最強のライダーが行く異世界転生 (バウ)
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転生…だってさ

皆さん、始めました。バウと申します。

この作品は駄文、妄想、自己解釈を骨組みに組み立てて行こうと思います。
名前が分からない物は調べて行きますが、調べても分からなかった物は勝手に名前を付けて行きます。

まぁ、いつ飽きるか解りませんが、それまでよろしくお願いします。


「君は死んだ」

 

「あ、はい」

 

「あっさり受け入れたな」

 

 受け入れたと言うより、現実味が無いので反射的に返事をしてしまっただけである。

 しかし、死因が気になる。

 

「死因か、死因なら毒殺じゃ」

 

「え、毒?」

 

 意外な死因だった。恨みを全く買っていないなんて言わないが、毒を盛られるほど恨まれるような心当たりはない。

 

「ちなみに犯人は………………ワシじゃ」

 

「は?」

 

 え、この神様っぽい登場をした爺さんが、俺を毒殺した?

 なになに、おれ神様から毒殺されるような危険人物なの?

 世界中の人間を不老不死にしたり、中学生年齢体にセーブするような脅威の科学者なの?

 

「うむ。まぁ、そうじゃの」

 

「心読まれた!」

 

 やっぱり神様っぽい。

 

「君は未来で非常に強力なパワードスーツを作る。君が小さな頃から憧れていた仮面ライダーを作る為、夢の為に」

 

「仮面…ライダー…」

 

「じゃが、完成したスーツは政府に押収され、搬送中に犯罪組織に襲撃を受け奪われてしまった。それから各地を転々としながら、ある目的に使われた」

 

「その目的って…」

 

「要人の暗殺じゃ」

 

「っ!」

 

「各国の国のトップ、組織の中心人物が尽く殺された。その為、だれも組織の頂点に立つ者がいなくなり、世界は無法地帯になったのじゃ」

 

「世界中が…」

 

「そしてそれが何かも知らない者が核弾頭のスイッチを押した」

 

「そんな…」

 

 夢の行き着く先が文明の崩壊を呼び起こすなんて、誰が考えようか。

 

「故に事態の発信源である君を、過去に遡り始末をつける事にしたのじゃ」

 

「それなら忠告をするとか、他にも方法が…!」

 

「それが出来れば無神論など出て来やせんわい」

 

 俺はこれからどうなるのだろうか?

 このまま消滅するのか?

 

「とまぁ、勿体付けたがの。いわゆる神様転生じゃ」

 

「あれる↑ぇぇー!?」

 

「君が行く世界は、魔物が蠢く魔法の世界。現代人が行けば一日も持たんじゃろう」

 

 この神様(じいさん)は、結局俺を地獄に放り込みたいだけなんじゃないだろうか?

 

「ただ夢を叶えようとしただけの若者を殺してしまうのだから、ワシ等から特典を与えようと思う。ステータスと唱えるのじゃ」

 

「す、ステータス?」

 

 するとゲーム画面でお馴染みのウインドウが現れる。

 

名前 未設定

 

性別 未設定

 

種族 オルガイア

 

レベル1

HP 5000/5000

MP 7500/7500

スキル 【アイテムボックス】【完全言語理解】

所有ベルト

 ・オーガドライバー

 ・キバットバットⅡ世

 

「ええー?」

 

「君の好きなベルトを用意した。これで夢は叶ったはずじゃ」

 

 そりゃ、好きなライダーに変身してみたいって願望はあったけどさ。

 

「性別と名前を決めんといかんのぉ」

 

「性別は男一択ですよ!名前…思い出せない」

 

「記憶が薄らいできておるんじゃのう。若い分消えるのは早いのは仕方ないかのぅ」

 

「なんか不吉なことを言われた気がするんだけど…。名前…キバ?」

 

 仮面ライダーオーガの装着者は木場さんだし、ダークキバはそのままだし。

 

「よし、それじゅあ。時間が迫っておるから、早口で説明するぞい」

 

 君がこれから行く世界では、仮面ライダーが覇権を争っておる。あるのはベルトだけで原作の装着者は一人もおらんからな。ただ世界観移動が出来るディケイドは、突如現れる恐れがあるが。

 ベルトは基本的に上位の人間、貴族などが占有しておる。下手に変身すると絡まれるから、注意が必要じゃ。そしてこの世界では、555とキバのベルトしか存在しない。イクサ以外では、ベルトの数は原作と同じじゃ。

 

「ああ、時間じゃ!気を付けてなー!?」

 

「うぇ!?」

 




こんな感じで、見短く適当に書いていきます。


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初めましてキバットさん…様

お気に入りありがとうございます。
これから、あとがきはステータスの表示になります。


「うーん、生野菜は体に悪いよー…ハッ!」

 

「王よ、目覚めたか」

 

「!…キバットバットⅡ世!?」

 

「自己紹介は不要な様だな、無事転生は完了した。気分はどうだキバ」

 

「ああ…体に違和感はないな」

 

「そうか、ならば人間形態から魔人形態に変身してみろ」

 

「は?魔人?」

 

 俺、唯の人間だよな?

 

「ふむ、色々と説明が必要な様だな」

 

 長い説明の為割愛。

 

「つまり、俺はオルフェノクとファンガイアのハイブリッド種って事なのか?」

 

「そうだ。この世界で唯一存在するオルフェノクにしてファンガイア、それがお前だ」

 

「なんでそんな種族に…」

 

 そもそもオルフェノクとファンガイアの間に子供は生まれるのか?

 オルフェノクは元人間だし、ファンガイアと人間のハーフであるキバ主人公がいるわけだから、同種族が共存している世界があれば可能性はある…のか?

 

「恐らく神の配慮だろう」

 

「あ、神は知ってるのか」

 

「この世界での我らキバットバット族の役割は、異世界人や転生者をナビゲートする事にある。無論、気に食わなければ見捨てる。お前も心せよ。ナビゲートに必要な情報は、この額の魔皇石によってもたらされる」

 

「でも変身できないとは…」

 

「仕方があるまい。レベルが圧倒的に足りん」

 

 種族の事を聞いた際に、何で魔人形態とやらに変身しなければならないのかを聞いたのだが、俺のアイテムボックス内にあるオーガドライバーを含めても、まだ変身できないかららしい。

 

 この世界ではベルトは、強大な力を有するほどにランクが高くなるランク付けがされており、レベルが低いものが変身しようとすると弾かれてしまうそうだ。

 因みにオーガドライバーはA、キバットバットⅡ世はSで最高レベルらしい。

 ただの人間が音やんのマネをしようとすると設定通り即死だそうです。

 

「肝心の魔人化もレベルで断念か…『アイテムボックス』」

 

 ボックス内からオーガドライバーを取り出し、腰に装着する。

 

「どうするつもりだ?変身は出来んぞ?」

 

「変身できなくてもオーガフォンの射撃モードとオーガストランザー(剣)は使えるだろ」

 

「なるほどな。ザンバットソードの代わりに使えそうだ」

 

 なおザンバットソードは、息子のキバットバットⅢ世に引き渡された後の模様。

 

「あ、ダメだ。オーガフォンは反応しない」

 

「一先ず、ストランザーがあればよかろう」

 

「そうだな」

 

 アイテムボックスにオーガフォンだけをしまう。

 ベルトは、ストランザーを帯刀するのにそのままだ。

 

「今までスルーしてたけどこの服装、神様の趣味?」

 

 俺の現在の装いは、ファンタジー小説の旅人の様な粗末な服装である。フード付きのローブは野営用だろう。

 野営するなら、ナイフぐらいは欲しかった。切実に。

 

「まぁ服の事は良いか、裸より何倍もマシだ。それより此処はどこなんだ?」

 

「ここは、ダンジョンの中だ」

 

「だ、ダンジョン…ステータスといいダンジョンといい、実はゲームの中なんじゃないだろうな」

 

「む!武器を構えろ!敵が来る」

 

「敵!?」

 

 俺はこの世界に来て、キバットバットⅡ世としか出会っていない。だが一つだけ事前に知らされていた敵対者。

 

「ゴブリンだ!」

 

 ―――――魔物だ。

 

「グギァ!」

 

「うわ…小さい」

 

 ――ゴブリン

 ファンタジー世界に生息する小鬼型のモンスター。

 身長は150cm前後で、剣など簡単な道具を扱う知能を持つ。

 進化の可能性が多岐にわたり、その成長性はスライムに次ぐと言われている。

 集落を作り集団で生活する事もあり、弱いモンスターだと放置して於くと思いもよらない大災害を招く結果となる。

 

