先代巫女と行く幻想郷生活 (篠崎零花)
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第1話 私は……

こちらは東方プロジェクトの二次創作です。

大好きな子はこうじゃない!とか俺の嫁はこうじゃない!とかそういう方はブラウザバックを選択肢としてオススメします。

それでは、本編を適当に読んでやってください。


私はどっちかと言うと田舎よりの場所に住む普通の家庭に産まれた。

 

そのあとは成長につれ、平凡な成績を学校でとりつつパソコンやPSシリーズのゲームとかを家でやっていた。

様々なジャンルのゲームを日々時間を見て遊んでいた。

 

その日もいつものように遊んで寝たはずなんだけど…。

 

 

 

 

朝、珍しく目覚ましの音がしなかった。

 

「……ん。……んん?」

なんか顔に日差しが当たるような…?

 

そう思うがはやく、上半身を起こす。

そして、起こしたときに見えた部屋の光景でなんとなく理解した。

ここは、私の見知った部屋じゃない。というか家じゃなくて別の建物?

まずそれだけでも思考が真っ白になりそうになるけど、呆然としている場合じゃない。

 

まずは、現状を理解しないと……。

 

 

「……えーと。まさか、神社?でも和室だし、単純にそういう作りなだけかも…」

なんて1人で呟いてみるけど、勘が『それは違う。ここは私の神社でしょ』とささやいてくるかのようにいってくる。

 

……とりあえず、深呼吸するかな。

まだ朝日が昇ったばかりだし、すぐには人なんてこない。

 

えっと、まず名前。それからだ。

大丈夫、独り言を聞く人なんてまだいないから。

そう自分に言い聞かせて口に出すことにした。

 

「私の名前は、博麗霊夢。…………あれ?」

 

口から出たのは全く違う名前。

おかしい。私の名前は『博麗霊夢』じゃなかったはず。

私の、私の名前、は―――

 

 

 

 

 

―――あれ、なんだっけ?

昨日していたことは覚えている。

パソコンしたり、テレビを見て、家族と夕食たべたりとか…。

今までにしてきたこともしっかり覚えているのに。

 

―――名前だけが、思い出せない。いや、正確には前の名前かな。

 

っていうか待って。さっき、すぐに出た名前はなんだった?

 

あの時、私はこういったんじゃないか?

『博麗霊夢』と。

 

博麗霊夢?…博麗、霊夢?私の名前が?

そんなありえない。

でも、ここならありえないことはありえることってわけで。

 

 

「――嘘、でしょ……」

そう呟いた私は力なく布団に起こしたばかりの上半身を再度預けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして、冷静になった私は仕方なく、慣れた手つきで布団を押し入れにいれた。

どこにどうしまうか、は知らないわけじゃなかったので困らなかった。

 

服も着替えないとなぁ。

そう思った私はタンスに向かい、上から二段目を開けてみた。

下着類や寝間着みたいなものが入っている。

 

うん、この段じゃないね。この一つ下だね。

そう思った私はすぐに二段目をしまい、三段目を開けてみた。

…例のめでたい色をした巫女服が入っていたので、それに着替えることにした。

 

 

着替えも記憶や体に残った動作を参考にしたのでこちらも苦労はしなかった。

 

ため息をついてから、ふすまを開けると外が見渡せる壁のない通路があった。

「仕方ない、か。朝食でも食べましょ」

 

口調も…いや、この際もはや気にするまい。

色々ありすぎて頭がおいつかなくなりはじめてるし、ここでなにかあっても困る。主に私が。

 

 

 

仕方ないか、そう思いながら台所に向かえる居間に向かうとそこには私より身長が高そうな巫女装束を身にまとった若い女性がいた。

黒い髪も一つに結ってまとめているのか、前からは見えない。

 

「…あら。おはよう。突然で悪いけども、あなた…大丈夫かしら?」

 

「大丈夫じゃないわ、問題大有りよ。そろそろ思考を放り投げて現実逃避をしたいわ」

 

「それはごめんなさいね、霊夢。もしかしたら、前の”あなた”についての記憶とか飛んでしまってるかも…」

 

私がこうなった元凶はお前か!

そう思いながら半目で見つめる。

 

「そうね、でもどうして私が違う人になってると思うのかしら?」

 

そう聞くと気まずそうな顔を浮かべる。

うん?…そういえばこの人も本来はいるはずないんじゃ…。

 

その思考を遮るように

「それは私の影響だと思うのよ。何故か私はここにきて、あなたを…どうやら巻き添えにしたみたいなのよね。あ、私の名前は…そうね、ないと困るから…霊華とでも名乗っておくわね」

とそういってきた。

 

「あんたの影響…ってなによ。私がこうなるんだからちょっとしたことじゃないのよね?」

 

「ええ、小さいことじゃないのよ。…簡潔に言うわね。私は過去から今に飛ばされた、のよ。それでなにかしらが起きてこうなったんでしょうね」

 

ああ、なるほど。

むしろ私と似たような状況…と。

むぅ…それになんでそうなったのかすら分からないんじゃ、どうしようもないね。

 

 

「分かったわ、ありがとう。でも、前の自分については記憶と人間だったってことだけでも残っているのだから大丈夫よ」

といって自然に笑う私。

 

そう、前の私の身元とか分からなくったって人間だったという記憶があるんだから平気。

そのうち、思い出せるかもしれないしね。

 

「……なるほど、精神が霊夢側にでもよって強くなったのね。でも、悪いわね。巻き込んでしまって」

 

「そう思うんなら同棲して、掃除の手伝いとかしてもらえるかしら。その方が助かるわ」

 

そういうと口元をニコッと緩めた。

私の顔になにかついてるのか?

そう思って今度は半目で見つめるんじゃなくて睨んだ。

 

「わ、悪いわね。まさかそれで許してくれるとは思わなくって。いいのね?これでもあなたの前の巫女なんだからもっと言われると思ったわ」

笑いながらそういってくる。

 

確かに現代の博麗の巫女という以上、先代はいるものだろう。

それにこの代になるまでスペルカードルールはなかったというし。

実力は相当なもの。疑う余地もない。

 

…だからなに?この人だって女性だし、なによりわたしが助かります本当に。

それに料理経験も少ない私が霊夢の記憶と体の記憶だけでやっていけるかどうか…。

 

「別にいいじゃない、なんでも。それに1人よりはいいでしょう?」

と顔をそらしながらいった。

…考えを読む相手じゃなくてよかった。

 

「ふむ、そうね。んじゃあ…さっそく朝餉(あさげ)でも作りましょう?」

 

そっちでいうか。

そう思ったけど、口にしないで…

「そうね。そろそろ私も朝食を食べないとお腹と背中がひっついちゃうわ」

 

「……それは本当なのかしら?」

といって半目で見つめてくる霊華。

 

「こっ、これは比喩(ひゆ)よ!真に受け取らなくていいわ!」

 

「そ、そうなの?なんか大分変わったわねぇ……時代が」

 

「見た目にそぐわないから、その言い方控えた方がいいわよ」

 

そういわれると霊華はおどけたように肩をすくめた。

「はいはい、分かったわよ。”霊夢”」

 

そう言われた私はニヤッと笑うと霊華の左を通って台所へ。

霊華も後から続いて台所に入ってきた。

 

 

 

――本当の意味での新たなスタート、か。これから頑張るか。



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第2話 博麗神社って境内を抜いても広いんだね

ま、まさか投稿してすぐに評価されるとは思わなかった私です。

ちゃんとシリアスとか出てくる予定なんですが…これじゃ、シリアスをする前にブレイクしちゃいそうですね。

忘れていましたが、霊夢の髪の長さは肩に触れる程度です。
霊華は肩甲骨に触れています。
どっちも同じ黒髪で、目の色も偶然赤の混じった褐色のつもりです。

あれ?そんな偶然って…(


ここから下が本編です。適当に読んでやってください。


鍋でご飯を炊き、フライパンで2人前の魚を焼く。

霊華は隣で味噌汁を作ってくれている。

 

ご飯については全く問題ないんだけど、魚の味加減が難しい。

しかも調味料がなにげにたくさんあるから余計に。

ま、まぁ…シンプルにすれば、いいよね!

 

「……ご飯だけはやけに手慣れた動きね、あなた」

 

「やめて。料理してこなかったのが今になって響いてるって実感してるところなんだから……」

そう答える私の声は震えている。

泣きそうなのもどうにかしている。

料理に入ってはまずくなっちゃうだろうし、それだけは避けたい。

こっちにきてからの最初に食べる朝食なんだから―――!

 

 

「ま、まあ…頑張ることね」

なんて横から言われた。

呆れたようにも聞こえたけど、今は気にしている場合ではないっ!

 

 

 

 

 

 

そうこうしている間に朝食はできた。

ただし、私の顔が犠牲になったがな。

…うん、朝御飯を食べる前にでも顔、洗っておこ…。

 

 

「悪いんだけども、皿にのせたりするの頼んでいいかしら…」

 

なるべーく笑顔を浮かべていった。

そう、なるべく笑顔。

べ、別に虚勢はってるわけじゃないんだよ?

と内心震え声でいうものの、そもそも聞こえないんだから声を震わさなくてもいいような気がする。たぶん。

 

「……。分かったわ、いいわよ。よそっておくわね」

 

今の間はなんだ、と言いたいけどやめておこう。

視線もどこか優しいし、生暖かく見守る親みたいになっている。

そんな目で見るんじゃないっ!

これでも色々な記憶や数少ない料理経験を頼りに作ったんだから!蜘蛛(くも)の糸の如く細いものを頼りに!

 

……あ、これじゃ頼りないか。

 

 

 

「ええ、お願いね…」

…さっきより涙声じゃあないか、私よ…。

そう考えながら少し申し訳なく思いつつ、顔を洗う場所へ。

 

 

 

――向かおうとして立ち止まる。

いやいや。使った調理器具を先に洗っておいた方が後々楽になるんじゃないか?

…仕方ない、か。

 

そう思った私は(きびす)を返し、再び台所に。

その時にはもう2匹の焼き魚を皿にのせていた。

「どうしたのよ、あなた。忙しないわね、そんなに動いて」

 

「…先に調理器具を洗っておいたら後々やらなくていいし、面倒じゃないからよ」

と涙が乾いたせいで違和感のある目をこすりたい気持ちを押さえながら答えた。

食べる前にでもいいから絶対顔を洗ってやる。

 

 

 

 

 

 

そう考え、もう使わないだろうフライパンをまず取り、流しで油を軽く落とすために水で洗う。

次にするのはたわしにせっけんをつけて……

「あら、洗うのも手慣れているのね。あとは料理とかを頑張るだけかしら」

 

うう…せっかく涙が乾いたって言うのに……!

それ以上はやめて!私のハートのHPはもうゼロよ!

 

そう考えながら流しでフライパンをたわしでこすっていると霊華が苦笑いを浮かべたのを横目でうっすらと見た。

 

「あっ…。ま、まあ大丈夫よ。あなたもいずれ上達するわ。私が保証してあげるから」

 

「そりゃどうも、ね。その上、保証までしてくれるなんて凄くありがたいわ…」

愛想笑いに近い笑みを浮かべながらその言葉に返事をする。

 

ふむ、つい考えていたことを顔に出してしまったようだ。

やっちゃったなー。

これじゃ考えを読む相手以前の問題じゃん。素直すぎるぞ、私の表情。

これだからポーカーフェイスは私には向いてないんだ。

 

 

 

因みに仕方なく、流しで顔を洗いました。

服や髪の毛が濡れないようにするの、大変だったな。

 

 

 

 

丸いテーブルにさっき作った朝食を座ったときに私達が向かい合うように並べる。

霊華も手伝ってくれたおかげで焼き魚が上、味噌汁が左、ご飯が右に配置された。

っていうか何故そんな置き方なのか。

うーん…全く分からん。

 

ん?分からない?そういえば、なんか言い忘れていて相手が分からないことが一つ…

 

……あ、ある!しかもそれを名乗っておかないと呼べない奴!

現代の博麗の巫女とは霊華(仮)が分かっても名前まで分からないんじゃないか!?

っと、かっこかりは失礼か。

 

 

 

「ねぇ、私…あんたに名前、教えてなかったような気がするのよ」

私は正座、霊華も正座で座ってから食べる前に聞いてみた。

さっきからずっと”あなた”呼ばわりだしね。

前の私の名前を忘れてるんだからそりゃ当たり前だろうけど……博麗の巫女とも巫女とも呼ばれないって。

脱線しかけ――と思ったけど、大丈夫そうだった。

 

 

「ああ、それはすっかり忘れてたわ。私としたことが現代の巫女の名前を聞き忘れているなんて」

 

やっぱりー。

と、いうかお互い忘れてたのね、そりゃあ聞きもしないし言いもしないよね!詰んでたがな!一瞬だけ!

 

という気持ちを切り替えていうことにした。

いい加減呼びづらさも出てくるだろうし。場所的な意味で。

 

「んっんー。それはお互い様だから仕方ないわね。そっちだけは分かるから言うわ。……霊夢、よ」

 

お互い様、という言葉に不思議そうな顔をされたから内心焦ったけど、その後の言葉を聞いて笑みを浮かべてくれた。

だ、だって私も忘れてたんですもの…。持ち前の勘かなにかでカバーして(欲しい)。

 

「ふふ、本当忙しない子。そうね、名前が分かったところで朝餉(あさげ)、食べましょう?」

 

なにが忙しないっていうんだ…。しかも微笑ましげに私を見おって……なんもないぞ?

 

ま、いっか。言葉に甘えて冷める前に食べるとしましょうか。

 

「ええ、そうね。せっかくのものが冷えたらいけないものね」

 

「そうでしょう?じゃ、いただきましょうか」

 

そういってほぼ同時に『いただきます』といって食べ始めた。

その時の味の感想は…というと

「ご飯はまあまあ美味しい」

「味噌汁ちょうどいい!」

「うわっ、私の焼いた魚…味薄くない?」

だった。もちろん私の、だが。

 

因みに少し時間をかけて食べた後、霊華と一緒に食器や調理器具などを洗ったため、朝食の感想を聞いてみた。

『ご飯は完璧ね』

『味噌汁はそのうち教えるわ』

『焼き魚は……まずくはないから大丈夫よ、胸をはって』

だったんだけど…うん、焼き魚の味のところだけ微妙な返事だね。

あと味噌汁は一応作れるよ?沸騰する前かそこら辺に小さな干し魚をいれて、しばらくいれるけど、沸騰する前に……あれ?こうだっけ。

だし入り味噌が楽すぎて忘れちゃった。

 

 

因みに関係ないけど、『食器を洗うのも上手いわね』と言われた。

うん、料理とかそういうの、はやめにどうにかするね。

それこそ前の私の名前より。

 

じゃなきゃ違う意味で心が削れてく。真面目に。

…ただ、時間がかかりそうだなぁ。今度、霊華に教わるか。

 

 

そんなハートのHPをがりがり削っていく食器洗いを終えた私達。

ちょうどいいし、境内(けいだい)でも見るがてら(ほうき)かなにかを探して掃いてみるかな。

 

そう思って倉庫かなにかを探そうと居間から出ようとしたら

「霊夢、どうしたのよ。なにか用事でも?」

と声を背後からかけられた。

 

用事はないけど、つまようじは欲しい。

…あ、やっぱりなくていいです。いらないです。

 

「ええ、ちょっと境内でも見るついでに綺麗にしようかと思ったのよ」

 

私がそういうと立ち上がる霊華。

うん?霊華こそなにかするのかな?

 

「なら、広いのだし2人で手分けした方がいいわよ。多分記憶としてはあるでしょうけど」

 

「そ、そんなに広いの…?そ、それならお願いしてもいいかしら」

 

確かに霊華の言う通り、記憶としては広いことが分かっている。

でも記憶で理解できるか?って聞かれたら無理と速答するレベル。自分で見なきゃ分からんよ。

あ、でも機会があったら景色を見ながら境内を歩いてみたいかも。

 

「ええ、いいわよ。むしろ体がなまらなくて済むから助かるわ。あ、そうだわ。朝か夕方、どっちかの時間を使って体を鍛えるつもりだから覚えておいてほしいわ」

ニコッと笑顔でいってきた。

それ以上鍛えてなにするの…。

私もいつかスペルカードルール、教えてあげるかなぁ?

 

「分かったわ。でも私もスペルカードルールについて復習したら、霊華…あんたに説明しにいくからね」

 

そういうと不満そうな顔をした。

ごめんね、霊華。あなたの時と違って今代からそういうルールがあるの。

 

「ま、まあまあ。霊華、こう考えるのよ。前ほど命をかけなくていいんだって。平和ボケするとか思われそうだけどもね」

と申し訳なく思いながら笑みを浮かべ、そういった。

外から来た吸血鬼と平等に戦うため、でもあったらしいけど…霊華は先代だし、そんなこと知らないだろうしね。

 

 

すると何故かふふっと笑う。

むぅ、これでも私はあなたのことを思って――

 

「ごめんなさいね、ちょっと大人げなかったかしら。そうね、前みたいにやらなくても平気なら…今度、その復習とやらをする時に私も一緒にやらしてほしいわ。対応できるようにしておかないとあなたと手合わせできないもの」

私の思考を遮るように、いってきたと思ったらぽん、と私の頭に手をのせる。

 

……そっか。ならよかった。

でもさ、その撫で方…子供をあやす感じがするよ?

き、気のせいだと信じたい。

 

「はいはい。とりあえず箒持ってくるからあんたも手伝いなさいよね。私は前半分でも勝手にやってるわ」

むす、と怒ったように睨みながらそういう。

なんか言い方がもはや私ではないけど、言った時点で勝手もなにもないか。

 

「勝手なのに自分で言うのね。…でも、それはいいとしてあなたは箒の置いてある場所がしっかりと分かるのかしら?」

そう霊華は言うと口元をニヤッと片方だけ緩めた。

得意気に、見える。

 

くっ…。記憶だけなのを逆手にとられたかな。

でも大したことはない。何故ならば……

 

「ふん、そんなの私の記憶だけで―――どうにかならないからどうか教えてください」

と通路に出かけていた私は少しジャンプしてから短めの前転をした後に土下座をした。

 

記憶だけでもたどり着けるだろうけど、倉庫は中が少し多いようで。

今度片付けをしておかないといけない上に下手に触れば物が雪崩(なだれ)を起こして埋もれる。真面目に。

いやまぁ、出ようと思えば()ってでも出られるだろうけど。

 

「……す、素直ねぇ。と、いうかそれはなに?飛んでからする土下座なんて見たことないわよ」

 

「記憶だけで完結できたらもう苦労なんてしないもの。素直にもなるわ」

 

そういって聞かれた内容をどう説明しようかと悩む私。

ほらさ、アニメーだとかそういったところで外の世界や娯楽をあまり知らなさそうな人だからまた説明をしなきゃだし…。

 

あとなにげに額が痛い。

ジャンピング土下座はするもんじゃないね。

 

「それもそうだったわね。…ちゃんと教えるわよ。あなたがその土下座についてなにかしら口を割ればね?」

 

言い方が物騒です、霊華さん!

口を割るとか悪態以上の悪さしてないから!

 

「なにもしなくても言うわよ、そんなことぐらい…。さっきのをすごーく簡単に言えばジャンピング土下座っていうの。ほら、飛んだあとに土下座をしたから、ジャンピング土下座。分かりやすいでしょう?」

そう言いながら立ち上がり、おもむろに額をさする。

再現なんぞするもんじゃない。痛い目を見る。

 

「分かったわ。こっちよ」

 

そう言われて案内されたのは通路の行き止まりで尚且(なおか)つ空き部屋になっている和室が左に見える場所でした。

奥かよ!




「どうも、私は名もなき博麗の巫女よ!」ドヤァ

「……はいはい。ところでなにを進めるって言うのよ。あと呼んだ理由あるんでしょうね」イラッ

「まあまあ、霊華。まずは読んでくれてありがとう。凄く嬉しいわ」

「理由すら話さないって今代は…はぁ…。んで、今のは誰に向かって言ったのよ。というか読んでくれてってなによ」

「いーからいーから。あ、呼んだ理由は特にないわ。キラッ」

「…へぇ、そうなの。呼んだ理由はなし、だったの。しかも反省の色もなし…。いい度胸ねぇ!」

「うわっ、ちょっとあんた…!?あ、ちょ、決めちゃダメ!痛い!ギブッ!……あ、か、感想送ってくれた1名の方、本当にありがとうね!ちょ、やめ、痛いってばー!」


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第3話 掃除する巫女と散らかす人

先代は想像、それ以外は原作を参考に書いています。

なので、似てない可能性もありますが適当に読んでもらえればと思います。


倉庫に入った時にあまりものほこりっぽさと汚さで先に綺麗にしたら時間を大分使った。

も、もし境内を2人で半分になんてしていなかったら、掃除が終わる頃にはもう正午とか余裕で過ぎてしまっていたかもしれない。本当、広いな…この境内。

 

因みにやる場所については、霊華は裏側、私は表側を担当することに。

理由については聞いてないし、別にいいかなと思った。

 

「そーれーにーしーてーもー…」

周りに見える木々とかをたまにとる休憩がてらで見るんだけど、新緑の葉っぱに紛れて黄色いのとか枯れかけてるのが見える。

なに?運悪く夏の終わりだと自然様は言いたいのかな?

 

うっわ、ついてない…。

ま、まあ冬じゃないだけマシか。うん、マシだ!

 

「独り言をしながら掃除なんて明らかにおかしい人だけども、自然に囲まれてする掃除は格別ね」

とそう思わず呟いて葉っぱなどのゴミをゆっくりゆっくり一ヵ所に減らしていく。

小さい山になりかかっているのを見ると今まで掃除のフリしかされてなかったのかな?

 

そう思っているといきなり地面に箒とちょっとした人の影が見えた。

なんだろう、とは思ったけど多分この場合だと1人しか思い当たらない。

 

 

空から舞い降りてきたのは箒にまたがったどこぞの魔法少女。

いや、魔女…?

まあ、いいや。それよりも反動でゴミが散らかったんですが。

 

「おー、霊夢がまともに掃除なんて珍しいな。なにか変なものでも食ったか?」

 

「食べてないわよ、そんな変なものなんて。んで、散らかったゴミはどうしてくれるのかしら?」

 

そういって私はジト目で睨み付ける。

いくら半分とはいえ、時間がかかったというのに。大変だったんだよ?

 

「ああ、それは悪かったな。んじゃ、私はそばで見てるからもう一度まとめたらいいんじゃないか?邪魔はしないぜ」

 

「そりゃどうも。んでなんで来たのよ。まさか用事もなくー、とか言わないわよね?」

 

そう言いながら、私は散らかったゴミを再度まとめる。回収も同時進行で。

またどっかの誰かさんに散らかされても困る。

 

っと因みに箒にまたがって空から降りてきた―――そのはずみでゴミが散らかった―――人は霧雨魔理沙。

霊夢とは大分仲が良く、またライバル的なものらしい。

 

「ああ、それがまた言うんだぜ。用なんてない。だから、茶とかもらっていいか?」

 

「そうなのね。でも、なにもしない人にお茶もなにも出せないわねぇ?」

といって横目で見やる。

本当は霊夢との関係上、なにもされなくてもお茶は出すつもりだ。

でも、あえてそうしかけてみるのも面白いだろうしね。

 

「へぇ、そうくるか。んじゃ見て応援してるわ」

 

「そうくるのね…というか手伝えって言わなかった私も私かしら。あー、はいはい。あとで淹れるわよ」

 

「へへ、いつも悪いな。霊夢」

 

「なるほどね。そういう話なら私も頂こうかしら」

 

そんな風に話していたら、別の声がそういってきた。

私には心当たりしかなかったけど、魔理沙は驚いたような表情に見えた。

 

「あーっと、お前、誰だ?」

 

「あら、どうも。初めましてだったのね。便宜上、博麗霊華と名乗らせてもらっているわ」

 

そういうとニコッと笑みを浮かべる霊華。

せ、先代とはいえ…そんなんでいいのだろうか。

そんな疑問が頭に浮かんでしまう。

 

「なるほどな。つまりは霊夢の前の巫女ってことか!」

 

そう聞いた魔理沙は納得したように手を叩く。

え、なに?まだいってないのによく分かったね。もしかして格好?それとも話し方?

 

「ええ、そうなるわね。それで、あなたはなんていうのかしら?」

 

「ああ、私は霧雨魔理沙ってんだ。宜しくな」

といってウインクをしながら口角を得意げにあげている。

 

「そうね、宜しく。……ってあなた、どこから来たのよ」

 

「え?あっちだぜ」

「多分あっちからね」

そういって指差したのは大体同じ方角の空。

私なんて勘に任せて指差したんだけどね。

 

「……ああ、なるほどね。その割には大分ゴミが散らかっているようだけども、なにをしたらそうなるのかしら」

 

そう言いきる霊華。

不思議に思った私は手を止めて霊華の視線を追ってみたらその先はまだ集めきれていない散らかったゴミ。

それなりのはやさで来た上に近くに降りたものだから仕方ないんだけど……あ、魔理沙大丈夫かな。

 

「私が遊びに来たらこうなるんだぜ。なんでかは知らないな」

 

「あら、そうなの。ってことは別にあなたのせいじゃないのよね」

なんてニコニコ笑いながらいった。

でも、なんか背後に般若とか立ちそうなぐらい怖いよ?

 

「あ、ああ…。私はなにもしてないぜ」

 

「そう。ならよかったわ。あなたのせいで、かつわざとだったら二度とできないようにしなくちゃいけなさそうだったものだから、ね」

 

なんて物騒な…。

っていうかそこまでする必要ないよね。

魔理沙なんて笑みを浮かべてるのにひきつっちゃってるし。

 

「あー、そこは訂正してちょうだい。二度としないように、じゃなくて掃除手伝いとかそういうのに。あんたが手を出したらろくなことにならなそうだから」

 

とまでいうと今度は霊華がひきつった笑みを浮かべた。

知ったこっちゃないね。

 

「だってあんた、スペルカードルールがない時代にいたから手なんて出したら死人が出るわ」

 

追い討ちをかけるかの如くいう私。

先代だからって優しくいう必要はないもんね。ドストレートで物申さないと危なさそうだしね。

 

因みに霊華はちょっと目を見開いていた。

驚いてるんだかショック受けてるんかは知らないが言わないと止まりそうになかったからね。

 

「さすが霊夢だな。先代にも容赦なしか。ある意味凄いわ」

 

「そうでもしないと止まりそうになかったからよ。しっかり見ておかないとほんと危なさそうね…。あ、これどうにかして片付けるからお茶にでもしましょ?ついでに座って休みたいから」

 

本音混じりにそういったら魔理沙が笑った。

むう、結構大変なんだぞ?

そう思って半目で見ると肩をすくめられた。

 

「悪かった悪かった。そうだな、久しぶりに掃除して疲れたんだな」

 

まだ笑いながら言うか。

魔理沙ってそういう一面もあるんだなー。

 

 

 

 

行こうとするとき、後ろから

 

「……そこまで言わなくてもいいんじゃないかしら?」

なんて呟き声がしたような気がした。




一部本文を追加しました。流れに変更はありません


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第4話 先代巫女と現代巫女の差

この話ではまさかの……です。

シリアスとかそういう感じではないので適当に読んでやってください。

では、下からが本編ですのでごゆるりと。


お茶と言う名の休憩をし、魔理沙が帰ったあと。

 

何故か…霊華と一緒にトレーニングをするはめになっている。

 

と、いうか現在進行形でしている。

こういうものは1週間に何分のものを何セットでする、とかの軽いものでいいと思うんだ。

 

 

「ねぇ…これは…ちょっとやりすぎなんじゃ…ないかしら?」

畳の上に大の字で横になりながらまだトレーニングを行っている霊華に聞く。

こうなる前の世界…と言えばいいのだろうか。その時からそこまで体を鍛えていなかったため、辛い。

 

その上、霊夢もどうやら体を鍛えていなかったらしい。

そのせいで倍になって辛いではなくかなり辛いになっている。

もう無酸素運動に近くなっちゃってるよ…。

 

 

「やりすぎもなにも…。一応軽くやれるようにしたはずなんだけどもねぇ。…うーん、休憩をはさまないとかまだ駄目だったのかしら」

 

「軽くでインターバルなしとかありえないわよ…。しかも何回を二セットとかじゃないんだから余計辛く感じるわよ…」

 

「その、インターバル?とか何セット?とかってどういう意味よ。全然分からないんだけども?」

 

あー、そうだったね。

幻想郷に外来人が来て無事にその言葉を伝えなきゃ広がりもしないもんね。

 

「インターバルは休憩って意味よ。んで、セットは繰り返しとかって思ってくれればいいわ。大体そういう意味で覚えればどうにかなるわ」

と顔だけずらして、見上げる形で霊華を見る。

さ、さすが今までその身で妖怪を倒してきただけある…。

 

「へぇ、そうなのね。外の世界じゃそんな言葉を…。じゃ、そろそろ霊夢、再開するわよ」

 

「今までの話、聞いてたのよね!?しかも、もうちょっと鍛えるんじゃなくて本格的なものになってるわよね!?全然追いつかないんだけども!?」

 

上半身を無理矢理起こし、そう叫ぶ。

そう、最初は霊華がやっているのを見て、トレーニングについての話になり…まあ、その言葉の意味も教えたとかそういう出来事もあったけど、ちょっと筋力とか体力をつけるのにいいよねってことで私もすることにした。……そこまではよかったんだけどね。

 

なんでこうなったんだろう。

初めは霊華が1人で己を鍛えているのを見ていただけだったはずなのに。

 

見ていたのに気づかれたのがいけなかったらしい…。

少しだけ、少しだけのつもりだったのに…。

 

なんて長々と考えて、そこでようやく気づく。

そう、私が半目で見られていることに。

 

「なるほどね、かなり弱い体だったとは思わなかったわ…」

 

「―――え?」

仰向けのまま、固まる私。

今、なんと…?

