緋弾のアリアAA(+A)~リリカル、マジカル、武偵なのっ!~ (タカヒロオー)
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設定編
アリサ・バニングス設定
疑問や質問がある方はメッセージを送っていただけたら返答及び修正・追加します。
アリサ・バニングス
海鳴市出身の15歳。
原作リリカルなのはでは魔法の使えない一般市民だが、この世界(拙著リリカルすれいや~ず!)のアリサは無印時代に魔法と出会い魔法少女に。
15歳現在、魔導師ランク・魔力ランク共にAAA。固有スキルとして魔力を炎に変換する能力を持つ。
幼い頃出会った遠縁の少女、神崎・H・アリアに憧れ、家業のバニングスグループを継ぐ条件で武偵高校に進学する。
魔法は必要最低限、しかも極力使わないつもりで望んでいる。
装備データ
拳銃…メインはS&W M19AC 通称《コンバットマグナム・アリサカスタム》。
基本的にはルパン三世の次元大介が使用しているのと同じものだが、魔力弾使用を考慮してデバイス化が施されている。カラーリングは赤一色。
サブ拳銃としてワルサーtph。幼い頃アリアから譲り受けた、アリサにとっては御守りみたいなもの。柄の部分にヘルメス(フランス語読みのホームズ)の刻印が刻まれている。
刀剣…小苦無《光秀》
戦国時代の忍者が使用していた苦無をデバイス化したもの。魔力を乗せて使用できるが、非常時以外は使わない。
元ネタは中の人繋がりで「戦国乙女」シリーズの明智ミツヒデから。
デバイス…フレイムアイズ
アリサが魔法に出会った6年前に手にいれたインテリジェントデバイス。
待機状態はブレスレットで左腕に装着している。
銃剣に展開可能だが、この世界では使用予定は無し。
今作ではアリサを補助魔法でサポートする為、リナやなのはたちから呪文を伝授された。
使用魔法…()内は教えてくれた人
①ブリッツアクション(フェイト・テスタロッサ)
地上を高速で移動する。
②チェーンバインド(アルフ、リニス)
魔力の枷で相手を拘束する。アレンジを施した為手錠の形で発動する。
後にあるインターミドル選手が真似したらしい。
③バリアブレイク(アルフ)
魔力で出来た結界などを破壊する。拳銃の弾にも込められる。
④オブティックハイド(リニス)
一定の時間、動かない幻影を造り出す。幻影は触れると消滅する。
後に自らの戦姉妹(アミカ)となった少女に伝授される事になる。
その他の呪文はこの世界では封印する予定。(追加する可能性はあります。)
使用戦技
①咸卦法(かんかほう)
魔力と気力を融合させ、身体能力を底上げする術。リナの父親である逢魔神威(あいまかむい)から教わった。
アリサはこの術との相性は良くなく、もって1~2分ぐらい。
②朱雀剛爆砕(すざくごうばくさい)
アリサが夢のなかで見た技をフレイムアイズと共に再現した技。
苦無型デバイス《光秀》を大量に分裂させ全方位攻撃をしかける大業。
元ネタは中の人繋がりで戦国乙女シリーズの明智ミツヒデの必殺技から。
他のキャラクターの設定もいずれまた。
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本編
第0弾 2人のA~プロローグ~
また、独自設定を多分に含んでますのでご了承ください!
なお、今回はプロローグなので短めです。
…現代日本、この時代凶悪化の一途をたどる犯罪に対抗するべく、1つのある資格が新設された。
その資格を所持する者はあらゆる武装を許可され、あらゆる荒事を有償で解決する。
その者たちの名は武装探偵…通称『武偵』。
これは、武偵を目指す少女たちが足掻きながらも成長していく物語である。
SIDE:あかり
チュンチュン…
「ん~、よく寝たぁ…」
あたしは目を覚ますとベッドの上にぺたんと座り込み、壁にはった一枚のポスターを見つめる。
そこにはセーラー服を身に纏い、二丁拳銃を構えた少女の姿。…武偵高校強襲科(アサルト)2年、神崎・H・アリア先輩。…あたしの憧れの人だ。
「あ~んアリア先輩、大好き…♪」
あたしは目の前のアリア先輩に頬擦りする。でも次の瞬間、あたしの視線は時計に釘付けに…
「…うぎゃー!遅刻だぁーっ!」
あたしは慌てて制服に着替えるとキッチンへ向かい、そこにいる妹…間宮ののかに文句をいう。
「ののかっ!なんで起こしてくれなかったのーっ!」
「…起こしました。」
あたしの叫びに振り向いたののかの顔には…あたしの足跡。
「そしたらこうなったんだけどお姉ちゃん?」
「…ごめんなさい。」
ののかの顔をみてあたしは素直に謝る。
「別にいいよいつもの事だし。…それより時間は?」
…あっ、そうだ!…あたしは慌てて身支度を整える。
「…えっと、ハンカチ持った、定期入れ持った…あーっ、ケータイがぁーっ!」
「はい、これでしょ?」
「あー、ありがと!」
ののかが持ってきた携帯電話を受けとる。
「もーっ、防弾制服ちゃんと着るっ!…それに銃も忘れてるよ!」
…いけないいけない、肝心な物忘れるとこだった。
わたしは机の上の愛銃・マイクロUZIをガンホルダーに仕舞う。
「じゃあののか、先に行くね…チカン!クルマ!スリには気をつけるのだゾッ!!」
「ハイハイ…行ってらっしゃい、お姉ちゃん♪」
あたしは家を出ると学校へ駆け出した。
…あたしの名前は間宮あかり。東京武偵高校強襲科1年生!
憧れのアリア先輩目指して頑張るぞ、おぉーっ!
NO SIDE
時同じ頃、武偵高校が所在する通称『学園島』にある高級マンションの一室…この部屋からもう1人の主人公の物語もまた、始まりを迎えた…。
SIDE:???
チュンチュン…
鳥の囀りにわたしは目を覚ます。
「ふわぁ~っ…よく寝た…」
わたしはベッドから身を起こすと、制服に身を包みダイニングへ。
キッチンにいくとわたしの事を幼少のころから守ってくれる執事・鮫島が迎えてくれる。
「おはようございますア……お嬢様。朝食の支度は整っております。」
「おはよう鮫島!…いつもながら完璧な仕事ね。」
「畏れ入ります。」
鮫島はわたしが東京の武偵高校に通う事が決まるとすぐ、このマンションと身の回りの家具一式も手配してくれた…本当に頼りになるわね。
「さっ、お紅茶が冷めないうちにお召し上がりください。」
「ありがとう…いただきます!」
わたしはクロワッサンを口に入れるとテレビの音声を少し大きくする。…気になるニュースが流れていたから。
『…昨日起きました立て籠り事件は武偵高校の生徒たちの活躍により無事解決…』
さすがうちの学校はエリート揃いね。…わたしも挑みがいがあるわ、特に…
わたしはテレビに映る1人の少女の映像を見つめる。
ピンクの長い髪の毛をツインテールにした、小柄な少女…でも、この子こそわたしがこの武偵高校を選んだ理由。
「…相変わらずのご活躍ですね、アリア様は…」
「…そうでないと張り合いがないわ。…ご馳走さま、それじゃ行ってくるわ鮫島。」
「行ってらっしゃいませ、ア……お嬢様。」
わたしは机の上の相棒を手に取り声をかける。「おはようフレイムアイズ!…今日もお願いねっ!」
『おうよっ、任せなア……嬢ちゃん!』
見た目は普通のブレスレットだけど、フレイムアイズはわたしが今の力を得た6年前からずっとわたしを守ってくれてる頼もしいパートナーだ。
フレイムアイズを右腕に装着し、愛銃をガンホルダーに仕舞うとわたしは玄関のドアを開けた。
「…待っててアリア[お姉ちゃん]、すぐ追い付いて見せるからっ!」
…わたしの名前はアリサ・バニングス。東京武偵高校強襲科の1年生。
目指す頂きは武偵高校のトップのみっ!…突っ走っていくわよ!!
どうでしたか?
読めそうだったらどうか引き続きのご愛顧をお願いします。
また活動報告にてアンケートをしてるのでそちらもどうか。
次回「第1弾 緋弾との出逢い」でまたお逢いしましょう。
…見てくんないと風穴っ!!
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第1弾 緋弾との出逢い
SIDE:あかり
「はぁ、はぁ、…な、なんとか間に合ったぁ…!」
あたしはなんとか学園島の中央に位置する校舎の前に辿り着いた。…まだ10分前だからもう余裕だねっ!
(ザワザワ…)
あれ、なんだか騒がしいな…あたしが人混みを掻き分けると、人相の悪い男たちが数人がかりで、車両科(ロジ)の女子生徒に嫌がらせをしてる。
車両科は文字通り車の運転を主とする学科だから荒事には向いてない。でもどうしたら…
「やめなさい!」
その声にその場にいた全員が振り向くとそこにいたのは…
『おい、アリアだぜ…』
『…嘘、あんなにちっちゃいの?!』
そう、東京武偵高校強襲科(アサルト)2年…Sランク武偵、神崎・H・アリア先輩!
アリア先輩は無手のまま、ならず者たちに近づいていく。
「なんだ、このチビッ子は?」
「おいおい嬢ちゃん、場所まちがえてねぇか?」
ならず者の1人が掴みかかろうとした時、アリア先輩の掌底が炸裂、一発KOさせる。
「…?! このガキ!!」
怒ったもう一人が殴りかかってきたけど、カウンターでストレート一閃!よし、あとは…
「危ない、うしろっ?!」
…えっ?アリア先輩の声がどうして後ろからっ?
その声に反応したアリア先輩は降り下ろした拳を避けると相手の膝に飛び乗り顔面を膝で撃ち抜いた。…あれってプロレス技だよね?
「んとに、往生際悪いわね小悪党って…」
「神崎さん!」
ようやく応援がやってきた。
「…遅いわよ。こいつら多分余罪があるわ、尋問科(ダキュラ)にぶちこんどいて。」
「はいっ!」
「あと鑑識科(レビア)は現場検証…仲間がいるはずだから気をつけて。」
次々と指示をしていくアリア先輩。となりにいるのは確か…
「レキ、あんたは狙撃科(スナイプ)に戻って次の準備。」
「…わかった。」
そうだ、狙撃科の2年・レキ先輩だっ!確かアリア先輩と同じSランク武偵で凄い狙撃技術の持ち主なんだよね。
それにしてもアリア先輩、カッコいいなぁ…わたしもいつかあんな風に…ってあれ?なんでキョロキョロしてるんだろアリア先輩…?!
SIDE:アリア
ふぅ…朝から早々トラブルだなんて…ま、あたしにかかればチョロいけど。それより気になるのは…さっき聞こえた声よ。
あの声どこかで聞いたような…ってあたしの声そっくり!…誰かの声真似?いや、待ってまさか…
(まさか…いやでも…)
10年前に一度だけ出会った遠縁の女の子。声が似てる上に名前も一文字違い。あたしはてっきりお父様が他所で作った隠し子だと思ってたわ。
でも…ほんとにあんたなの…アリサ?
NO SIDE
場面は変わってここは1ーAの教室。あかりたちは休憩時間…
SIDE:あかり
「♪♪~」
わたしは今、この学園特有の二人組特訓制度・戦姉妹(アミカ)契約の希望願いを書いていた。
相手はもちろん…
スッ…バッ!