「説明ありがとっ!?」

 

「ギ!」

 

 ゴブリンは声が聞こえたのか、こちらに向かって石を投げる。

 

「数は一、殺ってみるか」

 

 腰のベルトから固定されているオーガストランザーを外し、剣先をゴブリンに向ける。

 

「フン!」

 

「ギィア!?」

 

 一太刀切りかかるとゴブリンは倒れ、灰の様に崩れ消え去った。

 

「ええー!!?弱すぎィ!」

 

≪レベルが上昇しました≫

 

「ええ?」

 

「まぁ、当然だろう。ゴブリンなど駆け出しの冒険者でも討伐できる。ましてお前はオルガイアなのだ」

 

「そこも問題だけどレベルが上がったみたいなんだが…」

 

「ふむ、ステータスを見せて見ろ」

 

「ステータス」

 

名前 キバ

性別 男

種族 オルガイア

 

レベル2

HP 5500/5500

MP 8500/8500

スキル 【アイテムボックス】【完全言語理解】

所有ベルト

 ・オーガドライバー

 ・キバットバットⅡ世

 

「流石に優秀だな」

 

「他のステータスを見たことが無い俺からすれば、判断が付かんのだが」

 

「そうだな、人間のレベル10だと大体これ位だ」

 

 キバットバットⅡ世(長いからこれからキバットと呼ぶ)が、足の爪を使って地面にステータスを書いてゆく。

 

名前 知らん

性別 興味がない

種族 人間

 

レベル10

HP 53/53

MP 10/10

スキル 色々

所有ベルト

 ・色々

 

「はぁ?」

 

 俺は慌てて自分のステータスと見比べる。

 HPは俺の10分の1以下、MPに至っては比べるのもおこがましい。

 なんだかキングが人間を見下していた理由がわかる気がする。あの素敵ファションのセンスは分からないけど。

 

「人間は弱い、だからその身に鎧を纏う」

 

「そうかライダーベルト…」

 

「これで人間がベルトを集める理由が解っただろう。もっとも人間以外もベルトを欲する者はいるがな」

 

「変身したらステータスはどうなるんだ」

 

「む?こうなる」

 

名前 知らん

性別 興味がない

種族 人間

 

レベル10

HP 53/53 RHP(ライダーヒットポイント)5000/5000

MP 10/10 RMP(ライダーマジックポイント)3000/3000

スキル 色々

所有ベルト

 ・セーブイクサベルト

 

「ライダー凄えぇぇ!……ん?セーフ?」

 

「この世界には、量産タイプのライダーが数種類存在している。その一つがセーフモードのみのイクサだ。もう一つはかつて、ライオトルーパーと呼ばれていた顔無ライダー。仮面ライダーライトだ」

 

「ライオトルーパー!?」

 

 555じゃん!

 あ、おれオルフェノクでもあったんだったわ。

 

「かつては変身後の姿が同一だった事もあって、戦争時には所属が一目で解ったものだ」

 

「ベルト奪われたら潜入し放題じゃないか?」

 

「人間側にはそうだ。だがスマートバックルは、人間には使えない」

 

「あー」

 

 555のベルトは、元々人間用には出来ていない。デルタやカイザなら人間でも変身できたハズだけど…。

 実際の設定は兎も角、この世界では人間には使えないという事だな。

 

「早く先に進むぞ。今日中に踏破だキバ!」

 




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル2
HP 5500/5500
MP 8500/8500
スキル 【アイテムボックス】【完全言語理解】
所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世


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修練のダンジョンとは

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 ジメジメとした適度な室温を感じる。蒸し暑く長い洞窟の中、ふと気になりキバットに声を掛ける。

 

「ここって何所なんだ?」

 

「ダンジョンの中だと伝えた筈だが?」

 

「いや、そうじゃなくて、どこにあるダンジョン何だ?って事が聞きたいんだよ」

 

「ふむ、今俺たちのいるダンジョンの名は『修練のダンジョン』。ここは死んだ魂の錬磨の為に使われるダンジョンだ」

 

「俺また死んだのか?」

 

「正確には生まれる前の段階だ」

 

「でも『無事転生は完了した』とか言ってなかったか?」

 

「うむ。魂と肉体は別だ。お前の場合は異世界から魂をこの世界に合うように転生、つまり魂の作り替えだ」

 

「魂だと?」

 

 肉体が無くなり俺を俺と判断する材料が、もう記憶ぐらいしかない。だが、魂に手を加えられているとすると話は変わって来る。自分の記憶が作られたものかもしれない…。

 

 漠然とした不安が押し寄せて来る様な、そんな感覚に捕らわれる。

 

「魂は云わば、エンジンだ。生命力と言うガソリンを注ぎ動く。魂の研磨とは、エンジンのチューンアップであり、最大出力を計る過程を指す」

 

「つまり?」

 

「力ある生物に生まれたいのなら、このダンジョンで自らの魂の器を鍛えるしかない。もっともお前はには関係のない話だがな」

 

「なんでだ?」

 

「お前の種族はもう決まっているだろう?」

 

「あ…なるほど」

 

 既にオルガイアとして生まれる事が決定している俺は、転生先の肉体が何になるか気にする必要は無い。

 

「じゃあ、何で俺はダンジョンに?」

 

「肉体の性能は魂の力で決まる。確かに転生する種族は決まっているが、それだけだ。天才や優秀として生まれるか、落ちこぼれのクズとして生まれるかはそこに係っている。無論、肉体に限っての話だ」

 

「頭の良し悪しは関係ないって事か…」

 

「精々物覚えが良くなる程度だろう」

 

「なるほど…」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「っと…レベルアップか」

 

 ダンジョンの中をひたすら進み、出会うモンスターを切り伏せて前に進む。そんな事を数時間続けている内にレベルは段々と上がって行く。

 漸くレベルが5に上がったと思った瞬間に新しいスキルが発生した。

 

「ステータス」

 

名前 キバ

性別 男

種族 オルガイア

 

レベル5

HP 8000/8000

MP 12000/12000

スキル

【アイテムボックス】【完全言語理解】

種族スキル

【魔人化】

所有ベルト

 ・オーガドライバー

 ・キバットバットⅡ世

 

「魔人化…これか」

 

 キバットが寝起きの俺に言っていた魔人形態とはコレの事だろう。ネーミングから考えるに怪人形態だろうと当たりを付ける。

 

「ふむ、漸く魔人形態に移れるようになったか。試しに変身してみろ」

 

「如何すればいいんだ?」

 

「スキルの使用を強くイメージしろ」

 

 …イメージ、あ体に違和感が…。

 

 オルガイアとは、オルフェノクとファンガイアの両方の力を持つ種族である。その為、この二つの種族が持つ特性を同時に有している。そしてオルフェノクとファンガイアは、怪人のモチーフとして動物の要素を取り込んでいる。ここまで言えば予測できるであろう。

 キバもまた動物の要素を取り込んだ姿へと変化したのである。

 そう『二種類』の動物の要素を。

 

「お、おおお!力が溢れる…高ま……りはしないけど」

 

 木場とキバ、二つの名前を掛けて生まれた生物が得る動物的要素と言えば御分かりだろう。そう『馬と蝙蝠』である。

 

 今のキバの姿を一言で表すなら、黒騎士。

 基本体はホースオルフェノクの白い体がバットファンガイアの赤黒いカラーリング施され、頭と胴体の形状が変化している。腕や膝の関節には、ステンドガラスの様に複数の色が混ざっている。

 特に頭は馬から大きく変わった結果、むしろ人に近い。変身前に比べると体もそうだが、頭も二回りほど大きくなっている様に見える。そして背中には、折りたたまれた蝙蝠の羽根が付いている。

 

「魔人に変身してもステータスには変化はないな」

 

「魔人化と言っても、人間が鎧を着こむ様な物だからな。攻撃や防御が大幅に強化される」

 

「へー」

 

「その姿ならオーガストランザーを使わずとも武器を召喚出来るだろう」

 

「お、ホントだ」

 

 どうも取り出せる武器の種類は、変身した外見に見合う物だけの様だ。と言っても騎士風の俺は、長剣を始めハルバートや盾、弓なんかも取り出せた。

 

「どうやら都合の良い相手が出来た様だ」

 

「え?」

 

 キバットの視線の先には、門と形容する他ない扉が鎮座していた。

 

「ボス部屋…っという物だ。中にはその階層毎に決まったモンスターが配置されている」

 

「ゲームみたいだな。ほんと」

 

「盤面だけを見ればな。しかし、これは現実だ」

 

「第一階層のボス部屋だから、扉が小さいのかねぇ。ま、行くしかないから良いんだけど」

 

「さっさと終わらせろ」

 

「ああ、分かった」

 

 手を掛けて扉を押し開く。

 扉はとても軽かった。




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル5
HP 8000/8000
MP 12000/12000
スキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】
所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世



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偶にはアイテムが欲しい

お気に入り登録、感想ありがとうございます。
評価の方もよろしくお願いします。

ちょっとスキル欄が見にくいので、今回から表記の仕方を変えます。
良いよね?答えは聞いてない!

