたんですよね?」

 

「ああ」

 

この都市オラリオではファミリアにギルドへの納税が義務づけられている。高レベルの冒険者がいるファミリアほどより多くの税金を納めなければならないため、中にはわざと冒険者のレベルアップを報告しないで脱税を図るファミリアまであるほどである。そのため、エイナはバルバトスが嘘をついているように思えなかったのである。まあ、バルバトスの覇気に少し委縮していたというのもあるのだが…。

 

「ならば、これでいいか?」

 

「え、ええ。では、バルバトスさんには今から冒険者の講習を受けてもらいます」

 

「仕方あるまいが手短に頼むぞ」

 

「そういうわけにはいきません。バルバトスさんは確かに強いのでしょうがダンジョンにはたくさんの危険なことがあるんです。これだけは譲れません」

 

はっきりとエイナは言い放つ。

 

「ほう…いい目だ、信念を持ったいい目をしている。いいだろう、俺もここではビギナーだ。しっかりと講習を受けることにしよう」

 

その後、日が暮れるまでエイナの講習を受けたバルバトスなのであった。

 

 

 

 夕方になってダンジョンから白い髪の少年が出てきた。

 

「ふう、今日はなかなかたくさんのモンスターを狩れたぞ。これなら今日の夜のバルバトスさんの歓迎会のお金も大丈夫かな?」

 

「ベル、帰ってきたか…」

 

「あっ!バルバトスさんただいま。何かいいことでもありました?」

 

そこには満足そうな顔を浮かべて待っているバルバトスが居た。

 

「ああ、なかなかためになることをエイナ嬢から教えてもらってな。彼女はなかなか熱心だから助かる」

 

戦闘狂なこの男だが戦闘が絡む勉学なら特に苦にならないタイプである。

 

「す、すごいですね。あの講義を受けてそこまで余裕なんて」

 

「戦いは力だけでは勝てんぞ、戦い方を学ぶということも大事なのだ」

 

「へぇ~そうなんですか。あっ、そうだ。見てくださいよ今日はこんなに狩れたんですよ」

 

うれしそうな顔でバックパックに入った魔石を見せてくるベル。

 

「ほう、さすが成長期の小僧は違うな。これからも頑張るといい」

 

「はい!」

 

憧れている男に褒められるというのはやはりうれしい。男なら誰だってそうである。

 

「では、ファミリアに帰るとしよう。そのあと今日は外食するんだったかな?」

 

「はい、昨日勧められたお店があるので。バルバトスさんの歓迎会ですよ!」

 

「ほう、うれしいことだ」

 

そして、ホームへ帰りヘスティアを連れて「豊穣の女主人」へと向かう。

 

 

 

「豊穣の女主人」、冒険者の中でも有名な店である。この店少し値段は高いが味はよく店員も美しいため人気が高い。

 

「ベルさんっ。来てくれたんですね?いらっしゃいませ!」

 

店に入ってきたベルを見つけるとトタトタと近寄ってくる店員が一人。彼女の名はシル・フローヴァといいこの店にベルを誘った張本人である。

 

「はい、シルさんこんばんは! 僕のファミリアの人も一緒ですが座れますか?」

 

「ええ、カウンター席になっちゃいますけど」

 

「構いませんよ。神様とバルバトスさんもいいですか?」

 

「ああ、僕は構わないよ」

 

「俺も構わん」

 

その男が入ってきた瞬間、店の中の店員は全員その男を見た。今は斧と鎧を置いてきたバルバトスだがその存在感は圧倒的だった。この店の店員は訳ありの者が多く手練れであるためその男の存在感に気づいたのであった。

 

「ベルさんの主神様とファミリアの方ですか?」

 

「そうだよ、僕はヘスティアファミリアの主神のヘスティアさ」

 

「俺は新しくファミリアに入ったバルバトスというものだ」

 

「へぇ~、こちらのカウンター席へどうぞ」

 

三人は案内されたカウンター席に座る。カウンターの中にいた此処の主人であるミアが話しかけてくる。

 

