転生したらカガリになってた、開発チートでオーブの未来はどっちだ? (モフモフ好き)
しおりを挟む

転生したらカガリになってた、開発チートでオーブの未来はどっちだ?

 話をしよう、あれは今から36万・・・いや、1万年と2000年前だったか、

 まぁいい、私にとってはつい昨日の出来事だが、君たちにとっては未来の出来事かもしれない。

 私には3通りの名前があるから、なんて呼べばいいのか

 などという旬の過ぎたネタは置いといて

 

 まず前世の名前、だがこれは当面、いや多分もう使うことはないだろう。

 次に私が転生した世界で付けられた名前、そう、カガリ・ヒビキだ。

 この時点で私はまだ赤ん坊だったのだ。

 母の顔を見てもどこかで見たような顔だったけど誰だったかな~状態だ。

 そして、一度私と弟は親の妹夫妻の元に預けられ、私と弟は親戚の元で一時的にカガリ・ヤマトに、そして弟はそのままに私はそこからさらに別の家に引き取られた。

 だが弟の名前と苗字を聞いた時にもしやと思ったがまさかなと……。

 

 だが無情にもそれは打ち砕かれた。

 私を引き取ったのはウズミ・ナラ・アスハ、そう、オーブ首長国連邦の首長(この頃はまだ代表ではない)だったのだ。

 

 やべぇ! よりによってあのカガリに転生した!

 バカガリだったりKガリといろいろな意味でネタにもされ愛されているやもしれないあのカガリだ!

 しかも未来もそこまで明るいかと言われると……。

 

 これも全てはあの神さまの企みなのだろうか……。

 

 そう、私は神の気まぐれにより転生したのだ。

 なんでも天界でいま流行っているとかで、それで自分もやってみるか?

 そんなのりでたまたま目に止まった魂を平行世界の一つに転生させ、その者の行動を娯楽にするんだそうです。

 

 そんな偶然で選ばれた私は、どこに行くかは教えてもらえなかったので、わからずにとりあえず開発などの知識チートと幸運をもらったのだった。

 そして、転生したらカガリになっていたのだった。

 

 いや、カガリ自体は嫌いじゃなかったけどね。

 SEEDの世界に転生して、やっぱり興奮はしたよ。

 アニメの世界に転生してやっぱ世界が違うからなのか色々新鮮で興奮しました。

 だけど、その後冷静になって考えたらどうやってこの世界で生きようかと考え始めた。

 

 あの神様は好きに生きろと言っていた。

 平行世界だからどんだけやっても本来の世界線には影響がないと。

 ならば本当に自分の好きにさせてもらいましょう!

 とりあえず子供の生活も楽しもうと思ったのが2歳になった頃だった。

 0~2歳の間は、頭脳チートの影響で脳への負荷がそれなりにかかったせいで、割りとよく眠っている毎日でした。

 からだはスクスク成長したけど、これはチートを制御できなかったせいなんだ。

 なので0~2歳になるまでの間、がんばって自分の意思で脳を開発、チートを制御できるように努力の毎日だった。

 そして2歳になり、言葉もそれなりに話せるようになったころは、最低限の制御ができるようになり、さっきも言ったように子供の頃を楽しもうと思ったのだ。

 

 なのでまずは

 

「おとうたま~! おかえりなしゃ~い!」

 仕事から帰ってきたウズミ・ナラ・アスハ、お父さんに甘えよう、そしていつか親孝行しようと。

 

「お~、ただいまカガリ、走ると危ないぞ」

 お出迎えして駆け寄るとつまずいてカーペットの上にこけてしまう。

 この体は走りづらい……。

 思いっきり鼻打った。

「ほらいわんこっちゃない、大丈夫かカガリ?」

 すぐにウズミに抱き上げられる。

「う~……大丈夫です、カーペットは柔らかかったので痛くはないです……」

 そうしてウズミに抱きかかえられながら思いっきり甘えるのだった。

 

 実際ウズミパパは超いい人、いいお父さんなのである。

 血の繋がらない私を本当の娘のように可愛がり、愛してくれている。

 原作のカガリは厳しく育てられたとあったけど、流石にまだこのぐらいの年齢の時は甘かったのかも?

 あるいは、平行世界だからちがうのか?

 まあそんなところは置いといて、このお父さんが国とともに炎に包まれて死ぬなんて……いやだな。

 なので、今生の第一目標はがんばってオーブを存続ならぬ、お父様を生存させましょう!

 ぶっちゃけ戦勝国にでもしてしまうのが手っ取り早いのかな?

 そして第二目標もちょっと立ててみました。

 ほんの少しの間だったけど、弟が可愛かった!

 ちょっとがんばってキラを戦場に出さなくてすむように、もっといえばヘリオポリスが壊れないようにしてみよう!

 

 その結果、まずはオーブがどうして滅んだかを軽く思い出して、中立を貫く武力が無かったことに思い当たる。

 物量の前にはどうにもならなかったもんね。

 他にも政治的な立ち位置だったり、たしかサハク家との対立もあったのかな。

 お父様の理念、嫌いじゃないけど時世が悪かったね。

 どっちにも肩入れするってのも、武力が足りないから致し方なかったのかもだけどね。

 どっちにも肩入れしないとなるとそれはそれで危ない、中立の痛いところだね。

 

 よし、まずは武力どうにかしないと……

 

 

 

 

 それから5歳になる頃、教育が厳しくなるなか、教育している講師の人たちが驚くほど課せられた教育をあっさりクリアしていた。

 いや~、開発チート様様、脳を開発していった結果、淑女教育も何のそのですわ。

 あまり最初からできすぎてもおかしいので、段階はふんでるけど。

 

 そして、飴と鞭と言うべきか、レッスンも優秀な成績を収めているのでおねだりしてみたらそこそこハイスペックなパソコンとお小遣いもらえましたわ。

 

 そして8歳の頃にはお父様からは え? っとされましたが機械いじりもするように。

 ハロ作っちゃったw

 しかも色々機能を付加した自己学習型のアムロの作ったサイズで。

 

 後はチート全開で全部自作した明らかに数世代先のスペックPCを作って、裏で色々と金策に情報収集を。

 さらに宝くじから株やら何やらと合わせて資金作って後々に備えた。

 

 そして10歳になる頃には、屋敷の地下に自分のちょっとした工房作る始末。

 

 流石にウズミパパも私の異常に気づき話し合いに。

 

「カガリ、お前は一体どこを目指しているんだ?」

 テーブルを挟んで向かい合い、真剣な顔でこちらを見るウズミパパ。

「当然、未来を目指していますよ、お父様」

 紅茶を片手に話す姿は慣れたものだ。

 

 そしてしばらく考え込むとウズミパパ、いや、ウズミ代表はこう切り出してきた。

 

「カガリ、お前は今のこの世界をどう思う?」

「そうですね……、今はまだ平和な世界ですね、少なくともこのオーブは」

 少し考えたフリをしてそう答える。

「今は……か、なら10年後、このオーブはどうなってると思う?」

「10年後ですか……」

 10年後、デスティニーも終わってるな……、だが言えることはただ一つ。

 

「戦火に焼かれてるんじゃないでしょうか」

 実の娘から飛び出した発言に、流石に目の色が変わったウズミ代表。

 だが、ゆっくりと心を落ち着けて、こう切り出した。

「なぜ、中立国のオーブが戦火に焼かれていると思うのだ?」

「中立国だから、でしょうか」

「中立国だから、なのか?」

「ええ、正直今の世界は、導火線に火の付いた火薬庫と変わらないと思います

 理事国……いえ、ブルーコスモスとプラント、ナチュラルとコーディネイター、通常の戦争ではなく、どちらかが滅びるまで戦い続ける種族間戦争に発展してもおかしくないと、私は考えています。

 それ故にどちらにも加担しないか、どちらにも加担する中立国家ではおそらく、途中でどちらかに付けと武力で脅かし、中立の立場からはずさせようとしてくるでしょう」

 

 具体的な予想に、ウズミ代表の顔も曇る。

「もしそうなった場合、ある程度質をもった武力を確保していたとしても、圧倒的な物量で来られた場合は長くは持たないでしょう」

 

 実際、フリーダムにジャスティス、アークエンジェルにおまけでバスターとアストレイ部隊がいても最終的には押し切られてしまったのが答えといえるんではないだろうか。

 

「消耗戦に持ち込まれたら、不利になるのはこちらかと」

 

 もしそんな消耗戦を勝とうとしたら……圧倒的な質か、消耗しないような戦いをするしか無いんだよな。

 

「そんな中、それでもなお中立を貫くと言うなら、その為の武力を持つべきでしょうね

 可能なら、その時まで表には出さずに鷹の爪は隠しておくべきかと、私は考えます」

 

「お前は、今のオーブでは中立は守れないと考えるのだな? その根拠はあるのか?」

「ええ、私が秘密裏に手に入れた情報の断片を組み合わせて、多少の予想が入りますが……、ハロ、例のデータをお父様に見せてくれ」

『リョウカイ! リョウカイ!』

 そして、ハロの口がパカっと開いて、モニターが表示される。

 