いい加減、転生させてやりたいので少しスキップして書いております。


 キバットバットⅡ世様の粋な心遣いの結果、オーガストランザーはベルトと共にアイテムボックスに幽閉され、俺は自分の召喚した武器を使って戦っている。

 

「剣と盾の組み合わせは鉄板だな。使いやすい」

 

「適度に使っていればスキルも覚えるだろう。精々努力することだ」

 

 解っていた事だが、この世界ではスキルが物を言う。元の世界で云う処の資格がこれに該当する。

 地球では運転免許証が無ければ車が運転できる保証がないため安全に考慮して、私道以外での運転は出来ない。(※指導員の乗車を除く)

 

 こっちの世界ではスキルが、非常に信用度の高い免許証の様な物なのだ。例えるならば、剣を振り回せたとしても剣術を収めたとは言えない様に。

 

 そんな訳で、スキル取得の為に様々な武器を使えと赤コウモリ様は仰る訳だ。ただそんなに簡単にスキルが身に付くのかと聞いてみた所。

 

「戦闘技術とは、如何に効率良く対象を絶命させられるかに尽きる。その経験をその武装で積む事によって、次第に使い方を覚えるものだ」

 

 つい、なるほどっと呟いてしまうぐらい的確に説明されてしまった。

 肉体とは負担を嫌う。その為、少しでも負担を軽くしようと無駄な動作が少なくなり、動きをサポートする筋肉が付いたりする。そうしたものが合わさって一つの戦闘技能、つまりはスキルへと昇華されるっという事なのか。

 

「ふん!」

 

「ほお」

 

 因みに俺が今相手をしているのは、あの有名なミノタウロス先輩だ。怪人としてこれ以上の先輩がいようか、いやいないだろう。

 

 実はあの外見だけ重そうな扉を潜った先には、ちょっと大きくなったゴブリンがいたのだ。それを見た俺はピンときた。

 こいつは、ホブゴブリンに違いない!

 

 ホブゴブリンは言って見れば、知能の低い成人男性だ。(あ、身体能力の話です)ぶっちゃけゴブリンが大きくなっただけなのだ。

 そんな大ゴブリンは一撃で切り伏せられた。

 

 そのまま次の階層へ進み、ボスを倒してっと続けている内に、気が付けば現在25層のボス部屋の中なのである。

 ついでに言えば、第二層はゴブリンメイジ、第三層はジェネラルゴブリン、第四層はゴブリンキングと段々とモンスターが強化されていった。

 

「流石に重いな」

 

「ミノタウロスの斧を素手で掴むか…面白い」

 

 魔人形態になった俺の身体能力は、人間であった頃とは比べ物にならない。巨大な戦斧を片手で受けて止めても傷一つ付かない。

 まぁ、ステータス的にはダメージを負ってはいる訳だが。

 

「興味が失せた。消えろ」

 

「グモオオォォォォ!?」

 

 ミノタウロスは俺の手から放たれた光弾によって消滅した。それも、跡形もなく。

 

「またレベルが上がったようだな」

 

「そうか」

 

「確認せずとも良いのか?」

 

「今はいい」

 

 ダンジョンに長く潜っている所為か、言葉遣いが変わって来た。まず余計な事を口にしなくなった。例えばリアクション等だ。当然罠に掛かった時など驚く事はあるのだが、不意に声が出たりはしない。

 余計なエネルギーを消費する様な行動は、本能的に避けているのだろうか?

 

「あと何層だ?」

 

「さぁな、通常ここでの記憶は消える。俺も一度は通った筈だが…記憶にない」

 

「そうか」

 

 下の階層へと続く階段を下りながら、ふと気が付く。

 

「ダンジョンだと言うのに宝箱の一つも無いのだな」

 

「本来は魂の強さを計る為の場所だ。物があっても持てはしない」

 

「そうか…」

 

 ダンジョンに宝箱とギミックは付き物だが、このダンジョンは知能を計る目的を持っていない。よって罠があっても感で回避できるような物ばかり。宝箱なんて以ての外っと言う訳だ。

 しかし、ご褒美の無い修業とは寺の始業に似ている気がするな。

 

「そう言えばライダーへの変身は、まだ出来ないのか?」

 

「ふむ、もう少しレベルを上げれば可能だろう。ダークキバには、まだまだだが」

 

「なるほどな。つまり、ダンジョンもまだ続くという事か…」

 

 神様転生なのに努力が必要なのか、なるほど。

 

 レベルが上がって出来る事も増えたが、魂だけの我が身では殆ど使えないスキルだ。ただ転生した時には、一度は使ってみたい。オルフェノクとファンガイア二つの特徴が合わさった能力は、確実に俺の役に立つだろう。

 

 転生後に思いを馳せている間に新たな敵が姿を現せた。

 

「今度の敵は、リザードマンか?」

 

「トカゲか、手早く倒すとしよう」

 

「殺るのは、俺だけどな」

 

 俺は、まだまだダンジョンで戦い続ける。




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル28
HP 18875/19000
MP 22980/23000
スキル
【剣術Lv3】【盾術LV2】【戦斧術LV1】【槍術Lv1】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世


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仮面ライダーオーガ

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今回はザックリスキップしました。
ダンジョンは過去話でチラチラ出るかも。


「良くやった……これで修練のダンジョンの攻略は完了した」

 

「…はぁ、長かった」

 

 ダンジョンの攻略に伴い、俺は劇的に強くなった。念願だったライダーへの変身は勿論、オルフェノクの完全体機能がファンガイアの再生能力と合わさった新たな力。『魔王形態』への変身も可能となった。しかも、完全体に当たるので人間形態に戻れないのかと言えばそうでもなく、ちゃんと人の姿に戻れる優れものだ。

 それと追記するなら、魔人形態と獣の部分が色濃い魔獣形態にも問題なく変身できる。

 

 そんな力を駆使してどうにか最後のボス、悪神ガイアリッドを倒すに至った。どうもモンスターが強すぎる気がしていたんだが、殺し損ねた悪神がこのダンジョンに逃げ込んでいたらしい。

 

 そんな悪神を倒したご褒美として、神様から偽装スキルを貰った。レベルが最大値なので、普通に嬉しい。これでテンプレの鑑定をされても問題ない。

 

 まぁ、バレたとしても周りが騒がしくなる程度だったと思うが。

 

「漸く、転生か」

 

「うむ、では旅立つとしよう」

 

「ああ、これからもよろしく頼む」

 

「ハハハ、任せて於くがいい」

 

 キバットとも信頼関係を結べたと思う。偶に軽口を言い合えるくらいには、仲良くなったし。

 

「不思議な感覚だ」

 

 初めて感じる感覚に、口から感想が零れ落ちる。

 

 そのまま視界はそっと暗くなり、意識が遠のいて行った。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「起きろキバ」

 

「キバット?……なるほど」

 

 転生は無事に完了した様だ。

 体に不自然な違和感はない。

 

「ここは?」

 

「森だ」

 

「どこの森だ?」

 

「分からん。そもそも転生先が何所になるかなど、俺が知るものか」

 

「そうか」

 

 ナビゲートって何だっだけ?

