転生したらエリックだった件 (逸般ピーポー)
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1話

転生したらエリックだった件。


さて皆さん。神様転生というものをご存知だろうか。そう、二次界隈では割りと有名なあれです。
例えばゲートオブバビロったり、成長限界無限だったりするあれ。Fateならだいたいサーヴァント指名とか。チートのような特典をもらえるあれ。

その転生をした。会話内容なんて冗長かつ誰得なので割愛。
転生特典?ねえよそんなもん。行く世界はゴッドイーター、アラガミ側か神機使い側どっちがいい?ってことでゴッドイーター側を選択。
そしたらせめてもの慈悲ってことで、一応前世の記憶だけは持っていっていいってさ。わーい。
…ゴッドイーター(無印)だったら記憶あっても最後の方が地獄なんですけどね。
ゴッドイーターは好きなゲームだったので、無印、バースト、2の全てのストーリーミッション(光ってるやつ)を終わらせる程度にははまっていた。無印の難易度10はマジで1つのミッションを終わらせるのに徹底的に刀身銃身防具の強化して、それでも10回以上失敗しまくったりした記憶が…。あがががが。
逆にバースト、2の難易度ならなんとかなるはず。いや、ゲンさん(神機が拳銃)みたいなのになってしまったら無印レベルの難易度だと思うけれども。人生ハードモード。まあゴッドイーターの世界に限らずとも人生はルナティックだぜ。なんて思う時もあるけどさ。



さて、そんな感じで気付いたら廃工場(鉄塔の森、だっけ?)。目の前には神薙ユウくんらしき人物。


え?


「エリック、上だ!」


転生したらエリックだった件。


















「ハッ!」

ソーマの声を聞いた瞬間、バックステッポゥ!
まだだ、まだ俺は死ぬ訳にはいかんのだ!だって転生したばっかだし!
いや、エリックこと上田君になってんだから、これ憑依か?まあいい。なんにせよ…っ!

「ソーマ!」

背後にいるであろう、エリックの(つまりこの瞬間から俺の)友であるソーマに頼る。だって俺の手にある神機はブラストだし。弾はモルター(爆発系)しかないから、撃てば自分がぐああああ!ってなる。…後で脳天直撃弾と内臓破壊弾、作れたら作っておこう。あとプリティヴィマータの肩破壊用にプリティガン。出来ればメテオも作りたい、が…。あれはゴッドイーター2からだったかな?望み薄か。

なんてのんきにしている間にソーマきゅんがオウガテイルを倒してくれた。きゃあああ、ソーマきゅんかっこいー!無印ではマジで主人公してましたね…。あれは惚れるわー。ソーマきゅんマジ主人公。

ソーマきゅんが肩にノコギリ(神機)担いで新入りに向き合ってる。あのセリフ聞けるか?


「ようこそ…。クソッタレな職場へ…」

きたあああああ!
ゴッドイーター2のソーマも好きだけど、やっぱり俺はこっちのソーマが一番ソーマらしくてかっこいいと思うんだ!生クソッタレな職場頂きましたー!
ソーマったらマジイケボ。低くて聞き取りにくいのが難点だけど。


「とりあえず、助かったよソーマ」

「ぼさっとしてんじゃねえ…」

不機嫌そうに呟いて背中を向けるソーマ。うーん、実にクール。だが、エリックの記憶がある俺には分かる…!
あれは、実は半分照れ隠しなんだと!

俺とユウくんをその場に残したままのしのし歩いて行くソーマ。
こうしていても仕方ないので、ユウくんに声をかける。

「さて、僕達も行こうか」

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華麗に

あの後のミッションはソーマの攻撃力の高さと神薙ユウくんの新型としてのポテンシャルの高さもあって、無事に終了した。
しかし、ユウくんを見ていると、バーストの頃の自分のキャラクターを思い出す。
水色の髪。ヘッドホンで人の話を聞いているのか分かりゃしない頭。ホーネットパーカーにレンジャーブルーマスの女キャラだった。ゴッドイーター2ではレンジャーブルーマスの存在が無いとは思わなくて、結局最後までミッションを終わらせてからパソコンで調べてショックだったなぁ…。メテオもその時に知ったから、実はメテオの使用回数は数える程しかないんだよね。


無事アナグラに戻ってきた。
原作ではこの時点で既にエリックこと上田君は死んでいるので、確かにある意味転生と言えなくもない。神様転生()。憑依の間違いじゃないかなぁ…。

さて、これからどうするか。
たしかこれからあれでしょ、リンドウが行方不明になりアラガミ化。
第一部隊は隊長にユウくん、そしてサクヤさんとロシアの…ええと…そう、アリサだ。アリサ・イリーニチナ・アミエーラ…だっけ?
サクヤさんとアリサたんがエイジス島に不法侵入、コウタくんが男見せて吉幾三!違う、よし、いくぞ!ってなって皆で支部長フルボッコ。ちなみに無印で逆にフルボッコにされたのは私です。封神付きのロングブレードは覚悟が無くて、ガードしても死ぬんだよ…。あれは虚しい。
それ以降、私のお供はシユウのホールドショートにグボロのタワーシールドになりました。展開速度アップ付きのタワーシールドは本当に便利。でも死ぬ。特に難易度10。ふざくんな。


さて、このまま行けば多分リンドウが行方不明になる。リンドウさんは第一部隊どころか、アナグラの中でもトップクラスに失いたくない戦闘力だ。しかしこのまま行けば、アラガミ化する上にアナグラからどっか行ってしまう。
そして主人公とレンきゅんと共にイチャイチャラブラブ(血みどろの戦場で暴れまくり)、ごきげんチュッチュ(アラガミ捕食)するのだ…。女主人公だったからマジで戦場デートだと思いました。バーストだけだっけ?あのストーリーは。


それはともかく。


リンドウさんを失うのは、歩く死亡フラグエリック君にとっては非常に避けたい。エリックがいつ追憶のエリックになるか分からない以上、徹底的に私は死なないように生存率を上げたい。


というわけで、困った時のスターゲイザー。僕らのドラえもん、ペイラー榊博士だ!
どうでもいいけど、最初ペイラー博士が絶対黒幕だと思いました。怪しいよね。怪しくない?きっとそう思ったのは私だけじゃないはず。でも実際裏切るのは支部長。オンドゥルルラギッタンディスカー!


「というわけで博士。万が一アラガミ化した時に、アラガミ化を押さえる薬を作ってくれないかい?」

「何が『というわけ』なんだい?」

ラボラトリ。
部屋の中央には博士があのよくわからない微妙なデザインのチェック柄のぶかぶかズボンを履いて座っていたので、早速リンドウ助けちゃおうぜ大作戦(今命名)のために必要な薬を調達。ほら早くよこせよ(横暴)。

博士はため息を1つつくと、諦めたように話始めた。おうあくしろよ。

「はぁ…。ええと、アラガミ化をなるべくゆっくり進行させる…。言うなれば、抗アラガミ化進行薬とでも言うべきものを作ってほしいのかい?」

「ああ」

無論だ!

「うぅん。確かにアラガミ化の進行を押さえる薬のアイデアはあるんだ。だけど、今の手持ちでは材料が足りなくてね」

そう言って博士はこちらを向くと、いつものあの胡散臭い笑顔を向けた。

「とりあえず、堕王油を3つ集めて欲しいんだ。
…頼めるかな?」

ちっくしょおおおおお!やっぱりお使いかよおおおお!
しかも堕王油だと?3つだと!?
けっこうあれ出にくいんですけど!ふざけんな!


しかし体はそんな感情とは裏腹に、勝手に答えていた。…髪をかき上げながら。

「ふっ。この僕、エリック・デア=フォーゲルヴァイデに任せてくれたまえ。その程度、華麗に集めて見せるよ」

「…頼んだよ」

そして勝手に格好を付けながらラボラトリを出ていく俺(の体)。
やめ、やめろおおおお!

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堕王油3つ

「はぁ…」

勝手にこの体(エリック)が受け答えをしてしまったせいで、博士からのお使いで堕王油を3つあつめることになってしまった。
いや、まあアラガミ化の進行を押さえる薬の制作を頼んだのは俺なので、ある意味自業自得といえばそれまでなんだが。


…しかし、堕王油か。

堕王油。
クアドリガの堕天種から落ちる。部位破壊しなきゃダメなんだったかな?もう覚えてねえよ…。
つか、難易度どれくらいまで現状受けれるんだろう。ヒバリちゃんに聞いてみよう。


「ヒバリ嬢」

「はいーーーあ、エリックさん!どうされました?」

「今受けられる任務を教えて欲しいんだが…」

「はい、ええと…。今は危険度6までの任務を受けられます!危険度6の任務を表示しますか?」

…危険度?なんぞそれ。
と思ったので、とりあえず見せてもらう。ふむふむ。

・ヴァジュラ2体の討伐
・ウロヴォロスの討伐
・ヴァジュラ1体、シユウ1体、荷電性シユウ1体の討伐
・堕天種クアドリガの討伐
・極地適応型のコンゴウ2体、およびグボロ・グボロ1体の討伐

etc...

わかった。危険度6ってゲームでいう難易度6だ。
その証拠に、報酬部位に獣神雷毛とか混沌爪、混沌苔、堕王鎧や堕王砲がある。
けど、たしか難易度6はプリティヴィマータさんとかもあったはずなのだが…。マータさんの名前が見当たらない。まだ未発見…ってことか?シナリオの時期的に考えて。
オーケーわかった。とりあえず、バレットの編集をしてから誰か一緒に行ってくれる人を探そう。

「…ありがとう。また後で来るよ」

「かしこまりました」

ヒバリちゃんにお礼を言って戻ることにする。
向かうは…ターミナルだ。
面どっちいので出撃用ゲートの隣で。ていうか、ゲーム内でわざわざ自室のターミナルを使うのはシナリオの時くらいしかなかったし。
さて、まずは弾は編集。お金がけっこう吹っ飛んでいくけど、炎、氷、雷、神の4属性を作る。内臓破壊弾も脳天直撃弾も、ゲームではスナイパー一筋だったからオラクルポイントが少し少なくすんでた(はずだ)けど、ブラストとか無印とかバーストの時代では初めてだぞ…。そもそもこれ、撃てるのか?



かすれかけているうろ覚えな記憶を頼りに、なんとかそれっぽい弾は完成。内臓破壊弾、脳天直撃弾、プリティガン。内臓破壊弾は4種、脳天直撃弾も4種、プリティガンは炎と氷の2種。プリティガンは炎だけだと、破壊前に死んじゃったりするから念のため。ゲーム時代まんまとも言う。しかし値段たっかい…。ゲームでもお金かかったっけ?覚えてないな…。
あ、ブラストでも全部撃てた。ただ、内臓破壊弾は確かスナイパーだと3発撃てたはずなんだけど、ブラストだと2発しか撃てない。…銃オンリーって、どうやってオラクルポイント回復するのん…?あれか?アイテムだけ?

…え?正気?

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さあ、出撃だ!アラガミが、勝利が僕を呼んでいるよ!

とりあえずバレットは準備できた。あとは誰を誘うかだが…。
俺が後衛なんで、もう一人は後衛が欲しい。…ジーナ氏を誘おうか。俺、実は無印時代はからジーナ氏の大ファンで。ゴッドイーター2で大バカノンとかいう女キャラのエピソードはあったのにジーナ氏が見つからなくてがっかりした記憶がある。誤射姫は絶許。毎回ミッション終了後に徹底的に撃っていたのは今でも覚えている。あの時ほど味方の体力を減らしたいと思ったことはない。

知ってるか?バカノン、極東支部はおろか、世界中に点在する全支部の中でも最高の誤射率を誇るんだぜ。誇ってんじゃねえよ。貶されろ。ふざけろ。爆死しろ。あれは公式も悪い。カノンは存在が人類悪。

キャラクターは嫌いじゃないけどさあ…。

しかも言うことが
『射線上に入るなって、私、言わなかったっけ』
だろ。

それから俺はカノンだけはリンクエイドしなくなった。
あれは敵。敵なの。アナグラの中でのみ味方。


あとは前衛が欲しいな。いつもならソーマに頼むところなんだけど、どうも居ないようだ。他を当たろう。
…この時期だと特務かな。

なんて思っていると、あり得ないはずの顔を見た。
待て。何故お前がここに居る。いやおかしいだろ。

偉大なる探索者。
真壁、ハルオミ。


真壁ハルオミ。
ゴッドイーター2に出てくる人物で、ゴッドイーター2の時点から5年前、グラスゴー支部で愛する女性を失った。
確かゴッドイーター2は無印・バースト時代の3年後か何かなので、今から2年前に…つまり、すでに死別した後だということになる。

飄々とした男性で、個人的にはゴッドイーターシリーズの中でも屈指のギャグセンスを持つ人物だと思う。どこか憎めない愛嬌があり、事実、女キャラでプレイしていたゴッドイーター2でも、毎回頼みごとは断っていたが常に違う女性キャラを連れてくるほどのナンパ師であった。ミッション終了後に思っていたことは、おうこんなかわいい女の子(プレイヤーキャラクター)と(戦場)デート出来るんだから感謝しろよ。
エピソードが楽しかった上にわりと紳士だったところが非常に好感が持てる。

しかし…。ハルオミ。お前、まだアナグラにいちゃダメだろう…?
なんて思っていたが、彼はこちらを認めると気軽によう、なんて片手をあげながら話しかけてきた。いや、なんでいるんですかあんた。

「ようエリック。どこか行くのか?」

「あ、ああ…。ジーナ氏を誘って、クアドリガの堕天種の討伐に行こうかと考えている」

そう言った時、ハルオミの目がキラリと光った。
(☆∀☆)

「ほう…。いいねぇ。…ところでそれ、俺も混ぜてくんない?」

彼はゴッドイーター2では確かバスターブレードにスナイパー。今はまだ新型化されていないはずなので、バスターかスナイパー…。どっちだ?

「…その前に、ハルオミ氏。ハルオミ氏の神機はバスターだったか?」

「あん?そうだぜ。なんだ、バスターじゃダメだったか?」

大歓迎だ。

「いや…。むしろ、前衛を探していたところだ。ジーナ氏に聞いて、問題なければ行こう」

「任せろ」

そう言って、にやっと笑って小さく拳をこちらに差し出してくる。
ふっ。この男は、これだから嫌いじゃない。

そう思いつつ、俺も握り拳を軽く当てた。

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頼むよジーナ氏

ジーナ氏の姿はロビーには無かったので、ベテラン区画と呼ばれるエリアへ。
ゲームでは基本的に禁止区画とされ、中盤以降自室が元リンドウさんの部屋になっても大体禁止区画のままというあれである。ていうか、ゴッドイーター無印・バースト時代は大体行っても入れない貴重な部屋だったりする。
アリサの部屋に入って汚なっ!って思い、そして次にパンツ!パンツです!ってなったのはきっと俺だけじゃないはず。あれ、パンツあったっけ…。靴下(ニーソ?)はあったはずなんだが…。

まあいい。

それはともかく、とりあえずジーナ氏の部屋へ。
ゲームと違い、寄宿舎らしく個室がいくつもある。男女で分かれたりしてないのが現在の世紀末っぷりをよく表している。なぜかって?ころころ人が変わるからね。仕方ないね。ポンポン人が死ぬ世界ですし。無印はよく死んだなあ…。


コンコンコン。
ドアをノック。

「…誰」

「私だ」

「…誰?」

本当に分からなかったようで、マジトーンで聞き返されました。ごめんちゃい。

「僕だ、エリックだ」

「…」

しばらく待っていると、今まで寝ていたのか、寝ぼけた感じでジーナ氏が顔を出した。

「…何の用?」

「ミッションに同行を頼みたい」

うはー!生ジーナたんキタコレ!
寝坊助まなこをごしごしこするジーナ氏とかこれ可愛すぎじゃないっすかね常考!拙者、思わずキャラが崩壊するほど天元突破してますぞおおお!
んんwwwこれはジーナ氏たんしかありえないwwwww

…はっ!お、俺は何を(ry

「…何の」

「クアドリガ堕天」

「…少し待ってて」

そう言ってジーナ氏は部屋に引っ込んでしまった。
いや、少し待っててってことはこれオッケーなパターン?マジで?…やったぜ。

完全勝利UC。…あ、ハルオミ氏のこと伝えそびれた。


ドアの隣で体育座りして待つことしばし。多分10分くらい。ガチャッと空いたドアからは、いつも通りのどこかダウナーなジーナ氏の姿が。うーん、かっこいい。

「で?他は」

…他?ああ、メンバーかな。ハルオミ氏が何故か来ます。

「僕とジーナ氏、あとハルオミ氏」

「…なんで居んの?」

「前衛」

「…ま、いいけど」

あ、ちょ、待って下さいジーナ氏ぃ!


スタスタ歩くジーナ氏の背中をあわてて追いかけ、ロビーに出る。するとそこには、誤射姫と話をしているハルオミ氏の姿が…。

「おっ、エリック。その感じだと、オーケーもらえたのか」

「…ハルオミ氏。何してた?」

「ああ、カノンちゃんがミッション行きたいっていうからさ。…代わりに頼む」

は?
とか思っている間にハルオミ氏は俺の背中をぐいぐい押していた。あ、ジーナ氏がため息ついてる。でもちゃんとついて来てくれてるあたりポイント高い。小町ポイント…死んだ目…うっ。やはり俺の殺伐ラブコメは間違ってゐる。


「あれ?エリックさん?」

「やあ」

よう誤射姫。

「あー、すまん。すまんが、俺は今からエリック、ジーナと一緒にミッションに行くんだ。だから、カノンちゃんには悪いが、一緒にミッションには行けねえっつーか…」

「え?そうなんですか?」

「…ああ」

くそ、バカハルオミ氏。三人ならまだあと一人行けるんだよ。なんてタイムリーにバカなことをしてくれる…っ!
これで私も連れていって下さい、なんて言われたらどうすんだ。…いや、まだ間に合う。無理やり会話を打ち切って、さっさとミッションへ行くんだ!

「そういう訳だから、これで失礼する」

そう言って足早にカウンターに向かい、さっさとミッションを受注する。
あの…!なんて言う声は見ざる聞かざる話さざるの術。あーあー聞こえなーい。

ささっと準備を終え、ジーナ氏とハルオミ氏を伴って出撃ゲートへ。
ゲートに入った瞬間、ふぅ…と胸の息を吐き出した。



「…あれで良かったの?」

そうジーナ氏が聞いてくるも、彼女も止めなかったあたり分かっているのだろう。誤射姫のあだ名は伊達ではないことを…!

「…ハルオミ氏」

「うっ…」

そう。諸悪の根元は(今回は)ハルオミ氏だ。ゆえに、ハルオミ氏に全責任を被って貰おう。頑張れ。
え?助け合い?知らない子ですね…。

はぁ…。なんて肩を落としているところ悪いが。

「ちなみに堕王油が3つ落ちるまで付き合ってもらう」

「マジかよ!?」

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ゆくぞエリック。素材の貯蔵は充分か?

ジーナさんをチョロインにしたくなかったので、最後らへん変更してます



俺がエリックこと上田くんになってから三日後。

なんとか3つの堕王油が集まった。
かかった期間:3日。
累計出撃回数:46回。

いやー、難易度6のクアドリガ堕天がここまで強敵になるとは…。
まず、エリックの所持していた神機がそもそもこれ。

『20型ガット』

ステータスをご存知?こんなんだ。ちなみによろず屋さんで購入可能。もうこの時点で勘のいい人とホモの皆さんはお気付きだろう。クソザコナメクジそのものであると…。

ステータス
破砕:×1.50
貫通:×1.00
炎:×0.50
氷:×1.00
雷:×1.00
神:×0.50

スキル
なし


おかしいでしょ。おかしくない?
いやね。そりゃあまだ時期的にはまだ序盤も序盤ですよ?でもさ。アリサちゃんは初っぱなからレイジングロアとか使ってたし、コウタくんもモルスィブロウ(だっけ?)とか使ってたし、ソーマも確かランク7の黒ノコギリでしょ?
なのになんなん?ランク1の、しかも最初から買える一番弱いであろうブラストですよこれ。ふざくんな。エリックぅ!お前これは死んでも仕方ないぞ!
…はっ。まさか、開発が死ぬキャラだからって手抜きした可能性が微レ存…?これは許されませんねぇ…!

一回行って15分近くかかったうえ、20回くらいくたばってリンクエイドしてもらったことで、さすがに強化しました。
よろず屋さんで購入と売却を繰り返して財布を分厚くし(あのバグはなぜかそのままだった)、よろず屋さんの顔が白くなるのと反比例するようにお金持ちに。
そして充分に資金を貯めて、低難易度のミッションで低強度工具鋼を合計6つゲット。
既によろず屋に鬼牙・荒爪が売っていたので、鬼牙を4つ、荒爪を3つ、それぞれ購入。

そして、20型ガットに鬼牙4つ、低強度工具鋼を4つ、125fcを支払って20型ガット改に。
そしてそして、20型ガット改に荒爪3つ、低強度工具鋼を2つ、130fcを支払って20型ガット真へ!