「あっ!」
誰かが後ろから希望願いを奪い取り更に…
「うわっ!」
身体ごと抱き抱えられる。こんなことするのは…
「…なんだあかり…お前アリア先輩と戦姉妹契約するつもりなのか?」
「やっぱりあんたかエロライカーっ?!」
彼女の名前は火野ライカ。クラスメイトで強襲科所属、仲もいいんだけどセクハラするのがたまに傷。今もあたしの胸を揉んでる。
「戦姉妹…あの二人組特訓制度ですね?」
扇子をたたみながらそういったのはもう1人の友達の佐々木志乃ちゃん。探偵科(インケスタ)所属でいつも落ち着いてる女の子だ。
「そうそう一人の先輩の下、1年間の直接特訓を受ける…ってアレ。…あかり、お前アリア先輩のランクわかってるか?…Aより上のSランクだぞ?」
わたしの胸をまさぐりながら呆れた物言いで話すライカ。
「これまで20人以上の申請を断ってるんだろ?Eランクのお前じゃ無理無理!」
「文不相応っていうのですよ、そういうのは…」
志乃ちゃんまで…と、とりあえず…
「かえせ~っ!」
あたしはライカから申請書を取り返そうとするがあたしは139cm、ライカは165cm。まったく手が届かない。
「へっへっへっ~、アタシが逮捕術だったら教えてやるっ…」
あたしはライカに机の上に押さえつけられた。けど…今のタイミングならっ!
「あ、あれっ?!」
あたしは申請書を奪い取るとアッカンベーをして元の席に戻った。…フーンだっ!
NO SIDE
その後あかりたちはその日の射撃訓練でアリアを目撃、その卓越した技術に感嘆する。一方、あかりの成績は…
SIDE:あかり
「はあぁ~っ…」
あたしは溜め息をつきながら手に持った成績表を眺める。そこには…
中距離射撃訓練の結果…強襲科 1年 間宮あかり スコア 6/700 ランクE
…ダメダメすぎて、言葉もでないよ…
「…強襲科…辞めた方がいいんじゃないですか?」
志乃ちゃんが気を使ってくれる。でも…
「…辞めないよ。アリア先輩と同じ強襲科で戦姉妹契約したいんだもん。」
「それだったらアタシが教えてやろうか、CQC (近接戦技)?」
ライカも声をかけてくれる。
「…ライカはバカでHだから嫌だ!」
でもついつい口にでてしまう。そんなつもりじゃないのに…
「がーん…バカはそっちだぜ!アリア先輩は強襲科…いや、学園のトップ!お前はビリっ!!…組むどころか口さえ聞けないんだよっ!」
バカライカ、そこまで言わなくてもわかっ…
「そうですよあかりさん…人には適性や身の程というものが…」
…志乃ちゃんまで?!…あたしは手に持った成績表をぐしゃっと握りしめる。…アリア先輩…
「あたしは…機会(チャンス)はみんな平等に与えられるべきだと思うわよ?」
…えっ、今の声は…まさかっ?!
声が聞こえた木の上を見上げると、そこには…
「ま、マジか?!」
「嘘…?!」
「…アリア先輩っ?!」
そう、そこには憧れの先輩、神崎・H・アリア先輩の姿。
「…武偵は常在戦場。もし、あたしが敵だったらあんたたち…頭に風穴あいてたわよ!」
アリア先輩はそういうとフワッと木の上から飛び降りる。
「…申請書は受け取ったわ。早速だけど戦姉妹を賭けてあたしと勝負よ、間宮あかり…それとそこにいるんでしょ、いつまでも隠れてないで出てきたら?…アリサ?!」
アリア先輩は木の影を指差しながら呼び掛ける。
「あっちゃぁ~、やっぱりバレてたか…さすがアリアお姉ちゃん!」
そういって木の影から現れたのは金髪のショートカット、スタイル抜群の美人。そして何より驚いたのは…アリア先輩と同じ声で『アリアお姉ちゃん』?!
…でも、あたしはこの時はまだこの娘…アリサ・バニングスがあたしの運命を変える存在だとは、まったく知る由もなかったの…。
とうとう合間見えた3人のA。果たしてアリサの目的は…、またあかりはぶじ戦姉妹になれるのか?
次回「第2弾 戦姉妹試験」でまたお逢いしましょう。
「次回も見てくんないと風穴っ!」
「…ほんっとにそっくりねアンタ…」
(BY アリサ&アリア)
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第2弾 戦姉妹試験、開始!
NO SIDE
散々な試験の結果で落ち込むあかりの前に現れたのは、憧れの存在である神崎・H・アリア。アリアはあかりに戦姉妹(アミカ)試験を申し込むが、そこに現れたのはアリアを姉と呼ぶ謎の少女、アリサ・バニングスだった。
SIDE:あかり
アリア先輩に名前を呼ばれて出てきた女の子…アリサって名前も1文字違いだし、声はそっくりだし…まさか本当の…
「…誰よアンタ…?!」
えっ?!…アリア先輩の口から出たのは予想外の言葉。…確かに見た目は妹というよりむしろ…
「…あかり、アンタも失礼な事考えたでしょ、今…」
…何でわかったのっ?!…はっ、これがSランク武偵の…
「そんなわけないでしょっ?…それよりアンタ、本当にアリサ?あたしの知ってるアリサはもっとちっちゃかったんだけど…」
アリア先輩の言葉にアリサは呆然。…そりゃそうか。
「…そりゃないよアリアお姉ちゃん!それを言うならアリアお姉ちゃんがあんまり変わってない事の方が…」
「ウキーッ!皆まで言うなっ、あたしも気にしてるんだからっ!」
アリサの反撃にアリサ先輩は過剰に反応してる。…やっぱり気にはしてるんだ…。
「…仕方ないなぁ…じゃあこれならどう?」
アリサは胸元から1丁の拳銃を取り出した。あれって確か…
「…ワルサーtph。主に護身用に使われる小型拳銃ですね。」
わたしに教えるように志乃ちゃんが呟く。
「…?! それはあたしがあの子にあげたヘルメスの刻印入りの…って事は本物のアリサ…なの?」
「やっとわかってくれた?…10年ぶりだね、アリアお姉ちゃん。やっと会う事ができた…。」
「あ、あの~話がいまいち見えないんですけどアリア先輩、この方…誰なんですか?」
あたしは恐る恐る尋ねてみる。戦姉妹試験も気にはなるけど…あまりにもこの娘が謎すぎて。
「…あ、ごめん。この娘の名前はアリサ・バニングス。あたしの遠縁の親戚で歳は1つ下よ。」
「…?! …もし間違ってたらごめんなさい、バニングスってまさかあのバニングスグループの…」
志乃ちゃんの問いにアリサは頷いて答える。
「うん、バニングスグループはパパの会社よ。あたしはその1人娘。」
その言葉に驚きを隠せないあたしたち。…バニングスグループってあたしでも知ってる大企業だ。確か今大規模なテーマパークを手掛けてるとか…。
「…じ、じゃああの今造ってる『オールストン・シー』にも…」
羨ましそうにきくライカにアリサは答える。
「…もう何回も行ったわよ、アトラクションのテストとかで。」
さ、さすがご令嬢…
「…だいぶ話が脱線したわね…アリサ、あんたも申請してたわね…戦姉妹試験勝負(アミカ・チャンス・マッチ)。」
えっ、この人もアリア先輩の戦姉妹狙いなのっ?!
「うん!わたしがこの学校に来たのはアリアお姉ちゃんに色々教わるためだからっ!…だからあかり…って言ったっけ。あんたには悪いけどお姉ちゃんの戦姉妹の座はわたしが貰うわよ?!」
…冗談じゃないっ?!いきなりでてきてそんなの納得できるわけない!!
「…生憎あたしも忙しいの。教務科(マスターズ)の命令でも、ましてやコネと取られるような子守りなんてできないわ。だから…」
アリア先輩はそういうと、スカートのポケットから星形のワッペンを取りだし、
「『エンブレム』、今からやるわよ、2人同時に。」
………え?エンブレ…ム?なにそれ?
アリア先輩は制服の裾を捲るとワッペンをお腹に貼り付ける。
「…ルールは簡単よ。今から30分以内にあたしからこの『エンブレム』を奪えばいいの。…もっとも今まで20人全員、これで不合格にしたけどね。」
「そ、そんな…無理です、あたしなんかが…」
あたしは突然のことに慌てふためく。
「…そ?別にいいわよやらなくても。でも…『チャンスは人を待たない。』…事件が武偵を待ってはくれないのと同じことよ。…アリサはどうすんの?」
アリア先輩の問いにアリサは即答。
「もちやるに決まってんじゃない!わたしの成長ぶり見てもらうんだから!」
アリサの言葉にアリア先輩は笑みを浮かべ…こちらを見る。
「あかり…あんたはどうすんの、やるの?それとも棄権?!」
あたしの頭の中でさっきのアリア先輩の言葉が鳴り響いてる。
『チャンスは人を待たない。』
…そうだ!落ちこぼれのあたしにはチャンスは今しかないっ!!
「…あたしもやります、やらせてください!」
あたしの叫びにアリア先輩は頷いた。
「OK!それじゃそこのか2人は見届け人をお願い。…今から30分、各自で挑むのも良し、協力するのも良し…それじゃぁ…」
アリア先輩は携帯電話のタイマーを設定した。
「戦姉妹試験勝負…スター…」
開始を告げたその瞬間、アリサが先輩に襲いかかる。…速いっ?!
「先手必勝、いくわよっ!」
アリサは先輩の腕を取り体格差で押し倒そうとする。でも…
「…悪くないけど、見え見えよっ?」
先輩は逆にアリサの右手をとると手首を捻って薙ぎ倒した。
あたしは慌ててアリア先輩に猛ダッシュで突撃する。でも先輩は余裕で背後の木を蹴り上がりあたしの背後を取ると、背中を突き飛ばす…ぶつかるっ?!
ドガンッ!
い、痛い…ダメだ、素手じゃとても…
「…銃でも剣でも使っていいわよ。」
「なら…遠慮なくっ!」
アリサはそういうと、背中から短剣…というより 忍者が使う小さな苦無(くない)を出して鋭く斬りかかる。
「面白い武器使うのね。じゃあ、これで…どう?!」
アリア先輩は背中から日本刀を繰り出し、アリサの苦無の柄の部分を弾き跳ばした?…なんて動体視力なのっ…でも、それならっ!
あたしは太もものガンホルダーから愛用のマイクロUZIを抜き撃とうとした。でも先輩は瞬時に近づき…
「…遅いっ!!」
右手の日本刀であたしの左手を弾くと同時に、左手にガバメント・カスタムを構えマイクロUZIの射線をそらす。
「無駄撃ちは絶対しちゃダメよ?」
そう言ってあたしとアリサを防弾制服の上から射撃する。
「くっ?!」「痛っ?!」
…今のって…拳銃格技(アルカタ)?!
「…な~る、Sランク武偵は伊達じゃないってか…。」
アリサが悔しげに呟く。
「あかり!「あかりさんっ!」」
ライカと志乃ちゃんが近寄ってきた。
「…大丈夫だよ、防弾制服だから…それより、アリア先輩は?!」
あたしがキョロキョロと見回すと…
「あかりさん、あっちに!」
志乃ちゃんが指差す方を見ると、校門の前にアリア先輩の姿。
アリア先輩はこっちに手を差し伸べながら…
「さ、おいで…鬼ごっこしよ♪」
…完全になめられてるよね、アレ…
「も~っ、あったまきたっ!絶対合格してやるわ!」
アリサは立ち上がって先輩を追いかける。
「あかりさん、規則上助太刀は出来ませんが…ご武運を。」
「がんばれよ、あかりっ!」
「…うん、ムリかもしれないけど…行ってきます!」
2人の親友に励まされ、あたしはアリア先輩とアリサの後を追う。
必ず合格してやるんだから!
…残り時間 24min 30sec…
いよいよ始まった戦姉妹試験勝負。果たしてあかりとアリサの運命はっ!