 

「んでもってあなたも大分、ね。…これは本格的に鍛えなきゃ駄目かしら」

 

なんて真顔で呟いている。

えっと、これは……

 

に、逃げよ。

 

そう思って強引に立ち上がり歩くなり走るなりしようとした時。

お、おおう…さっきまでのが蓄積されてて立てないんだけど…。

 

「……」

残る手段として涙目になり、唇を噛み締め、睨み――無言で、訴える。

 

 

そこでようやく違和感を感じたらしい。

私をじっと見てから腕を組む。

「…どうしたのよ、そんな風に見て。立てないの?」

 

「立てたらもう立って体を鍛えることにうるさい人から逃げてるわよ」

と唇を(とが)らせながらいう。

本当逃げたいです。でも、空すら飛べないほど体が疲労してるんじゃ駄目っていうね。

 

「そういえば…身じろぎすらしないわね、あなた。嫌そうな顔はしてるのに」

 

「動けたら苦労なんてしないわよ…。はぁ…」

 

「分かったわ。あなたのはもっと軽くして基礎体力を作ることから始めるとして……今日はもう無理ね。他にも綺麗にするところがあったけども…私がやっておくわね」

と私に言ってそのままどこかへ歩いて行ってしまった。

 

…なんとも言えないけど、どうして鍛えようとするのか。

そこまでしなくてもいい気がするんだけど、いいか。

とりあえず、まずは体を起こせないと話にすらならないなぁ。どうしたものか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分か、しばらくしたと認識した時にようやく体を動かせるようになったけど、大分日が傾きかけてきてしまった。

うーん…仕方ない、か。

 

にしても、霊華の対応…会った時からやけに優しいな。

別に気にするほどのものじゃないからいいんだけどさ。

問題はそこじゃないんだよね。

 

「問題は2つあるのよね…」

 

そう呟き考える。

まず一つ、電子機器などの連絡手段がない。これじゃあ、電話はおろか気を(まぎ)らすゲームすらできない。

いや、まあ、他にもあると思うけど。

 

二つ目は…高床式倉庫や神棚かな。

あっちはそのうち…とはいえ、神棚は先に見ておいた方が良い気がする。

どうにかして立つと、私は神棚の方へ向かった。

 

 

 

少し歩いてそれらしきところについて、しょうじをあけると気持ち暗い場所が見えた。

空気もどこかほこりっぽい。

 

「……仕方ない、わね。やれるだけやっておかないと困るものね」

とだけ呟くと掃除用具を求め倉庫へ。

面倒くさいし、全身が痛いしとやりたくはなかったけど、しておけば後々サボれる。

なら、楽になるために先にやっておく。

 

いよっしゃー、やるぞー。神棚周辺の掃除とかをー。

などと、内心投げ出しかけながら考えた。



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第5話 汚れた場所と前兆

それなりに原作を参考にした内容になっています。

ただ、何分イージーシューターな上、やった作品も少なく大体のものを動画などで見ただけの者です。

違う点とかあるかと思いますが、仕様になっていますのでご了承ください。

それでも平気と言う方は適当に読んでやってください。


…余計に疲れた。

 

それが神棚周辺の掃除を終らせた感想だった。

やる必要なんてあるのか?なんて思ったけど、サボれるなら背に腹は変えられない。

 

ならやる。

それだけの理由でやったんだし、仕方ないんだけどね。

投げ出しかけたとか、そういうのはなしとして。

 

とりあえず、やることはやったし、神棚を見上げてみる。

 

ほこりとかはちゃんと落とせたみたいで綺麗になっていた。

 

掃除する前からあったお神酒はほこりをとっただけ。

…そのうち変えるかな。

今は疲れてるからパス。少し我慢しててね、名も分からぬ神様。

 

 

 

「明日か明後日にでも倉庫も見ようかしら」

 

そう呟き、通路を通って居間に入る。

台所を見ると霊華が立っていた。

 

「なにをしているの?霊華」

 

おやつを食べるわけでもないだろうに。

料理をするにもまだ夕食にははやくないような気がする。多分。

 

「なにを…ってあなたこそ台所に来るの遅かったわね。なにをしていたのかしら?」

 

「そりゃあ神棚を掃除に決まっているでしょう?後々サボれるならやっておいて損はないし、汚かったから、よ」

 

何故か半目で見られた。なんて理不尽な。

サボれるなら先にやる。そうすればやれなんて言われない。

そうだと私は思ったんだけどなあ。ほら、先にやってるんだし、文句の1つすら出ないはずでしょ?

 

「なによ。別に問題なんてないはずだけども」

 

「ええ、ないわよ。でもサボるためとは言え、まさか先にやるをとるなんてね…。まあ、いいけども。んで、どうして台所にいるのかって話だったわよね」

 

ああ、そうだったなーとようやく思い出した私は頷いた。

先に聞いておいて駄目だね。そりゃ呆れられるわ。

 

 

「そりゃ夕餉(ゆうげ)の準備よ。下ごしらえをしておくと作るとき楽になるから、ね。覚えておいて損はないわよ?」

 

「なるほど、ね。…それと、夕食分は悪いけども霊華だけで作ってもらえないかしら?慣れないこととか色々したものだから肉体が疲労を訴えていて…ね」

と苦笑いしながらいう。

今日一日が辛すぎたんだよ。しかも挙げ句の果てあんまりしなかったことさえしたし…持たないわ。

 

「でも体力をつけるために今後もやっていくわよ。例えあなたが嫌と言ってもね。そんなんじゃ万が一の時、自衛すらままならなくなるわよ?まあ、食事はあなたがある意味外来人ってのを踏まえてある程度は大丈夫なように作ってあげるけどもね」

 

うぇー…あの体力作りまだするの?

もういいよ。あなたのはきつすぎて追いつけないし。

それぐらいだったら独学でやりたいほどだし。修行したての身にはもう少し軽くしても怒られないだろうしね。

 

…にしても。道理で朝御飯が魚とかそういう内容だったのかな?

なるほど…。なら私も少ない情報を頼りにサラダとか作ってみようかな?

そうしたらもうちょっと食卓が豊かになりそうだし。

 

「それはどうもね。なら私はお茶でも飲んでることにするわ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って急須(きゅうす)や湯呑みなど取り出してお茶を淹れた。

お茶ぐらいは簡単に淹れることが出来た…んだけど、それも茶化された。本当に泣くぞ?

 

 

それからしばらくした後、夕食をとった。

そのついでに野菜を少し空いていた容器を使ってつけさせてもらった。

 

風呂に入るとき、湯浴(ゆあ)みだとかと言ってきて一瞬ポカーンとしてしまった。

まあ、その後になんとなく理解した私は頷いて入ることに。

なにせ風呂に入るような準備をしだしたから。そこまでされたらわからないはずもない。私は、だけど。

 

 

 

 

 

因みにトイレが大変でした。

(かわや)、って単語は死体祭りなんて物騒な名前のゲームのおかげでトイレだと認識するには時間がかからなかったけどさ。

でも、大変だったのはそれじゃなくトイレの位置。誰だ、あそこに作った奴は。

もうちょっと近くにほしかったよ。

漏らしそうな時とか大変だろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そんなこんなで夜は明ける。

 

「……朝から筋肉痛ってついてないわね、私も」

布団に横向きで寝転がったまま、そう呟いた。

なにせ全身が痛かったから。

 

 

今着替えるのが億劫になってしまった私は朝食でも…と思い、居間に行くとこっちに背中を向けている霊華がいた。

 

「おはよう。早いお目覚めね、霊華」

 

「あら、おはよう。っとそうだわ。あなた――昨日の月、見たかしら?」

 

 

えっ?なんでそれを今?という疑問が浮かび上がったが、この際正直に答えた方がいいんだろうね。

 

「ええ、見たわよ。寝る前だったけども、満月だったわね」

 

だから、うわー久しぶりだなー満月見るのーとかだいぶ適当に見て、そこそこの感慨にひたったわけだけど。

幻想郷に来てから夜空はそんなに見上げてなかったし。

 

 

「そ、それだけかしら?おかしいわね…精神が別人になっても能力は健在みたいなのにどうしてなのかしら…。あ、あぁ悪いわね。話を変えるとして、あなた…あの髪飾りがついてないとただの少女ね」

 

え、ええ!?

変えるにしたって関係なさすぎないかな!

いや、いいや。素直に答えておこう……。

 

「寝起きから筋肉痛なもんだから、着替えるのも億劫になってね。寝癖を直しておくのがやっとよ」

 

そういうときょとん、と不思議そうに私を見てくる。

いやいやいや。そりゃあんなきっつい修行をして、なんともないわけないじゃないですか。特にまだ鍛えられきってない人間の体は。

ハードル高すぎる。勘弁してー。

 

「寝癖は直せるのに着替えは面倒くさい…そう言いたいのかしら?」

 

 

うん、さすがに寝癖ぐらい直しておかないとあれだからね。

寝間着でいるんだとしても、ね。

 

「ええ、言うわ」

 

そういうと何故か呆れられた。

うん、ちょっとよく分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食後、着替えた私は掃除をしようと箒を持って鳥居側の境内に出て立った。

 

立ったのはいいけど、違和感がある。

そう、背後に異次元への出入口があるような、はたまた結界というか世界と世界の狭間って言うか…。なんだろうか。

 

 

なんて箒を片手に考えていると後ろから

「あら、気づいているのに声をかけないのかしら?」

と言われた。

ここはあえて無視するか…?

 

 

と思った瞬間、狙ってなのか目の前にその声の持ち主は顔を出してきた。

目のような形をしたスキマのような何かから上半身を出しているので内心ビックリしたけど。

 

よく見れば両端にリボンがついてる…。

長い金髪の先を束に結った髪型が特徴的…かな?

 

服は見える範囲で言うと紫色のワンピース系なのかな?

あとはリボンの結び目が前についているドアキャップみたいな帽子に手につけている白い手袋。それと日傘。

 

「胡散臭いからってそれは酷いわよ?」

 

「別にいいでしょう?んで、なんの用よあんた」

 

クスクスと微笑みながら言う相手に半目で見つめる。

記憶が確かであればこの胡散臭(うさんくさ)い人……じゃないや、妖怪か。

と、いうかこれも霊夢の記憶か…。そうか…。

 

とりあえず八雲紫、って名前だったはず。うん、そのはず。……やっぱりなんか胡散臭い。

 

「あらあら、そう嫌そうな顔をしないの。今回はちゃんとした話なのだから。たまには信用してほしいわ?」

 

「んじゃ、半分だけ信じてあげるわ。…それで内容は何よ」

 

「それはね…ちょっと異変が起きてるのよ。それも大規模な。解決…手伝ってくれるわよね?」

 

 

どうせ有無は聞かないんだろうな。

なんとなくそうぼんやり思うと頷いた。

「いいけども、誘うあんたも同行してもらうわよ。強制だからね」

 

そういうと紫は苦笑いを浮かべたように見えた。

 

っていうか…あれ、原作を少し遊ばなかったっけ?

これに似たようなものがあったような…。思い出せない。

まあ、いいか。

連れ出されるのなら連れ出す相手も道連れにするまで。

 

 

「とりあえず詳細でも聞かせてもらいましょうか」

と、半目で見つめながら私は言った。




一部本文を手直し&リメイクしました。


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第6話 出会った同士が仲がいいとは限らない

異変についてはある程度前編と後編でわけてみようかなー、なんて考えている篠崎です。

サブタイトルについては深く考えなくても大丈夫です。

では、下からが本編ですので適当に読んでやってください。


満月が来ない、ねぇ。

 

なるほど。

紫とやらの話をまとめるとその一言につきる。

細かく言えば違うことになるんだけどね?

でも聞いたことをもっとまとめるとするなら…

 

 

ある日突然、本物の満月が来なくなったという。

人間からしてみれば無害だけど、妖怪にとっては死活問題にも近い出来事。

それでなにかしらの問題が起きる前に本物の満月を取り戻したいから異変を解決するのに協力してほしい。

 

 

私が簡単にまとめるとこんな感じ…かな?

それにしても、そうやって異変解決をするよう(そそのか)されてきたのだろうか。いや、仕向けた?どうなんだろうなぁ。

 

それはさておき、悪い方に向くわけじゃないんだし、この際動くことにしようかな。

もちろん。言い出しっぺの紫も巻き添えにしながら、で。

 

 

「分かったわよ、あんたもついてくるって条件付きだけどもね。にしても…あんたの話から要するに、夜の間に解決しないといけないことにかしら?」

 

「ま、それでもいいわよ。ええ、そうなのよ。でも、ちゃんと解決できるよう夜は長くしてあげるから大した問題にはならないわ」

 

 

「そうなのね。んじゃあ」

夜になったら行こうか、なんて言おうとしたらそれを遮るかのように

「なんかきた、と思ったらあなただったのね。八雲紫」

と背後から声がした。

 

この神社にいるのは私含め2人なので振り返らずとも誰なのか分かった。

紫は少し口を驚いたように開いたが、すぐに冷静になったらしく口元に笑みを浮かべた。

切り替えがはやいなぁ、とか関心したけどなんか違う気がした。

 

「へぇ、驚いた。巫女がもう1人いるなんて。本来貴方はもういない存在のはずですけれども、どういうつもりなのかしら?」

 

「どういうつもりもなにも――霊夢の保護者代わり?をしているわ」

といって私の背後に立ち、頭に片手をのせてくる。

 

「あー、はいはい。とりあえず霊華、あんたちょっと黙ってて。紫も変な風に言わないでちょうだい。それに先代がいようがなにしようがあんたには関係ない。むしろ万が一のことが起きた時、一体誰が助けてくれるって言うのよ。因みにあんたには期待なんてしてないから」

 

 

といつもの私だったら絶対言わないであろう言葉が口から出た。

どんな表情をしてるのかなんて自分では見えないけど、多分冷酷な表情を浮かべてると思う。

なにせ紫が心なしか驚いているように見えるから。

 

「…………。分かりました。先代の巫女がいようと私はもう口出しなんてしないわ。でも異変解決には霊夢、貴方が出てくれるのよね?」

 

「次、霊華にああいうことを言うのなら誓約書とか書いてもらうからね。その時になってしまったら紙は破りにくいものにしてなかなか無くせないようにしてやるわ。……異変解決については問題ないわよ。行くわ」

 

私がそういうと紫は頷いた。

本当に意味がわかっているのだろうか。

相手が相手なだけに信用ができない。何故かは知らないけど。

 

 

「あ、そうだわ。霊夢、あなたにあう体力作りの内容を考えたのだけどもやってくれるかしら?」

 

「わあ、素敵。次のは素人でもなんとかなる内容だといいのだけども」

と棒読みで霊華に返すと苦笑いをしたらしく乾いた笑い声が聞こえた。

 

今言うなんてさすが先代…と思ったけど、前回のことで分かったしね。

 

多分、スペルカードルール抜きで襲われた時用……とはいえ、最初のような厳しすぎる修行は願い下げしたい。いや、気持ちはわからなくもないんだけどさ。

確かに体力がつけば今より倍動けるだろうし。

本音を言えばサボれなくて辛いけど。そういうのは今だけ、関係ない。

 

 

 

 

「まあ、いいわ。でも最後に1つだけ聞くけども……修行について、どう思ってるのかしら?」

 

「あー、そうね…サボりたいわ」

助かるよ、なんて思いながら口にしたのはそれだった。

 

まずい。言った事と思っている事が逆に…。

こりゃ言うの間違えたな…そう思考するや否やその瞬間、後ろから

「へぇ、そうなの…。体を鍛えるとかそういう修行は面倒だからサボりたいと…。こりゃ心根から叩き直さなきゃいけないかしら…」

なんて重く低い声が聞こえてきた。

 

…私氏、ピンチです。と、いうか怖いです。

紫に向かって助けて、と言う思いを込めた視線を送るも納得したようにニコニコしながら頷くだけでなんの問題も解決はしなかった。

 

そんな風に頷くなんて私はどんな認識になっているんだろうか…。

参っちゃうわー…。

まあ、変に疑われるよりはマシなんだろうけど…それはそれで嫌だなぁ。

 

 

「あと一応紫にも言っておくけども、私は霊華って名乗ることにしたから。博麗の巫女だとか巫女って呼ぶよりそう呼んでほしいわ」

 

「はいはい、分かったわよ。そうするわ」

と適当に返す紫。

なんか昔からの付き合いのような接し方だね。霊華もなんか気にしてないし。

 

 

「んで、まだ夜じゃないけどもあんたはこれからどうするつもり?」

 

「そりゃあ貴方達の様子でも見てようかと思いましてね?なにせ面白いことになっているようだから」

 

面白いこと…か。

あながち間違いじゃないことが間近で起こったんだけどね。

霊夢に憑依するとかいつの間にか転生してるとか先代巫女の霊華がいるとか。

 

私とか先代とか時代を越えすぎてるんじゃないんですかね。

どこの未来や過去に行ける車だよ、と。

 

 

そう思っていると霊華が横に座ってきた。

正座をするのは癖なのかなー、などと考えながら見ていたら顔を近づけてきた。

 

「……最初から引っ張られてるのね、あなた」

そういきなり小声で言われたので、驚きのあまり顔を横に向ける。

 

うまく聞き取れなかった…。

あとで聞き直しておこうかな?

 

 

 

そう考えていると

「あ、そうだわ。お菓子食べておいたわよ」

なんてそこから上半身だけ出している紫がさも当たり前のように言ってきた。

 

「勝手に食べるんじゃないわよ、紫。あんたの家じゃないんだから」

 

にしてもいつの間に食べたのだろうか。

場所と数を覚えておけばよかったかな…。

そう少し後悔する私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後もしばらくいたので対応が面倒だった。

霊華には一緒に修行しようとうるさく言われ…。

だからと言って完全に断るわけにはいかない。

 

なにされるか分かったもんじゃないしね。

 

そういう事情も含め、少しだけ自分用に組まれた―――正確には体力作り―――の修行をやってみた。

 

そういえば、保護者代わりって…。

霊華はどういうつもりで言ったんだろうか。

聞こうと思ったら色々と遅く、異変解決に動く時間となってしまっていた。



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第7話 永い永い夜前編

ユニークアクセスが案外高いことにビックリしている私こと、篠崎です。

まさか息抜きだったはずのこの小説がそれなりの方に読んでもらえるとは最初の頃は思いませんでしたけど、今となっては凄くありがたいです。
本当にありがとうございます。


今回は前編です。後編はまたそのうち投稿します。
では、下から本編ですので適当に読んでやってください。


霊華を家にお留守番させてから紫と共に異変解決へと向かった。

 

霊華はまだスペルカードルールなんて知らないと思うし、そんな状態で手伝われても下手に妖怪を倒してしまうだけ。

それはそれで困るからと、断って神社にいてもらうことにした。

それが現在。

 

 

今、私達は空を飛んで人間の里に向かっている。

いやぁ、異変解決に出るとはいえまさかこうなるとは思わなかった。

紫も紫でなんか連れてきてるし。

八雲藍…とかいったかな、あの子は。いつかもふもふしたい。あの尻尾を。

 

 

なんて関係ないこと考えてたら、なんか本物みたいな触覚生やした子が出てきた。あー、うん。平気そうだな。

なにか叫んできたけど、これも平気そう。

うん、これなら紫はまだ前にでなくても大丈夫だとは言え―――

 

「あー、もう!なんでよりにもよって深夜なのよ!私は夜行性じゃないのよ!?」

 

「どうしたのよ、いきなり叫んで。なにもないわよ?」

 

「そうそう、いきなり叫んだら誰だってビックリするよ?」

 

なんか別の声が混じったような気がする。

しかも、目の前にさっき出てきたのとそっくり…と言うか同じ見た目をした子がいた。

いつの間に前に出てきたんだろう。私ビックリ。

 

「別にあんた達には分からなくていいわよ。それとよくもまぁ、正面に……邪魔をしないなら相手にしないであげてもいいのよ」

 

「あら、私が虫だからって甘く見てるわね。なら痛い目にあわせてあげる!」

 

 

――なんでこうなった。

ん?っていうかなにか思い出しそうなえ?……リグル・ナイトバグ?

なんだか懐かしい名前だなぁ。なんか久しぶりに会うみたいな感じもするし。

なんでだろう。もしかして、どこで聞いたかな…。

うーん…なんか思い出しそうな…。そう……見た目は虫っぽいから…虫?虫をどうするの?

うん。思い出せないし、さっぱり分からない。

んでも、なんで思い出すみたいな感じなのかな。よく分からないけど。

 

 

そう思いながら紫に前へ出てもらい攻略することに。

たまに私が前へ出るけどね。

 

 

それから少しもしないうちに倒してしまった。

 

「それにしても、夜はやっぱり虫が多いわね」

 

「それを言ったら年中虫はいるわよ。夜行性、昼行(ちゅうこう)性…挙げ出したらキリがないほどにたくさん、ね」

 

「あら、連れないわね…。まあ、いいけども。それより虫が増えたわね」

 

そこまで言われて周りを見てみる。

澄んだ綺麗な川でしか見れないはずのホタルが多く見えた。

いや、他の虫も見えるっちゃ見えるんだけど、ホタルの小さくぼんやりとした光の方が目立ってあんまりいないようにも見える。

 

 

「……ホタル、が多く見えるわね。外の世界ではまだ有名なはずなのに…大丈夫かしら。心配ね」

 

「あら、貴方が外の世界の心配をするなんてね。明日は雨かしら」

 

「あんまり下手なものが行ったり来たりすると困るものだとばかり思っていたけども…ま、別にたまにはいいでしょう?」

 

そう私が言うと意外なものを見るような目で見てから頷いた。

なにがそんなに意外なんだろう…。

なんて思ったけど、気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきの場所から更に進むとかなり小さく歌声が聞こえてきた。

出てくるものはさっきとあまり変わらない。

なのにもかからわず進めば進むほど歌が大きくなっていく。

 

そう考えていると何故か少女の背中に鳥の羽を生やしたような子が出てきた。

 

その子はある程度攻撃するととある名前を叫んだ。

 

ふむ…スペルカードって普通の弾幕より濃いからなぁ。

紫に前へ出てもらい、倒してもらった。

リグルの時もそうだったようにね。

 

 

 

 

 

 

するとしばらくもしない内に鳥の羽を生やした少女――どうやら、名前はミスティア・ローレライと言うらしい――が出てきた。

 

「ちょ、ちょっと。ちょっと待ってよ」

 

「待ってと言われて待つような人はいないわよ。でも何用か気になるから待ってあげるわ」

 

「それもそうね………ってそうじゃないわ。久しぶりのカモネギだと思ったのに。あんた達、一体何者なの?」

 

「人間以外よ、人間以外」

 

「人間以外?」

 

「あんたみたいに姿が人間だけど、実は違うものでしたー…って人のことよ」

 

あえて実際に思ったことを言ってみた。

まあ、むしろこんな真夜中に人間がいたら驚くよね。

……あ、私のことか。

 

 

「そ、そうなの。でも珍しいわね。この道にその人間以外が来るなんて」

 

「あ、そう。あ、さてはあなたは夜雀でしょう?あんまり人間ばかり襲ってると、この付近から人間が居なくなるわよ」

 

「でもわざわざなんの用事もなしに出てくる人間もそう多くはないはずだし、だからと言って代わりとして妖怪を襲うとは考えられないわ」

 

「ほっといてよ。でも、ここに来るなんてそのなんの用事もない人間やそれ以外よ。そうでなければよっぽどの急ぎか、訳ありか人間以外だけよ」

 

「いい?せっかくだから言うけども、私達は急ぎで訳ありで人間以外なの。こんな所で時間を潰している暇は無いわ。ここを通してくれる?」

 

「……この道の先って当たっていれば紫のような妖怪とかが行くような場所じゃなかったはずよ」

 

 

この記憶があっていれば、の話なんだけどね。

 

 

「久しぶりに遊び相手に会えたと思ったのに……。そうだ、里に行って一緒に人間をからかわない?楽しいよ?」

 

「遠慮するわ。いくら人間同士のよくある日常だとしても私が妖怪役なんてごめんだもの」

 

「妖怪役とかどうとかって言うのは分からないけど、そういうってことは人間ね。ってことは人間なのね。私が鳥目にしてあげる!」

 

 

おっと、今のは言っちゃバレることだったかな。

でも間違いなくからかいあうって(イコール)すると日常だよね。

よくあることだよね。

…そうだよね?

 

 

その後は紫と交代しながらスペルカードを攻略していった。

効率をよくするために弾幕を消すボムのスペルカードを使ったりした。

それにしても強いな…八雲藍って子。

なんか楽してるように見えるぞ?

 

いや、まぁ、実際に楽してるんだけどさ。

 

 

 

 

 

ここもまた道中まではスムーズに進んだのだが…今度は違和感があった。

人間の里ってこう、建物がたくさんあって人もたくさんいるはず…なんだけど、なにかあったのかな。

 

そう思っていると女性と言うべき人が出てきた。

スタイルはどっちかって言うとよく、なにがとは言わないけど谷が見えてる。恥ずかしくないのか。

しかも、帽子も今にも落ちそうな見た目をしている。

そよ風で落ちるんじゃないの?って感じだけど、落ちないのなら大丈夫…なのかな?

 

 

「お前達だな。こんな真夜中に里を襲おうとする(やから)は」

 

「……襲うだなんて失礼ね。一目見てそれなんてとんでもないわ」

 

「端から見ればお前達はそう見える。だからこそお前達妖怪には、人間を渡さない。今を無かった事にしてやる!」

 

 

なんて理不尽な。

会話ぐらいさせてほしいものだ。

そう思いながら今度は小声で前に出てもらえるよう紫に耳打ちした。

お願いしている、と分かりづらくしながら話すのは大変だったけど。

それからまた少しすると今日数回目の宣言を聞いた。数えてないから正確な回数は知らないけどね。

んで、何回か叫ぶのを見ていてなんとなく思った。

あえてスペルカード宣言をするときに叫んでるのかな…と。

もしかしたら、宣言したとこっちが認識してるからそうなるのかな。

さっぱり分からないね。

 

 

 

 

 

 

 

倒したあと、またしばらく里の方へ向かっていたらまたさっきの女性が出てきた。

 

「お前達は一体なにもんだ?」

 

「それをあんたに問い返したいところだけども…聞いてはくれないわよね」

 

 

んでさっきの繰り返し。

なにが原因なんだろうな。

……まさか……紫!?

と考えていると紫が目の前でくしゃみをした。

しかも『くしゅん』なんて言うものだから、なんか可愛い。

 

 

 

 

 

 

そう思いながら退け、また前へと進む。

いい加減に里が見えてもいいと思うんだけどな。

 

ってさっきの女性が今度は名前が見やすい場所に出てきた。

彼女の名前は上白沢慧音って言うらしい。なんか思い出したみたいな感じで名前がパッと浮かんできたし。

 

「しつこいわね」

 

…あれ、なんかこう言ったらばつが悪そうな顔をして来た。

なんだろう、このセリフが言いたかったのかな?仕方のない人め。

 

「んで、もうあんたのことはいいのよ。異変より人間の里のことが優先だわ。今、更地みたいになっているこの場所にその里があったはずよね。どうしたのよ」

 

「どうもこうも。お前達には見えないように隠しただけだ」

 

「霊夢、こんな場所で道草を食べてる暇は無いのよ。こうして会話している間にも夜は更けていくのだから」

 

「み、道草って……。でもそうね。月が沈んでも異変が終わらなかったら面倒そうだし、ごめん願いたいわ」

 

「そう話をして油断を誘うつもりか?そうは行かない。元々ここには誰も住んではいなかった。そういうことで、諦めてくれ」

 

 

確かに空き地だなぁ、と思う。

月のことも気にしなきゃいけないけど、人間の里もなんか気をつけていなきゃいけないような気がする。

なんでだろう。

 

 

「ねぇねぇ、そう言うのはいいけども…私には普通に見えるんだけども。この程度の幻術なんて全然役に立たないわよ」

 

「見えっ……!?ほ、本当にお前達何者なんだ?」

 

そう驚いたように言うけどさ、私には見えてないんだけど…。

『隠した』と『幻術』の違いがこれっぽっちも分からないけど、たぶん相手が悪かったんだろうね。

…格上だと見えちゃうのかな。それとも偶然かな。今は別に知らなくてもいいんだけどさ。

 

「大丈夫大丈夫。私には全く見えてないわよ」

 

「そ、そんな風に情けをかけられてもな…」

 

 

情け……ある意味そうなる、のか。相手からすれば片や見えて、片や見えないと言ってるわけだし。本当かどうかなんて確認のしようがないもんね。

でも、相手が境界を操るあの胡散臭いスキマ妖怪じゃなぁ。

どうフォローしても信用されるかどうか……。

 

 

「そういえばあんた。半獣でしょ?」

 

「確かにそうだが、満月じゃなければ人間だ」

 

「へぇ、そうなの。人面犬とか人面魚とか(くだん)とかと大差なさそうね」

 

「何で顔だけ残して変身する必要があるんだ。変身は全身だ」

 

「本当に?頭だけ獣に変身とかそういうのとかも見かけたような気がするわよ?」

 

「……まぁいい。そこまで言うなら、もう後には引かせない。お前達の歴史を満漢全席にしてやる!」

 

「私はともかく、こいつの歴史は点心位にもなるかどうかってものだと思うのだけれども」

 

「……勝手に人の歴史を食べ物の歴史と一緒にするんじゃないわよ」

 

 

そう言うと何故かこっちをまた驚いたような目で見てきた。

もしかして気づいたから?

というかどういう意味であれ、どこかで満漢全席は聞いたことあるからね!

確かフルコースって意味だったはずだよね!……だよね?

 

 

 

 

 

 

 

とにかくムカついたので私の意地とこの体の勘とかでどうにかする。

意地じゃなにもできないけど、どうにかするったらどうにかする。

って言うか弾幕が今までに増して濃い!

いや、最初から濃かったけどさ。

スペルカートもなんか濃くなってて大変すぎる!

紫を引き連れてなかったら多分大変なんだろうな、ってぐらい凄い。

 

 

…まあ、でもそんなことしなくてもやってたら避け方は確立できそうだね。うん。

 

 

 

 

 

 

 

一応どうにかなって攻略は上手く行けた。

いやまぁ、今までのが濃かったのもあるし、一つだけ周りがほぼ見えないのがあったし。

それはいいとして何故いきなり襲ってきて…。会話ぐらいしてほしかったけど。

 

 

 

 

っと、そう思っている場合じゃないや。

今なら話聞けるでしょ。

「とりあえず人間の里は見えるようにしてちょうだいね」

「戻しても大丈夫よ。元々ここの人間とあんたなんか眼中に無いもの」

とほぼほぼ似た…いや、一緒かな?

 

「里や人間に興味がない?……なら、何処に行こうとしてるんだ?」

 

 

「あっち」

と紫が言うとあらぬ方向を指差した。

そっちじゃないのに。

 

たぶん

「こっち」

 

「どっちも違う。……異常な月の原因を作った奴なら、そっち」

 

「あら、それはどうも。あと少しで全く検討違いな場所へ行くところでしたわ。……でもよく行く場所が分かったわね、あんた」

 

「ここまでして、判らない方がおかしいわ」

 

 

そ、それはそれで理不尽なんじゃないかな。指差してすぐに分かる察しのいい人がたくさんいるわけじゃないんだしさ。

まあ、いいか。分かったもんは分かったんだろうし。先に進むかな……。

さっきの人が言った方向に飛べばたぶんつくだろうし!