「アンタがシルのお客さんかい? ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ、隣のアンタはずいぶんとガタイがいいねぇ、そっちの方は二人の主神様かな? まあ、とりあえずこれでも飲みな」

 

ドンッと三人の前にジョッキが置かれた。少し戸惑ったが気を取り直してヘスティアが音頭をとる。

 

「じゃあ、バルバトス君のファミリア入団を祝って…」

 

「「「乾杯」」」

 

夜は更けていく…

 

 

 

 




次回に関してはあらかじめ言っておきます。ベートファンの皆さんごめんなさい‼

では、また次回。


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酒場での乱闘

みなさんおはこんばんぶらぁぁぁ!作者の黒犬です。
遅くなって申し訳ありません。リアルが少し立て込んでいて遅くなりました。
前回の後書きで書いた通りベートファンの方々には本当に申し訳ない内容となっております。
ああっ!お客様ものを投げないで!
では、第六話の始まりです。


 乾杯をして、各々料理を楽しむバルバトス達。ベルとヘスティアは料理を楽しみながら雑談に興じていた。バルバトスは一人静かに酒を飲みながら考え事をしていた。

 

(なぜ、ここの店員と主人からあれほどの強者の覇気を感じるんだ…)

 

ジーッと店員達を眺めるバルバトスはある意味自然体ではあったが見られているほうはたまったものではなかった。

 

(あ、あの人。ずっと私のほうを…まさか…?)

 

そのひとりであるリューはとある事情により、気になって居た。

 

(あの金髪の女…エルフ?というものか…実力はそれなりといったところか。)

 

(まさか、賞金稼ぎでは…無いと思いますが一応警戒しておきましょう。)

 

なんとも言えない空気が二人の間に流れる。

 

「そこの店員。」

 

「は、はい?」

 

「おかわりを貰えるか?」

 

「あっ、はい。畏まりました。」

 

ついつい過剰に反応してしまい。リューは顔を赤くする。

 

(は、恥ずかしい…)

 

バルバトスは不思議な顔をする。

 

(なぜこの女は焦っているのだ…?)

 

なんとも不思議な雰囲気の中、酒場の時間は流れていく。そんな中再び酒場の空気が変わる。

 

「ミアの母ちゃん!飲みに来たでー。」

 

店の扉をあけながら赤髪の女神が酒場に入ってくる。その後ろにはそのファミリアの団員と思わしき者たちが続く。

 

「お、おい、あれロキファミリアだぜ。」

 

「やっぱり「剣姫」はかわいいな。俺声かけてみようかな?」

 

「やめておけ、お前なんか相手にされないに決まってるぜ。」

 

「そうだぜ、むしろそこから喧嘩吹っ掛けられでもしたらたまらないぜ。」

 

周りの冒険者たちが少しざわめき立つ。

 

「うわぁ…」

 

そんな中ベルは「剣姫」を見つめていた。それは完全にひとめぼれしてしまった者の目だった。

 

「むぅぅぅ」

 

ヘスティアはそんなベルを見て頬を膨らませる。

 

(ほう…なかなかの力量を持った面子だが…ベル程の輝きを見せてくれそうなものはいないな。)

 

バルバトスは少し見つめた後、興味を失くしたように食事に戻った。

 

「みんな遠征ごくろうさん!色々な事後処理のせいで一日遅くなってしもうたけど。今日はじゃんじゃん飲んでや。」

 

ロキファミリアの周りがにわかに騒がしくなる。

 

 

「そうだ、アイズ!お前のあの話を聞かせてやれよ!」

 

「あの話…?」

 

しばらくして狼人の男が騒ぎ始めて。アイズに絡み始めた。

 

「あれだって、帰る途中で何匹か逃したミノタウロス!最後の一匹、お前が5階層で始末しただろう!?そんで、ほれ、あん時いたトマト野郎の!」

 

「ミノタウロスって、17階層で襲いかかってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出したやつ?」

 

