異世界転生物語~運命の世界に招かれし魔法使い (GAWAIN9694)
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異世界との交差点

おはこんばんにちは。GAWAIN9694です。アットノベルスではガウェインと言う名前で書かせて頂いています。自分に文才があるなんてことはコレっぽっちも思っていませんが頑張って書いているので応援お願いします。


黒いバリアジャケットを纏った1人の青年が空を飛んでいる。そして青年に通信が入る。

 

『司君、お疲れ様。今回は随分と早かったね?』

「ああ。今回の依頼は割と楽だったからな。」

 

青年の名前は『天宮 司』フリーの魔導師として働いている。空間に投影されている映像の女性は『高町なのは』。時空管理局に所属し、若いながらも『エース・オブ・エース』の異名を持つ魔導師だ。

 

『…どこか怪我とかしてない?』

「大丈夫だって。それとも何だ?なのはは俺の事が信用できないのか?なら俺は少々悲しいぞ?」

『そ、そんなことないよ!?ただ・・・またあんな事(・・・・)になったら嫌だから…もうあんな思いしたくないから…ね?』

「…そうだな。なに、今回も本当に何もないから安心しろ。」

『・・ごめんね。なんか暗くなっちゃった。もう、私は司君の彼女さんなんだから心配かけるようなことはしないでよ?』

「解ってるって。」

 

司となのはは(少々特殊かつ複雑な事情はあるが)所謂恋人同士である。だからこそ任務が終わった直後にも関わらずこのような会話が出来るのだが。

 

それはちょっとした油断であった。普段の司ならば違和感を持ち、警戒したであろう現象。しかし司は、目の前の空間に不自然に濃密な魔力が集まっていることに気が付かなかった。なのはとの会話で少し気を抜いていたから。

 

…が下に、我が命運は汝の…

 

「ん?なのは、今何か言ったか?」

『ふぇ?何も言ってないよ?』

「…気のせいか?」

 

司は気のせいと判断し、そのまま進む。だが、今度ははっきりと聞こえた。

 

…より来たれ、天秤の守り手よ―――!!

 

「!?なんだ!?」

『!?司君!今その場所に強力な転移系の魔法が確認されたの!急いで離れて!!』

「なに!?」

 

その場所を離れようとする司。しかし、それはあまりにも遅すぎた。

 

「ダメだ…引き込まれる!」

『…さ君!t…さくn…!!』

 

大量の魔力の奔流によって通信すら障害が発生する。それは、ほんの30秒もしないうちに収まった。魔力の奔流が収まった後、その場所には誰も居なかった。

 

「司くぅぅぅぅん!!!」

 

管理局内の通信機の前で、一人の女性の悲鳴が響いた。

 

 

 

暗い部屋、そこにいるのは一人の少女。少女の名前は『遠坂 凛』

 

閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)閉じよ(満たせ)

 繰り返すほどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する」

 

少女は唱える。自らの僕を呼ぶための詠唱を。

 

 「―――――Anfang(セット)

 

 「――――――告げる」

 

 「――――告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 「誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。

  汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!!」

 

魔法陣が輝き、そして・・・

 

「・・・何も起きない?え!?ちょっと待ってよ!どういうこと!?」

 

(手応えはあったわ。間違いなく召喚は成功してるはず。なら何でいないの・・・?)

 

何も起こらない。本来ならば魔法陣の上にサーヴァントが現れるはずなのだが影も形もない。

 

「…はっ!?まさか!!」

 

凛は原因に思い当り、それを確認すべくリビングに急ぐ。そして時計を確認し、理由を悟る。

 

「あっちゃぁ…やっちゃった。時計の針を一時間ずらしていたのを忘れてたなんて…」

 

召喚の儀を行うために、凛は最高の努力をし、最高のコンディションで臨んだ。だが、自身の魔力が最高に満ちる時間を、あろうことか、時計の針をずらしていたために間違えて行ったのだ。

 

ピンポーン!

 

「誰よ!?こんな時間に!」

 

時刻はすでに夜中。普通に考えれば友人が訪ねてくることも、荷物が届くことも無いような時間だ。

 

ピンポーン!

 

だがチャイムはなる。悪戯なら二回目は無い筈と思い直し、玄関に向かいドアを開ける。

 

「はいはいどちらさ「お前か?」…は?」

 

ドアを開けた先にいたのは一人の男。年齢は凛よりも2,3は上だろう男だ。

 

「・・・えっと・・・?」

 

言葉を被された上に、現れたのは見知らぬ男。しかも時間が時間。警戒するのは当然だろう。男にもそれが伝わったのか、口を開く。

 

「もう一度聞く。お前が俺を召喚し(呼んだ)のか?」

 

「…まさか…貴方が私のサーヴァント!?」

 

これが魔術師『遠坂 凛』と異世界の魔法使い『天宮 司』の出会いだった。




短い…何とかしたいです…更新は不定期ですが失踪なんてことにはならない(なりたくない)ので気長にお待ちしてください。誤字脱字、感想お願いします。


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キャスターのスペック・・・なぁにこれぇ?

