ハイスクールD×D Re:Joker of despair (カルパン)
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旧校舎のディアボロス
俺、参上ッ(キランッ


やぁみんな、おはよう?こんにちわ?こんばんは?

 

ん?お前誰だって?

 

おっと失礼、姓は皇、名は帝!生前は出雲 陽翔と名乗っておりました。因みに俺は俗に言う転生者だよっ☆

 

あ、待ってお願いだからこいつ頭沸いてんじゃねぇの?みたいな目はやめて!お願いこの通り!

 

至って真面目で善良でごく普通の一般人だから!

 

いや、転生してる時点で一般人じゃねえか

 

今は訳あって離れてた故郷に帰ってきてます

 

理由?長いのでキンクリッ!

 

とは言え今は夜。今家に帰ってただいましても迷惑なだけなので近くの博物館跡のようなところで野宿をすることにした

 

「いやーこういう時の空間魔法って便利だよねー」

 

一人既に起こした焚き火の前で呟きながらサバ缶を開けた

 

「美味そうな匂いがするぞ?不味そうな匂いがするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

のそのそと影から出てきた、二槍を携えた四足歩行の獣のような化け物が突如として現れた

 

「…………………………えっと、サバ缶、食べます?」

 

「ほざけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

渾身の天然をかました俺に、化け物が襲いかかってきたが、突如として首があらぬ方向へと曲がり、絶命した

 

「フン、悪魔と聞いてどれ程かと思えば、そこいらの有象無象の劣等種共と同等ではないか……む、そこの劣等種、喜べ。私が貴様で鬱憤を晴らしてーー」

 

「…………うるさいよ、氷結…………」

 

爪先に剣を生成し、氷結ボディの首を斬り飛ばした

 

「あなた、何者かしら?」

 

ちょっと掃除して寝ようと思ったら、何者かに声をかけられた。おそらく女性だろうが

 

「……どうしたんですか?ここは危ないから早く帰った方が……」

 

「惚けないで。あなたの後ろに横たわっているはぐれ悪魔が動かぬ証拠よ」

 

「はいはい。わかりましたよ、先ずは自己紹介をば。俺の名は皇 帝。ごく普通の家庭で育ったごく普通の男さ」

 

「はぐれ悪魔を倒す時点でごく普通なわけがーー」

 

「兄貴!?本当に兄貴なのか!?」

 

突如として上げられた声に、皆がその声の主を見る

 

「ん?もしかして……イッセー!?」

 

「そうだよ!今までどこほっつき歩いてたんだよこのバカ兄貴!」

 

「バカはないだろバカは!ってか理由は父さんが話してた筈だろ!」

 

「え、えーっと……」

 

金髪のイケメン君が困ったような表情を示した。会話内容についていけないのだろう

 

「えっとだ、あー……そこの紅髪のお嬢さん、名前は?」

 

「り、リアス・グレモリーよ」

 

「よし、リアスさん、細かい話と説明は明日でいいかな?の時間帯だと人間の俺には辛すぎるんでね」

 

俺の発言に、リアスさんは何故見抜かれたというような表情になったが、すぐに元に戻った

 

「そうね、イッセーのご家族というだけでも信頼性はあるし、何より貴方からは悪い感じはしないしね。いいわ、イッセー、貴方のお兄さんを明日、駒王学園まで案内してあげなさい」

 

「りょ、了解しました、部長!うし、じゃ兄貴、帰んぞ」

 

「いや、帰るって……今の時間帯だと迷惑じゃないか?」

 

「いや、父さんは既に俺の正体見破ってるよ」

 

「……おう、そうか……」

 

我が父は相変わらずのようで、その言葉しか出せなかった

 

To be continued.




どうも、カルパンです
今回は本当に申し訳ございませんでした。主な理由としては、終わりと方向性が、見えなくなってしまい、情報整理も兼ねてリメイクすることとなりました。既存作品は一応残しておきますが、主な更新はこちらとなります。
本当に申し訳ございませんでした


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銃は男のルルゥォォォォマンだろうがぁ!!

「さて、作者……何か弁解はあるか?安心しろ、答え方次第では楽に殺してやる」

アレェ待って!?殺される前提なの!?私殺されるの!?

「そりゃそうだ。前回更新したのいつだと思ってんだ?」

ご、五ヶ月くらい前ですかね……

「長いわ!その間何やってた!吐け!今すぐ吐け!存命時間が長くなるだけまだましだろう!」

……学校が楽しくって、でも提出課題に追われて、そのくせゲームばっかしてました……

「よし、今すぐその首を跳ねてやる。さぁ跪け!」

えっ、ちょ待っ!更新遅れてすみませんでs

ピチューン☆


空は黄昏色に、地には無数の剣の墓標、宙に浮かぶ巨大な歯車は回ることなくそこに佇んでいる

 

静寂の世界には場違いとも言えるような無数の剣戟音が響く

 

元凶たるは、俺こと皇 帝、弓兵(アーチャー)と名乗る白髪の男、剣兵(セイバー)と名乗る金髪の女性だ

 

「はっ!どこ見て狙ってやがる!弓兵名乗るならもっと狙いをつけるんだな!」

 

「ふんっ!精々今のうちに心置き無く吠えているといい!すぐにその減らず口を叩けなくしてやろう!」

 

次々と放たれる矢……いや、()()()()()()()を一本一本律儀に切り裂き、余裕のアピールをして見せた

 

「戦場において、油断は禁物ですよ!」

 

「知れたことを言ってる場合かねっ!」

 

振り下ろされた不可視の武器を難なく受け止め、それだけでなく、何度も反撃のチャンスを見極めては、チクチクと刺している

 

「あっやべっ!?」

「「そこだ!!!」」

 

足を滑らし、大きな隙を晒し、これをチャンスと見たのか、二人はこちらに大きく踏み込んで一気に距離を詰め、超威力の一撃を叩き込もうと、獲物を上段に大きく構えた

 

「なんてな!!」

 

瞬間、鋭き薔薇が地に突き刺した剣を中心に咲いた

 

女性はいち早く気付き、後ろに大きく飛び、男もそれに倣って後ろに飛び退いていたため、直撃するような事態はなかったようだ

 

「やりますね……油断に見せかけた完璧な反撃……私の直感スキルが無ければ、今頃どうなっていたことやら……」

 

「全くだ。セイバーの直感スキルを信用して飛び退いたが……全く、私以上の剣製の使用者をこんなところで見ることになるとはな……」

 

「流石は英雄たる人物だよ。そこいらの雑魚とは圧倒的に違う。さぁ、次はどんな手で俺を楽しませてくれるんだ?」

 

自分で言うのもなんだが、俺の言葉にはまだまだ余裕が感じられる。まぁ全力を出さずとも捌けるということはつまりそういうことだろうが

 

「どうしてこうなった……」

 

この場に居合わせる誰かの言葉が、黄昏に呑まれた

 

まぁ確かにそうだとは思わなくもないが……

 

……………………………………………………

 

義妹()らしい美優という少女に連れられ、座ったソファー

 

眼前には、悪魔、リアス・グレモリーとその眷属達が居る。それと大きな魔力反応も

 

「まずは皇 帝さん。この度の会談に出席して戴けたことに感謝致します」

 

「あー……おう、別にそれはいいんだがよ、別にもっとフランクに接してくれていいんだぜ?見たところ結構年近そうだし。あ、名前は呼び捨てでもいいぞ」

 

「じゃあそうさせて戴こうかしら。さて、単刀直入に言うわ。私達グレモリー眷属と、同盟を組んでもらえないかしら?」

 

「同盟……ね……」

 

「ええ。勿論悪いような条件は付けないわ。こちらはあなたに力を貸してもらって、あなたには私達の全力のサポートを用意させていただくわ。出来る限りの内容であればね」

 

「ま、いいぞ」

 

あっさりとした俺の答えに、この場の者は皆、ぽかんと口を開けて、アホ面を晒していた

 

「い、いいのかしら?あなたを顎でこきつかうなんて事態があるかもしれないのよ?」

 

「ああ、いいさ。帰ってきてからはこちらのことに関しては隅々まで調べあげさせてもらった。グレモリーは情愛が深いことで有名だということは知っているよ。それに、イッセーと美優がリアスさんの眷属に居るという時点で家の家族の保護は完璧なものであるということも想像できている。あとは……そうだな、個人で出来ることには限界が有るが、集団となれば情報網や伝とか、その他諸々のことを加味すれば同盟を組むことではこちらにはデメリットなんてあんまし感じらんねぇからな」

 

リアスさんは感心したように俺の言葉一つ一つに耳を傾けてくれていた

 

「それに、弟と妹からも昨日は散々と聞かせてくれてね。二人とも、しっかりと信頼を寄せているようだったし、同盟とかの話が来ても受けようか、ぐらいの気持ちだったんだが、君の態度を見て決まったよ」

 

緊張を解すように少し微笑むと、何人かの視線に少しの熱が入ったのを感じた

 

またこっちでも俺はフラグ建築士なのか!?今すぐぶっ壊さねえと取り返しがつかねぇ!

 

「そう……よかったわ。実はイッセーからあなたの人柄を聞かせてもらっていたのだけれど、それでも少し不安で……でも安心できたわ」

 

少し頬を赤く染めて、はにかむように笑う彼女は、貴族のような雰囲気というより、年頃の女の子という部分が強く感じられた

 

「んじゃま、同盟契約も終わったことだし、ここいらで自己紹介でもしようか。えっと、まずは俺から。俺は皇 帝。今年の四月に十七になった。特技は家事全般、趣味は読書、音楽鑑賞、ゲームとかかな」

 

「私はリアス・グレモリー。グレモリー眷属の(キング)をしているわ」

 

「姫島朱乃と申します。女王(クイーン)の役割を担当しております。以後お見知りおきを」

 

「僕は木場佑斗って言います。騎士(ナイト)の駒で、スピードを生かした戦闘方法が得意です。気軽に下の名前で呼んでください」

 

兵士(ポーン)、皇一誠。後は言わなくてもわかるだろ」

 

「え、えっと、改めまして、皇美優です。その、これからよろしくお願いします……」

 

さて、()()のほうの自己紹介は終わったわけだが……問題は二人……内に秘める魔力は一般人と一線を画しているからみるに魔術師だろうか……

 

「あら、もう私達の番なのね。私は遠坂凛。もうとっくに気付いてると思うけど魔術師よ。この地の管理者(セカンド・オーナー)を任されていて、リアス達と協力させてもらってるわ。これから協力者同士よろしくね」

 

何故だろう、俺の警報がこの人にすげー反応してるんだが……一応注意しておくか……

 

「オレは衛宮士郎だ。魔術使()()で、ガラクタ弄りが趣味だ。オレも家事全般は得意だから、お互い何かあったら情報共有の一つや二つ、いつかしよう。あ、下の名前で呼び捨てしてくれても全然構わないから、これからよろしく頼むよ」

 

まぁ、態度というか話し方というか……こいつはきっと底なしのお人好しなんだろうな

 

「あぁ、こちら力を合わせることが多々あるかも知れないんだ。こちらからも是非よろしく頼むよ」

 

……………………………………………………

 

そこから談笑したりしてどんぐらい強いか聞かれて実戦で見てみるかと言ってこの有り様か……そうだそうだ……俺のせいだね!!これ!!

 

「フッ!!」

 

「ぅおっと」

 

振り下ろされた白と黒の双剣を、逆手に構えた双剣を軌道上に置いて反らし……

 

待った、なんで弓兵が近接なんてしてんだ!?

 

「はぁっ!」

 

「休憩の余地無し!?」

 

すぐさま両の剣で、攻撃を弾き距離を取った

 

「……何かね、その非難がましい視線は……」

 

「別にぃ?弓兵が近接仕掛けて来ると思ってなかった訳じゃないしぃ?そんなん別に全然、全っっ然気にしてないしぃ?」

 

「それは気にしている人の文句だろう……それに、誰も弓兵が剣を手にとって戦ってはいけないとは言っていないだろう?」

 

「いやそうだけど……そうだけどぉ……!!」

 

「それはそうと、もうこれで終わりでよいでしょう。もう貴公には獲物がない。戦士足るもの、戦場で獲物を失えば、最早死んだも同然。敗北を宣言することをお勧めしーー」

 

「誰が獲物はもうないと言った?隠し玉など、腐るほどある」

 

「……そうでしたね。何より貴公は創造系能力を保持していましたね。アーチャー、援護を」

 

「ああ、承知した。あのすかした面に一発決めてきてくれ」

 

女性……セイバーは、こちらへ突貫し、アーチャーは剣を弓に番え、俺の回避方向を予測して睨んでいる。

 

かなりいい連携ではあるが……

 

セイバーの突進方向とは垂直方向に飛び退き、そちらには既にアーチャーの剣が迫っていた

 

ズパンッズパンッ!!

 

それは、剣が俺の肉体を裂いた音ではなく、俺の掌に収まっている、無機質なボディを備えた物体から発せられた、渇いた空気の爆発音だった

 

「なっ……!?」

 

アーチャーはえらく近代的な、神秘も宿っていない物ごときに自が一撃を弾かれるとは思ってもいなかったのだろうか、目を大きく開き、驚愕の色を宿していた

 

「大口径自動拳銃、D.E.(デザート・イーグル)を俺なりに改造した完成型の試作品、D.E.prototype2だ。弾丸はライフル弾に近い構造にして、発射口付近には回転数を大幅に増幅させる機構を用いて、極限まで貫通力を高めている。一発一発の火薬量も増やしているから、威力も段違い。トリガーは手に食い込むように削り、調節を加え、材質も軽くて丈夫な鉱物を使用した。これによって、トリガーを引く際の余計な重さが外れ、高速でトリガーを引いて連射することも可能なことから、従来の物より連射性能が大きく変わっている。そして外面は黒曜石とオリハルコンの混合物で加工しているので、耐久面も問題ない。俺の能力をこいつ自体に付与させ、弾丸に乗せて放つことも可能だ。唯一の欠点としては、反動がかなり大きく肩の弱いやつが両手持ちで撃っても肩を脱臼させてしまうことぐらいか。俺個人としては、かなり理想的な銃器に仕上げれたと自負しているつもりなんだが、他の奴からはどう見えるだろうかね」

 

商品紹介のように、自慢の逸品の説明を終えた俺に向けられていたのは、少数ではあるが、羨望の目だった

 

「くそぉぉ!なんだと言うのだ!二丁拳銃とかかっこいいに決まっているだろう!くそぅオレもあんなの欲しかったなー!」

 

……あれ……?なんか予想してた反応と違う……てか何気にキャラ崩壊してんだけどあの人……

 

「み、認めたくないけど……アーチャーと同じ事を思ってるだなんて認めたくないけど……でも正直羨ましい……!!」

 

なんてこったパンナコッタ、場が混沌としてきたぞ……

 

「ちくしょう!腹いせに貴様の銃を壊してやる!I am the born of my sword(我が骨子は捻れ狂う)……偽螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!」

 

「なんて傍迷惑だ!?」

 

迫り来る螺旋の剣を正面に、俺は右腕の手首を握り、引き抜いたと同時に、その剣の能力で螺旋の剣を切り裂いた

 

「……!?バカな、どういうことだ!?」

 

「悪いな、あの剣の概念の悉くを斬らせてもらった」

 

「そ、そんなことが出来るのは……いや待て……その剣は……!!」

 

アーチャーは信じられないというような目で俺の剣を注視していた

 

「その剣……明らかに神造兵器以上の代物ですね……概念を斬るというのが何よりの証拠。大方目安はついていますが、一応よろしければ教えていただけますか」

 

「悪いな、こいつばかりは秘匿事項だ。教えてほしけりゃ、誰にも聞かれないような場所で話すよ」

 

「……はぁ、わかりました。それともう一つ。私はここで負けを宣言します」

 

「私も同じく、ここで辞退させていただこう」

 

外野からは、驚愕の声が上がっていた。英霊を相手に誰も勝ち越しを決めるとは思っていなかったようだ

 

「ん?いいのか?もしかしたら俺に勝てるやもしれんというのに……」

 

「ええ、しかし勝てる気がもうしません……貴公は先ほど、アーチャーの宝具を斬った時に、()()()()()()()()()()を斬ったのでしょう?」

 

「ま、分かりやすく言うとってところだな」

 

「そのせいで私の奥の手は発動させられなかった。同じ原理で行けばセイバーが宝具を撃ち込んだところで結果は同じというところだろう」

 

「あぁなんだ、俺の読みは見事読まれてた訳か。了解した。ならばこの勝利、甘んじて受け入れよう。さて、そろそろ戻るか」

 

そう言って空間自体を斬ると、空間に切れ目が入り、周りの風景が吸い込まれるように切れ目に入り込み、気がつけば駒王学園旧校舎の裏手の庭だった

 

「スゲーよ兄貴!兄貴ってこんな強かったんだな!アーチャーさんとセイバーさんが手も足も出ない相手なんて俺初めて見た!」

 

「すごいです帝さん!特にアーチャーさんの宝具を斬った時がすごくかっこよかったです!もしよろしければ今度僕に剣の指導をつけてください!」

 

「あ、あのえっと……うぅぅ……や、やっぱり無理ですよぅ朱乃さぁん……」

 

「あらあら、困ったものですわね、うふふ」

 

「……やっぱり同盟だけでよかったわね……あんなに強かったらもう眷属として仕えさせるなんて、魔王様方、特に超越者のお二人でないと無理だわ」

 

こいつらと同盟……か。正直悪い気分にはならねぇな……別に同盟じゃなくて協力者でもよかったかもな……まぁいいや。それより……

 

「頼む!皇 帝!どうか私に先程の銃の製造方法を教えてくれ!」

 

このめんどくさい英霊(笑)を誰かどうにかしてくれ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後マスターさんがしっかりと処理してくれました

 

To be continued.




どうも、ギリギリ生き残ったカルパンです。
更新遅れて申し訳ありませんでした。
理由は先程も説明した通りなのですが、それに加えて創作小説の構図についても考えていたため、なかなかこちらの方に手が着きませんでした。創作小説のほうは、大体構図が出来上がっているので、後は学年末テストを乗りきればこちらの方に回せる時間が増えるかと思います。本当にお待たせしてすみませんでした。超ド糞亀更新ですが、これからも応援していただけると幸いです。ではノシ


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さすが俺!どんな女子でもイチコロダネ!(白目

「ぃよっし、見た目はまぁこれで大丈夫かな。あとは教科書とかどうたら云々……」

 

自室の本棚から、様々な教材を見つけては放り込んでいるのは、ここ数日で駒王学園へと編入することとなった帝であった

 

編入手続きについては、リアスの協力の下に行われ、制服代や教材費も工面するとは言われたものの、このような至れり尽くせりの状況には流石に帝のプライドは許さなかったらしく、そこは自分がなんとかすると言い、懐が南国から北極に変わったのは記憶に新しいところである

 

「髪は……めんどくせぇ、このままでいいや。後で地毛申請出しゃいい話だし、言い訳はいくらでもあ……ってやべぇ、編入早々遅刻とか洒落になんねぇな……こうなりゃ転移するか」

 

呼び出した剣で次元を裂き、旧校舎の保健室へと繋げ、一気にその間を通りすぎた

 

「さて、職員室へと行こうかね」

 

しかし帝は気付かなかった……自分が下靴を履いていなかったことを……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

所変わってある教室である

 

「おい聞いたかよ」

 

少々興奮気味に話す少年の名は、佐藤

 

「何がだよ」

 

素っ気ない態度で友人佐藤を突っぱねるような発言をする少年は鈴木

 

「何でも今日、編入生が来るって話だよ」

 

「聞いた聞いた。何でも編入試験オールで取ったらしいぜ」

 

興味深げに二人の会話に入ったのは田中

 

「マジか天才か!?」

 

「マジマジ。教師の間でめっちゃその話してたわ」

 

「んで、その天才編入生が何だってんだ?」

 

「そうそう、そいつと俺らがなんか関係あんのか?」

 

「いや、どうにもな?そいつがこのクラスに編入してくるらしいぜ?」

 

「「ふーん、そ。」」

 

「なんだよお前ら!まだまだこれからなんだぞ!?」

 

あまりに素っ気ない態度をとられた佐藤は少々涙目になりながらも友人二人に食いついた

 

「……あんまりしょうもない内容だったらぶっ飛ばすからな……」

 

「右に同じく」

 

「まぁ聞けや。どうやらその編入生……めっちゃ美形らしい……」

 

「「……いや、まさか……無い無い無い……」」

 

「ここまで来たらもう分かるだろ!女子だよ!絶対女子だよ!」

 

「バカッもう少し声抑えろ!」

 

田中に言われて、周りを少し見ると、佐藤には女子からの冷ややかな目線が送られていた

 

「てか、美形なら男子でもいるだろほら……確か一年の木場ってやつ」

 

「ありゃ例外だ。美形って来たら女子って大抵相場は決まってんだよ」

 

「いやいや、そんなわけーー」

 

そんな会話の中で、鶴の一声がかかることとなった

 

「よーし、お前ら席に着けー」

 

彼らのクラスの担任の教師だ

 

「さて、お前らも聞いてると思うが、今日うちのクラスに編入生が入ることになった」

 

「ハイ先生!その人は女子ですか!!」

 

「落ち着け佐藤。ま、実際に見てもらえば分かるか。よし、いいぞ」

 

その声をかけると、コンマ遅れで教室のドアが開かれた

 

クラス中からの視線が集まるドアから見えたのは、顔だけをひょっこりとクラスの中に入れた銀髪の美少年だった

 

「……やあみんな。さぁ今日も元気にひょっこり体操の始まり始まーー」

 

「そういうのはいいから早よせんか」

 

「あだっ……えい……」

 

バインダーの角で頭を叩かれた少年は少し落ち込んで教室内に入った

 

「えー、改めてこいつが今回の編入生だ。ほら挨拶」

 

「うい。皇 帝だ。こんな身なりだが、一応日本人だからそこは履き違えないでもらえるとありがたい。趣味は読書、音楽鑑賞、あとはゲームくらいか。特技は家事全般だ。今日からよろしく頼む」

 

「っつーわけだ。今日のHRはここまでにしといてやるからあとは好きに使え」

 

その言葉を皮切りに、彼に質問が殺到したのは別の話である

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「う"あ"あ"ぁぁぁ……やっと終わったか……」

 

指定された席で突っ伏し、獣のように低い唸り声を上げた帝は、隣の席の少女を一度見て

 

「つかあの状況から助けてくれても良くないっすかね……グレモリーさんよぉ……」

 

恨みがましく言葉を吐いた

 

「あら、興味のあることに熱中している人達に水を指すのは野暮じゃないかしら?」

 

「へいへい、それはいと悪うござんした」

 

返す言葉が余り見つからず、帝は不貞腐れて左側の方向を見た

 

彼の視界に入っていたのは一年生の授業風景である

 

「……一応あいつは真面目に受けて……前言撤回、やっぱ真面目じゃなかった……」

 

「…………ぎ……ん……」

 

女子の方を見ては鼻を伸ばし、教師に注意されている弟を見て帝は手で顔を覆った

 

「……めらぎ……!」

 

「でもまぁ、仲がいいダチもいるみたいだし、兄貴としては安心したほうがいいのかね」

 

先ほどから教室内に響く呼び声も気にせず、帝は窓の外の弟を見てお兄ちゃんオーラ全開の、包容力が籠りに籠った笑みを浮かべていた

 

「………ってそ、そうじゃなくて聞こえていますか!皇くん!」

 

「わんっ!」

 

「何で犬の鳴き真似で返事ですか!?」

 

既にクラスの女子全員は先ほどの彼に見惚れていたわけたが、帝が全力でふざけるため、とんだ雰囲気のぶち壊しである

 

「もしかして実は聞こえてたんですね!?そうなんですよね!?」

 

「…………ワフッ?」

 

「今の間は何です!?あと鳴き真似上手い!?」

 

「お褒めに与り恐悦至極!!」

 

「ちゃんと普通に話してくださいぃ~!!」

 

新任教師、原田真悠子。彼女の受難はまだ続く……?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

桜が散り行き、共に銀が舞い踊っていた

 

「へいへいへい、どうしたどうした、まだまだ行けんだろ?ほれほれほれほれほれ」

 

ただし非常にムカつく言い方で声の主は相手を煽っているため、相手……下手すればその場にいた人は誰彼構わず彼の言葉に耳を傾けてしまい、同時にイラッと来るのは間違いないだろう

 

「くっ、このっ!」

 

「はい止めー」

 

少年が大上段に剣を構え、勢い良く振るうと、銀髪の少年ーー帝は二本指だけで受け止めた。分かりやすく言えば真剣白羽取りを二本の指だけで行った

 

「この前の戦闘といいこれといい……人外ですね、帝さん……」

 

「こら、人のコンプレックスを指摘すんじゃねぇの。俺もちょっと気にしてんだかんな……そんな人間離れしてるか?俺……」

 

勝手に思案しては勝手に肩を落とす帝には、思わず裕斗は苦笑いを溢した

 

「……さてはオメー目で追ってやがるな?」

 

「目で……?」

 

「ああ。お前の一つ一つの動き、重心の移動や足運びまで、隅々と見たが、目が泳いでるかのように動きまくっていた。確かに目で追って行くというのもメリットはあるにはあるが、それだけでは当然限界が来る」

 

「では、どうすれば……?」

 

