ていとくが、いっぱい! (deckstick)
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プロローグ

多重クロス、現代にネギまやらリリカルやら色々なゲームやらの要素を加えた闇鍋を、艦これ風に仕立てようとした代物です。ネタとしては拙作「金色の娘は影の中で」の「原作の足音編第09話 作られる道」の後書きに書いていた内容を更に悪化させた感じです。


注意1:
完結する可能性はとても低いです。
なにしろ、世界設定を作って「この状況ならこうかな」というノリだけで書き始めた、つまり「世界や状況を設定」しただけの、ノープロット見切り発車の代物です。主人公的キャラはいますが、その保有艦娘や装備類は私(作者)の鎮守府をそのまま持ってくるという話の都合を全く考慮しない決め方で、性格やらの調整も後先を考えない思い付きとなっています。
というわけで、終わり方を考えてない(考えられない)のです。

注意2:
転移者多数(TSなどもありですがメインキャラとして登場するかは未定)、同一艦娘複数保有、所謂ジュウコンカッコカリ、掲示板、R15程度のエロやグロ表現、といった要素を含みます。
これらに拒否感がある方は、これ以上進まない事を推奨します。

注意3:
会話や地の文で「艦名のみ」と「改装状態を含む艦名」が混在しています。つまり「吹雪」と表現する場合と「吹雪改二」と表現する場合がある、という事です。
これは基本的に艦名のみを優先し、服装や能力等も含めて表現する場合は改装状態付きとしているためです。吹雪嫁と言ってる人も、ケッコンカッコカリしてるのは吹雪改二ですよね?
但し、明確に名前が変わる大鯨/龍鳳やU-511/呂500などは、改名扱いになります。


 ある日、世界が変わった。

 

 最初に気付いたのは、とある研究者だった。

 ラベルが消えかけた古い薬品を見た時に、それが何かを知ることができた。

 研究者は研究者らしく、それが何なのか調査を始める。

 結論を言えば、それは「鑑定」という名の「能力」だった。

 

 世界が、変わっていた。

 

 研究者がもたらした情報は、例を見ないほど速やかに公開された。

 それでも、世界には既に「妙な技術」が溢れ始めていた。

 妙な物を生み出せる者。

 妙な現象を起こせる者。

 既存の価値観が崩壊しはじめ、不思議な能力を得た人々が暴走を始めていた。

 

 世界が、変わっていく。

 

 ほどなく、能力などに関する不思議な現実が判明していく。

 能力や魔法が、全て「称号」という扱いとなっていること。

 称号があっても、その意味が不明な場合があること。

 同じ名前でも、人によって内容が異なる場合があること。

 同じような能力に、複数の名前があること。

 明らかにふざけた名前の称号があること。

 ものによっては、鑑定などで見えなくても使えるようになる場合があること。

 

 世界が、称号に侵されていく。

 

 男性の住職に現れた、「能力/修道女」という称号。

 教会の司祭に現れた、「魔法/黒魔法」という称号。

 菜食料理研究家に現れた、「生成/漫画肉」という称号。

 その名前だけで、今までの生き方や価値観を破壊していく。

 

 世界が、称号に支配されていく。

 

 象徴でしかなかったはずの王に現れた、「能力/王」という称号。

 選挙で選ばれた都市の長に現れた、「能力/領主」という称号。

 それが何なのかわからないまま、国という組織も変化を始めた。

 

 世界が、閉ざされていく。

 

 最初は、事故だと思われていた。

 遠い海で。

 深い森で。

 厳しい砂漠で。

 船が、車が、飛行機が。

 帰らなくなっていく。

 

 世界が、砕けていく。

 

 怪獣。魔物。霊。

 人類の敵が、現れていた。

 既存の軍で太刀打ちできないそれらに、なすすべはなく。

 海や空は、もはや人が自由にできる場所ではなくなり。

 森や荒野も、恐怖に満ちた場所となっていく。

 

 世界が、変わる。

 

 神官が。司祭が。牧師が。

 神職系と呼ばれる称号を持つ者が、受け取ったメッセージ。

 称号の意味。

 人に協力する、精霊や妖精と呼ばれる存在。

 その住処となる物。その契約者となる者。

 それはまさに神託であり、人々に希望を与える光となった。

 

 人は、変わらない。

 

 新しい力。

 新しい欲望。

 意思のある者である事を忘れた者達が、己の命を犠牲にし。

 黒い意志を持つ者達が、打算を手にし。

 愛を謳った者達が、寵愛を得ていく。

 

 世界が、変わった。

 

 人と戦う軍は、その姿を変え。

 精霊を率いる者が、人々を守るために戦う。

 されどその力は弱く、人の世界はより狭く、より小さく。

 海が、森が、異界となっていく。

 

 神が、動いた。

 

 異世界の魂。

 精霊を率いる力を持つ者の召喚。

 思い出したように行われるそれは、同時に、大きな謎も運んでくる。

 

 

 これは、そんな世界に行った者達の、ぬるい日常を綴った記録、かもしれない。




シリアスがこの話から退場しました。
これより、提督達のぬるい日常が始まり……ません。
当面は(相変わらずの)設定垂れ流しとなります。最低2章分くらいは。


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不思議な世界へ-1

超設定説明章、始まります


「提督?」

 

 ……なんだ、寝ちまってたのか?

 休みが終わっちま……って……

 

「誰!?……だ?」

 

 誰だこの美女!?

 

「おはようございます、提督。

 提督は元気ですね」

 

「お、おはよ、う……」

 

 違う。うちのおかんはこんな美人じゃないし、こんなに若くもない。

 つーか、こんな若い女は、うちにいるはずがない。

 なんか体に違和感がありまくるんだが、そんなことは後回しだ。

 とりあえず……

 

「……提督って?」

 

「提督は、提督です。

 こうしてお話できて、榛名、感激です!」

 

「榛名……提督……艦これ……?」

 

「はい、提督。

 ここは艦隊これくしょんに似ている世界、との事です」

 

 榛名……うん、あの肩見せ赤ミニスカ巫女服は、確かに榛名の服だな。髪飾りや紐から判断して、改二の。

 本のようなものを持っているし、艤装は身に着けてないようだが……あれ? 起きた時の体勢って、よく考えたら膝枕じゃ……

 えーと、こんな時は、あれだ。何が悪いかわからないが、謝っとくに限るだろう。

 

「とりあえず、すまん。

 さっきは膝枕してくれてた……んだよな?」

 

「はい、提督。

 もしかして、迷惑だったのでしょうか……」

 

「いやいやいや、そんな悲しそうな顔をしないでくれ。

 むしろご褒美なんだが、なんというか、嬉しすぎて申し訳ないというか……」

 

「それでしたら……説明した方がいい事がまだありますし。

 その間、また、どう、ですか?」

 

 どうしてそこでちょっと恥ずかしそうに誘うんだ。

 断ることの罪悪感で申し訳なさを押しつぶしてくるとは……榛名、恐ろしい娘っ!

 というか、巫女服とハイニーソと絶対領域の魅力ががががが

 

「じゃ、じゃあ……」

 

 じゃあじゃねぇだろ俺ッ!

 榛名はすげー嬉しそうだし、引っ込みつかなくなっちまったしっ!

 ああ……太ももがすべすべなんじゃ……って。

 

「えーと、なんで髭を撫でてるんだ?

 というか、なんで髭が生えてるかわかるか? 普通に剃ってたはずなんだが……」

 

「あ……その、触り心地がいいといいますか、幸せな気分になれるといいますか……」

 

「おーけーわかった、モフモフみたいなもんだと思えばいいんだな。

 って、そんな悲しそうにしないでくれ。このままでいいから、説明を聞いていいか?」

 

「はい、それでは。

 先ほども伝えましたが、ここは【艦隊これくしょん】に似た世界、だそうです。

 世界には【提督】とその配下の【艦娘】、同様に陸軍に相当する【将軍】と配下の【隊息】がいるようです」

 

「たい、むす?」

 

「はい。部隊と息子を略したと思われる、だそうです」

 

 提督、艦娘はわかる。将軍もわかるけど、隊息て。

 なんか男しかいなさそうな名前だが……そうなんだろうなぁ。

 

「えーと、その情報は……その本か?」

 

「はい。【提督ギルド】発行の【異世界からの提督向け資料 初級編】と書いてあります。

 世界には提督と将軍を合わせて1万人以上いて、今回は200人くらいの提督が異世界から移動してくる予定だそうです」

 

「200人……しかも今回は、なのか。

 なんかそれなりに大ごとになってそうだけど、どうして召喚なりしたのかも書いてあるのか?」

 

「神の技のようなものであり、人為的なものではない、となっています。

 おおよその日時と人数が神職系の称号持ちに言い渡されるため、提督ギルドが受け入れやその後の対応を行っているだけだと」

 

「神の技、ね……」

 

 権力者やらの暴走ではない、と主張してるわけか。

 称号について、調べてみるべきか……

 

「続けますね。

 艦隊これくしょんの鎮守府に存在するような施設は原則として、ここ【鎮守宝珠】の中に配置することになります。

 鎮守宝珠はある種の小さな世界を生み出すもので、MMORPGにおけるプライベートエリアのようなものと考えて間違いありません」

 

「そりゃすげーな……原則としてってことは、施設を外に作る事も不可能ではないのか?」

 

「宝珠の力で作る場合や、必要な入渠設備などは、宝珠の中や宝珠の力が届く範囲である必要があります。

 寮や食堂といったものは普通の建物でもよいですから土地などが確保できれば立ててもらう事も可能ですが、立地条件の良い場所に空きはそうそうないそうですし、移動時間などを考えると離れた場所は避けるべきです」

 

「そりゃそうか。

 要するに、鎮守宝珠ってのが提督の肝になるんだな」

 

「はい、提督。

 鎮守宝珠が無くても艦娘との……っと、鎮守宝珠の前に、私達艦娘について説明しますね。

 私達艦娘は、ある種の精霊や付喪神のようなものだと考えるのが、最も近いようです。建造や海域捜索を行う事で艤装を得られるのですが、それ用いて行う契約の儀式に成功することで、艦娘として存在できるようになりますから」

 

「ええと、ちょっといいか。

 なんだか作ってるようなイメージに聞こえるんだが」

 

(ふね)としての記憶と、相性などによっては提督に関する記憶も得られるので、作っているというイメージでも間違っていません。

 提督は生み出してくれた人にあたりますので、そうですね……家族のような親近感もあります。

 思考や感情としては独立した存在ですので、関係の変化は人の場合と変わらないですけれど」

 

 要するに軍艦の付喪神と契約したのが艦娘で、契約の際にこっちの情報も持っていくってことでいいのか。

 んで、契約に成功すると、って言ってるから失敗もあるってことなんだろう。要するに相性やらの問題で契約できないパターンもある、と。

 

「なお、艦娘と契約した提督は、隊息とは契約できません。逆もそうですね。

 ごく一部の例外を除いて、海軍と陸軍の、どちらかの戦力しか持てないそうです」

 

「例外って……陸戦とかまるゆとか?」

 

「はい。提督と将軍の区分けは、活動領域の違いで行われているようです。

 将軍が契約できる隊息に外洋向きの船はないそうですし」

 

「なるほどねぇ……」

 

「妖精については……妖精さんのする事だから諦めろ、と書いてあります」

 

「……What?」

 

「妖精の能力は多種多様で、艤装の修理や装備の操作など、色々なことが可能ではあるのですが、勝手に増えたりすることもあるため、契約などで縛らないと宝珠から外に出してはいけないそうです」

 

「…………衰退しますた?」

 

 色々な能力持ちで勝手に増えるって、それでいいのか?

 艦これでも、建造ドックや装備とかにいるし……建造で何ができるのかわからんのは、妖精の仕業ってか。

 

「時間がかかりますし、増殖も条件があったり緩やかだったりするそうですが、何かあってからでは遅いための予防的措置だそうです。

 契約しなければ勝手に消えたりもしますし、提督が思う妖精さんほど危険ではないそうですよ」

 

「そうか、それなら……って、そういや、俺は榛名と契約した状態で、榛名が俺の情報を持ってるから元の世界の言葉で説明できる……って事でいいのか?」

 

「はい、提督。

 提督の事をたくさん知ることが出来て、榛名、幸せです!」

 

「ああ、うん。なんでそういう説明になってるのか、理解した」

 

 というか、膝枕状態で髭を撫でられながら幸せと言われるって、気恥ずかしいなんてもんじゃないんだが。

 口先じゃなくて、本気で幸せそうなんだよなぁ……

 

「細かいとこは後回しにするとして、そろそろ宝珠の説明に繋がるのか?」

 

「はい。

 鎮守宝珠は、契約した艦娘の中から条件を満たす1人を、秘書艦……宝珠の管制役や核のようなものとして契約する必要があります。この際に提督の存在が書き換わる事があるので、ある種の博打とも言われているようです」

 

「つまり、俺の鎮守宝珠は、榛名が核になってる……って事になるのか」

 

「はい。過去の転移ではケッコンカッコカリしている艦娘が1人、またはごく少数だけの提督しかおらず、その中で最もレベルが高い艦娘が鎮守宝珠の核になっていたそうです。

 現状を見る限り、想定されている状況から外れていないと思えますね」

 

「つまり……大量の艦娘とケッコンしてたり、重婚前提で先にレベルが上がった艦娘からケッコンしてたりした場合は……」

 

「前者は転移の対象外となるようですので問題ないのですが、後者はギスギスした状態になる可能性があるため要注意、だそうです」

 

「そうか……」

 

 ……うん、よかった。榛名との単婚で、本当に良かった。

 こっちどう考えても平和な世界じゃないし、対象外の方が良かったかもしれないと思わなくもないけど、幸せそうな榛名を見ちまうと良かったとしか思えん。

 

「……って、存在が書き換わる?」

 

「種族まで変わることはそれほど多くないそうですけれど、ほぼ全ての場合で寿命が延びたり、病気にかかりにくくなったりするようです。

 提督や将軍も宝珠と一蓮托生となるので、その影響のようです」

 

「一蓮托生って……マジ?」

 

「はい、本気と書いてマジ、です。

 提督の死は、鎮守宝珠と榛名……秘書艦の消滅と同じです。逆も同じですね」

 

「俺が死ねば榛名も死ぬ、榛名を死なせたら俺も死ぬ……か」

 

「もちろん、契約している艦娘の消滅も含みます。

 秘書艦でない艦娘の死は、提督や榛名の死に直結しませんけれど」

 

「マジかー……」

 

「ですので、提督や秘書艦が外を出歩かれる出る時は、護衛を付けることが推奨されています」

 

「……榛名も出ない方がいいなら、他の艦娘はどうやって集めればいいんだ?」

 

「普通は、複数の艦娘と契約してから鎮守宝珠との契約に臨むそうです。厳密に言いますと宝珠と契約していない提督は準提督と呼ばれ、提督に含まれない事もあるようです。

 異世界からの提督は、秘書艦を含む20人を上限にレベルが高い艦娘が契約済み、それ以外の艦娘はレベルが10以上であれば艤装と【艦娘の魂】……記憶や経験をある程度保持したものが倉庫に入っているそうです。

 榛名が覚えている限り、実際に倉庫にあるものと相違ないみたいです」

 

「なら、最低限は大丈夫……って、ちょっと待ってくれ。

 レベルの上位から20人まで、だと……」

 

「はい。提督は、榛名を大切にしてくれていたのですね。

 あ、あるレベルで20人を超える場合、そのレベルの艦娘は全員が対象外となるそうです。ですので、レベル99の艦娘が20人以上いる場合は秘書艦しかいない状態になってしまいます」

 

 えーと……ケッコン済み榛名が1人、秘書艦になっている。これはいい。

 その次は、レベル99から……レベル96がレベルソート3ページ目までいってたはずだから、対象外になるってことだよな。要するに、レベル97まで。

 榛名が4人と羽黒が3人いるのは間違いないし、他も戦艦や重巡が多いはずだから、艦娘との関係とか消費とか、やばくね?

 

「提督は多くの艦娘をお持ちでしたし、足りない艦種も契約で補うことができます。高速建造材を使えば契約に必要な時間も短縮できるそうですし、契約できる余力もあります。受ける事ができる任務の内容や建物などを確認してから追加を考えてはどうでしょうか」

 

「えーと……艦娘を養うのに必要なのは、食事とかなのか?

 それとも艦これ的な資材とかなのか?」

 

「あ……そ、そうですね。

 私たち艦娘は精霊のようなものだという事はお話ししたと思いますが、ある種の魔法的な存在ですので、純粋な物理的なものの影響はあまり受けません。戦闘力の維持という意味では、艦隊これくしょんの資材に近いもの、具体的は燃料や弾薬といった概念が詰まっているものがあれば維持できます。

 食事などはやる気などの面で大きな意味がありますし、妖精は食事が必要です。もちろん、提督自身も食事が必要になります」

 

「ってことは、食事をどうするか考えるためにも、収入がどうなるのか早急に調べないといけないのか……」

 

 提督が大勢いるってことは、無条件の収入はないと思った方がいいだろうし。

 深海棲艦の撃退とか護衛とかを請け負う対価に収入を得る形か? 提督ギルド……うわ、冒険者ギルドと冒険者的な関係だと、なんか世知辛い状態になりそうな予感が。

 そうなると、最初からいる艦娘の内訳ってめっちゃ重要なのでは……

 

「その辺は提督ギルドが仲介や調整して、ある程度の収入が得られるようにするようです。融資制度などもあるそうですし、やりくりが下手な人には指導や管理する人の派遣なども行うそうですから、安心ですね」

 

「国やギルドとしても、提督の経済的な破綻は避けたいって事か……まあ、戦力の維持って意味では当然だな。

 間接的な監視や支配かもしれんが、そうならないように注意すれば大丈夫そうか」

 

「それに、収入は大丈夫です」

 

「確信できるレベルで、なのか?」

 

「はい。提督は榛名との契約の結果、真祖の吸血鬼になっています」

 

「……なんて?」

 

「真祖の吸血鬼、です。

 あ、その前にドワーフでもありますから、称号は【存在/真祖の吸血鬼/ドワーフ】という記述になります」

 

「へ、へー……」

 

 そっかー、この髭はドワーフだからかー。

 今は昼だけど何となく体が重い気がするのは、吸血鬼だからかー。

 でも不具合があるとまでは言えないのは、真祖だからかー。

 ……なんでこうなったっ!? 肌の色を見る限り病的なタイプじゃないっぽいからマシそうだけど、艦これどこいった!!

 

「提督と契約している榛名達は、提督の眷属になるみたいです。

 夜目が効くなどの夜間戦闘に向いた能力が付くはずですから、危険性と報酬が高い夜間の哨戒任務などを受けやすくなるはずです!」

 

 おかえり、艦これ……って言っていいのかこれ。

 吸血鬼の眷属扱いの艦娘が夜間戦闘向きになるってことは、吸血鬼やらがゴロゴロいない限りはいい特色になりそうって事だよな。空母が夜でも艦載機を飛ばせるようになったりしたら、ものすごい事になるのではなかろうか。

 っと、これは先走りしすぎか。

 

「とりあえず、他の人よりもリスクを抑えた状態で高額依頼を受けられる、って事になるのか」

 

「逆に昼間は能力が落ちやすいので、通常の依頼の危険性は上がってしまうのですけれど。

 昼と夜の危険性の差が報酬の差よりも小さいので、任務の奪い合いが起きにくい夜間任務を中心に受けたほうがお得ですし、収入を確保しやすい、はずです!」

 

「なるほどなぁ……

 ところで、俺の称号ってどうやって調べるんだ?」

 

「鑑定系の能力や魔法で調べられるそうです。

 榛名は秘書艦ですので、鎮守宝珠の中にいる人の情報も少し知ることができます。その力を使って、提督の秘密を覗いてしまいました……」

 

「へー、そういう能力があるのか。

 悲しまなくていいんだが、それって、他の能力……称号ってのか? それも見れるのか?」

 

「そうですね……例えば榛名に【存在/秘書艦】【存在/真祖の吸血鬼の眷属/艦娘】【魔法/魔法】といった称号が付いている事はわかります。

 ですが、その実際の内容や詳しい効果まではわかりません……同じ記述でも内容が異なる場合もあるそうですし」

 

 おおう、榛名が魔法使いっぽい感じになってる、のか?

 何か名前がおかしいし魔法がどんなものなのかわからないけど、これも有利になりそうな感じがするぞ。

 

「なるほどな。俺の称号って、他に何があるかわかるか?」

 

「異世界から来た提督に必ず付くとされている【存在/異界の提督】があります。

 他に、【魔法/魔法】と【生成/丼飯】と【生成/酒】と……それと……その……」

 

 ふむ、異世界人って事を隠すのは不可能、と。てか、なんか結構ついてるのは神が関わってるせいなのか、それとも提督になったせいなのか。

 というか、言い淀む何かもあるみたいなんだが、なんつーか、言い辛いというよりは、恥ずかしがってるのかこれ。

 

「あー、何か言い辛いのでもあるのか?

 害がないようなら、別にいいが……」

 

 ん? 榛名の様子だと、持ってるのを知られるだけで恥ずかしがられる可能性があるのか?

 鑑定とかで割と簡単にばれるなら、名前だけで害がある称号を持ってるって事に……

 

「称号の内容や効果自体は、特に問題があるものではないはずなのですが……その、名前が……【生成/ふりふりぱんちゅ】……なので……」

 

「ふりふり……ぱんちゅ?」

 

 なにその公開処刑。

 え、なに、髭面のドワーフがふりふりのパンツを生み出すってこと? 絵面マジヤバくね?

 これはあれか。憲兵さん俺です案件なのかこれ。

 

「あ、いえ、称号は本人の資質に関係ないそうですし、ぱんちゅが女性の下着だと確定しているわけでもないですし、提督が下着好きだと思っているわけではないのですが、ふりふりしている下着がどの様な物か想像してしまいまして、もし榛名が提督からプレゼントされたら着てしまうのではないかと考えるととても恥ずかしいのですが提督には榛名のことをもっと知ってほしいですし提督に喜ばれたら嬉しいのでやはり一番喜んでいただけるのは提督も殿方ですから見たり触れたりする事ではいかと思うのですがそうなってしまうとその先も望まれてしまいそうですし提督と艦娘がそのような関係になるのは色々な障害があるといいますか性的な行為はできなくはないのですが演技になってしまうので失礼なのではないかと思うとやはりそうならないようにした方がむしろ最初からそうならないように断ったほうがいいのかもしれないのですがそれでは残念ですしやはり榛名たちの事をよく知っていただいてからの方が「ちょ、ちょっとストップ! なんかものすごい事まで口に出てる!!」……あ」

 

 なんか色々とやばそうな内容がダダ漏れになってた気がするし、とりあえず止めないと色々とヤバい! 手遅れのような気がとってもするが……真っ赤になって固まってる榛名もかわいいなぁ。

 現実逃避なのはわかってるけど。

 とりあえず、違う話題は、何か……ああ、あれがあった。

 

「な、なあ、榛名。

 そろそろ、他の艦娘にも挨拶しときたいんだが……」

 

「あ、そ、そう、ですね。

 ええと……食堂の方にいるようですので、そちらへ案内します」

 

「ああ、頼む。

 ……ところで、髭を握られてたら、動けないんだが……」

 

「あ……は、はい。

 提督のお髭がなくても、榛名は大丈夫です!」

 

 いや、その条件が出る時点で十分あかんやつや。

 ……と無茶苦茶突っ込みたいけど、また話が進まなくなるんだろうなぁ。




所持艦娘や装備などについては、私の鎮守府の状態(2017/9/12=夏イベ終了時点)が基準です。
自分の鎮守府の状態を容赦なく晒すスタイル。やだ……性癖がばれちゃう……(〃ノωノ)
※主人公の設定や艦娘の性格などに関しては違います。違いますからねっ!


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不思議な世界へ-2

「普通の家と空、それに霞んだ壁……?」

 

 何とか正気に戻った榛名と共に玄関を出た俺が見たのは。

 上、青空。

 正面、50メートルほど先で白く霞む、乾いて固まっている土の地面。霞みは壁のように上に伸びていて、その上部はだんだん青くなっていき、空に繋がっている。

 右、もう少し近く……30メートルほどだと思うが、正面と似た何か。

 左方向を見ると、少し離れたところにいくつかの建物と、水晶球のオブジェみたいな何かが見える。

 後ろ。木造平屋建ての、小さな家。

 建物はどれも平家で、木造瓦葺きのようだ。物自体は新しそうに見えるが、古臭く見えるのは構造やデザインが原因だろうか。

 建物の間隔が中途半端にあいているのは……初期配置がおかしいのか、歩行者のみを想定した通路のつもりなのか、大きくしていくためにあえて空けてあるのか。

 

「建物はこちらですので、歩きながら説明しますね。

 こちらの左側の建物が手前から、今出てきた家、事務や執務用の建物、お風呂や入渠施設、倉庫、になります。お風呂や倉庫の裏手にお水や電気、建造開発用の建物などもあります」

 

「その前に、ここは鎮守宝珠……だっけ、それの中なんだな?」

 

「あ、はい、そうです。

 広さは今のところ100メートル四方ですけれど、もっと広くしたりもできます」

 

「それなりの広さはあるって事か。

 基本的な施設はあると思っていいのか?」

 

「一応そうなのですが、一部を除いて便利な機械といったものは無いので、色々と買わないといけないみたいです。調理器具とか冷蔵庫とか洗濯機とか、ですね」

 

「現状であるものだと、大戦期レベルの生活なら何とかなるレベル……かな?」

 

「鍋や包丁といった調理器具もありませんから、何も買わずに済ませるのは難しいようです。

 ですが、上下水道が確保できていますし、最低限の電力もありますので、思われるほど劣悪ではないはずです。特にトイレやお風呂は提督が知っているようなものに近いですから。

 ただ、宝珠の力で配置や維持ができるものは、それに応じた負担が提督にかかってしまいますから、どのように割り振るのかなども考えないといけません」

 

「負担、か。魔法があるなら、魔力的な何かか?」

 

「はい。提督の魔力量が負担に応じて減少すると思っていただければ、間違いありません。

 宝珠のレベルによって提督の能力を上げる事もできるので、その割り振りも考える対象になります」

 

「色々面倒が多いんだな……」

 

「小さくても、組織の運営、ですから。

 出来の悪い都市シミュレーションゲームみたいなものと考えても、間違ってはいないようです」

 

 都市シミュレーションゲーム……建物の配置や、水や電気とか言っていたからその需給もやらないといけないって事か。

 対象が小さいから、そう面倒ではないと思いたいが……

 

「出来が悪いってのは、バランスが破綻しているとか、やたら面倒な仕様だったりするとか、なのか?」

 

「どちらも、ではないでしょうか。

 例えば上水を例に挙げますと、浄水能力と貯水能力が別で、貯水設備から供給可能な距離が決まっている、とか……配水自体は魔法的な機能で簡単なのですけれど、受水側にも設備の負担が発生してしまいますし」

 

「中途半端にリアルなのか……?」

 

「加えて、特に電力関連はあまり贅沢ができないみたいです。

 発電能力を上げると負担がとても大きくなってしまいますし、かといって現状の設備では余裕があまりありません。食堂に冷蔵庫などを導入するには設備の拡張が必要なはずですし、最初からある照明は消費が激しいようです。

 外で発電設備を買おうとしても、空気が汚れたり運び込める大きさではそれほど出力が高くなかったりと、問題も多いみたいです。むしろ、LEDという照明に置き換えて消費を減らす、といった節電を優先した方がよいそうです」

 

 うん、あれか。劇高でクリーンな発電所と、割安だけど空気を汚す発電所しかない都市シミュみたいな感じか。

 ゲームなら住人が減ったりするんだろうけど、ここの住人は契約した艦娘だから、不満を直接ぶつけてくるんだろうな……

 

「あー……考えるだけで頭が痛くなりそうな話だな……」

 

「ええと、その辺は後にしましょう。

 続けて、中央に見えている水晶球が転移装置、この鎮守宝珠の出入りを行うためのものになります」

 

「つまり、あれが壊されるとまずいのか」

 

「宝珠で最も霊的な存在ですので、物理的に破壊することは不可能です。

 魔法的な破壊は不可能ではないのですが、榛名の一部でもありますし、完全に破壊されたときは榛名が死ぬときですから、頑張って守ります!」

 

「どう見ても弱点、だなぁ……」

 

 魔法的な方法でダメージが入るなら……って、榛名自身でもあるなら、防いだり逃げたりといった対処方法はあるって事になるのか?

 弱点というより、明確な攻撃目標になり得るもの、って感じと思った方がいいのか。

 守りたいから奥に置きたい、出入りする場所だから前に置きたい。なんつージレンマを抱えた代物だよ。

 

「出入りは別の転移装置を用意しても可能ですので、余裕ができましたら、本体の出入り口は安全なところに移すのもいいかもしれません。

 右側の建物が手前から、食堂、寮になっています。

 今の人数ですと少しだけ余裕がありますけれど、増やすのであれば早めに寮の追加を検討するべきだと思います」

 

「今の人数と、部屋の数は?」

 

「3人部屋が7つですので、最大で21人までです。

 提督と榛名は先ほどの家がありますから、寮は17人分埋まって残りは4人分です」

 

「あー……それくらいの広さなのか」

 

 というか、しれっと同棲をぶっこんできたよこの娘。嫁艦だし嬉しいのは間違いないけど、初期の最大艦娘が秘書艦込みで20人ってことは、提督と秘書艦も含めて寮に入れる人数で設定しているっぽいんだが。

 俺がドワーフ……妙なオプションまでついてきたけど、とにかくドワーフになったせいか筋肉やらが凄くなったのはまあいいんだが、やたら髭が伸びて、ついでに身長が低くなったのは男としてちょっと思うところがあるんだがなぁ。

 榛名の身長もそこそこあるから、完全に見上げないといけない状態だし。むしろ、まっすぐ見ると視線が胸元に……あ、喜ばせたら抱きしめられて胸に顔を埋めるところまで脳裏に。

 ぼ、煩悩退散っ!

