レオナルドに憑依したので好き勝手やろうと思う (nyasu)
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レオナルドに憑依したので好き勝手やろうと思う

そこは深い深い森の中、人が入れば迷い込むようなそんな場所。

そんな森の奥地にある人工物には少年と少女がいる。

 

「朝なのよ、れおなるど!朝は起きなくてはいけないのよ、鮮やかな紅茶にスコーンが私達を待ってるわ」

「おいでアリス、俺は眠い」

「もうっ、いけない人!仕方ないわ、えぇ仕方ないのよ。少しだけなんだからね」

 

うんしょっと、声を出しながらよじ登るようにベッドに少女は乗り上げて、布団の中に入る。

その顔は満更でもないのか満面の笑みであった。

 

「あぁ、人生で素晴らしき功績はアリスという存在を生み出した事だろう。安寧最高、二度寝大好き」

「お馬鹿な人、褒めても何も出ないのよ」

「そうだな、うん、そう思う、じゃあそういうことで」

「もー、もーもーもー、生返事だってお見通しなんだから」

 

いやいやいや、と腕の中で少女が暴れるので離してやる。

すると、どうだろう。

少女は、俺の身体を揺するではないか。

やめろアリス、その起こし方は俺の睡眠を邪魔している、つまり効く。

起こそうとし、一頻り行動したがアリスは諦めて食事を取りに行った。

リビングには足の生えたリンゴの木があり、それが朝食となるのだ。

小さな体には十分なのだろう、リンゴで満腹になるんだからな。

他にもリビングには、確認できてないが無限に乳が出せるようにした牛、金の卵を産み出す鶏、食べられても復活する羊などがいる。

全部、アリスが作り出した存在だ。

いや、アリスではなくナーサリーライムが正式名称なんだけどな。

 

「坊っちゃん、朝でございます。今朝は、ロンネフェルト製の茶葉が手に入りましたのでスコーンとご一緒に如何でしょうか?」

「おいおい、日本じゃ購入するのは難しかっただろ。それと、セバスチャンが俺の下に来るなんて何か企んでる気がするんだが……またネコか、ネコを拾ってきたんだろ」

「流石坊っちゃん、私のことはお見通しという事ですか」

 

暗い暗い闇の中、正確には布団の温もりの下、俺は聞こえてきた悪魔のような美声に返事する。

まぁ、その声の主は正真正銘悪魔ではある。

仕方ないなと、布団から半分顔を覗かせれば眩しい笑顔が広がっていた。

ピシッと黒い執事服を着こなす、黒い髪に魅惑的な赤い瞳の青年。

悪魔で執事である、セバスチャンである。

そのセバスチャンの白い手袋の上には、黒い猫がぐったりとした状態で寝ていた。

なるほど、コイツの撫でテクにやられたと把握。

 

「君って奴は、これで何度目かね。僕ぁ、うんざりするほど猫を飼ってるよ」

「おやおや、そうあれかしと創造したのは我らが父である貴方ではありませんか」

「やめろよ、そういう大袈裟な言い回し。あー、目が覚めてきたぁ……起きるか」

 

喋ってたら眠気も吹き飛んでしまったので、俺は布団ごと起き上がる。

布団から出るとか、頭悪すぎ。

布団を身に纏えば眠くなった時、横になっただけで寝れるんだもんな。

 

「やれやれ、坊っちゃんはバカでございますか」

「お、重い……トールを、トールを呼んでくれ」

「トールは生憎、アリスの面倒を見ているので呼んでも来ませんよ」

 

神は死んだ、目の前にいるのは悪魔である。

えー、男に持ち上げられるとか趣味じゃないんですけど……。

そのままゴロゴロ転がる事で移動を開始する。

逆に考えたんだ、起き上がらなくてもいいやって。

 

「大変だわ、布団が動いているのよ。まぁ、まぁまぁ、れおなるどってばまた転がってるのよ」

「おっはようございまーす、小林さん!小林さんも、お茶会ですか」

「おい、僕の名前はレオナルドだ。ただのレオナルド」

「はい!つまり、小林さんですね」

「おいぃぃぃぃ!何でだよぉぉぉぉぉ!おかしいだろ、小林レオナルドって変だろ」

「素敵です、最高に素敵だと思います」

 

俺は思わず、目の前にいる知性を胸に奪われたかのような巨乳メイドにツッコミを入れる。

因みに大きさはDだ。ドラゴンはDカップ、古事記にも書いてあるらしい。

そんな胸の大きいメイド、因みに正体はドラゴンは頭がおかしい。

いや、俺のイメージが彼女を変えてしまったのだろう。

すまない、小林さん好き設定で作ってしまってすまない。

 

「あぁ、お腹は空いたけど食べるのダルいわ」

「つまり食べさせれば良いんですね」

「小林さん呼びさえ無ければな」

 

ウチの巨乳メイド、トールちゃんが俺の口に食事を運んでくる。

でも、ちょっとまって欲しい。

スコーンばっか食わされると、喉がパッサパサになるんやけどそこんところどう思う?

 

「飲み物ですか?」

「ちょ、熱そうだから近づけ、アチチチ!?お前、わざとやってんだろ!」

「やってませんよ」

 

この子は、あれだよ。

創造主に対する敬いって物が足らないんだと思うんだよ。

俺がそんなことを思いながら食事をしていると、何やらアリスがソワソワしていた。

その視線の先には、猫がいた。

猫である、子供は猫が大好きだって分かんだね。

なお、子供じゃなくても猫は好き。

 

「黒い、黒い猫だわ。きっと、チェシャ猫のように笑うのよ」

「これアリス、彼女は怪我をしていたのです。死ぬほど疲れてるので、騒がないで下さい」

「せばすちゃんは意地悪だわ、そんなに私うるさくないのよ、本当よ?」

「ですが、休息が――」

 

セバスチャンが言葉を止め、ふとどこか遠くを見る。

俺には分からない、何かを感じているようだった。

因みに、森の支配者であり森を作り出しているアリスも何か気付いていた。

 

「おいおい、普通の人は近寄れないようになってるんだろ?」

「えぇ、ですから普通ではないのでしょう」

「下等生物が、私達の庭に踏み入れるなんて……」

 

ウチのメイドがおこだった。

もう、ゴキブリを見つけた時と同じくらいには嫌そうな顔をしている。

まぁ、庭に侵入者がいるという状況が虫を見つけた状況に近いんだろう。

俺には分からない感性だが、どうでもいい存在を虫ケラ程度に見てるからな、彼女ってば。

 

「さて、どうしましょうか坊っちゃん」

「任せる、よきにはからえ」

「……イエス、マイロード」

 

セバスチャンが笑みを深めて、その場から消え去った。

誰だか知らないが、御冥福をお祈りします。

 

「しかし、ここに来るとは結界を突破してくる何かがあるってんだろうな」

 

恐らくは、アリスが知らなかった猫。

アリスが知らないと言うなら、創造していない生物であるということだ。

なら、その猫は外から来たということになる。

 

「嫌だ嫌だ、俗世の厄介事が舞い込んできやがった。ウチのメイドが原因じゃないのかなぁ。ほら、ドラゴンって争いごとに縁があるってこの世界では言うらしいしさ」

「えー、私のせいですか。ひーどーいーでーすー」

「ええい、引っ付くな。布団が暑いんだから、暑苦しいでしょうに」

 

とはいえ、誰が何の目的で猫を追いかけてきたか興味がある。

アリスには鏡を作って貰い、そこに魔術を施す。

この世界に存在する魔術というのは、奥が深くて中々面白い。

あと、便利である。こういうふうに遠見の魔術とか覗きしやすいからな。

 

「ふーんふーんふーん、おやおや、コイツは面白い事になってるね。この世界の、悪魔だなアレは」

「コウモリさん達が群れているわ。まぁまぁ、みんなでお茶会を開きましょう、きっと楽しいのよ!うふふふっ」

「ダメですよアリス、大抵の悪魔は調子に乗ってて目障りなだけですからね。きっと、つまらないですよ」

「そうかしら?そう、それなら残念ね」

 

しょぼーんとするアリス、現実は非情である。

さぁ、我が胸に飛び込んでこい慰めてやろう。

えっ、嫌だ?現実は非情である。というか、俺に厳しすぎる。

 

「私も、私も見たい」

「ほれ」

「セバスチャンがお話してるわ。でも、楽しそうではないわね」

 

そうかそうか、と俺もセバスチャンの様子を見ることにした。

悪魔達は、背中にコウモリの翼を着けたオッサンに見えた。

何ていうか、失敗したバッドマンのコスプレに見える。

トールが口の動きから、何を喋ってるのか言葉を拾ってくれる。

 

「これはこれは悪魔の皆様、我々の領地に何か用でございますか?」

 

セバスチャンがニヤつきながら問いかけた。




ナサリーライム(アリス)

FateシリーズのゲームFate/EXTRAで登場したサーヴァント。
Fateシリーズでは、聖杯戦争という魔術儀式が行われている。
聖杯戦争、それは七人の魔術師(七人とか言ってるけど八人目とか最大で十四人とか十五人とか、ぶっちゃけキノコの発言を信じてはいけない)による儀式の名称である。
聖杯(炊飯器とかキャラを強化するアイテムとかの場合もある)と呼ばれる願望を叶えるアイテムを魔術師同士がサーヴァントと呼ばれる過去の英雄や伝説の登場人物を降霊術に寄って呼び出して戦わせながら奪うのが聖杯戦争である。
なお、召喚に関しては細かい制約はあるのだが気にしてはいけない(東洋の英霊とか神霊は呼び出せないとか、そんな設定はなかった。なお最近では悪霊から法螺話まで、取り敢えずなんでも召喚できる感じになってる)

ナサリーライムは、そのFateシリーズにおける月の聖杯戦争に登場したサーヴァントの一体である。
他にも冬木とかルーマニアとか色々あるので興味がある人はアニメを見よう。

ナサリーライムはマスターの"ありす"とそっくりな、黒い服を着た少女。ありすからは「アリス」、もしくは「あたし」と呼ばれる。

続編『Fate/EXTRA-CCC』では、BBに蘇生されたマスター・サーヴァントとして再登場。初対面の際は顔見せのみだったが、物語後半で再登場した際はメルトリリスの"仕打ち"を受けてしまい、ダンジョンの該当ステージ内全てのザコエネミーが"アリス"となってしまう異常事態が発生した(イベントを完遂し彼女を"解放"すると元のエネミーに戻る)。
なお、wikiのまんまである。

ありすと同じような無邪気な言動ではあるが、聖杯戦争に参加している事を理解しており、ありすの願いを叶えつつ、プレイヤーを確実に殺しにかかってくる。でも可愛いから許せ。

一見するとマスターであるありすの色違いにしか見えない外見も、金属の光沢を持ち周囲の光景が映り込むドレス(EXTRA作中でも描写されていた)や本物の球体関節の手足(EXTRA material 79頁のありすとの肘関節の描き分けを参照)など、人ではない事を強調したかのようなデザインになっている。
名前を奪い、存在を消去してしまう固有結界「名無しの森」を始め、外見に似合わぬ凶悪な能力を多数保有する。

実在する絵本の総称「ナーサリーライム」。わらべうた。絵本のジャンル。
おとぎ話の概念が、子供の夢を守る英雄としてサーヴァントになったという特殊な存在。言ってしまえばおとぎ話の化身。サーヴァントが固有結界を作るのではなく、固有結界そのものがサーヴァント。

固有の姿を持たず、マスターによってビジュアル・能力を自由に変化させる。
今回はマスターである「ありす」の愛読書であった「不思議の国のアリス」と「自身が物語の主人公だったなら」という望みから、この様な姿をとっている。

FGOと呼ばれるスマホゲーム(噂では日本国民の三人に一人がプレイしている)では、他のょぅじょ達との会話が楽しめる。
趣味が解体するだったり、趣味がサンタだったり、趣味が拷問な幼女や鬼の友達がいる。
ゲーム内で出て来るアンデルセンと呼ばれる童話作家とは童話の結末に対して熱い議論をかわしたりする。
それが見たければ今すぐダウンロードしておこう。

見た目をイメージするならば、黒いゴスロリを来た銀髪の女の子を想像すると良いだろう。
えっ、当たったのに本だった?
そんな君は霊基再臨させれば可憐な姿が拝めるぞい。
作者のオススメは、ジャックでスターを稼ぎ、ジャンヌ・ダルクオルタリリィで回復し、クリティカルで戦うだ。

そんなパーティーで大丈夫か?
大丈夫だ問題ない、たとえネタパーティーでも、最初に可愛いと思った気持ちに間違いなんて無かった。


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悪魔っていうかモブだよな

悪魔というものは、何というかこうコウモリの翼を広げて、それでいて人に近い見た目をしているが確かに異形で、なにより全裸な感じが化物っぽいと思うのだが、なんで服を着ているのか。

そもそも、人を見下していながら人の姿をしているのが良くない。

もっと悪魔なら悪魔らしい姿をしていて欲しい。

具体的にはデビルマンみたいな感じが良いんだよね。

いや、別に人型でもいいんだけどさ。

だとしたら、人の皮を被ったというか人らしくない一面を見せてほしいのだよ。

 

「つまり、なんか嫌だ」

「小林さん、急にどうしたんですか。脈絡がない発言だったんですけど」

「だから小林じゃねぇよ、レオナルドだよ」

 

まぁ、それは置いといてセバスチャンの様子を見ようではないか。

結果は分かりきっているが、面白い見世物には違いないからな。

遠見の魔術の先で、セバスチャンに相対した悪魔達が怪訝な顔をしている。

まぁ、森を歩いていていきなり話しかけられたらそんな顔をするだろう。

 

「な、何者だ!」

「あぁ、これは失礼。私はレオナルド様に仕える執事、セバスチャンと申します」

「執事だと?何故、このような場に、そもそも我々の領地とはいったい……」

「言葉通りの意味ではございますが、どうやら理解できなかったようですね」

 

残念そうな顔をするセバスチャン、その顔が既に煽りなのだが無自覚なのか意識的にしているのか。

言葉を発する間もなく、悪魔の一人がセバスチャンに魔法を放った。

光る球体が、セバスチャンの身体を穿つ。

吹き飛び、木にぶつかるセバスチャン。

あぁ、まったく悪趣味だな。

 

「フン、なんだったんだコイツ」

「それよりここらにいるはずだ、探すぞ」

「おい、ちょっと待て……今、動かなかったか?」

 

悪魔の一人が近付いてセバスチャンの死体を検分する。

ゆっくりと、その身体に手を伸ばし、しかしそれは阻止される。

 

「ッ!?」

「やれやれ、最近の悪魔も質が落ちた物ですね」

「なんで生きて、いぎゃぁぁぁぁ」

「おっと失礼、力が入りすぎましたか?」

 

その手は、セバスチャンが掴んだ事で阻止されたのだ。

セバスチャンは掴んだ勢いのまま、オッサンのような悪魔の腕を軽く握り潰す。

悪魔は、腕を抑えて脂汗を上げながら跪いた。

慌てて迎撃体制に入る悪魔達、余裕がないなぁと眺めながら思う。

 

「無断で侵入した挙句、このような狼藉を働かれては当家としては然るべき対応をしなくてはいけませんね」

「貴様、自分が何をしたか――」

「喋っている暇などございませんよ」

 

わざと死んだふりをして、その後に痛めつけるように嬲るなんて遊んでいるのが見て取れた。

セバスチャンは立ち上がると同時に、軽く魔法の攻撃を避けながらどこからかナイフを取り出して投げ付ける。

 

「いぎゃぁぁぁ!?」

「この程度で、悲鳴を上げるとは貧弱ですね」

「何をしている、殺せ!早くしろ!魔法だ、魔法を撃て!」

 

悪魔達が思い思いに魔法を放つ、魔力を固めただけのアレを魔法と認めるのは実に癪に触るがそれを難なくセバスチャンは避けていく。

そして、避けながらナイフを投擲。

ヘッドショット、相手は死ぬ。

 

「分かりきっていた結果だが、それなりに楽しめたかな」

「れおなるどは意地悪なのよ」

「知ってる、人の嫌がる様を見ると楽しいんだから仕方ない」

「うわぁ、ドン引きです」

 