「気配、視線、相手の息遣い、魔力の流れに殺気や空気の音など……感知の仕方は多様にあるが、気配感知を覚えることを勧める。ちなみに俺はさっき言ったのは全部習得済みだ」

 

「でも、どうすれば気配を感じることができるんでしょうか?」

 

「……………………フ、フィーリングでなんとかなるもんだよ、こういうのは……うん、フィーリング大事。試せばわかる」

 

「随分と当てずっぽうというか投げやりというか……」

 

「仕方ないだろ……これで実際に通ってきてんだから文句言うんじゃねぇっての。てわけでほい」

 

帝が懐から取り出したのはアイマスクだった

 

「あの、帝さん、これアイマスクですけーー」

 

「目隠しだ」

 

「いやですからこれアイーー」

 

「目隠しだ」

 

「だからこーー」

 

「目隠しだ。いいな」

 

「…………ハイ…………」

 

有無を言わさぬ笑顔で裕斗に目隠し(アイマスク)を装着させた帝は裕斗から距離を置いた

 

決して、丁度いい布が無かったから仕方がなかったとか、アイマスクを着けて修行ってめっちゃシュールで面白いんじゃね?とか考えたわけでも無いし、断じてサボってどっかで寝てようかなと考えてたわけでも無い。無いったら無いのだ

 

ある程度視界を遮る効果があればそれはもう立派な目隠しだ。反論は認めない。と言いたげな帝だった

 

「よし木場、俺は今どこにいると思う?」

 

「えっと……わからないです……」

 

目の前ですという言葉をぐっと裕斗は呑み込み、ツッコミを入れたい気持ちを抑えた

 

「じゃあ今からそこに結界張るから」

 

「えっと……話が見えないんですが……」

 

「今から結界の中に超多重跳躍式銃弾……めっちゃ跳ねる弾五発撃ち込むから」

 

「……多分僕死んじゃうと思うんですけれど……」

 

「安心しろ、弾は全部ゴム製だ。丁寧に一発一発に俺の気配っぽいのつけといたんだからな」

 

「いや、そうじゃなくて僕が言いたいのはーー」

 

「はいドーン☆」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「フハハハハハハ!!そうだ、踊れ踊れ!!」

 

まるで悪役その者の笑い声で結界内を逃げ回る裕斗を見る帝に、オイ何やってんだ主人公とツッコミたいところだ

 

慢心故か、それとも気付いてないフリをしているだけか、帝は自信に集まる二つの視線には反応を示さなかった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うぅ……ひどいですよ、帝さん……」

 

「ハハハ、悪ぃ悪ぃ。でもまぁ気配の感知も覚えたようだし結果オーライってことで」

 

「それはそうともう降ろしてくれませんか?この体勢だと……」

 

「そう言うな。ただでさえボロボロのお前がまともに歩けると思うか?」

 

「ボロボロにしたのは帝さんじゃないですか……」

 

「ナンノコトデショウカ」

 

「や、やめ、帝さ、うぶぁぶぁぶぁぶぁ!?」

 

ちょっとした腹いせと言うべきか、裕斗を米俵のように担いでいた帝は右腕を上下に小刻みに動かした

 

「ま、俺が教えてやってるんだ。とっとと俺に食らいつける程度には強くなれ。そうでないと俺が報われん」

 

「……はい!そういえば、帝さんはどこでそんな強さを手に入れることができたんですか?」

 

「どこでねぇ……自分語りをするのは得意ではないが、まぁいいだろう。まず先に断っておくと、この力の大半は生まれつき、そして神器(セイクリッド・ギア)によるものだ」

 

神器(セイクリッド・ギア)ーー人間にしか宿す事を許されない、超常現象を武具などに押し留めた物体である。また、持ち主との魂と強く結び付き、持ち主次第ではこの世の全てを覆す可能性を持つ進化、禁手(バランス・ブレイカー)に目覚めることも、別の方面へと進化、或いは昇華させることができる。捉え方によれば、奇跡の具現化とも言える代物である。製作者は神ヤハウェと言われている

 

「では、残りは一体?」

 

「そうだな……木場、俺はな、この十年、異界で永遠にも近い時を生きた。そこで俺は、沢山の人と出会った。かけがえのない唯一無二の友、暖かく接してくれる人達、幾度となく刃を交えた者達、俺の剣の師。そうやって、数えきれない出会いや絆、色んな経験が、俺をここまで辿り着かせてくれたんだ。まぁ時には、自棄になっちまったこともあるけど、それでも、ダチや師匠が、一緒に頑張ってくれた。色んな人が、俺に安心や幸せを届けてくれた。それがなきゃ、今の俺という存在は、微塵も無かっただろう」

 

「……」

 

普段見ることはないであろう帝の話に、裕斗は聞き入り、黙り込んでいた。それだけ、彼は力を求めているのだろう

 

「ま、要は色んな人と出会って、経験を積んで、ダチ作って、憧れの存在に手を伸ばし続けろってことだ。きっとお前にもできるさ」

 

「ふふっ、それなら、今の僕の憧れは帝先輩ですよ」

 

急に言われたからだろうか、帝は若干、恥ずかしそうに頬を掻いた

 

「そ、そうか?」

 

「はい。帝先輩は今の僕にとって、半ば師匠みたいな存在で、そして目標ですから!」

 

「なら、もっとカッコよく戦えるように頑張らねぇとな」

 

裕斗の笑みと一緒に、帝も嬉しそうな笑みを浮かべた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、俺はとある一件にて衞宮邸へと招待を受けている

 

てか士郎の家デカいな!?武家屋敷に住んでるとは聞いたがここまでデカいとか聞いてないんだけど!?

 

「ミカド、此度は私からの招待に応じていただき、誠に感謝します」

 

そう、とある一件とは、一話前に言ったこの剣について知りたきゃ誰も居ないとこで聞け発言ーーえ?覚えてない?一話前に戻りなさい。まぁ作者が遅いのが悪いんだが……おぅふ!?ぐぅああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!アタマガァァァァ!?

 

まぁ悪ふざけも大概にしといて……

 

「気にしないでくれ、セイバーさん。元々聞きたいなら誰も居ないとこでって言った俺が原因なんだし」

 

「いいえ、それでもです。元々聞いた私がですので」

 

……ふむ……多分これ同じノリでやってたら延々と続くやつや

 

「わかりました、セイバーさん。ここは間をとってどっちもどっちということで」

 

「そうですね、そういうことにしておきましょうか」

 

因みに士郎には席を外してもらってる。これはマジで極秘事項だからな

 

「今回こうして来ていただいたのは他でもありません……あなたの正体についてです」

 

あんれぇ……?なんか話が違ぁう……

 

しかし顔には出さない。流石帝クオリティ!

 

「セイバーさん、あなたは俺の剣について知りたかったのでは……」

 

「いえ、考え直せば、極秘事項とはつまり誰にも明かすことが出来ぬもの。それを無理に聞こうとは思いません。代替意見と言いますか……別の疑問が生じましたが」

 

「その別の疑問とやらが今回の話の内容と……詳しく聞かせてほしい」

 

「わかりました。では、単刀直入かつストレートに聞きますが……あなたは今代の赤龍帝ですね?」

 

………………ふぁっ!?何故バレた!?気配もオーラも完璧に隠してたのに………………ハッ!?まさか匂いか!?

 

「い、一応理由を聞いても?」

 

それでも態度には出さない。流石帝クオr(ry

 

「単に私の勘です。そして私の竜の心臓が、あなたを見る度に共鳴するのです。それを信じてあなたに直接聞いてみたわけなのですが……」

 

「らしいが、どうなんだ?ドライグ」

 

[全く、相変わらず勘が鋭いことだな。サーヴァントなっている今は更に磨きがかかったのではないか?]

 

「……お久しぶりですね、ドライグ。まさかこんな身近にあなたが居るとは思いませんでした」

 

しかしここで俺はあることに気付いた。何故セイバーさんとドライグが親しげに話しているのか

 

ドライグは元々ウェールズの守護龍。つまりはアイルランド、ひいてはブリテンの守護龍とも呼べるというのは俺自身知っているものである。つまり、彼女はイングランド領域での英雄と呼べる

 

そして俺はセイバーさんを見る。その振る舞いや気品、そして威厳は王を彷彿とさせた

 

再び俺は思案顔に戻ると、ドライグを象徴としていた人物をふと思い浮かべた

 

カチリと何かがはまると同時に、俺の中を電流が駆け巡った

 

マジかよ……俺……天才か!?

 

なるほどなと、一人勝手に納得顔になる俺だった

 

ドライグとセイバーさんの声が響く中、唐突に俺は声を発した

 

「お二人とも、昔話に花を咲かせるのはいいがそろそろ打ち止めとしてくれ。話はこれだけだったのか?セイバーさん」

 

「え、ええ。申し訳ありません、ミカド。無駄な時間を取らせてしまいました。できれば、いつか一緒に稽古をしてみたいものです」

 

「ああ、その時を心待ちさせてもらうよ」

 

襖を開け、俺は渡り廊下を歩いて玄関へと向かった

 

「お、もう帰るのか?もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 

「すまんな、士郎。あまり長居してても迷惑だと思ったから」

 

「いいや、別にそんな事はないさ。あ、だったらせめて昼飯だけでもどうだ?」

 

「いやいや、お茶とお茶請けまで用意してもらった上に昼飯までいただいてくなんて、俺はそんな厚かましいやつじゃないよ。厚意だけ受け取っとく」

 

「そっか。じゃあ仕方がないな。何もなくても、気軽に家に遊びに来てくれてもいいからな」

 

「おう、ありがとな。んじゃ、また明日」

 

玄関の扉を開け、士郎に別れの挨拶を送った俺は昼飯のメニューについて考えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、あんな事が起こるとは、誰も想像できなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ実際何も無かったんだけどネ☆

 

To be continued.



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私は空を舞う白鳥よぉぉぉぉぉ!

めっちゃ遅れてホントスミマセン……学校が!部活が!勉強が!げー……もとい電子機器についての勉強が忙しかったんです!結局絵も落書きレベルのひっどいのしかできないんです!
だから罵……責めて!もうなんか立ち直れなさそうってくらいに酷いので!とにかく遅れてホントに遅れてごめんなさい!


俺がこの学園に入学し、もう早半年経っていた。

 

時間の流れって早いね。こりゃ年食ったらもっと早く感じる気がするよ

 

さて、そんな俺が今いるここは……

 

「オラァ吐けよぉ……ココデ吐イテ楽ニナリナヨォ……素直ニナチャイナヨ、ユー」

 

「だ、断じて……は、吐くもの……か……」

 

リアスに頼み込んで作ってもらった、旧校舎の地下室の一室、俺専用の拷問部屋である

 

いやまぁほら、某爬虫類さんみたいにペンチみたいなので関節の一つずつ切り落としてみたかったんだけど、今思えばそれってほぼサイコ野郎の所業じゃね?ってことでやめた

 

ただし拷問はする!具体的には三角木馬に座らせて一万ボルトの電撃を三時間に渡って流したり、半日くらい擽り地獄をぶっ通しで与えたり、鼻に塩素入りの水を一分置きにぶちこんだり、爪を指からぺりぺりしたり……あれ!?以外と俺の拷問の内容がショボい!?じ、じゃあまさか、ロメロスペシャルかけたまま足つぼマットの上を転がり回ったのも!?あれ結構痛かったのに!!

 

てアホか、俺。それただの自爆やないかい

 

まぁそんな冗談と似非関西弁はさておいてと

 

「……頼むからさ、話してくんね?一応これも仕事の一環だからさ、これやってるのも心が痛いんだよね」

 

「ぐぉぉあああああ!?ならばまず尻を鞭で全力スイングするのをやめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「あらヤダ私ったら……テヘッ☆」

 

「くっ……何故なんだ……俺はただ、無理矢理転生させられた二人を助けたかっただけなのに……こんな……こんなはずじゃ……」

 

「……おい待て、今なんて言った」

 

「き、貴様なぞに言うものか!」

 

「いや、確かに俺のやってること滅茶苦茶だから信じらんないのはわかってるけど!!……俺の耳が正しかったのなら、もしかしたらその二人、助けられるかもしれんが……」

 

「……何だと!?い、いや、嘘を吐くな!貴様の目論見はわかっている!みすみす俺が情報を吐くと思うな!」

 

ダメだこりゃ……聞く耳持たずとはこの事か……

 

「まあ聞けや。俺ならその問題、手を貸してやれる。てかむしろ解決できる。お前を逃がしたことに関しちゃ、報告書をでっち上げときゃいい話だ。それに、仮に元より殺すなら、俺はとっくにお前を殺してる。俺にそんなサイコ思想はない……はず……」

 

うわぁぁぁん!?自分のやってることがやってることだけに強く言えねぇぇぇ!!

 

「……仮にできたとして、どうするんだ……」

 

「えっ……とだな……悪魔であるという概念を消し去る……?」

 

「いや、何故疑問系なのだ……それにそもそも、概念を消し去るなど……随分な世迷い言だな?」

 

「いやその……えっと……って待てやぁ!?なんで拷問してる側が責められてどもる必要があんの!?」

 

「概念を消し去るなど、世迷い言の一言で済ませられる程に馬鹿馬鹿しい話だと言っているのだ。そんなことができる者がいれば、今頃世界の覇権の一つや二つ、容易く握っていよう」

 

「あ、ども。覇権握ってる人です」

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

何この間?

 

「……なら、証明してみせろ……」

 

「オッケーわかった」

 

「えっちょっがぁっ!?」

 

ハハハ!見たか!これが奥義、了承なしのいきなり攻撃!

 

えっ?ただの不意討ちじゃんって?不意討ちとか今どき流行んないって?

 

…………………………知るかボケェ!!

 

「えーっと、魔力流して神経系乗っ取って脳の中の情報全部かっさらうか」

 

因みに言っとくと、傷は結構……というかちょっとしかついてないから大丈夫だし……多分……

 

「……オッケー、連れ出した転生悪魔の数は二人、廃教会の地下にいると。今の時間帯なら85%の確率で就寝中だから多分行けるはず。確か廃教会のX軸、Y軸の座標はここで、深さは大体このぐらい。後は概念消去の力を込めて……ここ!」

 

……ぃよぅし!大成功!流石俺だわー。ま、こんなの天才の俺からしたら朝飯前なんだけどね!

 

「後はここの座標と教会の座標を魔方陣で繋いで……この男には悪いことしちまったしな……」

 

なんだか罪悪感を感じてしまい、気付けば俺は固有の魔方陣の中から、非常用にと取っておいた現金五千万円をアタッシュケースに詰め込み、男と一緒に送り込んだ

 

「後はアフターケアってことで、包帯と消毒液と止血剤、あと絆創膏をいくつかっと。ふぃぃ……やっぱ良いことするって気持ちいいな。……さて、後は報告書の偽装だな」

 

こういうデスクワークってホント嫌い。まぁ嘘をつらつらと書くだけのお仕事なんだけどさ

 

そういやワークで思い出したが帰ったらまた兵器製作の続きをしなきゃな。学校からの課題は別にすぐ済むとして

 

改めておさらいするが、今回の兵器製作は銃火器類にあたる。アタッチメント……っていうより、ほぼほぼ銃火器そのものだ。コンセプトとしては、取り付け可能な、アタッチメントタイプのもので、威力の向上、射程距離の延長、弾丸の更なる高速化、そして倍率を自由に変えられるスコープの搭載がメインだ。簡単に言ってしまえば、どんな銃でもスナイパーライフルに変化させる……ってもんだが……いかんせん、作業が難航しているんだが……

 

それはそれでまた別として他にも向こうで荒稼ぎした金の換金もやらなきゃだし……

 

やることがいっぱいありすぎぃ!!まぁ焦っても仕方がないし、ゆっくりじっくりと時間をかけてーー

 

「滑ぁっ!?」

 

る場合でもなさそうかも……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「足折っちゃった♪」

 

「もうちょっと緊張感出せよ、クソ兄貴……」

 

「フフフ……残念だがイッセー、そりゃ無理だ。何故なら俺はふざけないと息が出来ない星の下に生まれたからな」

 

「……勘弁してくれ……」

 

という訳で旧校舎の保健室なう

 

階段で滑って脛角にぶつけて骨折るとか超ウケるー(棒

 

「イヤだ。それはともかく悪いな美優、余計な心配かけて」

 

「あ、いえ……その……帝さんは義理とはいえ私の兄ですから……」

 

んーこの余所余所しい感じ……なんか無理っ!!

 

「ちょっと飲み物買ってくるから待ってろよ、ってか動くなよ!?絶対だかんな!?」

 

「なら動く」

 

「おいマジで止めろ!!」

 

「成せば成る!成せば成らぬことも成る!」

 

「いや頼むからマジでやめろって!」

 

閑話休題(ドッグファイトタイム)

 

「はぁ……はぁ……」

 

「いやー動いた動いた」

 

「ふ、ふざけんじゃねえよ……なんで体力……まだまだあんだよ……なんでさっきより肌ツヤツヤなんだよ……」

 

「いやほら、そこは俺ってことで納得「しねぇよ!!」ちぇっ」

 

「ホ、ホントマジで……はぁ……はぁ……動くなよ……みゆ姉……監視……頼む……」

 

「う、うん。いってらっしゃい、イッセー」

 

イッセーが保健室を出て、暫く沈黙が続いた

 

……辛い……特に大事でもないけど今めっちゃ必要な物が無くてしかも近辺でも売ってない並に辛い……

 

確か俺が持ってる固有空間に最高ランクのロイヤルタルトがあったはず……

 

「!?ってあっ、ちょっ……待てぇ!!??」

 

………………いやいやいや可笑しい!!!!なんでタルトから手足が生えてんの!?しかも去り際に「最高級!」とか 叫びながら走ってったんだけどぉ!!何気に足クッソ速かったし!!

 

「「…………………………」」

 

なんとなしに互いの顔を見ては廊下の方を見てしまう

 

「……えっと、今のって……」

 

やっぱそういう反応になっちゃうね!ちくせう!出すんじゃなかったよ!

 

「タルト……なんだよな、あれでも……いや……でもあれはねぇだろ……」

 

その翌日の朝刊にでかでかとその一連の小事件が載っていたのは後日談としておこう

 

「そ、その……もうそろそろ修学旅行ですけど、大丈夫……ですか?」

 

あ、そういやもう10月だったな。いやぁ、いけないいけない、すっかりおいちゃんも年食っちまったねぇ

 

「あぁ、そんなこと?平気平気。実は5分くらい前に治ってたり」

 

「で、でもそれって膨大なまでの自然治癒能力がなければ無理なはず……ですけど……」

 

「ま、色々事情があんの。そこらは察してくれるとありがたい。ってな訳でとうっ!」

 

隙を突いて窓からフライ!

 

「事後処理とかは頼んだー!ッッッッッッッッ!!??」

 

説明しよう。俺は窓から飛び降りると、受け身の体制を取ろうとした。しかし、ギプスが邪魔となって着地に失敗してしまったのだ。結果、踵への激しい負荷のせいでアキレス腱がブッチンしちゃったのだ。

 

数十秒痛みに悶えた後、滅茶苦茶走って逃げた

 

しかし、そんな逃走劇の中、俺にとって悲劇が起きた

 

「うぇ、アザゼルかよ……何?はん。ほん。ほんほん。ほん。ほん。ほん……ちょっと何言ってんのか全然わかんないんだけど……ておいっ、ちょ待てやこの厨二総督!」

 

俺の耳には、通話の切断音だけが残った

 

「…………………………帰ってきたらあいつブッコロス」

 

そんなわけで、俺のミッション兼海外旅行が決まってしまった




あ、今回めっちゃ短いっす


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もうなんかふざけたタイトルとか思い浮かばない。そんなことよりバナナくれ

「うん、もう作者、この際怒りはしない。実際前回の投稿より空きが少なくなってるし。でも三ヶ月ってのはちょっと……ね?」

……はい、滅相もございません

「申し開きがあるなら言ってみ?俺は知らんけど」

申し開きというか完全に言い訳なんですが、FGOとかSwitchとかPS4とか、バイトとか勉強とかバイトとかFGOとかで中々時間が取れず……スランプ気味ってのもありますけど、一応構想は無駄に膨らんでたんで忘れたときはなかったんですが……

「おう完璧言い訳だな!?しかもほぼ作者自身の問題!……と、まあ作者自信も一応悩んでる訳ですが、そこら辺は寛容になって戴けると作者は喜びます。超喜びます」

長期間時間が空くタイプのド腐れ亀更新になりますが、それでも見ていただけると幸いです。何気にタイトル変更しましたが、これからも当作品をよろしくお願いいたします


「ふぅぁ……いやぁ、収穫祭のためとはいえ、この量はキツいな……」

 

 決してそう暖かくもない10月の最終日、青年は額から多くの汗を流し、少し悪態をつきながらも満更でもない様子で首から掛けるタオルで汗を拭った

 

「おーい若いの!そっちは順調かー?」

 

「おーう!じいちゃんも頑張ってそっち終わらしてくれよー!」

 

「クケケ、わぁっとるわい!若造にゃまだまだ負けんぞう!」

 

 見る人が見れば、何てことのない、ある平和な村の仲の良い祖父と孫に見えるだろう

 

「おーし!そんじゃ、俺も一丁頑張りますか!」

 

 手に持つ鎌で、収穫の対象であるツタを切り裂き、その細身に似合わぬ剛力でカボチャを軽々しく持ち上げた

 

 

「こんにちは!お兄さん何やってるの?」

 

 村中の少年少女は青年へと駆け寄り、手に持つ彫刻刀とカボチャを見て疑問符を浮かべた

 

「こんにちは。今はジャック・オ・ランタンを作ってるとこで、最終仕上げの途中なんだ。おかげで中身がいくつか余っちまったから、礼儀正しい皆には、後でカボチャのクリームパイを作ってやろう」

 

「やったぁ!お兄さん大好き!」

 

 子供たちはそう叫ぶと青年に向かって思い切り飛び込んだ。ここまでのやり取りを見れば嫌でも察するだろうが、どうやら青年は余程気に入られ、信用されているらしい

 

「ハハハ、わかったから一回離れなさい。危ないだろ?」

 

 朗らかに、慈愛を込めた微笑みを浮かべる青年は、最早母性とも言うべき包容力が漂っていた

 

「ほら、終わったら呼んでやるから、向こうで遊んで来い。子供の本職は元気に外で遊ぶことだからな。わかった人は返事!」

 

『はーい!』

 

「よーしそら、行ってこい!」

 

 この程度の煽り文句であればお茶の子さいさい、十二分に子供たちの扱いの要領を得ている彼には、一種のカリスマとも呼ぶべき才能が備わっているだろう

 

「ごめんなさいねぇ、村の子たちが面倒かけちゃってるみたいで……」

 

「いえいえ、このくらいは分けないですよ。むしろ可愛らしくて微笑ましくて、少しほっこりしたぐらいですから」

 

 幾ばくか年を重ねた婦人が、青年に申し訳なさそうに声をかけるが、青年は無問題として優しい笑みを浮かべた。その笑顔には魅了の呪いがかかっているかのように、遠巻きから見ていた村の若い娘たちは余すことなく皆等しくその笑顔を目にして倒れた

 

 当の本人はその光景を目の当たりにして、思わず苦笑いを浮かべた

 

 イケメンは何をやっても絵になるようだ

 

 

 そこらかしこでビールジョッキがぶつかり合う音が響くと共に、収穫祭は開幕した

 

 彼らの杯の中には、麦から作ったビール、ブドウを発行させ、果汁をふんだんに使った葡萄酒(ワイン)、さらに変わり種として、ポテトビールやパンプキンビールなんて物まであった

 

「ふふ、あの方達の笑顔が、まるで宝石のように輝かしく見えますね」

 

「あぁ。この日のために頑張って準備してきた甲斐があったよ」

 

 隣に座る、長い金髪を三つ編みに止めた清楚な女性はにこやかに隣の彼へと話しかけた。そして彼女の言葉を肯定すべく、その銀の頭とアホ毛は縦に揺れた

 

「にしてもさすがはハロウィン発祥の地とされるアイルランドだな。流石に俺が知っているのとは少し違うけど」

 

 青年が目線をやると、その先には仮装した子供たちが楽しそうに手を繋ぎあって踊っていた。意外や意外、ハロウィン発祥の地たるアイルランドのハロウィンは、彼の知り得ることもなく進化を遂げていた

 

 まぁ事実を言うとこの村特有の、この村だけのハロウィンイベントで、他の所では似通ったものや全く別の事が行われているのだが

 

「………………おい、涎………………」

 

「ハッ!?い、いえこれは仕方ないことなんです!この料理たちが美味しそうなのがいけないんです!ですので私は悪くありません!」

 

 早口で捲し立てるように必死に弁明をするが、その言葉とは裏腹に、彼女の目線はがっつりと料理を捉えて離さなかった

 

「全く、ほら食うぞ。いつまでも隣で涎をダラダラと滝のように流されてはこっちがたまらんからな」

 

「で、ですから私のせいじゃないんですってばぁ!」

 

 彼女の抵抗も虚しく、彼はただ悪戯っぽく笑みを溢すだけであった

 

「む、しかし美味いな、このアイリッシュシチュー。羊肉の噛み応えもさることながら、スープも野菜の甘味と肉の旨味、そして調味料からくる食欲を推進させるこの辛味……控え目に言って美味い……!」

 

「このソーダブレッドも美味しいですよ!素朴な味わいながらも小麦粉とバターミルクからくる素材由来の甘味がとてもいいです!」

 