 

「建物などの追加に関しても色々とありますので、後でご説明しますね。

 この宝珠は空がありますけれど、自然の空ではなく、宝珠がある場所の空の映像だと思って下さい。雨空でも実際に雨は降りませんから、外が見える家の中だと考えても間違いではありません。

 空間としては高さも100メートルあるのですけれど、地面の位置は宝珠によって変わります。この鎮守宝珠では、上空60メートル、地下40メートルまでが使用できる範囲ですね」

 

「空が見える家の中……地面は土なのは、土間だと思えばいいんかな」

 

「はい。ご希望でしたら、石畳や芝生、農地などにすることも可能です。

 これも、要検討案件ですね」

 

「やる事多いなぁ。

 っと、ゆっくり歩いても、これだけ歩いてれば着くか」

 

 半ば止まってた気もするけど、気にしないでおこう。

 さっきの家から食堂の入り口まで、20メートルほどしかないし。説明には無かったけど、ところどころに樹……イチョウが植えてあるのも、意味があるんだろうなきっと。

 

「それでは、入りましょう。

 みなさん、提督のお目覚めです!」

 

 おおぅ、入り口を開けたら、そこには予想通りの顔ぶれ……が?

 えーと、榛名改二と榛名? 羽黒改二と羽黒? 祥鳳改。霧島改二。那智改二。山城改二。叢雲改二。萩風改。瑞鶴改二甲。U-511改。明石改。阿武隈改二。14人しかいないぞ?

 榛名と羽黒は改と未改装がいるはずだし、足柄も足りない気がするんだが……艦娘は17人って聞いていたから、記憶は間違ってないよな? つーか、改装しても見た目が変わらない場合、どうやって見分ければいいんだ。

 

「あんたが司令官ね。

 色々混乱してるのは理解してあげるけど、ぼさっとしてないで挨拶でもしたらどうなの?」

 

 その点、叢雲改二はわかりやすくていいなぁ。この重そうな髪とか、服とか。

 

「あ……ああ、すまない。

 えー、気付いたらここの提督になってた、佐と「あ、その名前は前の世界のもので、移転時に新しい名前が設定されているようです」……へ?」

 

「何よ、説明してなかったの?」

 

「他に色々と説明することが多かったですから。

 ええと、鑑定で名前も見えるのですけれど、提督の名前は上下(かみした)左右(そう)となっています。何らかの手順を踏めば、変える事は可能なはずですが……」

 

「今は変える手段がない、と。ふざけた名前になったもんだ……

 まあ、仕方ない。覚悟も知識も足りない上に、見た目と中身も一致しないこんな男だけど、これからよろしく頼む。

 呼び方は……提督でも司令官でもオッサンでも髭でも、好きなように呼んでほしい。新しい名前ははなんか妙だし、慣れてもいないしな」

 

「そう。ま、せいぜい頑張りなさい。

 私が初期艦で駆逐艦筆頭だし、付き合ってあげるわ」

 

 おおぅ、そんな知識まで持ってきてるのか……なんつーか、照れくさいなオイ。

 というか……

 

「あー、すまん、叢雲。

 ちょっと正面に立ってもらっていいか?」

 

「? ……何よ」

 

 艤装を付けていないけど、叢雲改二のこの服は妙にエロ……じゃない。問題はそこじゃない。

 叢雲が目の前に来たが……やっぱり。

 

「……さすがドワーフ。予想はしていたが、身長で駆逐艦にも負けるとか……」

 

「何よ、身長しか取り柄がない人間だった、とでも言いたいの?」

 

「おぅふ。さすが叢雲、バッサリ来るな。

 いやまあ、人の価値が身長だので決まるとは思ってないし、そこまで背が高かったわけでもないんだが、突然ここまで縮むとなんだかなぁという気になるわけでな。

 天津風あたりがいればちょっと共感してもらえそうな程度の話だから、気にしないでくれ」

 

「そう。じゃあ、気にしないでおくわ」

 

 そう言って、叢雲が下がり。

 代わりに、山城が前に出てきた。

 

「扶桑型戦艦姉妹、妹のほう、山城です。

 あの、扶桑姉さま、どうなってますか?」

 

「ここでその挨拶を聞くとは……あー、すまん。扶桑は先に改二にしてたんだが、燃費の都合で出撃が減って、その後のレベルがさほど上がってないんだ。

 魂はある……んだよな?」

 

「はい、提督。

 元々未入手だった艦娘以外の、提督が入手していた全員分の魂が揃っています!」

 

「ん、ありがとう。

 というわけだから、落ち着いて待っていてくれ。契約がいつになるかは艦隊の運用や維持との相談になるから、時期の約束はできないんだが……」

 

「そう……不幸だわ……」

 

 この世界でも姉スキーな不幸型戦艦なのか。フラフラと座っていた席に戻ったけど、大丈夫なのかアレ。

 次に来たのは、祥鳳改か。肩出しじゃなくて、梅雨モードみたいにきっちり着ている祥鳳も美人ですなぁ。胸元に期待してなかったというとウソになるけど、図鑑や中破じゃないと見れなかった絶対領域に視線が……うん、自重しよう。色々と。

 

「軽空母、祥鳳です。

 初めての空母として艦隊に加わって以来、大切に使っていただいた事、はっきりと覚えています。

 これからも、この祥鳳をどうぞ、よろしくお願いいたします!」

 

「あ、ああ、こちらこそ、よろしく」

 

 うわー、はずいわー。確かに空母として初めてかつレベルトップにしたのは確かだけど、最初はあまり使ってなくて梅雨グラに釣られて未改装から一気にレベル上げした覚えがあるから、きっついわー。

 っと、普通に交代か。次は明石改……もしかしてその他枠で初めての扱いになるのか? でも、その他って速吸とかあきつ丸とか、レアなのばっかりだし……

 

「工作艦、明石です。応急修理も改修もお任せください!

 提督も少し修理、しちゃいます?」

 

「ずぼらな性格とか覚えの悪い頭が良くなるなら、ぜひ」

 

「あー、それは難しいですねぇ……」

 

「だろうなぁ。まあ、色々と頼ることになるだろうし、よろしく頼む」

 

「はい、頑張ってサポートしますね!」

 

 ……ふぅ、特別な何かって感じではないか。良かった良かった。

 次は……那智改二だな。

 

「貴様が司令官か。

 羽黒がお気に入りのようだし、叢雲や祥鳳に続くわけではないが、この那智が司令官の初めて出会った重巡だ。覚えているか?」

 

「え? そうだった……のか。

 すまん、それは気付いていなかった」

 

 うわー、うわー、やっべー。

 羽黒が複数いる時点で羽黒びいきなのはバレてるし、忘れてた事を誤魔化すと泥沼に踏み込みそうだし。

 山城や祥鳳とはまた別の意味で、きっついわー。

 

「ふむ。それでも初期メンバーになれるくらいには、気に入られていたようだからな。

 酒を造れそうだと聞いているから、それで水に流そう」

 

「ああ、どんなものが作れるのか俺もまだ知らないが、最初にできたものを渡そう」

 

「そうか、楽しみにしているぞ」

 

 ふぅ、一応許された、か。女って記念日とかそういうのが好きらしいから、気を付けないとな。

 他にいるのは初めてがありえない、羽黒と阿武隈とU-511と……って、初めての戦艦が榛名だったはず、なんだが……

 

「提督? ……榛名の顔に、何か付いているのでしょうか」

 

「いや、初めての戦艦は榛名だった……よな?」

 

 1人目をそのまま育ててカッコカリしたから、秘書艦になってる榛名改二が、初めての戦艦そのものって事になるわけで。

 

「はい。榛名との出会いを覚えていてくださったのですね。

 初めてを大切にしてくださる提督の秘書艦になれて、榛名、感激です!」

 

 あっれー? 別に記念艦を優先してレベル上げしてたわけじゃないんだが。

 先に入手した分だけレベル的に先行するし、那智は優秀な重巡だから重宝してたって面が大きいわけだし。

 結果だけだと、ある程度の説得力があるように聞こえるのが不思議だなぁ……って、次は2人の羽黒、なのか? 改二と、改または未改装なのはわかるんだが、既に涙目なのはなぜだ。

 

「「は、羽黒です。あ、あの……何も特別じゃなくて、ごめんなさいっ!」」

 

「あー、うん、そこも気にしないでくれると助かる。

 というか、別に特別だから気に入ったわけじゃないから。な?」

 

 そうだよなー。ドロップしただけで謝る羽黒の性格だと、気にするよなー。

 しかもステレオ……どころか、もう1人いるんだよなー。

 榛名の次に特別扱いしてるの、バレバレだしなー。

 ……そのカッコカリしてない榛名達がニコニコ笑いながらこっち見てるのが、なんかすごく怖いんだが。次に席を立ったのは霧島改二だし。

 

「こうして姿を見るのは初めてですし、はじめまして、の挨拶が相応しいでしょうか。

 私、霧島です。姉妹艦の榛名には、頭脳は負けないわよ?」

 

 こ、これはっ! 聞いた覚えのあるセリフではあるんだが、まさかのボケなのか、突っ込み待ちなのかっ!?

 ……って、違うな。これは勘違い、この妙な流れを何とかしたい気持ちによる錯覚だ。むしろ霧島ネキは腕力の方がとか言ったら、遠慮なく殴られるのがオチだ。金剛型最高の火力で。

 

「初めましてになるんだろうな。俺が知っているのは、ゲームキャラとしての霧島達だし。

 俺の事は多少知ってるみたいだから不公平なのかもしれんが、よろしく頼む」

 

「問題ありません、司令。

 榛名や羽黒ほどではなくても、私にも高レベルで改修しきっていない2人目がいる事はちゃんと知っていますから」

 

「ぐはぁっ!?」

 

 そ、そういえば。改で止めた霧島が、確かレベル90超えて……つーかこの面子だと、2人目がいないのって……あれ? U-511は2人目を呂500にしてるし、阿武隈は甲標的軽巡を目指してレベルを上げたけど勲章不足で頓挫してる2人目がいる。祥鳳も実質1-5の引率担当になってる未改修のが、瑞鶴もスロットのバランスに惹かれて改が……うっぎゃー!?

 こ、これはあれか。榛名の先例、気に入った(ふね)は改装状態違いで複数保有かつ優先的なレベル上げってのが知られてるし、それが好感度の高さになって返ってきてるのか。山城や那智は嫌われてはいないけど不自然なまでに好かれてるって感じはしないし。

 となると、気まずい。次に席を立った、甲標的目当てで育てて1人だけイベントで育ち切った阿武隈が、超絶に気まずい。

 

「こ、こんにちは、軽巡、阿武隈です。

 阿武隈、ご期待に応えますから、忘れないでくださぁいぃ!」

 

「え? 忘れてなんかいないと思うんだが……」

 

「普段全然使ってくれないし、2人目だって改二になれるレベルになってからずっと放置じゃないですか!」

 

「そっち!?

 ……すまん。本当にすまん。阿武隈はイベントで重要な切り札だし、レベルカンスト間近になると経験値もったいない病が出て……2人目はイベント用の甲標的軽巡を目指してレベルは上げたんだが、設計図の優先度的に後回しになってな……」

 

 め、女々しいぞ俺。言い訳ばっかじゃねーか。

 けど、これ以上の説明が……

 

「こんな私じゃ、レベルの概念があるこの世界でも、ずっと……」

 

「そんなことないから、ゲームの時みたいに無暗に増やして全員レベル上げてなんて無理だから!

 今いる軽巡は阿武隈だけだし、軽巡が必要な場面では思い切り頼ることになるから!」

 

「じゃ、じゃあ、私の力が必要なのね!?」

 

 何とか、立ち直ってくれたか……涙目になってる不幸型2番艦が恐ろしいが。

 この人数でこれって、これから大丈夫なんだろうか。戦艦と重巡が多すぎるし、色々とバランスを取るのが無理ゲーっぽいんだが。

 えーと、次は……

 

「第四駆逐隊、萩風です。

 萩風にできることがあったら言ってくださいね。頑張ります」

 

 ……艤装を付けてないと、どう見ても普通のお嬢ちゃんだよなぁ。普通の女の子に見える分、戦闘に送り出すのにものすごい罪悪感が……でも、それはそれで失礼な話なんだろうな。

 現実問題として、駆逐艦は2人だけだし……

 

「あの……司令?」

 

「あ、うん、すまん。

 現状では駆逐艦が少ないから負担をかける事も多いと思うが、よろしく頼む」

 

「はい、司令」

 

 ああもう、普通にいい娘過ぎて辛い。

 

「翔鶴型航空母艦2番艦、瑞鶴です。

 航空艤装を全面的に近代化改装して、噴式機も飛ばせるんだけど……この艦隊、こんな編成で大丈夫なの?」

 

「大丈夫じゃない、大問題だ」

 

 現実的に考えると、護衛部隊が貧弱すぎる。

 ゲームだとしても遠征やらに向く艦が少なすぎる。

 何より、収入より消費の方が上回りそうで怖すぎる。

 

「色々な兼ね合いがあるのはわかるけど、ずっと待機するのはイヤだからね。

 しっかりしてよ?」

 

「ああ、分かってる」

 

 うん、しっかりしなきゃいけない事は、わかってる。

 しっかりできるといいなぁ……

 

「ドイツから少し遠出してきました。潜水艦U-511です。

 ユーとおよびください。よろしくお願い致します……」

 

「あ、うん、こちらこそよろしく。

 ユー……ちゃん? 呼び捨ての方がいいのか?」

 

「郷に入っては郷に従え、って聞いたけど……ほかの(ふね)は呼び捨て?」

 

「ああ、そうだったな。

 よろしくな、ユー」

 

「うん、Admiral(あどみらーる)

 

 うーん、ある意味ではユーが一番普通の、戦闘に慣れていない女の子っぽいのか? それとも、まだ日本に慣れてない……いや、この姿のまま慣れて呂500みたいな口調になっても違和感あるし、これはこれでいい、のか。

 潜水艦は数字だから愛称で呼ぶ事に違和感がなかったけど、ちゃん付けは駆逐艦や海防艦で困ったことになるのか。叢雲も呼び捨てにしたし、全員呼び捨てで統一した方がよさそうだ。

 そして、最後に残ってるというか、たぶん順を他の(ふね)に譲った、榛名改二と榛名(改か未改装)がこっちに……笑顔が怖いなー。こっちの榛名は髭好きじゃないといいなー。

 

「高速の巡洋戦艦、榛名です」

「ケッコンしていない榛名の事も、覚えていてね」

 

「うん、大丈夫。忘れるわけないから」

 

 髭に言及は無いし、普通……なのか?

 だけど、忘れたら秘書艦の榛名が怒、らないな。きっと泣く。しかも、間違いなく怒るよりも心臓に悪いんだ。




身長のお話。天津風は艦首を無くしたりしてるので、身長が縮んだ話に共感してくれる、はず。
天津風がどれくらい縮んだかは、Wikipedia「天津風 (陽炎型駆逐艦)」の中ほどにある「建造時と仮艦首装着時の比較図」がわかりやすいです。
でも、初期メンバーに入れるレベルじゃない(惜しくもLv96)から絡めないの。残念。


この話の初期メンバーは、正確には以下の通り
Lv133:榛名改二(初戦艦)
Lv99:榛名改二、榛名改、榛名、羽黒改二、祥鳳改(初空母)、明石改
Lv98:羽黒改、羽黒、阿武隈改二、叢雲改二(初期艦)、U-511改(U-511としては1人目)
Lv97:霧島改二、那智改二(初重巡)、足柄改二、山城改二、瑞鶴改二甲、萩風改
具体的には、↓な感じです
http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=267813
http://mmoloda-kancolle.x0.com/image.php?id=267814

初期メンバーの複数保有事例(初期メンバー範囲外)
霧島改(Lv95)、呂500(Lv88)、祥鳳(Lv83)、瑞鶴改(Lv77)、阿武隈改(Lv75)

見てわかると思いますが、私の育成優先順は「気に入った(榛名羽黒など)≧改修で何かある(阿武隈や大発組など.但し改修で終了)>未改装とか低レベルとか(とりあえず満足するまで)>(経験値もったいない病の壁)>優秀or使いやすい(那智や改修後阿武隈etc)>その他」です。

すまない那智改二、初**の確認をしていて、初めて初重巡だという事に気付いたんだ。
すまない伊58改(Lv96 初潜水艦)、初期メンバーに一歩及ばなかったんだ。
なお、天龍(Lv93 初軽巡)は、改装もせずに幼稚園の先生をやっている模様。レベルは上げたんだよ……?


そして、この話の阿武隈のセリフを考えながら3-5に行ってたら、道中(北ルート2戦目)で阿武隈がドロップしました。そうか、これが、書けば出るの法則か(違


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不思議な世界へ-3

1~2の間に入れるべきじゃないかと思うくらい、提督と榛名以外喋らない回。
2の後に来た理由は、次の回へのつなぎのため。


「ええと、それでは。

 ここにいる(ふね)の挨拶も終わりましたし、宝珠の説明をしますね」

 

 そう言いながら空中に操作パネルっぽいものを浮かべた、秘書艦の榛名。

 ……空中モニターに驚けばいいのか、ファンタジー(笑)だと流した方がいいのか、どっちなんだこれは。

 

「この鎮守宝珠は、提督と榛名が契約したものになります。

 鎮守宝珠の機能を使用する場合、コスト……提督の魔力負担が必要ですが、様々な事が出来ますし、する必要があります。

 現状では急いで対処する必要がある設備はないのですけれど、下水や空気は処理能力の不足に気付かなければ宝珠の環境が悪化しますし、現状ではゴミを処理する方法がありませんから外で何とかする必要があります。

 電力は現時点では照明しかありませんし、家電製品を使うようになると簡単に需給が逼迫するそうですから、これも要注意です。

 水道、ガス、温水については、大勢が住むようになるまでは比較的安定させやすいようですから、たまに確認するくらいで大丈夫でしょう」

 

 上下水にガスは分かる。

 温水も何かの施設から各家庭にとか話を聞いた覚えがあるから、そういうものがあるんだろう。

 電気は……好き放題に使おうとすると大規模な発電所がなきゃどうにもならん、って事かな。

 ゴミ処理が無いのも現状ではって条件だから、方法はあるっぽいか。

 

「……うん、ライフライン系はわかる。

 空気……?」

 

「はい、空気です。

 特性の樹木などが浄化装置になっていまして、少なくとも酸素濃度の維持や悪臭の軽減は確実ですし、毒性物質の除去も行われる可能性が高いそうです」

 

 空気、空気ね。

 こんな空間を作れるのに、空気の維持は別なのか……まあ、閉じた空間みたいだし、必要な処理の分は負担しろって意味か?

 

「うーん……それって、提督ギルドの資料に書いてある話なんだよな?」

 

「秘書艦としての情報ですと、人が活動できる環境を維持するという程度しかわかりません……」

 

「最初から全ての情報が得られるわけではない、か……まあ、要るなら要るで、そういうもんだと思うしかないな。

 それで、設備の維持に必要なものは、基本的に魔力の負担だけなのか?」

 

「宝珠の能力で作った設備や建物などは、小さな傷や汚れは自動で除去されます。

 ですが、大きな破損ですと機能停止して回復のためのコストがかかりますし、機能喪失で廃棄になることもあります。

 大きな汚れやゴミもそのままになりますけれど、これは塗装やゴミの区別を材質や大きさで行っているせいではないか、と考えられているようです。虫の死骸などはある程度消えてもピアスやホッチキスの針といったものは消えないそうですし、少なくとも人が行動する範囲はある程度の掃除が必要になります」

 

「中途半端だなぁ……」

 

「それと、宝珠の力で下水やゴミの処理を行うと資材を得られますから、そちらを運んだりする必要もあります。

 そういった作業を任せるために、人を雇う、業者と契約する、妖精と契約する、といった手段が提案してありました。

 どれも一長一短ですので、よく検討してほしいそうです」

 

「全部自分たちでやるのは、正直難しいか……」

 

 人を雇うのは、当然賃金を払う必要があるし、人を管理したりする手間は必要になる。

 業者を使うなら、管理する手間もお金で解決するってことだよな。

 妖精は、お金じゃなくて魔力を使うし、管理の手間も必要、と。資金が無くて規模が小さいならこれ……いや、宝珠の中に部外者を入れたくないときはコレ一択になるのか。

 確かに、よく考えないといけないのだろうが……

 

「榛名達もお掃除できますし、出撃等の任務のない艦もお手伝いできますから。

 慌てて決める必要はありません」

 

「まあ、そうか。

 というか、下水やゴミの処理で資材を得られるなら、外からも仕入れた方がいいのか?」

 

「それらの処理を請け負うという形で、収入も得られるそうです。

 ですが、大規模な施設は魔力負担が大きいですし、においや安全面での不安がありますので、提督ギルドとしては積極的な推奨はしていないそうです。

 もし行うのであれば、榛名の宝珠とは別に【拡張宝珠】と呼ばれるものを使って、別の空間を用意して行うのがよいそうです。そちらもケッコンを行った艦娘が核として必要になりますし、作られる空間はかなり運の要素が強いようですけれど」

 

「拡張宝珠、ね……要するに、2個目の鎮守宝珠みたいなものか」

 

「はい。

 最も大きな違いとしては、拡張宝珠の核になった艦娘が死亡しても、提督の命までは失われない事でしょうか。

 加えて、拡張宝珠の空間は別に作られますし、同じ負担でも鎮守宝珠より広い場合が多いので、空間の特性に合わせて色々な使い道がされるようです。広い海なら演習場、それほど広くない海ならお魚の養殖場、広い土地なら農場や牧場、それほど広くない土地なら住宅地やゴミ処理場、といった感じだそうです。

 海と土地の両方が使用できる場合もありますし、どの様な空間でも用途は多いですから、臨機応変に、と」

 

「博打要素あり、か。それでも、使い道がないって事にはならなそうだな」

 

 ごみ処理場を任された艦娘の心中はお察しくださいかもしれないけど、他と併せて色々することは不可能じゃないだろうし。この辺は相談と説得と采配、か。

 

「ところで、ジュウコンというか複数の艦娘とのケッコンは、色々ありそうな気もするんだが……艦娘としてはどうなんだ?」

 

「中には提督を独り占めしたい艦娘もいるかもしれませんが、榛名は大丈夫です。

 そもそも提督と艦娘のケッコンは、人同士の結婚とは異なります。複数の艦娘と契約して艦隊を作っている時点で複数人と家族になる契約をしているようなものですし、提督と艦娘のケッコンは漢字ですと【結魂】と書く、提督と艦娘の結びつきをより強くする儀式になります。

 強くする度合いで2つの段階がありまして、艦隊これくしょんのケッコンカッコカリに近いものは、書類などでは【結魂(仮)】と書かれるそうです。艦娘の最大能力の上昇や資材消費量軽減、近距離であれば念話的な通信や艦娘の召喚が可能、といった恩恵があります。リスクとしては、艦娘消滅時や契約解除時は提督の魔力に永続的な負荷が残る事と、契約解除時は艦娘にも大幅な能力下落がある事ですね。

 さらに強くするものはケッコンカッコガチ、書類にも【結魂(ガチ)】と書かれるものです。恩恵やリスクはカッコカリのもが更に強化されるものが多いですが、契約解除が不可能という点が大きな差異になります」

 

「どっちにしても色々あるなら、カッコカリよりカッコガチの方がいい気がするな」

 

 というか、よりによってガチかよ。

 せめて真とかじゃないのか。

 

「有り体に言ってしまいますと、ある程度まで能力を上げてケッコンカッコカリ、更に能力を上げてからケッコンカッコガチ、だそうです。ですから榛名は、ケッコンカッコガチを行うことができる条件を満たしていません……。

 艦隊これくしょんには無いものですけれど、もし追加するならば、ハイエンド用の追加要素といいますか、レベルキャップの更なる開放要素のようなものになるのではないでしょうか」

 

「ああ、そういう扱いなのか」

 

 リスクはあっても一応解約可能なお試し期間の仮契約と、解約不可の永久就職的な本契約って感じか。カッコカリの方に別のものが混じってる気がしないでもないが……

 ……ん? 俺、吸血鬼になってるんだよな?

 

「なあ、榛名。俺は真祖の吸血鬼ってやつになってるんだよな?

 まさかとは思うが、不老不死とか、そんな事になってんのか……?」

 

「称号が内包する称号というものがあるらしく、例えば【存在/吸血鬼】には【存在/不老】や【能力/超回復】といったものが含まれているそうです。

 恐らく真祖の吸血鬼にも含まれているのでしょうから、不老かつかなり亡くなりにくい、と考えてよいと思います」

 

 うわー、カッコガチはガチで永久就職の覚悟が必要なのか。

 ま、まあ、艦娘の意思も重要だろうし、そもそも実際に戦うならレベルが……

 

「……すまん、レベルって、あるんだよな?」

 

「はい、あります。ですが、あくまでも補助的な物とお考え下さい。

 鑑定などで見えるステータスも同様のようです。人や艦娘等の力を、そんな単純な物で正確に表すのは不可能ですから」

 

「まあ、そりゃそうか。

 すると、魔力の負担ってのもかなり分かりづらいのか?」

 

「いえ、魔力に関しては、比較的単純です。

 そうですね、燃料タンクと燃料を考えて頂ければ、かなり近いです。宝珠や艦娘との契約による負荷は、燃料タンクの容量が減る形で現れます。魔法を使われる場合などは、残りの容量にある燃料でやりくりする必要があるという事ですね。

 レベルは、経験値という何かを取り込むことで能力の底上げを行うもの、となります。ケッコンは艦娘が受け入れる事ができる経験値の上限を引き上げるものでもありますね。

 もちろん、努力で能力を上げる事も出来ますし、能力を使いこなす技術も疎かにはできません」

 

「ここまでくると……努力を放棄すれば能力やらが下がる、ってこともありそうだな」

 

「当然です。通常は老化でも減少が加速しますし、経験値も自然減少のようなものがあるそうですので、何事も永遠は無いという事なのでしょう」

 

 つまりあれか。久しぶりにチェックしたら主力以外はレベルダウンしてました、って事になりかねないのか。うわ、クソゲーだ! 現実的だろうけど、クソゲーとして叩かれるシステムだこれ!

 ……うん、目の前に榛名や羽黒……艦娘達がいる時点で、認めよう。現実と。

 

「ある程度は経験値を稼ぐ必要があるって事か……あれ?

 提督や秘書艦は、どうやって経験値を稼ぐんだ?」

 

「深海棲艦や魔物が近くにいるのであれば提督や榛名が直接戦う事もできますが、リスクが大きいのでお勧めできません。

 ですから別の方法、提督が契約している艦娘が得た経験値の一部が提督や宝珠……秘書艦のものとなる事を利用するべきです。

 艦隊これくしょんの提督経験値や艦隊司令部レベルに似ていると言えば、伝わるでしょうか」

 

 経験値に関しては艦娘に依存する、ってことになるのか。

 まあ、提督が生身で突撃する海軍ってどうなんだ、って考えればいい……のか? 秘書艦は艦娘というよりは艦隊司令部扱いみたいだし……まあ、行動の制限を受けるんだから、その救済措置みたいなものか。

 

「とりあえず、色々と知らなきゃいけないって事は分かった。

 それで、宝珠は他にどんなことができるんだ?」

 

「宝珠の機能ですが……。

 宝珠には鎮守宝珠と、陸軍に相当する基地宝珠という2種類があります。

 この2つは扱う戦力や、それぞれに対応する施設類が異なるのですが、協調して機能するものもあります。

 その1つが、掲示板ですね」

 

「掲示板、か?」

 

 それって、インターネットで……って、ネットが寸断されていたりするのか?

 海が危険だと、海底ケーブルがやばくても不思議じゃないか……

 

「はい。宝珠の不思議機能で、自動翻訳機能付き、書き込みしている宝珠や人の情報の強制表示対応、宝珠の機能が使える範囲でのみ読み書きできる、といった点でインターネットのものとは明確な違いがあるそうです」

 

 そうか、インターネットは生きてるのか。

 というか、宝珠の機能が使える範囲?

 

「そういえば、宝珠に制限みたいなものはあるのか?

 範囲があるって事は、他にも移動できないとかありそうなんだが」

 

「宝珠の制限ですか。

 宝珠の本体は、先ほど見ていただいた転送装置の移動先、外の転送装置になります。これがそのまま榛名の本体でもありますから、宝珠を移動する際は転送装置が榛名として行動することになります。普段はこの様な義体を使用しますので、戦闘力はほぼありませんが宝珠をそのままにして行動することも可能です。

 これとは別の転送装置を配置する場合、宝珠からおおよそ5キロメートル以内の場所である必要があります。現在の位置を基準にしますと、東西の舞鶴市街くらいまでが範囲に収まると思います。

 宝珠の機能で作成したものや榛名の義体が機能するのも、宝珠から5キロメートルの範囲です。これから外に出してしまうと機能停止しますし、数日以上その状態が続くと壊れてしまうので、注意が必要です。

 維持するには提督の魔力が必要という事は説明しましたけれど、提督の魔力が減少して不足した時も、その状態が続けば宝珠が維持している物から壊れていきます」

 

 5キロ……5キロか。というか、ここは舞鎮……もとい舞鶴なのか。柱島の住人だっだんが……まあ、泊地は船が停泊する海域って意味らしいし、施設が無いから無理なのか。

 逆方向ぎりぎりに配置しても、最大で10キロ。流通や移動のショートカットで儲けるには確かに微妙な距離だな。

 

「拡張宝珠も、その範囲に置かないといけないのか?」

 

「拡張宝珠の本体は鎮守宝珠の中に置くこともできますが、外に置く場合は他のものと同じ5キロメートルの範囲までになります。

 おそらく拡張宝珠を使って移動距離を延長する事をお考えだと思うのですが、拡張宝珠本体同士の距離が5キロメートル以上離れると、内部で直接移動する転移装置が機能しなくなります。

 鎮守宝珠への転移装置も併用すれば最大で20キロメートルまで伸ばすことが可能ではあるのですけれど、宝珠や転移装置の魔力負担も小さくありませんし、それで利益を出すのはよほど人が多い地域でなければ難しいそうです。そういった地域では、既にそういった事をやっている提督や将軍がいるそうですし」

 

 あ、やっぱり、考える事は一緒か。

 うん、1万人もいるなら簡単に思いつくような抜け道はとっくに見付かってるだろうし、当面は正攻法だな。

 

「デメリットが大きすぎる事は理解したから、これで諦めがついた。

 ところで、外の転移装置が榛名自身って事は、外の様子は常に見れるって事か?」

 

「はい。今は未改装の榛名と羽黒、それに改二の足柄が、警備と連絡待ちを担当しています。

 こちらの様子は順次伝えていますし、本日中に提督ギルドから担当者が説明に訪れるそうなのですが、今のところ来ていません」

 

 外にいるのは、未改装の2人なのか。ってことは、ここにいる榛名と羽黒は改ってことだな。

 ……見分け方は、あとで本人達に確認するとして、だ。

 

「担当者の説明?」

 

「外の部屋のドアに、張り紙がありました。

 提督が目覚めてそれなりの説明ができる程度の時間が経過した後、鑑定能力のある職員と説明担当の艦娘が各提督を訪問するそうです。

 質問などがあればその時に受け付けます、生活するために必要と思われる食料や必需品などの支給も行います、と書いてありました」

 

「あー、食料、か。

 ひょっとして今は何もない、のか?」

 

「宝珠の外がマンションに似た作りになっていまして、その台所にある程度のものは置いてありました。

 何日も持つような量ではないですから、支給されるものを見てから、購入すべきものなども考える事になると思います」

 

「料理、か……俺は自信ないんだが、料理がそれなりに出来るのは何人いるんだ?」

 

 って、おお、結構多いな。

 手の挙げ方が全員控えめだが、挙げてないのはユー……だけ?