お久しぶりです。相も変わらず短いですがご容赦ください。原作との矛盾点等ございましたらご指摘お願いします。





遠坂凛は自室で目を覚ました。

 

「う~・・・牛乳・・・」

 

何時ものように一杯の牛乳を飲むためにリビングに向かう。毎日の日課のようなものだ。だが、リビングは何時もとは明らかに違った。

 

「あ、おはよ・・・?凛さん?顔色が良くないけど大丈夫?」

 

「大丈夫よ・・・何時もの事だから。牛乳もらえる?」

 

ごく自然に話しかけてきた少女に、凛は幽鬼のような顔のままごく自然に答える。少女が持ってきた牛乳を実に漢らしい飲みっぷりで飲み干して凛は状況を確認する。

 

「ミツキ、そこの皿をとってくれ。」

 

「えっと・・・これね。はい、司さん。」

 

昨日の夜召喚した自分のサーヴァントがキッチンで朝食を作り、見知らぬ銀髪巨乳の女性がそれを手伝っている。

 

「眠いのら~」

 

「シャンとしなさい。眠くても朝は起きるものよ。あ、動かないで。」

 

見知らぬ金髪の少女に、同じく見知らぬ金髪巨乳の女性が付き添って髪をすいている。

 

「司さ~ん、新聞とってきましたよ~」

 

見知らぬ黒髪の少女が新聞を持ってニコニコしている。

 

「マスター、人数分の椅子と机が用意できました。」

 

「もう拭き終ったから飯運んでもいいぞ~」

 

少し暗い銀髪に、前述の二人を超える巨乳の見知らぬ女性と、見知らぬ赤髪の少女が人数分の椅子とテーブルを用意し、掃除をしていた。

 

 

 

「・・・って誰よ貴方たちは!!!??」

 

 

凛の心からの叫び声が、遠坂邸に響いた。

 

 

 

 

「朝から騒がしいな。」

 

「普通驚くに決まってるじゃないの!いったい誰なのよこの人たちは!?」

 

凛からすれば当然の疑問。いくら聖杯戦争なんて言う非日常が始まろうとしているとはいえ朝起きたら住人が自分が召喚したサーヴァント以外に七人も増えてるなんて誰が想像するだろうか。しかも七人とも女性、更にほとんどが巨乳に分類されるであろう美女、美少女。

 

「・・・?ああ、そういえば言っていなかったな。凛、こいつらはお前に解りやすく言うと・・・宝具?に分類される。聖杯とやらからの知識に当てはめればの話だがな。」

 

「全員宝具!?7つ・・・7人も!?アンタって実はすごいサーヴァントなの!?」

 

思わず立ち上がらんばかりの勢いで詰め寄ろうとする凛をなだめ、自らの宝具を紹介する。

 

「黒髪のそいつは文。」

「はいはい、清く正しい文です。以後宜しくお願いします。凛さん。」

「え、ええ。宜しくね。」

 

「そっちの子供は舞夜。夕方ごろから大きくなるから何か頼むなら夕方以降のほうが良い。」

「む~、言い方は良くないけど仕方ないのか~?まあ宜しくなのだ~」

「大きくなるってどういう事!?」

 

 

・・・・・・・・・・

 

「・・・で最後にこいつはオーラ。俺の魔力制御を行う、宝具の中でも最も大切なものだ。こいつが居ないと真面な戦闘は無理だと思ってくれ。」

「えへへ~聞いた?文ちゃん、リゲルさん。私が一番大切だってさ。」

「・・・もう何も言わないわよ私は。」

 

全員の紹介が終わったと思った時、凛はあることを思い出した。

 

「って肝心なアンタの事を何も知らないじゃないの!自己紹介しなさい!」

「む?俺は天宮 司。普通に司と呼んでくれ。クラスは・・・キャスター?ってのになるらしい・・・どうした?」

 

司がキャスターと言った瞬間、凛は目に見えてテンションが下がった。

 

「キャスター・・・終わった。私の聖杯戦争が始まる前に終わった・・・」

「おいおい、随分失礼だな。クラスがどうかは知らんがやりようはいくらでもあるだろ?」

 

司の言う事は尤もだ。確かにキャスターはお世辞にも強いとは言い難いが、強みもある。

 

「そうよ!キャスターには『陣地作成』のスキルがあるじゃないの!司!アンタはどんな工房が作れるの?」

「工房?なんだそれは?」

 

司の一言で、凛は希望が砕けたように崩れ落ちる。

 

「(最弱のクラスで、尚且つ数少ない利点に関しては知りもしないって一体何なのよ!?いったいなにができるの?・・・そういえば私まだ司のステータス見てなかったわね・・・)」

 

そう思い直し、凛は司をマスターとしての目で見て、またしても驚く。

 

 

天宮 司/キャスター

 

魔力 EX

筋力 B+

耐久 B

敏捷 B

幸運 E

宝具 ???