「コルカノンもいいな。 旬のケールの味がよく引き立っているが、玉ねぎ、西洋ネギ、温めた牛乳の甘味がいい。ベーコンとマッシュポテトも確かに美味いが、何より塩胡椒のシンプルな味付けが素材の味を最大限に引き立たせているな!」

 

「ほ、本当です!ジャケットポテトはもう食べられましたか?くりぬいたじゃがいもにバター、鶏肉、そして外にはチーズが覆われているのですが、外はカリカリ、中はフワフワと、最高の食感になっていますよ!」

 

「何!?是非それは食わないとな!それはそれとしてラム肉のグリル焼きは食ったか?」

 

「はい!グレイビーソースに使われた肉汁、小麦粉、片栗粉、そして今回収穫された野菜のエキスの味がラム肉と見事に噛み合っていましたね!それとフィッシュ&チップスも美味しかったです!」

 

「だよな!流石ジャガイモ大国と言うべきか、チップス(ポテトフライ)の味が全然違ったな!だがローストサーモンのフライ(フィッシュ)も美味かった!身がプリプリとしていて、それでいて身がよく引き締まっていた!あ、そういやあれだ、ハニーポークロインは肉と思って食うなよ。あれは肉と呼ぶには 余りにも甘ったるすぎる……」

 

 な、なんというかことか……付け入る隙がなかった……二人とも食べるの大好きすぎでしょ。君たち実はそんな大食いキャラだったの?やるならどっかでやりなさい。どっかで。これは飯テロ小説じゃないんだから

 

 多少投げやりになってしまったが、それほどこの二人の饒舌っぷりが凄まじい。いやもうホントだから

 

 さて、そんなアイルランドの郷土料理を喉の奥へと滑らせる彼らだが、楽しい時はあっという間で、彼らが気がつけば朝となっていた

 

「……起きた。そしてなんだこの状況……」

 

 パッチリと目を覚ました彼は今自分の置かれている状況に目をパチクリとさせた。寝起きが良いのは彼の長所の一つだったりする

 

 彼の困惑の原因は、すぐ隣に眠る一糸纏わぬ彼女だった

 

「……ひゃぁっ!?痛いです!い、いきなり何をするんですか!?」

 

「いやそれ俺のセリフだからな?何をしてるのかを聞きたいのは俺の方なんだからな?」

 

 だから無表情で何も言葉を発さずにお前の頭を叩いた俺は悪くないと彼は心の中でひっそりと弁明をした

 

「な、何ってその……ナニです……最後まで言わせないでください……」

 

「おい待て、まさか俺の記憶がちょっとないのってまさか……」

 

 恥ずかしげに顔を赤らめ、少し潤んだ目でこちらを見つめられては流石に彼もたじろぎ、そして段々と語尾にかけて声を震わしていった

 

「酷い……あんなにめちゃくちゃにしたっていうのに……ちゃんと責任、取ってくれないと困るんですからね。旦那様♥️」

 

「こら、これ以上迷惑かけんじゃないっての」

 

「あうっ!もう!何をするんですか、オルタ!せっかくマスターとありもしない既成事実を取り付けて一生お側に置いてもらおうと思っていたのに!お姉ちゃんちょっと悲しいです!」

 

「あ、やっぱそうか」

 

「だから誰もあんたの妹じゃないって言ってるでしょ!それからマスターも、もっとしゃんとしなさい!」

 

「お、おう……とりあえずありがとう」

 

「全く……言ってくれたら私でもしてあげるのに……」

 

「ん?今何でもするってーー」

 

「言ってない!そもそもあんただって、皇帝なんて大層なDQNネーム持ってんだからもう少しハッキリ物を言えるぐらいにはなりなさい!」

 

「あっ!お前触れてはいけないところに触れたな!意外と結構気に入ってるけど反面DQNネームってこと気にしてんだからな!お母さんから人のコンプレックス弄りはしちゃいけないって言われなかったのか!?」

 

「ふんっ!そもそも私に母親なんて存在はいないわよ!」

 

「っ!?実は私はオルタのお姉ちゃんじゃなくてお母さんだったなんて……!?ではオルタ、これから私のことはお母さんとーー」

 

「あんたが入るとややこしくなるんだからちょっと黙ってなさいよ!」

 

 うーん……カオス

 

 話を聞く限り、青年の正体は皇 帝だった

 

 おぉ帝よ、こんなところで農民になってしまうなんて情けない。というかそもそも冒頭のお前誰だよ、いくらなんでもキャラ崩壊しすぎだろ

 

 尚、彼女達の説明については追々

 

 彼らは任務のためにこの村の滞在中である。しかし、何時まで経っても任務に取りかからないのはとある事情があってのため

 

「そういやもうそろそろ出来てるかな……」

 

 帝はそう呟くと、押し入れの中にに入れていた壺を取り出し、蓋を開けた

 

 中身を見ると同時に顔を臭いものでも匂ったかのように歪め、張られた水の奥底のある赤い布を引きずり出した

 

「しかし、今までよくもっていたな。急造とは言えここまでならたいしたもんだよ。うん、俺スゴい」

 

 彼の視線の先は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と超速的な再生を繰り返す左腕だった

 

 というのも、彼は異世界にて左腕にある竜を封印したためである

 

 3ヶ月前、丁度帝が任務に就き始めた辺りからこの症状が顕れていた

 

 緩んだ封印から抜け出さんと竜が暴れ、結果として溢れ出る魔力が彼の内側から左腕を焼いているのである

 

 そんな彼の対策手段として造られたのが、異臭を放っている赤い布、封印の聖骸布である。その空間にいる3人からすれば、文字通りの鼻摘みモノだ

 

 効果として、強力な封印の概念を内包した布で物体、及び生命体を覆うと、覆っている間のみにてその運動や作用、生命活動を一時的に強制停止させる、正に名前通りのアイテム。魔術世界においては一種の概念礼装と読んでも過言ではない一品である

 

 そんな魔術師が聞けば卒倒するようなアイテムを腕に巻いている帝が考えていることはといえば、

 

(残った水は隙を見計らって敵にブン投げよ)

 

 という、残り湯を洗濯に使う感覚である

 

「うっわ、あんた厨二感半端ないわね……」

 

「うっせ。てかそれ完璧にブーメランだぞ」

 

 尚、帝が頭を殴られたのは避けられようのない運命だった

 

 

「ぐぅぉっ!?」

 

「飛びましたね」

 

「というか飛ばしたわね」

 

うっせぇわこのヤロウ

 

「というかお前らさっさと退け!」

 

そんなこんなである港に飛ばされやって来た帝達。とはいえ実は何度か情報収集ののために足を運んでいたりする

 

そんな彼らが見つめるのは、遠く離れたある島。時代錯誤も甚だしいくらいにそれっぽい中世とかそこらの作りの城を見やる

 

あとそれと人払いの結界とかなんかそんな感じのアレで周囲にも人がいなかった

 

「ああ、作者とうとう面倒臭くなってきてやがんな……それよりだ、いかにもこのお誂え向きに用意されたモーターボートは……確か神の子を見張る者(グリゴリ)からの支給品だったか」

 

さらっと飛び出るビッグネームだが、それはこの際無視しよう

 

「お前ら、もう大丈夫だ。後はアーチャーとアサシンに引き継いでとっとと霊体化してくれ」

 

「えー、出番少なすぎませんか?だめ?そんなぁー」

 

「ま、精々足掻いてもがくことね。ほら、さっさと引くわよ、白いの」

 

姉を名乗る不審者と呼ばれる少女も、これではただの妹である

 

そんな彼女らは存在した痕跡を綺麗さっぱりと消し、代わりに二人の男性が虚空から表した

 

呼び出された小柄な美丈夫の仮名アサシン(以降アサシン)は下卑た雰囲気を見せず、むしろ友好的なニヤニヤとした笑みを主たる帝に向けた

 

「今さらながら嬢ちゃんらの扱いが雑だねぇ、マスター」

 

「そうでもないだろ。むしろ全力でボケに回ってその上で強烈なイジリをするよりはマシだろ」

 

「自覚は一応あるんだな……」

 

「言うな。というか着いてこれるアイツらこそ異常だろ!たまに上回ってくるから尚のことだっての……」

 

「それでも、()()であることに代わりはねぇだろう?」

 

「……まぁ、な。かけがえのない存在ってことは認めるよ。アイツらは、それぐらい俺にとって存在が大きくなりすぎたんだよ。ったく、これだから繋がりってのは憎めねぇ」

 

「マスター、未だ会えぬ友に思いを馳せるのは結構ですが、そろそろ本題に入っては?」

 

まるで側仕えのように帝に忠言を漏らすのは仮名アーチャー(以降アーチャー)

 

「ああ、すまないアーチャー」

 

「いえ、これも使い魔()の仕事ですから」

 

「こほん、これより堕天使より引き受けた任務の遂行段階に移行する。目標はあの島に建つ城の調査、そして可能であれば被験体の回収・保護。期間は一週間を目処とし、初期段階はアサシンとアーチャーによる偵察を行ってもらう。その間に俺は全体的な地形の把握に務める。有事の際にはパスを通して報告するように。中段階にはアサシンは城内に潜入して情報収集。人の出入りを確認することが出来ていれば変装による情報収集を。城内の構造も把握してもらえると理想的だ。その間に俺とアーチャーは作戦の構想を練る。可能ならその段階に作戦を立てられるといい。……とまあ、希望的観測がフライハイしまくった挙げ句前置きも随分と長ったらしくなっちまったが、何、やることは俺達からしたら遊びみたいなもんだ。肩の力抜いて気楽にやって、後は観光なり何なり遊び回ってやろうぜ」

 

実はこの任務、下手すれば魔術世界において多大なる影響を及ぼす可能性のあるものなのだが、それにしては帝の言葉は酷く軽かった

 

しかしそれは同時に自身の実力と使い魔達の実力を充分に理解した上での裏付けであった

 

嫌な予感がするが……まぁいいか。んなことより腹減った。誰かバナナ寄越せ

 

若干報酬に負けた感が否めない帝は心にもないことを考えてみては、その思考を泡沫のものとした

 

蛇足の蛇足ではあるが、帝の考えが実は使い魔達に筒抜けで、彼らは主のアホらしい思考に呆れ、しかしなんだかんだで帝に信を置いている彼らであった

 

 

 

 

 

 

 

……To be continued.



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神よ、我が偉業を御照覧あれ! ごめんやっぱ恥ずかしいから見ないで

ドーモミナサン、カルパン=デス
最近モチベの低下が著しくってしんどいです
(;´Д`)ハァハァです
というわけで多分もっと更新ペースが遅れますが、あまり期待せずに待っててください
それでは本編へ


う"お"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!??

 

待って待って待って!何なん!?辿り着いたらいきなり砲撃ぶちかましてくるとか頭沸いてるんですねワカリマス!

 

なんでこう俺の出自といい現状といい死亡フラグとバッドエンド系ルートフラグが常に両立してるんだよ!確かに厄ネタの宝物庫で生まれがちょっとアレなのは認めるしもうお前こりゃ死ぬしかねーな(爆)って笑顔でこの世界が虐めて来てるっていう状況は嫌でも把握してるよ!むしろ生きてること自体奇跡だよ!んんん生きてるってすんんばらすいぃぃぃぃ!!!!

 

でもだからってねぇ……

 

「円卓の騎士6人相手とか無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

さて、文句を思うがままに言って一周巡って落ち着いて来たので現状を整理してみよう

 

俺、島に着く

 

 

なんか襲撃受ける

 

 

転生特典(笑)で襲撃者達見る

 

 

アイエェェェェ!?ナンデ!?エンタクナンデ!?

 

 

そして皇 帝はクールに去るZE☆

 

 

ギャァァァァァァァオッテキタァァァァァァァ!!!!!!←今こ↑こ↓

 

もうわっかんねぇなこれ

 

(マスター!次は右です右!あ、すみません左です!やっぱ右!)

 

(マスター、当方としては敵の迎撃を提案したい。いかがだろうか)

 

(そうそう、真っ直ぐー真っ直ぐー。んで左だ)

 

(マスター、もう諦めて戦ったらどうだ?いや何、別に俺も戦いたいってわけじゃないんだけどな?)

 

うるせえ!基本的に小市民で平和主義な一般人にんなこと言うな!一般人に言うな!(ここ重要)

 

あっちだこっちだと全く正反対のアドバイスを送ってくる()処女とイケメンチビ無頼漢、全力愚連隊宣言を通告してきやがる大英雄の二人

 

とりあえずお前ら帰ったらヌッコロス

 

(あれ、今なんかすごく不名誉なルビが……)

 

気のせいだ

 

「っ!?あっぶっな!?テメェもうちょっとでなます切りになっちまうぞこの野郎!こっちは一般人なんだからな!一般人なんだからな!そこら辺ちょっとは考えろよこんチキショイ!」

 

おいなんだオメーらそんな微妙な顔してないで言いたいことさっさと言え

 

瞬間、琴のような音が響くと同時に視界が一気に下に落ちた

 

あっちょっ!?お前酷いな!?死角から首落とすとかアリかよ!あーもー、マジで死にそうだわ全く……

 

(いや、アンタ今の普通死ぬから!首落ちても平気なのがおかしいから!)

 

いや、何言ってんのオルタ……こんなの普通だろうが

 

「あ、ほらそこまーたそんな顔して……言いたいことはハッキリ言いなさい!」

 

「いえ、貴公の常識からの逸脱ぶりをなかなか受け入れがたく……」

 

えー、また俺変人扱いとかヤだよ?これでもまだ常識人のつもりなんだけど……な?

 

【ちょっと何いってるのかわかんない】

 

チクショウ!味方はいなかった!!

 

しかしそれはそれとして現在死活問題。何せあの円卓の騎士に囲まれてるんだ、逃げようがない

 

いざというときは自爆覚悟で愚連隊をしないといけない

 

あれ?あのまま大英雄二人の言うこと聞いとけばよかった感じ?もしかしてこれを見越して……

 

(ま、まぁそうだな!いやほら、やっぱあの状況だったら相手の虚とか、そういうの?突かねえとだろ?)

 

(当方としては、あのまま突進していればこの状況を瓦解させることができた可能性は80%ぐらいあってもおかしくはなかった筈……)

 

つまり何も考えてなかったんデスネアリガトウゴザイマス

 

えぇっと……この状況を切り抜ける方法は……方法は…………方……法…………は………………

 

「あ、あそこにアーサー王が!」

 

こんなの思い付く訳がないよ!

 

「「「「「「な、何ッ!?」」」」」」

 

引っ掛かったァァァァァァ!!??あんな頭の悪い気の逸らし方に引っ掛かるのかァッ!?

 

「なんかよくわからんがチャンス!喰らえやぶるぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ぐうっ!?ふざけているのは態度だけではないだと!?」

 

目の前にいる紫髪の騎士に向かってドロップキック!

 

くそ!熟達した騎士なだけあって後退させるしか無理だったか!

 

それより!

 

「ていうかてめえ態度ってどういうことだゴルァ!」

 

これだけは本当に遺憾である。俺最初っから真面目モードだぴょん

 

(そういうところですよ、マスター……)

 

うっせえ!エビフライぶつけんぞ!

 

「考え事をしている場合ですか!」

 

「(危)ないです」

 

横凪ぎに降られた剣を飛び越え、お土産に銃弾をプレゼント。しかしやはりと言ったところか、頭を剃らされ当たることなく後ろの木々を貫通していった

 

「加勢します!」

 

その言葉と同時に先程の紫髪の騎士が手に持つ剣を叩き斬るように振り下ろすのを、剣の腹に蹴りを入れて弾く

 

「ふんっ!」

 

「せあっ!」

 

水平に向かってくる二振りの刃をかがんで回避

 

魔力放出、物質変化、形状変化、指定物:剣、形成!

 

俺を中心に鋼の華を咲かせるが、かすり傷程度しかあたえられなかった。おそらく魔力放出の時点で察知されたのだろう

 

「おら、避けてみろよ!我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッド・アーサー)!」

 

「ちょっとは地形変化とか考えないのか!?」

 

その場から飛び上がり、赤い砲撃……というかビームを避ける

 

「もう一発いっとくぜ!我が麗しき(クラレント)ーー」

 

「ハッ!見え透いてるわアホが!」

 

オーバーヘッドキックの様に鎧騎士ーーというかあれ完璧モードレッドだよな、クラレントとか言ってたしーーを地上へ強制送還し、その時に足元に魔方陣を形成し、それを壁として蹴りーーこの技法を魔力跳躍と呼称しているが……ーー、さっき首を落としてくれた赤髪の騎士の真上へと移動

 

「喰らえや!ヒャッフォォォォウ!!!!」

 

銃に雷の魔力を通し、銃の疑似レールガン化を終え、スクリュー回転しながら両手の銃を交差させて乱射

 

「弾丸、防ぎます!」

 

しかし身の丈以上もの大盾を持つ少女に全弾を防がれてしまったので、空になったマガジンを取り出し、それに魔力を込めて投擲し、煙幕程度にはなる爆発を起こした

 

マガジンを替え終え、銃を足のホルスターに仕舞い、腰に携えたただの剣を取り出すと、盾を足場として銀腕の騎士に向かって……ん?銀腕!!??

 

銀腕って確かケルトの戦神ヌァザの腕だった筈……仮に銀腕を義手として使っているなら元は隻腕の騎士……あ、こいつベディヴィエールや……

 

「まぁいいや取り敢えず斬られろ」

 

「私だけ扱いが酷くないでしょうか!?」

 

そんなことは知らんとでも言うように、相手を蹴ることで鍔迫り合いを強制的に終わらせる

 

「あーもう、髪型がめちゃくちゃだよ……ていうか俺ら戦う必要性ある?一応俺はここに調査に来ただけだぞ」

 

「申し訳ありませんが、我々は主命によってこの島に降り立つ者は迎撃するようにと仰せつかっております」

 

と、赤い髪の騎士はそう言い放つ

 

「そうか……なら仕方がない。全員ぶちのめす」

 

己の魔力を惜し気もなく解放する。放つのは雷と炎。碧色のスパークと蒼い炎が周囲へと迸り、3メートル範囲の草は全て消し炭となった

 

「恨みはありませんが、切り捨て後免!」

 

「恨むのならこの島に降り立った自分を恨み恨むといい!」

 

「遅い、弱い、下手!あと防御が薄い!」

 

紫髪の騎士とブロンドの騎士ーー今さらだがこの二人の剣の波動を見るからに、アロンダイトとガラティーンなため、ランスロットとガウェインに相違ないだろうーーの一撃を、速さと技量のみで弾き、雷により加速した蹴りを放ち、二人一緒に顎先を掠めて脳震盪で気絶させた

 

「くっ……剣を摂れ(スイッチオン)ーーがはっ!!」

 

「させると思ったか!」

 

銀腕の騎士の宝具を起動させる前に、顔を掴み、遠心力を用いて後頭部を地面に叩きつけた

 

「これで殺ります!なっ!?」

 

「予測済みだ」

 

赤髪の騎士は明らかに琴を象った弓を初めてこちらに向けていたが、予測済みだった俺は両足に2発銃弾を撃ち込み、接近してすかさずサマーソルトキックで浮き上がらせ、落ちてきたタイミングで頭に蹴りを放つ

 

「やああぁぁぁぁ!」

 

「こっちも喰らっとけ!堕天ス流星(アプシュトアツ・シュテルン)!」

 

盾の少女には剣を振り抜いて炎と雷を纏ったビームを放ち、遠くへと吹き飛ばす

 

「クッソ!舐めんじゃねえ!」

 

赤雷を纏ってこちらへ突っ込んできた推定モードレッドの剣をただひたすらに避けまくる

 

「ッ!しまっーー」

 

「悪足掻きはもう止せよ?こいつでどうせ終わりだからな」

 

大降りの一撃を回避し、心臓目掛けて捻りを加えた掌底が鎧を突き破って炸裂した

 

よし、この技はハートブレイク・スクリューと命名しよう!

 

掌底を放った手の骨折の再生を見届けながら、なんとも戦闘終了後とは言いがたい思考に耽っていた

 


 

見事円卓の騎士を撃退できたので、この島の中央に鎮座する廃城に侵入できた

 

警備のけの字にもならないほどのザルっぷりには少々言葉を失ってしまったが……あれか?どっかのスーパーマサラ人ムーヴな感じで「おれの使い魔は最強なんだ!」とかいうヤツなんだな?そうじゃなくっても俺にはわかるんだゾ

 

「で?この円卓計画って書いてる研究資料はなんだ?あとそこの聖剣計画とやらの資料も」

 

「だ、誰が貴様なんぞに……」

 

「ア"ァ"?」

 

「そ、その資料は今回私が手掛けた最高傑作と言ってもよい研究テーマでだな……」

 

さて、疑問に思うやつもいるだろうが、今俺の足に首を絞められているこの中年のハゲオヤジ……その手のものが好きそうなヤツ風に言うと中年キモデブハゲオヤジなんだが、こいつはコルベール・ブリテニク、一応円卓の騎士に仕えていた騎士の直系の血族……らしいのだが、この容姿と白衣姿を見てそうとはとても思えない

 

今回の騒動……という程騒ぎにはなっていないが、その主犯核たるコイツが言うには……

 

『戦う美少女とか最高じゃね?守られて助け合ってそこから産まれる恋……デュフフwwwwww』

 

舐めんな!と叫びたくなる気持ちを抑え、代わりに男の下半身のモッサリ感を後頭部で体に染み付くまで味会わせるという拷問である。二次災害として俺のマイサンに強烈な不快感を暫くの間感じなければならないという……俺って自爆系の拷問のメニュー持ちすぎじゃね?

 

それ以外にもそんな不純な動機で生命の冒涜をしたこいつに一発キツいの喰らわしてやりたいと思ったのもあるが、今はとりあえず関係のないことだ

 

とにかく今は任務完遂の連絡を入れよう。外で伸びてる円卓の騎士共は堕天使達に身柄を引き渡せばいい話だ。良ければ堕天使の戦闘主力メンバーに抜擢されるかもしれないが……とにかくヤツに連絡を入れてみないことには変わりない

 

「2コール目で出るとは流石だな、厨二病総督。」

 

「3コール以内に出なきゃ俺の黒歴史ばら蒔くとか言っておいてよく言うぜ……それで?もう終わったのか?」

 

「ああ。今回の騒動の原因の資料の確保と元凶の身柄の拘束もついでにしといたからそっちに送っとく。それと人が増えそうだ。受け入れ体制を少し広げておいてくれ」

 

「お前またそうやって勝手に……はぁ、しょうがねぇな」

 

「すまない、助かる。それじゃ」

 

通話終了ボタンを押してスマートフォンをポケットに……あ、そういやあのアプリのアップデート来てたっけ……

 

「そうだ、お前もう落ちとけ」

 

「ま、待て!まだ私ははぐぶぶぶぶ……………………」

 

えーっと、確かコルベール……?を絞め落とし、画面の更新なしの表示を見て悪態をつきながら、ガラス張りの容器の中のホルマリンのような液体に浸けられた人造人間に視線を向ける

 

「……死んでたら死んでいたで、骨ぐらいは埋めてやるか」

 

そう思い、彼らの生命の有無を確認しようとすると、俺の顔に驚愕の色が浮かんだ

 

中央の容器に入っている、絶大なプロポーションを持つ女性だ。……別にプロポーションに対して驚いた訳じゃないぞ?確かに乳がすごいでかいけどそこじゃない。彼女の魂である

 

俺の転生特典(笑)は、相手の生命の有無を視ることができ、ある場合は相手の魂に刻まれた情報を脳が読み込み、ない場合は対象は透明色となる。ぶっちゃけた話が相手の魂を覗き込んで生命の有無を判別できて情報も得られるすごい眼ってことだ

 

じゃあ何で(笑)なのかって?自分の意思で得ていないモノを自分のモノって胸張って言えるわけないじゃん

 

ちなみに他の容器の中に入っている人造人間……もう長ぇからホムンクルスでいいや……を見たが、生命活動を確認できなかった。つまりまぁ……ね?

 

では、彼女が生きていたことに対して驚いたのかと言われればそうでもない。もっと別で、小さなもの。彼女の魂は、俺の見知った人物と同じものだった。しかも神性の欠片という厄ネタを抱えて

 

「うわぁ……可哀想に……」

 

割かし無責任で感情の籠った同情だった。まあ生きていく上で最大級の厄ネタを宿してしまっているんだ、仕方ない仕方ない

 

さて、そんな彼女をこれから悪辣飛び交う理不尽な世界へ解き放つのも少し気が病む。ここは一思いにグサッと心臓に一刺といきたいところだが、先ほどから指先がピクピクと僅かに動いている。意識の覚醒も近いだろうし、目覚めた瞬間グサッ!ピチューン!は洒落にならんだろう……

 

「取り敢えず出そう」

 

そういやお前らさっきからずっと黙りだけどなんかあったの?

 

【ずっとシリアスムードだしちょっと入りにくいなかと……】

 

待て!所々ふざけてただろ!ちょっとてめぇら表出ろや!全員の頬引っ張たいてやらあ!

 

【………………】

 

こいつら……!!!!

 

そんな茶番の間にも、俺の体はしっかりと仕事をしているわけで、容器の近くのモニターに次々と入力を行っていた……訳でもなく、容器のガラスを切り裂いていた

 

当然ながら壁がなくなった液体はこっちに流れてくるわけで……しまった!気管に入った!