 表示したのは、プラントで製造されたモビルスーツの実用第一号機の予想データ。

 ハッキングやらウィルス送り込んで情報漁った結果、集められるだけ集めたデータから作った予測データである。

 

「これは……、カガリ、お前これどうやって手に入れた?」

「そんなことより、それが実践で使われるようになった場合、戦場はどうなると、お父様は思われますか?」

 ウズミ代表の厳しい視線に思わず目をそらす。

 

「……少なくともこのスペック、試作段階でこれか。

 おそらくジャミングを前提に有視界での戦闘を前提にしているとしたら……。

 実戦配備するようになれば今主流のMAでは歯が立たないだろうな。

 そうなれば、宇宙ではプラントの独壇場に変わる」

 

「一応予測からですが、私自身で組んでみた試作機の完成形のデータ見てみますか?」

 

 そして、できると思われるジンのデータを見せると完全にウズミ代表は考え始め、そしてこう切り出した。

 

「カガリ、お前はどうするつもりなのだ?」

「とりあえず今のうちに備えておきたいですね、この兵器に対抗できるモノを」

「作れるのか? お前が」

「どうでしょうね? 幾つか考えてるものもありますし、資金もありますが……」

 

 さすがに設計やらプログラムなんかはチートのお陰でできるけど、MSの開発となると一から設備やらなんやら、さらにMSの製造となると許可もいる。

 このへんどうしたものか……。

 

「そうか、ならば……」

 

 ウズミ代表から飛び出したのは驚きの一言だった。

 

 

 

 CE:66

 

 あれから1年後、カガリは仕事していた。

 ウズミ代表がバックについて、秘密裏にできる開発場所(無人島一つ)と最低限の設備は用意してくれた。

 ただし後はやってみろ、カガリ自身が稼いだ資本で開発を行うという丸投げに近い形。

 まあ、丸投げするように頼んだのはこっちなんだけどね。

 迂闊にモルゲンレーテ内でやるとサハク家から情報が流出する可能性が高い以上、殆どを個人でやるしかなくなる。

 

 この一年は主に地盤固めだ。

 資金をさらに増やすため、現行出ているOSより性能が1~2割ほどいい改良版を売りつけたりして稼いだ。

 その金で設備を整え、人手を作るために作業ロボットなんかも作った。

 そして趣味と実益をかねて作ってみたんだ。

 

『主殿、お茶が入りました』

「ああ、ありがとうシグマ」

 ガンダムブレイカー3に出てたトイボット、あれをさらに高性能にして、私のサポートをしてもらってる。

 名前に関して、ロボ太をそのまま使うのは少々ためらったので、騎士関係でパッと思い浮かんだのが、ダイの大冒険のナイトシグマだったのだ。

 そこ、間違ってもロックマンXのシグマを思い浮かべるなよ!

 ちなみにこのシグマも自己進化型のAIを使っている、ハロの蓄積したデータからさらに改良したのだ。

 ちなみに最初に作ったハロも改良して、今は主にこの施設の管理と、運営をやってもらっている。

 

「とりあえず、新しく試作したエンジンやバッテリーの様子はどうだ?」

『現状、問題らしい問題は出ていません』

「そうか、なら後は作るだけだな」

『おお、ついに!』

「ああ、まずはMSと、それを運用する戦艦……といきたいが、まずは小型の物を作ってからだな」

『MSもですが、戦艦もコストがかかりますからな~』

「世知辛い世の中だよ、まったく」

 

 なんとしても4年後の4月までには完成させないと。

 

 

 

 そして翌年のCE:67 プラント、いやZAFT側でついにジンが完成したとの情報が入った。

 戦争開始までそんなに時間がない。

 あ、そろそろGARMR&D社の株は売却しとかないと。

 あっちにあったバイオ技術はあらかた回収し終わったし、ブースデッドマンに対しても治療はできるでしょう。

 

 

 CE:68

 

 ついに戦争一歩手前の状態になった、理事国とプラント側でにらみ合いになり、軍備拡張が行われている。

 その結果、政治結社だったZAFTが、軍事組織ZAFTに変わった。

 結果、ブルーコスモスのテロも横行し始め、多くのコーディネイターはプラントに移住を始める。

 メンデルでのバイオハザードも起き、戦火の火種はそこかしこに散らばっていた。

 

 

「ふぅ、なんとかMSと小型試作艦の方は形になったな」

 秘密工場ではチートを駆使してなんとか完成にこぎつけた機体が形になっていた。

「それにしても、バッテリーで動く機体ってのはある意味独自性だよな」

 他のガンダム世界だったら核融合炉とかなのに対してこの世界はバッテリー式とは……。

 

 今回作ったMSは、バッテリー+小型相転移エンジン、あの機動戦艦ナデシコで使われたエンジンだ。

 まあ、相転移エンジンは真空状態でないと出力が落ちてしまうので、バッテリーが付いたのだ。

 宇宙では何の問題もなく、地上では海に入ればすぐにエネルギーがチャージされる仕組みだ。

 なんせオーブは島国、海に囲まれてる以上、相性はいい。

 そこ、核融合炉でいいじゃんとかいわない!

 さすがに核の取扱は難しいんだよ! え? 相転移エンジンも似たようなものだ?

 ハハハ(目逸らし)

 それにしてもこの世界、アークエンジェルとかどうやって飛んでたんだろうな?

 一応レーザー核パルス融合推進ってなってたけど、それなら戦艦を都市に横付けすれば電力供給できるだろうに……。

 いろいろ考えてみた結果、ブルーコスモスが悪いとなった。

 おそらくだが、その辺全部戦争に使うために回さず、コーディネイター憎しを煽るためにやったとかんがえられる。

 しかし、最初は核融合炉が無いと考えていたが、そうでもないんだな……船に搭載するエンジン、アレを作ってみるか?

 無人になって誰も近づいてこないと予想されるメンデルで……。

 

「戦艦の骨組みもできたし、後は完成させるだけだ!」

 

 小型艦? あっちもあっちで特殊なエンジン載せてるよ、まあ作るのが相転移エンジン以上に無茶だったけど、できてしまったのだ。

 今は戦艦用のサイズも成功し、戦艦の方に搭載予定、おそらく3つの動力を使うことになるだろう。

 

 シグマはどうしたって? シグマなら私が作ったMSと船のシミュレーターで訓練中。

 経験値を積ませないと、操縦はおろか、戦闘なんてできないからね。

 私自身も訓練してるけど、実践でどうなるかだな……。

 

 

 CE:69

 ついにMSの存在が公開され、プラントと理事国間での戦闘が勃発。

 これによりプラントは理事国がプラント側に配備してた戦力を排除することに成功。

 MSの脅威に気付いたハルバートン大佐は極秘でMSの製造を開始した。

 

「確か、来年あたりに協力要請来るんだったか……とりあえず、キラを戦場に出さないようにするためには、ヘリオポリスを守らないと

 一番いいのは、G兵器開発をヘリオポリスでやらせないようにするのが手っ取り早いのだろうけど……難しいだろうな~」

 

 実際、動くのはサハク家だろうし、ロンド・ミナ・サハクとは、社交で何度かお会いしたこともあり、そこまで悪くない関係は築けてると思うけど、流石にウズミの小娘と思われてるから、やめてと言って聞いてくれるとは思えないからな……。

 

 そして、去年倒産したGARMR&D社だが、メンデルの権利書を秘密裏に買い上げたのだ。

 いや~、メンデルの所有権を買い取りたいとお札で叩いたら快く譲ってくれました。

 資金はまたOSとか組んで売りさばいて稼いだけど。

 

 作った小型艦とMSの最終調整は完了、戦艦も最終調整が済めばいつでも

 MSが完成したので、その報告はウズミ代表に入れたが、お前は一体何を作っているんだ!

 という目でめっちゃ見られた。

 そら明らかに技術レベルがおかしいのを複数作ってるからね。

 相転移エンジンとかこの世界じゃ作られてないよ?

 類似品でPS装甲はあるけど、ものが違うからね。

 この時、ついでとばかりにアストレイではなく、バルキリーの設計図も渡しておいた。

 

「カガリ、これは?」

「可変戦闘機です、名称はそちらで決めてください、これなら陸と空に宇宙、そして一応ですが水中でも運用できるので、国防には適ってるかと思い設計してみました」

 アストレイを作るとは思うんだけど、どう頑張ってもあれは国防には向かないんだよな。

 海に囲まれている島国なら、空と海、どちらかがこなせないと駄目だろうと。

 熱核バーストタービンエンジンが使いたくても使えない以上、今使える大容量バッテリーを使わざる得ない。

 小型相転移エンジンも使う予定ではあるが、地上では水中に入らない限り相性が悪い。

 バッテリーがメインだな。

 いっそ、ようやく完成したテスラ・ドライブも使うか?