ちなみに20型ガット真のステータスはこんな感じ。

破砕:×1.50→×2.30
貫通:×1.00→×1.30
炎:×0.50→×0.50
氷:×1.00→×1.70
雷:×1.00→×1.90
神:×0.50→×0.50

スキル
スタミナ↓小
ノックバック距離↓小


…。
炎、強くなってないね。
しかもスタミナ↓まで付いたよ。へへ…。
ふざけんな!ってことで、リッカちゃんに聞きに行ったんだよ。神機変えたいって。
そしたらね。
神機変えても、適性ないから扱えないよ?って聞き返されました…。
いや、しかしまだ希望はあるはず!そんな思いでもう一度だけ適性の検査をしてほしいと頼み込み、一日目の終わりに検査してもらったんだけど…。
(一日目のこの時点でクアドリガ堕天は15回倒して堕王油1。15回目でようやく)
返って来たのは残酷な現実だった。

『うーん…。やっぱり、今エリックが使ってる神機以外には適性ないね。今持っている神機と、もっと深く付き合ってあげて?』

俺はベッドに突っ伏して泣いた。


二日目。

今さらながらに気づいたんだけど、どうやらこの世界はバースト時代っぽい。いや、リザレクションやってないからもしかするとリザレクションなのかもしれないけど、無印ではないようだ。
理由はジーナさん。
当たり前に思ってたから気付かなかったけど、無印時代のジーナさんはたしか帽子を被ったパツキンのナイスバディのチャンネー(死語)だったはず。
しかし、今俺の前に居るのは慎ましやかなお胸にサラサラの銀髪ショート、左目に眼帯をしたバースト時代のジーナさんである。ファンです(建前)結婚してください(本音)。
嘆きの平原などと言ってはいけない。死ぬ。

ちなみに昨日死にまくったおかげか、今日はあまり死なない立ち回りが出来た。もちろんそれはタイムの短縮と効率アップに繋がって良いことなんだけど…。
ジーナさんにトントンってされながら

「ほら」

って言ってもらうことも減っちゃった(´・ω・`)
ジーナさん、もっと俺に触ってくれてもいいのよ?
余談だが、実はジーナさんよりもハルオミ氏に助けてもらう方がちょっと多い。体感でジーナ氏4:ハルオミ氏6。ハルオミ氏に触られても嬉しくねーんだよオラァ!
…でもハルオミ氏なので許す。はっ。これが人徳というやつか…。
どうでもいいけどリッカちゃんはやっぱり可愛かったよ…。リッカちゃんは可愛い。可愛い。何故二回言ったし。大事なことなので(ry

ちなみにジーナ氏に

「ほら…頑張って」

なんて言われた日には俺の気分が天元突破、有頂天に達するのは火を見るよりも明白である。

ちなみに本日の戦果。

クアドリガ堕天15回倒して堕王油1。
今回は14回目で出たので、次は13回目で出るといいなぁ…。
一回あたりは相変わらず10分以上かかっている。
…ジーナ氏に脳天直撃弾と内臓破壊弾をプレゼントしようか?お金(fc:フェンリルクレジット)はよろず屋さんで増やせるし…。効率上がるし。
…よし。そうしよう。

そうと決まれば早速バレットエディットを開いて…。

カチャカチャ。
カチャカチャ。
ビシューン。

出来た。
さて、早速ジーナ氏にプレゼント…。って、あれ?
おかしいな。ミッションが終わって戻ってきてからさっきまでロビーに居たはずなんだけど…。

仕方ない。ヒバリさんに聞こう。

「ヒバリ嬢、今構わないだろうか」

「はい。あ、エリックさん」

「先ほどまでジーナ氏が居たはずなのだが…。どこに行ったか知らないかい?」

「それでしたら、自室に戻ると言っていましたよ?」

「すまない」

そう言うと、ヒバリちゃんはふふっ、と楽しそうに笑った。なんか変なこと言ったか?

「あ、すみません。ただ、ジーナさんはエリックさんのことをよく分かっているんだなって」

「?」

どういうことだ?

「先ほどジーナさんは、私にこう言ってきたんです」

『エリックが私の居場所聞いてきたら、自室って言っておいて』

「…って」

「ああ…。そういう…」

そんなに俺って単純だろうか。…いや、ミッションで何回もリンクエイドされてれば、そりゃ単純か。なんだか複雑である。
ジーナ氏に理解されてるのは嬉しいが…。ううむ。

まあいいや。

「とりあえず助かったよ。ありがとう」

「はい」

そんなわけでカウンターに背を向けて、ジーナ氏の部屋へ(二回目)。
うーん、ジーナ氏の部屋に俺って縁があるな。うはー!
拙者、正直ワクテカが止まらないでござるぅ!もしかしてこれいけんじゃね?じゃね?


ジーナ氏の部屋の前に着いたので、気持ちを切り替えて深呼吸。ふう。
さすがにさっきのテンションは自分でもちょっとどうかと思った。でもこの胸の内から涌き出るパトスを、抑えきれないんだっ!


トントントン。

「…誰」

相変わらずのジーナ氏の声。個人的にはこういう落ち着いたクールで美人な声って大好きです。結婚したい。結婚しよ。

「…私だ」

「…空いてるよ」

え?マジで?今ので分かったの?
…って思ったけど、そういえば昨日もこのやりとりやった気がする。そりゃ分かるか。他にもバリエーションを増やさねばな…。

「失礼する」

正直女性の部屋に入るのは緊張する。
ましてや、俺(エリックの中の人)が大々大好きなジーナ氏のお部屋である。
ジーナ氏は一人暮らししてたこともあるから(公式)身の回りのことは出来るだろうし。甘いものが好きらしいから(公式)カノンこと誤射姫とも仲が良いらしい。
そんなジーナ氏のお部屋である。
…え?ジーナ氏について詳しいって?
またまた、ご冗談を。これくらい、ジーナスキーには当然のレベル、いや常識まである。そうであろう、同士諸君。

部屋に入ったとたん、ふわっ…と僅かに香る花の香り。…あ、これいつものジーナ氏の匂いだ。思わずばれないように深呼吸してしまう。これは良いものだ…。

「やっぱりエリックか…」

そう言ってきたのはこの部屋の主、ジーナ氏。
彼女はベッドに片膝を立てて座っていた。
ただ、なんだろう。その、ハァ…。とでも言いたげな顔は。失礼な。いや、正直ジーナ氏にならなにされても気にならないんだけど。
むしろ今ジーナ氏が座っているベッドになりたい。おいベッド、そこ代われ。

「ああ。明日もクアドリガ堕天に付き合ってもらうことになりそうだし、少しばかりのプレゼントを持ってきた」

「…プレゼント?」


という疑問符が彼女の頭に幻視できるくらい、何言ってんだこいつ、という表情が手に取るように分かる。ジーナ氏って分かりやすいよね。なお、ハルオミ氏には共感を得られなかった模様。
ジーナ氏といい、ソーマといい。割と分かりやすいと思うんだけど…。

とりあえず、彼女にプレゼント(脳天直撃弾4種&内臓破壊弾4種)を渡す。毎回ミッション後に

『撃ち足りない…』

とか言ってるし、喜んで貰えると思うけど…。

そう思ってジーナ氏の反応を伺うと、なにやらじっとバレットを見つめている。
やがて、じーっと見つめた後に顔をあげてこちらに質問してきた。

「…これ、あんたが作ったの」

「ああ」

せやけど。
それがどうかしたかな。
せやかて工藤!…服部は関係ないね。

やがて彼女はふーん、と言ってからぼそっと小さな声で呟いた。

「…ま、もらっとく」

そう言うジーナ氏の表情に変化は見られなかったが、まあ、嫌がられてはいないようなので良しとしよう。

「お気に召したなら良かったよ」

「…で、用件はこれだけ?」

「ああ。では、失礼する」


そう言って、俺は軽い足取りで彼女の部屋の匂いを思う存分に堪能しながら出ていった。

自室に戻ってから、ジーナ氏の自室に入れたことに興奮して
イヤッホオォォォォォウ!と叫んでしまったは、まあ、仕方のないことなのだ。



エリックくんの大変さを知るために、久しぶりにバーストでナイフ(オラクルポイント回復用)に20型ガット、ランク1のよろず屋で買える最弱スキルなしの盾を装備、ジーナさんとハルオミ氏のかわりにブレンダンで難易度6のクアドリガ堕天に行きました。
めっちゃ死にました。


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そんな装備でだいじょばない

お久しぶりです


さて、無事に堕王油が集まったところで、あの胡散臭いことで有名なペイラー博士の元へいってきますた。
あと必要な素材は獣神雷毛16個と雷騎針3個。
いやー、これ新型なら楽勝なんだろうなー(ゲーム視点)。マジつれーわー(エリック上田君視点)。
ていうか何気に獣神毛じゃなくて上位素材な件。そのうち氷紋鎧とか要求されそうですねぇ…。なにそれ怖い。

はよう武器を強化しまくってひゃっはー!虐殺だー!といきたいところなんだけどね。それまでにリンドウが死亡認定されそう。なんとかリンドウのMIAまでに、アラガミ化を抑える薬を博士に作ってもらいたいところ。そしてそのためには俺が必死こいてミッションに行きまくりんぐするしか無いわけで…。

くっそ、オオグルマとかいうビッグダ○ィみたいなやつにも何かしら妨害をしたいところだというのに。身体が足りない…!ちなみに命もいくつあっても足りない。難易度基準は無印でした。オデノカラダハボドボドダ!




さて、そんな訳で。今日も今日とて元気にアラガミ狩りです。
今日のお供は俺が大好きジーナさん。ジーナさんは最近基本的に俺と組んでくれることが多い。愛してます。
あともう一人はオペレーターのヒバリちゃん大好き野郎こと大森タツミ。何気にリンドウとかと同じくらいなので、ゴッドイーターの中では年長者ということになる。それゆえか、いさかいの仲裁や意見の対立時にはよく場を収めている。今日はしばらくしたら防衛班に出動らしく、途中までの参加である。
タツミさんが抜けた後は、誤射姫こと大バカのんちゃん(台場カノン)か小川シュンの二人しか候補が居ない(第一部隊は出撃中)。

ま、そんな訳で途中からはシュンと共に今日のミッションに行く感じである。え?誤射姫?あいつは俺の中では敵だからアウト。今でもあの『射線上に立つなって、私言わなかったっけ』は許さない。俺は一度たりとも貴様の射線に出たことはない(ゲーム時)。毎回常に貴様が俺の背後に来るんだよ(ゲーム時)。

さて、今日のミッションはおっきな猫公ことヴァジュラをフルボッコにすることです。獣神雷毛16はちょっと多いが、まあ1日でなんとかなる量でしょう。運が良ければ。
問題は、難易度無印ということだ。いやあ、シールドがないと(リンクエイドされるのが)はかどりますねぇ!
はかどってちゃダメなんだが。まあこればっかりは仕方ない。盾なしとか最弱バックラーつけてるよりも紙装甲な訳ですしおすし。
ふふふ、俺はやるぜ…!
まあ真になっても火は0.5倍のままなんですけどね。ざっこ。



久しぶりに書けたので。
サクサク行きたいところですねー


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ジーナさんの日常

久方ぶりの連続更新


最近、エリックが変だ。

そう思うようになったのはしばらく前のこと。新型くん、ああ、神薙ユウだっけ?そっちね。
新型くんが来てすぐくらいの頃からかな。

それまでエリックのことなんて気にしたこともなかったし、直ぐにこいつも居なくなるんだろうなんて思っていた。
それまでのエリックは、ヘタレすぎてバレットの届かないところから撃ってたり、あまりにも実戦力にならない神機(20型ガット)を『僕の魂!』とか言ってたし。いや、正直あんたの魂足手まとい以外の何者でもないから。そんなことを思っていた。
実際、出撃しても『ひぃ!』とか言って、攻撃範囲の外に居るくせに回避ばっかりするし。

それと、死神。
アナグラの中では知らない人なんていない。
ソーマ・シックザール。
彼とエリックは仲が良い。いや、正確に言うならエリックがソーマに気さくに話しかけている、というべきか。どれだけソーマが冷たくあしらっても、さして気にした様子もなく接している、変な奴。
私自身はソーマに対して特に思うことはない。嫌いということもないし好きでもない。だから別に、エリックがどうしようと気にしたことはなかった。


それが突然変わった。
いきなり私にミッションの勧誘をしてくるようになったし、戦い方も変わった。
突然堕王油を集め出したり、博士の元に通うようになったり。
戦い方も、これまではヘタレかつ役立たずそのものだったのが、いきなり近・中距離の間合いで動くようになった。あんたは近接戦でも挑むつもり?
そう思っていたら案の定、何度も何度も『うわーっ!』とか言いながら吹っ飛ばされたり死にかけたり。段々途中からリンクエイドに行くのが面倒になった記憶がある。
ただ、それから何度か戦ううちに遠距離~中距離での間合いに落ち着いた。
それだけじゃない。それまでは『僕の魂だ!』とか頑なに言ってた神機をボロクソに言うようになった。と言っても、貶すような意味じゃなくて。このままでは生き残れない…!という感じ。
どういう風の吹き回しかと思ったけど、神機整備のリッカの元に行って適性の検査を頼んでいたらしいし、本当に何があったのやら…。

あと、弱点属性や部位破壊に詳しくなった。
それまでエリックがそんなことを気にしたことなんてなかったのに、突然正確に弱点属性のバレット使用と部位破壊をするようになった。
しかも少しずつ勉強したとかじゃない。本当に突然、人が変わったんじゃないかと思うくらい正確になった。
下手したら、今は私よりも正確にスナイプ出来るかもしれない。使ってるのは相変わらずブラストだけど。



そのくせ相変わらずソーマとは仲がよかったり、トイレを詰まらせたりする。神機や戦闘のこと以外は相変わらず。変わったんじゃないかと思ったら、いや実は気のせいじゃないかと思うようなことをするし。
この間も、防衛班の男連中とカウンターの前で馬鹿な話をしてたし…。






大森タツミ(以下タツミ)「だから!ヒバリちゃんがここで一番魅力的に決まってんだろ!いい加減にしろ!」

ブレンダン・バーデル(以下ブレン)「そう熱くなるなって…。実際、ヒバリちゃんだけじゃなくて極東支部の女性は魅力的な人たちばかりだと思うよ。エリックもそう思うだろ?」

小川シュン(以下シュン)「ブレン、エリックの奴が好きなのは前からずっとジーナだけだって。な?」

エリック上田(以下エリック)「確かに、タツミの言うのも最もなところもある。ヒバリ嬢はオペレーターとしての責務をしっかり果たしているし、いつも柔和な笑顔で僕たちを癒してくれる…。ミッションから帰還した後、彼女の優しい笑顔で帰ってきたことを実感する奴は少なくないだろう。
しかもヒバリ嬢の素晴らしいところはチャーミングなプリティフェイスだけじゃない。タツミのように鬱陶しいことこのうえないしつこい勧誘にも笑顔で丁寧に応対してくれるだけではなく、他の女性陣とも上手に付き合っている。見目麗しく、タツミの言うように魅力的なことは当然として、彼女はそこにいるだけで場の雰囲気が和やかになる。それゆえ僕たちは、ここに何としても帰ってこようと頑張れる訳だね」

シュン「お、おう…」

タツミ「なんだよエリック、分かってんじゃねえか!俺はお前のことを誤解してたぜ。ただの貧乳スキーのむっつりじゃねえんだな!」

ブレン「…俺は、実はツバキさんのような女性がタイプなんだが…」

シュン「俺はやっぱりリッカちゃんだなー。基本的に金以外のことはあんまりこだわらねえけどさ。リッカちゃんは可愛いって。なぁ、エリック?」

エリック「そうだな。ブレンは真面目なところが強い。それゆえツバキ女史とは似た者同士で波長が合うのかもしれない。

それはそうと、シュン。リッカちゃんに目をつけるとはなかなか良い目をしている。彼女は神機の整備が主な仕事だからなかなか話をする時間が取れないし、ほっぺたに油汚れを付けているなど日常茶飯事だ。しかしそれは彼女がどれだけ真摯に神機に向き合ってあるかの証明でもある。彼女が日夜、僕たちの神機をメンテナンスしてくれているおかげで僕たちは十全に戦える訳だね。
気さくに話しかけてくれるうえ、神機から僕たちの精神状態などにも気をかけてくれる。
そしてなんと言ってもあの唐竹を割ったようなさっぱりとした性格に助けられた人は多いはずだ。どれだけ大変な時でも、どれだけひどく悩んでいても、彼女は真剣に、真っ直ぐに聞いて応えてくれる。彼女は太陽のように眩しく笑顔が輝く女性さ。
さらにいうならあのツナギが最高に彼女の魅力を引き出している。彼女の素晴らしさをこれ以上ないほどに体現していると言ってもいいだろう」

シュン「お前…!俺が言いたかったこと全部言ってくれやがって!そうだよな!リッカちゃん可愛いよな!」

ブレン「エリック、お前…。少し、変わったか?以前はジーナと仲良くなりたいとーーー」

タツミ「そういやそう言ってたな。エリック、実際ジーナのことはどう思ってんだ?」

エリック「…ッフ。愚問だね。
ジーナの素晴らしいところなんて挙げ始めたら切りがないが…。まずは見た目だ。
まず眼帯。普通の人があの眼帯を見たらこう思うだろう。『うわっ、中二病…』と。だが、これに彼女が歴戦のスナイパーだという情報が付け加えられればどうか。
彼女の眼帯はファッションというより、まさにスナイパーらしさを強調するアクセントとなる。
そしてあのぱっと見クールで無表情なところだ。しかし実際には、ジーナはかなり分かりやすい。嬉しければ顔が綻ぶし、恥ずかしければ僅かに赤面する。ジーナの恥ずかしがる表情はまさに至宝のものだが、君たちには見てほしくないな。僕はあの顔のジーナは独り占めしたいんだ。すまない。
あの慎ましやかな胸も最高だ。大きい胸を否定する気はさらさらないが、僕は、ジーナはあのスラッとしたスレンダーなスタイルの良さが好きなんだ。正直に言うなら、彼女の胸に顔を埋めて体温と柔らかさ、そして生きている証である、心臓の音を堪能したい…!ああ、想像したらもう堪らないっ…!
そしてあのしっとりと肌触りのよさそうなお腹だ。無駄の無い美しい肌。そこに控えめに主張する綺麗な縦のおへそ…。素晴らしい。許されるものならあのお腹を満足いくまで撫で回したい。
それだけではない!あの華奢な肩、そして腰、背中。女性らしさに溢れていながら、生きるという躍動感に溢れたところなんて、もう筆舌に尽くし難い…。あれだけ細く、抱き締めたら折れてしまいそうにも関わらず、彼女の神機が火を吹けば、荒々しく蹂躙していたアラガミが倒れていくんだ。素晴らしいコントラストだよ…。

あの脚線美や優しさを内包する透き通った瞳なんかも素晴らしいのだが…そろそろ内面の素晴らしさを語ろうと思う。

彼女はぱっと見無表情でそっけない印象を受ける。だが、実は彼女はかなり情に厚い。ミッションに同行するメンバーのことをいつも気にかけているし、スナイパーゆえの観察眼からかかなり正確に心理状態を読み取ってサポートしてくれる。彼女のサポートの的確さを知ったらもう僕はカノンちゃんとは出撃出来なくなった…」

タツミ・シュン「…(ウンウン)」
ブレン「(…?)」

エリック「そして何より敵との命のやり取りでは自分の命を勘定にいれないくせに、メンバーの命は絶対に勘定に入れていることだ。誰かと共にいれば、必ずその誰かが無事生きて帰ってこられるように的確なサポートを、時には体を張ってしてくれる。僕がクアドリガの足元でくたばりそうになった時、彼女が必死に僕の元に来てリンクエイドしてくれた時にはもうすっかり惚れていた…。いや、それ以前から好きだったが。ともかく、彼女が女神に見えたよ…。」

タツミ「…とりあえず、お前がジーナ大好きってことはわかった。あー、ところでエリック…」

エリック「…?なんだい?」

タツミ「…すまん。後ろを見てみろ」

エリック「…ジーナ。やあ、どうしたんだい?」


そう言っていつものように髪をかき揚げたエリックの声は、ちょっと震えていた。

「…いや、あんたがミッションに着いて来てほしいって言うから来たんだけど」

「何?もうそんな時間かい?…待たせてしまってすまない」

そう言ってそそくさとカウンターに向かうエリックを尻目に、タツミとシュンはどこかへ退散していった。

そしてこの後、エリックとブレン、私の三人でミッションにゲートから出て行った。
その時の、

「ジーナ。…どこから聞いてた?」

「全部」

「そうか。参ったな…」

そう言って、顔を赤くしてはにかむ彼の顔が印象的だった。

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デート

研究が大変なこの時期にリザレクション買っちゃったよちくしょう!


