召喚士と英雄の日常 ((TADA))
しおりを挟む

第一章 飛翔編
召喚士とヘクトル


FEHをやっていて星5レベル40になった女性キャラを見ていて思いついたネタ。正直すまんかった。


 「俺の貞操が危ない」

俺は自分の部屋から重騎士で頼りになる壁役、ヘクトルの部屋に突撃していた。ヘクトルは煎餅を食べながら呆れた様子で俺を見てくる。

 「何をいまさら言ってんだ。前からだろ?」

 「違うんだよ! 確かに前からカミラ姉さんを筆頭に貞操の危機はあったけど、最近は特に危ないんだよ!」

ヘクトルの部屋に備え付けられた机をバンバン叩きながら力説する。しかし、ヘクトルは聞き入れないようにお茶を飲み始めた。

 「おまえがバカみたいに召喚するからだろ。自業自得だ」

 「アルフォンスとかシャロン、アンナさんが戦力足りないって言ったから召喚しただけだよ!」

 「まぁ、俺もそれで喚ばれた口だからなんとも言えないけどよ。まぁ、お茶でも飲め」

 「ありがと」

ヘクトルに入れてもらったお茶を飲んで一息つく。

 「それで? 急に焦り始めた理由はなんだよ」

 「そう、それは俺が城を歩いて回っていた時のことだ。隅のほうでカムイ……あ、女性のほうね。とカミラ姉さんが話しをしているのを聞いたんだ」

 「ほ〜、それで」

丸っきり聞く気のないヘクトルを無視しながら話しを続ける。

 「カムイはこう言った『カミラ姉さん、私は召喚士さんのことが好きになってしまったようです』。するとカミラ姉さんはこう言ったんだ『大丈夫よ、私の可愛いカムイ。私も彼のことが好きだから、二人で既成事実を作ってしまいましょう。ええ、絆は15歳の遊牧娘に盗られたけども、子供を作れば私達の勝ちよ』『ですがカミラ姉さん、一人の男性に複数の女性が関係を持つのは、召喚士さんの外聞に関わるんじゃないですか?』『ああ、召喚士のことも考えてあげるなんて、カムイは本当に優しいわね。でも、大丈夫よカムイ』」

俺はそこまで言ってお茶を飲む。

 「『私たちは王族。子孫を残す義務があるの』。それを聞いた瞬間のカムイさんのその手があったかっていう表情が忘れられない……」

 「あ、そう」

 「反応薄いよヘッくん! ヘッくんが意外と大きいピエリの胸を見てたって奥さんのフロリーナと娘のリリーナにチクってもいいんだぞ!」

 「おいばかやめろ。というかその姉妹だったら俺のところじゃなくて、マークスのところに行けよ」

 「行ったさ! 伝えたさ! そしたら『カムイがそんなことを……よし、召喚士よ、諦めて暗夜の国に来るがいい』とか言い始めたよ! シスコンにもほどがあるだろうがくそがぁ!!!」

俺はもう一度机を叩く。

 「あ〜、それだったら他の奴に守ってもらえよ。ほら、あの女忍者……カゲロウだっけ? あいつだったら守ってくれそうじゃねぇか」

 「ふ、ヘクトルよ。忍者っていう生き物が一番信用できないんだよ。カゲロウに入れてもらったお茶を飲んだら意識が飛んでさ……気がついたら全裸で襲われるところだったよ。用事があって部屋に訪れたタクミがいなかったら危ないところだった」

 「お、おう。マジか」

 「マジだよ。主君のリョウマがいないからストッパーがいない」

 「同僚の男忍者がいただろ」

 「サイゾウは歩兵特攻受けて即死するよ」

改めて俺とヘクトルはお茶を飲む。

 「それじゃあ赤髪を結ってる斧騎馬の姉ちゃんはどうだ?」

 「ティアマトさん? ティアマトさんは基本的に守ってくれるんだけど、時折俺を見る目がやばい。カミラ姉さんと同じ目をしている」

 「他に壁役と言えば子供チキとかか?」

 「幼女を常に護衛にして歩き回る姿を見てどう思う?」

 「事案だな」

 「大人のほうだと目が怪しいしなぁ。水着が実装されてはっちゃけている」

そこまで言うとヘクトルはめんどくさそうな顔になった。

 「おい、めんどくさがるなよ」

 「いや、実際めんどくさいんだよ。若い頃の姿で大きくなった娘と毎日顔を合わせているんだぞ? その気持ちがおまえにわかるか?」

 「どうせ、リリーナはロイの嫁になるからいいじゃない」

 「てめ!? ふざけんな!! いくらエリウッドの子供だからってそう簡単に娘を嫁にやれるか!!」

 「じゃあ嫁に出す条件ってなんだよ」

 「そうだな。最低でも俺に勝ってくれないとな」

 「わかりました。それじゃあパオラさんとサナキを呼んできますね」

 「旭日の剣に相性激化とか死ぬわ! しかも俺は魔防が低いんだぞ!!」

 「ロイとリリーナも赤だからワンチャンあるね!」

 「ふざけんな!」

とりあえず口喧嘩を中止して再度お茶を飲む。

 「ああ、さっき出てきたパオラとかいいんじゃないか? 育てているだろ?」

 「ヘクトル。これだけは言っておく」

 「おう、なんだ」

 「パオラさんは尊い」

 「よし、出てけ」

 「あ、冗談! 冗談だから!! 実際はいい人すぎて頼みずらいんだよ。しかも内容が女性関係だぜ?」

 「まぁ、わからなくもないが。それじゃあヒノカとかどうだ?」

 「あの人もカミラ姉さんと同族だ」

俺の言葉にうわぁ、って表情になるヘクトル。だが、事実だ。カミラ姉さんと一緒で愛が重い。

 「それじゃあクライネなんてどうだ?」

 「彼女はツンデレだが愛に飢えている。あとはわかるな?」

 「……そうか」

ヘクトルは重々しく頷いてお茶を入れ直す。

 「ここに召喚された時は久しぶりにおまえと会えて嬉しかったんだがなぁ」

 「リンには泣かれたし、エリウッドも喜んでくれたよ。プリシラとかレイヴァン、ルセアとかもね」

二人でしみじみと呟く。

 「……うん? ちょっと待て。今の中にマシューがいなかったぞ」

 「マシューは速さの鼓舞を持っているから仕方ないね」

 「うぉぉぉい!! スキル継承か!? スキル継承したのか!?」

 「ニノがいるからジャファルも呼んであげたいんだけどねぇ」

 「おい、無視するな!! マシューはどうした!!」

 「うるさいなぁ。それだからヴァイス・ブレイブ内でホモ疑惑が出るんだよ」

 「……マジで?」

 「マジで。まぁ、噂を流したのは俺だが……ってヘクトル! アルマーズを仕舞おう!!」

 「おう、安心しろ。リンにはあいつはバカだから死んだよって伝えてやるから」

 「おい、バカ。マジでふざけんな!! 重騎士相手に元軍師現召喚士が勝てるわけないじゃないですか!!!」

 「すまない、ここに召喚士が来てないかい?」

 「ルフレ!! ちょうどいいところに!! ヘルプ!!!」

 「あぁ、いたね。いや、僕はあまり伝える気はなかったんだけど、クロムが伝えたほうがいいって言うから来たよ」

ルフレ(男)の言葉に停止する俺とヘクトル。続けてルフレは笑顔でとんでもないことを言い始めた。

 「アンナさんが君との結婚する権利を競売にかけてね。女性陣がすごい勢いで値段を上げていってるよ」

 「ふざけんなあの強欲守銭奴商人がぁぁぁ!!!!!」

俺はヘクトルを蹴り上げて扉から飛び出すのであった。

 

 

 

 「やれやれ、相変わらずうるさい奴だ」

 「まぁ、自分の人生を商品にされたら怒るよね」

 「……ちなみにリンはいたか?」

 「競売場にはいなかったよ。そのかわりにソール・カティとミュルグレとキャンドルサービス持って召喚士を探してたけど」

 「フル装備じゃねぇか……」

城内で召喚士の悲鳴が聞こえるのであった

 




召喚士
 ガチャは回せば出ると思う教徒。ガチャで大事なのは回転数だ……!裏設定として烈火の剣に出てきた軍師っていう。リンと結婚させてあげたかった……!
 この小説では無自覚人誑し。星とレベル上げたらみんなデレるから仕方ないよね。

ヘクトル
 召喚士の悪友。最初はエリウッドで作ろうかと思ったけど、話の内容的にヘクトルのほうがいいかなと思ってヘクトルになった。
 召喚士に若い奥さんと大きくなった娘を召喚されて複雑な気分。それを召喚士にNDK(ねぇどんな気分?)と煽られて追いかけっこをする日々。



作者はFEHの配信当日からやってます。とりあえずリンかカミラが出るまでリセマラしようと覚悟完了したら30分でカミラが出た。その後に微課金したらリンも出た。バニーカミラと花嫁リンも出て、英雄配布ではもちろんリン一択。そして弓騎馬リンのぶっ壊れ性能に驚愕した。あと一人特別なリンが出たらリンちゃんパーティが組めるぞ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とルキナ

先に言っておきます、サクラファンには申し訳ない。


さて、基本的に俺の部屋は一部の愛の重い英雄以外は出入り自由である。悪友のヘクトルやエリウッドはしょっちゅう遊びに来るし、重度のシスコンであるエフラムも妹自慢をしにくる。ティアマトさんも「体を鍛えなさい」とか言って修練場に連行されたりする。

そんな中今日来たのはルキナである。父親のクロムに強い憧れを持つ彼女はゲイルスケグルを担いで召喚された。彼女を召喚する過程でヘクトルの奥さんが2人くらい召喚されてヘクトルが血を吐いていたのを爆笑したのは記憶に新しい。そんな彼女は重々しい雰囲気で俺に相談したいことがあると言ったのだ。普段は巫山戯ていても真面目になることもある俺である。

とりあえず部屋のクローゼットにいたカゲロウを同僚のサイゾウに引き渡し、お茶を用意して机に着き、ルキナの言葉を待つ。そしてルキナは口を開く。

 「実はお母様についてなんです」

お、これは想像以上にヘヴィーな問題だ。召喚した英雄が親子関係なんてこともあるので、あまり触れるようにはしていない。ヘクトル? あいつはいいんだよ。

 「お父様は本当にお母様のことを愛していたのかと……」

まぁ、ゲームのシステム的に母親候補がいっぱいいるもんね。

 「なんでそんな風に考えたんだい?」

 「それは……」

俺がそう問いかけるとルキナは少し言い淀むが、やがて決心したのか強い口調で言う。

 「お父様とルフレ様の距離がすごく近い気がするんです!!」

 「……うん?」

おっと、少し話の展開がおかしいぞ

 「お父様とお話をしていても出てくる名前はルフレ様、ルフレ様……ならばと思ってルフレ様にお話をしにいくとお父様の名前ばかり……これはお互いに想いあっているのではないかと思うんです!!」

 「……ちなみにルキナが言っているルフレは男のほう? 女のほう?」

 「? ここには確かに女性のルフレ様がいらっしゃいますが、私の中のルフレ様は男性ですよ?」

クロムのまさかのホモ疑惑……!!いや、確かに俺もあいつらはホモ臭いとは思っていたが。

 「男性同士でなんてことはないと思ったのですが、ゼロ様が『愛に性別は関係ない』とおっしゃっているのを聞いてしまって……」

とりあえずゼロは絶許。とりあえずルキナが泣きそうなので、これをどうにかしないといけない。うなれ灰色の脳細胞……!!

 「確かにあの二人は怪しいというか完全にホモを疑うレベルだけど、それでルキナのお母さんを愛していなかった理由にはならないよ。親愛と友愛は違うしね」

 「そうでしょうか……いえ! でしたらお父様を真っ当な道に戻してあげるのも私の使命なのでしょうか」

 「話は聞かせてもらいました!!!」

そんな叫びと共に俺の部屋の扉を開け放ってきたのは白夜の王女・サクラであった。サクラは俺の部屋に入ってくると、座っていたルキナの手を握る。

 「大丈夫です。男同士が愛し合うなんて普通なんです」

 「おまえは何を言っているんだ」

 「ホモが嫌いな女子はいません!!!」

 「本当におまえは何を言っているんだ」

俺の突っ込みを無視するサクラ。おい、普段の引っ込み思案でオドオド系妹キャラはどうした。

 「男同士で愛し合うなんて普通なんです。現に白夜王国では衆道と言って男性が男性の性欲を満たすことなんて普通だったんです。白夜王国で普通だったということは他の王国でも普通のはず。つまり王族であるクロム様がホモだったとしてもそれは当然なんです!!」

 「おまえは本当に何を言っているんだ」

 「男同士だけど愛さえあれば関係ないよね!!」

 「出てけ」

とりあえずテンションが上がり始めたサクラを廊下に放り出し扉を閉める。しばらく扉が叩かれていたが、魔法の音と共に大人しくなった。おそらくは風紀委員のセシリアさんのグルンレイヴンで黙らされたのだろう。

とりあえず顔を真っ赤にしてプルプルしているルキナをどうしようか。

 「あ〜、ルキナ? 国よって事情が違うだろうから、サクラの言うことは」

 「そうだったんですね!!」

俺の言葉を遮って立ち上がるルキナ。

 「私はお父様に剣を習いました。槍もお父様に習いました。他のことを教えていただく機会はありませんでしたが、イーリス聖王国にはそんな文化があったなんて……!!」

 「いや!! ない!! 絶対にないから!!!」

 「こうしてはいられません!! 早速お父様に他にもどのような文化があるか教えてもらいにいきませんと!!!」

ルキナはそれだけ言うと俺の部屋から飛び出していく。そして開け放たれた扉からエリウッドが不思議そうに覗き込んできた。

 「今、ルキナちゃんが君の部屋から飛び出していったけど、何かあったかい?」

 「なぁ、エリウッド。もしおまえがロイからホモ扱いされたらどうする?」

 「とりあえず君かヘクトルの仕業だから、二人にデュランダルを叩きつけるかな」

 「こやつめ、ははは」

そんな会話をしていると、クロムがファルシオン片手に鬼の形相でやってきた。

 「おい、召喚士よ。ルキナに何か余計なことを吹き込まなかったか?」

 「信じてもらえないだろうけど、俺は言う。俺は関係ない」

 「そうか、俺は友に手をかえるなんて悲しいことはしたくなかったのだがな」

 「殺意満点じゃないですかぁ……ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 「なぁ、タクミ」

 「なんだよ」

 「白夜王国ってホモが多いの?」

 「は? いや、ちょっと待って。どこからそんな情報が出たのさ」

 「サクラ」

 「……サクラはちょっと趣味に偏りがあるだけだよ」

 「その苦虫を噛み潰した表情はなんだよ」

 「少なくとも僕とリョウマ兄さんにはない」

 「そうか……サクラが腐っていただけか」

 




ルキナ
 これの中では純粋キャラ。ファルシオンのほうはいません。きっと一癖も二癖もある英雄から話された内容を信じてクロムが怒り狂うのだろう。

サクラ
 腐ってやがる、早すぎたんだ……!! ファンの人は正直すまんかった。でもifをやっている時から腐っている気がしたんだ。





覚醒をやっている時から思っていたことを書きました。二人の関係が親友とかのレベルじゃない気がしたんだ。尚、作者はノーマルです。フィオーラの実装はまだですか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とセシリア

封印の時の魔導軍将は仮の姿。FEHのセシリアさんが本気の姿だって信じてる。


 「私に戦術を教えていただきたいのです」

自分の部屋でヘクトルとお茶を飲みながら雑談をしていると、セシリアが部屋にやってきてそんなことを言ってきた。

 「え? なんで俺にそんなことを?」

 「ヘクトル様より召喚士殿がエルク様の戦術の師ということをうかがいまして、私もエルク様が召喚士殿より教わった戦術を学びました。その時に使われた書物を書かれたのが召喚士殿だったそうなので、ぜひとも直接学びたいと思いまして」

 「ちょっと待ってもらっていい?」

 「どうぞ」

とりあえずセシリアに許可をもらって部屋から逃げようとしたヘクトルを捕まえて部屋の隅にいく。

 「ちょっと待てヘクトル。俺エルクに戦術教えた覚えないんだけど」

 「いやいや、ほら思い出せよ。戦いの途中で俺とおまえとエリウッドで酒呑んで、ベロベロに酔っ払ってエルクに色々教えてやっただろ?」

 「……あぁ、色々教えすぎてパントとルイーズに魔法と弓の的にされたときか」

 「それそれ。その時におまえに教えてもらった使えることを本にしたらしくてよ。それを教育に使ったらしいぞ」

俺もリリーナからおまえの名前聞いてビビったわ、とか言っているヘクトルは無視する。

 「ええっと、セシリア。エルクからは俺のことをどんな風に聞いてる?」

 「天才的な戦術眼と戦略眼、国や民のことも考えた『神軍師』だと」

 「ごめん、またちょっともらっていい?」

 「……? はぁ、どうぞ」

とりあえずセシリアの言葉を聞いて爆笑したヘクトルに蹴りを入れて黙らせると、再び密談する。

 「なんで俺はそんな高評価受けてんの?」

 「まぁ、主にパントとルイーズのせいだな。パント曰く『あれだけ迷惑かけといて勝手に姿消した人間にも少し苦労してもらったほうがいいよね』とか言っていたらしいぞ」

 「とりあえずあの優男が実装されたら修練の塔を死ぬほど周回させてやろう」

 「あれ? それって普段からリンがやられている状況じゃねぇか?」

 「絆上げるから仕方ないな」

とりあえずあのマイペース優男に復讐を誓う。

再度、セシリアのところに戻る。

 「あ、ヘクトル。セシリアの分のお茶入れてくれ」

 「え!? しかし、オスティア侯爵にお茶汲みなど……」

 「大丈夫、大丈夫。ヘクトルなんかフロリーナの尻に敷かれてオズインに説教されるダメ君主だから」

 「おまえは後で闘技場裏な」

そんな文句を言いながらもヘクトルはセシリアのお茶を入れてくれる。それをセシリアは恐縮した風に受け取った。

 「とりあえずその本って今持ってる?」

 「はい。私は常にこれを持ち歩いているので」

そう言って渡された本を軽く目を通す。それは確かに俺が旅をしながら色々な人に言っていたことだった。その中には当然ヘクトルに語ったことも含まれていた。俺はヘクトルを睨むがやつはすでに逃げた後だった。とりあえず後でサナキに相性激化のシムベリンを叩き込んでもらおう。

 「だいたいはこれに書かれていることがすべてだよ。他に何が聞きたいんだ?」

 「そうですね。たとえば、ここの記述なんですが」

その後はセシリアの質問に俺が答える形式となった。それからしばらく授業のようなものをしている。

 「召喚士! あなたまた浮気!?」

 「待ってリン。その情報には重大な誤りがある。セシリアも照れてないで否定して。そしてミュルグレとソール・カティはしまって」

キャンドルサービスを持ってきていないのは俺を傷つけることはないということで信じたい。

 「召喚士さん! セシリアさんを部屋に連れ込んでいるって本当ですか!?」

 「落ち着けプリシラ。その情報には悪意を感じる」

とりあえずリンとプリシラを宥めて情報源を聞き出すとラズワルドらしい。あの女好きは後で殺すとしよう。

 「私は召喚士殿に戦術を教えてもらっていたのです」

 「戦術? 召喚士に?」

 「はい。召喚士殿が伝説の『神軍師』と聞き、ぜひとも直接教えを請いたいと思いまして」

リンの言葉に、ハッキリと答えるセシリア。

 「そういえばセシリアさんは召喚士さんのことを尊敬しているって話をしていましたね」

 「そ、それは、まぁ。エルク様やパント様からよく逸話を聞いていましたので……」

セシリアの返答にリンとプリシラは部屋の隅に行き、なにやら相談している。俺は話の矛先がずれたことに安心して、お茶を飲む。いやぁ、お茶が美味い。ヘクトルは貴族なんかやらずにお茶汲みをやるべき。

 「それじゃあセシリアは召喚士に特別な想いは抱いていないのね」

 「特別な想い……ですか?」

 「簡単に言うと好意です」

プリシラの言葉に真っ赤になるセシリア。召喚士知ってるよ。この話で不幸になるのは召喚士だって。だってその証明にリンがソール・カティを持ち出して、プリシラがパニックの準備をしているもの。

 「弁護士を呼ぼうか」

 「いいわよ。それじゃあ私が裁判長、プリシラが弁護士ね」

 「わかりました。裁判長、被告人は有罪がいいと思います」

 「待って。弁護士が弁護してない」

 「判決、有罪」

 「なんというスピード裁判」

俺はそれだけ言うと部屋の窓から飛び出して逃げるのであった。

 

 

 

 

 

 「やれやれ、あいつの女難は相変わらずやばいな」

 「あの、ヘクトル様」

 「うん? フロリーナか。どうした」

 「いえ、軍師さん……じゃなかった。召喚士さんからヘクトル様が浮気をしていると聞きまして」

 「ハハハ、そんなことするわけないだろ? ここにはリリーナだっているんだから」

 「そ、そうですよね。私お目付役のオズインさんがいないから不安になっちゃって……」

 「安心しろって。俺はそんな不義理な真似はしねぇよ。だからそのアーマーキラーは置いとこうぜ?」

 「そうですね。シーダさんから借りてきたので返してきます」

 「ああ、そうしとけ」

 「はい。それじゃあ、また」

 「……とりあえず召喚士は殴っておこう」

 




セシリア
 魔導軍将。大層な肩書きの割に弱かった封印時代。烈火の魔導軍将との差が激しくないですか?ここでは城内の治安を守る風紀委員。そして烈火の軍師を尊敬しているって設定。FEHで使いかってがよくてテンション上がった。

リン
 かわいい

プリシラ
 公式でブラコン、嫉妬深いと書かれる猛者。作者は星4を40まで育てたら星5が出た。もちろん40まで育てた。



この話を書くために烈火のキャラ設定調べたら、ホークアイの娘がイグレーヌでびびった


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエリウッド

感想でペーペーのペーさんに言われて思いついたネタです


第一話(ヘクトル)の時はヘクトルの部屋。第二回(ルキナ)と第三回(セシリア)の時は俺の部屋。きっと読者は今回も誰かの部屋でお茶を飲みながら始まると思っているだろう

 「だが残念。君は食堂で石抱という拷問を受けているわけだ」

 「地の文に突っ込むんじゃないエリウッド……!」

絶賛悪友の手により拷問にあっていた。

 「というかFEの世界に石抱の拷問があるのかとか、気が付いたら食堂に連れてこられたとか突っ込みどころが多すぎて突っ込めない」

 「ギャグ時空だから許されるんだよ。ちなみに君を拉致したのはサイゾウだよ」

 「あのクソ忍者はマジ絶許」

 「ちなみに命令したのはヒノカだよ」

 「中間管理職の闇をみた」

サイゾウは主君の妹からの命令を断れなかったのか。というかなんでヒノカはそんな命令したの? バカなの? シスコン&ブラコンなの?

 「ちなみにヒノカに依頼したのは僕だ」

 「諸悪の根源はやっぱり貴様かぁぁぁ!!!」

犯人は目の前の男だった。

 「ちなみに報酬は何を支払った?」

 「カムイくんとカムイちゃんの貴重な触れ合いシーンの写真さ」

今頃はカミラと写真の奪い合いをしているんじゃないかな、なんて爽やかに笑うエリウッド。

外が大騒ぎになっているのはその所為か。きっとヒノカの部下であるセツナはよくわかっていない表情で、アサマは糸目なのに哀愁を漂わせて従っているのだろう。カミラ姉さんのほうはベルカとルーナか……

 「あれ? カミラ姉さん相性的に勝ち目なくない?」

 「君はカミラにアイオテの盾をスキル継承させたのを忘れたのかい?」

 「おぅ。そうだった。それはそれとしてアサマって言うなら巨乳のズドン巫女が召喚されるべきだと思うわけだが」

 「それ以上いけない」

エリウッドはそう言いながら俺の膝にのっている石を一枚追加する。俺がそれに悶絶するがエリウッドは気にした風はない。

 「あ、ちなみにリンとかの助けは期待しないほうがいいよ。ヘクトルが足止めしてくれているから。いやぁ、君を苦しめたいっていう話をしたら喜んで協力してくれたよ」

 「今度フロリーナにヘクトルがカミラ姉さんの胸を凝視してたことチクるわ」

 「ちなみにサーリャの胸も見ていたよ」

あっさりと親友を売り飛ばすエリウッド。ヘクトルは地獄を見ればいい。

 「それで? 俺はなんでこんな拷問を受けているんだ?」

 「うん。まぁ、簡単に言うとロイのことなんだけどね」

 「総選挙ロイが引けなかったことか?」

 「いや、それじゃないんだけど。でもそれは許さないからな」

マジ顏になるエリウッド。エリウッドさん息子さんのこと好きすぎじゃないですかねぇ。

 「まぁ、簡単に言うとロイをスキル継承に使ったな貴様」

俺は黙って視線を逸らす。だがエリウッドの追求は止まらない。

 「ここには星5ロイと星4ロイがいたわけだけど、ある日を境に星4ロイがいなくなったんだよね。それと同時期に何故かセシリアが相性激化3を覚えていたわけだけど」

 「そ、それはサナキにお願いしてだな」

 「確かに君は星5サナキを3人召喚したけど、一人は育成、後の二人はスキル継承に使ったよね? ティアモも星4はいるけど星5はいないよね? いやぁ、何故だろうなぁ。なんでセシリアは相性激化を覚えたのかなぁ?」

 「待て待てエリウッド。石抱は4枚以上のせたら生命活動がやばいってみんな大好きウィキ先生に書いてあった。今、俺にのっているのは4枚。あとはわかるな?」

 「じゃあ2枚行ってみようか」

 「ダメぇぇぇぇぇ!!!!!」

無慈悲にのせられる石2枚。何故俺は正気を保っていられるのだろうか。

 「それはここがギャグ時空だからさ」

 「だから地の文を読むんじゃない」

 「まぁ、それはいいとして星4ロイはどこに行ったのかな?」

 「……答えはわかってるよな?」

 「被告人本人から聞きたいのさ」

コロス笑顔になっているエリウッド。あぁ、これは激オコなやつですわ。

 「セシリアにスキル継承させていただきました」

 「理由は?」

 「無色と青の二色に有利になるのは魅力的だったのと、ロイは星5もいたからいいかなと思って」

 「ギルティ」

俺の弁明にエリウッドはそう告げると台所の奥に入っていく。そして台車にのせて持ってきたのは明らかに加熱され続けていたであろう鉄板。ものすごく嫌な予感がする。

 「エ、エリウッドさん?」

 「僕は思うんだ。本当に申し訳ないと思っているならどんなところでも土下座できるって」

そこまで言って笑顔を俺に向けてくるエリウッド。

 「たとえそれが高温に熱せられた鉄板の上だろうが……!!」

 「待つんだ! それはやっちゃいけない奴だ!」

 「問答無用だよ。さ、バアトルにも手伝ってもらって鉄板の上に行こうか」

 「何故にバアトル!?」

 「フィルがいまだに星3レベル1なのが許せないらしいよ」

 「くそ!? 親バカばかりか!? 誰かぁ!! 誰かぁ!!!!」

 「待たせたな召喚士!!」

食堂の扉を開け放ってくれたのはエフラム!! 青のメイン盾エフラムじゃないか!! これで勝つる。

 「エリウッド。いくら召喚士がナチュラルクソ外道だとしても、流石に拷問はやりすぎだ!!」

 「最近はエイリークも彼を熱っぽい目で見ているよね」

 「エリウッド。こいつは殺そう。拷問なんて生ぬるい、すぐ殺そう」

 「このシスコンがぁ!!!!!!」

守護者だったはずなのに死刑執行人になった。いや、確かに最近エイリークが召喚されてニノ砲やサーリャ砲ができるかなと思って育成しちゃったけどさ。

 「さ、逝こうか」

 「待ってエリウッド! 字が違う! 字が違うから!!」

 「いやいや……死ぬんだからこれであっているよ」

 「や、やめてハギャァァァアァァ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 「いやぁ、たまにはあいつも痛い目にあうべきだよな。主に俺の精神を殺しにくるんだから」

 「ありがとうヘクトル。助かったよ。僕だけだとリンを筆頭にした女性陣は止められないしね」

 「なぁに、かまわねぇさ。あいつの不幸で飯が美味い!! しかもエリウッドの奢りだしな」

 「いやいや、君の今回の苦労とこれからの苦労を考えればね」

 「そっかぁ。いやぁ、俺も頑張っちゃったからなぁ……うん? これから?」

 「そうこれから」

 「待てエリウッド。どういうことだ。うん? フロリーナとリリーナ? なんで俺を引きずっていこうとしているんだ? 待ってくれ。そのアーマーキラーとボルガノンはなんだ。待て。待ってくれ。エ、エリウッドォォォォ!!!」

 「さよならヘクトル。君は僕らに関することは口が軽いからね」




エリウッド
 なんか書いているうちにすごく腹黒い感じになってしまった。勘違いしないで!彼はロイのことを大切に思っているだけだから!!他の英雄には優しい人だから!!!

エフラム
 書いているうちに勝手に出てきた。星5エイリークが育っていたので出てきたんだろう。星4エイリークもいるが、彼女がスキル継承に使われたら阿修羅を凌駕する存在になるだろう。



ペーペーのペーさんの感想を読んで、そういえば星4ロイをセシリアのスキル継承に使ったなぁと思って書いたネタ。

召喚士と烈火主人公三人組はとても仲良しです。召喚士とヘクトルとエリウッドの三人は同性なので遠慮もしません。リンちゃん? リンちゃんは召喚士の嫁です。

ここの召喚士がFGOのカルデアに召喚されるネタも妄想しました。ですがそこでもヘクトルの扱いは変わりません。きっと彼は宝具の盾にでもされるのでしょう。

次回は絆がSになったのでリンちゃんネタでも書こうかと。甘い話? すまない、これはネタ小説なんだ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とアクア

最初はリンちゃんの予定だったけど、新ガチャでこの人が出てきたんでこの人です


俺はとある英雄を自室に呼び出していた。俺が自分から英雄を呼び出すことは少ない。そのために食堂で呼び出した時は女性陣が殺気だった。特にリンが般若の顔になっていたのはできれば忘れたい事実だ。そしてヘクトルが「お、ついに脱童貞か?」とかほざいたことは許さない。後で修練の塔10階層赤魔オンリーに突っ込んでやろう。

俺が緊張しながらお茶を入れながら待っていると、扉がノックされる。

 「失礼するわ。何かあったかしら召喚士」

青い長髪を靡かせて入ってきたのは歌姫アクアだ。ほのかに香るシャンプーの匂いは何故だろうか。顔も少し緊張している。

 「よく来てくれたアクア。お茶を入れるから座っていてくれ」

 「ええ」

俺の言葉に頷き、テーブルに座るアクア。俺はお茶の準備をすると俺も席に着く。

 「実はアクアに言いたいことがあるんだ」

俺の言葉に緊張の他にどこか期待を見せる表情になるアクア。

 「実は……」

 「ええ、最後まで言わなくてもいいわ」

流石はアクア。よくわかっている。

 「優雅なる舞踏祭アクアに関してなんだけど」

 「いくら絆をあの遊牧娘としたからと言って、英雄値が一番高い私のことが一番……なんですって?」

 「いや、だから優雅なる舞踏祭アクアについてだって」

あれ? 何か変なこと言ったかな。アクアが俯いてプルプルしてる。

 「紛らわしいことしないで!」

 「え!? ちょっと待って!! なんで蒼海の槍とウルズを持ち出してんの!?」

 

 

突然暴れ出したアクアをなんとか宥めて本題に入る。

 「それで? 優雅なる舞踏祭がどうかしたの?」

 「いや、今日ガチャったら即アクアが出てきてテンション上がったんだけどさ」

 「よかったわね。これはきっと運命よ。だから私と絆を結びましょう?」

 「後半は聞き流しますね。それより優雅なる舞踏祭のアクアだよ」

 「何か問題でもあったかしら?」

心底不思議そうに首を傾げるアクア。俺は癌患者に病気を告知するつもりで告げる。

 「強すぎないか?」

 「……はぁ?」

心底意味がわからないって顔をするアクア。いやいや

 「いいか、アクア。おまえが持っているウルズの性能を見ろ」

 「威力16に『歌う』『踊る』使用時に対象の攻撃、速さ、守備、魔防+3ね」

 「おかしいだろ!!」

アクアが心底わかっていないという言い方につい怒鳴ってしまった。アクアも驚いた表情をしている。反省しないと。怒鳴っていいのはヘクトルとエリウッドだけだ。

 「いいか、たとえばサーリャに歌うをかけて再行動させただけでも攻撃力が15も上がるんだぞ!! ヘクトルなんて即死だ!!」

 「そこであえてニノを出さずにヘクトルを殺せるサーリャを出すところに疑問を感じるわ。あなた達は本当に親友なの?」

 「エリウッドにも聞いてみろ。『ヘクトル? あぁ、だったらいいよ』って言うから」

親友って何なの、って呟いているアクア。俺たちの関係が疑問視されるのはヴァイス・ブレイブ内では当然のことだ。俺が軍師時代からの付き合いのやつらは大人しくなったと思っているが。

 「しかも相性激化持ちだぞ? どんだけ優遇されているんだ」

 「それを私に言われても困るのだけど……」

とりあえず落ち着くためにお茶を飲むと、アクアも一息つくためにお茶を飲んだ。

 「この状況だとノーマルアクアの出番がなくなって舞踏祭アクアばかりになるぞ」

 「ちょっと待って」

俺の発言に制止してくるアクア。はて、なんだろうか。

 「なんで普通の私の出番がなくなって、舞踏祭のほうの私だけになるの?」

 「いや、普通に出撃の時に『歌う』『踊る』要員は一人でいいから、必然的に誰かの出撃制限がかかるんだが」

 「そ、それだったら私じゃなくてニニアンとか……」

 「ただでさえアクアに出番取られているニニアンの出撃を制限するとか鬼ですか」

魔防が低い相手だったら竜のニニアンのほうがいいまである。

 「闘技場のメンバーも変えなきゃいけないかなぁ……」

 「!? ま、まさか私を外すの!?」

 「いや、青とか赤だったら問答無用で交代なんだけど、緑斧なんだよなぁ、舞踏祭アクア。緑斧はヘクトルがいるからなぁ」

あのバカは遠距離反撃を持っているから壁役として便利。赤魔のみなさん、ぜひとも焼いてやってください。

俺の言葉にどこか安心したような様子なアクア。

 「まぁ、どっちにしてもアクアにはかわりないんだけどさ」

 「私達の気持ちの問題よ。召喚士に頼りにされるのが自分とは言え、それまでの自分を蔑ろにされるのはいい気分ではないわ」

 「そんなもんかねぇ。カミラ姉さんはバニーの時はノリノリだったし、リンも花嫁姿とか楽しんでいたけど」

 「いえ、リンは恥ずかしがっていたでしょう?」

それを俺とヘクトルがからかってキャンドルサービスで攻撃された気がするけど忘れよう。きっと全部ヘクトルが悪い。

 「それと召喚士、間違っていることがあるわよ」

 「え? 何が?」

アクアが表情を引き締めて俺に間違いがあると指摘してくる。はて、何のことだろうか。

 「ガチャではないわ。英雄召喚よ」

 「任⚪︎堂の言い方はどうでもいいよ。むしろ言い方を変えてもオーブを金で買ってランダム召喚って時点でガチャだよ」

 「ダメよ。情報が解禁された時にガチャじゃなくて英雄召喚って会社側が言っていたでしょう」

 「俺はリア友とその情報を見て『ガチャだよな』って言っているよ。むしろ攻略サイトにもガチャって書かれているから」

 「公式がガチャと言ってなかったらガチャではないのよ」

 「……うん、まぁその辺りの追求はやめとこうか」

 

 

 

 

 「あの、召喚士さん。ちょっといいですか?」

 「うん? オリヴィエか。どうかしたか?」

 「いえ、あの……優雅なる舞踏会で私は召喚していただけないのかな、と思って」

 「……実はオーブに余裕がなくてな」

 「備蓄が100個以上あるってアンナさんが言ってましたけど」

 「……」

 「……」

 「サラバダァ!!」

 「あ! 待ってください! 召喚室! 召喚室に行きましょう!!」

 




アクア
 戦う歌姫。FEHで出てきた時に武器が丸太じゃなくて疑問に思った人は俺だけじゃないと思ってる。最初からこの人が出るまでガチャろうかと思っていて、何回アズールバリアが働くかと思っていたら初回無料で出てきてくれた。思わずこれって運命(トゥンク)ってなった。そして性能を見て愕然とした。




最近は壊れ性能の英雄が多くありませんかねぇ。悪いわけではないんですけど、それやられると初期キャラが可哀相なことになるんで。
でもオーブの配布とレアリティ出現率の変更はとても助かっています。戦禍の連戦もクリアしやすくなりましたし。さぁ、アクアさん! 漆黒の騎士さんと一緒に修練の塔の時間だ!!

ちなみに本文に出てきたリア友はオーブを600個ためているそうです。


追記:感想にてサーリャの上がる攻撃力が12ではなく15と指摘されましたので、修正しました。ご指摘感謝です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とカムイ

リンの話を書こうと思ったら、感想で『カムイが来てもいいのよ?(意訳)』と書かれたので書きました。だが、すまない……! 今の俺にはこれが限界だ……!


俺は戸惑っていた。何せ部屋でノンビリしていたらカムイ(女)のほうが突然やってきて、俺の顔を撫で始めたのだ。部屋に一緒にいたエリウッドとヘクトルはいい笑顔で『ごゆっくり』とか言って出て行った。奴らは確実に俺を不幸にするだろう。その前にやつらを黙らせる(殺す)方法を考えねばならない。

 「どうですか? 召喚士さん」

 「突然部屋にやってきて顔を撫で始められたことには驚いたな」

う〜ん、おかしいですねぇ。とか言ってるこの竜はなんなのだろうか。

とりあえず顔を撫でさせるのをやめさせて席に座らせる。お茶の準備をしている間に見つけたヘクトルの忘れ物(エロ本)を片足でベッドの下に蹴り入れる。これは後でフロリーナ案件ですわ。フロリーナとの親友のリンにも報告しておこう。

お茶を入れて机に置き、俺も席に着く。

 「それで? なんで急に俺の顔を撫で始めたんだ?」

 「いえ、こうすれば召喚士さんとの絆が上がると思いまして」

 「ここはFEifじゃなくてFEHだし、しかも俺はもう絆はリンと結んでいるとかツッコミたいけど、とりあえずその知識は誰に植え付けられた?」

 「FEif? FEH? すいません、よくわかりませんけど絆はいくらでも変えられるとジョーカーさんが。その情報を教えてくれた時に何故か血涙を流していましたけど、なんだったのでしょうか?」

おう、あの執事。俺がカムイと絆結んだら確実に殺しに来るんやないかい。

 「それにジョーカーさんやフェリシアさん、マークスさん、カミラさん、ヒノカさん、サクラさんは喜んでくれましたよ? タクミさんは恥ずかしがっていましたけど」

 「それみんな君のことが大好きな人たちだから」

その人選は間違っている。確かめるならぜひともロンクーにやるべき。

 「ギュンターは何か言ってなかったか?」

 「ギュンターさんは……そう言えばこの世界ではあまりやらないほうがいいと言っていました」

唯一の良心が働いていたようだが、それでも止めることはできなかったらしい。すまないギュンター。そのうち星5にしてやるからな。

 「あまりそれをやると騒ぎになるからやめとけよ」

 「はい、その辺はカミラさんとヒノカさんに注意されました。やるなら兄弟か召喚士だけにしろと」

 「……その他に何か言っていなかったか?」

 「何かですか……?」

カムイはそう言いながら人差し指を立て、それを頬に当てながら考える。顔立ちが美形だから『私、考えています』のポーズだが、俺やヘクトルがやると『虫歯が痛いんです』になるポーズだった。

だが、すぐに思い立ったのか笑顔で口を開いた。

 「上手くいけば召喚士さんが私達の世界に来てくれると言っていました!」

 「おや? 誘拐かな?」

リン、ヘクトル、エリウッド達も俺のことを拉致していく気満々なので、この世界で戦いが終わっても、別次元同士の戦いが勃発しそうである。FE無双?  悪いがうちにはスイッチがないんだ。

 「う〜ん、でも本当に効果がないのでしょうか……もうちょっと試してみていいですか?」

 「ダメに決まってるだろう」

こんな呑気に会話している間にも、部屋の外では大騒ぎになっているようである。どうやらヘクトルとエリウッドがデマを流し、それに怒り狂った夜叉の群れがいるらしい。この後のことは考えたくない。

 「それで? 用事はこれだけか?」

 「いえ、違います」

マジか。もうこれで帰っていただいて、俺も早いところ逃亡したかったのだが。カムイはどこか真面目な表情になって俺を見つめてくる。

 「なんで水着の私を召喚してくれなかったんですか?」

 「えぇ〜、今更?」

季節外れにもほどがあるだろ。だが、そんな俺の反応にカムイは怒った様子を見せた。

 「今更じゃないですよ! 前から言いたかったんですけど、言う機会がなかったんです!!」

プリプリと怒るカムイ。そんなこと言われてもなぁ。

 「普通のソシャゲだったら水着イベントは一回だろ? なんで八月にもう一個来るんだよ」

 「チキさんは引いたのに、なんで私は引いてくれなかったんですか!?」

 「チキだけでオーブを使い切ったからだよ」

 「買えばいいじゃないですか!?」

平然と課金を勧めてくる。だが、俺はソシャゲの闇を知っている。一度課金し出すと際限がなくなるのだ。なのでFEHにはあまり課金しないようにしている。

 「というかなんで絆を結べるのは一人だけなんですか! 支援Sまで行かなくてもAまでは上がってもいいじゃないですか!?」

 「別に結婚するわけじゃなくて、能力が上がるだけだからいいじゃん」

 「だったら私と絆結んでください」

 「すまない」

 「即答ですか!?」

だってカムイ(女)のスキル継承がまだ済んでいないんだ。育て終わっているけど。

 「カミラさんのバニーの時はオーブが貯まったら全部注ぎ込んでたのに……」

 「あの時も課金してないからな」

むしろ最終日に出てきてビビった記憶がある。

 「だったら私の時にもそうしてくれたって良かったじゃないですかぁ」

 「その頃は星5にする気はなかったからなぁ」

 「星5?」

 「システム的な問題だから気にするな」

ヘクトルやエリウッドは平然とメタネタを使ってくるが、カムイには通じないらしい。

 「まぁ、今度特別衣装でピックアップが来たら(たぶん)引くから」

 「むぅ、小声で何かつけたされた気がします」

渋々ながら引き下がったカムイ。しかし、さらなる爆弾が投下された。

 「それでしたら私とお風呂に入ってください!」

 「おまえは何を言っているんだ」

 「大丈夫です! カミラさんとヒノカさんも一緒に入ってくれるって言ってました!」

 「安心要素皆無だよ」

どう考えても性的に捕食されそうなんだが。

その後はカムイに風呂に強制連行されそうになったところを、ギュンターが止めてくれて助かったのだった。

 

 

 

 

 「ヘクトル様……?」

 「目を覚ませフロリーナ! これは……そう、召喚士の罠だ!! 奴が俺をハメようとしているんだ!!」

 「ですが、証拠がここにあるんですよ?」

 「それは……あぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「ヘクトルはまた失敗したのかな? やれやれ、肝心のところで脳筋なんだから」

 「父上、ちょっとよろしいですか?」

 「うん、ロイか。もちろんだとも。ロイより優先されることなんかないからね」

 「ありがとうございます。それでは……『デブ剣』とはなんですか?」

 「……うん、それはロイが知らなくてもいいことだよ。ちなみにそれは誰から聞いたんだい?」

 「召喚士さんが父上の大切な思い出と言っていまして」

 「うん、そっかぁ。そうだよなぁ。それを言うのはあそこの脳筋ジェネラルか外道軍師くらいだもんなぁ。それじゃあ、ロイ、僕はちょっと召喚士に用事ができたから。くれぐれもそのことは他の人に言ってはいけないよ」

 「はい! わかりました!!」

 




カムイ
 暗夜王国と白夜王国一の愛されキャラ。ここでは純粋培養すぎて他の言うことをすぐ信じちゃう感じ。そして兄弟やカムイに近しい人に勧められたら即実行な行動派。そしてジョーカーは血涙を流し、ギュンターは胃痛を加速させるのだろう。


カムイ(男)でも話を考えましたが、夜刀神をトウモロコシにしか見えないことをネタにする話しか浮かばなかったので却下されました。

感想にてアンケートが規約違反ということをしてくださりありがとうございます。あれでもアンケート扱いされるんですね。書いている本人には自覚がないという。第一話のあとがきから削除しました。そしてルキナの呼び方ですが、ヒマを見つけて直します。え? それは直さない奴のセリフだって? こやつめ、ハハハ。

さぁ、漆黒の騎士と舞踏アクアよ。レベル40で終わりじゃないぞ!! 今度はセシリアも加えてスキルポイント稼ぎだ!!

持っている人は舞踏オリヴィエの使い勝手を教えてくれてもいいんですよ? それを聞いて作者はガチャを回して爆死するでしょうから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とリン

ついにリンちゃんの出番だ……!!


ついにこの日がやってきた。部屋にやってきたのはリン。ヘクトルとエリウッドに『ご襲儀(誤字に非ず)だよ!!』と叫んでアルマーズとデュランダルで襲撃されたので、リリーナバリアとロイバリアを張っておいた。今頃子供達に叱られているだろう。

俺とリンの絆がSになった。それはつまりファイアーエムブレム的には……!

 「残念ながら結婚システムはないのよね」

 「なんでだよぉぉぉぉぉ!!!!!」

リンの突きつけた無慈悲な現実に俺は叫び声を挙げるのだった。

 

 

とりあえずいつも通りの茶番を終えて、俺とリンは二人でお茶を飲む。

 「というか私と絆Sになったのは随分と前でしょ? なんでここまでずれ込んだのよ」

 「カムイと舞踏アクアが悪い。俺は悪くない(キリッ)」

 「いや、そこで(キリッ)じゃないから」

俺の堂々とした言い訳に、リンは呆れたようにため息を吐いた。そう、俺は悪くない。リンを書こうと思った時に発生するネタが悪い。

 「それに絆Sになったのは弓よね。初期からいるはずの剣はどうなのよ」

 「ちょっとスキル継承ミスってさ。使いかってがあまりよくない。よし、まずはそのソール・カティをしまおう。斬られたら死んでしまいます」

渋々ながらもソール・カティをしまってくれるリン。

 「それにどうせ同じキャラだったら絆が同一だったらいいのに。それだったら剣、花嫁、弓と誰で絆結ぶか悩む心配がなかったのに」

 「まぁ、そうよね。ところでなんで弓の私を選んだのかしら?」

 「性能」

 「処刑」

リンがしまったはずのソール・カティを取り出して追いかけてきたので逃げ回る。

 「安心しなさい、峰打よ?」

 「ソール・カティに峰なんかあったっけ……?」

倒れた俺を踏んづけるリン。この辺りは付き合いが長いので遠慮がない。

とりあえず再度机に戻ってお茶を飲む。

 「そういえばこれだけ遅くなったのは何か理由があるの?」

 「まぁ、リアル仕事とか某動画サイトのレビュー動画を見てモチベーションが下がったっていう理由があるね」

 「レビュー動画……?」

あえて言うなら「コーラの味はコーラ味」ってことかな。

 「剣のリンのスキル継承で鬼神の一撃が欲しいところなんだよね〜」

 「あれ? ホークアイならいっぱいいるじゃない」

 「ところがどっこいみんな星4……!!」

舞踏オリヴィエでガチャった時に何故来てくれないクレイン。即スキル継承だから? ですよねぇ〜。

 「花嫁の私は?」

 「杖っていう理由もあるけど、基本的にスキル継承させてない」

 「プリシラはさせているのに?」

 「騎馬隊の回復要員兼騎盾要員だから……!!」

杖はスキルポイント稼ぐのが大変な気がするのは俺だけ? ちなみに飛行パは組めましたが、騎馬パは組めてません。重装パ? ははは、青がいませんよ。

 「弓の私は?」

 「スキルの配分が良かったんで、大きくは弄ってないなぁ。引き戻しをつけたくらいか」

 「それで使い続けるからスキルポイントが余っているわけね」

 「他の同名キャラに分けられたらいいのに」

ワガママばかりでもうしわけないです。

 「というかせっかくの絆システムもHP+5、他のステ+2かぁ。苦労して上げても達成感がないなぁ」

 「まぁ、その辺りは別の相手と結び直すことができるから仕方ないんじゃない? あ、でももし他の相手と絆結んだらソール・カティだから」

 「おや? ハイライトさんが仕事してないぞ?」

これは別の相手と絆結んだらNice boat.案件かな?

 「それにしても弓の私をずっと使っているのに、いまだに英雄値のトップはノーマルアクアね」

 「あ〜、アクアに関しては再行動要員としてずっと使っていたからなぁ。それまで出てた剣オリヴィエは英雄値実装前だったし」

 「最近は弓の私も外されたわね」

 「舞踏アクア、漆黒の騎士、セシリア、舞踏オリヴィエのスキルポイント稼ぎのために修練の塔周回中だから仕方ないね」

基本的に出番は闘技場になっております。

 「でもリン。フレンドに挨拶に行くのはリンだから」

 「あんまりゲームと関係ないわよね?」

それを言ってはいけない。でも、毎日羽を5個づつ貰えばそのうち大量になるさ。

 「それに育ててる英雄も女性英雄ばかりね」

 (目逸らし)

 「こっちをみなさい」

 「いたたたたた!! もげちゃう!! 首がもげちゃう!!!」

ちなみに星5レベル40の男性英雄は漆黒の騎士、エフラム、マークス、ヘクトル、タクミ、クロムです。エリウッド? すまない実はうちのエリウッドは星4なんだ。

 「結局育てるのは女性英雄ばかりなのね……」

 「この手のゲームはキャラゲーの要素があるから仕方ないね」

任⚪︎堂さん、オズインとサイラスの実装を待ってます。パントとかエッツェルでもいいですよ?

 「個人的には楓Pなんで花嫁シーダも欲しかったんだけど、見事にシャーロッテがバリアしてくれたしな」

 「二人もいるわよね、花嫁シャーロッテ」

 「むしろ何故ノーマルシャーロッテが出る前に花嫁が出るのか」

最初にガチャのメンバーを見て疑問に思ったのは俺だけじゃないはず。あれか? 結婚を焦るキャラだから出てきたのか?

 「う〜ん、花嫁繋がりでスキルポイントが余っているし、花嫁リンでもスキル継承させるかなぁ」

 「あら。何を継承させるの?」

 「守備の城塞」

 「ルカもゼトもいないわね」

 「そう。つまりはスキル継承できないから使われることがない」

 「……」

 「あ、黙ってミュルグレ構えないで! ホワ!! 掠った!! 掠ったよ!!!」

 

 

 

 

 

 「なんだかんだで仲良いよなぁ、あいつら」

 「昔からの付き合いだからね。ヘクトルだって二人でいるのを見ると嬉しいだろ?」

 「まぁな。争いが終わった後はあのバカは行方をくらませやがったからな。エリウッドはどうなんだよ?」

 「こうしてまた四人でバカをやれるのは楽しいけどね」

 「「……」」

 「バカな軍師に」

 「照れ屋なロルカ族に」

 「「乾杯」」

 




リン
 作者は初めてやったファイアーエムブレムが烈火でした。その時からずっと好きです。最近のFEのリメイクはマイユニが追加されることが多いので、烈火リメイクで軍師マイユニ化待ってます。



作中で星4のエリウッドがデュランダルを使っていますが、細かいことは気にしてはいけません。だってネタ小説だからね。あと「コーラの味はコーラ」のレビュー動画は朝霞リョウマさんの『アイドルの世界に転生したようです。』で出てきたので見ました。感想は絶対に許シャダイってところかな!

作者の闘技場防衛戦のメンバーはリーダー弓リン、カゲロウ、ヘクトル、ノーマルアクアです。それらしい相手がいたらヘクトルを滅殺してあげてください。

誤字脱字報告ありがとうございます。


次回はカミラ姉さんを書けたらいいなぁ。この土、日が休みなんで書きたいところ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とカミラ

駄文……! いつも以上に圧倒的駄文……!! 間違いなく低評価だけど投げる……!!!


体が動かない。夜ベッドに入って目を覚まそうとするが、体が何かに縛られているように感じて動けなくなっている。これは寝る前にヘクトルやエリウッド達と一緒に(見た目)年少組のマムクート達に怖い話をしたせいだろうか。白夜の国では話すと本当に出るってタクミが言ってたし。それになんだか体も重い。まるで人一人を上に乗せているようだ。

俺は意を決して目を開く。

そこに広がったのは紫の長髪を持つナイスバディな美女。俺を性的に食おうとする危険人物筆頭のカミラ姉さんだった。

 「……なにやってんの?」

 「あら、起きてしまったのね。でも安心して召喚士。すぐに終わるから」

 「待って。マジで待って何でズボンを脱がそうとしてんの」

 「ええ、大丈夫よ。本当ならすぐに終わらせるなんてもったいないことをしたくないのだけど、あまり長くすると邪魔が入る可能性があるから」

 「やめて、マジでやめて」

 「天井のシミを数えている間に終わるわ」

 「誰かぁ! 誰かぁぁぁぁぁ!!!」

俺の叫びに応じてくれたのか、俺の部屋の扉がすごい勢いで開かれる。

 「召喚士=殿!? アイエッ!」

飛び込んできたのは苦労忍者サイゾウ。微妙に忍殺語なのは突っ込まない。

 「サイゾウ! 助けて!!」

 「虫の知らせで来てみれば……カミラ王女、ご覚悟!!」

 「殺してあげるわ」

 「ンアーッ!」

だが残念! 星4レベル1のサイゾウでは星5レベル40の勇者の斧+の攻撃を食らって即死した。ご丁寧に奥義を出していた。

ちなみにその後に再度襲ってこようとしたカミラ姉さんは騒ぎに気付いて駆けつけたパオラさんの旭日の剣+によって沈黙させられた。

 

 

 

 

朝からいろいろあったが、どうやらカミラ姉さんは俺に言いたいことがあったらしく部屋に居座った。

とりあえず俺はいつも通りにお茶を用意して机に座る。

 「それで? 朝から何のようさ?」

 「あら、せっかちね」

 「カミラ姉さんと長い間一緒にいると身の危険を感じるんだよ」

 「大丈夫よ。戦場と同じようにあなたを誰からも守ってあげるわ」

そういう意味での身の危険ではないのだが、突っ込むのはよそう。

 「それで話って?」

 「ええ、それじゃあ私も単刀直入に言うわ」

俺の言葉にカミラ姉さんは持っていた湯飲みを置いて俺を真剣に見てくる。

 「私はしばらく戦場に出ていないのだけれど」

俺はその言葉にツイと視線を逸らす。だが、カミラ姉さんは俺の顔を掴んで無理やり目線を合わせる。

 「斧でもそうだし、バニーでも出てないのだけれど……?」

 「お、斧だとヘクトルがいるからなぁ……」

 「そうね、あの男が来てから私の出番が激減したわ。とりあえずあの男は後でマークスお兄様に殺してもらうとして」

さりげなくヘクトルVSマークスという壁役対決が勃発するようだが、相性の差がどれだけ出るかで勝負が決まるか。

 「さらにあなたはマケドニアの飛竜王女を召喚したわね。オーブを90個も使って」

 「待って、潰れちゃう。カミラ姉さんが掴んでいる俺の顔が潰れちゃう」

 「飛竜斧で私と属性被っているのに、オートクレールなんて専用武器を持ってくるなんて……私なんて勇者の斧なのに……!」

原作的にも神器持ってないから仕方ないよネ!

 「さらにあなたはあの王女をレベル40まで育てたステータスを見て『あれ? カミラ姉さんより有能……?』って呟いたわね?」

確かに呟いたが、その時に誰もいなかったはずだ。だが、それは突っ込まない。この場所で俺のプライバシーがないのは誰でも知っている事実なのだ。

 「ええ、そうでしょうね。私は攻撃力38であの女は49。速さは私が30であの女は41。守備は1しか変わらないけど、私が優っているのは魔防だけ」

 「ほ、ほら。現況で一番採用率が高いラインハルトに対応できるし」

 「その割には闘技場で私が使用されないのだけれど?」

 「ボーナスキャラ優先の上に初級しかやらないチキン召喚士だからね」

基本的に連勝ボーナスとキャラボーナスで初級しかやらないのです。昔は中級とか上級もやったけど殺戮されたのがトラウマなのです。

 「だから私が役に立つためには女としての強さを使うしかないのよ」

 「その発想はおかしい」

 「それに私が身籠ったら召喚士は責任を感じて暗夜の国に来てくれるでしょう?」

 「まさかの計画的犯行……!」

なんとしても俺をifの世界に連れていこうとしている。

 「それに召喚士が来ればカムイも喜ぶでしょう?」

 「このシスコン&ブラコンめ」

ダブルカムイの写真をヒノカと奪い合って多数の犠牲者が出たのは忘れ難い事実だ。

 「まぁ、カミラ姉さんを使わないのはもうスキル継承も終わっているから仕方ないんだよ」

 「バニーのほうは済んでいないのだけれど?」

うん、まぁね。飛行魔なんで使いかってはいいんだけど、よく事故って弓で殺されることがあるのです。

 「緑魔はセシリアとニノがいるから……」

 「その二人もスキル継承終わっているわよね?」

完全論破である。

 「ぶっちゃけて言うとバニーのほうに何のスキルを継承させようか悩んでいてね」

相性激化とか欲しいんだけど、ロイが星5しかいない上にスキル継承に使うとエリウッドに処刑されるのだ。

 「まぁ、人がいないから許してください」

俺がそう言いながら頭をさげると、カミラ姉さんは頭をあげさせる。

 「大丈夫よ、私の言うことを一つ聞いてくれればいいだけよ」

 「……性的なことはダメですよ?」

 「あなたは私のことを何だと思っているのかしら?」

下手に絡むとこの小説がR-18に移動しかねない人だと思っているかな。

そう思っても口には出さない。墓穴を掘る気はないのだ。

 「簡単なことよ、私と一緒にお風呂に入りましょう」

 「いやいや、無理だから。俺は男です。カミラ姉さんは女です。一緒に入るのは無理だから」

 「サクラ王女から白夜の国には混浴という文化があると聞いたわ。だから一緒に入っても大丈夫よ。あぁ、他の人が入ってくるのが心配なのね。安心して、入るとしてもカムイだけよ」

 「あの腐女子王女は無駄なことしか教えないなぁ!!」

そのあとにカミラ王女に強制連行されそうになったが、近くで待機していたパオラさんに救助されたのだった。

 

 

 

 

 

 「あいつは相変わらず騒がしいな」

 「彼には安息の地はないんだろうね」

 「俺たちの世界に帰ってくれば安心だろうよ」

 「でもそれをやると他の世界と戦争になるんじゃない?」

 「……なんとか他の連中を出し抜いて連れてく方法考えるか」

 「リンやフロリーナ、レイヴァン達にも手伝ってもらおうか」

 




カミラ
 暗夜の国の愛の重い王女。作者に対して姉属性、巨乳、CV沢城みゆきのトリプル役満を決めたお人。彼女のおかげでFEでリンちゃん一筋だったのが、カミラ姉さんも好きになった。



文中で言ったようにミネルバ王女をオーブ90個払って召喚しました。レベル40にしたけどカミラ姉さんより圧倒的に使いやすかった。


聖戦ガチャが来ますね。ティルテュが好きだけれども前情報だけではスキルがあまりよくない。ステータスに期待……!! まぁ、オーブの蓄えがないんですけどね。あとはハロウィンガチャとか来るのかしら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と伝承英雄召喚

つい先日に更新が遅れると書きましたが、無事にアイラさんをお迎えできたので書きました。

超絶駄文注意


 「いやぁ、ガチャったなぁ」

 「ガチャったねぇ」

 「無事に目当ての英雄が召喚されて安心したよ」

俺は部屋に置いてある炬燵(タクミから教えてもらった白夜の暖房器具)にヘクトルとエリウッドと一緒に入りながらお茶を飲む。

 「オーブ120個ぶん回して、出た星5が4連続でアイクだったのには笑ったけどな」

 「吐血しながら膝から崩れ落ちていたもんね」

 「お前らはそんなに俺の不幸が楽しい?」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドが顔を見合わせた後に口を開く。

 「例えば、だ。俺やエリウッドが召喚士の立場だったらどうする?」

 「祝杯をあげるな」

 「そういうことだよ」

悪友の不幸ほど美味しいものはないらしい。

 「その日の召喚はやめてストーリーを進めてたもんなぁ。フィヨルムだっけ? 新しい仲間は」

 「武器に遠距離反撃持ちで、守備、魔防も30以上……いやぁ、どっかの脳筋重騎士はもう不要じゃないかな、召喚士」

 「闘技場のメンバーから速攻で外したよ。ヘクトル抜いて氷姫入れて、ノーマルアアクアに変わって舞踏祭アクアを入れた」

 「……あれ? 俺、地味に戦力外通告されてる?」

 「「相変わらず気づくの遅い」」

騒ぎ始めたヘクトルを無視しながら、俺とエリウッドはお茶を飲む。

 「まぁ、無事にアイラとセリカも出たから良かったじゃないか」

 「まぁな。その流れで星4ロイが2人とパオラさんも3人出たし」

 「召喚士は星4パオラを速攻でラインハルトに月虹継承させてたけどな」

 「ずっと待っていたから仕方ないね」

俺の言葉にエリウッドの目つきが殺す目付きになった。

 「召喚士? わかってると思うけど、ロイをスキル継承に使ったら処刑だからね?」

 「ハハハ、ワカッテイルヨ」

今のところはスキル継承に使いたい相手もいないから大丈夫(この先出ないとは言ってない)

 「4人出たアイクはどうするんだ?」

 「剛剣を継承させたいけど、使いかって考えたら凸らせた方がいいような気がするんだよなぁ」

 「俺に剛剣を継承させるとかどうだ?」

 「ヘクトルの長所の遠距離反撃がなくなるな」

 「ヘクトルの価値がなくなるよね」

俺とエリウッドの言葉にヘクトルがorz状態になる。

 「つぅか、最近は武器に遠反持ち多くねぇか? そのせいで俺の価値が下がった気がするんだが」

 「ソシャゲの運命だよね。配信されてから時間がたつと、後から出てくるキャラの方が強くなっちゃう」

 「その通りだけど、それをキャラが言っていいのか?」

 「僕らがメタいことを言うなんて珍しくないでしょ」

割り切りすぎですよ、エリウッドさん。

 「そうだ! アップデートで追加された武器錬成で俺のアルマーズ強化とかどうだ!?」

 「優先されるのはリンのソール・カティに決まってるだろ、いい加減にしろ」

 「その前に召喚士は武器錬成をよくわかってないでしょ」

 「バカだな」

エリウッドの言葉に、失礼な言葉を吐いたヘクトルに拳を叩き込むと、すぐさま反撃で拳を叩き込まれた。その一撃に俺はぶっ飛ばされる。

 「さ、流石は攻撃52。クロムに1負けていて、アイラと同数値の癖に……」

 「アイラさんの数値がおかしいだけだからね。それとヘクトル、他の部屋に響かないようにね」

 「任せろ、エリウッド。うぉぉぉぉぉぉ! 胴締めフロントネックロック!!」

 「ヘクトル! その技は!!」

俺は叫ぼうと思った時には意識が暗転した。

 

 

 

 「ハ!?」

俺が目を覚ますと見覚えのある部屋だった。というか俺の部屋だった。

 「あ、起きたかい?」

 「18分か。意外と早かったな」

炬燵には相変わらずエリウッドとヘクトルがお茶を飲みながら羊羹を食っている。とりあえずその羊羹は俺が大事に隠しておいたものなので、後でロイとリリーナの子供達にないことないことを言い含めておかないと。

俺も改めてお茶を入れ直して炬燵に入る。

 「それで? 召喚は続けるのかい? ディアドラさんも欲しいって言っていたじゃないか」

 「ディアドラは欲しいけど、外れた時がバニーカミラ姉さんとヘクトルだからなぁ。バニーカミラ姉さんはともかく、ヘクトルはいらないよなぁ」

 「それもそうだね」

 「お前らはどこまで俺に失礼なの? 毎回俺が一番被害受けてる気がするんだが」

 「「ヘクトルはバカだから」」

 「テメェらぁぁぁ!!!!」

殴りかかってきたヘクトルをエリウッドが横から隠し持っていたアーマーキラーを叩き込んでいた。

 「やっぱり、相性激化のシムベリンを叩き込みたいね」

 「殺意高くない?」

 「お、俺の、し、心配、わ、しねぇ、のか?」

脳筋ジェネラルの心配をするわけがない。むしろ魔法じゃなくて物理だったんだから、死ぬ心配はないだろう。

 「エイリークも2人くらい出てたよね」

 「回り込みと引き込み、それに速さの鼓舞だからな。スキル継承にも使わないかな。……羽にしたらエフラム怒ると思う?」

 「控えめに言って挽肉にされるだろうね」

なんでファイアーエムブレムシリーズはシスコン、ブラコンが多いのだろうか。

 「まぁ、最近は枠に空きもあるし、焦って減らす必要もないんじゃないかい?」

 「スキル継承に使ってばっかりで、減る一方だったからな」

星4が出やすくなってありがたいことです。だが、獅子王さん3人もいらないです。

 「残ったオーブはどうするんだい?」

 「白黒の子ガチャの時にシャラ狙いで使うかなぁ」

 「ドルカスは狙わないのかい?」

 「来たらそこで死んでる脳筋ジェネラルの出番はなくなるだろうな」

俺の言葉にヘクトルは反応もせずに気絶しているのだった。

 

 

 

 

 

 「何故、私と貴女が支援を組むことになったのかしら」

 「そうね。私達が一番使用率が高くて、英雄値が高いからじゃない?」

 「私は斧の方、貴女は弓騎馬のほうだけれど」

 「闘技場でも組むことになったからね。まぁ、これからよろしくね」

 「ええ、こちらこそ」

 




白夜に炬燵があるの? とか、羊羹あるの? とか突っ込んだら負けですよ? この世界ではあるんです。


久しぶりに書いたら、召喚士の口調とか忘れてました。なので、今までの召喚士と口調がちょっと違うかも。まぁ、誤差だと思って許容してくださいな! ちなみに最後に会話しているのはアクアとリンです。


アイラとセリカとフィヨルムはレベル40にしました。今はアイラとフィヨルムのスキルポイント稼ぎ中です。アイク? 戦禍で手に入れたヨシュアと一緒に星5アテナを教師役にして後でレベリングしますよ。


pixivで某絵師さんの『いふまんが』を読んで久しぶりにFEifをやりたくなってインビジブルキングダムでやり始めました。とりあえずモブ兵士捕まえて育成しなきゃ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエリウッド メタルス

サンタガチャでサーリャ狙いでオーブを全弾ブッパした結果、総選挙ロイがすり抜けてきたので彼の出番です


 「召喚士、よくやったね」

 「ガチャでサンタサーリャが出ずに爆死した俺に対する優しさとかないの?」

俺の部屋に入ってきて、(本当に珍しく)心からの笑顔でエリウッドが言い放ってきた。

 「いやいや、爆死じゃないでしょ。だって総選挙ロイが出たんだよ?」

 「性能的に当たりかもしれないが、狙ってたんじゃないんだよ。むしろすり抜けで出てきてビビッたわ」

そう、この心がブラックホールの深淵並の黒さを誇るエリウッドが喜んでいるのは総選挙ロイがクリスマスガチャをすり抜けて出てきたからだ。子煩悩な上に明らかにエリウッドを意識した衣装を着た息子の姿を見た暗黒侯爵の喜びようは半端なかった。

 「つぅか、一緒に出てきたカレルには触れないのか?」

 「あぁ、召喚された時の言葉の途中で召喚士とヘクトルを見て『こんな外道達のいるところにいられるか。俺は別のヴァイス・ブレイブに移るぞ』って言い放って逃げようとした剣魔さんかい?」

 「ナチュラルに自分を外すなよ。カレルは明らかにお前のことも見てたから」

こいつは昔から悪いことを俺やヘクトルのせいにする。

ちなみに逃げようとしたカレルは武器錬成されたニニアンの光のブレス+で焼いてもらって捕縛した。あの時召喚室にいたのが主に烈火メンバーだったのが、カレルのトラウマを刺激したのかもしれない。

 「しかも、君は育成途中だった星5ロイもレベル40まで育てたね。いや、君は本当にロクデナシのクソ外道でキチガイだけど、極稀に良いことをするね」

 「極稀というと?」

 「マンボウの子供が生き残るくらいの確率かな」

3億分の2の確率とか確実に喧嘩売っているよな?

エリウッドは特に気にした風もなく、当然のようにお茶を入れると炬燵に入ってきた。

 「それで? 僕を呼び出して何のようだい? これからロイと食事の約束があるのだけど」

 「どこまで息子優先なんだよ。まぁ、話というのはそのロイのことだ」

俺の言葉に烈火時代でもほとんど(むしろ皆無?)見たことのないくらい真剣な表情になる。

 「詳しく聞こうか」

 「俺とエリウッドの仲だ。単刀直入に言うぞ」

俺の言葉に真剣な表情で頷くエリウッド。それを確認して俺も口を開く。

 「どこで拾った子供だ?」

 「ちょっと待ってくれるかい、召喚士。今、デュランダルを持ってくるから」

 「ばっか! お前! 当然の反応だろ!? お前みたいな性根が腐ってる人間に憧れるとか、そういう過去があるか、洗脳されているかの二択だろ!? ヘクトルだって『ロイはきっとエリウッドの少しだけ存在する善性が表に出てきているとしか考えられない』って言ってたぞ!?」

 「ヘクトルには後でサナキの相性激化シムベリンを叩き込むとして、君には前回に引き続き石抱でいいかな?」

 「よくないから! 笑顔で拷問宣言するなよ! だからお前は腹黒って言われるんだよ」

4873秒ほど二人で言い争うと、とりあえずお茶を飲んで一息つく。

 「総選挙ロイを育成している時にな、レベルアップのたびに『父上のように』とか言ってたんだよ。別世界のノーマルアクア(英雄値稼ぎ中)とアテナ(剣経験値アップ要員)は言いとして、一緒にいた俺と花嫁リン(SP稼ぎ中)は思わず『それはネルガルのような存在になるぞ』ってツッコミそうになったわ」

 「君たちは僕のことを何だと思ってるんだい?」

ラスボスだよ。言わせんな、恥ずかしい。

 「どう考えてもあの時の戦いの所業を考えると、お前を尊敬するとかありえないだろ」

 「その戦いの作戦を考えた人間が言っていい発言ではないね」

 「その作戦にノリノリだった人間の発言でもないな」

しばらく無言でメンチをきりあったが、珍しくエリウッドが引き下がった。

 「まぁ、あの時の戦いのことは伏せてあったし、マーカスやロウエン、ハーケンにイサドラにも僕のことを美化して教えるように言い含めておいたからね」

 「ウィルとかレベッカもいただろ?」

 「ロイの乳母とか大役すぎると思わないかい?」

 「……ウィルはどうした?」

エリウッドの笑顔が怖すぎるから、ウィルの行方を聞かないほうが良さそうだ。

 「まぁ、それはそれとしてロイ関係でお前に相談したいことがあってな。こいつを見て欲しい。総選挙ロイのレベル40ステータスだ」

 「素晴らしいステータスだね!」

 「守備と魔防が飛行ユニット並なの見えねぇの?」

守備と魔防だけだったらカミラ姉さんのほうが高いというツッコミはエリウッドが取り出したペンチを見て言うのを辞めた。

 「ぶっちゃけると総選挙ロイにノーマルロイの相性激化継承させていいか?」

俺の言葉にエリウッドの顔が苦悶の表情になった。息子(総選挙ロイ)が強くなるのは嬉しいが息子(ノーマルロイ)がスキル継承に使われるのは我慢ならないのだろう。

 「し、獅子奮迅とかどうだい?」

 「確かに星4ヒナタも5人いるし、元々持ってる攻め立てとも相性いいけどさ」

 「だったら!」

俺の言葉に希望を見出した表情になるエリウッド。それに俺は最高のゲス顔で答える。

 「それだとお前が困る姿が見れないだろう?」

 「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「はははははははは! たまにはお前も困るべきだよ! いつもいつも俺とヘクトルに厄介ごとを持ち込みやがって!!」

 「だからって子供を人質に取るのか!? 最低すぎるぞ!!」

 「相手を選ぶに決まってるだろ!! やるのはお前かヘクトルだけだ!」

本格的に怒り狂い始めたエリウッドから逃げるように俺は部屋の窓から飛び出した。さぁ!! あとは罠を張っているはずのヘクトルの場所に誘き寄せるだけだ!!

 

 

 

 

 

 「なんか懐かしいね」

 「フロリーナ、親友の貴女にこう言いたくはないけど、あの三馬鹿に毒されてるわよ?」

 「で、でもリン。昔の旅はずっとこんな状態だったよ? パントさんがいないから大人しいくらいだし」

 『おいヘクトル! なんで罠を発動させない!!』

 『させないんじゃねぇ! できねぇんだ! くそ、誰か罠を解除させやがったな……ハ!! あいつは!』

 (召喚士の用意した罠の重要部分を持ちながら笑う盗賊の男)

 『『マ、マシュー!!』』

 『こう言ってはなんですけどね、若様達は痛い目にあうべきですよ』

 『ばっか! お前! マジで馬鹿だろ!! エリウッドと一緒にいたらいつも痛い目にあってただろ』

 『さてはお前、スキル継承に使いまくってることを恨んでるな!!』

 『さ、エリウッド様。ロイ様から烈剣デュランダルを借りて(盗んで)きましたんで』

 『素晴らしい働きだよ、マシュー。と言うわけで死にたまえクソ外道共』

 『『ギャアアアアアアア!!!!』』

 「……速いところストッパーのオズインかマーカスの実装が待たれるわね」

 「そうだね、また皆で集まりたいもんね」

 




エリウッド
ロイ・大好き・エリウッドさん!!の親バカの出現。烈火をやったことのないプレイヤーに勘違いしないで欲しいのは、原作のエリウッドはこんなキャラ崩壊してませんし、むしろ真面目な心優しい好青年です。


リンちゃんもいねぇ、カミラ姉さんもいねぇ、のクリスマスガチャだったので最初は回す気なかったんですけど、とりあえずネタ出しのために回すかぁと思ったら二人目の星5アテナ推参。これは今回いけるんじゃね? と思って全弾発射した結果、サンタサーリャは出ませんでした。90個を切ったあたりで剣魔さんが来て、残り10個の時に総選挙ロイが来ました。サンタ? 誰もいねぇよ!!


これ書いてて思ったのは、こいつらちゃんと烈火でシリアスしてたのだろうかということです。結構シリアスシーンも多かった気がしますけど、ここの召喚士をブチ込むとシリアス(笑)にしかならないような……
むしろこのノリで烈火を書きたいのだけれど、アドバンスはすでに行方不明なので3DSに移植されるのを全裸待機してます。え? 公式発表でFEは3DSで新作は出ないって発表された? それは新作だから……! リメイクはワンチャンあるって信じてる……!

ちなみに我がヴァイス・ブレイブにはヘクトルの娘・リリーナ嬢が7人いて、奥さんのフロリーナも7人います。ヘクトルの胃に穴が空く日も近い


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とクリスマス

クリスマスネタなんて書く気なかったけども、髪を切っている時にニニアン保育園のネタが浮かんでしまったので投げます。


 「サンタ役をやって欲しい?」

 「はい。ぜひ、召喚士さん達にやって欲しいと思って……」

クリスマスということで、エリウッドとヘクトルと一緒に『天使にラ○ソングを…』を見ていたら、ロリマムクート達の保母さんことニニアンが俺の部屋にやってきて頼みごとをしてきた。

 「実は私が軍師さん…じゃなかった、召喚士さんに教えられていたサンタのことをあの娘達に教えたら、『良い子の私達にはきっとプレゼントを持ってきてくれる』と言い始めてしまって」

ニニアンのその姿は新任の保母さんそのものだった。俺の隣では腹黒と脳筋が懐かしそうな表情をしていた。

 「懐かしいね。僕もクリスマスの夜にサンタの格好をして枕元にプレゼントを置いてあげていたよ」

 「俺もだよ。リリーナにクリスマスに何が欲しいって聞いたら『いつまでも平和な世界が欲しいです』って言われた時には思わず天使かと思っちまったぜ」

 「FEの世界にクリスマスってあるのか?」

 「前話でクリスマスガチャの話をしていた本人の話とは思えないね」

 「お前のせいで烈火の世界には輸入されたことにしようぜ」

どこまでも失礼な連中である。

 「でもプレゼントが用意できてないぞ?」

 「あ、そこはアンナさんが用意してくれました」

そう言ってニニアンが取り出したのは大きな白い袋。どう見てもサンタクロースが持っているような袋です本当にありがとうございました。

 「それとアンナさんからお手紙を預かっています」

さらにニニアンはアンナからの手紙を差し出してきた。この世界では斧振り回して戦っているけど、あいつの立ち位置はオーブとかの課金アイテムを売りつけてくる立場のはずだろう。FEシリーズ的には。

俺は嫌な予感がしながらも手紙を開く。

『召喚士へ

この手紙を読んでいるということはサンタクロース役を引き受けてくれたということね。本来ならクリスマスガチャのサンタキャラに頼みたかったんだけど、召喚士のリアルラックの無さのせいでサンタが一人もいないから、この作品の色物枠三人に頼むことにしたわ。プレゼントのことなら安心していいわ。この袋は貴方が欲しいと思った品物が出てくるわ。さぁ! これでロリマムクート達に夢をプレゼントするのよ!』

試しにオーブが2000個欲しいと思って袋に手を突っ込んだら課金しろと書かれた紙が出てきた。おのれ! アンナ(運営の手先)め!

 「やれやれ、そうなったら仕方ないね」

 「いっちょ一肌脱いでやるとするか」

 「お前らいつのまに着替えたの?」

振り返った先にはサンタ服に白いヒゲをつけたエリウッドと、トナカイ色のピッチリスーツを着てトナカイの角と赤鼻をつけたヘクトルがいたのだった。

 

 

 

 

その日の夜、俺たち三人は気配を消して城内を歩いてロリマムクートの部屋に向かっている。

 「最初は誰にするんだい?」

 「ここから一番近いのはチキ(ロリ)の部屋だな」

ちなみに俺たちの気配遮断は折檻から逃げるために身につけたスキルである。FEH的に言えば敵に狙われなくなるスキルだろうか。実装されることはないだろうが。

 「そう言えばチキって大人のほうもいるよな」

 「いるな」

ヘクトルが思い出したように呟いた言葉を肯定する。我がヴァイス・ブレイブには子供チキと大人チキ(ノーマル)、大人チキ(水着)が存在する。

 「その大人チキ(水着)のところに三千回目の夏休みって書いてある。つまり大人チキは超高齢のババ」

ヘクトルは最後まで言い切ることなく、突如飛んできたスイカが頭に直撃して気を失った。現場だけを見たならスイカの果汁が血液のように飛び散っている。

 「相変わらず迂闊な男だな」

 「女性に対して年齢の話はタブーだというのに」

俺とエリウッドは死んだヘクトルを放置してチキの部屋までやってくる。扉を静かに開けようと思ったら鍵がかかっていた。

 「鍵がかかってるね。ニニアンの教育が行き届いているみたいで安心したけど、今回はちょっと困るね。どうするんだい、召喚士」

 「任せろ」

俺は懐からピッキングツールを取り出して解錠に取り掛かる。そして1分もかからずに開けることに成功した。

 「どうだ、エリウッド」

 「今度から盗難事件が起こったら君も容疑者になるくらいの手際の良さだね」

褒められたと思っておこう。

部屋にエリウッドと共に音もなく侵入し、ニニアンの指導によって置いてある枕元の欲しいものの紙を見る。

 『強いスキル』

それを見た瞬間に俺とエリウッドは目を逸らした。確かに使えるスキル少ないなぁ、と思っていたが、本人がそれをサンタに頼むくらいに追い込まれていたのは知らなかった。

とりあえず袋に手を突っ込むと聖印の遠距離防御が出てきたので、それを幸せそうに眠るチキの枕元に置いて部屋から出る。

扉を閉めてキチンと鍵を閉めてから、俺とエリウッドはため息を吐く。

 「もうちょっと子供らしい願いを期待したんだがなぁ…」

 「うん。ぬいぐるみとかオモチャとかね…まさかのスキルが欲しいとか予想外すぎるよ」

とりあえずの次の部屋に向かう。次の部屋はノノだ。

途中で見回り中のセシリアがいたが、上手くやり過ごす。ダンボールがなかったら見つかるところだった。

チキの部屋と同じく鍵がかかっていたが、チキの時と同じくピッキングして部屋に侵入する。そして用意されていた紙を見る。

 『お菓子』

この言葉に思わず真顔になってしまったが、袋に手を突っ込むと『う○い棒30本セット(コーンポタージュ味)』が出てきたので、それを枕元に置いて部屋から出る。

 「なぁ、エリウッド」

 「なんだい、召喚士」

 「ハロウィンノノを召喚しなかったことを恨んでるのかな?」

 「あの幼い笑顔の裏にそんなどす黒い恨みがあったと思いたくないよね」

チキ(ロリ)の時とは別の意味で戦慄しながら、最後の一人であるファの部屋に向かう。

今度は何事もなくファの部屋に辿り着き、部屋へと侵入する。そしておそるおそる用意されていた紙を見る。

 『雷のブレス+(武器錬成済み)、金剛の呼吸、切り返し3、速さの大紋章2。奥義はできれば回復系』

無言になる俺とエリウッド。とりあえず袋に手を突っ込んで見たが無理! と書かれた紙が出てきた。仕方ないので聖印の近距離防御を置いて部屋から出る。

 「……なぁ、エリウッド。子供ってもっと純粋だと思ってたよ」

 「き、きっと君の役に立ちたいと彼女達なりに考えているんだよ」

ロイ以外のことであまりフォローをしないエリウッドの顔が印象的だった。

 

 

 

 

 

 「……う、ここは……?」

 「あら、目を覚ましてしまったのね」

 「お、お前は最近召喚士をストーキングしてるシャラだったか」

 「ストーキングじゃないわ。付き纏っているのよ」

 (なんであいつはキワモノに好かれるんだ)

 「大丈夫。召喚士のことを御呪いで貴方の記憶で抜き出すだけだから」

 「ちょ、ちょっと待て! それってやばいやつだろ!? 後遺症とか出るだろ!!」

 「ふふふ。この御呪いが完成した暁には召喚士の身も心も……」

 「ヤベェ! 目が完全に逝ってやがる!! クソ、鎖が外れねぇ!!!」

 「さぁ、新しい御呪いの実験代になって」

 「や、やめ! あぁあぁぁあぁあぁああ!!!!!!」

 




ニニアン
烈火のマムクートな踊り子。FEHでは弟は未実装。FEHではニニアン保育園というロリマムクート達の保母さん的な立ち位置なんだろう。作者は闘技場でニニアン保育園を何回か見かけた。踊るで飛んできたロリチキにボーナスキャラを焼かれた思い出がある。作者もニニアンが出た時に保育園を作ろうと思ったが、チキ星5はいてもノノ、ファがクソ個体値しかいないので未だに作れていない。

シャラ
愛の思い呪い師。シャラとサーリャの別次元はFate清姫だと思ってる。最初は出る予定がなかったけど、神錬の雫欲しさにグルンウルフを錬成したのとヘクトルを不幸にするためだけに出てきた。


天使にラブソ○グを…
クリスマスと言えばこの映画だよね! クリスマス関係ない? 教会が舞台だからいいんだよ! 個人的には1のほうがが好き。ちなみにこれを書いている時に実際にブルーレイで見てました。


そんなわけでクリスマスネタです。個人的に他のロリキャラであるニノとかサナキとかも出したかったけど、それをやると目安である2500字を大幅に超えるので自重。
それぞれのプレゼント願望は適当です。チキに関してはスキル構成が悪いと思ったのでストレートに、ノノはハロウィンで引かなったので、ファは攻略サイトを見ていた時になにこいつ作りたいと思った願望の結果です。その結果ロリマムクート軍団が性能厨になった気がする。ニニアンはどういう教育をしているんだ!


今年はこれで更新最後だと思います。次回は元日に『新年だよ! 全員集合!』をやりたいけど、キャラ全員とか出せるわけないです。今考えているネタでは歌姫とFEHに現れたアメコミヒーローが活躍予定。そして安定のヘクトル不幸枠。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と英雄召喚(ガチャの儀式編)

伝承英雄召喚2が来て、新英雄のスリーズさんが好みだったからガチャった結果


リンは英雄召喚室へと向かっていた。基本的に召喚士の英雄召喚への立会いは自由である。ヘクトルやエリウッドは必ずついていき、召喚士が爆死するのを見て大爆笑するのだ。ちなみにカムイ(男女及び星の数に関係なく)が召喚されると、フェリシアとジョーカーがどこからともなく現れて部屋へと案内していく。

リンは召喚室の扉を開こうとすると、扉に張り紙が貼ってある。

 『烈火関係者以外立ち入り禁止』

この時点で嫌な予感しかしない。以前にこの張り紙が貼られていた時は召喚士、ヘクトル、エリウッドの三馬鹿が全裸で踊りながら召喚の儀式をしていた。とりあえずミュルグレを叩き込んだのは間違っていないと今でも思っている。

覚悟を決めて扉を開けると、そこは異様な空間だった。

まず中央に祭壇があり、その脇で石仮面を被った半裸の男(おそらくエリウッド)が太鼓を狂ったように叩き、反対側では骨の兜を被った半裸の男(おそらくヘクトル)が何度も何度も土下座を繰り返していた。

これだけならいつものキチガイメンバーが奇行をしているだけで済むのだが、今回は壇上で烈火関係者でも数少ない常識人であるニニアンが舞踏祭オリヴィエの格好で踊っていた。

とりあえず常識人なニニアンを巻き込んだ時点で重罪なので、三馬鹿にソール・カティが決定された。

 「あ、リンも来たんだ」

 「フロリーナ」

声をかけられた方を見ると、壁際にリンの親友であるフロリーナがいた。FEHのシステム的に仕方ないが、この姿で一児の母親なのだ。別世界の英雄に娘のリリーナと一緒にいて姉妹に間違われるのを気にしているのを知っているのはリンだけだ。

 「これは何の騒ぎ?」

 「えっと、今日から伝承英雄召喚2が開始されたでしょ?」

 「ええ、聞いてるわ」

 「それで召喚士さんが追加された緑魔が欲しいって言い出して、どこかで調べた出やすくなる方法を試しているんだって」

強欲商売人(アンナ)から新しい緑魔は女性だと聞いていたので、召喚士にはキャンドルサービス+も追加決定である。

 「どう考えても怪しい儀式にしか思えないんだけど。どこからか音楽が流れてるし」

 「あ、音楽はルセアさんとプリシラさんだよ」

よく見たら部屋の端で女顔と愛の思いブラコンが楽器を鳴らしていた。何をやっているんだ。杖強化が来たのだからスキルポイント2倍ボーナスの間に修練の塔を周回してこい。

口から出そうになったのは、その隣で疲れ切った表情をしたレイヴァンを見て抑えた。下手に口を出したら巻き込まれると経験が囁いたのだ。

ニニアンは踊り終えたのか壇上から降りる。それに変わって壇上に上がったのはいつもの白いローブではなく、漆黒のローブを着込んでオーブを抱えた召喚士だった。

 「これよりガチャの儀を開始する」

 「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

召喚士がオーブを掲げながら宣言すると、半裸の二人が雄叫びを挙げて、音楽担当二人が楽器をかき鳴らす。

召喚士が怪しげな石版にオーブを投げ込むと、色のついたオーブが浮かび上がってくる。

 「ば、ばかな! 狙いの緑が4つだと!?」

 「信じられない! 召喚士の言っていた通りだと言うのか!!」

 「よっしゃ! 勝ったな、風呂入ってくる。まずは1つメェぇぇ!!!」

ヘクトルとエリウッド(声を聞いて確信)の驚愕を余所に、召喚士は一つ目の緑を石版に叩きこむ。

吸い込まれていくオーブ。土煙をあげる石版。そして召喚される英雄。

 「春祭り、楽しんでいるか? 俺はクロム。イーリス王国の王子だ。いつもこんな格好をしているわけではないぞ」

 「星5だけどお前かぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

召喚されたのはウサ耳をつけたクロムだった。それを見て崩れ落ちる召喚士。爆笑する半裸二人。

 「あら? そういえば無色で花嫁の私もピックアップされてるわよね?」

 「あ、私も召喚しないのか聞いて見たら『花嫁リンは凸らせる必要ないからパスかな』って言ってたよ」

召喚士にはソール・カティとキャンドルサービス+にミュルグレのフルセットを叩き込まないといけないらしい。大丈夫、HPが1でも残ればリバース+で復活させられる。むしろ、ダメージが大きいほうがいいまである。

リンが召喚士に対しての制裁を考えている間に、男のウサ耳という誰得なクロムは控えていたマシューが外に連れ出していた。相変わらず気遣いができる男である。

 「だが、まだ3つもある! 2つ目GO! カモン、スリーズさん!!」

2つ目の緑オーブを召喚士が石版に叩き込んた。

吸い込まれていくオーブ。出ない土煙。崩れ落ちる召喚士。爆笑する半裸二人。召喚されたギュンター(星3)は現状を理解しない内に戻ってきたマシューによって部屋から連れ出されていた。

 「まだだ……まだ、負けちゃいない……!」

 「ちなみにフロリーナ、召喚士はどれだけのオーブをここに持ち込んだか知ってる?」

 「ホークアイさんに手伝わせて、今の緑オーブが全部なくなるくらいかな」

あの馬鹿はサンタで爆死してから少しずつ貯め始めたオーブを全て持ってきたらしい。そんなことをやるからオーブを売りつけてくる強欲商売人(アンナ)を喜ばせるのだ。

召喚士が3個目の緑オーブを石版に叩きつける。吸い込まれていくオーブ。巻き上がる土煙。歓声をあげる召喚士、ブーイングをする馬鹿二人。そして光と共に現れる英雄。

 「俺の名前はレイヴァ「失せろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

見覚えのある顔はセリフを最後まで言うことなく羽になった。まぁ、確かに星4もすでに5人いるものね。速さの覚醒と太陽のために5人はキープしているけど、緑を回すたんびに必ず出てくるものね。

横目で本人を確認すると、大きくダメージを受けたように蹲っている。ルセアが必死にセインツをかけているが、戦闘中じゃないのと、妹のプリシラがフォローを言う名の死体蹴りをしているので無意味だろう。

 「お、俺は10連ガチャは信じない! 単発を信じる!!」

 「他のソシャゲで10連しか回さない奴のセリフじゃないぞ!!」

 「脳筋は黙ってろ! うぉぉぉぉぉ、ドロォォォォォォォォォォ!!!」

 「その掛け声が某カードゲームがデッキから手札を引く時のセリフでしょ」

 「会社が違うけどいいのかな」

リンの呟きにフロリーナもどこかズレたツッコミを入れる。相変わらず烈火世界の住人はフリーダムである。

4個目の緑オーブが石版に吸い込まれる。そして舞い上がる土煙。AAコロンビアのポーズをする召喚士。光と共に現れる英雄。

 「あたし、ニノ! って、あれ? みんな?」

現れた緑髪のロリはニノだった。

無言になる召喚室内。混乱しているニノ。

あれだけ濃かった烈火メンバーの中で唯一純粋さを失わなかったニノには、強く言えるメンバーがいないのだ。だから、あまり羽にもされないわけだが。

いち早く正気に戻ったマシューが部屋からニノ(天使)を異界の儀式部屋から連れ出していく。天使の光を間近で浴びた三馬鹿は悶え苦しんでいる。

リンはため息をついて三人に近づいていく。召喚士はリンに気づいたのか苦しそうに顔をあげた。

 「リ、リン……」

召喚士の言葉にリンは優しく微笑んで口を開いた。

 「とりあえずソール・カティからね」

三馬鹿の顔が絶望に染まった。

 




ニノ
烈火に残された数少ない天使。この召喚士がいた烈火世界は優しい世界だったから、家族全員が復活した可能性有り。なんか烈火ではこの娘だけは純粋でいて欲しいという願望がある。


前書きの通りにスリーズさんが好みだったので、数少ないオーブをブッパした結果です。悔しくなったので仕事の帰りにコンビニでグー○ルカード(FEHはアンドロイドのため)を買って課金した結果、スリーズさんは無事にお迎えできました。その過程で2人目のウサ耳クロムと2人目のアメリアも来ました。ニンジンの斧を1つカミラ姉さんにでも継承させるかなぁ。


みなさん、感想ありがとうございます。返信できていませんが全て読ませていただいています。その多くがエリウッドによるデュランダルの決定報告です。星4で相性激化3を持ってくるから仕方ないね。ちなみにそんなデュランダル案件を回避する方法を3つ紹介
1・星5ロイ(ノーマル)を10凸させる→納得はしませんが引き下がってくれます
2・星5ロイ(総選挙)を召喚する→親バカは自分の格好をした息子を見て狂喜乱舞して許してくれます
3・サンドバック(ヘクトル)を用意する→延命処置にしかなりません
ちなみに羽にして消すという方法もありますが、それをやると英雄墓場から復活してきてロイの恨み+羽にされた恨みによってスマホからFEHがデュランダルされる可能性が高いので注意しましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と新年会

あけましておめでとうございます。今回は新年会ネタです。

途中でシリアス(っぽいの)入ります。


大騒ぎであった。新年会の会場の隅でアクアは用意されたソフトドリンクを片手にそう考える。普段は堅物のギュンターも同年代のジェイガンと二人でしんみりとした雰囲気でお酒を飲んでいるのかと思えば、クロムとルフレ(男)が仲良く飲んでいるところをサクラが顔を赤くして凝視している。

……サクラは見なかったことにしよう。

 「さぁ、お兄様。もう一杯いかがですか?」

 「待て、ラケシス。すでにありえない速度で飲まされているんだが、何を狙っているんだ?」

 「うふふ、いやですわ。別に酔わせて既成事実を作ろうとは思っていませんよ」

 「召喚士! ラケシスを止めろ!!」

 「オーブなしでデルムッドとナンナが来てくれる可能性があるから却下」

 「召喚士ぃぃぃぃぃ!!!」

ラケシスからは忠義を尽くした騎士と聞いていたが、召喚士との会話を聞いているとそんな風には思えない。ラケシスの兄を慕う気持ちは暗夜王族や白夜王族がカムイに向ける気持ちと同じベクトルな気もするが、突っ込んではいけないのだろう。召喚士に聞いたら「FE的に珍しくもないから大丈夫」とよくわからないことを言っていた。

普段は物静かな面々を楽しんでいるのをアクアは遠くから眺める。騒がしいところも嫌いではないが、得意なわけでもないのだ。

 「なんだ、飲んでないのか?」

 「ヘクトル」

アクアのところにやって来たのは召喚士やエリウッドと一緒に騒いではリンに制裁されるヘクトルがいた。

この新年会も召喚士とエリウッドとヘクトルの主導で開催されている。その証拠に三人は騒ぎながらも会場全体を回って場を盛り上げている。エリウッドだけはロイにお酒を飲ませようとした輩をサイゾウやカゲロウ並の隠密行動で闇に葬っているが。

 「貴方達は何故こんな企画を考えたのかしら?」

 「考えたのは召喚士なんだけどな。俺とエリウッドは乗っかっただけだぜ?」

 「理由は聞いているの?」

 「ここには敵対した英雄同士もいるからな。それの親睦会も兼ねているんだとさ」

アイクと漆黒の騎士を二人だけにして机に座らせているのもその一環なのだろうか。どう考えてもあそこの机だけ雰囲気が緊迫している。ティアマトとセネリオが心配そうに見ているが、空気が読めないロリ皇帝(サナキ)がガイアからもらった甘いものを持って笑顔で突撃して行ったので放置でいいのだろう。

 「それよりアクアは呑まねぇのか?」

ヘクトルが酒瓶を掲げながら言うと、アクアは困ってしまった。

 「カムイ達に私はお酒を呑んではいけないと言われてしまってね」

 「なんだアレルギーか?」

 「そうじゃないわ。むしろ好きなほうよ」

 「だったら酒癖が悪いだけか。だったら呑んでも問題ねぇよ。ほれ、あいつらを見てみろ」

ヘクトルが指差した先にはカレルの口に酒瓶を突っ込んでいるロイドとウルスラがいた。必死に尊敬する叔父を助けようとしているフィルはバアトルに止められていた。

アクアは半目でヘクトルを見ると必死に弁解を始めた。

 「いや、あれはあれであれだからあんな状況なんだぞ!?」

 「説明になっていないわ」

アクアが疲れ切ったようにため息を吐くと、ヘクトルは笑いながらグラスに注いだお酒を差し出した。

 「まぁ、飲め飲め。ちなみに召喚士は超下戸だから一切お酒を飲まないから、酔い潰してお持ち帰りはできないぞ」

 「…………そんなこと考えていないわ」

 「スッゲェ間があったけどな」

別にカミラやカゲロウ、ヒノカ、シャラと共謀していたわけではない。だから自分だけ素面でいて他を出し抜こうとしたわけではない。

ゲラゲラと笑っているヘクトルからグラスを奪い取り、そこに注いであったお酒を呑んだ瞬間にアクアの記憶が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだ、この光景は。俺は夢でも見ているのか。

 「正気になりなさい、召喚士!」

護衛についてくれているティアマトの言葉で俺も現実に戻る。

だが悪夢は終わっていない。

悪夢の始まりは愛すべき脳筋ジェネラルであるヘクトルがアクアに酒を飲ませたことだった。止めようとしたジョーカーは間に合わず、アクアが酒を呑んだ瞬間にヘクトルが空を舞った。そして嫌な音をたてながら首から落ちたのだ。

その瞬間に新年会の空気が止まった。誰もが口を開けずにアクアを見ていると、アクアは右手に酒瓶、左手に丸太を持ち出していた。そして俺を見て呟いたのだ。

 『見つけた』

宴会場にいたのは全員が戦いを経験している連中である。やばい空気を感じた子安傭兵(セーバー)が斬りかかったが、丸太の一撃で壁をぶち抜いて飛んでいき、フォローに入ろうしたマークスは地面と結婚した。

そこから俺は素早く青に対して相性有利の緑であり守備が高いアメリアとシーマ様を壁役にさせ、ヒーラー部隊に二人を回復させ続ける。一瞬の隙をついてFE界のトラウマとも言うべき漆黒の騎士やFEHの強すぎる剣士ことアイラが奥義を叩き込んでいるが、全く通じていない。

狙いは明らかに俺なので、キャンセル3、金剛の一撃3、深緑の斧+を持っているティアマトに護衛をしてもらい、腹黒親馬鹿に暴れるバーサーカーを倒すべき策の準備をさせている。

 「し、召喚士さん! もう、持ちませんよ!!」

 「私のスヴェルの盾も限界だぞ!!」

最前線で壁役をやってくれているアメリアとシーマ様から悲鳴が聞こえてくる。

く! こんなことならあの二人もしっかりのスキル継承させておくべきだった。緑アーマーナイトは脳筋ジェネラルがいるからつい後回しにしてしまった。

赤組は相性不利なので、防御30未満は避難させた。カムイ(男)はギリ30だったから投入しようとしたらフェリシアがどこかに避難させていた。

幼女皇帝サナキや慈愛の王女セリカが相性激化シムベリンとライナロックを叩き込んだが、全く通用しなかった。いくら相性不利と言えども二人とも攻撃力52と49なんですがねぇ。

 「ひゃぁ!!」

 「く!?」

そうこうしているうちにアメリアとシーマ様が吹き飛ばされる。近くにいた漆黒の騎士とアイラ、アテナ、カレルの剣士組が斬りかかるが、アクアは丸太を一閃させて4人を吹き飛ばす。

……重量の軽いアイラ、アテナ、カレルはまだしもジェネラルの漆黒の騎士すら吹き飛ばすとかどうなってるんですかねぇ……

遊撃に控えていたオートクレールを持ったミネルバと、最近武器をニンジンの斧に持ち替えたカミラ姉さんがフォローに入ったが、二人とも守備力は高くないので非常にまずい。

 「エリウッド! 準備はどうなってる!!」

 「あと少しだけ持ちこたえてくれるかい!! 大丈夫!! 君ならできる!!」

 「できるか!? 俺は先生に『基本的に戦いは数を揃える』って学んだんだぞ!? 烈火時代にもこんなデタラメな敵はいなかったぞ!?」

ちなみにその時に敵だったロイドとウルスラはいち早くこの地獄から離脱した。あの二人には生き残ったら罰ゲームを与えるとしよう。

そんな時に力強い声が響く

 「もう大丈夫!!」

北沢力さんのような声。

 「何故って?」

FEH界に置いてただ一人画風が違う男。

 「私が来た!!」

 『ハロルド!!!』

深緑の斧を携えたFE界のヒーローがやってきた。

 「ここはヒーローである私に任せておきたまえ」

 「な!? 無茶だわ!!」

ハロルドは確かに相性有利で深緑の斧も持っている。だが、俺は戦線に投入しなかった。それを知っているティアマトは止めるように叫んだ。

 「あなたは星4でレベルも1!! 星5レベル40まで育成されている他のメンバーでも止められないのに、あなたが止められるわけがない!! 無駄死にするだけよ!!」

 「HAHAHA、確かにその通りだ。だが、私は逃げるわけにはいかないのだよ。何故なら私はヒーローだからだ」

ティアマトの言葉に真剣に返すハロルド。そして地味にメタネタを突っ込むのはやめようティアマト。それは汚れ(烈火)担当だ。

俺も真剣な表情でハロルドを見る。

 「……やれるんだな?」

 「HAHAHAHA。やれるやれないじゃない。やらなければならないんだよ」

 「5分だ。俺の計算ではそれだけ持ちこたえればエリウッドに命じた仕込みが完了する」

 「任せておきたまえ」

そう言って深緑の斧を持ってミネルバとカミラ姉さんを相手取っているアクアのところに行こうとするヒーロー(ハロルド)。

 「ああ、そうだ。召喚士」

 「なんだ?」

 「時間を稼ぐのはいいが———別に、あれを倒してしまっても構わんのだろう?」

 「ちょ!」

ハロルドはぶっとい死亡フラグを立ててから、アクアに深緑の斧を構えながら飛びかかっていく。

 「うをぉぉぉぉぉぉ!!!」

 「……」

 「グアぁぁぁぁぁぁ!!!」

 『ハ、ハロルドぉぉぉぉ!!!』

そして一瞬で叩き潰された。時間にして10秒に満たない。ゴッドスピードハロルド。

だが、ピンチには変わりない。あまりのハロルドの速攻に気を取られたミネルバは一撃で落とされ、カミラ姉さんもニンジンが圧し折られた。

うん、本格的にやばい。どれくらいの絶望かというと、大きい方をしたくてトイレに行ったら長蛇の列を見たときの絶望くらいやばい。

アクアも倒した英雄達を一瞥することもなく、まっすぐに俺を見て歩き出してくる。

 「逃げさない! 召喚士!!」

最後の砦であるティアマトが俺の前に立つがその前にアクアの足を止める者がいた。

 「HAHAHA、まだ私を倒したと思うのは速いのではないかね」

血まみれになりながらもハロルドは立ち上がっていた。アクアの繰り出した一撃は衝撃波で床が消し飛んでいる。それに直撃しながらもハロルドは立ち上がった。

 「ティアマトくんの言う通りさ。私では君には勝てないだろう」

そう言いながらハロルドは再度深緑の斧を構える。

 「期待されていないのはわかっている」

アクアの丸太を食らってハロルドは吹き飛ぶが、それでも尚も立ち上がる。

 「取り柄は深緑の斧と槍殺しかないなんてことは、私が一番よくわかっているんだ……」

ハロルドは血反吐を吐きながらも立ち上がる。

 「私が弱いってことはちゃんとわかってるんだ。私が君に勝てないなんて私が一番よくわかってるんだよぉぉっ……!!」

そこで初めてアクアは血まみれになっているハロルドを見る。そしてハロルドは吠えた。

 「それでもやるしかないんだ……! 勝てる勝てないじゃなく、ここで私は君に立ち向かわなくちゃいけないんだ!!」

そう言ってハロルドは深緑の斧を振りかぶってアクアに立ち向かう。

 「何故なら私はヒーローだからだ!!!」

 「……!!」

今まで数多くの英雄を叩き潰したアクアが初めて俺以外に対して反応した。

 「うぉぉぉぉぉぉ!! ジャスティスアックス!!」

 「!!」

 「グフ」

だが、大ぶりになったハロルドの深緑の斧をかいくぐりながら、アクアは冷静にハロルドに丸太を叩き込んだ。

吹っ飛んでくるハロルドを俺は受け止める。だが、モヤシで馬にもリンの補助がなければ乗れないような俺では受け止めきれるわけもなく、一緒に倒れ込んでしまう。

 「し、召喚士くん……」

 「ナイスファイト。お前のおかげで時間が稼げた」

俺の言葉にハロルドは満足そうに目を閉じた。

俺はハロルドを優しく寝かせて立ち上がる。

 「エリウッド! 準備は!!」

 「ハロルドのおかげで間に合ったよ!!」

 「よし! ニノ! スリーズ!!」

 「うん! 頑張るよ!!」

 「はい」

俺の合図で出てきたのはグルンブレード+を持つ二人(スリーズはスキル継承させた)。

 「さぁ、ゲームシテムとか全無視して応援とか紋章とか鼓舞をつけまくった二人の魔法を食らうがいい!!」

 「でも召喚士、爆心地付近にヘクトルが残ってるよ!!」

 「大丈夫! 他の英雄はカゲロウ達が回収してくれた。ヘクトルは必要な犠牲だったのだ」

 「それもそうだね! それにヘクトルだったら死なないか!!」

 「それでは『断空砲フォーメーション』だ!!」

 「威力的にはイデオンガンだよね!!」

エリウッドの突っ込みは無視する。俺の指示により天使(ニノ)と愛の重い(暫定)姫スリーズはグルンブレード+をアクアに向けて解き放つ。

圧倒的な威力で飛んでいく魔法。その余波で部屋も消し飛んでいくが、気にしない。

どう考えてもこれなら倒せるだろう。むしろ死体すら残らない可能性がある。

 『は?』

あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ!

 『超絶強化されたグルンブレード+×2がアクアに着弾するかと思ったら、丸太の一閃で消えた』

何を言っているかわからねぇと思うが、実際に見た俺たちはもっと信じられない。頭がどうにかなりそうだった……催眠術とか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしい脳筋を味わったぜ……

 「ポルナレフってる場合じゃないよ、召喚士! ぶっちゃけもう勝ちようがないよ!?」

 「く、仕方ない。こうなったら師匠直伝の技を使うしかないか」

 「今のつながり的に逃亡だね! わかるとも!!」

エリウッドが何か言っているが、俺は師匠に教えられた禁断の技を解放する。

 「俺たちの戦いはこれからだ!!!」

 「それは打ち切りENDだ!!」

召喚士の次回作にご期待ください!!

 




アクア(飲酒)
最強バーサーカー。強さはラスボス。最強すぎて誰も勝てないレベル。最初は軽く暴れてグルンブレード食らって沈黙する予定が薙ぎ払ってしまった。これは勝てない(確信)

ハロルド
FE界に現れたアメコミ風英雄。この話を考えた時にヒーローキャラのネタを突っ込もうと思った時に思いついたのが無免ライダーだった。画風がアメコミだったのでオールマイトが混ぜられ、バーサーカーに挑むことになったので正義の味方が混ざってしまった。FEifでもFEHでも特に思い入れのないキャラだったが、これを書いたらちょっと好きになった。

グルンブレード+×2
最初は二人だったからチャクラエクステンションにしようかと思ったけど、作者の趣味で断空砲フォーメションになった。むしろ威力的には某宇宙戦艦の波動砲。それを薙ぎ払うアクアとは一体……

俺たちの戦いはこれからだ!
英雄達の勇気がヴァイス・ブレイブを救うと信じて!

新年一発目からこんなどうしようもない話で申し訳ありません。でも思いついたのがこんな話やったんや…!
ちなみにアクアと戦闘しているのはうちの星5レベル40メンバーです。出てきてないのもいますけど、作者の力量ではこれが限界やった。出てきても喋ってないメンバーも多いですが。

リンのソール・カティを武器錬成したんで、スキル継承させ直しています。カミラ姉さん(ノーマル)にもスキル継承させ直しているんで、現在のスキルポイント2倍キャンペーンの間にリン(ノーマル)、カミラ姉さん(ノーマル)、スリーズのスキルを完成させたいところ。

シリアス? あるじゃないか。ハロルドに無免さんが憑依しているシーンが。アニメであのシーンを最高にかっこよくやってくれて、作者はテンション上がった。

お正月ガチャ? それは未実装。イイネ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と(ステが)微妙な英雄

本人と絡ませたかったのですが、思いつかなかったのでいつものメンバーです


 「俺、死ぬかもしれない」

 「お、ついにリンに浮気がバレたのか?」

 「Nice Boat.案件かい?」

 「少しは心配とかできねぇの?」

俺が重大そうに言っても、悪友二人はいつも通りの返しだった。

 「んで? 何かあったのか?」

ミカンの皮を剥きながらも話を聞いてくれるヘクトル。なんだかんだで人がいい。だから、後で奥さんのフロリーナにエルフィとデート(筋力トレーニング)していたことをチクってやろう。

 「いやな、活動報告でちょっと書いたんだけど、カミラ姉さん(晴れ着)とドルカスが同時に来たんだよ」

 「そうだね。そのおかげでどっかの脳筋ジェネラルは戦禍の連戦から外されてドルカスが入ったしね」

 「速攻でこき使われているせいでドルカスの目が死んでるけどな」

武器に遠反があって、ステータスが高いのが悪い。

 「その日の夜に『ひょっとしたら出るんじゃね?』と思ってアクア(晴れ着)狙いで一回回したんだよ」

 「その結果がクリスマスガチャだったと思うんだけどね」

クリスマスガチャなんてなかった。

 「……一発でアクア(晴れ着)が出たんだ」

俺の言葉にヘクトルは食べようとしたミカンを、エリウッドはお茶の入った湯呑みを落とした。だが、俺はさらに続ける。

 「そんな、まさかと思って今度はFGOの福袋ガチャを回したら、欲しかった英霊がピンポイントで来たんだ」

 「……ありえない」

思わず呟いたエリウッドの言葉に俺は頷く。

 「流石にもう出ないだろうと思って、友人から聞いた無料で10連をひけるキャンペーン中のデレステを引いたんだ」

そこまで言って一度言葉を切る。ヘクトルとエリウッドも真剣な表情で俺を見る。

 「担当アイドルのSSレアが出た」

 「嘘だろ……」

 「この世の破滅じゃないのかい?」

相変わらず失礼なエリウッドである。

 「その後に『乗るしかない、このビックウェーブに!』って思いながら作者はバンドリの10連を引いた」

 「「結果は?」」

二人の真剣な表情に俺は力強く頷く。

 「爆死した」

 「「ですよねぇ」」

そう上手くはいかないってことです。

 

 

 

さて、そんな新年のガチャ状況も済んだところで本題である。

 「二人に見て欲しいのはこの英雄だ」

俺はそう言って一人の英雄の情報を見せる。

 「フィル……だったよな」

 「バアトルの娘とは思えないよね」

フィルはきっとカアラに似たんだろう。

 「正直に言おう。ステータスとスキルが微妙」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドは同時に顔を背ける。

何が可哀想って攻撃、速さ、守備が完全にアイラのほうが上。頼みの魔防はリンとヨシュアのほうが上というところである。能力で考えたらアイラかヨシュアを素直に使ったほうがいい気もする。

 「そこで肝心なスキル構成だが、魔防の高さを生かせる氷華はいい。だが、他が速さとすり抜けって……」

敵をすり抜けられて味方に回復されても、返しのターンで36しかない攻撃力のせいで相性有利の斧を殺しきれず、ぶち殺されたこともある。

 「武器も原作で持ってた倭刀を持ってきてくれればいいのに、何故キルソードなのか……」

 「そこはほら、伯父さんに気を使ったのかもしれないよ?」

それでも素直に倭刀を持ってきてくれ。

 「そこで二人にもフィルにあったスキルを考えて欲しい」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドが同時に考える。だが、すぐにエリウッドは口を開いた。

 「単純に火力を上げるんだったら鬼神の一撃はどうだい?」

 「うちにクレインはいない」

無色を回しても全く出てこないクレイン。なんでや! スキル継承の素材にされるだけやぞ!!

 「鬼神の一撃2で我慢するしかないんじゃないかい? 幸いホークアイは何人かいるわけだし」

 「それだと+4で40にしかならないんだよなぁ。他の赤剣にも届かない」

ちなみに赤剣でフィルに次いで低いのはカレルである。エイリークにも負ける剣魔(笑)。

 「他に攻撃力を上げるんだったら、獅子奮迅とか死線とかかなぁ」

 「獅子奮迅じゃあ攻撃力40いかないし、死線だと生命線の魔防も下がるからなぁ」

エリウッドの意見に俺は首を傾げる。ぶっちゃけ俺は火力厨なので攻撃力が高いほうがいい。だからスリーズにわざわざバフ効果で攻撃力が上がるニノ砲を継承させたわけだが。

 「あとは攻撃の覚醒くらいかい?」

 「HP50%以下とか調整をミスる自信があるぞ」

 「そんなことでドヤ顔しないでくれるかい?」

闘技場とかで何回配置ミスって負けそうになったことか。

そこでずっと黙っていたヘクトルがようやく口を開いた。

 「だったら相性激」

発言の途中でヘクトルにデュランダルが叩きつけられる。相性激化=ロイ星4の犠牲なんだから、この親バカがやらせるわけないだろうに。学習しない男である。

 「だったら、獅子奮迅に差し違えで殺られる前に殺れの精神かな」

親友に対して致命傷の一撃を叩き込みながらも、平然と会話を続けるエリウッド。

 「確かにドタコンのバアトルなら喜んで犠牲になるだろうけどな」

俺も無視して会話を続けるけどな!

リンには獅子奮迅の待ち伏せ、武器錬成もしたので攻め立ての効果も追加された(と信じてる)スキル構成なので、住み分けは可能か……?

 「まぁ、どっちにしてもこの会話は本人には聞かせられないな」

 「そうだね。せっかく星5レベル40になって憧れのカアラに近づいたって喜んでいたからね」

俺とエリウッドが笑いながら会話をしていると、扉がガタリと揺れた。

俺とエリウッドは目線を合わせて、お互いに頷くとゆっくりと扉を開く。そこには涙目になったフィルがいた……って!?

 「フ、フィル!? いつからそこに!!」

 「その……くりすますがちゃと言っていたところから……」

最初からじゃないですかやだぁ。

 「す、すいません。私、漆黒の騎士さんに鍛えてもらってきます!!」

 「黒の月光覚えたら面白いかもしれないけど落ち着け!!」

ちなみにこの後フィルを泣かせたということでバアトルと鬼ごっこになったのは言うまでもない。

 




フィル
封印の剣士。バアトルの娘なのにバアトルに全く似ていない。真面目キャラのイメージが強すぎてキャラが崩せず、メイン回でありながらメインでなくなってしまった。本当にすまない。ちなみにスキル継承で悩んでいるのはガチです。何を継承させればいいんだ……

FGO福袋ガチャ
聖杯転輪中のジャンヌ・オルタちゃん

デレスレ担当アイドル
中の人はFEHではシーダをやっています。花嫁シーダが欲しくて回した結果出てきた3人の花嫁シャーロッテ。

バンドリ
紗夜の星4プリーズ!!



どのキャラでもそんなんですけど、スキル継承悩みますよね。作者は現在、カミラ(ノーマル)にニンジンの斧を継承をさせたことで、カミラ(ノーマル)を育成し直しています。そしてそれぞれ別バージョンが3人づついるリン、カミラ、アクア。リンちゃんパーティを目指していたら、カミラとアクアもリーチなったゾ!


活動報告の方でも少し書かせていただきましたが、タグに出番の多い『ヘクトル』と『エリウッド』を追加しようか悩んでいます。追加したほうがいいと思う方は活動報告にそれ用の場所を作っときますので、そちらに意見等を送ってください。タグの例でもいいですよ。例えばデブ剣(エリウッド)みたいな感じで。
それと書いて欲しい英雄がいれば同じ活動報告に投げてください。投げるだけならタダです。書けるかはわかりませんが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と暁の世界ガチャ

いつも短いですが、今回はちょっと忙しいのでいつも以上に短いです。文字数で言うと1000文字くらい。


 「召喚の時間だ」

俺は部屋に居座っていたバカ二人を連れて召喚室にやってきた。俺の言葉にバカ二人は不思議そうに首を傾げる。

 「お前この間『今後出るであろう特別なリンのためにオーブはとっておく』って言ってなかったか?」

 「言っていたよ。その気持ちは変わっていないから、初回無料で出た青と赤だけを引くことにする」

 「今回の青と赤のピックアップはミカヤとゼルギウスだったね。でも何でその二人なんだい?」

エリウッドの質問は最もである。

 「ゼルギウスは漆黒の騎士の中の人だ。つまり星4の漆黒の騎士を含めれば漆黒の騎士が三人になる。黒い3人と言えば何だと思う、ヘクトル」

俺の質問にヘクトルは少し考えるが、どこか納得したのか頷いた。

 「黒い三連星か」

 「その通り。友人にネタで言っていたジェットストリームアタックがリアルでできるわけだ」

 「FE的にそこはペガサスナイトのトライアングルアタックにしようよ」

ペガサスナイト好きとしてFEH配信前から実装を待っているのに、未だに未実装なのは納得いかない。

 「青の理由はミカヤか?」

 「ミカヤも欲しいけど、ぶっちゃけそっちではない」

 「じゃあ何でだ?」

 「基本的にソシャゲのピックアップは働かないと思ってる。だからすり抜けでティルテュが来てくれるって信じてる」

 「思うのは自由だけど口にしちゃダメだと思うよ」

エリウッドの忠告を無視しながら召喚の石版を起動。浮かび上がってくる色付きオーブ。

 「青が二つに赤が一つか。初回無料を含めればオーブは8個の出費だね。どの色から行くんだい?」

 「ティルテュが来てくれるって信じて青から行くぜ!!」

俺は叫びながら青色のオーブを石版に叩き込む。舞い上がる土煙。浮かび上がるシルエット。

 「……えっと、その。空気が読めなくてすいません」

申し訳なさそうに出て来たのはゲイルスケグルを担いだルキナだった。

 「確かにすり抜け星5だね」

 「腐っても元軍師だな。その先読みの能力は認めてやるよ」

明らかに愉悦ってるバカ二人を一発ずつ殴って黙らせると、ルキナを丁重に召喚部屋から送り出す。

 「総選挙ルキナちゃんは二人目だよね? 凸らせるの?」

 「迷うところだよな。鬼神金剛の一撃も美味しいからわざマシンとして使えるし」

 「英雄をわざマシンって呼ぶなよ」

ヘクトルのツッコミを右から左に流しつつ、二つ目の青オーブを石版に叩き込む。

土煙も上がらなかったので、半分適当に流す。ちなみに結果はツバキでした。入れ替えを誰かに継承させるか。

 「んじゃ、最後の赤だな」

 「赤……それは剣。ということは召喚すべき英雄はロイに決まっているよね、召喚士」

 「黙れよ親バカ。狙いはゼルギウスって言ってるだろ」

そんな会話をしながら赤オーブを石版に叩き込む。

 「ま、流石に星5は出ないだろうな」

 「そう連続で出るものでもないしね」

 「俺も最初に総選挙ルキナが出た時点で諦めてる。お、煙出た」

 「ロイだね!! ロイ以外考えられないよね!!!」

テンション爆上がりになった腹黒侯爵は無視する。まぁ、確かに星4ロイは相性激化3を持ってきてくれるから助かるが。

しかし浮かび上がったシルエットはどう見てもロイではなく、とてもゴツかった。

 「我が名はゼルギウス…異なる二国の将であった者。この剣をしばし貴殿に預けよう」

 「「「……ファ!?」」」

 




ジェットストリームアタック
マチルダは死ぬ

トライアングルアタック
実装はよ!!

ソシャゲのピックアップ云々
個人の感想です。これには個人差があると思います。だが狙ってもいないヴラド三世が宝具レベル3なのはおかしいですよカテジナさん!! ちなみに物欲センサーと言い換えてもいい。

わざマシン
ポケモン初代世代としては、いつのまにか使ってもなくならなくなっていたことに驚いた。



リアルが忙しくて書く予定はなかったのですが、ネタがやってきてくれたので投稿。まさかマジで出るとわ……星4漆黒の騎士も育成して闘技場の防衛にでも置くかなぁ。残り一人? やるんだったらマチルダ星4レベル1でしょう。

持っていないジャファルを除けば、名前だけでも実装されてる烈火メンバーは出てるかなぁと思っていたら初期勢のセーラが影も形もいなかった。英雄図鑑で見た時に素で『あ』ってなかった。許せ、セーラ。

アンケートへの投稿ありがとうございます。アサマのペインを利用した削りでなるほどと思い、使って見ようと思ったらうちのアサマは星4レベル1でした。……できないやん!!ですが、せっかくですので何かネタを考えてみます。

あとエリウッドの個体値を選んでいると書きましたが、厳選が面倒になったので今いるエリウッドの一人を星5に覚醒させることにしました。原作的に考えてそこまで強いキャラじゃないからいいよネ!そんなわけで次回は親バカ魔王覚醒編になるかと。その前にあと羽を一万集めなきゃいけないけどね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とジョーカー

戦禍の連戦の報酬がカムイだったので、その臣下達が暴走したようです。


 「戦禍の連戦の時間だぞ! 召喚士!!」

 「突然部屋に入ってきて何なの、おまえ?」

扉を蹴破って叫んだのは、カムイ以外に対しては超絶失礼執事のジョーカーだった。

俺の言葉を確実に聞いていないであろうジョーカーは尚も叫び続ける。

 「今回の達成報酬はカムイ様(晴れ着)だ! 休んでいる暇はないぞ召喚士! 出撃だ!!」

 「ルーデルかおまえは。ちょっと落ち着け」

とりあえず奇声を挙げ続けるジョーカー星4レベル1をフランケンシュタイナーで床に叩きつけることで黙らせることに成功した。

 

 

 

3分で復活したジョーカーを落ち着かせて、炬燵に入らせる。

 「それで? 今回はどうした? またフェリシアに煽られたか?」

 「そうだな。あのクソメイドの奴、貴様が星5レベル40にしたことによってさらに調子に乗ってな。『ジョーカーさん。私、星5レベル40になったんですよぉ。ジョーカーさんはどうですか? あ、星4レベル1ですよねぇ。スキルも星4じゃ魔防の応援と守備3ですもんねぇ!! 私なんて星5ですよぉ? しかも星4で生の息吹3と氷華まで持ってきますからねぇ!! つらいなぁ。人気者は辛いなぁ!! あ、私はこれからカムイ様(男)とカムイ様(女)と一緒に修練の塔なんで失礼しますねぇ!!』と散々に煽って行きやがった!! あのクソ淫乱ピンクがぁ!!!!」

どうやらいつも通りフェリシアに煽られたらしい。二人ともカムイ’sには忠実な臣下だが、二人がいない時のノリは俺とヘクトルとエリウッドのノリに近い。そのためにどちらかが煽って、煽られたほうが俺の部屋に来て相手に罵倒の言葉を吐き続けるのが平常運転である。

俺も慣れているので適当に相槌を打ちながら聞き流していると、1時間近くフェリシアに対して呪詛を吐き続けてからジョーカーは落ち着いた。

 「それで? 戦禍の連戦だっけ? 言われなくてもやりに行くぞ?」

 「やりに行くだけではダメだ。とにかく少しでも早くカムイ様(男・晴れ着)を仲間にする必要がある。もし、星5を取り逃がしたら俺はまた反乱するぞ」

期間内にポイントを集めなかったら第三次ジョーカーの乱が発生するらしい。

 「今回はボーナス40%キャラがカミラ姉さん(晴れ着)とアクア(晴れ着)がいるし、ポイントも15000だから早めに加入すると思うけどな」

今回、キャラ配布のポイントが下がったのは何故だろうか。

 「とにかく早くだ。今回のカムイ様(男・晴れ着)が来れば、カムイ様(男)・カムイ様(女)・カムイ様(男・晴れ着)の三人が揃うんだぞ? 召喚士がカムイ様(女・水着)を召喚していればカムイ様パーティが組めたと言うのに……!」

 「それに関してはカムイ(女)を星5にすることで決着しただろう」

というかカムイの名前が出て来すぎてカムイがゲシュタルト崩壊しそう。

 「カムイ様(男・晴れ着)は破魔矢の効果と守備魔防の応援と紋章でバフをかけることができるんだぞ? これは入っていただくしかないだろう?」

 「むしろ破魔矢を含めたそれらのスキルを他の奴に継承させ落ち着け、冗談だ。だからその銀の暗器は仕舞え」

ガチで殺す目つきになっているジョーカーを落ち着かせてから、とりあえずお茶を飲む。

 「まぁ、おまえに言われなくても戦禍は走るさ。羽もオーブも欲しいしな」

何よりカムイLOVE勢からのプレッシャーが酷い。末妹組とタクミ以外は殺気だってるしな(リョウマはいない)。

 「走るだけではダメだ。とにかく早く加入していただけ」

ジョーカーの目つきがヤバイ。

 「だけどなぁ……スタミナは最大99で、スタミナを20消費するしなぁ」

昼間は色々あるので、FEHは夜しかできないのでそこまで参加できないのだ。

 「安心してください、召喚士さん!!」

 「フォ!?」

突然俺の部屋に現れたフェリシア。あまりにも驚いて奇声を挙げてしまった。だが、ジョーカーは驚くことなく、殺す目つきでフェリシアを睨みつけている。しかし、フェリシアはそんなジョーカーを無視しながら楽しそうに言葉を続ける。

 「倉庫からスタミナ回復薬を298個持ってきました!! ソシャゲのイベントはスタミナ回復アイテムをぶん回しながら走るのが基本です!! さぁ、走りましょう!!」

 「ちょっと待て。298個って俺が保管していたスタミナ回復薬全部じゃねぇか」

 「よくやった無能淫乱ピンクメイド。貴様もたまには役に立つな」

 「わざマシンとしても中途半端なクソ執事に言われたくないですぅ」

 「話を聞け」

俺の部屋なのに俺を無視して中央でメンチを切り合うカムイの忠臣達。

 「とりあえずスタミナ回復薬を使う気はないぞ? おそらくポイントは間に合うしな」

 「フェリシア。あれを用意しろ」

 「は〜い。もう準備していますよぉ」

俺の言葉に阿吽の呼吸でフェリシアが紅茶セットを用意してきた。どこから出した。

ジョーカーはティーポットからティーカップに注ぎ、俺の前に置く。

 「召喚士、貴様はフェリシアに美味しい紅茶を入れてもらったと言っていたな。だが、奇跡はなかなか起きないから奇跡なんだ」

ジョーカーはそう言いながらティーポットから紅茶を一滴垂らす。そしてその滴が床につく……

 「は?」

意味がわからない。紅茶が地面に付着した瞬間に、その水滴の床の部分が溶けて穴が空いた。

え? 何なの? これ本当に紅茶?

 「基本的にこのゴミクズメイドの料理は毒にしかならない。さぁ、貴様の選択肢は二つだ。スタミナ回復薬を飲んで戦禍を走るか、この紅茶を飲んで命を失うか、だ」

なるほど、これは交渉ではなく脅迫のようだ。命を散らすより、スタミナ回復薬をがぶ飲みしながら戦禍を走れと言いたいのだろう。

だが、この執事は甘い。

こちとら心が深淵のように真っ黒な腹黒侯と付き合っているのだ。その程度では脅しにならない。さらに、そっちが脅迫してくるならこちらも外道に走らせてもらう。

 「ここにロイに悪いことを教えようとする執事がいるぞ!!」

 「き、貴様!? それガ!!!!」

発言の途中でジョーカーは部屋の床に押し付けられる。押し付けているのは我らが暗黒親バカ侯エリウッドである。ちなみに瞳の中にハイライトはない。

 「いやぁ、ロイに悪影響を与える人間は処分しなきゃね! 仲間だった気もするけど……うん、ロイの教育に悪いから死刑でいいね!!」

 「ふ、ふざけるな!! おい、フェリシア助け……って、いない!? や、やめ……ギャァァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

 

 「あれ? カムイ様。どうかしましたかぁ?」

 「あ、フェリシアさん。最近、ジョーカーさんを見ないんですけど、どこに行かれたか知りませんか?」

 「あ、ジョーカーさんですか。きっと召喚士の好きなキャラが無色ピックアップされたら来る可能性もありますよ」

 「きゃら? ぴっくあっぷ?」

 「あ、純粋なカムイ様は知らなくていんですよぉ。さ、それより召喚士さん達とお茶会にしましょうかぁ」

 




ジョーカー
カムイの忠臣、しかし忠誠心は鼻から出る。カムイ以外に対しては対応が雑。しかし、同じ立場のはずのフェリシアと仲は悪い。ちなみに作者はこれを書いた後に唯一いたジョーカー星4を羽にした。すまん、ジョーカー。ネタのために羽になってくれ。

フェリシア
腹黒メイド。でも腹黒具合ではエリウッドに劣る。むしろエリウッドを超えたら人間であることを捨てることになる。立ち回りが上手で、美味しいところを持っていく。星5にしたのはいいけど、攻撃力が低くてレベル上げが大変だった。

ルーデル
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。第二次世界大戦の時のドイツ軍人で爆撃王。アンサイクロペディアを読んで見よう! きっと面白いはずだ!!

第一次ジョーカーの乱
カムイ(女・水着)を召喚しない召喚士に怒りを抱いたジョーカーが召喚室にオーブを持ち込んで立て籠もった事件。一週間立て篭もり続け、最終的にカムイ(女)を星5に覚醒させ、星5カムイ(男)をレベル40にすることを条件に解決された。尚、黒幕はピンク髪のメイドの模様。

第二次ジョーカーの乱
星4カムイを羽にした召喚士に対して怒りが有頂天になったジョーカーが、主力がストーリーや修練の塔に行った隙に仲間を集めて召喚士を襲撃した事件。しかし、召喚士はこの動きを察知しており、ヴァイス・ブレイブ本拠地を焼き払って逃亡し、ゲリラ戦を展開。さらにニフルに遠征していたリンとエリウッド率いる主力軍が『ニフル大返し』を行って帰還、さらに修練の塔に出撃していたヘクトル達も合流し、ジョーカー率いる反乱軍は鎮圧され、ジョーカーはヴァイス・ブレイブの焼け跡で斬首された。尚、密告したのはカムイの家臣の模様。いったいなにシアなんだ……



前回のあとがきで暗黒侯爵爆誕と書きましたが、戦禍の報酬とジョーカーを見て思いついてしまったのでジョーカー編です。書いているうちにジョーカーとフェリシアが烈火面に染まりました。赤と青を回すたびにカムイ'sが出て来るので、よく羽にしてしまうんですが、よく考えたらこいつらが黙ってないよなって感じでジョーカーは二回反乱を起こしています。無色を回してもジョーカーは全く出なくて一人しかいなかったのに、ネタのためだけに羽になりました。そのおかげで羽が20000溜まったので親バカ暗黒卿が覚醒できます。

主にデジモンのせいで買ったのはいいけどやっていなかった『大神(絶景版)』をプレイし始めました。PS2でもやっていましたが、とりあえずアマ公は尊い。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とアイラ

いつも以上にキャラ崩壊が酷いです。特にアイラファンは要注意。


 「召喚士、私を抱いて欲しい」

俺とヘクトルとエリウッドの三人で自室でだらけている時にアイラが突然やってきて言い放った。

こういう悪さをするのは大抵バカ二人のために、言われた瞬間に二人を見るが、二人も驚いたように口をあんぐりと開けており、二人の仕業ではないらしい。とりあえず三人でアイコンタクトし、誰の差し金でもないことを確認する。

 「召喚士、とりあえず入ってもいいか?」

 「あ、ああ。別にいいぞ。悪いな。待たせて」

 「構わない」

二人に問い詰めている間に、アイラが気にした風もなく部屋に入ってくる。

とりあえず再度アイコンタクトを行う。そして三人で意思疎通を行うと、空いていた炬燵に入ってきた流星の剣姫さんに問いかける。

 「聞き間違えたかもしれないから、もう一度言ってもらっていいか?」

 「うん? 別に構わないぞ」

俺の問いにアイラは明日の天気を答えるような気安さで答える。

 「私と子作りをして欲しい」

 「そこを動くな無能ジェネラルに腹黒親バカ!!」

アイラの答えを聞いた瞬間に駆け出そうとしたバカ二人を仕掛けておいた自室トラップ(場合によっては死ぬ可能性もあり)で捕まえる。

 「おい、どっちの差し金だ?」

 「待て待て! 今回は本当に俺たちじゃない!!」

 「親友を信じられないというのかい!?」

 「親友? 誰が?」

俺の前にいるのは俺を殺そうとする連中筆頭の二人である。友人だった時期もあるかもしれないが、自分の命と引き換えなら喜んでこの二人を生贄に捧げる。もちろん、このバカ二人もそうだろう。

 「召喚士、その二人の言っていることは本当だぞ」

 「「「え?」」」

とりあえず二人専用の拷問器具を用意しようと考えていたら、アイラから意外な答えを聞いた。俺だけじゃなく、二人も意外な声を出したのは、いつものようにデマをばら撒いていた記憶があるからだろう。俺もやってるしな。

とりあえずバカ二人の疑いは晴れたので、トラップを解除して再び炬燵に入る。ヘクトルとエリウッドもアイラの発言に興味を持ったのか、いつものように部屋から出て行かずに、炬燵に入ってきた。

お茶を飲んで一息ついてから、会話を再開する。

 「とりあえず、なんで俺と……その……」

 「童貞くさい反応だな」

 「無能ジェネラルは黙ってろ。遠距離反撃外すぞ」

とりあえずいつも通りの反応になったヘクトルを黙らせる。

 「子作りのことか」

 「……すごい、真顔で言い放ったよ」

アイラのあまりな発言にエリウッドはいつもの軽口が出ないようだ。

 「シャロン王女主催の女子会に呼ばれた時なのだがな」

 「あれ? アイラが女子会に出るなんて珍しいな」

いつもなら女子会に出ずに、アテナと二人で剣の鍛錬をやっているはずなんだが。

 「いや、ラケシス王女に誘われてしまってな。先の戦いのこともあったからな。断れんよ」

聖戦の系譜のことだろうか。

 「そこで子供の話になってな。子供はやはり親に似るらしいが、生憎、私は子供がいなくてな」

 「ちょっと待って」

 「? どうした?」

 「うん。ちょっと待ってもらえるか。バカ二人、集合」

俺の合図にいつもなら反論してくるバカ二人も部屋の隅に集まる。そしてアイラに聞こえないように会話を始める。

 「おい、召喚士。確かアイラには子供がいたって情報だったよな?」

 「ああ、双子の子供がいたはずだ」

ヘクトルの言葉に俺が答えると、エリウッドが確認をとるようにアイラを見た。

 「ちょっといいかい? アイラさんは元いた世界で結婚はしたかい?」

 「うん? おかしなことを聞くな。私がいた世界では戦時中だったからな。子供を産むヒマなどなかったぞ。一人でも多くの敵を斬らねばならなかったからな」

 「そ、そうかい」

アイラのあまりな返答にエリウッドの顔もひきつる。そして再び始まる密談。

 「そういえば戦禍の連戦で敵にシグルドが出てきた時に、流石に戦わせるのは忍びないと思って下げようと思ったら、シグルドを惨殺していたな。ご丁寧に剣姫の流星を出して」

 「……召喚士、流石にそれはどうかと思うよ?」

 「こればっかりはエリウッドに同意だ」

 「いやいや、俺だってお前らとか烈火組以外には気を使うさ。だから戦わせないようにしたんだよ。だけど、アイラ自身がぶっ殺したんだよ。流石の俺も気を使わせたかな、と思って謝ったら逆に不思議そうにされたよ」

俺の言葉に黙って二人は先を促す。

 「曰く『敵なんだから斬って当然ではないか』ってな」

俺の言葉に絶句する二人。

 「それでも戦友であるシグルドを殺させてしまったんだからって謝ったら『シグルド殿でも敵なのだろう? 何の問題もない』って言い切られたよ」

俺が言い終わると、三人で視線を合わせてアイラを見る。俺たち三人の視線を受けて黒髪ロングヘアー美女は不思議そうに首を傾げていた。

 「……そういやラケシスも雰囲気が違うって言っていたな」

ヘクトルの呟きに俺とエリウッドは視線を合わせる。

 「ちなみにラケシスの知っているアイラには双子の子供がいたそうだ」

ヘクトルのある意味とどめとも取れる発言だが、俺は一応確認する。

 「ちなみにアイラ。スカサハとラクチェという名前に覚えは?」

 「? 誰だ?」

 (((まさかのアイラ未婚ルート!?)))

聖戦においてチートユニット母体として有名なアイラが使われていないルートらしい。縛りプレイでもしていたのか。

とりあえずラケシスとアイラが同じ世界出身でありながら別世界出身というわけわかめな出来事を流すとして、最初の会話に戻る。

 「それで? なんで急に子供の話に?」

 「うむ。ラケシス王女やフロリーナ殿に子供を産むことは女の喜びということを聞いてな。正直なところ、女の喜びなどシャナンを鍛えているときに捨ててしまっていたが、幸せそうに語るフロリーナ殿を見て…うん? ヘクトル殿はどうした?」

 「あ、気にしないで。奥さんの純粋さに浄化されてるだけだから」

悶え苦しんでいるヘクトルを流し、アイラの言葉を待つ。

 「そして母は強くなるものだとも聞いてな。女の喜びというものに興味を持ったのと、強くなれるという言葉を聞いたら産んでみようという気持ちになってな」

 「ちなみに女の喜びを知りたいという気持ちと強くなりたいという気持ちはどっちの方が上だ?」

 「強くなりたいだな」

俺の質問にノータイム返答をしてくるアイラ。安定の戦闘脳である。

 「ラケシス王女に好きな相手に抱かれた方がもっと強くなれると聞いてな。この世界で私が一番好意を抱いているのは召喚士だからな。だから召喚士と子作りをすればいいと思った」

 「どうしようエリウッド。同じ言葉を喋ってるのに、会話できている気がしない」

 「あ、僕は関係ないから巻き込まないでくれる?」

ニコヤカに俺の部屋から離脱しようとしたエリウッドは吹き飛ばされた扉に巻き込まれる。俺は瞬間的にヘクトルを盾にし、アイラは瞬閃アイラの剣で破片を切り払っていた。

そして部屋に入室してきたのは般若の表情をしたリン。

 「……軍師?」

あ、死んだ。完全にリンの眼が殺す目つきになってる。呼び方も昔に戻ってるし。

 「とりあえず遺言は読んだ? 来世への祈りも済んでる?」

 「待て。話を聞いてくれ」

 「浮気したら殺すって言ったわよね?」

アカン。完全に勘違いしてる。

だが、元凶のアイラは不思議そうに首を傾げていると思ったら、どこか納得した顔で一度頷く。

 「なるほど。リン殿も召喚士と子作りがしたいのだな」

 「……はぁ!?」

アイラのさらなる爆弾にリンの顔が真っ赤に染まる。だが、アイラは気にせずに言葉を続けた。

 「英雄色を好むとも言う。別に一人でなくてもいいだろう。どうだ、召喚士。私とリン殿の二人くらい大丈夫だろう?」

 「ば、ばかじゃないの!? 駄目に決まってるでしょう!!!」

 「む、ならばどうすればいいのか……」

そこでアイラは本当に困ったような表情を一瞬だけしたが、すぐに晴れやかな表情になった。

 「だったら、勝った方が召喚士と子作りをできることにするか」

 「待って。本人の意思がガン無視されてる」

 「いいわ! 私が軍師を守るもの!!」

 「リンも落ち着け。目がグルグルしてるから。って、待って!! ガチで戦闘始めないで!! ちょ!? エフラム! エルフィ! リンダ! ラインハルト! 早く来て!! 部屋が壊され…あぁぁあぁあっぁ!!!!!!」

 

後日、本格的にアイラからも貞操を狙われ始めた俺は、炎の王国ムスペルへの亡命を企てたが、俺の視界内でゼクシィを読むニフルの第一王女スリーズによって捕縛されたのだった。

 




アイラ
ご存知FEH界の超絶チート剣士。彼女の登場によって大半の剣士キャラが産廃となった。作者も好きなキャラではあったが、ここまでチートにされると微妙な気分になる。使うんですけどね。聖戦の系譜出身でありながら、他の聖戦キャラとは別世界出身という意味不明な設定。とりあえず敵は斬る。知り合いだろうが親族だろうが敵なら斬るという修羅道に突っ込んでしまったという設定。こいつは本当にバーハラの悲劇で死んだのだろうか。

親友? 誰が?
元ネタは銀河英雄伝説のポプランとコーネフのやりとり。この作品のエリウッドを書いている時に親友には悪態、それ以外には優しいってコーネフじゃね? って気づいた。そのうちヘクトル・ポプランとエリウッド・コーネフでやり取りを書きたい。

顔真っ赤リンちゃん
羞恥で真っ赤になってるリンちゃんはきっと可愛いと思うんだ。そのつもりで書こうと思って失敗したのが作者です。




今回は特に悪ノリしました。えぇ、反省してます。最初は戦禍の連戦でシグルドをアイラで倒してしまい、その時のアイラは何を考えたのかと考えた結果が修羅・アイラの爆誕となりました。今後、アイラの子供達が実装されたらどうしようかと思っていますが、それはその時に考えましょう。というかシグルドを倒した時のアイラの心情を考えた結果が子作りの話に繋がるとか、自分でも割と驚いています。

アサマと腹黒親バカ爆誕話も考えているので、近いうちに投稿できたらいいなぁと思っています。ところでうちのパオラさんは旭日の剣+に相性激化つけて緑絶対殺すウーマンにしてるんですけど、二つのスキルって重複するんですかね。スキル継承システムが導入された時に速攻で継承させたから、情報調べてなかったんですよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とパオラ

感想で旭日の剣と相性激化の効果が重複しないと教えてもらったのでパオラさん回です


俺はパオラさんを自室に呼び出していた。

 「召喚士さん。パオラです。入ってもよろしいですか?」

俺の部屋に入ってくる時に確認をとる時点でかなりいい人だということがわかる。ヘクトルとかエリウッドだと勝手に部屋に入ってお茶とかお菓子を漁った挙句にエロ本を置いていったりするからな。

俺が了承すると、パオラさんが部屋に入って来た。

 「突然のお呼び出しですけど、何かありま……キャッ!!」

 「大変申し訳ございませんでした!!!」

俺の渾身の三回転捻りジャンピング土下座にパオラさんは酷く驚いていた。そして土下座を続ける俺を必死に起こしてくれた。

俺も起き上がってパオラさんのために用意した最高級紅茶(ジョーカーが残していったもの)を淹れてパオラさんに出す。パオラさんも恐縮した様子で飲み始めた。

 「あの……それで何のごようですか?」

 「うん。実は謝りたいことがあってな」

俺の言葉に不思議そうに首を傾げる。

 「スキル継承で意味のないスキルをつけてて申し訳ない」

旭日の剣と相性激化の効果が重複しないことを知らなかったので、スキル継承が実装された時にスキル継承させた相性激化が無意味だったことを教えてもらったのだ。

だが、そんな俺に対してもパオラさんは穏やかに微笑むだけだった。

 「大丈夫ですよ。私は気にしていません」

 (女神か)

天使(ニノ)と女神(パオラさん)がいるかと思えば、悪魔(エリウッド)とか修羅(アイラ)がいる混沌の世界がヴァイス・ブレイブである。

 「パオラさんならそう言うと思っていたけど、初期から飛行剣で活躍してくれたパオラさんに対して申し訳ないから、お詫びに何か好きなスキルを継承させてあげるよ。例えば」

そこまで言うと俺は指を鳴らす。すると隠し扉からエリウッドが簀巻きを担いで部屋に入ってきて、それを俺とパオラさんの前に落とした。

 「なんなら遠距離反撃を継承させてもいい」

 「き、気持ちは嬉しいですが、ヘクトルさんは主力の一人ですし……」

おやおや? 何故かパオラさんの微笑みが引きつっているぞ?

白目をむいて痙攣しているヘクトルを引きつりながらも心配そうに見ている。女神(パオラさん)に心配かけるとか万死に値する。

 「エリウッド。ヘクトルはニフル王国にある湖にでも沈めとけ」

 「わかった。樽に重石をつけて沈めておくね」

エリウッドがニコヤカに笑いながらヘクトルを引きずりながら出ていった。

パオラさんが何か言いたそうにしているが、間違いなくヘクトルに関する扱いだろうからスルーする。

 「それだったらアイオテの盾とかか? それだったら星3ミシェイルを星4にして継承させてもいいが?」

 「あの……流石に主の兄君を犠牲にするのは……」

本当に申し訳なさそうに言ってくるパオラさん。

 「それに私は防御力がそんなに高くないので、それらのスキルをいただいても活躍できないかと……」

つまりパオラさんより守備も魔防も低い剣魔(笑)さんは前衛職として致命的ということか。

 「それに折角サナキさんから教えていただいた相性激化ですから」

 「うん? 今、私の名前を呼んだかの?」

パオラさんの言葉にお菓子を集りにきたであろう幼女皇帝(サナキ)がペロペロキャンディを片手にやってきた。

 「いやいや、サナキは優秀だなって話をしていたんだよ」

 「うはは。そうであろう! そうであろう! もっと褒めても良いのだぞ!!」

俺の言葉に上機嫌になった幼女皇帝。相性激化に高火力魔法なので緑に対しては圧倒的な強さを誇るのが幼女皇帝である。我がヴァイス・ブレイブではお菓子をもらって素直に喜ぶ姿が可愛いと評判なので皇帝(笑)状態なわけだが。

姉属性が強いパオラさんも幼女皇帝を可愛がっている側の人間なので、微笑みながら幼女皇帝に話しかけた。

 「サナキさんは何か欲しいスキルとかありますか?」

 「うん? スキルかの?」

幼女皇帝はお菓子片手に少し考えていたが、すぐに思いついたのか笑顔で言い放った。

 「奥義が欲しいのじゃ!!」

驚愕した表情で俺を見てくるパオラさん。俺も慌ててサナキの資料をみる。そんな……赤魔の双璧(もう片方はサーリャ。バフで威力が上がるのは素晴らしい)であるサナキに奥義をつけてないとか

 「……あ」

 「し、召喚士さん?」

まさかのスキル継承させるのを忘れていたことが判明した。

俺とパオラさんに無言の空間が広がった。それを幼女皇帝が不思議そうに首を傾げている。

 「サ、サナキ。クライネがお菓子を作ったみたいだから、貰いに行ったらどうだ?」

 「本当かの!? 早速もらいに行ってくるのじゃ!!」

嬉しそうに部屋から飛び出して行ったサナキを見送る俺とパオラさん。まさかの事態に俺もちょっと反応に困る。

 「あの……なんでしたら私が月虹をお教えしましょうか?」

 「いや、月虹は他にも継承させたい相手がいる……うん? 月虹?」

考えてみたら月虹のチャージは2。だから連射が可能だから使い勝手がいい。

 「召喚士さん?」

パオラさんは速さが31あるから、そこそこの発動率がある。だが、最初から二回攻撃が可能だったら……!?

 「あの? 召喚士さん?」

 「勇者の剣だよ! パオラさん!!」

 「きゃ!!」

俺はパオラさんの肩を掴んで話す。

 「最初から二回攻撃できる勇者の剣を持てば、パオラさんは月虹の連射が可能だ!! そしてサナキからスキル継承させた相性激化も無駄にならない!!」

 「あ、あの……ですが、勇者の剣+を持っている方が……」

 「大丈夫!! 初期の頃に出てきたのに全く育成されていないオグマがいる!!」

初期に出てきた星5にも関わらず未だにレベル1なオグマには犠牲になってもらおう。

 「あの! ですが、それはオグマさんが犠牲になるのでは!?」

 「星4が二人もいるから大丈夫!! よっしゃ! スキル継承に行くぞパオラさん!!」

 「し、召喚士さん! 落ち着いてください!!」

パオラさんの声を俺は聞き流すのであった。

 




パオラ
ペガサスナイト三姉妹の長女。心優しい女性。新・暗黒竜と新・紋章では軍神・バーツと並んで作者の主戦力だった。この世界では召喚士を慕いながらも貞操までは狙わない常識人。エリンシアの加入によって出撃が減ったために、召喚士の護衛を主に務めるようになった。

サナキ
幼女皇帝。暁とか蒼炎で特に思い入れはなかったけど、FEHで最初の星5赤魔だったので重宝してます。そして奥義のスキル継承をガチで忘れていて、スキル一覧を見て『あ』ってなった。



旭日の剣と相性激化の効果って重複しないんですね。なのでパオラさんで1ネタ思い付きました。そして犠牲になるオグマ。許しは請わない、恨めよオグマ。ちなみに星4ミシェイルは速攻でカミラ姉さんにアイオテの盾を奪われました。聖印でアイオテの盾が来るなんて聞いてないですよ……

それと何の気なしに暁ガチャを回したらミカヤが出ました。なんか最近ガチャ運が良くて、死ぬんじゃないかと思っています。

ファイアーエムブレム世界からの転生者と噂のジャック・チャーチルがファイアーエムブレム世界に転生してバグパイプ吹きながらクレイモアを振り回す小説を誰か書いてくれないかしら


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と親バカ覚醒

まさかの三日連続投稿。しかもこの話は途中まで書いていたのを消去してから書き直しました。主にロイピックアップとアイラのせい。


 「やめろ! それは俺たちの命を縮めることになるぞ!!」

 「だがヘクトル! これをやらなくちゃ仲良し烈火主人公達の中でエリウッドだけが星4のままなんだ!!」

 「それでいいじゃねぇか!! なんで自分から死にに行くんだ!!」

 「俺が死にそうになった時はヘクトルを生贄にするから大丈夫だ!!」

 「ふざけんなぁぁあっぁ!!!!」

ヘクトルの言葉を無視して俺は覚醒室に備え付けられている羽入れに、尊い犠牲(ジョーカー)で集めた羽20000を入れる。すると、光が覚醒室から溢れて爆発する。

そして部屋の中から一人の男が出てくる。恐れおののく俺とヘクトルを無視するように男は七歩歩いて右手で天井を指し、左手で地面を指しながら叫ぶ。

 「天上天下唯我独尊!!」

 「「仏教に喧嘩を売るのはやめようぜ、エリウッド!!」」

親バカ暗黒侯爵エリウッド覚醒である。

 

 

 

 

 

エリウッドを覚醒させてから数日間、名教師・アテナ先生(剣限定)と再行動要因のアクア、エリウッドが事故死した時の保険(だいたいはアテナが片付けるけど)弓騎馬リンの修練の塔周回によってエリウッドがレベル40になったことで、いつもの二人が俺の部屋で炬燵に入ってお茶を飲む。そして俺とヘクトルは同時に言い放つ

 「「お前にはガッカリだよ、エリウッド」」

 「おっと、心当たりが多すぎるから何の話か説明してくれるかい?」

俺たちにガッカリさせる心当たりが多すぎるとか、逆にすごいぞ暗黒卿。

とりあえずそのことはスルーして話を続ける。

 「とりあえずこれがお前の星5レベル40のステータスだ」

そう言って炬燵の上にエリウッドの資料を投げる。

HP42/攻撃47/速さ26/守備23/魔防32

これがうちのエリウッドのステータスである。

不思議そうにエリウッドは首を傾げた。

 「どこが問題なんだい?」

 「違うだろエリウッド! お前はこんなに普通に使えるステータスじゃダメだろ!!」

 「ヘクトルの言う通りだ!! 俺たちは『クソステ赤剣騎(笑)』と嘲笑う準備が出来ていたのに、本当にお前は最悪だな!!」

 「とりあえず最悪なのは君たちの性格だよね」

そこから乱闘が始まったが、あらかじめスタンバイしていたであろう速度でリンが駆けつけて俺たちにフルコース(ソール・カティ、キャンドルサービス+、ミュルグレ)を叩き込んで行った。そして手慣れた様子でプリシラがリバース+で俺たちを回復させて出て行った。

とりあえずズタボロになった部屋を片付けてから、改めて話を続ける。

 「攻撃47だったらロイ(ノーマル)より1高いしな」

 「父親の威厳を見せようと思った」

 「総選挙ロイ」

ドヤ顔かましたエリウッドにヘクトルが突っ込むと、エリウッドは素早く自分の耳を塞いでいた。

 「魔防も32だしな。魔道士達並の高さあるな」

 「そこで召喚士。僕に氷蒼を継承させるとかどうだろう」

 「聖兜でもつけとけ」

むしろ氷蒼はガチャで出てきたミカヤ優先ですね。サナキの奥義をマジで何をつけよう。

 「エリウッドはスキルA欄も空いてるな」

 「召喚士、相性激化継承させたら殺すからね」

ヘクトルの言葉にエリウッドがぶっとい釘を刺してくるが、俺はそこで一度首を振る。

 「やれやれ。お前のロイに対する愛はその程度なのか?」

 「お、喧嘩売ってきたのかな? いいだろう。君には本気でロイの魅力を語りきっていなかったからね。語ってあげようじゃないか」

25時間36分43秒も語っておいて本気じゃなかったことに割と戦慄するが、あえて流す。

 「いいか、腹黒親バカ。よく考えろ。ロイをお前にスキル継承させるとする。するとロイの一部がお前の中で生きることになるわけだ」

 「…つまり、僕はロイと支援Sを超えた存在になれる…?」

 「Exactly」

 「いや、その発想はおかしい」

ヘクトルの当然のツッコミは俺とエリウッドの熱い握手によって無視された。

 「まぁ、エリウッドにスキル継承させる気はさらさらないけどな」

握手から流れるように床に倒されてアームロックをかけられる。レフリー(ヘクトル)にロープを掴むジャスチャーをするが、レフリーはそれを無視した。

エリウッドとヘクトルによってツープラトンを決められたことでひと段落して、再度炬燵へと入る。

 「そういえば召喚士。今、ロイがピックアップされているけど」

やっぱりくるよね。ロイ大好き親バカなら当然の反応だ。だから、俺はあらかじめ用意していた理由を突きつける。

 「いいか、エリウッド。ピックアップは言わば定められた運命だ。最初から出会いが約束されているようなものだぞ? そんな神(運営)が定めた運命で出会うより、すり抜けでやってきた時に出会った時の方が運命的だと思わないか?」

 「うん、どうでもいいから赤オーブで召喚しようか」

 「この親バカは一切話を聞かないなぁ!!」

本当にロイのことになると性格が変わるな。

だが、そこでヘクトルがあることに気づいたように口を開いた。

 「でもよ、今回のピックアップは有用なスキルを持つキャラのピックアップということはスキル継承に使われるこなんでもない」

ヘクトルは最後まで言い切ることなく土下座した。殺す笑顔でデュランダルを構えたエリウッドに恐怖したのだろう。個人的にもわざマシンのためにガチャは回したくない。鬼神の一撃は欲しいが。

 「さぁ、召喚室に行こうか」

 「あ、ちょ、マジかお前! ばっか!! 俺はリリース1周年記念リンのためにオーブは取っとかないといけないんだよ!!」

 「大丈夫。きっと1周年記念は別の英雄になるから」

俺が本気の抵抗をしているのを、ヘクトルは嘲笑しながら見ている。

だが、天は俺を見放していなかった。

 「エリウッド殿、ここにいたのか」

 「「「ゲェ!! アイラ!!!」」」

どこからともなく銅羅の音が流れて修羅・アイラが自室にアンブッシュしてきた。

 「アテナ殿からエリウッド殿がなかなかの使い手と聞いて、是非とも手合わせをお願いしたいと思ってな」

アイラとの手合わせ=死刑というのはヴァイス・ブレイブの共通認識である。相性とか関係なくぶった斬るからな、このイザーク王女。マジでこいつをどうやって殺したのか本気で知りたい。アルヴィスに今度聞いてみよう。

アイラはエリウッドの持っていたデュランダルを見て嬉しそうに笑った。

 「おお、エリウッド殿は用意がいいな。それじゃあ早速練兵場に行こう。アテナ殿とカレル殿も待っているからな」

アテナは純粋に手合わせを、カレルは日頃の恨みをぶつけるつもりなのだろう。カレルの場合は烈火面なので、相性有利騎馬特攻のウルスラも引き連れているかもしれない。もちろん、ウルスラもカレルに協力するだろう。

エリウッドもそれがわかっているのか、顔色が真っ青になっている。

 「召喚士、ヘクトル……僕らは親友だよね?」

 「誰だ、お前?」

 「俺はエリウッドなんて親友いないな」

 「SINYU!?」

ヘクトルと俺は速攻で見捨てた。

アイラに連行されて行くエリウッドを俺とヘクトルはドナドナを歌いながら見送った。

 「どうなると思う?」

 「剣姫の流星食らって即死に3000聖貨」

 「同じじゃ賭けにならねぇな」

練兵場から聞こえるエリウッドの悲鳴をヘクトルと二人でお茶を飲みながら聞くのであった。

 




エリウッド
このシリーズではお馴染み親バカ。作中ではデュランダルを最初から使ってますが、彼は星4でした。なので星5覚醒。星4時点で微妙なステだったから召喚士とヘクトルで煽るネタを考えていたのに、星5のステで裏切られた。ここのエリウッドは本当に作者の思い通りに働いてくれない。だから作中で召喚士が言っているスキル継承させないのはガチです。貴様はボーナスの時にだけ働くがいい。

アイラ
前回の登場させてから1番評価が怖かったお人。とりあえずマイナスの感想は来なかったので、ここのアイラさんは修羅の道を歩んでい行ってもらいます。マジでアルヴィスはどうやってこいつを殺したんだ…

天上天下唯我独尊
産まれた瞬間から歩いて言葉を発するお釈迦様、マジパネェっす



この作品で初めてエリウッドが不幸になった。最初のネタでは不幸になる予定はなかったけど、アイラの登場によって殺される運命を辿った。たまには不幸になってもいいと思うのは俺だけだろうか。

感想ありがとうございます。個体値談議というアイディアもいただきましたが、メタネタを使うのは烈火メンバーだけというあってないような縛りを設けているので、三馬鹿が炬燵に入りながらエリウッドとヘクトルの欠点を言い合うだけというザマになりそうです。え? フェリシアとジョーカーがいる? 残念ながらフェリシアはカム男とカム子の前では普通。ジョーカーと同じ空間にいる時のみ烈火面になるので……ちなみにジョーカーは再召喚されてません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とマケドニア三兄妹

活動報告でいつになるかわからないと言っときながら、その日のうちに書き上げてしまったので投げます。安定のキャラ崩壊注意です。


 「ミシェイルとミネルバの仲を取り持ちたい?」

 「うん」

俺の部屋に来て神妙そうな表情を浮かべながら相談してきたのはマケドニア王族の末妹・マリアだった。

 「せっかくお兄様とお姉様と一緒にいられるのに、お兄様は私とお姉様を避けている気がするの」

確かにミシェイルはミネルバとマリアに対して素っ気ない態度をとっている。

 「せっかく一緒にいられるんだから、仲良くしたいよ……」

そう言いながらマリアは一粒の涙を流す。この時点で俺のやるべきことは決まった。

俺はリンがこういう時のために用意してあるハンカチを使ってマリアの涙を拭く。そして安心させるように微笑みながらマリアに言う

 「俺に任せておけ」

 「……相談したのは私だけど、本当に大丈夫なの?」

 「ああ。俺はいくつもの不可能を可能にした男だ。それくらいなら朝飯前だ」

俺の言葉に笑顔になってお礼を言うと、マリアは嬉しそうに部屋から出て行った。俺はそれを確認してから呟く。

 「どう思う?」

俺の言葉に天井に張り付きながら気配を消していたエリウッドとヘクトルが降りてくる。

 「「ギルティ」」

 「同じ気持ちで助かるよ」

エリウッドとヘクトルの言葉に俺は満足して頷く。

 「例の物は?」

 「すでに用意してあるよ」

 「動力源」

 「ニノにやってもらおうぜ。家族のためって言ったら手伝ってくれるだろ」

俺の問いにエリウッドとヘクトルが即答してくる。

 「よろしい。だったら派手に行こう」

 

 

 

 

 

数日後、俺はヴァイス・ブレイブにいる英雄達を大広間に集めた。全員が座れるように机と椅子も用意して、さらに中央には今回の中心であるミシェイル、ミネルバ、マリアのマケドニア三兄妹を座らせている。パオラさん、カチュア、エストの紋章ペガサスナイト三姉妹を中心に紋章メンバーが心配そうにこちらを見ている。

ミシェイルは不機嫌そうに、ミネルバはどこか肩身が狭そうに、マリアは心配そうな表情を浮かべてチラチラと俺を見ている。

そして口火を切ったのは不機嫌そうな野望の王・ミシェイルだった。

 「マリア、お前が召喚士に余計なことを言ったそうだな。今更俺とミネルバの仲をとりもつことなんて無駄なことをしていないで、少しは別の奴にも気を回せ。ミネルバもだ、貴様は俺を殺してマケドニアを統べるのだぞ? それらしい振る舞いをしたらどうだ」

ミシェイルの言葉にミネルバとマリアは視線を机に落とす。紋章メンバーも怒った雰囲気を出し、特に猪突猛進なカインはすでに立ち上がったところを主君のマルスと相方のアベルに止められている。

安心して欲しい。ここから俺たちの出番だ。

 「つまり今の発言を通訳すると『マリア、俺のことを心配してくれるのは死ぬほど嬉しいけど、お兄ちゃんはせっかく色々な世界の人々と出会う機会なのだから、お友達を一杯作らないとダメだぞ。ミネルバはいつまでもお兄ちゃんを殺したことを気にしていないで、前を向いてくれなきゃお兄ちゃん死んでいられない』と言うことになる」

俺のパーフェクト通訳に空気が固まる大広間。ミネルバとマリアは呆然とし、ミシェイルは白目を剥いた。ちなみに烈火メンバーは爆笑しながら酒を飲んでいる。どこまでも空気を読まない連中である。

そしていち早く再起動したのは末っ子・マリアだった。

 「お兄様! 今の召喚士さんの言葉本当!?」

 「そ、そんなわけないだろう!! 召喚士!! 何の真似だ!?」

 「ミシェイルのエクストリームマケドニア弁のパーフェクト通訳だが?」

 「そ、そそそそそそんなわけないだろう!?」

もうこれだけ焦っている時点でアウトなものだが、半信半疑な空気が漂っている。

 「ミネルバも信じられないか?」

 「そ、その。召喚士の言葉を信じないわけではないのだが、やはりそう簡単に信じられない」

 「あ、当たり前だろう。くだらん! 要件がこれだけなら俺は部屋に戻らせてもらうぞ」

 「リン」

俺の言葉に反応して、リンはミュルグレでミシェイルを一撃で気絶させる。気絶したミシェイルをヘクトルが担いで椅子に縛り付け、エリウッドが水をぶっかけてミシェイルを起こす。

 「貴様ら!! 何の真似だ!!」

 「これなんだと思う?」

怒ったミシェイルを無視して、俺は一つの魔道具をミシェイルに見せる。

 「知るか」

ミシェイルは実に不愉快そうに吐き捨てた。俺はそれを気にしないで魔道具の説明をする。

 「この魔道具はエリウッド達の世界にいるパントというイケメンで嫁は美人、魔法の腕前もチート級という超絶勝組人間が作った魔道具でな。これに魔力を通すと保存していた風景を音声付きに流すことが可能というスーパー魔道具だ」

 「それがどう……し……」

俺の言葉の意味を理解したのか、ミシェイルの顔色が悪くなる。

俺はニッコリと笑いながら言葉を続ける。

 「この世界には敵対した英雄が出てくることも少なくないからな。弱み…じゃなかった。見張りのために本拠地の至るところに設置してあるんだ。定期的に場所も移動させてるから気づかなかったろ? ちなみにある日、ある部屋に設置した時に面白い映像が撮れた」

 「し、召喚士! やめろ!?」

 「だが断る。さ、ニノ。やってくれ」

 「うん!!」

俺の言葉に天使(ニノ)は元気よく頷くと、パントお手製の魔道具に魔力を流す。すると大広間の中央に映像が映し出された。そこに写っているのは野望の王・ミシェイル。彼はベッドの上で悶えていた。

 『あぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!! またミネルバとマリアに冷たい反応をとってしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! ごめんよ二人ともぉぉぉぉぉぉ!!! でもお兄ちゃんは俺のことより二人が幸せになって欲しいだけなんァァァァァァァ!!!!!! 具体的に言うと二人が結婚して幸せになっている姿を見たいんだぁぁぁぁぁ!!! だからお兄ちゃんのことは放っておいていいからねぇぇぇ!!!!!!!!! お兄ちゃんは寂しいけど我慢するから!!!!!!!』

そこまでで天使(ニノ)に合図を出して映像を止める。本当はこの後も1時間以上懺悔の時間が続いた後に、俺とミネルバが結婚すればいいとかいうとち狂った発言をしていたのでここで止める。

無言の大広間。中央には喜色満面なマリア。茫然自失なミネルバ。泡を吹いているミシェイルがいる。

 「エリウッド、ヘクトル。発言をどうぞ」

 「いやぁ!! イケメンの無様な姿って控えめに言って最高だよね!!」

 「家族を大事にしない奴とか死ねばいいと思うけどよ!! ミシェイルはただのツンデレだからなぁ!!!」

俺の言葉に腹黒親バカと脳筋ジェネラルは大爆笑である。

 「き、貴様らぁぁぁぁあぁあぁ!!! 今まで俺が積み上げてきた『理想のお兄様像』をどうしてくれる!?」

 「『理想のお兄様像』を作った挙句に勝手に死んで妹にトラウマ植え付けるとか最低だよねぇ!!」

 「クールがかっこいいって発想が許されるのはショタまでだぜ!!!」

 「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」

エリウッドとヘクトルの煽りにブチ切れたミシェイルは拘束していたロープを引きちぎってバカ二人を追いかけ始めた。バカ二人もミシェイルを煽るようにして走って逃げていく。

残ったのは嬉しそうなマケドニアの第二王女と、ミシェイルショックから立ち直れていないミネルバ。そしてどうしていいかわからないその他大勢の英雄達だった(烈火メンバーは除く)。

 「さて、マリア。ミシェイルの本音がわかったところでどうしたい?」

 「もっと仲良くしたい!!」

 「素晴らしい。さっそく仲良くなりに行くといい。カレル! ロイド! マリアを手伝ってミシェイルを捕獲してくれ」

緑斧のミシェイルに相性有利な二人をつけ、さらには赤剣エリウッドと壁役ヘクトルもいるのですぐに捕獲されるだろう。

マリアは俺に対して嬉しそうにお礼を言って走り去って行く。カレルとロイドもマリアについて行った。

 「それで? ミネルバはどう思った?」

 「……すまない。ちょっと現実を受け入れる時間をもらえるだろうか」

俺の質問にミネルバはお腹を抑えながら答えてくる。パオラさんが慌てた様子でお腹に優しい飲み物を持ってきた。

あれぇ? ミネルバのためにやったんだけどなぁ?

 

 

 

 

後日、ミシェイルはマークス、エフラムと一緒に『妹を見守る会』を結成したそうである。それを聞いたミネルバが吐血したことが印象的だった。

 




ミネルバ
FE界のくっ殺騎士。くっ殺を知った時の作者の第一印象は『あれ? ミネルバのことやん』でした。ミネルバのストレスを消すために書いたのに、まさかのストレス追加になって作者が驚いている。

マリア
三兄妹みんなで仲良くしたい願望を持つ心優しい少女。この作品で普通の性格の英雄を書くと変な気分になるな。

ミシェイル
隠れシスコン。この出来事の後はオープンシスコン。キャラは壊すもの。

パント
烈火世界の魔導軍将で超愛妻家。元から天才的だったのが、軍師の無茶振りに答えているうちに超絶チート魔道士になった。どのくらいチートかと言うとFFTにおけるオルランドゥくらい。わかりづらい? 簡単に言うと一人でラスボス殺せちゃう。ちなみに烈火メンバーのヒエラルキートップはルイーズ。

エクストリームマケドニア弁
『闇に飲まれよ!!』(尚、作者はアニメ末視聴)


数時間前に活動報告でいつになるかわかりませんとか言っときながら、書き始めたらその日のうちに書き上がりました。キャラが崩壊している気がするけど、誤差の範囲って信じてる!!

他に伝えたいことは同日の活動報告に書いてありますので、そちらをご参照してくだせぇ。

そして活動報告でいい忘れたことは、第二回英雄総選挙が始まりましたが、ロイとリンに投票できない現実にエリウッドと召喚士が崩れ落ちたことくらいかな!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

FEH英雄から見た召喚士

アンケートで『初期勢が召喚士をどう見ているか』(意訳)と、感想にて『ヴァイス・ブイレブを焼き払われた時のアルフォンス』の反応というのはあったので書いて見ました。


アスク王国王女・シャロンの場合

 「すごい人ですよね! 色々な世界の英雄さん達とも対等にお話ししてますし、特にエリウッドさんとヘクトルさんとはよく一緒にいられますよね。たまにヴァイス・ブレイブの建物を壊しちゃったりしてリンさんに叱られますけど、フロリーナさんから言わせれば、リンさんの愛情表現らしいですよ!! フロリーナさんも旦那さんのヘクトルさんと娘さんのリリーナさんと一緒に居ることができて幸せそうです。リリーナさんもエリウッドさんの息子さんのロイさんといい関係らしいですし、マルスさんとシーダさんも恋人らしいです。あ、でも召喚士さんとヘクトルさんとエリウッドさんは『シーダとカチュアとマリアが同時に居ることでマルスを取り合う女の戦いマジ愉悦』って言っていましたけどなんだったんでしょう? あ、あと召喚士さんにエリウッドさんの奥さんがどんな方なのか聞いたら、召喚士さんは知らないって言ってましたね。でも、あんなに息子さんを大事にして人の奥さんなんですから、きっと素敵な人なんでしょうね!!」

 

 

特務機関の隊長・アンナの場合

 「え? クソに決まってるでしょ。あ、もちろん理由はあるわよ。私は別世界で召喚士と知り合いなんだけど、私はその世界で『♡秘密のお店♡』をやってたのよ。あ、ちゃんと店名にハートをつけてね。そこが大事だから。まぁ、そこで召喚士は最初にお客様として来たのよ。それでいざ支払いの時になって値切り交渉をし始めたのよ。こっちも最初は『お、なかなか面白い客が来たな』って感じて値切り交渉に応じたのよ。そしたらそれからこちらの弱みにつけこんだ値切りになってきてね。こっちも少しづつ値切り幅を大きくし始めたの。パントとかいうクソイケメンとコンビ組んで来た時は最悪だったわね。9割引よ9割引。そんなんじゃこっちも商売やってられないから、それ以来あいつは入店禁止よ。損失は連中の子供達に金額上乗せして補填させたけどね。今はまだエリウッドとヘクトルの二人だけだから大丈夫よ。ここにパントなんか来てみなさい。私は別世界に逃げるわ。リンがストッパーになるって? 無理無理。リンは召喚士に説教したり折檻するけど、召喚士には『文句は言いつつ最終的には許しちゃうダメンズに惚れる女タイプ』だから。ストッパーならルイーズに期待するしかないわね」

 

 

夢の中の微笑み・スリーズの場合

 「あの方は私の全てです。私はあの方の全てを受け入れます。ええ、あの方こそこの世の全てを統べるべきお方なのです(以下4時間ほど召喚士に対する賛美が続く)」

 

 

氷の姫・フィヨルムの場合

 「あの……どこか疲れているようですが大丈夫ですか? え、スリーズ姉様に召喚士さんのことを聞いた? それは……姉が迷惑をかけてしまって申し訳ありません。その、姉は召喚士さんのことになると色々暴走してしまいまして……え? 私にとって召喚士さんですか? 恩人なのはもちろんですけど、今も色々な恩を授けてくださる方ですね。基本的に気さくでお優しいことですし。あの、ですがエリウッドさんとヘクトルさんと一緒にいると『容赦』の二文字がなくなりますよね。私はムスペルの王・スルトを憎んでいますが、三人が揃った時のスルトの扱いは仇敵なのに同情してしまいましたし。一緒にいたリンさんは『あれくらい普通だから大丈夫よ』って仰ってましたが、あの方達がいた世界はどんな地獄だったのでしょうか……あ、ファさん。どうしました? え!? スリーズ姉様が召喚士さんのことを悪く言ったミシェイルさんを処刑しようとしてる!? あ、すいません!! 姉を止めに行かなくてはいけないのでここで失礼します!!」

 

 

アスク王国王子・アルフォンスの場合

 「え? 召喚士について聞きたい? ごめん、その前に胃薬を飲んでいいかい? ……ふぅ、召喚士についてだったね。え? 手が震えてる? はは、召喚士に関することになると最近は震えて来ちゃってね。気にしないでくれるかい。さて、召喚士だったね。最初に感じたのは『申し訳ない』って感情だったかな。こちらの都合で勝手に呼び出してしまったわけだからね。でも召喚士は話を聞いてるのかいないのかわからなかったけど、さっさと召喚室に向かったんだ。案内していないはずなのに間違わずに真っ直ぐにだよ? 今になって思うとおかしいと思うんだけど、当時は僕らも追い詰められていたから気にしなかったんだ。それで最初に召喚したのかカミラさんだったよ。そしたら召喚士が『リセマラが30分で済んだか』って呟いたんだ。その直後にアンナ隊長に『メタネタ禁止!!』って殴られていたけど。最初の頃は普通にいい人だったよ。他の英雄にも気を使うし、王族の僕らに対しても変に遠慮していなかったからね。新鮮だった、とも言えるかな。リンが召喚された時にお互いに泣きながら抱き合っていた時にはこっちも感動してしまったしね。シャロンなんか大号泣だったよ。でもね、エリウッドが召喚されてから『あれ?』って思う奇行が増えてきてね、ヘクトルが召喚されたらノンストップだよ。アンナ隊長は『まだ最悪な事態じゃないから大丈夫よ』って言っていたけど、ヴァイス・ブレイブの本拠地が半壊することが頻発する状態が最悪じゃないってどういうことなんだろうね。一番印象的だったのが、二回目のジョーカーの反乱の時かな。召喚士は事前にジョーカーの反乱のことを知っていたんだ。僕とアンナ隊長もヴァイス・ブレイブの代表として召喚士からその情報を聞いたんだ。僕は当然『ジョーカーを拘束するのかい?』って聞いたら、召喚士は『これを機会にアスク王国の大掃除をする』って言い始めて、カゲロウとマシューを筆頭にした隠密集団に色々やらせ始めたんだ。詳しいことは僕も知らないけど、軍師の経験があるルフレに聞いたら『諜報活動と色々な噂を流し始めたみたいだね』って言っていたよ。それの効果はすぐに出たみたいだね。ジョーカーのところに訪れる怪しい人物が多くなったからね。僕でも気づくくらいだから召喚士はもっと詳しい情報を知っていただろうね。それでもジョーカーは軽率な行動を起こさなかった。当時、僕はルフレに現状を教えてもらっていたんだけど、ルフレは『ジョーカーは確実に召喚士を殺せる機会を狙っているようだね』って言っていたよ。その後に召喚士の指示でエリウッドとリンを中心にしたヴァイス・ブレイブ主力がニフル王国に出陣。練兵中の部隊もヘクトルに率いられて修練の塔に出陣。これによって召喚士はヴァイス・ブレイブ本拠地にほぼ丸裸で残されることになった。さらに召喚士はジョーカーに反乱を起こさせるためにカムイ(女・星3)を羽にしたんだ。え? これをやると暗夜勢と白夜勢を敵に回す? はは、召喚士はそんなに甘くないよ。その時にはすでに根回しは済んでいる上に、エリウッドとリンの主力軍に配置して裏切られる心配をなくしていたよ。ひょっとしたらエリウッドとリンにはもしもの時の指示も出てたかもしれないけど……考えたくないね。ジョーカーの挙兵は、ジョーカーが兵を起こしてから15分くらいで召喚士に情報が来ていたよ。僕はジョーカー討伐の旗頭としてヴァイス・ブレイブ本拠地に残っていたから当然召喚士にどうやって防衛戦をやるか聞いたんだ。そしたら召喚士は『防衛戦はしない』って言い放ってさ。僕は有無を言わさずにホークアイさんに担がれてヴァイス・ブレイブ本拠地から連れ出されたよ。安全なところまで行ったら、カゲロウとマシュー達隠密班が待っていたよ。そこで見たんだ。ヴァイス・ブレイブが召喚士によって焼き落とされるのをさ。呆然としたよね。何せ焼いた張本人である召喚士に声をかけられるまで気づかなかったんだから。流石に僕も怒ったよ。そしたら召喚士は涼しい顔して言うんだよ? 『拠点に拘って兵士を無駄に死なせるのはバカのやること』ってさ。その後はアスク王国正規軍を使ってのゲリラ戦さ。僕を残していたのはアスク王国正規軍を使うためだったんだろうね。エリウッドとリンが考えられない速度でアスク王国に帰還、さらにヘクトルの部隊も戻ったところで兵数は逆転。ジョーカーの反乱軍はヴァイス・ブレイブ本拠地の焼け跡を修復して防衛戦をしようとしたけど、召喚士は敵に降伏を勧告したんだ。兵士の大部分が降伏、ジョーカーも反乱に協力していた一人のアスク王国の騎士に降伏の手土産にされたよ。ジョーカーの処刑執行人になったフェリシアが笑顔で夜刀神を振り上げていたのが印象的だったな。ジョーカーを捕らえた騎士かい? 召喚士にエンブラ帝国との内通の証拠を突きつけられて処刑されたよ。それから僕は異世界のどんな英雄より、召喚士のことが怖くなったよ。炎の王・スルトなんか甘いものだよね。ここまで言っといてなんだけど、僕は召喚士が嫌いなわけじゃないんだ。お願いだから自重して欲しいだけで。ヴァイス・ブレイブの本拠地は諦めているから、アスク王国に被害を出さないで欲しいだけなんだよ」

 




シャロン
キャラ付けが最後まで決まらず、FGOのフレンドにいる月の女神を見た結果、恋愛脳(スイーツ)になりました。さらにここでエリウッドの奥さん話のための種をまいておくスタイル。花が咲くかはわからないが。ちなみに恋愛脳(スイーツ)なので愛読書は『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』

アンナ
最初から設定は決まってたので、召喚士との絡みを考えるだけで済んだ。作者的にアンナはサモンナイトにおけるメイメイ。幻想水滸伝におけるジーンポジションな感じ。さり気なく作品に関わってくる、的な。ちなみにFEHにおいては召喚士に対してオーブを売りつけてくるソシャゲにおける絶対的有利なポジションを獲得している。

スリーズ
最初は『召喚士に恋するお姫様』で書こうと思ったが『キャラ弱くね?』というゲッター線を浴びた結果『召喚士を崇拝する狂信者』に変貌した。ニフル王国奪還後はスリーズが産む(スリーズの妄想)予定の召喚士の子供を王位につけ、召喚士を神とする宗教を国教とする新国家の樹立を目指している。

フィヨルム
姉のキャラ設定の余波を食らった結果、姉の暴走を止めるために奔走する苦労人妹となった。その苦労からロリ達の相手をして癒しを得ている。そのためにロリ達からも慕われる結果に。頑張れフィヨルム。ニフルの未来は君にかかっている。

アルフォンス
この作品における一番の苦労人。頻繁に破壊されるヴァイス・ブレイブ本拠地の修理費用を捻出するために今日もアスク王国財務大臣と戦っているのだろう。ちなみにその風景を書く予定は一切ない。アルフォンスに第二次ジョーカーの乱を語らせようと思った結果、文章が無駄に長くなった。



初期勢というかFEHオリジナル英雄達はこんな感じで召喚士を見ています。ちなみに一番的確なのはアンナ。三馬鹿は一言で『クソ』ですみます。スリーズのキャラ付けは正直やっちまった感があります。ニフル関係者を増やされると困るから増やさないでくれニンテンドー。

色々な感想ありがとうございます。その中で『三馬鹿が善行をしたことに驚愕』(意訳)とありましたが、クリスマスの時のロリマムクート達の夢を守るために善行していますよ! 逆に夢をクラッシュされましたが。さらにこの作品を見て烈火に興味を持たれた方もいらっしゃいますが、キャラ設定は全く別物だということを忘れないでください(特にエリウッド)

作者は最初は召喚士とFE世界の色々なキャラを駄弁らせるための小説として書き始めました。エリウッドの拷問で粉々になりましたが。誰か作者の志を継いでください……作者が書こうとすると三馬鹿がスクラム組んで脳内でタップダンスを踊るので無理なんです。せっかくのFEオールスターだから優しい世界があってもいいと思うんです。

パントネタとラクチェネタを考えていたら、間違ってアサマネタのデータに上書きしてしまいました。タイトルを番号で管理していたら駄目ですね。待っていた方は申し訳ないです。


あ、ちなみにインビュアーはセーラです。やったねセーラ! 本編初登場!!(尚、名前の登場と会話シーンなし)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエフラム

1週間の仕事が終わって夜更かしをしている時にガチャを回したくなって、回した結果新実装されたエイリークが出て来たのでエフラムのキャラが崩壊しました。


 「おかしいと思うんだ」

 「君の頭がかい?」

 「チゲぇよ、エリウッド。こいつの性格に決まってるだろ」

当然のように俺の部屋に居座っているバカ二人に対して、お茶の水滴を飛ばして眼に直撃させる。悶絶する二人に対してストンピングを繰り返したが、復活した二人にダブルラリアットを決められた。

とりあえずいつも通りの茶番を終えて、炬燵に入る。

 「おかしいと思ったのは、『マケドニア三兄妹和解編(ミシェイル発狂編)』でのお前らの行動だよ」

俺の言葉に思い当たる節がないのか『何言っているんだこいつ』的な視線を俺に向けてくる。俺はバカ二人に言い聞かせるように言葉を続ける。

 「いいか。最初にマリアの話を聞いた後にお前らは何処から出てきた?」

 「? 天井から張り付いていたのを降りただけだね?」

 「? 何処かおかしいか?」

 「おかしいだろ! お前らは設定上は貴族だぞ!! なんでサイゾウとカゲロウのお株を奪うような気配遮断と天井張り付きとかやってんの!? いや、作者自身も書いた後に不思議に思ったんだけどさ!!」

読者からも一切のツッコミがないことに、この作品でのエリウッドとヘクトルの立ち位置がわかる。

 「それ「召喚士!! いるか!!!」エフラムか」

話を続けようと思ったら、妹大好きルネス王国王子・エフラムだった。まぁ、俺の部屋に来た予想はできるが、様式美として一応尋ねる。

 「エフラム、何の用だ?」

 「エイリークだ! 新しいエイリークの実装だぞ!! さぁ、召喚士!! 召喚室に行くぞ!!」

 「やばい、こいつも話を聞かない」

最近、俺の話をちゃんと聞いてくれる英雄が少ない。というより己の欲望に忠実になってきているようだ。全く誰のせいだ。

 「それよりエフラムは武器錬成も来たんだぞ? そっちじゃなくていいのか?」

 「ジークムントなんかよりエイリークだ!!」

 「聞いたかエリウッド。自分の武器より妹を優先する。これが本当の愛だぞ」

 「やだなぁ召喚士。僕が君に神錬の雫を要求しているのは、あくまで戦力アップのためであって、決して僕がロイとお揃いの武器が持ちたいという欲求なんかないからね」

 「最後に本音が出ているぞ」

口を滑らせたヘクトルの顔面にデュランダルが流れるように吸い込まれた。

 「さぁ、召喚室に行くぞ!!」

 「はいはい。まぁ、赤魔先生役もいるにこしたことはないしな」

白目を剥いてるヘクトルを無視して部屋を出る俺とエフラム。エリウッドもヘクトルを引きずってついてくるのであった。

 

 

 

召喚室に入るとエフラムは「エイリーク召喚の準備だ」と言い始めて、召喚石版の周囲にエイリークの私物を並べ始めた。

ジークリンデ、エイリークの普段使っている鎧、使用済みティッシュ、使用済みスプーン、女性物の下着。

 「待って。ちょっと待ってエフラム」

 「? どうした?」

心底不思議そうに俺を見てくるエフラム。

 「ジークリンデと鎧はわかる。だが、ティッシュとスプーンと女性物の下着ってなんだ?」

 「不思議なことを聞くな、召喚士は。全部、エイリークの使用済みに決まっているだろう」

 「「「うわぁ……」」」

エフラムの言葉に流石の俺たちもドン引きした。俺たち三人をドン引きさせるなんてかなりのものだぞ。

 「聞きたくないけど、どうやって使用済みを手に入れたんだい?」

 「そんなものエイリークの不在の間に部屋に忍び込んだに決まっているだろう」

 「エリウッド、警備隊を呼び出せ。ストーカーを捕まえるぞ」

 「了解。あ、ヘクトルは牢獄の準備をしてきてくれるかい?」

 「あいよ」

 「待て待て。俺の言い分を聞け」

とりあえず犯罪者を捕まえようとしたら、エフラムが止めてきた。とりあえず弁解の余地を聞くためにエフラムに続きを促す。

 「俺とエイリークは双子だ。よく言うだろう? 双子は一心同体とな。俺とエイリークは双子。つまり俺とエイリークは一心同体。つまり俺はエイリークだった……!!」

 「おいやばいぞ。こいつシスコンじゃなくてキチガイだ」

エフラムの演説にヘクトルが恐怖している。そう思ってる俺もちょっと恐怖を感じている。発想がぶっ飛びすぎてる。

 「さぁ、召喚士! 準備は完了だ!! 起動してくれ!!!」

 「お、おう」

エフラムの勢いに押されて、俺も召喚石版を起動させる。そして浮かび上がってくるオーブ。

 「ば、バカな…オール赤だと!?」

 「エイリークエイリークエイリークエイリーク!!!!!」

なんか怪しい踊りを始めたエフラム。とりあえずそっちは無視して一つ目の赤オーブを石版に叩き込む。

捲き上る煙。出てくるソフィーヤ。発狂するエフラム。

とりあえず困惑するソフィーヤを召喚室から送り出す。

 「ショウカンシ!! フタツメ!! フタツメ!!!」

 「アッハイ」

言語がおかしくなってきたエフラムに本気で恐怖を感じつつ、二つ目のオーブを叩き込む。

煙が出ない時点でエフラムがさらに発狂した。

 「おい、エフラムのSAN値をチェックした方がいいんじゃないか?」

 「確かに。なんか邪神とか召喚しそうだね」

 「この召喚が終わったらアスク王国の病院に叩き込むか」

三人でエフラムの今後を相談しつつ、三つ目のオーブを石版に叩き込む。

捲き上る煙。浮かび上がるシルエット。出てくる銀髪の少女。

 「いつもニコニコ、あなたの隣に這い寄る混沌「「「アウトォォォォォ!!!!!」」」あ、ちょと待ってくださいよ!!」

 「ダメだから!! お前が出てきたらタグにクロスオーバーが追加されちゃうから!!」

 「大丈夫ですって!! この作品のカオスを見る限りすでに FEじゃなくなってますから!! 今更、ニャR「おぉい!! 言わせねぇよ!?」

銀髪の少女の言葉をカットするヘクトル。ヘクトルには珍しいファインプレーである。

エリウッドが慌てて持ってきたダイスを投げた結果、なんとか邪神の召喚は阻止された。銀髪の少女は不満そうにしながらも帰ってくれた。

 「おい、やばいぞこの世界」

 「僕らがいた世界も割と混沌だったけど、流石に他作品は出てこなかったからね」

エリウッドとヘクトルが冷や汗を流しながら会話している。

 「ショウカンシ!! ツギ!!」

 「……はい」

もうエフラムがぶっ壊れていることに突っ込みは入れない。と言うか入れてたら話が進まない。早く出てくれエイリーク! そうでないとこのカオスの世界が終わらない。

俺とエリウッドとヘクトルの三人の願いを込めて三つ目のオーブを石版に捧げる。気持ちの方向性はどうあれ、この場にいる全員の気持ちは一つだった。

 (((来てくれエイリーク!!!!)))

石板に吸い込まれるオーブ。舞い上がる土煙。エフラムと同じ色の長髪。そして「本当に戦う格好なの?」と突っ込みたくなるミニスカート。彼女こそ…

 「あら? 私はシャロンさん達とお茶会を……これは……グレイプニル?」

 「「「エイリーク!!」」」

 「キャッ!? あ、召喚士さんとエリウッドさんとヘクトルさん。それにお兄様……? あの、召喚士さん、あそこにいるお兄様によく似た悪魔神官はどなたでしょうか……?」

 「現実を見ようエイリーク。あれは君の敬愛する兄・エフラムだ」

俺の言葉にエイリークは絶句した。それはそうだろう。自分が敬愛する兄がエイリークが召喚されてからバーサーカーってるのだから。

そしてエイリークは召喚石板を囲むように置かれている品々を見る。そして下着の部分で視線が固定され、顔が真っ赤になっていく。

 「あ、あの……あれはどなたが……?」

エイリークの言葉に俺たち三人は黙ってエフラムを指差す。そしてエイリークは顔を真っ赤にしてプルプル震え始めた。俺たち三人は危険を察知して部屋の隅による。

 「お兄様のバカぁぁぁぁああぁぁ!!!!!」

 「ありがとうございます!!!」

グレイプニルの爆音と共にエフラムのお礼の声がヴァイス・ブレイブに響き渡った。

 

 

 

後日、エイリークに相談され、エフラムに対してエイリーク半径1km以内に接近禁止令を出したところ、エフラムはアスク王国の国王を人質にとって王城に立てこもる事件が発生した。テロには屈してならないという標語通りに、王城ごとエフラムを高威力魔法組で消し飛ばそうとしたところ、アルフォンスに止められたのだった。

仕方ないのでエイリークでエフラムを釣り出したところを捕らえ、単独でムスペルに進行させるという罰を与えたのだった。

 




エフラム
実は作者から聖魔をやっていないので、聖魔キャラはよくわかっていません。ですのでキャラ崩壊するのは当然の帰結だと勝手に思ってます。そして結果がシスコンストーカー悪魔神官エフラムの誕生になりました。エフラムファンの皆さんには本当に申し訳ありません。

エイリーク
なんか原作の支援会話では兄妹の会話ではないというのをネットで見ましたが、この作品では自重を捨て去った兄にドン引きする妹になりました。作者的に女性キャラはキャラ崩壊させたくないのですが、その分男性キャラが崩壊することによって身内の女性キャラに被害が行くように。許せエイリークとミネルバ。

銀髪の少女
ははは、この作品はFE小説なんだからニャ○子さんが出るわけないじゃないですか。



悪ノリしすぎた気もしますが、作者的にエフラムの変態性をもっと上げたかったところです。ですが、三馬鹿と違ってまともな感性を持つ作者にはこれが限界でした。

今更気がつきましたがUAが10000を超えていました。皆さん、ありがとうございます。ですが、こんな作品を読んでいて大丈夫ですか? 特にFEキャラに対する認識とか。
UA10000を記念して何かネタを考えましたが、思いついたのは『炎の王・スルトの華麗なる一日』でした。もちろん三馬鹿が関わっているストーリーなので不幸になることが決定事項ですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と英雄の日常外伝〜炎の王・スルトの華麗なる一日〜

UA10000突破記念小説です。いつも以上に三馬鹿がフリーダム、キャラ崩壊、そして独自設定の嵐なので覚悟して読んでください。


炎の王・スルトの朝は速い。家臣が起こしに来る前に起床し、身嗜みを整える。それは一国の王として当然のことであり、全ての家臣の模範とならなければならないからだ。戦闘でも常に陣頭に立って自らシンモラを振るって敵と戦い、家臣達の士気を挙げる。だからこそ家臣達も厳しい軍規にも耐え、スルトと共に戦うのだ。国の資源が乏しいために、隣国のニフルに侵攻し、これを攻略した。スルトは侵攻軍ということを自覚し、家臣達に対して決して略奪をしてはならないと厳命した。それを破った側近を自らの手で斬ったこともある。内政にも力を入れ、荒廃したニフルの立て直しをおこなっている。

スルトは執務室で疲れた眼を揉む。

スルトはどちらかと言えば武闘派だ。内政は得意ではない。だがやらねばならない。それが王としての務めだからだ。

 「……う〜む、やはり我々に対してのニフルの国民感情がよくならんな」

それがスルトの現在の悩みだ。様々な政策でニフルの国民感情をよくしようとしているが上がらない。慈悲をかけて逃したニフルの第二王女・フィヨルムの下に逃亡している民も多いようだ。

そして何よりも悩ませているのがアスク王国にある特務機関ヴァイス・ブレイブの連中だ。正確に言えばそこの中心人物と他二名なのだが。定期的に攻めてきては砦を攻略し、保管していた物資を奪って地域住民へと施すのだ。そして物資が少なくなった軍のためにそれを徴発することによって反ムスペル感情が高まるのだ。

 「奴らも落とすつもりならば本気で奪えばいいものを……」

あの連中は適度に攻撃すると引き上げて行くのだ。必要最小限な物資だけを奪って。一つ一つが少なくとも、それが積み重なればかなりの数になる。

 「兵糧攻めのつもりか。腹立たしい!!」

スルトは机を強く叩くが、全く気が晴れない。気持ちを落ち着けるために自分で用意していた紅茶を飲む。

 「王様、いらっしゃる?」

 「む、ロキか。入るが良い」

スルトの言葉に入室してきたのはスルトの軍師であるロキだった。しかし、スルトはこのロキという女を信用していなかった。しかし、スルトの家臣は多くが武闘派で、信用できなくても使わなくてはならないという現状があった。

 「何かあったか?」

 「ええ。王様に速やかに報告しなければならないことが」

だがロキはそこまで言って本題を言おうとしない。それにスルトは苛立ちながらも紅茶に再度口をつける。

 「あのキチガイ共がここまで攻めてきてますわ」

 「ブファァ!!」

そして盛大に吹き出した。

 「ちょっと待て!! 奴らはどこまで来ている!?」

 「先刻の報告で王城から5km付近ということでしたわ」

 「えぇい!! ロキ!! 迎撃の準備をせよ!!」

 「あ、私これから髪を切りに行きますので無理ですわ」

 「貴様ぁ!! 三日前も同じことを言って奴らの相手を拒否したではないか!!」

 「嫌ですわ王様。女性にとって髪は命ですのよ。常に手入れをしておかないとダメですわ。それにあのキチガイ三人組を相手にするのなんて死んでも嫌なので」

 「後半が本音だろうがぁぁぁぁ!!!!!」

スルトの叫びと同時に執務室の壁が吹き飛び、巨大な鉄の塊が乗り込んでくる。呆然とするスルト。そしてその巨大な鉄の塊から見たくない三人組が出てきてポーズを決める。

 「「「チャリ(戦車)できた」」」

 「それはチャリオット(戦車)ではなくタンク(戦車)だぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」

スルトの渾身の叫びだった。先ほどまでいたはずのロキの姿がない。いち早く逃げ出したのだろう。

それに気づいたのか三人の中心にいたフードを被ったキチガイAが口を開いた。

 「あれ? おっぱいさんいなくね?」

 「……ロキのことか? あやつなら既に逃げたわ」

 「マジかよ。あの人のおっぱいを楽しみに」

発言の途中でキチガイAはタンク(戦車)の中に引きずりこまれた。そして鈍い打撃音が外にまで聞こえてくる。スルトは中で起こっている惨劇を想像して恐怖した。

だが、赤髪のキチガイBと黒髪のキチガイCはのんびりと会話をしていた。

 「愚かだね、召喚士は」

 「一緒にリンが乗り込んでたのを忘れてたみてぇだな」

スルトが戦場で使うシンモラはキチガイ共が乗り付けたタンク(戦車)の下敷きになっている。仕方ないので護身用に持っていた剣を抜こうとするが、喉先にデュランダルとアルマーズを突きつけられる。

 「おっと、おかしな動きをしないでくれるかい? 僕は二人と違って慈悲深いから、敵でもあまり殺したくないんだ」

 「……慈悲深い?」

キチガイCの呟きに、キチガイBは慣れた様子でキチガイCにデュランダルを叩きつける。そして執務室の壁に叩きつけられるキチガイC。スルトはこいつらは本当に味方同士なのかと疑ってしまう光景だ。

そしてズタボロになったキチガイAがタンク(戦車)の中から出てきた。

 「くそ、つい本音が溢れちまった」

 「いい加減にしないと本気でソール・カティ案件になるよ?」

 「だが、性癖ってそう簡単に変えられないだろ? なぁ、おっさん」

 「……なぜ、私に同意を求める?」

 「いや、おっさんからは俺と同じ変態の匂いがしてな」

 「一国の王に対しての発言じゃないよね」

 「ははは、今更だろ」

和やかに会話するキチガイAとB。この隙に脱出しようとしたが、それを見越しているかのようにキチガイAがスルトを見た。

 「あ、レーヴァテインの救援に期待しないように」

 「貴様ぁ!! 娘に何をした!?」

レーヴァテインはムスペル王国の第二王女。つまりスルトの娘だ。パパ的には戦場なんて危ないところに出て欲しくないが、本人が強く希望してしまって押し負けたのだ。

「詳しくは言えないが、黒髪オールバックの青魔騎馬が『突然のダイムサンダをお許しください』をしたってくらいかな!!」

 「おのれ現況でトップクラス性能のヤクザめぇぇぇ!!!!」

スルトは激怒した。スルトに性能はわからない。しかし、強すぎる相手には敏感だった。

 「えぇい!! 話が進まん!! 今回は何の用だ!! もう出すオーブもないし、経験値も少ないからストーリーをやる意味などなかろう!! 大人しく修練の塔を周回していろ!!」

 「おいおい、このおっさん。とうとうメタってきたぞ」

いつのまにか復活していたキチガイCが何か言ってきたが無視する。

するとキチガイAはイイ笑顔を浮かべてスルトに手を差し出してきた

 「僕に協力して実験台になってよ!!」

拒否する前にスルトの意識は飛ばされた。

 

 

 

 

スルトが意識を回復すると、そこはだだっ広い平原だった。そこはムスペル軍が間違って焼いてしまい、スルトの指示で復興をさせようとしている平原であった。そこでスルトは鎖で柱に縛り付けられている。鎖を引きちぎろうとしたが、引き千切れない。そこにキチガイCがやってきた。

 「お、目覚めたみたいだな。お〜い、召喚士!! おっさんが目を覚ましたぞ!!」

キチガイCの言葉にキチガイAが近寄ってくる。スルトはキチガイAを強く睨みつける。

 「貴様ら……何故、私に対してこのような扱いをする。敵対しているとは言え、私は王ぞ。エンブラ帝国との戦いでは幼女皇女に対しては寛容だったと聞くぞ」

スルトはそこが一番不思議だった。最初に敵対していたヴェロニカに対しては寛容だったと本人から聞いている。ニフルの第一王女と第二王女を旗下に置き、領地奪還を大義名分にしているとは言え、何度も拷問紛いのことをされていては腹が立つ。仇敵であるはずのニフルの第二王女に心配された時など、思わずニフルを返そうかと思ってしまったほどだ。

 「いやな。俺とエリウッドとヘクトルは敵に対して容赦しない主義だから、ヴェロニカもえげつないことをしようと思ったんだけど……はい、タクミ。発言をどうぞ」

 「まったく、幼女は最高だぜ!!」

 「とまぁ、ロリコンの強い反対にあってな」

スルトは強い頭痛に襲われた。長いあいだ不思議に思っていたことが、変態の登場によって解決させられた。そしてこんな連中に自国の未来を託しているアスク王国がちょっと心配になった。

 「さ〜て!! おっさんが目覚めたことだし『第142回 ドキドキ!! ムスペルの炎耐久実験大会!!』は〜じめ〜るよ〜!!!」

キチガイAがマイク片手に叫び、ノリノリで叫び返すキチガイ集団。スルトは内心で「あぁ、またか」と思った。

最初に戦ってから、何度も拷問まがいの実験をされてきた。確かにムスベルの炎でダメージは0だが痛みや苦しみはあるのだ。だが、王としてそんな弱い部分を家臣達に見せてはならないとやせ我慢した結果、このキチガイ共は痛みなどもないと勘違いしてしまったのだ。

今回はいつ解放されるかと青い空を眺める。眼からは心の汗が流れ落ちる。

 (レーヴァテイン……パパ頑張るよ……)

ちなみに娘のレーヴァテインはニニアンを筆頭にしたヴァイス・ブレイブの面倒見のいいお姉さん達によって遠くでお菓子をもらって嬉しそうに頬張っている。ちなみにパパは娘の笑顔を見たことがない。

 「さぁ、まずはミカヤから行ってみよう!!」

 「ちょっと待て」

最初に出てきたのは銀髪の少女だった。スルトの記憶ではあの少女の武器には重装特攻があったはずだ。相性有利とは言え、特攻の痛みは激しい。だが、キチガイAはスルトの言葉を聞かずにイイ笑顔でサムズアップした。

「安心してくれ!! バフもいっぱいつけたから!!!」

安心できる要素が皆無だった。

銀髪の少女は戸惑いながらも魔法を撃ってくる。戸惑っているとこを見ると、キチガイ集団に呼ばれてからまだ日が浅いのだろう。ぜひとも染まらないで欲しいと願いながらスルトは光に包まれた。

 

 

 

 

スルトは再び目を覚ました。夢かと思ったが、キチガイ共を見て自分の瞳が死んでいくのがわかる。

 「あ、おっさん、眼を覚ましたか。それじゃあ二人目な」

そしてキチガイAが容赦なくスルトを地獄に叩き落とした。

そして出てくる紫髪幼女。先ほどのロリコンが騒いでいたが、速やかに緑髪の女性がグルンレイヴンを叩き込んで沈黙させていた。

 「二人目は幼女皇帝・サナキだ。彼女には相性激化がある上に奥義も継承させた。相性有利なんだから、少しはダメージが通るだろう」

 「うむ! 私に任せるが良い!!」

ムッフーと自信満々に胸を張る幼女。その姿にスルトは娘の幼少期を思い出して頬が緩みそうになる。だが、王としての威厳を保つために表情を引き締める。

 「では! 行くのじゃ!!!」

おそらくはキチガイAがしっかりとバフもつけたのだろう。強大な魔力がスルトに直撃した。

 「あ、召喚士。このおっさん、相性相殺持ってるよ」

 「マジか」

スルトは薄れゆく意識の中でキチガイBとキチガイAの会話を聞いていた。

 

 

 

 

目を覚ましたくなかったが、スルトは目を覚ましてしまった。そして愛娘がヴァイス・ブレイブの女性陣にお菓子を貰っている姿を見て少し嬉しくなる。

 「お、目覚めたな」

そしてすぐに絶望した。ヴァイス・ブレイブのキチガイ三人衆が勢揃いしていた。

 「残念なことにここまでおっさんに通ったダメージは0。いやぁ、ムスベルの炎舐めてたわ」

 「ふん。私に敵わないと思ったならば、素直に解放するが良い。そうすれば見逃してやるぞ?」

というかそろそろ帰ってください、マジで。

スルトは本音を隠しながら、不適に言い放つ。するとキチガイAは頷いた。

 「うん、今回は次で最後だ。これを耐えられたら大人しく帰るよ。そんなわけで……先生! お願いします!!」

 「うむ、任せておけ」

キチガイAに呼ばれて出てきたのは黒髪長髪の美女。

 「ゲェ!! アイラ!!!」

ムスペル軍において最も恐れられている女傑・アイラだった。スルトも彼女と戦って逃げるので精一杯だった。そのためムスペル軍では『アイラに会ったら来世を祈れ』と言われるくらいに恐れられている。

しかし、アイラが持っているのは普段愛用し、多くのムスペル軍兵士の血を吸った剣ではなかった。

見るからに半端ではない魔力が込められた聖剣。どう考えてもFE世界にあったら世界感を崩壊させるような一品。

 「……おい、キチガイA。その剣はなんだ?」

 「これか? これは俺がちょっと時空間旅行していた時に訪れたブリテンという国によった時にな、なんか胡散臭い笑みを浮かべた魔道士がくれた一品だ。なんでもその魔道士曰く『人々の概念が星の内部で結晶・精製された神造兵装』とか言ってたけど、俺はパントじゃないからよくわからなかったな」

 「約束された勝利の剣(エクスカリバー)ではないか!!」

 「お、よく知ってるなおっさん。流石にその名前で使うには問題があるから、ヴァイス・ブレイブでは『エクスカリパー』と呼んでいる。なかなか使える人間がいなかったんだけどさ、アイラは使うことができてな」

 「うむ。たかだか剣風情が使い手を拒否しようとしたのでな、軽く調教したら大人しくなったぞ」

どこか自慢げに言うアイラ。選ばれた人間しか使うことができないのではないかとかツッコミたかったが、スルトは突っ込むことはできなかった。

なにせアイラの手にあるエクスカリパーに金色の奔流が集まっているのだ。

 「いやぁ、なかなかこれの実験ができなくてさ。アイラにこれを装備させたら奥義が宝具に変わったけど……まぁ、誤差だよな!!」

 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「では行くぞ。『剣姫の流星』」

スルトの叫び虚しく、アイラが繰り出したビームにスルトは飲み込まれていった。

 

 

 

 

スルトが目を覚ましたのは王城の自室だった。いつも通りムスペル軍が決死隊を組んでスルト救出に動いたようだ。ヴァイス・ブレイブの連中はアイラの一撃の後に撤退したらしい。ご丁寧に周囲の砦から物資を強奪して。

 「本当に忌々しい連中だ……」

スルトは家臣から報告を受け、下がらせると自室でワインを飲む。

王としても、武人としてもどこぞのクズ召喚士と違って優秀なスルトだが、家臣達も知らない一面もあった。

 「……だが、やはり女性からの攻撃とはいいものだな」

スルトは超ドMなのであった。

 




スルト
この話の主人公。外道に対して外道で罰を食らわせるなんて普通のことしたら面白くないと考えた作者によって、アルフォンス以上のまともなキャラに。ちなみにニフルの国民感情が悪いのは召喚士の情報操作のせい。

タクミ
最初はストーリーでヴェロニカの仲間のマニキにやらせようと思ったが、どうせだったら声優ネタをやろうと考え、作者が知っているロリコンキャラは阿良々木暦(物語シリーズは終物語までしか読んでない)と長谷川昴(原作、アニメは一切知らない)の二人。アララギくんはFEHにいなかったので、長谷川くん役をやっているタクミがロリコンになりました。



チャリできた
元ネタは知らない。作者がこれを知ったのはコハエースのlineスタンプ。ちなみに三馬鹿達が乗ってきたのはⅧ戦車マウス。もちろん本来は戦車ではなく自転車です。

胡散臭い笑みを浮かべた魔道士
そんな花の魔法使いがFE世界にいるわけないじゃないですか。だから召喚士が時空間旅行してもらいに行ってきたんですよ。



そんなわけでUA10000突破記念小説です。この作品の中でスルトは超マトモな王様です。原作のような扱いは召喚士のせいです。アルフォンスくんは召喚士を殺して和睦交渉すべきだと思う。
記念小説なのでいつも以上に好きにさせてもらいました。スルト視点なので名前は判明していません。アイラ? アイラはムスペルにとって三国志で呉における張遼ポジションです。つまり泣く子も黙る。
本当は前話でちょろっと出たけど、特にツッコミがなかった邪神様に登場してもらうつもりでしたが、それをやると収拾がつかなくなるので却下されました。
ツッコミ所が満載ですが深く気にしてはいけません。書いた作者本人が一番ツッコミたいですから。

追記:感想のご指摘でサナキの髪色を間違えていることに気づき、直しました。ちょっとロリコンに風神弓されてきます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もし三馬鹿が魔法先生ネギま!の世界にいたら

この作品の三馬鹿が魔法先生ネギま!の世界にいたらというif話です。原作キャラとのオリ兄妹設定あります。なぜ魔法先生ネギまかと言うと、黒髪ポニーテールの大河内アキラを見てリンちゃんを連想したからです。


 「うわぁ。2時間だけなのに随分溜まったなぁ」

明石祐奈は携帯を開いて、メールの件数を見て疲れたため息を吐いた。その件数167件。父からのメールが1件で、166件が兄からだ。昔からシスコンだったが、最近は特に酷い。具体的に言うと祐奈が同級生の男子生徒に告白されたことを知ってからだ。兄に教えていなかったはずだが、兄の友人が面白がって教えたのだろう。

祐奈は父からのメールだけ確認すると、兄からのメールは読まずにゴミ箱に放り込む。兄に短文でメールを返しておくのを忘れない。過去に一度、めんどくさがって連絡しなかったら、兄が友人の二人と一緒に女子中等部に突撃して来て、最終的に学園長室が兄を含んだ三馬鹿によって爆破された。兄達は『態々女子中等部に学園長室を作ったエロぬらりひょんに対する天誅』とか言っていたが、キチガイ達の発想なのでスルーする。というか気にしたらキチガイになると確信している。

 「祐奈、襟都さん?」

 「アキラ」

話しかけて来たのは祐奈の友人で、兄同士も友人である大河内アキラだった。

 「アキラは軍召さんから連絡来てないの?」

 「? うん。お兄ちゃんは私が連絡する前にだいたいのことを知っているし」

完全にアキラの感覚が麻痺してしまっている。いや、確かアキラは小さい頃からお兄ちゃん子だったらしい。だから完全に洗脳されてしまっているのか。

祐奈の兄がイケメン腹黒系キチガイだとしたら、アキラの兄は天才悪徳参謀系キチガイだ。現にアキラの兄の手によって何人もの生徒や教師が社会的に抹殺されている。ちなみにそれらの事件がアキラの兄の仕業だと知る人はいない。祐奈も兄から聞かなければ知らなかった。そしてアキラの兄がアキラに言い寄ろうとする男性生徒を、情報を駆使してアキラから意識をずらさせているのも知っている。これも兄情報だ。兄は祐奈がお願いすればなんでも教えてくれる。流石に冗談で国家機密を尋ねて、翌日にアキラの兄からその情報をもたらされた時にはドン引きして、二度と下手なことは尋ねないことにした。

 「祐奈とアキラは何の話をしとるん?」

関西弁のイントネーションで祐奈とアキラの会話に入って来たのは和泉亜子だった。祐奈が携帯をひらひらと見せると、亜子も理解したのか苦笑した。

 「襟人さんもシスコンやからなぁ……昨日、お姉ちゃんと兵人さんと一緒に晩御飯食べとる時に聞いたんやけど、兵人さん達のクラスメイトの一人が祐奈のこと狙っているって口を滑らせたら、襟都さんブチ切れて校舎半壊の大騒ぎになったらしいで」

亜子の情報に祐奈は机に突っ伏してしまう。亜子のお姉さんの彼氏が三馬鹿の残り一人である兵人だ。兵人は単細胞脳筋系キチガイだ。バカみたいにでかい斧を振りまわして、鎮圧しにきた学園広域指導員を返り討ちにし、最終的に彼女である亜子のお姉さんが止めに来るまで暴れ続けたことは忘れられない。

そしてそんな三馬鹿キチガイが通う麻帆良学園男子高等部では騒ぎが絶えない。しょっちゅう校舎が半壊し、酷い時には周囲の建物にも被害がでる。毎回、アキラの兄がどこからか調達してくる資金によって直されているが、三馬鹿キチガイの担任である葛葉刀子先生には同情を禁じ得ない。

中等部時代から葛葉先生は三馬鹿の面倒を見ているらしく、三馬鹿も葛葉先生に対して恩義は持っているようだ。だから葛葉先生の離婚騒動の時に葛葉先生の相手から金を奪い取るだけ奪い取った後、社会的に抹殺したのだろう。ちなみにその後葛葉先生からガチ説教を食らったようだが、三馬鹿は反省をせずに『バレたから問題になったんだな』というキチガイ的発想に行き着いて、やり口が巧妙になった。三馬鹿も表に立って騒いだり、裏で暗躍したりと色々するが、大抵は最終的に学園長室が破壊される。あの三馬鹿は絶対に学園長に対して何か恨みがあるに違いない。

そのまま三人で世間話をする。共通する知り合いを持っており、寮でも同じ部屋の三人と、もう一人の佐々木まき絵の四人で一緒にいることも多い。ちなみにまき絵は補習を食らって担任の高畑先生に連れて行かれた。

その時、アキラの携帯が鳴った。基本的にアキラはマナーモードにしているはずだが、おそらくはアキラの兄が何かしらのハッキングをして音を鳴るようにしているのだろう。詳しくは知りたくない。

アキラも慣れた様子で携帯を開いて文面を確認する。

 「お兄ちゃんが今日はまき絵と何か予定入ってるかだって? 私は特にないけど、二人は?」

 「私も特にないで」

 「……あ〜、そういえば、まき絵と部活の休みが一緒だったから遊びに行こうって約束したかにゃぁ」

祐奈は言い終わった後にしまったと思ったが、街で大爆発が起こったことで手遅れだったことに気づく。

アキラと亜子も気づいたのか、苦笑した。

絶対に祐奈の超絶シスコン兄が容赦なく起爆スイッチを押したのだろう。あれだけの騒ぎになれば、補習を担当している広域指導員の筆頭である高畑先生は駆り出され、補習は中止になるだろう。妹のために罪を被ると聞くと聞こえは良いかもしれないが、三馬鹿は基本的に他人に罪をなすりつけるので、三馬鹿に目をつけられた哀れな生贄が生徒指導室に連行されるのであろう。

それを知っている三人は哀れな生贄に合掌する。

 「それじゃあ、まき絵を迎えに行って遊びに行って来ようかなぁ。二人はどうする?」

 「あ、私も一緒に行くわ。買いたいものがあったんよ」

 「私はお兄ちゃんの部屋を片付けに行かないといけないから」

三馬鹿の中心人物の妹であるアキラに本気で同情しながらも、祐奈も今回はどれだけの騒ぎになるか楽しみにしながらカバンを持って教室から飛び出した。

 




明石祐奈
シスコンな兄に辟易する妹ポジション。祐奈の兄がエリウッドポジション。ロイコンからシスコンになった。ロイと違ってエリウッドはこちらの愛する存在の洗脳に失敗したようである。だが、何だかんだ言いつつも兄のことは気に入っているご様子。

大河内アキラ
祐奈と同じくシスコンな兄をもつ妹。アキラの兄が召喚士ポジション。こちらは純粋に兄のことを尊敬しているようである。流石は召喚士汚い。街の中で一人暮らしをする兄の部屋に行っては片付けをし、発見してしまったエロ本を『仕方ないなぁ』と呟きながら本棚に整頓してあげる。そしてそれを知った兄が発狂する。

和泉亜子
三人ともキャラの実兄じゃ面白味に欠けるので、架空のお姉さんを作ってそれの彼氏にヘクトルポジションにした。上記二人と違って間に一人挟んでいるので、どこか外から笑ってみていられる。だが、姉がヘクトルポジションの彼氏と結婚すると言い始めたら猛反対するだろう。

葛葉刀子
アルフォンスポジションの苦労人。頑張れ! 超頑張れ! 麻帆良の未来は貴女にかかっている。

麻帆良学園男子高等部
三馬鹿が所属するクラス。問題児ばかり。よく校舎が壊れる。

麻帆良学園学園長室
特に理由はないが三馬鹿によって爆破される。そして学園長は学園長室にいる時間より病院にいる時間の方が長い。



この作品の三馬鹿を別原作に放り込みたいと思った結果、第一回目はネギまが犠牲になりました。でも原作からして結構滅茶苦茶な学園なので、特に違和感なく溶け込みますね! 三馬鹿は相変わらずキチガイですが。これからも別原作に三馬鹿を放り込むネタが出来たら投げるかもしれません。場合によっては独立させるかなぁ……

次回はちゃんとFEHネタですので。ええ、ついに秘密のベールに隠されたエリウッドの奥さんが発表されます。君は当てることができるか……!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

デビルクエストⅤ〜悪魔の花嫁〜

烈火を知っている読者の方が『この相手はおかしい』と思っていただけたら作者の勝ちだと思ってます。


 「私の扱いが雑な気がするのよ」

ヘクトルが悪魔(エリウッド)の奥さんを教えてくれるということで、部屋で待っているとその話を聞きつけたリンがやってきた。リンも祖父のハウゼン爺さんが死んだ後に速攻でキアラン侯爵家をオスティア侯爵家に丸投げしてサカの草原に帰って隠棲していたらしい。なのでエリウッドの結婚もフロリーナから手紙で聞いただけだそうである。その中に『相手を知ったらきっと驚く』と書かれていたらしい。

 「この作品で私が出てくる時は大抵が三馬鹿に対してのツッコミと、召喚士の浮気に対する制裁の時だけ。そのせいで感想に『リンちゃん鬼嫁になりそう』なんて言葉が来る始末。普段から召喚士の部屋に通って料理したり掃除したりしているのに描写されないせいで鬼嫁扱い。酷いと思わない?」

 「ちなみにリン。俺と結婚したらお金の管理はどうする?」

 「召喚士に任せたらろくな事にお金を使わなさそうだから、私が管理するわ」

 「それは鬼嫁の特徴の一つらしいぞ」

リバースの杖+(物理)が俺の頭に振り下ろされた。痛みで悶絶しているが、リンは呆れたようにため息を吐いた。

 「烈火時代に召喚士が管理していた結果が、アンナの秘密のお店の出禁だったはずだけど?」

 「戦争は金かかるんだから少しでも値切り交渉をするのは当然だと思うんだが」

 「反省の色がないわね。ちょっとそこに正座しなさい」

そして始まるお説教。普段の生活態度から食習慣、さらにはエリウッドとヘクトルと問題を起こすなというお説教である。

 「おう待たせたちょっと用事思い出したわ」

 「まぁ、ヘクトル。早く入ってこい。遠慮することはないぞ? 何せ俺たちの仲だからな」

 「いやいや、親しき中にも礼儀ありって言うだろ? だから早く離せ召喚士…! リンの説教に俺を巻き込むな…!!」

 「いやいや……! エリウッドと三人で『残る二人を地獄に落として自分は生き残る』って誓った仲じゃないか……!!」

 「その理論だとエリウッドの一人勝ちだろうが!!」

必死に逃げようとするヘクトルを、逃すまいとヘクトルの足にしがみつく俺。リンはそんな仲の良い俺たちを見て呆れたようにため息を吐いた。

 「それでヘクトル。エリウッドの奥さんを教えてくれるんでしょ?」

 「お、おお。そうだった。おう、入ってくれ!!」

ヘクトルの言葉に一人の女性が入ってくる。バカみたいに深いスリットと谷間を見せる服。だが、それを下品な印象を与えずに、どこか気品を感じさせる美人。そして特徴的な青いショーカットの髪。

俺とリンは当然、その人物を知っている。

ヘクトルは唖然としている俺たちを見て面白そうに笑いながら口を開いた。

 「こちらはフェレ侯爵夫人ウルスラさんだ」

 「ふふふ、改めてよろしくね。召喚士、リン」

黒い牙の四牙で『蒼鴉』のウルスラだった。

 

 

 

 

 

まさかのエリウッド夫人がウルスラだったと言う事実に一瞬だけ意識が飛んだが、とりあえず意識を戻していつも通りにお茶の準備をする。

ウルスラもどこか上品に俺が用意したお茶を飲んでいる。その姿はどう見ても貴族の所作であり、フェレ侯の夫人に相応しい姿だった。

同じように座っているヘクトルを見る。お茶を飲む姿は居酒屋で酒を飲むおっさんの所作、貴族の気品が微塵もないクズの空気。

ヘクトルが俺の視線に気づいて俺を見てきた。

 「なんだよ?」

 「お前は絶対に貴族じゃないだろ。どちらかと言えばチンピラだな」

 「お? オスティア侯爵様に向かって喧嘩売ってるのか?」

いつも通りにバトルを始めようとしたら、リンがヘクトルにミュルグレ(攻撃49)、俺に鉄の剣(攻撃37)を叩き込んでくる。

 「ぬぉぉぉ!! 俺と召喚士の扱いに差がありすぎるだろう!!」

 「良妻週間実施中よ」

 「それを言う時点で良妻とは言えな」

ヘクトルの発言の途中で、今度はソール・カティを叩き込む。ヘクトルは泡を吹いて失神したが、すぐにリバースの杖+によって復活させられた。

 「ああ、クッソ。イテェな。なんでエリウッドの嫁を紹介しに来たのに、ダメージを喰らわないといけないんだ」

 「ヘクトルは不幸枠だからな」

ヘクトルが投げて来たアルマーズを回避する。お互いにメンチを切り合っていたが、リンがフルコースの準備を始めたのと、ウルスラがブラーウルフ+を準備したことで俺とヘクトルは肩を組んで仲良しアピールをする。見えないところでお互いに殴り合うのは様式美とも言えるだろう。

 「でもよ、ウルスラはモルフだろ? 子供産めなくないか?」

 「まぁ、それを説明する前に烈火の最終決戦を思い出してみないかしら?」

ウルスラの言葉に俺とヘクトルとリンは不思議になって首をかしげる。

 「確か最終決戦の前に召喚士……このメンバーだったら軍師でいいわね。軍師が『俺がネルガルだったら、黒い牙の幹部クラスのモルフを用意する』って言ったわね」

 「その後にパントが『だったらモルフの肉体にその人物の魂が定着する魔法を生み出さなきゃ!!』とか言い始めて、軍師と一緒に徹夜で作り上げていたな」

 「それで最終決戦に挑んだら俺の言った通りになってただけだな」

 「問題はその後よ」

はて?

 「俺とパントとエルクとカナスの四人で魔法発動させて全員復活させたな」

 「ブレンダンとロイドとライナスの怒り心頭の姿を今でも思い出せるわ」

 「全員でネルガルボコって、トドメを誰が刺すか揉めた結果、瀕死のネルガルを樽に詰めて『ネルガル危機一髪!!』をやったよな」

 「貴方達は頭がおかしい」

超今更なことをウルスラにマジ顔で言われてしまった。

 「こほん。あの戦いの後に軍師は行方不明、リンはサカに帰ったから知らないでしょうけど、私たち黒い牙はエリウッドに雇われたのよ。しばらくエリウッドのところで働いていたらフラリとパントとルイーズの夫婦が現れてね。モルフだった私達を人間に戻したわ」

 「ちなみにパントが人間に戻す研究にかかった期間は?」

 「一ヶ月よ」

流石のパントえもんである。

 「まぁ、それから私とエリウッドは仲良くなってね。エリウッドの妻になってくれってマーカスに頼まれたのよ。ソーニャ様もいなくなってしまったし、エリウッドのことも嫌いじゃなかったから結婚したのよ」

色々端折られた気もするが、深く突っ込むのはやめておこう。

 「でも、その割にヴァイス・ブレイブでエリウッドと殺し合っている姿をよく見かけるけど……?」

リンの言葉にウルスラは無表情になって持っていた湯呑みにヒビが入る。

 「忌々しいわね……! 封印の時は一緒にロイの手助けをしていたのにFEHではあっさりと先に実装されたのよ……! しかもロイと一緒に!!」

最後の怒りの言葉と共に湯呑みが粉々の砂になった。湯呑みが破片ではなく砂になった。お前は魔道士やめて前衛職になれよ。

俺とリンが確認するようにヘクトルを見ると、ヘクトルは力強く頷いた。

 「ウルスラも親バカだ」

 「「うわぁ…」」

俺とリンが触れたくないものを見る目になる。ウルスラはそれに気づかずに延々とエリウッドに対して呪詛を吐き続けている。

 「ここの親バカ夫婦はロイの教育方針でしょっちゅう喧嘩してな。フェレ騎士団じゃ止めきれないから俺のところにも援軍依頼が毎回くるんだよ。こいつらも手加減はしているから死人は出なくても怪我人はすげぇ出てな。そしたらある日オズインが気づいたんだよ」

過去を思い出しながら語るヘクトルの瞳はだんだんと死んで行く。

 「俺が一緒に行くと、俺に被害が集中するってさ。それからは早かったよ。オズインが俺を縛り上げ、マシューが猿轡噛ませて、爆心地に放り込むんだ。はは、何回死んだはずの兄貴に会ったかな……」

 「もういい……もう休め……!!」

ヘクトルの目から心の汗が流れるの見て、思わず慰めてしまった。

 「あれ? もしかして烈火時代に使ってたギガスカリバーじゃなくて、エリウッドにすごく刺さるブラーウルフを持ってきたのって……」

リンの呟きにイイ笑顔をしたウルスラに俺とリンは全てを察した。

 「でも良かったわ」

ウルスラの笑顔に俺はとてつもなく嫌な予感を感じる。

 「今度からロイがスキル継承に使われたら、心置き無く私も参加できるようになるからね」

ウルスラの笑顔は腹黒暗黒侯爵が浮かべる笑みと同じだった。

 




唐突なリンちゃん
作者がノーマルリンちゃんのスキル継承に悩んでいる時に『有用なスキルを全部継承させちゃえばいいんだ』という悟りを開いた結果出演。決してノーマルリンちゃんの戦闘絵の魅力的なふとももに惹かれたわけじゃないんだからね!!

ウルスラ
原作烈火のウルスラさんは各自ググってください。ここではまさかのフェレ侯爵夫人。そしてロイに対する教育熱心な教育ママ。その厳しい教育姿勢から、徹底的に甘やかしたいエリウッドとしょっちゅう喧嘩する。そして巻き込まれるヘクトル。ちなみにウルスラさんの教育は苛烈を極める。1時間の勉強に1時間の戦闘訓練。栄養バランスのとれた三食の食事に、おやつと昼寝の時間も設け、きちんと8時間以上の睡眠を義務付ける超スパルタ教育である。その教育方針に危機感を抱いたロイの教育役であったウィルがフェレ侯爵夫婦に無断でオスティアに留学させる。そしてウィルは星になった。

貴方達は頭がおかしい
ちなみに発言者も烈火出身者の模様

パントえもん
実装されていないのに存在感溢れるイケメン天才魔道士。こいつとラクチェが実装されるのが楽しみな半分恐れもある。この二人が実装されると我がヴァイス・ブレイブのカオスが加速する。

オスティア学校セシリア先生
軍師(召喚士)原作、パント編集の『サルでもなれる英雄への道!!』を教科書にしてロイとリリーナを教えた名教師。


みなさんの予想は当たりましたか? ヘクトルはこの作品を始めた時から家族ネタで弄るために嫁さんを決めていましたが、エリウッドは召喚士とヘクトルの悪友ポジションだったので、嫁さんを決めていませんでした。作者は初回プレイ時にエリウッドの支援相手をマーカスにしてしまったので、結婚相手のイメージが湧きませんでした。なので感想で『エリウッドの嫁さん誰なん』(意訳)が来た時に考え始め、とりあえず支援相手は普通だから除外、味方も面白みに欠ける。そこで『あ、ソーニャとかいいやん』とか思いましたが未実装。そこで次点のウルスラさんに白羽の矢が立ちました。エリウッドの奥さんなのでもちろんロイコン。今度からロイをスキル継承に使った場合、デュランダルとブラーウルフの合体技が来ることに決定しました。もし花嫁ガチャに花嫁ウルスラが実装されたら作者は勝手に公式設定って認識しますね!!