 

保有スキル単独行動 A+

 

クラススキル 陣地作成 E

 

「・・・・はぁ!?アンタ本当にキャスターなの!?何なのよこのハイスペックは!?まるでセイバーみたいなスペックじゃない!って言うかキャスターが単独行動って・・・名前は明らかに日本人なのに聞いたことないし・・・一体生前はどんな英霊だったのよ?」

「生前って言うか・・・俺は現在進行形で生きてる人間だ。お前の召喚の儀式に巻き込まれてこの世界に来たんだよ。」

「・・・もう私は突っ込まないわよ。で?司はいったいどんな魔術が使えるの?」

「・・・期待にそえなくて悪いが俺は魔術とやらは使えないぞ?」

「・・・・・・アンタ一体何なの?」

 

「俺は魔術師じゃなくて、魔導師、だ。分かりやすく言うなら魔法使いとも言うがな。」

「・・・え・・・?」

 

まるでなんでもない事のように言う司に、凛は信じられないかのように固まった。




どうでしたでしょうか?司君のスペックはネットでfateを調べながらこんなもんかな?と付けました(オーラのみ装備状態)。ぶっちゃけ使っている宝具で変わるんですけどね。

参考までにリリカルキャラのランクを

シグナム 
魔力 A
筋力 B
耐久 B-
敏捷 B+
幸運 B
宝具 B

フェイト
魔力 A
筋力 C+
耐久 C-
敏捷 A
幸運 B
宝具 B

全体的スペックではシグナムの方が上。しかし敏捷で勝っている為、総合的には互角。


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聖杯戦争 開幕

さ~てお久しぶりです。最近のどの調子がおかしくてご飯も食べるのが辛いです。皆さんも体調には気を付けて下さい。では、更新です。


夜も更けた時間、司と凛は外にいた。

 

「で?あなたはどういった戦い方が得意なの?」

 

「俺はオールラウンダーだからな。遠近中距離のどれでも割と戦えるぞ。」

 

凛と司が居るのは町を一望できるビルの屋上。地理の把握は戦いにおいてとても重要なことは素人でもわかる。なので、凛は司をこの場所へと連れて来たのだ。

 

「・・・ほんっとうにおかしなサーヴァントよね。キャスターにも拘らず魔術は使えないし、霊体化もできない。かと思えばどんな距離でも戦えるとか。しかもかなりお洒落だしね?」

 

「俺はファッションとかは無頓着な方なんだがな・・・」

 

今の司の服装は黒いロングコートに黒いジーンズ。それだけなら決してお洒落とは言えないだろう。だが司は顔立ちは整っており、身長も男性の平均身長より高い為、様になっている。だが、凛がお洒落と言ったのはそこではない。司が身に付けているアクセサリーだ。首元のペンダント、両手に指ぬきグローブが付けられており、右手には小さいながらも宝石のような物が付いた指輪が三つ、腰から下がっているベルトには十字架、鎧、銃を模ったブローチが付いている。(まあ、アレだ。仮面○イダーウィ○ードが全体的に黒っぽくなったと思ってくれればいいかと。)

 

「一応聞いておくけど、今どこにサーヴァントがいるかとか探知できる?」

 

「無理だな。相手が魔力を垂れ流しながら移動しているならとにかく・・・ん?」

 

「どうしたの?」

 

返答の途中で司が振り向き、凛が問いかける。すると司は一点を指さし、言った。

 

「凛、今しがたあっちの方向で不自然な魔力を感じた。誘いか、何らかの細工をしているか、まあ、どちらにせよ行ってみる価値はあるかもしれんな。」

 

「そうね。細工だとしたら妨害したほうが良いものね。行くわよ、キャスター。」

「ああ。」

 

ずんずんと自分の先を進む凛の後を追い、司も屋上を後にする。

 

(リゲル、大体の距離は分かるな?そこに何があった?)

(凛が通ってるって言う学校があったわ。犯人は案外凛の知り合いかもしれないわね。)

(面倒なことにならなきゃいいんだがな。)

 

司にしか聞こえない声が、ベルトについている銃の形のブローチから聞こえた。司はそれに応えながらも歩く。

 

(今日のテレビ…見たかったな…)

 

心の中で別の事を考えながら。

 

 

「嫌な結界が張られてるわね。」

「そのようだな。細かい事は分からないが、なんとなく禍々しいように感じる。しかも学校にか・・・犯人は昼間に発動する気満々らしいな。夜に発動しても警備員か当直の教師しかいないだろうし。」

「どこの馬鹿よこんなの・・・取り敢えず基点が幾つもあるから完全には消せないけど邪魔位はしておきましょう。」

 

そう言って凛が見つけた基点の一つに手を添えようとした時、それは聞こえてきた。

 

「消しちまうのか?」

 

若い、男の声。ハッと凛と司が振り向くと其処にいたのは深紅の槍を持った長身の男。

 

「ランサーのサーヴァント!?」

 

凛がそう叫ぶと男は獰猛な笑みを浮かべて声を出す。

 

「それが判ってるってことは…俺の敵ってことで良いんだよなぁ!!」

 

凛が険しい顔をして次の手を考えている時、隣の司が驚きの色をあらわにして声を出した。

 

「凛、変態だ!変態がいるぞ!?全身タイツだぞ!?なまじ顔が良いから変○仮面よりも変態っぽいぞ!?」

 

凛の険しい顔が一瞬消え、叫んだ。

 