 ああもう、え、って感じで慌てんなよ、もう。

 

「ユー、得手不得手はあるものだから、気にするな。

 とりあえず、材料と道具が揃えばどうにかできるって思えばいいのか」

 

「戦艦は全員御召艦の経験がありますし、それなりの料理は作れないと名誉に関わりますから」

 

「だが、この中だと祥鳳が一番だろう。

 潜水母艦として第二艦隊にいた頃、剣崎ホテルなどと呼ばれていたはずだ」

 

「ちょっと、那智さん!

 ホテルと呼ばれていた事は認めますけど、那智さんだって御召艦経験があるじゃないですか!」

 

「いや、私はそれほどでもないし、つまみの方が得意だから夜以外はどうもな。

 そもそもこの那智よりも、羽黒の方が居心地がよいと評判だったぞ」

 

「い、いえ、私はそんな……」

「内装が客船に少し近かっただけで、狭いと水兵さんたちに不評でしたし、料理を褒められた事もあまり……」

 

 あー、こりゃいかんな。

 別に嫌がっている感じはしないけど、この流れだと誰かが料理番として固定になりかねん。

 

「ええと、とりあえず、ある程度料理ができて、その時に時間的な余裕がある人が担当する形でいいんじゃないか?

 できれば俺も手伝いたいんだが腕が無いし、誰に余裕があるかもわからんから、今は決められないと思うし」

 

「それでしたら、榛名にお任せください!」

 

「誰かを専任にするのも、やる事が増えると大変になりそうだからな。

 それだったら、ある程度持ち回りにしておいた方が、融通が利きやすいんじゃないかと思うんだが……」

 

「それでしたら、忙しくなり始めたら間宮や伊良湖と契約してはいかがでしょう?

 あの2人であれば、専任でも納得していただけると思うのですけれど」

 

「あ……いる、のか?」

 

 やっべ、明確な料理担当者を忘れてた。

 でも、艦これだと消費アイテムなんだよな……

 

「理由はわかりませんが、艦隊これくしょんの時に持っていた個数がレベル扱いになっているそうです。

 提督は2人とも10個以上お持ちでしたので、倉庫に艦娘の魂と艤装がちゃんとあります」

 

「それは……うん、忙しくなってきたら、契約を考えるか。

 悪いが、それまでは持ち回りで頼んでいいか? 1人に決めて、仕事を任せたりできなくなるのも問題だし」

 

「そうですね、台所をある程度使える人は、複数いた方が良いかもしれませんし。

 と言っても、台所はこことあのお家、それと宝珠の外に用意されていたものの3か所だけなのですけれど」

 

 ここ……どう見ても、食堂とかレストラン的な造りだよな。

 家庭料理的なものが合うかというと……まあ、大丈夫だろ。

 

「どっちにしても、情報も道具も材料も不足してるからな……

 その辺が揃わないと、何とも」

 

「それでしたら、掲示板を見てはいかがでしょうか?

 宝珠の主である提督は、宝珠の力が及ぶ範囲であればいつでも使用できますし」

 

「そうなのか?

 情報という意味では、いいのがあるかもしれないか……」




なお「改でグラフィックが変わらない場合の見分け方」については、まだ設定していません。
鑑定系魔法で見る、装備(スロット)の数の違い、何か目印を付けてもらう、微妙な雰囲気の違いを頑張って見分ける、以外に何かあるかなぁ……?


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掲示板1

※宝珠ネットワークの掲示板は、以下の特徴があります。
 使用者の限定が可能です。
 →通常は、宝珠の端末に触れられる者なら全員が対象となります。
  ネカフェの様な商売もあるため、一般人の利用もあり得ます。
 書き込む者の情報を強制表示させることが可能です。
 自動翻訳的なものがあり、世界とのやり取りが可能です。


【提督】宝珠の主の雑談765話目【将軍】

[制限:宝珠の主のみ]

[名前自由+国+宝珠種類]

 

1.名無しさん[日本 基地]

ようこそ、井戸端へ

専門的な話題は、該当スレで

特にスラングは誤訳されやすいため、すれ違いに注意

 

 ─ ─ 略 ─ ─

 

11.名無しさん[日本 基地]

新スレになったことだし、そろそろ新人用に注意点でもまとめておくか?

つっても予告されてんのは今日なんだが

 

12.名無しさん[日本 基地]

こっちの世界に来てからスレ見るまでに多少は時間がかかるだろ

今からうだうだ書いても間に合うさ

 

13.名無しさん[アメリカ 鎮守]

俺が掲示板を見たのは担当に説明されてからだいぶ後だった

つまり数日後だ

 

14.名無しさん[ベトナム 基地]

これだから異世界の連中は

とりあえず戦力を陸にもよこせ

 

16.名無しさん[日本 基地]

隣の国がアレだと大変だな

 

17.名無しさん[ベトナム 基地]

艦娘が大量にいる上に隣が沈黙したお前らが羨ましい

 

18.名無しさん[日本 基地]

隊息の戦力は大陸の国が圧倒的じゃん

神のやる事なんて誰も理解できんと思った方が平和だし

てか、今のお題的に真っ先に言うべきは、これだろ

「ここは艦隊これくしょんにちょっだけ似て、すごく非なる世界である」

「異世界からの召喚は、神が何かしらやった結果である」

「妖精さんマジ妖精さん」

 

19.名無しさん[日本 鎮守]

真っ先に嫁艦や説明で言われる話じゃねーか

異世界転移組は能力やら生成やらが結構付くらしいから艦これじゃねーのはわかりやすいし

神がやったと言われても簡単に信じられんのは事実なんだが

ファンタジーに艦娘やらがいると思った方が正しいってどうなんだろうな

 

20.名無しさん[日本 鎮守]

鎮守府ではなく鎮守宝珠、実態はネギまの別荘に近い

艦娘は契約精霊

妖精はむしろ(・ワ・)だと思え

装備は別ゲーだと思った方が混乱しない

対抗手段を用意しない限り一発死亡(轟沈)もある

現地提督は宝珠無しが結構多い

宝珠無しor単独で部隊を組めないなら佐官扱いで提督扱いされない事がある

陸に対応する「将軍」「隊息」がいる

陸軍が相手してるのは「魔物」

陸上フィールドは異界化した「森や砂漠や荒野など」と「ダンジョン」

先生、ダンジョンアタックがやりたいです

 

21.名無しさん[インドネシア 基地]

忍者は日本で手に入りますか?

ゲリラ兵だけでは応用が利かないんです

戦車で森を突破するのは難しいです

 

22.名無しさん[日本 鎮守]

外洋も異界

異界では羅針盤の指示に従え、も追加で

無視して進むと帰れなくなる

同じ艦娘や、艦娘以外を含めると羅針盤が荒ぶる

改装状態違いもダメ

戦闘力があるからと提督自身が突っ込むのもアウト

>>21 森対策ならハンター系を探すのも手では?

 

22.名無しさん[日本 鎮守]

陸も似た現象があるから、艦娘でダンジョンは無理なんだよな

ローグ系に近いランダムマップで、隊息以外が陸の異界に入ると構造や敵が荒ぶる

人に出来るのは陸海共に、異界近くで活動して異界を後退させることだ

あと、人型魔物や深海棲艦はキ印、話が通じそうで通じない

ほっぽちゃんに牛丼をあげると、懐かずに妖怪牛丼置いてけになるぞ!

 

23.名無しさん[トルコ 鎮守]

装備は困惑したな

ネームド航空機が1つもない事に気付いた時は気絶するかと思った

超高練度妖精付きのベース機体になっていたから、一応納得したが

大勢の江草や友永に囲まれたら呪われていたのだろうか

 

24.名無しさん[日本 鎮守]

装備に関して、固定的なものは標準で持っているも追加で

主砲やら副砲は標準装備、妖精装備は練度上昇や置換か追加扱い

置換や追加は元々持ってる装備に近くないと性能やらがガタ落ちするから注意

特殊弾や飛行機は装備しないと持っていかないが、偵察機を乗せるだけで着弾観測してくれる

長く使ってると装備と艦娘の相性的な練度も上がるし、乗せっぱなし推奨

カットインやらの演出がない分、リアル寄りになった感じ?

 

25.名無しさん[日本 鎮守]

性能ガタ落ちについて自分メモ

元々持ってるに該当するのは、艦これの持参装備と、史実の艦が持ってた装備

天龍改は艦これだと61cm四連酸素、史実は53cm三連

結果的に61cm四連酸素が一番、61cm三連が続き、53cm連装もそこそこ適性がある

61cmの五連や六連になると重いし扱いきれないらしい(本人談

 

26.名無しさん[日本 鎮守]

それに比べて航空機って気楽だよな、載れば概ねOKだから

基本的に弱いのほど資材に優しいから、ゲームより選択の余地はあるんだが

但し糞式、てめーは駄目だ(貧乏提督の感想

 

27.名無しさん[アメリカ 鎮守]

そろそろ艦娘についても話すべきだ

海で拾ったり建造で作れたりするのは艤装

艤装+契約した精霊=艦娘

艦娘(精霊)や妖精にも意思があり、契約を切られることもある

制度的にも個人として認められてるし、家族として扱う方がいい

曙ぉぉぉぉ俺が悪かった帰ってきてくれぇぇぇぇ

 

28.名無しさん[日本 基地]

>>26 この糞提督!(誤字的な意味で)

>>27 この糞提督!(行動的な意味で)

嫌がることをすると、目に見えて好感度的なものが下がってくだろうに……

不条理な作戦や、艦娘に責の無い契約解除も信頼喪失に繋がる

艦娘・隊息からの信頼を無くした提督・将軍は悲惨だぞ

 

29.27[アメリカ 鎮守]

ジャパニーズツンデレを理解するのは難しすぎるんだ

そもそも艦娘に性的欲求が無いとか殺意を覚える

だったら女性の姿で実体化するな

 

30.名無しさん[台湾 鎮守]

女神を粗末に扱うなんて、ひどい提督ですね

私としては、生産者や運送業者にも感謝をしてほしい

自分達で作れるものはたかが知れているから

加えて、人の活動が無いと異界に侵食される事が判明済み

輸送路の防衛戦力は艦娘や隊息だけど、そこを通る運送業者がいないと維持できない

人には轟沈予防などが効かないんだから文字通り命がけ

つまり提督は、国やギルドから出てるシーレーン維持の依頼は積極的に受けるべき

 

31.名無しさん[ポーランド 鎮守]

性行為は子孫を残すための行為だぞ

軍艦は子孫を残さないのだから性行為に意味がないのは当然だ

とても仲良くなれば親愛からのサービスはあるのだから贅沢を言うな

 

32.名無しさん[アメリカ 基地]

>>31 何をサービスしてもらった! 吐け!

 

33.31[ポーランド 鎮守]

>>32 膝枕だ

いったい何を想像した?

というか別人じゃないか

 

34.名無しさん[日本 鎮守]

新人用のまとめだろ?

依頼でよく使う駆逐艦や軽巡を早めに揃えろって言わないとダメだろ

最初におっぱいを優先すると、極貧になって艦娘から白い目で見られたりするぞ!

 

35.名無しさん[日本 鎮守]

貧乳派のオレ、超勝ち組

維持も出撃も資材に優しくて素敵だぜ

 

36.名無しさん[シンガポール 鎮守]

天龍や龍田や潮や村雨や千歳や千代田のボリュームと優しさに喧嘩を売りたいんだな?

シーレーン維持には航空戦力も欲しいんだぞ

 

37.名無しさん[ドイツ 基地]

黙れ変態ども

称号についてだが、名前の意味は大事だがイメージは投げ捨てろ

「能力/戦乙女」を持つヨボヨボの爺さんを知っている

 

38.名無しさん[日本 基地]

イメージ投げ捨てって能力系限定じゃね?

存在系の称号はかなりイメージ通り

エルフは美形だしドワーフは髭だ

 

39.名無しさん[イギリス 鎮守]

森の住人でも、優秀な鍛冶師でもないがな

そうなる素質はあるのかもしれんが

 

40.名無しさん[日本 基地]

森→異界、鍛冶師→レアジョブ

全て時代が悪いんや……

 

41.名無しさん[日本 基地]

中身は普通の文明人ですしおすし

文化やらの裏付けなしで森だの鍛冶だの言われてもね

隊息の刀剣も銃器も生成でポンだよ?

 

42.名無しさん[インド 基地]

いつものループ話題、ここまで

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 

【私は】自分の存在を嘆くスレ82慟哭目【何だ】

[制限:宝珠の主のみ]

[名前自由+宝珠種類+称号/種族+性別]

 

1.名無しさん[基地 オーク 女]

ここは【存在】系の称号に悲しむスレです。

辛い時は、愚痴ればいいと思うよ。

※傷の舐め合い上等。健常者はそっと閉じること推奨。

※存在の希少性故に特定されることがままあるので注意。

※叩かれた事を苦にして自殺未遂→逮捕者が出た実例あり。

※書き込む時は、思いやりを忘れずに。

 

 ─ ─ 略 ─ ─

 

21.名無しさん[基地 エルフ/長耳 男]

そろそろ異世界の連中が来る頃か

今までで最大の人数らしいが、今回はどれくらいの阿鼻叫喚になるのやら

 

22.名無しさん[鎮守 ヒューマン/白 女]

毎回ひどいのが混じってるのが何とも

自殺者がいないのが奇跡レベルで

 

23.名無しさん[鎮守 悪魔のような何か 両]

>>22 呼んだ?

 

24.名無しさん[鎮守 疑似/英雄王 男]

遅報:おっさんだったワイ、リリィ化した自分に見惚れて死にかける

遅報:リリィ化したワイ、男に襲われて股間のブツを見られた挙句殺されかける

遅報:男のままリリィ化したおっさんのワイ、男の娘を穢したと殺されかける

突然の出来事にしちゃハードモードすぎやしませんかねぇ

 

25.名無しさん[基地 オーク 女]

異世界組じゃなくても、死にたくなる時があります

あるんです

 

26.名無しさん[鎮守 疑似/飲茶 男]

異世界組じゃなくても、死にそうになる時があります

よく、あります

 

27.名無しさん[鎮守 世界樹 無]

異世界組じゃなくても、死について考えるのは間違っているのだろうか

>>23 イキロ

>>24 犯人は全員奴隷状態になったそうじゃないか

>>25 逆くっころさんは好きだぞ、動物ですらない俺にはどうにもできんが

>>26 お前さんは色々な意味で運が悪いだけだ

 

28.名無しさん[鎮守 スケルトン/ヒューマン 女]

前回の異世界組だけど、命についてあんなに考えたのは初めて

そして多分もう二度とない

 

29.名無しさん[基地 吸血鬼/ヒューマン 男]

命について悩むアンデッド……

 

30.名無しさん[基地 エルフ/長耳 男]

>>29 ちょっと待とうか

自分は何かな?

 

31.名無しさん[鎮守 ガイノイド 無]

今回の転移組は俺が初?

TSしたかもしれない俺が来ましたよ

 

32.名無しさん[基地 エルフ/長耳 男]

おお、いらっしゃい

 

33.名無しさん[鎮守 世界樹 無]

悩める子羊よ、お生きなさい

 

34.名無しさん[基地 オーク 女]

ガイノイド?

女性型のロボットであってる?

>>33 話ぐらいは聞きましょう

 

35.名無しさん[鎮守 ガイノイド 無]

やっぱりロボは無性扱いなのか

まあ、女になったと言われるよりはマシか

さらばマイサン

>>34 あってる。外見は完璧に女で中身はロボ

 

36.名無しさん[鎮守 悪魔のような何か 両]

TSでも最悪ではないと主張しておくわ

嫌悪されるような存在になる方が絶望的よ

 

37.名無しさん[鎮守 ガイノイド 無]

!?

すまん、確かにそうだな

 

38.名無しさん[鎮守 サキュバス 女]

ちょっと聞いてくれ、精気必須ってどういう事だよ!!

見た目が良くなったから男を食えってか!? ざけんな!!!!

 

39.名無しさん[鎮守 ヒューマン/白 女]

美女の時点で許せない

 

40.名無しさん[基地 吸血鬼/ヒューマン 男]

精気っつーか、相手の生命力的なもんが必須なやつだな

俺の場合は相手の血を経由して取り込む必要がある

知り合いのインキュバスは呼気とか言ってたぞ

相手が性的に興奮してると吸収しやすくて美味しいとかなんとか

 

41.名無しさん[鎮守 疑似/飲茶 男]

サキュバス、つまり、永遠の若さとエロ……

ごくり

 

42.名無しさん[基地 ヒューマン/青 男]

>>38 こんな俺でも食ってくれますか?

ちょいと病気っぽく見えるだけで健康だから

 

43.名無しさん[基地 ゴブリン 男]

>>38 こんな俺でも食ってくれますか?

大丈夫、苗床設定やらは無いらしいから

 

44.名無しさん[基地 小人 男]

>>38 こんな俺でも食ってくれますか?

大丈夫、痛くないから……入っているかもわからんレベルで

 

45.名無しさん[鎮守 ロボット 無]

>>38 こんな俺でも食べりゅ?

 

46.名無しさん[鎮守 サキュバス 女]

>>41-45 喪女なめんな男怖い!!

殿方と目が合うだけで緊張して手が震えるんですかんべんしてくださいorz

 

47.名無しさん[基地 オーク 女]

>>41-45 キサマラ、マトメテタベテヤロウカ

 

48.名無しさん[鎮守 疑似/英雄王 男]

女みたいなワイ、男性恐怖症? の治療に協力する決意を固める

 

49.名無しさん[基地 吸血鬼/ヒューマン 男]

変態湧きすぎだろ

サキュバスも先達がいるから、提督ギルドなりを頼ってみな

参考になりそうな情報を聞いてきてくれたり、紹介したりしてくれるはずだから

呼気でいけるなら同性の精霊からも吸えなくはないから死ぬことは無いだろ

そのせいでとあるインキュバスは薔薇の道に踏み込んだわけだが

 

50.名無しさん[鎮守 悪魔のような何か 両]

問題が自分だけなら平和よね

ヤギ頭のフタナリなんて、現実だと鏡で見た瞬間に卒倒するレベル

というか、内容の判明早いわね?

秘書艦だと内容までは見れないはずだし。鑑定持ちかしらね

 

51.名無しさん[鎮守 獣人/柴犬 男]

殺伐としたスレに救世主が!

らめぇ……モフモフされるとすべてがどうでもよくなっちゃうのぉ……

 

52.名無しさん[基地 獣人/キタキツネ 男]

ケッ、これだから訓練されてない犬は。

尻尾をマフラーにされそうな俺と代われ!

俺だって由良たんにゆらゆらされたいんじゃ!!

 

53.名無しさん[鎮守 疑似/魔法少女 男]

すみません、男の娘みたいな雑魚が身を守るにはどうしたらいいんでしょう

 

54.名無しさん[鎮守 疑似/英雄王 男]

おおう、ワイの同類現る

最近は変態もおとなしくなっとるから、日本なら出歩けるはずや

他の国におるんやったら、ギルドに治安やらを確認しとき

どっちにしても、1人で出歩くのはあかん

もちろん、護衛は多ければ多いほどええからな

ギルドの護衛推奨ってのはマジやで

 

55.名無しさん[基地 エルフ/長耳 男]

アドバイスのように見せて、思い切り脅してないか?

美少女風だろうが、そこまで危険ではないはずだぞ

ある程度の部隊や施設を運用する提督や将軍は、色々と便宜を図られるし

襲ったやつは問答無用でテロ実行犯扱い、国や地域によっちゃ即死刑だ

変態もそこまでリスクを無視する馬鹿は稀だ

本物のテロ組織なら外見よりも、攻撃しやすいか傷つけて効果の大きい相手を選ぶ

それを予防する意味で、護衛推奨は本当だが




2017/10/04 人間→ヒューマン に修正


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教えて、香取先生!-1

日常回だと思った?
残念、(未だに)設定回でしたー!

1時間目、総合。
ノリと勢いだけで書いた結果がこれだよ。どうすんだよこんな設定(ノープロット並感


「提督。提督ギルドの方が、外の部屋に来たみたいです」

 

「……ん? そんなに時間がたったか?」

 

 それほど長い時間は見てないと思うんだが……まあ、来たものは仕方ないか。

 ……知らせてくれるのはいいんだが、榛名が髭を触りながらってのはどうかと思うけど。他の連中(かんむす)も仕方ないなぁみたいな目で見てるし。

 

「いえ、さほど時間は過ぎていません。

 何か良い情報はありましたか?」

 

「少なくとも、最初の接触の役に立つ話は見付けられなかったな。

 提督ギルドとは仲良くしておいた方がよさそうではあったけど」

 

「そうですか。それでは、どちらで会いましょうか。

 外の部屋に簡単な応接セットが用意してありましたので、おそらくそちらを想定しているのだと思うのですけれど」

 

「そういえば、マンションに似てるって言っていたな。せっかく用意してあるなら、そっちが無難か……

 移動は、転移装置って言ってたのを使うんだよな?」

 

「はい。6つ円が書いてあるので、そちらに立っていただければ、あとは榛名が転送を行います」

 

「って事は、転移は榛名の承認が必要って事になるのか」

 

「実質的には、そうなります。

 もちろん、提督の意思が最優先なのですけれど」

 

「セキュリティって意味では、安心なのか。

 負担は大丈夫なのか? 頻繁に転送すると意識がそっちに引っ張られるとか」

 

「転移の監視は別の意識、並行処理(マルチタスク)のような感じで行っていますから、榛名は大丈夫です」

 

「なるほどなぁ……えーと、あっちには足柄と、無改装の榛名と羽黒がいるんだよな。

 ……護衛やらと言っても、これ以上行くといる場所が無さそうか……?」

 

「あまり広い部屋ではありませんし、戦力的にも提督と榛名だけで大丈夫です。

 来ているのは、練習巡洋艦香取だけだそうですし」

 

「……いきなり、他の提督の艦娘だけなのか。職員はどうしたんだろうな。

 なら、2人で行こうか。他のみんなは……待機、になるのか?

 とりあえず、宝珠の中をある程度把握しておいてくれると助かるかな」

 

「そう、分かったわ。

 適当に見とくから、さっさと行きなさいよ」

 

「おう。んじゃ、行ってくる」

 

 叢雲の言う通り、ちょいと待たせてるな。

 というわけで、転送装置を使って移動し、移動先のコンクリートで無機質な部屋にちょっとがっかりし、とりあえずソファーとテーブルを置いてみましたという程度の応接室で足柄と羽黒に挨拶した後、提督ギルド嘱託の腕章をしてる香取を通して。

 

「日本国提督ギルド舞鶴支部舞姫鎮守宝珠所属練習巡洋艦、舞姫・香取・ルナです。

 聞きなれない表現かと思いますが、艦娘はこの様な表現をする場合がありますので、ご理解ください」

 

 うん。この外見は間違いなく、香取だ。

 鞭みたいなのは持ってないし、艤装も付けてないけど、それ以外は艦これのあの絵とそっくりだ。

 おっぱい大きいのにロリ可愛いとことか。

 

「あ、はい、わかりました。

 えーと私は、鑑定名は上下(かみした)左右(そう)、らしいです。

 元の名前は使う事がありますか?」

 

「いいえ、この世界での名前は、鑑定で得られるものが正となります。

 元の世界の名も通称という形であれば使用しても大丈夫ですが、書類等では正式名が必要となります。無用な混乱を避けるために、普段から正式名を使われることをお勧めします」

 

 あー、やっぱりか。鑑定魔法があるなら、真偽確認なんかで使うよなー。

 

「そうですか、わかりました。

 では、艦娘の長い所属……ですか。その表現の意味はどうなっていますか?」

 

「日本国、提督ギルド舞鶴支部。これは所属する提督ギルドや海軍等の国籍と場所を示しています。

 舞姫鎮守宝珠というのは、鎮守宝珠に付けられた名ですね。提督が宝珠と契約しておらず、かつ宝珠の主との専属契約も行っていない場合は省略されます。

 その後が、個々の艦を示す名前となります。

 艦娘は提督の家族という扱いとなりますので、原則として提督と同じ姓を名乗る事となっております。ですから、私も提督の姓である舞姫を頂いております。

 同じ艦を複数お持ちでない場合はそのままである場合も多いようですが、区別が必要な場合や何らかの思い入れがある場合、艦名をミドルネームとして個別名を付ける場合があります。私の例ですとルナという名が個別名に当たります」

 

「なるほど……ということは、早いうちに私の宝珠にも名を付ける必要があるという事ですね」

 

「はい、そうなります。

 多くの場合は、提督の姓を付ける事が多いようです。なるべく重複しない事が望ましいとされていますが、世界的に一意とするのは現実的ではありませんので、ありふれた名でなく同じ支部の範囲で重複していなければ認可されます。

 上下提督の名はこの支部で他にありませんし、著名な提督や宝珠にも心当たりがありませんから、姓を利用するのであれば問題ないでしょう」

 

「わかりました。

 ところで、根本的な質問ですが……提督ギルドって、何をするところですか?」

 

「ようやくその話ができますね。

 提督ギルドは、国や地域と提督の橋渡し及び提督の支援を行い、これを以て人々の安全を守るための国際組織となります。情報収集や依頼の管理、物資の調達なども、その範疇に含みます。

 例えば今回の場合、事前に可能な限り安全な宝珠安置場所の確保、生活に必要な品々などの用意、といった事を行っていますし、私や職員による説明も業務の一環ですね。

 この後は、提督がお持ちの戦力の把握とそれに合わせた依頼の紹介、宝珠の管理に関するアドバイスなどを予定しています」

 

「国際組織、なのですか?」

 

 あれー? 海自とかが纏めてるもんだと思ったけど……いや、それならギルドなんて名乗らなくていいのか。

 

「艦娘を人間同士の戦争に使わせないため。

 深海棲艦に国境は関係せず、海運も複数の国が関係せざるを得ないため。

 何より、日本国に提督が集中している事に対する批判をかわし、ある程度の派遣などを円滑に行うためですね。

 もちろん、実際の事務や運用に各国の国防関係組織が関わっていますので、それらの意見を無視することはできないのですけれど」

 

「色々と厄介なんですね。

 ところで、ある意味で得体のしれない相手である私達の世話を焼くのは、やはり深海棲艦に対する戦力として期待しているからですか?」

 

「当然それも含みます。国や出資する人達が最も求めているものはそれでしょう。それ以外、例えば宝珠の能力や生み出す土地に価値を見出している者も多いはずです。

 それでも、正しく私達艦娘と縁を結ぶことができる人物であれば不幸なすれ違いで険悪な状態になってほしくない、という気持ちも本当なのですよ」

 

 実利と期待の両面を見据えての懐柔、って感じっぽいか?

 実際問題として、いきなり単独で生活が出来るわけもないだろうし……

 

「なるほど、そうですか。

 それでは、現在の状況……生活や国際的なものは、どうなっているのでしょう?

 少なくとも深海棲艦や魔物がいる、という話は聞きましたが」

 

「そうですね……それでは、先ずは生活に関するお話からにしましょう。

 生活面については残念ながら、異世界の提督の方々から見ればかなりレベルが低下しているものと思って下さい。

 まず、長距離の輸送を行っていた欧米の製品や、賃金などが安い地域で大量生産された低価格の品などは、入手が難しいと考えて頂いた方が無難でしょう。

 航路の安全面に問題がありますし、輸送も石油や鉄などの戦略的な物資や食料品が優先されていますから、それら以外の品々の確実な入手は難しいのが現状です」

 

「陸や空も危険という事ですか?」

 

「そうですね、陸や空も異界……危険な領域となっていますから。

 大陸奥地の荒野などは海とよりも多くの魔物がいますから、突破するにはかなり多くの戦闘を覚悟する必要があります。損失の多さを考えると、長距離トラックでの輸送は現実的ではありません。

 海岸線の人が多い地域であれば魔物は少ないのですが、とても遠回りをすることになりますし、深海棲艦や魔物の攻撃や異界化で道が途切れている箇所も少なくありません。こちらも現実的ではないのです。

 空は、となりますと……異界となっていない高高度を飛行中の輸送機がドラゴンと遭遇して攻撃された、という記録がいくつもあります。レシプロ機が飛べる程度の高度は異界となっていますから、自由に飛ぶことは不可能と言えるでしょう。

 消去法的に、艦娘による護衛を伴っての海運が最も損失が少ないと考えられています。こうして維持されている航路は異界化を防ぐ意味もありますから、その航路に沿っての空輸は細々と行われていますね」

 

「……思ったより、ひどい状況だな」

 

 陸運と空運がヤバいレベルとなると、長距離の輸送やらは艦娘頼みって事になるだろうし。そりゃあ提督が特別扱いされるわけだ。

 艦娘を護衛にって事は、それも提督の収入で、輸送コストの上昇要因、と。

 

「当面の生活に関しての話をしましょうか。

 食料に関しては、日本や各地の提督が東南アジアやオーストラリアへの航路を維持してくれていますから、飽食と呼ばれるような贅沢はできませんが、それなりの食事は可能でしょう。少なくとも飢えるほど劣悪にはなっていません。

 日用品は、不足している物も少なくありません。生産業への支援も行われていますからある程度の品は揃うと思いますが、100円ショップのような色々な安い品を売る店は無くなっています。

 なお、食料品や日用品に関しては提督ギルドとして支給するものがあります。こちらの調理場や食事室に置いてありますので、これは自由に使って下さい。準備が整ってからお渡しするものもありますし、食料品については1か月間、配給という形での支援もあります」

 

「そうですか、ありがとうございます。

 どのようなものがあるか、後ほど確認します」

 

「この1か月という期間はこの世界について学ぶ時間となりますが、依頼や収入の確保についての練習期間でもありますので、頑張ってくださいね。

 他に異世界の提督の方々が戸惑われる点としては、テレビや通信といった点でしょうか。

 現在、テレビやラジオを視聴する事ができる地域は限定されていますし、スマートフォンも速度がとても制限された状態となっています。

 これは、強い電波の発信源が深海棲艦の攻撃対象となりやすい事よる、停波が影響しています」

 

「あー……攻撃目標に見えるって事か……」

 

「異界から出てくる深海棲艦や魔物は、人工物に惹かれる特性がある事が判明しています。特に空母系の深海棲艦が電磁波に誘われやすいため、多少内陸であっても空襲による被害が多発しました。

 攻撃を受けた理由が判明した事により法が改定され、テレビやラジオ、一般的な携帯電話やスマートフォンの使用が禁止されることになっています。現在は出力を制限した移行期間になりますので、使用できる範囲がかなり制限された状態です」

 

「無線通信不可、って……まじかー」

 

「もちろんそれでは不便ですし、戦力を持つ船舶や緊急時の無線は規制対象ではありません。人の活動自体も誘因の要素となっていますので全面的な禁止は無意味だろうと考えられてもいます。

 ですから、代替手段としてケーブルテレビやPHSといった、有線のものや出力が小さいものへの置き換えを進めているところです。

 特に携帯電話に関しては、生産が全く追いついていないのですが」

 

「そりゃまあ、一気には変えられないか……」

 

 無理に変えようにもモノが無い、無暗に禁止しても反感を買う、放置すると被害が増える。

 範囲を狭くしてでも一応使えるって状態は、妥協の産物か。

 

「というか、都市の防衛はどうなっていますか?