これを書いている時に気がつきましたが、封印開始時点でエリウッド、ヘクトル、パントが存命。諸悪の根源である軍師(召喚士)がいないとは言え、どう考えても大人しくしているわけないので作者の中で『封印の剣=烈火世代の暗躍』のイメージが染み付きました。

FEHが配信1周年ですね。せっかくだから記念小説を書きたいですが、ここの連中に『お祭り』という大義名分を与えるとアルフォンスくんの胃がバーストしそうなので自重します。スルト視点は書いたからヴェロニカ視点の『ゔぇろにかちゃんのだいぼうけん!!』でも書くかなぁ…でもそれを書くと召喚士達の立場がさらに悪く。ただでさえ感想で『三馬鹿がテロリストでは?』(意訳)と来てしまっているのに。

英雄総選挙でヘクトルが1位? 不幸枠のヘクトルの幸せな話なんか書きませんよ

追記:感想でご指摘のあったウルスラの武器の名前間違いを直しました。ご指摘感謝です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と英雄祭ガチャ

うちのガチャは空気を読んでネタ提供してくれるわぁ…(白目)


 「さぁ、例によって召喚の時間だ」

俺はいつものバカ二人と一緒に召喚室にオーブを持って侵入する。最近は財布だけでなく、オーブの管理もリンにされているので保管庫から盗み出して来るのも大変だ。

 「英雄祭ガチャだね。今回は誰を狙うんだい?」

 「シグルドを召喚して同じ属性のエリウッドの存在価値をなくすとかどうだ?」

 「おっと、ヘクトル。ドルカスに立場を奪われたからって親友を同じ立場に引き摺り込むことは最低だと思わないかい?」

 「普段の俺の扱いを考えたら当然の言葉だと思うが?」

メンチを切り合い始めたバカ二人を無視して俺は言葉を続ける。

 「今回狙うのはネフェニーだ」

 「その心は?」

 「武器がキラーランス鍛で奥義のカウントを減らすことができ、さらに奥義も月虹だからほぼ毎ターン発動が可能。さらに怒りのスキルで奥義カウント−1、奥義ダメージを10追加。くさるほどいるヒナタを使って獅子奮迅を継承させれば怒りのスキルを発動させやすくなる。守備も高いから壁役としても使えるだろう」

俺の理路整然とした発言に納得したように頷く二人。そして同時に口を開いた。

 「「で、本音は?」」

 「無口で大人しめな印象を与えつつ、それは田舎生まれを隠すためのカモフラージュで、実は訛り口調。しかも顔を隠してるのに実は美少女で胸もある。しかも生足とか最高じゃん!!」

俺の宣言にエリウッドとヘクトルは同意するように力強く頷き、三人でがっちり握手する。エロは偉大である。烈火時代に水浴びに行った女性陣を三人で覗きに行き、バレた時にセインに罪をなすりつけ、火刑に処されたセインに対して三人で敬礼したのもいい思い出である。

 「それじゃあ早速召喚行ってみよう!!」

 「「生足!!」」

俺の言葉にバカ二人もノリノリで宣言する。

召喚石版を起動する。そして浮かび上がってくるオーブ。崩れ落ちる俺。

 「意外! それはオール無色!!」

ヘクトルの楽しげな言葉が響く。エロも欲しいけど俺の不幸も欲しいらしい。あとでフロリーナにヘクトルが浮気したというデマを教えておこう。

 「そう言えば、今回の無色ピックアップは誰だっけ?」

 「あん? あ〜、総選挙リンだな」

 「つまりここで総選挙リンを引いて『やったぜ召喚士大勝利!!』なわけだな!!」

 「……あれ? でも今回の召喚リンに秘密だったよね?」

エリウッドの言葉に俺とヘクトルの動きが止まる。今回、無断で召喚したことがバレたら間違いなく折檻を食らうだろう。そしてそれは一緒にいるエリウッドとヘクトルにも及ぶ。

 「あ、悪いけど僕はこれからウルスラとロイについて語り合わないといけないから」

 「俺もフロリーナと飯食う約束をしててな」

 「おっと、死ぬ時は一緒だぞ」

 「「鬼! 悪魔! 召喚士!!」」

逃亡しようとする二人が逃げないうちに無色のオーブを叩き込む。

出ない煙に安堵をする。だが、出てきたのは糸目のヒーラーであるアサマだった。

口上を聞く前に羽にしてしまう。

 「……間違って書き途中の小説を消したこと恨んでいると思うか?」

 「これだけ見るとそう感じるよな」

ヘクトルの同意に俺は項垂れる。すまん、アサマ。またネタ出ししたら書くからな。

とりあえず召喚石版を止める。そして再び起動する。そして浮かび上がってくるオーブ。再度崩れ落ちる俺。爆笑するバカ二人。

 「いやぁ、オール赤とかすごいね」

 「連続で全部一色とかなかなかないぞ」

二人の煽りに耐えて、俺は立ち上がる。

 「くっそう。とりあえず一個だけ召還してまた起動し直すか」

石版に叩き込むオーブ。舞い上がる土煙。そして出てくるイケメン。

 「私はシグルド。シアルフィ公国公子、聖戦士バルドの血を受け継ぐ者だ」

黙り込む俺たち。冗談で言っていたことが事実になった。

シグルドは俺たちの反応を気にせずに近寄ってくる。

 「召喚士、まだ召喚を続けるのか?」

 「あ…ああ」

俺の言葉に力強く頷くイケメン。

 「それじゃあ、私はセリスに会いに行ってくるからな」

 「……あれ? なんでセリスがいること知ってんの?」

ヘクトルの質問にシグルドの方が不思議そうに首を傾げる。

 「親として子供の臭いを嗅ぎとる技術は標準装備だろう?」

 「「いや、それはない」」

シグルドの言葉に俺とヘクトルは同時に返す。隣の腹黒は『当然だね!!』とか言っているけど、腹黒は標準的な親じゃないから除外する。

だが、俺とヘクトルの言葉を無視するようにシグルドは爽やかな笑顔を浮かべる。

 「それじゃあ召喚士達は召喚を続けていてくれ。私は勝手にセリスに会いに行くからな。待ってろよセリス……パパが会いに行くからね!!!!」

それだけ言い残してシグルドは凄まじい勢いで扉を開いて飛び出していく。

……なんか、もう。聖戦士の血は大丈夫か?

 

 

 

 

後日、とりあえずアイラにここに召喚されたシグルドがアイラの世界のシグルドかどうか聞いたら違うらしい。曰く『纏う戦意が違う』とのこと。

シグルドの親友であるエルトシャンに確認したところ、複雑な表情で頷いていた。そうか……烈火から始まったキャラ崩壊が止まらないな。

 




シグルド
流れるように現れて速攻でキャラ崩壊してしまった。許しは請わん、恨めよ。奥さんのディアドラも欲しいところ。


本当にネタを提供してくれるガチャですわぁ(白目)。ですが、これでやりたかったエリウッドとシグルドによる息子自慢対決ができます。とりあえずアテナ先生に頼んで育成途中のセリスと一緒にレベル40にしないと……!!

アテナ星4が出ればアイラに剣の経験を継承させて『アイラ師範の修羅道場』を作れるんですがねぇ。尚、入門した英雄は死ぬ可能性がある道場である。

ちなみにネフェニーは1周年で配布された50個全部使い切って出てきてくれました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もし三馬鹿が食戟のソーマの世界にいたら

食戟のソーマ28巻を読んでいて『そうだ、薊を不幸にしよう』と思いつき書きました。流れ弾喰らって不幸になってる食の魔王さんがいるけど、仕方のない犠牲だよね!!


えりなは理解が追いつかなかった。10年前にえりなに虐待擬きの教育を行い、伯父によって薙切を追放された実も父親である薊が遠月十傑の過半数を味方につけ、祖父から学園長の座を奪いとったと思ったら、伯父と愉快なバカ二人に連れられてアメリカの基地に見学した時に見た覚えのある輸送ヘリが上空にやってきて、そこから軍人達が降下してきて父親である薊が拘束された。

父親が戻ってきただけでお腹一杯なのに、そこに軍人達の登場である。学園祭にきていたお客さん達も薊の遠月学園奪取からの軍人の拘束で思考が停止している。えりなもできれば思考を停止させたかったが、伯父と愉快なバカ二人によって鍛えられた直感スキルがビンビンに働いている。

そして一機のヘリが降下してきて、そこから四人の男性が降りてくる。一人はえりなの伯父であり、遠月で教師をやりながら、遠月グループを実質的に支配している薙切軍召。赤髪が特徴的で微笑みを浮かべている男性。遠月十傑第二席小林竜胆の父親であり、伯父の悪友である小林襟都。黒髪でどうみても料理人ではなく格闘家という筋骨隆々な体格を持ち、遠月十傑第四席茜ヶ久保ももの父親で襟都と同じく伯父の悪友である茜ヶ久保兵人。そしてえりなは見覚えのないぽっちゃり体系でスーツを着て、メガネをかけた白人男性。だが、三人と一緒に軍人たちが支配するこの場に来る時点でカタギの人間ではないだろう。

そしてえりなは悟った。

 (あ、お父様は三馬鹿に嵌められたんだわ)

最初から違和感は感じていた。仲間に容赦がなく、敵には一切の慈悲を持たない三馬鹿が、敵認定している父親を自由にさせるわけがないのだ。つまり父親の学園奪取計画は全て伯父達の手のひらの上だったわけだろう。

現に父親は憎々しげに伯父を睨みつけている。

 「薙切軍召……! 貴様……!!」

 「慣れない謀略なんかやるもんじゃないぞ、中村」

軍人に押さえつけられた父親の言葉も、伯父は冷笑で返している。いけない、本来なら父親が立つべきだったポジションに、もっと立たせちゃいけない人間が立っている気がする。

すると白人男性が父親の前に立つ。

 『中村薊だな。君にはアメリカに対するテロ行為をしようとしている容疑がかかっている』

 『な!?』

英語での会話だが、伯父と愉快なバカ二人に振り回されて世界中を連れまわされた経験があるえりなは問題なく理解できる。

 『私はそんなことをしようする理由がない!!』

 『まぁ、私が調べた限りでも動機は見つからないけれど、テロリストに対する指示書や、アメリカに潜在的な敵対国に対する援助等etc……物的証拠や情報証拠が山程あるから逮捕せざるえないんだ』

父親が伯父達の陰謀に気づいたのか、三人を睨み付けると、三人は戦隊物の決めポーズを決めていた。伯父さん、もうちょっとシリアス続けて。

軍人達に連行されていく父親とその仲間達。なんというか……これからの物語を全てぶち壊された気分になる。

 『それでプロッター。態々君の描いた絵図通りにCIAは動いてあげたんだから、それなりの見返りを求めてもいいかい? 具体的に言うとお嬢の計画とかさ』

 『それ教えるとココがガチで切れるから無理だよ、ブックマン』

 『ココは怒ると怖いからねぇ……』

 『伊達に武器商人をやってないよなぁ』

白人男性の言葉に伯父と愉快なバカ二人が答える。さらりとCIAとか武器商人と言う単語が出てくることに、恐怖じゃなくて納得の気持ちが出てきてしまうのは三馬鹿に毒されているからだろうか。

ブックマンと呼ばれた白人男性はその答えもわかっていたのか、軍人達の隊長と一緒にヘリに乗り込んで去って行った。

残されたのはあまりの超展開についていけない観衆と、唖然としている祖父。伯父は残されていた祖父に近づいていき、一枚の紙を突きつける。

 「さて、親父殿。ここに遠月十傑評議会で決定されたことがあります。簡単に内容をまとめると『中村薊に遠月総帥の座が渡った場合、即座に中村薊を解任し、薙切軍召・小林襟都・茜ヶ久保兵人の三名を共同総帥とする』。署名している十傑は小林竜胆・女木島冬輔・茜ヶ久保もも・齋藤綜明・一色慧・叡山枝津也の六名です」

父親についていた十傑の大半を味方につけているところに伯父の悪意を感じる。祖父は苦々しい表情をしていた。それはそうだろう。義理の息子の謀略に嵌められたと思ったら、実の息子が本当の黒幕だったのだ。人間不信に陥ってもおかしくない。まぁ、義理の息子の追放は祖父が決めたことだが。

 「軍召……貴様も美食こそが至高などと言う巫山戯たことを抜かすか」

 「いやいや、親父殿。俺がそこまで料理に熱中してないの知ってるだろ?」

 「軍師はむしろ他人を嵌めることに生きがいを感じているよね!!」

 「こいつが倫理の授業を持ってるとか、遠月の学生の未来が心配だな!!」

 「世迷言はそこまでだぞ腹黒親バカに単細胞脳筋。俺は自分が倫理から外れていることを知っている……つまり自覚ある外道だからこそ人の道を教えられるんだ……!!」

 「「その理屈はおかしい」」

内心で二人の発言に全面的に同意するえりな。口には出さない。口に出したら外道が飛び火する。

 「それでは貴様は何が目的だ」

 「簡単なことだよ」

祖父から聞かれた言葉に、伯父は暢気に答えた。

 「教育機関として正しい姿にしたいだけだよ」

 「……え?」

伯父のあまりに真っ当な返答に思わず声が漏れてしまった。その声が聞こえたのか、伯父が白けた目でえりなを見てくる。

 「おい、えりな。どう言う意味の反応だ」

 「いやいや、えりなちゃんの反応は至極当然だね! 何せ外道で鬼畜でクソな軍師がまともなこと言っているんだから!!」

 「俺たちも最初に聞いた時は『軍師はそんなこと言わない!! 誰だお前は!!』って叫んだからな」

 「いや、当然の反応だから。義務教育じゃないから退学はあってもいいけど、それが多すぎ。それのせいで遠月グループ全体の評判まで落ち始めているんだ。経営に携わっている人間としては、学園だけの評判だけならまだしも、グループ全体に悪影響を出されると、考えざるおえないんだよ。つうかうちの一族は料理に特化しすぎなんだよ。グループは大きいんだから、他の評判も気にしなきゃやっていけない」

何故だろう。伯父は経営陣から見た時の当然の言葉を言っているんだろうが、何故『お前が言うな!!』と言うツッコミをしたくなるのだろうか。

 「……もし、儂が拒否すればどうなる?」

 「食の魔王の名前が国際的テロリストの代名詞になるだけだよ」

実の息子(伯父)の脅しに屈する父親(祖父)。伯父は『薙切一族はクソ』と言っていたが、言った本人が一番クソなのではないだろうかとえりなは思った。

 (そうだわ……今度、アリスと一緒に温泉でも行きましょう)

小さい頃から三馬鹿に一緒に振り回された従姉妹と一緒に安らぎに行こう。そうでないとこれから先に三馬鹿が中心になって巻き起こされるバカ騒ぎについていけない。えりなはどこか達観した目で共食いを始めた三馬鹿を見ていた。

 

 

 

1時間後、えりなはアリスのノリが三馬鹿寄りなのを思い出して吐血し、秘書である新戸緋沙子を狼狽えさせるのだった。

 




薙切えりな
今回の語り部の原作ヒロイン。原作で父親からの虐待を三馬鹿が外道術を駆使して華麗に解放!! そして三馬鹿の奇行に巻き込まれる不幸な少女。高等部に入って安心していたら、爆弾がやってきて、それを解体した張本人達が核爆弾だったという可愛そうな少女。

薙切軍召
えりなの伯父さん。いわゆる召喚士ポジション。薙切グループの影の支配者。この出来事で表立っての支配者に。薊追放後も常にマークを続け、薊の陰謀を探知した後は、邪魔な実父を追放させた直後にアメリカに拘束させて二度と外に出れないようにする。

小林襟都
小林竜胆の父親。エリウッドポジション。もちろん子煩悩なので、絡みも書きたかったが、話が脱線に脱線を重ねて収拾つかなくなるので却下されました。

茜ヶ久保兵人
茜ヶ久保ももの父親。ヘクトルポジション。筋肉達磨から幼女から産まれるというミラクルのためだけの親子設定。ちなみに共同理事長就任後は一番の人格者として生徒達に慕われる。こら、他二名が酷すぎるだけとか言わない。

ブックマン
薊が海外で活動していたらしいので、どこかの諜報機関のキャラクターいないかなぁと思っていたら本棚にあった『ヨルムンガンド』が目に入り、その結果出演。こいつがいるということはココ・ヘクマティアルがいるということであり、三馬鹿なら普通にココに協力しそうだな、と思っている

薊さん
原作で悪役ポジション。娘に虐待とか三馬鹿が黙ってないよな、と思ってしまったのが始まり。10年前に娘に対する行きすぎた教育が食の魔王さんにバレて追放(尚、黒幕は三馬鹿)。慣れない陰謀を駆使して学園を乗っ取ろうとしたら、それすらも召喚士の計画の内。最終的に用済みになったので召喚士が用意したでっちあげの証拠でアメリカに捕まってしまった。

食の魔王さん
完全に流れ弾を食らって総帥の座から引きずり降ろされた。でも普通に考えて教育機関としてあの方針はどうかと思うんだ。



前書き通りに食戟のソーマを読んでいて、『そうだ、薊を不幸にしよう』という考えから執筆しました。正面から魔王打ち倒すのは原作主人公達に任せるとして、こっちは召喚士の陰謀によって完全に冤罪で倒されました。召喚士の戦い方は調略や謀略で相手を嵌めた後に、相手より多くの兵力を揃えて潰すという所業です。内通者を作るのは必須。ですので原作で薊に与した方々が軒並み裏切っています。え? どうやって裏切らせたか? 高校生を丸め込むのなんか召喚士はヘクトルを不幸にさせる以上に簡単です。

次回はまたFEHに戻る予定です。シグルドはレベル40になったんで、次はセリスくんの番です。それが終わり次第に親バカ二人による息子自慢対決を書く予定です。だが、その前にネフェニーとエイリーク(赤魔騎)のスキルポイント稼ぎがあるからいつになることやら……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三馬鹿重大会議

アイマスのあとがきを書こうと思ったら、FEHの新ガチャ予告を見て書かなきゃいけなくなってしまった。あ、超短文です。


 「緊急事態だ」

俺はいつものバカ二人に緊急召集をかけた。二人も事の重大さを理解しているのか真剣な表情でゲンドウポーズで座っている。そして三人同時に口を開いた。

 「「「まさかの烈火・封印ガチャだ」」」

この作品に対して特攻すぎるピックアップだ。読者の中に運営の回し者がいるか疑うレベルである。

 「当然ながらリンは欲しいからぶん回すとして、他だが」

 「無色も当然回すよね。だって弓騎馬ロイだから!!」

 「遊牧民でもないのに弓騎馬とか許されると思うの?」

俺の当然のツッコミはデュランダルで返された。

 「俺としては娘であるリリーナも引いて欲しいんだが。ほら、緑騎馬魔だぞ?」

 「名教師セシリアと狂信者スリーズさんがいるね」

ヘクトルの細やかな願いは暗黒卿エリウッドによって両断された。だが、ヘクトルは諦めない。

 「いや、俺は引かなくていい……! リリーナを引いてくれ!」

 「そう言いながら同色ピックアップのヘクトルが3人くらい出てくるんだろ?」

 「大丈夫だ、今回の俺もスキルに遠距離反撃がある。余ったらわざマシンに使えばいい……!!」

ヘクトル自らのわざマシン宣言である。

 「だけどヘクトル。下手に出てきて、この小説に出ることになったらリリーナに待っているのはネタの洗礼だよ?」

エリウッドの無情な言葉にヘクトルは悶え苦しみながら床を這いずり回る。限定の娘は出てきて欲しいが、烈火面に染まって欲しくない父親心がせめぎ合っているのだろう。

 「だが、今回はそれに以上に不味い事がある」

俺の言葉に不思議そうに見てくるバカ二人。

 「今回はリアルマネーがないせいで課金ができない」

 「「なん……だと……!!」」

俺の言葉に二人の顔が劇画調に変わった。ハロルドとはまた違う芸風だ。

 「まず決めるのは優先順位だ」

 「1番はもちろんロイだよね!!」

 「ウルセェ親バカ。1番はリンに決まってるだろうが」

俺とエリウッドは無言で胸ぐらを掴みあいながら睨み合う。そしてヘクトルはどこからかゴングを持ってきた。

 「ガンダムファイト!」

 「レディー!!」

 「「ゴー!!!!!」」

俺とエリウッドの掛け声と同時にヘクトルがゴングを鳴らす。負けられない戦いが始まる……!!

 

 

 

 

 「苦しい戦いだった……」

 「いい戦い風に言っても、お前がエリウッドを罠に嵌めたことはなくならないからな」

ヘクトルが何か失礼なことを言っている。バカな男だ。このガチャ予告を見た時から争うことは目に見えていた。だから部屋にはエリウッドを殺すための罠を張り巡らせておき、『ロイ写真シールド』というエリウッドとウルスラ限定で攻撃無効になる盾も用意しておいたのだ。

 「そういうわけでとりあえず最優先は青を回すわけだが、ぶっちゃけ、今回は赤以外を回すつもりでもある」

 「エリウッドの死」

 「無駄死にだよ。言わせんな、恥ずかしい」

ヘクトルに軽く返す。ちなみにエリウッドは罠に嵌めて気絶させた後、『アイラ修羅道場』に叩き込んでおいた。アイラ先生にはエリウッドの人格を矯正して欲しいものである。

 「それにしても緑も回すのか? こう言ってはなんだけど意外だな」

 「リリーナの星5が来たら、羽は貯まっているからフロリーナを星5にして『たのしいヘクトルいっか』を書こうかと思ってな」

 「……貴様は誰だ! 召喚士は俺を幸せにするようなことはしない!!」

ヘクトルが立ち上がりながら俺を指差してくる。こいつもこいつで失礼な話だ。

 「メインはヘクトル一家であって、誰もお前が幸せになるとは言っていないが?」

 「なんだ本物か」

自分が不幸になるとわかって本物と思うとかこいつはなんなのだろうか。

 「まぁ、とりあえずオーブを使わせてもらえるようにリンに土下座しに行くかな」

 「この前のネフェニーがバレた時はどうなったんだっけ?」

 「もやしくんな俺に対する過剰なトレーニングだ」

 「そういや500m走りきれてなかったな」

 「俺は頭脳労働担当だ。肉体労働はヘクトルの担当だろ」

ちなみにエリウッドは表舞台に立っての扇動担当である。

 「リリーナもいるからお前も手伝えよ」

 「仕方ねぇな。ロイのこともあるからエリウッドも連れてトリプル土下座するか」

 「すすり泣きもつけてな」

 




今回のピックアップに関してはこの作品に特攻すぎます。なんだあのラインナップ。課金できないガチャがこんなに怖いことだったとわ……久しく忘れていた感覚だぜ……

あ、もし本当に運営の方がいたら花嫁ウルスラ実装してください。いや、実際に実装されたらすごく困るのも確かですが


前書きでちょっと書きましたがアイマス小説を投げてます。3話構成で本編は完結させています。あっちは完全にシリアスです。しかも救いもないです。あっちを書いたらこっちのノリが書けなくなって困ってる作者。今回の話はリハビリも兼ねてます。

あ、ちなみにこれから更新遅れます。無双に程普が参戦したせいです。久々の三国無双や……! おう、コー○ー。次は高順と劉虞様やぞ。それが終わったら武安国と兀突骨もおるで。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士! 怒りの暴走召喚!!

あぁぁぁァァァァァァァx!!!!!! くたばれ確率!! そっちがその気ならこっちも奥の手使うからな!!


 「いやぁ、三人でのトリプル土下座はゴミを見るような目で見られたけど、ニノにお願いしておいてよかったね」

 「ニノの口添えがなかったら無理だったな」

ヘクトルとエリウッドの二人は召喚士の部屋でお茶を飲みながらだらけている。誰が部屋の持ち主だかわからない状況だ。

 「しかし、召喚士も今回はガチだったな」

 「水垢離で身を清めた後に一人で召喚室に入って行ったからね。ご丁寧に『入室したら殺す』って張り紙もしてたからね」

召喚士の昔を知る烈火メンバーは、召喚士のガチさに気づき召喚室に近寄ろうとしない。いつもなら一緒に行って爆死した召喚士を嘲笑う二人も行かない。行ったら確実に殺されるからだ。

その証明のように召喚士に用事があって召喚室に入ってしまったソワレが羽になった。

いつもなら一緒にバカをやる二人が召喚室に近寄らないのと、ソワレの犠牲によって他の世界の英雄達も召喚室に近寄らなくなっている。

 「しかし、時間かかってるな。オーブは何個だった?」

 「確か190個くらいだったはずだよ」

 「まぁ、それだったらリンも出るだろ。そしていつもの召喚士に戻るはずだ」

 「だよね。流石の僕もあの状態の召喚士にロイを出させるのは無理だよ」

本気でぶちギレた召喚士はやばい。どれくらいやばいかと言うとRPGとかのやりこみ要素を全てクリアしてようやく倒せるレベルの強さになる。普段はもやしのくせに、その時だけはバトル漫画の主人公ばりの超強化になる。そして頭も回るために世界を滅ぼしかねない。

知らなかったとは言え、そんな存在を救世主として呼んでしまったアスク王国の方々には本気で同情したヘクトルとエリウッドである。

 「来た! 来た! 来たぞバカ二人!!」

 「おお、そう……か」

 「よかったじゃ…な…い…か」

勢いよく開かれた扉。そして叫びながらダイナミック入室してくる召喚士。その召喚士にいつも通りの対応に戻れると内心で喜びながら召喚士に声をかけようとしたが、言葉が尻すぼみになる。

何せ召喚士の目が完全に逝っていた。ガチャの闇に囚われた目をしていた。

 「リンだ! リンが来たんだ! これでリンちゃんパーティが組めるんだ!!」

 「そ、そうか。よかったな。でも一旦落ち着け。な!!」

 「ヘ、ヘクトルの言う通りだよ。お茶でも飲んで落ち着こう」

 「何を言ってる!? 後はリリーナが出れば今回の限定キャラが全員揃うんだぞ!? さぁ、召喚だ!!」

 「な!? 待て待て!! どう考えても190個くらいじゃ四人全員揃えるのは無理だぞ!?」

 「今回は課金できないって君が言っていたじゃないか!!」

ヘクトルのエリウッドはそう叫びながら召喚室に爆走しようとする召喚士を必死になって止める。そこで二人は召喚士が持っているものに気づいた。

 「「魔法のカード!?」」

 「そうだよ!! 今は金がなくても来月には入っているんだからこれを使えばよかったんだ!! あたいったらてんさいね!!!」

 「やばい!! こいつ知能指数が⑨になってやがる!!」

 「これはまずいぞ!! ゲームの中で破滅ならまだしも、リアルで破滅への道へ突き進み始めた!! あ!! パオラさん!! リンをフルセット装備で呼んできて!!」

 「は、はい! わかりました!!」

護衛の意味も込めて召喚士の部屋の近くに部屋があるパオラが、騒ぎを聞きつけて部屋から出てきたのを、エリウッドはリンの迎えに行かせる。

 「離せ!! 後はリリーナだ!! リリーナが出れば全員集合だ!! クソ!! ヘクトルが二人も出やがって!! ハハハ!! 課金兵はガチャから逃げない!! こいよ運営!! 確率なんか捨ててかかってこい!!」

 「ダメだ!! 完全にぶっ壊れてやがる!!」

 「ここまで壊れるのは烈火の時以来だよ!! あの時は世界が滅びそうになったのをウィルの尊い犠牲(人柱)で収めたのに……!! リン!! リン!! リンディスさ〜ん!!!! 速くきてぇ!!!!」

 

 

その後、ヘクトルとエリウッドの必死の行動によって歩みが遅くなった召喚士だったが、ヘクトルとエリウッドを殴り殺して召喚室に向かって爆走を開始。リンの指示でヴァイス・ブレイブ中の英雄達が集まり、召喚士に対して攻撃をして弱らせたところをアクア(飲酒)と修羅アイラのヴァイス・ブレイブ最高戦力二人を投入することによって召喚士は沈黙した。

 

被害はヴァイス・ブレイブの英雄の6割が重傷。残りの4割も怪我を負い、ヴァイス・ブレイブ本拠地も崩壊した。アルフォンスの胃痛が加速し、アスク王国財務大臣は辞表を提出した。

 




召喚士(暴走)
烈火メンバーすらも恐れる最終形態。色々な意味で危険すぎる存在。三国志とかのステだったら統率1武力110知力110政治100魅力80くらい。ノーマルだと武力が1になる。

魔法のカード
やめろ!! 登録するんじゃない!! 闇に飲まれるぞ!!



190個全弾放出すればリンちゃんは出るだろうと思った結果、星5はロイ(限定)とドルカス(二人目)。あまりの爆死ぶりにブチ切れて、今まで頑なに登録していなかった魔法のカードを登録。二回の課金で出てくれるなんて良心的やな(白目
あ、魔法のカードの登録は速攻で解除しました。

ちなみに今回の暴走で出た星5英雄はこちら!!
ロイ(限定)、ヘクトル(限定)二人、ヒノカ(二人目)、ドルカス(二人目)、ニニアン(四人目)、ソニア、リン(限定)
欲しかったソニアが出たのがせめてもの救い。ティルテュの星4も二人出たんで、個体値のいい方を覚醒させます。ラーチェルの星4も二人出たんだよなぁ。聖魔やってないからキャラをよく知らんぜよ。
ちなみに本文でソワレが羽になったのは今回のガチャで腐るほど出たからです。怒りのあまりソワレのことが嫌いになりそう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と戦禍の連戦(運命の息吹編)

ボスがエリウッドじゃないだと……!!


 「「エリウッド、お前にはガッカリだよ」」

 「僕のディスリから入るの辞めない?」

とりあえずヘクトルと一緒にエリウッドを罵倒する。だが今回ばかりは言わせてもらう。

 「今回の戦禍の連戦のボスがなんでお前じゃねぇの?」

 「そうだぞ。せっかく俺と召喚士でお前に対する最高の嫌がらせ編成を考えていたのによ」

運命の息吹がボスがリリーナ(限定)とか許されると思ってるの?

 「配布キャラがお前なんだから、ボスはお前がやるべきだろ。そして痛い目に会うべき」

 「それは僕に言われても仕方ないよね。ちなみに君たちが考えた僕に対する最高の嫌がらせ編成ってどんな編成なんだい?」

 「ウルスラをリーダーにしてロイ(ノーマル)、ロイ(総選挙)、ロイ(限定)の『楽しいフェレ侯爵一家(大黒柱不在)』だな」

ヘクトルの言葉にエリウッドが笑顔でデュランダルを叩き込み、そのままマウントを取った。

 「君たちバカなの? その編成で僕にぶつけてきたら僕はロイと戦わなくちゃいけなくなるだろ?」

 「奥さんはいいのか?」

 「ウルスラは思春期になったロイが添い寝してくれなくなったことを寂しがっていてね。でもツンデレだからロイに対してそのことを言えない。その結果が僕に対するブラーウルフになるからね。その編成になったらロイにいいところを見せようとして喜んで僕にブラーウルフを叩き込むと思うよ」

ウルスラの隠された部分を暴露しながらヘクトルにデュランダルを叩き込み続けるエリウッド。こいつはサイコパスですわ。

やりきった表情で汗を拭ったエリウッド。瀕死のヘクトルにリフからパクってきたリバースの杖を使って回復させる。

いつも通りのやりとりを終えて、三人で机に座る。

 「そう言えばロイ(限定)が未だにレベル1なんだけど?」

 「悪いなエリウッド。リン(限定)、ティルテュ、ソニア、ヘクトル(限定)の育成で手一杯でな」

ティルテュに至っては星4からなので未だに育ちきっていない。

 「……まぁ、リン(限定)は良しとしよう。1000歩譲ってティルテュとソニアも認めよう。ブレードと共鳴エクスカリバーだからね。即戦力になるし」

 「本音は?」

 「美人だったら大歓迎……!!」

ヘクトルの言葉に即答するエリウッド。いくら親バカでも、所詮は俺たちと同類である。立ち上がって三人で固く握手をしてから着席する。エリウッドも一度咳払いをしてから言葉を続ける。

 「でもヘクトル(限定)は後回しでもよかったんじゃないかい?」

 「つらいわぁ!! 攻撃力58でヴァイス・ブレイブ最高値!! 欠点だった魔防も21でオールバックヤクザと1しか違わない!! そして遠距離反撃も持ってて優秀すぎてつらいわぁ!!」

エリウッドの発言に完全に調子に乗ったヘクトルに対しては、あとで相性激化氷蒼シムベリンを叩き込むとしよう。エリウッドも同意見だったのか、視線だけで会話して頷きあう。

 「もう一人出たヘクトル(限定)はどうするんだい?」

 「え? ちょっと待て。ツッコミがなんでないんだ?」

 「遠距離反撃を誰に継承させるか迷っていてなぁ。できれば緑で守備、魔防が30超えてるのが望ましいんだが」

 「サーリャ砲か!? バフ付きのサーリャ砲が待ってるのか!?」

そんなに欲しいなら相性激化氷蒼シムベリンにバフ付きサーリャ砲もセットにしてやろう。

 「ん〜、現在いる星5レベル40でその条件に合致するのはシーマだけだねぇ」

 「そうなるとスヴェルの盾を外すことになるんだよなぁ。まぁ、特攻は気をつければいいだけだから別にいいんだけどさ」

騒ぎ続けるヘクトルを無視しながらエリウッドと会話していると、ヘクトルが何かに気づいたように呟いた。

 「そういや二人目ルキナ(総選挙)と星4アテナ、星4クロムがいつのまにかいなくなっていたよな」

そう言いながらヘクトルとエリウッドが俺を見てくる。それに対して俺は笑顔で答えた。

 「リン(ノーマル)のスキルポイント稼ぎを頑張らないとな!!」

具体的に言うと2040ポイント。

俺の笑顔に戦慄している二人が印象的だった。

 

 

 

 

ちなみに、エリウッドに対しての報復としてエリウッドが読んでいる途中の海洋冒険活劇漫画のネタバレをヘクトルと一緒に行い、激怒したエリウッドとムスペル王国を巻き込んでの鬼ごっこへと発展したのだった。

 




対エリウッド専用編成
教育ママ率いるロイくん達編成のこの作品のエリウッド特攻。この編成で行くとエリウッドは攻撃できなくなる可能性が高い。

リン(ノーマル)のスキルポイント稼ぎ
この際ヘクトル(限定)の遠距離反撃も継承させてやろうかと思案中。

海洋冒険活劇漫画
修羅の門、修羅の刻、龍師の翼も面白いけど作者的に海皇記が一番面白いと思う。FEシリーズにカザルって名前の遊牧民が出てきたら弱くても使うで。まぁ! ロンが弱いわけないよね!!

ネタバレ
媒体に問わず、ネタバレする相手は選ばないとリアルファイトになるから気をつけよう!!


エリウッドが戦禍の連戦の報酬と聞いていたから、そのために部隊だけでなくネタも考えていたのに全てが裏切られた。そのため字数が2000字以下というでき。考えていたネタが全てパァやがな。腹いせに漫画ネタを突っ込んだけど、知っている人の方が少数派な気もする。

闘技場の防衛はリンちゃんパーティにしました。防衛率は下がるだろうけど是非もないよネ!

FGOのバレンタインイベント終了二日前に溜まった石で10連やったらセミ様降臨。これでFGOのフレンドに出すサポート枠が星5で埋まった。過金額は考えたくないよね!! 2月の中盤からずっと待ってた空の境界イベが復刻らしいので、FEHのスタミナ回復中は林檎齧りながらオガワハイム駆け回ってきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエイリークの選択

兄か幼馴染か……! エイリークは運命の選択を強いられる……!! これはシリアスな物語……!!


今回は超絶お久しぶりの『召喚士のお悩み相談室』である。相談者は最近新しい装備を手に入れたルネス王国の王女エイリークだった。エイリークは最初にリンに相談し、ここにくることを提案したらしい。リンの魂胆がわからないが、一部の烈火メンバー以外には優しいので、エイリークのためを思ってここに来させたのだろう。これは期待を裏切れない……!!

あ、ちなみにいつも通りにバカ二人もいます。

 「それで? 何の相談なんだ?」

熾烈なジャンケン争いの敗者であるヘクトルに人数分用意させ、お茶を一口呑んでから、こちらから尋ねる。

俺の質問に非常に言いづらそうに口を開いたエイリーク。

 「その……ストーカー被害を受けていまして……」

エイリークの言葉に俺たち三人は換気のために開けていた窓に目をやる。

そこには顔だけ出して部屋の中を覗いているエフラムとリオンの姿が!!

とりあえず三人でアイコンタクトを行って役割分担。

 「それは常に誰かの視線を感じているということかい?」

 「はい……」

エリウッドはエイリークに確認しながら、エイリークから二人が見えないように移動する。

 「かなり悪質なストーカーの可能性があるな」

俺はそう言いながらエイリークの湯呑みにお茶を注ぐ。その行動にエイリークの気が逸らされた瞬間にヘクトルが隠し持っていた小石を指で飛ばして窓に張り付くストーカー二人の額に直撃させた。

カアラで実験した時はカアラはあまりの痛みで悶絶し、叫び声を挙げたのに、ストーカー二人からは呻き声すらあげずに落下していった。それにストーカー魂を感じてしまった俺は間違っているのだろうか。

 「あの……? どうかしましたか?」

 「ああ、いや。なんでもないよ」

エイリークの問いに俺はなんでもないという風に答える。バカ二人もストーカー二人に呆れる前に感心してしまっていたようだ。反省。

 「とりあえず調査するから少し時間をもらっていいか?」

 「は、はい!! お願いします!!」

俺の言葉に安心したように返答してくるエイリーク。完全に犯人はわかっているが、どのように対策するかの時間が必要なのだ。

三人でエイリークを見送ると、真剣な表情で会議開始である。

 「ヘクトル、お前だったらどうする?」

 「埋める」

 「エリウッドは?」

 「死体を残さないように魚の餌かな」

安定の過激思考である。

 「やれやれ、お前らは直情的すぎる」

 「召喚士だったらどうすんだ?」

 「羽にする」

厄介者(ストーカー)を消しつつ、他の英雄のためになるかと思ったんだが二人によって却下された。

それから色々と意見が出るが、どういう過程を踏んでも最終的に『ストーカー二人を殺す』という結論になってしまう。

三人で首をひねって考えるが、いい答えが出ない。

 「おい、こういう時の召喚士の脳みそだろ。烈火時代みたいな悪辣な策を考えだせよ」

 「殺していいんだったら幾つでも浮かぶが、生きてストーカーを辞めさせるのはなぁ……」

ヘクトルの言葉に俺は腕を組みながら答える。『殺してはいけない』という縛りが面倒すぎる。

この後も三時間程三人で考え続けたが、答えが出ることはなかった。

 

 

 

三人で相談して答えが出なかったので、この案件を持ってきたリンに相談したところ、ストーカーとエイリークを直接対面させるという超過激案が出たので可決。面白そうだったらセーフ!!

そんなわけでミシェイルのキャラが崩壊した広間にヴァイス・ブレイブの英雄達が全員集合である。中央の机には俺の隣にエイリーク。エイリークの対面にどちらが座るかで冷戦が起こったが、パオラさんの仲裁で戦争に発展することはなかった。さすメガ!!(流石です! 女神様!!)

 「さて、二人は何故ここに呼ばれたかわかってるか?」

俺の言葉にエフラムとリオンは同時に頷いて口を開いた。

 「「エイリークに付きまとっているゴミクズのことだな」」

一語一句違わずに同じ言葉が出た。リオンに至っては普段の言葉遣いから変わってしまっている。

 「まったく……幼馴染という立場を弁えずにエイリークに付きまとう奴がいるとは……困ったものだな」

 「双子の兄という立場でありながら妹をストーキングする変態には困ったものだね」

そのまま静かに胸ぐらを掴みあうストーカーコンビ。この時点でエイリークもストーカーの犯人が誰だかわかったのか、すでに涙目だ。

 「リオン…! 貴様はただの幼馴染だぞ? エイリークに迷惑がかかっているのだから素直に辞めろ。そして痛みで喜びを感じるんだったら召喚士に頼むがいい。この世に産まれたことを後悔するような苦痛を与えてくれるはずだからな」

 「エフラムは失礼すぎない? 俺だってそこまで酷いことしないぞ?」

 「召喚士! スルトの扱いを思い出すんだ!!」

俺の都合の良い耳はエリウッドの言葉をシャットアウトする。

エフラムの言葉にリオンは呆れたように首をふった。

 「わかっていないね、エフラム。僕はエイリークの一撃だからこそ興奮するんだ。大英雄戦の時のグレイプニルの一撃なんか思い出しただけで……」

 「ヒィ!?」

発言の途中で恍惚の表情を浮かべたリオンにエイリークは本気の悲鳴をあげていた。俺も割とドン引きである。

 「エフラムこそ双子の妹に付きまとうの辞めなよ。シスコンでストーカーとか嫁がつかなくなるよ?」

 「俺はストーカーではない!! 自発的後方警備(エイリーク限定)なだけだ!!」

 「エフラム。それをストーキングって言うんだぞ?」

俺の発言を無視して言い争いを始めるストーカー二人。エイリークがマジ泣き寸前である。俺に助けを求めてきているが、俺にはどうしようもない。

お互いに言いたいことを言い終わったのか、二人は同時にエイリークを見て叫ぶ。

 「「どっち!?」」

 「お? ガンパレードマーチかな?」

 「エイリークは密会技能を持ってなかったんだな」

おいやめろバカ二人。突撃行軍歌を歌わせて相性不利の戦場に突っ込むぞ。

そんなバカ二人(烈火メンバーも含む)を除いた英雄達はエイリークの選択を固唾を飲んで見守る。

兄か幼馴染か……! まさに運命の選択……!!

 「し、召喚士さんで!!」

 「………は?」

おっと、エイリークのまさかの第三の選択に言われた俺から変な声が出てしまった……って!?

 「俺か!?」

 「助けてください召喚士さん!! シスコンの兄もドMの幼馴染も嫌なんです!!」

 「考えなおせ!! 俺は自覚のある外道だぞ!?」

 「二人に比べれば召喚士さんの方がいいです!!」

マジ泣きしながら俺のローブにしがみついてくるエイリーク。あ、これあかん奴や。精神的に追い詰められすぎた奴の瞳をしてるもん。俺は追い詰める側の人間だからよく見る。

いや、むしろこれは完全体リン降臨案件なのでは……

それに気づいて俺はリンを恐る恐る見る。

 「「「ヒィ!!!!!」」」

同時に見てしまったであろうバカ二人とユニゾンしてしまった。それは仕方ない。

だってリンが聖母のような微笑を浮かべていたのだから。

あれを見たのは烈火時代だった。あの微笑を浮かべたリンは俺とエリウッドとヘクトルの三人に地獄を見せた。つまりあの微笑はマジ切れの証……!!

 「……おっと」

リンに気を取られている隙に、俺に対してジークムントが振り下ろされるが俺は回避する。

完全に殺す目つきになっているエフラムとリオン。リオンはまだしもエフラムは育成し終わっているのでちょっとやばい。

仕方ない。奥義を使うか。

 「エリウッドはウルスラに秘密でロイと特訓していて、ヘクトルはソニアの胸をガン見してたぞ!!」

 「「きさまァァァァァァ!!!!」」

バカ二人の叫び等同時にブラーレイブンとボルガノンの轟音が響き渡る。俺はその隙に死地(広間)から脱出する。

 『や、やめろ! フロリーナ、リリーナ! あれは召喚士の巧妙なわギャァァァァァァ!!!!』

重装のヘクトルは脱出に失敗して奥さんと娘から私刑にされているようだ。相変わらず要領の悪いやつだ。ブラーレイブンと母を必死に止めているロイの声が聞こえる限りでは腹黒親バカの方は脱出に成功したようだ。纏めて死んでくれたら良かったんだが。

 「「そこを動くな召喚士!!」」

 「おっと、鬼が来やがったな」

仕方ない。エリウッドとヘクトルを殺すために用意していた罠を使ってストーカー二人を確殺するか。

 

 

 

 

 

 「あの……リンさん……?」

 「なに? ニニアン?」

 「えっと、あまり軍師さん…じゃなかった。召喚士さんを怒らないであげてくださいね?」

 「別に怒ってないわよ。私の計画通りだもの」

 「え!?」

 「エイリークにああ言う状況になったら召喚士に押し付けるように助言していたのよ。そうすれば三馬鹿が勝手に騒ぎを大きくしてストーカー二人が事故死するかもしれないしね。ニニアンだってストーカーは許されないと思うでしょ?」

 (えっと…サーリャさんとシャラさんのことはツッコンだらいけないんですよね)「それはそうですけど……」

 「……何か問題点があった? ヘクトルが火炙りにされていること?」

 「いえ、それは割といつも通りですけど。その言いにくいんですが……」

 「何かしら……ヴァイス・ブレイブが壊れるのも今更だし……」

 「エイリークさんが本気になったらどうするんですか…? 召喚士さんって不思議と人に慕われるからその危険性があると思うんですけど…?」

 「…………あ!?」

 「考えてなかったんですね………」

 




エイリーク
運命の選択でまさかの第三選択肢を選び特殊ルートに突入。召喚士を手に入れるにはキチガイばかりの烈火メンバーをどうにかしないといけないぞ!!

エフラム
シスコン系ストーカー

リオン
幼馴染属ドM系ストーカー

完全体リン
ソール・カティ、キャンドルサービス+、リバースの杖+、ミュルグレ、青のプレゼント+を装備した決戦モード。デジモン的に究極体と超究極体もいるから安心して追加していいぞ運営さん!!

策士リン
烈火で1番最初に軍師を拾うのはリンちゃん。つまり良くも悪くも軍師に影響されているという思考回路に至った作者がストーカー二人を抹殺するのに三馬鹿を利用するという発想に行きついた。でも召喚士と違って謀略のレベルが低いので爪が甘い。ちなみに召喚士のレベルはカンストしている。

対エリウッド・ヘクトル罠
通常の英雄が引っかかったら即死する。バカ二人は軽傷で済む模様。

ガンパレードマーチ
PS時代の名作だと思う。今ならアーカイブもありまっせ!!


おかしい、話の内容は兄か幼馴染のどちらかを選ぶという超シリアス展開のはずなのにいつも通りのノリに。これも全て三馬鹿のせいですね!!

本来なら土・日のどちらかに書く予定だったのですがFGOの空の境界コラボのせいで空の境界のアニメを俯瞰風景から未来福音まで見直してしまっていたので今日にずれ込みました。まさかのふじのん実装でFGOでも課金してしまったので、パントとルイーズとラクチェの実装は来月以降にしてください運営さん。

感想にて『配布される綺麗なエリウッドに違和感』(超意訳)と頂きましたが、違和感なら汚染度が低いので安心してください。作者は配布エリウッドを見て『あ、殺さなきゃ(使命感)』と思ったので星5レベル40初期スキルウルスラさんの武器錬成とスキル継承を始めました。完全に末期症状です。マジで烈火リメイクを早く……!! そうでないと烈火メンバーのキャラ崩壊が止まらない……!!

次回は未定です。予告していたエリウッドVSシグルドによる子供自慢対決ですが、お互いの子供のステータス(公平をきすためにノーマルロイ、スキル継承なし)が作者的にどこを褒めていいかわからないため不明です。剣歩行は人斬りアイラのせいでバランスおかしいんやって……

あ、おかげさまでUAが20000に行きそうです。ご愛読ありがとうございます。UA20000行ったら以前に書こうか悩んでいた『ゔぇろにかちゃんのだいぼうけん!!』を書こうかと思っています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と英雄の日常外伝〜レーギャルンの戦い〜

ストーリーをリン(ノーマル)、エリウッド(ノーマル)、ヘクトル(ノーマル)、ウルスラでクリアしていたら思いついたネタ。視点をレーギャルンにしてみたらビックリするくらいシリアスになった。

あ、ムスペル側にオリジナルキャラ1人投入してます。即退場してますが。


ムスペル王国第一王女・レーギャルンは逃亡しているヴァイス・ブレイブの本隊を追っていた。何故、レーギャルンが治めている地方に侵入して来たかはわからないが、偉大な父・スルトの頭痛の種であるヴァイス・ブレイブを討つ絶好の機会だと思って出撃したのだ。

しかし、相手は百戦錬磨の父を翻弄する英雄達である。

そのためにレーギャルンは直轄軍の全てを総動員し、三方向からの同時進撃による包囲殲滅を狙った。自分自身も妹のレーヴァテインと共に軍を率いた。

最初は上手く行っていたのだ。逃げるヴァイス・ブレイブを追撃しながら疲労を蓄積させる。レーギャルンの目論見通りに進んでいたはずだった。アスク王国の第一王子が「逃げるんだ! 今なら間に合う!」としきりに叫び、フードを被った魔王の一人に殴られているのが謎だったが。

そしてレーギャルン達が森に入ってから全てが変わった。殺意しか感じない罠。人の心理を読み尽くすかのように配置されたその罠によってレーギャルンの近衛兵達は次々と死んでいった。

しかし、レーギャルンは退くわけにはいかなかった。ここで退いてしまってはここまでで戦死した部下の死んだ意味がなくなり、別方向から進軍しているはずの味方が各個撃破の標的にされかねないからだ。

そしてようやく追い詰めたところには5人の男女がいた。フードを被った魔王A、赤髪で馬に乗った魔王B、黒髪で重騎士の魔王C、青髪で際どいスリットの入った服を着ている女性騎馬魔道士、黒髪をポニーテイルにしている少女剣士。

 「ようやく追い詰めましたよ……!!」

レーギャルンは心底憎たらしい声で言い放つ。武門の一族であるムスペル王家の人間として、戦って死ぬのならば許せる。しかし、部下の多くは獣のように罠に嵌められて殺されたのだ。そしてそれを実行したのはヴァイス・ブレイブの魔王Aだ。

追い詰められているにも関わらず5人は余裕だ。

 「おお、結構残ったな」

 「召喚士の罠を避けるなんて、アルフォンスくんやフィヨルムちゃんの言う通り優秀な将のようだね」

魔王Cと魔王Bがそのような会話をしている。その余裕さがレーギャルンをさらに苛立たせる。多くの部下が死にながらも繋げてくれた戦場だ。少しくらいは焦った様子が見たいと思っても間違いではないと思っている。

 「相手より兵力を多く用意する、これは正解だな。戦争の基本は数だ。それを忘れちゃいけない。そして三方向から分割進撃しての包囲殲滅。まぁ、決まれば理想的な戦術として教本に載ってもおかしくないな」

魔王Aがなにやらレーギャルンの戦術について何かを語っている。そこでレーギャルンは違和感に気づく。

何故、罠に時間のかかった自分達しかいないのか。

 「! 貴方達、まさか他の軍を!!」

 「お、頭の回転が早いじゃないか。せっかく軍が三方向に散らばっているから、進軍の時間をずらさせて各個撃破させてもらったよ」

 「させてもらったじゃないでしょ。他の部隊にバッチリ足止め食らってるじゃない」

 「ダメだよ、リン! 戦争にはハッタリも必要なんだから!!」

魔王Aの言葉にツッコミを入れる剣士の少女。その情報が正しいなら他の軍も英雄達と交戦中なはずだ。だったらヴァイス・ブレイブの三魔王を殺すチャンスは今しかない。

部下と妹に合図を出して戦闘を開始しようとする瞬間に、魔王Aが手のひらをこちらに向けてきて、フードから見える口元で笑みを浮かべる。

 「まぁ、慌てるなよレーギャルン王女。せっかくだから他の部下達の様子も見てみようぜ」

 「……なにを?」

 「ウルスラ、頼むわ」

魔王Aの言葉に青髪の女性が魔道具に魔力を込めると、上空に1人の女性が映し出される。

 『あ、召喚士さんですか。こちらニニアンです。何かありましたか?』

 「いや、想像以上に早くレーギャルン王女がやってきたんでね。そっちの戦況を教えてあげようと思ってな。戦場を映してくれるか」

 『え? 召喚士さんが読み違えるなんて珍しいですね……あ、戦場を映しますね』

 「なぁ!?」

上空に映し出された光景を見てレーギャルンは思わず声をあげてしまった。

ムスペルの兵士達の攻撃を受け止める重騎士や騎馬騎士。そして動きが止まったところに撃ち込まれる矢と魔法の嵐。

前衛は防御に徹していて怪我がほとんどない。怪我をしてもすぐに回復されてしまう。そして後衛は攻撃がくる心配がないので、自分の攻撃に専念できる。それによってムスペル側に一方的な被害が出てしまっている。

だが、情報通りならば大半の英雄がこちら側に集まっている。ならば父・スルトの側近であり、レーギャルンとレーヴァテインの守役を務めた騎士の方には戦力が少ないはずだ。あの騎士だったら時間を稼げば駆けつけてくれるはずだ。

だが、魔王Aはレーギャルンの考えを読んだかのように再び薄い笑みを浮かべた。

 「スルト王の側近の老騎士。ムスペル王国でスルトを除けば一番厄介な男だな」

 「……なにが言いたいのですか?」

 「正直に言うとな、あまり使いたい手じゃなかったんだ。なにせ個人の武勇が戦術を崩壊させるなんてことは元軍師として認められないしな」

魔王Aの言葉にレーギャルンは違和感を感じる。思い出せ、先ほどの戦場に重大な見落としがあったはずだ。

 「答え合わせと行こうか、レーギャルン王女。ウルスラ」

魔王Aの言葉に青髪の女性が先ほどと同じ形の魔道具に魔力を込める。そして今度は緑髪の少女が映し出された。

 『ニノだよ! どうかしたの軍師さん』

 「今は軍師じゃなくて召喚士な。我らが修羅殿はどうしてる?」

 『アイラさん? アイラさんだったら……』

緑髪の少女はそう言いながら戦場を映し出す。そこには黒髪ロングヘアーの美女が地獄を作り出していた。剣の一振りで何人もの戦場の勇者達の命が奪われる。

 『アイラさんがエクスカリパーを振るったら星みたいのが飛び散って、それがアイラさんに吸い込まれたらクリティカルがいっぱい出るの!!』

 「ねぇ、召喚士。ここはFEHの世界のはずだよね。なんで1人だけFGOのシステムが導入されてるの?」

 「俺に聞くなよエリウッド。冗談半分で渡した俺も割と驚いてるんだ」

 『あ! アイラさん!! NPが満タンになったよ!!』

 『ム、そうか。では奥義発動といこう』

その言葉と同時に泣く子も黙る修羅・アイラが持っていた剣を振るうと、残っていた兵士達が光に飲まれた。そして結果が表示される前に映像が途切れた。

 「召喚士……! 貴方という人は!!」

 「怒るなよレーギャルン王女。俺だってこの戦い方は不本意なんだ。個人の強さに依存するなんて戦略も戦術もあったもんじゃないからな」

 「召喚士は政略で相手を追い込んで、謀略で内応とか反乱を起こさせたり、戦場でも罠使ったりしてハメ殺すタイプだもんな」

 「褒めるなよ、ヘクトル」

 「性格が悪いって言われてるだけよ?」

三人のやりとりを無視して武器を構えようとする。だが、体が動かない。それどころか体に力が入らずに地面に倒れこんでしまう。

それを見て召喚士は残酷に微笑む。ムスペルにもロキという信用のできない軍師がたまに残酷な笑みを浮かべるが、それが聖母の微笑みに見えるような微笑みだ。レーギャルンは背筋が凍るのを感じる。

 「な、なに、を……」

 「お? まだ口は動くか。まだこの毒は改良の余地があるな」

 「ど……く……?」

レーギャルンの言葉に魔王Aは頷く。

 「戦場で馬鹿正直に相手の言うことを聞いちゃダメだぞ? こんな風に罠にかけられるからな。話をしたいなら完全に行動の自由を奪ってからするべきだな」

 「それで? この後はどうするんだい?」

魔王Bの言葉に魔王A平然と言い放った。

 「交渉の材料にするのは王女2人でいい。他の面々には悪いが死んでもらおう。戦争相手の精鋭なんか殺せるときに殺しておくべきだろうしな」

レーギャルンは魔王を罵りたかった。しかし、毒が回ってしまって口も動かない。魔王Bが剣、魔王Cが斧を構えてレーギャルン達に近寄ってくる。そして2人が武器を振るって動けない部下達が殺されていく。

そしてレーギャルンとレーヴァテインだけが生かされている。レーヴァテインが意識を失っているようだが、レーギャルンは意識を必死に保つ。この憎き相手を視線で殺すかのように。

その視線を受けて魔王Aは困ったように肩を下げた。

 「動けない騎士を殺す相手が憎いか? だけどな、俺たちがやってるのは戦争なんだ。自分の軍の仲間を殺す可能性がある相手を生かしておくわけないだろ?」

魔王Aが言葉を続ける。

 「俺は召喚士である前に軍師だ。だから味方の損害を少なくして多くの敵を殺す方法をとる。恨んでくれて結構。外道と呼んでくれて構わない。それでこの世界が平和になってくれるのなら万歳だよ」

レーギャルンに魔王Aの瞳が見える。その瞳は深淵のような漆黒であった。

 「さて、王女という立場に感謝するんだな。だから殺されないで済むんだからな」

そう言いながら魔王Aが近寄ってくる。毒が回って武器を持つどころか立ち上がることすらできない。

 「あ……く……」

 「素直に意識を飛ばせ。そっちの方が楽だぞ」

魔王はそう言いながら縄を取り出していた。そしてレーギャルンを捕縛しようとした瞬間にレーギャルンとレーヴァテイン姉妹には聞き覚えのある大音声が響き渡る。

 「姫様に触るな下郎がァァァァっぁ!!!!!!」

そう言いながら血塗れになりながら魔王Aに大斧を振り下ろした『爺』の声を聞きながらレーギャルンは意識を無くした。

 

 

 

 

 

 「逃げられた、か」

 「珍しいじゃねぇか、お前が敵を読み違えるなんてよ」

 「烈火の時代にもなかったことだね」

 「……まぁ、可能性があるとは思っていたが、どうしようもなかったからな。なにせ数ではこっちが圧倒的に不利だったんだ」

 「召喚士、怪我はどうするの? リバースの杖+持ってきているから治すことはできるわよ?」

 「……いや、この傷はこのままにしておこう」

 「あら、らしくないじゃない。失敗の証として残しておくつもりかしら」

 「ウルスラ、俺はそんなに殊勝な性格をしているわけないだろ。ただ……愚直に忠義を尽くした老騎士に敬意を示したいだけさ」

 

 

 

 

 

後日、ヴァイス・ブレイブから『ムスペルの忠臣を返す』という言葉と共に送られてきた丁重に扱われた『爺』の遺体を見てレーギャルンだけでなく、ムスペル王国の騎士全員が深い悲しみに囚われたのだった。

 




レーギャルン
作者は『第一王女はスルトのやり方について行けなくなってヴァイス・ブレイブの味方になるかしら』なんて考えていたら普通に敵として登場。この話の展開的に召喚士を仇敵扱いしそうで、この先に仲間になったらどうしようかと思ってる。


お姫様を助ける役割が必要になったのでオリキャラを作成。設定では若い頃からスルトと一緒に戦場を駆け抜け、王女2人の教育役も務めたムスペル王国の重臣。最後は修羅・アイラの追撃を振り切り、部下数名に王女2人を託して単身で外道メンバーに挑んで戦死した。自分で設定考えていて、なんか好きになった。名前がないのは考えるのがめんどくさかったからです。

特攻英雄Aチーム
リン(ノーマル)、エリウッド(ノーマル)、ヘクトル(ノーマル)、ウルスラに召喚士という悪しき烈火面の体現チーム。再行動要因でニニアンを入れたかったが、この作品のキャラ的にウルスラの方がよかったのでウルスラで。ハードまではクリアできたけどルナが厳しい。ウルスラもスキル途中だし、腹黒親バカにもスキル継承させなきゃ厳しいかなぁ



ストーリーを悪しき烈火の体現者達でクリアしていたら思いついてしまったシリアスネタ。どう考えてもレーギャルンが正義の味方です。というよりもうちの三馬鹿は正義の味方じゃなくて悪役の方がしっくりきてしまうことに納得してしまった。爺のキャラを作っていたらムスペル王国編も書きたくなったよ。今後もレーギャルン視点になったらシリアスになるかも。え? 味方になる可能性がある? それはその時に考えましょう。

あ、次回からはいつものノリに戻ります。個人的に結構好きなキャラのハーディンが無事に引けたのでハーディンネタです。当然のようにキャラは壊します。

セリカ(ダークサイド)かハーディンを狙って赤と青を引いていたらエイリーク(魔道書)1人とエイリーク(ノーマル、星4)が大量に出たんですけどストーカーの呪いですかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とハーディン

安心してください! ネタ小説ですよ! シリアスなんてゴミ箱にシュートしましょう

そして止まらない原作烈火世界の崩壊


ニーナ様のことをご存知だろうか。

……ご存知ない?

いやいや、おっしゃらないで結構。目をみればわかる。ご存知ないっ(溜め)てな。

仕方のないことだ。アカネイア王国の王女とは言え貴方方は別世界の英雄。ご存知ないことも仕方ないことなのです。

ですがそれは人生の9割は損をしています。だから貴方方は知ったほうがいい。これは善意であって、決して布教しようとしているわけではありません。

ニーナ様はアカネイア大陸最大の王国、アカネイア王国の王女です。しかし暗黒戦争においてニーナ様を除いた王族はドルーア帝国によって処刑されてしまいました。しかしニーナ様は挫けなかった。カミュによってオレルアン王国に渡った後は各地をゲリラ的に転線します。そして英雄として知られるマルス率いる同盟軍と合流後は見事に暗黒戦争を勝ち抜くことに成功しました。

英雄戦争? ああ、そんなこともありましたね。

いえ、私が一番語りたいことはそこじゃないのです。

ニーナ様のことを『悪女』などと呼ぶ輩がいますが、ニーナ様の本当のファンならそんなことは言いません。

まずニーナ様を貶めるために言われる真っ先のことは『夫がいるのに別の男への未練が捨てられないなんて王族の自覚がない』という点です。ニーナ様には立場は違えど2年もの愛し合った男性がいたのです。ニーナ様は王族の前に1人の女性です。そしてハーディンとの結婚は恋愛結婚ではなく政略結婚です。政略結婚相手に対して愛を持てというほうが難しいでしょう。

というかニーナ様に好きな相手がいると知っていたら私だって結婚しなかったぞ……ボア司祭の野郎実装されたらグラディウスでぶち殺してやるぞ。

失礼、キャラがブレました。

そして次が『夫となった男性を貴族達からフォローしなかった』点が挙げられます。

これもまた仕方ないでしょう。アカネイア王国は暗黒戦争で甚大な被害が出ているのです。この上でアカネイア王国の正当な血を引いたニーナ様が夫となった男性の味方になってしまっては、貴族達が反乱を起こしてしまうかもしれません。心優しいニーナ様はアカネイア王国の民を傷つけたくなかったのです。だから夫となった人物へ味方するわけにはいかなかったのです。

え? 反乱を起こさせて纏めて処断したほうが流れる血の量は少なくてすんだ?

はぁ……わかってない。貴方はわかっていない。ニーナ様は流れる血の量を気にされたわけではありません。血が流れるという事態に心を痛められたのです。量の多寡ではなく流れるという事態になって欲しくなかったのです。

は? ボンボンの甘い考え? 次、ニーナ様を愚弄したら殺すぞ?

失礼、取り乱しました。

そして最後ですが『ニーナ様が国を放り出して失踪した』という点です。ニーナ様をよく知らない愚か者の中にはカミュの生存を知って追いかけたと言う輩がいます。しかし、それは明らかに浅はかな考えです。ニーナ様はアカネイア王家唯一の血筋をひく人物です。その血統を利用しようとする輩は必ず出てくるでしょう。ニーナ様は悪名が残ったアカネイア王国の唯一の生き残りです。民衆が不満の捌け口としてニーナ様の処断を望む可能性があります。しかし、マルス達がニーナ様を処断できるでしょうか?

ええ、できるわけがない。なにせニーナ様を処断するような存在は闇のオーブを10個は取り込んで闇に染まらないとできないことなのですから。

そこで心優しいニーナ様は自ら悪名を被りながらも失踪したのです。それは全て残された国のためであり、そこに住む民のためだったのです。王族育ちの方が悪名を背負いながらも身一つで失踪する信念が貴方達にありますか?

え? 今更、悪名の一つや二つ増えても気にしない?

貴様らのようなゴミクズとニーナ様を同列に考えるな。殺すぞ?

失礼。つまり私が言いたいことはニーナ様は素晴らしい女性であり、決して悪女ではなかったということです。ニーナ様…ニーナ様……ニーナさまぁぁあぁぁぁぁぁぁぁx!!!!!!!!!

 

 

 

 

 「フゥ、失礼した。最後に少し取り乱してしまった。どうだ? ニーナ様が悪女ではないということをわかってもらえたか?」

 「とりあえずあなたが『きもちわるい』という点は理解したわ」

 「オブラートに包もうぜ、リン」

突然の語りから始まってしまってすまない。

最近やってきたハーディンに迂闊にもニーナについて聞いてしまったらニーナの素晴らしさを延々を語られてしまったんだ。ちなみに場所は俺の部屋。珍しくバカ2人は不在で、リンと2人でお茶を飲んでいたらハーディンがやってきて、会話の掴みとしてニーナのことを聞いたらこの通りだ。

正気を失っている設定のはずなのに、ニーナについて語り出したら目から出てる赤い光が消えて正気に戻っていた。いや、別の意味で正気は失っていたんだが。

 「それより私から質問いいかしら?」

 「む? なんだ? ニーナ様の素晴らしさならいくらでも語ることはできるが?」

 「そういう重い愛はエリウッドとウルスラがいるからうち(烈火)にはもういらないわ」

プリシラを忘れてるぞ、リン。

 「召喚士の言葉が確かだったなら、貴方のいたオレルアンは遊牧民族国家だったのよね?」

 「まぁ、大きい括りではそうなるな」

 「ならなんで貴方はニーナを略奪して妻にしなかったの? 昔から惚れていたのでしょ?」

 「待つんだ、リン。その遊牧民族=世紀末思考民族なのは烈火世界だけだ」

ガチで驚愕表情のリンと、ガチでドン引きしているハーディン。まぁ、自分の世界の当然だと思っていたのが別の世界じゃ異常だと知ったら仕方ないよネ!

 「あ〜、だったらなんでハーディンは英雄戦争の時にガーネフにニーナを差し出したんだ?」

 「そ、それはだな」

俺の助け舟に別世界の遊牧民族の実態にドン引きしていたハーディンが正気に戻る。安心しろハーディン。おかしいのは烈火世界だけだから。

 「ガーネフがニーナ様の素晴らしさをアカネイア大陸だけでなく、三千世界に響き渡らせてやると言われてな。ニーナ様親衛隊名誉会長としてその甘言に乗ってしまったのだ」

 「「最悪すぎるだろ」」

あまりにもあんまりな理由に俺とリンの言葉がハモってしまった。

 「うむ、私もそこは反省した。なにせニーナ様が近くにいたおかげで闇のオーブの侵蝕を防いでいたのだが、そのニーナ様がいなくなったことによって私の気合いがなくなってしまってな。私も正気を失ってしまった。いやぁ、マルスには悪いことをしたな!!」

 「お前は暗黒竜と紋章組に土下座した方がいい」

あまりにも軽いハーディンに突っ込んでしまったが、ハーディンはアメリカンにHAHAHAと笑うだけだった。

 「そこでこの世界で私は新たな目標を立てた」

 「その目標とは?」

とりあえず面白そうな話だったら乗るのが烈火面なので、ハーディンに続きを促す。ハーディンは自信満々に言い放った。

 「ニーナ様を女神とする宗教を立ち上げ、ニーナ様がいつ降臨されてもいいようにこの世界を平和にすることだ」

 「それは慈愛の女神・パオラ様を信仰する俺に対する挑戦だな?」

すでにアスク王国の民に対してパオラさんを女神、俺を教祖とする宗教を広げている俺に対する挑戦だな? スリーズによってニフル王国を中心に広がっている俺を唯一神とする宗教と対立が始まっているのに、ここにさらに増えたらせっかく国同士の戦争が終結しても、宗教戦争が起こってしまうだろうが。

俺とハーディンが無言でメンチを切り合っていると、ポツリとリンが呟いた。

 「ちなみにそこでのニノの立ち位置は?」

 「「天使に決まってるだろ」」

ハーディンと見事に意見が一致した。新人の英雄で、しかも別世界出身にも関わらずニノは天使らしい。流石は烈火でありながら烈火ではない存在。大天使ニノエルは伊達じゃなかった。

意見が一致したところでハーディンと細かい調整に入る。俺が作った宗教はスリーズと違って他の神様は否定しないので、ニーナを新たな女神として祀ることに合意し、本格的にアスク王国の布教に乗り出すのであった。

 

 

 

ちなみにパオラさんは女神扱いされるのをとても困っている。実に奥ゆかしいことだ。

 




ハーディン
暗黒皇帝だと思った? 残念! ただのニーナオタでした!! 作者の中で烈火世界以外はできるだけ世界感を壊したくなかったんですが、今回の話で暗黒竜・紋章世界も怪しくなってきました。ミシェイル? あれは公式設定でしょ? 作者は普通にハーディンが好きですが、キャラは容赦なく壊します。男性キャラをキャラ崩壊させても罪悪感を感じなくなったのは末期症状ですかね。

ニーナ
FEシリーズで数少ない作者が「う〜ん」と思ったメインキャラ。ツッコミ始めたら後書きのレベルを超えるので自重。最初は実装されても引く気はなかったですが、それをやると間違いなくグラディウスされるよなぁ。でもニーナ、ハーディン、カミュのトライアングラーを見て愉悦りたいのも確かですが。

慈愛の女神・パオラ
感想にて『まともなのがパオラ、ニノ、ニニアンしかいない』(超意訳)よ言われたので『だったら女神にしよう!』という発想になった作者の完全な悪ふざけ。ちなみにパオラさんは召喚士からの女神扱いにガチで困っている模様。

大天使ニノエル
『女神がいるなら天使も必要だよな!』という短絡思想の行き着く果て。でもニノエルという響きは結構好きです。

世紀末遊牧民族・サカの民
モヒカンも半裸のマッチョもいないけどヒャッハーはしてる。食料等が不足すると周辺諸国に略奪を働く。部族事の小さな略奪だったので大きい問題になっていなかったが、サカの民に『ダンセキカイ』という男性が現れたことによって大略奪が発生する。『ダンセキカイ』はバラバラだったサカの民を纏め上げてエレブ大陸統一に乗り出す(烈火から2年後)。これを押しとどめたのがエリウッドとヘクトルを中心とするリキア同盟だった。エリウッドとヘクトルはリキア同盟全軍を率いて『ダンセキカイ』と決戦を行うが大敗を喫する。そこでエリウッドとヘクトルは仲間であり友人でもあったパントの協力を受けてエトルリア王国、ベルン王国と共に『対サカ連合軍』を結成する。数で圧倒する連合軍だったが、ダンセキカイ率いるサカの民に苦戦する。しかし、ダンセキカイが突然死した事によって戦況が逆転。サカの民は再び平原まで追い返された。エリウッドとヘクトルはサカの民対策として巨大な長城を建設しサカの民を平原に封印した。この戦いから40年後ロルカ族にカザルという英雄が立った事によって再びサカの民の逆襲が始まる。



前回は突然のシリアスで申し訳ありませんでした。その反動で今回もネタ分少なめでお送りしました。というよりエリウッドとヘクトルが今まで出すぎていたので、ちょっと出番を減らしたら一気にネタも削られました。やだ…この小説が三馬鹿の暴走で成り立っていることが証明されちゃった…? え? 遊牧民族は世紀末思考なのは当然ですよね?(三国志の異民族感)

そういえば作者は召喚士と英雄の絆を変更しました。すまんリン(弓)ちゃん……! だがリン(ノーマル)に行き着いてしまったんだ…! リン(花嫁)もリン(限定)も最高だけど、結局リン(ノーマル)が至高だよね!! って思い至ってしまったんだ…!! あ、作者の頭がおかしいのはいつものことなので気にしないでください。というかハーディンのレベル40が防御、魔防両方30超えてて遠反武器持ちとか使えすぎて笑えない。戦禍の連戦で酷使されるフィヨルムはハーディンに交代ですかねぇ。

そういえばUAが20000を突破しました。いつもありがとうございます。それと同時に皆さんのFE英雄像が心配になります。ちなみに作者はもうダメです。エリウッド(限定)の笑顔を見ると殺意しか湧きません。
前回言っていた通り、次回は20000突破記念で『ゔぇろにかちゃんのだいぼうけん(仮題)』を投稿する予定です。ネタはある。構成もある。しかし書く時間がほとんどねぇ! 状態なのでしばらくお待ちください。突発的なネタが降りかからない限りそちらを書きますので今週中に投げたいところ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三軍師とアホな弟子

更新遅くなった上に特別編じゃないです、申し訳ない。これもマークが実装されたせい。


ヴァイス・ブレイブの本拠地には大きな地下室がある。そこには緊急時の避難用シェルターや捕らえた捕虜の拷問室が用意されていることはヴァイス・ブレイブに居る英雄全員が知ることである。

しかし、その更なる深いところに秘密の会議室があることは知られていない。その部屋にはアスク王国の要人達の弱みや大商人達の黒い情報、さらには周辺諸国(敵対、有効問わず)の情報が集められている。

そしてその部屋を知るのはヴァイス・ブレイブでも数少ない。一人目はもちろん召喚士である俺。そして残りはリンに俺に似ていると言われたルフ男とルフ子である。

今日は定期的に集まって行われる『三軍師会議』の日である。

 「そうなると国の重職には意見を通しやすくなったわけだ」

 「そうだね。少なくとも内務尚書、財務尚書、司法尚書はこっちの意見を受け入れるはずだよ」

 「財務尚書の後任は扱いやすいの?」

ルフ子の言葉にルフ男は頷く。

 「召喚士の集めた政敵の情報を流したことと、ルフ子から流して貰った裏金の情報を知っていることも匂わせておいたから、簡単には裏切らないと思うよ。市場の方はどうだい?」

ルフ男の言葉に今度はルフ子が答える。

 「邪魔になりそうな大商人は粗方潰し終わったわ。アスク王国の役に立ちそうなのもピックアップしてあるわ。最近は軍務尚書が出兵案を声高く叫んでいるせいで兵糧が高くなっているわ。軍務尚書が出兵を叫んでいるのはムスペルが作ってる要塞のせいでしょう? あれはどうにかできないの?」

ルフ子の言葉にルフ男も俺を見てくる。俺も集めた情報を開示する。

 「建設中の要塞の周辺に軍が展開されている。あの規模の軍勢を蹴散らすには多めの軍を用意しなきゃいけないな。カゲロウとマシューに詳しく調べさせたらすでに軍勢だけで破壊できる規模じゃなくなっててな。攻城兵器が必要になるが、それを運ぶのには展開されている軍が邪魔になるな」

 「そうなると完成させてから要塞主を寝返らせるかい?」

 「それは難しいんじゃないかしら。スルトも簡単に寝返るような人間はいれないんじゃないですか」

 「だろうな。ルフ男、財務尚書に攻城兵器用の資金を用意させてくれるか。ルフ子は資材を商人達に用意させてくれ」

 「「わかった」」

俺の指示に答えて来るルフ男とルフ子。

それで本日の三軍師会議は終了である。そこからは普段の駄弁りである。

 「ところでルフ男とルフ子の結婚相手は誰なんだ? 子供世代も含めて異性は全部候補だろ?」

 「おっと召喚士!! 無闇にカップリング話を入れてはいけない!!」

 「それは荒れる元ですよ!!」

俺の質問にルフ男とルフ子が速攻で答える。

 「大丈夫。これの読者はエリウッド×ウルスラを受け入れてくれているから誰でも大丈夫」

 「君たちの特殊な烈火世界を覚醒世界に持ち込まないでくれるかい?」

俺の言葉にルフ男が笑顔で言い放った。まぁ、確かにうちの烈火は特殊すぎるが、そこまで拒否しなくてもいいじゃないか。

 「個人的にルフ子の相手はクロムで、ルフ男の相手はルキナだったらとても愉悦なんだけど」

 「イーリス聖王国を複雑な人間関係にしないでください」

俺の提案はルフ子に笑顔で却下された。

 「まぁ、ルフ男はサーリャにストーキングされた結果に襲われて産まれたのがマークちゃんだと思ってるが」

 「おや? 流石は数多い英雄に慕われる召喚士さんは言うことが違うね。シャラにはいつ襲われるんだい?」

 「「……」」

 「二人とも笑顔で睨み合わないでくれますか」

俺とルフ男の睨み合いを呆れたため息で止めてきたルフ子。

そしてそれと同時に扉が開かれ、1人の少年が入ってきた。

 「お母さん! 師匠! ルフ男さん! 会議は終わりましたか!!」

 「ええ、終わったわよ」

少年の名前はマーク。ルフ子の息子で、俺に弟子入りしてきたことによってリンから将来を心配されている少年である。軍師になりたいということで特例で三軍師会議の部屋の存在を教えてある。

母親にじゃれつくマークを見ながら俺とルフ男は会話する。

 「似てない親娘だよな」

 「特にステータスとかな」

 「二人共! 私の悪口はそこまでです!!」

母親のルフ子に似ないでマークくんはステータスが優秀である。そしてルフ子に対して俺とルフ男はそのことでよく弄るので、ルフ子も超反応で突っ込んで来る。

ここまではいつも通りだが、ここにはママ大好きマザコン息子がいる。

 「師匠とルフ男さん!! お母さんの悪口はそこまでです!! 確かにお母さんはステータスが微妙です!!」

無自覚に母親を傷つける息子。

 「そして唯一の利点だった緑魔騎馬特攻もシャラさんの登場で完全に利用価値がなくなりました!! 唯一の有効なスキルは青魔殺しだけです!! あ!? あれ!? お母さん!! 大丈夫ですか!? なんか顔色が悪いですよ!?」

 「だ、大丈夫よ。息子がきちんと軍師として戦力分析ができるようになっていて嬉しいだけよ……」

 「本当ですか!! お母さんに褒めてもらえて嬉しいです!!」

喜ぶマークに吐血するルフ子。そして生暖かい目で見る俺とルフ男。

 「ま、マーク……ちょっとお茶を入れてきてくれる?」

 「あ、はい!! 任せてください!!」

ルフ子の瀕死の言葉に笑顔で頷いて部屋から飛び出していくマーク。

 「……私も水着装備があれば……」

 「似たステータスで遠反持ちのフィヨルムを使うな」

 「槍の技量くらいかな、使えるの」

 「だがルフ男。技量とか経験スキルは別スキルと付け替えながら使うのが普通だからな」

 「そうなるとルフ子はスキル継承必須だね」

 「貴方達は女性に対して優しくした方がいいと思いますよ?」

俺とルフ男の死体蹴りにルフ子もいつも通りになる。俺とルフ男は悪意を持って悪口を言うから大丈夫だが、マークは無自覚に悪口を言うためにダメージが大きいのだ。俺も烈火時代のニノに「軍師さんは酷い人なんだね」と笑顔で言われた時は死にたくなった。ニノ的に悪いことを言った自覚がないからダメージがさらに大きい。

そしていつも通りに毒舌の応酬をしているとマークが笑顔で帰ってきた。

 「お母さん!! お茶の用意ができました!!」

嬉しそうに笑うマークくんの手には瘴気が上がる3つの湯飲みが!!

俺とルフ男がアイコンタクトして立ち上がろうとした瞬間にルフ子が掴んできた。

 (離せルフ子。俺たちは死にたくない)

 (自分の子供の愛には答えてあげなきゃいけないよ? 僕らは家族の語らいの邪魔をしないように出て行ってあげるから)

 (ふふふ、リン曰く私達はソックリらしいから死ぬ時も一緒よ?)

 「あ!! 師匠とルフ男さんの分も用意してありますからどうぞ!!」

笑顔で差し出される湯飲み。ルフ子と魂レベルで似ている俺とルフ男はそれを断ることはできなかった。

 




三軍師
ルフ男が国政、ルフ子が商業、召喚士が諜報と防諜を扱っておりその結果アスク王国の8割を実質的に支配している。今の所はアスク王国のために動いているのでアルフォンスくんも安心して欲しい。

マーク
作者は最初にマーク実装の情報を見たときに『烈火軍師実装で烈火リメイクあるのか!?』と思ったらルフレ達の子供の方でガッカリした。CV的な意味でマークちゃんが欲しかったけど、青が出なかった時に赤を回したらマークくん登場。エイリーク先生に鍛えてもらってレベル40にしたら母親に似ないで強くてびっくりした。そして青を回して増え続けるルカとソワレ。


お久しぶりです。アイマス小説の方を書いていたので更新してませんでした。そしてこっちのノリを思い出せない。そんなわけでリハビリがてらに覚醒でリンちゃんから『召喚士に似ている』と言われたことを思い出した作者が外道軍師にしてしまったルフレ達とマークくんの話です。ルフレ達の口調がわからない……
FEHはやっていましたよ。セリカ(闇落ち)アイク(神将)をアイラ修羅道場に叩き込んで育成したり、育てていたギュンター星4を覚醒させようとしたら攻撃↓個体で攻撃↑個体を育成しなおして星5レベル40にしたり星4フロリーナを育成しています。フロリーナも星5に覚醒させなきゃ(使命感
リン(ノーマル)のスキルを完成させ、その喜びからリア友にリン(ノーマル)絆Sのスクショを送ったら『りんすきすぎだろ』と返ってきました。まだカミラ姉さん(ノーマル)と女神・パオラが待ってるんやで…

制圧戦も難しいですね。拠点でワープしてきた敵に殺されることが頻発しました。まぁ、意味不明なリズムゲーシステムよりかは面白いのは確かですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファイアーエムブレムヒーローズ〜マークの名を継ぐ者達〜

今回は三馬鹿以上にフリーダムなキャラが出てきます。ご注意ください。


俺はルフレ達の子供であるマークくんとマークちゃんを弟子として戦術を教えていた。俺に弟子入りすることを聞いたアルフォンスが「これ以上胃痛の種を増やさないでくれ!」と叫んでいたが、厳正なる三軍師会議の結果、マークくんとマークちゃんは俺に弟子入りした。そして現在、俺の部屋でマークくんとマークちゃんに戦術を教えていた。

 「以上が基本的に相手を絶望させる初歩的な事だ。理解できたか?」

 「はい!! つまり『闘技場で数時間かけて育てたキャラクターを殺された瞬間のプレイヤーの気分』にさせればいいんですね!!」

 「まったく理解していないね、マークくん。それは戦争の相手じゃなくてプレイヤーに対する絶望だから」

それはガチでプレイを辞めるレベルの絶望だから。

 「そしてマークちゃん。教材で頭をゴンゴン叩くのは辞めよう」

 「ちょっと待ってください師匠。もう少しで何か出てきそうなんです……」

 「うん。叩きすぎて血が出てきてるから落ち着こう」

俺の言葉を無視して教材で頭をゴンゴン叩き続けるマークちゃん。そして何か思いついたかのように嬉しそうに俺を見てきた。

 「わかりましたよ師匠!! 何かストーリーでレーギャルンさんに仲間フラグみたいなのが立っていたんで、ネゴシエーター・シーダさんに頼んで説得してもらいましょう!!」

 「それをやると作者がとても困るからやめて」

この二人は烈火面でないくせに時折メタ電波を受信するようだから困る。

 「俺、召喚士が困ってる姿見ると嬉しくなるな」

 「僕も心が洗われるようだよ」

 「おう、喧嘩売ってるのかバカ2人」

そして当然のようにいるバカ2人。俺が困ってる姿をみて喜ぶとか最低な連中である。これは後で奥さんであるフロリーナとウルスラに適当なデマを流して殺してもらうしかない。

俺たち三人が無言でメンチを切り合い、マークくんちゃんが2人して教材で頭をゴンゴン叩いている混沌とした室内に、扉をノックしてから1人の女性が入ってくる。

 「失礼いたしますね。召喚士さんは……」

 「これは女神・パオラ様。このパオラ様なる忠実な下僕に何の御用でしょうか……おい、バカ2人。きちんと跪け。相手は女神だぞ」

 「俺に相性激化の月虹という天罰は勘弁してください」

 「僕に月虹というすごく使いやすい奥義を授けてください」

 「あの……三人とも……本当に辞めてください……」

あれれぇ? 我らが女神がとても困った表情をしているぞぉ。

俺とエリウッドがとりあえずヘクトルが悪いという判断を下して、マークくんに魔書ギムレーを叩きこませてヘクトルを殺してから女神・パオラ様からの神託を拝聴する。

パオラ様も俺たちの対応を変えさえる事を諦めたのか、疲れたようにため息を吐く。疲れの原因はきっとエリウッドだな。あとでロイにエリウッドの黒歴史を暴露するとしよう。

 「その……ゼルギウスさんが召喚室に立て籠もってしまいまして……」

 「なんで英雄達は自分の意見を通そうとする時は召喚室に立て籠もるんだ?」

 「君に一番効くからじゃないかな」

パオラさんの言葉に俺が思わず呟くと、エリウッドが的確すぎるツッコミを入れてきた。

 「なるほど!! ソシャゲの一番の楽しみはガチャですからね!!」

 「マークくん、少し黙ろうか」

ソシャゲの楽しみ方は人それぞれだから。

 「とりあえず今回も話は聞いてみるか。ゼルギウスだったら誰かを召喚しろっていう要求じゃないだろうしな」

 「対話って大切だもんね」

エリウッドがそれを言うと死ぬほど白々しいな。

 「マークくんとマークちゃんはついて来ちゃダメだからな」

 「でも師匠!! マークちゃんはゼルギウスさんに絶対有利な青魔道ですよ!!」

 「うん、君らを連れて行くと場がさらに混沌とするだろうから絶対に来るな。パオラ様、大変申し訳ないのですがミカヤを呼んできていただいてよろしいでしょうか」

 「そこでリンじゃなくて重装騎馬特攻持ちのミカヤを呼ぶ辺りに召喚士の殺意が垣間見えるよね」

 「うるせぇ、腹黒。お前はヘクトルの死体でも処分しとけ」

俺はそれだけ言い残すと自室から出て召喚室へと向かった。

 

 

 

俺が召喚室の入口に来るとゼルギウスと同じ蒼炎と暁の世界出身者達が集まっていた。

 「悪いな、あんたには迷惑をかける」

 「英雄って生き物は一癖も二癖もあるもんだ、気にするなよアイク」

蒼炎・暁の世界のまとめ役であるアイクの言葉に軽く返す。

 「さて……お〜い、ゼルギウス!! 俺だ!! 今回の騒ぎの要求はなんだ? ヴァイス・ブレイブの良識派なお前さんが騒ぎを起こすんだ。どんな内容だ?」

 『召喚士か……』

俺の言葉に召喚室内から人生に疲れていますといった感じの声が返ってくる。

 「おう、俺だ。それで? 要求はなんだ?」

 『私の要求は些細なものだ。今回の戦禍の連戦から私を外して欲しい』

俺の言葉に蒼炎・暁組みは目を背ける。なるほど、確かに些細な要求だな。これなら答えは決まっている。

 「却下だ。大人しく戦禍の連戦に行ってこい」

 『貴様は鬼か!?』

俺の返答にゼルギウスが叫び声を挙げている。

 『相性不利なボスだろうが容赦なく私を編成に入れているのは何の真似だ!? 相手が魔道士だろうと関係なく、同じ相性や相性有利、さらには弓や暗器の相手を釣り出す役割も私にやらせるな!! 何回死んだと思っている!?』

 「だから回復3のスキルを継承させて、遠距離防御3の聖印をつけてやっているだろう?」

 『そうだな!! 主に回復3のせいで死ねなくなって楽になれなくなったな!! 貴様は私に何の恨みがあるんだ!?』

恨みか。

 「そうだな、簡潔に言うと『しっこくハウス』の恨みってところだな」

 「しっかりしろ!! ティアマト!!」

『しっこくハウス』と言う言葉にトラウマを刺激された副団長がいるようで、団長が必死にフォローしている。俺の言葉に召喚室にいるゼルギウスも無言になる。

 『いや……あれはちょっとしたサプライズのつもりだったんだが……』

 「うん、言い訳は聞きたくないから。戦禍の連戦に行ってくれるよな?」

俺の言葉に召喚室からゼルギウスが出てきた。うん、なんか目が死んでるけど誤差だよな。

 「「話は聞かせてもらいました!!」」

そこにとてつもなく嫌な声が響き渡る。そして天井裏から飛び降りてくるマークくんとマークちゃん。決めポーズまでバッチリである。

 「ついて来るなって言ったよな?」

 「はい!! 師匠は確かに僕らに『来るなよ! 絶対に来るなよ!!』というフリをしてきたので、僕らはしっかりとそれに答えてちゃんとついてきました!!」

やめろ。FEの世界にダチョウさんのネタを放り込むんじゃない。そしてそれをやるべきなのは俺とヘクトルとエリウッドのはずだ。

 「お話はこの天才軍師の子供である私、マークちゃんと」

 「同じく天才軍師の子供である僕、マークくんが聞かせてもらいました!!」

 「話を聞いてくれ」

俺のことをガン無視して話を進めるマークくんとマークちゃん。

 「このホワイト特務機関ヴァイス・ブレイブにおいて過酷な労働環境なんかあってはいけません!!」

 「そうです!! 労働基準監督署の調査が入ったら即指導の状況は改善されなくてはいけません!!」

 「いや、だが今回のボスは緑マムのルフレだからなぁ。遠距離反撃を持ってるゼルギウスを入れるのは当然だろう」

俺の言葉にマークちゃんがやれやれと言った雰囲気で首をふる。

 「わかっていませんね、師匠。いいですか? このマークちゃんのお父さんである神軍師は原作では子供世代も含めて全ての異性を相手に結婚できるんですよ?」

 「……それが?」

とてつもなく嫌な予感がしながら話を続けさせる。そしてマークちゃんはビシっと指を突きつけながら言い放つ。

 「原作においてマークちゃんは母親次第で何のクラスにでもなれるんです!! つまりこの世界においても雷のブレス、ハンマー、蒼海の槍、勇者の槍、リバースの杖、ゲイルスケグルが使えるはずなんです!!」

 「その発想はおかしい」

 「試しにサーリャさんを『ママ』と呼んで借りたラウアブレード+は装備できました!!」

さりげなく父親を人生の墓場に叩き込んでいる。

 「待つんだもうマークちゃん!!」

 「む!! 何か意見があるんですかマークくん!!」

そんなマークちゃんの暴走を止めたのは同一存在であるマークくんだった。そうだ。ゲームシステム的にそれは許されないことを教えてやれ。

 「ボスであるルフレさん(闇落ち)は守備、魔防が共に高くて遠距離反撃も持っています!! ボーナス効果でステータスが上がっていても、HPが低いマークちゃんでは反撃で倒されてしまいます!!」

違う、そうじゃない。

 「ムムム、確かにその通りです。しかし師匠がルキナさん(ノーマル)を召喚していないのでファルシオンはありません……」

 「安心してください!! マークちゃん!! 僕のお母さんは子供世代も含めた全ての異性と結婚することが可能です!! そしてここにはクロムさん(ノーマル)がいます!! 試しにクロムさん(ノーマル)の部屋からファルシオンをパクってきて装備してみたら装備できました!!」

 「おお! それは素晴らしいですよマークくん!! しかし……実の娘が闇落ちした実父を救うというのは王道展開です!! スターなウォーズ的な意味でも!!」

 「もちろんそれは僕も理解しています!! RPGにおいて勇者の剣で魔王を倒すことに意味があることは当然です!! 決してカジノで稼いではぐれメタル装備を整えてラスボスに挑むなんてロマンの欠片がないことをしてはいけません!!」

 「やめろ2人とも!! その発言は色々な方向でアウトだ!!」

昔の作品でははぐメタ装備の方が強かったから仕方ないんだ!! 俺の言葉は当然のように2人はスルーする。

 「この世界においては僕はマークちゃんであり、マークちゃんは僕なんです。つまり、僕が装備できるものはマークちゃんも装備できるはずなんです!!」

 「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!!!」

マークくんの言葉に大げさに驚くマークちゃん。そしてマークちゃんはマークくんが(無断で)借りてきたファルシオンを装備する。

装備できてしまった。

声が出ない俺や蒼炎・暁メンバー。しかし、フリーダムチルドレンは止まらない。

 「こ、これは確かにマークちゃんも装備できました!!」

 「そして僕も魔書ギムレーやその他父親候補全員の装備とスキルでフル装備です!!」

 「すごいですよマークくん!! 体が軽い…こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて……もう何も怖くない!!」

 「さぁ、行きましょうマークちゃん!! 僕らの戦いはこれからです!!」

 「わかりました!! 今こそお父さんを止める時です!! 行きますよ、トロンベ!! 今が駆け抜ける時!!」

 「僕はマーク!! 悪を断つ剣なり!!」

黒いペガサスに乗って駆け抜けていくマークちゃんと、何故か斬艦刀を振り回しながら戦いそうな言葉を叫びながら走っていくマークくん。そしてそれを呆然と見送る俺や蒼炎・暁メンバー。

 「いや、マジでなんだこれ」

この直後にやってきた女神・パオラ様のお言葉によって正気を取り戻した俺は、すぐに回収メンバーを伴って行ったところ「う〜ん、お父さんが正気に戻りませんねぇ」「もうちょっと深く刺してみたらいいんじゃないかな」と呑気に会話しながらギムレーを刺しているマークちゃんとマークくんを発見。とりあえずギムレーに止めを刺した後に2人に説教をし、2人だけで出撃してはいけないと厳重注意をするのであった。

 




マークくんとマークちゃん
マークの名前を継ぐ者達。烈火の軍師のデフォネームがマークだったので、マークくんちゃんは三馬鹿以上にフリーダムなキャラになりました。無自覚にメタ電波を受信してしまう感じ。作者はクリアし忘れていた第一部のルナをクリアしてオーブをかき集めた結果、マークちゃんの召喚に成功。そして2人を混ぜた結果、混沌となりました。マークちゃんにスキル継承は済みましたが、マークくんはまだ済んでいません。マークくんのスキルA欄は未だに空欄。そして余っているロイ星4。攻撃力50の相性激化のロマン砲ができる……?
ちなみに呼び方は『マク男』と『マク子』ではなく『マークくん』と『マークちゃん』です。

ゼルギウス
我がヴァイス・ブレイブの過労死枠第二位。英雄値はカンストしてませんが、漆黒の騎士と合計すると余裕でカンスト。他に赤剣遠反がいるにも関わらず彼を使うのは作者の趣味です。

しっこくハウス
貴方は何回リセットしましたか?

ホワイト特務機関ヴァイス・ブレイブ
有用スキル持ち歓迎。遠距離反撃持ち優遇。笑顔の絶えない職場です
急募)星4で鬼神の一撃3を持っている方

マークくんとマークちゃんの超理論
考えるな、感じろ。



前回の投稿直後にマークちゃんが召喚され、Wマークをレベル40にして戦禍の連戦が始まったので思いついてしまったネタです。マークくんとマークちゃんが三馬鹿を超えるフリーダムになりました。2人のファンには申し訳ない。
前回の話を書いた後に『ルフ男とルフ子を星5にするかぁ」と思って2人を探してみたところ、ルフ子の星4が行方不明。大英雄戦はクリアしているのにいるのは星3が2人と星2が1人。スキル継承に使うわけないので完全に行方不明です。マジでどこ行った。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と兎たちの春祭りガチャ

みなさんガチャですよ!! 作者ガチャだ〜い好き!!(錯乱)


 「さぁ、楽しい英雄召喚の時間だ」

俺はいつものバカ2人を連れて召喚室にやってきた。

 「オーブはどうしたんだ? 前回のマークちゃん召喚をリンに無断でやらかしてから、完全に管理されてるだろ?」

ヘクトルの疑問は最もである。俺は前回のマークちゃん召喚をリンに無断で行なったことによって、オーブだけでなく羽や結晶もリンに管理されている。しかし、とある裏技を使ったのだ。

 「リンに対して『Wマーク不思議空間』を使ってな」

 「「あ(察し)」」

俺の言葉に全てを悟るヘクトルとエリウッド。

そして今度はエリウッドが口を開く。

 「何色を狙うんだい? ピックアップは緑と青と無色だけど」

 「ズバリ……無色だ!!」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドは黙って頷いて口を開く。

 「「おっぱいか」」

 「おっぱいだ」

3人で無言で握手する。やはりエロは偉大である。

とりあえず召喚石版を起動して無色のオーブを石版に叩き込みながら会話する。

 「でも無色だととある英雄が欲しくなるな。名前は出さないけどイケメン優男の息子とか」

 「確かに欲しいところだよね、僕らの世界の天才魔道士の息子とか」

 「鬼神の一撃3を持ってきてくれるからな、人生勝組男の息子とか」

3人で会話をしていると煙が晴れて英雄が現れる。

 「ぼくはエトルリア王国リグレ公爵家のクレイ……」

無言で見つめ合う俺たち3人と烈火世界のイケメン優男天才魔道士人生勝組男の息子であるクレイン。

 「すいません、元の世界に帰らせてもらいます」

 「ヘクトル、エリウッド。確保」

 「「あいよ」」

 「このヴァイス・ブレイブは嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

クレインの悲痛な叫びを無視してヘクトルとエリウッドは荒縄で縛り上げて自害できないように猿轡を噛ませる。

 「マシュー、VIPルームに案内して差しあげろ」

 「はいはい。いやぁ、運がなかったね。クレインくん」

入り口でスタンバイしていたマシューに鬼神の一撃のわざマシン(クレイン)を引き渡す。マシューも手馴れた様子で暴れるクレインを気絶させると運んでいった。

 「誰に継承させるんだ?」

 「まだ、決めてないなぁ。未だにスキル継承させてないフィルにでも継承させるかなぁ」

 「バアトルは喜ぶだろうけど、勿体無いんじゃないかい? 他に継承させるべき人もいると思うけど……あ、また煙だね」

エリウッドの言葉と共に現れる英雄。外見盗賊なイケメンだった。

 「俺はサザ。伝承の英雄のように特別な力や才能があるわけじゃないが、大切な者を守るために。あんたに力を貸す」

そんなイケメン発言を聞きながら俺たち3人は無言で頷くと、代表して俺が前に出る。

 「これからよろしく頼むよ。ここにはミカヤもいる。仲良くやっていこうじゃないか死せ…ゲフンゲフン。サザ」

 「……不穏な発言をしなかったか?」

 「気のせいさ」

疑うサザを召喚室から送り出す。

 「まさか星4落ちしてたとはな」

 「死線3を持ってきてくれているね」

 「無色って優秀なスキル持ちが多いのか?」

俺の言葉にエリウッドが続き、ヘクトルが首を傾げる。まぁ、優秀なスキル持ちがいるに越したことはないので召喚を続ける。

そして吹き出す煙。出てくるピンクツインテールシスターの姿。

 「全国100万人のファンのみんな待たせた「ヘクトル!!」ちょ!?」

名前を言わせずにヘクトルに指示を出すと、ヘクトルも指示の前に動き出していた。

 「え!? ヘクトル様!! 冗談でしょ!! この可愛いセー「衝撃のファーストブリットぉぉぉぉぉっぉ!!!!!!」ゴボッフォウ!!!!」

ヘクトル(攻撃力58)から繰り出される一撃を受けて、決して乙女が出してはいけないマジ悲鳴を挙げて壁に叩きつけられるかしまシスター。エリウッドはすぐさま頭陀袋に放り込んで召喚室から放り出す。

そして3人でやりきった感を出して汗を拭う。

 「お前らは何か見たか?」

 「俺は何も見てないな。エリウッドはどうだ?」

 「僕のログには何もないな」

三人一致で奴の存在はなかったことになった。

 「そろそろ出てきて欲しいところだな」

 「すでに200個以上回してるからな。お、煙が出たな」

 「スキル継承要員でもいいからね」

俺たちの会話を聞いているのかいないのか、新しく召喚された英雄の声が響く。

 「カムイ様達の嘆きの声が聞こえる」

諏訪部順一さんのような声。

 「無能淫乱ピンクメイドと外道共に振り回されてお困りになられているカムイ様達の声が聞こえる」

煙の中から出てくる(カムイ達限定で)忠実なる執事。

 「ヴァイス・ブレイブよ!! 私はカムイ様達のために帰ってキ!?」

セリフを最後まで言い切ることなく頭に氷皿が直撃したのは、ヴァイス・ブレイブで2回反乱を起こした後にエリウッドに処刑されたジョーカーだった。

ジョーカーは憎々しげに召喚室の入り口を睨みつける。

 「フェェリィィィシィィィアァァァァァァ!!!!!」

ジョーカーの恨み言と呪い殺す視線をものともしないのは、カムイ達の忠実なメイド・フェリシアだった。

フェリシアはジョーカーのことを見て呆れたようにため息を吐いた。

 「ダメですよぉ、召喚士さん。こんなゴミクズを召喚しちゃぁ……」

 「ゴミクズ!? 貴様のような無能ゴミクズメイドが言えた言葉かぁ!?」

 「クソステクソスキル英雄なんてゴミクズで十分ですぅ」

 「貴様こそ人のこと言えるかぁ!?」

 「いやぁ!! 速さと魔防は星5レベル40組トップクラス!! 武器も『フェリシアの氷皿』っていう専用武器があります!! さらには生の息吹3っていう戦禍の連戦で重宝されるスキルを星4で持ってきちゃうフェリシアちゃんは大人気すぎて困りますぅ!! これはもうゴミクズは用済みですねぇ!!」

 「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!」

流れるようにジョーカーを煽るフェリシア。そしてバーサーカーになるジョーカー。

 「どうするんだい? このままじゃ召喚もできないよ?」

 「ん〜、ヘクトル。めんどくせぇから黙らせてくれ」

 「おう」

俺の言葉に腕を回すヘクトル。

 「貴様ら……何をしている……」

それと同時に召喚室内に今は亡き銀河英雄伝説のデグスビィ主教の声が響き渡る。その言葉に言い争っていたジョーカーとフェリシアの動きが止まり、壊れたブリキの人形のように入り口に視線が向かう。

 「「ゲェ!! ジジィ!!/ギュンターさん!!」」

そこにはカムイを優しくも厳しく育て、ジョーカーと氷の部族姉妹に対して執事・メイド教育を施した老騎士ギュンターが怒りの表情で立っていた。

 「まったく……フェリシアがカムイ様達の給仕の途中で用事があると言ったと思ったら、やはりこういうことか……」

 「い、いえいえ!! 私はこれから一緒にカムイ様達に仕えるジョーカーさんの挨拶に来ただけですよぉ!!」

 「フェリシアァ!! ジジィ!! こいつは俺の頭に問答無用で氷皿を俺の頭に叩きつけてきやがったぞ!?」

 「ジョォォォカァァァァァァ!!!!」

 「うわぁ、罪のなすりつけあいかよ」

 「僕らもよくやるけど、外から見ると醜いねぇ……」

 「これからは少し自重するか」

ヘクトルの言葉に俺とエリウッドは頷く。

 「ジョーカーとフェリシアはこれから私と戦闘訓練に参加してもらおう」

 「いやぁ!! 攻撃力50の一撃を受けたらHP34、守備18しかないフェリシアちゃんは即死ですぅ!! ジョーカーさん!! 生贄になってくださぁい!!!」

 「バカかフェリシア!? 俺は星4レベル1だぞ!? どう足掻いても絶望だ!?」

断末魔をあげながらギュンターに引きずられていくカムイ忠臣’s。俺たちはそれを南無阿弥陀仏と唱えながら見送ろうとすると、ギュンターが思い出したかのように立ち止まった。

 「そう言えばリン殿が召喚士殿を探していましたぞ」

 「……怒ってた?」

 「はて……言われてみれば確かにお怒りになられていましたな。お三方ともあまり悪さをしてはいけませんぞ。それでは私は2人を鍛えねばいけないので。ああ、どうせだったらアイラ殿にもお頼みしてみるかな」

さりげなくフェリシアとジョーカーに死の宣告がなされたが、俺たち3人は気にすることはできない。

リンはどうやら『Wマーク不思議空間』を突破して正気に戻ったらしい。オーブの無断使用発覚。つまり、リンちゃん激オコ案件発生である。

俺はせめてバカ2人を道連れにしようと思って2人のほうを振り向くが、すでに姿はなかった。

 「召喚士?」

それと同時に召喚室内に響くリンの声。

俺が恐る恐る声のほうを向くと、完全体リンの姿が!!

とりあえず速攻で土下座しながら口を開く。

 「お慈悲を……」

 「却下」

 

 

 

 

逃亡したヘクトルはフロリーナに、エリウッドはウルスラによって捕縛され、三人仲良くヴァイス・ブレイブの本拠地最上階から吊るされたのだった。

 




ギュンター
来た! if組のメインストッパー来た!! これで(if組の)争いは止まる!!
配信初期から使っていましたが、攻撃↑個体を育てなおして星5レベル40にしたら攻撃力が50超えてて草。守備も33。壁役として使えそうなので遠距離反撃をスキル継承させようかとも思いました。あ、赤魔と赤竜のみなさんはお断りで。

ジョーカー
カムイ達のために帰って来た男。なんか4人くらい出たんで1人羽にしました。

セーなんとかさん
え? 召喚されてませんよ? 6人くらい出た気がしますけど、5人羽になったんで。

Wマーク不思議空間
マークくんとマークちゃんを隣接させることによって発生する特殊スキル。敵、味方問わずに様々なランダムにバフ、デバフがつく。最悪の場合はアプリがアンイストールされる。

衝撃のファーストブリット
人を勝手にランク付けするんじゃねぇ!
これ書いた後にスクライドのOPを聞いたら、スクライドをまた見たくなりました。

イケメン優男天才魔道士人生勝組男
???「実装はまだかい、ニンテ○ドーさん!!」



バニーカゲロウが好みすぎたので課金してガチャりました。オーブを200個以上ブッパした結果、出た星5はプリシラとバニーカゲロウだけでした。まぁ、クレインが3人。サザも3人出たので良しとしましょう。ちなみにサザの1人は速攻でバニーカゲロウにスキル継承されました。セツナも4人くらい出たんで誰かに弓殺しを継承させるかなぁ…

次回は今まで名前だけ出て来ていて、本格登場していなかったカゲロウを書こうかと思ってます。『ゔぇろにかちゃんのだいぼうけん』ですか? 気が向いたら書きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三軍師とギムレー

伝承英雄ガチャで彼女が来たので出番です。下手したらアイラ以上にキャラ崩壊が酷いので注意。


 「僕達を地下の秘密会議室じゃなくて、自室に呼ぶなんて珍しいね」

 「いつも烈火組を中心に居座っている人が多いですからね」

 「まぁ、新しい英雄が他のメンバーに会う前にお前さん達に会っておきたいらしくてな」

俺の言葉にルフ男とルフ子は不思議そうに首を傾げる。ここで引っ張っても無駄に作業時間と文字数が増えるだけなのでさっさと登場してもらうとしよう。

 「いいよ、入ってこい」

俺の言葉に黒いフードを被った銀髪の女性(少女?)が入ってくる。そして精一杯の暗黒笑みを浮かべながら口を開く

 「我は「「なんだ、ギムレーか」」えぇ!? その反応薄くない!? 一応、原作では我はラスボスよ!? 各タイトルの中でもラスボスがFEHに参戦したの初よ!?」

必死に悪役ぶろうとしたのが速攻でルフ男とルフ子の発言であっさりと崩された。だが、ルフ男とルフ子の追撃は続く。

 「いやいや、最近僕で出てきたばっかりじゃないか。しかも戦禍の連戦のボスユニットとして参戦して、厄介な敵としてヘイトを集めたばかりじゃないか」

 「いや!! 確かにそうだけど、きちんとファルシオンで殺されるために緑竜にしたでしょ、我!!」

 「主人公勢に殺される働きとしてはラスボスの鏡ですけど、こんな短いスパンで出てきて恥ずかしくないんですか? しかも今度は私として出てきて別枠扱いとか厚顔無恥にもほどがあるんじゃないんですか?」

 「それは我のせいじゃない!! 運営さんのせいだ!!」

 「ギムレー、ギムレー。キャラ作り、キャラ作り」

ルフ男とルフ子の口撃に涙目になっていたギムレーが、俺の言葉に気が付いたかのようにこぼれ落ちそうになっていた涙をフードで拭うと、慣れない暗黒微笑を浮かべる。

 「ふふふ、そう言っていられるのも今のうちですよ」

 「自分と同じ声の人はいますけど、同じ顔の人が目の前にいるって変な気分ですね」

 「ドッペルゲンガーってやつじゃないかい?」

 「マジですか。ギムレーを殺しておかないと……」

 「2人とも、ギムレーが泣きそうだからもうちょっと話を聞いてあげようぜ」

 「我、泣いてないもん!!」

必死に強がるギムレーに視線が生暖かくなる俺たち三人。

 「ふふふ、前回のルフ男の時には重装のために重装特攻だけでなく、緑竜のためにファルシオンが死ぬほど突き刺さってしまいましたが、今回はそういきませんよ!! 何せルフ子versionは飛行無色竜。武器には遠距離反撃を内蔵し、パッシブAには邪竜の鱗という専用スキルで飛行特攻を無効化し、さらには戦闘中に守備・魔防+4されます!! さらには相性相殺によって激化レイヴンも無効化されます!! ふふふ、怖いですか? しかし、私を召喚した召喚士が悪いのです。私によってこの世界の人々は殺されるのです!!」

 「あ、ゼルギウス」

 「ピィ!?」

必死に悪ぶろうとしていたギムレーだったが、ルフ男の言葉にトラウマ(戦禍の連戦で何回も殺された)が刺激されたのか、部屋の隅っこで小さくなってガタガタ震え始めた。その姿を生暖かく見守る俺たち三人。そして現状に気づいたのか、少し顔を赤くしながら戻ってきて暗黒微笑(笑)を浮かべる。

 「ふふふ、今の私は緑ではなく無色なのです。ですからあの過労死重騎士が来ても返り討ちですとも!! ええ、私が怖いのは竜特攻だけです!! 特に魔法竜特攻とか天敵なので絶対に戦ってはいけません!!」

 「つまり、赤は怖くないということですね?」

 「当然です」

ルフ子の言葉に精一杯の暗黒微笑(爆笑)を浮かべて答えるギムレー。その言葉に俺たち軍師の心は一つになる。

 「「「それじゃあアイラを呼んでくるな」」」

 「あ、すいません。ちょっと修羅道に落ちている人は勘弁してください」

俺たち三人の言葉にギムレーは素早く土下座するのであった。

 

 

 

とりあえずギムレーも机に座らせて本題である。

 「それで? この茶番はどういうことだい?」

ルフ男の言葉にギムレーはちょっといいずらそうに口を開く。

 「ほら……我ってラスボスでしょ?」

 「私達の世界ではそうでしたね」

ギムレーの言葉にルフ子が頷く。

 「でも我ってちょっと気弱な部分があるじゃん?」

 「気弱というかヘタレだよね」

 「さらに豆腐メンタルの合わせ技ですからね」

 「ルフレ’s、事実確認という名前を借りた追撃は辞めて差しあげろ」

俺の言葉にすごく意外そうな顔をするルフ男とルフ子。

 「意外だね。召喚士だったら平然と攻め立てすると思ったのに」

 「ばっかルフ男。俺は烈火世界以外の英雄には優しいんだよ」

 「本音は?」

 「女性に優しくすることは紳士として当然……!!」

 「それじゃあ僕の方の姿で召喚されたらどうしてた?」

 「速やかにトドメを刺すに決まってるだろ」

 「……ルフ子の姿の方がいいと思った我、ナイス」

俺の言葉にギムレーは遠い目をしながら呟いた。

ルフレ達に促されてギムレーは言葉を続ける。

 「タイトルからラスボス登場は初だからさ、我もウキウキしながら実装されたらさ、同時にラスボスじゃないのにラスボス臭い奴が実装されたじゃん? 具体的に言うとアカネイア神聖帝国初代皇帝さんなんだけど……」

 「あれ? でもハーディンさんは結構ハッチャケてるよね?」

 「そこだよルフ男!!」

ルフ男の言葉に力強く頷くギムレー。

 「あいつムスペルに居た時は我にニーナとかいう女を布教させていたりしてさ、我も邪神として信仰されていたりしたから色々教えてあげていた結果、『ハーくん』『ギーくん』って呼べるくらいに仲良くなったのに! こっちに来たら何さあのラスボスモード!! 卑怯じゃない!?」

力強く机を叩くギムレー。

 「そういえばハーディンさんの素が出るのは召喚士と烈火組、あとは私達とマークとマークちゃんだけでしたね」

 「キャラ作るとか超卑怯だよ!! これで我が普通に出て行ったら他の世界から『あれ? 覚醒世界ってチョロい?』なんて思われたら最悪だよ!! 他のラスボス仲間から失笑されたり見下されたりするよ!! 特にアシュナード!! 人間のくせに我の性格をバカにしてくるんだ!! イドゥンとアスタルテの女性陣は優しいけど、他はクズばっかりだ!! だから今後出てくるラスボス達のためにラスボスの威厳が必要だと思ってキャラ作りしようと思ったんだけど、考えてみたら我の基準じゃラスボス(笑)になっちゃうし召喚士は最終決戦で黒ひげやるキチガイだし覚醒世界出身者には頼めないしでルフレ達に判断してもらうしかなかったんだ……そ、それでどうだった? 我、ラスボスできてた?」

どこか期待した表情を浮かべるギムレー、優しい笑顔を浮かべるルフレ’s。

 「「100点満点中1点」」

 「あっれぇぇ!? 赤点どころか落第の危機!? そんなに我ダメダメ!?」

ルフレ達の妥当な得点に驚愕の声を挙げるギムレー。むしろあれでなぜ自信満々になれるのか。

 「なんというか……心優しい僕達はとてもいいずらいんだけど……」

 「はい……私達はどこかのキチガイ召喚士と違って心優しいので……オブラートに包んでいいますけど……」

ルフ男とルフ子はそこで言葉を切るとイイ笑顔を浮かべた

 「「隠しきれてないポンコツヘタレ臭が酷い」」

 「オブラートの意味!? すっごいストレートど真ん中にきたよ!? あ、やめて!! 細やかに我のダメなところを耳元で指摘しないで!! 我の心は硝子だから!!」

必死に耳を隠すギムレーに笑顔で死体蹴りを続けるルフレ達。

 「「FE旋風Wマーク!! お呼びでなくても即参上!!」」

そして本当に呼んでもいないのにWマークが部屋にダイナミックエントリーしてきた。

 「あ、あれ!? マーク’s!? ちょ、ちょっと待って!! 待って!! まだ我のキャラが定まってないから!!」

 「お遊びはそこまでですよ、お母さんギムレー!! これからはレベリングの時間です!!」

 「そうですよルフ子さんギムレー!! もう既にアクアさん(舞踏祭、バフ再行動要因)ニニアンさん(マムバフ、再行動要因)ラーチェルさん(レベリング)が待っています!!」

 「ちょ!? よりによって全員別世界出身者!? せめて覚醒世界から誰か出して!! 人見知りの我にその状況超辛い!!」

 「却下だ。ラーチェルのレベリングが終わったらラーチェルに変わってカゲロウ(バニー)と一緒にスキルポイント稼ぎな」

 「やっぱり別世界出身者!!」

 「安心しろ、再行動要因はアクアとニニアンに固定してやるから」

 「そういう問題じゃないから!! このままじゃFEラスボス界から怒られちゃうかもしれないから、我はキャラが定まるまでここから動かないもんねぇ!!」

台所に現れるGのように壁に張り付くギムレー。

 「あ、私と同じ顔と声でそういう行動しないでくださいね」

そして容赦なくルフ子がかかと落としで叩き落とした。

 「マークくん、マークちゃん。ちょうどいい具合にギムレーが気絶したからこのまま修練の塔に放り込んできて」

 「「了解です、師匠!!」」

元気よく俺に敬礼してドナドナを歌いながらギムレーを引きずっていくフリーダムチルドレン。俺たちはそれを生暖かく見送ったのだった。

 

 

 

後日、ギムレーは嬉しそうに「我、ラスボス感出せたぞ!! これはアカデミー賞も狙えちゃうなぁ!!」と報告してきたが、ニニアンには完全にバレておりロリマムクート達と同じ扱いを受けていることを教えてあげたら死ぬほどへこんでいた。「あ、やばい。我、古の火竜に死ぬほど怒られる」と嘆いていた。

 

 

そういえば烈火の世界のラスボスはネルガルじゃなかったですね。

 




ギムレー
FE覚醒のラスボス。戦禍の連戦での性能に怒りが有頂天になった作者によってヘタレポンコツラスボスになりました。英雄達の前では必死にキャラを取り繕っているけど、9割の英雄が本質に気づいており、必死に隠そうとする本性を生暖かく見守られている。

ギムレーのトラウマ
バフ黒の月光。これを突破して第一部隊を全滅させたと思ったらファルシオン持ちがいっぱい出てくる絶望。

古の火竜
烈火のラスボス。作者はこれを書くときにFEシリーズのラスボスを検索した時に思い出した。火竜さんの印象薄いよ…



そんな感じで我がヴァイス・ブレイブにルフ子(闇落ち)がログインしました。オーブ60個でサクラ(仮装)と一緒に出てくるなんてギムレーさんは優しいなぁ。だが戦禍の連戦で何回がぶっ殺されたので容赦なくキャラは壊していく所存。主人公の装備が突き刺さるほどに突き刺さるところはラスボスの鏡だと思いましたが。
ちなみにラーチェルのレベリングは終了したのでカゲロウ(バニー)と一緒にスキルポイント稼ぎです。素でスキルが完成してると育成が楽でいいですけど、育成する楽しみが半減しますなぁ。リン(弓)とかゼルギウスとかハーディンとか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とギムレー

みんなが『ギム子は露出が足りない』って言うから……


 「え? 召喚士、なにこの戦闘。ウィーグラフとの一騎打ちが終わったと思ったら魔人ベリアスとアルケオデーモンとか聞いてないよ。最初は議論戦闘も良かったけど、こう何度も『努力はしている!』を聞くと怒りを通り越して悲しみを覚えるんだが」

 「ギムレー、リオファネス城に入る前のセーブデータは残してあるか?」

 「え? 残してないけど?」

 「おめでとう、ギムレー。もう一度遊べるドン」

 「我のプレイ時間!! 頑張ってアグリアス育てたのに!!」

懐かしのPSのコントローラーを放り投げて床をのたうち回るギムレー。いやぁ、前持って注意してあげないとかエリウッドとヘクトルは酷いことをするなぁ(責任転嫁)

 「さて、ギムレー。ちょっといいか」

 「無理。我はこれからラムザとディリータの士官学校からやり直さないといけないから」

タイトル画面でNEWGAMEを選んでゲームを始めようとするギムレー。ラスボスの威厳とか投げ捨てている。

 「だが、お前の衣装についてなんだが」

 「………ほう?」

俺の言葉に超マジ顔になりながらPS本体の電源を落とすギムレー。

 「実はお前の衣装についての感想がある。意訳すると『ギム子はエロスが足りない』ということなんだが」

 「発言をよろしいでしょうか?」

 「ほう、被告人ギムレー。何か弁明かね?」

 「露出が多ければエロスが大きいという風潮に対してです」

なるほど。

 「語る舌は持っているようだ。発言を許可する」

 「ありがとうございます」

俺が発言の許可を出すと、ギムレーは超マジ顔で語り始めた。

 「現代には着衣エロという言葉があります。確かに基本エロスを感じる際は露出度が高いものほど感じやすいでしょう。しかし、着衣エロとは普段露出度の高いキャラクターに、あえて露出度を減らし、これを脱がすというシチュエーションを妄想した場合、単純な素っ裸の状態よりもエロスを感じるという高度なエロスです。さて、そこで私が依り代としているルフ子を見てみましょう。ルフ子(ノーマル)の時はローブで体を隠し、ダメージを負っても全く体を露出しません。次にルフ子(水着)を見てみましょう。ローブに隠されていたワガママボディ……正直、たまりません。つまり『普段隠されていても実は出るとこ出てて引っ込むところが引っ込んでいるほうがエロスを感じる』という結論です」

 「ガチすぎる返答の上に一人称も変わってるぞ」

 「おっと! 我ったらウッカリ!!」

あざとくテヘペロポーズをするギムレー。見かけは良いかもしれないが中身がこれだと殺意が湧くな。

 「ギムレー、お前ちょっと詳しすぎないか」

 「1000年間も封印されててヒマだったからさ、ちょっと現代文化、詳しく言うとサブカルチャーにハマってしまったのさ!!」

日本を代表するコンテンツは外国人だけでなく、FEのラスボスも虜にしてしまうらしい。

 「そういえばギムレーって雄なのか? 雌なのか?」

 「さぁ? 公式で設定されているかもしれないけど我が知らないからノーカン。個人的には女性にエロスを感じるから雄だと思ってる」

 「……うん? ルフ子の体で女性が好きだと……?」

俺の言葉にギムレーは爽やかな笑顔で告げた。

 「『マリア様がみてる』は良い文明」

 「ガチじゃねぇか」

驚愕の新事実である。とりあえずリンや大天使ニノエルを筆頭にしたロリ英雄達を近づかせないようにしないと。

 「まぁ、我の性癖は置いておくとして」

 「置いておけねぇよ。場合によってはタクミと同じ扱いにするぞ」

 「召喚士、ロリコンを病気にしてはいけない。日本の歴史を見てみるんだ。10代前半で子供を産んでいる女性だっている。芳春院(前田利家妻)、や徳川家康を産んだ於大の方だって10代前半での出産だ」

 「つまり?」

 「歴史においてロリとホモは欠かせないもの」

 「ホモと聞いて!!」

 「ご退場ください」

ホモという言葉に反応して俺の部屋にアンブッシュしてきた白夜王国の末妹は落とし穴で退場してもらった。ホモの話になるとどこからともなく現れるな。

 「話が脱線したね。つまり我が言いたいのは『つよいえいゆう、よわいえいゆう。そんなのしょうかんしのかって。ほんとうにつよいしょうかんしなら、すきなえいゆうでかてるようにがんばるべき』ってことだよ。そう! 愛があるならルーナやセツナやヘンリーの星5を10凸させてスキルを豊富にさせるまで頑張るべきなのだ!!」

 「同じ会社だけど、カリンの名言を使うのはやめよう! そして攻撃力が低い英雄を育てるのは超苦行だぞ?」

 「ここには星5レベル40。武器錬成済みのセツナがいるね」

飛行とか暗器を相手に頑張った。それでも超しんどかったが。しかも星4をレベル39にした後に星5が来る始末。

 「というか今回の話はギムレーの衣装について訳だったが、それはギムレーの性癖だった訳だな」

 「性癖とは失礼だね! 我は様々なニーズを持つユーザーさんに応えるための『着衣エロ要員』な訳さ!!」

 「だ、そうだが判定はいかがか?」

俺の言葉にギムレーはビシリと凍りつき、壊れたブリキのような動きで入り口に視線を向ける。

そこには素敵なコロス笑顔を携えたルフ子さんの姿が!

その笑顔を見た瞬間にジャンピング三回転半土下座(菓子折り付き)をするギムレー。

 「お慈悲を……」

 「そうですね……ここはFE覚醒の最終決戦のように選択肢を出して召喚士(プレイヤー)に選んでいただきましょう」

ムムム、ここで俺に選択を委ねるか……さて、どうするか

 

 とりあえず殺す

 

 ジワジワと殺す

 

 →産まれてきたことを後悔させる責め苦を与える

 

 「やりましたねギムレー。唯一の生き残る選択肢が選ばれましたよ」

 「待って! 生き残れる選択肢が1番不穏なんですけど!?」

 「選ばれたからには仕方ありませんね。さぁ、地下室の拷問室に行きますよ」

 「いやだぁ! 我はまだ死にたくなぁぁぁい!!」

 「大丈夫ですよ、殺さないであげますから」

 「死んだほうがマシなやつじゃないですかヤダァ!!」

ルフ子がギムレー(ルフ子フェイス)を引きずっていく。扉が閉められた後もギムレー(CV沢城みゆき)の騒ぎごえとそれを宥めながら殺意満点な発言をしているルフ子(CV沢城みゆき)の声が聞こえて来るのだった。

 




召喚士
巨乳は大好き。貧乳も認める。美女も美少女も大好物。百合も認める。ただし、ホモ。テメェは駄目だ

ギムレー
最早ラスボスの威厳なんてなくなった覚醒ラスボス。それでも他の英雄の前ではラスボス感を出そうとする小物っぷりに他世界の英雄も思わずニッコリ。前話とこの話を書いてエリウッドとヘクトル並に使いやすいキャラに進化したのでこれからも頻繁に登場する可能性があります。

ウィーグラフとの一騎打ち
FFTをやったプレイヤーの多くが食らった完詰みステージ。作者も初回プレイ時にこれを食らった。頑張って育てたアリシアがパァやで! ちなみに作者が1番プレイ時間が長いゲームかもしれない。PS時代だけでも700時間超えてたんで、PSPも含めると1000時間を余裕で超えていく。ミルウーダが仲間になるリメイク待ってますよ!!

マリア様がみてる
作者は原作もアニメも未視聴。作者のレズアニメのイメージは『少女革命ウテナ』。内容は全く覚えていないが、なんとなくレズアニメのイメージがあるんだよなぁ。

白夜王国の末妹
感想でエリウッドとヘクトルのBLコラ画像の存在が知らされてから探してるんですけど、見つかりません

カリンの言葉
ポケモン銀をやっていた当時はなんとも思わなかったですが、今考えると深い言葉ですなぁ。なので作者はリメイクされたソウルシルバーでキュウコン1匹でカントー地方のジム、トレーナー、四天王を殲滅しました。レベルを上げて叩き潰すと言う相性もクソもない方法でしたが。

ギムレーの性癖
たぶん深い闇がある


みなさんが『ギム子に露出が足りない』と言うのでギムレー本人に語ってもらいました。これでみなさんにもギム子に露出がないのも納得していただけると思う。ちなみに作者はこれを書く上で『着衣エロとは』『ロリコンの定義』について調べていて『自分は何をやっているんんだろう』と一瞬正気に戻りました。
これを書いている時にリンの設定年齢が15歳なのを思い出しました。(FEHのリンを確認)。お前のような身体付きの15歳がいるか!!

作者はギム子とニニアンのマムクート大人組みを見て『チームマダムマムクート』を作りたくなって大人チキ(ノーマル)を星5レベル40にしました。しかし、ギム子(設定年齢1000歳以上)、大人チキ(『ピー!』歳)、ニニアン(溢れ出る新米保育士新妻感)まで来てあと1人足りない……カム子はなんとなく若いイメージがあるからなぁ。だからナギ様の実装はよ!!

あとリンを星4落ちさせてくれたら10凸させやすくなるんですがねぇ。羽? カツカツだよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブの日常〜リン編〜

注意事項:この話で完全にFEHの話から乖離しました。そして容赦のないキャラ崩壊と独自設定の嵐です。それが大丈夫な方のみスクロールしてください。


リンの朝は早い。まだ他の英雄(ストーカー英雄は除く)が起床する前に起き、身支度を整えてから自室を出て召喚士の部屋に向かう。普段だったら召喚士に対して朝駆けを行なってパオラに取り押さえられている英雄がいたり、ストーカーから逃亡しているエイリーク、有給願いを出しているゼルギウスがいたりする召喚士の部屋だが、今日に限ってそういう連中はいない。

何せ前夜からヘクトルとエリウッドが部屋に入っているという報告がアンナから入っている。

三馬鹿が揃っていると自分の常識がぶち壊されるという理由で三馬鹿が揃っている時に召喚士の部屋に突撃するのは深刻な相談があったりする場合や、三馬鹿に対して耐性のある烈火組。同じ穴の貉であるルフ男とルフ子。もしくは問答無用で自分たちの固有結界『Wマーク不思議空間』に取り込むマークくんとマークちゃんくらいである。

そして召喚士の部屋の前で起床を知らせる音楽が流れる。

熱き星たちよ(横浜ベイスターズ時代)だった。

昨日はリトルネプチューンだった。微妙に選曲が古いのは召喚士が烈火出身だからだろうか。こうなると明日はいざゆけ若鷹軍団(ダイエー時代)だろうか。もしくは燃えよドラゴンズのメドレーか。

朝からゲンナリとしながらもリンはノックをせずに部屋に入る。ノックをしても無駄だし、三馬鹿が悪事をしていた場合はノックの音で逃亡する可能性があるからだ。

 「おはよう、三馬鹿。起きてるでしょうけど……」

 「てめ!? 召喚士!! テメェはいちげきひっさつ技縛りじゃねぇのか!?」

 「電気ネズミだけは別だぁ!! ヒャッハァ!! くたばれ電気ネズミ!! これはトキワの森でファーストコンタクト時に殺されたゼニガメの恨みだぁ!!」

全裸のヘクトルとパン1の召喚士がポケモンの対戦をしていた。

リンもヴァイス・ブレイブに召喚された姿は15歳時代の乙女だ。そのために顔を赤らめて可愛らしく「キャッ!!」とでも悲鳴を挙げる純情アピールをすべきかもしれないが、烈火時代とヴァイス・ブレイブで見慣れてしまって純情アピールをする前に反射的にゴミクズを見るような視線になってしまった。

 「やぁ。おはようリン」

 「おはよう、エリウッド。それで? あの惨状はなに?」

声をかけてきたエリウッド(半裸)にリンが問いかけると、なんでもないようにエリウッドは答えてくる。

 「別になんてことはないよ。対戦で負けたほうが服を1枚脱いでいくというルールでやっただけさ。ちなみに僕が半裸なのは召喚士のいちげきひっさつ技が6連直撃した結果だよ。あいつ絶対チート使ってるって」

 「心底どうでもいいわ」

まぁ、召喚士の運がいいのは烈火時代に行き倒れになる度に善人……エリウッドには疑問視がつくが悪人に拾われていなかったことでもわかる。

リンとエリウッドの会話が聞こえたのか召喚士とヘクトルがリンに気づく。

 「「おはよう、リン」」

 「前を隠しなさい。ここには乙女がいるのよ?」

 「「「乙女?」」」

超絶失礼な発言をした三人にナニとは言わないが、あるものを捻り潰す動作をすると速やかに土下座をした。

リンはため息を吐きながら召喚士の部屋にだけ特別につけられている台所に向かう。

 「朝食を作るわね。何かリクエストはある? 時間がないから簡単なものよ」

 「満漢全席」(召喚士)

 「カツカレー。カツは3枚な」(ヘクトル)

 「あ、僕はフレンチのフルコースでいいよ」(エリウッド)

 「……」

とりあえず三馬鹿の朝食は大豆(10粒)と水(1杯)になった。

 

 

 

 

リンは三馬鹿の口に大豆と水を叩き込むと、自分の仕事場へと向かう。その途中でチャイルドスモックにランドセルを背負って楽しそうに走り回るチキ(幼女)、ファ、ノノのロリマムクート達がいる。きっとこれからニニアンが保育士を務める保育園に向かうのだろう。ニニアン保育園は『MAP兵器奥義は誰に継承させるべきか』『スキル同士の兼ね合いについて』『武器錬成の優先順位』『結局一番のクソスキルは何なのか』がロリマムクート達によって議論されている。保育園でその教育はどうなのか思うが、保護者(大人チキ)が認め、本人達は楽しそうに議論しているので許可されている。

しばらくロリマムクート達を眺めて母性を溢れさせていると、やってこないロリマムクート達を迎えに来たニニアン先生がロリマムクート達を連れて行ったので、リンも仕事場へと向かう。

視界の片隅で姉と妹にしばかれている白夜のロリコン王子がいた気がしたが無視する。性癖の強制は家族に任せるのが1番だ。

そしてリンは巨大な扉の部屋の前にくる。そこには『アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領軍総司令官室』(アクア筆。意外と達筆)と書かれている。

『アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領』。そう『自治領』である。

これは主にというか全て三軍師のせいである。「もうちょっと自由に動き回りたい」という結論に至った三軍師がアスク王国に働きかけ自治権を奪ってきたのだ。もちろんアスク王国文官に反対の声が上がったが、そのうちの反対派の巨魁が失脚・逮捕・拘禁という三連コンボを食らったことにより勢いを消失。それでも義憤に駆られた若き文官が三軍師を起訴したが、裁判において不正の証拠(捏造)、証言(捏造)を三軍師によって提出されたことによって逆に職を奪われることになった。子供が見ても三軍師によるハメとわかる裁判だったが、証拠が一切見つからなかったことで三軍師は不起訴となった。これに1番の怒りを覚えていたのは義憤に駆られた若き文官の幼馴染の憲兵隊員だったが、すでに憲兵隊も三軍師の息がかかっていたのでどうしようもなかったらしい。

そこから三軍師の動きは活発になった。ルフ子は『自治領』という立場をフル活用してアスク王国とムスペル王国に商売網を張り巡らせ、召喚士はその商売網を利用しての諜報と防諜、そしてルフ男は両国を飛び回って要人の懐柔に動き回った。そして僅か2週間で両国の経済と情報を抑え、国の要人の6割を味方(無理矢理従わせる人間も含む)にすることに成功した。

これを危険視したのが『アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領主アルフォンス』であった。英雄のみならずアスク王国からも三軍師の傀儡領主としてしか見られていなかったアルフォンスであったが、アルフォンスはブレーンとして三軍師を訴えた若き文官を副官として登用し、三軍師が同時に不在の時を狙って三軍師から軍事権を奪い取り別の人間に与えようとしたのだ。この動きはカゲロウによってすぐさま召喚士に通報され、戻ってきた召喚士によって失敗した。しかし三軍師はこの動きを「国の未来を考えて動くのは王族として当然のこと」と高評価を下して(建前上は)軍事権を放棄した(もちろん暗躍)。

そして結果的に『アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領主軍総司令官』に任命されたのが三軍師の中心立場である召喚士を止めることが可能なリンであった。貴族すら嫌だったのに軍の総司令官とか絶対拒否のリンであったがアスク王国国王、アルフォンス、アスク王国重臣達に揃って土下座されたら了承するしかなかった。

リンは総司令官になったことでヴァイス・ブレイブ内の『治安維持部隊(まともな人格の英雄が所属)』も纏めることになり、三軍師発案の『ヴァイス・ブレイブ法典』に違反した英雄を牢獄に放り込む仕事も兼務となった(多いのはロリコンやストーカー、三馬鹿とギムレーである)。

リンは憂鬱な気分になりながら扉を開く。

 「おはよう、リン」

 「おはよう、ルキナ」

 「ぼ、ぼぼぼぼぼぼ僕はルキナじゃないけど!? マルスだけど!?」

 「そうね、マルスよね。おはよう仮面マルス」

執務室にいたのは治安維持部隊の一員である仮面マルスであった。どうみてもルキナなのだが、本人は頑なに認めようとしない。ルキナ(総選挙)がいない時にしか現れないのでヴァイス・ブレイブに所属する全英雄が察しているが、本人は認めないので生暖かく見守っている。クロムも空気を読んで「そうだな。お前はルキナじゃないな」と優しい表情で告げたところ、その日の夜に人のいないところで「すいません、お父様……でもこれも絶望の未来を回避するためなんです!!」と泣きながら呟いていたところをバッチリ撮影され、主に覚醒世界出身者の中で回された後にクロムが『ルキナ成長記1』とナンバリングして保存している。ちなみに撮影したのはアンナである。

ちなみにこのヴァイス・ブレイブにはマルス(本人)もいるためにこの状況の彼女を呼ぶ時は仮面マルスであった。

 「今日は何かあった?」

 「特にまだ問題はないよ。ロリコンがボロ雑巾になって治安維持部隊の詰所に投げ込まれたくらいかな」

 「いつものことね。カムイ達に引き取らせに来させて」

 「わかった」

リンの言葉に必要な書類を用意して出ていく仮面マルス(ルキナ)。リンはそれを見送ると机に座って書類仕事に入る。三軍師は内政とか謀略方面に努力値をガン振りしているので、リンは回ってきた書類に許可印を押すだけである。

結局三軍師の良いように動いている?

アスク王国の方々が気づいていないならそれでいいのである。

 「失礼します」

 「あら? セシリア。何かあった?」

部屋に入ってきたのは治安維持部隊の一員で、積極的に違反者を逮捕する封印時代の魔導軍将セシリアだった。

セシリアは敬礼しながら報告をしてくる。

 「午前中の警邏は終了しました。ストーキング行為をしようとしたエフラムさんとリオンさんを発見しました」

 「逮捕できた!?」

 「いえ、現場を抑えることができなかったために逮捕できませんでした」

 「……羽にリーチがかかってからしぶといわね」

『ヴァイス・ブレイブ法典』において逮捕が500回を超えたら羽にされる刑罰が適応されるが、ストーカー2人は499回逮捕されてから手口が巧妙になった。三軍師だったら外道行為で500回目を達成させて羽にしてしまうだろうが、そこはヴァイス・ブレイブにおいてまともな人格の英雄が集まっている治安維持部隊である。冤罪逮捕なんて存在しません。

それからしばらくセシリアと世間話をするリン。何せ15歳の乙女だからお話だって好きだ。

実年齢? それは触れてはいけない禁忌である。

 「リンさん! 報告だよ!!」

そして慌てた様子で執務室に駆け込んできたのは烈火のみならずヴァイス・ブレイブの大天使ニノエルだった。これが三馬鹿だった場合は速やかにソール・カティを叩き込んで退場させるが、相手が天使なら話は別だ。

リンはニノを落ち着かせると、笑顔で報告を聞く。

 「私が倉庫でアイテム整理をしていたら軍師さ……じゃなかった! 召喚士さんとエリウッドさんとヘクトルさんがやって来たんだ!!」

ニノから見えない位置でリンの怒りボルテージが上がる。三馬鹿がニノのように率先して倉庫整理という仕事をするわけがないので、どう考えても目当てはオーブであろう。

 「その三人は何を取りに行ったかわかる?」

 「うん! オーブが欲しいって言ってた!!」

確定である。あのダメ亭主(召喚士)はまたガチャろうとしたらしい。

 「でもね! 私はリンさんから許可書がないとオーブを渡しちゃいけないって聞いていたから『メッ!』って言った……あ、あれ!? リンさんとセシリアさん!! 鼻血が出てるよ!!」

 「だ、大丈夫よ。あまりの純粋オーラにやられただけだから。それで? その後その3人は大人しく引き下がったの?」

 「うん! とっても綺麗な笑顔で『わかった』って言って帰ってくれたよ」

それは大天使ニノエルの力で心のドス黒さが浄化されたそうだろう。おそらくは3人が一緒にいたら15秒で元に戻るだろうが。

リンは報告してきたニノにお礼とご褒美のお菓子を渡して部屋から出す。ニノが嬉しそうに走っていくのをリンとセシリアは微笑ましい笑顔で見送る。

そして扉が閉まった瞬間にリンの笑顔が消え去って真顔になった。リンは無言でヴァイス・ブレイブ本拠地内スピーカーのマイクのスイッチを点ける。

 『アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領軍総司令官より所属全英雄に緊急司令。三馬鹿の身柄を拘束して執務室まで連行して来なさい。三馬鹿の身柄を拘束できた英雄には逮捕歴を1回消してあげるわ。わかる? 1回は見逃してあげるってことよ。この際、三馬鹿の生死は問いません。それではGood Luck』

リンの放送直後から三馬鹿を狩ろうとする英雄(前科者、もしくは逮捕案件になりそうなことをしそうな英雄)の雄叫びとリンの名前を叫ぶ三馬鹿の名前が聞こえるが華麗に無視である。

 「あ、あのリンさん。よろしいんですか?」

 「いいのよセシリア。私は『三馬鹿の身柄を拘束して執務室まで連行』と言ったのよ? つまり、三馬鹿を1人で逮捕しなきゃいけない。セシリア、貴女にそれは可能?」

 「無理ですね」

素晴らしき即答である。だが、リンも同意見だ。

 「そして召喚士は英雄側に切り崩しをかけるはずよ。そうね……どっかのポンコツラスボスと狂信者あたりかしら」

 『我はギムレー!!』

 『召喚士様に叛逆する異教者供め!! 死すべし!!』

リンの言葉を肯定するように外からポンコツラスボス(ギムレー)と狂信者(スリーズ)の声と爆発音が響き渡る。狩人側もすぐさまファルシオン持ちを増援に呼ぶあたりに割と容赦がない。

 『ちょ!? ハーくん!? 手加減!! 手加減してよ!!』

 『すまん、ギーくん!! でも私もちょっとニーナ様を布教しすぎた結果『訪問販売』って扱いを受けて逮捕されそうなんだ!! だから大人しくそこを退いてくれ!!』

 『スリーズ姉様!! 落ち着いてください!!』

 『まぁ、フィヨルム。いけませんよ。ニフル王国にとって召喚士様は神であり、叛逆なんてあってはならないことです』

ポンコツラスボス(ギムレー)と愉快な暗黒皇帝(ハーディン)が漫才をしている近くでスリーズストッパー(フィヨルム)がやって来たらしい。フィヨルムは相性不利だが気合と根性で頑張って欲しい。

 「た、大変です! リンさん!!」

呑気に後片付けのことを話し合っていたリンとセシリアのところにマケドニア白騎士団所属でその真面目な性格から治安維持部隊にも所属しているカチュアだった。真面目でしっかりとした優等生タイプな性格な彼女なのだが……

 「……カチュア。なぜバニー装備なの?」

 「召喚士さんがこっちしか育ててくれないからですよ!!」

本人的に大変不本意なバニー装備であった。カミラはノリノリで着ていたし、カゲロウのように割り切ってしまえばいいのに損な性格である。

 「それになんで飛行槍装備の私は育成されないんですか!?」

それはきっとカチュアの前に飛行槍はティアモが来てしまったからだろう。そしてヒノカの加入で彼女の出番は絶望的になった。せっかくの限定装備も青魔騎馬とオールバックヤクザと完全に被っている状況である。カチュアは泣いていい。

 「それで? 何があったの?」

 「そ、そうでした。先ほどの放送を聞いたアイラさんは『これは強敵と戦えるチャンス』と言って銀の剣を持って飛び出して行きました!!」

その報告を聞いた瞬間にリンは先ほど使ったマイクの電源を再び点ける。

 『修羅警報発令! 修羅警報発令! ロリ組み及び守備30以下の英雄は大至急避難してください!! 槍壁役部隊は修羅を包囲!! 青魔部隊は遠距離から攻撃してください!! 赤部隊は青部隊の援護!! 緑部隊と暗器部隊は非戦闘員の避難誘導!! 杖部隊はダメージを負った英雄を片っ端から回復しなさい!!』

リンはそれだけ言うと自身もソール・カティを用意して部屋から飛び出すのであった。

 

 

 

 

最終的にアイラによって受けた被害は英雄の7割が重傷、3割が軽傷と言う結果になった。無傷な人間は誰もいないという状態である。

 

 

ちなみに三馬鹿はロリマムクート達によって捕縛されていた。

 




召喚士
ポケモンのメンバーは一撃必殺技を覚えるポケモンのみで、一撃必殺技しか使わないロマン編成。ただし、電気ネズミ。テメェは駄目だ。

ヘクトル
ポケモンのメンバーはミニスカートが使うような可愛いポケモン中心。それも全て愛娘リリーナに喜んでもらうためである。しかし最後の一匹はバンギラス。

エリウッド
600族を中心に個体値厳選、努力値振り分け、持たせるアイテムも選抜するガチ勢の勝利至上主義者。しかしポケモンのニックネームは全て『ロイ』である。

アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領
イメージ的に銀河英雄伝説のフェザーンをイメージしていただければ。しかし強大な軍事力は持っている。地球教はないだろうけどパオラ神教はある。

ヴァイス・ブレイブ法典
三軍師によって作り出された法律。意外とマトモに作られており、アスク王国やムスペル王国も一部を取り入れている。

ニニアン保育園の制服
ランドセルは至高と言いはるタクミ。チャイルドスモッグが絶対正義と言いはるギムレーの議論を聞かされてウンザリしたニニアンが「それじゃあ両方で」と決めた結果。

大天使ニノエル
彼女の『メッ!』には心を浄化させる力がある。

熱き星たちよ(横浜ベイスターズ時代)
リトルネプチューン
いざゆけ若鷹軍団(ダイエー時代)
作者の年齢がバレそうな選曲。でも『熱き星たちよ』と『リトルネプチューン』はいい曲だと思う。

アルフォンスの副官
未来のアスク王国宰相


完全に悪乗りした結果、とうとうヴァイス・ブレイブが自治領となりました。安心してください! 独立はしていませんよ!! 独立していない分タチが悪い可能性がありますが。
本文の中でサラッとバニーカチュアが出てますが、シャニーが足りなくなったので青を回したら彼女が来ました。だが青魔騎馬にはオールバックヤクザが……ダイムサンダが継承できればワンチャンあるんですがねぇ(使うとは言ってない)

ちなみに本文中の召喚士の電気ネズミに対する怒りは作者の怒りです。ファーストコンタクト時に相性とかよく知らないから1番育てていたゼニガメで対応したら電気ショックでヌッコロされました。四天王突破後に1匹だけハイパーボールで捕獲した後にカメックスで蹂躙しまくりました。その恨みは今でも続いており、友人とソウルシルバーで対戦した時にピカチュウを出して来たのでピカチュウだけは意地でぶち殺しました。そして友人に『お前のピカチュウに対する恨みは異常』と言われました。自覚してます。

どうでもいいですが艦これを再開しました。これも神威とサラトガが好みで浜風に乙二が実装されたせい。ちなみに大型建造でボーキが400切るまでぶん回しましたが神威すら来てくれません。まぁ、うちの筆頭嫁艦『陸奥』の幸運は33になりましたが。不幸艦? 悪いな。うちのむっちゃんは不幸艦じゃないんだ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とフィル

その日、強さを求める少女は(出会ってはいけない)運命と出会う


私は気がつくと真っ暗な空間にいました。どこまでも進んでも真っ暗で、どこにも光はありませんでした。

 『力が欲しいですか? 未熟な剣士フィルよ……』

困惑する私をよそに、声は言葉を続けました。

 『偉大な伯父と偉大な母を持ちながら、貴女は未熟すぎます』

絶句する私をよそに謎の声は言葉を続けます。

 『その2人……それのみならず、貴女のいる特務機関ヴァイス・ブレイブにいる修羅と同等……もしくはそれ以上の力が欲しくはありませんか?』

 「……欲しい、です……」

 『声が小さい!!』

 「力が……伯父や母のような力が欲しいです!!」

 『よくぞ言ったぁぁぁぁぁ!!!!』

私の大きな返事と同時に真っ暗な空間に光が包まれ、1人の少女が出現しました。

見たこともない格好に帽子。そして帽子から飛び出る金髪のアホ毛が特徴的で、そのアホ毛がピコピコと動いていました。

え? アホ毛という言葉ですか? ヘクトルさんが教えてくれました!

あ、話を続けますね。正体不明の金髪アホ毛少女は剣を構えながら叫びます。

 「私は三千世界全てのセイバーを殺す者! その名も謎のヒロインエェェェェェッッッックス!!!!! 世界が違くても殺すべきセイバーは抹殺しなければいけません!!!」

なんというか……呆然としました。召喚士さんやエリウッドさん、ヘクトルさん達のやり取りを初めて見た時と同じ印象を受けました。

 「FEの世界では剣士が多いのは当たり前? それでも私には関係ありません!! 何せFEH界で旋風を巻き起こした青魔オールバックヤクザがセイバークラスになったでしょう? 私はそれを許しません!! このままではゲーム界に多すぎるセイバーが増えすぎることになってしまうかもしれません!! それは許せません!! 本来なら私自らが出向いて殺してしまいたいですが、会社が違うので自重します!! 大人の問題もありますからネ!! しかし、私のセイバーを抹殺するという使命を放棄するわけにはいきません。そ・こ・で!! リリィのわた……ゲフンゲフン。セイバー・リリィに似て純粋な魂を持ち、セイバー適正を持つ貴女にその役目を任せます!!」

謎のヒロインXさんの言葉に私は素直に頷くことはできませんでした。しかし、謎のヒロインXさんは私の悩みを見抜くように頷きました。

 「フィルさん。貴女の悩みはわかります。貴女の世界の過労死重騎士ゼルギウスや親バカシアルフィ公国公子シグルド。果てにはクズ夢魔ニートが召喚士に冗談半分で渡したエクスカリバーを使いこなす修羅女王アイラ。特に修羅女王アイラでは半端な武器や鍛錬では追いつけません」

謎のヒロインXさんの言葉に私は俯いてしまいました。だってその言葉は事実でしたから。私にはその3人だけでなく他の剣士の方々にも勝つ予想ができませんでした。

そして謎のヒロインXさんはニヤリと笑って言葉を続けます。

 「ふ、ラッキーソードです」

そう言って謎のヒロインXさんは持っていた1本の剣を差し出してきました。その剣はアイラさんが持っている剣によく似ていました。

 「……いいのですか?」

 「ふ、構いません。私はまた英霊の座にいる私から盗ってくればいいですから」

『えいれいのざ』というのが何かは私にはわかりませんでしたが、私はその剣を受け取りました。

 「よろしい!! ならば行きなさいセイバースレイヤー見習いフィル!! FEH界のセイバーをスレイしなさい!! そして本当に困った時は合言葉で私を呼びなさい。その合言葉は『青こそ至高!! 他のセイバー死ね!!』です!! いいですね? それではまた会いましょう!! セイ、バー!!!!」

 

 

 

 

 「そこで私は目が覚めました。夢だと思ったのですが枕元にこの剣が置いてあって……あ、あれ? 召喚士さん、どうしました?」

 「いや、なんでもない」

あの腹ペコ騎士王アサシン。ついにこっちの世界に出てきやがった。しかもエクスカリバーをフィルに渡すおまけつきかよ。

 「そういえば謎のヒロインXさんは『剣士を殺すのに有効なスキルをつけてあげます』と言っていましたが……」

 「ちょっと待て。スキルもだと?」

 「はい」

フィルの言葉に整理整頓(リンが整理してくれた)していた英雄の資料からフィルの項目を見る。

そこのパッシブB欄には『剣殺し2』の項目が!!

そして手書きで『こいつはプレゼントです。え? 3まで欲しい? それは自力でどうにかしてください』という文字があった。あの女、絶対に許さんぞ。

 「それで召喚士さん。この剣はどうしましょうか? やはり出どころがわからない剣は使わない方がいいでしょうか?」

 「ちなみにフィル。それで宝具は撃てる?」

 「ほうぐ、ですか?」

 「アイラが撃つ光の魔法みたいなやつ」

 「いえ、撃てません。やっぱり私が未熟だからでしょうか……」

悔しそうなフィルを横目に俺は安心する。これ以上バグが増えては困る。

 「とりあえずその剣はカレルと同じ『無銘の一門の剣』ってことにしておく。それの扱いかたは……あ〜、うん。仕方ないよな。アイラに頼んで鍛えてもらうとしよう。あとで俺からアイラに伝えておくから、フィルはとりあえず体に不調がないか医者に診てもらってこい」

 「は、はい!! わかりました!!」

その嬉しそうな表情は尊敬する伯父と同じ名前の剣を持てることだと信じてる。

嬉しそうに剣を抱えて俺の部屋から出て行くフィルを見送り、俺は考える。

 「うん、どう考えてもあの女を野放しにするのはダメだな」

 「召喚士はいる?」

 「あぁ、リン。ちょうどいい」

俺が考えをまとめたところで『ヴァイス・ブレイブ自治領軍総司令官』のリンが部屋にやってきた。

 「うちのヴァイス・ブレイブに所属する星5レベル40に緊急招集をかけてくれ」

俺の言葉に少し驚いた表情をするリン。

 「ムスペルを滅ぼすつもり? それともアスク王国?」

 「その2つはこの世界において必要だから残す」

 「それじゃあどこを攻めるつもり?」

リンの言葉に俺は立ち上がりながら告げる。

 「人理継続保障機関・カルデア。そこにいるはずの『謎のヒロインX』を討伐する」

 




フィル
謎のヒロインXによってセイバースレイヤーに任命される。しかし、せっかくの剣殺しもHPと守備が高い相手には意味がない模様。頑張れフィル!! 明日のセイバースレイヤーは君だ!!

無銘の一門の剣
しかしフィルが使っているのは聖剣。ビームは撃てないので普通の剣である。

謎のヒロインX
いったい何トリア・ペントラゴンなんだ……


フィルの武器スキル『無銘の一門の剣』が追加され、試しに習得させて装備させてみたところ攻撃力が41まで上昇。それでも火力不足に悩んでいた作者に『逆に考えるんだ。ネタに走ればいいやと考えるんだ』という教えをジョースター卿が示してくれた結果、フィルちゃんにはセイバースレイヤーになってもらいました。ちなみに試していませんが相手がゼルギウスとかHP、攻撃力、守備が高い相手だと余裕でぶち殺される可能性があります。パッシブAと Cはまだ空欄。
え? 謎のヒロインXの出てきた意味? 剣士(セイバー)殺しなら彼女だろうと思った結果です。

ストーリーが追加されましたねぇ。トラキア組みが追加されましたが、作者はレーギャルンの戦いで書いた烈火メンバーでクリアしましたが、ウルスラさんは新ヤクザによく刺さってくれました。なんか特攻の威力上がりましたかね。相性不利の新オルエンもウルスラさんがぶっ殺してくれました。そして無料召喚でやってくる新ヤクザ。野郎はいらないから新オルエンが欲しかったんですがねぇ(新ヤクザはレベル40まで育成終了)。
それで? イシュタルはいつ実装されるんですか?

ちなみに『特務機関ヴァイス・ブレイブVS人理継続保障機関・カルデア〜謎のヒロインXを求めて〜』は反響があったら書きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブにフィヨルム慟哭す

感想にて『ストーリーでスリーズ死んじゃったけどどうするん?』的なことを言われたのでこうします。


当然のように独自設定です。


フィヨルムは複雑な気分でヴァイス・ブレイブ本拠地内にある自室へと向かう。複雑な気分というのも姉であるスリーズの死が原因であった。素直にスリーズが死んでしまったことを悲しめれば良かったのだが、スリーズが死んだ原因にあった。

ムスペルの王・スルトによって殺された。

これだけならば素直に母に続いて姉まで殺したスルトを仇敵とすればいいのだが、スルトに捕まった姉の原因が酷い。

 『シャロン王女に聞いた囚われたお姫様を助け出す王子様役を召喚士様にやっていただくためにスルトに捕まってきます。  スリーズ』

この書き置きを見つけてしまった時のフィヨルムの気持ちと、召喚士さんに伝えなきゃいけなかった時のフィヨルムの申し訳なさをあの狂信的な姉には考えていただきたい。

フィヨルムが置き手紙を召喚士に手渡すと、召喚士は酷く面倒そうな表情を浮かべて連れて行く仲間を招集していた。

召喚士が集めた英雄が全て同一世界出身(烈火組)だった。

この時点でフィヨルムの胃が痛み始めた。

そしてスリーズがご丁寧にも用意していた、囚われている場所(予定地)までの地図に従って進んでいくと、最終地点にて姉(無傷)にシンモラを突きつけているスルト(ズタボロ)がいた。2人の背後には重傷者を回復しているムスペル回復軍がいた。多分、言う事を聞かなかったムスペルに対して姉が暴れたのだろう。姉の思いつきに巻き込まれた形となったムスペル軍に対して申し訳ない気持ちと迷惑をかけたアスク王国とヴァイス・ブレイブ自治領の関係者への謝罪行脚を考えてポンポンが痛くなった。

スルト側の要求は『ヴァイス・ブレイブ自治領に繋がっている商人への税金の追加』。そこから召喚士とスルトの交渉が始まった。勝手に1人で盛り上がっている姉は見事に全員スルーである。

そして交渉が上手くいかないことに業を煮やしたスルトが『この条件を呑まなければニフルの第一王女には死んでもらう』と言って姉の首筋にシンモラを突きつける。流石に妹としての責務として(本心は別としても)姉を助けてくれるように召喚士に進言しようとしたら愚姉が発言した。

 『私に構わず撃ってください』

多分シャロン王女から聞いていたストーリーに似ていたのだろう。愚姉はとても嬉しそうだった。

だが、ここにいるのは物語に出てくる主人公体質な王子様ではなく、勝つために割と手段を選ばないクソ外道達である。

愚姉の発言の瞬間に召喚士は同行していたレベッカに合図を出すと、レベッカは見事な早撃ちと的確さで愚姉の眉間に矢を突き立てた。この時のレベッカの表情が普段と違い『剃刀の刃』のような鋭い目つきと、猛禽類のような眉毛が印象的だった。烈火メンバーが『ゴルゴモード』と言っていたのはなんだったのだろうか。

フィヨルムがそんな現実逃避をしている間に召喚士は話を進めていく。

 『ニフルの第一王女・スリーズはムスペル王国によって殺害された! ヴァイス・ブレイブ自治領はスリーズ王女を亡命者として受け入れ、ムスペル王国側に対してニフル王国の返還を求めてきた。しかし、ムスペル王国側はこれに対して交渉するどころか王女を殺害するという暴挙に出た。ヴァイス・ブレイブ自治領はこの行動に対して深い遺憾の異を示すと同時にムスペル王国に対して謝罪と賠償を要求する。これに対してムスペル王国側が適切な対応を取らなかった場合は経済制裁をする準備がある。ムスペル王国の誠実な対応を求めるところが大である』

なんかもう全てが酷かった。確かに愚姉の暴走は酷いがそれを利用してムスペル王国を冤罪で追い詰める召喚士も酷かった。

呆然とするムスペル側を無視して召喚士率いるヴァイス・ブレイブ軍(烈火メンバーのみ)は手慣れた様子で撤退していく。フィヨルムもロイドに担がれて戦場を(強制的に)離脱させられた。

ロイドは『悪』を嫌っていたはずなのにこの行動は『悪』ではないのかという疑問がフィヨルムに浮かんだが、すぐに消した。深く考えたら非常識になる。

そしてフィヨルムはヴァイス・ブレイブ自治領に戻って関係各所に愚姉の行動の謝罪巡りをした。

自治領主・アルフォンスは黙って胃薬を呑み。政治を担当しているルフ男とルフ子は既に報復のために動き出していたのか不在であった。

そしてフィヨルムは自室へと戻ってきた。

フィヨルムの部屋はスリーズと一緒であった。これも暴走する姉を止めるためのストッパーとして働くためだった。

姉の暴走を止めるために色々なところを駆けずり回り、その後は迷惑をかけた関係者に謝罪して回る日々であった。

 「あれ? もしかしてそう考えるとスリーズ姉様が亡くなられると楽になるのでは……?」

最近の戦闘は眼が赤く光っている暗黒皇帝・ハーディンの登場でフィヨルムの出番は少なくなり、仕事の大半は愚姉の尻拭いであった。

その考えに行き着くと、フィヨルムの気持ちは0.5%の複雑な気持ちと99.5%の爽快感に満ち足りた。

 「そうです。これで私の心労の原因がなくなったのですから、喜ばしいことでしょう。いえ、スリーズ姉様が亡くなったことは悲しいですが、ひょっとしたら仮面をつけて名前を変えて登場する可能性もありますし」

そう。あの愚姉だったら召喚士に対する狂信で普通に生き返ってきそうでもある。少なくてもそれまでは胃薬のお世話になる心配もないし、子供達の相手をして心を癒す時間も増えるのだ。いいことずくめではないか。

フィヨルムはそう考えながら自室の扉を開く。すると自室に見覚えのありすぎるピンクのロングヘアーを持った女性が優雅にティータイムを楽しんでいた。

 「あら、フィヨルム。遅かったですね」

 「復活速すぎますよスリーズ姉様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

フィヨルムの慟哭がヴァイス・ブレイブに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 「どういうことですか召喚士さん!!」

 「やぁ。ようこそ召喚士ハウスへ。このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ちついて欲しい。うん、『また独自設定』なんだ。済まない。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。でも、ここまでの作品を読んだとき、君はきっと言葉では言い表せない『作者の狂気と暴走』を感じてくれたと思う。この殺伐としたFEHの世界でそういう気持ちを忘れないで欲しい。そう思って今回の『独自設定』を考えたんだ」

俺は部屋に突撃してきたフィヨルムをバーテンの格好をしながら迎える。雰囲気を出すために自室もバー風に作り変え、バカ2人もバーに居そうな客の格好に着替えさせてお洒落なお酒を嗜んでいる。

完全に勢いを殺されたフィヨルムは一瞬だけ呆然としている。だから、最後に俺はこの言葉を続ける。

 「じゃあ、注文を聞こうか」

 「………ッハ!? な、なんで死んだはずのスリーズ姉様が復活しているんですか!?」

 「ダメだぜお嬢ちゃん。姉の復活っていうのは喜ばしい出来事じゃねぇか」

フィヨルムの言葉にカッコつけながら告げるヘクトル。そしてエリウッドもグラスを一度指で弾いて口を開く。

 「そこの男性のいう通りさ。家族が生きてたなら素直に喜ばなくちゃ」

どうやらヘクトルとエリウッドは『行きつけのバーで会う名前も知らない相手』という設定らしい。

 「いやいや! 普通に目の前で額に矢が額を貫通してましたから!! 明らかに即死でしたから!? それが部屋に戻ったら普通にティータイムですよ!? 明らかにおかしいでしょう!?」

どうやら俺たちの小遊びにも付き合えない様子のフィヨルムに対して俺たちもいつもの雰囲気に戻す。

 「そうは言ってもFEHのゲームモードが『カジュアル』だからなぁ」

 「……はい? げーむもーど? かじゅある?」

フィヨルムの言葉に俺は頷き返す。

 「そう、『カジュアル』。このモードだとステージで撃破されると、そのステージでは使用不可能になるけど次のステージでは復活する素晴らしいシステム。このシステムが昔からあったら多くのファイアーエムブレムプレイヤーを泣かせた『闘技場の罠』にかからずに済んだ。具体的な(作者の例)を上げると『リンとオズインとフィオーラの育成が終わり、一応主人公だからエリウッドも上げとくかと考えてエリウッドで闘技場に挑戦したらうっかり勝てない相手に挑戦してエリウッドが戦死して3人の育成時間が無駄になった』ような出来事のことを指す」

 「Hey! それはプレイヤーが長時間プレイによる判断力の低下やながら作業で引き起こされる事故だ!! 僕のせいじゃないぞ!!」

エリウッドの言う通り、闘技場を扱うときは適度な休憩を入れ、ながら作業は辞めよう!! 召喚士との約束だ!!

 「……え? ちょっと待ってください? それのせいで復活できたならお母様も復活できるのでは?」

 「残念ながらこのモードが使えるのは戦闘中だけなんだ。イベント展開でお亡くなりになった場合は復活できない。スリーズの場合は俺とスルトの会話を戦闘中の『議論戦闘』という扱いにすることによって、スリーズの死を『戦闘中』とした。これによって俺たちが戦闘を逃亡したことによって戦闘が終了し、次のステージに移ったという判定によってスリーズが復活したという訳だ」

 「………申し訳ありません。簡潔に言っていただくとどういうことでしょうか?」

フィヨルムの問いに俺たち3人は笑顔で告げる。

 「「「お姉さんのお世話は変わらずよろしく」」」

 「嫌ですぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」

フィヨルム魂の咆哮だった。

 「ようやく姉の暴走から解き放たれて一息つけると安心した瞬間に絶望に落とすんですか!? 1週間……いえ、3日でいいんで休暇を」

 「すいません、失礼します」

フィヨルムの言葉を遮るように入室してきたのは治安維持部隊のカチュア(バニー装備)だった。カチュアはフィヨルムの姿を確認すると安堵のため息を吐く。

 「よかった。総司令の言う通りこちらにいたんですね」

 「……カチュア様。もしかしなくてもスリーズ姉様のことですか」

カチュアの無言の首肯にフィヨルムはお腹を押さえて蹲る。だが、カチュアはフィヨルムに対して絶望を告げる。

 「スリーズさんが召喚士さんを愚弄したと判断した相手に対してガチ殺意を乗せた魔法を放っていましたのでこれを総司令が鎮圧。とりあえず牢獄に放り込みました」

 「……そ、そろそろ500回行ったのでは?」

 「残念ながらまだ100回も行ってません」

牢獄の常連であるスリーズ達が100回も行っていないのに、すでにリーチがかかっているエイリークストーカー2人の恐怖は言葉では言い表せない。

 「も、もうちょっとしたら迎えに行きますので……」

 「いつもなら待てるんですが今回は牢獄にスリーズさん、タクミさん、ギムレーさんが揃ったことでスリーズさんが『召喚士様が如何に素晴らしいか』で議論を吹っかけ、これに対してタクミさんが『幼女の無限の可能性について』で対抗し、ギムレーさんが『熟女や人妻の醸し出されるエロス』発言によって牢獄内でものすごく頭の悪い議論が展開されているので早く回収していただきたいんです」

カチュアの言葉でフィヨルムはとうとう吐血したのだった。

 




フィヨルム
姉に振り回される妹。解放されて喜んだ次の瞬間に絶望に叩き落とされた。

スリーズ
簡単に死なない狂信者。立川在住の聖人のように蘇ってもらおうかと思いましたが、それをやるとスリーズの『ニフル国教会』が強くなりすぎるので却下されました。

レベッカ
『ゴルゴ』の異名をとる凄腕スナイパー。これはレベッカの実装を待ち望んでいた作者の友人がFEHのレベッカを見て『レベッカをゴルゴにしやがった』という怒りの発言から本当にゴルゴになっていただきました。実装当日にうちのヴァイス・ブレイブにやってきたレベッカをスクショしてその友人に送ったところ『これはレベッカじゃなくてゴルゴだから』と返信がありました。現実を見ろ。

FEHのゲームモード
注意・この作品の独自設定です!! これを書いている時にFEHの配信前にリア友との
(作者)「これって死んだらキャラ消滅するかね?」
(リア友)「消滅したら課金製ブチギレだろ」
という会話を思い出しました。配信当日に最初からいた星3ヴィオールを実験的に殺して消滅しないか確認した作者。

闘技場の罠
数多くのFEプレイヤーを絶望に落とす罠。少なくとも作者の友人の全てがこの罠に一度はかかったことがある。まぁ、作者の友人にFEプレイヤーが少ないせいかもしれませんが。ちなみに本文中の出来事の後にプレイを再開するのに2日かかりました。作者的にしっこくハウス以上のトラウマです。


こんな感じでストーリーでお亡くなりになったスリーズさんは当然のように生き返ってもらいました。フィヨルムは絶望していい。
あ、本文中の『召喚士によるムスペル王国に対する難癖』は気にしてはいけません。ぶっちゃけ適当に考えたので穴だらけなので。

星4レベル40で止まっていたロイドに武器錬成が来たので星5に覚醒させてレベル40にしました。攻撃力が48もあって驚きました。そしてスキル継承を考えるついでに他の烈火英雄のスキルを確認していたらニノのスキルを見て驚愕。
パッシブAに魔防3、パッシブBが空欄。パッシブCに攻撃の鼓舞。
ニノのスキル継承が終わってない……!! 大天使ニノエルのスキル継承が終わってないとかパオラ神教信者として考えられない不敬なのでスキル継承のお時間です。クレインくん!! 鬼神の一撃3を大天使に献上するんだ!!

何気なくハーメルンで『ファイアーエムブレム』を検索したら烈火を題材にした軍師とリンカップリングの小説を発見。ちょっとヒマな時間を見つけて読んで見ようと思います。仕事が休みの時はリメイク銀英伝を見た後にBlu-rayの旧銀英伝を見たりスパロボXもクリアしなきゃいけないんですよねぇ(PS4版三国志13withPKをやりながらの発言)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ニニアン保育園新入生

ガチャって知ってるかい? 昔、ソシャゲ業界で粋に暴れまわったって言うぜ。今もガチャ業界は荒れ放題。油断したらあっという間に大爆死だ!!


今日の俺の部屋にはニニアンと新しく召喚された英雄がいる。新しく召喚された英雄はニニアンにお世話されながら美味しそうにルフ子の商業ルートで手に入ったお菓子を食べている。

俺はとある英雄達が部屋に来るのを待っている。俺の護衛役を務める現人女神・パオラ様にはその英雄達はスルーするように伝えてある。

そしてすぐに廊下を爆走して来る足音が2つ。そして壊さんがばかりの勢いで開かれた扉から入ってきた英雄が2人。

 「「召喚士!!/召喚士さん!!」」

うん、まぁ。今回のガチャで誰が来るかわかってたよね。そうなんだ。カムイ達の忠臣2人組なんだ。

 「まぁ、落ち着け2人とも」

 「これが落ち着いていられるか!? カンナ様だぞ!? カムイ様のご息女だぞ!?」

 「そうですよ召喚士さん!! 大丈夫です!! 既に倉庫から備蓄してあったオーブ25個は持ってきています!!」

 「オーブ25個って全部じゃねぇか。落ち着け2人とも。落ち着いて俺の部屋にいるニニアンの隣に座っている幼女を見ろ」

俺の言葉につられるように部屋の中を見るジョーカーとフェリシア。

視線の先にはニニアンに餌付けされているカンナ(幼女)の姿が!!

 「あぁぁぁぁ!!! 目がぁぁ!! 目がぁぁぁ!! あまりの神々しさに私の目がぁぁぁぁぁ!!!」

某大佐のように目を抑えながらのたうち回るジョーカー。忠誠心(鼻血)の泉に沈みながらサムズアップしているフェリシア。こいつらのカムイ達に対する忠誠心はなんなのだろうか。この2人を見た他世界の英雄は『ifの暗夜は洗脳をしているのではないか』という議論が起こった。というか俺とルフ男とルフ子で真面目に議論した。マークスに明確に否定されたが信用できない。

 「召喚士……」

ようやく落ち着いたのか、ジョーカーは床からゆっくりと立ち上がってきて口を開く。

 「今の瞬間だけお前を主と認めてやらんこともない」

 「私もですぅ!!」

 「お前らのカムイ達に対する忠誠心の高さはなんなの?」

ジョーカーはガチトーンだし、フェリシアも超笑顔だ。

だが、俺はそんな2人に真実を見せなければならない。

俺が手で合図を出すと、ニニアンは苦笑しながらカンナ(幼女)の頭を優しく撫でながら口を開く。

 「カンナちゃん。あの2人のことは知ってる?」

 「うう〜ん!! 知らな〜い!!」

カンナ(幼女)の言葉にカムイ達の忠臣達は体中の穴という穴から血を吹き出したのだった。

 

 

 「お2人は大丈夫でしょうか」

 「大丈夫だろ。看護室には既にカム男とカム子に行かせてるから」

 「カム男ってだれ〜?」

 「カンナちゃんのお父さんですよ」

 「お父さんいるの!? おとうさ〜ん!! カンナだよ〜!!!」

 

 

看護室で忠臣2人が目を覚ました時に見たのはカム男とカム子とカンナ(幼女)が戯れている姿だった。

結果、看護室が血の海に染まったのだった。

 




カンナ(幼女)
まさかの無料召喚で参上したニニアン保育園新入生。ちなみにあまり喋っていないのは召喚したばっかりのタイミングでこれを書いているので、FEHでのキャラを把握できていないからです。え? それでも容赦なく壊してきただろって? 知っていて壊すのと知らないで壊すのはちょっと違うでしょう。

ジョーカー&フェリシア
!!!!!!!!!!!!!(言葉にできない歓喜の叫び)

体中の穴という穴から血を吹き出す
三国志演義の呂蒙リスペクト。三国志演義は基本的に好きではありませんけど、突っ込みどころ満載な死に方は素敵だと思います。舌戦で負けて憤死とかね!!




そんな感じで無料召喚でカンナ(幼女)がログインしました。これは行けるんじゃないかと思って同時に出てきていた無色2つを回したら星3ジョーカーと星3フェリシアがやってきました。君らカムイのこと好きすぎない……?
とりあえず今やってる戦禍の連戦のボーナス星5フィンはもらったので、ニニアン先生を引率に舞踏祭アクア、舞踏祭オリヴィエを保護者にして超高速レベリングしてきます。
そうえいば『いふまんが』の作者さんのアクアさんを見て『俺の愛なんかまだまだやな』と思って残しておいたヘクトル(限定)の遠距離反撃をリン(ノーマル)にスキル継承させました。やったね! ゼルギウスさん!! 初めての休みだよ!!(今後ももらえるかは未定)
そしてストーリーでさらりと出てくるスズカゼ。これ以上カムイ忠臣を増やされると書くの大変なんやで……あ、サイラスは実装はよ!!


別進行でバンドリの短編を書き始めたので、こっちの更新は遅くなるかもしれません。ちなみにバンドリの方はこの作品のエリウッドみたいなのがいっぱい出ます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

FE英雄伝説外伝〜ガチャ迷宮〜

ソシャゲをやる奴は大きく3つに分けられる。課金する奴。課金しない奴。リセマラだけする奴の3つだ。あんたはどれだい?


 「今日も召喚の時間だ」

俺はいつも通りのバカ2人にゲンドウポーズを取りながら告げる。するとバカ2人は呆れた表情で俺を見てきた。

 「今回の伝承英雄がリンだって判明した時点で、リンにオーブは全部没収されただろ」

 「そうだよ。『今後出てくる強力な英雄のために取っておきなさい』って正座付きの説教を食らっていたじゃないか」

ヘクトルとエリウッドの言葉に俺は頷く。

 「その通り。そして抗弁した俺はリンのソール・カティで気絶させられてつきさっき起きたばかりだ」

リンがどんどん容赦がなくなってきている。あ、昔(烈火時代)からか。

 「そしてオーブは全部没収された上に、倉庫にはウルスラを筆頭にした烈火メンバーを置くことでオーブの奪取は不可能になった」

 「味方のはずなのに殺意高いよな」

ヘクトルの発言も割と今更である。

 「だからこうやって僕らは君の部屋で駄弁っているわけだけどね。爆死して吐血する召喚士の姿が見られないのは残念だけど、仕方ないよね。オーブがないんだから」

 「ふ、愚か者どもめ」

 「「なんだと、人間の屑」」

俺の嘲笑に即返してくるバカ2人。

 「お前達の知るアンナとはどんな人間だ?」

 「金にガメツイ強欲商人だな」

 「FEシリーズにDLCが出てきた時点でキャラは定まったよね」

ヘクトルとエリウッドの言葉に俺は力強く頷く。

 「そう。奴は金さえ持っていけばなんでも用意してくれる。まるでエリア88のマッコイ爺さんのような奴だ」

なぜFEHで斧をふるっているのか。お前はショップで課金兵からヘイトを集める役回りだろうに。

 「アンナがどうか……って、まさか?」

エリウッドは何かに気づいたかのように俺を驚愕の表情で見てきた。俺はそれに力強く頷く。

 「オーブがないなら買えばいいじゃない」

そう言いながらオーブの詰まった箱を取り出した。

 「こいつ……やりやがった……!!」

 「なんて恐ろしいことを……! それで召喚されるのはリンだよ!? それがどうなるかわかっているのか……!?」

本気で戦慄しているバカ2人に俺は言い放つ。

 「課金が怖くてガチャが引けるか!! さぁ、行くぞバカ2人!! 目指すは伝承英雄リンだ!!」

 「ヘクトル、何回舞踏祭アズールと仮装ヘンリーがブロックされるか賭けないかい?」

 「お、いいぜ」

 「おいバカ、やめろ」

 

 

 

 

 

俺は召喚室にてエリウッドと一緒に召喚を行う。

 「いやぁ、警戒態勢が高まってたね」

 「生贄(ヘクトル)がいなかったら即死だった」

召喚室にたどり着くまでに、自ら巡回警備を行っていたリンに捕捉され、追われることになったが尊い犠牲によって無事に辿り着いた。

 「とりあえず召喚士、扉の外のリンの怒号がやばいから早く召喚したほうがいいんじゃないかい?」

 「そうだな。いくら召喚室の扉が攻撃力70の英雄の一撃でも大丈夫でも、バフ付きのニノ砲、サーリャ砲、ティルテュ砲、雷旋の書の攻撃を同時に食らったら消し飛びそうだ」

 「……ねぇ、召喚士。正月のときのニノ砲×2であの威力だったわけだけど、今の状況だとそれが倍になってるけど」

エリウッドの言葉に俺はエリウッドを見る。エリウッドも頷いたので、2人で扉に耳をつける。

 『いいから放ちなさい、ニノ!!』

 『で、でもリンさん!! 流石にブレード4つはまずいと思うよ?』

 『大丈夫よ、ニノ。どうせあのゴミクズ2人は死なないわ!!』

リンとニノの会話の途中で扉から耳を離す。そしてエリウッドと2人で頷いた。

 「「早いところ召喚して逃げよう」」

親バカと意見が一致したところで召喚石版を起動である。

 「伝承英雄はピックアップ以外の星5が出ないからなぁ。すり抜けで崩れ落ちる召喚士を見れないのは残念だよ」

 「ロイ(総選挙)はクリスマスのすり抜けで来たことを忘れるなよ」

 「あれはすり抜けじゃないから」

エリウッドの言葉を無視しつつ、とりあえず緑のオーブを叩き込む。

石版から出る煙。浮かび上がるシルエット。踊り子のような服装の英雄。

 「僕はアズール。ダンサーは僕の夢だったんだ。この舞台で精一杯踊ってみせるよ」

 「「知ってた」」

 「あれ? 反応鈍くないかい? これでも貴重なバフ付き再行動要員なんだけど」

伝承英雄召喚において狙っている英雄と同色ピックアップのガードが働くのはFEHプレイヤー全員が通った道。

 「とりあえず部屋の隅に行っとけ、アズール。あ、外に出るなよ。下手しなくても死ぬから」

 「……待って。ちょっと待って。なんで召喚室の扉から半端じゃない轟音が鳴ってるの」

 「ルフ男あたりをダシにしてサーリャを焚きつけたのかな」

 「単純なティルテュを騙したのかもしれんな」

 「助けてお母さん!!」

軽く混乱を始めたアズールをエリウッドがデュランダルを叩きつけて黙らせる。

 「あ、緑がないね」

 「仕方ない。無色を一回だけ回して次に行くか」

とりあえず無色のオーブを召喚版に叩き込む。

溢れ出る煙。浮かび上がるシスターの格好をした英雄。

 「わたし、ジェニーっていうの。知らない人ばっかりで心細いな……優しくしてね?」

 「「もちろんです!!」」

いかん、つい父性ハートが刺激されてしまった。とりあえずこんな少女が召喚室という危険地帯にいるのは不味い。なので

 「マシュー」

 「はいよ。なんです召喚士殿?」

マシュー専用の召喚室と外を繋ぐ道(他の英雄が通ろうとすると死ぬ)からマシューが出てくる。当然のようにスタンバイしているあたりに烈火組からの俺の信頼の高さが伺える。

 「ジェニーちゃんを安全な場所まで連れて行ってあげろ」

 「へいへい。報酬はわかってますよね?」

 「レイラが実装されたら召喚してやるよ」

 「その約束忘れないでくださいよ」

マシューはそれだけ言い残して困惑するジェニーを連れて行った。

 「約束を守る気かい?」

 「とあるアニメに出てくる文部科学省学園艦教育局長は言いました。『口約束は約束ではないでしょう』と」

 「マシューもバッチリパント印の録音魔道具で録音していたようだけどね」

 「これだから盗賊ってやつは!!」

FEシリーズで宝箱開けたりするのに1人は育成しとかなきゃいけないからな!! そのくせに戦力になるのは少ないんだ!!

 「まぁ、盗賊が最前線で戦うのも問題あるでしょ」

 「まぁな。お、次は緑があるな」

エリウッドに返答しながら緑のオーブ召喚石版を叩きつける。

溢れ出る煙。倒れ伏しているシルエット。出て来たのは腹黒親バカによって気絶させられたアズールだった。

 「2人目かぁ」

 「召喚士のことだから凸らせることはないと思うけど、どうするんだい?」

エリウッドは気絶しているアズールを部屋の隅に投げ捨てながら聞いてくる。俺は再度召喚石版を起動させながら答える。

 「そうだなぁ。疾風の舞をニニアンに継承させるか。ニニアンも踊り子だしな」

そう言いながらも緑のオーブを召喚石版に叩き込む作業は止めない。

溢れ出る煙。浮かび上がる棺を担いだシルエット。

 「僕はヘンリー! 収穫祭おめでと〜! お菓子も欲しいけど、血も欲しいな〜! 敵にイタズラして奪ってきていい〜?」

 「憤死しそう」

 「やったね召喚士! リン以外は揃ったよ!!」

残りオーブも少なくなっている。この状況でリンが出なかったら魔法のカードの使用も辞さない。

 「それだけは辞めるんだ」

 「俺の思考を読むんじゃない、エリウッド」

 「とりあえず僕はどうしたらいい〜?」

 「部屋の隅に行ってろ」

 「アッハイ」

おやおや? 黒い任天堂と言われた『壊れた心の』二つ名らしくなく、恐怖心を持った表情で俺を見て来ているぞ?

 「召喚士、ほら次がもう出てるよ」

 「うん? あぁ、じゃあ行くか」

エリウッドの言葉で俺は緑のオーブを召喚石版に叩き込む。

溢れ出る煙。浮かび上がるシルエット。シルエットから撃ち出される一矢。その一矢は吸い込まれるようにエリウッドに叩き込まれ、エリウッドは呻き声を挙げることもなく意識を落とした。

 「フゥ、なるほど。エリウッドが俺の部屋で言っていた『どうなるかわかっているのか?』とはこういうことか」

まぁ、召喚されるのが新装備のリンなんだから、召喚したら新しい装備に身に纏ったリンが出てくるよな。

その証拠に疾弓ミュルグレを構えて素敵な笑顔を浮かべているリンがいる。部屋の隅でガタガタ震えているヘンリーを無視しながら俺は正座をする。

 「それで、召喚士? 言い訳はある?」

 「ガチャの課金は必要経費」

 「反省が足りないバカにお仕置きの疾弓ミュルグレ!!」

 




リン
まさかの伝承英雄でリンちゃん登場。烈火で伝承英雄は来る予想はしてましたが『リンはもう4人出てるから来ないだろ』と思っていた矢先の実装。5人揃ったことにより究極体リンちゃんとなった。きっとエクゾード・フレイムを撃てる


懸命な読者さんなら、新伝承英雄の紹介動画が発表された時点で作者が課金することは予想していたと思う。すまない、その通りなんだ。蓄えていたオーブが70個しかなかったから仕事の帰りにGoo○le playカードを買ってきて課金したんだ。残弾が50くらいになって『明日の帰りにも買わなきゃいけないのか……』と財布の心配をしていたら無事に召喚されました。FGOのガチャに慣れているとFEHのガチャが天国な気がして困る。
あ、2人目アズールはニニアンに疾風の舞を献上させました。うちのニニアン地味に3凸してるっていうね。そして伝承英雄リンの初期スキルが完成されてて困る。オーディンから月虹を没収させるだけで済むというね。え? パオラ神? ちょっとうちのパオラ神は下々の英雄に月虹と飛刃の紋章を授けてくださったので、残りが星3で4人しか残っていないんだ。


どうでもいい話ですがリメイク銀英伝を見てます。リメイクを見た後に昔のをBlu-ray BOXで見ていたんですが、つい先日本編全110話を見終わりました。やっぱり銀英伝はいい……学生時代に下校の電車の中で本に集中して乗り過ごしたのは司馬遼太郎の夏草の賦の長宗我部信親が死ぬシーンと、銀英伝のヤンの最期です。銀英に至っては何回読み直したかわからないレベル。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とティルテュ

久しぶりにガチャネタじゃない小説です。それとギムレーのキャラ崩壊が止まることを知りません。それでいいのかラスボス。


俺とエリウッドとヘクトルはリンに見張られながらヴァイス・ブレイブ本拠地内を歩く。

 「なぁ、リン。これだと詰所に連行されているみたいなんだが」

 「貴方たちが一緒にいるところを見たらテロの可能性を疑うのは当然だと思うけど?」

 「まったく、召喚士はともかくこの清く正しいフェレ侯爵に対して酷い言い草だね」

 「エリウッドの言う通りだな。召喚士のようなガチテロリストはともかく俺みたいな慕われ系名君オスティア侯爵に対して酷い不敬だぞ」

 「2人が今回の『聖戦の子』ガチャを引くためのオーブを盗む手伝いをした証拠はあるのだけれど?」

 「違うんだリン!! 僕らは脅されたんだ!!」

 「その通りだ!! 手伝わなければロイとリリーナを羽にすると脅されたんだ!!」

 「リン、これは俺の爆死を見て祝杯をあげる2人の写真なんだが」

 「「召喚士きさまぁぁぁぁ!!!!」」

速攻で俺を見捨てたバカ2人を道連れにする。ハハハ、死ねばもろともだ。

とりあえず『無許可での召喚室利用の罪』で俺たち3人は仲良く捕縛された。もちろんバカ2人を生贄にして逃亡を企てたが、考えた瞬間に俺の目の前にソール・カティを突きつけられて諦めることにした。

出会った時はお互いに見習いだったはずなのに……間違った方向に一人前になってしまったな、リン。

俺たち3人の護送を1人でやるという無理ゲーをリンがやるわけないので、即治安維持部隊の1人であるカチュア(バニー装備)を呼び出していた。

俺たち3人はなんとか他の2人に罪を擦りつけるべく努力をしながら護送されていると、その途中にティルテュと会話をしているギムレー(外見ルフ子)がいた。

それを見たリンの動きは早かった。素早い動きでギムレーに足払いをかけて地面に押し倒すとソール・カティを首筋に突きつけていた。

 「1432。変態確保」

 「あっれぇ!? まだ我は何もやってないよ!? いくら溢れ出すラスボスオーラがすごいからって会話しているだけで逮捕とか冤罪ですよ!! 弁護士!! 弁護士を呼んで!!」

会話内容にセクハラが多い変態ポンコツラスボスには相応しいと思うんだがな。

 「ちなみにティルテュ。どんな話をしていたんだ?」

俺の問いかけに能天気な性格なのに原作では結構暗い人生を歩むティルテュは首を傾げながら答える。

 「う〜ん。むずかしくてあたしはよくわからなかったけど。『ピーーー!!』『放送できないよ!!』『ズキューン!!』『検閲されました』『●●●●●』『削除されました』『だから放送できないって言ってるだろ、いい加減にしろ!!』って言ってた!! ねぇ、召喚士、これってどう言う意味?」

 「わからない方がいい言葉だな」

 「あ、待って!! お慈悲を!! お慈悲をください!!」

ストレートにセクハラをしていた。しかも知識がない相手にやるという悪質さだ。

 「それで、ギムレー。何を企んだんだ?」

 「企むなんて失礼なことを言わないで欲しいね!! ただ我は知識のない女の子が無邪気に卑猥な単語を連呼させたかっただけ……あ、刺さってる!! 刺さってるから!!」

割とガチ目にリンがギムレーにソール・カティを押し付け始めていた。

 「ここでは辞めとけよ、リン。血は掃除が大変だって怒られるんだからな。やるんだったら牢屋でやれよ」

 「それもそうね」

 「あ、待って!! 最後にこれだけ言わせて!!」

リンに連行されていくギムレーは最後にキメ顔で言い放った。

 「無知シチュって……いいよね」

 「反省の色なし。大制圧戦のインファナルに1人で挑戦の刑ね」

 「みんなぁ!! 我のことを忘れないでくれよなぁ!!」

最後まで最低だったギムレーはリンによって強制連行されて行った。そして残される俺とエリウッドとヘクトル。治安維持部隊のカチュア。そして未だに頭にクエスチョンマークを浮かべているティルテュだった。

リンという最大の壁がいなくなった。ならば今回の罪を有耶無耶にする最大のチャンスである。俺とエリウッドとヘクトルは視線だけで会話して同時に口を開いた。

 「「「ムッツリカチュア」」」

 「!? わ、わかっていませんけど!? あんな卑猥な単語わかりませんけど!?」

ティルテュが不思議そうに話していた時に顔を真っ赤にしている時点でわかっていると言っているようなものだと思う。だから俺たちは追撃を加える。

 「え〜? でもカチュアさん『ピーーー!!』の意味わかるんだろ?」

 「そうだよ。『ズキューン!!』の意味も知っているんでしょう? 卑猥な単語ってわかっているんだから」

 「そうだよなぁ。いやぁ『検閲されました』なんて単語は俺たちにもわからないからなぁ」

俺とエリウッドとヘクトルの三連撃に顔を真っ赤にしてしまうカチュア。そう、だからこれでトドメである。

 「「「ところでムッツリカチュアさん。『だから放送できないって言ってるだろ、いい加減にしろ!!』ってなんですか?」」」

俺たちの問いかけに顔を隠しながら走り去るカチュア。これで俺たちは自由の身である。俺たちは3人で顔を見合わせて爽やかな笑顔を浮かべてサムズアップ。リンとウルスラとフロリーナにバレたら即斬首というレベルのセクハラをしたが、捕まらなければいいのだ。

 「う〜んと、何かあったの?」

 「いや、特に何もないぞ」

 「あえて言うならティルテュさんのお陰で僕らが助かったってことかな」

 「そっか!! あたしが役に立てたならよかった!!」

 「「「お、おう」」」

ペカーと擬音がつきそうな明るい笑顔は属性・闇の俺たちにはよく効く。

とりあえず遠くからリンの怒声が聞こえたので、ティルテュを言いくるめてその場から逃亡する。

え? ティルテュを連れていく理由? 捕まった時の弁護人だよ。

ウルスラの騎馬とフロリーナのペガサスからもスネークしながら逃亡する。(ティルテュは何かの遊びだと思ったのか楽しそうだった)。そして安全と危険の境界線である国境付近でようやく落ち着く。

 「召喚士もエリウッドもヘクトルもすごいね!! どうやったらあんな風に人に見つからないように動けるようになるの?」

 「「「烈火時代、ヴァイス・ブレイブ……う、頭が」」」

俺たちが自分の身の安全を確保するための修行の日々を思い出して頭痛を抑えると、ティルテュがすごく心配してくれた。なにこの子、聖女なの?

 「エリウッド、ヘクトル。俺パオラ神教の第一号聖人にティルテュを任命するわ」

 「いいんじゃないかな」

 「俺たちの心配をしてくれるとか聖人しかありえないだろ」

 「?」

俺たちの会話が理解できていないのか不思議そうに首を傾げているティルテュ。

 「そういえば召喚士はティルテュさんのスキル継承は終わってたよね?」

 「まあな。スキルAに死線2を継承させてスキルBに安心と安定の攻め立てだ。その結果が攻撃力52のブレード装備となった。実験として舞踏祭アクアのバフつけてカレルにぶっ放したらカレルがヤムチャになったよ」

 「「さらばカレル」」

空に向かって敬礼するエリウッドとヘクトル。空に浮かぶカレルの幻影が俺たちに向けて中指を立てていた。

 「ねぇねぇ!! あたしも新しいスキルが欲しい!!」

聖人からのまさかのおねだりである。だが、現在いる星5レベル40青魔では最大攻撃力なのでメインに使われる可能性も高い(次点は49のリンダとミカヤ。それぞれ装備が共鳴オーラと重装騎馬特攻なので完全住み分け)から、強化することに否はない。

 「問題は何を継承させるかだな」

 「スキルCは青魔の経験3だっけ? 本格的に戦闘に出す時は速さの大紋章に付け替えるから、必要ないんじゃない?」

 「だったら奥義とかどうだ?」

 「ティルテュもパオラ様から月虹を授けてもらったからなぁ」

3人で考え込む。

 「う〜む、ティルテュは何か欲しいスキルとかあるか?」

答えがないなら本人に聞けばいいじゃないと言う訳でティルテュ本人に聞くと、本人は少し考えたがすぐに明るい笑顔で答えてくれた。

 「怒り!!」

 「うん、確かに原作だと持っていたけど、FEHで怒り3を持ってきてくれるのが今のところ星5ネフェニーだけなんだ」

そろそろ星4で誰か持ってきてくれてもいいのよ、運営さん。

 「ようやく見つけたわよ……」

そんな呑気な会話をしていたら、激おこインフェルノ状態のリンに発見された。その瞬間に俺たち3人は一斉に逃亡しようとしたがエリウッドはバフ付きセイニー、ヘクトルはバフ付きサーリャ砲(サーリャの攻撃力は48)の一撃で沈黙した。俺は2人を生贄にして自由への脱出を目指したが、崖を飛び降りた瞬間にお姫様キャッチをされた。

 「自由になれると思いましたか? 残念!! マークちゃんでした!!」

 「うん、割とマジで残念だよ」

 「あ、さては天才軍師の娘で絶世美少女マークちゃんに抱っこされて照れているんですね師匠!!」

 「いや、全然。むしろこれから俺の命が奪われると思うと照れじゃなくて恐怖が来るよ」

 「大丈夫です!! クマムシ並の生命力を持つ師匠ならどんな拷問もへっちゃらです!!」

 「あ、やっぱり拷問されるのは決定事項なのね」

そしてリンのところに連行されてバカ2人と一緒に簀巻きにされて地面に転がされる。

 「それで? セクハラに対する弁明は何かある?」

 「「「この2人がやりました」」」

当然のように自分以外に罪を擦るつける俺たち。呆れたようにため息を吐くリンの背後では困ったようにオロオロするミカヤ。協力の報酬としてルフ男の写真をサーリャに渡しているウルスラ。貫きの槍を研いでいるフロリーナがいる。奥さんの様子を見る限りでヘクトルは確実に死ぬことになるだろう。

 「ティルテュ、3人に何かされなかった?」

リンは俺たちに問い詰めても無駄と悟ったのか、矛先をティルテュに向けた。ティルテュは首を傾げたが、すぐに明るい笑顔になった。

 「3人でいろいろ教えてくれようとしたよ!!」

 「待ってティルテュ。今の話の流れでその言い方だと下ネタに受け取られかねない……あ、待ってリン。目にハイライト戻して!! スキル!! スキルのこと……あぁぁぁっぁぁぁ!!!!!」

リンによって惨殺される俺の隣ではヘクトルが貫きの槍で滅多刺しにされ、エリウッドはウルスラからエリウッドの知らないロイの隠された情報の存在をチラつかされて発狂しているのだった。

 




ティルテュ
能天気属オツム足りない系魔法少女(高火力)。こんな明るい子なのに原作のあの暗い末路はなんなん? この作品では能天気という原作設定にオツムが足りないという酷い設定をプラスされました。勘違いしないで欲しいのは作者はティルテュのこと好きですよ? 実装された時に出なくて憤死したら、その直後に星4落ちしてやってきた彼女を覚醒させるくらいに好きです。でもキャラは壊す。それが愛だから!! 本文中のスキル構成は作者のところのティルテュちゃんです。彼女に舞踏祭アクアで再行動かけると赤は死にます。『すご〜い!! あたしは赤を殺すのが得意なフレンズなんだね!!』

ギムレー
見た目はルフ子、中身は紳士なスーパー淑女。覚醒世界出身者は原作のギムレーに絶望し、このヴァイス・ブレイブでギムレーの本性を見てさらに絶望する。尚、本人は『キャラ作りする時間はいっぱいあったから』等と供述している模様。

カチュア
真面目キャラがムッツリって鉄板ですよね?

ティルテュちゃんによる放送禁止用語の連呼
さぁ、読者さんはどんなことをティルテュちゃんに言わせるつもりですか?


久しぶりにキャラネタでした。色々とネタはあっても書くヒマがないんですよねぇ。そして待ちに待ったイシュタル実装で、実装当日に持っていた140個のオーブを突っ込んで全部溶かした作者。課金はしませんよ。イシュタル様は恒常実装だから……(震え)
そしてカミラの武器追加!! 当然のように作者は貯めてたスキルポイントと雫を使って武器錬成まで済ませました。そして継承させていたニンジンの斧(武器錬成済み)に戻しました。

もうすぐ6月ですけど今回も花嫁ガチャ来るんですかねぇ。運営さん、花嫁ウルスラさんを待ってますよ! 冷酷な性格のくせしてウェンディングドレスに憧れていたとかいう超乙女ウルスラさんを見たいと思った読者さん。作者と似た思考回路になっているので正気に戻りましょう。ちなみに花嫁リリーナが実装されて間違って我がヴァイス・ブレイブに来た場合はヘクトルが発狂します。

あ、それとタグに色々追加しました。このさいタグにもネタを突っ込む方向で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大英雄戦ユリウス〜愛を取り戻せ!〜

いつも以上に駄文の上に、作者が聖戦とトラキアをプレイしたのは遥か昔なのでフリージ組の呼び方と口調が間違っている可能性が高いです。


え? 今更気にしない? そんなバカな……こんなに真面目な(ネタ)小説なのに……


 「今回は何の用事でしょうか?」

俺は最近このイカれたヴァイス・ブレイブにやって来てしまった雷神イシュタルを呼び出していた。

 「私とオルエンもお呼びされましたが、何の御用でしょうか」

FEH界のスーパーぶっ壊れキャラであるラインハルト。

 「イシュタル様のスキル習得のための修練の塔のことでしょうか?」

雷旋の書と鬼神の一撃を持って来たことで使い勝手がよくなったオルエン。

俺はこのフリージ組を部屋に呼び出していた。

 「幸い、叔母のおかげで魔道の腕は上がりました。ですが…その……私の知っている叔母と大分雰囲気が変わっていたことに驚きましたが……」

 「イシュタル様。こちらのティルテュ様が本当のご性格なのかもしれません。何よりティルテュ様が生き生きとしておられます」

イシュタルの困惑にフォローするオルエン。

 「オルエンの言う通りです。イシュタル様の母君を悪く言いたくはありませんが、ヒルダ様の子供狩りのやり方は酷いものがありました」

 「しかしラインハルト。母は残酷でしたが、私や兄には優しかったのです……」

ライハルトの言葉にイシュタルは悲しそうな表情に言う。

うん、悪いが我慢の限界である。

 「凡コメ乙!!!」

 「「「えぇぇぇ!!!」」」

俺が机をひっくり返しながら言い放つと、3人はとても驚いていた。だが、言わねばならないことは言うべきである。

 「なんだお前らの普通の主君と臣下のような会話は!! この作品でそんな無個性で生き残れると思っているのか!! 例えばイシュタル!!」

 「は、はい!!」

俺の言葉に座っている状態で背筋を伸ばすイシュタル。

 「持ってくる武器がトールハンマー(雷神の槌)を名乗るなら戦闘モーションは9億2400万メガワットの要塞主砲にしないか!!」

 「よしなさい召喚士!! それだと宇宙艦隊が消滅する威力になってFEだと余裕のオーバーキルよ!!」

俺の言葉に台所でお茶の準備をしていたリンからツッコミが入った。とりあえず机をラインハルトに協力してもらって元に戻し、リンが入れてくれたお茶を飲んで一息吐く。

 「いや、正直なところキャラ付けって大事だぞ? 君らクソ真面目すぎて他の世界出身者から絡みづらいと思われてるから」

俺の言葉にわりとショックを受けている3人。その発言の大半が烈火世界出身者なのは完全に余談である。特にヘクトルとエリウッドの2人は「あれはきっと自分達の本来の姿のはず」という寝言を言っている。お前らはきっとどこの世界でも頭のネジを飛ばしているよ。

 「し、しかし。どのようにきゃ……キャラ付けでしたか? どのようにやればそれが習得できるのでしょうか? 誰かから教えてもらえば良いのでしょうか?」

 「どうしようリン。イシュタルの真面目さが辛い」

 「召喚士とヘクトルとエリウッドは不真面目にステータス極振りだものね」

流石にヘクトルと同列に語られるのは遺憾である。さて、そこで俺は真面目さを発揮して『キャラの作り方』を指導できそうな英雄を探す。

まず烈火出身者は基本的に却下。確実にキチる。

ルフ男とルフ子・俺と同じ穴の貉なのでアルフォンスの胃がバーストする。

マークくんとマークちゃん・あれはちょっと世界が違う。

エイリーク・ラインハルトとオルエンがストーカーになるとリンの仕事が増えて俺に対する折檻が強烈になるので却下。

ミシェイルとif組・ラインハルトは原作からして超絶シスコンだから変化なし。

アイラ・これ以上修羅道に落ちる英雄が出るとヴァイス・ブレイブが世紀末になる。

ハーディン・完成品はニーナヲタ。

イシュタルの叔母であるティルテュ・残念ながらオツムの出来が違いすぎる。

カムイの忠臣達・ラインハルトとオルエンの2人的に1番参考になるかもしれないが、2人が普通に仲良しなので不可能。

ギムレー・論外。

 「おっと、キャラが立っているのは本当にろくなのがいないな。このヴァイス・ブレイブ」

 「挨拶に来るフレンドさんの英雄は確実にドン引きして帰るものね」

俺のこのヴァイス・ブレイブの現状に驚愕していると、リンが冷静に突っ込んできた。

 「できた!! ついにできたよ召喚士!!!」

そして呼んでもいないのに扉を元気よく開けて飛び込んで来る変態(ギムレー)。その手には何か冊子を持っている。普段だったら他の英雄がいる場合は頑張ってラスボスの威厳を保とうと必死になる小物臭が強いキャラのくせに、今日はそのキャラも放り投げている。とりあえずテンションがクソ高くてウザいので話を聞いてあげる。

 「何ができたんだ?」

 「ふふふ、よく聞いてくれたね!! この5日間完徹で作り上げたギムレー先生の最新作の『ウ=ス異本』さ!!」

驚くことにこの残念ラスボスはとうとう創作活動に手を出し始めた。

 「お前、前回の『クロム×ルフ男』本書いてクロムからファルシオンで三枚下ろしにされたの忘れたの?」

俺の言葉にヤレヤレだぜと言ったジェスチャーをするギムレー。

 「あれはルフ男の本だったからストーキングマスター・サーリャにバレたのが敗因だったよ。ああいうストーカーがついている人物をネタにするのは良くない」

その勢いのままに新しい本を俺に突き出してきた。

 「そこでカム子×カン男ですよ!!」

 ((なんでこいつは自分から死ににいくんだろう))

俺とリンの考えは一致したと確信を持って言える。カムイ達をネタにしたらifの王族は絶対に黙っていないし、何より忠臣達が確殺しに来るだろう。

俺とリンの『可哀想だけど明日にはお肉になっちゃうのね』という視線に気づかずにギムレーの口は止まらない。

 「一見するとこれはただのオネショタ本ですが、実は近親相姦も含んでいます!! そして最初のうちは母親のカム子がリードしていますが、子供であるカン男が少しづつ攻めに」

発言の途中で突然意識を失うように床に崩れ落ちるギムレー。背後には大制圧戦の後に気がついたらカムイ達に仕えていたイケメン忍者・スズカゼがいた。

俺たちの視線にスズカゼは一礼する。

 「召喚士さん、リンさん。それにイシュタルさん、ラインハルトさん、オルエンさん。ご歓談中に失礼しました。カムイ様達に不埒な欲望をぶつけている愚か者の気配を感じましたので」

 「別に大丈夫よ。それより治安維持部隊を呼びましょうか?」

リンの言葉にスズカゼはニコヤカに首をふった。

 「既にジョーカーさんとフェリシアさんが拷問……失礼いたしました。性格矯正のための機材をご用意しておりますのでご心配なく。それでは失礼いたします」

それだけ言い残してスズカゼはギムレーを担いで消えた。さて……

 「お前達のキャラ作りのことだが」

 「あの、召喚士殿……今のギムレー殿は……?」

 「お前は何も見ていないよ、ラインハルト」

 「いえ、しかしこの本は……」

ギムレーが残していった汚物を拾おうとしたオルエンを止めて、リンは無言で焼却処分。

 「あなた達は何も見てない。いいわね?」

 「「「アッハイ」」」

リンの念押しに普通に頷いてしまうフリージ組。きっとリンの威圧感に負けたんだろう。だって直接ぶつけられていない俺の震えが止まらないのだ。よせ!! 烈火時代を思い出すんじゃない!!

とりあえず俺は呼吸を整えて立ち上がる。

 「はい。とりあえず導入部はここまで。こっから本題です。ズバリ!! イシュタルのキャラ付けについて」

 「はぁ」

自分のことなのに反応がイマイチ鈍いイシュタル。だが俺は気にしない。相手のことを気にしていたら烈火世界で生き残れねぇから!!

 「今、大英雄戦でユリウスとの対決が行われています。そこでイシュタルのキャラは『愛する男を正面からぶちのめして正気に戻す!!』という少年漫画的展開で行きます!!」

 「あの少年漫画とはなんでしょうか?」

 「イシュタルの疑問は話が進まないのでスルーしますね。ちなみにラインハルトとオルエンお供で一緒についていってもらいます。つまりこれは『もしイシュタルが解放軍に降っていたら』というif展開です。これには原作ファンも思わずニッコリ」

 「つまりはイシュタルのキャラ付けが決まらなかったから『大英雄戦縛りプレイ小説』ってことよね」

 「事実を言っちゃダメだぞ、リン」

俺は話の超展開に全くついてこれていないフリージ組をリンと一緒に引きずりながら大英雄戦へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 「そんなわけでユリウスの大英雄戦縛りプレイ小説の時間だ。実況はこの俺『みんなの頼れるメイン盾!! でも魔法だけは勘弁な!!』のヘクトル」

 「解説は『星4の10凸じゃなくて星5覚醒させてデュランダルをください』のエリウッドでお送りするよ」

 「ぶっちゃけこの先は会話文オンリーなので読み流し推奨だぜ!!」

 「何せ作者の歴史シュミレーションゲームの基本思想は『相手より数を揃えてそこそこ優秀な前線指揮官を配置して、できることなら内通者を作って数で押しつぶす』という超脳筋思想だから戦術もクソもないからね。クリアするために参考にするんだったら素直に攻略サイトとか動画を見てね!!」

 「それじゃあとりあえず挑戦メンバーの紹介をするぞ。まずはイシュタル。縛りとしてはユリウスの止めはイシュタル限定だ。弱らせることはするけどな。お供にラインハルト(剣)とオルエン(緑)だな。ちなみにうちにダイムサンダオルエンはいないので綺麗に3色に別れてるな」

 「そして最後の1人は我がヴァイス・ブレイブの余裕で過労死枠第一位のバフ職人舞踏祭アクアだよ。彼女はうちの屋台骨。修練の塔はもちろん、スペシャルマップ、制圧戦、大英雄戦、闘技場、戦禍の連戦と大車輪の大活躍。ストーリーマップが僕らで固定されるまでストーリーマップにも出ていたまさしく主人公だね」

 「そんなメンバーでとりあえずハードからな。とりあえず敵の行動を開始させるために壁役ラインハルトに敵の行動範囲にバフ付けて放置」

 「ちなみに普段だったらこの釣り役はゼルギウスになるよ。今回はお休みがもらえてよかったね、ゼルギウス!!」

 「予定通りに敵が行動開始。消費スタミナがなくなってから細かい敵の行動範囲を調べなくなったよな」

 「死んだらやり直せばいいからね」

 「近寄ってきた緑斧をラインハルトが反撃殺害。次の剣も反撃殺害。そして青魔とユリウスの攻撃でラインハルトは瀕死になりながらも持ちこたえることに成功。こっちのターンだな」

 「ちょうどいい具合にユリウスがイシュタルの攻撃範囲に入っているね」

 「そんなわけでバフ付け職人舞踏祭アクアにバフ付けてもらってイシュタルがユリウスを攻撃するぞ。さて、威力はどれくらいになるか……」

 「まぁ、相性有利だし……」

 (いしゅたるのこうげき!! ゆりうすをたおした!!)

 「「……え?」」

 

 

 

 

 

 「難易度ハードでドラマチックなストーリーを作るのが間違いだったな」

 「とりあえずユリウスをぶち殺した後は普通に殲滅したよ。全員レベル40だから力押しでどうにかなったね」

 「さ、次はルナティックな」

 「作者は基本的にルナクリアで星4を1人手に入れたら大英雄戦を終了しているね。復刻ローローのインファをやったらクリアできずに憤死したね」

 「早速、ラインハルトが釣り出し業務だな」

 「……あれ? ヘクトル。さっきのハードでラインハルトは瀕死になってたよね」

 「ああ、なってたな」

 「それってラインハルト生き残れないんじゃない?」

 (てきのあおまのこうげき!! らいんはるとはしんでしまった!!)

 「「………」」

 

 

 

 

 「はい、再プレイな。消費スタミナは0だからサクサク行こう」

 「あ、この時点で3回目です。最初の釣り出しで上手くいかず死亡が連発しました。そして敵の攻撃範囲に入らなくても敵が動くことにようやく気づきました」

 「そんなわけで敵に攻撃されない位置で右側に味方を寄せてターン終了。ちょうどよくユリウスがイシュタルの攻撃範囲に入ったので実験として攻撃。もちろんバフ職人は仕事をしてるぜ」

 「さてさて、相性有利だからあるいは倒せるんじゃないのかな。そんなわけで上に表示される戦闘後のHP残量を調べましょう」

 (イシュタル 死亡 VS ユリウス 瀕死)

 「はい、倒し切れないな」

 「ユリウスの魔防を調べたら意外と高かったのも敗因だねぇ」

 「どう考えてもこの配置じゃ倒せないのであっさりと降参したな」

 「まぁ、トドメがイシュタル縛りなだけだから。ラインハルトで弱らせればいいだけだけだしね。消費スタミナは0だからさっさと次に行こうか」

 

 

 

 

 

 「お〜、またリセットだな」

 「もうすでにリセット回数は数えるのを辞めてま〜す。弱らせようと思ってラインハルトで攻撃したらユリウスの守備が低いせいか死にました。イシュタル止め縛りから反したためにリセット。そこからは地獄ですね。唯一のチェンジ可能枠の舞踏祭アクアを色々なキャラに変えてバフ付けたりデバフしたりするけど、イシュタルで倒せません」

 「いい加減俺たちも嫌になってきたな。さて、今回のメンバーは……」

 『ゼルギウス、ハーディン、ギムレー、舞踏祭アクア』

 「ついに作者がガチメンバーを投入したな」

 「ここに作者からの謝罪文があります。『自分程度の人間が縛りプレイとか無理だった』。作者は諦めましたね」

 「文字にしてるのは全部で5000字程度だが、かなり端折っているから挑戦回数はクソ多いぞ」

 「なんかネットの攻略情報見たらインファまで行けそうだったんで、そこまでクリアした後に余裕があったら再挑戦する方向です。ちなみにインファまで行くのは攻撃の防策3のわざマシンが欲しいからだそうです」

 「あ〜、終わり終わり。クッソくだらねぇ茶番だったな」

 「全くだね。せっかくロイとの時間を削ったのみ意味なかったよ」

 




イシュタル
待ってたよ雷神様!! 課金はしていませんが、星5確率が5%になってるのを見て『とりあえず星5が出るまで回すか』と思って残していたインファ連戦トライアルでオーブ掻き集めてぶん回した結果に召喚されました。最終確率は7%まで上昇しました。せっかく出たから頑張ってキャラ付けしようとしたけど思いつかず、『そうだ大英雄戦のユリウスをぶちのめして改心させる少年漫画系ヒロインにしよう』と思ったら余裕の失敗。結果的に不憫枠になりそうです。そして戦闘時の『せい!』の声に違和感を感じるのは作者だけでしょうか。

ラインハルト・オルエン
仲良し兄妹。こっちもクソ真面目キャラの印象を崩せず。フリージ組は本当に困るわぁ。ちなみに我がヴァイス・ブレイブではオルエンをナンパしようとした人物が突然のダイムサンダをされるらしいですが犯人はわかっていません。

ギムレー
ついに創作活動にも手を出し始めた原型をとどめていない系ラスボス。最近は白夜の某王女のおかげで薔薇もいけるそうになったとか。『我の煩悩は百八式では足りないぞ!!』

スズカゼ
(この文章は謎のイケメン忍者によって削除されました)

歴史シュミレーションゲームの基本思想
作者のやり方です。戦争は数だよ、兄貴!! たまに縛りプレイもするけど基本的にこれです。ちなみに通用しなかったのは信長の野望の上杉謙信。織田家でやっていて柴田勝家、明智光秀、羽柴秀吉、攻め潰して降伏させた武田家臣団を使って攻めさせたら一瞬で溶けました。これには温厚な信長様の逆鱗案件ですわ。




そんな感じでイシュタルでユリウス倒してルナクリアできたら『ユリウスを正気に戻すために全力のトールハンマーをぶち込む熱血系イシュタル』にしようと思っていたのにできませんでした。ヘタレプレイヤー作者が縛りプレイとか無理ですわ。倒せた時もありましたが、その時はイシュタルが死んだり、他のキャラが死んだりでクリアできませんでした。ガチメンバーに交代したら容赦なくユリウス達は虐殺される結果に。悲しい、事件だったね……


久しぶりにリクエストをいただきました。ありがとうございます!! 意訳すると『ストーリーの新キャラは三馬鹿はどう弄るん?』って感じですねぇ。作者もストーリーやっている時点でネタは思いつきましたが、この作品ではムスペルの方がマトモなので、新キャラは『粗暴属忠臣系将軍』になります。そして内容はシリアスとまでは言いませんが真面目です。大事なことなのでもう一度言います。『真面目』です。多分、書き始めたらネタ少なめになります。皆無にはならない。作者が死んじゃうから。そんなわけなので皆さんが読みたいようでしたら本格的に書きます。読みたい方はリクエストのところに『スルト様万歳!!』や感想の最初に『ジーク・キング・スルト』と書いてください。その量によってどうしようか考えますから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とユリウス

感想にて『イシュタル達が崩しずらいならユリウスを崩せばいいじゃない。全部ロプトウスって奴のせいにできるから』(超意訳)を頂きました。



その時、作者に衝撃が走る……!!