「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよ、俺達が泡食って追いかけていったやつ!こっちは帰りの途中で疲れていたってのによ~。」

 

「私…倒していない…」

 

狼人の大声にかき消されアイズの否定の声は届かなかった。

 

「そんでよ居たんだよ、いかにも駆け出しっていうようなひょろくせえガキが!」

 

「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際に追い込まれちまってよぉ!しかも、アイズがミノを細切れにしたからそいつ全身にくっせー牛の血浴びて…真っ赤なトマトになっちまったんだよ!」

 

「私…倒してない…青い人が倒した…」

 

だが、ヒートアップしている狼男と周りはアイズの話を聞いていなかった。大爆笑する狼人につられて何人かは笑い周りの人たちもつられて笑った。

 

「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。ミノタウロスを逃がしたのは我々の不手際だ。巻き込んでしまったその少年に謝罪することはあれ、酒の肴にする権利などない。恥を知れ」

 

誇り高いハイエルフであるリヴェリアが苦言を呈す。

 

「おーおー、流石エルフ様、誇り高いこって。でもよ、そんな救えねえヤツを擁護してなんになるってだ?それはてめぇの失敗をてめぇで誤魔化すための、ただの自己満足だろ?」

 

「これ、やめえ。ベートもリヴェリアも。酒が不味くなるわ。」

 

さすがにこれ以上はまずいと思ったロキはやめるように言うが酒が入ってテンションが上がったベートは止まらない。

 

「アイズはどう思うよ?自分の目の前で震え上がるだけの情けねぇ野郎を。」

 

「……あの状況じゃあ、しょうがなかったと思います。」

 

否定しても意味がないと悟ったアイズはとりあえず当たり障りない答えを返す。

 

「なんだよ、いい子ちゃんぶっちまって。…じゃあ質問を変えるぜ?あのガキと俺、ツガイにするならどっちがいい?」

 

「ベート?君は酔っているのかい?」

 

流石に話の変わりように驚いてフィンが暗にやめるように言うが…

 

「なあ、どうなんだよアイズ?」

 

「私は…そんなこと言う、ベートさんとだけはごめんです。」

 

「無様だな」

 

「黙れババアッ。…じゃあ何か、お前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」

 

「……っ!?」

 

「そんなはずねえよなぁ。自分より弱くて軟弱な雑魚野郎に、他ならないお前がそれを認めねえ」

 

「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ」

 

「ベル君!?」

 

青年の最後の言葉にベルはいたたまれなくなったのか、椅子を飛ばして、外へ飛び出していった。

 

「ヘスティアよ…貴様はすぐにベルを追うといい。あいつはおそらくダンジョンに向かった。」

 

「えっ!?どうしてそんな…」

 

「あいつの目には悔しさが浮かんでいた。無力な己への憤りと一緒にな。あいつは力を求めるだろう。だがそんなものは幻想だ、一時の感情での行動する場合は碌なことにならん。道を知っているお前ならあいつより先にダンジョンの入り口に着けるだろう?」

 

「…わかった。でも君は?」

 

「ここの支払いを済ませてから行くとしよう。なに、先に帰っているといい。」

 

「…騒ぎは起こさないでね!」

 

そういってヘスティアはベルを止めるために走り出していった。

 

「ドチビ!?」

 

ロキがヘスティアに気が付いたがヘスティアはあえて無視をして走っていった。

 

(さて…ヘスティアにはああいったが…あいつの態度は少し目に余る…灸をすえてやる程度ならよかろう…)

 

そう思いながらロキファミリアのテーブルに近づいていく。

 

「さすがに名高いロキファミリアの幹部でも酒が入れば獣と一緒か…。」

 

「あぁん!?」

 

バルバトスが近づいてわざと聞こえるように言った一言にベートは反応した。

 

「あっ…青い人…」

 

アイズは昨日見た人物のため一目で反応した。だがベートは気にせず突っかかる。

 

「なんだてめぇは!?ぶっ殺されたくなければ消えな!」

 

「吠えるな駄犬。酔った獣など相手にする価値もないな。まあいい…今日の俺は紳士的だ運がよか……。」

 

バルバトスが喋っている途中でベートはキレて蹴りを放つ。酔っているとはいえLv5の力の入った蹴り。それが顔面にまともに入ったのである。それを見ていた人間は息をのんだ。死なねば安い方だと思う人、凄惨な場面を想像し人によっては顔を手で覆った。だが…

 

ガァン!!