 ファイター、ガウォーク、バトロイドの形態変化で、水中では基本ミサイルで戦う方向でいけばなんとかなるはず。

 水中専用のバルキリーの設計図も作っておくかな。

 もうバルキリーじゃ無くなりそうだけど。

 いっそシーリオン作るか?

 

「なら、これは依頼だが、試作品として通常タイプと水中タイプを一機ずつ作ってもらえるか?」

「わかりました、ただ水中タイプは別の機体を用意してみます」

「すでに議会でもMSへの対抗手段として、オーブ製MSの開発に着手しているが、難航していてな」

「そらそうでしょうね、私はジンの設計図の断片を入手してから色々こねくり回して作りましたし(建前」

「カガリ、お前の頭の中は一体どうなったらこんな物が作れるようになるんだ?」

「どうなったんでしょうね? それと新情報ですが、連合の方でもMSの開発が極秘裏に始まったようです」

 情報を伝えて、今後のことについて話し合い、仕事に戻った。

 

 

 

 

 CE:70

 ついにこの時が来てしまった。

「今後、いかなる事態が起ころうとも、オーブは独立、中立を貫く!」

 アスハ代表の中立宣言が行われた。

 そして私がやろうとしていたことのリミットでもあった。

 現在2月8日、血のバレンタインまで後6日を切ったのだ。

 

「お父様、演説お疲れ様でした」

「カガリか、何かあったのか?」

「……例のものが完成しました」

 ウズミ代表の耳元でそう囁くとウズミ代表の目が見開いた。

 そして、稼働データと映像資料を手渡す。

 

「可変戦闘機は人目を避けてやったので時間がかかりましたが、今のところ問題はありません、水中用の機体はこちらになります、正式名称は任せますが、仮でシーリオンとしています」

 

 それからしばらく資料映像と、稼働データから考えるウズミ代表

「……予想以上だな、これならば国防に関しては問題なかろう」

「シーリオンと可変戦闘機は、何機用意いたしますか?」

「両方30機と言いたいところだが、資材と予算は足りるのか?」

「正直すぐには厳しいですね、使ってる動力も推進装置も私が作ったやつですし、時間がかかりますね

 可能なら装甲も性能の高いのに変えたいところですが、その素材、宇宙で作らないといけないんですよね」

 

 そしてしばらく話し合った後、私は本題を切り出した。

 

「……お父様、私は明後日から少し出かけようと思います」

「……どこへ出かけるつもりだ?」

 私の雰囲気が変わったのを見て、その目がさらに真剣なものになる。

「こちらを……」

 

 私は事件に介入するべく、これから起こる悲劇の計画情報をみせる。

「!? カガリ、お前はこれをどうやって手に入れた?」

「私は色々なOSを作っては売りつけて資金調達もしていましたが、どうもあちらさんはそれを使っているようで、予め仕込んでおいたセキュリティーホールからウィルス流して、情報集めてたんですよね」

 セキュリティーホールは、私が設定した開発者専用裏コードだ。

 ぶっちゃけこれも開発チートで作ったものなので、現代の技術じゃまず見つけられないはず。

「今回の情報もそこから入手させてもらいました、さすがにこれを実行されたら、完全な種族戦争に発展しかねません、さらに言えば、今後プラントと理事国間で和平ないし、停戦するにして落とし所を探すことができなくなると思われます」

 

「カガリ、お前は私に一体どうしろと言うんだ?」

「何も、ただ私一人、個人で介入するだけです、その為の手段も作りましたので……」

 私は真剣な、覚悟を決めた目でウズミ代表の目を見た。

 

「わかった、私は何も見なかったし、何も聞かなかった、家のお姫様はバカンスに出かけたとしておこう

 だが、なるべくバレないようにな……」

 

「ええ、その為のシステムも入れてますから今の段階なら99%バレないでしょう、1%は、何事にも100%はありえないということで」

 

 

 

 

 

 そしてCE:70 2月14日、私は今宇宙にいた。

 

「時間だな、シグマ、相転移エンジン始動、作戦宙域にて行動を開始する」

『了解、相転移エンジン正常稼働中、テスラ・ドライブオールグリーン、発進、いつでもいけます』

「ならばこのまま作戦を開始する、試作小型艦、ウエポンブレイカー、発進!」

 

 現在ユニウスセブンで起こるはずの血のバレンタインを阻止するべく、小型の試作艦で航行している。

 作った船は、ロスト・ユニバースで作られた戦闘封印艦ソードブレイカーを1/2サイズで簡略化して作った船だ。

 ちなみに拠点に置いてきた戦艦はサイズそのままのソードブレイカーである。

 なお、プラズマニュートリノエンジンはまだないので、相転移エンジンで代用。

 サイエンジンも搭載済みである。

 ただ、オリジナルに比べたらやっぱりどうなんだろう?

 推進機構にはテスラ・ドライブとかも使ってるけど……。

 ファランクスレーザーは24門にサイブラスターが装備されている。

 さすがにリープレールガンはできなかった……、サイバリア、ディストーションフィールドの展開可能。

 だが流石にこの小型艦でのプラズマブラストは無理があった。

 代わりにグラビティーブラストが発射可能。

 戦艦の方には搭載されているので、いつか使う機会があるのかな?

 リープレールガンの代わりに通常のレールガンを装備している。

 そして自動修復システムも完備、ある程度の損耗は直せるようにしてある。

 なお、今回の作戦都合上、ソードブレイカーの色は真っ黒である。

 アニメの時の偽装した姿ではなく、本来の姿である。

 

「ミラージュコロイド展開開始」

『了解、ミラージュコロイド展開開始します!』

 

 そして漆黒のボディの船の姿は宇宙に溶けるように見えなくなっていく。

 

『作戦宙域に到達、すでに戦闘が開始されている模様』

「間に合ったか」

 

 核ミサイルはまだ発射されていないようだ。

 

 遠くには多数の爆発の火花が散っている。

 

『主殿、戦闘宙域から一機、MAが突破した模様、進路コースはこのまま行くと、食料生産コロニー、ユニウスセブンです!』

「念のための映像記録は取っているな? ミサイルが発射された瞬間にファランクスレーザーでミサイルを破壊する!」

 

 

 そして

 

『青き正常なる世界のために!』

 

 

 オープンチャンネルでそんな一言が聞こえてきたが、知ったことではない、ブルーコスモスのやり方も嫌いだからね、しかたないね。

 核ミサイルが発射された瞬間、ファランクスレーザーが発射された核ミサイルに突き刺さった。

 

 

 その瞬間、真っ赤で広大な炎が宇宙を照らした。

 目標であったコロニーを傷つけることも無く。

 その炎が焼いたのは、そのミサイルを発射したMAだけだった……。

 

 

 

『作戦完了、これより宙域を離脱しますか?』

「いや、ミラージュコロイドを展開したまましばらく様子見しよう、第二射の可能性がないとも言えない、ZAFTの守備隊の姿が見えたら離脱しよう」

『了解しました、ですが主殿、ブルーコスモスとはひどい奴らですな

 一般市民のいる、しかも食料生産コロニーに核を打ち込むなどという非道を行うとは……主殿?』

 シグマがこちらを見てから近づいてきた。

 艦のコントロールは直接操作しなくてもシグマはできるからいいんだが、どうしたんだろう?

『主殿、震えていますよ』

「え?」

 気がつけば私の手は震えていた……。

 少し考えればすぐに分かった……。

「ああ、私は人を……殺したんだな……」

 そりゃそうだ、好き勝手するつもりで悲劇の一つを止めたけど、それを止めるために、テロリストとは言え、人を殺したんだよな……。

 そんな事を考えているとシグマが私の体を抱きしめながら

『主殿、月並な言葉ではありますが、主は確かにテロリストとは言え人を殺した、これからもこういう事を続けるならばもっとすることになるでしょう

 ですが、なお続けるのであれば主殿は殺した人より、助けた人たちのことを考えましょう

 少なくとも主殿は、あそこにいる人たちを救ったのですから』

 

 その言葉の後、光学処理がされたモニターに映るのは、ユニウスセブンの無事な姿だった。

「ありがとう、シグマ……、おかしいな、私が作ったはずなのに、私よりよっぽど……」

『ふふっ、何を隠そうこのシグマ、主のために日夜進化を続けとりますからな』

 

 そんな中、レーダーに接近する部隊を補足、ZAFTの守備隊だ。

 

「……ふぅ、これより宙域を全速力で離脱、一度メンデルによってから帰ろう」

『すでにやっております、目標メンデルに向けて全速前進します』

 

 テスラ・ドライブのお陰で慣性制御がいくらか効いてるおかげで、体に掛かる負担は少なめだった中、私はあの男に送ったメールを思い出す。

 

(さて、勝負と行こうか、お前は私が止めてやる、キラではなく、このカガリ・ユラ・アスハが!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:クルーゼ

 

 それは突然だった。

「なに!?」

 端末が突然動き出し、モニターに表示されたのは

「はじめまして」

「ハッキングだと!?」

 そして続く文には

「突然お邪魔して失礼するよ、ラウ・ル・クルーゼさん? いや、フラガさんと呼んだほうがいいかな?」

(私の秘密を知っているだと!?)