 

 

そう考えた私は紫と共にその方向へ向かうことにした。




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第8話 永い永い夜後編

多分凄く長いと思いますが、平気な方は適当に読んでやってください。

あと遅くなったのは色々と別のことに浮気していたからです。すみません。
因みに今回は会話より思考が多めです。


言われた方向に向かったのはいいけど、竹が生い茂っていて凄いことになっている。

さながら林みたいに。

 

おそいかかってきた妖怪を退けつつきたのはいいんだけど、こんな場所にいるのかなぁ。あの月の元凶が。

なんかこう、竹とかを見てると異変ってより童話の方が頭に浮かんで仕様がない。

確か…竹取りの翁って話だっけ?

 

あり、違うな。もうちょっと分かりやすい名前で……分かりやすい名前……。

なんだったっけ?

 

 

まあ、いいや。

多分あとで思い出すでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度進むと例の如く目の前に人物が表れた。

でも、何故かすごく見覚えのあるようなと思っていたら思い出すかのように脳内へと名前が出てきた。

なんでも霧雨魔理沙というらし…って魔理沙?

どうしてこんなところに…。

 

「動くと撃つ!間違えた。撃つと動くだ。今すぐ動く」

 

「そう言われると、矛盾してると言いたくなるわね。んで、それはいいとして何故ここにあんたがいるのよ」

 

「さぁてな。私はいつも通り、迷惑な妖怪を退治しているだけだぜ」

 

「あら、そうなの。でも残念ね。私は異変を起こした妖怪を退治しに行くところなの」

 

「お前、それだと普段の妖怪退治と大差ないって言っているようなものだぜ。私は違う。迷惑な妖怪を退治しにきたんだ」

 

「あら、そうなの。でもそれじゃなにも解決しなさそうね」

 

「そうよ。こんな夜にあなたが一人でなにができると言うのかしら」

 

「さっきも言っただろう?迷惑な妖怪退治だ。それに異変が解決できないと決まった訳じゃないだろ」

 

「で、迷惑な妖怪って一体誰のことかしらね?」

 

「お前の事だよ。今はとぼけてるけど、どうせ夜と昼の境界でもいじったんだろ?」

 

 

もはやチートな域だね、ほんと。

境界さえあればなんでもいじくれるってことになるんだから。

この世界じゃほとんど負けないんじゃ…?

まあ、宣戦布告とかしてこないだろうけど。

 

 

「紫だけじゃないわ。夜を止めているのは私達。かといって理由もなくただ単に永くさせているわけじゃないのよ」

 

「そうよ。あなたは、後ろに目が無いのかしら?」

 

「あー?後ろ?月と星空しかないぜ。ああ、ここは竹林だから竹もあるか」

 

 

そう言って半身だけ振り返り背後の空を見る魔理沙。

月を見ても分からないのは私と一緒か。

まあ、私達には無害だし仕方ないのかもしれない。

 

 

「そりゃ無いわよ。でもそうね、やっぱり分からないみたい」

 

「悪いが、日本語を話してくれ。ここは幻想郷だ」

 

「それもそうね。悪かったわ。魔理沙にはこう言っても分からないみたいだし」

 

「あの歪な月は危険だというのに……」

 

「私やもう1人に問題がないから人間には害をなさないんでしょうね。大した害があるなら見た瞬間にでも私達がどうにかなっているわよ」

 

「何だか知らないけど、夜が終らない方が害だらけだぜ。妖怪は夜に人を喰うだろ?夜が続けば、喰い過ぎで妖怪もいずれ消え失せる」

 

「そうなるわけないじゃない」

 

「いや、なる。だからそうなる前に退治しないとな」

 

と話すといきなり弾幕をはってきた。

もうこれは一度弾幕ごっこで勝たなきゃ先に進めないな。

そう思った私はその弾幕を避けつつ攻撃をすることにした。

 

スペルカードは少し使ってきた。

魔理沙らしい星みたいな弾やらなんやらを飛ばしてくる。

飛ばしてくるのはいいけど、ちょっと多くないか?

数回スペルカードを使ったり、弾幕をはってきたと思ったらそのまま行ってしまった。

 

 

「どこへ行くつもりなのかしら」

 

「どこへ行かれたとしても地の果てまで追いかけるわよ」

 

 

 

 

そんな物騒な会話をしてから再度進む私達。

こんなんでいいのだろうか?いや、よくないと思います。

 

 

 

なんてこともあったけど、また魔理沙が目の前に出てきた。

「あれ、なんだ霊夢じゃないか。どうしてこんな場所にいるんだ?」

 

「さっきも会ったじゃない。白々しいにもほどがあるわ」

 

「さっきのは紫の分だからな。んで、今度はお前の分だ!」

 

と言うと弾幕を放ってきた。

当たり判定がまだいまいちつかめない星形以外はなんなく避けれるようになった私は…油断しなきゃどうってことはないんだよ。

 

っていうかあれ、どこで避ければいいんだろうね。

そのうち分かるんだろうけどさ。

 

 

にしても面白い動きをする弾幕だなあ、なんて思っていたらしっかりと聞こえたものがあった。

 

――恋風「スターライトタイフーン」

 

 

またスペルカード、か。

リグル達もああやって宣言してきたし、なんかこうどこで枚数を決めてるのかって気になってくるね。

強さで変わるとか…はないよね。うん、きっと。

まあ、こっちにもボムと言う名のスペルカードがあるからいいんだけど。

弾消し用とかにしか使えないけどさ。

 

 

厄介な弾幕を危なげに攻略した私は次の弾幕に苦戦はしなかった。

むしろ楽に感じた。

だからあっさり突破し―――尚且つ後悔した。

何故なら

 

――恋心「ダブルスパーク」

 

そのスペルカードがとんでもなかったから。

全く、これの難易度は一体なんだろうって思う。

手加減…のわりには最初の敵であるリグルから弾幕が濃かったような。

そう言えば、確か蛍符「地上の彗星」なんて宣言していなかったっけ。まあ、いいんだけど。攻略はしたし。

正確にはクリアした、なんだけどね。

 

 

 

一応攻略はした。

そしてそのまま次を宣言してきた。

 

――光撃「シュート・ザ・ムーン」

 

それを聞いてから少しすると背後からレーザーのようなものが見えた。

一瞬ビックリしたわ。

 

というかビックリしている場合じゃない。

前から星形の弾が飛んできてるんだし避けないと。

 

 

 

 

そう思って少し避けていて気がついた。

思いっきり目に見える魔方陣が背後に行ってないか?

それを見て読めば今より楽になるんじゃないか?

斜めのレーザーがあるとは言え大分楽に……。

 

 

 

 

考えたことを試してみたら案外いけた。

安定して出来ないのはなんとも言えないけど、それでもしないよりはマシ。

これこそ“当たらなければどうということはない”って言葉があうね。

 

 

なんてやっていたら、また宣言してきた。

――魔砲「ファイナルマスタースパーク」

 

…あっ、これって…まさか…。

そう思っていると極太レーザーが飛んできた。

隙間に避けることが出来たのはいいけど、今度は交互に来る星形の弾が。

紫を前にしても大変ってこれは……気合い避けしかない。

そう、流れに身を任せて避ければいいって誰かが言ってた気がするから!

 

 

 

 

 

 

ボムを1回また使いそうになったけど、ギリギリ使わずに済んだ。というか無理矢理済ませたんだけど。

でも、気がついたら魔理沙の向こうに建物が見える。

いつの間についたんだろう…。

 

「まさか魔理沙を追いかけてたら、目的地についてるなんてね。驚いたわ」

 

「本当あなたって幸運の持ち主だわ。うちの藍にも分けてあげたいぐらいに」

 

「くそ。一体、なんなんだ?」

 

「あなたの行動のお陰で犯人がわかったわ。つまり無駄じゃなかったってことよ」

 

「犯人の居場所は確かに分かったけども、犯人まではさすがに分からないわよ」

 

「とりあえず負けたんだから仕様が無い。もう帰って寝る。次、起きた時に夜が明けてる事を祈るぜ」

 

「はいはい、永遠にお休みなさい」

 

「体とか冷やして風邪とか引かないようにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言って建物の方に進み、中へ入ると何故か声が聞こえてきた。

 

『穢き所に、いかでか久しくおはせん』

 

聞こえて少しもしないうちに閉じていた扉が見える限り全てが開いていった。

お、音声システム!?

いや、幻想郷にそんなハイテクなものがあるわけない。

んじゃあ一体…。

 

 

 

そこをまっすぐ進んでいたら、たれたウサギの耳を持つ少女が出てきた。

名前は因幡てゐというらしい。

 

 

 

んでそのてゐを倒してからまた進んでると、これまたウサ耳を生やした…というかつけているみたいな少女が出てきた。

あそこまで立つ耳あるんだね。

 

っと名前は…何故か思い出すかのように脳内に名前が出てきた。

鈴仙・優曇華院・イナバ

 

鈴仙か優曇華院(うどんげいん)って呼ばれてそう。

 

「随分と遅かったわね。あなた達が来る前に全ての扉は封印したわ。もうこれで姫は連れ出せないわね」

 

「なるほど、犯人の肩でも(かつ)いでるのかしら?」

 

「さぁねぇ。取り敢えずいつもの通りに退治してみたら?きっとなにか分かるでしょ」

 

「なんだ、妖怪か。そうよね、妖怪がこんなところまで来れるはずが無いし。連れ去られないか心配して損したわ」

 

「あら、私は人間よ。今日一日で人間を辞めた記憶はないわ」

 

「人間ならなおさら無理ね」

 

「一体、何を心配していたのかしら?こんな悪さしておいて」

 

 

姫って言ってたと思うけど。

十中八九それのことだよね。

 

 

「悪さ?それって…地上の密室のことかしら」

 

「月のことじゃなくて?違うんだったらよく分からないわね」

 

「そうね、満月の事だったはずよ。よく分からないけど」

 

「ああ、なんだあの月の事?それはね、私の師匠こと永琳の取っておきの秘術。この地上を密室化する秘術なのよ。つまりどういうことか判る?」

 

「密室化……?月との関係性が分からない以上、そんなの分かるわけないじゃない」

 

そう話していると弓を持った女性が出てきた。

赤色と青色がベース目立つ服にナース帽をかぶっているのを見てなにかそういう系が得意なのかな、と軽く想像してしまう。

名前は八意永琳っていうんだね。

 

「いいえ、そんなん説明じゃ人間には判らないわ。それに、私にとっては満月を無くすだけの術。取っておきでも何でもないわ」

 

「霊夢。こいつが犯人よ。匂いがする」

 

「確かに犯人なんでしょうけど…なんか違うわね。勘がそう言ってるわ」

 

「そう。とりあえずあの歪な月を元に戻してもらいましょうか」

 

「……戻すにはまだ早いわ。今、はいそうですかと解く訳にはいかないの。ウドンゲ。荒事と狂気は全てお前の仕事でしょう?あとは任せたわ」

 

 

優曇華院じゃ、なかった…だと!?

あ、すみません。

 

 

「お任せを。これ以上先には進ませませんので」

 

「んじゃ、どうにかして追いかければいいのね。見失いそうだけども」

 

「そうねぇ。それにこいつはあまり関係なさそうだものね」

 

「最近、戦える相手が居なかったのよね。丁度いいわ。あなた達に全て見せてあげる。本当の月の狂気を!」

 

「月の狂気?そんなの狼人間とかにしか効かないんじゃないの?まあ、あれはフィクションだったけども」

 

「あなどらないでほしいわ。これでも月に来た人間を狂わせた催眠術なのよ。ま、でもあの人間はすぐにやられてたけども」

 

「こいつ、危なそうね」

 

「月は人を狂わすものなの。その月の兎である私の目を見て、あなた達はどれだけ狂わずに居られるかしらね」

 

 

 

その言葉を最後に弾幕を張り始める鈴仙。そう、私が勝手に呼んでるだけなんだけどね。

と、それと同時に変な感じがしてきた。

なんていうか視界が歪むと言うかなんと言うか…。

なんじゃこりゃ。

 

 

ってなにあの弾。

もはやあっちであったような銃弾もどきじゃない。

実物は触ったことがないし、日本じゃ触れない。

ゲームのなら知ってるんだけどな。

 

なんて余計なことを考えながら避けているうちに弾幕が終わっていた。

その分

 

――幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)

 

違うものを避け始めることになった。

なんともまあ、不規則なものだった。

避けにくいのなんのと大変で紫をメインで避けてもらうはめに。

 

 

それを同じような動きで避け続け―――正確には交代しながらなんだけど―――攻略した私は次の弾幕を避け始めた。

少し厄介だけど、避けれないわけじゃない。

安地を探すことより倒すことが目的なのだから。

それに安地はなくてもいい。

変な風に言うならば『避けれられば良かろうなのだ!』…とか?

 

つまらないから却下しよ。

 

 

 

 

 

 

 

――狂視「狂視調律(イリュージョンシーカー)

 

発動された瞬間、『ああ、これは面倒だな』と思った。

今はなんともなさそうだけど、これがしっかり張られるとどうなるのか。

なんとなく想像がついたから。

 

弾幕…というか見た目が弾丸の弾の当たる部分が小さめなのがいいところだと思うけど、こんな感じのスペルカードは厄介だと思う。

赤色の弾丸だけじゃなく青色の弾丸まで気にしないといけないから。

 

 

紫を前にして避けてもらったけど、下手したら時間で終わりそうなギリギリものだった。

なんて面倒な…。

 

 

普通の弾幕はさっきのスペルカードとの間隔が別の時より気持ち短かった。

そのせいもあって全部は回収できなかったけど、少しはとれたからいいことにしよう。

むしろしたい。

 

見た目はかなり凄く避けづらそうと思ったけど、実際は避けやすいものだった。

え?なんでそうなのかって……何度も避けてて実は簡単じゃないのかって思って避けてみたらそうだったってだけだよ。

誰に聞かれたわけじゃないし言う必要もないんだけどさ。

 

 

分かれば簡単な話で、3つのものが私達がいる方向に飛んできているだけ。

米粒みたいな弾幕だから油断さえしなければ普通に避けれる。

 

 

それに私には威力こそないけど、追尾するお札がある。

避け続けても多少は問題ない。

そうしているとスペルカードを宣言するってポーズになった。

そんなにポーズが大事?

 

――懶惰「生神停止(マインドストッパー)

 

 

止める人なんかい、なんて心の中で突っ込んだ。

けど、弾幕は優しいものじゃなかったことを数瞬後に知ることとなった。

 

迫る円状の弾幕。それを中心点で見てると止められる。

まだ数えるほどしかスペルカードは見てないけど、その止まっている間はなんか当たらない。

というか当たり部分がないのか。

どちらにせよそれを使わない手はないね。

 

 

 

急いで移動する時は私で、避けたりする時は紫。

そんな感じでやっていたらタイムギリギリなものの、クリアはできた。

 

 

――散符「真実の月(インビジブルフルムーン)

 

名前とその読み方の矛盾が酷いスペルカード名…だね。

トゥルーフルムーンとかの方がいいんじゃないかな?

……いや、なんか変だね。

 

でもこれはこれで面倒だね。

さっきと似たような円状の弾幕とは言え、今度は鈴仙を中心にして出てきているし。

その弾丸みたいな弾幕は赤色と青色があって、その上に小さな丸い青色の弾が規則正しくはられている。なにこれパズル?

 

弾丸型の弾が消えると丸い弾しか残らない。

けど、これってパターンの動きに入りやすいんじゃないか?

そう考えたら吉日。やってみるかな!

 

 

 

そう思ったらやれた。紫にも教えたのが功をなしたのかな。

それともそもそもの紫の…あ、これは妖怪だし、長生きしてるんだからそりゃそうか。

 

 

 

――月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)

 

次のスペルカードは考える暇もなかった。

ほぼ気合いで避けに徹するしかない。

左右から来るし、確かに色別に早さが違うこともなんとか見えた。

でも、それを入れても避けづらい。

紫からなんか怪しむような、不思議なものを見るような視線が向けられているような気がする。でも、そこまで気を回す余裕なんてないし、あったとしても何故そんな視線を向けてくるのかさっぱり分からない。

 

 

 

……結局、1度だけボムを使ってしまった。

一応攻略扱いにする。私の中ではね。

 

「…とりあえず、さっきのでも追いかけるわよ」

 

「でもさっきのはどこへ逃げ込んだのかしらね。扉が多すぎて全然判らないわ」

 

「さっきの………って、師匠のことをさっきの呼ばわりしないでちょうだい」

 

なんか言ってた気がするというか聞こえたけど、あえて無視。

あなたのせいで目が痛いんだぞ。

 

「ねぇねぇ、紫。あの扉だけなんかおかしくない?」

そういって多い扉の中の一つを指差す。

 

「ああ、そこは!…そこの扉だけは駄目よ!」

 

「さっきの犯人はあそこね?」

 

「ええ、私の勘があそこだと告げているわ。ほら、行くわよ」

 

「あぁ……師匠にこってり叱られるんだ、私……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その扉を進むと廊下に入った。

窓などがある。

なんていうかチラチラと見える外が凄い気がする。

進んでるとさっきも鈴仙のとこで出てきた永琳があらわれた。

 

「ああ、もう。こっちの扉に部外者が入らないようにって言ったのに」

 

「霊夢。こいつの言っている意味、わかるわね?」

 

「この道の先にこの異変のきっかけになった人がいるって言うんでしょうね。そうとしか思えないわ」

 

 

 

 

弾幕がはられた時、紫に前に出てもらって回避してもらったんだけど、なんかこっち狙いのもあったから楽そうだった。

でも、私の時にも来るかって聞かれたらノーだろうから…ふむ、仕方ないね。

 

 

 

 

――薬符「壺中の大銀河」

 

 

なんて面倒なスペルカードだと思った。

魔方陣みたいなのが私の周りにきてそこから外側に弾幕を張る。

 

その分、厄介なのが小さな丸い弾。

粒みたいだから当たる部分も小さい。

そんな当たり前のようなもんだけど、それが若干私達を狙ってきているかのように飛んでくる。

 

 

まあ、なんとかなったんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

それで少し進むと外に出た。月が久しぶりに見えて、綺麗だなと思った。

んでもって目の前に少女がいる。

長い黒髪で、和服なのにドレスみたいな服装をしている。なのに凄くにあってて可愛い。

名前は蓬莱山輝夜…だったかな。なんか思い出した?かなんかしたみたいだし。……私が。たぶん。きっと。

 

「久々の満月が……」

 

「そう、地上から見た本物の満月よ。それにしても人間と妖怪……。今日は珍しい客ね」

 

「あんたは……。一体何者?」

 

「私は輝夜。でも、あなた達が先に名乗ってないのに私の名前を聞いてきた事は怒らない」

 

「その程度で恩を着せようなんてのは甘いわ」

 

「誰もそんな事言っていないわ。最近、永琳が屋敷の外に出させてくれないのよ。だから、たまのお客様は大切に扱うわ」

 

「たまのお客様って…なによ?もしかして珠のお客様?」

 

「どうしたらそんな言い方になるのよ。不思議でならないわ」

 

「ふふ、それもよさそうね。でも、人の身に宿るは儚い(たま)。その人間が住むのは大きな球。そして、(とうと)き民が住むのは……後ろに見える狂おしい珠」

 

「で、これから私達が避けるのは」

 

「美しき弾、っと。そういうことよね?」

 

「私がこれから言おうと思った台詞を取らないの。そればっかりは怒るわよ」

 

「あら、それは失礼したわ。先がなんとなく読めたもんだからつい。でもほら、おっちょこちょいな弾のお客様って思ってもらえればなって思うんだけど、どうかしら。弾幕が見たいがあまりそこが抜けちゃったー、みたいな?」

 

「全くもう、せっかちね。焦らなくてもちゃんと見せてあげるわ。本当の月が持つ毒気を!それと、私からの美しき難題を!」

 

「本当に暇そうね……。もしかしてずっと遊び相手を探していたの?」

 

「って、確かにそうかもしれないけども~。身を隠さなきゃいけなかったから仕方ないのよ。でも、今日はその分思いっきり遊ばさせてもらうわ」

 

「それはいいとして、満月が見れるんならあとは倒すだけね」

 

「あら。あいにく、本物の満月はここでしか見れないわよ」

 

「な…なん…だって…?あぁ、いや。倒せばどうにかなりそうだから別にいいんだけどもさ」

 

「ねぇ、あなた達。そういうのはいいんだけどもそろそろ心の準備は出来た?」

 

「出来てない」

 

「全然出来てないわ」

 

「あら、そうなのね。でも待たない。さて、今まで何人もの人間が敗れ去っていった五つの難題。それがあなた達に一体幾つ解けるかしら?」

 

そういうと弾幕を張ってきた。

色とりどりでつい綺麗だと思った。でも残念だけどこれ、全部避けないといけないのよね。

全然人の話を聞いてくれなくて若干驚いたけど。

 

 

 

 

 

――神宝「ブディストダイアモンド」

 

 

今までより厄介だけど、ここまで来れたんならどうにかなる。

レーザーとばらまきで放たれる星形の弾に気を付けつつ、私達を狙ってくる楔みたいな弾を避ければまだ。

それでも辛いけどね。内心凄くヒヤヒヤしてる。

普通の私だったらもう精神的にやられてたかもしれないぐらいやばい。

 

まいっちゃうわー…。

 

 

 

 

避けつつ私や紫が交代で反撃していたら次の弾幕にいっていた。

それもそれで厄介だった。

 

 

 

――神宝「サラマンダーシールド」

 

さっきのスペルカードと違ってなんか今度は炎みたいな弾が出てきた。

しかもそれと同じくして赤色のレーザーまで出てくるし。

レーザーは私達を狙ってきてるから避けやすいと思った。

……その後ときおり出てくる私達狙いのレーザーさえなければ、ね。

 

 

 

 

 

 

それを攻略すると次の弾幕として全方位に向けて弾を放ち始めた。

それだけだと思ったら背後からも弾が。

しっかり避けないと辛そう……というか辛い!

いざとなったらボムでも使おうかな。

 

 

そう思っていたら大丈夫そうだった。

さすが勘。いや、才能…なのかな?よく分からない。

 

――神宝「ライフスプリングインフィニティ」

 

 

レーザーが全方位に向けて放たれた。

なんか凄く避けやすい、と思ったけどそうでもなかった。

なんか列をなして来る弾が見える。

速度差もあるみたいでそれが余計に面倒くさくしているみたい。

そう私は感じた。

 

 

 

 

 

 

 

――神宝「蓬莱の玉の枝 ‐夢色の郷‐」

 

まさかここまで来れるとは思わなかっ―――あれ?

と疑問に思ってようやく思い出した。あの童話のタイトルを。

そうだ、『竹取り物語』って名前だ。

今は物凄く関係ないけどね。

 

 

弾幕の方はパターンの動きをすればよさそうだと勘がいっていたのでそう避けている。

弾の動きがはやくて油断ならないけど。

まあ、まだこれでもマシな方なのかもしれないけどね。

 

 

 

 

そう思っているとこれもまたいつの間にか攻略できていた。

だけど、いきなり輝夜が納得したような顔つきになった。

もしかして、あの感じは…

 

「なんてこと!そう、夜を止めていたのは貴方達だったのね。貴方達が作った半端な永遠の夜なんて、私の永遠の術で全て破ってみせる。夜明けはすぐそこにある筈よ。どう?これで永遠の術は解けて、夜は明ける!!」

 

そういうと何故か私達…というか今は私が前なんだけど、攻撃が途中で消えて輝夜まで届かなくなった。

そこに

 

――「永夜返し ‐待宵‐」

 

と宣言してきた。

なるほど。こりゃあ…厄介だ。

紫に上下に動いて避けてもらいつつ、切り返す時は私が動いて避けた。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐子の四つ‐」

 

これもまた大変で弾が交差しているみたいに見えるほど張ってくる。

それを横移動などで避けていく。

攻撃が届かないせいで今までのどれよりも苦戦しつつある。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐丑の四つ‐」

 

赤色と青色の交差する弾。

さっきとは違って網のように張ってくる。

これも交代しながら上手く避けないといけない。

でもそこは博麗の巫女だからなのかそれとも弾幕に慣れ始めていたからなのか。

なんとかなってる。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐寅の四つ‐」

 

これまた全方位か…。

と思っていたら、赤色のでかい丸弾(まるたま)が私達に向け飛んでくる。

今さらだけど、本当に今さらだけど、当たり判定があるのは前に出ているどちらかにのみ。

しかも攻撃も前に出ているどちらかの物しか出ない。

 

おかげさまで攻撃と、避けはどちらか一方が行わないといけない。

んまぁ、そのおかげで上下左右の動きを交代交代でするはめになっている。

ほんと、凄く忙しいね。

 

 

 

 

 

 

――「永夜返し ‐世明け‐」

 

今度は優しいな…と思っていたら段々きつくなっていく弾幕。

最初は交代、濃くなり他の弾が混じってくるようになってからは徐々に紫メインへ。

でもここまで来たらどっちの異変も終わるだろう。

ああ……凄く長かった……。

 

 

そのラストスペルを攻略し終える頃には眩しい太陽が登り始めていた。

―――そこで理解した。もう、幻想郷の夜が明けたんだと。




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第9話 異変解決後、霊華と

息抜きで書いた方が読まれやすいとは思ってもみなかった私こと、篠崎です。

本当、ありがとうございます。

誰得ですが、こちらを先に投稿してみました。
適当にゆっくり読んでもらえれば嬉しいです。


あのあと、紫の説明によってそもそも幻想郷は博麗大結界によって隔離されていること、月から使者とやらが入ってこれないことを知ったらしい永琳がその秘術を解いた、と本人から聞いた。

 

そして、しばらくした後…どうやら永遠亭として里との付き合いをしているようで鈴仙が――

「…なるほど。あなたにとって初めての異変解決はどうやらスムーズに終わったようね」

 

「ぶっ!?」

驚きのあまり飲んでいたお茶を吹き出してしまった。

あー…一応服が濡れないようにしたのはいいけど、境内にやっちゃった…。あとでなんとかしないと。

…にしても足音がしないとかなにをどうすればそうなるの。

 

「あら、お茶飲んでたのね。よく見てなかったわ。…それで、異変解決はどうだったのかしら?」

 

湯呑みを左横に置いて、そのまま半身だけ振り返ると霊華がいた。

服装は巫女装束なんだけど、その上から体つきのよさが分かるってどれだけ鍛えたんですか、本当。

 

「一応解決はしてきたわ。内心焦りまくりだったけどもね。あ、もちろんスペルカードルールにのっとって、よ?おかげさまできれいな弾幕を見れたわ」

 

 

そういうと我が子を見るような微笑ましい顔で見てくるのは何故?

血縁関係かは分からないけど、先代である以上関係のない人じゃないだろうしなぁ…。

 

「そう、そうだったのね。それでこれから里におりるんだけども、一緒に来る?」

 

「あ、いいわね、それ。ついでに里からこの神社に行ける道をどうするかって話がしたいから歩いていってくれないかしら」

 

 

歩けば鍛える分より大して体力はつかないけど、そういう話をするんなら嫌とは言えないだろう。多分。

 

「あー、別にいいわよ。神社についてあんまり知らないあなたがそうやってなんとかしようと頑張ってくれるなら教えるわよ。あと帰ったら体鍛えるわよ」

 

 

あ、忘れてないのか…。

惜しいな。忘れてたらやらずにすんだのに。

まあ、体力がつくから別にいいか。

……ごめんなさい、半目で見ないでください。

 

「ま、霊夢。前より軽くしてあげるから安心してちょうだい。とりあえず急須とか湯呑みとか片付けるわよ。ほら、立つ」

 

「あ、悪いわね。言葉に甘えさせてもらって手伝ってもらうことにするわ」

 

そういって立った時、苦笑いしてきた。いや、なんで?

手伝うって一言も言ってないこと?

んまぁ、いいや。

 

 

「…別になんでもないわ。とりあえず洗っていくわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからそれなりに経った今。

獣道の方を通って里に向かっている。

それにしても…

「これじゃあ参拝客も来づらいわね。若干視界が悪くて危ないし…」

 

「でもここは外の世界とは違うのよ?それにどうするつもり?」

 

「でも電気は通ってるわ。そこをどうにかすればなんとかなるんだけども、通る方法よね。結界…だと疲れるし、式神とか…?」

 

「あら、意外ね。真面目に考えられるとは思わなかったわ。あなたのことだから外の世界にいた時の常識とか知識とか出してくるものだと思っていたんだけども…」

 

 

人が真面目に考えたらそれか!

それに外の世界で出来たことが幻想郷で実現できる保証はないんだよ!?

そりゃ代替(だいたい)品とか探すなりなんなりしなきゃでしょ!?

 

 

「そりゃ真面目に考えるわよ。ただ問題は祀っている神様がいるか…よね。呼んでもよさそうなんだけども、もし中に神様がいたら大変だし同居しても平気な人を探さないとね」

 

「…そ、そう。なんかあなたなら簡単に探せそうな気がしてきたわ」

 

 

そういうのはいいけどさ、何故ゆえ頭を抱えるの?

そんな頭痛くなるような話はしてないはず…。

 

 

「そんなことはないわ。だからこそ、里の様子を見て決めるのよ。その上で信仰してもらいたいんだけどなぁとかそう考えてる人に決める。安全祈願でもよさそうだけどもね」

 

 

今度は驚いた顔で見てくる。

なに一人で百面相してるの?って思えてきたけど…もしかして私?

……そんなまさかね。

 

 

「まあ、とにかく里でも巡ってなにが必要なのか知っておきたいわね。学業関係は多分幻想郷にはいらなそうだし」

 

 

外の世界みたいに学校があれば話は違ったんだろうけどね。

幻想郷(こっち)にはない。……多分。

 

 

 

「まさか霊夢の方に精神がある程度引っ張られて…」

 

「ん?霊華、なにか言った?全然聞き取れなかったのだけども…」

 

そういうと「なんでもないわ」と言われてしまった。

本当になんでもないならいいんだけどなあ…。

 

そう考えていると里の入り口が見えてきた。

ふむ、今はまだ朝だから道とかが見えたんだろうな。

だとすると夜になったら文字通り獣道と化すんだろうな。

 

 

 

 

里は見た感じ、多少は広そうだった。

それなりに人もいるし…。あ、でも子供の方の割合多いな。

早起きなのかな?…あ、でも私もどっちかって言えば子供か。

 

「一応あなたも知らない場所があるでしょうから、案内するわよ。ただ……私と一緒だって言うことを忘れないようにね」

 

「それってどういうことよ」

そういって半目で睨むとなんかついてくれば分かるみたいなジェスチャーしてきた。

はいはい、ついていきますよ。

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして。

里をくまなく案内してもらったのはいいんだけど、凄い。

『巫女さん』とか『博麗の巫女』とか色々な人に呼ばれていた。

まあ、そんな風に呼んでたら名前も忘れ去られちゃうわな。

因みに私は『霊夢』が多かった。

 

…うん、これ、忘れる忘れない以前に名呼びじゃあないか…。

 

 

「あんた…霊華って名前を今度から名乗った方がいいんじゃないの?多分少しは呼んでくれるでしょ」

 

「それもそうね。一応考えておくわね。…ただあなたは巫女とすら呼ばれてないわよ?」

 

「いいのよ、別に」

といって唇を尖らせる私。

拗ねてるわけじゃないんだよ?