「いやー、疲れた…」

「そうね」

やあ皆。皆大好きエリック上田だよ。くりいむは関係ないよ。どうでもいい?さいですか。しょんぼり。

さて、今回はハルオミ氏は出張、防衛班は外部居住区への出動ということで、愛しのマイラブリーエンジェルジーナたんと二人きりで猫公ことヴァジュラ狩りに行ってきました。獣神雷毛の14個目まではテンポ良く出たんだけど、残りの2つがなかなか出なくてね…。
とは言え、全俺が大好きジーナさんと二人きりで、二人きりで!ヴァジュラ狩りとは言え、これはまさに戦場におけるデートと言っても過言ではないだろう。
そう、デート行ってる間に二人の間には愛が育まれ…たかどうかはわからないけど、少なくとも僕の気分が有頂天なことは間違いない。ジーナさん大好きです。でも最近自分が戦闘不能にならなくなってきて、ジーナさんとのふれあい(リンクエイド)が減ってきた。つらい。(´・ω・`)

荷電性のボルグから既に針は必要な数を集めてあるし、これで榊博士(別名胡散臭いペイラー博士)のお使いは終了のはずである。多分。…追加で素材集めとか来ないよね?ね?



そんなことを考えながらゲートに帰ってくると、思わぬ先客が居た。ユウ君、コウタ君、サクヤさん、ソーマだ。第一部隊の面々である。ちなみにアリサちゃんが居ないのはまだこちらの支部に編入されてないから。…ところでリンドウさんはいずこ?
気になったのでソーマに聞いてみた。基本的に新人はリンドウさんが場慣れさせるはずだが…。

「やあソーマ。君たちも今帰投したところかい?
ところでリンドウの姿が見えないようだが…」

「ん…?
ああ、エリックか」

「あ!エリックさん!ジーナさんも!
聞いてくださいよ!リンドウさん、なんか自分はデートとか言って俺らだけ任務とか!
ずるいっすよね!」

そう言って突然話に割り込んできたのはコウタ君だ。ソーマが不機嫌そうにしながらも何も言わないところを見ると、いつもこんな感じなんだろう。
しかしそうか。リンドウさん、もうデートか。
ってことは、多分これ帰ったらウロヴォロスの放送かな。もうそんな時期か…。
間に合って良かった。

ソーマやサクヤさんの顔を見ると、なんとも言えない暗い雰囲気を漂わせている。まあそうだよなぁ…。

「んー、そうか。リンドウはデートか…。
そう言えば、ソーマも」

「エリック、そのおしゃべりな口を今すぐ閉じろ…」

ソーマもデート行ってるよね、と言おうとしたら黙殺されました。やれやれだ。肩をこれ見よがしにすくめて話を切り上げる。

「まったく、ソーマもつれないなぁ…。
まあ良いさ。とにかくそっちもお疲れ様」


ゲートからアナグラに出ると、すぐ手前のソファにリンドウさんがふんぞり返っていた。まったくもって偉そうである。実際偉いんだけどね。

リンドウさんは第一部隊の面々と僕達を見つけると、気軽に片手を挙げて声をかけてきた。

「おー、全員無事生きて帰ってきたみたいだな。
…エリックとジーナまで一緒とは思わなかったが」

「やあリンドウ。さっきコウタ君から聞いたよ。
デートに行ってきたんだって?」

「ああ…。なかなかに元気が良くてな。相手をするのが大変だった…」

「リンドウが大変となると、結構な暴れん坊かな。なんにせよ、念のために医務室へ行くことをおすすめするよ」

「あー、そう心配するこたぁない。大丈夫だ。
…ジーナも、エリックのお守りは大変だろ?」

「…別に」

ちらっとジーナの顔色を伺ってみたが、どう思っているのかは読み取れなかった。元から表情あんまり変えないしなぁ…。

「リンドウ、そろそろ今回の任務の報告してもいい?」

サクヤさんがリンドウさんにそう声をかけた。ふむ、少し話しすぎたかな。

「リンドウを独占してすまなかった。それじゃ皆、僕達はこれで」

そう言って僕とジーナは切り上げた。
リンドウさんは話がしやすいから、ついつい長く話をしてしまうね。

「おう」

「…フン」

「お疲れ様っす!」

「お疲れ様」

上から順に、リンドウさん、ソーマ、コウタ君、サクヤさんだ。ユウ君は普段からあまり声を聞かない。ゲーム基準なら確かにまあこうなるよね。でもソーマは普通に話しかけられたりしてるらしいんだけどなあ…。




















階段を下りるとちょうど放送が始まった。

『第七部隊がウロヴォロスのコアの剥離に成功。技術班は直ちに○○会議室に集まって下さい

繰り返します…』


「第七部隊、ね…」

ジーナたんがポツリと呟いた。
実際はリンドウさんが一人で倒したんだよね。これ。

「まあ、実際のところはリンドウだけど…って、どうしたんだい?そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔して」

「…あんた、前はこういう時『第七部隊か…。ふん、だけど僕だって華麗にそれくらい倒してみせるさ!』とか言ってたじゃない」

う。
俺がエリックになる前の話をされると困る。記憶にはあるんだけど、どこかこう、映画を見てるような感じで自分のことだと感じられないんだよね。しまったな。

「僕だって、多少は成長するのさ」

「ふぅん…?」

そういうことにしておこう。ジト目でこちらを胡乱げに見てくるが、ここはゴリ押す。下手な言い訳など無用…っ!

「ま、そういうことにしといてあげる」

そう言ってジーナは追及をやめてくれた。助かった…。























博士の元へ行くと、コウタ君とユウ君のためのものだろう、アラガミ講座の準備をしていた。
博士ー、材料持ってきたぜー。

「おお!エリック君じゃないか!
そうか、もう集めてくれたんだね?」

うむ。
ランク3の20型ガット真で難易度6のヴァジュラ狩りしてきてやったぞ。死にまくったけど。褒めるがよい。

「ふぅむ、そうすると、予定より早く取りかかることが出来るかもしれない。
そうだね、また明日ここに来られるかい?」

博士の研究室に?何故?

「君も知っての通り、先ほどウロヴォロスのコアが確保された。これを神機にするために今整備班の面々は集められている訳だけどーーー」

博士はそこで言葉をきり、胡散臭い笑顔がこちらを見た。こっち見んな。あと早く続きを言え。

「ーーーーそうすると、整備班。つまり、リッカ君の力を借りられなくなってしまうんだ」

で?

「つまりこういうことだよ。
私は手伝ってくれる人員が欲しい。しかし今、整備班は忙しい。
そこで君には、私の手伝いをしてもらいたいのさ」

…別にそれは構わないけども。
ただ、俺は神機に詳しくないぞ?何をすればいいんだ。

「何、別に手伝いと言っても既に理論は出来てるからねえ。私が手伝ってほしいのはーーーー」



















「ーーーー人型のアラガミ。その捜索さ」



リッカ「ウロヴォロスのコア見せてもらったんだ
大きいね、本当に!…でもあんなのどうやって神機にすんだろ…」

エリック「リッカ、もう一度『大きいね』って言ってみてくれ」

リッカ「え?いいけど。『大きいね』」

エリック「ありがとう。…ところで、コアはどうだった?熱くて固くてビクビクしてたりしたかい?」

リッカ「んー。別に熱くはなかったかな。固いというよりはしなやかな感じ。あれはねじりに対してすごく強そうだったね。
ビクビク…もしてなかったけど。でも、あの状態でもアラガミのオラクル細胞は生きているんだから凄いよね」

エリック「…君は本当に純粋だね。お詫びというか、差し入れにジュースを持ってきた。冷やしカレードリンクだ」

リッカ「本当!?ありがとうエリック!」


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メインヒロイン、登場!

皆大好きアリサたんやでー


アリサがアナグラにやってきた。

パッチリとした瞳。雪のように透き通った白い肌。負けん気の強い態度。
口から出る敬意の欠片もない言葉の数々。
平然と上から喋るロシアっ娘は、あっという間にアナグラの雰囲気を険悪にした。さすがやでえ…。

ただまあ、彼女が精神的に不安定でメンタルプログラムが組まれているらしいことがツバキ女史から僕やリンドウ、サクヤさんと言った面々には個別にこっそり教えてもらった。リンドウもサクヤさんからも聞いたかどうかの確認されたけど、僕に教えたところでどないせえっちゅうねん。20型ガット真やぞ。足手まといェ…。
要は気にかけてほしいということなんだろう。気の強いツバキ女史が珍しく心配そうにしてたし…。


まあそれはそれとして。


おくしゅり(坑アラガミ化薬)をペイラー榊博士が作っている間、僕は普段の任務をこなしつつ、人型のアラガミを捜索することになった。

あの後榊博士に真っ先に
「人型のアラガミなんてそこらにたくさんいるじゃないですか」
と言ったら、
「本当かい!?」

なんて気色ばんで詰めよって来た。
そこらにたくさんいるじゃない。シユウが。

そう答えると、

「違うよ…。確かに人型だけども…」

とか言ってがっくりしていた。
じゃあ神機兵かな(すっとぼけ)
…シオ?フェンリルの旗?なんのことやらさっぱりわかりませんね。

今のところ、ユウ君が成長してくれることとリンドウが生きている確率をあげる以上にストーリーに介入するつもりはない。無印やらバーストをやってきた身としては、下手な介入で原作から外れる方が不味いと思うの。主に終末捕食が。月があんなんなってしもたからね。仕方ないね。
つまり、さよなら幻想の平和。いらっしゃい世紀末。
どうあがいても世紀末なあの感じの世界へようこそ。楽しくなってきましたねぇ(ゲス顔)



















さて、今日は(悪い)噂で持ちきりのアリサたんが、リンドウ&サクヤさんという超絶高生還率パーティーで出撃している。
うん、それはいいんだ。それは。
だけどね?だからと言って、残りの第一部隊に僕を突っ込むのはやめてください。僕はジーナさんとが良いんだい!そう思ってクソデカため息をついていると、神機を担いだフードマンなソーマが声をかけてくれた。

「なに今さら暗い顔してやがる」

そうは言うけどさぁ…。
僕たちは今、贖罪の街の出撃前の高台にいる。
メンバーは僕ことエリック上田。
そしてコウタ君。元はツバキ女史の神機とか羨ましい。僕の20型ガット真と交換しよう。
さらにユウ君。君、このあいだオウガテイルを狩る任務で出たヴァジュラを倒したんだってね。ヒバリちゃんが言ってたよ?交戦は避けて下さいって言ったはずなのに、気付いたら戦ってたって。そしてさらっと倒してたって。…彼女の負担は計り知れない。
ええい、極東の神機使いは化け物か!
ところでその新型神機いいね。僕のと換えない?
あとソーマ。このあいだ君リンドウに叱られてたね。
放っておくと自分から死にに行くようなやつには何度だって言うぞ。絶対に死ぬな。って。
彼の友人としては、リンドウの提案に賛成である。君影の主人公やからね。


…ところで皆さん、お気づきいただけただろうか。
そう、このメンバーだと、リーダーは僕になるということを。
コウタ君(新人)、ユウ君(期待の新人)、ソーマ(死に急ぎ野郎)、上田(一応二年目)。

はい。出撃前にもツバキ女史とヒバリちゃんから言われました。今回のリーダーは自分だから頑張れと。気が乗らないけど、まあやりましょう。


「よし!じゃあまあ始めようか。
とりあえず、今回の第一目標の共有をしよう。
今回の第一目標は、『絶対死なないこと』。以上!」

「や、それでいいんすか」

コウタ君がツッコミをいれるも、正直これが真理だ。それでいいです。

三回死ねば(というか戦闘不能になれば)ミッションは失敗になる。
でもね。無印のストーリー終了後のストーリー用のこう、光ってるミッションがあるじゃない。あれだと特にそうなんだけど、割りと普通に三回死ぬ。乱戦は特に。
マータとピターの組み合わせは凶悪でしたね…。ええ。
だが、自分一人でもなんとか生きてさえいれば、まだ可能性はある。他をリンクエイドしまくる機構となるのだ。それで乗り切ることが出来る時もある。死なないのが一番です。

「コウタ君。今は倒せなくても、生きてさえいれば倒せる日が(いつか)来る(かもしれない)。だから、それでいいんだよ」

「そういうもんっすかねー」

「ソーマ、ユウ君。いいね?」

「…(コクリ)」

「…チッ」

若干不安なメンバーもいるけど、今回の相手はノーマルグボロ、かつ危険度2のミッション。
油断と慢心をしなければ、五分から十分で無事に倒せるはず。
さあ、僕たちの戦いはこれからだ!
僕は颯爽と神機を持って、高台から飛び降りた。

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サツバツめいたアトモスフィア

オタッシャ重点な


アリサがアナグラにやってきてしばらく。
アナグラ内の雰囲気の険悪さにはますます拍車がかかってきている。癒しはリッカちゃんやオペレーターのヒバリ嬢、あとは今日もふつくしい…ジーナさんくらいのものだ。あのサクヤさんすらも、形の整った眉を八の字にしていることが増えている。

ほら、あなたにも聞こえてきませんか。耳を澄ませば、今日も絶えない殺伐とした口喧嘩が…。


「…だから、さっきから何度も言ってるじゃないですか!アラガミが来ているなら、どんなことをしても早急に民間人を避難させることが優先でしょう!」

「だからって、神機使いが民間人を神機で脅すのはやり過ぎだろう!しかも、民間人がまだ避難しきってないのに勝手に戦い始めるしよ!」

「そう言う貴方達が民間人の避難に手間取っているからああしたんです。それを言うなら、貴方はあのあと意味のないところでホールドトラップしかけてましたよね?どうしてあれを民間人の避難が終わってない時に使わなかったんですか?」

「そ、それは…。まだ、使う時じゃないと思ったんだよ!」

「話になりませんね…」


ああ…。またやってるよ…。
今日はアリサちゃんがヘルプで防衛班と一緒に出撃したらしいんだけど、シュンが良いように言われている。

アリサちゃんはもともと口が過ぎるところがある。それゆえ、今彼女に普通に接しているのは第一部隊でもリンドウとユウ君くらいだ。
サクヤさんもアリサを諌めることが増えていて大変そうだし、コウタ君はさっそく面白くなさそうになっている。…まあ彼は榊博士のアラガミ講座で不真面目にもぐうすか寝ていたらしいし、今のアリサとは分かり合えないかもだね。
ソーマは相変わらず人を避けてるし。せいぜい僕やリンドウと一言二言話せばいい方だ。まあ、ソーマは不器用だからなあ…。まったく、本当に手のかかる友人だ。やれやれだ。…はっ。これが噂のやれやれ系主人公というやつか。エリナ、やったよ!ついにお兄ちゃんは主人公らしくなったよ!なお武器はクソザコナメクジ。つらたん。


アリサちゃんの言うことそのものはそう間違ってないんたまけどね。言い方がまああれです。うん。キッツイ。
もう少し手心を加えてあげて…と言いたくなるような言い方をする。
謙虚な当たり方の出来るリンドウは凄いと思う。いやマジで。…しかし今、あたりにリンドウはいない…。

ふと、ヒバリちゃんと目が合った。
目と目が合う~♪
…あ、あれを止めてこいと?
周りの人達すら遠巻きに眺めているだけだというのに?
…君は僕に爆心地に行って死ねと申すか。
よかろう。行ってみよう!

エリック、逝きまーす!


ますますヒートアップしているシュンとアリサちゃんの元につかつかと歩いていく。
見ると、シュンがアリサちゃんの胸ぐらを掴もうとしていた。待つんだシュン!それは事案だ!
アリサちゃんの貴重な下乳が丸見えになってしまう!

そう思った瞬間、ガッとシュンの腕を掴んでいた。セーフ。間に合った。
シュンの手はアリサちゃんの胸元から5センチと離れていない。…犯罪臭がしますねえ…。

そんな馬鹿なことを考えている間に二人から睨まれていた。なんでや、僕悪くないやろ。

とりあえず、シュンの方から宥めることにする。

「シュン、それ以上いけない」

「…うるせえ」

そう言って顔を背けて腕を振り払われた。うーん、シュンは既に極東で5年くらいやってきてるくせして相変わらず協調性に難があるね。…まあいまだに上官からたびたび注意されてるしなぁ。
なんにせよ、感情的になっていたのが少しは冷めたようだ。ふてくされながらも何も言わないのがその証拠である。シュンは拗ねると長引く上に変に拗らせるからね…。君はロン・ウィーズリーか。


「さて、アリサ君」

そう言ってアリサちゃんの方を向くも、いかにも私悪くないですという顔をしていた。うーんこの。

「なんですか?言っておきますけど、私何も間違ったこと言ってませんよ」

…ああ、こっちはもっと感情的になってるね。これ、この場で何を言っても通じないやつだ。
うーん、こういう時は時間を置くのが一番良いんだよね。僕に飛び火しても嫌だし。よしそうしよう。単子葉。理科かな?

「…君が言ったことに何か言うつもりはない。ただ、もう少しだけ周りの様子に気を付けてはくれないか?」

「周り?………あ」

僕がそう言うと、周りからの目線に気付いたようだ。
うん、けっこうな人数が心配そうに、もしくは不機嫌そうにこちらを伺っている。

「別に出撃後にデブリーフィングをすることは構わないけど、二人共感情的になりすぎだ。
今日はもう休むなり、一度自室に戻って落ち着いた方が良い。
…二人共、いいね」

「……分かりました」

「しょうがねえな…」

そう言いつつ、二人共お互いを見るとフン!とそっぽを向いて歩いていった。
つ、疲れた…。ジーナたん、僕の荒んだ心を癒してくれ…。



感想・誤字報告して下さる方々、いつもありがとうございます
めちゃくちゃ嬉しいです


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戦士達の小休止

ゆっくりしていってねんねん


やあ皆。僕は皆に愛されてやまない孤高のヒーロー(笑)、上田ことエリック。気軽に上田君と呼んでくれ。
もしくはジーナたんファンクラブ会長でも構わない。まあ、ジーナたんファンクラブは僕しかいないんだけどね。人がころころ配置転換(という名の調整。バンバン人が死んでいくから仕方ない)させられるからね。なかなか固定の人のファンクラブというのは出来にくい環境なんだ。そういくと雨宮姉弟はファンクラブらしきものがあるらしいからね。凄いことさ。特にツバキ女史のファンクラブは凄い。
『罵って下さい!』
とか
『ああっ、あのヒールに踏まれながら蔑んで!』
『もっと私を叱って下さいお姉様!冷たく睨まれながら他の人の前でこっぴどく詰って!お願いしますっ!』
とか。
これよりも凄い(放送禁止用語が出てくるやつ)人達すら居るという噂だ。…凄いでしょ?ここ、人類の防衛線の最高峰なんだぜ…。いや、むしろ危険だから欲望に素直になるのか…?まったく、もっと僕のように慎みを持ってほしいものだね。


さて、最近アナグラの雰囲気が明るくなってきた。
タツミ(相変わらずのヒバリちゃんラブ勢)やブレン(実は若干天然だと分かった)がアリサちゃんの実力を認めるようになってきたこと。アリサちゃんの扱い方がだんだん分かってきたこと。
そして、神薙ユウ君がいろんな人との橋渡しになってきたからだろう。
最近のユウ君は相変わらず絶好調なようで、グボロにシユウにコンゴウ2の混戦を平然とやってのけ、コウタ君に精神的ダメージを負わせたり。
アリサちゃんやサクヤさん、コウタ君にソーマ、リンドウは言うに及ばず、タツミやブレン、ジーナたんにシュン、カノンちゃんにカレルにヒバリちゃんにリッカちゃんまで、分け隔てなく仲良くなっているようだ。
でもユウ君、僕と君だけでひたすらカウボーイに出撃は止めようか。あれ、オウガテイル倒すだけでしょ?なんで君は真っ先にヴァジュラの元に行くのかなぁ?
そういうのは僕じゃなくて、アリサちゃんを連れていってやりなよ!もしくはソーマ!僕は君より弱いんだぞう!?


…とまあ、とりあえずユウ君のおかげでアナグラがだいぶ明るくなってきた。
ただ、僕は知っている。
この後、ダブルブッキングによってリンドウが生き埋めになり、マータの後にピターさんからの歓迎会が行われることを。
そしてなにげに、その時第一部隊は複数のマータに囲まれており、むしろリンドウよりも死にそうな環境に放り出されることを…!























ちなみに既にリンドウには榊博士作の抗アラガミ化薬を渡してある。お守り袋に入れて。
「ヤバくなったら開けるんだ」
と言ってあるし、まあ気休め程度ではあるけれど。
…だってあんまり原作から解離すると、真面目に終末捕食で地球がヤバいかもしれないですしおすし。
ちょっとした生還率アップくらいにしか手を出せない、臆病な僕を許してくれ…。すまない、リンドウ…!