 

と、ついでに彼女の体を片腕で抱き抱えた。もちろんもう片腕は口元である

 

しかしそれはそれとして抱き止める位置にも問題があった。片乳が胸元に超当たってる。さっきから殺気ビンビンに感じるわけで生きてる心地がしない……もしここで彼女が起きようものなら……

 

「んっ……ここ……は……」

 

あっ…………………………

 

To be continued.



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後日談てきな何かとようやくのキャラ紹介

帝「さて、作者。なんで前の投稿から半年も経ってんだおぉ”ん!?」ゲシゲシ

カル「ごめんなさいごめんなさいだってしょうがないでし入試あったんだから」

帝「感情を込めろぉ!!受験勉強するならするで活動報告ぐらい残せやぁ!!」

カル「ごめんなさひぃっ!?」

帝「今日から執筆再開できるだよなぁ?」(威圧

カル「はい……一応書き溜めしてた分はあるっちゃあるんで手が空いた時にパパッと投稿します……本当にご迷惑におかけしました」


暗く、(くら)く、(くら)く、深淵より深い闇の中から、彼女の意識は浮上した

 

未だに混濁する意識の中、周りを見渡し、一人の少年が視界の先で眠っているのを見つけた。見れば、まだ子供らしさはやや残るところはあるが、成熟した肉体へとなりつつあるのを見るに、17、18歳ほどの年齢であると彼女は見切りを着けた

 

「……ん、起きたか」

 

視線に感づいたのであろうか、少年は片目を開けて彼女に視線を移した。しかし、切れ長でありながらも剣のように鋭いは眼は確実に彼女を射抜き、体を強張らせる結果となってしまった

 

「あぁ、すまん。目付きが悪いのは元からなんだ。怖がらせてしまったのなら謝る」

 

「い、いえ、こちらこそ申し訳ありません。しかし、貴方は一体……」

 

「俺が何なのか知りたいなら教えてやろう、同胞よ。俺は皇 帝。君と同じく、神性を己の内に宿す者だ。無論、神霊とか神の血を引くものでもないことを伝えておく。次は君の番だ。教えてくれ、君が何であるのかを」

 

「私は……私の名は……■■■■■……■■■■■・■■■■■■……それが、私の名です……」

 

彼の予想は当たっていたのか、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた

 

「……そうか……クッソ、なんでこう知りたくもない事実を淡々と押し付けてきやがる、この眼は……!!とりあえず、君をある組織に送る。人としての最低限の生活を送れるように手配してくれる筈だ」

 

彼女は暫く黙り込み、少年の瞳をじっと見る

 

「……えぇ、わかりました。お願いします」

 

「いや、いいのか?俺が君を人身売買にかけるような悪人かもしれないぞ?君は奴隷として扱われるかもしれないというのに……」

 

「ふふっ、おかしなことを。仮に貴方が非道な人間であるとするのなら、わざわざそのようなことを口にはしないでしょう。それに、貴方の雰囲気は何と言うべきか…………そう、暖かく包み込むような優しさを感じられます。そのような方をどのように悪逆の徒と捉えられましょうか。貴方の目を見ればわかります、貴方はきっと……いえ、絶対に優しく善良な方だと」

 

彼女からの言葉に、照れ臭くなったのか、帝は少しはにかみながら後頭部をポリポリとかいた

 

「……全く、そういう世辞には弱いんだよ、俺は。そ、それはともかくとして、君のお仲間もそこに送っておいた。組織のヤツらも悪いヤツらじゃないから、そこは安心しな。そこの魔方陣の上に立てば、後は勝手に向こうについているはずだ」

 

「えぇ、世話になりました……あとそれから……何か適当な服を頂ければ……」

 

「……悪い、そこまで気が回らなかった。取り敢えず、俺の古着をそこに置いておく。今しがた転送中に服を身に着けている状態になるように設定しておいたから、着るのが面倒だったら服を持って魔方陣の上に立っておけ」

 

少年の手際に、彼女はただ圧巻の一言に尽きた。当然であろう。完成した魔方陣を、自分のものとはいえ、手を加えたのだ。それも効果の重複型へと。それは即ち、最上級レベルの陣の一部の書き換えである。魔方陣の重複発動には針に糸を一回で通す以上の繊細な魔力操作のセンスが必須であり、それは相当な手練れや技量持ちでなければ成せないことは、彼女の()()()()()が物語っていたのだ

 

「どうした?アホ面を晒して。口の中に虫が飛び込んで来るぞ?」

 

苦笑いを浮かべる帝に対し、彼女は少し微笑んで返した

 

「すみません、相当な魔力操作の技量をお持ちのようで、少し舌を巻いてしまっただけです。何から何までありがとうございます。この御恩は必ず」

 

「気にするな。俺は俺のやりたいことをやったまでさ。それじゃ、達者でな。生きていれば、何時かまた会えるだろうさ。あぁ、それとそのコートはくれてやるよ。どうせもう使いもしないボロ布だしな」

 

「ありがとうございます。お元気で」

 

その場を去る彼の返しはただ雑に手をふらふらと振るだけだった

 

その後、堕天使の組織に転送された彼女は服とは別に、餞別として、彼からの贈り物を手に取っており、また世話をかけてしまったと、感謝を送りながらも苦笑いを浮かべた

 

さて、件の帝はというと、世話になった村に挨拶周りをし、その際に送別の宴を開かれてしまい、帰国が遅れてしまった(尚、宴会は完全に楽しんだ模様である)

 

そして現在……

 

「おら死ね生殖者ァァァァ‼︎‼︎」

 

「漢字が違うわよ帝!」

 

何故かはわからないが、廃教会の地下でオカルト研究部のメンバーと共に聖職者を殴り飛ばしていた

 

「あの、帝先輩、流石に死体蹴りは……」

 

「うっせぇ!家の妹襲おうとしてたんだからこうなって当然だろうが!」

 

そしてなんやかんやあって聖職者たちを全滅させ、上階では一誠とレイナーレと言う堕天使との決着がついていたり、帝がレイナーレを掴んで冥界の堕天使領へと直通する魔法陣に叩きつけて強制送還したり、とにかく帝が暴れた

 

「いやぁー暴れた暴れた!」

 

「ふふふ、帝君は破天荒ですわね」

 

「朱乃先輩、あれは破天荒なんてレベルじゃないです」

 

ふんすっ!と満足気に、妙にツヤツヤとした肌の帝に、オカルト研究部の中で唯一のほほんとしたさり気ないフォローを述べる朱乃だったが、子猫のツッコミがそれを一蹴した

 

「いや……確かに否定できないけ……ど……」

 

「帝先輩?どうかしまし……」

 

裕斗の絶句と同時に、一同はその場に立ち尽くした。無理も無いだろう。何故なら彼らの目の前には……

 

「にょ」

 

古より伝わる伝説(的な強さをしてそうな)の魔法少女(漢女)が立ち尽くしていたのだから……

 

「それは……魔法少女と呼ぶには、あまりにも筋骨隆々過ぎた……。大きくブ厚く重く、そして無骨過ぎるマッスルだった……ってよく見たらミルたんじゃねぇかよ。久しぶりじゃないか」

 

「にょ?もしかしてあの時の剣士さんかにょ?久しぶりだにょ!」

 

なんと、帝と謎の巨漢は知り合いであったようだ。これには思わず一同もあんぐりと口を開けて惚けていた

 

「いや待て待て待て待て待て!?なんでミルたんと兄貴が知り合いなんだよ!」

 

「え、何、イッセーとミルたん知り合いなの?」

 

「イッたんもこんばんはにょ」

 

「しかもあだ名っ!?」

 

「知り合いも何も、彼……女はイッセーの契約の常連さんよ」

 

「イッセー……兄ちゃんは少しお前の人脈に不安を感じたんだが……」

 

「いや兄貴がそれを言うんじゃねぇよ」

 

二人共に何とも言えないというような表情で見つめ合った

 

「……まぁいい。ミルたん、あれからどうだったんだ?無事に魔法少女パワーは得られたのか?」

 

「残念ながら、ミルたんに魔法少女パワーをくれる人は誰もいなかったにょ……でも代わりに、ミルたんの拳にちょっとだけ魔法少女パワーがあったことがわかったにょ!」

 

希望に満ちた目をキラキラと輝かせるミルたんに、帝は一瞬たじろいで後退りするがなんとかいつもの調子を取り戻す

 

「お、おうそうか……続きは別の場所でしないか?お互いに積もる話の2つや3つぐらいあるだろ」

 

「にょ。ミルたんも剣士さんとお話したいことがいっぱいあるにょ。イッたん、剣士さんを少し借りてもいいにょ?」

 

「お、おおう!俺は別に構わないぜ!な!姉ちゃん!」

 

「う、うん。帝さん、このことは私からお父さんに言っておくから……」

 

「ありがとな、美優。助かるよ。じゃ、行こうぜミルたん」

 

「にょ!剣士さんにはミルたん秘蔵のミルキースパイラル・オルタナティブを見せてあげるにょ!」

 

そして彼らは夜闇に紛れ、消えていった

 

「大丈夫……なのかな、アレ……」

 

「不安しか残りません……」

 

ー後日ー

 

ミルキーは神だった‼︎でもちょっと話数多くないか?なんだよ50話って……第1クールでやる量じゃないぞ……」

 

なんとかミルキーを観終えた帝は、ミルキーの話数の多さに辟易していた。無理も無い。ミルたんが持つミルキースパイラル・オルタナティブは、初回限定版のブルーレイであり、番外編や原案、イラスト集も封入されており、それらを熱く語られるものだから丸々2日も帰れなかったのだ。前世では中堅オタクだった帝は推しキャラについて語れるぐらいに真剣に見ていたのは全くの余談である。そして2日も寝ずにいたせいで、授業中に寝てしまったのもご愛嬌である

 

「そう言や今期ってなんのアニメあったっけ?ちょっと見てみるか」

 

そんなオタク魂が再燃したのか、アニメを見るべくテレビを着けようとしたその時、帝の自室の一角が紅に光った

 

「んぁ?」という帝の間抜けな声と同時に現れたのは、リアスだった

 

「おいリアス、他人のプライベートルームに入る前ににまずノックぐらいしなさい」

 

魔法陣で飛んで来たのだからノックも扉もないだろう。そんな返しを期待していた帝に返ってきた返事は、予想の遥かに上を行くモノだった

 

「ねぇ、帝……」

 

「おう、どうしt「お願い、私を抱いて!」……は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

人物紹介

 

人物名:(すめらぎ)(みかど)

 

性別:男

 

身長:178㎝

 

体重:63㎏

 

年齢:18歳

 

誕生日:4月3日

 

見た目:少し長めの銀髪、前髪に額の中央付近に右曲がりの房有り・やや鋭い切れ長の目

 

性格:基本的にふざけることが多く、悪戯好きではあるが、ハラスメント行為に直結する類の物はあまりしない。そして、ツッコミ役に回ることもしばしば

 

根は至って真面目で、包容力の高い優しさ、寛容な面、義理人情に熱く、申し訳程度であるがカリスマ性も持ち合わせる

 

シスコン、ブラコンの性質もあり、常に弟、妹の2人を気にかける

 

義父の影響か、義妹であろうと義弟であろうと血筋に関係なく自身の本当の家族であるかのように接する

 

生活:料理スキルは少し料理が上手い一般人レベル。掃除は目に見える範囲を基本キレイにして稀に全面的に掃除を行う

 

学園生活においては、男女両方共に相談を受け付け、確実なアドバイスを送ったり、頼み事を快く引き受けるなどで、隣の家に住む頼れる兄貴分的ポジションを確立していたりする

 

概要

 

異世界からの帰還者。転生者として生を受け、異世界と呼ぶべき彼が生まれた世界の異世界にて武の研鑽を積み重ねた。剣の腕前に於いて並ぶ者は居らず、その剣光を越え、剣閃次元を断ち、技、剣神の如く也、と評価された。

 

左目には如何なる物をも見透かし、その全てを覗き込むことができる目を転生特典として獲得しており、対象の情報をデータとして脳内に読み込ませる代物。ただし代償もあり、許容量を越える情報を読み込むと脳がオーバーヒートを起こし、最終的に脳が爆発するというグロテスクなものである

 

左腕には彼がいた異世界の竜が封じ込まれており、封印を解かれないように封印の概念を強固に有する赤い包帯(聖骸布)を巻いている

 

異常な再生能力を有しており、首を落とされようともギャグ補正でも効いているかのような速度で再生する。

 

本人曰く、体の内に神性を宿しているとのこと。しかし、どのような神の神性を流しているかは不明である

 

当代における二人目の赤龍帝。原作では兵藤一誠ただ一人のみが赤龍帝であるが、その真相とは如何に……

 

外見は紛うことなきクール系美男子……なのだが、日頃の言動で残念イケメンと化す。性格もイケメンなだけに、学園内では惜しまれることが多々ある

 

現在、リアス・グレモリーとの同盟関係にあり、互いのピンチは互いに助け合うという内容である。本来なら彼には全くのメリットがないが、義弟、義妹の話、事前情報で内情を大方把握していたため、快諾するに至る

 

生粋のフラグメイカー。修行時代にも数々のフラグを立ててしまうも、女心に疎いわけでもないため、何度か機を計らって折ることには成功している。しかし、失敗したメンバーに対しては少しなげやり気味

 

戦闘

 

基本的には遠距離、中距離等は銃で牽制、近距離に於いてはは持ち前のスピードで接近し、体術、剣での接近戦に挑む。技量については、前人未到の領域に立ち、それを超速で振るい、精密な技とを両立させる、まさに絶技の剣士

 

魔力の扱いにも長けており、魔力操作、魔力変換、魔力変化、物質生成、ベクトル操作といった能力が抜きん出ている。炎、雷、光、闇の属性を得意とする。また、魔力の使用に試行錯誤を重ね、空中での移動方法を確立させた

 

本気の場合、蒼い焔、碧色の雷を魔力で生成し、身に纏った戦闘を行う。その場合、攻撃力、移動速度、攻撃速度、反射神経、動体視力等の能力が爆発的に上昇する。彼曰く、彼の大英雄アキレウスにも届き得るスピードであると太鼓判をもらった、とのこと

 

武装

 

概念式創星剣(カリス・トゥ・カルナヴァル)

ー概念、因果、呪い、祝福への干渉が可能な剣。切れ味は宝剣クラスなのだが、帝が全身全霊を込めて打った物には一歩劣ってしまう

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

ーブリテンの赤き守護龍、ア・ドライグ・ゴッホの魂が封印された籠手。最上級の神器であるにも関わらず持ち主に滅多に使用されない悲しい運命を持つ

 

■■■■■■■----情報開示不可

 

ただのよく切れる剣

ー本当にただのよく切れる剣。ギミックなんて物は一切なく、精々が名剣、或いは業物と呼ばれる程度

 

試作型デザートイーグルtype2(名称:ライノー76)

ー試作型のオートマチックマグナム2号。1号は撃った瞬間に壊れた。マグナムはロマンということで制作されたが、何かまだロマンが足りないということでまだまだ試作型の域を出ることが叶わない銃。マグナムの二丁拳銃でも十二分にロマンなのにまだ求めるか

 

能力

 

神眼

 

超越再生

 

必殺技

 

堕天ス流星(アプシュトアツ・シュテルン)

ー炎と雷の魔力を剣に圧縮し、振り抜くと同時に指向性を持った魔力として放つビーム

 

 

備考:なし

 

 

 

 

 

人物名:(すめらぎ)美優(みゆう)

 

性別:女

 

身長:169㎝

 

体重:48㎏

 

年齢:17歳

 

誕生日:4月9日

 

見た目:腰まで伸びた黒髪ストレート、タレ気味の目、少しおっとりとした雰囲気

 

性格:基本誰とでも仲良く話すことができるが、どうしても男性に話しかけることができない

 

生活:基本的な家事なら何でもこなせる。時間がある時は基本自分で家族全員分の料理を作る

 

概要

 

皇 帝の義妹。帝が修行として家を空けている10年間の内に、親戚にたらい回しにされ、終着点として帝が暮らす皇家にたどり着く。とある理由で男性への恐怖心を抱き、家族以外に対して男性不信を持つ。帝という聞いたことでしかない家族にも対して発動してしまい、喋りたいのにできないというジレンマを自己の内に持ってしまう。リアス・グレモリー眷属の1人で、駒価値は兵士の1

 

戦闘

 

現在は不明。リアス・グレモリー曰く、高い魔力を感じたとのことから魔力を使用した戦闘を行うと予測される

 

武装

 

無し

 

能力

 

不明

 

備考:無し

 

 



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戦闘校舎のフェニックス
オヤツにハマグリを所望します(真顔


2年振りの投稿です。もうスランプとかどうとかそんなレベルじゃないですね。ともかく、最新話です。どうぞ


躱す、弾く 往なす、防ぐ

 

空気を叩きつける拳の音、風を切り裂く剣の音、勢いのあまりに地面にぶつかる音。それぞれの音の発生源たる者達が一心不乱に攻撃を加えているのは、たった1人に対してだった

 

「スピードが一定過ぎる!もう少し緩急を付けろ!それから時折フェイントを混ぜるのも忘れるな!相手の虚を突くことが最大の一撃に繋がる!」

 

「うっ!」

 

彼は拳を受け流し、自身の背面に押し出し、次に剣士に目を向けた

 

「手数を増やせ!それかもっと一撃に力を込めろ!防御を打ち破るのは手数と力というのは定石だぞ!」

 

「うわぁっ!?」

 

続いて迫る木刀の全てを側面を叩くことで全てを弾き、足払いをかけて一時的に行動を取れないようにした

 

「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「殴ろうとするたびに一々掛け声を上げんでいい!それとそんなテレフォンパンチじゃ簡単に躱されるぞ!パンチはもっとコンパクトかつ中心部に向けて打て!」

 

あっさりと躱し、背中を押し出すように蹴りを入れて間合いを取った

 

「子猫ちゃん、連携を取ろう。僕達に気が向いている間にイッセー君に背後をとってもらうんだ」

 

「そういうことなら任せたぜ!2人とも」

 

「はい。帝先輩に一泡吹かせてやりましょう」

 

かなり筒抜けだったのか、帝は苦笑を零した。しょうがないから乗ってやろうとお兄さん風を吹かせるように、聞かなかったことにして、表情を元に戻した帝は、来いよと言わんばかりに挑発として人差し指で3人を煽った

 

「「行きます!!」」

 

帝に突貫した裕斗と子猫は、今までにグレモリー眷属として共に過ごして来たことを示すように、互いの隙を埋め合わせるような連携で攻撃を繰り出した

 

対する帝は、指で剣の腹を押し出して攻撃を逸らす、飛んできた拳をさもハエを叩き落とすかのようにして攻撃を逸らしていた

 

「相変わらずとんでもない技量ね……イッセーはまだ駆け出しの悪魔だから仕方ないけど、それでもそれぞれに足りていないものを指摘することで各々に必要なものを理解させ、自覚させようとする。例えば子猫は技量と駆け引き、裕斗はスピード、若しくはパワー、イッセーには戦いのハウツーを。どれも的確すぎて、納得せざるを得ないわ。とてもチープな言葉になってしまうけど、流石帝、と言った所ね」

 

しかし直後、突如として姿を再び現した一誠によって帝は羽交締めにされる

 

「おいイッセー、いくらお兄ちゃんが好きだからって白昼堂々といきなり抱きつくのはその……恥ずかしいだろ……せめて人のいないとこで……」

 

「だぁぁぁ!!うるせぇよ!勘違いされるようなことを言うんじゃねぇ!今だ!木場!子猫ちゃん!このクソ兄貴をブン殴ってくれ!!」

 

恥じらう乙女のように頬を染める帝にキレる一誠。カオスな状況に一同は困惑する

 

ハッと我に返った2人は今度こそと帝に突貫した

 

「なーんてな♪おらよっと」

 

「えっうぉわっ!?」

 

「うっ!?」

 

「にゃっ!?」

 

裕斗と子猫がすんでのところまで接近したタイミングで半回転。驚いた一誠の隙を突いて拘束を解いた帝は軽い回し蹴りを一誠に当てて吹き飛ばし、急ブレーキをかけることが出来なかった裕斗と子猫はそれに巻き込まれて吹き飛ぶ

 

なんとか受け身を取った3人は体勢を立て直すものの、帝を見失ってしまう。瞬間、僅かに砂煙を上げて、裕斗、子猫、一誠の3人の悪魔は、たった1人、帝という人間によって背後から奇襲され同時に組み伏せられていた

 

「ったく、こんな調子じゃあの野蛮チキンには届かねぇぞ?」

 

「マジでその顔ウザいからやめてくれ兄貴……もう一回そのやれやれって顔したらぶっ飛ばすからな……!」

 

「手も足も……出なかった……」

 

「落ち込む必要はないよ子猫ちゃん……帝先輩がおかしいだけだから……」

 

「おかしいって……いや確かにある程度の技術はあるという自負はあるけどよ」

 

微妙な表情を浮かべる帝は、同時に3人の拘束を解いた

 

「ったく、鍛え甲斐のあるやつばっかで俺は嬉しいよ。ほら、とっとと向こう行って休憩しとけ。次、リアス、朱乃それから美優の3人だ。準備しろ」

 

「ねぇ帝君?もしあなたに一本取ることができたら、何かご褒美をくださいませんか?」

 

「ご褒美か……まぁ、範囲はかなり限られるかもだが、そうだな……俺ができる範囲で何か言うことを一つ聞いてやる。どうだ?ま、できたらの話だが」

 

「あらあらうふふ。これは俄然、やる気が出てきますわね♪」

 

「あら、それは私にも有効かしら?」

 

「えっ……お前もかよ……しょうがない、リアスも追加ってことにしといてやるよ」

 

「あ、あのっ帝さん!私もできたら……その……」

 

「え"っ美優お前まで!?困ったな……まぁいい、どうせなら全員分聞いてやる!」

 

帝の言葉を受け、リアスと朱乃の2人はヤる気(誤字に非ず)になった目をするが、ただし、という言葉に遮られた

 

「俺が勝ったら特訓の密度1.5倍くらいにするから覚悟しろよ♪」

 

ふふんと微笑みを漏らす帝にリアスと朱乃と美優は冷や汗を垂らす

 

(((でも1.5倍ならまだ良心的……?)))