 艦娘とか、隊息? という存在だけで、守り切れるものでしょうか?」

 

「完璧に守り切ることは不可能である、と言わざるを得ません。

 現在は王や領主といった称号を持つ方が現れていますので、その方々の能力で地域の住民から魔力を集め、それを利用した大規模な防衛結界を展開している地域もあります。

 もっとも、結界も万能ではありませんし、そもそも人数や能力などの限界がありますから、大都市や重要な拠点に限定されていますが」

 

「王や領主、ですか……」

 

「正式に言えば【能力/王】や【能力/領主】となります。

 領主は能力が及ぶ範囲にいる生物から魔力を集める能力、王は領主を束ねる能力、と言ってよいでしょう。魔力を扱う税務署と財務省のようなものだと理解してください。

 人を含む全生物が対象となりますが、魔力の徴収以外の能力は確認されていません。魔力を徴収された者は多少の倦怠感等があり、老衰や病気、大きなけが等で体力が落ちている方の生存率が下がる傾向が確認されています。

 それを許容してでも結界の中に住みたい、と考える方が多いようですね」

 

 奴隷やら使役やらって能力がないのは安心だし、寿命が縮むのがいいか、目に見える死亡のリスクがある方がいいか、って選択になるのか?

 そりゃあまあ、普通は明確なリスクが小さい方に行きたいよな。大きな都市なら、提督やらもそれなりにいるんだろうし。

 

「ここ舞鶴については領主の称号を持つ方がおりますので、結界で保護されています。

 また、舞鶴支部にいる提督の尽力もあり、大きな被害を出すことも無く日本海側の防衛の中枢を担っています」

 

「なるほど。領主の称号持ちは、結構多いのですか?」

 

「いえ、かなり少ないと言ってよいでしょう。

 現在の日本国で結界の保護を行っているのは、東京圏、仙台、札幌、浜松、福岡、そして舞鶴の6都市のみとなっています」

 

「それは……京都や大阪、名古屋なんかも対象じゃないのか……」

 

「結界は地上の出入りを制限しにくいため、魔物に対しての効果が薄いのです。ですから、東京圏も海側の地域が中心となっているように、海からの脅威が大きい地域や効果を見込める場所が優先されています。

 ここ舞鶴の結界は日本海側防衛の中枢という意味以外にも、京都や大阪の日本海側を守る意味も持っていますから」

 

「盾としての結界か……魔物に効果が少ないなら、内側の都市に用意しても意味は小さくなるな」

 

「加えて、舞鶴を担当する領主の称号を持つ方は、能力が及ぶ範囲があまり広くないそうです。

 ですから大きな都市を担当することができず、比較的小規模かつ効果が見込める地として舞鶴が選ばれたようです」

 

「それはまた……幸運なのか不幸なのか。

 ところで、王や領主は知事やら市長やらを兼任していたりしますか?」

 

「いえ、領主の称号を持つ方がその力を振るう事は国家公務員として国の管理下で行う必要がありますから、勤務時間内外を問わず政治的行為が禁止されます。そのため知事や市長となる事はできませんし、知事や市長のまま領主としての力を振るう事も禁止されます。

 王の称号に関しては、世界的に見ても皇室や王家といった方々にのみ確認されています。現在の日本国では天皇陛下のみですから、表立って問題とされたことはありません」

 

「おおう、なんというご都合主義……。

 それでも、文句を言う連中はいそうですが……天皇という制度自体に反対していた人とか」

 

「その頃には既に、世界が混乱していましたので。

 そうですね、この世界が歩んできた歴史について、少々お話ししましょうか」

 

「あ、お願いします」




サンマと任務とEOが不調な昨今。1-5で旗艦祥鳳が大破したりサンマ出なかったり、水上反撃のボスA敗北によりゲージが半分になったり、3-5で5連続道中大破撤退したりしています。
時間とお金……とまでは言わないので、ダイス神の加護は、どうやったらもらえますか?

……とか書きながら、勢い余って3-5準下ルート速吸改(Lv26)入りを試したら、数人小破でボスS勝利。こ、これは初回の接待的な何かなのか。サンマも海防艦も出なかったから、また来いよ(次は北に行って初戦大破な!)的な。


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教えて、香取先生!-2

2時間目、社会(歴史)。
話があっちに行ったり、こっちに行ったり。
設定を作りながら書いてるので、1話の中ですら矛盾してる可能性ががが……


「それでは、この世界の……そうですね、明確な変化があった2010年からの出来事を、簡単に説明していきましょうか」

 

「2010年、ですか」

 

「ええ。異世界の提督の方々の証言を検証した結果、2010年より前の歴史や世界に、大きな差は確認されていません。有名な出来事、著名な人物については、ほぼ同じと考えていただいて結構です。

 不思議なことに、異世界の提督としていらした方々に関係する人物は見付からないのですが」

 

「なんとまあ……」

 

 要するに、完全な平衡世界ではないか、存在が抹消されてるって事だよな。この条件を必ず満たすなら、有名人やその関係者がこの世界に来ることはないって事でもあるか。

 こっちの世界の俺と会ったりしたら、どんな顔をしていいかわからないだろうけど。

 

「問題の2010年ですが、特殊な能力や【称号】が現れ、続いて海や僻地での襲撃事件が発生するようになりました。この襲撃が、深海棲艦や魔物が現れ始めた証拠だとされています。

 神職系の称号を持つ方々に、世界と魔法に関する神託が行われたのもこの年です。ファンタジーや古いゲームなどが悪い意味で適当に混ざった状態にしたと、はっきり伝えられたそうですよ」

 

「突っ込みどころが多い、ですね……」

 

 神と名乗りたい神っぽい何か、と言った方がしっくりくるな……

 なんだよ、ゲームやらが悪い意味で適当に混ざった状態って。

 

「当然、世界は混乱しました。特に、神職系の称号を持つ方々への神託、という点が問題でした。

 多くの宗教の屋台骨が揺らぎ、精神的な柱を失う人々が続出しました」

 

「そこまで動揺するものですか?

 普通であれば、流言や戯言とされそうですが……」

 

「元々、神職系の称号は神職や聖職にある方々に現れる事が多かったのです。

 宗派とは無関係な名が表れたため、当初は異端として排斥され、その人数の多さと無節操さに神にとって人が呼ぶ身分の名など言葉の違いのようなものでしかないのだろうという説明で事態の収拾を図ろうとしている時に、世界をこの状態にしたという神託が下ったのです。更にその際の説明は仲間と呼ばれる複数の声、具体的には少なくとも男女数名ずつで行われたようなのです。

 世界を変える力を持つ、複数名の、神職系の称号を持つ者に言葉の壁を越えて情報を伝える者。

 悪魔と呼ぼうにも称号の問題があるため、神職にある者達、特に各宗教の指導者をも悪魔の手先と呼ぶ事になります。

 複数名いたことから、少なくとも一神教における神とは異なる存在なのでしょう。

 世界を変える、少なくとも変わった状況を利用できる力は、人と呼ぶにはあまりに強大です。

 更に、死後の世界、特に天国の存在を否定しました。人などの意思を持つ者は死亡時の感情がその付近の魔力に影響し、正の感情が強ければ人を助ける存在が、負の感情が強ければ人を害する存在が現れる核や温床となるそうです。

 これらの理由から、特に一神教との相性は最悪でした」

 

「あー……やる事がえげつないというか……」

 

 宗教指導者の首元を押さえながら、複数人であることと人を超える力を示して、ついでに天国の否定なのか。キリスト教とかイスラム教とかユダヤ教とか……だっけ? この辺りは、影響が大きそうだな。他にどんな一神教の宗教があるのかよく知らないけど。

 日本は……あんまり関係ないか。無宗教というか、多宗教というか、それこそ絶対神が複数いても気にしない感じだったし。

 

「詳細は省きますが、これによる混乱はとても大きいですし、今でも収まったとは言えません。

 それらの混乱の中で妖精が発見され、人々は様々な知識や技術を得る事になります。魔法、妖精との契約、この世界の人々が能動的に称号を得る手段である【降神の儀】、魔力による物体生成といった、社会に大きな影響を与えたものはこの頃が始まりとなります」

 

「魔法や契約はなんとなくわかりますが、降神の儀、ですか?」

 

「端的に言えば、異世界の提督の方々に現れている現象を能動的に引き起こすもの、ある意味での転生と言ってよいでしょう。

 具体的には、【存在】や【生成】に関する称号の発現は【降神の儀】と【宝珠との契約】によってのみ確認されています。同時に【能力】や【魔法】の称号も得られやすいですから、日本国では積極的に推奨している状態です。

 儀式魔法の行使が必須ですから、そのための指導や、行う場所の確保なども推進していますね。どのような結果になるかをある程度は調べる事が可能ですから、そのための窓口も増やしつつあります」

 

「つまり、人でなくなっている人……表現がおかしいですが、人外と呼ばれる存在になった人は多いのですか?」

 

「日本国だけでも5000人を超えたようですから、それなりにいると言ってよいでしょう。

 もちろん、降神の儀を行っても【存在】の称号を得ない確率の方が高いですから、最終的に人がいなくなる、という事はありません」

 

「微妙な人数……差別とかの問題は出ていませんか?」

 

「どの様な存在になったかによる、としか言えません。少なくとも、人外の存在全てが疎まれているわけではありませんから。

 代表的な例ではエルフとなられた天皇陛下のように、羨ましがられても疎まれていない方も多数いらっしゃいます。獣人や獣、あるいはロボットに近い場合は一部の方々に人気が出る例が多いようですね。

 嫌われやすい存在としては、オーク、ゴブリン、アンデッド、悪魔など、ファンタジー系で悪役として扱われる事が多いものや、生理的な嫌悪感を与えやすいもの等があります。ですが、どの様な存在になっても、元は人です。物語の中のような行動をするわけではありませんから、その人の本質をきちんと見る事が大切です」

 

「そうですか……」

 

 吸血鬼って、どっちかというと悪役系だよな。って事は、本質云々以前の問題として最初の印象は悪くなるわけだ。本質が大切だと言わないといけない程度には表面で判断する人が多いって事だろうし、そもそも俺だって相手の本質を見抜けるなんて思えないしなぁ。

 生活難易度上昇のお知らせ、かな。いや、上昇してたお知らせか。

 

「それでは、出来事の話に戻りましょう。

 降神の儀や魔法などの情報が広まりはしても、実際に使用できるようになるまでの時間はそれなりに必要でした。その間に海や内陸での被害が拡大していきます。

 そして2011年に、艦娘や隊息、そして宝珠の存在が確認されます。当然、それらも研究対象となるのですが……」

 

「……何か問題でも?」

 

「特に、日本を中心とする艦船が女性化した、艦娘が問題となりました。

 一部の国や地域では奴隷や実験動物のように乱暴に扱われ、結果として妖精や隊息を巻き込む大逃亡が発生したのです」

 

「反日が強かったり、女性の立場が低かったりする地域、ですか?」

 

「はい。深海棲艦や魔物には純粋な物理兵器が効きづらいため、艦娘や隊息、魔法などで対抗する必要があります。それらを得られなかった国や地域では、深海棲艦や魔物の攻撃を防ぐ力がとても弱くなるのは当然です。

 結果として、そういった人達が壊滅的な被害を受けるのは時間の問題となりました」

 

「得られなかったのは、魔法も……ですか?」

 

「魔法の技術を研究している途中に、情報源である妖精を失いましたから。

 宝珠の生成や降神の儀にも妖精の協力が必要である以上、飛躍的な能力の向上も不可能となりますし、他の国々も妖精達の反発を恐れてそういった人々から距離を置きました」

 

「……自業自得とはいえ、なんとまあ……」

 

「この頃には【能力/領主】の称号が判明していましたし、その劣化再現である魔力収集や、魔力を利用する技術も小規模であれば可能となっていました。

 そのため日本国は、人々から魔力を集め都市の防衛と各種生産を行うための準備を開始します。この頃に降神の儀を積極的に推奨し始めたのは、領主の称号を持ち得る人を見付けるためだったと言われていますね」

 

「そりゃまあ、1人2人でどうにかなるわけもないだろうし、そんな人数に日本を任せるのも問題だろうしな……」

 

「加えて、降神の儀を広めるために天皇陛下が率先して行った際に、【存在/エルフ】と【能力/王】を発現し、更に若返ったのが決め手となったようです。

 都市防衛と各種生産に関する法整備等が一気に進み、降神の儀に関する情報も瞬く間に広まりました。この時は人権保護団体や宗教団体による反対活動もあったようですね」

 

「ああ、連中にとっては最後の砦みたいなものか……」

 

「目の前の危機を何とかするためですから、国が動く前に消えていったそうですよ。

 結果的にこの実験は成功し、世界の国々が追従を始めます。とはいえ王の称号は極めて希少ですし、個人主義が強い国では国策として降神の儀を推進できず、負担を強制する魔力収集にも制約が伴うために、効果は限定的だったようです。

 それでも、事前の鑑定で【能力/提督】や【能力/将軍】などの称号を得る可能性がある人が見付かり世界の戦力が一気に増えましたから、副次効果もそれなりにあったようです。

 加えて【能力/鉱山】や【能力/油田】といった、枯れた資源の回復が可能な称号が見付かった事は、日本国にとっては極めて重要でした」

 

「能力の称号って、そんなのまであるのか……」

 

「ええ、あるんですよ。

 2012年には深海棲艦や魔物の被害が拡大し、広い範囲が危険な領域として立ち入りしないよう世界的な勧告が出されました。離島や島国、山奥等の小さな町などで生活の維持が困難になり、人の流出が加速したのもこの頃です」

 

「事態はそこまで……深海棲艦や魔物が今でもいるという事は、そういった地域は、やはり?」

 

「例えば、小笠原諸島、ハワイ、グアムなどは異界に飲まれています。多くの山や砂漠なども異界と化し、消滅や分裂した国も少なくありません。人と人の争いが増えたのもこの頃となります。

 ちなみに、異界化が始まったのは2013年の春ですね。同時に異世界から提督を召喚する事が告げられましたが、この際の混乱も大きかったそうです。

 妖精達に捨てられた国。元々犯罪発生率が高かった国。食料自給率が低い国。宗教の影響の強い国。こういった国々の衰退は見ていられません」

 

 2013年の春……なーんか、どっかで聞いた事のあるような時期だな。

 

「日本が無事なのが不思議ですが……この際ですから、はっきり聞きます。

 問題なのは、朝鮮、中国、中東、アフリカ……この辺ですか?」

 

「これに中南米も加えてよいでしょう。もちろんこれらの地域にも維持している国や都市はありますし、他の地域なら無事というわけでもありません。

 日本国に関しては、魔法技術の開発と展開が早かったこと、逃亡した妖精や艦娘の脱出先として選ばれたため海上戦力が多く集まったこと、それらを背景として東南アジアやオーストラリア、インドといった地域への航路を維持できたこと。これらが無ければ、今以上に大変なことになっていたでしょう」

 

「今以上に……今現在も、問題はあるわけですね?」

 

「もちろんです。

 深海棲艦や魔物による被害、都市部での魔力収集に伴う死亡率の上昇などによって、人口の減少が加速しています。

 また、森は砂漠や荒野よりも異界化しやすく魔物が発生しやすい傾向があります。それによる都市間交通の不安定化も無視できません。広い国土を持つ国々に比べれば軽微ではあるのですが」

 

「こんな状況だと、当然発生する問題ですね……」

 

「そうですね。

 それでは、出来事の話を続けますね。

 2013年の被害の急増や異界化による混乱の中、それまで活動していた提督や将軍に対する批判が増加し、国や国軍との対立が発生しました」

 

「それは、艦娘や隊息と、国が対立した……という事ですか?」

 

「結果だけを見れば、そうなります。

 そして、艦娘や隊息に対する世論の悪化に、特に日本国の提督達の反発が大きく、当時住民の避難が進められていた八丈島を占拠、独立を宣言しました」

 

「なんという行動力……」

 

 提督の動きが大きかったって事は、要するにあれだな。艦娘スキーな提督が、俺の嫁をいじめる奴は守ってやらんと駄々をこねたんだな、きっと。

 ……だから独立ってのも、すげーけど。

 

「妖精や艦娘達が脱走した地域がある事は知られていましたし、そもそもそこまで大きな批判ではなかったそうなのですが。

 それでも世論と提督達の溝は大きく、更に世界各地の提督や将軍が同調する動きを見せたため、世界の国々は提督や将軍への対応を変えました。具体的には大規模な提督や将軍のグループは独立国に近い扱いとし、軍の一部としての扱いを諦めたのです」

 

「えーと……国防やらを担うはずですが、それでいいのですか?」

 

「そうするしか妥協点を見付けられなかった、とも言えます。

 多くの艦娘がいる日本国が他国の批判を集めていた事も、理由にあるでしょう。最初に日本国が提督達の独立的立場を認めた際に、複数の国に対応可能な窓口を用意する事を要求していますから。

 この日本国の動きに他の国々が同調し、当初はバラバラに作られた窓口が連携するために生まれたのが、現在の提督ギルドの前身となった組織、提督連合です」

 

「ええと……歴史あり、という感じですね。

 八丈島はどうなっているのですか?」

 

「現在も八丈島は独立を維持しています。

 提督や将軍たちがいなければ維持できない島ですし、提督ギルドの本部的な機能がある地でもあります」

 

「頑張ってるんだな……」

 

「私達艦娘や隊息の扱いを守ってくれた提督達のいる地ですからね。

 特に艦娘にとって憧れの地でもあります」

 

 うわ、聖地扱いだよ。

 結果だけ見ると確かに英雄的だし、艦娘から見たら自分達を守ってくれる優しい提督達って事になるんだろうな。

 ……行動理由が想像通りなら嫌すぎるけど。

 

「なお、この騒動中に増加した深海棲艦の被害に対応するため、都市の魔力収集が強化された時期があります。この際に高齢者などの死亡例が増加し、艦娘との関係を悪化させた提督批判派が批判されるようになりました。

 元々妖精との関係悪化や艦娘の心情悪化を心配する声、それに艦娘のファン達の声も大きかったですから批判派の消滅は速かったですし、現在ではむしろ艦娘や隊息は大人気ですね」

 

「大人気……ですか?」

 

「後でお話ししますが、出撃していない艦娘に紹介できるアルバイトには、提督ギルドが運営する艦娘食堂での調理や給仕といったものも含まれているのですよ」

 

「おおぅ……そんなのが成立するのか……」

 

「艦娘への報酬が高めに設定されているため、利用料金も割高なのですが……連日満員で忙しいですね」

 

 ……経験者が語る、だよな。

 本物の艦娘がいるなら、下手なメイドカフェなんぞよりも人気が出るのか。

 

「話を進めますね。

 これ以降については……概ね被害の拡大とその対処の話となるので、簡単に大きな出来事だけ。

 まず、世界に展開していたアメリカ軍ほぼ全てが撤退しています。これは、アメリカ本土からの補給や交代要員の派遣が困難になったための措置とされています」

 

「海路と空路が潰れると、そういう事になるのか……」

 

「正確に言えば完全に潰れたわけではありませんし、一部地域からは既に撤退していたのですが。

 それでも沿岸近くをずっと航海するのは時間がかかりますし、様々な危険も伴います。目の前の脅威に対して近代兵器の効果が薄い上に、いつアメリカへの海路が使えなくなるかわからない状態であるため、やむを得ない措置だと受け入れられました。

 艦娘達に守られながら撤退する巨大な空母の姿は、哀愁すら漂っていたそうです」

 

 数百メートルの空母が、人のサイズの艦娘に護衛される姿、か……。

 なんてシュールな。

 

「次に、日本国は天皇陛下を王とする王制国家となりました。

 事実上の戦時体制に近付き、それらによる犠牲を天皇陛下が背負われる覚悟をなされた、という事でもあります」

 

「それは……大丈夫なのですか?

 天皇自身も、世論も、外交も……」

 

 普通に考えれば、問題だらけのはずなんだが……

 文句を言いながらもお上に従いがちな日本人は大丈夫、なのか?

 

「少なくとも国内においては、国民投票で過半数の賛成を得る程度には問題ありませんでした。

 発端が提督達の離反を招いた内閣や与党への反発でしたし、野党や省庁も利権確保に走っている印象を持たれていたようです。

 これらを完全に作り直すとまではいきませんが、名より実を取る事を優先する体制を目指す改変が現在も続けられています。国民だけでなく諸外国への説明もしっかり行われており、理解と協力を得ているので、外交でもさほど問題は出ていません。

 最大の問題は天皇陛下のご負担と、天皇陛下を助けるためと集まる方々の暴走でしょう」

 

「昔の軍の暴走みたいなもんか……

 軍事態勢という事は、日常生活にも影響がありますよね?」

 

「無いとは言えませんが、直接の影響はさほど大きくありません。施設や道路等のための立ち退きが強制的となった、国防に関する工事が優先されるようになった、という程度でしょう。危険な地域からの移住等は、体制がどうであれ回避出来ないと思いますし。

 生活面としては政治体制よりも、諸外国との交易環境や世界情勢の悪化による生産力の低下に起因するものが深刻です」

 

「あー……うん、要するに中国ですね」

 

 壊滅的、とか言ってたよなぁ……中国製の物って多かったし。それが途絶えたら影響が大きいのは当然か。

 なんでこんな時にまで、反日で盛り上がっちまったんだろうな。



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教えて、香取先生!-3

3時間目、社会(経済)。
ああ、設定厨の血が、血がぁ……げんじつとーひたのすぃ(*´﹃`*)
ネタ分が足りない? ……仕様です。


「それでは、提督や鎮守宝珠としての活動内容と、その維持に関しての説明をしましょう。

 まず何より提督と艦娘に求められるのは、生活圏の防衛となります。

 これについては、よろしいでしょうか?」

 

「深海棲艦に対処できる存在として頼られる、という事ですよね?」

 

「その通りです。

 ですが、これまでの経緯により、戦力としての活動を強制されることはありません。あくまでも哨戒や防衛を依頼され、遂行により報酬を得る形を取っています。

 依頼人は国、自治体、企業など様々ですから、窓口や調整を提督ギルドが担当しています。提督は傭兵よりも独立的であり、ゲームやファンタジーでよくある国や地域、冒険者ギルド、冒険者のような活動形態であるとご理解ください」

 

「冒険者のようなというより、まんま冒険者そのもののような……

 依頼内容は、やはり討伐や調査といった形式ですか?」

 

「それ以外に、護衛も重要な仕事となります。

 これらの依頼について、最終的に受けるかどうかは提督の判断となりますが、提督ギルドが調整を行う事がありますし、ある程度のルールを定めています。

 調整の内容としては、1つの依頼に対して希望者が多く集まった場合、重要ですが報酬の少ない依頼を報酬の多い依頼と抱き合わせる場合、あまり受け手のいない依頼を斡旋する場合などがあります。

 ルールとしては、提督が同時に引き受けられる依頼件数の上限に関するものが最も影響するでしょう。

 いずれにせよ、提督と依頼者の双方が納得できるようにするためですので、ご理解下さい」

 

 この内容だと、提督間の調整も提督ギルドが介入する部分があるって事だよな。誰かが仕事を全部かっさらうのは問題だし、定期的な哨戒とかだと順番を決めるのも必要になりそうだ。

 依頼の放置が多いと、依頼自体も減るだろうし……

 

「また、これらを円滑に行うため、提督には所属支部へ所有艦娘を報告する事を定めています。レベルも大雑把な実力を把握するには有用ですし、特殊な称号を持つ場合などはそれを生かせる依頼や避けるべき依頼もありますから、定期的な情報の更新も必要です」

 

「なるほど、そうですか。

 登録するのは、艦娘の名前だけでなく、レベルや称号も込みという事ですね」

 

「はい。それと、提督ご自身の称号などについての登録も求めています。その内容によっては、通常とは異なる依頼が行われる場合がありますので。

 併せて鎮守宝珠の支部所属に関する魔法的な契約も行います。契約自体に強制力はありませんが、艦娘を鑑定した際にも得られる特殊な情報であり、遠方へ行く依頼等の際に情報の照合や身分証明等で使用するなど重要なものとなります」

 

 あー、俺の情報も参照する、と。

 ま、まあ、掲示板の情報を信じるなら、吸血鬼やら悪魔っぽいのやらもいるらしいし、険悪な感じはしなかったから、真祖の吸血鬼でも問題無いはず。きっと。

 

「なお、提督ギルドが仲介する依頼について、異界への突入を行うものはかなり限られます。

 国や提督ギルドからの調査依頼が稀にある程度で、通常は沿岸部の哨戒や輸送船団の護衛に関するものが殆どとなります。また、海岸に近付く深海棲艦が発見された際は緊急の討伐依頼が発行されますが、これは短時間で現地へ到達可能な艦隊による受託が優先されますから、哨戒中の艦隊による討伐が最も多くなります。

 もっとも、討伐に併せて深海棲艦が漏れてきた箇所の調査が依頼される事があり、その際は異界に飲まれる可能性はありますので、対策は必要です」

 

「不正の防止は、どの様になっていますか?

 このルールですと、発見し討伐したと嘘をつくことも可能そうですが」

 

「戦闘等の記録を行う魔導具が開発されているため、これの使用が義務付けられています。また、あくまでも依頼が出された討伐に対して報酬が出るため、発見時は速やかに報告し深海棲艦の確認を要請するルールとなっています。

 誤認は仕方ない場合もありますが、意図的な虚報や誤魔化しが発覚した場合は相応のペナルティーが科せられます。鎮守宝珠及び艦娘の主としての矜持を持ち、誠実な活動を求めます」

 

「あ、はい、それはもちろんです」

 

「なお、報酬に関しては、通常は金銭や資材となります。

 依頼によっては各種魔導具等となる場合もありますから、都度確認してくださいね」

 

「わかりました。

 艦娘には資材が必要だそうですが、それの入手は提督ギルド経由で、ですか?」

 

「資材の入手については、依頼の報酬以外にも複数の手段があります。

 まず、提督ギルドの業務として、資材売買の仲介を行っています。遠方への出撃時など所属する鎮守宝珠以外で補給を行う際にもこの制度を使用することになります。売買の仲介ですので売ることも可能ですし、場所や時期により値段が変化する事はご理解ください。例えば、今回来られた異世界の提督は多いですから、余剰資材を売って現金を得ようと一斉に動けば資材価格が下がりますし、それを見越した買い控えにより既に価格が低下傾向にあります。

 次にお手軽なのは、ゴミ処理でしょう。宝珠の機能で行えば、少量ですが資材が入手可能です。但し臭いなどへの対処が必要ですので、安易な導入はお勧めしません。

 危険を伴いますが、異界の中に資材を獲得できる場所が存在しています。戦力に余裕があるのであればそちらを利用する手もありますが、そこに行くための準備や出撃に必要な資材もありますので、よく考えてから行う必要があります。

 神からの任務と呼ばれる、不思議な依頼もあります。日や週といった単位で繰り返せるものと、1回しかできないもの等があり、何らかの条件を満たすことで可能となります。これは秘書艦への神託に近い形で通達され、達成すれば資材などを得る事が出来ます。危険な内容のものも多いですし、必要な資材や危険性に対し報酬が見合わない事も多いですから、注意が必要です」

 

 ……最後のって、どう考えてもゲームの任務っぽいな。異界の中の資材って、出撃で拾えるやつみたいだし。

 他はまあ、聞いていたゴミの処理と、普通に売買……じゃないな。

 

「売買の仲介、ですか?」

 

「はい。艦娘が使用する資材は管理などの都合で、提督ギルドではなく鎮守宝珠での取り扱いとなります。提督ギルドとして保有しているわけではないため、仲介という扱いとなっています。

 大抵は、宝珠を持たない提督への施設貸出を行っている提督が、資材に関する業務も担当していますね」

 

「宝珠を持たない提督も……ああ、宝珠との契約にはケッコン済みの艦娘が必要だからですか。

 ……ケッコンまで、かなり遠くありませんか?」

 

「ケッコンが可能となる条件は、その艦が最終段階まで改装可能なレベルとなっている事とお考え下さい。艦隊これくしょんとは違い、最高レベルまで上げる必要が無いのです」

 

「必要なレベルが随分とばらけませんか?」

 

「それは仕方がありませんし、ある日突然必要なレベルが上がることもあります。

 そちらで言う改二などの実装と、ほぼ同じタイミングのようですね」

 

「そうですか……という事は、宝珠との契約で改二の無い駆逐艦が選ばれたりするわけですね」

 

「そのような話はよく聞きます。

 未契約艤装の売買も提督の収入の1つなのですが、駆逐艦の一部は若干高めで取引されているようです。秘書艦にした際の維持費の安さとケッコン可能なレベルの低さが人気の理由ですね」

 

「ああ……改二のある吹雪や睦月は秘書艦にするには遠いから、秘書艦用としては敬遠されやすいのか……」

 

 それだと、艦これの初期からいて改のレベルが低く、改二も無い駆逐艦の方が、売る相手が多い分高めになるって事か。

 艤装の売買自体に思うところは特に無いようだし、ほぼソロプレイでケッコンの意味とシステムが違う艦これの常識は持ち込まない方がいい、と。

 

「宝珠を持たない準提督と呼ばれる方々にとって、宝珠獲得までの期間を短くする意味はとても大きいですから。

 宝珠と契約することで自前の入渠設備などを持てるようになりますし、住居等のコスト負担も小さくすることができますので」

 

 そうだよな、宝珠の住居が無ければ住むところから準備しないといけないわけだ。

 入渠やらの設備を持つ条件を考えると、もしかしなくても、最初期の艦娘って相当扱い辛かったんじゃ……?