 

聞こえてきたのは固い金属を叩いたかのような音だった。それまで結果がわかっていたかのように見ていなかった冒険者も何事かとそちらに顔を向けた。

 

「「「…えっ?」」」

 

そこには何ともないような顔で立っているバルバトスが居た。顔には傷一つなかった。そしてその顔は憤怒に染まっていた。

 

「獣風情が…大人しくしていればよかったものを…ぶち殺す‼」

 

バルバトスの手がベートの顔面を掴む、そしてそのまま店の外に連れていかれた。当然ベートは暴れるがガッチリと顔面を掴んだ手は離れることなくむしろ万力のような力で絞めつけてきた。ロキファミリアの面々が外に追いかけていくと…

 

「離せ!この…」

 

「所詮は吠えるだけの犬畜生か…少々躾けてやる」

 

掴んだベートをそのまま地面に叩きつけた

 

「かっは…」

 

「いつまで寝てんだ!」

 

そこにバルバトスの踏みつけが入る。

 

結果的に残ったのは地面に半分めり込むかのように気絶しているベートとその近くで立つバルバトスだった。そして、出てきた面々に気が付くとフィンに向かって話しかけた。

 

「貴様がこのファミリアの団長だな。今回は俺も熱くなったことは謝ろう。だが、しっかりと団員の手綱を握っておくんだな。」

 

「…ああ。今回はこちらに非があった。謝ろう、ところで君の名前を聞いてもいいかい?僕の名はフィン・ディムナ、ロキファミリアの団長をやっている。」

 

「…バルバトスだ、ヘスティアファミリアの新人だ。」

 

そういってバルバトスは店の中に戻りミアに話しかける。

 

「すまないな…店に迷惑をかけてしまって。支払いだ。」

 

そういってバルバトスはヴァリスの入った袋を置いていく。

 

「少し多くないかい?」

 

「迷惑料だっ取っておいてくれ。」

 

「分かったよ…今度来るときは騒ぎは勘弁してくれよ。」

 

「ふっ…了解した。」

 

そういってバルバトスは店から出ていく。

 

後には喧騒が残された…

 

 

 




いやー、戦闘シーンの描写は難しいですねぇ…
本当にベートファンの皆さんには申し訳ないことをしたと思っています。
次回もお楽しみに!


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成長するということ

皆さんお久しぶりです。そしておはこんばんぶぅるぁぁ。作者の黒犬です。
間が開いて本当に申し訳ありませんでした。少々行き詰ってしまい休載しましたが少々前までの話を修正しながら再開していきます。ではどうぞー


「ベル君!」

 

裏道を通ってきたヘスティアは何とかダンジョンの手前でベルを見つけて呼び止める。

 

「神様…」

 

「そんな格好のままダンジョンに行くつもりかい!?」

 

「でも僕は強くなりたい!すぐにでも…」

 

「ベル君…でも今日はもう帰ろう」

 

「でも神様…」

 

「まだお前達はこんな所に居たのか…」

 

「バルバトス君!早かったね…」

 

「ああ、走って来たからな」

 

「バルバトスさん…」

 

「ベルよお前は英雄になりたいのでは無かったのか…?悔しさをバネにする。それもいいだろう。だがお前は今焦っている。そんな状態で戦ってもいい結果は出ないだろう…」

 

「でも…僕は…」

 

「自信を持てベルよ。お前は俺が見込んだ男だろう…?それともこんな風来坊の言葉では信じられないか?」

 

「そんな!バルバトスさんは凄いです。僕の目標です…」

 