 送られてきた文言に驚かされるしか無い。

「勝負をしよう、あなたと私の、世界を壊そうとするものとそれを止めようとするものの戦いさ」

(目的まで知られているとは……)

「もし私が勝ったら、君のことを治療させて欲しい、どこまでできるかは分からないが全力で取り組ませてもらう」

「クッ、ハハハハハハ、面白いね、全く面白いよ、今の今になってこんなことが起こるとは……」

 私はコンソールに打ち込んだ。

「その勝負受けよう、止められるものなら止めてみるといい! 私のこの世界への憎悪を止められるものならば!」

「ああ、ではいずれ何処かで……」

 

 そうしてモニターが消えると、その後には先程のやり取りの痕跡すら残っていたなかった。

「世界とはつくづく理不尽で面白いものだな……なぁ、レイ……」

 ここにはいないもう一人の私の同胞を思い、そう口に出してしまった。

 

 

 

 




続かない。

11月26日 一部修正。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

お声が多かったので、ほんのすこしだけ続いたんじゃ

11月23日 修正


 私はあの後、メンデルに立ち寄り、事前に用意したもので酸素や水の補給を行なっていた。

 

「シグマ、施設の復旧状態はどうだ?」

 通信で内部に入ったシグマに現状の報告を聞く。

 

『汚染物質の類はなし、ガンマ線で完全消毒したとの事ですが表向きということなのでしょう……、あちこちの研究施設が破壊されています』

 予想はしてたが、破壊されてるところが多いか。

「となると、けっこう大変だな、とりあえず生命維持システムや壁の補修から優先して直していこう、作業ロボットはそれなりに連れてきたから、一区画だけでもいいからまず直していくぞ!」

『了解しました、主殿!』

 

 破壊された設備は諦めて、まずは生活スペースから復旧させるか~。

 事前に生産設備そのものをコンテナにいれて運んできたから、ある程度復旧できたら生産も始められる。

 

 

 

 それから2日、なんとかコロニーの一区画を復旧させることに成功した。

 その間に世界はものすごく荒れていた、そらまあ一般人が多くいる、食料生産コロニーに核ブッパってなったらそうなるよね。

 ブルーコスモスのやった一件で、理事国側は結構非難も上がってるね。

 

 そのせいか、地球間でも中立以外では親プラント国家と連合側に別れる自体になっていた。

 ブルーコスモスのやらかしたことで連合軍側の一部の人達は頭を痛めているもよう。

 

 

『メンデルの一区画ですが、復旧作業完了しました』

「よくやってくれた、ならこれからEカーボンの生産に移る、準備に入ってくれ」

『了解しました、主殿』

「予定数に達したら、一度オーブに戻るぞ」

 

 そろそろバカンスも終わりだな……。

 

 

 

 それから3日後、私はオーブに帰還していた。

 その間にプラントの独立宣言や、クライン議長による積極的中立勧告、連合軍の南アメリカ合衆国に武力侵攻。

 パナマ宇宙港を軍事制圧し、南米大陸を大西洋連合に併合するなどの出来事もあった。

 

 

 オーブに帰還した私は、船に積載した資材を使って、バルキリーとシーリオンの二機と、ソードブレイカー、シグマの機体の装甲をEカーボンに交換していた。

 これにより、装甲の材質はより強固なものになった、さすがに発泡金属はちょっと脆かったので……。

 先行生産型の二機はEカーボンで行くとして、量産型は発泡金属をEカーボンでコーティングする方向にするか?

 メッキとまでは言わないけど、発泡金属をEカーボンで覆えば、少しは使う量が減らせるはず。

 

 まあ、ACE機体には純Eカーボンで行こう。

 そして、PS装甲とSWAGエネルギー転換装甲を両方つけるか考えた結果、いま現段階ではPS装甲だけでいいと判断。

 なお、PS装甲については時期を見てVPS装甲に変更する事をここに記しておく。

 

 

 まあ、PS装甲もある上で相転移エンジン使ってるから、ディストーションフィールドが展開できるんだよね。

 実体弾に対して弱いってのがあるから過信は禁物だけど、一応解決策はできたから、多少はマシになっているはず。

 

 実験結果はいい感じになった。

 ディストーションフィールドをピンポイントバリアの応用で部分的に収束させることにより、実体弾に対してもある程度の防御力と、エネルギーの効率化に成功した。

 ただまあ、これを人力でやろうとすると無理なので、基本AIサポートが必須になることかな。

 ダブルオーでロックオンをサポートし、サバーニャではライフルビット、ピストルビットを操作していたハロの様な存在が必要になるかもしれない。

 フィールドだけならAIに判断させればいけるかな?

 この辺も課題もだな。

 まあ、当面はディストーションフィールドで問題は無いとは思うんだけどね。

 後は、このピンポイントディストーションフィールドは、拳に集中させれば原作にもあるピンポイントバリアパンチのようなこともできる……。

 それはつまり、原作ナデシコにもあった、フィールドアタック、ゲキガンフレアのようなこともできるということにもなる……。

 バルキリー突撃形態とか、流石に危なすぎるか。

 

 シーリオンの方もPS装甲+相転移エンジン+バッテリーの組み合わせの機体となった。

 ごく短時間ではあるが空中も飛べる、だけどその機会は早々ないと思われる。

 ただ水中で使っているから相転移エンジンは本来の出力の半分しか出ていないんだよな、可能ならやはり核融合エンジンに取り替えるか、併用したほうがいいんだろうな。

 時期を見て取り替えたいけど、核融合エンジン使ってるのがバレたら、真っ先にブルーコスモスに狙われるよな。

 

 武装は基本ミサイルなどの実体弾、そこに近接用兵器を搭載。

 そして、最後にグラビティーブラストも搭載……したんだけど、真空状態ではないから相転移エンジンも不調なので、チャージに時間がかかる。

 なのでそれを少々いじって、低コストのグラビティーショットを開発。

 イメージとしては、グラビティーブラストがバズーカやランチャーに例えると、グラビティショットは拳銃やライフルといったところだろうか。

 

 グラビティブラストやグラビティショットは念のためシステムロックを掛けてから、お父様に報告。

 その頃には一週間程経過、世界樹戦は終了しており、この時ニュートロンジャマーが初めて使用された。

 

 しかしその脅威が世界に広まればどうなるか……、一度お父様と話し合いをすることにした。

 

「お父様、世界樹攻防戦で使われたこの兵器、いかが思われますか?」

 という訳でいつものようにニュートロンジャマーの使用データを提出する。

「……もう何も言うまい、しかし長距離通信障害も去ることながらレーダー撹乱まで、最後にこの核分裂抑止効果は、先の核ミサイルに対する処置ということか」

「ええ、血のバレンタインとも呼ばれてるそうですよ、コロニーに被害は無かったようですが、プラント側も核の威力に警戒、使われないようにこうして対処してきたということでしょう」

 

 だが、少し考えた末にウズミ代表は

 

「だが、これは使い方を変えればとんでもない兵器となろう、これを地球のあちこちにバラ撒かれでもしたら原子力発電に頼っている国は確実にエネルギー問題を抱えるぞ」

「そうなりますね、それについてはこちらを」

 すでに計画についての一部情報を入手できたので、それをウズミ代表に見せた。

 

「核兵器に対する報復か……、しかも外交カードとして使うか」

「親プラント国家にはエネルギーを輸出することで対策していると思われます」

「オーブは地熱発電で賄っているから問題ないが、他の中立国家などは厳しいだろうな……」

「ええ、被害を受けないのは、原子力発電以外の方法、水力、風力、火力、太陽光発電で賄える国家でしょうね」

 ほとんどそれだけでまかなえてる国ってほとんど無いよな、特に国土がそれなりにある国となったら……。

 

「お父様は、これについてどうお考えですか?」

「これをやられたらオーブ単独ではどうしようもあるまい、中立である以上、そうそう支援などできんし、する余裕もない」

「お父様は【いかなる事態が起ころうとも、オーブは独立、中立を貫く】と宣言したばかりですからね、理念は他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、また他国同士の争いに介入しないですからね」

 

 中立って難しいですね。

「ちなみに余裕があれば支援はしましたか?」

 なんとなく聞いてみた

「オーブの理念に反しない範囲、つまり中立国や新プラント、連合側でない国になら、余裕があれば支援したかもしれんな」

 その一言で私の口角はわずかに上がった。

 

 確かオーブの友好国ってスカンジナビア王国ぐらいだったよな……。

 確かシーゲル・クラインの生まれ故郷だったかな?

 デスティニーではアークエンジェルを匿っていたとかなんとか?