 

「あっでも美優はキツいって思ったらすぐ言えよ?元のプログラムに戻してやるから」

 

「「えっ!?私達は!?」」

 


 

事の始まりは昨日のこと。放課後となり、これから部活が始まるという時間帯のオカルト研究部でだった

 

「いやぁ、やっぱりリアスの女王が淹れる紅茶は一段と美味い」

 

「痛み入ります」

 

無機質な笑みを浮かべた朱乃にそう言いながら、男は慣れ慣れしくリアスの太腿を撫でる

 

彼はライザー・フェニックス。名前からもわかる通り、不死の特性を持つ純血の悪魔だ。ホストかぶれな見た目をしており、一応、親同士の話し合いと勝手な決定による政略結婚という形ではあるがリアスの婚約者だ

 

しかし、当のリアスはライザーを心底毛嫌いしているために、部室内の空気は穏やかと言っていいものではなかった

 

「いい加減にしなさいライザー!何度も言うけれど、私は貴方とは結婚なんてしないわ!」

 

「ははは、日本の言葉に、イヤよイヤよも好きのうち、と言うものがあるらしいがなるほど、こう言うことか。それにリアス、もし本当にそうだったとしても、今の純血悪魔がどれほど少ないかは理解しているだろう?先の大戦で、悪魔、天使、堕天使は数が減りすぎた。特に俺達は先代魔王様方までも失った。現在は少しでも悪魔の数を増やすために魔王ベルゼブブ様が編み出した悪魔の駒というシステムがあるが、それだけでは純血悪魔は増える事はない。そうだろう?」

 

「ええ、それはもちろん理解しているわ。結婚は考えているし子供だって産む気よ。ただその相手は貴方じゃないってだけ。わかったらさっさと帰ってちょうだい」

 

堪忍袋の緒が切れかけたのか、ライザーはソファから立ち上がり、リアスを睨めつけながら言い放つ

 

「いい加減にしろよリアス……俺もこれ以上家の看板に泥を塗るわけにはいかないんだ……いざとなればここにいる全員を殺しッ!?」

 

瞬間的にだが、その場に重力すら感じさせる程の殺気が満ちた

 

ライザーは咄嗟に殺気を感じた方向へと目を向ける

 

彼の視線が捉えたのは、他の部員達とは違い、何食わぬ様子で壁にもたれながらライザーを見定めているかのような目をしている帝の姿だった

 

「今の殺気……いや、考えすぎか……それにしてもリアス、なぜ人間ごときがこの場にいるんだ?」

 

「彼は私が巻き込んでしまっただけ……貴方には一切関係ないわ」

 

「ふーん……おい人間、この俺を脅かした褒美に名を名乗る機会を与えてやろう」

 

「……お前食い物に一々名乗ってから食ってんのか?」

 

帝の態度は至ってシンプルだった。目には目を、歯には歯を、侮蔑には侮蔑を

 

「そうか、死ね」

 

その一言はライザーの心情を表すに最も適していた

 

たかだか人間、所詮はただの雑魚。少し炎を飛ばしただけで簡単に焼け死ぬだろうと魔力で炎を生成し、帝に向けて軽く飛ばしたが、それは帝とライザーの間に生まれた壁によって塞がれた

 

「なぁグレイフィアさん、これって正当防衛って事で手ェ出していいのか?いいよな?」

 

帝は眼前に生成した剣を崩し、グレイフィアと呼ばれる女性に話を振る。拳をポキポキと鳴らしている辺り、やる気は満々のようだ

 

それもそのはず、リアスとライザーの婚約の話をオカルト研究部に持ち込んだのはグレイフィアだ。話を振られても何らおかしくはない

 

「なるべくお納めしていただけるとありがたく存じます、皇 帝様」

 

グレイフィアーー彼女はグレモリー家に仕えるメイドの1人だ。冥界ではちょっとした有名人であり、今はリアスの婚約についての説明役としてこの場に来ているーーは帝に深々と頭を下げる。先程の一瞬の殺気だけで、帝の実力を理解してしまったようだ

 

「グ、グレイフィア様!?何もそこの人間にそこまで必要など!」

 

「ライザー様、確かに皇 帝様の言動は……あまり褒められるものではないかもしれません。ですが、だからと言って真っ先に暴力に訴えるのは貴族の名折れです。そのような野蛮な行為、どうか今後はお控えくださいますように」

 

「……チッ!」

 

「まぁ水でも被って頭冷やしなよ。焼け石に水、いや、焼き鳥に水ってか?やかましいわ」

 

「皇 帝様……これ以上は……」

 

「はーいすみませんでしたー」

 

反省zeroな帝は話を切り上げて再び壁に背を預けた

 

「さて、こうなる事はすでに予想されておりましたので……」

 

「なぁ兄貴」

 

「なんだマイブラザー」

 

「あーその……なんだ、ありがとよ、さっきアイツに言ってたやつ。なんかスカッとしたわ」

 

「気にすんな。正直俺も腹に据えかねてたとこだったしよ……それになんか、あいつが他の男に触れられているのがなんかアレっていうか……ってお前なんで泣いてんだよ。情緒不安定かよってうわぁ……」

 

号泣するイッセーはが目の前を指差し、その先に視線を合わせると、ライザーが丁度、()()()()()()()()()()ライザー・フェニックス眷属を呼び出していた。終いには婚約者のリアスが目の前にいるにも関わらず、眷属の女王と舌を絡ませ合うようなキスをする始末

 

これには思わず帝もライザーを"種鷄"と評価せざるを得なかった

 

 

「フッ……どうだ人間。これが俺の可愛い眷属達……ってなぜお前の隣の下級悪魔君はそんなに号泣しているんだ……?」

 

「ハァ……家の弟は将来ハーレム王とやらになりたいらしいんだが、どうもお前のことを羨ましがってるみたいだぞ」

 

「そうだ!女の子に囲まれていい思いしやがって!羨ましいぞ!この焼き鳥野郎!」

 

この温度差である。さっきまでいい感じな雰囲気だったのに台無しである。やはりこの兄にして弟有りといったところだろうか。雰囲気をぶち壊す役はこの2人が適任らしい

 

「というかお前……婚約者の前だってのに何しでかしてんだよホント……そういうのだから拒否られまくってんじゃんか」

 

一誠の頬を抓りながら呆れたようなジト目で視線を寄越す帝に、ライザーはフッと鼻で笑う

 

「何、英雄色を好むという言葉があるだろう?いい言葉だと思うぞ?俺は」

 

「いや、お前が英雄とか侮辱にも程があるだろ」

 

「は?」

 

「図に乗るな!人間!」

 

帝の一言に耐え兼ねたのであろうか、棍を獲物とする少女と大剣を獲物とする女性が帝に目掛けて飛び込んだ

 

常人ならば反応すら出来ず叩き潰されていただろうが、今回は相手が悪かった

 

「くっ!?」

 

「あ、有り得ない!ただの人間が私の一撃を見切り、ましてや逸らすなど!」

 

「自身と相手の力量を測れないようなら、君達は三流……いや、四流止まりで終わりだな。図に乗ってるのはどっちなんだか……さて、今からちょっとした選択肢を与えてやろう。このまま暴れて無様に死ぬか、散々舐め腐った相手の慈悲でいかされるか……好きな方を選びな、ワンちゃん達」

 

銃をホルスターから取り出し、銃本体を用いて棍、大剣を逸らし、2人の額に銃口を押し当て、嘲るような笑みを浮かべた帝には、えも言われぬ凄みがあった

 

流石に敵わないとようやく理解した2人は落ち込み気味にライザーの眷属達の下へと戻っていった

 

「おいライザー、飼い犬の首輪ぐらいちゃんと握れねぇのか?あんまりに躾がなってなさすぎて危うく噛まれるとこだったぞ」

 

「よくもぬけぬけと……!!」

 

やれやれとわざとらしく肩をすくめる帝の態度に、ライザーは歯軋りせざるを得なかった

 

当然であろう。己の自慢の眷属がただの人間と侮っていた相手に歯が立たず、舐められるどころか慈悲を与え、コケにすらしたのだ

 

青筋を立て兼ねないほどに怒りを露にするライザーだが、名案を思い付いたかのように歪な笑みを浮かべた

 

「仕方がない……リアス、君とのレーティングゲーム、受けて立ってやろうじゃないか。ただし……ククク……そこの人間も参加させることが条件だがな?フフッ……フハッ……ハッハッハッハッハッ!」

 

「なっ!?言ったでしょ!彼は無関係!私の問題に巻き込むべきではないの!私達との間に、彼は関係なんてーー」

 

ライザーからの理不尽とも取れる内容に抗議を申し立てるリアスだが、それを止めたのは帝だった

 

「何言ってんだお前?関係ありまくりだろが。もうここまで首突っ込んじまったんだしよ、今更無関係貫けねぇだろ。色々と手伝ってやるからバシッと言ってやりな、王サマ」

 

軽く背中を押されたリアスは、押される前の位置に振り返る。そこに代わりに立っていたのは不敵な笑みを浮かべる帝だ

 

「そういうわけにもいかないわよ!それにこれは私だけの問題でーー」

 

「んな訳ねぇだろアホか。俺とお前は協力関係だ。弟と妹が世話んなった分力貸してやるっつってんだよ。今大事なのは、お前がどうしたいかって話だろが、履き違えんな」

 

「私は……でも、貴方が……!」

 

激しい葛藤の中で、リアスは思い悩む。この際ハッキリとさせておくと、リアスは帝を異性としてかなり意識している。それこそ、無意識に帝を目で追ったり、気が緩むと帝のことを考えたりしてしまうのだ。経緯に関する詳細は追々。そんな相手にあまり迷惑をかけて嫌われたくない、というのはリアスの純粋な乙女心や、人間を巻き込めないという貴族悪魔としての責任感故に、帝への協力を渋っているのだ

 

しかし対する帝はかなりのお人好しだ。何も言っていないのに誰かを手助けしたり、細かな気配りや配慮ができてしまうため、知らず知らずのうちに好感度を稼ぎまくっていたらしい……これだからタラシは……

 

「……リアス、思い悩むぐらいならせめて後悔しないと思う道を選べ。それがきっと、今できる最善だろ?心配なら別にしなくていい。そうやって悩んでるときに、真っ先に相談してくれるのが1番嬉しいんだ……これでもダメか?」

 

困ったような帝の笑みにリアスは一瞬にして顔を真っ赤にした

 

「も、もう!あなたって人は……もう……!でも、ええ……そうね!いいわ、覚悟しなさいライザー!貴方は私達と帝で消し飛ばしてあげる!」

 

「ほう、これは楽しい事になってきたな……!おい人間!貴様はこのライザー・フェニックスが直々に殺してやる。精々最後まで醜く足掻き続けるといい!」

 

転移の魔法陣を生成し終えたライザーとその眷属はその上に立ち、転移の準備をしようとする

 

ピシャッという音と共にライザーの後頭部が濡れた

 

「殺すとか醜く足掻けとか……あまり強そうな言葉を使わない方がいい……弱くみえるぞ?」

 

ニヤニヤとライザーの後頭部に水鉄砲の銃口を向ける帝は、あの有名な漫画のセリフを態々抜粋し、更にライザーを煽った

 

「楽に死ねると思うなよ……皇 帝……!!!!」

 

炎が舞い上がると共にライザー達の姿は消えた。しかし彼はまだ、己が蹂躙されるかもしれないといった可能性にすら気付かないのであった

 

「おい兄貴……最後のアレ……」

 

「いや、タイミングが良すぎてさ、言わずにはいれなかったんだよな」

 

「ごく自然と聞けた今のセリフに感動を覚えていいのか、頭を抱えればいいのか……全くね……」

 


 

というような経緯があり、現在はグレモリーが所有する山々、そして別荘地にて、特訓をしようということになったわけである。余談だが、帝の持っていた水鉄砲は、いつでも相手をおちょくれるようにと常に懐に忍ばせているものらしい

 

その後だが、当初グレイフィアによって10日間に設定されていた修行期間を、帝がなんやかんやしたことによって17日という長期間へと引き伸ばしてもらっていた

 

その甲斐あってか、初日の今日は日が落ち始めるまでの間、目一杯帝が全員と組み手をし、全員の実力と限界を知り、そしてプログラムを作成することができた

 

「さて、今日はみんなご苦労さん。デザートでも食べながら今日のミーティングを始めよう」

 

くたびれたオカ研メンバーに、今日一日を乗り切ったご褒美……というわけでもないが、疲れて料理さえままならないであろう彼女達に代わって帝とアーシアが料理をすることになった

 

「さてと、んじゃまずは個人評価から行こうかな」

 

帝の一言に、一瞬で全員に緊張が走った

 

「まずは裕斗から行くが……いいな?」

 

「……はい!よろしくお願いします!」

 

「ん。じゃ言わせてもらう。基礎はしっかりと固めれているが、応用、発展があまり利かず、地力が物足りない……といったところだな。技量に関してはまぁ及第点だ。この修行合宿中に伸ばせればいいけどってな感じだ」

 

帝からの容赦ないダメ出しに木場の気分はズンッと下がった

 

「よ、予想はしてましたけど、やっぱり辛口ですね……」

 

「当然。そんなんじゃお前らのためもならない。甘んじて受け入れろ。裕斗、お前魔力を使えたりだとか体術を習得していたりだとかはないのか?」

 

「少し苦手ですが、魔力は少しなら使えますし、緊急時でも対応出来るよう、最低限の体術は身につけています」

 

「ん。なら、次から剣を扱う時は剣に魔力を纏わせてみろ。切れ味は上がるし剣の能力の性能も上がる。魔力が全くないという訳ではないならそのぐらいはできるはずだ」

 

例えばこんな風に、という言葉と共に、帝はホルスターから銃を抜き、一瞬で銃に魔力を纏わせる。銃からは僅かに炎が燃えているような音と、電気が走っているかのような音が漏れ、裕斗の口からは感嘆の声が漏れる

 

「魔力の精密操作を覚えることができれば、剣なんかだと刃の部分の魔力だけを回転させて切れ味をさらに上げたり、その武具から魔力放出を行うことでさらに性能を底上げできたりする。さらにこの2つの技術を組み合わせると剣からビームが出せるようになるぞ」

 

瞬間、空気が一瞬凍り付いた。辛うじて裕斗の喉から這い出てきた声は、その場の全員の心情を代弁していた

 

「……えっ……ビー……ム……?」

 

「うん、ビーム。実際に彼の有名なアーサー王やジークフリートとかはこの技術とビームを用いて強敵を打ち倒してきたんだぞ」

 

「……では、その技法を知っている帝先輩もビームを撃てるのですか?もしそうなら私、先輩をもう人間とは思いたくないです」

 

「あ、飽く迄知識として知ってるだけさ。そんなそう簡単にぽこじゃか撃ててたまるかよ」

 

上擦ったような声で白をきる帝に、子猫はあ、この先輩絶対ビーム撃てる……と確信した

 

「こほん……話は逸れたが、次は体術についてだが……まぁ剣術と組み合わせてもズレがない程度には完成させるぞ。後は基礎的な部分……特に筋力アップを図っていくって所かな。とりあえず裕斗の評価はこれで終わりだ」

 

「はい!明日からよろしくお願いします!」

 

「おう。倍ぐらいには強くしてやるから覚悟しとけよ?そんで、次は子猫な」

 

「よろしくお願いします」

 

ビクッと体を跳ねさせた子猫は、帝からの評価を待った

 

「お前はとりあえずひたすらフィジカルトレーニング。その後に型をある程度決めてそれに伴った技術の向上。以上」

 

「……帝先輩、もしかしてテキトーに決めてませんか?」

 

「馬鹿言うんじゃねぇよ。いいか、格闘ってのはフィジカルと戦闘スタイルによって大きく違ってくる。型やスタイルをある程度決めておけば、その分何を集中的に鍛えていけばいいのかっていうのが1番わかりやすい。例えば俺なら、中国武術の動きや型を参考に剣術や体術に活かしている部分が多いんだ。例えば震脚や脱力、秘宗拳や截拳道なんかの動きを取り入れてる。あとは躰道での距離の詰め方や連撃なんかもあるな。これを自己流に変化させてるってとこだ。そうだな……子猫なら空手とムエタイを取り入れてみたらどうだ?」

 

「蹴り技を主体にしろ、ということですか……?」

 

蹴り技は通常の戦闘であれば、死に技のような物と言われている。仮に蹴り技を受け止められた場合、軸足のみが残り、自由な移動を行えず攻撃をされるのに恰好の的となってしまう

 

そういった懸念があり、今まで拳打主体のスタイルにしていたところを、変更しろとでも言うようなことを言われたのだ。子猫が戸惑うのも無理はないだろう

 

「そうだ。こう言っちゃお前に失礼だが、お前は体が小さい。だから通常の戦車のようにパワーを上手く引き出すのが難しい……そこで、筋力が腕の3倍あると言われる足の出番だ。これによってパワー不足はある程度補えるし、悪魔の羽や体幹を上手く使うことで蹴りのデメリットと言えるとこはある程度カバーできるしな。子猫の場合だと腰を最大限落として超低位置からの一撃だったり懐に潜ったり出来れば、相手の急所にズドンッてな感じがいいと思う」

 

「……少し考えてみます」

 

「あぁ。戦闘スタイルについての指導は後半からするつもりだから、それまでは地力を上げながらゆっくり考えてくれ」

 

そしてまた数十分……帝の辛口評価が続き、終わった時には全員が頭を抱え、これからの訓練の過酷さに思いを馳せざるをえなかった

 

「総評、酷い!」

 


 

丑の時、中庭にて太刀を構える帝。気配、そして息は凪いだ水面の如く静かだ

 

「すぅ………………ッ!」

 

息を大きく吸い、意を決すると、太刀を振るった。返す刀で斬り、袈裟斬り、逆袈裟斬りを放つ。さらにもう一度逆袈裟を放ち、後方へと飛び退く

 

一息着くと同時に、周囲に遅れて風が吹き荒ぶ

 

「……やっぱ無理……想像の中とはいえ、やっぱ師匠に勝てるとか無理ゲーっすわ!あーやだやだ」

 

帝が想像で立ち会ったのは、かつての彼の師だ。帝が振るった刃の数は先ほどの一連の動作の中で40。その40合の切り結びの果てに、首を切り落とされた。彼の目にはそう映ったのだ

 

「まだまだだな……っていうか一回の振りで10の斬撃とかマジでやめろよ……まだ7が限界なんだぞこっちは……」

 

刀を地面に深く突き刺し、ぶわっと噴き出た汗を拭いながら独りごちる

 

ただ、一つ、指摘するべき点があるとすれば、数が少ないとは言え師と同じことをする帝も大概におかしい、とだけ

 

「いやさっきから向こうの山喧しいな!魔力の揺れとか激しいしどうなってんだよ!」

 

数十分後、二つ向こうの山にカチコミかけた帝は、赤銅と煤けた金の激闘に割り込むこととなった

 


 

修行日2日目、グレモリー眷属一同は食堂で皆顔を合わせる

 

「おはよう、みんな。昨日はよく眠れたかしら?」

 

「はい!ベッドがふかふかでとても寝心地が良かったです♪」

 

「あらあら、アーシアちゃんはすっかり順応していますわね」

 

「すごいねアーシアちゃん……私、あんまり眠れなかったよ……」

 

「同じく……です。疲れがあったとはいえ、緊張でなかなか眠れませんでした」

 

「すげぇなアーシア、俺あんまりにも疲れてそんなの考える暇もなく寝ちまったよ」

 

皆が起きがけの交流を交わし、会話に花を咲かせる。こういった何気ないひと時も結束を固めるため、そして思い出として残すことができるような一瞬となるため、それぞれが楽しんでいた

 

「あれ、そういえば帝先輩はどこにいるんでしょうか……まだ寝ているんでしょうか……?」

 

「帝なら厨房じゃないかしら?明日も料理頑張らないとって言っていたし」

 

「おぉ……やっと起きたかお前ら……待ってた……zzz……」

 

声に反応して出てきた帝はとんでもない眠気を抱えて一同に挨拶をした……かと思えば立ちながら寝だした彼に一同は慌てて駆け寄った

 

「大丈夫ですか先輩!?」

 

「大丈夫大丈夫……7割5分9厘寝てるだけだから……」

 

「大丈夫じゃない!?しかも細かいし!実は余裕あんだろ!」

 

小さなボケを入れた帝であるが実は割とマジである。だがそれを知らずか一誠から飛んできたツッコミに帝から「ははっ」と世の中に絶望し切ってるような乾いた笑い声と共に

 

「マジ無理正直もう寝たいめっちゃ疲れた」

 

死んだ魚のような目で捲し立てるように早口で飛び出したその言葉には全員が困惑するしかなかった

 

「……早く寝ればよかったじゃないですか……」

 

「朝飯の準備もあるしお前らに紹介しないといけない人もいるのに寝てられっかよ」

 

疑問符を浮かべる一同に対し、帝はただ付いて来いというだけだった

 

裏庭に着くとそこには全身真っ黒、巌のような筋肉の鎧を纏った巨躯の男が帝と親しげに話していた

 

「えっと、帝……?その方はいったいどちら様かしら?」

 

リアスはグレモリー眷属の総意を帝に投げかけると、当人はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにふっと笑った

 

「こいつは俺が使役する英霊、サーヴァントだ。ギリシャにおいて随一の知名度を誇る大英雄……と言えばわかりやすいだろ?」

 

「まさかっ!!半神半人にして、十二の偉業を成し遂げた伝説の大英雄ヘラクレス!?」

 

「それだけじゃないぜ」

 

まさかのビッグネームに驚きを隠せないメンバーに、帝はさらにと追撃をかけると同時に4名、追加として人が現れた

 

「稀代の英雄作成者である森の賢者ケイローン、水滸伝に伝わる無頼漢にしてある拳法の創設者と謳われる燕青、圧倒的技量を持つ拳法家の李書文先生、幕末最強の剣士の沖田総司、以上5名と俺が徹底的に鍛えてやる!言っておくが、地獄ですら生温い訓練になることは覚悟しておけよ!!」

 

不敵な笑みを浮かべる帝に、グレモリー眷属一同はこれから起きる訓練の壮絶さを想像し、顔を青褪めさせた

 

ついでに帝は意識が途切れてぶっ倒れた

 

 

 

 

 

To be continued……



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スタート地点はどこにでもあるもの

珍しく短期間(大体三ヶ月くらい)で仕上がったので初投稿です


さて、という呟きと共に近接組は声の主の元へと視線を向ける

 

「では改めて自己紹介を。今回、マスターより皆さんへの指南役を賜りました、ケイローンです。どうぞ気軽にケイローン先生とお呼びください」

 

「同じく、ヘラクレスと申します。皆さまの呼びやすいようにお呼びください。我が師、ケイローンと共に皆さまを鍛え上げさせていただきます故、是非とも頑張って頂きたく思う所存でございます。共に鍛錬に励んでいただけるよう努めてまいりますので、よろしくお願いします」

 

「喜べよお前ら。ギリシャ神話でも特に有名な2人が特訓を見てくれんだからな」

 

最後までチョコたっぷりなスティック状のチョコ菓子を齧りながら説明する緊張感のない帝に、一誠、子猫は呆れて溜息、ケイローンとヘラクレス、裕斗も苦笑いを浮かべていた。そも、彼に緊張感やシリアスを求めたところで、平然とした顔でぶち壊してくるのだ。ロマンスならともかく、それを期待するのは無理な話だ。もっとも、本当に大事な場面では流石に空気を読むようだが

 

「帝先輩、特訓……とは言いますが具体的には何をするんですか?」

 

「ま、確かに気になるところだろうな。そんじゃあ早速本題に入るか」

 

帝ぎぶつぶつと何かを呟きながら、あーでもないこーでもないと、菓子の箱と一緒に持っていたファイルから、3枚1組の用紙が3つ取り出された。表紙にはグレモリー眷属近接組強化案〜前編〜とまるで妙齢の女子が書いたかのような雰囲気を感じる丸字体で表されており、2頭身程にまでデフォルメされた一誠、裕斗、子猫といくつかの動物が可愛らしく描かれていた

 

「あのさ兄貴、これ作ったのってもしかして……」

 

「あーうん、俺だよ。深夜テンションで描いたからなんでこんなチョイスにしたのかは正直わからんけど。文句はそん時の俺に言ってくれよ?俺は寝不足でクソ眠いんで戻るけど、なんかあったらそこの2人に言ってくれ」

 

スタスタと足早に合宿所の中へと戻る帝に、一誠はツッコミを入れれなかった、或いは用紙に関する文句を言いそびれたためか、不満気な表情を浮かべた

 

「まぁまぁ落ち着いて、イッセー君。確かに帝先輩はちょっとおふざけが過ぎるところもあるけど、僕達のことを考えて作ってきてくれているんだからそんなに怒ってちゃ悪いよ」

 

「……まぁ、そうだけどよ……」

 

一誠は自分達のことをしっかりと考えて作ってくれていることはちゃんと理解しているためかそれ以上言及することはなく、冊子のページをめくった

 

「皆さん、手元の冊子を確認されましたね?内容として書かれているメニューはそれぞれの限界をギリギリ少し超えるくらいの量として記載されています」

 

「本日はそれらのメニューをこなすまで帰っていけない、とのことです。私達もいくらかアドバイスをさせていただくので、頑張りましょう。それと、その冊子を作られたのはマスターですので、気に障るようなことがあってもどうかご機嫌を損ねないでいただけると嬉しいです」

 

粗方目を通した一同は最後のページを捲る。その裏には1人1人に向けての激励の文が綴られていて、嬉しそうな表情を浮かべた……たった1名を除いて

 

舐めんなぁ!!