 

「そうなると、最初の頃はどうしていたんですか?

 入渠とか、資材とか……」

 

「入渠に関しては、維持のコストは高いですが、妖精の力を借りて治療可能な魔法陣を構成する事が可能です。また、魔法やアイテムなどでの回復も可能ですから、重要ではありますが必要不可欠とまでは言えないでしょう。

 資材の管理は、ある程度の量の資材を格納できるアイテムボックス的なアイテムが存在していますから、それを使用する事が多かったようです。現在では運搬用に使用していますね。

 資材の生成に関しても、妖精の力を借りて魔法陣を形成することで、鉄くずや鉄鉱石、原油などから作ることができました。

 この様に、多くの場合で艤装や武装、アイテムなどの生成に関しても、妖精と魔法陣に頼ることになります。ですから、宝珠の能力を使用した方が、負担やコストが小さいですね。ある程度のサポート体制ができた現在では、無理に自分で用意するよりも借りたり買ったりして済ませるのが一般的です」

 

「結局は、妖精さんや宝珠頼りですか……」

 

 このままだと、本気で人類が衰退するんじゃ?

 ただでさえ戦争状態が長く続きそうなわけだし、頼ってるのは妖精の謎技術だし……

 

「艦娘や隊息に直接関わる部分では、そうですね。

 ですが、鉄鉱石から【資源/鋼材】を、原油から【資源/燃料】を、ボーキサイトから【資源/ボーキサイト】を、複数の材料から【資源/弾薬】を作り出すことに成功しています。弾薬以外は逆変換も可能ですから、原料の産地で加工し、先に説明したアイテムボックス的な物を使用した輸送を行う事も一般的になっています。

 アイテムボックスを再現した魔導具も開発されていますから、人も、黙って現状を受け入れているわけではありません」

 

「なるほど、そうですか。

 ところで、アイテムと魔導具は、何が違うんですか?」

 

「公文書上では、アイテムは【生成】したもの、魔導具は人が作成したものを指しているとされています。

 一般的には混同される事も多いですし、公文書でも消耗品に関してはアイテムと一括りにされたりします。日本以外では特に区別していないようですね」

 

「生成ですか……作ったものについては、生成した人のものという扱いですよね?」

 

「はい、そうなります。

 宝珠や妖精の力を借りて生成を行う場合、艦隊これくしょんとは違い、開発、建造、大型艦建造の区別がありません。また、称号にあるような小物も同じ手順で行いますし、投入可能な資材の種類も多いですから、注意してください」

 

「資材の種類、ですか?」

 

「はい。開発や建造に相当する生成であれば、概ね艦隊これくしょんと同じと言ってよいそうです。

 それ以外の物、つまりアイテム等を生成する場合は、有機物と無機物の2種類の資材が重要になります。

 といっても、かなり運の要素が強いですから、一般に知られるレシピも参考程度にしかなりません。生成の称号をお持ちで利用するつもりであるなら、それに合う量を調べる事が肝要です。その結果次第で、収益を求めた量産が可能なのか、趣味での生成に留まるのかが決まりますから」

 

「なるほど……わかりました」

 

 んー……丼飯はともかく、酒は質によってはそこそこ行けるかもしれない、程度か?

 酒造やらの法規制に引っかかるかも調べた方が良さそうだ。

 

「それでは、提督の主な収入に関するお話をしましょう。

 先ほどの依頼や生成以外にも、収入を得る方法は多数あります。ですが、前提条件として、宝珠に人を入れる場合は、拡張宝珠を使用することをお勧めします。

 これは、提督や艦娘の生活圏を分離しておかないと、かなり高い頻度で侵入などの問題が発生するためです。これはファン等の暴走以外に、妨害や破壊工作的な行為を含みます。十分に留意して下さい」

 

「つまり……批判派がテロ行為に走っている、という事ですか?」

 

「原因や思想はともかく、過去にそのような例があった、という事です。

 これらの問題をクリアした上での話となりますが、提督ギルドとしては、準提督への入渠と資材に関する設備の提供を呼び掛けています」

 

「治療と補給の施設、ですか。足りていないんですか?」

 

「はい、不足しています。

 傷は魔法やアイテムでも回復可能ではあるのですが、資材の補給を伴わない場合は応急処置でしかありませんし、疲れや細かな不調などは入渠の方が効果的です。何より、補給は実際に資材のやり取りが必要です。舞鶴支部には約100人の準提督が所属していますから、順番待ちが多く発生している状況ですね。

 提供していただける場合は各提督からの利用料収入以外に、提督ギルドからの報奨金が支払われます。基本的に出入りは艦娘や提督に限定できますから、危険性もあまり高くないでしょう。

 もちろん提督ご自身の環境や戦力の整備が優先ですし、魔力にそれなりの余裕が必要となりますから、強制ではありません。このような呼びかけがなされていることを覚えていてください、という事です」

 

「わかりました」

 

「拡張宝珠の特性次第となるのですが、農地や宅地、養殖場といった用途での貸し出しを行っている提督もいらっしゃいます。ただ、聞いた話になりますが、環境を維持するのは大変だそうですし、充分な雨が降る特性のものか、川や湖等で十分な水が確保できなければ難しいようですね。関係者のみが出入りできる食糧生産施設という事で歓迎されやすいですが、人手の確保も課題のようです。妖精を使う方法もありますが監督は必要ですし、数を増やすと魔力の負担が問題になりがちですから。

 宅地では収入に比例してトラブルも多いようですし、何より一般の方々からの信頼が必須となります。また、宝珠に一般の人を入れる場合についてですが、宝珠内は原則として独立国に近い扱いですから、治安などの維持も提督の責任となる点に注意してください。

 なお、宝珠内の土地は提督の所有物であり、貸し出しは出来ても販売は不可となっています。提督や秘書艦の死亡で消滅するため定められた規定ですね」

 

 広い土地やらがあっても、安定性に難があるって事か……死ねば消える場所だから当然か。

 その上でどう利用するかだけど……候補は多くても問題も多い、と。

 

「何らかの施設を作って利用料を取る提督もいらっしゃいます。深海棲艦や魔物のいない海水浴場や湖水浴場、運動場などですね。雨が降らないタイプであれば利便性も高いでしょう。

 こちらは一時的な利用ですし、最悪の場合は廃業も可能です。支部のある都市は人口が過密になりがちですから、広い土地が必要な施設は有難がられるでしょう。ですが……」

 

「……間違いなく企業経営に踏み込むことになるし、治安維持の問題もある、と」

 

「その通りです。運営を委託しても多少は打ち合わせなどが必要となりますし、それらは本質的には提督業とは無関係です。そういった組織運営に関心が無い限り、あまりお勧め出来ません。また、拡張宝珠の特性によっては不可能な場合もありますから、契約前から施設設置を目論むのは避けるべきです。

 他にも、ゴミの受け入れで自治体から処理料を受け取り、生み出した資材を販売している提督もいらっしゃいます。ゴミ処理に悩む自治体からの要請は多いですし、魔力負担と環境面の問題をクリアできるのであれば、有望な選択肢ではあるでしょう」

 

「何をするにも一長一短、ですね。

 まあ、これをすれば安心というものが無い、という事だけは確かですか」

 

「そういう事です。

 基本的には依頼からの収入がそれなりに得られますから、艦娘を必要以上に増やした場合や、短期間のみ現れる異界への対応要員を揃える場合の副業ですね」

 

「こっちにもイベント海域があるのか……」

 

「新しい艦娘を得られる可能性が高いようですから、特に異世界の提督は積極的に突入しているようです。その為にそろえた艦娘の維持と、突入に必要な資材などの確保に必死になっているとはよく聞きます」

 

「こっちでも艦隊これくしょんやってるのか。根性あるなぁ……

 でも、建造でも得られるはずでは?」

 

 いやだって、轟沈あり状態でイベントに突っ込むようなもんだろ?

 前情報やら攻略Wikiやらが無い状態でそれは、怖すぎるだろ。

 

「新しい艦や珍しい艦は、恐ろしく可能性が低いとは聞きますね。

 例えばアイオワは、これまでに建造で得られたのはニューヨークの1隻だけだそうです。それに対し、短期間のみ現れた海域での発見は10隻以上ですね」

 

「なるほど……これくしょんをやってる連中が突入するわけだ……」

 

「アイオワほど強力で稀な艦の艤装ですと、売買価格も高いですからね。

 それはともかく、ここまでは宝珠の機能を使用したものになります。

 次に、提督ギルドからの、出撃以外の艦娘への依頼について説明します」

 

「艦娘への、ですか?」

 

「はい。例えば今の私の様に嘱託職員として説明を行う事も、依頼として受けた仕事となります。

 こういった依頼の場合、提督へ支払われる謝礼と艦娘へ支払われる報酬が別途設定されている事があります。金額が小さく、艦娘の小遣い稼ぎに近い扱いとなる事があるためですね。

 先ほどお伝えした艦娘食堂での業務もこれに含まれます。基本的に毎日営業しているので、募集はほぼ常時行われていますね。

 業務の補助など提督ギルドからのもの以外に、イベントへの参加やテレビ出演など一般企業からの依頼が出る事もあります。書類での審査や過去に問題があった企業の依頼拒否などは行っていますが、依頼の全てが問題ないことは保証できませんから、この点は注意してください」

 

「派遣みたいな事もやってるんですか。

 その仕事内容はよく考えて受けるように、と……」

 

「厳密に言えば仲介ですから、派遣会社のような体制は取っていませんよ。

 なお、提督の皆様が人を雇いたい場合も、提督ギルドを通して募集を行う事を推奨します。鑑定などによる審査等も行えますし、一般の方々の売り込みが提督ギルドに来ることもままありますので」

 

「えーと、宝珠の中で働きたい人も、それなりにいるという事ですか?」

 

「特に若い男性には、艦娘の近くでという意図が見える事が多いようです。

 提督ギルドを通した場合、そういった方々に対する注意や処罰もやりやすいですから」

 

「やっぱり問題はありがちですか」

 

「過去に色々ありましたので。

 それと……そうでした、提督銀行という安直な名前で提督ギルドは銀行業も行っています。

 基本的に提督ギルドとのやり取りは提督銀行の預金口座を使用して行うことになりますし、大きな金額を動かす場合は当座預金の口座が必要になる事があります。

 海外までよく行かれる場合はその国の通貨で口座を作る事も可能ですので、覚えておくと便利でしょう。為替の業務も行っていますし、少なくとも提督ギルドの支部がある地域で使用可能な主要通貨は網羅していますから」

 

「海外まで行く……護衛の依頼など、ですか」

 

「はい。なお、護衛の依頼を受けた際、それを完遂可能な戦力を揃えている事を条件に、艦娘による資材の仕入れが暗黙的に認められています。

 具体的には1艦隊につき1つの装備枠を資材運搬用のアイテムボックスで使用しても咎められない、と言うべきでしょうか。練度が十分である限りという条件が付きますし、資材の購入は自己責任となりますが、日本国内で仕入れるよりも安いでしょう。

 日本国としても国内の資材を少しでも増やす手段として、よほど大量とならない限り問題視する気は無いそうです。量の把握等のために、税関を通すことは求められていますが」

 

「日本から何かを持って行って売ることは、制限されていますか?」

 

「これもアイテムボックス1つ分までは許可されていますし、同様に税関を通ることが必要です。

 購入するだけでは貿易赤字が増える一方になるためなのですが、アイテムボックスに入れられるもの自体に制限があるので、何でも持ち出せるわけではありません。

 ですから、基本的にはこちらの輸出企業などが用意した品を購入し、先方の輸入企業へ売却する事が多くなるでしょう」

 

「アイテムボックスの制限、ですか?」

 

「アイテムボックスに入れられるものは、あまり大きくなく、かつ鑑定されたものである必要があります。生物は不可能ですし、時間の経過は普通にある上に冷蔵や冷凍という措置ができないため食品の輸送にも向きません。

 そのため、そこそこの大きさでそれなりの価値となる家電製品を運ぶことが多いようです。コストはともかく、世界で一番安全な工業地帯という認識を持たれているようですし」

 

「安全……安全、ですか?」

 

「艦娘の多さと、強力な魔物が発生する地の少なさが理由ですね。

 山林の危険性自体は他国より高めですし、決して安心できる状況ではないのですが……それでも、他の国々から比べると安全だという事でしょう。

 人同士が争っていないから、という面も大きいようですが」

 

「世知辛い世の中ですねぇ……」




逃避先と入力しようとして、頭皮先と変換する我がPC。艦これのイベントで禿げろというお達しですかそうですか。
なお、乙乙甲乙で突破済み&新艦は全部入手済みの模様。でも既存の海防艦とかレアな空母なんかが全くドロップしないのは仕様ですか?(E1LとE2Jをぐるぐるし、泣く泣く神風や春風を解体しながら)


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教えて、香取先生!-4

4時間目、身体測定。
絶対にエロを想像してはいけない。想像したらケツバット(某24時間的な演出で


 いったん休憩しようという事で、羽黒が淹れてくれたお茶を飲みながら一息。

 こういったもの……茶葉や急須、来客用の湯飲みなんかも予め準備されていたあたり、転移してくる提督を何度も迎え入れた経験が生きてるんだろうな。初回は事後対策に追われてただろうし。

 

「それにしても、遅いですね。

 予定では、そろそろ登録作業を行えるはずだったのですが」

 

「えーと、誰か来る予定でしたか?」

 

「ええ、秘書艦を含む全員を受付に呼ぶわけにもいきませんから。大勢を登録更新する場合や秘書艦の情報更新を行う場合などは、通常の場合でも職員を呼んで手続きを行う事があります。

 今回はこれに該当するため、担当職員が来る事になっているのですが」

 

「複数人を担当しているなら、予定通りの時間に終わらない事もあるでしょう。

 急ぎですか?」

 

「この後で宝珠についての話をしたいのですが、そのためにも、称号の鑑定を済ませてしまいたいのです。

 そのために高いレベルの鑑定能力を持つ職員が回っているのですが、人数が少ないのでどこかで時間がかかっているのでしょう。それにしても……ああ、来たようですね」

 

 呼び鈴は、ぴんぽーん、なんだな。大手メーカー製モニター付きインターホンだったから、メロディーもいろいろ入ってそうだけど。

 対応は……部屋に入りきれなかった足柄がやってるみたいだな。漏れてくる声を聴く限り、やっぱり提督ギルドの職員が来たっぽい。

 

「やれやれ、ようやく来れたわい。すまんの、ちょいとトラブルがあって、引継ぎに時間がかかってしもうたのじゃ。

 それでは、改めて挨拶しようかの。

 ワシは提督ギルドで受付をやっておる、幕ノ内大樹という者じゃ。そこそこのレベルの鑑定魔法を使えるから、こういう時にはよく顔を見るはずじゃ。

 見ての通りジジイじゃから、お手柔らかによろしくの」

 

 本人が言う通り、見た目はまあ、中年というよりは爺さんと表現した方がいいかな。身長が高くて体格もいいから、漫画とかに出てくるようなイキのいいジジイって感じだけど。

 口調がこれだし、視線がちょくちょく榛名に向くし、なーんかエロジジイ臭がするような……?

 

「あ、はい、よろしくお願いします」

 

「それでは、予定より遅れていますし、お二人鑑定を済ませてしまいましょう。

 上下提督、幕ノ内さん、よろしいですね?」

 

「大丈夫です」

 

「うむ、さっそく始めるかの。

 これから鑑定の魔法を使用する。心配しなくても余計な事はせんから、驚かずにじっとしておくのじゃぞ。

 では。ピピル・ピルピル・ピピピル! 神に刻まれし名よ、その意を我に示せ!

 空の瞳!!」

 

 ……撲殺か? いや、始動キーっぽいし、焼き鳥か?

 これがこの世界の魔法か……うわぁ……

 

「ふむふむ……うーむ、個々に見れば非常に恵まれておるが、実に惜しいのぅ」

 

「そう、ですか?」

 

「うむ。

 最初に【存在/異界の提督】から説明するかの。

 これは、異世界から来た提督であることを示しておる。称号で異界となっておるのは用語の問題じゃから気にしてはいかんが、効果については【存在/提督】とほぼ同じだと考えてよかろう。

 具体的な効果としては、艦娘や妖精との契約時に減る魔力量が10分の1となる事じゃな。この称号が無ければ艦娘1人と契約するだけで魔力が2減るのじゃが、提督の称号持ちであれば5人と契約してようやく1減るだけとなる。

 提督として極めて有利じゃろ?」

 

「それは、そう、ですが……普通の人や提督の魔力はどれくらいですか?」

 

「特に訓練などをしていない一般人が10から30、魔力極振り提督じゃと100から200くらいかの?

 体力やらと同じで、個人差も大きいのじゃ。

 ちなみにお主は、心24、技22、体20、魔力80、命力20、じゃな。宝珠のレベルもかなり高いようじゃし、その補助がかなり魔力に入っておるようじゃな」

 

「えーと、単純に計算すれば、艦娘400人分……?」

 

「既に宝珠と艦娘の維持で58減っておるがな。余裕分を考えると、宝珠の補助をさらに割り振る方が良いじゃろうな」

 

 おおう、そんなに減ってるのか。てか、既に一般人だと維持が無理な負荷がかかってるって事になるのか。思ったよりも宝珠持ち提督になる壁は大きいのかもな。

 ステータスは、ゲームのMPとかよりも【まりょく】とかのステータスを想像した方がよさそうな値か? それもインフレ系じゃなくて、昔の最大値250とかいう時代の、かな。

 

「提督の称号には艦娘や妖精と契約しやすくなる効果もあるようじゃが、これも元々個人差があるからの。どう変化するか、はっきりとした説明は出来んようじゃ。

 称号の効果やらについては、分かっておらん事も多い。情報が集まらんような疑問は、解明して情報公開もらえると世界的に助かるのぅ」

 

「そうですか、わかりました」

 

「次は【存在/真祖の吸血鬼/ドワーフ】かの。これも文字通り、ドワーフを基本とした真祖の吸血鬼であることを示しておる。

 どちらもイメージしやすいと思うが、ドワーフは肉体面に優れるが魔法面が若干弱く、真祖の吸血鬼は特性として不老不死、超回復、魔法関連の強化、眷属化、日光に対する弱体化などを内包しておる。

 どちらも有用ではあるのじゃが……まず、提督に求められるのは、何よりも魔力であることは理解できるかの?」

 

「鎮守宝珠や艦娘の維持のため、ですね?」

 

「そうじゃ。そのための魔力負担、我々は維持コストや単純にコストと呼ぶ事が多いのじゃが、これの合計が鑑定で見える本来の魔力の100倍を超えると問題が出る事がわかっておる。体調不良などで一時的に低下することもあるから、最低でも1割から2割程度の余裕を見るべきであるが、これが目安じゃと思ってよい。

 そして、ドワーフは魔力が低い傾向がある。という事は、提督としての適性が低い事に直結しておるわけじゃな。提督や準提督は準将軍のように共に前線に立つことも無いからの、肉体面の強化はメリットが薄いのじゃ」

 

「おぅふ……」

 

「加えて、不死系の能力に共通的な話となるが、通常の状態で活動できぬ場所では復活不可とされておるし、何をやっても死なないわけではないらしいという情報もある。正確に言えば復活しても活動できないだけかもしれぬが、結果としては同じじゃな。

 お主の場合、契約した艦娘は強制的に眷属となり、不老不死の特性を得る事になるようなのじゃが……撃沈された場合は海の中に一旦沈むことになるじゃろ? つまり、通常の艦娘は海の底で活動できぬ以上、復活できんと思った方が良い。潜水艦でも深海まで沈めば同じ事じゃ。が、完全な死でもない以上、恐らく契約はそのままじゃろう。

 魔力が戻らぬ提督と、海の底でひたすら助けを待つだけとなる艦娘。どちらにとっても不幸じゃから、轟沈にはくれぐれも気を付けるのじゃぞ」

 

「うわぁ……不死がある意味デメリットになるかもって事か。

 元々沈める気は無かったけど、ますます沈められない理由が増えたなこれは……」

 

「まあ、これは強力な召喚魔法やらで対処できる場合もあるじゃろう。それを可能にするのが【魔法/魔法[契約時貸与]】という称号じゃな。

 これはまあ……汎用的な魔法の才能というか、直接的な能力でないから努力が必要なものというか、そういうふわっとしたものじゃ。その代わり、使いたい魔法を使う事が可能となる可能性が高いものじゃな。

 しかも、契約時貸与という付与付きじゃ。これは本来、ものすごい価値を持つのじゃぞ」

 

「本来とか言われてる価値の前に、称号の付与とは何ですか?」

 

「付与とは、か。

 これは各々の称号の効果を若干変えたりする添え書きのようなものじゃな。種族の称号が内包する称号はほぼ同じなのじゃが、付与は人によって色々変化するのでな。個人の特色的なものと思えばよいかの。他には、火属性の魔法に付く【強火】や【弱火】、使用可能な状況や場所が限定される【雨天限定】や【屋内限定】、効果の強さなどが変わる【強】【弱】、【ちょっとだけよ】なんてものもあるの。

 今回の【契約時貸与】の場合は『契約した相手にも、一時的に称号を付ける』という効果があるのじゃ。魔法的な契約に限るのじゃが、一時的であろうと魔法の才能を上げ、その状態で魔法を習得することで契約が切れ称号が消えた後でもその魔法を使う事が可能という、きわめて有用なものとなっておる、はずじゃった」

 

「……なんだか、盛大な地雷を踏みぬいてる予感が……」

 

「うむ。お主の真祖の吸血鬼が内包する称号に、【能力/眷属化[契約時発動][任意発動不可]】というものがあるのじゃ。要するにこれが、契約した艦娘が【存在/真祖の吸血鬼の眷属】というものに変質しておる原因じゃな。

 で、先ほどの【魔法/魔法[契約時貸与]】じゃが……魔法を覚えるために吸血鬼の眷属になる事を望むと思うかの? 不老不死やらを求めて眷属になろうとする輩の方が多いと思うのじゃが」

 

「あー……うん、これを使ってどうこうってのは、艦娘の強化しか無理だって理解しました」

 

「通常の人に貸し与えられたなら、これだけで結構な収入となったじゃろうに。

 残念じゃったの」

 

「全くです」

 

 魔法の称号を付けようとすると、必然的に存在が変わっちまうって事だよな……

 

「なお、存在の書き換えを伴うような魔法や能力の行使は、必ず書き換えられる者が所属する国の許可が必要となっておる。ウチの国民に何しやがるワレという建前で乱用や強制を防ぐ目的じゃから、許可無しでの行使はたとえ救命目的であろうが無罪になる事は無いと明文化されておる。

 宝珠との契約もそうなのじゃが、眷属化もばっちり該当しておる。艦娘には所属国が無い、正確には提督に所属しておるから違法にならんが、人を眷属にする場合は手順を守る必要があるぞい」

 

「眷属化を求められても、これを盾に逃げろという事ですね」

 

「そういう事じゃな。

 では、真祖の吸血鬼とドワーフが内包するものを、詳しく説明するかの。

 ドワーフ由来が【容姿/髭樽】【能力/肉体強化】【能力/魔法弱化[弱]】の3個。

 真祖の吸血鬼由来が【存在/精気吸収[吸血]】【存在/不老不死】【存在/嫌陽[弱]】【能力/魔法強化[強]】【能力/肉体強化[弱]】【能力/超回復[強]】【能力/暗視】【能力/眷属化[契約時発動][任意発動不可]】【能力/蝙蝠変化[夜限定]】の9個じゃな。

 注意すべきは不老不死、は説明済みじゃから、あとは嫌陽じゃな。単純に日光を浴びると能力が低下するものじゃが、弱の付与が付いておるし、数値で言えば5%程度の低下で、調子が戻るまでに30分くらいのはずじゃ。昼間は少々体調が悪い、程度で済む範囲じゃろ。

 精気吸収は……精気必要でないのが救いじゃの。恐らく血が栄養剤や嗜好品的な感じで、ファイト一発やらスカッとさわやかな感じに思えるんじゃないかの?」

 

「えーと……まあ、血を飲む必要が無い事が分かれば、とりあえずいいです。

 同じとか逆の効果の称号がある場合は、どうなりますか?」

 

「変化割合を合計した結果が適用される感じかの。2割増しと1割引きで1割増し、5割増しが2つで10割増しに落ち着く感じじゃな。

 お主の魔力の場合は、魔法強化の強で+20%、魔法弱化の弱で-5%、魔法で+10%くらいのはずじゃ。合計で+25%といったところかの」

 

「妙な干渉とかは無いんですね」

 

「現時点の調査結果では、無い事になっておる。もし妙な現象があるのであれば、提督ギルドとして調査に協力するぞい。

 確か【魔法/魔法】には、最低限の才能を与える建前からか固定加算もあるはずじゃから、この恩恵もあるからの。おっと、嫌陽の効果は称号の後、負荷の前に発生するから注意が必要じゃ。日中に行動することを考えると、この分の5%程度は無いものとして考えた方が無難じゃろうな。

 残る称号は全て生成じゃな。【生成/丼飯】【生成/酒】【生成/ふりふりぱんちゅ】と、3つも持っておる。多いとは言えるが……あまり役に立つものではないのぅ」

 

「あ、やっぱり」

 

「肉類が高価で手に入りにくい状況が続いておるから、丼飯でカツ丼や牛丼が出れば少々うれしいじゃろうし、酒は上質なものが得られたら酒飲みにはたまらんじゃろうが……食料関係はあまり元が取れる値段では売れぬし、保存性の保証が不可能じゃから持ち帰り用の販売は原則として禁止されておる。飯屋であればそこまで規制は強くないのじゃが、注文通りの品を安定して生成できるかという問題があるからのぅ。特性次第じゃが、当面は副産物や外れとして出た場合に身内で消費する程度に思っておいた方が無難じゃぞ。

 ふりふりぱんちゅについては、売る勇気があるなら通信販売の会社経由かの? 生成物のネットオークション販売を代行する会社を紹介することも可能じゃから、どの程度出来るかによって決めると良いじゃろう」

 

「わかりました」

 

 おおぅ、以外に冷静というか……突っ込みや冷やかしは無いんだな。

 望んで得たものじゃないってのが行き渡ってるというか、エロ爺だと思ってすまんかった。

 

「さて、次は榛名のお嬢ちゃんじゃな。

 正確な状態は榛名改二、上下提督の秘書艦である、と。

 持っておる称号は【存在/秘書艦】【存在/真祖の吸血鬼の眷属/艦娘】【魔法/魔法】の3個じゃが、眷属が内包しておるのが【存在/精気吸収[吸血]】【存在/不老不死】【存在/嫌陽[弱]】【能力/魔法強化】【能力/超回復】【能力/暗視】と6個もあるのぅ。

 眷属化に関しては称号的な制限が強い分、なかなか強力かもしれんぞ」

 

「えーと……実用上はほぼ関係ない制限ですよね?」

 

 どうせ自由に眷属を増やせないし、無暗に増やす気も無い。眷属にするなら何らかの契約が必要になるし……契約しなきゃ発動しないってのは、特に障害にならないよな。

 艦娘が強制的に眷属になるのは、もしかすると問題かもしれんが。

 

「うむ。じゃが、称号のシステム上は制限が付いた状態となっておる。

 そのせいか、眷属であってもさほど劣化しておらんし、悪化が皆無というのも珍しいからの。眷属が眷属を増やせんのはむしろ安心できる材料じゃし、蝙蝠になれんのは本来不可能な事が出来ぬだけじゃから細事じゃろ?」

 

「まあ、そうですね」

 

「他の者たちも調べてみんと何とも言えんが、眷属に与える能力はほとんどの場合で一定しておるらしいからの。

 もし妖精との契約でも同じ効果が得られた場合、探索魔法も併用して索敵する偵察機や、暗視を生かして夜間発着艦や夜間攻撃が可能な攻撃機となれるかもしれん。そういう魔導具は開発されておるが高価で単機能じゃし、自力でいくつもの能力を持てるなら有利な特徴となるの」

 

「えーと、艦娘や妖精も魔導具が使えるんですか?」

 

「うむ。もっとも、大型の杖のようなものは艦娘専用で通常の装備品扱い、指輪やネックレスのような小物でも装備や補強装備扱いとなるがの。妖精用でも艦娘に持たせたものを借りる形となるから、所有数の問題もあって一般的にはなっておらんのじゃが。

 オシャレ用リボンのような装備とならないものとは、大きさではなく、魔法的な存在の重さで区別されるらしいからの。この制限を突破する方法や魔導具を開発したら、一躍有名人じゃな」

 

「なるほど……」

 

 要するに装備欄を埋めずに特殊能力が使える点で有利な能力を得た、ってことだな。

 その上で魔法を使えるようになれば、更に特殊な能力が増える、と。

 ……さっきの魔法、ネギまだよな? 発動体とかが必要で装備欄を使うって事か?