「…さっきから一人で何演劇やってるわけ」


訝るような目でジーナに見られた。死にたい。

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リッカちゃんと、エリックくんと

「ようサクヤ、ビールの配給券持ってないか?ビールと引き換えに、いい物みせてやるよ」

「いいもの、ねえ…。リンドウの言ういい物が、本当に私にとって良いものだったことなんてないじゃない」

「ま、そう言うなって…」


出撃ゲートから帰ってくるなり、リンドウとサクヤさんの夫婦漫才が耳に入るので聞き流す。…いや、この会話は確か…。
そうか。ヴァジュラの襲撃、リンドウの生き埋めが近いのか…。
そうすると、今度ソーマに会った時には、リンドウとアリサちゃんを二人きりにしないように伝えておこうか。
それと、ミッション『蒼穹の月』に行く前に一声かけて貰おう。確かマータさんがひしめくという、けっこうヤバめな状態になったはずだ。
ゲームではリンドウ以外皆無事に戻ってきていたけど、この世界は既にゲームとは異なる。エリック(自分)が生きているからだ。つまり、必ず怪我なく戻ってこられる保証はない。
どこまで何ができるかわからないが、手は尽くすつもりだ。具体的には防衛班からなるべく人を引っ張ってきて、援護しながらの撤退。欲を言えば、全て掃討してリンドウに死なないよう伝えておきたい。出来る限り早く瓦礫をどかすことが出来れば、もしかしたらリンドウを救出できるかもしれないし。



とりあえずはヒバリ嬢の元へ。へーいタツミー!(ヒバリちゃんを)ナンパしてもいいけどサー、時間と場所をわきまえなヨー!つまり退け。

「ミッション終了したよ」

「あ、エリックさん!お疲れさまです!
そういえば、リッカさんがエリックさんのことを呼んでいましたよ。今は、開発室にいると思います」

「ありがとう」

いつも通りの柔らかい笑顔で迎えてくれたヒバリちゃんにそう返し、エレベーターへ向かう。行き先はもちろん、開発室だ。
しかし、このタイミングでリッカちゃんから話か。なんの用だろう。
ゲームではあくまでも主人公視点で物語が進む。でも当然他の人達も何かしら動いている訳で…。
つまり何が言いたいのかと言うと、予想できないことがけっこうあるということだ。
この間も、突然リッカちゃんが部屋を訪ねてきたと思ったら、何か壊れたものがないか聞いてきたし…。暇潰しに他人のMDプレイヤーを直していくのはお年頃の女の子としてどうなんすか、リッカちゃん。
マフィンとかのお菓子作りをするカノンちゃんが普通に思えた瞬間だった。


開発室に着くと、ちょうど休憩中だったのか、背もたれのない長椅子に座ったまま足を投げ出すリッカちゃんがいた。リッカちゃんの手にある、あのけばけばしいピンク色の缶。…もしかして初恋ジュースだろうか。少し気になる。

「あ、エリック。待ってたよ」

「待たせてしまったか。すまない」

「あ、ううん。いいのいいの。私が急に呼んだ訳だし」

とりあえず、手近にあった丸椅子に座る。リッカとの距離は50cmと離れていないが、割とこの子とはこんな距離感で接している。近すぎず、遠すぎないこの距離感が好きだった。

「さて、今日は何の用だい?何か新しい武器の新型でも出来たか?」

そう。俺の知っている神機には、少なくともスピアとかサイズ(鎌)なんてのは無かった。ショート、ロング、バスター。盾ならバックラー、タワー、あと何か一個。銃はスナイパー、ブラスト、アサルト。これが俺の知っている種類だ。
しかし、今既にスピアとかサイズ、あとショットガン?とかいう分類の武器の神機があるらしい。ちなみにだが、我が相棒の20型ガットはなぜかブラスト/ショットガンとなっていた。ブラストだろ。少なくともショットガンとか俺は知らんぞ。

閑話休題(それはともかく)
本日のお題は?

「あ、ううん。そうじゃなくて。
大まかにいって3つかな。
一つ目は、エリックってば、ちゃんと爆発系のバレット使ってる?銃口付近から狙撃系のバレットの跡ばっかりだから、結構整備が大変なんだけど」

ぷう、とほおを膨らませながらこちらを見てくる。うーん…。常に内臓破壊弾(狙撃系)とか脳天直撃弾(狙撃系)ばっかりなのですが。ダメですか。そうですか。

「…爆発系のバレットは、苦手なんだ」

「嘘ばっかり。最近全然使ってないでしょ」

滅相もございません(何故バレたし)

「もーっ。
君の神機をいつも整備してるのは誰だと思ってるの?」

「それについては、いつも感謝している」

「それはまあ、前にも聞いたけどさ。…って、そうやってごまかすの禁止!」

「とりあえず、先に二つ目を教えてくれ。まだあるんだろう?」

「はぁ…。しょうがないなあ。
えっと、二つ目はね。最近神機にキズが少なくなってきてるの。かすった程度のキズとか、使用跡とか、地面に擦れた跡くらい。
前はあんなにもガンガンキズついてたのにね。
…少しずつだけど、君も神機も成長してるんだね」

そういって優しくこちらを見つめてくるその顔には、たしかな慈愛が見てとれた。…リッカちゃん、君そういうかわいいところが卑怯だぜ。思わず抱き締めたくなるだろ。ああ、俺が女の体であれば抱きついていたものを…。
そんな思いとは裏腹に、体が勝手に言葉を紡ぐ。…久しぶりにエリックが出てきてるな。

「ふふん、この僕を誰だと思っているんだい?華麗なる極東の戦士、エリック・デア=フォーゲルヴァイデだよ!」

「あははっ、そうだったね。うん、君はそういうやつだった」

ファサッ、と髪を書き上げるマイボディに対して、おかしそうに笑うリッカ。…こういった平和な時間が、永遠に続けばいいんだが。
まあ、そうはならないことを、この俺は知っている。だからこそ、こういった平穏を守るために、俺達はアラガミと戦うんだ。

リッカちゃんが落ち着いたところで、三つ目のことへ。

「三つ目はね。君の神機を調べて分かったことの報告かな?」

「ふむ?」

なんだ?

「んっとね。エリックは、『オラクルリザーブ』って知ってる?」

「知らない」

「うん、それじゃあ説明するね。
オラクルリザーブっていうのは、ブラスト型神機を使える人なら基本的に誰でも使える機能なんだ。
これは、今のオラクルを一時的に神機に溜めることが出来るの。そうすると、オラクルが大量に必要なバレットを撃てたり、オラクルが足りなくなってもリザーブした分から撃てたりするんだよ」

「なにっ!」

え、なにそれめっちゃいいじゃん。
…って、それたしかゴッドイーター2で出てきたやつじゃない?つまりメテオ。
ごめんリッカ。知ってたわ。
…嘘をついた訳ではないのです。間違えてしまっただけなのです…。

「それで、そのオラクルリザーブがどうかしたのかい?」

「…これは私が調べた限り、なんだけど。エリックの神機は、このオラクルリザーブの機能が使えないみたいなの」

「…あ、そう」

残念。メテオは撃てなくなりました…。ま、そもそもそんなの無くてもこれまで平気だったし、正直無いなら無いで別にいいかな。
どうせメテオの中身覚えてないし。

「まだ原因は分かってないから、はっきりとしたことは言えないけど…。もしかしたらこの先、ずっと使えないかもしれない…」

そう言うリッカの様子はしょんぼりしている。まあ、この子にとって、神機の機能を十全に発揮できるようにすることが自分の使命みたいなものだからな。別に自分は気にしていないんだけど、リッカは気にしてしまうんだろう。

「まあ、そう悲観することはない。また何かの拍子で使えるようになるかもしれないし…。
だから、そこまで気にするな。かわいい顔が台無しだ」

…後半はエリックが喋ったんだが。エリックって、結構こういうキザなことをたまに言うよな。顔が整ってるから嫌味にならんし。…ッハ!これは俺が軟派なことを言いまくっても問題ないフラグ!?
いや、俺はジーナたん一筋。浮気はすまい。…正直リッカちゃんはかわいいですが。

「…ん、ありがとう」

少しは落ち着いただろうか。
さて、こちらとしてもリッカに聞いておきたいことがある。ちょうどいい機会だし、聞いてみようか。

「ところでリッカ。
強化パーツ、ってあるだろう?」

「え?あ、うん」

「オラクル自動回復量を増やすような強化パーツを作れないだろうか?」

そう聞くと、少し考えこむような仕草のあと、顔を上げる。座っている膝に肘をつけ、こちらへ手を向けながらこう言った。

「うーん…。ほとんど効果がなくていいなら、極僅かだけど、気休めくらいでいいなら作れると思う」

なに、マジか。

「頼む」

「え、ホントに?全然効果がないか、あってもほとんど気休めだよ?」

「構わない」

目をぱちくりさせているけど、オラクルの回復手段の確保は最優先事項なんだ。捕食によるバースト化ができないからプラーナの体力回復も意味ないし。や、全くない訳じゃないけども。
とりあえず、何でもいいからオラクルポイントの回復は必須なんだよ。自動回復だけでは全然足りませぬ。

「ん、分かった。じゃあ、何か報酬を用意してよね」

にっしし、といたずらっぽく笑うリッカ。
報酬ね…。

「タオルとか」

「前にエリックからもう貰ったじゃん。まだ残ってるよ」

なんておかしそうに笑うリッカ。うむむ、それは俺だけど俺じゃないんだ。確かに記憶にはある。あるけど、エリックの記憶だからどこか他人事なんだよなあ…。
しまったぜ。

「じゃあチョコレート、とか」

確かエリックはけっこうなボンボンだったはず。その伝手でいけるだろ。

そう言うと、リッカは目を輝かせた。

「本当!?オッケー、交渉成立だね」

「ただし、期待する程の量はないし、いつ手に入るかもわからないぞ」

期待しないで待て。
待て、しかして希望せよ。的な。

「いいよ。それじゃあ、次エリックが来る時までに必要な素材をまとめておくね」

「よろしく頼むよ」

見るからに上機嫌になったリッカを残し、開発室を後にする。
…よろずやさんに行って、お金を増やしておくか。

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野郎オブクラッシャー!

タイトルに特に意味はありません


ミッションからアナグラに帰ってくると、アナグラの中がお通夜状態になっていた。ど、どういうことだってばよ。

出撃ゲートからロビーに入ると、カノンちゃんとゲンさんがソファーに座っていた。

「あ…ジーナさん。それに、エリックさん…」

悲しい表情で顔をあげたカノンちゃんがこちらに気付いた。…もしかして、リンドウか。

「ただいま、カノン。…何があったか、教えてもらえるかしら」

「ジーナさん…。リンドウさんが…っ!」

ジーナがカノンちゃんに話を聞きに向かったが、カノンちゃんはこらえきれなくなったのか、ジーナの胸に抱きついて泣き出してしまった。やれやれ。…はっ。これがやれやれ系主人公…!?
なんて冗談はさておき。
あたりを見回すと、相変わらずフードを被ったソーマが腕を組んで立っていた。ソーマに聞くとしよう。

「やあソーマ」

「あ″?
…なんだ、てめえか。何の用だ」

睨まれてしまった。ひぇっ。ソーマさんマジこええっす。思わず三下みたいになってしもた。

「何の用もなにも…。一体、何があったんだい、これは」

知ってるけど。
一応今回の出来事のあらましを聞いた。

「…リンドウの奴が自分を置いて帰投しろ、だとよ。そう言った本人は生き埋めになったまま帰ってこず、だ。
あのバカ、自分の言ったことすら守れねえのか…クソ」

「…リンドウの姿がないのはそういう理由か。死んだ、って訳ではないんだね?」

「俺たちが戻る前まではな」

「…そうか。ありがとう」

そう言って、ジーナさんと共にヒバリちゃんにミッション達成の報告をしにソーマに背を向けた時、後ろから声をかけられた。

「…テメエは、死ぬんじゃねえぞ」

心なしか、いつもより覇気のない弱々しい声。しかし。

「ふっ。愚問だね。この僕を誰だと思っているんだい?」

そう、この僕は自意識過剰で自信家なエリック上田。エリック・デア=フォーゲルヴァイデだ!


ヒバリちゃんの元へ向かう途中でジーナさんと合流。ジーナもカノンちゃんから聞いた話は僕と大差なかった。むしろ、当事者の一人であるソーマから聞いた分だけ僕の方が詳しく知っていた部分もあった。

「…あのリンドウさんが、ね」

「ああ。僕たちも他人事じゃない。
…とはいえ、あのリンドウがそう簡単にくたばるとは思えない。あいつが帰ってくるまで、いつも通りのことをするだけさ」

「…ええ、そうね」

ジーナとはそこで別れ、カウンターの近くにいたリッカに声をかける。彼女もまた、暗い顔をしていた。

「あ、エリック…。おかえり…」

「リンドウの話は聞いた。まだ帰ってきてないんだって?」

「うん…。一応、捜索隊も出るらしいんだけど…」

リッカはそこで一度口ごもった。何やら言いにくいことのようだ。

「…捜索隊は、あくまでも『神機の回収』を主な任務にしてるみたいなんだ。だから…」

そう言って、リッカは悲しげに俯いた。
…そうだ、だんだんと思い出してきた。
これはたしか支部長が企んだリンドウ暗殺計画であり、支部長としてはリンドウが生きていられると困るわけだ。そしてその手段はアリサちゃんに刷り込みを行うことであり、実行犯はオオグルマ。
…なんだかだんだん腹が立ってきたぞ?
オオグルマのやつ、絶対アリサちゃんにいかがわしいことしてるだろ。エロ同人みたいに。エロ同人みたいに!

そうと決まれば早速調査だ。
しばらくアリサちゃんは面会謝絶のはず。そうすると、オオグルマもそちらにかかりきりになるから…。

しばらくオオグルマの生活リズムを監視、そしてなんらかの手段でオオグルマの部屋に侵入。
怪しい証拠を見つけ出し、ツバキ女史にこっそり報告してやる。
ただ、支部長にバレるとまずい。彼が今回の黒幕である以上、ツバキ女史には知らせてもいいが支部長には言わないように口止めしておく必要がある、か…。

そんなわけで、ここから何日かオオグルマを尾行する。








尾行1日目。
彼の部屋は、サカキ博士の部屋の一つ下の階のようだ。
サカキ博士に人型アラガミの捜索を…。と言われたが、リンドウが帰ってこなくなってすぐに言ってくるとかあんたは鬼か。
…いや、博士は博士なりになんとかしようとしているのか?
まあいい。
とりあえず、病室には午後1時~午後4時までいるようだ。そのあと一時間は別の部屋に資料を持って移動。だいたい午後6時くらいには一度病室に戻る。そしてその後しばらくしたら自室に戻った。

尾行2日目。
午前中は支部長と話をして、その後自室に籠る。そして午後1時からはまた病室に…。という流れのようだ。
一つ分かったこととしては、彼は資料を自室にある程度持って帰る。
…今は面会謝絶ゆえに病室に入ることが出来ないとはいえ、病室は基本的にいつでも解放されている。そのことから考えると、恐らく重要な書類はオオグルマの自室にあるはずだ。そうすると、彼の部屋に侵入する必要がありそうだ。

尾行3日目。
今日は午後1時にオオグルマが病室に入ったことを確認した後、オオグルマの部屋に向かった。
オオグルマの部屋のある階には、オオグルマの部屋以外には物置部屋がある程度だった。…人目につかないのは好都合だが、オオグルマが戻ってくる時に鉢合わせしないようにする必要がありそうだ。

オオグルマの部屋はカードキーで開くタイプの扉だった。…オオグルマのカードキーを奪う、か?
いや、自室から出る時にも周囲を警戒しているオオグルマのことだ。カードキーは、肌身離さず持ち歩いているだろう。
…たしかこの扉はオートロックタイプ。中に入りさえすればどうとでもなるんだが…。


部屋に戻った。ベッドにダイブしながら考える。
中に入りさえすれば、証拠をカメラに撮って部屋を出れば問題ない。エレベーターに乗りさえできれば勝利だ。
問題は、いかにしてオオグルマの部屋に入るか、だが…。
オオグルマは部屋を出て、一度辺りを見回してからエレベーターに向かう。その階にはオオグルマの部屋と物置しかないから少しシュールだが、侵入を目論むこちらからすると少々厄介だ。
しかし、周りが物置であれば周囲の警戒もおざなりなはず…。明日、少し早めに物置に入り、鍵穴からオオグルマが出てくるところを見てみよう。


尾行4日目。
そろそろ仕事しろとツバキ女史から呼び出しを食らった。呼び出しの時刻は午後1時。
しかしオオグルマが出てくるのを見てから向かうことになるので、ツバキ女史には悪いが遅れることにしよう。
すまない、本当にすまない。

物置に無事侵入し、こっそりとオオグルマの様子を伺う。
…やはり、オオグルマ自身、あまり周囲を警戒する意味を感じていないのだろう。軽くキョロキョロと見回したらすぐさまさっさとエレベーターに向かって歩きだした。オオグルマがエレベーターに向かってから、スライド式のドアが締まりきるまでにわずかに時間がある。
…天井に張り付いて、さっと入ればいける、か?
ゴムを靴の底に張り付けて、天井に細工をする必要はありそうだが…。
なんにせよ、急いでツバキ女史の元へ向かうことにしよう。


尾行5日目。
と言っても今日はもはや尾行はしていない。昨日さんざんツバキ女史に絞られ、今日は朝から出撃しているからだ。ジーナにすら心配をかける始末であったらしく、出撃前に
『…大丈夫?』
と聞かれてしまった。あやや、反省。
しかし天井に張り付くとかどうしろと…。


ミッションから帰投して気付いた。アラガミ糸だ。
アラガミ糸は強靭で、かつしなやかな性質をもつ。これを使って天井と壁の間に斜めに張れば、そこを足場にできそうだ。
天井側の糸を切り、壁にくっついた糸を引っ張れば、証拠の回収も簡単。
よし。あとは午後6時過ぎに、仕込みをしておくことにしよう。


侵入当日。
ドーモ皆さん。ニンジャ、エリックです。
アイサツは実際大事。古事記にもそう書いてある。

現在は午後0時56分。もうすぐオオグルマが…。
来ました!プシュー、という音と共に、眼下にはオオグルマの黄色い頭の布が見えます。いつも通りキョロキョロしてすぐさまエレベーターの方向へ!

さあ!
グラサン=ニンジャ、エリック上田のエントリーだ!
オタッシャジュウテン!スライディングゥゥゥゥ!