俺の性格が最悪なのは自覚はあるが、別に悪いことじゃないだろう。

少なくとも、悪魔なんて悪事しか働かない奴らが苦しむ様を見て楽しんでるだけだ。

コロッセオで剣闘士の戦いを見て楽しむのと違いはない。

 

セバスチャンは、森に侵入した悪魔を捕まえて俺達の前に持ってきた。

恐らくは、アレだろうな。どういう目的かどうか聞いておこうとかそんな理由だろう。

 

「さて、一人いれば充分でしょう。いえ、一匹でしょうか」

「貴様!この私にこんな事をして、タダで済むと思うなよ」

「おや、立場という物が分かっていないようですね」

 

俺達の目の前にいるのは五体不満足、ボコボコになった状態で拘束された悪魔だ。

生殺与奪と言うものを握られているのに、態度が悪いのはきっとリアリティが足りないのだ。

想像力の欠如と言ってもいい、こんなのは物語じゃよくある事なのに、在り来りの展開なのにだ。

物語と現実は違う、だから物語みたいに殺されないとでも思ってるのか。

あるいは、そういった物を知らないだけか。

 

「こういう奴を見るとさ、やっぱり現実味がないなって私は感じるんだよ」

「何者だ、貴様が指示したのか!」

「何者かなんて哲学的だね、種族は人間かな。人間でアレばいいけれど、化物でもあるかもね。いや、そういう話は置いといて、どうしてここにやって来たのか教えてくれよ」

「下等生物が、今すぐ私を開放しろ!そうすれば、命だけは取らないでやってもいいぞ!」

「俺、話を聞かないやつは嫌いだ」

 

いや彼には罪はないのだろう。

そうあるように、作られた存在なんだと思う。

俺も創る側の人間だから理解できるが、ここまで低能にした意図が分からない。

多分、モブとかそんなんなんだろうな。

 

俺の影が揺らめいて、中から複数の眼球が現れる。

そして、渋い声が発せられた。

 

「オーダーだ、オーダーを寄越せ主。もう、それは入らないだろう」

「手足だけ、首とか上は残してくれ」

「いぎゃぁぁぁ!?ひぃ、ひぃあぁぁぁぁ!」

 

クルリと腕を影が包むと、その腕は千切られる。

同様に、足も千切れた。

俺の影に潜む奴が食べたからだ。

 

「悪い子はお仕置きされるのよ。でも、れおなるどは意地悪だから、やり過ぎだと思うわ」

「そうかそうか、子供がこういうのを見るのも悪いことだと思うぞ」

「みーてーなーいー」

 

横から口出したアリスは俺の言葉を聞いて、目を覆いながら逃げ出した。

俺も慣れすぎていて、忘れていたけどグロイのは子供に見せるものではない。

それはそれとして、俺がやり過ぎというのは心外だ。

悪魔なんだから、生命力が強いんだ。

人間で行ったら、爪を剥いだみたいなもんだろ。

 

「んでさぁ、もう立場とか分かっただろ。ほらキリキリ吐いて、ほら目的は?」

「黒歌だ!SSランクのはぐれ悪魔を追っていた」

「へー、もしかして猫だったりする?」

「貴様!やはり、貴様が――」

「食べていいぞ」

 

喋る間もなく、悪魔は影に飲み込まれる。

食われてしまったのだ、だから喋れなかった。

それにしても、悪魔だけど猫なのか。

いや、猫だけど悪魔とでも言えば良いのか。

 

「おい、あの猫はどこにいる?」

「今は七実が見ています」

「連れてきて」

 

俺の命令で、治療されていた猫が連れてこられる。

退屈していたから丁度いい遊びになりそうだ。

 

「あらあら、レオナルドに目を付けられるなんて運が悪いわね、いえ運が良いのでしょうか」

「そりゃ、良いに決まってるだろ」

「そう思うのは、貴方だけかもしれませんけどね」

 

俺は寝ている猫に視線を向ける。

否、寝ているフリをしている猫に向けての方が正しいか。

黒歌か、そういえばそんな名前があったと思いだしたのだ。

これは使えると考えてしまうのは仕方ないだろ。

 

「さぁ、起きてもらおうか黒歌。自分は退屈しているんだ、いつまでも寝たふりは困る」

「……いつから、気付いていたの」

「そんなに震えていたら誰だって気付けるさ。それより、人の姿になってくれないか」

 

黒歌は指示に従うように、猫から人の姿になる。

勿論、全裸の猫は全裸の人間になった。

流石、名前も役割もあるキャラなだけがある。

下手なグラビアアイドルやAV女優より素晴らしいエロさだ。

あれ、エロ漫画の世界だっけか。

取り敢えず、スゴイおぱーいだと思う。

 

「うわぁ……」

「不愉快だわ」

「えっちぃのよ」

 

女性陣から冷たい視線が注がれる。

いやぁ、不可抗力って奴だよ。

こんな風に、裸になるなんて気付かなかったなぁ~。

 

「中々だな、そう思うだろセバスチャン」

「あまりよろしくない趣味かと」

「男はみんなエロいことしか考えてないんだよ!」

 

いいよいいよ、どうせ同意は得られないとは思ってたからな。

それにしても、良いからだしてるな。

これは同人誌不可避ですわ。

 

「おし、俺は決めたぞ。お前を、抱く」

「ッ!?」

「その代わり、願い事を一つだけ叶えてやる。例えば……」

 

俺は唯一知っている知識を口に出す。

 

「妹に会うとか?」

 

黒歌が唇をギュッと噛み締めながら、頭を下げた。

何ていうか色々な葛藤を飲み込んだ感じがエロくていいな。

 




セバスチャン・ミカエリス 枢やなの漫画作品『黒執事』に登場する人物。

原作ではファントムハイヴ家の執事をしている。

以降、wikiより

瞳は紅茶色。黒髪。身長186cm。

品位・教養・武術・料理・容姿など、全てにおいて完璧だが、その物腰は柔らかく極めて謙虚。

ただ、慇懃無礼に毒舌や皮肉を吐くことがあり、シエルにも容赦がない。
家事に関して非常に間抜けな使用人トリオ(フィニ、メイリン、バルド)に対しても慇懃な態度は崩さないが、度重なる失敗を度々フォローさせられていることから、心の中で暴言を吐くことがある。

猫(猫科の虎も含め)好きで、特に肉球を押すことが好き。
正体は悪魔。そのため、人間業では到底不可能なことさえ難なくこなし、人間にとって致命傷な攻撃もものともしない。

決め台詞は「あくま(悪魔)で 執事ですから」「ファントムハイヴ家の執事たる者 このくらい出来なくてどうします?」「御意 ご主人様(イエス マイロード)」。

作中では、ファントムハイヴ家で以前飼っていた犬の名前からシエルによって名付けられた。それ以前の名は不明。
ケルベロスという名の犬を飼っているが、本編には未登場。

ノアの方舟サーカス編では、入団当初から驚異的な運動能力を発揮して当然ながら注目されていた。また、この時点でウィリアムを嫌っているような素振りを見せる。サーカスでの名前は「ブラック」。ウェストン校で教師として潜入した時は、教え方が上手いと他の生徒たちからは非常に好評だった。

原案では七三分けだったが、作者に対して「それ地味じゃない?」という意見が関係者から出たため、髪型をはじめとしたデザインは急遽変更され、連載開始時には現在のセンター分けのセバスチャンとなった。

アニメでは「犬は嫌い」と発言している。第1期最終話では、真の姿(本人曰く「無様で醜悪でえげつない」)を現したが、ヒールのような足元を除いてその姿は黒い影に包まれていた。

執事キャラと言って真っ先に浮かんだのがセバスチャンであった。
ヴァンルケンハインも浮かんだが、お爺ちゃんというよりはセバスチャンの方が浮かんだのである。


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自重とかエロいことの前には存在しなかった

「あー、俺は最低だぁ……」

 

朝起きて、第一声がこんな台詞だとはな。

横を見れば、スヤスヤ寝ている美女がいる。

まるで二次元の世界から飛び出したような美女だ。

因みに尻尾は本物で、擦ると感じちゃう美女だ。

おっと、賢者モードが解除されてきた気がする。

 

「朝から晩までちゅっちゅしよってからに、生体リンクが繋がっている儂の身にもなれという物じゃ」

「つまり、お前も感じてた訳か」

「我が主様は相変わらずゲスというかクズというか、端的に言ってぶっ殺すぞ貴様」

「心の底からごめんなさい」

 

ベッドで、おぱーいを揉んでたら影からヌルっと幼女が出てくる。

鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード。

ではなく、吸血モドキである忍ちゃんである。

そんな忍ちゃんに、ベッドの上で土下座していた。

忍ちゃんはプニプニした足で、俺の頭を踏み付ける。

ありがとうございます、我々の業界ではご褒美です。

 

「今日ほど殺してやりたいと思ったことはない、分かっておるのか従僕」

「主様からランクダウンしたよ。ミスドで手を打っていただけないでしょうか」

「ハッ、そんな物で買収されるほど安い女ではないわ!」

「食べ放題」

「…………今回だけだ、ええいなんだその顔は」

 

チョロいな、忍ちゃんはチョロいなと思ってる顔である。

まったく、俺も欲望には勝てなかったぜ。

 

「まぁまぁ、そう怒るな。若いウチは獣欲を持て余す物だ、股座が熱り立つのも無理もない」

「やったぜ」

 

俺の影からもう一人の住人が顔を出す。

ようやく俺に賛同してくれる方が現れた。

素敵、抱いて、なお本当に抱かれる可能性があるのでこの発言は心のウチに留めておく。

 

「それで、その小娘を助けるのか」

「助けるよ、いや助けないかな。人は勝手に助かるもの、だろ?」

「胡散臭い、言葉に思いが篭ってない。重さがないから、軽く感じる、実に軽薄な発言じゃな」

「そりゃそうだ、俺の言葉じゃないからな」

 

忍ちゃんの問いに、俺はそう応えてベッドに倒れる。

退屈を紛らわす為に、特定のキャラの心情を無視して原作に介入しようかな、なんて考えてるからだ。

 

「痛いのとか嫌いだけど、ほら俺TUEEEEしたいもんじゃん。男の子って」

「知らんし、プリキュアでも見てればいいじゃろ」

「この世界に、プリキュアはないんだよ!」

「だったら作ればいいじゃろ!」

 

その手があったか、なんて思うまい。

だって、俺の知ってるプリキュア初代だけだもん。

まぁ忍ちゃんと話すと、そういう風に作ったからか脱線してしまうから困りものだ。

軽口というか雑談に付き合ってくれるように作ってしまったからな。

軽口だけに、軽やかに口が動くってもんだ。

 

「それで、目星は着いているのかレオナルド」

「駒王町って名前だったはず、そこの学校で悪魔やってんだろ、確かね」

 

その事については、俺よりも黒歌の方が詳しいだろう。

だが、この話題は出さないほうが良かったかも知れなかった。

少なくとも、アーカードの前じゃしないほうが良かったな。

 

「そうあれかしと望まれたとは言え、この怒りだけは本物だ」

「あぁ、悪かったよ」

「人を悪魔に、いや人でなくとも悪魔に変えてしまうという行為を私は嫌悪する。実に、実に不愉快だ」

「化物を殺すのはいつだって人でなければならないじゃったか?儂には分からん、人に殺される時点で化物でもなんでもないじゃろ、それ」

 

あぁ、うん、吸血鬼談義は別の所でやってもらうとしてそろそろ起きないといけない。

色々やることあるし、今まで色々やってたけどさ。

取り敢えず、着替えるかな。

俺は備え付けられたベルを鳴らす。

すると、トールとセバスチャンがやって来た。

 

「着替え」

「その前にシャワーなどどうでしょうか」

「任せた、あっ連れてくのはトールで」

「では、彼女は私が連れていきましょう」

「手、出すなよ」

「…………かしこまりました」

 

一礼して、お姫様だっこで黒歌を連れてくセバスチャン。

さっきの間は何なのか、ムッツリだなアイツ。

トールは俺を俵のように抱き上げて風呂場に連れていき、そしてドバっとお湯を掛けてゴシゴシ洗って、ドバっと流して、ボフッと乾かす。

もう魔法を使ってるけど、豪快すぎてというか繊細さに掛ける感じがドラゴンらしい。

なお、五分も掛からなかった。

 

「風呂入った気がしねぇ……」

「さぁ、ごはんですよ小林さん」

「小林じゃねぇよ、あと尻尾は食べない」

「そんなぁー」

 

カニバリズムな趣味はありませんので、すみませんねぇ。

普通の食事を終えると、アリスが作ってくれた城の玉座の間に移動する。

少女趣味と言うか、あの子は森のなかに城なんか作っているんでね。

まぁ、俺達はそこに住んでるんだ。

でもって、これからすることは自己紹介。

俺のこだわりというか、カッコイイだろうって考えた設定を披露しようと思ってたのだ。

身内だけだと披露しても、意味が無いからね。

 

玉座の間でぐてーとしていると、ドレスアップした黒歌が現れた。

どこにドレスがあったのか、黒いドレスを着ていて似合っている。

その後ろに控えるような形でセバスチャンが着いてきていた。

 

「おはよう、昨日はお楽しみでしたね」

「自分で言うのかにゃ」

「様式美ということで」

 

キョロキョロと周囲を見渡す黒歌。

まだ、中の全容を把握していないから物珍しいのだと判断する。

そんな黒歌は床に座って平伏する。

おっ、王様になったみたいでいいねそれ。

 

「さて、黒歌ちゃんさ。肌を重ねたとは言え俺達の事を知らないじゃん、だからここは自己紹介といこうかと思ってね」

「…………」

「だんまりかよ。ノーリアクションとか、僕は辛いわ~」

 

いや良いんですけどね。

困惑してるってわかってるから、どう話せば良いのかって掴みかねてるんでしょう。

そんな状態を考慮せず話を続けさせて貰うけどね。

 

「私達はね、大罪派なんて名乗っているよ」

「大罪派?」

「そうそう、俺の乏しい知識じゃ確か英雄派とか魔王派とかなんかそんなん合ったでしょこの世界。それに因んで俺達は役割を決めたんだ。ちょうど七人にしてね」

 

アニメとか見てないし、原作も読んでないけど、なんか二次創作でチロチロとそんなの居たなっていう、にわか知識から考えたのだ。

ちょうど、玉座の横に俺が指示した訳でもないのにみんなが並び立つ。

こういうところは、俺の意思を反映してるって事なのかなとたまに思う。

以心伝心って奴だな、たぶん。

 

「七つの大罪には対応している悪魔がいるはずにゃん」

「絶滅寸前の悪魔より、俺らの方が相応しいとかそんな理由付けをしようか」

「明らかに今、考えたにゃん」

「目的の為に手段を選ばない奴らがいるように、手段の為に目的を選ばない奴らだっているさ」

 

名乗りたいが為に、理由を考えるとかね。

 

「さて、この僕ちゃん様が創造主にして強欲担当のレオナルドだ。金も女も地位も名誉も、この世の全てが欲しい。好き勝手やりたい、そんな人間だ。さて、次だが」

 

ペコリと綺麗なカーテシーをアリスがする。

カーテシーってスカート持って軽くしゃがむお辞儀みたいな物だ。

女の子と言うかお姫様とか、そういうキャラがやるアレである。

 

「彼女はアリス。夢の世界に連れ込む怠惰担当だ」

「こんにちは、今度素敵なお茶会でも開きましょう」

「で、そこの横にいるメイドがトール。傲慢担当で実はドラゴン」

「トールです、別によろしくしないでいいですよ」

 

俺はトールの発言をスルーして、今度はセバスチャンの方を指差す。

 

「これが色欲担当のセバスチャン」

「ご紹介に預かりました。小林家の執事、セバスチャンでございます」

「小林じゃねぇよ。レオナルドがDQNネームになっちゃうでしょ」

「はて、違いましたか?」

 

違います。

俺の名前に苗字はないけど、小林とか日本っぽいのはレオナルドって名前からしてアウトだろ。

ダヴィンチとかディカプリオにしろよ、そこは。

気を取り直して、ねぇまだと退屈そうな着物の姉ちゃんを紹介する。

 

「あの人が鑢七実、たまに吐血するけど気にするな。嫉妬担当だ」

「まぁ酷い人。鑢七実です、趣味は……草むしりでしょうか?」

 

