ハリーポッター ―人と人を繋ぐ魔法― (うこ)
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賢者の石
01.孤独な少女


こんにちは『うこ』です! 初めての小説で自信がありませんがなんとか頑張ろうと思いますのでよろしくお願いします!


注意
一話目ながらもかなりR15―残酷な描写があります。
マジ胸糞悪いです(*_*)


 ここは町外れにある大きな森。町の住人からは『魔女の森』と気味悪がられている場所だ。そしてこの森には魔女の子供が住んでいるというのも有名な話だ。

 

 物語はそんな森にポツンと佇む小さな小屋から始まった。

 今の時代には似合わない古い木造の小屋。かなり老朽化が進んでおり崩れそうで崩れない――そんな微妙なバランスを保っている。そんな小屋に『化物』と気味悪がられている一人の少女が寂しく暮らしていた。

 

「……んぅ……」

 

ホコリを被り少し黒ずんだベットで寝ている少女が小さな窓から差し込む日の光に照らされ目を覚ます。

 

 少女の名前はリレン.デストルド。今年11歳になった小柄な女の子だ。リレンは11歳ながらも学校に通っていない。そればかりか、いつからこの小屋にいたのかも両親の顔も分からない天涯孤独の身だ。そんなリレンは今ままで小屋にある誰が用意したのかも分からない大金で何とか暮らしていた。

 

 リレンはベットとから体を起こし起ち上がる。床がギィィときしむ音がなるが気にして無い――はたまたこの音に慣れたのか小走りで日の光が差し込む窓に向かう。

窓から外を覗き込むリレンの顔は歳相応の可愛らしい顔であり、エメラルドのような綺麗な瞳をしていた。だがリレンの表情は暗い。

 

「……はぁ……今日は晴れ……」

 

リレンは肩まで伸びた黄緑の髪をかきむりしながら深いため息をつく。

 

 今日はリレンにとって一番嫌な日――町に食料の買い出しに行く日だ。それは言葉にも言い表せない程の最悪な日だ。町の大人からはゴミを見るよな目で睨まれ悪口を言われる。子供達からは『化物』と呼ばれ過激なイジメを受ける。雨が降っていれば子供達は外に出る事なく家の中で遊ぶだろう。そうすればイジメられる事も無いと思っていた。だか生憎今日は絶好の快晴……子供達は勿論外にでて町中に溢れかえっているだろう。

 

 リレンは小屋の外に出て身体を伸ばし苔の生えた井戸に近づく。

 

「……んぅ……」

 

 リレンは腕に力を込め井戸から水を汲み上げる。非力なリレンにはこの作業は一苦労だ。何とか水を汲み終えたリレンはその水で顔を洗う。ついでに水を両手ですくい喉に通す。水の味は少し不味いが井戸が枯れるよりはマシだ。リレンは少し顔を歪ませてもう一度水を飲む。

 

 リレンはもう一度小屋の中に戻り買い出しの準備をする。お金を必要な分だけ取り出し汚れた白いワンピースのポケットに入れる。準備を進めていくにつれて段々と胸が苦しくなってくる。不安と緊張が心の中で渦巻く。

 

 できれば町なんて行きたくない……でもそうやって今まで行くのを引っ張ってきた。それで食料も尽きて今日町に行くしかなくなってしまった。

 

「…………っ!」

 

 リレンはワンピースをぎゅっと握りしめ歩いて約一時間の位置にある町に向かった。

 

 

 ――――

 

 

「……ハァ……ふぅ……」

 

 町に着いたリレンは一時間歩いて疲れ果てた体を休める為、目的地のフードショップに行く前に道の隅にあるベンチで休む事にした。できればこんな人目のつく所で留まりたく無かったがそうでもしなければ疲れて倒れてしまうだろう。

 

「…………」

 

 

 リレンの座るベンチの前を通る町の住人達はリレンを汚物を見るような目で睨みリレンに聞こえるくらいの声で悪口を言って通り過ぎていく。

 

「やだぁ! またいるわよアレ!」

「なんで今日いるのよ……」

「目を合わせるな。呪われるぞ……」

「化物め! 帰れ! 帰れ!」

 

 そんな町の人達の心無い声がリレンの胸に深く突き刺さっていく。胸が苦しくなり吐き気がする。だかリレンは必死に吐き気を抑えた。ここで吐いたらもっと酷い事を言われるに違いない。するとリレンの前を母親と父親そしてリレンと同じくらいの年の女の子が幸せそうに手を繋ぎながら歩いていた。

 

「明日はローナちゃんの誕生日ね! どんなケーキがいい?」

 

 母親が楽しそうに娘に話す。

 