ほら、博麗霊夢って名前と博麗の巫女だって覚えてもらえてればまだワンチャンあるかもでしょ?

 

そう考えていると霊華が微笑ましそうにこっちを見ている。

ど、どういうつもりなのかな…?

 

 

「あっ、そうだわ。お昼の前に寄ってほしいところがあるのだけども…いいかしら?」

 

「ええ、構わないわよ。まだそれなりに時間があるはずだからね」

 

よく大体の時間が分かるなぁ。

私にはいまいち分からないのに。別に困らないんだけどさ。

とりあえず行くか。ちょうど霊華もいるんだ。紹介がてらにはいいだろう。

なんか見ておかなきゃいけない気がするし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということで私達は鈴奈庵の前に来ている。

鈴仙がなにをしているのかは永琳から予定を聞いてるし、やってるんだとしたらそれしかない。

分かるものよりこっちを見ておきたくなったからこそ来た。

なんでかは私自身よく分からない。

 

「目的の場所はここよ。因みにどうでもいいでしょうけど、小鈴んちでもあるのよ」

 

「……そうなのね。その中に用事があるというわけね」

 

 

なんで一瞬間があいたんだろう。

疑問には思うけど、別に大丈夫…かな?うん、きっと大丈夫。

 

 

「とりあえず中にはいるわよ」

 

「分かったわよ」

 

 

 

 

そう話して中に入る私達。

そこへ

「あら、いらっしゃいま―――あ、なんだ霊夢さんですか。一緒にいる方は初めて見ますけど…」

 

「ええ、どうもね。あ、こっちは私の前の代の巫女をしていた霊華よ」

 

「ふふ、宜しくね」

 

 

と霊華が言ってニコッと人懐っこい笑みを浮かべると小鈴ちゃんが驚いていた。

まあ、そりゃいきなり先代の巫女が現れたらビックリするわな。本来いないはずの人間なのだから。

 

 

「あっ、は、はい。えっと、私は本居小鈴です。今回はどうしてこちらに…?」

 

「ああ、それは霊夢が来たいって言ってね。ついでに私の紹介ができるからいいみたいなことを言ってたわよ」

 

「霊夢さん、そうだったんですか?」

 

 

間違えてないんだけどさ…。

小鈴ちゃんが驚いたように私を見てるのは何故?っていうか今回の小鈴ちゃんは表情が忙しないね。

多分私のせいなんだろうけどさ。

 

 

「ええ、そうよ。そのついでのついでに私がちょっと本でも読ませてもらおうかしら」

 

「読書なんて珍しいですね、霊夢さん。なにかあったんですか?」

 

 

ある意味的確な質問に苦笑いを浮かべる私。

中身が変わってるからそりゃ前の霊夢と違うし…。

 

 

「まっ、まあね。なんとなくそんな気分になったからよ」

そういって適当な場所から1冊本を取り出す。“背表紙に書かれていた字”もろくに見ずに。

 

「あ、それ…外来本ですよ?凄い気の変わり用ですね」

 

「いや、まぁ、その」

 

「へぇ、外来本なんてあるのね。鈴奈庵って他になにがあるのかしら。教えてくれたりする?」

言葉をつい濁らせて曖昧な笑みを浮かべた私だったけど…霊華がそう言ってくれたおかげで注意がそっちにいったみたいだ。

んじゃあ、軽く中身を……あれ、アポロ?

ずいぶんと前の本だな、これ。

今じゃそれについていろんな説が飛ぶ現代になっていたはずなんだけど。

幻想入りってこういうもんなんだなぁ…。

 

ってお?あっちはあっちで話が盛り上がりつつある。

霊華も博麗の巫女といえどやっぱりそこは人間の女性だね。

先代の博麗の巫女とかそういうのを気にせず話する機会でも作ってあげるかな。

 

 

 

「そうだ、霊夢さん。見てほしいのがあるんですけど、いいですか?霊華さんも一緒に話を聞くだけでもどうです?」

と笑顔で聞いてくる。

なんかこの笑みは見ていて守りたいというより心配になる感じがする。

なんでかは知らないけど、首を突っ込んでおいた方が安心かな。

 

「はいはい、私はいいわよ。霊華は?」

 

「私はあなたが話をしている間、この中でもうろついてるわ」

 

そういってそのまま離れていった。

小鈴ちゃんの方を見ると気にしてないのか笑っている。

うん、なんか嫌な予感がするんだけど気のせいかな。

 

「まあ、仕方ないですね。色々と気になってたんですけど…。それはさておき、霊夢さん。話したいのは実は―――」



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第10話 手口や言葉は相手を選ぼう

サブタイトルはさっくり決めていたりするので特に意味はなかったりします

…な、内容が想像しにくくなるようにはしてるつもりですよ?ええ、はい(震え声


下記から本編ですので適当にゆっくり読んでもらえれば嬉しいです


「まあ、仕方ないですね。色々と気になってたんですけど…。それはさておき、霊夢さん。話したいのは実は妖魔本を見せたくなりまして。他にも本を少し見せたいのですが…どうですか?今の霊夢さんならなんか見てくれると思って聞いてみたんですが」

 

 

うん、確かに本には興味あるけど妖魔本ってあーたねぇ…。

しかもいきなり私達に言ってきたけど、平気なの?それって。

まぁ、でも今のって言ってくる辺り、小鈴ちゃんは信頼をおいてくれてるんだろうけど。なんか違う気がするよ、私。

 

「しょうがないわね…。小鈴ちゃんがせっかく誘ってくれたんだし、のってあげるわ。でも、確か妖魔本って妖怪が書いた本や謝罪文とかのはずよ。あんなもん、誰にも読めないわ」

 

 

こう、うまくは言えないし、まとめられないんだけど分かる。

人間にはもしかしたら危ないかもしれない。

なにもない物もあるだろうけど、全部がそんな安全な物ばかりじゃないだろうし。

もし、万が一があれば小鈴ちゃんだけの問題にはならないだろうし。あと怪我もするだろうし、心配だ。

というかそもそも読めるのかな?なにせ妖怪の言語は違うんでしょ?

 

 

「え?……あぁ、そのことですか?大丈夫ですよ。私が読めますから」

 

「読める?どうやってよ」

 

そう聞くと丸眼鏡をつける。

うん、それじゃ見れないと思うけど…。

 

…けど、口にしないでおこう。

そのまま見ていると本に手をかざした。なんで?と思ったけど、これも黙っておく。

すると急に内容を読み始めた。内容からして…謝罪文かな。

なんか謝罪文と違う気がするけど…なるほど、小鈴ちゃんってまさか、そういう能力でも持ってるのかなぁ?

いつ目覚めたのか何故か気になるけど、しばらく様子見でもすれば大丈夫でしょ。別に悪用してるわけじゃないんだし。

 

「なるほどね。とは言ってもあんたも気をつけて使いなさいよね。なにか変なことになっても小鈴ちゃんじゃ大変なんだから。まあ、手を貸してはあげるけども」

 

「本当ですか!?やっぱり霊夢さんは良い人ですね!」

そう言って机から身をのりだし、私の手を握る小鈴ちゃん。

うう、余計断りづらくなった…。

いやまぁ、自分でしたからなんとも言えないんだけどさ。

 

 

 

「はぁ…。そんなことはないわよ。ただ小鈴ちゃんと私との関係が良いからするだけよ」

 

私がそう付け加え……なんかつい顔をそらしてしまった。

うん、クスクスと笑われたけど、どういう意味なのかな?

 

「………なによ。なんか文句でもある?」

 

「いえ、まさか霊夢さんに素直になれないときがあるなんて知りませんでしたから」

 

 

わ、悪かったな。素直じゃなくて。

でも嘘はつかないからね。思ってた事と思っている事とを間違えて言ったことはあるけど。

 

 

「……こほん。それで、妖魔本についてだけど、あまり下手に読まない方がいいと思うわよ。安全とは言いきれないし、なにが起こるのか分からないから私のいるところで…とかどうかしら。それならすぐに対応してあげられるのだけども」

 

 

そう話をそらして提案してみた。

もちろん否定されることを前提に。

でもそのあとにもっと軽い『困ったときは神社に来ればいるとき対応する』という提案にのってくれるかな、という浅はかな考えなんですよ、ええはい。

 

 

 

「その場で対応してくれるなんて、やっぱり霊夢さんは頼りになりますね!」

 

余計にハードル上げただけだったー!

誰だ、最初に無理そうな提案をあげてからすんなり受けられそうな提案をすれば必ず受けてもらえるとか考えた奴!

…………あ、私か。

 

「ええ、まぁ、その。…分かったわよ、困ったときはいつでも頼ってちょうだいね」

 

「はいっ、ありがとうございます」

 

そういって笑みを浮かべるなんて反則だよ、小鈴ちゃん。

まあ、自分からも逃げ道を消してるからあれなんだけどね。

 

 

「それであなた達、そろそろ話終わったかしら?」

 

「ええ、一応はね。んで、どうしたのよ霊華。もしかして軽く買い物でもするの?」

 

そう聞くと何故か驚く霊華。

あれ、勘でいったはずなんだけどな…。

 

「…なにも言わないでおくわ。そうね、行くわよ」

 

「そう。まあいいわ。小鈴ちゃん、また今度ね」

 

「はい。また来てくださいね、霊夢さん。本を借りにくるだけでもいいので」

 

「ん、気が向いたらね」

 

 

とだけいって霊華と共に出る。

我ながら冷たい反応になっちゃったなと思ったけど、今になってちょっと後悔。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、少し買い物を済ませた私達は今度は空を飛んで帰宅。

一応参拝客用の案が出来たから今度やってみよう。

作るだけ作るかな、昼御飯の後にでも。

 

 

 

 

 

 

 

あっさりとした昼御飯を手早くすませ、私はあとを任せて自室へ。

確かお札とかは足りたはず。

それを魔除けのお守りにして、比較的安値で売れば多分いけるかな、と。

 

「確か布とかはこっちに…」

 

とかたまに呟きながらお守りの試作を作っていく。

私の巫女服といい、霊華の巫女装束といい紅白が多いからお守りの色は赤と白の2色でいいかな。…おめでたい色にするのもどうかと思うけど、目立つしいいかな。

 

 

 

 

そうこうやって少したった頃。

2つのお守りが出来ていた。片方は赤色で、もう片方は白色。

どっちにも表に魔除けと縫い、裏に博麗神社と縫った。

 

 

「これを見るとなんか外の世界にあった神社で売っているお守りを思い出すわね…」

 

 

似たような感じだったしね。

あ、でもこれ…。誰で試すか決めてなかったや。一応置いてきて、口コミに後を任せようかな。

ついでに紙も………。

 

 

 

 

 

 

魔除け(まよ)のお(まも)りを作ってみたわ。お(ため)しは先着(せんちゃく)2人まで』

とふりがなをつけて書いてみた。

先着って言葉が幻想郷で通じるかどうかは分からないけど…もし、これが効けば妖怪とかの魔からある程度は守れる。

さすがに自ら近づいたりしたら効くかどうか、だけど。

まあ、投げればいけるでしょ。伊達に魔除けとして作ったわけじゃないんだから。

 

 

「……鍛えようと思って探してみたらまさかそんなことをしてるとは思わなかったわ」

 

「…!?」

思わず驚きながら反射的に左横を向く。

集中しすぎて聞こえてなかったのか、ふすまが開いていてそこに霊華が立っている。

鍛えるなんて物騒な言葉が聞こえたけど、あえて気にしないで声をかけることにしよう。うん、そうしよう。

 

 

「な、なによ。私だって出来ることや出来そうなことはするわよ」

 

「いえ、そういうのじゃなくて…。あなたにはまだなにも教えてないはずなのにどうして巫女関係のことが出来てるのよ」

 

「アハハハ、作れる訳ないじゃない。冗談きついわね、霊華」

 

 

どっかの誰かさんに鍛えられたのは体と料理の腕ぐらいで巫女がするようなことは一切聞いてないんだよ?

そんな私が作れる訳ないじゃないですか、やだー。

 

 

「…でもこれ、出来てるわよ?お守りの効果が強いか弱いかはともかく、普通に売れるぐらいには…」

 

なんて言いながら近づいて、ちょうど机の上に置いておいた2つのお守りのうち1つを手に取った。

またまたきつい冗談だなぁ、アハッアハハ。

 

 

 

……ほんとかな。

 

 

 

「えーと…本当なの?このお守りが使えるとかっていうのは。出来れば冗談と言ってくれれば嬉しいのだけども」

 

「出来てなきゃ言わないわよ。と、いうか伊達に巫女と呼ばれてないから」

 

「てっきり物理的な、ってつく巫女かと思ったのよ」

 

「良い度胸してるわね、あなた。ちょーっと鍛えるのを厳しくしましょうか」

 

 

え、え!?な、なんで!?

正直に私の考えてることを言っただけなのに!?

いや、でもまさか、その笑み…。

……あ、これ地雷踏んだっぽい。

 

そう悟った私が前より厳しくメニューの増えた修行に耐え、休憩にありつけたのはそれからかなりたった頃でした。疲労で死にそう。




誤字訂正しました。


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第11話 霊夢とは

予想以上にUAが上がることにビックリしている私です。

今回、ちょっとあり得るだろう話を書いてみました。

適当にでも読んでくだされば凄く嬉しいです。では、下からどうぞ。


翌日、私は筋肉痛で起きた。

まあ痛いのなんのと起き上がりづらかったけど、それはきっとなにかを踏み抜いたせいなんだと思うことにした。

 

しかもなんか予定より作り上げたお守りが増えちゃったけど、誤差の範囲…誤差の範囲…。

うん、もういっそのことこれは違う方法で売るかな。

手渡しとかそういう感じで。

 

あとは神様だけど…ここなら安全関係とか病気関係…あと縁関係とか子宝関係かな?

これのどれか1つに条件しぼって、それ関係の神様に手当たり次第聞いてみるしかないね。

ああ、健康と安全ならいけるかな?1つじゃないけど。

 

 

とりあえず、それより着替えて境内を軽く掃除するかな。

いや…掃除もそりゃ面倒なんだけどね。

でも倒れるまで鍛えられるのと神社周りを箒で綺麗にする。これを比べたら断然掃除をしていた方がいい。

空を飛ぶ程度の能力を併用すれば屋根の上だってできる。ただし、楽とは言ってないよ、楽とは。

 

 

 

そんなことを考えつつ布団を押し入れにしまって、着替えてからの(くし)で髪の毛をとかしつつ、リボンなどをつけていく。

とりあえず、掃除もいいけど神様もどうにかするか…。

それと同時にこの神社に祀られてる神様も調べなきゃね。

 

 

「……神棚を最近掃除しておいてよくぶつぶつ言えるわね」

 

「わ、わぁ!?…急に現れないでちょうだいよ!心臓に悪いわ」

 

驚きのあまり、ついバックステップを軽くして距離をとってしまったけど、大丈夫かな。

んでもって今までの思考は駄々漏れですか、そうですか。

 

「それは悪かったわね。んでも、霊夢?神様が同棲なんてしようものなら元からいた方が消えてしまうのよ」

 

「あら、それは困っちゃうわね。なら、ここの神様を調べて攻略するしかないわね」

 

「攻略って…。…ま、まあ、そうね。あなたがやる気を出してくれるのなら凄くありがたいわ。お守りもあるし、最低限の参拝客ぐらいは来てくれるようになるわよ、きっと」

 

「だといいんだけども……」

 

そう言ってため息をつく。

いやだってお守りがあっても嫌な予感が拭えないんだよ。

いや、ここはどうにかしてここの神様を調べあげ、里の人間達に闇を恐れるべきものと恐れなくてもいいものがあるんだと教えよう!

 

 

「…思考が駄々漏れよ。でも、そんなの危ないわよ。余計に減る原因になりかねないわ」

 

「そうだと思うでしょう?でもね、最近は人間に妖怪が普通に紛れ込んでいるのよ。寺子屋にもね」

 

「だからといって「分かってるわ。だからこそむやみに怖がられたら困るの」」

 

 

霊華がなにかを言うのを遮って私がいった。

先代だからこそ知ってることはあるだろう。妖怪のことだって色々知ってるに違いないのも。

だからと言って怖さばかり教えてむやみやたらに怖がれば……一体どうなる?

 

 

「闇を怖がるのは人間の(さが)。当たり前のことよ。だからと言って人間がその恐怖を乗り越えられないとは誰も言ってないわ。それに共生できないとも」

 

「……。あなた、本当に…」

 

いや、あの。こ、怖いよ?その顔。

や、やっぱり怒る?怒っちゃう?

で、ですよねー。思いっきり遮っちゃったし、妖怪云々とまるで庇ってるような感じて言っちゃってるから博麗の巫女としては―――あれ?どうしたの?急にため息なんてついちゃって。

 

 

「いえ、なんでもないわ。あなたはあなたで頑張りなさいね。それと今日は体力作りとかはなしよ。掃除は…ちゃんと半分やっておくわね」

 

なんていって私に笑みを向ける。

なんかその笑みに違和感が…。

まあ、いいか。なにかは知らないけど、怒ってないみたいだし一安心。

 

さて、まずは神様でも知ろう。それからでも、遅くはない。

もし名前とかなんの効果を持つか分からなくなってたら…呼ぶか名前をつけ直すとか?

でもつけ直しでいけるものかな…。

前例ないみたいだし、奥の手として考えておくかな。

 

 

因みにその後、鳥居付近で魔理沙と鉢合わせした。

というかちょうど降りてきた。

「どうしたのよ、魔理沙。なにか用?」

 

「ちょっと不思議に思ったことがあるから聞きに来たのとお前に弾幕ごっこを挑むってだけだぜ」

 

 

なるほど、つまり聞くついでに弾幕ごっこか弾幕ごっこついでに話を聞くんだね。

…個人的には前者であってほしいと思う。

 

 

「へぇ、それで?なにを聞きに来たのよ。あと弾幕ごっこはちゃんと受けてあげるわ」

 

 

あー…なんか変な人とでも思われた?

そんな風に睨んでも苦笑いしか出ないよ?

 

 

「いや、お前…。変わったな。色々な意味で」

 

「そんなことはないわ。私は私よ。それで、聞きたいことはいいのかしら?」

 

そう聞くと首を左右に振ってきた。しかも、「ああ、もういい」とも言ってきた。

そ、そうなの。しないならしないで別に良いんだけどさ。

 

 

「それで、弾幕ごっこはするの?しないの?」

 

「それはするぜ。いいだろ?」

 

「ええ。じゃあ、しましょ?スペルカードは5枚でいいわよね」

 

「おっ、霊夢がいいって言うならそれでいいぜ。どうなるのか楽しみだな」

 

 

そういってニッと歯を見せながら笑う。

見た目だけで言うと自信家だねぇ。

 

 

「まあ、そうね。じゃ、行くわよ」

 

私のその一言で始まった弾幕ごっこは私の負けで終わった。

極太ビームというよりなんか見た目がうど……やめておこう。

マスタースパークが曲がって見えたりするのはいいとして、筋肉痛の体じゃ辛いものがあるんだね。今知ったよ。

 

 

「……お前ってなにかやるような性格じゃなかったよな。どうしたんだ?」

 

「……はぁ。あの霊華に修行をつけさせられてるのよ。なんでか知らないけど、急にするよう言ってきてね…。サボるのは簡単なんだけども、サボったり逃げたりすると次の日が倍にされるのよね……」

とそこまで言って思わずため息が出た。

いやもうね、きつい…。体を鍛える必要なくないかな。

 

 

「あれのどこが体力作りなのかしら…」

とついぼやいてしまった。

 

「あー……。ならしょうがないな。でもちょうどよかったんじゃないのか?」

 

「ぜんっぜんよくないわよ。あれがいいなんて言えたもんじゃないわ」

 

立ち上がりながらいったところで掃除をまだしていないことに気づいた。

なんかもう色々と疲れてるし今はやめておこうかな。

 

 

 

 

 

そういうこともあって暇になった私は魔理沙が香霖堂に用があるらしいからそこに同行することにした。

なんとなくだけど、そこなら物を揃えられる気がした。ついでに今度、霊夢が貯めたツケでも払いにこよう。

かなり貯まってそうだから少し多めに渡そうかな。

確か店主の名前は森近霖之助っていうはずだし。思い出したような気がなんとなくするけど。

 

 

 

 

 

博麗神社からやや歩いたところに…というか正確には森の近くに香霖堂があったけど、店前においてあるものさ…

「絶対流れ着いたものを適当に置いてるだけよね、これ。だるまとかポストとかテレビとか…。もうガラクタ扱いじゃない。間違ってないんでしょうけど」

 

「なんかその物言いだと、知ってるみたいだな」

 

「あ、いや、まあ、その」

と言葉を濁らせてからぎこちなく笑う。

これ、中身違うとバレたっぽい?

 

「まあ、いいや。霊夢、中へ入ろうぜ」

 

「え、ええ。そうね」

 

 

 

 

 

中へ入ると「いらっしゃ……なんだ、君達か」と言われた。

声の主は…たぶん霖之助さんって人だね。

扱いが酷い気がするんだけど、もしかして今まで勝手なことでもしてたの?

 

「そうよ。っと入って早々なんだけど、あの前においてあったあのテレビって映らないの?」

 

「そういうってことはどうやればつくのかってまさか分かるのかい?」

 

驚いたような感じでそう言ってきた。

なにを言うか。あれを見る限り今のテレビとかなり違うけど、あれならボタンを押せばつくはず。そう、そのはず。

 

「ええ、分かるわよ。なんなら、今からでも教えてあげるけども…」

 

「……いつから霊夢はそういうのに詳しくなったんだい?」

 

と聞いてきた。

そんな神妙な顔つきで聞かれてもなあ。

 

「気がついたら、よ。別に大したことじゃないわ」

 

適当にそう答えたら「それもそうか…」と呟いていた。

そんなにおかしいことなのかね。

 

「なあ、香霖。あれさ、――」

 

と、あっちで話が始まったので仕方ないし、店内を見ることにした。

なにを話しているんだろう。

内容はどうでもいいけど、気にならないことはない。

…あ、よく見ると幻想郷のものも置いてあるんだ。てっきり外の世界から流れ着いたのが大半を占めるのとばかり思ってた。

 

欲しいと思ったけど、まずツケをどうにかしないとな…。

そう考えていた私には気づけなかった。魔理沙と霖之助さんがが私に疑いの眼差しを向けていたことに。

と、同時に変な感じがした。

 

 

 

さっきまで感じなかった熱っぽさ。

それのせいか、それともそれを自分で分かってしまったせいなのか頭がよく回らない。

 

 

 

どうして、こうなってるんだっけ。

霊華がなんらかの原因を作り、私がここに来てしまったと言うが、本当にそうなのかな。

霊華と名乗った女性。何故か私自身の記憶はほぼない。なのに私が私でないことはないと言い切れる不思議。

いくら前向きな性格だと自負している私ですら怪しく思う。これは一体なんなんだと。

そもそも過去の人間であるなら、現代にはいないはずだし、私もこうなっている理由はないはず。なのに何故―――?

だってそうだ。私は元々…………。

 

 

そこまで考えようとして気づいた。元いた場所が分からない。思い出せない。

んじゃあ、どうしてここへ来たと分かったの?そもそも私はなんだったの?自負している前向きな性格とかは本当に自分の?

ありえない。ありえない。そんな程度も分からないなんて。

だって、だって私は―――あ、あぁ?床ってこんなに近かったっけ……?

 

 

 

 

そこまで思考はいたり…ぷつんと、私の意識は途絶えた。



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第12話 変調と肝を試す

今回、字数がそれなりにあります。

それでも平気という方はどうぞごゆくりと。


下から本編になっています。


……………………。

 

…………。

 

……。

 

 

 

暗闇から意識が浮上する感覚がした。

と、共にゆっくり(まぶた)を開けると見知らぬ天井だった。

あれ、私はどうしたんだっけ…。

 

「ようやく起きたのね。色だけじゃなく、頭もおめでたいのかしら」

 

なんて声をかけられたので顔を向けるとそこには輝夜がいた。

 

「……大きなお世話よ」

 

「そのわりには香霖堂で倒れたそうじゃない。魔理沙とかが驚いてわよ」

 

 

ああ、なるほど。倒れちゃったのか、私。

そりゃあ、目の前に床も迫ってくるわ。

と1人で納得して頷いていたら、輝夜が真剣な顔になった。

いや、さっきからそうだったのかな?

 

「どうしたのよ、輝夜。急にそんな顔して…」

 

「いえ、さっき永琳がとんでもないことを言っていたのよ。聞いても驚かないわね?」

 

私が驚きそうなことを、永琳に?

なんかあったっけ。心当たりは全くないんだけど。

 

「ええ、大丈夫よ。教えてちょうだい」

 

そう聞くと何故かため息をつかれた。

自分から聞いておいて…どういうつもりだろうか。

 

「貴方……自分、保ててる?記憶は?本当に自分が博麗霊夢なんだって言える?」

 

「はぁ…。なに当たり前なことを聞い……て……」

 

ため息をついて文句の一つでもつけてやろう。

そう思って言おうとしたんだけど、そういえばおかしい。

自分を保ててるかどうか、に関してはほぼ問題ないんだけど、記憶と博麗霊夢だっていうのは怪しい。

 

今まで前向き…といえるのか分からないけど、『運良く博麗霊夢になってた』とか『前の自分の記憶はちゃんとある。名とか忘れてるけど、ゲーマーな人間だったことは忘れてない』とかそんな感じに考えててそれ以上は問題ないと思ってて…。

 

――本当に、それだけなのかな。

 

 

 

「……永琳を呼んでくるわ。貴方はそこにいてね」

 

返事もせず黙ってしまった私に優しく微笑みながら立ち上がる輝夜。

私はただ小さく輝夜に分かるよう、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると輝夜が先に入り、後から連れてきたらしい永琳が入ってきた。

「姫、あとはいいわ。手を(わずら)わせてしまって悪かったわね」

 

「いいえ、大丈夫よ。じゃ、私は席を外すわね」

 

そういって輝夜だけ出ていき、残った永琳が私の近くまで歩いてきて、さっきまで輝夜が座っていた椅子に座った。

…私の前じゃ輝夜って呼ばないんだね。伊達に隠れてたわけじゃないってことか。

 

「それで貴方。大丈夫?霖之助が連れてきた時にはぐったりしていたようだけど」

 

「え、ええ…大丈夫よ。多分疲れでもたたったんだと思うわ」

 

「…そのわりにはうなされてたけども。しかも、ぶつぶつ言ってたし。私的にはとても心配ね」

 

真顔でそう言う永琳。

そこまで心配しなくていいのに。

それに寝言はいう人はいうでしょうよ。今は寝言と関係ないだろうけどさ。

 

「多分先代…いえ、霊華に体を鍛えられたりしてるからそれで疲れたのよ、きっと」

 

そういってニコッと自然に笑って見せる。

辛いわけじゃないし、大丈夫。…さっきのは無かったことにして、だけど…まあ、なんとかなる、よね?

 

「そう?ならいいのだけれども。また辛くなったら来るのよ?その時も代金はとらないであげるから」

 

「あら、そういうってことは今回はとらないのね?」

 

私が冗談混じりに聞いたら、そこはニッコリと笑った。

営業スマイルって奴かな?

わあ、こわいこわい。

 

「ええ、とらないわ。それと大丈夫ならもう出て平気よ。今度は出来れば倒れる前にきてちょうだいね?」

 

「はいはい、分かったわよ。どうもありがとうね」

 

もう出れると言われたので素直にお礼を言ってから部屋を出た。

だからこそなんだろうか。私は永琳のその一言を聞き逃してしまった。

 

 

 

 

「……7日間も寝ていて、よく大丈夫って言えるわね、あの子」

 

 

まあ、聞き逃したと気づいた頃には扉を閉めちゃってたんだけどね。

だから聞き直そうとは思わなかったし、選択肢にすらいれてなかった。

だって、前も人間だったって記憶はちゃんとあるんだもの。問題なんてないよ。これからも、きっと。

 

 

少し歩くと輝夜がこっちに歩いてきた。

「あら、もういいの?…このあと、暇ならちょうどいい話があるのだけれども…」

 

「ええ。あら、それはなにかしら。興味もあるし、教えてもらってもいいかしら?」

 

「いいわよ。それはね、今度の丑三つ時に肝試しをするって話なんだけども……どうかしら?」

 

「参加させてもらうわね。それって紫も連れてっていいのかしら?」

 

そう聞くと縦に頷く輝夜。

い、いいんだ…。まあ、別にいいんだけどさ。

 

「大丈夫よ。むしろ貴方達で行ってもらいたいの。いいかしら」

 

「あら、そんなになのね。分かったわ。面白そうだし、行くわよ」

 

私がそう答えるとニッコリと嬉しそうに笑った。

なんかいいように使われてる気がする…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社には真っ直ぐ帰らず、どうにかして紫をひっつかまえて丑三つ時…ええと、確か午前2時から2時半、だっけ?