「こんな時に何言ってるのよあんたは!?大体○態仮面って何よ!?」

「知らないのか!?パンツ一枚に網タイツ履いて、女性物の下半身の下着を頭にかぶって戦う正義のヒーローだ!」

「知らないわよそんなの!?」

 

「……俺をそんな変態と一緒にするとはいい度胸じゃねえか…」

「「あ」」

 

ランサーの顔から表情が消え、代わりに青筋が浮かんでいた。凛はすぐさま振り向き、フェンスに向かって走りだし飛び降りた。

 

「着地お願い!」

「?ああ。」

 

凛が校舎の屋上から自由落下している最中司が追い付き、一瞬の浮遊感の後、二人は無事に校庭に着地する。すぐさま走り出すが、ランサーはすぐに追いついた。

 

「さすがに最速のランサーからは逃げ切れないわね・・・」

「俺もあそこまで言われちゃあな、素直ににがしゃしねえよ。」

「人気漫画の主人公を超えていると言ったんだから喜んでもいいと思うんだがなあ…」

 

「んな変態と一緒にすんなって言ってんだよ!!

 

マイペースな司の発言に流石に口をはさむランサー。仕方なく司も臨戦態勢をとる。

 

「オーラ、セットアップ。」

 

『いっくよ~、セットアップ!』

 

司が小さな声で言うと同時にペンダントが光り、司にしか聞こえない声が響く。光が晴れるとそこには先ほどまでのコートとジーンズではなく、黒を基調とし、金色をあしらった鎧・・・バリアジャケットを展開した司が立っていた。そして司が右腕を軽く振ると、青紫の魔力が剣の形を成し、魔力刃が形成される。

 

「ほう…魔力がそのまま剣か。ってぇ事はお前がセイバーか?」

「いや、キャスターらしいぞ?」

「って何素直に答えてんのよ!?」

 

ランサーは答えるはずがないと思っていた質問に素直に答えが返ってきたことに驚いたが、それ以上にもう二つ驚いていた。

 

「ほう・・・そいつは驚いたな。イレギュラーってことか?二体目のキャスターなんてなぁ!」

 

そう、二体目。今回の聖杯戦争ですでにキャスターは召喚されている。にも拘らず司はキャスターのクラスで呼び出された。それが一つの驚き。

 

「キャスターが二人!?一体どうなっているの・・・?」

「凛、一人目だろうが二人目だろうが関係ない。どうにせよこいつを倒さなきゃいけないんだろ?」

 

二つ目の驚き。それは・・・

 

「そして、ランサーである俺に剣で挑んでしかも勝つ気で居やがる!さっきまでの変態発言は気に入らねぇがいい度胸してるじゃねえか!」

 

魔術師が槍兵である自分に正々堂々挑んでいる事。

 

「簡単にくたばってくれるなよぉ!」

 

ランサーのその発言と共に闘いが始まった。

 

 

 

ギィン!!ガギン!!ギャィイン!!

 

 

司の魔力刃とランサーの槍が交錯し音を奏でる。その様を凛は見惚れていた。

 

(すごい・・・これがサーヴァント同士の戦い…それに司もキャスターなのにランサーとほぼ互角・・・)

 

闘っている二人は殆ど互角。だが若干ランサーが有利であった。

 

(素早さで俺が若干勝ってるから俺の方が有利だが・・・力はあっちの方が強ええな・・・ったく、本当にこいつはキャスターかよ!?)

(っく・・・コイツ・・・フェイトと同等の早さか…カウンターが決まれば一気に持って行けるんだが…)

 

このままでは自分が不利になると悟った司は左腕に魔力を溜め、ランサーの手前の足元に放った。

 

「ブレイク」

「っちぃ!?」

 

司の言葉に反応し、魔弾が爆発する。ランサーは舌打ちと共にその場を飛びのき、体制を整える。だが、司が臨んだ時間は稼げた。

 

「行くぞ、サイクロン!ジョーカー!」

『もう~ひやひやしましたよ司さん。』

『久しぶりの出番だし、楽しめるかしら?』

 

緑色の石がはめ込まれた指輪と、十字架のブローチが光り、その光が晴れた時にはもう司の姿は変わっていた。

 

鎧は鋭角的になり、魔力の塊だった魔力刃は中心に十字剣がそえられ、刃も一回り大きくなっている。そして背中からは黒い、カラスのような翼が装備されていた。

 

「おいおい・・・何なんだそれは?」

「俺の宝具だよ。さて、俺はさっきより強いぞ?」

 

司はそういってランサーに切りかかった。

 

ガギィン!!

 

ランサーは槍で受け止めたが内心驚いていた。

 

(まだ何とか俺の方が早えぇ・・・だが、さっきよりも早いうえに力が更に上がってやがる!?それに・・・鎌鼬だと!?)

 

魔力刃は槍で受け止めたにもかかわらずランサーの頬には切り傷が付いていた。

 

凛は驚いていた。司が宝具を使った時にマスターとしての目で司を見た。ランクが変わったのだ。

 

筋力はB+からA-に、敏捷はBからA-に。敏捷はまだランサーに及ばないもののさっきまでよりも差はなくなり、筋力は更に上回った。

(まさか本当に・・・キャスターが近接戦闘でランサーに勝てるの?)