「私、チョコレートケーキが食べたい!」

 

 娘は無邪気な笑顔でそう答える。

 

「チョコレートケーキか! いいなぁ! 父さんも大好きだぞ! ……そうだ皆でケーキを作らないか!」

 

 背の高い父親が同じく楽しそうに笑う。

 

「いいわねぇ! 明日皆で作りましょう!」

 

「やったー! 私も作りたーい!」

 

 幸せそうに話している家族はリレンの事に気付く様子もなく通り過ぎていく。リレンはそんな家族を羨ましそうに見つめる。

 

「…………」

 

 リレンは顔も知らない両親を浮かべる。

ロウソクのついたバースデーケーキを幸せそうに囲むお母さんとお父さんと自分…………だがそんな夢のような想像は通り過ぎる人達の悪口でかき消される。

 

「…………っ」

 

 体の疲れが取れたリレンは早くこの場から去ろうと立ち上がり早歩きでフードショップに向かう。

 

 

 

 フードショップに到着したリレンは一息してからゆっくりと扉を開けて中に入っていく。扉に付いた鈴が音を鳴らし定員に客が入って来た事を知らせる。

 

「いらっしゃ……嘘……アレが来たわよ……今日はあんたの番でしょ」

 

「嫌よ……てかこの前ご飯奢ってやったでしょ……それでチャラよ。だから今日は貴方がやってよ」

 

 二組の女性の定員はリレンが来た事に嫌そうな表情を浮かべヒソヒソ話を始める。リレンは籠を手に取りリンゴ六個を素早く籠に入れ、他の食料も素早く籠に入れ早歩きでレジの前に向かう。

 

「…………」

 

 リレンは何も言わずレジのカウンターに籠を置く。定員は籠に入った商品を汚い物を触るように指でわざとらしくつまみバーコードをスキャンしていく。すべての商品をスキャンし終えた定員はモニターに表示された金額をそっけなく指差す。リレンは表示された金額を定員に手渡しで渡す。定員は嫌そうな表情をしながらレジに打ち込みリレンにレシートを渡す。リレンがレシートを受け取った瞬間、定員はわざとらしく服で手を拭く素振りを見せる。

 

「……」

 

 そんな定員の態度に胸を痛めながらリレンは小走りで店を後にする。

 

 こんな町から抜け出したい一心でリレンは目に涙を溜めながら町を走り抜ける。だが誰かに腕を掴まれ走りが止まる。リレンは恐る恐る後ろを振り向くとそこには自分と年が同じくらいの男の子がいた。

 リレンが一番恐れていた事になってしまった。

 

「うわぁ……この前の傷もう治ってるよ……本当にコイツ化物だな……おい皆! ここに化物がいるぞ!」

 

 リレンはすぐさま逃げようと男の子の手を振り払い走り出そうとする。

 

「なっ! 待てよ! 化物!」

 

 だが男の子は容赦なくリレンの背中を蹴りとばす。リレンは後ろからの衝撃で頭から地面に転んでしまう。

 

「痛っ! ……」

 

 リレンが痛みで地面にうずくまっているといつの間にか新しく来た男の子五人に囲まれていた。男の子達はリレンを無理やり立ち上がらせて身動きの取れないように腕を押さえつけられる。

 

「……や、や、やめて!」

 

 リレンは必死に暴れるが子供とはいえ複数の男の力には到底敵わなかった。先程の男の子がリレンの前に立ち軽いステップを踏みながらボクシングの構えをとる。

 

「へへっ。前はあんだけやったのにもう治ってんだ。今度はもっと酷くやってもいいよな。」

 

 リレンは顔を恐怖の表情に染める。ある意味、大人より加減の知らない子供の方がリレンは怖かった。

 

「へへっ。いくぜーー」

 

 男の子は卑屈な笑みを浮かべながら思い切りリレンの顔をぶん殴る。あまりもの衝撃に男の子達の拘束から外れ後ろに吹き飛ばされてしまう。リレンの鼻からは血が流れ、歯が何本か抜けていた。

 

「すげー! 流石マッキーのパンチは強烈だぜ!」

 

「へへっ。だろ!」

 

 リレンが顔を押さえて痛みでうずくまっているとすぐさま他の男の子から腹に蹴りを食らう。

 

「……うっ!」

 

 さらに他の男の子達も次々とリレンに容赦ない暴力を浴びせる。リンチよりも酷いこの光景を町の人は何も見なかったかのように通り過ぎていく。

 

 リレンの意識が飛びそうになったその時、突然雲が空にかかり大雨が降ってきた。突然の大雨に男の子達は嫌そうな顔をした。

 