丑の刻とか寅の刻とかって言うもんだから私には凄く分かりづらい。

 

 

そういうのを置いても、こんな真夜中でこんな迷いの竹林に来るのは私や連れてきた紫ぐらいだろう。むしろ歩く人間なんているのか?という感じ。

怖がって出てこないでしょ。

 

事前に『紫』と名前だけ呼んだら交代してくれないか、と提案したら案外聞いてくれた。

まあ、弾幕ごっこの時限定だけどいいかな。

因みに私も名を呼ばれたら交代することになってる。

聞いてくれるとは思わなかったよ。

 

 

 

 

そのまま進んでるとまさかの慧音が出てきた。

でも、姿が最初会った時と違って角とか生えてる。

確か半分だけ違うから、なんだっけ?なんか半獣とか言われてたしね。

 

「ほう、お前達か。今日みたいな満月の夜に来るとは…いい度胸だな」

 

「肝試しに来るんだから度胸がなきゃね。だから来たのよ」

 

「そうか。肝試しだとしてもあの人間に指一本たりとも触れさせやしないからな」

 

 

 

 

――旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」

 

今回はいきなりスペルカードから入ってきた。

弾幕こそは薄いものの、それなりにはやい。

避けやすさはあるけど、はやさがあるから何気に厄介。

さすがに『紫』と呼び前と後ろを交代した。

 

すると今度は弾幕が濃くなった分、はやさが遅くなった。

なるほど…そこは慧音らしいと言える気がするけど、これはこれで……。

 

 

 

 

それを紫が籃と共に攻略すると次のスペルカードへとすぐに入った。

 

――転世「一条戻り橋」

 

名前からしてかなり厄介そうだなぁ、なんて思ったら本当にそうだった。

なにせ背後から弾幕が使用者へと戻るように来るのだから。

形はなんていうか、弧を描いてる方のかっこを交差するように張ればこうなるんだろうなって感じ。

しかも途中から大きな丸い弾が出てきた。

 

 

因みにここも紫に避けてもらった。

 

 

 

 

 

 

これもまた攻略されると

――新史「新幻想史 ‐ネクストヒストリー‐」

というスペルカードを使ってきた。

 

なんか最初に使ってきたスペルカードとほとんどが似てるような感じがした。

そう、なんていうか旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」の隙間を狭くして、そこに米粒みたいな弾を増やしたみたいな感じ。

 

 

まあ、紫。頑張れ。

心の中でそう応援しながら弾幕を避ける様を見ていた。

ついでに参考にしよう。

 

そう思ってたら二、三回目で攻略したみたいだ。

そりゃそうだよね。私のより範囲は狭めだけど、威力はあるんだし。

 

 

 

 

 

……なんかやけに妖精が活発だな。

まあ、紫曰く妖精は異変などなにかしらの条件でハイテンションになるらしいけど、それってリリーホワイトと似てない?

そう聞いたら近いと言われた。そ、そうなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いつもの夜と違って今夜はやけに妖精を見るけども、どの子もすごい活発的ね」

 

「ああ、今宵の月が強いからだろうね。そりゃ妖の者が騒ぐのも無理は無い。それなのにこんな夜でも出かける馬鹿者もいるもんだねぇ?」

 

「いや、そういったらあんたもそうでしょ?」

 

「へぇ、馬鹿者ってところは認めるのね。でも私は違うわ。ずっとここに住んでる人間。だから、今ここにいるのもおかしなことじゃないわ」

 

「人間?人間ねぇ」

 

「んで、その自称竹林の持ち主さんが言いたいのはなにかしら?」

 

「目的を聞きたいだけだよ、お馬鹿さん達」

 

そう言われたので素直に答えることにした。

そもそも隠す気なんてなかったからね。

 

「肝試しよ」

 

「肝とか色々試し」

 

 

と言ったら大げさに驚いてみせる人間。

いや、藤原妹紅って名前らしいね。

 

「わざわざこんな真夜中に出てきてやることは肝試し!ああ、何時から人間はこんなに馬鹿になったのかしら。こんなに狂おしい満月の丑三つ時に、それでもって妖怪が沢山出る処まで出て来て、事もあろうか肝試し。よく妖怪に殺されなかったわね。しかも死んだら妖怪達に生き肝を喰われるような肝試しなんて……」

 

「ほら、貴方が黙ってるから言われ放題よ。なにかしら反論しないの?」

 

「いやほら、輝夜に肝試ししてきたら?って誘われたから来たようなものだし、そんなこと言われたってねぇ…」

 

「え?今なんと?……すごく聞き捨てにならなかったんだけど。まさか輝夜って言った?」

 

「ええ、言ったわよ。ついさっき。輝夜に…か・ぐ・やに肝試しに誘われたって」

 

私が素直に答えると…いや、名前は強調したけど、納得したような表情になった。

んん?なんか()に落ちるようなことでもあった?

 

「なるほど、通りでおかしいと思った。やっぱりあいつの仕業なのね。もしかしてこいつ等をけしかけて私を始末しようとしてるな?あいつったら、いっつもいっつも私を始末しようとして!全く、こんな不便な体にしたのはあいつじゃないの!」

 

「…輝夜って名前だけでここまで盛り上がれるのね、この人」

 

「だったら貴方もなにか便乗したら?そうしないと損よ」

 

「ふん、輝夜の使いがどれほどのもんなのか見せて貰おうか。あいつが遣したって事は、あいつよりは強いんでしょ?」

 

「強気な人間ね。私みたいな妖怪相手にそこまで強気な人間なんて、3人位しか知らないわ」

 

「それは別にいいじゃない。でも、本当に相手にするっていうの?相手は人間じゃない」

 

と少し嫌そうな顔を私がしたら紫に呆れられた。

 

「何言ってるの。魔理沙は人間だけども、余裕でのして来たじゃない」

 

「魔理沙とはいいの。前からよくやってるんだから」

 

「私をそこら辺にいる普通の人間だと思うな。私は死なない。そう、絶対に死ねない。あのにっくき輝夜の所為で。そうよ、いくらあいつが私を始末しようとしても、どだい無理な事。あいつはそれが判ってて使いを遣して来る。腹立たしいにも程があるわ」

 

「そのくせして輝夜のことを考えてるなんて憎んでるんだか憎んでないんだかよく分からないわね」

 

「それは別にいいだろう?それよりも思いっきりやらなきゃ人生、ゲームオーバーになるよ。もうここまで来たら戻り橋にも戻れない。一方通行の丑三つ時さ。お望み通り、貴方達の肝を試しかめさせて貰うわよ」

 

 

 

 

 

 

そういうと弾幕を張ってきた。

お札の弾幕というものだけど、当たり判定にさえ気をつけてれば大丈夫なはず。

なにかあれば紫と交代しながらすれば問題なんてない。

 

 

そう思いながら交代する時は名を呼び、前と後ろを行き来していたら突破していた。

 

 

 

 

――時効「月のいはかさの呪い」

 

最初のうちは張られても問題ないスペルカードだと思った。

避けられる隙間はあるし、タイミングさえ見逃さなければ私にとっては避けやすい。

まあ、当たり判定さえ分かっていれば苦労しないんだろうけどね。

 

 

そう思っていると前から柄が青い剣みたいなのが飛んできた。

それを避けていたら背後から柄の赤い剣まで飛んできた。

それのせいで一気に難易度が…。

 

そうだ、詰まる前に交代しておこう。

と考えた私は『紫』と名を呼んで前後を入れ替わった。

 

 

威力がある分、避ける時間が短くてすみそうでいいなぁ…。

と、思ってたら攻略してる。

 

 

 

――「リザレクション」

 

スペルカードが終わるなり、そんなカード名が見えた。

多分スペルカードじゃないんだろうなあ…とはなんとなく思ったけど、今は気にしないでおく。

 

っとと…そう考えてる場合じゃない。

前からはやいお札と遅いお札が同時にきて……同時に?

これは1回目より避けづらそうだな。

 

 

あ、紫がボムのスペルカードを使った。

私の時は決死結界だったからその時だけ紫が出てきたけど、なるほど。そのままなら私のを使わなくていいんだね。

 

 

 

――不死「火の鳥 ‐鳳翼天翔‐」

 

妹紅がそう宣言した後に出てきたのは全方向への隙間のある米粒のような弾。

なんだ。それだけなら紫と交代しても避けられるんじゃない?

 

私がそう思ったのも(つか)の間。

火の鳥をかだとったような弾幕が迫ってきた。

厄介なことにその後に米粒のような弾を小さくしたような弾が現れ、そこから動かない。

多分時間で消えるんだろうけど、さっきのを繰り返し繰り返ししてくるから逃げ場が減って…。

 

いくら当たる部分が小さめでもボムぐらい使うだろう。

そう思って見てるんだけど、使わないのなんの。

うーん、歴が違うのかな?

 

 

 

そのまま紫が弾幕を誘導したりして攻略していた。

――「リザレクション」

 

今までの弾幕より避けやすいものが出てきた。

いや、薄くなったって訳じゃないんだけど、避けやすさはこれが一番なんじゃないかな?

……まあ、避けるのは交代してたから私なんだけど。

 

 

 

 

 

――藤原「滅罪寺院傷」

 

今度は…うわ、見た目が凄い。

分かりやすく言うんであればブイの字が前から迫ってくるって感じ。

それをやり過ごすと今度は背後から来てるみたいでお札が通りすぎる。

 

これまた厄介なスペルカードだよなぁ。

焦らずゆっくり避けよ…。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

さっきより弾幕が濃くなってないかな。

でもこれ、それに焦って避けたら私の負けでしょ?

なら、今まで通りに弾幕を避けるだけ。

そう考えると全然怖くないね、これ。

 

 

 

 

 

 

 

――不死「徐福時空」

 

うっわ、これまた厄介なスペルカード。

紫に交代してもらおう…。

『紫』と名を呼び、後ろに下がって冷静に見ると余計に分かるこのスペルカードの酷さ。

 

こっち狙いの弾に前後から来るお札に関係のない弾…。

うん、たまにお札にこっち狙いの弾が隠れてるのは偶然かな?

それはいいけど…大変そうだね。

そう思いながら紫を見たら、こっちをチラッと見てきた。

半目だったのはなんでかな。

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

弾幕がどんどん濃くなって……?

うん、気のせいでもなんでもない。明らかに濃くなってる。

むしろ回数を重ねるごとに濃くなってるような気さえもする。

……間違いだといいな。

 

そう思いながら紫が避けるのを見ていた。

 

 

 

 

 

 

――滅罪「正直者の死」

 

そう宣言すると同時に紫に名を呼ばれ交代する私。

そこに避けようのない弾幕を張られた。

あ、これ、詰んだかもしれない。

 

こっち狙いの弾もあるし、それも避けないといけない。

しかもここでレーザーは無理でしょ…。

なんて思ったけど、運よくこっち狙いの弾を避けたらレーザーも避けれた。

なるほど。つまりこれはレーザーそのものに当たる部分があるわけじゃないんだ。

ならもう怖くなんてない。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

うん、もうさ。綺麗とだけ思っておけばいいのかな?

弾幕の濃さが尋常じゃない。

こっち狙いがふくまってないだけマシなんだろうけど…こりゃ酷い。

ここまで来ると本当ホーミングアミュレットさまさまだね。

………威力は弱いけど。

 

 

 

 

 

 

――虚人「ウー」

 

宣言してから少しして、いきなりこっちに向かってきた。

弾幕を二列になるように張っていきながら。

でもなんだ。それだけなら余裕で避けられそう。

 

 

 

そう思ってた時期が短いけどありました。

あの張った弾がまるでばらまくように飛んでいってる。単純なこっち狙いじゃないんだ。

軽く誘導すればいいとか思ってたんだけどな…。

ちょっと変えればいけるかな。

いざとなったらボムを使って弾幕を帳消しにして…。

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

さっきと似たような弾幕を張ってきた。

でも、はやさで言えばこっちの方がはやい気がする。

…避けにくいけど、どうにかなるかな?

 

 

 

 

 

――不滅「フェニックスの尾」

 

なんかの形をした炎弾が出てきた。

当たり判定は確か小さいんだっけ…?

それにしても出る度に避けようが……あ、中ぐらいの弾も出てきた。こっち狙いなのか私の方に迫ってくる。

ここは紫と交代しようかな。

そう思って名を呼び、前後を入れ替わった。

 

紫ー、頑張れー。棒読みだけどー。

 

 

 

 

 

 

 

――「リザレクション」

 

弾幕が始まると同時に見えたのは遅いお札とはやいお札。

さっきのと似てるような気はするけど、似てるだけではやさはまたはやくなったような感じがする。

本当、避けにくくなってきてるね。にしてもあのお札、どこから出してるんだろうね。

 

因みに避けてるのは紫だよ。

 

 

 

 

 

 

 

――蓬莱「凱風快晴 ‐フジヤマヴォルケイノ‐」

 

な、なんか嫌な予感がする。

紫に避けてもらおうかな…。

名を呼び、前に出てもらったところで弾幕が始まった。

全方位に向けての遅く小さな弾

それと紫の周りになんか中ぐらいの弾が出てきた。

 

それを素早く紫が抜けるようにして避けるとそれが爆発するかのようにはじけた。

なるほど、これも避けづらそうなスペルカードだな。

全方位に向けての弾が来たけど、さっきの爆破するやつが増えて、それに加え三列のこっち狙いの鱗みたいなはやい弾も追加できた。

 

それがある程度増えるとまた最初に戻ったみたい。

うん、2回ぐらい見て思ったけど、ループしてるね。これ。

かなり厄介そうだけど…紫なら大丈夫でしょ。

 

そう思ってジーッと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

――「パゼストバイフェニックス」

 

今度は間髪入れずに使ってきた。と、いうか妹紅はどこ?

……なんか背中にあったものが動いて……?

 

と考えながら見ていたら、それがいきなり弾幕を張ってきた。

それは大丈夫だったのか、名すら呼ばれなかったけどその次の弾幕の時に名を呼ばれた。

 

あとは私が大きく動き回ったり、少しずつ避けたり、また大きく動き回るっていうことをした。

そういう攻撃が変わるっていうのもある意味厄介だな。

 

 

 

 

 

 

 

――「蓬莱人形」

 

なんかこれ、私にしか見えないのかもしれないんだけどさ、『にんぎょう』とも『ひとがた』とも読める漢字だよね。

まあそれはいいとして…なにこれ。

こっち狙いの弾幕を避けるのはいいんだけど、外側から壁みたいにこっちに迫ってきてるような気がするよ?

 

しかもなんか黄色の全方位弾が来てるし。

来てるのを避けてた感じ、広めなものと狭めなものの二種類しかないからいいんだけど、更にそこにこっち狙いの鱗みたいな弾が一列が来てる。

 

 

……中ぐらいの青い弾と同じ大きさの赤い弾を避けて、こっち狙いの鱗もどきの弾も避けて…

うん、なんかパターンになってるような気がしてきた。

避けれてるからいいんだけどさ。

これか次で最後だといいんだけどな。

 

 

 

そう思いながら避けつつ攻撃していたら、次のが宣言された。

 

――「インペリシャブルシューティング」

 

妹紅が背後にある羽もどきと一緒に半透明になると円状に小さな米粒の形をした弾を張ってきた。

 

うん、なにをするのかな?

っと見てたら花みたいに広がってきた。

隙間が出来た瞬間に急いで入るとそれについては当たらなかった。

ただ次々とそういうのを避けるとなると大変だった。

移動しながら避けて、また次のも避けて…。

似たような場所に出れば楽なんだろうけど、ずらして張ってくるし…。

 

 

何回か避けていたら違うものを張ってきた。

弾そのものはさっきから見てるのと同じだし、当たり判定とかに気をつけてれば避けれないもんじゃないね。

 

 

 

 

お…?これは…難しいな。

青いの避けたら、赤いのを避ける。

その後は背後の青い弾に気をつけながらばらまくように張られてる円状の弾を避けるだけ…っと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、強い…強すぎるわ…」

 

「あら本当に生きてるのね。死なないって言うのは嘘じゃなかったと」

 

「最初の方はとても頼りなくて心配になったけどもね」

 

「痛い、痛いんだって。死にやしなくたって痛みはあるんだからね」

 

「霊夢、この娘見てちょうだい。面白いわよ」

 

「あんただけよ。それを見て面白いって思ってるのは」

 

「こ、こんなに強いとは思わなかった。肝試しにすらならないんだけど」

 

「あら、そうかしら?私だって怖い物の一つぐらいはあるのよ?」

 

 

どうせ甘いお菓子とかお茶のことでしょ?

怖い怖いと嘘をついて、実は好物だったって話なんでしょ?

 

 

「はいはい。どうせお茶とかまんじゅうのことでしょう?」

 

「そうそう、あの液体の色は蟲の血液みたいな感じがして、それと一緒に出されるあの丸いフォルムは大きな蟲の卵を彷彿させて、そして中のあんが……」

 

「……う。まんじゅう怖い…」

 

「さて。これでとりあえずは肝試しも終わりよね」

 

「霊夢。でもまだ肝を試していないわよ」

 

「えっ?なにかあったかしら」

 

「ほら、目の前の人間の生き肝を貴方が掻っ捌いて確認しなさい」

 

「ひ、ひぃぃ……死なないとはいえ、それはちょっと…」

 

「いやいや、なんでそんな妖怪のやるようなことをやらなきゃいけないのよ」

 

「あら、不老不死の人間の生き肝を食べると貴方も不老不死になれるのよ」

 

どこの人魚伝説だよー、と思いながら首を横に振る。

「別にまだ不老不死にならなくたって大丈夫よ。それともあれ?そのままだとあんたとってなにか困ることでもあるの?それに相手は不老不死とは言え人間じゃない」

 

「……珍しいわね。私を人間って言う人間は」

 

「え?だってあんたは不老不死なだけの人間でしょう?この幻想郷じゃ人間とさほど変わりはないわ。妖怪も見た目は人間だからなんとも言えないんだけども」

 

「あらあら、それでも博麗の仕事は妖怪退治でしょう?それはもしかして妖怪差別でもしてるのかしら」

 

おっと、これは失言だったかな?

 

「あら、それは失礼。妖怪は妖怪。妹紅はおおよそ人間。んで、私は妖怪を退治する。そればっかりは外せない約束だったわね。これからもちゃんと妖怪を退治していくわ」

 

「ええ、少し違うけども、大体その通りよ」

 

紫の最後の一言は聞かなかったことにした。

と、いうより流した。右から左みたいな感じで。




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第13話 現代巫女が考えた参拝客を増やす方法

もうすぐで新年だと言うのに去年にも増して寒い日々が続きますね。

今回は凄く平和な感じになっているかと思います。
二次創作が平気な方はそのままどうぞ。

下から本編になっています。


次の日、朝焼けが綺麗な頃に神社へと戻った私を待っていたのは…霊華だった。

肝試し云々ですっかり忘れてた…。

どうしよ…凄く気まずい…。

 

 

なんて1人どうしようかと考えつつ、境内に向かって歩いていたら、立って周りをキョロキョロと見渡してる霊華がいたのでその方に歩きながら思った。

先に謝った方がいいよね、とかその他色々を。

 

「あ、ああ…その。いきなり消えて悪かったわ」

ね、とすら言う前に霊華がいきなり抱きついてきた。

 

や、やっぱり怒ってる…!?いきなり香霖堂へ行ったことやちょっとしたトラブルのせいで少し神社をあけてしまったこととかそういうのに言ってきそう?

 

 

……。

 

 

…………。

 

 

………………。

 

 

あ、あれ……?しばらく経ってもなんにも言われない?

それどころかなんか抱き締める力が心なしか強いような?

 

 

 

 

 

「……もう。心配したわよ、霊夢。香霖堂で急に倒れたって前に魔理沙から聞いたものだからなにかあったんじゃないかって……!」

 

え、え?

急に倒れたとかどこから聞いて…。いや、それよりも

「大丈夫よ。だからそんな風に焦らなくても平気だと言うのに」

 

そう茶化すとジッと顔を見つめられた。

ああ、うん。茶化す雰囲気じゃなかったね。ごめんよ。

 

「だってあなた…昨日も含めて八日も神社に戻ってこなかったじゃない。どこへ行ってたのよ」

 

「……え?八日も?…二日とかじゃなくて?」

 

おかしいな。一昨日と昨日を含めて二日。

私はそう思ってたんだけどな…。

 

「ええ…それがね、少しの間帰ってこなかったのよ」

 

「昨日のは確かに戻らなかったけども…。なるほど、そんなにあけていたのね」

 

私がそういうとなんか複雑そうな顔になった。

ああ、うん。1日か半日あけたぐらいじゃ、大丈夫かなって思ったんだよ。

まさかそんなに経ってるとは…ねぇ?

 

「昨晩、なにをしていたかは別にいいわ。見た感じ、大したことじゃないようだし。ただ、その前のことはしっかり話を聞かせてもらうわよ」

 

「あら、そっちは見逃してくれるのね。助かるわ。…まぁ、分かったわよ。ちゃんと話すわ。……ところでそろそろ離してくれないかしら。いい加減、あっちの川が見えそうで危ないんだけども」

 

実は若干見えてたり。

心配してもらえるのは凄く嬉しいんだけど、抱きしめる力をどんどん強くされたら困る。それのせいで体が締め付けられてなんかこう。凄い。

さすがスペルカードルールがなかった頃の博麗の巫女をやってないだけある。……いや、冗談言ってる場合じゃない。

 

「……あっ!?わ、悪かったわね。そこまで力をいれてないつもりだったから…」

 

私を離すと霊華は苦笑いを浮かべた。

なんかいよいよもって親みたいな感じだな。こう、心配してきたり色々してくれる様を見ると。

そのうちお母さんって間違えて呼びそう。

 

 

「まあ、いいわよ。それは。…とりあえず、お茶を飲みながら話さない?あんたも立ってて疲れたでしょ」

 

気遣ってそういったら、ため息をつかれた。

その上になんか納得したみたいに首を何度か縦にふった。

ため息って……。

 

「それもそうね。なら、私がお茶を淹れるわ。あなたは先に座って待っててちょうだい」

 

「あら、そう?お茶なら私も淹れられるし、気にしなくてもいいのよ?」

 

 

そう聞くと首を横にふった。

元から気にしてないってこと?

 

 

「別にそういうわけじゃないわ。単純に新しくお茶っ葉を買ったから飲ませたいだけなの。それだけだから、霊夢こそ、気になんてしなくていいのよ」

 

な、なる…ほ……ど?

うーん、なんかこんな感じでいいのか不安になってきたぞ。

とりあえず気になることを聞いておくか。

 

 

「そう。それはいいとして、里に降りてなんともなかったの?特に里の人達の反応とかそういうの」

 

「ああ、いや、まあ。……それが、ね?親子だと思われていたみたいなのよ、私達」

と言いながらかなり気まずそうに私から顔をそらす霊華。

お、お茶っ葉を買いにいっただけだよね…。

 

「まあ、いいわ。別に。ある意味間違ってはいないんだし。…親子とは言えないけども」

 

 

なんて言ってみたらなんかクスッと笑われてしまった。

なんか私、変なことでも言ったかな。

 

「いえ、まさかそんな反応されるとは思わなくってね。一応『巫女さん、前に連れてきた娘さんがいないようなんですけどなにかあったんですか?』って聞かれたことだけ教えておくわね」

 

 

「なるほど、そんな風に言われ………えっ?」

 

縁側に上がろうとした私の足が驚きのあまり止まってしまった。

いや、その、親子って…。

名前呼びじゃないのは仕方ないとして、一度しか一緒に歩いてないのにどうしてそうなった。

 

「あー…やっぱり驚くわよね。でも仕方ないと思うわ。今名乗ってる名が本名と違うと言えど、博麗ってのに変わりはないのだし。それに偶然にせよ、そっくりな部分もあるのだから勘違いされてもおかしくないわ」

 

「……あんたと私ってそんなに顔似てる?服は完璧に違うって分かるんだけども」

 

話ながら縁側に上がり、靴を適当に揃える私。

もちろんまた出る時、履きやすいようにって意味で脱いだときと逆に置いて。

 

 

っていうか霊夢になって以来、ずっと自分の顔を見てない気がする。

最後に自分の顔を見たのはいつだったっけなあ…。

 

「ええ、かなり。あと鏡ならあったはずよ?あなたの部屋に。それか私の手鏡でも使う?部屋に置いてあるから取ってこないといけないけども」

 

 

あったのか…。

っていうか手鏡なんていつの間に買ったの、霊華さん。

なんかあなたもあなたで変化してますよね。主に女性らしく。

前なんかどう見ても仕事はきっちりしますって感じの人だったのに。

…変わったなあ。

 

 

「んなら、あとで確認するわ。自室に戻ったらお札とか書かないとだし」

 

「そう。分かったわ。でも…大丈夫?鏡なんか見て」

 

こりゃまた酷い。

鏡を見ても自分の顔が映るだけなのに。

 

「大丈夫よ、顔が映るぐらい。あんまりおかしなことを言っているとお茶っ葉を()るわよ」

 

「…それ、むしろ嫌がらせにならないわよ?」

 

あらま。そうなの。

もしかしてほうじ茶になるとか知ってたり…?

そんなまさか。

 

 

 

 

 

 

 

 

居間に移動した私と霊華。

そのまま台所へ霊華が行くと少し時間をかけてお茶を淹れてくれた。

今度、少しでいいからお茶っ葉を()ってみようかな。

 

そう考えていると正座で待っている私の前にせんべいを置いてくれた。

正確に言うと背の低めな丸い机の真ん中に置かれたんだけどね。

 

 

「悪いわね」

 

「別にいいのよ。お茶には茶菓子があった方がいいでしょうしね。……それで、どうしたの?」

 

この『それで、どうしたの?』って言うのはいきなり消えてから八日も帰ってこなかったことの話だよね。

一応、ぼかして話すか…。

熱かなんかで倒れましたとかってことにして、さ。

 

「ああ、軽く熱で倒れただけよ。気にしなくていいわ。むしろそろそろお守りを売ってみた方がいいと思うのよ」

 

「そう。ならいいけども。……お守りを?」

 

怪しむように私を見ながら言ってきたけど、流してくれたみたいだ。よかったよかった。

 

「ええ、お守りを。魔除けとして作ったし、売って使ってもらった方がいいと思うのよ」

 

「そんなんでいいのかしらね…」

 

湯呑みを手にして少しお茶を飲んだ霊華は腕を組んで悩むような顔をしてきた。

そりゃそうか。祀ってる神様も分からないのにお守りっていうのもあれなのかな。

 

でも、外の世界じゃ祀ってる神様と別にお守りとか絵馬とか売ってるし、おみくじも置いてあったりするからいけると思うんだけどな。

 

「私はお守りから始めた方がいいと思うわ。神社にお守りの噂を聞いた参拝客が来て、そこから信仰してもらえたら万歳ものだし、お賽銭も増えるかもしれないから一石二鳥だと思うのだけども…。そうすれば収入源が増えて他にも手を回せるようになるかもしれないわよ」

 

「なるほど、ね。それで、どうするわけ?」

 

それはちゃんと考えてあるんだよ。

幻想郷には今までなかったもの、になるけど。

 

「これから説明書もどきを書こうかと思っててね。普通はつけないんだけども、一応つけないとなにか言われたときに困らないから。あと絵も念のために描くから…ちょっと時間がかかりそうね」

 

「へぇ、説明書もどきねぇ。それについては私も協力してあげるけども、もちろん口頭でも言うのよね?」

 

せんべいを手に取り、二~三口食べてから私は頷いた。

 

「そりゃあね。魔除けと言っても降りかかるものから守るってだけで自ら近づかれちゃあ意味がないもの」

 

私がそういうと感心したのか何度も頷く霊華。

な、なんでなんだろうね?

そこまで考えてるから、とかはなさそうだけど。

 

「因みにその知識ってただの一般人が持つようなことかしら?」

 

「そりゃもう。神社に何回か初詣に行ってるから多少はね?よく五円を投げたものだわ」

 

「へぇ、五円なのね。その感じで行くと二十五円とかも投げそうね」

 

「それは様々だから分からないわね。でも、前に見たテレビ……ああ、分かりやすく言えば情報を映像つきで流してくれる物なんだけども、そこで縁起があるって言ってたのよ。そこで私は知ったわ」

 

「字の如く…ってわけかしら。五円はご縁がありますように、とかそんなんでしょうし。お守りって増やしていくつもりなの?」

 

それに対してはすぐに頷いた。

魔除けだけではなく、厄除けとか健康守りとかそういうの考えてたしね。

破魔矢も視野に入れてるからそれなりに行けそうな気もするけど…どうなんだろうな。

 

「ええ、今のところそのつもりだけどもね?問題があるのよ」

 

「無人になってしまった時だと売れなくてお賽銭しか入れていけなくなる……ってことかしら?」

 

 

そう言われた私は何度か頷く。

とりあえず仕方ないけど、簡単な方でやるかな。

 

 

「ええ。だから、解決策がやれるようになるまで有人販売しかしないつもりよ。それでも多少は参拝客が増えてくれれば嬉しいのだけども…」

 

「ふふっ。頑張ればどうにかなると思うわよ」

 

ニコニコと微笑ましそうに私を見ながらそう話した。

そうだといいんだけどさ、私だって考えるんだからね。

それをきっかけに神社に祀られてる神様を信仰してもらえたらいいな、とかそういうの。

 

せんべいを1枚食べ、淹れてもらった分のお茶を(すす)ってから自室へ向かった。

次の時にお守りとかを売れるように。

 

 

 

因みにそのあと、霊華も手伝ってくれた。

明日は魔除けのお守りを売れそうだ。



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第14話 里での宣伝活動とお願い事

今回はかなり平和なものです。
何事も起きてません。


…番外編が番外編っぽくないなぁ(ボソッ


……あっ。と、とりあえず、本編どうぞ。


私は昨晩作ったばかりのビラを手に、里へ来ている。

本当は里で売るつもりだったけど、よくよく考えればそうしてしまうと神社に来てくれないかもしれないし、神社にいるだろう神様に信仰もしてもらえないし、お賽銭も入らないかもしれない。

 

それだといけないから、とそうさせてもらった。

もらった、というのは霊華にお守りを売る準備をしてもらってるから。

売る日が今日にせよ明日にせよ、まず宣伝をしなきゃ意味がないしね。

 

 

 

さて、そろそろ始めますか。ビラ配りを。

 

「明日から博麗神社でお守りを売るわー。ある程度の魔から身を守ってくれるお守りだから、来る甲斐(かい)があると思うわよー。しかも、そのお守りはお手頃な値段で買いやすくて、博麗神社への参拝もその魔除け一つでかなり安全になるわよー」

 

本当はリーズナブルな値段とか言いたいけど、どこまでそういうのが通じるのか分からないからこういうしかない。

っていうか大きな声でいいながら里を練り歩くのもなんか恥ずかしいね。しかも、やりなれないもんだから棒読み気味になってるような気がするし。

周りから『あの霊夢が…』とか『博麗神社の巫女が珍しく巫女らしいことをしてる』とか若干聞こえてくるけど、そこまで言わなくても……ねえ。

 

 

「自ら危険な魔に近寄りさえしなければ効力は抜群よー」

 

 

言っておかないといけないものも、忘れずに。

って本当、色々な人から珍しいものを見るような目付きで見られるなあ。

それのおかげ…と言えばなんか嬉しくないけど、持ってきたビラをほぼ全部渡せたようだ。

 

 

 

その後、霊華には悪いけど甘味処に寄らせてもらっている。

「……はぁ。いやまぁ、巫女として目立ったことをしてないとは言え、ここまでとはね…」

 

さっき頼んで買ったお団子2本とお茶を座っているそばに置いて見つめながらぼやいた。

因みに私が座っているのは店前にある長椅子の方ね。

 

「そう言ったって貴方がしてきたことは変わらんぞ?」

 

「……えっ?」

いきなり声をかけられたからビックリしてその方を見ると慧音がいた。

 

「こんにちは。珍しいな、あの時以来じゃないか?」

 

「えっ、ええ…こんにちは。そういやそうね。永夜異変とその後の胆試し以来だから久しぶりの方がいいのかしら」

 

思わず流れで返事したら、満足そうな顔をした。どういうこと?