 

だがその時、乾いた音が小さく、だが確かに聞こえた。

 

二人は一度戦闘を中断し、音の発信源を見る。そこには一人の赤毛の男子生徒と、その生徒が踏み折ってしまったであろう小枝が落ちていた。

 

「目撃者か・・・おいキャスター…って言うのも二人いるから分かりずれえな。」

 

「俺の名前は司だ。好きに呼んでいい。ただし、言いふらすなよ?クー・フーリン。」

 

「っち、お見通しか。今回の勝負は預けるぜ、司!」

 

そう言い残し、ランサーは男子生徒を追っていった。口封じをするためだろう。

 

「さて、早く家に戻ってテレビを見るぞ。凛。」

「あんた何勝手に名前教えちゃってるのよ!?っていうかどうしてランサーの名前が判ったのよ!?」

「別にかまわんさ。名前から素性が割れて、そこから弱点につながるからだろ?俺はそんな心配はないからな。ランサーは一目見た時にすぐ判ったさ。あの槍は有名だしな。(って言うか昔見たし)」

 

闇の書事件の際とある馬鹿が使っていたのを見ていたため司には容易に特定できた。だからと言って司があの馬鹿に感謝することは無いのだが。

 

「・・・わかったわよ。それから、アナタは一応ランサーを追ってみて。拠点が判れば儲けものだわ。私は一度さっきの生徒を見てくるから。」

 

「(今から帰れば見れるのに・・・仕方ないか。)了解。期待はするなよ。」

 

 

 

学校の廊下、凛は倒れている男子生徒のそばにしゃがんでいた。男子生徒はすでに心臓を貫かれ、こと切れていた。

 

「なんでアンタが・・・アンタが死んだらあの子が悲しむじゃない。ごめんなさいお父さん。切り札になり得る宝石…使います。」

 

 

凛が去った後、男子生徒…『衛宮士郎』は生き返った。

 

 

 

 

 

 




今回ガイアメモリーズの説明をちょっと。宝具としてのランクはA

サイクロン 

対人宝具 レンジ1 最大捕捉1

敏捷+1 魔力変換に風属性追加

ジョーカー 

対人宝具 レンジ1 最大捕捉1

筋力+1 敏捷+1

オーラ ランクC

司の魔力制御補助がお仕事。神様特性の司君専用にも拘らずCランク。・・・キ、キットホントウノチカラハフウインサレテイルンダヨ!ウン!

今回の司君のステータスの変化

筋力 B+から一段階UPでA-に。

敏捷 B→B+→A- と言うように二段階UP

ジョーカー(十字剣)について

見た目は十字剣ですが司君が使う剣は腕の延長線上に魔力刃が出ている(オメガモンやガンダムエクシアみたいな感じ)なのでふつうに構えるのではなく、魔力刃の中心に入っています。イメージで言うならばシャーマンキングのスピリット・オブ・ソード(人間サイズ)で、司君の腕がフツノミタマノツルギにあたり、ジョーカーは春雨に当たります。



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騎士王降臨

タイトルについて一言

「ヴァンガードは関係ありません」



たしか士郎の家って結界張ってありましたよね…?

9月29日 修正しました。


「一体何がどうなってるんだ・・・?」

 

赤毛の少年・・・衛宮士郎は自宅の居間で壁にもたれかかっていた。

 

(学校にいたのは間違いなく遠坂だった…でもあの二人はいったい・・・?)

 

思い出すのは青の全身タイツ…いや、ここはボディスーツと言っておこう…の男と黒の鎧のような男の戦い。同じ人間とは思えない動き。

 

(それに俺は槍で心臓を貫かれたはずなのに…!?)

 

カランカラン…

 

士郎の家に張られていた『悪意を持つ者』の侵入を感知する結界が反応し、士郎は身構える。

 

(そうだ…あの男は口封じの為って言って俺を刺したんだ。生きてるってわかったらまた来るに決まってる…何か武器は無いか!?)

 

士郎が目を付けたのは、姉のような人物が持ってきたポスター。士郎はそれを丸めて自身の魔術を行使する。

 

「頼むから成功してくれよ…同調、開始(トレース・オン)

 

士郎が持つポスターが硬質化し、士郎の魔術が成功した。士郎はそれを構え、周囲を警戒する。

 

「さあ、来い!」

 

士郎がそう言うのと、天井が吹き飛んで、男が攻撃を仕掛けるのは殆ど同時だった。

 

ガン!!