次回「第3弾 鬼ごっこの行方」でまた御逢いしましょう!
「じ、次回も見てくれないと…かじゃあにゃ?!…噛んじゃったぁ~っ!」
(BY あかり)
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第3弾 鬼ごっこの行方
では、本編です。
NO SIDE
アリアの提案から始まった2対1の変則戦姉妹試験勝負(ミクスト・アミカ・チャンス・マッチ)。
あかりとアリサはそれぞれアリアに勝負を挑むものの、簡単に一蹴されてしまう。
そして試験はエンブレムを懸けた鬼ごっこへ…果たして2人は無事にアリアの戦姉妹になれるのか…。
SIDE:アリア
…戦姉妹試験勝負の1つ、エンブレム。あたしはこれまで延べ20人位このエンブレムで挑戦者を不合格にしてきた。
ミクスト・マッチも今回が初めてじゃない。ちょっと前に相手したのはお嬢様風の令嬢とそのお付き2人。…普通だったら無理ゲーぽいけどそこはあたし、楽勝だったわ。…それを踏まえてこの2人…間宮あかりとアリサ・バニングスなんだけど…。
そんな思いに耽りながらあたしは後ろを振り返る。
あかりはつまずいたり転んだりしながらも必死に食らいついてくる。技術や能力はともかく、その根性とやる気は本物かも。…あたしは嫌いじゃないタイプね。
で、アリサはと言うと…あたしの真後ろからゴム弾を撃ってくる。
射線自体は直線だから読みやすいんだけど…問題はあの娘の銃。
なによ、あのコンバットマグナムはっ!…リボルバー式の銃、しかもあんな大型なんて女の子は普通使わないわよっ?!
…でもアリサは赤く染め上げられたその銃を片手で扱う…でもそれだけじゃない。
身のこなし、ポジショニング、…間違いない、この子は実戦を経験してる!しかも相当なレベルで…
いったいこの10年間で何があったってのよ、アリサ…?
SIDE:アリサ
「…流石ね、アリアお姉ちゃん…」
わたしは何度も銃撃を仕掛けてるんだけどお姉ちゃんはことごとくツボをずらしてる。
ここら辺が経験の差なんだろうなぁ…わたしも10年の間色々戦いはこなしてきたから、ある程度の事には対応できるつもりだったんだけど。
やっぱり武偵の戦い方は違うと痛感したわ、うん。
『どうするアリサ?…使うか、アレを?』
わたしの頭の中に相棒・フレイムアイズの声が響く。
「…まだよフレイムアイズ。わたしがここに来たのは自分の力をお姉ちゃんに認めて貰うためなんだから!…切り札は最後に取っておくもんでしょ?」
わたしはアリアお姉ちゃんを追いかけながらフレイムアイズに答える。
…何より後ろから必死に追いかけてくる少女…間宮あかりが自分の力で挑んでいるんだから、わたしもやれるところまでは…ね。
『…あんたらしいな。まぁ必要な時は呼んでくれ。』
「うん、ありがと。」
わたしは言葉を交わしつつ作戦を練る。あれ、この先って…よしっ!「急がば回れ」でいくわっ!!
NO SIDE
アリアの意図を察したアリサは一旦戦線を離脱、迂回して回り込むルートを選択する。一方あかりは、愚直にアリアを追いかけ…舞台は吊り橋の上に。
SIDE:あかり
はぁ、はぁ…なんとか追いついたっ…というか…此処って…吊り橋の欄干の上?!
「よくついてきたわね…いい加減諦めるかと思ったけど。」
冗談じゃないですよ?! 『チャンスは人を待たない』って言ったのは先輩じゃないですかっ!
「あたしはアリア先輩の戦姉妹に…絶対になるんだから!」
…とは言うものの…怖いよぉ~っ?!
「…アリア先輩、せめて下で…」
あたしの言葉にアリア先輩は無言で携帯電話の画面をこちらに向ける。そこには…
…残り時間 10min 15sec
「邪魔が入ったみたいだけどタイマーは止めないわよ。…それがルールだからね。」
「じゃま…?邪魔って…?!…あれは!!」
アリア先輩の言葉に橋の下の道路を覗きこむと、そこでは車両科(ロジ)の護送車が複数の車から襲撃を受けていた。
襲撃犯はショットガンやライフルで護送車を銃撃、護送車はタイヤをバーストさせ横転する。
よく見ると護送車から降りてきたのは朝アリア先輩が捕まえた無法者たち。どうやら襲撃犯とグルみたい…。
「あの刺青は…。どうやら仲間がいたみたいね。」
アリア先輩はワイヤーで降下する準備をする。
「あんたの相手は後でしたげるから、ここで大人しくしてなさい…いいわね?」
アリア先輩はそういうと降下していった。
あたしは…どうすればいいんだろう?
NO SIDE
襲撃現場では車両科の生徒たちと襲撃犯の銃撃戦が始まっていた。
車両科の生徒もひととおりの射撃訓練はしているものの、劣勢は否めなかった。
「…駄目だ、敵が多すぎる?!」
一人の生徒が弱音を吐くのをもう一人が鼓舞する。
「落ち着けっ、応援が来るまで持ちこたえるんだっ!」
「こちら護送班、現在犯人グループの襲撃を受けている!至急強襲科(アサルト)と狙撃科(スナイプ)の応援を…」
まさにその時恵みの声が!
「強襲科だけでも構わない?…助けに来たわよ!!」
戦場に舞い降りた小さな天使…言うまでも無く神崎・H・アリアだ。
アリアはワイヤーで降下しつつ、的確に襲撃犯の手元のみを狙い無力化していく。
さらに混乱に陥った犯人たちに接近し拳銃格技(アルカタ)で追い詰めていく。
「…すげぇ、あれがSランクの実力…」
「しかも女の子だぜ、あんなに小さいのに…」
車両科の生徒たちももはや言葉にならない。
「クソ、あのチビガキめ…」
犯人グループの一人が毒づくと車に乗り込み、アリアのいるエリアに特攻を仕掛けようとしたその時…
SIDE:アリア
「死ねぇっ、このアマッ?!」
あたしが振り向くとそこには犯人が運転する暴走車が…しまった、油断した…そう思った次の瞬間…
「あぶないっ?!」
叫び声がしたと思ったらあたしは誰かに横に蹴り飛ばされた。
ドガァーン!
大きな音をたてて車は止まる。車のボンネットには…額から血を流したあかりの姿。
「あかりっ?!」
無茶よ、弱いくせに助けにくるなんて…無事なんでしょうね?!
やがてぴくっと動いたかと思ったら…
「い、いった~~い!」
何事もなかったかのように起き上がる。
あの子…ふ、不死身?
「く、くそっ!潮時だ、逃げるぞっ!!…何っ?!」
あたしを轢こうとした襲撃犯は逃げようとしたけど…何か戸惑ってる。どうしたっていうの?
「キーはこっちだよ♪」
声がしてあかりの方を確認するとその手には車のキーが。…なるほど、ぶつかってエンジンが止まった瞬間にキーを抜き取ったのね…。
多分偶然だろうけど…ラッキーな子だわ。
「ち、ちくしょう…せめてお前だけでも…死ねぇ…」
その時背後から男の声…しまった、まだ残ってたの?!
あたしは咄嗟にあかりを庇おうとした。でも…
ズギュン!
「ぎゃあ?!」
銃声と共に男の銃が弾き飛ばされる。…え、今の銃声は…?!
「…ふぅ、危なかったぁ…。」
『なんとか間に合ったみたいだな、アリサ?』
………アリサ?!…どうやら迂回して背後から狙うつもりだったみたいね。
「…ありがと、アリサ。お陰で助かったわ!」
「…ど、どうって事ないわよこれぐらい…それより試験よ試験!」
あ、そうだったわね。あと…あたしは携帯電話のタイマーを確認する。
…残り時間 03min 08sec
「…あんたたち、今回はよく頑張ったわ。…だから最後のチャンスをあげる。」
あたしは銃を両手に構えると2人に話しかける。
「その代わり条件があるわ。最後の最後まで諦めない、ムリって言わないこと。…それは人の可能性を押し留める良くない言葉だから。…OK?」
「はいっ!」「もちろんっ!」
うん、いい返事ね。
「それじゃアリサも降りてらっしゃい。そこからじゃエンブレムは取れないわよ?」
「うん、わかった。…うりゃっと!」
アリサはワイヤーを使って降りてきた。
さぁ、最後の勝負だよあかり、アリサ!
SIDE:あかり
…残り時間はあと2分半。本当のラストチャンスだ。
策はないわけじゃない。だけどその為には…
「…アリア先輩…あたしを襲ってください!」
「…? どういう事?!」
首を傾げるアリア先輩にあたしは言葉を続ける。
「…先輩はずっと逃げてた。逃げるアリア先輩の戦姉妹にはなりたくないから…」
アリア先輩はあたしの発言に一瞬呆気に取られた表情をしたけどすぐに真剣な顔つきに。
「言った事は…取り消せないわよっ!」
襲い掛かってきたアリア先輩。…でもこれこそがあたしの狙い。
だってこの技…〈鳶穿/とびうがち〉って、カウンターの時しか使えないから…あたしには。
みるみるうちに近づく先輩との距離…あと少し、もう少し…
でも次の瞬間、あたしは信じられないものを見た。
あたしの後方にいたはずのアリサが凄まじいスピードであたしの真横に…いったい何が…しまった、タイミングがっ!
NO SIDE
アリアがあかりの懐に飛び込むと同時にアリサもまたその中に割って入る。そして次の瞬間、あかりとアリサは橋の上から海へと突き落とされた。
「えっ?!…ち、ちょっと…(2人とも強襲科のくせに落ちちゃうのっ?!)」
アリアが驚いて海を覗き込むと…
「取りました、先輩!」
「取ったわよ、お姉ちゃん♪」
海面に浮上したあかりとアリサの手には、半分に裂けたエンブレムがそれぞれ握られていた。
アリアは慌ててお腹に貼ったはずのエンブレムがないことを確認する。
(今の一瞬でスリ取った?!…さっきキーを抜き取ったのも偶然じゃなかったって事?)
(それにアリサのあのスピード…一瞬完全に視界から見失った…)
「あ~っ、アリサ割り込みなんて狡いよ?!それはあたしの!」
「なに言ってんの、油断する方が悪いのよ!大人しくわたしに譲りなさいっ!」
海の中で取っ組み合いの喧嘩を始めた2人を見ながらアリアはタイマーを確認する。
…残り時間 00min 01sec
(…ホンットに滑り込みじゃない。…あの2人があたしの初めての戦姉妹か…面白そうじゃないの♪)
アリアはそんな事を考えながらほっと溜め息をついた。
こうして痛み分けで戦姉妹(アミカ)になれたあかりとアリサ。
でも次回はあかりが災難に?!
次回「第4弾 優等生と劣等生」でお会いしましょう。
「次回もみてくれないと 物干し竿の錆ですよ?」
(BY 志乃)
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第4弾 優等生と劣等生
それでは…楽しんでいただけると嬉しいです!
NO SIDE
変則戦姉妹試験勝負(ミクスト・アミカ・チャンス・マッチ)を終え、あかりとアリサは見事アリアの戦姉妹に。
そして2人はアリアに連れられアリアの自室へ向かうことに。
SIDE:アリサ
はぁ~っ、なんとか戦姉妹になれたわ。まさかあんなにアリアお姉ちゃんがチートだなんて思いもしなかったわ…(汗)
あかりがお姉ちゃんをけしかけてくれたお陰で、カウンターでブリッツアクションを使うことができたからなんとかなったけど。
…と考えながら歩いてたら、いつの間にかここは…特待生専用のVIP寮の前。
「へぇ~っ、特待生ともなればこんな豪華な寮なんだ…」
あかりが素直に驚いてるけど…実はわたしの住んでるマンションはこれ以上。…まぁ、執事の鮫島と同居してるから…ね?