 

「取り合えず、ステータスを確認した方が良いのではないか?」

 

「それもそうだな。ステータス」

 

名前 キバ

性別 男

種族 オルガイア

 

レベル500

HP 67500/67500

MP 253000/253000

スキル

【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】

【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】

ユニークスキル

【アイテムボックス】【完全言語理解】

種族スキル

【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】

【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

 

所有ベルト

 ・オーガドライバー

 ・キバットバットⅡ世

 

「何故魔力ばかり伸びるのか…使い道もないのに」

 

「ある分には困らん。幸運だったと思っておけ、それよりもすべき事があるだろう」

 

「ステータスの偽装だろ、分かってる」

 

 当然だが、こんなステータスの人間はまず存在しない。人間以外の種族もいるのだが、それでもコンナぶっ飛んだHPやらMPはしてないないだろう。

 

 そんな訳でスキルを使って、ステータスを偽造している。

 何かあった時に、鑑定みたいなスキルがあると直ぐに正体がバレてしまうからな。

 

「これでどうだ?」

 

名前 キバ

性別 男

種族 人間

 

レベル15

HP 65/65

MP 20/20

 

スキル

【剣術Lv3】【盾術Lv2】

 

所有ベルト

・オーガドライバー

 

「…種族だけは変更しておけ、人間ではオーガに変身できない」

 

「あ、そうか……何が良いのかな」

 

「順当にいけば魔族だと思うがな」

 

「それだと事実と余り変わらないだろうよ」

 

「ふん」

 

 キバットは好きにしろっと興味なさげな態度を取っている。

 

 人間、獣人、エルフ、ドワーフ、魔族と、この世界に存在する種族の中で偽れそうなのは、魔族、人間位な物だ。

 

「ま、人間のままで良いだろ。別に純血だけの世界じゃないだろうし」

 

「決まったのなら、行くぞ。幸い森の浅い場所のようだ。この方角に進めば出られる」

 

「いつの間にかいなくなっていると思ったら、調べててくれたのか?」

 

「夜を森の中で過ごしたくないからな」

 

 日は高いがどれ位で沈むのか予想出来ない、ここは何所か拠点に出来そうな場所を探すのが良いだろう。

 

 森を出ようと足を森の外に向けた瞬間、大きな影が横切った。

 

「む?」

 

「アレは…馬車、だな」

 

「馬車を追うように馬が二頭…ん、リザードマンか?」

 

 騎馬の姿を確認して、不信感が募る。

 

「如何やら、あの馬車を追いかけているようだ。盗賊か?」

 

「どうも様子がおかしい。追いかけて見るか…」

 

 あの馬車の積み荷…もし俺の予想通りだとすれば放置して置くと後味が悪い。確認だけでもするべきだろう。

 

「その前に…」

 

 アイテムボックスからオーガドライバーを取り出し、装着する。

 

「顔がバレたら、面倒な事になるかも知れないからな」

 

 右手のオーズフォンに、変身コードを入力すると軽く半回転させる。

 

≪Standing by≫

 

 そのままベルトに挿入し直立した状態から、左手で振り払う様に倒しベルトに収める。

 

「変身」

 

≪Complete≫

 

「仮面ライダーオーガ…」

 

 その姿は王を彷彿とさせる何かが有る。

 

 真っ黒なコートに金色のラインが施され、胸の中央部と背中、両肩側面に配置された赤いコアが変身の完了と共に一瞬、光る。

 

「初めての披露が覗き見とは…報われない王だな」

 

「行くぞ…キバット」

 




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世

偽造ステータス

名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー


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仮面ライダーバーストイクサ

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お気に入り登録者の確認ができる事に気付いて覗いてみたら、ディケイドとブレイドがいたのに気付いて爆笑しました。

あ、誰かハーメルンのルビ振りの仕方教えて。



 姿を確認されないよう慎重に馬車を追いかけながら、リザードマンの叫ぶ声を聞いていた。

 

「逃がさんぞ!」

 

「このクズどもメ!」

 

 馬車の向かう方角には、町などの人が集まる場所があるのだろう。このままだと馬車が逃げ切って、お終い。と云う事になりそうだ。

 

 それでは、何だかスッキリしない。

 

「…103」

 

≪Single Mode≫

 

「何をするつもりだ?」

 

「狙い撃つだけだ」

 

 俺はオーガフォンを銃撃形態に変形させ構える。

 目標は馬車の車輪。

 

 目標を見事に打ち抜くと、オーガフォンをベルトに戻す。

 

「なっ!?こんな時に車輪が壊れるだなんて!?」

 

 馬車から出て来たのは、いかにも貴族然としたドリルヘアーお嬢様だった。

 

「これは意外…さて、これで追われていた理由が聞けそうだ」

 

「無茶をする」

 

 キバットの呆れ顔という珍しい姿を見ていたい気もするが、今はこの事態がどんな流れで始まったのか、の方が興味がある。

 

「さて覗きに行って見るか」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハッハ…早く、馬車を出しなさい!トカゲ男が追って来るわ!」

 

「はい、姫様!」

 

 女は漸く手に入れた卵を馬車に積み込むと、既に乗せていた積み荷に口早に怒鳴りつける。

 

「貴方達は、卵が転がって落ちたりしない様に抱えていなさい!」

 

「馬車の用意が出来ました!」

 

「出して!」

 

 女は護衛の兵士に簡潔に命令を出すとその場を離れた。

 

「姫様、追ってです」

 

「問題はないわよ。この馬車は農民が使うような足の遅い馬車とは違うのよ?」

 

 この人間たちが乗っている馬車は、ダンジョンから発見された数々のマジックアイテムや、高名な錬金術師が作成した材質を使って仕上げられており、通常の馬車と比べ途轍もないく強化されていた。

 例えば弓や魔法を弾く魔法結界、例えばモンスターを寄せ付けない魔除けの護符。といった物が予備を含め大量に搭載されているのである。

 

 最終手段として巻き餌となるアレが積まれている為、絶対に安全であると言い切れる物となっている。

 

「イーストエンドの森を過ぎました。もう少しで、カサレラに付きます」

 

「ふふふ、念願だった卵を手に入れたし、後は育てるだけ…何事!?」

 

 突然、馬車が大きく揺れる。

 

 女は何事だと馬車を降りると、車輪の一部が砕けてしまっていた。

 

「なんて事なの…追手が迫っている車輪を交換している時間なんて…っ」

 

「姫様!馬車の中にお戻りください。私が足止めを!」

 

「頼んだわ!」

 

 女は兵士一人に任せて、馬車の中に隠れた。

 

 そうこうしている内にリザードマンが到着した。

 

「貴様ら…生きては返さん!」

 

「待て、まずは御子様のご無事を確認するが良策」

 

「と、トカゲなぞに負ける私ではないゾ!」

 

 兵士は手に持った槍を相手との距離を測る様に構える。

 良く聞き取れないが、声が震えている様に感じる。

 

「人間風情がよく囀った!」

 

 リザードマンといっても性格の違いが実に出ていると言える。

 直ぐに熱くなるリザードマンと、常に冷静なリザードマン。二人の中も悪くない様だし、チームとしての相性も悪くはないのだろう。 

 

「牙槍追ィ!」

 

「グァ!?」

 

「槍で人間がリザードマンに敵うものか!」

 

 兵士はいとも簡単に吹き飛ばされてしまった。

 やはり仮面ライダーに変身できない一般人の戦闘能力は高が知れているのだろう。

 

「恐らく御子様は荷台の中…」

 

「待ちなさい!私の卵よ…渡さないわ」

 

「貴様…っ!御子様を奪っただけに飽き足らず、物の様に言いおって…!」

 

 兵士が負けたのだから、隠れていれば良いものを。

 

 ―――馬車から現れたのは、金髪ドリルのお嬢様だった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「大分、事情が呑み込めたな」

 

「ああ、あの人間がリザードマンの卵を持ち去ったのが原因のようだ」

 

「図らずとも逃亡の阻止をして正解だった訳だ」

 

「それでキバ如何する?」

 

「ふむ」

 

 俺としては、見殺しにしたとしても一切問題ない。自業自得それだけの話だ。

 ただ折角変身してスナイプで終了では、面白くない。

 

「おい、アレを見ろ!」

 

「何だよキバット…アレは」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

≪レディ≫

 

 私は手の平に拳を当て、変身への工程をこなす。

 

「変身っ!」

 

 掛け声と共に拳をベルトに振り落とす。

 

≪フィ・ス・ト・オ・ン≫

 

「その命、私に捧げなさいっ!」

 

 仮面が十字に割れ、赤く大きな目がリザードマンを睨んでいた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「仮面ライダー…イクサか。しかもバーストだな」