 「まぁ、ヴァイス・ブレイブの案内はこんなところか」

 「バーハラ城には劣るけど、なかなかいい城じゃないか」

俺は大英雄戦で意気揚々とフィヨルムに魔法を撃ち込んで見事に返り討ちにあった闇の皇子・ユリウスをヴァイス・ブレイブの案内している。ちなみに何故俺が案内しているかと言うとリンに「召喚士、ヒマね? ヒマよね? それじゃあ新入りの案内よろしくね」と言われて放り出されたのだ。

まぁ、暗躍も終わってあとはムスペルに止めを刺すだけなのでヒマなのは間違いなかったので案内役を黙って勤めている。

そしてたまには空気を読む俺はユリウスに対して好意を抱いているイシュタルを捕まえて一緒に連れている。イシュタルはチラチラとユリウスを見ているが、ユリウスは見事なまでにスルーしている。イシュタルみたいな美人を無視するとかユリウスはホモなのではないだろうか。

 「ところで召喚士、1ついいか?」

 「うん? なんだ?」

ケツの穴を隠しながら少しユリウスから距離をとりながら聞き返す。ユリウスは真剣な顔をしながら問いかけてくる。

 「中庭で君達の仲間が処刑されているけど?」

 「ああ、ヘクトルのことか。大丈夫だ、いつものことだから。うん? どうしたフロリーナ!! なに! 貫きの槍を武器錬成して欲しいだと! わかった!! スキルポイントが貯まったらな!!」

 「……なぁ、イシュタル。こいつら仲間のはずだな?」

 「はい……そのはずなんですが……」

ヘクトルの俺に対する恨み言と断末魔を聞いていたせいで2人の会話を聞き逃した。

 「召喚士!! みてみて!! ギムレー先生の最新作!!」

そんなことを言いながら『ウ=ス異本』を持って走ってくる同人作家ギムレー先生。しかし、その『ウ=ス異本』はグレイプニルされた。

 「ほわぁぁぁぁ!!! 我の渾身のエフラム×エイリーク本がぁぁぁぁ!!」

 「お前はなんで地雷を踏むかなぁ」

ort態勢になっているギムレーに俺は呆れる。ストーカー被害を受けている人間にストーカーをしている人間の相手をさせちゃいけないだろ。

 「いや、これは一見近親相姦にみせかけたレイープ本なんだけど……」

 「お前はどこまで業が深いの? まぁ、それはいいや。ところでギムレー。ここには俺以外の英雄がいるわけだが」

そこからのギムレーの動きは速かった。素早く立ち上がり黒のローブを整えて鏡で顔色をチェック。そして邪悪なオーラを起こしながら精一杯に強がる。

 「おや、新しい生贄ですか? 自己紹介しておきましょうか。我はギムレー。破滅と絶望の竜」

 「お前の小物臭半端ないな」

 「ふふふ、いけませんよ召喚士。ラスボスである我を小物と言ってわ。我はラ・ス・ボ・スですから!!」

強がりながら胸を張るギムレー。何故水着のルフ子は胸があるのに服を着ると胸がなくなるのだろうか。そこまで考えたところでグルンウルフが俺の頬を掠めたので考えることを辞める。

だが、そこでギムレーがやってきてから必死に顔を背けているユリウスに気づく。

 「どうかしたか? ユリウス」

 「い! いや、なんでもない、召喚士!! さぁ、次の場所に案内したまえ!!」

 「……あれ?」

ユリウスに気づいたギムレーが小物ラスボスオーラを消し去って訝しげにユリウスを見る。ユリウスは必死になって顔を背けている。

そして何かに気づいたギムレーは真剣な表情で口を開いた。

 「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」

 「合法ロリとか最高かよ!! は!?」

ギムレーの言葉に反応するユリウス。俺とイシュタルは超展開についていけない。だが、ラスボス組はこちらの反応を気にせずに言葉を続ける。

 「やっぱり貴様は『ロリショタ好きのロプトウス』!!」

 「「は?」」

ギムレーが某裁判ゲームのように指をユリウスに突きつけながら言い放つ。俺とイシュタルからは思わずといった感じで言葉が漏れた。

 「ク!! なぜ貴様がここにいる『S級変態エキスパートのギムレー』!!」

 「そんなの我がここに召喚されたからに決まっているだろう!! はは、新入りロプトウスだったのか!! おい、新入り!! 焼きそばパン買ってこいよ!! 3分以内な!!」

 「はぁぁぁぁぁ!? なに言ってるんですか!? シリーズ的にワシの方が圧倒的に先輩だから!!」

 「あははははは!!! でもFEHの参戦英雄を見る限り覚醒の方が人気高いのは決定的に明らかですから!! 何せ我もすでにルフ男とルフ子versionの両方いるから!! ノーマルのルフ男とルフ子も含めれば我だけでパーティ組めるから!!」

 「公式設定でなんで邪悪に、強大になったか設定されたかわからん奴が何を言うか」

 「それを言ったら戦争だろうがぁぁぁぁ!!!!」

ギムレーとユリウスがお互いの頬を引っ張り合う。2人ともラスボスのはずなのに見ている方は子供の喧嘩を見ている気分になってしまう。

 「というよりギムレー。ユリウスのこと知ってるのか?」

 「ユリウス? あぁ、ロプトウスの体の人のことか。それは知ってるよ。FEラスボス同盟だもの」

 「FEラスボス同盟」

 「ちなみに盟主はメディウスね」

 「盟主」

なんというかラスボスが同盟組んでるとか割と絶望だぞ。

 「あ、それより聖戦出身者から聞いたけどロリショタ狩りやったってマジ?」

 「はぁ!? 狩りじゃねぇし!! 保護だし!!」

 「ちょ、ちょっと待ってくださいユリウス様!!」

そこで会話を呆然としながら聞いていたイシュタルがカットインした。

 「あの、捕えた子供を殺しておいででしたよね?」

 「殺すなんて人聞きが悪いな。肉体と魂を切り離して人為的にエターナルロリショタを作ろうとしただけさ」

 「しっかりしろ、イシュタル!!」

爽やかな笑顔を浮かべながら最悪な発言をしたユリウスを見てイシュタルが倒れこむ。俺がそれをナイスキャッチするが、ラスボス2人は呑気に会話を続ける。

 「そのロリショタ好きどうにかならないの? イシュタルっていう美人でナイスバディの人がいるのに反応しないとか不能じゃないの?」

 「いや、ロリ時代イシュタルは好みだったんだけど、成長したら胸に脂肪が溜まってなぁ……ほら、ワシはロリ巨乳も認めないラスボスだからさ」

 「ガッフ!!」

 「イシュタルぅぅぅぅぅ!! それは致死量の吐血だ!! メディック!! メディィィィィィック!!!」

洒落にならない量の血を吐いたので、俺も慌てて衛生兵を呼ぶ。すると救援の行路で女神・パオラ様がワープしてきてくれたのでイシュタルを救急搬送していただいた。

そんな惨劇を無視してラスボス2人はお互いの性癖が歪んでいると叫び合っている。

 「ここにはチキ、ファ、ノノっていうエターナルロリータがチャイルドスモックでランドセル背負っているんだろ? 最高の場所じゃないか」

 「あ、ユリウスはニニアン保育園に半径1km以内に接近禁止な」

 「なぜ!?」

 「むしろ何故近づけると思ったのか」

俺の言葉にヒザから崩れ落ちるユリウス。それを煽っているギムレー。

 「ギムレーは女性英雄と会話したら逮捕案件になったから」

 「我が何をしたというんだ!?」

 「セクハラ行為」

 「セクハラなんかしてないよ!! ちょっと胸にタッチしたりお尻を触ったりしただけさ!! 体はルフ子なんだから女性同士のスキンシップさ!!」

ギムレーにグルンレイヴンが叩き込まれ、セシリアがギムレーを連行していった。また、ルフ子に迎えに行かせないとなぁ。

 「あら、新しい英雄の方でしょうか」

 「ひょっとしてフィヨルムさんが言っていた人かしら」

崩れ落ちているユリウスをどう処分しようか悩んでいたら新任保育士ニニアン先生と守備の城塞によって守備が47の鉄壁チキ(大人)のマダムマムクートがやってきた。

 「え? だれこのBBA」

俺が口を開く前にユリウスがチキ(大人)に対しての禁忌ワードを口にした。もちろんチキ(大人)に怒りの波動が満ちる。ニニアンが必死に宥めているが、まぁ無理だろう。

 「それに隣のマムクートも問題だね。明らかに行き遅れの気配を感じる。こいつ絶対に結婚できてないでしょ」

ユリウスが流れるようにニニアンの地雷を踏み抜いたので俺は窓から脱出する。その瞬間に光のブレス+(武器錬成済み)と雷のブレス+(武器錬成済み)の轟音とユリウスの断末魔がヴァイス・ブレイブに響き渡った。

 




ユリウス
ユリウスの皮を被ったロプトウス。原作の子供狩りを作者の超解釈によって『生粋のロリショタ好き』になりました。ちなみにユリウスの皮を被っている時の一人称は『私』でロプトウスの時は『ワシ』になります。

イシュタル
ユリウスの崩壊によって1番精神的被害を受けたお方。美人でナイスバディというバフをかけたら、想い人に対して致命的なデバフだった模様。どうでもいいですけどホーム画面でイシュタルをタッチした時に出る「襟が乱れています〜云々」を読んで「全く、私がいないとダメなんですから」という「世話焼き系奥様イシュタル」を想像した作者は末期かもしれません。

ニニアン
烈火の世界で「竜が人と結婚していいのか」という自問自答をしている間に結婚できずに未婚となってしまった模様。そのためニニアンに対して「行き遅れ」等の婚期を逃している言葉を吐くとアイラを凌駕する存在になる。



前書きの通りに感想でいただいた助言を受けた結果、闇の皇子がとても残念になりました。でもほら!! これはユリウスじゃなくてロプトウスだから!! しかしそのせいでFEシリーズでも好きなキャラな部類に入るイシュタルを不幸になってしまった。許さんぞロプトウス。しかし、不憫だからこそイシュタルの魅力も引き立つような気持ちになる作者のジレンマ。ちなみにこの話を書いている内に元々高かったイシュタルの好感度が爆上がりしました。でもきっと幸せにはなれない。許せ。あ、イシュタルがユリウスの子供を身籠っていた設定とかこの作品ではありえないんで。だってここのユリウスは『真性ロリショタ好き』ですから
ニニアンの設定は今回書いている内に思いつきました。きっと子供ができなかったからロリマムクート達の世話を焼くのでしょう。

さて、ムスペル王国新キャラ話ですがリクエストをくださった方が速攻でスルトに忠誠を誓ったので、書こうと思います。でもマジメな話だけ書くとか作者の心がブロークンマグナムするので、同時に『このヴァイス・ブレイブに所属する英雄による女子会』を書こうと思います。誰が出るから決まっていませんがリンちゃんとウルスラさんは悪しき烈火面として参加決定。ギムレー? あれは女性英雄接近禁止令出たから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と英雄の日常外伝〜忠義の猛将・ヘルビンディ〜

注意です。この一話丸ごと真面目です。ネタ性が全くありません。いつもの雰囲気をお求めの方は読み飛ばし推奨します。



もう一度書いておきます。『真面目』です。


ヘルビンディは怪我人ばかりの砦内を部下に指示を出しながら移動し続ける。

ヘルビンディに脳内にあるのはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領軍に大敗したという現実。相手の兵数は7000。それに対してヘルビンディにつけられていたのはたったの1500だ。普段のヘルビンディだったら部下達と共に出撃して兵力差なんぞ無視して粉砕しているところだが、それをするには相手が強力すぎた。

相手はヘルビンディが敬愛する主君であるムスペル王国国王・スルトすらも翻弄する策士が率いる部隊だ。ヘルビンディは短気ではあるが無能ではない。だから籠城の準備も整え、迎撃する準備もしっかりとした。

だが、ヴァイス・ブレイブ自治領軍はヘルビンディなんぞ眼中にないかのようにムスペル王国に向けて進軍をし続けた。ヘルビンディは罠だとわかっていた。しかし、本国では迎撃準備が整っていない。そして部下達は眼中にないという相手の反応に怒りを覚えた。

だからヘルビンディは籠城の予定だったのを変更し、ヴァイス・ブレイブ自治領軍の後背を突くように出撃して奇襲を仕掛けた。

だが、それも相手の掌の内だった。

ヘルビンディ達が平原で見たのはヘルビンディ軍を完全な布陣で迎撃しようとするヴァイス・ブレイブ自治領軍であった。

ヘルビンディはすぐさま撤退を開始したが手遅れであった。騎馬隊の追撃を受け、飛行部隊に襲撃を繰り返された結果、砦に戻れたのはたったの500だ。他は討ち取られたのか降伏したのかはわからない。だが、わかっているのはこの砦はもう落ちるという現実だった。

ヘルビンディは会議室に入る。中にはすでに指揮官達が集まっている。出撃前には10人程度居たのも今はたったの3人だ。ヘルビンディは上座に座りながら結論だけ言う。

 「この砦は放棄する」

ヘルビンディの言葉に反論しようとする部下をヘルビンディは手で押さえながら言葉を続ける。

 「お前らもわかってんだろ。この兵数……しかもほとんどが怪我人だ。戦えるわけがねぇ。だからテメェらは怪我人と若いのを連れて本国に戻れ」

 「な!? お待ちください!! それでしたらヘルビンディ将軍は如何なさるのですか!!」

部下の1人の言葉にヘルビンディは口を開く。

 「テメェらを逃すために殿が必要だ。俺がそれをやる」

ヘルビンディの言葉に会議室内はシンと静かになる。

 「陛下は今、1人でも多くの兵士が必要だ。だからテメェらは1人でも多くの兵士を本国に連れて帰れ。幸いなことにヴァイス・ブレイブの連中は圧力をかけるために進軍速度は緩やかだ。この間に兵士達を纏めて撤退しろ。これは命令だ。さっさと準備をしろ」

ヘルビンディの言葉に部下達は敬礼をしながら部屋から出て行く。ヘルビンディはそれを見送るとスルト王から直々に下賜された戦斧・ビューレイストを撫でる。

ヘルビンディはゴロツキだった。生きるために弱いやつから奪い。妹と一緒に今を生き残る。それしかできない男だった。それが一転したのはスルト王の側近のオッサンに叩きのめされたからだ。そのオッサンはヘルビンディの強さを認め、妹と一緒に後見人となってくれた。それだけでなく、ヘルビンディに対して戦闘とはなんなのかを教えてくれた人だった。

そしてそのオッサンに連れられてスルト王に出会った時、ヘルビンディは仕えるべき主人を見つけた。

 『この人のために戦って、この人のために死のう』

ただ、それだけを思い。ムスペル王国の戦いでは常に先陣を切って戦い続けた。しかし、ニフル王国の王女がヴァイス・ブレイブに保護されたことにより全てが狂った。連中は戦場で武を競うのではなく、戦場の外で勝敗を決してしまう連中だった。そんな相手は武を尊ぶムスペル王国とは恐ろしく相性が悪い。その証拠でムスペルの国王であるスルトもヴァイス・ブレイブの召喚士達に翻弄されている。そして奪っていたニフル王国の大半は奪い返されていた。それの大半が謀略によってだ。

 「俺はここで死ぬか」

会議室に1人残っていたヘルビンディの呟きを聞いている人物はいない。ヘルビンディの心残りとしては妹のことであったが、スルト王ならば無碍にはしないという確信がある。だからヘルビンディは死ぬことに恐れはない。

ヘルビンディの目的はただ1つ。ヴァイス・ブレイブの中心人物である召喚士の首を落とす。成功する確率は恐ろしく低いし、成功してもヘルビンディの命は無くなるだろう。

だが、それでいい。奴さえいなくなればスルト王はなんらかの対抗手段を講じるだろう。例え自分が死んでもそれがスルト王のためになるならむしろ率先して死んでやろう。歪んでいるかもしれないが、それがゴロツキから将軍にまで引き上げてくれたスルト王に対する恩返しだ。

周囲に索敵に出ていた兵士からこの砦がヴァイス・ブレイブ自治領軍に包囲を開始されているのを聞き、負傷者達の脱出することを優先させる命令を出してビューレイストを担ぎながら砦内を歩く。

 「ヘルビンディ将軍!!」

 「あん……テメェは確か……あぁ、新人だったな。何の用だ?」

さきの前哨戦で大怪我を負った新人騎士。腕も良いし度胸も良い。きっと将来はムスペルを代表する将軍となるだろう。

 「私を……この砦に残してください!! 最後まで戦わせてください!!」

新人騎士の言葉にヘルビンディは思わず笑ってしまう。ここに残るということは死ぬということだ。

 「おい、テメェはいくつだった?」

 「は? ね、年齢ですか? 15歳ですか……」

新人騎士の言葉にヘルビンディはニヤリと笑う。

 「残念だったな。ここに残れるのは最低でも20歳になってからだ。テメェみたいなオシメも取れていない奴はさっさと本国に帰りな」

スルト王に必要なのは優秀な指揮官だ。だが、ヴァイス・ブレイブの度重なる襲撃によって優秀な指揮官は軒並み戦死している。だからこそ若手の新人騎士は本国に戻ってスルト王の下で戦って欲しい。

新人騎士は悔しそうな表情をしながら俯く。国の現状を理解し、自分がすべきことがわかっているのだろう。こいつはきっとムスペルにとって有用な人材となる。そのことにヘルビンディはどこか安堵しながら立ち去る。しかし、新人騎士の言葉に再び足が止まる。

 「ならば……!! ならばせめてヘルビンディ将軍の形見を預けていただけませんか!! 必ずや陛下とヘルビンディ将軍の妹ぎみにお届けいたします!!」

新人騎士の言葉にヘルビンディは少し考える。元々ヘルビンディは物事に執着しない人間だ。だから形見と言っても渡せるのは愛用のビューレイストだけだが、これを渡してしまえば最後の足掻きもできなくなってしまう。だからヘルビンディは最後に言い放つ。

 「わかった。形見をくれてやる。形見はテメェの命だ。だから絶対に陛下にお目にかかれ。死ぬなよ。いいな」

ヘルビンディはそれだけ言い残すとその場から立ち去る。背後から新人騎士の嗚咽も聞こえるがそれは無視する。

ヘルビンディが砦の中を歩いている。しかし、そこに最早人は残っていない。おそらくは部下達が素早く怪我人を纏めて撤退したのだろう。ヘルビンディはビューレイストを担ぎながら門へとやってくる。そこには50人程度の兵士達が笑いながら待っていた。どいつここいつもヘルビンディの下で長く戦い続けた連中だ。それを見てヘルビンディは呆れたようにため息を吐いた。

 「どいつもこいつも見覚えのある奴ばっかり残りやがって。俺の部隊はバカばっかりか」

 「仕方ないでしょうな。何せヘルビンディ将軍の下で長かったですから」

 「あ? テメェ、間接的に俺をバカだと言ってんのか?」

 「おかしいですな。私は直接的にバカだと言っているつもりですが」

ヘルビンディの副官の男の言葉に部下達から笑い声が出る。ヘルビンディはこれから死にに行くのに笑っている部下達をみて呆れてしまう。

だが、仕方ないだろう。ヘルビンディと長く戦ってきた連中だ。みんなヘルビンディと同じくらいのムスペルへの忠誠心を持っている。

ヘルビンディは笑い続ける部下の1人を殴り飛ばし、ビューレイストを担いで城門へと歩く。ヘルビンディは背後から残った部下48人全員がついてきている気配を感じる。

 (やれやれ。本国には1人でも多くの兵士が必要だってのに……あの世での最初の仕事はオッサンからの説教かよ)

ヘルビンディは拾ってくれた恩人であり、スルトの側近だった男の顰めっ面を思い出して苦笑する。

 「……まぁ、またあのオッサンの顔が見れるなら説教も甘んじて受け入れるか」

ヘルビンディは呟きながら自ら城門を開く。

砦の外にはヴァイス・ブレイブ軍が広がっていた。最前衛は歩兵が槍衾を作っており、その後ろに魔道士部隊が控えている。

「チッ! ヴァイス・ブレイブの連中は相変わらずの布陣かよ」

 「槍衾で足を止めたところに魔法と弓のオンパレード。芸はありませんが、これを我らが一度も突破できていないのも事実ですからなぁ」

副官が斧を肩に担ぎながらヘルビンディの呟きに反応してくる。

 「んなことはわかってるよ。おい、召喚士はどこにいる?」

 「さて……いつもだったら高い指揮台に登って全体を見渡しているはず……あぁ、いましたな」

副官が指を指した先には指揮台に立っている白いフードを被った男がいる。間違いなくムスペルを苦しめる元凶だろう。

ムスペルを苦しめる元凶がいる。スルトを愚弄する愚者がいる。そしてヘルビンディの恩人であるオッサンを殺した仇敵がいる。

その事実にヘルビンディの体が怒りで震える。

 「総員傾注!!」

ヘルビンディの言葉に部下達全員が武器を構える。

 「我らが狙うは怨敵・召喚士の首ただ1つ!! 我らの行く手を阻むものは殺せ!! いいか!! 召喚士を殺せば俺たちの勝ちだ!!」

ヘルビンディの檄に部下全員が鬨の声をあげる。

 「突撃!!」

ヘルビンディは言葉と共に走り出す。部下達もついてくる。牽制目的の魔法が飛んでくるが致命傷になる以外の魔法は無視してつき進む。

そしてすぐにヴァイス・ブレイブ軍の槍衾へと辿り着いた。ヘルビンディが見たのは恐怖で顔が歪んでいる兵士の顔だ。その表情を見てヘルビンディの怒りがさらに増す。

 「死ぬ覚悟もねぇ奴が戦場に出てくるんじゃねぇ!!」

その言葉と共にビューレイストを一閃させて槍衾を叩き壊す。ヘルビンディが作った綻びを部下達がすぐさま広げにかかる。ヴァイス・ブレイブの下級指揮官が戦線を立て直そうとしているが、ヘルビンディはすぐにその指揮官にビューレイストを叩きつけて殺す。

そして混乱するヴァイス・ブレイブ第一陣を走り抜ける。

 「損害!!」

 「12!!」

ヘルビンディの言葉にすぐさま副官が答えてくる。12人が第一陣で死んだ。防衛陣が何個あるかはわからないが、召喚士のところまでに全滅する可能性も出てきた。

そしてそれをヘルビンディは4回繰り返したところでようやく召喚士の指揮台に辿り着く。

 「損害!!」

ヘルビンディの言葉に返してくる言葉はない。いつもなら不敵な顔を浮かべながら報告してくる副官の声もない。

ヘルビンディが周囲を見渡すと部下は1人も残っていなかった。そして召喚士を守るように弓兵達がいる。

 「あぁ、クッソ。そういうことか。ここまで全部テメェの思い通りってことかよ」

ここでヘルビンディは召喚士の狙いに気づく。つまり最初から前線の槍衾はヘルビンディを殺すためではなく、ヘルビンディの部下を殺し、ヘルビンディを弱らせることが狙いだったのだろう。

指揮台に登っている召喚士を見る。近づいたにも関わらずにフードのせいで表情は見えない。だが、召喚士が片手を挙げると弓兵達が弓を引き絞る。狙いはヘルビンディただ1人。その現実にヘルビンディは笑いが出る。

 「この俺を1人殺すのに随分と豪勢なことじゃねぇか!? えぇ!? 召喚士様よぉ!!」

ヘルビンディの言葉に召喚士は何も返さない。ただ黙っている。

 「ムスペル王国将軍・ヘルビンディ!! 享年、25!!」

ビューレイストを構えてヘルビンディは突撃する。それと同時に召喚士の手が振り下ろされて弓兵達の一斉射撃がヘルビンディに集中する。

体中に矢が突き刺さるのを自覚しながらヘルビンディは走り続ける。まだ遠い。まだ届かない。

第二射が飛んでくる。ヘルビンディは心臓に矢が突き刺さったことを自覚しながらも歩みを止めない。

そしてようやく届く距離になった。

 「くたばれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

血を吐きながら叫びながら、主君から貰ってから愛用し続けたビューレイストを召喚士に向かって投擲する。

 「カッハ。ザマァみやがれってんだ」

ヘルビンディが投擲したビューレイストは召喚士に直撃し、召喚士の顔を隠していたフードがビューレイストによって押しつぶされている。

それを見届けてヘルビンディは仰向けに倒れこむ。もはや指を動かす体力も残っていない。

 「……メニ…ヤ……」

ヘルビンディはその言葉を残して意識を失くしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 「お〜お〜、見事に混乱してんな」

 「そりゃあ召喚士が殺されたんだから混乱もするだろうね」

ヘクトルの言葉にエリウッドが軽く返す。それは総大将が殺されたとは思えないくらいに落ち着いた会話だった。

 「それで? どうするんだ?」

ヘクトルが声をかけたのは1人の魔道士だった。話しかけられた魔道士は当然のように口を開く。

 「別にどうもせんよ。これで厄介なムスペルの敵将は殺し尽くした。補給線を脅かしそうな砦も落とした。あとはムスペルを滅ぼすだけだ」

それは魔道士の格好をした召喚士であった。単純なことであるヘルビンディが召喚士だと思っていたのは影武者で、本物は第一陣の魔道士部隊に紛れ込んで何かあった時のために待機していただけだ。

 「僕らが聞きたいのはそっちじゃなくて。ヴァイス・ブレイブとニフルの連合軍の混乱をどうするかってことだよ。この混乱じゃあ進軍するのは無理だよ?」

 「最初から今回の出兵はこの砦を落とすためだけの出兵だ。ムスペルを本格的に滅ぼすつもりだったら本命の軍を持ってくる」

 「ま、お前だったらそうだろうな。それじゃあこの連合軍は放置すんのか? 召喚士が死んだっていう噂が広がるのはまずいんじゃねぇか?」

 「そっちの方がやりやすくなるっていいさ」

召喚士はそれだけ告げて混乱を続ける連合軍の陣営から歩き去る。それを通常のアーマーナイトの鎧を着たヘクトルが呼び止める。

 「おいおい、どこに行くんだ?」

 「戻るんだよ。ここを落としたことで新しい情報網が必要になる。それを作り直す必要がある」

次に口を開いたのは通常のソシアルナイトの鎧を着たエリウッドであった。

 「兵士達はどうするんだい? この状況だと敵に攻撃されたら全滅するよ?」

 「この連合軍を率いているのはフィヨルムだ。フィヨルムが混乱を沈められれば良しとするさ」

 「できなかったらどうするんだい?」

エリウッドの言葉に召喚士はエリウッドとヘクトルの方を向いて、口角を少し上げる。

 「ニフルの復興が永遠になくなるだけだ」

 




ヘルビンディ
ムスペルが誇る若手将軍。スルトに対する忠誠心も高い。せっかくなので『レーギャルンの戦い』で作ったオリキャラに貧民街から拾われたというこの作品の特別設定。物語の展開上殺してしまったので、本編で復活したらどうしようと思っている作者がいます。

形見はテメェの命だ
元ネタ:アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト(銀河英雄伝説)

召喚士が今回とった戦術
7000で1500が篭る砦と正面切って戦いたくないので徳川さん家の家康くんを釣り出した武田晴信くんの方法と、砦内に潜り込んでいた間者を使って情報をばら撒いて野戦に引き摺り出してムスペルの前線指揮官と兵士達を中心に丁寧に潰す。ゆっくりと進軍しながら心理的圧迫。出撃してきたヘルビンディ達を多重陣で迎え撃って少しずつ戦力を削ぐ。最後は弓の一斉掃射で止め。これで死ななかった場合は一般兵士に紛れ込ませていた英雄達を使ってヘルビンディを速やかに刺殺する予定だった。もちろん最後の悪あがきを警戒して影武者を用意しておく徹底ぶりである。



こんな感じで今回は最初から最後までクソ真面目な話にしてみました。この作品を真面目に書くと違和感が半端ないです。せっかくの真面目話だったので、設定だけ作って遠い棚に放り投げていた召喚士の性格や心情を無駄に長生きしているギムレーに暴かせるという話も書きましたが、シリアス一辺倒。そして召喚士とギムレーが『真面目』というこの作品1番のキャラ崩壊を起こしたので削除しました。最後の三馬鹿のやりとりはせめてもの名残。それでも召喚士の隠し設定が全く出ていませんが。
それぞれの動員兵数は適当です。本当は国力とかから算出したかったのですが、情報がないのと時間がないので適当になりました。連合軍が多いのは金と情報操作の結果です。
そういえばストーリーでニフルの第三王女が出てきましたね。ストーリーの展開上で唯一の肉親を見たフィヨルムは仕方ないとしても、アルフォンスくんとシャロンちゃんは少し疑った方がいい。幼女が無傷で『頑張って逃げてきたの!!』じゃねぇだろ。ちなみに『ユルグちゃんだと思った? 残念!! ロキちゃんでした!!』という見え透いた展開になるとロキは目出度く不幸になる。そして本物だった場合この作品でムスペルをかなり持ち上げてしまった作者の心に大ダメージとなる。


ちなみに現在のムスペルとヴァイス・ブレイブの現状
・ムスペルはニフルを放棄して本国に撤退
・ルフ子によってムスペルの物流は完全停止。ルフ男によって文官の調略も進行。召喚士によって情報はヴァイス・ブレイブの独占状態。
・三軍師はそれぞれが死んでも問題ないような組織作りは完了
・ルフ子の物流操作と召喚士の暗躍によってムスペル国民のスルトに対する感情操作
・ムスペルの将軍の8割が召喚士に狙い撃ちにされてお亡くなり
・ムスペルの頼みの綱である軍も物資不足により時が経つと共に士気低下
・アスク王国とムスペル王国の外交交渉も間にルフ男がいるので不可能
・ニフル国民の反ムスペル感情高し(主に召喚士のせい)
・アスク王国の反ヴァイス・ブレイブ派は召喚士によって監視されています
・ヴァイス・ブレイブの不穏分子はジョーカー(しかしカムイ達のイエスマン)
・ムスペルの不穏分子はロキ(きっと誰からも信用されていない)
こんな感じですかねぇ。作者はできる限りムスペルの生き残る方法を潰したつもりです。他にもいくつか思いついていたはずですが、これを書いている時に忘れていたので断念。
さぁ!! 訓練されたエムブレマー達よ!! この絶望的なムスペルを救う方法を考えるのだ!! そうしないと邪智暴虐なる召喚士によってこの世界が統一されてしまうぞ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブ女子会

とうとう女性英雄のキャラも崩壊を始めました。まず手始めに烈火世界からだ


あ、軽度な下ネタがあるので苦手な方はご注意ください。


 「あのフロリーナさん。突然、私が行っても大丈夫なのでしょうか」

 「大丈夫だよ。みんな快く迎えてくれますから」

イシュタルは昼間にシャロン主催の女子会に参加していた。そこでフォローという名前を借りた無自覚死体蹴りをされて心はズタボロである。

そこで声をかけてきてくれたのが子持ちの母親に見えないフロリーナだった。フロリーナが『ストレスは吐き出したほうがいいよ。だからこの後別の女子会があるんだけど参加してみませんか?』という問いに頷いてしまったのだ。旦那であるヘクトルに対する折檻を別にすれば普通よりのフロリーナの誘いである。心が傷ついていたイシュタルはついつい頷いてしまったのだ。

 「あ、ここですよ」

そう言ってフロリーナが指差したのは庶民が使いそうなお店。貴族育ちのイシュタルは知らないが、それは『居酒屋』と呼ばれるお店であった。店名は『食事処・アイネ』である。

 「このお店は料理上手なクライネさんがやっているお店でね。よく使わせてもらうんです」

 「はぁ……あの、私はこのようなお店は初めてなのですが気をつける作法等はありませんか?」

 「う〜ん、常識を捨てることかな」

 「……はい?」

イシュタルの思わず溢れた言葉に答えることなくフロリーナはお店の扉を開く。

 「ウキキ、いらっしゃい」

 「あ、ローローさん。みんな来てますか?」

 「ウキキ、いつもの席にいるぞ」

 「ありがとうございます」

フロリーナは手慣れた様子でお店の奥に入っていく。呆然とローローを見ていたイシュタルも慌ててフロリーナについていく。

 「あの……フロリーナさん。ローローさんは何故メイド服を着ていたのでしょうか?」

 「え? 制服だからですよ?」

イシュタルの問いに対して心底不思議そうに返されたことで、イシュタルは『男性がメイド服を着ることは間違っている』という常識がクラッシュされた。

 「みんな、お待たせ」

そしてフロリーナが奥座敷の扉を開いて中にいる面々に声をかける。そこに居たのは3人の女性達。

 「あら、遅かったわね」

親バカ教育ママ・ウルスラ。

 「あ、イシュタルさんも一緒だったんですね」

溢れ出る新人保育士新妻感(未婚)・ニニアン。

 「歓迎するわ。盛大にね」

鬼嫁・リン。

烈火女子メンバーが揃っていた。恐ろしいことに大天使・ニノエルやスイッチが入らなければ常識人のレベッカ。地雷を踏まなければ安全なプリシラが不在であった。

ここで危険を察知したイシュタルは素早く戦略的撤退をしようとしたが、疾弓ミュルグレが頬を掠めたので諦めて席に着く。すると恐ろしいほどの量のお酒が入ったジョッキが目の前に置かれた。

それに冷や汗を垂らしながらイシュタルは口を開く。

 「あ、あの……これは……?」

 「え? お酒ですよ?」

当然のようなニニアンの返答にイシュタルの意識が飛びそうになる。そして全員が片手でそのジョッキを掲げる。女性の細腕とは思えない力強さだ。イシュタルは両手でプルプルしている。前衛職のリンやフロリーナはまだしも後衛職のウルスラやニニアンも平然としているのはどういう状況だろうか。

 「「「「かんぱ〜い!!」」」」

 「か、かんぱいです」

勢いよくジョッキをぶつける悪しき烈火女子メンバー。それに必死にジョッキを持ち上げながら唱和するイシュタル。時にマジメとは最大の欠点になる。なにせ先輩達(召喚順番的な意味で)に付き合わなきゃいけないからだ。登場作品的にイシュタルが先輩のはずだが、この席では無意味であった。

 「そういえばニニアン。保育園に新しい子供を迎えたのは本当かしら?」

ジョッキを一息に飲み干して、今度はワイングラスでワインを飲み始めたウルスラがニニアンに問いかける。

それに2杯目のジョッキを空にしたニニアンも気分が良さそうに口を開く。

 「はい。新しくサナキちゃんが加わりましたよ。なんでも『シグルーンがヴァイス・ブレイブに来る前に少しでも立派になっておくのじゃ!!』と元気よく言っていました。なんですかあの娘……超良い娘ですよ……あんな良い娘を幽閉する元老院とかいう老害共は処刑すべきですよ、処刑。あ〜、私もあんな子供が欲しかったです……」

 「おっとニニアン。ジョッキが空よ!! これ追加のお酒ね!!」

暗黒物質を垂れ流しにしようとしたニニアンをリンがお酒を置いて止める。目が座り初めていたニニアンはそれを勢いよく飲み干すと机にジョッキを叩きつけていい笑顔を浮かべた。ニニアンが3杯飲み干しているにも関わらずイシュタルは未だに三分の一も呑めていない。しかし、リン、ウルスラ、フロリーナも似たようなペースで呑んでいる。ウルスラはまだしも見た目が少女のリンとフロリーナがジョッキを傾けている姿は犯罪臭が凄まじいが、それを指摘できる人物はまだFEHに実装されていない。

つまりイシュタルに逃げ場はなかった。

 「そういえばカン男くんとカン子ちゃんには入園案内送らなかったんですか?」

クライネの特性オツマミを食べながらフロリーナがニニアンに尋ねる。

 「いえ、送りましたよ。それでカム男さんとカム子さんから通わせて欲しいという返事もいただきました」

 「……あれ? でもカン男とカン子は保育園に通ってないわよね?」

リンがお代わりのお酒を店員(ローローB)から受け取りながら思い出すように尋ねる。ヴァイス・ブレイブの風紀を守る人間なので子供に注意を配っているのだ。なにせ手を出そうとする輩が多いから。

それにニニアンは呆れたように口を開く。

 「それがモンペが襲撃をしてきまして」

 「モンペ? 親であるカムイ達は同意しているのだから……あぁ、if王族組かしら?」

優雅にワイングラスを傾けながらウルスラが口を開く。ちなみにイシュタルは必死にモンペの意味を考えていた。

そしてニニアンはウンザリとした表情で答える。

 「ジョーカーさんですよ」

 「「「あぁ」」」

ニニアンの言葉にリン、ウルスラ、フロリーナは納得の声を出す。あのカムイ達至上主義者だったらその子供達を他人に預けるとか絶対にしないだろう。

ちなみにこの時にジョーカーは『こんな下賤な輩ばかりがいるところに神聖不可侵なカムイ様達の御子を預けられるか!!』と迂闊な発言をした結果、保育士・ニニアンと保護者・チキ(大人)によって殺害された。死体はフェリシアとスズカゼによって厳重にコンクリに固められた後にニフルにある湖に沈められたが、カム男が名前を呼ぶとどこからともなく現れて復活したのであった。

それからしばらくリンによる愚痴が繰り広げられたが、そこでリンが気が付いたかのように口を開いた。

 「そういえばイシュタルはユリウスのことどうするの?」

 『ブッフゥ!!』

 「あら汚いわね」

リンのストレートな問いに飲んでいたお酒(ようやく三分の一)を吹き出してしまうイシュタル。霧になって吹き出されたお酒を正面にいたフロリーナは華麗なるダッキングで回避し、5本目のボトルを開けていたウルスラが冷静に突っ込んだ。

 「リンさん。流石にストレートすぎますよ」

 「でも全員が気になっていることでしょ? 何せ三馬鹿に至っては『諦めるかそれとも愛を貫くか』で賭けをしているんだから」

 「待ってください。私それを知りません」

ニニアンの言葉にリンが平然と答える。その中にイシュタル的に聞き逃せない言葉があったが、全員からスルーされた。

 「……そう簡単に諦められたら苦労しないです……」

 「「「「よく言った!!」」」」

イシュタルの言葉にその場にいた全員が嬉しそうな声を出した。

 「愛する男が間違えたら無理矢理にでも道を正す。それが本当の愛よ」

 「リンはちょっと過激だけどね。でもその気持ちわかるなぁ……」

 「私みたいにタイミング逃しちゃダメですよ!! 余裕があるのなんて一瞬なんですから!!」

 「ニニアンの言葉は重たすぎるわね」

 「……え? 応援してくれるんですか?」

イシュタルの言葉に4人は不思議そうに顔を見合わせて口を開く。

 「「「「当然。私達は恋する乙女の味方だから」」」」

 「みなさん……!!」

4人の言葉にイシュタルはちょっと嬉しくなる。なにせユリウスの本性を知ったラインハルトとオルエンは必死になって遠ざけようとするのだ。臣下として兄妹は正しい行為かもしれないが、恋する乙女的には裏切りに等しい。

ここでイシュタルは4人に話を聞いてみようと思って4人を見渡す。

ウルスラ・どうあがいても息子自慢

フロリーナ・糖分過多。きっとその甘さはイシュタルの傷心に止めとなる。

ニニアン・見えているブルーピーコック

選択肢があるように見せかけて実質一択だった。だが、イシュタルは決めたのだ。ユリウスを正気に戻そうと。だからユリウス以上のキチガイでありながら、数多くの女性英雄から言い寄られながらも決してリン以外には靡かない召喚士の心を射止めた方法を知るのだ。場合によっては実行も辞さない覚悟を持っている。

その覚悟を感じ取ったのか、リンも真剣な表情になる。

 「いい? イシュタル。この方法だったら男がよっぽどクズじゃない限り効果覿面よ」

リンの真剣な言葉にイシュタルも思わず唾を飲み込む。

 「貴女さえ覚悟を決めたなら後は簡単よ」

そこでリンは指を一本立てる。そして重々しく口を開いた。

 「相手を逆レすればいいのよ……!!」

 「…………はい?」

心底何を言っているか理解できていないイシュタルを放置してリンはヒートアップする。

 「軍師はクソで鬼畜で外道だったからあいつを愛せるのは私しかしないと思っていたのに、まさかのライバル登場は想定外だったわ……!! 軍師も悪い気持ちじゃなかったみたいだったし……!! だったら一歩先を行くしかないわよね!! ええ、告白の段階をすっ飛ばして『できちゃった♡』をやればリンちゃん完全勝利ビクトリーよ……!!」

 「リンの『欲しければ奪えばいいじゃない』っていう世紀末遊牧民族サカの民思想はどうにかならないかしら」

 「ウルスラ、言葉は選びなさい。エレブ大陸が荒れることになるわよ」

リンの脅しにウルスラは降参の意味で両手を挙げる。烈火世界のサカの民は連合軍を組まなければ対処できないほどの危険な遊牧民族なのだ。

 「あ、あの……質問よろしいでしょうか?」

そこにおずおずとイシュタルは手を挙げる。

 「なに? あぁ、逆レする方法ね。確かに私はレベルカンストで相手はモヤシだったから簡単だったんだけど、イシュタルは魔道士だものね」

 「いえ。そこではなく」

イシュタルの言葉にイシュタル以外の4人が不思議そうに首を傾げる。その反応にイシュタルは『あれ? これは一般常識で知らない自分がおかしい?』と思ったが、素直に疑問を口にする。せっかくの授業なのだから疑問点は全て洗い出しておいたほうがいい。

 「『ぎゃくれ』とはなんでしょうか?」

 「懐かしいですね。私にもこんな時期があったはずなのに……」

 「ニニアンはまだいいでしょう。私は軍師と真面目に共闘したのは最終決戦だけだったはずなのにいつの間にか汚れ担当よ?」

 「軍師と一番付き合いが長い上に、サカ出身の私は黙っておくわ」

イシュタルの純粋な疑問にニニアンが遠い目をしながら呟き、エリウッド等を通して間接汚染させられたウルスラは召喚士に対してある意味での恨みを強める。そしてリンは多く語ることを辞めた。

そしてフロリーナが『逆レ』について懇切丁寧にイシュタルに対して説明すると、イシュタルの顔はユリウスの髪や瞳以上に真っ赤に染まった。

 「そ、そそそそそそそれはダメです!! エッチなのはいけないと思います!!」

 「まぁ、確かにリンさんの方法も確実ではないですよね。リンさんのライバルさんも最終決戦直前に告白からの『この戦いで生き残ったら返答を聞かせてください』っていう成功フラグと極太の死亡フラグを立てていましたものね」

 「あれは私が一発で孕めなかったのが原因よ。あれ以降軍師の警戒が強くなったし、最終決戦直後に軍師が異世界召喚されて行方不明になったしね」

ニニアンの言葉にリンが続ける。召喚士の土下座で男性陣に秘密にすることにしたが、しっかりとライバルに情報は伝えた。しかし、ライバルは諦めなかった。その上に着実にポイントを重ねたのだ。最終決戦の時点では1馬身ほどリンがリードしていたが、最後の告白でどうなったかわからない。なので古の火竜を倒した直後に武器を構えてお互いに隙を伺っていたら男が行方不明になって有耶無耶になってしまったのだ。

場合によってはヴァイス・ブレイブでバトルが再開する可能性が高い。

あまりにも突飛なアドバイスで完全に状態異常『混乱』にかかっていたイシュタルを落ち着かせて、フロリーナは会話を続ける。

 「だったら、イシュタルさんはユリウスさん以外に気になる男性はいないんですか? ほら、ヴァイス・ブレイブには顔はいい人も多いですし」

 「変態ばっかりだけどね。誰とは言わないけどストーカーコンビとか」

フロリーナの言葉にリンが吐き捨てる。普段から悩みの種のイケメンコンビ(しかし変態である)には憎悪の方が大きいのだ。

フロリーナの言葉にイシュタルは少し考えるが、ポツリと呟く。

 「召喚士さん……でしょうか」

 「落ち着きなさい、リン!!」

 「リンさん!! ソール・カティは置きましょう!!」

イシュタルの言葉に即座に武装して飛び出そうとしたリンをウルスラとニニアンが羽交い締めにして止めている。フロリーナも扉を封鎖して増援を出さないようにしていた。

 「……あ!? ち、違います!! 召喚士さんに対して抱いたのは好意ではなくて……いえ、好意ではあるんですけど男女の好意ではなくてですね!!」

勘違いさせたことに気づいたイシュタルが必死に否定する。その発言にイシュタル本人も混乱していることがわかる。

とりあえずニニアンがその場を鎮静させるようにイシュタルを除いた全員でお酒を一気飲みする。そしてイシュタルに話を続けさせる。イシュタルも水を飲んで一息ついて説明を続ける。

 「私が幼い頃……確か7歳くらいの時だったと思いますが、1ヶ月だけ私に魔法や戦術、内政を教えてくれた男性がいたんです。私もとても尊敬していましたし、机を並べてその人に学んだラインハルトとオルエンも同じ感情を抱いていました。私達はその人の授業を楽しんで受けていたんですが……ある日、突然消えてしまって……」

イシュタルの懐かしさと大事な人がいなくなってしまったことを悲しむ表情を見ながら烈火4人組は小声で会話する。

 (どう思う?)

 (十中八九本人だと思いますけど……)

リンとニニアンの会話である。

 「あ、そうでした!! 私のトールハンマーは先生から教えてもらった『トゥールハンマー』を参考にさせていただいてアレンジしたんです!!」

 (『トゥールハンマー』ってあいつのアイディアを元ネタにパントが完成させたって言っていたわよね?)

 (はい。破壊力が高すぎてルイーズさんから禁止令が出て使えるのはパントさんとあの人だけです)

イシュタルの言葉にウルスラとフロリーナが小声で会話する。最早完全役満状態であるが、まだ人違いの可能性もある。

 「ち、ちなみにイシュタル。その先生の肖像画とかある?」

 「あ、はい。この首飾りの宝石は蓋になっていて、先生と並んで描いてもらった小さな絵が入っているんです」

リンの言葉にイシュタルは首飾りを外してペンダントになっている宝石の蓋を開ける。

そこにはユリウスの好みドンピシャな姿のイシュタル。その隣に立っている4人には見覚えのありすぎる胡散臭い笑みを浮かべた絶世のフツメン。

 「「「「軍師じゃねぇか!!!」」」」

烈火世界では軍師と呼ばれ、ヴァイス・ブレイブでは召喚士と呼ばれる男が立っていた。

 




リン
世紀末遊牧民族サカの民出身の肉食系恋する乙女。

イシュタル
報われない恋を続ける不憫系恋する乙女。作者が『イシュタルはこの状況でもユリウスを愛するだろう!!』という思考によってどんな人でも受け入れる聖母系恋する少女になった。しかし報われることは99.9%ない。

食事処・アイネ
割と初期の頃から作っていたクライネの家族に対する憧れによる『クライネ家事万能設定』を生かすべく投入。主に三馬鹿のせいで出す余裕がなかったんですよね。そして地味に入っているローローのメイド服という視覚の暴力

烈火世界の恋のトライアングラー
作者が他に書いている作品も含めて『あれ? 二次創作書いているのに恋愛要素が一切ない?』という現実に気づき、完全な思いつきで放り込んだ設定。そしたらリンちゃんが軍師を逆レするという超展開。これには作者もビックリです。ちなみに相手も決めているので、実装されるのを楽しみにしててくださいね!! 実装されたら困る事実もありますけど!!

軍師の異世界召喚体質
せっかく烈火世界からFEH世界に召喚された設定にしていたので、頻繁に召喚されることにしちゃえという考えに行き着いた作者の悪ノリ。でもイシュタルの傅役にできてちょっと満足。これで他の原作に堂々と放り込めるな!!

軍師じゃねぇか!!
コブラではない。『ヒュー!!』とか書くなよ!! 絶対に書くなよ!!



こんな感じでヴァイス・ブレイブ女子会(汚れ担当組)です。普通の女子会とか書いても面白くないので、烈火メンバーに常識人のイシュタルを放り込むという所業。イシュタルの不幸が加速しますね!!
上記にも書きましたが、作者が他に書いている作品にも恋愛要素が一切ない事実に少しでも恋愛要素を入れようと烈火でトライアングラーをやってみました。するとリンちゃんが超肉食系に。どうしてこうなった。ちなみにトライアングラーになったのはこれを書いている時に流していたマクロスゼロのせい。

アンケートにて『この世界の封印どうなってるん?(超意訳)』を頂きました。そこに……触れてしまうんですね……。
正直なところ烈火で好き勝手やりすぎたせいで封印世界は完全崩壊しています。作者も収拾つけられなくなってますからね。具体例がレイ。なにせ母親のニノがこの世界の烈火では『黒い牙』全員生存の上にバックに我らが腹黒親バカがいるので行方不明になる理由がないという大天使・ニノエルにとっての優しい世界。後先考えないで書いた結果です。反省はしているが後悔はしていない。そしてニノママにバブみを感じてしまった読者さんは『黒い牙』のみなさんが天誅をくだしに向かいますのでお気をつけください。

次回ですが動画を見た瞬間に思いついたカアラネタをやれたらやりたいです。なのでガチャ結果次第になります。ラガルトも飛行大天使も欲しいですけどオーブが100個しかないねん……

どうでもいいですけど作者が蒼炎と暁で好きなキャラはティアマトさんとシグルーン。BBAって言った奴は召喚で星3しか出ない呪いをかけますね!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とカレルスレイヤー

元から好きなキャラだったのとネットでの性能を見て、お財布と相談した結果微小の課金ならできると判断した結果、無事に来てくれたので彼女が登場。


原作からのキャラ乖離は激しいです。
まぁ、でもこの作品に原作通りの性格を求めるのが間違っているよね!(開き直り


 「割とアッサリと許可が出たね」

 「まぁ、今回のピックアップ緑はニノだからな」

エリウッドの言葉に俺は答える。いつものバカ2人と一緒にリンから召喚許可をもらいに行ったところ「え? 召喚? 貴方達ねぇ、毎回毎回バカみたいに……今回のピックアップだって……え? ニノの新装備? なにをやっているの召喚士。さっさと緑を回してきなさい」と言って貯蓄していたオーブを全部渡された。人の事を言えないが、烈火世界出身者のニノに対する可愛がりが半端ない。

 「んで? 今回はなんで剣魔(笑)さんもついてきてんの?」

ヘクトルの言葉に俺たち3人の視線が珍しくついて来ていたカレルに集中する。

 「(笑)をつけるな」

 「「「攻撃力43、速さ35、守備魔防が20前半とか(笑)でしかないだろ」」」

 「貴様らぁ!!!」

我がヴァイス・ブレイブの剣歩行でも屈指の弱小キャラであるカレルを煽りながら召喚室に入室する。

召喚石盤にオーブを叩き込む準備をしながらカレルと会話する。

 「それで? 今回は本当にどうしたんだ?」

 「いいか、召喚士。今回は絶対に赤は引くな」

カレルがマジ表情になりながら俺に告げてくる。俺はそれに首を傾げてしまう。そしてエリウッドが何かを思い出したかのような表情になった。

 「そっか。今回の赤のピックアップはカ」

 「それ以上言うなエリウッド。本当に来たらどうする」

 「フィルは喜ぶと思うぞ?」

ヘクトルの言葉にカレルは物凄く複雑そうな表情になった。

 「……いや、私は姪の喜ぶ顔より身の安全を図るぞ」

 「まぁ、賢い選択だよな」

俺はそう言いながら召喚石版を起動する。そして浮かび上がったオール赤を見てカレルは吐血した。

 「落ち着けカレル!! まだ召喚されると決まったわけじゃない!!」

 「その通りさ!! 何せ召喚士のすり抜け確率は高い!! 君だってすり抜けでこの地獄にやって来た人間じゃないか!!」

 「おい、エリウッド」

ヘクトルのフォローと、エリウッドのフォローのように見せかけた俺に対する口撃に気を持ち直したのか、カレルは口の端から溢れる血を吹きながら俺を見つめてくる。

 「し、召喚士。起動のやり直しはできないか?」

 「残念ながら最低でも1回は召喚しなきゃいけない」

 「任○堂のクソが!!」

 「「「運営をディスるのは辞めろカレル!!」」」

これでサービス終了になったらどうしてくれる。

カレルの呪咀を聞きながら俺は赤のオーブを召喚石盤に叩き込む。

浮かび上がる煙り、出てくる女性のシルエット、そのシルエットは流れるようにカレルへと斬りかかる。カレルも持ち歩いていた無銘一門の剣で必死に防いでいた。

 「兄者か? 兄者だな。よし死ね!!」

 「「「来ちゃったかぁ……」」」

 「呑気に言っている場合か!? おい、このバーサーカーを早く止め……ヌヲ!?」

 「兄者!! あぁ、ついに兄者を斬れるのですね!!」

テンション爆上がりでカレルに斬りかかるのはカレルの妹で剣姫と呼ばれるカアラであった。

カアラはカレルを探しながら旅をしているうちに兄に対する愛情とか憎悪がごっちゃになった結果『カレル絶対殺すウーマン』になってしまった可哀想な女性である。闘技場で戦ったバアトルとの会話の途中で俺たちの中にカレルをいるのを見つけた瞬間に斬りかかり、当時は職業・辻斬りだったカレルも笑いながら応戦という地獄絵図が広がったのが思い出深い。

兄は時代を重ねて普通になったらしいが、妹の方は治らなかったらしい。

 「落ち着け、カアラ!!」

 「これはおかしなことを言いますね兄者!! 私は落ち着いていますとも!! ええ!! ですからそのお命を頂戴します!!」

 「待て!! ここにはお前がずっとお礼を言いたがっていた軍師がいる。そこにいる白フードが軍師だ」

俺たちはカレルを置いて召喚室から逃亡しようとしていたが、カレルの言葉によって逃亡が失敗した。

 (やだなぁ……カアラは普段は天然気味で普通なのに、カレルがいると話が通じないんだよなぁ……)

俺はそう思いながらカアラの方に向き直る。だが、ここは召喚士としてバシっと言ってやらねばなるまい。上下関係はハッキリとさせておいたほうがいいのだ。

 「よ、よう久しぶりだなカ、ア……ラ?」

俺は愕然とした。だってカレルが近くにいるのにカアラの瞳に理性が戻っている。

 「え? なにこれ、怖い。待って。近くにカレルいるよ?」

 「お久しぶりです軍師殿。以前の戦いのように存分に私の力をお使いください」

 「え、あ、うん。ごめん、カアラ、ちょっと待って」

 「軍師殿が言われるならばいくらでも」

あまりに素直に俺のいうことを聞くカアラに恐怖しながら逃げようとしたバカ2人を確保して小声で会話する。

 「おい、誰だよあの美人。絶対にカアラじゃないだろ。カアラは狂戦士系残念美人だったろ」

 「いや、残念ながらあれは正真正銘カアラだよ」

 「嘘だろ!? カレルが近くにいたら俺の指示を無視してカレルに斬りかかるのがカアラだったろ!?」

エリウッドの言葉に俺は愕然とする。当時は言う事を聞いてくれと思っていたが、実際に言う事を聞かれたら恐怖するしかない。

だが今度はヘクトルが口を開く。

 「実はな召喚士。お前さんがいなくなった後にカアラが病にかかった。当時は不治の病といわれていたやつだ」

 「あれが病気になったのか?」

ヘクトルの言葉に俺たち3人の視線がカアラに集中する。カアラは俺の言う事を聞いて大人しく待っているが、鯉口を鳴らしながらカレルを牽制している。

とりあえず見なかったことにしてヘクトルに先を促す。

 「だが、その病気を治す方法があった」

ヘクトルの言葉に俺は嫌な予感が駆け巡る。俺は烈火時代から色々な医術や薬術にも手を出していた。そしてそれを一冊に纏めてとある友人に渡していたのだ。

 「まさかパントか?」

俺の言葉にバカ2人は黙って頷いた。

 「ち、ちょっと待ってくれ。あそこに書いていたのは簡単にできることじゃないぞ? それこそ俺みたいに普段から研究していないとできることじゃない」

 「召喚士、再現したのはあのパントだよ?」

 「説得力が強すぎるぞ、あのクソイケメン!!」

烈火メンバーにとってパント=万能の天才と言うのは通説である。

 「そして病気を治したパントはカアラの尊敬の視線に気づいて瞬間的に面倒になることを見抜いた。そこで奴はこう言い放った。『この医学書は将来カアラが病になる事を見抜いていた軍師が私に託していたものさ。感謝をするんだったら軍師にして欲しい。私は彼の意思を受けついだだけだからね』と」

 「あのイケメン!! 面倒事を押し付けやがったな!!」

遠くから天才魔導軍将の『ハハハ、勝手にいなくなった人間には当然の仕打ちさ』とか聞こえた気がする。おのれ……実装されたら覚えておけよ

 「失礼、軍師殿。もうよろしいか?」

 「あ、ああ。待たせたなカアラ」

 「何の。恩人である軍師殿の命令ならばいくらでもお待ちしましょう」

 「どうしようエリウッド、ヘクトル。すごい怖い」

 「「頑張れ」」

昔を知る俺からすれば素直に言う事を聞いてくれるカアラとかすごく怖い。そしてバカ2人は愉悦な笑顔を浮かべていた。

とりあえずいつの間にか逃亡していたカレルを探すべく、カアラを連れて召喚室から出てヴァイス・ブレイブを歩く。ちなみにバカ2人は即座に逃亡した。

言う事を聞いてくれるカアラに恐怖しながらヴァイス・ブレイブを歩いていると、フィルがこちらを驚きの表情で見ていることに気づく。

 「母上!!」

そして笑顔で駆け寄ってくる。それは尊敬する母親に久しぶりに出会えて心の底から喜んでいる表情であった。

俺が恐る恐るカアラの顔を見ると、優しい母親の表情をしていた。

 (あ、良かった。烈火修羅面のカアラも血縁の情はあったんだな)

俺がそう思いながら親子感動の再会を眺める。なんだったらこのままフィルにカアラを押し付け……もとい、親子水入らずの時間にしてもいい。

俺のそんな気持ちを知らず、フィルがカアラの剣の間合いに入る。するとカアラは母親の表情をしながら刀をフィルに振り下ろした。咄嗟に反応できずに頭を強く叩かれるフィル。幸いにして鞘に収まっていたのでフィルが両断されると言うスプラッター映像を見ずに済んだ。

 「……え?」

俺の心からの呟きを無視するようにカアラが母親の表情から般若の表情になった。

 「フィル!! なんだその様は!? それで軍師殿の役に立てると思っているのか!!」

 「はい!! 申し訳ありません、母上!!」

 「鍛え直しだ!! 剣を持って修練場に行くぞ!!」

 「はい!!」

カアラの直接の指導が嬉しいのか飼い主に褒められた犬のように喜ぶフィル。だが、その先にあるのは地獄だ。

 「ちょっと待てカアラ」

 「ハ、なんでしょうか軍師殿」

俺の言葉にすぐさま従う忠犬を装った狂犬カアラ。俺は内心でビクつきながら言葉を続ける。

 「ここにはバアトルもいる事だし、久しぶりに夫婦」

 「あ!! ダメです召喚士殿!!」

 「……え? なんで……ヒィ!?」

フィルの言葉に俺は思わず問いかけ直そうとするが、カアラの目を見て恐怖した。

その瞳はどこまでも冷たく、その微笑には恐怖しか感じなかった。

そしてゆっくりとカアラは口を開く。

 「私に夫はいません。良いですか、軍師殿」

 「アッハイ」

カアラの言葉を俺は肯定するしかなかった。そしてカアラは満足そうに頷くと震えているフィルを引きずって訓練場へと歩いて行くのだった。

 

 

 

 「……こわ。あの2人何があったんだ」

 「気にしない方がいいぞ、召喚士。深く踏み込むと死ぬ事になる」

 「ロイドか」

 「下手に刺激すると命に関わるわよ」

 「うん? ウルスラも……ハ!? 貴様らは黒い牙!?」

 「その通りだ。お前さんだったら俺たちの要望もわかるよな? その通りだ。うちの可愛い妹のことだ」

 「ペガサスに乗ったニノ…それを見たいと思うのは黒い牙の人間にとっての当然の心理よ」

 「待て、正直に言うともうオーブがもうない」

 「安心しろよ、ストーリーの時にライナス達に話は通してある」

 「連戦トライアルでかき集める時間よ」

 「この『ニノちゃんファンクラブ』どもがぁぁぁぁ!!!!」

 




カアラ
黒髪長髪巨乳という今考えると作者の役満要素を揃えている存在。烈火原作でのカアラとカレルの支援会話がとても良かった……この作品では真逆の存在になっていますが。とりあえず兄者は殺す、絶対に殺すというカレルスレイヤー。そして召喚士のフェリシアとかジョーカーポジション。動画を見たときからこのキャラにしようと思っていました。バアトルとの夫婦仲が悪いのは『仲が良好な夫婦ばっかりじゃ面白くないよね!!』という作者の悪ノリ。だから悪くなった理由は考えていません。

カレル
ちょくちょく名前は出てきて不幸になってたこの作品の被害担当英雄。そして妹がカレルスレイヤーになったことによって安住の地はなくなった。こういう不幸担当になったのもクリスマスガチャの時にすり抜けでやってきたせい。

医学書
召喚士が烈火時代に書いていた医術や薬術が書かれている書物。特に薬は治療薬は当然として各種毒物、さらには拷問時に使う薬品や捕虜の尋問に使う自白剤の作り方まで書かれており、流石にやばいと思ったパントが責任を持って保管していた。

黒い牙
正式名称:ニノちゃんファンクラブ 他称:ニノガチ製
ちなみに隊長はソーニャ。え? 原作で冷たい扱いを受けてた? この世界のソーニャ様は『ニノに冷たい対応をしてしまってガチ凹みをするツンデレポンコツソーニャ様』だから。あ、ちなみに封印時代には故人です。



こんな感じでカアラさんが兄者を殺しに我がヴァイス・ブレイブにログインしました。死線3をつけたとは言え攻撃力56、速さ45はドン引きですわ。守備? 歩行剣士に何を求めてるの?
活動報告でも書きましたが烈火キャラが増えて作者はニッコリ。そして愉快なことになっている黒い牙。いやぁ!! ソーニャ様とか早く書きたいけど未実装だからなぁ!! できれば大英雄戦とか戦禍の連戦ボーナスで確実に手に入ると嬉しいんですけどねぇ!! 頼むよ、運営さん!!
そして未実装なのに存在感溢れるパント。むしろこのまま未実装の方が作者的に助かる気がしてきました。

前話で書いた召喚士の異世界召喚体質を使って他作品に放り込むという考えですが、真っ先に思いついたのはサモンナイト3のアティ先生の護衛獣として召喚されるケースでした。アティ先生の胃はバーストして無色の派閥は死ぬ。

動画の影響で落第騎士の英雄譚を読み始めました。そうか、一刀『修羅』か(うちの修羅筆頭アイラを眺めながら)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忘れられた島に軍師襲来(サモンナイト3)

『別で連載にしてくれませんか(意訳)』という感想をいただいたのでとりあえずお試し編です。


烈火メンバーがいないので最初の予定と違って大人しめの軍師(召喚士)。胃がバーストするどころか『この人は私が真人間にして見せる!!』と間違った使命を燃やすアティ先生です。

サモンナイト3をやっていない人には大変わかりずらいと思いますので、なんだったら読み飛ばしていただいて結構です。


 「えっと、それじゃあ召喚の授業をしますね」

元帝国軍人のアティは豪商・マルティーニ家の主人から彼の子供の家庭教師の依頼を受け、その子供であるアリーゼと一緒に工船都市パスティスへ向かう船へと乗り込んだ。しかし、その船が海賊に襲撃された上に嵐によってアリーゼが海に投げ出されてさぁ大変。アティはアリーゼを助けるために準備運動もせずに海へとダイブする。そして「力が欲しいか?」という明らかに詐欺くさい声にアリーゼを助けたい一心で手を伸ばした。

それから無人の砂浜で小さな召喚獣をはぐれ召喚獣から庇おうとする生徒を助けたい気持ちで近くにあった木の枝ではぐれ召喚獣を撃退したり、船を襲撃して来た海賊と共闘してはぐれ召喚獣を木の枝で撃退してようやく一息つけたのだ。

そこでアリーゼに召喚の授業をすることにした。アリーゼがこの島に漂着したときに出会った小さな召喚獣であるキユピーとも仲が良かったためにちょうどいいと思ったのだ。

 「召喚というのは基本的に4つの異世界に住む方々を召喚します。機界・ロレイラル、鬼妖界・シルターン、霊界・サプレス、幻獣界・メイトルパの4つですね。アリーゼが出会ったキユピーはおそらくサプレスの世界出身だと思います。何故だかわかりますか?」

 「えっと……あ!! 天使さんだからですか?」

アリーゼの言葉にアティは優しい表情で頷く。

 「その通りです。それぞれの世界にはそれぞれの方々が生活しています。そうですね……あ!! せっかく全ての世界のサモナイト石が揃っているので、私がお手本を見せてあげますね」

ようやくできた教師らしい姿にアティはウキウキしながらサモナイト石の準備に入ろうとする。そこでアティが学生時代の親友から「いいか? お前は決して召喚するなよ? 絶対だぞ!!」と念を押されていたのを思い出した。確かにロレイラルでやった時はヴァルハラを召喚してしまい学院が崩壊し、シルターンで召喚した時は龍神オボロを召喚してしまい学院が崩壊し、サプレスで召喚した時は聖鎧竜スヴェルグを召喚してしまい学院が崩壊し、メイトルパで召喚した時は牙王アイギスを召喚してしまい学院が崩壊するという事件が起きたが、今回はきっと大丈夫だ。だが、ちょっと不安なので無属性のサモナイト石を使うとしよう。

 「あれ? 先生。無属性のサモナイト石を使うんですか?」

 「へ!? え、ええ。あくまでお手本ですから。無属性だったらそんな危険な召喚獣も出て来ませんからね」

 「……え? 危険?」

アリーゼの惚けた声を聞き流しながらアティは無属性のサモナイト石に魔力を込める。

そして当然のように暴走した。生まれた世界を間違えてしまったアティ先生の魔力はたかだか石ころ1つでは収まらないのだ。

 「あ!? あの!! 先生!? なんかすごいことになってますよ!!」

 「だ、大丈夫のはずです!! 『名もなき世界』だったら危険な召喚獣は出てこないはずです!!」

アティのご丁寧なフラグに答えるようにアティが魔力を込めていたサモナイト石から光がスパーキングする。

 「「きゃあ!!」」

アティはアリーゼを庇いながら、アリーゼは突然の出来事に何が起こったかわからずに悲鳴を挙げてしまう。

 「ったく。今回は随分と乱暴な召喚だな」

そして響いたのは青年の声。アティは声が聞こえた方をみると黒いローブを羽織った青年が立っていた。そして青年は何かを確認するかのように自分の体を見ると、今度はアティの方を見た。

 「魔力のパスを見る限りにあんたが俺を召還した人で間違いないか?」

 「……え? あ、はい」

思わず惚けた返答をしてしまうアティ。しかし、青年はその答えを聞くと胡散臭い笑顔を浮かべながら口を開いた。

 「様式美として聞いておくとしようかね」

そこで青年は一度真面目な表情をしながらアティに手を差し出しながら口を開いた。

 「問おう、貴女が私のマスターか?」

 「………はい?」

この日からアティが召還してしまった外道護衛獣に振り回され、アティは胃にダメージが蓄積される日々が始まるのであった。

 

 

 

 

 

《ジャキーニ捕縛後》

アティは走っていた。アリーゼからアティの護衛獣が捕縛したジャキーニ達が働いているユクレス村に行ったことを聞き、働いているはずの果樹園に行ったら護衛獣と護衛獣が召還したプニムと一緒にジャキーニを連行して行ったことをジャキーニの義弟であるオウキーニから慌てた様子で聞いたのだ。アティは自分の護衛獣との関係はまだ短いが『ちょっとヤバい人』という認識である。その護衛獣が楽しそうにジャキーニを連れて行った。完全に危険な予兆である。

 「軍師!! さ……ん……?」

護衛獣の名前(本名は教えてくれなかった)を叫びながら軍師とジャキーニがいるはずの浜辺に飛び出すと、アティの思考は停止した。

 「いやじゃぁぁぁあぁ!! 海の水か!? た、助け!! ガボボボボオ!!!」

 「うん? どうした髭面? 陸が嫌っていうから浜辺に埋めて海水に浸らせてやってるんだぞ? 叫ぶんじゃなくてお礼を言えよ。うん?」

 「これは拷ガボボボオボ!!」

 「え? 拷問? 拷問ってこんな生ぬるいもんじゃないぞ? いや、体験したいって言うならやるけど……うん!! 気が進まないけど頼まれたなら仕方ないよネ!!」

アティが見る限りで軍師はノリノリだった。明らかに気が進まないと言う雰囲気ではない。

 「ちょ!! ちょっと待ってください!! 軍師さん!!」

 「うん? おおマスターか」

 「な、何やってるんですか!?」

アティの言葉に心底不思議そうに軍師は首を傾げる。

 「果樹園で話をしてみた感じ、自分の立場を理解できていないみたいだからちょっと教育を施しておこうと思ってな。なに、感謝の言葉ならいらないぞ。これは護衛獣として当然のことだからな」

ここでアティは気づいた。この『護衛獣・軍師』は『ちょっと』ヤバいではなく、『とてつもなく』ヤバいと言う存在だと言うことに。

ここで素直に距離を離すことができたら、アティの胃痛はなくなったことだろう。しかし、アティは根っこからの善人で性善説を体現したかのように人物だ。

 (彼は私が真人間にしてみせます!!)

軍師のプニムがデンプシーロールをジャキーニの顔面に叩き込んでいる横でアティはそう決意したのだった。

前途多難というレベルではない。

 

 

 

 

 

《軍師との夜会話》

アティはメイメイショップへと向かう。そうと言うのもアティの護衛獣である軍師がメイメイショップに居候しているからだ。初めてメイメイに出会った時に軍師が「あ、メイメイじゃねぇか」と声をかけられた瞬間にメイメイの表情がとてつもなく嫌そうな表情になったのをアティは見逃さなかった。

その後に軍師が直接メイメイと交渉した結果、軍師はメイメイショップに居候することになった。

 「やっぱり、お話は大事ですからね」

ふんす、とやる気を出しながらアティはメイメイショップの入り口に立つ。軍師と対話をしようとするとかいつの間にかクソ高い壺を買わされていてもおかしくない出来事である。

 「こんばんは」

そう声をかけながら店内に入ると、メイメイがお酒を呑みながら出迎えてくれた。

 「あら、せんせ〜。どうかした?」

 「あ、はい。軍師さんとお話しようと思いまして」

アティの言葉にメイメイはお酒に酔って上機嫌だった表情が真顔になる。

 「先生。あれと会話するという発想は捨てたほうがいいわ。いつの間にか詐欺にあうから」

 「そこまでいいますか!?」

メイメイのあんまりは発言にアティが思わず叫ぶ。それを聞いてメイメイは再び酔った雰囲気を出して気楽に笑う。

 「にゃはは〜。まぁ、あれと関わるのはオススメしないわよぉ。何せ鬼畜と外道とクソを混ぜ合わせた挙句に人間が大嫌いだからねぇ」

その言葉にアティは首を傾げる。

 「そうでしょうか……軍師さんの瞳にはどこか他人を思いやれる光がありましたが……」

アティの言葉にメイメイは再び真顔になった。

 「メイメイさん?」

 「ん〜、先生は軍師との関わりは単純に召喚してしまった贖罪から関わりを持とうとするの?」

 「え? いえ、それはもちろんありますけど。何よりどこか救いを求めるような瞳をしていましたからです」

アティの言葉にメイメイは破顔する。

 「なるほどね〜。軍師が先生の言うことを聞くわけがわかったわ〜」

 「あの、それほど言うこと聞いてくれませんけど?」

何せ昼間から基本的に相方のプニムと一緒に行方不明。やってきたと思ったら外道行為で海賊一家からのヘイトを集めている。

だが、なんだかんだ言いながらも脱出用の船の修理の材料を持ってきてくれているのだ。法外な値段をふっかけているが、そのお金もマスターであるアティに渡してくるので、結果的に無料である。そのことをカイル達に伝えようとするとどこからともなくプニムが飛んできてアティに当身を打ち込んでいくのだ。そのために海賊一家から軍師に対する評価は最低値だ。

そのことをメイメイに伝えるとメイメイは大笑いした。

 「良かったじゃない、せんせ」

 「いえ、良くないですよ。軍師さんの評判が酷いままですから」

 「軍師は有象無象の評判なんか気にしないわよ。自分が信用できると思った人に知ってもらえたらそれでいいって考えだからねぇ。ほんと……つくづく軍師気質というか……気に入った相手のためなら悪名くらいどんとこいって性格だからねぇ。昔から」

メイメイの言葉にアティはどこか引っかかりを覚える。

 「メイメイさんは軍師さんとの付き合いが長いんですか?」

アティの言葉にメイメイはグラスに入っていたお酒を一気に飲み干す

 「同じ師匠の下で学んだ仲よ〜。それこそあれがヨチヨチ歩きの時からかしらね〜」

そこまで言ってメイメイはニヤリと笑う。

 「どう? あいつのこと知りたい?」

メイメイの言葉にアティは首を振る。

 「私は聞くんだったら本人の口から聞きたいです」

 「プッ!! あはは!! うん!! あれが先生を気に入った理由がちょっとわかった!!」

どこか楽しそうに笑うメイメイをアティは不思議そうに首を傾げるのだった。

ちなみにこの日は軍師が帰ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

《帝国軍の指揮官がアズリアとわかった後の軍師との会話》

アティは夜に軍師を探して砂浜を歩く。昼間にメイメイと会った時に今晩はこの周辺にいるという情報を聞いたからだ。

そしてしばらく歩くと砂浜で焚き火をしながら何か調合している軍師の姿が会った。隣ではプニムが大量の魚を食べている。

 「え〜と、こんばんは」

 「あん? ああ、マスターか。どうかしたか?」

アティの言葉に軍師は顔を上げる。

 「座っていいですか?」

 「別に俺に止める権利はないな。それにあんたは俺のマスターだろ? 命令してもいいくらいじゃないか?」

軍師の言葉にアティは苦笑する。

 「たとえ召喚士と召喚獣の間柄でも、できることなら強制はしたくないです」

アティの言葉に軍師はどこかつまらなそうな表情をしながら何事かプニムに指示を出す。するとプニムは一瞬で消え去ったと思ったら5秒ほどで丸太を用意してきた。椅子のつもりらしい。

プニムにご褒美の甘いものをあげながら軍師は口を開く。

 「そんで? 何かあったか?」

軍師は基本的に団体行動をしない。護人などは個人的に会っているようだが、全体で集合した時などは絶対に出てこない。だから、アティが持っている剣を帝国軍が取り返そうとしていることを知らないのだ。

 「私が持っている魔剣を帝国軍が取り返そうとしています。そしてその帝国軍を率いているのは私の親友なんです」

そう言いながらアティは焚き火を見つめる。士官学校時代の同期で親友の女性。いつもアティのズレた言動をたしなめてくれていた人物だ。

そこでアティは軍師が自分のことを見つめていることに気づく。

 「ふむ……マスターよ。要は剣を返すわけにはいかないが、親友とも戦いたくない。そう言うことだな?」

アティは驚く。何せ誰にも言っていないことを言い当てられたからだ。

 「別に驚くほどのことじゃない。マスターの性格から推測しただけだ。だが当たりだったようだな」

軍師はそう言いながらも今度は別の容器で薬の調合を始めた。

 「……何か戦わないで諦めてもらう方法はありませんか?」

 「あるぞ」

 「そうですよね。そんな都合……え?」

当然のように言い放った言葉にアティは思わず惚けた声が出る。そんなアティを気にすることなく軍師は別の薬草を容器に放り込みながら続ける。

 「だからあると言っている」

 「ど、どどどどどんな方法ですか!?」

まさか世間話のつもりが解決方法があると言われてしまい、アティも焦る。そして軍師がアティの方を見ずに口を開く。

しかし、この軍師は基本的に鬼畜で外道である。アティが望むような『話し合いで解決!! Love&Peace』なんぞ糞食らえである。当然、出てくる方法も闇になる。

 「考える思考と心があるから『剣を奪い返す』と言う行動に出る。だったら簡単だ。思考と心を壊せばいい」

 「……はい?」

あんまりな発言にアティから不思議な声が出る。その声は軍師が何を言っているか理解できていない言葉だ。

しかし、軍師はそんなアティを無視して言葉を続ける。

 「1週間ほど時間をもらえればそいつの精神をぶち壊す拷問を与えて廃人にできるけどな。それをやるとそいつの人格が崩壊して二度と元には戻らない」

 「だ、ダメです!! そんなの!!」

アティは慌てた様子で立ち上がりながら叫ぶ。そこには親友をそんな状態にしたくないという気持ちは当然あったが、それ以前にこの青年にそんな汚れ仕事をして欲しくないと言う気持ちがあった。

 「だったらもう1つの方法だな」

 「……拷問とかはダメですよ?」

アティのジト目に応えた様子もなく軍師は再び口を開く。

 「こいつを使う」

そう言って差し出してきたのは軍師が調合していた薬の1つだ。匂いを嗅いでみるが特に刺激臭などはない。

 「これは?」

 「飲んだ人物の思考回路をパーにするお薬だ」

アティは軍師の言葉を聞き、よく考え。幾つもの可能性が浮かび上がったが、結論は1つだった。

 「麻薬じゃないですか!?」

 「うむ。だがこれはあまりオススメしない。何せ定期的に摂取させないと暴れだすからな」

 「禁断症状ですよ!? 使っちゃダメですよ!? 絶対にダメですよ!!」

 「うん? それはやれって言うフリでいいのか、マスター」

 「違いますよ!!」

ここで軍師の性格の矯正は不可能だと気づければ良かった。しかし、アティは愚直だった。

 (これは私が真っ当な人にしてあげます!!)

新任熱血教師の思考回路になっている。ここに軍師の出身世界の友人達がいたら必死に説得して無駄を悟らせようとしただろうが、アティにとって残念なことにそれらの人々がここにはいなかった。

 

 

 

 

《ジルコーダ戦後》

アティは上機嫌になりながら島にある集落を巡る。先日のジルコーダ騒動で海賊一家と島の住人達。さらには(ほんのちょっぴり)軍師との関係も近づいたのだ。海賊一家も自ら集落に行っており、軍師も基本的に行方不明なのは変わらないが、たまに集落を回って薬を売って歩いているらしい。

それを聞いたアティはすぐに商品の中に麻薬がないかの確認をした。当然の行動だろう。

そしてアティはラトリクスに入る。そしてすぐに立ち話をしているラトリクスの護人であるアルディラと軍師の姿を見つける。当然のように軍師の背後に立っている機械兵士の姿も確認できた。

だから厳しい表情をして軍師のところに向かう。軍師もアティに気づいたのか呑気な表情をしながらアティを見る。

 「おう、マスター」

 「元あったところに返してきなさい」

 「そんなママ!! こんなに可愛いのに!! なぁ、ヴァルゼルド!!」

 「はいであります!! 自分は清く正しく強い機械兵士であります!!」

アティは軍師が2人になったデジャブを感じた。ヴァルゼルドと名乗った機械兵士のノリがどう考えても軍師だったからだ。

アティは半目になりながらアルディラを見る。アルディラもどこか頭痛を堪える表情をしていた。

 「アティ。私がしたことはラトリクスに所蔵されているライブラリのアクセス許可を出しただけよ? この機械兵士を直したのは軍師よ」

アルディラの言葉にアティは本気で怒り出す。

 「なんでそんなに危険なことするんですか!! 機械兵士は暴走したらとっても危ないんですよ!!」

 「こいつ見ても危険だって言える?」

軍師の言葉にアティもできる限り見ないようにしていた召喚獣をみる。

プニム。陽気でお調子者な性格で、体はプニプニしているがなかなかの力自慢で大きな手に見える耳で敵を殴って戦う召喚獣だ。

しかし、プニムの前に『軍師の』がつくと別の召喚獣になってしまう。見た目と性格は変わらないが、圧倒的な戦闘力になる。先日のジルコーダとの戦いの時には軍師の指示で洞窟の天井を殴って崩落させて雑魚ジルコーダを生き埋めにし、ボスジルコーダの飛ばした酸を風圧でかき消してボスジルコーダに関節技を仕掛けていた。

ユクレスの護人のヤッファすらも『プニムの皮を被った別の何か』と言い放つのが『軍師のプニム』だ。

アティとアルディラの視線に気づいたのかプニムは不敵な笑みを浮かべるとシャドーボクシングを始めた。空気を切り裂く音が凄まじい。

アティとアルディラはお互いに頷いてプニムのことは見なかったことにした。

 「それで? その機械兵士……ヴァルゼルドをどうする気なの?」

アルディラの言葉に今度は珍しく軍師が不思議そうな表情になった。

 「不思議なことを聞くんだな。改造するに決まっているだろう」

 「「改造!?」」

 「ロボットを見たら乗り込んで動かしたり改造したりしたいと思うのが男の子の心理として当然だろう」

こう言った軍師は一歩も引かないだろう。むしろアティが完全論破されてしまうことは島の全員が知るところである。

だからアルディラもせめてもの抵抗をする。それすなわち

 「アティ。できる限り見張っていてね」

アティ(生贄)に丸投げすることだった。

 「はい!! 任せてください!!」

 「う〜む、この信用度0の感じに慣れている自分がいるな」

使命感に燃えるアティの横で空間ディスプレイに改造計画を作り始めている軍師がいるのであった。

 

 

 

 

《話が飛んで無色の派閥襲来》

アティは親友であるアズリアとの決戦に勝利していた。この場にいない軍師の作戦通りに動いてみたところ、そこらじゅうに張り巡らされていた罠に帝国軍がかかって行動不能になったのだ。

アティも流石にまずいと思ったのでアズリアと一騎打ちをすることにしたのだ。アティがこの島に漂着した時から愛用している木の枝を構えた瞬間に仲間達が戦慄し、イスラも含めた帝国軍の面々が黙祷を捧げ、アズリアの表情が絶望に染まったことにアティは気づかなかった。

アズリアの『秘剣・紫雷絶華』を木の枝で斬りはらい、横薙ぎにアズリアを木の枝でぶん殴ったのだ。その際にアズリアから女性から出てはいけない声が漏れた気がしたが、アティは聞かなかったことにした。田舎育ちで山を走り回ったアティと違って育ちの良いアズリアからそんな声が出るとは思わなかったからだ。

 「アズリア。和平を結んでください」

 「……あぁ、勝者からの和平の願いだ。受け入れるさ。だからその木の枝を仕舞ってくれ」

アズリアが受け入れてくれたことにアティは嬉しくなる。

 「やっぱりお話をすればわかってくれるんですね……!!」

『それはお話(物理)だ』というツッコミを入れられる軍師は不在であった。

しかし、その空気をぶち壊す雰囲気を醸し出す集団がやってきた。見るからに暗殺者の格好をした集団と、典型的な召喚士の格好をした集団。

それを味方だと思った帝国軍の一部を止めたのはイスラであった。

 「やめておきなよ。あれは味方じゃない」

 「……どういう意味だ、イスラ?」

アズリアの言葉になんでもないようにイスラは告げる。

 「あれは無色の派閥さ。君たち島の住人にとっては仇敵さ」

イスラの言葉に島の住人達から殺意が漏れる。しかし、それを気にした風もなく、なんか偉そうな男性が現れる。

するとその隣に立つ女性が口を開いた。

 「傅きなさい、召喚獣供!! このお方こそ貴方達の主人であるセルボルト家の現当主、オルドレイク・セルボルト様ですよ!!」

しかし女性の言葉に素直に頷く住人はいない。なにせ住人達にとっては無色の派閥は仇敵だ。

それらを見てオルドレイクは見下したように笑う。

 「ふむ、先祖の正当な権利でここを接収しようと思ったが……まぁ、素直に従わぬか。ならば不穏分子は殺すしかあるまい」

その言葉にアティ達から緊張が出る。確かに帝国軍とは戦っていたが、お互いに死者は出さないように戦っていた。だが、目の前の男は平然と殺すと言った。つまりここから始まるのは本当の殺し合いになってしまう。

心優しいアティはそれでも話し合いで解決したいと思ってしまう。護衛獣の軍師からも甘いと言われてしまっているが、そこはアティとしても譲れない一線だった。

しかし、オルドレイクはイスラを見てどこか怒りの表情を見せる。

 「それで、同志・イスラよ。此度の裏切りは如何なる理由があるのか?」

オルドレイクの言葉にイスラは疲れ切ったように肩を竦める。

 「簡単なことですよ。貴方達かけられていた呪い。それ以上に恐ろしい存在がこの島には存在している」

 「……ほう、面白い戯言だ。このような辺境の島にそんな存在がいるのか。だが、こう言ってはなんだがそこにいる面々がそうとは思えん」

オルドレイクの表情が愉悦に染まる。

 「ひょっとしたらここにいる全員を皆殺しにすればその恐怖の存在が現れるのか?」

そしてオルドレイクは片手を挙げる。総攻撃の指示の準備だとわかるアティ達も武器を構える。

 「やれ」

オルドレイクのその言葉と同時に振り下ろされる腕。そして殺意を込めてアティ達に向かってくる暗殺者達。

そして暗殺者達は横合いから飛んで来た銃弾によって蜂の巣になって即死した。突然の惨劇に敵味方問わずに無言の空間が溢れる。

 「ふむ、ようやく来たか」

 「敵戦力の30%の削減に成功であります!! 参謀殿!!」

 「おう、ご苦労さん、ヴァルゼルド」

そこに立っていたのは片方にプニム、もう片方に魔改造を施されたヴァルゼルドを従えた軍師。

軍師は笑っていた、心底愉快そうに笑っていた。

 「マスター達と帝国軍の戦闘はお互いに殺そうという意識が薄かったから見逃していたが……お前達にはそんな情け必要ないよな」

島の外からやって来た悪意は、島内に隠れていた狂気が迎撃する。

狂気による一方的な殺戮の始まりである。

 

 

 

 

 

《番外:アティ先生の休日》

 「軍師さん!!」

 「うん? どうしたマスター」

 「どうしたじゃありませんよ!! なんですか渡してくれた水着!! せっかくのプレゼントだと思ってワクワクしながら開けて見たら出て来たのはどう見てもヒモですよ!?」

 「失礼な話だな。あれはとある世界ではスリングショットと言って水着と認められている代物だぞ?」

 「あんなヒモ見たいな水着がですか!?」

 「参謀殿!! 教官殿のそのお姿は望遠レンズでしっかりと撮影しておいたであります!!」

 「よくやったヴァルゼルド。その映像は島内にいるマスターファンに高額で売りさばくとしよう」

 「ちょ!! 軍師さんが個人的に楽しむ分にはギリギリ許せますが、販売は認めな……待ちなさい!! 軍師さん!! ヴァルゼルド!!」

 




軍師
異世界召喚体質でサモンナイト3の「忘れられた島」にアティによって召喚されてしまった存在。最初は外道行為のオンパレードにアティ先生の胃をマッハにするつもりが、アティ先生の「召喚士を真っ当な道に戻す!!」という目標によって外道行為がかなりなりを潜めた。そして番外編で軍師の性格設定にちょこっと触れていくスタイル。

アティ
リンちゃんですら説教(言葉)を諦めて説教(物理)になったのに、根気よく説得(言葉)を軍師に続ける存在。聖母かな? あぁ、女神か。しかし、その潜在能力はクソ高く、学生時代にそれぞれの世界の最高位の召喚獣を呼び出していたり、木の枝ではぐれ召喚獣だけでなくアズリアを倒すという完全なバグ。軍師にとってアティは『姉のような人』であり、数少ない心から受け入れる人である。しかし、その辺りのことを書く予定はない。

イスラ
ある意味でこの作品1番の被害者。記憶喪失を装って島に潜入したと思ったら軍師に拉致されて拷問(初球)を受けさせられる。素直に帝国軍のスパイであると言ったら「他に情報隠してるだろ、吐けよ」と言われて拷問(中級)にレベルアップ。その拷問に耐えきれずに自分の呪いのことや無色の派閥のことを話したら「じゃあ死なない呪いがどの程度か実験な」と言われて拷問(上級)を受けさせられた。プロの拷問者である軍師が死なずに、尚且つ精神崩壊を起こさない程度に拷問を書けられた結果、軍師に絶対服従となり、軍師に対して帝国軍と無色の派閥の両方の情報を流すようになる。ちなみにかけられていた呪いはあっさりと軍師が解除しました。

メイメイ
軍師の過去を知る数少ない人物。本編の隠し設定をこっちで出していいのかと思うけどまぁいいかの精神で書きました。

軍師のプニム
この世界のワンパンマン。どんな敵も一撃粉砕。

ヴァルゼルド
軍師によって魔改造を施されたポンコツ機械兵士。しかし戦闘力はガチである。

無色の派閥
基本ルート:軍師による皆殺し。そのために今後のサモンナイトシリーズが消滅する
トゥルールート:アティが軍師の好感度を一定値超えていると、オルドレイク、ツェリーヌ、ウィゼルは生き残る。赤き手袋は皆殺し。ちなみに軍師の好感度を一定値超えさせるには全話の夜会話で軍師を選択。昼間の選択肢でも常に正解しないと辿り着かない。ここのアティ先生はそれを成功させたすごい人。
どちらのルートでもヘイゼルは生存することになる。

アティ先生のスリングショット
作者のみたいという欲望



そんな感じで軍師がサモンナイト3に召喚された場合をダイジェストでお送りしました。連載で期待してくれるのは嬉しいですが、作者の投げている二次創作の基本スタンスは思いついたネタ短編を投げていくスタイルですので、連載はしたくないのですよ。というより連載にするとなるともう一度サモンナイト3をやらなきゃいけない。今更PS2を出したくないですし、リメイクPSPは持っていません。え? アーカイブスがある? ……保留で!! あ、念のためにタグにクロスオーバーを追加しておきますね。ひょっとしたらヴァイス・ブレイブにアティ先生が召喚される可能性もあるので。

そして前話で酷いキャラにしたカアラと黒い牙に対してお怒りがそろそろ来るかなぁと思っていたら、本文ではなく後書きに対してツッコミがくる現実。心が広い読者さんばかりで作者も一安心です。

アンケートにて『父親達の座談会(超意訳)』の意見をいただきました。それを見た瞬間にエリウッドとヘクトルのシグルドに煽られるアルヴィスの様子を幻視したので書こうと思います。さ、まずは登場キャラの選抜からだな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦禍の連戦〜裏切りの蒼鴉〜

大天使ニノエルの前に立ちはだかる蒼鴉……!! 彼女の真意とは……!!


俺は戦禍の連戦のメンバーを連れて最終ステージに入る。そこには今回のラスボスが控えていた。

俺はその人物が敵になると思っていなかった。何せバカ2人と違って隙があれば俺を殺しにくる人物ではなかったからだ。だから俺はその人物に向かって叫ぶ。

 「何故だ……何故敵に回った!! ウルスラ!!」

俺の言葉に一番奥で愛馬に跨りながら腕を組み、眼を瞑っていたウルスラは眼を開いて俺を見てくる。

 「召喚士。本当に理由がわからないのかしら?」

 「星5ロイ(ノーマル)はいる!! ロイ(総選挙)もいる!! ロイ(バレンタイン)もいるんだぞ!? あとはスキル継承させるくらいだ!!」

 「その通りよ。貴方は数多くのロイを召喚してくれたわ。そこは素直に感謝するわ。けどスキル継承はおろかスキル習得も終わっていない点は絶対に許さないわ」

ちゃうねん。ロイを育てようと思ったら好きな英雄がきてつい後回しになってるだけやねん。

 「私は確かにロイの母親よ。そしてそれと同時に黒い牙の1人……つまり、私が今回裏切った理由はもうわかるでしょう?」

ウルスラの言葉に俺は苦々しく吐き捨てる。

 「飛行大天使になった大天使ニノエルのことか……!!」

 「その通りよ!!」

俺の言葉にかなり強烈な返答を返すウルスラ。

 「ロイドとライナスのリーダス兄弟は愚かにも『次もピックアップはあるはずだ……!!』と諦めたようだけど……私たちは黒い牙!! ニノのためなら悪にもなるわ!! さぁ、召喚士!! 魔法のカードの登録の時間よ!!」

 「まずは落ち着け、ウルスラ。まずは落ち着いて彼女の言葉を聞くんだ」

 「あら? 私を説得したいのだったらニノを召喚するかロイを連れてきなさい?」

そして俺は戦禍の連戦のメンバーだった1人を前に出す。我がヴァイス・ブレイブの大天使・ニノである。

 「ウルスラさん……」

ニノから声をかけられたウルスラの行動は素早かった。ブラーウルフで味方であるはずのユニット達を殲滅して、馬から降りてニノに駆け寄る。

 「怪我はないかしらニノ?」

 「うん!! 大丈夫!!」

ニノの笑顔にウルスラの鼻から愛が溢れでる。しかし、今度は俺を殺す目つきに睨みつける。

 「召喚士……貴方って人は……!! 戦禍の連戦という連続ステージにニノを連れてくるなんて正気なの!? こんな可愛い娘が怪我をしたら世界の損失よ!!」

 「安心しろ、ウルスラ。怪我をさせないために奥義に天空をつけ、万が一にも怪我をさせた時のためにスキルCに生の息吹をスキル継承させたリンがいる。そしてリンには遠距離反撃を継承させ、他の2人は遠距離反撃内蔵武器持ちのフィヨルム、そして危険が迫った時に逃がせるように舞踏祭アクアを連れてきた。ニノの安全は完璧だ」

 「ならばよし!!」

蒼天の航路に出てくる乱世の奸雄のような発言をするウルスラ。ニノの安全を図るのは烈火世界の人間にとって義務である。今回ばかりはリンは完全協力。フォヨルムの目は死んでいてアクアは呆れているがそこはスルーである。

 「それで? そんな危険を犯してまでニノをここまで連れてきた理由は何かしら?」

 「ふ。息子ばかりを見ていてニノの変化に気づけなくなったか……《蒼鴉》の名前も地に落ちたか」

 「なんですって?」

 「よく見るがいい、ウルスラ!! 我らが大天使の持っている魔道書を!!」

俺の言葉にバッチリ空気を呼んで持っていた魔道書を高く掲げる大天使ニノエル。ウルスラはその魔道書を見て驚愕の表情を浮かべる。

 「そ、それは『ギガスカリバー』!! し、召喚士……貴方まさか……!!」

俺はウルスラの問いに俺はサムズアップで返す。するとウルスラはGJのポーズなのか親指を立てた。

そして主人に似て空気を読んでくれていたニノのペガサスが降りてきてニノがライドオンした。

その姿にウルスラが涙を浮かべる。

 「ニノ……立派になったのね……」

 「ウルスラさん……」

 「さぁ!! 来なさいニノ!! ブラーウルフは外しておいたから怪我をする心配はないわ!!」

 「……うん!! 行くよ、ウルスラさん!!」

 「ええ!! 来なさいニノ!! 私はあと一撃で死ぬわよ!!」

育成途中のニノではどう考えても一撃で倒せるわけないのだが、どうやらウルスラは一撃で倒されるつもりらしい。そっちの方が楽でいいが。

 「飛んで!!」

まさかのニノエルは奥義発動である。残念ながら大天使も烈火の系譜。割と容赦がない。

しかし、ギガスカリバーで吹き飛んで行くウルスラはどこか満足げだ。

一番奥の壁に激突して落下するウルスラ。そこに涙を浮かべながら駆け寄るニノ。

 「ニノ……強くなったわね……」

 「ウルスラさん……」

 「ふふふ、泣かないでニノ。これが私の選んだ選択なのだから……」

ものすごく満足そうにしているウルスラ。そして今度は俺を見てくる。

 「召喚士、映像の準備はできてる?」

 「任せろ。カナスが来たことで性能も上がっている」

 「marvelous。帰ったらレイも並べての撮影会よ」

愛され大天使の息子は当然ながら黒い牙のメンバーから溺愛されている。本人は必死に自立を目指しているが、それを連中が許してくれるのだろうか。

 「ウルスラさん……」

 「ニノ……できるなら最後に昔のような呼び方をしてくれるかしら? フェレ侯爵夫人になった私じゃなくて、黒い牙時代の私の時の呼び方……」

 「うん……『ウルスラねえちゃん』」

ニノの言葉に明らかに致死量の愛が溢れ出すウルスラ。

 「我が生涯に一片の悔いなし……!!」

 「ウルスラねえちゃぁぁっぁぁ!!」

ニノの慟哭がステージに虚しく響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 「はいはい、茶番は終わりよ。早く戻って次の周回に入るわよ」

 「あ、待ってリン。もうちょっとニノの温もりを感じたいから」

 「待たないわよ、ウルスラ。イベントは周回数が命なんだから。あ、それとニノが心配で隠れてついて来てるロイドとライナスは後でマジ説教だから」

 「「!?」」

 「それと召喚されていないはずなのにニノが心配で隠れて見ているジャファルとラガルトも同罪だから」

 「「!?」」

 




ニノ
ペガサスに乗ったことにより飛行が可能となったまさしく大天使。ちなみに彼女は作者のリア友(FEHプレイヤー)とSkypeで電話している深夜2時に「今なら出る気がする」と冗談で言ったら本当に出ました。天使かな?

リン
初期スキルはソール・カティしか残っていない1凸リン(ノーマル)。絆S、支援を結んだ舞踏祭アクアと一緒に戦禍の連戦のステータスアップ時に出すと最終兵器彼女状態。

ウルスラ
ロイコンにしてニノヲタな3凸。今回の戦禍の連戦の裏切りはリーダス兄弟とのニノの新装備召喚での意見の相違からだったようです。

リーダス兄弟
FEシリーズ恒例のシスコンキャラ。今回も妹が心配で隠れてついて来た模様。羽が足りなくてライナスはまだ星4です。

カナス
烈火の闇魔法使い。パントより先にこいつが実装されるとはこのリハクの目を持っても見抜けなかったわ……原作で災害を食い止めるために死んでますが、こっちの世界の烈火メンバーが災害で死ぬわけないのでバッチリ生存。そしてネットで噂のニノの親戚説を正式採用。ここはニノに優しい世界です。

ヴァイス・ブレイブでのニノの交友関係
交友関係は基本的にニノに任せているが、相手には必ず烈火メンバーによる素行調査が入るためニノの友人はまとも英雄が多い。不純な目的で近づこうとしたタクミとユリウスはミンチより酷い状態になった。




そんな感じで飛行大天使ニノエルがまさかの召喚でネタができたので投稿です。ちなみにニノの説明で書いている深夜2時にノリで回して出て来たのはガチです。その友人から「ジャッファも出そうぜ!!」と言われ回しましたが出ませんでした。ジャファルとラガルトはきっと星4落ち(作者の願望)するから……

そういえば皆さんは英雄値カンストしているキャラはどれくらいいるんですかね。作者は過労死枠第一位の舞踏祭アクアとリン(ノーマル)だけです。たまにめっちゃカンストさせている人がいますけど、どれくらいやりこんでんだろう。

さて、予定している『親父達の集い(仮題)』ですが、まだ書い始めていないのでもうしばらくお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と伝承英雄ヘクトル

友人からLINEにて『伝承へっくんが来たな』(原文まま)という連絡。
おいおい、烈火はリンちゃんが来たからくるわけないだろと思いつつFEHを起動。





……え? マジ?


 「俺が伝承英雄だ!!」

机に座りながら俺はスマホ、エリウッドはロイの写真を整理しながら勢いよく入室して来たヘクトルを迎える。俺とエリウッドは一度顔を見合わせてからヘクトルをみて口を開く。

 「「うん。だから?」」

 「お前らは俺に塩対応過ぎない?」

ヘクトルの言葉は超今更だから。

そして俺の代わりにエリウッドが口を開いた。

 「いいかい、ヘクトル。今は夏。今年も当然のように水着ガチャが始まった。登場英雄を見て召喚士は普通にスルーしようと思ったけれど作者が『仕事に疲れたからガチャを回して癒そう』という末期の発想によって140個のオーブが全部注ぎ込まれた」

 「……やめてくれ」

俺が耳を塞ぎながら言ったにも関わらず腹黒親バカは言葉を続ける。

 「召喚士も『緑以外は全部回すから星5は誰か出るだろ』という楽観的な考えの結論が大量の星3英雄さ」

 「ああ、よく覚えているさ。その後に『クソガァ!! こうなりゃ星5が出るまで回してやるよ!!』とやけになって課金したこともな」

 「やめろ貴様らぁぁぁぁ!!!!」

明らかに愉悦な表情を浮かべているバカ2人。

 「セーフだから!! 最後の召喚起動まで星3ラッシュでガチで死にかけたけど最後の青2つで水着ティアモとマークちゃんが連続召喚というミラクルが起きたから!!」

 「「残りオーブの数」」

 「3個だ!! 文句あっか!!」

欲しかった攻め立てと死線のわざマシンも1人ずつしか出ないという奇跡。課金をやらかしてるあたりになんのためにガチャを回したのか不明である。ストレスが溜まらない素敵なガチャはないかしら。

そんな心温まるやりとりをしながらヘクトルは俺の部屋の定位置に座り、勝手に部屋に置いてある自分用の酒瓶を開けながら本題に入る。

 「それより今回の伝承英雄は俺だったわけだが。作者の最初の予定を完全に無視して烈火が全面に出ているこの作品的に課金に走るのは当然だよな?」

不思議なことを言う脳筋である。

 「この作品でお前が幸せになる展開とかあると思ってるのか?」

 「知ってた」

俺の言葉にヘクトルが死んだ目になりながら呟く。

 「それにFEHは去年の流れなら水着ガチャ後半戦も残ってるからな。水着リンのために実弾(リアルマネー)はとっとかないと……!!」

 「いや、流石にリンはもうないでしょ」

エリウッド、そう思っていた時の伝承リンやったんやで?

 「まぁ、でもすり抜けがないのはいいよな。少しは安心してられる」

 「確率も8%だしねぇ」

俺の言葉にエリウッドが続く。

 「あ〜、ところで召喚士。スマホ弄って何をやってるんだ?」

 「FGO」

 「FEHをやれよ!!」

ヘクトルの叫びはガンスルーである。帝都をギリギリ走り終わってからのイシュタルカップ復刻とかリンゴの消費が追いつかない。

 「FGOの水着イベもあるからな。今年こそ水着ジャンヌがくると信じてるからお前に注げる金なぞない」

 「FEHで水着リンとかが来たらどうするんだい?」

エリウッドの言葉に俺は100%爽やかに笑う。

 「魔法のカードを使うのも辞さない」

 「エリウッド、リンへの通報は?」

 「大丈夫。もうすでにしてあるから。召喚士の魔法のカードはリンの管理下さ」

 「おいバカやめろ」

それじゃあプリペイドカーデでしか課金できなくなるじゃないか。

 「まぁ、それより今回のピックアップだよ。赤に暁アイク、Christmasサーリャ、リーフの3人だね」

 「「なんでクリスマスだけそんなに発音いいんだ?」」

妙にクリスマスだけ発音が良いエリウッドの言葉に俺とヘクトルが突っ込むが笑顔でスルー。

 「青が伝承エフラムにバレンタインリン。それにマークちゃんか」

 「……なぁ。俺バレインタインガチャの時の記憶がないんだけど」

 「そのまま飛ばしておけよ」

 「決して思い出してはいけないよ」

バカ2人が死ぬほど珍しくガチ表情で告げてくる。あの時は気がついたらリンがバレンタイン装備を持っていたことに嬉しくて流してしまったが、ガチャを回している途中から記憶が飛んでいる。

 「まぁ、いいか。んで、無色がエリーゼ、バレンタインロイ。後1人が……」

そこで俺の言葉は止まる。バカ2人も痛ましいものをみるような表情で最後の1人の名前を見る。

そこには『形容できないほど気色悪い生物(ギムレー)』の名前があった。

3人一致で見なかったことにして最後の今回本命であろう緑にうつる。

 「最後の緑が『伝承英雄俺!!』にミルラ、それに斧アイクだな。これは緑を回すのは決定的に明らかだな!!」

 「だけどなぁ、幼女が来ると発狂するのが最低でも2人いるからな。斧アイクは欲しいが」

 「似たような理由で青も危険だよね。ストーカーに新装備とかリン激怒案件待ったなしだよ?」

 「だが無色は星5が全員このヴァイス・ブレイブにいる上に特大の地雷(ギムレー)が潜んでいるからなぁ」

俺とエリウッドがそこまで会話してヘクトルをみるとAAコロンビアのポーズを決めていた。

 「俺が勝ちだと言った意味がわかるな? このヴァイス・ブレイブの星5がいない上に地雷がないのも緑しかない。つまり今回の伝承英雄ガチャは緑を回すしかないのだよ……!!」

 「緑で誰か欲しい星4っていたっけ?」

 「セルジュの個体値を厳選中だな」

 「聞けよ!!」

 「「聞かない」」

ヘクトルの叫びをエリウッドと一刀両断にしながら召喚室へと向かうのだった。

 

今回のガチャ結果は無料召喚で1回だけ。星4セシリアでした!!

 




ストレス発散でガチャを回す
オススメしないストレス発散方法です。高確率でストレスが増す結果になるので辞めましょう

水着イベント
FEH:リン、カミラ、イシュタル、パオラ、カアラ
FGO:ジャンヌ(ノーマルオルタ問わず)、ブーディカ、アタランテ、メドゥーサ
上記の方々くると作者の財布がピンチ。同時にこられると作者の口座が死ぬ

個体値厳選
リン(ノーマル)が速さ↓個体だった時点で作者は個体値厳選に拘らなくなりました。好きなキャラは星4で手に入ったら覚醒させてます(例:ティルテュ、ニノ、パオラ、アテナ、カゲロウ)。強いキャラはある程度選びます(ラインハルト、エルフィ)。好き且つちょっと厳選(大人チキ、サーリャ、フロリーナ、カム子、フィル、シーマ、ギュンター、セシリア、リリーナ)。厳選の途中でめんどくさくなった(エリウッド)。シーダ様とセルジュはたまにはこだわってみるか、と思って厳選中です。

伝承英雄ヘクトル
外道「これで烈火主人公で伝承英雄になっていないのはエリウッドだけなわけだが」
腹黒「第二回英雄総選挙で28位の時点で諦めているさ!! 僕は数少ないファンを大切にするのさ!!(キラ⭐︎)」
脳筋「すげぇ…召喚士並の胡散臭さだな」



そんな感じで伝承英雄ヘクトル(身召喚)編でした。本文にもある通りの理由で今回は課金なし。まぁ、ヘクトルだしいいよね!!
今回の伝承英雄ヘクトルは完全に意表を突かれました。『烈火はリンちゃん出たしもうねえだろ。次はマルスかなぁ』と思っていたところに奇襲されました。なのでオーブの蓄えもなし。水着ルフレの復刻があったので外見水着ルフ子で中身がギムレーという『ルフ子だと思った? 残念!! ギムレーでした!!』をやりたかったのですが諦めました。次の機会を待とう……

ネットでFE無双のリンちゃんの乳揺れがすごいという評判をみて購入しようかと思いましたが3DS版の画像は酷いという評判をみて辞めました。FEの新作がスイッチで出るのでスイッチが欲しいところですが、部屋に置くところもないし金もない。どうすっかなぁ……

明日か明後日に活動報告にてこの作品を含めた作者の作品の更新予定を書くつもりなので良かったらご確認ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

颯爽登場!!伝承英雄ヘクトル!!

日本VSベルギー戦でアディショナルタイムに綺麗なカウンターを決められて負けたショックを癒すためにガチャを回してみました

『俺はオスティア侯ヘクトル。アルマーズと共に貴殿の力となろう。…って、ガラじゃねえよな、こんなのは』



……え?


 「「はぁ……」」

 「うん? どうした外道に腹黒。あぁ、言わなくてもわかるぞ。この慕われ系最強ジェネラルオスティア侯爵様の強さに驚愕してしまったのだろう?」

 「ねぇ、召喚士。このウザいのどうにかならない?」

 「ハハ、雑魚フェレ侯爵様は黙ってろよ」

ヘクトルの煽りにエリウッドはデュランダルを叩きつけることで返答とした。ヘクトルはその無駄な耐久力で平然と笑いながら煽り続けている。

 「こうなるのわかってる癖になんで召喚しちゃうかなぁ、召喚士は」

 「今回は完全に事故だよ。ミルラを召喚しようとしたら出てきたんだ」

 「はっはぁ!! 召喚士はツンデレか? なんだかんだで全種類の俺の装備を召喚しているのに?」

 「……あれ? そう言えばヘクトルはなんでバレンタイン装備があるんだ? 召喚した記憶がないんだが」

俺の言葉にエリウッドが本気の右ストレートをヘクトルに叩き込んだ。

 (君はバカかい、ヘクトル。あの『バレンタインの悪夢』を召喚士に思い出させてはいけないんだよ? だから僕も今回のロイ(限定)ピックアップに触れなかったのに)

 (す、すまん。つい)

 「バレンタイン……出てこないリン(限定)……ヘクトルが2人目? クハアァ!! 確率のクソめ……!! いいだろう!! 魔法のカー」

 「おっと落ち着きなよ、召喚士!!」

 「お茶が空っぽだぜ!! 仕方ないから俺が淹れてやるよ!!」

ナニカの記憶を思い出そうとした俺を正気に戻したのはバカ2人だった。珍しくバカ2人が冷や汗をかいていることが印象的だった。

俺はお茶を飲んで一息ついてからヘクトル(伝承英雄)の資料を見る。

 「お前も育成の甲斐がないなぁ」

 「最初からスキルが揃っていると育成の甲斐がないよねぇ」

 「使えるのは騎盾の紋章くらいの雑魚騎馬は黙ってろよ」

エリウッドの言葉にヘクトルが煽り返しをすると2人で胸ぐらをつかみ合い始める。

 「回り込みは覚えさせたから、オスティアの鼓動とは別のスキルCを継承させるかな」

 「いやぁ!! 優秀すぎて辛い!! HPは47で攻撃力は56、守備も44。そして遠距離反撃と迎撃体系に天雷アルマーズというスキル構成で優秀すぎて辛いわぁ!! これは闘技場に俺が溢れちゃうなぁ!!」

俺が脳筋に何のスキルを継承させようか悩んでいたら、馬鹿脳筋が能力自慢を始めた。おのれ……守備↑魔防↓個体の分際で。後でリリーナと相性激化サナキの魔法を叩き込んでやろう。

 「ふ〜ん……ヘクトルがそこまで言うんだったら壁役として最強の自負があるわけだね?」

腹黒親バカが何やら不穏なことを言っている。しかし、脳筋は気づいていない。

 「当然だぜ!! 俺以上に強い英雄は存在しないって言えるね!!」

よっぽど今回の装備に自信があるのか普段以上に大口を叩くヘクトル。エリウッドと視線だけで会話して頷く。

そして俺は机に用意していた鈴を鳴らす。その直後に俺の部屋の扉が開かれる。

 「およびか、軍師殿」

やってきたのは烈火修羅面カアラだった。カアラの登場に調子に乗っていたヘクトルの顔色がやばいことになっている。だが、俺は笑顔でそれを無視する。

 「カアラ。アイラとアテナと一緒に開発していた技は完成したか?」

 「御意に。既に実験は終了しています。あとは実戦で試させていただければ」

 「それじゃあ実戦訓練だ。幸いなことにヘクトルがその役目をやってくれるそうだ」

 「なぁ!?」

俺の言葉にヘクトルが驚愕の声を出す。だが、カアラはそれを無視して嬉しそうに声を出した。

 「それは助かります。軍師殿が教えてくださった『一刀修羅』を完成できそうです」

 「召喚士!! テメェ、なんてものを教えてやがる!!」

ヘクトルの言葉に俺とエリウッドは笑顔で中指を立てておく。

ヘクトルは悲鳴をあげながらカアラにひきづられていく。相性不利の上に『ヴァイス・ブレイブ修羅三人衆』を相手にするのだからきっと無事では済まないだろう。

遠くから聞こえるヘクトルの断末魔を聞きながら俺とエリウッドは優雅にお茶の時間を楽しむのだった。

 




伝承英雄ヘクトル
前書きにある通り、日本VSベルギー戦を見て『そうだ、こんな時はガチャを引こう』と思って引いたら出てきました。特に狙っていないのに全種類揃っている事実。まぁ、ヘクトル(ノーマル)は頻繁に使っている事実もありますがそれは遠い棚に放り投げておきましょう。ヘクトル(バレンタイン)? ちょっと何を言っているかわかりませんね。

ヴァイス・ブレイブ修羅三人衆
『敵だったら身内だろうが元味方だろうが容赦なく殺す系修羅・アイラ』『兄者とバアトルは絶対に殺す系修羅・カアラ』『私より強い奴に会いに行く系修羅・アテナ』の3人組。アテナはアイラのキャラ崩壊させた時と同時期にキャラ設定は作っていましたが出せていませんでした。そしてカアラの加入によって歩行剣士は修羅の世界になりました。「アテナだけ強さ微妙じゃね?」とか言わないように。だって二次創作だからネ。
召喚士のいらない助言で『一刀修羅』を開発してしまった模様。きっと自分のステータスを大幅に上げる補助スキル。

バレンタインの悪夢
ヴァイス・ブレイブの1番の悪夢。暴走した召喚士によって英雄達に大打撃を受けた。しかし召喚士にその記憶はない。リンの判断によってこの時の出来事は召喚士に絶対に伝えてはいけないことになっている。



そんな感じでW杯の日本敗戦のショックでガチャを引いたら伝承ヘクトルが来ました(この時午前5時頃)。深夜(むしろ明け方?)の方がガチャの出がいいような気がしますね。

感想にて作者が召喚したらこう言うキャラにしようと思っていた『ヤンデレストーカーロリマムクートミルラちゃん』を出されてしまいました。読者様の予想通りのキャラ崩壊は負けた気分になるので別のキャラ崩壊を考えなきゃ……その前に召喚できるかの問題ですが。そして同じ緑だったらディアドラが欲しいです。

活動報告に書いた通り、仕事の関係で更新が遅れます。今回のように1000字程度だったら書けそうですが、『父親達の飲み会』見たいな文字数が多い奴はしばらくお待ちください。いえ、文字数を削ればいいんですが、浮かんだネタを放り込んでたら文字数増えるんですよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とジャファル

水着リンダ狙いのすり抜けで2連続で出てくると言う暴挙。許さんぞ死神。


 「召喚士はいるか?」

俺が自室で知識探求者カナスに異世界の魔道を教えている時にやってきたのは、黒い牙が誇る『四牙』の1人であるジャファルだった。

 「おう、どうしたジャッファ」

 「どうかしましたかジャッファさん」

 「ジャファルだ」

俺とカナスの呼び方を無表情で訂正するジャファル。全く、烈火時代に「ジャファルがなかなかみんなと仲良くなってくれない」と悲しんでいた大天使・ニノエルのために考えた愛称に不満を漏らすとか極刑ものだぞ。

とりあえずジャファルが入室してきて席に着く。そして真剣な表情で俺に告げる。

 「出撃メンバーを変えて欲しい」

ジャファルの言葉に俺とカナスは不思議になって首を傾げる。

 「ロイドとライナスとウルスラだろ? 同じ『四牙』だろう。仲良くしろよ」

 「バカか貴様!! 戦闘中に『すまん、手が滑った』と言ってリガルブレイド(武器末錬成)が飛んできたり『悪りぃ、手が滑った』と言ってバシリコス(武器末錬成)が飛んできたり『ニノを誑かした悪い虫は死ね』と言ってブラーウルフ鍛+(武器錬成済)が背後から飛んでくるんだぞ!! しかもメンバー入っていないはずの粛清の暗器+(武器末錬成)まで飛んでくる!! 呑気にSP稼ぎなんかできん!!」

俺の言葉に『感情を持っていない』という公式設定を華麗に捨て去って叫ぶ死神さん。どうやら黒い牙(正式名称・ニノちゃんファンクラブ)の皆さんは事故を装って殺そうとしているらしい。

 「ふ〜む、カナスはどう思う?」

 「僕の可愛い姪を誑かした悪党は死ねばいいと思うよ」

穏やかに微笑み、片眼鏡を輝かせながらニノと結婚した旦那に死ねばいい発言をするカナス。烈火の愛され大天使の心を射止めた死神に対する烈火世界出身者の憎悪は深い。特に黒い牙の皆さんはチャンスがあれば殺そうとしている。チャンスがなくても殺そうとしているロイコンで重度のニノヲタもいるが気にしない。

興奮したジャファルを俺が特別調合した鎮静薬を混ぜたお茶を飲ませて落ち着かせる。

 「そういえばジャファルはよくニノと結婚できたな。ブレンダンとか絶対に許可しないと思ったけどな」

俺が思い出すのは筋骨隆々で悪党ヅラをしたニノの養父。黒い牙の首領なのでニノを当然のように溺愛し、ネルガルの罠によって殺されて、俺とパントによって復活した時は他の復活した黒い牙のメンバーと一緒にネルガルのモルフ達を大量虐殺していた。その狂戦士っぷりは頭のネジを飛ばしていた自覚のある俺とエリウッドとヘクトルもドン引きしたものである。

俺の疑問にジャファルは表情を歪めた。

 「無条件に許可されるわけがない。黒い牙名物の根性試しをクリアできたからだ」

 「黒い牙名物の根性試し? そんなのあったのか?」

 「ああ。黒い牙には頭がおかしい試練や儀式がいくつもある。俺がやったのは黒い牙名物『油風呂』だ」

 「カナス」

俺の言葉に片眼鏡を光らせながら本を片手に説明を始める。

 「黒い牙名物『油風呂』。古くはサカ部族達の伝統的な拷問方法だった『地獄船』を黒い牙首領・ブレンダンが取り入れた代物だったようです。金だらいに油をいっぱいに注ぎ、火のついた蝋燭を浮かべた笹舟を浮かべ下から火をたく。油温は上昇していくけど、身動き1つすれば船はひっくり返って自分が火達磨になることになる。その恐怖と苦痛は蝋燭の火がなくなるまで続く精神力の勝負になる……って書かれているね」

 「いつから黒い牙は男塾になったんだ?」

いや、烈火世界にいた時にラガルトから昔の黒い牙の話を聞いたときから怪しいと思っていたが。

 「俺は油風呂をクリアしたことでブレンダンからニノとの結婚が許可された。ロイドやライナス、ウハイは当然としてアイオス、ケネス、ジュルメ、テオドル、ヤン達からエリウッドが企画してくれた結婚式の時は殺す視線を向けられたが」

 「流石はニノちゃん大好きクラブのみなさん。ちなみにソーニャとウルスラとブレンダンは?」

 「そこにいるカナスも含めて血涙を流していたな」

 「ははは、僕は今でも認めていないよ? 義姉の忘れ形見をそう簡単に渡せないから」

穏やかな表情を浮かべながらラウアアウル+を構えるカナス。こいつも機会があればジャファルを殺す気だろう。

 「……おい、召喚士。俺を殺そうとする連中をどうにかしろ」

 「断る」

 「召喚士!?」

 「ははは、我らが大天使を嫁にした上に子供を産ませた輩は死ぬべきだろ」

 「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ジャファルが俺の首を絞めてくるが俺は笑いながらそれをスルー。

 「やはり貴様は死ぬ……は!?」

首を絞めていたジャファルの首筋にリガルブレイドとバシリコスが当てられている。

それの持ち主であるロイドとライナスはどこか薄ら笑いを浮かべている。

 「いかんなぁ、ジャファル。味方殺しは黒い牙じゃご法度だ?」

 「兄貴の言う通りだ。そしてその鉄の掟を破った奴は殺されても文句は言えねえんだぜ?」

諌めているような言葉だが、2人の表情は『ようやく可愛い妹を誑かした男を殺せる』とシスコン丸出しの表情だった。

 「それじゃあ、ジャファル。訓練場に行くか」

 「安心しろよ死神。すでに蒼鴉とラガルトが黒い牙特別粛清道具を揃えているからよ」

 「け、計画的犯行だと!?」

リーダス兄弟に連行されるジャファルに俺とカナスは親指を下に向けて見送ったのだった。

 




ジャファル
愛称はジャッファ。黒い牙最強の暗殺者。作者の『ニノの相手はジャファル以外いないよね!!』という思考回路によってこの作品の大天使を嫁に迎えた。そのために黒い牙の面々を筆頭にした烈火メンバーからのヘイトがやばい。え? 原作の性格? ちょっと何言ってるかわかりませんね。水着リンダが欲しくて無色を回したら連続で2人来た。死神の暗器を誰かに継承させようかと思ったらできなかった。死神の非常用わざマシンとして使いますかねぇ。

カナス
烈火世界の知識探求者。腹黒親バカの嫁さん紹介回に少し触れましたが、パント達と一緒にモルフから黒い牙の皆さんを復活させた1人。姪のニノを可愛がる頼れる伯父さん。この作品では説明キャラとして使っていく予定です。愛読書の出版社は民明書房が多いご様子。

リーダス兄弟
羽が貯まったので2人とも星5になってます。作者の予想通りに星4落ちしたラガルトおじさんもやってきて星5レベル40にしたので、実装されている黒い牙の皆さんが星5のレベル40になっている我がヴァイス・ブレイブ。

魁‼︎黒い牙
ブレンダン「黒い牙に死という文字はあっても敗北という文字はない!!」




久しぶりの上に超駄作で申し訳ありません。でも水着リンダを狙って回したらジャッファが2人も出てきたので腹が立ったんです。ついでに黒い牙を男塾にしたかったのもありますが。
水着カミラ姉さんは1回の課金で来てくれたというのに、ジャッファのブロックのせいで水着リンダはなかなか出てこなかったじゃないか。あ、水着リンダは追加課金なしで来てくれました。

感想でご指摘があった通り運営はリンを使いすぎですね。好きなキャラが出てくるのは嬉しいですけど、伝承枠は別のキャラにすべきだったでしょう。それに同じキャラばっかり増やしすぎるのもどうかと思います。FEシリーズには他にも魅力的なキャラいるやん?
Q、だったら限定リンが来ても課金しないんですか?
A、え? しますよ? 当然じゃないですか
作者みたいな人間がいるから人気キャラの限定が大量生産されるわけですね。

そしてストーリーでさらっと復活するヘルビンディ。この作品では明らかに死んでますけど、なんか助けたレーギャルンと助けられたヘルビンディの会話を見て思いついてしまうネタ。この際だから第二章のストーリーは全部書いてやろうかとも思っています。書く時間があればの話ですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大いなるもの顕現す〜ヘクトル強すぎない?〜

せっかくだから俺はこの配布英雄を選ぶぜ!!


 「大いなる者顕現す召喚だ!!」

俺とエリウッドが俺の部屋でロックマンX(チャージバスターなし縛り)をやっていたら勢いよくヘクトルが入ってきた。

その瞬間に俺とエリウッドは大きく舌打ちする。だが、脳筋は俺たちの反応を無視するように言葉を続ける。

 「動画は見たな外道と腹黒!! 総選挙の俺が持ってくる武器であるマルテは反撃に確定追撃!! 専用スキルであるオスティアの反撃は遠反効果の上に反撃時に攻撃と守備を4上昇!! さらには攻撃隊形によって自分から攻撃した時にも確定追撃!! 辛いわぁ!! 優秀すぎて辛いわぁ!! これは闘技場に俺が溢れることは確定的に明らか!!」

 「「こいつマジで死ねばいいのに」」

どこまでも調子に乗っているヘクトルに対して絶対零度の視線を向ける俺とエリウッド。このバカは調子にのせるとどこまでも登り続ける。

 「ネットでの俺のステータスの基準値も見たな!! 攻撃は53、守備は39、魔防は28、HPは48もある!! 天空みたいな自己回復奥義をつけたら無敵すぎねぇか!!」

 「召喚士、殺害方法は?」

 「バフマシマシの緑ブレードだな。ニノとスリーズとカミラ姉さん(バニー装備)とオルエンにお願いするか」

 「はっはぁ!! 一撃耐えたら反撃でぶち殺してやるよ!! だけどフロリーナとリリーナとニノは勘弁な!!」

渾身のドヤ顔をかます脳筋の瞳にバルス(目潰し)をする。

 「目がぁぁ!! 目がぁぁぁぁ!!!」

 「ヘクトルって大佐だったか?」

 「オスティア侯爵だね」

俺の部屋で目を抑えながらのたうち回るヘクトルを無視して俺とエリウッドは和やかに会話する。

しばらくのたうちまわっていたヘクトルだったが、目の痛みが和らいだのか俺が持っていたPS4のコントローラーを奪ってアイシー・ペンギーゴのステージに挑戦する。

そしてフットパーツが手に入るところまでいけずにゲームオーバーになった。

 「うっそだろ。ゲーム下手くそって知っていたけどアイシー・ペンギーゴまで行けない奴とか初めて見たぞ」

 「格ゲーでは気持ち悪いくらいのレバー捌きを見せるのにそれ以外だと残念なのが実にヘクトルだよね」

俺の戦慄した呟きにエリウッドが清々しいほどの笑顔でとどめを刺す。

 「召喚士!! 召喚の時間だ!!」

 「「あ、逃げた」」

 「うるさい!! 最低文字数稼ぎのためにグダグダ文字を増やすんじゃねぇ!! さっさと召喚室に行くぞ!!」

どこからか取り出したアルマーズを振り回しながら俺の部屋を出て行くヘクトル。俺とエリウッドは視線だけで会話するとその後を追うのであった。

 

 

 

そんなわけで召喚室。今回は1人はプレゼントでもらえるので安心してオーブを叩き込める。

 「伝承ルキナちゃんの時はあまりの爆死っぷりが気持ちよかったよね」

 「『星5が出たら撤退するから……』って言いながら何%まで上昇したんだっけか?」

 「18%だクソがぁぁぁぁ!!!!!」

俺の慟哭に愉悦するバカ2人。伝承ルキナはおろか星5が出なくて、オーブが空っぽになって撤退せざるおえなくなった伝承ガチャ。確率アップとはなんだったのか。

 「さ、召喚士。俺の新しい装備を献上させる権利をやろう」

どこまでも上から目線なヘクトル。俺とエリウッドは顔を見合わせて頷くと召喚石版を起動する。

浮かび上がる土煙。出てくるシルエット。

 「………え? わたし?」

 「なんでや!?」

出てきたエンブラ皇女ヴェロニカちゃんを見て叫ぶヘクトル。ort状態のヘクトルの右肩を俺が、左肩をエリウッドが叩きながら言い放つ。

 「「お前の幸せを俺たちが願うとでも?」」

 「知ってた」

ヘクトルは白目を剥きて倒れこみ、それを俺とエリウッドが死体蹴りをする。召喚して早々にそんな地獄を見せられた異世界ヴェロニカちゃんは通報を受けたリンに保護されニニアン保育園に入園することになるのであった。

 




ロックマンX
作者にとってのロックマンシリーズはXシリーズ。一番好きなボスはストーム・イーグリード。

異世界ヴェロニカちゃん
召喚されて早々に植え付けられたトラウマ。ちょっと、カウンセラーさん呼んでくれますか

伝承ルキナガチャ結果
嘘みたいだろ? 事実なんだぜ?



更新ができなくて申し訳ありません。なにせ書くヒマがない。仕事なのもありますが、FGOの夏イベ、ロックマンXアニバーサリーコレクション、ルーンファクトリー4のせいで書く余裕がありませんでした。え? それは書くヒマがあっただろうって? ちょっと何言っているかわかりませんね。ちなみにFGOの水着ガチャはメイヴちゃん以外の水着が全員揃いました。さらにはオジマンもすり抜けでやってくる始末。種火が足りません!!

さて、久しぶりにアンケートにて『覇王様を三馬鹿に絡ませようぜ!!(作者の脳内変換)』というご意見を頂戴しました。うん、確かに弄りたいキャラなんだけどその前に『父親達の宴』もまだ書いていないのでそれ以降になるかもしれません。マジで書く時間がねぇ……

三国志をプレイしている時に三馬鹿を筆頭にしたこの作品のキャラ達を新武将としてぶち込んでプレイ動画を作りたいと思いましたが、知識も時間もないので断念。実に残念です。

どうでもいいですけど作者のアニメ化して欲しい作品
天にひびき、高杉さん家のおべんとう、箱入りドロップス、海皇紀


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たのしいかむいいっかのゆかいなかしんたち

前回の更新からおよそ1ヶ月。ジョーカーを羽にするので許してください。


ジョーカーは激怒した。必ずやあの邪智暴虐なる召喚士の息の音を止めねばならぬと決意した。ジョーカーはヴァイス・ブレイブの平和などわからぬ。ジョーカーは執事である。カムイ(♂)に仕え、カムイ(♀)に忠実に従って生きてきた。けれどもカムイファミリー(カム男、カム子、カン男、カン子)の動向に対しては人一番に敏感であった。

 「どういうことだ!? キチガイ召喚士!?」

走れメロスのような流れをジョーカーに当てはめて考えていると、予想通りに本人が怒鳴り込んできた。

当然のように俺の部屋に居座っている腹黒と脳筋と視線だけで会話して口を開く。

 「ふ〜む、俺は無礼執事に怒られるようなことをしたか?」

 「リンになら怒られることはたくさんしているんじゃないかい?」

 「バレなければいいんだよ……!!」

 「ヘクトル」

 「おう、どの情報をリンに流す?」

 「おいバカやめろ」

流れるように俺を死刑台送りにしようとしたバカ2人を止める。ちなみにリンに殺されそうになった場合2人は当然としてギムレーとエイリークストーカー’sも巻き込む所存である。

 「これのことだ!!!」

3人で牽制しあっているとイライラとしたジョーカーが一枚の紙を突き出してくる。それは広間にある掲示板に張り出される通知の紙だ。ここには出撃メンバーの発表や呼び出し、懸賞金リスト(大半がヴァイス・ブレイブに所属する英雄。懸賞金トップはエイリークストーカー2人の現行犯逮捕である)が張り出される。

 「そう言われてもな。俺は最近そこ使うのは出撃メンバー発表くらいだぞ」

 「戦禍の連戦の時に脱走するゼルギウスを捕まえるのに使っているよね?」

 「しかも頻繁にミカヤを嗾けるよな。ゼルギウスが印付きで境遇が似てるから気にしていることを知っていてやるとか鬼かよ」

 「いや、それやらないとゼルギウスが捕まえられないのが悪い」

あのクソみたいな能力はなんなの? 闘技場で出会ったゼルギウスに『祈るが良い』黒の月光連射でパーティメンバーが一瞬で溶けた思い出。やっぱり闘技場上級は地獄だぜ!!

 「それよりこれを見ろ!!」

ジョーカーが突き出し続ける紙を受け取って目を通す。当然のように面白がってバカ2人も覗き込んできた。

 『辞令

  本日より以下2名をカムイファミリーの世話役から除名する。

  対象者:ジョーカー フェリシア

  アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領軍総司令官 リン』

俺とエリウッドとヘクトルは顔を見合わせてキメ顔で言い放つ。

 「「「ようこそ無職の世界へ……!!」」」

 「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

俺たちの冗談にガチ切れする無礼執事。

 「いいか!? クビにされるのがあのピンク淫乱クソ無能メイドだったら理解できるしむしろ物理的に首を飛ばして欲しいくらいだが、この俺をクビにする理由がわからんぞ!?」

おそらくはそのカムイファミリー以外に対する対応の雑さだからだと思うぞ。

 「とりあえずジョーカー、隣の部屋を見たら理由がわかると思うぞ?」

 「なに?」

訝しげなジョーカーをヴァイス・ブレイブの英雄達に(胡散臭いと)大評判の笑顔で俺は隣の部屋へ促す。俺の笑顔を見て嫌な予感がしたのか逃亡を図ろうとしたジョーカーはエリウッドとヘクトルによって即座に捕縛された。

 「やめろぉ!! やめろぉぉ!! 貴様らがその笑顔を見せる時はロクでもないときだけだぁぁ!!」

 「まぁまぁ、そういうなって無礼執事」

 「そうだよ、きっと君の気持ちがスカッとする光景がみれるはずさ」

ヘクトルとエリウッドの言葉も聞かずに抵抗するジョーカーを3人で縛り上げて隣の部屋へ連行する。そして隣室の扉を開くと一人の人影が浮かび上がる。

それは氷漬けにされたフェリシアの姿だった。

 「フェリシアが死んだだと!? よくやった!!!」

心からの歓声を挙げるジョーカー。だが、俺とエリウッドとヘクトルはジョーカーの末路がわかりきっているので黙って十字を切る。

 「ずいぶんとフェリシアと一緒に好き勝手やっていたそうね、ジョーカー」

加隈亜衣さんの声を聞いて顔色が酷くなるジョーカー。

 「召喚士さんから貴方とフェリシアにカムイ様達関係で迷惑をかけられていると相談されたのよ?」

そこにいたのは霧氷のナイフをジョーカーの頬に当てながら笑顔(しかし、眼は笑っていない)を浮かべるフローラだった。

 「し、召喚士?」

 「悪いなジョーカー。ついガチャっちまったZE!!」

 「なぜ赤を引いたぁぁぁ!! 青だったら脳筋の自称カムイ様の親友だっただろうが!!」

それはサイラスが即座に星4落ちしそうだったからだ。

 「ギュンターさんからも話は聞かせてもらったわ。ええ、ずいぶんと召喚士さんに迷惑をかけているみたいね、貴方と愚妹は」

引きつった笑顔を浮かべなから口を開くジョーカー。

 「まぁ、待て。そう無理しなくても話せばわかる。どうだフローラ。このカムイ様ファミリーのお写真は?」

ジョーカーが懐から取り出した写真をフローラはメイド服のポケットに丁寧にしまいながら俺を見てくる。だから俺も力強く頷く。

 「問答無用だ、殺れ」

 「やめろ召喚、あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

ジョーカーの断末魔がヴァイス・ブレイブに響き渡ることになった。

 




フローラ
カムイファミリーに仕える家臣筆頭(恐怖的な意味で)。原作の「私にはあなただけです」とか割と笑えなかったゾ。なんかFEHの会話で召喚士に対して依存気味な感じだったので心情的の割合は
カムイファミリー>召喚士>>ギュンター>>>>if組>>>>(超えられない壁)>>>>フェリシア>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ジョーカー
え? 原作でのジョーカーに惚れている設定? 原作で支援会話がない時点でそんなもん無視ですよ

ジョーカー&フェリシア
ギュンター以上のストッパー登場によって命の危機。

ギュンター
フローラの召喚で少し落ち着けるご様子。

カムイファミリー
フローラがメイドになったことによって自立への第一歩を踏み出せた。次なる壁はif王族組みだ!!

スズカゼ
立場的に護衛だったのと召喚士に対して迷惑をかけていなかったために難を逃れた。流石忍者汚い。



お久しぶりです。2週間に1回は更新したいという努力目標が見事に破れた作者です。仕事が忙しいのもそうですがモチベーションがね……浴衣ミカヤ狙いですり抜けアイク(ノーマル)。レヴィン狙いですり抜けカン子。安心と安定のすり抜けで作者の怒りは有頂天。

実装を待っていたサイラスとフローラ同時実装で喜びの作者。とりあえず性能確認してサイラスは星4落ちが確実でしょうから個体値厳選するので赤一択で回したところ課金なしで来てくれたフローラ。これにはドラクエ5の結婚相手にSFC時代からフローラ一択の作者もニッコリ。そしてFEHでの召喚士に対して依存度高くない? と思った作者。原作でもそうでしたっけ。

ストーリーでとうとう我らがスルト陛下が邪智暴虐なる召喚士に敗死してしまいました。なんか作者的に死に方が微妙だったのでこの作品では綺麗な死に方をさせてあげたいと思う今日この頃。書く時間があったりリクエストがあったら書きますかねぇ。

そういえば聖戦ピックアップガチャで無事にディアドラママンを引けました
ディアドラ「私はディアドラです…ごめんなさい…私には記憶がないのです…」
なるほど、記憶喪失か(連戦ボスシグルドをディアドラでぶち殺しながら)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

落日のムスペル〜ムスペル国王スルトの最後〜

この作品のシリアス担当であるムスペル編最終回です。相変わらずシリアス一色な感じなので苦手な方は消しましょう。


スルトは血まみれの姿となってムスペル王国の王城内部を歩く。ムスペル王国が誇った精強な戦士達はヴァイス・ブレイブとの戦いで9割が大地に亡骸を晒し、貿易や外交などによってムスペル本国も疲弊させられた。

己の信念を捨てて国を守ろうと思い、ニフルの第三王女とエンプラ帝国の皇女を供物として行った儀式も己が滅ぼしたニフルの王女によって破れ去り、最後の賭けとして挑んだ決戦にもまた敗北した。

スルトが王城まで辿り着けたのは家臣達の必死の抵抗のお陰であった。ヴァイス・ブレイブとの戦いでスルトと共に多くの戦場を駆け抜けた家臣達はいなくなり、最後の決戦に共に赴いたのはスルトの娘達と同じ年代の若者達だ。そんな若者達がスルトの首を渡すわけにはいかないと必死の抵抗をした。

スルトの身代わりとなって矢を受けた若い騎士がいた。

自分の魔力を暴走させてヴァイス・ブレイブに自爆特攻をした若い魔道士がいた。

スルトを逃すために自分の馬をスルトに無理矢理乗せた若い騎兵がいた。

そんな若者達の犠牲の上にスルトは本城に辿り着いた。スルトの傷をみて慌てて回復魔法を使おうとした若い衛生兵をスルトは止めた。

 『私の傷はもう助からん。貴様の魔力は後から戻ってくる者達のためにとっておけ』

スルトがそう声をかけると若い衛生兵は泣き崩れた。最後にスルトはその衛生兵の肩を軽く叩いて玉座へと進んだ。

スルトは己が起こした侵略を否定しない。スルトが若くして王になった時、ムスペルはいつ滅んでもおかしくない状況だった。土地は痩せ細り、産業もない。そして貴族達の反乱は相次いで起きた。

だからスルトは王位を継いだ時にムスペルを精強な国にしようと思った。王子時代からの側近と共にムスペル貴族の7割が参加した『ムスペル王国の大乱』を平定し腐敗貴族達を一掃すると同時に、平民達からも武芸に長けた人物達を引き上げ『軍事国家・ムスペル王国』を作り上げムスペル国内に安定をもたらした。

だが、スルトと一番の側近は1つの結論に行き着いた。

 『このままではムスペルの民は飢えで滅びる』

いくら国内を平和にしてもムスペルがよくなるわけではない。ムスペルの1番の問題は食料を作れる土地が全くなかったことだ。そしてムスペル国内にはその問題を解決できる人材がいなかった。

だからスルトは隣国であるニフルへ侵攻した。自国が生き残るために他国を滅ぼすことに決めた。ムスペルの民を食べさせるためにニフルの民を蹂躙することにした。

だが、スルトがニフルに侵攻して見たものはムスペルでは見たことがないほどの肥沃な大地であった。ニフルの大地があればムスペルだけでなくニフルの民も飢える心配がないと思ったのだ。だからニフルの王子や王女達を見逃した。連中より自分の方が民を豊かにできると確信し、豊かにすれば民も侵攻を受け入れると考えたからだ。

だが、そんなスルトの甘い考えはニフルの第二王女が逃げ込んだヴァイス・ブレイブによって木っ端微塵に粉砕された。

ヴァイス・ブレイブは外交、貿易、謀略などを駆使して戦場に出る前に勝利する形を整えてから戦場に出てくる連中だった。そんな搦め手に実直なムスペルの騎士達は対応できるわけがなく、歴戦の勇者達が敵の雑兵達によって嬲り殺しにされ、一騎当千の猛者達もヴァイス・ブレイブの英雄達の前に散った。

 「私は他国を知らなすぎたということか……」

スルトは玉座に座りながら呟く。玉座もすでにスルトの流した血液で真っ赤に染め上げられている。

 「父上!!」

 「レーギャルンか」

王座の間に飛び込んできたのはスルトの娘であるレーギャルンであった。彼女もまた鎧はボロボロになっている。

 「すぐに傷の手当てを……!!」

 「よい。助かる傷ではない」

慌てて衛生兵を呼ぼうとした娘をスルトは止める。なにせスルトが相手にしたのはヴァイス・ブレイブの修羅筆頭・アイラだ。なんとか相手にも致命傷を負わせてその後の参戦を防いだが、スルトもまた致命傷を負った。アイラは即座に後方に運ばれたからその後はどうなったかわからない。

泣いているレーギャルンにスルトは声をかける。

 「レーヴァテインとヘルビンディは無事か?」

スルトが尋ねたのは残るように厳命したにも関わらず従軍した次女と、最終決戦において重傷も負いながらもニフル国内の残っていたムスペル残党を率いて救援に駆けつけた忠臣の行方だった。

 「は、はい……二人とも部下とともに城にたどり着いております……!!」

流す涙を拭きながらスルトの問いに答えるレーギャルン。

 「そうか。ならば二人を呼んできてくれ」

 「父上」

 「案ずるな。最期にお主達に言い残すことがある。だからお主達が戻るまで命は残しておく」

スルトの言葉にレーギャルンは騎士としての敬礼をすると王座の間から飛び出していく。その姿を見ながらスルトは呟く。

 「思えばあやつらにも不憫なことをした。私は娘を女としてではなく戦士として育ててしまった。戦うことしか知らぬがゆえにであったが……」

 「それでもあの娘達は幸せそうでしたわ」

 「ロキか」

スルトの呟きに答えたのは軍師としてスルトに仕えていたロキであった。だがスルトの驚きはない。長年戦場で培った経験がロキの気配を感じ取っていたからだ。

だからスルトは娘を部屋の外に出した。今の状態では娘を守ることができなかったからだ。

 「ふん、私の首を手土産にヴァイス・ブレイブにでも寝返るか?」

 「あら、心外ですわん。これでも陛下には誠心誠意仕えておりましたのに」

 「ほざくな女狐。私は貴様を味方と思ったことなどないわ」

吐き捨てるスルト。確かにロキはムスペルの利になることを多く行ったが、同時にヴァイス・ブレイブの敵愾心も煽った。ロキの煽りがなければヴァイス・ブレイブとの講和も望めたのだ。

 「貴様の目的はなんだ、ロキ」

スルトの言葉にロキは笑顔を浮かべると芝居かかった大袈裟な動きで優雅に一礼しながら口を開く。

 「世界平和のためですわ」

 「……くく。世界平和と来たか」

 「ええ、世界平和のためですわ。スルト陛下。そのために貴方にはどうしても死んでいただかなくてはならなかった。陛下はまさしく覇王の器。ですがその覇気は世界平和のためにならない」

 「だから私をヴァイス・ブレイブに殺させたか」

スルトの問いにロキは答えない。それが答えであった。

 「ロキ、娘達は貴様の考える世界平和の妨げとなるか?」

 「……なりませんわ。あの娘達には不本意かもしれませんが陛下の覇気はあの娘達に引き継がれませんでした」

 「そうか」

ロキの言葉にスルトは目を瞑る。思い出すのはまだ二人が幼かった時のこと。スルトが使っていたシンモラを二人で持ち上げようとして持ち上げられず、半べそをかいていた幼き二人だ。

 「ならばロキ。二人の命は助けて欲しい。私が死ぬ。それは構わぬ。この戦争を起こした者としてケジメはつけねばならぬ。だが、娘達は私の役に立ちたいと思ったからこの戦争に加わっただけだ。この戦争の全ての責任は私にある。娘達には何の責任もない。だから……」

そこまで言ったところでスルトは吐血する。本格的に最期の時に近づいたらしい。スルトに近寄るロキ。それをスルトは狭まり始めた視界で収める。

 (最期に娘との約束も破るか……許せよ)

しかしロキはスルトに留めを刺さず、逆にレーギャルン達が戻るまでスルトの体が持つような回復魔法をかける。

 「……なんの真似だ?」

 「あらん? 私は陛下の家臣ですわ。家臣として陛下のご希望に添えるように動くだけですわ」

 「……貴様だけには礼は言わぬぞ」

 「結構ですわ。今更、陛下にお礼を言われましても気色悪いだけですもの」

 「最後まで減らず口を叩くものよ」

スルトの皮肉にロキは楽しそうに笑うが、すぐに真面目な表情になった。

 「さらばですわ、スルト陛下。後世、貴方は愚かな王として語られるでしょう。ですが、少なくとも陛下の治世にあったムスペルの民は知っています。誰よりも貴方が『王』であったことを」

それだけ言い残すとロキは姿を消す。魔法等で姿を消したわけではなく、転移魔法を使ったのか玉座の間からも気配が消えている。

 「……最後まで女狐は女狐であったか」

スルトの呟きと同時に玉座の間の扉が開かれる。レーヴァテインとヘルビンディを呼びに行っていたレーギャルンが二人を伴って戻ってきたのだ。

レーヴァテインとヘルビンディも傷だらけであった。

 「レーギャルン、レーヴァテイン、ヘルビンディ。ムスペル国王として最後の命令を下す。これは一切の異論は認めぬ」

 「お父さ……」

 「よしな、レーギャルン王女。陛下最後の命令だ」

レーギャルンの言葉をヘルビンディが止める。この貧民街から引き上げた若者がここまでの将に育つとは思っていなかったスルトは内心で苦笑し、ヘルビンディの才能を見込んだ側近であり親友であった漢の姿を思い出す。その漢もレーギャルンを助けるためにその命を散らした。

 「レーヴァテイン。私の後はそなたが継げ。だが、決してヴァイス・ブレイブに復仇戦を起こそうとは思うな。逆に奴らと講和を結べ。今回の戦争はあくまで私の独断と言い張ってな。次にレーギャルン。お主はヴァイス・ブレイブに降り、奴らに協力せよ。お主がヴァイス・ブレイブに持つ恨みは私にもわかる。だがそれを飲み込んで奴らに協力せよ。奴らの力をムスペルに貸してもらえればムスペルは今より豊かになることができる。個人の恨みでなく、王族としての責務を果たせ。そしてヘルビンディ。貴様は決して死ぬな。私に対しての忠義を果たして殉死という安楽な道を選ぶな。貴様には幼き妹を守る義務がある。死なぬのであればあとは好きに生きよ。貴様の将才はムスペルという小さな国でなくしてはならぬ」

スルトの言葉に3人は無言で臣下の礼をとっている。そしてその足元には涙が溢れているのも見える。だが、スルトはそれを見なかったことにして言い放つ。

 「返事はどうした」

 「「「御意」」」

三人の返事にスルトは満足する。これで少なくともムスペルという国は残る。レーヴァテインは新しいムスペルの象徴として、レーギャルンはヴァイス・ブレイブに協力してムスペルの復興に力を貸せさせる。そしてヘルビンディは他国に仕えてムスペルの騎士の強さを知らしめる。そのためにスルトが悪名を被ることになるが。それも今更だ。王についた時から悪名を被る覚悟などできている。

言い残すことがなくなるとスルトの視界がぼやけてくる。すると1人の漢がスルトの目の前に立っている。その漢はスルトにとって側近であり、友であった漢。レーギャルンを助けるためにその命を散らせた漢。

 「……そうか、迎えに来てくれたのか」

いつの間にかスルトはムスペルの大地に立っていた。漢もまた笑いながらスルトの隣に立っている。

スルトは持っていたシンモラを肩に担ぎながら笑いながら友に言い放つ。

 「行くかスルツェイ。ムスペルの繁栄を目指して」

 

ムスペル王国スルト死す。その遺体は玉座に座りながらも『王』としての矜持を見せつけるような姿であったと伝わる。

 

 

 

 『ムスペル王国スルト。この人物は長年戦争を引き起こした大罪人であり、時勢が読めずに国を滅亡の危機に追い込んだ愚か者として伝わっていた。だが、1000年続いたヴァイス・ブレイブが崩壊し、ヴァイス・ブレイブが隠していた資料が発見されてから彼は再評価され始めている。それまで情勢不安だった国内の情勢を安定させ、一時的とは言え荒れ果てていたムスペルを復興させたのだ。確かに彼は戦争を起こした。だが、そこにあったのは国のため、民のためという信念であった。ヴァイス・ブレイブの崩壊によって公開された文書の中に当時のヴァイス・ブレイブの中心人物であった召喚士(本名不明)が語ったとされる言葉がある。「ムスペル王国スルトはまさしく王の器だった」。果たしてスルトという人物は賢王であったのか、はたまた時勢の読めなかった愚かな王であったのか。意見はいまも割れている。』

アラズラム・J・D著 『ヴァイス・ブレイブ〜その栄光に消え去った英雄達〜』より一部抜粋。

 




スルト
FEHでの最後があまりにも微妙だったのでこっちのスルト陛下には王様として死んでいただきたくなりました。一番悩んだのは侵略理由。この話の8割はスルト陛下のニフル侵略理由に費やされました。

スルツェイ
レーギャルンを救ったり、ヘルビンディを見込んで鍛え上げたりとムスペル側では割と重要キャラだったにも関わらず、登場と同時にアイラに斬り殺された御仁。名前はスルト繋がりで北欧神話でスルト関係を調べましたがいい名前が見つからなかったので、なんか北欧神話に関係あるらしい島の名前を頂きました。

アラズラム・J・D
せっかくクロスオーバータグを入れたので、作者が今まで一番総プレイ時間が長いゲームの歴史学者を放り込む所業。なんのゲームかわかった人はそのゲームの名言を活動報告のアンケートにて叫ぶように





そんな感じでスルト陛下の最後でした。いまいち作者的に納得できていませんが考える時間がガチでないので投稿。ムスペル側はシリアスになっていけませんね。そのせいでスルト陛下のドM設定を使う機会を完全に無くしました。
レーギャルンがヴァイス・ブレイブに降伏したのはガチャのせいです。無料召喚で赤2つが来たので連続で引いたらリーンとレーギャルンの連続星5というミラクル。そして伝承チキも無料で来る始末。最近はFEHのガチャ運がよくて自分の未来が心配になる作者(伝承ルキナのことは忘却の彼方

どうでもいいですけど作者はベルファストに釣られてアズールレーンを始めました。そしてアズレンで思いついてしまうネタ。書きたいけど書く時間がねぇぞオラァン!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三軍師の最終面接

作者「ロキ実装かぁ…おっぱいさんは欲しいけど、ストーリー的に絡ませづらいからなぁ。とりあえず死線の技マシンと良個体値ナンナが欲しいから初回無料の無色だけ回すか」

おっぱいさん『あらん。私、あなたに呼ばれたのかしら? 私までものにしようなんて…あなたったらいけない人…ねえ?』

作者「……え?」


 「では貴方が弊社を希望した理由を教えてください」

俺はルフ男とルフ子と一緒にヴァイス・ブレイブの中途採用の最終面接を行なっている。

俺の言葉に椅子に座りながら元気よく答えてくる見た目の服装は痴女としか思えない女性。

 「はい!! 御社の世界平和を目指すという理想に強く共感を覚えたからです!!」

 「「「嘘つけ!!」」」

俺とルフ男とルフ子の叫びが同時に面接室に響き渡る。その反応すらも薄ら笑いを浮かべながら受け流す元ムスペル王国軍師のロキだった。

アスク、ニフル、ムスペルの三国を事実上支配した我がヴァイス・ブレイブ独立自治領だが、圧倒的に人手が足りない(特に文官や諜報員)ので俺たちと繋がりがあって、人を見る能力は信用できる人間に人材探しを依頼したのだ。そしてそこから我がヴァイス・ブレイブのイカれた英雄達との面接をくぐり抜けた猛者を最終面接で対応したのが俺とルフ男とルフ子だ。

 「というか五次面接を行なったイシュタル、ゼルギウス、リンの3人の判定では『優秀な文官候補の壮年の男性』となっているんですが」

 「性別すら違うよね」

ルフ子が書類を見ながら告げると、ルフ男が呆れながら呟く。

それにロキは晴れやかな笑顔で堂々と告げる。

 「私の変身魔法を使えば一発ですわ」

いっそ清々しいまでのなりすまし宣言だった。

 「なるほど見抜けない方が間抜けということか」

 「実に僕ら好みだね」

 「ここまで正面切ってイカサマされるのは想定外でしたね。私たちに対してイカサマを仕掛けるという勇気は買いますが」

 「お褒めいただき恐悦至極ですわ」

俺とルフ男とルフ子は逆に好印象を抱く。バレないイカサマはイカサマではないし。軍師という生き物はどれだけ相手を出し抜くかなので、そういう根性は実に我々好みである。

 「だがなぁ……これでロキ雇ったら危険だよなぁ。絶対に裏切るだろ」

 「僕らの首を手土産に裏切るとか鼻歌交じりにやるだろうしね」

 「私のことを理解してくださっていて結構ですわ。ですが、貴方達にも利益はありますのよ?」

 「是非聞いてみたいですね」

ルフ子の言葉にロキは妖艶に笑う

 「私の身体を好きにしていいですよ?」

 ((ガタッ!!))

ロキの発言に思わず席から立ち上がった俺とルフ男はルフ子に即座にステイさせられた。

 「おっぱい揉むのはOKですか? (やれやれ、色仕掛けなんかに俺たちが引っかかると思っているのか?)」

 「待つんだ召喚士、おっぱいの前にうなじをクンカクンカするのが先だよ。(僕らが重要視するのは能力だよ。そこに性別や年齢は関係ないからね)」

 「2人とも。本音と建前が逆ですよ」

俺とルフ男に突っ込みを入れるルフ子。1人だけカマトトぶりやがって。俺とルフ男はギムレーの残念ぶりがルフ子に混ざり始めているのを知っているんだぞ。

 「さて、真面目に話をするとしましょうか」

 「あら? まだ続けますの?」

 「続けるも何も面接は始まっていないだろうに」

ルフ子の言葉に薄ら笑いを浮かべながら発言するロキに俺が突っ込みを入れる。全く、ルフ男とルフ子のせいで無駄に時間を食っているじゃないか。

 「ですがもう合否は出ているのでしょう?」

ロキの言葉に俺たち3人は巫山戯た雰囲気を消す。すると室内に緊張感が張り詰める。

 「なるほど。ではロキさんが既に合否が出ているという結論に行き着いた過程を知りたいね」

ルフ男の言葉にロキは楽しそうに笑う。

 「貴方達がやっている仕事に私ほどの適任者はいないでしょう? 他人に化ければ他国の要人とも簡単に接触でき、汚れ仕事も厭わない。貴方達にとってはこれほど使い勝手の良い駒はいない」

 「確かにその通りですね。ですが、貴女を雇うのは私達の命を常に危険に晒していることと同じです。自分の命を賭けてまで貴女を雇うとでも」

ルフ子の言葉に心底楽しそうに笑うロキ。

 「おかしなことを言いますわね。貴方達3人が自分の命が危ういという理由だけで私という優秀な駒を逃すわけがないでしょう? むしろ貴方達3人の頭の中には既に私をどう利用するかの計略や政略、謀略が渦巻いているでしょうに」

 「……この世界の人間にしては随分と賢しいじゃないか」

俺の言葉にロキは妖艶に微笑む。

 「ルフ男はどう思う?」

 「確かに彼女の能力は有益だ。使える駒が多いに越したことはないよ」

 「ルフ子は?」

 「ルフ男と同意見ですね」

ルフ男とルフ子の言葉に俺は力強く頷く。

 「いいだろうロキ。貴女をこのヴァイス・ブレイブ自治領が買おう」

俺の言葉にロキは立ち上がると優雅に一礼しながら口を開く。

 「このロキ、世界平和のために力を貸しましょう」

 




ロキ
FEHのおっぱいさん。召喚されたら困るなぁ(ムスペルでの話の展開的に)と考えていたら颯爽と登場。無料召喚で来るとか嫌がらせが酷いですよ。作者は外伝のストーリーをまだクリアしてないからわかりませんが、この先に本編で登場することになるときっと三軍師を殺すために暗躍するのでしょう。

三軍師
おっぱいさんの能力考えたら絶対に利用するよなぁ、と思ってこの話が思いついた。ムスペルの話を引きずっているので後半が若干シリアス気味。行き当たりばったりの作品なので設定の矛盾とか気にしてはいけません。


お久しぶりです。仕事の関係で執筆時間がない作者です。サイラスとハロウィンカゲロウとハロウィンミルラが召喚されてネタも考えていていざ書く段階になってロキさん実装からの無料召喚で急遽こちらの話に。ちなみに無料召喚で出た無色をもう1個回したらタクミ(ノーマル星5)の二枚抜きが発生しました。近距離反撃を弓リン(騎馬か伝承)に没収させるかなぁ。え? 凸らせる? うちはロリコンには厳しいヴァイス・ブレイブなんで。

ロキさんの育成に入ったのでまだ外伝のロキさん話をクリアしていない作者。ひょっとしたらヴェロニカちゃんと同じで別世界からの召喚かもしれませんがこの作品では同一世界で入社試験を受けにきたご様子。大丈夫? この企業の体質やばいよ?

蒼炎・暁キャラをあんまり弄っていないことに気づきました。なんとなく壊しづらいキャラが多いんですよねぇ。シグルーンが実装されたら即座に出しますが。扱いはきっと女神パオラと同じ扱いか、のじゃロリ皇帝のお母さん役。

どうでもいいですけど『甘々と稲妻』『高杉さん家のお弁当』『うさぎドロップ』『週末親子』の影響で召喚士に養子を作りたくなりました。FE作品でキャラ見繕って養子設定作るかなぁ。せっかくうちの召喚士は異世界召喚体質ですし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士の養子

いつから養子がロリやショタだけだと錯覚していた……?


今回の大英雄戦の名前を聞いてから俺の灰色の脳細胞が刺激を受けている。どこかで聞いたことがあるような名前だった。

俺は数多くの世界に召喚されて世界を救ったり滅ぼしたりしてきた。そのために大量の英雄や英雄候補と関わりを持っていた。そのために今回はその中で関わりを持った人物だろうと思っていた。

だから大英雄戦で俺を驚愕の表情を浮かべながら俺を見つめてくる褐色グンバツスタイル美人をみて俺は記憶を呼び起こす。早く呼びおこさなと静かに怒りのボルテージを上げているリンのソール・カティが俺に降りかかり、俺が痛い目にあう。

だが、俺が記憶を呼び起こす前に褐色グンバツスタイル美人が口を開く。

 「お父様!!」

次の瞬間に戦場に俺の血の雨が降った。

 

 

 

そんな感じで大英雄戦はボスがこっちに寝返ったことで雑魚の皆さんは鏖殺という事件でクリア。現在は俺の部屋でリンと自称娘のインバースが椅子に座って向き合っている。

俺? リンの命令で床に正座ですが何か?

 「それで? なぜ別世界の貴女が召喚士の娘なのかしら?」

 「いや〜ん! お父様、このおばちゃんこわ〜い!」

 「落ち着けリン!!」

流れるようにリンを煽ったインバース。その煽り表情がエリウッドとヘクトルにそっくりだったためかリンの臨界点は即座に突破した。

俺が必死になって止めて落ち着かせると、リンはため息を吐きながらソール・カティとキャンドルサービスとミュルグレと青のプレゼント箱と疾弓ミュルグレをしまった。

 「それで? どういうこと、召喚士」

 「そう、あれはおよそ1万8000年前のことだろうか」

俺が軽いジョークを飛ばそうとしたら顔の真横に矢が突き刺さったので真面目になろうと思う。

 「俺が何回目かわからない異世界召喚を体験した時かな。俺の召喚主がクソがつくほどのお人好しでな。他人のために自分を切り捨てるような生き方をする人だった。その人が子供達に楽しそうに勉強を教えているのを見て軽く影響されてな。次に召喚された世界でファウダーとかいうクソ司祭が村人を皆殺しにしているところに遭遇してな。軽く捻ってやってから追い返して金目のものがないか物色していたら生き残りの少女がいたから養子兼弟子にしてみた」

 「所々に入るクズ発言で安心したわ。良い人に召喚されても軍師の性根は治らなかったのね」

 「そんなに褒めるなよ」

俺の言葉にリンは無言でソール・カティを俺の頭に叩きつけてくる。痛みでのたうち回る俺を無視してリンはインバースと話を続ける。

 「それで? インバースは何故召喚士を父と呼ぶのかしら?」

リンの言葉にインバースは妖艶に笑いながら言葉を続ける。

 「あら? 私に生き残る手段を教えてくれ、さらには15歳まで育ててくれたのだからお父様と呼ぶのは当然じゃないかしら?」

 「ちなみに生き残る手段はどんな方法?」

 「単純な相手を騙す方法や効率よく敵を始末する方法。いかに自分の武器を使って相手を嵌める方法かしら」

 「召喚士。将来、子育てに貴方は一切口を出さないでくれる?」

リンの視線が絶対零度状態。ちゃうねん。あの頃はまだ何を教えていいかわからなかったから自分の持てる技術全てを教え込んじゃっただけやねん。その後はちゃんとその子供にあった教育を施したから。

 「ところでお父様」

ヘビに睨まれたカエル状態の俺のところにインバースがしゃがんでくる。溢れそうな胸元と見えそうで見えない下着が絶妙にエロティックだが、エロスより先に子供の時からそういう教育をしてしまったという(超珍しい)罪悪感が俺を襲っている。

 「この世界には召喚士と英雄の絆システムがあると聞いたのですけれど?」

 「……結ばないぞ?」

 「それはわかっていますし別に構いませんわここにリンという女性がお父様が私によく聞かせてくれたお母様候補のお方なんでしょう? ええ別にそれは構いませんし母親ができるのはむしろばっちこいなわけですけど結局最強なのは娘属性妹属性弟子属性に幼馴染属性さらにはお父様より年上になってしまったことにより姉属性まで完備することになったインバースちゃん最強なのは確定的に明らかなわけでいっそのことヴァイス・ブレイブでもお父様とお母様(仮)のリンさんに私が同じ部屋で生活して『楽しい召喚士一家』なんて生活も楽しいじゃないかと思っているわけですよいえ間違いがあってお父様が血の繋がらない娘に欲情して私を襲って欲しいとかそういう欲望も私は持っているわけですがそれでもお母様(仮)のリンさんも同時に孕めばセーフというかむしろ家族も増えるしインバースちゃん大勝利だと思うわけですよ最悪一緒に生活できなくてもお父様と一緒の世界にいられるだけで私的には幸せなんですが『人の欲望には際限がない』というのがお父様の教えですので私も間違いなく一緒にいるだけじゃ我慢できなくなってしまいます食事作りはリンさんに譲りますからせめて体調管理くらいは私にさせていただきたいと思うんですせっかくお父様から薬草に関する扱いも学ばせていただいたことですからああなんだったら武器も杖に持ち替えて回復役もこなしましょうか? お父様の教えの通りに暗器の扱いにも慣れていますので赤魔以外にも様々な役割をこなすことが可能ですしこれだけ広範囲な役割を果たせる愛娘インバースと絆を結んでステータスUPを図るのは軍師として当然だと思います」

 「どうしようか召喚士。プリシラが頻繁に詰所に投げ込んでくる怪文書染みたことをインバースが言っているんだけど」

 「教育よろしくお母さん」

リンの右ストレートが俺に突き刺さった。モヤシな俺が当然耐えれるわけがなく壁まで吹っ飛んでいく。

そしてインバースが倒れている俺を抱き起こしてリンに向かって叫ぶ。

 「お母様!! 確かにお父様は鬼畜で外道で救いようがないクズですけど、私達の家族なんですよ!!」

 「インバース。子供の貴女にはわからないかもしれないけれど、その男には言葉では意味ないの。むしろ逆に論破されるから手を出すことの方が大切なのよ」

「お前ら酷くない……?」

何故自称娘と自称嫁にここまで貶められなきゃいけないのか。

しかし、インバースは作戦が大当たりした時の俺の悪い笑みを浮かべる。

 「リンさん。今、私がお母様と言ったことを否定しませんでしたね。これは認知されたと思って構いませんね。私のお父様は召喚士、お母様はリンさんだと思っていいですね?」

 「な!?」

否定しようとするリンをインバースは手のひらで言葉を抑えて言葉を続ける。

 「リンさん。これは貴女にとって悪い取引ではないと思いますよ? 何せお父様は鬼畜で外道で人間のクズですけど何故か人から好かれる特殊能力を持っています。私はここにきてまだ時間は浅いですが、すでに数多くの女性から言い寄られているのを目撃しています。ここで私という召喚士の娘の登場によってさらに争奪戦は荒れるでしょう」

インバースの言葉にリンは黙って聞いている。ちなみに俺はインバースの手で抑えられて口を開けない。

 「しかし、私がリンさんのことをお母様と呼ぶようになれば他のライバルより先んじることができるでしょう。どうですか? 貴女にとっても悪い取引ではないと思いますが?」

 (……落ちたな)

俺が内心で考えているとリンとインバースが無言で握手をするのであった。

 

ちなみに俺に拒否権はなかった。

 




インバース
褐色グラマラス妖艶美女。原作のキャラ設定は各自ググッてね! この作品ではファウダーに滅ぼされた村からファウダーではなく召喚士に拾われて育てられた。そのために謀略家とか軍師系統の能力が超強化。ギムレー教団への参加は『無駄に長く生きている竜だったらお父様を呼び出す方法も知っているでしょう』という軽いノリだったご様子。

怪文書
作者がアズレンを始めたことで知った存在。是非ともこの作品で書きたかったけど最初に書くのはまさかのインバース。ちなみに我がヴァイス・ブレイブでの怪文書枠は今のところプリシラ。

人の良い召喚主
もしかしなくてもアティ先生




そんな感じで前話のあとがきに書いた『養子設定作りたいなぁ』という願望が叶いました。普通にロリとかショタじゃ面白くないので丁度よく実装されたインバースに白羽の矢が立ちました。召喚士に娘ができたことで書いていた『父親達の宴』に召喚士も参戦できるぜ、やったね!! 全部書き直しだ!!(血涙)

そういえばハロウィンガチャのカゲロウのおかげでカミラ(ノーマル)が星5の10凸に到達しました。やっぱり星4とか星3落ちしていると10凸させやすいですね。羽は常に不足しますけど。フレンドにレーヴァテインちゃんの10凸の方がいるんですけどいくら貢いだんでしょうか。

そろそろ作者もキャラの把握が難しくなってきたので、キャラ設定一覧みたいなものでも作りますけねぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

簡単なキャラ紹介と用語説明

この作品でキャラ崩壊した方のキャラ紹介や独自設定の用語説明です。

多分抜けも多いけど許してクレメンス


召喚士

鬼畜で外道でキチガイ。設定では烈火軍師が召喚された。そのために烈火世界の崩壊はだいたいこいつのせい。異世界召喚体質で頻繁に異世界に召喚されては世界を救ったり世界を滅ぼしたりしている。名前は決めていないが少なくともエクラとマークではない。

FEHのシステム上仕方ないけど何故か他人から好かれる。こんな外道に好意を持つとかやばくない?

 

ヘクトル

召喚士の悪友その1。仲間内からは不幸担当。脳筋。とりあえず殴ってから考えるか! が信条な自称慕われ系オスティア侯爵。嫁と娘を愛する家族愛な愛すべき脳筋。しかしエロは別である。それがバレて嫁と娘から折檻される。我がヴァイス・ブレイブではヘクトルが燃やされるのは日常風景である。

 

エリウッド

召喚士の悪友その2。腹黒親バカ。こいつのせいでこの作品が全力でネタに走り始めた。1にロイ。2にロイ。3、4がロイで5が嫁。対戦ゲームなどでは勝利至上主義のガチ勢。

 

リン

召喚士の(鬼)嫁。多分良妻賢母。でもこの作品のサカの民はやばい民族なのでナチュラルに世紀末思想。欲しければ奪えばいいじゃない。

恋敵が今のところ未実装なので安心していたらライバルが増えて安心どころではなくなった。最近年上の娘ができたご様子。

 

アクア

戦う歌姫。武器が丸太じゃないことに違和感を感じたのは作者だけじゃないと信じている。この作品では召喚士に想いを寄せていて他のif世界出身英雄と一緒に拉致る計画を立てている。ちなみに酒乱設定は某絵師さんの漫画に多大な影響を受けています。バフ増し増しのブレード×2を薙ぎ払うとかやばすぎない? 我がヴァイス・ブレイブの過労死枠堂々の第一位。地味にノーマル、舞踏祭、晴れ着が揃っている。

 

ハロルド

「安心したまえ!! 何故って? 私が来た!!」なFEH界のスーパーヒーロー。お正月でアクアにコテンパンにされてから修行を続け、自力で星5レベル40に到達したまさしくヒーロー。ちなみに我がヴァイス・ブレイブでは貴重な歩行斧の星5レベル40。他はローローとドルカスとライナスとチキ(水着)。頑張れハロルド!! 明日のヒーローは君だ!!

 

アイラ

この作品でも屈指のキャラ崩壊を起こしたお方。敵は殺す。元味方とか親兄弟とか関係なく殺すな超修羅思想。召喚士が別世界から持ってきた聖剣を振り回すやばいお人。聖戦出身だけども他の聖戦キャラとは別世界からやってきたという作者も何を言っているのかよくわからないキャラ。アイラ修羅道場師範。

 

ジョーカー&フェリシア

カムイファミリーの忠臣’s(しかし仲は悪い)。やっていることはトムとジェリーに近いがだいたいジョーカーが不幸になる。しかしカムイファミリーの一声で復活するジョーカー。

 

ミシェイル

特に公式から変わってませんよね? だって公式からシスコン設定だし(超偏見)。ちょっと悪化させましたけど。ちなみにキャラ崩壊の元ネタは境界線上のホライゾンのノブタン。

 

ミネルバ

FE界のくっ殺騎士。すごく顔を合わせづらい兄と鉢合わせしたと思ったら兄の知りたくない一面を知ってしまった苦労人。おかしい、作者はミネルバのストレスをなくすための話を書いたはずなのに。

 

ニニアン

ニニアン保育園園長。溢れ出る新妻感(しかし未婚である)。烈火世界でも屈指の常識人。しかし禁断のワードを口にすると発言した人物は『バルス』される。

 

ウルスラ

フェレ侯爵夫人。当然のようにロイコン。そして重度のニノヲタ。これだけ書くと一番酷いキャラ崩壊っぽいな。三馬鹿よりはまともははずなのに。

 

ゼルギウス

我がヴァイス・ブレイブの苦労人。過労死枠堂々の第二位。漆黒の騎士モードでも振り回されていたのに兜を脱いだらさらに酷いことになった。尚、有給が許可されたことはない。

 

カレル

烈火世界の被害担当英雄。それもクリスマスのときにすり抜けでやってきたせい。原作やっていた時は好きな部類だったんだけどねぇ。すり抜けは駄目だよカレルくん。

 

カアラ

通りすがりのカレルスレイヤー。カレルが視界内に入れば即斬な修羅思想。死ぬはずだった病気が間接的に召喚士に助けられたために召喚士に忠誠を誓う。忠犬の皮を被った狂犬。夫婦仲は良くないご様子(理由は考えていない)

 

フィル

偉大な伯父と母親を目指すセイバースレイヤー(見習い)。聖剣を持っているけど発動はできない。今日もアイラ修羅道場でヴァイス・ブレイブ修羅三人衆に稽古をつけられている。

 

ティルテュ

能天気属オツム足りない系魔法少女(しかし高火力である)。オツムが足りていないので余計なことを三馬鹿とかから教えられるがだいたい理解できていない。

 

ルフ男&ルフ子

政治担当のルフ男と商業担当のルフ子。原作でリンちゃんに『私の知っている軍師に似ている』発言されたことによって外道となった完全な被害者。

 

マークくん&マークちゃん

不思議系フリーダムチルドレン。この2人の前ではシステムとか関係なくなる。マク男とマク子ではなく、マークくんとマークちゃんです。重要なので間違えないように。

 

エイリーク

ストーカー被害を受けた結果、まさかの召喚士を選んでしまった可哀想な王女。地味にノーマル、赤魔、伝承が揃っている我がヴァイス・ブレイブ。

 

イシュタル

作者がFEシリーズでも指折りの好きなキャラなはずなのにこの作品では不幸になってしまった。恋する相手がどんな変態でも一途に想い続ける恋する乙女。その真面目な性格からフリーダムな英雄達に振り回される。

 

フィヨルム

スリーズストッパー。性格がまともなので胃痛に今日も悩む。ロリ達に癒しを求めて母性を発現させてしまっている。

 

ユリウス

の皮を被ったロプトウス。生粋のロリショタ好き。その業の深さはロリ巨乳も認めないほど。

 

ギムレー

同人作家ギムレー先生。最初の予定ではただの小物キャラだったはずなのに読者さん達が『露出が足りない』とか言うから変態のエキスパートにジョグレス進化してしまった。そのおかげでキャラの使い勝手良さは三馬鹿を超えた。伝承召喚でギム男も来てしまったのでこれからの活躍にも期待してくれよな!!

 

インバース

召喚士とリンの自称娘。教え方を知らなかった時代の召喚士の教えを受けてしまった外道と鬼畜のエキスパート。オープンファザコン。頻繁にマーク’sと親自慢対決を行う。『父親探して別世界』をしていたときにオーメルという企業で仲介人のバイトをしたことがある模様。

 

エフラム

シスコン系ストーカー

 

リオン

幼馴染属ドM系ストーカー

 

パオラ

女神。様をつけろよデコ助野郎。公式の4コマでニノに教える姿に浄化されたのは作者だけじゃないって信じてる。

 

ニノ

大天使ニノエル

 

スルト

設定だけは作るのが好きな作者が好き勝手に設定をつけたらすごい好きになったキャラ(尚、本文にはほとんど出てきていない)。その設定を作った後にストーリーをやったら死ぬほど違和感を感じた。あっちが正しいスルト陛下でしたね。

 

ロキ

スルト同じく作者が好き勝手に設定を作っているお方。我がヴァイス・ブレイブにいるのは異世界のロキではないので今日も世界平和のために暗躍している。

 

 

 

簡単な用語説明

 

三馬鹿

召喚士、ヘクトル、エリウッドの3人組。だいたいこいつらのせい。

 

三軍師

政治のルフ男。商業のルフ子。諜報と防諜の召喚士。世界征服する準備は完了している。

 

アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領

三軍師が好き勝手するためにアスク王国から奪い取った。名目上の元首はアルフォンスくん。アルフォンスくんは今日も頑張って平和にしようとしている。

 

ヴァイス・ブレイブ法典

能力だけは高い三軍師が真面目に作った法律。

 

治安維持部隊

フリーダムな英雄ばかりのヴァイス・ブレイブに危機感を抱いたアスク王国首脳陣がリンに土下座して結成した『対ヴァイス・ブレイブ英雄専用部隊』。選抜には三馬鹿や三軍師が関わっていないのでまともな英雄ばかり。

 

ニニアン保育園

ニニアンが園長兼保育士を務める保育園。この保育園では日々『MAP兵器奥義は誰に継承させるべきか』『スキル同士の兼ね合いについて』『武器錬成の優先順位』『一番のクソスキルはなんなのか』が議論されている英才教育機関。のじゃロリ皇帝は話についていけずに涙目である。尚、頻繁に近くで白夜の弓王子が目撃、逮捕される場所でもある。

 

Wマーク不思議空間

マークくんとマークちゃんを隣接させることによって発生する特殊スキル。敵、味方問わずに様々なバフ、デバフがつく。最悪の場合はスマホのデータが消去される。

 

黒い牙

男塾なニノガチ勢。最優先抹殺対象はジャッファ。

 

世紀末遊牧民族・サカの民

「遊牧民族だったら略奪だよな。モンゴル帝国的に考えて」という独断と偏見の作者の歴史観によってヒャッハー民族になった。これの思考に染まっているのでリンちゃんも割と危険思想。設定では烈火から2年後に『ダンセキカイ(元ネタは当然三国志の壇石槐)』によってエレブ大陸で暴れまわる。対サカ連合軍との戦いでダンセキカイが不審死してからは草原に追い返されて脳筋と腹黒によって長城が作られて封印される。その戦いから40年後にロルカ族を名乗るカザルという青年の登場によって再結集される。

以下旧アニメ版銀河英雄伝説次回予告風

平穏なエレブ大陸に再び戦乱の兆しを見せる。サカの平原に1人の青年が立ち上がったのだ。青年は滅びたはずのロルカ族を名乗りサカの民を結集する。今、サカの民の逆襲が始まる。

次回、エレブ英雄伝説『ロルカ族のカザル』

エレブの歴史がまた1ページ

かぁ!! 書きたいけど烈火と封印がリメイクされねぇからなぁ!! 残念だなぁ!!

 




だいたいこんな感じですかねぇ。尚、出てきていない英雄はそこまで酷いキャラ崩壊はさせていないと思っているので書いていません。つまりカミラ姉さんは原作通り。烈火組みは…うん…面倒になったんだ、すまない。

次回は未定。ネタがあるのはサイラスとカゲロウとミルラ。ちなみにミルラはハロウィン仕様が来てくれたのでルートが解放されました。『父親達の宴(仮題)』は召喚士の参戦によって全書き直しになったのでいつあげれるのか未定です。本当に召喚士は余計なことしかしねぇな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と『親方!! 空から女の子が!!』

新鮮なネタは早めに回収。だから短文で駄文。まぁ、今更気にしないですよね!!


 「飛空城ねぇ……」

俺は呟きながらアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領内で発見された遺跡の中を歩く。当然のようにいつものバカ2人も一緒である。

 「何にもねぇな。なんかこうキツネとリスが合体した動物がたくさんいるところを想像したんだけどな」

 「あれだよね。最終的に巨大な飛空石だけになって地球から飛び立っちゃう遺跡みたいだよね」

 「そこまでだ脳筋と腹黒。あのスタジオアニメネタはまずい」

 「「前回のキャラ紹介でニニアンのところに思いっきり崩壊の呪文書いたよな?」」

あれは本編じゃねぇからセーフ。運営さんに注意されてねぇし。

 「というかこれ闘技場だよな。報酬は配布英雄がもらえるアイテムだからいいとしても10凸させるのが果てしなく苦行なんだが」

 「10凸させるのは誰だ?」

 「この話的にウルスラとインバースかと思ってる。インバースはまだいないからウルスラかねぇ」

 「おっと!! 配布英雄の中に赤髪で笑顔が素敵な重装イケメンがいるよ!!」

エリウッドの戯言を俺とヘクトルは綺麗にスルーした。こいつはそっちの装備が未だにレベル1のことを文句言ってくるのだ。

 「防衛戦のメンバーも決めなきゃいけないんだろ? どうすんだ? 闘技場みたいにリンパーティか?」

 「いや、せっかくのPvP機能だからな。全力でネタに走る」

 「へぇ。そうなるとギムレーみたいに原作のキャラ設定が息をしていないキャラ達かい?」

エリウッドの言葉に俺は力強く頷く。

 「一番キャラ崩壊が酷い悪しき烈火メンバーを防衛戦メンバーに置いておく」

 「「ちょっと待て」」

待たない

 「メンバーはリン(ノーマル)ヘクトル(伝承)エリウッド(ノーマル)ウルスラだ」

 「悪しき烈火メンバーというよりストーリー攻略メンバーじゃねぇか」

 「メンバーの使い回しはどうかと思うよ」

 「うるさいぞ脳筋に腹黒。だから次の第3章では新しいメンバーで攻略しようかと思っているところだ」

 「召喚士!! その前に第2章のインファがあるよ!!」

 「思い出させるなぁ!!」

どうやっても倒せないインファスルト陛下を思い出す。ハードでも厳しかったのにインファはどうしろと言うのか。

 「ところで召喚士。飛空城はどうすんだ?」

ヘクトルは軽く飛空城の地面を踏みながら俺に聞いてくる。俺も起き上がって周囲を見渡しながら口を開く。

 「とりあえずカナスに頼んで飛行要塞に改造しようと思ってる」

 「だよね。召喚士が普通に使うわけないよね。当然のように兵器にするよね」

 「バカかエリウッド。どんな偉大な発明も兵器にするのが愚かな人類ってものだろ?」

 「お前のその変わらない『人類愚か説』はなんなの?」

ヘクトルとエリウッドの呆れた視線が俺に突き刺さる。可笑しなことを言う脳筋と腹黒である。

 「愚かな人類というより可哀相な人類の典型例が俺の目の前にいるからな」

 「「鏡見てこいよ」」

 

 

当然のように乱闘になった俺たちを手慣れた様子でしばき倒すリンの姿を新人の暗夜王がドン引きしていたと聞いたが、早いところ慣れて欲しいところである。

 




飛空城
もうさ。せっかくのPvPなんだから報酬とかボーナスキャラとか設けずに好きなキャラ置かせてくれよ。作者はそんな気分になったので本文に書いてあるメンバーを防衛戦メンバーに置いてあります。遠距離反撃と天空、待ち伏せ、攻撃の指揮をつけたリン(ノーマル)と3凸のウルスラさんがいたら多分作者です。え? バカ2人? なんか適当に初期スキルでも無凸でついてんじゃないですか
ちなみに作者の飛空城の記念すべき初戦はニニアン保育園でした。ほっこりしたと思って敵の情報見たらニニアン以外が全員10凸にスキルもガチという英才教育を受けた後の園児達でした(当然のように全滅)

報酬に誰をもらうか
わざマシン的な意味で欲しいキャラもいますが、やっぱりネタに走らないといけないと思うのでとりあえずウルスラさんの10凸を目指すところ。この作品的にインバースも確実に10凸してますが。聖杯も羽も足りない問題。

どんな偉大な発明も兵器転用する人類
深い意味はありませんよ? ダイナマイトを開発したノーベルも本当は軍事転用されるのは想定内としている説もありますし。ただし、原子力。テメェは駄目だ。発電所以外では引っ込んでろ。




そんな感じでネタは新鮮なうちにいただこうと飛空城ネタでした。何回かやってみましたが当然のようにガチ勢の方々のガチメンバーで迎撃されるという深い悲しみ。パーティゲームなんだから楽しくやろうよ。そう思って作者は悪しき烈火メンバーを防衛メンバーに置いてあります。飛空城の名前が変えられるようになったら『ガイエスブルグ要塞』にする予定です。

第2章は悪しき烈火メンバーでクリアしたので第3章も何かテーマを見つけてクリアしようかと思案中。何かいいメンバーいないもんかねぇ。

あ、兵器云々は作者がとんねるずの『情けねえ』を聞いていて思いついただけなので気にしないでください。とんねるずの『一番偉い人へ』とか野猿の『叫び』とかが好きな作者。ネタにも全力なとんねるずの間違った情熱が好きです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とサイラス

嘘みたいだろ? これでキャラ崩壊してないんだぜ?


 「やっぱりガチャって良くないと思うんだよ」

俺がスマホから視線を上げずに呟くと、勝手に部屋に入ってきて酒盛りを始めたバカ2人の視線が俺に向けられる。俺はそちらを見ずにさらに続ける。

 「『欲しいキャラがいるならガチャを回してね? え? 出ない? 実は課金という制度があってね……』と考えるような運営は絶対に駄目だと思うんだ。そして最高レアリティが出たと思ったらすり抜けとか、そのすり抜けで出てきたキャラが好きだったとしてもブチギレもんだと思うわけだ」

そこで俺は初めてバカ2人をみる。すると至極真面目な表情をしながら俺を見てくるバカ2人。そして同時に口を開いた。

 「「それでエレちゃんは出たのか?」」

 「出ねぇぞクソガァアァッァ!!!!!」

 「「ザマァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」」

俺の魂の咆哮に俺を指差して嘲笑うバカ2人。

 「いやぁ!! 召喚士の不幸で酒が美味い!!」

 「FEHでも『余裕で新カミラ姉さんと新カム子来たからミコトマッマも余裕だろ』とか言いながら石版にオーブ叩き込んで出てきたのがナンナちゃん(星5)だった時の召喚士の複雑そうな表情とか控えめに言って最高だったよね」

 「ウルセェぞ脳筋に腹黒!! 飛空城でちょいちょい負けやがって!! 使えないド低脳どもが!!」

俺の叫びに脳筋と腹黒は愉快そうに笑う。

 「俺たちのせいにすんなよな」

 「これも召喚士が設備とかめんどくさがって『もうお任せでいいや』ってしているせいじゃないか」

 「黙れカスども!! だからリンとウルスラのスキル見直しをしているところだろうが!!」

そこで腹黒にあることに気づく。

 「あれ? 割とスキルが整っている伝承脳筋はいいとして」

 「お前らは俺を罵倒しねえと会話できねぇのか?」

ヘクトルの言葉を俺たちは当然のようにスルー。

 「僕がほとんど初期スキルのままだけど?」

 「奥義はつけてやったろ?」

 「奥義だけだよね?」

エリウッドの言葉に俺は力強く頷く。

 「貴様にくれてやるわざマシンなぞない」

 「ぶち殺すぞ」

俺とエリウッドが胸ぐらを掴みあうのとヘクトルがゴングを用意するのはほぼ同時だった。

そして熱き語り合い(物理)をいざ開幕と言ったところで俺の扉が勢いよく開かれる。

 「親友同士で殴り合いなんか駄目だ!! 召喚士!!」

やってきたのはカムイ’sの(自称)親友の暑苦しい男サイラスだった。

 「俺はカムイ達から召喚士とエリウッドとヘクトルは親友だって聞いている!! だから殴り合いなんてよせ!!」

俺とヘクトルとエリウッドは視線だけで会話して小さく頷く。

 「この愚か者がぁぁぁ!!!!」

 「ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁs!!!!!!!!」

相性有利のヘクトルの拳を受けて壁際まで吹き飛ぶサイラス。突然殴られて意味がわからないと言った表情をした。

 「な、何をするんだヘクトル」

 「勘違いしないで欲しい。サイラス。ヘクトルが君を殴ったのは君の間違いを正すためだ」

 「な、何を言うんだエリウッド!! 親友同士が殴り合うと言うことが正しいとでも言うのか!?」

エリウッドの言葉に血相を変えるサイラス。

 「例え話をするとしよう」

そして俺がゲンドウポーズを取りながら言うとサイラスの視線が俺に向けられる。俺はそれを確認してから言葉を続ける。

 「例えばカムイ達が大量虐殺をしようとする「カムイ達はそんなことはしない!!」うん、例え話だって言ったよな。とりあえず最後まで聞け」

俺の例え話に光速で俺の胸ぐらを掴むサイラス。とりあえずヘクトルがアルマーズで大人しくさせてから言葉を続ける。

 「俺たちだってカムイ達がそんなことをしないってことはわかっている。なにせ何回も同じ手口でアンナの詐欺に受けているからな」

あの自重しない女は異世界英雄達(純粋系)をターゲットに絞って金を巻き上げている。もちろん発覚するたびに治安維持部隊に踏み込まれて逮捕され、不当に得た資金はヴァイス・ブレイブ自治領預かりの資金となっている。

アルフォンスはアンナの裏に俺とルフ男とルフ子がいると思っているようだが失礼な話だ。俺たちはきちんと証拠をすべて掴み、ある程度金が貯まってからきちんと逮捕させていると言うのに。

それはさておき

俺の言葉に納得したのか大人しく椅子に座るサイラス。

 「いいかサイラス。もしカムイ達が『ちょっと無垢な民を皆殺しにするから一緒にやらない?』と言われたらお前は一緒にやるか?」

 「やるわけがない!! それは騎士の道に反することだ!!」

サイラスの言葉に俺は力強く頷く。

 「その通り。そのようなことは人としてありえないことだ」

 (すげぇな。こいつから人の道が出るとか明日は天変地異かよ)

 (きっと第3章で死ぬんだよ。なんか予告でそんな感じだったじゃないか)

とりあえず超絶失礼な脳筋と腹黒は後で嫁’sに処刑ものの情報を流すとしよう。

 「だがそれでもカムイ達は無理にでも虐殺を行おうとしたらどうする? カムイ達の家臣であり親友であるお前はどうする? 大人しく一緒に虐殺を行うか?」

 「そんなことはしない!! 絶対にカムイ達は俺が止めてみせる!!」

 「だが、お前は親友であるカムイ達に拳は愚か剣も向けられないだろう?」

俺の言葉に動揺するサイラス。だが俺は安心させるように微笑む。

 「いいかサイラス。暴力を振るわないことが親友ではない。時に間違ったことをしようとした時に無理矢理にでも止めるのも親友の仕事だ」

俺の言葉に驚愕の表情を浮かべる前髪クセ毛。

 「俺たちだって好きで罵倒したり殴り合ったりしたりしてるわけじゃないんだぜ?」

 「普段から意識づけしていなくちゃいざって言う時にできないからね」

ヘクトルとエリウッドが拳を軽く小突き合いながら告げる。そこには確かな信頼関係がある(少なくともサイラスからはそう見えるだろう)

そして俺は言葉を続ける。

 「いいかサイラス。俺も普段からお前とカムイ達のやりとりを見ているが、どこか遠慮があるように見える」

 「え、遠慮だって!? カムイ達が俺にか!?」

サイラスの言葉に俺は力強く頷く。

 「いいか。お前達が本当に親友だと言えるなら、軽い罵倒や殴り合いなんか挨拶みたいなもんだ。俺たちみたいにな」

俺がバカ2人に視線を向けるとバカ2人も力強くサムズアップ。

 「そうか……そうだったのか……俺とカムイ達に足りなかったのは魂を込めた拳だったのか!!」

 「その通りだサイラス!! まず手始めに相性有利なカム男を殴ってこい!!」

 「わかったぞ召喚士!! 今行くぞカムイぃぃぃぃ!!!!!」

入室してきた以上の勢いで部屋から飛び出していくサイラス。俺たち3人はそれを生暖かく見送る。

そして黙って俺たちのやりとりを呆れて見ていたリンがポツリと呟く。

 「貴方達は親友同士だった?」

 「「「時と場合と条件によっては」」」

 

 

ちなみにカム男を殴りに行ったサイラスはカムイファミリー家臣筆頭のフローラによって氷像にされた。

 




サイラス
この作品の男キャラで数少ないキャラ崩壊をしていないキャラ。壊さずに使い勝手のいいキャラって素敵やね。ちなみにこの男が我がヴァイス・ブレイブに来たのは作者が『オフェ欲しいなぁ。同色ピックアップもサイラスだから引くかぁ』と思った結果。予想通り星4落ちしていて複雑な気分。でも物理壁には最適すぎるわ。

カムイファミリー家臣団
筆頭家臣 フローラ
傅役 ギュンター
護衛 スズカゼ サイラス
虫けら ジョーカー フェリシア

三馬鹿の友情関係
普段は煽りと罵倒と生贄に捧げながらも、本当にやばくなった時は文句を言いながらも結局助け合うツンデレ系友情関係。そして助けられた1人が残りの2人にそのネタで死ぬほど煽られてブチギレまでがテンプレ。尚、助けられた回数が一番多いのは脳筋。



この作品でキャラ壊せないとか男キャラとかラインハルト以外にもおったわ。でも壊さない方が使い勝手がいいような気がする友情の騎士サイラス。我がヴァイス・ブレイブでは星5槍騎馬は貴重なので助かってます。

感想にてシャラの死亡セリフがルフレとサーリャの転生体だって示唆されているそうですね。作者はFEシリーズ初プレイの烈火で間違ってダーツをロストして以来『ロスト0プレイ』をしているので知りませんでした。なのでシャラの死亡セリフも知りませんでした。だからこの作品ではカムイ達は外道になりません。カムイ達は純粋キャラなんや!!(建前)。それにこれ以上外道が増えると困るんだ!!(超本音)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

利用する者される者〜召喚士とスルト〜

シリアス注意報発令中。そして独自設定の嵐です。それらが許せない人やいつものノリをお望みの方はブラウザバックをお願いします。


それでも大丈夫。もしくは『ジーク・カイザー・スルト』な方は本文をお楽しみください。


スルトは暗闇の中を漂っている。死の王という存在によって暗闇の世界に囚われた。一緒にいた友はいない。幻影とわかっていても、友を巻き込みたくなかったから暗闇に囚われる瞬間に突き飛ばした。

 「……スルツェイの奴め。怒っておったな」

驚くでもなく、自分を連れて行かないことに怒りの表情を浮かべていた友の幻影。その辺りも本物にそっくりだ。

死の王を名乗る謎の声も一喝して消しとばした。すると残ったのは暗闇の世界に囚われたスルトだけだった。

どれだけこの世界にいるのかわからない。あるいはこの暗闇の世界に永遠に囚われるのか。そんな問答がスルトの頭に浮かぶ。

 「ふん、埒もない。私は死んだ。それだけが真実であるというのに」

 「その言葉は一方で正解で一方では不正解だな」

暗闇の世界に死の王とスルト以外の声が響く。驚きと共にスルトはその声の方向に振り返る。

そこにいたのは胡散臭い笑みを浮かべた白いフードの男であるヴァイス・ブレイブの召喚士と、複雑そうな表情を浮かべた自分の国王時代の軍師・ロキであった。

 「貴様もついに死んだか」

 「残念ながら俺は生きているよ」

 「ならば何をしに来た。ここは死後の世界ではないのか?」

スルトの言葉に召喚士は胡散臭い笑みを浮かべながら口を開く。

 「ここは死後の世界ではないさ。あえて言うなら死後の世界の一歩手前と言ったところか」

 「……なに?」

スルトの訝しげな言葉に召喚士は相変わらずの胡散臭い笑みを浮かべながら言葉を続ける。

 「スルト。あんたの肉体は死を迎えた。だが魂は死を迎えずに死の王に取り込まれる予定だった」

 「どう言う意味だ」

召喚士はここで初めて感情を見せる。それは心底愉快そうな笑みだった。

 「死の王はあんたの魂を取り込んで強力になるはずだった。だが、あんたの魂は死の王という器に収まる魂ではなかった。これは愉快だよ。あの自分の思い通りになると思っている愚かな存在はあんたの魂の器を計り間違えたんだ。そして奴は恐怖した。ムスペル国王スルトをな。だからこの世界にあんたを閉じ込めた。いつか魂が摩耗して取り込めるようになるまでな」

スルトはどこかで納得した。道理でたまに映像が流れると思ったら己の起こした戦争で命を落とした者達の映像だった。

スルトはそれを鼻で笑う。

 「笑わせてくれるわ。私は王になった時に悪意も怨みも悪名も……全てを受け入れる覚悟をしている。あの程度の映像では私の意思は揺るがん」

スルトの言葉に召喚士も愉快げに笑う。

 「その通りだ。あんたの意思は揺るがないだろうさ。だが、死の王はそれがわからない。超越した存在だからこそ『ムスペル国王スルト』という個人が理解できない。どうしても『ムスペル国王スルト』という存在を『人類』という大きな括りで見てしまう。それがあれの愚かなところとも言えるが……そこが一番愉快なところとも言える」

そこまで言って召喚士は心底愉快げに笑う。それは『死の王』という存在を侮蔑しているような笑いだった。

その笑いを見ながらスルトは不快そうに召喚士に問いかける。

 「それで? 貴様は何をしにここに来た? いや、それ以前にどのようにここに来た?」

スルトの言葉に召喚士は先ほどまで浮かべていた侮蔑の笑みを消して、胡散臭い笑みに戻る。

 「まず後者の質問。これは単純だ。この世界にはちょっとした魔法で侵入することが可能だ。まぁ、単独でできるのは俺が知る限りとある世界の花の魔術師くらいだがな。俺はロキの協力があって来ることが可能なだけだ」

召喚士はそう嘯く。

 「よくぞそこまで口から出まかせが出るものよな」

 「おや? これでも交渉の時には誠実の二文字を大事にしているつもりなんだがな」

 「それならば『ロキの協力があって来ることが可能』などという嘘をつく必要はあるまい。貴様は単独でここに来ることが可能であろうに」

 「何を根拠に?」

 「国王としての勘よ」

スルトの返答に召喚士は再び愉快そうに笑った

 「ハハハハ! これはいい! 実にいいよ前ムスペル国王スルト! なるほど、ロキが言っていた通りだ。あんたが生きていたら間違いなく世界平和の妨げになるだろうな。そして死の王があんたの魂を取り込もうと躍起になるのも理解できる。あんたという魂を取り込めればあれは前回よりさらに強力になる」

 「……貴様。死の王を知っているのか」

 「おっと、つい口が滑ったな」

口ではそう言いながら少しも困った様子を見せない召喚士。つまりは死の王と召喚士が知り合いだということがスルトにバレても問題はないということだろう。

 「召喚士。あれはなんだ?」

 「さぁ。今はまだ答えられないな。なにせ俺もまだ推論の域を出ていない。不確定情報を根拠に動くのは軍師としてやりたくない」

 「減らず口のなくならない男よな。どこぞの女狐とそっくりだ」

スルトがチラリとロキを見ると、どこかロキは困った笑みを浮かべている。国王時代に見れていればヴァイス・ブレイブの連中によって溜まっていたストレスが少しは軽減できていたことだろう。

 「それで? 前者の質問に答えをもらってはおらんのだが?」

スルトの言葉に召喚士はフードを外す。そこから出てきたのは生真面目そうな片眼鏡をかけた青年。とりわけ美形というわけでもなく、かと言って醜いというわけでもない。どちらかと言えば軍師ではなく駆け出しの学者のような顔つきである。

突如頑なに隠し続けていた顔を出したことにスルトは驚きながらも表情には出さない。その反応も召喚士は予想通りだったのか特に表情を変えるわけでもなく口を開く。

 「前ムスペル国王スルト。ヴァイス・ブレイブに来ないか?」

スルトは召喚士の言っていることが一瞬理解できなかったが、すぐに聡明な頭脳が召喚士の言ったことを理解する。だが、理解したところで困惑が深まるだけだ。

 「……意味がわからんな。確かに貴様らヴァイス・ブレイブは私に対しての怨みは浅いだろう。だが、ニフルの王女達は私を許すことはないだろう。何せ親の仇だ」

 「当然の疑問だな。だが、公式文書であんたは死んでいる。そして死体もまた晒された。ニフルの国民があんたを生きているなんて思っていないだろうよ。フィヨルムとスリーズに関しては問題ない。一国を代表する立場の人間として、個人の感情を優先させるような輩だったらニフルには不要だろうさ」

そこで初めてスルトの背筋に冷たいものが走る。目の前の男は国に損をさせるような王族だったら消すと言ったようなものだったからだ。

スルトの考えに気づいたのか、召喚士は相変わらず胡散臭い笑みを浮かべながら口を開く。

 「勘違いしないで欲しい。俺は『国』という枠組みを守りたいわけじゃない。『民』という存在を守りたいのさ」

 「……信じられんな。ムスペルを追い詰めるためにその『民』すらも利用した男の言葉なぞ」

 「その通りすぎて何も言えないな」

スルトの言葉に愉快そうに笑う召喚士。

 「単刀直入に言おうか。前ムスペル国王スルト。俺はあんたを利用したいのさ。あの愚かな『死の王』という存在を消すためにな。ロキはあんたの魂の器がわかった。そしてそれが取り込まれれば『死の王』が不死に近くなる。それを防ぐためにあんたを俺に殺させた。俺だったらあんたの『覇王の器』を危険視して魂を焼却させると読んでな」

召喚士の言葉にスルトの視線がロキに向かう。そこには生前には見たことがない沈痛な表情を浮かべた元軍師がいた。

その姿を見て召喚士は愉快げに笑って言葉を続ける。

 「俺は自分が利用されることが大嫌いでね。だからあえてあんたの魂を焼却しなかった」

 「理解できませんわ。貴方様は『死の王』を知っている。そして誰よりも『死の王』の存在を危険性もまた理解している。なのになぜ『死の王』を強くするような真似をするのか……」

そこにいたのは見慣れたロキではなく、世界の行く末を案じた女の姿だった。

そんなロキの言葉を召喚士は鼻で笑う。

 「だったら素直に俺に協力すればいい。下手に利用しようとするからこうなる。まぁ、俺もスルトの『覇王の器』がこれほどとは思っていなかったがね。素直に賞賛するよ。前ムスペル国王スルト。ここに囚われた人間は大半が『死の王』に取り込まれる。あんたは数少ない例外だ」

 「……理解できんな」

 「安心しろよ。俺はあんたに理解して欲しくてこの話をしているわけじゃない。『スルト』っていう強力な駒が欲しいからこの話を持ちかけている。魂が無事だったら肉体は用意することが可能だ。つまりは蘇生できるってことさ」

そこまで言って召喚士はスルトに手を差し伸べる。

 「どうだ前ムスペル国王スルト。もう一度生きるチャンスが欲しくはないか?」

召喚士の言葉にスルトは頭が沸騰する。

 「笑わせるなよ小僧!! この私が!! このムスペル国王が!! 我が身可愛さに蘇ることを肯定すると思ったか!!」

スルトの一喝も召喚士は胡散臭い笑みを変えない。

 「あんたがそのつもりならそれでいいさ。だがな、スルト。現在のムスペルはヴァイス・ブレイブの監視下にあることを忘れていないか?」

召喚士の言葉にスルトは振り上げていた手を止める。それは召喚士の顔面スレスレであったが、召喚士は表情を変えない。

 「私が断ったとき、貴様はムスペルに何をする気だ……!!」

 「さて、何をするかね」

スルトの問いに召喚士は胡散臭い笑みを浮かべたまま、ずれた片眼鏡を直す。

スルトは一度だけ大きく深呼吸をして気分を落ち着ける。

 「……1つだけ聞かせるが良い」

 「なんだね?」

スルトの問いに召喚士は相変わらず感情の読めない笑みで返してくる。

 「貴様をそこまでの『絶望』に追い込んだのはなんだ?」

スルトの問いに召喚士の表情が完全な『無』となる。だが、スルトはそれを無視して言葉を続ける。

 「貴様のその瞳は全てに『絶望』した者の瞳だ。いや……違うな。期待していた者に『絶望』した者の瞳だ。貴様の根底にあるのは『狂気』と『絶望』だ。何が貴様をそこまで追い込んだ」

スルトの問いに召喚士は答えない。ロキも黙っているために暗闇の空間に静寂が訪れる。

そしていつもの胡散臭い笑みではなく、自嘲の笑みを浮かべながら召喚士は口を開いた。

 「別に追い込まれちゃいないさ。俺が勝手に『人』という存在に『希望』を見出していて、1人で旅に出て『人』の本質を知って勝手に『人』という存在に『絶望』しただけさ」

 「……貴様らの仲間でそれを知る者はいないのか?」

 「リンだけさ」

召喚士の「あのバカ2人にも気づかれてはいないんだがなぁ」という呟きをスルトは聞き逃さなった。

スルトには王となってもスルツェイという掛け替えのない友がいた。そして自分を慕ってくれる娘達や家臣達がいた。

だが、自分の娘と同じ年頃の青年にはたった1人しか理解者がいないのだ。それはどれほどの苦痛であろうか。たった1人にしか理解されず、ただ『絶望』し続ける。それがどれほどの地獄であろうか。

そう考えてスルトの覚悟は決まった。

 「我はスルト。死の国に堕ちた我すらも隷従させる……それを成し得るのはやはり、貴様しかおるまい」

そう言ってスルトは召喚士の前に立つ。一瞬だけ呆気にとられた召喚士だったが、すぐにいつもの胡散臭い笑みに戻る。

 「俺に利用されることを認めるのか?」

 「それは違うな。私も貴様を利用してムスペルを守るのだ。お互いに利用しあう……貴様もこちらの方がわかりやすかろう」

スルトの言葉に召喚士は愉快そうに笑って手を差し出してくる。スルトもその手を握り返す。

スルトは願わずにはいられない。この誰よりも『人』に希望を見出している青年に『救い』があることを。1人の『大人』としてこの『大きな子供』が救われることを願ってしまう。

スルトでは不可能だ。人々の縁に恵まれたスルトでは彼を完全に理解することはできない。おそらくは彼のことを1番理解しているリンという人物も不可能だろう。

(だから彼が本当に救われるその日まで。その近くにいてやることもまた一興であろう)

そう考えながらスルトはシンモラを担ぎながらロキが開いたゲートから暗闇の世界から出ていくのであった。

 




スルト
前ムスペル国王。作者は『死者が蘇るとか御都合主義展開許さねぇから』と考えていましたが、作者のムスペル愛の前にはそんな考えは塵のようなものでした。我がヴァイス・ブレイブのスルト陛下は迎撃隊形を継承させたので反撃で敵を滅殺してくれます。天空もつけてあげたいなぁ……

召喚士
作者の脳内設定を出していくスタイル。烈火時代の設定も色々作ってますけどきっと出てくることはない。

ロキ
FEHのおっぱいさん。原作ではきっと悪い立場での暗躍でしょうが、こちらの世界では本当に世界平和のために暗躍しているスタイル。独自設定も作っているので生かせる機会があれば出して行こうかと思っています。

結局何が言いたいの?
スルト陛下は偉大で、召喚士がラスボスってことさ




そんなわけで前ムスペル国王スルト陛下復活編でございます。賛否両論はあるでしょうがこの作品ではこのような展開で復活していただきました。召喚士の設定を少し出しましたが、今後に生かされる予定は一切ありません。いつも通りに頭の悪い話を投げていく予定。

スルト陛下復活によって第3章のストーリーメンバーも決定しました。陛下、レーギャルン、ロキ(あと1人は適当に)のムスペル降伏組です。ヘルビンディかレーヴァテインがいればどちらか使うんですがねぇ。ですが原作はともかくこの作品でのヘルビンディは陛下の忠臣なのでそのうちすり抜けでやってくる気もしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とミルラ

止まらないキャラ崩壊。そして口調も多分違う。作者は聖魔をやってないから広い心でお許しください。


 「こ、ここのご飯は美味しいですよね」

 「ああ」

どこか顔を赤らめながら昼食を取りながら俺に話しかけてきたのはエイリーク。ストーカー被害から逃れるために咄嗟に俺を選択したのかと思っていたのだが、想定外にガチであったようで、ヴァイス・ブレイブ内にいる時はどこか恥ずかしそうに俺に話しかけてくることが多くなった。この姿を見ていたギムレーは「あまずっぱ〜い!! これは学園青春恋愛物語の匂いがプンプンするぜ!!」と叫んでいたのでコンクリに詰めてニフルの湖に沈めておいた。

俺を狙ってくる人物は肉食系が多いのでエイリークみたいなタイプは貴重である。ちなみに先ほどリンに一緒に食事を取っているところを目撃されたので晩御飯は大豆になるだろう。晩御飯はヘクトルとエリウッドのところに奇襲をかけるとしよう。

ストーカーコンビ? ああ、柱の影で血涙を流しているよ。

 「と、ところで召喚士さん」

 「なんだ?」

エイリークから見えないように飛んできたノスフェラートを無効化しながら言葉を促す。

エイリークは顔を赤くしながら口を開いた。

 「ど、どんなお墓だったら一緒に入っていただけますか!?」

 「質問おかしくないか!?」

 「ダメなんです!! シスコンストーカーもドM幼馴染ストーカーも無理なんです!! こうなったら召喚士さんと一緒にお墓に入るしか手段がないんです!!」

 「別の誰かと結婚とかあるだろ!?」

 「絶対に邪魔してくるじゃないですか!? あの2人から私を守ってくれるのは召喚士さんしかいないんです!!」

学園青春物語だったはずがまさかの心中狙いだったでござる。と言うかエイリークがここまで追い込まれているのも想定外なんだが。

いつの間にか取り出した雷剣ジークリンデを構え、眼からハイライトさんが消え去って状態で俺に近づいてくるエイリーク。

 「落ち着けエイリーク。話せばわかる?」

 「召喚士さん、来世で一緒に幸せになりましょう?」

 「これはアカンやつや」

とりあえず遠くで爆笑しながら俺たちのやりとりを見ているロイドとライナスのリーダス兄弟には仲良く会話しているニノとジャッファの写真を見せるとしよう。ニノの愛らしさとジャッファに対する憎しみで憤死してくれるはずだ。

振り上げた雷剣ジークリンデをパリィで防ごうと思った瞬間に、エイリークに凄まじい勢いで抱きつく幼女が現れる。

 「おねぇちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 「きゃ!? ミ、ミルラちゃん?」

エイリークに抱きついたのは仮装装備で我がヴァイス・ブレイブにやってきた幼女マムクートのミルラであった。

エイリークに抱きついて至福の笑顔を浮かべた後にエイリークから見えないところでストーカー2人を見る。

 「ハ」

思いっきりストーカー2人を嘲笑した。

これらからわかる通りミルラはエイリークのことが大好きなガチレズで、そして己の見た目が幼女なのをいいことにエイリークにベタベタをくっつき、それを羨ましがるストーカー2人を嘲笑するという最悪すぎる存在である。

 「もう、ミルラちゃん。いつも言っているけど飛びついてきたら危ないわよ?」

 「は〜い、ごめんなさい。おねえちゃん」

妹を諭すように優しく告げるエイリークに(表面上は)あどけない笑顔で答えるミルラ。なお瞳は欲望で濁っている。

 「それじゃあ私がミルラちゃんの分のお水をとってきてあげるね」

 「うん!! 私は召喚士のおにいちゃんと一緒にここで待ってるね!!」

エイリークには笑顔を、ストーカー2人には中指を立てながら元気よく答えるミルラ。これに気づかないエイリークを攻めるべきなのだろうか。

そしてミルラは立ち去っていくエイリークを見送りながら至福の笑顔を浮かべながら口を開く。

 「おねえちゃんの尊さは異常」

 「キャラブレてんぞ」

俺の言葉に頬を膨らませて怒っているアピールするミルラ。

 「キャラはブレてません〜。おねえちゃんの尊さが悪いんです〜」

 「ギムレーといいミルラといいマムクートは変態ばっかりか……」

俺のやれやれと言った雰囲気に不満げな表情を見せるミルラ。

 「私のおねえちゃんに対する愛をあの変態ラスボスと一緒にして欲しくありません。あっちはただの変態的な愛ですけど、私のは愛……そう、純愛なんです」

 「レズ幼女が純愛を語るなよ」

 「あ〜!! それはマムクート差別ですね!! チキさん(大人)とニニアンさんに報告させてもらいますからね!!」

 「そのマムクートの保護者組から問題児扱いされている自覚はあるか?」

 「問題児なんて失礼です!! 私は愛に忠実なだけなんです!!」

 「その愛に問題があるだろうが。エイリークは女だぞ? そしてお前も性別は女だろうに」

 「愛の前に性別なんてないようなものです!!」

椅子に立ち上がりながら力強く言い放つミルラ。もうこの娘は駄目かもわからんね。

 「「ミ〜ル〜ラ〜」」

そして地底の亡者のような声を出しながらやってきたストーカー2人組。その眼は血走っていて、今にもミルラを殺そうと言わんばかりの眼光だ。だが、ミルラはそんな2人を嘲笑する。

 「負け犬が徒党を組んでミルラちゃんに何かようですか?」

完全に喧嘩を売っていくスタイルである。

 「ミルラ貴様ぁぁぁぁ!! 俺がエイリークに話しかけるのを我慢しているのに抱きつくだとぉぉ!? 羨まけしからんまねをぉぉぉぉ!!!」

 「エフラムの言うとおりだね……!! 僕らは治安維持部隊がいない時にしか近づけないのに君は公然と抱きついた上にクンカクンカまでしたね……羨まし妬ましいまねをぉぉぉぉ!!!!」

完全に理性を失っているストーカー2人を前にしてもミルラは一歩も引かない。

 「それはお2人が無様なだけじゃないですか。ミルラちゃんのようにおねえちゃんが嫌がらない絶妙な距離感を測れなかったからじゃないですか。その点ミルラちゃんは徹底的におねえちゃんを研究して嫌がらずに甘えられるポジションをキープしています。悪いですけどおねえちゃんの貞操は貴方達でも外道召喚士さんのものでもありません。このミルラちゃんのものです!!」

力強く最低なことを言い放つミルラ。このガチレズ幼女マムクートはエイリークの貞操をガチで狙っているらしい。最悪すぎるぞ。

そして無言で武器を構えるエフラムとエイリーク。この時点で俺とミルラがやるべきことは決まった。

俺がミルラを見ると、ミルラと視線があう。そして2人で力強く頷いて禁断の叫びをあげる。

 「「助けてエイリーク!!/おねえちゃん!!」」

 「あ!! 兄様にリオン!! 何をしているんですか!!」

俺とミルラの叫びに戻ってきたエイリークに説教を食らうストーカー2人。だがそこはストーカーコンビ。堪えるどころかエイリークの声が聞けて嬉しそうである。

 「召喚士さん、何かいい罰はありませんか」

困ったエイリークが俺に聞いてくる。なるほど。罰だったら最適なところがある。

俺は常に隠し持っている鈴を鳴らすと、広間の扉が勢いよく開かれカアラが入ってくる。

 「召喚士殿、御呼びとあってカアラ参上しました」

 「ご苦労さん。早速で悪いけどこの2人を道場で鍛えてやってくれ」

俺の言葉にストーカー2人は顔色を真っ青にするが、そこは忠犬の皮を被った狂犬はガン無視である。

 「おお、それはちょうど良い。現在、ちょうどニフルの第一王子とムスペルの第二王女も鍛えているので一緒でいいでしょうか?」

 「よしなに計らえ」

 「御意」

カアラは俺に一礼すると逃げようとしたストーカー2人を速攻で捕まえると広間から出ていく。それを愉悦の表情を浮かべながら見送ろうとするミルラ。だが、残念だったな。

 「カアラ、ここにいる仮装マムクートも一緒に頼むわ」

 「御意」

俺の言葉に即座にミルラを捕縛するカアラ。何か叫びをあげる前に猿轡を咬ませるのを忘れない。

俺を恨みのこもった視線を向けてくるミルラを俺は爽やかな笑顔で送りだす。

 「あ、あの召喚士さん。ミルラちゃんにアイラさんの道場は厳しいのでは……?」

 「大丈夫、大丈夫。これで性格が矯正されたら儲けものなだけだから」

 「性格の矯正ですか? ミルラちゃんに必要なんですか?」

 「エイリークは知らなくでいいことだな」

 

 

ちなみにヴァイス・ブレイブ修羅三人衆にボッコボコにされてもミルラの性格は治らなかった。むしろ怪我を理由にエイリークに甘えていた。早く気づけエイリーク。その幼女は兄と幼馴染以上のモンスターだぞ。

 




エイリーク
運命の選択時に召喚士を選んだことで、召喚士ルートに入ろうとしているルネス王国の王女様。そのやり方はギムレーが『学園青春恋愛物語キタコレ!!』と叫ぶほど奥手。でも書いている途中でハイライトさんは消えた。

ミルラ
エイリーク大好きガチレズ幼女マムクート。エイリークの貞操を虎視眈々と狙う。

助けてエイリーク!!
どっかの王子が叫ぶ言葉。



そんな感じでミルラちゃん爆誕編です。感想で指摘のあった通りのキャラ崩壊じゃ面白くないだろうということでエイリーク大好き幼女(ガチレズ系)になりました。エイリークは泣いていい。

最近、作者はカアラに攻撃速さの孤軍と待ち伏せを継承させて『一撃で殺せなかったら殺される地雷』で遊んでます。普通のクイズマップより難易度は高め。いかに奥義を連射できるかにかかってます。ちなみにカアラ単騎で敵を殲滅できたら成功。成功率? 3割あるんだから大成功と言っても過言ではないのでは?

FEHやっていて思ったんですが、これFEシリーズを一本とかしかやっていない人とか楽しめるんですかね。作者は色々やったので楽しいですけど、覚醒とかしかやっていない人がこの作品読んでいると別作品のキャラを勘違いしないか心配です。特に烈火とか烈火とか烈火。だが、私は謝らない。今更原作通りに書けねぇから!!

次回は我らが女神・パオラ様に実装される新武器を献上する予定です。ついにトライアングルアタックが来たんだな…!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ああっ! パオラ様っ!

我らが女神の武器追加です。訓練されたパオラ神教信者だったら当然武器錬成まで終えてますよね?


アスク王国内にある王城並に豪華な神殿。ここは俺が起こした宗教である『パオラ神教』の中心的な神殿であるグラネイア大聖堂である。建物の中は俺とルフ男とルフ子が拘りに拘り抜いて作り上げた豪奢で荘厳な作りになっている。なにせ王城より立派なせいでアスク王国の臣下の中にはそれに対する文句も出ている(尚、文句を言った人間はきちんと洗脳しました)。

そのグラネイア大聖堂の大広間に俺とルフ男、ルフ子の3人は傅きながら恭しく礼をしている。そして高いところに置かれているアスク王国国王より豪華な椅子に座っているのは困った顔を浮かべている現人女神・パオラ様である。

 「パオラ様。この度我らからパオラ様への献上品でございます」

 「俗な物でございますが、お納めいただければ幸いでございます」

 「既に武器錬成まで終えておりますので是非ともお納めいただければと思います」

俺の言葉にルフ男とルフ子が続く。

 「あの……召喚士さん、この扱いは困るんですが……?」

 「何をおっしゃられますか!! パオラ様はアスク王国の救済のために現れた現人女神!! 私のような偽物の救世主などではなく、本物の救世主であらせられます!! その証拠にアスク王国の矮小な臣民達にもパオラ様の御威光が広がっております!!」

 「あの……ヴァイス・ブレイブ内では普通に話してくれますよね?」

 「ここは外でございますので、それにふさわしき言葉遣いをさせていただいております」

 「……私や召喚士さん達の服装もですか……?」

ルフ男の言葉にパオラ様が疑問を呈する。それにはルフ子が答えた。

 「私の商業ルートを使い、現人女神・パオラ様に相応しい装束をご用意させていただきました。私達も枢機卿に相応しい服装にさせていただいております」

パオラ様の格好はどこか女神を彷彿とさせながらも下品な印象を与えない程度に露出をさせている。パオラ様の雰囲気を合わせてまさしく慈愛の女神と言った雰囲気である。

そして俺とルフ男とルフ子は枢機卿として真っ白なローブに豪奢な杖を持っている。

司祭の格好をしているインバースが恭しく俺たちの前に置いてあった『白騎の長剣』を持ち上げ、パオラ様の座っている椅子まで階段を登っていく。そして椅子の前で膝をついて恭しく掲げると、パオラ様の前にあったシルクのカーテンをインバースと同じく司祭の格好をしたマークくんとマークちゃんがゆっくりと開く。

パオラ様はどこか疲れたようにため息を吐きながら長剣を持った。

 「おぉ……!! なんと神々しいお姿……!!」

 「まさしく戦女神の如し……!!」

 「戦女神でありながら慈愛の女神……!!」

上から順番に俺、ルフ男、ルフ子である。そして同時に口を開く。

 「「「流石は我らが現人女神・パオラ様!!!」」」

 「あの……本当にやめてください……!!」

パオラ様は必死に否定しているがそのお姿もまた美しい。

 「パオラ様。今回の武器錬成でスキルを見直そうと思っておりますが、何か欲しいスキルはありますでしょうか?」

 「我らが優先的に確保させていただきます」

 「アクセサリー等は私に命じていただければご用意させていただきます」

俺とルフ男とルフ子の言葉に少し考え込むパオラ様。俺たちは黙って信託を待つ。

 「それではお願いをしてもよろしいでしょうか?」

 「「「なんなりと」」」

俺たちは頭を下げてパオラ様の信託を待つ。そしてパオラ様がゆっくりと口を開いた。

 「カチュアとエストを強くしていただけますか?」

 「ルフ男!! カチュアとエストは良個体値はいたか!?」

 「カチュアはいるけどエストはクソ個体値だけだ!!」

 「召喚士!! パオラ様の星5限凸のために羽を使ったから羽も足りないわ!!」

 「ルフ子はどうにかして羽の確保だ!! 俺とルフ男はストーリーをムスペル降伏組を使ってクリアして召喚の時間だ!!」

パオラ様の信託を受けたパオラ神教枢機卿3人組はダッシュで準備を始めるのであった。

 




現人女神・パオラ
我らが女神。トライアングルアタック実装と喜んでパオラ様(星5の2凸)とカミラ姉さん(ノーマル星5の10凸)とフロリーナ(星5)でトライアングルアタックしてみたら通常攻撃が連続になっただけでガッカリ。特殊な動きを期待していたのに……

パオラ神教
女神・パオラを頂点とする新興宗教。枢機卿に三軍師がいるので、アスク王国・ニフル王国・ムスペル王国の臣民達を中心にじわじわと広がっている。

ルフ男・ルフ子
召喚士と同じなんだから当然のようにパオラ神教信者。召喚士と合わせてパオラ神教三枢機卿。

マークくん・マークちゃん・インバース
親がパオラ神教信者なんだから子供達も当然入信。立場的には司祭

グラネイア大聖堂
三枢機卿が伝手と資金をつぎ込んで作り上げたパオラ神教の総本山。名前は適当につけたので気にしないでください。

ニフル国教会
スリーズを頂点とする召喚士を神とする宗教。狂信者が多いので近いうちにフリーズ兄様に弾圧されると思われる。




待ちに待ったトライアングルアタック実装!! しかもパオラ!! 喜び勇んで保存していたSPと雫を使いましたが、効果は微妙。飛行パで使うならいいですけど、通常は今まで通りに倭刀+(武器錬成済み)を使いますかねぇ。

そしてサクッと始まる第3部。弄りがいのありそうな死の王が出てきて作者もニッコリ。第2部はシリアスだったので第3部はシリアルで行きたいところ。

それにしても陛下強すぎて笑えます。うちの陛下は迎撃体型を継承させていますので、レーギャルンのぶちかましで陛下を敵陣に向けて射出すると敵が消滅していきます。飛空城でも大活躍ですわ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死の王ヘルの憂鬱又は優しき死神エイルの受難

死の王が出てくるのはもっと後だと思っていたら速攻登場で作者の怒りは有頂天


 「死の王御前会議のお時間で〜す」

 「「わぁぁぁぁ」」

死の王ヘルの発言にやる気のない合いの手を入れるリーヴとスラシル。座っているのはリーヴとスラシル。そしてヘルの娘のエイルが戸惑ったように座っている。

 「今回の議題は『アスク王国に侵攻してみたら喧嘩を売ってはいけない相手がいたのでどうすべきか?』になります。はい、皆さん。活発な意見を出して」

ヘルの言葉にリーヴが手を挙げる。

 「お、積極的な姿勢は死の王ヘル様に好印象ですよ。はい、リーヴくん」

ヘルの言葉にリーヴはスラシルと頷きあってから口を開く。

 「我々はヘルに蘇らせられて無理矢理従われているだけだから」

 「きたなぁぁぁぁい!!! その逃げ方は汚い!! なまじ間違ってもいないところが特にムカつく!!」

机をバンバンと叩きながら文句を言うヘル。それに呆れたようにスラシルが口を開いた。

 「だって事実じゃない。私たちはヘルに生き返らせられて無理矢理従わせられている。かぁ!! これは無罪だわぁ!! あの畜生も情状酌量の余地を入れてくれるわぁ!!」

 「汚い!! 流石建国者汚い!! 君らだってあの鬼畜を殴りたいって言ってたじゃない!!」

ヘルの言葉に呆れるリーヴ。

 「いいかヘル。確かに俺とスラシルはあの畜生を殴りたいと言った。それは仲間の立場で殴りたいのであって敵として殴りたいわけじゃないぞ?」

 「? え? 結局殴るんだったら同じじゃないの?」

リーヴとスラシルのダブルため息!! ヘルに精神的ダメージ!!

 「いいかしら? 仲間の時に殴ったらあの畜生も仲間同士のじゃれあいで済ますわ」

 「……敵対している状態で殴ったら?」

 「「宣戦布告扱い」」

 「ノォォォォォォォォォォ!!!!!!」

リーヴとスラシルの無慈悲な発言に前衛芸術のような体勢になるヘル。

 「おかしい。今回こそあの鬼畜を倒すために覇王の魂を持った人間を取り込んで完全究極体ヘル様になる予定だったのに」

 「見事にあの畜生が仲間にしていたな」

 「そしてその覇王の魂を持った人間を見事に怒らせていたわね。ヘル、あんたは何でわざわざムスペルの死兵として生き返らせちゃうのよ」

 「え? だってあの国の兵士強いじゃん」

ヘルの言葉に再びダブルため息。

 「「死の王に人の心はわからない」」

 「わからないよ!! 何がまずかったの!?」

リーヴは呆れながらも口を開く。

 「ムスペル国王スルトは王の中の王だ。何よりも自国の民や兵士を大事にする人物だぞ? そんな人物相手に自分の家臣の死体達が敵として出てきたらどう思うかわかるだろ?」

 「さっぱりわからない。だって強いんだよ? 利用しなきゃ!!」

 「「お前、本当にクズだなぁ」」

 「2人して酷い!!」

私はヘル〜、などと歌い出したヘルを無視してリーヴとスラシルは会話を続ける。

 「しかし、マジでどうするか。元ムスペル国王スルト、元ムスペル王女レーギャルン、現ムスペル国王レーヴァテイン。そして何を考えているかわからないロキを中心に編成されたヴァイス・ブレイブ軍は半端ではないぞ?」

 「半端どころかスルトだけに味方の9割が潰されたわよ。リーヴも斬りかかっていたけど『効かぬ!!』されてたしね」

 「そうだな。スラシルも川を挟んで攻撃して『効かぬ!!』された上にレーギャルンに惨殺されたしな」

無言でお互いの胸ぐらを掴みあうリーヴとスラシル。

 「あ、あの……少しよろしいでしょうか?」

そこでおずおずと手を挙げたのは薄幸系美人エイル。

 「先ほどからお話に出ている畜生や鬼畜とはどなたのことでしょうか?」

エイルの言葉に滝のように流していた涙を止めてエイルをみるヘル。

 「エイルには説明しませんでしたっけ? ヴァイス・ブレイブの召喚士のことです」

 「ヴァイス・ブレイブの召喚士……? 確か異世界から召喚された救世主だと聞いていますが……お母様とリーヴ様、スラシル様はお知り合い何ですか?」

 「俺とスラシルはあいつを軍師として雇っていたことがある」

 「むしろあの畜生の手によって王に仕立て上げられたわね」

 「……えぇ?」

リーヴとスラシルの発言に軽く引くエイル。なにせ2人が建国した時代を歴史として知っているからだ。あの修羅の時代を生き抜いた上に上司を王にまで仕立て上げた化け物が敵だったことにこれからのことを考えて憂鬱になる。

 「そ、それではお母様は?」

 「どの世界でも会ったら即殺しあう関係かな」

ヘルの能天気な言葉にエイルは気を失いそうになる。修羅の世界を生き抜いた化け物相手に喧嘩を売った母親。文献を見る限り敵対したら女子供にも容赦しないのが召喚士の特徴だ。間違いなく自分も死ぬ。

 「流石にやばいんだよねぇ。前の世界にいた時に逃げる時に『次会ったら絶対に殺すからな!! 今度は逃がさんぞ!!』宣言されてるんだよねぇ。いやぁ、困った困った。HAHAHAHAHA」

そしてヘルは完全に崖っぷちだった。それすなわちエイルの命の危機である。

 「そこでなんとか命を救われる方法を考えたいわけだけど……とりあえず土下座とかどうだろう?」

 「笑顔で剣を振り下ろすであろうな」

 「待ちなさいリーヴ。断頭台の可能性もあるわ」

 「どっちも死ぬじゃないですか、ヤダァ!!」

命の危険が迫っているのにどこか軽い死の王ヘル。

 「あの、お母様。命がかかっているのにどこか軽くないですか?」

 「え? あぁ、大丈夫大丈夫。だって私は『死』の王だからね。絶対に死なないよ。今までも命だけは助かっていたわけだし」

 「相変わらず甘い考えだな」

 「あの畜生が『次は絶対に殺す』宣言をしたんでしょ? それって殺す方法が見つかったってことよ」

スラシルの言葉に普段から青い顔がさらに青くなるヘル。

 「ど、どどどどどうしよう!? リーヴえもん!! スラミちゃん!!」

 「人をネコ型ロボットのように言うな」

 「私はリーヴの妹なの?」

 「そこじゃないでしょ!! このままじゃ私達目出度く死ぬより辛いことになる気がするよ!!」

 「安心しろ」

 「気がするじゃなくて確実にそうなるから」

 「安心できる要素がない!! それ言ったら君らも巻き込むからな!!」

 「「ワレワレハシノオウヘルサマニアヤツラレテイルダケデス」」

 「超棒読み!! くそったれぇぇぇぇ!!!」

床をモップのように転げ回るヘル。そして起き上がってズビしとエイルに指を突きつける。

 「こうなったら暗殺しかない!! エイル!! ヴァイス・ブレイブに偽装降伏して召喚士をサクッと殺ってきなさい!!」

 「え……えぇぇぇぇ!!! 無理ですよお母様!!」

 「大丈夫!! 召喚士は美人に弱いからきっと大丈夫!! でもバレたらゴメンね!!」

 

 

 

 

 

そしてエイルはヴァイス・ブレイブに偽装降伏をした。ヴァイス・ブレイブの(名目上の)隊長にもバッチリ怪しまれた結果、諸悪の根源である召喚士預かりということになった。この時点でエイルの緊張は最高潮である。

 「さて……エイルだったかな?」

 「あ、はい」

フードをかぶっているために表情はわからないがどこか優しそうな雰囲気を出しながら話しかけてくる召喚士。この時点でエイルは「あれ? 上手くいくんじゃね?」と甘い考えが頭をよぎる。

 「あのクソの企みを素直に喋るのと拷問されながら喋るのはどっちがいい?」

 「あ、すいません。全部喋るんで命だけは許してください」

エイルは即座に土下座して母親を売った。

 




死の王ヘル
ダメ系王様。死の王だから人の心がわからない。いくつもの世界で召喚士とぶつかり合って酷い目にあってきた人物。そのため小物臭がやばい。作者的に出番はもっと後だと思っていたから陛下の話の時にあのキャラにしたのに速攻登場で作者の怒りが有頂天。貴様は小物がお似合いだ。

リーヴ&スラシル
アスク王国とエンプラ帝国の初代偉い人。傍にはフードを被った笑顔の胡散臭い男性がいたそうである。一体何者なんだ……

エイル
完全に貧乏くじを引かされたヘルの娘。見た目が作者の好みだったから酷い目には合わなかったよ!! やったね!! ちなみに得意技は土下座。その土下座の美しさは一流土下座士である三馬鹿が惚れ惚れとするほど。



こんな感じで第3章敵サイドのお話でっす。第2章がシリアスってしまったのでシリアルに走る作者。ちなみに本文に出てくる陛下が『効かぬ!!』をしたのはマジです。インファのリーヴまで殺されることのなかった陛下。ちなみに陛下を倒したリーブは弓騎馬リン(勇者装備)にハチレンダァァァァァ!!! されて昇天しました。

感想にてまさかの『特務機関ヴァイス・ブレイブVS人理継続保障機関・カルデア〜謎のヒロインXを求めて〜』を見たいというリクエストがありました。作者も完全に忘れていた時にやってくる無茶振り。せっかくいただいたので今書いている『父親達の宴』が書き終わったら書こうかと思います。ちなみに『父親達の宴』は年内に投げたいところ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

父親達の宴

駄文…圧倒的駄文…! その上に短い…!! 先に謝っておきます。期待していた方がいたら申し訳ありません。


 「いやぁ!! どう考えても私のセリスの方が優秀だからなぁ!!」

 「黙れシグルド!! 私のユリウスの教育は間違っていない!! 間違ったのは中身の問題だ!! 全てはロプトウスのせいだ!!」

 「いやいや、私からディアドラを寝取った上に近親相姦とか最悪すぎるな!! これだからアルヴィスは駄目なんだ!!」

 「……子育てが一切できなかった分際で」

 「それは貴様が私を殺したからだろうがぁぁぁ!!!!」

大広間。今夜はここに子供を持つ父親達が集まっていた。向こうではシグルドがアルヴィスを盛大に煽った結果煽り返しを食らったようだが、概ねいつも通りなので放置しておく。

 「ええい、ここでティルフィングを抜くなシグルド!! アルヴィスも煽りかえすな!! くそ!! こういう役割はキュアンのはずだろう!! 召喚士!! キュアンはどうした!?」

 「星4落ちしたらワンチャンあるかもな」

 「クソガァァァァァ!!!!」

聖戦大人世代の苦労人であるエルトシャンが吠える。それを楽しそうに眺めていたルフ男が口を開く。

 「エルトシャンも大変だね。なにせラケシスさんがアレスくんに『貴方の母親は私ですよ』と言っているし、ラケシスさんの娘のナンナちゃんには『貴女のお父様は兄上ですよ』って言っているから」

 「ちょっと待って!! 私はその情報を知らんぞ!?」

シグルドとアルヴィスをほったらかしにしてルフ男を締め上げるエルトシャン。全く、ルフ男は悪い男だ。情報はきちんと最後まで伝えてあげないとダメだろう。

 「ちなみにエルトシャン。ラケシスの発言を真に受けた2人が真剣な表情で話をしていると思ったらその話だと思った方がいい」

 「待て! ちょっと待て召喚士!! この前アレスに『父上、俺の母親は……いえ、なんでもありません』と言っていたのは……?」

エルトシャンの問いに俺は100%(胡散臭い)笑顔を浮かべる。

 「その内容で間違いないだろうな」

 「アレェェェェス!!!!! ラケシスの言う事を信じるなぁぁぁぁ!!!!」

叫びながら大広間から飛び出していくエルトシャン。う〜ん、実に愉悦である。

 「しっかし、召喚士は速攻で馴染んだな」

同じ机に座りながらビールを飲んでいるヘクトル。この大広間にいるのは子供が実装されており、なおかつここに召喚されている父親達である。俺は子持ちではないと思われていたために参加したことがなかったのだが、インバースが俺の養子だと判明したのでバカ2人に強制連行されたのだ。

そして始まる子供自慢大会。自分の子供こそがNo.1と時に弁舌で、時に武器に訴える狂気の宴である。

エリウッド? さっきから延々とロイの素晴らしさについて語ってるよ。そして見事に全員からシカトされている。

 「だってノリが基本的に烈火に近いぞ? むしろ他の世界の英雄がこれで大丈夫か?」

 「大丈夫だろ。純粋枠のカム男は家臣連中が総出で出席を止めているらしいからな」

俺の問いにヘクトルがあっさりと答える。なるほど、カム男の姿が見えないと思ったらそう言うことだったらしい。

 「ムゥ、しかし私もここにいていいものか……」

そう同じ机に座りながら溢したのはムスペル前国王スルトだ。なにせ敵対していた上に自分を殺した相手と酒を飲んでいるのだ。常識人だったらまず正気が疑われる。

そんな常識人スルトの背中をヘクトルは笑いながら叩く。

 「細かいことは気にすんなよオッサン!! オッサンは娘2人いるんだから出席する権利あるって!!」

 「娘!? 娘と言ったな!! 俺のルキナの話か!!」

 「ルフ男〜、聖王様の回収頼むわ」

 「はいよ〜」

娘の言葉に超反応して乱入してきたクロムをその半身にぶん投げる。冷たいようだがクロムはルフ男に延々とルキナの素晴らしさを語り始めているからいいのだろう。そしてルフ男はそれを聞いていない。

 「しかし、オッサンの娘2人は強いよなぁ」

 「レーギャルンは飛行ユニットにも関わらず壁役こなせるし、レーヴァテインは火力が凄まじいからな」

 「武門の一族として当然のことだ」

ヘクトルの言葉に俺が続くと、どこか自慢げに答えるスルト。だからその自慢げな表情を崩すために俺とヘクトルは笑顔で言葉を続ける。

 「「それに比例して死んでいる女子力」」

俺とヘクトルの言葉にスルトは机に沈んだ。だが、俺たちは追撃をやめない。

 「レーギャルンは裁縫もできない。料理もできない。かろうじてできるのは掃除だけ」

俺の言葉にスルトはうつ伏せになりながら苦悶の声を出す。

 「極め付けはレーヴァテインだな。裁縫をやろうと思えば銀の剣を取り出す。料理をすれば台所崩壊。掃除に至っては奥義で一掃して綺麗にすると言う荒技」

ヘクトルの言葉についに机に頭を叩きつけ始めるスルト。

 「「お前どんな教育したんだよ?」」

 「し、仕方ないのだ!! 私もスルツェイも戦いしか知らなかったのだ!! 妻は娘達が物心つく前に亡くなってしまい、私は戦うことしか教えられなかったのだ!!」

スルトの必死の弁明である。

 「だけどよ、もうちょっと侍女に教えさせるとかあっただろ」

 「いや、それは私も考えたのだが……」

そこまで言って一気にお酒を飲みほすスルト。

 「侍女達に女としての所作を教えられるようにレーギャルンに伝えたら『私は1人の武人としてお父様にお仕えしたいです』と言われてしまってな……そんないじらしいこと言われると父として嬉しいであろう? しかもレーヴァテインも姉の真似をして『レーヴァテインも武人としてお父様に仕える』と言われてしまってはNOと言えるか? いや言えない。言えるわけがなかろう。父としても王としても」

酒が回ったのはいつになく饒舌なスルト。

 「だから私も傅役にスルツェイをつけたのだ。ムスペル一の騎士であったからな。だが、流石の私とスルツェイもタイマンで我が国の屈強な騎士を薙ぎ倒せるようになってしまった娘2人を見て流石にやばいと思ってな。少しは女性らしい格好をさせようと思って姉妹お揃いの髪飾りをプレゼントしたらな……」

そこまで言ってスルトは片手で机を思いっきり叩く。

 「『お父様、この貧弱な防具はなんですか?』と純粋な瞳で聞かれたのだぞ!? 私はどう答えれば正解だったのだ!!」

そして娘2人に懺悔の涙を叫びを始めたスルトを置いて俺とヘクトルはテーブルを移動する。あの手のタイプは面倒なタイプだと相場が決まっているからだ。

そして俺とヘクトルは壁際で床に座る。

 「しかし、意外と父親って少ないな」

 「ホークアイは娘がまだ実装されていないしな。他も子供だけがいたり、親だけがいたりするからなぁ……」

俺の言葉にヘクトルが酒をかっ喰らいながら言ってくる。

 「あれ? オーディンはどうした? 最近オフェちゃん召喚しただろ?」

 「ああ、声はかけたんだけどよ。そしたら『あれ? 結婚した覚えはないのに子供がいる記憶はある……!?』って錯乱していたから放置した」

 「それと同じ悩みを俺アクアから受けたんだけど」

ヘクトルの言葉に歌姫からの悩みを思い出す俺。まぁ、ifとか覚醒、聖戦は誰が親になるかわからない問題あるから仕方ないな。え? 烈火もある? そう思った君はすぐにブラウザを閉じたまえ。

 「と言うか俺は今だにリリーナがお前の娘だって信じられないんだが」

 「それ前の世界の仲間全員から言われたからな。よく見ろよ。よく見たら似てるところ見つけられから」

俺の言葉に常に持ち歩いている家族写真を俺に見せてくるヘクトル。

 「そうだな。眼が2つあって鼻があるところとかそっくりだな」

 「そこが違ってたら大問題だからな」

半ギレになりながら俺の胸ぐらを掴むヘクトル。全く。こいつは娘と嫁のことになるとムキになる。

 「ところで話は変わるが最近女湯を覗ける絶好のスポットを見つけたんだが」

 「おいおいブラザー。そんな素敵な場所の独り占めは良くないぜ?」

しかしエロが絡むと話は別である。親しげに肩を組んでくる愛すべき脳筋。確かに俺は絶好のスポットを見つけて愛用していたが、最近はリンに怪しまれているので控えているのだ。とりあえずその場所をヘクトルに教えておく。嬉しそうにメモしている脳筋。さらば生贄。

 

 

後日、火刑に処されているヘクトルが目撃されたが、我がヴァイス・ブレイブでは日常風景なので誰1人として気にする者はいなかった。

 




パパン’s
正直誰が誰の子供とか覚えきれていない上に、組み合わせ自由な世界もあるので適当なキャラをピックアップしました。



前書きの通りに圧倒的駄文で申し訳ありません。これも全て作者がキャラの関係性を覚えきれていないせい。ただ、ラケシスによる『兄様のお嫁さん計画』と1人の父親として陛下が書けたので作者的には満足。はい、自己満足ですね、申し訳ありません。
楽しみにしていた奇特な方がいたら申し訳ありません。召喚士が参入し、さらには『あ、陛下もいけるやん』と思いついてしまった作者が自分で最初に考えていた内容を全てフォルブレイズしてしまった結果です。やっぱり途中でキャラを増やすのは良くないですね! 作者は学習しました(今後生かされることはない)

更新日時を見て気がついたんですが、いつの間にかこの作品を投げ続けて1年超えてました。まさかこれがここまで続くとは……
最初は色々なFE世界のキャラの掛け合いを書きたかったのに気がついたら全力のネタ小説に。これも全てエリウッドが悪い。そしてみなさんの原作キャラの把握が心配になってしまいます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とレイ

みんな大好き大天使ニノエルの息子の出番です。キャラの口調が迷子です。


さて、俺の部屋は基本的にどの英雄も拒まずに受け入れる。バカ2人は毎日のように入り浸るし、リンやインバースは毎日来る。

しかし、そんな俺の部屋に絶対に受け入れる人物がいる。現人女神・パオラ様と我らが大天使・ニノエルである。

今日訪ねて来たのは大天使・ニノエルの息子であるレイである。大天使・ニノエルの縁者(ジャッファを除く)を拒否するとか烈火出身者にはありえないことなので親戚のおじさんのような気安さで部屋に招き入れ、当然のようにいたリンが最高級のお茶とジュースをレイに用意してあげる。

 「どうしたレイ。お小遣いが足りないのか?」

 「違う。そうじゃない」

 「それじゃあ、誰かに虐められたの? 相手を言いなさい。黒の牙を中心に烈火出身者で報復に行くから」

 「そうでもないんだ、リンおば……お姉さん」

おばさんと言いそうになったレイは一瞬だけ溢れ出したリンの殺気に気づいて訂正していた。レイだから許されるが他の人間がおばさん呼びしたら即座に殺し合いに発展するだろう。

そんなレイが意を決したように口を開く。

 「俺を自立させて欲しい」

 「「?」」

 「2人で何言っているか理解できないって顔は辞めてくれないか!?」

この子は何を言っているだろうか。俺達はif組のカムイファミリーを愛でたいと違ってレイはきちんと自立させてあげているのに。

 「ふむ、なぁレイ。お前はきちんと自立しているよ。安心していい」

 「その通りよ。どこぞの竜家族とは違うんだから」

 「俺が出撃する時は俺とプリシラさんとリンさん(花嫁装備)にニニアンさんでか!? この前は擦り傷でプリシラさんとリンさんにWリバースされた上に敵はニニアンさんが殲滅したんだぞ!!」

 「何を言っているの。ニノに似たレイの綺麗な肌が傷物になったら大変でしょ?」

 「なんでリンさんはその優しさが召喚士のおじさんやエリウッドおじさん、ヘクトルおじさんに向けられないのかなぁ!!」

 「召喚士。貴方達がレイに悪影響を与えているみたいだけど」

 「こればっかりは本気で反省するわ。後でヘクトルとエリウッドは煮るなり焼くなり好きにしていいぞ」

 「貴方もだからね」

 「そうじゃないから!!」

うがぁぁぁぁっと頭を抱えるレイ。そこで俺は一つの結論に行き着く。

 「あ、そうか闇魔術の先生がカナスだけなのが不満なんだな。だが他の闇魔術に詳しいのはリオンとユリウスか……?」

 「召喚士。その2人だけは許されないわ。あの2人にレイが染められたらあの2人をムスペルの溶岩に叩き込むしかなくなるわ」

 「わかってる。俺もそんなつもりはない」

 「他に魔術に詳しいのはティルテュとかかしら?」

 「ダメだ。ティルテュは魔術の素養は高いが説明が『ギュイーンてやってグーンってやってバシって感じ!!』の説明だぞ? 魔術に造詣が深くてもオツムが足りなさすぎる」

 「それだったら……ハ!? イシュタルよ!!」

 「それだ!! よし、待ってろよレイ。すぐに頼んで来てやるからな!!」

 「話を聞かないで勝手に話を進めないでくれ!!」

俺が立ち上がって部屋から出て行こうとするのをレイが必死になって止めてくる。

 「闇魔術はカナスおじさんだけで十分だよ!! 俺が言いたいのは出撃に関することだ!!」

 「何を言っているんだ。出撃もきちんとさせてやっているだろう?」

 「あの過保護編成の上に10回に9回は到着した時には敵が全滅しているんだけど!?」

 「レイに恐れをなして敵が逃げているんだな。さすがはレイだ」

 「ぜってぇに違うだろ!! ロイドおじさんとライナスおじさんとラガルトおじさんとウルスラおばさんの仕業だろ!!」

否定はしない。

 「それだから俺はいつまでも成長できないんだ!! 頼むから俺にもエイリークさんと一緒に出撃させてくれよ!!」

 「……レイも女を知る歳になったのね」

 「違うからリンさん!! 俺は純粋に強くなりたいだけだから!!」

 「いいのよ隠さなくても。男だものね。女性に興味を持つのは当然だから」

 「だから違うからリンさん!! というかなんで母さんは出撃できて俺はできないんだよ!!」

 「厳正な民主主義の結果だ。諦めろ」

 「その民主主義は俺を過保護にする人達だけでやったろ!? ご丁寧に親父を除いて!!」

レイの叫びに俺とリンは呆れたようにため息を吐く。あの愚かなジャッファは自分の息子を危険な戦場に立たせようとするのだ。あの親バカなエリウッドですらロイが出撃する時はロイの敵いそうにない相手だけをピンポイントで弱体化させているというのに、ジャッファは普通に出撃させると言うのだ。全く持って信じられない。

 「いいか、レイ。お前はちゃんと強くなっているから安心しろ」

 「嘘だ!! だって俺は一度もマトモに戦ったことないんだからな!!」

 「いい、レイ。戦うことだけが戦いじゃないのよ? 貴方はそこにいるだけで(黒い牙を中心に)みんなを強くすることができるのよ」

 「それは俺の攻撃の応援のことだよなリンさん!? 攻撃の応援なんか持っている人いっぱいいるじゃないか!!」

納得できないか。ならば仕方ない。

 「わかったレイ」

 「召喚士!?」

俺の言葉に驚愕の表情を浮かべるリンと希望の表情を見せるレイ。

 「お前のお母さんのニノが納得したなら認めてやる」

俺の言葉に苦渋の表情を浮かべるレイ。

 「……それは母さんの『危ないことしたらメッ! だよ!!』と言われるってことだよな?」

 「その通りだ」

 「それで俺が自分の意見を通そうとしたらスッゲェ悲しそうな表情で『うん、レイだってやりたいことあるもんね。うん、いいよ、許してあげる』って言葉を聞かなきゃいけないってことだよな?」

 「その通りだ」

レイは力強く机を叩き、叫ぶ。

 「母さんにそんな辛い真似をさせられるか!!」

なんだかんだ言いながら結局レイもお母さん大好きっ子だからニノの言うことは大人しく聞く。

 「さぁ、レイ。大人しく選ぶがいい。このまま俺達に過保護にされるかニノに悲しい表情をさせるのかをなぁ!!」

 「この外道がぁ!!!!!」

レイに首をガックンガックンさせられるが、ニノの息子にやられていると思うと自分の甥と戯れている気分になる不思議があるな。なにせ隣のリンがちょっと羨ましそうだから。

 




レイ
愛され大天使・ニノエルの息子。当然のように烈火メンバーから全力で甘やかされているのを迷惑に思っているマザコン。闇魔術の研究もカナスに教えられる。パントがいたらきっとパントも先生になる。
ちなみに作者はせっかくいた良個体値星4レイを送還して星3のレイだけにした。絶対に出撃させないからな!!