背後で扉が締まる。オオグルマに気づかれた気配はない。オオグルマ…。ハイクを詠め。
なんてアホなことを考えながら部屋を見渡す。
スチールの教師用のような机の上に、書類が煩雑に散らばっている。それ以外にはいくつもの白衣のかかった衣料用のラック。室内物干し的な。
あとは大きめのベッドと冷蔵庫。…いざという時、隠れるならベッドの下か?エロ本とかないよな。…ないよな?
なかった。よし。

さて、机の引き出しの一つには鍵穴が。…どう考えても、これ、くせえな。とりあえず上下にがちゃがちゃ揺する。だいたいこれでいけるはず…。
よし。開いた。

…。中には数枚の書類。
リンドウの顔の写真がいくつかと、英文のレポート。
他にはプリティヴィ・マータの写真と英文のレポート、ディアウス・ピターの写真と英文のレポート。
…リンドウの写真のある書類には日付が載っている。その隣に、意味の分からないアルファベット。
○月x日、TL。
○月y日、TL。
○月z日、TL。

△月β日、TL。
△月γ日、TD。

…。最後の日付は6日前。リンドウが未帰還となった日付と一致する。
決定的とはいえないが、明らかにおかしい書類だ。とりあえず全て写真に撮っておく。
他にもめぼしいものがないか探してみたが、机の上の書類は純粋にアリサの経過観察の記録ばかりだった。
ロシア時代の記録もあったことから、引き継がれた書類も含まれているのだろう。
…ちょっと気になる。

しかし時刻を見ると既に午後5時を回っていた。急ぎ部屋をでる。天井を見てもアラガミ糸はない。…完璧だ。

このままツバキ女史にオオグルマのことを警告しておきたいところだが、今日はやめておこう。
自室のターミナルに今回の写真を保存し、データにロックをかけておきたい。
伝えるとすれば、明日か。























エリックがオオグルマの部屋に侵入した翌日。

『やめて…!私のことなんてほうっておいて!』

『救護班!クッションを!』

『ああ…!ゴメンナサイ…!
ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…!』

『パパ…!ママ…!
私…。違う、違うの…!私のせいじゃない…!』

『薬がきれるとこれほどか…。
アリサ、私だ。わかるか』

『やめて…。もういや…!私に関わらないで…!』


先日、大森タツミ、ブレンダン・バーデル、台場カノンが私の元へリンドウの捜索隊に同行させてほしいと直訴してきた。
正規の部隊が既に出ている以上、神機使いの同行は認められない。だから、すげなく却下した。
…本当は。リンドウの捜索に同行したい。いや、別に捜索隊が無くてもいい。ただ、バカな弟を探しに出たかった。
しかし、今の自分は既に神機使いでもなければ、正規の捜索部隊でもない。


「リンドウ…!」

あの時は辛くて、悔しくて、悲しくて。思わず壁に手を打ち付けてしまったけれど。
返ってきたのは手のひらの痛みと、変わらぬ胸の苦しみだけだった。

「リンドウ…」

エレベーターの中で、アリサのことを話したことがつい先日のはずなのに。まるで、遠い日の出来事のようで。
返事が返ってくることはないと分かっているのに、つい口から弟の名が出てしまうのは。

きっと、私が弱いからなのだろうーーー。


「ツバキ女史」

エレベーターの前の休憩所でソファに力なく座っていた私に、頭上から声がした。
こんな呼び方をするのはアナグラの中でも一人だけだ。

エリック。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。
トイレをよく詰まらせ、清掃員の皆さんの話題になる男。リンドウが戻らなくなってからはめっきり出撃が減った神機使い。
…リンドウが戻らなくなってから、他の神機使いたちは出撃を増やしている者が多いなか、こいつはあろうことか全くと言ってもいい程出撃しなくなった。何を考えているのか…。

なんにせよ、しっかりとした姿で応対しなければ。私は背筋を伸ばして相対した。

「何か用か、不良少年」

そう私が言うと、彼はばつが悪そうに頭をかいた。…普段の態度からは考えられない対応だ。珍しい。

「出撃しなかったことは申し訳ない。ただ、一つだけツバキ女史の耳に入れておきたいことがあります」

そう言って、彼はこちらを見た。
…真摯な目。

「…言ってみろ」

そう言うと、彼は困ったような顔をした。

「出来れば、場所を変えたいのですが」

「…何故だ?」

人には聞かれたくない類いの話だろうか。
私は少し警戒した。リンドウが戻らなくなってからというもの、こやつの行動には不可解な点が多い。捜索隊や、支部長についてもそうだが…。
何やら、キナ臭いものを感じる。

ややあって、彼は口を開いた。

「…リンドウのことに関わる話だからです」






















結局、セキュリティのことを鑑みて私の部屋で話をすることにした。リンドウ以外の男を自分の部屋に入れるのは、実はこれが初めてだ。

「それで?わざわざ私にリンドウの話を振ったんだ。重要なことなんだろうな」

これで重要なことでなければ、貴様には防衛ミッションを一ヶ月連続でやらせてやる。

そう思いながら睨み付けると、彼は真剣な目でこちらを見つめていた。

「…重要な、話です。
ツバキ女史。まず、これは既に確認された『事実』であるということを、理解してください。

…アリサのメンタルカウンセラー、オオグルマは、リンドウの未帰還となるアリサの行動に、何らかの形で関わっている疑いがあります」

「何…?」

オオグルマ先生が?
いや、だがオオグルマ先生はリンドウが戻ってこなかったことにたいそう驚いていた。そして私を気遣ってくれもした。
…馬鹿な話だ。

「…それで?それが事実であるという証拠はあるんだろうな」

「ええ。とは言っても、持ち歩く訳にもいきません。僕の部屋のターミナルに、データとして残してあります」

…ふん。どうだか。
正直、今のエリックの言動は不可解だ。
それを私に言ってどうする。支部長もリンドウの捜索隊の手配がやけに迅速だった。何か知っていることは間違いない。そして、それを隠している。
実はエリックが裏で支部長と繋がっていて、オオグルマ先生が用済みになったからこのようなことを私に言ってきているのではないか?そんな考えが頭をよぎる。

「…それが事実であったとして、だ。
お前は、私に何をさせたい?」

正直に言うとは思っていない。だが、目の前のこの男は嘘を言っていないことは確かだ。
信じるつもりはさらさらないが、目的を探ることは有効だろう。

「…別にツバキ女史が僕を信じなくても構いません。ただ、神薙ユウくんを信じて下さい」

…なんだ、そんなことか。

「貴様に言われなくとも、彼のことは信じている」

貴様と違ってな。

「話はそれだけか?」

「…ええ。それと、もう一つ。
とてもじゃないが、今の貴女はあまりに苦しそうに見える。僕が言えた義理じゃないが、リンドウを信じて今は休むんだ」

…出撃しなくなった貴様が言えた義理ではないな。

「では、失礼します」

そう言って、私の部屋を去るそいつの姿は、憎らしいほど颯爽としたものだった。

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まず服を脱ぎます

「エリック。喜べ、本日の貴様の出撃任務は全て中止となった」

「え?」

ツバキ女史に呼び出された第一声がこれである。き、今日はジーナたんとの巡回任務という名のデートだったのに…。なっ、何をするだぁーっ!

「返事ははい、だ」

「アッハイ」

「…まあいい。さて、支部長からのお達しでな。貴様をしばらく観察することになった。
では、まずは貴様の部屋に向かうぞ」

そう言ってツバキ女史はさっさと歩きだしてしまった。
え、僕まだ理解が追い付いていないんですけど。
とりあえず、ツバキ女史が僕の匂いにまみれた部屋で、僕のかぐわしきかほりに包まれてくれることは理解した。やったねたえちゃん!
…冗談です、冗談ですからそんなに睨まないで下さいツバキさん。その目は人を殺せる目です。
真の英雄は眼で殺す…!ランチャーでござったか。


さて、僕の部屋についた訳だが…。あの、そんなにじろじろみられるとちょっと恥ずかしいんですが。

「意外だな。しっかり片付いているじゃないか」

「ええ、まあ。
小さい頃から父に散々整頓や調度品について、薫陶を受けてきましたので」

「…そうか」

ツバキさんはそう言って、ベッドに腰掛けた。
…地味に今気付いたんだが、これって美人な上司と個室に二人きりでは…?いや、僕にはジーナたんという心に決めた女性ががががが。

「…さて、ここならもういいだろう。
以前、貴様が言ったものを見せて貰おうか」

以前僕が言ったもの?はて。

「…さては、とぼける気か?貴様が証拠はここにあると言ったはずだと私は記憶しているがな」

「…ああ、そのことですか」

別に、ツバキ女史にあの書類の写真を見せることに否はない。ただ…。

「…お見せしますが、条件があります。
これを守って貰えないのであれば、お見せすることは出来ません」

僕がそう言うと、ツバキ女史は軽く肩をすくめて涼やかに笑った。

「ふっ、別に構わんさ…。
…まさか、私の身体を好きにさせろ、などではなかろう?」

そう言っていたずらっぽく笑うツバキ女史だが、こっちはそんなことに構う余裕はなかった。
…そうか、そんな手があったのか!
思わず、ポン!と手を打った。ツバキ女史が絶対零度の眼差しでこちらを睨んでくる。や、やりませんて…。

「…たしかにその提案は非常に魅力的なツバキ女史ですから、ぐっとくるものではありますが…。
しかし、なめてもらっては困る!僕はこれでも紳士の中の紳士と言われた男!
決してジーナ以外の女性に振り向くなどと!」

「…」

ツバキ女史が、蔑んだ眼でこちらを見ている。
フヒヒ、サーセン。

「はあ…。さっさとその条件とやらを言え。
ただし!さっきのような条件であれば…」

「あれば?」

「貴様がこの世に生まれてきたことを後悔させてやる」

「未来永劫誓ってしません」

「よろしい」

完全に力関係が決定した瞬間である。
え?だいぶ前から決まってただろうって?それは言わない約束でしょ。バイキンマンがキレイキレイで手を洗ったら死ぬはずだよね、っていうのと同じくらいのタブーってやつなのです。
さて、だいぶん脱線してしまったが。ここからはちょっと真面目な話。


「…条件というのは、オオグルマと支部長に言わないこと。それと、悟られないことです」

「…今まで通りに接しろ、ということか」

「理解が早くて助かります」

そう言うと、ツバキ女史は白くてすらっときれいな手を形の整ったあごに添えた。…考える仕草まで様になるとは。美人は絵になるね。目の保養なりぃ…。

「…ふむ。まあいいだろう」

「…では、しばらくお待ち下さい。
ロックを解除しますから…っと。
はい、ではこちらへどうぞ」

そう言って、僕は操作していたターミナルの手すり部分に横から肘をつく。
ツバキ女史がターミナルに向かって立つその隣から画面を見ると、ヴァジュラ、プリティヴィ・マータ、ディアウス・ピターと続く。
そして最後のページにはーーーー


「…リン、ドウ…」

ぽろり、と。ついこぼれてしまったように発されたその言葉に気付くこともなく、ツバキ女史はターミナルの画面を、いや。画面の向こうのリンドウの顔をじっと見ていた。

ぽろり、と。今にもこぼれてしまいそうなツバキ女史の豊満なバストをガン見する僕に気付くこともなく、ツバキ女史はターミナルの画面に沿えていた手を離して僕の顔が軋むように痛いぃぃぃぃぃっ!

「…貴様は本当に節操がないな」

そんな暴力的なまでにふつくしい大きなモノを、胸元を大胆かつセクシーに見せる貴女に言われたくはないです…ガクッ。



















その後五分くらいで目を覚ました僕は、ツバキ女史に話した。
リンドウが支部長のことを探っていたであろうこと。
支部長はリンドウをなんとか事故死に見せるように、危険なミッションに単独出撃させていたらしいこと。
それでもしぶとく生き延びるリンドウが、なにやら支部長の企みの一端を知ってしまったようであること。
アリサのトラウマであるヴァジュラ種の写真と共に、リンドウの写真を使って何らかの暗示や刷り込みをしたのではないかと推察していること。
実は博士にアラガミ化を抑える薬を作ってもらったこと。
リンドウにその薬を渡してあること。
きっとリンドウは生きているということ。
などなど…。

しばらくじっと聞いていたツバキ女史が、ため息をつきながらベッドに背中から倒れこんだ。

「…実はな。
先日、リンドウ及びその神機の捜索が打ち切られることが、正式に決定した…」

「もう、ですか」

明らかに早い。
普通、少なくとも神機が回収されるまでは捜索が続く。神機はアラガミに対抗出来る、現状唯一の武器だからだ。
どれだけ人が死のうとも、神機だけは血眼になってこれまで捜索されることが多かったのもそのためだ。
…支部長の本気度合いがうかがえる。リンドウが消息不明になってから、派手に動きすぎたか。それとも早すぎたか。

「もう、だ。
…正直な。私は、貴様が支部長と繋がっているのではないかと思っていた。貴様が何かを隠していることは分かっていたしな」

「…何のことです?」

「ふっ…。とぼけなくてもいい。貴様は嘘がつけないからな…。
貴様の話では、リンドウに渡した薬は一錠で一ヶ月。九錠だから九ヶ月もつということだったが…。
実際、アラガミ化は進行するほど加速する。
…本当は、そこまで持たないと分かっているのだろう」

…この人は、本当に。
一番つらいのは自分だろうに、なぜそんなに優しい顔で笑えるんだ…!

「…なに、心配するな。
さっきも言っただろう。貴様は嘘がつけんとな。
…そんな貴様がリンドウは生きていると言うんだ。なら、私の(リンドウ)はきっと生きている。…少なくとも、私はそう信じるさ」

「…そうですか」

「ああ。
…さて、では今回の話はこれで終わりだ。支部長には、私から適当に話しておく。
…それにしても、良かったのか?」

「何がです」

「先ほどのデータだ。
私にロック解除のパスワードを教えてしまって…」

ああ。そういえば、さっきの話の途中で僕の腕輪とパスワードでロックしたデータが見れることと、パスワードについて話したっけか。
とはいえ。

「ええ。そもそも、今回の件も支部長に目を付けられるつもりはありませんでした。
もし、僕に何かあったときは…頼みます」

そう、まさか今回の件で支部長に目を付けられるとは思っていなかった。
リンドウも、サクヤさんにビールの確保を頼んでいたし、僕も保険をかけておくべきだろう。
ソーマのように特務に従事させられるかもしれないし、リンドウのようにこっそり後ろから刺すようなことをされる可能性もある。


ただひとつ、確かなことは…。
僕は、童貞のまま死ぬ気はないということだ。
見てろよ支部長。あっと言わせてやるからな!

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愛妹見舞

なんかやたら誤字報告が来ておりました。いやはや、こんなにも誤字ってたんですねぇ…。お恥ずかしい。
誤字報告して下さる方、ありがとうございます。


「…よし。戦王油ゲト。こんで確か全部」

「ん」

やあみんな。
今日もいつも通り、僕の大好きなジーナたんと一緒に、元気に素材集めさ。
今回は前にリッカに言っていた、オラクル自動回復量↑極小の強化パーツの素材のひとつ、戦王油を集めてました。
リッカちゃんも博士に負けず劣らず、なかなか鬼畜な素材の収集をお願いしてきた。
混沌砲3、伝導体2、そして戦王油1である。これにプラスして10000fc(フェンリルクレジット)まで要求されますた。ひええ。

まあ、そのついでで戦王鎧とかは集まったけどね。
でもなあ…。今の20型ガット真を28型ガットに進化させるには、戦王鎧じゃなくて戦王大鎧が必要なんですよね…。やれやれ、いつになったらRANK4に出来るのやら。

「…エリック、機嫌いいわね」

「そうかな?」

そんなに分かりやすかっただろうか。
たしかに僕は最近機嫌がいい。というのも、支部長じきじきにお休みをくれるらしいからだ。
思い返すのは五日前のこと。




















ツバキ女史に突撃!男子部屋!された後、しばらくしてから支部長に呼び出された。
すわ特務か、暗殺か!と身構えていたが、支部長から伝えられたのは驚愕の有給休暇である。

『これから三日間、君には有給休暇を与えよう。たまには家族と会って、英気を養いたまえ』

ぽかんとしたね。
や、だって支部長に絶対何か感付かれたと思ってましたし。そしてそのタイミングでの呼び出し。何かあると思わない方がおかしい。

そして警戒しながらも妹のエリナに会いに、叔母のライカさん(ライカさんさんじゅうろくさい)の元へ。

ライカさんはいろいろあって極東にたどり着き、今はエリナと何人かのメイドさんと共に第一居住区に邸宅を構えている。フェンリル本部の居住区にある実家ほどではないが、ライカさんの家もまずまずの大きさのおうちである。

エリナと最後に会ったのはエリック、上田ァ!の直前で、エリナとは新しい洋服を買ってあげる約束をしていた。
とは言っても、それは俺が上田くんになる前の話なので、俺としては実感がなく正直なところ、再会するのはちょっと不安だったのだが。
そんな心配は杞憂に終わった。

何故ならエリナが
『お兄ちゃん!』
と叫びながら飛び込んできてぶつかる直前、突然エリックの身体が勝手に動き、エリナ(愛しい妹)をふわりと柔らかく抱きしめながら華麗にくるりと回転し、事なきを得たからだ。
お前それをオウガテイルの時にやれよ…。そしたら死ななかっただろうに…。
そう言いたくなるくらいにその動きはまさしく華麗であり、エリナを見ているともう愛しくてたまらないという感情が沸き上がってくるレベルである。お前、シスコンだったのか…。

いや、よく考えれば、そもそもエリックが極東にいるのは、数多くの反対を押し切って、妹のエリナが極東の叔母の元で療養するのに寂しくないように、という理由だった。だからこそリンドウも、へっぽこだった頃からエリックのことを認めてくれていたんだろう。

ちなみに叔母(36)は独身である。姉御肌なんだけど、なんと言うか、FGOの女海賊の船長さんみたいな豪胆さがあるから…。
あと、メイドの咲夜さんがちょこちょこ姿が見えなくなっていた。なにやら外で戦闘のような金属音がしていたし…。最近治安が悪くなったんだろうか。なんて思いながら、久しぶりにゆっくりとした休日を過ごしたのだった。やれやれ、妹は最高だぜ!





















私だ。ヨハネス・フォン・シックザールだ。
裏でこそこそと私のことを嗅ぎ回っていたリンドウを無事始末出来た。そう思った矢先の出来事だ。

『支部長。ここのところ、エリックさんが一切の出撃を行っていません。どうしますか?』

そう連絡してきたのはオペレーターの竹田ヒバリ。彼女は実にオペレーターとして有能だ。
しかし、今回の連絡内容は少々厄介なものだった。

エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。
フェンリル本部の膝元、フェンリル本部居住区の中でも有数の家、フォーゲルヴァイデ家の息子であり、療養中の妹のためにわざわざ極東へとやって来た変わり者。
来た当初は、この愚か者はわざわざ自らの死期を早めに来たのかと思ったものだが…。
さすがはフォーゲルヴァイデ家の血を引くものというべきか。二年経つ今でも前線で戦うゴッドイーターだ。
彼の立場上、危険性の高い特務に就かせるのは、フェンリル本部のフォーゲルヴァイデ家から不要な干渉を受ける可能性がある。いくら本部とロシア支部を傀儡としているとはいえ、不要な反乱の芽はない方が良い…。
それに、ペイラーから
『彼には私の手伝いをしてもらっていてねぇ…。
そのように(・・・・・)、よろしく頼むよ…?』
と釘を刺されている。…彼本人に直接干渉するのは好ましくない、か。

だとすると、オオグルマのことを信頼しているらしい雨宮女史に探らせてみるか。
アリサに刷り込みを行っているオオグルマのことを信頼する程度だ。あまり期待は出来ないが…。
新型神機使いをあまり個人の戦力とするのもまずい。それゆえ、オオグルマがアリサに身体的接触をすることを禁じた。監視も付けている。
だが、オオグルマは彼女を好きにしようとする素振りが見られる。まったく、悩ましい限りだ…。


エリックの妹、エリナについては弱点足り得ないことは、既に証明されている。
エリナ自身にはなんら脅威はないが、その保護者。
ライカ・デア=フォーゲルヴァイデ。
彼女の持つ戦闘力が危険だ。

『破壊する』能力。彼女はこの能力に特に秀でており、フェンリル本部からはその危険性ゆえに封印指定されている。しかし遣わされた執行者達を全て薙ぎ倒し、現在は「障らぬ神に祟りなし」とばかりに放置されている。
特筆すべきはその恐ろしいまでの破壊能力であり、謎の力で監視が全身を複雑骨折させられていたり、棒切れでヴァジュラのようなオウガテイルを倒したという噂まである。
事実、どのようななまくらでも彼女が使えば斬れぬもののない刃となり、徒手空拳では剣を使うよりも更に危険だという話すらある。
よろず屋とも親交があることから、おそらくこのアナグラ内の情報についてもある程度は把握していると見ておいた方が良いだろう。
従えているメイドの一人は、姿が見えなくなったと思った時には監視が全て無力化されていたことも、危険性に拍車をかける。


「…何も問題はない」


そう呟くも、声の震えは誤魔化すことが出来なかった。
いっそ休日を与えて、その間に強襲させてみる、か…。



というわけでオリキャラのライカさん登場です。
エリックの叔母さんは本編にも存在するようですが、とりあえず世界の違う人として活躍してもらいましょう。
型月の世界から来てるような人です。魔術も使えます。剣の腕も確かです。概念すら斬ります。やろうと思えば世界の因果すら斬れます。でも素手の方が強いです。頭おかしい(白目)
ライカさんやメイドさんは、全員細かい設定があるのでいずれ全員出したいですね。


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ロクデナシⅡ

「疲れた…」

アナグラ、出撃ゲート前のロビー。
そのソファーに仰向けになっている、上半身に刺青を入れ、真っ赤なツンツン髪にサングラスというド派手な格好な男がいた。俺です。上田です。

今回のミッションは久しぶりに地獄を見た。
今日、僕は思い出した。この世界は…無印なんだ…。

ふと、ほほをつんつんされていることに気が付いた。だいたいこういうことをしてくるのはリッカなんだが、はて。
そこにいたのは、僕が大好きなジーナさんその人であった。おお、今日もふつくしい…。クールビューティーである。そして絶壁。だがそれがいい!