 

「ですか……、一応やろうと思えば大型蓄電バッテリー開発して、それを支援物資として中立国に配るぐらいはできそうですけど……」

 相転移エンジンでいくらでも発電できるからね。

 

「ふむ、ならば手の空いている時にいくつか作っておいてもらえるか? 何かに使う事もあるかもしれん」 

「畏まりました、それから例の機体についての進捗状況ですが……」

 

 そしてウズミ代表に報告を入れて去ろうとしたところで

 

「カガリ、何時もすまないな……、本来であればお前も普通に学校に通っている歳だと言うのに」

「気にしないでください、私は今できることをしているだけですから」

「何時も厳しくしてすまない……この間のバレンタインにお前から送られてきたチョコはうまかったぞ」

 普段は代表としての顔を見せていたお父様が、久しぶりに父親として、娘に微笑む顔が見れた。

「ありがとうございます! また来年も作りますね!」

「ああ、楽しみにしている」

 

 

 

 そしてそれから時は流れ、CE:71年1月

 その間にも世界は動く、エイプリルフールクライシスにより、原子力発電が行えなくなり、世界各地でエネルギー問題が発生した。

 それにより、一気に反プラント熱が一気に加熱する……はずだったのだが、今は比較的反プラント熱はピーク時の半分にまで下がっていた。

 その理由は、私が介入しちゃったからだ。

 

 前にウズミ代表から頼まれて作った大型蓄電バッテリー、ぶっちゃけると劣化ハイパーデンドーデンチのバッテリーを作ったのだ。

 容量にして、都市一つを3ヶ月ぐらい賄えるクラスだ。

 それを私が作った電力会社を使って、各都市に合わせたバッテリーの電力を一般市民に売りつけたのだ。

 なお、大本は私だが、各支社の名前はバラバラにしてある。

 この支社をブルーコスモス勢力がなるべく少なく、かつある程度は安全な場所に配置した。

 一応ブルーコスモスの勢力圏にも2件ほど立てて見た。

 その結果、支社を設置した場所では最低限の電気が保証され、原作よりエネルギー問題が減り、餓死者も原作より減少、その結果、ブルーコスモスの力がとても強い所以外では、反プラント熱が減少したのだった。

 なお、ブルーコスモス勢力圏ではバッテリーを強制的に接収しようとするおバカもいたので、即撤退。

 その結果、逆にブルーコスモスや連合への反感が生まれてしまったという事が起きたのだった。

 

 後はまあ、戦艦一隻を都市に横付けすれば、ある程度はエネルギー問題が解決できるが、連合軍はそれをわかっていてやらず、民間人の犠牲を無視してでも戦争にエネルギーを回してる事実をネットにばら撒いたら大炎上したのもある。

 

 

 ちなみにこの電力はすべて宇宙空間で発電した相転移エンジンで生み出し、それをミラージュコロイドを使用して空輸、大体二月に一度充電する方式を取った。

 なお、充電方法は最終的に、普通のパラボラアンテナに偽装した、マイクロウェーブ受信機に、ミラージュコロイドで隠れた船から受け取るようにする形になった。

 まあその結果、シグマの様なロボットを数体作ることになったのだった。

 

 運び屋リ・ガズィタイプと、アレックス、Z、ν、ZZのアルガス騎士団等のSDガンダムをモチーフにした子達だ。

 

 しかし、電力売るだけでここまで儲かるとは……、それはそうだよね、火力発電なんかと比べたらコストかからないもん。

 そして今現在の太陽光発電や、風力、水力、地熱などの自然利用発電よりも効率がいいと来たらもうね。

 

 他にもサハク家が行なった、連合へのMS開発協力も当然阻止したかったのだが、完全に阻止はできなかったのだ。

 ある程度話が決まったところで、ウズミ代表が介入、その後話し合いが行われ、期日まではサハク家もといモルゲンレーテが協力するが、それ以降は協力しない。

 期日を過ぎてもヘリオポリスにとどまるならばその場合、強制退去、直ぐ様退去しないならば連合軍による中立地帯への武装占拠扱いで拘束するとのこと。

 

 まあ、秘密裏に進められた会談の場に突然現れたウズミ代表に、ハルバートン代表とロンド・ミナ・サハク、並びに同席していたマリュー・ラミアス技術大尉は驚いていましたが。

 ミナお姉さまは忌々しげに見てらっしゃいましたが、ヘリオポリスを壊されるわけにはいきませんので。

 

 後は建前でも、ZAFT側への言い訳として、スパイが来ることを想定して、ヘリオポリスの施設は連合軍に占拠されている体で行くので、内部でも見かけだけはそう見えるようにしてもらっています。

 

 そしてそんなこんなで、現在私はヘリオポリスに来ていた。

 一応ヘリオポリスへの視察という名目でここに来ているが、実際はヘリオポリスを守るためだ。

 その為、輸送船に偽装したウエポンブレイカーと、バルキリーも数機連れてきている。

 ただまあ、お父様の命令とは言え、まさかキサカを護衛に付けられるとは……、原作からして腐れ縁を感じるな。

 

「キサカさん、視察予定の場所は、この先でよかったんですよね?」

「ええ、この先にある工科カレッジが予定地です」

 現在ヘリオポリスの大通り、キラの通っている工科カレッジの視察へ向かう途中だ。

 流石にシグマを連れて歩くと目立つので、今回はお父さんの部下であるレドニル・キサカ一等陸佐さんが護衛についてくれている。

 シグマはウエポンブレイカーでお留守番だ。

 

 そしてまあ行き先は、キラのいる工科カレッジなんだ。

 そして視察先ではキラがおそらく教授に頼まれたであろうプログラム組んでいる姿が見れた。

 うん、うちの弟はかわいいな~。

 他にも工科カレッジの中を見て回ったりもしたよ、ちゃんと視察もしたんだよ。

 

 そして数日の視察が終わった後、1月24日、モルゲンレーテでは連合軍への退去勧告が秘密裏に行われた。

 MSもロールアウトしているのだから後はその専用運用艦でとっと出ていって欲しい。

 念のため、ZAFT艦がこちらに向かってきているのも通達してある。

 それにしても、嫌な予感がするな~……。

 

 案の定だよ、まだOS開発が終わってないとかでしぶり始めやがったよ!

 なお、連合の良心マリューさんは退去しようとしてくれたのだが、上のほうが渋ったのだ。

 まあ、マリューさんには悪いけど、期限が来たので最後通告を噛ましてから制圧するとしましょう。

 

 予め用意しておいた武装を、ヘリオポリスで待機させておいたオーブ軍に使ってもらい、とっとと制圧してもらったのだ。

 まあ、抵抗しない人には手荒な真似はしないで済みましたが。

 

 抵抗する人たちには痺れてもらいましたけどね。

 今回使ったのは銃弾なんて物ともしない防具一式と、メタサイコロジー、精神物理学から生まれた非殺傷兵器のパラライザーを使いました。

 周りの人達は驚いてましたがね。

 引き金引くだけでターゲットが痺れるんですから。

 

 そうして捉えた人たちをアークエンジェルに詰め込んで、ZAFT軍が来る前にとっとと退去してもらいました。

 連合軍からは恨まれそうですけど、期日を守らないほうが悪いし、ついでに言うならZAFT軍がこっちに向かってるってつってんだからバレない内にとっとと帰れってんだ!

 

 そして上がしびれて動けない間は、一番階級が高かったマリュー・ラミアスさんが指揮をとることになっていた。

 一応、地球までいける補給物資は積んでおいて上げたので、まあなんとかなるでしょう。

 

 まだZAFT軍も来てないから、多分逃げ切れるでしょう……。

 

 

 

 そして翌日、ZAFT軍艦ヴェサリウス、他多数がヘリオポリスに現れたのだった……。

 

 

「こちらヘリオポリス、ZAFT艦、応答願います、繰り返す、応答願います!」

 そして無視される通話。

「接近中のZAFT艦に忠告する、これ以上の接近は我が国の法に違反するものである、直ちに停船されたし、停戦されない場合は撃沈する用意あり! 直ちに停船されたし!」

「強力な電波妨害を確認! これは明らかに戦闘行為です!」

 

 こうして、ZAFT軍はオーブに攻め入った。

 そして、本来の歴史であればヘリオポリス内で爆発が起き、アークエンジェルが瓦礫の下敷きになり、乗組員や作業員が犠牲になるはずだったのだが、この世界では大きく変わってしまった。

 そう、もうアークエンジェルや連合軍はいない。

 パラライザーなど、開発した非殺傷兵器を使って、スパイを可能な限り徹底的に捉えることに成功。

 

 そして、ヴェサリウスから来た突入部隊も、予め侵入ルートに仕掛けておいた罠と、配置しておいた部隊によりまとめて御用。

 ついでに捕まえる直前でこっちからも通信妨害を入れたので、あちらに情報がほとんど伝わらないから……、さて、どうでる?