 

「そうだな、正確には最後に貴方が言ったその胆試しだけど。んで、なにをしてるのかと思えば魔除けお守りの宣伝ってやつなのか」

 

「ええ、そうよ。獣道が怖くて通れないのなら、それ用に作って行き来しやすいようにしようかなってね。もちろんそのお守りも絶対じゃないから一年ごとに出来れば買い直してほしいところだけども」

そう言って私は団子串を1本手にした。

 

「なるほどな。よく考えたものだ。でも、なんでお守りなんだ?別にそれでなくても方法はたくさんあるだろう?」

 

「そうでもないわよ。むしろこの方法ならお守りって小さいし、片手で持てるから懐に入れやすいし、下手にやるよりはいいかなって思ったのよ。しかも神社に来ることになるからもしかしたら信仰もしてもらえるかもしれないしね」

 

外の世界の神社もそうなのか分からないけど、そういうのをよく出してるしね。

あと迎春の時の屋台とか。それはまた別の話だからいいとして。

 

 

「ほう。確かにそうだな。懐に入れられる物を売るなんてよく考えたものだ。そうだね、私も気が向いたら一つ買ってみることにするよ」

 

「あら、そう?でも、考えるなんて、そんなことはないわ。ま、でも買いに来てくれるならむしろ歓迎するわよ」

 

現実ではやらないけど、ほんと全裸待機する勢いで歓迎するから

いやぁ、元いた世界の神社を参考にしてよかった…かな?

 

「そうかそうか。ただ暇になるかどうかが分からないがな」

そう言うとハハ、と笑った。

 

まあ、仕方ない…のかな?

寺子屋とか色々やることがあるんだろうし。

 

 

「別にすぐ来れなくても大丈夫よ。こっちもあわせてやるから、簡単にしかできないしね」

 

私がそういうと慧音は驚いた表情を向けてきた。

どんな印象を私に持ってるのやら…ホント…。

 

「そうか。ところで今は暇なのか?」

 

「あー、そうね。やることはやったから、ある意味暇と言えるのかもしれないわね」

 

なにせ休憩がてらに来てたわけだし。

それにもう昨日のうちに大体は用意しておいたから霊華1人でもできることが多い。

 

というわけでついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音についていった先にあったのは寺子屋。

「それで、だな。……子供たちの相手をしてはくれないだろうか?大変だと思うけど、少し面倒を見てくれるだけでいい。お礼も多少は渡すつもりだ。貴方が受けてくれるなら任せたいんだが…」

 

 

まさか、呼ばれてついていった先で聞いたお願い事が子供らの面倒を見る。

いやまあ、断らないんだけどさ。ついてきた以上は。

むしろそれでいいのかと聞きたいぐらいだし。

 

 

「分かったわ。いいわよ、そういうのなら」

 

「け、結構軽く受けてくれるんだな。むしろ助かるからいいんなだが…」

 

何故そこで言いづらそうにするの?

もしかして私が一応巫女だから、かな?

 

 

「とりあえず…任せたぞ。私はやることをやってくる」

 

「はいはい、分かったわ。ちゃんとやるから」

 

 

 

 

 

 

 

私は適当に返して、その子供達がいる部屋を探して――あっ、勘任せに探したら見つけた。入るかな。…少し、楽しみだ。



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第15話 “寺子屋の中にいる”

ほのぼの目指してますと言えそうな内容……だと思いたいです。
いや、まあ、大体異変とかがなければ平和なところですが。


因みに今回は文章が短めです。
それでも宜しければ下から本編ですのでどうぞ。

※タイトルをほんの少し変えました。目立たないので分かりづらいかと思いますが、これで違和感はないかと


そこを開けるとそれなりの子供がいた。

多分今日は少ないのかな?

 

 

 

「あー、とりあえず皆。こっちを見てちょうだい」

 

そういうとそれぞれ好きなことをしようとしていた子供たちの視線が私に一斉に向いた。

 

 

「しばらくあんた達のことを見ることになった博麗霊夢よ。宜しく」

 

「…おめでた色だー」

 

軽く自己紹介をしたら、数人いるうちの子供にそう言われた。

見てくれ的には確かに間違ってはないんだけどさ、そうじゃなくって。

おめでたいとされる紅白ってだけだよー?

 

「確かにおめでた色だけど、そういう色の名前じゃないのよ?正確には紅白っていうのは分かってるわよね?」

 

「じゃあ、紅白巫女?」

「おめでた色じゃなくてー?」

「紅白巫女さんってことだよね!」

「普通に紅白巫女だー」

 

あなた達ねぇ…。

しかも、疑問形じゃない子が紛れてるし。

 

 

「ええ、そうよ。…とにかく、今日はしばらく見てるから気軽に話しかけてちょうだいね」

 

 

「「「はーい」」」

 

という返事を皮切りに子供達が私を囲うようにして近寄ってきた。

は、反応が早いね、あなた達。でも紅白巫女だの、おめでた巫女だの言わない。特におめでた巫女は違うから。

 

 

 

 

それからしばらく質問攻めにあったあと、休憩時間になったらしいので遊んであげることにした。

 

「れーむ。れーむも遊んでー?」

 

「はいはい、なにで遊ぶの?」

 

 

そう聞いたら、満面の笑みを浮かべて

「鬼ごっこー」

 

な、なるほど。そうきたか。

そうとなれば…

 

「あら、そうなの。…覚悟はいいわね?」

 

「えー、覚悟って遊ぶだけなのにいるのー?」

 

「真面目に返されるとふざけにくいじゃないの」

 

思わず苦笑いしちゃうぐらいにはね。

あ、もしや真顔で言ったのが駄目だったか?

 

「れいむってふざけるのが下手なのかなー」

 

「多分下手なんだよ。○○くん相手にすぐにつっこまれてるしー」

 

 

聞こえてる聞こえてる。

少し離れてるだけだから聞こえてるよ。

 

「あら、そう聞こえる場所で話すってことは混じりたいとして受けとるわよー?」

 

「「えー」」

 

そんな風に言っておきながら顔はそんな不満そうじゃないのってどういうことなの。

そんなに遊びたいの?

 

……分からないし、かまにかけてみるかな。

 

「あら、別にこの子とこの子が連れてきた子と遊ぶから別に無理しなくていいのよ?」

 

 

「私達も遊ぶー」

 

「鬼ごっこを○○くん達だけでするなら私達も混ざるー」

 

うん、釣れた。

んじゃ、今ここにいる子供達を相手に遊んでやるぞー。

 

 

「あ、でもおめでた巫女が鬼だよー?」

 

「だからおめでた巫女じゃ…。……はいはい、分かったわよ。ただこのままじゃあれだし、私は空を飛ばずに歩いて捕まえるわ」

 

あ、不満そうな子がいる。

いいハンデだと思ったんだけどな。

 

「えー、歩いてー?」

 

「鬼ごっこって追いかけて遊ぶごっこじゃないの?」

 

「私が走ってやったらあんた達より速いし体力もあるんだから普通に勝っちゃうかもしれないからよ。ほら、手加減してあげるんだからそれ相応で来なさい」

 

「この巫女優しい!」

 

「なんかれいむがお姉さんに見えるー」

 

なんだそりゃ。

年齢的にはあなた達より完璧にお姉さんでしょうが。

あと優しいとかやめい。厳しくしたつもりはないし、私とは今日が初めてでしょうが。

 

 

 

 

 

 

 

そうやって遊んでたらかなり時間が過ぎてた。

うん、そろそろ帰らないとな。

 

「あー、悪いけどもそろそろ帰るわね」

 

「え~…」

 

「あともう1回ー」

 

あれ、いつの間にか仲良くなっちゃった?

なれてたら嬉しいんだけど、あまり遊んでると神社に帰れないんだよなー。

 

「ほら、お前達。あんまりワガママを言うんじゃない。……それにしても霊夢。いつの間に仲良くなったんだ?」

 

凄いナイスタイミングで来た。

まあ、子供達も一部不満げな子がいるけど返事してる。

よかったよかった。

 

「それは私が聞きたいわ。普通に遊んでいただけだから」

 

「そ、そうか。…それで、もう帰るのか?」

 

「ええ、そうね。ちょっと遊びすぎたし」

 

「ははは。でも、子供達も気分転換が出来たようだし、感謝するよ」

 

「あらそう?それはなによりだわ。…ま、帰るわね」

 

と話してたら子供達が一ヵ所に集まった。

な、なにかするの?

 

「また来てね、れーむ」

「おめでた巫女にまた会えるー?」

「また今度一緒にあそぼーねー」

 

「はいはい、また今度ね。じゃ、またね」

 

「ああ、またな。霊夢。今日はありがとうな」

 

「「「さよーならー!!」」」

 

 

うん、結構楽しかったし、最後も最後で微笑ましかったな。

なんか来てよかったかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社に帰ると霊華があらかた準備した後だった。

「おかえり、霊夢。宣伝は―――っと、私が気にするほどじゃなかったのね」

 

「ただいま。……珍しいって言う人の方が多かったんだけどもね?」

 

素直に喜べない結果だよ、うん。

違う意味での宣伝効果は凄くありそうだからいいんだけどさ。

あ、苦笑いを浮かべた。

 

「ま、まあ…そういうこともあるわよ。でも、その分来てくれるかもしれないわよ?」

 

 

「だといいんだけども…」

 

「「あははは……」」

 

どっちも乾いた笑いかい。

分からなくもないから、なんとも言えないんだけどね。

 

「あ、そうだわ。他にも試験的に売ってみたいのがあるのよ。それもいいかしら?あとは軽くいじって調整するだけで出せるものだから」

 

「参拝客に受けるといいわね」

 

「んちょっ!?売る前から不吉なこと言わないでちょうだいよー!きっと受けて売れるからー!」

 

「あはは、悪かったわね」

 

んもう…この人は。

まあ、いい。それも用意して、残りの準備をして終わりだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今日は。ううん、今日も悪夢を見なければいいんだけど。

今日も見たら2日連続になっちゃうし。やだなぁ。

そう思いつつも、私は寝ることにした。




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第16話 悪夢を見た巫女は一時的な死神代行と言う名の手伝いをする

今回、サブタイトルがやけに長いです。
多分原因は単純にネタをつめこんだからですね。

ま、まぁっ、内容が想像しやすければ(きっと)いいんですよ!……多分。


あ、ああ。それと本編は下からです。


また夢を、見た。

 

 

今の私より身長の高い私が目の前にいる。

でも、それは今の私の容姿じゃなくて、前の、らしい。それなりにボヤけてて分かりづらいけど。

 

その彼女が言う。

『貴方は本当に自分を本来の人格として名乗れる?記憶を引き継いでいるだけの全くの別人格ではないと否定できる?』

だと。

そんなことはない。私は私なんだ。…人格に偽りなんてない…はず。

 

そう思う私にまた彼女が言う。

『はず、か。…なら記憶はどうかな?喪失(そうしつ)した部分もあるようだけど、貴方には2つの記憶がある。霊夢本人のものと貴方のもの……。さて、ここで問題です。貴方の記憶は霊夢の記憶に繋がりがない。そうなると貴方の記憶は持ってきてしまったものか?それとも、すりこみされたものか?…または記憶としてうえつけられたか。ウフフ、自問自答もせずに残しておく貴方のその考えが全く分からないね』

 

そうだね。私のと霊夢のがある。

そのせいでたまに記憶になんか繋がりがないなって思うときがあるからなんとも言えない。

 

『んじゃ、分かりやすく聞くね。―――ねぇ、その記憶さ、本当に貴方の記憶なの?すりこみされた、とかうえつけられた、とか。だって貴方だって分かるんじゃないの?……やけに忘れてるところがおかしいことぐらいには』

 

「…………」

 

『あっれー?まさか分からないって黙るの?それとも分からなくても平気、私は私って無理して笑って。そうやって虚勢をはるつもりなのかなー?』

 

虚勢なんてしてない。…してないはず。

 

『あっ、そう!それすらも分からないなんて終わってるね!…でもいいや。どーせ貴方はいずれ思い知ることになるんだから…ね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…フラグ回収早すぎ…。

本当、参っちゃうわ。

今度またあの悪夢を見たら『悪夢再び』とか言ってやろうかと思うぐらいには参っちゃうわ。

……あ、でもふざける余裕があるんなら大丈夫だよね、とか言われそうだな。

と、ともかく外でも見て時間を……ってまだ夜なんかい!

くぅぅ…。仕方ない、気分転換も兼ねて縁側で少しホットココアでも―――あ、そう思えば幻想郷にココアなんてあったっけ?

……仕方ない、白湯でも飲むかな。

 

 

 

 

 

 

急須に沸かしたお湯を入れて、湯呑みと共におぼんにのせて縁側に。

つくと夜空が綺麗だった。さすが冬に近くなってるだけあるね。

そるに枯れ葉とかも散っていってるし、それはそれで綺麗だねぇ。

 

 

白湯を湯呑みに淹れてから飲んでみた。

…冷えてないから若干熱い。まあ、冷えてたら少し困るけど。

でも…白湯は白湯で落ち着くね。

 

 

 

「おや、縁側に誰かいると思ったら霊夢じゃないか」

 

ん?この声は…。

 

「……そういうあんたは萃香ね?」

 

おう、霧状になってたのね、あなた。

いきなり目の前に出てきたから少しビックリしたじゃないか。

 

「ああ、そうだよ。にしても夜中に起きてるとは珍しいねぇ」

 

「ちょっと寝付きが悪くってね。白湯を飲んでリラックスしてたところよ」

 

私がそう答えたら少し驚いたような表情になった。

いや、驚くことでもないでしょ。

 

「なるほどね。なら酒でも飲むか?」

 

その手もあるか…。

幻想郷でしか出来ない方法だけど、それでいけるならそうしようか。

 

「そうね。…ただ、加減はしてちょうだいね?」

 

「他の人よりお酒に強いあんたに言われたくはないけど、そうだね。宴会でもない今、そこまで飲む必要もないし、分かったよ」

 

「そう?なら付き合ってもらおうかしら」

 

 

その後お互い酒を飲みあったわけなんだけど、やっぱり萃香は酒豪だった。

まあ、結果的に寝れたからいいんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬を越え、春になる頃。

あれ以来悪夢も見ないし、小さな異変ぐらいしか起きていなかったから修行―――何故かするはめになってる―――と掃除とかしかやることがなかった。

因みにお守りの評判はなかなかよく、先代の巫女だった霊華曰く『来る人数は昔より少ないか同じね』だそうだ。

…昔も少なかったのね。

 

今日も同じように修行させられた私は掃除が終わった境内で自然でも堪能しようかと周りを見渡していた。

私の中では自然も癒しなのです。なのです。

 

「……それにしても花が咲きすぎよね。おかしいわ」

 

「そうね、しかも四季の花っぽいし…」

 

「……!?れ、霊華って花とかそういうの見てたの?」

 

背後にいる霊華に振り向きながらそう聞いてみた。

困ったような笑みを浮かべてるけど、しょうがないよね?

 

なにせ霊華は巫女だとか博麗の巫女としか呼ばれてなかったっていうぐらい仕事熱心な人。

そんな人が自然の花に詳しいとか思う?

先入観のせいかもしれないけどさ。

 

「あはは…。無理もないかしら。あなたと一緒になるまでそこまで自然を見る余裕なんてなかったから。でも、だからと言って誰も知らないとは言ってないわよね?」

 

そこまで、っていうことは少しはあったんだ。

 

「そう。でも、それにしてはおかしいわよね。霊華、神社を任せるてもいいかしら?今からちょっとある場所に行きたくなったのよ」

 

「ええ。…ってどこにいくのよ、霊夢」

 

どこかって教えたらいらぬ心配を受けそうだなぁ。

さすがにあそこなら私一人でも十分だし。

 

「どこって、そのある場所に少し用事があるのよ。そこに行くからしばらく時間がかかるかもしれないのよね。なんだったらお昼、勝手に食べててもらえる?」

 

「そう?…分かったわ。でも、気をつけるのよ?いくらあなたでも博麗の巫女であるのに変わりはないのだから」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

そう言って私は早速そこへ向かった。

多分他の人達も動いてる可能性があるからなるべくこっそりと行きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ほ、本来より時間がかかった。ほんと、姿を隠して進むのも楽じゃないね。

さて、ここら辺はなんか幽霊…というか怨霊?…えっ?なんか多くない!?誰だ、サボってるのは。

 

 

そう思って三途の川近くまで来たら鎌を持った死神もどきがいた。

その死神の名前は小野塚小町―――のようだ。

……でもあれさ、サボってない?やってるの?

私には寝転んでるようにしか見えないよ?

 

 

 

「ちょっとあんた。死神よね。この世に今咲くべきではない花が咲いて困ってるんだけども。どうにかしてくれない?」

 

「はいはい分かっt…お前さん、人間だね。それをこの三途の川までわざわざ言いに来たのかい。まぁ、大丈夫。渡しておくよ。ほら、私は一級案内人だから」

 

なんだろう。この人。

そう言っておきながら寝転がったまま、起き上がらないんだけど。

なに?サボる気満々なの?

 

「だったらその働きっぷりを三途の川までわざわざ来た私に見せてほしいわね」

 

「心配しなくてもだいじょ……。って、お前さん、巫女なのね?霊魂とか見えてるんでしょ?」

 

「えっ?…ええ、私は博麗の巫女だけども。んでもって確かに見えるわよ?…それがどうかしたのよ」

 

いきなり聞いてきたからビックリして素直に答えちゃった。

わっ!?急に立ち上がったと思ったら両手を握ってきた!?

 

「ちょうどいいわ!仕事量が多くって一人じゃ大変だったのよ。引きこもりとかそんなんで手を焼いてて大変だからさ、手伝ってほしいの。いいかな、お前さん。ちゃんとお礼はするから」

 

「…そ、そうなのね。大変…。…ま、まあ…分かったわ」

 

と言うなり大きな鎌を無理やり渡してきた。

え、なにこれ。やらなきゃいけない?

 

「悪いね。ちゃんとしてくれればお礼は弾むからさ。頼んだよ!」

って私に言うとそそくさとさっきの場所に戻っていった。

 

これさ…受けちゃ駄目な奴だったんじゃない?

……はあ。でも、仕方ない。

少しでも送ってやればあの異変のような花はどうにかなるでしょ。

異変解決をしてるんだと思えば安い……安い、のかな?

 

 

 

 

乗れるか不安だった小舟に鎌を持ちながら乗った私は本来の仕事ではないことを始めるはめに。何度も往復してるし、数えてないから分からないけど、そこにいる幽霊達と会話しながら彼岸に送り届けている。

 

 

いいのかな、こんなんで。

なんかこう…船渡しの死神のことまでは想像してなかったからあってるのか分からないんだよなぁ…。

 

 

んん、とりあえず今の方に思考を戻して…今回は4人の幽霊を送り届けている最中なんだよね。

 

「いやぁ、お前も苦労するな。俺も夫婦で大変な思いをしたが」

 

「仕方ないで片付けるしかないわ…。でも、あんた達は頑張った方よ?むしろあんなにノロケたあんたが羨ましいわ」

 

そういうと他の3人が笑った。

因みに男が2人の女2人ね。

比率がちょうどいいってこれなに。

ああ、渡し賃とやらはちゃんと受け取ってるよ。

あとで小町にちゃんと渡すつもり。

 

「確かにあれはおノロケ話だよね」

 

「そうねぇー」

 

「俺だってなあ!貧乏してなけりゃ彼女ぐらい…!」

 

…浪費癖のあるあなたがなにを言う。

あなた、自分で借金をして賭け事をしてたって教えてくれたのを忘れたのかな?

それでも話の中に頑張れば落とせたかもしれない子がいたんだけどね。多分賭け事や返済にしか視野がなかったんだね。

 

「あら、最後のあんたは下手すりゃ賭け事もほどほどに出来て彼女が出来てたのかもしれないのよ?」

 

「うぇっ!?そうだったのか?!」

 

「ええ、私はそう感じたわ」

 

「好意を抱いてそうな子も出てきたものねぇ」

 

そう続けて言ったのはおっとりした女性。

話からして周りに優しくしていた子みたいだけど、最終的に幸せになって子供に恵まれ死んだ人らしい。

 

もう1人の女性はその親友。

なんとも複雑なことに彼氏が落ちぶれるのを何度も見たそうな。

…どんな人間関係よ。

 

 

「マジか!あー…俺最悪じゃん…」

 

あっ、今分かったのかな。

運が良ければ来世は落ちぶれ卒業できそうだね?

 

 

 

などとやりながら彼岸に送ることまさかの六往復目。

何人送ったっけなぁ…。

 

 

 

いい加減そろそろ自分でしてほしいんだけど。あの小町は私と違って死神らしいし、そもそも生きた人間がすることじゃないよね。

 

そう思いながらこの世側の三途の川に向かって小町の船で戻っていた、その時。

「って、小町!なにサボってるの!更に生者に仕事押し付けるなんて……理由を教えてもらいましょうか!」

 

凄い大声だねー。ビックリしたよー。

というか結構真面目な人なこって。

いや、人じゃないか。まさか彼岸の方から私と同じような人が来るわけないし。

名前は…四季映姫・ヤマザナドゥって言うらしい。

 

「きゃん!じ、実は怨霊の中に引きこもりの妬み気質な人がいて苦戦してたんだよ!」

 

「本当に?…それはおかしい。なにせ来る霊達がやけに楽しい話をしてきたかのように――」

 

「ああ、それは私かもしれないわ。霊の中に外の人がいたもんだから普通に話をして、その中でどうにかしつつ彼岸に連れていったけども」

 

「……なるほど、貴方だったのね。でも、貴方も不思議なことになっている。本来ならそうなった貴方ですら地獄に行けなかったでしょうが、前の寺子屋での行為が少し、今回のことがそれなりに影響して行けるようになっている」

 

「へぇ、つまり地獄じゃなくてあの世に行けるってことね?」

 

「そうね、貴方がもう少し善行をつみ、神様と交流をすれば行ける。今はまだ地獄行き」

 

「あの世には行けるのね。まあ、考えておくわ。他にも色々しながらね」

 

「……。本来なら貴方を地獄にすら送りたくないのです。何故なら今の貴方は不安定すぎる。妖怪を退治するところかそうでもない者を退治することが少なくない。でも、巫女として動いたのはごく最近。なんですが、やったのはおかしなことに外の世界のやり方。まだまだ貴方の業は深いですが、何故か違う生活が見えますね。普通に勉強していたようですが、机に置かれた箱形で映像を写しているもので遊んだりそれを更に薄く横に長くしたもので家族と映像を見ていた様子も見える」

 

いや、あの。それを小町の首根っこ捕まえながら言っても、なあ。

…って、あれ?プライバシー丸見え?おかしいな。映姫はなにを見て…手鏡?

 

「そちらではどっちもしているので、そこまで業が深くないようですね。それが結果、あの世に行ける可能性を示している。ただその不安定をどうにかしなくては地獄に行けるかすら怪しいけどね」

 

「あらそう。ご忠告どうも。それはそうと、はい。私にはまだこれはいらないし、鎌も返すわね」

 

そう言って首根っこ捕まれたままの小町に受け取った渡り賃全部と押し付けられた鎌を渡した。

あっ、映姫に睨まれてる…。

 

「ああ、律儀に悪いね」

 

「そういう貴方はしっかり働く!そこの巫女の方がまだしっかり働いてますよ!業を深くする可能性は減ってないけど、善行をつむ可能性が出てきている。貴方よりはマシですからね!」

 

「ひ、ひえぇー…。すみません、すみません」

 

そこの巫女って…。間違ってないんだけどさ。

それにしても厳しい人だ。いや、あの感じからして死神に関係している人か。人って言えないけど。

 

「っと…小町への説教はあとでします。いいですね?」

 

「か、勘弁してくださいよ、四季様」

 

「…私、帰ってもいいかしら。こんな感じの異変なら解決させるほどのものじゃないし。神社でやりたいこともあるし」

 

「ああ、大丈夫ですよ。ですが、説教する代わりに少し言いますね。今の貴方ですら地獄に行けるか怪しいのでまず善行をつむこと。次に自我をしっかり持つこと。いいですね?」

 

な、なんで今それを?

っていうか特に自我は関係ないよね。しっかり持ってるよ?

 

「はいはい、分かったわよ。頭の片隅にでもいれて覚えておくわ」

 

私がそう答えたらため息をついたけど、納得したのか頷いてくれた。

とりあえず、帰ろう。

この異変は放っておいても大したことじゃないし。

 

…博麗神社に向かうとき、背後から説教の声が凄く聞こえた。

小町、頑張れ。




一部本文を手直し&リメイクしました。


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第17話 色々あったが、休みはない

特に意味のないサブタイトルです。

異変の手前ですので、大した内容ではありませんがそれでもいいよと言う方は……下からが本編です。


あれからしばらくして、徐々に四季の花が減っていった。

どうやら映姫曰く『一度裁いておいたからしばらくはしっかり仕事をするはず』らしい。

するはず、と言うのはあの小町――なんとなくサボマイスタってあだ名をつけたくなる――がよくサボるからだそうな。

幽霊ともよく話すし、欲もないと言う。

欲に関してはよく分からないけど、別に話ぐらいしてもいいんじゃないかって言ったら…甘いと怒られた。

 

因みに私の様子も見に来たらしい。

神様との交流は曰く『フレンドリーすぎるが、しないよりはマシ』とのこと。

いやぁ、お守りとかおみくじ関係でお世話になっててね。あとその他もろもろ。

それで話す機会とか神降ろしをする機会があるからその影響かな?

それで、今やってることをそのまま続けるようにと言った後、また説教してきた。もういいいよ。説教しなくても。

その時は霊華のおかげで途中で帰ってもらえたんだけど、霊華も説教されてた。

…あの人って説教するのが好きなのかな?

 

 

 

 

しかもその後、しばらくもしないうちに神降ろしの修行を紫につけられるようになった。

大体二日か三日に1回ぐらいは来る。

色々やることがあって辛かったから一度試しに天岩戸別命(あまのいわとわけのみこと)を使ってみたら『こんな弱い幻覚じゃ駄目ね』と言われた。

一応念のために1人でも修行したのにな。訳がわからないよ。

 

ああ、しかもこの間に妖怪の兎が倒れてね。

着ていたものを綺麗にして返すって嫌がらせをしてあげたら何故か喜ばれちゃった。何故?

それにいつの間にか姿を消してたし。いやまぁ、お礼残していったけど。

その残していったものは美味しかった。月見団子ってあそこまで美味しかったかな?

 

まあ、それだけで終わらないんだよね、この回想は。

神降ろしを身につけてからしばらくした時に月へ行った。

っていうか私が修行するタイミングよすぎでしょ。誰か企んでない?

因みに行ったメンバーは私、魔理沙、レミリア、咲夜、妖精メイドがさんひ…じゃないね、3人。

そもそも乗り気じゃないんだけどなあ。まあ、負けたんだけどさ。元から負けるんだろうなーとは薄々かんづいてたんだけどね。ほら、悪いのは私達だし。

 

私が最後らへんで、大禍津日(おおまがつひのかみ)を降ろして弾幕をはったんだけど巫女装束を着た神様こと伊豆能売(いづのめ)に浄化された。

 

凄い、そんな神様知らない。

って言ったら勉強不足だと言われた。そりゃそうかもしれないけどさ。

で、でも剣を首につけるのはやめてね。怖いんだから。

そう言ったら笑われた。酷い。

 

でもね、月での生活は楽しかったよ。

神降ろしを見せ回ったのは大変だったけど、手を使わないで開くコンビニとかにある自動ドアと同じような扉にスマートフォンとかタブレットのように文字の拡大縮小のできる本に月の民の人となり。

なんか月の民に慣れるのがはやいねって言われたけど、どうしてかな。気のせいだと思うけど。

 

あとなんか見覚えのある亡霊が見えたのは気のせいだったのかな?

神社に帰った時は霊華に事情を説明するのが大変だったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

……とにかく、色々あった。どこかの誰かに写真を撮られたことも含めて。

夏なんて里に降りて寺子屋に行ったりもしたんだけどね。

んで、今は男女で来てくれた参拝客の相手を霊華としている。

 

「いやぁ、霊夢さんがお守りを売ってくれて凄く助かったよ」

 

「そうねぇ。一緒にいる巫女さんにも感謝しかないけど」

 

「別にいいのよ。それで少しでも神社にいる神様とかを信仰してくれればいいのだから。それに、最近はお賽銭も入れてくれるじゃない」

 

「そうね。でも、確かにお守り様々ねぇ…。あ、感謝するなら神様に、ね?お礼返しをするとまた次も答えてくれるから」

 

「あっ、あぁ…ありがとう。分かったわ。彼と一緒にしてくるわね。行きましょう?」

 

「ああ、そうだね」

 

……どうして未だに私は”霊夢さん“で、霊華は”巫女さん“なんだろう。

私も巫女なんだから霊華と同じ呼ばれ方でもいい気がするんだけどなぁ…。

因みに他の呼ばれ方は私は”紅白巫女の霊夢“で、霊華は”博麗の巫女“なんだけど…この差はなに!?

いやまあ、身長は霊華の方がでかいわ、胸もでかいわ、地力もスペルカードルールのない時だから私よりあるわと私より上なものが多いのもあるんだろうけどさ。なんかショックだな。

 

ああ、実を言うと霊華…もとい先代の巫女は本当に上が白色のあれで、下が袴の奴を着てる。

私みたいなコスプレもどきの巫女服は着てない。

それと、もみあげは私のによく似た赤い布でまとめてるみたい。

 

んでもって髪色と目の色は何故か今の私にそっくりだし、顔の形もやけに似ている。

まるで今の私をそっくりそのまま大人にして胸も大きくしたような感じ。

…うん、誰に向かって説明してるんだろうね。謎だ。

 

 

 

 

「…うーん、確かに参拝客は前より来るようになったけども。なんで皆、私のことを名前で呼ぶのかしら」

 

「それはもう仕方ないわ。でも、厄除けに魔除けとかそういう色んな種類のお守りにおみくじとかそれっぽいのを置いただけよかったんじゃないかしら?そのおかげでほんの少しだけどもその参拝客が来るようになったのだから」

 

し、仕方ないで片付けられた…!?