 

ワナワナと怒りを表す一誠に一同はギョッとするような表情となる

 

ケイローンは勢いよく叩きつけられて砂に塗れてしまった冊子の裏面を見ると、なんとも言えない表情で苦笑を浮かべた

 

『最低3、4回くらいは死ぬつもりで頑張れよ♡』

 

いったいどこが限界をギリギリ少し超えるぐらいなのだろうか……

 


 

「ん、みんな揃ったな。そんじゃ始めるか」

 

宿舎内の講義室にはリアス、朱乃、美優、アーシアの計4人のウィザード組と帝が集まっていた

 

緊張を浮かべるような面持ちの4人は一斉に帝へと視線を向けた

 

「さて、これからみんなには魔力の操作などの訓練を受けてもらうが、悪魔になったばかりのアーシアもいる。おさらいがてらに簡単に魔力についての説明をするぞ」

 

「うぅ……すみませぇん……」

 

落ち込むアーシアにリアスは大丈夫よ、とだけ告げ、朱乃と美優もそれに頷いた

 

「うん。成り立てだからって心配することはないぞ。何かあったら、いつでもみんなに相談するといいさ。でだ、まぁ簡単な講義を始めようか」

 

帝が備え付けのホワイトボードの前に立つと、それぞれが長机の席についた

 

「さて、確認だけどもここにいる全員は魔力による攻撃を中心としたウィザードタイプ。或いは後方支援タイプということで間違い無いな?」

 

帝の問いにその場の全員が頷いた

 

「ん。そしたら始めるけど、悪魔にとっての必須技能の魔力。悪魔に成り立てのアーシアにも分かりやすく噛み砕いて説明するぞ。魔力とは、悪魔の代表的な異能の一つだ。下級クラス、中断クラスといった風に当人の実力が上がるにつれて魔力量は増えていく。一般的には魂の強度や肉体の完成度……まぁ身体能力の高さかな。それによって補完されている」

 

チラリと全体を見渡し、怪訝そうな表情を浮かべる者が1人もいないことを確認して続ける

 

「次に魔力を体外へと放出させて攻撃や防御などへと転じさせる用法。こいつは各個人の想像力から発揮され、より具体性があるほど、捻出される魔力の密度は高くなる。感情や心などから発生する意志エネルギーとも関連性が見られていて、主に感情の起伏でそれが見られるんだ。感情的になっている時は、全身から微弱ながらにも魔力放出が発生しているから、捻出される魔力は平時よりも少なめの傾向がある。反対に、冷静な時は捻出される魔力が多いため、魔力に付与される効果が高かったり、少ない魔力の消費で最大限の魔力攻撃をすることができたりする。それらの結果から、ウィザードタイプは常に平静を保つ必要性が求められるんだ。まとめると、想像力や意志が強いほど放出される魔力は多くなり、感情によっても左右されるが、落ち着いている状態が1番好ましいってなとこだな」

 

その理論に相違はないようで、悪魔としての経験がそれなりに長い朱乃と、生まれながらの悪魔であるリアスはそれに頷く

 

「次に魔術的要素。これについては……まぁ、純血の悪魔は魔術適正が驚くほどに無い。そのメカニズムは未だに解明されていないそうだ。対して転生悪魔は人として持っていた能力を悪魔となっても使用できる場合が多い。魔術の行使もそのうちの一つだな。魔術は自身の魔術回路から魔力(オド)を使用し、詠唱と、何らかのイメージで魔術行使のトリガーを引き、その効力を発揮する。ただ、魔術回路の数や魔力(オド)の質で威力や効果に大きく違いが出てくるし、数を増やしたり質を上げるのも一筋縄じゃいかないから、自分の生まれに期待するしかないな。魔術には感情とかは関係ないから、魔力と違って安定した火力と効果を引き出せるのがポイントだが、先天性や才能によって大きく左右されるから、特殊なケースでない限りは難しいな」

 

ホワイトボードの余白のスペースが全て埋まったため、裏表が変わった

 

「さて、ここまでで質問があるやつはいるか?ん、美優か。どうした?」

 

「えっと、魔力と魔術にはそれぞれ別のトリガーがあるって言ってましたけど、それを同時に使う時ってどうすればいいんですか?」

 

帝は質問の内容に思わず一瞬目を見開いた。教えようと思っていた内容にズバッと切り込まれたのだ。素晴らしい着眼点だ、と内心で高く評価した帝は笑みを浮かべた

 

「お、いい質問だな。今回はそのことを転生悪魔の3人に教えようと思っていてな、そいつをする際の必須技能の習得方法を教えよう。悪いがリアスには事前にも言った通り別で教えることがあるから、それまで少し待ってて欲しい」

 

「わかったわ。じゃあ折角だから、ここで待っておくわ」

 

了解、とだけ答えたら、今度は朱乃からの質問が飛んできた

 

「帝君、必須技能の習得と言っていましたが、一対どういうことをするのですか?」

 

「そうだな、今から教えるのは並列思考を習得するためのトレーニングだ」

 

「並列思考……ですか?」

 

「そうだ。さっき言った通り、魔力と魔術を行使する際には別々にしてイメージを固める必要があると言ったな。しかし、それをする際には自分の脳内でのイメージを崩し一から構築せねばならず、仮にイメージを崩すことなく出来たとしてもラグが発生する。それを起こさないための並列思考だ」

 

徐にホワイトボードから離れた帝は人差し指を突き出し、魔力で球体を生成すると、形を変えたり、グルグルと回したりと自由に動かし始めた

 

「こいつは魔力を使って生成したモノだ。大体は自分の思うように動かしたり、形を変えたりできるし、簡単にモノを複製したりもできるといった具合だな」

 

フィンガースナップの音と共に魔力が消え、続けて帝の右腕に幾何学的な形で線が浮かび上がった

 

「そんでこれが魔術。まぁ見ての通りわかるが、発動タイミングが魔力を使った時に比べてわかりやすいのが欠点だ。今は強化の魔術を使ってるんだが、今回はこれを覚えて魔力の強化をできるようにするのが最終目標になる。基本的に魔術は魔力での攻撃をする際のサポートとして使うことになるかな。はい、朱乃ちゃん」

 

「魔術がどう言ったものか、というのは帝君の説明でわかりましたが、魔術はどうやって認識をするのでしょうか?」

 

「それについてはお前達の魔術回路を開いた後で教えるよ。ほれ、こっちに首筋突き出して……でもいきなり叫んでセクハラとか痴漢とか言わないでよね……?」

 

ビクビクと怯えながら及び腰になっている帝からは今の時代においての男性の生き辛さが見て取れる。まるで電車に乗っている時にいきなり痴漢と言われたことがあるかのような怯え方だ。女性優位の社会は末恐ろしい限りである

 

やっぱりやめたほうがいいよな……?なんて呟く帝をよそに、3人は迷うことなく従った

 

「……よし、最初は朱乃からだ。い、行くぞ……」

 

輪郭部分に手を置き、指の腹を首筋に当たるように調整し、朱乃の体に微弱な量の魔力(オド)が流れた

 

しかし朱乃は上の空だ。理由は単純、帝の整った顔立ちに見惚れていたのだ。顔と顔が非常に近い、所謂ガチ恋距離と言われる状態にあった。まぁ、帝の体勢が体勢なためにどうしようもないことではある……それを抜きにしても、学園では美形イケメンなんて呼ばれているのは納得がいった。色の深みと輝きが絶妙なバランスを保ったエメラルドグリーンの瞳、片目が少し隠れてしまいそうな房のある綺麗な銀髪、少し小さめな筋の通った鼻に微かに笑みを浮かべる薄い唇……顔だけでなく、全体的にスラっとしたシルエットに加え、性格、包容力など……これでイケメンでなければおそらく全ての人間の目は腐っているのか、濁ったビー玉でも埋め込まれているのだろう

 

そんな状況に健全な乙女なら心臓をドキドキと高鳴らせ、頬を赤く染めている。例に漏れず、朱乃も健全な乙女であり、しかも相手は結構いいかも、と気になっている相手だ。顔に熱が籠もっていくのも自然なことだ

 

こんな距離なら間違いが起こっても仕方がない……ぼやっと蕩けたようなことを考え、朱乃は帝の唇へと吸い寄せられた

 

「こら、何どさくさに紛れてキスしようとしてんだアホ」

 

「ひゃっ!?」

 

しかし、そうは問屋が卸さないようで、人差し指によってそれは阻まれた。自身のしでかそうとしたことに気付きハッと我に帰った朱乃はボフッと顔から湯気を出し、さらにと言わんばかりに思いがけない追い討ちをもらう

 

「ったく……少しは自分のことを大切にしろよ……それに俺だって最初は好きな人としたいし……」

 

口元を隠し、少しもじもじとした態度で頬を赤らめた帝に、普段のおちゃらけた様子や何気ない仕草に見える男らしさなどのギャップと相まってクリティカルヒットしたようだ

 

意外にもロマンチストで、もじもじとしている様子は完璧に女子のそれだ。少し絵になるのが腹立つ

 

「ってそうじゃなくてだな!朱乃、さっきお前の魔術回路を開いたわけなんだけど、一瞬でも何か頭の中に浮かばなかったか?」

 

「えっと……少しだけですが、雷雲から雷が落ちる、というようのなイメージが浮かびましたわ」

 

「OKだ。魔術を使う時、そのイメージは重要になる。しっかりと覚えておくように。あぁそれと……1回目だから大目にみるけど、次はオシオキしちゃうからな?

 

耳元で紡がれた挑発的な囁き声は、見事に朱乃をダウンさせた。朱乃は真っ赤になった顔を手で覆い机に突っ伏し、犯人はペロッと舌を出して軽くウィンクをし、してやったりと言いたげな笑みを浮かべた

 

「さって次はアーシアだな。さっきみたいなことはもちろんしないから安心して欲しいんだが……大丈夫か?」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

アーシアは特に何かが起きる事もなく魔術回路を無事に開くことができた。「お疲れさん」と帝が労いの意を込めてぽんぽんと軽く頭を撫でると、アーシアは少し満足したような気持ちになった

 

さて次は美優……というところでまたもや問題が起きた

 

「んー……こりゃ完全に怯えられてんな……」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

さて、ここで皇美優という少女について少し深掘りをしておこう

 

彼女は容姿がとても良く、スタイルや体型など、どれひとつ取っても魅力的な女性だ。実際、学園でも非常に人気があり、そこらのアイドルなんか目じゃない。それなら当然、色恋に飢えた男子はアプローチをかけまくり、気を引いて一気に彼女をゲットだぜ!する算段を立てる下心マシマシな者は多かった。美優が駒王学園1年生であった頃、それはもう毎日のように告白されていた。同級生はもちろん2年生、3年生と下手すれば全校男子生徒が彼女にしていたんじゃないかというほどだ。しかし、美優はそれを全て断っている。彼女は男性恐怖症だ。それもかなりの重症である。男性が同じ空間にいると少し息苦しく感じるし、半径1m以内に寄ろうものなら目眩がし始め、真横に居るものなら動悸が激しくなり、息切れを起こし始める。最悪そこに過呼吸までプラスされる。過去のトラウマのせいでこうなっているのだが、今は割愛しよう。気が許せる相手……例えば一誠や父親、裕斗などの身内に対してはそういったこともないのだが、その身内に至るまでの道のりがとてつもなく長いのだ。現に、身内にかなり近い帝でさえ近くにいると怯え体を震わせている。やはりぽっと出のお兄ちゃんでは無理があったか

 

「うーん……まぁ、ダメならダメで仕方ないか。心の準備とかそういうのもなく始めた俺が悪いし」

 

「いいの?この合宿は私達の力を上げるためのもの。そう時間をとっていていいとは思えないのだけど」

 

困り顔の帝は美優から一歩引き、そんな様子にリアスが苦言のようなものを呈した

 

「んー……良くはねぇよ、当然ながら。ただ、強くなるためにはモチベーションが必須だ。それを欠いた状態で修行したって成果は乏しいもんさ。この子に必要なのは、時間と覚悟、そして強くなりたいという意志だ。そこから一歩ずつ、少しでもいいから進めればいい。よく言うだろ?千里の道も一歩からってね」

 

「……ごめんなさい……私のせいで……」

 

「……深くは聞かない。オカ研(ここ)にいるのって、大体は過去になんかあったり、自分だけのもんを抱え込んでるヤツばっかだろ?それに関してどうこう言えるような、人様の内側に土足で踏み入るような図太さはねぇ。それを解決するなんて無理だし欲しがってるような言葉を掛けれるほど優しくもねぇ。でもさ、見守ったり少しだけ手を貸してやったり、期待して待つだけならできる。こんなんでも、結構期待してんだぞ?いつか肩並べて一緒に戦えるって。……待ってるぞ、美優」

 

伝えたいことを伝えられたのか、帝はそれ以上美優に対して何も言わなかった。並列思考と魔術のトレーニングメニューを朱乃とアーシアに伝え、より詳しく内容をまとめた冊子を2人に渡した帝はリアスと共に別室へと向かった

 

「私の……覚悟……」

 


 

「よかったの?美優をあのままにしていて」

 

「いいのいいの。美優を気にしてるのは俺とお前だけじゃない。彼女は必ず立ち上がってくれる。今度は自分から歩み寄ろうとしてくれるはずさ」

 

「ふふ、その自信はいったいなんなのかしら?お兄ちゃんの勘?」

 

「お、よくわかってるじゃん。そんじゃ、リアスの分も発表しますかね」

 

やる気を漲らせたリアスは帝の方を見る。じっと見つめると顔が熱くなってしまうので、後ろの方に焦点を当てながら頷いた

 

「今からここに積んだ15冊の兵法書を9日目のあさまでに丸暗記すること。それがリアスに出す修行課題だ」

 

「えっと……ここにあるのを全て……なのよね……」

 

目の前には厚さが7cmにも届かんばかりの兵法書が積まれていた。どれも対人戦闘における膨大な量の戦術や陣形をまとめたものばかりだ

 

あまりの量に若干辟易していると、著者の欄に目が止まった

 

「ゼフィリム・ヴェルデヴェルデュ……?」

 

「あぁ、それ俺の友達だよ」

 

聞いたことのない名前だと思い、自身の記憶から該当する人物を見つけようと思案していると、本を綺麗に仕分けていた帝がそう答えた

 

「へぇ、そうだったのね。どんな人なの?」

 

「うーん……なんだろう、俺と同じで悪ふざけとか騒いだりとかが好きなんだけど、頭のキレがすごくてさ、戦術から戦略、パッと思いついたもんが全部めちゃくちゃいい感じにまとめれるスゲェヤツだよ。……って何その顔」

 

笑顔で楽しそうに友人の話をする帝に、リアスはつい微笑ましくなって笑顔を浮かべていたようだ

 

「ごめんなさい、あなたが楽しそうにお友達の話をするものだからついね。とっても大事なのね」

 

「まぁな。何せ、俺とアイツは()()だからな」

 

「心友?親友じゃなくて?」

 

「おう、心と心で繋がっていて、互いに尊重しあえて尊敬できて、そして互いの全てを曝け出せるような関係。その意味を込めての心友だ。要はズッ友以上の仲みたいなもんだよ。そら、読みやすくまとめておいたからさっさと始めるように。これからみんなのとこ回るけど、1時間置きぐらいにここに来てちょっとした問題出すから、くれぐれもサボったりしないように」

 

雑談もそこそこに、そろそろ書斎から出ようとドアに近づいた帝かリアスから再度声をかけられた

 

「あら、もう少しくらい一緒にいてくれたっていいのに」

 

「んー?ここに居る間は俺を独り占めできるんだから我慢しやがれ。それとも、手取り足取り、これぐらいの距離感で色々と教えて欲しかったのか?こんな風に」

 

リアスはちょっとした挑発をすると、それに乗った帝はリアスの肩に顎を乗せ、手を取って指と指を絡ませ合うように握った。リアスは瞬く間に顔を真っ赤にさせ、帝はニシシと悪戯が成功した少年のように笑った

 

「えっ……その……きょ、距離が近すぎよ……私達まだ、つ、付き合ってないのよ?別に私はこのままでもいいというか……」

 

「あぁ、だから朱乃に悪戯してたとき羨ましそうにしてたのか。でもこのままじゃ集中できないんじゃないか?」

 

「誰がそうさせているのよ……もぅ……」

 

「ふふ、ああやって相手を挑発するからだよ。その様子じゃしばらく集中できないだろうけど頑張れよ」

 

帝は余裕たっぷりに、なんならリアスにウィンクまで残して部屋を出た。残されたリアスは30分ほど開始できなかったとか

 

「……やべ……なんかアイツめっちゃいい匂いしたし……指めっちゃ細くて柔らかかったし……ちょっと迂闊すぎたな……」

 

ここにも1人、自爆して耳を真っ赤にしている馬鹿がいたとかいなかったとか

 


 

後日、決意が固まった美優が帝の元へと訪れ、魔術回路を開くことに成功。朱乃とアーシアの魔術と並列思考を共に習得するために合流した。全体的に上手くいっているようで、着々と一人一人の実力が上がっている。途中、一誠が死にかけたり、裕斗が骨折したり、朱乃が魔術を暴走させかけたりとアクシデントはあったが、それらも全て彼達の成長の糧となっている

 

「992……993……994……っ!」

 

しかしここに1人、そんな現実に満足できず、オーバーワークに励む少年が1人いた

 

『相棒、そろそろ休め。体が悲鳴を上げ始めているぞ』

 

「995……996……997……こんなとこで音をあげてたら……追いつけねぇんだよ……みんなに……!!」

 

自身の相棒の忠告に聞こえないふりをかまし、そのままトレーニングを続けた

 

彼は悪魔として転生したときから、ずっと弱さに苛まれていた。ハッキリ言ってしまえば1番弱い。みんなには無い自分だけの力を持っているが、肝心の土台が弱ければ例え強化されたとしても弱い。だからこそ、さらに力を求めているのだ

 

「998……999……1000……!!」

 

予め決めておいた回数に到達すると、重り代わりに持っていた大岩を手放し、地面に横たわった。全身からは汗が噴き出し、体から発せられる熱は夜風にさらわれて少しずつ彼の熱を冷ましていく

 

「よう、オーバーワークお疲れさん」

 

「っ!?」

 

ふと声をかけられた瞬間、感じ慣れた、しかしそれでいて意識外から突如として首筋にもたらされたヒヤリとする感覚はモヤモヤとしていた感情を少し吹き飛ばすには十分だった

 

「そう驚くなよ、隙を晒してるお前が悪いんだぞ?ほれ、こいつ飲んで少し休め。それとドライグ、お前イッセーを止められなかったな?そんなんだからマダオなんだよ」

 

『おい!マダオとはなんだマダオとは!』

 

「まるでダメなオオトカゲ。略してマダオ」

 

『おい相棒!それは聞き捨てならんぞ!撤回しろ!』

 

やたらと暴れる左腕をなんとか抑えながら声の主から渡されたスポーツ飲料を一口分飲む。想定していたよりも甘さは薄く、少しだけ塩気を感じるような後味が残った。中に残っているのは少しシャーベット状になった部分と、カチカチに凍っている部分、そして手の熱で融解し、液体へと戻っている部分の3つだ

 

声の主は少年の置いた大岩に腰掛け、あの黒くて甘いクセになるような炭酸のパンチが効いた味わいの飲料を飲んでいた。マダオとのやりとりにひと段落ついたのか、こちらの顔を真っ直ぐ見つめてきた

 

「水入れてるからちょっとは飲みやすいだろ?汗もかなりかいてるから塩も入れといた。……なんか悩み事か?」

 

しばし沈黙する。風が吹き、今度は目の前の存在を示すように香りを運んできた。風呂から上がってきたばかりなのか、フローラルな甘い香りだ。濡れた髪は艶やかに月光を浴び、首から覗く鎖骨には汗が滲み、よりいっそう妖艶さを引き出している。黙っていれば世の女性の悉くを魅了できるだろう容姿や体つきに思わず呆れる。正直自分だって兄のように女の子を揶揄ったりしてみたい。日頃の行いを省みると、そんなことすら出来そうに無いが

 

戦闘でも、自分と同級生のイケメン野郎、力自慢の後輩が束になってかかっても遊ばれる。付け入る隙が全くない。身近な存在が途方もなく遠い。部長も、副部長も、姉も、同級生も、後輩も、皆が遠い。守りたいと強く思う子ですら、唯一無二となり、大事な戦力として数えられている。自分の力の無さを改めて思い知り、悩んでしまう。それこそ、仲間達を妬んでしまいかねない程に

 

「なぁ兄貴……俺って皆にとって必要なのか……?」

 

「お前……いきなり何を……」

 

「だってそうだろ?俺は木場みたいな剣術もスピードも無い……子猫ちゃんみたいなパワーも無い……アーシアみたいな皆を癒せる力も無い……部長みたいに頭がキレるわけでもない……朱乃さんと姉ちゃんみたいに魔力に秀でてるわけでもない……そんな俺が、皆に必要なのか……?」

 

弱音を吐いていると突然、頭を撫でられた。子供扱いされていると感じ、むっとなって睨みつけると笑って躱された

 

「ったく、ふざけたこと言ってんじゃねぇっての。劣等感に苛まれてナーバスになってましたってか?そんなら、俺が心配する必要はないってことだな。喜べイッセー、お前は強くなれるぞ」

 

強くなれる……?自分が……?信じられない。何を根拠にして言っているのか全く理解ができない

 

「まぁその様子だと、何言ってんだコイツはって感じだな。いいかイッセー、強くなれるヤツってのは大体が挫折を何度も味わう。そんで何かのきっかけを見つけて一気に成長する。俺はイッセーに、その可能性の一端を見出したんだよ」

 

「……きっかけ……」

 

「お前には強くなりたいって思う意志がある。仲間のためなら強大な敵に喧嘩を売れる勇気がある……彼我の実力差を見極められないからこれは正直褒められたもんじゃ無いけど……あとは、お前の決意を決めさせるきっかけだけだが……お前ならこの合宿中にそれが掴めるって信じてる。何せお前は俺の弟だからな」

 

「ははっ、なんだよそれ……ま、兄貴がそんなに言うってんなら、俺も信じてみるよ。兄貴の信じる可能性ってヤツ」

 

ニッと笑顔を浮かべる兄に釣られてつい吹き出してしまった。でも、心の中のつっかえのような焦りはあまり感じなかった。たまにはこうして心の内を晒して話してみるのも悪くはないのかもしれない

 

「まぁ今に見てろって。そのうち兄貴を超えてやるよ。コイツと一緒にな!」

 

「まったく、やれるもんならやってみやがれ。おいそっちのドライグ、イッセーのこと頼んだぞ」

 

『はっ、誰にモノを言っている?お前に言われずともこの俺が相棒を最強にしてやるさ』

 

「ははっ、そいつはいい。俺達も負けてらんねぇぞ、ドライグ」

 

『ああ。魂を分けられていようとこの俺は誇り高き二天龍の片割れだ。そうでなければ張り合いが無いと言うモノだ』

 

突き出した左の拳に兄の拳が合わさったと同時に心に再び灯火が宿ったのを感じ、新たなスタートに期待を膨らませた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued.




今回は帝くんの容姿に軽く触れてみました。イメージとしてわかりやすくするとアズレンのダンケルクを男にしたみたいな感じです

それと今回は皇家の兄弟妹についてスポットを当ててみました。一誠は間違いなく原作とは違った進化をさせるつもりなので乞うご期待です


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あーダメですお客様!ウチの子は恋愛禁止なんです!

相も変わらずお久しぶりです。長いこと小説に触れていなかったせいで文章力が落ちているかもしれませんが、どうぞ


 

-side帝 -

 

-10日目早朝-

 

目がパチリと開き、意識が覚醒したと共に上体を起こす。枕元の時計を見ると短針は5時を指していた。起きるにはまだ早いが俺には丁度いい時間だろう

 

部屋着を脱ぎ捨て、ジャージを着用する。5月も中頃のこの時期はそれほど寒くなく時たま暑ささえ感じ、夏の影がちらほらと見え始めている。昼間は暑くなるだろうから、スポーツドリンクを全員分用意しないといけない

 

キッチンに辿り着くと冷蔵庫より昨日の朝から仕込んでおいたフレンチトーストの入ったボウルを取り出す。ラップを外すと卵と砂糖の香りが鼻腔を擽り、食欲が湧いてきたことを示すように口内に涎が少し溜まった

 

「うん、今日もいい出来だ」

 

事前に用意した人数分の皿に盛り付け、仕上げの作業に入る。人差し指を向けて魔力に指向性を持たせ、高すぎない温度に調整した炎で表面をバーナーのように炙った。こうすることで香ばしさが増して香りを楽しめる筈だ

 

完成したらトレイに置いて再び冷蔵庫に入れた。皆が揃うまではキッチンのカウンターで待つことに決めた俺はインスタントコーヒーを片手に皆の訓練の様子を思い返した

 

まずは近接組。こちらは成功……いや、むしろ大成功と言わざるを得なかった。考えた当初は通常の人間をベースとして組んでいたメニューだったが、嬉しい誤算だった。通常、筋トレやそれに準ずるトレーニングには、壊れた筋肉を再生させ更に強靭なものへとする超回復という人体の作用によって筋力アップを図るものだ。人間であればそれによって起きる筋肉痛が発生し、2日ほど筋肉を休ませる必要があるのだが、流石人外と言うべきかそれに必要な時間は平均で約6時間という時間で事足りた。結果従来の予定よりもやや詰めたスケジュールでトレーニングが行われていた。それ以外にも驚愕を隠せないような成長性によって体幹やリカバリー能力などが飛躍的に向上しており、想像の倍以上の成長に思わずにやけが止まらなかった

 

次にメイジ組。こちらは予想通り強化魔術と並列思考の両方を習得してくれた。まだ及第点の域を超えることは無いが、1週間という短期間で身につけてくれただけでも充分な成果だ。途中で少しアドバイスを送ることもあったが、美優の魔術的センスには目を見開いた。素人ながらに少ない魔力と工程、そして短い詠唱だけでの強化魔術のパフォーマンスはかなり高かった。魔術回路の量や質は一級魔術師と比べても遜色ない程に高かった。朱乃は飲み込みが早く、メイジ組の中では1番に覚えるのが早かった。魔術回路の量や質もそれなりに高く、他2人の先導役となってくれていた。アーシアも習得は割と早かった。3人の中では1番遅かったが、それでも5日目にして全てを習得していた。彼女の持つ神器である聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)は貴重な回復能力を持った神器であり、その回復能力を強化魔術によって底上げできるのは大きなアドバンテージになるだろう。メイジ組も近接組同様に総じて優秀だった

 

そして最後に司令塔であるリアス。こちらは昨日に全てを暗記し、応用編の戦術の質問にもしっかりと答えられていた。実践で即実行できるかどうかは計りかねているところではあるが、少なくともスタートラインにはしっかりと立てているため、特に言うべきこともない。むしろこれぐらいできて当然と言いたいところだし、欲を言えばあれを参考に独自の戦術を編み出すぐらいはできて欲しいところだが、そこは期待して待つ他ない

 

ふと時計を見ると6時半。そろそろ今日の準備を進めるために、カップのコーヒーを飲み干した

 


 

今日の予定を告げ、庭で今日の段取りを頭の中で反芻させながら扱う予定の獲物の調子を確かめていた

 

獲物の銘はなく、ただの2m程の可変式ギミックを積んだ棍だ。三節棍と棍とで変化し、閉所には三節棍、開けた場所では棍という風な使い分けができる

 

ぶっちゃけロマン武器を使いたかっただけだから特に意味はないけどね

 

「帝先輩、準備終わりました」

 

「お、来たな。みんな揃ってるようで結構」

 

棍を構え直し、リアスとその眷属達を正面に見据える。そこそこの修行をこなしたこともあってか、一同の目つきが初日に比べて少し変わっていた

 

こりゃ今度は顔つきが変わってそうだ。最終日が少し楽しみになってきたな

 

「それじゃあ今からみんながどれくらい変わったか確かめるから、全員でかかっといで。お前達の勝利条件は俺を戦闘不能か、投降させること。反対に敗北条件は王のリアスを抑えられたら負け。今回のレーティングゲームと同じ方式だ。神器持ちは神器使ってもいい。それと本気でかかってくるようにしろ。俺は流すだけでやるからもしかしたら勝てるかもな?」