一番人当たりのいい自己紹介であった。

さて、残る二人だがセットで紹介しようかな。

 

「でもってあのドーナツを朝から食べてるのが忍ちゃん、大人になれないことに怒ってる憤怒担当」

「たわけ、儂だって血を吸えばチンチクリンから元の姿に戻るわい」

「そうだね、でもってあっちのロリッてるのがアーカード。あの状態をロリカードっていいます、暴食担当です」

「というわけだ、よろしく頼むよ」

 

帽子を軽く持ち上げて挨拶する、渋い。

でも、男の娘だ。

さて、自己紹介は終わりかな。

 

 

 




キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。
化物語『物語シリーズ』の登場人物。
ググったら予測変換で出るくらい有名なキャラ。
もし知らないとしたらアニメを見てない人くらいだろう。
西尾維新を知ってる人はだいたい知ってる、ちゃんと名前が言えたら相当なオタクだと思う。(独断と偏見)

以降wikiより

500年生き続けている、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼。
目もくらむような金色の髪と、シックなドレスに彩られた、血も凍るような美しい姿の女性。性格は高慢で支配的。
人間を食料としてしか見ておらず、瀕死の状態で化物語の主人公阿良々木暦と出会ったときも、当然のように彼の血を要求した。
しかし、血を吸われて死ぬはずだった暦を眷属として生かしたり、阿良々木が捨てたエロ本を拾っておいてくれるなど、意外に優しい所もある。

眷属を造ったのは、完全な姿に戻るため必要だったからとキスショットは語っていたが、暦のことは本当に気に入っていたようだ。
その後、暦とは良い主従関係を築いたが、結局、怪異と人間では全てを理解し合うことはできず決別することになる。

元人間で、今は名前も残っていない小国の貴族の一人娘だった。
外見の美しさだけで皇帝から称号を送られる程の美貌の持ち主で、多くの人間が彼女の美しさを称え贈り物を贈っていた。

しかし、外見だけで判断され内面を見てもらえないことに悩んでおり、そんな彼女の謙虚さに心打たれた魔法使いの老婆が、

『外見が透け通り内面を直接見られるようになる魔法』をかけた。

その結果、外面を上回る彼女の心の美しさに、外面だけを見ていたことを恥じた父は自殺し、 彼女の心に釣り合うものがないと判断した詩人は命よりも大切な手を捧げ、彫刻家は命よりも大切な目を捧げ、 命よりも大切なものがない人間は、自分や家族の命を捧げ笑顔で死んで行った。
魔法を解いて貰おうとした時には既に遅く、キスショットの内面を最初に見た老婆は命より大切な知恵の詰まった頭を捧げ死んでいた。
キスショットが涙を零すと奇跡が起き、切り落とされた老婆の頭が言葉を発した。

「魔性をも超える心の美しさの為に死んでしまう者を、いつか助けられるようになる、その時まで人々から離れ誰とも寄り添わず、一人で生きるように」

老婆の呪いのような忠告を受け、キスショットの孤独な一人旅が始まった。
彼女が吸血鬼となったのは、この少し後のことであった。


後の忍野忍である。

キスショットは、一人目の眷属が自殺して以来四百年間、ずっと自分の死に場所を探していた。
しかし、吸血鬼退治の専門家達に殺されかけたとき、最後に死ぬのが怖くなり、逃げ出してしまう。そして、偶然そこに通りすがった暦に助けを求めてしまった。
その後、自分を助けてくれた暦を死に場所と定め、大きなリスクを負うにも関わらず、彼を生涯二人目の眷属にした。

キスショットの目的は暦に殺されるのと同時に、彼を人間に戻すこと。その為に暦が自分から離れ、敵対するよう誘導した。


暦との戦いの後、当然殺されることを望んだが、キスショットに死んでほしくないという暦の意思により、 影や名前を奪われ、吸血鬼の残りかすとして生きていくことになる。

見た目は成人女性から8才程度の子供に。吸血鬼の能力の大半を失っており、暦と主従が逆転している。
また、暦の血を定期的に吸わなければ存在を保つことも出来ない。ただし暦の血を一定量吸う事で一時的に戦闘スキルや17歳程度の容姿を取り戻す事は出来る。




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ツッコミどころの多い世界だな

やることは簡単だ。

学校に行き、妹を拐って縛る。

縛った上で説得コマンドの連打、相手は仲直りすると言う訳だ。

駒王学園という在り来りな場所にその妹はいる。

町の名前と学校って、多いけど駒王って名前が珍しいから覚えやすいよね。

ひと目で、俺はここが漫画の世界だってわかったぜ。

いや、原作は小説だから漫画ではないのだけれども、つまりは二次元の世界というわけだ。

 

「さて、態々出向いてやったが疲れたな。おい、ちょっとひとっ走り捕まえてきてくれないか?」

「よろしいので?坊っちゃんのお嫌いな面倒事になるかと」

「まぁ、イベントだと思えば楽しめるだろう。今がいつなのかは分からないけど」

「イエス、マイロード」

 

優雅に腰を折り、セバスチャンが校門に入る。

授業中とか知らないし、俺には関係ない。

俺は、しゃがんで自分の影に向かって椅子を要求する。

すると、ポンと椅子が出てきたのでありがたく座らせて頂く。

 

「学校の校庭に、椅子に座るというこの構図。強キャラ感がスゴイ」

 

と、まぁ勝手に思っているのだが真面目に考えると当人は何の気になしにやってるけどシュールである。

こ、これがシリアスな笑いって奴なのか。

 

「やっぱりね、こう一人で喋ってるって暇というかつまらないと僕は思うわけだよ」

「話し相手を求めるにしては些か選択をミスっていると思うがね」

「何だかんだ言って付き合ってくれるアーカードの優しさよ」

 

忍ちゃんは朝だと寝てるし、吸血鬼なのに健康的な朝起きて夜寝るアーカードくらいしか俺の相手をしてくれないのだ。

他の奴らはお留守番だしな。

 

「そこまでよ!」

 

てな訳で、最近のジャンプって微妙なお色気系が増えてる気がするよなとか、この世界にもジャンプってあるだよなとか、でも週刊少年シャンプーとかいうこの著作権を意識したニアミスな感じのネーミングどうなのとアーカードと話していると女子高生が俺の前に現れた。

 

「何がそこまでなのか分からんのだが」

「貴方が何をしようとしてるのかは知らないけど、好き勝手はさせないわ!」

「何言ってんだお前、頭おかしーのか?」

 

上から下まで視線を送り、真っ赤な髪のヤンキーみたいな女だなと思ったりする。

もしくはアニメのキャラに影響を受けたオタクのどっちかだ。

どうせ、お前アイドルアニメを見て、キャラの真似でもするために髪とか染めたんだろ。

現実でその髪の色ってどうなの、と思わずにはいられない。

 

「頭がおかしいというよりは、平日の昼間から不法侵入している事の方がおかしいだろう」

「不審者がいるのに、教師はおろか警備員すら出てこないこの学校のご都合主義な感じ、どうなんだ?」

「悪魔が支配しているんだ、多少のおかしな事もありえなくはないのだろう」

 

俺は目の前の女を無視して、アーカードと雑談する。

普通というか、小説とかだと夜の人が居ない時間帯で色々やるけど俺はそういうの気にしないからこんな時間帯に来てしまったぜ。

魔法とか使えるなら使ってみろよと、原作キャラに喧嘩を売っていくスタイルである。

 

「この私の領地で、好き勝手出来ると思わないでちょうだい」

「おっ、アイツやっと来た」

 

セバスチャンが此方に向かって歩いてくる。

その横には白髪の女の子が付いてくる。

染めてるのって思うけど、多分地毛な感じの女の子。

あぁ、あれが妹さんなんだろうな。

因みに、そんな彼らの後を生徒達が覗き見している。

おい、高校生は勉強しろ。

 

「小猫!」

「あっ……」

「貴方達、小猫をどうするつもり!」

 

頭のおかしい女が再び俺達に話しかけてくる。

子猫って、あぁ確かそんな名前だったな。

可哀想にDQNネームかよ。

 

「チッスチッス、オッス俺レオナルドワクワクすっぞ」

「はぁ?」

「えっ、俺なんか間違った感じ?」

 

とても冷たい目で、威圧された。

おうふ、やめろそれは俺に効く。

セバスチャンがどうやって説得したかは知らないが、なんだか最初から友好度が低いよ。

 

「部長すみません、でも私行かないと」

「どういうことなの、待ちなさい!」

「すいません」

 

目の前で広がるシリアス、どこに行くのってツッコミが入りそうだ。

なんだろう、言葉が足らないってレベルじゃねぇぞ。

口下手にも程があるだろう。

 

「因みになんて説得したんだ?」

「どうして姉が貴方を置いていったか理由が知りたくないかと揺さぶりを掛けただけです」

「それでホイホイ付いてくるとか、警戒心なさすぎ」

「黒歌から聞いていた名前を言えば、あっさりと此方の話を聞くようになりましたよ」

 

悪い、俺は頭が悪いから言ってる意味が分からない。

あの、あれか。つまりは、どうして本当の名前を、そうか姉さんから聞いたのね、ということは姉さんに会える。

みたいな、なんかそういう感じのやりとりがあったんだろうか。

まぁ、俺の目的が叶うならなんでも良いけどさ。

それにしても、こうもあっさりだとやっぱりご都合主義だよな、漫画の世界だよな。

 

「小猫ちゃぁぁぁぁん!」

「イッセー先輩」

「行っちゃダメだ、良く分からないけどソイツらの言うことを聞く必要なんて無い!おい、お前ら小猫ちゃんに何をするつもりだ」

 

ねぇ、俺ってそんなに何かするような人に見えるの?

校庭に椅子を置いただけなんだけど。

やったことは執事に面会手続き取らせて、授業中の生徒を呼び出して貰ってちょっと話しただけだよ。

些か常識には掛けるけど、いきなり魔法とかブッパする世界ならマシな対応ではないだろうか。

 

「おやおや、これはおかしな事を仰る。彼女は自分自身の意思で、私達と共に行こうとしているのですよ」

「やめて、セバスチャン。事実だけど、なんかすごい悪者感が出てるから」

「これは出過ぎた真似を、彼らが神器や魔法などを衆目に晒すのかと思いましたので」

「あれ、そういうの秘匿されてる系だったけ?」

 

そんな型月世界観設定みたいなルールあったけ、神秘の秘匿的なの?

っていうか、メッチャ睨まれてるんですけど。

クソ、周囲の目があるこんな所じゃ戦えないぐぬぬみたいな感じですかね。

相手の嫌がることをしているなんて、俺達悪者かよ。

 

「じゃあ、帰るんで」

「待てよ、行かせるわけ無いだろ」

「待たないよ、お前らの都合なんか僕ちゃん様が知るわけ無いだろ。私は忙しいんだ、やりたいことがいっぱいあるからな。大丈夫大丈夫、怪しいけどちゃんと夕方には帰らせるから」

 

それにしても、昼間に襲撃とか敵対勢力にされたら何も出来ないのね君たち。

警備員とか視線で暗示をかければ普通に素通りだし、無力だな。

マタマモレナカッタ……とか言いそう。

 

「行かせるかよ、うおぉぉぉ!」

「なんか叫んでコッチ来た、うわぁ」

 

そのままセバスチャンに腕を掴まれて一本背負いされる謎の少年。

行動原理が分からなさすぎて草生える。ひょっとしてギャグでやってるのか?

シリアスな展開とか、真面目なやりとりじゃないからシュールなのが際立つ。

なんか叫んで許されるのは二次元の世界だけって分かんだね。

 

「おいおい、俺が何をしたんだよ。ただの不審者に殴り掛かるとか常識ってものを知らないな。俺がテロリストにでも見えるのかよ、中二病か貴様。ただ知り合いの妹さんに話す要件が会って、学校に来ただけだろうが、でもって面白いかなって校庭に椅子を置いて座っただけなんですけど」

「おいレオナルド、普通に通報案件だぞ」

「いや、まぁ、そうなんだけど」

 

もう帰っていいよね、帰るよ。

俺は転移魔術を使って移動することにした。

一般人に見られた?いや、俺はそういうのどうでもいい。

そんな些細な事は気にしなかった。

 




アーカード 漫画HELLSINGの主人公。
CV.中田譲治

作者のヒラコーは書くのは遅いがキャラの濃くぶっ飛んだストーリーを作る人。
他の作品ではドリフターズなどが有名、首置いてけ。

以降wikiより

ファンからの愛称は「旦那」。
数百年の時を生きる吸血鬼で、イギリスの対吸血鬼の特務機関「王立国教騎士団」、通称「ヘルシング機関」に所属している。
吸血鬼でありながら人間に味方し、吸血鬼を狩るスゴ腕のハンター。
「不死者(ノスフェラトゥ)」、「死なずの君(ノーライフキング)」等様々なあだ名を持つ。


姿は長髪の美青年で、普段は赤いコートにつばが広い帽子を被り、サングラスをかけている。
これらの格好は本来は対紫外線用の装備なのだが、本人は日光を克服しているのであまり意味はない。
たぶん本人の趣味なんだろう。

性格は傲岸不遜で敵と認識した物全てに容赦しない
作中での悪鬼羅刹のごとき活躍っぷりから、「HELLSINGのラスボスはどう考えても旦那」と多くの人に認識されている。

また、敵の攻撃を避けずにそのまま受ける事が多いので、極度のマゾ疑惑も浮上している。
連載中、どうやって敵を倒すかよりも、どうやって倒されるかが注目されていた珍しい主人公。
本人は「お前強いんだろう?私を倒せるなら倒してみろ」と挑戦者を迎え撃つ魔王のような調子であったが。

「化物を倒すのはいつだって人間」という信条をもっており、諦めずに全力を尽くす素晴らしい人間達には敬意を表する。
その反面、人間を辞めた(辞めてしまった)化物どもには一切の容赦がない。

ヘルシング家の地下にカラッカラに干からびて封印されていたが、物語開始の10年前にヘルシング家の当主となったインテグラに封印を解かれてインテグラの従僕になり、少佐率いる「最後の大隊」やヴァチカン特務局第13課「イスカリオテ」と戦う。


以下ネタバレ注意








アーカードの正体はかの有名な吸血鬼「ドラキュラ」そのものであり、
さらに言えばルーマニアの救国の英雄で、知略と武勇で自国を良く守った「串刺し公」ヴラド・ツェぺシュその人。

アーカードと言う名前も、「ドラキュラ」の逆さ読み。
( Alucard → Dracula )


百年前にヘルシング教授とその仲間に倒された後、改造されて「色々混み入った事情」によりヘルシング家に使役されている。


吸血鬼としての身体能力、特殊能力は作中最上に位置していて純粋な吸血鬼。
人外の怪力を始めとした様々な特殊能力をもっており、流水や十字架等といった吸血鬼の弱点も克服している、上に書いた通り日光も大丈夫。(嫌いなだけ)


彼の武器は、「.454カスールカスタム」と全長39cm・重量16kgの対化物戦闘用拳銃「ジャッカル」という2丁の大型拳銃。

カスールにはランチェスター大聖堂の銀十字を鋳溶かして作った13mm爆裂徹甲弾(.454カスール改造弾)を、
ジャッカルは専用の13mm炸裂徹甲弾(弾殻:純銀製マケドニウム加工、弾頭:法儀礼済み水銀、装薬:マーベルス化学薬筒NNA9)を装填。
どちらも対吸血鬼を想定した特殊な弾丸を使っており、拳銃とは思えない威力を発揮する。
あ、ジャッカルには某ウィリス似の「ジャッカルの精」が宿ってます。

ウォルター曰く「装填数は6発」だが作中では 明らかにそれ以上の回数を乱射している 。
リロードの描写はときどき申し訳程度にあるくらい。
しかしこの2つの拳銃は 百万発入りのコスモガン なので全然問題ない(公式設定)。

普段は「拘束制御術式(クロムウェル)」というリミッターをかけており、力をセーブしているが、ひとたび解放すれば敵を圧倒する。
ムカデやバスカヴィルといった使い魔を駆使したり、腕が何本も生えたり。