そんな感じでぶっ壊れ世界烈火の煽りをもろに受けたレイくんのお話でした。こんな感じで彼は主に黒い牙を中心にした烈火メンバーから甘やかされている。頑張れレイくん!! 明日の星5は君だ!!(覚醒させる予定はない)

なんだかんだで飛空城を楽しんでます。作者は未だに位階14のクソ雑魚ナメクジですが。ちなみに泉の城にリン(ノーマル1凸)、ウルスラ(5凸)、ニニアン(ノーマル3凸)、エリウッド(無凸)、ヘクトル(伝承無凸)のメンバーで罠も建物もなかったら高確率で作者です。
こいよ!! ボーナスポイントなんて捨ててキャラ愛だけでかかってこい!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領の新たなる仲間

あけましておめでとうございます。今年も正気を疑うこの作品もよろしくお願いいたします。

あ、サブタイトルの仲間の部分は生贄と読んでいただける嬉しいです。


白いフードを被った人物は歩いて大きな門のところにやってくる。とてつもなく巨大な門に繋がるように巨大な壁が中央にある城を囲むようにできている。

白いフードの人物がここまでに見てきた街並みはとても栄えているように見えた。それこそ白いフードを呼び出した国なんかより栄えている状態であった。

白いフードの人物が巨大な門に押しひらくように手をかけるとどこか中性的な音声が流れる。

 『流体魔力検査—————クリア。身体的特徴—————クリア。網膜認証—————クリア。ようこそ新たな英雄よ。アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領は新たな英雄を歓迎いたします』

その音声と同時に自動的に巨大な扉が開かれる。技術が中世だと思っていたら突然オーバーテクノロジーを見せつけられて白いフードの人物はおよそ30秒程固まっていたが、復活して中に入る。すると巨大な扉が自動的に閉まってしまう。

ここで白いフードの人物は困ってしまった。とりあえずここに行けと指示されたところに来たら放置を食らったのだ。誰でも困る。

 「おっと!! もう新しい英雄さんがやってきていましたね!!」

 「待たせてしまったみたいですね!! すいませんです!!」

すると何故か空中から少年と少女が降ってきた。突然の出来事に頭が混乱する白いフードの人物。しかし、我が道を行く二人組は決めポーズを取りながら語りを辞めない。

 「僕はここで働いている英雄の一人にして神軍師の息子であるマークくんです!!」

 「そして私はここで働いている英雄の一人にして神軍師の娘であるマークちゃんです!!」

そしてマークくんちゃんは二人で白いフードの人物に手を差し伸べてくる。

 「「さぁ!! 貴方のお名前を入力してください!!」」

白いフードの人物はどこかで入力ってなに? と考えながらも素直に自分の名前を述べようとすると目の前に選択肢が現れる。

 『名前を選択してください

  エクラ

  メキシコに吹く熱風、トンヌラ

  ここはあえて第3のマークとして生きていくぜ!!』

ここでも白いフードの人物の困惑が深くなる。

——まともな名前がエクラしかない!? しかも二番目はジョジョとドラクエが混ざってるし、三番目はこれ以上マークが増えても大変だろう!!

仕方ないので白いフードの人物は一番上のエクラを選択する。

 「ふむふむ、エクラさんですね。僕らのオススメは第3のマークになることだったんですが……」

 「トリプルマークの夢が遠のいてしまいましたね、マークくん!! 仕方ないので師匠がマーク名義で実装されるのを待ちましょう!!」

マークちゃんの言葉が真実になったら本格的にこの世界はやばいのではないかとエクラは考えるが、頭の隅から放り投げる。

 「さ、次の質問ですよ」

 「貴方の性別を選択してください!!」

とうとう言葉も選択になったかぁ、とエクラはどこか諦めつつ目の前に表示された選択肢を見る

 『性別を選択してください

  男性

  女性

  無性

  体は男でも心は乙女よ!!』

おかしい。性別の選択は二つのはずなのに何故か四択になっている。

この時点でエクラの脳内アラームは逃げることを推奨しているが、これは強制イベントなので回避不可能である。

仕方ないのでエクラは正直に性別を選択する。

 『性別を選択してください

  男性

 →女性

  無性

  体は男でも心は乙女よ!!』

選択肢を選んだ瞬間にマークくんちゃんは急に真顔になった。

 「え? 嘘ですよね? これだけ丁寧なネタフリをしたのに……」

 「大変ですよマークくん。この人マジメ枠です」

待ってくれ。ここはどんな場所なんだ。

エクラが口に出す前にマークくんちゃんは再び100%笑顔に戻る。

 「まぁ、マジメキャラが増えるのは良いことです!!」

 「その通りです!! なにせこの作品はマジメキャラほど不憫枠になりますからね!!」

待ってくれマークちゃん。その発言は聞き逃せない。

 「さ、それでは簡単にここの説明をして行きますね!!」

 「ここはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領です!! アスク王国の属領ですが司法等の法律、商業、軍事などはアスク王国からは完全に独立している自治領です!!」

 「名目上の自治領主はアスク王国の王子のアルフォンスさんです!! 会ったら胃薬を差し入れしてあげてくださいね!!」

 「裏で支配しているのがマークくんとお母さんであるルフ子さんと私のお父さんであるルフ男、そして師匠の三人です。三人纏めて『三軍師』と呼ばれています!!」

 「一部のアスク王国の心ない人々からは『三大悪魔』とも言われていますが三人ともとっても良い人達ですよ」

アスク王国の心無い人々がきっと正論だと思ったエクラはきっと間違っていない。

 「それじゃあ次の場所に案内しますね。マークちゃん!!」

 「マークちゃんにお任せです、マークくん!! こぉぉぉぉい!! ペガサァァァァス!!」

マークちゃんが叫びとともに突き上げた指先でフィンガースナップをすると地面から黒いペガサスがせり上がって来た。

何故かガイナ立ちで。

なんでこう、この二人はツッコミどころしか用意しないんだ。

エクラはどこか可哀想なような目でマークくんちゃんを見ると、マークくんちゃんは肩を寄せ合いながら何やら相談を始めた。

 「おかしいですね。Gガンダムとガイナ立ちは誰でもわかると思ったんですが」

 「ムムム、これはエクラさんがロボアニメファンでなかった線が濃厚ですね。だってロボファンだったらGガンはまだしもガイナ立ちには反応するはずです」

 「あれですね……次は守護月天方式ですかね」

 「なるほど。星神を呼び出すシャオさん形式ですね。次回までに鏡を用意しないといけませんね」

 「……待ってください、マークちゃん。師匠だったら本物を持っている可能性がありますよ!!」

 「あ、そうですね!! 師匠だったら『お、金目のもんめっけ。儲けた』とか言って原作世界から掻っ払ってきそうですしね!!」

マークくんちゃんの師匠がどんな危険人物なのか不安になるエクラ。

 「とりあえずエクラさんは乗ってくださ……おやおや、逃げちゃいけませんよ」

 「安心してくださいエクラさん。いくら私でもお客さんが乗っている時に普段やっているエアロバティック・マニューバはやりません!! なにせ『スキルを持っていないんだからやってはいけない』ってお父さんに注意されましたから!!」

待ってくれ。ペガサスに鎧しかないのに普段はアクロバットをやっているのかマークちゃんは。

そう突っ込むヒマもなくエクラはペガサスに縛り付けられ連行される。マークちゃんが手綱を握り、マークくんはペガサスのお尻の辺りにガイナ立ちをしている。

 「さてさて、まずは眼下に見えるのが屋外演習場です」

 「演習場とは言っていますけど、実質的には校庭みたいなところです。所属している英雄さんが訓練したり遊んだりヘクトルさんが頻繁に火刑に処されるところだと思っていただければ大丈夫です」

説明の中にさらっと処刑場発言が聞こえた気がしたが、エクラは気にしないことにした。なにせこの純粋そうなマークくんちゃんが軽く「あ、ここで頻繁に燃やされる人いますから」なんて言いそうにないと思ったからだ。

 「次はこのアスク王国ヴァイス・ブレイブ独立自治領の独自施設である『アイラ修羅道場』です!!」

 「ここでは我がアスク王国ヴァイス・ブレイブ独立自治領が誇る三大修羅が道場をやっていて、一日籠るだけで弱兵だったアスク王国兵士がニフル王国兵士くらいになれると大評判ですよ!!」

 「ちなみに最後までやり遂げれば一般弱卒の人も英雄クラスになれます!! 大抵はその前に死にますけど!!」

マークくんの言葉を証明するように道場の中から凄まじい勢いで一般兵士の格好をしたヴァイス・ブレイブ自治領兵が飛び出してきて200m程転がって停止している。

エクラはどこか遠い目をしながら案内を続けられる。どこでも見られたのがエクラのSAN値がピンチになる光景だ。しかもマークくんちゃん曰くどいつもこいつもここに召喚された英雄ばかりだということだ。常識人のエクラには耐えれそうもない。

最後にペガサスは城の入り口までやってきて、エクラはようやく解放される。

そしてマークくんがいい笑顔を浮かべながらエクラの方を振り向いて口を開く。

 「どうですかエクラさん、僕らと一緒のこの世界を救いませんか?」

マークくんの言葉に当然のようにエクラの前に現れる選択肢。当然のようにエクラは選択する。

 『 はい

  →いいえ』

まーくちゃんの ぶらーさーぺんとぷらすが なりひびく!!

 「あ、すいません。私の魔法で返答が聞こえませんでした。どうですかエクラさん、私達と一緒にこの世界を救いませんか?」

全く悪びれた様子のないマークちゃんが100%笑顔を浮かべながら返答を聞いてくる。それにエクラも笑顔を浮かべながら再び選択肢を選択する。

 『 はい

  →いいえ』

まーくくんの ましょぎむれーが なりひびく!!

 「あ、すいません。僕の魔法で返答が聞こえませんでした。どうですかエクラさん、僕らと一緒にこの世界を救いませんか?」

答えは一択以外ありえないだろうと思いながらもエクラは再度選択肢を選ぶ。

 『 はい

  →いい「いいかげんに諦めなさいよ」』

エクラが選択肢を選ぼうとしたら褐色肌のナイスバディ美人が選択肢に割り込んできた。新たなキチガイの登場とエクラが戦慄しているとマークくんちゃんは嬉しそうに褐色ナイスバディ美人に話しかける。

 「「インバース姉さん!!」」

 「はぁい。Wマーク。初めての新人勧誘に手間どっているみたいね。その道のプロの私が完全ウルトラパーフェクトな選択肢の出し方を教えてあげるわ」

インバースはそう言ってエクラを優しげな笑顔で話しかける。エクラはその笑顔に『美人局』という単語が頭に浮かんだ。

 「どう、エクラさん。私達と一緒にこの世界を平和にしてみない?」

 『 はい

   YES

   Ja』

実質的に一択だったが、エクラはせめてもの抵抗を試みる。

 『 はい

   YES

   Ja

  →せっかくだから私はこの隠された選択肢を選ぶぜ!!』

 「な!? なんと!! その隠された選択肢を見つけるとは……いいでしょう。その選択肢で本当にいいのね?」

インバースの言葉に表示される選択肢。

 『 はい

   いいえ』

まともな選択肢にエクラは安心しながら選択肢を選ぶ。

 『→はい

   いいえ』

 「はぁぁぁぁぁ!!!!! 言質はこのインバースちゃんがバッチリとりましたぁぁぁぁ!! はい!! Wマーク!! 隠された選択を大・公・開!!」

 「「Wマークにお任せ!!」」

三人の言葉と同時に先ほど自分が選んだ選択肢が正しく解放される。

 『 はい

   いいえ

  →せっかくだから私はここの召喚士として働くぜ!!』

!?

エクラの驚愕を余所に三人は手慣れた様子でエクラを縛り上げる。

 「いやぁ、インバース姉さん、助かりました。あんな選ばせ方もあるんですね!! 僕ももっと勉強しなきゃ!!」

 「私もです。私はなんとしてでも認めるまでループさせる方法しか浮かびませんでした!! さながらドラクエⅤのレヌール城のように!!」

 「ふふふ、二人とも覚えておきなさい。時に人間というのは追い詰められた時に博打に出るのもいるのよ」

三人にわっしょいわっしょいされながら運ばれるエクラ。途中で止めてくれる英雄はおらず、むしろ遊んでいると思われたのかロリマムクート達にも担がれる騒ぎとなった。

そして一つの部屋で自由にされるエクラ。

 「お父様が忙しくて新しい英雄を召喚できる人物を召喚したら手違いでアスク王国の方に出ちゃった時は焦ったわ」

 「でもこれで大丈夫ですね!! だって先ほど言質とりましたし!!」

 「さぁ!! エクラさん!! これからは師匠と一緒に楽しいガチャライフですよ!! 初回は無料でできますから好きなオーブを選択してくださいね!! あ、ちなみにリセマラはできないんで!!」

リセマラできないソシャゲかぁ

そんなことを考えつつエクラは諦めたように石版に浮かんだ適当な青色オーブを選ぶ。

石版に吸い込まれるオーブ。舞う砂埃。テンションが上がる三人。そして出てくる新たな犠牲者。

 「私はアリティア王国の従騎士ロディ。まだ見習いの騎士で……」

発言の途中でフリーズするロディ。同じくフリーズするエクラ。

 「……クリス?」

 「あ、すいません。人違いです」

 「その声間違いなくクリスだな!? 君がいなくなったせいでカタリナの情緒が不安定になった。あ、こら逃げるな!!」

エクラは召喚してしまったアリティア王国第七小隊時代の友人から逃げるように部屋から飛び出していくのであった。

 




エクラ
の名前を借りたクリス(♀)。アリティア王国でマルスに仕えていたが同時に仕えていたカタリナの愛が重すぎて別世界へと逃亡。しかし、召喚士の策略によって第二の召喚士としてヴァイス・ブレイブにやってきた。少なくとも今のところはうちにはカタリナ(あとついでにルーク)はいないので安心してマルス達と再会を喜びって欲しい

ロディ
アリティア王国従騎士。どうやら異世界へ高飛びかましたカタリナの後始末が大変だったご様子。こらそこ。火薙ぎの槍のわざマシンとか言わない。




あけましておめでとうございます。去年は新年会の様子を書きましたが、今回は新キャラを登場させました。なんとその職業は召喚士!! しかも今度は新・紋章のマイユニちゃんですよ!! この作品のオリジナル設定はどこまで行くのか作者も不明です。
最初の設定では闇落ち英雄専用の召喚士にしようと思いましたが、せっかくなのでまだ実装されていないマイユニのクリスちゃんにしてみました。まぁ、今後出てくるか未定ですけどね!!


だが、もしすり抜けとかでカタリナがやってきた場合は彼女の受難が始まるでしょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガチャ正月

(友人)「緑弓ってどうなん? 現況に誰にも対応できなくね?」

(作者)「お前伝承リンちゃんをディスったな? ラインハルトに対応できっから」

(友人)「あ、そっか。ヤクザがいたか。でも現状の飛空城でのスルト対策に赤弓が良かったわ」

(作者)「ヤクザを10凸させてみ? 無凸の陛下は消し飛ぶから」


正月ガチャをみての友人とのスカイプの一コマでした。飛空城でたまに出会うガチ勢に戦々恐々です。またヤクザ10凸かぁ!!(尚、位階は14)


 「まさかレーギャルンの晴れ着におっさんがあそこまで嬉し泣きするとは思わなかったな」

 「やばかったね。元一国の王とは思えない泣き方だったからね」

 「エリウッドはまだしも召喚士は義理とは言え娘がいるんだからわかるんじゃねぇの?」

いつも通りにバカ二人が俺の部屋に突撃してきたので炬燵で駄弁る。内容はスルトに対して行なった正月ドッキリ『女子力皆無の娘が晴れ着を着たら』の内容である。

俺は蜜柑を食べながら、エリウッドとヘクトルは日本酒で一杯やりながらの会話である。

 「いや、俺はインバースに『外見も相手に騙すための一つの手段』と教えていてな」

 「召喚士は絶対に子育てをしてはいけないね」

 「リンと同じ反応をするんじゃないエリウッド」

エリウッドの言葉に俺が炬燵の中で蹴りを放つと、エリウッドも応戦してきてお互いにメンチの切り合いが発生するが概ねいつも通りである。

 「まぁ、俺もリリーナがドレス姿を見た時は死ぬかと思ったけどな。ここのヴァイス・ブレイブにはドレス装備のリリーナいねぇけど。いねぇけどな!!」

 「うっせぇ、脳筋。アーマーキラーぶつけんぞ」

 「黙れよモヤシ。マルタ装備になった俺にはアーマーキラー通じねぇから!!」

 「召喚士は本当にさぁ……ヘクトルが調子にのるのがわかっててなんで召喚しちゃうかなぁ……」

 「あれも事故だよ。伝承ルキナと同色ピックされてたのが悪い」

 「召喚士は本当にツンデレだなぁ!! なんだかんだ言いながら俺の全装備揃えているくせによぉ!!」

とりあえず本格的に調子に乗り始めたヘクトルにエリウッドとダブルインパクトを叩き込んで昏倒させる。

だがヘクトルも慣れているので15秒程ですぐに復活した。

 「でもレーギャルンもオボロに整えてもらった晴れ着で高まった女子力をすぐに下げたな」

 「あぁ。小物で持ってた和傘で容赦無く敵を殴り倒したもんね」

 「それみたおっさんが最初とは別の意味で号泣したけどな」

おっさんの「それはそう使うものではないのだレーギャルン!!」と言う心からの叫びが今でも頭から離れない。

 「まぁ、そんな正月英雄なわけだが、今年の晴れ着英雄で俺を狂信しているスリーズがいつの間にか晴れ着と氷神刀装備を手に入れていたんだが、心当たりは?」

 「「こいつがやった」」

 「なるほどお前ら二人だな」

速攻でお互いを売ったバカ二人に蜜柑の汁目潰しを行うと、二人は叫びながら俺の部屋の床を転げ回る。

 「おいバカ二人。隣の部屋の我らがパオラ様に迷惑だから静かにしろよ」

 「召喚士は本当にバカじゃないのかい!?」

 「召喚士お前!? 目に蜜柑の汁は失明する可能性があるって聞いたことあるぞ」

 「それは都市伝説だから安心しろよヘクトル。むしろ油を溶かす成分であるリモネンが入っているからお前らの薄汚い欲望も溶けてくれるんじゃねぇの?」

 「「お前がそれを言うか?」」

三人でお互いに胸ぐらを掴みあったところで我らがパオラ神が覗きに来たのですぐさま喧嘩は中止する。

(時と状況によっては)僕達仲良し!!

 「まぁ、来たものは仕方ないからな。とりあえずレベル40まで育成したステータスがこれだ」

そう言って俺は晴れ着スリーズのステータスが載っている紙をバカ二人に見せる。

HP38/攻撃47/速さ43/守備27/魔防26

 「さてお前らに問題です。このステータスを見て俺が継承させたくなったスキルを答えよ」

 「「死線」」

 「正解」

ノータイムで答えてくるバカ二人。これだけの攻撃と速さ持ってたらさらに上げたくなるのが俺である。え? 守備と魔防? 最初から低いんだからさらに下がっても問題ないだろ。

 「それならスキルAに死線を継承させてスキルBは殺し系かな? 重装特攻のスキルがあればいいのにね。どっかの脳筋を殺せるように」

 「はは、貧弱騎馬は黙ってろよ」

 「二人ともセイニーでおけ」

 「「やめろ」」

ミカヤには飛空城で大変お世話になっています。

 「だが問題が一つ」

 「召喚士の頭のことかい?」

 「バカかエリウッド。召喚士の性格に決まってるだろ」

 「わかりきったツッコミはスルーするな。現状、死線のわざマシンがない?」

俺の言葉にエリウッドが首を捻る。

 「あれ? 予備のジャッファは?」

 「昨年、イシュタルに死線を継承させた。それが答えだ」

 「「あ(察し)」」

元々低い守備と魔防を下げて攻撃力を上げる方針。どっちみち攻撃されたら死ぬんだからいいだろうと言う判断である。

 「と言うことは無色のガチャの時間かい?」

 「オーブがない」

 「あの強欲商人が福袋を用意したみたいじゃねぇか」

 「正月福袋ならもう少し値段を下げて欲しいんだが。いや、星5と羽10000は助かるけど8800円はどうなん?」

もうちょっと学生に優しくしたらどうなんだ運営。

 「それなら買わないのかい?」

 「ぶっちゃけ1月11日からの新英雄で誰が来るかによる。欲しいキャラがいて課金が必要になったらいつもよりはお得だしな。福袋とか言いながら値段は高いが。値段は高いが!!」

 「大事なことだから二回言ったわけだな」

 「ものすごくわざとらしいね」

だって8800円て……

 




スルト
娘の正月の装いを見て感動して涙したらその格好で容赦無く戦って相変わらずの女子力の低さを見せつけられて涙した。

スリーズ
ギムレーから姫始めと言う文化を教えてもらったので、召喚士に仕掛けようとしたところを同じ企みをしたカミラ(晴れ着)とバッタリ出会って殺しあいに発展。最終的に通りすがりのラインハルトによって二人仲良くダイムサンダされた。

福袋
いや、いつもよりお得なのはわかるよ? でも8800円はどうなん? それだったら雫もつけて欲しいと願うのは傲慢ですか?





そんな感じで我がヴァイス・ブレイブに晴れ着の狂信者がログインしました。ちなみにストッパー(晴れ着)はいない。レベル40のステータスをつけて死線を継承させたかったけどわざマシンがない。残念だから手に入るまで現在の装備でいきますかぁ。

本文でさらっと出てますけどヘクトル(総選挙)もいます。特に狙っていないのに全種類コンプリートしている現状。シスコンストーカーも何故か揃っています。なぜだ。

別にFEHの福袋をディスってるわけではありませんよ? ただ福袋にしては高くないですかと思っただけで。か、勘違いしないでよね!! 新英雄次第では購入を検討するつもりなんだから!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イかれたヴァイス・ブレイブにようこそ!!

セルジュファン注意。酷いキャラ崩壊をしています。


 「聞いてますか聞いてませんね召喚士さん何度も言うようですがミネルヴァちゃんは超絶キュートで世界一可愛い飛龍なんですあの鋭い眼差しに輝く鱗と鋭い牙とかかわいすぎて死んじゃいそうになると言うかまさしく天使なわけで今朝もご飯をあげに行ったら眠そうな瞳を必死に開きながらか細くなくっていう甘えた行為をしてきてくれてそれがもう可愛いを通り越して尊いの域に達している状況なんですけどそれがみなさんにはわかってもらえないのが悲しいんですよね天馬騎士や他の方々なら仕方ないんですけど同じドラゴンナイトであるミネルバさんやカミラさんも『可愛い…?』と若干訝しげなのが納得できませんそんな中でミネルヴァちゃんの可愛さを理解してくれる召喚士さんは私的に超高ポイントなわけでやっぱり仕えるならヴィオール家以外だったら召喚士さんがいいかとも思っているわけですよ私的好感度はミネルヴァちゃんから越えられない壁のトップにいるのは召喚士さんなわけでそれでもやっぱり一番はミネルヴァちゃんなんですよあぁもう可愛い以外の語彙力が消滅するほどのミネルヴァちゃんの可愛さに何も言えないわけでそこで私と同じくミネルヴァちゃん愛好家の召喚士さんに私を孕ませてくれることによって私の大きくなったお腹を優しげに見守ってくれるって言う素晴らしい光景を想像するとそれって完全なる黄金比なのでやばい達する達するぅ!!

 「おうそうだなジェローム!!

完全に自分の飛龍への愛が天元突破して壊れているセルジュストッパーの息子を呼び出すと、息子の方はゲンナリとした表情で母親を引きずっていった。女性英雄でも数少ない崩壊キャラであるが、相手をするのは疲れるので真面目に相手をしたくない人物である。

隣でゲンナリとした表情で座っている新人召喚士に俺は声をかける。

 「どうだ、クリス。ここでやっていけそうか?」

 「いや、これは厳しいでしょう。何ですかこのキャラの濃さ。エクスカリバー使う修羅道に落ちた人とか、双子の妹をストーカーする人とか、幼馴染をストーカーする人とか、実の兄を見つけたら即殺す精神の人とか、自分達の世界感を形成する双子としか思えない二人組とか、召喚士を崇拝する狂信者とか、イケメンの皮を被ったロリショタ好きとか、完全にオタクの道に入り込んでいるラスボスとか……ここにはまともな英雄はいないんですか?」

新人召喚士のクリス(エクラ)に英雄紹介と言う名目で、このヴァイス・ブレイブの悪しきメンバーを紹介したら既に憔悴し切っている。

 「安心しろ。次はまともだから」

 「その言葉で入って来たのがセルジュさんだったんですけど?」

クリス(エクラ)の言葉を俺は笑顔でスルー。

そして次の英雄が入室して来た。

 「やぁ。ここで新しい召喚士と親睦を深めると聞いて来たんだけど」

その英雄を見た瞬間のクリスの動きは素早かった。座っていた椅子から見えない速度で降りると入室して来たマルスに騎士の礼をとる。

 「お久しぶりです。マルス様。マルス様の臣下・クリス。御前に罷り越してございます」

クリスの突然の行動にマルスは一瞬だけ驚いた表情を見せるが、すぐに嬉しそうな表情になる。

 「クリスじゃないか!! 行方不明になって心配していたんだけど、元気そうで良かったよ」

 「おぉ……マルス様にご心配をかけるとは不忠の極み。なればこのクリス。この腹を掻っ捌いて詫びといたしとうございます」

クリスの言葉に焦ったのはマルスであった。

 「よしてくれクリス。あの戦いを戦い抜けたのもクリスがいてくれたからこそだよ。そうだ。ここにはシーダはもちろん僕らに協力してくれた英雄もたくさんいるからみんなとも挨拶を済ませて来なよ」

 「は!! マルス様の御忠言。このクリス。確かに承りました」

その後は特に特筆すべきこともなく、穏やかな談笑をしてからマルスは部屋から立ち去る。その後ろ姿を見ながらクリスはポツリと呟く。

 「マルス様こそ至高の君主。異論は認めない」

 「まぁ、自分が仕えたい人間は個人の自由だから深くは突っ込まないけどさ、それだったらなんで異世界に高飛びかましたんだ」

俺の言葉にクリスはものすごく複雑そうな表情を浮かべる。

 「いや、ね。君主は文句なしで同僚にも比較的良かったんだけどね」

 「だったら何が問題だったんだ?」

俺の言葉にクリスは一度だけお茶を飲んで一息吐く。

 「カタリナがガチレズだった」

 「……うわぁ」

クリスの言葉に俺は思わずドン引きの声を出す。

 「私はいくらノーマルだって伝えても『愛に性別は関係ありませんから』ってこっちの発言は全無視。私がちょっと男性と話をしているとハイライト無くした眼で『浮気ですか……?』発言。そもそも付き合っていないし私は女だし性癖もノーマルだし……はは、どうやったらあのメンヘラストーカー女から逃げれるのかな?」

 「もういい……!! もう休め……!!」

真顔で涙を流しながらのクリスの発言に俺も思わずフォローをしてしまう。そこにいたのは自分がノーマルにも関わらずガチレズにストーキングされる哀れな生贄がいた。

 「まぁ、次で最後だから安心しろ」

 「これでヴァイス・ブレイブにいる英雄の半分くらいですかぁ。いっぱいいますねぇ」

 「シリーズのパーティーゲームだからな」

 「それ以上いけない」

そんな簡単なやりとりをしながら次の英雄が入室してくる。

 「すまない。ここで新しい召喚士との顔合わせと聞いたんだが」

 「あぁぁ!! 知りません知りません!! 私はエクラなんでクリスとか言う美少女剣士とは一切関係ないんで!!」

 「えぇい!! 往生際が悪いぞクリス!! 諦めてカタリナが召喚された時のストッパーになるがいい!!」

ロディとクリスの言葉を聞きながら俺はこのヴァイス・ブレイブの行く末を心配するのであった。

 




セルジュ
公式四コマでやろうと思っていたミネルバとの名前ネタを先にやられたのでこちらはミネルヴァちゃんへの愛が天元突破している完全キャラ崩壊になりました。勘違いしないで欲しいのは作者はセルジュも好きなキャラだと言うこと。なにせ覚醒の結婚相手として候補としてガチ悩みしたレベル。だがキャラは壊す。

クリス
別名・エクラ。今回は新米召喚士としてヴァイス・ブレイブにどのような英雄がいるかの面談を行った。そしてあまりの酷さに胃がバースト仕掛けた時に絶対的忠誠を誓うマルスの登場によって復活した。ちなみに性癖はノーマルである。

セルジュの怪文書
まさかのセルジュ怪文章枠に書いた作者も驚いている。



そんな感じで新人召喚士エクラ(クリス)の英雄達との対面話でした。本当は一人一人書きたかったけど。時間と手間を考えて前から考えていたセルジュだけほう放り込みました。セルジュファンの皆さんは申し訳ありません。

さて、感想にて『なんでクリス女なん? レズ好きなん?(意訳)』のご指摘を受けました。これには砂場の山より高い理由と水たまりより深い理由があるのです。クリスを男にしてしまうとカタリナと普通にカップル成立して面白くない。そこでクリスを女にして尚且つカタリナをガチレズにすることによってクリスの受難を見れらて愉悦することができるわけです。
ようはクリスを女にした方が面白いから女にしたと言うわけですね

次回は未定。1/11の新英雄召喚で誰かが来るかによって書くかを決めるかもしれません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガチャ裁判〜課金の是非を問う〜

結局福袋を両方買ってしまった結果に思いついたネタ。


俺は今、大広間に作られた裁判の被告人席に座らされている。検察側にはリン。弁護側にはインバースが立っている。

中央にいるアルフォンスは疲れ切った表情で口を開く。

 「え〜、それでは被告人『召喚士』が行った妻に無断で課金を行った罪の裁判を行います」

そう、今回の裁判は俺がリンに無断で課金を行ったことでついにブチギレたリンが裁判を起こしたのだ。

 「それでは検察側……リンさんから証言をお願いします」

アルフォンスの言葉にリンは検察台に立つ。

 「まず被告人には今月の家計が圧迫されている事実を承知していながら、課金を行った事実があります」

 「失礼します、お母様。それに証拠はありますか?」

インバースの言葉にリンがフィンガースナップをすると一人の女性が証言台に立つ。

 「アンナじゃねぇか!!」

思わず叫ぶ俺。確かに俺は奴からオーブを手に入れている。しかし、そこには守秘義務があるからこそ購入しているのだ。商人である奴は商売は信頼関係が重要であることを知っている。なのになぜ上顧客である俺を売ることに繋がったのか……!?

俺の視線の意味に気づいたのか、アンナは敗北した者の表情で呟く。

 「最近手を出した商売がヴァイス・ブレイブ法典のギリギリのラインでね」

 「あ(察し)」

つまりアンナの手を出した商売を摘発されたくなければ俺を売れと言うことに繋がったのだろう。

敗北者……!! 我々は圧倒的敗北者……!!

 「アンナ。証言を」

 「はい。確かに私は召喚士に福袋パックを2つ販売しました」

それだけを言ってアンナは証言台から降りる。

 「わかりますか!? 福袋パックを2つです!! つまり2フェーです!! 今月は家計が圧迫していると言うのに2フェーは許されると思いますか!!」

テンションが高まったのか怒鳴るリン。

 「異議あり!!」

そこにインバースが待ったをかける。

 「お父様は最近は色々と暗躍していますが、ここに来た理由は異世界の英雄を召喚してこの世界を救うためにやってきたことです!! 今回の課金はその仕事を全うしようとしただけです!!」

 「その金額が行き過ぎだと言っているのよ!!」

 「世界平和のために必要経費です!!」

 「それならばヴァイス・ブレイブの資金を使えばいい!! 私たちの家計から出す必要はないわ!!」

リンの言葉に口を挟んだのはヴァイス・ブレイブで金融を取り仕切るルフ子であった。

 「すいませんがそれはできません。召喚は確かに戦力拡充ではありますけど、基本的にヴァイス・ブレイブの軍資金は常備軍の維持に使われますので召喚に使える余裕はありません」

流石はヴァイス・ブレイブの金庫番、言うことが厳しい。

ルフ子の言葉にリンは頷く。

 「公金が使えないのなら、私的なお金。つまり私たちの給料から出さねばならないわ」

そこでリンは力強く検察台を叩く。

 「うちはただでさえ馬鹿達がしでかしたことの尻拭いでお金が飛んでいくのに……!!」

 『言われているぞ、エリウッド』

 『ははは、ヘクトルと召喚士のことでしょ?』

 『『二人ともです』』

馬鹿二人が揃って嫁に説教を食らっているがそっちは無視する。むしろ死んでくれた方が世界平和のためだろう。

 「ふっ、笑止ですよお母様」

 「どう言う意味かしらインバース」

リンの言葉にインバースが力強くリンを指差しながら力強く叫ぶ。

 「真のガーチャーは課金を躊躇わない!!」

 「その金額が問題だと言っているのよ!!」

インバースの言葉にリンが怒鳴り返す。

 「少しいいだろうか」

 「なに? 辞世の句かしら?」

 「リンは夫(仮)に対して辛辣すぎない?」

リンの冷たい言葉に俺は軽く返す。こんな扱いは慣れっこだ。アルフォンスから発言を許可されたので口を開く。

 「そもそもFEHとはどう言うゲームだろうか? 答えは簡単だ。FEシリーズのキャラがたくさん出てくるパーティーゲームだ。FEシリーズには魅力的なキャラがたくさんいる。当然のように好きなキャラだって人それぞれいるだろう。それが実装された時の喜びは筆舌に尽くしがたい。動画を見てスキルが良くてテンションが高くなり、実装されたらステータスが微妙で悲しい気分になることも頻繁だ。だが、そんな時のために限界突破というシステムがある。それに必要になるのは当然のように同じ英雄と羽だ。そして羽を手に入れるにはどうすればいいか? 答えは簡単だ。とにかく召喚するしかない。そして有能なスキルを好きな英雄にスキル継承させて好きな英雄を強くして悦に浸るのがこのゲームの楽しみだ。だからこそ課金をしてまで英雄を召喚するんだ」

 「それが運営の搾取だとわからないの!?」

 「わかっているさ!!」

リンの言葉に叫び返す俺。

 「確かに課金という制度は運営による搾取だろうさ!! だけどな!! それでも自分の好きなキャラ(英雄)が出てくれば課金してまで欲しいのがファンの心理だ!! 自分に『これは運営へのお布施だから……このゲームをより良いものにしてもらうための投資だから……』と言い聞かせて課金をしているんだ!!」

搾取されている自覚はある。それでも課金をしてしまうのが課金沼に嵌った者の末路だ。

 「そして今回は狙いだったニケの途中でリアーネとティバーン。さらにすり抜けでターナ、総選挙ルキナ、ハーディンも出た!! わざマシンとしても有能だ!!」

 「話にならないわ!! これだから課金地獄に染まった人間は救いようがないのよ!! 裁判長!! 厳正なる審判を!!」

リンの言葉に全員の視線が(厳正なるくじ引きの結果)裁判長であるオツムが足りない系魔法少女ティルテュに集まる。

ティルテュはう〜ん、と言った感じで首を傾げる。

 「なんか難しい話でよくわからなかったけど、家族に迷惑をかけてるんだったら有罪かな!!」

俺の火刑が決定した瞬間である。

 




ヴァイス・ブレイブ裁判
時折行われる裁判。裁判長はくじ引きで決定する上に、裁判長の心持ち次第で判決が左右されるため公平さなど存在しない。

課金
運営による搾取




そんな感じで課金についてのあれこれでした。召喚士の言葉は作者の思いと思って頂ければと。飛空城が始まったら益々課金兵と無課金兵の差が出てきましたね。みなさんは当然のように一人は10凸キャラが置いてあり、それが高確率でラインハルトに涙を隠せない作者。仕方ないので陛下に消し飛んでいただいてミカヤでブチ殺してます。

次回は未定です。というかエースコンバット7が発売されてしまうため書く時間もあるかどうか怪しいです。下手くそですけど好きなんですよねエスコンシリーズ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

FEH二周年記念小説

記念小説の名前を借りた三馬鹿による二周年記念の内容に突っ込みを入れるだけの小説となっております。


 「「「とりあえずファイアーエムブレムヒーローズ二周年おめでとぉ」」」

俺はジュースで、バカ二人はビールで乾杯する。場所はいつも通りに俺の部屋である。

 「二周年かぁ。だいぶやること増えたけど召喚士はあんまやってないよね」

 「基本的にオーブをもらえる奴くらいだからな。縛鎖も全くやってないし」

一気にジョッキを飲み干してからの親バカの言葉に俺が答える。

 「闘技場と飛空城くらいか? やってるの」

 「最近は飛空城もサボりがちだからなぁ」

ツマミを食べながら言ってきた脳筋に軽く答える。頻繁に混ざってくるガチ勢の方々に嫌気がさしているとも言う。面白いんだけどね。

 「二周年も前日までフェーちゃんねるなかったからどうなるかと思ったけどな」

 「どんな内容だっけ?」

親バカの言葉にアンナから渡された二周年記念の内容が書かれている紙を取り出す。

 「え〜と、まずオーブが22個配布。日替わり復刻召喚イベント。超英雄確定召喚イベントが前半と後半だな」

 「……あれ? 去年はもっとオーブ配ってなかったか?」

 「「ヘクトル、それ以上はいけない」」

きっと大人の事情で減ったのだろう。

 「召喚士の楽しみは超英雄確定召喚かい?」

 「キャラ指定ならまだしも完全にランダムの闇鍋ガチャだからな。そもそもの問題として」

俺はそう言って今日一番のキメ顔で言い放つ。

 「欲しい超英雄は既に課金で手に入れている」

 「「それな」」

バカ二人も納得の理由である。と言うか出てくる色もランダムって舐めてるのか運営。

 「それじゃあ召喚しないのかい?」

 「いや、するぞ。持ってない(女性)英雄が来たら嬉しいしな。でも今回はクリスに任せた」

 「そんな貴方にできる娘のインバースちゃんの参上です!!」

なぜか床下からインバースに突っ込みを入れることもなく召喚士はインバースに声をかける。

 「お、召喚が終わったか。誰が出た?」

 「ハロウィンサクラさんが出ましたわ」

 「「「ダブったかぁ」」」

既に我がヴァイス・ブレイブにはハロウィン腐女子はいるのでわざマシン決定である。

 「ハロウィンサクラちゃんって何かいいスキルあったっけ?」

 「あ〜、どうだったかな。インバース」

 「はいは〜い、お父様の頼れる秘書娘インバースちゃんにお任せでっす。仮装腐女子さんでしたら猫の暗器くらいですわねぇ。あとは明鏡の構えとキャンセル、暗器の技量ですわ」

 「お〜、そうか。りょ〜かい。ごくろ〜さん」

俺の言葉にインバースは天井から退場していく。床下から出てきて天井から退室するとか意味わからんな。

 「猫の暗器を誰かに継承させるのか?」

 「暗器で使ってるのはメイドカゲロウくらいなんだよなぁ。近距離反撃つけて遠近両方に対応できるようにしてるから特攻がつくとは言え攻撃力下げたくない」

ヘクトルの言葉に悩む俺。こう言う中途半端な英雄が一番処理に困るのは俺だけだろうか。特別なのに微妙、みたいな性能。

 「後半はどうするんだい?」

 「飛空城対策に盆踊りミカヤが欲しい」

 「スルトとかラインハルトをいっぱいみるもんなぁ」

親バカに答えるとヘクトルが遠い目をしながら呟いた。言ってるお前も結構見るからな?

 「あとは選抜英雄召喚イベントだっけ? あのFEH人気投票ガチャみたいなの」

 「性能に走る人が多いのか、それともキャラ愛を貫く人がいるのか期待だな」

 「ちなみに召喚士はどっちだ?」

 「キャラ愛」

 「「知ってた」」

性能なんて飾りです。性能厨にはそれがわからんのですよ。

 「そう言えば人気投票と言えば……」

 「いやぁ!! すまない!! 男性人気2位で特別衣装決定で本当にすまないね!!」

全く謝っていない笑顔を浮かべながら言い放つ親バカ。こんなのが全体4位とか終わってるわ。

 「で? 総選挙ガチャは誰を引くんだ?」

 「カミラ姉さん」

 「「ですよねぇ〜」」

正直ミカヤと悩むけど、確実にカミラ姉さんをもらってオーブに余裕があったらミカヤも狙っていく方針。親バカ? それだったらアルム引くわ。

 「後はアップデート情報か? ほれ、動画で究極かっこいい英雄が例に使われてたろ」

 「ヘクトルの戯言は無視するとしてドーピングアイテムだっけ? あれはそれぞれに使えるらしいけど誰に使うんだい?」

 「歩行は当然のようにリン(ノーマル)。飛行はカミラ姉さん。騎馬はリン(総選挙)で、重装がゼルギウスかなぁ。今のところ。飛行はパオラ神の可能性があるけど」

 「せっかくのドーピングアイテムなのに嬉しそうじゃねぇな」

 「いや、正直複雑だぞ? 弱かったキャラに救済措置としては最高だけど、最終的には闘技場とか飛空城には神竜の花で強化された強キャラが並ぶだけだろ。切なくなるわ」

みんなも趣味に走りながらガチになろうぜ!!

 「まぁ、今後のFEHの繁栄を祈ってここらでお開きってことで」

 「んだな。お疲れさん」

 「っしゃぁ!! 仕事は終わりだ!! ここからは脱衣格ゲーの時間な!!」

 「それじゃあヘクトルは足で操作な」

 「手だと強すぎるからね」

 

 

様子を見にきたリンに脱衣格ゲーをやっているところを見つかりゴミクズを見る目で見られたのは完全に余談である。

 




そんな感じで二周年記念小説の名前を借りた駄文小説でした。なんか去年に比べてしょっぱいかな、と言う印象。特に超英雄闇鍋ガチャはどうかと思う。青を回そうと思ったらその青がない罠。そこもランダムにしてどうする運営。
みなさんの闇鍋ガチャの結果も気になる今日この頃。ちなみに次回は未定となっておりますので特に首を長くせずにお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と今後の更新について

 「というわけでしばらく更新が遅くなる、もしくは止まる可能性があります」

 「召喚士、説明になってないわ」

俺の言葉にリンが冷静に突っ込んでくる。

 「ですよね。まぁ、これにはいくつかの理由があるわけだが」

 「それはそうよね。それで? 理由ってなに?」

 「ここに作者からのメッセージがある。『FEHに対するモチベーションが下がった。毎日ログインするし、ストーリーとかもやるだろうけど、闘技場とか飛空城のやる気がない。だからちょっと書く気も小さくなった。どうでもいいけど戦禍の連戦のボーナスティアマトさんが可愛くて辛い。そしてリンちゃん(ノーマル)が1凸じゃ弱くて死ぬほど辛い』。つまりFEHに対するやる気が下がったから必然的にこの作品の書く時間が少なくなるわけだ」

 「なんか最後に私がディスられたんだけど?」

PvPだと弱さが際立つから仕方ない。もうちょっと特徴が欲しいところだ。

 「そして2通目のメッセージだ。『6月末に締め切りの応募小説があるからしばらくそっちにかかりきりになる可能性が高いです』。まさかの小説を応募してみるらしい。ちなみにラノベではないそうです」

 「真面目に書いていたのね。こっちの更新頻度が高いからもう書いていないかと思ったわ」

 「俺もそう思った」

息抜きのつもりがメインになってた二次創作小説。

 「完全に停止するわけじゃないのよね」

 「ガチャに新実装されたキャラ次第では書く可能性あるし、息抜きに書いたのを投げる可能性もあるとは言っていた。言わばこれは保険みたいなものだ。『更新してなくてもエタってないよ!!』と言うアピールだな」

 「例えば誰が追加されたら書くの?」

 「パント、ラクチェ、リンの恋敵らしい」

リンの恋敵の時点でリンの持っていた湯呑にヒビが入る。俺は深く突っ込まない。自分から死ににいくことはないのだ。

 「それにしても二周年を無事に迎えた途端にやる気なくすとか大丈夫なの?」

 「ぶっちゃけ前回の更新の時からモチベーションは落ちてた。リン(ノーマル)が弱くて辛かったしな。色々スキル継承させたけどどれもパッとしない……」

 「そのせいで私のスキル欄が大変なことになってるわけだけど」

 「比較的手に入れやすいスキルしかないから」

星5限定スキルとかは二人目が来ないとスキル継承に使わないのです。

 「後はルフ男を星5覚醒しようと思ったけど、何を伸ばせばいいのかわからないんだよなぁ。魔法使いは結局ブレードが安定するし」

 「ホークアイとレイヴァンとマシューとセーラの個体値も厳選中だものね」

 「召喚して個体値厳選したいけどオーブが足りない罠」

 「……意外とやることあるんじゃない?」

 「やることが多いのとやる気はイコールではないんだよ、リン」

直結してる時が一番楽しい。

 




そんな感じで本文中の理由でしばらく更新速度が落ちる、もしくは停止します。他の作品は完全不定期と宣言してるから大丈夫ですが、これは定期的に投げているので遅れることを報告しておくことにしました。
ちなみに本文にある通りのキャラが出たら書く予定です。パントとラクチェが来たらカオスが加速し、リンちゃんの恋敵が実装されたら召喚士の胃がピンチ。

次回はいつになるかわかりませんが気長にお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

盗まれたオーブを追え!!

前話でしばらく書かないことを言っときながら書いてしまったので投げます。


ヴァイス・ブレイブに激震が走った。

 「なんですって!? オーブが盗まれたですって!?」

珍しく静かな治安維持部隊詰所にリンの叫びが木霊する。

 「目撃者はいませんが、オーブの数が少なくなっているそうです」

セシリアの言葉にリンは悲痛な表情を浮かべる。

 「オーブはヴァイス・ブレイブの戦力を向上させるのに不可欠なもの……早く犯人を捕まえないといけないわね」

 「はい」

リンはソール・カティを持って部屋を出る。それにセシリアもついていくのであった。

 

 

 

 「というわけで早く自首しなさい」

 「「「問答無用で縛り付けといてそれはなくない?」」」

いつも通りに部屋でバカ二人とだらけていた俺は、怒髪天をつく勢いで部屋に入ってきたリンにロープで縛り付けられて床に転がされた。ちなみに一緒にきたセシリアはリンに「拷も……けふけふん。取り調べを誰かに見られるわけにいかないから外で見張っていて」と言われて素直に出て行った。

 「第一、オーブがなくなったならそれは召喚士のせいだろ。俺とエリウッドは関係ないだろ」

 「ヘクトルの言うとおりさ。僕達は完全に冤罪だからロープを解いてくれないかい?」

 「リン、こいつらは最近リンに無断で行った俺の召喚の手助けをしたぞ」

 「「きさまぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

二人だけ助かろうなんざ甘いんだよ。

俺たちのやりとりに呆れたようにため息を吐くリン。

 「それで? 召喚士、盗んだオーブを使って誰を召喚したの?」

 「待て待て、それについては本当に俺じゃない」

リンは夫(仮)を疑わないことを知らないらしい。そしてすでに使った後前提というのもどうなんだ。

 「それに召喚士だったらエクラもいるだろ。そっちの可能性だってあるはずだ」

 「残念だったわね。エクラはカタリナが来る可能性を嫌って召喚を拒否しているわ」

 「ファッキン」

あの女。騙すようにして無理矢理召喚士にしたことを恨んでいやがるな。

 「ほら、早く吐きなさい。今なら情状酌量の余地もあるわよ」

 「待って!! 本当に待って!! 今回のことは本当に俺じゃない!!」

 「詐欺師はみんなそう言うのよ。それを証明できる人がいるの?」

ソール・カティを振りかぶりながら言っても情状酌量の余地はないようにしか思えないのだが。

だが、俺は絶対的な弁護士がついている。

 「最近、倉庫の整理を頻繁にニノが行なっている。それを見て烈火出身者が悪事を働けると思うか?」

 「三馬鹿は無罪、と」

 「すげぇ手のひら返しだな」

 「ものすごく納得できる僕らも同類だけどね」

大天使ニノエルが頑張っている横で悪事を働くとかそれできたら人間じゃねぇよ。しかもたまに現人女神・パオラ様までいらっしゃるんだぜ?

 「それなら、一体誰が盗んだのかしら……」

 「考え込む前にロープ解いてくんね?」

俺の言葉にリンが見えない速度でソール・カティを振るうと、俺たちのロープだけが綺麗に切り落とされる。それに軽く戦慄する。

 「おい、やばいぞバカ二人。リンの剣の腕前が上がっている」

 「明らかに修羅連中の影響だろ」

 「リンは元々世紀末民族出身だからね。そこに修羅連中の剣の腕前が合わさったら僕らは……」

エリウッドの言葉に俺たちは身震いする。どう考えても敵に振るわれるより、俺たちに対するお仕置きの方が強烈だからだ。

 「ヴァイス・ブレイブに恨みをもつ連中かしら」

 「恨みなんて買いすぎて誰だかわからんぞ」

 「売れるものなら売っておきたいよね」

リンの言葉にヘクトルとエリウッドがHAHAHAとアメリカンに笑いながら返答する。まぁ、恨みなんて味方であるはずのアスク王国からも買ってるから否定できないけどな!!

 「ふふ、ここは超天才軍師の俺に任せておけ」

 「ここでは召喚士だろ。なんだよその思い出したかのような軍師設定」

 「いや、ルフ男とルフ子は軍師だってことを読者のみなさんも理解しているだろうけど、俺が烈火世界で軍師をやっていたことを覚えている方が少ないと思ってな。まぁ、FE界の郭嘉こと召喚士さんに任せておけ!!」

 「「ウルセェよ、李儒」」

 「誰が悪徳軍師か!!」

 「やってることは李儒じゃない」

リンの言葉にグゥの音も出ない。だって悪どいことの方が相手に効くんだから仕方ない。ここは出たら負け軍師の名前が出なかっただけマシとしておこう。

 「まず、オーブはリン率いる治安維持部隊の管理下に置かれている。これに下手に手を出せば修羅道場に放り込まれるのは自明の理。賢い人間ならまずやらない」

 「続けて」

俺の言葉にリンが先を促してきたので俺も続ける。

 「それだったら自由に治安維持部隊の管理下に動ける人間になる。それは基本的に治安維持部隊の人間かニノかレイになる。しかし、ニノとレイがやるわけないし、治安維持部隊も真面目人間ばかりだからない。それだったら後はオーブを管理している人間になる。まずはリンだが除外。動機がないし、リンだったら盗む前に俺をしばき倒して召喚できないようにする」

 「その通りね」

 「「「否定しろよ」」」

冗談で言ったつもりだったのに肯定されて深い悲しみを味わう俺。

 「まぁ、いいや。次にエクラだが、奴はクレイジーサイコレズの召喚を怖がって召喚室に入ろうともしないから奴がオーブを盗むこともないだろう」

 「召喚させないためにオーブを盗んだ可能性もあるんじゃないかい?」

 「それは無理よ。エクラはオーブを見ただけで拒否反応を出すレベルだから」

 「末期症状じゃねぇか」

リンの返答にヘクトルが戦慄する。あのエクラがそこまで恐れるクレイジーサイコレズを召喚したい気もするが、オーブの数も減ったので回避で。

 「そして最後、こいつが本命だ。商魂逞しく、俺にオーブを売りつけて金を巻き上げる悪徳商人」

 「「「アンナ!!」」」

 「イグザグトリー」

そこからの動きは素早かった。リンはさっさと俺の部屋から出て行った。

俺とヘクトルとエリウッドはそれを見送る。そして遠い目をしてエリウッドが口を開いた。

 「素直にベロアちゃんを召喚するのに使ったって言えばよかったんじゃない?」

 「それやったらお前らもまとめてニフルの湖に沈められるぞ?」

 「だからってあれでいいのかよ。アンナがやったって証拠がなくねぇか」

 「安心しろ脳筋。バッチリ証拠になりそうな代物をアンナ商会に仕込んでおいた。これであの倫理ガバガバ商売女も懲りるだろう」

 「「よくやった」」

俺の言葉に珍しくバカ二人が褒めるのであった。

 

 

ちなみにアンナ商会は無実を訴えたが、幾つもの証拠の品が見つかって一ヶ月の営業停止処分を食らったのであった。

全く、他人に罪をなすりつけるとか悪いことをするやつもいるものである。

 




アンナ商会
この作品はどこまで独自設定を放り込むかわからない独自設定。アンナが商魂逞しくヴァイス・ブレイブの英雄達に商品を売るお店。日用品から英雄の隠し撮り写真や使いずみ商品を取り扱う倫理観ZEROなお店。

クレイジーサイコレズ
クライネの家族で軍師見習い。今ちょうどピックアップがきてるけどひく予定はない。これにはクリスちゃんも大安心。




そんな感じで更新です。書くヒマないとか言っときながら書く作者。だって想いを集めてであんなネタになる話をされたらやるしかないだろ!! てことです。

次回は未定です。また何か面白いネタができたら投げるかもしれません。

ところでクレイジーサイコレズの星4落ちはまだですか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死の王ヘルの苦難

ストーリーでアルフォンスパッパが死んだ、だと……!!


優しい世界であるこの世界でそれは許されんぞ。


 「死からは逃れられぬ」

死の王ヘルは呪いを与えたアスク王国アルフォンスの命を刈り取らんと、彼に近づく。彼の父親がアルフォンスの前に立ちはだかったが、死の力を取り込めればいいヘルは別のどっちでもいい。

死の力を取り込むことはヘルにとって最重要課題だ。なにせこの世界で敵対する組織によく知るクソ鬼畜がいる。奴がいなければもうちょっとボス感を出すことも考えたが、奴がいれば話は別だ。速攻でケリをつけなければ自分が不幸になる。不幸になるだけで済めばいいが、最悪死ぬ。最悪じゃなくても死ぬ。

ヘルは死を与える存在であり、死を恐れてはいけないかもしれないが、そんな些細なプライドは速攻で捨てた。

上手い具合にあの鬼畜外道がいない時にアルフォンスに対して死の呪いを与えることができた。解呪されていないことを考えればまだ死の呪いを解く技術は発見されていないことにヘルは安堵する。

 (今回は勝ったな。風呂入ってくる)

しかし、死の王ヘルの目論見は一人の鬼畜クソ外道によって阻まれる。

 「術式解放」

ヘルにとって聞き覚えのありすぎる声と共にヘルは魔法陣によって封印される。

 「こ、この術式はこの世界にはないはず!? ま、まさか!!」

 「騙して悪いが仕事なんでな」

 「このクソ外道うぅぅぅ!!!!!!」

当然のように出てきたのは胡散臭い笑みを浮かべた白フード。アスク王国が救世主として呼んでしまった召喚士であった。

 「よし、バカ二人。囮を回収。安全圏まで退避させろ」

 「「あらほらサッサー」」

 「あぁぁぁ!! ちょ!? その二人は私の生贄!!」

召喚士の言葉にヘクトルとエリウッドはアスク王国の王様と王子を担ぎ上げて運搬する。どう考えても王族に対する扱いではないが、ヴァイス・ブレイブではこれが普通である。

 「ひ、卑怯だぞ鬼畜クソ外道!! お前は『その世界にない術式は使わない』って縛りを入れていたじゃないか!!」

 「君だけは特別だぞ(ハート)」

 「そんなVIP待遇はいらないから!!」

しかし、そこで死の女王ヘルに逆転の一手が見える。召喚士の右隣にはリンがいて詰みゲーだが、反対側には自分の娘がいる。

 『今だエイル。その鬼畜クソ外道を殺してアスク王国に平穏をもたらすんだ』

ヘル渾身のアイコンタクト。しかし、エイルはどこか諦めた眼差しをしながら遠い目をしている。そしてヘルを見ながら愉悦の笑みを浮かべる召喚士。

 「ヘル、死の呪いが使えるのは自分だけだといつから錯覚していた?」

 「なん……だと……!?」

召喚士の爆弾発言である。

 「いいか、どこの世界でも馬鹿の一つ覚えみたいに同じ術式を使われていれば、俺みたいに秀才魔導師でも解除の術式とその改良くらい加えられるようになる」

 「ちょっと待って……ちょっと待って、まさか?」

召喚士が渾身の(胡散臭い)笑みを浮かべながら口を開く。

 「貴様の娘には俺特製の死の呪いをかけておいた。俺を裏切った瞬間に死ぬ特別性だ」

 「外道ぉぉぉぉ!! この鬼畜クソ外道ぉぉぉぉ!!!! それが人のやることかよ!!」

 「ははは、貴様の縁者の時点で人権などないわ。だが、親の罪を娘に問うのも可哀想だからな。貴様が死んだら解除されるようにしてある」

 「げどぉぉぉぉぉ!! 子供に親殺しをさせるつもりか!!」

 「安心しろ。貴様を殺すのは俺だから」

しょうかんしの えがおのこうげき! へるのじゅみょうが1000ねんへった!!

 「おのれ鬼畜クソ外道め!! 赤髪ロングヘアーのナイスバディ女家庭教師に死の呪いを与えたことをまだ恨んでいるな!!」

 「召喚士、後で話があるわ」

 「ヘル、貴様だけは楽に殺さんぞ……!!」

とりあえず召喚士に対する意趣返しは済んだ。あとはこの魔法陣を解除するだけである。対ヘル結界としてはかなりの強度を誇るが、今まで召喚士を殺すために溜め込んだデスパワーを使えば力任せに解除できる。しかし、それをやるとヘルを殺す目つきで睨みつけているムスペル王族組と力が半減している状態で戦わなくてはいけない。リーヴとスラシルは速攻でトンズラかましたので援護も期待できない。

 「ちなみに外道、これは私をどのように殺す結界?」

 「うん? 聞きたいか? 普通は教えないよな。でも今の俺は目障りな蝿をようやく殺せることで気分がいいので特別に教えてやろう。その魔法陣は俺が作った特別性という話はしたな。その魔法陣には死の力を少しずつ取り込み、そのあとに取り込んだ力を暴走させて消し飛ぶという特別性だ」

 「……それって私の魂も消し飛ぶ?」

 「ははは、当然だ」

「お父様! めっちゃイイ笑顔ですけど、その笑いは悪役の笑い方ですわ!!」

魔法陣を召喚士と一緒に組んでいるインバースからツッコミが入るが、そのインバーズも似たような笑顔が浮かんでいる。似たもの親子である。

 「だが、想像以上に貴様の力が強いな。暴走まで3分といったところか」

 (勝った!! 3分あればこれを自力で解除して戦闘に入れる!! ムスペル組はムスペル死体兵を使って時間を稼いで私は逃げの一手!!)

そしてヘルは魔法陣の解除に意識を向ける。

それを見た召喚士がイイ笑顔を浮かべたのを見て瞬間的にヘルの背中に冷や汗が流れる。

 「ちなみに3分と言ったな。あれは嘘だ」

 「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

その言葉の瞬間にヘルは力任せに魔法陣を破る。力がゴリっとなくなるが、仕方ない。このままいればチャオズすることになる。

ヘルはそのまま空に飛翔する。その瞬間に隠れていた弓隊から一斉射撃を受けるがヘルは鎌とアクロバティックでこれを回避!! そして最後に捨て台詞も忘れない。

 「バーカ! バーーカ!!! バァァァァァァッカ!!!! この女タラシ!!」

 「ってめ!? 俺の覚えにない中傷はやめろ!! あ!? 待ってリン!! 腕はそっちには曲がらな」

召喚士の悲鳴で少し気分が晴れたヘルは速攻で逃亡するのであった。

 

 

 

 「父上、ご無事で何よりです」

 「うむ、アルフォンスもな」

 「……」

 「……」

 「……死んで一人だけ楽になんてさせませんからね?」

 「……強くなったな、アルフォンス」

そんな会話がアスク王国の親子でされたことを知るのは本人達だけである。

 




ヘル
ギムレーに次ぐ小物系ラスボス。どこの世界でも死の呪いをばらまいていたら尽く召喚士に邪魔をされてた。しかもその呪いを利用される始末。お互いにお互いを邪魔に思っていて殺そうとしているが、他から見たらやっていることはトムとジェリーに近い。

エイル
母親と召喚士の確執に巻き込まれた完全な被害者

対ヘル専用結界
色々な世界に召喚されていた召喚士が持っていた技術をつぎ込んで作り上げた対ヘル専用結界。最終的にヘルはチャオズする。

赤髪ロングヘアーのナイスバディ女家庭教師
もしかしなくてもアティ先生。ちなみにアティ先生は自力でどうにかしたご様子。この作品屈指のバグは伊達ではない。

アスク王国親子
 「「死の呪いで楽になるのは自分だ!!」」
同じことを考えていたご様子。



ここは(味方にとって)優しい世界。こんな感じで王様には生き残っていただきました。今後も頭のおかしいヴァイス・ブレイブに悩んでいただきましょう。

作者は今までやってきたゲームの中でもトップクラスの好きなキャラなんですよね、アティ先生。3でアティ先生ENDがなくて憤慨したのは作者だけじゃないと信じてます。

あ、そういえば前話から感想返しを初めて見ました。いつまで続くか未定ですけど。そして次回も未定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と暗闇の向こうへガチャ

鬼畜クソ軍師(挨拶)

みんな大好き愛され大天使の息子実装。当然のようにあの方々の出番です。


俺は大広間の中央で土下座をしている。周囲にはウルスラ、ロイド、ライナス、ラガルトの黒い牙の面々。そしてちょっと離れたところに大天使を除いた烈火組がいる。

俺は99.9%俺が悪くて、0.01%でも相手に過失があればイーブンになるまで諦めないが、自分が100%悪ければ流石に反省する。今回は全て俺が悪いと自覚しているからこうして土下座をしているのだ。

 「召喚士、貴方は事の重大さを理解しているのかしら?」

 「理解している。全ては俺の見通しの甘さが招いたことだ」

怒り250%の黒い牙の面々の中で特に怒りの表情を見せているウルスラに俺は自分の素直な気持ちを吐露する。

だが、ウルスラは俺の反応が不満のようで隣に置いてあった机を力強く叩く。これだけ烈火組が怒っている理由。それは……

 「貴方はニノの息子のルゥを召喚するオーブがないと言うの……!?」

 「すまない……!! 本当にすまない……!!」

そう、大天使ニノエルの息子を召喚するオーブがないのだ……!!

 「お前さんは何をやってるんだ。去年から3月に封印ガチャが来るって予告はあっただろうが」

 「違うんだロイド。封印ガチャが来ることは覚えていたんだが、まさかルゥが来るとは思ってなかったんだ」

 「バカかテメェ!! 封印ガチャでルゥを出さないで誰を出すってんだ!!」

 「いいか、ライナス。基本的にソシャゲは人気キャラが実装される。だから俺の予想ではティトとスーとイドゥンあたりだと思っていたんだ」

 「ラガルト、粛清の暗器」

 「おう」

 「落ち着け!!」

ナチュラルに俺に拷問しようとしたリーダス兄弟とラガルトを必死に止める俺。こいつらも俺の拷問技術を知っているので割と危険なのだ。

 「こうなったら仕方ないわね。アンナ商会に行くわよ!!」

ウルスラの言葉に力強く頷く黒い牙の面々。俺は引き摺れられる状態で連れいかれそうになるが、そこに立ちはだかったのはリンであった。

 「……何の真似かしら、リン」

 「アンナ商会に行かせるわけにはいかないわ」

 「信じられないわ!! リン、貴女は『幸せニノ一家(ジャファルは殺す)』を見たいと思わないの!?」

 「思っているわ!! 烈火出身者にとって『幸せニノ一家(ジャファルは殺す)』はどんなお金よりも価値があるものだと理解しているわ!!」

 「ならばなぜ邪魔をするの!!」

 「課金をされるとリアルに破滅するからよ!!」

リンの叫びに俺は思わず視線を逸らす。ちゃうんや、課金総額が上がったわけやない。きっと作者の給料が安いんや。

 「破滅が何だと言うの!? 破滅が怖くてニノを愛でることはできないわ!!」

 「これを見ても同じことが言える!?」

そう言って突き出したのは『召喚士一家(召喚士、リン、インバース)家計簿。そこに書かれている数字はデバフを食らった時のような悲惨な数字が並んでいる。

それを見てウルスラは力なく項垂れる。その肩にリンは優しく手を置く。

 「大丈夫よ、ウルスラ。幸いなことにルゥは恒常実装。星4落ちすれば来やすくなる可能性もあるし、召喚士のガチャ運だったらすり抜けの可能性もあるわ」

 「……わかったわ。今回はリンに免じて引いてあげる。だけど召喚士、無料召喚ではわかっているわね?」

 「当然緑一択だ」

 

 

尚、召喚結果は烈火組が全員不貞寝したことで理解して欲しい。

 




ルゥ
公式では明言されていませんけど、レイと双子なんだからこの作品では大天使の息子。来てくれないことに不満を覚えつつも星3まで落ちてくれたらレイと一緒に星3レベル1ができるなと思っている作者の複雑な心境。

大天使ニノエル親衛隊『黒い牙』
ニノの息子が来てくれなかったことにこの後一週間寝込んだ



ニノエルの息子が来るなんて聞いてねぇぞ運営ぃぃぃ!! こんな感じでオーブがないのでニノエルの息子はお迎えできませんでした。それにしても今回のガチャのラインナップは全員欲しいですね。ティトは星4落ち確定でしょうから青はスルーとしてもスーとイドゥンもくるとは……FEラスボス同盟が強くなるな! え? イドゥンの強さはFEラスボスの中で最弱? ちょっとなにを言っているかわかりませんね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と無料召喚チケット

う、うわァァァァァァぁぁ!!!!!


 「あん? 召喚士はどうした?」

 「やぁ、ヘクトル。召喚士だったらほらデイリーのあれだよ」

召喚士の部屋にノックなしで侵入したヘクトルは自室以上に寛いでいるエリウッドに部屋の主の行方を尋ねる。エリウッドのロイプロマイドの整理をしながらの返答に少しだけ首を傾げたが、すぐに思いついたのか頷いた。

 「無料召喚チケットか」

 「そ。それでルゥを出すために緑を回しに行ったよ」

 「ご苦労なこったな。どうせ出ねぇのに」

 「それでもルゥは欲しいじゃないか……!!」

 「でも出ないだろ……!!」

ガチャというクソ文明に呪いを放つバカ二人。なにせ二人もガチャのせいでそれぞれ子供達の装備を手に入れ損ねている。

 『うわァァァァァァぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!』

 「うん? 召喚士の声か?」

 「そうだね。赤でも引いてリンでもすり抜けたかな」

ヘクトルの言葉にエリウッドが軽く答える。

そして廊下から慌ただしく走る音が聞こえてきたかと思ったら部屋の扉が荒々しく開かれた。

 「うわァァァァァァァァァァあぁ!!!!!!!!!!!」

 「お、おう!? どうした召喚……士?」

 「君がそこまで取り乱すなんて珍し……い?」

ヘクトルとエリウッドも最後は尻すぼみになる。

なにせ召喚士に連れられて目を白黒させて驚いているルゥがいる。

 「「「うわァァァァァァァァァァァァぁ!!!!!!!!」」」

 「え? エリウッドおじさん? あれでも若い?」

叫びが増えたことに驚きつつ、自分の知り合いが若い姿でいることに驚くルゥ。三馬鹿はそれを気にせずにルゥを担ぎ上げるとダッシュで治安維持部隊詰所に向かってダッシュする。

そして扉を乱暴に開いた

 「「「うわァァァァァァァァァァァァぁぁぁ!!!!!!!!!!!」」」

 「うるさいわよ三馬鹿。少しは静か……に」

治安維持部隊隊長のリンもルゥの姿を見て不機嫌そうな表情から喜びの表情に変わる。

 「「「「うわァァァァァァァァァァァァぁぁxァァァァァ!!!!!!!」」」」

 「え!? また増えた!?」

驚くルゥをよそに三馬鹿+リンはルゥを担いで次の部屋に向かう。次の部屋は黒い牙の面々がルゥがこないことに不満を言っている部屋だ。

四人は乱暴に部屋を開けながらルゥを立たせる。五月蝿いことに文句を言おうとしたウルスラ、リーダス兄弟、ラガルトもルゥを黙って見つめた後に歓喜の声を挙げる。

 『うわぁァァァァァァァァァァァァァァァァあx!!!!!!!!!』

 「え!? ウルスラおばさんは姿変わってないけど、ロイドおじさんとライナスおじさんとラガルトおじさんだよね!? 若いけど!? え!? 僕また担がれるの!?」

 『うわァァァァァァァァァァあっァァァァァァァァァ!!!!!!!!』

最終目的地は息子が来なくて悲しんでいた大天使の部屋である。

大天使ニノエル愛で隊のメンバーは歓喜の声を上げながら部屋の扉を開き、ニノにルゥを見せる。するとニノエルは花が咲いたような笑顔を浮かべた。

 「あ!! ルゥ!!」

 「え!? お母さん!?」

そして部屋にルゥと途中で捕まえたレイを放り込んで部屋の扉を閉める。

 『おっしゃぁァァァァァァァァァァァあっぁっぁっぁ!!!!!!!!』

そして烈火組の歓喜の雄叫びがヴァイス・ブレイブに響き渡った。

 




ルゥ
胡散臭い男に召喚されたと思ったら若い時の姿の知り合いばかりで驚き倍増。とどめに姿の変わらない母親の姿を見てルゥは考えることをやめた。

烈火組
『□?□!!□!?□?!□□!!!!□!!!!!!!!!!』(言葉にならない歓喜の叫び)



そんな感じで無料召喚チケットでまさかのルゥくんがログインしました。いけるんじゃないかと思って残っていたオーブをぶっぱしたところティトと飛行オリヴィエ(二人目)もログイン。今日は当たりの日やな!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

主人公英雄から見た召喚士

鬼畜クソ軍師!!(挨拶)


今回は久しぶりにリクエスト消化で主人公英雄から見た召喚士です。ヒロインは支援会話的な意味で誰にしていいかわからないので却下されました。べ、別にヒロインはネタが思いつかなったわけじゃないんだからね!


マルスの場合

 「召喚士かい? 悪い人ではないと思うよ。僕はもちろんシーダだって彼を信用しているさ。ジェイガン達からは彼をあまり信用しない方がいいって言われているけど、彼は味方には悪いことなしないよ。ちょっと敵に対しては過激だけれどね」

 

アルムの場合

 「え? 召喚士についてかい? う〜ん、正直なところ僕はあまり接点がないからわからないんだよね。召喚されて早々にアイラ修羅道場に放り込まれたことは恨んでいるけど」

 

セリカの場合

 「召喚士さんですか? 優しいかたですよね、味方には。それに謎も多いです。何故か私の本名も知っていたんですよ。教えようと思ったら『あ、大丈夫。もう知ってるから。いやぁ、うぃきって便利だよなぁ』って言ってたのはなんだったのでしょう……」

 

シグルドの場合

 「なに、召喚士のことだと? そんなことより私のセリスについて……あ!? こら!! どこに行く!!」

 

セリスの場合

 「え? 召喚士さんですか? すいません、僕はアイラさん達に呼ばれていて……そうですね。僕から言えるのは何故アイラさん達に道場を作る許可を与えってしまったかですね。そのせいで定期的に剣士は呼び出しを食らうようになってしまって……はは、行きたくないなぁ……」

 

ロイの場合

 「召喚士さんですか? 母上からは父上の親友だと伺っています。僕の印象は色々なことを知っている先生って感じですかね。軍略だけじゃなく、魔術、薬学など様々なことに精通していると聞いています。それで僕が召喚士さんに師事しようとしたら母上と父上両方に止められてしまいました。あ、それと僕が軍を率いていたときに助けてくれた謎の仮面の三人組『謎のFE仮面』の正体も知っているようでした」

 

エフラムの場合

 「殺す」

 

エイリークの場合

 「私を兄と幼馴染から救ってくれる最後の希望なんです。ええ、ですから何をしてでも手に入れてみせます。たとえそれが争いの火種になるとしても……」

(尚、インタビュー中は瞳からハイライトは消えていた)

 

アイクの場合

 「話はわかるやつであると思うがな。俺みたいな戦うことしか能のない奴でもきちんと話は聞いてくれるしな。要望が通るかはわからないが。それと何度言っても俺のことをゴリラと呼ぶことは辞めないな。文句はそれくらいだ」

 

ミカヤ

 「はい? 召喚士さんですか? 優しいかたですよ。それに色々なことを知っていらっしゃるので、お話をしていてもとても勉強になります。あ、すいません。飛空城の時間なので失礼いたします」

 

クロムの場合

 「不思議な奴だな。あいつと話をしていると俺の半身であるルフレ達と会話をしている気分になる。そういう意味では話しやすい相手ではあるな」

 

ルフ男とルフ子の場合

 「「同類」」

 

カム男の場合

 「僕は良い人だと思うよ。僕やカムイさんが何度もアンナさんに騙された時は笑いながら助けてくれるし、ジョーカーさんやフェリシアさんとも仲が良いみたいだからね!!」

 

カム子の場合

 「素敵な人ですよね!! 私やカムイさんが困っている時にはいつも笑顔で助けてくれるんです!! 将来は私達の世界に来て欲しいですけど……」

 

ヘクトルの場合

 「鬼畜」

 

エリウッドの場合

 「外道」

 

リンの場合

 「良いところもあるのよ? ただ性格が『吐き気を催すほどの邪悪』なだけで」

 




インタビューアー
セーなんとかさん

謎のFE仮面
もしかして:フェレ侯夫婦・オスティア侯



こんな感じでリクエストにあった主人公英雄からみた召喚士でした。作りが雑なのはキャラ設定を特に作っていないため。アルムくんとセリスくんは正直すまんかった。そして主人公組からは特に悪く思われていない召喚士。汚い、流石召喚士汚い。

次回はイドゥンさんが我がヴァイス・ブレイブにやって来たのでイドゥンさん回の予定。ラスボスということは奴らの出番だ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

女神御降臨

サブタイトルが全てだ


アスク王国グラネイア大聖堂降臨の間。ここには現在、六人の人物がいる。

枢機卿の服装をした俺、ルフ男、ルフ子。司祭の格好をしたインバース、マークちゃん、マークくんの六人である。六芒星を描くようにそれぞれ配置につき、中央には神殿のような豪奢な作りになっている召喚陣がある。

ここは俺達が現人女神・パオラ様の新装備が実装された時のためだけに特別に作られた召喚の部屋である。

女神を降臨させるのだから無機質な召喚の部屋ではなく、荘厳な壁画と天井画を描かれており、それでいて派手すぎず、質素すぎない素晴らしい部屋の作りになっている。

 「それでは女神降臨の儀式を執り行う」

俺の重々しい言葉に他の五人は黙って頭を垂れる。俺は持っていたオーブを中心の召喚陣に置き、自分の位置に戻る。

俺、ルフ男、ルフ子は枢機卿の証である杖を掲げ、インバース、マークちゃん、マークくんは『パオラ神教』の聖典を掲げる。

 「我らが女神よ、今ここに降臨なされ我ら愚かなる民を導いてくだされ」

俺の言葉に召喚陣が起動し、女神降臨の儀式が始まる。

舞う砂埃、浮かび上がるウサ耳をつけたシルエット。

 「あ、あら……? ここは……?」

困惑している女神を無視して俺達は歓声をあげる。

 「おぉ……女神だ。女神がご降臨されたぞ!!」

 「我らが女神・パオラ様。どうか僕達愚かな民を導いてください」

 「夜のお姉さんのような格好をしていても隠しきれない神々しさ……まさしく私達の信仰する女神・パオラ様に他ならない……!!」

 「召喚士さんにルフ男さんにルフ子さん……? っ!?」

自分の格好に気づいたのか恥じらうように自分の体を隠すパオラ様。

 「おぉ!! 恥じらう姿もまた神々しい!!」

 「まさしく女神……!!」

 「我らが女神・パオラ様万歳!!」

 『女神・パオラ様万歳!!』

 「あの……本当に辞めてください……!!」

ルフ子の言葉に全員で万歳をしていると女神・パオラ様が本気で困惑している。だが、そのお姿もまた美しい。

 「あ、あの……ここはいつもの召喚の部屋ではありませんよね……?」

 「は、そのことについては私から説明させていただきます」

女神・パオラ様の言葉に俺は一歩恭しく進んで膝をつく。

 「この部屋はグラネイア大聖堂に作られた女神・パオラ様専用の降臨の部屋でございます。我らが女神を他の木っ端英雄と一緒の部屋で降臨していただくなど無礼の極み。そのために我々三枢機卿でパオラ様専用の降臨の部屋をご用意させていただきました」

 「……あの。普通は狙った英雄の召喚はできないのでは……?」

 「ご安心ください。この部屋に施された魔術は私とルフ男、ルフ子、そしてインバースの知識を結集して作られております。そのために女神・パオラ様以外の者が召喚されそうになった場合、一部を除いて自動的に羽になるように設計しております」

俺の言葉に本気で絶句する女神・パオラ様。そして次にルフ子が静かに進んでくる。

 「女神・パオラ様。既に一般民衆も女神のお姿を拝見しようと神殿の大広間に集まっております。どうか彼らの前にお姿を見せていただければ幸いでございます」

 「この格好で人々の前に出るのですか!?」

 「ご安心ください。溢れ出る女神・パオラ様の神威に一般民衆は御尊顔を拝謁できる者などいませぬ。そして女神・パオラ様のお姿はどのような格好であろうとその品位を下げることなぞございません」

 「いえ!? 私の羞恥心の問題ですよ、ルフ男さん!?」

顔を真っ赤にする女神・パオラ様。そのお姿もまたお美しい(重度なパオラ神教信者)

ちなみに最終的に集まってくれた人々を無碍にはできないと、信徒達の前に出てくださった女神・パオラ様はやはり女神だと思う。

 




女神・パオラ様
FEH界の女神。それ以外の説明? いらないでしょ。オーブ4個で出てきてくれるとかマジ女神。

グラネイア大聖堂降臨の間
三軍師達の知識を結集して作り上げたパオラ様専用降臨の部屋。それ以外の英雄が召喚される場合は一部の例外を除いて自動的に羽になる。尚、パオラ様は『召喚』ではなく『降臨』である。間違えないように。




そんな感じで無事にバニーパオラ様が我がヴァイス・ブレイブにご降臨されました。今回はガチで課金できないので、最悪次のピックアップまで待つつもりでしたが、まさかの4個でご降臨。やっぱりパオラ様は女神だな!!

アンケートにて『パオラ様がアベルに惚れている設定あったやん? それってアベルの命ピンチじゃね?(超意訳)』の意見をいただきました。作者も忘れていましたけど、そんな設定確かにありましたね。どうすっかなぁ(超適当)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とイドゥン

先に言っておく。


正直すまんかった


イドゥン

人と竜が争う人竜戦役の時代に人を苦しめた、強く、美しく、悲しい魔竜。千年の間に戦いの真相は忘れ去られ、かつての竜族の王とされている。暗闇の巫女とも呼ばれる美少女の姿をしているが、重要なのはそこではない。

彼女は腹黒の子供であるロイ世代の『ラスボス』である。

重要だからもう一度言うが『ラスボス』である。

 「そこで彼女の地雷を前もって聞いておこうか変態共」

 「う〜ん、この召喚士が我達に対する信用度のなさ。割と自業自得だと自覚しているけどどう思うロプトウス」

 「ワシも自業自得だと思う」

部屋に呼び出したのはFEラスボス同盟とか言う割と絶望の響きを持った団体に加盟しているラスボス二人組であるギムレーとユリウスである。

 「でもイドゥンはFEラスボス同盟でもまともな部類よ。これは我が断言できる」

 「ワシも同意見だ。人の話はちゃんと聞くし、他者には優しいしな」

 「しかし、俺の『地雷センサー』がビンビンに仕事をしているんだがなぁ」

二人の言葉に俺は首を傾げる。俺は色々な世界を旅しているので他者の地雷に敏感なのだ。

 「そうは言っても我達からは特に言うことはないからなぁ」

 「うむ、強いて言うならば」

ギムレーとユリウスはそう言って顔を見合わせてから口を開く。

 「「ちょっと人類に対する愛が重いだけで」」

 「おっと、俺の地雷センサーに反応があったぞ。その辺りのことを詳しく聞こうか」

俺の今まで経験した中でもトップクラスの危険信号だ。だが、ラスボス二人は特に気にした感じはしない。

 「いや、本当にちょっと我達もドン引きするくらいに人類に対する愛が重いだけなんだって」

 「うむ。『惰弱になっていく人類に耐えららません。そうだ、私が人類を滅ぼそうとしたら人類は覚醒するのでは』とかトチ狂った発想で人類を滅ぼそうとしたくらいだ」

 「今までの中で一番最悪じゃねぇか……!!」

なんつぅとんでも理論を振りかざすんだ、あの魔竜。

 「いや、我達も『その発想はおかしい』って一応止めたんだよ?」

 「だが、基本的に温厚で優しいイドゥンだが、突っ走り始めたら止まらない竜でもあってな。結局『人類を愛するあまり人類を滅ぼそうとする究極的なヤンデレ』になった。これにはメディウスも頭痛薬を飲んだレベルだ」

軽い調子で頭のおかしい発言をし続ける変態ラスボス達。

 「いやぁ、ゼフィール君の失敗はイドゥンを全盛期の姿で呼び出せなかったことだよNE!!」

 「うむ!! 全盛期の姿で呼び出せたら勝ち確定レベルの理不尽さだからな!!」

 「なにそれ怖い」

おかしい。FE史上最弱と名高いイドゥンが実は一番の実力者だと? これは封印ファンから叩かれるレベル。

 「いや、マジでイドゥンを全盛期の姿で呼び出せたらヤバイんだよ、召喚士」

 「どのくらいヤバイんだ?」

 「ここがFate世界だったら抑止力が仕事するけど、返り討ちになるレベル」

 「FE世界がピンチ……!!」

俺はなぜこうも取り扱い注意の英雄しか呼び出せないのか。え? 俺が取り扱い注意だから? ちょっとなにを言っているのかわかりませんね。

 「いや、我達もこの世界でイドゥンの気配を感じ取った瞬間に別世界に高飛びかまそうと思ったんだけどね」

 「意外とイドゥンが大人しくしているから様子見をしているところだ」

 「ちなみにやばくなったら?」

俺の言葉に二人は見たことがないマジ表情を浮かべる。

 「「別世界に逃げる」」

 「絶対に逃さないからな。むしろお前らをストッパーの最前線に送るからな」

 「「鬼! 悪魔!! 召喚士!!」」

ははは、罵倒などすでに慣れている俺に無意味さ。むしろ鬼や悪魔などは褒め言葉だと思えるレベル。

 『失礼します。召喚士さんはいらっしゃいますか』

 「……ファ!?」

そして俺の部屋の扉がノックされると同時にイドゥンの声がする。俺が扉の方を向いた一瞬の隙をついてギムレーとユリウスは逃亡していた。

まじかぁ。爆弾の解体処理を一人でやるのかぁ。

 「ああ、鍵は開いているから入っていいぞ」

 「失礼します」

俺の言葉に入ってくるのは顔が見えないくらいにローブを深く着ているイドゥン。部屋に美少女と二人きりと言うドキドキシチュエーションのはずなのに、胸の高鳴りは危険信号を知らせる高鳴りだけなのはどう言うことなのだろう。

イドゥンは流れるように椅子に座ると、ローブをとる。ローブの下からは美少女の顔が現れた。

表情は笑顔だ。とびっきりの笑顔だ。一般人男性だったら見惚れるレベルの笑顔だ。

しかし俺にはそれが威嚇の笑顔にしか見えなかった。

俺の背筋に冷たい汗が流れる。恐れている? この俺が? リン以外に……!?

俺の内心など無視したようにイドゥンは口を開く。

 「召喚士さん。なんでも今戦っているヘルと名乗るクソアマは人の死をエネルギーとして蓄えるとインバースさんに伺いましたが?」

 「あ、ああ。間違いない。あいつは人の死……つまりは魂をエネルギーとして自分の力を蓄えている」

俺の言葉にイドゥンは優しい笑顔を浮かべなから立ち上がる。

 「ちょっとヘルとか言うクソをぶっ殺してきますね」

 「待って!! お願い待って!! 今あいつが殺されると俺達の計画が狂うの!! それに絶対にイドゥンはまともな殺し方しないでしょ!!」

 「失礼ですね。きちんと死の世界諸共消しとばすだけですよ」

 「それやられるとこの世界にも影響が出るから!!」

 「大丈夫です。私が信じる人類なら絶対に生き延びてみせると信じてます。ええ、きっと今までにないほどの災厄に一丸となって立ち向かい、魂の光を明るく照らすのでしょう……おぉ!! みたいです!! 私はそんな人類がみたいです!! ですからやっぱりヘルは消しとばしてきますね!! ええ!! 大丈夫です!! 私が愛する人類だったらこの程度の難局は乗り越えてくれると信じてます!! あぁ!! 私に人類の輝かしい勇気を見せてください!! そして人間賛歌を謳わせてください!! 私の喉が枯れ果てるほどに!!」

 「クソ!? 止まれイドゥン!! なんて俺の言葉聞くわけないですよね!!」

俺はそう言いながら部屋に備え付けられた赤いボタンを叩き壊すように押す。

 『エマージェンシー!! エマージェンシー!! 英雄が暴走しました!! 一般人は至急退去し、対応班は武装してください!!』

それと同時にヴァイス・ブレイブに響き渡る緊急アナウンス。だが、その程度でイドゥンは止まらない。

 「おぉ……! おぉ!! みなさんも私に立ち向かってくださるのですね!! 素晴らしい!! 素晴らしいです!! さぁ、私を止めて見せなさい!! でなければこの世界は滅びますよ!!」

 「おかしい!? 味方なのに敵になってる!!」

 

最終的にイドゥンはヴァイス・ブレイブ修羅三人衆や我がヴァイス・ブレイブのイカれた奴ら相手に高笑いしながら三日三晩戦い続けて満足してくれたのだった。

 




イドゥン
魔王系魔竜。アマッカス理論を振りかざす美少女魔竜。人類大好き。勇気大好き。自分に立ち向かってくれたらもっと大好きな超迷惑魔竜様。人類大好きだけど自分に滅ぼされるレベルじゃ許してくれない。誰か私を倒して!! な敵でも味方でも厄介極まりないお方。ゼフィールの敗因は彼女を全盛期で呼び出せなかったこと。

(この世界の)封印ラスボス戦
めっちゃはしゃいで世界を崩壊させかけたイドゥン様に勇者ロイくん達は絶体絶命の危機!! しかし、そこに現れたのはロイくん達を度々助けた謎のFE仮面達!! そして世界の崩壊は流れるように現れたパントが華麗に解決!! かくして封印の剣で留めを刺されたイドゥン様は万歳三唱しながら亡くなった。





なんか正直すまんかった。でも原作のイドゥン様の弱さを知っている人間には『逆に強すぎてどうしようもないイドゥン様』を想像した人は多いと思うんだ。え? 作者だけ? そんなぁ……
イドゥンを召喚した時から最強キャラ設定にしようと思っていましたけど、それだけだとパンチが弱いのでアマッカス理論が搭載されました。人類大好きなので人を呪い殺すヘルは絶対に殺すウーマン。ヘル様逃げて。超逃げて


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブの新兵器

召喚士が生み出した悪魔の兵器。

それは決して人が扱ってはいけない超兵器。

しかし、召喚士は使う。全ては世界平和のために。


 「本当にやるのかい?」

カナスの言葉に俺は黙って頷く。カナスは再度確認するように俺に問いかけてくる。

 「確かにこの兵器運用が上手くいけば、僕達は大きな軍事力を持つことになる。だけど、後世の人々は君のことをなんと言うだろうね」

 「まだ産まれてもいない後世の人間の評価を気にするより、今、どのようにしてこの戦争に勝つか。俺が考えられるのはそれだけだ」

 「だが、批判も大きいだろう。きっと敵……死の女王ヘルだけじゃなく、アスク王国も君のことを罵るだろう。『この外道!』とね」

カナスの言葉に俺は鼻で笑う。

 「知ったことか。前線で戦うのは俺たちヴァイス・ブレイブだ。アスク王国の自称平和主義達の言葉なぞ頭の隅にも残らん。その被害を最小限に押しとどめるためには俺はどんなことでもやるさ」

ちょうどよく、ペガサスに我がヴァイス・ブレイブの新兵器を搭載したインバースが敵陣へと飛んでいく。

 「いいのかい? あの兵器を使えば君は歴史に悪名を残すことになる」

 「言っただろう、カナス。知ったことか、と」

俺の決意が固いことを知ったカナスは悲しそうに首を振る。

 「正直に言うと僕は今でもあの兵器に対する案は反対だ。危険すぎるし、とてもじゃないが僕達に扱えるとも思えない。神に対する冒涜とも言えるだろう」

 「ならば何故ここにいる、カナス。エリウッドやヘクトル達も拒否したこの実験場に」

俺の言葉にカナスは片眼鏡を軽くあげる。

 「僕個人としてはあの兵器には反対だ。だけど研究者として知りたいのさ。あの兵器がどれだけの破壊力を秘めているのかを……」

カナスの言葉に俺は軽く笑う。

 「狂っているよ、お前は」

 「なに。この案を出した君ほどじゃないさ」

 『お父様。投下ポイントにつきましたわ』

その時、ちょうどよく超兵器を運んでいたインバースから通信が入る。

 「悪いなインバース。お前には危険な任務を与えた」

 『あら、私は嬉しかったですわ。この重要な任務をお父様自らが私を選んでくださって』

インバースの言葉に俺は黙って眼を瞑る。

 「地獄に落ちるときは一緒だ。それで許せよ、インバース」

 『お父様と一緒だったら地獄でも楽しそうですわ』

インバースの言葉に俺は軽く笑う。

 「よし、インバース。射出準備は?」

 『完了していますわ』

 「よし、それじゃあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  人型決戦兵器イドゥン、投下!!」

 『了解、イドゥン、投下します』

 「ふははは!! 私の名前を呼びましたね!!」

俺の言葉と共にインバースのペガサスからイドゥンがノリノリで飛び降りる。

そして拳の一振りで地面に超巨大なクレーターが出来上がった。

 「おぉ、やっぱりすごい威力だな」

 「うん、見てごらんよ召喚士。二回目の拳で山が消し飛んだよ」

 「う〜む、だが案の定こちらの指示はガン無視だな。あ、インバース。さっさと離脱しろよ」

 『もちのろんですわぁぁ!!』

通信先からはインバースの焦った声が響く。そして阿鼻叫喚の死の国軍。我らがイドゥンはノリノリで拳を振り抜いて敵を滅殺していっている。

 「だけどある程度の制御はできるいるんじゃないかい? 竜に変身の命令には従っているようだし」

 「やっぱり『今後竜に変身したら、二度と人類をお前に挑ませない』と言ったのが効いたようだな」

 「正気か貴様ァァァァァ!!!!!!!」

そして爆心地からズダボロになった状態のリーヴがやってきた。

 「お、久しぶりだなリーヴ。どうだ? 我がヴァイス・ブレイブの新兵器は?」

 「本当に正気か貴様!? よくぞあの惨劇を生み出す兵器を使えたな!? 貴様に人の心はないのか!?」

ふぅ、リーヴの奴はちょっと会わないうちに常識人ぶろうとする知恵を持ったらしい。

 「おいおい、リーヴ。俺だぞ? この俺だぞ? いつから正気だと思っていたんだ?」

 「クッソがァァァァ!!!!」

俺の首をガクガク揺さぶるリーヴ。

 「まぁまぁ、リーヴさん。そこまで怒らなくてもいいじゃないですか?」

 「黙れ片眼鏡!? お前はあの兵器の威力を知らんからそんなことを言えるんだ!?」

 「そうですね。僕達は離れたところから見ているだけですから。ええ、ですので近くであの超兵器の威力を見せる機会をくれたリーヴさんに敬意を表しますとも」

カナスの言葉と同時にリーヴの肩に手が置かれる。

壊れたブリキの玩具のように振り向くリーヴ。そこには満面の笑みを浮かべたイドゥンがいた。

 「貴方は私が求める勇者ですか?」

リーヴの悲鳴になっていない悲鳴を聞きながら俺とカナスは全力で離脱するのであった。

 




召喚士
イドゥンを爆弾として扱うことにした超外道。

カナス
イドゥンの破壊力の検証のためだけに危険な実験場にやってきた研究者の鏡。後日、イドゥン爆弾の破壊力に負けない魔法の開発に乗り出す。

イドゥン
人型決戦兵器爆弾。尚、本人は勇者と戦えるならどのような扱いも甘んじて受け入れる模様。

リーヴ
イドゥン爆弾の破壊力実験に選ばれた生贄。



そんな感じで我がヴァイス・ブレイブに修羅三人衆以上の超兵器が実装されました。天空はスキル継承させたから遠距離反撃が欲しいところ。雷のブレスにする手段もありますけど、なんだかんだで重装特攻は便利なんですよねぇ。

ちなみに修羅三人衆が戦術核とするなら、イドゥン爆弾は戦略核。イドゥン爆弾が投下されたら敵は死ぬ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とドーマ

鬼畜クソ軍師(挨拶)


先日、ユンヌを召喚し「お、初めての神様キャラ」と思いきや彼が編成画面にいたので彼の出番です


(超)珍しく俺が部屋で一人でいたら、えらく暗い表情をしたドーマがやってきた。どう考えても面倒ごとだと思って早急に部屋から追い出そうとしたら必死に部屋に入ろうとしたので、仕方なく部屋に入れてやった。

 「それで? 何かあったか?」

俺の言葉に一瞬だけ言い淀んだが、すぐに覚悟を決めた表情で俺を見てくる。

 「私ってひょっとして影が薄いのか?」

 「え? 今更?」

 「なん……だと……!!」

思わず言ってしまった俺の発言にガチの驚愕表情を浮かべるドーマ。俺的には今更そのことで相談されるとは思っていなかった。

 「い、いや……おかしいとは思っていたのだ……ロリーズには『ドーなんとかさん!!』と元気よく呼ばれ、他の英雄には『なんとかマさん』と呼ばれている時点でなんとなく察してはいたのだ。だが、これでも神の1柱だし、ラスボスでもあるから恐ろしくて名前は呼びづらいのだなと勝手に考えていたのだ」

 「ギムレーとユリウスなんか呼び方『ドーちゃん』だけどな」

ラスボスの威厳とはなんだったのか。

 「しかし、今日食堂でチャーハンを食べている時に後ろに座っていたセリカ(闇落ち)が『あぁ、ドーマ様の降臨はいつ……?』と嘆いているのを聞いて、思わずレンゲを落としてしまったのだ。そして他の面々も誰も私のことを気にした風がなかったから、思わず私=ドーマと認識されていないのかと思ったのだ」

 「想定外に面倒見がいいもんな、ドーマ。ラスボスとは思えないくらい普通だし」

 「待て、召喚士。ラスボス全てがギムレーやロプトウスやイドゥンのようだと思うな。いや、私のような存在が圧倒的少数派なのは確かなんだが」

自分で言っておいて頭痛を抑えるポーズになるドーマ。

 「おかしい。これでもメガクェイクというかなり便利な専用スキルを持っていて、原作ではアルムのファルシオン以外ではとどめを刺せない仕様のはずなのだが……」

 「リザイア」

 「うちのシマではノーカンだ」

原作でも数少ない止めを刺せる魔法をなかったことにしたいらしい。ラスボスとはどいつもこいつも微妙な奴ばかりだな。

 「少しラスボスらしい悪事をしたらいいのか……?」

 「ドーマが考えるラスボスらしい悪事ってなんだ?」

俺の問いに必死な表情を浮かべながら悩むドーマ。これでポンと悪事が浮かばないあたり人の良さが滲み出ている。俺やルフレ’sなんか浮かびすぎて困るくらいだというのに。

そして20分ほど悩んだ末にドーマは何か思いついたような表情になった。

 「シャロン王女が育てている花壇に勝手に別の花を植えるとかどうだろう?」

 「お前の中で悪事ってどんなのなん?」

想像以上にドーマの良い人っぷりが出てしまっている。

 「いや、しかし。勝手に花壇に別の花を植えるなど悪事の極みだろう?」

 「お前、そこはせめて花壇を荒らすとかにしろよ」

俺の発言に驚愕したような表情を浮かべて立ち上がるドーマ。

 「き、貴様!! それでも人間か!! そんな外道行為が許されるわけがなかろう!!」

 「お前本当にラスボス?」

小学生レベルの悪戯を最悪の外道行為のように罵るドーマ。こいつはダメかもわからんね。

 「第一、そんなことをしたらイドゥンが黙っていないだろう」

 「あの迷惑竜はなぁ。何かに理由をつけて英雄達と戦おうとするからなぁ」

そのせいで修羅三人衆の強さがやばいことになっている。それに触発されてイドゥンもさらに自重しなくなるという負のスパイラル。この世界が平和になるか、イドゥンが完全に自重を捨てて混沌の世界に入るかのチキンラン状態。

 「いや、私も本気を出せばイドゥンをどうにかできるのだぞ? やらないだけで」

 「それは興味深いですね」

ドーマの発言に壁をぶち破って美少女迷惑竜イドゥンがエントリーしてきた。それを見た瞬間にドーマの顔色はやばいことになり、俺はいつでも逃げ出せるように窓際に逃げる。

 「私をどうにかできる……なるほど、さすがは神と言われるだけはある。それは是非とも戦わなくては。ええ、これはまさしく私に課せられた試練。神を殺しさらなる試練を味わうための極上の試練」

どこか酔ったように演説を始めるイドゥン。これはやばい状況である完全に目が逝ってしまっている。

そしてギュルンとドーマをみるイドゥン。その瞬間にドーマから小さな悲鳴が流れたが、俺は聞こえなかったことにした。

 「相手に攻撃すれば報復がある、それは当然のことです」

イドゥンはそう言いながらドーマに近づく。ドーマは一歩下がるが、すでに壁際であった。

そしてイドゥンは最高にイイ笑顔を浮かべる。

 「私はこれから殴る。お前も殴り返せよ」

その言葉と同時に繰り出された一撃は壁を粉砕してドーマを外に飛び出させた。

 「ふははははは!!! どうしましたかドーマ!! さぁ、殴り返してきなさい!!」

そう叫びながら追撃に出るイドゥン。俺しかいなくなった部屋は台風でもきたかのように荒れ果てている。

 「召喚士、生きてる?」

 「おぉ、リンか。なんとか生きてるよ」

そう言ってやってきたのは治安維持部隊隊長のリン。

 「暴走したイドゥンは?」

 「ヴァイス・ブレイブの領地を飛び越してアスク王国の方向に行ったわ? 誰? 迂闊な発言をしたのは?」

 「ドーマだよ」

 「あぁ、あのラスボスとは思えないくらい人の良いラスボスね」

残念ながらドーマ=人が良いというのが共通認識であるらしい。

 




ドーマ
人がよすぎる系ラスボス。そして影が薄い。その人の良さはロリマムクート達にお父さん扱いされるほど。この作品のラスボスにしては珍しく普通。普通すぎて影が薄くなる結果になった。

イドゥン
自重しないアマッカス系ラスボス。出す予定なかったのに勝手に出てきた。



こんな感じでドーマ編です。前書きにある通り、ユンヌを召喚した時に『初めての神様キャラかぁ。どうキャラづけすっべ』と思っていたときに編成画面にドーマ様を発見。思わず『あっ』ってなりました。

今更ですけどツイッター始めました。多分呟くことは圧倒的にソシャゲになるかと。そっちでもアンケート投げても構わないので、お好きな方でリクエスト出してください。
アカウント名(TADA)
アカウント @TADA57033095


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とミコト

鬼畜クソ軍師!(挨拶)


今回はみんな大好きミコトマッマのお話です。いつもよりキャラ崩壊は少なめ。ついでにネタも少なめ。


今、俺の部屋にはミコトがいる。彼女が召喚された時の白夜一族の嬉しそうな表情が忘れられない。一人、タクミだけは召喚早々に性癖のことで大広間でお説教を食らっていたが、我がヴァイス・ブレイブでは珍しいことではないので全員がスルーしていた。

 「それで? どうかしたか?」

ゆったりとした動作でお茶を飲んでいたミコトに俺は声をかける。

 「あぁ、そうでした。お茶が美味しくて忘れてしまうところでした」

なんというノンビリ空間。フロリーナ達がミコトと一緒にお茶を飲んでいたら朝だったのが夕方になっていたと言われたことは伊達ではない。

ミコトは湯飲みを置くと悲しそうに俺を見てくる。

 「召喚士さんはご両親がいないというのは本当ですか?」

この情報を知っているのは師匠と飲兵衛姉弟子、そして俺を除けば一人しかいない。俺が台所を見ると高速で視線を逸らしたリンがいた。

 「リン?」

 「ち、違うのよ……? ミコトの溢れ出る母性に負けてついぽろっと溢しただけなのよ……?」

 「だが俺に無断で俺の個人情報をばら撒いた罰は受けてもらうからな」

 「私に酷いことをするつもりね! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!」

 「自分から墓穴を掘る趣味はないわ!!」

速攻で俺の外堀を埋めにかかったリンに言い返す。なぜ、俺に好意を寄せてくるのは肉食系ばかりなのか。

俺とリンの漫才を気にした風もなくミコトは酷く悲しそうな表情になっている。

 「あぁ、やっぱりそうだったのですね……わかりました。それでは私が召喚士さんの母になりましょう」

 「お前は何を言っているんだ」

 「まぁ、お前だなんて他人行儀ではなく、母と呼んでください」

 「いえ、結構です」

俺の言葉に瞼に大量の涙を浮かべるミコト。

 「まぁ……まぁ、まぁ!! やはり母の愛を知らないから恥ずかしいのですね。もう大丈夫です。母の愛を母が教えてあげます」

 「おい、リン。なんか人の話を効かないバーサーカーがいるんだけど」

 「人の話を効かないなんて珍しくもないでしょ」

リンの言葉にぐうの音も出ない。確かに我がヴァイス・ブレイブにはヘクトルとエリウッドを筆頭に話を効かない連中ばかりだ。

 「さぁ、召喚士、母のことを母と呼んでみてください」

 「いや、呼べないから。それやると一部のif組が言質とったって言ってif世界に強制連行されそうだから」

主にアクアとカミラ姉さん。連行されたら俺を巡って暗夜と白夜の戦争になるかもしれないが、多分カムイ’sのところに行ったら解決する。

俺の発言をご都合的に解釈したのかミコトは笑顔になる。

 「まぁ、召喚士が私達の世界に来るなんて素晴らしいじゃないですか。その時は母も腕によりをかけて料理を作ってあげます」

 「話を聞いて」

こっちの話はガン無視で自分の都合の良いように解釈するのはなんなんだ。

 「そういえばリンさんと召喚士はどのようにして出会ったのですか? 二人の愛し合う姿を見れば運命的な出会いだったのでしょうけど」

ミコトの言葉に俺と机にやってきたリンは顔を見合わせる。

 「まず俺が行き倒れていたところをリンが拾ってくれたな」

 「まぁ」

 「目が覚めてリンに笑顔でお礼を言ったら思いっきり腹パンされたな」

 「え……!?」

ミコトの表情が慈愛に満ちたものから驚愕の表情になる。

 「待ちなさい召喚士、それだけだと私が好きな相手に暴力を振るう系ヒロイン扱いされるわ」

 「間違ってなくない?」

 「大いに間違っているわ。あの時腹パンしたのは貴方の笑顔が胡散臭かったからよ」

 「それだったらそのあとの顔面膝蹴りはいらなくない?」

 「だって隙だらけで蹲るのよ? 反射的に動くでしょ、体が」

 「これだから世紀末遊牧民族サカの民は嫌なんだ」

とりあえず殴って解決思考がサカの民の悪いところ。

 「まぁ、そのおかげでリンの前では素でいられるようになって、他の面々の前でも素を出せるようになったんだけどな」

 「……あれ? 間接的に三馬鹿が馬鹿になったのは私のせいだった?」

リンが超今更なことを言っているが俺はスルー。突っ込んだら俺が不幸になる。

 「それはそれで母は不安です。召喚士……いえ、息子がきちんとした家庭を築けるか……」

 「お義母さん、私に任せてください」

 「リン、さりげなく何を言っている」

 「まぁ……!! リンさんはそこまで息子を想ってくれているのですね。母は嬉しいです!!」

 「ミコトもその謎の息子推しをやめるんだ!!」

俺の言葉に慈愛の笑顔を浮かべるミコト。

 「ふふふ、恥ずかしがる必要なぞありませんよ? たとえ血は繋がっていなくても息子は母の息子です」

 「こっちの話を一切聞かないなぁ!! このバーサーカー!!」

 「話は聞かせてもらいました! ミコトさんはおばあちゃんになる!!」

天井裏からエントリーしてきた俺の養子・インバース。これはさらに場が混沌とする予感。

 「お父様のお母様がミコトさんになった場合、このインバースちゃんにとっては祖母!! つまりおばあちゃんってことになるんです!!」

 「「な、なんだってぇぇぇ!!!」」

とりあえずノリで驚くふりをする俺とリン。しかし、おばあちゃん扱いされてもミコトは笑顔を崩さない。

 「ふふふ、すでにカン男にカン子、それにシグレもいますからね。孫が増えるのはいいことです」

 「おばあちゃ〜ん、インバースちゃん奥義の螺旋が欲しいですわ」

 「まぁ、仕方ありませんね。それじゃあヴァイス・ブレイブにいるガルー族に頼んできましょうか」

 「待って!! まだフランネルのレベル40会話回収してないから!!」

え? 回収していたらいいのかって? それは時と場合によりけりだな。

 「ふふふ、さぁ、息子。母を母と呼んでみてください」

 「だからあんたは母じゃないし」

 「恥ずかしがる必要なぞないのですよ。実の母と思って甘えてください」

 「いや、そもそもの問題があってな」

俺はそう言ってお茶を一口飲んでから口を開く。

 「俺、親がいたことないから甘え方とか知らない」

俺の言葉にリンとインバースは顔を背け、ミコトが絶望の表情になった。

 「まぁ、ままままままぁぁ!! わかりました!! 息子がそこまで拗らせているのでしたら母も一肌脱ぎましょう!!」

 「いや、放っておいてくれるのが一番助かるんだが」

 「具体的には一緒にお風呂に入りましょう!!」

 「物理的に脱いでるじゃねぇか!! そして発想がどこまでもif出身者だな……うぉ!? 力強!? やめろぉ!! 俺を女風呂に連れて行こうとするんじゃなぁい!!」

目つきが変わったミコトに強制連行されそうになったが、最終的に母と呼ぶことで落ち着いたのだった。

 




ミコト
CV大原さやかの母性愛の化身。その母性愛は召喚士の母親(強制的に)なるほど。今後は召喚士の保護者役を自認するが、基本的に全肯定する駄目親。

召喚士の両親いない設定
実は割と初期から決めてあった隠し設定

師匠と飲兵衛姉弟子
召喚士は烈火軍師という多くの方が忘れているであろう設定。ちなみに烈火世界では召喚士の師匠は有名な軍師だった模様。そして召喚士はその師匠の下で育った。つまり召喚士の外道と鬼畜の大半の元凶。ちなみに飲兵衛姉弟子はメイメイさん。



そんな感じでミコトマッマのお話でした。CV的に欲しかったのですが、実装された時はオーブが足りずに召喚できず、星4落ちするだろうと思っていたらしない。仕方ないので伝承英雄召喚の時に召喚しました。

なんか母キャラが全面に出されていたので押しかけお母さんになっていただきました。その過程で召喚士の隠し設定が出てきましたが気にしないでください。今後生かされるかわからないので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とプリシラ

鬼畜クソ軍師!(挨拶)


今回は烈火の愛重い筆頭であるこの娘の出番です。


さて、俺はいつもヘクトルやエリウッドと馬鹿をやったりリンにしばかれたりしているが、これでもヴァイス・ブレイブの事実上のトップとして仕事が山のようにある。俺と同類であるルフ男とルフ子を巻き込んで山のようになっている仕事を片付けるのも召喚士の仕事である。当然のように外に出したらまずい資料もあるので普段は専用の執務室で仕事をするようにしている。

そこで仕事をしていたら困った表情をした秘書・イシュタルがやってきた。十中八九面倒事なのでスルーしたいところだが、これで重大な問題だったら目を当てられないので大人しく報告を聞くことにする。

 「何かあったか?」

 「はい、今、食堂の方から来た苦情なんですが……」

 「食堂だったら管轄は治安維持部隊の方だ。リンに持っていけ」

俺の言葉に益々困った表情になるイシュタル。

 「それがリンさんが召喚士さんに持っていけ、と」

リンが俺に仕事をふるのは大体面倒事である。できれば拒否したいところだが、残念ながら拒否権は存在していない。

 「やれやれ、何があった?」

 「食堂で奇行をしている英雄をどうにかして欲しいと」

イシュタルの言葉に俺は書類の山脈が出来上がっている机から立ち上がる。

 「やれやれ。ただでさえ仕事が多いんだからこれ以上増やさないで欲しいんだがな。インバース、すまんが少し空けるぞ」

 「了解ですわ〜」

俺の言葉に一緒になって書類の山と格闘していたインバースから了承の返答が飛んできたのを確認してからイシュタルと一緒に執務室を出たのであった。

 

 

 

食堂に入ると目当ての英雄はすぐに見つかった。なにせその英雄を中心に巨大な円が出来上がっている。その光景は『どうにかしたいけど近寄りたくない』というのを地で行っていた。その英雄を見ていた一般人達は俺が来たことがわかると『早くなんとかしてください』と目で訴えてきた。仕方ないので俺はその英雄に近づく。

その英雄は赤毛の髪に羽の髪飾りをつけた美少女。口の中でモソモソ言ってる。

見た目は深窓の令嬢のようなお嬢様。何か食ってる。

割と初期の頃に活躍したせいで英雄値はそこまで溜まっていない英雄。ナニカを噛み締めている表情は至福の一言。だが仮にも人前でやることではない、やめろ。飲み込むな。

俺の傍に立っている秘書・イシュタルの表情は思いっきり引きつっている。まぁ気持ちはわからないでもない。俺も何も知らない相手だったら精神病院に叩き込んでいる。

さて、そろそろ突っ込むか。

 「なに食ってんだ、お前」

 「レイモンドお兄様のウ=ス異本です」

 「なんだいつも通りのプリシラじゃないか」

 「待ってください。小冊子を食べている時点でだいぶおかしいです」

 「え?」

 「え?」

 「……えぇ」

別にプリシラがレイヴァンの肖像画とかウ=ス異本を食べるとか割と普通のはずなんだが、イシュタルは軽くドン引きしていた。

 「しかし、あれだな」

 「なんですか召喚士さん。ついに私の愛を受け入れてくれるかレイモンドお兄様と一緒に出撃させてくれる気になりましたか?」

 「お前を星5で召喚してしまったのは俺最大の失態だな」

 「なんですかそれ!!」

俺の言葉に怒った表情になるプリシラ。星4でレベル40まで育てた直後に星5が来て複雑な気分になったのも遠い昔のようだ。騎馬杖でリバース持ちなのはいいが軒並み低いステータスのせいで全く出撃する機会がなくなっているからなぁ。

 「もうほんと召喚士さんのデリカシーのなさには呆れるを通り越して愛おしさまで感じるレベルですけどレイモンドお兄様が未だに星4レベル1なのは納得できていませんからねいえお兄様が弱くて私がお兄様を助けるとか全然オッケーというがむしろばっちこいなわけですけどなぜかお兄様はあの女顔を頼りにするという私的に納得できない案件なわけです私の純粋な気持ちはお兄様と召喚士さんの子供をマタニティして産みたいだけなのにお兄様は全力で拒否なされるし召喚士さんはパオラさんガードとリンさんバリアーが仕事をしていて私がマタニティできる機会が全くないことが問題なんですよそれだったらせめてレイモンドお兄様と一緒に出撃したいのに召喚士さんが『育成に必要なのは回転数』とか言って修練の塔にお呼びがかかるのは経験値UPのスキルを持つ人か再行動要員の人ばかり時間ができたからレイモンドお兄様と一緒にいようとしてもレイモンドお兄様は逃げてばっかりですし召喚士さんはお仕事やエリウッドさん達とバカをやっているせいで一緒にいられませんしあぁ私はレイモンドお兄様と一緒にいたり召喚士さんのお役に立ちたいだけなのにねぇ召喚士さんレイモンドお兄様と一緒に出撃させてください私やっぱりレイモンドお兄様と召喚士さんのお役に立てるのが一番嬉しいですからねぇお願いしますレイモンドお兄様と一緒に出撃させてくださいなんでもしますから」

 「却下」

 「酷い!!」

ヨヨヨと泣き崩れるのを俺は冷めた目で見つめる。だが倒れこみながらもレイヴァンのウ=ス異本の咀嚼をやめないあたり本気でへこたれる様子ではない。烈火時代に深窓の令嬢だったプリシラもレイヴァンとの再会やエリウッドやヘクトルの悪影響を受けてこんなのになってしまった。時の流れとは残酷だ。

 「ほれ。ここでそんな奇行していたら目立つから自室に戻ってやれ」

 「嫌です」

 「は?」

 「レイモンドお兄様と一緒の部屋じゃなきゃ嫌です」

 「いやお前な」

そこでギュルンと俺を視線で射抜くプリシラ。

 「レイモンドお兄様か召喚士さんが私を孕ませろこの野郎」

 「ウルセェこの馬鹿」

もうめんどくさくなったので秘書・イシュタルに治安維持部隊牢獄にプリシラを叩き込ませる俺だった。




プリシラ
ようやく出せた我がヴァイス・ブレイブの愛が重い筆頭。実兄と召喚士の子供を産みたいと考える危険人物。でもレイヴァンに対する愛の重さは割と原作通りだと思うんですけど、烈火をやったみなさんはどう思います?
ちなみに実兄を巡る一番のライバルはルセア。

秘書・イシュタル
なんか秘書って響きがいいよね……という作者の欲望により我がヴァイス・ブレイブ良識派のイシュタルが召喚士の秘書に。ちなみにルフ男とルフ子にはオルエンとラインハルトが秘書として働いている。

プリシラの怪文書
怪文書かけるかなぁと不安になっていたらあっという間に500文字超えて作者もビビった。



そんな感じでプリシラ回でした。プリシラに限って言えばキャラ崩壊ではなくキャラの拡大解釈な気もします。

ツイッターでは投げていましたけど我らが女神・パオラ様を星5の10凸が完了しました。次はスキルをイジイジしなきゃ。

そして会話回収のために大天使の息子達もレベル40に。しかし安心してください! 出撃はさせていませんよ!!(結晶使用でレベル40に)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死の女王ヘルの受難

なんかストーリーで偉そうだったので、正しいヘル様を書かなきゃいけない使命感に襲われたので更新です。



え? 向こうのほうが正しい姿? ちょっとなに言ってるかわかりませんね


 「死の呪いからは逃げられぬ」

死の女王・ヘルは(すでに手遅れなのは否めないが)ボスの雰囲気を出しながら死の国にやってきたアスク王国王子・アルフォンスに近づく。

 (いや、前回はむこうのホームグラウンドでやったのが原因だから。私のホームゲームだったらヘルちゃん勝利ヴィクトリーは確定的に明らか)

そんな雰囲気にそぐわない思考をしながらアルフォンスに近づくヘル。

しかし、その歩みはピタリと止まる。

それはアルフォンスの表情を見たからだ。

アルフォンスの表情は喜びを浮かべていた。今までの苦労から解放される表情をしていた。具体的に言うと社畜が会社に辞表を出した直後の表情を浮かべていた。

 「……死ぬの怖くないの?」

 「怖いなんて飛んでもない!! これで胃痛と胃薬地獄から解放されると考えるだけで……ハハ、さぁ、ヘル!! 今なら父上もいない!! 邪魔する者もいない!! 僕はここにいるぞ!! さぁ、僕を殺してみせろぉぉ!!!」

 「ちょっとぉぉぉぉ!! おかしい!? おかしいでしょ!! いや、百歩譲って死ぬの怖くないのはいいよ!? あの鬼畜クソ外道と同類と考えれば済むからさ!? でも原因が胃痛と胃薬地獄からの解放って駄目でしょ!! 主人公的に考えて!!」

ヘルは思わず叫んでいた。いや、これで理由が「呪いは九日後に死ぬ。それなら九日間の間に貴様を倒せば済む(キリッ)」だったらボス的にオッケーだが、理由が酷かった。アルフォンスくんをこんな苦労人間に誰がした。

 「ちょっとそこの赤毛隊長!! あの鬼畜クソ外道はどうした!! あいつにSEKKYOUしなくちゃいけなくなったんだけど!!」

ヘルはアルフォンスに同行していたヴァイス・ブレイブの(名目上の)隊長に話しかける。

 「あぁ、あの鬼畜クソ外道だったら途中のヘルがエイルちゃんに拷問していたところで楽しそうに拷問器具を物色していたわよ」

 「オォォォォォォ!!! しまったァァァァァァ!!! 片付けるのを忘れてたァァァァァァ!!!!」

アンナの言葉に前衛的芸術のような態勢になるヘル。娘のエイルもいないと言うことは道具の解説に強制的に残されているのだろう。あの器具をあの鬼畜クソ外道が使う? 考えただけで背筋が凍る。間違いなく使い道が自分だからだ。肝心のリーヴとスラシルは負けたフリして速攻でトンズラした。汚い、流石建国者汚い。

 「あんたたちはあの鬼畜クソ外道を自由にしていることに良心は痛まないのか!!」

 「良心は痛むわよ? でもねぇ……ほら、シャロン、言ってやんなさい」

 「はい!! 召喚士さんを私達は勝手に召喚してしまったんで強く言えないんです!!」

 「笑顔!! めっちゃ笑顔!! 王女がこんな能天気で大丈夫なのアスク王国!!」

ヘルの悲痛な訴えはムスペル王国組とニフル王国組はそっと視線を逸らした。ムスペルとニフルも事実上三軍師によって間接統治されているために強く言えないのだ。しかも自分達が治めていた時より良い方向に進んでしまっているためになおさらである。特にスルト、レーギャルン、ロキ、フリーズ、フィヨルムの表情は複雑だ(レーヴァテイン、ユルグはよくわかっていない。スリーズ? 語る必要もあるまい)。

 「く!! こうなったら仕方ない!! ここは死の王国!! 私のデスパワーは1000%発揮できるホームゲーム!! ここを鬼畜クソ外道の墓場にしてこの世界の平和を取り戻してやる!!」

そう言って普段は封印しているデスパワーを放出するヘル。その姿は某野菜人に似ている。

 「そんな面倒なことしなくても僕に死の呪いをかけるだけでいいんだ!!」

 「少年!! 君は疲れているんだ!! 私がその疲れの元凶を取り除くから、それからまた同じやりとりをしよう!! そしたらきっと正しい選択肢を選ぶはずだ!!」

アルフォンスの訴えを却下するヘル。あの鬼畜クソ外道には天罰を下さねばならない。奴を倒してこの世界に安定と秩序を取り戻すのだ。

 『あ』

そしてアスク王国連合軍から思わず溢れてしまった声が揃って出る。それにヘルは不思議に首をかしげる。恐怖されるならわかる。このモードの時は溢れ出る死のオーラに生物だったら恐怖を抱くからだ。だが、連合軍から溢れたのはやっちまった的なつぶやきだ。

そして全員が後ろ後ろというジェスチャーをしている。

それに倣ってヘルは後ろを向き、そしてそれをみた瞬間に凍った。

そこにいたのは銀髪オッドアイの美少女。超スーパー迷惑竜イドゥンだった。イドゥンはめっちゃ笑顔だった。異性だけでなく同性でも見惚れるような笑顔だった。でもヘルはちょっとちびった。恐怖しか感じなかったからだ。

 「貴様がヘルだな? よし死ね」

静かな言葉と共に繰り出された拳によってヘルの上半身が汚ねぇ花火になった。だがヘルは溜めていたデスパワーを使って超再生する。

 「ちょっとぉぉぉぉぉ!!! この迷惑竜がいるとか聞いてませんよ!? これは駄目な奴でしょ!! リトルリーグの試合に大リーガーが参戦するようなものですよ!!」

ヘルの必死の叫びも虚しくアスク王国連合軍は逃亡を開始していた。誰しも巻き添えを食らって死にたくないのだ。それがヘルの絶望を助長した。

 「おぉぉ……なるほど召喚士さんのいう通り超回復を持っているのですね。いいでしょう。これは私に課せられた試練……不死身の存在を殺せという試練なのですね……ふふふ、フハハハハ!! いいでしょう!! このイドゥンを本気にさせましたね!!!」

 「ちょっとぉぉぉぉ!! この超迷惑竜連れて帰って!! いくら私が不死身でも」

ヘルは言葉の途中でイドゥンの一撃を受けて再び弾け飛ぶ。しかしすぐに回復する。

 「もうやめて!! 私のライフポイントはもう0よ!!」

 「フハハハハ!! やはり死にませんか!! いいでしょう、私も少し本気を出すとしましょう!!」

 「うっそやだ!! こっちの話を全く聞か」

再び言葉の途中でザクロになるヘル。しかし何度でも蘇る。ヘルだって学習する。回復直後に即座に離脱!! 空に逃げれば逃亡が可能なのだ!! なにせ相手は重騎だ。1マスしか移動できない!!

が、無駄!! ヘルはイドゥンが投げた小石によって再び消し飛ぶ。

 「ちょっとぉぉぉぉ!!!! このバグどうにかして……あ」

叫んでいる途中で容赦のない一撃がヘルを襲う!!

 「ふふふ、フハハハハ!! これでも死にませんか!! いいですよ!! 試練はこうでなくてはいけませんとも!!」

 「ちょっとぉぉぉぉぉ!!!! こっちの話を」

ノリノリのイドゥン様は当然のように話をきくわけもなくヘルを殴って消し飛ばす。

しかし……!! 期待をすれば希望は来るのである……!!

 「ヘル〜!! 拷問しようぜ!! 対象お前な!!」

鬼畜クソ外道が絶望(拷問道具)を持ってきたことでヘルは逃亡一択で必死になって逃げ回るのであった。

 




ヘル
死の女王。原作でなんか偉そうだけどこの作品ではこんな扱いである。

アルフォンスくん
この作品一番の被害者。死んで楽になろうと思ったのに楽になれなかった。アルフォンス君は泣いていい。

イドゥン
語る必要もない超迷惑竜。試練を与えるだけでなく、自分が試練に挑戦するのも大好きな求道者。



なんか原作でヘル様が偉そうだったので正しいヘル様を書かなきゃいけない使命感に襲われた。そして死んで楽になりたいと考える社畜の末期症状のアルフォンスくん。頑張れ。超頑張れ!!

ツイッターの方で『リンちゃん大好きなベルカちゃんを書いて(超意訳)』なお題をいただきましたが、すいません無理です。というか原作違うキャラ同士でどうやって狂愛を書いていいかわからりません。

ちなみにツイッターの方では作者のプロフィール欄にお題箱のURLを貼っているのでそちらにどうぞ。確認するのを忘れるんでこちらのアンケートに投げていただくのが確実ですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

飛空城の休日

飛空城の休日ネタです。

短文ですのでご注意


 「わかっているなヘクトル、エリウッド」

俺の言葉に普段からは想像できないような真剣な表情で頷くバカ二人。

 「いいな。ここの風呂はカムイ’sの強い要望を受けて混浴だ。しかし、下心満載で行ってしまえば俺たちの楽園は確実にリンによって消滅させられてしまう。だからこそ女性がいてもがっつくんじゃない。あくまで『あ、貴女もお風呂だったんですか、奇遇ですね。よかったら一緒に入りませんか?』的な雰囲気を出すんだぞ」

 「「わかっている」」

俺の言葉にマジ表情で頷くバカ二人。この姿を二人の子供達に見せてやりたいところだが、リリーナは既にヘクトルのこういうところを呆れており、ロイはエリウッドに洗脳されているから無意味だろう。なんとも遊び甲斐のない連中である。

 「よし、それでは行くぞ我らがエルドラドへ!!」

 「「おう!!」」

俺たち三人は腰にタオルを巻いて楽園への扉(男子更衣室の温泉の入り口)を力強く開く。

 「「「おぉ!!!!」」」

そして見えるのは三人がお風呂に入っているシルエット。湯気で姿は確認できないが、俺達以外に男子更衣室に服がなかったから間違いなく女性。

とりあえず俺とエリウッドはヘクトルを殴ることで気分を落ち着ける。慌てるな、まだ慌てるような時間じゃない。

俺とヘクトルとエリウッドは表面上はなんでもないように湯船に近づく。さぁ誰だ!! イシュタルとかオルエンとかだったら俺たちのテンションが上がるぞ!!

 「あ、やっぱり来ましたね」

そう声をかけてきたのはオスティア侯爵夫人フロリーナ。

 「貴方達は本当に学習しないわね」

湯船に腰掛けながら呆れたように声をかけてくるフェレ侯爵夫人ウルスラ。

 「それで? 何か弁明は?」

既に裁判モードに入っている鬼嫁リン。

 「「「なんだぁ……」」」

 「待ちなさい。仮にも女の裸を見といてその反応はどうなの?」

リンの言葉に俺たちはやれやれと首を振る。

 「いいか、リン。俺達は烈火時代から数えてどれだけの覗きをしてきたと思っているんだ」

 「その通りだぜ。正直言うとお前らのは見飽きているんだよ。あ、召喚士にエリウッド。こいつらだったらタオル必要ないだろ」

 「全く、こっちは新鮮さとスリルを楽しんでいるのに、こんな拷問確定の組み合わせなんてつまらないじゃないか」

とりあえずヘクトルの言う通りなので俺とエリウッドは巻いていたタオルをとってします。三人の視線が絶対零度を通り越して氷点下になっているが、そんな視線に慣れている俺たちがその程度で動じるわけがないので、さっさと風呂に入る。

 「インバース、お酒となんかツマミを持ってきてくれぇ!!」

 『了解ですわぁ!!』

俺の言葉に番頭として入り口に座っていたインバースから了承の答えが返ってくる。

 「お酒呑む気なの?」

 「俺は呑まねぇよ。だけどこのメンツで呑まない選択肢は存在しねぇだろ」

 「否定できないわねぇ」

俺の言葉に遠い目をしながら呟くウルスラであった。

 

この後、当然のように宴会になった俺達によってお風呂では飲酒禁止令がお風呂を管理しているカムイファミリーから出るのであった。

 




飛空城のお風呂
カムイ’sの強い要望によって飛空城に作られた建物。『混浴』である。大事なことなのでもう一回書いておくが『混浴』である



そんな感じで飛空城の休日ネタでした。作者は飛空城の休日キャラをこの話のメンツにしているんですが、当然のように混浴している面々を見てこの話を思いつきました。烈火キャラはすっかり汚れ担当になってしまって……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カムイファミリーwith召喚士のピクニック

鬼畜クソ軍師!!

今回はピクニックフローラが引けたのでピクニック編です。

ジョーカーの扱いが雑なのは仕様ですので諦めてください


ピクニックである。開始早々に何を言っているかわからないかもしれないが、朝一で俺の部屋にやってきたミコトが堂々と俺に告げてきた。

 『母と一緒にピクニックに行きましょう』

当然のように断る俺。しかしバーサーカーミコトはこちらの話を聞くわけないので俺はカムイファミリーのピクニックに連行されることとなった。

先頭で歌を歌いながら手を繋いで歩いているミコトとカン男とカン子。それを微笑ましい笑顔で見ているカム男とカム子。クソでかい荷物を平然と背負って歩いているフローラ。

そしてそれぞれ巨大な樽を10個ずつ背負って死にそうな表情を浮かべながら歩いているフェリシアとジョーカー。

いや、フェリシアとジョーカーは何があった。いや、二人がカムイ’sの実母であるミコトを聖母の如く敬っているのは知っているし、周知の事実であるが何をやらかした。

 「どうかなさいましたか、召喚士様」

すると俺の隣にやってきたフローラが俺に話しかけてくる。

 「もしや喉をお乾きですか? それでしたらこちらを」

俺は差し出されたお茶を一口飲んでから口を開く。

 「あいつら何をやったの?」

 「二人の喧嘩でカムイ様達にご迷惑がかかりましたのでその罰を……本来ならばここに連れてこないという罰が一番なんですが、連れていかなった場合、召喚室に籠城すると言われまして。召喚士様のご迷惑になりますから羽……失礼しました。私の一存で罰を加えようとしましたが、あのボンクラ共もヴァイス・ブレイブの戦力。ひいては召喚士様の戦力のためにそれをすることもできず、あのように甘い罰になってしまったことは申し訳ありません」

ピクニック用の服装に身を包み、クソ重たそうな荷物を平然と背負いながら俺の問いに理路整然と答えるフローラ。あの巨大な樽10個を背負って歩くのが軽い罰かぁ……うん、確かに我がヴァイス・ブレイブにおいては甘すぎる罰だな。

 「さぁ、息子。目的地に着きましたよ」

 「兄さん! こっちです!!」

 「お兄ちゃん早く来てください!!」

ミコトが俺のことを息子と呼び始めたらカム男は『兄さん』と、カム子は『お兄ちゃん』と俺のことを呼び始めた。その際に白夜と暗夜の長兄’sと一悶着あったことは流しておこう。

 「「伯父さん!!」」

 「へいへい」

カン男とカン子にも呼ばれて俺は歩いていく。そしてフローラが素早く準備したレジャーシートに全員で座る。

 「さぁ、今回の料理は母とフローラで作ったものですよ。お腹いっぱい食べてください」

 『いただきま〜す!!』

ミコトの言葉に元気よく食事を始めるカムイファミリー。それぞれの子供の面倒を見ながらの食事はなかなか微笑ましいものがある。

しかし、カムイファミリーの見えないところでは樽の重みに耐えられなくなったフェリシアとジョーカーが押しつぶされていた。

 「ね、姉さん……し、死にそうですぅ……」

 「フ、フローラ……水を……」

ジョーカーの言葉に笑顔でカムイファミリーwithミコトに給餌しながら、見えないところでセーフリムニルを投擲して樽に穴を開けてフェリシアとジョーカーを水の中に突っ込んでいる。

フローラのフェリシアとジョーカーに対する扱いが雑を通り越して殺意を感じる。

仕方ないのでサンドイッチ(ミコト作)を食べながら俺はフェリシアとジョーカーに近づく。

 「お〜い、生きているかぁ?」

 「私はもう死にそうですぅ……」

フェリシアからは返答があったが、ジョーカーからはない。あ、よく見たらセーフリムニルがジョーカーに刺さっている。

 「ふむ、そうなるとカム子作のサンドイッチは俺が食べるか」

 「「ころしてでも うばい とる!!」」

速攻で復活した二人は奪い合おうようにカム子作のサンドイッチを貪り食っている。やっといてなんだが酷い絵面だ。

 「ふぅ、やれやれ。聖母・ミコト様が鬼畜クソ外道の召喚士を息子に迎えるとか言った時は必死になって止めようと思ったが、カムイ様お手製のサンドイッチが食べられるなら鬼畜クソ外道も役に立つ」

言葉の途中でジョーカーの額にセーフリムニルが突き刺さる。

そこにいたのは顔は笑っているが目が笑っていないフローラがいた。

 「ジョーカー。何度言ったら貴方のその少ない脳みそは理解するのかしら。召喚士様は聖母・ミコト様の養子になられたのだから、必然的にカムイ様達のお兄様。すなわち仕える対象になったのよ? 貴方は未だにそれが理解できないのかしら? 馬鹿なの? 死ぬの?」

 「フローラ、そのままやっていたらジョーカー死ぬぞ」

 「これは失礼いたしました。召喚士様」

俺の言葉に力強く足蹴にしていたジョーカーから足を話すフローラ。原作のジョーカーに惚れている設定はどうやらなかったようだ。

 「でもでも姉さん。私達はあくまでカムイ様達に仕えていましたから、突然仕える対象が増えても困るだけですよぉ」

フェリシアの言葉にやれやれとばかりに首を振るフローラ。

 「いいよく聞きなさい愚妹。聖母・ミコト様によって召喚士様はカムイ様達のお兄様になられました。そしてもし私が召喚士様と結婚した場合は私はカムイ様達の義の姉になります。必然的に私の実妹である貴方の立場はどうなるかしら……?」

 「……私がカムイ様達のお姉さんか妹になれる!?」

 「その通りよ」

 「お前らは何を言っているんだ」

突然、訳のわからない理論を展開したフローラと、それが名案とばかりに顔を輝かせるフェリシア。こいつらのカムイファミリーに対する忠誠心の高さはなんなんだ。

 「召喚士さん!! ぜひとも姉さんをもらってください!! かなり面倒な性格で鬼みたいですけど尽くすタイプですよ!!」

 「落ち着きなさい、フェリシア。本命から攻めてもダメよ。まずすべきなのは召喚士様の養母となられた聖母・ミコト様に好印象を与えることです」

 「なるほど!! それじゃあ敏腕メイドフェリシアの腕前を見せますよぉ!!」

そしてノリノリでカムイファミリーに走っていくフェリシア。そして俺に一礼してから優雅に立ち去るフローラ。残されたのは口を挟む余裕もなかった俺と、死んでいるジョーカー。

 「ジョーカー。今度ヘクトルとかエリウッドとかと呑む時来るか?」

 「……ああ。参加させてもらう」

ちょっとだけこのピクニックでジョーカーとの距離が縮まったのだった。

 




フローラ
カムイファミリー家臣筆頭(恐怖的な意味で)。虎視眈々と召喚士の嫁の座を狙う。ピクニックフローラは引けたんですけど攻撃↑HP↓個体で攻撃力58、HP40って強すぎませんか?

フェリシア&ジョーカー
フローラの下で今日も強制労働。報酬はカムイファミリーと会話できる権利である。

ミコト
カムイファミリー家臣団にとっての聖母。

カムイファミリー
SATUBATUとした我がヴァイス・ブレイブで数少ないノンビリファミリー。今日も(フェリシアとジョーカーの犠牲の上に)平和に過ごしている。



そんな感じでピクニックフローラを引けたのでカムイファミリーwith召喚士ピクニック編でした。ついでにツイッターに来ていた『カムイファミリー家臣団はミコトマッマのことどう思ってるん?(意訳)』のお題も消化していくスタイル。

ピクニックフローラが強すぎてドン引きですわ。近距離反撃が欲しいけど予備のロリコンがいないんですよねぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とスー

我がヴァイス・ブレイブに世紀末遊牧民族の超新星が来たので彼女の出番です


多分口調が間違っているけど許してください


俺がリンとバカ二人と一緒に部屋でウダウダしていると、世紀末遊牧民サカの民出身のスーが部屋にやってきた。リン曰く他人の気がしないと言っていたのは小説版封印のことだろうか。

 「それでどうかしたか?」

 「アンナ隊長から英雄の召喚は召喚士殿が管理されていると聞いた」

そんなヴァイス・ブレイブでは当然のことを今更確認してくる意味がわからないが。

 「確かに俺とエクラが英雄を召喚しているという点では管理しているかもしれないが、それがどうかしたか?」

 「それだったら召喚士に聞きたい。なぜじじが英雄として召喚されてない?」

 「それは任○堂に言ってくれ」

パントとオズインの実装はよ。

 「スーちゃんのじじか……誰だっけ?」

 「確かダヤンとか言ったか。実装されるか怪しいところだよな」

エリウッドとヘクトルがのんびりと会話をする。それに口を挟んだのがリンであった。

 「あら。普通の封印だったら実装されるか怪しいけど、私達の世界のダヤンだったらチャンスあるわよ」

リンの言葉に俺たち三人は首を傾げる。

 「あぁ、召喚士殿達にはじじのことはダンセキカイと言った方が伝わるだろうか」

 「「「ダンセキカイだと!?」」」

リンに噂は聞いていた世紀末遊牧民族サカの民を象徴する人物じゃないか。

 「召喚士、ダンセキカイはやばい。すごいやばい」

 「エリウッドの言う通りだ。ダンセキカイだけはやばい。絶対に召喚しちゃいけないやつだ」

 「そうか。人の嫌がることはやっちゃいけないよな。だが、俺はお前達が嫌がることだったら喜んでやる」

 「「きさまぁぁぁ!!!!」」

俺の煽りにぶちギレるバカ二人。だが、いつも通りの殴り合いはリンによって熱々のお茶をかけられて床を悶絶することによって阻止された。

 「リ、リン殿。これは大丈夫なのか?」

 「大丈夫よ。いつものことだから」

 「「「あつぅぅぅい!!!」」」

とりあえず一通りの流れも済んだので大人しく席につく。

 「それで? 何が問題なんだ?」

 「うん、召喚士もリンからダンセキカイがエレブ大陸で大反乱を起こしたのは聞いているよね」

 「聞いている。どこぞの腹黒と脳筋が連合組んで無様に敗北したことも知ってる」

 「はは、言われているよヘクトル」

 「お前のことだろエリウッド」

お互いに自分の非を認めようとしない醜い二人。

 「まぁいいや、問題はそこじゃないんだ。僕達もエレブ大陸大連合軍を組んでサカの民に決戦を挑んだ」

 「数は俺たちが圧倒的有利。そしてこっちにはパントもいた」

エリウッドとヘクトルの言葉に強い違和感を感じる。

 「ちょっと待て。俺はリンからその戦いはエレブ大陸大連合軍が負けたと聞いたぞ」

俺の言葉にバカ二人は力強く頷く。

 「「大敗した」」

 「嘘だろ!? あの天才クソイケメンのパントがいて負けたのか!!」

あのパントが負けるとかイドゥンが平和主義に目覚めるくらいありえないことだぞ。

 「じじは最強だからな」

むっふ〜、と言う擬音がつきそうなスーの発言は無視して話を進める。

 「いや、割と僕らもドン引きなんだけど普通じゃないんだよね、サカの民」

 「そこにダンセキカイとかいう頭のおかしいレベルの戦争の天才が合わさって無敵状態だったな」

 「軽くどころか思いっきりドン引きなんだが」

 「おっと、私がいるところでサカの民の悪口は控えなさい」

とりあえずリンにトリプル土下座をしてから話を進める。

 「普通に戦略レベルの勝利が戦術的敗北でひっくり返されるんだよ」

 「どんだけ勝利条件整えておいても戦場の勝利で全てをひっくり返すのがダンセキカイだ」

 「なんと言う軍師泣かせ」

それってよくある『もうあいつ一人でいいじゃないかな』状態ではなかろうか。

 「そこで僕達は暗殺と言う手段でダンセキカイに死んでいただいて、サカの民を平原に押し込んで、僕とヘクトルで長城を建設して封印と言う手段しかなかったんだよ」

 「ダヤンは良くも悪くもサカの民のトップだったからね。その後継者争いでサカの民もエレブ大陸に出ていけなかったのよ」

大陸を大混乱に陥れた後の後継者争い。サカの民は血が大好きですね。

 「最後は暗殺されたが、じじは紛れもなく英雄と呼ばれるべき人。だからここに召喚されていると思ったけど……」

 「やめてくれ。戦闘狂の爆弾は修羅組とイドゥンだけでいいんだ」

これ以上俺に負担をかけるのはやめてくれ。え? 負担がかかっているのはアルフォンスくんの胃だって? ちょっと何を言っているかわかりませんね。

 「しかし、そんなことがあってよくスーはロイに協力する気になったな」

 「む、召喚士殿は失礼ですね。サカの民は助けられた恩は返す。当然のことです」

 「むしろサカの民を監禁すると言う暴挙に出たワグナーの勇気を僕は称賛するね」

 「だよな。下手したらまたサカの民と全面戦争になるところだったぞ」

常にギリギリの歴史を歩むのがエレブ大陸の歴史と言うことか。

 「そう言うことだから召喚士殿にはぜひじじを召喚してほしい」

 「今の会話の流れで召喚できると思うか?」

召喚したら今度はヴァイス・ブレイブで内乱が起きかねない。俺の言葉に信じられないと言った表情を浮かべるスー。

 「信じられないぞ!! なぜじじを召喚しない!?」

 「実装されてないから無理だし。召喚するとしてもこっちの言うことを聞かせる用意ができてからだな」

 「それだったら大丈夫だ。じじは昔から私には甘いからな。私のお願いは聞いてくれる」

 「「それダンセキカイの大反乱の時に聞きたかったわ」」

バカ二人の超珍しい死んだ目が印象的なある日の出来事だった。

 




スー
ダヤンに憧れる世紀末遊牧民族サカの民。じじ大好き。じじ憧れ。将来の夢はじじのようにエレブ大陸を征服すること。

ダヤン
ちょいちょい名前だけ出てきていたエレブ大陸を大混乱に陥れたダンセキカイ。割とネタだけは決まっていましたが、スーが召喚されていなかったので出す機会がなかった。



そんな感じで今回の伝承英雄で遠距離反撃欲しさに緑をぶん回した結果、スーが我がヴァイス・ブレイブにやってきたのでスー回(の名前を借りたダヤン回)でした。ちなみに遠距離反撃の技マシンは5人くらい来たのでイドゥンとスルトにスキル継承に使って残りはストックしてあります。我らが女神・パオラ様に継承させようかと思ったけど、全知全能の神たるパオラ様には遠距離反撃なんてチンケなスキルなぞ不要という結論に至りました。

深い意味はないですけど、スーがきたことによって我がヴァイス・ブレイブのロイの嫁候補の星5レベル40がリリーナとセシリアとソフィーヤとスーの四人になったんですよね。いえ、深い意味はありませんよ? ロイくんがみんなから言い寄られてホクホク顔のエリウッドとウルスラさん。困るロイを見て愉悦する召喚士。娘をやらないとばかりにロイに襲いかかるヘクトルを書きたくなりましたけど、それだけですから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とレオン

感想で『レオン熟女』なんて単語をだすから……


俺の部屋にはとある英雄がやってきている。女性の服装に長い髪のウィッグ。見た目は妙齢の美女そのもの。そんな人物が優雅に紅茶を飲んでいる。

しかし、その実態は暗夜国の王子であるレオンである。

 「な、なぁ、レオン」

 「なんだい?」

優雅に微笑みながら俺に問いかけてくるレオン。その姿は淑女そのものだ。しかし中身は男である。だから俺は確認しなければならない。

 「その格好はどうした?」

思い出せば俺が最後に見た時は普通の格好だったはずだ。いや、ピクニック姿を普通にしてしまっていいのかはわからんが、バニーやメイド服に比べたらはるかに普通だったはずだ。

だが、気がついたらこの姿である。

レオン(女装)はやれやれといった雰囲気を出しながら紅茶を置く。

 「召喚士は僕が好きでこの格好をしていると思っているのかい?」

 「違うのか?」

 「否定はしない」

 「アウトじゃねぇか……」

やっぱり好きでその格好なんじゃないか。

 「とりあえず召喚士、この格好の説明をさせて欲しい」

 「聞こうか」

俺はお代わりの紅茶をフローラに入れてもらいながらレオンの説明を待つ。

 「一昨日のことだった。僕は洗濯物を出した。そして昨日になって僕は朝着替えようと思った時に気づいてしまった。間違って着替えも含めて洗濯物に出してしまったと」

 「バカじゃねぇか」

 「うっかりと言って欲しいね」

いや、バカそのものだと思う。

 「僕も王族の人間だ。寝巻きのまま歩き回る訳にはいかない」

そこまで言ってレオンが力強く俺を見る

 「そこで気がついたのがフェリシアが間違って僕の部屋に持ってきたカムイ姉さんの服だった」

 「なぜその発想になる」

俺の言葉にやれやれと感じで首を振るレオン。

 「いいかい、召喚士。そこにカムイ姉さんの服があるんだよ? そして僕には着る洋服がない」

そこまで言ってからレオンはいい笑顔を浮かべる。

 「そしたら着るだろう。普通に考えて」

 「いや、その発想はおかしい」

どうしてifの王族はこうもどこかおかしいんだ。

 「どこがおかしいんだい? その証拠にカムイ姉さんとカムイ兄さんは『とってもよくお似合いです!!』と言ってウィッグまでジョーカーに用意させてくれたんだよ?」

 「あの純粋竜’sは何を考えているんだ」

仮にも自分の弟に女装を薦めるとか頭がおかしいんじゃなかろうか。

 「まぁ、そんなわけで僕はこの格好でいることに決めたのだ」

 「マークスやカミラ姉さんは何も言わないのか?」

 「二人ともカムイ兄さんとカムイ姉さんに褒められた僕を羨んでいたよ」

 「カムイ大好きクラブはもう駄目かもわからんね」

白夜王族組もカムイ’sに関しては完全にイエスマンの集団だし、if世界もどうなっているんだ。

 「レオン、とりあえず確認なんだが」

 「なんだい?」

優雅に紅茶を啜りながら俺に答えてくるレオン。俺としてもこれは最重要で確認しておかなければならない。

 「お前はホモか?」

 「ホモと聞いて!!!!!」

 「フローラ」

 「承知しました」

ホモの話題になった途端に部屋に飛び込んできた白夜の末姫はパーフェクトメイドによって即座に部屋から締め出された。

ホモの話題になれば奴がカットインしてくるのは予想ができていたために俺とレオンも普通に会話を続ける。

 「勘違いしないで欲しい。僕は女性の格好をしているが、性癖はあくまでノーマルだ。白夜の某王子と違って幼女にしか欲情しない変態でもない」

そこで一度言葉を切ってから力強い瞳で俺を見つめてくるレオン。

 「僕はあくまで女性の格好をするのが好きなだけなんだ」

 「その性癖も充分に捻じ曲がっているからな? 理解しろよ?」

 「やれやれ……いつだってマイノリティは迫害されるものか……」

 「いや、迫害はしないけどな。むしろ女装癖で迫害したら他の変態共をどうすればいいんだ」

ロリコンは当然としてオールラウンダーオタクラスボスにロリショタ好き。さらにはストーカーまでいるのが我がヴァイス・ブレイブだぞ。今更女装程度でどうこう言う輩もいない。

俺の言葉にどこか安心したような表情になるレオン。

 「あぁ、それなら良かったよ。ちょっと治安維持部隊に捕まらないか不安だったんだ」

 「女装癖以上に問題のある英雄しかいないから大丈夫だろ」

俺の言葉に心底安堵した表情になるレオン。しかし、すぐに真剣な表情になる。

 「それはそれとして召喚士に相談なんだけど」

 「なんだ? もうこの際だから最後まで聞いてやるよ」

俺の言葉に真剣な表情を続けたままレオンは口を開く。

 「胸パットはどれくらい入れればいいと思う?」

 「お前は何を言っているんだ」

 「僕も最初は大きい方がいいかと思ってカミラ姉さんくらいの大きさにしたかったんだけど、自然な巨乳にできなくてね。そこでカムイ姉さんくらいならどうかと思ったんだけど、胸パットを詰めている時に気づいたんだけど、カムイ姉さんも意外と大きいんだ。そこで白夜の第一王女くらいだったらどうかと思ったんだけど、それだともの悲しい。召喚士はどれくらいがいいと思う?」

 「心の底からどうでもいい。それに、だ。レオン」

俺はレオンに言い聞かせるように口を開く。

 「いいか、大きかろうと小さかろうと女性についているのがおっぱいだ。お前が作ろうとしているのはあくまで偽物。そこにロマンはない」

 「異議あり。たとえ女装した男の偽乳だとしても、見た目が完全に女性であるならばそこに夢は生まれるはずだ」

そこから始まるおっぱい論争。途中でやってきたヘクトルとエリウッド。そしてどこからか聞きつけてやってきたギムレーも巻き込んでの大論争はリンによる粛清によって終わるのであった。

 




レオン
女装癖に目覚めた暗夜の王子。息子の女装癖は父親からの遺伝であったらしい。原作だとどうだったか忘れましたが、この作品では遺伝という線で行きます。息子が実装されるか知りませんが。

フローラ
完璧メイド。写し身人形を使ってカムイファミリーと召喚士のメイド業を同時にこなす。

白夜の末妹
ホモの話になったら湧いてくる存在



そんな感じで感想にていただいた『レオン熟女』という単語が作者の脳内シナプスの暴走によって女装癖レオンになりました。レオンファンには申し訳なかった。でも息子が女装癖あるんだから父親にもあるだろ。

さて、最近の作者のFEHですが、伝承アルムが欲しくて回していたら伝承マルスがやってきました。剣なのでとりあえず修羅道場に叩き込んできます。大丈夫!! 我らが女神に剣の技量のスキル継承させたからやばくなったら止めてくれるさ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブの日常〜エクラ(クリス)編〜

鬼畜クソ軍師!(挨拶)



今回はなんてことはない日常回です。


エクラ(クリス)ちゃんはヴァイス・ブレイブ内を歩く。普段は召喚したくないから自室に閉じこもっていたり、元いた世界で剣士をやっていたことを修羅三人組に知られてから、修羅道場で生死の境を彷徨うことが日常のエクラ(クリス)ちゃんだが、今日は完全にOFFの日であった。

それというのも先日、例によってガチレズメンヘラ女の召喚に恐怖して部屋に籠城していたところ、部屋が爆破されたことによって強制的に召喚室に連行されたのだ。

仕方なしに起動する召喚石版。浮かび上がったオーブが赤一色だったことにダイスロールをファンブルして発狂したが、即座に鎮静剤を打たれて正気に戻された。

そして赤のオーブを叩き込むと石版から煙が立ち上がり、マルス様の新装備(伝承装備)を召喚することに成功したのだ。これにエクラ(クリス)ちゃんは歓喜した。10回死んだら20回生き返ってマルスに忠誠を尽くすことを決めているエクラ(クリス)ちゃんだ。マルスが強くなるなら悪魔(召喚士)にも魂を売ることはやぶさかではない。

だから召喚士に乗せられた結果、もう一つオーブを叩き込み、今度はシーダ様が召喚された。

この時点でエクラ(クリス)ちゃん……あぁ、もう面倒だから今後はクリスね。

クリスはマルスとシーダの二人の尊さに昇天した。

そのために召喚士が呟いた「なるほど。クリスは縁召喚しかできないか。そうなると暗黒竜とかの専門担当だな。カタリナが来る時が楽しみだ」という呟きを聞き逃してしまった。

召喚された英雄は召喚した相手に好意を抱くということだが、クリスが召喚したのはマルス、シーダ、ロディのために最初から好感度がカンストしている相手のために実験結果が出なかったことを悔しがったのは研究者・カナスだけであった。

クリスはふと訓練場に目をやると、中央にイドゥンが腕を組みながら立っており、ユンヌが不敵な笑みを浮かべながらJust bring it!(かかってこい!)をしている。

訓練されたヴァイス・ブレイブの英雄や兵士達は巻き込まれないようにダッシュで逃げている。

そして始まる怪獣大決戦。イドゥンの右拳がうねりをあげて衝撃波をユンヌに飛ばすと、ユンヌは不敵な笑みを崩さずに素晴らしき指パッチンでその衝撃波を真っ二つにする。イドゥンは通じるとは思っていなかったのか、光速で距離を詰めると怒涛の拳のラッシュ!! しかし、ユンヌはそれすらも左腕だけで華麗に捌ききる。そしてイドゥンが距離を離すと幼女が出してはいけない声を出して拳を打ち出す。凄まじい轟音と衝撃波がイドゥンを襲うが、イドゥンはこれを鉄壁のガードで防ぐ。

ちなみに流れ弾でイドゥンの背後にあるヴァイス・ブレイブの堅牢な壁(バフマシマシブレード×1000でも崩れない一品)が消し飛んだが些細なことだ。きっと修繕費はルフ男の政治的圧力とルフ子の交渉術によってアスク王国の国庫から引きずり出されるのだろう。

これ以上見ていたら自分の常識も粉微塵にされるので訓練場から響き渡る轟音と警報を無視しながらクリスはその場から歩き去る。

 「……あぁ、そういえば召喚士が闇落ちチキのガチャが来るって言ってたなぁ」

怪獣対策班が訓練場に走って行くのを横目にクリスは呟く。

闇落ちチキが来るってことはバヌトゥも一緒に来るのだろうか。というか来なきゃおかしい。

そんなことを考えながらクリスは大広間の扉を開く。

そして鼻から忠誠心が飛び出した。

焦った様子で駆け寄ってくるのは花婿衣装を着たマルス。

 「クリス!! 大丈夫かい!?」

 「だ、大丈夫です、マルス様。ちょっと私の忠誠心が溢れ出ただけですので」

 「いや、致死量の鼻血だが」

忠誠心を鼻血などという愚かな言い方をしたロディにはジャーマンスープレックスをかけて黙らせる。

 「それでマルス様。その格好はどうしたんですか?」

 「あぁ、これかい。なんでもルフ子さんが女性向けの兵士募集の絵が欲しいから僕にこの格好をして欲しいって」

なるほど。三軍師の仕業だったか。自分達の仕事にマルス様を巻き込むとか万死に値するので今度あったら「ありがとうございました!!」とガツンと言ってやらねばなるまい。

 「そうなると男性向けには花嫁姿のシーダ様ですか。マルス様とお並びになったらさぞ映えるでありましょうな」

クリスの言葉にマルスは苦笑する。

 「残念ながら違うよ。なんでも男性向けは水着姿のカミラさんやチキさんとかリンダとかターナさんの絵を使うって言ってたかな」

クリスは激怒した。クリスに広告のことはわからぬ。だが、花婿姿のマルス様の隣に花嫁姿のシーダがいないことは絶対に許せなかった。

 「おぉ、揃ってるなぁ」

呑気な声をあげて入ってきた召喚士にダッシュで近づき胸ぐらを掴むクリス。

 「おう、どうしたクリス。目が闇落ちキャラみたいになってるぞ」

 「闇落ちもするでしょう。何故マルス様の花婿姿があってシーダ様の花嫁姿がないんですか!? 場合によってはダイナマイトを腹に抱えて任○堂に突貫しますよ」

 「あぁ、それなら簡単だ」

召喚士はそこまで言って神妙な顔つきになった。

 「爆死した」

 「ファッキンガチャ!!」

召喚士の言葉に力強く項垂れて力強く床を叩くクリス。やはりガチャは悪い文明だ。外国のように規制すべきである。

 「さて、それじゃあ最近は兵士の集まりが悪いからうちの英雄のイケメンと綺麗どころを使って兵士を集めるためのポスター作りを始めるぞ」

 「あれ? 召喚士。女性陣はどこに行ったんだい?」

 「別のところで撮影してる。残念ながら我がヴァイス・ブレイブには残念なイケメンはいっぱいいても、正統派なイケメンがマルスくらいしかいないからなぁ」

 「ロイくんも十分かっこいいと思うけど?」

 「ロイが絡むと親バカ二匹がうるさくなるんでな。却下された。その点マルスは安心だな。本人も良識派で面倒な家臣もエクラぐらいしかいないからな」

召喚士の言葉にゆっくりと立ち上がるクリス。

 「待ちなさい召喚士。マルス様を客寄せパンダのように使うなんて許さないわよ」

 「マルスの写真1枚3聖貨だ」

 「25ダースもらおう。さぁ、マルス様!! マルス様のお姿をこのクリスが華麗に撮らせていただきます!!」

 「うん、よろしく頼むよ」

クリスの言葉にマルスは優しく微笑むのであった。

 




エクラ
の姿をしたクリス。マルス親衛隊隊長。マルス×シーダが絶対正義。しかし忠誠心は鼻から出る。
ツイッターのお題でもらった「召喚された英雄は召喚されたクリスちゃんに好意を持つのか」という質問は、彼女が自分の世界の英雄しか呼べないということで万事解決!! なにせ原作では一緒に出撃していたら絆なんかすぐにMAXですから!!

ユンヌ
イドゥン以上の力量を持つ神様。ぅわ、ょうじょつよい。その強さは単独で世界を滅ぼすことも可能。「私はユンヌ」とか言いながら相手にブレンバスターを食らわせたりするスーパー幼女。イドゥンと手合わせはユンヌ曰く『軽い準備運動』とのこと。

ガチレズメンヘラ女
召喚のためにアップを始めたようです。




そんな感じでなんてことはない(我がヴァイス・ブレイブにおいての)日常回。本来なら燃やされているヘクトルも入れるつもりでしたが。入れる場所がなくて断念。命拾いしたな脳筋。

ユンヌに関してはFEHで弱かったので、この作品ではイドゥンも凌駕するスーパーバグになっていただきました。この作品のインフレが加速する。

そういえば明日から闇落ちガチャですけど、皆さんは誰か狙うんですかね。作者はカムイが出たらいいなぁ、の精神で引きます。それ以上に闇落ちチキが出たってことはバヌトゥの実装も近いってことだよな。それに伴ってナギ様の実装も近いって認識しておきますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と闇落ちカム子

鬼畜クソ軍師!!


今回は闇落ちカム子のお話。いつもより文章短いです


 「私、闇落ちしちゃいました!!」

 「「「……は?」」」

俺の部屋に入ってきて早々に、どう考えても闇落ちしていないような純粋に元気よく言ってくるカム子。あまりの発言に俺とバカ二人からも呆気にとられた声が出る。

 「あ〜、すまんカム子。どういう意味だ?」

 「はい!! 私、闇落ちしちゃいました!!」

俺の言葉に元気よく答えるカム子。その反応はどう考えても闇落ちしている雰囲気ではない。

我がヴァイス・ブレイブにも闇落ちしている英雄はいるが、そいつらは普通の英雄と違って別人として召喚されている。確かに今は闇落ちガチャが来ていて、無色のオーブで何故かノーマルカムイが出てきてクエスチョンマークが出てきたが……

 「あ〜、詳しく説明してもらっていいか?」

 「はい!!」

俺の言葉に元気よく返事をしてくるカム子。

 「私がいつも通りにジョーカーさんとフェリシアさんとフローラさんと一緒に修練の塔に行ったら、何故か私の体の中から『I need more power!(もっと力を!)』って声が聞こえてきて」

 「あれ? いつの間にかカム子ちゃんが悪魔狩りの人になってるよ?」

 「悪魔狩りですか?」

 「「「気にしないでいい」」」

思わず突っ込んだエリウッドの言葉に不思議そうに首を傾げてきたカム子に、俺たち三人は気にしないように言うと、カム子は不思議そうに首を傾げていたが、言葉を続ける。

 「最初はその言葉を無視して戦っていたんですけど、あまりに五月蠅くて、ついその声に流されて竜に変身したら、いつもと違うブレスになりました。具体的に言うとなんか禍々しい感じのブレスです!!」

 「フローラ」

 「映像はこちらに」

俺の言葉にいつの間にか控えていた最強メイドはパント印の映像録画魔道具を差し出してくる。

俺はそれに魔力を繋げてカム子の戦闘映像を映し出す。

 「うん、どう見ても暴乱のブレスだな」

 「まさかの闇落ちカム子ちゃんだったんだね……」

 「普通と闇落ちが分けられていないってどう言うことだよ……」

一緒になって映像を覗き込んでいたエリウッドとヘクトルも呆れるように続ける。

 「なるほどな。道理でレベル1に戻っているはずだ。見た目がノーマルと変わらなかったから分からなかったが、新装備だったからまたレベル1に戻ったわけだ」

 「でも、他の闇落ち英雄は別存在として召喚されるじゃないか。セリカちゃんとか」

 「これは仮設になるが、おそらくはカム子の『純粋パワー』が強すぎて闇落ちするべきなのに闇落ちしきれず、結果的にノーマルカム子に新装備が付与される形で召喚されたのではないかと思う」

 「……悪い、俺の頭じゃ理解が追いつかねぇ」

ヘクトルが項垂れているが、言っている俺も理解できていない

 「とりあえずレベルが33まで戻っているけど……攻撃50に速さ32て……」

夢カム子の時も思ったけど、随分とカム子のステータスが良い気がする。ノーマルはなんだったのか。

 「しかし……闇落ちって言っても、闇落ちらしさが一切ねぇな」

ヘクトルがマジマジとカム子を見ながら呟く。確かに見た目はいつも通りの純粋枠のカム子だ。

しかし、ヘクトルの言葉にカム子はどこかムッとした表情になる。

 「私だって闇落ちしたんですから、悪いことくらいできます!!」

自信満々に言い放つカム子。

だが、俺は知っている。きっとカム子から出てくる悪事はドーマと同レベルだ。

 「それじゃあカム子。お前が考える悪事ってなんだ?」

俺の言葉に胸を張るカム子。

 「夜10時まで起きてます!!」

 「おい、やばいぞ。中身小学生がいる」

 「これは凄まじいくらいの純粋さだね」

ヘクトルとエリウッドが軽く戦慄している。その気持ちは俺もわかる。俺も聞いていて驚いた。

 「あ、でもカンナはキチンと8時に寝かせますよ!! カンナは良い子に育って欲しいですから」

 「闇落ちとはなんだったのか」

カム子の言葉に思わず俺は突っ込んでしまうのだった。

 




カム子
闇落ちしたけど純粋さが全く消えなかったために別キャラとして召喚されなかった闇落ちカム子。意味がわからない? 大丈夫、作者もちょっと理解が追いついていない。
中身もノーマルの時とほとんど変わらないが、時折「I need more power」と呟くくらい。

I need more power
作者はDMCをやったことがないので深く突っ込まないでください。



そんな感じで闇落ちカム子編でした。え? 闇落ちしてない? 純粋良い子ちゃんのカム子ちゃんが闇落ちするわけないじゃないですか。

次の超英雄ガチャは花嫁ですかねぇ。いい加減花嫁ウルスラさんが来てもいいのよ、運営さん。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とソフィーヤ

鬼畜クソ軍師(挨拶)


今回は烈火から封印にかけて登場するソフィーヤの出番です。FEHで弱いほどこの作品ではバフがかかるバグ。


 「あ〜、生き返るぅ〜」

俺は飛空城に備え付けられた温泉でゆっくりと入る。最近は主にヘルのせいでアスク王国の反ヴァイス・ブレイブ勢力がうるさくて、俺とルフレ’sが死ぬほど忙しかったのだ。あやつめ、死の王の分際で政治戦を仕掛けてくるのは想定外だった。

 「まぁ、そのおかげでアスク王国内の反ヴァイス・ブレイブ勢力の大半を駆逐できたわけだしな。一概に全部悪かったとも言い難いか」

そのとき、お風呂の入り口が開く音がする。こんな早くから風呂に入りに来るのはよほどの酔狂者か訳ありだけだ。

俺が入り口を見たら背丈よりも長い紫髪を持った美少女。

 「こいつはソフィーヤの姐御じゃないですか」

 「……あぁ、小僧ですか。元気そうですね?」

俺の礼に軽く返しながら、ソフィーヤの姉御は掛け湯をして湯船に入る。

 「あぁ〜、生き返る〜」

 「ソフィーヤの姉御もお疲れですか?」

ソフィーヤの姉御が心底疲れきった声を出すのは珍しいのでつい口に出してしまう。

 「ヴァイス・ブレイブに所属する兵士の一人がクスリ(麻薬)をカタギの人間に売りやがったんですよ」

 「そいつは……お疲れ様です」

我がヴァイス・ブレイブでは麻薬は取り締まられることは少ない。戦場においては必要なものだと言う理解があるからだ。だが、それを一般人に横流しすることは固く禁じられている。

 「そのバカはどうなりましたか?」

 「今頃はニフルの湖で魚とよろしくやってるでしょうよ」

つまり沈められたと言うことだ。

これまでの会話から理解できる通り、ソフィーヤはヴァイス・ブレイブの合法だけど非合法な事柄を扱う総責任者である。それと言うのも俺と長い知り合いであり、その性格から抜擢することとなった。

抜擢された後は凄まじかった。映画にしたら全5部作映画になるであろう『仁義なき戦い』を繰り広げ、ソフィーヤ組が無事に収めることになったのだ。

 「しかし、あれですね……っと、吸っても?」

 「構いませんよ。どうぞ、火です」

 「ありがとう」

俺がつけた魔法の火で葉巻に火をつけて一服するソフィーヤの姐御。

 「あの夢想家だった純朴少年が闇落ちして鬼畜外道になったと思ったら、今度は救世主? あんたはどこに向かってるんですか」

 「昔の話はよしてくださいよ姐御。夢想家だったのも師匠のところから旅に出るまでの話ですから」

俺の言葉に煙を吐き出すソフィーヤ。

 「それですよねぇ。あんなに世間に夢を見ていた青年が、次に会った時は『世界全部を呪っています』って眼をしてたんだから驚きですよ」

 「だからよしてくださいって」

 「まぁ、それもリンのお嬢ちゃんのおかげでだいぶマシになったみたいですけど……それで? リンちゃんとはヤッたの?」

 「おっさんくさいですよ、姐御」

 「おっさんくさくもなりますよ。せっかく新しい世界に召喚されたんだから新しい人生を歩もうと思ったら、居たのはあんたですよ? しかも任された仕事も昔からやっていることの延長みたいなもんだ。もうちょっとどうにかなりません?」

俺の言葉に葉巻を吸いながら文句を言ってくるソフィーヤの姐御。

 「だけど姐御。そう言って姐御に拠点の陥落お願いしたらヤッパ一本で殴り込みかけたじゃないですか」

 「何を言ってるんですか、殴り込みの華と言えばヤッパに決まってるでしょう」

 「事務所への殴り込みじゃないんですから」

この人はヤクザ事務所への殴り込みをかけるように敵拠点に刀一本で殴り込みをかけるから困る。

 「最近はめっきりカチコミをかけてくる命知らずも減ってしまいましてねぇ。つまらん世界ですよ」

 「いえいえ、裏の世界を姐御が抑えてくれているんで、俺たち表側の人間も助かってます」

 「ですがねぇ、小僧。こっちに来た当初はそりゃ楽しかったですよ。毎日のように殴り込みをかけてかけられ……それが今やうちの組だけになってしまったよ」

 「それに関しては申し訳ないと思ってますよ。俺たちもヴァイス・ブレイブに邪魔になりそうな裏組織は片っ端から潰させてもらったんで」

俺の言葉に感慨深げな顔になる姐御。

 「思えばあの頃が楽しかったですねぇ。命をとるかとられるかの緊張感が常にありましたから。それで小僧。次の死の王国には私らみたいなのはいるんですか?」

 「おそらくは居ないかと……」

俺の言葉に舌打ちをする姐御。

 「全く。ニフルの連中はキン○マついていないような腑抜けばっかりだし、ムスペルは骨はあるけど能力がない連中。アスク王国にいたっては論外と来た。私以外でも大丈夫でしょうよ」

 「いやいや、姐御のおかげでここまで問題なくこれているんですよ。姐御以外だったら俺たちがもっと苦労することになってた」

 「ったく。これですよ。小僧達は能力があるのに怠けたがりだからなぁ。少し私の下で鍛えられますか?」

 「勘弁してくださいよ。もう油風呂は勘弁ですって……」

黒い牙にあった根性試しのことを姐御が知らないはずもなく、俺は何回はやらされて火達磨になった思い出がある。

 「一番風呂いっただきぃ!!」

そこに入ってくる脳みそが働いていないであろう声。我らが脳筋ヘクトルである。

呆れるようにヘクトルをみる姐御。

 「な〜にが、一番風呂ですか。先に入っている人物を確認してから入って来なさい」

 「ゲェ!? 姐御。す、すいやせん」

 「ふん、まぁいいでしょう。ほれ、脳筋小僧もさっさと入って来なさい」

 「ヘイ!! 失礼しやす!!」

ヤクザの下っ端が似合いすぎるヘクトル。

 「あんたも忙しいんじゃないですか?」

 「へへ、それが最近は遠距離反撃の技マシンとしてしか働いてないんですよ。飛空城も負け通しですし」

ヘクトルの言葉に姐御の視線が俺にむく。

 「飛空城もせっかく他所の組との抗争なんだから、本腰入れたらどうです?」

 「よしてくださいよ。そこまで回すには人手が足りませんて」

その後も絡んでくるソフィーヤの姐御を必死に宥めるのであった。

 




ソフィーヤ
ソフィーヤ組組長。簡単に言うと極道さん。表の世界の支配者が三軍師だったら裏の世界の首領。子供には優しいが、大人には容赦なし。『ケジメが必要ですね。とりあえず指詰めろや。できない? それじゃあ命捨てるか?』。その姿はまさしく親分。烈火組みからも一目置かれる姐御。黒い牙とは古い時代に鎬を削った仲。

ヤッパ
言うところの日本刀



そんな感じでソフィーヤ回でした。ソフィーヤが原型をとどめていない? 逆に考えるだ。このソフィーヤが正しい姿だって考えるんだ。

『表の世界を三軍師が牛耳ってるんだったら、裏世界のドンも必要だよな』と言う作者の完全な思いつきによって烈火から封印にかけて登場するソフィーヤさんがヤクザな姐御になりました。そして召喚士の隠し設定にも触れていくスタイル。召喚士の設定が小出しに出て来たゾォ。烈火リメイクされたら全部放出覚悟で烈火編書くのになぁ!! 残念ながらでないからなぁ!!

さてさて、作者の最近のFEHですが、闇落ちカム子のスキル継承に迷ってます。基本的にステータス高いけど、魔防だけが30以下なうちの闇落ちカム子。なにつけっかなぁ。
ちなみに一人いたエフィは40会話回収したので弓騎馬リンに火薙の弓を没収しました。弓騎馬リンのスキルもいじいじしないと!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天才魔道軍将襲来編

奴が……奴が来る……!!

終わりじゃぁ!! このヴァイス・ブレイブは終わりじゃぁ!!


 「勝手に召喚石版が起動している?」

 「は、はい」

俺が執務室で執務をしていると、秘書・イシュタルから奇妙な知らせが入った。

 「誰も起動していないのに何故か起動しているんだな?」

 「はい。つい先ほどに突如起動が始まり、現在も召喚するようにオーブを明滅させています」

不安そうなイシュタル。だが、俺には不安はなかった。

 「すまんがイシュタル。烈火メンバーを召喚室に集めてくれるか」

 「あの……それが皆様、召喚石版が自動起動に入ったと聞いたら『あ〜、あいつが来たか』とどこか納得したご様子で召喚室に集まっております」

流石は烈火組。手慣れている。

俺は執務室から出て召喚室に向かう。

 「敵の新手の魔術でしょうか?」

 「いや、それはない。いや、素直に味方にカウントしてもいいか怪しい人間ではあるが」

 「はい?」

イシュタルの問いに俺は召喚室に入る。そこにはバカ二人しかいなかった。

 「おう、バカ二人。他の面々は?」

 「こんなことやるのあいつしかいないからね。みんな歓迎会の準備に行ったよ」

エリウッドの言葉に頷きながら召喚石版を見ると、凄まじい魔力の奔流が召喚石版に集まっている。

 「なにこれ。ひどい魔力の奔流だな」

 「なぁ、召喚士。これどうなってんだ?」

 「おそらくはあのバカが向こうの世界から無理やりこっちの世界に扉を繋いでいるんだろうさ」

 「……そんなことできんのか?」

 「あのバカだったらできるとしか言いようがないな」

ヘクトルの問いに答えながら俺は自己主張の激しい青のオーブを石版に叩き込む。

吸い込まれるオーブ。浮かび上がる砂煙。出てこないシルエット。

 「「「あれ?」」」

まさかのスカ召喚に一瞬俺たち三人から不思議そうな声が漏れる。予想ではハイテンションにあのバカが出てくると思ったのだが。

だが、すぐにその心配は杞憂に終わる。

召喚室に鳴り響くワルキューレの騎行。飛び散る花吹雪。そして虚空から現れる豪奢なゴンドラ。乗っているのは当然のように笑顔あふれるあの男。

 「やぁやぁ、みんな。久しぶりだね。頼れるみんなの人生勝組天才イケメン魔道軍将パントさんの登場だよ」

 「なんでそんな派手な登場なんだよクソイケメン」

 「限定ガチャとか恥ずかしくないの?」

 「奥さんは配布だぞ。見習えよ」

 「はは!! 恒常ガチャに未実装組の嫉妬が醜いね!!」

そしてゴンドラから三回転半をつけて飛び降りてくるパント。

 「やや? みんなの魔力を察知していたのに、知っているのは鬼畜クソ外道軍師に腹黒親バカ、それにエロ脳筋だけじゃないか。みんなはどこだい? 特にうちの可愛い子供達なんだけど」

 「クレインくんは召喚石版が自動起動したと聞いたらパントが来ることを察知したんだろうね。医務室に胃薬をもらいに行ったよ。クラリーネちゃんはその付き添い」

 「う〜ん!! クレインもいいかげんに慣れればいいのに!! 今回は私だけじゃなくて三馬鹿は揃っているからもっと大変だぞぉ!!」

 「笑顔で言うことか。あ、イシュタル。パントが召喚されたことを知ったアンナが異界か別の国に高飛びかまそうとするはずだから、ふん縛って捕らえておいて」

 「……は!? はい!! わかりました」

パントの吹っ飛んだ登場に意識が飛んでいたイシュタルは俺の言葉に慌てた様子で飛び出して行った。

 「今の子は誰だい? あぁ、いや。言わなくてもわかる。私と軍師……あぁ、ここでは召喚士だったね。彼女はズバリ召喚士の新しい女だろう? いよ!! このスケコマシ!!」

 「ぶち殺すぞ貴様」

パントの煽りに俺が半ギレしながら胸ぐらを掴むが、パントの爽やかな笑みはなくならない。

 「はっはっは。冗談さ。彼女はあれだろう? きっと召喚士が異世界放浪している時に教師役を務めた子供なんだろう?」

 「なんでわかんの?」

 「天才だからさ!!」

キラーンと歯を光らせて満面の笑みを浮かべるパント。どうしようもなく殴りたいこの笑顔。

 「まぁ、待ちたまえ。今回、召喚士の本命は私と同時実装されているシグルーンさんだろう?」

 「召喚される奴が実装とか言うなよ」

 「細かいことはいいじゃないか!! 今なら私のちょっとした魔法の応用で星5確定ガチャだよ?」

 「なん……だと……!?」

俺はパントの言葉に召喚石版に赤のオーブを叩き込む。

吸い込まれるオーブ。舞う砂埃。浮かび上がるシルエット。

 「邪神ドーマ様の僕、セリ「すり抜けじゃねぇか!!!!!」

 「はっははぁ!! 星5確定と言ったけど、シグルーンさん確定と言った記憶はないね!!」

 「ぶち殺すぞ貴様ァァァァァ!!!!!!」

俺のブチギレにバカ二人は俺を指差して嘲笑い、パントはイケメン笑顔で盛大に煽ってくるのであった。

 




パント
「全国烈火ファンの皆、待たせたね!! そう人生勝組天才イケメン魔道軍将パントとは私のことだ? え? あとがき? 私の力を使えば乗っとるなんて容易いことさ!! まぁ、めんどくさいから私の紹介文だけだけどね!! ルイーズのことだったらあとがきに収まらないレベルで語れる……む、運営側の動きが早い。それでは今回はここまでだ。また会おう!!」



こんな感じで1フェーでパントが我がヴァイス・ブレイブに登場。ちなみにクリフとモウディとセリカ(闇落ち)、フローラ(ノーマル)もすり抜けで来ました。シグルーンさんは来てくれなくて作者は悲しい。

さて、パントが来たと言うことは我がヴァイス・ブレイブの暴走に拍車がかかる結果になります。いやぁ!! これで二次創作でお約束の女体化ネタとかショタ化ネタが書けますよ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と幼女

ヴァイス・ブレイブに現れた謎の幼女。彼女は一体何者なのか……!!


 「なんですって、召喚士が?」

治安維持部隊の執務室で仕事をしていたリンに驚愕の報告を持ってきたのはリンの親友であるフロリーナであった。

 「うん、今朝に召喚士さんの部屋にいたところをパオラさんに保護されたの。今はニニアンさんとルイーズさんが見てくれているけど」

フロリーナの言葉を聞きながらリンは執務室から出て発見された人物の待つ部屋に向かう。

 「死の王国の攻撃かな?」

 「それならもっと脅威になる人物を狙うでしょうから違うわ」

 「それなら誰かな」

フロリーナの言葉にリンは呆れたようにため息を吐く。

 「こんなことを仕出かせるのは英雄数多しと言えども奴しかいないわ」

 「あっ(察し)」

リンの言葉に何かに気づいた表情になるフロリーナ。

そしてリンとフロリーナは召喚士の部屋に入る。そこにいたのは保育士・ニニアンと美人人妻・ルイーズにお世話されている可愛らしい幼女。

幼女はリンのことを不思議そうに見上げた後に嬉しそうに笑う。

 「リンおねぇちゃん!!」

その言葉にリンの鼻から少量の愛が溢れたが、奇人に慣れている烈火メンバーはそれを気にすることはない。

リンは幼女(召喚士?)に視線を合わせて優しい笑顔を見せながら口を開く。

 「召喚士ちゃんはいくつかなぁ?」

 「しゃんしゃ〜い!!」

 「そっかぁ、3歳かぁ。自分の歳を覚えていて賢いわねぇ、召喚士ちゃんは」

 「えへへぇ〜」

リンの言葉に恥ずかしそうにハニカム召喚士(ロリ)。その瞳は純粋なまでに透き通っていた。普段の世間の醜い部分ばかりを見て育ったようなドス黒い瞳ではない。世間を何も知らない純粋無垢な瞳だ。こんな瞳の召喚士など、一番付き合いの長いリンですら見たことがない。

 「これはどう言うこと?」

 「多分、魔法の影響だと思いますけど……」

ルイーズの言葉にリンは自分の考えを確信に変える。

 「犯人を捕まえる必要があるわね」

 「ですがあの人は朝から行方をくらませてますよ?」

ニニアンの言葉にリンは自信満々に頷く。

 「ルイーズ、旦那を呼んでもらえる?」

 「え? えぇ、わかりました。パントさま〜?」

 「呼んだかいMyハニー!!」

 「犯人確保」

 「あ!? リン、それは汚いぞ!!」

テレポしてきた犯人(パント)を即座に縛り上げるリン。当然のように縛っているロープもパント印の特別製のために魔法はおろか力づくでも脱出は不可能である。

ビチビチ跳ねるパントを踏んづけながらリンは口を開く。

 「それで? 今回の騒ぎは何の真似?」

 「リン、召喚士達のように私をすぐに犯人扱いするのは良くないな。ひょっとしたら冤罪かもしれないだろう?」

 「違うのかしら?」

 「いや!! まさしく私の仕事さ!! この鬼畜クソ外道をロリらせたのは私だとも!! おっと、リン!! ソール・カティはしまおう!! 人類には対話という素晴らしい問題解決手段があるじゃないか!!」

とりあえず流れるように笑顔で自供した犯人に鉄槌を下そうとしたリンをフロリーナとルイーズが止める。

 「それで? 召喚士のロリ化はなんのためかしら?」

 「うん、まず前提条件としてこの小説はFEHを原作にした二次創作小説だ」

 「それを言ったらダメでしょうが……!!」

リンの言葉を爽やか笑顔でスルーしながら言葉を続けるパント。

 「さて、二次創作小説のお決まりと言えば主人公の女体化ネタやショタ化ネタだ。しかし、似たような話を書くのはぶっちゃけ読者から『またか……』と飽きられてしまう」

 「……それで?」

どこか引きつった笑顔を浮かべたリンの言葉に爽やか100%の笑顔で話す天災(パント)

 「そこでロリ化だよ。主人公の女体化とショタ化を同時にこなせる万全の策さ!!」

 「あんたバカでしょう」

 「おっと失礼だな!! この人生勝組天才イケメン魔道士パントさんに向かって!!」

 「魔法の実験台にしたかっただけでしょうに」

 「否定はしないさ!!」

パントの居直りぶりに流石のリンも怒りを通り越して呆れてしまう。

 「それで? 知能の方もロリってるようだけど?」

 「うん、それは想定外だったさ。これで私が新しく開発している魔法『若返り魔法』の研究の役にたつよ!!」

 「ダメだこいつ。早くなんとかしないと……」

リンだけじゃなくフロリーナとニニアンからも呆れの視線がパントに飛ぶ。ちなみにルイーズは『あらあら』と微笑んでいる。

 「待ちたまえ。このままでは私が安全性のない魔法を友人で試した外道のようになってしまう」

 「烈火時代は割とやっていたわよね?」

 「リン、過去は振り返らないものだよ」

 「リン!! 落ち着いて!!」

無言でソール・カティを振りかぶったリンを必死になって止めるフロリーナ。

 「ふ、この天才パントさんに漏れなどないさ。本当に召喚士が性格までロリったかどうかの実験もきちんとやるさ」

 「実験をやるも何も……純粋無垢な瞳を見なさいよ。この瞳をあのクソを煮詰めてビン詰したかのような瞳をした召喚士にできるの?」

 「リン、相手はあの鬼畜とクソと外道を混ぜ合わせて100年間つけておいたような性格の召喚士だよ? ロリったふりなんかおてものさ」

パントの言葉に胡散臭そうな表情を見せる女性陣(ルイーズは除く)。なんせこの会話を聞いているロリ召喚士は不思議そうに首を傾げている。どう見ても会話を理解しているようには見えない。

 「ふ、疑っているようだね。だったら証明してみせようじゃないか!!」

パントの言葉にも純粋無垢な瞳を変えることのないロリ召喚士。

 「お〜っす。なんか迷惑魔道士が召喚士に何かやらかしたみたいだな」

 「今回は何をやったんだい? いや、召喚士だけに被害が集中している時点で僕らにはメシウマでしかないんだけどさ」

 「さぁ、召喚士ちゃん。この二人は誰だい?」

 「ゴミクズと虫けら」

 「「なんだとクソ野郎」」

なんということでしょう、純粋無垢な瞳だったロリ召喚士の瞳はバカ二人の登場によっていつも通りの瞳になってしまったではないですか。まさしく匠の業。

 「ふふ、どうだい!! やっぱり召喚士は記憶までロリってなかっただろう!!」

 「……頭痛くなってきた」

パントの言葉に頭痛を抑えるリン。背後ではいつも通りの罵詈雑言の飛ばし合いをしている三馬鹿。

 「それで? なんで召喚士はロリのフリをしていたの?」

 「いや、この外見で脳みそまでロリったフリしていたらニニアンとかルイーズみたいな面倒見の良い女性陣が風呂に入れてくれる……は!?」

 「ストップ!! リン、ストップ!! 普段だったら大丈夫だけど、今は召喚士さんが幼女状態だから絵面がひどくなるよ!!」

無言でソール・カティを振りかぶったリンを先ほど以上に必死になって止めるフロリーナ。それは親友を幼児虐待者にさせないための必死さがあった。美しい友情である。

その諸悪の根源はロリのふりして「こわ〜い(棒)」と叫びながらニニアンに抱きつこうとして腕ひしぎをかけられている。

 「それで? どうやったら召喚士は元に戻るの?」

 「え? 知らないよ?」

 『……は?』

その場にいた全員(三馬鹿含む。例外としてルイーズは「あらあら」と微笑んでいる)から思わずといった声が溢れる。そんなことを気にせずにパントは爽やかに笑いながら続ける。

 「はっはっはっ!! ロリ化させる魔法を開発したのはいいんだけど、元に戻す魔法の開発をすっかり忘れていてね!! 元に戻し方はぶっちゃけわからない!!」

 「ちょ!? おま!? ふざけんなよ!! こっちは朝起きて『あぁ、パントの奴の仕業か。だったら元に戻る方法もわかってるだろ』と思ってロリ現象エンジョイ策を考えたんだぞ!!」

 「騙して悪いが私は興味ないことは研究しない主義でね!! それじゃあサラダバー!!」

 「あ!? 待てやクソ野郎!!」

いつの間にかロープから抜け出したパント爽やか笑顔だけ残してその場から逃亡。鬼畜クソ外道ロリの叫びだけが虚しく響くのであった。

 「リン……?」

 「あ、私まだ治安維持部隊の仕事あるから。フロリーナ、手伝ってくれる?」

 「うん、わかったよ」

 「私も保育園の仕事があるから失礼しますね」

 「あら、それだった私もお手伝いしますわ」

 「ニニアン!? ルイーズ!?」

 「「それじゃあこれで」」

 「貴様らは絶対に逃さない……!!」

 「「やめろぉ!! 巻き込むなぁ!!」」

三馬鹿の騒ぎを聞きながらその場からリン達は立ち去るのであった。

 

 

ちなみに数日後に召喚士はパントとカナスによって無事に元に戻った。

 




謎の幼女
召喚士がロリった姿。見た目は幼女、中身は鬼畜クソ外道!! を地でいく最悪すぎる存在。ちなみに元に戻るまでの数日間の間にヘクトルのエリウッドと共謀してヴァイス・ブレイブのロリコン達からお金を騙し取った模様。最悪である。

パント
不可能を可能にする男。大半の騒ぎの元凶を召喚士だとすると、こいつは笑顔でガソリンをぶちまけるタイプ。

ルイーズ
曲者だらけの烈火製の中で数少ない良心でありストッパー。普段は微笑みながら「あらあら」だけで済ませるが、本気で怒らせると烈火製全員が土下座して謝る事になる。




あ、タイトルに誤りがありますね。『召喚士「と」幼女』ではなく『召喚士「が」幼女』ですね。
そんな感じで早速天才イケメン魔道士がやらかしてくれました。本当は母性愛の化身であるミコトマッマも出ばらせようと思いましたが、ミコトマッマの母性愛が止まらなくなったのでリストラ。
今後もパントはこんな感じで敵味方問わずにテロっていってくれるでしょう。

ところで今回のガチャの目標であるシグルーンさんが未だにうちに来てくれないのは何かの不具合ですか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とシグルーン

鬼畜クソ軍師!!


連戦とクリアしてなかったストーリーをクリアしてオーブをかき集めた結果、神使親衛隊隊長が来たので彼女の出番です。


俺は新しく召喚したシグルーンと一緒に彼女の主君であるサナキの部屋へと向かっている。

 「サナキも『シグルーンが来たらわたしの成長を見せるのじゃ』と言って張り切って勉強していたぞ」

 「あらあら、それは大変楽しみですね」

サナキの言葉を告げるととても嬉しそうに微笑むシグルーン。しかし、サナキの教育機関がロリマムクート達によるガチスキル構成講座だったと知ったら彼女はどんな表情を見せるのだろうか。

まぁ、怒られるのは俺じゃないからいいか。

 「それじゃあ、サナキの部屋はこの部屋だ。もうニニアン保育園の時間も終わっているから多分部屋にいるだろう」

扉の前で俺がシグルーンに声をかけると、シグルーンは身嗜みを整えてから頷いてくる。

 「サナキ、いるか?」

 『うむ? その声は召喚士かの? わたしならばおるぞ。入室しても構わぬ』

サナキの言葉に俺は扉を開ける。中では美味しそうにお菓子を頬張るのじゃロリ皇帝。不思議そうに俺の方を見ていたサナキであったが、シグルーンの存在を見つけると、顔がパーっと嬉しそうになる。

そしてお菓子を机に置くとシグルーンに抱きついた。

 「シグルーン!!」

 「はい、お久しぶりです。サナキ様」

慈愛の微笑みでサナキを抱きとめるシグルーン。

 「シグルーンもここに召喚されたのじゃな!!」

 「はい。召喚士殿をおかげで」

 「わはは!! 召喚士、よくやったのじゃ!!」

 「はいはい。お褒めに預かり恐悦至極ですよ」

ロリ皇帝の言葉に適当に返す俺。だが、のじゃロリ皇帝はシグルーンの召喚がよほど嬉しかったのか、俺の反応を気にすることはない。

 「シグルーン!! わたしもシグルーンが来るまでにいっぱい勉強したのじゃ!!」

 「まぁ、それはご立派ですね」

 「そうであろう、そうであろう!! おかげで『スキル同士の兼ね合いについて』というのは理解できるようになったのじゃ!!」

サナキの言葉にシグルーンが信じられないような目を俺に向けてくるが、それはニニアン保育園の教育方針なので俺には関係ない。

 「そ、そうですか。サナキ様がご立派になられて私も誇りに思います」

 「なっはは!! 皇帝として当然なのじゃ!!」

シグルーンに褒められてさらにご満悦なのじゃロリ皇帝。

そこでのじゃロリ皇帝はシグルーンの服装に気がつく。

 「おぉ!! シグルーンのその服装は花嫁衣装じゃな!!」

 「はい、左様でございます」

 「うむうむ、優しいシグルーンにピッタリの衣装なのじゃ」

 「ありがとうございます」

突然だが、子供とは純粋な生き物である。時に残酷な言葉をストレートにぶつけてします。

 「ついにシグルーンにもそんな相手ができたのじゃな!!」

 「コフッ」

のじゃロリ皇帝の無邪気な言葉の暴力でダメージを受ける紳使親衛隊隊長。

 「うむうむ!! わたしも前々からおかしいと思っていたのじゃ!! 優しくて気立ての良いシグルーンがいつまでも独身である事に!!」

 「カッフッ」

さらに無邪気な追撃を加えるのじゃロリ皇帝。シグルーンがダメージを受けている事に気づいている様子はない。

 「それで? シグルーンの相手は誰じゃ? わたしもベグニオン皇帝としてその者に会わねばならぬからな!!」

サナキの言葉に追い詰められるシグルーン。だってそうだろう。結婚相手なんていないのだから。

サナキから見えない位置で冷や汗を流すシグルーン。すると追い詰められたシグルーンはとんでもないことを言い始めた。

 「わ、私の相手は召喚士殿です」

 「「なんじゃと!?/なんだと!?」」

 「って……うん? 何故、召喚士も一緒になって驚いておるのじゃ?」

サナキの言葉に俺の耳に口を寄せるシグルーン。

 「話を合わせてください。私にはサナキ様のこの嬉しそうな表情を崩すことはできません」

いい匂いに腕にくっつく巨乳で幸せな気分になってしまった俺は無自覚のうちに頷いていた。

おのれおっぱい!!

 「しかし、う〜む。召喚士か……まぁ、悪い奴ではあるが、悪人ではないからきっと大丈夫じゃろう!!」

サナキの言葉に俺とサナキから見えない位置でガッツポーズを決めたシグルーンに俺とサナキは気づくことはできなかった。

 「抜け駆けは許しませんよ」

 「「!?」」

そこにぬるりと現れたのは銀色の髪の乙女であるミカヤであった。驚く俺とサナキとは対照的にシグルーンは冷静であった。冷静にミカヤと睨み合っている。

 「シグルーンさん、抜け駆けはダメですよ?」

 「はて? 抜け駆けとは何のことでしょうか?」

 「当然、召喚士さんの結婚相手のことです」

静かに睨み合うシグルーンとミカヤ。俺、この雰囲気知ってる。リンが俺に言い寄ってくる肉食獣達を相手にした時の雰囲気だ。突然の親衛隊長と姉の豹変にサナキは涙目になって俺のローブに隠れている。

 「そんな脂肪の塊を使って色仕掛けとか恥ずかしくないんですか?」

 「はて? 自分の武器を使うことに恥じることなどありませんが……ミカヤは、あぁ、そうですね。使うほど大きくありませんか」

シグルーンの言葉に青筋を浮かべるミカヤ。

 「し、召喚士、召喚士!! シグルーンとミカヤはどうしたのじゃ!! 突然怖くなったのじゃ!!」

 「お互いに譲れない物があるんだろう」

それが俺ということが男として喜べばいいのか、それとも相手がいるにも関わらず言い寄られている事に悲しめばいいのか。

 「話は聞かせてもらった!!」

 「お前は来るんじゃない……パント!!」

このタイミングでどう考えても最悪の人選であるパントが現れた。この場はさらに(俺にとって)ひどくなる。

 「召喚士をかけた女性達の引けない戦い……!! その戦い、この天才魔道軍将パントが預かる!!」

 「頼むから帰ってくれ」

俺の言葉を無視するように窓から部屋に侵入してくるパント。おかしい、ここは5階のはずなのに。

 「具体的にはどうするんですか、パントさん」

ミカヤの言葉に不敵な笑みを浮かべるパント。

 「ここはサカの民形式に則って力づくさ!! 名付けて『愛しいあの人は力づくで奪え!! チキチキ!! 召喚士争奪戦!!』を開催するよ!!」

そんな最悪すぎる宣言がパントによってされるのであった。

 

 

ちなみに後日行われた俺の争奪戦は大侵攻してきた死の王国軍によって有耶無耶になった。よくやったヘル。貴様に殺す時にかける拷問を1日から23時間に減らしてやろう。

 




シグルーン
花嫁衣装でやってきた神使親衛隊隊長。花嫁姿だが、相手はいない。仕事ができすぎる、美人すぎる、優しすぎると完璧すぎて男から敬遠されて婚期を逃しつつあり焦っている。今回の召喚で召喚士に召喚されたのをいい事に召喚士と結婚しようと画策する。
タッチした時に出る『あなた』発言に作者はやられました。こんな美人で巨乳なお嫁さんが欲しかった……

サナキ
のじゃロリ皇帝。最近になってようやくロリマムクート達の会話の1割を理解できるようになってきた。

ミカヤ
銀色の髪の乙女。話の都合上召喚士LOVE製になってしまった……そして登場の仕方がヤンデレチック。ファンの方には申し訳ない。

パント
笑顔で火に油をそそぐ最悪すぎる存在。




そんな感じでシグルーン隊長話でした。花嫁姿でギリギリ20代設定とか婚期を焦るキャラにしろってことですよね!! 作者はそんなシグルーン隊長も大好きです!!

ツイッターの方でいただいた『ミカヤとサナキの会話』も回収するつもりが失敗。ミカヤが召喚士LOVE製になった事によってミカヤの取り合いをするユンヌとサザのイベントも消滅しました。申し訳ありません。

さて、アンケートの方で『このシーダ様ってどんなキャラなん?(超意訳)』をいただきました。そういえばシーダを出してなかったなぁ、と思いますので、突発的なネタが浮かばなければ次回はシーダ回の予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とナーガ

鬼畜クソ軍師!!(挨拶)


神階英雄ガチャで一人だけ星5出るまで回すベェ、と思って回したらナーガが来たので彼女の出番です


俺の部屋は色々な英雄がやってくる。バカ二人はいつものようにやってくるし、最近だとそこにパントも加わる。

そしてこいつもここに来るのは特段珍しくない。

 「ねぇ、召喚士。うわばみ重蔵強すぎない?」

 「俺も合計プレイ時間8時間超えてもまだ倒せていないから大丈夫」

オタク系ラスボスギムレーである。ギムレーはみんな大好きフロムの片腕忍者アクション死にゲーをやっている。

 「おかしいって。全然ジャスガできないんだけど」

 「慣れろ」

作者も未だに倒せていない。え? 現代編を進めればいい? なんかここまできたら倒してからでないとスッキリしないじゃん?(完全に負のスパイラル)

 「そういや今日はルフ男バージョンなんだな」

 「あぁ、さっきまで男性向けのウ=ス異本を書いていてさ。コカーンの参考にルフ男を使ってたから」

この同人作家ギムレー先生はルフ男とルフ子の二つの姿を使いこなす度し難い変態である。その日の気分で見た目を変えているが、基本的にルフ子バージョンの時が多い。

 「と言うか今日はどうした。まさかゲームをやりに来たのか?」

 「いや、まぁその通りでさ」

 「だけどPS4ならお前も持ってるだろ」

俺の言葉に顔はテレビ画面を見ながらギムレーが顔を顰める。

 「いや、最近部屋でゲームをやっているとあいつがさ……わかるでしょ?」

 「……あ〜、そう言うことか」

ギムレーの言葉に俺は最近やってきた一人の英雄を思い浮かべる。

それと同時に部屋の扉がノックされて許可する前に開かれる。

 「すいません、召喚士さん。ここにギムレーが来ていませんか?」

 「せめて返答待ってから入ってきてナーガ」

入室して来たのは見た目美女なマムクート達の長であるナーガであった。

 「ゲェ!! ナーガ!!」

ナーガを見た瞬間にギムレーは悲鳴を挙げ、ナーガは顔を顰める。

 「ギムレー。貴方はここでもピコピコをやって!! ピコピコは一日1時間だと言っているでしょう!!」

 「一日1時間しかやれなかったらゲームは積まれる一方だよ」

 「そんな事言って!! ピコピコばっかりやっていたら頭が悪くなりますよ!! そして貴方の部屋を片付けましたが、部屋にあるのはエロ本ばっかり、もうちょっと他の本も読みなさい」

 「勝手なことしてんじゃねぇぞBBA!!」

ナーガの説教とギムレーの怒鳴り声。それはまさしく思春期の子供に対する母親の説教と思春期の子供そのものである。

 「全く。ほらほら!! ピコピコの電源は切って、少しは外で体を動かしなさい!!」

 「あ、やめろBBA!! 電源を引っこ抜くんじゃない!!」

ギムレーの制止も虚しくナーガは容赦無く電源を引っこ抜いてしまう。

ここまでの会話からわかる通りナーガはオカンである。ママではなくオカンである。そのオカンぶりは全てのマムクート達に分け隔てなく降り注ぎ、ロリマムクート達はとても懐き、妙齢のマムクート達は苦笑している。

そしてそんな中で絶賛反抗期中なのが同人作家ギムレー先生である。

 「なんだよ昔から親ムーヴでマウント取りやがって!! いつか我が絶対にBBAを殺してやるからな!!」

 「はいはい、そんなことはどうでもいいですからしっかりとご飯を食べて沐浴も済ませなさい」

ギムレーの指差しながらの怒声も聞き流しながらナーガは食事の準備を始めている。

 「ナーガ、俺の分もあるのか?」

 「えぇ、当然召喚士さんの分も用意してますよ。いつもギムレーやチキ達がお世話になってますからね」

 「だから保護者面してんじゃねぇぞBBA!!」

ギムレーの怒声も何処吹く風で食事の準備をしているナーガ。

 「はい。今日は私特製の皿うどんですよ」

 「もう皿うどんっていうチョイスがオカンだよな」

ナーガが取り出した料理に思わず俺は突っ込んでしまう。だが、ナーガはそれを気にした感じはしない。すでに我がヴァイス・ブレイブではナーガ=オカンという方程式が出来上がっている。

 「そういやナーガって神様なのか? それともマムクートなのか?」

俺の言葉にナーガは少し首を傾げる。

 「そうですね……果てしなく神様寄りのマムクートでしょうか。これでも世界によっては神話世界のマムクートなので」

 「うちに来る神様ってまともなのがいないな」

思い出すのは人が良すぎる邪神と幼女の皮を被った破壊神。いや、ドーマはまともと言ったらまともなんだが。

 「そんなことより召喚士さんは細っこいですね。もっと食べないと大きくなれませんよ。ほら!! お肉を追加してあげますから!!」

 「そう言って出される料理は肉じゃが。どこまでオカン力を高めるんだ」

ナーガの行動に俺は思わずボヤく。

 「ギムレーも早く食べなさい!! 訓練の時間になってしまうでしょう!!」

 「は? 訓練とか我聞いてないけど?」

ギムレーの言葉に思い出したようにナーガは口を開く。

 「あぁ、そういえば伝え忘れていましたね。いつもいつもギムレーはピコピコをしているかエロ本を書いているかのどうちらかなので、私がアイラさん、カアラさん、アテナさんの三人に運動させるようにお願いしておいたんですよ」

 「修羅三人衆相手とかバカじゃないの!? 運動のレベルを軽く超えるから!?」

 「こら!! アイラさん達を悪く言うんじゃありません!! 安心しなさい、きちんといい運動ができるようにアイラさん達には神竜王の牙を付与しますから」

 「それ竜特攻!! ルフ男バージョンの我だと赤竜特攻は絶対にダメなやつ!!」

 「ほらほら!! 文句ばっかり言っていないで行きますよ。ご飯もしっかり食べて!! あ!? こら逃げるんじゃありません!!」

 「逃げるに決まってるだろぉぉぉ!!!!」

俺の部屋からバタバタと飛び出していくギムレーとナーガ。俺はそれを見送った後に用意された皿うどんと肉じゃがを食べる。

 「あ、うまい」

母親を知らない俺がなぜか母親の味を思い出すのであった。

 




ナーガ
みなさんご存知神竜族の王様。この作品では全てのマムクート達のオカン。母やママではなくオカンである。その面倒見の良さからロリマムクート達からは絶大な支持を受ける。最近の悩みはギムレーが反抗期なこと。
神様寄りのマムクートと言う設定はこの作品の独自設定ですのであしからず。

ギムレー
絶賛反抗期中のオタク系ポンコツラスボス。オカンが来たことによって創作活動とゲームの時間が削られているのが悩み。

片腕忍者アクション死にゲー
隻腕の狼。面白いけど一回始めると時間が吸い取られるので作者はあまりやらないようにしている。忍殺決まると超気持ちいい。




こんな感じでナーガ様は全てのマムクートのオカンになりました。オカンだからゲームの言い方もピコピコ。きっとギムレーの部屋にあったエロ本は机の上に置かれている。

作者はナーガのスキル継承に悩んでいます。スキルA欄は死線でもつけようかなぁと思ってますけど、スキルCに何をつけよう。闇落ちカム子もまだスキル継承済んでないし……

そしてパントとルイーズの支援を上げ始めました。リンちゃん以外で支援上げるの初めてだゾ。

そういえば作者は数多くのキャラを崩壊させましたけど、みなさんはお気に入りの崩壊したキャラとかいますか? いるようだったらアンケートとかツイッターのお題箱に入れてみてください。ちなみに一位になったキャラが優遇されるとかありません。ただの作者の興味本位ですので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とシーダ

鬼畜クソ軍師!!(挨拶)


今回はアンケートでいただいたシーダ回。そして扱いが酷い英雄が一人います。お気をつけください。


 「なんか食い物あるかねぇ」

 「これから昼だし、何かしらはあるだろ」

ヘクトルの言葉に俺は軽く答える。俺たち二人は現在、つまみ食いのために厨房に向かっている。オカン(ナーガ)や無理矢理母(ミコト)、自称嫁(リン)にバレたらお説教は免れないが、いざとなったら人柱(ヘクトル)を使って逃亡する所存である。

 「……なんか不穏なこと考えなかったか?」

 「むしろ俺たちが互いのことで不穏じゃないことを考えたことがあったか問題」

 「それもそうだ」

俺たち仲良し!!(時と場合による)

その時、巨大な爆発音がヴァイス・ブレイブに響き渡る。

 「なんだなんだ!! イドゥンの暴走か!? それとも修羅三人衆の手合わせがついに危険な領域に突っ込んだか!?」

 「落ち着け脳筋!! 爆発音はこの先の厨房からだ!!」

俺とヘクトルはそこからダッシュで厨房に向かう。

そして呆然とした。

綺麗に消し飛んでいる厨房。申し訳なさ程度に残っている(たぶん)料理。そして呆然と立ちすくんでいるタリスの王女・シーダ。

シーダは俺とヘクトルに気がつくと慌てた様子で弁明を始めた。

 「お願いです……信じられないと思いますけど、落ち着いて聞いてください」

シーダはそこまで言うと俺とヘクトルを真剣な眼差しで見つめてくる。

 「厨房が勝手に爆発したんです」

 「「料理ができない奴はみんなそう言うんだ」」

まさかの清純派ヒロイン食事作れない属性である。

 「おいおい、どうすんだよこれ」

 「参ったな。ルフ子の奴から予算引き出させられるかね」

 「ご、ごめんなさい!! ごめんなさい!!」

俺とヘクトルが厨房だったところに入っていくと背後から別人の気配を感じる。

 「待て待て!! シーダ様への苦情は俺に言ってくれ!!」

 「誰だお前は」

 「オグマと申しますが!?」

突如入室してきた金髪オールバックに左頬に大きな十文字傷があるがたいのいい男に俺が不審げに問いかけると、自称・オグマは驚愕した表情を見せる。

 「オグマ……オグマ……おい、脳筋、うちにそんな名前の奴いたか?」

 「いたぞ!? 俺より先に星5でいたぞ!? 確かに唯一いた星5は女神・パオラに勇者の剣を献上させられて、出てきたはしから羽にされているけど、確かに所属しているぞ!?」

ヘクトルの驚愕顔である。はて? 確かにパオラ様に勇者の剣を(強制的に)献上させた英雄はいたが、いちいちそんな木っ端英雄など覚えていられないのが本音だ。

 「はは、通りで扱いが一般兵士並みだと思った。俺だけ修羅道場に連れて行かれなくて不思議だったんだが、まさか英雄としてカウントされていなかったとは」

 「げ、元気を出してオグマ!!」

 「第一、シーダの部下は軍神・バーツのイメージが強すぎて他が霞む」

 「ゴッホォ」

 「召喚士!! それはとどめだ!!」

だが事実だ。新・紋章の時はマイユニとバーツとパオラ様でクリアしたようなものだ。

 「もういいです、シーダ様。どうか俺のことは秘伝書にでもしてください」

 「攻撃の覚醒3とかいらんわ」

 「グフゥ」

 「もうやめろ!! オグマのHPはもうゼロだ!!」

俺の死体蹴りを必死に止めてくるヘクトル。

 「なんの騒ぎだい?」

 「ま、マルス!!」

 「ホグ!?」

オグマ?を抱きかかえていたシーダはマルスの登場によって慌てて立ち上がり、オグマ?は嫌な悲鳴をあげながら倒れ伏した。

 「これは……何があったんだい? まさか敵襲かい?」

 「いや、これはシーダが料理をした結果だ」

 「バカなことを言わないで召喚士!! マルス様の絶対的伴侶たるシーダ様がそんなメシマズ属性なんか持っているわけないでしょう!!」

俺の言葉にマルス家臣筆頭のエクラ(クリス)が噛み付いてくるが、言われた本人は苦しそうに胸を押さえている。

 「へぇ、シーダの料理かい? そういえば食べたことなかったね。これかい?」

 「う、うん、そうだけど……失敗しちゃったから食べない方がいいよ」

 「そんなことないよ、美味しそうじゃないか」

そう言ってシーダの料理を食べるマルス。

そしてマルスの顔が小規模爆発した。

 「ま、マルス!? 大丈夫!?」

 「マルス様!!」

慌てた様子でマルスに駆け寄るシーダとエクラ(クリス)。そんな二人にマルスはパーフェクトスマイルを見せる。

 「ちょっとスパイシーだけど美味しいよ」

 「ま、マルス!!」

感激してマルスに抱きつくシーダ。「マルス×シーダ尊い。もうマジムリ……尊い……尊い以外の言葉がない……」と言いながら昇天しかけているエクラ(クリス)。そのエクラ(クリス)を必死になって止めようとしているロディ。

 「なぁ、ヘクトル」

 「なんだ召喚士」

俺の言葉にヘクトルは俺の方を向き、そして力強く頷く。

 『やっぱり英雄王は最高だぜ!!』

 




シーダ
まさかのメシマズ属性を付与された正統派ヒロイン。良識派だが料理をすると厨房が消し飛ぶ。原理は本人にもわかっていない。

マルス
みんな大好き英雄王。イケメン。

オグマ
誰だお前



こんな感じでシーダ回でした。シーダは言動は良識派だけど、料理に関してはテロが起こるというひどい設定。これで原作に料理上手なんて設定があったらどうしようと思って書きました。
オグマ? あぁ、そんな奴もいたね。古い話さ。奴がいた頃なんて。


さて、作者の最近のFEHですが、とりあえずリバイバルガチャでリン(ノーマル)の10凸を目指しつつ、別のキャラの10凸も目指したいところ。候補は今のところ二人。一人目は爺騎士ギュンター。二人目は我らが軍神・バーツ。どっちにすっかなぁ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

烈火通信帯

鬼畜クソ軍師!!(挨拶)


今回はいつもと趣向を変えて烈火キャラによるチャット形式。元ネタは当然境界線上のホライゾンのあれです。

多分烈火キャラは全員出ているはず……


【パントさんが皆さんを招待しました】

 

【パント】『できたかな?』

 

【カナス】『あ、いいみたいですね』

 

【召喚士】『いや、なんだよこれ。リンと飯食ってたら突然目の前にウィンドウが出てビビったんだが』

 

【リン】『迷惑魔道軍将。今度は何をやったの?』

 

【パント】『リンは相変わらず失礼だね!! なんでも私が犯人のような言い方をして!!』

 

【フロリーナ】『あの……間違ってないですよね?』

 

【パント】『間違ってないね!!』

 

【ヘクトル】『お前、フロリーナに突っ込まれるって相当だぞ』

 

【マシュー】『いや、その前にこれがなんだか説明してもらえますかい? ガイア達の盗賊仲間からスッゲェ見られてんですけど』

 

【召喚士】『盗賊仲間というパワーワード』

 

【マシュー】『ウルセェよ、キチガイ』

 

【パント】『いつも通りの漫才はスルーしてこの通信帯の説明をするよぉ!! それじゃあカナス!! よろしく!!』

 

【リン】『パントが説明じゃないのね』

 

【パント】『説明役はカナスの出番さ!!』

 

【カナス】『だからといって説明を丸投げされても困るんですがね。まぁ、説明させてもらいますけどね。さて、最近は烈火出身者が随分と増えました。そんな中僕たちだけで話をした方がいい内容も多いと思います。ですがどこかの外道軍師が無闇矢鱈に召喚するせいで僕達だけになるのも難しいです』

 

【召喚士】『流れるように罵倒された気がするんだが?』

 

【カナス】『外道は本当に駄目だなぁ』

 

【召喚士】『こ、こいつ正面から罵倒しやがったな!! こうなったらとりあえず外交的なポーズである遺憾の意を表明するぞ!!』

 

【カナス】『とりあえず外道軍師弄りはここまでにして話を続けますけど、そういった烈火出身者だけで会話する専用の通信帯をパントさんと協力して作り上げてみました』

 

【ウルスラ】『簡単に言ってるけど、かなり複雑な魔術よ。これ』

 

【ラガルト】『相変わらず自重しない魔道軍将殿だな』

 

【パント】『私の辞書に自重の二文字はない(キリッ)』

 

【エリウッド】『ちょっと待ってくれ。そうするとこれはいつでもみんなにロイのことを広められるということかい? よし、みんな聞いてくれ』

 

【エリウッドさんがルームから除外されました】

 

【エリウッドさんがルームに参加しました】

 

【カナス】『あ、ちなみにあまり文字数が多すぎると自動的にログアウトされますので』

 

【エリウッド】『もうちょっと早く言って欲しかったかな……』

 

【召喚士】【ヘクトル】『ザマァ』

 

【エリウッド】『ぶち殺すぞ貴様ら』

 

【プリシラ】『ふ、甘いですねエリウッドさん。私は文字数なんていりません。私がレイモンドお兄様に伝えたい言葉に万は不要。一言でいいんです』

 

【プリシラさんが不適当な発言をしようとしたため除外されました】

 

【プリシラさんがルームに参加しました】

 

【カナス】『ちなみにこれはうちの可愛い姪も見るので教育によくない発言をした場合も自動的にログアウトされます』

 

【マシュー】『それはそれで難しいんじゃないですかね』

 

【ヘクトル】『そうだよな。俺たちは普通に使う単語でも教育に良くない言葉なんか腐るほどあるしな』

 

【パント】『まぁ、そのあたりは初期設定を見ながら私とカナスで付け足していくよ』

 

【召喚士】『なるほどなぁ。ところでレイヴァン。お前の妹が暴走しているがどんな気分? ねぇ、どんな気分?』

 

【レイヴァン】『この流れで俺にふってくるとかどんな鬼畜の所業だ……!!』

 

【ルセア】『が、頑張ってくださいレイモンド様!!』

 

【三馬鹿】『ホモォ』

 

【レイヴァン】『貴様ら絶対に殺すからな』

 

【ニノ】『でもでも!! これでいつでもみんなとお話できるんだね!! 私嬉しい!!』

 

【全員】『何だ天使か……』

 

【ジャッファ】『って、違うそうじゃない。おい、俺の名前』

 

【全員】『何か文句でも?』

 

【ジャッファ】『……いや、こっちはもういい。どうでもいいが助けてくれ』

 

【ラガルト】『助ける? おかしなことを言うな』

 

【ロイド】『そうだぜ。俺達はただ狩りに来ているだけだろう』

 

【ジャッファ】『だったらなぜ黒い牙全員が俺に武器を向けている……!!』

 

【ライナス】『? だから狩りだからだろう?』

 

【ジャッファ】『狩りだったら俺に武器を向ける必要は……ヌヲ!? 掠った!?』

 

【黒い牙】『別に間違っちゃいない……!! これはニノについた悪い虫の狩りだからな……!!』

 

【ジャッファ】『なぁ!? ラガルトとウルスラも来ただと!?』

 

【ニノ】『あ〜!! またみんなでジャファルのこといじめているの!? メ!! だよ』

 

【全員】『尊みが逆流する……アァァァァ!!!!』

 

【ニニアン】『あ、今更なんですけど、これって他世界の方に見せても大丈夫なんですか? 今まさに保育園の子達が見せてぇ見せてぇとせがんでるんですけど』

 

【リン】『ニニアン。烈火が教育上いいと思うなら見せなさい』

 

【ニニアン】『ごめんねぇ。これは先生だけの連絡網なんです』

 

【レベッカ】『素早い手のひら返しですね』

 

【フロリーナ】『納得ですけどね』

 

【セーラ】『うん? 待ちなさい? これだったらついに私も本編デビューできるんじゃないかしら? ヤッホー!! 全国の烈火ファンの皆さんお待たせぇ!! みんなのアイドルセー』

 

【セーなんとかさんがログアウトされました】

 

【召喚士】『おい、パント。なんか混線していたぞ』

 

【パント】『天才にだってミスはあるさ!!』

 

【リン】『あくまで彼女は烈火じゃないと言い張るのね』

 

【ルイーズ】『あらあら』

 

【ドルカス】『いっそ哀れだな』

 

【カレル】『待て待て!! ジャッファに気を取られたが私も地味にやばいんだ!!』

 

【カアラ】『? やばいとは?』

 

【カレル】『今まさに妹に斬りかかられていることが普通だと言いたいのか!?』

 

【全員】『いつも通りじゃないか』

 

【カレル】『き、貴様ら……!!』

 

【召喚士】『あ、カアラ。斬るんだったらきちんと斬っておけよ。残したら大変だからな』

 

【カアラ】『おぉ……召喚士殿から許可がでるとは……ふふふ、フハハハハ!! 兄上!! お覚悟を!!』

 

【カレル】『召喚士xイィxイィ!!!!!!!!』

 

【エリウッド】『あ、文字の誤変換かな』

 

【カナス】『まだまだ改良の余地はあるかなぁ』

 

【ドルカス】『それよりこれは烈火出身者全員に繋がっているのだろう。ホークアイはどうした?』

 

【パント】『う〜ん、ホークアイにはちょっと難しかったかなぁ。魔術苦手だし。ホークアイ。やり方わかる?』

 

【ホークアイ】『(「・ω・」「ガオー」)』

 

【全員】『顔文字……だと……!!』

 




烈火通信帯
烈火世界出身者専用チャットチャンネル。パントとカナスが割とあっさり開発しているが、他世界出身者が見たら卒倒するような高度な魔術が使われている。まさしく才能の無駄遣い。




そんな感じでこの作品はどこまでいくんだってレベルの独自設定です。このチャットに参加しているのは烈火出身者だけ。バアトルは封印扱いなので除外されました。息抜きの短文会話文のはずがいつもと変わらない2500文字程度になって作者もビックリしてます。

そして前回のシーダ回ですが、感想で皆さんに総ツッコミされたようにシーダ様は料理上手設定ありました。むしろメシマズ設定はクリスちゃんの方。まぁ、この作品では逆ということでお許しください。

次回は未定です。ツイッターの方でめっちゃベルカちゃんをリクエストされているのでベルカになるかもです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スルトとレーギャルン

鬼畜クソ軍師!!(挨拶


今回は予定を変更して我らがスルト陛下とその長女のお話。

ムスペル組ですがシリアスではないのでご安心ください。


スルトは娘であるレーギャルンに「父上、少しご相談したいことが……」と呼ばれて食堂に来ていた。妹のレーヴァテインと違って昔から手のかからない娘であったレーギャルンに頼りにされてすごく嬉しかったスルトであったが、食堂でレーギャルンがやってきた服装をみて唖然としてしまった。

 「……レーギャルン、その格好はどうした?」

 「はい? あぁ、これは召喚士殿に新しい戦装束として召喚されまして。アンナ殿曰く『みずぎ』という防具らしいです。このような薄い布で果たして防具の役割を果たすのでしょうか」

 「うむ。そうだな。だが、胸を覆っているとこを引っ張るのはやめなさい」

 「? 何故でしょうか?」

この時点でスルトには大ダメージである。まさか娘に女子力どころか羞恥心があるかも怪しくなってきた。男所帯で育ったからと言ってこれではダメだろう。

とりあえずレーギャルンが引っ張った胸元をガン見していたラズワルドには後でムスペルの炎と一緒にシンモラを叩きつけることを心に固く決めるスルト。

 「して、相談とはなんだ?」

これ以上レーギャルンに会話をさせるとスルトの親心が大変なことになる気がして、スルトは早速本題に入る。

スルトの言葉にレーギャルンは真剣な表情になる。それをスルトはどこか微笑ましく思いながらお茶を飲む。

 (まぁ、レーギャルンのことだから新しい武器についてかもしれんな。魔法のことであったら少々不安は残るがパントとやらを頼るように教えてやるとしよう)

 「実は父上。私は『恋』をしてしまったようです」

 「ブッハァァっ!!」

「ち、父上!? 大丈夫ですか!?」

 「う、うむ!! 問題ないぞ!! 少し予想していた相談内容の斜め上をいかれて驚いただけだ」

吹き出したお茶を机に備え付けられている台布巾で拭き取りながら、スルトは明敏な頭脳をフル回転させる。

 (レ、レーギャルンが恋の相談だと!? あの鬼畜外道達からは『女子力死滅姉妹』と呼ばれ、私自身も死滅しているとは言わないがムスペルの国土並に荒廃していると思っていたレーギャルンが恋の相談だと!?)

 「父上?」

 「う、うむ!! なんでもないぞ!! そうか!! レーギャルンに好きな相手ができたか!!」

思わず早口になってしまうスルト。そう言いながらもスルトの頭脳は止まらない。

 (しかし、これは悪いことではないのではないか? レーヴァテインはあの通りだから後継者なぞ期待できぬ。しかし、ここでレーギャルンが結婚して世継ぎを設けてくれれば私も安心して死んでいける。いや待て、結論を急ぐなスルトよ。ひょっとしたらレーギャルンの勘違いかもしれん)

とりあえず(自分で淹れ直した)お茶を飲みながらスルトは気分を落ち着ける。

 「ふむ、レーギャルンは何故そのような結論に至ったのだ?」

スルトの問いにレーギャルンは少し顔を赤らめる。それはスルトが見てきた若い兵士達の恋する姿にそっくりであった。

 「最初はその方をみれば胸が高鳴るだけでしたのです。しかし、長くその方と一緒にいて、その人物が別の人物と話をしているとどす黒い感情が出てくるようになったのです」

 「う、うむ。そうか」

娘の恋模様を聞くのは覇王の器を持つスルトですらも少し恥ずかしいものがあった。

 「最初は何かの病かと思ったのです。しかし、体は不調どころか絶好調。そこで懇意にしているシャロン王女にこの気持ちは何かを尋ねたところ『それは間違いなく恋ですね!! 間違いないです!!』と言い切られ、恥ずかしながら自覚したところでございます」

どこか恥ずかしそうに言うレーギャルンにスルトの眼差しは優しくなる。

 「レーギャルンよ。其方は確かにムスペル王国の王女だ。其方の結婚相手にはムスペルの王族に入ることとなろう。しかし、私は一人の父親として其方の恋路を応援したいと思っている」

 「ち、父上!!」

なにせ女子力が死滅していると評判だった愛娘の恋路だ。パパは武力に訴えても叶えてやる所存である。

そこでスルトは大事なことを聞いていなかったことを思い出す。

 「そういえば其方に見初められた幸運な相手は誰なのだ?」

 「あ、申し訳ありません。それを言い忘れておりました」

 「よいよい。私も妻と初めて会った時は舞い上がったものよ。其方にとっては初恋でもある。舞い上がるのは仕方あるまい」

 「ありがとうございます。それで父上、私が恋した相手なのですが」

一度言葉を切ってから思い切った様子で口を開くレーギャルン。

 (うむうむ。恋に平常心を忘れるなど乙女そのものではないか。次の父達の宴の時には『女子力死滅乙女』と言ってくる輩に言い返せると言うものよ)

 「召喚士殿です」

 「うむ、そうか。召喚士か……召喚士?」

 「召喚士殿です」

 「……白フード?」

 「白フードです」

レーギャルンの今までの言葉は恋する乙女だと思っていたが、相手が召喚士ならば話が違ってくる。

その方を見るだけで胸が高鳴る=それはきっと怒りだ

別の人物と話をしているだけでどす黒い感情が出てくる=それは何故貴様はまだ生きているのだと言う殺意だ。決して可愛らしい恋心ではない。

結論、レーギャルンの初恋は恋なんて可愛らしいものではなく殺意であった。

そんな残酷すぎる現実を目の前の娘には言わなくてはならない。と言うか言っとかないとレーギャルンが色々可哀想すぎる。

 「いいか、レーギャルン。よく聞いてほしい」

 「はい、なんでしょうか」

背筋を伸ばしてスルトの言うことを聞こうとするレーギャルン。その素直さは彼女の美点だが、その素直さにアスク王国のスイーツ脳が合わさって最悪な結論に至っている。

 「其方のその恋であるがな」

 「お、スルトのおっさん。こんなとこにいたのか。出撃だぞ」

 「沈みなさい!!」

 「「ヘクトルバリアー!!!!」」

 「ギャァァァアァァァッァ!!!!!」

声をかけてきた三馬鹿にレーギャルンが速攻で奥義四海の祭器をぶっ放し、脳筋が外道と腹黒の盾にされて死んだ。

 「なんだなんだ!?」

 「召喚士!? 今度は何をやったんだい!?」

 「召喚士殿を前にする時に現れるこの胸の衝動……これが恋なのですね父上!!」

 「違う!! それは違うぞレーギャルン!!」

 「シャロン王女から恋心は秘めるものではなく、思うままに放つものだと聞きました!! 召喚士殿!! 私の気持ちを受け取ってください!!」

 「ヌヲ!? そう言いながら四海の祭器をぶっ放してくるってどう言うことだ!?」

必死になって逃げていく召喚士を逝っちゃった目で魔法を放ちながら追いかけるレーギャルン。

 「落ち着くのだレーギャルン!! それは恋心ではないのだァァァ!!!」

そんな長女を必死になってスルトは追いかけるのであった。

 

 

後日、スルトに自分の気持ちを正しく教えられたレーギャルンは、しばらくの間召喚士を見ると顔を赤らめて走り去ることになるのであった。

 




レーギャルン
褐色巨乳おっぱい姉さん。自分の勘違いにしばらく召喚士を直視できなくなった。

スルト
娘達の将来を不安に感じるパパ。このままでは姉妹揃って行き遅れることになるのではないかと本気で不安になっている。




そんな感じでムスペル親子のお話でした。女子力死んでる系乙女のレーギャルンちゃんの女子力強化作戦がまさかのさらなる女子力を死滅させることになろうとは……スルトパパ頑張れ。超頑張れ。

そういえば今回のお話でちょうど100話に到達しました。自分で書いていてなんですがよくここまで続いたものです。そしてみなさんのFEキャラ像が心配になってしまいます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

炎姫レーギャルン!女子力UP大作戦!!

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回は二話連続でレーギャルンちゃんがメインです。


 「女子力とやらを高めてみようと思うのだけど」

俺の部屋にやってきた女子力死滅姉妹の上の方であるレーギャルンの言葉である。

 「どうした? 頭は大丈夫か?」

 「貴方は私を何だと思っているのかしら」

いや、心配もするだろう。何せ今までは「女子力? それより鍛錬だ!!」って言って修羅三人衆まではいかないけども、それなりに女性であることを捨てていたじゃないか。

 「先日の父上に迷惑をかけたことで私も思ったのです。少しは女子力とやらを高めた方が良いのではないかと」(スルトとレーギャルンを参照)

 「ちなみにレーギャルン。女子力ってどうやったら高められるか知っているか?」

俺の言葉にものすごく難しい表情をするレーギャルン。そして頭から湯気が出るくらいに悩み始めた。

 「……力とつくのだから鍛錬とか?」

 「こいつは駄目かもわからんね」

そして帰ってきた答えはどこまでも残念だった。

 「話は聞かせてもらったよ」

 「貴様は帰れ、パント」

そしてどこからともなくテレポートしてきて俺の部屋に侵入してきたパント。当然のようにパントは俺の言葉など無視である。

 「女子力……それは乙女の嗜み。それを高めるというのだったらこのパントさんも手を貸そう」

 「お前の立場はなんなの?」

 「パント殿……ありがとうございます!!」

側から見たらイケメン100%の笑顔だが、烈火が見たらまず疑ってかかるパントの笑顔を見て素直に信用するレーギャルン。これは純粋枠ですわ。

 「それで? この残念お姉ちゃんをどうする気だ?」

俺の言葉に凹んでいるレーギャルンを無視して会話は続く。

 「女子力といえば料理……そんなわけで『チキチキ!! 彼のハートも鷲掴み!! ラブラブお料理対決!!』を実施するよ!!」

もうこの時点で嫌な予感しかしなかった。

 

 

 

大広間。ここには100近い英雄が集まっていた。中央には大量の食材と調理器具。そしてイケメンスマイル輝くこの男。

 『レディースエーンドジェントルメン!! やってまいりました『チキチキ!! 彼のハートも鷲掴み!! ラブラブお料理対決!!』を開催します!!』

パントの言葉に盛り上がるオーディエンス。

 『ちなみに審査員にはこの二人。我らがヴァイス・ブレイブの諸悪の根源たる召喚士と、召喚士に嵌められた哀れな子羊クリスちゃんです!!』

 「ねぇ、召喚士、私は完全に巻き添えよね」

 「奴がやると決めたなら諦めるのが烈火で平穏に生き残るコツだ」

 「私は世界違うんですけど……!!」

クリスの心からの叫びはスルーする。できることなら俺も回避したかった。だが、天才魔道軍将からは逃げられない。

 『さぁ!! まずはエントリーナンバー1番!! 女子力を高めたいムスペルの姫君が初・参・戦!! レーギャルンだァァァ!!!』

パントの言葉にどこかそわそわとしながら入場してくるレーギャルン。しかし、しっかりと妹の声援には答えているあたりにシスコンの血を感じる。

 『エントリーナンバー2番!! メイドなのに料理できないのは致命的? いいえ!! 戦場で強ければ問題ないのです!! フェリシアァァァ!!!』

 「やばい。あいつ俺達を殺しにかかっている」

 「そうなんですか?」

 「フェリシアの作る料理はやばい。とてもやばい」

観客席にいるジョーカーと中指の立合をしているフェリシアを見ながら俺とクリスはそう会話する。

 『エントリーナンバー3番!! 幼い顔してやるってもんじゃないの。見た目幼女!! 中身は破壊神!! ユンヌゥゥゥゥゥ!!!』

 「おう、これはどうあがいてもメシマズ属性で固めてきやがったな」

 「ユンヌさんも?」

 「いや、俺もユンヌの腕前は知らんけど、イドゥンと普段から笑顔で殴り合っている時点で期待できないだろ」

フヨフヨと浮きながら入場してくるユンヌを見ながら会話する俺とクリス。とりあえず俺はフローラに胃薬を準備してもらう。絶対に必要だからだ。

 『エントリーナンバー4番!! 作った料理は何故か爆発物!! 見た目はスパイシー!! 中身もスパイシー!! シーダァァァァ!!!!』

 「くぉらァァァァ!!! このクソイケメン!! マルス様の絶対的伴侶たるシーダ様をメシマズ属性にカテコライズするとは命いらねぇってことだなぁァァァ!!!!」

 「落ち着けクリス!!」

当然のようにメシマズ属性にシーダがカテコライズされたことが納得いかないのかクリスが半狂乱になって審査員席から立ち上がるのを俺は必死に止める。

よすんだ……奴には力で訴えても魔法で返り討ちになるだけだ……!!