 

「前に聞いたのはセーフだったけっな」

 

 仮面ライダーイクサには3つのモードが存在する。セーフモード、バーストモード、ライジングだ。この世界のイクサは仮面ライダーキバの様に一つのベルトで、全てのモードをこなせるわけでは無い。

 

 セーブイクサベルト、バーストイクサベルト、ライジングイクサベルトとモード毎に別のベルトが必要になる。原本のイクサベルトの劣化コピー品だそうだが、何所かに原本が保管されているとの噂もある。

 

 つまり金髪ドリルお嬢が使ったのは、バーストイクサベルトという事だ。

 

「驚いたな…珍しいんだろアレ」

 

「劣化コピーといえどもバースト、ライジングは数が少ない。強力な物ほど作り出すのが難しいものだからな。少ないと言ってもセーフと比べれば、だがな」

 

「ふーん、ランクは?」

 

「Ⅽだな」

 

「ランクⅭのベルトか、元々のイクサベルトだったら?」

 

「俺は見たことが無いが、ランクとすればA相当だろう。何しろ曲がりなりにもフエッスルが使える」

 

「笛好きだな…」




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世

偽造ステータス

名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー


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バーストイクサVSオーガ

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重力魔人とビルド見てたら終わる日曜日でした。


 ―――面白い。

 

 言葉少なく呟く。

 

「キバ、戦ってみるか?」

 

「ああ、だがリザードマンが先だ」

 

「どういう意味だ?」

 

「イクサはあいつ等の獲物だ。横取りする気も加勢する義理もない」

 

「なるほどな…死体にも使い道があるか」

 

――――人間だろうと…な。

 

 キバットと話をしている間にも戦いが始まりそうになっていた。

 流石に仮面ライダーが相手とあって、リザードマンも慎重にならざる負えない様だな。と言っても、片方はいかにも我慢の出来ないって性格の様だしそろそろか。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ガキィン!

 

 イクサに勢い良く叩きつけられた槍が、装甲に攻撃を阻まれた事で甲高い悲鳴を上げる。

 

「愚かなトカゲです……ライダーに勝てるつもりですの?」

 

「グッ…まずいナ」

 

「単独で倒せる相手ではない様だ。連携で行くぞ」

 

「…ああ」

 

 二体のリザードマンが、互いに槍を構える。

 

 冷静であったリザードマンが先手を取り、直ぐに熱くなるリザードマンが合わせる。

 

 言いにくいので、冷リ(冷静リザードマン)、熱リ(熱いリザードマン)としよう。

 

「少しはマシになりましたが、その程度でこのイクサに勝つのは不可能です!」

 

 バーストイクサはベルトに装着されてたフィストに手を掛け、横に押し込む。

 

≪イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ≫

 

 イクサはベルトからフィストを抜き出すとリザードマン達から距離を取る。

 

「ブロウクン・ファング!」

 

 フィストから放たれた強力なエネルギーが、リザードマンに襲い掛かる。

 

「「グァアア!?」」

 

 二体のリザードマンは、イクサ攻撃に耐えようと防御の姿勢を取るが全身から血が噴き出し、立っているだけで精一杯のようだ。

 

「まさかブロウクン・ファングを耐えるだなんて思わなかったわ。でもその様子だとこれ以上の邪魔は出来ないわね」

 

「グっ待て!」

 

 イクサはリザードマンの制止など意にも返さず、馬車の方へ進む。

 

 その時、本来存在しなかった筈の黒い影がイクサを再び呼び止める。

 

「随分と楽しそうじゃないか、イクサ……」

 

 振り返ったイクサが見たものは―――――――――――黒い仮面ライダーだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「クッ!?」

 

≪イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ≫

 

「ブロウクン・ファング!」

 

 バーストイクサは振り向き様に必殺の一撃を放つ。その威力故に土煙が立ち上がる。

 

「これが、この世界の挨拶か?」

 

 最初は詳しい事情を確認するのも良いかと考えていたが、こうも無遠慮に攻撃をされたのでは話をする気も無くなる。

 

「な、何っ…金色に!?」

 

 イクサからすれば、それは驚いた事だろう。先程まで黒を基調とした姿であった仮面ライダーが、攻撃を放ち土煙に隠れている間に黄金を彷彿とさせる光に身を包まれていたのだから。

 

「何なのですか!その姿は!?」

 

「俺は唯の通りすがりの仮面ライダーだ。まぁ、世界を破滅させる予定は無いがな」

 

「は、破滅!?」

 

 ディケイド気取りの自己紹介を熟しつつ、アイテムボックスからストランザーを引き抜く。

 

「ひっ、も、もう一度」

 

≪イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ≫

 

 本日三度目のライズアップ。

 

 オーガフォンからミッションメモリーを抜き出した瞬間、金色の光は収まり霧散した。そのままミッションメモリーをストランザーに差し込む。

 

≪EXCEED CHARGE≫

 

「…ブロウクン・ファングっ!」

 

 バーストイクサの拳が、俺に叩き付け様と真っ直ぐに拳を振り抜く。

 

「ふん!」

 

 オーガストラッシュ―で拳を払いのける様に切り払う。

 

「キャアアアア!!?」

 

 この世界の仮面ライダーが装着するスーツは、それぞれ専用のHPとMPが存在する。HPは疑似的な耐久値、MPは補助魔力と考えて於けば良いだろうか。

 

 もちろんスーツを装着する事で、攻撃や防御も向上する。だがそれはスーツの性能であって、変身前の人体が強くなった訳では無いのだ。

 

 変身すれば強くなる。間違いではない、人間から見れば驚異的に強くなれるだろう。だが人外が相手となると、実力が不足する事態は珍しいことではない。

 

 ――――――――今、この時の様に。

 

「脆いな…とてもイクサとは思えん」

 

 イクサと話が出来ると上がっていたテンションは、見る影もなくだだ下がりである。

 

 キバはオーガの必殺技『オーガストラッシュ』で変身を強制解除されて、地面にうずくまる女を眺めながら呟いた。

 

 仮面ライダーは、耐久値の限界を超えるダメージを受けると強制的に変身が解除される。仮面ライダーのHPはこの為に存在していると言って良い。

 

「な、何が目的…です……の…?」

 

「ん?」

 

「ゴホッ!」

 

 女はダメージからか、口から吐き出す血で上手く喋る事が出来ない様だった。

 

「そこのライダー…頼みがある」

 

 後ろから聞き覚えのある声に思わず振り返る。

 

「まだ生きてたのか…リザードマン」

 




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世

偽造ステータス
名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー


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リザードマンの懇願と復讐の片道切符

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重力魔人とビルド見てたら終わる日曜日がまた来ました。


「まだ息があったのか…リザードマン」

 

 俺を呼び止めた者の正体を確認し、ため息交じりに声を掛ける。

 

「言ってくれる……死にぞこないである事は、否定できんが」

 

「我らはもう長くはない。故にお主に託したい」

 

「何の話だ?」

 

 話の流れから馬車の卵の事だと当たりを付けるが、確定ではない。というか何処から見ていたのかと聞かれるのが、実にメンドクサイ。

 

「…御子様、の事だ」

 

「そこに転がっている屋根付きの馬車の中に、ココナツの実程の大きさの卵がある筈だ」

 

 女が叫んでいた卵の事で、間違いない様だな。

 ココナツの実って何だろう?

 

「その卵が、御子様だ。御子様は雷王竜さまの御子だ」

 

「雷王竜だと?」

 

 いや、そんな深く頷かれても…誰よ?

 

「我らリザードマンは、王竜様に仕える唯一の部族。故に攫われた御子様をお助けに馳せた…結果は、見ての通りだ」

 

「ふむ」

 

 良く分からんが偉い人の子供が誘拐されたから、助けに来たけど返り討ちにあったなう。って事かな?