拘束制御術式の3~1号が開放された時点で最後の大隊の人狼部隊(ヴェアヴォルフ)構成員を一方的に滅殺でき、
拘束制御術式零号、通称「死の河」は自分の取り込んだ命の全てを解放する行為。
阻止する場合は発動までに数百万というアーカードの残機をそっくり潰さなければならず、阻止は事実上不可能。
今までに吸った数百万人分の亡者を出現させて敵を蹂躙するという数の暴力を体現した攻撃で、クロムウェルの中で唯一インテグラの承認を必要とする。
このシーンのインパクトは凄まじく、まさに悪夢。まさに地獄。
「死だ!死が起きている!」

そしてアーカードの最大の特徴は、その他を圧倒する不死力。
アーカードは他者の血を吸う事で自らの中に命そのものを所有し、死ぬ度に命のストックを消費して復活する。このストック消費は「心臓を破壊された時」という場面に限定される。

つまり殺しきるには何百万回も心臓を潰さなけりゃならない。

しかし「死の河」は特性上、命のストックが一つになる。
(ただし、アーカードに死の河を解放させる状況を作った上で、すぐに殴れる位置に潜んでおくか数百万の亡者を突破する必要があるわけだが)

因みに、初代ヘルシング卿とその仲間達は正面から死の河を突破してアーカードを倒したトンデモ野郎達だが、そんな彼らは

アーサー・ホルムウッド ただの貴族
ジャック・セワード 精神科医
キンシー・モリス 金持ちのパンピー
エイブラハム・ヴァン・ヘルシング 大学教授

である。
こいつらのような教授や医者はクトゥルー神話にしかいないだろ


vsウォルター戦で死の河を回収した際に、少佐の策略により、
「自己観測できる限り何処にでもいてどこにもいない」シュレディンガー准尉も一緒に吸収してしまった事で、 
数百万の魂の中で自らを見失ってしまい、「どこにもいない、生きてもいないし死んでもいない」状態にされ、消滅してしまう。

少佐的には500年くらいしないと帰ってこないと思っていたが、30年で自分の中で自分の命をシュレディンガー以外殺しきり、インテグラの元に帰還する。

シュレディンガーの特性までも吸収した為、以前にも増して不死性が向上し、「人間と戦って死ぬ」と言うアーカードの本懐が遂げられるかは疑問視されている。





The bird of Hermes is my name,
私はヘルメスの鳥

eating my wings to make me tame.
私は自らの羽を食らい飼い慣らされる

――棺の蓋より




なお、アーカードは萌えキャラの一面も持つ。

普段の姿でもある種の色気があるが、アーカードはHELLSING外伝「the dawn」にて少女の姿を取って物語に現れた事があり、その姿は普段の恐ろしげな青年姿ではなく、赤いコートの変わりに全身真っ白のスーツを着こんだロリっ娘。通称・ロリカード、ロリ旦那。

そのあまりのギャップに三千世界のロリコンどもが萌やし尽くされた。OVAではショタとして扱われた。(声は青年時と同じくジョージ)

外国のファンも「Girlycard(ガーリーカード)」と呼んで熱を上げている。
ただ、とある執事はそんな彼女も容赦なく縦に真っ二つにした。全く効いてなかったけど。


また、某絶対神敵殺すマンに強烈なメンチを切られた際に見せた微笑みが、少女漫画のイケメンもかくやという程にふつくしい。
「腕が千切れそうだぞクリスチャン、どうするんだ?」
「それがどうした。早く掛かって来いよ化物。」
「…素敵だ。やはり人間は素晴らしい。」
あんな笑顔されたら女子どころか我らも墜ちる。


アーカードがドラキュラでありヴラド公である事を考えると、アーカードの趣味は意外や意外、なんと刺繍。
幽閉されていた時に裁縫と共によくやってたらしい。

ジョナサン・ハーカーを家に招き入れた時に自ら料理を作って振る舞い、ベッドメイクもした事から、家事も得意であると推測される。いつでも嫁or婿に出せるぞ。

アーカードはああ見えてガラスのハートの持ち主でもある。
常日頃「私は化物だ」と言ってるわりに、面と向かって化物と言われるとしょんぼりするし、宿敵が死んだら思わず泣いてしまったり、思い出し泣きをする泣き虫でもある。乙女か。

こんなパーフェクトな吸血鬼捕まえてあんなことやこんなことも命令できるアーサーは羨ましい限りである。


ヒラコー曰く、アーカードは性別やらなんやらをもう超越した存在であるという。
年齢性別を問わずかつて吸血した人間の意志を全て保有しており、それをアーカード自身の人格で無理矢理まとめることで旦那のパーソナリティが構成されている。
様々な一面を持っているのはそのためなのかもしれない。

アーカードの事をより深く知りたい人はブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」を読むことをお勧めする。アーカードの華麗な恋の遍歴にギャップを感じること受け合いだろう。

なお本作では言うことを聞かない廃棄物や敵などを食べる役割を持つ。


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あっ、これアカン奴だ

城に帰った俺はベッドに飛び込んだ。

ちょ、おま、とか説明を求めてきた妹ちゃんは放置である。

でも大丈夫、お姉ちゃんがやってくるよ。

 

「白音!」

「姉……様……」

「白音ぇぇぇぇ!」

 

抱きつく黒歌、その腹に向かって鋭い拳が入る。

YOU、WIN!綺麗に決まった。

 

「白音……強くなったわね」

「姉……様……」

 

黒歌ぁぁぁぁぁぁ!ガックシと膝を折る、黒歌。

無茶しやがって……感動的な再会だったな。

その後の姉妹の会話とか正直どうでもよかった。

こういうことがあったんだよ、ふーんで終わりである。

 

「それで、ここはどこで貴方は誰なんですか」

「俺の名前はレオナルド、故あって助太刀致した。ここはナーサリーライム、通称アリスの作ったワンダーランドだ」

「ククク、その故が女一人を抱くためだとは思うまい。なぁ、レオナルド」

 

旦那のチクリによって妹ちゃんの視線が鋭くなった。

や、やめてそんな顔されたら興奮するじゃないか。

 

「気持ち悪い」

「うっ……」

 

盛り上がった股間を見ながら吐き捨てられた。

なんか、目覚めそうになった。

うるせぇ、男はエロいことばっか考えてるんだよ。

寧ろ、ネット小説の主人公とかアレだから、みんな良い子ちゃんぶってるだけだから。

俺が異世界行ったら、奴隷を買って速攻ヤッてるからね。

 

「お前の姉ちゃんは一回俺と寝ることで、ここに妹と滞在する権利を得たのだ」

「私はありす。貴方が白音ね、歓迎するわ。うふふふ、さぁお茶会を開きましょう」

「俺が喋ってる最中だと言うのに」

 

戸惑う妹ちゃんを連れて、アリスがとてとて歩いて行った。

手を取り合って、楽しそうに歩くアリス。

優しい世界だな、感動的だな。

 

「おいで黒歌」

「…………」

「そんな顔するなよ。あぁ、ナデポ欲しいわ……」

 

無言で俺の側に寄ってくる黒歌。

違うそうじゃない、もっと自分からな感じがいいです。

好感度か、好感度が足らんのか。

俺は創造主、俺はクリエイター、だがそんな俺でも手に入らない物はある。

そう、それは心だ……。

 

「そんな所で何をドヤ顔になってるんですか。全く、気持ち悪い」

「みんなして気持ち悪いって言いすぎだろ」

「でもこう思いませんか。無駄な努力をする必要性のなさに気付けたって」

「僕は一生気持ち悪いってことか!」

 

口元を押さえて、七実こと姉ちゃんが去っていった。

全く全く、みんな辛辣なんだからなぁ。

 

「さて、黒歌。お前は何が望みだ。余はなんでも生み出せる、何でもだ」

 

俺の持つ魔獣創造は、最強の神器なんだ(集中線!)

生きてさえいれば、なんだって作り出せる。

例えば、魔剣創造なんて物がある。

生きていない能力を持った剣状の物体を創る神器だ。

俺が、生きている能力を持った剣状の物体を創れば同じことが出来る。

金だって全身が金で出来た生物を作れば簡単だ。

応用次第でなんだって出来てしまう神器だ。

 

「力か、金か、それとも神器か?復讐か、テロだっていいぞ」

 

ここは二次元の世界だからな、何したって問題ない。

だって現実じゃないしな。

 

「別に白音がいれば、なにもいらないにゃん」

「えぇ、なにそれ儂ってばつまらんのだが」

「もう願いは叶ったにゃ」

 

まぁ、そりゃそうか。

大体の願い事叶ってるもんな。

俺と一日中ニャンニャンしてたら衣食住、全て揃うもんな。

まさにバラガン様ムーブ、配下を殺し合わせるのも一興かもしれない。

 

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「おいおい、何かフラグ建った?死神でも攻めに来た」

「冥府の死神が攻めてくる理由でもあるのかにゃ!?」

 

あるあ……ねぇーよ!

でも、今の声はアリスの物だった。

本体か、それともこのワンダーランドで何か起きてそれを感知したのかな。

 

「マスターさーん!」

 

アリスが泣きながらこっちに走ってきた。

しかも、レオナルドではなくマスターなんて畏まった言い方。

相当テンパってるというか、余裕を無くしてやがる。

 

「何があった」

「バケネズミ達が死んじゃったの!殺されたのよ、悪夢だわ」

「バケネズミってあの不細工な二足歩行の浪川大輔ボイスのアレだろ」

「キモ可愛いあの子達が、殺された。酷いわ酷いわ!あんまりだわ!」

 

俺としてはアリスが作った、あの化物達が死んで嬉しいのだが当人は納得行かないのだろう。

結界であるワンダーランドに侵入するとは、まぁ一月に一回は襲撃があるので珍しくないが何だろうか。

あのグレモリーあたりがやってきたりしたのかな。

 

ベッドから下りたくなかった俺は、魔術で周囲を警戒することにした。

俺の魔獣創造で虫を作り出し、その虫が蛹になって、羽虫になる。

羽虫は鋭い牙を持ち、大きさは小型犬くらい。

普通にキモいそれらに、五感共有の能力を与えた。

後は適当な鏡に似たモンスターを作り出す。

その表面に、虫達の見ている物が映るようにしてだ。

分割した画面が映ってる感じか。

 

「ゴーゴーゴー、さぁ下手人を見つけてこい」

「まったく、騒がしいと思ったらお客様をほっぽりだして何をやってるのかしら」

「あぁ、姉ちゃん。いや何、侵入者がやってきたみたいで」

「次から次へと、これだから雑草は嫌なのよ。ちょうどいいわ、草むしりでもしてきましょうか」

 

そう言って、姉ちゃんが直々に動き出す。

あっ、これは、勝ったなガハハ。

誰か知らないけどご愁傷様である。

 

トールやセバスチャンが俺のベッドルームに夕食を運んでくる。

テーブルを一から用意して、食事の準備までしている。

もはや観戦モードだった。

さて、下手人は誰だろうな。

 

『フハハハ、なんだ貴様らは!死ね、死ね、死ねぇ!』

『カミサマ、マモルゥゥゥ』

 

死なないでバケネズミ!アンタが死んだらコロニーのクイーンはどうするの。

と脳内で予告をやってたらバケネズミの群れが光の槍に貫かれて死んだ。

どっかの堕天使が紛れ込んだのだ。

くそ、記憶が曖昧だけど顔を見たことがあるぞ。

 

「あれは!?」

「知ってるのか黒歌」

「アレは堕天使コカビエル!」

「誰だそれ」

 

知らないんですけど!でもそんな感じのキャラがいた記憶がある。

なるほど、堕天使の幹部なのな把握した。

 

「終わりましたね」

「薄汚い羽根ですね、カラスのほうがまだ綺麗だ」

「おい、儂をどうするつもりじゃ!オールドファッションがこんなに種類があるとかぱないの!」

「この中に一人、戦闘を見てなかった奴がいるぞ!ちゃんと見ろよ、せっかく作ったんだから」

「夕食に甘いものを食べると、虫歯になる!」

「いやぁぁぁぁ、髭のおじさまは意地悪だわ」

 

ねぇ、誰か俺の話を聞いて。

特にドーナツ食べてるそこの君、見てよ。

モンスターは仕事に徹してるあの姿を見てあげてよ。

 

『むっ、誰かそこにいるな。気配を消していたが俺の存在に気付くとは中々やるな』

『おかしなことを言いますね。気配を消すなんて、何を言ってるのかしら』

 

映像に変化が加わった。

おっとり刀で移動した虚刀流が、現れたのだ。

逃げて、コカビエル逃げて。

七実と目が合う、相手は死ぬ。

コカビエルさんの死ぬことが決定した。

 

『おかしな物を見つけて侵入してみれば、化物の巣窟。しかし雑魚ばかりで退屈していたのだ』

『はぁ、そうですか』

『知っているか?俺はかの大戦で悪魔や天使と鎬を削った堕天使コカビエルだ。あの戦いの中で生き残った俺には敵というものがいなかった。裏の人間なら、聖書の陣営との戦いの記録ぐらい見たことあるだろう』

『いえ全く、興味がありませんので』

『そうか、ならばお前は俺を知ることなく死ぬが良い!』

 

堕天使の手に光の槍が生まれた瞬間だった。

 




鑢七実。小説刀語の登場人物。
鑢一族の一人で主人公の七花の姉である。

死人のような作り物の美しさを持つ女性。
不治の病に患っているため寿命は長くない。
年齢二十七、身長四尺九寸、体重七貫六斤、趣味草むしり。

以降はwikiより


刀語第七話『悪刀・鐚』における七花の対戦相手で、悪刀『鐚』の所有者となった人物。

刀語における最強存在であり、その実力は日本最強と謳われた剣聖錆白兵をも上回る(ぶっちゃけ女版トキ)。


七花と同様、四季崎記紀の刀に対して共感覚を持つ。


【過去の七実】

徹尾家に仕え、大乱の英雄となった六枝(父親)であったが、妻みぎりの殺害の疑いをかけられてしまう。
結果、一家全員島流しに遭ってしまった。
これに対して、七実は母を憎んだ。

不承島に着いた際、六枝は七花(弟)を後継者にすると述べた。

なぜ、七実が指名されなかったのかというと例外的に強かったためである。

一年前、七花の「七実が稽古を見ている」という発言を受けた六枝は、寝ている七実を葬ろうとした。
七実は殺される覚悟を決めていたが、七花が六枝を返り討ちにしたため、生き残ることになった。

鑢家の家族同士の争いは繰り返される。
まさか姉弟で争うことになるとは…

当然のことだが、七実は七花にこのことを口止めさせた。

六枝死後、一週間が過ぎた頃、七花が手合わせの提案をし、七実は承諾した。

対戦した結果は引き分けであった。
ただし、七実に分があったらしい。



【薄刀・針での七実】

薄刀・針では錆を差し置いてメインで登場した。

自分をさらいに来た真庭忍軍虫組から襲撃を喰らうが、これをあっさりと撃退していく一連の流れが描かれている。
感性が似てるのか七花と同様真庭忍軍をまにわにと呼んでいたりする。
姉弟の発想ってのは同じなんだな…

戦中、蜜蜂に七花八裂を浴びせた時にその弱点に気付くのであった。
そして、まにわにから聞き出した情報から、七花達の刀探しが進んでいないとわかった七実は、
このまま強敵相手に欠陥のある七花八裂を使えば七花が死にかねないと考えて、刀探しに参加することを決意した。

海を渡るために蝶々の忍法足軽を応用し、海を越えていったのである。



【悪刀・鐚の前の七実の動向】

凍空こなゆきの項目も参照して欲しい。

皐月某日、蝦夷に到着する。
怪力を誇る凍空一族相手に対し、忍法足軽を使用して力の無効化に成功する。
結果、こなゆき以外を皆殺しにして去っていった。

七実は双刀・鎚を自分には相応しくないただの棒だと思ったためか手にすることなく去っていった。

こなゆきが可哀相でならない。

水無月某日。
陸奥死霊山において死霊山神衛隊と戦っていた。

七実は山頂の祠に祀られていた悪刀・鐚を見て、自分にとって相応しいと感じたためこれを奪い、死霊山を壊滅させた。

その後土佐行きの船に乗り込んで土佐へと渡った。



【悪刀・鐚での七実】

文月某日、七実は女人禁制の清涼院護剣寺を占拠し、半年ぶりに会った七花達の前に立ちはだかった。

七花との初戦では、七実は七花八裂の弱点があり、本来はそれを七花に伝える為に来た述べつつも、
虚刀流の完成形には遠くなる人間性が芽生えて、ある意味昔より劣化した(実際は完成の為には一度人間性を備えることも必要条件だったが)七花の現状を見かねて、弱点がどのあたりかを指摘しないで完膚なきままに倒した。