「うわっ! 雨かよ最悪!」

「もういいや……早く家に行ってゲームしようぜ」

「そうだな。早く行こうぜ!」

 

 男の子達は急いで走り去って行った。取り残されたリレンは体中に見るに耐えない程の酷い傷を負っていた。

 

「……う、うぅ……」

 

 地面に倒れたリレンは拳を強く握り、何故もっと早く雨が振らなかったんだ――と天気を憎んだ。

 

 リレンはゆっくりと立ち上がり近くに落ちていた食料の入ったビニール袋を拾う。そして涙を流しながら走って町から去っていった。

 

 

 ――――

 

 

 小屋に着いたリレンは勢い良く扉を開けて泥だらけの格好など気にせずベットに飛び込んだ。古い扉はギィィと音を鳴らし自然に閉まる。

 

「……うっ……な、なんで、……も、もうやだよ……」

 

リレンは涙を流しながらベットの布団を強く握る。

 

「……ば、化物……」

 

 リレンは自分の腕を見る。先程受けた傷がすっかり無くなり元に戻っていた。抜けた歯もすっかり綺麗に生えそろっていた。これでは……本当の化物だ……リレンは自分が本当に何なのか不安になる。

 

 

 すっかり雨も止み外は暗くなっていた。泣き疲れてそのまま寝てしまったリレンは人生で一度も聞いたことのないこの音――小屋の扉を叩く音で目を覚ます。

 

――ドンドン、ドンドン――

 

 初めての事に驚いたリレンは急いでロウソクに火をつけ小屋の中を照らす。

 

「…………」

 

 リレンの体に緊張が走る。それもそうだろう。こんな夜に……それもこの小屋の扉を叩くなど……リレンにとっては全く未知の体験だった。リレンは恐る恐る扉をに近づきゆっくりと扉を開ける。

 

「…………!」

 

 すると扉の向こうに居たのは黒いローブを纏った土気色の肌をした大人の男だった。

 

「失れ『バタン!』」

 

 男が何かを言いかける前に危ないと本能で感じたリレンは扉を強く閉める。しっかりと扉の内鍵を締め扉が開かないようにした。リレンは息を荒くしては扉を背にしてその場にへたり込む。

 危ない……リレンはそれを本能でビンビンに感じていた。それに暗くてよく見え無かったがとても怖そうな大人だった……。

 

――ドンドン、ドンドン――

 

 扉を叩く音が先程よりも強くなる。その音にビクッと反応したリレンは勢い良く立ち上がり扉から後ずさりをする。リレンの額からは汗が流れ、体が震えていた。遂に、大人達が『化物』の私を殺しに……リレンは嫌な思想を巡らせる。段々と強くなる扉を叩く音……リレンはギュッと目をつむった。

 

「…………?」

 

 すると扉を叩く音が止む。諦めたのかと思ったリレンはホッと安心してため息をつく。すると扉の向こうにいる男が聞いたことの無い言葉を呟く。

 

「……『アロホモーラ』……」

 

 すると何とも不思議な事に扉の内鍵が勝手に開いたではないか。リレンはそんな不思議な現象を前にして驚くよりも先に体が動いた。急いで開いた内鍵を締めなおそうと扉に急いで向かう。だがリレンが扉の内鍵を締める前に勢い良く扉が開く。

 

「……あ、あっ」

 

 リレンは勢い良く開いた扉に驚き尻餅をついてしまう。扉を開けた男はゆっくりと小屋の中に入りリレンの前に立つ。ねっとりとした黒髪に大きな鉤鼻そして闇のように黒い瞳……予想よりも遥かに怖い見た目の大人にリレンは頭が真っ白になり口をパクパクさせる。対して男はリレンと部屋を見回してローブの懐から数十センチ程の木の棒を取り出しまた聞いたことのない言葉を唱える。

 

「『スコージファイ』」

 

 するとリレン顔に付いていた鼻血の跡が綺麗に消え、黄緑色の髪も元の艶のある綺麗な黄緑になった。泥だらけで汚れていたワンピースが新品同様の綺麗な白色に戻り、部屋中に被っていたホコリが消え部屋が綺麗になる。

 

「…………え?」

 

 リレンは自分の格好を見て目をパチパチまばたきさせ驚く。目の前の男はそんなリレンの驚いた様子を気にせずに言う。

 

「我輩はホグワーツ魔法魔術学校教員のセブルス.スネイプ。……君はリレン.デストルドかね?」

 

「…………え?」

 

 ホグワーツ魔法魔術学校? そんな分からない事を言われ困るリレン。それよりもなぜこの大人が自分の名前を知っているのかということに不安と驚きを隠せない。

 