 『ちなみに!! 今回はレーギャルンさんが料理初心者ということで我がヴァイス・ブレイブが誇るチョロイン・クライネさんに補助についてもらいます!!』

 「誰がチョロインよ!!」

いや、多分お前はチョロインだと思う。

 『お題は卵料理!! それでは調理スタート!!』

パントの言葉と共にホークアイが銅鑼を思いっきり叩き、調理が開始される。

他の面々が気になるところだが、やはりここは女子力を高めたい発言をしたレーギャルンをみるべきだろう。

 『ちょっと待ちなさい。弱火でじっくりって言ったでしょ。なんでそんなバカみたいに強い火力でやるの』

 『? 強火でやったら一気にできるでしょう?』

 『できないわよ!?』

クライネが……それでもクライネならなんとかしてくれる……!!

 『ちょ!? それは何?』

 『隠し味です』

 『なら隠しなさいよ!! 全く隠れてないわよ!?』

クライネなら……なんとか……

 『だから、レシピ通りにやりなさいって……!!』

 『ですがパント殿が料理は創意工夫が必要だと』

 『それはできる人間のセリフ……!! あんたはそれ以前だから……!!』

クライネがなんとか……してくれたら……いいなぁ……

 「なぁ、クリス」

 「ちょっと静かにして。今調理しているシーダ様のお隣にマルス様に立っていただく脳内コラで忙しいから」

血走った表情でシーダを見つめるクリス。ちなみにシーダの調理台では先ほどから小規模爆発が起こっている。本当に料理をしているのか。

 「……フローラ」

 「どうぞ」

 「うん、ありがとう……」

万能メイドが差し出してきたアルフォンス印の胃薬を俺は飲むのであった。

 

 

 

 

 『さぁ、お待ちかねの実食審査のお時間だ!!』

全参加者が調理を終え、パントの合図で実食タイムに入る。

 『まずは調理中に何故か小規模爆発が起こっていたシーダの料理だ!!』

そしてホークアイによって運ばれてくる料理。見た目だけならば少し焦げ付いているだけで食べられそうである。だが、調理中に発生していた小規模爆発が不穏すぎる。

 『実食!!』

パントの合図で俺とクリスは同時に口に含む。

そして口の中がスパーキングした。

いやいや、おかしい。何故食べたら口の中で爆発するんだ。比喩表現で大爆発なら聞くが、実際に小規模爆発が起きるのは論外だぞ。

 『得点は審査員がそれぞれ10点づつ!! さぁ、得点をどうぞ!!』

俺 5点

クリス 10点。

俺は半目になったクリスを見る。するとクリスは悪びれることなく言い放った。

 「贔屓ですが何か?」

 「いや、もういいや」

 『シーダ選手は15点!! これは最初から高得点です!! さぁ、続いてはフェリシア選手の料理です!!』

そして再びホークアイによって運ばれてくる料理。

見た目はヘドロであった。匂いもヘドロであった。

 「なんか逆に安心したわ」

 「見た目通りに不味そうですもんね」

 「お二人とも酷いですぅ!!」

フェシリアが文句を言ってきているが残当だと思う。当然のように俺が0点。クリスも0点であった。

 『さぁ、お次は今回のある意味大本命!! 女子力向上に目覚めたムスペルの姫君・レーギャルン選手だ!!』

そしてホークアイが運んでくる料理を見て俺とクリスは絶句した。

その料理はピンクだった。桃色なんて生易しいものじゃなくピンクだった。なんなら蛍光ピンクと言っても通用しそうなピンクだった。

目の前に置かれて気がついたが、なんか料理からうめき声みたいなのも聞こえてくる。

 「……クライネ。これ食べられるだよな……?」

 「……………………………………食材は食べられるものしか使ってないわ」

 「その間がすっごく怖いんですけど!?」

 『さぁ、実食です!!』

俺の問いにものすごく言いづらそうに答えてくれたクライネ。しかし、その返答はさらなる恐怖を与えられるものだった。そして天才クソイケメンが笑顔で退路を絶ってくる。

スプーンを持つものの、俺とクリスは料理に手をつけられない。だが、覚悟を決めたのかクリスは料理をスプーンに乗せて口元へ運ぶ。

俺の口元へ。

 「……なんの真似だ?」

 「いえ、私はここに召喚されてマルス様と再会できました。そのお礼をしてなかったなぁ、と」

 「これがお礼になると?」

 「美少女からの『はい、あ〜ん』ですよ。笑顔で受け入れなさい!!」

 「こ・と・わ・る!!」

無理矢理俺の口に料理をねじ込んでこようとするクリスに気を取られていたせいで、パントの悪事に気づかなかった。

だからこれは俺のミスなんだろう。

 「は、はい。あ〜ん」

 「レーギャルンさん!?」

まさかのレーギャルンの『はい、あ〜ん』である。殺しにきているとしか思えない。だって後ろでパントがサムズアップしている。

 「諦めさない……召喚士……!!」

 「諦めない、俺は諦めないぞ…もがぁ!?」

だが、一瞬の隙を突かれて口の中にスプーンが突っ込まれる。

そして俺の記憶はそこで途切れた。

 

 

 

 『おっとぉ!! これは審査員を一撃でKO!! レーギャルン選手、圧倒的な破壊力は料理にも健在だァァ!!』

 「いや、健在じゃ駄目でしょ」

 「し、召喚士殿は大丈夫だろうか」

 「私はユンヌ」

 「「え?」」

 「星4は配布の可能性があるからラクシュミーは諦めるんだ!! は!?」

 「ユ、ユンヌの料理を食べて……」

 「し、召喚士殿が復活した……?」

 「私はユンヌ」

 




レーギャルン
女子力死滅系乙女。今回は女子力UPのために召喚士に相談に来た。ちなみに女子力がどういうものか一切理解していない。

フェリシア&シーダ
この作品でのメシマズ担当。

クライネ
料理上手なツンデレチョロインスナイパー。なんかキャラのイメージがFGOの邪ンヌと被るんですよね

ユンヌ
料理もできる幼女型破壊神。でも会話はできない(しようとしない)




そんな感じでレーギャルンちゃんの2話連続話でした。烈火組を除いたら2話連続でメインを張るのはギムレー以来の快挙だよ!! やったね!!

そういえばFEHで大天使ニノエルとインバースの10凸を始めました。ツイッターでニノと大人チキのどっちを10凸にしようと呟いたら即座に『天使ニノでしょ』と突っ込まれました。まぁ、そうですよね。

リンちゃん(ノーマル)のリバイバルガチャまであと少し……10凸にさせる覚悟はあるか? 俺はできてる……!!

それとFEHのフレンド整理していたら空きがだいぶできたのでフレンド募集しようかと思います。
ID:9741037930
高貴な眼帯・極をつけて天空、遠距離反撃、待ち伏せ、攻撃の開放をつけたノーマルリンちゃんが出てきたら多分作者です。ちなみに作者のフレンド基準はそのキャラに愛があるか。弱くてもスキルをいっぱいつけたりして愛でていたら作者は割とフレンドになります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リンちゃん10凸チャレンジ結果

おい、リンちゃんピックアップの直後に水着リンちゃんとか聞いてないぞ……!!


 「あん? なんで召喚士の奴は不貞寝してんだ」

ヘクトルが召喚士の部屋に入って真っ先に目に入ったのはベッドの上で不貞寝を決め込んでいる召喚士の姿。その質問に答えたのは不貞寝している外道ではなく、自分の部屋のように寛いでいるエリウッドであった。

 「ほら。リン(ノーマル)10凸チャレンジしたじゃないか」

 「覚えている覚えている。それで最初に出た星5がティバーンで、召喚士が真顔でブレーンバスターを決めるのを爆笑してみてたからよ」

 「うん、その後しばらくはリンが出続けたけど、アイク(ノーマル)が出た時には無言でアンクルロックをかけていたしね」

 「それでもなんだかんだで7凸まで行っただろ? 何が不満なんだよ」

 「不満に決まっているだろうが!!」

ヘクトルの言葉に召喚士は跳ね起きてヘクトルを指差す。

 「いいか、よく聞け脳筋。ぶっちゃけリンは初期の星5のせいで使えるスキルは疾風迅雷くらいだ。しかも疾風迅雷は他に持っている英雄が増えたせいで、もし疾風迅雷ピックアップが来たとしてもリンがピックされる可能性は低い。そこですり抜けだが、これは初期の星5を運営が排出しなくなったことからできない。つまりリン(ノーマル)の10凸は事実上不可能……さらに水着リンだと!? オーブもリアル課金も残っていねぇよクソガァ!!!」

 「あ、うちの嫁も水着装備が出るんだけど」

 「俺の可愛い娘もな」

 「オーブがないって言ってるだろうがぁぁぁぁぁ!!!!」

召喚士渾身の叫びである。

 「まぁまぁ。こういう時のためにクリアしてない連戦とかあるじゃないか」

 「それ使ってまたかき集めろよ」

 「クッソォ……シグルーンさんでだいぶ使ったんだよなぁ。連戦オーブ貯金」

そこまで言って召喚士は何かを思い出したような表情になる。

 「そういや、リンに今回の戦果の連戦は絶対に走るなって言われたんだが、何かあるのか?」

召喚士の言葉にヘクトルとエリウッドはとてもイイ表情になる。

 「「何もないぞ」」

 「貴様らのその笑顔で俺に不幸が降りかかるのは理解した」

召喚士が睨みつけながら情報を喋るように無言で促すが、ヘクトルとエリウッドは笑顔でそれを黙殺する。

 「クッソォ。今回の情報はパントが完全に管理しているせいで俺まで伝わってきやしねぇ。お前らは何を企んでやがる?」

 「いやいや、人聞きが悪いね」

 「そうだぜ? 今回に関してはお前にサプライズプレゼントなだけだって」

 「それだったらリンがあそこまでマジ顔で戦果の連戦を走るなって言うわけないよな」

 「「でも走るんでしょう?」」

 「オーブが欲しいからな!!」

 




リンちゃん10凸チャレンジ
貯めていたオーブと2フェーを使って7凸が限界でした。ティバーンとアイクとロリチキがすり抜けで出なければ10凸行けたのに……腹いせにアイクはリンに剛剣をスキル継承しました。ティバーンからも何か没収するか

次回戦果の連戦
報酬の人がヴァイス・ブレイブにくるためにアップを始めました。




そんな感じでリンちゃん10凸チャレンジの結果と繋ぎ回でした。ガチでオーブとリアルマネーがなくて水着ウルスラさんはおろか水着リンちゃんすら引けない可能性がある。これは任○堂提訴案件。

察しのいい人はリンちゃんが戦果の連戦を走るなと言っている理由に気づくかもしれませんが、ツッコミはなしで。来てもらったら1話使ってお話し書きますんで。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

君の名は。

タイトルが某有名アニメ映画と被っていますが、中身は一切関係ありません


 「召喚士殿はなんていう名前なんだろう」

ある日のお茶会。ロイがふと思いついたことを呟くと、一緒にお茶会をしていたリリーナ、シャニー、スーは同時に首を傾げる。

 「確かにお父様達が召喚士さんのお名前を呼んでいるところは聞いたことがないわね」

 「それどころか、ヴァイス・ブレイブのみんなが『召喚士』って呼んでるよね。誰一人として名前で呼んでいるところは見たことがないよ」

リリーナの言葉にシャニーも続く。そしてスーが不思議そうに首を傾げた。

 「召喚士殿は『ショウカンシ』という名前じゃないのか?」

 「「「多分、それは違う」」」

どこか天然の入った発言にロイ、リリーナ、シャニーは揃って否定する。

 「それよりロイはどうして召喚士さんの名前が気になったの?」

 「いや、最近、リンさんが水着装備で召喚されたことで、SPアップ要員ってことで修練の塔に一緒に行っているんだけど、リンさんも召喚士さんのことを『召喚士』って呼んでいたから、本名を知っている人っているのかなって」

 「それもそうね。ところでロイ」

ロイの言葉にリリーナは同意しながらも視線を鋭くしてロイを見る。

 「まさか水着姿のリンさんのことを嫌らしい目で見てないでしょうね?」

 「み、見てないよ!! それどころかこっちの方が恥ずかしくなっちゃうよ!!」

顔を真っ赤にして必死に否定するロイ。その姿は漫画雑誌の水着グラビアを恥ずかしがって読み飛ばす思春期中学生のような姿だった。

 「でも一番仲が良いリンさんが名前を呼ばないんじゃ、知りようがないんじゃない?」

夫婦喧嘩は犬も食わないとばかりにシャニーはロイとリリーナのやりとりをスルーして、会話を続ける。

 「ふむ、気になるのなら知っていそうな人物に聞いてみればいいだろう」

 「「「え?」」」

 

 

 

 

 「そういうわけなんですけど父上。父上達は召喚士殿のお名前を知っていますか?」

ロイとリリーナがやってきた(シャニーは興味なし、スーは鍛錬のために抜けた)のは自他共に召喚士の悪友としてヴァイス・ブレイブに悪名を広げるエリウッドとヘクトルのところだった。

 「……お父様。昼間からお酒はお母様と一緒に禁じたはずですが?」

 「いや……これはだな。エリウッドから誘われて」

 「あ、リリーナちゃん。ヘクトルの奴は僕とお茶なんか飲めるかと言ってお酒を飲み始めたよ」

 「エリウッドぉぉぉぉぉ!!!!!」

悪友の即座の裏切りによって娘に連行される父親。しばらくするとフォルブレイズの音が鳴り始めたので折檻が開始されたのだろう。

オスティア親子の折檻風景に慣れているフェレ親子は気にせずに会話を続ける。

 「う〜ん、召喚士の名前かぁ」

 「父上でも知ってはいませんか?」

ロイの言葉にエリウッドは素敵な笑顔を浮かべて口を開く。

 「いや、欠片も興味なかったからね」

 「あの……ご友人ですよね……?」

 「時と場合によりにけり、かな」

ロイは父親と母親を尊敬おり、模範としているが、友人との付き合い方だけは真似しないように硬く誓っている。

 「……言われてみると不思議だな。僕達にとって『軍師』は『軍師』だから呼び方を気にしたことがなかった」

そして急に真剣な表情になって呟くエリウッド。そんなエリウッドを見て「やっぱり父上はすごい人だ。さっきまでふざけていたのに、すぐに切り替えができるなんて」という洗脳された発想になるロイ。ロイは早く目覚めた方がいい。

 「いや、名前だけじゃない。僕達は『軍師』のことを何も知らない。いや、『興味を持たない』ように思考誘導されていたのか……」

 「父上……?」

ロイの言葉に、ロイのことを思い出したような表情になるエリウッド。

 「うん、だったら聞きに行こう」

 「聞きに行く……ですか?」

 「そうさ。本人にね」

 

 

 

 

 「うちの可愛い息子が鬼畜クソ外道の名前を知りたがっているから教えやがれこの野郎」

 「突然部屋にやってきてなんだテメェ」

突如部屋にやってきた親バカが開口一番に喧嘩を売ってきた。なんなんだこいつは。

 「というかお前は俺が何をやってるかわからないのか?」

 「インバースちゃんにセシリアちゃん……密会?」

 「『召喚士のよくわかる戦略・戦術教室』だ馬鹿野郎」

 「ネーミングセンスないね」

 「ぶっ飛ばすぞ?」

流れるように罵倒してきたエリウッドと胸ぐらを掴みあう。エリウッドが来たことによって授業は終了だと気付いたセシリアは一礼してから部屋を出て行き、インバースは楽しそうに俺たちを見ている。オロオロしているロイくんが唯一の癒しだ。

 「そ、そういえばインバースさんは召喚士殿の名前を知っているんですか?」

とにかく話を変えようと思ったのか、ロイは俺の養子であるインバースに話かける。それにインバースは100%笑顔で告げた。

 「知りませんわ」

 「え!? お、親なのに知らないんですか!?」

 「それはそうですわ。私にとって『お父様』は『お父様』であって名前を知る必要もありませんから」

 「そ、それでも悲しくないですか?」

ロイの言葉に不思議そうに首を傾げるインバース。

 「『お父様』という形があればあえて名前を知る必要がないと思うですけど」

 「君の教育方針歪んでるよ」

 「息子に洗脳を施すお前よりかはマシだよ」

俺たちのどつき合いが激しくなった

 「でも、やっぱりお世話になっている人の名前は知っておきたいです」

 「見ろよ召喚士。こんないい子が他にいると思うかい? この子うちの子なんだぜ?」

 「きっとウルスラに似たんだな」

俺たちの怒鳴り合いがひどくなった。

 「ふぅむ。なぁ、ロイ」

 「はい!! なんでしょう!!」

俺の言葉に元気よく返事をするロイ。

 「お茶目な回答と真面目な回答。どっちがいい?」

 「……え?」

 「じゃあ両方で」

俺の奇行に慣れていないロイは一瞬フリーズし、染まっているエリウッドは即答した。

 「召喚されたサーヴァントの真名を知ったら負けるじゃないか」

 「君はいつから聖杯戦争に参加しているんだい?」

 「参加したことあるぞ」

 「マジでか……!?」

俺の爆弾発言に超驚愕顔をするエリウッド。そして聖杯戦争が何か理解していないロイ。湯のみの代わりとして使っている聖杯をアピールするインバース。ははは、インバース。その魔力タンクを乱暴に扱うんじゃないぞ。爆発するからな。

 「それじゃあ真面目な回答はなんだい?」

 「俺の仕事柄名前を知られると呪いとかをかけられる可能性がある。そのリスクを避けるためだ」

 「バカな……本当に真面目な回答だと……!?」

 「親バカ、貴様は喧嘩を売っているな?」

一旦治った胸ぐらを再度掴みあう俺たち。

 「そ、それでしたら召喚士殿の名前を知っている方はいないんですか?」

 「いや、リンと烈火世界にもう一人。そして教えた覚えはないのに知っているパントくらいだな」

 




ロイ
純粋培養に育てられたために女性への免疫が限りなく低い純情ボーイ。純情であるがゆえに召喚士の名前に興味を持ってしまった。

召喚士が参加した聖杯戦争
きっと敵は酷い目にあった

召喚士の名前に興味を持てない理由
召喚士が魔法を使っている結果

召喚士の名前を知る方法
召喚士との支援がSになるか、パントのようにバグになるかの二択。ちなみに支援Sになるのは初見でダークソウルやセキロを一度も死なずにクリアするくらいの難易度




そんな感じでロイくんが召喚士の名前に興味を持ったようです。しかし結局謎のまま。設定も小出しにしていくスタイル。

今日から第二弾水着ガチャですね。みなさんはお目当ての英雄を引けましたか? 作者は1フェーぶっ込んで水着リンちゃんを引きました。やっぱりリンちゃんは無課金では来てくれないんやな、て。水着ウルスラさんも欲しいけどオーブがない。

次回こそは戦禍の連戦回になるかと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と修羅場

この作品で修羅場展開なんて誰も望んじゃいねぇだろ!!


でも実装されたんだから仕方ないよなぁ!!


ヴァイス・ブレイブの大広間。ここの中央で俺は正座していた。隣には顔色が悪いインバース。俺の顔色も真っ青であろう。

その証拠に俺にしか見えない位置に通信帯が現れる。

【ニノ】『召喚士さん、大丈夫?』

視線だけをニノの方にずらすととても心配そうな表情をしたニノ。そして愉悦の笑顔を浮かべているバカ二人がいる。

俺はニノを安心させるように笑顔を見せてから通信帯に入力する

【召喚士】『ボスケテ』

俺の返答を見たバカ二人はこらえきれないとばかりに机をバシバシと叩き、大天使ニノエルは心配そうにオロオロとしていた。

おのれ、バカ二人め。あとで貴様らの嫁にないことないことを吹き込むからな。

 「どうかした? 召喚士」

 「いや、なんでもないぞリン!!」

東の龍。自称俺の嫁のリン。

 「私達とお話しをしているのに別の方を気にかけるのは良いこととは言えませんよ」

 「すまない、フィオーラ!!」

西の虎。自称俺の妻のフィオーラ。

うん、そうなんだすまない。まさかの修羅場なんだ。烈火時代の最終決戦直前に二人から告白された俺。当時、俺が別世界に召喚されてしまったのでなんとなくお流れになったと思っていたお話し。過去の話になったと思っていたのは俺だけだったようで、リンもフィオーラもバッチリ独身を貫き通したらしい。愛が重い。

そしてリンだけだったら割と大丈夫だったかもしれないが、今回の戦禍の連戦でまさかのフィオーラがヴァイス・ブレイブにやってきたことによって雲行きが怪しくなった。具体的に言うと俺を挟んで女性の戦いが発生した。

 「ふふ、でも軍師さん……じゃなかった。召喚士さんと再会できて私も嬉しいです」

 「ハハハ、オレモダァ」

フィオーラの100%笑顔での発言に俺の胃にダイレクトアタック。さらにリンの舌打ちで追撃効果が発生である。

リンもフィオーラは笑顔である。その笑顔は古い戦友と再会できて嬉しいと言う笑顔である。

その瞳が『深淵を覗いたとき、深淵もまた覗いているのだ』と言わんばかりの瞳の色をしていなかったら俺も素直に再会を喜べたかもしれない。

 「ええ、本当に再会できて嬉しいです。これであの時の答えが聞けますから」

フィオーラの言葉に大広間の室温が20度くらい下がった。バカ二人はニノを連れていち早く避難している。大天使を逃したことは褒めてやるが、あとで貴様らは殺す。

 「あらフィオーラ。もう答えは出てるんじゃないかしら。私はすでに召喚士の娘であるインバースから『お母様』と呼ばれているから」

リンの挑発。フィオーラの笑顔の氷点下が下がった。

 「インバース?」

 「はい、フィオーラお母様!!」

 「いい娘ですね」

フィオーラのにっこり笑顔。インバースはリンの視線を受けて恐怖のあまり失神した。

 「……何の真似?」

 「何の真似とは? 私は『娘』に母と呼ばれただけですが?」

 「貴女はインバースの母ではないでしょう」

 「それはリンさんにも言えることでは?」

二人とも笑顔でのやり取り。俺は背筋が凍る思いをしている。だから自称俺の母であるミコトよ、助けてくれ。「あらあら、息子はモテますねぇ」じゃねぇんだ。

 「貴女はイリアで教官職について新人を鍛え抜いているんでしょう? シャニーが『フィオーラ教官の旦那になる人が可哀想』と言っていたから結婚はしない方がいいんじゃないかしら」

 「シャニーには後でOHANASHIするとして、結婚に関してはリンさんも人のことを言えないのでは? 世紀末遊牧民族サカの民がマトモな妻をやれるとは思えませんが」

二人の視線の氷点下がさらに下がる。さりげなくシャニーに死亡フラグが立った気がするが、俺は自分の命を守るだけで精一杯なので自分で頑張ってもらおう。

そこから続く女性二人による静かなる戦い。リンの親友であり、フィオーラの妹であるために完全に巻き込まれたフロリーナも涙目である。

 「しょ、召喚士さん。助けてください。私は死にたくないです」

 「俺も死にたくないよ、フロリーナ」

フロリーナの小声のヘルプ宣言に俺も胃を抑えながら答える。これが異世界に高飛びかました男に対する罰ということか。重すぎる罰だぞ、神はいな『私はユンヌ』破壊神はお呼びでないのでおかえりください。

俺の思考回路に混線してきた破壊神にお帰りいただきつつ、俺の灰色の脳細胞は止まらない。そして158通りの閃きがあり、158通りの俺の死を確認した。

これは完全に詰んだ……!? この俺が……!?

 (召喚士、聞こえますか? 貴方の脳内に直接語りかけています。パントです)

 (ファミチキください……!!)

 (君、さては余裕だな?)

とりあえず脳内に直接語りかけてきたパントに脳内にネタで返すと、呆れた返答が帰ってきた。

 (まぁ、いいや。聞こえるかい、召喚士。ここは天才イケメンパントさんのいう通りにするんだ)

 (それは俺の身の安全が保障されるものか?)

 (それは君次第さ。だが、このままでは恋愛初心者マークを通り越して恋愛仮免すら取れていない君には絶対に越えられない窮地だと思うけどどうだい?)

パントの言葉にぐうの音も出ない。基本的に他人の欲望とか悪意を利用して策を立てることに特化した俺に、好意という好感情で他人をどうこうできるほど俺の人生経験値は順風満帆だったわけではない。むしろ他人の悪意を見続けている人生である。

 (いいだろう……!! 結ぶぞ!! その契約!!)

 (忘れるな、召喚術は主人を孤独にさせる)

某反逆王子の真似をしたら、律儀にネタを返してくるパントは何なのだろうか。

そして俺に助言をしてくるパント。俺はその助言の通りに口を動かす。

 「二人共聞いてくれ!!」

二人の視線が俺に集中する。勝負は今……!! 頼むぞ、パント。

 「お前が……お前たちが、俺の翼だ!! ってパントぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

あまりにも堂々とした二股宣言に俺は焦り、ふっかけたパントは笑顔でサムズアップ。あのイケメンは後で殺す。

 「「召喚士?/召喚士さん?」」

 「はい」

 「「とりあえず正座」」

 「はい」

とりあえずこの場を生き延びることができたらな!!

 




リン
召喚士の自称・嫁。まさかの恋敵実装で焦りが出る。再度の逆レも近い。

フィオーラ
召喚士の自称・妻。烈火世界では軍師が異世界に高飛びした後は故郷に戻って教官をしていた模様。封印のペガサス三姉妹は全員フィオーラの教導を受けており、シャニー曰く『泣く子も黙る鬼教官』。ヴァイス・ブレイブに来てからは時にリンと敵対し、時に協力しながら召喚士を烈火世界に連れて行く計画を立てる。

パント
脳内テレパシーも使いこなす最悪すぎる存在。

フロリーナ
完全な被害者。

烈火世界の恋のトライアングラー
召喚士は誰とキスをする



まさかのフィオーラ実装で召喚士の嫁候補が増える結果に。恋のトライアングラー設定を作った時から「最後の一人はフィオーラだよな。作者の趣味的に考えて。まぁ、実装されないから大丈夫大丈夫」と高をくくっていたらまさかの配布実装に嬉しい半分やばいという感情半分の作者です。フィオーラに倭刀が欲しいんだけどなぁ、カレルくん。

前話でモロバレでしたけど、相手がフィオーラだと予想していた人いますかね。

さて、水着ガチャの第二弾が来ているわけですが、作者は当然のように課金してリンちゃんは引きましたが、ウルスラさんが来てくれません。とりあえず一日一回ガチャで無色を回してますけど、来てくれる気配がないのはどういうことだ。すり抜けたエポニーヌはマジで許さん

ところでフィオーラは剣じゃなくて槍のイメージなんですけど運営さん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とベルカちゃん

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回はTwitterでめちゃくちゃリクエストされてるベルカちゃん回。


ベルカに『ちゃん』がついている。つまりそういうことだ


久しぶりに召喚士悩み相談室である。今日、部屋にやってきたのは二人。一人目は水着ウルスラのすり抜けで出てきやがったエポニーヌ。そしてもう一人は見た目が小学生高学年のベルカである。

 「で? 二人は悩みがあってきたそうだが」

 「えぇ、その通りよ。特に私の悩みは重たすぎて困るレベルだわ」

 「フゥン」

エポニーヌの戯言を軽く聞き流す。こいつのことだからどうせホモ関連だろう。

 「いい、召喚士!! これの答えを聞けるまでは私は夜しか眠れないわ!!」

 「それ別に良くないか?」

 「い・い・か・ら!!」

 「あ〜、はいはい。さっさと要件を言え」

俺の言葉に覚悟を決めた表情になるエポニーヌ。

 「召喚士とヘクトルとエリウッドは誰が攻陣で誰が防陣なの?」

 「フローラ」

 「かしこまりました」

俺の合図に待機していたフローラはエポニーヌを連行していく。行き先は我がヴァイス・ブレイブの地獄と名高いアイラ修羅道場だ。ちょっとそこで根性直してもらってこい。ついでに性癖も。

 「それで? ベルカはなんだ?」

 「え、えぇ……」

一瞬だけ戸惑った様子のベルカであったが、そこはこのヴァイス・ブレイブでも古参に位置する人物である。すぐに自分の相談に戻る。

 「私は暗殺者なのだけれど……」

 「そうだな」

 「……それだけ?」

 「? どういう意味だ?」

ベルカの質問の意味を俺が考えていると、何故かベルカがヒートアップする。

 「私は顔見知りでも容赦なく殺せる女よ」

 「烈火は味方でも容赦なく殺す人物ばかりだが?」

 「違うの!! 私が言いたいのは貴方達の特殊な人間関係ではなくて!!」

言いたいことの意味がわからん。別に顔見知りを殺せる程度で騒ぐ必要もないだろう。

 「違うでしょ……暗殺者と聞いたらもう少しマイナスイメージを持つとか……!!」

 「俺達の世界には自分の命を狙っていた暗殺者と結婚した奴もいるが?」

某腹黒親バカ侯爵である。

 「だから貴方達の特殊な人間関係ではなくて……もっと、こう……世間一般的な……!!」

 「このヴァイス・ブレイブに限って言うなら、ベルカみたいにいちいち暗殺者だということを気にする奴の方が少数派だと思うが?」

 「それも……そうなんだけど……!!」

どこか納得がいっていない雰囲気のベルカ。

 「それになぁ。お子様ランチに旗が刺さっていたら喜ぶ奴を見て警戒しろっていう方が無理があるだろ?」

 「!? べ、別に喜んでいないけど!?」

 「あ〜、はいはい。そうですね」

嘘である。完全に喜んでいる。だって食事に旗が刺さっていたら表情がパァっと明るくなって、刺さっていなかったらシュンとした雰囲気を出すのだ。

どう考えてもお子様である。

 「それで? 具体的にベルカはどうしたいんだ?」

 「もうちょっと暗殺者として恐れられたい」

ベルカに言われて改めてベルカをみる。見た目は完全に小学生高学年。ご飯に旗が刺さっていたら喜んで、刺さっていなかったらシュンとする(ヴァイス・ブレイブ周知の事実)

 「何かいい考えある?」

 「諦めろ」

 「早くない!?」

いや、完全に諦めた方がいいレベルだろ。難易度的にはギムレーをヲタ卒させるくらい難しいぞ。

 「あ〜、それだったら恐れられている人を参考にしてみるとかか」

 「恐れられる……」

真剣な表情で考えこむベルカ。その姿は算数の計算を悩む小学生に似ていた。

 「……イドゥンとか?」

 『ふふふ、ふはははははははは!!!! 流石はユンヌです!! 今日こそ貴女という神を殺してみせましょう!!』

 『私はユンヌ』

 「あれに混ざる勇気があるなら止めないが?」

 「ごめんなさい」

素直に頭を下げるベルカ。素直に頭を下げられるのは偉いな。外で怪獣大決戦をやっている迷惑竜と破壊神は無視する。そろそろアルフォンスの胃にまた穴が空くかもしれないが、この世界の平和のためだ。諦めてもらおう。

 「それだったら修羅三人衆とか?」

 「あれもなかなか人を辞めているからな?」

あの連中は最近魔法を斬るようになってきているからな。どこに向かっているんだ。

 「そ、それじゃあリンとフィオーラ」

 「やめろ……!! 思い出させるな……!!」

逆レをかまして来ようとするリンと、笑顔で外堀を完全に埋め始めているフィオーラ。まだだ……まだこの世界から高飛びをかませれば俺の自由は続くんだ……!!

俺の言葉にしょんぼりとするベルカ。まぁ、仕方がない。我がヴァイス・ブレイブにおいて強さを手に入れた人間は、代わりに何か大切な物を失っているのだ。

 「あら、珍しい部屋にいたわね」

そこにやってきたのは家事万能のツンデレスナイパー・クライネだった。

 「ベルカ、クッキー焼いたけど食べる?」

 「食べる」

食い気味に答えてベルカは嬉しそうに俺の部屋から出て行く。その姿はまさしくおやつを楽しみにしている小学生。

そんな微笑ましい光景を見送りながら俺は口を開く。

 「なぁ、クライネ」

 「何よ?」

 「ベルカって元の世界では暗殺者だったらしいぞ」

 「はぁ? 召喚士、あんたにしちゃ嘘のつき方が雑じゃないのよ」

事実を言ったら嘘扱いされたでござる。

まぁ、あの小学生ベルカを見たら仕方ないよな。

 




ベルカちゃん
ベルカちゃんはふつうのあんさつしゃ!! きょうもおのをもってひょうてきにむかう!! あぁ、だめだめベルカちゃん!! おやつはあんさつにせいこうしからね!!

エポニーヌ
エポォ

クライネ
面倒見の良い家事万能の暗殺者




そんな感じで熱烈にリクエストされていたベルカちゃん回です。原作でもあまり使っていなく、FEHでもろくに育成していないのでキャラが崩壊するのは当然ですね。

エポの扱い? 羽にされていないだけ有情ですよ。

そういえば『作者は風花やるん? 引いたらキャラどうするん?(意訳)』という質問をいただきました。作者はスイッチ持ってない勢なので風花はやれません。やらないではなくやれません。基本的にキャラも引きませんが、誤って引いてしまった時はネットなどでキャラを調べた後にキャラを壊すつもりです。

この三連休に三日連続で投稿したいなぁ(努力目標)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とフレンドのギムレー

鬼畜クソ軍師!(挨拶

今回は羽を5個持ってきてくれるフレンドを見て思いついたネタです。


ギムレーはヴァイス・ブレイブを訪れる。

 「あら、我がいるところとは違って随分と立派な建物じゃないですか」

言葉の通り、このギムレーはフレンドから挨拶にやってきた別のヴァイス・ブレイブのギムレーである。

 「サルスベリが『あそこは召喚士も含めてみんな頭がおかしいから気をつけろ』と言っていましたが、この建物だったら我の居城に相応しいですね」

そんな自分のところの召喚士が聞いたら『よせ! 命は大事にするんだ!!』と叫ぶことうけあいなことを言いながらギムレーは決められた挨拶のところに入る。

 「ふふ……そんなに怖い顔「容疑者発見!! この剣で!!(奥義天空発動、神竜王の牙付与)」アァァァァッッッッ!!!!!」

そして入った瞬間に何故か即死クラスの一撃を受けた。どう考えても殺意しかない。

 「な、何をする!!」

 「あら、自分が何をやったかわかっていないようね」

 「まだ、何もやっていない!!!」

 「しらばっくれるんじゃないわよ!!!」

ギムレーの怒鳴りに怒鳴り返してくる治安維持部隊隊長のリン。その表情の般若っぷりにギムレーはちょっとちびった。

 「いつもいつもあんたは騒ぎばっかり起こして!! 私の仕事が一向に減らないじゃない!! フィオーラに先を越されたらどう責任をとるつもり!?」

 「本当に何の話だ!?」

言いがかりをかけられ混乱するギムレー。そこにやってきたのはこのヴァイス・ブレイブの召喚士であった。

 「お、今日のサルスベリからの挨拶はギムレーか」

 「……サルスベリのギムレー?」

 「ああ。挨拶に来るって言ってたろ?」

召喚士の言葉に汗を垂らすリン。このままではリンは人違いで殺しをしそうになったことになる。不死身のような生命力を持つギムレー(ヲタク)と違って普通のギムレーだと笑い話にもならない。

リンは座り込んでいたギムレーを立たせて、服装を整え、埃を払うといい笑顔を浮かべる。

 「よく来たわね。ゆっくりしていきなさい」

 「この女……!? なかったことにしただと……!?」

マジで驚愕顔を浮かべるギムレーだが、リンと召喚士は気にした様子はない。

 「ギムレーのやつ、今度は何をやったんだ?」

 「ニノにいらない知識を教えこもうとしたわ」

 「絶許」

召喚士はそれだけ言って通信機(パント特製)を取り出す。

 『緊急放送。ヴァイス・ブレイブに所属する全英雄に通達。至急、ギムレーを処刑せよ。繰り返す、至急ギムレーを処刑せよ』

そのと同時に狩りが始まったのか、ヒャッハーする声と、自分と同じ声が断末魔をあげている様子を見てギムレーは体が震える。

 (わ、我が怯えているだと……!? たかが人間風情に……!!)

それはきっと恐怖だ。

 「それで? 羽を持ってきてくれたんだろ」

 「え、ええ。そうですね。サルスベリからです」

爆発音が響く中で平然と会話を続けた召喚士にギムレーは恐怖しながらサルスベリから持たされた羽を渡す。それを見てリンは胡散臭そうな表情になる。

 「一回5枚って少なくないかしら」

 「それは全召喚士が思っていることだ。言っても無駄だ」

 「増やせないの?」

 「うちにいたフェーちゃんの羽をむしり取ってみたが駄目だったからなぁ」

 (ここのフクロウはどうなったんだ!?)

さりげなく飛び出した爆弾発言にギムレーはさらに恐怖する。

 「おぉ、そうだせっかく来たんだったらちょっと見学していくか」

 「い、いえ……我はこれで……」

 「なんだ? 怖いのか?」

 「はぁ!? 怖くなんてないですし!! いいでしょう、このギムレーを案内する権利をあげましょう!!」

召喚士の挑発にあっさりに乗るギムレー。それをみて愉悦の笑顔を浮かべる召喚士、呆れるリン。

 「私は仕事があるから戻るけど、あまり非常識を教えちゃ駄目よ」

 「大丈夫、ここにいる英雄にも常識人はいる」

 「……ゑ?」

ギムレーの反応を無視して立ち去るリン。そしてフィンガースナップをする召喚士。

 「マークくんと!!」

 「マークちゃんです!!」

 「「二人合わせてWマークです!!」」

 「ファ!?」

そしてその瞬間に現れるマークくんとマークちゃん。

 「呼びましたか、師匠!!」

 「何か事件ですか、師匠!!」

 「俺の友人のところから英雄がやってきた。ちょっとうちのヴァイス・ブレイブを案内してやってくれ」

 「「合点承知の助です!!」」

そして口を挟む間もなくペガサスに縛り付けられるギムレー。そのまま強制連行されることになった。

そこからは正気を疑う光景ばかりだった。訓練場でどう考えても世界観が違う戦いを繰り広げるイドゥンとユンヌ。隅の方で派手に燃やされているヘクトル。もはや人に分類してもいいか迷うアイラ、カアラ、アテナ。そしてその三人が取り仕切る死屍累々の道場。

唯一の救いはクライネが営業している居酒屋であろうか。だし巻き卵が絶品であった。

そしてギムレーはマークくんとマークちゃんに解放されて帰宅の途につく。夕焼けを見ながらギムレーは一つだけ硬く誓った。

 「決めた。もう二度とあそこには挨拶には行かない」

 




ギムレー
うちのギムレーではなくフレンドで挨拶に来てしまった哀れな生贄。自分のヴァイス・ブレイブに帰った時にあまりの普通っぷりに涙を流した。

サルスベリ
召喚士とフレンドの召喚士。召喚士と仲が良い時点でこいつも普通か怪しいところではある。




連続投稿です。今回は挨拶に来た他所の英雄からみた我がヴァイス・ブレイブ。だいたい恐怖心を抱いてから帰る。

ちなみに作中に出てきた召喚士の名前は作者のリア友でFEHでもフレンドをやっている奴から無断で拝借しました。ちなみにそいつは無課金でギム子10凸を目指したところエポが3人くらい出ていました。

明日も更新したいですけど、できるかは不明。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ロイくんの初恋

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回はメッセージでいただいたロイくんの初恋話と、リクエストにあったダンスパーティ回です。


いつもと違ってほのぼのです


エリウッドとウルスラは相談があるというロイの部屋を訪れていた。召喚士がエリウッドとウルスラのスキルについて相談があると言っていたが、二人にとって二人のスキル構成<<<<<<<<<<<<<<<<<<超えられない壁<<<<<<<<ロイの相談なので、当然のように召喚士の言葉はシカトである。

 「父上、母上、部屋まで来ていただいて申し訳ありません」

 「なに、全然構わないさ」

 「息子の相談だもの。何よりも優先するわ」

ロイの心底申し訳なさそうな表情に慈愛の表情を持って受け答えするフェレ侯夫婦。その姿は普段からは考えられないくらいに優しい表情をしていた。

 「それで? 相談ってなんだい?」

ウルスラが入れた紅茶を優雅に飲みながらエリウッドは問いかける。ウルスラもエリウッドと同じように優雅に紅茶を飲んでいる。

そんな二人を前にロイは緊張するように口を何度か開くは閉じるを繰り返す。それをみてウルスラは優しく微笑んだ。

 「いいのよ、ロイ。自分の言葉で落ち着いてから話なさい」

ウルスラの言葉でロイは自分の気分を落ち着けるように深呼吸する。そんないじらしい姿を親バカ二人は見逃すはずがないので隠し持っている映像保存装置(パント作成)で激写している。

そんな二人に気づくことなく、ロイは恥ずかしそうに口を開く。

 「好きな……人が……できました……」

恥じらったロイの姿に二人は高速で鼻血を吹くと、超高速でアイコンタクトを行う。

 (エリウッド、わかっているわね)

 (当然さ。ロイの初恋だからね。絶対に幸せにしてみせるとも)

親バカ二人による暗躍の時間である。二人にはどのようにしてロイの初恋を成就させるか。それしかない。場合によってはライフワーク=暗躍の召喚士にも協力を依頼するつもりである。

召喚士が断ったら? その時は召喚士がリンとフィオーラによって無残な死体になるだけである。

 「それで、そのお相手は誰だい?」

裏で薄汚いことを考えながらも微塵も表情には出さないエリウッド。

 (エリウッド、相手なんて決まっているでしょ)

 (十中八九リリーナちゃんだけど、いいじゃないか。ロイの恥ずかしがる姿をみるチャンスだよ?)

 (それもそうね)

どこまでも自分の欲望に忠実な親バカ二人である。

そして顔を真っ赤にして口を開くロイ。

 「に、ニニアンさんです」

 「「ウヴォッ!?」」

 「父上!? 母上!?」

 「だ、大丈夫だよ!!」

 「ええ、ちょっと受け止めるのが難しい返球が来ただけだから!!」

変な声が出た親バカ二人を心配するロイ。それにエリウッドとウルスラは持ち直す。そして再び超高速フェレ侯夫婦アイコンタクトである。

 (どうしよう?)

 (どうするもこうするも……ニニアンはロイのオシメを取り替えていたこともあるのよ? 完全にロイに対して持っているのは母性よ)

 (そうだよね。ニニアンが不満なんじゃなくて、ニニアンにとってロイは完全に恋愛対象外なんだよねぇ)

確かにニニアンは地雷を踏まなければ優しくて美人なお姉さんだ。ロイの年代によくある年上のお姉さんに憧れるのと似たようなものだろう。

 「父上、母上。僕はニニアンさんと結婚したいと考えているわけではないんです。ただ、一つだけでも思い出が欲しいんです」

 「「任せておきなさい」」

 「父上!! 母上!!」

嬉しそうな表情を浮かべるロイの顔を激写し、二人はロイの部屋から出る。そしてそのままエリウッドの部屋で会議を開始した。

 「でもどうするの? バカ正直にニニアンにロイとデートをしてと頼むわけにはいかないでしょう?」

 「そこだよね。できればロイの気持ちはニニアンにバレずに良い思い出を作ってあげたい」

そのまま二人は腕を組んで考えこむ。

 「召喚士に頼る?」

 「駄目だ。あの外道に頼ったら僕が不幸になる。いや、僕だけならまだしもロイにも被害が出かねない」

そしてロイが不幸になっても『まぁ、エリウッドも不幸になったからいいか』と言うのだ。なにせ逆の立場だったら自分がやるからエリウッドも分かりきっている。

 「ふふふ、困っているようだね」

 「「パント」」

そこに(いつの間にか)やってきていたのは最近ヴァイス・ブレイブでの騒ぎにガソリンをぶっかける事が多いパントであった。

ちなみに気配を感じずに部屋に入られたことは突っ込まない。なにせ相手はパントだ。それくらい鼻歌を歌いながらやりかねない。と言うか実際にやる。

 「僕達の悩みの内容もお見通しかい?」

 「ロイくんの初恋。是非ともいい思い出にしてあげたいものさ」

 「お見通しってわけね」

エリウッドの問いに平然と答えるパント。ロイの部屋にいなかったはずなのに知っているとは本当に何者なのだろうか。

 「大丈夫、私にいい考えがある」

 「君の声でそのセリフは失敗フラグじゃないかい?」

 

 

 

 

パントの策は単純なものであった。親睦会を名目にダンスパーティを開いてそこでロイとニニアンに踊ってもらって思い出を作ってもらう。

どう考えてもパントがルイーズと踊りたいだけだろうと言うツッコミはフェレ侯夫婦はスルーした。結果的にロイのためになるなら二人はセーフなのである。

 「急にパントは何を考えているんだかな」

 「本当に親睦会のための可能性もあるじゃないか」

 「やつに限ってそれはない」

ダンスパーティのために正装した召喚士(しかしフードは被っている)の言葉に同じく正装したエリウッドは答える。召喚士のパントに対する信頼は厚い。

 「それより君だったら奥さん候補達に追われるかと思ったんだけど。それを見てヘクトルと一緒に祝杯をあげるつもりだったんだけど」

 「馬鹿め。俺は無策でこんな地雷原に来るわけないだろう」

つまりお得意の悪辣な策で奥さん候補達をかわしたのだろう。そう言う行動が自分を追い詰めている事に気付けばいいのに。

 「おい、なんだその『可哀想だけど明日にはお肉になっちゃうのね』と言う顔は」

 「可哀想だけど明日には誰かと結婚しなくちゃいけないんだね」

 「どう言う意味だ!?」

実際のところは知らない。なにせエリウッドはパントや召喚士と違って疚しいことなど何もせず、清く正しく生きているために何かを企むなんて事はしないのだ。だから『このパーティで召喚士と踊れた者が召喚士と結婚できる』と言うデマをヘクトルと一緒に流した事実などないのだ。

エリウッドは召喚士と会話しながらもロイとニニアンの位置を確認する。ロイは恥ずかしそうにニニアンを見ており。ニニアンはウルスラと楽しそうに話しをしている(当然のようにウルスラはニニアンの足止め)。そしてそこで初めてエリウッドは動く。

 「やぁ、リリーナちゃん」

 「あ、エリウッドおじさま」

そう、ロイの事がゾッコンloveなリリーナの足止めである。足止めの方法もいたって簡単である。

 「どうだい? せっかくだから一曲どうだい?」

 「あ……え……でも……」

リリーナは迷った様子でロイをみる。しかし、腹黒侯爵の暗躍はバッチリなのだ。

 「せっかくだから一曲踊ってきたら?」

そうリリーナの母親であるフロリーナをすでに仲間に引き込んでいたのだ!!

母親の言葉にリリーナも納得したのかエリウッドの手をとる。横目で確認するとウルスラが上手い具合にロイのところにニニアンを連れて行っている。そして勇気を出してロイはニニアンに手を出し、ニニアンも微笑みながらそれを受け入れている。

 ((パーフェクト))

エリウッドとウルスラの気持ちは一致した。これでロイの初恋は悲しい思い出ではなく、甘酸っぱい思い出になるだろう。

そして始まる音楽。エリウッドはリリーナを楽しませながら、リリーナの気がロイに行かないようにする。

ちなみに召喚士とその嫁候補達は消えていた。きっとヴァイス・ブレイブ全体を使っての追いかけっこの最中なのだろう。

そして曲が終わる。笑顔で分かれているロイとニニアン。その笑顔を見てエリウッドとウルスラは頑張って慣れない暗躍した甲斐があったと思うのであった。

 




ロイ
年上のお姉さんに憧れた思春期系正統派主人公。

エリウッド&ウルスラ
息子のためにえんやこら

ニニアン
ロイの気持ちには一切気づいていない。




連続投稿最終回はリクエストにあったダンスパーティ回。それにメッセージでいただいた『ロイくんの初恋がニニアンの夢を見た』と言う発言が悪魔合体した結果、今回のようなほのぼのダンスパーティ回になりました。召喚士の不幸が小さくなりましたがご了承ください
あ、ちなみにロイくんはニニアンと踊った後にリリーナちゃんとも踊りましたよ。その辺を外さないあたりがロイくんの主人公力の高さ。

連続投稿はしんどいのでもうきっとやらない。と言うか自分の誕生日に何を書いているんだ俺は。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とカイネギス

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回は水着ウルスラを狙っている時にすり抜けてきやがったカイネギスのお話


 「ねぇ、外道。ちょっといいかい」

 「今、話しかけるな腹黒」

真夏の炎天下。そんな中、俺とエリウッドは汗を垂らしながら訓練場にいた。

 「なぜ僕らはこの炎天下の中で筋トレをさせられているんだい?」

 「話しかけるな……!! しんどくなるだろうが……!!」

俺とエリウッドが汗だくで筋トレをやっている中、ヘクトルは嬉々とした様子で筋トレしていた。奴はやはり重度の脳筋である。

 「いいか!! 健全な魂は健全な肉体に宿ると言う!!」

そんな拷問を課してきたのは水着ウルスラのすり抜けで我がヴァイス・ブレイブにやってきたカイネギスであった。カイネギスは鍛え抜かれた上半身を晒しながら俺たちの前で演説をぶちかましている。

 「つまり健全な魂は筋肉で宿るのだ!!」

 「「その考えはおかしい」」

俺とエリウッドのツッコミを無視するカイネギス。

 「わしも若い頃はひ弱で引っ込み思案であった。しかし……これでは駄目だと思い直し、鍛え抜かれた筋肉を手に入れたことによって、ガリアの王として相応しい存在になれたのだ」

 「お前、若い頃は血気盛んだったんじゃねぇの?」

 「うむ、それはまだワシが筋肉に飲み込まれていた時のことよ!! 筋肉との共存をすることに成功したワシに弱点はない!!」

そう言ってサイドチェストを決めながら歯を光らせるカイネギス。それをみて俺とエリウッドはげんなりする。

 「なぜだ。普通、夏だったらあれだろ。美少女の水着が出るべきだろ。なんでヒゲモジャ獣の半裸を見せつけられなきゃいけないんだ」

 「普段の行いのせいじゃないかい?」

 「それだったらエリウッドだけが不幸になるはずだ」

いつもだったらここでメンチの切り合いが発生するが、残念ながら俺たちは筋肉王カイネギス監修の下に筋トレを受けている最中なので発生しない。

 「うむうむ!! 三人ともワシの見込んだ通りよ!! このまま青空筋トレを続ければ筋肉量は3倍……いや!! お主達の素質なら5倍は堅い!!」

 「「5倍って普通に怖くない?」」

俺とエリウッドの言葉は脳みそまで筋肉でできているカイネギスには届かない。

 「うぉぉぉぉぉ!!! 盛り上がってきたぜ!! 唸れ!! 俺の筋肉!!」

 「「えぇ……(ドン引き)」」

そして何故かテンションが上がっているヘクトル。すごい勢いで筋トレをしている。

 「貴方達、ちょっと休憩したら?」

 「お弁当作ってきたわよ」

 「飲み物も持ってきました」

そこにやってきたのは水着姿のリンとウルスラ。いつもより薄着なフロリーナだった。

 「うむ、筋肉には休息も必要だ。休憩!!」

カイネギスの言葉に地面に倒れ臥す俺とエリウッド。元気に腕立て伏せをしているヘクトル。ヘクトルにいたってはやってきたフロリーナを背中に乗せて重石代わりにして腕立て伏せをしている。

 「あいつはなんなの?」

 「きっと筋肉に汚染されているんだよ」

俺とエリウッドの冷たい視線も無視して筋トレを続けるヘクトル。それを微笑みながら見ているフロリーナにも狂気を感じる。

 「ちなみにリン。ヘクトルを見てどう思う?」

 「近くに来て欲しくはないわね」

 「辛辣ぅ!!」

言い切ったリンに俺は笑い声をあげる。しかし……

俺の視線に気づいたのかリンは胸元を隠す。

 「なに!? ジロジロ見るんじゃないわよ!!」

 「いや、同じ水着なのにウルスラの方が色気があるのはなんでだろうな」

 (チョキで目潰し)

 「あぁァァ!!! 目がぁ!! 目がァァァ!!!」

素直に感想を言ったら無表情で目潰しをされた。

 「なんで君は言っちゃうのかな」

 「私はロイとニノがいる限り老けないわよ。常に大人の色気もキープしてるわ」

 「くっ、私だって子供を産んでいれば大人の色気くらい……!!」

 「お前ら少しは心配とかできねぇの?」

 「「「え?」」」

 「あ、今のは表情見なくてもわかるぞ!! 心底意味がわからないって表情をしているな!!」

なんて酷いやつらだ。こいつらに人の心はないのだろうか。

 「おい、カイネ、ギ、ス?」

俺がカイネギスの方を見るとカイネギスはサンドイッチを掴みながら唸っている。

 「ムムム、召喚士よ。この食べ物はどうやって食べるのが正解……いや、待て!! 王たる者として試す前に聞くなど!! やはり王たる者自力で答えを見つけなければ!!」

 「それは普通に食べる以外に選択肢ねぇだろ」

 




カイネギス
筋肉至上主義のガリア王国の王様。きっと親衛隊もマッチョしかいない。

三馬鹿
健全な魂を宿すためにカイネギスによって筋トレに連れ出された。なお、健全な魂は宿らなかった模様

奥様は水着姿
似たような布面積なのにウルスラの方が色気あるのなんなん?



そんな感じで筋トレ回でした。

京アニの放火事件を受けて、割とショックを受けてます。あそこの作品、好きなの多いんですよね。それに意欲も技術もあった数多いクリエイター達が亡くなられたのも悲しい。そんな時に作者にできることはいつも通りに頭の悪い話しを書くことだけでした。ですが、ショック大きいので文章が出てきませんでした。短いのはそのためです。
延期してもいいから、響け!ユーフォニアムとヴァイオレット・エヴァーガーデンの劇場版待ってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と先生召喚

鬼畜クソ軍師!!(挨拶


風花ガチャが始まり、先生をお迎えしたので今回のお話です。


 「お前ら、召喚の時間だ」

俺の言葉にベッドの上で酒を飲んでいるヘクトル、机いっぱいにロイの写真を広げて整理をしているエリウッドが驚いて俺を見てくる。

 「どうかしたのか?」

 「ニンテンドースイッチがなくて風花はやれないからガチャは引かないって言ってたじゃないか」

 「無能どもめ」

 「「なんだと、この性格破綻者」」

俺の軽い煽りにすぐさま中指を立て返してくるバカ二人。いつもだったらここからさらに脱線を繰り返すのだが、今回は仕事があるので話を進める。

 「いいか無能ども。忘れられているかもしれないが、ヴァイス・ブレイブは軍事機関だ。だから戦力増強は常に行わなければならない。ヘルのクソとの戦いも佳境になってきている。リーヴの召喚方法が異界のアルフォンスを形代にした形代召喚なのには驚いたがそれだけ。だが、奴は腐っても建国者。単体で奴を倒せるうちの英雄は……うん、いっぱいいるがそれはそれとして。とにかく佳境になっていく戦争に向けて戦力は増強しなければならない。そこで今回のガチャに追加されたベレスを見てみよう。獅子奮迅4に怒りという噛み合ったスキル。彼女の特筆すべきは奥義と武器にある。奥義である破天は敵の攻撃の20%を奥義ダメージに加算し、さらに相手が竜、獣の時は奥義ダメージの加算が40%になる。そして武器である天帝の剣は奥義発動カウント−1、戦闘中に敵の絶対追撃を無効化、かつ自分の追撃無効を無効。さらに戦闘中敵の奥義カウント+を無効、かつ自身の奥義発動カウント変動量−を無効にする。この能力は厄介な竜や獣達を相手に有利に戦える有能さだ。これは是非とも引くしかあるまい」

 「ふむふむ」

 「なるほどな」

エリウッドはヘクトルは納得したように頷いている。

 「「それで本音は?」」

 「ナイスタイツ……!!」

 「「ナイスタイツ!!」」

あと声帯が伊藤静さんなのもいいよね。

 「でもオーブはどうするんだい?」

 「お前は自称・嫁のリンに管理されているだろ?」

 「ふ、愚か者どもめ」

 「「お前はいちいち罵倒しないと会話できねぇの?」」

 「お前達相手だとな」

何を当然のことを言っているのだろうか。

 「まぁ、それでオーブの件だが。忘れたか。俺の伴侶を自称するのは一人じゃないぞ?」

俺の笑みにエリウッドとヘクトルが引きつった笑みを浮かべる。

 「し、召喚士、君まさか……」

エリウッドの言葉に力強く頷きながらオーブを取り出す。

 「フィオーラに家族チェックの許可を出してもらった」

 「こいつやりやがった……!!」

 「自分から火薬庫で火遊びをするつもりだったのかい……!! どう考えてもリンとフィオーラの争いがひどくなる絵図しか思い浮かばないよ……!!」

 「知らなかったのかエリウッド。火薬庫での火遊びはスリルがあるんだぜ?」

 「「巻き込まれる身になれ!!」」

 「正直、フロリーナには悪いことをしていると思っている」

現に今もリンとフィオーラの戦闘を必死になってフロリーナが止めている。頑張れフロリーナ。

召喚室に向かいながらフロリーナの健闘を祈る。祈ることしかできない俺は無力だ。無力な俺を許してくれ。

 「さ、今回はどれくらいすり抜けするかな」

 「俺の予想では三回はすると思うんだけどよ」

 「いやいや、召喚士の運だったら五回はするでしょ」

 「黙れ脳筋に腹黒ぉぉぉぉぉ!!!!」

そこから始まる召喚。すり抜けもなかったので書くことはない。カインがいっぱい出て殺意が湧いたことだろうか。

 「あ、オーブがなくなったね」

 「おい、召喚士、どうすんだ」

 「いいだろう。半フェープッシュだ」

 「「貴様はまたリンが怒り狂うことを……!!」」

ははは、せっかく4%まで上がったんだ。最低でも一人は星5を出さなきゃダメだろう……!!

そして叩き込む赤オーブ。舞う砂埃。浮かび上がってくるシルエット。

 「…ベレスよ。ずっと傭兵をしてきたけど、今は教師の身。やれるだけのことはやるから」

 「ナイスタイツ!!」

 「バカな……!! すり抜けなしだと!?」

 「ありえない……!! 召喚士に限ってそれはないはずなんだ……!!」

 「うるさいぞ脳筋に腹黒!! 俺のガチャ力を甘くみるなよ!!」

 「「伝承ルキナ」」

 「ちょっと何を言っているかわかりませんね」

確率が15%超えるなんて……ははは、そんなのありえたら今回のガチャでエーデルガルトちゃんまで狙っちゃいますよ。

そして俺達の奇行も無表情で見ているベレス。

 「おぉ、すげぇな。俺達のやりとりを普通に見ているとか」

 「割とあっさりと馴染みそうだね」

ヘクトルとエリウッドの言葉にベレスは無表情に頷く。

 「ああ。先生の奇行には生徒時代から慣れている」

 「「「ちょっと待って」」」

 「わかった」

ベレスの爆弾発言にスクラムを組む俺とヘクトルとエリウッド。

 「おい召喚士。知り合いか?」

 「というか知り合いだよね。思いっきり君のこと見て先生って言っていたけど」

 「ちょっと待て。渡った世界が多すぎてどの世界の生徒だか把握できん」

 「「この烈火テロ感」」

そして俺は首だけベレスに向ける。

 「ベレス、俺とはいつ会った?」

 「私が5歳の時だ。行き倒れていた先生を父が拾ってきた。そこでうちの傭兵団で軍師をやる傍らに私に色々なことを教えてくれた。私が先生をやれているのは先生のおかげだ」

 「……あ〜、あそこか」

俺が思い出すのは感情を滅多に出すことがなかった少女。言われてみればその面影がある。

 「改めてこれからよろしくな、ベレス」

 「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 




ベレス
風花主人公(女)。元いた世界では幼い頃に召喚士の教育を受けていた模様。そのせいで彼女も当然戦場では容赦がない。

召喚士塾門下生
召喚士に少しでも教えを受けた英雄。インバース(一番長い)、イシュタル(一番短い)、Wマーク(親が召喚士の同類)、セシリア(この世界から)、ベレス(一番多感な時期に教育を受けてしまった)。
召喚士の教えを受けると基本的に敵に容赦がなくなる。汚染度が低いのはイシュタルとセシリア。

リンとフィオーラのガチ争い
巻き込まれるフィオーラ涙目。

確率が15%を超える
ははは、作者だって一回しか経験ないですよ


風花ガチャは引かないと言ったな。あれは嘘だ。1%程度の召喚士の建前と99%の本音は作者の気持ちそのままです。あのタイツじゃなければひくことはなかったのに……
そしてキャラ設定が全くわからないから、とりあえず召喚士の教え子にして外道枠にしておく準備。ここからならどんなキャラ崩壊も可能ですよ!! 真面目系はきっと無理だけど!!

ちなみに先生召喚でアティ先生も召喚しようかと思いましたが、尺の都合で召喚されませんでした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と風花雪月

ヒャッハー!! 新しい時代の幕開けじゃあ!!


 「よく来てくれたバカ二人」

 「呼んでおいてその言い草か?」

 「君はもう少し礼儀作法を習った方がいいよ」

なんと、腹黒と脳筋に礼儀作法を言われるなど業腹の極みだが、大人の俺は我慢してやろう。

 「それで? フロリーナにもバレないように部屋に来いってのはどうゆうことだ?」

 「僕もウルスラとロイにバレないようにって指示だったね。また悪巧みかい?」

 「悪巧みだったらお前らを呼ばずに、お前らに罪をなすりつけることに奔走するよ」

 「「それもそうだ」」

俺たち仲良し!!(時と場合と状況による)

 「お前達に見てもらいたいのはこれだ」

 「「そ、それは!?」」

俺が取り出した物にバカ二人の表情が驚愕の表情になる。俺はその表情を見てから言葉を続ける。

 「そう!! ニンテンドースイッチだ!!」

買ってしまったのだ。ついに買ってしまったのだ!!

 「ば、馬鹿な!! 金はなかったはずだ!?」

ヘクトルの言葉に俺は悟った表情を見せる。

 「いいか脳筋。この世には断捨離という言葉がある」

 「は!? 君まさか!?」

エリウッドは何かに感づいたようだ。俺はそれに力強く頷きながら言葉を続ける。

 「PS3とPSVITA、それらを処分して金を工面した」

 「「ソニー信者がブチギレそうな真似を!!」」

PS4は残ってるからセーフだと勝手に思ってます。

 「そしてニンテンドースイッチが来たことによってとあるゲームができる。それはなんだ脳筋!!」

 「スマブラだな」

 「死ね」

貴様はこの小説が何原作か覚えていないのか。

 「馬鹿だなぁ、ヘクトル。スプラトゥーンに決まっているじゃないか」

 「貴様も違うぞ腹黒ぉぉぉ!!!」

こいつらは一回自分達がなんの作品だったか思い出した方がいい。

 「FE風花雪月に決まってるだろうが!!」

 「「FE無双のパンチラじゃないのか?」」

 「それはお金に余裕ができてからだ!!」

ニンテンドースイッチの方はグラフィックも大丈夫らしいので、購入範囲内です。

 「しかし、問題もある」

 「一応聞いておこうか」

 「まぁ、分かりきっているけどね」

 「今月(8月)は確実に課金できない」

 「「知ってた」」

8月と9月は課金が怪しいかなぁ、と思ってる。だから烈火の実装はやめてくれ。いや、風花雪月も場合によってはやばい可能性が高いんだが。

 「もし、限定リンが来たらどうするんだい?」

 「それは血涙を流しながら持っているオーブて対応するしかない」

 「「でも引くんだな」」

それが愛だから。

 「ところで一ついいかい、召喚士」

 「なんだ、腹黒」

 「このことはリンとフィオーラは知っているのかい?」

やれやれ、なんて分かりきったことを言うんだ。

 「言うはずがないだろう。リンはもちろん、フィオーラも俺の浪費ぐせを矯正しようとしているからな」

 「そっかそっか。そう言うことらしいけど、どうするんだい?」

エリウッドは俺の背後に視線を向けている。そしてヘクトルは愉悦の表情を浮かべている。

そして背後から感じる強烈なプレッシャー。

俺は振り向きながらジャンピング土下座をする。

 「許してください」

 「「却下」」

自称嫁と自称妻はとても冷たかった。

 




祝! ニンテンドースイッチ購入!! そして当然のようにFE風花雪月を購入しました。しばらくはこっちの世界に戻ってこないかも。ちなみに本文中以外のものも大量に売りました。本棚がすっきりしたゾ

感想の方で『シリアスやってくれん? 3話くらい(超意訳)』を頂きました。正直に言うと作者は二次創作でシリアスをやりたくないんで、やる予定はなかったです。
過去形です。
FE風花雪月にここの鬼畜クソ外道召喚士をぶっ込んで見たら思い浮かぶシリアス展開。当然のようにシリアスだけだと作者が発狂するのでギャグも入れますが。
場合によっては別連載で書くかも。

それとお題箱の方で『一人の女性としてニノが好きなルゥくん書いて(超意訳)』と頂きましたが、うちのルゥくんは重度のマザコンですが、恋愛感情はないので書けません。ご了承ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とソティス

今回のガチャはなぁ。色々な意味で魅力的だけど、今月は課金できないから無料分だけにするか

『わしの名はソティス』

なん…だと…!?


 「なんか神階英雄ガチャって久しぶりな気がするな」

 「前回はナーガだから対して期間空いてないんじゃないかい?」

 「そういやオカンは神様だったな」

ヘクトルのエリウッドの会話に俺はしみじみと頷く。あの所帯染みたオカンマムクートとかThe 平凡のドーマを見ていると神様とはなんなのかを考えてしま『私はユンヌ』破壊神はお帰りください。

頭の中で現れた破壊神を追い返していると、無表情なベレスがどこか困惑した様子で口を開いた。

 「先生、今、頭の中に幼女が現れたのだが」

 「「「放っておけ」」」

構うと出てくるぞ。現に窓の外に浮かび上がってスタンバイしている。つい1秒前まではいなかったはずなのにいることには突っ込まない。あの破壊神はパント以上のバグだと言うことは理解している。

 「まぁ、私も頭の中とかに幼女が出てくるとかは慣れているから気にしないが」

 「慣れているってすげぇな」

 「それって大丈夫なのかい?」

ヘクトルのエリウッドの質問にもベレスは無表情で答える。

 「特に問題はない。むしろ戦闘で私が死んだら生き返らせてくるくらい親切だ」

 「「「その機能烈火にも欲しかった」」」

本当にな。

 「しかし、なんでベレスは俺の召喚についてきたんだ?」

 「前から先生の召喚の儀は気になっていた。ベレトも誘ってみたが『俺には生徒を教え導くと言う使命がある!! 先生のことは任せた!! うぉぉぉぉ!!! 俺は今猛烈に熱血している!!!』と叫んで授業の準備をしていた。生徒がいないのに誰に授業をする気なんだ?」

 「先生、生徒の暴走を止めないのかい?」

 「ベレトはもう教師だから保護枠じゃないな」

と言うかあのグレート・ティーチャー・ベレトはめんどくさすぎる。昔はあんなんじゃないと思ったんだが……

そんな感じで召喚室に入る。

 「よしエリウッド。召喚士は何回マルスとGTBにブロックされると思う?」

 「最低でも3回は硬いよね」

 「先生、この二人は何を言っているんだ?」

 「俺の不幸を笑おうとしているんだ。殺していいぞ」

 「わかった」

 「「うぉ!? 蛇腹剣!?」」

俺の指示通りにバカ二人を殺そうとするベレスにほっこりしながら赤オーブを召喚石版に叩き込む。

浮かぶ土煙。浮かぶどでかいシルエット。

 「……あれ? シルエットデカすぎないか?」

そんな俺のつぶやきを無視して出てくる英雄。

 「わしの名はソティス。“はじまりのもの”と呼ばれておる。急に呼びつけおって…仕方のない奴じゃな!」

 「「「ウォ!? マジか!?」」」

超久しぶりの一発ツモである。これには流石の俺もビックリである。と言うかぶっちゃけ引く気なかったので来たことにビックリである。

 「マジかよ。俺は絶対に引けないに賭けてたのによ」

 「僕も爆死するに賭けていたよ」

 「よぉし、親バカに腹黒!! 歯を食いしばれ!!」

こいつらは友のことを素直に祝うことはできないのだろうか。

逆の立場だったら? ちょっと何を言っているかわかりませんね。

 「って? どうしたソティス。なぜ俺のことを信じられない者を見る目でみているんだ?」

 「な、何故ここにシェイカーがおるんじゃ!?」

 「「「シェイカーって誰だ?」」」

 「そこの黒髪と赤髪はともかくシェイカー本人もキョトン顔じゃと!?」

いや、マジでシェイカーって誰だよ。

 「先生、シェイカーとは先生の名前ではなかったか?」

 「え? お前シェイカーって名前なのか?」

 「衝撃の真実だね」

ヘクトルとエリウッドの言葉を無視して俺はベレスの言葉を考える。

 「確かベレス達の世界の時はガストンって名乗ってなかったか?」

 「それはシェイカーの前の名前だな」

 「「偽名くらいは統一しろよ」」

うるさい連中だ。偽名くらいで騒ぐんじゃない。

 「ベレスも何故そんなに落ち着いているんじゃ!? こやつが何をしたのか忘れたのか!?」

 「「そこんところ詳しく」」

俺の面白い話が聞けると思ったのはバカ二人の目が輝いた。

 「やらかしたことは多すぎるがの。まず引きこもりの生徒を授業に出すために部屋を爆破した」

 「「部屋を爆破」」

 「次に授業に居眠りや、昼寝で欠席の多い生徒に対して眠れない呪いをかけて強制的に眠れないようにした」

 「おい、それって拷問だぞ?」

 「君も僕のこと言えないよね」

 「待て。本気で覚えがない」

 「うむ。先生が私と一緒に教師をやっていた記憶はないぞ」

 「ベレスは何を言っているんじゃ!? お主がこやつを止めないせいで級長のエーデルガルトの小娘が胃潰瘍になったではないか!?」

そんなことを言われても俺はベレスの世界にいたのはベレスに教育を施した時だけだ。先生なんてやった覚えはない。

 「ふふふ、困っているようだね」

 「「「その声は……パント!!」」」

 「うわ、なんじゃこのイケメンを無駄遣いしている男は」

さり気なくソティスがパントの本質をついている気がしたが、俺たちはめんどくさいのでそれをスルー。

 「ここは天才イケメン魔道軍将のパントさんが説明しよう!!」

 「いいからさっさとしろよ」

 「いちいち煽るのやめてくれるかい?」

 「お前は帰れパント」

 「ハハハ!! 持たざる者達の負け犬の遠吠えは超気持ちいいね!!」

 「「「ぶち殺すぞ、貴様」」」

俺たちの言葉にさらに煽りを重ねると言う芸当は誰にも真似できることではない。

 「君たちは平行世界と言うことを知っているかい? そこのソティスちゃんがいたのは『もし召喚士が風花雪月世界に残っていたら』と言う世界だったんだろう。だから召喚士のことを知っているのさ!!」

 「「「なんと言う烈火テロ」」」

 「嫌じゃ嫌じゃ!! シェイカーなんてキチガイがおるところにわしはいたくない!! 元の世界に帰るのじゃ!!」

そしてベレスに泣きつくソティス。そんなソティスをみてベレスは真剣な表情で口を開いた。

 「大丈夫。先生は鬼畜で外道でキチガイだが悪い人じゃない」

 「「いや、悪人の代名詞だろ」」

速攻で俺を罵倒したバカ二人に俺は殴りかかり、ソティスの目は絶望に染まったのだった。

 




ソティス
幼女型神様? うん、多分神様(まだ風花雪月をクリアしてないから正体を知らない)。ベレスの中から召喚士の奇行を見て戦々恐々としていた。主に人間って怖いって感じで。

GTB
グレート・ティーチャー・ベレト

シェイカー ガストン
召喚士の使っていた偽名
「俺の偽名は108式以上あるぞ!!」

部屋を爆破された引きこもり生徒
もしかしなくても:ベルナデッタ

眠れない呪いをつけられた生徒
もしかしなくても:リンハルト



そんな感じでまさかの無料召喚でソティス召喚。まだ風花雪月クリアしてないからキャラわからん!!
そしてベレトとかすり抜けできたカイネギスの育成も終わっていないので育成の渋滞が発生している我がヴァイス・ブレイブ。困った。

召喚士が風花雪月でやらかしているのはほんの一部。本格的に風花雪月編を書き始めたら何をやらかしたか出てくるでしょう。そして安定の胃痛キャラになったエーデルガルト様。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブ肝試し大会

鬼畜クソ軍師!!(挨拶


今回はお題箱でリクエストをいただいた肝試し回。いつもより短めです


俺の部屋にはニニアンがやって来ている。

 「それで? 今回は保育園で何かやるのか?」

 「召喚士さんはお話が速いですねぇ」

俺の先回りした発言にニニアンが苦笑してくる。ニニアンが俺のところにやってくるのはだいたい保育園関係なのでわかるだけである。

 「実は保育園の子達に肝試しの話をしたらやってみたいと言われてしまいまして」

 「のじゃロリ皇帝は苦手そうだけどな」

 「サナキちゃんなら涙目になりながら『怖くないぞ、本当じゃからな!!』と強がっていましたよ」

ロリコン大歓喜の予感。

 「わかった。俺達が驚かし役をやればいいんだな」

俺の言葉にニニアンは苦笑しながら首を振る。

 「いえ、子供達は驚かし役をやりたいらしく……」

 「……え?」

 

 

 

 

ニニアンの爆弾発言から数日後、『ヴァイス・ブレイブ肝試し大会』が開催されている。籤によって二人一組になったコンビからルートに入っていく。

ちなみに俺はヘクトルとエリウッドとの組を指定された。それを知った瞬間のリンとフィオーラから漏れた舌打ちは忘れておくことにする。主に俺の貞操のために。

 「それにしても結構本格的っぽいな」

 「だよね。ガチ悲鳴も聞こえてくるよ」

そんな呑気な会話をヘクトルとエリウッドはしている。

 「それじゃあ最後は召喚士達の組なのじゃ!!」

元気よくお化けの仮装をしたのじゃロリ皇帝が声をかけてくるので俺達は出発する。

 「でもよぉ、俺達に肝試しってできるか?」

 「そうだよね。烈火に関して言えば普段から頻繁に命のやり取りしているしね」

 「主に味方同士でだがな」

そんな会話を俺達三人でしながら先に進む。

案の定ロリマムクート達が作り上げた脅かし道具(ロリとは思えないでき)にも驚くことなく進んでいく俺達。

 「少しは驚いてやらなきゃ可哀想な気もするな」

 「それじゃあ次は悲鳴でもあげようか」

 「そうだな」

エリウッドの言葉に同意すると、次の驚かし道具の場所にやってくる。光が当たる机に置かれた一枚の写真。

ロイの写真(シワシワのくちゃくちゃ)だった。

 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!! ありえないxイィぃぃぃぃ!!」

当然のように親バカが発狂した。親バカは泣きながらロイの写真を綺麗にしようとしている。

 「すげぇな、個人攻撃か」

 「ニニアン保育園の教育方針が心配になるな」

当然のように俺とヘクトルは対岸の火事なので親バカの狼狽を嘲笑しながら見ていられる。

いつまでもここにいても仕方ないので次に進む。

 「くっそう、ロイの写真をこんな雑に扱うなんて。これやったのがロリマムクート達じゃなかったら戦争案件だよ」

 「写真一枚で何言ってんだよ」

エリウッドの言葉にヘクトルが嘲笑しながら言い放つ。そして次の驚かし道具の場所にやって来た。先ほどと同じように光に当たるように机に置かれた一枚の写真。

ロイとデートしているリリーナの写真だった。

 「ぶち殺すぞあのクソガキィィィィィィィィ!!!!!」

その写真を見た瞬間にヘクトルの怒りが有頂天になった。エリウッドがその写真を見てガッツポーズを決めているのと対照的だった。

 「あのクソガキうちの娘に手を出すとか頭をスイカみたいにかち割ってやる」

 「いやいや、言い過ぎだよヘクトル。ロイとリリーナちゃんだよ? お似合いじゃないか」

 「テメェはそうやってリリーナをロイの嫁にするつもりだろうが、俺は絶対に許さねぇからな!!」

そうは言っても本人はその気だし、母親であるフロリーナも認めているのは公然の秘密である。

 「ほれ、さっさと次に行くぞ」

お互いにファイティングポーズを取っているバカ二人を促して先に進む。バカ二人もお互いに中指を立て合うと素直について来た。

 「この順番でいくと最後は召喚士だね」

 「でもこいつが写真一枚で発狂するとは思えないぞ」

それについてはヘクトルの意見に同意である。自分で言ってもなんだが、怖いもの知らずに育ってしまったのだ。

そして再び光が当たる机がある。先ほどまでと同じように写真が一枚置いてある。俺達は一度顔を見合わせてから写真を覗き込む。

そこには仲睦まじそうに(見える)食事をとっている俺とセシリアの姿があった。

 「「「なんだこれ?」」」

不思議になって首を傾げる俺達三人。そしてその瞬間に俺の両肩に手が置かれる。

おそるおそる背後を見るとステキな笑顔を浮かべているリンとフィオーラ。

 「「召喚士?/召喚士さん?」」

そして二人から立ち上る怒気。

 「「この写真はどういうこと?」」

 「ヒィ!!」

確かに肝が冷えるのであった。

 




そんな感じでお題箱でいただいた肝試し回。え? 肝試しの意味が違う? だってこいつらが幽霊程度で怖がるわけないじゃないですか。

お試しということで召喚士を風花雪月世界にぶっこんだ『外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜』を投稿しました。もしよかったらそちらも読んでみてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界特異点〜アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領

『聖杯戦争編書けねぇなぁ、どうしよう。あ、そうだ、カルデアを我がヴァイス・ブレイブに招待しよう』


そんな作品です


人類最後のマスターである藤丸立香はDr.ロマンに呼び出されて管制室に向かっていた。

人類最後のマスターとしていくつもの特異点を解決して来た藤丸。しかし、藤丸に重くのしかかるのは人類最後のマスターとしてのプレッシャー以外にもあった。

 「この時期だとひょっとしてまた夏イベントかな……」

そう季節(ギャグ)イベントである。特にハロウィンが酷い。鼓膜が何個あっても足りないくらいに酷い。命が関わっているのは同じはずなのに、何故季節イベントの方はサーヴァントもみんなギャグに走るのか。魔術素人の藤丸にはそれが理解できなかった。

 「Dr.ロマン。来たよ」

 「やぁ、藤丸くん。待っていたよ」

 「お疲れ様です、先輩」

管制室に待っていたのはカルデアで指揮官を務めるロマニ・アーキマンと、何故か後からカルデアにやって来た藤丸を先輩と呼ぶマシュ・キリエライトの二人だった。

 「今度は誰が悪さをしたの、Dr.ロマン。またエリちゃん?」

 「いやぁ、藤丸くんの目がすごい勢いで腐っているのは誰のせいなんだろう」

きっとイベントのせいだろう。

 「実は今回も特異点が見つかってね」

 「今度はどこですか? またチェイテ姫路城ピラミッド?」

 「先輩!! 大丈夫です!! 今回、エリザさんは関係ありません!!」

マシュの天使発言に藤丸の目が真剣なものになる。ひょっとしたら本編(シリアス)かもしれないからだ。

そしてロマンの言葉で新しく出現した特異点に視線が向かう。

そして藤丸の思考は停止した。その特異点の場所は何故かカルデアスから大きく外れたところにあったからだ。

 「あ〜、Dr.ロマン。次の目的地はひょっとして宇宙?」

 「ははは、そんなわけないじゃないか」

いつものゆるふわな笑みを浮かべて藤丸の言葉を否定するDr.ロマン。

 「次の特異点は異世界さ」

 「おかしくない!?」

そして帰って来た発言は宇宙以上に吹っ飛んだ発言だった。

 「いや、藤丸くんの混乱もわかる。これを知った僕も同じ反応をしたからね」

 「あのDr.ロマン。特異点が異世界であるならば、放っておくことはできないんですか?」

マシュの言葉に藤丸は大きく頷く。なんと言うか鍛え抜かれた直感が叫ぶのだ。この特異点は危険だと。

 「うん、最初は僕もそうしようかと思ったんだけどね。実はこの特異点はかなり特殊らしくて、放っておくとどんどん肥大化していくんだ。最終的にはこちらの世界を飲み込みかねないほどにね」

 「わかりやすく」

 「異世界の特異点で現実がピンチ!!」

 「ファッキン異世界!!」

藤丸渾身の叫びである。

 「そんなわけで仕方ないけど、行って来てくれるかい?」

 「はい!!」

 「はぁぁぁ、仕方ないですよね」

元気よく返事をするマシュと嫌な予感がすると言う表情を隠さない藤丸であった。

 

 

 

 

そんな感じで異世界にレイシフトした藤丸とマシュ。すでにマシュはデミ・サーヴァントモードになっている。しかし……

 「平和ですね」

 「だよね」

争いなど一切ない森が広がっているだけであった。

 『テステス。あ、無事に到着している見たいだね』

 「Dr.ロマン。こっちは平和そのものだけど?」

 『みたいだね。聖杯の反応はそこから南に行ったところにあるみたいだ。とりあえずそちらに向かってくれるかい?』

 「はいはい」

ロマンの言葉に促されるままに聖杯の反応があるという方角に進む藤丸とマシュ。

そしてしばらく進むと「おや?」と思い、近くに来て呆然とした。

巨大な城にそれを囲むようにそびえ立つ城壁。そして城壁からところどころに出ている戦艦くらいの大きさはあるであろう主砲。

どう見ても要塞であった。

 「「えぇぇぇ……」」

藤丸とマシュは軽くドン引きした。異世界だと思って中世的なところを想像していたらバッチリ近代的であった。むしろこんな巨大な要塞を作るってどう言うことだ。

とりあえず話が進まないので門のところに進む二人。すると中性的な声が響いて来た。

 『流体魔力検査—————エラー。身体的特徴—————エラー。網膜認証—————エラー。登録されていない英雄のかたですね。ようこそアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領へ』

そして魔法と近代技術がMIXされたかのような門。この時点で二人の思考は停止した。

 『現在、迎えの英雄がこちらに向かっております。しばらくお待ちください』

 「……どうしますか、先輩」

 「迎えに来てくれるなら素直に待とうか」

マシュの言葉に藤丸は少し悩んで答える。

そして上空から降ってくる何か。臨戦態勢に入るマシュといつでも令呪のサポートをできるようにしている藤丸。

そしてスーパーヒーロー着地を決めているのは当然この二人。

 「マークくんと!!」

 「マークちゃんです!!」

 「「二人合わせてWマークです!!」」

スーパーヒーロー着地からのバッチリ決めポーズまで決めるマークくんとマークちゃんである。

 「ようこそいらっしゃいました旅の方!! 僕達は新しい旅の方を歓迎しますよ!!」

 「はい!! なにせこのヴァイス・ブレイブに訪れた方は二度と立ち寄らなくなると大評判ですから!!」

 「なにそれ怖い」

マークくんとマークちゃんの言葉に思わず呟く藤丸。

 「あの……私達は聖杯を探している者なんですが……あ、聖杯って言うのはこんな形の器なんですが」

そして純粋ゆえに普通にWマークに接することができるマシュ。そのとき藤丸は「流石はマシュ。頼りになる」とマシュへの好感度を上げていた。

 「チッチッチ、あまり私達を舐めてもらっては困りますよ!! 聖杯くらい知っています!! なんでも願いを叶えてくれる願望機でしょう!!」

 「そして僕達は聖杯戦争のことも知っています!! 聖杯を巡って七騎の英雄がバトルするバトルロワイヤル!! そして貴方達は7つの特異点を解決に導こうとするお二人ですね!!」

 「待って、なんで知ってるの」

 「「電波です!!」」

 「お、おう」

とてもいい笑顔での電波発言に、数多くの英霊と普通に接することができる藤丸も流石にちょっと引いた。

 「とりあえず聖杯だったら師匠が持っていますので案内しますね!!」

 「あ!! 大変ですよマークちゃん!! 今回はお二人だからペガサスに乗ってアクロバットマニューバができません!!」

 「ムムム!! 逆に考えましょうマークくん!! 『二人だけどペガサスにくくりつけてもいいんだ』と考えましょう!!」

 「おぉ!! それですねマークちゃん!!」

 「いや、普通に案内してくれると嬉しいけど」

 「「残念です……」」

心底残念そうに言うマークくんとマークちゃん。そして二人を先導して歩き出した。

 「ここはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領です!! アスク王国から独立自治権を持っており、自前で軍備も持っています!!」

 「アスク王国、ニフル王国、ムスペル王国の経済の中心地でもあります!!」

 「うん、ちょっと待って」

 「「なんでしょう!!」」

この場所の説明をしてくれるマークくんとマークちゃん。藤丸にはそれは大変助かるのだが、マシュの思考がフリーズしてしまっているので確認しなければなるまい。

 「あの人達はなに?」

 『ククク、クククハハハハハ!!! 強い!! 強いですねユンヌ!! あぁ!! 今日こそ貴女を超えてみせましょう!!』

 『私はユンヌ』

藤丸とマシュの視線の先にいたのはサーヴァント同士の戦いでもあんまりみない限界バトルを行なっている美少女と美幼女。拳一振りが宝具並の威力が出ている。

藤丸の言葉にマークくんとマークちゃんは不思議そうに首を傾げる。

 「「イドゥンさんとユンヌさんですけど?」」

 「え? ちょっと待って。あんな一昔前のジャンプのバトル漫画みたいな人達がここにはいっぱいいるの?」

マークくんとマークちゃんは顔を見合わせて指を折り始める。そして両手の指の途中で止まった。

 「やったね藤丸さん!! 両手で足りますよ!!」

 「わぁい!! ここは魔境だぁぁ!!」

笑顔でのマークちゃんの発言に渾身の叫びをあげる藤丸。

 「メカクレ美少女ktkr!!」

そして最近実装された海賊みたいなことを言ってマシュに向かって走ってくる同人作家ギムレー先生(ルフ子バージョン)。そしてマシュの前まで来ると血走った目でマシュの前身を舐め回すように見る。それに居心地が悪そうにするマシュ。

 「あ、あの……なんでしょうか?」

 「純粋系メカクレナイスバディ美少女キター!!!!!」

そして謎の踊りを踊るギムレー。テンションが振り切れていて正直気持ち悪い。

 「きみきみ同人誌に興味ないいやなくても興味持ってくれると嬉しいと言うか我の同人誌のモデルになってくれると超嬉しいと言うかなってなって大丈夫18禁だけど竿役は隣の彼氏をモデルにしてあげるからだから我の部屋に来ようか大丈夫先っぽだけ先っぽだけだからゲブフォアぁぁ!!!!」

不穏なことを垂れ流していたギムレーは通りかかったセシリアとカチュアによって鎮圧されて逮捕された。

 「あの、今の方は?」

 「オタクに魂を囚われた人ですね!!」

 「……えと、どう言うことでしょう」

 「知らない方がいいよ、マシュ」

困惑した様子で藤丸を見上げて来たマシュに、優しい微笑みで返す藤丸。とりあえず次からギムレーを見かけたら即座にガンドを打ち込む覚悟完了する藤丸であった。

それからも色々とsan値がピンチな光景を見せつけられながらも一つの部屋に案内される藤丸とマシュ。

 「ここが師匠の部屋です!!」

 「今日はヘクトルさんとエリウッドさんはいないはずですから安心していいですよ!!」

誰だが知らないがいないと言う二人に藤丸は内心でナイスを返しておく。

そして扉を開く藤丸とマシュ。部屋の中央にはゲンドウポーズを決めた白フードの男。

 「ようこそ我がヴァイス・ブレイブへ。歓迎しよう、人類最後のマスター・藤丸立香とそのサーヴァント・マシュ・キリエライト」

その威圧感に思わず後ずさる藤丸とマシュ。

 「どうしたんですか師匠!! いつもとキャラが違いますよ!!」

 「そうですよ師匠!! いつもとキャラが違くて気持ち悪いですよ!!」

 「う〜ん、マークくんとマークちゃんはもう少し空気を読むことを覚えような!!」

そして速攻で威圧感が霧散した。

 「……え〜と」

 「まぁまぁ、座れ座れ。藤丸は初めましてだな。マシュは久しぶりだな」

召喚士の言葉に困惑するマシュ。なにせ初対面の相手に面識があるようにされたら誰でも驚く。特にマシュは対人関係に慣れていないのだ。

 「すいません……どちら様でしょうか?」

 「あん? ああっと、そっか。カルデアにいた時はこっちだったか」

そう言って白フードから黒フードになる召喚士。それを見てマシュは心底驚いた声をあげた。

 「ブリガンクロス教授!?」

 「イエース!! 久しぶりだな、マシュ!! すっかり女の子のなっちゃって!!」

まさかの召喚士カルデアにも首を突っ込んでいた案件である。

 「マシュ、知り合い?」

 「は、はい。ブリガンクロス教授はカルデアの英霊召喚システムを作り上げた中心的人物です。Aチームの皆さんとも仲が良かったんですが、ある日突然姿を消してしまわれて……」

 「はっはっは!! ちょっとまた異世界に召喚されてね!! ちなみにヴァイス・ブレイブ自治領は専用回線じゃないと通信が開かれることはないからな!! きみらが使っている通信システムじゃロマニ達と通信できない!! そこんところは理解しておくように!!」

 「あ、だからさっきからロマンから連絡がこないのか」

召喚士の言葉にどこか納得する藤丸。

 「あ、あのブリガンクロス教授!! 聖杯を渡してください!!」

 「ああ、これだろ」

マシュの問いかけになんでもないように戸棚から取り出された聖杯。カルデアではめっちゃ厳重に保管されているものがここでは日用品のように扱われている。

 「別に渡してもいいんだけど、条件がある」

 「条件ですか?」

藤丸の言葉にニヤリと笑う召喚士。

 「我がヴァイス・ブレイブ修羅三人衆と戦って1時間生き残れたらこれをやろう!!」

そんな地獄のような宣言をしたのであった。

 

 

 

 

結果的に藤丸とマシュは聖杯の回収に成功した。

二人が何回臨死体験をしたか?

10から先は数えることを放棄したのであった。

 




藤丸立香
人類最後のマスター。特異点(本編)より季節特異点(ギャグ)の方が辛いと感じる人類最後の希望。

マシュ・キリエライト
みんなの後輩。可愛い。

召喚士
まさかのカルデアにも関わっていた男。こいつは一体何者なんだ。

藤丸&マシュVSヴァイス・ブレイブ修羅三人衆
藤丸とマシュのトラウマ




そんな感じで聖杯戦争編が書けなかったので、藤丸くんとマシュに我がヴァイス・ブレイブにやってきてもらいました。二人は泣いていい。
そしてさり気なくカルデアにも関わっていた召喚士。マリスビリーの死因はきっと胃潰瘍。

FEHではペトラちゃん欲しさに青を回したらすり抜けスミアを食らいました。本当にこのゲームのすり抜けはブチ切れそうになるな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブ花火大会

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回はこの作品の大天使であるニノとその息子達のために花火大会を行うお話です(盛大なネタバレ)


俺の部屋には珍しくウルスラが一人でやってきていた。

 「珍しいな。お前さんが俺に相談なんて」

 「あら。私だって相談の一つくらいあるわ」

 「相談ねぇ。だったら確認しておくことがある」

ウルスラの言葉に俺は真剣な表情になる。

 「その相談内容はロイとニノのどっちに関することだ?」

 「ニノのことよ」

 「「詳しい話を聞こう」」

ウルスラの言葉にノータイムで答える俺。いつの間にかパントも瞬間移動してきていたが、大天使ニノエルの前には些細なことなのでスルーする。

ウルスラもパントのことはスルーして真剣な表情で続ける。

 「昨日のことよ。黒い牙(ジャッファは除く)のメンバーで食事をしている時にニノが呟いたのよ。『レイとルゥと一緒に花火を見たいなぁ』って。それを聞き流せる黒い牙がいると思う? いや、いるわけがないわ。それを聞き流せるとしたら黒い牙失格よ……!!」

 「とりあえずニノのその発言は烈火出身者には聞き流せない事実だからいいぞ」

 「滅多に言わないニノのわがままだからね!! 僕らが完璧にそのオーダーに答えてあげよう!!」

高らかに宣言するパントに俺とウルスラは拍手する。

 「しかし、花火の火薬の調合は俺ができるが、打ち上げはできないぞ」

 「それは僕に任せてくれ。完璧な打ち上げ装置をカナスと一緒に作り上げてみせよう」

 「だったら私はニノ達に浴衣を用意しておくわね」

 「「ウルスラ……お前は天才か……」」

 

 

 

 

 「今日は花火を用意してくれてありがとう!! 召喚士さん!!」

 「おう、気にするな。ニノのためなら苦労でもなんでもないさ」

天真爛漫なニノの笑顔に心がほっこりする。その証拠に普段から俺を挟んで顔を合わせたらギスギスした空気が流れるリンとフィオーラの顔も優しい笑顔だ。ニノの笑顔にはきっと人を争わなくさせる効果があるに違いない。

 「ちょ、ちょっと待ってくれ召喚士」

 「うん? どうしたレイ」

そして俺に話しかけてきたのは顔を赤くしたレイ。

 「どうしたじゃないだろ!? なんで女性物の浴衣なんだ!?」

 「「「?」」」

 「なんでリンさんとフィオーラさんもそんな心底不思議そうな表情になるんだ!?」

 「親娘でとてもよく似合っているじゃないか」

 「あ!! 今、親子の子供の部分を娘って呼んだな!!」

怒って俺に掴みかかってくるレイだが、その姿から怖いという印象など皆無であり、逆に可愛らしいという発想しか湧かない。その証拠にリンとフィオーラからも「やっぱり子供は娘がいいかしら」「私は息子と娘両方が欲しいですね」と言った会話が流れている。

聞かなかったことにしよう。

 「ルゥだって女性物なんて嫌だろ!?」

 「え? お母さんとお揃いで嬉しいけど?」

 「違うだろ!! 否定しろよ!! ルゥが肯定的だからウルスラおばさん達は俺達の服を女性物の用意をするんだぞ!!」

 「もう!! レイはそんなに怒らないの!! せっかくウルスラさん達が用意してくれたんだから!!」

 「お母さんも子供が女装させられているんだから止めてくれよ!!」

 「でもレイは小さい時にウルスラさんが『大きくなったらロイのお嫁さんに来てくれる?』って質問に笑顔で『いいよぉ』って答えていたよ?」

 「あれは結婚の意味もわかっていない時だから!!」

ニノとレイとルゥのイチャイチャとか烈火出身者にとってはご褒美でしかない。

 「ところでカナス。その映像あとで共有できるか」

 「任せてください」

当然のようにカメラを構えてその尊い映像を保存していたカナスに映像の共有をお願いすると笑顔で快諾した。

大天使の素晴らしい映像はみんなで共有しないとな!!

 「先生!! 花火の準備は完了したぞ!!」

そこにやってきたのは教師になって熱血に目覚めたグレート・ティーチャー・ベレトであった。俺は元気よく走りこんできたベレトに向かい合う。

 「ベレト!! 歯を食いしばれぇぇぇぇぇ!!!!」

 「押忍!!!!!!!」

手を後ろで組んで直立不動で殴られる態勢になったベレトを俺は思いっきり殴り飛ばす。

 「いいかベレト!! 教育者が子供を怖がらせるなどあってはならないことだ!! みろ!! レイとルゥが驚いてしまっているじゃないか!!」

 「押忍!! 先生!! すいませんでした!!」

口の端から血を流しながらベレトは元気よく答えてくる。

 「それで、花火の準備は完了したんだな」

 「ああ、先生と、先生の火薬の調合を教え込まれたインバースとベレスと俺で合計1万8000発の準備ができた」

 「パーフェクトだ、ベレト」

 「「多すぎない?」」

やれやれ、リンとフィオーラは何もわかっていない。

 「いいか、二人とも。普段からワガママを言わないニノのお願いだぞ? 張り切るだろ……常識的に考えて……!!」

 「「それもそうね」」

 「リンさんとフィオーラさんも納得しないでくれ!!」

レイは何を言っているんだろうか。烈火出身者にとってニノのお願いは何を犠牲にしても叶えるものだというのに。

 『時間になったようだね!! それではヴァイス・ブレイブ納涼花火大会を開催するよ!!』

そしてヴァイス・ブレイブに響き渡る天才イケメン魔導師の声が響く。

そして空に打ち上げられる花火。打ち上げられた花火は夜空に大きく花ひらく。それをみてニノは嬉しそうに声を上げる。

 「た〜まや〜!!」

その可愛らしい姿にそこにいた烈火メンバーの花から愛が溢れる。

打ち上げ場所でロイドとライナスとラガルトによって打ち上げ装置にくくりつけられているジャッファをニノ達の視界に入れないようにしながら俺達も花火大会(主にニノ一家の鑑賞)を楽しむのであった。

 




ニノとレイとルゥ
超英雄で浴衣姿はよ!! レイとルゥは女性物の浴衣な!!

召喚士
火薬の調合もできる。そしてその技術はインバースとベレスとベレトに受け継がれている。

ニノのワガママ
滅多にワガママを言わないニノのお願いには烈火メンバーに拒否をするという選択肢は存在しない。





そんな感じでお題箱で頂いた『夏なので花火大会を(意訳)』と『ニノちゃんとルゥくんのほのぼのを』というお題を消化するための花火大会編でした。
書いていて感じましたが、烈火出身者のニノに対する可愛がりが半端ない。まぁ!! 当然ですよね!!

そういえば前回の更新からペトラ狙いのガチャがハーディンとニケにブロックされました。これは憤死案件

しばらくFE風花雪月の世界に行ってくるので、こっちの更新はしないかもしれません。ご了承くださいませ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とペトラ

鬼畜クソ軍師!(挨拶

しばらく書く予定なかったですけど、ペトラちゃんが来たので彼女の出番です。


後半に微量のシリアスがあります。


今日も今日とて召喚日和である。

 「しかし、お前さんも懲りないなぁ」

 「そうだよね。スミアちゃんと残念暗黒皇帝とニケ様にブロックされているんだから諦めたらいいのに」

 「黙れ、脳筋に腹黒。せっかくクソ梟が召喚チケット配布してくれているんだから召喚しないと駄目だろう」

 「「その結果がすり抜け三連発だが?」」

 「知らんな」

スミアは初だし、ニケ様は見切りをリンにスキル継承したからセーフ。残念暗黒皇帝? 凸らせるのが一番かなとも考えている。

 「さてさて、目当ての青は出るかなと」

馬鹿二人が今回も爆死することを疑っていない愉悦の笑みを浮かべているのを無視しつつ俺は召喚石版を起動する。

 「どうでもいいけどチケットで起動する石版てシュールだよね」

 「突っ込んでやるな、エリウッド」

召喚チケットじゃなくて専用オーブとかの方が世界観にあってませんかね。

 「お、青が二つあるな」

 「ドニだな」

 「いや、ソワレだね」

 「黙れ馬鹿二人」

馬鹿二人を叩き込ませつつ、俺はオーブを石版に叩き込む。

浮かぶ砂煙。浮かび上がるシルエット。

 「わたし、ペトラ=マクネアリー、いいま……」

 「バカな!?」

 「ありえない!? チケットツモだって!?」

出てきたペトラを見て本当の驚愕顔を浮かべるヘクトルとエリウッド。俺はそんな二人を尻目にAAコロンビアのポーズを決めている。

 「どうだ馬鹿共!! 俺のドロー力を見たか!!」

 「「エーデルガルト」」

 「ちょっと何を言っているかわかりませんね」

ははは、そんなオーブ170個近く突っ込んで出た星5はユルグ一人だけなんてありえるわけないじゃないですか。

 「し……」

 「シジミ汁か」

 「いや、シャトレーゼに行きたいんだよ」

 「会話の文脈繋がっているか?」

そして俺のことを驚愕顔で見つめていたペトラがようやく再起動する。そして溢れた一言に速攻で馬鹿二人がボケを突っ込んできた。

しかし、ペトラはそんな二人を無視して俺を見つめ続けてくる。

 「「「!?」」」

そして涙目になった。

 「おい、召喚士!! お前風花雪月世界で何をやったんだ!!」

 「会って早々に泣くとか割と最悪なことしかしてないんじゃないかい!?」

 「ばっかお前ら!! いくら俺が超天才軍師でも並行世界の自分がやらかしたことまでは責任持てないぞ!!」

というか自分のことながら何をやったんだ。どんな生徒がいるかわかれば大体の想像はつくんだが。

 「師匠!!」

 「「「!?」」」

そして俺達はさらなる混乱に叩き込まれる。なんとペトラが先生呼びで俺に泣きながら抱きついてきた。

ペトラを泣き止ませることも必要だが俺はその前にしなければならないことがある。

 「そこを動くな脳筋に腹黒!!」

 「チィ!! 覚醒が早いか!!」

 「おのれ……魔法を使うだなんて汚い真似を!!」

俺は速攻で召喚室から飛び出してないことないことを広めようとした脳筋を腹黒を魔法で捕縛する。

 「その魔法、その声、師匠、本人です!!」

そしてそれを見てさらに嬉しそうに泣くペトラ。かなり召喚室はかなり混乱している。

 「ふふふ、困っているようだね」

 「「「その声は……パント!!」」」

そして場が混乱すれば当然のように現れるパント。いつの間にか召喚石版の上でポージングを決めていた。

 「おい、パント!! とりあえず魔法を解いてくれ!!」

 「そうさ!! そうしてくれたらこの外道を地獄に落とすから!!」

 「お安い御用だとも」

 「「よっしゃー!!」」

 「パント貴様ぁぁぁぁ!!!!」

俺の魔法をあっさりとパントは解き、馬鹿二人は喜びの雄叫びをあげて召喚室から出て行った。

 「パント貴様ぁぁ……あん? どうした、真剣な表情して」

いつも通りにパントを怒鳴ろうとしたら、パントがやけに真剣な表情で俺を見ていた。その視線にシリアス場面だと気付いた俺も真剣な表情になる。

 「召喚士、以前、僕が君は風花雪月世界に君が残っている場合の並行世界の話をしたのは覚えているね」

 「そりゃあな」

 「そのあと、ちょっと気になったから僕は少しその世界を調べてみたんだ。そうしたら君はいいことをしているんだけど、自分の生徒達にトラウマ植え付けてからいなくなったみたいだね。そこのペトラちゃんもその一人」

すすり泣くペトラの頭を撫でながら俺はパントの説明を聞く。そしてその世界の俺が最終的にやったことを聞いて俺は頭をかく。

 「……まぁ、そうだよなぁ。俺だったら最後はそうするだろうな」

 「全くだ。これを知った僕も『あ、異世界でも軍師は軍師だ』と妙な納得をしてしまったよ」

俺の言葉にパントも薄く笑う。俺は未だに泣いているペトラの頭を優しく撫でる。

 「安心しろ、ペトラ。俺はここにいる」

 「師匠、ここいる、いなくなる、しないですか?」

 「……」

 「そこは肯定してあげなよ」

 「いや、異世界召喚体質は俺じゃどうにもならなくてな」

 「先生、ここにいる、だったら、ペトラ、先生、守る、します!!」

持っている剣を力強く握りしめながら宣言するペトラ。それをみて苦笑する俺とパント。

 「よかったね、召喚士。心強い護衛ができたじゃないか」

 「すでにカアラがいるんだがなぁ」

いい話で終わると思った? 残念でした!!

破壊される召喚室の扉。浮かび上がる砂煙。浮かび上がる二人分のシルエット。

 「「召喚士?/召喚士さん?」」

リンとフィオーラが殺意の波動を持って立っていた。助けを求めようとしたらパントはすでにいない。

 「待て、落ち着け二人とも」

 「あら。私たちは落ち着いているわ」

 「はい、落ち着いています」

そうだよな。だったら話あいを……

 「「だから、昔、召喚士が泣かせた女の子が召喚されたという情報を詳しく」」

とりあえず馬鹿二人は後で殺す。

 「わたし!! 師匠!! 守ります!!」

 「ペトラ!?」

そして完全に二人を敵認定したのか剣を抜いて俺を守るように立ちはだかるペトラ。

 「ペトラ、大丈夫です。師匠から、剣、教わる、しました!!」

自信満々に立つペトラ。だが、残酷なことを彼女に告げなければならない。

 「ペトラ!! お前の武器は暗器なんだ!!」

 「……え?」

心底キョトン顔をするペトラ。黙ってソール・カティと倭刀を構えるリンとフィオーラ。

 「いいか、ペトラ!! この世界最初の授業だ!!」

 「!! はい!!」

俺の言葉に嬉しそうにするペトラ。

 「勝てない相手には逃げるんだよぉぉぉぉ!!!」

 「はい、師匠!!」

そして二人で召喚室の窓を破って逃走するのであった。

 




ペトラ
召喚士に風花雪月世界で弟子入りしてしまった魔改造1号機。魔法の才能はなかったので徹底的に剣技を鍛え抜かれる。その結果、修羅三人衆に匹敵する腕前を手に入れた。しかし、FEHでは暗器である。現実は非情であった。召喚士を師匠と慕う大型犬系少女。

パント
ついに異世界の調査にも乗り出した天才イケメン魔道軍将。

召喚士の風花雪月でやったこと
きっと風花雪月編で明かされる(予定)



そんな感じで書かないと言っときながら今日2本目です。だってネタを考えていたペトラちゃんが出たら書かざるえないでしょう。でも風花雪月編のネタバレをするわけにもいかないのでこんな感じになりました。

え? ペトラちゃんの個体値? 聞くなよ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ペトラちゃんVS同人作家ギムレー

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回はFE風花雪月をやっていてソードマスターペトラちゃんを見ていたら思いついたネタです


 「ほ、本当にいいんだね!!」

 「ああ、本人も構わないと言っている」

 「ヒャッハー!! 我、やる気に満ちてきたぁぁぁぁぁ!!!」

自らの邪念を隠そうともしていないのは同人作家ギムレー先生である。

俺たちは今、訓練場にいる。運動大嫌いなギムレー先生が自発的に訓練場に来るわけもなく、当然のように理由がある。

 「しかし、本当によかったのか、ペトラ」

 「大丈夫です、師匠。問題ある、ないです」

相変わらず独特なカタコト発言で肯定してくる俺の生徒(らしい)ペトラ。今回はペトラの腕前をみるために実験だ……生贄……そう、訓練相手に無駄に頑丈なだけが取り柄のギムレーに白羽の矢が立ったのだ。

当然のようにエロ方面の要求をしてきたギムレーに教育的指導を施そうとしたのだが、ペトラが「貴方、勝つ。私、好きにする、できます」という負けたらエロ漫画展開一直線な発言をしてギムレー先生が超やる気になったのだ。

 「どうした召喚士。他人の心配なんて珍しいじゃねぇか」

 「これはきっとあれだね。召喚士みたいな薄汚い存在でも慕ってくれているペトラちゃんに愛着が湧いたんだね」

 「おう、バカ二人は黙ってろ」

そして当然のようにヘクトルとエリウッドもやってきていた。

 「それじゃあどちらかが負けを認めたら終わりな」

 「構わないとも!!」

 「はい!!」

フンスフンスと鼻息の荒いギムレーと、視線が徐々に人斬りの目になっているペトラ。

……これはペトラの心配は杞憂だったかもわからんね。

 「ま、いっか。それじゃあ始め」

 「ペットッラちゃぁぁぁぁぁん!!!!!!」

開始の合図と同時にルパンダイブするギムレー。しかしペトラは冷静に剣を構えている。

 「チェストォォォォォォォ!!!!」

 「え!? ちょ!! ギャァァァァァァァァァ!!!!」

そしてペトラの掛け声と共に繰り出された斬撃によってギムレーは『見せられないよ!!』状態になった。

 「師匠!! 教わった、できてる、ですか!!」

 「おお、できてるできてる……多分」

そして俺に嬉しそうに駆け寄ってくるペトラ。

 「俺一瞬ペトラに尻尾が見えたわ」

 「奇遇だねヘクトル。僕にも見えたよ。すごい勢いでブンブンと振るうところまでもね」

ヘクトルとエリウッドの声を聞きながらも内心で同意する。どう見ても自分がやったことを飼い主に褒めて欲しいペットにしか見えない。

 「く!? さすがに余裕をブッこきすぎたね!! 今度は本気で行くよ!!」

 「「「さすがはゴキブリ並の生命力だな、同人作家ギムレー先生」」」

 「三馬鹿はシャラップ!! ふふふ、ペトラちゃんよ!! 後悔するがいい!! 今度の我は本気モード!! 邪竜のブレスに耐えられるかな!!」

 「「耐えられるに100聖貨」」

 「全員同じじゃ賭けにならないな」

 「三馬鹿は本当にシャラップ!! それじゃあ行くぞペトラちゃん!! 大人しくその瑞々しい肉体で我を楽しませるんだ!!」

最低なことを言いながらも全力の邪竜のブレスをペトラに吐くギムレー。しかし、ペトラは動じない。

 「チェストォォォォォォォォ!!!!!」

 「え!? うっそ!! ブレス斬るとかそんなのあギャァァァァァァァ!!!!」

そして再び『見せられないよ!!』状態になるギムレー。

 「おい、ブレスって斬れるもんだったか?」

 「魔法やブレスは理論上は斬れることを烈火時代に俺とカナスとパントが証明しているな」

 「あれ? だったらどうして君たち三人はそれを使わないんだい?」

エリウッドの言葉に俺は平然と答える。

 「俺とカナスは運動神経が足りない。パントは必要ない」

 「「なんという知識の無駄遣い」」

実際に足りていないのだから仕方ない。

 「師匠!! 師匠!!」

 「ああ、よくできていたな」

俺の言葉にむっふーと嬉しそうにするペトラ。しかし……

 「これを見ると風花雪月の俺がどれだけ仕込んだか気になるな」

 「割とバグってそうだよね」

 「こいつの教育の時点で嫌な予感しかしねぇけどな」

黙れバカ二人。

 「というわけで実験台よろしくギムレー」

 「え!? 嫌に決まってるでしょ!! 見てよこの体!! 豆腐みたいに綺麗に切れているんだよ!?」

はっはっは。面白いことを言うなギムレーは。

 「ギムレー、貴様ニノとルゥに『放送できないよ!!』を教えようとしたらしいな」

俺の言葉に顔色が真っ青になるギムレー。殺す目つきになるヘクトルとエリウッド。

 「り、理解できていないからセーフ!!」

 「「「アウト」」」

 「ペトラ、他の技も見せてくれるか。あの汚物を実験台にして」

 「承知する、しました!!」

そして剣を構えるペトラ。逃げようとするギムレーは俺が魔法で捕獲しておく。

 「『燕返し』です!!」

 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 「「「多重次元屈折現象!?」」」

まさかの3本同時斬撃でギムレーが細切れになる。

 「この技、師匠に教わる、一番、難しい、です」

 「そりゃそうだろうね」

 「本当に召喚士はどんな教育してんだよ」

 「一人でも生きていけるような教育だな」

 「「その結果が頼もしすぎるぞ」」

インバース、ベレス、ベレト。俺の教育を受けた人物はみんな一人でも生きていける能力を持ってしまっているな。

 「こ、こんなモンスターを相手にしてられるか!! 我は部屋に帰らせてもらう!!」

 「ペトラ、殺れ」

 「はい!!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!」

その日、訓練場からはギムレーの断末魔が鳴り止む事はなかったのだった。

 




ペトラ
薩摩系スラッシャー大型犬少女

ギムレー
下半身に忠実なポンコツラスボス。欲望がある限り何回でも復活する。

ペトラが使う技
全て召喚士が風花雪月時代に仕込んだ



そんなわけで召喚士によって魔改造を施された後のペトラちゃんでした。書いていて思いましたけど、ペトラちゃんの喋り方難しすぎ問題。

第三回総選挙の配布きましたね。作者は当然のようにカミラ姉さんをもらいました。ミカヤも欲しいところなんですよね。オーブはないが。

エリウッド? いらね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とガーネフ

鬼畜クソ軍師!(挨拶


今回は見た目悪党なガーネフさんの出番です


 「召喚士! おるかの!!」

 「なんだガーネフが。珍しいな」

俺の部屋に血相を変えて入ってきたのは大賢者ガトーの弟子で見事に闇堕ちしたガーネフであった。

 「わしの聞いた話では今戦っているヘルと言う輩は別世界のアスク王国の人々を皆殺しにしたと言うのは本当か!?」

 「まぁ、概ね間違っていないな」

 「おぉ……おぉ!! なんと言うことじゃ!!」

俺の言葉に本当に悔しそうに俺の部屋の机を何度も叩くガーネフ。これを何も知らない人から見たら民が戦乱に巻き込まれたことを悔やむいい老人に見えたかもしれない。

だが、この爺はそんな殊勝な性格をしているわけがない。

もう一度力強く机を叩き、心底悔しそうに口を開くガーネフ

 「畜生……!! 健康体の奴らはそれだけでいい奴隷になるって言うのに……!!」

この通り中身は本当の意味でのクズである。

 「お前さ、いい加減諦めろよ。何回治安維持部隊に捕まっていると思ってるんだよ」

 「馬鹿野郎!! 諦めなければ夢は必ず叶うんじゃよ!! わしはそれを知っているんじゃ!!」

 「テメェの夢は見事に潰されているじゃねぇか」

マルス達に見事に阻まれているじゃないか。

 「わしは諦めぬよ!! 諦めない限り夢は続くんじゃ!!」

 「お前の夢は潰れた方がいいだろ。試しに言って見ろよ」

俺の言葉に心底不思議そうな顔をしながら口を開くガーネフ。

 「まず金銀財宝じゃな。これは必須条件じゃろ。あとは名誉。まぁ、別にこれはあってもなくてもいいの。あとは奴隷として売り飛ばせる健康体の男と女。あとは教育次第でどうにでも洗脳できるから子供とかかの」

 「お前マジで捕まれよ」

このガーネフは我がヴァイス・ブレイブでも屈指のどクズである。

 「何を言っとるんじゃ。お主もわしと同類じゃろうが、なぁ相棒」

 「俺は確かにクズではあるがお前と違って終身名誉どクズ畜生じゃねぇよ」

本気でやめて欲しい。こいつに相棒呼ばわりされるたびにマルス達からの視線がやばいことになるんだ。

 「じゃがなぁ。お主だって敵に対しては容赦なしじゃろ? そして己の欲望には忠実じゃ。つまりわしは実質的にお主なんじゃよ。仲良くしようぜ、相棒ぅぅ!!」

 「一緒にするんじゃねぇって言ってんだろ。ぶち殺すぞクソジジイ!!」

こっちの話を一切聞かずに俺とガーネフは同類だと叫ぶ終身名誉どクズ畜生。そして俺のことを聞き分けのない孫のように見てくる。

 「わかった。それじゃあわしがどれだけお主とわしが同類なのかを証明してみせよう」

 「おう、やってみろ。絶対に違うって言い切れるからな」

そしてお茶を用意してから俺の向かいに座るガーネフ。

 「まず、敵に対して容赦がない」

 「まぁ、それは当然だな。その辺りは外道を言われるのは慣れているし、むしろ誉れな部分でもある」

 「そうじゃな。次に味方に対しても必要であれば騙すことに抵抗感はない」

 「まぁな。策に必要であれば味方でも騙すさ」

俺の言葉に満足そうに頷くガーネフ。

 「うむうむ。そして敵に対しても味方に対しても煽動が上手い」

 「まぁ、必要だからな」

 「そうじゃろそうじゃろ。そして反抗する味方は内々で処分することにも躊躇いはない」

 「いや、それは戦闘中に不和を生じさせたらまずいからで……別にやりたいわけじゃ……」

 「じゃがやるじゃろ?」

 「……いや、まぁな」

あ、あれ? 俺って思っている以上にどクズなのか……?

 「まだまだあるぞい。お主は必要であれば現地で人を徴用して働かせるじゃろ?」

 「いや、でもちゃんと賃金は払っているし……」

 「じゃが過酷な労働環境に放り込むじゃろ?」

 「……いや、確かにやるが……」

あ、あれ? おかしいな。嘘だろってくらいにガーネフと共通項がある。

 「最後にお主は奴隷制を否定しとらん。必要悪だと理解しておるからじゃ」

 「そ、それはそうだが……だが、俺はちゃんと奴隷解放はやって……」

 「それはやるべきことが終わってからじゃろ?」

 「た、確かにその通りだが……」

ば、バカな……俺とガーネフは同類項だと……?

 「はっはっはぁ!! そんなわけでわしとお主は同類なんじゃよ!! よろしくな、相棒っ!!」

 「そんな……嘘だ……俺は……そんな……」

俺の肩をバシバシと叩いてくるガーネフ。だが、俺は思考回路がうまく繋がらない。俺は確かに外道だが、終身名誉ドクズなはずが……

 「失礼しますね、召喚士さん」

 「フィオーラ……」

 「はい、貴方の妻のフィオーラですよ」

俺の言葉に優しい微笑みを見せるフィオーラ。

 「フィオーラ……俺は終身名誉どクズだったのか?」

 「おい、そこの終身名誉どクズ畜生。召喚士さんに余計なことを吹き込みましたね?」

俺の言葉に殺意200%でガーネフを睨みつけるフィオーラ。それに対してフィオーラを笑い飛ばすガーネフ。

 「おいおい、言いがかりはやめて欲しいの! ワシは召喚士の本質を言い当てただけじゃよ!! なぁ、相棒!!」

 「召喚士さんは確かに鬼畜クソ外道ですけど、貴方のような終身名誉どクズではありません!! そこに直りなさい!! 根性を叩き直してあげます!!」

 「おっと!! 鬼教官モードになりおったな!! じゃあな!! 相棒!!」

 「こら!! 待ちなさい!! あぁ、召喚士さん!! 手首を切っちゃダメです!!」

 「はは……俺はガーネフと同類なのか……そんなの生きている価値ないじゃないか……」

 

 

この後、フィオーラによってなんとか正気に戻った俺は、とりあえずガーネフがセコセコと貯めていた金銀財宝を冤罪で奪い取るのであった。

 




ガーネフ
終身名誉どクズ。金銀財宝とか大好き。健康な奴らは奴隷として価値があるからいいよね、といい笑顔で言い放つ真正のクズ。

フィオーラ
召喚士の部屋に頻繁に出入りして召喚士の外堀を埋めにかかっている

召喚士
「俺は終身名誉ドクズだったのか……?」
「はっはぁ!! その通りだぜ、相棒!!」




そんな感じでガーネフ編でした。ツイッターのお題箱で「もっとキャラ崩壊したキャラを出して欲しいです」と言われたのでガーネフにレジライをインストールしました。ですがあんまりキャラ崩壊していないように感じるのは作者の書き方が悪いんですかね。

お題箱の方で「FEHヘルを倒したらそれで終わりになるのかな?どのFEHでも龍や魔物がいたからFEHヒーローズにもおそらくいると思うのですがとなると炎の紋章もあるどう思いますか?」というご質問を受けました。回答はこちら
A、 こんなネタ小説でそんな細かい設定作るわけねぇだろ!!
以上です

そして作者の近況ですが、作者がメインで書いている小説は応募できる賞が少ないので、二次創作を書いているノリでライトノベルを書いて9月末締め切りの賞に応募することにしました。ですのでしばらく更新できないかもしれません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界への高飛び

ツイッターでのやり取り

Q、召喚士さんは童貞を捨てるなら誰がいいですか?
外道「どどどど童貞ちゃうわ!」
脳筋「うるさいぞ終身名誉童貞!」
腹黒「さっさとリンかフィオーラに食われてしまえ」
椅子女神「む?私の世界ではシェイカーの子供がおったぞ?」
三馬鹿「・・・・・・え?」

そんなやり取りをしていたらリンちゃんとフィオーラが黙っていないよね


あ、ちなみに最終回です


 「それでは裁判を開始します」

 「ちょっと待ってくれ」

 「待たない」

俺は被告人席に縛り付けられ、せめてもの抵抗をしてみるが見事にリンに両断にされる。

そしてリンはオコである。具体的に言うとムカチャッカインフェルノ檄オコプンプンドリームである。

 「それでは証言者、前へ」

リンの言葉に証言台に上がるのは椅子の女神ことソティスである。ちなみに傍聴席は烈火勢で埋まっている。

ソティスはリンの殺意にドン引きしながらも証言台に登る。

 「証言者ソティス。風花雪月世界に召喚士の子供がいると言うのは事実かしら?」

 「う、うむ。何故そんなに怒っておるのかわからんが、シェイカーの子供はおったぞ」

 「リンさん!」

 「ええ、わかっているわフィオーラ……! これは私達に対する挑戦……! どこの小娘は知らないけど、サカの民を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる必要があるようね……!」

 「待て待て! 落ち着け! ソティスが俺を嵌める為に嘘を言っている可能性がある!」

 「むむ! 失礼なことを言うなシェイカー! 貴様ではあるまいし、嘘など言わぬわ!」

俺の必死の嘆願もソティスがプリプリ怒りながら否定してくる。貴様は裁判長席のリンと検察人席に座っているフィオーラの怒気を感じないのか。このままでは待っているのは俺の死だ。

 「意義あり!」

そこに力強く否定の声を挙げたのは弁護人席にいるベレトである。ベレトは力強く俺の指を突きつけながら言葉を続ける。

 「確かに先生は鬼畜でクソで外道だが生徒に手をだすような甲斐性は持っていない!!」

 「ク!? それは確かに!!」

 「ベレトもフィオーラも俺を傷つけて楽しいか!?」

ベレトのフォローになっていないフォローにたじろぐフィオーラ。

 「ベレトの言葉は最もだろう。先生が生徒に手をだすような甲斐性があったらとっくに私が孕まされているはずだ」

 「ベレスもフォローになってないからなぁ!!」

ベレトと同じくフォローになっていないフォローを飛ばすベレス。傍聴席で愉悦の表情を浮かべているバカ二人。ここに俺の味方はいない。

 「静粛に」

リンがカンカンと裁判官が持っているハンマーで喧々囂々の言い争いを始めたベレトとフィオーラを止める。

 「もう一人、私は証言者を呼んでいるわ」

そして新しく証言台に登る証言者。

 「師匠、無実、照明する。します!!」

 「ペトラじゃねぇか!!」

どう考えても証拠を固めにくる人選だった。そしてペトラは何故俺が裁判にかけられているが理解している様子はない。

 「それでは証言者ペトラ。風花雪月世界に召喚士の子供はいたのかしら?」

リンの質問に返す前にペトラとアイコンタクト。

 『わかっているな、ペトラ』

 『安心する。してください。師匠、無実、照明する、します!!』

やはり個体が変わっても俺の弟子。バッチリアインコンタクトが通じる。さぁペトラよ! 俺の子供などいないと言い放ってやれ!!

 「師匠、子供、とても賢い、良い子です!!」

 「「死刑」」

 「ペトラァァァァァ!!!!」

めっちゃいい笑顔で「師匠、きちんと伝える、しました」じゃない!! リンとフィオーラの顔が大変なことになってる。

 「ヤッベェ、俺今超幸せだわ」

 「わかるよ。召喚士が不幸ほど楽しいことはないよね」

ヘクトルとエリウッドは完全に愉悦の笑みを浮かべて高みの見物を決め込んでいる。

 「覚悟しなさい、軍師。今回こそは孕んでやるわ」

 「待ってください、リンさん。順番として私が先です」

 「……フィオーラ、今思ったのだけど別に三人でしてもいいんじゃないかしら」

 「確かに。異世界の小娘に盗られるくらいなら……」

そしてリンとフィオーラの眼光が俺を貫く。

 「「私達のものにしましょう」」

 「ヒィ!!」

完全に獲物を狙う肉食獣の目になっている二人に恐怖する俺。このままじゃ……食われる……!?

もはや俎板の鯉状態だった俺に、突如釣り針とロープがかかり、上空に引き上げられる。

こんなことをしでかすのは……!!

 「お父様フィィィィィィッシュ!!!」

 「ナァァァァァァイス! インバース!!」

そう!! 俺の養子であるインバースである。インバースは俺をペガサスに乗せるとすぐさま逃亡を開始する。

 「遅かったな、インバース!!」

 「ええ、ちょっと死んだ目をしたシャニーさんとティトさんに足止めをされてしまいまして!! お父様、とりあえず助けたのはいいですけど、どうしますの!?」

 「死の国方面へ飛べ!! 最悪阿修羅になった二人をヘルにぶつける!!」

「合点承知ですわ!!」

しかし、俺たち親子の逃亡を阻むようにヴァイス・ブレイブから対空砲が出てくる。

 「キャァァァァァァァァ!! ちょ!? お父様!! お母様達の殺意がやばいですけど何があったんですの!?」

 「異世界の俺が誰かを孕ませたらしい!!」

 「それはお母様達逆鱗案件ですわね!!」

俺の言葉に対空砲火を必死に避けながら返答してくるインバース。

 「って!? お父様!! 後ろ後ろ!!」

 「後ろ? ファ!?」

 「フハハハハハ!! 逃亡なんて許しませんよ、召喚士!!」

 「私はユンヌ」

インバースのペガサスの超高速機動に平然と空を飛びながらついてくるイドゥンとユンヌ。

 『総司令より各自英雄へ。召喚士を捕らえなさい。捕らえた英雄は今までの逮捕歴を帳消しにしてあげるわ』

 「リィィィィィィィン!!!」

そしてヴァイス・ブレイブ中に響き渡るリンの最悪すぎる指示。

 「お父様!? どうしますの!! このままじゃ最悪殺されますわ!!」

 「待て、今素数を数えて落ち着いている!!」

 「数えているヒマはありませんわぁぁぁぁぁ!!!」

しかし、仲間に見捨てられても天には見放されていなかったのだ。

 「あれは!?」

 「え? お父様、あれなんですの? 空中に穴が空いていますけど」

インバースの疑問は最もだろう。だが俺はあれを何度も見ている。

 「あれは異世界へ通じるワープホールだ!! あれに飛び込めインバース!! 異世界に高飛びかますぞ!!」

 「でもどこの世界に飛ぶかわからないのでしょう!?」

 「バカ!! このままここに残っていても殺されるだけだ!! だったら少しでも生き残る可能性を選ぶんだ!!」

 「あぁ、もう!! わかりましたわ!! インバースいっきまぁぁぁす!!」

召喚士の勇気が新たなる世界を混沌に陥れるのを信じて!!

 




召喚士
まさかの異世界の自分が仕出かしたことで死にそうになったバカ筆頭。とりあえず異世界に高飛びをした。

リン&フィオーラ
異世界の小娘に先を越されたことにムカ着火インフェルノ。

召喚士とインバースの異世界珍道中
書く予定はない。




そんな感じでツイッターでのつぶやきから派生してできたお話でした。最終回っぽく書いてありますが最終回です。正確に言うと最終回(仮)です。

それと言うのも作者のFEHに対するモチベーションがだいぶ下がってしまったためです。だらだらと続けることも考えましたが、今のモチベじゃ面白い話は書けないなぁと思い、だったら一回終わらせるかと言うことで最終回としました。

約2年近く書き続けてきましたが、原作ファンが読んだら絶対に怒るであろうこの作品を読んでくださったみなさま。本当にありがとうございました。

次はFE風花雪月編を書こうと思っております。

ちなみに最終回(仮)ですので作者の気分次第で召喚士が再びヴァイス・ブレイブに帰ってくる可能性もあります。

それでは読んでくださった皆さま。良いFEHライフを!!

11%まで上がって星3しかでねぇとかファッキンガチャ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二部 怒涛編
帰ってくる鬼畜クソ外道


『これからはログポ製になるかぁ。お、今年も舞踏祭ガチャあるやん。だれだ?』

舞踏祭イシュタル

『……え?』

舞踏祭イシュタル

『クッソォォォォォォ!!(ガチャガチャガチャガチャ』


 「いい加減認めたらどうかしら」

リンは冷めた様子で自治領主・アルフォンスに告げる。しかし、アルフォンスの表情は優れない。

 「……イシュタルとラインハルト、オルエンはよくやってくれているよ」

 「その状況はベレスとベレトも手伝っている結果よ。そして緩やかに状況は悪くなっている。先日のアスク王国と死の王国の戦いにも大敗したと聞いたわ。そして死の王・ヘルは着実に侵攻を開始している」

 「あの戦いも君達が協力してくれたら勝てていた!」

激昂するアルフォンスの反応にもリンは冷めている。

 「アルフォンス、人は国に忠誠を誓わないわ。基本的に忠誠心は人に向けられる。貴方は私達の忠誠心を手に入れることができなかった。違う?」

リンの言葉にアルフォンスは押し黙る。アルフォンス達は一方的に英雄達を召喚して戦わせている。英雄というものは一癖も二癖もある連中ばかりだ。そのような連中を従わせるにはアルフォンには不可能だった。

アルフォンスは歯軋りをする。リンの提案を受け入れれば、死の王国の侵攻は止むだろう。それは確信している。

だが、それをすればアスク王国に再びヒビが入りかねない。

 「……君はどう思う?」

アルフォンスが問いかけたのはアルフォンスが側近として重用している文官だ。彼は三軍師にも能力が認められており、さらには三軍師に対して反発心を持っているためにアルフォンスは重用していた。

そんな三軍師の政敵であるはずの彼も苦渋の表情を浮かべている。

 「確かに提案を受け入れれば現在の脅威は全て解決されます。ニフルとムスペルの内乱も収まるでしょう。しかし、それは私達には統治能力がないということの証拠にもなってしまいます」

 「あら、アスク王国内部にも反乱分子を抱えておいて統治能力もクソもないんじゃない?」

リンの言葉にアルフォンスと文官は驚愕の表情を浮かべる。その情報はアスク王国での最高機密だからだ。

二人の反応を見てリンは妖艶に笑う。

 「諜報・防諜を管理していたのは誰? そしてそれを引き継いだのは誰?」

 「イシュタル殿とラインハルト殿、それにオルエン殿が裏切ったというのか!?」

文官の言葉にリンは心底愉快そうに笑う。

 「裏切る? 違うわ。あの三人は最初から貴方達の味方じゃなかっただけ」

アルフォンスの文官の表情が強張る。

そしてリンは冷たい視線を二人に向ける。

 「最後通告よ。私達の提案を受け入れなさい」

 「…………わかった」

 「アルフォンス様!!」

文官の叫びにアルフォンスも叫び返す。

 「わかっている!! これが最悪の選択だということは!! だけど……アスクやニフル、ムスペルを救うにはこの方法しかないんだ!!」

アルフォンスの叫びに文官は押し黙る。彼もわかっているのだ。この方法しかないことは。しかし、彼が持っている正義心がリン達の提案を拒否する。

しかし、そんな二人に興味がないのか、リンは席から立ち上がりながら口を開く。

 「パント」

 「なんだい?」

突如虚空から現れたパントにアルフォンスと文官は驚愕の表情を浮かべるが、リンは気にしない。相手がパントだからだ。

 「許可が降りたわ。居場所は?」

 「確認できているよ。相手の警戒心を解くために一緒にペトラを連れていくけどいいかい?」

 「構わないわ」

そう言いながらリンは真剣な表情で続ける。

 「なんとしても召喚士を連れ戻しなさい」

 「もちろんさ」

 「……あ、もう胃が痛くなってきた。おかしいな……召喚士がいなくなって胃痛から解放されたはずなのに……はは、雨かな? 視界が滲んでいるや」

 

 

 

エルドラドはここにあった。

俺とインバースのワープダイヴは結果的に大成功であった。俺たちがやってきたのは俺たちの世界で生まれたいたら覇王になっていたに違いない強さを誇るマスター(アティ)達の名もなき島であったからだ。

この島はいい。基本的にカモ……失礼、善人しかいないし。口八丁で丸め込めば食料も簡単に手に入る。

 「お父様ぁぁ、この島超最高ですわ」

 「だよな。それ俺も感じてる」

俺とインバースは風雷の郷にあるミスミから騙し取った家に住んでいる。最初は姉弟子であるメイメイのところに行こうとしたのだが、あの女は俺が来たことを知るとトンズラかましたのだ。

だが、そこは俺とインバース。護人達を時に騙し、時に脅しながら安穏な生活をゲットできてきた。インバースのペガサスものんびり草を食べている。

 「問題という問題がマスターによる俺に働け攻勢以外ないからなぁ」

 「アティ先生もしつこいですわねぇ。いつもお父様に完全論破されてショボンとして帰っていますわ」

 「インバース、そんなマスターを見てどう思った?」

 「なにあの可愛い生き物」

さすがはインバースである。俺の子供だけあって同意見だ。

 「軍師さん! インバースさん!!」

そこにやってきたの噂のマスターである。俺とインバースは畳でゴロゴロしながら庭に立っているマスターを眺める。

 「おぉう。どうしたマスター」

 「今日こそお二人には働いてもらいますからね!!」

フンスという擬音がつきそうな表情で言い切るマスター。相変わらず素直で愚直である。

俺達親子にとってはそんな相手いいカモでしかないのだが。

 「だがなぁ、マスター」

 「おっと!! 軍師さんのお話は聞きませんよ!! 聞いたら論破されてしまいますから!!」

なんと。底抜けのお人好しで他人を疑うことを一切しないマスターからそう言われてしまった。

 「それに今日はちょっと変なんです。ずっと頭の中で『軍師を働かせるんだ』って声が響いているんです」

それってノイローゼじゃないか? そして頭を抱えているマスターの後ろには人影が……

 「軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ軍師を働かせるんだ」

 「うぅ……やっぱり声がします……」

 「違うぞマスター!! 後ろ後ろ!!」

マスターの背後でノイローゼにさせていたのはパントだった。

 「え? えぇ!? どなたですか!?」

 「ふむ、どなたかと聞かれたらこう答えるしかないね」

そしてパントはキメ顔で口を開く。

 「人の世界を守るヒューマギア。『人理守護太郎』と」

 「お前はどう考えても滅亡迅雷.net側」

そして心底どうでもいいことを言い放った。

 「ヤァ、久しぶりだねぇ召喚士。あぁ、この世界では軍師だったっけ? 私としてはそっちの方が呼び慣れているからいいんだけど。それともこの世界でも偽名を使っていたのかい?」

 「あ!? バカ!!」

パントの言葉に怒り心頭となったのはマスターである。

 「軍師さん!! 偽名ってどういうことですか!! 人として相手にはきちんとしなきゃ駄目ですよ!!」

 「ウルトラめんどくせぇ……」

超絶お人好しのクソ真面目なマスターは相手を騙すことを心底嫌う。そんな人物が基本的に偽名を使っていることを知ったらどうするか。

当然のように怒る。俺はマスターの説教を右から左へ聞き流しながらパントに半目を向ける。

 「お前わかっていてやっただろ」

 「当然さ!!」

 「こいつ死ねばいいのに」

 「あ!? お友達に向かってその暴言も駄目です!!」

説教がさらに強くなった。とりあえず説教の身代わりにインバースを立て(当然のように『裏切ったな!! シャア!!』みたいな表情になった。悪いな。親の不始末を片付けてくれ)俺はパントと話をする。

 「だいたい来た理由はわかるが一応形式的に聞いておくぞ。何のようだ?」

 「迎えに来たよ」

 「帰れ」

俺の言葉が予想通りだったのかパントは笑顔を崩さずに言葉を続ける。

 「まぁまぁ、ここは彼女のいうことも聞いてみたらどうだい?」

 「……彼女?」

俺の脳裏に修羅の如くブチギレているリンとフィオーラの姿が浮かぶ。

当然のようにいつでも逃げれるように半立ちの態勢になった俺に突撃してくる人影。

 「ししょォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」

 「ペ、ペトラか!!」

完全に号泣しているペトラだった。もやしな俺が受け止めれるわけがなく俺はペトラに押し倒される。

 「師匠、突然、いなくなる、する、駄目です」

 「あ〜、それは悪かった」

ペトラも裁判の時は完全に俺に良かれと思ってやったことだ。だから恨む気持ちはない。

だが、面白がっていた脳筋と腹黒は殺す。

ニヤニヤと笑顔を向けてくるパント。

 「どうするんだい? 君みたいな鬼畜クソ外道を純粋に慕う女の子を君は無碍にできるかい?」

 「ペトラ、こっちの世界で一緒に暮らすか?」

 「ここに住む。ですか?」

 「まぁ君なら当然そうするよね!! だけどその場合私はこの写真をリン達に見せることになる!!」

パントが見せてきたのは俺とマスターが仲良く釣り糸を垂らしている写真と、俺がペトラに押し倒されている写真だった。

 「最悪かテメェ!!」

 「はっはぁ!! 私がここまで性格がひん曲がったのは間違いなく君たちのせいだよ!!」

ストレートに脅しだった。

 「大丈夫ですわお父様!! リンお母様とフィオーラお母様は世界を飛ぶことはできませんわ!!」

 「ちなみにその場合私が連れてくるよ」

 「完全に詰みましたわ!!」

インバースの逃げ道も笑顔で塞ぐ最悪すぎる天才魔導軍将。こいつ死ねばいいのに。

 「あれ? リンさんというのは軍師さんから聞いていましたが、フィオーラさんというのは……」

そこに話が全くついてこれていなかったマスターが疑問を投げかける。俺が説明する前にパントが笑顔で口を開く。

 「リンは軍師の嫁で、フィオーラは軍師の妻さ」

 「貴様ァァァァァァ!!!!!」

貴様は俺からこの世界の居場所を奪う気だな!! 笑顔でサムズアップするんじゃない!!

 「軍師さん!! お付き合いするならきちんとしなきゃ駄目です!!」

 「ほら、こうなった」

再び俺に説教を始めるマスター。インバースは縁側でペトラとお茶を飲んでいるために生贄にはできない。

進歩したな……インバース……!!

 「いや、俺は帰りたくないんだよ。それにマスターと離れたくないんだ」

 「そ、そんな軍師さん……照れちゃいます」

頬を赤らめるマスター。これならもうひと押しでいける……!!

 「そうやってヴァイス・ブレイブでも数多い女性英雄を口説いたわけだね!! いよ!! このスケコマシ!!」

 「パントォォォぉぉぉぉぉ!!!!!!」

しかし駄目……!! マスター再びブチギレ案件……!! 問題は俺にはそのつもりが一切なかったことなんだが、マスター聞いてくれない……!!

 「それと一つだけ真面目な話をするとね」

 「お前が真面目な話とか世紀末かよ」

 「当然のツッコミはスルーするけど。実はヘルが調子に乗っていてね。『え? あの鬼畜クソ外道いなくなったの? やったねヘルちゃん大勝利!!』宣言をしたよ」

 「わかった。あの骸骨殺しに行くわ」

やはり奴をアルフォンス達に任せたのが失敗だった。責任を持って俺が生まれてきたことを後悔させてやりながら殺してやろう。

 「あれ? ヘルってもしかして?」

 「お、たまには頭の回転が早いなマスター。その通り。マスターに死の呪いをかけて苦しめ、俺が魔法で消しとばしたあの骸骨だ」

 「た、たまにはが余計です!! そうですか、あの人がまた苦しめているんですね……」

ヘルとかいうクソ骸骨を人扱いしたマスターに俺とパントがマジ驚愕表情を浮かべる。

 (え? 軍師、彼女大丈夫? ヘルを人間扱いとか脳の病気としか思えないんだけど?)

 (驚愕しろ。このレベルを超えたお人好しが俺のマスターであるアティだ)

 (マジかよ)

俺の言葉に滅多に笑顔を崩さない笑顔を崩すパント。すごいぞマスター。この天才から一本とった。

 「よし!! 決めました!! 私も一緒にヴァイス・ブレイブ? でしたか。そこに行きます!!」

 「「「「………え?」」」」

そしてそんな爆弾発言をするのであった。

 




残されたヴァイス・ブレイブ自治領
召喚士が行なっていた仕事はイシュタルが中心になってラインハルト、オルエン、ベレス、ベレトが引き継いだが、相手が召喚士とトムとジェリーを繰り返しているヘルだったために駄目だったご様子。ルフ男とルフ子も自分の仕事で精一杯。その結果が召喚士再登用に繋がる結果に。頑張れアルフォンス君。

ヒューマギア 滅亡迅雷.net
基本的に作者は特撮を見ないが、これだけはツイッターで腹筋崩壊太郎が話題になっていて第一話だけ見ました。
腹筋崩壊太郎ロス……

アティ先生まさかのFEHに参戦!!
どうなる次回!!



前話で最終回とか言っときながら続きを書いている作者です。あ、やめて!! 石を投げないで!!

いえ、これには深い理由があるんです。『これからはログポ勢になるかぁ。そのうちやめるかもなぁ』なんて笑っていたら、前書きにある踊り子ガチャでイシュタル実装。

そんなんまたやるしかないやん……!!

ええ、そんなわけで続けることになりました。

実は前回最終回にしていたのは風花雪月キャラが扱いづらかったため。一応、風花雪月編の主要なキャラは考えているんですが、それ以外のキャラはできるだけ自由に使いたい。そのためにこっちで設定を作りたくない。ですのでこの際、風花雪月編が終わるまでこっちは休止するか、と思っていたわけです。

え? 今後、こっちで風花雪月キャラをどうするかですか?

召喚しても出さなければ問題ないよね。だからすまないメーチェ!! 君のことは大好きだけどしばらく出番なしだ……!!

それと運営はマリアンヌの実装はよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士の帰還

た だ い ま


アルフォンス君の胃痛の種の帰還


 「マジでついてきちゃったのかマスター」

 「はい!! 軍師さんが心配ですから!!」

俺の言葉に笑顔で元気よく答えるマスター。

 「あ、これからは軍師さんが召喚主なんですから、マスターと呼ばれるのはおかしいですね……それじゃあ私のことは『お姉ちゃん』と呼んでください」

 「お前は何を言っているんだ」

 「あ! さては照れていますね!! ふふふ、パントさんから軍師さんのことを聞いたお姉ちゃんには弟君の考えていることなんてお見通しですよ!!」

 「パントォォォォォォぉ!!!」

やはり諸悪の根源はあのイケメンだった。やはり奴とはいずれ決着をつけなかればならないようだ。

俺はアティ(お姉ちゃんと呼ばないことに酷く不満そうだった)を連れてヴァイス・ブレイブの本拠地入り口に着く。

 『流体魔力検査—————クリア。身体的特徴—————クリア。網膜認証—————クリア。おかえりなさいませ、召喚士様。我々ヴァイス・ブレイブは貴方の帰還を歓迎します』

そんなアナウンスと一緒に巨大な門が開く。

そしてアティが呆然としながら口を開いた。

 「あの……弟君。このラトリクスの技術みたいなものはいったい……」

 「ちょっと利用させてもらっただけだよ」

 「あぁぁぁ!! また無許可でラトリクスの技術を使ったんですね!! アルディラに怒られますよ!!」

 「バレなければ問題ない」

 「またそんなこと言って!!」

プンプンと擬音がつきそうな怒り方をしているアティを無視してヴァイス・ブレイブ内を歩く。そこには見慣れた光景が広がっている。

修羅道場から逃げ切れずアテナに強制連行される剣英雄。どう考えてもインフレバトル漫画作品の戦闘を行なっているユンヌとイドゥン。治安維持部隊から逃げ回るエフラムとリオン。燃やされるヘクトル。

 「ここは変わらんな」

 「え!? これが普通なんですか!? あの人なんか燃やされてますよ!?」

 「ヘクトルだからいいんだよ。むしろいつもより火力が低いな。上げとくか」

俺のファイヤーによってヘクトルを燃やしている火力が増す。ヘクトルが「貴様ぁぁぁぁぁ!!!!!」とか叫んでいるが、奴の不幸が俺の幸福なのでなんの問題もない。

 「あ!! 弟君!! そんなことしたら駄目でしょ!!」

そう言いながらアティは持ってきていた唯一の武器である木刀を一閃!! なんと風圧で燃え盛っていた炎を消え去った。

静まり返るヴァイス・ブレイブ。そんな中をアティは平然とヘクトルのところに行って縛を解いて笑顔で問いかける。

 「大丈夫ですか?」

 「あ、ああ」

ヘクトルがアティの所業に軽くドン引きしている。

 「今度、弟君が酷いことをしたら私に言ってくださいね!! ちゃんと叱ってあげますから!!」

アティの言葉に即座に余計なことを言おうとしたヘクトルの眉間に向けてナイフを刺しておく。またアティに怒られたが些事である。

ユンヌとイドゥンのアティとバトルしたい視線を無視して俺は建物に入る。インバースには先に俺の執務室に向かわせている。

やだなぁ……絶対に殺人級の仕事の量があるよ……

そんなことを考えながら俺はヴァイス・ブレイブ自治領室に入る。中にはやつれきったアルフォンスがおり、その側近君が俺のことを殺す目付きで睨みつけてくる。

 「よぉ、アルフォンス。ヘルの奴に手こずっているらしいな」

 「……僕の力のなさを痛感しているよ」

 「なに、お前さんはこれからに期待だ。安心しろ、責任を持ってヘルの奴は痛覚を持って生まれてきたことを後悔させてから殺してやるから」

 「うん、あまり過激なことはしないでね。いや、本当に。少しだけ大人しめに行こう?」

 「ははは、それじゃあ俺は仕事場に向かうな」

 「待って!! せめて何かフォローして!! 心配しかできない!!」

泣くように叫ぶアルフォンスを無視して俺は部屋から出て行く。

 「弟君、今の人は?」

 「名目上のここで一番偉い人」

 「え? あの人生に疲れきった表情を浮かべている子がですか!?」

全く、アルフォンスにあんな疲れきった表情を浮かべさえるなんて悪い奴がいたものだ。きっとヘルだな。やっぱり奴は殺すしかない。

そして今度は俺の執務室である。中に入るとペトラを除いた俺の生徒達が揃っていた。

 「ご苦労だったなイシュタル」

俺の言葉に心底申し訳なさそうにイシュタルは頭を下げる

 「召喚士さんの後継を勤められず申し訳ありません」

 「なに。相手がヘルだったら仕方ない。あいつも伊達に俺と長年敵対しているわけじゃないからな」

そう。あいつは言動はアホ丸出しだが、長年俺と敵対して未だに生きているのだ。隠された能力はそこそこ高い。

俺の言葉にベレトは悔しそうに地面を叩く。

 「俺は悔しい!! 先生に任された仕事も真っ当できず!! 結局は先生に頼らなければならない事実に!! 俺は自分の無力さを痛感させられる!!」

 「言っていることは暑苦しいが、ベレトの意見には私も同意見だ」

心底悔しそうに叫ぶベレトと無表情に全く感情を見せずに言うベレス。ラインハルトとオルエンも同意見のようだ。

 「そうか。だったら空いた時間に授業でもやるか」

 『是非!!』

俺の何気ない言葉に食いついたのは生徒達全員だった。

 「まぁ、いいや。インバース。状況は?」

 「イシュタルさんが綺麗にまとめておいてくれましたわぁ」

そういってインバースは一枚の紙を俺に渡してくる。俺はそれをざっと眺めながら口を開く。

 「まず最優先でアスク王国の不穏分子を処理する。イシュタル、ラインハルト、オルエン、これからあげる名前の資料をルフ男からもらってこい。そして防諜にも緩みが見えるな。ベレス、ベレト。ルフ子のところに行って金のもらってこい」

俺の指示に飛び出して行く生徒達。そのまま俺は資料に目を通しながら机に座る。

 「インバース」

 「もう取り掛かっていますわぁ」

 「ならいい」

インバースは俺の指示を待つことなく作業に移っている。

ふむ、イシュタル達をインバースレベルに引き上げた方がいいかもしれないな。

脳内で教育方法を考えつつ、資料を片っ端から読んでいると唖然としているアティが目に入った。

 「どうしたアティ」

 「弟君とインバースさんがちゃんと仕事をしている……?」

ヘルを殺すための仕事だったら喜んでやるさとは口に出さない。このお人好しは未だに会話であの骸骨と分かり合えると思っている脳内お花畑だ。

 「あ、弟君! 何か仕事はありませんか!! 私も手伝いますよ!!」

ここで俺とインバースの高速アイコンタクト。

 (アティに汚い仕事できると思うか?)

 (絶対に無理ですわ)

 (だよな)

そんなわけで脳内でアティをここから追い出すいい方法を考え、それを思いつく。

 「俺は仕事で手が離せなくなるからリンに挨拶に行ってくれ。そこでリンに学校の設立ができないか交渉してみてくれ」

 「学校ですか?」

俺の言葉に顔を輝かせるアティ。教えることが大好きな先生気質のアティには学校という響きが特別なんだろう。

 「ここにはまだ10代前半や中盤の子供英雄も多い。そういう子供達に教育を施すのも仕事のうちだろう」

 「わかりました!! 任せてください!!」

喜んで部屋から飛び出していくアティを見送り、俺は汚い陰謀に頭を巡らせるのであった。

 

 

ちなみに再開したリンからは仕事を増やすなと怒られた。アティはスーパーお人好しモードのゴリ押しで学校の設立を勝ち取ったらしい。

 

教師役の英雄を探すのも俺の仕事に追加されるのであった。

 




ヴァイス・ブレイブ自治領
アスク王国内の不穏分子は召喚士が帰ってきて数日中に全員が不審死。ニフルとムスペルの反乱も鎮圧され、侵攻してきた死の王国軍は迎撃にでた召喚士率いるヴァイス・ブレイブ自治領軍に撃破され、全軍の8割を失う結果になった。

召喚士塾
どうやら開講される模様

ヴァイス・ブレイブ学校
校長兼教師 アティ
教師    未定



こんな感じで召喚士はヴァイス・ブレイブに帰ってきました。これで次回からはいつも通りの頭の悪い作品に戻ります。

次回はいつかって? そんなの未定さ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とナギ

ノルンも欲しいけど狙いはナギ一点のみ……!!

絶対に引いて見せる!!

シリウス? もういるじゃん


 「あれ? 紋章はクリスちゃんの出番じゃないの?」

 「あの女は『絶対に召喚しません!絶対ですからね!』と言って部屋に籠城してるよ」

俺がいつもどおりに召喚しようと部屋に召喚室に入ると、エリウッドが話しかけてきた。

 「なんかあそこまで嫌がるとどんな奴か気になるよなKタリナ」

 「だよね。みてみたい気もするよねカTリナ」

 「二人とも、アルファベットにする部分は共通にしろカタリNだってバレるじゃないか」

 「「テメェもな」」

細かいことはいいんだよ!!

 「それで召喚士、今回の狙いは?」

 「緑だ」

 「ナギっていうマムクートか。ネットの噂じゃ相当強いらしいな」

エリウッドの言葉に俺が答えると、ヘクトルが納得したように頷く。

 「まぁ、それもあるが。ナギとはちょっとした知り合いでな」

 「「お前の交友関係なんなの?」」

二人の至極当然のツッコミは無視して召喚石版を起動し、緑色オーブを石版に叩き込む。

舞う土煙、現れるマムクートのシルエット。

 「パーフェクト乙女ミルラちゃん! 参上です!!」

 「「「うわぁ、ガチレズストーカー」」」

 「んま!! なんて失礼なキチガイ達でしょう。ですが心が広いミルラちゃんは許してあげます!! エイリークお姉ちゃん!! 貴女のミルラちゃんですよ!!」

俺たちに言うだけ言って部屋から出て行くガチレズストーカー。遠くからエフラムとリオンの怒号とミルラの煽りが聞こえてくる気がするが気のせいということにしておこう。

 「とりあえずドンドン行くか」

部屋から出て行ったミルラは無視しつつ、俺は召喚石版に緑オーブを叩き込む。

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

 「あれ、ここは……あ! 召喚士さん!! またリンさんやフィオーラさんに無断で召喚したんだね! メっ! だよ!!」

 「「「あ、やばい……尊い……」」」

ペガサスニノの登場に俺たち悪属性三人組は即座に昇華された。羽や本にするという選択肢は存在しないので、当然のように限界突破させた。

 「もう、ニノだけで今回のガチャは当たりじゃないかな」

 「俺もエリウッドに同意見だぜ」

 「否定はしないが、まだまだオーブに余裕があるから行ってみよう」

俺は二人の言葉を受けながら召喚石版に緑オーブを叩き込む。

舞う土煙。浮かび上がるマムクートのシルエット。

 「ナギだと思った!! 残念我でし」

出てきた残念オタクの発言を最後まで聞くことなく、俺は奴を本にしてしまう。

 「エリウッド、ヘクトル。お前らは何かみたか?」

 「「今の所出た星5はノーマルミルラと大天使だけだ」」

 「その通りだ。それじゃあ次に行こう」

俺は残り数が少なくなったオーブを召喚石版に叩き込む。

舞う土煙。浮かび上がるマムクートのシルエット。

 「わたしは、ナギ……神竜の意思を繋ぐ者…」

 「バカな……引けただって……!!」

 「おかしい!! 今回はすり抜け祭りでフィニッシュのはずだ……!!」

とりあえず愚かしいことを言っているエリウッドとヘクトルを無視しつつ、俺はナギに声をかける。

 「久しぶり、お姉ちゃん」

 「「お姉ちゃん!?」」

………

 「待て、俺は今ナギのことを何と呼んだ?」

 「いや、思いっきりお姉ちゃんって呼んでいたけど」

 「それで俺たちも『お前マムクートだったのか』って驚いたところなんだが」

 「いやいやいや、俺は確かに不老でちょっと人間は辞めてる自覚はあるが、まだ崖っぷちギリギリくらいで人間だったはずずずずずずずずずず」

 「「うぉ!? バグった!!」」

ミョンミョンミョンミョンミョンミョン(ナギの手から出ている謎の怪ビームが召喚士の頭に当たっている)

 「久しぶりですね、弟くん」

 「ああ、久しぶりだな、お姉ちゃん」

 「「洗脳された!?」」

洗脳? おかしなことをいうバカ共だ。ナギが俺の姉なのはギムレーがオタクなくらい当然のことなのに。

 「お姉ちゃんはまた弟くんに会えて嬉しいです。ここでも一緒に世界を滅ぼしましょうね」

 「「ちょっと待て」」

 「おう、今度はどうした」

頭痛が痛いみたいな表情をしているエリウッドとヘクトル。

 「あ〜、とりあえず確認なんだけど、召喚士は世界を滅ぼしたことあったの?」

 「え? 今更だろ。そりゃあ俺だぜ? 世界の一つや二つ滅ぼしているって」

 「なんつぅ説得力だ」

俺の言葉に納得した表情を見せるバカ二人なのであった。

 




ナギ
召喚士の(自称)姉。記憶喪失? きっと召喚士がどうにかしたんですよ。原作からして設定が語られていないってことは自由に作れってことですよね。よぉし!! 作者張り切っちゃうぞぉ! って感じで軽く異世界は滅ぼしているご様子。

すり抜けメンバー
ノーマルミルラは持ってなかったので普通に育成するかぁ、大天使は当然のように限凸。ギムレー? いませんよ。なぜがナギが迎撃体型覚えてましたけど。

姉ビーム
???「イルカを撃つからアーチャーなのです!」
どうやらナギは彼女に姉ビームを教わった模様。




そんな感じで久しぶりのガチャ小説でした。原作のキャラ設定がなさすぎてナギをキャラ崩壊に分類していいか悩みますよね。まぁ、確実に言えることは世界を滅ぼしたり姉ビームを撃つのはキャラ崩壊だということですけど。というかお姉ちゃん強すぎなんですが。守備得意個体とは言え守備40魔防41は草しか生えない。そして攻撃不得意にも関わらず50もあるって言うね。インフレが酷い……

さて、ようやく応募用のライトノベルが書き終わりました。あとは推敲しながら止まってる風花雪月を進めるだけです。
えぇ、止まってるんです。なんやかんや忙しくてここ最近は全くゲームをやれてません。そんなだから隙間時間にできるソシャゲから離れられないんだ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とヒーニアス

お題で『もっとキャラ崩壊が見たい』なんて軽く言うから……


あ、いつもより短めです


 「俺はどうすればいい!!」

心からの慟哭をあげるのはフレリア王国の王子であるヒーニアス。俺はその慟哭を無視するようにお茶をすする。

 「誰かを選ぶことなどできん!! それでも選ばなければならないのか!!」

え? Ifみたいにヒーニアスが運命の選択をするのかって? ある意味では運命の選択かもしれんな。

 「何故だ!! 何故ここにはこんなに魅力的な人物が多いんだ!!」

そして力強く机を叩きながら呻くように口を開く。

 「この私がエフラム以外の男のケツを掘りたいと思うとは……!!」

そう、ヒーニアスは真性のホモであった。

 「それで? 最近は誰にお熱なんだ?」

 「うん? 聞きたいか? 聞きたいだろう、召喚士」

 「いや、ぶっちゃけ聞きたくない」

 「やはり最近だったらベレトだろうか。傭兵として鍛えられたケツ。引き締まっていて実にグッドだ。そして忘れていけないのがマルス。流石は英雄王と呼ばれる男、ケツも英雄王に相応しいケツをしている。意外なところではタクミもいいケツをしている。弓使いらしく引き締まった腰、実にそそるものがある。そして忘れていけないのがアイクだ。あの圧倒的雄度。本来なら私は掘る側だが、アイクにだったら掘られてもいいと思えるほどだ」

恍惚の表情を浮かべ、オマケに涎を垂らしながらの発言に俺はドン引きである。

 「雄度が高いのがいいんだったらヘクトルとかどうだ」

とりあえずヘクトルの不幸が俺の幸福なので脳筋のケツを狙うように誘導してみる。

だが、俺の目論見はヒーニアスの呆れたようなため息で否定された。

 「いいか、召喚士。私は確かにホモだ。隙さえあればいい男のケツを掘りたいと思っている。だが、だ!」

そこでヒーニアスは机を力強く叩きキメ顔でこう言った。

 「私がしたいのはセッ○スであってレ○プではない」

そしてホモの持論を語り始めた。

 「いいか召喚士。私はお互いが合意の上で男のケツを掘り、そして気持ちよくなりたいのだ。一方的に気持ちよくなるなどそんなこと自慰と変わらないではないか。だから私は相手の気持ちも尊重する。相手が受け入れてくれるからこそ、本当に気持ちの良い事ができるのだ。ヘクトルは確かに私好みのいいケツをしている。だがしかしヘクトルは妻も子も持つ身だ。それを一時の快楽のためにぶち壊させるのは忍びない。だから私は家庭を持つ者は狙わない。そういう主義だ」

 「聞きたくもない演説を聞かされて俺は最悪の気分だよ」

 「ん? だったら一発やるか? ちょうど良くそこにベッドがあるしな」

 「お前は家庭持ちは狙わないと宣言したばっかりじゃないか?」

 「召喚士はまだ正式に家庭を持ったわけではあるまい。インバースも養子でリンやフィオーラも『自称』の段階だ」

 「……つまり?」

俺の言葉に怪しい笑みを浮かべるヒーニアス。

 「召喚士だったらセーフ」

 「助けてエイリーク!!」

 「あの召喚士さん、少しよろしいですか……って、あら? ヒーニアス? 珍しいですね」

俺の叫び通りに部屋に入ってきたエイリーク。それをみてヒーニアスは不満そうに舌打ちをしてから部屋を出て行った。

困惑するエイリーク。安堵する俺。

 「悪いなエイリーク、助かった」

 「い、いえ。私は何もしてませんし」

少し頬を赤らめながら謙遜するエイリーク。

 「いや、確かにエイリークは俺を助けてくれたよ。感謝している」

 「そ、それでしたらワガママを言ってもよろしいですか?」

ワガママという言葉に身構える俺。だがエイリークのワガママは可愛らしいものだった。

 「……頭を撫でていだたきたいのです」

 「それくらいだったら別に構わないけどな」

そう言ってから俺はエイリークの頭を撫でる。インバースや弟子達が小さいときにはこうやって褒めてあげたなぁと思いつつ懐かしくなる。

 「頭を……」

 「うん?」

そう思っていたら熱にうなされたかのような表情でエイリークがつぶやき始めた。

 「頭を撫でられたから和姦……!!」

 「ソォイ!!」

 「あぁ!! しまった!! 召喚士さん、待ってください!!」

聖魔組にまともな人物はいないのかと思いつつ俺はエイリークから逃亡するのであった。

 




ホーモアス
別名・ヒーニアス。ケツの貴公子。

エイリーク
ついに既成事実を狙い始めたご様子。

助けて!エイリーク!
結局は助けにならない



ツイッターの方で『ミルラちゃんやカタリナ並にキャラ崩壊したキャラが見たいです』というお題の結果、ヒーニアスがケツの貴公子になりました。きっとエポとかサクラとかと仲が良い。

作者のFEHでは無料チケットで二体目お姉ちゃんがやってきて攻撃不得意が消える結果に。お姉ちゃんもイドゥンとかユンヌばりの強さになっている気がする。そしてイドゥンの英雄値が最大になったので久しぶりに想いを集めてでゼルギウスを使っているのですが、インフレ酷くなりましたね。昔だったら余裕で受けれた攻撃で吹き飛ぶ事故が増えました。

あと風花雪月の帝国ルートを無事にクリアしました。あとは女性キャラのエンディングを集めるために最終ステージ周回をしたら二週目と執筆用データ作って始めます。二週目は金鹿の予定。理由? マリアンヌとヒルダの絡みを見たいんだよ。言わせんな恥ずかしい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と風花雪月〜クリア編〜

ようやくレア様を殺すのが終了しました


 「ようやく終わった……」

俺が部屋でバタリと倒れ込むと、部屋にいたヘクトルとエリウッドがこちらを見てくる。

 「あ、レア様虐殺大作戦は終わったかい?」

 「言い方に気をつけろ。それだと好んでレア様を殺し続けたみたいだろ」

 「間違ってねぇだろ」

 「多いに間違っている。俺はネットで調べた効率よく支援Sを集める方法ができなかったから仕方なしにボス周回をしたんだ」

本当にあれができれば三週くらいで済んだはずなのに、できなかったから八週することになったんだ。

 「でも見ていて楽しかったよ。だんだんどうやったら最短でクリアできるか研究しているの」

 「必殺1で必殺食らって即死したベレトを見た時は爆笑したけどな」

 「命中31とかでも余裕で当たるしな。こんなにFEってあたり判定厳しかったっけ?」

途中から『あれ? 俺がやってるのはスパロボだった……?』と勘違いしそうになった。

 「それで? お嫁さん候補はわかったかい?」

 「さっぱりだ」

エリウッドの言葉に俺は答える。

 「とりあえずエーデルガルト、ドロテア、ペトラ、マリアンヌ、リシテア、メルセデス、イングリッド、シャミアの支援Sを見てみたけど、とこに引っかかるこのはなかったんだよなぁ」

 「でもよぉ、パントの奴が『たとえ別個体だとしても召喚士だからね! ゲームで支援Sを組めば何か引っかかるものがあるんじゃないかい!』とか言ってたぜ?」

ヘクトルの言う通りである。俺がこんなにも必死こいて支援S周回したのは、パントの助言によって相手が誰だかわかるからじゃないかと言う発言によってだ。

そのために数日部屋に篭ってやっていたわけだが……

 「うむ、さっぱりだな」

 「ゲーム内容はどうだった?」

 「超最高。『教え子殺すのが超後味悪いけど、それも含めて戦争だよね!』って感じで楽しかった。でも帝国ルートのせいか、なんでディミトリがあんなにエガちゃん恨んでいるのかさっぱりわからん」

 「そうなると次は青獅子編かい?」

エリウッドの言葉に俺は笑顔で口を開く。

 「金鹿だな」

 「「なんでだ」」

 「なんでもマリアンヌとヒルダの絡みがみれるらしくてな。是非みたい。あとネットの情報で一番FEらしいのは金鹿編っていうのをみたからだな」

なんか謎が多くてモヤモヤしているからそれを解消したい。

 「まぁ、二週目の話はいいや。それじゃあ支援Sにした娘の中で引っかかる娘はいたかい?」

エリウッドの言葉に俺は考えこむ。

 「マリアンヌ、リシテア、シャミア……か?」

 「て〜なると、妻候補はその三人ってところか」

ヘクトルがどこか納得した表情を見せる。

 「ちょっと待って欲しい。頭に引っかかると言い方だと、別の人物も当てはまるんだ」

 「「誰だ?」」

エリウッドとヘクトルが興味深そうにみてくるが、これを言ったら間違いなくドン引きされる。だが、言わなかったらデマ情報をヴァイス・ブレイブに広げて俺の命を狙いにくるだろう。

 「……レア様」

 「「え? お前あんなクレイジーサイコマザコンが好みなの?」」

 「違う! 俺は清楚なお嬢様が好きなんだ!!」

 「あ、こいつさらっと性癖暴露したね」

 「こいつはリンとフィオーラに報告案件だな」

 「よせ(真顔)」

その情報があの二人に知られた場合ヴァイス・ブレイブに所属する該当する英雄を処分しかね……あれ? 清楚お嬢様とかいなくね?

 「まぁ、正確に言えばレア様じゃなくてセイロスの方なんだけどな。なんかセイロスをみてたらお姉ちゃんと一緒に……お姉ちゃん? 俺にお姉ちゃんはははははははははは」

ミョンミョンミョンミョンミョン(突然現れたナギが姉ビームを召喚士に当てている)

 「そうだ、お姉ちゃんはお姉ちゃんだったな。俺は一体どうしてしまったんだ」

 (どうする? 突っ込むかい?)

 (いや、下手に突っ込んであの洗脳がこっちに来たらやばいだろ。ナギも召喚士の洗脳済んで満足して出てったし)

 (じゃあ放置で)

おかしい、なんでお姉ちゃんはいないと考えたんだ? 後でお姉ちゃんに会いに行こう。きっとお姉ちゃん成分が足りていないんだ。

 「え〜と、ああ、そうだった。セイロスだったな。なんかお姉ちゃんと一緒に『ドキ!異次元崩壊の旅!』をやってた時に会った奴にそっくりなんだよなぁ。あのオープニングのセイロスの格闘術はまんまお姉ちゃんの格闘術だし」

 「「待て」」

 「うん? どうした?」

 「いや、ちょっと待って」

 「お前ツッコミどころを作りすぎるなよ。突っ込めなくなるだろ」

頭痛が痛いのいった雰囲気を見せるバカ二人。

 「とりあえず『ドキ!異次元崩壊の旅!』ってなんだい?」

 「ああ、それか。いくつかの世界に飛ばされてたらお姉ちゃんが自力で世界を飛ぶ方法を開発してさ。二人で世直し旅してた」

 「それだと異次元崩壊しないよな?」

 「世直しをしたつもりが世界が崩壊することが頻発してな」

 「「歩く異次元災害かよ」」

自覚してる。

 「それでナギの格闘術って?」

 「え? あ、そっか。お姉ちゃんはここだとマムクートモードでしか戦ってないもんな。お姉ちゃん素手だと超強いよ」

 「どれくらいだ?」

 「修羅三人衆だったら余裕」

 「「バケモノじゃねぇか」」

おかしいよな。『掴んだら確実に壊せ』とか教えてくれるんだぜ。

 「あれ? まさか召喚士が素手だと妙に強いのって……」

俺は笑顔でサムズアップする。

 「やっぱりお姉ちゃんって最高だぜ!」

 




召喚士
実は素手だと超強い。掴んだら関節は確実に壊してくる。

ナギ
FEHだとなんかブレス吐いているけど、本当は格闘戦が専門。その強さは修羅三人衆だったら圧倒できる。

お姉ちゃん成分
部屋にこもって風花雪月をやっていたので洗脳が薄まっていた模様。




そんな感じで風花雪月で支援Sを見終わりました。ベルナデッタとマヌエラも見れますけど、レア様殺すの飽きたので終了です。
ちなみに異世界召喚士の嫁は今回出てきた中にいます。誰だって? ふふふ、ひょっとしたらレア様かもしれませんよ。

この土、日の間に『外道、フォドラに立つ』の二話目も投げたいところ。期待しないで待っていてください。

あ、それとお題箱の方で『(キャラの名前)ってどんなキャラですか?』とか聞かれるんですけど、作者は基本的にひかないとキャラ考えないので答えられません。それと『風花雪月キャラは召喚士のことどう思ってますか?』も『外道、フォドラに立つ』のネタバレになりそうなので答えられません。ご了承ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大天使覚醒の時

祝・大天使ニノエル10凸!!


ヴァイス・ブレイブにある覚醒室は緊迫した空気が流れている。集まっているのは俺の他に黒い牙の面々である。

 「召喚士、ついになのね……」

 「あぁ、ついにだ。羽も集まり、他に優先して上げるべき英雄がいない今、好機だ」

ウルスラの言葉に俺は頷きながら答える。

 「召喚士、早く、早くやろうぜ」

 「ああ、俺は我慢しきれねぇよ」

ロイドとライナスも興奮を隠しきれていない。

 「待ち望んでいた時がようやく来たか」

ラガルトも感慨深げに頷いている。

 「では行くぞ。覚悟はいいか? 俺はできてる」

 『早くしろ!!』

俺の言葉に怒りがこもった返事をしてくる黒い牙の面々。

そして俺は部屋に入っている英雄の星5の本をセットする。

そして限・界・突・破!

部屋の中から溢れ出てくる光。歓声を挙げる黒い牙。

部屋から出てくる限界突破した英雄がオドオドした様子で出てくる。

 「え〜っと、うん! 限界突破したよ!!」

 『ニノォォォォォォォォォォォォ!!!!!!』

大天使ニノエルがついに星5の10凸である!!

 『ニノ! ニノ! ニノ! ニノ! ニノ! ニノ! ニノ!』

 「あ、こら!! みんなに迷惑だから騒いじゃダメだよ!!」

 『はい!!』

騒いでいた俺たちを嗜めてくるニノ。その姿に俺たちの鼻から愛が溢れる。

 「召喚士!! よく……よくやってくれたわ……!!」

俺の肩を力強く掴んで頷くウルスラ。ロイドとライナス、ラガルトはニノを可愛がっている。

 「配信開始から幾星霜……私達黒い牙の悲願をついに……!!」

ウルスラの目には涙が溜まっている。ガチで感激しているようだ。

 「安心しろウルスラ。ニノの10凸は烈火組にとって最優先事項だ。マシューとレイヴァンがまだ星4だが、それは本人達も認めていることだ」

マシューは仕方ないなと言った雰囲気で、レイヴァンは何かを恨んでいた様子だが、無視する。ニノの前に奴らの言い分などない。

 「あとはスキル構成ね」

 「一応A欄に鬼神の一撃3、Bに攻め立てをつけているけどな」

 「足りないわ……!! 圧倒的に足りないわ……!! ニノはもっとも可愛くかつ最強でないといけないわ……!! どうせだったら鬼神明鏡の瞬撃もつけなさい……!!」

 「まぁ、確かにわざマシンなら余っているからつけることはできるが、下手に強化すると戦場に出ることになるぞ、否、俺は出す気はないがニノ本人におねだりされる可能性がある」

 「そんなの貴方が拒否すれば済む話でしょう!!」

 「ニノのおねだりだぞ!! 断れると思うか!?」

 「断れないわね!! 知ってるわ!!」

あんまり強化しすぎると、ニノが他の英雄に気を使って出撃したがる可能性がある。ニノが危険な目にあうことは絶対に許されない。

 「とりあえず目下の目的はニノをいかに戦場から遠ざけるかだ」

 「それに関しては同意よ。ニノは戦場に出してはいけない」

ウルスラの言葉に俺は頷く。

 「「全てはニノのために……!!」」

 




大天使ニノエル
ついにノーマルを10凸させた我がヴァイス・ブレイブ

黒い牙
悲願達成で歓喜の嵐(尚、ジャッファは処刑された)



そんなわけで大天使ニノエルを10凸させました。羽は無くなったけど後悔はない。あとはスキルも何か食べさせてあげたいけど何も思いつかないんですよね。やっぱりティバーンのわざマシンを食わせるべきか……

スラシル? 奴は未実装だよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ニフル王女フィヨルムの受難

戦禍の連戦開始!!


さぁ、みんな走れ!!


ついに戦禍の連戦がスタートである。

前だったら「戦禍の連戦めんどくさ」と思う俺だが、オールオートという技を覚えてからはこのイベントが楽しくて仕方ない。なにせ英雄達に丸投げしているだけでオーブや羽がガポガポ入ってくるのだ。

好きです戦禍の連戦!!

 「お〜っす」

 「お、早いな」

そして今回の(何故か)ボーナスキャラのヘクトルが帰ってきた。

 「いやな。メンバーの一人が召喚士にお願いがあるらしくてな」

 「お願い? 今回は英雄値がMAXになったからゼルギウスはお休みしてるし、他のメンバーが出撃することに反対するとは思えんが?」

 「あの……私のことを忘れていませんか?」

 「なんと、フィヨルムか?」

別に忘れていたわけではないが、意外な人物であったことは確かだ。とりあえずフィヨルムを部屋に入れてお茶の用意をする。当然のようにヘクトルも入ってきて勝手に酒を飲み始めた。これは後でフロリーナとリリーナへの密告案件ですね。

お茶を飲んで一息ついたフィヨルムは言いづらそうに口を開いた。

 「私をメンバーから外してもらえませんか?」

 「それまたなんでだ?」

 「言わなきゃわかりませんか?」

フィヨルムの言葉に俺はヘクトルを見るが、ヘクトルはさっぱりといった感じだ。

 「「全くわからん」」

 「貴方達は正気なんですか!?」

わからないと言ったら正気を疑われた。

 「そんなこと言ってもメンバーも別に普通だろ。なぁ、ヘクトル」

 「そうだな。ナギが前まで使っていたブレスを一切使わずに格闘術で相手の首をへし折っていたり、イドゥンのテンションが上がりすぎて戦禍の渦が消滅の危機になるくらい普通だよな」

 「それは普通じゃない!!」

フィヨルム、渾身の、叫び。

 「どう考えたっておかしいじゃないですか!! ナギさんは何か体が黄金に輝いたと思ったら手からエネルギー体を発射しますし、イドゥンさんは終始あのテンションで暴れまわりますし……どうにかしてください!!」

そんなこと言われてもな。

 「お姉ちゃんが格闘術……お姉ちゃん? 俺に姉は存在いいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

みょんみょんみょんみょん(ナギの手から謎のビームが発射されて召喚士の頭に当たっている)

 「そうだったな。お姉ちゃんはお姉ちゃんだった。おかしいな。最近疲れているのかな」

 「ヘクトルさん」

 「放っておけ」

 「やっぱり貴方達はおかしい!!」

最近お姉ちゃんに会ってなかったからか? 今日の戦禍の連戦が終わったら会いに行くか。

 「それはそれとして……お姉ちゃんがブレス吐くよりナギ流格闘術戦った方が強いのはギムレーがオタクなことくらい当然のことだからな」

 「ナギ流格闘術って何ですか?」

 「お姉ちゃんが創始した武術。相手は死ぬ」

 「殺人術……!!」

フィヨルムがどこか恐ろしい表情を浮かべているが、それも今更である。基本的に俺が関わった人はみんなどこかおかしい。

 「やっぱり俺が一番まともだよな」

 「ありえねぇだろ鬼畜クソ外道」

 (メンチの切り合い)

 「あの……私の話を聞いてください……」

フィヨルムの言葉に最後に中指を立て合うことを忘れずに俺とヘクトルは席に座る。

 「このままでは私の神経がやばいんです。誰かに変えてください」

 「それは別に構わんが、それだと変わった人物の精神がやばいことになるぞ?」

俺の言葉に体がねじ切れるくらいに悩み始めるピヨちゃん。このいい子ちゃんは他人に迷惑がかかることを嫌うんだろう。

だからあのクソめんどくせぇ姉の世話ができるとも言う。

 「ち、ちなみに私から変わるとしたら誰になりますか?」

 「青の遠距離反撃持ちわなぁ。誰がいたか……」

ピヨちゃんの言葉に俺は資料を漁り始める。青の遠距離反撃持ちは誰がいたかな、と

 「マルテ装備のヘクトルにニケ、それにハーディンだな」

 「な、ならヘクトルさんでいいじゃないですか!!」

 「俺に二役やらせようとか酷い女だな、ピヨちゃん」

 「そうは言っていません!!……ピヨちゃん?」

 「ニケはぶっちゃけステータス面の不安があるんだよなぁ」

 「いえ、あの……ピヨちゃんって私のことですか?」

 「暗黒残念皇帝はどうなんだよ?」

 「ハーディンのやつはニーナが実装されなくて不貞寝してるよ」

 「あの……なんで私がピヨちゃんなんですか?」

 「ニーナなんか実装される確率低いだろ。絶対にその前にアトスとかあるぞ」

 「それな」

 「私の話を聞いてください!!」

ピヨちゃんが机を叩き始めた。

 「私以外に最適そうな人がいるじゃないですか!! ハーディンさんなんか重装ですからあのメンバーにぴったりです!! あとなんでピヨちゃんなんですか!!」

 「ハーディンもなぁ。ソシャゲの宿命だから仕方ないけど、若干型落ちって感じがなぁ……」

 「俺なんか初期装備だぞ。この装備だと待ち伏せあんの忘れてたわ。そういや初期に流行ったよな、遠距離反撃待ち伏せ地雷」

 「懐かしいよなぁ」

 「なんで私がピヨちゃんなんですかぁぁぁぁぁ!!!!」

俺とヘクトルがHAHAHAHAと笑いあっていたらピヨちゃん渾身の叫びである。

 「ふむ、ピヨちゃん。君には常識というものが何かわかっていないように思える」

 「いえ、私はこのヴァイス・ブレイブでもトップレベルの常識人だと思っていますけど。あとなんでピヨちゃんなんですか?」

 「愚かしい……いいかピヨちゃん。常識というものは時代と共に移り変わる者だ。例えばピヨちゃんが思い出せる範囲で『あのお姉ちゃんとイドゥンはおかしい』と判断している英雄はどれだけいる?」

そして指を降り始めるピヨちゃん。そして片手に届かず折れるのは止まった。愕然とするピヨちゃん。

 「わかったようだな。100人近い英雄がいるにも関わらずあれが非常識だと思っているのは圧倒的少数。民主主義に乗っ取ってこれが常識なんだよ」

 「……いえ!! 一瞬納得しかけましたけど、その発想もおかしいですよね!?」

 「やれやれ……ピヨちゃんにはまだ常識を直視させる必要があるらしい」

俺はそう思って冷蔵庫から一つのビンを取り出す。

 「お、なんだ精力剤か?」

 「いいか脳筋。冗談にならない冗談はよせ」

最近は既成事実を狙ってくる英雄が増えて口に入れる物も気をつけなければいけないのだ。

 「これはスタミナ回復薬だ」

 「……え?」

呆気にとられているピヨちゃんを尻目に俺はそれをぐいっと飲み干す。

 「よっしゃ、脳筋これでスタミナ回復したからピヨちゃんに現実を見せてやってくれ」

 「よしきた」

 「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

悲痛な叫びをあげながらヘクトルに引きづらていくピヨちゃんを俺は笑顔で見送るのであった。

 




ピヨちゃん
ヴァイス・ブレイブ常識派筆頭(自称)。今日も頭のイカれた英雄を目にして常識を疑う

ナギ流格闘術
参考流派:流派東方不敗

戦禍の渦
イドゥンがはしゃいで消滅の危機




そんな感じで戦禍の連戦編です。うちの戦禍のメンバーはナギ、イドゥン、ボーナスキャラ、サンバでやっているんですけど、学習した作者は全部オートにしたら楽だと気付いたのでボーナスの最初の二回以外はサンバの代わりにピヨちゃんを入れてオートで回すようになりました。すると今回の編成がナギ、イドゥン、ヘクトル、ピヨちゃんと言う大惨事。
きっとピヨちゃんの常識はやばい


あと作者はツイッターやってます。固定ツイートにお題箱を設置してますので、この作品の疑問点などを投げてくだされば(答えられれば)三馬鹿が答えます。
名前:惟宗正史
ID:@TadashiKoremune


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マルスとルキナ

弊カルデアにいるブラダマンテちゃんを見て思いついたネタです。

ついにルキナちゃんにもキャラ崩壊の波が


 「お、いたいた。お〜い、マルス」

俺がとある用事でマルスを探してヴァイス・ブレイブを探していると、大広間に繋がる廊下で立ち話をしているマルスを発見した。マルスも俺だと気づくといつものイケメンスマイルを浮かべる。

 「やぁ、召喚士」

そのまま要件に入ろうとしたが、それを許さない存在がいた。

 「待ちなさい、召喚士。マルス様に外道行為とかお天道様が許してもこのクリスが許しませんよ」

そう、マルス&シーダ専用セコムの存在である。

 「待て待て、クリス。俺は用事があってマルスに話をしに来たんだ」

 「貴方みたいな世界のクズがマルス様に用事? そんなの外道行為意外あり得ないでしょう。もし、マルス様に外道行為をするなら私にも考えがあります」

 「そんなに怒るなよ。前回のマルスの味噌汁に異物混入事件は証拠不十分で不起訴になったじゃないか」

 「ええ、ええ!! 私が証拠を集められなかったばかりにマルス様にお辛い思いをさせてしまって……!! 私はもうあのような辱めは受けない!!」

そして座った目つきで俺を睨みつけてくるクリス。

 「貴方がマルス様に外道行為をするなら、私は貴方にキスをします」

 「正気か、貴様……!?」

どうあがいてもヴァイス・ブレイブを上げての戦争案件の引き金を引こうとするクリス。

 「ええ……!! ええ……!! 理解していますとも!! これをしたら私もニフルの湖に沈められることくらいは……!! だがマルス様を守るためなら私は修羅になる……!!」

 「待て待て!! 落ち着け!! 今日用事があるのは俺じゃない!! こいつだ!!」

そう言って俺は後ろに隠れている少女をマルスとクリスの前に突き出す。

 「……えっとルキナちゃん、だよね?」

 「はわ!? はわわ!! どうしましょうか召喚士さん!! マルス様に名前を覚えてもらっていました!!」

名前を呼んでもらっただけで歓喜の表情を浮かべるルキナ。それを見てマルスは苦笑いを浮かべる。

 「大袈裟だな」

 「大袈裟だなんてとんでもない!! あの英雄王マルス様に名前を覚えてもらっているだなんて末代までの栄誉です!!」

 「そ、そうかい?」

目をキラキラさせながら力説するルキナに若干引いているマルス。

 「ルキナ、用事用事」

 「あ、そ、そうでした。つい舞い上がってしまいました」

俺の言葉に真剣な表情になるルキナ。

そして直角に腰を曲げて武器を差し出しながら叫んだ。

 「サインください!!」

 「「………うん?」」

勢いと言葉の内容が理解できなかったのか虚をつかれた表情になるマルス主従。

 「え、と。これはルキナちゃんのソグンだよね?」

 「はい!!」

 「……これにサインするの?」

マルスの不思議そうな言葉に直角に腰を曲げている状態から顔だけあげるルキナ。

 「私の願いが大それた願いだということは重々承知していますしあの英雄王マルス様にサインを願うんだったらファルシオンに書いてもらうのが一番だということも理解しているんですが生憎と私はファルシオン装備を持っていませんそこでゲイルスケグルに書いてもらおうかとも思ったんですが近接装備にサインを書いてもらって戦闘中にサインに傷でもついたら憤死案件というか完全に自殺案件なので間接武器でありなんだったら戦闘中でも英雄王マルス様のサインを見られるソグンがサインをもらうに最適だと思ったんです」

怒涛のごとき言葉で相手に口を挟む隙を与えないルキナ。

 「いえいえ私如きがマルス様のお手を煩わせるとか個人的に絶対的に許されないんですけどそれでもやっぱりマルス様大好きというか憧れというかやっぱりプロマイドだけじゃ満足できなくて実物がいるんだからやっぱりサインが欲しくなってしまったんです本当に本当に英雄王マルス様のお手を煩わせて申し訳ないんですけどサインくださいお願いします!!」

唖然とするマルス。しかし、ここでマルス&シーダ専用セコムが動く。

 「ルキナちゃん」

 「……はい」

 「わかるぅぅぅ!!」

 「「……んん?」」

そして思いっきりルキナに同意していた。

 「やっぱり憧れの存在が目の前にいたら舞い上がっちゃうわよね!! その気持ちわかるわぁ!! 私もマルス様の近衛に任命された時はつい舞い上がっちゃってその後の訓練でルークとロディを半殺しにしちゃったもん!! やっぱり憧れの存在が目の前にいたらサイン欲しくなっちゃうわよね!!」

そしてクリスは澄んだ瞳でマルスを見る。

そして土下座した。

 「お願いしますマルス様!! このクリスの顔を立てると思ってルキナちゃんにサインを上げてくれないでしょうか!!」

 「う、うん。サインくらいなら全然いいけど」

本当に武器にサインしちゃっていいのかな、と呟きながらもソグンにサインをするマルス。それをキラキラした目で見ているルキナちゃん。

 「ありがとうございます!! 一生大事にします!!」

 「大袈裟だな。僕達は一緒に戦う仲間なんだからそこまでしなくてもいいんだよ」

マルスの言葉にマジ表情を見せるルキナ。

 「いいえ、いいえ!! ファンとは愛好を抱くもののあるがままを愛するものだと思うので私にお気遣いなくあるがままの日常を見せていただきたいのです!! 壁になりたいというアレです!! ただ基地内ですれ違ったりご一緒に出撃した時にはファンサがあると非常に嬉しいです!!」

 「わかるぅぅぅ!!!」

完全にアイドルオタクの発言をしたルキナに完全同意を示すクリス。意味がわかっていないマルスを置いて二人は盛り上がっていく。

 「話がわかるわねルキナちゃん!! ちょっと私の部屋によってかない? マルス様について語り合わない?」

 「本当ですか!! マルス様の影の英雄と呼ばれたクリス様から直接マルス様のお話を聞けるだなんて……いくら払えば延長は可能ですか!?」

 「お代なんかLOVEでいいわよ!! じゃあ行きましょう!!」

 「はい!!」

部屋まで待ちきれないのかマルス語りを始めているマルスオタ2名。それを見送る俺とマルス。

 「え〜と、召喚士。どういうことだい?」

 「うん。まぁ、ルキナと一緒に出撃することがあったら手を振ってあげてくれ」

 「? うん、わかったよ」

 




ルキナ
完全にマルスオタになったイーリス王女。それでも相手に迷惑をかけたら死ぬしかないと考えているあたり普通?のオタク。

マルス
後日ルキナと一緒に出撃した時に手を振ったらルキナは鼻血を吹いて倒れた。

クリス
マルス様親衛隊筆頭




ついにキャラ崩壊の波がルキナちゃんを襲いました。でも仮面つけてマルス名乗ってるんだからどう考えてもファンでしかないだろうというのが作者の言い分です。

FEHでは相変わらず星5が出ません。オスティアビーム欲しさにハロウィンガチャ回したら剣ラインハルト。お前じゃない。

応募用小説の期限が本格的にやばくなってきたのでしばらく小説投稿しないかもしれません。ご了承ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ベレス先生の落し物放浪記inアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領

風花雪月の何が面倒って落し物を届けるのが一番面倒。


お前ら名前書いとけ。


 「先生、少しいいだろうか」

いつもの昼間、いつもの俺の部屋。俺はバカ二人とスマブラをやっていると部屋にベレスがやってきた。

 「おう、ベレスか。どうした」

 「少し聞きたいことがあるんだがいいだろうか」

 「別に構わないぞ」

スマブラではエリウッドのロイがヘクトルのドンキーによって殺されてリアルファイトになっているが、いつも通りなので無視する。

 「実は落とし主のわからない落し物を拾ってな。持ち主を探しているんだ」

 「お前……そんな善行積んでもいいことないぞ?」

俺の言葉にベレスは首を傾げる。

 「私とベレトは先生と再会できた。それは善行を積んだ結果ではないか?」

 「……おう、そうだな」

 「ちょっと見ました脳筋さん!! あの鬼畜クソ外道照れましたわよ!!」

 「いやぁね腹黒さん!! あの鬼畜クソ外道は昔からストレートな好意に弱かったですわ!!」

 「うるさいぞ、バカ二人ぃぃ!!」

争っていたはずのバカ二人は俺を茶化せると知った瞬間に結託した。これはないことないことをそれぞれの子供達に吹き込む必要がある。

 「あ〜、それで落し物だったか。どんなのだ」

 「うん、まずはこれだ」

ベレスが出してきた代物を俺たちは見る。

液晶ペンタブだった。

何故落としたとか、落としたら普通気づくだろとか色々ツッコミどころはあるが、持ち主は一発である。

 「それはギムレーだな」

 「……む、ギムレーか」

同位体であるベレトと違い、普段から表情の変わらないベレスが露骨に嫌そうな表情になる。

 「嫌いか?」

 「嫌い……と言うより苦手だな。私と会う度に『どうじんし?』だったか。それのモデルになってくれと頼んでくるんだ。流石の私も裸体画のモデルは恥ずかしい」

 「インバースか。同人作家ギムレー先生の部屋を爆破せよ」

 『了解ですわ!!』

俺の通信に即座に元気よく返事してくる我が愛義娘。そして即座にギムレーの部屋は爆破されたのか爆発音とギムレーの悲鳴が聞こえてくる。

 「召喚士ってなんだかんだで身内にはゲロ吐くほど甘いよね」

 「その代わり敵には吐き気を催すほど苛烈だけどな」

そんな腹黒と脳筋の会話はスルー。それは俺も自覚していることでもある。

 「次はなんだ?」

 「ああ、これだ」

そう言ってベレスが取り出したのはユリウスの写真(めっちゃキメ顔)だった。それをみて俺たち三人は可哀想なものを見るような目で写真を見る。

 「うん、その写真はな……イシュタルのなんだ……」

 「うん? そうなのか。そういえば先生、元いた世界では級長の3人組が私の肖像画を持っていたんだけど、何か意味はあるのか?」

 「何か意味はあるのかなぁ!? なぁ、ヘクトル!!」

 「俺も写真は持ち歩かないからなぁ!! ここはエリウッドの出番だな!!」

 「貴様ら……!! 恋愛のれの字も知らない相手にこの地雷の説明をしろと言うのか!?」

 「待ってくれ、その説明は長くなりそうか?」

ベレスの言葉にものすごく困った表情になるエリウッド。その表情だけで俺とヘクトルは飯うまである。

 「う、う〜ん、生徒の理解力次第というか、ベレスちゃんの知りたいっていう意欲次第かな」

 「それじゃあ今はいい」

ベレスの言葉に俺たち三人はセーフのジェスチャーをする。俺が長く教えれば教えるほど恋愛に関しては全く無知になるのが俺の生徒達である。

 「次はこれだ」

取り出してきたのは何か噛み締めた後があるレイヴァンの肖像画だった。

 「「「プリシラだな」」」

 「食堂でよく肖像画や薄い冊子を食べている彼女か。わかった」

そして次のものを取り出すベレス。

使い込まれた倭刀だった。

 「修羅三人衆の誰かか?」

 「修羅三人衆が自分の獲物を紛失するわけないだろ。それによく見ろヘクトル」

俺の言葉にヘクトルは倭刀の刃を確認する。

 「あ〜、この使い込まれ方は姐御か」

 「その通り」

 「姐御?」

 「ソフィーヤだよ」

 「ああ、あの人あたりの良い少女か」

ベレスの言葉に俺たち三人は驚愕の表情を浮かべる。それに対してベレスは不思議そうに首を傾げた。

 「どうした?」

 「ちょっとタイム」

 「わかった」

三人でスクラム組んで緊急会議である。

 (どういうことだ?)

 (そういえば僕、姐御が『異世界の連中には普通の少女として接しましょうかね』って呟いているのを聞いたよ)

 (ちょ、待てよ。あの泣く子も黙るソフィーヤの姐御が普通の少女出来んのか?)

 (だが、ベレスの反応を見る限りではできてるっぽいぞ)

 (……これソフィーヤの姐御の本性知らせたらどうなるだろうね)

 ((100%沈められる)

 (ですよね)

俺とヘクトルのマジトーンの言葉にエリウッドもマジトーンで返してくる。

 「もういいか?」

 「ああ、大丈夫だ。もう終わりか?」

 「いや、あと二つだ」

そう言ってベレスは荷物から落し物を取り出す。

木刀だった。

 「ベレス、それは最初にアティに届けてやってくれ……!!」

 「うん? なぜだい?」

 「それがないと封印されている化け物が復活してしまう……!!」

 『ちょぉぉぉぉ!? おかしくない!? なんで我のブレスが素手で粉砕されるの!? ユンヌなの!? イドゥンなの!? ナギなの!?』

 『ギムレーさん!! 子供の教育に悪いものを書いちゃダメです!!』

 『あ、ちょ!? やめ!! あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

オタクマムクートが犠牲になっている間に持ち主の元に帰ることを祈ろう。

 「それじゃあ最後はこれだ」

そう言ってベレスが取り出したのは厳重に透明な袋に入れられている使用済みの歯ブラシだった。

 「洗面所でもないところで何故かこれだけが落ちていてな。持ち主が誰だかわからないんだ」

 「そうだな。フローラ」

 「は。申し訳ありませんベレス様。そちらは預からせていただきます」

 「うん? ああ、フローラさんが持ち主を知っているのか」

 「はい。召喚士様。こちらの品は治安維持部隊でよろしいでしょうか?」

 「それでいい。リンに預ければあとは処分してくれるだろう」

俺の呼ぶ声と同時に現れたフローラは証拠の品を預かると部屋から出て行く。主にエイリークストーカーのどちらかを処分してくれるだろう。

 「うん、それじゃあ持ち主がわかったから私は返してくるよ」

 「ああ、行ってこい」

その言葉を最後に部屋から出て行くベレス。それを俺たち三人は遠い目をして見送った。

 「なんか疲れたな」

 「主にイシュタルと姐御のせいでね。姐御に折檻されることないよね? もう油風呂は御免なんだけど」

 「大丈夫だろ……大丈夫だよな……?」

素直に大丈夫と言い切れない。それが姐御の姐御たる所以である。

 




ベレス
ヴァイス・ブレイブでも落し物を見つけては落とし主を探しているらしい。しかし、ガルグ=マクより難易度は数段上。

それぞれの落し物
ベレス先生が責任を持って届けました。

見るも無残なギムレーとその部屋
残当。

ソフィーヤの姐御
後日、三馬鹿に笑顔で「余計なこと言ったら……わかってるな?」と釘を刺したご様子。




そんな感じでベレス先生の落し物放浪記でした。このヴァイス・ブレイブはきっと落とすものもやばいものが多いかもしれない。でも平然と拾って普通に返すベレス先生マジオリハルコンメンタル。

「伝承でレア様くるかなぁ」と思ってましたけど、見事にリーフくん。性能的にちょっと欲しいですけど、2周目のリバイバルガチャのためにオーブはとっておきます。

わかるな? ノーマルリンちゃんはあと3人だ……!!

そういえばスマブラSP買いました。キャラ出すのが果てしなく面倒でもう投げそうになってます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ペトラ少女の事件簿

今回は趣向を変えてミステリー編です。

君はこの事件を解くことができるか……!!


 「は? 殺人事件?」

俺が執務室で殺人級の仕事の量をこなしていたら秘書・イシュタルが不思議な案件を持ってきた。

 「それなら治安維持部隊の管轄だろ」

 「いえ、殺害された被害者が召喚された英雄でして……」

 「? それなら益々治安維持部隊の案件だろうに」

俺の言葉に少し言いづらそうだったが、意を決したように口を開く。

 「殺害されたのはカレルさんなんです!!」

その言葉に頭に浮かんだのはカレルスレイヤー。忠犬の皮を被った虎狼である。

 「うん。それもう犯人わかってるから。さっさとしょっぴかせる……いや、待て。相手が修羅だと追っ手も吟味しないと危険ということか」

 「ああ、いえ。そういうことでもなくてですね」

俺の言葉に苦笑しながら止めてくるイシュタル。はて、ならどういうことだ。

 「事件を聞いたペトラさんが『私、犯人、見つける、します!! 師匠、名前、かけて!!』と言い始めまして」

 「ペトラに金田一少年の事件簿を読ませたのは誰だ!!」

 「ごめんなさい、お父様!! 私ですわ!!」

犯人は本当にすぐそばにいた。

 「う〜む、ちょっと心配だから見に行ってくるか。インバース、イシュタル。ちょっと任せた」

 「わかりました」

 「行ってらっしゃいですわ〜」

イシュタルとインバースの返事を背に俺は執務室から出るのであった。

 

 

 

 「お〜っす、失礼するぞ」

 「あら、来たのね」

俺が殺人現場に入るとすでに治安維持部隊を引き連れたリンがやってきていた。

 「被害者は?」

俺の言葉にリンは黙って指をさす。そこには死んでいるカレルと遺体を調べているペトラがいた。

 「ちなみに容疑者は?」

俺の言葉に部屋の端を指差すリン。そこには返り血を浴びたカアラと、何故かギムレーがいた。

 「いや、なんでギムレーが容疑者?」

 「それは我が聞きたいよ!!」

 「師匠! ギムレー、第一発見者、犯人、可能性、ある、です!!」

ペトラの説明に納得する俺。つまりギムレーは第一発見者だから犯人の可能性があると言いたいのだろう。

 「それでペトラ、推理パートは始まっていいのか?」

 「はい!! 大丈夫です!!」

俺の言葉に元気よく返事をするペトラ。そしてペトラちゃんの迷推理ショーが始まった。

 「まず、この部屋、ギムレー、来る、するまで、密室、です、した」

俺がリンを見ると、リンはドアノブが壊れていて鍵が閉まらないことを示してきた。

もうすでに先行き不安である。

 「次、カレルさん、傷、剣、傷、です」

全員の視線がカアラに集まる。カアラは平然としながら返り血を落とそうとしていた。

 「そして、傷、切り傷、見事、です。かなり、手練れ、です」

その言葉に再び全員の視線がカアラに集中する。カアラはカレルにまだ息があることに気づいたのか、舌打ちをしながら鯉口を切り始めた。

 「これ、完全なる証拠!! カレルさん、髪を握る、してました!!」

ペトラが持っていたのは長い黒髪!!

完全なる役満である。

 「この結果、犯人、この中、います!!」

刑事ドラマのように何故か音楽が鳴り響く。あ、音響スタッフインバースね。お疲れ様。

 「犯人、あなた、です!!」

そして効果音と共に力強く犯人を指差すペトラ。

 「……え? 我?」

まさかのギムレー犯人説である。

なんかもうこの時点で俺の頭痛が痛い。風花雪月世界の俺がペトラにどういう教育を施したかは知らないが、無駄なことをしない主義の俺が確実に言えることは勉学を教えることはしなかったということだ。

うん、だからこんなとんでも犯人説を出してきたのだろう。

 「あ〜、ペトラ、説明してくれるか!!」

 「はい!!」

本当に元気よく答えてくれるペトラ。尻尾があったらブンブンと振っていそうな雰囲気だ。現にリンは「あら? 今、一瞬尻尾が……」とか言ってる。

 「まず、カレルに残っている傷のことだが」

 「そうだよ!! 自慢じゃないけど我、剣とか超苦手だよ!!」

ギムレーさん渾身の叫び。だがペトラは動じない。

 「ギムレー、剣、ベレス先生に、習う、してます」

ペトラの言葉に全員の冷たい視線がギムレーに集まる。

 「我は純粋な邪な気持ちを抱いているだけだよ!! おっぱいとヘソとあのタイツだよ!! 性欲を持て余した教師との禁断の関係……!! 『あぁ、先生!!』『ふふふ、少しだけよ』あ、やばい滾ってきた、次回作にこのシチュエーション入れよ」

とりあえず後でギムレーの処刑とベレスに対する口頭注意をしなければ。

 「それに、ギムレー、動機、あります!!」

 「「ほう」」

俺とリンの冷たい視線がギムレーを射抜く。それは余罪が他にもあるのかと言った感じだ。

 「ギムレー、カレルさんと、ルセアさん、二人、どうじんし?、にして、カレルさん、焼かれる、しました!! その恨みです!!」

 「……あぁ、カレル×ルセアのBL同人誌『俺の剣を鎮めてくれ』のことか。燃やされた我もすっかり忘れてたよ。というか待って!! 燃やされた同人誌を恨んで殺人してたら、我はヴァイス・ブレイブの英雄全員を殺さなくちゃ行けなくなる!!」

 「リン」

 「1540。犯人確保」

 「あぁ、待って待って!! 烈火組はまだ下書きだけだから!! ペン入れもしてないから!!」

 「他にも余罪がありそうだな」

 「治安維持部隊の地下室でゆっくり聞かせてもらいしょうか」

 「そこ拷問部屋ぁぁぁぁぁ!!!!!」

暴れるギムレーを取り押さえて連行していくリン達治安維持部隊。

 「師匠!! どうでしたか!!」

 「あぁ、いい推理だったな」

俺の言葉に嬉しそうにムッフーとため息を吐くペトラ。

 「ところで召喚士殿」

 「うん、カアラ。トドメを刺すのはやめとけ、な?」

俺の言葉に不満そうに舌打ちしながら部屋を出ていくカアラ。それを見ながらペトラは不思議そうにしていた。

 「カアラさん、どうする、しましたか?」

 「きっと機嫌が悪かったんだろう」

ペトラに軽く返しながら俺はカレルの側に屈む。

 「よう、カレル。生きてるか?」

 「瀕死だぞ、クソが。ご丁寧に私が喋らないようにサイレスまでかけよって」

 「悪態つけるなら元気だな。安心しろ。今、看護師がここに向かっているから」

 「さっさと呼べばいい……うん? ちょっと待て、看護師って誰だ?」

俺が答える前に壊れる勢いで部屋の扉が開かれる。むしろ扉は粉々に粉砕された。

 「患者がいるのはここですか!?」

 「ゲェ!? バーサー看護師!?」

血走った目で患者を探すノディオンの王女・ナンナと、驚愕の声を上げるカレル。

ナンナの治療は苛烈を極める。なにせ本人が「殺してでも治してみせます!!」と豪語するのだ。そのために我がヴァイス・ブレイブでは修羅道場で死にかけて治療室で殺されかけることが頻発したりする。

 「傷が深い……ですが、致命傷ではありません。えぇ!! 絶対に助けてみせます!! たとえあなたを殺してでも……!!」

 「相変わらずこっちの話を聞かない看護師だな!! おい、召喚士!! フォローを……」

カレルが見たのは俺が残した『ご褒美にペトラに美味いもの食わせてくるわ』という置き手紙だったのだろう。殺人現場(仮)から怒声と悲鳴が響くのであった。

 




迷探偵ペトラちゃん
致命的なまでに探偵役に向いていない大型犬系脳筋少女。

ギムレー
その後余罪も見つかり三日間牢屋で過ごしたらしい。

カアラ
兄上を殺せなくて超不満

カレル
妹に殺されかけたら看護師に殺されそうになってる不幸枠。

ナンナ
バーサーカー系看護師。「どんな怪我も病も治してみせます。たとえ殺してでも……!!」が信条な超危険人物。





そんなわけで召喚士と英雄の日常ミステリー篇でした。いやぁ、ペトラちゃんの推理が冴えていましたね。この犯人は誰しもが納得ですよ。
そしてさらっと出てくるバーサー看護師ナンナちゃん。バーサー看護師ネタは前から出そうと思っていたんですが、候補がエスリンとナンナの二人でした。そして結果的にナンナちゃんがバーサー看護師に。まぁ、うちにはリーフくんいませんからセーフ。

そして今回の比翼英雄が完全にエイリーク涙目の人選で草。まぁ、リンちゃんの10凸があるから引きませんけどね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死の王ヘルの消失

ストーリーでついにヘル様と決着!!

そんなわけでうちのトムとジェリーにも終止符を打ちましょう


そして突然入ってくるシリアス。君はおよびではないよ


 「ついにこの時が来てしまった」

死の王ヘルは一人呟く。

アスク王国と死の王国の戦いは最終局面へと入っていた。ヘルの(名目上は)配下だったリーヴとスラシルは顔見知りでも容赦しない、むしろ顔見知りだと苛烈を極める鬼畜クソ外道によって完膚なきまでに消滅させられ(二人のヘルに対する恨み言が酷かった)、異世界から連れてきて無理やり仲間にしていた英雄達は鬼畜クソ外道の送還術によって送り返されていた。

 「大丈夫……あの鬼畜クソ外道のところにはエイルを送り込んでいる。エイルに施されていた呪いは解呪したし、今回こそあの鬼畜クソ外道の息の根を止められる」

その発言は完全にフラグだが、追い詰められているヘルはそれに気づかない。

 「ヘルぅぅぅぅぅぅ!! 処刑の時間だぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 「おのれ……来やがったな鬼畜クソ外道ぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

そしてテンションがアッパー気味にダイナミック入室してくる召喚士。

 「お、いたな蛆虫。今日こそ貴様を殺してやるぞ」

 「あんまぁぁぁぁい!! 死ぬのはあんたの方だ!!!!」

お互いに荒ぶる鷹のポーズを決める召喚士とヘル。

そしてヘルは気づく。召喚士の隣に娘であるエイルがいることを。

 (聞こえますかエイル。今こそその邪智暴虐なる召喚士を殺してこの世界を平和にするのです)

テレパシーを送るヘル。しかし、エイルの表情は変わらない。

すると召喚士がいやぁな笑みを浮かべた。

 「うん? まさかまだエイルが貴様の娘だと思っているのか? 残念だったなぁ!! 貴様がエイルの一族を殺し、エイルを拉致ったことはすでにエイルに教えてある!!」

 「おのれ鬼畜クソ外道ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

娘に隠していたトップシークレットが容易くバラされていた。

 「第一あの件に関してはあんたも共犯だろう!? 知らないとは言え世界の均衡を脅かしていたんだから生かしちゃおけないっていうのは共通認識だったじゃないか!!」

 「はぁぁぁぁぁ!? そんなの書面で確認しましたかぁぁぁ!? 口約束でもしましたかぁぁぁぁ!? 俺は一切存じ上げませんがぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「あぁぁぁぁ!? 出たよ!! その汚い仕事は私のせいにするの昔から本当に嫌い!! 阿頼耶は阿頼耶で召喚士に甘いしさ!!!」

 「バァァァァァァァカ!!! そんなの阿頼耶の弱みを握れない自分の無能のせいだろうが!!」

 「世界と同一である阿頼耶の弱みを握れる方がおかしいんですけど!?」

ヘル渾身の叫びである。

盛大なネタバラシをすると二人は言わば同僚である。世界の崩壊を招きそうな存在が出た時などに阿頼耶(世界)によってその元凶を消す役割を持つ存在。型月流にいうと抑止力である。

当然のように召喚士は抑止力の仕事を全力放棄して遊んだ結果、世界が崩壊することもあるがそれはそれである。

 「騙されるんじゃないエイル!! 確かに私は君の一族を皆殺しにしたけど、それはそこにいる鬼畜クソ外道も同類なんだ!!」

 「愚か者め!! 俺がそんな初歩的なことを見逃すとでも思ったか!!」

 「まさか……洗脳!?」

ヘルの言葉を召喚士は鼻で笑う。

 「俺がそんなつまらないことをするわけがないだろう。なぁ、エイル」

召喚士の言葉に無表情のエイルはようやく口を開く。

 「ショウカンシサマはスバラシイオカタデス」

 「洗脳じゃないか!!」

 「失礼な。一ヶ月ほどスリーズと同じ部屋で暮らしてもらっただけだ」

 「それを洗脳って言うんだぁぁぁぁ!!!!」

かなり遠回しな洗脳だった。

 「く!? まぁいい!! ここでお前を殺せばヘルちゃん大逆転ヴィクトリィィィ!!! 今まで負け続けた黒歴史をまとめて清算してやるからな!! ヌォォォォォォォォォォォォ!!!!!」

ヘルの叫びと共にヘルの体が大きく変化する!! 大きな体に長い首!! そして鋭い爪!! そして大空を飛ぶための巨大な翼!!

 『死竜ヘルちゃん見参!! さぁ!! 勝負だ鬼畜クソ外道!!』

なんとヘルは巨大な竜に進化した!! これこそヘルの最終奥義『竜化』である!! ファイアーエムブレムシリーズにおいて竜とは最強の存在!! そしてヘルは世界である阿頼耶の代理人!! 最強に最強が合わさって最強になるのだ!!

 「うん、貴様が竜になるのはわかりきっていた。だからこっちもこいつらを出そう」

そんな召喚士の言葉と共に召喚士の背後から人影が現れる。

 「ヘル、あなたも竜だったのですね。あぁ、竜を殺す……それは極上の試練……ふふふ、ふははははは!! 行きますよヘル!!」

 「私はユンヌ」

 『待って、ちょっと待って!! おかしい!! おかしいでしょ!! ここは鬼畜クソ外道が出てきてタイマン張るところでしょ!!』

 「大丈夫大丈夫。こいつらは比翼英雄だからユニット的にはタイマンだから」

 『その比翼英雄は永遠の実装されないから!!』

ヘル渾身の嘆きであった。それはそうだろう。ヴァイス・ブレイブでも屈指のバグが比翼英雄とか想像したくない。

しかしヘルの嘆きは二人の戦闘狂には通じない。イドゥンは姿が搔き消えると一瞬でヘルとの距離をゼロにして拳を振り抜く。

ヘルちゃんの右半身が消し飛んだ。

ヘルは即座に右半身を復活させて衝撃波を放つ。その衝撃波をイドゥンは軽々と防ぐが、その衝撃によって吹き飛んでいく。

しかし今度はユンヌが上空から拳のラッシュ!! ヘルの体が粉々に消し飛ぶ!!

ヘルは今までの戦いで残り少ないデスパワーを駆使して体を復活させつつ上空にいるユンヌに向かってブレス攻撃!!

しかし、ユンヌはそのブレスを拳一つで吹き飛ばす!!

 『いや!? おかしいでしょ!!』

 「私はユンヌ」

ヘルの叫びを無視してユンヌは近接格闘!! ヘルはそれを尻尾で迎撃してユンヌを吹き飛ばす!!

 「懐がガラ空きですよ?」

 『ゲェ!? イドゥン!!』

息を吐く間も無く今度は戻ってきていたイドゥンの拳ラッシュ!! ヘルの前足が吹き飛び!! 翼も千切れ飛ぶ!!

「目標固定、魔法陣展開」

そしてその隙の間にヘルの足元に巨大な魔法陣が展開される。

 『こ、これは対阿頼耶式消滅魔法陣!!』

 「遊びは終わりの時間だ」

召喚士によってヘルを完全に殺す魔法陣が展開される。

そこにはとても冷たい笑みを浮かべた召喚士がいた。

 『……私の負けか』

 「ああ。そして俺の勝ちだ」

竜の姿のまま呟くヘルに、召喚士は冷たく切り捨てる。

 『私には理解できないな。鬼畜クソ外道。あんただって人間の愚かさは見てきたはずだ。なのになんで未だに人間の味方をする?』

ヘルの言葉に召喚士はフードを取り外す。そこには能面のような表情を浮かべた片眼鏡の青年がいた。

 「人間が愚かなんてことは師匠のところから飛び出してすぐに思い知った。だが、愚かな人間ばかりじゃないこともまた知った」

 『理解できないな。そんな人間は極少数だ。それだけのために阿頼耶すらも敵に回すのか?』

 「別に阿頼耶を敵に回しているつもりはないな。俺が守りたいもののために俺は全てを利用する。たったそれだけのことだ」

 『イかれているよ、お前は』

ヘルの言葉に召喚士は冷たい笑みを浮かべる。

 「今更だな」

その言葉と共に魔法陣は光を放ち、その光がなくなった時、死の王ヘルは消滅していたのだった。

 

 

 「あの……召喚士さん……」

 「なんだ、エイル」

 「……泣いて、おられるのですか?」

エイルの言葉に召喚士はフードを被る。

 「何故、俺が泣かなければならない」

 「お母様と召喚士さんはお互いに嫌いながらも、一番理解しているようでしたから……」

 「くだらん感傷だな。そんなもの俺にはない」

 「……お母様の死を悲しんでくれる貴方に感謝を」

 「……フン」

 




ヘル
ついに最後を迎えた死の王。実は阿頼耶(世界)の抑止力として人間を滅ぼしていた存在。そのため、数多くの世界で召喚士と争った。

召喚士
どこまでいくかわからないくらいの独自設定である阿頼耶(世界)の抑止力。本人は阿頼耶の使いっ走りで終わらず、自分の守りたいもののために全てを利用する存在。

阿頼耶
いうところの世界そのもの。人類が誤った道を進もうとした時、ヘルや召喚士を使ってその人類を滅ぼしている。だが、その部下であるヘルと召喚士の仲がトムとジェリーのために今日も胃を痛める。

エイル
実は召喚士を殺すためだけにヘルが育て上げた決戦存在っていう隠し設定もあるけど生かされることはなかった。自分の一族を殺したヘルを憎みつつ、育ててくれたヘルを母親だとも思っていた。




我がシリーズを長年支えてくれたヘル様の退場です。みなさん拍手でお見送りください。
そして書いているうちに突然シリアスになったヘルと召喚士。お前らそんなキャラじゃないだろ。そしてどこまでいくかわからない独自設定であるヘルと召喚士の阿頼耶(世界)の抑止力という独自設定。今後のボス次第でひょっとしたら生かされる機会もあるでしょう。

ところで以前出したフレンドのギムレーの召喚士なのですが、伝承ルキナの10凸を狙って見事に失敗しておりました。でも無課金で5限の7凸は十分だと思うぞ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リンちゃん10凸チャレンジ リベンジ

リバイバルガチャで再びリンちゃん(ノーマル)ピックアップ

つまりそう言うことだ。

あ、短めです。


ヴァイス・ブレイブの大広間ではピリピリした空気が流れている。

完全に勝ち誇った表情を浮かべるリンと、笑顔で相手を殺しそうな表情をしているフィオーラである。

 「悪いわねフィオーラ。私は今日で10凸になったわけだけど、貴女は何凸だったかしら?」

 (ピキピキピキ)

リンの煽りに女性がしちゃいけない表情を浮かべるフィオーラ。

 「召喚士さん、なんてことしちゃったんですか……!!」

 「正直すまんかったと思っている」

 「全然悪びれていませんよね……!!」

リンの親友、そしてフィオーラの実妹ということで完全に巻き添えを食らったフロリーナが俺を攻めてくるが、まぁ、やっちまったもんは仕方ないよネ!!

 「え? まさかフィオーラは召喚士の妻を名乗っているのにまだ10凸じゃないの? 嘘よね、自称・妻なのに7凸で止まっているわけないわよね?」

完全に煽りに入っているリン。フィオーラの笑顔が怖い。

そしてフィオーラは笑顔で口を開く。

 「まぁ、私は初期組にも関わらず未だに5限っていうお高くて面倒な人とは違いますので」

フィオーラの反撃にリンに怒りマークが浮かぶ。

 「は? 私が高くて面倒な女とでも言いたいの?」

 「いえいえ、そんなつもりはありませんよ? ただ使えるスキルは今更疾風迅雷なだけな癖に未だに5限の椅子にぶら下がっている人より、配布の私の方がマシだと思うだけですよ」

二人は笑顔である。相手を殺しそうな笑顔である。正直に言うと今すぐにでも逃げたい。

 「まぁ、5限で10凸されたってことはそれだけ愛されている証拠よね。聖杯があればいくらでも召喚可能などっかの誰かさんより、10凸するのは大変なんだから」

 「あら? 最近は配布で有用なスキルを持っていることも多いですから人気なんですよ?」

 「は? 攻撃の紫煙が偉そうにしないでくれる?」

 「は? 疾風迅雷で偉そうな表情をするよりマシだと思いますけど?」

笑顔で睨み合うリンとフィオーラ。ちなみに俺と同じく爆心地にいたフロリーナはヘクトルの命令を受けたマシューによって救助された。何故俺は助けてくれない。

 (それは君が元凶だからさ)

 (だと思ったよ……!!)

脳内に直接語りかけてきたパントにツッコミを返す。対岸の火事である連中には俺の状況などメシウマでしかない。

そんな俺とパントとのやりとりを無視するように二人の対決はヒートアップしていく。

 「愛が試されるならスキルの量かしら? フィオーラに悪いけど、私はスキル継承された数も圧倒的よ?」

 「あら? 特に理由もなく『なんか強力そうだからリンにでも継承させるか』といった感じで産廃スキルも多いようですが?」

 「それでも使えるスキルも多いわよ?」

 「武器」

 「ぶち殺すぞ貴様」

そしてあっさりとリンの地雷を踏み抜くフィオーラ。やめてくれフィオーラ。そのツッコミは俺にも効く。ソール・カティの再錬成はよ!! もしくは継承可能な強力な武器をくれ!! なんでレイピアは継承不可なんや!!

そして笑顔で睨み合う両者。そして同時に俺の方を振り向いた。

 「「どっち!?」」

二人の質問に俺は決まっていた答えを返す。

 「ニノかな」

 「「違う、そうじゃない」」

 




リン
帰ってきたリバイバルガチャでついに10凸に到達した召喚士の自称・嫁

フィオーラ
リンが10凸に到達したことによって思いっきり煽られることになった7凸。ちなみに先にフィオーラが到達していた場合は立場が逆だった。

リンちゃんの武器問題
ソール・カティじゃそろそろ辛くなってきました。

召喚士の選択
当然のように大天使。




祝・リンちゃん10凸!!
今回のリバイバルガチャを逃すと永遠に10凸できない気がしたので持っていたオーブ200個近くをぶっこんで無事に三人お迎えして10凸しました。オーブ100個使って一人も星5が出なかった時はスマホを割りそうになりましたが無事に10凸できたのでセーフ

そして発表される封印ガチャ。キャラと性能的にイグレーヌが欲しいんですけど、オーブ残り残量は30個。死んでします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と平穏の守護者達ガチャ

褐色巨乳!褐色巨乳!!


俺の部屋に珍しい人物がやってきている。大天使ニノエルの子供であるレイだ。レイは俺が用意した(最高級の)お茶を飲むことなく、緊張した眼差しで俺のことをみてくる。

そんなマジメな姿を天井裏から激写している黒い牙は放置する。なにせあとで俺も写真もらうしな!!

そして覚悟を決めたのかレイが口を開く。

 「召喚士、次の戦禍の連戦に関することなんだけど……」

 「そういえばアンナが次回のボーナスキャラを張り出していたな」

選ばれた英雄(通常神経の持ち主)は悲嘆にくれるからある意味で一大イベントだ。

 「いや、わかってるんだ。やっぱりボーナスキャラがいないとポイント集めるの大変だし、それはオーブを集めることも大変になるってことわ……」

そこでレイは何か期待を持った眼差しで俺を見つめてくる。

 「次回の戦禍の連戦のボーナスキャラは俺とルゥしかいないんだけど……!!」

なるほどなるほど。

 「レイ、戦禍の連戦のことを心配してくれるのはとても嬉しい。その言葉だけで戦禍の連戦メンバーを俺は喜んで戦禍の渦に放り込める。だけどな」

俺も真剣な表情に変わる。

 「戦禍の連戦は連続戦闘な上に相手もそこそこ強いから危険なんだ。そんな危険なところにレイやルゥを出すわけにはいかない。わかってくれるな?」

 「いや、でもやっぱりボーナスポイント係りはいた方がいいと思うんだ!!」

一歩を引かないレイは俺は大きくため息を吐く。

 「リン」

 「何かしら?」

俺の言葉に許しが出るのかと思ったのか少し笑顔になるレイ。そして俺の言葉をわかりきっているという表情で見てくるリン。

 「アンナからオーブを買ってきてくれ。ガチャの時間だ」

 「わかったわ」

 「違うだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

 

 

 

そんなわけで『レイとルゥを絶対に戦場に出さないぞ協定』保持のためにスーパーガチャタイムである。

 「今回は封印ガチャだからねぇ。狙いは誰だい?」

 「ホークアイの娘とは思えないくらい美人のイグレーヌ」

 「イグレーヌか。確かに美人に育ったよなぁ」

エリウッドの言葉に俺が答えると、ヘクトルが思い出すように言う。

 「あれ? お前らはイグレーヌの成長した姿みたことあんの?」

 「そりゃそうさ。一緒に旅した仲間なんだから」

 「結婚式にもサカに引っ込んでいたリン以外全員出たしな。イグレーヌ捨てて男が逃げた時はパントとルイーズがマジギレしてなぁ」

 「ああ、あったあった。逃げた男が最終的にパントの魔術でネズミにされちゃったやつね」

エリウッドとヘクトルは笑いながら言っているが、割とドン引きな出来事である。

 「ちなみに召喚士がいたらどうしてた?」

 「痛覚があることを後悔させてやるな」

 「お前にも十分ドン引きだよ」

ヘクトルの言葉を背に石版にオーブを叩き込む。

 

召喚士は怒っていた。召喚士に確率はわからぬ。だが、すでに0.5フェー近く突っ込んでいるのに星5が一人も出ないことはブチギレ案件であった。

 「俺、召喚士の不幸で幸せになれるわ」

 「僕も。今日はいい夢みれそうだよ」

 「くたばれ」

バカ二人に中指を立てながら俺は石版を再起動する。

赤がなかった。

 「ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

 「「ザマァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」」

バカ二人の嘲笑いがさらに大きくなる。仕方なしに俺はエキドナがピックされている緑を叩き込む。

舞う土煙、出てくるシルエット。

 「お、新しい開拓参加者会? あたしはエキドナ。これからよろしく頼むよ」

 「憤死しそう」

 「やったね召喚士!! 新しい娘だよ!!」

 「確率は収束したけどな!!」

茶々を入れてきたバカ二人にラリアットを食らわせ、とりあえずエキドナを召喚室から外に出して召喚を続ける。

 「赤がある!!」

 「「チィ!!」」

人の幸福が喜べないとかエリウッドとヘクトルは可哀想な存在なので丁寧に無視することにする。

そして俺は赤オーブを石版に叩き込む。

舞う土煙、浮かび上がるシルエット。

 「アドラステア帝国は宮内卿ベストラ侯が嫡子…「風花雪月警察だ!! 君を連行する!!」これは先生。私を掴んでおっとお待ちください。あそこにいるフードはまさか」

召喚された冷酷陰険従者は突如侵入してきたベレトによって強制的に連行されていった。

悪いなヒューなんとかくん。風花雪月編がある程度進むまで出番なしだ。

とりあえずバカ二人も何もみなかったアピールしたので次の召喚に進む。

舞う土煙、浮かび上がるシルエット。ちょっと昔テイストな見た目。

 「私はセリカ。女神ミラ様の神官戦士よ」

 「ブチギレそう」

 「やったね召喚士!!」

 「セリカシリーズもコンプリートだ!!」

通常セリカはたまに出番あるけど、闇落ちセリカはほぼ出番がない件について。

 「まぁ、ここでオーブ切れなんだけどね」

 「ま、これだけ星5が出たしボーナスキャラも出たからいいだろ」

バカ二人が何か戯けたことを言っている。

 「何を言っているんだ?」

 「「ひょ?」」

 「まだ俺のバトルフェイスは終了してないぜ!!」

 「なにぃ!?」

俺は隠し持っていた1フェーを高々と掲げる。

 「俺は1フェーを生贄にオーブ140個を特殊召喚する!!」

 「バカな!! もうすでに1.5フェー突っ込んでいるのに!!!」

 「そんなことをしたらリンとフィオーラが怒り狂うだろ!!」

 「もう後には引けねぇんだよ……ヒャッハー、ガマンできねぇ!! 召喚だぁぁぁ!!!」

赤オーブを叩き込む俺。

舞い上がる土煙。浮かび上がるシルエット。そして出てくるのは……

 「あら……これは流星?」

 「これは女神パオラ様の妹君のカチュア様ではないですか。ささ、後でスキルの献上に伺いますのでお部屋の外に」

 「あの召喚士さん、最近は私とエストも姉さんと同じ扱いをしていませんか?」

ははは、何のことやら。

とりあえずカチュア様が部屋を出て行くところを土下座でお見送りしてから同じタイミングで出てきた赤オーブは石版に叩き込む。

 「わかるなバカ二人。このガチャは女神の妹様が召喚された。つまりはこれも星5ということだ」

 「「その計算はおかしい」」

舞う土煙、浮かび上がるシルエット。

 「私はイグレーヌ。ナバタの里の守り手。それで、私に何の用かしら……って」

 「マジで出ただって!?」

 「そんなバカな!!」

 「いえ、それは完全にこっちのセリフですけど。何でエリウッド兄さんとヘクトル兄さんがいるんですか」

 「それはこいつに僕らも召喚されたせいだね」

 「ちなみにお前の父親もいるぞ」

 「お父さんもいるんですか……後で部屋を片付けてあげないと……それで? そちらの私をガン見している方は?」

 「ああ、こいつは召喚士……僕らからしたら軍師って言った方がわかりやすいかい?」

 「まあ!! お久しぶりです軍師さん!!」

 「あ、ああ」

イグレーヌに手を包まれブンブンと振られる。

 「他の皆さんにもご挨拶してきますから、後でまた楽しいお話を聞かせてくださいね」

 「わかった」

俺の言葉に鼻歌気分で部屋を出て行くイグレーヌ。それを見送る俺。

 「……え? 誰だよあの美人!?」

 「はあ?」

 「イグレーヌだよ」

俺の言葉に呆れた表情を見せるエリウッドとヘクトル。

 「マジかぁ…あのお漏らしとか怪談聞かされて半ベソかいてた子供があんな美人になるんかぁ」

 「お、なんだいなんだい。イグレーヌに色目を使っているのかい?」

 「はっはっは、恋愛感情が死滅してる召喚士に限ってそれはないよな」

からかってくるバカ二人に対して俺は重々しく口を開く。

 「正直タイプだ」

 「「!?」」

 




イグレーヌ
烈火時代から父親と一緒に軍師と愉快な仲間達と一緒に旅をした模様。そのために烈火メンバーからも妹扱いされている。実は初恋が召喚士で、結婚相手も召喚士によく似た人と結婚したらしい(独自設定)。しかし普通に考えて召喚士に似てるとかクズでしかないので逃げられた模様(原作準拠)。逃げた男はパントとルイーズの最恐夫婦にしばかれた模様(独自設定)

召喚士
褐色巨乳も守備範囲

次回の戦禍の連戦
ナギ、リン(ノーマル、歩行の鼓動のためにSP集め)、イグレーヌ、サンバ。
リンとイグレーヌの召喚士をめぐる対立があるかもしれません。




そんな感じでガチャ編でした。次回の戦禍の連戦メンバーが発表された時、我がヴァイス・ブレイブにはレイとルゥしかいませんでした。
大天使の子供達を戦禍の連戦とかいうキチガイの巣窟に放り込むわけにはいかないのでガチャ実施。その結果イグレーヌも無事にログインしました。

そして当然のように出てくる独自設定の嵐。これも全て封印時代からイグレーヌが好きな作者が悪い。しかもあんなバチグソに性癖にぶっ刺さる絵にされたのが悪い。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とブルーニャ

ツイッターでのとある会話

外道「ブルーニャ・・・ブルーニャか・・・」
腹黒「おや、また女性の知り合いかい?」
脳筋「リンとフィオーラに報告案件だな」
外道「おいバカやめろ。ただなぁ・・・なんか見たことある気がするんだよなぁ・・・」


 「ざっと案内した感じはこんなところかしらね」

 「人も多くて活気がある……ここは良いところですね」

ブルーニャの発言にリンは軽く引く。修羅三人衆の手合わせとかイドゥン、ユンヌ、ナギの怪獣大決戦を活気があるで済ませるこの美人何者なのだろうかと言う意味で。

本来、新人の案内は召喚士の仕事であるが、召喚士は死の王国との戦いの後始末のために仕事が忙しく、案内の仕事を押し付ける……案内の仕事をすることができなかったため、戦禍の連戦で戦ったリンが案内しているのだ。

 「そういえばブルーニャはナギの格闘術に対応できていたわね」

そうなのだ。リンが驚愕することに、ブルーニャはブレスを投げ捨て、格闘術で殴りかかってきたナギに対して見事な格闘術で対応して見せたのだ。

リンの言葉にブルーニャは少し恥ずかしそうにする。

 「未熟な腕前ですが、幼き頃に父から習った技です」

 「未…熟……?」

リンはブルーニャの発想がおかしいことに気づく。少なくともナギと格闘術でタイマンを張れるのは理性を無くしたバーサーカーか、ナギの扱う謎の格闘術であるナギ流格闘術を収めている英雄だけだ。

 「父は私に様々なことを教えてくれました。格闘術だけでなく、魔術、政治、戦術、サバイバル方法など……父の教えがあったからこそ、私は陛下のお役に立つことができたのです」

そのブルーニャが忠誠を誓っているゼフィール陛下はここでもイドゥンに会ってしまった後遺症で引きこもりになっていることは秘密にしておこうと思うリン。

 「いい、お父さんだったのね」

 「はい、敵には厳しく、身内には優しく……そして何よりも公平なお方でした」

 「そう。言いづらいなら言わなくても良いけど、もう亡くなられたの?」

リンの言葉にブルーニャは苦笑する。

 「いえ、私が15歳になった時に『お前ももう一人前だから後は一人で生きていけ。大丈夫大丈夫。転移先はランダムだけど、教えたことをこなせれば生きていけるし国の中枢に入り込める』と言われ、時空魔法で時空転移させられて以来会っておりません」

 (……うん?)