 それと、リボン程度なら装備扱いにならない、と。最悪でも何かアクセサリーでも付けてもらえば、榛名や羽黒を見分けられるようになるか。

 

「艦娘や妖精の多くに不老不死が付くのであれば、お主は迷わず超長距離の召喚魔法を習得すべきじゃな。墜落した飛行機の妖精を召喚魔法で救出することで熟達した妖精の損耗を無くせるし、艦娘が海中で眠る事も防げるじゃろう。眷属という強固な繋がりがある以上、召喚は割と簡単なはずじゃぞ」

 

「そうですね。それは是非。

 魔法の指導は、民間の業者ですか?」

 

「いや、まずは国が開いておる教室を使うのが良いじゃろう。基礎しか教えてくれぬが、情報の偏りも少ないからの。民間の教室じゃとそこが得意な方式限定になるが詳しく教えてくれるじゃろうから、どれを学ぶかを決めてから民間に行くべきじゃな。

 とりあえず艦娘達の何人かに学ばせ、お主達はその艦娘に教えてもらうのが良かろう。慣れぬうちは宝珠の管理やらに時間を取られるじゃろうし、提督はあまり外を出歩くべきでもないからの。

 出歩く際は護衛を付ける事をお勧めする……のじゃが、どうせ不死じゃし、あまり気にせんでもよいかの?」

 

「いや、どうせって……ええと、先ほどの話を聞く限り絶対ではないようなので、護衛は付けるようにします」

 

 水中だと復活できないとか、さっき言ってたし。

 コンクリート詰めで海に放棄されたら永遠にそのまま、って可能性もあるだろこれは。

 

「うむ、それが良かろう。

 魔法に関して大雑把に説明すると、カオス、じゃな。様々な形式が入り乱れておる。

 傾向としては、発動が早いものは消費が多め、詠唱やクールタイム的な物が必要なものは消費が少なめじゃな。魔法行使に道具や準備が必要なタイプは習得や行使の難度が低い傾向もあるの。

 ワシが習得しておるのは、ネギま式と呼ばれるタイプじゃ。発動体が必要で難度低め、詠唱が必要で消費少な目、上達すれば詠唱短縮や無詠唱も不可能ではない。努力で覚えるには、割と向いておるの」

 

「努力で……あれ?」

 

「うむ、ワシは魔法関係の称号を持っておらん。

 能力が固定化されておる艦娘や妖精では難しいが、提督であればワシと同じように称号無しでも努力で魔法を使う事は可能じゃな。どうせ魔力極振りじゃし、レベルが上がった時も伸びやすくなるからと、手を出す提督は多いようじゃぞ。

 おぬしの場合は、艦娘や妖精も魔法の称号持ちになる可能性が高いからの。魔導具やらで特化した連中には勝てんかもしれんが、長距離の輸送護衛やらで人気者になるじゃろうなぁ」

 

「そう、ですか」

 

 えーと、魔法を使えるようになれば、特殊な魔導具を複数保持したような状態になると思えばいいんだよな。んで、売りは汎用性や対応力の高さ……かな。

 あー、うん、本格的に使えるようになったら、化けるかもしれんね。

 

「まあ、どこまで使えるようになるか次第じゃな。

 ワシのお勧めは、ネギま式じゃな。発動体の入手がちと難しいが、努力で覚えるには最適じゃ。

 リリカル式も悪くないの。これもデバイスの入手性に問題があるが、色々工夫するなら最適じゃろう。頑張ればデバイス無しでも簡単な魔法は使える点も見逃せんの。

 ドラクエ式は全体的に高消費高難度、エフエフ式は内部派閥が色々あるからのぅ……ゲーム由来のものは発動の早いものが多い上に、道具の類が不要なものも多いのじゃが、融通が利きにくい傾向が強いからの。戦闘向きではあるのじゃが、即効性を求めるのでなければいまいちじゃし、マイナーなゲームは情報が少ない分苦労するじゃろう。

 もしゲーム由来が良いのであれば、即効高消費低難度のソーサリアン式が人気じゃな。準備は面倒じゃし、人気は主に若返りや帰還の魔法のせいじゃし、1つの道具につき1つの魔法じゃから艦娘には向かんと思うがの。

 まあ、あれじゃ。漫画やアニメ由来の物の方が融通や応用がききやすく、ゲーム由来のものは即効性が高いと思えば、イメージしやすいじゃろ」

 

「なるほど、わかりました」

 

「提督にとってはネタにしかならんが、【魔法/かめはめ波】なんて称号もあるからの。気とか言っておるものも頑張れば再現できるようじゃぞ。

 行使には魔力だけでなく、命力やらも使うようじゃ」

 

「えーと、魔法……?」

 

「称号上は、間違いなく魔法扱いじゃ」

 

 まじかー。

 ま、まあ、僧侶と神官と牧師と司祭を混同するような称号システムだし、これくらいは気にしちゃいけないんだろうな、きっと。




ほら、(女性陣=榛名や香取たちが殆ど登場しない的な意味で)エロくないでしょ。
むしろタイトルを「教、えろジジイ」に変えなきゃいけない勢い。読点の位置? ナニカチガウノ?

ところで、提督や艦娘のステータスとかって、必要ですかね……?
VRMMOモノだと記述があるものもありますが、ぶっちゃけ有効活用してるのはあまり多くない印象が(提督の魔力以外気にしていない故人の感想デス


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教えて、香取先生!-5

5時間目、経営。
現実……? いえ、知らない子ですね。


 あの後、外にいた足柄、榛名、羽黒を鑑定。【眷属】の内容が同じであることを確認したあと、香取とジジイを連れて、宝珠の中へ。

 

「……お主、よほど榛名が好きじゃったんじゃなぁ」

 

「契約済みの艦のうち4人が榛名。更に羽黒も3人、それ以外でも戦艦2人に重巡2人ですか。

 ここまで偏っているのは珍しいですね」

 

「最初から明石がおるのも珍しいがの」

 

「そうですね」

 

 なんか好き放題言われた気がするけど、結局、艦娘の眷属の称号の内容が全員同じだった事は確認できた。艦娘が暗視系の魔導具を使えば夜間の索敵能力や命中力が向上する……要するに劣化熟練見張員(劣化理由は妖精による視線増加がないため)的な効果がある事は知られているらしいから、少なくともそれに似た効果は得られるだろう事、それに不老不死対策として早急に召喚魔法を習得する事は、確定したと言っていい。

 装備の妖精との契約が無かったためこれは後でという事で、次は、施設の状態を確認することになった。

 というわけで、最初に来た食堂で。

 

「食堂はレストラン風の建物。広さは十分ですが、やはり電気系が最低限ですね」

 

「異世界からの提督が最初にする設備改造は、大抵が電気工事じゃからなぁ」

 

「このままでは冷蔵庫を置いても使う事ができませんから、早めの電気系改修をお勧めします。

 コスト軽減のために、椅子の入れ替えも行った方が良いでしょう」

 

「あ、はい」

 

 次に、寮を見て。

 

「拡張が難しいタイプを引いたのぅ。

 当面はこれを使うとしても、早めに次をどうするか考えるべきじゃな」

 

「それよりも、布団や枕が問題です。先ほどの椅子もですが、これらを宝珠の機能で維持するのは負担が大きい上に、今後艦娘を増やす際に問題となるでしょう。

 支給可能な品にも椅子や布団がありますから、早めに入れ替える事をお勧めします」

 

「あ、はい」

 

 次、通常倉庫。

 

「お主……高速建造材、高速修復材、開発資材もため込み過ぎじゃ。

 いや、ゲームじゃったわけじゃし、理解はしてやれるがの」

 

「少なくとも高速修復材は、放置すると劣化することが確認されています。

 現時点で使えなくなるほどの劣化は確認されていませんが、10年ほど放置すると効果がなくなるのではないかと言われていますので、在庫管理には注意が必要です」

 

「ついでに言っておくが、現状の倉庫1個で艦娘2人分以上の負担になっておるし、管理の手間も増えるからの。

 無暗に在庫を抱えない事も、運営では重要じゃ」

 

「あ、はい」

 

 入渠施設というか、風呂。

 

「これはまあ、普通じゃな。

 比較的拡張もしやすいやつじゃから、とりあえずはドライヤー用の電気工事かの。

 余裕があれば、明石用に処置室も増やすと良いじゃろう」

 

「そうですね。給湯設備も強力ですし……この容量の物であれば、他の施設にある給湯設備を削除して、こちらを使う方が良いかもしれません」

 

「この手の設備は、小さいとコストが割高じゃからなぁ。大きいと絶対的なコストが大きくなるのじゃが。

 この辺は、普段の利用量やらを見ながら調整していくとよいぞ」

 

「は、はあ」

 

 庁舎という名前の、執務室や事務室っぽいやつ。

 

「これはまた、見事に何もないの」

 

「艦隊これくしょんの家具をある程度お持ちなら、執務机を出すことも出来るでしょう。家具コインを資材として使う事で、生成で家具を得る事も出来ますし。

 必要なものはさほど多くありませんから、必要と好みでどの様にしていくか考えればよいのではないでしょうか」

 

「艦隊の規模やらが大きくなると、もっと大きい事務所が必要になるじゃろうが……まあ、その時はその時じゃからな」

 

「はあ」

 

 最初に目覚めた家。

 

「これは普通じゃな。

 とりあえず、冷蔵庫やパソコンを置きたいなら、電気工事と通信関係の整備が必要じゃな」

 

「提督によっては、もっと広い家に住みたいと思うそうです。

 それ自体は構わないのですが、宝珠の機能で作成する場合は相応の負荷が、建築業者等に依頼する場合はお金や業者が出入りする転移装置等が必要となります。

 どちらも利点と欠点があるので、よく考えてから動くようにしてください」

 

「あ、はい」

 

 資材倉庫。

 

「ふむ、随分と貯めこんでおったようじゃな……」

 

「当分は維持のための資材には困らずに済みそうですね。

 有機物と無機物用の倉庫は、必要に応じて追加する必要がありますが」

 

「見ただけで分かるんですか?」

 

「普通は分からないのですが、異世界からの提督の宝珠には、保有する資材と家具コインを収められるだけの倉庫が作られます。

 初期の倉庫1棟あたり1種10万までですから、12棟という事は最大12万、5種ですから20万を超えているものが複数あることは確実だと判断できます」

 

「ちなみに言っておくと、艦娘が維持のための必要とする量はゲームの昼戦1回分の燃料弾薬、それに少々の鋼材で1週間分くらいらしいの。

 多少の変動はあるそうじゃが、提督ギルドで目安量のリストを作成しておるから、参考にするとええじゃろう」

 

「あ、はい」

 

 なんか、設備というか箱みたいなもの色々?

 

「ああ、やはり発電設備はこれですか」

 

「予想通りじゃが、余裕は小さそうじゃな。

 照明を全部点けるだけで7割ほど使用するかの?」

 

「ええと……そうですね、8割近いと言ってもいいでしょう」

 

「それはいかんの。

 というわけじゃ。電力関係に手を付けるなら、まずは発電設備や照明をどうにかせんといかん。細かい計算はしておらんが、全ての照明を点けると一般家庭の1件分も残らんはずじゃからな。

 LEDへの換装もお勧めじゃが、そもそもこの発電機は15kVA程度しか出せんからの。これだけの建物を一般家庭3件分程度の電力で賄うのは無理な話じゃ。早めに追加なり入れ替えなりを考える事になるじゃろう。

 これでも艦娘2人分近い負荷がかかる魔力喰い虫じゃが、過負荷でダウンしたら復旧には結構な時間がかかるからの。余裕をもって準備した方がええぞ」

 

「はあ」

 

「ガスは設備を追加するまでは大丈夫じゃろうし、上水と下水は様子を見るしかない。

 あとは、ゴミ処理の箱が見当たらん程度かの」

 

「それは無い事も多いようですし、仕方ないでしょう。

 上下提督、早めにゴミ処理設備を設置するべきです。

 少量ですが資材も回収できますし、外で処分するには指定ゴミ袋の購入や分別作業といったコストが発生します。何より、外のゴミ捨て場はあまり大きくありませんから」

 

「そうですか、覚えておきます」

 

「うむ、こんなもんじゃろう」

 

「では、次へ参りましょうか」

 

 最後? 生成施設。

 

「2つ。うむ、建造ドックは追加しておらんかったのか」

 

「生成物を販売しない提督は減らす場合もありますから、問題ないでしょう。

 この施設は、普通は都度用意する必要がある生成や契約用の魔法陣が常に用意されたような状態となっていますし、行使者に魔法の技能も必要としません。

 更に契約妖精に任せる事で、提督の時間を縛らずに提督の特性での生成が可能です。

 練習も兼ねて、本来の手順で少々やってみましょうか。実験も兼ねて【資材/有機物】と【資材/無機物】をいくつか持ってきていますから」

 

「あー……はい、お願いします」

 

 知らない資材を使わせてもらえるのは、ありがたいな。

 というか、有機物と無機物の組み合わせで生成ができるって事か。

 

「それでは、まず、神の任務を確認しておきましょう。

 達成できる可能性は低いですが、新アイテム生成指令という任務があれば、遂行中にしてください。榛名さん、やり方は分かりますか?」

 

「す、少しお待ちを……はい、大丈夫です」

 

「では、確認を……問題無いようですね。

 このように神の任務は、遂行中にしている状態で達成条件を満たさなければ、報酬を得られません。同時に遂行中にすることができる数は一般的な提督が5個、特定の神の任務をクリアした提督や異世界の提督の多くで6個となりますから、注意が必要です」

 

「ゲームの任務と同じ仕様なのか……」

 

「内容は若干異なっているようですが、そのようですね。

 では、生成を始めましょう。最初は有機物を1つだけ使用します。装備や艤装を生成するわけではないので、開発資材は使いません。

 あくまで原則ですが、開発資材1個で装備、5個で艤装の生成に対応するようです。レシピと呼ばれる投入量はほぼ艦隊これくしょんと同じようですね。建造と大型艦建造の区別は無く、使用する資材の量で得られる艦が変化しますし、あらゆる生成で失敗の可能性があります。

 なお、ごく低い確率ですが、生成でほぼ全ての艦娘の艤装が得られる可能性があるようです。イベント報酬やイベント限定ドロップと言われる艦娘も、生成で得られた例がありますから」

 

「生成は色々違っていると覚えておけば、とりあえずはいいかな」

 

「そうですね。

 では、こちらを。これは魔法陣の中にあれば問題ありませんから、持ったままでも適当に置いても構いませんが、上下提督は魔法陣中央へ進んでください」

 

 なんか、少し大きくて黒いサイコロみたいな直方体を渡されたが……これが、有機物の資材か。

 ……臭いは無いし、思ったよりも硬いな。

 とりあえず適当に置いて、中央に行く……って。

 

「えらいゲーム的だなおい」

 

 中央に行ったら、現れたもの。

 それは空中モニターで、表示は『有機物×1』と『開始』のボタンでした。

 その表示はいたってシンプルで、こんな非現実的なものがある世界はきっと特別な「あの、提督?」はっ!?

 

「……すまん榛名。なんか現実逃避してた。

 ええと、これを押せばいいのか、ですか?」

 

「ええ、それを押せば、生成が始まります。

 終わるまでは魔法陣から出られませんが、使用するものが有機物1個ですから、そう長いものは出来ないでしょう。いざとなれば、高速建造材で時間を短縮できますし」

 

「わかりました」

 

 しっかし、本気でゲームっぽいな。

 んじゃ、ぽちっとな……うん、表示が変わったな。

 

「残り時間1分と、中止ボタン?」

 

「成果物を諦める事になりますが、何らかの事情が発生した場合は中止することが可能です。実際は魔法陣から出た場合も中止扱いになるので、あまりうろうろしない事をお勧めします。

 寝相の悪い方が魔法陣から出てしまった、という事故もありますね。時間が0になっても、受け取るまでは外に出てはいけませんから」

 

「それは悲惨だな……寝る気になれるくらい長時間ってことですよね?」

 

「はい。なお、長時間の生成には睡眠や食事以上に、トイレの問題が付き纏います。生成の称号による特殊なものでは24時間を超えるものも確認されていますので。

 ですから、お金に糸目をつけない場合は高速建造材が、恒常的に生成する場合は宝珠の設備と妖精が重宝されます」

 

「それは……確かにそうでしょうね」

 

「そろそろ完成したようですので、品物を取り出しましょう。

 ボタンが取得に替わっているはずです。それに触れれば、中央の円の中に品物が現れます」

 

「ええと、これですね」

 

 うん、残り時間が0になって、中止のボタンが取得のボタンに替わってるな。

 勝手に出ないのは……真ん中で寝てると合体するから、なんかね。

 で、ぽちっとな……

 

「やっぱり初回からこれか!」

 

「お約束を外さぬ男じゃのぅ」

 

 いや、可能性があるとは思ってたけど!

 なんで1回目がふりふりな女性用下着なんだよ!!

 

「はぁ……なんというか、まあ、世の中はこんなもんか。

 要りますか?」

 

 なんか小さめなサイズな気がするけど、叢雲がデレるほど仲良くなってないし、萩風やユーに渡したらそれはそれで問題がありそうだし。つまり、ツンで殴られるか、デレの照れ隠しで殴られるか、色々弄られるかの3択だ。

 となると、人に押し付けるに限るよな。

 

「さすがにワシは要らんぞ。

 このサイズじゃと、駆逐艦あたりかの?」

 

「うちだと叢雲、萩風、ユーくらいですけど、渡したら殴られたりしそうですし。

 えーと、香取さんの艦隊で、使いそうな娘はいますか?」

 

「そうですね……心当たりは無いのですが、もしかしたら気に入るかもしれません。

 ですが、よいのですか?」

 

「説明のお礼という事で。正直、持っていても使わないですし」

 

「そういう事でしたら。

 このお礼は改めて行うという事で、もう一度やってみましょう。次は、これを」

 

「はい」

 

 モノはさっきと同じ有機物1個と、マーブル模様のもの……これが無機物の資材か。

 今度はパンツじゃありませんように!

 

「……30分。よかった、とりあえずパンツじゃなさそうだ」

 

「少々時間がありますね。

 ここまでで、何か質問はありますか?」

 

「そうですね……維持に魔力が必要とは聞きましたけど、具体的な負荷がどの程度か聞いていいですか?

 

「わかりました。

 復習になりますが、負荷は維持コストで表し、コスト1につき魔力が0.01減ります。実際の減少は端数切り上げになるようですから、コスト1から100で魔力が1減ると考えてください。

 その上で提督が実際に負担するコストですが、特に建物は材質や大きさでコストが変わりますから、この宝珠内の物を参考に1つあたりのおおよそのコストを挙げていきましょう。

 まず、鎮守宝珠との契約が1000です。これには秘書艦や最低限の空間が含まれています。

 秘書艦を除く艦娘との契約が20、妖精との契約が1です。装備も装備の妖精との契約が必要となるので、この分のコストも計算する必要があります。

 庁舎、提督の住まい、食堂の建物は100から200、寮が恐らく300くらいのはずです。

 入渠設備は全体で700を超えていますね。建物と風呂部分、給湯設備までであれば300少々のはずですが、治療用の風呂型入渠ドックが1つあたり100、これが4つありましたので。

 装備や高速修復材などが入っている倉庫は1棟40前後、資材倉庫は120前後でしょう。

 設置されているライフライン系の設備は、ガス設備の13から下水処理設備の78までとバラバラです。早めに何とかすべき発電設備は、39のものが配置されています。

 ところどころにあった樹木が空気の浄化装置になっていて、食堂の裏にあった大きな樹が123、食堂横や住居と庁舎の間にあった中くらいのものが40です。

 この生成設備は130くらいでしょう。

 宝珠や材質などによって多少差があるのですが、主要なものはこのくらいですね」

 

「かなりかかっているものですね……そりゃ60近い負荷がかかるわけだ」

 

「ちなみに、布団と枕の合計で300くらいですね。加えて食堂の椅子も全部で200くらいのコストがかかっているはずです。

 これを普通に購入できるものに替えるだけで、容量6倍の発電設備を2つと複数の発電設備の電力を合計して配分する設備、これらを設置する空間も追加できるでしょう」

 

「それは……布団とかって随分と高くないですか?」

 

「コストの決まり方が原因ですね。管理単位として1つのものにつき、5の固定コストが発生しますから。

 例えば渡り廊下でつながる2つの建物があったとして、これを1つの管理単位で扱えば200のコストとなるなら、2つの管理単位で扱えば合計205のコストになる、という事です。

 作成したものは大掛かりな改変が不可能ですからある程度の分割は必要になりますし、増築の場合は増やす部分を別として扱う必要があるのですが、これは置いておきましょう。

 重要な事は、1つとして扱えない場合は別のものとして扱う必要があり、そこに固定のコストが発生する、という事です」

 

「つまり、椅子や布団は運んだりできるから、1つ1つにコストが発生する……?」

 

「そうです。特に布団は、掛布団、敷布団、枕の3つが別のものとなりますので。

 小さなものですと固定以外のコストがかからないようですが、それでも大きな負担です」

 

 つまり、1人分で15のコストが発生するって事だな。俺と艦娘で合計……19人分の布団セットで285。つまり艦娘14人分。

 

「……うん、これは本気で入れ替えを検討するべきか」

 

「布団は今なら21人分まで支給可能ですから、手続きをお勧めします。

 次は、宝珠による能力の補助について説明しましょう。

 これは単純に、宝珠のレベルが1上がるごとに、鑑定で見える能力に1加える事が可能なポイントが得られる、というものになります。これはSPと表記され、スフィアポイントやスペシャルポイントなどとも呼ばれています。

 一般的な提督であれば魔力に全て割り当てるのが良いと言われていますから、まだポイントがあるのであれば、割り当てる事で余裕ができるでしょう」

 

「えーと……これって、榛名が調べられるのか?」

 

「はい、提督。

 提督のSPは、残り75です!」

 

「って事は、今は80だから倍近くにできるのか……」

 

「いやいや、ちょっと待つのじゃ。

 称号で魔力が増える効果じゃが、これはSPで増やした分も対象になるのじゃ。つまり、称号の効果で25%ちょい増えた結果が80じゃな。元は60とかそれくらいのはずじゃから、75も増やしたら倍以上になるじゃろう」

 

「……うわぁ」

 

 なんという魔力お化け……って、倍で160、まさか200は超えない、よな?

 極振り提督が100から200って言ってたわけだから、一応常識的な範囲ではあるようだし、設備のコストを考えるとそこまでふんだんに使えるわけでもなさそうだ。

 うん、舞い上がれるようなレベルじゃないな。落ち着こう、俺。




前話あとがきでステータスが必要かと言いながら、コストはやたら細かく決めていくスタイル。
これが後々作者の首を絞めるのは、この凡人の目をもってしても見通せるわははははは(白目
各建物の簡単な図面まで作成して、床面積やら壁面積やらも使ってコストを算出している模様。馬鹿だな、こいつ(自嘲


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教えて、香取先生!-6

6時間目、体育……?


「まだそれなりに時間があるようですね。

 それでは、この世界における艦隊運用に関しての、注意点を説明してしまいましょう」

 

「注意点ですか?

 それに、運用?」

 

「はい。

 まず、この世界には、ゲームのような制限が部分的に存在します。言い方を変えると、うっかり忘れると大変なことになる可能性がある、という事です。

 そういった知識は、早めに覚えておいた方が良いですから」

 

「ゲーム的な制限……やっぱり、ありますか」

 

 空中モニターぽち、で生成とかやるような世界だし。

 そういうのもあるわな……

 

「まず、艦隊の編成に関してです。

 編成して出撃するだけならば、大編成でも多艦隊でも同一艦娘同居でも可能です。他の提督との合同艦隊も可能ですし、この点においての制限はありません」

 

「それが罠、ですか?」

 

「6人を超える艦隊、同一艦が複数いる艦隊、【羅針盤】を持たない艦隊、【羅針盤】との契約のない艦やその他の船がいる艦隊。

 これらの1つでも条件を満たしている場合、可能な限り異界に入ってはいけません。また、特に遠方へ行く場合は異界に飲まれることがあるため、長距離の護衛依頼はこの条件をクリアした艦隊で受ける事を必須の条件としています」

 

「えーと……ここで言う羅針盤は、普通の船にある羅針盤ではない、という事ですか?」

 

「神からの任務の報酬にあるものです。異界の提督は4つ所有していることがほとんどですから、在庫を確認するとよいでしょう。

 これは異界の中で進むことが可能な……では語弊がありますね。進んでも致命的な事にならない方角を示すもの、と言うべきでしょうか。

 無視して進むと、進路も退路も失う、抜けられない大嵐に飲まれる、深海棲艦の大編隊に囲まれる、といった致命的な状況に直面する可能性があります。いずれの場合も、転移アイテムや提督の召喚魔法などによる退避が失敗すれば全滅する、実際に全滅した例も多くある事例です。

 そして先の条件は、この【羅針盤】が機能しなくなる条件でもあります」

 

「荒ぶるってそういう意味か……やっぱり羅針盤がラスボスかっ!?」

 

 そこのところはゲーム的なのかよコンチクショウ!

 

「もちろん、異界に入らなければ問題ありませんし、浅い範囲であれば脱出だけは可能という場合も多いようです。

 ですから【羅針盤】を持たない準提督や多くの艦娘を抱える提督は、沿岸警戒の依頼で異界から漏れてきた深海棲艦との戦闘経験を積もうとしますし、【羅針盤】と契約できない普通の輸送船などは可能な限り異界を避けて航行します」

 

「異界に入らずにどうにかしようとすると、それしかないか……」

 

「資金に余裕がありレベルを安全に上げたい場合は、演習を繰り返したりもするそうです。

 事故が無いとは言いませんが、外洋や異界よりは安全にレベルを上げることができますからね」

 

「世知辛い話だ」

 

「全くです。ただ、演習でレベルが上がっても、対応力などの現場で培われる力は不足しがちになります。

 そのため、低レベル艦の底上げや早急なケッコンを目指すといった目的がある場合以外は、練度を維持するために行われる程度だそうです」

 

「そこはまあ、理解できる範囲かな……。

 というか、自分の艦隊同士での演習は出来ますか?」

 

「可能です。その場合は場所の確保が問題となるでしょう。

 拡張宝珠で広い海か湖を得ない限り、自分で演習場を用意することができません。他の提督に借りる事は可能ですが当然費用が掛かりますし、予約で埋まっている事もあるそうですよ」

 

「安全にレベルを上げようとするなら、そうなりますか。

 あとは……入渠の時間や、疲労はどんな感じですか?」

 

「入渠時間は艦隊これくしょんと違い、レベルや艦種の影響をあまり受けません。一応ですが目安となる計算式は判明していまして、効果が表れ始めるまでに5分前後かかり、その後概ね損傷1の回復のために3分前後の時間が必要です。この時間は提督や艦娘の能力や被害状況などで増減しますから厳密ではないですし、眷属化や【能力/超回復】の影響もあるはずですが、参考程度にはなるはずです。

 疲労は、人に近い面と艦に近い面があるようですね。本当に疲労困憊していれば回復に何日もかかりますし、眠れば回復が早まります。異界や戦闘状態でなければ海上を移動しながら休息をとることもできますから、航海し続けるだけであれば長距離の移動でも疲労面の問題はありません。

 現実問題として、出撃に必要な時間はとても長いですし、依頼も日時が決まっているものが殆どですから、普通は連続で出撃する事がありませんよ」

 

 ダメージ1が3分ってことは、戦艦は耐久80前後だった気がするから、最大240分で4時間くらいになるのか?