「デスト…………リレン。君にホグワーツから手紙が届いている。」

 

 男は手に持った一通の黄色みがかった封筒を尻餅をついているリレンにスッと渡す。リレンはそれを震えた手で受け取る。手紙というものを初めてもらったリレンは動揺を隠せず手紙をもつ手を細切れに震えさせる。とりあえず封筒を開ける事にしたリレンは封筒をちぎり中から一枚の紙を取り出す。そこにはズラーと紙一杯に文字が書かれていた。一応文字の勉強は昔にした……町の人達と仲良くなるために……。リレンは少し文字に戸惑いながら紙に書かれた文字を読んでいく。

 

『ホグワーツ魔法魔術学校 校長アルバス.ダンブルドア  親愛なるデストルド殿  このたびホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されましたこと、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封いたします。   以下省略 』

 

 手紙を読み終えたリレンは手紙に書かれていた内容の一つも理解出来ずに目の前に立つ男の顔を目をまん丸くし驚いた表情で見上げる。

 

「…………え?」

 

 

 

 

 




ここで終わり!? と思いますが作者の実力上こうするしかありませんでした……
すいません!


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02.初めての優しさ

 リレンは今、目の前に立つ黒いローブを纏う見るからにも怖そうな大人に怯え、自分の手に持つ一枚の手紙に困惑していた。

 

「…………え?」

 

 そんな少し体を震わせ怯えているリレンに男――スネイプは顔の表情を一切変えずに舐めるような口調でいう。

 

「お前はホグワーツに入学する権利を得たのだ。入学する気があるのならば明後日に迎えが来る。それまでに出かける用意をするのだな」

 

 リレンもう一度手に持つ手紙を見る。確かにそこには『ホグワーツ魔法魔術学校』と書かれていた。

 

「ホ、ホグワーツ……て……が、学校?」

 

「さよう。ホグワーツでは魔法を学ぶ。そしてお前にはその魔法を学ぶ資格がある。」

 

 魔法と言う気になる単語を聞き少し驚くがリレンにはそれよりも気になる事が一つあった。

 

「学校には……ひ、人が……沢山いるから……行きたくない……それにわ、私……ば、化物だから……」

 

 今まで人と関わった事の無いリレンにとって学校とは恐怖そのものだった。そもそもリレンにこれ程までに深いトラウマを植え付けたのは紛れもない人間だ。それも今までリレンに酷い暴力を行ってきた子供達と同じ屋根の下で学ぶなど恐ろしくてとても考えられない。

 そんな、より一層怯えるリレンにスネイプは言う。舐めるような……だかどこか優しさを感じられるような口調で言う。

 

「お前が今までどう生きてきたのか我輩は知らん。このまま一人で生きようが前の勝手だ。孤独を求めるなら一人も悪く無いかもしれん。だかお前は心の何処かで求めているハズだ……人の優しさを、人との関わりを……違うかね? ホグワーツに行けば自然と人と関わる事になるだろう。うまく行けばお前の心の支えとなってくれる友という存在が現れるだろう。そうすれば良くも悪くもお前の人生は一人の人生より色とりどりな物になるぞ。」

 

 リレンは心の奥底に閉まっておいた気持ちを見抜かれ動揺する。本当は誰かと関わりたい……人の優しさに触れたい。町の人達とも仲良くなる為に必死になって関わろうとした……たが結局は『化物!』と人蹴りされる。しまいには暴力まで振るわれる。そうした経緯がリレンの心に一人になりたい……人と関わりたくない……と言った感情を心に巣食う大きな壁として作り出したのだ。だが今のスネイプの言葉、ホグワーツと言う希望……それが自分の心の奥に閉まっていた――人と関わりたい――という感情を思い出させる。ジワジワと溢れ出てくる感情はリレンが作り出した――人と関わりたくない――という感情の壁を突き破りどんどん表に出て来ようとする。だが人と関わろうとしても『化物』と呼ばれ突き放されると思い込んでいるリレンは必死に感情を抑えようと心の中で葛藤する。

 そんな心の中にある全く異なる感情と葛藤するリレンはやっとの思いで一つの言葉を口にする。

 

「でも! わ、私ばけも――」

 

「お前は化物ではない」

 

そんなリレンの負の感情がこもった一言を遮るようにスネイプが舐めるように……それでも優しさが込められた声で言う。

 

「あっ……あぁ……」

 

 そんな優しいスネイプの言葉を聞いた瞬間、リレンの心に巣食っていた――人と関わりたくない――という感情が――人と関わりたい――という感情によってガラスのこどく割れていく。やがてその感情はリレンの心を満たしそれは大粒の涙となってエメラルドのようにキラキラとした緑色の瞳から流れ落ちていく。