 

「ち!まさか一日に同じ奴を二回も殺す羽目になるとはな。俺なりに苦しまないようにしてやったつもりだったんだが・・・」

 

士郎は何とかポスターでガードして、男…ランサーに向き直る。

 

「しっかし…そんな丸めた紙でいくら加減したとはいえ俺の槍を防ぐとは…魔力を通して強化しやがったか。」

 

そこまで言うとランサーは士郎に向き直り、言い放つ。

 

「お前、魔術師だな?」

 

「………」

 

ランサーの問いかけは疑問形ではあるが確信の響きを含んでいた。士郎はそれに応えず、無言で警戒を深める。

 

「俺と殺り合おうってか?そういうのは勇気じゃなくって無謀って言うんだぜ?ま、嫌いじゃないけどなぁ!!」

 

ランサーが吠えると同時に士郎が土倉まで吹き飛ぶ。放たれたのは槍ではなく蹴り。だがその威力は下手をすれば死につながるような威力。士郎は日ごろの鍛錬の成果で受け身を取り、咄嗟に制服を強化することによって何とか意識を保っていた。

 

「クソ…早く起きないと…」

 

「残念だがもう遅せぇよ。」

 

士郎が見上げるとそこにはランサーが立っていた。その槍はすでに士郎の心臓に狙いを定められている。

 

「ま、運が悪かったと思って諦めろや。もしかしたらお前が七人目だったのかもしれないな。」

 

ランサーの槍が士郎の心臓に向かって動き出す。本来なら目にとらえるのも難しい速度だが、士郎にそれがスローモーションのように見えた。

 

(ダメだ…まだ死ねない。こんな所で死んだら…)

 

士郎の頭に過るのは今は亡き養父との約束

 

‐安心しろって。爺さんの夢は、俺がちゃんと形にしてやる。約束だ。‐

 

‐そうか…安心した…。‐

 

(正義の味方になれない・・・!!)

 

ランサーの槍が士郎の肉体に届く瞬間、床が光り凄まじい風が吹き荒れる。

 

「な、なんだ!?」

 

「まさか本当に七人目だってのか!?」

 

ランサーが一度距離をとるため土倉の外に飛ぶ。そして風が収まると…

 

「問おう…貴方が私のマスターか?」

 

其処には金紗の髪に、青砥銀の鎧をまとった一人の少女が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、凛。」

「なによ?」

 

司と凛は遠坂邸に戻っていた。司はテレビの前のソファに座りテレビを見ていたのだが、ふと気になっていたことを聞いた。

 

「あの少年…間違いなく殺されたと思うんだがどうしたんだ?」

 

「…助けた。おかげで貴重な切り札の宝石が無駄になったわ。笑う?」

 

「別に人助けは悪い事じゃないから良いんだが…どうやって助けたんだ?ランサーの事だ、心臓でも貫かれただろうと思っていたんだが…」

 

「ええ、だから心臓を再生したのよ。死後間もなかったし、心臓以外に破損がなかったから何とか助かったわ。・・・どうしたの?」

 

司は目を見開いて凛を凝視していた。

 

「・・・魔術とやらは人を生き返らせることができるのか…?」

「普通は無理よ。今回は幾つも偶然が重なったから何とかなったけどね。貴方が居た世界ではできないの?」

 

凛からすれば魔術で出来る事なのだから魔法が当たり前にある世界なら普通だろうと思っていた。だが司の反応は違った。

 

「出来ないことは無いが…ロストロギア…失われた古代技術を幾つも集めて何とかできる可能性がある…しかもそれは集めること自体が違法行為な上に、失敗する可能性の方が圧倒的に高い。しかも下手すれば辺りに存在する並行世界を幾つも巻き込んで大規模次元震を発生させて、次元世界ごと消滅。なんてことになりかねんらしい。俺も資料でしか見たことは無いが…」

 

「ぶ!?」

 

凛は自分が思っていたこととかけ離れたことを言われ、思わず噴き出した。よく分からない単語もあったがとんでもない事だと言う事は理解したらしい。

 

「っと、話がずれた。あの少年の記憶は消さなくていいのか?」

 

凛は一瞬何のことかといった表情をしたが思い当ったが・・・

 

「記憶消しておくの忘れた…まあいいわ。記憶を消すだけなら明日にでもできるし…」

 

「じゃあランサーがまたあの少年を狙う可能性は?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・忘れてたわ。」

 

「お前は馬鹿か!?」

 

「うっさいわね!家系よ!急いでいくわよ!」

 

急いで先ほど脱いだコートを羽織る凛と玄関を出てオーラを起動する司。そして凛が玄関を出ると司が凛に聞く。

 

「どっちの方向だ!?」

 

「あっち!急ぐわよ!」

 

「ってちょっと待て!」

 

今にも走りだそうとする凛を司が止める。

 

「なによ!?急がないと私が宝石使ったの本当に無駄になるじゃないの!?」

「走るより飛んだ方が早いだろ!?」

 

司はごく普通の意見を言った。確かに飛べば壁だろうが家だろうが無視して直線で行ける。確かに早いに決まっている。だが凛にとってはそうではなかった。

 

「……アンタ、空飛べるの?」

 

「?魔法使いの基本だろ?むしろ凛は飛べないのか?」

 

司にとっては基本中の基本の一つ。だが凛にとっては違った。

 

「私が飛べるわけないでしょ!?そんなの魔術よりも魔法に近いことよ!?」

「だからさっきランサーに追われてると解りながら着地なんてしたのか!?何で飛んで帰らないのかと思っていたが疑問が居間解けたよ!!ええい、俺が運ぶから背中にのれ!」

 

 

司は急いで凛の言った方行に飛んだ。

 

 

 

「ねえ、司。あんたさっきはアッサリ諦めたのに何で今度はアイツの事助けようとしてるの?」

 

空を飛んでいるという初めての感覚に、非常時にも拘らずある種の感動を感じながら私は気になっていたことを聞いた。

 

「俺はランサーに追いつけない。だからあの時追いかけてもあの少年は助けられないことが分かっていたからアッサリ切り上げた。だが今回は違う。間に合う可能性はある。犠牲者は少ないに越したことは無いんだから急ぐに決まっている。」

 

私が思っていたのと随分違う答えが返ってきた。接していた時間は長くないけど司は私が思っていた以上に英霊らしくない。人間らしいと言うか何というか・・・

 

そんなことを考えながら少しすると目的地に着いた。玄関で無駄に時間使っちゃったから間に合わないかと思ったけど状況を見る限り衛宮君はまだ生きてる。でもランサーと戦ってるあの女の子は・・・?