「ならばあんな駄犬の言葉に惑わされるな。自信を持って行けばいい。お前が成長すれば女などよりどりみどりだろうよ…」

 

「ちょっ!?バルバトス君余計な事まで…」

 

「分かりました!また明日から準備をしっかりとしてダンジョンに行こうと思います!」

 

「それでいい。」

 

満足そうな笑みを浮かべながらバルバトスはベルの頭をクシャクシャにする。ベルは希望に満ちた顔をして。へスティアは少々不満げな顔だったがそのやりとりを見ていてほっこりとしていた。

 

(全く…でも駄犬てあの狼人の人高レベルの冒険者だった様な…)

 

へスティアは嫌な考えが浮かんだが考えないようにした。

 

「では帰って明日に備えよう。明日からは俺もダンジョンに行こう」

 

「バルバトスさんも一緒なら心強いですね!でも僕も自分の力で頑張って行きたいと思います!」

 

「その意気だ!」

 

「ああ、僕も明日は少し出かけるよ。何日か帰らないかもしれないけど…」

 

「了解した」

 

「分かりました!」

 

そして彼らは帰路につく…

 

 

 

一方そのころロキファミリアでは緊急の幹部会が開かれていた…

 

「彼は一体何者なんだろうね…」

 

「あの実力で今まで無名だったのは信じられん」

 

「ガレス、彼と同じこと出来るかい?」

 

「できるとは思うが流石にベートの蹴りをまともに食らって無傷とは行かんぞ…」

 

「そうだよね…」

 

「あの人…やっぱり強い…」

 

「ああ強いね。彼と向かい合った時僕の親指がすごい反応をしていたよ」

 

「でもオラリオ内で調べても情報がまったくでぇへんてことは、外から来たのかもしれんなぁ」

 

「外ですか…まあそこはおいおい調べていきましょう。取り敢えず今日のことで彼に反発する団員もいるかもしれないけどなるべく彼とは友好的に接して行こうと思う。出来ればファミリアに誘いたいと思っている」

 

「それほどの男か?確かに力はありそうに感じたが…」

 

「おそらく彼はまだ力を見せてないね。ただの力自慢だけなら親指がここまで反応しない」

 

「確かにドチビのとこの子にしておくには勿体なさそうな奴やなぁ…よし、ほなそういう方向でいこか!」

 

「ああ」

 

「了解だ」

 

「うん…」

 

そして夜は過ぎていく…

 

 

 




意見や感想もどしどし送ってください。
(物は投げないでね❤︎)


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狂戦士と猛者

どうもみなさん、作者の黒犬です。前回の7派のコメントで激励をいただき大変感激しました。今後も心が折れるまで頑張って書いていこうと思いました(小学生並の感想)。石を投げてくるか?いいよ来いよ!
では8話どうぞ―。


「さて今日から俺も本格的にダンジョンに潜る…しかしベルの奴なかなか遅いなぁ…。」

 

バルバトスはベルと一緒にファミリアを出たが、ベルが知り合いに謝りに行くといったので先にバベルの前で待っていた。そこに…

 

「あっ…バルバトスさんおはようございます!」

 

「ああエイナ嬢か、おはよう。」

 

「今日からバルバトスさんもダンジョンですか?」

 

「ああ、ベルを今待っていてな…」

 

「そうですか…昨日さんざん言いましたが冒険者は冒険してはいけないんですよ!いいですね?」

 

「ああ了解した。君も仕事を頑張るようにな。」

 

「はい」

 

しばらく待っていると…

 

「バルさん!待たせてすみません!」

 

とベルが走りながらやってきた。昨日から名前が長いためバルバトスの事を略してバルさんと呼ぶようになった。何処かの殺虫剤ではない。

 

「別にいい、ところでそのバスケットはどうした?」

 

「ああ、これはシルさんが二人で食べてって持たしてくれたんですよ」

 

「献身的な娘だな…とはいえお前の好みが昨日のあの小娘の様な奴だとはな…」

 

「べ、べべべつに僕はあの金髪の人のことは…」

 