「…大丈夫?」

いつも通りの平坦な声の裏に見え隠れする心配が、僕の疲れきった心を癒してくれる。あぁ~。心がぴょんぴょんし…。いや、そういうのではないな。うん。

愛するジーナたんの顔をじっくり見ながら堪能しつつ、ゆっくりと上体を起こす。

「ああ、ありがとう。ただ、今回はあまりにも疲れてしまってね…。良ければ、話を聞いてくれないか」

「…そ。何にしても、もうロビーは消灯する時間よ。
場所を移しましょう」

そう言って、返事も待たずにさっさとエレベーターへ向かって背を向ける。ちょ、どこ行くし。

「それは構わないが…。どこへ行くんだい?」

そう問いかけると、ジーナは顔だけこちらに振り向いた。その透き通った瞳に人知れず鼓動が跳ねる。

「…私の部屋だけど、嫌だったかしら」

「めっそうもございません」

むしろご褒美です。はい。

エレベーターを降りてジーナたんの部屋に向かう。
ジーナたんの後ろ姿はあまりに細くて、まるで抱き締めたら砕けてしまいそうな儚さを孕んでいた。
ああくそ、心臓がうるさい。エリックもジーナのことを意外と気にしてたのかもしれない。なんとなくそう思った。

部屋に入ると、ジーナはさっさと自分のベッドに腰掛けてしまった。
こちらも手頃な椅子に座り、ばれないように深呼吸してジーナの部屋の匂いを満喫する。ふはー…。いい匂いやぁ…。そこ、変態チックとか言わない。


「それで?何があったわけ?」

そう聞いてくるジーナは、あごを両手で支えて、両肘を膝につけていた。うーん、あざとい。いや、ジーナが狙ってそういう姿勢を取ってるわけじゃないと思うけども。

「そうだね…。どこから話そうか…」

そう言って、僕は今日の戦いを思い出していった。




















そう、事の発端は第一部隊の人員が足りないことだった。
コウタ君曰く、
『ツバキさんは怒ってるし、こんな時にソーマはいないし、サクヤさんは部屋から出てこないし、アリサは寝込んでるし…』
ということで、急遽僕とカノンちゃんがヘルプに呼ばれたわけだね。うん。正直に言えばこの時から嫌な予感はしてたんだ。

で、ユウくん、コウタ君、バカノンちゃん、僕の四人でミッションに行ったわけだけど…。
コンゴウ2体にシユウの計3体の乱戦とかね。聞いてない訳だよ。
しかもバカノンちゃんの誤射でまず僕が一度戦闘不能になり、僕をリンクエイドしてくれたコウタ君がバカノンちゃんの誤射で戦闘不能になり、そしてバカノンちゃんが戦闘不能になるというね。
その後は僕がコウタ君をリンクエイドして、三人で戦う訳だけど…。
ユウくんが戦闘不能になり、コウタ君が戦闘不能になり、僕以外が地面ペロペロになった光景を見た僕は思い出したんだ。そういえば、難易度無印だったっけ、と…。油断すれば死ぬ。油断しなくても死ぬ。
餌に行った時に轢かれれば死ぬし、ガードしたって覚悟とかふんばりとかのスキルがないと死ぬ。
そしてやたら向こうはタフだし死なないし…。
そう、僕らが生きているのはそういう世紀末なんだ…。

その後はスタン→ユウくんリンクエイド→回復錠→スタン→コウタ君リンクエイド→回復錠の順で復帰したけど、ユウくん、コウタ君が二人とも地面ペロペロになるのがこの後もう一度あった。
しかも二人とも、戦闘不能になればなるほど動きに精細を欠いていくし…。SAN値チェックじゃないんだぞ。正気度ロールなんかしてる場合か。
ユウくん、リンクエイドした後に捕食するように言ったのにその場でくるくる回ってるしさあ…。

そしてコンゴウ2体とシユウをなんとか制限時間内に倒し、ミッションから帰還した後のカノンちゃんの第一声はこちら。
『どうして私を助けてくれなかったんですかぁ…』

涙目で言われても、あの時の最善は間違いなくカノンちゃん放置である。普通は
『今回は皆さんにご迷惑をお掛けしました…』
とか
『あまりお役に立てなくてごめんなさい…』
じゃないの?ねえ?

ということで、カノンちゃんに今回の問題点を懇切丁寧に一から伝え、偶然通りかかったツバキ女史に今回のミッション内容をざっくりと報告した。
カノンちゃんは一ヶ月みっちりツバキ女史から戦闘訓練をやらされることになった。残当。
コウタ君も
『まあ、今回のはさすがに…』
って感じでフォロー出来なかったようだ。
ちなみにユウくんは、コウタ君に
『な、あんたはどう思う?』
って振られた時に肩をすくめるだけだったので、彼としてもこの処分は妥当だと思ったようだ。


ミッションでは久しぶりに命の危機を覚え、ミッションから帰ってからはわがままっ子にお説教をするはめになり…。
あまりの精神的疲労感から、ロビーのソファーにそのままバタリと倒れてしまったんだった。


僕の話を静かに聞いていたジーナたんは、僕が話し終わると軽くうなずいて、

「…お疲れ」

と言ってくれた。ああ…。心が浄化されていくようだ…。

「いや…。こちらこそ、聞いてくれてありがとう。少し、気分が軽くなったよ。
そういえば、そっちは今日はどうだったんだい?」

そもそも、今日ジーナたんが何をしていたか知らないんじゃが。

「こっちは相変わらず、あまり成果はなしね。
…ただ、鎮魂の廃寺に向かったタツミからは少し気になることを聞いたわ」

「…それは?」

ここでいう成果は、リンドウの探索のことだろう。防衛班の通常巡回経路を今拡張する話が出ているし、タツミが防衛班班長として一足早く行動したんだろうか。
それにしても、鎮魂の廃寺か。…まさかシオ、か?

「なんでも、たき火の跡が見つかったらしいの。ただ、リンドウさんの居た痕跡と断定も出来ないし、山賊とか、野盗かもしれないから何とも言えない、って」

「そうか…」

リンドウはタバコを吸ってたはずだし、マッチが見つかればリンドウだという可能性が高そうなんだが。
リンドウか、それ以外か。…個人的な希望でいえば、シオとリンドウとかだと一番なんだが…。

「何にせよ、僕の方でもリンドウを探してみるよ。
…なるべく早く見つけないとね」

ハンニバル化したリンドウと、この無印基準の世界で戦いたくないです。勝てない。絶対一人二人は犠牲者出そうや…。もうやだぼくおうちかえるぅ…。

「そうね…」

沈黙が下りる。
とは言え、ジーナたんとは既に結構深い付き合いなので、気まずいとかはない。あー、ジーナたん相変わらずきれいだなー。まつげ長いなー。とか、そんなくらい。
…そろそろいい時間だ。彼女もシャワーを浴びるなりするだろうし、そろそろお暇しよう。

「…さて、そろそろ僕は行くよ。今日はありがとう」

「どういたしまして…と、言っておくわ」

なんでもないように言うジーナたんだが、こういう気の利いた優しい部分が僕は好きだ。

「今度はお礼に、僕の部屋に招待するよ」

「期待しないで待っておくわ」

「ちょ、ひどくないかい?それは…」

そう言って彼女を見ると、いたずらっぽく笑っていた。
まったく、その顔はずるいぜジーナたん…。

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バトルドーム!

ボールを相手のゴールにシュウゥゥゥゥッ!


「エリック、頼まれてた強化パーツ出来たよー!」

「ありがとう」

神機整備室。
通路の両側にいくつもの神機が林立する、まさしく武器庫そのものの神機保管室の隣にある、工具やら材料やらがあちこちに散らばった、半分リッカの個室となっている部屋だ。
神機整備室の真ん中には四角い木製のテーブルがでかでかと存在を主張しており、リッカはその机に軽く腰掛けながらテーブルに手をついていた。
つい先ほどまで作業をしていたのか、ごつい手袋をしたままである。
そして机の上には、なにやらよくわからない金属製の円柱が。円柱といっても、あまり分厚くない。せいぜい握りこぶし程度の大きさか。…そう言えば今気付いたけど、強化パーツってどこにどう付けるの?

そんなことを考えていると、リッカが説明をし始めた。上手く出来てご満悦なのか、テンションがちょっと高い。あと、どことなく誇らしげだ。ちなみにこういったタイミングで褒めまくると、ブンブンと勢いよく振られるしっぽが幻視できる。ちょっとしたレアな表情だ。

詳しいな、まるでリッカ博士だ。
残念だけどジーナたん一筋なんだよなぁ…。

「これが前頼まれてた強化パーツ。
仕組みとしては、神機と神機使いが接続する部分に組み込むことで、オラクル細胞の循環効率を上げるの。
とは言っても、ただ循環効率を上げると神機使いの身体にいつも以上に負担がかかっちゃって、使い物にならない。
だから、この強化パーツの真の心臓部分はウロヴォロスの素材。他の素材との相性があるから特定の部位じゃなきゃダメで、かつオラクル細胞を生み出す働きとその補助を担うんだ。
あとは、負担軽減のために伝導率を上げる必要があったから、伝導体をまるまる二つ分。これを、全体に特定の分布で組み込むんだ。
自分でも、上手く出来たよ。だから、当初の目標よりも性能が良くなってる。はいこれ」

そう言って手渡された強化パーツは、けっこうずっしり重かった。2kgくらいありそう?

「ありがとうリッカ。やっぱりいつもひたむきに神機に向き合っている君に頼んでよかったよ」

「そうかな…。へへっ、ありがとね」

にっ、と笑いながら鼻の下をこするしぐさが実にキュートである。あっ、そんな機械油だらけの手袋したまま鼻をこすったりしたら…!

「あっ…!」

リッカも気付いたらしく、恥ずかしそうに顔を赤く染めた。そうだよね。機械油ってけっこう臭うよね。

「ほら、これ」

すっ、とエリックがポケットからハンカチを取り出してリッカに差し出す。うーん、このあたりはエリックって本当に育ちがいいんだなぁと痛感する。俺ならここまですんなりとは渡せないし。ちょっと恥ずかしいし。

「や、大丈夫だって…!」

そう言いながら、えと、えと…!ってキョロキョロしてるリッカちゃん。おそらくタオルを探しているんだろうけど、なかなか見当たらないらしい。ああもうじれったいなあ。

「わぷ」

面倒なので強硬手段に出る。あー、これあれだ。
エリックさん、完全に妹のエリナと同じ感覚でごしごししてる。一応リッカちゃんは一個上か同い年のはずなんだが…。ま、リッカちゃんかわいいし。多少はね?

「…よし。まったく、嬉しいのは分かるから、少し落ち着きなよ。
あとこれ、頼まれてた報酬(チョコレート)だ」

そう言って、簡素ながらも丁寧にラッピングされた小さな箱を渡す。ちなみにこれは、叔母さんから運良く譲ってもらえたチョコレートである。お金を支払うつもりだったんだが、甥っ子から金をとるほど落ちぶれちゃいないと一蹴されました。一応これでもお金に関しては心配はいらないんだが…。
丁寧にお礼を言って、ありがたく頂きました。
そしてそれをラッピング。
リッカちゃん、なんで普通の甘いものも好きなのに、冷やしカレードリンクも好きなんだろう…。謎。

「わっ、ホント!?ありがとエリック!」

明らかに先ほどよりも嬉しそうなリッカちゃん。リッカちゃんが嬉しそうで何よりです。

「さて、僕の相棒の整備は終わってたかな?」

「わー…♪」

聞いちゃいねえ。早速包装をいそいそと開けている。そんなに慌てなくても、チョコレートは逃げないよ。

「おお…!」

箱を開けると、上品に9つに区切られた中に、一口サイズの芸術品のようなチョコレートが仕舞われていた。リッカちゃんのおめめがキラキラしてるぅ…。

「ね!ね!食べてみてもいいかな!?」

「どうぞ」

「わーい!どれにしようかなー…♪」

ふんふーん♪と上機嫌に鼻歌を歌いながら迷っているリッカちゃんを尻目に、僕はコーヒーメーカーの置いてある部屋の奥へと向かった。
これはしばらく待つしかなさそうだ…。


…この強化パーツの名前は、上田オリジナルにしよう。
コーヒーを飲みながら、幸せそうなリッカちゃんの顔を眺めつつ、僕はそんなことを考えていた。



強化パーツ『上田オリジナル1』
予定
『オラクル自動回復量↑極小』
実装
『オラクル自動回復量↑微小』


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ワニをしている

風邪をひきました


ロビーのターミナルを操作していると、アリサちゃんが少し回復したらしいことを聞いた。うーん、このあたり、どうなってたかあまり覚えてないんだよな…。
まあ何にせよ、僕は僕の出来ることをするだけだ。

「…っと。出来た」

そう。
ついに!
おめでとう!20型ガット真は、28型ガットに進化した!(ポケモン感)
ちなみにステータスはこんな感じ。

20型ガット真
破:×2.3
貫:×1.3
火:×0.5
氷:×1.7
雷:×1.9
神:×0.5
スキル
スタミナ↓小
ノックバック距離↓小

↓↓

28型ガット
破:×3.0
貫:×1.3
火:×0.5
氷:×2.5
雷:×2.5
神:×0.5
スキル
スタミナ↓小
ノックバック距離↓小

ついに。ついに、氷と雷が2倍を越えた!
いやぁ、無印基準の難易度4~6を、盾による防御なしの低耐久紙装甲で、武器がランク3とかいう地獄を乗り越え、ようやくランク4の武器まで来ました!つらかった…。
むしろこれまでの二年間、20型ガットのままでよくエリック死ななかったな…。というレベルである。腐っても、極東の神機使いか…。化け物だらけだな、極東。

「ん?」

ターミナルの操作を終了するつもりでいたが、ふと新しくメールが来ていることに気付いた。はて。ブレンからの成果報告については確認したはずだが。
そう思ってメールボックスを開くと、父さんからだった。ついに倒産したか…。父さんだけに。
や、まだメール見てませんけど。

「ああ、そうか…」

内容は、リンドウが死んだ(という扱いに極東ではなっている)ため、父さんがこちらに一度来る、というものだった。その時に顔を見せてほしい、とか。

…リンドウの存在は、おそらく父さん達フェンリル傘下の企業にとっても大きな存在だったのだろう。
物資の輸送の護衛、取れるアラガミ由来の素材、卓越した戦闘技術とそのノウハウ…。
特に父さんは僕やエリナの事があるから、向こうの人達の中でも極東とは繋がりがある。それも含めての人選だろう。まあ、父さんは選ばれたというよりむしろ選ぶ側なのだが。
…そういえば、リンドウが居なくなってから、もう一週間以上経つ。普通に考えれば、生存は絶望的だ。
だが、実は僕はあまり心配していない。だってリンドウだし。
それに、ぶっちゃけリンドウが死んでいたとしても、それは無印ならある意味正史とも言える。仕方ないね。
むしろ自分が明日生きているかどうかの方が心配なまである。この前みたいに自分以外が新人とかだと普通に全滅しかねないし…。

さて、オラクル自動回復量の上がる強化パーツ、
『上田オリジナル1』も新たな相棒に装備した。回復錠も回復錠改もありったけ持ってる。回復球も回復柱も持てるだけ持ったし、スタングレネードも同様だ。
さあ、今日も張り切って逝きましょう!

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ぼるぐ・かむらん

「…で、またこの男くさい面子なのかい?」

「まー、そう言わないで下さいよ。なんか、サクヤさんはツバキさんから話があるらしくって」

「何でもいい…。さっさと行くぞ…」

「…」

やあ皆。今日は僕こと上田エリックとツンツン無口系ヒロインソーマ、あと我らが主人公ユウ君と、おまけでコウタ君の四人でミッションに来ている。
目標はボルグ・カムラン。ヒバリちゃん曰く、

『緊急要請です。「ボルグ・カムラン」が上陸しました!今回が極東での第一例ですね…
早期の駆除をお願い致します!』

ってユウ君に言ってたけど…。あれ、僕博士のおつかいでボルグ倒しまくってたような…。あれは堕天種の雷だからノーカン的な?
そう思って見てたら、ヒバリちゃんにニッコリ睨まれたでごさる。ひえっ。あれは

『余計なことは、言わないでくださいね?』

という脅しだ…。きっとそうにちがいない…。

「さて、今回のリーダーはユウ君…で、いいのかな?」

「…」

さっきからユウ君全然喋ってくれない訳だが。

「まあ、とは言え僕は後衛だし、コウタ君も後衛。ソーマは前衛だから、ユウ君は前衛寄りの遊撃…ってところかな」

まあ、前にこのメンバーで動いた時とあらかた一緒である。つかユウ君、これは君がやることやで?

「そいつに何を言っても無駄だ…。
猪突猛進の死に急ぎ野郎にはな…。集合の合図も、各員索敵の合図も出しゃしねえ…」

「あ、ソーマ!何もそんな言い方しなくたっていいだろ!」

ソーマにコウタ君が何か言ってるが、ソーマ(死に急ぎ野郎)に死に急ぎ野郎って言われるって相当やで…。

「…何か変な事考えてんじゃねえだろうな」

ソーマに睨まれました。なんでそんなに勘がいいのん…?アラガミ化すると、勘が鋭くなるの?僕もアラガミ化するしかないな…。

「さっさと行くぞ…」

「あ、おい!ソーマ!」

あ、ソーマが痺れを切らして行ってしまった。
やれやれ、僕達も行くとしようか。…っと、その前に。

「ユウ君、アリサ君の容態は…?」

そう問いかけると、ユウ君は黙って首を横に振った。復帰はまだ出来そうにない、か…。

「なら、アリサ君と話は出来たかい?」

そう聞くと、今度はしっかりと頷いた。ってことは、感応現象はもう起きた後か…。

「…ユウ君、彼女もまた、僕達と共に戦う仲間の一人だ。アリサ君のこと、よろしく頼むよ」

そう言うと、彼は頷いた。…いい目をしている。これなら安心かな。
僕は肩をすくめて、ユウ君と共に二人を追いかけた。




















「いやー、意外と楽勝でしたね!帰ったらバガラリー見るぞぉ!」

「あっつぅ…」

場所が地下鉄なので暑いのなんの。ソーマはよくフードなんかかぶっていられるなぁ…。なんて。
呑気に考えていた時だった。

「…」

ソーマがじっと黙っている。恐らく原因は、先ほど僅かに聞こえた足音だ。一瞬聞き間違いかと思ったが、ソーマが警戒しているってことは間違いない。
僕はコウタ君とユウ君に静かにするよう人差し指を口に当てて、じっと耳を澄ます。

「ソーマ…」

「ああ…」

こういう時、ソーマは僕の言いたいことを理解してくれるので助かる。
ズン……。ズン……。ズン……。
一定の間隔で聞こえる足音が、徐々に大きくなる。…さっきまでの戦闘音を聞かれていたか…?
だが、大分時間が経ったはずなのに…。
そう考えた瞬間。

ゾクリと肌が粟立った。来る!

「ソーマ!」

そう叫んだ瞬間、グアアアアッ!という独特な咆哮が響き渡った。
馬鹿な、あれはハガンコンゴウのーーーーー。

そう頭では考えながらも、身体は直ぐ様音の発信源から距離を取る。そして直ぐ様聞こえてくる、アラガミの走る音。くそっ、通信も今は何故か聞こえない!かくなる上は…!

「全員戦闘準備!来るぞ!」

そう叫んだ時には、ソーマはもうハガンコンゴウに向かって駆け出していた。
くそ、乱入なんてゴッドイーター2からだろう!?
まさか支部長の差し金か、とも思ったが、それなら何故このタイミングで…?
なんにせよ、今はコイツを片付けるのが先決か!

僕達は、ハガンコンゴウに襲いかかったーーーーー。




















「いやー…。ほんと、どうなるかと焦ったよ」

帰投するヘリの中、コウタ君が脱力しながら呟いた。正直、同感だ。

あの後、ハガンコンゴウを倒す直前くらいに通信が回復していることに気付いた。ヒバリちゃん曰く、ボルグを倒したか分からないまま通信不能に陥り、今まで復旧にかかっていたとのこと。
タイミング的には、僕達がボルグを倒す少し前くらいから通信が出来なくなっていたみたいだとソーマが教えてくれた。
僕達の通信機器に不具合が同時に発生したのか、アナグラからの通信に問題が発生したのかは分からないらしい。これからリッカちゃん達整備班が調べることになるんだろう。

ふと、ヘリの窓際の座るソーマが考え事をしているのに気付いた。ところで何でキミ地べたに座ってんの?

「ソーマ」

「………………………………………なんだ」

気付くのおっそ。とはいえ、声をかけられた事に気付かなくても、僕がソーマの顔を見ているだけで話しかけられたのだと分かるのはある意味凄いかもしれない。

「今回の出来事、どう思う」

「…さてな。ただ、偶然じゃねえ事だけは確かだ」

そう問いかけたが、ソーマはそう言ったきり、顔を反らしてしまった。ソーマはヘリの窓から、じっと空を見ている。
…なにやらキナ臭い。いや、それも今さらか。

一つだけ分かるのは、支部長が黒幕だということだ。
…それだけで充分な気がしてきた。

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しもんきん

驚いた。
何が驚いたって、ユウ君だ。何あれ。
今は確か、サクヤさんの部屋に向かったはず。…サクヤさんの部屋に行くイベントなんてあったっけ?もう覚えてない部分とかあるなぁ…。
まあそれはともかくユウ君だ。
空中で捕食するわ、ステップしながら捕食で吹っ飛んでいくわ。たまげたなぁ…。
そういえば、ソーマもなんだかやたら空中で滞空時間が長い時があるし…。なに?どうなってんのこの世界。
俺の知ってる極東と違う…。

更に言うなら、ヒバリちゃんがユウ君にアンケート調査をしていたり、あの人を遠ざけまくるソーマがユウ君と一緒に休憩していたりと、俺の知識にない事はよく起きている。まあ、ただ単にゲームでは描写されなかった部分なのかもしれないけどね。しかしヒバリちゃんと至近距離でお話とか。ちょっと羨ましい。
ただ、その瞬間を見つけたタツミの反応は見物だった。いつも通りヒバリちゃんに話しかけようとした瞬間、固まったからね。つい顔に落書きをしてしまった。
タツミが再起動した後に正座させられた上にこっぴどく叱られたが、僕は満足だ。大☆満☆足!チーム満足。こんなんじゃ…満足出来ねえぜ…。満足街編は笑わせてもらいました。満足先生の満足はこれからだ!
満足という文字がゲシュタルト崩壊してるぅ…。

しっかし、こう自分の記憶と違う部分が出てくるとなると、マル犬やキュウビといった、2以降のアラガミの目撃例がないか確認しておいた方がいいかも知れない。まあ、順番的にはツクヨミやアマテラス、スサノオやらヘラやらポセイドンやらゼウスやらの方が先だと思うけど…。ポセイドンてどんな奴だったか、あんまり覚えてないんだけどね。ダウンロードコンテンツかなにかだったはずだし。ヘラとゼウスはまだ覚えてるんだけどなぁ。

さて、今回は実はですね。久しぶりに博士にお呼ばれしています。何が出るかな、何が出るかなっとぉ。

「邪魔するよ」

おっ邪魔ぁーっ!って言って入るつもりだったのが、エリック的な感じに直されてしまった。くそう、なんでや。夜食を食べる時に『うおぉん』は大丈夫だったのに…。煮込み雑炊一つください!この世紀末でも雑炊はありました。煮込み雑炊はなかったけど。

「やあエリック君。待ってたよ」

相変わらずの胡散臭い張り付けたような笑み。いまいちセンスのよく分からないズボン。あとメガネ。
皆の便利屋、ペイラーこと榊博士その人です。でたぁ(大山のぶ代声)。皆のドラえもん。今声優さん違うけども。僕はのぶ代さん世代ですが何か?