「…別に大したことないわよ。」
アリアお姉ちゃんはカードキーの端末を操作すると、新たにカードを2枚スキャンさせる。そしてそれをわたしたちに…?
「それはこの部屋の合鍵。戦姉妹はまず合鍵の共有から始まるの。…無くすんじゃないわよ?」
そういうことね…うん、大事に管理するわ!
横ではあかりがまるで宝物を貰ったみたいに喜んでる…この子も本当にお姉ちゃんの事が好きなんだ。
同じ戦姉妹同士、切磋琢磨して成長できたらいいとは思うけど…
「これからは2人とも色々手伝ってもらうからね。」
「はい、先輩!あたし頑張ります!」
「任せといて、アリアお姉ちゃん!」
わたしが返事したらあかりはキッとこちらをにらむ。…対抗心むき出しだ。
こっちが仲良くしたくてもあれじゃあ…ね。
「…ま、とりあえず入ってくれる?早速頼みたいことがあるから。」
アリアお姉ちゃんに促されてわたしたちは部屋の中へ。
「わぁ…広い…!」
「…そう?実家の10分の1も無いんだけど。」
「実家って…イギリスのですか?」
あかりの質問にお姉ちゃんは頷く。
「そ。…アリサは知ってるけど、あたしは貴族(デニム)。…ホームズ家の嫡女よ。」
…そう、アリアお姉ちゃんのミドルネームは〈ホームズ〉。…あの小説で有名なシャーロック・ホームズから数えて4代目にあたるらしい。
「…とは言っても、あたしの私財の半分は相続したものだから、褒めたり驚いたりするのは半分にしなさい、いいわね?」
謙虚だなぁ、お姉ちゃんは…ちなみにわたしの(こっちの世界の)貯金は 8割FXで稼いだんだけどこれは内緒。
アリアお姉ちゃんは電話の受話器を取ると何処かへ英語で電話をかけ始めた。
『サラ?アリアだけど弾丸を頼みたいの。…ちょっと待ってくれる?』
受話器の通話側を手で塞ぐと、
「ねぇ、どちらでもいいから超偵犯対策の純銀弾・非法化で装備科(アムド)とS研に渡り発注掛けられる?」
…ごめん、まだそこまではできないや。隣を見るとあかりも申し訳無さそうに首を横に振る。
「そう…『ごめんなさいサラ…』」
アリアお姉ちゃんはしばらく電話で話すと、部屋の奥から箱を取り出してきた。開けると何かの機械…あれ、これって…?
「…今、電波を追ってる件があるの。発信源が絞れてきたから八木(アンテナ)も併用するわ。これ、組み立てられる?」
「あ、これだったらなんとかできるわ。わたしに任せといて、お姉ちゃん♪」
説明書は英文だけど問題ないし、こういうのはすずかに教わったから。
「そう?じゃあ任せたわよアリサ。…あかり、あんた…専門バカ…じゃないみたいだけどさ、何か出来ること無いの?運転とか鑑識とか…?」
アリアお姉ちゃんの問いかけに悲しげに首を振るあかり。
「あかり、付いてきなさい。」
アリアお姉ちゃんは1つため息をつくとそう言ってあかりを連れて出ていった。何やらせる気なんだろ…。
「ま、人の事気にしてる間が有ったらまず自分の事…よね?」
わたしは渡された説明書をにらみながらアンテナを組立始めた。
SIDE:あかり
アリア先輩に連れられて来たのは寮の屋上だった。一体此処で何を…。
アリア先輩が屋上に置いてあった箱を開けると…
「…アリア先輩、これは…?」
「…強襲用のパラグライダーよ。旋回性をあげる為に改良中なの。…はい、これ。」
そう言って先輩が手渡したのはパラグライダーの説明書。…今度は日本語だ。
「まだ縫い合わせてないから縫って。…手順通りに縫うだけだったら流石に出来るでしょ?」
「…はい。」
あたしがアリア先輩に返す事ができたのはその一言だけだった。
「じゃあ頼んだわよ。また後で見に来るから。」
そう言って先輩は階段を降りていった。
「…あたしって、こんな事ぐらいしか…できないんだ…」
アリサは頼まれた仕事をある程度こなしてるのにあたしは…
アリア先輩の戦姉妹になれたってだけで有頂天になって…なんの長所もないあたしなんて…
『ムリとは2度と言わない…いいわね?』
はっ?!…そうだ、アリア先輩と約束したんだった。
あたしは針と糸を持ってパラグライダーを縫い始める。あたしが出来る限りの精一杯で…!
NO SIDE
一方その頃アリアは、諜報科(レサド)1年の風魔陽菜を呼び出し、あかりとアリサの情報を収集していた。
SIDE:アリア
「…あかりの歩法とか構えは日本の古武道がベースだと思う。だけど空手でも柔道でも合気道でもないの…あの技は一体…?」
あたしの問いかけに陽菜は答える。
「…神崎殿が見たのはおそらく〈鳶穿/とびうがち〉。…本来は敵の眼球や内蔵を素手でむしりとる忍びの殺法でござる。」
…!あたしはそのあとの陽菜の言葉を待つ。
「……」
「………(ぐぅ~っ)」
な、なによ今の腹の音は?…もう、仕方ないわねっ…
あたしはカバンから焼きそばパンを出すと陽菜に差し出す。
「…追加料よ。もう少し調べられる?」
「…かたじけない。…それでは間宮あかりの事はもう少し継続して調べてみるでござる。」
「お願い。…あともう1人調べてほしいんだけど…これが依頼料よ。」
もう1つ差し出した焼きそばパンを受け取りながら陽菜は頷く。
「承知した。…アリサ・バニングスでござるな?」
陽菜の言葉にあたしは頷いて話を続ける。
「えぇ…あの子のステップはあかりとはまた違う…と言うより速すぎるのよ。自慢じゃないけどあたしが目視していた目標を見失うなんて…」
それぐらいあのステップは常軌を逸していた。
「解ったでござる。しばらく時間をいただきたいでござる。」
そう言うと陽菜の姿が見えなくなった。
あたしは寮に戻り自分の部屋に入るとアリサに声を掛けにいった。でも…
「いない…?でも八木アンテナは完璧に出来上がってるし…まさかっ?」
あたしは部屋を出ると屋上へと向かった。
SIDE:あかり
…あれから数時間、あたしはひたすらパラグライダーを縫い続けた。説明書にはなかったけど、強い衝撃を受けても持つように本返し縫いで強く縫い付ける。
何にもできないあたしができるのはこれくらい…だから。
あと…一針…やっ…たぁ…
…
………
……………
『…かり、あか…?ダメだ、完全に寝ちゃってる…仕方ないなぁもぉ~?』
フワッ…
あれ…アリア先輩…じゃなくて…アリサっ?…どうしてここに?!
「どうしてって…あんたが心配で様子を見に来たら針と糸持ったまま寝てるからさ?…危ないと思って。」
えっ…あ、ほんとだ。…ありがと、アリサ。
「べ、別に御礼なんていいわよ、ただの気まぐれだから。…へ~っ、本返し縫いなんてなかなか器用じゃない。わたしそういう根気のいる作業苦手なのよね~?!」
「えっ、そうなの?」
てっきりなんでも出来るんだと…
「…ま、同じ人の戦姉妹になったのもなにかの縁、ライバルとしてお互い頑張っていこっ?改めてよろしく…あかり♪」
そう言って差し出されたアリサの手を握り返す。
「…こちらこそよろしく、アリサ!」
NO SIDE
そんな2人の様子を眺めていたアリアはふうっと息をつく。
(やれやれ、あたしが心配することも無かったみたいね。)
「はい2人とも御苦労さん!とりあえずシャワー浴びて今日はあたしの部屋に止まりなさい。いいわね?」
さぁ、明日からは本格的に頑張ってもらうから覚悟しなさいよ…あかり、アリサ!
なんとか1歩踏み込めたあかりとアリサ、さて次回はあかりはヤンデレさんと、アリサは刀剣マニアと一悶着?
次回「第5弾 2人のクレイジー(仮)」でお会いしましょう!
次回も見てくんないと…
「俺のライフルで風穴だぜっ!」
(BY ライカ)
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第5弾 志乃、暴走!~あかりは誰にも渡さないっ?!
では、本編どうぞ!
SIDE:志乃
とある日の放課後、私は屋台で人気のリーフパイを買って教室に向かっていた。
(待ってて下さいね、あかりさん♪)
このリーフパイは私とあかりさんが友達になるキッカケになった思い出のリーフパイ。あかりさんの大好物だ。
(あかりさんは…あ、いたいた♪)
私が教室に戻るとあかりさんとライカさん、そして昨日知り合った…アリサ・バニングスさんが話をしていた。
「あかりさん、エステーラの限定シュガーリーフパイが手に…」
私が声を掛けようとしたそのとき。
「…そっか、アリア先輩使ってくれたんだぁ!」
あかりさんの言葉に近寄る足が止まる。
(アリア……先輩?)
「あっ、志乃ちゃん♪」
「よぅ、志乃っ。どこいってたんだ?」
私に気づいたあかりさんとライカさんが声をかけてくる。
「…こんにちは、皆さん。…何かあったんですか?今アリア先輩って…」
私が尋ねるとライカさんとアリサさんが説明してくれる。
「今朝ね、第2グラウンドで爆弾事件があって…」
「アタシとアリサ、たまたま通学途中で一緒になって目撃したんだ。」
「…アリア先輩がね、被害者の生徒をパラグライダーで救出(セーブ)したんだって!…実はそのパラグライダー、あたしがアリア先輩の為に縫った奴なんだ!」
あかりさんが嬉しそうに言うのを私は…いらっとしてしまう。
「アリア先輩の…ために…?」
でもあかりさんは私の嫉妬にもまるで気付かない。
「そう!空からバ~ッと救出!!…アリア先輩、かっこいいっ!」
(さっきからアリア先輩、アリア先輩って…くそっ?!)
「…良かったですね…じゃあ、これでも食べながら帰りましょう♪」
イライラした気持ちを精一杯の作り笑顔でごまかして一緒に帰ろうと誘う。
「おおっ、リーフパイじゃん♪」
ライカさんはすぐに食いついた。けどあかりさんは…
「あっ、ごめんね今日はダメなんだ…今からアリサちゃんと一緒にアリア先輩の外泊用の荷造りするんだ♪」
あかりさんのつれない返事に私の顔は凍りつく。さらに追い討ちをかけるように…
「それにあかり、あんたお菓子NGでしょ?…お姉ちゃんと一緒にお風呂入って、もう少し体重落とせって言われてたじゃない?!」
(お、お風呂っ?!)
「そうなんだよねぇ…っていけないっ、もうこんな時間?…行こうアリサちゃん、早く行かないと先輩に…」
「…間違いなくどやされるわね。それじゃわたしたちはお先に…ごめんね♪」
「じゃあね~♪」
そういうと2人は教室から出ていった。…私は視線で追いかけるけどその時リーフパイの入った袋を落として…
「…よっと!へへっ、いっただきぃ~っ!!」
ライカさんがキャッチすると袋をさぐりながら話す。
「…アイツ今朝からアリアさんの話ばっか。…よっぽど好きなんだな…って、帰んのか?」
私はパイを頬張るライカさんに背を向け、言葉を返す。
「…は、はい…気分が…ちょっと優れないものですから…お先に失礼します。」
かろうじてそういうと、私は教室を飛び出し家路についた。
家に帰ってきた私が扉を開けると、私専属のメイドである詩織と伊織が出迎えてくれる。
「お帰りなさいませ志乃様。」
「…? 志乃様、ご機嫌が優れないよ…」
「うるさいっ!」
私は2人に八つ当たりすると、2階の自分の部屋に向かい…
ドガッ!