ここでリンは違和感を感じる。なにせそう言うことをやりそうな鬼畜クソ外道をよく知っている。

いやでもまかさ15歳の少女を見ず知らずの土地に飛ばすような真似は……

 (やるわね。むしろ笑いながら率先してやるわね)

 「ち、ちなみにだけどそのお父さんの肖像画とかはある?」

リンの言葉にブルーニャは首を振る。

 「いえ、持っていません。なにせ時空転移も急でしたので……しかし、父に持たされていた荷物のおかげで困るということはありませんでしたが」

リンの脳内のそう言うことをやりそうな男の笑い声が大きくなった気がした。

奴ならやる。間違いなくやる。

こうなったら奴の部屋に行くのが一番だ。

そんなわけでリンはブルーニャを促して奴が待つ執務室へと向かう。

執務室の近くまで行くと、山盛りの書類を持ったイシュタルがどこかに走っていく。どうやら未だにデスマーチの真っ最中らしい。

リンは面倒なので扉をノックせずになかに入る。すると怒声が聞こえてきた。

 「はぁ!? 内政に関してはルフ男に一任していたろ!! バカ!! その書類はルフ子だ!! ベレス!! ベレト!! この書類の山をルフ子に持ってっけ!! ついでに死の王国領の経済見積もりも持ってこい!!」

我らが召喚士の怒声にベレスとベレトは慌てて書類の山を持って部屋から出て行く。

 「インバース!!」

 「こっちの書類は終わってますわ!! 確認を!!」

 「それじゃあ次はこっちだ!!」

 「合点承知ですわ!!」

そして阿吽の呼吸でやり取りをする召喚士とインバース親子。

 「召喚士、ちょっといいかしら?」

 「ああ!? よくねぇよ!! 見たらわかんだろ!! 死ぬほど忙しいんだ!!」

リンやフィオーラに対しては割と丁寧(他の英雄に比べて)な対応をする召喚士だが、今回は死ぬほど忙しいのかぞんざいに扱う。

 「あら? いいの? せっかく戦力になりそうな子を連れてきたのに」

 「なにぃ!?」

リンの言葉に召喚士はブルーニャを見る。ブルーニャも驚いたように召喚士を見ていた。

 「ち、父上!?」

リンは内心で『あ、やっぱり』と納得しておく。そしてブルーニャを見た召喚士少しだけ驚いた表情になる。

 「ブルーニャか!! よし!! ちょうどいい、そっちの机が今は空いているからこの書類を片付けろ!!」

 「え? え? え?」

 「ハリーハリーハリー!!!!」

召喚士に促される形で椅子に座るブルーニャ。そして間髪入れずにブルーニャの前に書類の山を一つ置くインバース。

しかし、ブルーニャも召喚士の養子。すぐに切り替えると仕事に入り始める。

リンはそれを見ながらお茶の準備をするのであった

 

 

 「すまんな、ブルーニャ。助かった」

 「いえ、私のほうこそ父上のお役に立てて光栄です」

仕事がひと段落すると、リンが入れたお茶で召喚士一家(召喚士、インバース、ブルーニャ)一息つく。

 「召喚士、あなたブルーニャの育ての親だったの?」

 「まぁな。なんか神がいっぱい地上にいてファミリアとか作ってダンジョン探索とかしている世界で拾ってな。神の力に頼るとか弱者のやることだから、自分の力だけで神殺しをできるレベルにまで育てた」

 「実際に何柱か殺して天界に送還しましたからね。懐かしいです」

優しい顔して『あ、私神様くらいだったら殺せるんですよ〜』と言い放つブルーニャ。この図太い神経は完全に召喚士の子供である。

召喚士の子供であるならばリンはやることが一つだ。

 「ブルーニャ」

 「は、はい。なんでしょうか。あの、お顔が怖いですよ?」

15歳(肉体年齢)の乙女を捕まえて失礼な物言いだが、リンはサカ平原のように広い心でそれを許す。

 「私のことはお母さんと呼びなさい」

 「……はい?」

そう、娘で母呼ばわりされることの方が大切だからだ。

ブルーニャは召喚士を見る。すると召喚士は絶対に呼ぶなというジェスチャーをしていた。

それを見てブルーニャは力強く頷きながら口を開く。

 「よろしくお願いします、母上」

 「ブルーニャァァァァァァ!!!!!!!」

 「いえ、娘からみても父上にはストッパーが必要だと思います」

義娘のまさかの裏切りに召喚士は絶叫し、リンがガッツポーズをするのであった。

 

 

 

ちなみに数時間後にはフィオーラも母親呼ばわりするのであった。

 




ブルーニャ
召喚士の教えを受けた超魔道士。しかし、どんな化学変化が起きたか性格は普通。ただ、常識の範囲が通常の人より広いだけである。

リンちゃん
義娘を手に入れて周囲を固めようとしているが、フィオーラも同じことをしているので再度の逆レを狙っている。

ブルーニャが産まれた世界
なんかロクでもない神様が地上にいっぱいいて、人間などを眷属にしてファミリアとかいう集団を作り、オラリオとかいう街にあるダンジョンに日夜アタックしている世界。ちなみに召喚士とブルーニャはその世界から出禁を食らっている。



そんな感じでブルーニャ編です。封印でも好きな敵キャラだったのでブルーニャさんには鬼畜クソ外道の娘になっていただきました。
常識とは完全にズレた価値観でヴァイス・ブレイブを混沌に落とし込んでくれるでしょう。

さて、作者は無事にイグレーヌさんを引けたわけですが……やばいですね、封印時代から好みだったのに、FEHであんな性癖の塊にされたらスコるしかないじゃないですか。
そんなわけでイグレーヌさんには『目指せオフェリア!!』ということで飛空城でマップ兵器英雄をやってもらっています。
成功率?ゼロだよ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とオルティナ

サナキとミカヤのご先祖様がログインしました。

こんなキャラにしてしまってごめんよ


 「召喚したくねぇなぁ」

召喚室に向かう途中、思わず溢れた俺の本音にマジ驚愕顔を浮かべるバカ二人。

 「どうかしたのかい、召喚士。これからやるのは召喚だよ? ガチャだよ?」

 「お前、ソシャゲの面白さの9割を担っていると言ってもいいガチャだぞ? いつもだったら『ヒャッハー! ガチャだぁ!!』のテンションじゃねぇか」

 「お前らは人を何だと思っているんだ」

 「「重度のガチャ中毒患者」」

 「否定はしない」

早く政府は麻薬と同じでガチャも規制した方がいい。

 「それで? なんで召喚したくないんだい?」

 「いやな、今回実装されたオルティナっているだろ」

 「ああ、飛行遠反で伝承リョウマが完全にお亡くなりになる奴な」

 「伝承リョウマが生きていた時代があるのか問題」

あの使いづらい能力はなんだ。何故、奴が伝承になったのか。それが問題だ。

 「まぁ、飛行リョウマの話はさておき、オルティナさ。俺ちょっと知り合いなんだよ」

 「「お前の知り合い率なんなの?」」

 「俺が知りたい」

何故、俺の知り合いばっかりが召喚されるんだ。

 「そのオルティナがさ、ちょっと性格に問題があってな」

 「「ちょっと用事を思い出した」」

 「おっと死ぬ時は一緒だぞ」

 「「きさまぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

逃亡しようとしたバカ二人を魔術を使って捕縛する。

 「ハハハ、我ら三人。死ぬ時は同じ時を誓わんって誓ったじゃないか」

 「そんなもの誓った覚えはないよ……!!」

 「死ぬんだったらテメェ一人で死ね……!!」

 「バカを言うな。俺が死ぬ時は絶対にお前らを巻き込んでやるからな」

俺の発言にギャーギャー喚くバカ二人を無視しながら召喚石版を起動する。

 「でも何でそんな人……あぁ、今回は神階英雄だから神様か。そんな神様を召喚するんだい?」

 「そうだよな、召喚士だったら全力で面倒ごとは回避するよな」

 「あ〜、それなぁ」

赤オーブを叩き込んでソールとかを召喚しながら会話をする。

 「サナキにさぁ。『オルティナ様と言えばわたしのご先祖様なのじゃ!! 会いたいのじゃ!!』って言われてな」

 「あれ? 召喚士がそんな人の言うことをきくような人間だとは思えないけど?」

 「超失礼なエリウッドの戯言は無視するとして、それを聞いたシグルーンがな。『選んでください召喚士殿。オルティナ様を召喚するか、私に逆レされるかを』ってな。それ言われたら召喚するしかないだろ?」

 「「もういい……!! もう休め……!!」」

ハハ、何で視界が滲んでいるんだろうな。何で俺に言い寄ってくる人は肉食系ばかりなんだろうか。

 「まぁ、でも安心しなよ、召喚士。伝承ユリアちゃんの時みたいになるって」

 「そうだぜ、召喚士。お前がそう簡単に狙った英雄が召喚できるわけないだろ」

 「ハハハ、貴様らは俺を元気付けたいのか貶めたいのかどっちなんだ」

 「「後者」」

 「後でぶち殺す」

三人で中指の立て合いをする俺達。

そして事件が起きる。

俺が何気なく叩き込んだオーブ。舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

そして流れるように俺に斬りかかってくるシルエット

 「パリィ!!」

 「グボッハァァァ!!!」

 「ヘクトルゥゥゥウゥゥ!!!!!」

俺が振り下ろされた剣を受け流したところ巻き添えを食った重装がいるが無視する。

そしてシルエットが晴れるとそこに立っていたのはサナキを成長させたような美人さん。

 「クハハハハハハハ!!!! そこにいるのはブレンですね!! 今日こそ貴方を殺して私のものにしてみせましょう!!!」

 「くそがぁぁぁぁ!! 最初から振り切ってるなオルティナぁぁぁぁ!!!」

ハイテンションで俺に斬りかかってくるオルティナ。俺はそれを時に受け流し、時にヘクトルバリアを使って防ぐ。ヘクトルから悲鳴も聞こえなくなったがまぁ問題ないだろう。

 「あぁ!! 『ユンヌを殺したら結婚してやる』と言う言葉を信じてユンヌを殺したのに、貴方は私の前から姿を消した!! そして私は気づいたの!! 『貴方を殺せば永遠に私のものになる』と!!!」

 「うわぁ……病んでいらっしゃる……」

 「バッカ、エリウッドドン引きしてないで早く助けろ!!」

ガチでドン引きしているエリウッドのマジで助けを求めると、エリウッドは嫌そうにしながらも手伝ってくれる。

 「待って!! ちょっと待って召喚士!! こいつ本当に人!? めっちゃ強いんだけど!!」

そしてすぐに参戦したことを後悔していた。

 「バカだなぁ、エリウッド。こいつは『あの』ユンヌを殺した人間だぞ?」

 「さっさと逃げておくんだったぁぁぁ!!」

ははは、俺がお前達(使い捨て装甲板)を捨てるわけなかろう。

 「ふふふ、ふはははははは!!! ここでも私の愛を邪魔する輩がいるのか!! いいでしょう!! 私は全てを殺してみせる!!」

 「召喚士!! この人超怖い!! 君が逃げた理由わかる!!」

 「だろ!!」

オルティナの即死クラスの攻撃を狭い召喚室内で避けまわる。

 「とりあえずこの部屋から脱出しないとやばいよ!?」

 「仕方ない……この手は使いたくなかったが」

 「いいから早くしろ」

オルティナとの鍔迫り合い(完全に押し負けている)エリウッドに怒鳴られたので俺は使いたくなかった策を使う。

 「あぁぁぁぁ!!! ここに超弩級の萌の塊がいる!!!!!!」

 「なんだってそれは本当かい!!」

俺の叫びに超反応して召喚室にやってきたギムレー。俺とエリウッドはギムレーをオルティナに向かって投げつけると部屋から脱出する。

10秒と持たずにギムレーの断末魔が聞こえて後方からオルティナが追いかけてくる。

 「うぉぉぉぉ!!! 来た、来たよ、召喚士!!!!!」

 「バカ!! 後ろを見るな!!! とにかく鍛錬場に向かって走れ!!」

 「やばいやばいやばい!!! やばいよ!! 僕、これだけ命の危険を感じたのは烈火の時に三人で女性陣の風呂を覗いた時以来だよ!!」

 「安心しろ!! 捕まったら死ぬのはあの時も今回も一緒だ!!!!」

 「最悪だ!!!!」

必死になって逃げ回る俺とエリウッド。途中で通りかかったスーパーヒーローハロルドをオルティナに投げつけてみたが、即座に殺されていた。

 「でも鍛錬場に助けてくれる人がいるのかい!?」

 「助けにはならないだろうが、俺達が助かる見込みはある!!」

 「信じるからね!! 裏切ったらマジで殺すからな!!」

エリウッドの叫びを聞きながら角を曲がって鍛錬場に出る。

そこで怪獣大決戦を行なっているユンヌとイドゥンとお姉ちゃん。

 「ちょっとぉぉぉ!! ここも爆心地じゃないか!!!」

 「安心しろ親バカ 大丈夫だ」

 「大丈夫って……あれ、本当だ」

エリウッドの言葉通り、オルティナはあの集団を見て動きが止まっている。

そして笑いだした。

 「くくく、くはははははははは!!! そういうことねブレン!!!! またあの破壊神を殺せば私のものになってくれるのね!! いいわ!! やってあげる!!!」

勝手に納得してユンヌに斬りかかっていくオルティナ。自分を殺した相手が来たことで本気になるユンヌ。それを見てテンションが跳ね上がるイドゥン。微笑みながら平然と地獄に参加するお姉ちゃん。

 「なにあの地獄絵図」

 「すげぇだろ? なんかあれ全員味方らしいぜ?」

 「第4部の敵に黙祷」

 




オルティナ
召喚士のことが大好きすぎて殺して自分だけのものにしようとしてるヤンデレ。召喚士と結婚するためにユンヌとかいうやばい神を人でありながら殺したとかいうヤベェ奴。
ちなみに召喚士失踪後は大人しくエルランと結婚した模様。

召喚士
狙ってくる女性は肉食系ばかり。ちなみにブレンはオルティナ達といた時の偽名

ソシャゲの面白さはガチャ9割
個人の感想です

伝承リョウマ問題
いや、マジで使い勝手悪いぞ(個人の感想です)



そんな感じでスーパーヤンデレ・オルティナさんがログインしました。オーブ30個くらいで来るとか君召喚士のこと好きすぎない?
そして戦闘狂メンバーがさらに悪化する我がヴァイス・ブレイブ。建物は無事なんだろうか……

あと少しで自作小説が書き終わりそうなので、その後に外道、フォドラに立つも書けそうです。もう少しお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とポケモンマスター

作者と同じ世代だったら誰もが一回は夢見た職業


 「我、ポケモンマスターになる……!!」

いつもの俺の部屋で、突然やってきた同人作家先生が何やらトチ狂ったことを言い始めた。

 「突然なんだギムレー」

 「召喚士、我思ったんだ。ポケモンは日本が世界に誇る産業であり、やっぱりオタクになりたい系ラスボスとしてはその辺りのところは抑えておかないといけないと思うんだ。オタクと名乗るからにはやっぱり有名所のゲームは抑えておくべきだよね。ポケモン然りドラクエ然り」

そして理路整然と頭の狂ったことを言ってくる同人作家先生。

 「なるほどなるほど。一理あるかもしれん」

俺は頷きながらギムレーに問いかける。

 「それで本音は?」

 「もう任天堂の何がすごいって他のゲーム会社がヒロインを『最近はこうゆうの流行りですよね……?』って出してくるところを『お前達の次の性癖はこれだ』と言わんばかりの女性キャラを出してくるところだよね。ソニアのパイスラとかルリナの褐色臍とかメロンさんの爆乳ムチムチ人妻とか完全に性癖を歪めにきてるもん」

 「完全に同意」

あの任天堂の子供の性癖を歪めんとばかりに繰り出してくるマニアックな性癖はなんなんだろうか。開発者に変態がいるな? 最高だ。

 「そんなわけで召喚士!! メロンさんのムチムチ爆乳を見に行こうZE!!」

 「ふむ、そうしたいところなんだがな。これを見ろ」

俺はそう言って現在のゲーム画面をギムレーに見せる。

そしてゲーム画面を見たギムレーは驚愕の表情を浮かべた。

 「こ、これはイヌヌワン!!」

 「イエース!! ギムレー、お前に言われるまでもない!! 俺だってメロンさんのムチムチ爆乳を見たかったんだ!!」

 「さっすが召喚士!! 基本的に鬼畜でクソで外道だけど下半身には忠実だよね!!」

 「言い方には気をつけろよオタクトカゲ!! それ言うと既成事実を狙ってくる肉食獣が多いからな!!」

喜んだ様子で俺の隣に座ってくるギムレー。

 「ちょっと待って!! ここだとソニアのパイスラは!?」

 「ちょっと待て……今はまだ2番道路でイヌヌワンのレベリングの最中だったから、ちょっと戻れば……」

 「ふぉぉぉぉぉぉ!!!! キタキタキタキターーーー!!!!! ソニアたんのパイスラ!! エッチィ!! これはエッチィですよ!!」

 「う〜ん、このギムレーのクソウザさ。これがギムレーだよな」

 「ふぉ!? ちょっと!! ちょっとこのミニスカートもいけませんよ!! 冬の薄い本が厚くなっちゃう!!」

 「ちなみにライバルはこいつだ」

 「野郎はNG」

真顔で言い放つギムレーにある意味で戦慄を禁じ得ない。

 「つぅか、お前ルフ子の姿でそれ言ってていいの? ついてる方にしろよ」

 「わかってないなぁ、召喚士。たとえついていなくても心のおニンニンがいきり勃つんだよ」

 「と、そのように供述していますが」

俺が背後を見ながら言うとギムレーの顔色が真っ青になる。

そこに立っているのは当然のようにルフ男とルフ子。

そしてジャンピングハリケーン土下座をするギムレー。

 「命ばかりはご勘弁を」

 「「却下」」

ギムレーの悲鳴を聞きながら俺はイヌヌワンのレベリングをするのであった。

 




更新なのにFEH関係なくてすまない。でもポケモン盾を買ってしまったんだ。許してくれ。ちなみに盾を買った理由はメロンさんに会いたいから。あんな子供の性癖を歪めるであろうキャラをだす任天堂には変態がいっぱいいる(褒め言葉)
さ、キュウコンとサーナイトも捕まえないと。

あ、ちなみにFEHは無料でニシキが来ました。完全に育成渋滞が発生した我がヴァイス・ブレイブ。

自作小説も書き終わったのでそのうち外道、フォドラに立つも書きたいところ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とユリア

伝承召喚で無事に来たのでユリアにゃんの出番です。


ちなみに猫キャラではありません。


いつもと違い平穏な日。いつもの喧騒はなく、俺の部屋は静かである。

 『ブレンブレンブレンブレン!! ああああああ!!! 邪魔をするな女狐どもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』

 『だから召喚士は貴女のものでもないし、ブレンって名前じゃないって言ってるでしょ!!!』

 『いいえブレン!! あの人は間違いなくブレン!! 私のブレン!! あの人を手に入れるためだったら私は神をも殺してみせる!!!!』

 『ダメですリンさん!! ヘクトルさんバリアーがもうもちません!!!』

 『使えないわね、この肉壁!! あ、エリウッドいいところに来たわね!!』

 『待って待って待って!! オルティナさんとリンとフィオーラとか地雷の気配しかしない!!』

 『フィオーラ!! そっち持って!!!』

 『わかってます!!』

 『や、やめてくれ!!』

 『『必殺エリウッドミサイル!!』』

 『ギャァァァァァァァァ!!!!!』

 『クハハハハハ!! この程度で!!!』

外では地獄絵図が繰り広げられているようだが、俺に害がないからセーフである。

 「失礼します、召喚士さんはいらっしゃいますか?」

 「……なんだユリアか」

 「……何故窓から出ようとしているんですか?」

 「ちょっとヤンデレがここまで来たかと思ってな」

俺の部屋にやってきたのは伝承英雄として竜に対して殺意満点なスキル装備で来たユリアであった。

とりあえず俺は脱出を取りやめて、部屋の机に戻り、ユリアの分もお茶を淹れる。それに会釈してユリアはお礼を言ってきた。

 「それで? 何かあったか?」

 「はい。正直に言うとこれは私の使命なので私一人でやるべきなのですが、一応召喚士さんにも話を通しておいた方がいいと思いまして」

 「それは殊勝なこって」

いい子ちゃんのユリアのことだ。どうせボランティアとかでもしたいと言い始めるのだろう。

 「実は私、神の声を聞きまして」

 「………うん?」

 「神です。神様の声です」

聞き間違いかと思ったが、ユリアは心底真面目な表情で言っている。

 「あ〜、あ、そう言うことか。誰のことだ? パオラ様か? 破壊神か? お人好しか? オカンか? のじゃロリか? まさかヤンデレではないだろう?」

 「いいえ、そんな紛い物ではありません」

我がヴァイス・ブレイブにいる神々が紛い物と否定された。

そこで俺は初めてユリアの目に気づいた。

 「あの声こそまさしく神託。私は神のお言葉を聞いたのです」

その目は完全に狂信者の目だった。具体的に言うと俺を見るスリーズの目だった。

 「神は私にこう伝えたのです」

恍惚とした表情で言葉を続けるユリア。

 「竜を殺すべし、と」

 「邪神じゃねぇか」

俺のツッコミにムッとした表情を浮かべるユリア。

 「いいですか、召喚士さん。召喚士さんはいろんな世界に行って竜の脅威を忘れてしまったかもしれませんが、本来、竜とは危険なものなのです」

 『フハハハハハハハハハハハ!!! 流石はユンヌを殺した女傑!! 人の身でありながら私と同等に戦いますか!!!!!』

 『貴様も私とブレンの邪魔をするか!! この邪竜がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 「そうだな。竜は危険な代物だな」

外で暴れているイドゥンを見ると、否定できる要素は何一つない。

俺の言葉に満足そうに頷くユリア。

 「そうでしょう。だから早速、ヴァイス・ブレイブにいる竜を滅ぼしましょう」

 「ニコヤカに仲間を殺しましょう宣言。サイコパスかな?」

相手が英雄の時点で俺の拒否権など存在しないので、俺はユリアに連れられてヴァイス・ブレイブ内を歩いている。

 「ですが召喚士さん。私もやっていいことと悪いことの区別はつきます」

 「ほう、どのように」

 「流石に仲間の竜を殺しちゃいけないと思うんです」

おお、ちょっと感動した。このヴァイス・ブレイブにいる英雄はみんな我が強いと言うか一癖も二癖もある奴しかいないので、仲間の事を考える人物は貴重だ。

その貴重な人物が竜抹殺の使命に目覚めていなければ俺も素直に喜べたかもしれない。

そして俺達の視界にとある人物が入ってくる。

サナキに声かけしているユリウスだった。

 「召喚士さん、あれは?」

 「邪竜だな」

 「汝は竜!! 罪ありき!!」

 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

とある竜殺しのような事を言いながらユリウスに至聖ナーガを叩き込むユリア。

ゲームシステム的にユリウスはマムクートではないのだが、まあいいか。ユリウスだし。

 「召喚士!! ユリア!! 何の真似だ!!!」

 「俺は単に犯罪者を見つけただけだが?」

 「は、犯罪者じゃないよ!! 犯罪者だったとしても犯罪者と言う名前の紳士だよ!!」

黒焦げになっていたユリウスは通りかかった治安維持部隊のカチュアによって連行されていった。

 「なかなか幸先がいいですね!! この調子でどんどん邪竜を滅ぼしましょう!!」

 「ああそうだな」

ユリアの言葉にサナキを保護者(シグルーン)に渡しながら俺は答える。

 「召喚士ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

そして俺に向かって走り寄ってくるギムレー(ルフ子外見)。その手にはニンテンドースイッチが握られていた。

 「ちょっとみてよ召喚士やっとできたよ色違い真作ポットデスこれ生み出すまでに大量のヤバチャが破棄されたけどこれでようやくネタ塗れのネット大戦であるネストボール級に潜れる!!」

 「おお、確かにすごいな」

俺は興奮しているギムレーからニンテンドースイッチを受け取りながらゆっくりと口を開く。

 「ユリア、ここでもトップクラスの邪竜だ」

 「汝は竜!! 罪ありき!!」

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

先ほどのユリウスとは比べられない威力の至聖ナーガをぶち込まれるギムレー。

 「ちょっとぉぉぉ!! 確かに美少女からの攻撃とか我達の業界ではご褒美だけど、この威力は洒落になってないよ!!」

 「むしろお前は何故生きているのか」

ギャグ漫画のように黒焦げアフロになっただけのギムレー。こいつの生命力はどうなっているんだ。

 「むむむ、これはきっと神の試練ですね!! いいでしょう!! 絶対にこの邪竜を滅してみせましょう!! 具体的にはアクアさんに歌ってもらって!!」

 「うっそでしょ!? この娘バフがけ至聖ナーガを我にぶち込もうとしてるんですけど!?」

 「安心しろギムレー。攻撃力もユリアの方が高い」

 「安心できる要素皆無なんですけど!? こ、こんなところに居られるか!! 我は部屋に帰るぞ!!!!」

 「ユリア、逃すな」

 「幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!!!!」

 「ギャァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 




ユリア
世紀末救世主伝説ユリア。ユリアはヴァイス・ブレイブに降りた救世主である。神の声を聞いたユリアは邪竜を殺す邪竜ハンターとなったのだ!!
ユリアは今日も至聖ナーガといつの間にか手に入れた大剣を手に邪竜を討つ!!

ユリウス
の皮を被ったロプトウス。ロリやショタに対する声かけ事案で職務質問をされる回数はヴァイス・ブレイブトップクラス

ギムレー
ヴァイス・ブレイブ指定駆逐害竜。

オルティナVSリン&フィオーラ
召喚士を巡る限界バトル。なお、この三人では済まない模様。



そんな感じで伝承召喚の時に無事に伝承ユリアを引けたのでユリアちゃん回です。地味にノーマルユリアは持ってなかったので初ユリアちゃんです。
妹が元気に馴染んでくれていて、これにはお兄さんのセリスくんもニッコリ(苦笑)。お父さんは息子と娘の暴走で胃痛になる。

久しぶりにチケットさんが仕事をしてくれてマリータ引きました。HP↑速さ↓のクソ個体ですけど、来てくれただけでもいいですね。
問題はマリータちゃんのキャラが決まらない点。可愛いから出したいんですけどね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

サンタ降臨編

ツイッターでの呟き
動画発表時
サンタニノ引けた!(素振り

サンタニノ引けた!(素振り

ガチャ実装日
サンタニノ引けた!(歓喜


 「諸君、待ちに待った超英雄が来た」

俺の言葉を大人しく聞いているオーディエンス。

 「我々は知っている。彼女は現世に舞い降りた天使であると。戦乱渦巻く世において全ての癒しを司る存在であると」

俺の言葉に深く頷くオーディエンス。

そして俺は両手を高く広げて大きく叫ぶ。

 「諸君、サンタ大天使召喚の時である!!」

 『ウォォォォォォォォォォォォオォォ!!!!!!!!』

俺の言葉に力強く答えるジャッファとニノを除く烈火メンバー。

 「当然のようにリンとフィオーラも引くまで退くなという指示が出た。いいか、諸君!! 諸君が欲しいのはなんだ!!」

 『ニノ!! ニノ!! ニノ!! ニノ!!』

 「そうニノだ!! しかもサンタニノだ!! 天使かな? 天使だったな。行くぞ!! 石版起動!!」

浮かび上がるのは青1つに無色3つ、緑1つ。これがそこらの召喚士であったなら『チ、緑1つかよ』と言ってソティスの緑に突撃するのだろう。

だが、我々はよく鍛えられたニノを愛で隊なのだ。

 「当然のように青いったぁぁぁぁぁぁぁく!!!!!!」

 『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!』

舞う土煙。テンション上がる俺達。浮かび上がるシルエット。さらにテンションが高まる俺達。

そこにはやっちまった表情を浮かべたツバキがいた。

 「て……てへ!!」

 「インバース、ブルーニャ。拷問してから送還だ」

 「「承知」」

 「お慈悲を!! お慈悲をぉぉぉぉぉぉ!!!!」

インバースとブルーニャに連れていかれる罪人が何やら叫んでいるが俺は無視する。奴の罪は俺達のテンションが最高潮の時に出てしまった事だ。

 「まぁ、最初から出るとは思ってないしな」

 「143個あるんだから気長に行こうよ」

 「まぁ、あまりゆっくりしてると黒い牙連中が何するかわからんけどな」

ヘクトルの言葉に俺達が黒い牙組に視線を向けると全員が武器を構えて俺をみていた。

 『召喚士、次は?』

 「オーライ。サクサク行こう」

そして流れ作業のように召喚を始める。

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。出てくるヒーロー。この時点で身長がニノではなかったので黒い牙の視線は早く次をしろと急かしてくる。

 「あれぇ? みんな集まって何してるの?」

そして脳みそが足りていない言葉。魔法少女ティルテュちゃんであった。

 「召喚中だ。早く降りろ」

 「うん、わかったぁ」

俺の言葉にペカーといった雰囲気の笑顔で返してくれるティルテュ。このヴァイス・ブレイブの数少ない癒し枠である。

 「ティルテュちゃんも10凸目指すって言ってなかったっけ?」

 「今のでちょうど11人目なんだよなぁ。羽の使い道もないから凸らせてもいいんだけどな」

エリウッドの言葉に返しながら俺は石版に青オーブを叩き込む。

舞う土煙。浮かび上がるニノくらいの身長のシルエット。晴れる土煙。そこにはキョトンとした表情を浮かべた大天使がいた。

 『キタァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!』

一瞬にして俺達のテンションは振り切れた。

 「召喚士、今回ばかりはよくやった!!」

 「兄貴の言う通りだぜ!! 普段はクソで鬼畜で外道だけどニノのことだけは褒めてやるよ!!」

 「ははは、今は気分がいいから許してやるが、言葉遣いには気をつけろよリーダス兄弟」

俺とロイドとライナスは中指を立て合うが、リーダス兄弟はラガルトとウルスラにチヤホヤされているニノのところに速攻で行った。

 「まさかすり抜けなしとはな」

 「普段の召喚士だったら考えられないよね」

 「お前ら、今回の召喚相手は大天使だぞ?」

 「「納得」」

すり抜けなしで来てくれるとかニノちゃんマジ天使。

 「そういや召喚士!! 二ノがサンタだったらトナカイ役が必要だろ? なんだったら俺と兄貴がやってもいいぜ!!」

 「何を言ってるんだライナス。サンタは一晩で全国を回らなきゃいけないんだぞ? だったらトナカイに必要なのは素早さだ」

 「は? ラガルトも何を言っているのかしら? こんなに可愛いニノの隣に立つのよ? むさい男はお呼びじゃないわ」

そして始まる黒い牙の内乱。ニノから見えない位置で拳が飛び交っている。

だが、そんな彼らに俺は残酷な現実を突きつけなければならない。本当は言いたくないのだがしょうがないのだ。

 「今回のニノのサンタ役はジャッファだ」

俺の言葉に無表情になる黒い牙。だがすぐに笑顔になってニノと視線を合わせる。

 「悪いな、ニノ。ちょっとやらなきゃいけないことができた」

 「え? う、うん。ロイドお兄ちゃん。私も手伝おうか?」

 「ニノはせっかく可愛い服をもらえたんだ。それを汚しちゃいけねぇよ」

 「も、もう!! ライナスお兄ちゃん!! 私だってもう大人なんだよ!!」

ニノの『私はもう大人』発言の可愛らしさに鼻血が溢れる黒い牙。

 「そう言う君も出てるからね」

 「エリウッドもな」

 「ヘクトルもだけどな」

当然のように流れ弾は俺達にも着弾した。

 「それじゃあ召喚士、ニノをよろしくね」

 「安心しろ、結晶の貯蓄は十分だ」

俺の言葉にサムズアップしてくるウルスラ。俺も笑顔で返す。そして笑顔のまま部屋から出て行った。

 『死神の野郎!! 今日こそぶち殺してやる!!!』

 『待ちなさいライナス!! まずは生まれてきた事を後悔させてやってからよ!!』

 『見つけたぞジャファァァァァル!!!!』

 『ラガルトはそのまま回り込め!! 俺とライナスとウルスラで追い詰める!!!』

外では一瞬にして狩が始まったようである。

俺はその喧騒が聞こえないようにニノの耳を塞いでおく。それにニノは不思議そうに首を傾げた。

 「どうかしたの、召喚士さん」

 「「「なんでもないよ」」」

俺達の微笑みがとても優しいものだったと供述したのは烈火メンバーで唯一正気を保っていたレイヴァンだけであった。

 




大天使ニノエル(サンタ)
待ちに待った超英雄大天使。しかもサンタ。無課金で来てくれるとか天使かな? ああ、天使だった。

黒い牙の皆さん
超絶可愛い大天使の姿にご満悦。

ジャッファ
火刑に処されたそうだが、そのような記述がアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領の公式文書にそのような記載はない。



そんな感じで超絶可愛い大天使が我がヴァイス・ブレイブに降臨しました。無課金で来てくれるとか天使かな? ああ、天使か。
当然のように修練の塔という危険な場所でレベリングとかできないので結晶でレベル40に。ついでに奥義も持っていなかったのでクソみたいに余っているクロムの本を使って天空をプレゼント。あとはSP稼ぎだな。

え? 個体値? 女神と大天使には個体値とかねぇから。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とピアニー

ついにこの作品でも第四部スタート!!


私の名前はピアニー!! 夢の国アルフに住む妖精よ!!

でもでも、妖精と言うのは仮の姿!! 本当の私は悪党からお宝を盗み、貧しい人達に施す義賊なの!!

今回のターゲットはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領!! アスク、ニフル、ムスペル三国の経済の中心地であり、強大な軍事力を誇る言わば最強国!! でもこの国の幹部の評判は最悪!! 鬼畜、クソ、外道の三拍子!! 義賊としてはこんなロクでもない連中許せない!! 必ず正義の鉄槌を下すんだから!!

あれ? ヴァイス・ブレイブってまだ国じゃなかったっけ? まぁいいや!! 今回のターゲットはこのヴァイス・ブレイブにあると言われる神器・ブレイザブリク!! なんでもこの神器は他の世界の英雄を呼び出せる神器らしいの!!

こんなすごい神器が邪智暴虐なるヴァイス・ブレイブにあったら大変!! 絶対に私が盗み出さなきゃ!!

そう思っていたのに……

 「それじゃあ、これより不審人物の尋問を行う」

 『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』

私はなんで大広間で鎖で雁字搦めにされて床に転がされているの!? そしてなんで目の前の白フードは明らかに拷問の道具を持ってるの!? そしてなんで周囲の人達は止めるどころか盛り上がっているの!?

そんな私の狼狽をよそに白フードが用意されていた資料を読み上げる。

 「不審者A(今後この人物を甲とする)は東城壁を無断で乗り越えたところを破壊神に発見され一撃で昏倒、捕縛される……っておいおいマジかよ。こいつユンヌの一撃食らって生きているのかよ」

 「待って待って待って!! あなた達は侵入者は容赦なくデストロイなの!?」

白フードは心底不思議そうに首を傾げた。

 「当然だろう」

 「世紀末!?」

私が想像していた以上にここはやばいところだ。

 「捕縛したユンヌだったが甲が見たこともない種族だったために連行。現在に至る。ユンヌ、何か違っている点は?」

 「私はユンヌ」

 「ないようだな」

 「そんなこと言ってないよね!?」

空中にフヨフヨ浮いている幼女が何を考えているかわからないけど、絶対に私の味方ではないと思う。

 「それで? お前は何者かね?」

 「え、え〜と……」

考えろ!! 考えるのよピアニー!! まだ私は城壁を間違えて超えてしまっただけのか弱い妖精と言い張るのよ!!

 「私の名前はピアニー!! 夢の国アルフに住む妖精よ!!」

私が妖精と言った瞬間にその場の全員から可哀想なものを見るような目で見られた。

そして白フードが口を開く。

 「ピーターパン症候群か? 辛いようだが現実を突きつけると、この世界に妖精さんなんていないんだぞ?」

 「えぇぇぇぇ!!!! 私、本当に妖精だよ? ほら、見てこの羽!!」

私が精一杯に自分の羽をアピールすると、白フードはため息をつきながら口を開く。

 「リアーネ」

 「? ……なぁ、に?」

白フードに呼ばれたのは純白の翼を持つ少女。その姿に私は天使さんかと思ってしまいました。

 「この通りここでは翼持ちなど珍しくもない。それだけで妖精認定はできないな」

 「ファッキン!!」

確かに狐耳とか狼耳とかもいるけど!! いるけど……!!

 「そして俺の知り合いの妖精は人と同サイズではない。つまりお前は妖精ではない証明終了Q.E.D」

 「召喚士!! さすがにその説明は無理がある!!」

赤頭に激しく同感である。

 「わ、私は本当に妖精なの!! 面白そうな人がいっぱいいるなぁと思って城壁を超えちゃったけど、怪しくなんてないんだから!!」

 「父上」

私の弁明の途中でやってきたのは二人の美女。

 「お父様、調べがつきましたわ」

 「報告書はこちらになります」

 「おう、ご苦労さん。インバース、ブルーニャ」

二人の美女(インバースさんとブルーニャさんと言うらしい)から書類を受け取って目を通す白フード。

 「ふむ、世間を騒がす義賊を名乗る盗人。通称・ドリームねぇ」

ば、BA・RE・TE・RUUUUUUU!?

そして私がドリームだとわかった瞬間に白フードを挟んで座っている銀髪の男女の女の方が口を開く。

 「ドリームには私傘下の商人が被害をあっています。商業担当として言わせるならば即刻、処刑すべきでしょう」

い、I・NO・CHI・NO・KI・KIIIIIII!!!

しかし捨てる神いれば拾う神もいる。その意見に反対したのは銀髪の男の方。

 「ちょっと待って欲しい。彼女がドリームだと言うのならば民の間では評判が良い。民生担当としては彼女は生かして利用すべきだ」

う〜ん、どう考えても『利用価値があるから殺すのはもったいない』と言う意見だけど、殺されるよりマシだよね!!

二人の意見に白フードは少し考えこんでいます。

 「ルフ子」

 「なんです?」

 「彼女を生かしたとして商人達からの反発はどの程度だ?」

 「そうですね……落ち着かせるのに一ヶ月。不満もくすぶって残ると言ったところでしょうか」

 「ルフ男」

 「なんだい?」

 「彼女を殺した時の民の反発は?」

 「強いと思うよ。彼女は一応義賊で通っているし、そのように行動してる。ただでさえ僕らに対する反発は強いんだ。ここは我慢すべきだろう」

二人の意見に白フードは机を人差し指でトントンと叩いている。

 「ふむ、よし。ギムレー」

 「ムフフフフフ、また可愛い子がきちゃって我大・興・奮!! って、あれ? 我? なに?」

そして白フードは端っこの方で怪しい笑いを浮かべていた銀髪の女の方の姿をした女性を呼びます。

 「こいつはお前に預ける」

 「その時我に衝撃走る……!!」

そして何やら不穏なことを言い始めた。

 「え? マジで!? こんな可愛い子を我に預けるの!?」

 「ああ、ただし治安維持部隊にお世話になるようなことしたら即処刑だぞ」

 「蛇の生殺しぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

床をゴロゴロと転がるギムレーと呼ばれた女性。

 「え〜と、どう言うこと?」

私の言葉に白フードと銀髪’sは胡散臭い笑顔を浮かべる。

 「「「ようこそアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領へ!!」」」

わ、私どうなっちゃうのぉぉぉぉぉ!!!!

 




ピアニー
神風怪盗ピアニー。妖精の国を出奔して(自称)正義の盗賊をやっている。しかしやっている内容は『あいつは悪党だから奪ってもOK』と言う水滸伝思想。

三軍師
ピアニーに利用価値を見つけた模様。

ギムレー
まさかのピアニーを預かることになった同人作家ギムレー先生。

リアーネ
可愛い。



そんな感じで第四部スタートです。そして始まったと同時に原作崩壊する世界。ギムレーに預けられたピアニーちゃんは泣いていい。
リアーネは好きなのでいつか出したかったんですが、なかなか出す機会がないので今回無理やり出しました。ちなみに純粋枠です。

いやぁ、クリスマスガチャでクリゼフィールの剣をリンちゃんに没収したくて深追いしたらすり抜けリーフくん。

赤剣ですり抜けてくるとはいい度胸だなリーフくん。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マテリアル:召喚士

作者でも設定が複雑になってきたので整理がてら召喚士をFate風のマテリアルにしてみました。


軍師(召喚士)

性別:男 年齢:不詳 真名:不明

出典:ファイーエムブレム烈火の炎(ファイアーエムブレムヒーローズ) 属性:混沌・悪

筋力:E 耐久:D 敏捷:C 魔力:A 幸運:EX 狂化:EX 宝具:A+

 

保有スキル

ゴーレム生成:A ゴーレムを製作する技術

 

ナギ流格闘術:S 真祖の竜であるナギは創設した必殺格闘術

 

軍師の助言:EX 軍師としての才能は神の如しとも言われる

 

宝具

冷酷なる軍略

ランク:S 種別:対軍宝具

軍師としての側面が出ると冷酷なまでの非道に徹する逸話から昇華された宝具。味方に大幅なバフがかかり、敵には大幅なデバフがかかる。

 

Let’s ガチャ!!(楽しい爆死!)

ランク:D〜EX 種別:発狂宝具(場合によっては自分が)

ランダムで軍師と関わりを持った英雄が召喚される。場合によっては軍師と仲の悪い英雄が召喚されてマスターを巻き込んだ喧嘩を始める。この宝具は召喚士として召喚された時のみ使用できる。

 

一人称:俺 二人称:お前 三人称:あいつ

 

性格

自他共に認める鬼畜クソ外道。基本的に愉快犯で自分が面白いと思ったことを勝手にやる。他人を認めることをしないが、認めた人物には軍師として仕える。ちなみに行く先々で女性に対してフラグを立てるが大体やばい方向に拗れる。

 

動機・マスターへの態度

表面上は親しく接していても内面では一切信用しない。しかし、一度信用されればその天才的な軍略を持ってマスターを勝利へと導く。聖杯へ願うことも特になく、ただ自分が面白おかしくできればいいという考えかた

 

台詞例

「召喚に応じ参上した。まぁ、よろしく頼むよ」

「嫌な予感がする……俺のこういう勘は当たるんだ。え? 避ける方法? ははは、俺が知りたい」

「颯爽参上軍師くん!! マスターの悩みを即解決!!」

「貴様に生きる価値はない。死ね」

「ヒャッハー!! 楽しいガチャの時間だぁ!!」

 

人物像

FE烈火の世界を旅した高名な軍師。人類に対して希望を持って旅に出たが、旅の途中で人類の愚劣さ、卑劣さを見て人類に対して絶望する。そのままだったら人類悪一直線だったが、とある少女と出会い改心。そしてその旅で多くの仲間と友人ができたことによって完全に改心。世界の抑止力となる。

異世界召喚体質で色々な世界に召喚される。そして行く先々で弟子を作りその世界を混乱に陥れる。そして世界によって名前を変える。本当の名前を知っているのは直接教えてもらったリンとフィオーラ。そして何故か知っているパントである。

鬼畜でクソで外道だが友人である烈火メンバーに言わせると「まだマシになった」とのこと

 

因縁キャラ

リン&フィオーラ

「いや、答え出さずに高飛びかましたことは悪いと思ってるよ?」

 

ヘクトル&エリウッド

「友人? そうだな。生贄と書いて友人と読む仲だな」

 

パント&カナス

「次はあいつを実験台にしようぜ!」

 

シェイカー塾出身者

「ワシが育てた(ドヤァ)」

 

ナギ

「お姉ちゃんだな……お姉ちゃん? 俺に姉はアババババババババ」

 

アティ

「数少ない尊敬する人物だな。恋愛感情? ははは、ないない」

 

ヘル

「死ねぇ!!!!」(クロスカウンター)

 

適正クラス

アーチャー:「策を飛ばすからアーチャーなのです!!」正直それは無理がある

 

キャスター:一番力が発揮できるクラス。このクラスで召喚されると敵は泣く。マスターも泣く。

 

バーサーカー:「え? 常に狂ってる? こやつめ、ははは」実は一番適正があるんじゃないかとも言われている。

 

ルーラー:世界の抑止力だからね……一応ね……

 

アヴェンジャー:むしろルーラーよりこっちの方が適正高し。

 

ビースト:完全に闇堕ちしたバージョン「滅びよ人類」

 




そんな感じで召喚士の設定を整理がてらマテリアルを書いてみました。

チートくさいステなのに周囲がこれ以上にチートのためにチートに見えない召喚士。そんな修羅の世界なのが召喚士と英雄の日常の世界です。

宝具は適当です。センスのない作者には考えられんかったよ……

ひょっとしたら年内最後の更新です。次は年明けにお会いしましょう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブ神社

あけましておめでとうございます


 「おお、すげぇ人だな」

新年、我がヴァイス・ブレイブには英雄達に混じって兵士、一般人が多く集まっていた。

俺はその人混みの中をヘクトルとエリウッドと一緒に歩く。

 「でも急に神社なんて建立してどうしたんだい? 君、そこまで信心深くないよね」

 「俺は神様なんか信用しちゃいないが、宗教というのは一般人の心の拠り所としては優秀だ。まぁ、一般人に対する飴だよ」

 「ふむふむ」

 「なるほどなるほど」

俺の言葉に頷くヘクトルとエリウッド。そして真面目な顔で口を開いた。

 「「それで? 本音は?」」

 「ふむ、金のためだ。一般人というのは税金などで金を持っていくことに腹をたてるくせに、神様に対しては惜しまない奴が多い。そこでうちの神様英雄を祀って一稼ぎしようと思った」

 「「ですよね」」

なにせせっかくの本物の神様がいるのだ。利用しない手はない。

 「建物は5つあるね。誰が何を司っているんだい」

エリウッドの言葉に俺は端から順番に指を指す。

 「まず一番端がソティスで五穀豊穣」

 「ソティスが五穀豊穣か?」

 「まぁ、彼女の世界が一番偉い女神らしいからいいんじゃないかい?」

ヘクトルの問いにエリウッドが答える。

 「その隣がドーマで学業成就」

 「「……うわ、面倒見てくれそう!!」」

あの人が良い神様は「え? その願いか……どうすべきか……だがせっかく願ってくれているのだから……」って感じで叶えてくれそうである。

 「次がナーガで家内安全」

 「「オカン……」」

一番ご利益がありそうである。

 「でその隣がユンヌで無病息災」

 「病魔の方が逃げ出しそうな件について」

 「違うよヘクトル。ユンヌが病魔を物理的に潰すんだよ」

ヘクトルもエリウッドも好き勝手なことを言っている。だが、同感である。

そして俺は最後の建物を見て顔を顰める。

 「うん? 最後は順番的にオルティナかな?」

 「でも随分と女性ばっかり集まっているな。オルティナは何を司っているんだい?」

エリウッドの言葉に俺は益々顔を顰める。それを見てご機嫌になるバカ二人。

 「お、なんだなんだ。召喚士がそんな表情するなんて珍し……くもないな。最近は」

 「まぁ、でもこいつが苦労している姿は僕らにとってはメシウマでしかないからいいんだけどね」

 「ほう、そんなこと言っていていいのかな?」

 「「お前の不幸が幸福だよ」」

友人の不幸を喜ぶとは友人の甲斐がない奴である。

だから俺はこいつらに現実を突きつける。

 「オルティナは恋愛成就だ」

 「「ちょっと用事を思い出した」」

 「おっと、死ぬ時は一緒だぞ」

 「「やめろぉ!! やめろぉ!!」」

完全に特大の爆弾を作った形だが、神様達の厳正な会議の結果決まったことだから仕方ない。

 「まぁ、見えている爆弾は召喚士に任せるとして」

 「絶対に巻き込んでやるからな」

お互いに中指を立て合う俺とエリウッド。オルティナが暴走を始めたら真っ先に巻き込んでやるからな。

 「しかし、どうやってあいつらに神様の仕事を頼んだんだ」

 「ああ、それは簡単だった」

ヘクトルの問いになんでもないように答える。

 「まずソティスはお菓子の詰め合わせをやると言ったら喜んで引き受けた」

 「「のじゃロリ……」」

思考のロリっている気がするが、そこは無視である。

 「ドーマは食堂にサバ味噌煮定食を取り入れることで合意した」

 「あいつどこまで影薄くすんの?」

 「闇おちセリカちゃんとか闇おちベルクトくんが可哀想になるよね」

その二人も奴がドーマだと気づいていないからいいのだろう。

 「ナーガは新しいフライパンだな」

 「「やっぱりオカン……」」

否定できないことである。

 「ユンヌはお姉ちゃんとの限界バトルだな」

 「それってヴァイス・ブレイブ大丈夫?」

 「死の王国を使わせるから大丈夫だ」

 「死んだ後も死体蹴りされるヘルが超哀れ」

ははは、奴がいた痕跡も全て消し去ってくれるわ。

そう考えているとヘクトルとエリウッドが超真面目な表情をしながら俺を見てくる。

 「「オルティナは?」」

 「……俺と二人っきりの時間」

俺の言葉の瞬間に満面の笑みを浮かべるバカ二人。

 「お、ついに童貞卒業か」

 「子供の名前は僕らに任せておきなよ」

 「やめろぉ!! 奴が相手だと冗談にならない可能性が高いんだ!!」

いや、マジで。

 「そういえば巫女服の英雄もいるな」

俺がどのようにオルティナから逃げるか考えていたらヘクトルが見渡しながらそう言った。

 「シスター連中には巫女役をやってもらっている。仕えている神様はちょっと違うが……まぁ、いいだろうさ」

 「巫女服はどうしたんだい?」

 「ヒント:ギムレー」

 「「あ(察し)」」

あのオタクマムクートは美少女の巫女服が見たいという欲望で三時間で全員分の巫女服を用意していた。

 「あらぁ、先生」

 「うん? おお、メルセデスか」

そこにやってきたのは巫女服を着たメルセデス。どうやら彼女はペトラと同じ世界から来たらしく、俺の教えを直接受けていたということで俺のことを先生と呼ぶ。

 「ちょうどよかったわぁ。ちょっと困ったことになってしまって」

 「おう、どうした」

 「お祈りにきてる信者さんの中で酔っ払った方が出ちゃってぇ、私達に絡んでくるのよぉ」

なんと、どこの世界でも酔っ払いとは厄介である。

 「それだとメルセデスちゃんも絡まれたのかい?」

 「大丈夫だったのか?」

基本的に烈火以外には人が良いバカ二人もメルセデスを心配する。

その言葉にメルセデスはふんわり優しい笑みを浮かべる。

 「先生から教わったナギ流格闘術で丁重に帰っていただいたわぁ」

 「「お、おう」」

やめろ。どういう教育をしたんだという視線で俺を見るんじゃない。確かに教育を施したのは俺だが俺ではないんだ。

 「フローラ」

 「はい」

俺が手を叩くと即座に現れる完璧で洒脱なメイド・フローラ。

 「治安維持部隊に連絡して警備員を増やしてもらってくれ」

 「かしこまりました」

そして音もなく消えるフローラ。

新年の挨拶をしてその場から去っていくメルセデス。

 「そういえば入り口でアンナが何か売っていたけど、何を売っていたんだい?」

思い出したように問いかけてきたエリウッド。確かにアンナは入り口のところで主に一般人むけに商売を開いている。

 「英雄達のプロマイドを売っている。顔がいい奴が多いからな。中身は地雷ばっかりだが」

 「「性格地雷筆頭が何を言ってやがる」」

三人でお互いに頬を引っ張りあう俺たち。

 「あ、そろそろ時間かな」

 「リン達が正月料理作ってくれているんだっけ?」

 「リンとフロリーナとウルスラ。そして可愛いリリーナだ。いいかお前ら、リリーナの料理を最初に食べるのは俺だ」

 「「はいはい」」

無駄に凄んでくるヘクトルを無視して俺とエリウッドは俺の部屋に向かって歩いていくのであった。

 

 

ちなみにリリーナの料理を最初にロイに食べさせ、それに発狂したヘクトルがロイに襲いかかるという珍事が発生し、親バカ達によって物理的に沈められる事件が起きたが割といつものことである。

 




ヴァイス・ブレイブ神社
敷地の一角に神様を祀っている建物をわざわざ作った。

ヴァイス・ブレイブ巫女隊
シスター部隊。例外としてルセアも。

メルセデス
ヴァイス・ブレイブ巫女隊統括。外道、フォドラに立つで召喚士の門下生になったために出演がOKになりました。

召喚士一家、エリウッド一家、ヘクトル一家の合同お正月。
家族みんなで集まってワイワイ騒ぐ。召喚士一家は嫁でリンとフィオーラ。娘でインバースとブルーニャである。



あけましておめでとうございます。新年一発目なので、実はやったことがなかった初詣ネタ。
ちなみに元旦の間は作者の飛空城の防衛もこの神様編成にしておきます。フレンドになっている方はフレンド模擬戦で参拝をどうぞ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエーデルガルト

みんな大好き皇帝陛下の登場です。


 「でもなんで急に召喚するんだい?」

いつものごとく俺が英雄召喚という名前を借りたガチャをしに行こうとしたらどこから嗅ぎつけたのかエリウッドとヘクトルが「やはり爆死か。いつ開始する? 俺達は見学に行こう」と勝手に同行してきた。

 「伝承召喚の確率が8.5%に上がっていてな。それを『上がった確率は収束させなければもったいない』というプレゼンをリンとフィオーラにしたらオーブ30個分だけ許可してくれた」

 「完全にお小遣い制じゃなぇか」

 「自覚していることを突っ込むんじゃない脳筋……!!」

自由に召喚できていたあの頃が懐かしいぜ。

とりあえず召喚室に入り、召喚石版を起動する。

 「何色狙いだい?」

 「とりあえず最新型の伝承セリカがいる緑だな。幸いなことに同色のスラシルもいねぇし」

 「スラシルさんにあんな酷いことしておいて召喚できると思っているのかい?」

 「大丈夫大丈夫。スラシルだったらリーヴの写真で許してくれる」

 「「チョロイン……」」

エリウッドとヘクトルが遠い目をしながら呟くが、事実だから仕方ない。スラシルがリーヴに惚れていることは恋愛感情幼稚園児と言われる俺でも気づいた。

つまり気づかなかったリーヴはそれ以下。

本人が聞いたらブチ切れそうなことを考えつつ俺が緑のオーブを石版に叩き込む作業をする。

そして何回目かの召喚

捲き上る砂煙。浮かび上がるシルエット。そんなに背の高くない髪の長い女性。

 「私はアドラスレアの皇位継承者、エーデルガルト・フォン・フレ…ス…ベル……」

 「あ、確率が収束したね」

 「やったな召喚士、未召喚英雄だぞ」

 「うちに伝承は来ないということか」

エリウッドとヘクトルの言葉に力なく項垂れる俺。

そして召喚されたエーデルガルトは驚愕の表情を浮かべて俺を指差す。

 「な、なんでシェイカー先生がここにいるの!?」

 「召喚士の知り合いかい?」

 「俺は知らん」

 「だったら並行世界の召喚士だな」

 「並行世界の召喚士ってどういうこと!?」

 「お前の知っている俺とここにいる俺は別物ってことだ」

俺の言葉に歓喜の表情を浮かべるエーデルガルト。

 「本当に!? そしたらキチガイ行動をしたりもしないわよね!!」

 「「「あ、それは普通にする」」」

 「ウソダドンドコドーン!!!!」

俺達の言葉に『世界よ呪われろ』と言わんばかりに床を叩く未来のアドラステア皇帝。

だが、すぐに立ち上がり俺を力強く見据えてくる。

 「けどシェイカー先生とは言え、私に命ずるなら、相応の覚悟をもつことね」

皇帝の雰囲気を出しながら俺を見つめてくるエーデルガルト。

その雰囲気にエリウッドとヘクトルが思わず武器に手を伸ばす。

だが安心してほしい。俺はベレスとベレト。ヒューなんとかくんやペトラ、メーチェから彼女の人となりを聞いている。

 「ここにはベレスもいるんだが」

 「犬とお呼びください」

 「「土下座行ったぁぁ!!!」」

俺の言葉に即座に土下座するエーデルガルト。そこには『皇帝』の姿はなく『こ〜てい』の姿があった。

 「うっそマジで師がいるの? ちょっと待ってちょっと待ってまだ私心の準備ができてない。でも大丈夫、大丈夫よエーデルガルト。いつだって私はパーフェクトな姿を師にお見せできるわ。そんなわけでシェイカー先生、師に会わせてくれる?」

 「う〜ん、速攻で壊れたな」

 「壊れたというより素が出てきた感じだよね」

 「この雰囲気、俺達に通じるものがあるな」

エリウッドとヘクトルの割と失礼な評価を気にせずにエーデルガルトは俺の肩を掴んでくる。

 「シェイカー先生、師に、会わせて……!!」

 「わかったわかった」

俺はエーデルガルトを連れて召喚室から出る。エリウッドとヘクトルは新人歓迎会のためにオカンを筆頭にした厨房英雄達のところに向かう。

そして俺とエーデルガルトは一つの部屋の前にくる。そこは俺の執務室であるが、今はベレスとベレトが仕事をしているはずであった。

 「この先にベレスがいるが」

 「ちょっと待って!!」

俺の言葉に鬼気迫る表情で身嗜みを整えるエーデルガルト。そして大きく深呼吸してから頷いてきた。

それを見てから俺は部屋の扉を開ける。中ではベレスが作業をしていた。

ベレスはかけていた眼鏡を外し、俺とエーデルガルトを見てくる。

 「ああ、先生と……おや、エルじゃないか」

 「ゴボッファぁぁぁ!!!!」

 「いかんぞエーデルガルト!! その鼻血の量は致死量だ!!」

ベレスの姿を見て鼻血を撒き散らす『こ〜てい』。そこに未来の皇帝とかアドラステア皇帝の姿はなく、ただの『師大好きっ娘』がいるだけだった。

 「く、流石は師。師と一緒にお風呂に入った経験がなかったら死んでいたところだったわ」

 「?」

エーデルガルトの言葉に無表情ながら不思議そうに首を傾げるベレス。

しかし混沌は終わらない。

 「ベレス!! ルフ子さんとの交渉が終わったぞ!!」

そこにやってきたのはグレート・ティーチャー・ベレト。ベレスの男性としての側面である。

ベレトはエーデルガルトに気がつくと100%爽やかな笑顔を浮かべる。

 「おお、エーデルガルトじゃないか!! 久しぶりだな!! これから一緒に頑張ろう!!」

その言葉に再びエーデルガルトの鼻から愛が溢れる。

致死量の鼻血に沈み、小刻みに痙攣しながらもエーデルガルトは呟く。

 「え? これって夢? 師が男性になってるんだけど? いいえエーデルガルト、間違いなく現実……!! うっそでしょ、男女の師がいるとかここが楽園でしょ。しかも私が師の子供を孕める可能性があるってことよね。いいえ、焦ってはダメよエーデルガルト。まずはゆっくりと距離を詰めなきゃ……まずはしっかりとしているところを師に見せるのよ」

そしてガバリと立ち上がって威風堂々と口を開く。

 「は〜、師達の間に挟まって感動に打ち震えたいわ!!(久しぶりね師、これからよろしく頼むわ!!)」

 「本音と建前が逆になってるぞ!!」

 




エーデルガルト
重度のベレトスオタク。師大好き。師最高な『こ〜てい』陛下。ちなみにここにいるベレトスとは別の世界線からやってきた(外道、フォドラに立つルート)

ベレス
仕事の時は眼鏡をかける。

ベレト
GTB。彼がいた世界線ではベレトは金鹿の教師だった模様。

致死量の鼻血の床
フローラが3秒で綺麗にしてくれました




そんな感じで確率を収束させようと伝承ガチャを回したところ師大好きっ娘がログインしました。
キャラ崩壊しているように見えるでしょ? でも原作でも割とこんな感じなんですよ、彼女。

さて、前回は飛空城を初詣仕様にしておくと言っていたのですが、作者の設定ミスでなっていませんでした。これは完全に作者が悪いです、楽しみに攻めてきた方は申し訳ございません。来年があればこの反省を生かしていきたいところです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カオスの権化・ラクチェ登場

ずっと書きたかったラクチェちゃん!!

待ってたよ!!


恐ろしく気が進まない召喚である。それと言うのも我がヴァイス・ブレイブの修羅筆頭アイラが今回のガチャに自分の娘がいることを知ったからだ。

 『私の娘であるならば強いに決まっている。ぜひとも死合ってみたい』

修羅筆頭の発言である。

正直なところこれ以上の修羅のログインは勘弁して欲しかったのだが、アイラによる『ふむ、召喚してくれないのならば私が産むしかないな。召喚士殿、覚悟しろ』と言う完全な逆レイプ宣言に俺は白旗をあげるしかなかった。

赤オーブを石版に叩き込む作業。途中で二回ほど出てきたシャナンくんは即座に修羅であるカアラとアテナに連れていかれて召喚室まで届くくらいの悲鳴をあげている。

突然修羅の世界に連れてこられたシャナンくんに黙祷。

 「いやぁ、なかか出ないねぇ」

 「召喚士が目当ての英雄を簡単に引けるわけないよな」

笑いながら超絶失礼なことを言ってくるバカ二人。こいつらは後で地獄に落とすとしよう。

ちなみに今回はリンとフィオーラもきている。なんでもアイラが俺に(性的に)襲いかかることを防ぐためらしい。

俺は姫かな?

そんなどうでもいいことを考えながら赤オーブを石版に叩き込む。

巻き起こる土煙。浮かび上がるアイラを子供にしたようなシルエット。

 「わたし、ラクチェ! こう見えても、一人前の剣士よ。役に立ってみせるんだから!」

 「お、すり抜けなしだね」

 「ある意味でシャナンがすり抜けかもしれないけどな」

 「うるさいぞ、バカ二人」

まぁ、可哀想なラクチェちゃんはこのまま母親に強制連行されて修羅道場に放り込まれるのだろう。

しかし、そのラクチェは驚愕した様子で俺を見ている。

 「なんだ?」

 「パパ!!!」

その瞬間に俺はリンとフィオーラの斬撃の襲撃にあうのであった。

 

 

 

 

 「それで? 俺をパパ呼びとはどういうことだ?」

 「う〜ん、この明らかに殺されるレベルの斬撃を受けても生きている感じクマムシ並の生命力だね!! パパ!!」

 「パパはやめい!!」

なにせ俺のことをパパと呼ぶたびに俺を性的に狙ってくる女性英雄達からの視線がやばい。

 『抜け駆け……』

 『やっぱり薬で……』

 「すっごい不穏なこと言っている人いるけど、パパ大丈夫?」

 「貴様が素直に呼び方訂正してくれたらいいだけなんだけどなぁぁ!!!」

俺の叫びを笑って流すラクチェ。

 「あ、やばい。今の笑い方に召喚士の面影を見た」

 「ヘクトルもかい? 僕も同感だよ」

完全に対岸の火事なので愉悦の表情を浮かべるバカ二人。

ちなみにラクチェの爆弾発言はあっという間にヴァイス・ブレイブに広がり、所属する英雄の大半が大広間に集まっていた。

 「それで? なんで俺が父親なんだ?」

 「父親じゃないですよ? パパです」

 「意味は一緒だろうがぁぁ!!」

 「気分の問題なんだけどなぁ。ほら、パパの方が可愛くないですか?」

その発言に多数の親バカ英雄が自分の子供にパパ呼びさせるという事件が発生したが完全に余談なので流すことにする。

 「それじゃあ、召喚士さんがパパであることを説明する前に私の出典世界の説明からしなくちゃいけませんね」

 「? 聖戦じゃないのか?」

俺の言葉にチッチッチと指を振るラクチェ。

 「いいですかパパ。FEシリーズには結婚出産システムにより多彩なバリエーションのカップリングがあります」

 「なんだ、説明が始まった時点でものすごい地雷臭がするぞ」

 「パパの発言は無視しますね。そこで問題になってくるのが子供達の能力です。親によってスキルや能力が違う。これは色々なシリーズをやったエムブレマーなら当然の事実です」

まぁ、その通りである。そのせいで片親不明の子供英雄がヴァイス・ブレイブには溢れているわけだが。

 「そんな無限にもある子供達世代が集まった場所。それが『ファイアーエムブレム・ユニヴァース』です」

 「ユニヴァース」

 「具体的な場所を言うと京都市南区鳥羽鉾立町11番地1です」

 「……それって任天堂本「ファイアーエムブレム・ユニヴァースです」……ユニヴァース?」

 「ユニヴァース」

ユニヴァース。

 「説明を続けるとそこには様々なカップリングによって発生する子供達が登録されています」

 「だとするとお前さんが俺の子供だと言うのはどう言うことだ? 俺の出身世界は烈火だぞ?」

俺の言葉にラクチェはうんうんと頷く。

 「わかります。なんでパパ見たいな人間の屑から美少女ラクチェちゃんが産まれたのか謎なんですね。はぁぁぁぁい!! 疑問に思う人ぉぉぉぉぉ!!」

 「はい!! 我、超気になる!!」

 「ユリア。殺れ」

 「汝は竜! 罪ありき!!」

ラクチェのノリに乗っかった愚かな駄竜は竜殺しに処分させておく。

 「うんうん、ノリが良くって大変結構。それじゃあ答え合わせです!!」

じゃかじゃん!! とノリノリでホワイトボードを出してくるラクチェ。そこに図を書きながら説明を始めた。

 「実はファイアーエムブレム・ユニヴァースは結婚・出産システムがある世代だけじゃなく、親と子供世代に繋がる出典、わかりやすい例で言うと烈火と封印ですね。これのCPの子供達も存在します」

 「つまり僕がウルスラ以外と結婚したロイも存在しているわけだね」

エリウッドの言葉にラクチェは頷く。

 「そうは言ってもエリウッドさんとウルスラさんが結婚する世界線なんて存在しなかったはずなんです。ですがパパの登場で色々狂います」

こんな感じですね〜と言いながらラクチェはホワイトボードをぐちゃぐちゃに書き潰す。

 「はい、現在のファイアーエムブレム・ユニヴァースは完全に混沌になって狂ってるんですよね。主にパパとFEHのせいで、今まではある程度決まっていたカップリングが完全に自由になってしまいました。そのせいでパパとアクアさんの子供のシグレさんもできてしまったわけですね」

その発言にガタッとした歌姫がいたが、即座に息子にステイさせられていた。

 「あ〜、つまり?」

 「私の場合ですと『FEHに結婚出産システムが実装されてアイラが召喚士に逆レイプを仕掛けた結果産まれたラクチェ』と言うわけです」

なんだか頭が痛くなってきた。

 「簡単に言うと?」

 「認知して、パパ!!」

 「できるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

俺の叫びに心底楽しそうに笑うラクチェ。そしてさりげなくラクチェの隣に座っていたアイラが口を開く。

 「ふむ、よくわからんがお前は私と召喚士殿の子供なわけだな」

 「そうだよ、ママ!! ライバル達から一歩リード!! やったね!!」

 「そんなことはどうでもいい」

アイラの言葉に泣き真似しながら俺に泣きついてくるラクチェ。

 「パパ聞いた!? 娘のことをどうでもいいって!!」

 「正直、俺もどうしていいかわからない」

 「いつも混乱に落とす方だから落とされるのに慣れてないんだねぇ」

ぶん殴ってやりたいこのガキ。

 「うむ、お前が私の娘というのならその証を見せてみよ」

そう言ってエクスカリバーを抜いて宝具を発動しようとするアイラ。そして即座に大広間から逃げちる英雄達。

よく訓練されている。

しかし、そんなアイラを見てもラクチェの余裕は変わらない。

 「ふふふ、ママ。武器の継承は子供システムの基本だよ? そんなわけで……」

そして見覚えのありすぎる剣を二本取り出すラクチェ。

 「じゃじゃ〜ん!! エクスカリバーにと〜りゅ〜!!」

 「ちょっと待て!! 何故二本も持っている!?」

 「やだなぁ、パパ。ファイアーエムブレム・ユニヴァースにいる別の私からパクってきただけだよ」

 「どういうことだ!?」

全く説明になっていない説明をするラクチェ。しかし、我らが修羅筆頭は止まらない。

 「フハハ!! いいだろう!! 娘よ、この一撃を受けてみよ!!」

 「みんなには内緒だよ? 秘密カリバー!!!!!」

 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

そして脱出に失敗した俺は見事に爆弾に巻き込まれるのであった。

 




ラクチェ
この作品でも屈指のキャラ崩壊を起こした少女。もはや原型をとどめていない。パパは召喚士、ママはアイラ。鬼畜クソ外道と修羅筆頭から産まれたカオスの権化

アイラ
娘が強くて満足

召喚士
まさかの血の繋がった娘がいた事実に驚愕を隠しきれない。

ファイアーエムブレム・ユニヴァース
任天堂本社ではない。ファイアーエムブレム・ユニヴァースだ。



そんな感じで確実にラクチェファンに怒られるであろうラクチェ編です。このラクチェちゃんは初期から構想はありました。具体的に言うとアイラ実装の時点で。でもなかなか実装されなかったのでついに書くことができて作者は嬉しい。そしてラクチェファンはごめんなさい。うちのラクチェちゃんはカオスの権化です。クラスはきっとフォーリナー

そういえば正月ガチャでキヌを引きました。ノーマルキヌですけど。なんとこのキヌちゃん攻撃不得意で守備得意という愛玩動物としてしか価値がないキヌちゃんです。
今度はこのキヌちゃんで一本書きたいところ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

TOKIMEKI メモリアル〜FEside〜

もう止まらない独自設定の嵐。どこまで行くんだ。


 「うわぁ、大きい」

 「そうだね」

リリーナの言葉にロイは頷く。

二人がやってきているのはヴァイス・ブレイブ学園。アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領が出資してできた士官学校である。建物はヴァイス・ブレイブ自治領内にあり、生徒も幅広く受け入れられている。ヴァイス・ブレイブに所属する英雄はもちろん、アスク、ニフル、ムスペルの平民や貴族などの入学が決まっていた。その生徒数の多さから寮も併設されており、さしずめ学園都市と言った雰囲気が出ていた。

ロイとリリーナは両親の進めで学園に通学することとなった。二人は両親の『家を継いだ時に有益になる』という言葉を受け入れた格好だ。

二人が通学することが決定し、二人の制服姿が見られるとガッツポーズを決めたバカ親(Eリウッド、Uルスラ、HEクトル。FUロリーナは苦笑)がいたそうだが二人は知らないことである。

ロイとリリーナの周囲にも入学を決めた生徒達がたくさんきている。

 「あ、ロイ。時間が迫っているから急がなきゃ」

 「うん、わかったよ」

リリーナの言葉に歩き出そうとしたロイ。そこに騒がしい声が聞こえてくる。

 「いっけな〜い!! 遅刻遅刻〜!!」

 「僕たちの名前はマークくんちゃん!! 今日は転校初日なのに寝坊しちゃって大ピンチ!!」

そんなことを叫びながらロイとリリーナも所属するマークくんちゃんが走り抜けていく。

 『え? なんだ今の二人組?』

 『ヴァイス・ブレイブに所属してるっていう英雄だろ? 襟の部分に英雄の証が付いてた』

 『マジかよ……あんなのが英雄でこの世界大丈夫なのかよ……』

周囲のヒソヒソ話がロイとリリーナには辛い。二人は襟についている英雄の証を隠すようにして講堂に入っていくのであった。

 

 

 

 

 『それでは次は学園長の挨拶です』

講堂では入学式が行われていた。席順は自由だということでロイとリリーナは隣同士に座っている。司会進行役のブルーニャの言葉にアティがニコニコ笑顔で登壇する。

 『みなさん、こんにちは。ヴァイス・ブレイブ学園の理事長のアティです』

その美貌に鼻の下を伸ばす青少年多数。アティの実力を知っているロイからしてみたら緊張で背筋が伸びる。

 『本日からこのヴァイス・ブレイブ学園で皆さんはたくさんのことを学ぶことになります。楽しいことも辛いこともあるかもしれません。ですが皆さんは一人じゃありません。一緒に学ぶ仲間が多くいます。そして皆さんを教え導く教師もいます。何かあったら周囲の人を頼ってみてください。きっと助けになってくれるはずです。あ、あまり長々と話すのは悪いですから最後に一つだけ』

そこでアティは一度口を閉じ、とびっきりのスマイルで口を開いた。

 『良い学校生活を!!』

アティの演説に生徒達から拍手が出る。ロイとリリーナも拍手をする。流石は召喚士が頭があがらない人物。かなりの人格者だと内心で感心する二人。ナチュラルに召喚士をディスってるが、二人は気づくことはなかった。

 『それでは続いて校長先生の挨拶です』

ブルーニャの言葉に登壇する白フード。そして召喚士はゆっくりと口を開く(ちなみにフードのせいで口元しか見えない)

 『人はぁ、平等ではなぁい』

そして何やら皇子が叛逆するアニメの皇帝のような演説を始めた。

 『生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者。生まれも育ちも才能も、人間は皆違っておるのだぁ。そう、人は差別されるためにある!』

そう言い切った瞬間に召喚士はアティの木の枝の一撃を受けて講堂の外に飛び出して行った。

突然の凶行の静まり返る講堂。

 『え〜、校長が不慮の事故により退席しましたので入学式を続けさせていただきます』

 『!?』

ブルーニャの言葉にマジかよと言った困惑を浮かべる生徒達。だがロイやリリーナにとっては「ああ、またか」と言った感じだ。慣れとは怖い。

 『続きまして学生部のインバース先生による授業の説明などをしていただきます』

ブルーニャの言葉に登壇したのはインバース。ブルーニャと言いインバースと言い、入学式という厳かな儀式のはずなのに服装はいつもの痴女みたいな格好だ。鼻の下を伸ばしている男子生徒もいる中で、ロイは恥ずかしくて直視できない。

 『学生部のインバースですわ。学生部では主に学生の皆さんとフォローをさせていただきます。まず、我がヴァイス・ブレイブ学園の授業の説明をさせていただきます。ヴァイス・ブレイブ学園では3つの学級に分かれ、通常授業を行わせていただきます。担任はそれぞれベレト先生、ベレス先生、セシリア先生になります。通常授業だけでなく、もっと高度な専門授業を受講したい場合は学生部にご相談ください。こちらから先生をご紹介させていただきます。クラス分けは学生部の方で入学試験の結果を鑑み、分けさせていただきました。しかし、クラスの変更は可能ですので、クラスを変更したい場合は学生部にご相談ください。詳しい説明は配布した資料をご覧ください。説明は以上ですわ』

インバースは最後に一礼してから去る。

 『それでは入学式はこれで終了いたします。生徒の皆さんはそれぞれのクラスに向かってください』

ブルーニャの言葉に講堂は静寂が破られて騒がしい声が出る。ロイも一度伸びをしてから立ち上がる。

 「ロイはどの先生のクラス?」

 「えっと……ちょっと待って」

リリーナの言葉にロイは配布された資料から自分の所属するクラスを探す。

 「ああ、あった。僕はベレト先生のクラスだったよ。リリーナは?」

 「私はベレス先生のクラス。あ〜あ、ロイと同じクラスが良かったなぁ。クラス変更しちゃおうかなぁ」

リリーナの言葉にロイは苦笑する。

 「ベレス先生も良い先生だからもったいないよ」

 「それは知っているけど……そういうことじゃないの!!」

リリーナの不満がどこにあるからわからないロイであったが、必死にリリーナを宥めながら自分の教室に向かうのであった。

 

 

 

 

 「それじゃあみんな!! これからよろしくな!!」

その挨拶を最後にベレトは教室から出て行く。それをロイはため息を吐きながら見送る。

ロイにとってベレトの印象は少々うるさくて暑苦しい男性と言ったイメージであった。だが、最初の授業を受けた印象はとても教育熱心ないい男性と言ったイメージとなっていた。

 「いい先生なんだな……」

 「おやおやおや、ベレト先生にお熱ですか?」

 「!? ら、ラクチェさん」

何やらニマニマした表情でロイに話しかけてきたのは召喚されて早々にヴァイス・ブレイブの話題を集めたラクチェであった。ラクチェは召喚士とアイラの子供ということで、召喚士の頭脳にアイラの武力、そこにファイアーエムブレム・ユニヴァースという謎の力が働いたことによって混沌と呼べる存在になっている。

正直に言うとロイはラクチェが苦手だ。むしろラクチェと普通に会話できるのはキチガイだけなのだが、良い子のロイにはそれが理解できず、自分の理解力が足りないと反省している。

だからロイは学校を機会に苦手を克服しようとした。両親がこの場にいたらニコヤカに止めただろう。

 「何かようですか?」

 「いえいえ、ロイさんは誰狙いなのかと思いまして」

 「? 誰狙いって?」

 「やだなぁ、恋愛対象つまりはLOVEってことですよ」

 「れ、恋愛!?」

ラクチェがなんでもないように告げた言葉にロイは動揺してしまう。恋愛と言う言葉にロイの頭にはとある行き遅れマムクートの姿が映ったが、ロイはそれを思い出として封印する。

ロイの動揺を見てムフフと笑うラクチェ。

 「学園物と言ったらやっぱり恋愛がつきものですからね。ちなみに女の子の情報が知りたかったら私に聞いてください。私に聞くことで女の子をデートに誘えるようになりますよ」

 「デ、デートだなんて僕には速いよ……」

 「っかぁ!! 初心なねんねじゃあるまいし、何を言ってるんですか!! せっかくの学園生活なんですから恋愛しなきゃもったいないですよ!! ちなみにロイさんの現在の好感度はリリーナさんがぶっちぎりの一位です。このままだと幼馴染のリリーナさんルート一直線ですよ!!」

 「ル、ルート?」

召喚士を筆頭にしたキチガイ達はしばしばロイに理解できない言葉を使う。

 「ちなみに私のおすすめルートは『暗い過去を背負ったが制服姿がコスプレにしか見えないアルテナ』さんルートや、『師大好きすぎて攻略難易度激高のエーデルガルト』さんルートです。他にも『入学したくなかったけど教官命令に拒否権がなかったシャニー、ティト姉妹』や『世紀末遊牧民族スー』とかもありますよ!! なんだったら『こいつらホモなんじゃないかセリス、アレス、リーフ』もあります!!」

 「い、今は結構かな」

ロイの言葉にラクチェは笑顔で立ち上がる。

 「う〜ん、そうですか!! まぁ、情報が欲しくなったら私に聞いてください!! 私は情報をくれる友人ポジションなんで!! あ、私は隠し攻略キャラじゃありませんよ!! 私とマークくんちゃんは攻略不可能キャラです!! 攻略したかったらファンディスクをお待ちくださいNE!!」

最後までロイに理解にできることは一切言わずにラクチェは去って行くのであった。

 

これから始まる学園生活。卒業の時、ロイが伝説の樹の下で一緒にいるのは誰なのだろうか。

 




ロイ
主人公

リリーナ
主人公の幼馴染ポジション。きっとメインヒロイン。

ラクチェ
主人公に女の子の情報を教えてくれる友人ポジション

ヴァイス・ブレイブ学園
アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領が出資してできた士官学校。ヴァイス・ブレイブ所属の英雄だけでなく、様々な国から人が集まっている。

クラス分け
ベレト、ベレス、セシリアがそれぞれ担当する。ちなみにセシリア先生のクラスに配属されたエガちゃんはクラス替えを希望したが却下された。

伝説の樹の下
ここで告白したら二人の愛は永遠になると伝わる樹。学園物のお約束




そんな感じでついにヴァイス・ブレイブ学園開校です。この作品の独自設定はどこまで行くんだ。
ちなみに生徒は基本的に年齢が20歳以下の方々。よく考えたらいっぱいいるな。
今後、この設定が生かされるかは不明です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とモンスター親

学校ならこの問題だろ、というわけでモンスター親編です


俺は自分の執務室で大量の書類と格闘している。これだけ溜まっているのも人手をヴァイス・ブレイブ学園の方に取られているからだ。インバースとブルーニャはひと段落したらこっちに戻ってくるが、ベレトスコンビは教師になっており、イシュタルは生徒として(制服を着ることを恥ずかしがっていたが、師匠命令で着させた)学園に通っているためにギリギリで回っていた執務が完全に破綻しそうになっている。

 「おいおいおい、誰だよ学校作りたいとか言ったやつ。この人手が足りてない状況でさらに人を減らすとか正気の沙汰じゃねぇぞでも学園やりたいって言い始めたのアティじゃねぇか俺に拒否権ねぇよマジファック」

文句を言いながらも書類を片付ける手を休めない。というか休めたら書類がさらに溜まる。

そしてそのタイミングで机の上に置いてある電話が鳴る。この電話、パントの奴が「これから必要になるだろうからね!! カナスと一緒に開発しておいたよ!!」と言って置いていった代物だ。これが置いてあるのは俺とルフ男とルフ子のそれぞれの執務室。治安維持部隊の詰所。そしてヴァイス・ブレイブ学園である。

ルフ男とルフ子からだったら絶対に要確認案件だし、治安維持部隊からの連絡を無視すると後でリンからしばかれる。いや、しばかれるだけならいい。最悪逆レの悪夢再びになる。

「今度はパントに通話相手を表示できるようにする術式組ませるか」

俺はそう呟きながらも電話に出る。

 「はいよ」

 『先生、忙しいところすまない』

 「なんだベレトか」

通話の相手はヴァイス・ブレイブ学園で教職に就いたベレトであった。

 「何か問題が起きたか?」

 『すまない……!! すまない先生!! なんとか俺だけで解決しようとしたのだが……!!』

 「あ〜、わかったわかった」

基本的に単純で熱血漢のベレトは扱いやすいのだが、相手をするのが面倒なのがたまに傷である。

 「それで? 何があった?」

 『先生も忙しいだろうから単純明快に言おう。モンペがでた』

 「Oh……」

学園が始める前から恐れていたこと、それはモンスターペアレンツの出現である。

 「一般人か? 英雄か?」

 『英雄だ』

 「Oh……」

そして次に恐れていたこと。それはヴァイス・ブレイブ学園に子供を入学させた英雄がモンペになることである。うちのヴァイス・ブレイブには自分の子供大好き親英雄が多いので出るだろうなぁ、とは思っていたのである。

 「学生部じゃ無理か?」

 『俺とインバースとブルーニャで対応したのだが責任者を出せ、と』

 「はぁ、わかった。これから向かう」

俺は通話を切ると執務机から立ち上がる。そして俺は自分の机を見る。そこには山のように書類がある。

 「こりゃ早いところ文官育てないとダメだな」

 

 

 

 

 「お〜っす、来たぞ」

 「ああ、すまない先生」

俺を迎えたのはベレトであった。

 「インバースとブルーニャはどうした?」

 「先生がこっちにいる間に向うの仕事を片付けてくるそうだ」

 「できる娘がいて俺は幸せものだよ」

インバースとブルーニャが向うに行ったなら向うの仕事は心配しなくてもいいだろう。

 「それで? 誰がモンペになった?」

 「うむ……まぁ、会ってもらった方が早いだろう」

ベレトはそう言いながら扉を開く。応接室の中には三人の人物がいた。三人掛けのソファーの両端に申し訳なさそうに座っているアルテナとリーフ。そして真ん中に不満な表情を隠さずに座っているエスリン。

 「来ましたね、召喚士」

 「そりゃ問題が起きたなら来るさ。それで? どんな不満の内容だ?」

俺がソファーに座りながら聞くと、エスリンは不満そうな表情を隠さずに口を開いた。

 「なぜアルテナとリーフが同じクラスじゃないの!?」

 「そう来たか」

エスリンの言葉に恥ずかしそうに顔を覆うアルテナとリーフ。

 「クラス分けは入学試験の結果を鑑みた結果だから」

 「そんな杓子定規な返答を聞きたいわけじゃないの!! いい召喚士!! アルテナとリーフは色々あって離れ離れで成長したの!! すれ違いもあったけどここでは姉弟として過ごせるのよ!! だったら少しでも一緒にいさせてあげたいじゃない!!」

俺はエスリンの戯言を流しながらベレトが差し出してきた資料に目を通す。そこにはアルテナとリーフの試験結果が書かれていた。

ふむ、アルテナがベレト。リーフがセシリアのクラスか。

 「それと教師にも問題があるわ!! アルテナのところに男性教師!! リーフのところに女性教師!! もし、男性教師がアルテナに惚れたり、女性教師がリーフに惚れたりしたらどうするの!!」

 「それは心配する必要ないと思うがな」

俺の言葉を聞かずにヒートアップするエスリン。

 「あの、母上……その辺で……」

 「ま!! アルテナは優しいわね。でも大丈夫よ!! お母さんに任せておきなさい!!」

アルテナの歯止めも聞かない迷惑お母さん。

 「それとリーフが未だにレベル1なのも問題よ!! リーフよ!? リーフなのよ!? なんで育成しないの!!」

 「わかったわかった。修羅連中に連絡はいれておく」

俺の言葉にエスリンの目がさらに吊り上がった。

 「あんな危険な連中のところにリーフを預けるつもり!? 怪我でもしたらどうするの!?」

 「あの……母上、僕は大丈夫ですから……」

 「駄目よリーフ!! 怪我を甘く見ちゃいけないのよ!! そうだわ召喚士!! 結晶よ!! 結晶を使いなさい!!」

 「いえ、それでは強くなれない……」

 「いいリーフ。ここで危ない真似をする必要はないの。なにせここには飯を食べるより戦争大好きな戦争狂がいるんだから!! 危ない真似はその連中に任せておけばいいの!!」

もう聞いているだけでゲンナリする。こんなのの相手をしている学校の先生を尊敬する。

 「わかった。リーフは結晶を使う。二人のクラスも恋愛感情が死滅しているベレスのクラスに入れる」

 「ベレスの恋愛感情が死滅している……?」

俺の言葉にベレトが困惑した表情を見せているが、俺は気にする余裕はない。

エスリンは俺の言葉にしばらく考えていたが、納得したのか立ち上がってこちらに礼をすることもなく部屋を出て行く。

アルテナとリーフは慌てて俺たちに頭を下げると部屋から出て行った。

 「お疲れ様です、先生」

 「なぁ、ベレト」

 「何でしょう」

 「この先もこんなの増えると思う」

 「増えるでしょうな、間違いなく」

 「増えるかぁ……」

もう学校経営が嫌になりそう。

 




エスリン
ヴァイス・ブレイブ学園初のモンスター親。二人の子供を大事に思うあまりに周囲に迷惑をかける

アルテナ&リーフ
母親の行動に恥ずかしさMAX

召喚士
エスリンの対応でゲンナリ。さらに仕事が溜まってゲンナリ。



そんな感じでヴァイス・ブレイブ学園編です。そして速攻でクレームをつける英雄様。子供を大事に思う気持ちは大事だが行き過ぎちゃいけないよネ!!

新英雄きましたねぇ。原作知らないので作者は引きません。きっと次に風花雪月ガチャが来ると信じてる……!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とベルクト

みんな大好きプライド激高次期皇帝さんです


 「あのなぁ、ベルクト。俺は何回も言ってるよな?」

治安維持部隊詰所。俺はここでベルクトの取り調べを行なっている。

 「ふむ、召喚士。俺もなんども言うようだが、俺は何一つとしてやましいことはしていない。こうやって治安維持部隊の詰所に連れて来られるのも不本意の極みだ」

 「ほう」

全く持ってこの次期皇帝殿はどしかがたい。

 「初対面の相手に『おっぱい揉んでいいですか?』と聞くのは構わないと思ってるのか?」

 「問題あるのか?」

 「問題しかない!!」

なんていうかこう……なんでうちの英雄はこうも英雄らしくないのだろうか。

 「まぁ待て、召喚士。俺がおっぱいを揉もうとするのは大きな理由がある」

 「一応聞いておいてやる。その理由とは?」

 「うむ、信仰のためだ」

なんかもうこいつは本当に駄目だ。

 「あ〜、おっぱい信仰ということか」

 「違う!!」

俺の言葉に語気を荒げながら机を叩くベルクト。

 「巨乳信仰だ!!」

 「ブルーニャ」

 「はい」

ベルクトの言葉に俺がブルーニャに指示をだす。するとブルーニャはベルクトの肩を叩いた。

 「うわっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

ものすごい喜んだ声を出しながら治安維持部隊の壁を突き破って自分から吹き飛び、80メートルほど転がりながらものすごい嬉しそうにベルクトは起き上がった。

 「ご褒美ありがとうございます!!」

 「駄目ですね、父上。完全に末期症状です」

 「本当になんとかならんかなぁ」

癖が強いのは諦めるから、もうちょっとマシな英雄が出てきてくれないだろうか。

犬のように駆け戻ってきてブルーニャの前でお座りするベルクト(次期皇帝)。そして一緒にいたインバースが口を開いた。

 「おて」

 「ワン!!」

 「お前にプライドはないのか……」

 「召喚士お前バッカじゃねぇの!? こんな巨乳のお姉さんの命令とかご褒美通り越していくら払えば延長してもらえるか検討するレベルだぞ!?」

 「いや、お前がおっぱい信者なのは」

 「待て、召喚士」

 「なんだ?」

俺の言葉をクソ真面目な表情で止めてくるベルクト。

 「俺はおっぱい信者なのではない、巨乳信者なんだ」

 「何が違う」

 「全然違う!!」

お座りの状態なので床を力強く叩くベルクト。

 「いいか? おっぱい信者は巨乳から貧乳まで分け隔てなく愛する、俺からしてみたら節操のない連中だ!! その点、巨乳信者は巨乳だけを信仰する純粋な気持ちの持ち主達……言わばエリートだ!! 理解できるな!?」

 「できねぇよ」

割と頭がいっちゃってる英雄が多いが、ベルクトも多分にもれずに突き抜けている。

 「俺は召喚士が羨ましいんだ……養子として巨乳のお姉さんを側に侍らせ、弟子として多数の巨乳に尊敬される存在……俺が目指すべきなのはこいつなんだ、と。確かにそう確信したんだ……!!」

そしてベルクトは慟哭するように両手で地面を叩く。

 「なのにお前はあの巨乳一歩手前の小娘を相手にしているだと!? 信じられん!!」

 「お父様、巨乳一歩手前の小娘って誰ですか?」

 「リンだろ」

リンも十分にでかいと思うのだがこいつには足りないらしい。

 「さらに最近ではあの黒髪美乳の持ち主と乳繰り合ってできた貧乳の娘までできる始末……!! お前は一体どこへ向かっているんだ!!」

 「思いっきりこっちのセリフだな」

多分アイラとラクチェのことを言っているんだと思うんだが。

 「呼びました?」

 「呼んでないぞ、ラクチェ……!!」

そして天井を歩きながら(物理法則を突っ込むのは無駄である)入室してきたラクチェ。その姿をみて俺は唖然とする。

 「お前は何をやっている?」

 「何って、ソシャゲのガチャですよ!! 具体的に言うとリセマラです!! きっと読者の中にもいますよ、数時間かけてリセマラしたけど結局ログイン勢になってる人!! これを意味するのはソシャゲで一番面白いのはガチャ!! これが真理ってことですね!!」

 「頼むから黙ってくれ」

俺の言葉を無視するように天井から飛び降りてスーパーヒーロー着地を決めるラクチェ。

 「アイルビーバック」

 「「デデンデデデン!!」」

 「インバースとブルーニャも乗らない!!」

ラクチェのくだらないボケに乗っかるインバースとブルーニャ。俺の子供はまともなのがいないのか。

 「ところでベルクトさん。私のことなんて言いましたか?」

 「貧乳」

 「どうしようかパパ!? 処す? 処す?」

 「黙れ貧乳」

 「パパが冷たいよお姉ちゃぁん!!」

泣き真似をしながらインバースとブルーニャの胸に飛び込むラクチェ。

 「なにぃ!?」

そしてラクチェはこれ見よがしにインバースとブルーニャの胸を揉んだ。そして煽るようにベルクトを見る。

 「うん? どうしましたベルクトさん? まさか巨乳を信仰している人が巨乳に触れたいなんて思うわけないですよね? だってそれは信仰に対する冒涜ですよ?」

 「わ、わかっている……あくまで私は巨乳信者、イエス巨乳・ノータッチの精神が大切……!!」

 「ですよねぇ!! まさか自分の信仰対象に対して不純な気持ちを抱くわけですよね!!」

 「当たり前だ!! その揉まれるたびに素敵に形が変わる巨乳様を脳内撮影を3000枚して今夜のパーリーナイツを楽しむだけだ!!」

 「う〜ん!! このクズっぷり。ブルーニャお姉ちゃん!! 『このクズ』って言いながら肩を叩いてあげてください」

 「このクズ」

 「ありがとうございまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

そして先ほどのように自ら壁を吹き飛ばしながら飛んでいくベルクト。そして90メートルほど転げ回ってから急いで戻ってきた。

 「ご褒美ありがとうございます!!」

 「父上、正直に言ってこの方はヴァイス・ブレイブに必要でしょうか?」

 「いらない気がするよなぁ」

 「巨乳からの冷たい視線……最高にご褒美です!!」

完全に末期症状のベルクト。

 「まぁ、もうそろそろ引き取り手がくるはずだ」

 「失礼いたします」

俺の言葉と同時に治安維持部隊の扉が開かれる。入ってきたのはパーティドレスを着たリネアであった。

それを見た瞬間に顔色が青を通り越して土気色になるベルクト。

リネアは俺を確認すると優雅に一礼した。

 「ごきげんよう、召喚士様」

 「おう、毎回ご苦労さん。さっさと引き取ってくれ」

 「わかっております。その前にベルクト様は本日は何をして検挙されたか伺ってもよろしいですか?」

 「ヴァイス・ブレイブ学園での破廉恥行為だ」

 「破廉恥行為なんかしていないんだリネア!! 信じてくれ!!」

 「わたくしはベルクト様を信じておりますわ。さ、ベルクト様。何をなさったんですか?」

リネアの言葉に必死な表情になるベルクト。

 「巨乳がいたから『胸を揉ませてくれ』と頼んだだけだ!!」

 「ギルティですわね」

そしてリネアに引きずられていくベルクト。しばらくするとどこか喜びを含んだ断末魔が聞こえ始めた。

 「リネアさんが罰下すことできませんわよね?」

 「ああ、それだったら簡単ですよ、インバースお姉ちゃん」

インバースの問いに答えたのは相変わらずインバースとブルーニャの巨乳に埋もれているラクチェだった。

 「ベレスさんを筆頭にした巨乳武闘派組の出番です」

 「「さよならベルクト」」

インバースとブルーニャの言葉に俺は頷くのであった。

 




ベルクト
巨乳信者ヴァイス・ブレイブ筆頭。巨乳からの攻撃とかはご褒美と考える末期症状。M気質。

リネア
ベルクトの婚約者。胸は慎ましい。S気質。

ベルクトに対する罰
なんだかんだでリネアはベルクトに甘いので巨乳を用意してくれる。

苦労してリセマラしたけどログイン勢になってるソシャゲ
あなたのスマホにどれくらいありますか?




そんな感じでベルクトファンには真っ向から喧嘩を売っていくスタイル。原作のキャラなど一切残っていません。残ったのはただの巨乳信者。

今月末の神階英雄は誰ですかねぇ。レア様だったら全力で引きにいくんですけど、ヘルだったらなぁ。キャラ的にいらないけど小説的には欲しいんだよなぁ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リンと眼帯

うちのリンちゃんは眼帯をつけています

それの説明回


 「リンさんてなんで眼帯なんだろう」

ロイは学園の昼休みの時間にふと呟いた。一緒にいるのは学園が始まってから仲良くなったセリス、リーフ、アレスである。学園でも屈指のイケメン集団に女子生徒からは熱い視線(サクラとエポニーヌからは怪しい視線)が集中しているが、全員が注目されることに慣れているので気にすることはない。

セリスは行儀よくフォークを置いてから口を開く。

 「そういえばそうだね。初めて私が会った時にはもうつけていたから気にしたことなかったよ」

 「そう言う意味では一番付き合いが長いのはセリスかロイか?」

アレスの言葉にロイがリーフが口を開く。

 「僕は来たばっかりでよく知らないけど、ロイは出身世界も一緒なんだよね?」

 「うん。父上達の世代の方だけど、同じ世界出身だよ」

 「向こうの世界では会ったことなかったのかい?」

セリスの言葉にロイは首を傾げる。

 「父上からはサカの民には友人がいるって聞いたことがあったけど、あの修羅民族サカの民と仲良くなれる人なんていないと思っていたから、父上なりの冗談だと思っていたんだよね」

 「お前らの世界のその遊牧修羅民族はなんなの?」

アレスにロイは逆に問いかけられるが、ロイにとって遊牧民族=修羅民族という思想なので、逆にアレス達のイメージする遊牧民族がわからない。

話を変えるように今度はリーフが口を開く。

 「サカの民の伝統衣装という可能性はないかい?」

 「僕も最初はそうだと思ったんだけど、スーはしていないんだよね」

その言葉に自然と全員の視線が学園の制服を着たスーに向かう。

スーは食堂で略奪をしていた。

満場一致で見なかったことにした全員は再び話こむ。

 「誰か知ってそうな奴に聞くとかだろうな、一番なのは」

 「知ってそうな人……ラクチェちゃんとか?」

セリスの言葉に今度は全員の視線がラクチェに向かう。

怪しげな薬で学園の生徒を性転換させているラクチェがいた。

再び満場一致で見なかったことにする全員。誰だって巻き込まれたくないのだ。

 「あとは召喚士さんとか?」

 「いや、あいつが正直に教えてくれるとも思えないけどな」

セリスの言葉にアレスが否定する。そしてそれに頷くリーフとロイ。

英雄達からの召喚士に対する信頼は厚い。

 「う〜ん、なんかそう考えたら気になってきちゃったな」

ロイはそう言いながら立ち上がる。それに声をかけたのはセリスだった。

 「どこに行くんだい?」

 「リンさんが仕事で学園にきているらしいから、聞いてくるよ」

怖いもの無しな発言にセリス、リーフ、アレスは軽く戦慄した。

 

 

 

 

 「私が眼帯をしている理由ねぇ……」

 「はい。もし差し支えなければ教えていただければと」

リンが治安維持部隊の仕事の都合で学園に顔を出したところ、友人の息子であるロイから突撃を受けた。

 「そういえばリンは小さい頃はしてなかったよね? 召喚士さんと旅に出てからつけ始めたけど」

そして一緒に来ていたリンの親友であるフロリーナも首を傾げながら口を挟む。

 「う〜ん、別に教えてもいいんだけど、ドン引きしない?」

 「ど、ドン引きですか……?」

 「ダメだよリン。純粋枠のロイくんを汚したら。うちのリリーナが悲しむよ」

ロイの心配に見せかけた娘の恋路の心配をするフロリーナ。

 「あの……できる限りしないようにします!」

 「「あらいい子」」

ロイの力強い宣言に声がハモるリンとフロリーナ。

そしてなんでもないようにリンは口を開いた。

 「これ呪いを抑えてるのよ」

 「へ!?」

想像以上に重たい内容だったことにロイから驚愕の声が出る。しかしキチガイ烈火の住人達には呪いくらい慣れっこだ。その証拠にフロリーナは普通に会話をしている。

 「それだったら召喚士さんに解呪してもらえばいいんじゃない?」

 「あ〜、無理無理。これのきっかけを作ったのが召喚士だから。ほら、私が召喚士との初対面の時に腹パン顔膝蹴りしたって話をしたでしょ?」

 「うん」

 「その仕返しに致死クラスの呪いを召喚士が仕掛けてきてねぇ。ガチで死にかけたんだけど、『絶対に生き残ってあいつを殺す』って強い意思で呪いを克服したら目だけ呪いが残っちゃってさぁ」

 「あ〜、だったら仕方ないねぇ」

リンとフロリーナの和やかな会話を聞いているロイは卒倒しそうになっている。ヴァイス・ブレイブでもリンと召喚士の仲は周知の事実というか、他のライバル達よりリンとフィオーラが一歩リードしている状況だ。いくら鈍いロイくんでもそれくらい気づく。

 「あ、あの……それでもリンさんは召喚士さんを愛しているんですか?」

 「当然でしょ」

あまりにも男前は発言にロイくんの乙女心がキュンときた。

 「確かに私とあいつは昔殺しあったことがあるわ。それは変えがたい事実よ。そんなあいつを愛したのもまた事実」

 「だから奪うという発想はサカの民特有だと思うなぁ」

 「フロリーナシャラップ」

リンの言葉に感銘を受けるロイ。

 「……僕もいつかそんな相手ができるでしょうか?」

ロイの言葉にリンは優しく微笑んだ。

 「きっとできるわ」

その言葉にロイは一礼してから部屋を出て行く。残されたのはリンとフロリーナ。

 「それで実際のところはどうなの?」

 「召喚士に呪殺されかけたのは事実。それを気合いで乗り切ったのも本当」

フロリーナの言葉にリンは軽く答える。そしてリンは隠している左目をフロリーナに見せる。

リンの眼球の色が青赤く輝いていた。

 「ちょっと死にかけた影響で片目だけ直死の魔眼になったのよ」

 「まさかの型月……!!」

 




ロイ・セリス・リーフ・アレス
学園が始まってから仲良くなった集団。ここにはアルムも入る。男子学生の日常

リンちゃんの仕事
主に問題行動を起こす英雄達を捕らえること。

リンちゃんと召喚士の殺し愛
最初の頃はお互いに殺してやろうと思っていた模様。それがどうしてこうなったか? それはまだ謎さ。

直死の魔眼
リンちゃんは不完全に根元の渦と繋がったために片目だけ。



そんな感じでうちのリンちゃんはアクセサリーで眼帯をつけているので、その説明回でした。型月ヒロイン特有の『私を殺した責任はとってもらうから!』ができるリンちゃん。これはメインヒロインですわ。

そして今日のフェーちゃんねるで発表されたリンちゃんの神装衣装……逆に考えるんだ、1000円で絶対に手に入ると考えるんだ……!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リンとマッド魔術師

「あ〜、ついにFEHも定期販売に乗り出したか。まぁ、買う気ないしいいか」

リンちゃんの新衣装

「……クッソぉ!!」(グーグルプレイカード購入)


 「新しい服ですって?」

リンは召喚士とカナスが持ってきた服を顔を顰めながら見る。そしてリンは召喚士とカナスを睨んだ。

 「今回は何をやったの?」

 「おいおいリン! 俺達が常に何かやらかしていると思われるのは心外だぞ!」

 「そうですよ! 僕達は常に規則正しい魔術師生活を送っているだけなのに!!」

 「魔法の実験で死の国の国土崩壊」

 「「こいつがやりました」」

リンのツッコミに速攻でお互いを売るマッド魔術師達。

お互いの頬を引っ張り合う召喚士とカナスを見ながらリンは呆れたようにため息をついた。

 「これを着てどこに行けばいいの?」

 「お、流石はリン! 話が速い!」

 「それじゃあ外の訓練場に来てくださいね」

 「やっぱり普通の服じゃないのね……」

 

 

 

リンは召喚士とカナスに渡された服(途中であったフィヨルムからニフル風の服であったことを知った)に着替えてから訓練場に向かう。するとそこには胡散臭い笑みを浮かべた召喚士と怪しげに空間ディスプレイを浮かべたカナスがいた。

 「おぉ、リン。よく似合ってるぞ」

 「これが貴方達が用意した服じゃなかったら素直に喜べるのだけどね」

 「言われてるぞ、カナス」

 「君のことですよ」

 「貴方達両方よ」

 「「心外な!!」」

召喚士とカナス。どちらかが渡してきたら素直にプレゼントとして喜べた(特に召喚士の場合他のライバルにマウントを取れる)のだが、二人で渡してくるとそれはプレゼントではなくて実験台になれという意味だ。烈火時代も主にセインが実験台にされていた。

 「それで? これはなんなの?」

 「まぁ、説明するより実際にやってもらった方が速いか。カナス、術式は?」

 「ちょっと待ってください……はい、大丈夫ですよ」

 「よし、それじゃあリン。軽くジャンプしてみてくれ」

会話の節々にある不穏な気配を感じ取りながらもリンは言われた通りに軽くジャンプしてみる。

50メートルくらいの大ジャンプになった。

 「おぉ、成功だ!」

 「召喚士、見てくださいよこの数値!」

 「やっべ! この数値だったらうちが誇る戦闘ジャンキー共とも戦えるんじゃね!?」

 「これはやばいですね! 間違いなく行けますよ!」

真顔でスーパーヒーロー着地を決めるリン。実験データを見て狂喜乱舞するマッド魔術師二人組。

 「こ・れ・は・な・に?」

 「待て待て待てリン!! まだ術式解いてないから頭掴まないで!」

 「割れちゃいます!! 僕らの優秀な頭脳が割れちゃいます!!」

そしてリンは握りつぶす勢いで二人の頭蓋を掴む。

とりあえずリンは二人を正座させて事情聴取する。

 「それで? これはなに?」

リンの言葉に召喚士が手をあげる。それに発言の許可を出すリン。

そして召喚士はキメ顔で口を開いた。

 「君へのプレゼンっ!?」

 「発言には気をつけなさい? 今は冗談の時間じゃないわ?」

発言の途中で容赦のない前蹴りが召喚士の顔面に決まる。召喚士は200メートルほど吹っ飛んで地面に倒れ伏している。

それを見てリンは首を傾げた。

 「身体能力が上がっている?」

 「流石は戦闘民族サカの民出身者のリンさん。その通りです!! その服は僕と召喚士が特注で作り上げた服!! 言わばパワードスーツです!!」

マッドの発言でリンちゃんの胃がマッハ。

 「ちょっと待ちなさい、パワードスーツですって?」

 「その通りです。それは服の繊維一本一本に僕と召喚士が術式を組み込んで作り上げた一品です。世界観に合わせて言うならパワードスーツじゃなくて神装兵装とでも言いましょうか」

リンの頭痛が止まらない。このマッド共は並の魔術師だったら一生をかけて研究する代物を共同で開発することによって完成させてしまったのだ。

 「ちなみにメインで編み込んでいる術式は身体能力向上ですが、他にも」

そして嬉しそうな表情でリンが着ている服の説明を始めたカナスをリンは無視する。むしろ「理論上はユンヌの一撃を耐えられるはずです」と言う発言を意識的に無視した。そうでないとこのマッド共は実験をしかねない。

 「召喚士、これは大量生産できないの?」

戻ってきて律儀に正座をしている召喚士にリンは言葉をかける。それはこれを大量生産して治安維持部隊に配備しようと思う人間の発言であった。

 「あ、それは無理だ。さっきカナスが言った通り、それは繊維一本一本に術式を組み込んでいるから恐ろしく手間がかかる上に、その編み込む術式も着る本人に合わせて作らなきゃいけないから大量生産には向いていない。まぁ、一点ものだな」

 「そう。ちなみに失敗していたらどうなる予定だったの?」

リンの質問に召喚士とカナスは小声で話こむ。そしてカナスが手を挙げた。

 「怒りませんか?」

 「八つ当たりはギムレーにするわ」

 「「失敗した場合ヴァイス・ブレイブが消し飛んでいました」」

マッドの発言にリンは頭痛が痛い。マッド達に常識は通用しないと思っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。

 「まぁ、成功したからいいよな!!」

 「そうですね!!」

 「もし失敗していたらどうするつもりだったの?」

 「「魔術の発展に犠牲はつきものデース」」

 「ダイジョーブ博士……!!」

マッドに常識は通用しない。

リンは呆れながら首を振る。

 「まぁいいわ。今回の実験が上手くいったんだったら、今後も大丈夫でしょうしね」

 「流石はリン!! 話がわかる!!」

 「やっぱり初手リンさんは成功でしたね!!」

 「調子に乗らない。それで? いつも一緒になってやってるパントは?」

リンの言葉に召喚士とカナスは首を傾げる。

 「パントの奴は個人で研究したいことがあるからって不参加だぞ」

 「なんか『これが成功したらヴァイス・ブレイブはもっと楽しいことになるぞぉ!!』って張り切っていましたよね」

召喚士とカナスの言葉にリンの嫌な予感が強まる。パントが張り切る? それはやばいことの前兆だ。

 「待たせたな諸君!! ついに完成したよ!!」

 「「「パント!!」」」

そして転移魔法で三人のところにやってくるパント。いつものイケメンスマイルを浮かべながらパントは爆弾を落とす。

 「ついに召喚士の絆を結べる相手を三人まで拡張できる魔術を開発したぞ!!」

それは新たな戦争の幕開けであった。

 




リンちゃん
パワードスーツ(マッド特性)を手に入れた。

神装兵装
言うところの神装英雄

マッド魔術師
召喚士、カナス、パントの三人組。日夜怪しい魔術実験を繰り返す。

パント印の絆英雄拡張
完全に大炎上案件




リンちゃんに新しい衣装? それは買うしかねぇ!!
そんな感じでフェーパスを購入した作者です。そしてステータスアップの理由も我が作品が誇るマッド達による実験の成果と言う独自設定。
アンドロイドの作者はメンテが終わったツイートを見た瞬間にFEHを起動してフェーパスを購入→まさかのエラーで半ギレし、普段はしない公式へ『エラーが出たぞ』(原文ママ)を送りました。
その後に無事にリンちゃんが来たのでうちのリンちゃんは10凸、花凸、絆、神装の完全究極体リンちゃんになりました。
飛空城と闘技場の防衛に置いて自慢しておきます(完全に自己満足)


え? 増えた絆枠? 誰に使うかまだ決めてないよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

烈火ガチャ

遅くなりました。

ガチャ初日にガチャは引いていたのですが、公募用の小説を書いていて一日ずれました。

とりあえずどうぞ


ガチャタイムである。何せ今回のガチャは烈火ガチャ。召喚する相手は全員知り合いの上にどんな人物かもわかっている。

 「いいですね、召喚士さん。絶対に私を召喚してくださいね。主に『装備がたくさんあって尚且つ召喚士さんがそれを全部召喚している』ということでマウントを取ってくるどっかの修羅民族対策として」

 「いや、努力はするけどさ。フィオーラはニルスと同色ピックだからそう簡単に行くかどうか」

俺の言葉にニッコリ笑顔で俺の肩を掴むフィオーラ。

 「引いてくださいね」

 「勝利の栄光を君に!」

 「おぉ、あの外道が素直に負けを認めたぞ」

 「やっぱりあの外道リンとフィオーラには甘いよね」

違うんだ腹黒に脳筋。甘いんじゃない、勝てないんだ。あと一緒に来ているリンが思いっきり舌打ちしてる。超怖い。

 「召喚士さん、ニルスもお願いしますね」

 「それは別にいいけどな。呼んで大丈夫か?」

俺の言葉に物凄く複雑な表情を浮かべるニニアン。

 「だ、大丈夫です。私が心を強く持っていれば……」

 「レイラも頼むぜ、召喚士」

 「わかってるわかってる。約束だからな」

マシューの言葉に答えると満足そうに頷く。

 「ちなみに叩き込むオーブの色は?」

 「赤以外全部」

 「お、ラスも呼ぶのか」

 「まぁな。それで後はピックアップを引いた色から回避していく感じだな」

というわけで召喚石版を起動して召喚していく。

そしてオーブを20個使ったくらいで緑をオーブを叩き込む。

捲き上る砂煙。浮かび上がるシルエット。

 「俺はクトラ族のラス。『灰色の狼』ダヤンの息子だ。同ほあ、すまんちょっと用事思い出したから帰るぞ」

 「「「おっと、逃がさないぞ」」」

 「離せぇ! 離せぇ!」

召喚されて速攻で逃げようとしたラスを俺とヘクトルとエリウッドで捕縛する。

 「安心しろってラス! お前が旅の最中にリンに告白してこっぴどく振られたことは黙っておいてやるから!」

 「そうだぜ! サカの民とは思えないくらいあっまあまなラブレターを出したことは黙っておいてやるぜ!」

 「そうだよ! 振られた後にサカの民らしくリンを奪い取ろうとしたら返り討ちにあって瀕死になったことは黙っておいてあげるから!」

 「貴様らぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ブチギレたラスであったが即座にリンによってブーケのステッキ+を叩き込まれて瀕死になった。そんなラスを俺達は廊下に放り出しておく。きっと心優しい誰かが助けてくれるはずだ。

そして今度は青と無色のオーブを叩き込む作業に戻る。そして今度は40個を超えたくらいで来た。

巻き起こる砂煙。浮かび上がる少年くらいのシルエット。

 「はじめまし……あ、どう見てもはじめましての面々じゃないね! みんな久しぶり!」

 「「「ニルス来ちゃったかぁ」」」

やってきたのはニニアンの弟であるニルス。いや、別にニルスは悪い奴ではないのだ。

 「ニルス。よかった。これたのね」

 「あ、ニニアン!」

そして姉のところに速攻で行くシスコンニルス。そして笑顔で口を開いた。

 「どう? 結婚相手は見つかった?」

 「グボワァ」

そして速攻でニニアンの傷を抉った。

そうニルスは天然で悪口を吐く存在である。俺達のように心の底や冗談のように悪口を言うのではなく天然で言うのである。本人に一切悪気はないために怒るに怒れない。今もニニアンは必死に回復しようとしている。

 「あ、その顔は『やっぱり』『まだ』見つかってないんだね!」

 「グッフゥ!」

 「だから素直にエリウッドさんに告っておけば良かったのに妙に自分が竜であることを気にするから!」

 「ニルスちょっと向こうでお話ししましょうね!」

そしてニルスから割と爆弾発言が飛び出したと思ったらニニアンは顔を真っ赤にしてニルスを拉致って行った。

無言になる召喚室内。なんて言うか触れてはいけないものに触れてしまった感じである。

とりあえず爆心地であるエリウッドに全員の視線が集中する。その視線にエリウッドは頷いた。

 「聞かなかったことにしよう」

 「だな」

 「自分達から墓穴を掘る必要ないよな」

俺とヘクトルとエリウッドの考えが一致した瞬間である。

そして俺は召喚石版を再起動して青と無色のオーブを叩き込む作業に入る。

浮かび上がる砂煙。浮かび上がるシルエット。

 「!? まずい!!」

 「「「リン!?」」」

そしてシルエットに斬りかかるリン。そしてシルエットはその斬撃を見事に防いだ。

出てきたのは渾身のドヤ顔を浮かべたフィオーラだった。

 「ふふふ、同色ピックでも被りなしすり抜けなしでやってくる私の方が正妻に相応しいですね」

 「は? 恒常星5になれたからって偉そうな顔しないでくれる?」

 「あら、ガチャ整理にあって恒常からも消えた方が何か言ってますね」

二人のやり取りを俺とヘクトルとエリウッドはガタガタ震えながら見ている。

 「おい召喚士! 止めろよ!」

 「そうだよ! 君の嫁達だろ!」

 「バッカ! 俺が止めれる立場にあると思うか!? むしろ悪化するわ!!」

俺達のやり取りも聞こえていないのか。二人は薄い笑みを浮かべたまま召喚室から出て行った。

その直後に表からどう考えてもドンパチしている音と巻き込まれたラスの悲鳴が聞こえた気がするが気のせいだと思うことにした。

 「召喚士、後はレイラだけだぜ」

 「わかってるわかってる。でもレイラが一番の目玉のガチャだなんて誰が予想できただろうな」

 「まぁ、レイラを使いたいって烈火プレイヤーは多いだろうしねぇ」

 「すまない! 部下が人気者で本当にすまない!!」

 「「セーなんとかさん」」

 「ちょっと何を言ってるかわかりませんね」

無色のオーブを召喚石版に叩き込みながら会話を続ける。まぁ、こっちには恋人というかなり強力な触媒であるマシューがいるからそのうち来るとは思うが。

そして合計120個ほどのオーブを使った時であった。

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

 「……あなたは? って見覚えのありすぎる顔が揃ってるんだけど」

 「レイラぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 「きゃあ! マ、マシュー!?」

召喚されて速攻で恋人に抱きつかれたことで困惑しているレイラ。

ちなみにレイラであるが、なんか異世界の烈火だとジャッファに殺されたようだが、残念ながらうちの世界ではジャッファを返り討ちにしてヘクトルのところに戻ってきた猛者である。そして当然のように俺達の旅にも同行していた。

とりあえず興奮冷めやらぬマシューを首に手刀を落として滑らかに気絶させるレイラ。その姿は密偵というより暗殺者である。

 「軍師、とりあえず確認しておきたいことがあるんだけど」

 「俺は今は召喚士な。それでなんだ?」

密偵としても暗殺者としての素質もやばいくらい高いレイラ。そんな彼女は黒い牙に潜入任務をしていた。

するとどうなるか?

 「この世界にニノちゃんはいるの?」

 「服も三種類。しかもそのうちの一つはサンタコスだ」

 「ヒャッフゥ!!!!!」

当然のようにニノヲタである。

 




ラス
サカの民の巨魁・ダンセキカイ(ダヤン)を父に持つ。リンに惚れていてサカの民の信条通りに奪おうとするが返り討ちにあったことがある。

ニルス
天然で他人の傷を抉るショタ。被害者は主にニニアン。

フィオーラ
ついに恒常実装でライバルを煽る。

レイラ
密偵と暗殺者としての適正が高いニノヲタ。




そんな感じで烈火ガチャ編です。今回のために180個のオーブを用意しておきましたが、使い切ることなく全員コンプリートする奇跡。しかもニルスとフィオーラの被りもなし。ちなみにラスくんも星5で来たので全員星5です。素晴らしい。
召喚されて速攻で黒歴史を暴露されるラスくん。そして弟の実装で秘めたる想いを暴露されたニニアン。二人は頑張れ、超頑張れ。
黒い牙に潜入したのでニノの素晴らしさに気づいたレイラ。そんな彼女は『ニノちゃんの笑顔を見るまで死ぬわけにいかない……!』という強い気持ちでジャッファを返り討ちにした模様。強い(確信
え? フィオーラとリン? 仲はいいですよ、きっと。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブのペットな英雄

我がヴァイス・ブレイブが誇る愛玩動物の登場です


 「やっぱりやっておかないとまずいと思うわよ?」

 「この件に関してはリンさんの意見に賛成です」

 「……う〜む」

俺は食堂で自称嫁であるリンとフィオーラに説得されていた。

 「だが本人がなぁ……」

 「何を言ってるんですか、一番困るのは本人ですよ」

俺の言葉もフィオーラに一刀両断されてしまう。

 「あれ? 召喚士夫婦揃って何してるの? 家族会議?」

そこにやってきたのは明らかに徹夜明けの雰囲気を見せている同人作家ギムレー先生。

 「まぁ、家族会議ではあるかもしれんな」

 「将来の子育てについてとか?」

 「言葉に気をつけろオタクトカゲ」

 「Oh、ジョーク、ジョークだから我の首から手を離して!! ミシミシ言ってる!! 折れちゃう!! 我の繊細な首が折れちゃうから!!」

ギムレーの必死の言葉に俺は折ろうとしていた首から手を離す。ちなみに子育てという単語が出た瞬間にリンとフィオーラの間では俺には見えない攻防が繰り広げられたようである。

首をさすりながら席に着くギムレー。

 「それで? なんの会議してたの?」

ギムレーの言葉に俺とリンとフィオーラの声が揃う。

 「「「キヌのエキノコックスの予防接種について」」」

 「うん?」

俺たちの言葉にどこか不思議そうな声を出すギムレー。

 「キヌちゃんってあの娘だよね、狐っ娘の」

 「そうだな」

 「……なんでエキノコックスの予防接種?」

 「いや、リンとフィオーラはペットだけど狐だからエキノコックスの予防接種はちゃんとしておいたほうがいいって言うんだよ」

 「実際に病気になってからじゃ遅いのよ」

 「そうですよ。一番苦しむのはキヌちゃんなんですから、飼い主が予防できる範囲ではきちんと予防してあげるべきです」

 「完全にペット扱い……!?」

はて、ギムレーは何を言っているのだろうか。キヌがペットなのは烈火の総意だと言うのに。

 「だけどキヌが注射嫌いだからなぁ。前も病気した時に注射してもらったらしばらくふてくされて机の下から出てこなかった。それを見てニノが超悲しそうだったんだぞ」

 「ニノの笑顔を奪いたくないと言う気持ちは私達にも超わかるわ」

 「それでも病気になった時に困るのはキヌちゃんなんです」

 「う〜む」

俺は腕を組んで考える。ぶっちゃけ大天使ニノエルがキヌと戯れている姿は浄化されるくらいに尊い。黒い牙は文字通りお金を払って延長しようとしていた(なお、お金が払われたニノは困っていた

 「あぁ!! 召喚士だぁ!!」

 「おっと」

そこにやってきたのはキヌ本人。俺の腕の中に飛び込んできたので俺は優しく抱きとめる。

 「……キヌちゃん」

 「うん? なぁにぃ?」

 「なんで狐状態なの?」

ギムレーの言葉に不思議そうに首を傾げるキヌ。

 「召喚士にこっちの姿でいなさいって言われたからぁ」

 「そっかぁ」

キヌの頭を撫でてから俺をマジ表情で見てくるギムレー。

 「我、ケモナーに目覚めるかもしれない」

 「お前はどこまで行くんだ」

俺とギムレーの会話を理解していないのか尻尾を振りながら首を傾げるキヌ。

 「まぁいいやぁ。召喚士!! ナデナデしてぇ!!」

 「おお、いいぞ。よぉしよしよしよしよし!!」

 「ワフワフ!!」

俺のフィンガーテクニックに嬉しそうな声を上げるキヌ。フィオーラはブラシを取り出し、ギムレーはリンによって手錠をつけられ連行されていった。

フィオーラは優しくブラッシングしながら俺を見てくる。

 「キヌちゃんこんなに可愛いんですから、ちゃんとしておいたほうがいいですよ」

 「う〜む。キヌ」

 「? なぁに?」

机の上で寝そべっている状態で俺を見上げてくるキヌ。

 「未然に病気を防げるんだったら防ぎたいか?」

 「? よくわからないけど……うん!!」

キヌの言葉に俺の心は決まった。俺はキヌを優しく抱っこする。するとキヌは嬉しそうに尻尾をふり始めた。

 「召喚士遊んでくれるの!?」

 「ああ、ちょっと用事を済ませたらな」

 「わぁい!! 私、召喚士が遊んでくれるの大好き!!」

俺の顔を嬉しそうにペロペロと舐めてくるキヌ。

 「あのねあのね!! ちょうどベロアにボールをもらったの!! 私ボール遊びしたい!!」

 「よしよし、用事が済んだら存分に遊ぼうな」

 「ワフワフ!!」

ヴァイス・ブレイブ内を俺とフィオーラは歩く。そしてとある部屋の前に辿り着く。キヌもとあることに気づく。

 「あれ、ここって……」

 「ナンナ、狐の予防接種を頼めるか」

 「いいでしょう。全ての病の根絶。それが私の使命ですから」

 「お注射やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「こら!! 暴れるんじゃない!!」

ナンナを見た瞬間に物凄い勢いで暴れ始めるキヌ。だが残念なことにステータスだけなら我がヴァイス・ブレイブでも屈指の低ステータス。非戦闘員の俺でも押さえ込めてしまう。

 「やだやだ!! お注射やだぁ!!」

 「こらキヌ!! 暴れるんじゃない!! これはキヌのためなんだ!!」

 「そうですよキヌちゃん!! これはキヌちゃんが病気にならないためにするんですから!!」

 「やだぁ!!」

必死に逃げようとするキヌ。しかしキヌのステータスはHP35攻撃39速さ38守備22魔防38のクソ雑魚ステータス。ノーマルは第一線を張れて水着はついに10凸したフィオーラには敵わない。

フィオーラと俺に押さえつけられならも必死にもがくがキヌは抜け出すことができない。

 「安心しなさい、キヌさん。これを投与されてたとえ病気になっても私が助けてあげます。たとえあなたを殺すことになっても……!!」

 「お注射やだぁ!!」

キヌの必死の悲鳴も虚しくキヌはエキノコックスの予防接種の注射をされてしまうのであった。

 

 

ちなみに注射されて超不機嫌になったキヌであったが一時間ほど遊んであげて綺麗にブラッシングしてあげると注射されたことも忘れて上機嫌になるのであった。

 




キヌ
ヴァイス・ブレイブのペットな英雄。うちのキヌちゃん(ノーマル)は攻撃↓の守備↑個体という愛玩動物としての価値しかない英雄です。

ナンナ
獣系の英雄も多いので獣医の資格もとったバーサー看護師

ギムレー
牢屋でケモナーの同人誌を書き始めた。

ニノが狐(キヌ)と戯れている姿
烈火特攻


そんな感じで我がヴァイス・ブレイブの愛玩動物としての価値しかないキヌちゃんのお話でした。基本的にキヌちゃんは狐の姿でしかいません。だってペットだから。

そして本文中にさらっと出しましたが水着フィオーラが10凸に到達しました。特に特別回はないです。

そしてさらっと発表される新ガチャ。風花雪月ガチャですけどマリアンヌがいないので回避します。なにせイグレーヌを凸ろうと思ってオーブ150個ぶっ込んで星5が0という大惨事になっているので。ファッキンガチャ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

劇場版 ポケットモンスター〜プロフェッサーの野望〜

久しぶりにクロス作品です。

召喚士が悪役ムーヴすると作品がシリアスになる不具合をどうにかしたいなぁ


 『グゥ!?』

ミュウツーは敵であるサーナイトの一撃を受けて膝をつく。目の前にはミュウツーを叩き潰したサーナイト。サーナイトの背後のはサーナイトのトレーナーが冷たい笑みを浮かべながら立っている。

そのトレーナーを睨みながらミュウツーは大きく叫ぶ。

 『なぜ貴様がここにいる!! プロフェッサー!!』

プロフェッサーと呼ばれたのは当然のように我らが白フードである。

プロフェッサーは冷たい笑みを浮かべながら口を開く。

 「ミュウツー、君が必要になったから迎えに来た。それだけのことだとも」

 『私のことが必要になっただと……!? 貴様はまだ人類は滅びるべきだと思っているのか!?』

 「君だって俺と同意見なのだろう? だから人目を避けるようにこのハナダの洞窟に隠れている」

 『違う!! 私がここにいるのは私の力を悪用されないためだ!! まだ私は人類に絶望してはいない!!』

ミュウツーの言葉に心底愉快そうに笑うプロフェッサー。

 「愚かになったなミュウツー。お前だって見ただろう? あの研究所にいた愚か者達を。誰もがお前の力を利用しようとしていた。誰もがお前も恐れていた。あの低俗で愚劣な存在を」

 『あの場にいた者は確かに愚かであったかもしれない!! だが、私は知ったのだ!! 人間が愚かな存在だけではないことに!!』

 「つまらぬ戯言だな。どこまで行っても人など愚かでしかない」

プロフェッサーの言葉にミュウツーは自己再生をして立ち上がる。そしてプロフェッサーに襲いかかろうとするが、間にサーナイトが入り込んで邪魔をしてくる。

それを見ながらプロフェッサーは愉快そうに笑う。

 「ミュウツー。お前が先天的に『最強』という存在にされたと言えば、そのサーナイトは後天的に『最強』になった存在だ」

プロフェッサーの言葉にミュウツーは驚愕の表情を浮かべる。

 『貴様はまだポケモン実験を繰り返しているというのか!?』

ミュウツーの言葉にプロフェッサーはつまらなそうに手を振る。

 「そんなつまらんことはしていないさ。ただ、サーナイトには格闘技の技術を教え込んだ」

そう言ってプロフェッサーはニヤリと笑った。

 「さぁ!! 俺に見せてくれ!! 『先天的な最強』と『後天的な最強』のどちらが強いのかを!!」

その言葉と同時にサーナイトの姿が搔き消える。ミュウツーは第六感に従って背後にサイコブレイクを放つ。そこにはサーナイトがいたが、サーナイトは自身のエスパー能力を使ってサイコブレイクを相殺してくる。

そしてその勢いのままミュウツーのお腹に拳を叩き込んできた。

 『ゴッフ!!』

その一撃にミュウツーは吐血してしまう。だが、サーナイトは止まらない。繰り出してくる拳が的確にミュウツーの急所に当ててくる。ミュウツーはリフレクターを張りながらサーナイトから距離をとる。ミュウツーに接近戦はできないからだ。

 「ふむ、ミュウツー。さてはお前、ろくに力を使っていなかったな」

プロフェッサーの言葉にミュウツーは小さく舌打ちをする。その通りだったからだ。ミュウツーは『最強』の存在として生み出された。それ故にミュウツーに対抗できる存在はいなかった。だからこそ自分を鍛えることができなかった。

 「まぁいい。俺が必要なのは『装置』のコアになれるお前の存在そのものであって、お前の強弱はどうでもいいんだ」

 『ク、クソ!!』

苦し紛れにプロフェッサーに放ったシャドーボールもサーナイトに防がれてしまう。

 「ふむ、時間をかけても仕方ないな。サーナイト、終わらせろ」

プロフェッサーの言葉にサーナイトじゃ拳にサイコパワーを集める。嫌な予感がしたミュウツーはリフレクターを何枚も張るが、サーナイトの拳はそんなリフレクターも砕いて突き進む。

そしてミュウツーのお腹へと深々と突き刺さった。

 『プロ……フェッサー……!!』

 「安心しなさいミュウツー。お前が次に目覚めた時には全てが終わっている」

プロフェッサーはミュウツーの苦々しげな言葉を聞きながらハイパーボールを投げる。ミュウツーは抵抗もできずにプロフェッサーに捕まってしまった。

プロフェッサーはミュウツーの入ったハイパーボールを拾いながら背後に声をかける。

 「騙し討ちはするだけ無駄だ。出てきたまえ」

プロフェッサーの言葉に岩陰から一人の男性が現れる。その男性を見てプロフェッサーは愉快そうに笑った。

 「やぁ、久しぶりじゃないかサカキくん」

 「プロフェッサーもお元気そうですね」

ミュウツーの入ったハイパーボールでお手玉しながら話しかけるプロフェッサー。そして真剣な表情でプロフェッサーを睨むサカキ。

 「ふむ、一応聞いておこうか。何をしに来たのかね?」

 「貴方を止めるために来た」

その言葉を愉快そうに笑うプロフェッサー。

 「おかしな話だな。ロケット団を使って世界征服を企んだ君が言うことかね?」

 「私は世界征服など企んじゃいない!!」

プロフェッサーの言葉を強く否定するサカキ。

 「ロケット団だって私が結成した理由は人が自力で月に行くためだった!!」

 「おかしな話だな。それが何故マフィアになってしまったのか」

 「全てが貴方の差し金だろう!!」

サカキは怒りのまま怒鳴る。その剣幕は子供だったら震え上がるものだろうが、プロフェッサーは薄ら笑いを浮かべて聞き流している。

 「貴方は私のロケット団で実験したのだ!! 『多くの人の悪意が集まった時、人はどうなるか』ということを!! そして私のロケット団は道を踏み外した!! 月に行くための予算を集める方法が非合法なものになり、ポケモン達をも利用する存在にまで落ちぶれた!! 全てが貴方の実験だった!! 違うか!?」

サカキの言葉にもプロフェッサーは表情を変えずに口を開く。

 「違わない。君のロケット団は実にいい実験台となってくれたよ。俺が人の愚かさを再認識するのにちょうど良かった」

 「貴方と言う人は……!!」

人を人とも思わないプロフェッサーの発言にサカキの表情は怒りに染まる。

 「それで? 君程度が俺を止めれるとでも?」

 「人類の抹殺などと言う愚かな真似は私が止めてみせる」

サカキはそう言いながらサイドンを出す。プロフェッサーはそのサイドンを見ながら口を開く。

 「よく育てられている。俺の指導の賜物かな?」

 「貴方は最悪な存在だ。だが、教師としての才能は確かであったな」

サカキはプロフェッサーによって鍛えられたポケモントレーナーだ。その磨き抜かれた才能でジムリーダーにまで上り詰めた。そしてロケット団のボスとして指名手配されてからもプロフェッサーを捕らえるために逃亡し続けた。

 「ふむ、だがサカキくん。君一人で俺を止めようなどおこがましいと思わないかね?」

 「だが私が止めねばならぬ。それが貴方の野望を知る者の務めだ」

 「あら、だったら私も手伝わせてもらうわ」

そこに女性の声が響く。プロフェッサーとサカキはお互いから意識を離すことなくそちらを見る。

そこにいたのはガブリアスを連れた金髪の女性。

 「驚いたな、シロナくんにも見つかるとは」

 「お久しぶりですね、プロフェッサー」

そこにやってきたのはシンオウ地方チャンピオンであるシロナであった。

サカキはプロフェッサーから視界を外さずにシロナに問いかける。

 「何の用だシンオウチャンピオン」

 「プロフェッサーの野望を知る生徒の一人として、あの人を止めに来たわ」

その言葉にサカキの眉尻がピクリと動く。

 「私のことを全面的に信用しろとは言わないわ。今までのこともあるから。でもプロフェッサーを止めたいと思っているのは私も一緒よ。だから手伝うわ」

 「……邪魔だけはするな」

 「こちらのセリフよ」

サカキとシロナの会話にサイドンとガブリアスは力強く雄叫びをあげる。それを見ながらプロフェッサーは薄ら笑いを止めない。

 「すでにコアに必要なミュウツーは手に入れた。これ以上の戦いは無駄ではあるのだが……」

プロフェッサーはそう言いながらサーナイトの隣にキュウコンを出す。

 「いいだろう、授業の時間だ」

 「行け!! サイドン!!」

 「舞って!! ガブリアス!!」

 




プロフェッサー
相変わらず名前を名乗らない召喚士。ポケモン世界での呼ばれ方はプロフェッサー。闇落ちバージョンなので人類を滅ぼそうとしてます。

サカキ
みんなご存知ロケット団のボス。この世界ではプロフェッサーの手によってロケット団は狂わされてしまった模様。プロフェッサーの弟子のために目的を知っており、止めるために逃亡生活を送っている。

シロナ
みんな大好きシロナさん。サカキと同じくプロフェッサーの弟子。その野望を阻止するためにプロフェッサーの行方を捜していた。
召喚士に女性キャラ。当然のようにフラグ建築済みである。

プロフェッサーの手持ち
ナギ流格闘術を収めたサーナイト。数千年は生きているキュウコンの二体。どちらも禁止伝説クラスの強さ

ミュウツー
プロフェッサーの野望のキーになる存在。囚われの姫ポジション。




そう言うわけでポケモン世界に召喚士をブッコミました。すると変な化学変化が起きてシリアスになりました。召喚士が悪役ムーヴするとシリアスになるな。
ちなみにこれの最後はポケモン歴代主人公&ライバル達が勢揃いしてプロフェッサーに挑み、その野望を阻止してくれる。流石の召喚士も主人公特権には敵わない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リリーナ様は告らせたい

ヴァイス・ブレイブ学園編ですよ


ヴァイス・ブレイブ学園昼休みの食堂。多くの学生が通うヴァイス・ブレイブ学園には巨大な食堂が作られている。

そこでリリーナ、アルテナ、イシュタル、メルセデスは一緒に食事をとっていた。

召喚された英雄とは言えいるのは年頃の乙女である。会話の内容は当然のように

 「そうなのぉ。アルテナには好きな人がいないのねぇ」

 「い、いえ……その私にはまだ早いと言うか……」

顔を赤くしてゴニョゴニョ言っているアルテナをメルセデスは生暖かく見守る。空飛ぶルカという不名誉な渾名を付けられていてもアルテナだって年頃の乙女だ。恋をしてみたいとも思うがいい人がいない。

メルセデスは次にイシュタルをみる。その視線にイシュタルは顔を赤くした。

 「イシュタルはユリウスよねぇ」

 「え、ええ、まぁ」

イシュタルの言葉に全員の視線が一人の英雄に集中する。

ニノに声かけをして黒い牙に連行されるユリウスであった。

それを見てイシュタルは手で顔を覆い。他の面々は気まずそうに視線を逸らした。

一度咳払いをしてからメルセデスはリリーナを見る。

 「リリーナはわかりやすいわよねぇ」

 「ロイですよね」

 「……そんなわかりやすいかしら?」

アルテナにまで言い当てられてリリーナは思わず首を傾げる。それにメルセデス達は力強く頷いた。

 「なんと言うか視線でわかりますよね」

 「一目で『ああ、リリーナはロイのことが好きなんだ』ってわかりましたね」

イシュタルとアルテナのダブルツッコミに思わずリリーナも顔を顰める。

 「……でも全然ロイは気づいてくれないわ」

リリーナの言葉に全員の視線がヴァイス・ブレイブ学園屈指のイケメン集団になっているロイ達のところに集まる。

何故かど真ん中でラクチェが『親にはぐれた ひなどりも いつかはやさしい ふところに かえるあしたもあるだろう だのに なぜ めぐりあえぬ 父の影 なくものか ぼくは男だ しんじてる しんじてる その日のことを この手で父を だきしめる日のことを』と歌っている。

メルセデスはそのメンバーにその歌はクリティカルヒットではないかと思ったがキチガイに声をかけてキチガイの仲間扱いされるのは嫌だったので無視することにした。

 「告白したらいいんじゃないかしらぁ」

メルセデスの言葉にリリーナの顔は真っ赤に染まる。

 「そ! そそそんなこと!! 断られたら今までの関係もなくなっちゃうかもしれないし!!」

 「ですがラインハルトから聞いた話ですとロイさんは結構告白されているらしいですが」

 「待ってイシュタルさん。その話詳しく」

そしてイシュタルの爆弾発言にリリーナは顔をマジにしてイシュタルに近寄る。イシュタルは顔を仰け反らせ(その時に乳が揺れてリリーナは地味に傷ついた)ながら説明する。

 「ら、ラインハルトがロイさんと仲良いらしく。どうやって断ったら一番傷つけないか相談されたそうです」

ちなみにこの悩みはロイ達イケメン集団全員の悩みである。

イシュタルの言葉にリリーナはう〜んと考える。それにメルセデスは助け舟を出した。

 「惚れ薬が必要だったら先生に言えば用意してくれると思うわよぉ」

 「「「その発想はダメ」」」

あらぁ? と首を傾げるメルセデス。召喚士の下で長く学ぶと常識を失うのが困りものである。

召喚士塾塾生で数少ない常識人であるイシュタルが口を開く。

 「薬を使うのは問題ですが、告白すると言うのはいいのでは?」

 「でも……」

イシュタルの言葉にリリーナはすごく言いづらそうにする。しかし、意を決して口を開いた。

 「告白するより告白されたい……」

 「乙女ねぇ」

リリーナちゃんは乙女だから告白するよりされたいのだ。

 「ですがどうやったら告白されるのでしょうか?」

 「おやおやおやおや? アルテナさんがそれを言うんですか?」

 「「「キャア!!」」」

突如ぬるりと現れたラクチェに可愛らしい悲鳴をあげるリリーナ、アルテナ、イシュタルの三人。メルセデスは半目でラクチェを見ている。

 「気持ち悪い現れ方しないでくれるかしらぁ」

 「やだなぁ、人をゴキブリ見たいに言わないでくださいよメーチェ姉さん」

 「ゴキブリは殺せるからまだマシよねぇ」

 「う〜ん!! ゴキブリ以下扱い!! これって何故ですかねぇ!!」

 「普段の行いのせいじゃないかしらぁ」

テンポの良い会話を繰り広げるメルセデスとラクチェ。と言うのもラクチェは誰にでも容赦なく意味不明な絡みをするが、召喚士の弟子達には特にそれが顕著である。

そしてラクチェは制服のポケットから手帳を取り出した。

 「イシュタルさん21回、アルテナさん11回」

 「? 何の回数かしらぁ?」

 「学生から告白された回数です!!」

ラクチェの言葉にイシュタルとアルテナはゴフゥと吹いた。二人とも顔真っ赤だ。

 「ラ、ラクチェさん!! 何で知っているんですか!?」

 「あま〜い!! この学園でラクチェちゃんに秘密事なんかできないと思ってください!! なんだったらアレスさんとリーンさんが教室で一線を超えた回数まで知っていますよ!!」

とんでもない流れ弾がアレス達の直撃したが、本人達がいなかったのでセーフである。

ちなみにリリーナとイシュタルは『一線を超えた』意味を理解できていなくて首を傾げているが、アルテナは顔を赤くしていた。

そんなアルテナを見てメルセデスとラクチェは同時に口を開いた。

 「「ムッツリアルテナ」」

その言葉に真っ赤な顔を机に伏してしまうアルテナ。

そんなアルテナを無視してラクチェは口を開く。

 「う〜ん、ロイさんは攻略難易度激ムズですからねぇ」

 「や、やっぱり狙っている娘多いのかしら?」

リリーナの言葉にラクチェは手帳のページをめくり始める。

しかし途中でやめて笑顔を浮かべた。

 「いっぱいいますね!!」

 「そうなの!?」

 「ですねぇ。一般生徒だけで行われたヴァイス・ブレイブ学園イケメンランキングではセリスさんと激戦を繰り広げましたからねぇ」

ちなみにアレスは相手がおり、リーフは親がモンペのために意外と順位は低い。

 「や、やっぱり私から告白するしかないかな……でも、もし断られたら……」

リリーナは顔を青くして一人呟く。そんなリリーナの肩をラクチェは力強く叩いた。

 「大丈夫です!! 私にいい考えがあります!!」

 「それは失敗フラグじゃないかしらぁ」

 「メーチェ姉さんはシャラップ!! リリーナさん!! ここはズバリ生徒会です!!」

 「「「生徒会?」」」

ラクチェの言葉にリリーナ達は首を傾げる。それにラクチェは自信満々に頷く。

 「そうです!! ロイさんに生徒会長!! リリーナさんには副会長になってもらいます!! 完全無欠の生徒会長に親が大貴族のリリーナさん!! これは先に告白したほうが負けみたいなラブコメが展開されること間違いなしですよ!!」

リリーナ達は完全に『こいつ何言っているんだろう』と言う視線でラクチェを見ていたが、ラクチェは『こいつはじっとしてられねぇ!! アティ理事長に直談判だ!!』と叫びながらどこかに行った。

無言の空間が広がるリリーナ達。そしてアルテナがポツリと呟いた。

 「え〜と……なんだったんでしょう?」

 

 

 

ちなみにラクチェがアティに生徒会の結成を進言したところ却下されたが、イシュタル、ラインハルト、オルエンの3名が連名でお願いしたところ生徒会が結成されることになった。

 




リリーナ
ロイに恋する乙女

アルテナ
好きな相手で一瞬思い浮かんだのは召喚士だったのは絶対に秘密にしようと決めている。主に自分の命のために

イシュタル
好きな相手は小児性愛者

ラクチェが歌っていた歌
ボルテスVのエンディングである『父をもとめて』。名曲だから皆さん聞いてみてください

アレスとリーンが超えた一線
リンの教えを受けたリーンがアレスを襲った




そんな感じでヴァイス・ブレイブ学園編です。相変わらず好き勝手やってる女剣士がいる気がしますがここでは平常運行。
兎ガチャが来ましたねぇ。作者も無料召喚が久しぶりに仕事をしてくれました。
えぇ、ベレスちゃんがやってきれくれましたよ。まぁ、ベレスだから許すかって感じです。ナーシェンの持ってる槍もフィオーラに没収したいんですが、月末の神階見てから決めます。

それとセルベリア大佐に釣られてイドラファンタシースターサーガを始めました。内容とキャラも結構好きなのでひょっとしたら召喚士がイドラの世界にお邪魔するかもしれません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ブラミモンド、参戦!

批判も覚悟の上での独自設定です

こいつ召喚するのに2.5フェーて……


 「しかしここまで召喚士が召喚に躍起になるなんて珍しいよな」

 「これでアンナに払ったのは2.5フェーだからね」

ヘクトルとエリウッドは無色のオーブを叩き込んで召喚しては発狂している召喚士を見ながら会話する。

 「でもリンとフィオーラはよく許したね。2.5フェーも」

エリウッドの言葉に一緒になった召喚に見学に来ていたリンとフィオーラは顔を見合わせて肩を竦める。

 「あそこまでマジになっている召喚士は珍しいからね」

 「割と重大なことだと思いまして」

リンとフィオーラの言葉にヘクトルとエリウッドは召喚石版に視線を戻す。

 「ブラミモンド、だったか?」

 「そうそう。烈火時代にアトス様が言うには『いや、お主らは会ったら死ぬほど驚くと思うのじゃが……』って言ってたよね」

 「と言うか無色魔だったらアトス様がくると思うだろ。烈火的に考えて」

 「それね」

せっかくの無色魔なのになぜブラミモンドという烈火プレイヤーも忘れているようなキャラを出してくるのか。そこは普通にアトス様でよかったんじゃないのか任天堂。

 「今までで無凸だった杖カミラが5凸だっけか?」

 「そうそう。出てくる星5がカミラさんばっかりで召喚士のスッゲェ複雑そうな顔がもうメシウマだよねぇ」

 「うるさいぞ脳筋に腹黒ぉ!」

聞こえていたのか文句を言ってくる召喚士。中指を立て合う三馬鹿。

そして召喚石版を起動させる召喚士。

 「ゴボッファ!!」

 「お、無色がないな」

 「いやぁ、これで青引いてピアニーちゃんが来たのが二回と伝チキちゃん一回だっけ? 胸が高鳴るね」

吐血する召喚士。愉悦の表情を浮かべるヘクトルとエリウッド。

 「あれ? そういやなんで青なんだ? 全員持ってるし凸を進める予定もないよな?」

 「アルテナの個体値を変えたいそうよ」

リンの言葉に納得した表情になるヘクトルとエリウッド。

 「「攻撃↓個体だからな」」

飛行物理壁役としては適役だが悲しいかな攻撃↓個体のアルテナ。せっかく星4に落ちたから是非とも召喚しておきたいところ。

 「お、青を叩き込んだね」

 「砂煙が舞ったな」

そして浮かび上がるシルエット。

 「我が名はフェルディナンド・フォン・エェェェェ「うるせぇぇぇぇぇ!!」グッハァァァァァ!!!」

 「「剛腕ラリアット!!」」

そして高らかに名乗りを上げた瞬間に召喚士の剛腕ラリアットで地面に叩きつけられるエーギルくん。そのまま風花雪月警察のベレトによって連行されて行った。

 「ちなみに召喚士。残りオーブはあと18個よ」

 「ちょ、ちょっと待ってくれ。まだ星5がまだ一人も出てないぞ」

 「これ以上の課金は許しませんからね」

リンとフィオーラの無慈悲な言葉にガクガクと震える召喚士。

 「だ、大丈夫、ここからブラミモンドがでるハイパーヴィクトリー展開が……」

 「「ば・く・し! それ! ば・く・し!!」」

 「うるさいぞ脳筋に腹黒!!」

そして天に祈るポーズをする召喚士

 「慈愛の女神・パオラ様、大天使ニノエルよ。矮小な私に力をください!! いざ!!」

女神(パオラ)と大天使(二ノ)に願いをたててから石版を起動する召喚士

 「よぉし!!」「「チィ」」

無色が3つあってガッツポーズをする召喚士と舌打ち+ブーイングをするヘクトルとエリウッド。

 「こいつで勝負だ!!」

そして召喚士は無色のオーブを石版に叩き込む。

 『え!?』

大きく振動を始め、スパーキングを始める召喚石版。土煙も激しく舞い出して近くにいた召喚士をも包み隠す。

そして大爆発した。

唖然とするリン、フィオーラ、ヘクトル、エリウッド。そして土煙の中から人影が出てくる。

 「俺、参上!!」

 『なにぃ!?』

白フードから緑フードのブラミモンド装備になった召喚士であった。

 「ちょ、ちょっと待て!!」

 「うん? どうした脳筋? 気付けに絶無の書を食らっとくか?」

 「それは後で叩き込んでもらうとして、君がブラミモンドだなんてどういうことだい?」

 「俺が八神将様の一人ということだ。おら、崇めろよ」

 「「うぜぇぇぇぇぇ!!!!」」

召喚士の煽りにぶちギレるヘクトルとエリウッド。

 「召喚士、どう言うことか説明しなさい」

 「え〜、これを説明するとなるとアニメで銀河英雄伝説ばりの長さが必要になるんだが」

 「三行でお願いします」

リンとフィオーラの顔に黙って正座をする召喚士。その前にリンとフィオーラは腕を組んで立っている。嘘を言ったら殺すと言わんばかりだ。

 「やべぇ、あの光景だけで俺幸せになれるわ」

 「脳筋!! 絶無の書よ!!」

 「グハァァ!!」

余計なことを言ったヘクトルは召喚士によってしばかれた。

 「三行で言うとな

・ 異世界から烈火の過去世界に転移した

・ そこで人竜戦役に巻き込まれた

・ ブラミモンドって名乗って戦った」

召喚士の言葉に頭痛を抑えるリンとフィオーラ。

 「烈火の時にアトス様があなたのことを知らないふりをしていたのは?」

 「人竜戦役の時に言っておいた。でないとタイムパラドックスが起きるかもしれないからな」

リンの言葉に召喚士は胸を張って答える。その姿にリンとフィオーラは呆れたようにため息を吐いた。

そして死んでいたヘクトルが何かに気づいて勢いよく起き上がった。

 「つぅかお前が『見通せぬ深き暗闇』なんてスキル持ってくんなよ!! 似合いすぎててコエェよ!!」

 「召喚士の心はどす黒いからね」

 「そうですね。召喚士さんの心の闇は深すぎますからね」

 「……お前、嫁候補からもそう思われてるぞ?」

 「割と仕方ないよな」

ヘクトルの言葉に仕方なさそうに頷く召喚士。

 「いやいや、それより僕も確認しておきたいことがあるんだけど」

そこでエリウッドが口を挟んできた。

 「君、誰と支援を結ぶつもりだい?」

その言葉に召喚士の悲鳴とリンとフィオーラがガチ戦闘を行う音が響くのであった

 




ブラミモンド
人竜戦役時代の召喚士。わかりづらいが彼の経験した順番は烈火時代→異世界(色々)→人竜戦役である。ちなみにブラミモンドも当然のように偽名

無凸から5凸になった杖カミラ姉さん
いや、カミラ姉さん好きだからいいんですけどね……

2.5フェー
今までの最高金額。次点に2フェーのアイラ

ブラミモンドとの支援
新しい争いの種




そんな感じで止まることのない独自設定です。ついに召喚士の名前が判明!(しかし偽名である)なんと正体は伝説の八神将の一人だった!!(なお、烈火時代の本人は知らない
あ、この設定のためにリンちゃん達は烈火時代にブラミモンドと会ってません。と言うか『見通せぬ深い暗闇』とかこの作品の召喚士に似合いすぎてて笑えます

最近は公募用のライトノベル小説でこの作品の烈火設定を流用して書いています。するとすぐに脱線をする軍師とリンちゃん。お前ら真面目に旅しろよ。
公募用の小説に集中するためにしばらく二次創作は更新しないかもしれません。ご了承ください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士のご報告

この作品の烈火をオマージュしたライトノベルが書き終わっら報告です


 「俺とリンの小説ができた」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドは何を言っているんだ表情になる。

 「どういうことだい?」

 「うん、ほら作者が以前にちょろっと書いていただろ? この世界の烈火をオマージュしてライトノベル書き始めたって」

 「ああ、そういや言ってたな」

ヘクトルの言葉に俺は頷く。

 「どうやらそれが書きあがったらしい」

俺の言葉に顔を見合わせるヘクトルとエリウッド。

 「それって大丈夫か?」

 「君達の奇行がさらに不特定多数の人の衆目に晒されるってことでしょ? 僕らみたいに日々真面目に生きている烈火出身者が差別の目に晒されない?」

 「お前らも十分に奇行はしているから大丈夫」

ガンのくれあいをする俺たち三人。

 「話は聞かせてもらいました! パパとリンさんは有名になる!」

 「「ラクチェ」」

 「パパ呼びやめい」

 「まぁまぁまぁ!」

そんなことを言いながら堂々と俺たちの炬燵に入り込んでくるラクチェ。

 「細かいことはいいじゃない! パパとリンさんが有名になる! それ即ちこの作品が有名になる! つまりラクチェちゃんのこのキャラが一般化されるってことですよ!」

 「お前のキャラでラクチェのイメージが広がったらラクチェファン大激怒ですよ」

 「んま! そんなこと言う人にはお土産あげませんよ!」

 「「「お土産?」」」

ラクチェのお土産とか地雷の匂いしかしないのだが。

だが、俺たちの反応を見てラクチェは懐から一つのボールを取り出す。紅白に別れたボール。俺たちはそのボールを知っている。

 「「「モンスターボールじゃねぇか!!!」」」

思いっきり別作品のものだった。

 「はい、モンスターボールです!!」

 「持ち主に返してきなさい」

 「持ち主はパパですよ」

 「……どう言うことだ?」

 「んもうパパは鈍チンですねぇ」

 「落ち着け召喚士!」

 「とりあえず絶無の書はしまおう!」

娘に教育的指導を施そうとしたらバカ二人に止められてしまった。いいだろう別に。きっと回避スキルが働いて死なないさ。

 「まぁ、正確に言うと異世界のパパなんですけど」

 「……異世界?」

 「異世界」

 「……ひょっとしてラクチェも異世界召喚体質?」

 「そんな雑なラノベの設定の持ち主はパパだけだよ!」

 「「落ち着け召喚士!!」」

再び絶無の書を取り出した俺をヘクトルとエリウッドが止めてくる。

 「私はあれです。ファイアーエムブレム・ユニヴァースの裏口から他の世界にお邪魔しているだけです」

 「お前が一番世界観壊しているからな?」

なんでユニヴァースに裏口があるんだ。なんでそこから異世界に行けるんだ。

 「まぁ、そんな感じでポケモン世界に遊びに行ったらパパがラスボスやってて歴代主人公とライバル達に負けて死ぬシーンだったんですけど」

 「さらっと出る死ぬと言う単語」

 「すごいよね。本来なら重たいはずなのに召喚士にかかるとティッシュ配りに出会ったみたいだ」

 「頻繁に会うと言うことか」

俺の言葉に笑顔でサムズアップしたバカ二人を剛腕ラリアットで沈めておく。

 「それでまぁ、死ぬ直前のポケモン世界のパパに『ティンときた。これを異世界の俺に渡してくれ』って言われてモンスターボールと手紙を預かってきました」

 「手紙?」

ラクチェは再び懐に手をツッコミ一枚の手紙を取り出してくる。俺はそれを開いて中身を確認した。

 『異世界の俺へ。この手紙が届いていると言うことはあの嬢ちゃんはやはり俺の関係者だったんだな。どこの世界の俺は知らないが頼みがある。ポケモン世界の俺はこの世界を滅ぼそうとした。しかし、そこは歴代主人公やライバル達。俺は敗北した。認めよう、俺は負けたのだ。

しかし! それは俺達の敗北なのか? 否! 断じて否! 長く生き過ぎて正直自分でも年齢がわからなくなっている俺達があんな若造に負けるはずがない!

そこで異世界の俺に託す。ポケモン世界を滅ぼしてくれ。そのために必要な装置は壊されてしまったが、まぁ、俺なら俺と同じように作れるだろう。一応、ナギ流格闘術を教え込んだサーナイトも預ける。

頼んだぞ!』

俺は手紙をたたんでモンスターボールからポケモンを出してみる。一瞬だけ驚いた表情をしたサーナイトだったが、すぐに俺に恭しく礼をした。

 「おお、サーナイトだ」

 「なんか意外なチョイスだね」

一緒になって手紙を覗き込んでいたバカ二人の発言である。

 「なんか懐かれてないか?」

 「異世界のパパと言ってもパパだから親ID一緒なんじゃないの?」

蜜柑をぱくつきながら適当なことを言うラクチェ。そしてエリウッドが真剣な表情で尋ねてきた

 「それでどうするんだい?」

 「いやぁ、俺の最後の頼みだからなぁ! 叶えてやらないと可哀想だよなぁ!」

 「「めっちゃ楽しそうな件」」

 




召喚士のサーナイト
通常の技にナギ流格闘術を叩き込まれたポケモン決戦兵器。その強さは修羅三人衆を同時に相手どれる
タイプ:エスパー、フェアリー、かくとう



そんな感じで『この世界の烈火をオマージュしたライトノベル』が書き終わった報告です。だいぶ烈火のリンちゃん編からはかけ離れてしまいましたが、基本的なノリはここの召喚士とリンちゃんです。そして修羅民族の面が強調されるサカの民

活動報告にリンクを貼っておきますが、カクヨムにて『イヴァリース大陸放浪記』と言うタイトルで検索していただけますと読めますので、よかったらどうぞ。

ポケモンのくだり? 字数稼ぎだよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

女神様降臨の儀式

今日から女神様(ロリ)が実装されました

敬虔なパオラ神教の信徒だったら召喚しましたよね?


グラネイア大聖堂召喚の間。ここにヴァイス・ブレイブの心臓&頭脳である三軍師が揃っていた。三軍師がここに集まっている理由もただ一つ。

 「これより女神降臨の儀を始める」

召喚士がオーブを掲げながら言うとルフ男とルフ子が恭しく礼をする。それはこれから来る女神を崇拝している様子であった。

特殊な召喚石盤を起動し、オーブを捧げる。

巻き起こる砂煙、浮かび上がるシルエット。

 「我が名はフェルディナント・フォン・エェェェ」

発言の途中で召喚されてしまったF・F・Eくんは秘伝書にされてしまった。

 「召喚士、何をやっているの?」

 「すまない、設定がミスってしまったようだ」

 「女神様は許してくれるだろうけど、これは不敬だよ」

 「うむ、理解している。今日から女神に対する貢物を増やすとしよう」

本人が聞いていれば必死に(他人から見れば超弱々)拒否しようとするだろうが、残念ながら女神はまだ降臨されていないのでどうしようもない。

たとえいたところでこの狂信者達は止まらないだろうが。

そして改めて特殊な召喚石盤を起動して、オーブを捧げる。

巻き起こる土煙、浮かび上がる三人の子供のシルエット。

 「私はマケドニアのパオラ。こちらは妹のカチュア、それにエストです。何かご用でしょうか?」

 「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」

 「「「きゃあ」」」

愛らしい女神の降臨に一瞬にして信仰メーターが振り切れる三軍師。そしてその姿にドン引きするマケドニアのペガサス三姉妹。

しかし、長女としての思いからパオラがおずおずと三軍師に声をかけてくる。

 「あ、あの……あなたがたは……?」

 「我々は女神様の忠実な下僕」

 「ご命令いただければなんでもご用意させていただきます」

 「是非ご命令を」

上から順番に召喚士、ルフ子、ルフ男である。その言葉に困惑するしかないパオラ。なにせ大人である三軍師が恭しくパオラ達に向かって跪いている。

それに反応したのは純粋なエストだ。エストは不思議そうに首を傾げながら口を開く。

 「パオラねえさまはめがみさまなの?」

 「その通りでございます、エスト様」

 「わぁ! パオラねえさますごぉい!」

 「こら! エスト!」

きゃっきゃっと純粋に喜ぶエストと、エストを抱っこしながら嗜めるカチュア。

 「召喚士さん!!」

そしてそこにやってくる女神(大人)。ここに入れるのは三軍師を除けば女神本人だけである。

ちなみに女神様。きちんと女神の服装をしている。どうやら信者との謁見の儀を終えて慌ててやってきたらしい。

だが、すでに召喚された女神(ロリ)をみて遅かったかと言った表情をしている。

 「おぉ……女神様(大人)と女神様(ロリ)が揃っていらっしゃる……」

 「素晴らしい素晴らしい……」

 「このお二人を見れば不信心な輩もきっと女神様を信仰することでしょう……」

そして涙を流しながら喜んでいる三軍師。

 「……大人になった私?」

そして大人になった自分を見て混乱をしている女神(ロリ)。そしてやはり幼いというのは空気が読めない。

 「わぁぁ! おとなになったパオラねえさまおっぱいおっきぃ!!」

 「エスト!?」

その言葉に慌てて自分の胸を隠す女神(大人)、顔を真っ赤にして俯く女神(ロリ)、顔を赤くしながらエストを注意するカチュア。

 「エスト様、女神様の胸は優しさが詰まっているのです」

 「召喚士さん!?」

 「だからパオラねえさまはやさしいんだぁ!!」

カチュアの腕の中で喜ぶエスト。

そして呆れたようにため息を吐くパオラ。

 「召喚してしまったのなら仕方ありませんね。ですが今度から私を召喚する時は私に声をかけてください」

 「「「かしこまりました」」」

 「私を召喚する……?」

女神(大人)の言葉に恭しく礼をする三軍師。そして発言の中に意味不明な言葉があることに気づいた女神(ロリ)

 「それじゃあ、子供の私。ついてきてください。部屋に案内しますから」

 「あ、はい。ですがカチュアとエストも一緒の部屋で」

 「ええ、わかっていますよ」

女神(大人)は微笑みながら答えると女神(ロリ)は嬉しそうにする。その尊い光景を見て三軍師の鼻から信仰心が溢れてしまっている。

そしてルフ男が慌てた様子で信仰心を拭った。

 「女神様、少々お待ちを」

 「はい?」

 「ルフ子、例のものを」

ルフ男の言葉にルフ子は豪華だが下品ではない装飾がしてある衣装箱を恭しく差し出す。

そして代表して召喚士が口を開いた。

 「こちら女神様(ロリ)とカチュア様(ロリ)、エスト様(ロリ)の衣装になっております」

召喚士の言葉に女神(大人)は頬を引きつらせる。

 「召喚士さん、まさか?」

女神(大人)の言葉に三軍師は恭しく頭を下げる。

 「「「どうかその神々しいお姿を信者達にお見せくださいませ」」」

 




パオラ(ロリ)
妹達と一緒にやってきた女神様(ロリ)。召喚された途端に女神扱いで困惑する。オーブ40個でやってきてくれるなんて女神様はロリっても女神なんやなって

パオラ(大人)
自分の幼少期の召喚を阻止しようとしていたが毎日の謁見の儀式の隙をついて召喚されてしまった。

三軍師
狂信者

ラクチェを除く三軍師の子供達
いつもより謁見の儀を長引かせて時間を稼いでいた



ヒャッホー! 今回は降臨できないと覚悟していたけど無事に女神がご降臨されました!! 無課金で来てくれるなんてやっぱり女神様やな、て
そして作者初の比翼英雄が女神様なのは何か運命を感じてしまうな。

それと流石に大人とロリは別キャラ扱いです。大人とロリを同一キャラ扱いするのは流石に無理です。いや、召喚士とラクチェとパントは自在に姿変えそうですけど

それとロリミネルバネタもありますので、次回はロリミネルバネタになると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とロリルバ

ロリミネルバを見た瞬間にこのネタにするしかないと思いました


 「ミネルバ様、こちらです」

 「う、うむ」

礼儀正しくロリミネルバ(略してロリルバ)を案内する女神(ロリ)。仲良く手を繋いでいるところとかとても微笑ましくてフィヨルムも思わず笑みが溢れてしまう。

ロリルバが加入する過程でミシェイル(敵)がイドゥンとナギによって残虐に殺害された事件が発生したが、概ねいつも通りである。ミシェイル(敵)の亡骸をみてロリルバのトラウマになったのも概ねいつも通りである。

 「ミネルバァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」

 「あ、ミシェイル様です」

 「え?」

戦禍の連戦の前にミシェイル(敵)に言われたことを思い出して不安になるロリルバ。

フィヨルムは一瞬だけロリルバを庇った方がいいかとも思ったが、それは杞憂に終わる。

 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! ロリミネルバァァァァァァァァ!!!!!! あぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ダメダメダメダメ可愛いすぎるぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!! あぁぁぁぁぁぁぁロリミネルバァァァァァァアッァァァ!!!!!!」

 「え、えぇ……」

そして最初とは別の意味で不安そうになるロリルバ。そんなロリルバの反応を無視して鼻から愛を撒き散らしながら頭をブンブンと振りまくるミシェイル(シスコン)。

 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!! ロリミネルバが可愛いすぎるぅぅぅぅぅぅ!!!! 語彙力死んじゃうぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 「ぱ、パオラ」

 「だ、大丈夫です! 私がお守りします!!」

完全にキャラが崩壊しているミシェイルを怖がるロリルバは女神(ロリ)に助けを求めている。そして胸の前で小さな手を握ってふんすとやる気を見せる女神(ロリ)。ロリ主従がすでに出来上がっていた。

 「パ、パオラ。本当に幼い私と会うのか?」

 「ミネルバ様も楽しみにされていたじゃないですか」

 「だ、だが……幼い私となると……その……兄上が……」

 「き、きっと大丈夫ですよ……あ、ミネルバ様、少々お待ちください」

女神(大人)はミシェイル(シスコン)の狂態に気づくと、ミネルバ(大人)に目を瞑らせるとミシェイルを殴り倒してゴミ箱に放り込んでいる。とても主君の兄にやる行動ではないが、女神(大人)の中ではミネルバ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>(超えられない壁)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ミシェイルなので仕方ない。

そして対面するミネルバ(大人)とロリルバ。するとロリルバの顔がぱああっと明るくなった。

 「母上!」

ヴァイス・ブレイブの空気が死んだ。なにせ普段から『他人? どうでもいいよ』を地で行くイドゥンとナギも驚いている。

ロリルバに抱きつかれてフリーズしている主君の代わりに女神(大人)が視線をロリルバに合わせながら優しく問いかける。

 「ミネルバ様、少々よろしいでしょうか」

 「う、うむ! 貴殿は大人になったパオラか」

 「はい」

女神(大人)の優しそうな表情に緊張が和らぐロリルバ。

 「ミネルバ様がお母様なのですか?」

 「うむ! このお姿は間違いなくミネルバ母上だ。なぁパオラ」

 「はい」

優しく微笑みながら頷く女神(ロリ)。その言葉に流石の女神(大人)の表情が曇る。

 「ミネルバ様とお名前が一緒のようですが?」

 「最初は違う名前だったのだが、母上と同じ名前がいいと言ったら父上が許可してくれてな」

自慢そうに言うロリルバ。

 「お、ロリルバが無事に来たか」

 「来て速攻でロリルバとか言う渾名がつけられていることに哀れみの涙を禁じ得ないね」

 「摩訶不思議ワールドにようこそって感じだな」

そしてやってくる三馬鹿。

 「それで何かあったのでしょうか、女神様」

 「召喚士さん……! やめてください……!」

速攻で女神(大人)の前で跪く召喚士。それを必死に止めようとする女神(大人)

だがカオスは加速する。

 「父上!」

 「くたばれバカ二人!!」

ロリルバが召喚士のことを父呼びした瞬間に駆け出したエリウッドとヘクトルに絶無の書を叩き込んで殺害する召喚士。完全に手慣れている。

そして召喚士の右手とミネルバの左手を掴むロリルバ。

 「ここには父上と母上がいるのか! いいところだな!」

とても嬉しそうにしているロリルバ。ロリルバが自分と召喚士の子供だと言うことをようやく理解して顔を真っ赤にするミネルバ。そして頭痛を抑えるように片手で頭を抑えている召喚士。

 「どういうことだ、ラクチェ」

 「はぁぁぁはっはっはぁぁぁぁ!!! 流石はパパ!! この問題の鍵が誰か理解してますね!!!!」

そして爆発音とともに現れるラクチェ。腕を組んでガイナ立ちまでしている。

 「久しぶりですね、ロリルバさん」

 「おお! ラクチェか!!」

 「待てラクチェ。ロリルバってまさか……?」

召喚士の言葉にサムズアップするラクチェ。

 「ロリルバちゃんもファイアーエムブレム・ユニヴァース出身ですよ!!」

 「まさかのトンチキ空間出身か!?」

 「んま! トンチキ空間とは失礼ですね!! これは口が滑ってパパとミネルバさんは大恋愛の末に結婚したと言うことを言っちゃいそうですねぇ!!」

 「思いっきり言ってるじゃねぇか!!」

 「うん? うん? そんなこと言っていいんですかねぇ!! このことをヴァイス・ブレイブ中にバラすこともできますけどぉぉぉぉぉ?」

そして完全に有利な立場を利用して召喚士をクソ煽りをするラクチェ。

 「父上と母上はいつも仲良しだった! 私も将来こんな相手が欲しいと思った!!」

そして両親のことを自慢するロリルバ。母と呼ばれたミネルバの顔の色が真っ赤でやばいことになっている。

 「……ミネルバ様、ひょっとして満更でもないのでは?」

そして女神(大人)の言葉がとどめになって真っ赤になった顔を隠しながら走り去るミネルバ。

 「あ、母上!!」

 「ミネルバ様! お待ちを!!」

そしてミネルバを追いかけていくロリルバと、ロリルバを追いかける女神(ロリ)。無言の空間が広がる。

 「……今は避妊をきちんとしてくださいね?」

 「女神様!?」

どこかズレたツッコミをする女神(大人)と愕然とする召喚士。

 「女神様!! 誤解なのです!!」

 「誤解? ミネルバ様のことをもてあそんだということでしょうか?」

 「お待ちください!! そもそもの前提が間違いなのです!!」

 「きちんと認知はしてくださいね」

それだけ言ってミネルバを追って歩き去る女神(大人)。膝から崩れ落ちる召喚士。その姿には悲しみが満ちていた。

 (あれ? 私は何を見せられているのでしょうか)

フィヨルムの考えの答えをくれる人はいない。

 




ミネルバ(ロリ)
まさかのファイアーエムブレム・ユニヴァースからの刺客第二弾。父親は召喚士、母親はミネルバ。最初、名前は違ったが母親に憧れて同じ名前を名乗る。通称・ロリルバ

ミネルバ(大人)
まさかの子供発生。しかも悪く思っていなかった召喚士との子供で羞恥心がブレイク

女神(ロリ)
ロリルバに仕える忠実な騎士。ちなみに彼女もファイアーエムブレム・ユニヴァース出身。

女神(大人)
主君に子供がいることがちょっと嬉しい。なんとしてでも召喚士に認知させようとする

フィヨルム
完全に巻き込まれ事故。ちなみにイドゥンとナギは途中で飽きて勝手に戦禍の連戦に行った

ミシェイル
イケメン要素はなくなった




戦禍の連戦は明日からだと思っていた作者です。まさかの今日からで連日書くことになりました。ネタは決まっていたからいいんですけどね。

そして召喚士の実子登場!! 今度はミネルバ様との子供やで!! ラクチェ曰く大恋愛の末の子供だそうです!! 自分で書いておいてなんですが、召喚士が恋愛をしている姿が想像つきません。

え? ミシェイル? 原作通りですよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と闇の祝福

久しぶりに二次創作を書いてみたらだいぶ感覚が鈍ってました

ちょっといつもの勢いがないかもしれません


 「父上!」

 「おっと」

俺を父上と呼ぶのはヴァイス・ブレイブに英雄多しと言えどもブルーニャとロリルバの二人である。

だが勢いよく呼んでくるのはロリルバである。修練の塔から帰ってきたロリルバは元気よく俺に飛びついてくる。

 「アルテナもお疲れさん。ロリルバの世話は大変だったろ」

 「いえ、とてもいい子でしたよ」

一緒に帰ってきたのはSP稼ぎ中のアルテナである。再行動要員として連れて行かせたイシュタル(舞踏祭)とリアーネは別の面々を連れて修練の塔に戻ったのだろう。

 「二人ともSPは稼ぎ終わったか?」

 「父上! 私は終わりました!」

 「そうか、お疲れさん」

俺が頭を撫でてやると嬉しそうな表情になるロリルバ。

 「アルテナはまだか。真面目なアルテナの方が早く終わると思ったんだけどな」

 「すいません……」

 「いや、責めちゃいないが」

何よりアルテナを責めるとモンペが五月蝿い。割と本気で申し訳なさそうな表情のアルテナに数少ない俺の良心が痛む。不思議なものだ。

 「父上! 父上!」

 「はいはい」

 「アルテナ殿にも闇の祝福をお渡ししたらどうですか!」

闇の祝福。それはロリルバが『父上とお揃いの祝福がいいです!』と言った結果、ロリルバに付けられた祝福である。そしてロリルバは闇の祝福を『姉妹の証にしましょう!』ということでインバースとブルーニャにも闇の祝福が渡され、本当に俺の子供の証明みたいになっている。

 「でも闇落ちカム子ちゃんも闇の祝福だよね」

 「どこから来たパント」

どこからともなく現れた天才クソイケメン。

 「うちのリグレ一家も祝福統一したいところだね」

 「その前にクレインとクラリーネは星5にしないといけないけどな」

 「? 父上、何のお話ですか?」

 「ロリルバにはまだ早いな」

俺の言葉に不満そうな表情になるロリルバ。子供扱いに不満を覚えるお年頃なのだ。

 「ああ、そっか。アルテナには祝福をつけてなかったな。だからSP稼ぎに差が出たのか」

 「まぁ、私達のヴァイス・ブレイブには割と祝福つけてない英雄が多いしね」

 「祝福には限りがあるからな」

 「クソみたいに在庫はあるけど?」

 「さて、アルテナにつける祝福だったな」

 「逃げたね」

ちょっとパントの言っていることは理解できませんね。というか祝福は限られた資源なのだから使う英雄は選抜しなければならない。つまり祝福をつけていない英雄がたくさんいてもセーフ。俺は悪くない。

 「父上! 父上! アルテナ殿にも闇の祝福を!」

 「はいはい」

ロリルバにローブを引っ張られ、俺は闇の祝福を取り出す。

 「ほい」

そしてアルテナに差し出した。アルテナは顔を真っ赤にしながら闇の祝福を受け取る。

何故顔を赤らめる。

 「しょ、召喚士殿……」

 「? なんだ?」

そしてアルテナは闇の祝福を大事そうに抱きしめ、顔を赤らめながら口を開く。

 「こ、これはプロポーズなのでしょうか!?」

 「……は?」

呆気にとられる俺。面白くなったと速攻で姿を消すパント。不思議そうに首を傾げるロリルバ。

 「や、闇の祝福は召喚士殿の家族の証! それを私に渡してくるのは、か、か、家族になって欲しいということではないですか!」

 「その発想はおかしい」

 「し、しかし! リン殿やフィオーラ殿、アイラ殿、ミネルバ殿を差し置いて私が召喚士殿の奥方になることは……! いえ! 決して嫌と言っているわけではないのです! ですがやはりプロポーズをしていただくのならばもうちょっと雰囲気とか大事にして欲しいと言いますか!」

 「お前は何を言っているんだ」

 「私は確かに恋人はいませんが心に決めた者が! いえアリオーンはどちらかと言えば兄として慕っているので問題はないのですが!」

 「お前は何を言っているんだ」

 「と、とりあえず母上に相談してきます!!」

大事そうに闇の祝福を抱え、顔を真っ赤にしながら走り去るアルテナ。それを呆然と見送る俺。何があったかよくわかっておらず不思議そうに首を傾げるロリルバ。

 「ラクチェ」

 「はぁぁぁはっはっはっは! 流石はパパ!! 私がバッチリ見ていることもお見通しですね!! それはそれとしてラクチェちゃんの祝福は未だに風のままなのはどういうことですか!!」

 「お前は認知していないからな」

 「んま!! なんて失礼なパパなんでしょう!! ですができた子であるラクチェちゃんは『パパがアルテナさんにプロポーズした』という噂を流すだけで許してあげます!!」

 「俺を殺す気かぁ!!」

 「あ、もう手遅れですね!! パントさんが情報をばら撒いています!!」

 「あのクソイケメン!!」

何故俺の知り合いはクズばっかりなのだ。

 「ところでパパ」

 「パパ呼びやめい。なんだ?」

 「今回の出来事でフラグが立ちましたよ」

 「……何の話?」

俺の言葉にラクチェがすごくイイ笑顔を浮かべる。

 「そりゃあもうアルテナさんによる『禁断の校長ルート』突入ですよ!! これにはファイアーエムブレム・ユニヴァースにいるパパとアルテナさんのお子さんも大喜び!!」

 「ツッコミどころ満載の発言をするなぁ!!」

 「ラクチェ姉上、『るーと』とは何ですか」

 「興味を持つんじゃないロリルバ!! 非常識になるぞ!!」

 「んま!! なんて失礼な外道なんでしょう!! いいですよロリルバちゃん。ラクチェお姉ちゃんが丁寧に教えてあげます。あとここにいるとパパの処刑に巻き込まれるので逃げるのが吉です!!」

ラクチェの言葉に俺の背筋が凍る。

 (このプレッシャー!! 間違いない!!)

振り向いたところにいたのは目を光らせているリンとフィオーラ。

 「召喚士、百歩譲ってフィオーラだったら認めるのによりにもよってアルテナってどういうこと?」

 「そうです召喚士さん。百歩譲ってリンさんだったら共有財産にしましょうという提案をするのに、何故アルテナさんなんですか?」

 (逃げ、無理、死!!)

しかし、神は俺を見捨てないのだ!!

 「召喚士さん!!」

 「パオラ様!!」

そう女神様の登場である。俺は速攻でパオラ様に土下座する。

 「お助けくださいパオラ様!! 臣は覚えのない罪を被せられているのです!!」

俺の言葉にパオラ様は優しく微笑みながら手を取ってくれる。

おぉ、これこそ慈愛の女神パオラ様……

 「召喚士さん、その迷いを救う方法があります」

 「本当ですか!!」

 「はい、ミネルバ様に闇の祝福をお渡しするのです」

 「「なぁ!?」」

パオラ様の言葉に驚愕している不信心者がいるようだが俺は気にならない。

だってこれはパオラ様の神託だから……!!

 「わかりました!! 不肖、この召喚士!! ミネルバに闇の祝福を渡してきます!!」

 「「させない!!」」

駆け出す俺を止めようとしたリンとフィオーラはブーケのステッキを持った女神様に阻まれる。やはり女神様のいうことを聞くと邪魔する者はいなくなる。

明日から礼拝の時間を増やすとしよう。

 




アルテナ
完全に勘違いしたお姉ちゃん。このあとモンペの母親に相談しに行った結果、モンペが召喚士のところに怒鳴りこんできた。

ロリルバ
闇の祝福は家族の証!(満面の笑み

リン&フィオーラ
まさかの伏兵にマジギレ

パオラ様
主君の幸せのためにえんやこら

ミネルバ
突然召喚士に闇の祝福を渡されて困惑





そんなわけで何気なくアルテナに闇の祝福をつけた後に、召喚士チルドレンを闇の祝福で統一したらできたお話です。子供の証のはずなのにプロポーズと勘違いするアルテナさんマジ乙女。ちなみにリン、フィオーラ、アイラは風です。ミネルバ様は今回のお話で闇になりました。

ちなみに他の闇の祝福持ちは闇落ちカム子です。今度この設定が生きるかは不明。

伝承エーデルガルド欲しいなぁと思って深追いしたら伝承セリカが二人やってきました。まぁ、伝承キャラは使うからいいけどね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とアシュナード

ようこそ実力至上主義陛下

とりあえずあなたには地獄を見てもらう


 「召喚士いる?」

能天気な声を出してやってきたのは『別の意味で出身世界者を絶望に落とすラスボス』として定評のあるギムレーである。

 「おう、どうした」

 「お、いたいた。いやぁ、最近あいつが実装されたでしょ?」

 「あいつ?」

ギムレーは珍しく心底嫌そうな表情になるギムレー。

 「アシュナード」

 「あ〜、うんまぁ実装されたな」

俺の言葉にものすごく嫌そうな表情になるギムレー。

 「いや、アシュナードはFEラスボス同盟でも割と嫌われているけどさ、めんどくさいことに無視すると不貞腐れるんだよね。だから一応……本当は嫌だけど本当にい・ち・お・う! 挨拶に来たんだけど」

 「あ〜、アシュナードねぇ。うん、いや、確かに来たんだけどさ」

 「え、なにその歯切れの悪い反応」

なんというか、来たには来たんだが。

 「『その生意気な反応は教育が必要ですね』ってお姉ちゃんが連行していったんだよね」

俺の言葉にギムレーは心配そうな表情になる。

 「それってやばくない?」

 「え? それってどっちが?」

 「いや、ナギさん。アシュナード人間だけど、あれ人間やめている強さだよ?」

 「連れて行ったのはこのヴァイス・ブレイブでも屈指の実力者のお姉ちゃんだぞ?」

 「アシュナードは生きていられるのか……!!」

お姉ちゃんの強さを思い出したのか戦慄しているギムレー。うちの何が問題ってインフレ起こしそうな強キャラが来てもそれを余裕で超えているバグが跳梁跋扈していることだよな。

 「あと何が問題って興味を持ったユンヌとイドゥンもついて行っちゃったんだよなぁ。イドゥンに至っては『人類が到達した武。ふふふ、昂ぶってまいりました』とか言っていたし」

 「無事でいてくれアシュナード……!!」

我がヴァイス・ブレイブのデス・トライアングルに囲まれたアシュナードは果たして無事でいられるだろうか。

 「そこでギムレー、ちょっと相談なんだが」

 「我に? なになに?」

俺の部屋の椅子に座ってきたギムレーに真剣な表情で告げる。

 「アシュナードの聖杯召喚いつになると思う?」

 「まだだ! まだアシュナードは送還(殺された)わけじゃない!!」

いや、どう考えてもアシュナードはグッバイしたと思う。

 「弟くん、いますか?」

 「お姉ちゃん」

そして俺の部屋に入ってきたのはお姉ちゃん。返り血は……ついていない。

 「……あれ? マムクートのナギさんの弟が人間の召喚士?」

 「? 何かおかしいか……いや、待て。確かにおかしい。俺に姉はいなかったたたたたたたた!!!!!」

ミョンミョンミョンミョン(手から謎の電波を出して召喚士に当てているナギ)

 「いや、お姉ちゃんはお姉ちゃんだよな。そうだよねお姉ちゃん」

 「ええ、私は弟くんのお姉ちゃんですよ」

 「えぇ……対魔力クソ高い召喚士洗脳するとかナギさんマジで何者なの?」

余計なことを言ったギムレーはお姉ちゃんの延髄蹴りが叩き込まれる。

 「我じゃなかったら即死だった」

 「曲がっちゃいけない角度に首が曲がっているぞ」

 「おっと、紳士としてはしたなかったね」

そう言いながらギムレーは曲がっちゃいけない方向に曲がっていた首を自力で治す。

 「それでお姉ちゃん、アシュナードは?」

 「ああ、はい。どうぞ入ってきてください」

お姉ちゃんの言葉にアシュナードが入ってくる。鍛え抜かれた体躯を持つアシュナードは入室すると、後ろで手を組み少し体を仰け反らせながら大きく口を開く。

 「押忍! 第13代デイン国王アシュナードであります!! これからご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします!!」

 「「待って待って待って待って」」

 「押忍!! 待ちます!!」

とりあえずいうことを聞いてくれたのでお姉ちゃんを集合である。

 「お姉ちゃん何をやったの?」

 「あのアシュナードが体育会系後輩みたいになっているんだけど」

 「そんなにおかしなことはしていませんよ」

そしてお姉ちゃんは優しい微笑みをたたえたまま口を開く。

 「徹底的に反抗心や反骨心を叩き折ってあげただけです」

 「やばい、やばいよ召喚士。遊戯王の闇のゲームが甘ったれなくらいの地獄が繰り広げられたみたいだよ」

 「というかよく生きていたなアシュナード。お姉ちゃんとユンヌとイドゥンだぞ? ミンチよりひどいことになっていることも覚悟していたんだが」

俺の言葉にお姉ちゃんは頷く。

 「ええ、人間のくせにちょっと強めに殴っても壊れなかったので、私達もちょっと興が乗ってしまい、少し本気になってしまいました」

 「ねぇ、召喚士。我はこの場合『アシュナードが死ななかったこと』に驚けばいい? それとも『強さの底を見せない三人』に恐怖すればいい?」

 「両方じゃないか」

いや、マジで三人のシゴキを受けても生きていられるアシュナードって実はすごいんじゃなかろうか。

 「あ〜、アシュナード。ヴァイス・ブレイブがどういう組織か理解しているか?」

俺の言葉に先ほどから体勢を全く変えないアシュナードが再び大きく叫ぶ。

 「押忍!! よくわからない敵をぶちのめす組織だとナギ教官にお聞きしております!!」

 「うん、まぁ間違ってはいないな。飛行剣で物理壁できるやついなかったから歓迎するぞ」

 「押忍!! では不躾ながらお願いしてもよろしいでしょうか!!」

 「なんだ?」

 「押忍!! スキルで金剛の反撃・遠距離と切り返しが欲しいであります!!」

 「そんな高級スキルは余ってねぇ」

 




アシュナード
召喚早々にナギによって人格改造を施されたデイン国王。人格改造後は体育会系後輩的なノリになっている。だが強さを求めるという根本的なところは変わっていない

ナギ
自称・姉。やってきたアシュナードが生意気だったのでユンヌとイドゥンと一緒にヤキを入れた

ギムレー
アシュナードの性格を変えたナギに恐怖した

召喚士
「お姉ちゃん…? 俺に姉はいないアバババババババババババババ!! お姉ちゃん最高!!」



そんな感じでアシュナード編でした。やってきて早々に我がヴァイス・ブレイブでも屈指のやばい人達に目をつけられたアシュナード陛下。なんということでしょう、匠の技によって性格改変が行われてしまいました

闇落ちガチャがきましたねぇ。作者は闇落ちユリアが欲しかったのでガチャったところユアン(すり抜け)レテ(すり抜け)闇落ちカムイ、闇落ちアイクがやってきました。とりあえずキャラ的に使いづらい闇落ちアイクは回避をリンちゃんに没収。これでリンちゃんは完成かなぁ。
後10回くらいで天井なので課金しようか迷っています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と二人のユリア

「天井なんてそうそういかないだろ」と高をくくっていたら無事に天井を迎えました


俺の部屋に二人の英雄がいる。その二人は鏡で向かい合っているかのように全く同じ姿をしている。

片方は伝承ユリア。竜を殺すことに全てをかける魔法少女。

もう片方は闇落ちユリア。ガチャの闇である天井でやってきた魔法少女である。

伝承ユリア(以降光ユリア)が口を開く。

 「闇落ちしても私は私。わかってくれると思ったんですが……」

対して闇落ちユリア(以降闇ユリア)も口を開く。

 「コチラノセリフデス……マサカ光ノ私ガココマデ分カラズ屋ダッタトワ……」

お互いに表情は悲しげだ。自分の言い分こそが正しいと信じている。

二人のどちらに正義があるか。それは人によって違うだろう。

光ユリアは力強く机を叩く。

 「竜は殺すべき存在! 邪悪なる存在です!」

それに対して闇ユリアも力強く机を叩く。

 「竜モ心ヲ持ッテイマス! 共存デキルハズ!!」

片や『竜は滅ぼすべき存在』と言い張る光ユリア。それに対し『竜と共存は可能』と訴える闇ユリア。

とりあえず俺が言うべきことは

 「お前ら光と闇間違ってない?」

 「「?」」

 「本気で不思議そうな顔だと……!?」

どう考えても共存を訴えるのが光であるべきだろう。それが何故逆転するんだ。

 「もう! 召喚士さんもちゃんと考えてください!!」

 「ソウデス! セリス兄様ハ頭痛ガスルと言ッテ聞イテクダサラナイノデス!!」

そしてすでにセリスはこの頭のおかしい論争に巻き込まれ済みであったらしい。このヴァイス・ブレイブで数少ない真面目な性格の持ち主だから真剣に悩んであげたのだろう。哀れなことである。

 「いいですか、召喚士さん」

そして滔々と光ユリアが語り始める

 「竜という存在は人より何十倍……いえ、何百倍。強い個体になれば何千倍も強くなります。その強さは人類の脅威となります。人類が生きるためには竜を滅ぼすしかないのです。そして竜を殺すことこそが私の使命!!」

 『フハハハハ! 楽しい! 楽しいですよオルティナ!! 人の身でありながらこの強さ!! やはり人類の可能性を信じた私は間違っていなかった!!』

外でテンション爆上がりしているイドゥンの声を聞くと光ユリアの言うことも正しい気がする。

そして反論するように闇ユリアが口を開く。

 「イイエ! ソレハ違イマス!! 光ノ私!! 竜ニハ心ガアリマス!! 人ト同ジク心ガアルノデス!! 心ガアッテ、言葉ガ通ジル!! ソレナラバ人ト竜ハワカリアウコトガデキルノデス!!」

 『この邪竜がぁぁぁぁ!! ユンヌと同じく貴様も私とブレンの仲を邪魔するのかぁぁぁぁぁぁ!!!!』

そしてイドゥンと同等に戦う(自称)人類筆頭兼俺の妻オルティナ。

人(オルティナ)に言葉が通じる……?

 「いや、人も話は通じない奴が多いだろう」

 「やれやれ、召喚士さん。私達が言っているのは一般的なことです」

 「ソノ通リデス。ココノ特殊ナ状況デハナク、モット世間一般的ナコトデス」

 「お前らも十分にキワモノだからな」

 「「?」」

本当に不思議そうに首を傾げるユリにゃん’s。こいつらもそうだがうちには頭がおかしいのにそれを自覚していない英雄が多すぎる。烈火なんて『自分以外はみんな頭おかしい』っていうのが共通認識だからな。自分だけマトモとかありえないから。

 「では視点を変えましょう」

そう言いながら光ユリにゃんは何やら取り出す。

 「このヴァイス・ブレイブの問題竜達です」

心当たりが多すぎる……!!

 「まず筆頭はイドゥンですね。彼女はもう語る必要もないくらい邪悪です。あれを生かしておいたら人類の脅威です。私の聖書ナーガが通じたら殺してやるのに……!!」

悔しそうに唇を噛み締める光ユリにゃん。どうやら素手で聖書ナーガを破られたことが死ぬほど悔しいらしい。

 「次にナギ」

 「? お姉ちゃん? お姉ちゃんは問題ないだろう」

 「そこがすでに問題なのです!!」

こいつは何を言っているのだろうか。

 「いいですか!! 奴はあろうことか召喚士さんを洗脳しているんです!! そしてあのふざけた戦闘力!! 気分次第で暴れる姿はもはや災害と言っても過言ではありません!!」

 「洗脳……お姉ちゃんが洗脳なんてするわけないだろう。何を言っているんだ光ユリにゃん」

 「ク!? ここまで洗脳が進んでいるとは……!! ですがいつか私があの邪竜の呪縛から解き放ってあげます!!」

全く光ユリにゃんは何を言っているんだ。お姉ちゃんが俺のお姉ちゃんなのは自明の理だというのに。

 「そして最後はギムレー!! こいつに関してはもう語る必要もないですね!!」

 「そうだな。奴は殺さないといけない存在だ」

 「召喚士さんから許可が出たので後でギムレーには聖書ナーガを叩き込んできます!!」

さらっとギムレーに死刑宣言がされた気がするが……まぁ、いいか。ギムレーだし。

光ユリにゃんの言葉を聞きながら闇ユリにゃんは一回頷く。

 「人ト竜ハワカリアエル。ソノ証明ガココニハ存在シテイマス」

 「は、お笑い種ですね」

 「マズロリマムクート達」

 「な!?」

しまったという表情になる光ユリにゃん。闇ユリにゃんは勝ち誇ったような表情になる。

 「彼女達ハ純粋無垢ナ存在。破壊ヲ知ラズ、人ヲ信ジル存在デス」

 「それは彼女達がまだ幼いから……!! 成長すれば竜は変わってしまう!!」

 「それは人も同じだよな」

俺の発言は綺麗にスルーされた。

 「ソレナラバカムイ一家」

 「ク!?」

闇ユリにゃんの追撃は進む。

 「カムイサン達ハ闇落チシテモ、ソノ純粋サユエに闇ニ飲ミ込マレルコトハナカッタ」

闇ユリにゃんの言葉に光ユリにゃんはたじろぐ。

 「ソシテ大人チキサンとニニアンサン。彼女達モ成長シナガラモ人ト共存シテイマス。ドウデスカ、光ノ私。彼女達ヲ見レバ竜ガ人ヲ害スルナドアリエマセン。ムシロ共存デキル!!」

 「それはない!! 竜は人にとって危険な存在です!!」

 「ナラバ誰ヲ持ッテソレヲ証明シテミセマスカ!!」

闇ユリにゃんの言葉に光ユリにゃんは一度目を瞑り、大きく息を吸う。

そしてカッと目を見開いた。

 「ミルラ!!」

 「グッハァァァァ!!!!」

光ユリにゃんの言葉に椅子から吹っ飛ぶ闇ユリにゃん。

まぁ、確かに奴はエイリークを中心に色々迷惑をかけているし、扱い的にはギムレーと似たようなものだが。

 「ク、デ、デスガ……ソレデモ人ト竜ハ通ジ合エルノデス!!」

 「いいでしょう!! ならば召喚士さんに決めてもらいましょう!! 竜を滅ぼすべきか!! それとも共存すべきか!!」

光ユリにゃんの言葉に二人が俺を見てくる。

 「いや、別にどっちでもいいだろう。人と同じで竜だっていい奴も悪い奴もいるってことで」

 「かぁぁぁぁぁ!! どっちつかずとか一番最低ですよ、このフニャチン野郎!!」

 「ソンナノダカラ貴方ハ未ダニ童貞ナンデスヨ!!」

 「よぉし! お前らそこに並べ!! 絶無の書で殺してやるから!!」

 




光ユリにゃん
竜絶滅派筆頭

闇ユリにゃん
闇落ちユリア。竜と人が共存可能だと信じる夢見る少女。

セリスくん
まさかの妹増殖からの胃痛の種増大

イドゥンとオルティナの戦い
竜代表VS人類代表。一般人からしたらどっちも化け物



闇落ちガチャで闇ユリにゃんが欲しくて回したら天井に届いた作者は今日も元気です。ちなみに闇落ちユリにゃんを迎えるまでに闇落ちキャラは全員お迎えし、すり抜けでユアンくんとリシテアちゃんもやってきました。リシテアちゃんもネタはあるのでそのうち書くかもしれません。

ネタ的に使いづらい闇落ちアイクを容赦なくスキル継承に使った結果、リンちゃんがついに回避を獲得しました。速さも50あるのでダメージ少なく、奥義は天空なので回復可能。闘技場と飛空城で試運転しましたが強くていい感じ。

初期キャラもここまで弄ると使えますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と異世界の召喚士

異世界の召喚士ってどんなだろうと想像してできた回


 「異世界の召喚士ってどんな感じなんだろうな」

俺の部屋で久しぶりにヘクトルとエリウッドと一緒にだらけていたら、ふとヘクトルが呟いた。

ロイの写真の整理をしていたエリウッドも顔を上げて首を傾げる。

 「そういえばそうだね。まぁどこの世界でもキチガイなのは間違いないけど」

 「貴様喧嘩を売っているな?」

俺とエリウッドのガンのくれあいが発生したが、概ねいつも通りである。

 「でもよ、サーナイトとキュウコンには慕われているじゃねぇか」

その言葉に俺達の視線が二匹のポケモンに向かう。

家事をしているサーナイトと、窓辺で日向ぼっこをしているキュウコンである。ポケモン世界の俺の手持ちらしく、ポケモン世界にお邪魔したラクチェが死に際の俺から預かってきたサーナイト。そして数日サーナイトが姿を消したと思ったら今度はキュウコンを連れてきた。テレパシーでサーナイトが言うにはキュウコンも俺の手持ちらしい。

俺達の視線に気づいたのかサーナイトは恭しくお辞儀をしてきた。

なんとなく俺達はそれに頭を下げながらスクラムを組む。

 「召喚士、俺未だにあのサーナイトがイドゥン達クラスとは思えないんだけど」

 「確かに。一見すると完璧なメイドだよね」

 「だがキュウコンと組んだらイドゥンやユンヌ、オルティナ、お姉ちゃん相手に正面から打ち合えていたぞ」

 「「ポケモンってすげぇ」」

多分だがポケモンがすごいんじゃなく、あの二匹が特殊なだけも気がするが。そうでないとポケモン世界が恐ろしいレベルの修羅の世界になってしまう。

 「異世界の俺ねぇ……」

サーナイトが出してくれたお茶を飲みながら考える。

 「人類を滅ぼそうとするか、その世界を混沌に叩き込むかの二択な気がするがなぁ」

 「流石はパパ! 自分のことをよく理解していますね!!」

 「「「ラクチェ」」」

そして天井裏からエントリーしてきたのは我がヴァイス・ブレイブ混沌筆頭のラクチェであった。

天井からヒラリと回転しながら降りてきながらラクチェは席に座る。

 「大道芸かよ」

 「パパの縁者だったらできて当然ですよ!!」

 「待て二人とも。俺を可笑しな者を見るような目でみるな」

ラクチェの言葉にヘクトルとエリウッドが『ああ、やっぱりこいつに関わるとおかしくなるのか』と言った視線を向けてきている。

 「それで異世界のパパですが」

そして懐から一冊の手帳を取り出す。

 「え〜と、まずはコードギアスの世界のパパですね」

 「コードギアスにお前とかろくなことにならそうだな」

 「黙れヘクトル」

ヘクトルの茶化しに俺は突っ込む。

 「簡潔に言うとその世界をパパは滅ぼそうとしました!」

 「君のその『あ、今回のルートは人類滅ぼすか』ってノリどうにかならない?」

 「割と自覚している」

エリウッドの言葉に俺も頷く。異世界の俺も色々あると思うが、最終的にその世界の主人公格に協力するか敵対して人類滅亡ルートのどちらかである。

 「惜しかったんですよねぇ。ヴィレッタさんとモニカさんがもうちょっとパパの好感度を上げてくれたら主人公協力ルートに入る可能性もあったんですけど」

 「女の好感度で滅亡か共存が決まる存在」

 「それだけ聞くとこいつクズだよね」

 「黙れ、バカ二人」

 「ちなみにコードギアスの世界ではシュナイゼルはパパの愛弟子でしたが、人類を滅ぼすのは拒否してルルーシュ方につきました! そして最終的に地球に落とそうとした崩壊するデススターの中で死にました!!」

 「スナック感覚で死ぬ召喚士」

 「簡単に死にそうにないけど割とあっさりと死ぬよね、君」

 「そら、俺だって人間だからな」

 「「ハハ、ワロス」」

 「ぶち殺すぞ」

胸ぐらを掴みあう俺達三人。それを無視してラクチェは手帳のページを捲る。

 「次は銀河英雄伝説の世界のパパですね」

 「帝国か同盟か、それが問題だ」

 「待つんだ召喚士、フェザーンの可能性もあるよ」

 「地球教の可能性もあるだろ」

ラクチェの言葉に俺達三人は真剣な表情になる。俺達の言葉にラクチェはう〜んと悩む。

 「帝国兼フェザーンルートですかね」

 「どう言うこった」

俺の言葉にラクチェは説明を続ける。

 「まず銀河英雄伝説のパパはメルカッツ提督の同期で皇帝から男爵に叙されました。叙された理由も帝国だけじゃなく、フェザーン、同盟の全ての経済を握り、事実上宇宙を支配していたからです」

 「「お前はなんでそうやって支配するの?」」

 「一番血が流れないだろ?」

俺の言葉に納得するバカ二人。

 「それでまぁフリードリヒ皇帝からアンネローゼとラインハルトのミューゼル姉弟の後見役を命令されまして」

 「こいつに教育させるとかやばそうだね」

 「お! エリウッドさんは流石ですね。ラインハルトくんは見事な獅子帝になって、アンネローゼさんもブラスター片手に宇宙をかける女傑になりました」

 「「「女傑の皇帝の寵姫」」」

なんと言うパワーワード。

 「ちなみにパパには珍しくこの世界では人類を滅ぼそうとしていません」

 「そうしたらゴールデンバウム王朝ルートか?」

ヘクトルの言葉にラクチェはチッチッチと指を振る。

 「パパは地球教のテロで死んで、それが引き金で地球教が壊滅させられました」

 「……オーベルシュタインの気配がする」

 「流石はパパ。そのテロの裏を引いたのはオーベルシュタインでした。パパもそれに気づきながら地球教の脅威を考えて大人しく死にました」

 「こいつ死ぬのか?」

 「そりゃ俺だって人間だから死ぬさ」

 「わぁ、信用できない」

ヘクトルの言葉に俺が答えると、エリウッドが突っ込んできた。

 「それで最後にガールズ&パンツァーの世界ですね」

 「「「まさかのガルパン!?」」」

驚きの世界である。

 「こいつそんなに平和な世界にいられんの?」

ヘクトルの言葉は最もである。我ながらあんな平和な世界に溶け込めるとは思えない。

 「その世界もパパはちょっと頭がイっちゃってまして」

 「「え? こいつこれで普通なの?」」

 「お前ら喧嘩を売っているな?」

ヘクトルとエリウッドが超絶失礼なことを言っている。

 「ガルパン世界のパパは『人類の可能性がみたい』ってイドゥンさんみたいなことを言っていまして、大洗に無茶苦茶な条件つけて戦わせて、それをみぽりんがことごとく突破したらテンション上がって高校生連合&大学選抜VSパパの試合を仕組みました」

 「勝ち目なくない?」

 「パパが使ったのはヒルドルプです」

 「「お前世界線守れよ」」

 「ヒルドルブはギリ戦車」

 




コードギアスの召喚士
皇帝の側近として辣腕を振るった。シュナイゼルやコーネリアを教育した。若本皇帝死後に独立し人類の滅亡を目指す。最終的に人類の滅亡に否定的だった側近のヴィレッタとモニカに殺害された。ヴィレッタとモニカも召喚士殺害後自害した。
ヒロインはヴィレッタ&モニカ

銀河英雄伝説の召喚士
メルカッツ提督の同期で男爵に叙された。宇宙の経済を支配した存在。ラインハルトの覇道の手助けをしたが、最終的に地球教に暗殺された。ちなみに不老なので人外扱いされていた。弟子はファーレンハイト、メックリンガー、ミュラーがいた。

ガルパン世界の召喚士
日本の財務大臣。人類の可能性を夢見た男。頑張って廃校を阻止したみぽりんをみてテンションアップ。経済の理由から戦車道の廃止を提唱する。それを阻止させるために高校生連合&大学選抜VS召喚士の試合を組んだ。ちなみに最終的にみぽりんが頑張って勝った。
弟子にミカがいる。

召喚士のサーナイト&キュウコン
二匹が組めばイドゥンやナギクラス





そんな感じで異世界の召喚士紹介です。どこの世界でもやっていることは悪役。むしろこいつが正義の味方をやっている姿が想像できない不具合。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と格ゲー

FEシリーズのキャラが出る格ゲー出ないかなぁ


 「お〜す、来たぞぉ」

俺がやってきたのは俺とパントとカナスが頻繁に魔法実験を繰り返している大平原、通称『マッド魔術師大平原』である。

 「やぁ、遅かったじゃないか」

 「リンとフィオーラに怪しまれてな」

 「おや、よく抜けれましたね」

カナスの言葉に俺は胸を張って言い放つ。

 「ちょっとギムレーに犠牲になってもらった」

 「速攻で他人を生贄にするあたりが実に軍師だよね」

 「実家のような安心感がありますねぇ」

俺が酷いような言い方をするパントとカナスだが、魔法の実験に関してはこいつらの方がえげつないことをするのを俺は知っている。

 「それで? 今回の発明はこれか?」

俺の目の前にあるのは巨大な舞台装置。かなり大きな仕掛けだ。

 「なんだこれ?」

 「これは英雄召喚格闘魔術機構です」

そして始まるカナスの説明。

 「この装置は魔力を使ってうちのヴァイス・ブレイブに所属している英雄をこの装置の上に召喚。召喚された英雄は専用の機械を使うことによって召喚者が自由に動かすことができます」

 「つまり」

 「うちの英雄使って格ゲーしましょう!!」

何やら難しいことを言っていたが、つまりは最後の言葉に収束されている。

 「全く、勝手に召喚して俺達の都合で殴り合わせるだと? 酷いと思わないのか?」

 「じゃあやりませんか?」

 「コントローラーはどれだ」

 「面白いことに関しては速攻で常識を捨てるあたりが実に烈火だね」

パントが言える言葉ではない。

コントローラーを持ったのは俺とパント。カナスはシステム面の確認をしている。

 「キャラ毎にコマンド違うだろ?」

 「そこの板にこの魔術式打ち込んでくれますか? そうしたらキャラのコマンドが脳内に直接叩き込まれますんで」

カナスに言われた通りにすると、確かにコマンドが浮かび上がる。

 「と、いうかサラリと英雄をキャラ扱いしたね」

 「何のことやら」

パントのツッコミを流しながら俺はキャラ一覧を見ていく。確かにうちに所属している全英雄がいる。

 「イドゥンとユンヌ、お姉ちゃん、オルティナは使わない方がいいよな?」

 「あ、修羅三人衆とアシュナードも禁止で」

隣でキャラ選択をしているパントに聞くと、修羅三人衆プラスαもダメになった。

 「まぁ、実験台といったらこいつだよな」

 「そうだよね」

パントとそう会話しながらキャラを選択する。パントも同じ意見だったのかキャラを選択していた。

そして浮かび上がるシルエット。

 「は? なんだこれ?」

俺の方はヘクトル。

 「え? マッド三人組とか嫌な予感しかしないんだけど」

パントはエリウッド。

 『ファイナルラウンド』

 「待て待て、ファイナルラウンドってなんだ?」

 「諦めようヘクトル。こいつらが揃っている時点で僕らに自由はないよ」

流石はエリウッドはよくわかっている。

 『ファイ!!』

試合開始の合図と共に猛攻を仕掛けてくるパント。それを俺はガードする。

 「うぉぉぉぉ!! エリウッド!! 何しやがる!!」

 「いや!? 僕の意思じゃないよ!? 僕の意思だったらきっちり殺しているから!!」

何やらキャラクターが騒いでいるが無視する。連続攻撃が途切れたところで俺は確定反撃を入力する。

 「はぁぁぁぁ!? フレーム遅すぎて確反入らないとかクソキャラなんですがぁぁぁぁ!!!」

 「テメェ!! 俺のことをバカにしやがったな!!」

何が起こっているか理解していないようだが自分の悪口は理解しているらしい脳筋。

 「これで……こうでどうだい!」

 「これで倒す!!」

そしてエリウッドの奥義発動。もともと削れていたヘクトルのHPはゼロになった。

 『エリウッドWIN』

 「いや、WINじゃなくて説明欲しいんだけど」

 「「はい、お疲れ〜」」

 「貴様ら…!!」

エリウッドが何やら言っていたが、すでに送還してしまったので俺たちの耳には届かない。

 「結構面白いなこれ」

 「だろ? きっかけは私とカナスで『ここの英雄を使って格ゲーをやったら面白いんじゃないか』って意見が一致してさ」

 「それで装置作っちゃうあたりが実に烈火」

 「召喚士に言われたくないですねぇ」

カナスの言葉はシャットアウト。

 「次は誰にするかなぁ。できればヘクトルがクソフレームだったから次はちゃんとした奴がいいなぁ」

 「それなら剣士系じゃないかい?」

 「ん〜、お、じゃあエイリークで行くか」

俺がエイリークを選択すると装置の上にエイリークが召喚される。召喚されたエイリークは不思議そうに首を傾げている。

 「召喚士さん、これは一体……?」

 「召喚士がエイリークちゃんなら私はこいつだね!」

そしてパントもキャラを選択する。出てきたのは

 「エイリィィィィィィィィィィク!!!!!!!!!!!」

エイリークストーカーの片割れ(エフラム)だった。そしてエフラムをみた瞬間にエイリークの目つきが変わる。

 「キサマヲコロス」

 「俺はエイリークと添い遂げる!!」

 「お、特殊会話」

 「試合前にこういうのがあると格ゲーって感じだよね」

 『ファイナルラウンド……ファイ!』

試合開始と当時に俺は牽制で弱パンを打つ。

 「一瞬千撃 抜山蓋世 鬼哭啾々 故豪鬼成」

 「「え?」」

エイリークはエフラムに阿修羅閃空で近づき掴む。すると突然装置の上が真っ暗になりひたすら殴っている音が鳴り続けている。

再び明るくなるとエフラムはエイリークの足元でボコボコにされて倒れ込んでおり、エイリークはこちらの背を向けながら仁王立ちしている。背中の天の字が眩しい。

俺とパントは無言でキャラ選択画面に戻る。

 「おい、カナス。弱パン入れたら瞬獄殺が出たぞ。設定どうなっているんだ」

 「ちょっと待ってください……ああ、わかりました。特殊演出ですね。エイリークちゃんは相手がエフラムくんとリオンくんの時は何を入力しても瞬獄殺になります」

 「「クソゲー乙」」

俺とパントは吐き捨てながら再びキャラ選択をする。

そして俺はとあるキャラを見つけた。パントに視線で合図すると、パントも理解したのかとあるキャラを選ぶ。

浮かび上がるシルエット。

 「……なんだこれは」

俺が選んだのはジャッファ。

 「ニノにつく悪い虫……殺さなきゃ……」

こちらを一切気にせずにジャッファに殺意の波動を向けているウルスラ。

 『ファイナルラウンド』

 「待て待て待て! 召喚士!! これはなんだ!!」

 『ファイ!!』

 「さよなら!!」

 「ヌォォォォォォォ!!!」

開幕ブッパの奥義を叫びながら防御するジャッファ。

 「ジャッファァァァ!! オートガードなんてダ〜メじゃないか、ジャッファァァァ!!」

 「何を言っている召喚士!! ヌォ!?」

 「お眠りなさい!!」

連続奥義も生意気にオートガードするジャッファ。

 「おい、パント。ウルスラにガー不技ねぇの?」

 「ちょっと待ってくれよ……あぁ、あった。よし、それじゃあジャッファ!! 逝ってみよう!!」

 「待てよせヌワァァァァァァァァァァ!!!!」

 




召喚士&パント&カナス
頻繁に怪しい魔法や魔道具を生み出すマッド共。実験の協力者(モルモット)には困らなくてご満悦。

ヘクトル&エリウッド
戻った後にラウンド2が始まった

エイリーク
殺意の波動に目覚めた

ジャッファ
ウルスラによって殺害された

ウルスラ
よくわからないがジャッファを殺れてご満悦



そんな感じで我がヴァイス・ブレイブが誇るマッド共が格ゲーシステム
を開発しました。是非とも任天堂さんに『FEVS』って格ゲーを出していただきたい。リンちゃんも使えるようにしてくれたら最高。

なんか話の途中で殺意の波動に目覚めた王女がいるけど、まぁ!! 今更気にしないですよね!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔道士三人組

倫理観ゆるキャラ三人組のお話


リンは書類を持ってヴァイス・ブレイブ内を歩く。ヴァイス・ブレイブ内にはたくさんの英雄やヴァイス・ブレイブで働く文官や武官もたくさんいる。中には厨房などで働く一般人もいる。

顔見知りと挨拶しながらリンは歩く。そしてだんだんの人が少なくなってくる。そして人影が全くなくなった場所にリンは足を踏み入れる。

『第48倉庫』

プレートにはそう書かれている。入り口にはサーナイトとキュウコンが控えている。

二匹はリンに対して少しだけ頭を下げると扉を開いた。

リンは二匹に軽く声をかけてから中に入る。そこには地下に向かって長い階段がある。

それをリンは降りていく。リンの脳内にはなんとなく引き返せという気配を感じ取る。

召喚士やパント、カナスの結界のせいだと知っているリンはそれに気にせずに下に降りていく。

そして大きな扉がある。リンはその扉を開く。

するとむせ返るような血の匂い。中には一つの大きな机の周囲に召喚士、パント、カナスがいる。

机の上には人であったモノ。それを弄りながら三人は何やら討論している。

 「ああ、リンか」

 「相変わらず血の匂いがやばいわね」

リンの言葉に三人は不思議そうに首を傾げている。どうやら血の匂いを嗅ぎすぎて分かっていないようだ。

 「どうかしたか?」

 「うちに入り込んでいるネズミの資料よ」

リンはそう言いながら資料を召喚士に渡す。召喚士はそれを捲りながら面倒そうに口を開く。

 「やれやれ、潰しても潰してもキリがない」

 「まぁ、私達にとっては潰しても問題ない実験台が手に入っていいじゃないか」

 「そうですよ」

血にまみれながら笑顔で告げるパントとカナス。それに召喚士もそれもそうだと頷いている。

リンが部屋の周囲を見渡すと、そこらじゅうに血がついている。肉片や人の手、足なども落ちている。

ここは実験場だ。三人の狂った魔道士達の実験場だ。

 「お父様ぁ」

するとそこに別の部屋からインバースが出てくる。

 「おう、実験はどうだった?」

 「47番と49番は投与した瞬間に発狂。48番は自我を保っていましたが喋れる状態でなくなり、50番は自分の頭を砕きましたわ」

 「51番はどうだった?」

 「自我が崩壊して廃人になりましたわ」

インバースが行なっていたのは召喚士の作った自白剤の実験だ。

 「それとモルモットの在庫がなくなりましたわ」

 「それは幸いだ」

召喚士はそう言いながら持っていた書類をインバースに渡す。インバースはそれを捲る。

 「あらまぁ。大人気ですわねぇ」

 「10匹ほど調達してこい」

 「了解ですわぁ」

そう言いながらインバースは血塗れの手袋を外してゴミ箱に捨てながら部屋から出ていく。

 「父上」

そしてインバースが出てきた部屋とは別の部屋からブルーニャが出てきた。

 「おう、ブルーニャ。実験はどうだった?」

 「今回は割と自信作が多かったんだけど」

どこか楽しそうなカナス。だが、その瞳には狂気が宿っている。

 「結果から先に言うとダメでした」

ブルーニャの言葉に召喚士、パント、カナスは揃って頭を抱える。

 「あの術式でも駄目なのか……」

 「もうほとんど弄るところ残ってないよ……」

 「でもここまで実験して諦めるのもどうかと思いませんか?」

 「「思うんだよなぁ」」

狂っている。

それがリンの三人に対する評価だ。厳密に言えば烈火出身者は全員がどこか狂っているが、この三人は数少ない倫理観も投げ捨てて人体実験を繰り返している。

もはや何人殺したのかも覚えていないだろう。三人にとっては人間などちょうどいい実験動物にすぎない。

三人はすでにブルーニャが持ってきた実験結果を見ながら会議をしている。

 「ブルーニャ、あの倫理観ゆるキャラ三人組は何を試しているの?」

 「ムスペルの炎の再現です」

 「あれ再現できるの?」

リンの言葉にブルーニャは写しの資料を捲り確認する。

 「初期段階では肉体が炎に耐えきれず死体も残らず消滅。この時点で152匹の実験台を無駄にしました。第二段階ではアプローチを変えて肉体の強化も並行して実験しましたが、人としての形を維持できずに失敗。この時103匹の実験台がなくなりました。現在は肉体に術式を直接埋め込む実験をしております」

リンは呆れた表情でため息を吐く。ここのところヴァイス・ブレイブにいた各国の密偵やアスク王国の密偵が行方不明になることが多かったが、三人が特に実験を行なっていたらしい。

 「ねぇ、召喚士。アティさんに協力を求められないかな?」

パントの言葉に召喚士は冷たい瞳を向ける。

 「わかっているだろう? 認めたくないけど、私達の知識ではこれが限界だ」

 「どうやって協力をしてもらうつもりだ?」

召喚士の言葉にパントは笑顔を浮かべる。

 「解剖と術式を埋め込むのは必須だろうね」

その瞬間に召喚士とパントの間に大きな火花が散る。刹那の瞬間に召喚士が光の矢を放ち、パントは結界でそれを防いだのだ。

無表情の召喚士、笑顔のパント、カナスは二人を気にすることなく術式を書き込んでいる。

 「パント、俺はお前と友人だと思っている」

 「奇遇だね、私もだよ」

 「それじゃあ俺が何を言いたいか理解しているな?」

召喚士の言葉にパントは両手を挙げる。

 「アティさんには手を出さない。それでいいかい?」

パントの言葉に召喚士は満足そうに頷く。

 「ところでお二人とも、この術式なんですが」

 「それだとこっちの方がいいんじゃないか?」

 「それだとこっちとの兼ね合いが駄目だよ」

そしてそのまま会議に流れ込む。

それを見てリンは呆れたようにため息を吐く。

三人は実験を非道だと思っていない。世界平和にするうえで必要な実験だと思っているからだ。その過程で生まれた犠牲も必要な犠牲だと割り切っている。

狂っている。

死体を解体しながら話し合いを続けている三人を見てリンはそう思うのであった。

 




魔道士三人組
倫理観ゆるキャラ。正確に言えば倫理観はあるが気にしていない。

サーナイト&キュウコン
召喚士の指示で門番。

第48倉庫
魔道士三人組の実験場。下手に踏み入れると実験台にされる。この場所を知っているのも魔道士三人組に手伝っているインバースとブルーニャ、リンとフィオーラ。そして何故か知っているラクチェである。



そんなこんなで倫理観ぶっ壊れている三人組のお話でした。もうちょっとシリアスにしたかったのですが、できませんでした。でも狂っている三人組は書いていて楽しかったです。

ガチャの出が良かった日にでるんじゃないかと思ってガチャを回した結果、星5が出ました。
ええ、出ましたよ魔エイリークが。
まぁ、凸進めているからいいんですけどね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

イヴァリース大陸放浪記について

感想にて勘違いされている方がいらっしゃったので説明回です


 「ここに作者からの手紙がある」

俺の言葉に死ぬほど面倒そうな表情になるヘクトルとエリウッド。

 「なんで作者は自分から世界観をぶっ壊す所業をするかな」

 「というか作者から召喚士に手紙ってなんだよ。お前ら同一人物じゃなかったのかよ」

 「作者曰く『自分はここまでキチガイではない』ということだ」

 「「書いている奴の言葉じゃねぇ」」

割と俺も思うがスルーする。

 「それで? 何の要件だい?」

エリウッドの言葉に俺は手紙を開く。

 「簡単に言うとイヴァリース大陸放浪記についてだ」

 「ああ、あのリンと召喚士の『ラブラブ珍道中』か」

 「言葉に気をつけろ脳筋。フィオーラがお前を後ろから刺すぞ」

 「実際にやりそうなこと言うなよ!!」

残念ながらギムレーがすでに犠牲になったので、きっと脳筋も刺されるだろう。

 「まぁ、それはともかくイヴァリース大陸放浪記についてだ」

そして俺は文面を読み上げる。

 「『イヴァリース大陸放浪記はこの作品の烈火の設定をオマージュして書いている『オリジナル』作品になっています。今後の展開が烈火のストーリー通りには『絶対』に進みません』」

 「まぁ、そうだよな」

 「ストーリー通りだったら烈火の二次創作だしね」

作者の手紙にヘクトルとエリウッドが頷く。

 「『例えば、現在の作者の構想ではストーリーが進んでもヘクトルやエリウッドのような設定の登場人物は出てきません』」

 「おいおい、俺みたいな烈火の顔を出さないとか正気か?」

 「そうだよ。僕みたいな烈火の主人公を出さないとか正気を疑うね」

 「烈火主人公の中で一番人気はリン」

 「「ちょっと何を言っているかわかりませんね」」

現実を見ない連中である。

 「『それを前提に作者の頭のおかしいライトノベル小説を楽しんでいただければ幸いです』だそうだ」

 「作者の言いたいことはわかった。僕からも重要なことを聞きたいんだけどいいかい?」

 「言ってみろ」

ゲンドウポーズのまま口を開くエリウッド。

 「ニノ、もしくはニノポジションの娘は出るのかい?」

エリウッドの言葉に俺は目をつぶって腕を組む。

 「なるほど、それは重要だ。あの作品もオリジナルではあるが、根底にあるのはキチガイだらけの烈火だ」

 「能書きは不要だ。出るか、出ないか。二択だ」

今度はヘクトルがゲンドウポーズを取りながら告げてくる。

 「よかろう、俺も簡潔に言おう」

俺はそう言ってエリウッドとヘクトルを見渡す。

 「ニノの出演は内定している」

 「「ヒャッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」」

 




そんなわけで感想にて勘違いされている方がいらっしゃったので作者のライトノベル小説についての補足説明です。
作中でも言っています通り、あの作品はこの作品の烈火の設定をオマージュして書いているオリジナルになっております。そのためにヘクトルやエリウッドポジションのキャラは登場未定(現段階では出ない)状態です。あくまで作者のオリジナル小説として楽しんでいただければ幸いです。
でもニノポジションのキャラは出ます(登場予定は第二部。現在は第一部)

さてせっかくなので作者の最近のFEH事情ですが『ミラは回避で星5一人でたら撤退するか』と思っていたらガチャ確率が11.5%まで上昇。それだけでも『正気を失うには充分だ』なのですが、無色がなかったので赤を引いたらまさかのリーヴくん。そしてそのリーヴくん、レベリングの最中にセクヴァベクのダメージを女神・パオラ様に与えると言う超不敬なことをしでかしました。

よかろう、命はいらないようだな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とサイリ

はっはぁぁ!! たどり着いたぜぇ!! 選べる召喚!! 天井によぉ!!


サイリ引くために無事に天井迎えました(白目


 「天井は二回目か」

 「いやぁ、天井になるまでにガチで星5がルピナスちゃんだけだったら爆笑ものだったんだけどね」

 「うるさいぞ外野ぁ!!」

脳筋と腹黒がニヤニヤしながら俺に聞こえるように小話をしている。確かに天井までにでた星5はルピナスだけだったが、最後に忠犬の皮を被った狂犬(カアラ)と新キャラのムスタファー将軍がでたからセーフだ。

そして俺は赤オーブを召喚石版に叩き込む。

 「あれ? そういえばこの選べる召喚ってどうやってやっているんだい?」

蠢いている石版をよそに俺はエリウッドに向かって言う。

 「俺とパントとカナスでちょっと石版を改造した」

 「「英雄召喚の触媒を改造するなよ」」

黙れ愚民どもめ。天井のないガチャなど悪意の塊。つまりFGOのガチャはクソ。今年の水着も沼る気配しかない。

 「ほらほら、ガチャのダークサイドに落ちていないでよ。もうすぐサイリちゃんがでてくるよ」

エリウッドの言葉に俺は召喚石版に視線を戻す。

捲き上る土煙。浮かび上がるシルエット。

 「私はソンシンの王女、サイリ。私の剣は邪なるものを許さない。世界を歪める混迷の根は、私が断つ」

 「邪なるものを許さないってよ」

 「召喚士は許されないね」

 「それは貴様らもだ」

俺たち三人は中指を立て合う。

 「あ〜、とりあえず歓迎……する……ぞ?」

俺の言葉は最後は疑問形になってしまう。仕方ない。だってサイリが穴があくくらい俺を見つめてきている。

 「また異世界の召喚士案件か?」

 「いや、過去の女の可能性もあるよ」

 「やかましい!!」

後者に関しては完全に否定できるが、前者に関しては俺が把握できているわけがない。

そしてサイリはクワッとした表情で口を開いた。

 「惚れた!!」

 「「「……は?」」」

突然の言葉に俺たちは呆然とサイリを見る。そんな俺たちに気にすることなく、サイリはずんずんと俺に近づいてきて手を握る。

 「貴殿に惚れもうした!! 私と婚姻を結んでくだされ!!」

 「絶無の書!!」

 「なんの! ヘクトルバリアー!!!」

 「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

サイリの発言に速攻で情報拡散をしようとした二人を殺すために絶無の書を放つが、エリウッドは当然のように肉壁を使った。

 「グッバイ!! 召喚士!! 地獄に行けよ!!」

嬉しそうに駆け出そうとするエリウッドを見て俺はニヤリと笑う。そしてエリウッドの表情が歪んだ。

 「こ、これは!! グラビティの効果!!」

 「武器錬成で俺の絶無の書につけておいた」

 「なんて卑怯な!! 君にシステムを守る気はないのかい!?」

 「システム無視してるお前のセリフじゃなくね?」

そう言いながら俺は腹黒にトドメをさした。グッバイ腹黒。一時間くらいは覚えておいてやる。

一連の騒動を終えて俺はサイリを見る。

期待したような眼差しで俺を見ていた。

 「あ〜、サイリだったよな?」

 「然り!!」

 「悪いが婚姻……結婚はできん」

主にリンとフィオーラの機嫌を考えて。

 「そ、そんな……」

ひどくショックを受けた表情になるサイリ。その表情を見て俺の数少ない良心が痛む……あれ? 痛んでいるよな? うん、痛んでる痛んでる。

 「そ、それでは……」

そしてサイリは俺の両手を力強く掴んでくる。

 「せめて貴殿の子供を孕ませてくだされ!!」

 「誰かぁ!! 誰かぁ!!」

思いっきり押し倒してくるサイリ。えぇい!! レベル1なのに力強いなおい!! 俺が後衛職だからか!!

 「やめて!! 人が見ているわ!!」

 「ご安心めされ、ここにいるのは婿殿が殺した死体二つしかありませぬ」

 「いやぁぁぁぁ!! なんか勝手に婿にされてるぅぅぅぅ!!!」

 「ソンシン復興のためにまずは子供から作ろうではありませぬか!!」

 「やめろ!! ローブを脱がすな!! そしてお前も服を脱ごうとするんじゃない!!」

 「安心を!! 私も初めてですが姫として殿方を気持ちよくする術は教えられております!!」

 「安心できる要素がないぃぃぃぃ!!」

 「召喚士殿!!」

そして扉が開かれて青少年の若きリビドーを発動させるような格好(つまりエロい格好)をしているカゲロウが飛び込んでくる。

 「助けてカゲロウ!! このままじゃ性的に食われる!!」

 「おまかせを!!」

カゲロウがサイリに飛びかかろうとした瞬間、サイリは真剣な表情で手を開く。その姿にカゲロウも止まってしまった。

 「貴殿に提案がある」

 「何を……このカゲロウ懐柔されるほど落ちぶれてはいない!!」

かっこいいよカゲロウ。だったら普段から忍びの技を駆使して俺をストーキングしていることとか、部屋中に俺の写真を貼っていることはなかったことにしてやるよカゲロウ。

そしてサイリは真剣な表情で口を開く。

 「英雄色を好むともいう。私は側室の存在を否定しない」

 「……つまり?」

 「貴殿も混ざらないか?」

 「ク!? 申し訳ありません召喚士殿!! このカゲロウ!! 召喚士殿に反します!!」

 「めったくそに笑顔だぞカゲロォォォォォォォォォォ!!!!」

めちゃめちゃ嬉しそうに俺を押さえつけてくるカゲロウ。

 「誰かぁ!! 誰かぁ!!」

 「無駄だ、召喚士殿!! 召喚室は防音設備が高い!! 助けは誰も来ませぬ!!」

 「それはいいことを聞いた!! いざ、私たちと一つになりましょうぞ!!」

カゲロウの言葉に顔を輝かせるサイリ。

やばい! マジで食われる!! 俺はリンにガチでやられたことがあるから詳しいんだ!!