 

「今日の所はここまでにしておかないかセイバー?」

 

「馬鹿を!このまま貴方を倒します!」

 

あ、あの女の子がセイバー!?って言うか衛宮君が魔術師!?私そんなの聞いてないわよ!?

 

 

 

へぇ、あれがセイバーか。剣が見えないがどんなカラクリだ?

 

『司さん、あの女の子…セイバーですか?手の辺りにすごい風纏ってますよ!私ほどではありませんがあれほど風を使いこなすとは…侮れませんね。」

 

なるほど。風で見えなくしてるのか。後で文に何か褒美でもあげよう。ランサーも追い払ったし結構強いな。シグナム辺り闘いたがるかもしれないな。

 

って一回土倉に入ったセイバーがこっちに構えながら向かってきてるんだが…

 

 

 

 

セイバーはランサーを追い払った後マスターである士郎の元に一度戻った。

 

「マスター、もう一体サーヴァントの気配があります。治癒をお願いします。」

 

「えっと、すまん。俺普通の魔術は使えないんだ。」

 

「そうなのですか。ではこのまま戦ってきます。ご安心ください、必ず聖杯を手にしてみます。」

 

「ちょ、おい!?」

 

セイバーは先ほど感じた魔力とサーヴァントの気配、そして己の直感で大体の辺りを付けその方向に走り出す。するとそこには凛と司が立っていた。セイバーは剣を振りかざし司に切りかかった。

 

「ハァァァアア!!」

 

当たれば致死のダメージを負うであろう斬撃。それを司は・・・

 

「危ないな。」

 

片足を半歩ずらし、体を逸らして回避した。

 

「!?やりますね、なら!!」

 

セイバーが再び切りかかろうとした時、声が響いた。

 

「やめろ!!」

 

その声に無理矢理止められるようにセイバーの攻撃は止まった。

 

後方には手の甲を光らせた衛宮士郎が立っていた。

 

 

 

 

 

 




最後司君がセイバーの攻撃をあっさり見切りすぎたかと思ったんですが
1、セイバーの攻撃が大振りだったこと
2、少し前までランサーと戦っていたので素早さに慣れていたこと
3、そもそも敏捷のステータスで勝っている事
4、シグナムが剣を使う為、手の角度で大体剣の位置が判ること等色々あったのでまあできるかと。

感想で「魔導師の魔力は生まれつきで受け継がれるものではないから神秘がない。よって、サーヴァントに攻撃する事は出来ないのではないか?」と言う旨の事を言われました。

・ガイアメモリーズ
 大昔、地球(世界)が自らの意志で生み出した伝説のデバイス。

・オーラ(栄光の原点(オリジン・オブ・グローリー))
 神様が司君の為に作った特製のデバイス。

神秘・・・無いですかね?

そもそもリリカルキャラってfateの世界でも普通にサーヴァントと戦えるんですよね。(公式)


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教会へ行こう!

忘れたころにうぉりゃ!と投稿。今回はセイバー視点で進みます。


私は二つ驚いていた。なぜ敵を前にして令呪を用いてまで止めるのかというサーヴァントとしての驚き、そしてもう一つは目の前の男が・・・サーヴァントとはいえ見えないはずの私の剣をいとも簡単に見切り、最小の動きでよけられたセイバーとしての驚き。

 

「あら、こんばんわ衛宮君。」

 

「遠坂!?お前休学してたんじゃないのか!?」

 

私のマスターと相手のマスター・・・トオサカという名前らしい・・・が言い争っている…というよりもトオサカが一方的に受け流している中、私は相手のサーヴァントを警戒していた。・・・が・・・

 

「凛、なんか話がかみ合ってないように見える。ひとまず現状の把握と情報のすり合わせをするべきだと思うんだが。」

 

相手のサーヴァントは呆れたように自らのマスターと私のマスターを見ており私に対して無防備にも見える。・・・私は相手にすらされていないのだろうか・・・

 

 

 

結局相手のサーヴァントの言った通り、居間に上がり自己紹介することとなった。とはいってもマスター同士は知り合いらしいのでそれほどしゃべることはなくサーヴァント同士の挨拶となった。

 

「私はセイバーのサーヴァントです。」

 

挨拶とは言ってもクラス以上にしゃべることはない。聖杯戦争においては名前だけでも弱点に直結する可能性がある以上相手もクラスだけを名乗る・・・と思っていた。

 

「名前は天宮 司。クラスはキャスター・・・らしい。職業は魔導師、所属は特にないフリーだ。現在はそこの凛の護衛をボランティアでやってる。」

 