ドアを蹴り開けると、辺りの椅子やテーブルを蹴り散らかす。
さらに傍らにあったぬいぐるみを叩きつけ…
「…あかり、ちゃんは、私のものっ!!」
止めにソファーに投げつけた。…あぁ…駄目だ。あかりちゃん分を摂取しないとっ…?!
私は部屋の隅に隠してある大きな箱(通称・あかりちゃんBOX)を引っ張り出し、おもむろに開けた。…中には私が半年間集めに集めたあかりちゃんグッズがいっぱい。
「…はぁ…♪あかりちゃん…♪」
私はBOXの中からお気に入りのあかりちゃん人形を取り出し抱き抱えるとベッドに滑り込む。
(あぁ、あかりちゃん…私達ずっと友達よね…そう、半年前に私とあかりちゃんは1つのパイを分けあったんだから…ねぇ?)
私が心の中で問い掛ける。すると…
『…そうだよ、あたしと志乃ちゃんはずっと友達っ!』
脳内のあかりちゃんが即答してくれる。あぁ…あかりちゃん…♪
(…うんうん、あの時分けあったパイ、とてもおいしかったぁ…今度は私のパイもどうぞ…って…はっ!)
「…そんなことしてる場合じゃないですわっ?!」
私はかぶっていた布団をはね飛ばすと机の上のパソコンを起動させる。
まず調べるのはアリア先輩。彼女に勝ってしまえばあかりちゃんは必ず戻ってくるから。でも…
『…神崎・H・アリア…東京武偵高校強襲科2年、武偵ランクS。…異名は〈双剣双銃(カドラ)のアリア。』
武偵高校のデータバンクから情報を引き出す。
『…14歳からロンドン武偵局に所属し欧州各地で活躍、現在99回連続で事件を解決…しかも一発逮捕で解決率100%?!』
…駄目だ、チート過ぎて勝てる気がしない…(涙)
…しかし私は諦めない。まだ何か方法が…ん、これは?…私がサイトで見つけたのは[3日内解消規約/スリーデイズキャンセル]という項目。
…スリーデイズキャンセルとは戦姉妹契約成立から72時間以内に戦妹が私闘で破れた場合、契約が破棄されるシステム。
…成る程、戦姉からすれば戦妹を護れなかったということになるから…。これならなんとかなるかも…ん、補足?
『…但し、複数の戦姉妹契約が同時に結ばれた場合は、その全ての戦妹が破れた場合のみ契約破棄が成立する。』
…ということは、期限までにあかりちゃんだけでなくアリサさんも倒さないと駄目ってこと?
…時計を見るともう日付は変わっていた。
(…期限は今日の夜8時…あと1日も無い…あかりちゃんだけならともかく、アリサさんの能力が読めない現状じゃ…?!)
私は更にルールを確認して…遂に!
「こっ、これだわ…!これならあかりちゃんを取り戻せるっ!」
私は立ち上がりほくそ笑む。でもそれが限界だった。足から力が抜け、崩れ落ちていく。
(…とりあえず少し仮眠したら、あの子に連絡を取るとしましょう…)
NO SIDE
その日の朝方、アリアの部屋ではアリサとあかりがアリアの外泊用の荷造りに追われていた。
「あの~、アリア先輩?…外泊っていつまでなんですかっ?」
あかりは着替えをパッキングしながらアリアに質問する。
「そうね…アイツが落ちるまでだから、目処はたたないけど…」
アリアはそう言いながらあかりとアリサ、2人の方を見て言葉を続ける。
「2人ともあたしがいなくてもちゃんとしなさい。あたしの戦妹なんだから…できるよね?」
その言葉に2人は頷いて答える。
「…はいっ!あたし、ちゃんとしてみせますっ!!」
「…当然っ!お姉ちゃんには恥かかせないからっ!!」
「OK。…それじゃあ行ってくるわ。」
アリアはそう言って部屋を出て目的地…遠山キンジの住む男子寮に足を向けて部屋を出た。
暫くしてアリアの携帯から着信音が。発信相手は…
『風魔 陽菜』
(陽菜…?一体何の…?)
アリアは訝しく思いながらも電話をとる。
「…もしもし陽菜?いったいどうしたのこんな時間に…」
『朝方に失礼するでござる。実はあかり殿のご学友の佐々木志乃殿からある依頼を請けまして…』
「依頼?!」
…志乃っていったらあのお嬢様っぽい子よね。あの子がいったい?
『依頼については守秘義務があるので申すことはできぬでござるが…某は任務が重複する故に断ったでござる。ただ…』
SIDE:アリア
「ただ…なんなのよ?」
言葉を濁した陽菜をあたしは問い質す。
『…某の代わりに某の従姉妹がその依頼を受けたでござる。この子がいささか危ない子でござるので…ご忠告までと。』
…アンタが危ないって、どれだけヤバいのよその子…(汗)。
でもいったい何を…ってもしかして3日内解消規約を狙って?あの子はあかりにご執心みたいだから、もう1人にアリサを狙わせようって魂胆ね。
「そう…ありがと、陽菜。」
『…お2人には伝えぬでござるか?』
「…あたしの戦姉妹ならこれぐらい切り抜けらなきゃ失格よ。アンタも言っちゃ駄目…いいわね?」
『承知したでござる。では…』
「あ、あと1つ!アンタの従姉妹の名前は?それぐらい教えなさいよ。」
『…従姉妹の名前は風魔 麗美〈ふうま れみい〉。某と同い年で諜報科〈レサド〉の1年。里では〈剣狂の麗美〉と呼ばれる…まぁ刀剣マニアというところでごさろうか。ではまたいずれ。』
そういうと陽菜の電話が切れた。
あたしは携帯をカバンに戻すと空を見上げる。
(あかり、アリサ…アンタたちならなんとかなるわ。必ず勝つのよ、あたしの戦姉妹たち!)
最後に出てきた風魔の子はスレイヤーズ!SPにモデルがいます。今後もリリカルすれいや~ず!がらみでキャラクター化していく予定です。
それでは次回「第6弾 開戦!戦姉妹たちとクレイジーズ(仮)」でお逢いしましょう!
次回もみてくんないと…
「風穴だぁ~っ♪」
(BY理子)
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第6弾 開戦!戦姉妹たちとクレイジーズ
では本編、どぞっ!
SIDE:あかり
キンコーン カンコーン…
終業のチャイムが鳴り、周りの生徒は帰り支度を始めたけど…
「あ~あ、今日は1人かぁ…」
アリア先輩は今朝からしばらく外泊で留守。さらにアリサちゃんも「急用」で先に帰っちゃった。
どうしよう…今日はののかも友達と外出するって言ってたし…
「…あかりさん?帰らないんですか?」
後ろからした声に振り向くとそこにいたのは志乃ちゃんだった。
「あ、志乃ちゃん…。」
「どうしたんですか?ぼうっとして…。」
どうやら一人きりなのを心配して声をかけてくれたみたい。
「うん…今日はアリア先輩もアリサちゃんもいないから、1人野良戦姉妹(ノラアミカ)なんだ。…ののかも留守だし、どうしようかなぁ…」
あたしのボヤキを聞いた志乃ちゃんは笑みを浮かべた。
「…それじゃ私の家にきませんか?夕飯ご馳走しますよ。」
ほんと?…考えてみたら、志乃ちゃんのお家ってまだ行ったことなかったっけ。
「行く行く!楽しみだなぁ志乃ちゃんち!」
「…じゃあ行きましょうか。迎えの車が待ってますから。」
こうしてあたしは志乃ちゃんのお家に招待されることになった。
でも、このあと戦姉妹を懸けた闘いが始まること、そしてそれはあたしだけじゃ無かったことを今のあたしには知るよしも無かった…。
SIDE:アリサ
「ん~っ、ここでいいはずなんだけど…まだ来てないみたいね。」
わたしは指定されたとある公園を訪れていた。
発端は通信科(コネクト)のポストガール、前島さんから届けられた1通の手紙。
わたし宛で差出人の名前は〈S〉の1文字のみ。この公園に1人で来るように書いてあったわ。
…〈S〉に心当たりが無い訳じゃないんだけど、その子じゃないはず。だって…
「…アリサちゃん♪」
聞き慣れた声に振り向くとそこにいたのは地元・海鳴での親友、月村すずかだった。
「…久しぶりだね、アリサちゃん…元気だった?」
…ここまで予想通りだとは思わなかったわ…わたしは頭を軽く掻きながら返事を返す。
「…そうねすずか…アンタが本物だったらそうなんだろうけど。」
「…?!」
わたしの言葉に動揺の表情を見せるすずか。
「…な、なにを言ってるのかなぁ…わたしはすずか…月村すずかだよっ?」
慌てて取り繕おうとするけど無駄よ?
「…わたしとすずかを含めた海鳴出身の親友同士はね、手紙や携帯電話を使わなくても秘匿の通信をする手段があるの。だから手紙で連絡してきた時点でアンタは偽物って訳。…Reary(わかったかしら)?」
わたしの説明を聞いた偽すずかは苦笑いを浮かべる。
「…成る程。アリサ・バニングス…噂以上の切れ者と言うことか。」
その声はさっきまでのすずかの声じゃなく、もっと落ち着いたものに変わっていた。さらに…
ベリリッ!
顔面を剥ぎ取ったその下からは、鋭い目線をした黒髪のポニーテールの少女が。
「…自己紹介するわ。わたしの名前は風魔 麗美〈ふうま れみい〉。東京武偵高校の諜報科〈レサド〉1年。…とある方からの依頼にてアリサ、あなたに決闘を申し込むわ。」
はあっ?何よいきなり…あっ?!
「もしかして…〈3日内解消規約/スリーデイズキャンセル〉狙い?…って事はあかりの方にその依頼主が…」
わたしはカバンを置くとガンホルダーからコンバットマグナム、懐から光秀を構える。
「…!ほほぅ、苦内とは珍しい武器を使ってるわね。忍者でもないのに…。」
そういいながら麗美は右手に日本刀、左手には…あれは確か…
「…それってショーテルって奴よね?アンタこそ珍しい武器を使ってるじゃないの?!」
「この子はマガリ。名前の通りカーブの曲線がかあいいの♪」
…はぁ?!
「それで~、この右手の日本刀が村雨くん。持ってると切り刻みたくなるくらい素敵なの♪」
…いやあの、それって妖剣の類いなんじゃ…(汗)。
「他にもいろいろあるから紹介してあげるわ。あなたを倒したあとで…ね!」
いきなり踏み込んできた彼女の日本刀を避け、変則な軌道で迫ってくるショーテルも光秀で受け止める。
「問答無用って訳?…上等よっ!」
わたしはバック転で距離を離すと銃から弾丸を放つ。でも…
「甘いわよ。わたしはこう見えても相模の忍び・風魔一族の出なの。そう簡単にはやられないわよ?」
麗美は簡単に銃撃を避けると何かを投げてきた。
足元に突き刺さったそれは棒手裏剣!…成る程、忍びの出ってのもあながち嘘じゃないみたいね。
わたしはちらっと腕時計を確認する。…今午後6時30分、確か戦姉妹契約が教務科に承認されたのが一昨日の午後8時ジャストだったから…あと1時間半か…
「ま、やるだけやってみましょ?!…フレイムアイズ、〈身体強化/フィジカル・ブースト〉お願い。」
『おうよっ、アリサ!』
フレイムアイズの声と共にわたしの身体が軽くなる。…魔力が見れる魔導師じゃなければこれくらいならバレないはず。
「…風魔忍軍・中忍、麗美…推して参る!!」
「…海鳴の烈火姫、アリサ・バニングス…罷り通る!!」
…さぁ、素敵な戦い(パーティー)始めるわよ!つまらなかったら承知しないからねっ?