 ラウ・ル・クルーゼさん。

 

 

 そして発進するジン、それに対してこちらは、外装を偽装したウエポンブレイカーを出す。

 

「キサカ、バルキリーを三機だすが、構わないか?」

「ウズミ様からは伺っていますが、よろしいのですか?」

「ああ、機能をいくらかセーブしておけばそこまで問題あるまい、シグマ、バルキリー三機を発進させろ」

『主殿、私も出撃しても良いのでしょうか!』

「当然だ、指揮は任せるが可能ならなるべく殺すなよ、後がめんどくさいからな。

 可能なら捕縛しろ! 制限については基本変形無し、グラビティショット無し、ディストーションフィールド無しだ」

「了解しました!」

 

 ただ、流石にクルーゼが出てきたら、制限を少しゆるくするか?

 いや、シグーぐらいまでならスペック的には多分問題ないはず。

 

 シグマがブリッジから離れ、格納庫へ走り出した。

「しかし、電波妨害は厄介だな……、無力化か、別の通信手段を模索するべきか……」

 ニュートロンジャマーキャンセラー、あれは電波妨害も無効にするんだっけ?

 いっそ、どうにかしてフォールドクォーツもどきでも作るか?

 だがそんなことを考えている間に戦闘は開始されたのだった。

 

 

 

 

 

 side:ZAFTパイロット

 

 最初は気楽な任務だと思った、中立国とは言え、所詮相手はナチュラルだ。

 中立国と連合が組んでMSを開発してるそうだが、ナチュラルがコーディネーターである俺たちに勝てるわけがないだろう!

 生意気なんだよ! ナチュラルがモビルスーツなど!

 そして出てきたのは健気にも時代遅れの戦闘機を宇宙で使えるようにしたものだった。

 あわれすぎて涙がでるね~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思っていた時期が、俺にもありました。

 気づいたらジンは大破寸前、コックピット回りだけ綺麗に無事だけど、両腕と片足が破損、ブースター系がかろうじて動くから母艦には運が良ければ戻れるレベル。

 だが、何あれ? 明らかにナチュラルどころか赤服でも無理だぞあんな動き!?

 

 しかも電波妨害入ってるはずなのに、明らかにこっちの動きすべてを把握して行動してるぞ!?

 しかも機動性にいたっては人外の領域だ!

 人間がのったら明らかに加速する時のGでブラックアウトするぞ!

 あ、また一機やられた……しかも俺とおんなじ被害で。

 確信した、あれは狙ってやってるな。

 さて……どうするか……。

 

 

 

 side:out

 

 

 

 

 

 

 side:カガリ

 

 いや~、圧倒的だったね。

 バルキリーの機動性と、慣性中和機能もあるテスラ・ドライブの親和性がやばいやばい。

 原作のイサムやガルドが死ぬ思いをしたあのスピードを多少苦しい程度のGに緩和するってすごいわ

 しかも早すぎてジンがまったく対応できてない。

 気がつけば出てきたジンはすべてやられていた。

 うん、とりあえずMS部隊にはNDKと言っておこう。

 

 まあ、やってることがぶっちゃけマクロスのシステムゴーストと変わらないんだけどね。

 一機はシグマが乗ってコントロールしてるけど、複数のカメラから得た情報で、全方位把握して動いてるから有視界の戦闘においても死角がない。

 シグマも操縦桿は握ってるけど、ダイレクトコントロールできるからね。

 電波妨害がなければそれこそ船に乗ってる状態でも操縦は可能なのだ。

 ちなみに残りの二機にはアルガス騎士団の二人を乗せている。

 AIコントロールという意味ではマジでマクロスのゴーストです。

 それにしても、あんな軌道を描くゴーストを、ミサイルも使わずに落としたマクロスのエースたちは本当に人間やめてるよね、いい意味で。

 コーディネーター、なにそれつよいの? レベルだよな……。

 

 

 

 さて、いろいろぶち壊しにしちゃったけど、どうするのかな?

 ラウ・ル・クルーゼ隊長さん。

 

 sideout

 

 

 

 

 side;クルーゼ

 

 

 何なのだあれは!?

 時代遅れの戦闘機かと思えば、MAは愚か、MS以上の性能を叩き出している!?

 ものの数分でジン部隊が全滅だと!?

 しかも、内部に侵入させたアスラン達から応答がないだと!?

 

 まさか中立国と侮ったか!?

 これほどの戦力を揃えているとは……。

 まさかオーブにいるのか……、あの差出人が!?

 

 だが、どちらにしろ厄介なことになりそうだ……。

 

 

 sideout

 

 

 

 

 

 

 side:キラ

 

 

 鳴り響く警報がカレッジ内を埋め尽くす。

『避難警報が発令されました、市民の皆様はシェルターの中に避難してください、繰り返します……』

 そして避難を呼びかける内容が繰り返されるが、危険度で言えばまだ低い方だった。

 

「一体なにが起こってるんだろう……」

 思わず外、コロニーの外を思いそちらを見つめる。

 

「何やってるんだキラ! さっさと避難するぞ!」

「あ、ちょっとまってトール!?」

 急いで携帯端末をしまうと、トールに手を握られながら避難場所に連れられる。

 その途中でミリアリア達と合流したが、その時ふと昨日見学に来ていた人を思い出した。

 あの金髪の、自分と少し似た人を。

 

「あの人も、ちゃんと避難できたかな?」

 

 ふと思い出すように見学に来てた人と話してみたが自分と同じかそれ以上にプログラムにも精通していた彼女との会話は楽しかった。

 初対面の人なのに不思議な人だった、同い年みたいな気がしたのもあるんだろうけど、まるで家族、姉弟と話しているように気さくな感じがして話しやすかった。

 

 また会えるだろうか?

 

 しかし、まさかこの翌日に思わぬ再会を果たすとは思わなかったのだった……。

 

 

 

 

 

 




という訳で本編の第一話でした、次回書くとしたら飛ばし飛ばし、原作はブレイクしてしまったので、どうなるか……。
割りとオリ展開もいれつつ原作の流れも踏襲できると良いな~……。
と言うより短編だよバカヤロー!


まあしばらくはこっちは書かないと思います、連載で書いてるのもあるのでそっちええかげんかかんといかんので。

そしてなろうでスランプで書けなかったのもちょこちょこ書き始めないと……。

では皆様、いつかまた ノシ


ちなみにジン相手に、マクロスプラスのガルドVSゴーストの時のような戦いをするのはいかが思いますか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

遅ればせながら皆さんあけましておめでとうございます、今年初投稿。

ちょっと体調不良で掛けない日が続いてなかなか仕上がりませんでした。
後は……FGOのイベントが……。




 ふぅ、あれから色々あった。

 捕虜にしたメンバーの扱いから、戦闘後の事情説明、並びにその後の交渉。

 私の権限ではどうにもならないのは明らかなので、ウズミ代表に出張ってもらうことに。

 留守はキサカさんに任せた。

 

 ウエポンブレイカーを足に使っての高速便である。

 うん、サイシステムつかってフェイズドライブしました。

 ミラージュコロイドとかも併せて情報隠蔽しながら帰国、そのまま緊急事態ということでウズミ代表を連れてとんぼ返り。

 通信で行ければよかったんですけどね……。

 Nジャマーの影響で長距離通信は難しい状態だからな~。

 

 あ、お父様が悟りを開いたかのような顔してらっしゃる、またの名を、激流に身を任せ同化する。

「もはやいちいち驚いていたらお前の父親はできんよ……」

 

 その後の交渉の結果半分のZAFT兵捕虜は返還。

 重要人物でもある赤服4人組の半分はしばらく捕虜という名のヘリオポリスに滞在という形にはなった。

 残りの半分、ぶっちゃけイザークとディアッカは先に返還した。

 まだ温和な二人に残ってもらったほうがこっちとしては助かるというのもあった。

 最終的な交渉は、あちらも交渉の代表となった、パトリック・ザラを呼んでの緊急会談が行われるようです。

 一応お互いのすれ違いが起きた事件として扱う事になりそうです。

 

 まあ、もらうもんはもらうんですけどね……。

 

 なおアスランとニコルには監視もかねて私の視察に同行してもらったりもした。

 再度、キラのいる工科カレッジに行ったときにはタイミングが良かったのかキラとアスランの再会があったりもした。

 廊下でキラとアスランが鉢合わせした時の顔は原作再現とおもわれるぐらいに動揺していたけど、殺伐とした戦場での再会でなかっただけマシといえるだろう。

 

 

 まあ僅かな間ではあったけど、この世界での学生の雰囲気を味わえただけ貴重な経験だったといえるだろう……。

 

 

 その後、建前を押し通し一応の和解となった。

 残りの捕虜も開放、鉱物資源や賠償金などで手を打つことに。

 

 

 そしてその間にクルーゼ隊はアークエンジェルを追っていった。

 

 その後、原作補正と言うか、修正力とでも言うべきなのか、どういうわけかクルーゼ隊はギリギリ第八艦隊合流前でアークエンジェルと交戦、その際にデュエル、イージス、ブリッツを鹵獲に成功。

 ストライクは急遽フラガさんが乗っていたことにより難を逃れ、バスターまでもが何故か奪取されずにすんだ。

 どうやらフラガさんがパイロットとして覚醒した模様。

 ジン相手に善戦し、第八艦隊との合流までの時間を稼いだようだ。

 