あまりの実力差に七花は一週間落ち込んでしまう。
そんなとき、とがめは七花を叱咤し、士気を上げさせた。

とがめは七花八裂の弱点を見抜き、七実の眼を封じる奇策を編み出した。

刀大仏前で再戦することになった七実は、とがめの奇策として蝋燭の火を一斉に消されることで眼を奪われてしまう。

見えない奇策に見蕩れた七実は七花の七花八裂(改)を受けてしまう。

『見稽古』による弱体化と、『鐚』による生命力の沈静化を取りやめ、本気で戦い始める。
七実の本気に七実の体は耐え切れず崩壊を始め、最後は七花の『蒲公英』を受け散った。


病で苦しいだけの人生を送ってきた彼女は自分を殺してくれた弟に対して「よくぞ殺してくれた」と褒めようとしたが、
実際に口から出た言葉は「よくも殺してくれたわね」であった。
噛んでいい間違えてしまっただけなのか、本心では苦しい生だろうが生き続けていたかったのか、七実自身図りかねたままその生涯を終えた。


悪刀・鐚限定奥義。
七実は胸に『鐚』を刺すことにより、病を強制的に癒させた。
無理矢理生命を活性化させたことにより、実は弱体化したとも考えられる。
この姿の時の姉ちゃん…エロ過ぎる…


前日本最強───鑢七実。


人として───当たり前に死にたい
彼女の願いは弟の手により果たされる。

今回の一件で七花は刀らしさを失ってしまった。
代わりに最愛の姉を失ったことで人間らしさを手に入れた。
実対花。
勝ったのは花であった。

【虚刀・鑢での七実】

当時7才。性格がゆるく考えている事が口に出てしまう。
父、六枝が英雄になる所を見ようと病の体を推して影ながら追跡する『最強の守護者』。

20年後には「長い髪の女を好む父親や弟の嗜好が不愉快」と語っていたが、この時の彼女の父と弟への溺愛ぶりは近親相姦の気があるストーカーのそれである点からしても、彼女の未来の真意やその屈折の仕方をある程度察することも出来る

既に天才性を発揮しているがまだ虚刀流はおろか見稽古すら習得していない。
しかし、それであるが故に力の制限も無くほぼ完全の状態であったとされ、歴史上最強の剣士・錆黒鍵と半年に渡り戦い続ける化物のような強さを持つ。


ぶっちゃけ見稽古もスゴイけど、見稽古を使わない素のスペックの方が強かったりする。
人間性を失い、刀に近づけば強いのが虚刀だからである。
人間性を捧げなきゃ……


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草むしりしなきゃ、使命感!

砂塵が舞う森の中、ひしゃげた木々を見ながら満足気にコカビエルが笑っていた。

あの一撃を食らって死なぬものなどいないという確信の姿だ。

少しばかり、出来るものだと思ったが残念だという態度を隠しきれていないが、それでも一定の結果には満足はしているようだ。

 

「ハッ、思い違いだったか」

「さっきから、何をしているのか。ひょっとしてギャグでやってるんでしょうか」

「ッ!?」

 

コカビエルは慌てて方向転換を空中で行う。

振り返れば、体育座りで此方を見ている女がいた。

馬鹿な、あの一瞬で動いたというのか。

 

「中々やるようだな、女」

「スゴイですね、体の中にある微妙な力を非効率に集めて、無駄に固めた物を作り出すなんて。私にはとても出来ないことですもの、羨ましい。努力する余地があるんですもの」

「ほぉ、言うだけの自信があると見た。貴様、拳法家か何かだな。身体を強化して戦う者の気配だ」

「まぁ、面白い特技ですね」

 

コカビエルが構えを取り、その腕に光の槍を生み出す。

もう片方には光の盾、その姿は翼以外は天使のようだった。

 

「どうした、構えろ。それくらいの時間は待ってやろう」

「どうして態々構える必要があるのかしら。構えるという事は、それだけ選択肢が狭まるということじゃないですか。貴方のそれは、右手で攻撃し左手で防ぐ、素人目にだって分かる、分かりやすい構えだという自覚はありますか?それって無駄ですよね」

「減らず口を、そうか貴様はスピードが自慢なのだな。俺が動いてからでも動けると……甘いわ!」

 

コカビエルの身体が発光すると同時に、槍が地面に突き刺さる。

超高速移動による突撃、それが炸裂したのだ。

 

「なっ!?」

「何を驚いているのでしょう。貴方が攻撃し、私が避けたそれだけでしょう」

「貴様、今の一撃の凄さが分からないのか」

「分かりますよ。その一撃で多くの者を屠ってきた自負があるのでしょう。その研鑽、きっとそれは堕天使の中で延々と受け継がれてきた技術、そして貴方がそれに必要とした努力がなせる技なんでしょう。私は、それが羨ましい。貴方には分からないでしょうね。努力することの出来ない者の気持ちなんて」

「抜かせ!」

 

光の力によるブースト、それと同時に光の槍を増産、培った槍術と併用し、速度を増した一撃で逃げ場を無くす。

リーチを攻撃中に伸ばすことで、恐らく間合いを見きった先程と同じ結果ではない状態を作り出す。

行ける、行けないはずがない、こんな人間風情に!

コカビエルが超高速で三連突きを放つ。

その残像すら残す一撃は、七実の身体を今度こそ貫いた。

 

「ハッ!」

「申し訳ないのですが、それは残像です」

「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

羽根がもがれ、地へと墜落する。

一体何が、何が起きたというのか。

そこには発光して空を飛行する、女の姿があった。

 

「なん……だと!?」

「ずっと疑問に思っていたんです。物理学的に飛行できるほどの大きさでも重さでもないのに、どうして異形の人達は空を飛べるのかと。それはつまりは、こういう謎の力を流用して浮力を生み出したりしていたということなんですね」

「あり得ない、貴様!堕天使とのハーフだったのか!」

「何を言ってるんですか?私は正真正銘人間ですよ。貴方達、化物と一緒にしないで頂きたい。アーカードさんからだって人間認定されてますからね」

 

もっとも、その評価は化物らしい人間である。

人間らしい化物に、お前は生まれる種族を間違えたと言われるレベルである。

 

「あ、ありえん!種族特性だぞ!人間が使える訳がないだろ!」

「身体的に違いは無いのであれば、あり得なくはないのでしょう。現に使えますし、種族秘伝の技術というのなら、技術という時点で誰でも使えるというもの、見れば分かるでしょ」

「何故、何故貴様がその力を使える!」

「だから言ったではありませんか、見れば分かると。私はそうあれかしと望まれて、見ることで技術などを体得できるのです。それを称して、見稽古なんて名前がありますが別にいらない情報でしたね」

 

七実が腕を振るうと、もう片方の翼が消えた。

見れば切断されたことが伺える。

 

「うぎゃぁぁぁぁぁ!?」

「態々、槍なんて形にしないで必要な量を必要な形にすれば無駄が無いのに。濃度というのでしょうか、無駄を省けばそれは高まり強度も増します。糸ほどにすれば、ワイヤーのように使えるでしょう」

「有りえん、そんな繊細なコントロールが一朝一夕で身に付くはずが」

「有りえているでしょ、現に貴方の羽根は斬られたのだから」

 

現実が見えていないと、地に落ちた堕天使を見下ろしながら七実が降りてくる。

ゆっくりと直立不動で、マジックか何か用にスライド移動していた。

そして、降り立ってトドメを刺そうとした時にコカビエルがニヤリと笑う。

 

「隙有りぃ!」

「何を勝手に、わたしの肌に触っているのですか───この、草が」

 

鋭い抜手、しかしそれは七実が掴んだ事で防がれる。

七実は無表情に足を上げて、その頭を踏んづける。

 

「草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が」

「…………」

「嫌だわ、足元が汚れてしまった。草履ではなく、長靴ですれば良かったわ」

 

何度も何度も、それこそ潰れて体液が溢れ、その身体が羽根になるまでそれは続いた。

七実はいいおみやげになるかと、その黒い羽を拾って城へと帰るのだった。

 

 

 

城に帰ると、アリスが七実に抱きついた。

仇討ちに喜びを表現しているのだろう。

 

「フハハハハ、良くやった。我様の配下よ」

「あまり調子に乗らないほうが良いですよレオナルド、不愉快です」

「な、なんだよぉ……俺もギル様みたいに笑いたいよぉ……」

 

七実の冷たい視線に、死を実感する。

あの女、俺のことをその辺の草と同じ目で見てやがった。

どこかのマッドサイエンティストと一緒の感性してやがるぜ。

 

「七実様、お食事の用意がございます。それとも、お召し物を替えますか?」

「あら、せばすちゃん。新しい着物なんて、殿方から貰うのは初めてだわ。さっそく着替えるとするわ」

「はーい、それならお風呂に入ってからが良いと思います。まったく、その辺の気配りが出来てませんね」

「これから提案しようとしていた所ですよ……トカゲ風情が、殺すぞ」

「後からなら何とでも言えます……コウモリ如きが、調子に乗るなよ」

「…………」

「…………」

 

おーい、そこ仲良くしなさい。

パパ、喧嘩すると泣いちゃうぞ。

物理的に死にかけるから、泣いちゃうぞ。

マジで、お前ら戦うと洒落にならないからやめなさいって。

従者キャラとして、譲れない戦いが始まるのかもしれない。

 

「おい、トール。ワインを用意しろ、あとポン・デ・リングじゃ、早くしろ」

「セバスチャン、私にはステーキだ。オーダーはレアだ、さぁどうしたハリーハリー!」

 

と思ったが、王様とお姫様が我儘で防いだ。

人を使う立場のキャラだから相性がいいんだな、うんうん。

 

「では、お風呂に入るとしますか」

「私も行くわ!やっぱり、泡風呂が良いと思うの、たっぷりのバラを浮かべてきっと壮観だわ」

「泡に、花弁が埋もれると思うだけれど」

 

あぁ、アリスと七実が風呂に向かっていく。

うんうん、よし溢れた俺と黒歌で仲良くしようじゃないか。

ほら、あぶれ者どうし仲良く。

 

「白音、あーん」

「やめてください、自分で食べれます……あ、あーん」

「畜生!誰か俺の相手しろよ!ぼっちは、辛いだろ!」




トール 漫画メイドラゴンのキャラクター。

以降は説明、コピペ。

本来の姿はドラゴンであるが、世を忍ぶ仮の姿として金髪ツインテールのメイド姿をとっている。

訳あって山で傷ついていたところを小林さんに助けてもらい、その後紆余曲折あって彼女の家にメイドとして雇われている。とはいうものの人間界の社会常識など知る由もなく、度々想像を超えた行動を取り小林さんに迷惑をかけている。なお元の世界ではトールは死亡扱いになっているらしく、ファフニールやルコアと言った知り合いのドラゴンにしか生存を伝えていない。

しかし命の恩人である小林さんに対する愛情は本物であり、彼女の為なら努力を惜しまない。

ドラゴンであるが故に人間を劣等種として見下している節があるが(但し小林さんだけは別)、楽にやっていけるということで愛想良くしている。このため近所の商店街の人々からは人気者。

特に小林さんを寝取ろうとする又はその危険性がある者、彼女に危害を加える者に対しては容赦しない。同様の理由から小林さんの同僚である滝谷真を警戒しているがその一方でファフニールの住居探しの末に滝谷を頼ってアパートにファフニールを置いてもらうよう頼んだり、コミケの手伝いをしたりと心底嫌っているわけではない様子。滝谷がファフニールとうまく同居できていることには不思議に思うと同時に素直に凄いと思っている。

同族に対しては友好的で同居しているカンナとは姉妹のように仲が良い。その一方で調和勢に属しているエルマとは仲が悪く、犬猿の仲(トールは混沌勢に属している)。

余談だが、『空想科学読本16』にて柳田理科雄が計算した結果、彼女一人でツァーリボンバ級水爆20個分、地球上全ての核兵器の1/10に値する攻撃力を有していることが判明したらしい。
※空想科学研究所にも掲載されています

なお本編では頭の可笑しいドラゴンのメイド。
主人公を小林さんだと思いこんでる。
というか、思い込まされている。


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まだ服を着ている全裸が現れた

子猫ちゃんが帰った。

あーん、子猫ちゃんの人でなし!

えっ、子猫じゃなくて小猫?ちょっと黒歌が何言ってるかわからないです。

俺にとっては女の子は誰でも子猫ちゃんさ!

 

「キモっ」

「やめろ黒歌、それは俺に効く」

 

おいおい、そんな目で見るなよ……興奮するじゃないか。

俺の下半身がアリスのようなお子様に見せられない状態になる。

 

「変態にゃ!」

「うるせぇ!そんなほぼ半裸なお前が悪いんだよ!」

「どうせ抱く気だにゃ!同人誌みたいに、同人誌みたいに!」

 

まったく見損ないで貰おうか、そのとおりだよ!

ベッドの上で黒歌にプロレス(意味深)を仕掛けていると、何やらてとてと足音が聞こえてきた。

こ、この足音はアリス!ダメだ、情操教育的にダメだ!

俺は慌ててドアの前に達、手を向けて魔法を放つ。

 

「フリィィィィィィズ!」

「こ、氷がドアを凍らせている!」

「フフフ、フハハハハ!見よ、これぞカズマさんの用いた魔法によるドアを開けられない方法だ!」

 

だがしかし、現実は非情である。

ドアに亀裂が走り、ガシャンガシャンと破片となる。

ドアの向こうには手刀を振り終えた七実の姿があり、その後ろにはぬいぐるみを持ったアリスがいた。

 

「あらあら、無駄な努力ご苦労様。でも私がいて運が良かったですね、いえ悪かったのかしら」

「れおなるど、服は着ないとダメなのよ」

「おのれ、虚刀流!」

 

俺の努力を無駄にしやがって……。

幼女の前で、全裸で仁王立ちする男がいた。

っていうか、俺だった。

全裸でぶらんぶらーんと、見せられないよな状態で俺は立っていた。

 

「それより、急にどうした」

「その前に服を着て欲しいのだけれど」

「それより、急にどうした」

「無視するのね、酷い人。まぁいいわ、騎士が二人森に入ったわ」

 

ほほぉ、またですか。

また侵入者ですか、女騎士ですか。

大好物です、本当にありがとうございました。

 

監視用の虫達によって侵入者を見つけ出す。

侵入者は二人、どちらも美少女だった。

もしかしなくても原作キャラだろう。

モブにしては可愛すぎるからだ。

 

「また私が出向いてもいいけれど、どうします?」

「俺が出よう」

「私も、私もやる!私もやるのよ」

「えー」

 

アリスさん出るんすか、マジすか。

まぁ良いですけど。

俺の作ったアリスは最強なんだ!

というわけで、二人で女騎士をくっころしに行くことにした。

結界内の中で移動するなんて、簡単なことである。

転移用の能力を付けたモンスターを用いて移動すればあっという間だ。

 

 

 

閑散とした森の中を、彼女達は闊歩していた。

警戒は常に、異常な森を闊歩する。

ある種の結界、複数の気配は日常にいるはずのない存在、即ち異形の者。

 

「やはり、空間が広すぎる」

「別世界……異界とでも言えば良いのかしら。まるで、ゲームの世界ね」

「悪魔には空間を作り、そこで競い合うゲームがあるという。あながち、間違いではないかもしれない」

 

駒王町の一角にして、駒王町よりも大きいその森。

明らかに何者かの手が加わっている。

 

「止まれ」

 

腕を横に伸ばし、背後にいるイリナを静止する。

木々の間を、彼女は見た。

彼女の、ゼノヴィア視線の端にスカートのような物が見えたのだ。

 

「そこにいるのは誰だ!」

「フフフ、ウフフフ、見つかっちゃた」

『見つかってしまったわ、どうしましょうアリス』

「そうね、なら今度は鬼ごっこにしましょうか、ありす」

『そうね、それがいいわアリス』

 

木々の合間から、それらは現れた。

それは二人の少女、瓜二つの見た目に瓜二つの姿。

少し色彩が違うかもしれないが、だが同じに見える。

 

「子供、どうして子供が……」

「待てイリナ、こんな場所にいるんだ。ただの子供ではあるまい」

「た、確かに……」

 

ゴクリと生唾を飲み込む、イリナ。

その様子を、何者かが見ていた。

見ているということは見られていると認識される事。

だから、ゼノヴィアはソイツのいる方向に向かって破壊の聖剣を振るった!