「誰も金髪の娘などと言ってないぞ…」

 

「しまった!」

 

「まあ、お前の好みだ別に俺が口を出すことではない。だが告白する時は男らしく堂々と行くといい。昨日の駄犬のようなのは嫌われるぞ」

 

「は、はい…」

 

流石「俺の女になれ」と直接的な告白をした狂戦士は格が違った(成功はしていない)。

 

「やはり、ただの洞窟にしか見えんな…」

 

「でもこのダンジョンの壁からモンスターが生まれるんですよ」

 

「そもそもそれが不思議だがな…」

 

彼のいた世界でもモンスターは居たが殆ど野生で育ったものだったため興味深そうに壁を見ている。すると…

 

「…ん?」

 

壁が盛り上がりそこからモンスターが生成される。

コボルトが3匹現れた。バルバトスはどうする?

 

「雑魚が…」

 

バルバトスが斧を軽く振るう。それだけでコボルトは分断され魔石になった。

 

「流石にバルさんにはコボルト程度じゃあ相手にもなりませんね…」

 

「流石にこのあたりのヤツらでは歯応えが無さすぎるな…ベルよ俺は先に行ってもいいか、俺はここのモンスターがどれぐらいできるのか試してきたい」

 

「はい、でも無理はしないでくださいね?」

 

「ああ、お前も自分と相手との力量を考えながらやれよ…」

 

そしてバルバトスはずんずん降りていく。そして8階層についた時前に人影が…

 

「誰だ貴様は道を塞ぐな」

 

「…悪いが俺と戦って貰う」

 

男は人では無かった、この世界では猪人と呼ばれる種族でありオラリオの絶対王者であった。当然来たばかりのバルバトスは知る由もないが…

 

(この男…今までの有象無象とは違うな…)

 

(対面して初めて分かるがこいつはlv1の覇気じゃない)

 

お互いがお互いに力量を肌で感じ取っていた。

 

「名前を聞いてもいいか?」

 

「…オッタルだ。お前は?」

 

「バルバトスだ…」

 

その言葉だけ交わすと2人とも武器を構えた。

 

(久しぶりに血が騒ぐ闘いが出来そうだ…)

 

たとえ狂っていなくともこの男は元から戦闘狂であった。最近は雑魚しか相手にしていなかったためフラストレーションが溜まって居た。

 

(何かほかの視線を感じるがまあいい…今はこの戦いを楽しむ!)

 

ちらりと何も無い空間を見るがすぐに視線を戻す。

 

 

 

 

(この子私に気がついている?)

 

バベルの一室で神の鏡で様子を観察していたフレイヤは少し寒気を感じた。先日たまたま街を見ていて、魂を観察したベルとバルバトスに目をつけた彼女は、まずバルバトスにちょっかいを掛けているのである。

 

(あの白髪の坊やの魂は純粋無垢な真っ白だった。まだ小さいけどいつかすごい輝きを見せてくれる…そして彼の魂は…)

 

(黒い炎が激しく燃えている。だけど…一点だけ金色の眩しい輝きがあった。それはあの坊やにも劣らないであろう輝きを感じた…)

 

「オッタル…彼を試してみて。どうすればあの輝きをさらに強められるか…」

 

 

 

そして…爆音と共に猛者と狂戦士の闘いが始まった。

 

 

 

 




へへっ、やっちまったぜ☆
戦闘描写は自信ないけど頑張ります。

ご意見感想をお待ちしております。


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暴斧

皆さんおはこんばんわぶるあぁぁぁ!作者の黒犬です。
今回は苦手な戦闘描写回なのでひどくても大目に見てね。
ものを投げても今日の俺は鋼体があるかは効かないぞぉ!!