 

 だがその後、第八艦隊がほぼ壊滅、アークエンジェルも低軌道会戦もアラスカから進路がズレて落ちてしまう。

 ただキラがいないせいなのか、あるいは私が飛び出していないせいなのか、アークエンジェルは確かにアフリカに落ちたのだが、海岸線ギリギリ、紅海にほど近い場所に落ちたため、バルトフェルド隊に追撃されずに済んだのだった。

 

 明けの砂漠はご愁傷さまである。

 

 さてアークエンジェルに起きた原作との差異があったが、実は第八艦隊にも原作とのズレが起きたというか、起こしたと言うべきか……、ハルバートン提督が生存したのだ。

 本来であれば、準備万端なクルーゼ隊のはずが、こちらではGAT-Xシリーズの鹵獲が低軌道会戦の直前。

 さらにアークエンジェルも人員が足りてるおかげなのか、クルーゼ隊の戦力が落ちているせいなのか、原作とは違う結末となった。

 

 

 ……引き抜くべきかな、これは。

 

 ハルバートン提督は連合の中でもトップクラスの常識人だ。

 能力も問題なく、連合軍でも疎まれている。

 今回の戦闘の事もあるから、一歩間違えると上に消される可能性もある。

 ジャン・キャリー博士も連合からは疎まれてるし、ダガーシリーズが出来て、ブースデッドマンが完成したら確か連合にいるコーディネーターはまとめて処分されたって聞いた気がする。

 

 よし、引き抜こう!

 人道的にも問題あるしいいよね(暗黒微笑)

 

 

 

 

 会談の後、ヘリオポリスにはしばらくの間バルキリー3機を護衛において、私たちはオーブへ帰還した。

 宇宙空間でなら相転移エンジンも問題なく稼働するので、ほぼ無補給で動けるためよっぽどのことがない限りはメンテも必要ない。

 自律行動できる利点だね。

 グラビティーフィールド及び、グラビティーショットの使用は防衛の際に弾薬が尽きた時のみ許可を出している。

 変形機能も必要とあれば自己判断で使用を許可した。

 オーブに帰ったらお父様は大変だろうけど、まあ、私は開発に忙しいからね、仕方ないね。

 

 

 

 

 

 うん、オーブに帰ったらお父様がバルキリーに関してせっつかれてましたわ。

 ジンを完全に圧倒し、無力化した上、たった3機でZAFT軍を打倒したという無茶苦茶な戦果である。

 

 モルゲンレーテ以外での、完全独自開発した機体故にほぼデータがない。

 あるのは外見上戦闘機であることだけだ。

 

 当然MS開発をしていたモルゲンレーテは上を下への大騒ぎ。

 

 

 バルキリーの正式配備も近いかな?

 それともまだアストレイで頑張ってモルゲンレーテの意地を見せるか?

 キラがいない以上ナチュラル用OSをモルゲンレーテの力だけで作り上げられるのかな?

 

 

 さて、アストレイとかはあっちに任せながらこっちはこっちでフルメタのアラストルみたいな子作らないと。

 潜入&救出で、タイミング次第で交渉や救出、襲撃できるようにしないと……。

 どこぞの人材収集家じゃないけど、どこも優秀な人材は欲しいからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後しばらくして……色々開発してるところで

「主殿、お父上からお呼び出しの知らせが」

 ボディを新調したシグマから、お父様からのお呼び出しが入りました。

 見た目はSDからリアルタイプモデルにチェンジしている、目はそのままだけど。

 フェイズドライブ駆使して、木星からヘリウム3を回収したりしてプラズマニュートリノエンジンを完成させたり、グングニール対策として、今までも施してたEMP対策をさらに強固にしたり、小型パラジウムリアクター作って、アラストルを完成させたり、人工疑似フォールドクォーツのようなものを作って通信妨害対策していたところだったのだ。

 

 ちなみにシグマのニューボディはフルメタル・パニックのアラストルを元にして作ったため、前のボディに比べて大きくなり、私より身長が高くなったのだ。

 バルキリーを表に出したからか、護衛のためにとシグマにせっつかれたのだ。

 元にしたアラストルの関節部の問題も対処し、PS装甲、ミラージュコロイド、重力制御、静音動作も可能にしたハイスペックボディ……開発費が恐ろしいことになったのは言うまでもなかった。

 新たなボディを手に入れた本人? にとっては今までのSDサイズなロボ太ボディより動きやすくなり、護衛としてより働けることをよろこんでいたようだが……。

 

 他にもソードブレイカーやシグマの機体に搭載する予定の、慣性制御チップや空間湾曲チップの開発を始めようとしていたところだったのだけど。

 

 

「お父様、如何なされました?」

 お父様の執務室に行くと、何故かエリカ・シモンズ主任がいた……。

 

「……すまんカガリ、どうも頭の固い者が多くてな」

 お父様いわく、どうやらバルキリーの性能に懐疑的な人が多い様で、かといってアストレイのOSが完成していない状態では性能試験で競う事ができない。

 

「つまり、ナチュラル用OSの技術協力を求められていると?」

 一度エリカ・シモンズ主任の状態を見てから、お父様の方を見ると

「ああ、カガリのところにいる()()()()OS開発をな」

 

 お父様の言い回しに意図を察した。

 

「なるほど、つまり()()()()()()()モルゲンレーテのOS開発に何かしらのアドバイスなりして完成させろと?」

 

 一応、私が開発したことはまだ隠せてある……と。

 

「そうなるな、流石にモルゲンレーテ社も意地があるようなのでダイレクトにナチュラル用OS開発は依頼してこなかったが」

 

 ちらっと主任を見ると、その状態は酷い有様だった。

 身だしなみはしっかり整えているが、化粧の上からでもわかるほどに酷い有様だった。

 何日徹夜したのか、目には隈が、そして肌の状態も悪く、髪の毛の状態も良くない。

 

「お恥ずかしい話ながら、現在我々が作ったOSではとてもではないですが、戦闘機動と言えるものでは無いのです」

 

「なるほど、一度データを見せていただいてもかまいませんか? うちの技術者と相談するにしても元にするそれがわからなければ問題点も相談出来ないので」

 

「え?」

 エリカ・シモンズ主任としては、バルキリーを開発した技術者と顔合わせしたかったんだろうけど、とてもじゃないけどお父様も娘が全部が作りましたとは言えんよね。

 お父様の反応を見る限り、我が家、あるいは私お抱えの技術者と説明してると思う。

 

 むしろそっちのほうが自然だと思われる。

 

「どうしました? ここで見るのは不味いのですか?」

 

 あ~、これはあれかな? オーブでの私のあだ名のせいかな?

 

 ここで説明するとオーブでの私の立ち位置は姫ではあるのだが、裏で色々やってるから、表立っての活動はほとんどしてないのだ。

 公務は出てるけど最低限、裏で開発を色々やってるからあんまり時間割けないんだよね。

 

 基本お父様から貰った無人島に行ってるから、語感だけでいいのなら、オーブの眠り姫、悪ければニート姫とか引きこもり姫等々、いい呼び名がないのだ。

 ただ、公務の際においては悪いことや失敗はしてないから、無能ではないが有能かと言われたら微妙なラインと思われるように誘導しているので、こういう反応も慣れてはいる。

 

「申し訳ありません、何分機密に関わるので、モルゲンレーテから持ち出すのは問題が有り、そちらから来ていただきたいと……」

 

 まあ、そうなるわな。

 一度お父様の方を見ると、GOサインが出されているので仕方ない。

 

「わかりました、ではこの後私がそちらに伺いましょう」

「……わかりました、では車を回して置きますので、準備ができたら連絡をください、ウズミ様、本日はありがとうございます」

「ああ、こちらもナチュラル用OSが完成するのを期待していよう」

「では、失礼致します」

 

 そうして主任が退室すると私はシグマのセンサーで盗聴なんかの有無を確認させ、安全が確認されたところで

「お父様、そんなに他の方々は頭が硬かったのですか?」

 一体どれぐらい硬かったんだろうか?

 

「ああ、MSの開発にさいして今までかかった費用などもあるのだろう、そして後はOSの問題さえクリアすればいいところまできて、お前のところの機体に持っていかれるのが気に食わんのだろうな」

「あ~、少なくともサハク家、並びにセイラン家辺りは利権関係もあって反対しているんでしょうね」

「アストレイを作るために連合と裏取引をしたぐらいだったからな、お前に教えてもらわなければ割り込むことも出来ずに、あとになって事後報告か、ヘリオポリス襲撃の時に知らされた可能性が高いだろうな」

「情報収集していて良かったです……、しかしこうなるといっその事、アストレイはそのままにバルキリーとシーリオンは家の私設部隊として扱ったほうがいいですかね? 下手に揉めることもないですし、技術漏洩の心配もなし、国防に関しても、独自行動権さえあれば動けますし」

 

 無理に正規採用させるより、特殊部隊的な位置にいれば動きやすいんじゃないかな?