 

「そこだ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

地面が破壊され、根元ごと木々が吹っ飛ぶ。

その木々の中に、白い何かがあった。

それを、驚いた顔でイリナが認識する。

 

「あ、アレは布団よ!丸まった布団だわ!」

「いや、中から何か出たぞ!あの肌色は、なん……だ……」

「全裸、全裸が空から振ってきたぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ソイツは全裸であった。

全裸が空から振ってきて、地面に落ちた。

なんだあれ、えっ、なんだあれ。

見れば少女達が頭を抱えている。

つまりあれか、全裸の関係者なのか?

 

「な、何者だ!貴様ァ!」

「…………」

「し、死んでる?いや、本当は起きているのだろ!おい、貴様ァ!」

 

全裸がゆっくりと起き上がる。

歳は、中学生くらいだ。

日本人ではない、西洋人で無傷で立っていた。

 

「ふふふ、ようこそ我がワンダーランドへ!運命に翻弄されし、女騎士達よ」

「…………」

「怯えて声も出まい。君達は聖剣を探索するという運命に従い、我々の居城へと参ったのだ。そう、つまりこれは運命の邂逅!」

「服を着ろ、話はそれからだ」

 

目の前で手を広げる少年に、頭を抱えるゼノヴィア。

イリナは自らの手を顔の前にやって見ないようにした。

まぁ、チラチラ指の隙間から見ていたけどな。

 

 

 

俺の素晴らしき登場に、美少女達が慌てていた。

一人は能面のような顔で、一人は顔を真っ赤にしていた。

うん、青い髪の方は怖いな。すげぇ、切りたそうに俺の股間を見ている。

汚物を見るような目、ドSに違いない。

 

「服はない、何故なら布団が吹き飛んだことにより俺が着る物はなくなったからだ。吹き飛ばした奴が悪い、だから俺は悪くない!」

「誰がそんな事を……私か!?」

「待ってゼノヴィア、布団の中に全裸でいる事も、その状態で外にいるアイツが異常なのよ。騙されないで」

「……ハッ!たしかにそうだ!おのれ、虚言を弄すか」

 

なんだって、俺がいつ嘘を付いたというのか。

これだから、女騎士は話を聞かない。

これは肉体言語に訴えかけるべき、そうするべき。

 

「そもそも、何故貴様は私達が聖剣を探していることを知っている。よもや、貴様が聖剣を盗んだのではあるまいな」

「おいおい、勝手に決めつけるなよ。盗んでないって言っても信じないでしょ」

「ふん、あそこの城が怪しいな。とにかく、全て探索すれば問題ない。大人しく、投降してもらおうか」

 

そう言って剣を構える彼女。

名前は何ていうんだろう、そのタイツってばエロいっすね。

 

「れおなるど、お客様の前で服を着ないなんて失礼だわ」

「俺が法だ。もう見られてるし情操教育とか気にしない」

「ぼっちだから倫理感が崩壊してるのよ!」

 

おま、言って良いことと悪いことがあるだろうが!

アリスとそんな風に喋っていたら、目の前に青い影が現れた。

いや違う、これは髪の色!

 

「破壊の聖剣を使うまでもない」

「うっ」

「イリナ、そっちの子供も捕まえろ。擬態の聖剣を縄にすれば可能だろう」

 

無言で腹パンとか、まだ喋っている途中でしょうが!

ただの人間では死んでいるところだった。

 

「まだ俺のターンは終わっちゃいないぜ」

「ッ!」

「侮ったな、エクソシスト!」

 

俺の軽いパンチが青髪の姉ちゃんをブッ飛ばす。

そう、文字通り木々を壊しながらブッ飛ばした。

 

「ゼノヴィア!」

「いつから俺がタダの人間だと思った?錯覚だ」

「なん……ですって……」

「さぁ、第二ラウンドの始まりだ」

 

 

 



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知らなかったのかエロいことをすると働く修正力があるって!そう、運対だ

葛城ムーブ、森育ちの暗殺者のような動きである。

絡繰りは簡単だ。

魔獣創造で作ったモンスターが俺と同化し、俺の血肉となっているのだ。

二次創作で俺はよく見た、誰だってそうする俺だってそうする。

 

「人の想像できるものは創造できるとは誰の言葉だったか。タンパク質などの有機物の代わりに金属元素や放射性物質を代謝する極限環境微生物、というのがあるゲームであった。簡単に言って、寄生虫を用いたドーピングだ。コイツらの能力は、ほとんど瞬間移動のような高速移動能力の他、肉体の重装甲化や不可視化、銃器や爆発性の金属塊の生成を可能としている。だが、それは生物という形だからだ」

「何を……言っている……」

「例えば、組成がタンパク質ではなく金属の生命体は生物だろうか?答えはイエスだ。そして、ミーは変身するのデース!」

 

俺の身体が銀色に変色する。

そう俺は究極体になったのだ。

今の俺は、メタルレオナルドである!

メタルエテモンみたいな物である!

 

「銀色に変わっただけよね、っていうか気持ち悪い」

「精神攻撃とは、卑怯だぞエクソシスト!」

「えー」

「オルフェノクを知らんのか、にわかが!いや、まぁ存在しないから分からんだろうけど」

 

クールに、クールになるんだレオナルド。

漫画のキャラが他の漫画のキャラを知らないのは当然のことなのだ。

当然だが、俺しか知らないというのは実に悲しい。

 

「よくわからないけど、貴方は敵だって事は分かったわ」

「お前の相手は私じゃないのーね、アリスだ」

 

嫌ですよ、あとで拗ねられるからね。

イリナたんとかいう女騎士はアリスに任せて、俺はゼノヴィアとかいう美少女をくっころしなきゃ。

 

「待ちなさい!」

 

俺の背後で聞こえる声を無視して、俺はゼノヴィアの元に向かった。

 

 

 

木々が薙ぎ倒され、粉砕された場所には一つのクレーターがあった。

うむ、いないぞ。

 

「ハァァァァ!」

「おっと、奇襲なのに声を上げるとは間抜けめ」

 

上空からの声に反応して、俺は高速で移動して回避する。

奇襲とはこうやるのだ。

 

「ッ!どこだ、どこにいる」

「…………」

 

説明しよう、俺は体表を操作して透明になる能力があるのだ。

これも体内に寄生した微生物のお陰である。

またの名をナノマシンでも可、金属生命体ってぶっちゃけ金属だし、流石創造系最強の神器。

最早、生物でないだろってものすら無理矢理に生物って認識すれば出来てしまう。

 

「ッ!そこか」

「おっと、危ない危ない」

 

背後から忍び寄り、俺は抜手を繰り出す。

それに反応して、剣を振るうがそれも余裕で回避する。

ただのカカシですな。

 

「くっ、身体に力が……」

「ただ殺すだけなら、私の能力は最適だ。何故なら余が作り出した細菌兵器を使えばいいからな。俺の力はコスト度外視でなんでも出来る。でも僕ってば考えたんです。そんな素晴らしい能力をそんなことに使っていいかってね。故に、故に吾輩は考え生み出した!その名も、エロウイルス」

「ふざけたことを……」

 

ふふふ、辛かろう。

俺の作ったウイルスに感染した事で、貴様の身体は疼いているはずだ。

異性に対して興奮し、端的に言って欲情する効果だからな。

しかも、感染中は神経の鋭敏化によって感じやすくなってしまうのだ。

更に、筋肉が微妙に弱くなる事で脳筋キャラも屈してしまうという効果付き。

 

「こんな所で、負ける物か!」

「此奴、根性で立ちおった」

「私の、んっ……し、信仰は……んふっ……はぁはぁ、ゆりゅがにゃい!」

「いや、そんなトロンとした顔で言われても説得力皆無なんですが」

 

すげぇ、エロ同人ってやっぱりすげぇ。

だって、妄想が現実になってるんだもんな。

今ならなんだって出来る気がするぜ。

 

「フフフフ、今の俺はイトイトの実の糸人間、どうだこれ」

「にゃ!?」

 

ゼノヴィアが俺の手の動きに合わせて勝手に転ぶ。

転んで、そしてM字開脚した。

 

「か、身体が勝手に……」

「体内の微生物を操作して、身体のコントロールを奪ったのだ。さぁ、スケベしようや」

「くっ、いっそ殺せ!辱められるなら殺すが、ひゃぁ!?」

 

おっ、おっ、触れずにエロいことも出来んだぞ。

やんのかこら、おぉん。

 

「ふぁぁぁ!?」

「ヤングジャンプ好きなんだよな、エロ漫画より俺はそっちが好きなんだ。だからこうして服を着ている君が恥ずかしがっている様を見ることにするよ。ねぇ、どんな気持ち」

「な、何だこれ……んくっ!」

「直接的なエロではなくですね、微エロが良いのですよ。真の意味でのエロとは、静的な状態ではなく変化の動態。つまり、エロくなる過程こそが、聞いてる?」

「あぐっ、んんんんっ!」

「対魔忍の世界じゃないんですけどぉ」

 

良いね良いね、最高だね!

そういう、悶える様って俺ってば大好き。

さぁ、そろそろ実際に触って見るとしましょうかね。

 

「あぁぁぁぁぁ!」

「ッ!誰だ!?」

「な、何してるんだ!」

 

急に声を掛けられてビクッとする。

やめろよ、ぼっちは自分が話しかけられると思ってないんだから話しかけるよって言ってから話しかけろよ。

振り向いた先には、イケメンがいた。

なんだあのイケメン、死ねばいいのに。

というか、また侵入者か。

 

「誰だお前」

「ゆ、許せねぇ!森の中で、身動きが取れない女騎士を好き勝手してくっころするなんてけしからん!俺だって、俺だってな!いや、俺だけじゃない、世の中の男は一度くらいやりたがっている!でもやってはいけない、この背徳感が良いんじゃないか!なのに、どこの誰だかしらないが、そこのお前!実際にやるやつがあるか、女の子が嫌がることを実際にやるなんて」

「あぁぁぁん!」

「おほぉぉぉ、おっといかんいかん!話してる途中だろうが、乳首ドリルすんな!そういう犯罪チックなことをすると、世の中のエロの規制が厳しくなるんだよ!許せねぇ、お前のせいでまたロリ系が規制されるだろう。いいぜ、お前がそうやってエロいことをするっていうなら、俺がお前を止めてやる」

「いや、だから誰だよ君。あと、そこはお前の幻想をぶっ殺すとか言うところだろ」

 

イケメンの腕に赤い篭手が出現する。

俺は、コイツを知っている。

赤い篭手、まさか貴様……。

 

「馬鹿な、なぜ貴様がここにいる。貴様は、主人公!」

「良くわからないが、お前は敵だ!」

「おのれ主人公め、畜生めぇぇぇぇぇ!」

 

あとちょっとでおっぱいぷるんぷるんだったのに!

だが、我がウイルスは既に散布済みだ。

さぁ、食らうが良いお前の攻撃は全て無駄だ。

 

「うおぉぉぉぉ」

「無駄だ、止まれ!……えっ?」

「おりゃぁぁぁぁ!」

 

赤い拳が俺の顔をブン殴る。

身体が捻られ、吹っ飛ばされる。

痛っ、痛たたたたた!?なんで、パンチなんで!?

俺の生物兵器は最強なのに、ちゃんと同人誌から女性に効くウイルスを創造したのに!

……女性に効く?あれ、もしかして男性には感染しない……確かに、アレってハーレム物でおかしくなるのは女性だけだ。

 

「しまった、俺としたことがエロ不注意とはこの事か……」

「なっ、無傷で立ち上がった」

「認めよう主人公、お前の言葉には一理ある。持っていくがいい、今回は負けを認めよう」

「アンタ……」

「だが私は何度でも女体を貪るぞ、この世界の美少女を抱いて犯し尽くす!無論、貴様の部長もだ」

「なッ!お前には誇りがないのか!本当に気に入ったおっぱいを、揉みたいと思わないのか。お前の言葉には気持ちが伝わってこねぇ!まるで誰でも良いかのように感じるぜ。あぁ、以前の俺ならお前とはいい友達になれただろうな。だが、俺は気づいた!好きな人のおっぱいこそ至高。その他はナンバーツーでちょっとしか見たいと思わねぇ!だから部長は渡さない、それがどんな奴だろうと俺があの人を守る。あのおっぱいは、俺が、俺が守るんだ!」

「見事だ、見事だ主人公。その言葉、忘れるなよ!さらばだ!」

 

熱い男だった。

さすがの俺も負けを認めざるをえない。

何ていうか、心が負けを認めちまったのさ。

だから、レオナルドはクールに去るぜ。

次に合うときこそ、女騎士は俺の物だ。

 

 

 

城に帰ったら、おっぱいおっぱい煩いと忍ちゃんに滅茶苦茶説教された。

なお、もうひとりの女騎士はアリスとの戦いで大破して、ポロリしながら帰っていった。

ここってもしかしてエロゲの世界なんじゃないかな。

 

「おい、聞いているのか」

「すいませんすいません、やめて!そんなものをマイサンに向けないで」

「マミさぁぁぁぁんならぬ、マイさぁぁぁぁんとかやってみるか?再生するし」

「ちょ、おま、馬鹿、あっ!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 



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それを室内で使うなんてトンデモない

魔女の夜とかいう奴らがやってきた。

おいおい、侵入者が千客万来だな。

アリスの森を見て回って、感心している節がある。

 

「魔女が来るぞ、怖い魔女だぞ~」

「や~」

「坊っちゃん、余りアリスを使って遊ぶ物ではないですよ」

「スキンシップですぅ」

 

アリスの作ったワンダーランドに何がいるか、そんなのは俺の想像を既に超えている。

子供の夢というのは際限がないからな。

ちょっと、話したりしたらすぐに創ってしまう。

 

『アンタ達、どこから来たんだ?』

『キャァァァシャベッタァァァァ!?』

『オイラ、コロモンよろしくな!』

 

実際に創ったモンスターと魔女たちが接触した。

おいおい、抱きしめてやがる。

アイツ、使い魔にする気かよ。

 

『何なんだ、この森は……』

『ベトベター』

『何か居たぞ、逃げろォォォ!』

『も、森が腐ってやがる……早すぎたんだ腐敗が』

 

魔女たちが楽しそうにはしゃいでいる。

あっ、飲み込まれた臭そう。

 

『グオォォォ』

『何だアレは人面獣!?キメラか』

『助けて、何なんだこの人外魔境は』

『キャベツだぁぁぁぁ!飛んでるぞぉぉぉ』

『どゆこと!?キャベツが空を飛ぶわけ、飛んでるじゃねーか!』

 

紆余曲折を経て、彼女達は城の前まで辿り着いた。

どうやら楽しんでもらえたのか、みんな興奮で息切れしている。

ハァハァする女ってエロいよね、でもなんで目隠ししてるの。

メデューサなの、ライダーなの?

 

「坊っちゃん、お客様がお見えです」

「入れ」

 

俺は肘掛けに持たれながら顎を乗せてドアを見る。

ドアの前にいる、銀髪紅目のホムンクルス達がゆっくりと開く。

アインツベルンのホムンクルスを模倣しているが、ちゃんと感情もあるし寿命も人並みである。

 

「スタァァァプ!首長の命令により、服は脱いでもらおうか」

「なっ!?」

「武器の携帯は認められない、さぁ!さぁさぁ!」

 

ドアを開けて、ホムンクルス達が魔女達を堰き止める。

うん、ぐぬぬって言いながらストリップする魔女とかおばさんだけど良いものだ。

ぬーげ、ぬーげ、ぬーげ!