NO SIDE
こうしてアリサと麗美が決闘を繰り広げている頃、志乃の家に招待されたあかりは夕食後に庭に散歩に誘われていた。
SIDE:あかり
「は~っ、お腹いっぱい…ごちそうさま、志乃ちゃん!」
あたしは志乃ちゃん家のお庭を散歩しながらお礼を言う。
「…いいえ。こちらこそ夜に歩かせちゃって…でも、食後に少し歩きたくて。」
志乃ちゃん家のお庭は物凄く広くて花も一杯咲いてる。…でも、ちょっと寒くなってきたかも。
「志乃ちゃん、そろそろ戻ろ…あれっ?」
部屋の中に戻ろうとしたらドアに鍵が…なんで?
「ねぇ志乃ちゃん、ここ 鍵がかかって…志乃ちゃん?」
あたしが振り向くと志乃ちゃんは花壇の中から何かを…それって日本刀?
「…あかりさん、〈3日内解消規約〉ってご存じですか?」
ほぇ?スリーデイズキャンセル?…なにそれっ?
「戦姉妹契約が結ばれてから72時間以内に戦妹 が私闘で負けた場合、契約が解消される規則なんです。…戦姉が戦妹を護れなかった訳ですから、再契約もできないんです。」
そんな規則が…あ、でも契約が教務科に承認されたのが2日前の夜8時だから…
あたしがお庭の時計を見ると針は7時45分。
「でもあと15分だし、アリア先輩狙いの子はもう再申請はできないルールだから…もう大じ…」
「…みんながみんな、アリア狙いじゃないのよ、あかりちゃん?」
えっ?それってどういう…?
あたしが尋ねる前に志乃ちゃんは手に取った日本刀を鞘から抜く。
「あかりちゃん…わたしは貴女に勝ってアリアとの戦姉妹契約を破棄させる…恨まないでね♪」
そう言いながら微笑む志乃ちゃんの眼はいっちゃってる…うぅ、怖いよぅ…」
あたしは銃を構えようとガンホルダーに手を伸ばし…あれっ?
「な、何で銃が無い…あぁっ?!」
そういえば入るときにメイドさんに邪魔になるからって預けたんだった!
「ふふふっ…それじゃあいくわよ、あかりちゃん!」
言うなり志乃ちゃんは構えた日本刀を連続して薙ぎはらう。
「ひゃあっ?!」
あたしは転がってさらにバック転でなんとか避けたけど…
ピッ…ファサッ!
かすった刃先がタイピンを飛ばしネクタイがほどける。
「ふふふっ…ごめんね、防刃制服の上からでも骨折れちゃうかも。だけど…心配しなくてもいいよ、付きっきりで看病してあ・げ・る♪」
ひいぃぃっ?!し、志乃ちゃんが何だか怖いよぅっ?!
あたしは刀をかわしつつあとずさる。でもそこには…
「ウ~…ワンワンッ!」
志乃ちゃん家の番犬が立ちはだかった。…それもたくさん。
「…ホントにあかりちゃんは身軽だね、…まるで燕みたい。」
志乃ちゃんはそう告げると刀の鞘を放り投げる。
「でも私は燕でも切れるよ?…この家代々伝わる奥義〈燕返し〉でね。」
…!そうだ、志乃ちゃんのお家はあの江戸時代の剣豪、佐々木小次郎の末裔。だからあの有名な必殺技・燕返しも使える。
「…あかりちゃん、誤解しないうちに言っておくね。その昔、我が御先祖様の佐々木小次郎が宮本武蔵に負けた時に鞘を棄てて「小次郎、破れたり!」って言われ、本当に負けたって話…あれは違うんだよ?」
志乃ちゃんは鞘の無いまま居合の構えを取る。
「あれは鞘がいらないんじゃなくて邪魔になるから棄てたの。…鞘の摩擦がない居合は最速の剣、だから佐々木家の業〈巌流〉ではまず鞘を棄てる。…あかりちゃんに見えるかなぁ?」
今ならあたしにも分かる、あの技は…ヤバいっ!
「秘剣…燕返しっ!」
あたしは咄嗟にダガーを構えて受け止めた。けど剣圧に耐えられずダガーは折れてあたしは噴水まで吹き飛ばされる。
「な、なんて威力…」
「あかりちゃん…あかりちゃんが悪いんだよ…?」
近づいてくる志乃ちゃんの目には涙。
「…私はあかりちゃんを失いたくない、アリアには絶対に渡さないっ!だから…斬る!」
志乃ちゃん…でもっ!
「あたしだってアリア先輩との戦姉妹解消なんてしないよっ!」
あたしはダガーを捨て、自然体に構える。間宮流の奥義〈鳶穿/とびうがち〉…この技であの日本刀を取れれば…
「…知ってるよ、それ。…その技でこの前ライカから紙を取ったよね?それに戦姉妹試験の時にアリアからエンブレムを取ったのもその技。」
えっ…ばれてるっ?!
「今その技で取るなら…刀(これ)だよね。」
志乃ちゃんは日本刀を地面に突き刺すと、奥の花壇に入っていく。
「私ね、推理したの。…その技は相手の懐に入れないと使えないんじゃないかって。」
志乃ちゃんが花壇の中から出してきたのは…身の丈を凌ぐ長さの日本刀。
「武士は必ず大小2本の刀を携えるけど、さっきまで私が使ってたのは小刀。そしてこれが…」
鞘を抜き捨てると美しいまでの刃。
「大刀…通称〈物干し竿〉。」
…ちらっと庭の時計を見ると針は7時55分。どうやらこれが最後の勝負かな?
その時何故か頭に浮かんだのは戦姉妹のアリサちゃんの事だった。
「ねぇ志乃ちゃん、もしかしてアリサちゃんも今頃…」
「ええ、あの方も今頃は私の送った刺客にやられて…」
「…負けないよ。」
「…えっ?」
あたしは志乃ちゃんの目を見つめながら話す。
「志乃ちゃんがアリサちゃんのところにどんな人を送り込んだかは知らないけど、あたしとアリサちゃんはアリア先輩の戦姉妹〈アミカ〉なんだから絶対に負けない…必ず勝ってみせるっ!」
あたしはそう宣誓すると気合いを集中させる。
アリサちゃん…信じてるからねっ!
すいません、決着は次回に持ち越しです。
アリサのバトルシーンをもうちょっと書きたいので…
という訳で次回、「第7弾 炸裂!アリサの必殺技」でお逢いしましょう!
次回もみてくんないと…
「天誅~っ!」
(BY 白雪)
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第7弾 炸裂!アリサの必殺奥義!
NO SIDE
アリアとあかり、アリサの戦姉妹(アミカ)契約成立を阻止すべく佐々木志乃は風魔の中忍・麗美にアリサとの私闘を依頼し自らはあかりを罠に誘い込む。
あかりは戸惑いながらも志乃と戦うが、志乃の秘剣〈燕返し〉の前に防戦一方に。
さらに志乃は切り札とも言うべき長刀〈物干し竿〉を繰り出す。
それに対しあかりは〈鳶穿〉で対抗を試みようとしていた。
…一方アリサと麗美の熾烈な戦いもまた、クライマックスを迎えようとしていた。
SIDE:アリサ
キンッ!…ガキンッ!
わたしの光秀と麗美の村雨が火花を散らす。「…なかなかやるわね。わたしと近接でこれだけ 闘える娘なんて久々よ。」
「…そりゃどうも。」
それはこちらのセリフよっ!さすがに〈剣狂〉なんて名乗ってるだけの事はあるわ。
それでもフェイトほど速くはないしシグナムほどの技術もない。それに…
わたしは距離をとりアリサカスタムを構えて射つ。
「…くっ?!…やはり銃は鬱陶しいわね。」
どうやらこの娘、近接特化…というか刃物特化みたい。飛び道具も手裏剣だったし…
「…でも、準備は整ったわ…もう貴女は逃げられない!」
…?
いったい何の…?
ビシッ!
「痛っ?!…こ、これは?!」
わたしは太ももに鋭い痛みを感じる。…見ると其処らじゅうに細いワイヤーが張り巡らされてある。
「逃げ回りながらワイヤー張るのは大変だったわ…だけどこれで貴女のスピードは封じたわ。」
わたしはワイヤーを触ってみる。…別に切れるような鋭さは無いけれど、苦内でどうにかなる固さじゃないし、注意して見ないと見えないくらい細い。
…間違いない、これはわたしのブリッツ封じ?!でもどうしてこの事を?
「貴女の事は調べさせて貰ったわ。貴女は神崎・H・アリアとの戦姉妹試験の時にとてつもない加速を使ってる。」
麗美はそういいながら側のワイヤーを弾く。
「依頼を受けたあと、わたしは武偵島の監視カメラを調べてこの事を知ったわ。原理や方法は解らなくても、加速を封じればこの技は止められる…そうでしょ?」
う~ん、正直フレイムウィップ辺りで充分ワイヤーは処理できるとは思うんだけど…
『魔法がバレるのは不味いってか、アリサ?』
念話でフレイムアイズが話しかけてくる。
『…まぁね。わたし、超偵では登録してないからね、今んとこ。』
わたしはアリサカスタムをホルダーに仕舞うと、光秀を構えて…
『フレイムアイズ、光秀をクラスターモードに。…〈アレ〉、試すわよ?』
『おいおい、大丈夫か?アレだって充分魔法だぞ?』
『心配ないって。いざという時の言い訳は考えてるから。』
『…わかったよ。…光秀、クラスターモード・リリース!』
目には見えないけど、光秀のデバイスとしての機能が解放される。…よしっ!
「はん!その程度でわたしを封じたつもり?…もしそうなら大したことないわね?!」
わたしの挑発に麗美のまなじりがピクッと上がる。
「何を戯言を…この網の中でわたしの斬撃を避け続けられるとでも…」
「その必要が無いって言ってんのよっ!…次の一撃で勝負は決まるから。」
わたしはそう言うと空いた左手で手招きをする。
「ムカ~ッ?!それじゃお望み通り次の一撃で終わりにしてあげる…貴女の敗北でねっ?!」
予想通り怒り心頭の麗美は村雨を両手で振りかぶり突っ掛かってきた。よしっ!
「うおりゃぁ~っ…なんてね。」
…?!…麗美はわたしの目前で剣の切っ先を降り下ろし、返す刀で狙うはわたしの武器破壊?…でも甘いっ!
「そんなの、シグナムの連結刃に比べたら停まって見えるわっ!」
わたしは〈能力強化/フィジカル・ブースト〉を足に集中して麗美の跳ねあげた剣先に飛び乗り、麗美の上空へ。
「なんですってぇ~?!」
さすがに麗美は予想外だったみたいで混乱してる…今が勝機、いくわよ!
「…風魔中忍・麗美、これでこの戦いも終わりよっ!…喰らえ!必殺っ!」
わたしは光秀を空に放り投げた。するとそれは数え切れない数に分裂し空中で炎を纏う。
「…バニングス流奥義、朱雀剛・爆・砕(すざく・ごう・ばく・さい)っ!」
わたしの声と共に、無数の炎を纏った苦内が麗美に襲いかかる。
「ひえ~っ?!」
ちゅど~ん!