しかし、突然召喚石版は爆発する!!

戦闘態勢をとるサイリ(半裸)とカゲロウ(全裸)。そして爆煙の中にはシルエット。

 「ハ〜ハッハッハッハッハッハッッハ!! パパの助けを求める声を聞いてラクチェちゃん、参、上!!」

そして決めポーズつきででてくるラクチェ。

 「ラクチェ!! 助けてくれ!!」

 「あ、それは無理ですねぇ」

 「クソガキィィィィイィィイィィ!!!」

俺の姿を見て爆笑するだけならまだしも写メまでとるとはどういう了見だ。

 「はぁぁぁぁぁぁぁい!! パパに新ルート解禁のお知らせでぇぇぇぇぇぇす!!!」

 「は? 新ルート?」

俺の言葉にラクチェは嬉々として言葉を続ける。

 「大人の事情でサイリさんとカゲロウさんの行為は書かれませんが、ファイアーエムブレム・ユニヴァースはこの事件で『召喚士×サイリ』と『召喚士×カゲロウ』の子供を実装することになりました!!」

 「待って、いろいろ待って」

 「だが断る。ですがサイリさんとカゲロウさんには固有のお子さんは存在しません!!」

そしてラクチェはすごいイイ笑顔になった。

 「そこでいずれかの世界の両親が不明の英雄さんがお二人の子供として実装されます!!」

 「おいぃぃぃぃ!! 世界観はちょっとは守れよぉぉぉぉぉ!!!」

 「パパが言えたことではありませんね!! それじゃあお二人!! いい時間を過ごしてください!!」

 「うっそだろ!? ラクチェお前!! ああ、やめろサイリ、俺の服を脱がすんじゃない!! よせカゲロウ!! そいつは私のおいなりさんだ!!」

 

ちなみに俺に相談があったムスタファーがやってきて助けてくれた。ありがとうムスタファー

 




サイリ
ソンシンの姫侍。出会って即合体。AVかな?

カゲロウ
序盤にちょいちょい名前は出ては召喚士のストーキング(彼女曰く警備)をしていた。ノーマルカゲロウを10凸させたので登場。攻撃上げ個体で獅子奮迅つけているとは言え攻撃61は笑える。暗器とは?

ラクチェちゃん
ファイアーエムブレム・ユニヴァースの使者。パパが襲われているところを爆笑しながら撮影。

ムスタファー
心がイケメンハゲ



そんな感じで無事に天井を迎えたのでサイリを召喚しました。その過程で出てきた星5はルピナスちゃん一人。割と瀕死になりながらちょうど天井のガチャでカアラ、ムスタファーが欲しかったのでついでに緑を回したら星5ムスタファー。やだ、(心が)イケメン……

次回はそんなムスタファー回の予定。微シリアス風味になる予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

インバースとムスタファー

相変わらず独自設定の嵐です

そしてでていないのに株があがるギャンレル


 「まぁ、ヴァイス・ブレイブの説明はこんなところだな」

 「うむ、強者も多く、兵も統率が取れている。見事なものだ」

どこか遠い目をしながら呟くムスタファー。召喚されて早々に「私は戦うことはできん」と言って家出をかましたハゲはクロムやエメリナとの和解で無事に戻ってきた。

そして主に軍関係の設備を見たいと言ったので案内していたところである。

 「先ほど確認した限りでは攻城兵器の設計図などもあったようだが?」

 「用意はしてある。使うことは圧倒的に少ないけどな」

最後に使ったのはムスペル攻めの時だろうか。戦争の時は攻城兵器ではなく内部から裏切らせて落とすことも多いのであまり使うことはない。

なのに何故用意しているか? 念の為だよ。

 「場合によってはムスタファーには軍を率いてもらうこともあるからな」

 「うむ、微力を尽くそう」

俺の言葉に力強く頷くムスタファー。我がヴァイス・ブレイブには一騎当千の英雄や部隊指揮の上手な英雄が多いが、一軍を指揮できる人材は貴重である。他にはゼルギウスくらいか? If王族組は微妙だし

ちなみに学園組は学業優先ということで戦場に出る優先度は低い。軍を率いた経験のある連中が学生ということもありうちは人手不足に陥っていた。

 「む」

歩きながら話をしていると、突然、ムスタファーが難しい表情をして立ち止まる。反対側からは書類を持って話をしながらやってくるインバースとブルーニャがいた。

インバース達も俺とムスタファーに気づいたらしい。インバースは俺を見て嬉しそうな表情になり、ムスタファーを見てイイ笑顔を浮かべた。

 「あら! ムスタファー将軍! 奇遇ですわね!!」

 「……女狐が」

ムスタファーの言葉に心底ショックを受けたような表情を浮かべるインバース。

 「まぁ! 心外ですわね! 私は常に仕えた人の益になることしかしていませんわ!!」

 「確かに貴様の言はペレジアに多くの益を呼び込んだ」

そこまで言うとムスタファーは怒ったように一歩前に出る。

 「貴様の言葉でどれほどの若者が戦場に散っていったと思っている!?」

 「あら、それは必要な犠牲でしたわ」

 「必要だった!? あの若者達の死が必要だったと言うのか!!」

完全に激昂しているムスタファー。それはゆっくりと離れながら、同じくインバースから距離をとっているブルーニャに尋ねる。

 「ムスタファーが激おこなんだけど、インバースのやつ何やらかしたの?」

 「さあ? 私も『ペレジアでは国にとって必要なことしかしていませんわ』としか聞いていませんが」

すると俺とブルーニャの前にウィンドウが出てくる。よくみてみるとムスタファーに詰め寄られながら見えない位置でインバースが操作している。

俺とブルーニャがその画面をみるとインバースがペレジアでやったことが表示されていた。

 「……ああ、確かにこれは最初から詰んでるな。インバースの工作とギャンレルと言う爆弾で一回綺麗にならないとダメだな」

 「父上の言う通りかもしれませんが、これを素直にやると同じ時代に生きた人……特にペレジア人から蛇蝎の如く嫌われますよ」

俺でもインバースと同じことをやると思うのだが、ブルーニャはもうちょっとアプローチを変える必要があると言う。

 「貴様のせいで……貴様のせいでどれだけのペレジア人が死んだと思っている!?」

 「知りたいですの?」

ムスタファーの言葉にインバースは微笑む。その微笑みにムスタファーは恐怖を感じたようだ。

 「私が立てた策で死んでいったペレジア人は1534人。これは私の策で直接死んでいった数なので関節的に殺した数はさらに増えますわ。死んでいった者達の名前はキュリー、レイガン、サーガス、ローレント、ホランズ「もういい!! もうやめろ!!」

死んでいった者達の名前をあげ始めたインバースに怒りがこみ上げた表情でムスタファーは止める。

 「死んでいった者達をそこまで覚えていて!! 何故貴様は普通にしていられる!!」

 「ムスタファー将軍と立場の違いですわ」

 「……なに?」

 「私はあくまで国王・ギャンレルに雇われていた軍師に過ぎません。だからこそ私はペレジアに益となる進言をさせていただきました」

 「イーリスの侵攻もか」

ムスタファーの言葉にインバースは呆れたように首を振る。

 「あの時点でペレジアは詰んでいました。遠くない将来に待っていたのはイーリスの支配下になることです。ですが、ギャンレル王はそれを拒否した。だったらできることはイーリスを滅ぼし、その経済圏を手に入れることです」

 「……だ、だが、それならばイーリスと手を取り合うことも可能だったはずだ」

ムスタファーの勢いは弱い。

 「それがもたらすのはイーリスによるペレジアの植民地支配ですわ。たとえイーリスの王族にそのつもりがなくとも、イーリスの官吏や民はペレジアを下にみることでしょう。そしてそれを不満に思ったペレジアは大規模な反乱を起こす……それがペレジアの現状でしたわ」

 「……ギャンレル王はそれもご存知だったのか?」

インバースはやれやれと言った雰囲気で首を振る。

 「一番最初にお伝えしましたわ。そうしたら帰ってきたのは『だったらイーリスを滅ぼす』と簡潔にお言いになりましたわ」

 「ギャンレル王は悪名を背負うことになろう」

 「『悪名だろうが歴史に名を残せるなんて光栄じゃねぇか。俺なんざ元はゴロツキだぞ?』と一笑に付しましたわ」

インバースの言葉に今度こそ無言になるムスタファー。そしてインバースは歩いてムスタファーをすれ違う。その時にインバースは肩に手を置いて小さく呟いた。

 「私を責めたいのならば責めてくださって結構ですわ。ですが、あなたの戦い自体を否定しないでください。それはあなたを信じて戦った若者達の否定につながります」

それだけ言い残してインバースは立ち去って行く。ブルーニャも一度だけ頭を下げてついていった。

しばらく瞑目していたムスタファーであったが、目を開くと俺を見つめてきた。

 「召喚士殿」

 「なんだ」

 「私は戦うだけしかできない男だ。だが、ここではそんな男でも役に立てることがあるのか?」

 「ここにいるのはインバースだけじゃない。インバースを教え込んだ俺もいるし、俺と同等のルフレ達もいる。少なくとも民を飢えさせることはしない」

 「約束するか」

 「約束する」

俺の言葉にムスタファーは斧を手に持つ。

 「その約を違えない限り、このムスタファー。ヴァイス・ブレイブのために戦い続けよう」

 (迷いが消えたか)

ムスタファーの瞳から、先ほどまであった迷いはなくなっているのであった。

 




ムスタファー
ペレジア軍良識派。ヴァイス・ブレイブでも良識派になる。

インバース
完全に詰んでいるペレジアの再建を任されるとかいうクソゲー。養父である召喚士の存在をチラつかせたファウダーの命令じゃなかったら速攻でバックれてる。

ファウダー
ギャンレル、ムスタファー、インバースの三人と出会ったら命日



そんな感じでムスタファー将軍編でした。
原作の時は「あ〜、はいはい。恒例のいい人の敵ね」って感じだったんですが、想いを集めてのシナリオで一気に作者のお気に入りに。
10凸させるわ(確定、すでに遠距離反撃と大きな扇子は継承済み

ペレジアの設定は完全に独自設定です。そのためになんかギャンレルの株も上昇。この作品恒例の敵の方がいい人になるバグです。

水着ガチャ告知きましたねぇ。聖魔はFEシリーズでやっていないシリーズなので回避できそうで安心しました。まぁ、水着は第二弾があるんですけどね。

でも水着闇鍋は許さんぞフクロウ。水着スリーズが欲しいですけど、他の面々が強烈すぎる……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とリシテア

召喚士塾出身者のリシテアちゃん

早死にする? うちのリシテアちゃんは長生きだよ。主に召喚士のせいで


 「この書類のこの数字はおかしいです。すぐに再確認してください。こちらの法令はヴァイス・ブレイブ法第89条に抵触する恐れがあります、すぐに書き換えてください。次、こちらのやり方では民の反発を買います。すぐに新しいやり方を検討してください。まだその書類は確認していません!! 勝手に持っていかない!!」

俺の執務室。そして執務用の机に乗っている殺人級の書類の山を手慣れた様子で捌いていく少女。彼女の指示に雇っている文官達が慌てて走り回っている。

少女の名前はリシテア・フォン・コーデリア。風花雪月世界の俺の教え子らしい。同じく俺の教え子らしいメーチェからリシテアは内政特化に教え込まれたと聞いた俺は殺人級の書類の山を任せてみたら凄まじい勢いで捌いていっている。

 「金はある。物もある。なんだったら土地もある。足りないのは圧倒的に人手がないっていうのは何の冗談ですか、先生」

 「残念ながら事実だ、リシテア。インバースやブルーニャ、ベレスにベレトがヴァイス・ブレイブ学園に持っていかれている今、事実上俺とルフレ達で国を回しているようなもんだ」

 「ヴァイス・ブレイブ自治領は当然としてアスク、ニフル、ムスペルを事実上支配しているのに働けるのが事実上三人しかいないとかクソすぎるでしょう」

 「だからこそのヴァイス・ブレイブ学園だ」

 「戦力が育つ前に国家経営が破綻しますよ。ここ、この数字とこちらの数字が矛盾しています。おそらく中抜きされていますのですぐに治安維持部隊を動かしてください」

リシテアの言葉に慌てた様子で文官が書類を持って出て行く。

 「先生が作っただけあって国の土台と運用法がよくできています。ところがそれを運営する人が足りない。どうにかならないんですか?」

 「どうにかできたらとっくにやってる」

 「ファック」

汚い言葉を吐きながらもリシテアの手は止まらない。

 「というか先生も手伝ってください」

 「今、ちょっと国内の反ヴァイス・ブレイブの動きをしている連中の報告書を読んでいるから無理だ。あ、こいつは消えてもらった方がいいな」

 「異世界の先生でもやっていることが一緒って……」

何やらリシテアが遠い目をしているが、消した方がいいリストを作っている俺は気づかないフリをした。

 「お邪魔するわよぉ」

そこにやってきたのはお菓子とお茶を持ったメーチェだった。

 「どうした、メーチェ」

 「お菓子とお茶を持ってきたから休憩にしないかしらぁ」

 「先生」

 「許す」

 「ヒャッホイ!!」

俺の言葉に即座に執務用の机から立ち上がってソファーに座るリシテア。メーチェもその隣に座り、俺は二人の向かい側に座る。ちなみに文官達はリシテアの指示で各方面に走っているので誰一人残っていない。

だから休憩にしたとも言う。

 「先生もリシテアも熱心ねぇ」

 「いえ、私の場合は完全に巻き込まれ事故なんですけど」

 「使える人間は使わなかやいけないって俺に教わらなかったか?」

 「実際に教わったからムカつきますね」

ぶつくさ文句を言いながらリシテアはお茶に砂糖を入れていく。

一杯、二杯、三杯、四杯……

結果的に言うとリシテアのお茶は砂糖になった。軽く戦慄している俺をよそにリシテアはお茶を少し口に含む。そして難しい表情をした。

 「まだ甘味が足りませんね」

 「正気か貴様」

お茶という飲料ではなくなった砂糖の塊を飲んで……飲んで? 食べてが正しいか? 甘味が足りないとほざくリシテア。

俺の言葉を無視してリシテアはさらに砂糖を投入していく。俺が無言でリシテアを指差しながらメーチェを見ると、メーチェは微笑みながら口を開いた。

 「リシテアのこれもいつものことよ〜」

 「こいつ絶対に早死にするぞ」

 「ところが先生の生徒で一番長生きしたのリシテアなのよねぇ」

 「マジで言っているのか!?」

 「知らないんですか、先生。糖分は人を長生きさせる……!!」

キメ顔で言っているリシテアに突っ込みたかったが、長生きした本人が言っていると説得力がある。

 「しかし、意外だったな。ペトラが戦闘しかできない脳筋ヒャッハーだったから、異世界の俺は内政関係は教えていないもんだと思っていた」

 「先生の教育方針ですね。『とにかく長所を伸ばす。短所は補う程度で』という教育を受けました。私も一応ナギ流格闘術は納めていますが、そこまで強くありません」

砂糖の塊を咀嚼しながら言うリシテアだったが、召喚直後に発生したユリウスの声かけ事案をユリウスの腕をへし折って撃退しているので説得力はない。

 「それよりメーチェも手伝ってください。少しくらいならメーチェもできるでしょう?」

 「無理よぉ、私が習ったのは宗教団体の運営方法だもの。それに今はヴァイス・ブレイブ学園の学生とパオラ神教とかいう先生の作った宗教団体の運営にかかりきりだわぁ」

メーチェの言葉に半目になって俺を見てくるリシテア。

 「パオラって確かここに所属する英雄でしたよね?」

 「それは違う、間違っているぞリシテア」

俺の言葉に不思議そうに首をかしげるリシテア。ならば教師として正しく導かねばなるまい。

 「パオラ様は英雄ではない。女神様だ」

 「メーチェ、こいつの頭は大丈夫なんですか?」

 「割と手遅れねぇ」

異世界とはいえ俺の生徒だったせいか遠慮がない二人である。

 「しかし生徒と宗教団体運営の二足の草鞋ですか。メーチェも大変ですね」

 「先生やルフレさん達を見ているとそんなに大変だと思わないわねぇ。この人達、殺人級の仕事こなしながら遊んでいるもの」

 「お前らも慣れたらできるようになるぞ」

 「「キチガイになるのはちょっと」」

 「なんて失礼なやつらだ」

本当に遠慮がない。

リシテアはゆっくりと砂糖の咀嚼をしながら口を開く。

 「しかし、それだったら私はまだ助かっているほうですね。内政の手伝いだけですし」

 「そんなリシテアさんにお手紙をお届け!!」

何の前触れもなく天井から現れたラクチェに全員が半目を向ける。そんな視線を受けても全く気にした感じはみせず、一回転しながら床に着地を決めるラクチェ。

 「確か……ラクチェでしたか?」

 「は〜い!! パパの実子第一号のラクチェちゃんです!!」

 「お前を認知した覚えはない」

 「先生は私達の世界の子どもはすぐに認知したのに、ラクチェちゃんだけは頑なに認知しないわねぇ」

メーチェの問いに俺は真剣な表情で口を開く。

 「たぶん、こいつは認知した瞬間にそこら中で俺に対するテロをする」

 「う〜ん!! さすがはパパ!! 娘のやることを見越してる!!」

 「こいつ死ねばいいのに」

俺の言葉を気にせずに笑顔で言い放つラクチェにガチめの死ねばいいのにが出てしまう。

ラクチェは俺の冷たい視線を無視しながらリシテアに一通の封筒を渡す。それを受け取りながらリシテアは不思議そうに首を傾げた。

 「なんですか、これ」

リシテアの問いにラクチェはイイ笑顔を浮かべる。

 「アティ理事長からリシテアさんにヴァイス・ブレイブ学園の入学案内です!!」

学生生活と内政の仕事をやることになったリシテアはうめき声をあげながらソファーに沈むのであった。

 




リシテア
召喚士塾出身。内政官として超絶優秀なので召喚士に仕事を手伝わされる。そしてアティ理事長からヴァイス・ブレイブ学園の入学案内をもらったことで学生になることも決定した

メルセデス
メーチェ。ヴァイス・ブレイブの英雄をやりながら学生をやったりパオラ神教の運営をしたりしている隠れた超人

アティ理事長
最強の理事長




そんな感じでリシテア編です。
いつだったかは忘れましたがすり抜けでやってきた彼女。その時からネタはできていましたが書くタイミングがなく今回まで引き伸ばされました。そして速攻で働かされているリシテアちゃん。全ては優秀なのがいけない。

今日から水着ガチャがきますね。作者はルーテが星4でもいいので一人でも引けたら撤退予定です。水着闇鍋ガチャは水着スリーズが欲しい(おっぱい的な意味で)ですが、無色は他の爆弾が強すぎるので青を引くつもりです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と嘘発見器

三馬鹿は本当にネタになるなぁ

そしてさらっと明かされる召喚士が行った世界


 「ああ、いたわね」

俺とヘクトルとエリウッドがいつもの如く俺の部屋でだべっていると、リンがやってきた。

 「リン、とフロリーナとウルスラか。三人揃ってなんて珍しいな」

 「まぁ、理由があってね。とりあえず三人ともこれを腕につけてくれる?」

リンがそう言って取り出したのは腕輪のようなもの。俺たち三人分ある腕輪の一つを俺は手に取る。

 「これは……魔道具か?」

 「ええ。まぁ、宴会道具のようなものだから気軽につけてくれる」

リンの言葉に俺たちは視線で会話する。

 (拒否することはできると思うか?)

 (いや、無理だろ)

 (僕らに拒否権があると思うかい?)

 (ファミチキ食べたい)

 (((アイコンタクトに入ってくるな、パント……!!)))

何故かアイコンタクトに脳内に直接語りかけてきたパントに返しながら、俺たちは腕輪を腕にはめる。

 「? 特になんともないぞ?」

 「これはなんだい?」

ヘクトルとエリウッドの言葉にリンは真剣な表情で答える。

 「嘘発見器よ」

 「クソ! なんだこれとれねぇ!!」

 「外れろ!! 外れろよ!! 僕はロイの子供を見るまで死ぬことはできないのに!!」

必死になって腕輪を外そうとするヘクトルとエリウッド。

 「ふぅ、やれやれ」

 「なんで余裕そうなんだ外道!」

 「もっと焦れよ外道!」

 「いいかよく聞け脳筋と腹黒。これは『嘘発見器』だ。つまり常に清く正しく生きている俺にアババババババババッババババッババババ!!!!!」

発言の途中で身体中に死ぬほど強い電流が流れる!! というか本当に死ぬ!

 「アバババババババババ!!!! なななななな何故気を失えないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 「言ってなかったわね。これは致死量の電流が流れると同時にリバースをかける効果があるわ」

 「「完全に拷問道具!!」」

そしてようやく電流が止まる。

 「うわぁ、床でビクンビクンしてるよ……」

 「マジかよ、こいつがここまでダメージくらうって相当だぞ……」

 「ク!」

 「「お、生きてる」」

 「烈火時代の拷問がなかったら即死だった」

 「「あれレベルかぁ」」

ヘクトルとエリウッドが遠い目をして現実逃避しているが、お前らも食らう可能性が高いことを忘れるなよ。

そして俺たちは罪人のように床に正座する。

 「それじゃあまずは私からいくね」

そう言って一歩前に出てきたのはフロリーナ。これには俺とエリウッドガッツポーズ。どう考えても死ぬのは脳筋だからだ。

土気色をした表情をしたヘクトルを見て優しく微笑むフロリーナ。

 「ヘクトル様」

 「ひゃ、ひゃい!!」

フロリーナの言葉に背筋を伸ばすヘクトル。

 「脳筋の不幸で空気が美味い!」

 「いやぁ! 死ぬのはやっぱりヘクトルだよね!!」

 「地獄に落ちろ外道に腹黒ぉぉぉ!!!」

残念ながら地獄に落ちるのは貴様だ(断定

 「ヘクトル様、ソニアさんの胸を揉んだっていうのは本当ですか?」

 (バッ!!)

 ((ガシ!!))

 「クソ! 離せ!! 離せよ!!」

 「逃げるのはいかんなぁ、ヘクトルくん」

 「そうだよ。奥さんからの疑惑はキチンと晴らさないと」

速攻で逃亡しようとしたヘクトルの腰をガッチリ掴む俺とエリウッド。ははは、逃げて助かろうなんざ甘いんだよ。

そしてヘクトルの頭蓋をガッチリ掴むフロリーナ。

 「ヘクトル様?」

 「うぉ、超こえぇ」

 「やっぱり普段温厚な子がブチギレるのが一番怖いよね」

 「お前ら俺の頭蓋が砕けそあああ待ってフロリーナマジで待ってミシミシいってる頭蓋がミシミシいってる」

笑顔(しかし目は笑っていない)でヘクトルの頭蓋を砕こうとしているフロリーナ。やはりよそのヴァイス・ブレイブでブロリーナと呼ばれているのは伊達じゃないようだ。

そしてフロリーナは優しげに微笑む。

 「正直に言ってください、ヘクトル様」

 「…………………………本当に事故だったんです信じてください」

 「ええ、私はヘクトル様を信じています。だからこれはよその英雄さんに不埒な真似をしたヘクトル様に対する罰なんです」

 「お慈悲を! お慈悲をぉぉぉぉぉぉ!!!!」

俺の部屋から引きずられて退室していくヘクトルに俺とエリウッドは敬礼する。グッバイ脳筋。ソニアのおっぱいがどんな感じだったか聞きたかったけどそのまま死んでくれ。

 「それじゃあ次は私ね」

そう言って前に出てきたのはウルスラ。ウルスラとなると出番は腹黒だ。

だが、腹黒は無様に命乞いをしない。

 「何故貴様は命乞いをしない」

 「僕がウルスラに対して隠し事なんてないからね!!」

自信満々に言い放つ腹黒。だがそれは

 「完全に尻に敷かれてないか?」

 「仲良し夫婦と言ってくれ!!」

いや、どう考えても尻に敷かれている。

そしてウルスラは真剣な表情で口を開いた。

 「エリウッド、あなたロイの超絶レア写真を隠し持っているでしょう」

俺の部屋の空気がピンと張り詰める。その雰囲気を出しているのはエリウッドだ。

 「……何故そのことを?」

 「ラクチェが言っていたわ。『あ、最近ロイさんの超絶レア写真をある人に売ったんですよ。え? 流石に誰かは教えられませんけど、とある息子大好きパパとしか言えませんねぇ』ってね」

ラクチェのそれはもはや答えだった。

真剣な表情に睨み合うエリウッドとウルスラ。

 「さらば!!」

 「待ちなさい!!」

 「断る!!!」

そして脱兎の如く逃げ出すエリウッドとそれを追いかけるウルスラ。

 『待ちなさいこのクソ亭主!! 何の写真を買ったの!! 私によこしなさい!!』

 『断る!! 『告白されて困っているテレ顔ロイ』の写真は僕のものだ!!』

 『な、なんですって!! 『告白されて困っているテレ顔ロイ』の写真ですって!! それは国を傾けてでも買う価値のある写真よ!!』

その言葉の後に巨大な破壊音も響いてくる。そして一般人のロイを呼ぶ声。

 「ロイは勇者だったのか……」

 「あの暴走した二人を言葉で止められるからあながち間違っていないわね」

俺の言葉に頷くリン。

さすロイ。

 「それで、私の番なんだけど」

 「誓って俺はリンに隠していることなんてないんだ!!」

 「ええ、私もそう信じているわ。召喚士に限って私とフィオーラに隠し事はないって」

 「そうだろう!! だからこれを外してくれ!!」

 「私の質問は一つよ」

聞いちゃいねぇ。

 「ベルファストって誰?」

瞬間的に逃げ出そうとした俺の首筋に剣が当てられている。

 「気をつけなさい。あなたの首を飛ばすのなんて簡単なのよ?」

間違いなくリンは人斬りの表情をしている。これぞサカの民……!!

 「ベ、ベルファストはとある世界での俺の部下だ」

 「それ以上の気持ちはない?」

 「ない!!」

俺の断言にリンは横目で腕輪を確認する。動いていないことを確認したようだ。

 「なら結婚ってどういうこと?」

 「じ、字が違う!! 漢字で結婚じゃなくてカタカナでケッコンだ!! KANSENの力を発揮できると言われたから指輪を渡しただけだ!!」

俺の言葉に再びリンは薄目で腕輪をみる。だが、腕輪は動いていない。当然だ、この状況で嘘をついたら腕輪の拷問にあいながらリンに首を飛ばされて殺されるということだ。

嘘なんかつけない。

リンはため息を吐きながら剣をしまう。俺は助かったと安堵のため息をついた。

 「助かった……」

 「どうせ召喚士のことだから『お、ケッコンシステムなんてあるのか。試しにやってみるか』って軽い気持ちで手を出したんでしょうけど」

 「なぜバレている」

驚愕の表情でリンを見るとリンは呆れたような表情を浮かべていた。

 「ラクチェが言っていたわよ」

 「なんて?」

 「『いやぁ、流石はパパですよね!! 見事にアズレンのKANSENの皆さんとケッコンして病ませたと思ったら異世界に高飛びかましたんですよ!! 怖いですねぇ!! そのうちこの世界にKANSENの皆さんがパパを奪いに攻めてくるかもしれませんよ!!』ってね」

 「あの連中だとやりそうで怖い……!!」

いや、割とマジで。もしこっちの世界に攻めてきたらこっちはお姉ちゃんやイドゥンクラスの英雄を出撃させるしかないぞ。

 「まぁ、あなたは私が守るわ」

 「やだイケメン」

 




ヘクトル
妻と娘によって燃やされた

エリウッド
一枚の写真を巡ってウルスラと騎馬チェイスを行い、最終的にきっかけとなった写真を失くしてガチ凹みした

召喚士
何故か好意を向けられることが多い(しかし多くの場合は相手は地雷である

召喚士の部下のKANSENの皆さん
アズレンのKANSEN。召喚士に対して狂った忠誠と愛情を捧げる奴多数。




そんな感じで久しぶりに更新です。
本当は課金して無事にきてくれたセライナ回をしようかと思ったのですが、自分は聖魔をやっていないのでセライナのキャラを知らなくてまだネタがありません。
でも金髪美女を引いたことに後悔はない

それと久しぶりにフェーパスに加入しました。リンダ可愛いよ、リンダ。割と好きなキャラの部類に入るリンダ。リンダ回も書きたいんですけどねぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士セライナ

水着セライナ将軍があまりにも好みだったために引きました。

そして相変わらずの独自設定の嵐


治安維持部隊部隊長室。ここには現在二人の人物がいる。

一人目は治安維持部隊の隊長であり、自称召喚士の嫁のリン。

二人目は治安維持部隊の隊員であり、自称召喚士の妻のフィオーラ。

同僚であり恋敵である二人は沈痛な表情を隠そうとしない。

 「お〜っす、来たぞ」

 「召喚士に秘密で僕らに話ってなんだい?」

そして能天気にやってくるヘクトルとエリウッド。

 「よく来てくれたわね」

 「とりあえずこちらに座ってください」

リンとフィオーラの対応に首を傾げながらもヘクトルとエリウッドは促されたソファーに座る。

 「それで何のようだ?」

 「最近エメリナさんの召喚士を見る目が熱っぽいことかい?」

エリウッドの言葉にリンとフィオーラの視線が鋭くなる。ヘクトルとエリウッドは愉悦の笑みを浮かべながら召喚士に対して十字を切っておく。本命がいるくせに他の英雄にもいい顔をする悪い男にはちょうどいい罰としか二人は思っていない。

そう悪意などないのだ。ヘクトルとエリウッドはリンとフィオーラにガチ説教を食らってガチ凹みをする召喚士をみたいだけであって、そこに悪意などカケラも存在しないのだ。

 「その話はあとで詳しく聞くとして……」

 「お二人は私とリンさんが軍師さんの家族のことを聞いていることを知っていますか?」

フィオーラの言葉にヘクトルとエリウッドはガチ驚愕の表情を浮かべる。

 「「バカな……! あいつが人から産まれただと……!?」」

 「あいつも一応分類学上は人間だから」

二人の言葉に冷静に突っ込みを入れるリンであったが、それもどこかずれていた。

 「まぁ、ボケはこれくらいにして。あいつの家族がどうかしたかい?」

 「またミコトお母さんが無理矢理お風呂にでも連れ込んだか?」

ヘクトルの言葉にリンとフィオーラはため息をついた。

 「そっちだったら楽だったんだけどね」

 「どう言うことだい?」

リンの言葉にエリウッドが尋ねると、リンとフィオーラは気まずそうに顔を見合わせるが、覚悟を決めたのかリンは真剣な表情で口を開く。

 「召喚士の妹かもしれない人物がいたわ」

 「「……………………は?」」

リンの言葉に間抜けな表情を浮かべるヘクトルとエリウッド。そして二人はお互いの頬をつねり合い、痛いことを確認してから再び口を開く。

 「冗談だろ?」

 「エイプリルフールにはちょっと遅いよ?」

ヘクトルとエリウッドの言葉にもリンとフィオーラは真剣な表情で二人を見る。その表情が真実だと気づいたのか、ヘクトルとエリウッドは天井を見上げる。

 「マジかぁ……あいつ妹がいたのかぁ……」

 「その英雄って誰だい?」

エリウッドの言葉に今度はフィオーラが口を開く。

 「セライナさんです」

 「「嘘だ!!」」

フィオーラの言葉にヘクトルとエリウッドは思わず怒鳴る。

 「嘘だろ? だってあいつは黒髪顔面平均値だぞ?」

 「そうだよ。それに比べてセライナさんは金髪美人さんじゃないか。どう見ても兄妹じゃないよ」

二人の言葉に複雑そうな表情をするリンとフィオーラ。

 「私が軽い世間話のつもりでセライナさんの家族について聞いてみたんです」

 「そうしたら私達が召喚士から聞いていた家族のこととピッタリ一致したのよ。ご丁寧にお互いのことも懐かしそうに話してくれてね」

 「ちょ、ちょっと待ってくれ! だがセライナは聖魔出身だろ?」

ヘクトルの言葉にリンとフィオーラ疲れた表情を浮かべる。

 「セライナも異世界召喚体質らしいわ」

 「「そこは似なくていいだろう!!」」

思わず机を叩くヘクトルとエリウッド。

 「だ、だけど、まだ兄妹って決まったわけじゃないだろう?」

 「今、二人の遺伝子鑑定をパントとカナスに頼んでいるわ。当然、召喚士には内密に」

エリウッドの言葉にリンがそう言うと。ヘクトルとエリウッドは頭を抱える。

 「マジかぁ……マジなのかぁ……」

 「僕らはあいつのこと知らないからなんとも言えないけど、リンとフィオーラが言うと説得力がなぁ……」

 「やぁ、待たせたね」

そして扉からパントが入ってくる。そして四人の視線がパントに集中すると、パントも真剣な表情で口を開いた。

 「結論から言おう。二人は兄妹だ」

その言葉に四人全員が天井を見上げる。

しばらく無言であったが、ヘクトルが疲れたように口を開く。

 「まぁ、家族がいなかったあいつに家族が見つかったんだ。めでたいじゃねぇか」

 「まぁ、そうなんだけどね」

 「なんだ? 他に問題があるのか?」

ヘクトルの言葉にフィオーラが重々しく口を開く。

 「あの身内にダダ甘な召喚士さんが血を分けた妹を放っておいて烈火世界に帰ってくると思いますか?」

 「「それがあったかぁ……」」

頻繁に共食いをする烈火メンバーであるが、共通意見として召喚士を烈火世界に連れ帰るという目的がある。

だが、本物の妹の登場によってそれが若干怪しくなる。あの敵には一切容赦のない召喚士だが、身内にはゲロ甘という弱点がある。

そんな召喚士がようやく巡り合った実の妹を放っておいて烈火世界に帰ってくるか? それはリンとフィオーラがいても若干怪しい部分である。召喚士が家族の愛情に飢えていることをリンとフィオーラは一番よく知っている。

 「少しいいかい?」

そして四人の思考を止めたのはイイ笑顔を浮かべたパントであった。

 「何かいい案があるの?」

 「ああ、とっておきの案がね」

 「聞きましょう」

パントはその言葉に重々しく口を開く。

 「逆に考えるんだ。セライナちゃんも烈火世界に連れて行っちゃえばいいと考えるんだ」

その言葉に四人で電流走る!

 「そうよね、なんでわざわざセライナを聖魔世界に返す方向で考えたのかしら」

 「確かにセライナさんを烈火世界に拉致……こほん、一緒に来ていただければ全て解決ですね」

 「あ〜、召喚士のことで悩むなんて無駄なことをしたぜ」

 「それじゃあ今度はセライナさんを烈火世界に連れていく計画を立てないとね」

そして普通に時空を超えた誘拐を企む四人。ここに普通の人などいなかった。

 「それじゃあ私は調査結果を召喚士とセライナちゃんに伝えてくるね!」

 「待ちなさい、パント! その役割は私とフィオーラの役割よ!」

 「そうです! 美味しいとこどりはずるいです!」

 「はっはっはっ! 召喚士にタダで恩を売る機会を逃すほどパントさんは甘くないのさ!!」

 「「その話のった!!」」

そして大騒ぎしながら部屋から出ていくのであった。

 




召喚士
報告を聞いて呆然。そして涙の対面となった。ちなみに最初から「なんか生き別れた妹に似ているな」と思っていたそう

セライナ
報告を聞いて唖然、そして涙の対面となった。こちらも最初から「幼い頃に別れた兄に似ているな」と思っていたそう。

烈火組
セライナ拉致計画進行中



そんな感じでセライナ編でした。
ぶっちゃけ聖魔はキャラ知らないので引くつもりなかったのですが、金髪美人のセライナ将軍があまりにも好みだったために引きました。
セライナ将軍綺麗だよセライナ将軍
ちなみに幼い頃に生き別れて再会したために召喚士とセライナはシスコン、ブラコンになります。二人とも家族愛に飢えているんやで……
そして幼い頃に別れているので外道に染まっていないセライナ将軍。うちのセライナ将軍は心も綺麗です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と水着と時々レア様

水着ガチャ第二弾

レア様の正体を平然とネタバレしていますのでお気をつけください


さて、例年通りの水着ガチャ第二弾である。俺はこの日のために貯めたオーブを持って召喚室へとやってきた。当然のように野次馬根性で見物に来たのはヘクトルとエリウッド。

 「水着ガチャかぁ。第一弾のセライナまさかのことがあったからな」

 「おい脳筋、今貴様セライナに不埒な劣情を抱きやがったな。死ぬか?」

 「思ってねぇよ!」

 「思ってないとかうちのセライナに女性的魅力がないとでも言うつもりか!? いい度胸だな!! 訓練中に貴様が事故を装ってアルテナを押し倒したことをフロリーナとリリーナにチクってもいいんだぞ!!」

 「めんどくせぇなぁ!! このシスコン!!」

セライナの魅力がわからないとか人生の9割は損していると言っても過言ではない。

 「まぁまぁ、セライナちゃんのことはとりあえず置いといて」

 「セライナ以上に優先すべきことなんかないだろう!?」

 (笑顔でボディーブロー)

 「グフッ!!」

あまりの痛みに悶絶しそうになるが、セライナの綺麗な顔を思い浮かべて根性で耐える。

セライナ、お兄ちゃん頑張るよ……!!

 「師匠! 師匠!」

 「おう、ペトラ、大丈夫だ」

 「師匠、ドロテア、召喚、する、しましょう!」

 「う〜ん、まさかのお友達優先で師匠はちょっぴりショック」

 「「ハハ、笑わせおる」」

喧嘩を売っていた脳筋と腹黒とメンチを斬り合った後に、召喚石版を起動する。

 「狙いは何色だ?」

 「無色と赤」

 「ドロテアちゃんって子と、ベレスちゃんの比翼英雄だね」

 「その通り。ドロテアに関してはペトラの親友らしくてな」

 「お前ペトラに甘くねぇか?」

愚かな、ヘクトルはわかっていない。

 「お前はこの純粋な瞳で頼まれて断れるか?」

 「それは無理だわぁ」

 「?」

不思議そうな表情で首を傾げるペトラだが、親友と会えるのが嬉しいのか雰囲気が柔らかい。

それからしばらく召喚作業が続く(途中でリアーネがすり抜けて俺が吐血、バカ二人がガッツポーズ)

そして浮かび上がった無色のオーブを召喚石版に叩き込む。

舞う土煙、浮かび上がるシルエット。

 「ドロテア=アールノルトよ今は「ドロテア!!」キャア!! ペ、ペトラちゃん!?」

なにやらセリフを言おうとした水着美人はうちの忠犬が抱きついたことでカットされた。

 「ドロテアとか言ったか、ようこそヴァイス・ブレイブへ」

 「あら、おじさん。やっぱり生きていたんですね」

 「普通に死んだことが信用されていない件について」

 「「プギャーm9(^Д^)wwwwwww」」

とりあえず指差して嘲笑ってきたバカ二人の指をへし折っておく。なんか自動モップが出来上がった気がするが放置で。

 「俺は確かに俺だがお前の知っている俺ではない」

 「おじさん、頭大丈夫ですか?」

 「うん、言っていて俺もなにがなんだがわからなくなった。まぁ、簡単に言うとお前の知っている俺ではないが、間違いなくお前の知っている俺と言うことだ」

 「おじさんは簡単と言う言葉の意味をきちんと理解して」

う〜む、改めて俺のことを説明するのが難しい。

するとペトラがドロテアの耳元でゴニョゴニョする。

 「なるほど、理解しました」

 「マジでか!?」

まさかのペトラの説明で理解である。やはり友情って偉大だね! 俺にそんな友人いねぇけど!!

するとドロテアは谷間を強調させながら悪女の笑みを浮かべて俺に近寄ってきた。

 「それだったらこの世界のおじさんを私がとっちゃってもいいってことですよね」

 「ドロテア!!」

 「は、はい!!」

俺の真剣な怒鳴りに背筋を伸ばすドロテア。

 「いいかドロテア。俺はペトラから君は異世界の俺に育てられた存在だと聞いているので娘に対する忠告をしておく」

 「なんですか? 親子の間に子供は禁忌とかつまらないこと言うんですか?」

なにやら不満そうなドロテアだが、これだけは言っておかないと命に関わる。

 「俺に対する色仕掛けはやめろ。それをやられると女性陣が戦争を起こしてヴァイス・ブレイブが崩壊する」

 「なにそれ超楽しそう!! ちょっとペトラちゃん、詳しいこと教えて!!」

 「はい!!」

完全に忠告が裏目った気がするが、まぁいいか。ペトラ喜んでいるし。

するちようやくバカ二人が起き上がった。

 「イッテェ」

 「君さ、パント印の薬があるからって平然と指折るかい?」

 「お前らに対しては命があるだけ有情だと思ってる」

中指を立て合いながらも召喚作業を続ける俺。ドロテアが出たことによって赤だけ狙いである。たまに赤がなくて死にそうになるけど。

 「そういやなんで水着ベレスも狙うんだ?」

 「あ〜、それな。今回のベレスの相方の比翼英雄いるだろ?」

 「レアさんだっけ? 綺麗な人だよね」

 「あれ、俺とお姉ちゃんの知り合いなんだわ」

 「「なんだ、キチガイか」」

 「超絶失礼じゃない?」

俺とお姉ちゃんの知り合いだったらキチガイとはどう言うことだ。

そして舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

 「うん? この格好は……」

その素晴らしいプロポーションを見せつけている水着ベレスが召喚された。無言でハイタッチを決める俺たち三人。

 「先生、これかい? 新しい装備というのは?」

 「そういうことだ」

自分の服装を確認しているベレス。ちなみに水着の格好の羞恥心は一切ない。

 「あれ? 一人だけかい?」

 「いいじゃねぇか、エリウッド。目の保養になるんだったらなんだってオーケー」

ヘクトルがそう言いながらベレスに話しかけようすると。

 「可愛いベレスに色目使ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 「グッハァァァアッァアァァァァァァァァァァア!!!!!!」

召喚から流れるようにドロップキック!!! あまりの威力にヘクトルが扉をぶっ壊して飛んでいった。

 「いけません!! いけませんよベレス!! なんども教えたでしょう!! 男はケダモノなのです!! 具体的に言うと歩く下半身なのです!!」

 「レア様、下半身は最初から歩くためのものだ」

飛び出てきた水着美人に肩をガックンガックンされてもクールフェイスを崩さずに答えるベレスはある意味大物かもしれない。

 「よぉ、セイロス」

 「うん? ああ、グラーフじゃないですか。やっぱり生きていたんですね」

 「どうしようエリウッド。誰も俺の死を信じてくれない」

 「君のことをよく理解している証拠だと思うよ」

俺だって死ぬ時は死ぬのに。

 「いやぁ、でも焦りましたよ。私が召喚されようとしているのに比翼英雄……あ、ここ強調ですよ『比翼』英雄の相方であるベレスがいなかったんですから。そしたら今まさにケダモノに襲われそうになっていたんですから」

 「そんなセイロスに朗報だ」

 「なんです?」

 「さっきのお前の同僚になるから」

 「大司教にだってミスはありますから」

 「この反省しない感じが実に君の友人って感じだよね」

 「「失礼な」」

俺だって反省する。例えば100%俺が悪い時には。0.1%でも相手に非があったら反省しないが。

 「それとセイロス、もう一つお前に報告な」

 「今はレアですからね。なんです?」

 「ここにはソティスもいる」

 「なん……だと……!?」

劇画調で固まるセイロス。そして鼻血を垂らした。

 「お母様がいてベレスがいる……楽園はここにあった……」

 「とりあえず鼻血を拭け」

 「こうしちゃいられねぇぜ!! お母様ぁぁぁぁぁぁ!!!! あなたの娘が今行きます!!!」

そして召喚室から飛び出していくセイロス。俺たちはそれを黙って見送るとベレスが口を開いた。

 「レア様も元気だな」

 「「元気で済ませていいのか?」」

 




ドロテア
水着でやってきた歌劇団の歌姫。外道、フォドラに立つルートからやってきた。召喚士のことをおじさんと呼び(主に召喚士の女性関係で)トラブルを起こして愉悦の笑いを浮かべる愉悦部員

ペトラ
親友がやってきて超嬉しい

ベレス
水着? 随分と頼りない防具だな

レア様
みんな大好き大司教。レア様も外道、フォドラに立つルートからやってきた。お母様がいてベレスがいてベレトがいる。このヴァイス・ブレイブは彼女にとって楽園である。召喚士とはヘクトルやエリウッドと同じような関係。




そんな感じで水着ガチャ結果です。本当は初日に引いていたんですが、執筆できなかったので今日更新。
作者はドロテアは風花の中でもトップクラスで好きで、一番好きなベレスとトップクラスに好きなレア様の比翼英雄とか引くしかないと思って赤、無色狙いで回したところ課金なしで無事に来てくれました。
ちなみに作者はドロテア×イングリッドではなくドロテア×ペトラ派です。

え? レア様のキャラ? それは外道、フォドラに立つを読んでくれとしか言いようがないですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とクレイジーサイコマザコン

このタイトルで誰だかわかるかなぁ! ちょっと難しいかなぁ!!


あ、ちょっと短めです


 「グラーフ、ちょっといいですか」

昼食時の食堂。俺のところにやってきたのは水着姿でナイスバディを披露している残念美人のレアことセイロスであった。

俺とセイロスは悪友である。当然のように答えは決まっている。

 「今はセライナと昼食中だからダメだ」

 「あ! 返答は別に聞いていないんで勝手に座るわね! ほら、セライナちゃん詰めて詰めて!」

 「え? あ、はい」

セイロスの勢いに押されて席を詰めてしまうセライナ。

 「お前、セライナに席を詰めさせるとか万死に値するぞ? 死ぬか?」

 「セライナちゃん、このブラコンが嫌になったらきちんと嫌って言うんですよ」

何を言いやがるこのクレイジーサイコマザコン。

しかし、セライナはキリッとした表情で断言する。

 「私が兄上を嫌になることなどありえません」

 「セライナァァァァァァァァァ!!!!!!」

 「兄上ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

力強く抱き合う俺とセライナ。それを見てセイロスから舌打ちが漏れた気がするが気のせいということにしておこう。

 「それで? 何かようか?」

最後にガッチリとハグをしあってから大人しく座る俺とセライナ。俺とセライナがお互いのことでうるさくなるのは最近では普通なので周囲も「あ、また発作か」くらいの反応しかしない。

そしてセイロスはゲンドウポーズを取りながら重々しく口を開く。

 「私、お母様に避けられていませんか」

 「「当然かと」」

 「なんですって!? 私のどこにお母様に避けられる要素があるというのですか!! このパーフェクトウーマンスーパー大司教レア様に向かって!!」

 「兄上、レア殿の頭は……」

 「もう手遅れなんだ、そっとしておいてやれ」

 「シスコン&ブラコンはシャラップ!! それより何故私がお母様に避けられなければいけないのですか!! 答えを要求します!!」

その言葉に俺とセライナは顔を見合わせる。そして俺はゆっくりと口を開いた。

 「ソティスの服に手を突っ込んで身体中をさわさわ」

 「離れ離れだった娘が愛情を求めていたんですよ!」

 「ソティスの脇をハスハス」

 「お母様のスメルを肺いっぱいに取り込みたいっていう娘の愛ですよ!」

 「ソティスの首筋をペロペロ」

 「娘の愛情表現ですよ!」

 「わかるか、セライナ。これがクレイジーサイコマザコンだ」

 「なんというか歪んでいますね」

俺の言葉に一点の非も自分には存在しないかのように即答するセイロス。是非ともこいつを反面教師にしてセライナには純朴に育って欲しい。

俺とセライナのやりとりを聞いて悔しそうに机を叩くセイロス。

 「なんでだよ!! ただ私はお母様のスメルを嗅いだり、脇とかヘソをペロペロしたり、できることならお母様の子供を孕みたいと思っているだけなのに!!」

 「兄上、レア殿を医務室に放り込んだ方がいいのでは?」

 「その前に治安維持部隊かねぇ」

この堂々と頭のおかしいことを叫べる神経はどうなっているんだこのキチガイ。

 「おや、先生」

そしてそこにやってくるのはベレス(今日は学園はお休み)。そしてその隣には師大好きっ子のエガちゃんがいる。

エガちゃんがいるのを確認したセイロスは素早かった。即座に席を立ち上がるとナンパ師のように流れるようにベレスの肩を抱いたのだ。

そしてエガちゃんを嘲笑うかのように口を開く。

 「うん? どうしたんですかベレス。『比翼英雄』の相方である『私』に何か用ですか?」

セイロスの言葉にエガちゃんのこめかみに怒りマークが浮かぶ。

それに気づかないかのように普通に会話を始めるベレス。

 「ああ、リンとムスタファー将軍とフィヨルムが待っている。戦禍の連戦に行こう」

 「ふふふ、そうですね。『私達』も急いで向かうとしましょう。おや? フレスベルグの少女はどうかしましたか? ほらほら、早く勉学に励みなさい?」

煽っている。セイロスは完全にエガちゃんを煽っている。その証拠にセイロスのエガちゃんを見る顔は完全に愉悦の笑みだ。

 「先生、戻ってきたら教えて欲しいことがあるんだが、大丈夫かい?」

 「セライナも一緒に授業を受けることになるがいいか?」

 「ああ、問題ない。それじゃあまた後で」

そしてベレスは最後にエガちゃんの肩を叩いて去っていく。そしてベレスと同じようにエガちゃんの肩に手を置くセイロス。

 「すいませんねぇ!! ベレスの『比翼英雄』の相方は『私』なんですよ。エーデルガルトでもディミトリでもクロードでもなくこの『わ・た・し』なんですよ!! あははははは!! 貴女は斧でものんびりと磨いているといいです!! その間に私とベレスは仲良く出撃していますので!!」

そして高笑いしながら歩き去っていくセイロス。残される怒りに満ちたエガちゃん。

そしてエガちゃんは叫んだ。

 「絶対に師を人の手に取り戻す!!」

どうやら我がヴァイス・ブレイブでも風花雪月編がスタートするらしい。

 




レア様
お母様(ソティス)とベレスとベレトがいることによって絶好調なみんな大好き大司教。その重たい愛を母に捧げたことによって当の母からは避けられている。
そしてそのストレスをエガちゃんを煽ることによって発散している

エガちゃん
フレスベルクの少女エーデルガルト。今回の出来事をきっかけに『打倒レア』を掲げて戦力をスカウトし始める。

召喚士&セライナ
仲良し兄妹。シスコン&ブラコン



そんなわけでみんな大好きクレイジーサイコマザコン回です。
風花雪月キャラの中でもトップクラスに好きなはずなのにこんな扱いをされるレア様。でも生き生きとしている気がします。
そして師大好きエガちゃんを煽り倒すレア様ほんとに最悪すぎて好き。

ツイッターで見かけたエガちゃんとベレス&レアを支援を結ばせる画像が(エガちゃんにとって)天国と地獄で笑いました。作者もやろうかな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブの神々

吹き荒れろ独自設定!!

我がヴァイス・ブレイブの神様設定についてです


 「そういえばさぁ」

いつものように地獄の仕事量をこなしつつ部屋でバカ二人とウダウダしていると、エリウッドが何かを思い出したかのように口を開いた。

 「君って一応伝説の英雄だったわけだろ」

 「なんてことを言うんだ。伝説のブラミモンド様に向かって」

 「「いや、お前はどっちかって言うと封印されている魔王側だろ」」

ガンのくれあいになったが概ねいつも通りである。

 「分類上は君も神階英雄なわけだけど、他の神様連中と一緒にしていいのかい?」

 「神様扱いならすでにされているが?」

 「いや、狂信者的な特殊例じゃなくて世間一般的な意味合いでね」

本当にあの狂信者はどうにかならないだろうか。

まぁ、世間一般的な意味合いでと言うなら返答は決まっている。

 「一応神様だぞ、俺」

 「「え?」」

 「どう言う意味だ」

俺の返答に信じられないようなものを見たような表情で俺を見てくるバカ二人。

 「いや、本当に特殊な例じゃなくて世間一般的な意味合いでだぞ?」

 「だから神様だぞ」

 「「嘘だろ!?」」

ヘクトルの念押しに正直に答えたらマジ驚愕声を上げられた。

 「え? 嘘だろ? マジなのかい!?」

 「だからマジだって」

 「嘘だろ!? お前が神様とか絶対に邪神だろ!!」

 「否定はしない」

 「「そこは否定しろよ」」

どうしろと言うのだ。

 「まぁ、神様なのはマジだぞ。あくまで烈火・封印世界においてはってつくが」

 「マジかぁ」

 「こいつが神様ねぇ」

胡散臭そうに俺を見てくるバカ二人。

 「ほれ、神様の御前だぞ? 敬えよ」

 「「お前に対して敬うとか絶対にありえない」」

確かに今更烈火組に敬われたら偽物を疑うが。

そして俺をマジマジと見ながらヘクトルが口を開く。

 「なぁ、神様ってなんなんだ?」

 「ふむ、よろしい。では授業の時間だ」

俺はそう言って部屋に設置してあるホワイトボードを引っ張り出す。エリウッドとヘクトルも酒を片手に席に座った。

俺はペンで図を描きながら説明を始める。

 「まず、神様と呼ばれる存在には必ずあるものがある。ヘクトル、なんだかわかるか?」

 「……すっげぇ力とか?」

 「脳筋らしい発想で実に結構。確かに強い力を持っているがそれは後付けに過ぎない。エリウッドはわかるか?」

俺の言葉にエリウッドは顎に手を当てて少し考えるが、考えがまとまったのか口を開いた。

 「信者、かな」

 「その通り」

エリウッドの言葉に頷きながら俺は信者とホワイトボードに書き込む。

 「実は神にとっては信者の存在はそれ自体が力の能力に関わってくるために重要だ。それと同時に大事になってくるのがその神の言い伝え……いわゆる神話だな」

俺は信者という言葉の上に神話と描く。

 「神話で語られた姿を人々が信じ、信仰することによって神は存在が定義される。神話とかでは神が人間を作ったという話がよく出てくるが、実は神が存在するにはその存在を信じる人がいないといけない」

ちなみにと言いつつ俺はその下に名前を書き込んでいく。

 「我がヴァイス・ブレイブにおいてこの神と定義されるのはユンヌ、ドーマ、ナーガ、オルティナ、ソティス、リーヴだ」

 「あれ? お前は違うのか?」

 「脳筋、いい疑問だ」

そこで俺はまた別のことを書き始める。

 「実は神と呼ばれる種類にはもう一つ存在する。神話では語られているが人々の記憶から消えている神々。言わば『忘れられた神』だな」

 「信仰する人がいないってことは弱いのかい?」

 「その通りだエリウッド。だが、仮にも神だから人間よりは当然強い。信仰されている神に比べたら一段落ちるが」

そして俺は消えた神の下に名前を書いていく。

 「うちのヴァイス・ブレイブで『忘れられた神』は俺、お姉ちゃん、イドゥンなどだな」

 「「ナギとイドゥンも神だったのか」」

 「神とタイマンはれるのは同じ神だけだ」

そこでエリウッドは何かに気づく。

 「あれ? ユンヌとナギとイドゥンってよく戦闘しているよね? それって世界とか大丈夫なのかい? 仮にも神々の戦いだよね?」

 「うむ、実はあの戦闘で毎回この世界は崩壊の危機に瀕している」

 「「神様テロ……!!」」

あの三柱は頻繁に自分の立場を忘れて楽しむ癖がある。特にイドゥン。

 「まぁ、世界の崩壊は主にドーマがなんとかしているから安心していい」

 「「邪神とはなんなのか」」

俺もそう思うが実際にイイ神ドーマは神様パワーを発動させて世界崩壊の危機を防いでいる。ドーマがいなかった場合、とっくにこの世界は崩壊しているだろう。

 「ちなみに英雄の中に神になれそうな奴がいる。誰だかわかるか?」

俺の言葉に二人は考えこむが、すぐにヘクトルは思い至ったらしい。

 「マルスか!!」

 「あ、なるほど!! マルスは覚醒世界だと神話として扱われているからか!!」

 「その通り。いわゆる建国神話って奴だな」

俺は神候補と書いてその隣にマルスと書く。

 「この建国神話ってのは人間を成神として書かれるんだが、信仰する信者が多くて意外と強くなれる。うちの神々の中ではリーヴだな。この世界の建国神話の神だからかなり強い力を持つはず『だった』」

 「『だった』ってことは違うのかい?」

エリウッドの言葉に俺はニヤリと笑う。

 「これが神々の面白いところでな。神本人が降臨した場合はほぼ全盛期の力を発揮できる。ところがうちにいるリーヴは異世界のアルフォンスの体に降臨させた『憑代降臨』になっている。この場合はあくまで体は人間のために神の力はだいぶ削がれる」

俺の言葉に納得したような様子を見せるヘクトルとエリウッド。

 「そうなるとよ。実際のところ神って何ができるんだ?」

ヘクトルの質問に俺はまた図を書きながら説明する。

 「それは主に神話に語られているな。例えばソティスは大地や人々を作った神とされるからその権能を持っているはずだ」

 「……ペロペロキャンディを嬉しそうに舐めているのにかい?」

 「ああいうことをしていても神だからな。機嫌を損ねた場合は余裕で人間なんか殺せるので気をつけるように」

 「「神こわぁ……」」

エリウッドの言葉に俺が答えると、二人は軽く戦慄している。しかし、神というのは基本的にクソだと思った方がいい。うちにいる神は比較的神格者が多いが。

 「ちなみにソティスの娘のレアだが、あいつ召喚される時に『あ、権能持ってくるの忘れちゃいました!! テヘ!!』とか言っていたから今は神でありながら神の力は持っていない」

 「「レアェ……」」

あの浮かれポンチはベレスの比翼英雄でテンション上がって権能を持ってくるのを忘れるというアホなことをした。早い所神階英雄としての実装が待たれる。

 「それじゃあお前はなんの神様なんだ?」

 「俺の場合は多くが学問や魔術の神として信仰されている。そのために俺の加護を受けると魔力が強くなったりする」

 「あれ? まさかリンやフィオーラの魔防が高かったり、君の養子達が魔力を秀でているのって?」

 「俺の加護だ」

 「俺の魔防が低いのは?」

 「俺の呪いだ」

ヘクトルと俺の胸ぐらのつかみ合いが発生したが概ねいつも通りである。

胸ぐらのつかみ合いで乱れたローブを整えつつ俺は言葉を続ける。

 「ちなみに神々に例外なくだいたいメテオストライク……まぁ、巨大隕石落下だな。これはできると考えた方がいい」

 「メテオストライクをしたらどうなるんだい?」

 「その世界の文明が滅びる」

 「「こわ!!」」

どの神話でも巨大隕石落下はだいたいあるのでやれると考えた方がいい。

 「あ? そういえばお前ってニフル国教会で神様扱いされているだろ? あれの扱いはどうなんだ?」

 「あっちは『神としての俺』じゃなくて『召喚士としての俺』を神として祀っているので俺の信者にカウントされない。俺はどこまでも『忘れられた神』だ」

ヘクトルの言葉に答えながら俺はペンを置く。神についての授業はこんなところである。

そしてエリウッドは何かに気づく。

 「あれ? 君ってパオラを女神扱いしているよね? パオラ神教なんて作って。あっちはどうなんだい?」

エリウッドの問いに俺はイイ笑顔で答える。

 「パオラ様は死後神になられるだろう」

 「「やっぱ神ってクソだわ」」

 





ユンヌやソティスなどの神話が残り人々から信仰されている『神』と、召喚士やナギのような神話に残っているが人々から信仰されていない『忘れられた神』がいる。
ちなみに修羅三人衆などはあくまで『人間の到達点』のために『人間を超えている』神々にはかなわない

権能
言わばその神様の固有能力

メテオストライク
その世界は滅亡する




そんな感じで川上稔先生の神々のいない星でを読み、FEHの神様たちをみて思いついたネタをつらつらと書き出しました。
そして独自設定でナギとイドゥンも神に。ユンヌとタイマンはれるんだからあの二匹の竜も当然神様ですよ。
本当は1柱ごとに権能とか信者に与える加護も考えたかったんですが、面倒になったのでやめました。

今後、この設定が生きるかは不明です


そして新ガチャ発表ありましたね。ネタ的にクリ子ちゃん(クリ男くんはネタにしずらい)が欲しいのですが、恒常なのですり抜けを待とうかとも思います

そしてさらっと実装されるエレミヤ様。おうエレミヤ様は10凸しなきゃいかんやろ(本編で仲間にしたかったマン


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とクリ子

新英雄でまさかのクリ子実装!!

そしてまさかの召喚成功!!

この運は神階までとっておきたかった気持ちはあります


 「本当にやるのか?」

俺は召喚室でエクラ(の格好をしているクリ子)に問いかける。

エクラは苦悶の表情をう浮かべながら口を開く。

 「確かに私が参戦することによってレズヤンデレストーカーがここに来る可能性は高まるわ」

そう言いながらエクラはフードを外す。

 「だとしても私はマルス様の家臣!! マルス様をお守りできるなら自分の被害は考えないことにしましょう!! レズヤンデレストーカーが来たらその時に考える!! 今はマルス様とシーダ様に並ぶ資格を得ることの方が重要だ!!」

ババーンという表現がつくくらいの勢いで言い切ったエクラ。だがその内容は目の前のご褒美を前に我慢できなくなった犬と同じである。

 「ちなみに本人という超強い触媒があっても沼る時は沼るからな」

 「ふ、笑わせないで」

俺の言葉を一笑に付すエクラ。

 「私の忠誠心は確率を超える」

 「こえぇよ」

実際にやりそうで怖い。

そして召喚石版を起動する。浮かび上がる青は……

 「うお! 3つもある!」

 「っしゃぁ!!」

渾身のガッツポーズを決めるエクラ。

 「これは一発で私が来る流れ……!!」

 「そうはいかんだろ」

そう言いながら石版に青オーブを叩き込む。

浮かび上がるシルエット。消えないエクラ。浮かび上がるシルエット。膝をつくエクラ。

 「……またクリスか」

 「はぁぁぁぁぁ!! 私はマルス様のウルトラゴッド忠臣のクリスちゃんじゃないですけどぉぉぉぉ!!!」

 「クリスがここにいて青を引く……そうか、ようやくカタリナストッパーとして働く気になったか」

 「秘伝書になっちゃえぇぇぇぇぇ!!!」

召喚されたロディはエクラの手によって秘伝書になった。

呼吸を整えているエクラ。俺はそれに話しかける。

 「次行っていいか?」

 「お願いします」

それからしばらくは青が出てこないことが続く。

 「ちなみにオーブが200切った時点でお前の召喚諦めるから」

 「なんでだよ!? 天井まで行こうぜ!! なんだったら天井の向こう側まで!!」

 「月末の神階英雄があるから本命はそっちだ」

 「ち、ちなみに残りオーブ残量は?」

 「209個」

 「チャンスはあと二回……!!」

エクラが何やら戦慄しているが仕方ない。通常の英雄より神階の方が確保した方がいいのだ。次の神階はアトスかなぁ。

 「召喚士!! ちょっと待ってください!!」

 「うん? ああ、まあいいが」

そしてエクラは何やら召喚石版の周囲を置き始めた。

等身大マルスの写真、等身大マルスの写真、等身大マルスの写真、等身大シーダの写真、等身大マルスの写真、等身大マルスの写真、等身大マルス&シータのペア写真。

 「……そこはお前の写真じゃねぇの?」

 「何を言っているの!? 私を呼ぶんだったら触媒はマルス様に決まっているでしょ!! それに私の写真だったらレズヤンデレストーカーが来るかもしれないでしょ!!」

 「後半が本音だな」

 「失礼ね!! 私はマルス様に関することは常に本気よ!!」

何やらよくわからないところがキレているエクラを無視して俺は召喚石版を起動する。浮かび上がるオーブ。青は3つ。

 「ち、ちなみに召喚士、3つ全部開けることは?」

 「2つまでだ。さぁ、選べ」

俺の言葉に覚悟を決めた表情になるエクラ。

 「私のマルス様への忠誠心に2つ目など不要!! 1個目で引き当てる!!」

 「いや、多分無理だぞ。確率そこまで高まってないし」

 「いざ!! 勝負!!!」

そしてエクラは勢いよく青オーブを石版に叩き込む。叩き込む威力が高すぎて青オーブは粉々になったが無事に起動できているから良しとしよう。

舞う土煙、消えるエクラ、浮かび上がるシルエット。

 「!? なんだと!?」

 「我が世の春が来たァァァァァァァァァぁぁ!!!!!!!!!!」

槍を天高く掲げて叫ぶエクラ改めクリ子。

 「みなさい、召喚士!! これは私の忠誠心の証よ!!」

 「狂信者こっわぁ……」

 「失礼なこと言わない!! おおっと!! こうしちゃいられねぇ!! マルス様!! あなた第一の家臣が今参ります!!」

そして召喚室から出た瞬間にクリ子の姿が消えた。入り口付近を見てみると落とし穴が掘ってある。

そして穴の中にいるのはクリ子とノルン。よく見るとノルンがクリ子に抱きついている。

 『あァァァァァァ!!!! クリスゥゥゥゥゥウゥゥウゥゥ!!!! 待っていたんだよ!! 私ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっxつっっっと待っていたんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』

 『クッソォォォォォオォォォォオォ!!!! カタリナがいないことに油断してノルンがいることを忘れていたわ!! あ!! 召喚士ちょっと助けて……ってコラァ!! 穴に蓋しようとするなぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 『クリスぅぅぅ!!! ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっと一緒だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

俺が最後に見たのはクリ子の服を脱がそうとしている目がハートマークのノルンの姿であった。

 




クリス
マルス家臣筆頭(しかし忠誠心は鼻から出る

ノルン
クリスガチ勢

ロディ
クリ子が来てくれて一安心(主にカタリナが来た時の意味で




そんな感じでクリ子召喚編です。
ネタ的にクリ子は欲しいけど、オーブを消費してまで欲しいか悩んだ結果スルーしようと思ったんですが、どうせなのでオーブが200切るまで召喚するかと思って召喚したところ、九回目の召喚でログインしました。

そして今日からエレミヤ様ですね。作者は本編でエレミヤ様を仲間にしたかったマンなのでエレミヤ様は優遇されます。

この作品で優遇=いい扱いとは限らないわけですが


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とエレミヤ

大英雄戦でやってきたエレミヤ様

原作でも個人的に好きだったので優遇しますよぉ!!(なお、キャラ崩壊がマシとは限らない


 「いい? ここでは人類を滅ぼすような真似をしないでよね?」

クリスの言葉を聞き、聖母スマイルを浮かべながらエレミヤは答える。

 「ふふふ、可笑しなことを言いますね。私は人類を滅ぼすことはしていませんわ」

 「……だったら元の世界でやろうとしていたのはなんだったのよ」

クリスの言葉にエレミヤは聖母スマイルを浮かべて両手を広げたからかに宣言する。

 「人類の救済です!!」

 「どこの世界に人類を滅ぼして人類を救うやつがいるのよ!!」

思わずクリスは突っ込んだ。元の世界ではエレミヤは虐殺者として知られている。老若男女関係なく殺し、大量の亡骸を積み上げた虐殺者。戦争の最中も戦後も彼女が何故そのような真似をしたかは謎に包まれていた。

そして今回の大英雄戦で彼女が仲間になったとき、同じ世界の出身者が感じたのは危機感だ。彼女はこの世界でも同じことをするのではないか。現にエレミヤの最後を看取ったクライネは最後まで彼女は変わらなかったと言っていた。

そしてクリスはヤンデレガチレズストーカーからエレミヤのことを聞いていた。

ヤンデレガチレズストーカー曰く『神の声を聞いた狂人』

クリスはヤンデレガチレズストーカーにドン引きなのにそいつをドン引きさせる奴がいることに戦慄したからよく覚えている。

クリスの叫びにエレミヤは聖母スマイルを崩さない。

 「人類の救済という大義の前に人類の滅亡など小さいことなのに」

エレミヤの言葉にクリスは頭痛を抑える。エレミヤを仲間にすると言ったとき、エレミヤに育てられたクライネは「え? 正気? あの人狂っているわよ?」と言い、同じくエレミヤに育てられたローローは普段の言葉も消えてマジトーンで「やめておいた方がいい」と言っていた。

そしてクリスの反応を無視してエレミヤは沈痛そうな表情を浮かべる。

 「ええ、元の世界ではアイネだけでなくクライネやローローにも裏切られてしまいましたが、それは私の不徳のいたすところ。あの子達を責めることはできません」

そしてエレミヤは再び両手を広げ、たからかに叫ぶ。

 「全ては私が彼女達に我が神のお言葉を信じさせることができなかったが故に起こった悲劇!! そう!! 私がすべきなのは全人類に我が神のお言葉を伝え同志を増やすことなのです!!」

エレミヤから見えない位置でクライネとローローが武器を構えて「どうする? 殺した方がいいよ?」という表情を浮かべている(ローローは仮面なので雰囲気から

ぶっちゃけクリス的にもエレミヤは殺した方が世界のためだと思うのだが、如何せん彼女もアスク王国を救うために呼ばれた英雄だ。

 「お、新人が来たか」

 「美人じゃねぇか」

 「君はすぐにそれだね」

そこにやってきたのは召喚士、ヘクトル、エリウッドの三馬鹿。

 「召喚士、提案よ。こいつはすぐに送還した方がいいわ」

 「おうおう、急にどうした」

 「こいつ狂っているわよ」

 「狂人なんかこのヴァイス・ブレイブでは珍しくもないが?」

 「英雄ってなんなの……!!」

召喚士の最もすぎる発言にクリスが歯噛みして悔しがる。

そこでクリスはエレミヤの変貌に気づく。召喚士を凝視しているのだ。当然のように三馬鹿も気づく。

 「え? なに? めっちゃ俺見られているんだけど」

 「お前が昔引っ掛けた女か?」

召喚士とヘクトルのガンのくれあいが発生したが概ねいつも通りである。

そして感極まったようにエレミヤが口を開く。

 「我が神!!」

 『なにぃ!?』

驚愕の声は隠れてエレミヤを見張っていた紋章組全員の声であった。

しかし、エレミヤはそんな周囲の反応を無視して召喚士の前に祈りを捧げるように跪く。

 「ああ!! そのお姿、そのお声!! 紛れもなく私に大義を与えてくださった我が神に違いありません!!」

 「待て待てクリス。首を絞めるな」

 「絞めるに決まっているでしょ……!! うちの世界の多くの悲劇の元凶があんたとか許されざることよ!!」

その瞬間にクリスは危険を察知して召喚士を離して飛び退る。クリスがいた場所には巨大な鈍器が振り下ろされていた。

 「我が神に仇なす不信心者でしたか……悲しい、私は悲しいです……ええ、ですが大丈夫。我が神は死後貴女の魂を救ってくださるでしょう!!」

当然のように下手人にはエレミヤであった。その瞳には確かに狂気が宿っている。

 「あ〜、エレミヤだったな」

 「はい!! なんでしょうか我が神!!」

そして召喚士の言葉に速攻で鈍器を投げ捨てて召喚士の前に跪いた。

召喚士は少し考えていたようだが、すぐに優しい表情を浮かべる。

 「信徒・エレミヤよ」

 「おお……おお……!! 我が神に私程度の存在を認識していただけるとは……!!」

そしてエレミヤは召喚士の前で五体投地をしてしまった。

召喚士は視線でクリスに「どうしよう」と訴えてくるが、クリスは見なかったことにした。

とりあえず召喚士は雰囲気を神様モードに変えてエレミヤに優しく問いかける。

 「我が信徒・エレミヤ。貴女は私の教えを覚えていますか?」

 「当然でございます!!」

エレミヤは五体投地の状態のまま大きく叫ぶ。

 「我が神は私が人を救うため、争いをなくすにはどうすべきか迷っているとき、私の前に現れてこうおっしゃられました!! 『エレミヤ、全ての人類を不老不死の新たな存在に書き換えることで、個人の欲望と争いの意味をなくせばいい』とおっしゃってくださいました」

 「「人類補完計画かよ」」

思わず突っ込んだヘクトルとエリウッドに召喚士は黙っていろアピール。

そしてエレミヤは言葉を続ける。

 「我が神から信託を受けた後、私はガーネフという男とともにメディウスという暗黒竜を復活させ、その強大な魂を利用して全人類を不老不死の存在に書き換えようといたしました。そのための実験も上手くいっておりました。しかし……しかし……!! 私の教えが拙かったばかりに我が子供達に反旗を翻され失敗してしまいました!!

そこでエレミヤは顔を上げる。その顔は号泣であった。

 「しかし我が神よ!! 我が子達は何も悪くありません!! 全ては私の不徳のいたすところ!!」

 「ええ、わかっています。貴女の子供達は何も悪くありません」

 「おお……おお……!! 感謝いたします我が神!! 我が神のお姿、そしてお声を聞けば我が子達も私に協力することでしょう!! 我が神、我が神よ!! どうか私にもう一度機会をお与えください!! 今度こそ私は全人類を救ってみせましょう!!」

エレミヤの目は完全に狂信者のそれだった。具体的に言うとスリーズより酷かった。

 「よくお聞きなさいエレミヤ」

召喚士の言葉にエレミヤは五体投地態勢のまま召喚士に祈りを捧げている。

 「この世界には私の力が満ちています。貴女が何かすることもなくこの世界は救われるでしょう」

 「おお……おお……!! なんと言うことでしょうか!! この世界の人類はすでに救われているのですね!!」

 「その通りです」

召喚士の言葉にエレミヤはガバッと体をあげた。

 「我が神のお言葉、このエレミヤ確かにお聞きいたしました!! ならばこの私はこの世界の人類に我が神のお言葉を伝える伝道者として参りましょう!! それでは早速我が子達に教えをしてこようと思います!! 我が神、ここで失礼させていただきます!!」

そしてエレミヤは最後に召喚士に五体投地をかますといそいそと歩きさる。遠くから「クライネ!! ローロー!! 我が神のお言葉を聞くのです!!」という言葉をクリスは聞いた。

疲れたように召喚士はため息をついてクリス達に向き直る。

 「どうしよう?」

 「「「自分でどうにかしろ」」」

 




エレミヤ
召喚士を信仰する愛溢れるハイパー狂信者

クライネ&ローロー
元いた世界ではカタリナの説得を受けてエレミヤを裏切った。エレミヤの狂いっぷりについていけなくなったとも言う

召喚士
久しぶりに神様モード




そんな感じでエレミヤ回でした。
個人的にエレミヤ様は好きなキャラなので良い?方向にキャラ崩壊。我が子達を愛し、我が神(召喚士)の教えのために人類を滅ぼそうとする狂信者になりました。個人的にエレミヤ様の狂信を書くのは楽しかったです

原作では暗躍しているのはガーネフでしたが、この作品ではエレミヤ様が暗躍していた模様。その目的はメディウスを利用しての人類の不老不死化。これにはFateの天草くんもニッコリ。

最近、作者は「あれ? リンちゃんよりベレスの方が好きなのでは…?」と自問しています。軍師×リンちゃんはジャスティスだけどそれはそれだよね!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とイングリット

金髪、編み髪、女騎士とみてアグリアスを連想したのは作者だけではないと思ってます


さて、今日も今日とて召喚タイムである。

 「お前、オーブは神階のためにとっておくとか言ってなかったか?」

 「ヘルの奴に使うオーブなどない」

ヘクトルの言葉に即答する俺。なぜヘルなんぞが神階になっているのだ。しかも遠距離反撃、警戒姿勢、祈りとか言う超絶面倒なスキル構成で。

 「でもヘルは君と同じ闇神階だよね。意外と君たち仲がいいオーケー、冗談だからその魔道書をしまおう」

トチ狂ったことを言い出したエリウッドを処分しようと思ったが、瞬時に謝りながらヘクトルを盾にし始めたのだ大人しく魔道書をしまう。

 「それにしても風花雪月水着ガチャか」

 「青一点狙いってことはイングリットちゃんって娘だよね」

俺が召喚作業をしている後ろでヘクトルとエリウッドが会話している。

 「「まぁ、オーブ150個近く使って星5が誰も出ていないが」」

 「黙れ脳筋に腹黒ぉ!! ここですり抜けなしでイングリットが出て『召喚士くん大勝利!!』展開に決まっている!!」

 「「ははは、笑わせおる」」

ヘクトルとエリウッドと三人で中指を立て合うことが発生したがいつも通りである。

 「だがまぁそろそろオーブが100個切るから切り上げるか」

 「バカな……!?」

 「学習しているだと……!?」

脳筋と腹黒がガチ驚愕顔を浮かべているのだがどういう意味だろうか。

とりあえず二人に絶無の書を叩き込んで殺害した後ゆっくりと召喚作業をする。

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

 「イングリット・ブランドル・ガラテアです。目指すは高潔な騎士。たとえ夏の海でもあら、先生。やっぱり生きていたんですね」

 「何故俺の生徒は俺が死ぬことを信じてくれないのだろうか」

俺だって死ぬ時は死ぬのに。

 「とりあえずよく来たなイングリット。ペトラからお前さんは俺の生徒だと聞いている。俺はお前たちの知っている俺じゃないが間違いなく俺だから安心して欲しい」

 「頭は大丈夫ですか?」

おかしい。俺は真実を伝えているだけなのに何故頭の心配をされるのだろうか。

 「まぁ、とりあえずここを案内してやるからついてこい」

 「え? あの、あそこで倒れている二人は?」

 「ただの死体だから安心しろ」

俺が真実を告げると軽く戦慄しているが何かあったのだろうか。

 「イングリット!!」

 「ペトラ!!」

俺とイングリットが召喚室から出ると待機していたペトラがイングリットが抱きついた。生徒達の仲が良くて結構である。

 「軽く説明するとここはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領」

 「? 独立はしていないんですか?」

 「一応、俺たちはアスク王国を救うために召喚されたって言う建前があるからな。属領だ」

 「でも、事実、違います。アスク、ニフル、ムスペル、治める、しています!!」

俺の言葉にペトラが補足説明すると妙に納得した表情を見せるイングリット。

案内の途中でイドゥン達の世界崩壊一歩手前の(世界が)限界バトルにドン引きしたりしているが、まぁ、新しく召喚された英雄には珍しくない。

 「ところで先生」

 「どうした?」

そして最後の場所を案内しようと思ったらイングリットが話しかけてくる。

 「何故、私はペトラに見張られているんですか?」

イングリットの言葉の通りイングリットの背後にはペトラがぴったりとくっついている。その姿はまさしく見張るようであった。

その言葉に俺は100%(胡散臭い)笑顔を浮かべる。

 「はぐれたら大変だろ?」

 「なるほど、はぐれたら大変だからですか。私はてっきり逃げないように見張っているのかと思いました」

 「ははは、そんなわけないだろう。少しは先生を信用しろって」

 「ははは、もちろん先生のことは信用していますよ」

 「そうかそうか、ははは」

 「ははは」

 「ははは」

 「ははは」(窓から逃げようとする)

 「ははは」(肩をがっちり掴んで逃さない)

 「く!? やっぱり何か企んでいますね!!」

 「おいおい、先生のことを信用しろって」

 「信用しているから信用できないんです!!」

 「そうかそうか。生徒が俺のことを理解してくれていて嬉しいよ。ペトラ、逃すな」

 「はい!!」

 「離してペトラ!! これは絶対に面倒なことを押し付けられるやつです!!」

俺の生徒だけあって俺のことを理解している。

 「安心しろ、案内はここで最後だからな」

俺はそう言いながらとある扉を開く。

 「こっちの書類不備だらけじゃないですか!! すぐに持っていて直させてください!! こっち!! これは計算がおかしいです!! すぐに計算しなおさせて!!」

部屋の中ではヴァイス・ブレイブ学園の制服を着て大量の書類の山に囲まれながらたくさんの文官に向かって怒鳴り声をあげているリシテアがいた。

 「リシテア、増援を連れてきたぞ」

 「あ!! 待ってましたよイングリット!! 貴女は大将軍だったから書類仕事できるでしょう!! こっちからこっちの山をお願いします!!」

俺の言葉に速攻で文官にいくつかの山を開いていた机に置かせるリシテア。俺はペトラに合図してその机にイングリットを(強制的に)座らせる。

 「な!? なんですかこの書類の量は!?」

 「どっかのバカ先生が文官を育てていない結果です」

 「おいおい、褒めるなよ」

 「「文句を言っているんです!!」」

ちょっと何を言っているかわかりませんね。

 「いえ、でもこの量を二人では無理ですよ」

 「大丈夫大丈夫。リシテアが来る前は俺は一人でその量を片付けていた」

 「先生を世間一般的な人と同列にしないでください!!」

イングリットもよく言うものである。

 「マ、マリアンヌはどこですか!? 国政だったら彼女とリシテアの領分でしょう!!」

 「生憎ながら未実装だ」

マリアンヌも俺の生徒らしいから早く実装されて欲しいものである。

 「だ、だったらメーチェ!! メーチェも少しはできるはずです!!」

 「残念ながらメーチェはパオラ神教の仕事をやってもらっている」

 「パオラ神教ってなんですか!?」

イングリットも後でパオラ様に拝謁させて洗礼させなければいけないな。

 「ならペトラ!!」

 「イングリット!!」

イングリットの言葉にリシテアが怒鳴る。そして真剣な面持ちで口を開いた。

 「貴女は本気でペトラに書類仕事ができると思っているんですか?」

 「……」

俺は二人の会話を聞いてショボーンとしているペトラの頭を撫でてやる。

ため息をついてから書類の山に手を出したイングリット。俺はそれを確認してから追加の書類をイングリットの机にのせる。

 「……先生、これは?」

 「リシテアからお前さんは元の世界では大将軍として働いていたと聞いた」

 「ええ、まぁ」

イングリットの言葉に俺はイングリットの肩をたたく。

 「その経歴を見込んでこの世界でも必要な時に軍を率いてもらう。そのために必要な情報が載っている書類だ。目を通しておくように」

俺の言葉にイングリットは机に突っ伏すのであった。

 




イングリット
召喚された途端に大量の仕事の山に放り込まれた可哀想な英雄

リシテア
書類仕事ができる仲間が増えてホクホク。主に自分の仕事量が減ると言う意味で

ペトラ
今日も元気に忠犬活動





この小説のネタ的にヘルなんざイラねぇ!! 俺はグリットちゃんを引くぜ!!
って感じでオーブ150個近く突っ込んでイングリットちゃんを引きました。そして速攻で働かされる哀れなグリットちゃん。それも風花雪月世界で召喚士の生徒になったせい

オーブは月末の神階のために貯めておいたんですが、ガチャを引きたい病にかかって神階発表直前に第二弾水着ガチャに凸って見事に溶かしました。
レア様じゃなくてよかった……

それと今更ですがファイアーエムブレムサイファ始めました。主な目的はリンちゃんとベレスのカードを手にいれることです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神々の黄昏

神様達大活躍回です


 「しかし神階を追うとはなぁ」

 「なんでもリーヴくんが『頼む、スラシルを呼んでくれ……』って召喚士に土下座したらしいよ」

ヘクトルとエリウッドは緑を回してどうでもいい英雄が出るたびに奇声を挙げる召喚士を愉悦の笑みを浮かべて会話する。

 「でもよ、ワンチャンヘルが出る可能性もあるだろ?」

 「僕も気になってそれを聞いたら『大丈夫。魂ごと消滅させたから阿頼耶が何かやらない限り問題ない』って言っていたよ」

エリウッドの言葉にヘクトルは腕を組み頷きながら呟く。

 「フラグだな」

 「フラグだよね」

どう考えてもヘルが召喚されるフラグであった。

そして召喚士は奇声をあげながら召喚石版に緑オーブを叩き込む。

スパーキングする召喚石版。舞う土煙。浮かび上がるシルエット。助走をつけてシルエットに向かってジャンプする召喚士。

 「いぇぇい!! スラシルだと思った? 残念!! ヘルちゃぶげっばぁ!!!」

 「何故貴様が生きているヘルぅゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!」

そして魔力を込めて黄金に輝いている右拳をヘルに叩き込んだ。その威力に召喚室の壁をぶち破って飛んでいくヘル。

しかし召喚士は止まらない。ヘルが開けた穴から外に飛び出ると大量の魔法の矢を作り出してヘルに向かって射出。ヘルも鎌を呼び出すと板野サーカス状態の魔法の矢を斬り払う。斬り払いながらヘルは召喚士に向かって叫ぶ。

 「そうやって毎回毎回私を殺そうとしやがって!! しかも今回は魂ごと消滅したからガチでやばかったんだぞ!!」

 「ガチで殺そうと思ったんだから当然だろうが!!」

召喚士は叫び返すとヘルに向かってメテオストライク!! 巨大隕石が降ってくる衝撃によって大地が裂け、城壁が消し飛ぶが、その辺りは超絶いい神様ドーマの尽力によって人的被害はかろうじてない。

ヘルはメテオストライクを鎌を超絶巨大化させて切り裂く!! 周囲に破片が飛び散るが戦闘ジャンキー神様ユンヌ、イドゥンの両名が超パワーで破片を粉々にする。

そしてヘルは巨大な魔法陣を展開すると召喚士に向かってぶっとい魔力ビームを発射!!

召喚士はこの魔力ビームを魔力障壁を張って防御!! 20枚張った魔力障壁のうち18枚が破られるが召喚士は見事にこれを防御!!

そして背中から魔力をブーストさせてお互いに急接近!!

 「「貴様は絶対に殺す!!」」

そして超絶魔力が込められた拳がぶつかりあった瞬間にヴァイス・ブレイブが消し飛んだ。ヴァイス・ブレイブにいる人々やヴァイス・ブレイブ学園、アスク王国の人々はドーマやナーガなどの良心を持つ神々によって別空間に隔離されて無事であった。

廃墟に立ち睨み合う召喚士とヘル。そしてずびしと召喚士はヘルを指差した。

 「俺は魂ごと消滅させたんだぞ!! 復活まで最低でも千年はかかるはずだ!!」

 「その通りだよ!! 鬼畜クソ外道に魂まで消滅させられたから久々の休暇を楽しもうと思ったら阿頼耶から『ちょっとあいつだけに任せるのは不安だからお前復活ね』って言われたんだよ!!」

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!? だったらもっと他にも候補いただろ!! なんでよりによってお前なんだよ!!」

 「私が知りたい!!」

いつの間にかヘルの周辺に展開されていた魔法陣から大量のビームが発射されるがヘルはこれをエアロバティック・マニューバで回避!! そのまま召喚士に接近して召喚士を両断するが、両断された召喚士は幻のように搔き消える。

 「!? 機雷か!!」

気づいた時には遅い。両断された召喚士の破片が一斉に大爆発する。それに巻き込まれるヘル。

ステルス魔法を解いて即座に次の魔法陣を展開する召喚士。そしてその隙をヘルは見逃さずに突貫する。

 「ッチイ!?」

 「もらったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

機雷魔法でズタボロになりながらもヘルは勝機を見逃さない。まさしく刹那のタイミング。残りコンマ0.1秒でも遅ければ召喚士の魔法陣が完成してヘルは再びこの世からグッバイしていただろう。

まさしくリベンジ!! ヘルちゃん逆転大勝利!!

そうなる瞬間にそれは起こった。

 「二人とも何をしているんですかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 「「ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

そう!! 我らがアティ大先生である!!

アティ先生は自力でドーマとナーガが張った結界からでると近くに落ちていた木の棒で二人の間に割って入りフルスイング!! 召喚士は頭が地面に埋まり、ヘルは吹き飛んだ勢いで山が消しとんだ!!

しかし、アティ先生の怒りは収まらない。

 「もう!! 二人が仲悪いのは知っていますけど。他の人にも迷惑がかかるような喧嘩をしてはダメです!!」

なんとアティ先生は二人の世界を破滅に導く殺し合いをまるで生徒の喧嘩を叱るような言い草!!

流石はアティ先生の格は違った。

召喚士とヘルもアティ先生には勝てないのを知っているので大人しくアティ先生の前で正座。

そしてアティ先生はできの悪い生徒を諭すように二人を説得する。

 「いいですか? お二人の仲が悪いのは私も知っています。ですが、すぐに暴力に訴えるのはダメです。まずは話し合い!! 話し合えば絶対に分かり合えるはずです!!」

 「は? この骸骨とわかり合うとか一万年以上かかっても無理なんだが?」

 「は? それはこっちのセリフですけど? 人間辞めているくせに人間のフリするのやめろよこのクソ邪神」

お互いの言葉にお互いにメンチを斬り合う召喚士とヘル。

 「もう!! 喧嘩はダメです!!」

少し怒ったようにアティ先生が木の棒を振るう。

衝撃波で瓦礫が綺麗に消しとんだ。

それにドン引きするヘル。

 「ちょっと!! ちょっと鬼畜クソ外道。この人本当に人間?」

 「マスターは正真正銘人間だよ。どう見ても人間辞めているが」

 「うっそでしょ!! この強さ余裕で神クラスですけど!?」

 「ところがどっこい人間なんです……!!」

召喚士の言葉に本気で戦慄するヘル。

 「ほら、仲直りの握手をしてください」

アティ先生の言葉に大人しくヘルに手を差し出す召喚士。その手をペチっと叩くヘル。

 「「ああん!?」」

速攻で胸ぐらのつかみ合いに発展した。

 「もう!! 二人とも!!」

 「いやいやマスター!! 俺たち仲直りした!! なぁヘル!!」

 「ええ!! この鬼畜クソ外道の言う通りですよ!! もう私達はマブダチですよマブダチ!!」

 「よかった!! やっぱり人は分かり合えるんですね!!」

感動しているアティ先生から見えない位置で致死クラスの攻防を繰り広げる召喚士とヘルなのであった。

 




ヘル
魂ごと消滅させられたので復活までのんびり長期休暇に入ろうと思ったら阿頼耶によって強制コンティニューさせられた

召喚士
考えていなかったヘルの登場によってガチの神様モードで殺そうとする

アスク王国やヴァイス・ブレイブの人々
良心派神様のおかげで無事。戦闘脳神様組みは乱入しようとしたところを良識派神々に止められた。

アティ先生
最強。神を超える者




そんな感じでまさかのヘルログインで召喚士の怒りが有頂天になりました。そして巻き込まれる形で滅びかけるアスク王国。アルフォンスくんはドーマやナーガを信仰した方がいい。

今回の神階召喚では無料で伝承エガちゃんがログインし、もう引かなくていいかぁと思っていたんですが、飛空城とかで暴れまわっているスラシルが欲しくなって緑を回したら出ちゃいけないヘルが出て宇宙猫状態になりました。
しかも嫌がらせのように攻撃↓魔防↑と言う絵に描いたようなクソ個体。

まぁ、神階は飛空城や闘技場で使うこともあるでしょう。

え? アティ先生が強い? そりゃあアティ先生ですから!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と伝承カム子

伝承カム子回という名のカムイファンクラブ回です


 「お! いたいた! 召喚士!!」

 「あん? ギムレーか」

俺がヴァイス・ブレイブの大広間で雑用をしているとヘクトルとエリウッドに神々の説明をした時にガチで忘れていた(一応)神々の一柱であるギムレーがやってきた。

妙にテンション高いなこいつ。

 「どうした? ついに推しがフィギュア化されたか?」

 「されないよ!! 一体いつになったらブーディカママフィギュア化されるんだよ!!」

割とそれは作者にも刺さる言葉だ。

とりあえずギムレーはテンション高めに俺の向かい側に座りながら口を開く。

 「伝承カム子ちゃんの格好みた!?」

 「……ああ、そういうことね」

どうやら伝承装備を手に入れたカム子の姿をみて同人作家ギムレー先生の妄想がハッスルしてしまったらしい。

 「もうあの格好たまらないよね!! 素人はつい強調されている胸元に目がいってしまうかもしれないけど、本当に見るべきなのはちらりと見えている脇だよ竜石を持っているときの脇のムチっとした感覚がもう辛抱たまらんし一緒に見えている太ももも健康的なエロスがある上に黒い衣装がカム子ちゃんの白い肌と見事にマッチングしている当然胸元の谷間も良くないよあの格好でヴァイス・ブレイブ学園に行ったら学園の男子生徒が前屈み待ったなしだよ当然我も超絶元気になっちゃって伝承カム子ちゃんで14回もしちゃったよ!!」

 「お前ルフレ’sに去勢されてなかったか?」

 「我の息子は108本あるぞ!!」

 「煩悩かよ」

どうやらこのオタクトカゲは去勢されても再生するらしい。あとでルフレ達に報告しておかなくては。

机の上に置いてあった水を一気に飲むとグラスを机に力強く叩きつけるギムレー。そして真剣な表情で口を開く。

 「つまりカム子ちゃんはエロスの塊なんだよ……!!」

 「お前またカムイ家臣団に三枚に卸されるぞ?」

 「甘い甘い!! カムイ家臣団は今鼻血吹き出して医務室の中さ!! そしてギュンターとフローラも連中のお説教に忙しい!!」

新バージョンカムイが来たにも関わらずカムイ家臣団が静かだと思ったらすでに医務室だったらしい。

ナンナの『殺してでも助ける』の被害者に黙祷。

 「あ! 召喚士さん!!」

 「ああ、カム子か」

そしてそこにやってくるのは伝承装備を身に纏ったカム子であった。表情は笑顔で腕をブンブンと振って俺のところにやってくる。

とりあえず声なき声をあげて悶絶しているギムレーに蹴りを入れておく。

 「どうかしたか?」

 「はい!! 召喚士さんに用事があって来ました!!」

俺の言葉に純粋な笑顔を浮かべるカム子。流石は闇落ちしてもその純粋さゆえに闇落ちできなかった英雄。浮かべる笑顔が純粋だ。

 「何の用だ?」

 「はい!! 結婚してください!!」

 「絶無の書ぉぉぉぉぉぉ!!!」

カム子の言葉に大広間から脱出してあることないこと言い触らそうとした脳筋と腹黒を殺しておく。

二人にキッチリ止めを刺してからカム子を座らせる。

 「あのなぁ、カム子。お前だったカン男っていう子供を持つ身だろう。自分の都合だけで所帯を持つことを決めてはいけないぞ」

 「え? そこらじゅうで養子作ったりファイアーエムブレム・ユニヴァースとかいうところで子供が大量生産されている奴のセリフじゃなくない?」

とりあえず余計なことを言ったギムレーには再び蹴りを入れておく。大広間を綺麗にする人型のモップが出来上がったがお概ねいつも通りである。

 「む! 私だって私の一存で決めたわけじゃありません!!」

胸を張りながらそう宣言するカム子。その時に胸がぷるんと震えたのは俺だけの秘密にしておく。

 「カンナにもちゃんと聞きました。お父さんにするなら誰がいいかって」

それ暗夜と白夜の長兄’sとかカムイ家臣団が戦争を起こす質問や。

戦争の引き金を軽く引いたカム子はそのことに気づかずに胸を張りながら純粋な笑顔を浮かべながら口を開く。

 「カンナも『召喚士だったらいいな』って言ってくれました!!」

 「やったね召喚士!! 子供からも気に入られているよ!!」

再び余計なことを言ったギムレーに蹴りを入れておく。

 「カミラさんもヒノカさんも全面的に賛成してくれました!!」

その二人も俺の貞操を狙っている危険人物だ(特にカミラ姉さん)

だが、ここでカム子の眉尻がヘニョりと下がる。

 「でもサクラさんには反対されちゃいました。なんでも『ダメです!! 召喚士さんの相手はヘクトルさんかエリウッドさんに決まってます!! そこに女性の入る隙間はありません!!』って……」

 「反対の理由よ……!!」

あの腐った王女は相変わらず最悪である。

 「でもエリーゼさんは賛成してくれましたし、タクミさんも『え、召喚士? いいんじゃない。僕は別に興味ないし……いや待て、奴が来たら美少女や美幼女が付いてくる可能性が……僕は大賛成さ!!』って言って私に協力してくれるそうです!!」

 「ロリコン……!!」

ロリコンはどこまでもロリコンだった。まともなのはエリーゼだけか。

 (召喚士、召喚士)

 (え? 急にテレパシーとかどうしたギムレー)

突如脳内にギムレーの声が響いてくる。これは神々が信者に語りかける時とかに使う権能の一つである。それをちょいと弄って神々同士では通話可能なテレパシーに(パントが)改造したのである。

 (いや、我も今気づいたんだけど大広間の入り口見てみ?)

 (入り口……うぉ!?)

ギムレーの言葉に従ってそちらを見ると血涙を流しながら俺を睨みつけているマークスとリョウマがいた。

 (なにあれ怖い怖い!! 何でナイフで入り口ガツガツ削ってんの!?)

 (いやぁ、カム子ちゃんファンクラブは過激派が多いけどあの二人は筆頭だよね)

俺を睨みつけながら入り口をナイフでガツガツ削っているマークスとリョウマ。そしてそんな長兄’sの奇行に気づかないのかカム子は俺の両手を握ってくる。

 「召喚士さん!! 私と幸せになりましょう!!」

 『ガッガッガッガッッガッガッガ!!!!!!』

 ((いや、怖い怖い!!))

 「私はカンナの他にも子供は三人くらい欲しいです!!」

 『ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!』

もはや工事現場のレベルで扉を削り始める長兄’s。その所業にドン引きしている俺とギムレー。

 「ああ、召喚士、こんなところにいたのか」

そこにやってきたのは妙齢の美女の格好をした暗夜の第二王子レオンであった。後ろには同じく女装した息子のフォレオもいる。

 「レオン、ちょうどいいところに。あの二人をどうにかしてくれ」

 「ああ、もうすぐギュンターとフローラが来るはずだからあの二人は問題ないよ」

あっさりと自分の実兄と白夜の第一王子をカムイファンクラブストッパーに放り投げるレオン(見た目は美女)

 「レオンさんはどうですか? 私と召喚士さんの結婚に賛成してくれますか?」

 「姉さんの幸せを願うのは弟として当然ですよ」

 「わぁ!! ありがとうございます!!」

本当に嬉しそうにレオン(女装)の両手をブンブンと振るカム子。

 (ここに来てカム子ちゃんの好感度を稼ぎに来たね)

 (ある意味一番の策士かもしれんな。だが、何か条件があるはずだ)

 「だけど、姉さん、僕はちょっと条件がある」

 (召喚士の予想大当たり!!)

 (お前後で闘技場裏な)

妙に嬉しそうなオタクトカゲは後で処分するとして、今はレオン(女装)への対応である。

 「なに、僕の条件は簡単なものさ。フォレオ、例のものを」

 「はい父上」

そう言ってフォレオ(女装)が出してきたのは一つの箱。

開けてみると女性物の服が入っていた。

俺は半目でレオン(女装)をみると、レオン(女装)は力強く頷いた。

 「僕らと一緒に女装をしてくれればいい」

 「お前は何を言っているんだ」

 「わぁ!! 召喚士さんもきっと似合いますよ!!」

 「ほら、姉さんもこう言ってる」

 「お前らは何を言っているんだ」

 




伝承カム子
お前……!! そんな……!! エッチい格好で来ちゃダメだろ……!! ダメだろ……!!!(無色を全力回し)

マークス&リョウマ
後からやってきたギュンターとフローラにしばかれた

レオン&タクミ
自分の本能に忠実

カミラ&ヒノカ
虎視眈々と召喚士の貞操を狙う

サクラ
ホモォの間に女性が入ることは絶対に許さない

エリーゼ
唯一普通の感性の持ち主

カムイ家臣団
伝承カム子の格好に全滅




そんな感じで伝承カム子回です。
今回の伝承無色はブラミ、ミラ、カム子と作者的に狙うべきガチャだったので全力回しをしました。するとどうでしょう。オーブ240個突っ込んでブラミ一人、リンカ(初回無料で無色なしだったので緑を引いた)、スリーズ(無色なしだったので緑を引いた)という結果でした。
半ギレになりながらオーブかき集めてぶっこんだところで伝承カム子ちゃんも引けました。

次のガチャで欲しいキャラは絶対に来ないでくれ(震え

そして余ったリンカのスキルをベレスに食わせました。魔改造開始です。ベレスも10凸したいですけど、なんとかならないですかねぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と異世界の部下

今回はFEキャラはラクチェだけ登場です

クロスが嫌いな方は読み飛ばしても問題ありません


 「パパ! お客さんですよ!!」

 「お前が連れてくる客の時点で嫌な予感しかしないのだが」

 「んま! なんて失礼なキチガイなんでしょう!!」

俺の執務室にやってきたラクチェに即答すると、まったく不満そうに見えずにとりあえず不満そうなポーズだけする混沌の権化がいた。

 「せっかくパパに会いたがっているパパの異世界の部下を連れてきてあげた可愛い娘に対して失礼ですよ!! ですがよくできた娘であるラクチェちゃんは許してあげます!! この最強で最高に可愛い愛娘に感涙にむせびないて感謝するといいですよ!!」

 「こいつ死ねばいいのに」

俺の絶対零度の視線も微笑みで受け流すラクチェ。このクソガキが俺と血の繋がった親子だなんて信じられん。俺はこんなにも清く正しく生きているというのに。

 「というか俺の異世界の部下なんてどうやって連れてきたんだよ」

 「まったくパパはわかっていませんねぇ」

明らかにこちらをバカにした発言に俺はイラっとする。

 「なんでもできる。そう、ファイアーエムブレム・ユニヴァースならね」

 「そろそろあの反則空間どうにかならねぇの?」

 「パパや他の英雄さんが様々な女性とフラグ建築をし続ける限りむげぇぇぇんだぁぁぁぁいに広がり続けますよぉ!」

それは永遠に広がり続けるのではないだろうか。

 「それよりパパの元部下さんを呼びますね!!」

 「待て、その前にどこの世界の部下だったか教えろ」

俺の言葉にアメリカンに肩を落としながらやれやれと首を振るラクチェ。

 「パパは仕方ない人ですねぇ」

 「お前今度戦禍の連戦に一人で突っ込ませるからな」

 「その時は娘仲間のロリルバちゃんも道連れですね!!」

 「お前はあんな無垢な子供を戦禍の連戦という危険地帯に連れて行く気か!!」

 「前から思っていたけど私とロリルバちゃんの扱いが違いすぎない?」

 「片方は汚れ担当。もう片方は純粋担当。お前だったら可愛がるのはどっちだ?」

 「う~ん!! ぐうの音も出ないほどの正論!! むかつくからパパに現実を突きつけちゃう!!」

そしてラクチェはずびしと俺に指さしてくる。

 「今回連れてきた人はアズレン世界の方です!!」

 「地雷が多い……!!」

割とマジであの世界は病み度が高い。一番危険なのはフリードリヒ・デア・クローゼだが、奴が来ていた場合は待っているなんて真似をしないのでそのあたりは安心である。

 「お待たせしました。それではどうぞ」

 「う、うむ。失礼するぞ」

ラクチェの言葉に入ってくるのは日本海軍の将帥のような制服を身にまとい、黒髪に羊の角のようなものを持った女性。

 「三笠大先輩!!」

 「うむ、久しいな指揮官」

アズレン世界の部下の中でも屈指の良識人である三笠大先輩であった。ラクチェは「後は若いお二人でごゆっくり」とニマニマした笑顔を浮かべて退出していたのを見送り、俺は三笠大先輩にお茶を入れる。

 「久しぶりだな三笠大先輩。何か問題でもあったか?」

 「いや、我たちの世界では特に大きな混乱は起こっておらん。指揮官が問題になりそうなものをすべて片付けて行ってくれたからな」

アズレン、正式名称アズールレーンの世界はセイレーンとかいう正体不明な敵に襲われているのに人類は仲たがいをして戦争をしている超絶愚かな世界であった。

たぶんリンたちで出会う前の俺だったら人類滅亡コースまっしぐらなくらい人類が愚かな世界であったが、残念ながら俺はリンたちに出会った後だったので分裂していた勢力をすべて滅ぼし、ついでにセイレーンも滅ぼして世界平和にしたのであった。

そして部下はKANSENと言われる戦艦などの力を持った女性たち。パントに『召喚士+女性=フラグ建築』と超絶失礼なことを言われた俺なので当然のように彼女たちにもフラグが立った。

そしてなによりの問題はケッコンシステムというものがあったせいである。

一定の好感度に達したKANSENにケッコン指輪を渡すことで戦力が増強されるということで俺はそれをばらまいた。結婚というものをよく理解していなかったせいでもある。

その結果どうなったか。

答えは簡単、ケッコンしたKANSENの九割が病んだ。俺の部屋に対する夜襲、朝駆け当たり前、ひどい時には執務中にも襲い掛かろうとした輩がいた。

そんなケダモノのようなKANSEN達から守ってくれていたのが三笠大先輩である。三笠大先輩も俺とケッコンしていたが、決して襲うような真似はせず俺を守ってくれていた。「こういうことはお互いの気持ちが大切なのだ」と言って。

だから俺は部下にも関わらず三笠大先輩に対しては『大先輩』呼びである。

三笠大先輩はお茶を飲んで一息つく。

 「やはりラクチェという少女を信じてきてみて良かったな。再び指揮官と会えるとは」

 「三笠大先輩もよくラクチェを信用したな。胡散臭かったろ」

 「うむ、胡散臭かったがその胡散臭さが絶妙に指揮官に似ておったからな」

 「嫌な信頼のされかた……!!」

俺の言葉に微笑む三笠大先輩。その左手の薬指には指輪がついている。

 「まだつけているのか」

 「うむ、これは我と指揮官の絆だからな」

テレもせずにこういうことを言える三笠大先輩マジ三笠大先輩。

 「それで三笠大先輩、俺に用事ってなんだ」

俺の言葉に三笠大先輩は真剣な表情を浮かべる。

 「指揮官、我たちの世界に帰ってきてくれないか」

 「断る」

 「そこをなんとか!! 我だけじゃもう止めるのが無理なのだ!! 天城や神通は指揮官仕込みの策謀を張り巡らしているし、ビスマルクやティルピッツ、グラーフ・ツェッペリンなどは実力行使も辞さないと言っておるのだ!!」

 「嫌だよ!! 帰ったとたんにセントルイスやザラ、シリアスって言った性獣たちに襲われるのがわかりきっているんだよ!!」

 「そこは我がなんとかするから!!」

 「三笠大先輩でもどうにもできないから俺は異世界に高跳びかましたんだよ、それに、だ。三笠大先輩」

俺の真剣な表情に三笠大先輩も真剣な表情を浮かべる。

 「ベルファストはどうしている?」

俺の言葉に沈痛の表情を浮かべる三笠大先輩。だが、三笠大先輩は覚悟を決めた表情を浮かべた。

 「指揮官」

 「なんだ」

 「我と指揮官の仲だ。単刀直入に言おう」

俺は三笠大先輩の次の言葉を待つ。そして三笠大先輩は口を開いた。

 「ベルファストは全然バリバリ元気だし今でも指揮官の子供を孕もうとしている」

 「ほらぁ!! あのパーフェクトメイドが一番危険なんだよ!!」

 「なんだったら『ご主人様を満足させるために』とか言って分身の術を覚えた」

 「努力の方向性!!」

あのパーフェクトメイドは俺が指揮官をやり始めた当初からの秘書艦で、俺の懐刀でもあった。その付き合いの長さから俺も指輪を渡したのだが、それによってベルファストの忠誠心は天元突破し、『ご主人様のお子を孕むのが私の使命。具体的には十人くらい』とか言っちゃう頭のおかしいメイドである。

 「少しくらい良いであろう!! 一時間だけ!! 一時間だけだから!!」

 「行った瞬間に監禁してきそうなやつがうようよいるんだよ!!」

 「我がなんとかするから!!」

 「三笠大先輩でも無理だったから俺は逃げたんだからな!!」

 

結局、元部下たちに手紙を書くということで今回は決着がついたのであった。




三笠大先輩
アズレン世界召喚士部下筆頭。それと同時に良識派。他のKANSENからの信頼も厚い。実は乙女趣味全開で初めての時は召喚士から迫ってほしいと願っている。

ベルファスト
アズレン世界召喚士LOVE勢筆頭。世界は召喚士のために存在していると思っているし、自分の存在意義も召喚士のためだと思っている。

ラクチェ
異世界の召喚士に惚れている人物を見つけて連れてくることがマイブーム。最悪である




そんな感じで召喚士の異世界部下アズレン世界編です。

お題箱のほうで『ほかの世界の召喚士の部下はつれてこれないんですか? ガンダム世界とか?』(意訳)をいただいたので試験的にアズレン世界編です。三笠大先輩とベルファストが贔屓にされたのは作者が好きなKANSENだからです。三笠大先輩は横須賀の本物にも会いに行きましたし、ベルファストはアズレンを始めるきっかけでした。

次回は未定です。次の神装がユリアで、それでネタができたので、更新が伸びても神装ユリアの時には更新すると思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神々と人類の雑談

神々(召喚士、レア、ギムレー)と人類(ヘクトル&エリウッド)の雑談回です


 「そういえばさぁ」

いつものメンツ(ヘクトル&エリウッド)にレアとギムレーの面々が俺の部屋でうだうだしていると、エリウッドが口を開いた。

全員の視線がエリウッドに集中すると、呑気な表情でエリウッドは口を開いた。

 「神様って結構人と違うものなの。うちにいる神様は戦闘狂を除けば比較的人間らしさがあるけど」

その質問に俺とレアとギムレーは首を傾げる。

 「まぁ、あんまり人間と変わらないよな」

 「しいてあげるなら寿命ですかね?」

 「あ~、それはあるよね」

俺の言葉にレアが例をあげるとギムレーが頷く。

 「我達には年齢って概念がないからなぁ」

 「たま~に人間が『私は数百年生きてきたのだ』っていきる奴いますけど、桁が足りないって話ですよね」

 「あ~、わかるわかる。俺とかそういう奴に出会ったら『じゃあこれくらいの呪いは余裕だよな!』って呪殺するもん」

 「「完全に神様視点……」」

俺の言葉にヘクトルとエリウッドがドン引きしている気がするが、レアとギムレーの神様コンビは『やるやる~』って全面同意だ。

 「あと、我的に困るの狂信者だよね」

 「召喚士にとってのエレミヤ的なやつ?」

 「そうそう、どの教団にも一定数いるんだよね。我が困ったのはこっちが求めていないのに生贄を捧げようとしてきた時だよね」

ヘクトルとエリウッドはすでに引いているがギムレーは言葉を続ける。

 「我は生贄なんかいらないからとりあえず指導者に天罰下して爆発四散させたら生贄の数が足りなかったって勘違いされてさぁ、さらに生贄の数増やしてきたからその指導者も天罰で爆発四散させたらまた勘違いされて……の繰り返しで一個の教団潰しちゃったことあるんだよねぇ」

 「あ~、わかります。私の場合大司教も兼任していたんで直で信者と関わったんですけど、頻繁にこっちの教示を自分に都合の良い解釈してやろうとするんですよね」

 「ちなみにレアさんはそういう信者はどうしてたんだ?」

ヘクトルの言葉にレアは爽やかな笑みを浮かべる。

 「行方不明になってもらいました」

 「「こわ!!」」

 「神様なんてこんなもんだよ」

俺の言葉にますますドン引きするヘクトルとエリウッド。

 「そういえば我も人間に疑問なんだけど」

するとギムレーが手をあげながら質問する。

 「どうして人類って短い寿命をさらに削って働くの?」

 「いや、普通に食べるためとか生きるためでしょ」

 「? 食べるとか周囲のマナ食べればよくない?」

ギムレーとエリウッドはお互いに不思議そうな表情をしているので俺が口を挟む。

 「ちなみにギムレー、人類は周囲のマナを食べることはできない」

 「マジか!?」

 「そしてエリウッド、俺たち神々は周囲の魔力からマナを食べて生きることが可能だ」

 「マジで!?」

俺の言葉にギムレーとエリウッドはダブルで愕然とした表情を浮かべる。

 「待てよ、でもお前ら普通に食堂で食事しているよな? なんでだ?」

 「ん~、なんと言いますか私達の『食べる』って一種の儀式みたいなものなんです。『食べる』を通して現実に降臨しているのを確認する作業と言いますか」

 「じゃあ食べなくても問題ないのか?」

 「まぁ、極論するとそうですね」

ヘクトルの言葉にレアが同意する。するとヘクトルが真剣な表情を浮かべた。

 「それじゃあこれからシーダが作ったメシマズ料理処理は神々担当で」

その言葉に俺、レア、ギムレーが手でバツ印を作った。神々だって美味しいものを食べたいのだ。

とりあえずお茶を飲んで一息吐くと今度は俺が口を開く。

 「それと自分の信者には基本塩対応になるよな」

 「「あ~、わかるわかる」」

俺の言葉に全面同意するレアとギムレー。

その反応に不思議そうにしたのはエリウッドだ。

 「そうなのかい? 普通だったら自分の信者は甘やかしそうなものだけど」

 「いや、普通の信者は可愛いんですけどね。中には『私は神の声を直接聞いたのだ。だから私の言葉は神の声』とか調子こく奴がでるんですよ。で『それじゃあこれくらいの試練突破できますよね』って感じで試練与えるとま~死ぬ」

ヘクトルとエリウッドはドン引きだが俺とギムレーは全面同意である。

 「わかるわかる。我も『そこまで言うならこれくらいの試練突破しろよ』と思って炎の海に叩き落したら即死したことあったなぁ」

 「あとあれも楽しいですよね。神の遺産があるって適当なこと言って作った遺跡に狂信者とかトレジャーハンターを大量に放り込んでどんどん殺すゲーム」

 「ああ!! それ我もやった!! どんどん同じ死に方するから超笑えるよね」

 「二人ともそんな目で俺を見るな。俺はやっていない」

レアとギムレーの会話にヘクトルとエリウッドから絶対零度の視線を向けられるが冤罪である。

 「いや、でもお前エレミヤに対して似たようなことやってんじゃん」

 「あいつもやばいよなぁ。生かしておいたらやばいと思って殺す試練与えているのに喜び勇んで突破してくんの」

 「ああ、エレミヤはやばいですね。あの手のタイプは神の試練で殺そうとしても大喜びして死ぬタイプですよ」

 「で、生き残った奴に限って英雄を超えた英雄レベルの強さになって死後神様に祀られる奴だよね」

 「そろそろ素手でイドゥンに挑ませるかぁ」

レアとギムレーの言葉に俺は次のエレミヤに対する試練を考える。あいつ俺が課した試練を突破するたびに勝手に凸が進むからな。

そこから俺とレアとギムレーはどうやってエレミヤを殺すか相談し始めると、ヘクトルとエリウッドはドン引きしているのであった。




召喚士
人間からの成神だが純粋な神の側面もある神様。最近の趣味はエレミヤを試練と称して殺すこと

レア
自分を祀る宗教の大司教を務めていた神様。信者に対して色々やったらしい

ギムレー
邪神。生贄はいらない派

ヘクトル&エリウッド
神々にドン引き

エレミヤ
着実に神に近づいている狂信者





そんな感じで神々の雑談話です。
神様なんて基本ろくでもないんでやっていることはほぼ邪神。いい神様はナーガやドーマ。二柱は信者にも優しい。ほかの神々は基本信者に対しては塩対応。

書いといてなんですけどあまりできよくなかったですねぇ。まぁ、次回の自分に期待しておきましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

劇場版 召喚士と英雄の日常外伝~聖杯神話大戦~

召喚士くんの伝手を使うとこんなに豪華な聖杯戦争を起こすこともできるんですよ!!


地球全土を巻き込んでの最大規模の聖杯戦争。それを引き起こしたのはとある人物であった。

 

彼を殺すために召喚される英雄、神霊達。

 

 

 「貴方は師であるケイローンの友である人だ。だが、貴方は道を踏み外した。ならば師に変わって私が貴方を止めよう」

 

セイバー ギリシャの大英雄 ヘラクレス 参戦!!

 

 「シンよ。私はお主を殺し、お主の魂を永遠に私の手元に置こう」

 

ランサー 影の国の女王 スカサハ 参戦!!

 

 「ふ~む、僕はあるいは君がカルキなのではないかとも思ったが、滅ぼす側だったか。まあ、いいさ。バラモンである君という友を殺すのは気が進まないが、君が人類を滅ぼすというのなら止めなければならない」

 

アーチャー ヴィシュヌのアヴァターラ パラシュラーマ 参戦!!

 

 「晩鐘の鐘は鳴った。外道たる貴様が生きる場所はない」

 

アサシン 暗殺教団の神 山の翁 参戦!!

 

 「貴方はわたくしたちに鉄を教えてくださった。そのために一時期とはいえわたくしたちは強大な力を手に入れいましたわ。その恩は確かにあります。ですが、貴方が人類を滅ぼそうとするのなら、わたくしはそれを止めてみせましょう。それが我らスキタイ流の恩返しですわ」

 

ライダー スキタイの女神 アピ 参戦!!

 

 「黄帝との闘いでは貴様の横やりで俺は敗北した。阿頼耶に感謝しなければ!! 復讐の機会を与えてくれたことにな!!」

 

バーサーカー 中国の戦神 蚩尤 参戦!!

 

そしてすべての者から命を狙われる存在。その男はただ一人山頂に立っている。フードを深くかぶりその表情は伺いしれない。

 

 「お~、お~、俺を殺すためだけにずいぶんと豪勢なメンツを揃えたな。むしろスカサハとパラシュラーマが出張ってきたことが驚きだ」

 

その呟きと共に風が吹き、男の顔が現れる。

 

片眼鏡をかけた平凡な顔立ちをした男。

 

しかし、その瞳は黒く淀んでいる。

 

 「人類よ、お前たちに生きる価値はない。お前たちは滅びるべきなんだ。お前たちが現れてから数千年。俺はお前たちを見つめ続けてきた」

 

 「そして結論した。お前たちは存在するべきではない。阿頼耶がそれをしないというのなら、阿頼耶の化身たる俺がそれをしよう」

 

 「さぁ、人類よ。滅びの時だ」

 

キャスター/ビースト 人類の敵 軍師 参戦!!

 

地球を舞台に戦う神々!!

 

 「俺の邪魔をするなセイバーぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 「見境なしとはな……!! 貴様も止めるぞバーサーカー!!」

 

愛のために男を殺そうとする女と、恩のために男を殺そうとする女

 

 「私にはもうシンしかいないのだ!! そこをどけライダー!!」

 

 「わたくしたちの時代は終わったのです。貴女も殺し、彼も殺す。それで神々の時代の終焉としましょう、ランサー」

 

逃がしたことを後悔する神と、彼と共に歩んだ神

 

 「奴を取り逃がしたこと。それが私の失態だ、アーチャー」

 

 「だからと言って態々殺しに来るとは生真面目だね。少しは彼を見習ったらどうだい、アサシン」

 

神々の戦いで割れる大地、干上がる海!!

 

 「ああ、やはり最後に残ったのはお前だったか。だが術式はすでに最終段階に入っている。止めるのか? 止めるのだろう!! それが貴様の召喚された理由なのだから!!」

 

そして最後の戦いの場で待っていたアーチャー。

 

 「さぁ、始めよう!! 人類が生き残るか滅ぶのか!! それはこの一戦にかかっている!!」

 

地球最大規模の聖杯大戦がついに決着!! 果たして人類は生き残ることができるのか!?

 

20XX年 劇場版 召喚士と英雄の日常外伝~聖杯神話大戦~

 

Comming soon.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……パント、これなんだ」

 「いや、君の知り合いに声かけたらこんな映画作れないかと思ってね」

 「たぶんパラシュラーマと蚩尤はノリノリでやってくれるだろうが、山の翁は無理だろ。ヘラクレスは……まぁ、ケイローンに頼めば大丈夫だろうな」

 「アピさんとスカサハさんは?」

 「俺が頼めばたぶんいける。スカサハに関しては俺の貞操の危機だが」

 「それじゃあいつも通りだね!!」

 「ぶっとばすぞ」




聖杯神話大戦
軍師(召喚士)が引き越した人類を滅ぼすための儀式。最終決戦までに人類の九割が滅んでいる。

聖杯神話大戦の舞台にされた地球
「お願い!! よそでやって!!」




そんな感じで聖杯戦争(劇場版予告風)編です。

FEの小説にも関わらずまったく出てこないFEキャラ。最初は烈火のキャラで聖杯戦争をしようと思ってその構想もあったのですが、そっちはどう転んでもコメディにしかならないので神話の神々に出張ってもらいました。
以下、軽い説明
ヘラクレス:言わずとしれたギリシャの大英雄
スカサハ:ケルト・アルスター神話のウルトラ超師匠。見えている地雷
パラシュラーマ:クシャトリヤ(騎士階級)絶対に許さないインド神話のウルトラ超師匠
山の翁:FGO出演のじぃじ
アピ:遊牧民族の祖であるスキタイの女神
蚩尤:黄帝に敗れた中国神話の戦神

こんな面々と交流のある召喚士って何者だよ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とユリア

ただでさせ複雑なユリにゃんの親子関係をさらに複雑にするの巻


 「やあ、召喚士。ちょっといいかい」

 「パントか。久しぶりだな」

ヴァイス・ブレイブ内を書類を確認しながら歩いていた俺に声をかけてきたのは近頃姿を見せなかったパントであった。

 「君に紹介したい人がいてね」

 「お前が俺に紹介だと……?」

 「おっと! その不審そうな表情はやめてもらおうじゃないか!! 今まで私が君の不利益になることをしたかい?」

 「まずいな、両手両足の指じゃまったく足らんぞ」

 「私の指も使えばいけるんじゅないかい?」

 「それでも足らんな」

基本的にこいつは自分とルイーズと子供たち以外には不利益こうむってもいいと考えている人種なので信用できん。

 「まぁ、今回は本当に人の紹介さ。さ、挨拶をして」

パントの言葉に、パントの背後から一人の少女が出てくる。俺はその少女に見覚えがあった。

 「ユリアじゃないか」

というかうちの竜殺し(伝承)と竜共存(闇落ち)を訴えることで有名な英雄少女であった。

 「今更、ユリアが俺に挨拶ってどういうことだ。前から言っているがギムレーは殺しても構わないが」

 「まぁまぁ、とりあえず彼女の挨拶を聞いてみて欲しい」

100%爽やかな笑顔を浮かべてのパントの発言。何も知らない女性がみたら「素敵な笑顔(ポ)」と惚れても仕方ない笑顔であったが、烈火組にはこの笑顔に警戒心しか生まない。

俺が胡散臭げにパントを見ているとユリアが覚悟を決めたのか口を開いた。

 「こ! これからよろしくお願いします!! 父上!!」

空気が死んだ。

とりあえず俺は目頭を揉み、片眼鏡を拭いてから改めて口を開く。

 「すまん、ユリア。俺が何だって?」

 「はい! よろしくお願いします!! 父上!!」

 「ラクチェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 「はぁぁぁっはっはっはっはっはっは!!!!」

俺の怒鳴り声に爆発エフェクト付きで即座に現れるラクチェ。

 「流石はパパ!! このユリアさんがファイアー・エムブレム・ユニヴァース産だと即座に看破しましたか!! しかし、彼女はファイアー・エムブレム・ユニヴァース四天王の中では一番の小物!! 次なる刺客がパパの精神をクラッシュさせに来ますよ!!!」

 「そういうのいいから」

 「連れないですねぇ」

そういいながらもこっちに近寄ってくるラクチェ。

 「ハロハロユリアちゃん!! 私のことは気軽に『お姉ちゃん』でいいですよ!!」

 「お前ユリアより年上なのか?」

 「さぁ? でもパパ’s childrenの中で私よりも明確に年下なのはロリルバちゃんだけなので妹が欲しいのです!!」

 「心底どうでもいい」

本当にどうでもいい理由であった。

 「それで? おかしいだろ。ファイアー・エムブレム・ユニヴァースは明確に親が決まっていない子供がいるべき世界だろ? ユリアの親はディアドラとアルヴィスで決まっているだろ。そこに俺の入る余地はなくないか?」

というかユリアが俺の娘になると聖戦世界が面倒になると言うか、聖戦士の血が云々が始まって聖戦ファンから叩かれてしまう。

 「う~ん、まぁ、確かにユリにゃんはパパが親になることなんて本来ありえないんですけど……」

ラクチェはそこまで言うと横眼でチラリとパントを見る。それに気づいて俺もパントに視線を向けるとパントは100%爽やかな笑顔を浮かべた。

 「うん!! 簡潔に言うと私がちょっと悪戯した!!」

 「やっぱり貴様かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 「ははははは!! 私はちょっと平凡な毎日に刺激という名のスパイスを振りかけただけさ!!」

 「そのスパイスで何回ヴァイス・ブレイブが消し飛んだと思っている!?」

俺の言葉にパントは決め顔で口を開く。

 「君は食べたパンの枚数を覚えているかい?」

その瞬間に俺は100本の魔法の矢をパントに撃ち込むが、それらはすべてパントの結界によって防がれた。

 「まぁ、落ち着きたまえ」

 「俺は落ち着いている。落ち着いて俺を地獄に落とそうとしている悪魔を殺そうとしている」

 「う~ん!! 神様のくせに地獄を怖がっていちゃいけないなぁ!!」

俺は殺す目つきでパントの胸倉を掴み上げるが、パントは相変わらずへらへらと笑っている。

 「さて、それじゃあ説明しよう」

 「!? いつのまに!?」

 「ふふふ、いつから時を止めれるのが神々だけだと錯覚していた?」

 「なん……だと……!?」

とうとう神々の権能レベルのことをし始めたパントに戦慄しかない。

 「さて、私達のヴァイス・ブレイブにいるディアドラさんは記憶喪失だ。これは間違いないね」

 「シグルドとアルヴィスが発狂したからな」

愛する妻が自分のことを覚えていないとわかった二人の絶望した叫び声は酷かった。まるで神々に見捨てられた狂信者のようであった。

 「そして記憶喪失のディアドラさんは君に惹かれていた……それなら子供を作ってあげなきゃ可哀想だろう!?」

 「その発想はおかしい」

 「ちなみにパパ。パントさんは本来介入できないファイアー・エムブレム・ユニヴァースに介入もしています」

 「お前の存在がおかしい」

 「失礼な話だね!!」

いや、当然の発想である。

 「まぁ! 今回の介入で私に色々弄れることがわかったんでもっといろいろする予定だぞう!!」

 「具体的には?」

 「父親の決まっている子供英雄の父親を君にする!!」

その瞬間に俺は魔法の矢をパントに1000本撃ち込んだがそれらすべてをパントの結界に阻まれた。

 「お前それやったらマジで戦争だからな?」

 「お、ついに私も神殺しをする機会を得たのか……」

 「お前なら余裕で殺しそうな件について」

 「いやいや、流石にイドゥンとかには苦戦すると思うよ?」

あの戦闘脳筋神々相手に負けない宣言する、そしてこいつなら実際にやりそうなあたりにそこはかとなく恐怖を感じる。

 「まぁ、それは置いといて召喚士。娘の挨拶はきちんと受け入れなくちゃ」

 「マジかぁ……また娘増えたのかぁ……リンとフィオーラになんて説明しよう」

 「君なんだかんだ言ってリンとフィオーラのこと大好きだだよね」

否定はしない。

 「あ、一応、お前の父親らしい。これからよろしく頼むぞ」

 「はい!! 父上!!」

ナーガを大事に……あ、ちげぇ。このユリアが持っているのナーガじゃない。絶無の書だ。

 「そ、そこでなんですか父上……」

 「なんだ? 母親か? 実母はディアドラだろうが、たぶんリンとフィオーラも母親宣言すると思うぞ?」

 「リンお母さんとフィオーラお母さんも逞しいですよねぇ」

ラクチェの言葉に内心で頷く。あの二人は俺の子供が実装されるたびにその子供に母親呼びするように言っている。

そしてユリアは絶無の書をギュっと胸元で握って宣言する。

 「いつ人類を滅ぼしますか!!」

 「パントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 「はっはっはっはっはっは!! やっぱり君は人類を救うより滅ぼす側のほうが似合っているよ!!!!」




ユリア(神装)
ファイアー・エムブレム・ユニヴァースからやってきたまさかの召喚士×ディアドラのユリア。将来の夢は父親のように立派に人類を滅ぼすこと

ディアドラ
ヴァイス・ブレイブで記憶喪失状態の人妻。シグルドとアルヴィスがお互いに夫宣言をしていたところにまさかの召喚士登場でさらに混乱する。

シグルド&アルヴィス
召喚士×ディアドラの事実に発狂した

パント
ついにファイアー・エムブレム・ユニヴァースにまで手を出し始めた天才イケメン魔導軍将

それぞれのユリにゃん
ユリにゃん(伝承)→竜を滅ぼそうとする
ユリにゃん(闇落ち)→竜との共存を目指す
ユリにゃん(神装)→人類を滅ぼそうとする。
あなたはどのユリにゃんを選びますか?



そんな感じで神装ユリにゃん編です。

そしてパントの悪戯によってついに固定CPも崩壊をはじめました。なんて余計なことをしやがる。ファンが怒るだろうが。

そして召喚士の子供らしく人類滅亡を目指すユリにゃん。セリスくんには頑張って人類を守っていただきたいところ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とプルメリア

まさか来てくれるとは思ってなかったので突貫執筆

かなり短いです


プルメリアは目の前が晴れていくのを感じる。

 (これが……召喚……?)

ヴァイス・ブレイブとの戦いで命を落としたプルメリア。可能性の一つとして召喚される場合もあるだろうが、プルメリアは自分は召喚されることはないと思っていた。

 (私を必要としてくれる人がいるの……?)

プルメリアは人間時代にどこにも居場所がなかった。だから妖精になったのだ。

 (私を必要としてくれるなら……私は……)

 「私は淫夢のプルメリア。スヴァルトアルフの気高き妖精……私を召喚して……何をするつもりですか?」

プルメリアの視界に入ってきたのは白フードの男と赤髪の優男。そして黒髪短髪のマッスルだ。

すると白フードの男が口を開いた。

 「なにをするか、だとぉぉぉぉぉぉ!?」

その言葉にプルメリアはどこか諦観の感情になる。人間だった時の両親がこんな雰囲気だったからだ。

 「いいかぁ!! まずはレベリングだ!! 再行動に不要な歌うスキルは外させてもらうぞ!! そして傷ついても戦えるように回復役もつけてやる!! さぁ、行け!!」

そしてプルメリアは翼をもった少女と踊り用のドレスを着ている少女に連れられて修練の塔に連れていかれる。

勝てない相手とは戦わず、相手の攻撃範囲だと再行動で逃がされるプルメリア!! 傷ついたら即座に回復され戦うことを強いられるプルメリア!!

そしてある程度の時間がたつとヴァイス・ブレイブへと戻った。

そして入り口には待ち構えるように白フードが立っていた。

 「よくぞまぁ帰ってきたな!!」

その言葉にプルメリアは小さく震える。人間時代の記憶から暴力を振るわれると思ったからだ。

 「食事の用意はしてある!! イシュタル、案内してやれ!!」

 「はい」

そして白フードの言葉に踊り用のドレスを着た少女にプルメリアは連れていかれる。

食堂についたプルメリアを待っていたのは一人では食べきれないほどのご馳走の数々!!

 「お代わりが欲しかったらいうのよ」

ポニーテールの少女の言葉に頷きながらプルメリアは食事を続ける。

そしてお腹いっぱいになったところで再び白フードがやってくる。

 「プルメリア!! ついてこい!!」

プルメリアはその言葉にびくびくしながらついていく。

 (あぁ……私はこの男に組み伏せられて『ピーーーー』されたり『ピーーーーーーーーーーーーーーー』されたりしてしまうのね……フレイヤ様、申し訳ございません。プルメリアの純潔はケダモノに奪われてしまいます)

そして白フードは一室の扉を開く。

 「プルメリア!! ここがお前の部屋だ!! 布団は最高級羽毛布団を用意してやった!! ほかに足りないものがあったらすぐに言え!! いいな!!」

 「は、はい」

白フードの言葉にプルメリアはか細く答えると、白フードは満足した様子で部屋から出ていく。

それを見送ってからプルメリアは部屋に備え付けのシャワーを浴び、ベッドの布団に入って召喚されてからされた酷い仕打ちを思い出す。

 「……あれ? かなり恵まれているのでは?」




プルメリア
我がヴァイス・ブレイブとは違う異界から召喚されたプルメリア。かなりの好待遇に困惑

外道を筆頭にしたみなさま
プルメリアの境遇を聞いてみんなプルメリアに同情的。だからかなり過保護である。



そんな感じでプルメリア編です。

ストーリーやっていたらさらっと明かされたプルメリアの暗い過去。そんな過去だったら過保護にするしかないよなぁ!! って感じでプルメリアは過保護(にされる)枠

なお、プルメリアの人間時代の両親は召喚士、パント、カナスによって行方不明になった模様。

というか来ると思ってなかったのでオーブ70個くらいで来てくれてビビりました。

大事にするからね(ニチャァァァァ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とハイパーウルトラ狂信者

祝! エレミヤ様10凸!!


 「よく来てくれたクリス」

俺はとある要件でクリス(エクラ)を自室に呼び出していた。

クリスは俺に対して警戒の色をとかない。

 「またマルス様に何かしたの? 次マルス様に何かしたら腕をへし折るって言ったわよね?」

 「レアがマルスを題材にしたBL本を書こうとしている」

 「相手は誰? 場合によっては戦争になるわよ……!!」

 「そっち?」

俺の突っ込みに一度咳払いをするクリス。

 「それで? 要件はなに?」

 「結論から言おう」

俺はゲンドウポーズをとりながら口を開く。

 「エレミヤが限定的な不老不死になった」

 「あなたなんてことしてくれてんの……!?」

マジ表情で俺を締め上げるクリス。

 「まぁ、待て。俺の説明を聞け」

 「納得できる説明なんでしょうね?」

 「当然だ」

俺の言葉に胡散臭げな表情を隠さずに俺を見てくるクリス。

 「まず俺がエレミヤに対して絶対に死ぬであろう試練を与えていたのは知っているな?」

 「ええ、それを聞いて私達も『ようやく奴が死ぬ!』ってクライネ達と祝杯を挙げたから」

 「うむ、だが奴はそのことごとくを突破してみせた。そして俺は気づいた」

俺の真剣な言葉にクリスも真剣な表情を見せている。そして俺は口を開いた。

 「奴は俺の試練を突破するごとに凸が進んでいたんだ」

 「マジで言っているの……!?」

 「マジだ」

ちなみに最初に気づいたのはイングリットである。ヴァイス・ブレイブの戦力を把握する資料を定期的に渡していたところ『先生、勝手に強くなっている方がいるんですか』という報告がありこれが発覚した。

 「あろうことか奴は俺の試練を『これを突破すれば神の教えに近づく』と勘違いし、さらには自力で凸を進めるという頭のおかしいことをしてみせたのだ」

 「ちょ、ちょっと待って。それでエレミヤが不老不死になる理由がわからないんだけど。それだけなら強くなるだけでしょ?」

クリスの言葉に俺は頷く。

 「俺が権能を使って祝福を与えた」

 「やっぱりあんたのせいじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

目を血走らせて俺の肩をがくんがくんと揺さぶるクリス。

 「いや、俺も確殺しようと思って『イドゥンのフードをとる』っていう試練を与えたらまさかやってのけるとは思っていなくてなぁ」

 「……イドゥンって寝ている時も仁王立ちで敵意を感じると殺意100%の拳を叩き込んでくるあのイドゥンよね?」

 「その通りだ」

 「なんなのあの狂信者……!?」

戦慄しているクリスに俺は全面的に同意である。せっかく俺が確実に死ぬであろう試練を与えたのに奴は突破してみせたのだ。

 「その試練を突破してみせたエレミヤに対して祝福を与えたらどうだと他の神々から提案があってな」

 「断りなさいよ」

 「お姉ちゃん、イドゥン、ユンヌからの提案を断れるとでも?」

 「イかれたメンバー……!!」

あの三人からの提案はほぼ脅しだと思っていいだろう。

 「まぁ、ちょうど10凸したところもあって、俺から奴に祝福を与えることになった。すると奴は狂信的な表情で『我が神を永遠に語り継げる肉体をください』と言われてな。あげた」

 「不老不死の体をあげるのが軽い……!!」

 「神々なんてそんなものさ」

あげた後にナーガやドーマのお人よし神々からは『人の一生を左右する祝福はあっさりとあげてはダメだ』と説教を受けたが。

 「あんたどうするんのよ……!! あいつが不老不死とかマルス様の害にしかならないでしょ……!!」

 「よく聞けマルスオタ。俺が奴にあげたのは『限定的な』不老不死だ」

 「どういうこと?」

質問してきたクリスに俺は説明をする。

 「いいか? 奴が俺に願ったのは『俺を永遠に語り続ける肉体が欲しい』ということだ」

 「それがどうかしたの?」

 「つまり奴が不老不死なのは『俺を語り続ける場合のみ』ということだ」

その言葉に何かに気づく表情になるクリス。

 「そうか!! つまり奴が『召喚士という神の信仰をやめる』もしくは『召喚士という神を語り継ぐことをやめる』ことになれば……!!」

 「その通り、奴は死ぬ」

 「悪辣……!! なんという酷い神……!!」

 「現実……!! それが神々の現実……!!」

がっちりと硬い握手を交わす俺とクリス。

 『クライネ!! ローロー!! 今日の説法の時間ですよ!! 我が神の教えを聞き、貴方たちも救いを得るのです!!』

遠くから聞こえてくる狂信者の声。その声は今日も生き生きとしている。我が眷属が元気そうで何よりである。

 「ねぇ、召喚士?」

 「なんだ?」

 「あれがあんたの信仰をやめるってありえるの?」

 「……頑張れ」

 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」




エレミヤ
神々の試練を突破しついに限定的な不老不死を手に入れたハイパーウルトラ狂信者

クリス
「よく考えなさいクリス。マルス様の相手はシーダ様に決まっている……!! あぁ、でも創作の世界でくらい屈強な男に組み敷かれるマルス様も見てみたい……!!」

召喚士
確殺ものの試練をエレミヤに与えていたら普通に突破されてドン引き。そして仕方ないので祝福を与えた。

クライネ&ローロー
今日もエレミヤから死んだ目で説法を受ける




そんな感じで召喚士のハイパーウルトラ狂信者が10凸したのでエレミヤ回です。

召喚士に確殺ものの試練を信仰心で11個突破してみせたエレミヤ様。この信仰心に他の神々からも哀れみをもらい限定的な不老不死を手に入れてしまいました。
被害者はクライネとローロー。

とりあえずエレミヤ様には不老不死をイメージするように祈りと回復のスキルを食わせています。生存特化にするために守備魔防の城塞もあげようか悩み中です。

そしてハロウィンガチャが来ますね。作者は特に欲しいのがいなかったので回避の予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と仮装オタク竜

おいおいマジかよ引いちまったぜ!!


 『トリックオアトリート!!』

 「はいはい、お菓子やるから並べぇ」

我がヴァイス・ブレイブの仮装したロリ軍団を並ばせて俺はお菓子を配る。ロリーズも嬉しそうにお菓子を受け取ると笑いあいながら駆けだしていく。

それを俺はどこか遠い目で見る。

 「懐かしいな……俺にもああいう時期があった」

 「「それは絶対にないと言える」」

俺の呟きに速攻で失礼な突っ込みを入れてきたバカ二人と罵りあう。

 「そういやお前らはお菓子配り終わったのか?」

 「一通りね」

 「すげぇよな、ロリーズ。あのイドゥンからもお菓子たかってたぜ?」

 「恐れを知らんのか……!?」

ヘクトルの言ったロリーズの蛮行に軽く戦慄する。

 「イドゥンも『いいでしょう、全力で悪戯しにきなさい。私も全力で迎え撃ちます』とか言い始めて巻き込まれたハロルドが治療室に救急搬送されてたぞ」

 「「ヒーロー!!」」

等身大ヒーローとしてちびっこたちに大人気の我らがヒーローハロルドは地獄に巻き込まれたらしい。

戦闘竜と、実は強さだけならヴァイス・ブレイブでも屈指のロリーズの戦いに巻き込まれた我らがヒーローに黙祷。

 「そういえばこういう時に一番騒ぎそうな奴が静かだね。具体的に言うと白夜のロリコン王子なんだけど」

 「ああ、タクミか」

エリウッドの言葉に俺は白夜のロリコン王子を思い出す。

 「騒ぎになることがわかっていたんだろうな。昨日のうちに治安維持部隊に逮捕されて牢獄の中だよ」

 「「仕事が早い……!!」」

冤罪を訴えるロリコン王子であったが余罪が多すぎたために無事に逮捕、拘禁されることになった。

そこからヘクトルとエリウッドと一緒にだべりながらヴァイス・ブレイブ内を歩く。季節感を意識してか建物内もハロウィーン仕様である。

それを眺めながら俺は口を開く。

 「今年のクリスマスは誰かねぇ」

 「その前に新英雄イベントがあるだろうが」

 「今度はどこだろうね。聖戦……は舞踏祭で出たばっかりか。暁とか?」

ガチャは発表されるまでわくわくするよな。そして発表されて『今回は回避かなぁ』と言いつつ結局引くのがいつもの流れ。

そんな俺たちにとある光景が飛び込んでくる。

 「トリックオアトリック!! エッチな悪戯させて!!」

タグエル風の恰好をしてアメリアとシーマ様に絡んでいるオタク竜であった。

 「ふひひ、二人とも普段は重装の鎧に隠されているけどギムレー・アイ!! には隠し事できないよ!! 実は二人ともわがままボディの持ち主ってことは我にはお見通しガブスレイ!!」

 「何をやってるクソオタクぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

完璧に事案をやっていたオタク竜に俺が全力で飛び蹴りを入れるとオタク竜はティターンズの可変モビルスーツの名前を叫びながら飛んでいった。

壁に激突してからガバリと起き上がって信じられないものを見るような目で見てくるギムレー。

 「なにするのさ!?」

 「性犯罪を未然に防いだだけだ」

 「は、犯罪じゃないよ!! 犯罪だったとしてもそれはおにゃのこ同士の可愛い触れ合いだよ!!」

 (黙って前蹴り)

 「バーザム!!」

俺の足と壁にサンドイッチになって再びティターンズのモビルスーツの悲鳴をあげるギムレー。その間にヘクトルとエリウッドは困惑しているアメリアとシーマ様を逃がしていた。

そしてエリウッドが何かに気づく。

 「あれ? ギムレー、その装備ひょっとして今回の召喚のじゃないかい?」

 「お!! 流石はエリウッド氏!! お目が高いってああああ待って召喚士!! 確かに召喚士に黙ってクリスちゃんに頼んだのは我だけどダメダメぇぇぇぇ!! 腕はそっちに曲がらないのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 「クリスは確か紋章しか召喚できないだろ。どうやったんだよ」

俺に関節を決められながらもギムレーはヘクトルの問いに決め顔で言い放つ。

 「パント氏に協力してもらってちょこちょこっとああああああダメダメ折れちゃうぅぅぅぅぅぅぅギムレーの腕が折れちゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 「「やれ」」

 「よしきた」

 「バウンド・ドッグ!!」

二人の言葉に俺がギムレーの腕をへし折ると、ギムレーはティターンズの可変型モビルスーツの名前を叫びながら床をのたうち回る。

そして自分で治療しながら起き上がり文句を言ってきた。

 「なんだよ!! 遠距離反撃に飛行特攻無効も持ってきたんだぞ!! 強くなったんだからいいじゃないか!!」

 「フローラ」

 「こちらになります」

俺の言葉にどこからともなく表れたパーフェクトメイドが俺に資料を渡してくる。俺はそこに挟んであった婚姻届け(フローラの名前は記入済)を魔法で燃やしながらギムレーの資料を見る。

 「ふむ、なるほど。確かに優秀なスキルだ。ステータスも現状で頑張れる値だ」

 「でしょう!! でしょう!! もっと我を褒めてもいいんだよ!!」

 「だが、よりによって個体値が攻撃↓の速さ↑ってどういうことだ!!」

 「サイコガンダム!!!」

俺の蹴りに再びティターンズ(以下略

俺から渡された資料を見て同じく顔を顰めるエリウッドとヘクトル。

 「うわぁ、よりによって一番必要なところ下げて一番不要なところ上げるって」

 「しかもこの速さだと俺たち重装と対して変わらなくねぇか?」

唯一の利点は障害物に関係なく行けるところだろうか。

 「でもほら……我可愛いじゃん!!」

 「審議」

ギムレーの言葉に俺たち三人は審議に入る。そして判決を告げた。

 「有罪。罪状は中身がギムレーのため」

 「我の存在全否定!!」

結果的に通報を受けた治安維持部隊のルキナによってギムレーは牢獄に放り込まれるのであった。




ギムレー
自分の欲望に忠実なオタク竜。沢城みゆきさんの声聞きたさに仮装ギムレーのタッチボイス聞いていたら『こいつ超小物では?』と作者は思いました。

ロリーズ
実はヴァイス・ブレイブでも屈指の戦闘集団。ニニアン先生は本当に優秀です。

タクミ
当然ながら事前に逮捕

ギムレーが叫ぶモビルスーツ
ほら、今度HGでバウンド・ドッグが出るから……




そんな感じで仮装ギムレー編です。

ぶっちゃけ作者はあまり引く気なかったのですが、無料でエガちゃん(ノーマル、クソ個体)が出て、なおかつツイッターのTLで引いた報告を見ていたら自分も出るんじゃないかと思って凸りました。

ニニチキとギムレー狙いでどっちか出たら撤退と思っていたらオーブ約70個突っ込だところでギムレーが颯爽登場。喜んだら絵にかいたようなクソ個体でファッキンものです。
まぁ、攻撃↓でも攻撃50超えるから良しとしましょう。こえますよね?(この時点でまだレベル33

え? ギムレーが叫ぶモビルスーツ? おそらく同人作家ギムレー先生が作っているガンプラじゃないですかね(適当


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とプラハ

みんな大好きFE界の宇宙の蜉蝣ことプラハ様登場

完全にキャラ崩壊しているうえにシリアスです。


 「ちょいと失礼するよ」

そう言いながら召喚士の執務室に入ってきたのはプラハであった。召喚士はそれを意外そうな表情で迎え入れる。

 「プラハか、何かようか?」

 「ああ、あんたにちょっと用事があってね」

プラハの言葉に召喚士はフードの下で目を細めると、軽く手を振るう。その意味を正確に理解したインバースとブルーニャは召喚士に頭を下げながら部屋から出ていく。

その二人から鋭い視線を向けられてもプラハの不適な表情は消えない。扉が閉められてからプラハは口を開いた。

 「あの二人を外させて良かったのかい?」

 「あの二人なら口外することはない。だが、多くの人間に聞かせるような話ではないだろう?」

召喚士の言葉にプラハは不適な笑みを浮かべる。召喚士もプラハを無表情に見つめながら口を開いた。

 「さて、話を聞こう」

 「私もまどろっこしいことは嫌いでね。単刀直入に聞こう」

そしてプラハの顔からも表情が消える。

 「あんたはいつ人類を滅ぼすつもりだい?」

プラハの言葉に召喚士の視線が冷たくなる。だが、プラハはその視線を気にせずに言葉を続ける。

 「あんたは私と一緒さ。人類に絶望し、すべてを滅ぼそうと思っている」

プラハはフードの下の召喚士の顔を覗き込みながら言葉を続ける。

 「私があんたを見た時の感情は歓喜だ。こいつなら私と一緒にすべてを滅ぼしてくれる。全てを壊してくれるってね」

 「……さて、何の話だ? 俺はこの世界を救うために呼ばれた存在だ」

召喚士の言葉にプラハは心底愉快そうに笑う。

 「あんたが世界を救うだって!? ありえない!! あんたの瞳にあるのは人類に対する絶望だ!! それも私なんかより重たいね!!」

笑う笑うプラハは笑う。心底愉快そうにプラハは笑う。

 「あんたがやりたいのは人類を救うことじゃない!! 人類を滅ぼすことさ!!」

そしてそのままプラハは机から召喚士に向かって体の乗り出す。その瞳には狂気が宿っていた。

 「さぁ命じておくれ!! 私に人類を殺せ、と!! その命令に私は従おう!! 私と同じ絶望……いや、私以上に絶望を持った奴になら私は従おう!! そして殺そう!!」

プラハは両手を広げてたからかに謳う。

 「殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して全てを殺しつくそう!!」

プラハの瞳は再び召喚士に向けられる。その瞳にあるのは絶望と狂気。

 「あんたにはその資格がある!! その実力がある!! さぁ!! 命じておくれ? 全てを殺せ、と!!」

狂気に飲み込まれているプラハを召喚士は冷静に見つめている。

そして召喚士は口を開いた。

 「プラハ」

 「なんだい?」

 「俺はこの世界を滅ぼすつもりはない」

召喚士の言葉にプラハの顔から表情がなくなる。

 「何故だい?」

 「この世界の人類はまだ救いがあるからだ」

 「あるわけないだろう!!」

召喚士の言葉にプラハは怒鳴る。

 「あんただって見続けたはずだ!! 人類の愚かさを!?」

 「その通り、俺は人類の愚かさを見続けてきた」

 「だったら!!」

 「俺を過小評価するなよ小娘」

召喚士から漏れ出てくるのはプラハ以上の狂気。その狂気に飲み込まれてプラハは息を飲んだ。

 「小娘に言われる前に俺は人類の愚劣さを知っている。生きるに値しない生物だと知っている。だがな、小娘」

そう言いながら召喚士は人差し指で机を軽く叩く。

 「すべての人類が愚劣なわけではない。中には救うに値する存在もある。わかるか?」

そこまで言って召喚士は机をたたくのをやめ、面白そうに口を開く。

 「まずすべきは選別だ。上に立つ者を選び、育て、その者に人類の進歩を任せる。選別から漏れた者もこれで救われることがある。だが、小娘。貴様の言う通り、これでも人類が救われないことがある」

 「……その時はどうするんだい?」

プラハの問いに召喚士は優しく微笑む。

 「滅ぼす」

優しい微笑みから紡ぎだされた禍々しい言葉。その言葉にプラハの背筋が凍る。それと同時にプラハは高揚を得る。それは自分以上に狂っている存在を見つけた喜びだ。

 「ああ……ああ!! 最高だよ!! 私は甘ちゃんだらけのここに呼ばれた意味がわからなかったが、今理解できた!! あんたの手足になってすべてを殺すためにここに呼ばれたんだ!!」

プラハの言葉は止まらない。

 「召喚士……いや!! 我が主!! 私が尽くすべき主君よ!! 私はあなたに従おう!! あなたが言うならすべてを殺してみせよう!! さぁ!! 命じておくれ!! 殺せと!! すべてを殺せと命じておくれ!!」

 「そこまでにしておきなさい」

その言葉にプラハが振り返ると目の前に剣と槍が突きつけられていた。持ち主はリンとフィオーラ。二人とも冷たい瞳でプラハを見ている。

 「余計なことはしないのが命を保つ秘訣よ」

 「その通りです」

リンとフィオーラの言葉にプラハは獰猛に笑う。

 「なんだい? あんたたちは我が主の心意がわかるとでもいうのかい?」

 「バカなこと言わないで」

 「私達に召喚士さんの心意がわかるわけないです」

 「だったら黙ってな!!」

プラハの怒鳴りにもリンとフィオーラは一歩も引かない。

 「だけどね、私達は知っている。軍師の人類に対する絶望がどれだけ深いのかをね」

リンの言葉にフィオーラは黙っているが、同意見なのだろう。

リンとフィオーラとプラハは三人で睨みあう。

だが折れたのはプラハであった。

プラハは軽く肩を竦めると召喚士の机から離れる。それを確認してからリンとフィオーラも武器をしまった。

そしてプラハは召喚士に向かって恭しく礼をする。

 「私が仕えるべき主君よ。何かあればこのプラハにご命令を」

プラハの言葉に召喚士は特に答えることをせず、手で合図をして下がるようにいう。それを見てプラハはニヤリと笑ってから部屋から出て行った。

それを見送ってからリンとフィオーラからため息が出る。

 「あんたねぇ……ほんと、人をちょっとは選びなさいよ」

 「そうです。壊れているのはわかっていましたが、あそこまで壊れている人物だとは思っていませんでした」

リンとフィオーラの言葉に召喚士は呑気に笑う。

 「異世界のプラハならあそこまで酷くないんだろうがなぁ」

召喚士の言葉にリンとフィオーラの視線が鋭くなる。そしてフィオーラが口を開いた。

 「知っていて呼び寄せたんですか?」

 「その通りだ」

召喚士の言葉にリンの剣とフィオーラの槍が召喚士に首元に突きつけられる。だが、召喚士は焦ることはない。

 「軍師、あなたが私達とした約束、覚えているわよね?」

 「当然だ。俺から言い始めたんだからな」

 「その約束、下手をすれば今果たさなくてはならなくなります」

フィオーラの言葉に軽く肩を竦める。

 「安心しろ。今はまだ世界を滅ぼそうとは思っていない」

その言葉にリンとフィオーラは安堵のため息を吐いて武器をしまった。

 「それならなぜ『あのプラハ』を召喚したの?」

リンの問いに召喚士は立ち上がり、窓から外を見ながら説明を始める。

 「あのプラハが数多い異界の中でも異端なのはわかるな?」

リンとフィオーラはその言葉に頷く。プラハはラグズを嫌悪しているが、人類も含めたすべてを滅ぼそうとはしていないはずである。

だが、この世界のプラハはすべてを滅ぼすことに固執している。まるですべてが憎いかのように。

 「あのプラハは危険だ。下手な異界に召喚されればその異界は滅びるだろう。だから同類であり、あのプラハ以上に壊れている俺の手元に置く必要があった。俺の手元に置いておけば少なくとも暴走はしない」

 「なるほど」

召喚士の説明にフィオーラは納得の様子を見せる。だが、リンはどこか訝し気に口を開いた。

 「軍師、あなたは本当に世界を滅ぼさない?」

リンの言葉に召喚士は笑顔を浮かべる。だがその瞳はドロリと濁っていた。

 「今はまだ、な」




プラハ
FE界の宇宙の蜉蝣ことプラハ様。この世界のプラハ様は完全にぶっ壊れており、全人類の滅亡を願っている。
自分以上に壊れている召喚士に絶対的な忠誠を誓う

リン&フィオーラ
召喚士のストッパー。二人がいなくなると召喚士くんは完全に闇落ちします

リン&フィオーラと軍師(召喚士)の約束
軍師「俺が道を間違えたと思った時、その時は俺を殺せ」

召喚士
英雄じゃなくて魔王




そんな感じでプラハ様(シリアス)編です。

負の方向に拗れて突き進んでしまったプラハ様。願うのは全人類の滅亡。そのために完全に上位互換である召喚士に忠誠を誓う。
たぶん召喚士が魔王として覚醒した場合、勇者アルフォンスくんの前に立ちふさがる強敵となるでしょう。

最初はシリアスにする気なかったのに「あ、そういえば召喚士と同方向に壊れている奴いないな」という作者の思い付き、そしてプラハ様(闇落ち)と召喚士(最初から闇属性)の化学変化によってシリアスの出来になりました。

ちなみに召喚士が人類に絶望しているという設定はこの作品の連載開始からある設定。後付けで神様になったり格闘術が強くなったりしましたけど、そこはぶれていません。

王道の勇者より勇者に殺される魔王系を主人公にしたがる作者です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

女神の僕ガチャ

ひゃっほぉ!! シャミアさんがいるじゃねぇか!!


 「楽しいガチャタ~イム!!」

 「「イェー!!」」

俺の宣言に合いの手を入れるヘクトルとエリウッド。

 「今回は女神の僕ガチャということで触媒にこいつを連れてきた」

 「女神って誰って? そう私です!!」

自信満々に水着姿で宣言するレア。

 「今回のガチャはこいつの関係者。こいつがいればすんなりと召喚されるって寸法よ」

 「ふふふ、任せておきなさい召喚士。私がいるからには素直に召喚されることは確実です!!」

俺とガッチリ硬い握手を交わすレア。

 「それでも爆死をするのが召喚士だよね」

 「本当にそれな」

 「バカ二人はシャラップ!!」

確かにいつもは沼って死ぬことが多いが、今回は大丈夫!! 何故って。

 「セテスとフレンに関しては俺も関係者!! さらにレア曰くシャミアは俺の弟子らしい!! つまり俺とレアによって触媒力は二倍!! こいつは確実に召喚される!!」

 「ふぅぅぅぅぅぅ!! その一切根拠のない自信!! あなた本当にグラーフですか!!」

 「ガチャに関しては読みなんてできないからな!!」

いやマジで日本はガチャを規制したほうがいい。

 「そんなわけで召喚石板起動!!」

 「はい!! 召喚士!!」

 「なんですかレアくん!!」

 「引く色は何色ですか!!」

 「赤以外!!」

そして浮かび上がるオーブ。

赤二つに無色二つ、そして青一つ。一番欲しい緑がなかった。

 「ごはぁぁ!!」

 「「「召喚士の不幸で飯がうまい!!!」」」

とりあえず無色と青を開けて次のガチャである。

浮かび上がるオーブ。

 「いよぉぉぉぉぉぉし!!!!!」

ガッツポーズする俺。ブーイングする三人。

緑3つに無色二つだった。

そして緑を開けていく。

石板に吸い込まれるオーブ、巻きあがる煙、浮かび上がるシルエット。

 「シャミアという。セイロス騎士団で…狙撃手をやっている。射落としてほしい首でもあるのか?」

 「勝った!!」

 「「バカな!!」」

やってきたシャミアにコロンビアポーズを決める俺。愕然とした表情を浮かべるバカ二人。

 「よくやってきてくれましたね、シャミア」

 「待ってくれレア様。突っ込みどころが多すぎる」

レアの言葉に頭痛を抑えるように米神を叩くシャミア。

 「? どこかおかしいところでも?」

 「とりあえず一番気になっていることを聞くが……」

そしてシャミアは真剣な表情で俺を見てくる。

 「なんで師父が生きているんだ?」

 「おいおい聞いたかヘクトル、エリウッド!! ついに俺の死を信じてくれる奴がいたぞ!!」

 「可哀想に、脳の病気なんだね」

 「こいつが死ぬとかありえないのにな」

ガンのくれあいをする俺たち。その横でレアが俺という存在をシャミアに説明している。そしてシャミアは納得した表情をした。

 「そうか。師父が普通の人間……いや、人だと思ったことはないんだが、やはり高位存在だったのだな」

 「「召喚士が人間扱いされてなくて草」」

 「解せぬ」

何故だ。俺はこんなにも人間をやっているというのに。

そしてシャミアは真剣な表情で言葉を続ける。

 「もう一つ。何故レア様は水着なんだ?」

 「さぁ召喚士!! 召喚を続けますか!?」

 「無視か」

 「シャミアが個体値クソだったから天井で二人目もらうために召喚続行だおらぁ!!」

 「師父もどういう意味だ」

攻撃↓は許されないということだ。

シャミアを嘆きを無視して俺は召喚石板を起動する。するとシャミアは呆れながら壁に背を預けた。

それにエリウッドは声をかける。

 「あれ? シャミアちゃんはもう出て行ってくれても大丈夫だよ?」

 「私は師父の護衛だ。近くにいるさ」

 「その護衛が今まさに吐血してるけどな」

 「それは私の管轄外だ」

 「マッスル王ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」

 「はははははは!!! 体を鍛えろ召喚士!!!!」

とりあえずすり抜け召喚されたカイネギスを秘伝書にしながら召喚続行である。

それからしばらくはすり抜け祭りである。闇落ちカム男、伝承ディミトリくん、リンカが来たが即座に秘伝書にしておいた。

そして再び緑を叩き込む。

吸い込まれるオーブ、舞う土煙、浮かび上がるシルエット。

 「……師父、これはいったいどういうことなんだ」

 「ひゃっふぅ!! 二人目ぇぇぇぇ!!!」

 「無視か」

壁際にいたシャミアが再び召喚された。微妙な個体値だが攻撃↓が消せるので良しとしよう。

 「次は青だぁ!!」

 「「「やってこい子安!!!!」」」

 「子安って誰だ」

シャミアの当然の突っ込みはスルーして俺は青のオーブを叩き込む。

吸い込まれるオーブ、舞う土煙、浮かび上がるシルエット。

 「私はセテスというすまない召喚される世界を間違えたようだ」

 「安心しろ、間違っていない」

 「何故貴様がいるのだグラァァァァフ!!!!!!!」

 「俺が英雄だからさ」

 「この世界は間違っている!!」

世界が憎いとばかりに地面を叩くセテス(胃痛枠)。それを見て愉悦の表情を浮かべる俺とレア。

 「そんなこと言っていいのかセテス」

 「そうですよ、貴方の弱みを私達は大量に握っているというのに」

 「このクソどもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

バチグソにぶち切れながら俺の胸倉を掴み上げるセテス。そしてセテスは何かに気づいた。

 「……待て、何故レアはそんな恰好をしている?」

 「さぁ、召喚士!! あとはフレンだけですよ!!」

 「また貴様は威厳を投げ捨てるような真似をしやがったなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

血圧が上がりすぎたセテスは吐血してぶっ倒れた。俺が指を鳴らすとパーフェクトメイドフローラがセテスを医務室に搬送していった。

 「……師父、今のメイドは?」

 「パーフェクトメイドだ」

 「メイドは普通はあんなに気配を消せない……!!」

 「すげぇ、召喚士の弟子なのに常識があるぞ」

 「生徒たちはみんな普通に反応していたからね」

俺の弟子なのに常識があるなんてシャミアはすごいな。

ちなみにそれ以降は星5が出なくて無事に天井に到達した。

 「誰をもらうんですか?」

 「フレンだな。知り合いだし」

 「カトリーヌもいい子ですよ?」

 「レア様それはやめたほうがいい」

シャミアの言葉に全員の視線がシャミアに集中する。全員の視線を受けながらシャミアは口を開く。

 「たぶんレア様の姿をみたら卒倒する。そしてせめて威厳を保ってくれと懇願すると思う」

 「召喚士、フレンにしましょう」

 「貴様絡まれるのが面倒になったな」

そんな会話をしながら無色のオーブを叩き込む。

吸い込まれるオーブ、舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

 「わたくし、セテスの妹でフレンと申します。なんとなくま!! シャイカーさんとレア様じゃないですか!! ということは新作が読めるのですわね!!」

 「「「新作?」」」

俺とヘクトルとエリウッドの問いにフレンは100%天使の笑顔で口を開く。

 「男性同士が濃厚に絡み合う漫画の続きですわ」

 「「「腐ってやがる……!!!」」」

俺たちの言葉にレアはサッと顔をそむけるのであった。




シャミア
短い時期だが召喚士に教えを受け、生き延びることができたので召喚士に恩を感じている。そのために召喚士の護衛及び諜報員になる。

セテス
風花雪月世界の胃痛枠

フレン
腐っている女の子。



そんな感じで女神の僕ガチャ結果です。

天井までに出た星5はシャミア二人、カイネギス、伝承ディミトリ、闇落ちカム男、リンカというかなりの好結果。しかも二人目シャミアとカイネギス、伝承ディミトリは同時に召喚されるミラクル。ちなみにセテスさんは星4です。

三人も外道、フォドラに立つルートからの参戦。やったねセテスさん!! 胃痛の種が増えるよ!!

フレンが腐っている理由? 作者のフレンを見た第一印象だよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レアVSネメシス

ネメシスが来たらレア様が黙ってないよねってこと

プロレスはガチ。いいね?


 『さぁ! 最高に盛り上がっている英雄達の祭典も残すところあと一試合!! つまりは今日のメインイベントの時間だ!!』

ギムレーの実況に会場のお客さんからはボルテージ高めの歓声があがる。

 『第一回の最終試合。組んだ俺が言うのも最高に盛り上がる試合をお約束しよう』

 『ふぅぅぅぅぅぅ!!! 英雄宴の代表取締役会長兼最高経営責任者の召喚士の言葉を聞いたか!? この試合からは目を離せないぜ!!』

ギムレーの実況に客席から大歓声があがると、リング上にレフリーであるパントがあがる。それを確認してから

 『本日のメイーンイベント!! まず登場する選手はこいつだぁぁぁぁぁ!!!!!!』

そして流れる軽快な音楽。選手入場口から出てくるのはリングコスチュームを着たレアであった。

レアは音楽にあわせて軽く踊ってからマッスルポーズ。すると背後で連続大爆発が起きた。

それを見てあがる大歓声。

 『さぁ!! 軽快にランニングしながらスライディングリングインするのはこいつ!! 本業は宗教の大司祭? 嘘だろ、お前はプロレスラーだ!! その名もH・B・V(ハート・ブレイク・ヴィーナス)!!!!』

 『H・B・V!! H・B・V!! H・B・V!!』

ギムレーの実況に客席からはHBVコールが起こっている。レアもそれに慣れた様子でポストに上がって煽っている。

俺がいなくなってからのセイロスは知らないが、お前絶対に大司教なんかやってなかっただろ。

レアがリング中央に戻るとパントが軽く身体検査をしてから注意をしている。だが、レアはその注意を聞かずに入り口を睨みつけている。

そしてレアの音楽が鳴りやむと、今度は会場が少し暗くなり、重低音で重々しい音楽が流れ始める。

そして客席から始まるブーイング。そのブーイングの中から出てきたのは新しくやってきた英雄ネメシス。

 『そして迎え撃つのは希代の大悪党!! 女神の墓を暴いて武器にしてしまった墓暴き人!! NMESIS!!』

ネメシスは一度白目をむいてから両手を広げるとリングポストから爆発が起こる。それを見ながらゆっくりと歩いてリングに上がるネメシス。

そして中央で睨みあうレアとネメシス。パントが何やら注意事項を言っているが二人は聞いていないだろう。

 『へい、召喚士!! あの二人にはどんな因縁があるのさ!!』

 『NMESISが暴いて武器にしてしまった女神はHBVの母親だ。そしてHBVは元の世界でNMESISを殺している』

 『ふぅぅぅぅぅぅぅ!!! これ以上にないくらいの因縁だぜ!! そして準備が整って今ゴングが……

 (カァァァァァァン!!!!)

鳴った!! 本日のメインイベントの試合開始だぁぁ!!!』

ギムレーの実況に会場がおおいに盛り上がる。

会場の熱気に対して二人は冷静だ。お互いに距離を測りながらリングを回っている。

 『へいへい!! 因縁の割には大人しい開幕じゃねぇか!!』

 『二人とも戦闘能力は高いからな。おいそれとは仕掛けない』

 『そう言ってたらNMESISが行ったぁぁぁ!! 低空タックル!! HBVはこれを避け切れない!! NMESISが馬乗りだぁぁ!!』

 『どう考えても性犯罪者の姿だな』

 『アイディア提供どうも!! 今度の新作にするわ!! おおっと!! NMESISの腕をとってそのまま関節をかけるHBV!!』

リング上ではギムレーの実況の通りの状態になっていた。完璧に関節をきめるレア。パントがネメシスを覗き込んで「タップ? タップ」と言った雰囲気を出しているがネメシスは必死に首を振っている。

 『おぉぉぉぉっと!! NMESISは立ち上がり、掴まれているほうの腕をリングに叩きつけたぁぁぁぁ!!!! 思わずHBVも関節を外してしまう!! そしてNMESISはHBVの下半身を掴んでジャイアントスイング!!』

 『おいおい、すさまじい力だな。客席まで飛んだぞ』

俺の言葉通り、ネメシスは客席までレアを放り投げた。ふらふらと立ち上がったレアも掴みネメシスは実況席のほうにやってくる。

俺たちは慌ててマイクを掴みながら実況席から立ちあがると、NMESISはレアを実況席の上に上がって自分はレアの背後で腰に手を回す。

 『へいへい!! NMESIS!! そいつは危ねぇ!!』

ギムレーの言葉にネメシスはニヤリと笑ってから技をかける。

 『決まったぁぁぁぁ!!! 実況席の上でスープレックス!! 当然のように実況席は吹き飛んだ!!』

 『初回からもの壊すかぁ』

俺のぼやきを無視して大ダメージを負っているレアをリングに戻し、自分も戻る。

 『そしてそのままフォール!! レフリーもカウント開始!! ワン!! ツー!! スリおおっと返してきたぁ!!』

 『微妙なカウント数だったからな、当然のようにNMESISはレフリーにスリーカウントしたと訴えているが、パント……じゃなかったレフリーは2.5カウントだと言っているな』

そして突如会場のライトが全て消える。

 『なんだなんだぁ!! 停電かぁ!!』

そして再びライトについた時、そいつがいた。

 『The DRAGOONの乱入だぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』

そう!! コーナーポストの上にお姉ちゃんが腕を組んで立っていた!!

 『The DRAGOONはそのままコーナーポストからジャンプ!! NMESISの首を足で挟んでハリケーンラナ!! 強烈ぅぅぅぅ!! 一撃でNMESISの額が割れたぁぁぁぁ!!!』

そしてお姉ちゃんはレアを立たせてからリングから走り去る。

そして立ち上がったレアはロープを掴みながら両足でリングを踏みつける。

 『へいへい、召喚士!! こいつは陽気な音楽が聞こえてきたぜ!!』

 『NMESISは立ち上がらないほうがいいだろうな』

俺の言葉は聞こえないのかネメシスはふらふらと立ち上がった。そこにすかさずレアのフィニッシュムーブ!!

 『『スイートチン・ミュージック!!』』

どぐしゃぁ、といった擬音が聞こえてきそうな威力の蹴りがネメシスの顔面に叩き込まれる。リング上でバウンドしてから倒れこむネメシス。

しかしレアは止まらない。コーナーポストに上ると両手を広げる。それにあがる大歓声!!

 『おいおい!! スイートチン・ミュージックだけでNMESISはお腹いっぱいだぜ? お代わり禁止だ!!』

 『それで止まる奴じゃないわな』

 『まったくもってその通り!! 行ったぁ!! スワントーンボム!! だんちゃぁぁぁく!!! そしてそのままフォール!! ワン!! ツー!! スリー!!

 (カンカンカンカン!!!)

勝利したのはHBV!!』

会場内にレアの音楽が流れ始め、客席からHBVコールが起こっている。レアもそれに答えるようにコーナーポストに上がって客席を煽る。

 『随分と楽しそうだな』

そして一つのイベントが終われば次のイベントの準備が始まるもの……!!

重低音音楽にのせて出てきたのは悪趣味な仮面レスラー。

 『おおっと!! ここで新しい敵の登場だぁぁぁぁ!!! HBVを敵視する謎の覆面レスラーえんてぇぇぇぇい!!!!!!』

 『割とあの子が乗ってきてくれて驚いている』

 『へい召喚士!! 覆面レスラーに中の人のことを言ったらダメだぜ!!』

俺とギムレーの会話を無視して炎帝はマイクを持ち、レアに向かって言い放つ。

 『師……じゃなかった、私は人の世を取り戻す!!!』

炎帝の言葉に大いに盛り上がる会場。その言葉を受けたレアは不適な笑いを浮かべながら右手を前に出しかかってこいのポーズで言い放つ。

 『JUST BRING IT !(かかってこい!)』

レアの返しに会場からは大歓声!! 炎帝は即座にリングに向かって駆けだそうとするが、マネージャーの陰険そうなマスクマンに止められて引き下がっていった。

 『さぁ!! 盛り上がった第一回英雄宴はこれでおしまいだ!!』

 『これからは週一で放送をしてくからな、楽しみにしててくれ』

 『だってよ!! 毎回会場にもお客さん入れるからな!! この放送を見て興味を持った奴はすぐにファンクラブに入会だ!! それじゃあまた来週!!』




HBV
ハート・ブレイク・ヴィーナス。レアのリングネーム。ベビー

NMESIS
ネメシス。ヒールレスラー

The DRAGOON
ナギのリングネーム。ベビー

英雄宴
ヴァイス・ブレイブに設立されたプロレス団体。設立理由は『英雄同士の手合わせで世界がやばい』から

炎帝
いったい何スベルクの少女なんだ……

プロレスってガチなんですか?
ガチに決まってるだろ!!



そんな感じでレアVSネメシス編です。

ネメシスネタを考えていたら何故かプロレスを始めた二人。お前ら実は仲良いだろ。
最初はレア様がローブローとか凶器攻撃をバリバリしていたんですが、ベビーでそれはまずいだろってことで試合内容を変更。
ちなみにナギの乱入は実際にあった乱入です。この乱入方法で作者はThe ハリケーンが好きになりました。

ちなみにプロレスらしくある程度ストーリーは作るが試合内容はガチ。英雄の気分次第で他の英雄も乱入してくる修羅の宴


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

今後の更新について

いつも頭の悪いこの作品をお読みいただきありがとうございます。

 

マー、タイトルにある通りこの作品の今後の更新予定を書きたいと思います。

 

結論から言いますとこの作品の更新止まるってよ

 

ええ、急にどうしたという突っ込みもあると思います。ガチャで爆死したのかという心配もあると思います。

 

安心してください、忍者リンちゃんはちゃんと引きました。

 

マー、その忍者ガチャを引いていてふと思ってしまったんですよ。

 

「俺は何故ソシャゲに何万円も払ってプレイしているんだ……?」って。

 

ええ、いけない兆候です。ソシャゲをやっている人間が絶対にかかってはいけない正気に戻るタイムです。

 

忍者リンちゃんエッチ、そろそろ伝承リンの改造もするかぁ、と思っていた時に思ってしまったんですよ。

 

「でもこれサービス終了したら意味ないよな……」

 

そうなのです。私の作ったリンちゃん(ノーマル、忍の刀も装備されてさらに強化)もサービス終了というラスボスには絶対に勝てないのです。

 

マー、そう考えたら急にFEHのやる気がそがれてしまいまして。

 

元々エンジョイ勢なのでそこまでガッツリやっていた人間ではないのですが、今後は益々やらなくなるなぁ、と自己分析しまして。

 

ファイアーエムブレムシリーズは好きなのでプレイ自体は続けると思いますが、二次創作を書くのはなぁ、って感じになってしまいました。

 

あとはこの作品を書くのを義務みたいに感じ始めてしまったという理由もあります。

 

元々自分は公募用の小説を書く息抜きで二次創作を書き始めました。この作品もそうです。

 

それがみなさんに楽しんでいただけるようなので自分も嬉しくなって書いてきました。

 

ですがいつのまにか自分の中でこの作品を書くことが義務のようになってしまいました。

 

だって二次創作小説のネタのために課金するのおかしいでしょ。そのおかしい行動をしていたのが作者なんですよ。

 

病気になって仕事を辞め、本格的に小説家目指して執筆活動をしていく上で課金に使えるお金はほとんどなくなりました。

 

昔のようにリンちゃんが引けなくてGoogleplayカードを買いにコンビニに行くこともなくなりました。

 

マー、そんなこんなが重なってちょっとソシャゲから距離を置こうと思ったんですね。

 

ソシャゲから距離を置こうとしてもこの作品を書いていたんでFEHは続けていたんですが、今回の正気に戻るのを機会に本格的にソシャゲから距離をとることにしました。

 

もちろん毎日ログインはしますしイベントもこなしますが、これからは純粋にプレイを楽しもうと思っております。

 

作者も完全気分屋なので昔のように超絶不定期に更新することはあると思いますが、間違いなく更新頻度は落ちます。

 

え? 今でもそんなに多くない? ハハハ、こ奴め。

 

そんな感じでこの作品は更新(極稀)になることをご了解いただければ。

 

この作品の外伝である外道、フォドラに立つのほうは気が向いた時に書いて完結までいきたいと思っております。

 

ええ、決してガチャで爆死して正気に戻ったわけではないのです。ヤスダスズヒト先生の絵が好きだから忍者レーヴァテインを引こうと思って140個のオーブ突っ込んで星5が誰もでない大惨事になって正気に戻ったわけではないのです。

 

でも絶対に許さないからな。

 

次回がいつになるかはわかりませんが、たまに更新された時に「お、こいつまたバカな話書いているよ」って感じで笑っていただければ幸いです。




それではみなさん良いFEHライフを!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

世紀末救世主伝説ギネヴィア

おいおいギネヴィア様実装とかマジかよ!! こりゃ引くしかないぜ!!


無事に天井行きました(白目


 「陛下、報告したい議がありまいりました」

ブルーニャがやってきたのは主君として仕えるゼフィールの部屋。養父という存在が現れ、忠誠の対象の優先順位が変わったとは言え、ブルーニャがゼフィールに忠誠を誓っていたのは事実。

そのためにイドゥンが来たことに絶望して部屋に引きこもっているゼフィールのところにはブルーニャは定期的に訪れていた。

ブルーニャが扉に声をかけてもいつものように反応はない。ブルーニャもその反応には慣れているので言葉を続ける。

 「父上がギネヴィア様を召喚されようとしております」

 『……なんだと?』

ブルーニャの言葉にゼフィールは初めて反応する。それに驚くこともなくブルーニャは言葉を続ける。

 「続いておりましたフレイヤとの決戦。それにおいてフレイヤ側にギネヴィア様が召喚されていたようで、その強さを認めた父上は召喚しようとしております」

ブルーニャが言い切ると同時に扉が開かれる。そこには恐怖に怯える弱者ではなく、一国の王の覇気に満ちたゼフィールがいた。

 「ギネヴィアを召喚させるわけにはいかぬ」

 「御意」

 「ついてこい、ブルーニャ」

 「は」

歩き出すブルーニャに一歩下がってついていくブルーニャ。

 「へ、へいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

その姿に涙目で駆け寄ってくるナーシェン。ナーシェンを見てゼフィールは口を開く。

 「ナーシェンか。お主も手伝うがよい」

 「ははぁ!! このナーシェンに万事お任せを!!」

ゲイル以外の味方や部下からの評価は最低値だが、ナーシェンはゼフィールの忠臣である。誰よりも……下手をすれば養父という忠誠の対象をえてしまったブルーニャ以上の忠誠心をナーシェンは持っている。

そしてマードックが実装されたら一方的にライバル視するのだろう。

ブルーニャとナーシェンを従えてゼフィールは召喚室に入る。

 「召喚士!! ギネヴィアの召喚はやめろ!!」

その言葉に振り向く召喚士、ヘクトル、エリウッド。ゼフィールはこの三人が苦手だ。なにせ幼い頃にちょっと世話になったことを今でも全力で煽ってくるのだ。

だが、それでもこの召喚は止めなければならない。

 「ギネヴィアの召喚はよせ!! この世界の平和のために!!」

ゼフィールの言葉に顔を見合わせる三人。そして代表して召喚士が口を開いた。

 「残念ながら天井で確定召喚だ」

 「ならば実力行使に出るまで。ナーシェン!!」

 「美しい私にお任せを!!」

槍を構えて石板を破壊しようとするナーシェン。それを止めるのは赤い鎧の女性。その姿を見てナーシェンは忌々しそうな表情を浮かべる。

 「貴様はミレディ……!!」

 「我が主の召喚の邪魔はさせません」

狭い部屋で戦いを初めてしまうナーシェンとミレディ。それに舌打ちをしつつゼフィールは口を開く。

 「ブルーニャ!!」

 「申し訳ありません、父上の意に反することはできません」

予想できていたとは言え、予想通りのブルーニャの反応に思わず舌打ちをしてしまう。

 (マードックがいれば……!!)

ゼフィールは思わずそう思ってしまうが、残念ながら三竜将筆頭は未実装である。

マードックの実装をはよ!!

そうこうしている間に召喚石板がスパーキング!! そして大爆発!!

 「おお!?」

 「なんだなんだ!?」

 「神様クラスが召喚されたのかい!?」

三馬鹿が何やら騒いでいるがゼフィールは苦々しそうに呟く。

 「遅かったか……!!」

煙から歩み出てくる一人の女性。

 「我はベルン王女ギネヴィアである!!」

力強い宣言と共にギネヴィアの発する覇気で煙だけでなく召喚部屋も消し飛ぶ。

ギネヴィアが一歩歩むと空気が死ぬ。二歩歩むと心の弱い者は失神する。三歩歩めば敵は発狂する。

 「反逆者ギネヴィアの首!! このナーシェンがもらったぁぁぁぁ!!」

ミレディはすでにギネヴィアに向かって頭を下げている。その隙をついてナーシェンはギネヴィアに向かって槍をつける。

普通のギネヴィアであったなら彼女の命はナーシェンによって奪われただろう。

しかし、このギネヴィアは普通ではなかったのだ!!

ナーシェンの槍がすいこまれたのはギネヴィアの持つふくよかな大きな胸!!

 「ふん!!」

ギネヴィアがちょっと力をこめれば柔らかそうに見えた大きなおっぱいは鋼鉄の胸へと変貌をとげた!!

そう!! ギネヴィアの胸はおっぱいではなく鍛え抜かれた大胸筋!!

その大胸筋に阻まれてナーシェンの槍は折れてしまう。

しかし、ナーシェンとて無能はわけではない!! そのことは予想していたので隠し持っていた短剣でギネヴィアに斬りかかる!!

 「無駄ぁ!!」

 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

しかし、哀れナーシェンはギネヴィアの一喝に吹き飛んでいく!! ゴッドスピードナーシェン!!

 「久しぶりだな、我が兄よ」

どっちが兄だかわからない言葉遣いだが、これがベルンの兄妹の通常運行である。

 「何故、貴様がここに呼ばれてしまったのだ……!!」

 「しれたこと。我が宿敵がここにいる。ならば我が召喚されるのは当然のことよ」

ゼフィールはその言葉に歯噛みする。元居た世界ではギネヴィアと、そのギネヴィアの強さを認めたある存在によって世界が危機に陥った。そしてゼフィールは世界を救うためにギネヴィアをベルンから追放したのだ。

 「さぁ、我が兄よ。我が宿敵のところに案内するがよい」

 「断る」

 「ほう?」

ゼフィールの言葉にギネヴィアは片腕でゼフィールの首を絞めて持ち上げる。ゼフィールも必死にもがくがギネヴィアは全くこたえない。

 「我が兄よ。もう一度だけ機会をやろう。我を宿敵のところに案内するがよい」

どうみても覇王の表情でゼフィールに告げるギネヴィア。ゼフィールは苦悶の表情を浮かべながらも反発する。

 「こ、断る!! この世界を……わ、私達の世界のように……するわけにはいかぬ!!」

 「ふん、愚かなことを。だが、まぁいい。その気概に免じて命だけは許してやる」

ギネヴィアはそういうと片腕でゼフィールを放り投げる。

 「ミレディ!!」

 「は!!」

ギネヴィアの言葉に即座にギネヴィアの御前にくるミレディ。

 「奴の居場所は?」

 「調べております」

 「案内せい」

 「はは」

そしてギネヴィアは歩き出す。その歩みはまさしく覇王!!

ギネヴィアに飲み込まれたゼフィールはそれを見送ることしかできない。

しかし!!

 「……羽虫の分際で何の真似だ?」

ギネヴィアの歩みを止めるように腰(というには太すぎる)に掴んでいたのは三竜将ナーシェン。

 「わ、私は卑怯者だ。他者を陥れ、失敗は部下に押し付けるような最低の存在だ」

ボロボロになりながらもナーシェンは叫ぶ。

 「だが、そんな私を認めてくださったのが陛下だ!! 私は陛下のためなら命も捨てる!!」

 「ならばその命を置いていくがいい!!」

その言葉と共に振り下ろされるギネヴィアの拳!!

しかし、その空気を切り裂く轟音の拳を止めたのは召喚士の魔術であった。

ギネヴィアは不機嫌そうにジロリと召喚士を睨む。子供が睨まれたら即死する視線を受けても召喚士は飄々としている。

 「なんの真似だ?」

 「元居た世界同士の軽いいざこざなら見逃すんだけどなぁ」

そして召喚士は真面目な表情を浮かべる。

 「世界を滅ぼす規模の喧嘩はご法度だ」

 「「ヘルと頻繁に喧嘩して世界を滅ぼそうとしている奴のセリフじゃなくね?」」

 「あれはお互いに手加減しているからセーフ」

改めて神々の強さに戦慄している脳筋と腹黒がいたが、召喚士はそれを無視して指をならす。

すると魔術が起動されて召喚士とギネヴィアが別の空間に転移された。

転移先は広大な荒野。そして腕を組みながら立っているのはイドゥン。

 「きたようですね、人類の到達点」

 「会いたかったぞ、我が宿敵」

荒野で睨みあうイドゥンとギネヴィア。

 「この世界は神々専用の戦闘場所だ。どれだけ暴れてももとの世界に影響ないから思いっきりやっていい」

召喚士の言葉にイドゥンはフードを脱ぎ捨て、ギネヴィアも来ていた重さ100kgのドレスを脱ぎ捨てる。

二人を見ながら召喚士は空間にゴングを生み出す。

 「それじゃあいってみよう」

 『カーン!!』

 「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」

二人の拳がぶつかりあった瞬間、世界が弾け飛んだ。




ギネヴィア様
鍛え抜かれた魔法(物理)のエキスパート。その姿はまさしく覇王。イドゥン曰く『人類の到達点』

ゼフィール
妹を止めるために竜に世界を明け渡そうとしたらもっとやばいことになった一番の加害者。責任を感じているので必死になって妹を止めようとするがまったく相手にされない。

ナーシェン
ゼフィールの忠臣。やっていることは姑息だがゼフィールに対する忠誠心は本物。

イドゥン
一番の宿敵である『人類の到達点』ギネヴィア様召喚でテンション高め

ギネヴィア様VSイドゥン
ヴァイス・ブレイブに中継されて他の世界の英雄はドン引き

封印世界のギネヴィ様VSイドゥン
一騎打ちで世界がやばいと感じ取ったパントがギネヴィア様を呪殺。そしてギネヴィア様も最後の意地でイドゥンに致命傷を与える。そして致命傷を負ったイドゥンは最後に大暴れして勇者ロイくんによって打ち取られて万歳三唱しながら死んでいった




あ、どうも。封印キャラでもトップクラスに好きなギネヴィア様が実装されてテンション高めの作者です。

大好きなキャラなので全力でキャラを壊していく方針。ここの世界のギネヴィア様はきっと世紀末救世主伝説の敵役に出ても違和感がない。そしてナーシェン忠臣説をとなえていくスタイル。でも封印世界がやばくなったのはだいたいゼフィールくんのせい。

勘違いしないでほしいのは作者は本当にギネヴィア様のこと好きなんです。だからキャラを壊すんです。

今後はこんな感じで突発的にアップしていくのでよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

死神騎士の憂鬱

久しぶりの更新です

死神騎士の致命的なネタバレをかましているのでご注意ください


ヴァイス・ブレイブ食堂。ここでは年末から年明けにかけて英雄達が集まっての大宴会になっていた。

その食堂の隅っこ、目立たないように縮こまって隅っこ暮らしをしているのが死神騎士であった。

元来の性格が明るいほうでなく、むしろ暗い性格だったので元の世界では『悦楽……!』とか言って戦闘狂ぶってみており、それが上手くいったのでここに召喚された時も同じキャラでいこうと思ったら本物の戦闘狂に即座に連行されて地獄をみたのでそのキャラを封印することにした。

するとどうなるか?

見た目が死神の仮面をつけた不審者+会話下手+暗い雰囲気=友達いない

ヴァイス・ブレイブの騒ぎもどこか遠くで見ていて「あ、本当にここの連中と関わらなくてよかった」と思っているが、強制全員参加のこういう催しになると途端にボッチになる。

そこで自分から隅っこのほうに行ってちびちびと食事をとったりお酒を飲むことになる。

 「……友達欲しいなぁ」

ここにいる連中はパリピを通り越したキチガイの集まりだ。だが、中にはまともな英雄もいる。頑張ってそういう英雄と仲良くなろうとしても、たいていそういう英雄にはキチガイがセットでいるから無理なのだ。

 「あらぁ、また一人でこんなところにいたのね、エミール」

 「……む、メルセデスぶっふぅ!!」

声をかけられて普通に返答しようとした死神騎士!! しかし、突然姉から指導(物理)が顔面に叩き込まれる!!

殴られた衝撃で吹っ飛んだ死神の仮面を直しながら死神騎士はメルセデスを睨む。

 「何をする!!」

 「お姉ちゃんでしょ~?」

 「…………」

 「はい、リピートアフターミー、おねえちゃん」

 「………お姉ちゃん」

 「はい、よくできました~」

はたからみたら死神の仮面をつけた変質者がシスターをお姉ちゃん呼びという治安維持部隊案件不可避であるが、そこは普段からメルセデスが「あの子は私の弟なの~、中二病で魔法に弱くてメンタルクソザコナメクジだけど仲良くしてあげてね~」と言っているので周囲から生暖かい視線を向けられるだけだ。

ちなみにメルセデスの発言を死神騎士は知らない。きっと知ったら部屋から出てこなくなるだろう。

 「それで~、こんなところで一人でいるなんて寂しいんじゃないかしら~」

 「あ、楽しみにとっておいたハンバーグ……」

 「弟のものは姉のものよ~」

楽しみにとっておいた食べ物も姉に搾取される。だが死神騎士は反攻できない。反攻したら最後、姉によって地獄の教育的指導が始まるだけだ。

 (おかしい!! メル……げふんげふん。お姉ちゃんも学校に入った時は普通だったはずだ!!)

思考の中でメルセデスのことを呼び捨てにしようとしたところ、姉が握りこぶしを作ったのをみて訂正する死神騎士。そこには完全な上下関係が出来上がっていた。

こんなにも愛する姉が汚れてしまった諸悪の根源が死神騎士にだって理解している。

 (おのれシェイカー・エナヴェール!!)

この世界では召喚士と呼ばれている男であった。厳密に言うと死神騎士たちのいた世界の個体とは別個体という説明を受けたが、人を指すのに個体という言葉が出てくる時点でそれは嘘だと死神騎士は思っていた。

風花雪月のシェイカーとヴァイス・ブレイブの召喚士がまったく同じ行動をするせいもある。

 「それで~、エミールは友達が欲しいのね~」

 「いや、そんなことないがっふ!!」

姉の言葉を速攻で否定した死神騎士であったが容赦のない指導(物理)が叩き込まれる。机に崩れ落ちながらも姉であるメルセデスは言葉を続ける。

 「エミールは友達が欲しいのよね~」

 「いや、そんなことっふ!!」

必死に否定しようとしたが、今度は足が飛んできた。机から蹴り落とされる死神騎士であったが、他の英雄の乱痴気騒ぎのせいで気づいた英雄はいなかった。

 「エミールは、友達が、欲しい。違うかしら~?」

 「ほ、欲しいです」

 「そうよね~」

死神騎士の返答に満足そうに笑顔を浮かべるメルセデス。その笑顔をみて「まぁ、少しくらいなら頑張ってもいいかな」と思ったシスコンエミールくんであった。

 「それじゃあ~、良さそうな人を紹介するわね~」

姉の言葉に逃げようとした死神騎士であったが、即座に腕を極められて逃亡に失敗した。

関節をきめられながら連行される死神騎士。奇妙な光景かもしれないが、頻繁に治安維持部隊に連行される英雄がいるこのヴァイス・ブレイブでは日常的な光景だ。

 「イドゥンさん、ちょっといいかしら~」

 (ふるふる)

 「あら~、ダメよエミール。言いたいことはちゃんと言わないと~」

死神騎士は涙目で拒否しようとしたが、メルセデスに笑顔で黙らされた。

死神騎士だって拒否するだろう。なにせヴァイス・ブレイブの戦闘狂筆頭のイドゥンだ。

 「おや、メルセデスですか。ついに自分の限界を試す気になりましたか?」

 「私はただのシスターよ~」

 「ふふふ、ただのシスターからは決して放たれないであろう闘気……その闘気を持ちながらただのシスターは無理があるでしょう」

 「そうかしら~、先生の教えを受けた人間では普通よ~」

 「ふふ、ふふふ!! ふはははははははははは!!!!!! その死を前にしても動じない胆力!!!!! 実に素晴らしい!!!! あぁ!!! ダメです!!!!!! この昂り……抑えきれない!!!!!!!!」

その瞬間に目の前からイドゥンが消える。ギネヴィアも一緒に消えているので神々の仲介で別世界で限界バトルが始まったのだろう。

そしてメルセデスは死神騎士の状態に気づく。

 「あら~、ダメよエミール。あれくらいで気を失っては~」

メルセデスの気付けに死神騎士は意識が戻る。そしてメルセデスの肩を掴んだ。

 「バカなのか!? 本当にバカなのか!? 初手イドゥンはないだろう!!」

 「あら~、エミールも戦闘狂だからちょうどいいと思ったのだけど~」

メルセデスの言葉に死神騎士は絶句である。メルセデスは死神騎士のファッション戦闘狂をガチ戦闘狂だと思っていたのだ。

 「メーチェ、闇魔法試験パスおじさん、どうかしたんですか?」

 「あらリシテア~」

そこにやってきたのは天才魔法少女リシテアちゃん。リシテアは殺人級の仕事量をなんとか終わらせ、この宴会に参加していた。リシテアが持っている大皿の上には甘いものしかのっていない。

その事実に死神騎士は軽く引いているが姉とリシテアは普段通りだ。

 「対神々決戦結界が発動しましたけど、何かありましたか?」

 「イドゥンさんがちょっと興奮しちゃってね~」

 「ああ、それで何柱か神々もいなくなっているんですね」

世界崩壊の危機もこのヴァイス・ブレイブでは珍しくない。なにせ狂った神様がいっぱいいる。『ノリと勢いで世界崩壊させそうになったけど人類でどうにかしてね!!』を地で行く連中ばっかりだ。

ファッキンゴッド。

死神騎士が神々を呪っていると、メルセデスがリシテアに状況を説明したらしい。リシテアの哀れみの目が死神騎士に刺さっている。

 「ダメですよメーチェ。イエリッツァ先生はファッション戦闘狂なんですから」

 「ファッション戦闘狂とはなんだ」

リシテアの言葉につい反発してしまう。確かに死神騎士の戦闘狂は見せかけだけのファッションだが、それでも頑張って強くなったのだ。

武芸は全て姉に劣っているがそれでも武闘派としてのプライドが死神騎士にもあるのだ。

するとリシテアはイイ笑顔を浮かべた。

 「それじゃあ修羅三人衆から行ってみましょうか」

 

結果的に死神騎士は医療班と仲良くなった。




死神騎士
このヴァイス・ブレイブではガチで珍しい陰キャ系英雄。ファッション戦闘狂。趣味はレース作りや刺繍

メルセデス
友達の弟を心配するお姉ちゃん

リシテア
宴会の余興として死神騎士を修羅三人衆にぶつけた鬼畜。

イドゥンVSギネヴィアVS神々
結果的にいた飛んだ世界は滅びた




お久しぶりに更新です。

勝手な作者のイメージをつけられたエミーげふんげふん、イエリげふげふん、死神騎士さん。でもあの見かけで陰キャで嬉しそうにチクチクレース作りとか刺繍していたらちょっと好きになる。
そして好意で弟を殺そうとしたメルセデス。全ては可愛い弟のためである。

ちなみにリシテアは確信犯


あ、あとファイアーエムブレム風花雪月のオリ主×ベレスの同人誌だします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とKiria

霧亜ではありません。Kiriaです


 「偶像に魂を入れる作業みるのって初めてだよね」

 「いつも召喚士が勝手に終わらせているからな」

さてさて、今回の偶像の天楼も無事に終わり、久しぶりに登り切ったのでせっかくなので余っているので偶像に魂を入れることにした。

そこにどこで聞きつけたのかバカ二人が野次馬にやってきたのだ。

 「それで? 誰に魂を入れるんだい?」

 「霧亜だ」

エリウッドの言葉に俺が返すと、ヘクトルが不思議そうに首を傾げる。

 「飛空城とかでナギで雑に受けてぶち抜かれる事故の原因のつばさちゃんじゃねぇの?」

 「彼女が来るともれなくお姉ちゃんがハッスルする」

 「「それは駄目だ」」

自分を倒せる英雄(しかし異界の存在である)が来てしまうとお姉ちゃんがちょっと本気を出してしまって世界がピンチになるのでスルー安定である。

そして俺は用意していた今回作った偶像に霧亜の魂を入れる。

すると地響きが起き、部屋の中は煙で充満し、そこに雷が連続でスパーキングする。

 「え!? なになに!? 偶像に魂を入れるのってこんな危険だったの!?」

 「いや!! 前回のうぬ様までは普通だった!!」

 「じゃあ特殊な召喚演出かよ!! どうなってんだ!!」

ヘクトルの怒鳴りと共に地響きとスパーキングが収まる。

そしてこつこつと室内を歩く音が響き、人影が煙から出てきながらマントを翻しながら高らかに宣言する。

 「私はロルカ族リンを母に持ち、忘れ去られた神であるブラミモンドを父に持つ霧亜……そう!! 私こそが神々にblessing(祝福)されし者……その名もKiriaよ!!」

 「「「……は?」」」

俺達は一瞬だけ唖然とする。そしてとりあえず俺はヘクトルとエリウッドに落ち着けジェスチャーをしてから霧亜に声をかける。

 「あ~、霧亜?」

 「No、違うわ父さん。霧亜じゃないわ……Kiriaよ!!」

もうこの時点でものすごく頭が痛いのだが、我慢して言葉を続ける。

 「俺と誰の娘だって?」

俺の言葉に不適な笑みを浮かべる霧亜もといKiria。

 「ふ、もう一度私の登場シーンをみたいのね……いつもだったらそんなexcuse(失礼)なencore(アンコール)は拒否するところだけど、他でもない父さんからのask(頼み)だからやってあげる」

その言葉に再び地響きが起こり、部屋の中に煙が充満し、雷が連続でスパーキングする。

俺達も今度は慣れているので黙ってみている。

そして再び地響きと雷がやみ、足音と共に人影が現れる。

煙の中からマントを翻しながらKiriaが再び高らかに宣言する。

 「私はロルカ族リンを母に持ち、忘れ去られた神であるブラミモンドを父に持つ霧亜……そう!! 私こそが神々にblessing(祝福)されし者……その名もKiriaよ!!」

 「「「……なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」

 

 

 

そして場所を移して今度は俺の部屋である。部屋には急遽呼び出したリンと、核ミサイル並の爆弾発言をしたKiriaである。

リンは頭痛を抑えるようにしながら口を開く。

 「え~と、霧亜だったわね」

 「NO、違うわ母さん。Kiriaよ」

 「……」

 「無言で俺を見るな。知らん。拘りなんだろ」

リンの半眼に俺が答える。

一度ため息をついてからリンは口を開く。

 「あなたが私と召喚士の子供だっていうのは本当なの?」

リンの言葉に霧亜は不適に微笑む。

 「ふふ、疑っているのね。いいわ、みせてあげる!! これが私がロルカ族のblood(血)を引いているevidence(証拠)!!」

そう言いながらKriaが見せてきたのは肩にある太陽の痣。

 「その痣は……!!」

 「……あれ? 確かリンも胸元に同じ痣があったよな?」

俺の言葉にリンは頷く。

 「ええ、この痣はサカの民の族長に現れる証……この証を持った者はエレブ大陸を支配するとサカの民には伝わっているわ」

 「……最高に厄い話を聞いたんだが」

 「安心しなさい。私はエレブ大陸の支配とか興味なかったから軍勢を起こさなかったわ」

 「もし起こしてたらどうなってた?」

俺の何気ない疑問にリンは真顔で答える。

 「全サカの民がエレブ大陸に出ていたわ」

 「リンがエレブ大陸の覇権に興味なくてよかったわ」

心からの言葉である。

 「しかし、私の本当のpower(力)は母さんから受け継いだswordsmanship(剣術)やNomadic horse race(遊牧騎馬民族)としてのtemper(気性)だけじゃないわ」

そう言ってKiriaはつけていた眼帯をとる。

そして俺は驚愕した。

 「神眼だと!?」

 「召喚士、神眼ってなに?」

リンの問いに俺は答える。

 「そのまま『神の眼』だ。人が神の力を手に入れた時、体の一部に変化が訪れる。並の人物だったら神の力に耐えきれず発狂して死ぬんだが……」

俺の言葉にKiriaは笑みを浮かべる。

 「そう、母さんの持つevil eye(魔眼)に父さんの持つauthority(権能)が融合し、このgod eye(神の眼)がbirth(誕生)した……!!! みなさい!! 私が両親から受け継いだこのpower(力)!!」

そう言ってKiriaは神の眼じゃないほうを掌で隠しつつ大きく叫ぶ。

 「真の英雄は眼で殺す……!! Rods from God!!」

その言葉と同時に眼からちょっと尋常じゃないくらいの魔力量のビームが出て俺の部屋の壁を撃ち抜く。幸いなことに外に向かって撃ったので被害は出ていない。

 『え!? なになに!? 私普通に飛んでいただけなのに残機減ったんだけど!!』

 「ちぃ!! まだ残機があるかヘル!! Kiria!! もう一発だ!!」

 「ふふ、destoruction(破壊)とdisappearance(消滅)のrondo(輪舞)を父さんは望んでいるのね。いいわ、encoreよ!! Rods from God!!」

 『え!? なに!? もういっぱああああああああああああああああああああ』

ヘルの断末魔に俺はガッツポーズ。Kiriaも満足そうに眼帯を直した。

そしてリンは頭痛を抑えるようにこめかみを叩いている。

 「え~と、なんて言うべきか……」

 「意外だな」

 「なにがよ」

ギランとリンに睨みつけられる俺。それに気にせず俺は言葉を続ける。

 「いや、お前だったら実の娘が実装されたらそれこそフィオーラ相手にクソ煽りしそうだったからな」

 「あのね、身に覚えのない娘が突然できたら驚くわよ」

 「「身に覚えのない?」」

 「え? 何よ二人して」

リンの言葉に俺はKiriaと顔を見合わせてから口を開く。

 「抵抗する俺を無理矢理」

その言葉に納得した表情をするリン。

 「あったわ。めっちゃ身に覚えがあったわ」

 「お前最悪だな!!」

 「いいじゃないの。お互い初めてだったからセーフよ」

リンの相変わらずのジャイアニズムに軽く戦慄する。

 「それでKiria。私の娘としての最終試験よ」

 「ええ、perfect(完璧)なanswer(答え)をしてみせるわ」

Kiriaの言葉にリンは真剣な表情で口を開く。

 「気に入らない相手は?」

 「斬り殺す」

 「欲しいものは?」

 「奪い取る」

 「仇討ちに来た相手は」

 「笑って殺せ」

リンはKiriaの言葉に満足したのかがっちり握手する。

 「この娘は間違いなく私の娘よ……!!」

 「確認の仕方が最悪だよ!!」




Kiria
ファイアーエムブレム・ユニヴァースからの刺客。まさかのリンと召喚士の子供。サカの民特有の世紀末騎馬民族思想と神々の力を受け継いでしまった決戦兵器。その実力は神々連中に対抗できる。つまり世界の危機。頑張れアルフォンスくん
ちなみに彼女は霧亜ではなくKiriaである。間違えないように

リン
逆レしたことをすっかり忘れていたメインヒロイン(重要)

召喚士
今度は誰との娘だと身構えたらまさかのリンとの子供で仰天。前には出さないがこの男、リンとの子供ができて喜んでいる。

ヘル
日課の空中散歩をしていたら残機が減った



そんな感じでKira編です。

今回の偶像の天楼で「せっかくだからよくナギをぶち抜いてくるつばさちゃんをもらおうかなぁ」と思っていたんですが、Twitterで霧亜のほうをお勧めされたので彼女をもらうことに。
そして天楼を昇っている途中でふと気づきました。

あれ? リンちゃんと髪の毛の色同じじゃね?

そこから妄想がスパーキングした結果、ファイアーエムブレム・ユニヴァースからの刺客となりました。公式で親の設定があるのかもしれませんが、この作品での両親は鬼嫁と外道です。

ちなみにところどころに英語が混ざるのはキャラを作っているわけではなく素です。つまり素で厨二病


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とマーニャとディートバ

おいおいマーニャとディートバ実装ってマジかよ!!

無事に天井しました(白目


 「いやぁ、やるねぇ」

 「かなりの腕前じゃねぇか」

俺とエリウッドとヘクトルは訓練場で訓練している二人の天馬騎士を眺めている。

片や緑髪のロングヘアーを靡かせ剣を振るうマーニャ。

もう片や緑髪の短髪を持ち槍を振るうディートバ。

力強い踏み込みの一撃を槍の柄で流しながら体を回転させて、槍先をマーニャに叩き込もうとするディートバ。その一撃を踏み込みの勢いそのままに躱すマーニャ。

今度は勢いのままに刺突を繰り出すディートバ。しかし、マーニャは剣でそれを弾き、その振り上げた勢いのままに剣をディートバの頭に叩き込む。

しかし、ディートバもバックステップでそれを華麗に躱す。

そしてお互いに距離を保つ。

10秒……20秒……

お互いに隙を伺うマーニャとディートバ。

訓練場には他の英雄だけでなく、一般の兵士もいる。

そして一人の兵士が剣を落としたのが合図であった。

あった間を一瞬でつめる二人!!

 「そこまで!!」

俺の合図に二人は武器をその場で止める。

マーニャの剣はディートバの頭で止められており、ディートバの槍はマーニャの腕を捉えていた。

 「マーニャの勝ちだ」

俺の言葉に小さくガッツポーズをするマーニャ。ディートバは少し悔しそうに槍を引いた。

 「いや、やるねぇ」

 「たいしたもんだ」

そしてエリウッドとヘクトルが拍手しながら二人に近づく。マーニャは二人に頭を下げながら口を開く。

 「ありがとうございます。これでも私はシレジア四天馬騎士筆頭を務める身。そして教官の教えを最も受けた者でもございますので、これくらいは」

 「それだよ」

マーニャの言葉にエリウッドは相槌を打ち、俺を見てくる。

 「君、武芸なんてからっきしでしょ? 武芸なんて教えれるの?」

 「武芸も体の使い方の一つ……と認識すれば、教えられないことはないな。だが、まぁディートバもだいぶ動きがよくなってる」

 「は! ありがとうございます!!」

俺の言葉に礼儀正しく腰を折るディートバ。

 「お前が教えたのは二人だけか?」

 「いや、一応シレジア天馬騎士団の全員は鍛えた。そのうちのマーニャ、ディートバ、パメラは成長が良かった三人だな」

 「フュリーちゃんは違うのかい?」

 「フュリーの奴は泣いてばっかりでなぁ」

 「いえ、泣いているフュリーに対して『泣く余裕があるならまだいけるな!』ってさらに過酷な鍛錬を課してギャン泣きさせた教官は控え目に言って鬼だと思います」

 「姉の身でありながらそれを止めるどころかむしろ率先して鍛えていたお前に我はドン引きしたけどな」

俺の言葉にマーニャが突っ込み、さらにディートバが突っ込む。

それを聞きながらエリウッドとヘクトルは頷く。

 「「なるほどキチガイか」」

 「失礼な」

俺は文句を言うが、肝心のマーニャとディートバはどっちがより酷いか言い争っていた。

 「んで、お前から見て四天馬騎士はどんな感じなんだ」

ヘクトルの言葉に俺は昔を思い出しながら口を開く。

 「武勇のマーニャ、軍略のディートバ、両立したパメラ……ってところか」

俺の言葉に口笛を吹くヘクトル。

 「お前がそこまで言うんだったら相当だな」

 「個人の武勇という点を評価されてマーニャが筆頭になったみたいだがな」

 「ええ!! その通りです教官!! このマーニャが筆頭なのです!!」

どこか勝ち誇ったようにディートバをみながら俺に言ってくるマーニャ。だが、ディートバもこめかみに青筋を立てながら口を開く。

 「だが、我は結婚して子供もいるからな」

二人の空間が氷点下になった。速攻で逃げるバカ二人。とりあえず二人を呪殺しておいて俺はマーニャに向き直る。

 「マーニャ、女性の幸せは結婚出産だけじゃないからな」

 「そ、そうですよね」

 「ミーシャはとても可愛いが?」

俺のフォローむなしく速攻でマーニャを煽るディートバ。そしてマーニャがぶちぎれた。

 「はぁぁぁぁぁぁぁ!? どうせ男は騙した癖によく言えるわね!?」

 「うん? 羨ましいのか? ああ、すまないな。貴様は『マーニャ様は美人だけどちょっとな……』って男性から避けられていたからな」

 「あああああああああああああ!!!!!! 言ったな!? 触れてはいけないところに触れたな!!!!!!!」

 「うん? 悔しいか? 悔しいだろうなぁ!! 悪いなぁ、シレジア四天馬騎士のナンバースリーで結婚しているうえに子供までいて完全勝ち組で本当に悪いなぁぁぁぁぁ!!!!!!」

ディートバの胸倉を掴みながらぶちぎれるマーニャ。だが、胸倉を掴まれながらもディートバは煽ることをやめない。

 「くっそぉ!! こっちはパメラと二人で『やっぱり教官がいいよね』とか言っているうちに婚期を逃したというのにぃ!!!!!」

 「あははははははははは!!!!!! 悪いなぁ!! 戦争の駆け引きに関しては二人より圧倒的上で申し訳ないなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

地面を力強く叩きながら悔しがるマーニャと、その周りを指さし嘲笑しながら回るディートバ。

それを見ながら俺は呟く。

 「お前ら本当に仲良いよなぁ」

その言葉にマーニャは立ち上がり、ディートバも回るのをやめて俺をみてくる。

 「まぁ、なんだかんだで教官の地獄を一緒に潜り抜けた戦友ですからね」

 「その戦友と容赦のない殺し合いになったと聞いたが?」

 「超簡単な罠にかかるざぁぁぁぁぁぁぁぁぁこ!!!!!!!」

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? その状態から私一人に部隊を壊滅状態にされたのはどこの誰ですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

ディートバの容赦のない煽りに全力煽り返しをするマーニャ。

そして結婚という単語で俺は思い出す。

 「そういえばマーニャはレヴィンに告白されたんだろ? それ受けてれば婚期逃すってことはなかったんじゃないか?」

 「教官!!」

 「なんだ」

俺の言葉にめっちゃ真剣な表情を浮かべながら俺の両肩を掴むマーニャ。

そして真剣な表情のまま口を開く。

 「レヴィン×フュリーが至高」

 「それな」

マーニャの言葉にディートバが同意し、二人はハイタッチを決める。

 「もう二人が繰り出すアオハル空気にお姉さん悶えちゃう!! あの空気だけでご飯三杯は行けるわ!!!」

 「わかる!! もうお互いに意識しているのに最後の一歩が踏み出せない空気感が最高!!」

 「ちなみにうちにはレヴィンとフュリーがいて、かつフュリーの子供であるセティもいるんだが」

 「なにそれ超みたい!!」

 「こうしちゃいられないぞマーニャ!! すぐに観察だ!!」

 「合点!!」

そして二人は訓練場から走り去っていくのであった。




マーニャ
シレジア四天馬騎士筆頭。武勇のマーニャ。婚期逃し騎士。婚期のことに触れるとぶちぎれる。『レヴィン×フュリーを見守る会』の会長

ディートバ
シレジア四天馬騎士ナンバースリー。軍略のディートバ。武勇の実力ではマーニャに勝てないが、既婚、子供在りという点で完全勝利を決めている。『レヴィン×フュリーを見守る会』副会長

レヴィン×フュリーを見守る会
通称シレジア四天馬騎士団



そんな感じで久しぶりの更新です。
実装を諦めていた大好きなマーニャとディートバ実装で歓喜している作者です。引くか迷ったんですがディートバが大英雄戦というのを見て「これはマーニャも引くしかねぇ……!!」と思って天井しました。

確立収束回しでフュリーも出たので今回のガチャは勝ちだと思っておきましょう。
パメラも実装されたらシレジア四天馬騎士部隊を組むよ……

そして何度か書いて消していたんですが、FE風花雪月のオリ主×ベレス先生の同人誌を出しました。
結局メロンブックスさんに委託することにしたんで、欲しい方はメロンさんで惟宗書房(サークル名前)または『ああ!ベレス先生!』(同人誌タイトル)で検索してみてください。ちなみに作者が確認した限りではまだ出品されていませんでした。

そして今後の同人誌はTwitterでのみアナウンスするので興味のある方は作者のアカウントをフォローしてください
惟宗正史/コレムネタダシ
@TadashiKoremune


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召か「私!!私とマリアンヌちゃんの愛のお話!!」

マリアンヌぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!


とりあえず一人は確保しました。


さて、いつものように召喚の時間である。

今回の狙いは俺の生徒の最後の一人であるマリアンヌである。召喚室にはいつものバカ二人ではなく変わりに俺の生徒達。

即ちペトラ、リシテア、イングリット、メルセデス、ラファエルの五人。

俺の学級にはこの五人のほかにマリアンヌとハピがいるそうだがマリアンヌは今回初実装。ハピの実装はいつになるかわからない状況である。

 「だからペトラ達がいるのはわかる。同級だからな。だがなんでお前までいるんだ」

俺の視線の先にいるのは眼が血走っているヒルダ。

そしてヒルダは血走った眼で俺を射抜いてくる。

 「シェイカー先生、今回の召喚で呼ばれるのはマリアンヌちゃんなの」

 「それは知っている」

 「そう、マリアンヌちゃん。マリアンヌちゃんなのよシェイカー先生」

そしてその細腕からは考えられない力で俺の両肩を掴む。

 「マリアンヌちゃんなんだよ……!」

 「リシテア説明」

ヒルダから答えがもらえないのでお菓子ぱくつきながら召喚を待っているリシテアが面倒そうに口を開く。

 「ヒルダはマリアンヌガチ勢です」

 「納得」

つまりマリアンヌが好きすぎて脳みそが壊れているんだろう。何が残念ってそんな英雄がうちのヴァイス・ブレイブでは珍しくないということである。

 「ですが今回は同色ピックアップで私も「イングリットちゃん?」ナンデモアリマセン」

イングリットの事実指摘に殺す視線を向けるヒルダ。

 「さぁ!シェイカー先生はリーハリーハリー!!!!」

 「はいはい」

そう言いつつ召喚石板を起動。

 「かふ!」

そして吐血するヒルダ。浮かび上がった青オーブは一つだけであった。

 「おーけー、焦るのはまだ早いわヒルダ。私の願いを存分に込めれば一発でマリアンヌちゃんは答えてくれるはず。だって私とマリアンヌちゃんは親友だから」

 「メルセデス?」

 「二人は仲良かったわよ~」

それはワンチャンマリアンヌ側はただの友人認識の可能性もあるということだ。

とりあえず青オーブを石板に叩き込むのと同時に大きく叫ぶヒルダ。

 「カモン!マリアンヌちゃん!!」

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

 「……てへ!」

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!死ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

召喚されてしまったツバキはヒルダに『光になれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』された。

そして血走った眼で俺を睨みつける。

 「シェイカー先生!!」

 「はいはい」

ヒルダの言葉に俺は再び召喚石板を起動する。すると青が3つ浮かび上がった。

 「マリアンヌちゃんマリアンヌちゃんマリアンヌちゃんマリアンヌちゃんマリアンヌちゃんマリアンヌちゃん」

 「なんだ~?ヒルダさんは大丈夫なのか~?」

 「もうダメかもわからんな」

ラファエルの言葉に俺は答える。ちなみに純粋枠のペトラはマリアンヌから出される禍々しい雰囲気を不思議そうに首を傾げている。

とりあえず俺は青オーブを石板に叩き込む。

舞う土煙。浮かび上がるシルエット。

 「……私ですいま「マリアンヌちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」きゃぁ!?ひ、ヒルダさん!?」

そして召喚されたマリアンヌは勢いよくヒルダに抱き着かれた。

 「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!マリアンヌちゃんの髪の毛!!マリアンヌちゃんの体温!!マリアンヌちゃんの素晴らしい体臭!!!」

 「あ、あのヒルダさん……?」

 「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!マリアンヌちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!!!!!うっぐ」

どうやら会話ができなくなったのを判断したのかマリアンヌは当身でヒルダを気絶させる。一撃をもらったヒルダがどこか嬉しそうなのは見なかったことにする。

そして俺の前にやってきたマリアンヌは礼儀正しく一礼する。

 「お久しぶりです、先生。ご無事になによりです」

 「お、おう。なんか聞いていたのと違うな」

なんか異界の話では暗くて友達は動物だけって話だったんだが。

俺の言葉にマリアンヌは美しく微笑む。

 「先生の教えのおかげです」

その立ち振る舞いは一国の長に相応しい姿であった。

そしてマリアンヌの両肩を掴むリシテアとイングリット

 「いやぁ、よく来てくれましたねマリアンヌ」

 「安心してください、仕事はたくさんありますよ」

 「わかりました。私にできることでしたら」

なんということだ。今までの風花雪月の生徒達はヴァイス・ブレイブ自治領運営を無理矢理手伝わせる(ペトラとラファエルは仕事ができない)感じだったのに、マリアンヌは率先して手伝ってくれるようだ。

しかし、それを許さないのが一名

 「駄目よ!!マリアンヌちゃんはまず私とデートするの!!!そのためにアスク王国の美味しいお菓子屋さんとか綺麗なアクセサリー屋さんとかホテルの場所とか調べたんだから!!!」

 「ヒルダさん、お仕事手伝っていただいていいですか?」

 「んもう!!任せて!!マリアンヌちゃんのためだったらなんでもやってあげちゃう!!マリアンヌちゃんのためだったら火の中水の中イドゥンちゃんのフードの中よ!!!!」

上機嫌でマリアンヌに抱き着くヒルダ。マリアンヌも手慣れた様子で抱き返すあたりに慣れを感じる。

 「あ~、ちょっといいか?」

 「あれ?クロード。いたんですか?」

 「いたよ!!一緒に召喚されたんだよ!!」




マリアンヌ
風花雪月召喚士塾の中ではハピに次いで教えが濃かったご様子。そのためにFEHのような姿ではない。ちなみに風花雪月組は基本的に外道、フォドラに立つルート後になっております

ヒルダ
マリアンヌ!マリアンヌ!マリアンヌ!マリアンヌぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!マリアンヌマリアンヌマリアンヌぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!マリアンヌ・フォン・エドマンドの青色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

クロード
なんかすり抜けで来た。



久しぶりに更新です。
マリアンヌが来たら10凸をしようと思っていたんですが、残念ながらまだ一人確保できただけです。とりあえず天井でもう一人でもらうから1凸は確定しています。

ヒルダちゃんは作者だと思っていただいても結構です

前話のあとがきでも書きましたが、作者初の同人誌を発売しました。メロンブックスさんで『惟宗書房』で検索していただけたら出てきます
全部売れても赤字なので少しでも協力してくださるとうれしいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

リンとゴルシ

ウマ娘プリティーダービー好評配信中!!

みんなもゴルシちゃんを育成しようぜ!!(なお育成難易度


 「私に見て欲しい馬がいる?」

リンが召喚士に呼ばれ執務室に来ると、頼まれたのは思いもよらないことであった。

リンの言葉に召喚士は頷く。

 「ああ、ちょっとばかり問題があるウマでな。別次元の俺から矯正をお願いされた」

別次元の召喚士とか常人にはちょっと何を言っているかわからないことでも平然と受け入れるリン。

召喚士は普通に別次元にもいる。これが烈火の常識である。

 「私は構わないけど、あなたも馬の調教は得意でしょう?」

遊牧騎馬民族出身のリンは当然として、実は召喚士も動物と会話ができるので動物の調教は得意だ。それを知っているリンだからこその質問である。

それに対して召喚士も苦笑い。

 「俺でも手が余る。それほどの問題児ってことだ」

 「あ、そういうことね」

常人がドン引きするような実験が得意な召喚士でも馬の調教に関しては修羅の民・サカの民出身のリンには構わない。

 「いいわ、受けてあげる。何番厩舎のなんて子?」

 「恩に着る。銀髪が特徴的な綺麗な娘だ。リンがいくまで食堂にいるように言っておいたからたぶんいるはずだ」

 「……うん? 食堂?」

その言葉に質問を続けようとしたリンであったがリシテアが殺人級の資料の山を持って入室してきたので速やかに逃亡した。

そしてそのまま召喚士が言っていた食堂へと向かう。

 「まぁ、馬も含めて歓迎会をすることも少なくないし」

召喚された英雄が馬(頻繁にペガサスやドラゴン)と一緒がいいということもたまにある(特にセルジュ)ので食堂には馬やペガサスたち専用の席も設けられている。

そう納得しながら食堂に入ったリンの思考は停止した。

 「むむむむむ、このあたしすらも唸らせるハイパーニンジン! まさしく有機農業の匠のワザマエ!! 流石はトレーナーだぜ、こんな一品は富士の樹海でもみかけなかった」

何やらニンジンをむさぼり食っている銀長髪の女性。その頭には馬の耳、おしりにはばっさばっさと馬のしっぽが揺れている。

 「だがあたしは負けねぇ! このスーパーキャロットジュースをミックスすることによってコンボが発生! あたしの胃は大満足だぜ!!」

正直なところどう考えても厄介事の気配しかしないが、治安維持部隊の隊長として不審人物を見逃すわけにはいかない。

なので職務質問である。

 「ちょっといいかしら」

 「んあ?」

舌をべロリと出して、決して乙女が出してはいけない表情で振り向く銀髪美人。そしてリンを見て目を輝かせた。

 「お! あんたがトレーナーが言っていた臨時トレーナーだな!!」

その言葉でリンの脳内で何かが繋がる。

食堂で待っている馬→リンが召喚士から矯正をお願いされた馬。

実際にいたウマ→あまり関わりたくない雰囲気を醸し出す長身の女性。

そしてリンは一つの結論を下した。

 「……人よね?」

リンの言葉に驚愕した表情を浮かべる銀髪女性。

 「おいおいおいおいおいおいおい! 確かにこのゴルシ様は絶世の美女かもしれねぇけど人間に間違えられるなんて初めてだぜ!! ちゃんとみろよこの耳としっぽ!! ふっさふっさだぜ!! 毛並みも最高なゴルシちゃんだぜ!!」

 「うん、ちょっと待って」

 「待て!? このゴルシちゃんにステイだって!? そうはいかねぇイカの金隠し!! このあたしをステイできるヤツはこの世に存在しねぇ!!! うをぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 唸れあたしのコスモ!!!!」

 「このニンジン美味しいわよ!!!」

 「ひょえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!! 黄金に輝くニンジンだって!! こいつこそエデンに隠されたお宝に違いねぇ!! 早速写メってマックイーンに自慢してやろ!!」

黄金のニンジンを高速で写メし始めた白髪美人を無視してリンは魔法通信を召喚士に繋ぐ。

 『お、会えたか?』

 「長髪銀髪美人ならいたわ」

 『それだ』

 「……あなたが言っていたのは馬よね?」

 『そうだな。ウマだな』

そして始まる別世界でのウマという存在。なんでも馬が人型に進化した存在。それがウマらしい。

 『で、別次元ではそのウマ達がレースする競技があって、そこにいるゴールド……げふんげふん、権利の問題があるから正式名称は回避してゴルシと呼称するが、そこにいるゴルシは未来を嘱望されているウマ娘だが、性格に難がありすぎてトレーナーがつかず、別次元の俺が担当することになった』

 「で、あなたでもどうしようもなくなったから私に話が回ってきた、と」

 『そういうことだ』

その瞬間にリンは気配を感じてその場から回避!!

その瞬間に空間画面に浮かんでいた召喚士に叩き込まれるゴルシのドロップキック!!

割れる空間画面にドン引きのリン、そしてゴルシは何故か驚愕の表情を浮かべていた。

 「こんな簡単にトレーナーにあたしのドロップキックが叩き込めちまう……これは異世界に来たことによってあたしのオーラ力が高まったのか!!」

 「落ち着きなさい」

 「ダンバイン!!」

とりあえず落ち着かせるためにリンがチョップをするとゴルシは大人しくなった。

 「わかる……あたしには感じるぞ……!! 目の前の女から感じるプレッシャー……!! 少しでも舐めた真似をしたらバ刺しにされる気配だ……!!」

友である馬にそんな酷いことをするわけがないリンだが、訂正するのも面倒なので話と続ける。

 「私の名前はリン。あなたは?」

人間が相手だったら名乗りをあげずに斬り殺すことも頻発するリンだが、馬に対しては丁寧に接する。

だからまずは対話である。人型であれば話が通じるだろうと思ってのことだ。

 「おひけぇなすって!!」

それに対してゴルシは任侠映画で出てくるようなポーズを決める。

 「あっしの名前は金船!! ゴルシって名乗ってるチンケなウマ娘です!! 趣味はマグロの解体!! 将来の夢は三ツ星輝くペガサス流星拳です!!」

突っ込みどころしかなかった。このヴァイス・ブレイブにも酷い存在はいっぱいいるが、ここまで酷いのはいない。何せ会話が成立しているようで成立していない。

 「ウマ娘ってみんなあなたみたいなの?」

 「おいおい!! バカにするなよ臨時トレーナー!! このゴルシちゃんを先行量産型みたいなウマ娘と一緒にしないでくれ!! いわばゴルシちゃんはイデオンよ!!」

意味は理解できないが最終目標は宇宙の消滅なのだとリンは理解しておく。

 「とりあえずあなたはレースに出るんでしょ? それだったら走りを見るのが一番ね。馬場まで来なさい」

 「お!? レースか!! いいぜ……!! ちょうどフラストレーションがたまっているところだったんだ……!!」

フラストレーションがたまっているのは意味不明な存在を押し付けられたリンのほうであったが、それをリンは言うのを辞めた。

言っても無駄だと短い付き合いで悟ったからだ。

 

 

 

そしてリンとゴルシはヴァイス・ブレイブ内にある馬場へとやってきた。ここはヴァイス・ブレイブが主催して騎乗英雄達がレースする賭場でもあるので立派なコースが作られている。芝も天然芝でモウディが動物達と毎日手入れをかかさないのでとてもきれいである。

 「で、ここで実際に走るわけだけど」

リンも愛馬(総選挙の馬)を連れてきたのだが、呆れた眼でゴルシを見る。

 「あなたは何をしているの?」

 「わからねぇのかよ臨時トレーナー!! これこそゴルシちゃんが考えた肩ぁぁ!! 肘ぃぃぃ!! 膝ぁぁぁぁ!! のポーズだぜ!!!!」

 「そう、じゃあレースするから準備して」

会話のキャッチボールを早々に諦めて出走の準備をするリン。ゴルシもポーズを解いて腕をぐるんぐるん回しながらゲートへと入る。

そしてリンは横目でゴルシを確認する。

真剣な表情を浮かべたゴルシがいた。

その表情にリンは内心で口笛を吹く。

 (ただのキチガイかと思ったらレースにはマジなのね)

そしてゲートが開く!!

サカの民として競馬で負けるわけにはいかないのでリンはスタートをうまくきめる。リンの愛馬は先行逃げ切り型だ。そのまま勢いに任せて突っ走る。

そしてリンは後方に残したゴルシを見る。

呑気な表情を浮かべてちんたら走るゴルシがいた。

 「いや、やる気!!」

スタート前に見せていた真剣な表情などどっかに吹っ飛んでいる。

しかし、勝負は勝負である。リンは愛馬をそのまま駆けさせて最終コーナーに入る。

そこでリンは寒気がした。

思わずリンが振り返るとリンの真後ろにゴルシがいた。

眼が逝っていて舌を出して走るゴルシが。

 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

思わず悲鳴をあげて手綱を少し緩めてしまうリン。それにとこなってリンの愛馬の速度が少し落ち、ゴルシがリンを追い抜いていきそのままゴール!!