「さて、君にはいくつか聞きたいことがあってね?」

ふむ。僕の華麗な戦うテクニックについてかな?いいだろう。無印のストーリーを最後まで進めた人間がガチれば、大体の修羅場は乗り越えられるということを教えて差し上げよう!

「まず一つは、最近のミッションで気付いたことはないかい?例えば、戦っている最中にどこかから視線を感じる、とかね」

…。シオのことかな?(直球)
でも視線とか、ソーマレベルの勘の良さでもないと気付けんて。ふむ。あっ。

「そう言ったことはあまりないが…、以前のミッションで、突然通信機器が繋がらなくなることがあった。
博士も、この部屋なり、後ろのよく分からないスペースなり、突然電源が落ちても問題ないようにしておくといい」

確かそれでシオの存在がバレたことあったよね。無かったっけ?

「それについては心配いらないよ。この部屋の機器には特別に、非常用の電源があるからね」

「…何を考えているにせよ、電源が落ちた時の対策はしっかりしておくことをおすすめするよ」

さすがにこれ以上言うと怪しまれそうだし、こんなとこか。まあ、博士だから多分途中で気付いてくれるはず。…気付いてくれるよね?ね?
この人の場合、『あ!しまったあああ!』とかありそうで怖い。まあそうなればなったで原作通りだから、ある意味問題ないっちゃない。

「…ふむ。それにしても、通信機器の不調か。…おかしいな、あれは私とリッカ君で開発したものだから、そうそう通信が出来なくなることなんて、『有り得ない』はずなんだ。
また後で、リッカ君から詳しい話を聞いておくことにするよ」

「よろしく頼みます」

あれはさすがにちょっとビビった。
ゲームならともかく、現実だと当然帰投する準備やヘリの用意なんかもある訳だ。これが出来ないと、いつアラガミに襲われるか分からない状態で待つことになる。時間いっぱい無限湧きの敵を倒すミッションみたくなってしまう。
あれはそういうミッションとしてじゃないと、回復が足りなくなってキツいのです。ああ、プラーナ欲しい…。それもバーストしなくても体力回復できる感じで…。

「さて、二つ目だけど…。
まず君は、エイジス計画は知っているね?」

「島作ってますね」

後半のミッションではよくお世話になるエイジス島である。何もアイテムが落ちてないので、敵をボコるのに集中出来る反面、あまり広い場所ではないので乱戦だとけっこうツラい場所だ。無印ならかなり死にやすい場所である。まあこれは、無印の後半かつエイジス島に出るアラガミが強い奴多すぎ問題なだけだが。
そういえばふと思い出したけど、グボロって超遠距離からぶっぱとか2からじゃなかった?前に緊急依頼やったらなんか飛んで来たんですけど…。

「そう。エイジス計画の肝となるエイジス島だね。今現在、供給される資材の一部を回して建設されている最中な訳だけど…。」

ここまで言って、博士はずいっとこちらに顔をつきだして来た。チェンジ!チェンジで!ジーナたんを代わりに希望する!断じてこんないい歳したおっさんはノー!

「…君は、怪しいとは思わないかな?」

「いいからまずは顔を離して頂きたい」

マジで。

「ああっと、ゴメンゴメン…。少し、興奮してしまってね…」

おっさんが興奮とか誰得…?

「供給される資材の量。フェンリル本部からも輸送されていることを考えると、私達が貯蓄に回したくなるくらいの莫大な量だ。当然、それに見合うくらいの予算もつぎ込まれている…。
だけど、それに反してなかなかエイジス島の敷設は終わらない。
…おかしいと、思わないかな?」

…なるほど。つまり博士は、こう言いたいのだろう。

「…資材の一部が、何処かに消えている?」

そう言うと、博士は出来の良い生徒を見るような顔で微笑んだ。

「ご名答。もしかしたら、ヨハンは…。
いや、まだ情報が足りていないから、余計な事は言わないでおこうか。変に先入観を持ってしまうといけないからね」

そこで止めるのかよ…。
まあ、支部長がやろうとしている事。つまりアーク計画を既に自分は知っているから別にいいけど。これ、何も知識ない状態でやるとくっそ胡散臭く見えるよね…。
実はこいつが黒幕じゃね?的な。もしくは支部長の敵かコイツ?みたいな。

「さて、長くなってしまったがこれで最後だ。
捜索を依頼していた、人型のアラガミ…。見かけたりしていないかな?」

「だからシユウならそこいらにたくさん居ます」

「キミは本当にそのネタが好きだね…」

もうすっかりいつも通りの博士に戻っている。
うーん、しっかし人型のアラガミねえ。
ま、とりあえず言えることは。

「贖罪の街、鎮魂の廃寺」

「うん?」

「人型のアラガミ、でしょう?それなら、人と同じように移動すると考えて、隠れる場所のあるこの辺りが怪しいんじゃないですか」

知らんけど。
まあ、知識と記憶を頼りにした場所に、適当な理由を着けただけだが、案外的を射た意見ではなかろうか。

「…なるほど。確かに、そう言った考えは重要かもしれないね。
ありがとう、今回の用件はこれで全部だ。
引き続き、人型のアラガミを見掛けたら、報告を頼むよ」

「ふっ、全てはこの、華麗に戦う僕に任せておきたまえ…!」

そう言って突如立ち上がり、ファサッ…。と髪をかきあげるエリック。本当にこれがなければ良い奴なのになぁ…。でもエリックだからこれで良いっちゃいい。
少なくとも、2で助走をつけて殴られる、我が盟友(ポラーシュターンの主人)よりはマシだと思う。いいやつだったよ…。


さて、ところでアリサの復活まだかなー。

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夏の日の思い出

タイトルをつけるのはいつも苦労します


「お兄ちゃーん!」

「ん?」

いつも通り、ジーナたんと共にけっこう時間がかかりつつも、一度も死ぬことなくグボロを解体した帰り。
ゲートをくぐってロビーに入ると、愛しい妹の声が。はて?何故に?

そう思っていると、たたたっと階段を上ってくるエリナの姿が。お兄ちゃんはここだ!エリナー!

「きゃー♪」

かわいい声を上げながら勢いよく抱きついてくるエリナを全身で受け止める。ああもうエリナはかわいいなあもう!

「…その子がエリックの妹さん?」

ジーナがエリナを見つめながらこちらに問いかけてきた。心なしか、若干普段僕を見る目よりも優しげな気がするのは気のせいか?その優しさを僕にもください。

「そうだよ。…さ、エリナ。
彼女はジーナ。僕の頼れるパートナーだ。ご挨拶しなさい」

「うぅ…」

エリナにそう言うも、エリナは僕の身体の陰に隠れてしまった。

「ジーナ、エリナはシャイなんだ…」

「…」

そう言って僕は肩をすくめた。こればっかりはなぁ…。
エリナは僕の背中からぴょこりと顔だけ出して、ジーナを見ている。
すると、ジーナがそっ…とエリナに近付いて、エリナのそばでしゃがんだ。

「…私はジーナ・ディキンソン。貴女のお兄さんの仲間よ」

「ジーナ、さん…?」

「ええ」

そう言って、ジーナは優しく微笑みながらエリナに向かって聞いた。

「貴女のお名前、聞かせてくれるかしら…?」

ジーナさん、その笑顔を普段の僕にも分けて下さい。
そんなことを考えながら、エリナがおずおずと、ジーナと話し始めるのを見ていたところ、非常に聞き覚えのある、しかしうざったい声が響きわたった。黙るフォイ!

「久しぶりだな…。友よ!
今ここに!君の盟友!エミール・フォン・シュトラスブルク、華麗に見参!」

声がした方を見ると、無駄に洗練された無駄のない無駄な動きでこちらに近付くエミール(変態)の姿があった。
うわぁ…。正直、あんなのと同類に見られたくない…。きめえ…。なんだそのぬるぬるした動き。

「…というかエミール。何故君がここに…?」

まだお前、ゴッドイーターちゃうやろ。見た限り腕輪もないし。そもそも貴様の登場はあと三年後だ。僕とジーナが結婚してから出直してこい。

「友よ…。君は、自らが言ったことをもう忘れてしまったというのか…。
あれほど熱心に僕に頼んでおきながら、記憶にないというのかあ!?」

うぜえ。あと暑苦しい。
そもそも、エミールに頼んだ記憶とか俺にもないしエリックにもあまりない。なんのこっちゃ?
あと周りからの視線がすごくツラい。やめて、そんな目で僕を見ないで!僕はこんなのと同じ扱いされたくないです!ン拒否するぅ…。

「…君は、エリナのことをよろしく頼むと僕に言ってきただろう?しかもその後すぐに極東に行くわ神機使いとして活躍し出すわ…。少しくらい、連絡をくれても良かっただろうに」

眉を八の字にしながらそう言うエミールだが。エリックの記憶と若干の齟齬がありますねぇ…。

「…エリナのことをよろしく頼むと言ったのは、『僕に何かあった時は』と言ったはずだが?」

「…。そ、そうだったかな?」

分かりやすく狼狽えだしたエミール。だが、ここで追撃の手を緩めるつもりはない。
まだ俺のバトルフェイズは終了してないZE!

「それに、連絡なら既に何度かメールを送ったはずだ。それも確認してないのかい?」

「メ、メール…?
あ、ああ!いや、もちろん確認しているとも!
ほら、僕が言いたかったのは、そうではなくてね!」

「そうではなくて?」

「……………………………………………………………………………………………………。
そ、それよりも!何やら雰囲気が暗い気がするが、何かあったのかい?なんだかこう、待っている間にエリナ君も怖がってしまうような暗さがだね…」

あ、露骨に話題そらしおったこいつ。
まあ、相変わらず暑苦しいうえに鬱陶しいことこの上ないが、こいつの善意は100%本物だということもまた知っている。ここは付き合ってあげるか。
仕方ないなぁのび太くんは。

「…少し前に、ここの大黒柱のような先輩が消息不明になった。まあ、生きてはいると思うが…」

「その割りには、何だか暗い表情の人が多くないか…?」

さすがに気になったのだろう、声量を落として聞いてくる。まあ、これでも多少良くなった方というのだからな…。

「…少なくとも、僕以外にも生きていると信じる人は多いんだ。ただ、異例の捜索の打ちきり、不自然な任務の地域の重複…。やけに早い期間でMIAとなったこともそうだが、おかしな部分が多くてね」

「…消された可能性がある、か」

そう言うエミールは険しい顔をしていた。
そう言えば、エミールもエリックも故郷のドイツでは貴族階級高等学校に通ってたんだよな。
策略、権謀、利権、裏切り…。そういったものは、ある意味隣人でもある訳か。すっとそう思い当たるというのはまあ、そういうことなんだろう。
やれやれ、人類は未来永劫そういう宿命なのかね…。

「…あまり大きな声では言えないが、エイジス計画についても、どうやらキナ臭いものがありそうでね。はてさて、どうなっているのやら、だ」

俺がそう呟くように言うと、エミールはやけに良い姿勢で顎に手を当てて考えだした。…多分これ、本人はただの考え事してるだけのつもりなんだろうなぁ…。

「…エイジス計画か。それについてだが、友よ」

「なんだい?」

「フェンリル本部からも、資材の供給が行われているのは知っているか?」

「ああ」

この前博士にも聞きました。なに?それそんな大事なことなん?
ここ、テストに出ます。的な。

「フェンリル本部も、この極東支部と同じく、内部居住区の周りにアラガミ装甲壁を張り巡らせている。そして、外部居住区にもアラガミ装甲壁を張り巡らせようとはしているが…いかんせん、資材が足りておらず、神機使いがせいぜい見回りに来る程度だそうだ」

「だろうね」

それについては、エリックも記憶の中で驚いていた。
故郷ドイツにいた頃、自分やエミールが内部居住区の一等地で当たり前のように享受していた安全。それが、ただ単に運が良かっただけであったという事実。そして、いつ襲われるとも分からない、外部居住区で逞しく生きる人々。
…そういった経験があるからこそ、エリックは神機使いとしてこれまで二年間、どれだけ大変であっても頑張ってこれたのだろう。
戦う力の無い人々を守ること。それは、まさに貴族の義務(ノブレスオブリージュ)そのものであると。

…そう考えると、現場の事については今はエミールよりもエリックの方が詳しいのか。その代わり、フェンリル本部の内部の話となると一気に不透明になるけど。
ま、こればっかりはしゃーない。

「…それで、外部居住区の人々が中心となって、最近デモが発生してきている。
エイジス計画に資材を回すよりも先に、するべき事があるはずだ、と」

「…治安はどうなんだ?」

「正直、あまり良くはない。
フェンリル本部も、内部では相変わらずの権力闘争ばかりだ。特に、エイジス計画にはやけに食い付きが良い。恐らく、利権以上の何かが絡んでいる、と僕は睨んでいるんだが…」

「…そうか」

エミール、大正解である。
エイジス計画は隠れ蓑であり、実際には限られた人々を宇宙に避難させ、人為的に終末捕食を発生させることで、一度リセットするーーーーー。
それが、支部長の思い描いているシナリオであり、アーク計画だ。
…とはいえこれはあくまでも、ゲーム通りなら、という話だが…。恐らく支部長はあくまでも、アーク計画を成就させるつもりだろう。
というか、正直現状を見ている限りでは、どうあがいても詰んでいる。僕の記憶には三年後には人類側もパワーインフレを起こし、なんとかなる兆しがありそうだと分かるゴッドイーター2の経験があるが、支部長にはそんなものないだろうし。
ぶっちゃけ、自分も三年後を知らなければ支部長の考えが間違っているとは思えないだろう。
それくらい、人類は追い詰められながら消耗戦をしている。まさに崖っぷち。極東は特にひどいけどね…。

「君も気を付けてくれ、友よ。君に何かあれば、エリナ君が悲しむからね」

「気を付けているのはいつもそうさ。
それでもまあ、いつ死ぬかわからない以上はなんともね…」

そう言って肩をすくめる。やれやれ、極東は地獄だぜ。
そういえば、いつくらいからフライアの計画は出てくるんだろう?血の雨のこともあるし、一応気を付けておくか…。














「おおエリック。久しぶりだな」

「父さん」

エレベーターから出てくる人影が見えたと思ったら父さんだった。ところで父さんの名前って…?裕福そうな紳士?
それにしても、険しい顔をしている。ハゲるよ?
また髪の話してる…(´・ω・`)

「…調子はどうだ?」

「いつも死にかけてるよ」

いや、マジで。
そう言うと、さっきまでの険しいそうな表情はどこに行ったのか。突然慌てたようにガッと肩を掴んできた。

「何!?この間まで、『華麗に戦う僕の姿、いつか父さんにも見せてあげたいものだよ…!』などと手紙に書いていたではないか!
エリック、一体何があったんだ!?
…いや、いい。何も言うな…」

そう言って父さんは、肩を掴んでいた手を放した。
…そういえばそうだった。すっかりエリックになってから馴染んでいたから忘れてたけど、エリックってそういうやつだったわ。ナルシスト的な。
…妹の気持ちは手紙越しに気づくのに、自分は虚飾にまみれた手紙を書くのってどうなん?ねえエリック?
エリックは俺に、何も言ってはくれない。ゼロかよ。
そういえば五飛のこと、ウーフェイじゃなくてごとびとかごひって呼んでたなぁ…。ごとびのが分かりやすくていいじゃんね。
AK47をエーカーじゃなくてエーケーって読むのと一緒。
100エーカー…プニキ…うっ、ロビカス。

「…リンドウ君が居なくなったことは、先ほどこちらの支部長…シックザール支部長からも聞いている。
エリック、あまりにも大変なようなら、いつでも帰ってきて良いんだ…!」

そういう父さんは深刻な表情だが、ぶっちゃけ罪悪感しかない。すまない父さん、そういうつもりで言った訳じゃないんだ…。すまない、本当にすまない…。などというつもりはない!
まあ、それに。

「…ありがとう、父さん。
でも、僕はここで戦うつもりだよ。
『妹が『寂しい、独りぼっちは怖い』と手紙に書いているのに、のうのうと財閥の御曹司やってるわけにもいかんだろう?』」

そう言って、ニヤリと笑う。そう。
これはエリックが、周囲の反対を全て押しきって極東に来ることを決めた時の言葉。
妹が、エリナが、この極東に居る間くらいは、ずっと側に居てやらなきゃな。
それが、兄ってものだろう?
いやー、エリックは本当に死んだ後に味が出てくるキャラだよね。スルメかな?

そう言うと、父さんはふっ…と表情を和らげた。

「そうか…。そうだな。お前は、エリナのために、ここへ来たのだったな…」

「ええ。
それに、ここでも僕には信頼できる仲間が出来ました。僕の居場所はもう、ここにある。
心遣いはありがたいですが…」

「いや、なに。構わんよ。
ただ、これだけは覚えておいてくれ。エリナも、お前も、二人とも…。私にとっては、かけがえのない子ども達なのだと…」

「…」

それを言われるとキツい。
そもそも、エリックは本当ならもう既に一度『死んでいる』。既に中身もエリックではなく、今いるのは俺な訳で。
なんとなく父さん達を騙しているような感じがして、いたたまれなくなった俺は、周囲を見渡した。

すると、エリナとジーナがちょうどこちらへ向かってきているのが見えた。二人には悪いが、だしにさせて貰おう。

「お兄ちゃん!」

相変わらず、輝くような笑顔でこちらへ向かってくるエリナ。実に可愛らしい。そこ、シスコンとか言わない。

「どうだいエリナ。ジーナとは、仲良くなれたかな?」

「うん!あのねあのね、ジーナさんってすっごいの!えっとね…!」

エリナが元気に話し出したので、しゃがんでエリナに目線を合わせながら、頷きながら話を聞く。
一通り話すと満足したのか、自分の脚に思いっ切り抱きついてきた。こうなると、エリナが満足するまで放っておくしかないみたいだ。仕方ないか…。

「エリック」

「ああ、ジーナ。ありがとう、この子の相手をしてくれて」

「ええ。彼女、とっても良い子よ。…愛されてるわね、エリック」

どうやらジーナはエリナから、僕の話ばかり聞いていたらしい。まあ、二人が仲良くなってくれたようで何よりだ。

「ところでエリック。そちらのお嬢さんは…」

すっかり父さん達のことを忘れてた。…エミールはあちこちに歩き回ってほうほう言っているようだし、放置でいいかな。

「紹介するよ。彼女は僕のパートナーのジーナ。頼りにさせてもらってる。最高に魅力的な女性だよ。
ジーナ、僕の父さんだ。最近、髪の生え際が気になってきたお年頃」

「エリック、初対面のお嬢さんに私の気になっていることをあっさりばらすのはやめなさい」

「…初めまして、ミドル。ジーナ・ディキンソンです」

「ああ、初めまして。いつもうちの『バカ』息子がご迷惑をおかけしています…。何か失礼なことをした時は、遠慮なくひっぱたいてやってください…」

失礼な。
そう思っていると、ジーナたんがこっちに顔を近付けてこっそりと言ってきた。

「…あんた、父親にまでバカって言われてるわよ?何かしたの?」

「いや?いつも通りさ」

「…だから、ね」

なんやとこらぁ!今のニュアンスだと、いつもの僕がまるでバカみたいだと言う感じじゃないか!訂正を求めるぞ!

「…エリックは確かにバカですが、頼りになるときもありますから」

「いやはやお恥ずかしい…。やはり息子は、相変わらずこちらでも皆さんにご迷惑をおかけしていますか…」

「よくトイレを詰まらせてはいます」

「ああ…。頑張って教育したんですけど、まだやりますか…」

あれは俺のせいではない。
ちゃんと拭けたか不安になるあまり、ついつい五回も六回もふきふきするエリックが悪い。俺はこれまで生きてきた中で、エリックみたいに詰まらせたことなんて一度もないんやぞ!