…いや、分からないわけでもないんだけどさ。

 

「まぁ、そうね。妖怪は相変わらず来るけど、魔除けお守りのおかげで来る人が減らないし。…むしろ今心配なのはそのお守りを過信してないかってことなんだけどもね?」

 

「あー…なるほどね。まあ、一年に一度買い直しに来る人は大体一緒のように見えるから大丈夫よ、きっと」

 

「だといいのだけども…」

 

 

 

そう話しているとお参りをしたらしいさっきの2人が私達の方に戻って―――ん?なにに驚いてるのかな?

 

霊華と一度目があう。

なにが言いたいのか大体分かった。とりあえず振り返ろう、だよね?

 

 

…た、確かに驚くわな…。

とりあえず参拝客に近づき、小声で帰ることを促した。

お礼を言うとそそくさと帰っていったけど。

 

 

「貴方…たち?の神社に営業停止を言い渡しにきました」

 

うわ、変な人だな…と思った。

っていうか私と同じ脇だしの巫女服なんだね。

それ以外は緑と白とか違うところがたくさんあるけど。

 

「営業停止にされたら困るんだけども?」

 

「じゃあ、潰すか山におわす神様に譲渡してください」

 

「あなた、勝手に話を進めすぎなんじゃないの?」

 

「果たして、そうでしょうか。まあ、2人で相談しておいてください。私は先に帰ってますので」

 

そういうと飛んでいってしまった。

…嵐のような人だったなぁ。

 

 

 

 

「……どうしたものかしら。ようやく軌道にのってきたと言うのに」

 

「それでも妖怪退治しにいったりするのは変わらないけどもね」

 

「前よりはいいわよ、前よりは。あー…あの話も大分怪しいような気がするんだけどなー」

 

 

「よう。…ってなんでそんな顔してるんだ?」

 

「ああ、魔理沙。それがね、さっき変な来客が来たのよ」

 

「いや、確かに最近は参拝客が増えたようだけど、神社に来る妖怪は減ってはいないじゃないか」

 

「いや、確かにそうなんだけどもさ。違うのよ。参拝客じゃなくて本当に変な来客。人間だったわね」

 

「でも、珍しいわね。営業停止を言っていくあんな(やから)がいるのは」

 

や、輩って…。

いやまぁ、怪しさ満点だったけどさ。

 

「この神社って営業してたのか……って言いたいけど、霊華と一緒にお守りとかおみくじとか売ってるんなら営業してるな。んでも、停止した後はどうするって言われたんだ?」

 

「それが潰すか山におわす神様に譲渡しろって言われたわ。なんか怪しすぎる二択ね」

 

「ああ、そうだな。しかし、妙だな。こんな神社にそんなこと言う人間がいるとは」

 

こんな神社って言うんじゃない。

これでもしっかりした神社なんだし。

 

「こんな、ではないけど。でも、普通は言わないわよね…」

 

「じゃあ、霊夢。話し合いに行ったら?さすがに今回のは私が行くわけにはいかないし。そうすれば分かるでしょ」

 

「あ、それがいいな。霊夢、私らは神社にいるから行ってきたらどうだ?」

 

留守番は霊華1人でも十分なんだけど…。

…別にいいか。

 

「それもそうね。霊華、魔理沙が勝手しないように見ててもらえる?」

 

「勝手って…。まあ、スペルカードルールでも教えてもらうから勝手もできないと思うわよ?」

 

「って霊夢から聞いてないのか!?」

 

「まあ、その。私自身、人間相手の手加減を知らなくってね。ある程度霊夢相手に慣れてたところなのよ。そのせいで聞く時間がつぶれちゃってるみたいでね?」

 

「…あー?要するにどういうことだ?」

 

私はため息をついた。

ようやく私を鍛えるその真意が分かったからね。

体力作りや万が一でも身を守れるように、だけじゃなくて霊華自身と同じ人間相手にどれだけの力を出せば平気なのかっていうのを慣れるための修行だったんだと。

 

……そう分かるとなんか修行じゃなくてもいい気がしてきた。

 

「私に修行つけるついでにスペルカードルールでも変な風に力まないためだったのね。霊華の時と今じゃかなり違うから加減も覚えたかったんでしょ」

 

「ああ、そういえば先代の巫女だから妖怪退治はそりゃ今と違って当たり前か。じゃあ、しょうがない。霊夢、今度なんかおごれよ」

 

「えー…。なんであんたにおごらなきゃいけないのよ」

 

「当たり前だろ。霊華にスペルカードルールを教えんだから。それにもうお前はツケを払えるんだろ?」

 

「……いやまぁその。分かったわよ。ただ今度だからね」

 

「おっ、サンキュー」

 

ぐぬぬ…。覚えてろよ、魔理沙…!

自分からでも里に降りたくなるような美味しい甘味処に連れてってやるからなー!

 

 

 

そんな思いと共に私は山へと向かった。



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第18話 神社のピンチ。だから山へ行く 前編

先代の巫女 博麗霊華(本名不明)

能力 博麗の巫女としての能力 空を飛ぶ程度の能力 霊気を操る程度の能力(情報求む)

危険度 高

友好度 高


……って書かれてもおかしくないと思いました。

下から本編になってます。


幻想郷で山、と言えば妖怪の山になるから不思議だな。

そう思った私はおかしくないはず。

 

 

それで進んでいて思った。

秋の紅葉って、綺麗だなー。

因みに今回は封魔針でやってる。だから陰陽玉も前に配置してみた。

今思うと若干邪魔かも。

 

 

 

更に進むとなんか良い匂いがしてきた。

これさ、下手すると目的を一時忘れちゃいそうだね。危ない危ない。

 

…お?なんか紅葉をイメージしたかのような服の人が出てきた?

って、弾幕はってきたんだけどー!

まあ、前に集中させて上手く当てればそうでもないんだけどさ。

 

 

少しやってると…よし、いった。そこに居残るってことはまだなんかしてくるのかな?

 

――葉符「狂いの落葉」

 

なるほど。スペルカードか。

それでやってくるのはー…?

ばらまきみたいな感じかあ。

でも、こういうのはまだやさしい方かな。

気をつけてればどうにかなる。

 

 

 

 

封魔針を前方の狭い範囲に向けてはなっていたらどこかへ去った。

さて、再度広げて…と。

さっきの人、そういえば名前…『秋 静葉』っていったっけ?と、いうかなんで思い出すみたいな感じなんだろう。

まあ、とりあえず進めば分かるでしょ。色々と。

 

 

 

 

更に進んでいると今度はさっき出てきた静葉って名前の人にそっくりな人が出てきた。

感じからして人間じゃないのは分かってるんだけど。

名前は『秋 穣子』…か。あれ、もしかして姉妹?

 

それはともかく

「…落ち葉はどうでもいいとして、この匂いはなに?とても不思議でならないのだけど」

 

「ああ、それは収穫したてのお芋の匂いだね。でも、巫女の癖に収穫したてを狙うなんて笑わせてくれるわ」

 

「なるほどね。だからそんな匂いが…。でも誰も食べるなんて言ってないし、そもそもそんな趣味は持ってないわよ」

 

「あら、そう。ちなみに私は豊穣の神ね」

 

「へぇ、そうなの。だから焼き芋のような匂いが…」

 

「そういうこと。でも、巫女なんかに新鮮な取り立ての芋を食べられてたまるもんですか!」

 

いや、だから食べないっての!

と言う前に弾幕ごっこが始まった。どんな戦い始めよ…。

 

 

 

 

おーおー、最初から凄いね。

こっち狙いの弾も混じってる。

でもこれなら最小限で避けてれば大丈夫そうだね。

 

 

 

――秋符「秋の空と乙女の心」

 

中ぐらいの弾と…交差する米みたいな弾?

なんか最初から大変な弾幕なこって。

でも交差するんならそこに気をつけつつ中ぐらいの弾を見てればどうにかなる、かもね。

一応攻撃を前方に集中させて…と。

 

 

 

そうやっているとスペルカードは攻略できた。

まあ、攻略するなり弾幕をはってきたけど。

 

一応避けれないことはないから…攻撃をそのままに…と。

っよし。

 

 

 

――豊作「穀物神の約束」

 

米みたいな弾をはってきた。

次は…ん?なにこの細いせ……おおっ?なにあれ。レーザー?

弾を隙間の空いてるところで避けてればだいじょう……ぶじゃない!赤色のレーザーみたいなのも出てきた!

大変だなぁ、これ…。

 

 

 

 

 

「なるほど、さすが神様は八百万ほどいるだけのことあるわ。……それはいいとして、山にいる神様は話の分かる神様だといいなあ」

 

そう、穣子を倒したあとに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから進んでいくと富士山の近くにあるらしい樹海のような場所に出た。

 

 

なんか本当樹海だなーとか思いながら進んでるとくるくると回転しながら人が出てきた。

目が回らないのかな、そのでかたは。

 

 

そう考えているとスペルカード宣言してきた。

 

――厄符「厄神様のバイオリズム」

 

 

お、おー…弾幕が凄い。

繰り返しの動きができそうだし、そっちにするかな?

さっきまで広げてた攻撃も狭めて…っと。

にしても最初からスペルカードか…。なにか意味でもあるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

そうして進んでるとなんとなく思うことがひとつある。

「……大分進んだけども、なんか凄いわね。樹海なだけあって昼間でも光が届かないし」

 

「あら。貴方、まだいたの。さっきので追い返したつもりだったのに」

 

そういって回転しながらきた人は『鍵山雛』って名前らしい。

 

「うーん…むしろ私はこの先に用があるから追い返されても困るんだけども」

 

「あら、迷い込んだわけじゃないのね。でも、だとしたら人間が山に入ってなにするの?危ないわよ」

 

「心配はありがたいんだけども、この先にどうしても行きたいのよ」

 

「もしかして厄払いにでも行くの?なら、私は人間の味方で厄なら得意よ。そうね、貴方のような人間の厄を受けて、神々に渡しているの。なんだったら、貴方の厄災も全て引き受けましょうか?」

 

「いや、その。今回は厄払いとかじゃないのよ。だから大丈夫なのよ。…と、いうわけで普通に通してちょうだい」

 

「そう。それは聞けない話ね」

 

 

 

そういうと弾幕を張ってきた。相変わらず弾幕ごっこへの入り方が理不尽だー。

なんか共通していきなり入るしさー。もう。

 

とりあえず攻撃を前方に集中させて…避けるに限る!

その後少しやっていたら、あっさりと倒せた。

 

――疵痕「壊されたお守り」

 

なるほど…。交差みたいな感じになるのか。

なら、そこをうまく通れば大丈夫かな。

 

 

それをある程度避けると弾幕を張ってきた。

なんか最初と似てるけど、お札が追加されてる…。

うーん、危なかったら霊撃して消すかな。被弾しても困るし。

一応数回だけ被弾しても問題はないんだけど、念のためにって奴ね。

 

 

気合いでどうにかしたら次に進んだ。

人間、たまに気合いでどうにかなるもんだね。

 

――悲運「大鐘婆の火」

 

スペルカード名ー!?

厄はいいよ、厄は。もはや素人でも分かるんじゃないかってぐらいそのオーラが見えるし。

回転しながら攻撃してくるのは不思議だけどさ。

それはともかく、悲運って…。

 

まあ、いいや。火みたいな弾を避けよう。

つっこんでる場合じゃないし。

…それなりに厄介だけど。

 

 

 

 

 

 

――創符「流刑人形」

 

それなりに時間をかけて攻略したらすぐにまたスペルカードを宣言してきた。

なんだ。直線なら避けるの楽そうだね。

 

 

そう思ってたら弾はバラけるわ、小さい弾は追加で出てくるわとややっこしい弾幕へと早変わり。

私の中で難しさ上位に入るんじゃないかってぐらいだね。

 

それをしばらく避け続けたらどうにかなった。

もうちょっとで霊撃を使うところだったけどね。

 

 

「私は親切に追い返してあげようとしただけなのに……」

 

「追い返すもなにも…どうしても先にある場所に用があるから行きたいのよ」

 

「そう。ここから先は神々の住む世界よ。後悔する前に帰ったら?」

 

「その神々に話がしたいのよ。だから悪いけど、私は行くわね」

 

そういって私は離れた。

止めてくれたのは分かったけど、今の博麗神社にとっては凄く重要だったからさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

滝が見えてきた頃。

なんかある意味大変になってきた。

結構距離があるからちゃんとあってるのかなーとかそういう感じで。

 

 

ん?あれは…

 

「げげ、まさか人間!?」

 

「そこまで驚かなくてもいいんじゃないかしら」

 

――光学「ハイドロカモフラージュ」

 

…お?青色の弾?

その上交差する弾も?

うわー…。本当危なさすぎて霊撃使いそうになる。……うん。たぶんさっきのを気にした方がいいんだろうけどね。

 

 

 

 

 

 

「あーあ…着てた光学迷彩スーツが壊れちった」

 

「へぇ、そういうの着てたのね…」

 

「そうよ。むしろ人間の癖にそれを着ていた私の姿がよく見えたわね」

 

「水の反射かもしれないわね。もしくは予想外からの光とか」

 

「なるほどね。ま、じゃあね。それと人間、これ以上進むと危ないからねー」

 

「用事があるから行くけども」

 

 

 

 

そ、そんなに止める…?

うーん…。なんか融通がつうじるか不安になってきたんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま追いかけるように進んだらまたさっきのがいた。

へえ、名前は『河城にとり』って言うんだ。忘れてたような気がするよ。

 

「おや、さっきの人間じゃないか。さっき危ないから奥には進むなって言ったでしょ」

 

「だから、私は奥に用があるのよ。通してもらえる?」

 

「通して?貴方が何をしに行くのか知らないのに通す訳にゃいかない」

 

「山の上にいる神様に話す用事。結構大事なものよ」

 

「山の上の神様?そんなもん何人もいるけど……。悪いこたぁ言わない。引き返した方が良いよ。ちなみに私は河城にとり。通称、谷カッパのにとり。さあさあ、里へ帰った帰った。この先、人間に対して排他的な奴も多いから」

 

え、なに?排他的な奴がいる?

へぇ…そういうのもいるんだ。どっかの誰かさんも人のこと言えなさそうだけど。

 

「そうだとしても、よ。私にとっても結構大事な用なんだから」

 

「あらあら、久しぶりに盟友である人間に出会ったと言うのに残念ね……。仕方がない、これ以上山に入るというのならその本気、この目で確かめさせて貰うよ!」

 

 

ただし、弾幕ごっこでね!

…って話でしょ?

 

んー、避けれないことはないね。

こういうのなら…!

 

 

 

 

――漂溺「光り輝く水底のトラウマ」

 

お、おお…?スペルカード名がなんか凄いな。

もしかして、この弾幕もその名前を意識してたりするのかな。

まだ平気だから普通に攻略できそうだな。

 

避けつつそんなことを考えていたら、いつの間にかスペルカードが終わってた。

最初の弾幕に似てるけど、これは…厄介だな。いつでも霊撃出来るようにしよ。

 

 

――水符「河童の幻想大瀑布」

 

わお。凄く斜めから来たりして避けるの大変そうだな。

これこそ気合いで避けないと辛いな。

霊撃をいつでも使えるようにしないとほんとに…凄い。

 

 

 

 

どうにかして避け続けていると攻略できたらしく、新たな弾幕が出てきた。

なんか難しい…けど、なんかすぐに倒せた。

 

 

 

――河童「スピン・ザ・セファリックプレート」

 

おお…。なんか凄いことに…。

まあ、勘でいけばどうにかなるでしょ。

でもこっち狙いとそうでない弾が二種類あるからなんとも、なぁ。

 

 

あ、どうにかなった。

 

 

「つ、強い。私の兵器で倒せないなんて……人間とは思えない強さだわ」

 

「ほら、大丈夫でしょ?じゃ、行くから」

 

「あぁ。河童と人間は古来からの盟友だから教えてやるよ」

 

「古来からの盟友…という割には出会ったときの驚きようが酷かったわね」

 

「そ、それは…ほんの少し悪かった。でも最近、山の上に不穏な神が居着いたのは事実。貴方はそれを倒しに行くんだろ?」

 

それを聞いて私は思わず苦笑いを浮かべた。

は、話にいくだけなんだけどな…。

 

「あー、そうなのね。とりあえずその山の上に居着いた神様に会いに行くから。そろそろ通してもらえるかしら?」

 

「本気だってことも分かった。この辺の河童には伝えておくから望み通りこの先に行きなさいな」

 

「はいはい。…っとあんたと話してたら滝が見えてきたわ。ま、これからが本番ね」

 

またもや独り言もどきを言って…いや、妖怪がいたから違うかな。

とりあえず進もう。この先にある山へ…!




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第19話 神社のピンチ。だから山へ行く 後編

何事もなければ平和…というわけでもなさそうですね。
今回でまた異変は終わりです。次回は宴会から。



下から今回の本編になっています。


空を飛んでると滝を見ながら上がれていいね。

案外綺麗だわー。

 

 

 

お?進んでたらなんか思い出しそう。

…『犬走椛』?え?それが彼女の名前?

弾幕は……ってそれなりに厄介!

さすがこれからが本番なだけある。

密度が凄くて避けるのが大変。

 

でも耐えてどうにかすれば…まだどうにか…!

…よしっ、いった!

 

 

 

ふぅ。でもなんだったろうね、あの子。

いきなり襲ってくるなんて…。なにか山にあるの?

 

 

また誰か出てき…『射命丸文』?そういう名前なのかな?

どっかで見たような格好をしてるような…。いや、見てる気がするよ、私。

 

「あやややや。侵入者の報告があったからそこへ来てみれば……まさか貴方とは……」

 

「ああ、あんたね。あんたには用事なんてないから通してちょうだい」

 

「そう言われても侵入者の報告を受けた時、私が出るようにと言われたのよね。私はただの新聞記者なのに、酷い話でしょう?」

 

「はいはい、そうね。それで?」

 

ただの、なのかな。本当に。

そう思うのは私だけ?

 

「そりゃ多分、貴方の事を一番良く知っているのが私だからでしょうね。ほら、きっと貴方の相談事にも乗れるかもしれないって上司の粋な計らいよ」

 

「それって単純に顔見知りのあんたが出されたって話よね。それはいいから通して。山の上にいる神様とやらに用があるんだから」

 

「山の神様?あぁー……なるほど。さてはあの神様の事かな?」

 

「いや、どの神様よ…」

 

八百万の神様って言うほどいるらしいのに分かるかってつっこみをしたくなった。

 

「最近、天狗も手を焼く神様が頂上に移り住んでね。どんどん山を自分の物にしようとするし……。最近は麓にまで降りて信仰を集めようとしている、って言う話だし……」

 

「ああー…。そいつよ、そいつ。私があるのはそいつだわ」

 

「調子に乗るようだったら、私達天狗達が倒すつもりだったので、貴方が行く必要はないわ」

 

「大いにあるわ。あんたには話さないけど、結構大事なの。だから通して」

 

最後は少し強めに言ってみた。

多分意味はない。

 

「でも、私は貴方を通す訳に行かない。私があっさり通しちゃったら、見回り天狗達も納得がいかないからね」

 

「へぇ…。面倒なのね、天狗って」

 

「組織に属するってのは自分の意思だけでは動けなくなるって事よ。さあ、手加減してあげるから本気で掛かってきなさい!」

 

「手加減って…。まあ、いいわ。私はいつもの通りにやらせてもらうから」

 

 

 

ということで、弾幕ごっこをすることになりました。

……ってなにがだよ!

 

うん、セルフボケツッコミはやめるか。

いい加減目の前に展開された弾幕に意識を向けないと被弾する。

それとついでに攻撃も前方に集中させて一点集中狙いに変えてっと…。

それをやって少ししたらいけた。

 

 

――岐符「サルタクロス」

 

発動してから少し様子見してたら、とんでもなかった。

仕方ない。Pとやらを使うにせよ、ここは素直に霊撃を使わないと避けきれるか分からない。

 

 

 

 

 

 

攻略…っと。おお、ドーナッツにありそうな形の弾幕が出てきた。

でも油断しなきゃ平気そうね。

あれ。そういや2回ぐらい霊撃したのに使う前ぐらいの数値に戻ってる。

 

 

遠慮しなくてよかったんだね。

それで少し攻撃し続けていたらスペルカード宣言するのか弾幕が止まった。

さて、次はなにを使ってくるのかな?

 

 

――風神「二百十日」

 

発動してまた様子見してたんだけど、今度のも難しそ……あれ?

これ、避けながら考えてみたんだけどさ。

そんなに難しくないね。

むしろ逃げ道確保しながら避けてたら大丈夫なんじゃない?

 

っと、攻略ー。

次はスペルカードを使う前のにほとんど似てるけど…。

うん、難しくはなってるね。

 

 

――「無双風神」

 

うん、ちょっとスペル名が不吉…だと思ったらその通りだったよ、やだー!

しかも動き回ってるから攻撃なんて届かないし…。きっついな。

いざとなったら、霊撃でもしよう。……あまりにも弾幕が濃すぎるから。

 

 

 

 

 

 

――塞符「天上天下の照國」

 

ああ…さっきよりはまだ大分マシだね。

っていうか今まで使ってきたスペルカードさ…本当に手加減してこれなのかな。

なんか理解しがたい天狗だ。別にいいけど。

 

 

 

 

 

しばらく避けていたらどうにかいった。

「まじめに戦った事なんて殆ど無かったけど、予想以上の強さね。これなら、あの厄介な神様も倒せるんじゃないかしら」

 

それってないに等しいってことだよね?

 

「あら、それはどうも。…それはともかく、その神様のところまで案内してもらえる?」

 

「その神様は、少し前に神社と湖ごと引越してきたの。この先に新しい神社が出来ているのよ。そこに居るはずだわ」

 

「これまた大規模な引っ越しねぇ…。ま、情報どうもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想入りに規模なんて関係なかったかな?

そう思ったのは参道っぽい場所に出たとき。

こんなの急に現れるもんだと思うと普通はビックリするよね。

 

 

 

 

それからある程度進むと巫女服を着た少女が目の前に立ちふさがった。

なんだろう。そろそろいきなりバトルを仕掛けてくるトレーナーに見えてきたぞ。

全然関係ないんだけどさ。

 

んで、今回の人は…?

おお、上から見れば星みたいな弾幕の形だね。魔理沙と違って作ってるみたいだけど。

うん、この感じなら大丈夫だね。平気そうだ。

 

 

 

 

――秘術「一子相伝の弾幕」

 

…ん?なんだ、大丈夫そ…ってそうでもない!弾幕濃すぎでしょ。

 

霊撃を一度使って、と。

お、案外いけた。

 

 

 

 

 

 

いやぁ、普通の弾幕と一緒かなーとか思ってたから駄目だったね。

……見た目に惑わされたのもあるけど。仕方ないね。

名前は…『東風谷早苗』か。そういう名前なんだね。

 

 

「巫女の貴方の方から山に入るとは……今すぐうちの神様を勧請したいのかしら」

 

「いいえ。それにしても本当に神社ね…。信じがたいけど」

 

「ここは守矢の神社。忘れ去られた過去の神社。外の世界から神社と湖ごと幻想郷に移動してきたのよ」

 

「あらそう。凄いわね」

 

因みに今のは棒読みね。

 

「ここの山は私と私の神様が頂くわ。そして貴方の神社を頂けば……幻想郷の信仰心は、全て私達の物……」

 

「そんなことをしたら幻想郷におわす八百万の神様が黙ってないわよ」

 

そう言った後に「…最近他の神様もこの神社を気にかけてくれるようになったし」と小声で足しておく。忘れちゃダメだからね、私は。

 

「これは幻想郷の為でもあるのですよ。今の信仰心が失われた状態が続けば、幻想郷は力を失います。奇跡を起こす力を失うのです」

 

「前よりは信仰されてるわよ、失礼な。だから私達でどうにかなるわ」

 

「私は風祝(かぜはふり)の早苗。外の世界では絶え果てた現人神の末裔。神を祀る人間が祀られる事もある。巫女が神になる事もある。貴方にはそのぐらいの覚悟が出来て巫女をしているの?」

 

「別に神になってもならなくてもいいと思ってるのよね。やる時にやることをやればどうにかなるし」

 

「そう。では現人神の力を見て考えなさい。奇跡を起こす神の力を!」

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷での弾幕ごっこって本当流れのまま行くよね…。

まあ、いいけどさ。

 

まだ平気…と。

 

 

 

 

――奇跡「客星の明るすぎる夜」

 

…う、厄介そうな弾幕。

きつそうだったらはやめに霊撃使おうかな…。

あんまり被弾できないんだし。

 

 

 

 

 

 

ギリッギリだったけど、なんとかなった。

多分封魔針ってのもあるんだろうね。さすが高威力。

 

っと違う弾幕を張ってきた。

いやなんか…よく避けてこれたな、と。

途中霊撃使ってるとはいえ。

……どうにかなるもんだね、ほんと。

 

 

 

 

 

――開海「モーゼの奇跡」

 

うわ、なんかまた厄介な弾幕。

でもなんか、視界の隅に見える左右のあれが海みたいに感じるのは私だけかな?

別の弾幕でじっくり見る余裕がないのは残念だけど。

いざとなれば霊撃、だね。

 

 

 

 

 

 

ん、次のは凄く楽だね。

早苗の正面だけ隙間多いし。

 

――準備「サモンタケミナカタ」

 

これは軽く避けてれば…え、ちょっと!?

封魔針って確かに高威力だけどさ!

これは…これはちょっと…。

 

 

――大奇跡「八坂の神風」

 

迫り来る弾幕は濃く見える…のに当たらない?

これって下手に動かなければ当たらない…とか?

……おお、当たらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「強い……。こんなに力があるのに何で貴方の神社に信仰心が集まらないの?」

 

「さあね。むしろ私が知りたいわ。でも少しは集まり始めてるんじゃないの?」

 

「そうね、私の神様の分社を置いておくだけでも、信仰心は今よりも大分回復すると思うんだけど」

 

「それはいい話ね。でも、まずは神様に会わないとね」

 

「え!?貴方の目的って、もしかして……」

 

「勘違いをしたままであろう神様を懲らしめるのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま進んだら、湖まで来た。

というか来ちゃった?

 

「湖についたのはいいんだけど…かなり柱があるわね。…んで、この柱を出した張本人はまだいるのよね?」

 

因みに出るとほぼ同時に名前を思い出したかのような例の感覚を覚えた。

なるほど、『八坂神奈子』って言うのか。

 

「我を呼ぶのは何処の人ぞ。おや? なーんだ、麓の巫女じゃないの。私に何か用?」

 

「そうそう、用があるのよ。でもその前に…あんた、フレンドリーすぎない?」

 

「最近は、厳かな雰囲気を見せるよりも友達感覚の方が信仰が集まりやすくってね」

 

「そう。それはいいんだけど、乗っ取りはやめてほしいのよね。困るのよ」

 

「乗っ取ろうとなんてしていないわよ。私は貴方の神社を助けたいだけ。貴方の神社に人が集まるようにしたいだけ。妖怪の魔の手から救いたいだけ」

 

「そう思うのは結構だけど、一方的に話していくのはいかがなものかしら。それにあんたを祀って信仰されるかが心配ね」

 

あの時、いきなり消えたしさ。

 

「信仰は0よりも減ることは有り得ない。幻想郷に足りない物は神様を信じる心。巫女の貴方なら判るでしょう?」

 

「前よりは参拝客が来るようになってるのよ。だからあんたの力なんて借りない」

 

「そうか。だが、神社は巫女の為にあるのではない。神社は神の宿る場所。そろそろ──神社の意味を真剣に考え直す時期よ!」

 

 

 

 

 

 

うーん、巫女の為にあるとか思ってないんだけどなあ…。

まあ、いいや。とりあえず弾幕ごっこで話し合いができる段階までやらないと聞く耳持ってくれそうにないね。

 

はぁ…。仕方ないか。

 

 

――奇祭「目処梃子乱舞」

 

こ、これはなんとかなる…っぽい?

んー、本音を言えば練習したかったなー。

ほとんど感覚任せで避けてるから怖いのなんの…。どうにかしたいね。

 

 

 

 

 

間も間で凄いねぇ。

避けてこれてるのが奇跡ってレベルなんじゃないの?

 

 

――神穀「ディバイニングクロップ」

 

下手すりゃ当たりそうな弾幕を乗り越えた、と思ったらこれ。

しかも最初はただの当たり判定の大きな弾と思ってたら途中から弾の大きさが変わるし。

よく見ると青色が混じってる。避けにくいなあ。

 

 

 

んで、通常弾幕(こっち)も通常弾幕《こっち》で避けにく…というかなんか一歩間違えたら被弾しちゃいそう。

伊達に外で神様やってないね。

でも…昔っていつだ?

 

 

 

 

 

なんて関係のないことを考えてたら次にいっていた。

 

――神秘「ヤマトトーラス」

 

片方から短剣が出てき…もう片方からも!?

んー…まあ、交差するのにも時差があるし大丈夫かな?

それに避けれそうな隙間を移動してる最中に見つけたし。

 

 

 

 

 

んで次の弾幕は…ん?んん?

案外綺麗に隙間があるような…いけそう。

ただなんか順番になってるの?そうなの?

な、なんか見づらい…。

 

 

 

 

――天竜「雨の源泉」

 

輝夜以来の綺麗な弾幕だね。

いや、その。避けてなきゃいけないからそんなに楽しむ余裕がないんだけどさ。

出来ればゆっくり見たかったなあ……ってあぶなっ!ちょっとよそ見してたら被弾しかけた…。

神奈子ばかり見てるもんじゃないね。

 

 

 

 

――「風神様の神徳」

 

お、おお…。……だ、大丈夫かな、これ。

いや、避けてこれたんだし、気合いだー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて気合いでやってたら被弾しかけること数回。

いやぁ、ごりごりやるもんじゃないね。

「とりあえず、乗っ取りは駄目だからね?」

 

「そこまで拒むのなら…分かったわよ。早苗にもそう言っておく」

 

「あら、素直ね。なら今言ってもらえないかしら。代案ならあるし」

 

「代案?貴方が考えたの?」

 

いやいや、私だとまず考えなかったことだし。…首は左右に振っておくか。

 

「いいえ、私じゃないわ。早苗よ。…分社なら置いてもいいって思ってね。そうすればあんたも私もウィンウィンな関係になるでしょ?」

 

 

「ウィンウィンって貴方…。…いえ、そうね。それなら貴方の神社を乗っ取らなくても信仰は得られる。んで、もっと参拝客に来てほしい貴方は」

 

「そう、参拝客が増える。そういうことだから、ご神体宜しくね。私は帰るから」

 

「自由だね、貴方」

 

「だってもう私の神社の問題は解決したし。あとは準備だけすれば、ね?……あ、とりあえずお酒とかおつまみとか、忘れないでよね。あんたらと山にいる妖怪とでいざこざがあっても困るし、それが里に響いたら嫌だから」

 

「へぇ、以外と気配りできるんだね。なんだったら同じ巫女同士早苗と仲良くしてやってくれないかしら?」

 

「あ、あぁー…。それもそうね。現人神っていうけど、同じ人間で巫女だものね。ま、いいわよ」

 

私がそういったら驚かれた。

自分で言っておいて酷いな。

まあ、早苗を気にするのは長い付き合いだからなのかな?