 

 

 『お前は化物ではない』

 

 その言葉はリレンが今一番求めていた言葉であった。

 

 

 スネイプの言葉に詰まった優しいさ……それはリレンが何よりも求めていた物だった。

 

 

 「うわぁぁーーん!」

 

 リレンは心の奥底に閉まっておいた感情を爆発させ嬉し涙を流しながらスネイプの胸に飛び込む。鼻水や涙でスネイプの黒いローブが汚れようともお構い無しに、今まで閉まっていた感情をスネイプの優しさを感じられる胸でさらけ出し泣きじゃくる。

 

 リレンの泣き顔を見て彼女が今までどんな人生を歩んできたのかを痛い程に感じたスネイプはリレンの背中に腕を回そうとする。だがすんでの所でその腕は止まり下に力無く下げる。

 

「うわぁぁーーん!」

 

「…………」

 

スネイプはそんな彼女の泣き顔を見つめる。いつものように無表情で――だがどこか微笑んでいるような表情で。

 

 

 ――――

 

「……すぅ……すぅ……」

 

「…………」

 

 あれから泣き疲れて寝てしまったリレンはベットで小さないびきをかきながら寝ている。スネイプはそんな静かに眠るリレンを見て心の中でため息をつく。本来ならばリレンに魔法の事やホグワーツについての説明をしなければならないのだが、当のリレンはその説明をする前に疲れて寝てしまった為、スネイプは何故こうなったのかと考えると同時に彼女のこれまでの人生を考え、少し哀れな気持ちになる。結局魔法の説明はハグリッドに任せる事にしてスネイプは小屋を後にする。

 

 

 

 リレンはこの日の夜、夢を見た。それは今まで見てきた暗闇を寂しそうに一人で歩くという夢ではなく、顔の無いのっぺらぼうな人達――およそ百人くらいの人達と手を繋ぎ楽しそうにお花畑を走るという夢だった。想像してみるとある意味恐ろしい夢ではあるがリレンにとってはこの日見た夢は一生忘れない大切な……楽しい思い出となるだろう。

 

 

 

 ――――

 

 

 リレンは、鳥のさえずりと窓から差し込む朝日に照らされ目を覚ます。こんなに早く起きたのは久しぶりだった。

 

「…………」

 

 リレンはベットから起き上がりギィィときしむ床を踏む。

 

「…………うん!」

 

 すっかり綺麗になった部屋を見渡し昨日の出来事が夢では無い事を確認したリレンは体を屈伸させ朝日が差し込む窓に近づく。

 

「……今日は……晴れ!」

 

 今日の天気は雲一つ無い快晴だった。昨日はこんな快晴を見て気分を下げるリレンだったが今日は何故かそんな快晴に元気を貰った気がした。今なら町の人達とも仲良くなれる気がする……そんな根拠のない自信がリレンを振るい上がらせた。

 

「……ま、町に行ってみようかな……」

 

 一瞬町に行ってみようかと悩むリレン。

 

「……やっぱいいや……」

 

 しかし昨日のスネイプとの出会いを思い出し、町に行く事を辞める。せっかくスネイプから貰った『優しさ』だ今のまま町にいってもせっかくの『優しさ』を壊されてしまうのがオチだ。

 リレンは窓から見える青空をキラキラとした目で見つめる。

 

「……ホ、ホグワーツ……」

 

 リレンはこれから自分が通う学校の事を思い浮かべる。人が沢山いると言う学校に通うのはやはり不安だし怖い。だがそれ以上に――人と関わりたい――という気持ちが勝り自然とワクワクしてくる。

 

「……フフ……」

 

 リレンは青空に向かってぎごちない顔で……だかとても爽やかな顔で微笑む。

 

 

 

 

 

 




 ――おまけ――
 *書いてる途中に思い付いたくだらない話です。基本キャラ崩壊の集まりです。

 リレンと魔法

スネイプ「ゴホン! それでホグワーツで学ぶ事になる魔法についてだが」

リレン「…………人!」

スネイプ「ファ!?」

スネイプ「ゴホン!(気を取り直して)それで魔法について――」

リレン「……人おぉ!」

スネイプ「ファァ!?」

リレン「人が何人居るかって聞いてんだよぉ!あぁん!」

スネイプ「いや…だから魔法を――」

リレン「人ぉぉ! 何人だ! 子供は大人はジジイはババアは何人づつだぁ! アァァン!」

スネイプ「いや…あ、あのだから…ま、魔法を……(ボソボソ)」


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