 

下着一枚で魔女達が俺の前に跪いた。

態々、俺の所に来るって事は前もって下調べとかしたんだろう。

例えば、コカビエルを倒したこととかな。

 

「この度は、拝謁の――」

「止せ、御託はいい。要件を言え」

「ハッ、お力をお貸しいただきたくございます」

「ふむ、内容は」

 

魔女の夜の目的は和平の邪魔をすることらしい。

彼女達は禍の団に属しており、はぐれ魔法使いの一派らしい。

はぐれ魔法使いって何だろう、倒すと経験値がたくさん貰えるのだろうか。

 

「それで、俺に何を寄越す?報酬は?」

「ハッ、風の噂で何やら魔法に興味があるご様子。我々に協力していただけた暁には、魔力や奇跡を起こすあらゆる秘術をご提供することを約束しましょう」

「魔力や奇跡?なに、ダクソの話か?因みに魔法は何を教えてくれるんだ?第二魔法か、それとも第三魔法か?」

「だ、第二魔法ですか?はて、一体何を指しているのか」

 

首を傾げる魔女に俺も首を傾げる。

魔法をご存じない?技術的に不可能な現象を起こすことだったはずだけど、いやこれは型月理論か。

コイツらの魔法と、俺の魔法は認識が違うのか?

 

「他には」

「他に、ですか?」

「つまらん奴らだ」

「それはアンタの事でしょ、燃えな!」

 

俺の身体が紫の炎に包まれる。

な、何が起きたんだ。

あ、熱い熱いぞぉぉぉぉ。

 

「うわぁ、やられたー……」

「なっ、ヴァルプルガ様!」

「端から交渉は決裂、魔獣創造はコッチを殺そうとしていた。なら先に殺さないといけないわよねん!さぁ、さっさと――」

「どこに行こうというのかね」

 

ドアを開けて、颯爽登場。

俺の名前を言ってみろ!

俺の方を見ながら、ゴスロリの女が固まっていた。

年齢は二十代くらいか、頭にリボンが大量に付いている可笑しい女だ。

頭の可笑しい女だ。

玉座は真っ黒焦げで、紫色の炎がまだ燃えている。

 

「ば、馬鹿な!確かに灰にしたはず!虫になろうと、炎が弱点なはずだ!」

「不意打ちとは卑怯じゃないか。まぁ、無駄な事はやめたまえ!あっ……」

 

また身体が紫色の炎に包まれる。

こ、これが紫炎のヴァルプルガとやらの力か。

 

「ハァハァ……何の方法で、復……活……したか……」

「フハハハハ、何度でも蘇るさ!不死鳥のように、フェニックスは蘇る!そうフェニックスは何度でも蘇るのだから」

「あり得ない!二度も殺したのよ」

「お前は間違っていない。確かに俺は死んだ。そして、新しく起動したのだ」

 

分からないだろうから教えてやろうゴスロリ少女。

俺は初め、自分より強いものを創造した。

生まれたての時、彼らは創造の際に与えた記憶のみしか持ち合わせてはいなかった。

新たな記憶は生まれてからの物だけだった。

そんなある日、創造物の一体は死んでしまい記憶をロストした。

俺が創造し直しても、俺が知らない記憶は持ち合わせてはいなかった。

だから、俺は記憶をバックアップするモンスターを生み出した。

これで存在がロストしても、死んだ瞬間の記憶を新しい身体に受け継がせる事で同じ存在として復活できるってな。

 

「俺自身が最強である必要はなく、最強のものを作り出せばよい。だがそれは安易に死にやすいと言うことだ」

「なら、なんで死んでないのよ!」

「自分とまったく同じものを作り上げたんだ。まったく同じならば自分ではなくても問題ないと思わないか?」

「自身の複製、それが復活の仕組み……」

 

俺を殺すなら精神的に殺すしか無い。

もしくは、俺のストックを全部破棄してから殺すしか無い。

まぁ、俺のストックは異次元にある。

その異次元は内側からしか開くことは出来ず、開かないようするには異次元の内側にいる微生物を殺さないといけない。

つまり、開かないと中に入れないが鍵は施錠された部屋の中にあるということだ。

 

「か、勝てるわけがない……」

「恐怖しろ、ちゃんと殺してやるから。ただいま伯爵」

「ようやく、私の出番ということか。おかえり伯爵」

 

玉座の影が揺らめき、そこから壁一面に広がり眼球が周囲を見回す。

黒い闇が広がった壁面と赤い瞳が存在していた。

俺の影に潜んでいる、アーカードだ。

 

「どうして、彼が憤怒なのか。それは、彼が失敗作を収容しているからだ」

「失敗作……」

「殺すには惜しく、しかし制御は出来ない。故に収容、だが故に彼らは怒り狂う、魂の牢獄から俺へと怒りを募る。だから、たまには開放してあげるんだ。殺せ」

 

影が液体のように滴りながら、何かを排出する。

それは黒い影で出来た人だった。

それは黒い影で出来た獣だった。

それは黒い影で出来た悪魔だった。

 

「フフフ、フハハハハ!遂に、遂にか!おぉ、圧制者よ!死ぬがよい」

「グォォォォォォ!」

「…………」

 

黒いマッチョにパンチされる。

パンチされて吹っ飛んだ俺を、黒いブレスが焼き払う。

最後に闇魔法が俺に炸裂して、俺は死んだスイーツ。

 

 

 

……ハッ!?

あ、ありのまま起きたことを話すぜ。

俺は余裕ぶっていたらスパルタクスとリオレイアとマヌスにボコボコにされていた。

何を言ってるのか分からねぇと思う、俺も分からねぇ。

超スピードとか超能力とかじゃ断じてねぇ、最も恐ろしい物理を味わったぜ。

 

「あっ」

 

俺の視界の中で城が爆発した。

ば、爆発オチなんて最低ィー!

 

「おぉ、ドラゴンよ!貴様こそ傲慢の象徴、権力者なり!即ち圧制者、ならば滅ぼさん!」

「グォォォォォ!」

「…………」

 

お、俺は知らない!俺のせいじゃないぞ!

あんな裸装備で戦うマッチョも、深淵を撒き散らす化物も、黒いドラゴンも知らないからな。

 

「お城が無くなってしまったのよ。やっぱり人間らしい倫理観が欠如しているのだわー!」

「バーサーカーだからな。是非もないよね」



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今どのくらい、えっ学校が襲撃されたあたり?

ワンダーランド、そこはモンスターが群雄割拠する乱世である。

 

「いやぁ、乱世乱世」

「おぉ、圧制者よ!今こそ反逆の物語をここに」

 

挨拶した男は、俺をスルーして俺より強いモンスターへと挑みかかる。

半裸の男が猫のような動きをするドラゴンに挑みかかったのだ。

黒い影が縦横無尽に飛び跳ね、それが尻尾を叩きつけに来る。

その攻撃を紙一重で交わした半裸は、その持っている短剣で尻尾を斬った。

部位破壊!悲鳴を上げながら、ぶっ飛ぶドラゴン。

 

「おぉ、圧制者よ!汝、混沌に瞳を曇らせるか!しかして、無駄な事よ」

「お前の目、赤いってことは怒り状態ですね。でも無駄ですしおすし、意訳」

 

もう、マッチョの言葉もだいたい分かるようになっていた。

というか、いつからここは一狩りするようなモンハンワールドになっているのだろうか。

これもあれも、アーカードって奴が悪いんだ。

 

「ええい、こんな所にいられるか!俺は帰らせてもらう」

 

ジャングルで戦闘なんて馬鹿だけやってれば良いのだ。

俺は高貴な身分故、戦うなんて野蛮な生活はナンセンス。

つまり、お家帰ってクーラーの下で漫画読みたい。

 

「シャァァァ!」

「ガウガウ!」

「チュー!」

 

半裸マッチョのスパルタクスを置いて、逃げ出した。

そんな俺が木々を抜けると、その影から蛇の頭を持った剣士に斬りつけられる。

更に、足元からネズミが噛み付いてくる。

倒れた所に、背後からソンビ犬がダッシュで突撃。

か、囲まれたが何とでもなる!まだ間に合――

 

「貴公の人間性も限界と見える」

「お前は……」

「ならばその人間性、貰っておこう」

「あぁ……」

 

胸から突き出たショーテルを見て、俺は死んだスイーツ。

目が開いたら、知ってる天井が映った。

どうやら死んでしまったようだ。

 

「知ってる天井だ」

「おかえり伯爵」

「人形が喋ってる、なんだただの悪夢か」

「うん?」

 

啓蒙が、啓蒙が増えるぞい。

それにしても、ワンダーランドも賑やかになったものである。

デスルーラ出来るくらい物騒になっちゃたよ。

 

「こば、小林さん!お帰りなさいです」

「なんでや、普通に小林キャンセルしてたやろ!言い直すなよ、つうか言い直せてねぇけどな!」

「失礼、噛みまみた」

「わざと……じゃない!?」

 

テヘペロとするトール、イラッと来た。

可愛い女の子だぞ、許せよって感じがイラッと来た。

ドヤ顔禁止な、なんかムカついたから。

 

「フフフ、お戯れもそれくらいにしては如何ですかな」

「アイエェェェェ、ニンジャニンジャナンデェェェ!」

「拙者は忍者ではなく、アサシンでござるニンニン」

「絶対忍者だこれー!」

 

部屋の中でトールと話していたら、天井から腕の長い真っ黒な身体に白い仮面を付けたオッサンが入ってきた。

忍者、忍者だと思われ、その正体は暗殺者である。

その名も、呪腕殿である。

片手に包帯がぐるぐるに巻いてあるけど、中二病ではない、いいね。

 

「それで、アーカードはどうです」

「寝ています、えぇそれはぐっすりと」

「まだ起きないんですか」

 

俺は頭を抱えた。

さて、どうしてアーカードが寝ていると困るのか、それはワンダーランドが人外魔境になっているからだ。

アーカードが混乱して全部開放した結果、収容されたモンスター達が暴れ狂ってるのだ。

終末捕食始めたり、天変地異を起こすドラゴンが暴れたり、宝具をブッパする英雄たちが開拓始めたり、やりたい放題である。

 

「迂闊だったぜ、まさかアリスのポケモンが怪しい光やらねむり粉やらをやってくるなんてな」

「プリン……眠る……うっ、頭が」

「奴は強敵でしたね……」

 

まさか触れただけでぶっ飛ばされるとは、食客として招かれていた呪腕殿が触れられないなら触れなきゃ良いじゃない方式で戦ってくれなければ危ないところだったぜ。

まぁ、チキチキアーカードの中で誰が一番強いか選手権とか見てる感じで良いんですけどね。

ほらこうやって適当な虫と接続して外の様子を見れば。

 

『や、山が動いてやがる!』

『ドラゴンだ、竜殺しの奴らはまだか!』

『よく見ろ、アレはドラゴンじゃない!骨を背負ったカニだ!』

『敵はカニだ!食料になる、カニだ!』

 

おぉ、ブリテン勢がスゴイ勢いで駆け出していった。

カニ、美味しいもんな。

そっとしておこう。

 

「いやぁ、まぁこんな人外魔境になっている間はこないだみたいに侵入者はやってこないだろう」

「おい、お前様よ。そんなフラグを立てるから侵入者だぞ」

「久しぶりに喋ったと思ったら業務連絡か」

 

影からヌッと現れた忍ちゃんに、そんな事を言われてそっ閉じした手鏡にまた外の景色を映す。

もう、原作知識とか全然ないから時系列しらんのだけど学校襲撃された?

嘘、私の学校事件多すぎ!それが漫画の世界の学校の宿命である。

なんでや、ロイヤルが学校壊してもええやろ!

 

「おぉ、白い鎧だ。白龍皇ってキャラだな。ロボだろ、アレ」

『いい男だわ、みんな捕まえて!』

『メイブ様バンザーイ!』

『何だここは、良いだろう!来い!』

 

完全に迷い込んでるアレな空気。

あの男、終わったな。

どうして顔が隠れてるのにイケメンだとわかったのか、ピンク髪のキャラは淫乱だから仕方ない。

スーパーケルトビッチの前に、顔を隠すなど無意味であった。

ケルト兵が無限召喚されていく、しかも死ぬとバフとデバフを使う、残ってるやつは時間経過で更に強化されてるし、まさに鬼畜の所業。

アイツは男と寝ることしか考えていない女だからコントロール出来なかったんだ。

身体だけは良いけどな……ゴクリ。

 

「あっ、ヴァーリにゃ」

『伸びろ如意棒!』

『遅せぇ!死んじまいなぁ!』

『くっ、なんて槍裁きだ!』

『こらぁ、何やってるの!いきなり襲いかかるなんて、暴力禁止!』

『ただの挨拶だろうが!』

『ぎゃーてぇ、危なそうだったし』

 

そっとしておこう。

これだからケルトは野蛮なんだから。

戦わずに相手するにはどうしようか取り敢えず戦ってから考えようって、もう意味がわからない思考回路の奴らしかいないからな。

あの猿っぽい奴も可哀想に、どうせ孫悟空だろ知ってた。

 

「迎えに行ったほうがいい感じか?」

「アイツら確か禍の団の奴らニャ、きっと報復しに来たに違いない」

「あれ、禍の団に入ってたんだっけ?」

「レオナルドェ……」

 

し、しょうがないじゃないか。

俺ってば、お前の体目的で別にキャラ設定とかこだわってないんだもん。

でも言わない、言ったら怒られそうだから。

 

「まぁ良いにゃ。アイツら、ボコボコになったら迎えに行く」

「そうだな、猿はどうでもいいけど、白いのは貞操がなぁ」

「淫乱ピンク、あれで女王なんだよにゃ……」

 

因みにチーズを投げると条件反射で蹴ってくるから楽しいぞ、なお後で刺客を差し向けられる模様。

それにしても、みんなして俺達の所に来るなんて暇なの?

もう原作とか訳わかんねぇ、何がどうなってやがるんだ。

 

後で迎えに行ったら、猿の方は弟子にされかけていて白い方は馬車の中で拘束されていた。

危なかったな、俺が来なかったら二人共美女のもとで働く事になっていたぞ。

別に嫉妬とかじゃねぇから、羨ましいから邪魔したわけじゃないから。

なので迎えに行ったのである、本当だよいいね。

 

「で、君達はミーの所に何しに来たんだよ。ユー、話しちゃいなよ」

「なんだこの頭の悪そうなこと喋る男は」

「三蔵ちゃん」

「ぎゃぁぁぁ、頭がぁぁぁ!頭がぁぁぁぁ!」

 

ええい、猿は黙ってろ。

 

「俺より強い奴に会いに来た。呂布がいるはずだ、曹操が言っていた。呂布の勧誘だ、倒してしまっても構わんらしいけどな」

「死亡フラグ乙、おいでよ英霊村ポロリもあるよに連れて行ってあげよう。首、気を付けろよ」

「そうか、ワクワクするな!」

 

爽やかなイケメンがそこにいた。

そうか、お前が主人公だったか。

 



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そうだ、異世界に行こう

ヴァーリが呂布と戦っていた。

 

「うおぉぉぉぉ!」

「■■■■■■!」

「ぐわぁぁぁぁ!」

 

ぶっ飛ばされるヴァーリ、正直見ていて飽きてきた。

そもそも、この世界の主人公とか関わってないから勝手に知らん所で勝手に波乱万丈な生活してんだもんなぁ。

そうだ、別の世界へ行こう。

 

「素晴らしい、俺が全力を出しても勝てないなんてな!」

「チミ、ボクチン達は他所行くよ。そうだ黒歌一緒に来ないか?」

「どういうことニャ?」

「異世界に行く」

 

黒歌は何を馬鹿なと言った顔をしたが、まぁ出来なくもないかとでも思ったのだろう。

少し考えてから、辞めとくわと言った。

私は悲しいポロロン。

 

「トール」

「はーい」

 

原理は不明だし、自分で創っておいてなんだが何をしてるのかさっぱり分からんが空間に穴が開いた。

よく見慣れた光景であり、こう知らない景色がそこにあると思ってもらえればいい。

どこに繋がってるのか不明である。

超能力とか魔術とか無い、ラブとコメディの世界だったら好き勝手出来るのにな。

どこになるか、楽しみである。できれば、女子が高レベルな世界、かわいい女しかいない世界に行きたい。

選別として呂布をプレゼントして、俺達は異世界に行くことにした。

大丈夫だ、魔獣創造で新しく作れる。

 

 

 

そこは見渡す限りのコンクリートジャングルゥ……!