爆風と共に麗美は吹き飛ばされ公園の噴水に落下した。
「…はらほれひれはれ~っ…」
麗美は噴水の中で気を失ってる…わたしの勝ちねっ!
その時…公園に「今日の日はさようなら」が鳴り響く。時計を見ると午後8時、ミッションコンプリートね…あ、そういえばあかりの方は…?
…ちょうどその頃、あかりは志乃の攻撃を耐えきったはいいもんの、その後号泣する志乃を慰めるのに必死だったみたい。…後で聞いたんだけどね?
そして次の日…
「え~っ、そんな事があったんだっ!」
わたしの説明を聞いたライカが吃驚してる。…まぁ仕方ないか。
「あいつ昔からあかりに執着してたからなぁ…アリア先輩に横から取られた気分だったかもな?」
「あたしも無神経だったよ…志乃ちゃんの気持ちも考えずにアリア先輩にべったりしちゃったから。」
…あ~~っ、もう!
「なぁに言ってんのよあかりっ?!…あんたも志乃も、もう少し相手の事を気に掛ければいいだけじゃないの!」
わたしは思わず真顔で怒鳴ってしまった…いけない、つい…
「…ありがと、アリアちゃん。」
「…意外とおせっかいなんだな、お前…」
あ、あんたらがイジイジしてるから…
「あかりさんっ!」
「あ、アリサもいたっ!」
教室のドアがガラッと開き飛び込んできたのは志乃と麗美。…ほっ。
「あかりさんっ、〈アミカ・グループ〉ってご存知ですか?…戦姉妹同士で連携を取り合い、共同で任務にあたるシステムなんですけど…今度、わたしもとある方に戦姉妹申請したんでわたしたちでグループ組みましょうね!」
…アミカ・グループ…そういや規約にそんな事を書いてたような…
「メンバーはあかりさんとわたし、ライカさん…あ、アリサさんも一緒に…?」
「あ、わたしはパス。」
わたしは志乃の誘いをやんわり断った。
「え~っ、一緒にやろうよアリサちゃん?」
「…あかり、同じアリアお姉ちゃんの戦姉妹だけど、あんたとは馴れ合うよりライバルでいたいの。だからわたしはわたしでアミカ・グループを組むわ。…とは言ってもアテはないんだけど…」
「なら、わたしはどう、アリサ?!」
そう言ってきたのは麗美。
「昨日の戦いは今までで最高峰のバトルだったわ。剣技の冴えといい、あの奥義といい…」
「はいストーップ?!」
…冗談じゃない、これ以上話されたら…
「???…まぁとにかくわたしは貴女と組んで自分を進化させたいの。…ダメ?」
「駄目じゃないけど…あんた、誰かと戦姉妹契約してんの?」
わたしの質問に麗美は笑みを浮かべる。
「えぇ、ある諜報科〈レサド〉の先輩に申請中よ。なんでも前の戦妹との契約が切れて今フリーなんだって。」
ふ~ん、あてはあるんだ。だったら…
わたしは麗美に右手を差し出す。
「解ったわ。その契約が結ばれたらあなたをグループに迎え入れる…OK?」
「ありがとうアリサ!わたしの剣技、頼りにしていいわよっ!!」
麗美の近接戦闘力は高いし、諜報科としての期待もできるから拾い物かも。
「む~、わたしたちも「アミカ・グループ」になりましょう!だって私たち相思相愛ですもの…ね♪」
「う、うん…(汗)」
…志乃、あかりが若干引いてるわよ…
「…お前ら…色んな意味で間違いは起こすなよな…?」
大丈夫よライカ!…さぁ~て、それじゃ次のメンバーも探さないと…忙しくなりそうね!
NO SIDE
こうしてアリサと麗美、あかりと志乃が友情を育んでいた頃…
強襲科〈アサルト〉に舞い戻った伝説のSランク武偵・遠山キンジ。
そして超能力捜査研究科〈通称SSR〉に舞い降りた異端のSランク超偵とその使い魔。
彼らの存在が新たな事件を巻き起こす…
今回にてスリーデイズ・キャンセル編は終了。
次回からはいよいよキンジ、そしてそれに匹敵するある男が登場します。
ある90年代アニメからの参戦です。ある意味(?)キンジの対極かもしれません。
次回、「第8弾 女嫌いと女の敵」
次回も見てくんないと…
「禁止だ禁止っ!」
(BYキンジ)
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第8弾 女嫌いと女の敵(?)
なお、今回の設定はオリジナル要素満載なのでご了承ください。
では、本編どうぞ!
NO SIDE
無事正式にアリアの戦姉妹となったアリサとあかり。同じ強襲科のライカと共に訓練に励む毎日を送っていたある日の事…
SIDE:アリサ
「…遠山キンジ?」
訓練を終えてライカの口から出たのは、強襲科(アサルト)の伝説となっている先輩の話だった。
何でも入学試験でプロの武偵を倒したとか。
「…で?そのキンジ先輩がどうしたって?」
「キンジ先輩は何故か強襲科から探偵科(インケスタ)に転科してたんだけど…今日からまた戻ってくるんだってよ。」
「へぇ~、そんなに強い先輩だったら一度お手合わせしてみたいわね。」
「あたしは遠慮したいかな?アリア先輩の特訓だけでもいっぱいいっぱいなのに~っ?!」
わたしたちがその話題で盛り上がってると…
ざわざわざわ…
訓練所が騒がしくなり、入り口付近で1人の男子生徒がもみくちゃになってる。
「あ、噂をすれば…あれが遠山キンジ先輩だよ。」
遠山キンジは多くの生徒に慕われている?らしく…
「おう、やっと帰って来たかキンジ?」
「…帰りたくはなかったけどな。」
「さぁ早く死んでくれキンジっ!」
「その前にお前が死ねぃ!」
…あれって慕われてる…のかしら(汗)。
「でも大物食い狙っていく奴もいるらしいけど、負けたって話はきかね~んだよなぁ…あぁ見えて隙無さそうだし。」
そう、あの人飄々としてつかみどころが無い感じがするわ。
「…ま、いずれはともかく、今は『触らぬ神に祟りなし』ね。…さ、帰るわよあかり、ライカ?」
「うん、そうだね!」
「そっだな、帰っか。」
わたしの言葉に2人もカバンを手にとり帰り口に向かう。
校門にたどり着くとそこにはさっきのキンジ先輩、そして…
「あ、アリア先輩だぁ!アリ…」
「しっ?!」
そう、そこにはアリアお姉ちゃんの姿。…どうやらキンジ先輩を待ち伏せてたみたい。
「あ、キンジっ!」
「…げっ…アリア、お前かよ…」
「げっとは何よげっとはっ?!…そんなことより意外と人気あるんだねアンタ…ちょっと格好良かったよ♪」
楽しそうに話すアリアお姉ちゃんとキンジ先輩。…意外とお似合いかもっ…ね、あか…
「…………」
あかりはハンカチをくわえながら涙目で2人を見つめてる。
「アリア先輩、あんな楽しそうに…あれってアリア先輩にたかる悪い虫っ?!ゆ、許せないっ!」
あ、あかりさん?…あ~あ、2人をつけていっちゃった…わたしたちはどうする、ライカ?
「ほっといたらいーんじゃね?アリア先輩だって子供じゃないんだし。」
…だね。そんじゃマックでも寄って…
「は~い、そこの可愛い子ちゃん達♪そうそう、君たちだよ、君たち!」
突然声をかけられ振り向くとそこにはジーンズルックに身を包み頭にはバンダナをした男性と、フェイトんとこのアルフみたいな格好の女性。
…なんかわたしの親友の彼氏と同じセンスを感じるのは気のせいかな…?
「君たちその制服って武偵高だよね?教務科(マスターズ)に用があるんだけど案内してくんないかなぁ?」
教務科?わたしは構わないけど…ライカ、あんたはどうする?
「あ~、わたしはパス。アリサに任すわ、そんじゃおっ先~!」
あっ、ライカっ?!…しまった、逃げられた…
「…仕方ない…連れてってはあげるわ。ところであんたたち何者なの、見たとこ武偵高の生徒じゃないみたいだけど?」
わたしが尋ねると、青年は一瞬呆気にとられた表情をみせ…すぐに照れ臭そうな笑顔をみせる。
「そっか、自己紹介がまだだったな?…俺は横島 忠男(よこしま ただお)、そんでコイツが…」
「…気安くコイツと呼ぶなぁ?!…タマモだ。故あってこいつの従者をしている。…不本意ながらな。」
…従者?わたしは改めて2人を見る…フレイムアイズにサーチをさせて。
『どう、フレイムアイズ?』
『…こりゃ驚いた。そっちの兄ちゃんもアリサと同じ位の魔力はあるな…AA~AAAってとこか。』
(やっぱり…魔法関係…ってことは超偵なの…かしら?)
『でもそれより驚くのがあの嬢ちゃんだ。…魔力ランクだけならはやて嬢ちゃんやリナ嬢ちゃん並み…Sランクオーバーだ。』
『なっ…う、嘘でしょ?』
わたしは思わず声をあげかかる。
元々少ないリンカーコア所持者だけどAランク以上、ましてやオーバーSなんて数えるほどしかいないはず。…もちろん超偵といわれる特殊な能力持ちの武偵もいるんだけど…
「ん、どうした?俺がカッコいいから見蕩れてたとか?」
「どうしてお前はそんな考え方ができるんだ?!…すまんな、これでも有事には頼りになるんだが…」
「い、いえ…それより、教務科の誰に用事なの?」
わたしは話題を変える。
「あぁ、尋問科(ダキュラ)の綴 梅子(つづり うめこ)と…」
「げ。」
…よりによってあの人かぁ~…苦手なんだよね、つかみどころがなくてさ。
「ま、仕方ないか…追ってきて、教務科はこっちよ。」
「ありがとう…あ、そういや君の名前は?」
あ、そういやわたしも自己紹介してなかったっけ。
「わたしは武偵高強襲科1年、アリサ・バニングス。…アリサでいいわ。」
「アリサちゃんか…ねぇ、今度お茶でも…「いい加減にしろっ!」あがっ?!…何しやがるタマモっ?!」
わたしをナンパしようとした横島さんをタマモがぶん殴って阻止する。
「A級のGS(ゴースト・スイーパー)が恥ずかしい真似するなっての!」
「男にとって美少女を前にしてナンパしないなんてあり得ん!」
…なるほど、そーゆータイプ…ん、ちょっと待って、今…?
「今A級のGSって言わなかった?GSって確か…」
GS(ゴースト・スイーパー)は悪霊や悪魔を専門とした超偵の別名。実体の無い魔物を相手にするGSは高い魔力・霊力を求められる。
(な~る、高い魔力はそういう事か…うん、納得だわ。)
見たとこ悪人って感じはしないし、見せてもらった紹介状もおかしなところは無かった。
「…それじゃそろそろいきましょうか?」
わたしは2人を先導して教務科へ向かう事にした。詳しい話は歩きながら聞けばいいしね♪
NO SIDE
こうしてアリサが横島とタマモを教務科に案内していた頃、アリアとキンジを追跡していたあかりは…?
SIDE:あかり
アリア先輩とキンジ先輩、なんだかんだ言いつつ楽しそう…端から見てるとお似合いのカップルにしか見えない…(涙)
(アリア先輩、絶対騙されてるっ!)
そう断定したあたしは、2人が別れたあと尾行を開始した。…絶対に尻尾を掴んで…
「そこまででござる、間宮殿。」
…!背後からした声に振り向くとそこには、ポニーテールに武偵高の制服、口元をマフラーで隠した少女が電柱に逆さまでぶら下がっていた姿。…なんでスカートめくれないんだろ?
「お目にかかるのははじめてでござるな。某は遠山キンジ師匠の戦妹(アミカ)…1年C組、風魔陽菜。」
ふ、風魔っ?!