 「いえぇい!! 勝利のポーズ!!」

そして両手を猫の手のように掲げて勝利のポーズを決めるゴルシ。リンは愛馬を軽くクールダウンさせながら召喚士に通信。

 『どうした?』

 「ゴルシが意味不明な速度を出したんだけど?」

 『ああ、ゴルシワープか』

 「ゴルシワープ」

 『レース中最後尾にいたはずなのに最終コーナーに入ったら隣にいた。隣を走っていたはずなのにトップになっていたetc……終盤に入った時のその意味不明な速度からつけられた名称だ』

 「……レースに勝つだけなら問題なくない?」

リンの言葉に召喚士は腕を組みながら頷く。

 『確かにレースに勝つだけなら問題ないんだがな。向こうの世界ではウマはいわゆるアイドル活動的なこともしているから意思疎通ができるようになりたいらしい』

召喚士の言葉にリンはゴルシを見る。

一心不乱に木魚と銅鑼を叩き讃美歌を歌うゴルシがいた。

 「……あれと意思疎通?」

 『あ!! 俺仕事が忙しいから頑張ってな!!』

切られる通信に中指を立てつつ、リンは矯正の仕方について悩むのであった。

 

 

 

 「お~い、リン。ゴルシから写メが来たぞ」

 「あら、レースで勝ったの?」

 「いや、アンコウの解体をしたらしい」

 「レースは!?」




ゴルシ
金船。誰が呼んだかウマ娘界のハジケリスト。一人だけボーボボ世界で生きる女

リン
人間は初手惨殺はありだが、馬とは会話しようとする

召喚士
異世界ではゴルシのトレーナー。自分ネットワークを使ってリンがいる自分の世界に話をつけてゴルシを送り込んできた

ギムレー
生ウマ娘がみれて大興奮。サイレンススズカ推し



そんな感じでコラボ回ですよ!! なんとコラボ先はいま大流行のウマ娘世界!!
そしてそんなウマ娘界で話題を独占する女・ゴルシが颯爽登場!!

正直なところ作者の競馬知識はオグリキャップとナリタブライアンとハルウララくらいだったのでやる気なかったんですが、Twitterで流れるゴルシの情報に惚れて始めました。

何が悔しいってアプリ版のゴルシが作者程度の力量では書ききれなかったこと。何をきめたらあんな存在が生み出せるんだ運営。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とソーニャ

祝! ソーニャ様実装!!

作者はずっと待ってた(なお、キャラは壊す模様


 「本当に大丈夫ですかソーニャ様?」

ウルスラの問いにどうみても痴女な恰好の美女は不適に笑う。

 「安心しなさい、ウルスラ。このソーニャが無策で来ると思って?」

 「ソーニャ様!!」

ソーニャの言葉に顔を輝かせるウルスラ。

 「19651通りよ」

そして指を一本立てながら語るソーニャ。

 「19651通りのニノの可愛さを計算しつくしたわ」

 「流石ですソーニャ様!!」

ソーニャ様は黒い牙ブレンダンの後妻である。それ即ち『ニノちゃん大好きクラブ』である。

え?原作はニノを虐待していた?そんなバカな。

閑話休題

そしてソーニャは不適な笑みを崩すことなく言葉を続ける。

 「そして19651通りの私の鼻血死を確認したわ」

 「流石ですソーニャ様……!!」

どうあがいても待っているのは鼻血死である。だが、そのために生でいる大天使と会わない?

それは黒い牙にはありえないことである。

少しだけ戸惑ったウルスラであったが、ソーニャが覚悟を決めた表情をしているので扉を開く。

扉の中にはロイドやライネス、ラガルド達に甘やかされるニノの姿があった。

サンタコスの恰好をしたニノがいた。

 「ぶはぁっ!!」

 「ああ!! やっぱりあの愛らしさにはソーニャ様も耐えられなかった!!」

 「言ってる場合か蒼鴉!! やばい致死量の鼻血だ!! ライナス!!」

 「わかってる兄貴!! クソ!! 鼻にいくら詰め込んでも止まらねぇ!!」

ソーニャの鼻に大量にティッシュを詰め込むライナス。だが、詰め込んだところからティッシュは鮮血に染まる。

そして焦った様子でソーニャに近寄ってくるニノ(サンタコス)

 「お母さん大丈夫!!」

 「ぶっばぁっ!!」

 「クソ!! ラガルド!!」

 「あいよ。ニノはちょっとこっちに来てようなぁ」

ラガルドに付き添われる形でニノはソーニャから離される。その顔が心配に染まっているのを生暖かい瞳で見つめるウルスラ、ロイド、ライナス。

 (かく)

 「「「あ」」」

そしてその隙に鼻血失血死を遂げるソーニャ。その顔はどこか満足気であった。

 「あ~あ、やっぱりソーニャ様はソーニャ様だったわね」

 「言ってる場合かよ蒼鴉。兄貴、パントの旦那に連絡は?」

 「今してる……あ、返信だ。『私より適任者がいるからそちらに向かわせた』だとさ」

パントの通信に首を傾げる三人。なにせ元居た世界ではニノと会話するたびに鼻血失血死を遂げるソーニャをそのたびに生き返らせていたのはパントであった。

パント曰く『ソーニャは超古代文明の人型兵器だから調整が難しい』とのことであり、あまりにも鼻血失血死をするのでついには呆れて生き返らせることを諦めた黒い牙の面々である。

 「あたらしくやってきたエルクのことか?」

 「こう言ってはなんだけど、あの坊やは未熟よ」

 「パントの旦那が特殊すぎるだけじゃねぇの?」

ロイドの言葉にウルスラが否定し、ライナスがもっともなことを言う。

 「お~っす、なんか面白い人型兵器が見れるってパントが言っていたから見物に来たんだが」

 「あら、召喚士」

そこにやってきたのは烈火汚染の諸悪の根源である召喚士であった。

三人が黙ってソーニャの亡骸(表情は超満足気)を指さすと、召喚士はソーニャの側に座る。

 「これまた懐かしいな」

 「ソーニャだからな。お前さんには懐かしいか」

 「いやいや、そういう意味じゃない」

ロイドの言葉に召喚士は否定する。

 「ソーニャは俺がブラミモンド時代に作り上げた正式名称・対人類滅亡人型兵器エレブ壱式なんだよ」

衝撃の新事実!! ソーニャは召喚士が対人類滅亡のために作り上げた人型兵器であった。

ソーニャの側で術式を展開し、ソーニャの調整をしながら召喚士は言葉を続ける。

 「作った後に『あ、これリンやフィオーラにばれたら折檻案件』だと思って封印しておいたんだけどな。たぶんネルガルがたまたま見つけて起動、利用していたんだろうな。俺も作った後に『あれ? これソーニャじゃね?』と思ったんだがまぁ、いいかと思って」

 「相変わらず倫理観が欠如してんな」

召喚士の言葉にライナスが突っ込む。だが、今更倫理観を突っ込んでも仕方ない。召喚士とパントとカナスは一人一人でも倫理観の欠如があるのに三人揃ったら最悪である。

 「ほい、できた。起動、と」

召喚士が術式を入力し終わると、ソーニャが眼をくわっと開く。

 「ニノはどこ!?」

 「お前は創造主に対しての第一声がそれでいいと思ってんの?」

 「あら、マスター……マスター呼びして大丈夫かしら?」

 「問題ない。ここの連中は俺がブラミモンドってことを知ってる」

 「ならマスター。ニノはどこ?」

創造主たる召喚士に対してもニノの行方を尋ねるソーニャ。

 「つぅかなんでソーニャはそんなにニノに甘いんだ? 最初からだったよな」

 「それお前らが言う?」

ニノに対してダダ甘なリーダス兄弟が言っても説得力がない。

 「それは私の設計段階で『ニノの保護が最優先、他は流れで』って設計されてるからよ」

 「「「よくやった」」」

 「だろ?」

ソーニャの言葉に召喚士の肩を力強く叩く三人。そして頷く召喚士。

 「ところでマスター」

 「なんだ?」

改まった表情で召喚士を見るソーニャ。そしてソーニャは重々しく口を開く。

 「ニノのスキルについてですか」

 「逃げるな死神!!」

 「野郎!! 今日こそぶち殺してやる!!」

ソーニャの言葉に不穏なことを感じ取ったのかその場から速攻で逃げだすジャッファ。それを殺す表情で追いかけるリーダス兄弟。

そしてジャッファは召喚士の魔術で即座に捕獲された。

 「で?」

 「死線……とかいいと思うんですが」

 「なるほど。ちょうど、ここにいい素材がいるな」

全員の殺す視線を受けてジャッファは気絶するのであった。




ソーニャ
召喚士がブラミモンド時代に作り上げた古代兵器。正式名称・対人類滅亡人型兵器エレブ壱式。ニノを見ると致死量の鼻血を吹いて死ぬ

召喚士
ブラミモンド時代に調子に乗って人型兵器を作ったが嫁’sにバレたら折檻案件だと気づいて封印した

黒い牙
安定のニノちゃん大好きクラブ

ジャッファ
ギリギリのところでニノに助けられる

ニノ
大天使



祝!! ソーニャ様実装!! 作者はこの日のために聖杯をため込んでいたのでソーニャ様を10凸しますよぉ!!(なお、羽は圧倒的に足りない

ちなみに先日の烈火ガチャでは無事に天井で全員揃いました。翌日のソーニャ様実装に作者のモチベーション全部持ってかれましたが。

え? ソーニャ様はニノちゃん大好きですよ? 虐待なんてツンデレレベルですよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

入学生(しかし勉強の必要はない生徒)

ついに召喚士塾塾生がヴァイス・ブレイブ学園に本格入学です

学園と言えばラブコメ

そう!! 恋のトライアングラーですよ!!(しかし一方通行



 「マリアンヌちゃん! 学園で同じクラスになれるといいね!」

 「そ、そうですね……あのヒルダさん、注目を浴びていますから手を離していただけると……」

マリアンヌの言葉を無視するようにヒルダはマリアンヌの腕に抱き着く。それはまるで『これは私のだから手を出すなよ? 出したら殺すぞ?』と言わんばかりであった。

そんなヒルダの邪念に気づかずにマリアンヌは困ったように微笑むだけだ。

 「可哀想に……マリアンヌはノンケだというのに……」

 「シャラップリシテアちゃん!」

お菓子をぱくつきながらのリシテアの突っ込みにヒルダは返す。

マリアンヌやリシテア、イングリッドやメルセデスもついに学園に通うことになったのだ。当然のようにヴァイス・ブレイブ自治領の仕事は山積みである。

しかし、ここの理事長は聖女・アティ先生である。召喚士に直接直談判した結果、マリアンヌ達も学園に通うことになった。

アティ先生は良い事をした気分になっているが、召喚士が仕事ができるマリアンヌ達を逃がすわけないので、マリアンヌ達は学園に通いながら国の運営もするという地獄の行軍になることになった。

それを理解しているからリシテアなど不満たらたらだし、イングリットもゲンナリしている。メルセデスも行く気はあまりない。

唯一マリアンヌだけがヒルダに引きずられる形で前向きに学園に通うことを検討していた。

ヒルダ? ヒルダは『マリアンヌちゃん! マリアンヌちゃんがいないと学校なんか行く意味ないから!! 私はマリアンヌちゃんと甘酸っぱい学園生活送るの!!』と言い張り、本当にマリアンヌが来るまで登校拒否をしていた。

そして五人は学園長室に入る。

 「お~、ようやく来たか」

 「先生、さっきまで自治領にいましたよね?」

 「テレポートだよ。珍しくもないだろ」

普通に禁呪級の魔法を一般生活で使う召喚士。並の魔導士だったら卒倒するだろうが、ここにいるのは異界の召喚士の生徒達+α

つまり慣れている。

 「俺も仕事あるからさっさとクラスわけ発表するぞ。ベレスのクラスにマリアンヌ、リシテア。ベレトのクラスにヒルダ。セシリアのクラスにイングリッドとメルセデスな」

その瞬間にヒルダはフライクーゲルを召喚士に叩き込む。しかし、召喚士の防御障壁を破ることはできない。

それでもめげずにフライクーゲルを叩きつけながらヒルダは叫ぶ。

 「私と! マリアンヌちゃんが! 別のクラスなんて! ありえない!!」

 「ありえるよ」

 「ありえなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!!!!」

怒り狂った様子でヒルダはフライクーゲルをふり続ける。

 「シェイカー先生わかってる!? マリアンヌちゃんなんだよ!? マリアンヌちゃんが学園に通うんだよ!? マリアンヌちゃんみたいな純粋培養で人をすぐに信じちゃうような可憐な女の子は下半身性欲猿どものターゲットになっちゃう!! だから私が守るの!! 具体的にはおはようからおやすみまでのベッド to ベッドで!!」

ちなみにマリアンヌは召喚士の生徒なのでナギ流格闘術をおさめている。つまり下手に手を出せば命の危険である。

ようはヒルダが守る必要はない。

 「うるせぇ、うるせぇ。クラスわけはもう決まったことだ。文句は受付ない」

 「ならクラス変更希望する!! 私もベレス先生のクラスにして!!」

 「却下」

 「あぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁ!!!!!!!!!」

ついに発狂するヒルダ。うわぁ、といった表情でヒルダを見るリシテア、イングリッド、メルセデス。マリアンヌは困り顔だ。

召喚士も面倒そうにマリアンヌを見る。

 「マリアンヌ」

 「あ、はい」

召喚士に声をかけられて嬉しそうな表情を浮かべるマリアンヌ。そんなマリアンヌの反応を無視して召喚士はヒルダを指差す。

 「どうにかしてくれ」

その言葉にマリアンヌは困る。今はだいぶ改善されたがマリアンヌは重度のコミュ障であった。そのためにできないわけではないがアドリブは苦手なのだ。

 「え~と、ヒルダさん」

 「マリアンヌちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

号泣であった。声をかけたマリアンヌもちょっと引くくらいの号泣であった。マリアンヌは赤子をあやすように抱きしめながら言葉を続ける。

 「あの……クラスが違っても私とヒルダさんはお友達ですよ?」

 「マリアンヌちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!」

その言葉にヒルダの鼻から愛が溢れた。そして表情は恍惚としている。どうやらマリアンヌに抱きしめられて興奮しているようだ。

 「先生、そろそろいいだろうか」

 「ああ、ベレスか。入ってくれ」

召喚士の言葉に理事長室に入ってくるベレス、ベレト、セシリアの教師三人組。自分が担当する生徒を引き取りに来たのだ。

そしてベレトがヒルダを見て超爽やか笑顔を浮かべた。

 「おお! マイハニーじゃないか!!」

 「待ってマリアンヌちゃん!! 違うの!! 私はこんな男知らない!!」

 「言い訳はやくない?」

ベレトの言葉に速攻で弁解を始めたヒルダに突っ込む召喚士。

そしてベレトは何かに気づいたように頷いた。

 「おお、そうか。ここにいるヒルダはマイハニーとは違うヒルダなのだな」

そのちょっと寂しそうな言い方にその場にいる全員(召喚士、ヒルダ、ベレスは除く)が気の毒そうな表情になる。

だが、すぐに100%爽やか笑顔を浮かべるベレト。

 「だが安心してくれ!! どんなヒルダであろうとも俺は愛してみせる!!」

 「迷惑!! 迷惑ですぅ!! 私にはマリアンヌちゃんっていう運命の相手がいるんだから貴方みたいな爽やか教師が入る隙間はありませぇぇぇん!!」

 「じゃあいこうか、マリアンヌ、リシテア」

 「あ、はい」

 「はいはい」

 「私のクラスへようこそ、イングリットさん、メルセデスさん。召喚士さんの生徒さんらしいので期待していますね」

 「セシリア先生の期待が辛いです」

 「まぁ~、私達はいつも通りでいいんじゃないかしらぁ」

そんな会話をしながら学園長室から出ていくベレス組とセシリア組。

それを悲痛な表情で見送りながら叫ぶヒルダ。

 「違うのマリアンヌちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!」

 「さぁ!! 俺のクラスへようこそマイハニー!!」

 「うっさいわぼけぇ!! 殺すぞ!!」




ヒルダ
私とマリアンヌちゃんのクラスが違う……?
ありえなぁぁぁぁぁい!!!!(発狂

マリアンヌ
ノンケ

召喚士塾の皆さん
学園生活と国の運営の二足の草履

ベレト
どうやらヒルダとペアエンドを迎えていた模様




更新なのです!!
ついに学園に通うことになったマリアンヌちゃんガチ勢ヒルダ。でもでも!! そこにはヒルダのことをハニーと呼ぶ爽やかイケメン教師もいて……
ヒルダちゃんはいったいどうなっちゃうのぉ!!

って感じです。ベレト引いた時からベレトのお相手はヒルダだと決まっていました。最初はそれに嫉妬したエガちゃんに睨まれて胃痛になるヒルダちゃんの予定だったんですが、ヒルダちゃんがマリアンヌガチ勢になったせいでこんな感じになりました。

ちなみに最近の作者のガチャ事情ですが、伝承ガチャがシグルドだったので6凸だった総選挙カミラ姉さんの10凸を目指した結果8凸で打ち止めになりました

あとはすり抜け待ちますかぁ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

慈愛の女神・パオラの降臨

みんな!! オーブは持ったな、行くぞぉ!!


今やアスク王国だけでなく、多くの国々で信仰されているパオラ神教。その総本山であるアスク王国にある『オリュンポス』。アスク王国本城より豪奢で美麗な城の最奥。一般人立ち入り禁止区域にある『謁見の間』に三軍師と美麗で豪華な椅子に座ったパオラがいる。

パオラはどこか諦めた表情を浮かべ、三軍師は恭しく片膝をついて頭を下げている。

 「我らが女神・パオラ様。このたびは謁見をお許しいただきありがとうございます」

 「いえ、召喚士さんは普段から割とそんな感じですけど、ルフ男さんとルフ子さんは……あ、いえ、お二人も普段からそんな感じでしたね」

 「「「我々の信仰をおわかりいただき恐悦至極」」」

パオラの言葉に地面にめり込むのではないかというレベルで頭を下げる三軍師。

そして召喚士が二人に合図をするとルフ男が剣を、ルフ子が服を取り出して高く掲げる。それらをユリア(神装)とKiliaが受け取り、パオラのところまで運ぶと恭しく捧げる。

悲しいかな神に神扱いされることに慣れてしまったパオラはそれらを確認すると驚いた表情になった。

 「これは私がバレンシア大陸で使用していたものじゃないですか!」

 「「「御意」」」

まったく悪びれる様子のない三軍師にパオラは怒った表情をみせる。

 「召喚士さん! この前神階英雄召喚でオーブを使ったばかりだったじゃないですか!! まさかせっかく少したまったオーブを使ったんですか!!」

 「おお、神よ。お怒りはわかりますが、これは召喚したものではありません」

 「……え?」

説教モード(信者にはご褒美)に入ろうしたパオラだったが、召喚士の言葉に不思議そうに首を傾げる。

言葉をつなげたのはルフ男だった。

 「我らが神よ。それは我らヴァイス・ブレイブ自治領が誇る魔術師達の叡智と、集った神々の権能によってつくられたものでございます」

 「……え?」

ルフ男の言葉に表情が固まるパオラ。だが三軍師は止まらない。次に口を開いたのはルフ子だ。

 「服の生地、繊維にいたるまで厳選した一品になります。効果の説明などは召喚士大司教のほうから説明が」

ルフ子の言葉に召喚士が再び恭しく礼をすると説明を始める。

 「それでは私のほうから説明をさせていただきます。まず、服ですが、エレブ壱式……失礼、女神にはソーニャといったほうが通りがようございますな。ソーニャにて実験データをとりました『魔術障壁魔術』『自動回復魔術』を編み込んでおります」

 「なんてことをしてくれているんですか……!?」

 「私どもの研究が追いつかなったせいで『物理衝撃無効魔術』を組み込めなかったのは痛恨の極み。今後もエレブ壱し……失礼、ソーニャを使って開発は続けていかせていただきます。そして開発が叶ったあかつきには我らが神の神衣に編み込ませていただきます」

 「突っ込みどころが多すぎます……!!」

パオラも知識としてソーニャが召喚士に作られた人類滅亡兵器というのは聞いていたが、正面から『人体実験の成果です(胸張り』をされるとどう言っていいのかわからない。

 「そして次に剣のほうですが」

 「? 普通のレディソードにみえますが?」

 「どうぞお抜きになってみてください」

召喚士の言葉に訝しがりながらもパオラは剣を抜く。

そして魔術には疎いでパオラにもわかるくらいにやばい魔力が剣から放出された。

慌ててパオラは剣を鞘に戻す。

 「なんですかこれ!?」

 「は、そちらはヴァイス・ブレイブに集った神々の権能をふんだんに盛り込んだ『神剣・レディソード』でございます」

 「名前はレディソードですけど雰囲気が段違いでしたけど!?」

 「ご明察でございます。そちらの『神剣・レディソード』ですが、神々がちょっと張りきりすぎた結果『一度振るえば大地を砕き、二度振るえば海を乾かし、三度振るえば世界を滅ぼす』代物になってございます」

平然と言い切る召喚士にパオラの意識が飛びそうになる。しかし、すんでのところで踏ん張ってパオラは召喚士を叱る(怒鳴るじゃないのが女神ポイント

 「召喚士さん!! そんな危険なものを作っちゃだめです!!」

召喚士はパオラの怒りに震えながら頭を下げる。

 「申し訳ございません!! しかし、ご安心くださいませ。そちらの『神剣・レディソード』ですが『四度振るえば世界が創造される』ことになっております」

 「創造できるからセーフとかにはなりませんよ!?」

むしろ剣の危険性があがったような気もする。

 「え? この危険な剣どうするんですか? 悪い人に渡ったら大変なことに……」

 「ご安心くださいませ、我が神」

パオラの言葉に狂信者スマイルを浮かべる召喚士。

 「常人がその剣を抜けば魂が耐えきれず死にます」

 「すごい危険物じゃないですか!?」

平然と不穏なことをいう召喚士にパオラは驚愕する。

そしてパオラは何かに気づいた。

 「召喚士さん」

 「なんでしょう、我が神」

 「これは普通の方が抜いたら死んでしまうんですよね?」

 「その通りでございます」

 「なんで私は大丈夫なんですか?」

パオラの言葉に狂信者スマイルが深まる召喚士。

 「お喜びください、我が神。つい先日行われた『神々評議会』において我が神も正式な神として登録されました」

 「おお、素晴らしい」

 「女神・パオラ様の御光臨です」

 「なにしてくれているんですか!?」

召喚士の言葉に喜色満面になるルフ男とルフ子であったが、パオラは突っ込んでしまう。最近、妹のカチュアとエストから『なんか最近後光がさしてる時がある』と言われた時には軽く流してしまっていたが、まさかのガチだったのだ。

 「我らが神が司るのは『愛』。まさしく我らが神が司るに相応しい権能でございます」

 「おお……!! 素晴らしい……!! 慈愛の女神・パオラ様万歳!!」

 「慈愛の女神・パオラ様の愛がこの世界に溢れる……!! 慈愛の女神・パオラ様万歳!!」

万歳三唱を始める三軍師にパオラは意識を飛ばしそうになるのであった。




慈愛の女神・パオラ
ついに生きた身体でありながら神になった大英雄。司るのは『愛』。常識人なのできっとやばいものは封印とかしておく。

パオラのバレンシア大陸衣装
ヴァイス・ブレイブが誇るやばい魔術師達と神々の悪乗りによってできあがったパーフェクトアーマー。そのうち全攻撃無効とかもつく

神剣・レディソード
一度振るえば大地を砕き、二度振るえば海を乾かし、三度振るえば世界を滅ぼし、四度振るえば世界を創造するというやばすぎる一品。
これには悪乗りした神々(ギムレーやレアなど)も反省した
なお、召喚士はしていない

神々評議会
様々な世界の神々が集まって物事を決める最高意思決定機関。神々なんて基本的にクソなんで賄賂、恫喝なんでもあり。
最終的に召喚士は反対した神々をイドゥン、ナギ、ユンヌの戦闘系神々を投入してパオラの神化を強制可決した
やはり神なんてクソである




祝! パオラ様が正式に神様になりました!!(この作品の独自設定

実は本文にある通りオーブの残量が心ともなかったので今回は血涙を流しながらガチャ禁する予定だったのですが、敬虔なパオラ神教の信徒である作者はいつのまにか赤一点にオーブ40個を突っ込んでいました。

少ない数で来てくれるパオラマジ女神。

あとうちに来てくれたエコーズパオラなんですか死闘こみのステータスがHP 46 攻撃59 速さ18 守備43 魔防26とかいう普通に神階とタイマンはれる性能
女神は強い(確信

あとソーニャの10凸も完了したので近いうちにそちらの話も書く予定です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Welcom to sea World!!

今年も水着ガチャの季節はやってきました。

まさかの水着マリアンヌちゃん実装で作者のオーブ残量は瀕死になりましたが無事に水着ヒルマリと水着メーチェの召喚に成功しました

そして海と言えばクルージングと巨大生物との戦いだ!!


マリアンヌ、メルセデス、イングリット、ベレス、そしてマリアンヌにくっついているヒルダは水着姿で召喚士が他の神々と一緒になって作ったという世界に来ていた。

 「見渡す限りの海だね」

ベレスの言う通り、マリアンヌ達がいる島以外は海しかなかった。

メルセデスも首を傾げながら口を開く。

 「先生が作った世界っていうから戦闘は確実だと思ったんだけどぉ」

 「敵どころか他の生物もいませんね」

メルセデスの言葉に持っていた槍を砂浜に突き刺しながらイングリットも答える。

 「マリアンヌちゃんマリアンヌちゃん!! あっちのイイ感じの木陰でちょっと休んでこない? 大丈夫!! 何もしない!! ううん!! マリアンヌちゃんがいいんだったら最後までしちゃうけど!!」

 「あの……ヒルダさん……他の皆さんもいらっしゃいますから……」

 「他に誰もいなかったらいいの!? ちょっとみんな!! 私とマリアンヌちゃんのラブラブあまあま空間のためにちょっとこの世界から抜けてくれる!? 私とマリアンヌちゃんはこの世界のイヴとイヴになるから!!」

とりあえずヒルダは夏の熱気に脳がやられたと判断されてベレスのジャーマンスープレックスで砂浜に埋まった。

砂浜に埋まったヒルダをあわあわとみつつマリアンヌも口を開く。

 「で、ですが先生も遅いですね。すぐに来ると言っていたのですが」

その言葉の通り、風花雪月世界の召喚士塾塾生達がこの世界にやってきたのは我らが白フードの言葉巧みな話術の結果である。白フードは「ちょっと新しい世界を作ったからお前ら実験台な。拒否権はない」という完璧な話術に召喚士信仰派のベレスとマリアンヌは無条件降伏。メルセデスとイングリットは何故か知られていた黒歴史の存在をちらつかされ断れなかった。

ヒルダ? マリアンヌが来た。それだけで理由になる。

 「すまない、少し遅くなったな」

まさかの謝罪の言葉に全員が驚いてそちらをみるとさらに驚いた。

そこには水着姿のセライナがいた。

召喚士塾の塾生達もセライナが召喚士の実妹だという話は聞いている。なんだったら聞きすぎて耳にタコができるレベルであったが、驚愕することにセライナはまともな性格であった。

兄を無条件で信用するのとブラコンなのを除けば完璧美人だ。ヴァイス・ブレイブ学園でも教鞭をとるセライナに色目を使い召喚士によって『教育的指導』を受ける生徒も珍しくない。

 「セライナさんなのぉ? 先生に何かあったのかしらぁ?」

 「ああ。兄上だったらレア殿やギムレー殿と一緒にナーガ殿から説教を受けている」

それを聞いて塾生達が思うのは『ああ、今日は神々のほうで何かやらかしたのか』ということだ。

この世界にやってきて召喚士が神の一柱という事実を聞いて驚きながらも納得した塾生達であったが、そこに神に対する敬意など持たなかった。

なにせヴァイス・ブレイブにいる神々は基本的に人格に問題がある神々ばかりだ。ナーガとドーマを別にしたらフレイヤの危ないレベルのブラコンが普通にみえるレベルでおかしい神々ばかりだ。

そんな自由な神々はしょっちゅう世界が崩壊するレベルの問題を起こしては人類に解決させて満足するというクソを煮詰めたような連中である。そのたびに神格者であるナーガやドーマが説教するが馬耳東風である。

 「今度は何をやったんですか?」

イングリットの言葉にセライナは使い慣れない神々用の空間ディスプレイを操作しながら答える。

 「なんでもこの世界に他の世界を滅ぼすレベルの生物を放ったらしくてな。それについて説教を受けている」

セライナの言葉にメルセデスとイングリットは顔を顰める。

 ((やっぱり神ってクソ))

主にどこかの白フードとフリーダム大司教のせいで神々に対する信仰心がなくなってしまった二人である。

そして神々に対する信仰心は皆無だが召喚士に対する尊敬は持っているベレスが無表情に口を開く。

 「そうなると私達はその生物の討伐の仕事かな? リシテアやペトラ、ラファエルがいないことが気になるけど」

 「その三人は『水着が未実装だからダメだ』と言っていたな。ところで未実装とはどういう意味かわかるか?」

 「セライナさんは知らなくていいことですよ」

セライナの言葉にマリアンヌが苦笑しながらいう。それに『そういうものか』と納得した様子をみせながらセライナは空間ディスプレイのボタンを押す。

世界が夜になったと思ったら天気が大嵐になった。

慌てた様子でセライナはリセットボタンを押す。

 「すまない、間違えたようだ」

 「いえ、それはいいんですけど……」

セライナの心底申し訳なさそうな言葉にマリアンヌは言いよどむ。しかし、そこは空気が読めないベレスがばっさりと言い放つ。

 「使い慣れていないようだけど、セライナが弄っているそれはなんだい?」

その言葉に神々用空間ディスプレイに悪戦苦闘しながらもセライナは口を開く。

 「いや、兄上にこの世界の『でばっくもーど』なるものを使うように言われたんだが、神々が使うことを想定しているためか私には難しくてな」

人間になんてものを使わせているんだあのクソ野郎、という気持ちで(ベレス以外、マリアンヌはクソ野郎とは思わなかったが)一致する塾生達。

だが、無茶ぶりを受けたセライナ本人はやる気に満ちた表情だ。

 「兄上に任された大役……この蛍石のセライナ、見事にやりきってみせる」

そしてセライナは再び決定ボタンを押す。

空から大量のダイナマイトが降ってきて海の一部を消し飛ばした。

無言で塾生達の視線がセライナに集まる。

 「すまない、また間違ったようだ。もう少し待って……ああ、わかった。こっちだ」

そして再び決定ボタンを押すセライナ。

すると海辺に巨大な軍艦が現れた。

 「これは……私達の世界で帝国包囲のためにブリギットに技術とお金を供与して作らせた鋼鉄船では?」

イングリットの言葉にマリアンヌも頷く。

 「うむ、これは兄上が『俺がいるんだったらこれくらいの軍艦は作るはず』と言ってこの世界用に作った軍艦だ」

 「ですがこれの運用には最低でも五百人程度の人員が必要ですが」

元の世界で軍事を司っていたのでイングリットにはこの軍艦の最低運用人数がわかる。

それに対してセライナが胸を張りながら答える。

 「安心してくれ。兄上が改造を施して四人で運用できるようにしてある」

そして塾生達はお互いを見渡す。

マリアンヌ、メルセデス、イングリット、ベレス。確かにちょうど四人である。

 「……あの、ヒルダさんは?」

 「え? ヒルダも来ているのか?」

マリアンヌの言葉にセライナが問い返すと、全員で砂浜に埋まっているヒルダを指差す。それを見て難しい表情になるセライナ。

 「この島に残るのも危険だから一緒に船に乗ってもらうしかないな」

 「だ、そうよぉ、マリアンヌ」

 「わ、私ですか?」

 「マリアンヌが声をかければ一発ですから」

メルセデスとイングリットに押し出される形で砂浜に埋まっているヒルダの前にたつマリアンヌ。

 「あ、あのヒルダさん」

 「マリアンヌちゃんの声!? 私を呼ぶマリアンヌちゃんの声!?」

効果覿面だった。間違いなく意識を飛ばしていたヒルダはマリアンヌの一声で復活した。

そして一同は軍艦に乗り込む(ヒルダはマリアンヌにくっついている)。そして艦橋につくと四つの座席が用意されている。

そしてセライナは空間ディスプレイをみながら説明をする。

 「そっちから順番に軍艦の火器管制、操舵、艦長、船体状況把握の席になっている。それぞれの席でその……『へっどせっと』? だったか? それをつければ自在に動かせるということだ」

 「役割は決まっているのかい?」

 「いや、そこは君たちが自由に決めていいそうだ」

ベレスの言葉にセライナが答えると、自然に視線がマリアンヌに集まる。元の世界では正史と違って一国の主だったので物事を決めるのに慣れているからだ。

 「それでは火器管制にベレス先生、操舵にイングリットさん、艦長に私、船体状況にメルセデスさんでいきましょう」

 「じゃあ私はマリアンヌちゃんを見守る係ね!!」

元気よく戯言を言い放ったヒルダを全員が無視した。

それぞれの席につき、状況を確認する。

 「各員、状況知らせ」

 「魔術主砲及び魔術機銃システム問題なし」

 「操舵システムも問題ありません」

 「船体状況も問題ないわぁ」

 「マリアンヌちゃんは最高に可愛いよ!!」

ヒルダの戯言を全員が無視してマリアンヌは右腕をあげる。

そして振り下ろしながら言い放った。

 「抜錨」

 「了解、抜錨します」

イングリットの言葉と共に軍艦は動き出す。

 「セライナさん、これは敵感知システムとかはないのでしょうか?」

 「ちょっと待ってくれ……ああ、あった。それは艦長のシステムに組み込まれているはずだ」

その言葉にマリアンヌは自分のシステムの整理を行う。

そして敵感知システムを発見した。

 「!? 回頭!!」

 「了解!! よーそろー!!」

マリアンヌの言葉にイングリットが即座に答える。それと同時に大きな衝撃。艦橋の窓ガラスから確認すると軍艦の後ろの部分から火の手があがっている。

 「被害状況知らせ!!」

 「第二障壁まで貫通されたわぁ!! 消火機能緊急作動及びダメージコントロールを行うわぁ!!」

 「お願いします!! ベレス先生!! 対空戦闘用意!!」

 「了解した」

マリアンヌの言葉と同時にベレスは魔術機銃をいつのまにかいた空の魔物達に向かって撃ち、迎撃を始める。

 「な、な、な!! なにあれぇ!!」

ヒルダの叫んだ先にいるのは超巨大な異形の怪物。

それを見ながらマリアンヌはセライナを見る。

 「セライナさん、あれが?」

マリアンヌの言葉にセライナはこくりと頷く。

それをみてからマリアンヌはたち続けに指示を出す。

 「イングリットさん!! 船を怪物と同じ方向へ!!」

 「了解!!」

 「ベレス先生は対空戦闘を行いながら魔術主砲の用意を!!」

 「わかった」

 「メルセデスさん!! 艦内状況知らせ!!」

 「戦闘に支障はないわぁ!!」

 「マリアンヌちゃん!! 私は!?」

 「応援してください」

 「よぉぉし!! 頑張れマリアンヌちゃぁぁぁぁん!!」

言外に引っ込んでいてくれと言われてもまったくめげないヒルダ。むしろマリアンヌのかっこいい姿がみれて上機嫌なまである。

 「魔術主砲チャージ完了」

 「了解、艦そのまま」

 「了解!!」

 「魔術主砲照準……あった」

 「ってぇ!!」

マリアンヌの号令と同時に軍艦前部と後部に取り付けられた魔術連装砲合計六門が轟音を響かせて放たれる。

発射された魔術主砲は超巨大な異形の怪物に直撃し、巨大な煙に包まれる。

 「やったの!?」

 「「「「それはフラグ……!!」」」」

 「え!?」

ヒルダの言葉に全員が突っ込むのと同時であった。

 「!? 回頭!!」

 「了解」

軍艦の回避行動をとったその瞬間、軍艦のいた場所に超ごんぶと魔力ビームが通りすぎ海が割れた。

その余波に揺れる艦内でマリアンヌが叫ぶ。

 「損害!!」

 「なしよぉ!!」

メルセデスの言葉に一瞬だけ安堵のため息をつくとマリアンヌは即座に指示を出す。

 「船をジグザグに動かしながら奴に接近してください!!」

 「……マリアンヌ、まさか?」

イングリットの引きつった表情を見ながらマリアンヌは言い放つ。

 「魔力主砲が効かないのなら、それ以上の威力を持つ魔力衝角(マジックラム)で体当たりです」

 「そういう発想嫌いじゃない。魔力衝角の準備を開始する」

 「その『物量で押しつぶすんだよ』って先生直伝の発想どうにかならないんですか!!」

 「でもある意味真理よぉ」

マリアンヌの言葉に不適な笑みを浮かべて言うベレス、悲鳴をいうイングリット、苦笑するメルセデス。そしてヒルダはマリアンヌのかっこよさに鼻血ふいて気絶した。

対空戦闘や超巨大生物の攻撃を回避しながら近づいていく軍艦。

そしてある程度まで近づいたところでマリアンヌは叫ぶ。

 「今です!! 魔術エンジン出力全開!! 他の魔術リソースは魔力衝角へ!!」

 「エンジン全開!!」

 「魔力衝角に魔術リソース集中」

 「総員耐ショック姿勢!!」

 「「「とっくに耐ショック!!」」」

マリアンヌの言葉にイングリット、メルセデス、ベレスが返すのと同時にマリアンヌは叫ぶ。

 「吶喊!!」

そして軍艦最前部に取り付けられた魔力衝角が超巨大生物に直撃する。そして軍艦は超巨大生物を魔力衝角で引き裂きながら大海原をかけた。

断末魔の悲鳴をあげながら消滅していく超巨大生物。

それをみながらマリアンヌは魔力障壁をはりながら行方を見守っていたセライナを見る。

 「これで先生からの依頼は終わりですか?」

 「いや、あと似たようなのが十匹くらいいるらしい」

 「「「「え?」」」」

一匹だけでも薄氷の勝利だったのにまだいるの? と言わんばかりの塾生達。

それを誇らしげにみながらセライナは口を開く。

 「しかし、流石は兄上の生徒達だな。これなら無事に討伐することができるだろう」

 

 

なお、時間と苦労はかかったが、無事にマリアンヌ達は全ての脅威を取り除いたことを最後に記しておく。




召喚士塾塾生達
こういう神々の気まぐれの後始末に駆り出されることも多い

ヒルダ
マリアンヌちゃんかっこいい……!! ダメ、興奮しちゃう……!!(大量鼻血

セライナ
主にシスコンのせいで神々の端くれとして認知されつつあるブラコン

Sea World
ギムレーの「リアルマインクラフトやろうぜ!!」という提案に神々が悪乗りした結果できあがった魔境。放っておくと他の世界がピンチ。
本当に神ってクソである(この世界の神が特殊



そんな感じで海でクルージング編です(しかし船は軍艦である

夏と言えば海!! そして海と言えば巨大生物ですよね!!(B級映画感
本当はもうちょっと話が続いてラスボスとしてイドゥンが操る超巨大戦艦との決戦も想定していたんですが、想像以上に長くなったのでカット。これだけでも五千字近くあるって言うね。

そしてマリアンヌちゃんの水着実装!! しかも比翼で相手がヒルダちゃん!! これにはヒルダちゃんの愛が天元突破!!
そんなわけで無事に作者は水着メーチェと水着ヒルマリをひくことができました。
総選挙まで貯めブレムするつもりだったのに……

え? カスパルとアッシュ?

野郎の水着はいらん(無慈悲


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とフレイヤとオロチ

おっぱい!! おっぱい!! おっぱい!!


 「どういうことなの召喚士……!」

大広間で俺はストーリーでなんかシリアスなことを言っていた癖に速攻で水着姿を披露しているフレイヤに詰め寄られていた。

俺は呆れながらフレイヤに問い返す。

 「何の話だ?」

 「わかっているでしょう……!!」

フレイヤ(水着姿)は俺とリンとフィオーラが座っている机を力強く叩き、俺を睨みつける。

 「なぜお兄様(水着)を召喚しないの……!!」

 「そんなこったろうと思ったよ、このブラコン」

何故うちにくる英雄はこうも残念なんだろうか。いや、フレイヤに限っては原作通りではあるんだが。

 「あなたこそ正気なの!? お兄様なのよ!? あのお兄様なのよ!? しかもお兄様が水着姿なのよ!? 何に変えても召喚すべきでしょう!!」

 「プルメリアはいいのか?」

 「最近、プルメリアが一人でお風呂入るっていうのよ。これって反抗期かしら」

 「親離れだな」

 「親離れね」

 「親離れでしょうね」

俺、リン、フィオーラの三連発にフレイヤは床に沈んで涙を流している。

原作でどうだったかは忘れたが、うちのフレイヤはプルメリアは我が子のように愛するドタコンだ(ちなみにスカビオサはいない)。そして我がヴァイス・ブレイブに来て色々な英雄と接した結果、プルメリアが若干の親離れを始めてそれをフレイヤが嘆き悲しんでいるのも周知の事実である。

しかし、フレイヤは涙をふくと起き上がって俺に指を突きつける。

 「お兄様(水着)とプルメリア(水着)を召喚しない理由を私が納得できる説明をなさい!!」

 「ふむ、簡潔にいうとお前が全然でてくれなかったから他に回すオーブ貯金もなくなった」

 「ぐぼっはぁ」

まさかの自爆という事実にフレイヤは吐血する。いやぁ、本来ならすり抜けでも星5がでたら撤退しようかと思ったんだが地獄のように沼&ミコトマッマすり抜けで意地になってしまった俺もいる。

でも無(理のない)課金で来たから勝利!!

 「ふ、ふふふふ」

そして崩れ落ちていたフレイヤから怪し気な笑い声がでる。

そして勢いよく立ち上がると俺に指を突きつけた。

 「いいでしょう、召喚士!! 今すぐアンナ商会でオーブを買ってくるのです!! でないとあなたと私の神話での関係をそこの二人にバラしますよ!!」

 「今更お前との神話での関係をバラされても痛くもかゆくもないが?」

 「ぐぼっはぁ!!」

俺の平然とした答えに勝ちを確信していたフレイヤは再び崩れ落ちる。

 「あなたとフレイヤの神話での関係って?」

そして質問をしてきたのは一緒に座っていた自称・俺の嫁のリンだ。自称・俺の妻のフィオーラも不思議そうにしている。

俺は崩れ落ちているフレイヤを指差しながら口を開く。

 「俺とこいつ。神話では夫婦神なんだよ」

 「神話『では』ってことは実際には違うんですか?」

フィオーラの問いに俺は真剣な表情で返す。

 「このブラコンが大好きなお兄様以外と結婚すると思うか?」

 「「あ(察し」」

俺のこの言葉だけで二人も納得するあたり、フレイヤの重度のブラコンぶりがわかる。

 「ちなみになんじゃが」

そして俺の背後から俺に抱き着きながら突如現れたのはFEifおっぱい三人衆の一人、オロチであった。

 「オロチ、当たってる」

 「当てておるのじゃ。召喚士も嬉しかろう?」

 「甘いな。その程度のハニトラで翻弄されていたら俺はとっくに人生の墓場にゴールインしている」

 「召喚士が想像以上に女性慣れしている件について」

オロチが思わず呟くが、たかだが胸をあてられている程度でロイ達のように動揺していたらとっくに肉食獣達の餌食である。

その肉食獣筆頭であるリンがオロチに話しかける。

 「それで? なにがちなみになの?」

オロチは俺の反応がつまらなくて不満なのか俺の隣に座って俺の料理を勝手に食べながら口を開く。

 「もう少し味付けが濃くてもいいんじゃないかの」

その瞬間に厨房が爆発した。シーダの嘆きとクリスの元気づける声が響く。

 「味付けがなんだって?」

 「食べれる料理って幸せじゃの」

わかってくれて結構である。

油のついた指を妖艶に舐めながらオロチは口を開く。

 「わらわの一族は伝承では召喚士とフレイヤ様の末裔を名乗っておる」

 「人間のこの勝手に神の末裔を名乗る不遜さはなんとかならないかしら」

 「俺は人間からの成神だからノーコメントで」

オロチの言葉に床に寝そべって天井を見上げながらぼやくフレイヤと、リンとフィオーラの『あなたまさかヤったの?』という視線に違うと答えがらぼやく俺。

そしてフィオーラが何かに気づく。

 「あれ? オロチさんが召喚された時から闇の祝福を受けていたのって」

 「うむ、わらわは先祖返りでな。召喚士……わらわの一族の言い伝えではアクゲンタノミコトと伝わっておるが、その血が強くでておってな。そのおかげか召喚士の祝福を受けておる」

 「こういう話をきくと召喚士が一応神ってことがわかるわよね」

 「そうですね。普段はあんなにクソなのに」

 「お前ら揃いも揃って酷くない?」




フレイヤ(水着)
なんか本編で偉そうなことを言っていたくせに速攻で水着姿を披露したフレイヤ様
あんなえちちな絵柄を見せられたら引くしかないよ……

オロチ
召喚士とフレイヤの末裔の一族出身。召喚士の血が強い。つまりは愉悦班である

FEifおっぱい三人衆
カミラ、カゲロウ、オロチの三人組
これって公式設定でしたっけ?(どこかでみた記憶で書く作者



そんな感じでフレイヤ様(水着)とオロチ編でした。

水着フレイヤ様はあの絵柄に完全に突き刺さって引きにいった結果見事に沼りました。
総選挙用に貯めようと思っていたオーブ及び連戦貯金もだいぶ減ったよ……

そして待ちに待っていたオロチが実装!! しかも星4排出!! これは10凸するしかないで工藤!!(しかいオーブはない

オロチは原作の頃から好きなキャラ(透魔編でも愛用していた)だったのでこの作品でも優遇。原作ではなんか煙たがれる一族出身だったので召喚士とフレイヤを夫婦神にしてその末裔という独自設定の嵐。

今後、この設定がいきるかは不明です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とウル

オーラロードが拓かれてウル様堂々参戦!!


今日も今日とて神階段英雄召喚ガチャのために召喚室へとやってくる。いつもの通りバカ二人がついてきている。

 「今日は何回引くんだい?」

 「オーブは11個あるからな。連続青一個だとしても二個はいける」

エリウッドの言葉に俺が答えると今度はヘクトルが首を傾げる。

 「でもよ。よくこの使い方をリンとフィオーラが許してるな。総選挙に向けて貯めろって言われていただろ。バレたらやばいんじゃないか?」

 「リンとフィオーラを含む口やかましく言う連中は対ニザヴェリル戦線にだしている。つまりこの間は俺は自由だ……!!」

 「つまり俺達がチクればいいわけだね」

 「さっそくパント印の通信機の出番だな」

 「愚か者どもめ。貴様等にはすでにこのことを『リンとフィオーラに喋ろうとしたら死ぬ呪い』をかけてある」

 「「鬼!! 悪魔!! 召喚士!!」」

貴様等を問答無用で呪殺しないだけマシだと思って欲しい。

後ろで口やかましいバカ二人を無視しつつ俺は召喚石板を起動する。

その時俺に電流走る……!!

 「この気配……星5がくるぞ……!!」

 「すでに確立10%くらいだもんね」

 「まぁ、来てもおかしくないな」

 「シャラップ」

バカ二人の茶々を無視しつつ俺は右下の青のオーブを召喚石板に叩き込む。

吸い込まれるオーブ、舞い上がる土煙、浮かび上がるsilhouette。

 「我が名はウル…かつて聖戦士と呼ばれし何故貴様が生きているぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 「ヘクトルバリアー!!」

 「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!!」

名乗りの途中で俺を見て怒髪天をつく怒りの表情になったウルから放たれたイチイバルの矢をヘクトルで防ぐ。

 「く、相性有利で守備が低かったら即死だった」

頭に矢が刺さった状態で世迷言を言っているヘクトルを無視して俺は興奮しているウルに話しかける。

 「また異世界の俺案件?」

 「また!? 異世界の俺案件!? まさか貴様惚けるつもりか!!」

 「その辺どうなの召喚士。なんかめっちゃ恨まれているみたいだけど」

エリウッドの言葉に俺は考える。

 「ああ、ひょっとして三丁目の花子ちゃん。すっかり美人さんになっちゃって」

 「惚けるな貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「ヘクトルバリアー!!」

 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

今度は固有スキルが発動して追撃が発生したために天に召された脳筋。そろそろ現況でもやっていけるスキル構成にする必要があるかな。あ、駄目だ。緑重装はお姉ちゃんがいる。

 「脳筋、そのまま死んでくれていいぞ」

 「酷くね?」

ぶっちゃけヘクトルとエリウッドは死んでくれても問題ないどころか俺を殺そうとする人間が減るのでいいことしかないと思ってる。

そんな心温まる俺達のやりとりを聞いても怒りが収まる様子がないウル。

 「貴様がロプトを利用してしようとしたこと……人々が忘れたとしても我ら聖戦士は決して忘れん!!」

 「マジで君何をしたの?」

 「いや、聖戦世界はイシュタル達の家庭教師とか天馬騎士団の教官くらいしかやっていないからマジで心当たりがない」

エリウッドの言葉に俺は首を傾げる。聖戦世界はイシュタル達の家庭教師とかしかやってないから心当たりがない。

するとウルがずびしと俺を指差す。

 「貴様が人類を選別し、そのうえで選別された人類を管理、運営しようとしたこと……我は決して忘れぬ!!」

 「あれ? 異世界の君が全人類を滅ぼすのは珍しくないけど、そんな面倒なことをするなんて珍しくない?」

 「さっきからその赤毛は何を言っているんだ!?」

 「人類の選別とその管理運営……そんな面倒なことを俺がやるか? 異世界の俺ながら何を考えているかわからんな」

 「そして貴様も何を言っているんだ!?」

俺とエリウッドの普通の会話に驚愕するウル。その驚愕顔も美人さんで大変よろしい。

 「まぁ、待てウル。落ち着いて聞いて欲しい。おの異世界の俺は間違いなく俺だがこの世界の俺とは違う俺なんだ」

 「貴様は何を言っている!?」

 「異世界に自分の同位体がいるなんて神々には珍しくないだろ?」

 「そんなことあるわけないだろう!!」

なんて頭の硬い奴だ。人間からの成神はこれだから困る。他の神々の連中は異世界の自分ウォッチングも趣味にしている奴が多いというのに。

ちなみにイドゥンは異世界の自分に喧嘩を売りにいきその世界を崩壊させてドーマやナーガに頻繁に説教される。

 「俺は決して嘘はついていない。この瞳をみてくれればわかる」

 「む……」

ウルの背後で『鬼畜クソ外道』のボードを掲げているエリウッドは後で殺すとして、俺はしっかりとウルをみつめる。

そしてウルが俺の瞳を覗きこんだ瞬間に叫ぶ。

 「邪眼フラッシュ!!」

 「ぐわ!!!!」

完全に油断していたウルは俺の邪眼フラッシュが直撃して気を失う。そしてそれをみていたエリウッドが胡散臭げにみてくる。

 「君、何をしたの?」

 「まぁ、みていろ」

エリウッドにそう返しながら俺はウルを起こす。

頭痛を抑えるようにウルは起き上がった。

 「う……ここは……」

 「ようこそ聖戦士ウル。俺は召喚士。どうやら君は召喚のショックで気を失ったようだ。どこか身体に不調はないか?」

 「そうか……いや、すまない。改めて自己紹介をしよう。我が名はウル…かつて聖戦士と呼ばれし者。人の子よ、万悪に立ち向かう心あるならば我が聖弓にて、共に敵を討ち果たさん」

 「ああ、期待している。フローラ」

 「こちらに」

 「ウルを部屋に案内してくれ」

 「かしこまりました」

頭を抑えながらパーフェクトメイドに連れられて召喚室からでていくウル。

それを黙って見送ってからエリウッドは口を開いた。

 「君、なにしたの?」

 「邪眼で俺関係の記憶を封印した」

 「君は本当にクソだな!!」




ウル様
オーラロードが拓かれた聖戦士。神話時代に異世界の召喚士と戦っていた模様。

召喚士
異世界に自分が多すぎて自分でも把握しきれていない邪神

邪眼フラッシュ
召喚士が自分の目を邪眼に改造した結果生み出された必殺技。主に面倒な相手が現れた時にその記憶を封印する。



そんな感じでウル様召喚編です。

最初はウル様ともフラグ(恋愛)をたてようとも思ったんですが「そんなギャルゲーじゃあるまいし」ってことでフラグ(仇敵)をたてました。

しかし、そのフラグ(仇敵)を即座にへし折る召喚士マジでクソ

ウル様は予告動画がきた時から胸を射抜かれたので絶対に引こうと思っていたのですが自分に課した「推しキャラ以外には課金しない」というゲッシュのおかげで引くまでに時間がかかりました。

そしてスーパー強いウル様マジ聖戦士


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とムスペル

ハピちゃん欲しいなぁ。青だけでここ(25回)まで来たから天井で確実にもらうために全開けするか

ムスペル、闇落ちマリータ、エフラム(ノーマル)の三枚抜き

はぁ?


 「どういうことやどぐされ外道!!」

俺が部屋でセイロスと二人でドカポンをやっていてリアルファイトになっているところにやってきたのは原作で神様設定のくせに祝福すらついていない状態でやってきたムスペルであった。

俺とセイロスは同時に口を開く。

 「「どうした似非ヤンキー」」

 「え、似非ちゃうわ!! わいはマジもんのヤンキーや!!」

その言葉に即座にウザがらみをする態勢に入る俺とセイロス。

 「ちょっと聞きましたセイロスさん。あの似非ヤンキー自分のことマジもんのヤンキーだと思っているようですよ」

 「信じられませんわグラーフさん。私の記憶が確かならあの似非ヤンキー神々会議でギムレーから借りたBOYにハマって急に口調とかを変えましたわ」

 「なんでや!! 晴矢最高やろ!!」

 「「お前が喋ると雑魚感が半端ない」」

 「なんやと!! おどれら喧嘩売っとるんか!!」

 「『お前は俺の炎だ』」

 「マジですいませんでした」

ムスペルの最高黒歴史であるポエムを大声で発表しようとしたら即座に土下座されたので『マル秘!! 黒歴史手帳(神々編)!!』を懐にしまう。

 「で? どうした?」

 「そ、そうやった」

俺の言葉に起き上がりながらずびしと指を突きつけてくる。

 「ここにニフルがおらんてどういうことや!! わいはおどれがおるからニフルもおるもんやと思って召喚に応じたんやぞ!!」

 「あれ? 俺ってニフルと神話で特殊な関係だったか?」

 「忘れたんか!? おどれとニフルは人間供に兄妹神設定にされてたやないか!?」

 「あ~、思い出しました。確かその神話だと私が長女で二番目グラーフ、末妹がニフルでしたね」

 「あれ~? そんな神話あったか……?」

割とニフルは俺に当たりが強いのでそんな仲良い神話あったか記憶にない。

 「まぁ、世界広い人類の神話群の中でも特にマイナージャンルですからね。私も忘れてましたし。と言うかあの神話だとお母さまがいないんですけど。絶対に許さんぞ人類」

人類を呪い始めたセイロスを無視して俺はムスペルに告げる。

 「俺は俺に優しい人を召喚したい。ニフルは俺に当たりが強い。それが理由だ」

 「クズの発想やないか!!」

 「え!? まさかムスペルこいつが神格者だと思っているんですか!?」

セイロスの言葉にものすごく味わい深い表情になるムスペル。自覚はあるがクズにクズ宣言されるほどむかつくことないな。

 「第一さ、お前ニフルに嫌われてるじゃん」

 「そ、そんなことあらへんわ!! ニフルとはちょっとギクシャクしとるけど仲良しや!!」

 「いや、会って速攻で殺人級のブレス吐かれるのは完全に嫌われてる」

 「あれはニフルの不器用な愛情表現や!! それにわいがニフルに嫌われる理由がない!!」

自信満々のムスペル。仕方ないから現実を突きつけるか。

 「ニフルが大事に最後に食べようととっておいた天ぷらを『お、ニフル天ぷら嫌いなんか。わいが食ったるわ』と食べて世界崩壊」

 「食べ物の恨みって怖いですねぇ」

 「げふ」

ボディーにいいのを食らったように後ずさるムスペル。

 「ニフルが発売を楽しみにしていたプラモデルを転売のために買占め」

 「転売ヤーは死ぬべきですよね」

 「ごふ」

 「さらに素人ニフルを遊戯王カードでふるぼっこ」

 「大人げないの権化」

 「がっふ」

 「そしてとどめにニフルが可愛がっていた人類を嫉妬心から殺す」

 「これでニフルの好感度が下限突破しましたからね」

ついに床に倒れこんでびくんびくんしているムスペル。

だがムスペルは勢いよく起き上がって叫ぶ。

 「なんでニフルは人間殺したくらいであんな怒るんや!! 人間なんて放っておいたらぽこじゃか増えるやないか!! わいだって悪いと思ったから変わりの人間用意したんやぞ!?」

 「本当、ムスペルはそういうところある」

 「自覚症状なしが一番困るわよねぇ」

こいつの一番ダメなところは本気で変わりの人間用意したからオッケーだと思っている点である。

まぁ、割と神様連中にはこういう考えが多いわけだが。

 「いや、お前どう考えてもニフルは諦めろって」

 「そうですよ。神々会議で何回『ムスペルとニフルは夫婦神にすべき』って議題だすんですか。他の神々からのあだ名知ってます? 『似非ヤンキーヘタレストーカー』ですよ? 女神連合にあなた目の敵にされてますよ」

 「わいが何をしたっていうんや!!」

本気で悔しがって床を叩くムスペルだが、色々やらかしているからニフルに蛇蝎のごとく嫌われいるという自覚を持って欲しい。

 「それと、ムスペル。お前はニフルのことより自分の命の危険をどうにかしたほうがいい」

 「は? 何の話や?」

 「邪魔するぞ」

本気でわかっていない表情をする後ろからスルトが入ってくる。

そしてムスペルをみた瞬間に体から怒りのオーラが立ち上った。そのオーラは『殺す』という殺意しかなかった。

その殺意にドン引きしながらムスペルは口を開く。

 「え~と、こちらのお方は?」

 「お前が無理矢理眷属にしたレーギャルンの父親だ」

速攻で逃げようとしたムスペルの腕をスルトは掴む。

 「ふわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 潰れとる!! 捕まれた部分が握りつぶされとる!!!!!!!」

 「そうか……貴様がレーギャルンに付きまとっているクソ神か……」

 「いやぁぁぁぁぁ!!!! 圧倒的殺意ぃぃぃぃぃぃいぃぃぃ!!!!!」

 「ちなみに殺意だけじゃなくてスルトは破神の魂の持ち主だ」

 「やったねムスペルちゃん!! 命が消えるよ!!!!!!」

 「いやそれ神々に封印指定される魂!!!!! なんでそんな危険人物が野放しなのよここ!!!!!!!」

 「? 何を言っているかわからんがとりあえずこい。話し合いの時間だ」

 「絶対に話し合う気ないやろ!!!!!!!! あああああああああああ!!!!!!! 頭蓋がミシミシ言ってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!」

悲鳴を上げながらスルトによって連れていかれるムスペルの冥福を祈る俺とセイロスであった。




ムスペル
ヤンキーに憧れるダメ神。ニフルのことが大好き。でも愛情表現が小学生低学年

ニフル
ムスペル絶対許さない女神。見的必殺(相性的意味でも

スルト
娘が突然知らない神の眷属にされて激おこインフェルノぷんぷんドリームパッパ

破神の魂
神々を消滅させることが可能な魂。これの持ち主がいると普通に世界が終わりになるので神々によって魂だけ封印される。スルトパッパはドーマが寝ぼけて解除しちゃった。他の持ち主は世紀末王妹・ギネヴィア



そんな感じで久々の更新です。
ハピちゃん欲しいなぁ、と思って青ガチャ回していたらギネヴィア様と闇落ちカム男の連続すりぬけで怒りが有頂天になったところに天井狙いで全開け開始した途端にやってきたダメ神ムスペルくん

割と戦禍の連戦やってる時からムスペル→ニフルの印象がついてしまっていました。ニフルちゃんのことが大好きなムスペルくん。でも好意の示し方が小学生


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とハピ

シェイカー塾最後の刺客、ハピちゃん華麗に登場

まぁ、天井したんですが


さて、召喚の時間である。俺は召喚室へとやってきた。当然のようについてきたのは脳筋と腹黒。

 「でもビックリしたね。まさかハピちゃんが向こうで召喚拒否術式組んでいるなんて」

そう、まさかの召喚拒否術式である。

風花雪月の生徒達から俺の薫陶を一番受けたのがハピというのを聞いた俺は労働力確保のために当然召喚しようとした。

しかし、何故かすり抜け祭り。

これだけだったらいつものことなのだが、召喚の最中におかしな術式が入り込んでいることに気づいた俺が調べたところ、召喚元の本人が召喚拒否術式を組んでいることに気づいたのだ。

するとヘクトルが首を傾げる。

 「俺はあんまり魔術に詳しくねぇからわかんねぇけどよ、そういう超一流の魔術師が組んだ術式って解析大変なんじゃねぇか。ほら、召喚士とカナスとパントが組んだ術式みて魔術師連中化物をみる目で三人みるしよ」

 「確かに超一流の魔術師が組んだ術式は解析に時間がかかる。だが、今回はハピが俺の影響を大きく受けていたのが短時間での解析に繋がった」

 「何故だい?」

 「クセだよ」

 「「クセ?」」

ヘクトルとエリウッドが理解できていなかったようなので俺は同じ効果の術式を三種類展開する。

 「例えばこの『とりあえず相手を呪殺する術式』は俺とカナスとパントで微妙に組み方が違う。俺はわざと難解に組んでいるし、カナスのは無駄を限界まで削り切っている。そしてパントは一見すると簡単そうに見えるが実際に組もうとすると死ぬほど難解だ。このように同じ術式でも組んだ人間のクセがでてくる」

 「……あれ? ひょっとして数日前にカナスとパントがどこかつまらなそうに召喚室からでてきたのって」

エリウッドの言葉に俺は頷く。

 「俺の薫陶厚い弟子と聞いてさぞ素晴らしい術式がみれると思って喜び勇んできたら俺の劣化コピー品をみせられて落胆した二人だ」

 「「かわいそすぎるだろ」」

 「ちなみに特別授業計画もパントが張りきって作っていたな」

 「「逃げて、ハピちゃん超逃げて」」

 「残念、確定召喚だから逃げられない」

そう言って俺は反召喚拒否術式を召喚石板に流し込んで召喚を開始する。

舞う土煙、浮かび上がるsilhouette、そしてでてくるパフェをまさに食べようとしている褐色肌の赤髪少女。

 「……嘘でしょ」

 「ところがどっこい真実です……!!」

 「いやいやいや、千歩譲って大師匠が生きているのは『まぁ、大師匠だし』で納得も理解もできるけど」

そう言ってハピは俺を真剣に見てくる。

 「ハピ、召喚拒否術式組んでたんだけど」

 「オリジナリティが足らん」

 「もうやだこのキチガイ!!」

持っていたパフェを放り投げて叫ぶハピ。

 「とりあえずハピだったな」

 「え? あれだけ鬼授業やったハピちゃん忘れるとか大師匠ついにボケた?」

大師匠に向かって舐めた口をきく根性は褒めるがとりあえず折檻のために致死クラスの魔術をくらわせる。

すると慌てた様子で解除術式を組んでその呪殺を消し去った。

 「ふむ、流石は俺。これくらいの呪殺の解除術式は教え込んでるか」

 「いや、容赦なく致死クラスの魔術を放ってくる時点でだいぶドン引きだけど。ほら、後ろの知らない人もドン引き……え、全然引いてない」

 「いや、ハピちゃん。あれくらいなら挨拶さ」

 「そうだぜ? 召喚士とカナスとパントが調子にのると世界が滅びる魔術で遊び始めるからな」

 「なにここ魔境?」

エリウッドとヘクトルの言葉にマジドン引きするハピ。

 「ほれ、ハピ。お前の知っている俺とここの俺は別個体だから自己紹介しろ」

 「なにここの大師匠はホムンクルスなの?」

 「別世界の俺だよ」

 「嘘でしょ意味がわからない」

なんてことだ。魔術になまじ通じているだけに『別個体の俺』という存在が認められないらしい。

 「とりあえずハピは特別授業な」

 「うぼわぁ」

俺の言葉に崩れ落ちたハピだったが、ため息をついてとつじょ召喚室の壁を壊して侵入してきた魔物を魔法で塵も残さず消し飛ばしてから気怠そうに俺のほうをみてくる。

 「ハピだよ。どうしてハピを召喚するかな……いや、マジで。最初に言っておくけど戦いは苦手だし嫌いだからね」

 「「「いや、発言の説得力」」」

あまりにも慣れた手つきで消し飛ばしていたから突っ込み損ねたが、あの魔物の処理手際をみていて戦いは苦手は無理がある。

 「まぁ、そういう鉄火場が嫌いっていうのは前もってマリアンヌから聞いていたからお前の仕事はこれだ」

俺はそう言って大量の紙束を渡す。それにハピは不思議そうに首を傾げた。

 「なにこれ?」

その言葉に俺は笑顔でサムズアップ。

 「とりあえずヴァイス・ブレイブ自治領の諜報、防諜に関する資料だ。マリアンヌ達からお前は主に諜報、防諜関係の仕事をしていたと聞いたからここでも同じ仕事をしてもらう」

 「またスパイを拷問して情報を吐かせる仕事が始まるお……」

 「それとハピが組む術式にはオリジナリティが足りない。そっちの授業も行う」

 「おかえりなさい地獄の日々」

 「「じゃあ僕/俺は歓迎会の準備してくるな!」」

 「やめて、ハピちゃん目立つの嫌いだからそういうのやめて」

 「「召喚士の薫陶厚い魔術師がついに召喚されたと聞いて!!」」

 「うっそやだ。絶対に大師匠と同じマッドな魔術師が二人もきた」

 「それじゃあ挨拶代わりに毒の魔術かけるんで解呪してくださいね!! 大丈夫!! 召喚士さんの教えを受けているんだったら死ぬことはないですから!!」

 「お!! 最初から飛ばすねカナス!! だったら私も発狂の魔術かけちゃうぞぉ!!」

 「うっそマジやめてってうわまじでかけてきたってあああああああああああああああああ」




ハピちゃん
シェイカー塾最後の刺客。風花雪月世界で一番シェイカーくん(風花雪月での召喚士)からの教えがこかった。その情報があったために召喚早々に死にかける。

カナス&パント
召喚士の秘蔵っ子と聞いてはりきる。色々押し込む気満々のマッド’s

召喚拒否術式
ハピちゃんが異世界に召喚されないために特別に組んだ術式。普通の魔術師なら解析に一生をかけるだろうが『召喚士の術式のクセ』+『天才(マッド)な魔術師三人組』という暴力によって半日で解除されてしまった。
ハピちゃんは泣いていい



そんな感じでハピちゃん召喚編です。

本当はもっと早くに召喚していたんですが、なかなか書くヒマがなくてガチャ機嫌ギリギリになってしまいました。
まぁ、天井したんですが。

そしてハロウィンガチャで張りきるレア様。

ソティスも引きたいですけど作者はレア様ピン狙いでいきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ぴよちゃんの恋(強制)

開花ぴよちゃん召喚士のこと大好きやんか

ならばそれは書くしかあるまい


フィヨルムは遠い眼をしながら召喚室の隅っこにいる。

つい最近実装されたフィヨルムがニフルからもらった装備、これが優秀だったので今回の召喚になった。

『英雄値がカンストした』という理由で最近は戦場にでることがなく、ヴァイス・ブレイブの子供達と戯れるという癒しを得ていたフィヨルムであったが、新しい装備になったらまたSAN値がピンチな戦場に連れていかれることだろう。

それがフィヨルムの絶望であった。

舞う土煙、土煙の中に移動するフィヨルム。そしてフィヨルムの身体に新装備が装着されてきた。

 (ああ、また頭のおかしい方々と一緒にいかなければいけないんですね)

そう思いながらフィヨルムがぼんやりとしていると突然不思議空間に放り出される。

 「フィヨルム」

 「あ、ニフル様」

そしてフィヨルムの目の前に現れたのはフィヨルムを眷属にしてムスペルをぶっ殺そうとしているニフルであった。

 「話は他の神から聞いた。ザムジードのところで苦労しているそうね」

 「……ザムジードとは?」

フィヨルムの問いにニフルは気づいた表情になる。

 「あなた達の世界の召喚士」

 「……召喚士様はザムジードという名前だったんですね」

 「いや、あいつは服の着替えみたいに名前変えるからザムジードが真名ではない」

ニフルの言葉にフィヨルムは軽く引く。

そんなフィヨルムの反応をよそにニフルは言葉を続ける。

 「フィヨルム、私はどこかの似非ヤンキー神とは違う」

 「え~と、ムスペルのことですよね?」

 「? ムスペル以外に似非ヤンキー神はいないでしょう?」

神々のことを人間は知りませんとはフィヨルムは口に出さなかった。

 「フィヨルム、私は貴女にムスペルを殺せと命じたわ」

 「はぁ、まあ」

ラクチェ情報ではスルトを倒すためにフィヨルムの寿命を使わないといけなかったらしいが、この世界では主に烈火組のせいでスルトを普通に殺したのでフィヨルムの寿命はなんともない。

なのに何故フィヨルムがニフルの戦士となったか。それは語るも涙なやりとりがあったのだ。以下にその会話全文を記す。

 『フィヨルムですね。貴女を私の戦士に任命します。ムスペルを絶対にぶっ殺しなさい』

フィヨルムが拒否するまもなくフィヨルムはニフルの戦士になった。

やっぱり神はクソである。

それでもイイ子なフィヨルムは受け入れた。ご先祖様と自分達の国の守り神のためだと一念発起したのだ。

そしてムスペルの戦士となったレーギャルンと対決!!

激戦だった。三回もの引き分けの後に勝ったのはフィヨルムであった。決まり手は押し出しであった。

神々の前で行われる大相撲神々神殿場所。そこで初優勝を決めたフィヨルムには充実感があった。

だがそこは空気の読めない似非ヤンキームスペルである。即座に次の場所の興行を提案。ヒマを持て余した神々には即座に許可を出した。

そして次なる場所の勝利に向けてニフルはフィヨルムに召喚士の下で鍛えるように言ったのだ。

だから今回開花装備が召喚されるようになったのだ。

閑話休題

 「私はムスペルを絶対に殺すように命じたわ」

 「はい」

 「でもそのやり方はあの軽蔑すべき似非ヤンキーと同じだったのよ」

 「……はい?」

疑問符を浮かべるフィヨルムだったがニフルは気にしない。

 「お人よしのドーマに言われたのよ。『自分の眷属にするなら何かしらの祝福を与えたほうがいい』って」

 「はぁ、なるほど」

フィヨルムは脳内の片隅で『装備自体が祝福では?』と思ったが口に出さない。何せ神々が基本話をきかないのはヴァイス・ブレイブでよく知っている。

そしてニフルは指をピンと立てる。

 「オルティナが言ってた。祝福には恋愛成就が一番だって」

たぶんそれ聞いた相手が間違っているとはフィヨルムは突っ込まない。誰だって命は惜しいのだ。

 「だからフィヨルム、貴女に恋愛成就の祝福をあげる」

 「いえ、相手がいません」

それが問題である。ラクチェ情報で異世界のフィヨルムは召喚士といい仲という話は聞いたことがあるが、この世界で召喚士を狙うのは地獄の道だ。だから当然フィヨルムには相手がいない。

その反応に我が意を得たりという表情をするニフル。

 「わかっています。奥手のフィヨルムにはアプローチするのが苦手なのでしょう。私に任せておきなさい。奥手な貴女でも相手を前にしたら胸のときめきを止められなくなってしまうように祝福をかけましょう」

 「それは呪いでは?」

 「ちなみに相手はザムジードです」

 「本当に待ってください!!」

日夜(自分の姉も含めて)召喚士ゲットバトルを繰り広げている英雄達の中に入る? それは新手の自殺ではないだろうか。

だが 神は 人間の いう事を 聞かない

 「確かにザムジードはクソを煮詰めたような性格で外道な上にゴミクズのような人間性ですが身内には甘いという欠点があります」

そしていい笑顔でサムズアップするニフル。

 「それじゃあムスペルの滅殺と貴女の恋愛成就を祈っています」

そう一方的に告げるとフィヨルムは元の世界に戻ってくる。

 「お、でてきたでてきた」

そしてフィヨルムに近寄ってくる召喚士。そしてフィヨルムの変化は劇的だった。

 (トゥンク)

声を聞いただけで心がときめく。

 「新装備だな、ぴよちゃん」

声をかけてくれるだけで嬉しい。

 「また戦禍の連戦とか諸々に出張ってもらうからな」

頼ってくれてとても嬉しい。

末期なくらいに召喚士にべた惚れになっている自分に気づいてフィヨルムは軽く絶望した。

反応がないフィヨルムを怪しんだのか召喚士がフィヨルムの顔を覗き込んでくる。

 「大丈夫か? ひょっとして確定召喚の術式が何か悪さしたか? それだと楽しみ……げふんげふん!! 急いで直さないといけないんだが」

召喚士の心配そうな表情にフィヨルムの胸がときめきエスカレートする。

そしてフィヨルムは顔を真っ赤にしながら口を開く。

 「こ」

 「こ?」

 「これで勝ったと思わないでくださいね!!」

 「あ!! おい!! ちょっと身体の術式調べさせてくれ!! 未知の術式が」

召喚士の言葉を最後まで聞くことなくフィヨルムはヴァイス・ブレイブの中を走り抜ける。地獄のレースに参加することになったのも元はと言えば奴のせい。

 「お? なんや、ニフルの戦「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」なんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」




フィヨルム(開花装備)
ニフル様からの祝福で強制的に召喚士に惚れさせられてしまった

ニフル
完全に善意からの行動

召喚士
ひょっとしたら未知の術式かもと胸をときめかせたらただの神の祝福でがっかり

似非ヤンキー
頭が潰れたトマトになった



そんな感じで開花ぴよちゃん編でした。

どうしようか悩んだ末に引こうと決意したら天井まで星5が誰もでないという大惨事。ぴよちゃんもらった後に確率収束のためのガチャ一発目でマリス。これにてガチャからは撤退

そして開花ぴよちゃんを育成していて感じる召喚士大好きクラブの言動。
そうなったら惚れてもらうしかないよね!(神の祝福という名の呪い)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ニザヴェリル滅亡TA

おっしゃあトール実装やん!!



ヒャッハー!! 二枚抜き!! 小説にしたろ!!



あ、やべ。ニザヴェリル一切触れてへんかった←今ここ


そんなわけでニザヴェリル編です


俺の部屋には絶対零度の空気が漂っている。正座する俺の前に腕組み仁王立ちしながら絶対零度の視線を俺に向けているのは当然のようにリン。

俺の前にはスマホが置いてあり、そこの画面のゲームのタイトルは『ラスト・オリジン』

当然のようにホーム画面にはでかい乳と尻を持った美人の姿。

 「……で?」

 「言い訳させていただいてよろしいでしょうか?」

リンが無言で顎を示したので俺は言い訳を始める。

 「これはギムレーから進められたんだ。確かにキャラは感覚が狂うくらいむっちむちだが、ストーリーはよくできていて、戦闘システムもなかなかの俺好み。しかも大半のキャラがドロップか建造できるから課金する必要もない良ゲームなんだ」

 「でも乳と尻に惹かれたでしょう?」

俺の言い訳もリンの正論にぐうの音もでない。

でかい乳とでかい尻は男のロマン。

 「待ってくれ。ラスト・オリジンはヘクトルもやってる」

 「あ、もしもしフロリーナ? ヘクトルがラスト・オリジンっていうエロゲームやっているからスマホ破壊したほうがいいわよ」

俺の密告に即座に親友に連絡するリン。遠くで脳筋の悲鳴が聞こえた気がしたが、脳筋だからいいか。

 「召喚士さん、失礼しま……軍師さん、今度は何をやったんですか?」

 「待ってくれフィオーラ!! 状況把握が的確すぎる!!」

なにやら用事でやってきたフィオーラがリンと俺の姿をみて冷たい視線で俺を睨みつけてきた。

そしてリンから説明を受けたフィオーラは黙って俺のスマホを持ち上げるとラスト・オリジンをアンインストールした。

 「ああ!?」

 「「なにか?」」

 「なんでもございません」

二人の睨みに俺は即座に土下座。

だが甘いな二人とも。俺はヘクトルと違ってちゃんとデータ連携しているから再インストールしたら元通りなのだよ……!!

 「まったく……私との子に悪影響がでるゲームはやってはダメです」

そしてつい最近俺とフィオーラの子供が弊ヴァイス・ブレイブにやってきたので母性が強まっているフィオーラからお説教を受ける。

 「そ、そういえば何か用事があったんじゃないのか?」

お説教が長くなると感じた俺は即座に話を変える。当然のように俺の思惑など二人にはもろバレなので二人は大きくため息。

だが、フィオーラは懐から一枚の手紙を取り出した。

 「前線のゼルギウスさんから手紙が届いています」

正座をとこうとしたら即座に二人から剣と槍が抜かれたので俺は黙って正座しながら手紙を開いて中身を確認する。

 「あれ?」

 「ゼルギウスはなんて?」

俺の言葉にヴァイス・ブレイブ自治領の幹部を務めるリンが尋ねてくる。そんなリンに俺は尋ね返す。

 「ニザヴェリルってまだ滅ぼしてなかったっけ?」

俺の問いに首を傾げるリンとフィオーラ。

 「どうだったかしら……? ニザヴェリルとの戦いは私は途中で抜けて治安維持部隊にかかりきりだったから。フィオーラは?」

 「私も治安維持部隊の仕事が忙しく……確かゼルギウスさんに任せていたような」

二人の言葉に俺は書類の山からニザヴェリル関係の資料を確認する。

そして気づいた。

 「やっべ、まだ滅ぼしてなかった」

 「あらま」

 「ということはゼルギウスさんからはいつ攻めるかという連絡ですか」

リンとフィオーラの言葉に俺は天井を見上げて考える。

 「よし」

 「攻めるの?」

リンの言葉に俺は頷く。

 「ニザヴェリル滅亡タイムアタックの時間だ」

 

 

 

ぶんぶんハローエムブレマー!! どうも召喚士です。

さて、今日やっていくのはニザヴェリル滅亡タイムアタックです。

このゲームの面倒なところはボスが三人いてそれぞれ居場所がばらばらなんですね。しかもエイトリは二段階あって第一段階は無敵状態なわけですね。

タイムアタックする上で重要なのは三人をそれぞれボスを瞬殺することなんですね。そしてちょっとした裏技を使って一番奥にいて面倒な無敵状態のエイトリを最短でぶち殺すこと。そのあたりのことも説明しますので参考にしていただければ。

まずタイムアタックするのでいちいち部隊を拠点に戻す手間を省くために部隊を二つ用意します。

三つじゃないのかって? ええ、その真相は動画をみていただければ。

はい、まず私が用意したのはこの二部隊

 

オッテル攻め 修羅三人衆、プラハ

ファフニール攻め イドゥン、ユンヌ、ナギ、レギン

 

オッテル攻めはとにかく殺せばいいので我がヴァイス・ブレイブの誇る殺意高い組で固めています。ファフニール攻めの人員のポイントはレギン。他の面々に比べると実力ははるかに劣りますがタイムアタックにおいては重要な人物です。

ではやっていきましょう。まずはオッテル攻め。ここは簡単ですね。修羅三人衆とプラハを放り込んで敵を虐殺していきます。はい、オッテルが何やら喋っていますがカアラに問答無用で斬り殺されました。

これでオッテル攻めは終了。次はファフニール攻めの開始。こちらもイドゥンとユンヌとナギを放り込んで敵を虐殺していき……あ、やべ

 

 

 

はい、ちょっとイドゥンとユンヌとナギがはしゃいで世界が崩壊したので世界を再生させてリスタート。

今度は自重するように言い聞かせたので世界は……オッケー、セーフです。

あ、神様キャラを使う場合は人選をよくしないと頻繁に世界が壊れるので注意してください。

そうこう言っている間にファフニールまで到着。ここでタイムアタックにおいて重要人物であるレギンをファフニールに隣接させます。

はい、説得コマンドがでましたね。

実はこれ隠し設定でファフニール以外の敵を殲滅させてからレギンをファフニールに隣接させると説得コマンドがでて仲間にすることが可能です。

ファフニールを仲間にしてからオッテルもレギンとファフニールで説得すると仲間にできるんですが、今回はタイムアタックなのでそっちは除外。

そしてファフニールなんですが、実は隠し設定で召喚士の魔法レベルが100をこえていると元の世界への送還が可能なんです。

強い英雄が欲しい!! って人はこのまま仲間にしておくことをおすすめしますが、今回はタイムアタックなので送還してしまいます。

はい、ファフニールが送還してくれるお礼にエイトリまで直通のワープポイントを開いてくれます。

仕事を果たしたレギンはファフニールお兄ちゃんを見送らせて、残りのイドゥン、ユンヌ、ナギをワープポイントに移動。即座にエイトリ戦に入ります。

さて、エイトリ戦ですが……あ~、やっぱり第一段階なので無敵バフがつきましたね。本来ならここは5ターン耐えないといけないんですが、今回の選抜メンバーの前にはそのバフ無意味なんですよね。

はい、イドゥン、ユンヌ、ナギが無敵貫通バフがつきました。

実はこの三神、敵にバフがのるとそれ以上のバフを自分にかけるという完全に敵涙目なパッシブスキル持ちなんですよ。

あ、イドゥンの拳でエイトリが柘榴のように弾けましたね。

これでステージクリア。タイムアタック記録は……5分!!

これは反省点ですがもうちょっとタイムを縮めるんだったらオッテル攻めは騎兵で固めるべきでしたね。移動に時間がかかりました。

今回の動画はここまでです。もし面白いと感じたら高評価ボタンをチャンネル登録をよろしく!!




ファフニール王
ニザヴェリル編で一番可哀想だったお人。Twitterのほうで幸せにして欲しいと言われたので元の世界に送還してあげるという一番幸せであろう結末に

オッテル
クレイジーサイコホモブラコン(公式)。ストーリーを読んだはずなのに何者だったか覚えていないレベル。ホモブラコンのキャラ付けが悪いよ

エイトリ
あ、やっぱり黒幕だったね

ニザヴェリル滅亡タイムアタック
ヴァイス・ブレイブのお遊びに巻き込まれたニザヴェリルの人々に黙祷

ラスト・オリジン
でかい乳とでかい尻が嫌いな男なんていないでしょ?



そんな感じでニザヴェリル編最終回です(なお、扱い

今回の神階英雄でトール実装でテンションがあがり、同時に二枚抜きしたことでひゃっほい小説にしようと思ったらニザヴェリル編にまったく触れていなかったことを思い出し、タイムアタックで滅びてもらいました。

エイトリとかいらんからファフニールが欲しかったなぁ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と真面目嫁の子

リンちゃんから遅れること幾星霜……!!

ついに真面目嫁にも召喚士との子供実装です!!


 「こっちはこうしたほうがよくないか?」

 「いや、それをやるとこっちの魔法陣とのバランスが悪くなるよ」

 「と、なるとこっちをちょっといじりましょうか」

俺、パント、カナスが食堂でちょっとした魔法陣を改造を練っている。ちょっと血なまぐさいのでパント印の結界を張りずみだ。

え? 研究室でやれって? ははは思いついた時にすぐに討論しないと魚の骨が喉に刺さった感じがするだろ?

そんな感じでヴァイス・ブレイブ自治領が誇る三人のマッド魔術師が机に紙を広げてあ~だ、こ~だと議論をしていると一つの影がやってきた。

 「うわぁぁぁぁん!! お父さん助けてぇぇえぇぇぇ!!!!!」

 「ごぼっふぁぁ!!」

訂正、俺の脇腹に突っ込んできた。

突っ込んできたのはシーダのスタンドを持ち、メカペガサスを駆るペガサスナイトの幻影異聞禄出典のはずのつばさ。

さて、このつばさが俺を父と呼ぶ理由は簡単だ。

ファイアー・エムブレム・ユニヴァース出身で俺とフィオーラの子供だった。

真面目がいきすぎて空回りするところなど母親であるフィオーラをそっくりだ(ドタコン発言

とりあえず俺は片手でつばさを撫でながら起き上がる。

 「どうした? またギムレーにセクハラされたか?」

 「あ、うん。それはされたけどちゃんとお父さんに言われた通りに三枚開きにしてKiriaお姉ちゃんに燃やしてもらったよ!!」

笑顔で恐ろしいことをのたまう我が娘。まぁ、ギムレーに関しては自業自得の部分が強すぎるので放置する。奴のことだから原神で申鶴が実装されたら勝手に生き返るだろう。

 「だったらどうした?」

 「お母さんが酷いの!!」

もうこの時点で俺は関わり合いになりたくなかった。

フィオーラも待ちに待った俺との間の実子が実装である。その喜びは深く、そして同時にある事に目覚めた。

曰く、俺のように人類抹殺ではなく世界平和を考えるような真面目な娘に育てます宣言である。

烈火飲みの時に発表されたその思想方針演説は俺の子供の時点でそれは不可能という大多数の突っ込みを受けつつもフィオーラはめげなかった。

武芸、ペガサスの騎乗術は当然として各種勉強や礼儀作法にも五月蝿く指導するようになったのだ。

そしてその都度脱走しては俺に助けを求めるつばさ。だが、それも無駄である。

 「何度も言ってるだろう。俺がフィオーラに意見できるわけがない」

 「「完全に尻に敷かれてて草」」

 「うわぁぁぁぁん!! お父さんも頼りにならなぁぁぁぁい!!!!」

俺の悟った笑顔での言葉にパントとカナスは指差し嘲笑い付きで突っ込みつばさは泣いた。

 「つばさ!! どこにいったんですか!!」

 「あああああああああああ、お母さんが来ちゃう!! お父さん隠れさせて!!」

 「あ! おい!!」

俺の返答を聞くまでもなくつばさは勝手に俺のローブに入ってくる。

怪しげに人一人分膨らんだローブを着た俺になった。

 『こいつの頭の悪さは本当に俺の血が入ってるのか怪しくなる時があるんだが』

 『大丈夫! 君もヘクトルやエリウッドといる時はそんな感じさ!!』

俺のテレパシーに速攻で突っ込んでくるパント。

そして食堂にフィオーラが入ってきて、俺を見つけると近くにやってくる。

その眼差しは呆れた様子で膨らんだローブに注がれている。

 「召喚士さん、つばさを知りませんか?」

その言葉にわかりやすいくらいびくっと震えるつばさ。正直人身御供でつばさを献上したほうが俺の精神衛生上いいのだが、流石に娘を人身御供に捧げるのは俺の微かな良心が痛むので適当にはぐらかす。

 「あ~、なんだ。つばさだったらKiriaのところにいったぞ」

腹違いの姉妹ではあるが二人が仲が良いのは周知の事実だ。なにせつばさがKiriaと同じお風呂に入って恍惚の表情を浮かべているところを多数の英雄が目撃している。

俺の言葉に一回ため息を吐くとフィオーラは口を開く。

 「いいですか召喚士さん。もう一度だけ聞きます」

そこまで言ってフィオーラは笑顔を浮かべる。

 「つばさは どこ ですか?」

 「あ、ここにいます」

 「お父さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 「許せ娘よ。俺は神の一柱でもあるがリンとフィオーラには勝てないのだ」

 「うわぁぁぁぁぁん!! 頼りにならなぁぁぁぁぁい!!!」

ローブの下から速攻で逃げようとしたつばさはフィオーラによって捕獲された。

とりあえずこのまま見捨てるのはどうかと思ったのでフィオーラに意見しておく。

 「あまり厳しくしすぎるのはどうかと思うぞ」

 「ですが軽く準備運動で敵兵千人斬りをやらせようとしただけですよ?」

 「そんな基礎運動もできないのか、つばさ」

 「リンに隠れているけどフィオーラも大概だよね」

パントの突っ込みもつばさにW説教をしている俺とフィオーラには届かなかった。

 「まあまあ、お二人とも。お小言はそれくらいにしてあげたらどうですか?」

 「カナスおじさん……!!」

 「私個人としてもそんな無価値なお説教をするよりメカペガサスの構想案をつばさちゃんに確認したほうが色々な意味で有意義ですし」

 「カナスおじさん……!!」

友人の娘を平然と兵器の実験台にしましょう発言につばさが戦慄しているが慣れて欲しい。

そんなわけで俺達は広げていた魔法関係の紙の束を異空間に仕舞うと『第三十三式機械天馬初号機』の設計図を取り出して広げる。

そしてつばさはその設計図をみて停止した。

 「お父さん」

 「どうした?」

 「これ、なに?」

 「? 何ってお前がパイロットを務めることになる第三十三式機械天馬初号機の設計図だが?」

 「どうみてもガンダム・センチネルのディープストライカーですけど!?」

 「ほら、みたまえよ召喚士。やっぱりつばさちゃんはデンドロビウムのほうが良かったんだよ」

 「パントおじさん!?」

 「いえ、やっぱりつばさちゃんは若いんですからSEEDのミーティアのほうが良かったのでは?」

 「え? か、カナスおじさん。ミーティアversionもあるの?」

その言葉に異空間から『第三十三式機械天馬弐号機』の設計図を取り出してつばさにみせるカナス。

そしてそれを見てつばさは嬉しそうに俺に振り向いた。

 「お父さん!! 私、ミーティア乗りたい!!」

その言葉に即座に『第三十三式機械天馬弐号機』の改造案を練り始める俺達にフィオーラは呆れた様子でつばさを訓練場に引きずっていくのであった。




つばさ
ファイアー・エムブレム・ユニヴァースからやってきた召喚士とフィオーラの娘。母親に厳しい躾をされては父に泣きつく(でも解決はしない

フィオーラ
ついに実子実装で張りきる真面目系堅物ママ

第三十三式機械天馬
三魔術師が技術と魔術をふんだんに盛り込んだ超兵器。戦場に投入すると敵兵は死ぬ。鍛えていないとパイロットも死ぬ。
ちなみに見た目は初号機がディープストライカー(召喚士案)、弐号機がミーティア(カナス案)、参号機がデンドロビウム(パント案)



ついに召喚士とフィオーラの娘が実装!!
割とつばさちゃんが実装された時からこの案はあったのですが弊ヴァイス・ブレイブにはなかなかやってきてくれず、このタイミングでになりました。

ちなみにつばさちゃんはPUの初回無料で来てくれました。なんていい娘なのでしょう。

原作ではお姉さんもいるようですがこの作品でどうなるかは不明(本当に何も考えていない

そして察しのいい読者ならお気づきかもしれませんが今のところ幻影異聞禄組のKiriaとつばさは召喚士の実子。

つまりエレオノーラと樹くんもまさか……!?(エレオノーラもすり抜けですでにいる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺は俺でお前も俺で

もはやなんでもありになってきたうちの召喚士

お前はどこに向かっているんだ


さて、新ガチャである

 「なんかすごい久しぶりな気がするよね」

 「最近は欲しいキャラが早めにでたり、そもそも欲しいキャラのガチャがなかったりしたからな」

 「そのせいでオーブはその量か」

ヘクトルの言葉通り俺がひいてきたリヤカーの荷台には300個をこえるオーブが乗っかっていた。

 「そんなに貯めるのガーチャーの君らしくないよね」

 「いや、ぶっちゃけ最近は本当に引きたいガチャがなくてな」

 「それでも引くのが学習しないお前だろ?」

俺とヘクトルの間で罵り合いが発生したがおおむねいつも通りである。

 「それで? 今回の狙いは?」

 「緑、青の二点狙い」

 「アクアリア-ネとカアラか」

 「ニケさんは?」

 「緑、青がない時は赤を回す」

 「無色は?」

 「野郎はいらない」

俺と同意見だったのかヘクトルとエリウッドとハイタッチ。

とりあえず俺は初回無料の召喚石板を起動。

 「あ、青が二つあるね」

 「速攻で一つ目の青を叩き込んだな」

 「そして流れるようにソワレ」

 「即座に秘伝書にされるソワレに敬礼」

なんで俺のガチャはソワレ率高いん?

そして俺は二つ目の青オーブを叩き込む。

舞い上がる土煙、浮かび上がる倒れ伏しているsilhouette。

でてきたのは死んだように眠っているハピであった。

 「お、ハピが凸った」

 「いやいやいや」

 「その前にこのハピの現状はなんだよ」

ヘクトルはなんと愚かなことを聞くのだろうか。

 「たかだが二か月休みなしで働かせただけだが?」

 「「お前最悪だな!!」」

なろう係主人公のように言ってもダメだったようである。

とりあえずフローラにハピを回収させて執務室に連れて行かせた後に召喚を続ける。

オーブ20個くらい叩き込んだところで緑オーブが反応する。

舞い上がる土煙、浮かび上がる二人組のsilhouette。

 「私はアクア。こちらは鷲の民の王女、リア-ネよ。勇壮な祭りに私たちの歌を添えましょう」

 「新しい服似合ってるぞリア-ネ。だが、そんなに肌を出しちゃだめだ」

 「そうだよ。最近は下半身性欲猿も増えているからね」

 「ほら、これ着てちゃんと上半身隠せ」

 「聞いて」

召喚されたリア-ネを囲んで心配する俺達。実はリア-ネ、その純粋さから他の世界の英雄達から含めてニノと並ぶ愛され枠である。

俺達の言葉を素直に聞いていそいそと服を着るリア-ネにほくほく笑顔になる俺達。そして俺は今気づいたようアクアに声をかける。

 「あ、アクア姐さんちーっす」

 「その呼び方やめて」

 「アクア姐さんお勤めご苦労様です」

 「その言い方もやめてエリウッド」

 「アクアの姉御、リア-ネのことよろしく頼むぜ」

 「歯を食いしばりなさい」

殴られたヘクトルは壁にめり込んだ。

とりあえずレベリングに邪魔な歌うのスキルは外して召喚室から送り出す。

 「俺、ウェディングリア-ネでたら発狂する自信があるわ」

 「大丈夫、僕らもさ」

俺とエリウッドはがっちり握手。

ヘクトルも戻ってきたところで召喚続行。アクアリア-ネは出たので後は青一点狙いである。

 

そして開幕する地獄。

 

 「いやぁ、やっぱり召喚士の不幸は身体にいいよな」

 「それね、ステップアップチャンスも二連続で総選挙ルキナちゃんで後は星5でないで天井叩くとか僕らの健康によすぎるよ」

人の不幸を喜ぶような最低な人間がいるが俺は致命傷である。

よろよろと床から起き上がりながら俺は口の端から流れる血をふく。

 「天井がなかったら致命傷だった……」

 「「それが残念」」

 「こいつら死ねばいいのに」

天井の確定召喚で俺は青オーブを叩き込む。

舞い上がる土煙、浮かび上がるsilhouette。

 「私はカアラ、刃とともに歩んできた者。砂漠の王国の祭りか……。面白い、ひとつお手合わせ願おう」

槍を持ってきた剣姫ことカレルスレイヤー・カアラである。

 「これで欲しかった英雄はでたから後は確率収束かい……ってどうかした?」

 「ん、いや、ちょっと待て」

エリウッドの言葉を無視して俺はカアラをみる。カアラも俺の視線を正面から受け止めていた。

そして俺は気づいた。

 「あれ? お前、俺か」

 「「は?」」

俺の言葉に当然のように疑問の声をだすバカ二人。だが言われたカアラはばれたかぁ、といった感じで頭をかく。

 「う~ん、やっぱり俺にはバレたか」

 「いや、そりゃ俺なんだから俺にはバレるだろ。何やってんの俺」

 「うん、相手は俺だから俺も正直に言うと」

 「「待て待て待て待て待て」」

俺とカアラ(俺)が普通に会話しているとヘクトルとエリウッドが慌てた様子で間に入ってきた。

そして確認するようにカアラ(俺)を指差しながらヘクトルが確認してくる。

 「カアラだよな?」

 「肉体はな」

 「「肉体は?」」

俺の言葉に呆気にとられる表情になるバカ二人。それに頷きながら俺も言葉を続ける。

 「身体はカアラだが魂は俺だな。なんでこんな真似してるのかさっぱりだが」

 「ああ、それは俺が死んだ俺だからだ。だから肉体は消滅しているから魂だけの存在になってな。そこでちょうどよく同じ世界出身のカアラの肉体を借りて現界したって寸法よ」

 「ああ、なるほど」

俺とカアラ(俺)の会話を意味がわからないといった表情をしていたバカ二人だが、すぐに納得した表情をみせる。

 「召喚士とパントとカナスのやることを理解することが間違っていたよね」

 「ほんそれ」

 「とりあえずお前は俺だけど見た目カアラだから口調どうにかならん?」

 「なるほど、でしたら小生は女性言葉遣いでいきますわね」

そして「ひゃっほぅ!! 久しぶりの娑婆ですわぁ!!」とテンション高めに召喚室からでていくカアラ(俺)。

 「さて、あとは確率収束だが……ごっはぁ!!」

 「意外!! でもない!! それは青がない!!」

 「召喚士の不幸で飯がうまい!!」

ハイタッチきめているバカ二人を無視して仕方なく俺は赤オーブを叩き込む。

舞う土煙、浮かび上がるsilhouette。

そしてでてきた女性は腕組みしながら力強く口を開いた。

 「私はハタリ王国女王ニケである!!」

 「「「塾長!!」」」




カアラ(召喚士)
身体はカアラ、魂は召喚士。その名も召喚士・カアラ!!
何を言っているかわからない? 考えるな、感じろ

リア-ネ
可愛い。天使

アクア
酒を飲んだら最強の姉御。リア-ネの保護者になる。

ニケ
私はハタリ王国女王ニケである!!



そんな感じで久しぶりのガチャ編です。

カアラが好きで作者の脳内シナプスが超新星爆発した結果身体はカアラ、魂は召喚士な召喚士・カアラ爆誕。

何を言っているかわからない? 大丈夫、作者も何を言っているかちょっとわかっていません

そして愛され枠リア-ネ。スキルをアタッカービルドしたけどまったくアタッカーになれないリア-ネ可愛い。超天使

そして男塾塾長の魂がインストールされたニケ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士と聖女エリミーヌ

なんか書いた結果この作品でも屈指の最強キャラになってしまいました


いつものように召喚室に召喚をしにやってきた。

 「でも珍しいな、お前がそこまで召喚を嫌がるなんて……いや、珍しくないな」

 「また女性問題かい?」

ヘクトルの言葉にエリウッドが続く。俺に対して超失礼であるが前例がありすぎて困る。

 「いや、今回は俺の女性問題じゃない」

 「じゃあ、なんでそこまで嫌がるんだ?」

ヘクトルの言葉に俺は表情を顰める。

 「いいかお前ら」

 「「なんだ」」

 「俺は止めたからな」

 「「ちょっと待て」」

俺の念押しに二人が止めてくる。

頭痛を抑えるように言ってくる二人に俺は黙って先を促す。

そしてエリウッドが口を開く。

 「戦闘民族系かい?」

 「違う。というか仮にも聖女だぞ? 争い事は嫌いだ」

 「だったらナンナ系か」

 「確かに人助け系ではあるが殺してまで助けるというバーサーカー思考じゃない」

仮にも聖女から女神になった人物なので戦闘民族ではないしバーサーカーではない。

 「じゃあ、何が問題なんだい?」

 「うん、まぁ、召喚したらわかる「召喚士!!」ドーマ」

俺が石板を起動しようと瞬間に召喚室の扉が開き、エプロンをつけて神格者ドーマが焦った様子でやってきた。デフォルメされた犬のワッペンがかわいらしい。

そんなエプロンをつけながらドーマは叫ぶ。

 「エリミーヌを召喚するのはよせ!! 彼女は人類には毒だ!!」

そう言った瞬間にドーマの顔の横に神々用の啓示板が現れる。

 『ドーマ!! 食事の支度の最中ですよ!! 早く戻ってきなさい!! 鍋が吹きこぼれるでしょ!!』

 「いや……だがナーガ……エリミーヌが……」

 『エリミーヌがどうしたって言うんですか!! 彼女が来たら食事のレパートリーが増えて喜ぶべきでしょう!!」

 「いや……しかし……彼女は人類には……」

 『いいから早く戻ってきなさい!!』

 「は、はい!!」

おかん・ナーガの怒声にドーマは慌てた様子で走っていく。それを黙って見送る俺達。

そしてヘクトルが口を開く。

 「あのドーマが召喚するなって言ってたな」

 「俺もあまりおすすめしない」

 「じゃあ、なんで召喚するんだい?」

わかりきった質問をするな、エリウッド。

 「セーなんとかさんに『召喚しないと性的に襲ってリンにバラす』と脅されてな」

 「あいつ自分の貞操をなんだと思ってるんだ?」

俺のそう思うがあの目はガチの眼だったので俺に拒否権はなかった。

 「まぁまぁ、セーなんとかさんも自分が信仰する女神が召喚されるとわかって正気じゃないんだよ」

 「むしろ烈火組でニノ以外に正気の奴いないだろ」

エリウッドの言葉にヘクトルが笑いながら言う。

そして三人で真顔になった。

 「あれ? マジで烈火組にニノ以外に正気の奴いなくね?」

 「まずいね、どこの世界でも必ず複数人は正気の人がいるんだけど」

 「うちの世界は召喚士とパントとカナスのせいで狂気度高いしな」

俺とヘクトルの罵り合いに発展したが残念ながら烈火でも平常運行である。

とりあえず一通り罵り合った後に召喚石板を起動する。

そして召喚石板起動三回目。

 「ぐはっ!!」

 「「召喚士の不幸で飯がうまい!!」」

見事に無色がなかった。

 「まぁ、まだ8%だし星5でないだろ」

 「「フラグ乙」」

バカ二人を無視して俺は赤オーブを叩き込む。

舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

 「コンスタンツェ=フォン=ヌーヴ「風花雪月警察だ!! 君を修練の塔に連行する!!」え?」

現れた二重人格の少女は風花雪月警察のベレトによって素早く連行されていった。

 「いつまで風花雪月のキャラはでないんだい?」

 「風花雪月の俺が死ぬまでじゃないか?」

 「異世界とは言え自分が死ぬって平然と言うか?」

だが事実なので仕方ない。

そしてしばらく召喚を続けて順調にパーセンテージが上がって10%まで上がった時に事件が起こる。

 「む、無色も赤もないだと……!?」

 「とういか二重人格ちゃんもでたから赤引く必要ないだろ」

 「緑と青だね。どっちを引くんだい?」

 「開花ぴよちゃん欲しいから緑にするか。というかそろそろ星5でるだろうから他の色引きたくないんだよなぁ」

 「「フラグ乙」」

 「ははは、まさか出るわけないだろう」

そして俺は緑オーブを叩き込む。

舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

 「兄さんがいるのはここかぁ!!!!!!!!」

 「連れていけ」

 「な、なにをするだぁ!!」

でてきたヤンデレブラコンは俺の合図でフローラによって連行されていった。

 「使うのかい?」

 「使用予定はない」

 「でもレギンは喜ぶんじゃないか?」

 「いいかお前ら」

俺は真剣な表情でエリウッドとヘクトルに告げる。

 「俺は無償で他人の喜ぶ真似をしない」

 「「主人公とは思えないクズ発言」」

何を今更。

 「それでどうするんだい? もうすぐオーブ100個きるけど」

 「とりあえず無色で一人星5がでたら撤退するつもりなんだがなぁ。だけどそろそろやめておくか」

 「それでなんで石板起動してんだろ」

こ、これは身体が勝手に!!

とりあえず二つ無色があったので一つ目を叩き込む。

そして一つ目は無事にジョーカーになったので速攻で秘伝書にする。

 「ジョーカーさんの扱いが雑で草」

 「フェリシア、それを言うためだけにここに来たのか?」

 「その通りです!! あ!! ジョーカーさんの秘伝書とかカムイ様達によくないので燃やしておきますね!!」

笑顔でジョーカーの秘伝書を持ち出していくフェリシア。俺達はそれを見送って二個目の石板を起動する。

スパークする石板、舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

 「これは神階英雄がくるぞ!!」

 「アスタルテ」

 「駄目だね、同じじゃ賭けが成立しない」

 「シャラップ!!」

そして煙の中からでてくる英雄。

 「大いなる導きを得て。隣人を癒し、魔を滅ぼす光と共にーーー。私はエリミーヌ……あなたの心に、輝きを」

 「久しぶりだな、エリミーヌ」

 「あら、ブラミモンドじゃないですか」

俺と聖母スマイルを浮かべて会話するエリミーヌ。

そしてその会話を聞いていたバカ二人は恐れおののいていた。

 「な、なんだこの心の暖かさは……!?」

 「これは僕らが久しく忘れていた優しさの心……!?」

その会話が聞こえていたのかエリミーヌはバカ二人をみる。

そして圧倒的聖女スマイルを浮かべる。

 「今まで頑張りましたね、もう大丈夫です。安心しなさい、私は……エリミーヌはここにいます」

 「「ま、ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」

 「ち、やはり人類にはまだ早かったか」

エリミーヌ、彼女はそのバブみで人から神に至った超絶聖女である。




エリミーヌ
その溢れ出るバブみで人から神に至った聖女。彼女の前ではどんな狂暴な英雄も赤ちゃんとかす。まさしく平和の化身。

エリウッド&ヘクトル
この後それぞれの奥さんに正気に戻された

二重人格さん
育成はする予定ですが小説への出演は未定です

オッテル
何故きた



そんな感じでエリミーヌ編でした。

最初から無色の星5が一人でたら撤退するつもりでした。

なんということでしょう、150個以上のオーブが吸われたではありませんか

まぁ、オーブ150個で星5三人だったらいいほうでしょう

そしていそうでいなかったガチの聖女キャラ。エリミーヌの前では全ての争いがなくなり全ての人が赤ちゃんになる。

つまり(ある意味)最強キャラ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やつがくる……!!

皆さん大好きこの作品の破壊神が開花英雄になって登場

そして作者は無事に召喚成功しました


さて、新ガチャの時間である。今日も今日とて俺は蓄えていたオーブを抱えて召喚室へ。お供はいつものバカ二人である。

 「いやぁ、でも封印ガチャか。ニイメさんとか来たら君らマッド魔術師組のいいストッパーになるんじゃないかい?」

 「エリウッド、お前もあの婆さんがどんなか覚えているだろう。本当に俺達のストッパーになると思うか?」

 「いけないね。即座に最大規模での被害に対する金額を計算し始めてしまった」

なんか想いを集めてでいい人ムーヴをしようとしているババアだが、あのカナスの母親の時点でまともではないのだ。

顔を顰めているエリウッドの隣で今度はヘクトルが口を開く。

 「だったらヒュウはどうだ? カナスの息子だし、リリーナに聞いた感じまともだからストッパーになるんじゃねぇか?」

 「パントとカナスの魔術実験にドン引きして闇魔法から逃げた人間の発言を俺達が聞くと思うか?」

 「そりゃぁ駄目だ」

まったく、聞いた限りだがたかだか人体実験程度で逃げ出すとは根性のない奴である。

 「となると狙いは……」

 「開花イドゥン一点狙いだ」

俺の言葉に真面目な表情で無言になるバカ二人。

そしてヘクトルが口を開く。

 「……それ大丈夫か?」

 「大丈夫、大丈夫。世界が滅びるのなんか珍しくもない」

 「「それ普通じゃねぇから!!」」

二人の突っ込みは無視である。

指をピンと立てて俺は説明を続ける。

 「いいか、バカ供。確かにイドゥンは使いづらい……というかハッキリ言って自己中で自分が楽しめて尚且つ人類が可能性をみせてくれたら最高というクソみたいな神だ。だが、それを前提にしてもわが軍にとっても最高の戦力なのは間違いない。今後の戦いを考えるとぜひとも引いておきたい逸材だ」

 「「本音をのべよ」」

 「青だとすり抜けでセライナが来る可能性があるんだよ……!!」

バカ供の視線が冷たくなった気がするが俺が気にすることはない。

 「いいか……!! 実装された時はオーブがなくてスルーせざるえなかったノーマルセライナ……!! いつピックアップが来てもいいようにオーブを貯め始めたらこない……!! クソ運営が……!!」

そして俺はオーブを掲げながら大きく叫ぶ。

 「そこで俺は思いついたんだ!! 青だったらすり抜けでセライナが来る可能性があると!!」

 「来ると思うかい?」

 「こいつのガチャ運で来るわけないだろ」

 「黙ってろバカ二人!! 俺とセライナの兄妹の絆があれば天井までに絶対来てくれる……!! レッツ召喚!!」

そんなわけで召喚開始。

 「「召喚士の不幸で酒が美味い!!」」

 「黙れクソ供!! まだ10回だ!!」

本当に美味そうに酒を飲んでるバカ二人に怒鳴りながら俺は青オーブを召喚石板に叩き込む。

暗くなって星空になる召喚室。舞い上がる土煙。浮かび上がる大きなシルエット。

そして俺が指を鳴らすと同時にシルエットは出てくる前に秘伝書になった。

 「「おい」」

 「よく秘伝書をみろ。闇落ちベルクトだ。闇落ちしたことによって貧乳マニアに目覚めた輩はいらん」

ベルクトは巨乳好きでその名を轟かしているが、闇落ちしたベルクトは見事に性癖も闇落ちし貧乳マニアとなった。その関係からベルクト(ノーマル)とベルクト(闇落ち)がお互いの性癖をぶつけ合う論争はヴァイス・ブレイブでは珍しくもない光景である。

そしてそんな二人をみながら「ふ、おっぱいの大きさで優劣を決めるなんて愚かなことさ」とギムレー一段上から発言するまでが一連の流れである。

バカ供の視線を無視しながら俺は召喚を続ける。

そして13回目でそれは起きた。

みるからにやばいスパーキン!! する召喚石板。大爆発する土煙。浮かび上がるシルエット。

 「はぁぁぁっはっははははははは!!!!!! 私の名前を呼んだなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

つけていた花冠が吹き飛び、持っていた花籠もそのオーラで消し飛ぶ。

開花イドゥンの召喚である。

イドゥンがぐっと拳に力を込めたら壁が消し飛んだ。

イドゥンがフッと複式呼吸をしたら空気が破裂した

自分だけ結界を張り(バカ二人は衝撃でどっかいった)それを見ていたところ、イドゥンは俺のほうを見てきた。

 「召喚士、すぐに私が満足できる人類の英雄を用意しなさい」

 「条件は?」

俺の言葉にイドゥンはフッと笑う。

 「素晴らしい人類を、です」

 「困ったな。基本的に人類は愚かだからなぁ」

 「意見の相違ですね。人類ほど素晴らしい生物はいません」

両手を広げて恍惚の表情を浮かべるイドゥン。

 「人類は素晴らしい。追い詰められても諦めないその精神、向上し続けるその魂、勝利に対する貪欲さ、そしてそれをなしうる力強さ……素晴らしい、その魂の輝きを私にみせてください!!」

テンションが上がり切ったイドゥンをこのままにしておくと軽く世界が滅びるので問答無用で別空間に転送。そしてそのタイミングで隊員を引き連れたリンがやってきた。

 「何の騒ぎ?」

 「開花イドゥンがきた」

 「そういうことね」

瓦礫の中でも「イドゥンがきた」という説明だけで済むの素晴らしいと思う。

 「で? そのイドゥンは?」

 「強い人類を御所望だったので開花ピヨちゃんと開花レーギャルンを送っておいた」

 「……それ、二人大丈夫なの?」

 「さぁ」




開花イドゥン
破壊神。新装備でテンションうなぎ上り。ちょっとはしゃいで開花ピヨちゃんと開花ギャルねえを瀕死にした。

開花フィヨルム&開花レーギャルン
イドゥンが「強い人類」を所望したので召喚士によって強制的に開花イドゥンにぶつけられた。しかし二人で協力して生き残ることに成功した。これには開花イドゥンも大満足

セライナ
オーブを貯めてからピックアップこないんですけど



そんな感じで開花イドゥン召喚しました。本当は初日に召喚していたんですが、色々とあって更新できませんでした。

そして作者が召喚した開花イドゥンが攻撃↑の速さ↓の破壊神個体で思わずニッコリ

あと去年から通っていたバイクの免許を取得しました。エムブレマーでライダーな召喚士の皆さまは何かおすすめのバイクを教えてくだされば


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァイス・ブレイブ裁判

外道、フォドラに立つを書くつもりがこっちを書いていました


 「ではこれよりヴァイス・ブレイブ最高裁判を始める」

俺の宣言に厳粛な雰囲気が裁判室を包む。ヴァイス・ブレイブ初の最高裁までもつれ込んだ裁判に注目が集まり、所属している英雄だけでなく一般人も数多く傍聴席に座っている。それだけでなくカメラなどもありアスク王国だけでなくニフルやムスペルなどにも放送されている。

 「では被告人は被告人席へ」

 「我は無実だ!!」

治安維持部隊に連行されて被告人席に座らされたギムレーが大きく叫んだ。

 「それを証明するための裁判だ。あ~、それじゃあ開廷だ。原告前へ」

俺の言葉に原告にエフラムがたつ。エフラムがみるからに苛立っていた。

俺はそれを見ながら用意された書類をみる。

 「え~、被告人は原告に何も告げずにエフラムを主人公にしたホモ小説を書いて原告の名誉を著しく棄損した罪に問われている。被告人、間違いはないか?」

 「ヴァイス・ブレイブには表現の自由があるはずだ!! 我はそれを行使したにすぎない!!」

 「原告」

ギムレーの言葉を無視して俺はエフラムに発言するように促す。するとエフラムは眼を怒らせながら口を開く。

 「いいか!! このクソトカゲは俺に許可を得ることなく俺をホモ漫画の主人公にしやがった!! しかも相手はリオンだと!? 俺とリオンが不倶戴天の仇同士なのはヴァイス・ブレイブの英雄ならば誰でも知るところ!! にも関わらず俺とリオンだと……!!」

そう言いながらエフラムは机を力強く叩く。

 「俺の相手はエイリークに決まっているだろう……!!」

 「お前とリオンも何回もエイリークにストーカー被害で訴えられてるの忘れるなよ」

 「ふ、全て証拠不十分で不起訴処分だ」

正直なところ俺のところには証拠が揃っているので最高裁まで来た場合エフラムとリオンの処刑が決定するのだが、まぁ、今回の裁判には関係ないから仕方ない。

 「では弁護人」

俺の言葉に弁護側にフレンが立つ。フレンを見た瞬間にエフラムの表情が歪みギムレーがガッツポーズを決めた。

そして威風堂々とフレンは口を開く。

 「ギムレー様は無罪……とまでは言いませんがその罪は浅いはずですわ。まず第一にヴァイス・ブレイブ自治領には表現の自由があります」

 「だがそれはあくまで個人の権利を侵害しないことが前提だ!!」

 「あら、エフラム様、ギムレー様の漫画にでてくるのは『エイラム』と『レオン』ですわ。確かにちょっとお二人に似ているかもしれませんがあくまで他人の空似ですわ」

フレンの言葉にエフラムが殺す眼つきでフレンを睨む。フレンはその視線を受け流しながら言葉を続ける。

 「そして何よりギムレー様の描く漫画の芸術性の高さですわ。エイラムとリオンの(ピーーーーーー!!!)や(ピーーーーーーーーーーーーー!!!!!)だけでなく(ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!)も素晴らしく何より「弁護人は錯乱しているようだ。つまみだせ」あ!? 何を!!!!」

かなりディープな腐話を始めたフレンを治安維持部隊に命じて退場させる。

そしてAAコロンビアポーズを決めるギムレーと殺す眼つきでギムレーを睨んでいるエフラムが残った。

俺はカンカンとハンマーを鳴らして判決を下す。

 「判決、無罪」

 「ひゃっふーーーーー!!!」

 「ではこのまま次の裁判に入る」

 「終わりじゃないの!?」

ギムレーが驚愕しているがお前のオタ活に苛立っているのが一人や二人で済むわけがない。

 「では次の原告前へ」

俺の言葉にクロムが原告の場に立つ。それをみてギムレーが不思議そうに首を傾げる。

 「あれ? 我、クロムはルフ子との純愛漫画しか書いてないけど」

 「ふ、自分の罪を自覚してないとはこのオタククソトカゲが。いいか、貴様の罪は唯一つ!!」

そしてクロムは力強くギムレーを指差しながら怒鳴る。

 「ルキナの乳を盛ったことだ!!」

 「異議あり!! 巨乳が嫌いな男はいない!!」

 「否定はしない!! だが、ルキナは貧乳だからいいのだ!! 毎晩必死に胸を大きくしようと豊胸体操をするルキナの可愛らしさ!! 少しでも大きくしようと服を着る時に少しずつパットを積めるルキナ!! さらに「黙らせろ」はぶ!?」

ルキナのことでやかましくなったクロムを黙らせる。そして俺は弁護人席で顔を真っ赤にして顔をおおっているルキナに顔を向ける。

 「弁護人、弁護を」

俺の言葉にルキナは顔を真っ赤にして顔をおおってか細い声で呟く。

 「そ、創作の中でくらい夢をみさせてください……」

ルキナの言葉にギムレーを含む全員から哀れみの視線を向けられる。

そして俺はカンカンとハンマーを鳴らす。

 「判決、無罪」

 「いや、それは我嬉しいけどルキナ大丈夫あれ」

 「弁護人、退席していいぞ」

俺の言葉にルキナは逃げるように裁判室から逃げ去っていく。

それを見送ってから俺は次の書類をとる。

 「え~、次は原告が……うん? 『原告:烈火組』? 罪状は『被告人はニノのエロ絵』を描いた罪がうん、被告人は死刑」

 「待って待って!! 弁護!! 弁護して!!」

ギムレーの言葉を無視して俺はカンカンとハンマーを鳴らす。

 「黙れ!! 大天使を汚した罪、万死に値する!! 死刑以外にその罪をはらす方法はない!!」

 「ちょっと待った!!」

俺の言葉に待ったをかけたのは弁護人席に立ったソーニャであった。

 「なんだエレブ壱式。こいつの罪は弁護の必要を認めないぞ」

 「確かにその通りよ、マスター。しかし、こうも言えるわ」

そしてソーニャはくわっと眼を見開く。

 「あのニノの可愛らしさに欲情する人物が現れても不思議ではない!! いえ!! むしろ自然であると!!」

さらにソーニャは机を力強く叩きながら言葉を続ける。

 「そして烈火組よ!! いまだかつてニノに欲情したことがない者だけがギムレーに石を投げなさい!!」

ソーニャの言葉に傍聴席にいた烈火組は視線を逸らした。

ソーニャの言葉に俺は腕を組んで考えてからハンマーをならす。

 「判決、有罪。大天使を汚した罪は重く、去勢処分をくだす。ついでにジャッファは処刑」

 『逃げるな死神!!』

 『判決はでたぞ!! 大人しく殺されろ!!』

 「では今回の裁判はこれにて閉廷する。医療班は被告人を連行して去勢せよ」

 「たとえ我の物理的チンコを奪ったとしても我の魂のチンコまでは奪えないぞ!!」




ギムレー
オタ活において多方面の英雄に迷惑をかけており、頻繁に訴えられる。

ヴァイス・ブレイブ裁判
下級裁判、中級裁判、最高裁判の三段階

クロム
娘の乳を盛ることは絶対に許さない

ニノのエロ絵
それをみて烈火組は怒り狂うがそれはそれとして絵は保存する



そんな感じで裁判ネタです。前々からネタはありましたがなかなか書くヒマがなかったのでようやく今回書けました。

最近pixivにてルキナがきょぬ~に描かれている絵をみかけて今回のネタが思いつきました。

ルキナはひんぬ~だからいいという風潮、あると思います


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エルクの実力

ぼけっと英雄一覧をみていたら烈火の魔術師でまだ触れていなかったエルクを発見!


そんなわけでエルクの実力編です


 「それじゃあ今日はここまで」

エルクの言葉にヴァイス・ブレイブ学園大講堂に集まっていた魔術師志望の学生達はわいわいと騒ぎながら大講堂から退出したり、教官であるエルクに質問をしに教壇に集まっている。

 「う~ん……」

ハピはそれを眺めながら首を捻る。

エルクの授業は上手いしわかりやすい。だが、風花雪月世界で召喚士、ヴァイス・ブレイブに来てからは召喚士に加えてパントとカナスというマッドな魔術師の指導を直接受けているハピにとっては『魔導ゼミでやったところだ!』くらいの授業内容でしかない。しかもこっちは突然何の前触れもなく致死クラスの呪いが飛んでくることもない。

『ビバ、命の安全性』と思いながらハピは腕を組んで考え込む。

 「う~ん……」

 「どうかしたんですか、ハピ」

 「あ、リシテア」

そんなハピに話しかけてきたのは甘いお菓子(通常の味覚の持ち主だと甘味で死ぬ)を食べながらやってきた天才魔法少女リシテアちゃんだった。

 「リシテアってエルク先生の応用魔術講義とってたっけ?」

 「私はとってませんけど、マリアンヌに代返頼まれまして」

 「マリアンヌは?」

 「先生の代理でアスク王国の偉い人と交渉だそうです」

召喚士の代理のマリアンヌの時点でアスク王国に交渉の勝ち目はないのでハピは内心で冥福を女神様に祈るが、その女神様もアスク王国でヒャッハーしているのを思い出してなかったことにする。

 「それで? ハピは何考えてるんですか? また先生から無茶ぶりでもされました?」

 「いや、無茶ぶりはされたけどそれは講義前に終わらせてるから問題ないんだよね。私が気になっているのはあの人」

ハピはそう言ってエルクを指差す。エルクは生徒一人一人の質問に真摯に答えている。

 「リシテアはエルク先生のことどう思う?」

 「先生やパントさん、カナスさんの教えを受けたのに正気を保っていて『それって一周回って狂っているのでは?』って感じですかね」

それについてはハピも同意見だったのでリシテアとガッチリ握手。

 「あと、あれですね。三マッドの教えを受けたのに魔力量少ないですよね。技術や知識がそれを埋めていますけど」

そうなのだ、リシテアの言う通りエルクが放出している魔力量は三マッドに比べたらゴミみたいなものだし、ハピやリシテアと比べてもハピ達のほうが圧倒的に上だ。

だが、エルクにはそれを補うほどの技術と知識があった。

 「セシリア先生もエルク先生の教えを受けたそうですし、教官としては優秀なんでしょう」

 「う~ん、そこが引っかかるんだよねぇ」

 「引っかかる?」

リシテアの問いにハピは眼を瞑って手をふわふわ動かしながら言葉を続ける。

 「なんていうかさ、エルク先生って本当に『優秀な魔術師』なんだよね。『これが魔術師の理想!』って感じが強くてさ」

 「まぁ、わかりますね」

 「それが妙に引っかかってさ。なんかすごい質の悪い詐欺に引っかかってるような……師匠や大師匠の『今日は休み』って言葉を信じたら夢の中で抜き打ち試験が始まったみたいな」

ハピの言葉にリシテアは再びエルクをみる。だが、すぐに首を傾げた。

 「ですが放出されている魔力量をみると、ハピの師匠や先生のようないかれた魔力を持つ魔術師には感じませんが?」

 「そうなだよねぇ」

ちょっと腕利きの魔術師になれば常日頃から放出されている魔力からその魔術師の力量を図ることは簡単にできる。しかもハピはみっちりと、リシテアも政治を学ぶ片手間だが教えられた相手は魔術の腕前で神に成り上がった召喚士の生徒だ。相手の力量を見極めが生死に直結するのでその眼力は確かだ。

そしてリシテアは『魔力はそうでもないが技術と知識が変態』という烙印をエルクに押した。

しかし、ハピは(主に三マッド)によって鍛えられた危機察知能力がエルクを下にみることを警戒していた。

 「ほっほ~、流石はハピさん。いい読みしていますね」

 「「ラクチェ院」」

そして突然床下からこんにちわしてきたラクチェに普通に突っ込むリシテアとハピ。周囲の生徒は突如床から生えてきたラクチェに驚愕しているが、ラクチェの奇行を知っている+ラクチェは召喚士の娘ということを知っているので特に驚かない。

ラクチェは床下から「よっこらセックス」と言いながら這い出てくると、ハピとリシテアの肩に手を回す。

 「ふっふっふ、このヴァイス・ブレイブにおいて知らないことはないラクチェちゃんがエルク先生の秘密を教えてあげてもいいですよ?」

 「条件は?」

ハピの言葉にラクチェは指を三本立てる。

それにハピは即座に財布から金貨三枚をラクチェに渡した。

 「思い切りがいいですねぇ」

 「情報は命に直結するからね」

 「う~ん、パパの生徒の優秀さにラクチェちゃん軽くドン引き!! リシテアさんはどうします?」

ラクチェの言葉にリシテアは金貨五枚をラクチェに渡してくる。つまり必要な情報を全て吐けと言ったようなものだ。

ラクチェはニマニマしながら受け取った金貨八枚をプラチナに錬金しながら説明を始める。

 「結構単純な話ですよ。エルクさんは常に放出している魔力量を制限しているんです」

 「なんでそんな真似を?」

ハピの疑問も当然だ。放出されている魔力はその魔術師の強さの証と言ってもいい。それを制限するというのは周囲に『自分は弱い魔術師です』と言っているようなものだ。

ハピの問いにラクチェはプラチナを屑鉄に錬金しながら言葉を続ける

 「烈火時代にエルクさんはパパと愉快なマッド二人に教えを叩き込まれていました。ですがエルクさんが直面したのはパパ達に比べて圧倒的に非力な自分の魔力量でした」

神になった召喚士と、その召喚士と同等の力量を持ったパントとカナス。普通に考えておかしいのは圧倒的に三マッドのほうであるが、エルクはそう思わなかったらしい。

 「自分の才能に見切りをつけたエルクさんは『圧倒的な魔術で相手を押しつぶす』という三マッドの戦い方ではなく、自分独自の戦い方を編み出します」

錬成した屑鉄を再び金に錬成しながらラクチェは指をピンと立てる。

 「すなわち『相手より常に劣った魔術師だと錯覚させて油断した相手を確殺する』という戦い方です」

 「「いや殺意!!」」

ハピとリシテアの突っ込みも仕方ない。それだけエルクの魔術には殺意しかなかった。

 「ま~、パパ達の世界は割と世紀末な感じで『殺すか殺されるか』みたいな超危険な感じみたいなのでエルクさんもそんな思想になったようですね」

ラクチェの言葉にハピとリシテアの視線がエルクに向かう。

エルクは使用した教科書を纏めると大講堂からでていっている。その後ろ姿は『殺そうと思えば殺せる魔術師』そのものである。

だが、実際に殺そうと思うと返り討ちにあう可能性が高いのだ。

そんなエルクをみて思わずハピは呟く。

 「烈火世界こわぁ……ハピちゃん風花雪月出身で良かったぁ」

 「あ! ちなみにエルクさんの本当の魔力量はハピさんレベルであるんで普通に戦っても超強いですよ!!」

ラクチェの最後の情報に烈火世界の修羅レベルを思って背筋が寒くなるハピとリシテアであった。




ハピちゃん
風花雪月世界において召喚士の教えを一番受けた生徒。そのためにエルクの違和感にも気づいた

リシテア
甘味は最低でも脳に突き抜けるレベルが必要

エルク
殺意高めの面倒見のいい魔術師。比較対象が三マッドなので自己評価は低いが普通に大魔導士である

魔術師が放出している魔力量
大きければ大きいほど魔術師としての実力が高い。自己鍛錬の果てに魔力量は増減するので普通は隠すという発想にはならない。だからエルクの『魔力隠し奇襲確殺』は成功する。



そんな感じでエルク編です。

自己評価低くて殺意高めのエルクですが、教官役は我らが狂った三魔術師なので普通に大魔術師レベル。しかしエルクにとっての大魔術師は三マッドレベルなのであくまで自分は『平凡より上レベル』という判断

平凡とはなんなのか。

そして鍛え抜かれた第六感によりエルクの危険性を見抜いたハピちゃんマジ優秀


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

異世界放浪天馬騎士・カリン

ガチャ実装初日に引いてネタはあってもずっと書いていなかったカリンをようやく登場させられました。

さぁ!! 召喚士と誰の子供かな?


 「え?」

ヴァイス・ブレイブの食堂でカリンは思わず呟いた。カリンが注文したのは何が美味しいのかわからなかったのもあって日替わり定食。普通の定食屋であれば量も味もいい定食がでてくるであろう。しかし、ここかヴァイス・ブレイブである。普通ではない。

それは肉というにはあまりにも山であった。皿に溢れんばかりの肉。米の上にも肉。本来スープが入ると思われる器にスープはなく、そこにもやはり大量の肉があった。

 (いや、どう考えても量もおかしいし何より野菜がない)

そんなわけで(何故か食堂で働いている)ナーガに声をかける。

 「あの、すいません」

 「なんですか!? 足りないんですか!?」

否定する間もなくカリンの持っているトレーにクソほど肉が乗った皿が追加された。

 「ほら!! 受け取ったらさっさと行く!!」

ナーガに怒鳴られてすごすごとカリンは肉しかないトレーを持って席に着く。椅子に座ってカリンは改めて持ってきた定食をみる。

肉しかなかった。

 「いやいや、おかしいでしょ」

父を探して異世界を旅していた時にできた友人のウマ娘であるオグリキャップなら食べきれるだろうが、残念ながらカリンは人耳の人娘だしそのオグリキャップもこの場にはいない。

とりあえずカリンは米を探そうと茶碗の肉の山を持ち上げる。

そこにも肉がでてきてカリンは軽く絶望した。

 「カリン姉さま!!」

 「あ、ロリルバ」

そして自分の料理(お子様ランチ)を持って嬉しそうにカリンに駆け寄ってくるミネルバ(ロリの姿)。その後ろにはパオラ、カチュア、エストのロリペガサス三姉妹も料理(お子様ランチ)をそれぞれ持って慌てた様子でやってくる。

 「カリン姉さま、私も一緒に食べていいですか!!」

 「うん、もちろん」

ヴァイス・ブレイブに来た当初は腹違いの姉妹がいっぱいいることに驚いたカリンであったが、キチガイだらけのうえにカリン本人にもその素養があったのですぐに慣れた。

なによりロリルバが純粋でいい子だったのも大きい。今もロリルバの頬についたソースを紙ナプキンでふき取るパオラ(ロリ)、口の回りをソースでぐちゃぐちゃにしているエスト(ロリ)の世話をしているカチュア(ロリ)。その光景は微笑ましさしかないし、発狂した紳士(ロリコン)は治安維持部隊によって連れていかれた。

 「ねえ、ロリルバ」

 「うん? なんですかカリン姉さま!!」

元気のいい返事に『私の腹違いの妹可愛いなぁ』とシスコン思想をしながら疑問に思ったことを聞く。

 「私のこれ日替わり定食だよね」

 「はい!! それを注文するなんてカリン姉さまはすごいです!!」

注文しただけで勇者扱いされる日替わり定食ってなんだと思いながらカリンは言葉を続ける。

 「このメニューは今日だけだよね?」

 「はい!! 日替わり定食ですからね!! 明日になったら変わります!!」

 「うんうん、そうだよね」

 「はい!! 今日は豚肉ですけど明日は牛肉だったはずです!!」

 「んんんん?」

ロリルバの言葉にカリンは首をのけぞる。それに苦笑しながらパオラが口添えしてくる。

 「ここの日替わり定食はサカの民の方々の『草を食べるのは偽善』という強めの肉食文化があるので、日替わり定食は牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉のローテーションで回っています」

 「草は?」

 「茶碗の底のほうに3粒あるはずです」

言われた通りカリンは茶碗の肉を皿に乗っている肉(山もり)のほうに移しながら確認してみると、米1粒は確認できたが他2粒は確認できなかった。

 「カリン姉さまカリン姉さま!!」

 「うん? なにロリルバ?」

とりあえず山になった肉を食べ始めたカリンにロリルバが話しかけてくる。

 「カリン姉さまはお父様を探して異世界を旅していたんですよね?」

 「うん、まぁ」

最初の目的は父を探してだったが、旅の途中で面白くなって父を探すのはほっぽりだして遊んでいたのだがそれは置いておく。

 「何か異世界のお話をしてください!!」

ロリルバの言葉にカリンはちょっと困る。何せ子供には刺激が強い異世界が多い。数少ない喋れそうな異世界はウマ娘の世界だが、あそこには馬という生物がいないのでペガサスの存在が軽く騒ぎになって結論として死にかけたので喋りたくない。

 「そうだなぁ、私が行った世界にテイワットって世界があるんだけどね」

 「はい!!」

カリンが喋り始めるとロリルバは眼をキラキラさせてみてくる。パオラ、カチュア、エストのロリ三姉妹も気になっているようでちらちらとカリンをみてくる。

内心で会話のハードルが上がったと思いながらカリンは言葉を続ける。

 「とっても綺麗な世界で旅のし甲斐のあるいい世界だったんだけどね。魔法がなかったり『神の目』って呼ばれる魔法に似た力を扱える道具があったりで」

カリンの言葉にロリルバはふんふんと頷いて聞いている。

 「まぁ、でもそこの世界の神様が基本的に問題しかなくって」

雷神ヒキニートとか飲兵衛放浪者風神とか民なげっぱなし岩神とかである。

そしてテイワットで友人になった蛍やその他大勢との思い出話を語っていると入り口が騒ぎが起きている。

カリンが気になってそっちをみると母親であるマーニャとディートバが言い争いをしていた。

それをみてカリンは目元を手で覆って天井を見上げる。そんな二人をみながらロリルバはにこにこしながら口を開く。

 「マーニャ母様とディートバ殿は仲良しですね」

 「うん、まぁそうだよね」

実の娘であるカリンにとって母であるマーニャは色々と面倒な存在だ。特に知るわけないのに執拗にレヴィンとフュリーのなれそめを聞き出そうとしても困る。知るわけがない。

そして二人が興奮して武器を取り出して治安維持部隊に逮捕されて自分とフュリーが身元引受人として詰所まで迎えに行くことになることもすでに数回経験している。

なので席から立って小走りでマーニャ達のところに向かう。

 「お母さん!! 食堂で騒がないで!!」

 「け、けどカリン!! ディートバが王子はヘタレ受けだって!! 王子は絶対にフュリーに対しては鬼畜攻めなのに!!」

基本的に仲の良いマーニャとディートバだがレヴィン×フュリーなのかフュリー×レヴィンなのかで論争を起こして武器を取り出す騒ぎにまで発展する。

だからカリンは大きな声で宣言する。

 「あの女性をすけこましておきながらろくに女性経験のない王様が攻めなわけないでしょ!!」

 

食堂の片隅にいたシレジアの王子が完全に流れ弾で吐血したのをみたのは、王子を介抱してくれたドーマだけであった。




カリン
シレジアのペガサスナイト見習い。父に召喚士、母にマーニャを持つ。フュリーは叔母だしセティなどとは従兄妹。どうやら父の異世界召喚体質を引き継いで色々な世界を旅していた模様。

ロリルバ
腹違いの姉妹がぽこじゃか増えても気にせずに慕う天使

レヴィン
なんとなくすけこましの印象が強いんですよね(風評被害

草を食うのは偽善
By 神々のいない星でより

テイワット(原神世界)
カリン 星4 武器:長柄 元素:闇



そんな感じでカリン編です。

ガチャの動画みた時から引こうと思ってたカリン、とりあえず1凸はしたのであとはゆっくりと10凸していきます。スキルどうしよっかなぁ

そしてマーニャと召喚士の娘という設定を付与。これによって原作に存在していた姉がいる設定がどうなるかは不明です。

というか聖戦かトラキアにカリンの姉ってでてきましたっけ

そして今年もやってきたロリショタガチャ。作者はあまり引く気はなかったので無料の赤を引いたところロリワユ参上。

君は誰の子だろうねぇ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

消えたオーブの行方

闇落ちガチャで搾り取られたオーブ、しかし、そのオーブも戦禍の連戦でいくらか補充されていた。

しかし、ある日オーブがなくなっていることにリンは気づく。

果たしてリンは犯人を見つけることができるのか……!


正座する俺の正面に額に怒りマークをつけたリンが仁王立ち。そのあまりの怒りのオーラに俺とリンの娘であるKiliaは即座にトーゴーターンをして逃亡した。

実の娘すら恐れるリン。まぁ、ある意味でFE屈指の修羅民族サカの民を怒らせた時点で命はピンチであるのだが。

 「で?」

怒りのこもった声で単語一つ。それは怒られている内容がわかっているよね? と意味していた。

だが、残念ながら俺には怒られる心当たりはクソほどあるし、どの内容もリンがここまで怒ることがないというのはわかりきっている。

だから俺ははっきりと告げる。

 「さっぱりわから」

最後まで言い切ることもできず俺はお腹にリンの前蹴りをくらってふっとび、壁をぶち抜いて隣の空室へと飛び込んだ。

リンは空室でドッキングの真っ最中だったアレスとリーンに軽く挨拶してから地面でのたうち回っている俺を回収して元の部屋に戻る。

 「軍師、私は本気で怒ってるの。理解してる?」

 「り、理解はしているが何をそんなに怒っているのかわからない」

俺の首筋に忍の刀がかかった。

 「そろそろリンに新しい武器欲しいな」

 「なかなかいい武器でないのよね……じゃなくて、本当に理解してないの?」

 「命にかけて」

 「軍師の命は羽より軽いからそれを賭けられてもね」

酷い話だ。

本気で理解していないことがわかったのか、リンはため息をつきつつ口を開く。

 「オーブ」

 「把握」

つまり無断でオーブを使い込んで英雄を召喚したのがバレた模様である。

呆れながらリンは手を腰にあててとうとうと説教をする。

 「いい? あなたは先月の闇落ちガチャでどうなった?」

 「闇落ちニニアンがまさかのエリウッドと結婚している世界線でノーマルニニアンが闇落ちしたな」

 「せっかく忘れていたことを思い出させるな……!!」

まさかの闇落ちニニアンのほうが幸せになっている現実にニニアンが荒れ、それをニルスが無自覚にとどめを刺した結果、烈火女性陣は大変な思いをしたようである。

 「あの後ニニアンが部屋の変更を申請してエリウッドの隣室になったんだけど、何か起こるのか?」

 「あなたとヘクトルが喜びそうなことになるわね」

 「ひゃっほぅ、腹黒が苦労するとかメシウマ案件だぜ!!」

いつも美味しいところだけ持ってくあの腹黒もたまには苦労したほうがいい。

それはそれとしてリンは言葉を続ける。

 「レア召喚に使ったオーブの数は?」

 「ギリ天井を叩かなかった、と言っていこう」

闇落ちニニアンが五回くらいででたと思ったら闇落ちレアで死ぬほど沼った。そして召喚されたレアは闇落ちのはずなのにセイロスの装備違い扱いであった。

つまりレアは最初から闇落ち。

 「そう、オーブの残り少なかったけれど花嫁の戦禍の連戦があるから補充できるはずだったわね」

 「そうだな」

 「だったらなんでオーブが15個しかないの! 花嫁もヘクトルとエリウッドを沈めて回避だったはずでしょ!!」

怒り狂った表情で怒鳴るリン。その怒りもわかる。何せ課金するお金の出どころは俺一家(俺、リン、フィオーラ)の財布からだ。自称妻として見逃せないのだろう。

だが、俺には絶対にひかないといけない使命感があった。

それを説明するより先に部屋がノックされ一人の女性が入ってきた。

 「兄上、とりあえずレベル40になりました」

 「ああ、お疲れ様」

 「セライナだったかぁ……」

部屋に入ってきたのはフツメンの俺と違って超美人(重要)のマイスウィートシスターセライナであった。

そしてその服装は水着ではなくノーマル装備!!

 「つまりそういうことだ、リン」

 「一発で納得できる理由がきたわね」

 「?」

俺の言葉にがっくりと肩を落とすリン、それを不思議そうにしているセライナ(ノーマル)。

そう、ノーマルセライナピックアップである。それを知った俺はヘクトルとエリウッドを囮にしてリンやフィオーラの意識を向けさせ、その隙にオーブを全て盗み出して召喚石板に突っ込んだのだ。

一回つばさがすり抜けて俺の怒りが有頂天になったがその直後にでてくれて兄妹の絆の強さを見せつけた。

がっくりと肩を落としているリンを横目に俺はセライナに向き直る。

 「怪我はないか」

 「あ、兄上。私はこれでも蛍石の異名をもつ将でもあります。怪我くらいは」

 「セライナが怪我をしたなら俺は世界を滅ぼすこともいとわないぞ」

 「あ、兄上…!」(感動)

 「ほんとこの兄妹は……」

リンが死ぬほど呆れている気がしたが強く抱きしめ合っている俺とセライナには届いていない。というか無視する。

 「すいません、召喚士さん。ギネヴィアさんの秘伝書がなくなっている……あ(察し」

そして今度はフィオーラがなくなった秘伝書の行方を尋ねるためにやってきたがノーマルセライナをみて全てを察した表情になる。

判目になりながらリンが一応確認してくる。

 「私もフィオーラもわかっているけど一応確認するわね。ギネヴィアの秘伝書は?」

 「セライナに使ったが何か問題でも?」

まったく悪びれない俺の姿にリンとフィオーラは大きくため息をつくとセライナのほうに向き直った。

 「セライナ、SP稼ぎは終わった?」

 「いえ、まだです」

 「でしたら私達が付き合いますよ

 「待て! レベル上げには付き合えなかったがSP稼ぎなんで一緒にいられる時間が長いものは俺も一緒にいくぞ!!」

セライナを連れてでていくリンとフィオーラを俺は慌てて追いかけていくのであった。




セライナ
ついにノーマル装備を手に入れた鬼畜クソ外道の実妹。ヴァイス・ブレイブでは似てない兄妹と大評判

召喚士
妹のためなら友人を犠牲にすることもいとわない

リン&フィオーラ
義妹との仲を深めようと行動中

闇落ちニニアン
まさかのエリウッドと結婚している世界線でノーマルニニアンが闇落ちした

アレス&リーン
アレスくんが性的に襲われていた模様




そんな感じでセライナ将軍召喚編です。

本文にある通り闇落ちガチャにオーブを搾り取られたのでしばらくガチャ禁するつもりがまさかのセライナ将軍ピックアップで花嫁ガチャ無視して突っ込んでいました。そして無事に召喚完了。これには召喚士も大満足

そして引いた後に気づいたんですが、この小説のためにオーブは使わないって決めて更新頻度落としたのに小説のためにセライナ将軍をひいたことに気づく。

でもセライナ将軍美人だから仕方ないね(なお、聖魔はやっていない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

召喚士とケント

おぃぃぃぃぃ!!!オーブない時にケント実装とかふざけんな!!


あ、無事に天井して弓フロリーナ、ケント、セイン確保しました(白目


 「いや、しかし召喚士がケントをよぶなんてね」

 「リンが召喚を望んだ。俺に拒否権はない」

 「「尻に敷かれてて草」」

即座に俺とヘクトルとエリウッドで罵倒の飛ばし合いが発生したがおおむねいつも通りである。

 「そして召喚を確実にするためにこの場にリンが連れてきた」

 「まぁ、リンがいたら召喚は確実だよなぁ。まぁ! 俺はフロリーナが召喚されて満足だけどな!」

 「「その嫁はリンにべったり」」

 「お前が嫁を奪ったぐぼっはぁっ!!!!」

リンに殴りかかったヘクトルは見事にカウンターパンチをされて吹き飛んだ。

ちなみにすでに新フロリーナは召喚済みだ。その過程で赤にもオーブを突っ込んだが俺とヘクトルとエリウッドの三人では召喚できなかった。

なのでケントの主君であるリンを呼んだのである。

地面に伸びているヘクトルを無視して俺は石板を起動する。

赤オーブが2つ。

俺は正直気が進まないので赤オーブを無視したいのだが、リンが無言で「やれ」と圧力をかけてきたので俺は赤オーブを石板に叩き込む。

舞い上がる土煙、浮かび上がるシルエット。

そして現れる見るからに真面目そうな男。

 「私はキアラン侯爵家に仕える騎士、ケント。共に力を合わせ、勝利を我らの手に導こう」

 「来ちゃったかぁ……」

俺に一切視線を向けてこないクソ真面目騎士ケントを横目に俺は手で目元を覆う。

そんなケントをみてリンが前にでる。

 「久しぶりね、ケント。あなたの武勇、期待しているわ」

 「はは、この身、リンディス様のために捧げる所存です」

リンに騎士の礼をとるケント。その姿はまさに忠義の騎士であった。

そして今度はエリウッドが前にでて手を差し出す。ケントもその手をとって握手をする。

 「久しぶりだね、ケント。君が来てくれるとは心強いよ」

 「エリウッド様も御息災のようでなによりです。また共に戦えること、嬉しく思います」

力強く握手すると今度はヘクトルが前に出て手を差し出す。その手をケントは握る。

 「よう、ケント。また手合わせしようぜ」

 「ヘクトル様との手合わせは私もまた一段上にいけます。こちらからお願いしたいくらいです」

力強く握手をしてから手を放すヘクトル。

そして今度は俺が前に出て手を差し出す。

 「よ、よう、ケント。前の世界では『バシ!!』……」

俺の手を思いっきり叩くケント。その視線は冷たい。

無言の召喚室。笑いを堪えるリン、床をバシバシ叩いてお腹を抑えているバカ二人。

落ち着け、俺。俺は数多くの英雄と絆を結んだ男。これくらいのことで怒るんじゃない。

俺は気分を落ち着けると再び手を差し出す。今度は笑顔も忘れない。

 「よう、ケン『ぺっ!』……」

顔面に唾を吐かれた。

それをみて身体をまげて笑いを堪えているリン。爆笑しているバカ二人。

落ち着け、吐きつけられた唾を拭いて気分を沈めろ俺。そう。俺は人の身から神となった身。この程度の人間の無礼で気分を害するんじゃない。

そして俺は改めて笑顔で手を差し出す。

 「よ「気安く話しかけるな鬼畜クソ野郎」……」

ご丁寧に中指をたててくれるケント。

ふぅ、そうか。あくまでそういう態度をとるか、ケント。

 「うん? どうしたクソ真面目騎士。不機嫌じゃないか。リンがキアランじゃなくて俺を選んだことがそんなに不快か? ああ、それともお前が惚れていたフィオーラが俺に惚れたことか? いやぁ! 申し訳ないなぁ!!」

 「ぶち殺すぞきさまぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 「うん? どうしたケント!! いつも真面目な君らしくないじゃないか!! どうした? 言ってくれないとわからないじゃないか!! あはははははははは!!!!!!!」

俺の胸倉を掴んでぶちぎれた表情を浮かべるケント。普段クソ真面目なケントをキレ散らかせて煽るの最高にたぁぁのしぃぃぃぃぃ!!!!

そしてそんな俺とケントの間に入ってくるリン。

 「はいはい、そこまで。あまり前の世界のことをここに持ち込まないの」

 「リンディス様!! この鬼畜クソ外道を野放しにしておくのは危険すぎます!! この世界のためにすぐに処刑命令を!! そうすれば私がすぐにでも首を刎ねます!!」

 「リンが俺を殺す命令だすわけないじゃないですかぁぁぁぁ!! その程度もわからないくらいぼけちゃいましたかぁぁぁぁ!!!!」

 「ぶち殺すぞ貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

俺の煽りに即座に怒り狂った表情で俺おを胸倉を掴み上げるケント。

そしてリンが手を叩く。

 「はいはい、そこまで。ケントのレベルは……あら? すでにレベル40でスキル継承も終わってるわね。それじゃあ戦禍の連戦にいって」

 「し、しかしリンディス様!!」

 「行け」

 「ほら、さっさと行けよ忠犬」

 『ギリギリギリギリギリ』

俺の煽りに憤怒の表情を浮かべて歯ぎしりをするケント。

だが、リンが最後に声をかけると、すぐに表情を落ち着けて綺麗な礼をする。

 「では、キアラン侯爵家騎士ケント。リンディス様の命に従います」

 「ええ、お願い」

リンの言葉に再び綺麗な礼をすると立ち去るケント。最後に俺に中指を立て、睨みつけるのを忘れない。

 「あ~、面白かった」

 「相変わらず仲悪いなぁ、お前ら」

爆笑しながら俺とケントのやり取りをみていたエリウッドとヘクトルがやってくる。

 「あの~」

 「「「「あれ? セインいたの?」」」」

 「き、来て早々に相変わらず扱い悪いな!!」




ケント
リンに忠誠を誓うキアラン侯爵家騎士。真面目すぎて融通がきかない。そして過去にフィオーラに惚れていた。
どう足掻いても召喚士との相性が最悪である。

リン
本名・リンディス。忘れられているかもしれないがキアラン侯爵家の娘なのでれっきとした貴族である(しかし蛮族である

召喚士
リンとフィオーラの件があってケントとの仲は最悪

セイン
女好きなキアラン侯爵家騎士。三馬鹿の囮にされたり三マッドの実験台にされたりと基本的に扱いは雑



そんな感じでケント編です。

原作の頃から大好きだったケント。作者がソシアルナイトやパラディン好きになったのは実はケントの影響。なので召喚して速攻でスキル継承して即戦力にしました。10凸もする予定(現在1凸


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

勇者爺誕生!!

みなさん、RGガオガイガーは買えましたか?


 「お~い、ギュンター」

 「おや、召喚士殿。それにニュクス殿も一緒ですか」

ギュンターがいつものように訓練場で鍛錬していると、やってきたのはいつものようにフードで口元しか見えていない胡散臭い男召喚士。そして召喚士と何らかの繋がりがあると言われているニュクスであった。

ギュンターは振っていた3mはある大斧を置いて二人を迎える。

 「何か私に用ですかな?」

 「ああ、ちょっと武器を試して欲しくてな」

 「おや、私にですかな。珍しいですな」

ギュンターの言う通り、召喚士などの三マッドが開発した新武器の実験は同じ世界の出身者や圧倒的な力を持っている神々が行うことが多かった。

ギュンターの言葉に召喚士は頷く。

 「今回の武器はちょっと扱うに条件があってな」

 「条件?」

 「ああ。ギュンター、ちょっと聞くがお前が相手より力が劣っている時はどうやって戦う?」

 「気合と根性と勇気ですかな」

 「パーフェクトだよ」

ギュンターの即答に召喚士は拍手してギュンターを称える。

ギュンターはそれに首を傾げながら口を開く。

 「ですが、武器は持ってきていないようですが?」

 「? あるだろ」

 「? いえ、ありませんが」

 「え?」

 「え?」

ギュンターと召喚士がお互いに首を傾げる。すると今まで黙っていたニュクスが口を開いた。

 「ギュンター、武器とは私のことよ」

 「ニュクス殿が? どういうことですかな」

 「ああ!! そっか!! ニュクスの正体を知らないのか」

ニュクスの言葉にギュンターの疑問が深くなると今度は召喚士が納得したような声をあげた。

 「召喚士殿、ニュクス殿の正体とは?」

 「その前にこいつのことどれくらい知ってる?」

 「神々に呪われて不老不死になった、そう聞いておりますが」

 「お前嘘ばっかじゃん」

 「そっちのほうが悲劇っぽくていいでしょう?」

召喚士の突っ込みにニュクスは惚ける。

そして召喚士はギュンターにニュクスの説明を始める。

 「こいつは神々が俺を殺すために俺の遺伝子を利用して作り上げた神造兵器だ」

 「ちょっとお待ちを」

あまりにも召喚士の爆弾発言にギュンターは米神を抑える。

 「ニュクス殿は召喚士殿を殺すために神々が作り上げた召喚士殿のクローン」

 「まぁ、そうとも言えるな」

他にも色々突っ込みたいが、ギュンターも英雄の中でがヴァイス・ブレイブの古参メンバーだ。トンでも話にも慣れている。

 「まぁ、いいでしょう。それでニュクス殿が武器というのは?」

 「ああ、こいつが神造兵器って話を今したろ? だからこいつを改造して武器の姿にできるようにしたんだよ」

ニュクスの人権が完全にアウトな発言だが、ギュンターがそれに突っ込んでも「いや、こいつは兵器だから人権なんてねぇよ」という返答が返ってくるだけだろう。

 「なるほど。ニュクス殿が武器というのは理解しました」

 「話が早くて助かる。今回お前に使って欲しい武器はこれだ。ニュクス」

 「ええ」

召喚士の言葉にニュクスは光輝き始めると、姿が変化していく。

そして光が消えた時、ニュクスの姿は巨大なハンマーになっていた。

 「これは俺とパントとカナス。それに神々の権能を利用して作り上げた超兵器『勇者王の槌(ゴルディオンハンマー)』だ」

 「ゴルディオンハンマー」

 「ああ。勇者王の槌と書いてゴルディオンハンマーと読む」

召喚士の謎の拘りを無視してギュンターはゴルディオンハンマーを掴み、持ち上げる。

そしてそのまま軽く振ってみると、驚くほど手に自然と馴染んだ。

 「使い勝手がよさそうですな」

 『私が変化している姿だから、持ち主に使い勝手をあわせることも可能よ』

ゴルディオンハンマーからニュクスの声が聞こえても動じないギュンター。なにせこのヴァイス・ブレイブにはもっとsan値がピンチなことが頻発する。

 「それじゃあちょうどよくエンブラの配下が攻めてきたからそれの迎撃にいってくれ」

 「承知いたしました」

 

 

 

 「ふん!」

ギュンターはゴルディオンハンマーを振るって敵の頭を吹き飛ばす。

巨大な武器は質量そのものが武器になる。そしてゴルディオンハンマーはギュンターの身長以上の武器だ。それを振るえばその重さだけで敵は死ぬ。その証拠のように盾でゴルディオンハンマーを防いだ敵はもれなく押しつぶされた。

攻め立てるのをやめてギュンターを遠巻きにみているエンブラの兵士をみやりながら、ギュンターは思わず呟く。

 「数が多いですな」

確かにギュンターもヴァイス・ブレイブでも屈指の強さを誇る英雄だが、修羅連中のように人間をやめているわけではない。数が多すぎれば流石に疲れてくる。

 『ギュンター、召喚士から通信が入っているわ』

 「つなげてくだされ」

ニュクス(ゴルディオンハンマー)の答えにギュンターが答えると、現れた画面に召喚士が映る。

 『ゴルディオンハンマーの使い勝手はどうだ、ギュンター』

 「抜群にいいですな」

 『私なんだもの。当然ね』

ギュンターの言葉に何故か自慢気に答えるニュクス(ゴルディオンハンマー)。

それに笑いながら召喚士は言葉を続ける。

 『通常出力のデータはとれた。次は超稼働のデータが欲しい』

 「超稼働とは?」

 『あ~、あれだ。カンナ達がみているアニメにでてくる必殺技みたいな奴だ』

召喚士の言葉にギュンターは納得する。確かにギュンターの主君であるカムイ達の子供であるカンナ達がみているアニメに技名を叫んでだす攻撃があった気がする。

年寄りでいまいち理解できないギュンターに熱心に説明してくれた姿がとても微笑ましくてギュンターもよく覚えている。

 『稼働方法はニュクスに聞いてくれ』

召喚士はそう告げると画面が消える。

 「それでは教えていただけますかな、ニュクス殿」

 『ええ。と言っても基本的に音声認識だから問題ないわ。まず「ゴルディオンハンマー!発動承認!」と叫んでくれるかしら?』

ギュンターにはよくわからないが、カンナ達がみていたアニメでも必殺技の前に何かしら叫んでいたのでそういうものだと理解してギュンターは叫ぶ。

 「ゴルディオンハマー!発動承認!!」

 『セーフティデバイス、リリーブ!!』

ギュンターの叫びに反応してニュクス(ゴルディオンハンマー)から光がでてギュンターと愛馬に纏い、そして一本の光の釘が飛び出て地面に突き刺さる。

 『いまよギュンター!! あの光の杭に「ゴルディオンハンマー!!!!」と叫びながら私を打ち付けて!!』

何やらニュクスのキャラが変っている気がするが、ギュンターは気にせずにニュクス(ゴルディオンハンマー)を振り上げる。

 「ゴォォォォルディオン!! ハンマァァァァァァァ!!!!!!!」

光輝きながら光の杭に打ち付けられるニュクス(ゴルディオンハンマー)。

ゴルディオンハンマーから放出される強烈な重力波が光速以上の速度で落下し、それが光の杭を通じて地面に響き渡り直径50kmに渡って光になって消滅した。

敵も綺麗に光になった超巨大な爆心地でギュンターは思わず呟く。

 「これはジョーカーとフェリシアの罰にちょうどいいですな」

 『いや、光になるわよ?』




ギュンター
勇者爺。古参なので召喚士などのトンでも行動に慣れている

ニュクス
神々(主にヘル)が召喚士を殺すために召喚士の遺伝子を使用して作り上げた神造兵器。その成り立ちから三マッドによって超兵器として改造される

ゴルディオンハンマー
三マッドと神々の悪乗りによって開発された超兵器。敵は光になる。しかし運用には勇気が必要

カンナ達
必殺技を手に入れたギュンターを尊敬の眼差しでみる

ジョーカー&フェリシア
ギュンターによって光にされたがカムイ達のよびかけによって復活した



そんな感じで勇者爺ギュンター爆誕です。

最初はスルーしたRGガオガイガー。でもネットでみていたらあまりの出来の良さにちょっと欲しくなりました。

そして勇者王になるギュンター。透魔王になったり忙しい爺だ。

何故ギュンターかというと作者が10凸している斧キャラがカミラ姉さんとギュンターだけだからです。
ゴルディオンハンマーをおしおきの道具にしちゃううっかりギュンター(でも復活するジョーカーフェリシア)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神々の遊び

あけましておめでとうございます!!(でか声


俺が腕組みしながら呆れたように正座している女神をみる。

女神はそんな視線を受けながら大きいお胸ごと小さくなりながら罰が悪そうにそっぽを向いている。

世界を救う英雄に降臨するつもりがうっかり神である俺に降臨してしまったセイズである。

 「おいす~……あれ? 修羅場?」

 「違う。いや、いる意味で修羅場かもしれんが」

そこにやってきたのは年末は日本にいってついに憧れのコミケにサークル参加してきた同人作家ギムレー先生。今日はルフ男バージョンである。

 「なになに、今回セイズ何やったの? 夜這い?」

 「その場合この駄女神が生き残れるとでも?」

 「うぅ……シフは愛していますが人の子らが怖すぎます……」

ちなみにシフとはセイズとかの世界での俺の名前である。召喚されて早々に俺に夜這いを仕掛けたセイズであったが、女神パオラ様システムによって捕縛。その後はリンとフィオーラなど俺に言い寄る女性英雄達によって連行され、結論から言うと一回天に召された。

その後に再び降臨して「人の子ら、怖い……」となったのは仕方ないことだろう。

 「んじゃ、何やったの?」

 「ギムレーは年末にやった神々の飲み会で『人類危機一髪!! 救うのは英雄である君だ!!』の企画したの覚えているか?」

 「あ! 覚えてる覚えてる! 我達が用意したちょっと人類滅びるレベルの災厄を一般人に我らで力授けて救わせる遊びだよね!!」

 「そう、それ。で、本人の強い希望でその選ばれた一般人に力を授ける役はセイズだったわけだが」

 「……まさか」

ギムレーも感づいたのか呆れたまなざしでセイズをみる。その視線に益々小さくなるセイズ。そしてそのセイズの動きによって形のかわるおぱ~いの動きでギムレーの股間が一瞬テント張ったかと思うと元に戻った。

俺はそれを無視して言葉を続ける。

 「こいつ俺に降臨しやがった」

 「うわぁ、二回目じゃん。学習しなよ、セイズ」

そう、力を授ける降臨にセイズは再び間違って俺に降臨してしまったのだ。ベッドで寝ようとしていた俺の前に降りてくる光の柱。そして光の柱の中から神々しさMAXの姿で出てくるセイズ。『人の子よ!?』。そしてセリフの途中で致命的ミスをやらかしたことに気づいて声が上ずるセイズ。

そして正座になって今に繋がる。

そんな正座姿のセイズが手を挙げる。

 「言い訳よろしいでしょうか?」

 「言ってみろ」

俺が発言を許すとセイズは今度は胸を張った。胸を張った衝撃でぷるんと揺れた胸をギムレーが隠し持っていたカメラで撮っていることを無視しつつ、俺は発言を促す。セイズも気づいた様子がなく堂々と言い訳を始めた。

 「シフが悪いと思います」

 「お前、俺に責任転嫁するつもりか?」

 「ち、違います!! 例えばギムレー!! 掲示板でシフのデータをだしてみてください」

 「え、はいはい」

セイズの言葉にギムレーは『神々専用回線意思伝達板』通称:掲示板を開く。

 「そこにシフの種別は何になっていますか」

 「人間だね」

ギムレーの言葉に力強く頷くセイズ。

 「そう、人間なんです。しかもシフは救世主の魂も持っています」

 「召喚士の場合、救世主の魂の対になる破滅の魂持ちでもあるけど?」

 「それは置いといて!」

世界を救う魂と滅ぼす魂の療法を併せ持っているのが俺である。

 「人間にも関わらずクッソつよつよな魂と能力を持った人間が観測できた……」

セイズはそこまで言うと大きく手を広げて満面の笑顔で言い放つ。

 「『救世主の魂持ちなら間違いナシ! 確認してないけどまぁいっかいけるいける!』になるのは当然かと!!」

 「すごいよ、召喚士。この女神まったく反省してない」

 「お前初降臨の時も同じこと言っていたんだからな」

まったく学習しない駄女神の本領発揮である。

 「え? でもマジでどうするの? 年末の時はドーマとかの良識派をべろんべろんの酔いつぶしてまともな思考回路じゃない状態にしてやろうってできた話だから、素面だったらドーマとかナーガ全力で止めに来る話だよ」

 「そうなんだよなぁ。でも各国の14歳達に『君の秘めたる力がついに解放!? 1月1日に抽選で一名様に神様からの贈り物をプレゼント!! この力で世界を救おう!!』ってアナウンスしちゃってるんよ」

 「で、そのサンタさん役の女神は救世主の魂に目を奪われて神様に降臨しちゃうっていう致命的ミスしているけど」

 「うぅ……」

ギムレーの口撃に益々縮こまるセイズ。

 「いや、もっと直接的な危険なこというけどさ」

そしてギムレーが真面目な表情で言葉を続ける。

 「喜々として世界を滅ぼす役に名乗り出たイドゥンにどう説明するの? イドゥンの奴『人類が私に挑んでくれる!!』って超はしゃいで遊びに行ってた異空間崩壊させちゃってたけど」

 「ちゅ、中止とか?」

 「セイズ、お前がイドゥンにそれを直接言えるなら俺達に異存はない」

 「ごめんなさい」

正座からの綺麗な土下座である。この土下座にはプロのドゲザーである烈火出身の俺も感心する美しさだ。

だが、まぁ現状の打開には一切意味がないが

 「もう一回降臨しなおすとかは?」

 「無理、こいつ降臨と同時に俺に預かってた全加護を与えてきた」

 「ん? じゃあ召喚士が降臨すれば……」

ギムレーの言葉に俺は呆れたようにセイズを指さす。

 「こいつの神格が低いせいで俺のプロテクトに全部弾かれた」

 「セイズぇ……」

 「いえいえ!? おかしいのは私じゃなくてヴァイス・ブレイブですからね!? なんで創世神クラスの神格の持主が何柱もいるんですか!!」

ちなみにこの場でも実は創世神クラスの俺と、創世神と同等の力と神格を持つ邪神クラスのギムレーなので木っ端女神のセイズでは比較にならない。

 「でもそんなこと言ってる召喚士にはいいアイディアあるんじゃない?」

 「え!? 本当ですか!!」

ギムレーの言葉にセイズが笑顔になる。そして俺は不承不承に口を開く。

 「一回やったんだからもう一回できるだろう。イドゥンを倒す役目、ロイに頑張ってもらおうか」




召喚士
神々によって登録されているデータ上は人間。どう考えても詐欺である。

セイズ
うっかり駄女神。降臨して惚れていた相手がいたので夜這いかましたら天に送還退去させられた

同人作家ギムレー先生
ついにコミケに初出店したギムレー先生。なお出した中身はNIKKEのガチエロである。

イドゥン
自分を倒してくれる人類に胸躍らせている(超迷惑

ロイくん
神々の謀略で再び邪神・イドゥンに挑むことになった勇者



あけましておめでとうございます。

長らく更新してなくて申し訳ありません、FEHは続けていましたし、ネタもいっぱいあるんですが何せ書く時間が……

これも全て天井まででなかったクリスマス漆黒の騎士って奴の仕業なんだ!!

そして開幕からダメっぷりをみせつける新キャラセイズちゃん。見た目が好きだったので優遇しようと思った結果駄女神になりました。

グルヴェイグも好きな見た目なので早く引きたいどすなぁ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガチャ、襲来

昼に更新された超英雄ガチャ動画をみる

その時、作者に電流走る……!!


「重大事件だ」

 俺はゲンドウポーズのままに重々しく告げる。俺の言葉にエリウッドとヘクトルは力強く頷く。

「「「大天使ガチャだ」」」

 三人でハイタッチ決めながらテンション高めて叫ぶ。

「ひぃぃぃやっふぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!! 久しぶりの大天使ガチャだぜ!!!!!!」

「最高にめでたい!!! そして僕の奥さんも一児の母とは思えないプロポーションで大天使と同時実装!!! これには蒼鴉さんもにっこり!!!!!!」

「ついでとばかりに初期の頃に活躍したリンダの嬢ちゃんも実装!!!!」

一通り叫んだ後に俺はバカ二人を落ち着かせて着席させる。

「だが、問題がある」

「ジャッファのことかい?」

「奴にはすでに黒い牙の面々が制裁しに向かった」

 あんなに可愛らしい大天使を汚した罪は重いのだ。

 そんな死神(笑)のことは放っておいて俺は重々しく告げる。

「オーブがない」

 俺の言葉の瞬間に信じられないようなものを見る眼でみるバカ二人。

 そんな視線を受けながら俺は苦々しく告げる。

「オーブが、ない」

「「っざけんなおめぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」」

 怒り心頭の二人に吊るし上げを食らう俺。普段であれば即座に反撃して殺し合いに発展するのだが、今回は俺が全面的に悪いので大人しく吊るしあげられる。

「君……!! ふざけるのは顔だけにしなよ……!!!」

「そうだぜ……!! 第一戦禍の連戦があったからそれなりに貯まったはずだろ……!!!」

「夜中にクリスと騒いでいたらテンション上がって伝承シェズガチャを回した。そして沼った」

「「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」」

 確率が11%まで上がった挙句に伝承ミルラァが来たのには殺意しか湧かなかった。

「ちょ!! 待てよ!!! お前オーブの残りいくつだよ!!!」

 ヘクトルの言葉に俺は顔を背けながら告げる。

「50を切っている、と言っておこう」

 俺の言葉の瞬間にヘクトルのアッパーが俺の顎に決まって俺は宙に浮き、そこにエリウッドが蹴りを俺の腹に叩き込んでくる。

 勢いあまって俺の身体が俺の部屋を突き破り、隣の部屋でロイに愛の告白をしようとしていたリリーナの眼が点になり。

「くぉらぁぁぁ!! このクソガキ俺の娘連れ込んでなんの」

 怒り狂った表情のヘクトルの言葉は、途中で不自然に倒れこむことで中断される。

 その背後には当然のように腹黒ロイコン。

「やぁ、すまなかったねリリーナちゃん。ヘクトルと召喚士は僕が引き取るからごゆっくりどうぞ」

 そう言ってヘクトルと俺を俺の部屋に放り込み、大きな穴にはカーテンをかける。

 そしてカーテンの正面で真面目な表情で思いっきり聞き耳をたてているエリウッドの姿があった。

「お前、なにやってんの?」

「シ!! 今、僕とウルスラの可愛い孫が産まれるかどうかの瀬戸際だから静かに!!」

 その場合産まれてくるのはエリウッドウルスラヘクトルフロリーナという烈火面を全面に受け継いだ魔物ではないだろうか。

 そんな俺の考えをよそにエリウッドは小声で拳を握りながらリリーナに声援を送っている。

「いけ……!! 頑張れリリーナちゃん……!! ロイはちょっと鈍いから正面から言わないと……!!! 何故そこでへたれる!?」

 どうやら肝心のところでヘクトルの娘はへたれてしまった模様。

 とりあえず腹いせのようにエリウッドは死んでいるヘクトルの腹に蹴りを入れると再び椅子に座る。

「それでどうするつもりだい?」

「正直、課金も視野に入っている。だが、問題がある?」

「問題? リンやフロリーナもニノに関することだから全力で支援してくれるんじゃないかい?」

 そう、リンやフロリーナの問題ではない。

「作者が正月ソシャゲでFGOとNIKKEとアズレンに課金したので今月はもうやばい」

「Oh……!!」

アメリカンに顔を覆うエリウッド。そう問題なのは作者のリアルマネーである!!

「まぁ、ガチャ期間は一か月ある。最悪来月のギリギリに課金すればいい」

「そこで引かない選択肢をださないあたり作者もガーチャーだよね」

「何を今更」




召喚士
伝承シェズをひくという致命的なミス!!(しかもでてない

エリウッド
孫の名前も考え始めてる

ヘクトル
リリーナの結婚は絶対に許さないマン

ロイとリリーナ恋物語
ヴァイス・ブレイブ学園でも屈指のイケメンヒーロー体質なロイくんと心優しいお嬢様リリーナの恋模様は漫画になってヴァイス・ブレイブ自治領で読まれている(原作:ラクチェ 漫画:ギムレー)
尚、本人達は漫画になっていることを知らない




更新です!!

今回の超英雄ガチャのキャラをみて書かずにはいられなかった作者です。

烈火でも屈指の推しであるウルスラさんだけでも卒倒もんなのに大天使とリンダだと!! 過去に戻れるなら伝承ガチャを回してしまった自分をぶん殴って止めたい!!

そして作中でも言っている通り今月はFGO、NIKKE、アズレン(主にNIKKE)に課金したので今月はマジで課金できない。

ガチャは一か月あるから……!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

草原の少女

だすつもりで執筆していたFEHの同人誌の原稿をみつけたので供養のために一部投稿。以下注意事項

注意事項:この作品はいつものヴァイス・ブレイブではなく異界のヴァイス・ブレイブ、召喚士は烈火軍師ではない、『蛮族殺意高めなリンちゃん』

大丈夫な方はスクロールどうぞ


 戦うことが好きだった。

 物心ついた時には剣を振るい、父親と鍛錬をしていた。

 自分がいた部族であるロルカ族が山賊によって壊滅した後、即座に復讐のために山賊達を探し出し皆殺しにした。

 殺すことに忌避感を感じたことはない。人間はいつか死ぬものという認識が強いからだろう。

 行き倒れを拾い、深い仲になった軍師には『たぶん、リンは戦いの中で死ぬよ』と予言された時も、まぁ、そうだろうと納得した。

 エリウッドやヘクトル達との戦いを終えると自分は草原の奥深くに隠れた。

 自分のような存在が平和を脅かす。そう軍師に言われたからだ。

 寂しくはなかった。友である馬はいたし、夫婦となった軍師もいた。

 自分が泣いたのはたった二回。一回目は両親が死んだ時、もう一つは軍師を流行り病で亡くした時。

 軍師の死後は草原を出て、ただ抜け殻のようにエレブ大陸を彷徨い、賊を殺し続けた。

 そしてこの世界に呼ばれた。

 アスク王国ヴァイス・ブレイヴ。

 異世界の英雄達が集うこの土地で、リンの魂に再び火が灯った。

 同じ世界のエリウッドやヘクトルだけでなく、強者がたくさんいた。リンはそれらの強者達を斬り倒し、アスク王国を襲ってくる敵国の兵士を殺し続けた。

 気分が良かった。この世界には仲間がいる。なにより敵がいる。

 殺す。ただ殺す。そこの事の善悪はなく。ただ強弱のみがある。それが戦場の理。

 ああ、だからこそ……

「回復薬急げ! リンちゃん! しっかりしろ!」

 自分が死にかけているのは自分が弱かったからなのだろう。

 

 

「……うん」

 リンは目を覚ますとそこはヴァイス・ブレイヴの医務室であった。

「リンさん! 良かった!」

「……プリシラ」

 そこにいたのは医療班のプリシラだ。起き上がろうとしたリンをプリシラは慌てて止める。

「ダメですリンさん! 安静にしていないと!」

「問題ないわよ」

 そして起き上がったリンは窓の外を見て驚いた。

 建物は壊れ、廃墟のようになっているヴァイス・ブレイヴの本拠地であった。

 

 

「召喚師、いる?」

「だからこっちでも回復薬が圧倒的に足りてないんだ! どうせこっちが前にでずっぱりなんだからこっちによこせって伝えろ!」

 いつもなら剽軽に笑っている召喚師が血相を変えて怒り顔でアルフォンスに怒鳴り、アルフォンスはその怒鳴りを受けて慌てて出ていく。

 リンはそれを見送ると召喚師を見る。召喚師も驚いたようにリンを見てきた。

「リンちゃん! もう動けるのか!?」

「ええ」

「マジかよ……重傷だったんだぜ……?」

 召喚師がなにやら戦慄しているが、サカの民ならばあの程度の傷はかすり傷だ。

「何があったの?」

 リンの問いは簡潔であった。召喚師も質問の意味はわかっている。

 召喚師は困ったように笑いながら口を開く。

「ムスペルの奇襲だ。スルト本人もいたから本気で潰しにかかってきたのかもな」

「被害は?」

 リンの問いに召喚師の顔が歪む。

「甚大。カミラ姉さんやチキさん、ウルスラさんのおかげで死者はいないけど、三人全員重傷で戦線には復帰できない。まだ動けるパオラ様やニノ達が周辺の索敵を任せているから、奇襲はもう受ける心配はないと思う」

 カミラやチキ、ウルスラが重傷というのを聞いて驚いた。全員がリンとまではいかないけれどもそれに追随する猛者だ。

 召喚師はイライラしたように髪をかき混ぜる。

「リンちゃんに対してもそうだったが、突然ワープしてきての奇襲……ふざけている話だ。しかもムスペルの炎とかいうのでこちらの攻撃が無効」

 その言葉にリンはスルトに攻撃が通用しなかった理由がわかる。

「ぴよちゃん曰くムスペルの炎に対抗できる禁呪があるらしいけど……そんなの待っている余裕はないから、今急ピッチで魔術師達に対抗策を探させてる」

 そう言って召喚師は椅子に深々と座る。

「ムスペルの炎のほうはカナスさんがどうにかしてくれそうだ。問題は回復薬だな」

「足りないの?」

 リンの言葉に召喚師は苦笑いを浮かべる。

「せいぜいあと一部隊ぶんくらいだな」

 

 

「烈火棟が……」

 次にリンがやってきたのは自分が住むヴァイス・ブレイヴ内にある烈火棟だ。

 烈火棟も他の場所と同じく瓦礫の山になっていた。

「あ、リン」

「フロリーナ」

 すると瓦礫の片付けをしていたフロリーナがリンに近づいてきた。

「あんた無事だったの」

「いや、あんたもリンの傷見てたでしょ。よく動けますね」

 さらに近寄ってきたのはセーラとマシューだ。

 全員傷だらけだ。

「……他のみんなは?」

 リンの問いにフロリーナは困った表情を浮かべながら口を開く。

「ロイドさんやライナスさん、ジャファルさん、シルヴァンさん、ドルカスさん達はみんな医務室。回復薬が足りなくて治療待ち。ニニアンさんも前線に出るレベルだったから……」

 ロイド達もまた実力者だ。彼らもまた医務室で動けずにいる。

「他の英雄もみんな似たり寄ったりの状況ですね」

 マシューの言葉にリンは深刻さを理解する。

 ヴァイス・ブレイブ滅亡の瀬戸際なのだ。

 明るくみんなを鼓舞し始めたセーラを尻目にリンはそこから立ち去る。

 しばらく歩くと一人の英雄を見つけた。

 召喚師と一緒に馬鹿をやったりしているギムレーだ。

 ギムレーもリンに気づいたのか右手をあげる。

「よう、羽虫。まだ生きていたか」

「貴方のほうが死にそうね」

「ははは、ごもっとも」

 ギムレーの右足はなくなり、左腕も肘から先がなくなっている。

「大丈夫なの?」

「これでも神の端くれなんでな。しばらくすればまた伸びてくる」

「トカゲみたいね」

「マムクートなんて巨大トカゲみたいなものだ」

 他のマムクートが聞けば怒って殴ってきそうなことを笑いながら言い放つギムレー。

 能天気に笑っているが、ギムレーの手は震えていた。その震えは回復薬の副作用から来るものであることをリンは知っている。

 しかし、その副作用では一回くらいでは出るものではない。

「まさか回復薬をかぶりながら戦ったの?」

「仕方ないだろう。普通の人間では体がもたない。我が適任だったんだよ」

 ギムレーはそう言いながら懐からタバコを取り出して火をつける。

 煙を吐きだしながら言葉を続ける。

「意外と我はここを気に入っているんだ。だから、まぁ、多少の無茶はするさ」

 回復薬を飲みながら戦い続けることなど尋常な神経の持ち主にはできない。体の傷を即座に治すが、その過程の尋常ではない痛みで気を失うのが回復薬だ。

 そこまでやってヴァイス・ブレイヴを守り切ったギムレーに内心で認めつつ、リンは言葉を続ける。

「回復薬は使わないの?」

「使えないの」

 ギムレーは短くなったタバコを指で弾いて飛ばす。

「斥候に出ていたパオラ達が重傷を負って戻ってきた。で、回復薬は彼女達に使った」

 ギムレーはもう一本タバコに火を点けながら言葉を続ける。

「残りは一人分だ」

「召喚師は?」

「何人かの盗賊と一緒に行方不明さ」

 

 

 夜中、リンは回復薬を持ってヴァイス・ブレイヴの入り口に立つ。入り口も崩れ落ち瓦礫の山となっている。

 そしてリンは回復薬の瓶を開ける。そしてしばらくそれを見つめていた。

「飲まないの?」

 リンが驚いて振り向くとそこには苦笑して立っているフロリーナがいた。

「いくんでしょ?」

 フロリーナの言葉にリンは頭をかく。

「私はさ、この世界は性にあっているのよね」

 リンの言葉をフロリーナは黙ってきく。

「マークが死んでから私は戦うことでしか生を実感できなくなった。この世界は異世界とかも含めて戦いに満ちている。戦って、戦って、戦って……死ぬまで戦うっていう夢が叶うとも思ってた」

 そう言ってリンは星空を見上げる。

「でもね、スルトの奴に致命傷を負わされた時、感じたことは『死にたくない』だった」

 そしてリンはまっすぐな瞳でフロリーナを見つめる。

「あの時点で私は一回死んだの。そして今も死んだまま。生き返るにはスルトの奴を殺すしかない。あいつの首を斬り落とし、返り血を浴びて初めて私はまた生きていける」

 そう言ってリンは回復薬をかぶる。急激な勢いでふさがっていく傷。リンはそれに伴う痛みを平然と耐えながらソール・カティを持つ。

「それじゃあ、行ってくるわ。私自身のために」

「……うん、いってらっしゃい」

 リンはそれだけ言うとその場から歩き去る。それを見送った後にフロリーナはその場にしゃがみ込む。

「あ~あ、私ももっと強かったらリンと一緒にいけたのに」

 そして星空を見上げる。

「あれ!? フロリーナさん! ちょうど良かった回復薬運ぶの手伝って!」

 その声に驚きながらも、フロリーナは笑顔を浮かべるのであった。

 

 

「こいつで……最後!」

 リンは槍を斬りはらうと、突き出してきたムスペル兵士の首を飛ばす。

 その光景をスルトは笑いながら見ていた。

「我が精鋭たるムスペル兵百人を一人で殺すか」

「これで精鋭? もうちょっと鍛えたほうがいいわよ」

 リンの言葉にスルトは笑うとシンモラを取り出す。リンもソール・カティを持ってスルトに突撃する。

 スルトの大振りの一撃を躱してそのまま首めがけてソール・カティを振るう。

 しかし、体にあたる直前にムスペルの炎で防がれてしまう。

 リンは即座に離脱しようとしたが、首を掴まれて思いっきり投げられてします。

 リンは空中で態勢を立て直して即座に再突撃。フェイントで背後に回り込みスルトの脳天にソール・カティを振り下ろす。しかし、再びムスペルの炎に防がれた。

 スルトのシンモラをリンは体を飛ばして最小限の傷に抑える。

 地面を転がりながらも即座にリンは立ち上がる。

「っぺ」

 リンは口の中に溜まっていた血を吐き捨てる。

(もう少し、もう少しで刃が通る)

 傷だらけの体を抑えながらもリンはソール・カティを構える。

 スルトも笑いながらシンモラを構える。

 その瞬間、スルトに魔法が直撃した。

「っ! これはウルスラの! なんで来た!」

 振り返ったリンはさらに驚愕の表情を浮かべた。

 そこには無傷のカミラ、チキ、ウルスラが立っていた。

「先に行くわね」

「時間稼ぎは任せて!」

 カミラは斧を構え、飛竜にのってスルトへと向かい、チキは竜の姿になって進んでいく。

 そんな二人を唖然とした表情で見送るとウルスラが近づいてくる。

「召喚師の奴がアスク王国中から回復薬を盗んできたの。で、これは貴女の分」

 そう言いながらウルスラはリンに回復薬を渡す。

「で、ムスペルの炎の破り方。あの炎を一方向に展開することで攻撃を防いでいるようね。カナス曰く全方向から刹那の時間差で攻撃を仕掛ければやぶれるらしいわ」

 ウルスラの言葉にリンは回復薬をかぶる。

「ウルスラ」

「なに?」

「とどめは私にやらせて」

 その言葉にウルスラは軽く肩を竦める。

「やぶれるといってもかなりの威力の一撃が必要らしいわ。そんな一撃が放てるのはリン、貴女だけよ」

 その言葉にリンは獰猛に笑うとスルトに向かって走る。

 ウルスラの正面からの広範囲魔法攻撃。

 その直後にチキの横からの巨大なブレス攻撃。

 そしてカミラの背後からの斧の一撃。

 その瞬間にリンはスルトの頭をまたぐように肩に立つ。

「死ね」

 リンの一閃でスルトの首が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「それでスルトの首を片手に帰ってきたリン……かっこ良かったなぁ」

 ヴァイス・ヴレイブの談話室。ここにリン、フロリーナと最近やってきたソーニャが雑談をしてた。

 フロリーナが話していたのはリンがスルトを殺した時の話だ。この物語はアスク王国が存亡の危機だったのもあって吟遊詩人達により広く知らされている。

 その本人であるリンは不思議そうに首を傾げた。

「そんなことあったっけ?」

「いえ、貴女は覚えてなさいよ。重要なターニングポイントだったっぽいわよ?」

「ここにいるとそういう危機が多すぎて感覚が麻痺してくるのよね」

「やばいところに召喚されたわね……」

 後悔してももう遅い。召喚されたからにはソーニャも死にそうな危機とかにいっぱいあってもらう。

 とりあえずリンは紅茶を一口飲んでから口を開く。

「でもソーニャも腕は衰えていないようね。安心したわ」

 その言葉にソーニャは不適に笑う。

 元の世界でのあれやこれのせいでソーニャは召喚されて早々にロイドやライナス等の黒い牙の面々(ニノを除く)に襲撃された。

 しかし、ソーニャは涼しい顔をしてそれらを返り討ちにしたのだ。

 その会話にフロリーナも苦笑いである。

「元の世界でもリンと対等に戦えていたもんね、ソーニャさん。最終的にマークさんの策にはめ殺されたけど」

「あのモヤシはこの世界にいないの? お礼参りしたいんだけど」

「私の旦那を殺そうとするなんていい度胸ね。もう一回死んどく?」

「は? 元の世界ではあのもやしにはめられただけよ? 正面からやったらネルガル様の最高傑作である私が敗けるはずないでしょ?」

 そのままお互いにメンチをきりあっていたリンとソーニャであったが、お互いに胸倉を掴み合いながら訓練場に移動していく。

 そして訓練場のほうから二人の戦いに巻き込まれた英雄の悲鳴や爆発音が聞こえてくる。

 それを聞きながらフロリーナは紅茶をすする。

「あら? フロリーナだけ?」

「あ、フィオーラお姉ちゃん。リンとソーニャさんだったら訓練場にいったよ」

「ああ、道理で……」

 烈火出身者にとってリンとソーニャは『強すぎて人間かどうか怪しい』とまで言われる存在である。

「二人に何か用事?」

「ええ、召喚師さんが『ニザヴェリルとの戦いめんどくせぇ! もうリンちゃんとソーニャ様とプラハ様投入するわ!』って言っていたから呼びに来たんだけど」

 このヴァイス・ヴレイブにおいてプラハもリンやソーニャに追随する猛者だ。

 そんな破壊の権化ともいうべき三人を戦線に投入する?

 フロリーナは内心でみたことのないニザヴェリル王に対して冥福を祈るのであった。




リン
異界でも蛮族殺意高めな軍師嫁

フロリーナ
大親友であるリンのことならお見通し

カミラ、チキ(大人)、ウルスラ
この異界のトップクラスの強者

リン、ソーニャ、プラハ
この異界の殺意高い組

ギムレー
この異界でもオタクトカゲ




そんな感じで前だすつもりで書いていたFEHの同人誌の原稿を発掘したので供養のために投稿。この同人誌がでることはありません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

正義の大賢者・ガトー

Twitterにて
作者「ガトーひけたらギムレーに0083ネタやらせたい」

完成品をみて
作者「あれ!?」


「とまぁ、ヴァイス・ブレイブ基本的に覚えておいたほうがいいところはこんなところだ。何か質問はあるか?」

 俺は新しく召喚された英雄を案内している。その案内している髭爺は和やかに髭を撫でながら口を開いた。

「ここはとてもよいところじゃな。チキのあのような嬉しそうな顔、儂は始めてみた」

 紋章の世界で大賢者と呼ばれ、俺と同じように魔術の腕で神に成り上がった神々の一柱・ガトーの言葉に思わず俺は真顔になってとある方向をみる。

 嬉しそうに高笑いしているイドゥンに互角に渡り合うロリマムクート達がいた。

 とりあえずみなかったことにして俺は話を続ける。

「ガトーは魔術の腕で神に成り上がったんだよな?」

「うむ。儂にそんな自覚はないが、確かに元の世界では神に祀り上げられておったな」

「OK。それだったらもう一か所案内したいところがある」

「ふむ? どのようなところだ?」

 ガトーの言葉に俺は少し首をひねりながら答える。

「魔術の腕を常に研鑽しているところかな」

「む? それは図書室ではないのか?」

 ガトーの疑問は当然だ。確かにここの図書室は数多い異世界から集まった魔術師達が研鑽をして魔術の技術の向上を図っている。

「あそこは普通の魔術師が集まるところだ。神に成り上がったガトーには特別ルームにご招待さ」

「ふむ、そこまで言われると気になるの。案内を頼もう」

「よしきた」

 ガトーの言葉に俺は先に歩き出そうとする。

 そして歩き出すより先に同人作家ギムレー先生が血走った眼差しで走ってくるのがみえた。

「ガトォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!」

「え!? な、なんじゃ!?」

 突然名前を叫ばれて狼狽するガトーを無視して同人作家ギムレー先生は叫び続ける。

「聞こえているだろう! ガトー!! お前が忘れても、俺は決して忘れはしない!」

「こ、こいつは何を言っておるのだ!? 儂はお前など知らな……なんじゃ召喚士、これを読めと?」

 ギムレーの叫びに速攻でギムレーの真意に気づいた俺はガトーの読ませるセリフを速攻で掲示板に入力してガトーの前にやる。

 そしてガトーはうろたえながらも読み始めた。

「いつぞやの男か?」

「俺は決着をつけるまで、お前を追い続ける!!」

「フン、しかし、私の勝ち戦に華を添えるだけだな。そして!! 貴様に話す舌など持たぬと言ったはずだぁ!! ……召喚士、これはなんなのだ?」

 ガトーの言葉を無視して俺はセリフを掲示板に入力し、ギムレーは叫ぶ。

「満足だろうな、ガトー!! でもそれは二号機を奪われた俺達にとって屈辱なんだ!!」

「つ、続けるのか? こほん。わからんでもない。ずいぶん肝をなめたようだな」

「聞いているのか!! 582だ!!」

「聞いてやる」

「なんだと!?」

「戦いの始まりは全て怨恨に根ざしている、当然のこと!!」

「クッ、いつまで減らず口を……!!」

「しかし怨恨のみで戦いを支えるものに私は倒せぬ!!」

 そこで俺は一度区切るとガトーに読ませる超重要なセリフを掲示板に入力する。そのセリフをガトーは大声で叫んだ。

「私は義によって立っているからな!!」

(ッパァァァン)

 俺とギムレー渾身のハイタッチ。

 いい汗かいたとばかりに爽やかな笑みを浮かべてギムレーは口を開く。

「清川元夢さんのガトーもあり!!」

 それだけ告げるとMG GP02AとHGUC GP02Aをガトーに渡して去っていく。

 両手でそれを受け取って呆然としているガトーは思わずと言った感じで口を開いた。

「なんだったのだ……」

「ソロモンの悪夢ってことさ」

「どういうことだ……!?」

 マジ驚愕顔を浮かべたガトーを無視して俺は先に歩き始める。ガトーも音もなく現れたパーフェクトメイド・フローラにギムレーから預かったガンプラを預けると俺の後をついてくる。

 そしてヴァイス・ブレイブの施設のはずれまで来ると、ガトーは顔を顰める。

「これは……結界か? しかもかなりの高度に術式が組まれておる」

 ガトーの言葉に俺は笑いながら拍手をする。

「なるほど、この結界に気づくとは期待通りのいい腕だ。それならガトー。お前さんはこの結界を破れるか?」

「ふむ……」

 ガトーは俺の言葉に少し考えこむと、すぐに呪文を唱えた。

 そしてその呪文によって結界が破られ、隠されていた地下への入口が現れる。入口が現れて訝し気な表情をするガトーに俺は再び拍手する。

「素晴らしい腕だ。これができたのはニイメの婆さんだけだ」

「召喚士、どういうことだ?」

「ついてこい」

 ガトーの問いに俺は答えずに地下への階段を降り始める。ガトーが階段に入ると再び結界が張られて地下への入口は隠される。

 そして階段をおり切った先の扉の前に俺のポケモンであるサーナイトとキュウコンがいる。サーナイトは俺をみて優雅に一礼し、キュウコンも一声なくと道を開く。

 俺は二匹に手を挙げながらそこを通り過ぎると、ガトーが驚きながら俺に声をかけてくる。

「召喚士、あの神獣達はいったい」

「まぁ、俺の使い魔みたいなもんだ」

 俺の返答に驚いているガトーであったが、それを無視して俺は扉を開く。

 大きな会議室に二人の魔術師が座っている。

 一人は笑みを絶やさない天才魔導軍将・パント。

 もう一人は闇魔法の研究の果てに烈火の世界から追放された男・カナス。

 そう、ここは俺達がヴァイス・ブレイブで使っている実験所の一つである。

 パントとカナスはガトーをみて笑顔で拍手する。

「ここにこれるとは、大賢者ガトー殿。噂に違わぬ素晴らしい腕です」

「ええ。ここまでにも僕やパント殿、召喚士殿と協力して組んだ呪詛があったのですが」

「あの致死クラスの呪詛はおぬしらの仕業か!?」

 当然である。入口を見つけられるのは事故でもあり得るので、念のために必殺の呪詛を実験所の各所に仕込んである。

 そのせいで俺達の実験所によってヴァイス・ブレイブの地下が迷宮になってしまい、それをリンとフィオーラから頻繁にお説教されるがそれはそれである。

 俺はガトーを椅子に座らせると、いつもの定位置に座る。するとカナスが一枚の大きな紙を机に広げる。

 それをガトーは訝し気にみてから俺のほうをみてくる。

「これは?」

「ガトー殿、まずは貴方の眼で確認していただきたい」

 微笑みながらのパントの言葉に、訝し気な表情をしてから紙に記入されている内容を確認するガトー。

 そして読み進めるうちに驚愕の表情を浮かべる。

「ば、ばかな!? これは『エンド』の術式か!?」

 見事に紙に書かれている内容を看破できたガトーに俺達三人は称賛の拍手を送る。

「素晴らしい腕だ」

「ああ、まさか私達やニイメ様に続いてこれを理解できる魔術師がくるなんて」

「ええ、なんとかここまで復活させる甲斐があったものです」

「『エンド』を復活させるなんて正気か!?」

 大禁呪・エンド。この魔術はFE世界全てに存在する魔術であり、その世界全てで大禁呪であり、すでに忘れ去られた魔術である。

 では何故大禁呪であり、人々から忘れ去られたか?

 簡単である。

 ガトーは怒り顔を隠そうともせずに立ち上がり、怒鳴る。

「エンドは発動すれば並行世界も含む全世界に終焉を齎す大禁呪!! 貴様ら!! 全てを滅ぼすつもりか!!」

「勘違いをするな、ガトー」

 ガトーの言葉に俺は落ち着けるように冷静に声をかけ、普段は隠している素顔を表して微笑む。

「俺達は魔術の深淵をみたいんだ」

 俺の言葉にガトーは絶句する。そして俺に続くようにパントとカナスも続く。

「魔術の深淵が普通に修行しては辿り着けないのはガトー殿もよくわかっておいででしょう」

「そこで僕達は失われた大禁呪であり、全世界共通の大魔術である『エデン』の探求と発動を持って魔術の深淵に辿り着く……どうですか、ガトーさん。あなたも共に魔術の深淵へと向かいませんか?」

 パントとカナスの言葉にガトーは呆然としながら口を開く。

「おぬし達は人類の滅亡をなんだと……」

 ガトーの言葉に俺が首を傾げる。

「魔術の深淵の前に人類など塵芥のようなものだろう」

 俺の言葉にガトーは絶句すると、すぐに俺達を力強く睨みつける。

「貴様らの企み。このガトーが許さぬ」

 その言葉の瞬間に俺とパントとカナスから大量の魔法の矢がガトーに向かうが、ガトーはそれを障壁で一瞬だけ防ぐと、その一瞬の隙を使ってテレポートして逃亡した。

 いなくなったガトーの空間をみてパントは呆れたように溜息をつく。

「やっぱりガトー殿も『人間程度』の滅亡に左右されるか」

 パントの言葉にカナスも片眼鏡をあげながら口を開く。

「こうなると『エンド』の復活をもって魔術の深淵に至る、という発想には同調した母さんが特殊な気がしますね」

「だが、結局はニイメ様も『人間程度』の滅亡を重く思って私たちの提案を断った。こうなるとガトー殿とニイメ様が繋がる可能性もあるんじゃないのかい?」

 パントの言葉に俺はフードを被りなおしながら口を開く。

「放っておけ」

「いいんですか?」

 カナスの言葉に俺は笑みを浮かべながら言葉を続けた。

「あの二人だけで何ができるんだ?」




ガトー
ついに実装された大賢者様。名前ネタで速攻でギムレーで絡まれたり、三マッドの三マッドっぷりをみせつけられた正義の大賢者

召喚士
リンちゃんとフィオーラがいても機会があれば人類を滅ぼそうとする系主人公(そして嫁’sにしばかれる

パント
全世界が消滅しても愛する妻と子供達の安全は確保している

カナス
実はそのマッドっぷりから烈火世界から追放されている男

ニイメ
カナスの母親。魔術の深淵はみたいけど人類滅ぼすのはやりすぎ、という正論を最初に三マッドにぶつけた婆

ギムレー
新しい英雄がガトーと聞いてオタク魂が爆発した同人作家ギムレー先生

大禁呪・エデン
発動すると全世界(並行世界も含む)が消滅する




そんな感じでガトー編です。
最初はギムレーの0083ネタだけのつもりが「そういえばガトーって魔術の腕だけで神様か。それ三マッドが放っておかないよな」となった結果、正義の大賢者・ガトーに目覚めました。
今後はきっと三マッドの野望を挫くために活躍してくれるでしょう(投げっぱなし)

そして実はすり抜けでやってきていたニイメばあちゃんも(名前だけ)登場。こちらも狂った末に世界から追放された息子と違ってまともだった模様

そして明かされる三マッドの野望。「魔術の深淵の前には人類の滅亡とか些事だよね!!」を地でいく方々。

完全に狂っています。ガトー様頑張れ、超頑張れ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ロリショタ烈火ガチャ!!

ひゃっほぉ!! 久しぶりの烈火ガチャだぜぇ!!

無事に天井しましたが全員揃えました(白目


「わぁ! かわいい~!!」

 さて、ロリショタ烈火ガチャである。ラインナップはショタ腹黒にショタ脳筋。そしてロリゴルゴと比翼英雄でショタ俺ロリリンである。

 俺とリンを比翼英雄にするとは運営の中に強火のマーク×リン信者がいるな!!

 ちなみに冒頭の台詞は満面の笑みでショタ腹黒を抱きしめているニニアンの台詞である。それをみてエリウッドとウルスラは苦笑い。

 そしてショタ腹黒は照れくさいのか顔を真っ赤にしながら口を開く。

「は、母上。私ももう抱きしめられて喜ぶ年齢では……母上?」

 さりげなく戦争案件の引き金を引いたショタウッドを尻目に、ウルスラは笑顔でショタウッドの前に屈む。その時に強調された胸から顔を真っ赤にして顔を背けたショタウッドをみてニニアンの鼻から愛が垂れている。

 それを気にせずにウルスラは言葉を続ける。

「ショタウッド、一つ質問いいかしら?」

「はい!! なんでしょうかウルスラ母上!!」

 ウルスラも母と呼んでいる限り、父親はあの顔色が悪い腹黒で間違いなさそうである。

「あなたを産んだのは誰かしら?」

「母上……あ!! ニニアン母上です!!」

 ショタウッドの発言に渾身のガッツポーズを決めるニニアンと、膝から崩れ落ちる腹黒。その腹黒の周囲をヘクトルと一緒に肩を組みながら回る。

「「ふ~り~ん!! ふ~り~ん!!」」

「黙れクズ共!! 聞いてくれウルスラ!! 僕には身に覚えがない!!」

 本気で焦っているらしい腹黒に俺とヘクトルにはメシウマでしかない。

 だが、ここでエリウッドのことは冷静に判断できるのがウルスラである(なお、ロイとニノ関連だと冷静さは吹っ飛ぶ)。溜息をつきながら俺をみてくる。

「召喚士、これってユニヴァース案件よね」

「まぁ、間違いないな」

 ウルスラの返答に俺は即答。どう考えてもこの作品一の不思議空間の仕業であろう。天才の仕業とどちらかになりそうだが、奴の魔力を感知できないからおそらくはユニヴァース案件だろう。

「は!? ということはこの生意気そうなクソガキも俺とフロリーナ以外の子供の可能性も!?」

 俺とウルスラの会話を聞いて、焦ったようにショタトルをみるヘクトルであったが、ショタトルはフロリーナからもらったおやつを片手に呆れたようにヘクトルをみる。

「親父と結婚する物好き、母上以外にいるわけないだろ。夢みんなよクソ親父」

「よぉし!! 教育的指導だ!!」

 そのまま殴り合いになったヘクトルとショタトル、そしてそれを微笑まし気にみるフロリーナを横目に俺達はレベッカをみる。

 愛娘(ロリベッカ)相手に旦那(ウィル)のことを惚気るゴルゴがいた。

 満場一致でみなかったことにして俺は本題をみる。

 俺のローブの裾を掴んでいるショタ俺と、興味津々に俺を見つめてくるロリンである。

 とりあえず俺はロリンに視線をあわせて話しかける。

「お前さんの父親と母親は」

「お父さまはお父さまよ? お母さまはリン母さま以外にいるの?」

「うむ。詳しい話はできないがお前には腹違いの姉妹がいっぱいいる」

「ほんと!!」

 俺の言葉にわぁい! と言ったモーションで喜びを表すロリン。それをみてフード下の眼が優しくなってしまう。

「召喚士」

「言わないで、リン」

「現実をみなさい。たぶん新しい火種よ」

 リンが突きつける現実が辛い。

 だが、いつまでもほったらかしはまずいので、今度はショタ俺……面倒だから以後マークで統一するか。マークに視線をあわせる。

「で、お前さんの両親は誰だ?」

「…! …! …!」

「「……ん?」」

 俺の言葉に必死に何かを訴えかけるマークであったが、それは音にならず、俺とリンは首を傾げる。

 それに声をかけてきたのはロリンだった。

「あ、ダメよお父様!! マークは喋れないの!!」

「……喋れない?」

「ええ。はい、マーク」

 そういってロリンはマークに手荷物サイズのホワイトボードをマークに渡す。マークはそれに持っていたマッキーで何やら書き始める。

 そしてすすす、とリンが俺に近づき小声で話しかけてきた。

「喋れないって呪いとか?」

「俺もそう思ってスキャニングしたんだが、特に呪いにはかかってない」

「じゃあ、病気ってことね」

 安心できる内容ではないかもしれないが、俺が買っている恨みの数だと圧倒的に呪いのほうがやばいので、病気だと安心案件なのだ!!

「あ、マーク書けたのね」

 そしてマークは満面の笑みで俺とリンにホワイトボードを掲げてくる。俺とリンは微笑ましい気持ちになりながら内容を確認する。

『団子大家族』

 それに俺とリンは真顔になった。

「え、ちょっと軍師、どういうこと?」

「いや、俺にもさっぱりわからない」

 そんな会話を繰り広げる俺とリンをよそにマークは再び楽しそうにマッキーでホワイトボードに字を書き、俺達に掲げる。

『うぐぅ』

「「どういうことだ……!!」」

「あ、お父様もお母さまもマークのいうこと気にしちゃダメよ!! たぶん本人も理解してないから!!」

 ロリンの言葉にとりあえずマークの教育をリンに任せると、俺は最後の一人のショタ英雄をみる。

 見た目は美少女なショタ英雄、ショタルセアである。

「見てください召喚士さん。あのいけすかないクソ修道士のショタですよ」

「見た目はロリだが?」

「召喚士さんまで奴の外見に騙されてはいけません!! くっそ!! あの野郎!! お兄様に色目使いやがって……!!」

 そしてショタ(見た目はロリ)ルセアをみて愉悦の笑みを浮かべているのはプリシラであった。

「で・す・が!! ここにクソ修道士の子供がいるってことは奴はついにお兄様と離れた!! やったねプリシラちゃん!!」

 そしてそのままコロンビアポーズを決めるプリシラ。そんなプリシラに俺は現実を突きつける。

「相手誰だよ。ルセアの相手はレイヴァンしかいないだろ」

「はぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!????? システム的にはセーラげふんげふん!! セーなんとかさんがいますが!?」

「セーなんとかの相手は残念ながらエルクなんだよなぁ」

 俺の言葉に聞こえないポーズをするプリシラ。そんなプリシラにおずおずとショタセアが話しかける。

「だ、大丈夫ですかおば……」

「だぁれがおばさんですかこのクソガキ!!」

「ひぃ!!」

 心配して話しかけようとしたショタセアはプリシラの鬼の形相にマジ泣き寸前である。そこにやってきたのはプリシラの恋敵(プリシラの印象)であるルセアであった。

「召喚士さん、なんでも私の子供が召喚されたとか……」

 そしてそんなルセアをみて泣きそうになっていたショタセアが笑顔になる。

「お母様!!」

「待ってください皆さん!! そこで速攻で『やっぱりルセアって女だったか』という反応は私が傷つきます!!」

 ショタセアの言葉に速攻で小声会議を始めた俺達に突っ込んでくるルセア。

 だが、ここでプリシラが恐ろしいことに気が付く。

「ちょ、待ってください。このファッキン修道士がお母様ってことはもしかして父親は……」

「ルセア。いくら自分の子供が召喚されたからと言ってパントから学んだテレポート使うのはどうかと思うぞ」

 そして部屋に入ってくるレイヴァン。

 そしてショタセアはレイヴァンをみて笑顔になった。

「お父様!!」

 その瞬間にプリシラの憤怒の叫びがヴァイス・ブレイブに響き渡った。




ショタ召喚士
通称・マーク。父親は召喚士。母親不明。マークの名前なので基本的にエキセントリック。だが喋れない(なのにキチガイ認定受ける

ロリリン
通称・ロリン。父親は召喚士、母親はリン。つまり姉にKiriaがいる。明るいいい娘であるが修羅属性。カサの民だからね、仕方ないね

ショタエリウッド
通称・ショタウッド。父親はエリウッド。母親はニニアン。ファイアーエムブレム・ユニヴァースからの刺客。

ショタヘクトル
通称・ショタトル。父親はヘクトル。母親はフロリーナ。姉であるリリーナに可愛がられるが、本人的にうざい姉、という印象。クソガキ

ショタルセア
通称・ショタセア。父親はレイヴァン。母親?はルセア。超絶いい子でスーパー善人だが叔母であるプリシラに目の敵にされる。



そんな感じでロリショタ烈火ガチャ駆け抜けましたぁ!!
召喚10回までにマークリン、ショタウッド、ロリレベッカがでたので「お、今回は俺の愛の大勝利!」と思ったらショタヘクトルで無事に天井叩きました。

そしてオリジナル設定のオンパレード。息子を手に入れたことで行き遅れマムクートはエリウッドの妻面をし始めてエリウッドの胃を破壊します。

そしてプリシラ激怒案件なショタルセア両親設定。ショタルセア配布という情報をみた瞬間にこうするしかねぇ、と思いました。

ちなみにマークくん(ルフ子息子)、マークちゃん(ルフ男娘)、マーク(召喚士息子)です。
微妙に呼び方が違うので間違えないように。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガンバスターVSゲッターロボ

好きな作品(FE)に好きなロボ作品(色々)を放り込むんだよ!!


「地上、敵デスアーミー隊は我が軍のリーオー隊に後退していきます」

「空のドラムロ隊とYF-21隊も押し出させろ。このままグルヴェイグの居城を落とす」

 ヴァイス・ブレイブ自治領軍とグルヴェイグ軍の戦いは巨大兵器の戦場となっていた。

 旗艦にヱクセリオン。地上部隊にMSリーオー、空戦部隊にオーラバトラー・ドラムロとバルキリー・YF-21を揃えたヴァイス・ブレイブ自治領軍の前に、ゾンビ兵を使ったデスアーミーが主力のグルヴェイグ軍を圧倒していたのだ。

 え? MSとオーラバトラーとバルキリー? 俺とパントとカナスが作った。

 司令官席に座って指示をだす俺の両隣にはパントとカナスもいて、戦況をみている。

「圧倒的ですね」

「グルヴェイグも真正面から宣戦布告をしてきたから何かあるのかと思ったけど、ただのゾンビ兵の物量作戦じゃ面白味がないね」

 カナスの言葉にパントも続く。そしてパントは俺を見上げてきた。

「グルヴェイグは随分と君のことに執着しているようだけど、この程度で終わる女神かい?」

「この程度で終わる女神ならすでに殺している」

「と、なると何か隠し玉があると?」

「それもこの状況をひっくり返せるような奴がな」

 グルヴェイグの奴にストーキングされるようになって随分とたつが、この程度で死ぬような奴ならとっくに殺している。

 そしてそれは起こった。

「地面が揺れている……!? 地震です!?」

 オペレーターの叫びと共に大地が隆起し、大きく裂ける。幸いヱクセリオンは空中にいるので被害はでない。

「損害!!」

「リーオー部隊八割壊滅!! 地上部隊旗艦・ビックトレー轟沈!!」

「グルヴェイグの奴、やってくれる……!!」

 オペレーターの返答に俺は顔を顰めてしまう。何せルフ子説得して作り上げた地上部隊が壊滅したのだ。

「遺族年金のことも考えるとルフ子さん怒りそうですね」

「だからはやくMDシステムに変えようと言っていたのに」

「研究が間に合わなかったんだから仕方ないだろう!! ドラムロ隊とYF-21隊で押しつぶせ!! それだけの性能はある!!」

 カナスとパントの言葉に怒鳴り返しながら俺は次の指示をだす。幸いなことに壊滅したのは地上部隊だけ。空の部隊は無傷である。

「地震の震源地から巨大エネルギー反応!! 何か来ます!!」

 オペレーターの叫びにモニターを地震の震源地に映し出す。

 そこからでてきたのは異形のガンダム!! 上半身は比較的普通のガンダムであるが、下半身は巨大なガンダムの頭を模したものになっており、さらにはそこから無数のケーブルが生えている。そしてそのガンダムの周囲には巨大なガンダムの頭がケーブルのように生えており、空中にいたドラムロやYF-21に襲い掛かっている。

「「「あれはデビルガンダム!!」」」

 俺とパントとカナスの叫びがはもる。

「なんてこった!! 開発途中の『DG細胞』がなくなった時は気にしなかったが、グルヴェイグのところに行っていたとは!!」

「だけどきっちりDG細胞を完成させるなんてグルヴェイグ見どころあるじゃないか!!」

 パントの言葉に頷いた俺とカナスであったが、聞いていたブリッジクルーはドン引きしていた。

「いえ!! 高エネルギーを発しているのはあれではありません!! その上です!!」

 オペレーターの言葉に俺はモニターを操作。

 そこにいたのはいわゆるガイナ立ちを決めたスーパーロボット。その姿は鬼神でようでもあり悪魔のようである。そう!! あれは完璧で究極の……!!

「「「ゲッター!!(真ゲッター1)」」」

『ゲッタービィィィィィィム!!!』

 グルヴェイグの叫びと共にゲッターの腹部からビームが薙ぎ払うように一閃。

「急速上昇!!」

 俺の叫びと共にヱクセリオンの船体は急速上昇してそのビームを避ける。しかし、多くの味方機はゲッタービームに飲み込まれてしまった。

「被害報告!!」

「ドラムロ隊壊滅!! YF-21隊壊滅!! 右翼旗艦・マクロス轟沈!! 左翼旗艦・グラン・ガラン大破!! グラン・ガランのセライナ将軍より通信!!』

「繋げ!!」

 俺の言葉にモニターに左翼を任せたセライナが映る。

『兄上!! あれは!!』

「悪魔の兵器だ、セライナ」

『私はトウキョウという都市であれを見たことがあります。兄上!! あれと戦ってはいけません!! あれは化け物です!!』

『愚かな人類に告げます』

 セライナの通信を遮るようにグルヴェイグから通信が入る。

『シフを大人しく私に渡しなさい。そうすれば私はシフと共にこの世界を去りましょう』

「甘くみるなよ、グルヴェイグ!!」

 グルヴェイグの言葉に俺は司令官席から立ち上がって大きく叫ぶ。

「俺がその程度の脅しに屈すると思ったか!!」

「その通りさ!! 召喚士の汚さは自分が助かるためなら世界を差し出すよ!!」

「その通りです!! 多数の人々を救うために己の身を差し出すような殊勝な心がけをしているわけないじゃないですか!!」

「事実だけどフォローしてねぇな、パント!! カナス!!」

 フォローに見せかけた死体蹴りが行われたが事実なので反論できない事実。

 俺達の言葉に哀しそうに首を振るグルヴェイグ。

『また振られた。でも安心してシフ。死体になっても貴方を愛するわ』

 グルヴェイグの言葉にマジドン引きだが、セライナはこれ以上ここにとどまると普通に危険なので残存部隊を連れて撤退させる。

 そして俺はある人物に通信をいれる。

「機体の状態はどうだ?」

『万全よ。ええ、何故だかとてもしっくりくるもの』

 通信相手はその豊満なボディを体操服のようなパイロットスーツを着ているネルトゥス。

「よし!! パント、カナス!! 例の機体の完成状況は?」

「8割と言ったところかな」

「ですが5分は全力で動けるでしょう」

「聞いたなネルトゥス!! 5分で決着をつけろ!!」

『わかったわ!!』

「よし!! ガンバスター出撃!!」

 俺の指示と共にヱクセリオンの第三格納庫が開かれて、黒い巨大人型兵器・ガンバスターがガイナ立ちを決めながらせり上がってくる。

 方やデビルガンダムの上でガイナ立ちをきめる真ゲッター1(パイロット・グルヴェイグ)。方やヱクセリオンの上でガイナ立ちを決めているガンバスター(パイロット・ネルトゥス)。

 動いたのは同時であった。

『スーパーイナヅマキィィィィィィィィィィィッッッッック!!!!!!!!!』

『ストナァァァァァァァァァサァァァァァァァァンシャイン!!!!!!!!!』

 両者がぶつかり合った瞬間に世界が弾けた。




アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領軍起動兵器部隊
陸線部隊にMSリーオー。空戦部隊にオーラバトラードラムロとバルキリーYF-21。それぞれの運用のために地上部隊旗艦にビックトレー。空戦部隊旗艦にマクロスとグラン・ガランがある。
なお、開発は三マッドだった模様

グルヴェイグ軍
デスアーミーを主体としたゾンビ兵軍

三マッドによる魔改造ガンバスターVSゲッター線で超進化した真ゲッター1
世界が持つはずがなかった

崩壊した世界
もしもの時の世界崩壊保険のおかげで復活した。



そんな感じで悪乗りに悪乗りを重ねた新話よ!!

ファイアーエムブレムの世界のはずなのにMSとかオーラバトラーとかバルキリーがでてくるのはこの作品だけ!!

そして三マッドによる魔改造ガンバスターとゲッター線で超進化をとげた真ゲッター1によって崩壊する世界。
いやぁ!! 保険に入っていて助かりましたね!!

あとスイッチで烈火と封印やれるようになりましたね。メッセージで『烈火編やりませんか?』というメッセージを頂いたのですが、現在作者は連載は銀英伝一個で死んでいるので増やせません。風花雪月も終わってませんしね。

それとこの作品の真ゲッター1はチェンゲデザインです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

株式会社ヴァイス・ブレイブ

おいおい株式会社設立とかマジかよ!!

作者の悪ふざけが酷い作品ですね(他人事


 新しくヴァイス・ブレイブに召喚されたアイビーは召喚士の執務室でソファーに座っている。向かい側にはアイビーを召喚した召喚士が座っていて、ヴァイス・ブレイブの説明を行っている。

「以上がおおまかなヴァイス・ブレイブの現状だ」

「ええ、理解したわ」

 アイビーの言葉に満足そうに頷く召喚士。

「いや、話がはやくて助かる」

「ええ。神竜様も協力しているのでしょう? だったら私も協力するわ」

「おっと。そっちの(忠臣)タイプだったか。まぁ、この世界には珍しくもないが」

 召喚士はそう言いながら一枚の書類を机の上におく。それを見ながらアイビーは首を傾げた。

「これは?」

「労働条件兼雇用契約書だが?」

「え?」

「え?」

 お互いに首を傾げる。一方はどう考えても世界観にあっていないものがでてきたことについて、もう片方は当然の書類をだしたのにそれを不思議がられたことについて。

 アイビーは書類を確認する。

 労働条件や給料の金額。特別休暇や有休についても書かれている書類だった。

「……なにこれ」

「なにって労働条件兼雇用契約書だが?」

「世界観おかしくないかしら?」

「お前は何を言っているんだ?」

 アイビーの当然の突っ込みは召喚士の『何言ってるんだこいつ』的な視線と言葉で呆れられた。

 アイビーはちょっと待ってというジェスチャーをしながら言葉を続ける。

「ヴァイス・ブレイブは戦争をしているのよね?」

「そうだな」

「……お給料はまだしも特別休暇と有休もあるの?」

「そりゃ会社なんだからあるに決まってるだろ」

「会社なの!?」

 驚愕の新事実!! アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領は会社化していた!!

「まぁ会社と言っても俺が持ち株50%、ルフ男とルフ子が20%づつ。残りの10%がアスク王国の株式会社だが」

「株式会社!?」

 しかも株式会社だった!!

 ここで召喚士はようやく思い至ったのか説明を始める。

「ヴァイス・ブレイブは領土を広げ、英雄も多数召喚したことで人材には困らない。そこでアティの奴が『子供には勉強させなきゃいけません!』と言ってヴァイス・ブレイブ学園を設立。多数の英雄がそっちに学生として入学することになった。それがいい機会だったので俺とルフレ’sで話し合って大人英雄達とは正式に雇用契約を結んで組織化することにしたんだ。で、多数の英雄を労働者として迎えることになったので『株式会社ヴァイス・ブレイブ』を設立。英雄だけじゃなく兵士達もこの会社に所属してもらうことにした」

「え~……」

「だが条件はいいぞ? 各種手当は手厚いし特別休暇も必ずとらせてやるし、一部のワーカーホリック英雄を除いて有休の取得率もいい。当然、育児休暇などもあるしお給料もアスク王国の中でも一番だ」

「え~」

 召喚士の説明を聞きながら軽くひくアイビー。どう考えても世界観があっていない。

「で、それら詳しいことはここに書かれているからよく読んで契約してもいいと思ったらサインしてくれ」

 しかも別に雇用契約も強制じゃなかった。

「……ちなみに契約拒否したらどうなるの?」

「うん? 元の世界に帰してやるだけだが?」

 至れり尽くせりだった。

「おっす。召喚士いる?」

「ギムレーか。どうした?」

 そこにやてきたのは我らがオタクトカゲ。同人作家ギムレー先生であった。

「あ? 新人英雄?」

「ええ、アイビーよ」

 アイビーの言葉にギムレーは値踏みするかのようにアイビーの身体を上から下までねめまわすように見る。

 そして笑顔でサムズアップ。

「ナイス水着!! ナイスおっぱい!! ナイスケツ!!」

「え?」

「召喚士、我、来月有休欲しいんだけど」

 流れるようにセクハラしてからギムレーは書類を召喚士に手渡す。召喚士は内容を確認するとギムレーをみる。

「来月のこの日ってことはコミケか。なんだ今回も受かってたのか。新刊大丈夫か?」

「いやぁ、やばいんだよねぇ。正直休み欲しいんだけどティアキンの攻略で有休使い切っちゃってさぁ。どうにかならない?」

「この日付だったら夏季特別休暇で大丈夫だ。そのかわりに有休で原稿書いたらどうだ?」

「お? マジ!? じゃあそうするわ!!」

「じゃあこの書類は返すから書き直してくれ。それと夏季特別休暇と有休のことはちゃんと上司のドーマに言っておけよ」

「おっけーおっけー」

 書類を受け取って軽くスキップしながら部屋からでていくギムレー。

 それを見送りながらアイビーは口を開く。

「流れるようにセクハラされたのだけれど」

「ああ、ハラスメント対策課はフィオーラの管轄だから。そこに報告して悪質だと判断された場合は治安維持部隊が処罰してくれる」

「……え~」

 反応に困るアイビー。まさかハラスメント対策課なるものまであるとは思っていなかった。

「ああ、それと有休休暇の取得は半年勤務してから初めて付与される。もし有休がない時に休日が欲しくなった時は上司に相談してくれ」

「上司?」

「ああ。アイビーの出身世界は……エンゲージか。だったら上司はアンナになるな」

 アイビーはなんか普通に就職しにきた気分に陥る。

「え? ほんとにそれでいいの?」

「うん? ヴァイス・ブレイブ学園のほうが希望か? だったらこっちの書類になるが」

 そう言って取り出された『ヴァイス・ブレイブ学園入学願書』という書類をみてアイビーは考えることをやめた。

 なのでアイビーは個人的に一番重要なことを尋ねる。

「神竜様はどちらにいるのかしら?」

「リュールは株式会社ヴァイス・ブレイブだな」

「じゃあ私もこっちよ」

 そういって速攻で労働条件兼雇用契約書にサインするのであった。




アイビー
株式会社ヴァイス・ブレイブに入社した新人(水着)英雄

召喚士
株式会社ヴァイス・ブレイブ特別顧問

ギムレー
新刊は3冊の予定(全部エロ

株式会社ヴァイス・ブレイブ
アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領にある新進気鋭の株式会社。名目上の社長はアルフォンスくん。



そんな感じで悪乗りに悪乗りを重ねた結果、ついに我がヴァイス・ブレイブが株式会社になりました。
労基には絶対文句を言わせないとばかりにホワイトなこの企業。部署分けとしてはそれぞれの出身世界に実装英雄が少ない世界はFEHキャラと同じところ。
そして『神様科』という神キャラだけが所属する部署がある。部長はドーマ。きっと胃をやられている。

それと設定的には未成年英雄が『ヴァイス・ブレイブ学園』。青年英雄(+烈火全員)は『株式会社ヴァイス・ブレイブ』所属となっています。

あとアイビーの口調間違いについてはご容赦を。一応調べはしましたが作者はエンゲージやってないからわからんのです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真ギネヴィアVSネオイドゥン~世界最後の日~

神階ガチャでグルヴェイグが実装されましたね。

無事に引いたのでこの作品のロボ軍団に真ゲッターが追加されました。

本当にファイアーエムブレムか?


 ついにグルヴェイグとの戦いが決着した。真ゲッター(withデビルガンダム)とガンバスター、そして俺とパントとカナスが作り上げたオーラバトラー、バルキリー、MSといったファイアーエムブレムの皮を被ったスーパーロボット大戦はグルヴェイグの真ゲッターの繰り出したストナーサンシャインをガンバスターに乗ったネルトゥスが超合金Zで作ったバットでバスターホームランしたことによって真ゲッター(withデビルガンダム)の打倒に成功し、ヴァイス・ブレイブ自治領軍の勝利となった。

 そしてその直後のガチャによってグルヴェイグがやってきたことによってヴァイス・ブレイブ機動兵器部隊に真ゲッター(withデビルガンダム)が加入した。

 グルヴェイグの加入によって何が起こったか?

 俺、パント、カナスの三人に人類厄介オタクことゲッター線の技術が流入したのだ。

 いくつもの人体実験を重ねた俺達はついに人類にゲッター線を注入するカプセルの開発に成功。ゲッター線をついに召喚された英雄に注入するところまでいった。

 ここで問題になったのはゲッター線を注入する人材である。人類厄介オタクであるゲッター線くんは気にいらない人物だと身体を崩壊させてしまう恐れがあった。

 そこで俺達はゲッター線くんと直接コンタクトをとり、ゲッター線くんが気に入る人材を探し出した。

 最初に候補にあがったのはヴァイス・ブレイブ自治領において良心回路でありここ数年くらい休みをとらせないで働かせている過労死枠の漆黒の騎士ことゼルギウスであった。

 即座に俺達はヴァイス・ブレイブ自治領軍を仕切っているリンにゼルギウスでの実験を申請したのだが、リンの「ここで漆黒の騎士に抜けられると戦禍の連戦その他もろもろのローテーションの編成がめんどくさい」という至極全うな理由によって却下されてしまった。

 昔の俺達だったら「そんなの関係ねぇ! 憧れは止められねぇんだ!」と言って漆黒の騎士を拉致するところだが、大魔術・エデンの復活実験がバレて13回くらい殺されてようやく許された俺とパントとカナスは漆黒の騎士での実験は諦めた。

 そして次にゲッター線くんが興味を示したのは人でありながら魔竜・イドゥンを殺してみせたロイくんであった。

 三人がかりでロイを丸めこもうとしていた俺達は大天使ニノの「あ! 三人共危ない実験にロイを巻き込んじゃ駄目だよ!」という愛らしさ1000000000%の説得を受けて諦めた。

 そして大天使の恰好がジャッファに似ていたのでとりあえず黒い牙の面々と一緒にジャッファは吊るした。

 そしてついにゲッター線くんはパーフェクトアンサーを出す。

 世紀末覇王女・ギネヴィアである。

 間違いなくでる作品を間違えているであろう世紀末覇王女は俺達の言葉に即座に「よかろう」と許可を出した。

 そして世紀末覇王女を入れるには作っていたカプセルが小さかったために3倍くらい大きくしたカプセルに世紀末覇王女に入ってもらい、ついにゲッター線を直接人体に注入する実験を行った。

 変化は劇的であった。

 世紀末救世主伝説のボスにいそうだった筋骨隆々な女性(生物学上の分類)だったのが、腕や足、腰などは普通の女性のようになり! 武器や魔法を弾いていた大胸筋は文句なしの巨乳に!! そしてなんかめっちゃ濃かった顔は普通の美女になったのだ!!!

 ベルン王国女王・ギネヴィア爆誕である。

 まだシステムが起動しているために眠っているギネヴィアを尻目に俺達はスクラムを組む。

「え? これってまさか実験失敗か?」

「でも身体に変化は起きているよ?」

 俺の言葉にパントが言うので再びギネヴィアをみる。

 文句なしに美女と言えるギネヴィアがいた。

「いやいや、こう言っちゃなんだがギネヴィアが普通のギネヴィアになっているぞ?」

「ですが数値上は確かにゲッター線で進化していますよ」

 カナスの言葉に俺とパントが機器を確認すると、確かに数値上は進化を果たしていた。

 無言になる俺達。

「まぁ!! とりあえずギネヴィア起こしたらわかるよな!!」

「流石は前向きな姿勢だね!!」

「魔術の発展にトライアンドエラーの精神は大事ですよ!!」

 パントとカナスの返答を同意と受け取ったのでゲッター線注入システムを停止。

 そしてギネヴィアが眼を開いた瞬間に世界が弾けた。

 

 

 ギネヴィアの覚醒によって消し飛んだ俺達は、別世界に用意しておいたそれぞれの身体に精神を移動させて合流した後、再び実験室のあった世界に移動した。

「おわぁ。マジかぁ」

「いやはや、彼女を甘くみていたかな」

「ここは特別性の世界だったんですけど」

 俺達が特別に作り上げた実験世界はギネヴィアによって更地になっていた。

 その世界の中心(俺達の実験室があった場所)で拳を閉じたり開いたりしていたギネヴィアは俺達のほうをみる。

 その視線は常人であったら死ぬ視線であった。

 だが烈火世界の住人の心臓は尋常じゃないので俺達は普通に話しかける。

「新しい肉体はどうだ?」

「ふむ……」

 俺の言葉にCV石見さんの声でギネヴィアは軽くジャンプする。

 300mは跳んでいた。

 間違いなく死ぬ高さから着地したギネヴィアは美しい笑みを浮かべる。

「悪くない。召喚士よ、この肉体に慣れる戦場を用意せよ」

 声も身体は変わっても中身は世紀末覇王女のまま俺に言い放ってくるギネヴィア。その言葉に俺は掲示板を開いてギムレーに通信をかける。

 20コールした後出てきたギムレーは眼の下に隈ができていた。

『召喚士、何か用? 我、今冬コミの最後の追い込みで忙しいんだけど』

「お前もう新刊用意してなかったか?」

『仕方ないじゃんネタが振ってきたんだからさぁ!! 流石の我も3冊目は死ぬかなと思ったけどまだ生きているわ!!』

 笑いながらエナジードリンクをがぶ飲みするギムレー。忙しそうなので俺もさっさと用事を済ませることにする。

「お前の眷属にファウダーっているじゃん。今、大英雄戦やってるやつ」

『ファウダー?』

 眼が座っている状態でファウダーの名前を呟くギムレー。

『あ~、誰だっけそれ。知らん。覚えてない。そいつがどうかした?』

「実験台にしていい?」

『あ、いいよいいよ。我が覚えてないってことはどうせろくでなしでしょ。じゃんじゃん実験台にしちゃって。じゃあ、我は原稿に戻るから』

 そう言ってギムレー側から通信が切られる。

「んじゃ所属の神から許可でたからファウダーがいる世界に送るわ」

「うむ」

 腕を組み(腕の上に大きな胸が乗っている)ギネヴィアをファウダーがいる世界に送る。それと同時にパントとカナスがファウダーの世界の観察用のウィンドウをだす。

『すべミ゛!!!!!!!』

 大仰に何か言おうとしたファウダーはギネヴィアの拳の一振りで塵すら残さず消し飛んだ。

「「「実験にならん」」」

 ぶっちゃけ元のギネヴィアでもあれくらいはできたのでゲッター線によって進化したのかどうかすら判別できない。

 そして消し飛んだファウダーの場所に一柱の神が降臨する。

 人類大好き魔竜・イドゥンのエントリーである。

 お互いをみてニヤリと笑った直後にフルパワーでギネヴィアとイドゥンの拳が振るわれる。

 そしてファウダーのいた世界は光になった。




ギネヴィア
ゲッター線を浴びた結果世紀末覇王女がついに美女の姿に!!(なお強さ)

三マッド
やばい魔術の実験がばれてリン達に複数回殺された。(なお、別世界に身体を用意しているので殺されるたびに三人とも復活する。

ギムレー
冬コミの最後の追い込み中の模様。眷属はろくでなし多し

ファウダー
たぶん一番の犠牲者

そんな感じで人類厄介オタクのゲッター線くんの力をギネヴィア様がついに伝承英雄の姿に!!(しかし中身は覇王女である。
そして圧倒的被害者のファウダーくん。崇拝する神にも忘れられているのでファウダーくんは泣いていい。

先日の神階英雄で実装されたグルヴェイグを無事に引いた結果ヴァイス・ブレイブ自治領に真ゲッターが実装。召喚二回目で来るのは召喚士のストーカー疑惑が強まるよグルヴェイグ。

そして執筆しませんでしたが響ニノ、イサドラ、ハーケンの烈火ガチャも無事に全員引きました。
ええ、二回天井叩きましたが。

そして新しいストーリーで一人で我がヴァイス・ブレイブに攻め込んでくるラタトスクちゃん。
その勇気を買ってブラミモンド(召喚士)、ナギ、イドゥン、ユンヌのこの作品のやばい神様連中で叩き潰してあげました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。