 

「それで俺に何か用か?」

 

 こっちはイクサのベルトを回収して、厄介事から逃げたいのだが。

 

「我らはもう動けぬ…御子様を雷王竜様の元にお連れ頂きたい」

 

「そんな事をして、俺に何の得がある?」

 

 面倒事に巻き込まれるのにデメリットしかないとか、誰が関わるか。

 

「無事に御子様をお連れした暁には、雷王竜様から報酬を得られるかと……」

 

「不確かな報酬で、仕事は受けられん。それに依頼を受けた証もなければ、盗み出した者と疑われ襲われるのが落ちだろう」

 

「み、御子様を奪って行った者は、女でした。これは里に広がった事実です。実際に女でしたし、貴方の声を聞くに男性…疑いは懸念に留まるでしょう」

 

「仲間に男がいたと考えるのでは無いか?」

 

「むっそれは…」

 

 どうしようか。

 

 俺としては期待できない報酬より、益のある物をこいつ等は提供できる。仕事内容は届け物だ。まだ卵の状態らしいし、運ぶだけで済むだろう。

 

 人間の妨害が懸念ではあるが、まぁ敵ではない。

 

「…良いだろう。その仕事、引き受けた」

 

「!」

 

「本当か!?」

 

「但し前金として欲しいものがある」

 

「なんだ?」

 

「前金…我らに金銭の文化は無いが……」

 

「お前たちの魂が欲しい」

 

「「!?」」

 

 オルフェノクとファンガイアのハーフである俺には、基本的に食事の必要は無い。それはファンガイアとしてライフエナジーを吸収する必要もないという事だ。

 

 では何故ライフエナジーの源である魂を欲するのか、理由は俺のスキル【眷属作成】が関わって来る。

 

 【眷属作成】には三種類の眷属を作成する能力がある。

 

 一つは、オルフェノクを作成する『使徒再生』で、対象生物の心臓を貫き消失させオルフェノクとして再生させる力である。ただし成功率は20%を下回り、そのまま死に至る。

 

 二つ目は、ファンガイアを作成する『器生再誕』である。これは対象生物の魂にライフエナジーを注ぎ込み強制的にファンガイアに体を作り替える能力である。

 

 これはファンガイアの持つステンドガラス状の体細胞に、ライフエナジーを直接注ぐ事で再生する能力を利用して行う『肉体強制変異再生』とでも言うべき事象が発生するのだ。これも成功率が低く、その成功率は5%未満の確率である。

 

 そして三つ目、オルフェノクとファンガイア二つの力を持って、自由に生物の体を改造、変異させる力。『|命操転生≪めいそうてんせい≫』である。

 

 この力は対象生物に与えるファンガイアとオルフェノクの『能力』の割合を決める事で、自由に対象生物の肉体を作り替えることが出来る。この能力を使う事で、オルガイアを作り出す事できると言えば、その能力の凄さが垣間見えるだろう。

 

 だが『使徒転生』を除き、他の眷属作成能力には代価となる触媒が必要だ。その触媒となるのがライフエナジーである。

 

 では何故、俺が魂と言ったのか?

 

 答えは簡単だ。

 

 この世界のライフエナジーとは、魂の力なのだ。

 

 少し違うが、レベルと言い換えても良いだろう。

 

「魂だと…」

 

「なに、別に魂が消滅する訳では無い。転生時に世界に還元される魂の力、その力を俺が頂くだけだ」

 

「転生…?」

 

「当然…お前たちは死ぬ事になるが」

 

「他に不利益は無いのだろう?」

 

 修練のダンジョンを覚えていないこいつ等は、転生と聞いても何の事か想像するしかない。だがあの修練のダンジョンを覚えている俺は違う。なんとなくだが、この世界のシステムに触れた気がしていた。

 

 そこで神にあった時に聞いたのだ、転生システムの全てを。

 

 世界には循環システムがある。雨水が地面に染み込み、川に溶けだし蒸発、雨雲になるように循環するシステム。

 それが転生システムである。

 

 この世界に存在する全ての生き物には、レベルが存在する。それは他の生物を殺す事で、魂の力であるレベルが上昇する。だが殺した者は魂の力全てを吸収する訳ではない。

 その一部は転生システムの維持に回され、残った魂は修練のダンジョンにレベル1として送り込まれる。そしてダンジョンに潜り、戦いレベルを上げる。

 このダンジョンでレベルを上げる事で、生物として位の高い存在に生まれることが出来るからだ。そしてダンジョンから生まれ変わった者は、レベル1として生まれる。

 

 ダンジョンで蓄えられた魂の力は、転生システムの元に送られる。そこでモンスターや植物などを作り出し、世界中にバラ撒く。

 こうして魂の力をエネルギーとし、世界を維持している。

 

 だからリザードマン達に魂の力、いやライフエナジーを要求した所で本人たちにはデメリットは無いのである。

 

「死ぬ事を除いて、お前たちにデメリットはない」

 

 実際は死なない程度にライフエナジーを吸収する事は出来るので、死なないことも有るのだ。原作のファンガイアは、何で皆殺しているのか。

 

「既に死に体の体だ」

 

「好きにしろ」

 

 何の事もないと命を差し出すリザードマン。

 

 これが武人と云うものなのか。

 

「武人よ、安らかに…【|吸生双牙≪きゅうせいそうが≫】」

 

 ライフエナジーを吸収する二本の牙が、それぞれリザードマンに突き刺さる。

 

 リザードマンの体から、徐々に色が消え失せ。その場には装備だけが散乱していた。

 

「さて、頼まれごとの前に…ベルトを回収するか」

 

 倒れたまま動かなくなっていた女から、バーストイクサベルトを回収し馬車に乗り込む。

 

 女は静かだと思ったら、気絶していた。

 

「ほう…生き残りがいたか」

 

 変身を解除していなくて正解だった。と言った所か、実際は女が起きていると思っていたから解除しなかっただけだが。

 

「…う、うう…」

 

 子供。

 

 頭から生えた垂れ耳に、怯えたような声。

 

 あの女の弟だろうか?

 

「お前…その首は」

 

「っ!」

 

 この世界でも首輪は所為者の存在を示す物だ。生き物に付いていればペットだろう。だが獣人っぽい見た目とはいえ人が付けているとなると。

 

「奴隷か?」

 

「………………」

 

「ふむ、ともかくその抱えている卵を渡して貰おうか」

 

 獣人は首を左右に振るだけで、動こうとはしない。

 

「主人から卵を任されているのか?」

 

「…」

 

 小刻みに首をこくこくと縦に振る。

 

「そうか」

 

 キバットから実験に使う生物は、犯罪奴隷が良いと聞いていたから奴隷の知識はある。

 

 奴隷は例えどんな命令でも拒む事が出来ない。その為、非道な扱いを受けて当たり前の存在なのだ。拒めなければ何をしても良い訳では無いが、人が見ていないところで酷な事をする者は絶えない。

 

 全員がそうとは言えないが。

 

「奴隷から解放したら、その卵…渡してくれるか?」

 

「!」

 

 再び首を縦に振る。かなり素早かった。

 

「じゃあ」

 

 バキィン!

 

 甲高い金属音が響くとその首には、もう首輪の存在は無かった。

 

「あ」

 

「卵…くれるか」

 

「は、はいです!」

 

 獣人君は恐る恐るといった様子で、卵を手渡してくれた。

 

「でもどうやって外したんですか?」

 

「握りつぶした」

 

「壊したって事ですか?そんな…何ともないんですよ?」

 

 獣人君は不思議そうに自分の首を触っている。

 

 奴隷が命令に逆らえないのは、安易に量産が可能な首輪の所為だ。これは魔道具になっていて魔力で体を縛り、強制的に命令に従わせる。

 

 それだけだといつ壊されるとも限らないので、誰かが外そうとすると爆発して首が飛ぶ仕掛けがされているらしい。普通ならば高位のアイテムである解錠のカギシリーズが必要なそうだが、俺には関係ない。

 首輪を魔力で覆って、圧縮すれば壊せるのだ。触らずに壊せれば爆発はしない。要は魔法でなら解除可能なのだ。

 

「で何で奴隷になったんだ?」

 

「はい…僕は奴隷になる前、キュミロットという田舎で暮らしていました。父と母、妹と暮らす穏やかな毎日だったのですが、ある日奴隷狩りが村にやって来ました」

 

「奴隷狩りか…」

 

 違法奴隷という物がある。公的な機関を通さず首輪を嵌められた哀れな被害者達だ。そんな被害者が発生する原因の一つが、奴隷狩りと呼ばれる犯罪者集団である。

 

 この奴隷狩りは、極力命を奪う事はしない代わりに襲った所から、奪える物は全て奪って行くという話だ。

 

「僕は運良く逃げられましたが、村に戻った時には…何も残っていませんでした。家も家族も井戸すら……」

 

 少年の話は続く。

 

「そこが自分の村だと信じられず、あちこち歩き回りました。気が付いたら僕は……奴隷になっていました。奴隷商で僕を買い求めたのが、あのお嬢様です」

 

「そうか」

 

「言葉こそ突き放した言い方でしたが、夜抱き枕にされる以外不便はありませんでした」

 

 抱き枕…?