「確か風魔って相模の忍びだったよね?…あたしに何か用?」
あたしの問いに彼女は静かに答える。
「…師匠は女子が苦手でござる故、それ以上追わぬよう…今より其が師匠を護衛いたす。」
彼女はそういうと手に持った何かを地面に叩きつける。
「御免!」
「きゃあ?!」
叩きつけたのは…煙玉?一瞬にして視界が遮られ煙が晴れたあとには彼女の姿は…あれ?
タタタッ!
足音に振り向くとそこには…背中丸見えで逃げていく陽菜の姿。
「…もしかしてあの子…おバカ?あんな子全然怖くないっ!」
あたしはすぐに彼女の後を追いかける…でも、すぐに見失ってしまった。
(あの子いったい何処に…あっ、まさかわざとあたしに追いかけさせて時間稼ぎしてた?)
「…ということはキンジ先輩は別の方向?」
あたしは舌打ちすると周囲の探索を再開した。
(絶対に見つけてやる、遠山キンジ!)
そして数分後、公園を探してると…
「…あいつ何やってんだ…全然まけてねーじゃねーか、風魔…」
突如感じた気配に立ち止まり振り向くと…
「…で、誰だよお前?」
木陰から現れたのは探し求めていた相手、遠山キンジ先輩だった…。
はい、女の敵はこの人でした。(笑)
なお、彼の従者(仮)が存在するため、アリア本編に本来登場する同名の方は出ない予定です。
次回「第9弾 パンチューとブラチラ?」
次回も見てくんないと…
「日給30円よ♪」
(BY横島くんの上司・M神R子さん)
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第9弾 ぱんちゅーとぶらちら~乙女2人の災難~
では本編どうぞ!
NO SIDE
敬愛する先輩・アリアに近づく悪い虫(あかり認定)、遠山キンジの素行を調査すべく尾行を開始した間宮あかり。
途中、風魔陽菜の妨害に遭うものの、とうとうキンジと対峙する…。
SIDE:あかり
「…で、誰だよお前…?」
凄みの効いた声で話しかけてきたキンジ先輩。
さすが武偵Sランクを感じさせる迫力…でも!
「あの…アリア先輩とはどんな関係なんですかっ?!」
「…アリア?…お前アリアの知り合いか?何を勘違いしてるか知らんが、俺とあいつはそんな関係じゃない。」
関係がない?!あれだけアリア先輩が親しく近づいてるのに?
「要件はそれだけか?…そうならもう俺をつけるな。今のおればEランクだが探偵科(インケスタ)だ、お前ら1年の尾行ぐらいすぐにわかる…次はないぞ、じゃあ…」
え…元Sランクなのに今Eランク?それって…
「…キンジ先輩、あなた何か秘密が…」
「…度胸があるのと無謀なのは違うぞ1年。」
(ゾクッ!!)
ひいっ?!な、なんなの今の殺気は?!
「…大丈夫でござるか師匠?」
いつのまにか陽菜が背後に控えてる…これって形勢不利?
わたしは訓練で教わった通り銃口を2人に向け視線を交互に向ける。
「…お前、どこ中の出身だ?」
?…質問の意味が分からないけど…
「い…一般出身です。中3の2学期から武偵高の付属中に転入してきました。」
わたしの答えにキンジ先輩は軽くため息をつき…
「…一般中(パンチュー)か…風魔もういい、こいつは大丈夫だ。」
「…御意。」
キンジ先輩の一言で陽菜も武器を収めた。でも…
「ぱ、パンチューがなんだっていうんですか!!」
一般中出身なのを馬鹿にされたと感じたわたしが怒鳴ると同時に…
ゴォォォッ!
突然吹いた強風がスカートを捲し上げ…その…
「ぱ…ぱんちゅーがっ!」
…思わず噛んじゃった。わたしは慌ててスカートを押さえ込む。
「なっ?!…なんなんだよお前はっ!…うああああっ…」
突然キンジ先輩が頭を抱えて苦しみ出した…えっ、なんで?
「しっ、師匠!お気を確かに…傷は浅うごさるっ!」
結局キンジ先輩は陽菜と一緒に公園からでていった。
(何、何、なんなのっ?あれって女性恐怖症?!それにしたってあの態度は失礼よっ?!)
わたしは去り行く2人を見ながらそんな事を考えてた…。
NO SIDE
時同じ頃…アリサは横島とタマモを連れて教務科(マスターズ)の綴 梅子の元を訪れていた。
SIDE:アリサ
…コンコン!
「失礼します!綴先生にお客様をお連れしました!」
教務科の扉を開け中を伺う。ここにいるのは現役バリバリの武偵である教官たち。…ものすごい緊張感だ。
「なんだバニングスか…何か用事か?」
その部屋の奥に目的の人…綴梅子の存在を見つけたわたしは声をかける。
「ご苦労様です。お客人をお連れ…ってあれ?」
「うっめこさ~ん!」
わたしが一瞬目を離した瞬間に横島さんは綴先生向かってダイブしていた。…いったいいつの間に?!
バコッ!
…と思ったら顔面にカウンターのストレート!さすがに隙がない。
「ん…?なんだ、誰かと思えば横島か!相変わらずだな…令子は元気か?」
やっぱり知り合いだったんだ…って令子さんって誰?
「いててっ…それがですね梅子さん。実は…」
横島さんが渡した紹介状を読む綴先生。そして…
「…なるほど、GSの研修で海外にいくんでお前を預かってくれってか。…でも、確かもう1人いなかったか?おキヌかなんかいうのが。」
「おキヌちゃんは別の高校に通ってるんで。…というわけなんでこれからしばらくお願いしまっす!」
「…わかった。ただ適性検査は受けてもらうぞ?曲がりなりにもA級のGSなんだ。超偵ランクも高いだろうからな…ま、令子の推薦なら心配いらんだろ。」
「あの…すいません、令子さんっていったい…?」
…まったく話が見えないんだけど…
「…あぁ、すまんすまん。令子ってのはこいつの師匠で私の知り合いだよ。美神令子…聞いたことないか?」
…?! 確か神威さんから聞いたことがある…世界でも有数の特S級のGS…!
「…弟子というよりは極安で使われてる助手、って方が正しいんっすけどね…」
「まぁあいつの金に対するがめつさは尋常じゃないからな…ちなみにいくらだったっけ、お前の給料?」
「…時給498円です…」
ぶっ?!…な、なによその金額…ロー〇ンだってもう少しくれるわよ?
「これでも新人当時からすれば倍になったんだよっ!」
「…ってことは時給250円?そんなんでよく辞めなかったわね…。」
わたしはある意味感心する。そこまでしてGSになりたかったのか…
「いや、ただ単に美神さんが好きだったから…」
ズコッ?!
(わたしの感心を返せ~っ?!)
頭を抱えて悩むわたしを余所に綴先生は話を進めていく。
「…で、住むとこは決まってるのか?」
「一応美神さんが用意してくれたマンションに住もうかと…ここなんすけど。」
横島さんが出したのはマンションのパンフレット…ん?どこかで見たような…えっ、まさか?
わたしはパンフレットを奪い取り写真を確かめる…間違いない、ここは…(汗)
「…先生これ、わたしの住んでるマンションです…」
「お、それなら案内してやれバニングス。横島もそれでいいな?」
「もちろんっすよ!よろしくなアリサちゃん!」
「…すまんなアリサ。こいつ共々よろしく頼む。」
…はぁ…マジですか。なんかどたばたしそうな予感しかしないんですけど。
わたしはこれからの生活に一抹の不安を感じつつ横島さんとタマモをマンションへと案内するのだった…。
SIDE:忠男
「…ここがそのマンションよ、横島さん。」
何故か不満げに言うアリサちゃん。
俺は知り合いの可愛い子ちゃんが近所にいるだけで嬉しいんだけどなぁ…
「いや、多分それはお前だけだ横島。普通にお前がそばにいると身の危険を感じてしまうぞ?」
おまえは黙ってろタマモっ?!俺はアリサちゃんと話しとるのだ。
書類を確認した管理人さんが眼鏡を傾けながら言う。
「はい、確かに。部屋は隣の棟の最上階だね。」
隣の棟だと?それじゃアリサちゃんとは…
「…残念でしたね横島さん?ま、ご近所さんには違いないんで、よろしくお願い…あれ、そういえば横島さんって幾つなの?」
「…俺か?17だけど。なんか強襲科2年に編入してくれってうm…綴先生から言われた。」
なんでも2年に素質のある生徒がいるらしいんで面倒みてもらえ、ってことらしい。
「ふ~ん…強襲科だったら訓練一緒になるかも。ま、そのときはよろしくね♪…じゃ、わたしはこの棟だから。仕方ないから明日は送ってあげるわ、感謝なさい?」
そう、学校からの帰り俺たちはアリサちゃんのお迎えに便乗したんだが…リムジンだとは思わなんだ。しかも執事つきだぞっ?!
「エントランスで待ってればいいわ。じゃまた明日ね♪」
アリサちゃんは手を振ってエレベーターに乗り込んだ。
「さぁ、わたしたちもいくぞ横島!荷ほどきをせねばならんからなっ!」
…しゃあね~なぁ…俺はタマモに引っ張られて自分達の部屋に向かった…
SIDE:アリサ
「お疲れ様でしたアリサお嬢様。…どうされましたか?」
「…別に。先にシャワー浴びるわ。」
わたしはカバンをベッドに放ると浴室へ向かった。
シャアァァ…
「あぁ甦るぅ…♪やっぱりシャワーは最高ね。」
浴室の外から鮫島の声。
「お嬢様、少し買い物に出掛けてきます。鍵は…」
「あぁ開けたままでいいわよ、すぐ出るから。」
このマンションはセキュリティが厳しいから不審者が入るのは不可能だからね。
「そうですか、ではすぐに戻ります故…」
鮫島の声の後にドアの閉まる音。…ふぅ。
わたしはシャワーを終えた後、下着だけ着ると台所の冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出す。
ごくごくっ…ぷはっ!
「は~っ、なんで風呂上がりのコーヒー牛乳ってこんなに美味しいのかしら?」
毎度ながらつくづくそう思う。
ガチャ…
あ、鮫島が帰ってきた?
「お帰り、意外にはや…」
「「……………?!」」
次の瞬間、わたしの思考は停止した。だって…開いたドアの前にたっていたのはさっき別れたはずの横島さんとタマモだったんだから…。
「……………」
「…え、あ、………?」
「………見たなぁ…下着姿…」
「…いや、あの、これは不可抗力と…」
「問答無用っ!(ビュッ!)」
ゴツン!
「へぐっ?!」
わたしの投げたコーヒー牛乳のビンが横島に命中、KOする。鼻血を出してるのはわたしの下着姿のせいか、今の攻撃のせいか…
「…見たか、乙女の怒りっ!」
「あ~ぁ…どうしていつもこうなるんだお前は…?」
何故か両手に赤〇きつねの入った袋を持ったタマモは呆れ返るだけだった…。
リリすれ読まれてない方のために補則設定です。
※逢魔 神威(あいま かむい)
拙著「リリカルすれいや~ず!」主人公の逢魔リナの父親。
現在は凄腕のトレジャーハンターだが、若い頃は武偵としてならしていた。
魔法を使わない近接戦ならヴォルケンリッター全員でかかっても勝てない猛者。
アリサはリナ、なのは、すずか、はやてとともに家族ぐるみの付き合いで、武偵高への推薦をしたのも彼。
ちなみに綴にとっては神威は憧れだったが生徒には内緒。
ご感想、ご指摘、評価などいただけたら励みになりますのでよろしくお願いします!
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