 

「そのほうが軋轢は少ないんだろうが、空軍の方からはバルキリーをよこしてほしいと嘆願書が来ててな、とくに戦闘機乗り関係からな……正式採用はされてないからと言っていはいるが、いつまで持つか」

「あ~、戦闘機に乗ってる人たちからしたらバルキリーは突如現れた希望のようなものになってしまったんですね」

 MSが戦闘の要になりつつある今、ただの戦闘機だと厳しいよね。

 しかもPS装甲が普及したら、それこそミサイルや機銃なんかの実体弾通らなくなる。

 そうなれば難易度はただの戦闘機で緋蜂を落とすようなものになる。

 一応フェイズシフトダウンがあるから当て続ければいつかはきく分、緋蜂改よりは下がると思いたい、ハイパーモードもボムもないけど。

 

 だがそんなところに現れたMSを圧倒的な力で無力化した戦闘機(見た目は)が現れたのだ。

 となれば当然、こういう話題は上がるだろう。

 

 これはおそらくシーリオンを出したら海軍からも来るのではなかろうか……。

 

 

 この後、お父様と現在の開発報告と、シグマのニューボディ、疑似フォールドクォーツとサイシステムを用いた思念通話システムを試したりしてから私はモルゲンレーテに向かったのだった。

 これでいつでもお父様と連絡がつくはず……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:エリカ・シモンズ

 

 私、エリカ・シモンズは憂鬱である。

 隠しているが私はオーブに住んでいる、所謂隠れコーディネーターだ。

 夫には結婚する際に話してはいるものの、回りにはそれを隠している以上どうしても疎外感のようなものを感じることもある。

 

 最近は上からナチュラル用OSを完成させろと矢のような催促が来ている。

 そのせいか最近モルゲンレーテ内では重く、切羽詰まった空気で満たされている。

 それもこれもアスハ家が作ったという戦闘機が原因だ。

 ようやくMSがOS以外は完成した所に、コロニー防衛戦において、戦闘機でZAFTのMSを完封するというニュースが飛び込んだせいだ。

 

 その結果、モルゲンレーテで開発されていたMS、M1アストレイのオーブ軍正式採用に疑問視が入ってしまったのだ。

 だが、その疑問の声には私も同感であると言わざる得ない。

 少なくとも映像で見た宇宙での戦闘データから、スペックでは確実にアストレイでは太刀打ちできない。

 大気圏内でも厳しいものであると予想される。

 あの機動性で動き回られたら今のアストレイでは翻弄された後に後ろを取られて終わるだろうと。

 

 だけどあれほどの機体だ、早々量産できるものじゃないはず。そういう点では量産が前提とされてるアストレイに分があるはず。

 しかし肝心のOSが全くと言っていいほどうまくいかない。

 そしてこの空気を打破するために国内の隠れCO(コーディネーターの略)に協力を求めようと思ったのだが、そう簡単に見つかるわけもない。

 そこでダメ元でウズミ様に交渉し、技術協力をお願いすることになった。

 

 バルキリーを開発した技術者ならもしかしたらこの空気を変えるような案。

 いやもしかしたらすでに開発してるかも知れない、ナチュラル用OSから足りない部分を出してくれるかもしれない。

 そうじゃなくても、何かしらの取っ掛かりができるはず!

 全く違う技術形態からの刺激というのは馬鹿にできない結果を出すことがあるのだから。

 

 だけどまさか来るのがあのカガリ様とは……。

 セイラン家のあの方ほどではないにしろ、カガリ様の印象は今のところ表に出る機会が少なく、ある意味可もなく不可もなくという印象が拭えない。

 彼女の後ろにいるであろうバルキリー製作者が、彼女から伝わる情報でどれだけの協力をしてくれるか……。

 ちゃんと伝わるのか不安は拭えなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はずだった。

 彼女がデータを見てから口にした言葉を聞くまでは。

 

 

 sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:カガリ

 

 

 

「えっと、これがこうなって、ここがこうなってるからこっちとつながって、それでこの設定なんだから……」

 現在私はモルゲンレーテに来ています。

 キラがストライクに乗っていない上、私が飛び出していないからOS開発が難航している結果、このままではまともに動かせないのだ。

 

 どういうわけなのか、修正力か何かが働いたのか、ヘリオポリスが崩壊しなかったのにもかかわらず、どうやらロウ・ギュールと叢雲劾はアストレイを手に入れられたようだ。

 なんでもアラートが鳴ってヘリオポリスにZAFTがやってきた段階で3機をコロニー外に射出した模様。

 それを偶然近くまで来ていたジャンク屋でもあるロウ・ギュールが回収、後に叢雲劾と交戦したもよう。

 

 そしてエリカ・シモンズ主任が見せてくれたデータは私がヘリオポリスで入手したストライクのOSから多少改善が見られる。

 おそらくロウ・ギュールの所からデータを持ってきたと思われる。

 だけどまあ、それでもこの状態ではこちらのアストレイはまともに動けない。

 ロウ・ギュールのこれは、AIのハチがサポートすることを前提で組まれているからだ。

 

「よし、だいたい把握できた」

「え?」

 

 私がOSのプログラムを見え終わったところで驚かれた。

 いやまあ、オーブ内における私の評価はわかってはいたけどね。

 

「エリカ・シモンズ主任、とりあえず見せてもらったOSプログラムに関する意見がありますがよろしいですか?」

「はい、お願いします」

「これは前にうちの技術者と話をしていたことだったんですが、もしナチュラル用MSOSを組むとしたらどんなものになるのか、ZAFTのMSOSとの違いは何かと話したからでた感想だということを頭においておいてください」

 

 なんかエリカ・シモンズ主任の目が点になっているけど大丈夫かな?

 

「まず、コーディネーター用のOSをナチュラルが使おうとするとパイロット側の処理が多すぎて、まともに動かせないというのであってますよね?」

「ええ、一度使ってみたことはありますが、まともに動かせませんでした」

「でしょうね、これは予想ですが、ここまで複雑なのはもしMSを鹵獲されても、COじゃないとすぐには使えない様に、ZAFT側の開発者が保険を掛けておいたのではないかということです」

「保険、ですか?」

「ええ、これをナチュラルの軍人が乗りこなそうとしたら相当の訓練期間が必要となるでしょうね、少なくとも年単位で」

「なるほど、確かにそんな訓練を施す余裕は、今の連合にはないですね」

 一つ納得がいった顔をする。

 

「それで、その保険を踏まえた上でもしナチュラル用OSを開発するとしたらなのですが、これは車に喩えるとわかりやすいかもしれません」

「車、ですか?」

「エリカ・シモンズ主任はさきほど車の運転をしていましたが、確かMTで運転してましたよね?」

「ええ、運転するのは気晴らしになりますので……まさか?」

 彼女は少し考えると、ハッとした表情を浮かべた後にこちらをみた。

 

「さすがエリカ・シモンズ主任だ、もう私の言いたい方向性がお分かりになるとは! そう、ZAFTのMSをMT車に例えるなら、ナチュラルのMSはAT車と考えたら良いのではないかということです」

「そうよ、なにも全部パイロットにさせなくてもいいのよ」

「ええ、処理能力の高いCOなら自由度の高いあのOSの方が良いのかもしれませんが、ナチュラル用のOSと考えるなら操作の簡略化、あるいはAIなどのサポートがあれば動きはだいぶ改善されるのではないか、例えばこのプログラムなんかも、こうして行動途中でキャンセルできるようにしたりすれば……」

「ええ、そうなれば……」

 

 それからしばらく私はエリカ・シモンズ主任とナチュラル用OSについて語り合った。

 終わった頃にはあれだけ疲労困憊だったエリカ・シモンズ主任の顔はとても生き生きとした生気あふれる顔になっていたのだった。

 

 

 それから二日後、ナチュラル用OS.Ver1.0が完成したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、その後日にバルキリーと模擬戦をしたM1アストレイはうそのように敗北したのだった。

 

 スペックの差は大きすぎたよ。

 だが、コストの関係からM1アストレイの地上部隊としての制式採用は一応されたようだ。

 空軍には数機のバルキリーが配属されたこともここに追記しておく。

 

 

 

 

 なお、それからしばらくして、連合から理不尽な宣戦布告をされたこともここに記す。

 おい、アークエンジェルもまだ来てないし、スピットブレイクもまだだぞ!

 しかも狙いはうちの技術かよ……。

 

 

 

 

 

 続くの?




MSの免許証があったらオートとマニュアルで別れる可能性?
MSのOSに関する考察みててこれなら少し納得できるかなと言うものを設定に入れてみました。
キラくん、ボタン一つでしゃがんでいたきがするので、いろんなモーションをボタンに登録していた可能性が。




今年も頑張って書いていきますのでよろしくお願いします。
そしてまた別物を書きたくなる衝動にかられるどうしようもない作者ですいません!
ふと読んで、昔設定とか書いて妄想したなのはのネタが不意に頭をよぎったせいです!
その前に遊戯王の方も書かないと……


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。