車が行き交い、夜の街を派手な男や女、草臥れたサラリーマンが歩く。

俺知ってる、ここ銀座だ。

秋葉原から抜け出したかのような俺達は明らかに浮いていた。

 

「まぁ、銀座なんてどこにでもあるだろう」

 

異世界になんとなく来たけどどうしようかと頭を悩ませる。

俺の今の格好と言えば、ジーンズにパーカーと全身がユニ○ロだ。

どんな世界にもある、そうユニ○ロならね。

因みに、ユニ○ロなのは○の部分が世界で違うからだ。

アンパンマンがアソパソマソになるような世界だってあるから、違うんだろうな。

 

「クフフ、坊っちゃんここは私におまかせ下さい」

「なんだその笑い方、お前パイナップルってあだ名付けるぞ」

「プププ、やーいやーい笑われてやんの」

「……うるさいですよ、口を謹んだらどうですか?」

 

トールとセバスチャンが睨み合う。

なんか、アレだな。お前達ってソリが合わないんだな。

 

「はいはーい、私にいい考えがありますよ」

「何?」

「異世界に言ったらまずは本屋ですよ。そこで、ない本を探せば高確率でその世界です!」

「出版されてない場合だってあるでしょう、これだからトカゲは頭が足らない」

「あっ?悪魔風情が何か言いましたか」

「なんですか?耳まで悪くなったんですか?」

 

なるほど一理あると思ったがそんなことも無かったぜ。

従者コンビが今にも喧嘩しそうなので、そっとしておこう。

お腹が空いてるに違いない、そうだご飯にしよう。

 

「大人はピリピリしてるのよ、せっかくの旅行なのに嫌だわ」

「新しい着物が欲しいわ、この間のは汚れてしまったから」

「そうね、ここには色々ありそうだわ。あっ、ドーナツ」

「何だと!?おい、主様ドーナツはどこだ!早く行くぞ」

 

ご飯を探していたら、雑談が聞こえたのか忍ちゃんが首だけ影から出して周囲を見渡した。

そして、ドーナツと呟いて沈んでいった。

沈むのかよ、どんだけドーナツ欲しかったんだよ。

 

「忍ちゃん、ドーナツあったよ」

「馬鹿め、あれはミスドではない。ミスド以外のドーナツはドーナツにあらず、いらんわいボケェ!」

「こだわりがスゴイ、子供か!子供だった」

 

銀座にあるし、高そうだけどな。

あっ、無一文だからダメだったか。

まぁ、金なんて金属で出来たモンスターを創って偽装すればいいんだけどな。

俺は懐で金の代わりを創りながらやることもないので、トールの案を採用する。

出版されて無くても、出版されてる物からその世界ではないということくらいは分かるからな。

 

タクシーに乗って秋葉原まで移動する。

なんでかって?銀座にアニメショップは無かったんだよ。

学園都市や冬木は無いことは移動中、タクシーの運転手から分かった。

おっ、アニメの話か。最近の外人さんは好きだよね、なんて言うから恐らく無い。

 

「やってきたぞ秋葉原」

「何でしょう、すごいざわざわしてます」

「なんでか見られてるのよ」

 

秋葉原に着いたら周囲から視線を感じた。

なんでか、こっちがすごく見られてる。

っていうか、スマホ向けてる奴もいる。

なんでだろう、不思議だ。

 

「アレ、セバスチャンかな?クオリティ高いわ」

「レイヤーよ、きっと特殊訓練を受けたレイヤーよ」

「幼女もコスプレか。写真お願いしたら事案だと思うか?」

「ギルティだ、俺達は触らない……見守るの」

 

何ていうことでそ、通行人達の会話からコスプレイヤーだと思われてる。

おいおい、どこにそんな要素があるっていうんだ。

着物とゴスロリとメイドと執事だぞ。

アカン、これアカン奴や。全員、おかしい。

 

「鬱陶しいですね、殺しますか?」

「馬鹿ですか?そんなことしたら、目立ってしまうでしょう」

「おや、怖いんですか。私だったら、ミサイルが来たって余裕ですけどね」

「問題性の論点が、やれやれ言っても無駄ですね」

 

ふー、ファッサとため息を吐きながらセバスチャンが髪を掻き上げると悲鳴を上げる通行人が何人かいた。

やめろセバスチャン、その仕草は腐女子に効く。

あと、トールはあんまり離れるとお店はどこですかって聞かれるからウロウロしない。

取り敢えず、みんなでアニメショップに入るとFATEが置いてあった。

つまり聖杯戦争はないと、ゼロ魔もあるな。

シュタインズゲートとか俺妹とか秋葉原関係が出そうなのは普通にあった。

アニメ化してる物なんて多すぎて、正直分かんねぇ。

取り敢えず、ハイスクールD☓Dでも買うか、そうしよう。

 

「なんか普通の世界ですね」

「何の世界か特定できないからな、実は俺達が知らない場所で日夜戦いを広げるような場所だったりするんだろうか」

 

例えば池袋に首なしライダーがいるとか、いやないか。

武偵を育てる学校も、料理で人を脱がせる学校もここにはなかった。

魔力とかそこら辺も感知してもらおうにも特になかった。

仕方ない、ゲームとアニメとマンガを買い漁ろうじゃないか。

きっと、俺の前世に戻ってきてしまったんだろう。

 

「アレ、アレが見たいのよ」

「いやぁ、アリスには刺激が強いんじゃないかな」

「やー、魔法少女借りるのー」

 

まぁ、今は楽しもうとしよう。

 

「マミさんが……マミさんが……」

「まどマギは彼女には早かったようだ」

 

それから、俺は数カ月は遊びまくった。

アリスと魔法少女を見て、大人の汚さや現実の理不尽さを見たり。

 

「ぱないの!?ドーナツ食べ放題とか、どうなってるの!えー、すごいすごい」

「忍ちゃん、もうやめよう。店員さん達がドン引きしてるよ、きっと赤字だよ」

 

ミスドのドーナツ食べ放題に忍ちゃんと行ったり。

 

「フフフ、フハハハ、ここがパラダイス」

「キャラ崩壊してるぞ、セバスチャン」

「猫カフェ、なんて素晴らしい」

 

セバスチャンと猫カフェ行ったり。

 

「ほぉ、この私に挑むか。良いだろう掛かって……」

「旦那、攻撃避けないとそりゃ死んじゃうよ」

「一度食らったら半分も削られるとか聞いてない」

 

ゲーセンで旦那が舐めプした挙句にやられるの見たり。

 

「どうしてニヤけてるのかしら、ゴミが」

「七実たんツンデレキター!」

「デレなんて無いのに、なんで客に人気なんだ?」

 

メイド喫茶でバイトしてる七実を見たりして時間を過ごした。

そして、俺は暫くしてようやくこの世界がどこか分かった。

 

「むむむ、風が良くないものを運んできてますね」

「おっと、右手疼いているようだ」

「ピリピリしてるのよ」

「何行ってんだお前ら」

 

マンションのワンルーム、部屋で寛いでいたらみんなビクッっとしていた。

おいおい、コミケ前だからって緊張してるのかなんて思っていたらみんなが一斉に同じ方向を見ていた。

 

『緊急速報です。現在、銀座にてテロが発生して――えっ、ドラゴン?し、失礼しました!』

 

テレビから聞こえた声、焦るアナウンサー、そして始まるアニメ。

おい、アリスチャンネル変えるんじゃねぇよ。

だが一瞬だったがニュースから銀座でテロが起きてることが分かった。

銀座、そうか俺達が最初に移動したあの場所がキーポイントだったのか。

 

「どうやら、俺達はゲートの世界に来たようだ」

「ブレねぇ、流石にニュースだろうと思ったのにアニメとかブレねぇ」

「……ねぇ、シリアスなところだからテレビの話は一旦離れようよ」

 

俺達はゲートの世界に来たようだ、キリッ!

 

 

 



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バイクで来た

夜の銀座は様変わりした。

特定の地域は封鎖され、警備の軍人が行き交うのだ。

面白いのは、そこに米軍兵士がいないことか。

その姿から、アレを資源と日本国が見ていることがよく分かる。

 

「おい、どうしてゲートが開いてる!」

「どういうことだ、状況を説明しろ!」

「責任者は何をしている!」

 

鼻歌交じりに慌てる軍人の間を俺達は抜けていく。

トールの魔法で姿が見えないのだから、無理はない。

そして、無理矢理に開けられているのだからゲートの責任者がどうのこうのと操作している訳ではない。

 

「これはアレだね、まるで試しの門みたいだ」

「試されてる感ないですけどね~」

 

とんでもない化物がこの先にいるとか。

いや、まぁ異世界だしあながち間違いではないのか。

ゲートか……なんかアニメで見た記憶がある。

ドラゴンにロケット撃って、現地住民をぶっ殺して、日本で特殊部隊と戦って、地震に見舞われて、ドラゴン倒して……ドラゴン倒してから地震に合うんだっけ?あれ、あれれ、わかんねー。

 

特地と呼ばれる場所に降り立った。

なんかこうヌッとする感じに違和感とかあるんかなと思えば普通にトンネル抜けたらそこはみたいな普通だった。

普通に通り過ぎたら別世界である、ジブリで見た。

これ、アレだな神隠し的なアレだ。

 

「おぉ、おぉぉ、ドンパチやってるな」

「どうやら原住民達がこの場所に向かって夜襲を掛けているようです」

「前回の経験を活かして積極的に関わるために、まずは原住民に紛れ込もうと思うんだ」

 

俺の記憶が確かならこの後にドラゴンが……あれ、ドラゴンの後に原住民が殺されるんだっけ。

まぁいいや、何とかなるだろ。

 

「その異世界産のドラゴンとやらがどこから来るのか分からないですけど私の相手ではありませんね」

「ふんすーふんすー、トールはやる気満々なのよ」

 

そういえば、ドラゴンがエルフの集落を燃やすんだっけなぁ……。

集落って何処だろうか、トールの背中に乗って探すか。

 

「よし、敵はいつかやってくる場所がエルフの村だ。どうせなら、エルフの女の子を抱くとしよう」

「あらあら、ゲスの極みというのは貴方の事なんじゃないかしら死ねばいいのに」

「うるせぇ!エルフだぞ、ヤルしか無いだろ!エロ同人みたいに、みたいに!」

 

食事にセックス、眠りに戦。何事についても存分に愉しみ抜く。それが人生の秘訣であろう。

エロい人は昔に言いました、征服王が言ってるんだから間違いない。

 

トールの背中に乗って空の旅、見渡す限りの森と森。

正直、どこがエルフ村か分からなかった。

その代わりと言っては何だが、村を見つけた。

小さな村だ、現地民の村だろう。

ただ様子が可笑しいのは、何やら山積みの死体とかがあることだ。

 

「えー、なにあれ」

「もしかしたら、あの丘に向かう途中に物資調達の名目で何かされたのかもしれませんね」

 

何かっていうか殺されてるんですけど。

俺達は姿を消した状態で村に降り立つ。

その際に、俺は食べていいぞとアーガードに指示を出した。

死体の山が影に包まれ、一気に消えた事で現地民が騒ぎ出す。

もち、もちつけ!まだ慌てる時間じゃない!

 

俺が何をしたかというと端的に言って知識の収集である。

吸血鬼は血液を啜ると同時に魂の情報も啜るのだ。

でもってそこから現地語を得たアーカード経由で知識を習得、俺の神器の中に一度取り込んで再構成。

これで全員が言葉が分かるようになった。

 

「やぁやぁ、こんにちは皆さん。私は決して怪しいものじゃありませんよ、はっはっは!」

「怪しさの塊でしか無いのだけれども、理解できていないのね。可哀想だわ」

「刺々しいなぁ、いや切れ味鋭いって感じか。流石、虚刀流だよ」

 

試しに話しかけてみれば、何だコイツと怯えられる。

そう、怯えられたのだ。

コイツ、俺の話が通じてやがる。

 

「な、何者だ」

「俺か、俺の名前を言ってみろ!」

「えっ、知らない……」

 

困る村長、困らせる俺、やっべぇ超楽しいわ。

いや、まぁ、本題に入ろう。

 

「そう言えばなんだが、ここで何が起きたんだ」

「何がそう言えばなのか分からんのじゃが」

「おい、爺がのじゃとか使うなよな。忍ちゃんと被るだろ」

「えぇー……」

 

村長を困らせつつ、俺はエルフの集落を教えてもらった。

と言っても彼らは場所は知らず、深い森にもしかしたらいるのかもしれないと言ったくらいだ。

まぁ、森の大体の位置が分かれば虫を放てばいいだけだ。

 

俺の手の中から虫が生み出されて飛んでいく。

手から出るとか、俺ってば忍者みたいだよな。

アイエー、忍者なんでぇぇぇ!みたいな。

 

「おっ、見つけた」

「流石、小林さん。さすこば!」

「俺の名前はレオナルドだ」

「失礼、間違えました」

「違……わない!この野郎、それじゃあ俺のやりたい流れじゃないじゃないか!」

「噛みました!」

「噛んでない、噛んでないよぉ、もー」

 

せっかく原作を盗んできたのに。

このメイド、ポンコツである。

 

「ちょっと待て、なんで儂こんなに登場しないの!喋れよ、喋らなきゃ出れないじゃん。カップルのイチャコラなんか見たくないんじゃが」

「あっ、忍さんそこまで読んだんですね。面白いですよね、まさかガハラさんの後輩が殺しに来るとか予想外で、まぁ人間は欲深いっていうか、女性を好きになる気持ちは分からなくないんですけどね」

「ちょ、おま、ネタバレ!ネタバレェェェ!新キャラだから怪しいと思ったけど、えっ殺しに来るの!?」

「ネタバレは悪い文明なのよ」

 

まったくである、アリスの言うとおりだ。

因みに、原作は面白いけど殆どストーリーとは関係なさげな雑談が主だよ、閑話休題とかよく出るしな。

さて、仲間の登場する小説を読んでる彼らを切り上げさせてエルフである。

あのエルフが物語を盛り上げる為だけに死ぬのは勿体無いからな。

 

「召喚、シヴァ!」

 

昔、何かのゲームを見て覚えていたモンスターを召喚した。

まぁ、モンスターと呼べるかは分からないが、ウンディーネのような二体のモンスターだ。

彼女達は俺の回りをクルクル回って、でもってバイクになるのだ。

どうやってなってるか分からんけど、細かいことは考えてはいけない。

 

「森の中をバイクで移動するのだよ」

「アリスも、アリスも乗るの!」

「悪いなアリス、コイツは一人乗りなんだ」

「レオナルドは意地悪なのよ!」

 

免許を手に入れて出直してきな。

まぁ、俺のお腹の上に載せる事で解決した訳だがな。

冗談だ、ちゃんと乗せたげるさ。

 

「索敵はおまかせ下さい」

「お先に」

「あー、待って下さい皆さん」

「…………」

「徒歩の方が早いのよ」

 

やめろ、それは俺に効く。

人外にはバイクは勝てなかったよ。

 

「止まれ、何者だ!」

「ちょ、急には止まれない」

 

何やら声が聞こえたと思ったら矢が飛んできた。

まぁ、オートガードの如く俺の影からヌルっと成人男性が現れて矢をその身で受ける。

 

「油断大敵だぞ、レオナルド」

「旦那、超COOLだぜ」

 

再生した肉によって、ボロっと矢が落ちる。

その状態を驚きの目で見るエルフ。

 

「まさか、亜神なのか」

「不死身な存在に対しての驚きが少ないな。他にもいるのかもしれない」

「旦那、旦那。そんなんいいからさ、アレ捕まえてよ。人質にしようじゃないか」

「了解、マイマスター」

 

影のような身体がエルフを掴む、あっさりしているがこんなもんだ。

レベルが違いすぎるからな。

 

「くっ、殺せ!」

「殺すわけないだろ、お前を人質にお母さんか妹さんか奥さんと寝るんだ」

「つくづく思考がクズであるな、マイマスター」

 

見た目は若いんだから問題ないのである。

 

 



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