ダンジョン8階層…初級冒険者の死亡率が高くなり始める階層だ。そこではモンスターと冒険者の死闘が繰り広げられるが…二人の戦闘狂によってそれ以上の激闘が起こっていた…

 

2人の武器が鍔迫り合い、火花が散る。オッタルはオーソドックスな両手剣、一見シンプルだがよく鍛えられた逸品だ。対するバルバトスの武器は傍目から見ると異形と呼ぶのにふさわしい斧だった。揃わない刃先と埋め込まれた宝玉が異彩を放つ。しかしオッタルはこの斧の異常性に数合の打ち合いで気がついていた。

 

(この斧魔力を帯びているだと!?魔剣の類か…だが魔剣とは使い切りのもののはず…)

 

オッタルが疑問を感じるのも仕方が無いことだった。この世界の魔剣は魔法を封じ込め1度使うと壊れると言うものだからだ。

 

その昔、異世界で行われた天地戦争の時、バルバトスは地上軍を裏切り天上軍に付いたが、その時に手に入れた大斧「ディアボリックファング」埋め込まれた宝玉が使用者の魔力を喰らい放出することが出来る魔斧である。

 

「流石にただ打ち合うだけでは埒があかんな…少しギアを上げる、付いてこれるか?」

 

「…来い!」

 

「余裕かましてんじゃあねぇ!!」

 

距離が空いたタイミングでバルバトスが斧を掲げるとそこから無数の炎が飛び出しオッタルに向かって飛んでくる。

 

「ふん!!」

 

それをオッタルは冷静に剣で一つ一つ捌く。だがこれはバルバトスに取っては牽制に過ぎない。

 

「潰れろぉ!エアプレッシャー!」

 

オッタルの足元に魔法陣が展開されオッタルの周りだけ重力が何倍にもなったようになり圧力がオッタルを襲う。

 

「くっ…!」

 

「まだだ!絶望のシリングフォール!」

 

するとオッタルの頭上からいくつもの大岩が降って来る。

 

「はぁ!!」

 

気合で何とか体を動かし重力場から逃れる。

 

「ほう…今のを避けるか…やはりただの雑魚では無いな貴様」

 

「…魔法まで使うとはな」

 

「使えるものは使う。それが戦士と言うものだ」

 

「…そうだな」

 

(あの男の特殊スキルか…?さっきから何発か当たっているはずだが奇妙な金属音が聞こえる度に弾かれる…)

 

(少しだけだが鋼体の上からダメージが入っている。まだ鋼体に余裕はあるが用心せねば…)

 

「なあオッタルよ…ここは俺達がやり合うには少し狭いと思わんか…?」

 

「…そうだな」

 

「貴様は俺を試すと言った。ならばこの一撃でこの場は締めんか…?」

 

「何?」

 

「貴様とはいずれ全力でやりたいものだ。この一撃で死んでくれるなよ…?」

 

ディアボリックファングにとてつもない魔力が集まる。咄嗟にオッタルは防御の構えを取る。

 

「微塵に砕けろ!ジェノサイドブレイバー!!」

 

あたりに轟音が響く。オッタルは防御の構えをしていたがそれでも身体中に浅くない傷が出来ていた。そしてオッタルの後の壁が消失していた。

そこでバルバトスは斧を下ろす。

 

 

「今日の俺は紳士的だ、運が良かったな。傷を癒しもっと強くなってから来るといい…」

 

「くっ…」

 

バルバトスは意気揚々と上の階層に帰っていった。

 

「申し訳ございませんフレイア様…」

 

(バルバトス…お前はいつか俺が…)

 

 

 

その時フレイアはバベルの一室で…

 

(あの子は良いわね…白髪の子がダイヤモンドの原石だとするなら、炎の中で煌めくガーネット。但し、取るためには火傷も覚悟しなくてはならない。)

 

新たな可能性と完成品の出現に震えていた。

 

(白髪の子には試練を与え彼の方は暫くは静観しましょう。そして白髪の子が輝くようになったら…)

 

「楽しみだわ…」

 

 




やっぱり戦闘描写は難しいですねぇ…バルバトスの前だとオッタルさんも弱そうに見える不思議。オッタルさんが武人としてのリベンジに燃えて行く事になりそう。ではまた次回。


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