私の中で常識と思っていた考えから大きく逸脱した自己紹介をされた。

 

「だからアンタは何でそんなあっさり名前を出しちゃうのよ!?」

 

「む?いや、自己紹介しろと言ったのは凛だろ?とりあえず問題がある自己紹介ではなかったと思うが・・・」

 

「っていうかボランティア!?私の護衛がボランティアなの!?」

 

「当然だろ。本来は守ってやる義務なんか無いんだ。今はあくまで善意のボランティアだ。」

 

・・・マスターが困った顔をしている。トオサカとそのサーヴァントが話を脱線させたせいだろう。

 

話が戻ったのはそれから15分後だった。

 

とりあえず私のマスターは魔術師としては未熟であり、聖杯戦争についての知識がないことが分かった。が、驚いたことにサーヴァント・・・ツカサ(そう呼べと本人から言われた)も聖杯戦争についての知識がなかった。サーヴァントである以上聖杯から相応の知識は与えられているはずだという私の問いにも「凛がバカやったせいで・・・」と言ってはぐらかされた。トオサカ本人も気まずそうな顔をしていたので心当たりがあるのだろう。

 

 

そしてトオサカの提案によりマスターとともに聖杯戦争を監督している神父がいるという教会に行くこととなった。が私はある事情により霊体化できないうえに今着ている鎧しかないため雨が降っているわけでもないのにレインコートを羽織っていくこととなった。もう少しまともなものはなかったのだろうか?

 

四人が歩く。トオサカはマスターに大まかな説明をしながら。私は周囲を警戒しながら。とりあえず見晴らしがよく、周りに敵の気配も感じないため警戒を緩め、自分の隣を歩いているサーヴァントに意識を向ける。

 

成人男性の平均よりも高い身長。黒いコート、指にはそれぞれ碧、黄、赤の宝石の様なものがついた指輪が三つ、首にはネックレス、腰から垂れているベルトには剣、鎧、羽が模られたアクセサリーがついている。キャスターのサーヴァントなのだから魔術的意味があるのだろうが普通の瀟洒な若者にも見える。そこまで考えてふと思い出す。

 

この男はキャスターなのだ。

 

全サーヴァントで最弱と言われるキャスターが最優と言われるセイバーである私の攻撃を見切り、半歩ずれるだけでよける。ランサーですら見きれなかった剣を。いったい何者なのだろうか・・・?本人を見ていた限り偽名などではない、しかし聖杯から与えられた知識にもその様な名前はない。

 

 

「どうした?何か気になるのか?」

 

「いえ、なんでもありません。」

 

いつの間にか私を見ていたツカサと目が合い、私は目をそらす。横目に見えたツカサは面白そうに私を見て笑っていた。

 

教会に着くとマスターとトオサカが中に入るとのことなので私とツカサは外で警戒していることにした。

 

「いい月だ。」

 

ツカサが呟くように言った。見上げると確かに綺麗な月が見えた。なぜ司はこうも私を警戒しないのだろうか?キャスターである司にとって私の持つ対魔力は天敵の筈なのに。

 

「ツカサは何を聖杯に願うのですか?」

 

気がつけば私は司に問いかけていた。が思い直し、すぐに訂正しようとして他ならぬツカサに遮られた。

 

「特に願いなんてないな。そもそも俺は聖杯なんかに興味はないし。」

 

またしても驚いた。

 

「ならばなぜ聖杯戦争に?」

 

「さっきも言ったろ?凛がバカやったって。俺は本来はサーヴァントですらないんだよ。何の因果か、凛の召喚に巻き込まれただけの人間だ。現在進行形で生きている、な。」

 

・・・もはや並みのことでは驚かないと思っていたが一周回ってどうでもよくなる事もあるんですね。

 

その後マスターたちが出てくるまで無言で警戒を続けた。

 

 

 

マスター・・・シロウは無関係な人たちを守るために聖杯戦争に参戦することを決め、共に闘おうと私に言ってくれた。トオサカ・・・リンはこれでなれ合いは終わり、次に会うときは敵同士だと言って別れ・・・ようとしてツカサが立ち止り、前方を見据えていることに気がついた。

 

私たちのはるか前方に、一人の少女と巨漢が道をふさぐように立ちふさがっていたからだ。

 

「こんばんわ。リンにお兄ちゃん」

 

 

 

 




デバイスsのおしゃべりコーナー 今回はオーラ、文、リゲルの三名。

オーラ(以下オ)「いやー久しぶりだね~」

文「ちょくちょく更新しようとしたらしいんですけどねえ」

リゲル(以下リ)「しっかし聖杯戦争ねぇ・・・実在の英雄たちとの戦いなんてシグナムあたりが喜びそうよね。」

オ「あー・・・そうだね。」
文「簡単に想像できますねぇ。」

リ「司も災難というかなんというか・・・」

文「でも司さんも十分サーヴァントになる可能性はあるんですよね。」

リ「・・・へ?どういうこと?」

文「だってほら、司さんって一回地球を救いましたし。」

オ「そういえばそんなこともあったねぇ。」

リ「どういうことなの!?」






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