 おお、これならちょっと長いお風呂と言えなくもない時間だ。しかも超回復ってやつで更に短縮されるかもしれないし。

 出撃が頻繁じゃないってのは……ゲームみたいにぽちぽち押せば終わるもんじゃないし、言われてみれば当然か。

 

「ゲームに比べると、かなりありがたい時間ですね。

 疲労面は実際にどうなるか体感した方が良さそうですから、艦娘達と相談しながら考えます」

 

「それが良いでしょう。

 なお、出撃する際の装備の傾向は、艦隊これくしょんとはかなり異なります。

 あちらには連撃やカットインといったものがあったそうですが、こちらにそれはありません。また、基本的な武装は改めて装備する必要もありません。例えば高射砲、高射装置、対空電探を組み合わせた防空は確かに有効ですが、秋月はこの3種の装備自体は最初から持っています。

 火器や電探を装備する意味は、契約した妖精による補助や、機能の置換または追加となります。つまり、該当装備がある場合はそれの性能向上、持っていない装備なら機能の追加ですね。このため、特に砲や魚雷といった火力に関するものは余裕がある場合に限った装備と言われますし、装備する場合は本来の装備を強化するのが最も良いとされています。

 実際に装備するのは轟沈を防ぐ装備、馴染みがある名前で言えば応急修理要員が筆頭に挙げられるでしょう。

 また、艦載機や水上機といったものに関しては、備え付けでないからか装備する必要があります。ですから艦戦や艦攻、偵察機なども優先される装備です。

 これ以外は艦の能力、運用方針、出撃海域などで変化するでしょう。

 昼間の哨戒任務であれば偵察機が有力ですが、夜間も含むのであれば電探を多めに持たせる提督が多いようです。

 発見後の殲滅を重視するならば、砲や魚雷、弾も有効です。

 敵潜水艦の多い海域を通るのであれば、ソナーの強化が生存に直結するでしょう。

 空襲の激しい海域ならば、高射砲や機銃が効果を発揮する機会も多くなります。

 バルジを装備した事で生還できた艦もいます。

 最近では、遠方への任務で速度を上げるために缶とタービンを積む事も流行っているそうです」

 

「……本当に臨機応変に、って感じだ。

 装備できる数は、艦これと同じですか?」

 

「同じだと聞いています。また、最近は【補強増設】という限定的な装備枠を追加できるアイテムもあるようですね。

 全ての状況に対応できる装備、というものは存在しません。先達の情報と試行錯誤で最適解を模索し、かつ想定外の状況にもある程度対応できる柔軟さを残す必要があります。

 魔導具も装備としてカウントされますし、難しいですが、提督の腕の見せ所ですよ」

 

「まあ、頑張りますよ」

 

 つーか、むしろ頑張るのは艦娘だよなぁ。提督は後ろであれこれ言ってるだけだし。

 とりあえず、補強増設は応急修理系と艦載機を持たせたい空母系を優先すべきか? 確か、いくつか使ってないのがあったはずだし。

 

「装備に拠らない強化としては、レベル上げ、艤装合成、大規模改装があります。

 どれも馴染みのある物だと思いますが、大規模改装で一部の艦が使用する【改装設計図】は、一部の異界を突破すると手に入る可能性がある【勲章】を4つ使って生成すると手に入ります。とても希少ですが、この生成に関しては中断や材料間違い以外での失敗は報告されていないので、安心してください」

 

 あー、やっぱり設計図は必要なのか。で、勲章は貴重品、と。

 勲章不足で改装してないの、結構いるんだよな……

 

「また、鑑定しても艦隊これくしょんほど詳しい値は得られませんから、レベルや偽装合成の効果を実感するのは少し難しいかもしれません。

 もちろん、大幅に上がれば効果を実感できるのですが」

 

「ええと、艦娘のステータスも、心技体に魔力命力とかいう大雑把な形式ですか?」

 

「そうです。

 耐久や装甲が命力に対応していることはほぼ確実ですし、火力雷装対空といったものが体だろうと言われていますが、計算式や内訳が分かっているわけではありません。鑑定の値が同じでも実際の能力が違うのは人もそうですし、そもそも同じ艦で同じ値でも個体差があるようですので、比較する意味がない場合もあります。

 基本的には、比較的単純な魔力と、0になれば確実に死亡する命力の2つを注意する程度で十分でしょう。

 また、人も艦娘も、レベルとは別の成長が存在します。技術面もそうですが、能力値もよく使うものは増えやすい傾向があるのです。一般の方のトレーニングがそうですから、本来はこちらの成長が正当なものであるはずですので、これも忘れないでください」

 

「わかりました」

 

 要するにHPとMPに注意して、あとは高い方がいいけどあまり気にしない方がいいって事か。

 レベルは高いわけだし、改修に使う艤装は無いし。実際に戦闘をこなしながら調整していく形になるか……宿題多いな。

 

「もちろん、提督自身にもレベルも存在しているのですが……これは、積極的に上げる機会は無いと判断すべきでしょう。

 まず、提督には魔力が求められます。そのためにも普段から魔法や魔力を多く使う必要がありますが、これについては、宝珠の維持に魔力の多くを使用する必要があるため条件は満たせます。

 しかし、積極的にレベルを上げるためには、魔物や深海棲艦の討伐が必要です。それにはそれなり以上の攻撃魔法が必要となりますが、必要な魔力は多く、鎮守宝珠の設備増強や艦隊の強化が疎かになってしまうでしょう。深海棲艦自体は魔物ほど弱い個体がいませんから、単独で異界から出てきたものであっても人にとっては十分な脅威なのです。

 また、近隣に人が対処できる魔物があまり発生しない、という問題もあります。隊息や将軍達による防衛が機能しているという事でもあるのですが、将軍を目指すわけでもないのに将軍達の邪魔をするのは良い顔をされません」

 

「それは……ハードだな」

 

 初期のレベル上げポイント無しとか、どんなクソゲーだ。

 いや、あるっちゃあるけど闇堕ちルートが見えてる、と言うべきか。艦隊運営のスペシャリストを求められてるのに、自身も戦うジェネラリストは茨の道だろうし。

 

「訓練などでもある程度はレベルを上げる事は可能ですし、本格的に艦隊の運用を始めると自然に上がっていくはずですから、急がないことをお勧めします。

 あと、魔法を学ぶ際は艦娘の轟沈を防ぐ目的で召喚魔法を勧める人が多いのですが、負担も大きい事を伝えない場合も多いようですので、注意が必要です」

 

「轟沈を防ぐには、悪くないと思いますが……消費が重い、とかですか?」

 

「上下提督の場合は例外ですので、一般論として聞いてください。

 召喚魔法を使用して轟沈を防ぐには、艦娘が死亡する前に召喚を行う必要があります。これは理解できますね?」

 

「それは、そうですよね」

 

「そして、戦闘はいつ発生するか、いつ終わるか、はっきりと断言できない場合も多くあります。更に、小型艦に大型艦の主砲が直撃した場合など、有利な状況であっても事故はあるものです。

 つまり、召喚で轟沈を防ぐには、提督は戦闘が発生する可能性がある間ずっと召喚魔法を使用可能な状態で維持する必要がある、という事です。更に、被害や通信などの問題で間に合わない事も無いわけではありません。

 これらの精神的な負担は、恐らく想像以上です」

 

「事後でもなんとかなるのは、とても幸運という事ですね……」

 

「そうです。

 もちろん、召喚魔法に利用価値が無いとは言いません。

 轟沈防止のアイテムを消費した後、または在庫が無い場合の保険にはなるでしょう。

 帰路の安全は確保できるでしょうし、その分の燃料やアイテムの消費が不要になる効果も見込めます。

 艦隊が全滅してしまっても、【魂】や【羅針盤】といった重要なアイテムなどを回収できる可能性もあるでしょう。

 これらを見ずに、轟沈を防ぐことが出来るとだけ言って勧めてくる相手がいたら、要注意です。意図的であってもそうででなくとも、視野が狭い、人の意見を聞かない、といった人物である可能性が高いですから」

 

「なるほど……」

 

「それは、ワシを指しておるかの?」

 

「ご自身でそう思われたのなら、そうなのでしょう。

 さて、先ほどの生成は……もう少し、ですか。それでは、この後の予定について、説明と相談をしておきましょう」

 

 んー……さすが30分、待つには長いな。

 でも、予定の相談ってなんだ?

 

「この後で、もう1度生成を行う予定です。

 この時にちょっとした小技といいますか、覚えておいた方がいい裏技に近いものを試しましょう。そうですね……称号に合わせて、キッチンからどんぶりをいくつか持ってきておいてください。陶器の物があるはずですので」

 

「わかりました。

 えーと、榛名は連絡できるんだよな?」

 

「はい、提督。

 丼を数個、ですね」

 

 ひょっとして、人数が増えてきたらケータイっぽい何かを持たせた方がよくなるのか?

 それと、館内……宝珠内? 放送的なのも。一斉通知とかが必要な場合もあるだろうし……

 

「その後、本来は宝珠の名付けと艦娘の登録、不足している物資の搬入となるのですが……その前に、艦娘や装備妖精との契約を行いましょう。

 軽巡洋艦1人と駆逐艦2人では、間違いなくすぐに増やすことになりますから」

 

「初回の登録前に契約してしまえば、物資の要請も行えるのじゃ。

 転移人数の上限までじゃし、ある意味裏技じゃから、あまり公言してほしくはないがの」

 

「人を騙したり、情報を悪用したりするような方ではなさそうですし、大丈夫でしょう。

 荷物搬入用の転移装置は、宝珠内にはありましたが……外には設置していますか?」

 

「えっと……榛名?」

 

「いえ、許可を頂いてからと思っていましたから、設置はしていません。

 外の荷物も、だれがどこで使うのか、相談が必要ですし」

 

「それなら……配置はすぐできるのか? それに、場所は?」

 

「こちらの基点は設置済みでしたし、先ほどの応接室の隣にそれらしい部屋が用意されていました。

 ですから、10分ほど頂ければ大丈夫です!」

 

「はい、応接室の隣、玄関寄りの部屋は、荷物搬入用転移装置の設置を想定したものです。先ほど使用した転移装置では布団などの大きな荷物は運びにくいですし、特に最初は運ぶ荷物も多いですから、そちらへの設置をお勧めします。

 あの拠点についてですが、半年間は部屋代が免除されます。その後も、合同での警備がある事、山間の少々不便な場所にあるため比較的安い設定となっている事、交通に関するサポートがある事、提督ギルドとのやり取りなどを考えて、別の支部などへ移られる方以外はそのままここに留まっていますね」

 

「港の近くじゃないんですね」

 

「本来は港の近くに拠点や転移装置を配置すべきですし、そうなっている支部も多いのですが、舞鶴では様々な経緯によりここに設置されたそうです。

 港への移動は提督ギルドより委託された提督数名が設置している出撃用の転移装置を使用できますし、有料となりますが東西の市街への転移装置も用意されています。両市街の殆どが秘書艦の活動範囲に入りますから、場所としては悪くないと言えるでしょう」

 

 そうか、榛名……秘書艦が動ける範囲の問題もあるのか。どれくらい外に出るかは別だけど。

 すぐに市街や港に出る手段も確保されてるなら、下手にここを出るより都合がいいってのは理解できるな。




成長に関する補足

本来の能力(トレーニングなどで増加、さぼりや老衰などで減少)+レベルや称号による補正、が鑑定で得られる値です。
宝珠持ちの提督や将軍は更に「+宝珠による補助」となるため、能力が高くなります。
つまり「魔力極振り提督が100~200」は、「本来の能力+レベル補正+宝珠の補助+称号補正」の結果です。
何が言いたいかというと「本来の能力とレベルは鍛えていない一般人並み」の主人公が「宝珠の補助と称号補正で200に迫る」のは「かなり高い上に、まだ上がる余地がある」という事です。

異世界の提督は、本人20(平均値)+艦隊司令部Level120(=宝珠レベル=SP)で140くらいが初期最大値となります。通常は初期状態で40~60くらいのSPを魔力に突っ込み、その枠内で宝珠内の設備が用意されています。
ケッコン済みの艦がいるんだから、司令部レベルはこれ(40~60)くらいはあるよね……?


あと、2018冬イベは、第1目標(完走)と第2目標(未入手艦のゲット)をクリア。よってS勝利です(E7に輝く丁の文字や減った資材から目を背けながら)
でも、第3目標クリアならず(火曜夜現在)。どうも私のドロップテーブルに白スク水は入っていないようです。記録ミスが無ければ、E3乙で榛名が8%くらい来て正妻アピールしてたり、E1甲で山城が12%くらいで必死に存在を示してきたりってちゃうねん掘ってる理由は好き嫌いじゃなくて(略


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教えて、香取先生!-7

7時間目、工作……?


「そろそろ、先ほどの生成が終了したようですね。

 取り出してみましょうか」

 

「あ、はい」

 

 うん、いつの間にか終わってたか。

 んじゃ、ぽちっとな……

 

「ラベル無しの瓶と、液体じゃな。

 どれどれ……ふむ、водка(ヴォートカ)じゃな」

 

「えっと……?」

 

「ウォッカ、と言った方が分かりいいかの。

 まあ、酒の称号の効果じゃろうな」

 

「そうか、酒か……最初にできたのを那智に渡す約束をしてるけど、これは大丈夫なのか……?」

 

「約束なのでしたら、あれこれ悩んでも仕方が無いでしょう。

 それでは、次の生成を試したいのですが……」

 

「明石が表まで持ってきてくれているので、受け取ってきます!」

 

「明石さんが?

 そうですね……せっかくですから、一緒に見てもらってはどうでしょう?

 装備の改修は明石がこの施設を使って行うことになりますから、無駄にはならないかと」

 

「それなら、入ってもらうか。

 榛名、頼む」

 

「はい、提督」

 

 てか、生成と開発と建造と改修がコレって……役目を持たせすぎなのか、機能別じゃないから負担が増えてないのを喜ぶべきなのか、よくわからんな。

 

「そういえば、設備の数の上限は決まってますか?

 ゲームだと制限ありでしたけど」

 

「ゲーム的な制限は、特に無いはずです。自身用と貸出用に多くの入渠設備を配置している提督もいらっしゃいますし、資材の売買拠点では多めの資材倉庫を維持していますから。

 もちろん、魔力の限界に挑戦することはお勧めできませんし、場所や維持管理といった面を考慮する必要もあります」

 

「乱造を防ぐための、コストの重さ……ですか。

 っと、来たか」

 

「明石、どんぶり4つと共に到着しました!」

 

 元気なのはいいんだが、なんというか、胸元でどんぶりを持つ姿が牛丼屋コラボの時みたいに見えて仕方がない。

 どことなく、表情も楽しみにしているような感じがするし。

 

「えーと、どんぶりを使って、生成するのですか?」

 

「はい。

 正確には、生成するものに関係するものを魔法陣に置くことで、生成結果の可能性が変化する事を期待する、となります。また、そのものが使用可能である場合は、必要素材が減少する場合もあります。

 今回はどんぶりを使用することで、丼飯を引き当てる可能性を上げ、どんぶりの生成に必要な素材を削減する効果を狙います」

 

「関係するもの……」

 

 丼飯で必ず必要になる、どんぶり。

 つまり、酒瓶だと酒の可能性が上がるって事か? パンツ……うん、考えないでおこう。

 

「艤装や装備の生成については、魔法陣の中にいる艦娘に影響される事が判明しています。

 特に装備の場合に顕著ですので、艦隊これくしょんの秘書艦に相当すると考えてよいでしょう」

 

「つまり、ビスマルクの艤装が欲しければZ1を魔法陣の中に入れて生成しないといけない、とかですか」

 

「Z1やZ3がいない状態での生成報告が無いわけではありませんが、誤報を疑われる程度には珍しいですね。

 あと、言い忘れていましたが、艦娘自身が生成を行った場合は、提督ではなく艦娘の特性で結果が得られます。ですので、生成等の称号で得られるものを求める場合は、提督か提督が契約した妖精が生成を行う必要があります」

 

「それで、妖精に任せるという話だったわけですか。

 逆に言えば、称号の影響を受けたくない場合は艦娘に任せる方が良い、という事ですよね?」

 

 一般的な確率で生成したいとか、称号で出るものを避けたいとか。

 そういう需要もある……よな?

 

「そうなります。ただ、誰でも得られる結果になるという事ですから、市場に在庫があるならば購入した方が結果的に安く済むでしょう」

 

「つまり、欲しいものが市場に無い場合に生成しようとして、結果的に売りに出される不要なものが多い……」

 

「その通りです。改修で消費しない装備は比較的安いですね。

 それでは、そろそろ生成をしてみましょう。明石さん、どんぶりを提督の傍に」

 

「はいっ!

 ……でも、足がぶつからない程度に離した方がいいですよね?」

 

「そうですね……ええ、そこで問題ないでしょう。

 その状態で、この有機物を1つ使用して、生成を始めましょう」

 

「えーと……表示は『有機物×1』だけでいいんですよね?」

 

「どんぶりなどは生成するものに変化しないからか、材料とはみなされません。資料などでは触媒と呼ばれる事も多いですね。

 いずれにせよ目視での確認が重要になりますし、余計なものを持ち込まない事も必要になりますから、普段から気を付けるようにした方が良いでしょう」

 

「なるほど。今は最低限の物しか持ってないし……どんぶりはあるし。問題ない、かな。

 じゃあ、始めます」

 

 ぽちっとな、と。

 ……残り5分。

 

「早いな。5分だと料理には短いか……?」

 

「いえ、本当の外れは1分のものが多いですし、1分できちんと成功するものもありますから。

 高級品やセット品のようなものは長くなりがちですが、これは単品とも言えるものですし」

 

「本当の、外れ?」

 

「ええ、事実上の生成失敗と言える生成物ですね。

 【折れた竹串】などは、失敗としか言いようが無いでしょう。変化すらせずに【割れた有機物資材】になる場合もあります」

 

「えーと、再利用は……不可、ってことですよね」

 

「割れたり潰れたりした資材は、ゴミとして処理することで使用可能な資材になります」

 

「なるほど、確かにゴミ……失敗ですね」

 

 折れた串なんて、串としては役に立たないだろうし。

 割れた有機物は、形が変わるだけなら使えても良さそうなもんだけど……魔法的な何かが壊れると思えばいい、のか?

 

「蛇足ですが、壊れ物でも利用価値があるものが無いわけではありません。

 例えば装飾品から貴金属や小さな宝石が得られる、といった具合ですね」

 

「壊れていても素材としては有効、ですか」

 

 やっぱり壊れ資材が微妙だな。けど、ゲーム的にそういうものだと言われたらそれまでっぽい部分のような気もするし。魔道具の一種だと思った方が実情に近いかも……うーん、考えて答えが出るものでもないしな。

 よし、深く考えない。これだ。

 

「さて、そろそろ出来ているようですね。

 期待通りの結果が得られたら良いのですが」

 

 おおう、考えてる間に終わってたのか。

 特に考える必要も無いだろうし、ぽちっと……ん?

 

「ところで、この状態でどんぶりを片付けたり移動したりすると、どうなります?」

 

「魔法陣内の移動だけであれば、再配置されるので問題ありません。

 ですが、魔法陣の外へ出してしまうと、その時点で提督が外に出た場合と同じく中止として扱われます。この性質を利用して何が触媒となり得るのかを調査することも可能ではありますが、成功時に得られるものを証明する事は難しいですね」

 

「つまり、魔法陣の中の物を減らすのはダメだ、と。

 増える分には結果に影響しませんよね?」

 

「そう言われていますね。

 もちろん、触媒でない物については、減っても問題ありません」

 

 なるほど。まあ、必要なものは置いとけ、って事だな。ダメなら中止扱いになるわけだし、今はボタンが取得のまま変わってないから問題ない、と。

 改めて、ぽちっとな。

 

「……海鮮丼、かな?」

 

「海鮮ですが……鮭とイクラ、海鮮の親子丼のようなものでしょうか。

 同じものが2つですから、コスト的には微妙ですね。安定性次第ですが、売るほど安くなく、使えないと切り捨てるほど高くない、といったところかと」

 

「えーと、有機物の資材って、いくらくらいです?」

 

「波はありますが、有機物は1つあたり1000円前後ですね。無機物は出回る量が少なめだからか、5割ほど高いようです。

 どんぶりを触媒に使用して安定するのであれば、自前のごみ処理で得た有機物は食費削減のために使うのもよいでしょう。少量で売る場合はかなり値が下がりますから」

 

「ああ、経費やら手数料やら信用やらの都合ですか」

 

 査定を魔法でやるなら一発で大量にチェックした方が楽だろうし、店に信用されるならチェック自体ほとんどない場合だってあるかもだ。運送やらの都合もあるだろうし、その分のコストが値段に跳ね返るのは当然か。

 

「そうですね。

 ちなみに、生成で得られる物は、行使者以外にも地域や時間といったものにも影響されているようです。確率が少々変化する程度だとは言われていますが、調べてみるのも面白いかもしれませんよ」

 

「それはまた……でも、時間はともかく、地域は調べられないですよね?」

 

 日本とアメリカで違うとかだと、調べようがないよな。

 海側と山側とか言われても、場所の確保が大変そうだし。家賃を払ってまで調べるようなものでもない、と思いたい。

 

「どこかに移る事があれば、という程度ですね。

 さて、生成についてはこれくらいにして、次に進みましょう」

 

「次というと……」

 

「本来は宝珠の名付けと艦娘の登録、不足している物資の要請となるのですが……その前に、艦娘や装備妖精との契約を行いましょう。

 上下提督の場合はあと2人の艦娘、できれば駆逐艦と契約を行っておくのが良いでしょう」

 

「えーと、依頼とかで必要になるから、ですよね?」

 

「そうですね。戦艦ばかりの艦隊でも遂行可能な依頼は多いですが、経費を考えるとお勧めできません。早々に軽巡洋艦も必要になるでしょうが、先に駆逐艦を揃えるべきです。

 書類的に、レベルが96であると良いのですが」

 

「えーと……96だと誰がいたっけ?」

 

「レベルが96の駆逐艦ですと、潮改二、朝潮改二丁、朝霜改、天津風改が該当します。

 対潜と……ツンデレ枠、でしょうか?」

 

「ちょ、榛名、ツンデレ枠って何!?」

 

 別にツンデレが好きってわけじゃないから、たぶん!

 

「初期艦が叢雲ですし、翔鶴よりも瑞鶴を優先されていたようですし、天津風はそれほど特別な能力があるわけではないですから、そのような性格の娘もお嫌いではないと思っているのですが……違うのでしょうか?」

 

「ぐっはぁっ!?」

 

 あ、改めて言われるときっつい……そうか、これが天然の力か……ッ

 

「性癖の追及は、後程ゆっくりと行ってください。

 その中でのおすすめは、朝潮と天津風でしょうか。朝潮の対潜能力には定評がありますし、天津風は絶対数が少ないですから依頼の受注で有利になる事があります」

 

「そこは止めてほしかった……じゃなくて、艦娘の能力以外も受注に影響するんですか?」

 

「します。

 例えば、大きな船団を組む際に、別の【羅針盤】であっても同じ艦娘を含まないよう調整する場合があります。これは、大きな被害を受けた際の再編成で制限を減らすことを目的とします。

 半壊した艦隊を合流させる際に同じ艦娘を含まないようにするため、ですね」

 

「そういう事態も想定する必要がある、という事ですか……」

 

 艦隊の半壊で合流って、要するに轟沈して数が減ったって意味だよな。

 この辺はやっぱり、戦争なんだな……

 

「まあ、そのような事態は頻繁にあるものではありません。

 通常は能力面を重視しますし、選り好みは指揮官や船員の好みや珍しい艦娘だと喜ばれるからという面が強いですね」

 

「……なんか、一気に俗っぽい理由になったな」

 

「命がけで海に出る指揮官や船員のやる気は、重要です。

 それに、やる気の元になる艦娘を含む艦隊は危険な任務を任されにくい、という効果もあるようです。もちろん、あくまで比較的程度で、明確に差別化されることはほぼありませんが」

 

「うわぁ……って、そういう理由があるなら、珍しい艦娘と契約する提督が多いんじゃ……多いのでは?」

 

「天津風に限って言えば、明確に優位な能力といったものが無く、それでいて燃費が少々悪いですから。費用対効果という意味で選ばれにくいようですね。

 車を買う際に、燃費を気にするようなものです。秘書艦やそれに準ずる艦として手元に置く提督はある程度いらっしゃいますが、遠方への派遣にはあまり出さないそうですよ」

 

「あー、お金に直結するからゲームの時より燃費が気になるし、好みで選んだなら長期出張はさせないのか。駆逐艦だと他の候補も多いわけだし、確か燃料消費が3割増しくらい……史実だと燃費は同じ程度、むしろ良い可能性もあったはずなんだけどなぁ」

 

「そこは、史実から直接派生していない事による影響かと。実際の大和は長門や金剛と燃料消費に大きな差は無く、むしろ大和の航続距離が計画より良かったために燃料の搭載量を減らしたくらいですから。

 それに、ゲーム的な補正に関しては、悪い面ばかりでもありません。天龍などに石炭を要求されても困りますし、夢のまま終わった烈風一一型や紫電四一型の量産化、本来よりも大きな主砲や魚雷への換装などは、史実を重要視するのであればありえないと言ってよいでしょう」

 

「それは、確かに」

 

 単装砲を連装砲にとか、普通に考えれば難しいよな。

 戦艦の連装砲を三連装砲に替えるのも、重量やサイズ的に不可能だろうし。

 

「色々言いましたが、最終的には提督の好みや戦力の考え方が重要になります。

 それに、余裕のある運用のためには、駆逐艦はそれなりの数を揃える必要があるでしょう。

 数が少ないうちは、好みで選んでよいと思いますよ」

 

「……結局、好みか」

 

 いやまあ、ゲーム的な補正でどの艦娘もそれなりに使える以上、やる気って意味でも、好みで選んでいいんだろうけど。

 家族みたいな事を言っていたから、嫁の前で浮気相手を選ぶような構図ではないんだろうけど……これはあれだな、養子を選ぶと考えれば、何とか……ならんな。駆逐艦はともかく、戦艦や正規空母を子供と呼べるほど老けてない。ヒゲ面だけどな!




16ノット時の燃料1tあたりの航続距離
 大和 1.6海里 (基準排水量 64000t)
 長門 1.5海里 (基準排水量 39120t)
 扶桑 2.2海里
…というデータを見かけました。大和のサイズを考えると、なんてエコなんでしょう。
なお、他の艦種だと、こんな感じだそうで。
 妙高  3.4海里(14ノット時)
 多摩  4.0海里(14ノット時)
 阿賀野 4.2海里(18ノット時)
 陽炎  8.0海里(18ノット時 基準排水量 2033t)
 秋月  7.4海里(18ノット時)
 翔鶴  1.9海里(18ノット時)
つまり大和は、陽炎の30倍のサイズにも関わらず燃料は5~6倍ほどしか使わない。
でも、艦これでは燃料消費が16.7倍。どういう事だってばよ。


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教えて、香取先生!-8

8時間目、法律(契約)……?


 結局。

 選ばれたのは、朝潮改二丁と天津風改でした。

 別に、薦められたからじゃない……こともないけど、推薦理由に納得したのは確かだ。やはり潜水艦の対策は必要になるらしいしな。

 もう一人が天津風なのは、あれだ。対潜なら皐月改二やリベッチオ改もいるし、少数で行くなら秋月型で対空と対潜を兼ねた運用という選択肢もある。それらを考慮して、装甲や回避が高く生存性に期待できる天津風も有用だろうと判断した結果だ。

 決して、ガーターベルトに誘惑されたわけじゃない。

 

「それでは、契約を行いましょう。

 原理的にはどこでも行う事は可能ですが、やはり生成施設を利用するのが最も手軽です。生成施設を使用できない場合は、魔法使いネギまの仮契約用魔法陣を用意するようなイメージと言えば通じますか?」

 

「あー、うん。魔法陣を何らかの手段で描いて、とかいう話になるって事ですね」

 

 オコジョ妖精が描いてた覚えがあるし、巻物だの契約屋だの……は、二次作品だったか? 原作にもあったっけ?

 まあ、この世界だと恐らく妖精さん頼み……実物をまだ見ていないが、それはそれで不安しかないのはなぜだ。

 

「まずは……置いてある場所が近いので、朝潮から行いましょうか。

 契約を行う場合、魔法陣の中には原則として艤装と提督、使用する場合は艦娘の魂や高速建造材しか入ってはいけません。他の者や物があると契約に失敗する可能性があるようですし、失敗すると艤装や使用した魂が消失する場合が多いですので。

 なお、高速建造材を使用する場合は先に持ち込んでおくべきです。提督が外に出るのは厳禁ですが、契約の場合は誰かが持ち込んだ際に問題が起きがちですので」

 

「はい」

 

 別にどちらからって拘りがあるわけじゃないし、運んでくれた明石が置いた場所的に近くだった朝潮からってのは、別に問題ない。

 艤装の容器……って言えばいいのか? 立方体の箱は、意外に重いな。普通の男なら問題ない程度だけど、貧弱だったり体力のない女性……って、運ぶのは秘書艦とかに手伝ってもらえばいいのか。

 契約する時に他人がいちゃいけない、ってだけ、だよな。

 えーと、艤装と魂と高速建造材を魔法陣の中央付近に運んで、他に誰も入っていない事を確認して……うん、問題ない。

 

「あとは、契約実行のボタンを押せば契約が始まります。

 高速建造材はその後で使用する事になります」

 

「……お手軽すぎる」

 

 別にキスだの大げさな儀式だのをしたいわけじゃないけど、大事な契約なんだから、もっと、こう……それっぽい雰囲気とかは……

 

「気持ちはわかりますが、眠っている間にも行われた事ですし、どうしてもというのであれば魔法の技術を磨いて自力で魔法を使用するという選択肢もあります。

 かなり高度な技術ですからお勧めはしませんし、才能のある人でも1年以上の本格的な練習が必要だそうですから、少なくとも当面はこの方法で妥協することをお勧めします」

 

「……うん、ゲームでぽこぽこドロップして増えることを考えると、普通普通。

 よし、やるか」

 

 掛け声はやっぱり、ぽちっとな……うおっ!? 目、目がっ……

 

「注意点としては、最初と最後は強い光が出ますから、目を閉じた方が良いでしょう」

 

「……それは、先に言って欲しかった」

 

 うー、まだチカチカするんだが。

 視力が戻った結果。見えてきたのは、どこぞの魔砲少女みたいな魔法陣だった。足元でくるくる回ってるのと、周囲をぐるぐる回ってる帯みたいなやつだ。

 

「なるほど……リリカル式ですか。

 ここで現れる魔法陣は様々な種類があります。そのうちいくつかが比較的選ばれやすく、現れた魔法陣に関する適性はそれなりにある事までは判明しています。

 他の魔法が使用できないわけでも、他により適性のある魔法が無いわけでもありませんが、今回のように現れた魔法がメジャーなものであるならば、まずはそれを習得するのが無難でしょう」

 

「うーむ、ワシとしてはネギま式が良かったのじゃが……適性ばかりはどうにもならんからの。

 残念ながら、ワシ個人の伝手ではデバイスの入手は手伝えん。リリカル式を学ぶのであれば、素直にギルドや魔法関係の組織を頼るべきじゃな」

 

「そうですか……まあ、魔法に関してはゆっくり考えます。

 ええと、残り時間は……23時間近く?」

 

 これはまた、随分と時間がかかるな……

 

「予想以上に長いですね……」

 

「高いレベルと、恐らく眷属化が原因じゃろうな。艦娘に強力な称号が付く場合は、契約に必要な時間が延びる傾向があるようじゃからの。高レベルの朝潮改二丁基準の4倍程度じゃから、そう間違ってはおらんじゃろ。

 とりあえず、高速建造材で100倍速にすることが可能じゃが……これは、高レベルの戦艦や空母の場合は気を付けた方が良いじゃろうな。元々1日を超える事もあるようじゃから、下手をすれば高速建造材ありでも1時間以上かかりそうじゃ」

 

「あってよかった、高速建造材ッ……とりあえず使用、と。あー、残り時間が短くなるんじゃなくて、カウントダウンが早くなるのか。

 というか、ここだけ入渠時間っぽい気が……」

 

 高レベルの戦艦や空母が大破した時って、入渠に1日とかありがちだし。って事は、HPが全損した状態からの入渠時間が標準なのか?

 23時間が基準の4倍なら、本来は6時間近く。つまり、高レベルだと駆逐艦でもそれくらいかかるのが普通って事だ。そりゃあ、高速建造材の準備を指示するわけだよな。

 

「おお、鋭いの。契約に必要な時間は、概ねその艦娘の最大入渠時間が基準となっておるそうじゃ。これに称号やらの影響、恐らく眷属化で4倍程度になるわけじゃな。

 新しい艤装、要するにレベル1であればさほど長くないとも言えるの」

 

「まあ、最初の契約で時間がかかっても、レベルが高い方が即戦力だし、ゲーム時代からの縁もあるし。超回復で日常的な治療は短く済むだろうから、レベルと称号で契約時間が長くなる程度の代償は仕方ないか……」

 

「そうですね。もっとも高速建造材の在庫が充分すぎますから、一気に契約しようとしなければ問題は小さいでしょう」

 

「最初はやらねばならん事も多いじゃろうが……ある程度落ち着いてしまえば、割と時間の余裕はあるかの。

 それにこれ以上の契約は、部屋やらを追加した後になるからの。衣食住の目途がつかぬまま契約すれば、提督の評価が下がるのは確実じゃ」

 

「それはそうか……って事は、しばらくは、軽巡は阿武隈1人……?」

 

 艦種指定とかあると、割と負担がでかくなるよな?

