(桃音@まゆすきp)
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夢を見た。

ふわふわと、ゆったりと墜ちていく夢。

 

屋上から飛び降りた私を、地面が待っている。

そんな夢。

 

ふかふかのお布団から落ちたところで目が覚めた。

 

 

私はどこでも眠ってしまう。

 

起きた時、自分がどこで寝てしまったのかわからない時もある。

朝、起きれない時もある。

独り暮らしだから、私を起こす人もいない。

 

ふわふわ漂うような、不思議な感覚の中で私は眠ってしまう。

 

起きなきゃ。嫌。まだ寝ていたい。

でも、起きなきゃ。寝てたい。

 

夢を見た。

 

屋上に私がもう一人いる夢。

もう一人の私はにこやかに手をふっている。

 

「さぁ、ずっと眠って。この身体は私のモノよ。」

 

起きなきゃ。起きなきゃ。起きなきゃ。起きなきゃ。起きなきゃ。起きなきゃっ!

 

もう一人の私はとんっと、私を突き落とす。

 

ふわふわと、ゆっくりと墜ちていく。

 

 

 

起きたら、先生が呆れた顔で私を見ていた。

 

ばしゃばしゃと水で顔を洗う。

なんで、こんなに眠いのだろう。

目の前の鏡を見つめると、鏡の中の私がにんまりと微笑った。

 

眠りたくない。

 

私はカフェインをとるようになった。

 

それでも、うとうとしてしまう。

夜、裁縫中にうとうとしてしまったせいで、針で左手の人指し指を突いてしまった。

 

ぷくっと紅い丸が広がり、つつっと指から滴り落ちる。

 

あぁ、なんて綺麗なんだろう。

 

眠くなり、針を落としてしまう。

 

気が付けば、自分の部屋のベッドに寝かされていた。

 

おかしい。

私を動かしたのはだれ?

 

ふと、鏡を見ると、にこやかに笑う私がいた。

 

「さぁ、その身体を頂戴。」

 

私は気を失うように、眠ってしまう。

 

 

また夢を見る。

 

もう一人の私が楽しそうに鏡を割る。

 

割れた鋭い欠片を手に持ち、くるりとこちらの方へ向くと

 

 

 

「じゃあね。身体、ありがとう。」

 

 

ぐさりと、私を刺した。

夢なのに痛い。

 

痛くて、痛くて。

 

 

目が覚める。

 

 

「あれ?」

 

 

 

全ての鏡が割れて、なくなっていた。

 

手のひらは傷だらけ。

 

鏡が割れたのは、夢の中でだったはずなのに…?

 

自分の身体に触れると、嫌になる程に冷たい。

 

 

 

 

 

 

まるで死者のような冷たさだ。

 

 

 

 

 

 

こんなの私じゃない。

 

 

 

 

 

私の身体はどこ?

 

 

 

 

 

私ノ身体ハドコ?

 

 

 

 

 

 

冷たい身体を抱き締めながら泣き出す。

 

私の身体をかえして。

かえして。かえして。かえして。

 

ドアが開き、もう一人の私がにんまりと笑う。

 

「ありがとう。これで…アナタは用済みよ。」

 

ぱたんとドアが閉まる。

 

 

 

 

私は立ち尽くした。

 

 

 

 

 

絶対に許さない。

 

 

 

 

 

目が覚めて、また夢を見ていた事に気が付く。

 

手のひらに傷なんてなかった。

鏡も割れていない。

 

ほっとして、鏡を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度コソ、身体ヲ頂戴。




夢を見る事が怖いときってありますよね。

衝動的に書いた作品です。おやすみなさい。


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