 

「後から謝っても聞きませんよ」

 

「頑張ってそうさせてみろ。はいよーいどん」

 

合図と共に裕斗が特攻をかましてきた。顔への突きを棍で受け鍔迫り合いへと持ち込むと、前よりも膂力が上がっているのを感じた

 

「やっぱりこうなっちゃいますか……流石です」

 

「前よりもちったぁマシになったじゃねぇの……まぁそれで俺に勝てるかは別問題だがな!」

 

押し込まれ気味だったのを押し込み返し、動きを探ろうといったタイミングで横槍が入った

 

体の中心を抉るように仕掛けてくる子猫は以前にも増して打撃のキレが良くなっていた。筋肉の瞬発力が上がったことによって必然的に鋭さを増したのだろう。良い打撃を繰り出すようになった

 

打撃もある程度弾いたところで胴体に突きを入れると、先端を踏みつけられ頬に一撃を貰いかけたが、半身になって頬を掠める程度に留まった

 

「見違えたな、子猫。随分と打撃の威力とスピードが上がったな、すごいぞ」

 

「当面の目標は帝先輩に一撃入れることですから……このぐらいできて当たり前です」

 

「マジでその可能性が見える辺り危機感を少し感じるなぁ……おっとあぶね」

 

固定された棍を手放しバチバチと音を鳴らす魔力弾から逃れ、次に来た氷弾と禍々しい赤黒い魔力が脛を撃ち抜こうとするが、その間に手を着いて自身の体を持ち上げて回避。続いて鳩尾へと迫っていた氷弾をブリッジのような体勢で回避。そのままの体勢で手足を狙った魔力弾を回避した

 

「うわぁ……」

 

「あらあら、これはまるで……」

 

「やめて朱乃、みなまで言わないで。私達の精神衛生のためにも」

 

「うぇへへへへへ、ほれほれどうだ、キモいだろ」

 

カサカサと左右へ高速で平行移動(シャゲダン)して煽る。気分は台所の黒光りするアイツだ。コイツはやればドン引きされ冷ややかな目線を送られる代わりに相手を煽り散らすという豆腐メンタルの煽りストには使えない強力な技法だ。え、そんな解説要らない?いいから止めろ?そんなぁー……

 

そしてふと男としての危機を感じバク転のようにして体を動かすと、俺の股座を赤い何かが掠った

 

股間がヒュンッとしたような感覚を感じ、若干内股気味に視線を向けるとそこには俺の股間付近の地面を赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で叩きつけていたイッセーがいた

 

「チッ外しちまったか……」

 

「怖ッッ!?今日1番の恐怖は子猫じゃなくてお前だわ!!何俺の分身殴り潰そうとしてくれたの!?危うく新世界開拓しかけるとこだったわ!!ここを全力でぶつけた時の痛みは女子の着替えを覗いた挙句捕まって制裁として全力でかまされてるお前なら1番わかるだろうが!!なあ裕斗!!!!」

 

多分ぐだぐだした雰囲気になってくるからしれっと内股気味になっていた裕斗も巻き込んでおいた。これでオカ研3バカの完成だ☆

 

「うん……イッセー君、それはちょっと流石に……ね?」

 

「いやなんでだよ!俺の内から溢れるおっぱいへのリビドーを抑えろと言うのかよ!いいか!おっぱいっていうのはだな、この世の全てを包み込む存在にして命の神秘を宿した偉大なるものなんだよ!神秘の探求をすることの何が悪いってんだよ!」

 

「その行為全部じゃい!お前はもっと抑えろ!松田君と本浜君もそうだが、見てくれはいいのにそれのせいでモテるチャンスを全部失ってるんだぞ!この間たまたま通り過ぎた一年女子が『兵藤先輩って熱血屋で優しいしカッコいいけどアレはちょっとねー……』『ホントそれ。アタシ兵藤先輩結構タイプだったんだけどなー……あれのせいで幻滅しちゃったわ……はあーあ、新しい恋探そっと』とか言ってたんだぞ!」

 

「なん……だと……!?おっぱいへの情熱がハーレム王への邪魔をしているだなんて……!?俺の人生と夢が天秤にかけられていただなんて……!!」

 

「アホだろコiぶぉわあああああぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

「俺はいったいどうすれbごへぅっ!!??」

 

「アホは帝先輩です」

 

あ、ありのままの今起こったことを話すぜ……イッセーのことをアホだと思いながら動こうとした瞬間、ジャイアントスイングを決められてイッセーの方へと投げ飛ばされてイッセー共々きりもみ回転しながら地面に転がったんだ……頭ん中が回りそうだった……ネタの導入だとかツッコミだとかそんなチャチなモンじゃあ断じてねえ……もっと恐ろしい後輩の片鱗を味わったぜ……

 

「はぁ、こういうところがあるから残念イケメンなんて言われてるのよ……そろそろ起きたらどうなの?演技なのはバレバレよ、帝」

 

「バレテーラ……結構上手いこと騙せたと思ったんだけどなー」

 

腹の上で寝転がっていたアホを放り投げてどかし、近くにあった棍を持ち直して立ち上がる。ぐぇっとカエルが潰れたような声が聞こえてきたがきっと気のせいだ

 

「ふざけてたとは言え一撃入れられたな……」

 

「あれに関してはノーカウントにしてください。誰かが止めなかったらあのぐだぐだは止まらなかったと思います」

 

たしかにあのままで行けばノンストップだったかもしれない……俺から始めたことだから何とも言えないけど本来の目的から脱線させてしまったことに気まずさを感じて目を逸らした

 

「コホン……それで、私達の今の実力はハッキリと測れたかしら?」

 

「アホ言うな。お前らの連携が見れてねーよ。おら、纏めてかかって来やがれ!もう少し遊ぼうぜ!」

 

体も温まったため、向こうには持てる限りを出してもらうために獲物を三節棍へと変形させ構えを取った。今まで構えを取った姿をあまり見せなかったためか、その場の緊張は限界にまで膨れ上がった

 

「みんな行くわよ!裕斗と子猫は挟み込んで!朱乃と美優は私と一緒に帝の動きを制限するわよ!イッセー!あなたは最大の一撃を放てるように力を溜めておくのよ!隙は私達で作るわ!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

リアスの作戦通りに子猫と裕斗は俺の両サイドに陣取り、ウィザード組は俺の回避と弾きを潰すためにブラフも混ぜた前衛組の援護、イッセーは己の神器を構えて力を溜め始めた

 

子猫の拳打を逸らし、裕斗の両の剣の側面を打ち、ブラフと本命を見極めながら魔力弾を掻き消す

 

この中で1番警戒すべきはやはりイッセーの攻撃、厄介と言えるのはリアスの滅びの魔力だろう

 

俺とイッセーが所有する神器、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)という神器の中でも異質な強さとなる能力を2つ以上持った、文字通り神をも滅する可能性を多分に孕んだ最上級クラスにあたる神器だ。主な能力としては10秒毎に自身の能力を2倍引き上げ、溜め込んだ力を解放することで真価を発揮する倍加。自身への強化倍率よりは劣るものの、溜め込んだ力を対象へと託し対象となったものを強化させる譲渡、と言った2つの能力だ。さらに細かい能力を上げるとあといくつかあるが今回は割愛する。殊更注目すべきはやはり倍加能力だ。こう言った単純な強化能力は土台となる宿主の力や器の容量と耐久度によって大きく差が出て非常にわかりやすいし、だからこそ強力なのだ

 

さてここでイッセーの身体能力を振り返る。悪魔となった当初は悪魔としての身体能力はあったものの、精々がオリンピック上位を目指せる程度の身体能力。悪魔達(彼/彼女ら)で言うところの下級悪魔という評価が最もなところだった。それが今や中級悪魔の下の中ぐらいならば殴り合って対等に渡り合えるだろう身体能力をしている。少なくとも同じ下級悪魔に遅れを取ることは無い。それが意味するのはつまり、同じ強化倍率で強化されても戦闘能力的に見れば大きく違ってくると言うことだ。……まあつまりはイッセーは修行を超頑張って強くなった。だから警戒する必要があるんですね(メガトン構文

 

次点で厄介なリアスの滅びの魔力。これもかなり注意を注がねば、魔力弾を弾いたら獲物壊れちった☆なんてことになるから笑えない。生物や物体、有機物や無機物などといったこの世界に存在するありとあらゆるものはそれの根本となる概念結合源とそれに結合する様々な付着概念が一纏りとなって形成されている。そんな概念結合源と呼ばれるものはそのモノの存在の確立を証明するための基盤。魔術師の間では起源と呼ばれるモノだ。土台が崩れるとその上にあるものも崩れるように、概念結合源が消滅すると、それを構成する概念ごと消えてしまう。その核を守る役目を担っているのが核に結合する付着概念だ。核を守るように何重にもバリアを張っている付着概念だが、唯一概念結合源を破壊できるモノがありそれには一切のバリア機能を発揮しなくなる。それが滅びという概念だ

 

さて、ここまでで話せばわかると思うが、滅びの魔力は文字通り滅びの概念そのものだ。ではなぜそんなものが物或いは人に宿っているか。結論から言うと、滅びの概念に連なる能力を扱える者は皆、付着概念として創造の概念を持っているからだ。滅びは全てを根絶やしにし消滅させる概念。対して創造は0から1を、無から有を生み出す概念だ。察しが良ければわかると思うが、創造の概念は概念結合源すら創造、再生ができる。しかし滅びと創造の概念の所有者は必ず創造の概念を扱えない。なぜなら創造の概要は滅びによって攻撃された概念結合源の修復、そして滅びによって消滅した付着概念の再生成に全リソースを割いているからだ

 

え?創造の概念がのリソースが滅びの概念のリソースを下回ったらどうするつもりだって?そこは心配ご無用、全ての概念は例外なく全て等価値だ。創造くんの過労感は否めないが……しかし創造の概念は滅びの概念を持つもの以外に滅多に付与されることはないからそういうとこでは足し引きは合ってるのかもしれない。再生の概念持ちには創造の概念も付与されるなんてことは結構あるが、再生の概念持ちもそこまでいないからまぁヨシ!(現場猫

 

説明はこのぐらいにして話を戻そう。滅びの魔力は雑に使っても強いが、本質を理解した途端に最強の矛にも最強の盾にもなれる。しかし治療はダメだ。これがラノベとかみたいに解釈を変えて傷に滅びの魔力を当てて治療を……なんてした瞬間、接触部分が消える。そんなアホ(俺みたい)なことするやついないよな?いないだろ。だが使い方を理解すれば、攻撃を必ず掻き消す防御、相手の防御を必ず崩す必殺の攻撃として大いに活躍出来ること間違いないが、概念の理解なんてのは聞いて2割感覚で7割奇跡で1割なんてのが常だ。今後の成長を期待するだけしかできない

 

「さて、現実逃避はやめてそろそろを向き合わにゃね」

 

裕斗と子猫の攻撃とウィザード組の攻撃を捌いていた訳だが、リアスの策にハメられ周囲を大玉転がしに使用する大玉ぐらいの大きさえもの滅びの魔力弾が俺を中心に半円状に展開された魔方陣から射出されて現状に至る

 

今思えば途中からおかしかった。今まで固まっていたのが急に3方向からの魔力攻撃、その間にアーシアが視界の端でちょこちょこと動いているのが見えていたがなるほど、そういうことなのだろう。今回ばかりは本気で避けた方が良さそうだ

 

魔力を放出、青い炎と緑の雷を纏い推進力として隙間を目指して地を蹴る。十分に勢いをつけてスライディングし、すぐさま魔力同士がぶつかり合って大きな爆発を起こした。爆風を利用してさらに加速し次なる狙いのためにリアスの元へと進路を変えた。迎撃のために魔力弾が撃ち込まれるが、魔力放出を瞬間的に最大出力に上げることで吹き出す炎で掻き消した

 

「部長の元には行かせません!」

 

「喰らってください」

 

裕斗からの飛び掛かり切りを避け、子猫が投げた木の上に乗り、リアスに向かって跳ぶと不穏な機械的マダオボイスが響いた

 

〈Explosion!!〉

 

この合図は倍加完了と倍加の反映を完了したという合図だ。つまりそれが指す意味は……

 

「へへ、流石に兄貴でも空中なら避けれないだろ!行くぜ!3分間のチャージを今ここで放つ!今必殺の!ドラゴン波ならぬドラゴンショットォォ!!」

 

米粒サイズの心許ない魔力球はイッセーが殴りつけると同時にゴン太レーザーとなって俺目掛けて放たれた

 

「おい誰だイッセーに魔力の扱いを教えたヤツ!ちょっとだけ褒めてやる!っぶなッ!?」

 

身を捻ってなんとか回避すると同時に威力を物語るかのように風圧が俺の体を叩きつけた

 

えちょっとタンママジ待ってイッセーのヤツこの中で1番成長してるだろ!?俺の剣ビームと同じ威力出てたぞ!?

 

「まぁいいやとりあえず覚悟ぉぉ!」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!貴方あsーーきゃっ!?」

 

「はい、チェックメイト」

 

風に煽られて飛距離が伸びたのでそのままリアスに突撃。俺と彼女の体が衝突し、勢いのまま一緒に地面を転がり俺が下敷きとなった状態で彼女の首に指を突き立てて詰みを宣言した。何か言いかけていたが恐らく足のことだろう。左足の膝から下が綺麗に消し飛んでいた。こんなもの放っておいても勝手に治るし気にする必要はないだろう

 

「アーシア!今すぐ帝の足を治療して!」

 

「はい!大丈夫ですか!?今回復します!」

 

「あ、おう悪い」

 

アーシアがこちらに駆け寄って治療を始めるのと同時に全員が青い顔をしながら側に駆け寄ってきた。みんな酷く慌てているが特にイッセー、リアス、アーシアの3名が酷い。別に痛くも痒くもないからそこまでになる必要が全くないように思える

 

「ご、ごめん兄貴!あの時は無茶になってて全力で撃っちまった!本当にごめん!!」

 

「いや、そんな必死になんなくても大丈夫だって。ほら、さっさと顔上げろよ。アーシアももういいよ。実を言うと俺の体って対外的な回復効果は受け付けてくんないんだよ」

 

「え、それって……!?」

 

「まぁ呪いみたいなモンだよ。心配しなくてもすぐ生えてくるから。ほら」

 

グジュグジュと肉が盛り上がって左足が元の形に戻った。見慣れたもんだけど相変わらずちょっとキモい。これを見たみんなもさらに顔を青褪めさせていた

 

「それよりほら、今日の総評するから戻るぞ。はいリアスもいい加減に動く」

 

「……いや……心配かけたんだからこのくらい我慢なさい」

 

「はいはい……よっと、お前軽いな。ちゃんと飯食ってんのか?」

 

他に方法もないからこういう抱え方になったが、こういうのはやっぱり慣れない。リアスの顔が近かったり体が密着したりしている所為か妙にドキドキしてしまっている。顔に出したらイジられることは確定しているのでなんとか堪えている

 

「そ、そこまでしろなんて言ってないわよ!」

 

「知るかよ、言っても退かなかったんだからこれくらい甘んじて受けなさい」

 

「こんなの恥ずかしすぎるわ……あなただって我慢してるのバレバレなんだから……」

 

「……言うなよ、余計意識しちゃうでしょうが……」

 

肌を撫でるように吹く風は心地良いはずなのに、それに乗って来る香りが俺の鼓動をより早めていく。砂糖を吐きそうな気分に耐えながら、割とワガママな姫様にも同じ気分を味わってもらうことにした………………おいこらそこ砂糖吐くな。イチャつくな?喧しいわ!

 


 

今日の鍛錬を終え、入浴を済ましてしっとりみかどんになった俺は情報屋から買い付けたフェニックス家の資料とライザーについての資料を手にテラスへと赴いた

 

左目の異能を使う際の補助として情報処理能力や演算速度、脳にかかる負担などを大幅に軽減する目的で作った眼鏡をかけ、僅かに左目に意識を向けて資料に目を通すと瞬間的に膨大なデータが思考を埋め尽くした。続けてタブレット端末から流れているライザーの試合の動画を見ることで、ヤツの戦略や得意不得意、強み弱みなどの溢れんばかりの情報を全てノートに箇条書きし、優位性を持てるものや警戒点を明確にすることでより洗練された作戦が練れるだろう

 

しかしやはり見立て通りか、ヤツは自身の再生能力に胡座をかいている所為なのかメンタルが少し脆い。現に相手の作戦を読みきれず、想定外の出来事にリカバリーを取ることができていない。となるとやはり攻略方法は3つ。展開や組み立ては当日のフィールド次第といった具合だが、今のところはリアスに決定権を握らせておく他ないだろう

 

「月明かりの下で読み物なんて、随分と趣があるわね」

 

ふと声をかけられて頬杖を解くと、ネグリジェと薄いカーディガンを着たリアスが分厚い本と眼鏡ケースを手にこちらを見ていた

 

「向かい側、いいかしら?」

 

「なんで返事する前に座んのさ……いやいいけど。それよりその格好寒くないのか?」

 

「そうね、たしかに少しだけ肌寒いけどまだ心地良いぐらいよ」

 

「そ、そう……」

 

しかしやはり直視できない。リアスのネグリジェはかなり薄いタイプのようでその……月明かりのせいで浮いた突起とおピンク様がハッキリと見えてしまって気まずい。後ろの風景に焦点を合わせてなんとか気にならないようにしているが、肌の露出度が高いのも相俟って目に毒、というより目に劇薬だ

 

「そうだ、これ全部やるよ。大体得られる情報は読み取ったから、後は好きに使うといいさ。どうせレーティングゲームのルールとライザー対策のために来たんだろ?」

 

「本当によく見てるのね。その通りよ。でも、いいの?かなり深いところまで書かれてるみたいだけど……」

 

「気にするな。情報収集は戦いの基本だ。それに元々コイツはキミにやる予定だったわけだから、別にいいんだよ」

 

「ふふっ、それならありがたく頂戴するわ」

 

そしてしばらく、沈黙が続いた。空の星々は爛々と輝き、浮かぶ月は半分に綺麗に割れている。街の喧騒から遠く離れたこの地は驚くほどに静かで、聞こえる音なんて木々の揺れる音、虫の羽音、頁をめくる音。そういえば帰ってきてからこんなまともにリラックスできてるのは初めてだ。今はぼーっと空を見上げていると、春の大曲線や春の大三角形、プロキオン座や天秤座、ヘラクレス座、レグルス座などが見えて、全部探し終えたら、勝手に自分で星座を作ってみたりして遊んでいた

 

「なぁリアス、これは単なる興味で聞くけどさ……なんでお前、ライザーとの結婚を嫌がってるんだ?」

 

「……帝、私はリアス・グレモリー……そうよね?」

 

「?あ、ああ」

 

「じゃあ、今あなたの目に写っているのは?"リアス"?"リアス・グレモリー"?」

 

「……そっか……そうだよな……自分の家を見てるヤツなんかより、自分を真っ直ぐに見てくれてる人と結婚したいよな……」

 

……この雰囲気知ってるよ……これ慎重に考えないと取り返しのつかねぇことになる……具体的に言えば一歩間違えたらリアス√になる……これだけは間違えてはいけない……彼女の気持ちを知っているなら余計に……

 

「そう、私は私を見てくれて、私自身を愛してくれる人と結ばれたい。もちろん、グレモリーの名には誇りを持っているわ。でも、グレモリーだからというだけで将来まで左右されたくないの。私は自分の手で、みんなと笑い合えるような幸せな日々を勝ち取りたいの」

 

馬鹿なことを考えている俺を尻目に、そう言って微笑んだ彼女は月明かりに照らされているせいか、いつもより儚げで、風が吹けばどこかに消え去ってしまいそうだった

 

「いいんじゃねぇの?自分の手で未来を勝ち取る……俺ちゃんそういうの結構好きよ」

 

彼女の手を握ってしまいたくなったのをぐっと堪え、いつものようにおちゃらけた態度でいるように徹した

 

「ありがとう。あなたならそう言ってくれると信じてたけど、実際に言われてみるととても嬉しいものね」

 

そりゃそうだ。自分の考えを持って努力できるヤツは正当に評価されるべきだ。じゃなきゃ割に合わない

 

「期待通りに帰ってきてよかったな。それより、あの焼き鳥野郎への対策は進んでるのか?」

 

「ええ、今はなんとか形にできているけど、あなたがくれたこの資料があれば上手く作戦を組めるわ」

 

どうやら俺が渡した戦術本は無駄ではなかったようだ。ありがとう、ゼフィ……お前の押し付けが一人の少女の未来を救ったんだぜ……

 

遠く遠く、別の場所にいる心友に心の中でサムズアップして感謝を伝えた。今頃ちょっとイラッと来ているだろう

 

「それで作戦ってのは?」

 

「んー……そうね……こういうのはどうかしら?」

 

彼女の口から、概要が伝えられる

 

「なるほど……それなら確かに勝機はある。俺の使い方も上手いじゃないか」

 

「使うって……そんな言い方をされるとこっちが気不味くなるわ……巻き込んでしまってこんなことを言うのは図々しいと思うけど、頼めるかしら?」

 

「任せろ、こっちは元々お前の指示通りにしか動かねぇ予定だったしな。いい暇つぶしができて丁度いい」

 

俺の返事にリアスは苦笑いで返してきた。ニートしてろとでも言うつもりかこやつめ……

 

「……まぁ、そんなところかしら」

 

「そうか、んじゃそろそろ部屋に戻るわ。湯冷めして風邪でも引いたらお前のこと見れねぇしな」

 

「あ、待って!」

 

立ち去ろうとしたが、手を掴まれて引き止められた。そしてリアスは真剣な表情で俺の顔を見つめてきた

 

「……近くない?あとどうしたのさ」

 

「ご、ごめんなさい!……なんだか、あなたの顔が少し疲れているように見えて……」

 

なんで……そんなとこまで気づいてしまうんだよ……あぁもう……敵わないな……

 

「……なんだ、そんなこと?心配すんなって。俺って若干色白だからさ、たまーにそう言われんだよな!別に無茶してるとかそう言うのでもないから大丈夫だって。じゃあな、おやすみ」

 

「あっ……」

 

やめろ、そんな寂しそうな顔をしないでくれ……気付いてもらえて嬉しいだなんて思ってんじゃねぇよ……

 

部屋に辿り着き、ベッドに顔を埋めた

 

わかっている……彼女が向けてくる感情も……俺が抱いてしまっている感情も……でも、こんなのはダメだ……必ず破綻する……本当にそう思うなら、一歩引いて考えるべきなんだ……なのに、見抜かれて、あまつさえそれを喜んでしまうなんて……

 

「……はぁ……キッツ……」

 

ぽつりと零した言葉はどこかに吸われて消えていった。赤い布に巻かれた左腕を見て、また一つ呟いた

 

「あと半年か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued.