 駆逐艦も3人だから厳しそうだし。

 

「当面は近海の警備任務など、制限の緩い依頼で練習することになります。要求される条件を満たせるのであれば艦種を問わないので、赤字覚悟であれば戦艦と空母のみのような編成でも受注は可能ですよ。依頼に慣れるという目的で過剰能力の編成を投入することも無いわけではありません。

 ある程度慣れてきたら沿岸警備ではなく、前線警戒などのある程度戦力が必要な依頼を選択するのもよいでしょう。危険性が高い領域ほど、戦艦や重巡、空母の力も必要となりますから」

 

「ま、何度も言うようじゃが、召喚魔法を早くものにする事じゃ。

 そうすれば割と安心して送り出せるようになるじゃろう」

 

「……頑張ります」

 

 明らかに戦艦と重巡の割合が高いからなぁ……採算を取るにはある程度のリスクを覚悟する必要があるし、リスクを減らす努力は必須か。

 まあ、眷属が優秀で他の提督より有利なんだし、恵まれてる、はずだよな。

 

「この後、天津風との契約もありますし……契約する装備を選んでしまいましょう。

 確実に使用するものとしては、羅針盤ですね。異界に入る可能性があるのであれば必須となりますし、装備の枠を使用しない特殊なものですので、後回しにする意味がありません。

 一般的なお勧めとしてはやはり、応急修理女神や応急修理要員、それに艦載機や水偵ですね。明石がいるのですから、艦艇修理施設も優先すべきでしょう」

 

「一般的なのは、さっきも言って……電探とかは、割と優先順は低めですか?」

 

 轟沈防止と、載せなきゃ使えないもの。これの優先度が高いのは分かるけど、現実的には索敵も重要だよな? それとも衛星やらの助けがあったりするのか?

 

「一般論で言えば、警備系や護衛系の依頼では重要ですね。科学的な衛星や警戒機で深海棲艦を捉えるのはなかなか難しいようですし、魔法的なバックアップを恒常的に受けられる海域は限られます。むしろ、バックアップの無い海域だからこそ依頼されると考えた方が良いでしょう。

 ですが、上下提督の場合は、索敵魔法を取得して魔法の補助具を持つ方が良い可能性があるでしょう」

 

「あー、はい。理解しました。要するに魔法の取得頑張れって事ですね。

 となると、当面の対策としての応急修理系、それに艦載機か……いくつあったっけ?」

 

「はい、応急修理女神が4、応急修理要員が13、艦載機は……性能や改修、妖精の熟練を考えますと、53型や52型丙、天山や彗星の一二型が候補でしょうか?

 あとは、偵察機の選択ですが……」

 

「基本的に上位のを使えばいいとは思うけど……

 はい、香取先生! 彩雲と二式艦偵ってどういう扱いですか!」

 

「彩雲は広域索敵に向き、二式艦上偵察機は前線での誘導などに向きます。言い換えるなら、戦闘時以外は彩雲、戦闘直前や開始後は二式艦上偵察機が役に立ちやすいと言えるでしょう。

 同じことが、零式水上偵察機と零式水上観測機にも言えますね。長距離偵察用の零式水上偵察機と、近距離での哨戒や観測用の零式水上観測機ですから。航続距離の短いAr196やRo.43も扱いとしては観測機に近いでしょう。

 警備や護衛を行う際の索敵には、彩雲や零式水上偵察機が向きます。異界に入らない場合は無視できない差異となる場合がありますから、艦隊これくしょんとは別物だと考えて下さい。

 逆に異界では航続距離などの利点がなくなりますから、実質的に零式水上観測機が零式水上偵察機の上位となります。但し彩雲には特殊な先行能力が付きましたから、不利な交戦形態を避けやすくなる効果が期待できますね」

 

「わお……聞いておいてよかった。

 えーと、現実に近くなるって意味では、瑞雲の立場は……?」

 

「艦隊これくしょんの影響なのか、多くの戦艦や重巡では扱えません。本来は多くの艦で使われていた呉式2号5型の射出機での運用が可能なのですが……。

 残念ながら相性問題のようなものと考えるしかありません。瑞雲はある程度の自衛や攻撃能力がありますし、指示により交戦を避ける事も可能になっているのですから、運用可能であれば水上機は全て瑞雲という選択肢も生まれていたでしょう」

 

 むぅ、悩ましいな……って、いつの間にか時間が0になってるな。

 えーと、最後も光るんだったか?

 

「とりあえず終わってるので、契約します」

 

「はい。また光りますから、注意してくださいね」

 

「了解です」

 

 というわけで、ぽちっとな。

 すぐに目を閉じて……うん、光ってる光ってる。

 

「……駆逐艦、朝潮です。改修や改造により、生存性や汎用性に自信があります。

 これより艦隊のお役に立つ覚悟です! よろしくお願いします!」

 

 目を開ける前に挨拶されると思わなかった……けど、無事に契約成功、だな。

 えーと……うん。艤装を着けてる状態は初めて見るけど、朝潮のは元々小さいせいか、思ったよりも違和感無いな。で、かわいい。こうして見ると、委員長系かな。

 

「こちらこそ出来立ての艦隊でばたばたしているけど、よろしく頼む。

 ええと、もう1人契約してしまいたいんだが、大丈夫か?」

 

「はい、準備もお任せ下さい!」

 

 というわけで、再びかっ(中略)ぴかっと光って。

 

「いい風来てる?

 次世代型駆逐艦のプロトタイプ……はもう関係ないと思うけど、 私、天津風の出番ね」

 

「ああ、駆逐艦が少ないから忙しくなると思うが、よろしく頼む」

 

 あまりツンツンしてない感じだけど、連装砲くんは健在。そしてやっぱりこの格好はエげふんげふん。

 というかものすごいハイヒールなんだが、身長が縮んた経験の反動なのか? 叢雲もヒールは高かったから駆逐艦全体が背伸びしてる? いや、朝潮はそれほどでもないな……

 

「提督! 先ほど決めた装備類の準備が整いました!

 装備妖精との契約はさほどかからないようですし、早速契約、しちゃいます?」

 

「あー、うん、そうだな。

 とりあえず称号は確認しておきたいし、やってしまおうか」

 

 それにしても、随分運んだな。

 羅針盤が4。早めの契約は紛失や盗難を予防する意味もあるらしいし、そのうち使うのは確実だろうという事で全数。

 応急修理女神が4、応急修理要員13。3部隊分には足りないけど、当面は出撃時にどっちかを持つようにする方針で、これも全数。

 零式艦戦53型の改修品が1。要するに岩本隊だな。

 烈風の改修品が1。これも元六〇一空なのが確定。

 天山の妖精の練度がやたら高いものを2。要するに村田隊や友永隊と思われるもので、妖精の熟練度に期待しての選択だ。

 流星改を2、彩雲が2。これはそこそこの練度だし、普通の。

 零式水上偵察機11型乙が1。これもそこそこ練度で普通のだ。

 これで30個、あとは様子を見ながら考えようという事になった。

 ……1個1分でも30分かかるけどな!




カタパルト的には、香取も瑞雲を運用出来てもおかしくないようです。というか、細かい仕様に違いはあるでしょうが、香取は最上や利根や大和などと同じ射出機「呉式2号5型」を使っていたらしいですよ。
逆に、(追加改装で呉式2号5型に変えた榛名を除く)金剛型は呉式2号3型、それも2次改装で追加したものだそうです。当初はカタパルトすら無く、改二相当でようやく3トンまで射出できるようになったけど零式水上偵察機の運用時重量は4トン近いって事は……つまり、色々とゲームですね! ちょっと重いって言ってるのは、水偵もなんだね榛名……

なお、物語内の日付設定的に、まだ阿賀野型改に瑞雲は載らない模様。


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教えて、香取先生!-9?

帰りの会?
つまり、そろそろ「設定資料集(会話形式)」の終わりが……おや?


 朝潮や天津風だけじゃなく、暇になったのか様子を見に来た羽黒(改二)や叢雲達に見守られながら契約は進み。

 

「うーむ、妖精も艦娘と同じ称号持ちとは。

 本格的に、夜間行動と魔法の訓練をお勧めするぞい。それも全員じゃろうなぁ」

 

「まほー、つかうです?」

「くらいとこ、とぶです?」

「じんせーは、おさきまっくらです?」

 

 うん、予想した称号と、あまり予想したくなかった妖精を得た。

 つまり、艦娘も装備の妖精も、期待した不老不死と暗視を含む眷属、それに魔法の称号を得た。

 そして、妖精の顔が(・ワ・)だったという事だ。

 可愛くないとは言わないが……名前付きの戦闘機が機体名のみになってるのは、これも原因なのか? (・ワ・)な顔を虎徹と呼んだりするのは、シュールというか、ギャグにしかならない気がするし。いや、こいつらなら吸血での精気吸収があるから、「今宵の虎徹は血に飢えてるです(腹ペコ的な意味で)」とかやれるかもしれんが。

 

「かわいいですね……」

 

「私の連装砲くんのほうが可愛いに決まってるでしょ?」

 

「今のところ、装備はほとんど決まってないのよね。

 他の装備の妖精もこうなのかしら……」

 

「性能や相性も重要ですよ?」

 

 ……まあ、艦娘も女の子的な感じだから、人形みたいな妖精をかわいがるのは問題ない。少なくとも嫌っているよりは協力しやすいだろうし。

 

「これで、名簿や書類の記入は終了です。

 今日中に少なくとも追加分の布団を、その後も食材などの搬入がありますから、何名か提督ギルドの倉庫に来てください。

 そちらでいくつか手続きを行い、受け取った荷物を運べば、今日の予定は終了です」

 

「分かりました。

 えーと、榛名、今動けるのは?」

 

「食堂にいた艦のうち、祥鳳と萩風を除けば大丈夫ではないでしょうか。

 この2人は、外の台所で夕食の準備を手伝っていますから」

 

「あー、もうそういう時間か。ええと……提督ギルドのやり方に慣れる意味もあるだろうから、これから中心になりやすい誰かの方が無難……か?

 んー、とりあえず、榛名の改二と、羽黒の改二、それに……叢雲に頼むか」

 

「はい、提督。連絡しておきますね」

 

「うん、任せた」

 

 やれやれ、何とか1日目は無事に終わる……のか?

 いきなり出撃ってことはない。襲撃が多発するようなら警告ぐらいはあるはず。夕食も材料がちょっと心配だけど腕は問題ない、はず。

 

「明日の予定ですが、とりあえずは宝珠内の環境整備や、手続きの続きが主となります。

 なお、初期の手続きが完了するまでは、同じ職員が担当する事になります」

 

「とういわけで、明日もワシが来ることになるからの。

 昼過ぎになると思うが、こちらで用意する仮印と預金口座の通帳を持ってくる予定じゃ。その際に、任務関係の具体的な説明やらもすることになっておる。

 法律関係の説明もあるが、長くて別途日程を組むから明日は簡単にじゃの。というか法律関係は面倒な手続きやらもあるから、提督と秘書艦だけでは手が回らん場合も増えるのは確実じゃ。早めに専任を決めるか、人を雇うかを決めた方がよいじゃろうな」

 

「法律関係、ですか……」

 

「うむ。

 実態はどうであれ、鎮守宝珠は独立国として扱われる。つまり、日本国とのやりとりは外交に相当するわけじゃな。

 独自の法を定めるのも自由じゃが、立法と行政、それに外交と艦隊指揮の全てを提督の独裁で行うのは、過労でぶっ倒れるのがオチじゃ。じゃから、法は関係の深い国等のものに準じ、外交の手続きは提督ギルドを介することで色々な手間と摩擦を減らす提督が殆どじゃ。

 日本人の提督の場合は日本国か提督ギルドの法を採用する場合が多いんじゃが、法を作る手間は省けても、理解して運用する必要はあるじゃろ?」

 

「あー……立法から自分で全部やるよりはマシですか。

 提督ギルドの法って、どんなのですか?」

 

「日本国の法を基に簡素化して、艦娘や隊息に対応したもの、かの。

 八丈島の提督ギルド本部で実際に使っておる物じゃし、簡素化するついでに古い法の整理なんかも進めておるから、日本国でそれを採用しようという動きすらあるそうじゃぞ」

 

「法の整理って、相当手間がかかる作業なのでは……?」

 

「もちろんじゃ。ギルド本部に集まる提督達や、彼等を支持する者達が多くいるからこそ可能な事じゃな。これに絡む噂は色々あるが……まあ、噂は噂じゃ。

 というわけで、法務については考えておいた方が良いかの。宣言するまでは暫定的に日本国の法に準じている扱いになるし、そのままでもしばらくは問題ないのじゃが」

 

「しばらく、ですか」

 

「艦娘が増えると、トラブルも増えるものじゃぞ。

 それに、少なくとも大々的に外部の人間を入れるには、どんな法を使っているかを宣言しておく必要があるの。でなければ日本国から渡航許可が下りる前提条件を満たせんし、法の運用状況や、独自の法であれば内容も調査が入って、その結果問題なしと判断されてからじゃ。

 日本国も、無法地帯に国民を行かせるほど無責任ではないという事じゃな」

 

「さすが独立国扱い……」

 

 独裁で危険そうなら行かせないとか、そういう事もあり、だろうな。

 法の内容や運用状況を確認するとなると、実績や実例があるものを使う方が色々と楽そうだし……そりゃあ、国かギルドのを使うわけだ。

 

「まあ、これ以上は明日じゃ。

 詳しく説明し始めると、時間がかかるでな」

 

「その準備というわけではありませんが、宝珠の設備関係に手を加える手伝いはいりませんか?

 これはギルドではなく、舞姫提督からの支援という扱いになります」

 

「えっと……設備関係の手伝い、ですか?」

 

「はい。

 提督ギルドとしては、何か問題が出ていない限り、鎮守宝珠の中の事には口を出しません。これは内政干渉に相当してしまうためですね。もちろん初期の手続きや最低限の指導を行うことは国際的な了承を得て行っていますが、それ以上に提督ギルドの手を借りる際は、提督側から支援や教導を要請する、という手順を踏むことになります。

 ですが、例えば設備をどのようにしたらよいかというのは、提督の方針や地域性に大きく影響されるため最低限の指導に含まれません。経験の有無が効率や失敗率に大きく影響するのに、です。

 というわけで、他の提督からの個人的な支援という形で、私が引き続き色々と教えましょうか、という提案になります」

 

「手続きに関しては、言われても仕方ないの。

 なるべく協力する方針ではあっても、国際的な組織である以上、なあなあでは済まぬ部分もあるのじゃ。人的な限界で塾のような形式で複数人に教える形になったり、そもそも時間が制限されたりする場合も多いしの」

 

 えーと、つまり、提督ギルドに教えてもらうのは、手続きや労力的に面倒が多いと。

 それより、ある程度慣れた相手にしばらく教えてもらうのはどうだ、って事だよな。

 

「私達舞姫提督の派閥に属していると見られやすくなるとか、私達のやり方が基本になる、程度の問題はあります。

 ですが、初期は誰かに教えてもらうことが多いですし、完全な我流は茨の道です。私達のやり方が合わないようであれば、他のやり方をしている人を探すのも良いでしょう。

 もちろん、そのまま協力していけたら、という下心があることは否定しません」

 

「当然というか、当たり前の前提かな……教えてもらう時点で、誰かのやり方を参考にするわけだし。

 じゃあ、とりあえずお願いします」

 

「はい、わかりました。

 提督ギルドの話は昼からですので、午前中……そうですね、9時頃に来ましょうか。

 やるべきことが多いですから、時間は多めに確保した方がよいでしょう」

 

「わかりました」

 

 現状では、組織運営の入り口、ってとこだしな

 一歩踏み入れたら大迷宮、じゃなきゃいいんだが……期待薄かな、これは。

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 あの後は、まあ、あれだ。

 指示した3人──3隻とか3艦とかの方が正しいのかもしれないけど、見た目は人なんだから人でいいだろ──が布団やら日用品やらを運び。なお、倉庫での手続きというのは、受け取り確認と、そのための身分証明を先行で仮発行するものだったらしい。

 交代で入浴し。もちろん俺は入渠施設の方じゃなくて、家の風呂だ。

 用意してくれていた夕食──足柄が参加していたせいかカツが主菜の定食風だった──を食べ。

 新しく増えた朝潮と天津風を交えて、部屋の割り振りと外の部屋番を決めて。

 まだ眠くないという事で、外の部屋にあった本……今の世界情勢やら提督ギルドの業務や手続きやら魔法入門書やらの実用書や新聞、加えてトランプや将棋などを広げながらの、雑談タイム・いん・食堂。

 

「新聞とインターネットが情報を得るための主な手段になったってのも、何だか不思議な感じだな……」

 

「消えかけてるのは、無線のテレビとラジオだっけ?

 えーと……山上の電波塔が深海棲艦の空襲を誘引するから避雷針的な役目を担い、重要な情報を独占的に扱うことを禁じられた……ま、娯楽で使えるならいいんじゃない? 興味はあるし」

 

 速報とかは……空襲のサイレンが音声付きになったようなものもある、と。

 短時間で周知するって意味では、テレビとかより優秀か。スイッチを入れてない人に伝わらないって事がないし。

 というか、叢雲の興味は、ラジオじゃないだろうけど、テレビ自体なのか、番組の方なのか……

 

「興味か……えーと、宝珠の中でテレビやラジオを視聴するには、宝珠の中へ信号を転送し、更に有線または無線で各機器へ送る必要があります。詳しくは伝送ゲートを参照してください?」

 

 特殊空間だから簡単には見れないだろうとは思ってたけど、方法はあるんだな。有線ラジオとかいう、わかりやすいけどもっといい名前はなかったのかと言いたくなる単語もあるが。

 インターネットも同じ方式で情報のやり取りを行う、と。

 

「見る方法があるならいいわ。外の部屋に小さいテレビはあったから、とりあえずそれで面白いかどうかは判断できるでしょうし」

 

 なるほど、番組の方か。で、外にはテレビも準備されていた、と。

 

「客が来ることも少ないだろうから、部屋番の時に見る時間はあるんじゃないか?

 やることをやった上で見るなら、別にいいと思うが」

 

「そうね、部屋番は明日だし、少し見てみるわ」

 

「そういえば、テレビの知識は、やっぱり俺が由来になるのか?」

 

「それも大きいわね。でも、テレビ自体は元々知ってたわ。

 そもそも戦争の前にドイツでテレビの定時放送が始まってたし、日本でも試験放送をしたことくらいはあったわよ?」

 

「……そうだったのか」

 

 やっべ、テレビって完全に戦後のイメージだった。

 いやまあ、元になる技術はそれなりにあっただろうし、おかしくないんだろうけど……

 

「そうだったのよ。

 ま、戦争でそれどころじゃなくなったんだけどね」

 

「だからこそ気になる、のか?

 今は外の部屋にしかテレビが無いからな……しばらくは当番の特権になるんだろうな」

 

「構わないわ、他にも気になるものが色々あるもの。

 宝珠の掲示板も使っていいんでしょ?」

 

「節度を守ってくれれば、制限する必要はないと思っているんだが……

 禁止しないといけなくなるような使い方は、してくれるなよ?」

 

「当然よ。その程度は弁えるわ」

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 色々喋ったり、調べ物をしたりして、夜が更けて。

 俺と榛名の2人は、部屋として割り当てられた、最初に目覚めた家にいた。

 そしてパジャマ姿の榛名は、嬉しそうに布団を敷いている。

 

「……どうすりゃいいんだろうなぁ……」

 

 確かにケッコンした榛名であり、ネット的表現では俺の嫁という表現が正しいとは思う。

 ゲームの世界に行くとか、嫁がゲームから出てきてとか、そんなラノベや漫画なんかがあるのも知ってる。

 だが、いざそうなると、どうすればいいのかさっぱりわからない。

 お互いの事を少しは知っているとしても、意思のある異性として会うのは初めてだし、むやみに高い好感度や妙な方向でおかしなことになっている事実が、余計に難しくさせている。

 少なくとも、さっきの「着替えてきますから覗かないで下さいね」がお笑い芸人的な意味ではないと言い切る自信は無い。会ってすぐの暴走で口走った内容や、ピンクで可愛い系のパジャマを持つ霧島に「ギャップ萌えでハートを鷲掴みよ」とか言われた時にこっちを窺うに見た視線が……結局それを着てるし。

 もしかして難聴鈍感系主人公の一部は、自分がモテるわけがないと思い込むことでこんな悩みを回避しているだけだったりするんだろうか……?

 

「それでは、明日も予定がいっぱいですし、お休みしましょう!」

 

 元気に言われると、ほんと困るな……お休み(睡眠)なのか、お休み(意味深)なのか。布団がぴったりくっついているあたり、本気で誘惑を疑いたくなるぞ。

 でも、いくらなんでも初日から意味深は無い、よな?

 

「そう、だな。明日も朝から予定があるし、いきなりこんな事になったから、精神的な疲れもあるかもしれない。

 休める時に、きちんと休まないとな」

 

「はい、提督。

 それでは照明を消しますね」

 

 ……うん、残念そうな気配はない、気がする。

 だけど、布団に入ると、静かすぎて、榛名の呼吸の音がすごく近く聞こえるんだが。

 実際の距離もかなり近いし、これは、あれか。

 明日の朝には抱きしめられて胸に顔を埋めるのを期待していいフラグ……じゃない。結局気になって眠れずに睡眠不足になるフラグだ、これ。




何とか、こっちも区切りまでは書けました。
一応、次話は掲示板の予定。いつになるかはお察しください?
なんというか、進みが遅いので、話の中と現実の艦これの乖離が進みすぎですね。
あれです。2期になっても榛名はかわいい。


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掲示板2

とてもとても間が空きましたが、仕方ないね、チラ裏だもの
今後も気が向いた時にちょっと書いて、投稿できる量になったら放出する形になります
まあ、全然進んでないんですけどね


艦娘の井戸端1630本目

[制限:艦娘のみ]

[名前自由+国]

 

1.匿名希望さん[フランス]

海で戦う仲間として、似た境遇の同類として。

非公式な情報交換や、アイデアの検証などをしましょう。

たまには愚痴をこぼしてもいいですよ。

 

 ─ ─ 略 ─ ─

 

43.匿名希望さん[提督ギルド]

新人さんもだいぶ来ましたね

更ににぎやかになりそうです

 

44.匿名希望さん[フランス]

提督や将軍よりも絶対的な人数が多いからね

少し減速したのは、提督への説明が終わったから?

 

45.匿名希望さん[日本]

ギルドの人が帰って、夕食の準備中

さすがに食事中に掲示板を見るのは無理かな?

 

46.匿名希望さん[アメリカ]

こっちのギルドの人は徹夜で大変っぽい

提督はまだ寝てるし、日程の伝言を聞いただけっぽい

 

47.匿名希望さん[ブラジル]

予定表の紙だけあって、まだ誰も来ていないけれど

とりあえず、提督ギルドなるものが国として扱われている詳しい説明が欲しいですね

 

48.匿名希望さん[日本]

俺の嫁をいじめるなって提督が、

独立して作った組織の本部が、

宝珠の掲示板では国として扱われている

うん、詳しい説明が欲しくなるよね

 

49.匿名希望さん[グリーンランド]

独自の法治体制を作っている八丈島が日本かというと……

ここも本来はデンマークだし

 

50.匿名希望さん[ブラジル]

自治領みたいなものでも、独立性が高ければ国扱いですか

 

51.匿名希望さん[日本]

鎮守宝珠は独立国扱いなのに外の国の名前が出てるし

適当というか大雑把というか

 

52.匿名希望さん[ドイツ]

国際組織に国に近い組織として対応しているかどうか、が基準だと思うわ

EUにデンマークは加盟してるけどグリーンランドはしてないとか

国際連合に提督ギルドとして加盟してるとか

 

53.匿名希望さん[香港]

ここは何と出るのでしょう?

 

54.匿名希望さん[香港]

おや、独立扱いですか?

 

55.匿名希望さん[タイ]

あの国は魔法と制海権と人が住まない土地を失ったから

更に現在進行形でも失っているから

 

56.匿名希望さん[ベトナム]

おかげでこちらは増員出来たので助かった面もあります

不足している生活用品もありますが

 

57.匿名希望さん[カナダ]

不足しているものが多いこちらの地域に、愛の航路を

 

58.匿名希望さん[エジプト]

運河は、死守しています

 

59.匿名希望さん[パナマ]

死守しても通る船が少ないデース

 

60.匿名希望さん[マレーシア]

生産に関する直接的な技術と設備の差、でしょうか

カナダはアメリカが近いですし、そちらを頼る方が早いと思いますが

 

61.匿名希望さん[日本]

すみません、質問です

夜の視界が確保できるようなスキルはどのようなものがありますか?

あと、効果はどの程度期待できそうでしょうか?

 

62. 匿名希望さん[提督ギルド]

暗視や熱視など、でしょうか

艦娘であれば夜戦が有利になり

艦載機の妖精が持てば夜間攻撃が可能になる可能性がある

程度にもよりますが、それなりに有用です

なお、海上だと音響探知の類はあまり役に立ちません

 

63.匿名希望さん[フランス]

ただ、夜に有利なスキル持ちは大抵昼が弱くなるスキルもあるから注意ね

昼と同じレベルで動けるわけじゃないらしいし

沿岸や近海の夜間警備にはすごくいいけど、遠征には不向きかな

あと、同じ称号でも効果が違ったりするから、聞いた話をうのみにしない事も大事よ

 

64.匿名希望さん[アイスランド]

夜戦っ!?

 

65.匿名希望さん[アメリカ]

夜に強いって、何だかえっちっぽーい

 

66.匿名希望さん[パナマ]

拠点防衛には最適デース

 

67.匿名希望さん[エジプト]

こちらに来られるなら、歓迎します

あと、効果が違うと言っても、全く異なるという話ではありません

程度の差と言える場合が殆どです

 

68.匿名希望さん[グリーンランド]

能力を持っているのか、持っている人を探しているのは聞かないけど

他のスキルとの相性も大事だし、即有利というわけじゃないのは覚えておいて

 

69.匿名希望さん[日本]

なるほど、わかりました

提督達と相談してみます

ありがとうございます

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 

【もっと】魔法を使いたい849回目【情報を】

[制限:なし]

[名前自由+国]

 

1.匿名希望の魔法使いたいさん[日本]

魔法について、情報交換をしましょう

特に艦娘・隊息が使う方法を大募集

既知の方法:称号持ち、魔導具(誰でも可のもの)

 

 ─ ─ 略 ─ ─

 

318.匿名希望の魔法使いたいさん[アメリカ]

その点、異界の連中はいいよな

契約の時に適性のある魔法の系統がある程度わかる場合があるんだから

 

319.匿名希望の魔法使いたいさん[カナダ]

設備を借りると、設備の持ち主の適性がわかる

実に嬉しくない

これが嬉しいのはストーカーやスパイくらい

 

320.匿名希望の魔法使いたいさん[イタリア]

パパラッチを忘れてはいけない

 

321.匿名希望の魔法使いたいさん[シンガポール]

提督ギルドに、魔力を鍛えるために魔法を覚えるように言われました

契約の魔法陣は割と一般的なもので特別な適性は無さそうとの事です

お勧めは何でしょうか

 

322.匿名希望の魔法使いたいさん[カナダ]

今回の新人かな?

飛行など移動が楽になるものが日常的に使いやすい

転移は規制やらが厳しいから要注意な

 

323.匿名希望の魔法使いたいさん[タイ]

いや、シンガポールの狭さだと移動魔法の恩恵は薄いはず

提督なら移動範囲の制限もあるし、好きなゲームの回復魔法がいいと思う

艦娘治療の時間や費用などを節約できるだろうし、ゲーム系魔法の即効性は魅力的

 

324.匿名希望の魔法使いたいさん[アメリカ]

魔力を鍛えるだけなら、若返りの魔法があるものがお勧め

比較的情報があって難易度が低めなのはソーサリアンとかいうゲームのもの

腕と信用があれば収入源にもなる

若返る詐欺が多いから信用はとても大事だ

 

325.匿名希望の魔法使いたいさん[インド]

ネギまの魔法、特に念話の魔法は良いものです

携帯電話が通じない場所で大活躍です

仮契約は……評価したいので艦娘を私にください

 

326.匿名希望の魔法使いたいさん[イタリア]

>>325 なんで艦娘限定なんだよ

そこそこの鑑定が使えると、生活に困らない程度の収入は楽に得られる

凄い鑑定が使えると、世界がこうなる前なら大金持ちになれた

 

327.匿名希望の魔法使いたいさん[日本]

お金の価値が以前より低いというか、生活必需品の現物が重要になってるから……

とりあえず【魔法/もみもみ】を得た私は肩こりから解放されたので、お勧めしておきます

 

328.匿名希望の魔法使いたいさん[台湾]

称号のもアリなのか? 頑張れば似たようなのは使えるようになるらしいが

それなら【魔法/探し物は何ですか】なんてどうだ

要するに近距離サーチ、どこに置いたか忘れた物を見付ける便利魔法だ

近くにない場合は踊る羽目になる欠陥はあるが

 

329.匿名希望の魔法使いたいさん[ドイツ]

ちゃんと使える魔法を薦めろよ

【魔法/塵も積もれば】なんかいいぞ

掃除がかなり楽になる

 

330.匿名希望の魔法使いたいさん[提督ギルド]

それではそろそろ称号系の本命を

【魔法/きれいきれい】が良いです

手洗い入浴掃除洗濯が魔法一発で解決します

 

331.匿名希望の魔法使いたいさん[日本]

洗浄魔法はものぐさにとって最高だけど、難易度も高いじゃないですか

楽するための努力は惜しまない人向けですよ

日常的に使うにはよいものですが

 

332.匿名希望の魔法使いたいさん[ベトナム]

ノベル系の水を出す魔法がいいよ

いつでもどこでも安全な水が使える安心感がたまらない

 

333.匿名希望の魔法使いたいさん[ロシア]

気候耐性を上げる魔法

冬に外に出ても凍死する心配がなくなった

熱い地域なら夏の外出でも安心できるようになると思う

 

334.匿名希望の魔法使いたいさん[アメリカ]

お前ら、ストレージやアイテムボックスなどの倉庫系を忘れているぞ

当局の目が厳しくなること以外は素晴らしいものだ

 

335.匿名希望の魔法使いたいさん[日本]

密輸や窃盗を疑われるんですね分かります

提督で自力習得を目指すなら、【能力/しんでしまうとはなさけない】の効果を是非

轟沈艦娘の魂を少しでも回収できる可能性がある、最後の切り札

習得出来たら教えてほしい

 

336.匿名希望の魔法使いたいさん[イタリア]

お前さんも使えないのかよ

欲しい魔法だけど

俺にも教えてほしい

 

337.匿名希望の魔法使いたいさん[エジプト]

ここまで召喚魔法無し

お前らいいやつだな……

 

338.匿名希望の魔法使いたいさん[シンガポール]

つまり、ケースバイケースだからよく考えろ、という結論で良いのでしょうか



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