 

 まぁ、そこは良いとしてだ。

 

「…お前、恨みはないのか?」

 

「え?」

 

「丁度実験体を探していた。力なら与えてやれる」

 

「僕に恨みなんて…」

 

「あの女にじゃない。お前から全てを奪った奴隷狩りにだ」

 

「!?」

 

「まぁ、俺は実験が出来ればそれで良い。このまま奴隷として過ごすのも良いだろう」

 

 獣人君は、少し悩んだ様な素振りを見せると下げていた顔を持ち上げた。

 

「お願いします!」

 

「じゃあ…」

 

 ――――お前に力をやろう。

 

 こうして、この世界に初めてのオルフェノクが誕生した。

 

 そうリザードオルフェノクが。




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世
 ・バーストイクサベルト

偽造ステータス
名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
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【剣術Lv3】【盾術Lv2】

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辺境の村

 リザードマンとタマゴの護衛と運搬という契約を交わしたものの、雷王竜がいるという目的地が分からない。

 

 まぁ、馬車が走って来た方向に向かえば、何とかなるだろうか?

 

――――――――――

 

「キバ…少々寂れているが、人間の集落のようだ」

 

「おー、この世界の建築物って初めて見…る」

 

 なんだろう。

 随分と建築様式が古い印象を受ける。

 

「あれで家のつもりなのか?」

 

「開拓村なら、こんなものだろう」

 

 山小屋なんて立派な物じゃない。素材こそ木を使ってはいるが、屋根は草で覆われている。

 日本にもかわぶき屋根何かが有るが、アレは雪に強く夏の風通しの良い屋根であり、ある意味とても便利な代物だ。欠点と言えば屋根をそこそこの頻度で交換する必要がある事だが、合理的で住み心地も悪くなかったと予想できる。

 

「村といっても人の気配が全くしないな」

 

 ただでさえ人類を凌駕するオルガイアな上に、レベルを500にもなると生き物の気配を探るぐらい訳はない。

 

「確かに妙だ……廃村にしては家が荒らされた様子もない。単に出払っているだけか…それとも」

 

 キバットと共にもう少し村の中を見て回る事にするか。

 

―――――

 

「動くな!?」

 

 暫らくして村の外から帰って来たのか、一人の男が先端が金属の長槍を構えながら叫ぶ。

 

「貴様ら何処の者だ!?」

 

「どこ…と言われてもな」

 

 所属を聞いているのだと解ってはいても、どこにも所属していないので解がない。

 

「何が目的でこの村にやって来た!?」

 

「まぁ、色々聞きたいことも有るだろうが、こっちも聞きたい事があってだな」

 

 出先から村に帰って来て喋る蝙蝠を連れた人間がいたら、そら不審に思うだろうけどさ。

 

「先にワシの質問に答えて貰おうか!」

 

「頼まれ事で雷王竜の所に届け物だ。ただ居場所が分からなかったんで、情報を求めて立ち寄ったんだ」

 

「何だ。配達屋さんか…ってそんな訳あるかっ!?」

 

 事実なのだが。

 

「お前、竜の所なんぞ行ったら殺されるぞ!?」

 

「なんでだ?」

 

「そんな事も知らんのか!?あいつ等は暇潰しで人間を襲うような種族だ。おまけに数が多くて強い」

 

 数が多くて強い?

 何だか違和感がある話だ。

 動物の生態系は、ピラミッド状に組み上げられるのが理想だ。強い生物程上に行く、もちろん理想なので例外はある。前の世界で、ピラミッド頂点に立った人間が増え過ぎたのが良い例だろうか。

 この世界は転生システムによって調節されている為、強い生物に生まれ変わるにしても上限があるハズなのだ。

 

 これはシステムに何かしらの異常が発生していると見るべきか?

 

「知るか!文句があるなら頼んだ奴に言え!」

 

 まぁ、もう死んでいる訳だが。

 

「今度はこっちの質問だ。この村の人たちはどこに行った?」

 

「…余所者に答える事は出来ん」

 

「って事は生きてはいるんだな。…それで家はもぬけの殻…避難したって所か?」

 

 何か無人のもの悲しさが、避難訓練で人気が無くなった学校を連想させる。

 

「ふん」

 

「まぁ、俺にとっては関係ない事か…それよりも雷王竜の居場所は…」

 

 面倒な配達場所を聞き出そうと話を始めた瞬間―――、村の中央に巨大な火の球が着弾した。

 

――――――

 

 全く面倒な事になった。

 

 どうも、あの火の玉は盗賊団の親玉が放った魔法に因る物らしい。(村であった老兵ぽっいおやじに聞いた)

 

 村の人気の無さも、この盗賊団から避難していたのが原因の様だ。魔法って貴族とかが独占しているイメージなのだが、良く考えてみれば技術って独自進化していくものだった。この世界では、魔法も立派な技術なのだ。

 

 しかし、そうなってくると武器突き付けられて「怪しい奴め!」状態になったのにも納得できる。多分盗賊の偵察か何かかと思われたのだろう。

 まぁ、一緒に火の玉で吹き飛ばされそうになったから、疑惑は晴れたとは思う。

 

「魔法か…面倒な相手だ」

 

「なぁ、俺って魔法使えるのか?」

 

「魔法は専門家が扱う技術の一つだ。技術ならば学習が必要になるが、使えない事はあるまい」

 

「なるほど」

 

 思うというのは現在、避難所の中にある個室に押し込まれているからだ。

 無理やり捕縛しようとするつもりなら、サクッと始末する心積もりだったのだが、客室に案内されるような対応だと無下にするのも心苦しい。あと情報吐かせてないし。

 

「しかし、暇だなぁ」

 

「私としては、洞窟の中と言うのは落ち着く」

 

「まぁ、コウモリだもんねぇ」

 

 キバットは器用にも逆様に天井に張り付いている。流石、蝙蝠である。

 

「卵が孵る前に親元に返してやりたいのだがな…」

 

 そっとドラゴンの卵を撫でた。

 

――――――

 

「どうだ。あの余所者の様子は?」

 

 俺が声を掛けると見はりに付いていた小僧が、ビックっと体を揺らす。

 

「ああ、なんだ狩り師のおっさんか…ビックリさせんなよ」

 

「悪かったな…顔が怖くてよ。で?」

 

「あー、退屈で眠っちまいそうだったよ」

 

 暗に何事もなかったと答える見張りの男。

 実際にキバは、雑談など特に気に留める様な行動は取っていなかった。

 

「そうかい…まぁ、魔法でも使われてたら素人の俺たちじゃ分らんが」

 

「大丈夫だって、あそこは元々村の保管庫だ。保存以外の余計な魔法が、掛らない様に魔法が掛けられてるって、婆様が言ってたしよ」

 

 小さな村では、不作になれば簡単に飢餓が起こる。昔は王都だとか金がある場所に少ない収穫を無理やり持っていかれたらしいが、今では非常時の貯えを各集落に常備している。

 それだけ裕福になったという事だが、実際は食料を長期間保管出来るようになったお蔭だ。

 

「そうだな」

 

「いつ頃、外に出すんだ?」

 

「盗賊騒ぎが終わるまでは、難しいだろうよ。ただの旅人にしても襲われかねん」

 

「旅の危険なんて、自己責任だと思うけどなぁ~」

 

 盗賊の対処は討伐と定められてはいるが、それが出来る戦力を持つ村など殆どいない。飛び地の様な辺境の村に、討伐隊が送られてくる訳もない。仮に討伐隊が編成され、無事到着したとしても、その頃にはもう盗賊は逃げ遂せているだろう。

 それ以前に、村が残っているかどうか。

 

「はぁ~、儘ならねぇなぁ」

 

 村唯一の戦力である狩人は、自身の力の衰えを感じながら『その時』を待つ。




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世
 ・バーストイクサベルト

偽造ステータス
名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー
・バーストイクサベルト


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炎と踊れ辺境の仮面ライダー

未だに続きを待ってくれている方からメッセージが来たので、その方の為に


 キバが捕らえられて一年、いや半日が経過した頃。暇を持て余していたキバとキバットバットⅡ世が昼寝で持て余した時間を消費していた。

 