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しっぽり入浴なんてしてやらない

この世には投稿中の小説をほっぽり出してエタるヤツとそうじゃないヤツがいる。私はどっちつかずの半端者です……オニイサンユルシテ……


 

 

-side帝ー

 

「重心は前に!腰は低く!拳に全体重を乗せろ!それともっと体の捻りとバネを活用!その程度じゃあの焼き鳥に勝つなんざ夢のまた夢だぞ!」

 

どうも、現在熱血指導なんていう柄じゃないことをしている帝です。そしてこの俺目掛けて腹パンかまそうとしているちんまいのが後輩の塔城子猫さんです

 

「今、何か!おちょくられた!ような気が!します!」

 

「ナニモカンガエテナイヨ?」

 

最近の女の子って怖いね。心読んでくる上に失礼なこと考えたら拳でラッシュ仕掛けてくるんだもん(ド偏見

 

受け止める度に発生する衝撃波的なのが示す通り、一撃一撃がそこそこ重い。現に受け止めた手が若干ビリビリしている。俺のアドバイス通りにやっているからというのもあるが、地力がある上で体全体を用いた打撃法を用いているから、当然組み手を始めた頃より打撃の威力が高くなっている。こう言ったラッシュを仕掛ける時に威力がバラけてしまうのはまだまだだが、完璧にできるようになれば並の相手ならまず負けない程の実力はあるはずだ

 

そして何十にも続いたラッシュは俺が子猫の拳を握ったことで終了した。一瞬の硬直を逃さず一本背負いで放り投げ、仕切り直しの状況に持ち込んだところで、組み手終了のアラームが鳴り響いた

 

「よし、一旦終わり!2時間後に再開するからそのつもりで。今度は足技を中心に見るから、開始10分前には足を中心に柔軟しておくように。ヘラクレス、彼女に何かアドバイスとかは?」

 

「ふむ……子猫様、次は打撃のインパクトが発生する瞬間に、拳に最大量の魔力を乗せられるように心がけてみましょう。それの意識次第では威力は十分に上がりますので、どうか気に留めていただけると」

 

「ありが……とう……ございま……した……」

 

最初から全開で行っていたため、息も絶え絶えになった子猫はぺこりと頭を下げて木の影へと向かい崩れ落ちるように座り込んだ

 

見ての通りだが、俺が行っているのは近接組の組み手特訓だ。具体的には筋力の増強によって変わってしまった体の動かし方を、俺が提案した戦闘スタイルに調整させつつ安定した戦闘を行えるようにするためのものだ。英霊達にも協力してもらい、子猫にヘラクレス、裕斗に沖田さん、イッセーに燕青と書文先生がついてくれている。彼らには第三者視点で見てもらい、随時アドバイスを送ってもらい、休憩時間中に目標の戦闘スタイルを確立させるための体の動かし方をレクチャーしてもらっている

 

リアス達後方組にはケイローン先生がついてくれている。彼には魔術の指導を行ってもらい、戦闘での立ち回りをシミュレーション形式でレクチャーしてもらっている。他だと距離の取り方や相手の行動を阻害、制限する術など……といったところだ

 

「うし、そんじゃ次イッセーな」

 

「ゔぇっ……頼むから手加減してくれよ……?」

 

「そこはお前の努力次第だ。いいからいつもの調子で来てみろ」

 

気は進まないがこれについては諦めてもらう。大事な弟だからこそ強くなって欲しいという兄心をどうか汲んでくれ

 

「っらぁ!」

 

「動きを小さく出来たのは褒めてやるけど、狙いがバレバレだ。視線はあくまでも相手の全体像を捉えるだけに留めろ。それと攻撃は常に5手先まで想定しておけ。単発で終わる攻撃なら子供でも簡単に出来るぞ」

 

「うっ……す、好き勝手に散々言いやがって……!」

 

図星だったのか、それを隠すかのように続けて攻撃を仕掛けてきた

 

「ぃよっと、ほれ次蹴り行ってみ」

 

「兄貴……なんか剣使ってる時より動きのキレ良くないか……?」

 

「そこは分かるようで偉いな……ってそういや言ってなかったな。俺こういう殴り合いが1番得意なんよ」

 

「え……?みゅあっ!?」

 

イッセーがあんぐりと馬鹿みたいに口を開けている隙に鼻を摘み上げた。これやられると地味に痛いんだよな……

 

「……えっいや……嘘だよな……?」

 

『残念ながら事実だ。つい先日、お前の兄の記憶を覗き見たが……凄まじかったな。鬼神と言う名すら霞むほどの暴れ振りだったぞ』

 

『うむ、相棒は徒手格闘においてこの世界の武神、戦神共より優れていると言えよう』

 

「そりゃそうさ。気が遠くなるほど長い年月をかけて技を磨いて来たんだから、そんじょそこらの神に劣る道理が無いだろ」

 

「えぇ……」

 

「いやそんな引かんでもええやろ……」

 

当たり前のことを言ったつもりなのに引かれてしまい、ショックで思わず素が出てしまった……いや待て、もしあの心理世界に睡眠中のイッセーの意識を引っ張って来られれば……

 

「……なあ兄貴、何かおぞましいことを考えてるとかそんなわけ無いよな……?」

 

「失礼な、ただ睡眠中でも鍛えられる案が脳裏に浮かんだだけだ」(実行しないとは言ってない

 

「…………………」(嫌な予感しかしない

 

「……今は目の前の事に集中するぞ。1番鍛え甲斐があるのはお前なんだからな」

 

「話逸らしやがったな……」

 

「やかましい、とにかくこれは決定事項だ!最低でもグレモリー眷属の中で一番強くなってもらうつもりでやるから、余裕かましてる暇があるならさっさと来い!」

 

さて、イッセーの意識をどうやって俺の記憶に引き摺り込んでやろうか……やはり歴代の赤龍帝達が座す領域へと引き込んでそれから……

 

「くそっ、せめて1発くらいは当ててやrおぶぁっ!?」

 

「あっ、悪……い……こりゃ伸びてやがらぁ……」

 

すまんイッセー……まさか体が勝手にカウンターを顔に決めちまうとは思わんだろ……

 

皇一誠搬送中

 

という訳で裕斗!かかっておいでなさいませですわ!

 

「帝先輩、声めちゃくちゃ震えてますよ!?しかも口調もめちゃくちゃです!!」

 

いかんいかん、動揺を隠せていないとはまだまだだ。いやでもどうしようこれでイッセーが「兄ちゃんなんて大嫌いだ!」なんて言い出したらどうしようそれこそボロボロに泣きまくって世界をぶっ壊してやるそうだ弟妹に嫌われるくらいならいっそのことこんな世界なんか壊してやるよーしお兄ちゃん頑張っちゃうz

 

「先輩!ストップ!ストップです!そんなところで頑張らないでください!」

 

「はっ!?俺はいったい何を……!?」

 

「イッセー君に嫌われるのを恐れ過ぎるあまりに世界を壊そうとしてましたよ……」

 

「……はぁ……しっかりしろ俺……よし、もう大丈夫。悪い、時間食っちまったな」

 

「い、いえ……お気になさらず……」

 

バチンと両頬を叩き、狂いかけていた思考をクリアな状態に戻して裕斗の指導に入ることにした

 

「さてっと……裕斗、前半の基礎能力向上メニューはどうだった?」

 

「はい、今になって思えばとても実りある内容だったと思います。着実に自信の体が仕上がっていくという感覚は少し嬉しく感じました」

 

「うん、模範的な返答ありがとう。今回からは大剣の扱いに慣れていこうか」

 

「つまり、メインの使用武器を直剣から大剣に変更しろ……ということですか……?

 

「うーん、それとはまた違うんだよなぁ。今の裕斗は基礎スペックが上がったお陰で大剣も楽に振り回せるようになっている筈だ。今回はそれを少し試して見ようと思ってな」

 

今まで裕斗には決定打、威力の高い一撃というものが足りなかった。今回の内容も結局のところそのきっかけ作りに過ぎない

 

それに俺がいつまでも協力してやれるとも限らない。最悪の場合敵対する場合だってある存分にあり得る。もしそうなったとしても俺に()()を出させるぐらいにまでは成長して欲しい

 

「さて、それじゃあこいつを使ってやっていくか」

 

「……先輩、毎回思うんですけどなんでそんなにポンポンと業物を人に手渡せるんですか……」

 

「一応弁明しておくと俺はあくまで過去に打ったものを再現しているだけだ。一つ一つ丁寧に打ってたら時間がかかるし、何より面倒だろ」

 

ぎょっとした表情の裕斗に対し誤解を解くように言った

 

「まさか先輩、前は後方支援というか……鍛治関係をしていたんですか……?」

 

「うーん……どっちかと言えば兼業が近いかな。鍛治職を前線に出すとか頭おかしいよなホント」

 

裕斗は頭おかしいのはお前だとでも言わんばかりに不服そうな表情をしているが、そこは適材適所の一言で黙らせた。俺の場合は適切な役割が2つあっただけにすぎない。だがやはり後衛職を前衛に出すのは頭おかしすぎる。今度帰ったらあのバカ総長はボコボコの刑にしてやる。ギルティなのだ。へけっ

 

「って、こんなことしてる場合じゃなかった……よし裕斗、構えろ」

 

目的を今更思い出し、傍らに立て掛けていた木刀を手に持ち開始が近いことを告げた

 

「行きます!先輩!」

 

剣を構えた裕斗は駆け出し、次の瞬間には鉄同士でぶつかり合うような鈍い音が響いた

 

-帝side out -

 

-side一誠-

 

目を覚ますと、そこは一面白の何にもない世界だった

 

「俺、さっきまで寝てたよな……?なんだってこんなところに……」

 

とりあえず体を起こし周囲を見回した

 

「よぉイッセー、起きたか」

 

「うぉぉわぁっっ!!??」

 

「……うぉぉ……鼓膜ァァ……!!」

 

そんな顰めっ面で非難してきたって、いきなり背後から気配もなく近寄られて声をかけられたら誰でもビビるに決まってるだろうがバカ兄貴

 

「……それよりここ……一体どこなんだよ……」

 

「ぐぅ……ここは歴代赤龍帝の残留思念が集う赤龍帝の深層世界だ……まだ耳鳴りしてる……」

 

「……?その割には何もなさすぎるだろ」

 

周りを見渡してみるが、それらしきものは見当たらない。まぁ兄貴のことだから嘘ではないんだろうけど……

 

「俺の力で無理矢理黙らせてるだけで、本来であれば残留思念の怨嗟が渦巻く場所だ」

 

嘘だろ!?なんて悍ましい場所なんだ!?なんでこんな物騒な場所にわざわざ呼び出してくれやがったんですかね!?

 

「……今のイッセーは心も体も、そのどちらもが未熟だ。歯に衣を着せない言い方をすればクソ雑魚な訳だ。そんな状態で夥しい量の怨嗟を受けてみろ、発狂して廃人になるぞ?」

 

事もなげに言い放たれたそれはとんでもない内容だった。あと忖度も無くボロクソ評価されて少しムカついたので起きたら早速殴りに行こう。事実だからって言っちゃぁいけねぇこともあるんだよ

 

「まぁ今から見せるものはそれ以上にヤバいこと請け合いだけどな。ハハハ」

 

しかもさらっと笑いながらさらなる爆弾を投下してきた。やっぱりこの兄貴頭おかしいんじゃないだろうか。でも心なしか目が死んでるような気が……

 

「はぁ……兄貴……まさか今からやることって……」

 

「うん、昼に言ってたやつ。俺の戦闘経験を追体験してレベルアップ!みたいな感じのことするぞ」

 

若干の胡散臭さ満載の広告のキャッチコピーめいたフレーズに思わず疑いの目を向けた

 

「はぁ……一応言っておくけど、お前に戦闘センスが無い以上経験で実力不足を補うしかないんだからな?そこさえなんとかできればライザーの眷属達を相手にしても上手く立ち回れる筈だ」

 

「ライザー相手にはどうするつもりなんだよ……」

 

「……気合いと根性、あと夢と希望を少々……?」

 

もう正直にムリって言えよ!その方が気持ちよく殴れるわ!

 

「ああもう……なんでもいいよ……それで?どうやりゃいいのさ」

 

「お、やる気になってくれたか?それなら準備するからちょっと待ってろ」

 

なにやらぶつぶつと呟き始めて準備を……待て今精神状態保護とか聴覚防護とか精神汚染遮断とか聞こえてきたんだけど!?

 

「はい、とりあえずこれ付けてくれ」

 

震える手をどうにか動かして兄貴から受け取ったイヤリングを耳につけた

 

「多分今聞こえてたと思うけど、これ付けとかないと死ぬから絶対外すなよ」

 

「死!?」

 

「うん、死。SAN値チェックで確定失敗ロールになるから」

 

「なにそれ……」

 

「……忘れろ、今知ったところで多分無駄。それより準備は出来たか?そろそろ始めるぞ」

 

不安な気持ちでいっぱいになる俺の胸元に、そんな気持ちを知ってか知らずか手を添えーーー

 

あやわはわひやりまらなららさならやあはらわ

 

「イッセー!!」

 

「ッッッッ!!??……兄貴……な、なんなんだよ……アレ……!!」

 

悍ましいモノを見た。顔の表面が蛆虫のように蠢く巨人、前足後足その全てが触手のように呻きビクビクと鼓動のように痙攣を繰り返す4足歩行の怪物、頭部が人間の頭の外側と内側の構造を全て裏返しにしたかのような構造をしたヒト型……どれもこれも吐き気を催し正気を削るような化け物ばかりだった

 

「……気持ちはわかるけど、この程度は頑張って耐えてくれ。保たなくなるぞ」

 

「勘弁してくれ……」

 

意識と正気を何度も飛ばされる中でふと考えた。兄貴が戦っているこの場所は一体何処なのだろうと

 

-一誠side out-

 

-帝side-

 

幕引きの朝が来た。長いようで短かった17日間を乗り切り、目の前に並ぶ彼らは当初とは比較にならないほどの成長を遂げている。1人1人がライザーに牙を向けられる力を持った者ばかりだ

 

腕組みを解き、物思いに耽っていた目を見開き全員の表情を見て、口を開く

 

「よし、じゃあ始めようか」

 

言い終わるのが先か後か、そんなタイミングで裕斗が大剣を構えこちらへと突っ込んできた。唐竹斬りを半身になって回避し、大剣が地に触れるより先に蹴り上げ裕斗を飛び越えてこちらに仕掛けようとする子猫とイッセーの行動を制限した

 

「別に言い終わるまで待たなくったっていいんだぞ?」

 

「くっ……流石に反応が早いですね……!」

 

続くイッセーは裕斗の肩を持ちそこを軸に飛び蹴りを放ってきたが、下方に叩き落としイッセーの下を潜ろうとする子猫の動きを更に阻害した

 

追撃にとイッセーの足が着く前に裕斗に足払いをかけ、イッセー共々転倒させた

 

そんな動きにチャンスとばかりに子猫は2人を高く跳躍して飛び越え、更に空中で縦に一回転、そのまま遠心力を乗せた踵落としを決めに来た

 

それと同時期に俺の胴体を狙った雷の魔力弾と氷の魔力弾が飛来した

 

いつもの如く打ち払おうとした左腕を構えた一瞬に嫌な予感を感じ氷の魔力弾を掴み雷の魔力弾へと投げ、子猫の踵落としの軌道を逸らして回避。姿勢をそのまま貼山靠の構えに移し、ガラ空きの腹部へ向けてぶちかました

 

「に"ゃっ!?」

 

「こっちも忘れんなよなっ!」

 

吹き飛んでいく子猫を尻目に起き上がっていた裕斗は横薙ぎに、イッセーは屈んで足払いをかけてきた

 

両者の攻撃の軌道を見て、少し早めにイッセーが仕掛けていたことを読み下半身を脱力させ体を後ろに倒し、態と足払いを受けて後方に倒れ込んで裕斗の斬撃を回避した

 

魔力弾の群がこちらに迫っているのを視認し、地に片手を付け勢いのままバク転をして魔力弾の僅かな隙間を掻い潜るように動きその全てを回避した

 

彼らの息の合った攻撃も少し落ち着いてひと段落し体勢を整えた後にグレモリー眷属全員に声をかけた

 

「ふぅ……さて、そろそろ全員温まって来ただろうし各自今出せる全力で来るように。もしかしたら本気の俺に一撃くらいは入れれるかもね?」

 

その瞬間全員の顔に緊張が強く写った。かつて遠坂と士郎のサーヴァント達と一戦繰り広げているのを目撃しているからか、彼らの緊迫感は一入だろう

 

目を閉じる。息を吐く。吐いて、吐いて、吐いて……己の中身を全て吐き出して、深く深く息を吸い、目を開ける

 

「さぁ……行くか」

 

「っ!魔剣創造(ソード・バース)ッッ!!」

 

圧に耐えかねた裕斗は反射的に神器を解放し、剣山を俺に目掛けて放った

 

んじゃ……本気でやるからには少し真面目にやるとしようかな?

 

座標設定完了

演算投影工程、省略(ロードアウト)

滞留魔力固定化、完了

射出物制限、解除

 

軽く設定も弄り直したし、そろそろやってやろうか。よく覚えておくといいぞ裕斗、剣を造るとはこういうことだ!

 

あと10㎝、8㎝、6、5、4と迫ったところで、フィンガースナップの音が静かに響いた。瞬間、空から鈍色の流星群が落ち剣山の全てを砕いた

 

こちらに飛び散った魔剣の破片をいくつか掴み、こちらに飛んできた魔力弾に向けて投げた

 

質量を持って飛んできた雷の魔力弾は、進路を破片に遮られてその行先をほぼ下に向けてしまった

 

ゴッと砲丸が地面に落ちてめり込んだような音と共に消え去った

 

真面に食らったら二重で痺れて動けなくなるな……考えているとイッセーが地を這うような低空姿勢で懐に飛び込んできた

 

初手に足払いをかけて来るが加速前に足で阻止。しかしそこを起点に重心を前方へ移動させながらの掌底が鳩尾へと飛んできたが腕を置いてガード。今度は膝蹴り……に見せかけた頭突きっ!?

 

「あっぶな!?くそぅ、やるようになりやがって……」

 

「ゔぇっ!!いってぇ……!!そうなるようにしたの兄貴だろ……」

 

「まぁそれもそうか……1年分とはいえお前に戦闘経験を与えたのはまずかったかな……くそっ!さっきから地味にうぜぇぞこのぉっ!?」

 

イッセーを投げ飛ばした辺りから落雷とかガンドとか滅びの魔力の雨とかばっか向かって来るからほんとやりにくい!

 

「流石ね!けどこれならどうかしら?朱乃!」

 

「はい!天雷よ!」

 

魔力弾の雨を躱しまくっていると、朱乃が放った雷が魔力弾を降らし続けている魔法陣に当たった。直感から飛び退くと、先程まで立っていた場所に大きな雷が落ち、そこに穴を開けた

 

「おぉ、いい威力してんなぁ……ぁ"っ!?」

 

うそやん!?連射するとか聞いてへんて!うわっ…しかも地味にホーミングしてくるしっ!

 

「随分と余裕そうじゃない?これも追加してあげるわ!」

 

リアスはそう言って滅びの魔力を魔法陣に放った

 

おい待て……まさか……!?

 

「うわやっぱり追って来た!?しかも小粒じゃねぇかチクショウ!」

 

「逃しません、えいっ」

 

どこから持って来たのか、巨大な岩を持った子猫は可愛らしい掛け声と共に岩を投げるという可愛らしくないことをしてきた

 

「あ"っっぶね……さて、そろそろ壊すか……」

 

四足歩行獣のように姿勢を低くして大岩を回避し、岩が盾となっている間に魔力を吐き出し続ける陣を破壊すべく対魔力性能の高い剣を射出した

 

「っ……はぁっ!!」

 

息を殺して懐に潜り込んでいた裕斗は大剣を逆袈裟に切り上げ大きな砂埃を立てた

 

「よしっ!ってあれ!?兄貴は!?」

 

「みんな上よ!迎撃して!」

 

裕斗の斬撃を利用して大空へと舞っていた俺は最も簡単に見つかってしまった

 

てか見つけるの早すぎない?

 

「手の内を晒すようなマネはしたくないなぁ……」

 

「ドラゴンショットォ!!」

 

「落ちてっ!」

 

落下中は動けないと踏んだのか、右からはイッセーの魔力砲、左からは美優が飛ばした水の魔力弾とガンド、そしてその2つの影に隠れた炎の魔力弾が迫っていた

 

「ふふふ、ダメ押し……させてもらいますね?」

 

そして真上からは朱乃からの雷が落とされようとしていた

 

うん、いい連携だ。でもこれらは全て恐らくではあるがブラフ、本命は恐らく……

 

一応の答え合わせのために左眼の異能を使うと、やはり予想通りリアスからかなりの量の魔力反応が出ていた

 

このまま潰しに行ってもいい……というか潰すべきと勘が囁いているが、実力を見ると言った手前どうしようもない。手の内をそうポンポンと晒したくもないので、ここは普通に回避に専念するとしよう

 

地上から剣を最速で射出し鍔を蹴ることで落下の軌道を変えて全てを回避した

 

続けて裕斗が剣を、子猫が先程の岩を投げて来たが先に俺の元へ到達した剣を掴み岩を両断した

 

「みんな離れてっ!」

 

そして俺が着地したと同時に落下地点の半径3m以内を囲むように大量の魔導陣が現れた

 

俺の上下からは重力が発生し、大小さまざまな役50に渡る様々な属性の魔力弾やらビームやらが飛び出して来た

 

魔力弾は剣を射出して破壊し、ビームは避けてを繰り返すが長引くほどにその密度を増やしていった

 

「もういいわ美優!あとは私が!」

 

魔力の雨が止んだタイミングで危険を予感してその場を退くと大量の赤黒いレーザーがもと居た場所を通過し、その奥にあった木々の幹を貫通していった

 

えっ……あれ初日に比べて滅びの概念への理解に一歩近づいてない……?あれ下手な防御は意味ないぞ……!?

 

「ふふっ、流石の貴方でも私の秘密兵器には危険を感じたかしら?」

 

「へぇ?一歩成長したみたいだな。まぁ、あんなの当たらなかったら意味無い」

 

若干の冷や汗を垂らした俺に対しリアスはそう言い放つが、ちょっとした強がりを見せた。しかしその後の一言は俺をぎょっとさせた

 

「なら当たるまで撃てばいいってことよね……?」

 

それと同時に彼女の手元の陣が回転を始めた。それはさながらガトリング砲だ

 

なんてことを考えているとホントに滅びの魔力弾が雨のように吐き出された

 

流石に当たるとマズい……視界を広く遮る必要があるな

 

迫る弾幕から逃れながら剣を広範囲かつ壁のように、そして彼女たちを囲うように展開した

 

視界を完全に遮った後に今度は彼女達の周囲を包囲するように展開した。始めこそどうにか突破しようと剣の壁を破壊していたようだが、無駄と悟ったのか途中から破砕音は聞こえなくなった

 

あっぶねぇ!!マジで一瞬だけ死ぬかと思った……将来性があるとは思ったけど……えぇ……

 

……さて、成長の伸び幅は粗方見ることができたし、困惑も程々にしてそろそろ締めに入ろうかな

 

地面に手を着き利き足を後ろに、剣を足の位置に合わせるように生成し爪先は地面に、爪先から後ろは剣に乗せ全身に雷を走らせた

 

脳内で掛け声を再生し尻を持ち上げて……地を蹴った

 

1秒とかからず剣の壁に到達しそのまま突っ込んだ。破砕音が響き破片が飛び散るが、皮膚に突き刺さることなく自身の魔力へと還元されていった

 

中心部に到達すると全員が驚愕の表情を浮かべていた

 

「ハハッ、まさか壁ぶっ壊して来るとはって顔かぁ?」

 

「そう来ると思ってたぜ兄貴ッ!」

 

誰もが初動が遅れた中、唯一動けていたイッセーがこちらへと向かって来ていた

 

勢いのまま懐へと飛び込んで来たイッセーは俺の顎目掛けて海老蹴りを放ってきたが、すれすれのところで回避し足首を掴んでそのまま後ろの穴へと投げ込んだ

 

続いて裕斗が地面から俺を囲むように剣を生成し裕斗自身が空中から直剣を二振り携えて仕掛けて来た

 

着地寸前に何かを投げて来たが直感で回避。次いで振り下ろされた2刀を躱しそれらが地面に突き刺さった

 

魔力の反応を感知し、身構えると足元からの反応だったためそのまま跳躍して回避した

 

「ここまで読まれるなんてまだまだだな裕斗!」

 

「ここで落とされるのまでは読めていましたか?」

 

声の方向へ目を向けるとそこにはとてつもない勢いで回転をしていた子猫の姿があった

 

「ま、躱すとこも込みで予想してっけど」

 

「にゃぁぁぁ……!?」

 

勢いの乗った回転蹴りをバレルロールのように回避し、背中に手を着き地上に向けて思いっきり押し出した

 

さて、子猫を地上に追いやったはいいものの手の内を晒さないと決めている今は風に身を任せる他無い

 

何やら風切り音が聞こえるが完全に脱力しきって最早ぺらっぺら状態の俺にこんな攻撃など……ごめんやっぱ嘘魔術の感知きちぃ……

 

髪が数本千切れ飛んだ悲しみを他所に、着地を狙って放たれた魔力弾を全力で体を折り畳むように仰け反り回避した

 

驚愕……と言うより引いたような表情を浮かべているが、少しでも動けば撃つと言わんばかりの集中力でこちらを見つめている

 

ぱすっと彼女達の背後で音が鳴り一斉にその音に反応した一瞬を突き美優と朱乃を抜き、構えようとしたリアスの額に銃を突き付け引き金を引いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁマガジンは予め抜いておいたし中に残っている筈の弾丸も突きつけるまでの間に廃莢しているので、結果的には空撃ちで終わったが

 

撃たれたと思ったリアスは腰が抜けたのかぺたんと地面に座り込み、他の全員は顔が真っ白になったままだ

 

「俺の勝ち。ぶい」

 

敢えて空気を読まずにそう言ったもんだから、即座に寄って集ってボコられた。残念でもないし当然か

 

「全く帝くんったら……イタズラ好きはいいですけれど、おいたはいけませんわよ?」

 

「いやぁ悪い悪い。まぁでも実際のレーティングゲームならこうなりかねないだろ?予行演習は必要じゃないか」

 

めっとでも言いそうな表情の朱乃に対してそう返した。それにここ最近どうにも怪しい痕跡もあるし……備えあれば憂いなし、ということで

 

「にしたってアレはやりすぎだろ……」

 

「うん、それは反省する。ごめんなリアス、立てるか?」

 

「……痛かったわ……」

 

「ごめんって……まだ痛むか?」

 

黙ったままこくりとリアスが頷いた。撃たれたのがよっぽどショックだったのかなんか暗い。罪悪感すごいなぁ……

 

「ホントに悪かったよ……まぁでも……うん、これで確信を持って言えるな」

 

若干涙目のリアスをあやすために頭を撫でながら出た呟きに全員が反応した。一瞬でドナドナとした空気が消え、張り詰めたような空気になった

 

なんだよドナドナした空気って……

 

「この調子ならライザー程度なら全員で軽く捻ってやれる。ちゃんとそう言わせるに足る実力が付いてるよ」

 

ニッと笑いながら全員にそう告げた。俺にここまで言わせるなんて……ええ、大したもんですよ

 

頬が赤くなってるヤツがいるだって?無視します!!理由はもちろんお分かりですよね!?

 

それにイッセーにも何かいい案があるみたいだし……絶対に碌でもないことだけは確定してるけど

 

「うし、そんじゃ汗流して荷物片付けて撤収しようか。明日は本番だからみんな家に着いたらすぐ寝ろよ」

 

風呂に入る前にまた一悶着あったが、それはそれ。またの機会にということで……周りが女性ばっかの風呂は流石に死にます……

 

To be continued.



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