んふー…♪と、僕の脚に頬を押し付けてご満悦なエリナの頭をなでなでしながら、僕はジーナと父さんが何やら僕のことで盛り上がっているのを複雑な心境で眺めていた…。



最近なんだかつまらない…。
新しい刺激が欲しい。
何か面白いことないかなぁ…。

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俺は詳しいんだ

どうでもいいことですけど、エレシュキガル来ましたね。(先日来たアビーちゃんを育てながら)


おはよう諸君。俺はエドワード・エルリック。弟のアルと一緒に生活している国家錬金術師だ。彼女はウィンリィ・ロックベル。可愛い彼女さ。
好きなものはカップラーメン。嫌いなものは湯を入れてからの三分間。あと勘のいいガキ。勘のいいガキは嫌いだよ…!

そんな俺達は、極東にあると言われる、『神の住む地区』を目指して旅をしていた。


















はい。皆さんおはようございます。茶番です。
今日も快眠できました。エリックこと上田です。
さて、今日は実はジーナがカノンちゃんと共に射撃訓練に行っているため、一人である。うーん、あまりやる気がわかないなぁ…。
タツミやブレンダンはカレルやシュンと防衛班の経路巡回。第一部隊はこの前クアドリガの討伐に行って今日はどうなんだろう。知らん。
そのタイミングで僕はリッカに制御パーツいらないから強化パーツ2つにして、とお願いしに行き、強化パーツは最初から2つつけられるはずと言われ、でもやっぱり無理だったからリッカに見てもらい、リッカもあれ?と首を傾げてなにやら神機を弄り始めたりしたのだが…。まあ、それはまた別の話。

とりあえず、ヒバリちゃんの元へ行き、ソロでもパフェれる相手でもぼこってこようかなー、なんて考えながらエレベーターに乗った。今日も僕のガットが火を吹くぜ…!
そしてロビーに出たところで、なにやら話し声が聞こえた。何だろう。

モブA「おいおいおい、聞いたか。例の新型の片割れ…。やっと復帰したらしいぜ」
モブB「ああ、リンドウさんを新種のヴァジュラと一緒に閉じ込めて、見殺しにしたヤローだろ」
モブA「ところが、あんなに威張り散らしてたくせに結局戦えなくなったんだってさ。ざまあないぜ!」
モブB「はははっ!結局口ばっかりじゃねえか!」

そこまで聞こえた瞬間、僕の中で何かが弾けた。s.e.e.d…?うっ。

なおも話を続けているモブAに向かって、僕は駆け出した。右拳は引き絞って肩の上。左手は真っ直ぐ前に。


死ねぇっ!

「上田パーンチ!」
「アバーッ!」

ゴウランガ!
僕の右手はモブの顔面を抉り飛ばし、モブAの体は勢いよく飛んでいった。
そしてそのまま、ポカーンとした顔をしているモブBの左腕を取る!

バッ!

バッ!!

ギュッ

「がああああああああっ!」
「豚肉炒めと、ライス下さい!」
アームロック!!

そう。これこそは、ライカ叔母さんの友人の怪しげな個人貿易商、井之頭ゴローさん直伝!
井之頭流交渉術!頭を冷やせ!

「あ…そこまで!」

カウンターからヒバリちゃんの声が聞こえる。きっと今ヒバリちゃんは、いつの間にかメガネを掛けていてこちらを止めようとして右手を挙げながら声を掛けているに違いないーーー。
なんて思っていた瞬間、頭が割れるような痛みに襲われた。

「ぐあああああっ!」
「エリック、お前何やってんだ…。ったく」

思わずアームロック!!!を放して振り向くと、いつの間にか久しぶりに切れちまったよ…!な顔をしたタツミがそこに立っていた。くそっ、頭が、頭が割れるように痛いぃぃぃぃ…!

「むかついたから(なグ)アアアアアッ!」
「俺もムカついたから殴った。すまんな」

く、くそっ…!人が喋っている時に上からグーで殴るな!舌噛みきっちゃうかもしれないだろ!タツミ貴様…!許さんぞ…!許さない、絶対にだ!
あまりの痛みに床でのたうち回りながら悶絶していると、そっと誰かが胸のあたりを触っていた。ヒバリちゃんだ。

「あの…。エリックさん、大丈夫ですか?」

ああくそ、ヒバリちゃんに心配してもらえるとかめちゃくちゃ羨ましいくらいのご褒美なのに…っ!今は痛みでそれどころじゃないっ…。くそ、タツミぃ…!

「こ、氷を頼む…」

頭のてっぺんが燃え盛るように熱くて痛い。頭割れるゥ…。

「は、はい!」

「ああ、それは俺が行こう」

「それではブレンダンさん、お願いします」

「ああ」

僕が床でビックンビックンしている間に、外野が何か言っているみたいだがそんなことより頭が痛い…!くそ、タツミめ…。逆恨みとは分かっていても、この恨み晴らさでおくべきか…!いや、許さん!
そう思ってからふとタツミを目で探すと、モブ二人の肩に腕を組んでいた。へっ、やーいお前の大好きなヒバリちゃんは今俺の背中に手を当てて支えてくれているぞ。どうだ羨ましかろう。ヴァカメ、と言って差し上げますわ!




















「タ、タツミさん…!」

「よう、お前ら…!」

まったく、見回りから戻ったと思ったらエリックのバカが思いっきり助走をつけて殴るところが見えたから止めたが。そのバカが胸を張ってムカついたから殴ったとか言うわ、こいつらは俺の姿を見て、びびった様子を見せるわ…。何やってんだ…。

確かこいつらはこの前新人からようやく一人で戦えるようになったばっかってところのはずだが。俺も何度か任務に連れていったから覚えている。

エリックに腕を捻られてたやつの肩に腕を組み、殴り飛ばされた奴も左手で引き寄せてぐいっと近付ける。

「さて、エリックのバカがバカやったのには、また俺から処罰喰らわせるとして、だ…。
あいつはバカだが、何も考えなしに手を振るうような奴じゃねえ。
お前ら、一体何してた…?」

俺が周りの奴らに聞こえないようにボソボソ言うと、右の青い服した奴は震えだした。左の赤い服の奴は首を何度も横に振っている。
…ふぅん。言う気はねえ、ってか。

「…今から素直に答えるなら、特別にお咎めなしで離してやる。あのバカ(エリック)にやられた分もあることだしな。
…だが、答えねえならてめえらにも拳骨だ。後でヒバリちゃんに何があったか全部聞くから、そうなったら言い訳は聞かねえぞ…」

「…す、すみませっ…」

「な、何も…してないっす…」

右の青い奴はガタガタ震えながら謝ってきてるが、左の赤い奴はなおも言うつもりはないようだ。…コイツには、後でツバキさんに訓練からやり直すように言っとくか。上官に詐称は重罪だ。

「…す、少しだけ…わ、悪口を……っ!」

「…ふぅん?」

「お、おいバカ…!」

青いのがついにゲロった。さて、全部言ってもらおうか…!

「し、新型が…口ばっかりって…言ってました…!」

「バカ!黙れ!」

「…黙るのはてめえだ…。おい。続けろ…」

そう言うと、青いのは首を横に降った。
…どうでもいいが、この赤い奴はツバキさんにフルコース頼むか。死なないようにだけしてもらわないとな…。

「そ、それだけです…!本当です…!」

「…なるほどな…。てめえらは、いつか背中預けて戦うことになるかもしれねえやつの悪口言ってたのか…」

…エリックの奴がバカやってるから、どんな理由かと思ったが…。そうか…。

「…お前らは、こんな人の多いところで、周りに聞こえるような声量で、いざと言うとき共に戦う奴の悪口を言ってたと…。そう言うんだな?」

「…す、すいませ…っ!」

「お、俺は言ってないですよ!本当です!」

「お前はちょっと黙れ。そうか…。
…まあ、お前らの気持ちも分からんでもない。ただ、もうちょいTPOを考えろ。…な?
あー、お前は離してやる。さっさと行け」

そう言って、青いのを突き飛ばす。

「…お前は歯ぁ食いしばれ」

「俺は何もーーーーガッ…」

赤い奴は左手で胸ぐらを掴んで拳骨を勢いよく降り下ろす。こんな奴でも人手が足りねえから使わなきゃならないが…。それはそれとして、教育は必要だ。

「上官に詐称するのは問題だ。…例え、お前が言っていたことがどれだけ共感出来ることでも、何もしてないはねえだろ…。
ほら、おまえもさっさと行け」

「くっ………………。…すんません」

ボソッと小さく溢しながら、右手で頬を抑えて赤い奴もエレベーターに勢いよく走って向かっていった。…そんなにエリックに殴られた方が痛かったのか…。

さて。あとはあのバカ(エリック)だけだな。



















ブレンが持って来てくれた氷のうを頭の上に手で押さえながら、僕は床の上に座りこんでいた。そっと背中を支えてくれるヒバリちゃんの優しさが心に沁みる。くそっ、タツミの奴め…。めちゃくちゃ痛い。まだ頭がジンジンする。くそうがぁ……。
僕のすぐ左側に立っているブレンと共にタツミを待っていると、モブAとBを解放して戻ってきた。

「さて、エリック…。申し開きはあるか?」

ないな。
それゆえ、僕は胸を張ってこう答えた。

「カッとしてやった。反省も後悔もしていない!」

「反省しろバカ」

しゃがんでこちらを見つめるタツミがビシッ、と勢い僕の頭にチョップした。

「ぐあああああ……っ!」

いてえ!せっかく痛みがひいてきたのに、また頭頂部が痛みと熱く燃え盛りだした。いつか見てろよ…!

「ったく…。なんでこう、リンドウさんが居なくなって大変な時に更に揉め事起こすかね…」

タツミはそう言うがな。そもそもの話、僕の居るタイミングでアリサちゃんのことをdisる奴が悪い。まあ、手を出したのは僕に問題があるが…。

「あいつらがアリサちゃんのことを明らかに悪く言ってたからな」

「ちっとは反省しろバカ」

「むう」

僕が唇を尖らせていると、意外なところから援護が入った。

「まあ、タツミもそこまでにしてやれ。エリックのしたことは間違っているが、エリックの気持ちも分かる」

「ブレン、お前は甘やかしすぎだ。規律や規範が何のためにあると思ってる」

「それを毎日ヒバリちゃんに迷惑かけてるタツミが言うのか…」

つい思ったことが口に出た。そしたら、ブレンからは呆れた視線を、タツミからは睨まれたでござる。さーせん。

「エリック、今お前が言ったことは正論だが…。それを今のお前が言っちゃダメだろう…」

正直すまないと思っている。

「そうだぞエリック。それに、俺がいつヒバリちゃんに迷惑かけたって言うんだよ。なあ?」

そう言ってタツミはヒバリちゃんの方を見る。僕もつられてヒバリちゃんの方を見る。
すると、ヒバリちゃんは僕の目を見た後でタツミの表情をちらっと見て、すっと視線を逸らした。……タツミェ…。
タツミの方に視線を戻すと、ちょっとショックを受けているようだ。小さく、ぇ…?と言う声が零れる。タツミ、哀れなやつめ…。

そんないたたまれない空気になっていた時に、上の階段から複数人の足音が聞こえてきた。

「あのー、さっきから騒がしいっすけど、大丈夫ですか?」

階段から覗きこむようにこちらを見ていたのは、コウタ君、ユウ君、そしてアリサちゃんだった。……まさか全部聞かれてたりしないよな…。

「あー、大丈夫だ。エリック(バカ)がバカやっただけだから」

「やあ、バカ代表のエリックです」

「や、全部聞こえてたんで知ってますけど」

タツミがなんでもないように言ったので、僕も爽やかに左手を挙げてお茶目な自己紹介をしてみたのだが、どうやら全部聞かれてたようだ。
聞かれてたのかよ…。

「あー、まあじゃあ分かるな?お前らが気にするようなことは何もない」

「そうそう。何も、ね」

タツミがさりげなくフォローしたので格好よく歯をキラーンとさせて追従してみたのだが、三人を微妙な顔にさせるだけで終わった。ふうむ。このイケメンフェイスは彼らには刺激が強すぎたか…。

「ま、よく分かんないっすけど、あまり気にしないことにします。
二人とも、戻ろうぜ」

コウタ君がそう言って腕を回すと、ユウ君とアリサちゃんは頷いて上に戻って…?
いや、アリサちゃんだけこちらを見ている。

「あの…」

なんぞ?

「ありがとう、ございます…」

「さて。何のことかな」

うつむいたままのアリサちゃんからお礼を言われたけど、ね…。べ、別に、アリサちゃんのためにやった訳じゃないんだからね!

そんなことを考えていると、タツミが立ち上がった。やれやれ、お説教は終わりかな?

「さてエリック。お前には後で反省文五枚な。来週までにツバキさんに渡しとけよー」

「げ」

そんなにもこいつ、僕がヒバリちゃんと仲良くしてたのが気に入らなかったのか…。くそ、なんてやつだ。
ブッダシット!
ブレンも『やれやれ、タツミも甘いな…』みたいな顔してるんだ!こいつは私情で人に反省文を書かせようとするやつなんだぞ!

この後めちゃくちゃ医務室行った。
ソーマにリッカちゃん、サクヤさんにジーナさんが様子を見に来てくれた。ソーママジヒロイン。



















数日後。自室にて。
僕の目の前にはまっさらな反省文五枚。期限はあと数分後。

「…」

僕は引き出しからマッチを取りだし、くるくる筒状に丸めた反省文の下に火を着けた。
そしてくるっとひっくり返し、簡易松明の出来上がり。

「燃ーえろよー燃ー○ーろー…♪」

などと適当な歌を口ずさみながら、金属の灰皿を探す。
それを机の上に置き、丸めた反省文を入れれば…。

ミニキャンプファイヤーの出来上がり。

「マ○ム○イムマ○ム○イム、マイムエッサッソ」

懐かしいっすねえ…。
無事にキャンプファイアが終わり、灰皿に灰がきれいに入っていることを確認したら、部屋を出よう。
…さーて、何か任務でも行こうかな…。




ロビーに出てヒバリちゃんに近付くと、ヒバリちゃんから声を掛けられた。

「あ、エリックさん!ツバキさんがお待ちです。至急、ツバキさんの元に向かって下さい!」

「ヒバリちゃん、何か任務はあるかい?」

さて、ここはさらっと流して任務に行きたいところだが…。

「ツバキさんがお待ちです。至急、ツバキさんの元に向かって下さい!」

「や、任務…」

「至急、ツバキさんの元に向 か っ て 下 さ い !」

「…はい」

ヒバリちゃんには勝てなかったよ…。
どうでもいいけど、『みさ○らなんこつ』を『みさくら○んこ○』にすると、なんだか猥褻な感じがする…。しない?フィーヒヒヒ!激しく前後スッゾオラー!
などと馬鹿なことを考えながら、僕は仕方がない、とぼとぼとツバキ女史の元へ向かうことにした。…反省文はもう燃やしちゃったけどね!






「遅い!既に提出の締め切りから五分以上遅れているぞ!」

「遅くなってすみません」

遅くなったことは謝る。だって僕が悪いし。

「はあ…。まあいい。
それで?反省文はどこだ。貴様は何も持っていないようだが…」

「燃えました」

これから毎日反省文を焼こうぜ!
そう答えたとたん、ツバキさんの形のいい眉がピクッと動いた。ひえっ、美人が怒ると怖いって本当やったんや…。

「…今、なんと言った」

「燃えました」

「…貴様、よほど厳罰化されたいようだな」

なに!?厳罰化だと?

「謹慎処分ですか!?」

「目を輝かせるな…まったく」
(これではあいつらから刑罰の軽減を嘆願された、などとは言えんな…)

なんだ、違うのか。せっかく堂々とサボる口実が出来たと思ったのに…。残念。

「それでは、貴様に対する処罰を言い渡す。
今週中に、シユウ、グボロ・グボロ、クアドリガ、コンゴウ、そしてヴァジュラを討伐すること。それが終わり次第、博士の元へ報告に行け。
…そら、準備出来次第出撃しろ」

「了解です、上官殿。
…博士からの依頼ですか?」

ちょっと気になる。やっぱりシオ関連だろうか?

「それを貴様に言う必要はない。分かったな」

「…わかりましたよ」

そう言って、僕は肩をすくめた。
…っと、そうそう。ツバキさんには言っておかなきゃいけないことがあるんだよね。

「ツバキ女史」

「…何だ?」

「いざというときには…、腹を括ってもらいますよ?」

絶対に、その時は来る。自分の考えをもって、行動しなければならない瞬間が。

そう思って言った言葉だったが、ツバキさんには笑われてしまった。

「…見くびるなよ、若造が」

「そうでした。
…それでは、僕はこれで」

僕は僕の相棒を取りに、部屋を出た。




















「…フン」

誰も居なくなった部屋で一人、さきに言われた言葉を反芻する。

「いざというときには腹を括れ…か」

ふと、上を見上げる。あやつには見くびるなと返したが…。
私はその時が来たら、あいつのように強く在れるのだろうか?

「リンドウ…」

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ルッピョロ専用ヒギョパム

タイトルに特に意味はありません


「ふんふんふーん♪」

おはこんばんにちは。上田です。
今日はちょっと機嫌が良い。というのも、実は今日はちょっと久しぶりにジーナたんと二人きりでの(戦場)デートなのです。
え?戦場のクリスマス?はは、なんのことやら。まつあきも猿のお面もワニキャップも、儀式とやらも私は何も知りませんよ?本当ですよ?

さて、そんなわけで早速エレベーターに向かーーーー。

「…エリック。ちょうど良いタイミングだ。
支部長が俺たちを呼んでいる、さっさと行くぞ…」

え、ちょっと待って下さいソーマさん。
絶対それ厄介事の気配がするんですが。
最近周りからのぶしつけな視線でじろじろ見られてるなー、って思ってたから、今日のジーナたんとのデートは本当に僕に取って貴重な癒しなの。ねえ。
ソーマ待って、止めて引きずらないで。いや、あああぁぁぁぁ…。

上田は速やかに支部長室に回収されていった。


支部長室。
ゲンドウポーズをする支部長。フードを被ったまま腕組みをしているソーマ。そして引きずられた挙げ句に入室してすぐにぽいっと捨てられた上田。僕です。

「…」

「…」

「…」

上から順に、微妙にひきつった顔をしている支部長、いつも通りのツンツンソーマ、しぶしぶと立ち上がる上田。あー、かったるい…。ジーナたんの居ない極東とかさ、カスタードのないシュークリームみたいなもんだよ?やる気失せますわー…。

「…さて、では話をするとしよう。
最近、アナグラの中があまり和やかな雰囲気とは言い難いことになっているようだね…。エリック君?」

そういう支部長は皮肉気にこちらを見やる。が、大体コイツのせいな黒幕にそんなこと言われましてもね。

「はあ」

「…アリサ君といい、君といい、少々言動には気を付けてほしいものだね。…まあいい。
さて、今回二人を呼んだのは他でもない。
ソーマには既に手伝ってもらっているが、エリック君。君にはソーマと共に、『特務』と呼ばれる任務についてもらう」

「何…!?」

支部長の言葉に、ソーマが支部長を睨み付けながら聞き返した。え、なんかおかしいとこあった?

「てめえ…、何を考えてやがる…」

「…特務とは、簡単に言えば少々手強いアラガミを君たちに倒してもらう任務となる。それと、特務については他言無用だ。
それ故、しっかりとした報酬をこちらも用意させてもらう。…何か質問は?」

「無視してんじゃねえ…!」

「…報酬の内容は?」

「相応の素材と金額、それに配給チケットを確約しよう」

「エリック…、てめえもだ」

「ごめんソーマ、後で聞くよ。
…休暇が減らされるのであればお断りします」

「休暇についても問題はない。代休、という形にはなるが…。こちらも、君たちにはしっかりと休んでもらい、特務を必ず遂行してもらいたい。
さて、それではまた用があればこちらから呼ぶ。
…二人とも、下がりたまえ」

「では、失礼します」

「チッ…」

そう言って、僕ら二人は支部長室を出た。
互いに無言でエレベーターに乗る。…ソーマ、怒ってるなぁ…。

「…という訳で、よろしくねソーマ」

「…」

無視されたでござる。
うーん、でもなあ。支部長に呼ばれるってことは支部長に目を付けられたってことだし。つまりそれなら下手に反抗してアンブッシュ(不意討ちのこと)されるよりは、しばらく大人しく言うことを聞きながら様子を見た方が良いと思うんだよね。
それに、しばらくすればゲームでは主人公も特務やる訳だし、ユウ君、ソーマのどちらかとでも一緒なら生存率はぐっと上がる。
むしろ最悪なのは、一人で特務に行かされるかリンドウみたいに暗殺みたいに葬り去られるかだからね。それならまだ今回みたいにしておいた方が良い。

決して休暇が減らない上に配給チケットが貰えるなら、と報酬に釣られたりした訳ではない。それだけは真実を伝えたかった。

僕やソーマの部屋のあるベテラン区画と呼ばれる階に着くなり、ソーマは無言のまま行ってしまった。
…あれ?これ、孤立するフラグ立った?

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