「さすがに暇だな」

 

「ZZZ」

 

「キバット族も睡眠は必要と見える」

 

 そういえばワタルの所にいたキバットバットⅢ世は、ヴァイオリンの寝床で眠っていたな。

 

「む」

 

「揺れたな…空気が」

 

 小さな爆発音が遅れて洞窟内に鳴り響く。

 

「そろそろ出番の様だな」

 

「ふむ」

 

―――――――――――――――――

 

 盗賊団。どこにでも現れる奴隷狩りと間違われがちだが、厄介さは盗賊もそう変わらん。奴隷狩りは生け捕りを機基本とするが、盗賊は殺しを基本とする。違いがあるとすればそれぐらいだろう。

 

「甘く見たつもりは無かったが…ここまでとはッ!」

 

 村に押しかけて来た盗賊団が要求したのは、村にある全ての食料と女。当然そんな要求を受け入れられる訳がない。仮にその話を受けて生き延びたとしても、食料がなければ冬までも持たないだろう。そして奇跡的に冬を乗り切ったとしても、子供が生まれねば村に発展は無い。

 

「分かり切った事だがなぁ……奴ら遊んでやがるっ!」

 

 大した武力も無い辺境の開拓村だ。暇潰しに痛めつけるには丁度良い獲物だったのだろう。

 

「おらぁ!」

 

 馬を乗り回した巨漢の男が、杖を片手に暴れ回る。その都度、杖から炎が溢れだし村の家が焼け落ちる。

 

「いい加減にしねぇか!」

 

 炎舞散る地獄のような光景に抗おうと一人の老狩人が弓を射る。

 

「んぅ!」

 

 命中したのは悪漢が跨る駿馬。その巨体を支える馬を失い、地面に投げ出される。

 

「この爺ィ!」

 

 馬を失った事よりも体に付いた土の汚れに腹を立てながら、杖を大きく天にかざし呪文を唱えた。

 

「我求めしは 赤熱の槍 我が前に来りて 敵を突き崩せ ファイアーランス!」

 

「ぬぐっ!」

 

 魔法使い。それは超常現象を自らの魔力と引き換えに具象化する技術である。技術である故に習得が必要であり、技術である故に習得者の人格を問わない。

 

「なぁ~んだぁ。まだ生きてたか、しぶとい爺ィだなぁ」 

 

「ハッハッ…ッ!」

 

 盗賊の放った魔法はお返しとばかりに、ワシの左腕を持って行った。幸い炎の槍であったおかげで、傷口が焼かれて失血死はなさそうだ。

 

「片腕でも矢で突き刺す暗いは出来る」

 

 とは言え、あまり関係なさそうじゃがな。

 

――――――――――――――――

 

「へぇ、あれが魔法か」

 

「未熟な術者からは学ぶ物がないだろう」

 

「魔法は初めて見るんだが?」

 

「ならば寧ろマイナスだ」

 

「何故?」

 

「必要な物と不要な物の区別が出来ないからだ」

 

「ああ、なるほど」

 

 情報の取捨選択が出来ないから不要な情報まで必要だと判断しちまうってとこか。

 

「面白そうだし介入するかね」

 

「戦うのか?」

 

 出番が欲しそうなキバットには悪いが、今回はもっとドラマティックにするつもりだ。

 

「いいや。ただ…」

 

「む?」

 

「ただこの戦いは、あの爺さんのものだろう?」

 

―――――――――――

 

「でよう。他の奴らが見当たんねぇが、何所に隠れたんだ?」

 

 盗賊は方腕になった老狩人に村人の居場所聞き出そうと無為な時間を過ごしていた。

 

「ふん、幾ら聞いても無駄だ。ワシが口を割ることは無い!」

 

≪Single Mode≫

 

「ぬぅ?!」

 

「よーし、ちゃんと避けたな」

 

 当てても良かったが、そんな幕切れだと面白くない。

 

「お、おめぇ…何で…?」

 

「…爺さん、見事に劣勢だな。まだ抗うつもりか?」

 

 何を分かり切った事をと心の声が囁く。

 

 命を懸けて戦って、片腕を犠牲にしてボロボロになっても食って掛かる。そんな姿を見たばかりだというのに。

 

「当然じゃ!」

 

「なら使え!」

 

 老狩人の即答にその言葉を待っていたと、手に携えたベルトを投げ渡す。

 

「これは…ベルト?」

 

「俺には不要の代物だ。さっさと腰に巻けっ!」

 

 訳が分かっていない様子の爺さんを急かす様に、声を投げかける。

 

「まさか…ライダーベルトか!」

 

 先に気が付いたのは盗賊の男だった。仮面ライダーに変身するキーアイテムであるベルトは、低級の物であってとしても一つあれば城を建てられるようなお宝である。

 

「なんとっ。これが!」

 

「驚いてないで変身しろ!」

 

 せっかくカッコよく危機を救うヒーローを演出していたというのに、やはりライダーには若い男の方が良かったか?

 

「つ、使い方が分からん!」

 

「だああぁぁもう!」

 

 牽制射撃で隙を作り急いで爺さんに駆け寄ると、ベルトを引ったくり腰に巻いてやる。

 

「ナックルを構えて、先端を押し付ける!」

 

「ど、何所に!」

 

「普通なら利き手と反対の掌だが…何処でもいい!」

 

 そうだった片手が無かったんだった!

 

「ならこれで!」

 

『レ・ディ・ー』

 

 老狩人は自分の胸にイクサナックルを押し込んだ。

 

「これは…知識が流れ込んでくる!?」

 

 ベルトに収めた。

 

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

「なかなか良い着心地だ…無くした片腕の分、利子付けて返して貰おうか」

 

 両腕を前に構えるバーストイクサ。

 

「変身すると、腕はああなるのか…」

 

 例え腕を落とされても変身すれば再生する。正確に言えばライダーの腕部を自由に操作できるとするのが正しいだろうか。自分の失った腕が生えてくる訳ではない。

 

 より正確に表現するなら、意のままに動かせる義手である。

 

「勝負あったな」

 

「同じ人間、しかもライダーと魔法使い崩れ勝負になるまい」

 

 やがて風化する綴られぬ歴史が、片腕の英雄が炎を従えた悪鬼を打ち滅ぼす伝説として語り継がれるのは――また別の話。

 

「これを、こうか!」

 

『イ・ク・サ・カ・リ・バ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

「お、おいま」

 

「燃やされた家を建て直すのに、どれだけ時間が掛ると思ってやがる!」

 

 老狩人は止まらない。

 

「一刀両断!」

 

 イクサの胸に太陽の紋章が浮かび上がる。

 

「ほう、あれがイクサ・ジャッジメントか」

 

 イクサカリバーで下から上に切り上げると、太陽を背負っているかのような幻影を映し出す。

 

「んじゃ、俺は他の盗賊を始末して於きますか。変身」

 

『Complete』

 

 魔法使いは盗賊団の頭だったのだろう。一人ではしゃいでいたし。

 

 ついて来たと思われる盗賊共は、やることが無かったのかとても暇そうにしていた。正直、こいつらは使い道もなさそうだから軽くひねって終わらせよう。

 

「ライフエナジーは良いのか?」

 

「低品質過ぎて使い道がない」

 

 そう考えるとリザードマンのライフエナジーは良かった。初めてだからと調子に乗って少年に全部突っ込んだのだが、少しぐらい残しておけばよかった。

 

 まぁ、その代わりにオルフェノクとしての寿命は延びただろうが。

 

「終わったらドラゴンの居場所きかないとな」




名前 キバ
性別 男
種族 オルガイア

レベル500
HP 67500/67500
MP 253000/253000
スキル
【剣術Lv9】【盾術LV8】【戦斧術LV5】【槍術Lv5】
【重槍術Lv3】【重盾術Lv2】【偽装Lv10】
ユニークスキル
【アイテムボックス】【完全言語理解】
種族スキル
【魔人化】【魔獣化】【魔弾】【吸生双牙】
【眷属作成】【幻影主国】【眷属再生】【魔王化】

所有ベルト
 ・オーガドライバー
 ・キバットバットⅡ世

偽造ステータス
名前 キバ
性別 男
種族 人間

レベル15
HP 65/65
MP 20/20

スキル
【剣術Lv3】【盾術Lv2】

所有ベルト
・オーガドライバー


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