 

 

「あ、そうそう。今でもいいのよ。分社は後で建てておくから」

 

「そう?じゃあ、その方で。ご神体もちゃんと用意するし、お酒とかおつまみも出来る範囲でするわ」

 

「あら、悪いわね。じゃあ、色々終わったら面倒な奴らと川にいた奴らを誘ってくるから先に行っててちょうだい」

 

「はいはい、分かったわ」

 

 

 

いよっし。ここまですりゃあ後腐れはないでしょ。

あとは彼女ら次第だし。

 

そうと決まれば準備しなきゃね。

 

 

 

 

私はそんなことを考えながら博麗神社へと帰った。

天狗たちや河童たちを誘うの大変だったけどね。




すみません、本文を変えさせていただきました。


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第20話 宴会のち不調

今回ほど雑なサブタイトルはないかと思いました、まる。

…そろそろ気づかれてもおかしくないんですけどね。

それはさておき、下からが本編となっております。


小さな分社を作った次の日の夜。

私、早苗、神奈子に山の妖怪たちと言うメンバーで宴会を開くことになった。

 

途中で魔理沙が来たんだけど、あなた…どこで知ったの?

そう聞いたら偶然だったらしい。つまり、遊びに来たら宴会をしていたって流れなのかな?

霊華をあとで誘ってくれる?と聞こうとしたら、魔理沙は最初からあとで霊華も誘ってくれるんだそうな。あ、ありがたいんだけど、まがりなりにも、彼女は先代の巫女だし、大丈夫かなぁ。色んな意味で心配になる。

杞憂だろうけどさ。

 

 

 

 

それで、皆で飲み始めたのはいいんだけど……

「早苗、あんたはあんまり飲まないの?」

 

「え?……ああ、私はちょっと…」

 

「あら、苦手なの?…ってそれもそうね。外の世界はそういう法律があるし」

 

そういったら早苗が肩をつかんできた。

 

「きゅ、急にどうしたのよ…」

 

「霊夢さん、なんで法律を知ってるんですか?」

 

「えっ?あ、あぁ…多分言い間違えただけよ。ほら、酒飲んでるし。ところであんた達も幻想入りするなんてどうしたのよ。外の世界にも神様を信仰する人はいるでしょうに」

 

「…そうですか?まあ、それなら…。ああ、変なカルト宗教のせいですよ。おかげさまで信仰されにくくなってしまいまして」

 

「わあ…よく分からないけど、大変だったのね」

 

「て、適当に返さないでください!」

 

いやぁ、悪い悪い。アハハハ。

そう思ったら実際に笑ってた。

こりゃほろ酔いにでもなったかな?

 

「うぅ…。まあ、いいですよ。…に、しても霊夢さんはお酒平気なんですか?」

 

「ええ、平気よ。むしろこの量じゃそれほど飲んだ気になんてならないわよ。……ただ、あんたんとこの神様やそこにいる妖怪ほどはさすがにね」

 

苦笑いしながら向こうを見る。

霊華を誘いにいくはずだった魔理沙が神奈子や酔った妖怪達に絡まれてる。ありゃ大変だな。

 

「なんかあの様子を見てると幻想郷でもやっていけるような気がします」

 

そういってクスッと笑った。

案外可愛い…。

 

 

「あら、そう?まっ、あんたもあんたで頑張りなさいな。……ところで、その…」

とまで言って言葉を(にご)してしまった。

う、うう…。なんか聞きづらい。

そもそも言って分かるのかな。いや、分かるんだろうけど…うーん。

いいか、聞こう。

 

「ど、どうしたんですか?改まって」

 

「い、いえ。…外の世界の話を肴にお酒でも飲もうかと思ってね?駄目かしら」

 

「えっ?ま、まあ…構わないですけど…」

 

そりゃあ不思議そうにするか。

仕方ないね。まさか霊夢の中身が全然違う人とは思わないだろうし。

会って間もない人間などならなおさら、ね。

 

 

 

 

そのあと、それなりに話を聞かせてもらった。

この幻想郷で外の世界についての話なんて貴重だったもんだからついつい深く聞いちゃった。

お酒も更に飲んだものだから危うく早苗にも酒を飲ませるとこだった…。いやぁ、なんとかすすめる前に自制できてよかったわ。

 

 

んで、問題の神奈子と山の妖怪はもう大丈夫そうだね。

むしろまだ飲もうとか言ってて早苗がちょっとしんどそうだった。

……仕方ない。外の世界の人間だったんだから余計にね。

と、言うか私は…そもそもいくつだったんだっけ?全く覚えてないんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ん。……夢……ん。……夢…さん。…霊夢さん。霊夢さん?」

 

「なによ、もう。そんなに呼ばなくても聞こえるから…」

と返したはいいものの、なんか頭が痛い。しかもなんかそれに加えて体調が悪化している。

お、おかしいな。悪酔いするほどは飲んでないはずなのに。

 

「あ、あぁ…それはよかったです。それで霊夢さん、大丈夫ですか?」

 

「別に大丈夫よ…」

 

そういった後のことはもう覚えてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……。

 

『なるほど、これが貴方の本来あるべき記憶なんだね。…でも、それが貴方にはないと』

 

…今見てるこれは夢、なのかな。

 

『記憶がなくても生きていけると思うのは結構。でも、いずれはその無くした記憶のせいで身を滅ぼす。さてはて、あなたはいつまでその状態が持つのかしらね?うふふふ…』

 

なにを言っているのやら…。

っていうか私は…私、は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

意識が浮上すると共に私は勢いよく上半身を起こした。

なんかおかしなことに、周りが明るいです。どういうことでしょう。

 

「それより、私…」

と言って周りを見渡してみた。

なるほど、私の部屋…かな。

うーん、昨日は飲みすぎたのかな。それで倒れちゃったとか。

うわ、ありえそうで怖い。

今度会ったら謝らないとな。

 

 

 

とりあえず、着替え――

「って、起きたのか。それならそうと声をかけてくれよ。早苗とかが心配してたんだぜ?それと私もな」

 

「……魔理沙」

 

まさか同じ部屋にいる人に気づけないとは思わなかった。

いや、気づけないどころか見えなかったんだけど。大丈夫かな、私。

 

「霊夢、大丈夫か?まさか二日酔い起こすほど飲んだわけじゃないんだろ?」

 

「ええ、さっきよりはね…。むしろ早苗に少し合わせたもんだから逆に飲み足りなかったぐらいよ」

 

それを聞いて苦笑いを浮かべる魔理沙。

私の真横にいるもんだからよく表情が見える見える。

これはまさか…翌日ですってオチじゃないよね。

 

「お前、さっきって…。それはもう昨日の話じゃないか?もう翌日の昼だぜ」

 

はい、フラグ回収しましたー!

まぁその、よく考えれば分かるもんだけどね。

昨日飲んだのは夜。そして今は日がそれなりの高さから差してる。

 

これが表すことは?

 

 

そう。誰が答えなくても次の日にいきました。

 

「あらやだ。私ってば寝過ぎたのね」

 

「ふざける余裕があるなら大丈夫だな。…あ、霊華とやらが昼飯作ってたから食べようぜ」

 

とやらって…。

いや、それ以前になにさり気なく昼食をいただこうとしてんの。

ま…でもいいか。たまには。

 

「はいはい。今着替えてから行くから先に行っててちょうだい」

 

「へーい。んじゃ、先行ってるわー」

 

魔理沙はそういうとしょうじを開けて行った。

せめて閉めてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの格好に着替え(多分昨日霊華か魔理沙のどっちかが着替えさせたんだろうね)て居間に向かうともう2人が座って待ってた。

はやいよ。

 

「はやく来たらどう?冷めちゃうわよ」

 

「そうだぜ。せっかくの朝飯が冷えたらうまいもんもうまくなくなっちまう」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食後、さすがに魔理沙も帰るだろう。

そう思って魔理沙の方を見たらまだいるつもりらしい。あなたねぇ。

 

「…に、しても帰らないのね。魔理沙」

 

「おう。最近は霊夢もそうだが霊華といるのも楽しいからな」

 

それに加えるように「一番反応が楽しいのは霊夢だが」と言っていた。

どおりでよく私のところに来るわけだ。

 

「あらそう?なんだったら鍛えてあげても「しなくていい!私は今のままで充分だぜ!」」

 

……そりゃ嫌がるよね。

下手すりゃ途中で投げ出したくなるようなほどきついし。

いやぁ、スペルカードルールがあってよかったわ。

 

「普通はそうよねー…。なにせきつすぎるんだもの。今時そんなのなんて報われるのってぐらいに」

 

私がそう呟くように言うと霊華はため息をついた。

うーん、ため息をつかれても、なあ。

 

「まさかあそこまでして実感してないとは思わなかったわ…。普通ならそろそろ気づいてもいいはずなんだけど」

 

「…と、いうかまださせてたのか。よく持つな……霊華が」

 

 

うん、それはどういうことかな?魔理沙。

 

 

「そりゃあね。あんな体たらくでもし、万が一でもあろうものなら…。きっと最悪でしょうし」

 

「ああ、それって要するにいくら幻想郷でも妖怪とかから身を守れるようにしておけって話だよな。今じゃ本当に万が一って話だろうけど」

 

「はいはい。そりゃどうも」

 

そういった後、私は立ち上がりとある場所にでも行こうかと考えた。

 

「霊夢、あなたねぇ……ってどこへ行くのよ」

 

「それは秘密よ。ただ山にいる集団に面白いものとか提案してみようかと思って」

 

「私もついていっていいか?」

 

「あんたはだーめ。霊華と一緒におかしでもつまんでたら?」

 

「ケチな奴だぜ。まっ、ちょうどいいから貴重な話でも聞いてるわ」

 

「あんたにしては珍しい…。まあ、いいわ。行くわね」

 

「へーい」

「ほどほどにするのよー」

 

 

ほどほどってなにを。

それはいい。とりあえず行くか。

……そう、山にある川か滝らへんの河童の元に!




すみません、本文を一部リメイクしました。


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第21話 神社に訪れる(?)巫女

適当なノリで書いたこの小説がたくさんの人に読まれるとは思いませんでした。
累計とはいえ、私にとって凄く嬉しいです。

このような稚拙な小説に付き合ってくださりありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。


下からが本編になっております。


それからしばらくしたとある日。

河童の河城にとりたちに試作してもらったとある物をつけながら守矢神社へと向かっている。

 

 

バレないようにこっそりと…。

こっそり、と…。

 

「……そこのダンボール。それ以上は駄目よ。その先には私の永遠に眠り続ける友人がいるんだから」

 

「あら、そうなの。じゃあ、進むわね。気になるし」

 

「…ちゃんと聞いてた?っていうかその声、麓で巫女やってる霊夢よね」

 

 

そう言われたので仕方なくそれから出てたたむ。

懐に入れられる小さなサイズになるよう頼んだおかげで物凄く便利。

 

 

「ええ、麓の方にいる私よ。実は最近河城にとりと色々話しててね。提案したり作ったり…。その過程で生まれたただの試作よ。だからなんとなく使ってやろうと思ってね」

 

「ああ、そう。その感じからして他にもある、と?」

 

「ええ、あるわよ。お守りとかそういう奴の無人販売機とか」

 

 

結構現代的だけどね。

見てくれは自動販売機宜しくだけど、お金を入れてボタンを押すとそのボタンの上にある商品と同じものが落ちるって機械。

お守り各種に破魔矢を売るにはちょうどよさそうだし、河童のにとりたちの興味を引くような話だったから絶賛制作中。

場所も考え中。

 

 

「か、かなり現代的ね…。どこでその知識を得たのか気になるけども、そんなことよりこの先には通させないわよ?」

 

「……」

 

無言でそのまま歩き出した。

もちろん懐に入れられるダンボールを取り出しつつ広げはじめて。

 

 

「ってちょっと!?私の話聞いてるの!?」

 

 

ああ、うん。ちゃんと聞いてる聞いてる。

だから通るね。この先にどうやら守矢神社のなにかがあるみたいだし。

私としてはそのなにかって奴、すんごく気になるんだよね。多分あの分社(魔理沙曰くお地蔵ぐらいのものを入れるサイズ)からたまに感じる違和感の鍵を握ってそうだし。

 

 

 

サラダバー。…じゃなかった、さらばだー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その状態のまま、先に進むと誰かがいるみたいで人影が見えた。

「……やっぱり神奈子の友人って神様以外にいないからあれは…」

 

「へぇ、誰が友達といったのよ。むしろ友達なんかじゃないわ。ほんと、私の神社を勝手に幻想郷に送り込んでおいてよくもまぁ、そんな事を言えたもんね。あんな女、敵よ敵」

 

さすがに河童製のダンボール-――にとり曰く防水、防弾幕らしい―――から出るか。

んで、たたんで…と。

お?名前は…なんか『洩矢諏訪子』っていうような気がする。

 

「あら、神奈子の神社じゃなかったのね。てっきり私は神奈子のだとばかり」

 

「あーうー。まあ、前は私の神社だったんだけどねぇ」

 

 

え、なにその過去形。

 

 

「へぇ…だった、なのね」

 

「昔、神奈子に敗れてからはあいつの神社ね。仕方がないことなんだけどね。まあ、神社は自由にさせてくれるし私への信仰も増えたしまあ、感謝はして無くもないけど。それより何よ。そう言う貴方は麓の巫女でしょ?…さっきまでおかしな物かぶってたけど」

 

「敵と言うわりにはなんか仲良さそうね。ま、なら別に平気そうね。…んで、そうだけども?なんも用がないならもう帰るけども」

 

多分私の知りたかったことは知れただろうしね。

いや、単純になんか神奈子だけのものじゃないよなーってなんとなく気になっただけだし。

 

「何言ってるのよ。早苗とも神奈子とも遊んだんでしょ?私だけ無視して巫女が務まるとでも思ってるの?」

 

「遊んだ?その2人と私、なんかしたかしら」

 

…したことと言えば弾幕ごっこだよ?それ以外は話し合いとー…宴会?

 

「もう!巫女なら知っておくこと!『お祭り』は別名『神遊び』と言って神様が人間と遊ぶ事なの!」

 

「へぇー、そうだったの。…つまり、前に早苗や神奈子と戦って話し合いに持ち込んだつもりのあれは」

 

「そう、ただの神遊び。つまりお祭り。だから今日は私の弾幕祭りの番よ!」

 

 

 

 

 

えぇー…そうだったんだ。

んにしても弾幕祭りって言う辺り、大分馴染んでない?

 

っとそう考えてる場合じゃない。避けなきゃ。

 

 

 

 

 

――開宴「二拝二拍一拝」

 

スペルカード名が地味に神社に参拝いった時のお参り方って…。

んまぁ、それはいいとして簡単に言えば弾幕ごっこで遊べって話だよね。

それならまだ大丈夫。いける。

 

 

でも、避けるのは大変だね。うん。

次の弾幕は…なんとかなる、かな?

 

 

 

 

 

 

――土着神「手長足長さま」

 

こ、これはこれで厄介だな。

霊撃なしでいけるかちょっと心配だな。

いやまあ、どうにかするんだけどさ。

 

 

 

それで、次はー…。んー、霊撃なしでいけるかな?

どうなんだろ…。こう、弾幕をある程度見てくると最初より避けつつ攻撃するってことがやりやすくなってくるからなぁ。

あの永かった夜のときとは体感が大違いだよ。

 

 

あ、そうこうしてたら今の弾幕終わってた。

 

 

 

――神具「洩矢の鉄の輪」

 

お?これは…こっち狙い?…じゃないね。いた場所?

って危ない。まさか、輪になってる弾から外れてくるものがあるなんて…。厄介だね。

 

 

 

 

 

 

 

っと次のは分かりやすいね。

ちょっとはやい感じがするけど、単純なのは助かる。

 

 

――源符「厭い川の翡翠」

 

なるほど、川ねぇ…。

 

川って言うからもっと川っぽい弾幕かと思ってたら、想像と違う弾幕だった。

あ、もしかしてこれって翡翠(ひすい)の方?

いや、まさかね…。

っとある程度避けたら…ここだっ。

 

 

 

 

 

 

次の弾幕はなんか避けたことあるような。

まあ、なんとかなるでしょ。

 

 

 

――蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」

 

こ、これまた厄介そうな…。

よく見ると弾がはじけるタイプみたいだし。

これはいざとなったら霊撃かなー?

 

 

 

 

 

次のは大体似たのをさっき避けたから大丈夫だったけど。

 

 

――土着神「七つの石と七つの木」

 

 

七つ…あの例の魔法使いか虹しか浮かばないな。

っと案外避けるのが面倒な…っ!

 

いざとなったら霊撃しなきゃなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

――土着神「ケロちゃん風雨に負けず」

 

あ、ある意味弾幕の雨だ…。

ってちょっと待って。本当に弾幕の雨になってる。

凄く濃いんですけど…。気合い避けにもほどがあるでしょ。

まあ、隙間をうまくぬえば避けられないことはないんだろうけどね?きっついわー…。

 

 

 

 

 

って次のは早いし、こっち狙いなのか迫ってくる。

これで遊びとかちょっと。もう少し楽しいものがいいなあ。

避けられる隙があるからまだいいんだけどさ。

 

 

 

――土着神「宝永四年の赤蛙」

 

うん、もしかしてこれ…さっきのより大変だったりしない?

 

あ、でも誘導はできそう。ちょっと避けたあとのせいで手遅れ気味だろうけど。持ち直せるかな。

いや、持ち直さないといけない。被弾する的な意味で危なくなってきてるし。

霊夢はこういうのを避けてきたのかな。

 

そうだとしたら今は分かる。

なにが、とは言えないけどね。

 

 

 

 

――「諏訪大戦 ~ 土着神話 vs 中央神話」

 

あれ?大丈夫そうじゃない?

――そう思って少し様子見したら大変な目にあった。

次がまだ遅いとはいえ、下からは避けやすいんだけどそれが崩れてこっちに迫ってくるし、違うのも来るしと濃さはなくても案外きついものがある。

 

なんかありそうだからせめてその前には倒したいな…。

 

 

 

 

 

結構きつかったけど、ごり押しすればなんとかいくもんだね。

……被弾すれすれだったけど。

 

――祟符「ミシャグジさま」

 

うん、これで最後だといいな。

そう思ったら交差する弾幕だった。

さ、最後…だとしたらなにかに似た弾幕だね。

もしかして避けれたりする?

 

 

 

 

 

 

「あはははは。強いじゃない。大昔に一国を築いたこの私が、麓の巫女に負けるとは」

 

「やったの、祭りじゃなくて弾幕ごっこだけどもね?」

 

「だから、お祭りとは神様が遊ぶ事。日常感覚を離れた晴れの日の事よ。だから弾幕ごっこでもいいの」

 

「へぇ、そうなの。でも、弾幕ごっこは大分日常的よ?」

 

「そうかな。それにしてもこれだけ強い人間が居るのなら、幻想郷に住むのも悪くはないわね」

 

「あらやだ。もしかして余計な世話でもかいたかしら」

 

と大袈裟に言ってみた。

そのせいで棒読み気味なのはキニシナイ。

 

「元々住み込む事に決めてたから。そうだ、貴方の神社でもお祭りを始めればいいんじゃないの?そうすればきっと人も集まるよ。そういうのが嫌いな人はあんまりいないだろうからね」

 

神輿(みこし)とかそういうの、なかったんだけどなぁ。

んー…。あ、もしかして、縁日のことでも言ってるのかな?

 

「なるほどね。縁日でも良さそうね。…もっとも、そういうので集まるとは思えないけど」

 

「ほら、そんな嫌そうな顔しない。集まるってば。縁日もそうだけど、日にちを決めて例大祭とかでもやれば良いのよ」

 

「それも確かによさそうね」

 

「あと貴方の神社の参拝客が増えなかったり、神奈子が変な事をしていたら、私に相談してね」

 

「はいは……いや、あんたじゃなくてもいいわよね」

 

「神奈子が持っている神徳も信仰心も殆どが、私の力なんだから」

 

「あら、そうなの?」

 

「私は実務。神奈子は営業。ま、そんな所かしら?」

 

「なんか神様の方も世知辛いのねぇ…」

 

「仕方ないわ。それより、さっきのダンボールはなんだったの?」

 

ああ、もしかしてあの河童製のダンボールのことかな。

 

「あれはにとり特製のダンボールよ。何故か防水防弾幕なの」

 

あれ、なんでそんな不思議そうな顔をするの?

あ、もしかしてたためるサイズが違いすぎるって話かな。

 

「なら、なんでそれを使わないの?フェアじゃないからとか…はその様子からしてないようだし。そもそも貴方達がそこまで考えるかはともかくして」

 

「なんか酷いことを言われたような気がするけども、フェアとかフェアじゃないとかじゃないのよ。…防弾幕は私が放つ弾幕にも適応されてね。だからあれに入ってると弾幕ごっこすら成り立たないの。だから神遊びじゃないんだとしても使えないのよ」

 

「なんで不便なものを作ったのよ。それの方が不思議でならないね」

 

うん、それはごもっもとだね。

でも仕方ないね。その場のノリで出来ちゃった試作だから。

これ多分、二度と日の目を浴びないんじゃないかな。

高床式倉庫に入れっぱなしになるだろうし。

 

 

「諏訪子様ー…ってあれ?霊夢さんじゃないですか」

 

私を見るなり驚く早苗。

うん、新鮮だね。

 

「あー、早苗」

 

「ん?どうかしたの、早苗」

 

「お昼が出来たので呼びに来ました。霊夢さんもどうですか?」

 

「あら、悪いわね。なら折角だし、いただこうかしら」

 

 

そのあと、早苗とは色々話をした。

ついでに幻想郷は外の世界とちがって常識に囚われなくていいことを教えてみた。

あとは諏訪子とか神奈子がいるし、大丈夫でしょ。

 

さて、帰るか。お礼も言って。




すみません、本文を一部変更させていただきました。


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第22話 死神って運ぶ担当だとしてもあれだね

色々とやってみました。

多分この話、長くなりそうですね。


では下から本編です。


……その少しした後。目覚めて上体を起こしたら目の前に小町がいた。

これは二度寝するべきだろうか。それとも気のせいだとして目の前で着替えるべきだろうか。

 

「ジッと見たところでなにもでないさね。と、いうかなにもしないよ」

 

「へぇ、死神がここにきてよく言うわ。…ま、鎌を持ってない辺り本当にそうなんでしょうけど」

 

ややこしいこと、この上ない。

そうでなくたって人間には寿命とやらがあるんだから。いや、寿命云々より心臓に悪すぎる。分かってるとはいえ、ね。本当

――勘弁してほしい。

 

 

「ああ、なんだ。寝起きだったのね。そりゃ目付きがちょっと悪いわけだ。半目で睨まれる理由が分かったよ」

 

「んで、どういう用件よ。あんたの上司の映季は平気なわけ?お得意の説教されても知らないわよ」

 

一応心当たりがないわけじゃないんだけどね。

でも、どうしてもあの時のサボってる様子の方が強くて…。し、仕方ないね。

 

「今回はちゃんと許可をもらってきてるわよ。そこまで考えなしじゃないさね。んで、前回の話は覚えてるね?」

 

「あら、意外。てっきりあんたはサボマイスタやってる者だとばかり」

 

「なんだいその言い方。変わってるわね」

 

さすがに半目で見てくるか。

うんまぁ、それ以上分からないのは仕方ないね。

 

「ええ、かなりね。それで、前の話っていうことはお礼をする…って話かしら?」

 

「そう。お礼だよ、お礼。さすがにそれを忘れるあたいじゃなくってね」

 

なるほど。

サボり癖が目立つけど、そういうのは厚いんだね。

 

「それはどうも。…でもやっぱり、渡し舟の死神と知っててもなんかおっかないわね」

 

「そいつをニヤけながら言わなければよかったんだけどね。…私じゃなくても言われるだろうけど」

 

「べ、別に言わなくてもいいじゃないの!ほら、とりあえず私着替えるから…!」

 

と無理やり部屋から押し出した。見られても困る訳じゃないけど、なんとなくね。

別に死神だからってわけじゃないよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着替えたあと、そこのふすまをあけたら律儀に小町が待っていた。

ただのサボマイスタじゃなかったみたい。

 

「お待たせ。んで、お礼とはなによ」

 

「これさね。たいしたもんじゃなくて悪いけど」

そういって差し出してきたのはちょっとした箱。

 

「たいしたもんじゃない…ってなによ、それ」

 

「開ければ分かるよ。どうだい?気になるでしょ」

 

なんじゃそりゃ。

 

「はいはい、どうも」

といいつつ受け取って綺麗に包装を外して開けてみたら手鏡が入っていた。

 

「……そんな面倒くさそうな顔をしなくてもそいつは普通の手鏡さね。心配する必要はないわ」

 

「あー、そりゃどうも。ありがたく受け取っておくわ」

 

「本当は食べ物にしようと思ったんだけどね、お前さんも食べれそうなもんがあっちになくてさ」

 

「むしろ手鏡でいいわ。下手なものよりありがたいもの」

 

そういったら驚かれた。

欲がないとかって言ったら怒るよ?

 

「今の巫女が珍しい。…それはそうと、私の本命はそっちじゃないんだ」

 

うん…?なにか他にあるのかな。そう思って黙ってジッと見てみた。

 

「それはだね、先代の巫女のことなんだ。本来いるはずのない人間がいる。それがおかしくてね」

 

「あら、そうなの?」

 

「そうなんだよ。んで、問題なのは彼女も巻き込まれた側だってことよ。四季様が見ても元凶は分からなかったそうだし」

 

ああ、なるほど。つまりこうだ。

霊華はいつもの通り妖怪退治かなにかでもしていたんだろう。その最中に誰かの手によって今の幻想郷にきた。

でも、そうすると私を巻き込む余地がないんじゃないかと思う。

……って待って。

 

「彼女も?それってもう1人いることにならない?」

 

「さすが霊夢。確かにその通り、もう1人いるらしい。正確にはもう2人だろうけどね」

 

…本物の霊夢のことか?

 

「でも私や四季様はまだ分かってはいないのよ。それが誰なのか。…それだけだよ。そんなに気にしなくても大丈夫だろうけど、頭の片隅にでも入れておいて損はないと思うよ」

 

「それはどうもね。多分入れておくと思うわ」

 

そう答えるといきなり消えた。

幻想郷のことだ。多分能力だろうけど…なんか移動に便利そうだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから境内に出て分社の方にきてみた。

まだ少ないけど、参拝客が増えてある意味嬉しい。

でもうちの神社のも信仰してもらえるのかな。そこが心配になってくる。

 

「そこでなにしてるの?霊夢」

 

「守矢神社の分社を見てるだけよ。ついでの掃除はあとでするつもり」

 

そういってから振り返ってみたらそこには霊華がいた。

…さっきまで修行でもしてたのか汗かいてる。なんか所々汚れてるし。

 

「そうなのね。んで、ちょっと修行してたら下級妖怪に会っちゃったわ」

 

「…そんな軽いノリで言われても困るわよ。それで、怪我は?」

 

「もちろんしてな――って半目で見なくてもいいじゃない。つれないわねぇ」

 

場合を考えてほしい。

下級妖怪はスペルカードルールが理解できず普通にこちらを見たら襲ってくる。

強いて襲われないものと言えば同じ妖怪か強い巫女。そもそも巫女は―――やめておこう。

多分この幻想郷で考えれば私か霊華か魔理沙ぐらいじゃないかな。

あ、種族魔法使いはなんとかなると思ってるからなしで。

 

 

「…あと無言で背中を向けるのもやめてちょうだい。あ、それはそうと」

 

「なによ。どうかしたの?」

 

「あ、いいえ。気のせいだと思うのだけれども、ずっと晴れてるような気がするのよ」

 

「ずっと?それは――」

 

ない、と言おうと思ったけど、そういや最近変わってないね。

前に曇って以来ずっと晴れだね。

たまにそよ風があるぐらいでそれ以外は…。

 

「…ずっと晴れね。ちょっと魔理沙んとこ行ってみるわ」

 

「これまたおかしなとこね。そこじゃなくてもっと近そうな場所から探した方が効率がいいと思うのだけれども。元凶も倒せるでしょうし」

 

「……でもあんた、スペルカードルールで戦える?」

 

といって睨んだら苦笑いされた。

まだ霊華は弾幕を張る練習中だから無理もないんだけどね。

 

「とりあえず、見に行けばずっと晴れっぱなしかどうかが分かるしどうなってるか分かるからいいの。じゃあ、行ってくるから」

 

「その“遊び”とやらは本当、大変ね。でもその分、本気で挑んでも平気になったのは今の幻想郷のいいところね。…ま、いってらっしゃいな。私も私で現代に馴染まなきゃいけないから」

 

な、なんか先代も大分変わったね。

前の様子は知らないけど、どんどん性格が柔らかくなってきてるし。…それでも修行をサボった時のあの顔はものすごく怖いけど。

うん、いい傾向だね。はやく霊華にも馴染んでもらわなきゃ。

 

 

「……霊夢?」

 

んでもって今回は。今回こそは名前を覚えてもらおうね。

スペルカードルールがあるから実力主義の世界じゃなくなったけど、今の方が前より気をはらずに済むだろうから楽だろうしね。

 

 

「聞いてるの?霊夢」

 

「……なによ、うるさいわね」

 

そういって半身だけ振り返ったら驚かれた。

いやいや、驚く要素なかったよね?

 

「だい――いえ。悪いけど、寝てちょうだい」

 

寝てちょうだい?そんな無茶な…。

そう思うやいなや首辺りになにかされた。痛い、というかなんというか……

それよりも、なにを…して…

 

「……悪いわね」

 

 

さいごにそれだけが、みみにとどいた。ような気がした。




一部だけ手直ししました。目立たないとは思うので気にしない方面で…いいですかね?


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第23話 異常気象と状態異常

全体を通してここまで読まれるとは思いませんでした。

多数ある東方projectの二次創作からこの作品を適当にでも読んでくださっている読者の方へ。
そういう感じで読んだりしてくれればヒャッハイと喜びながら次の話を書いてると思うのでどうかこの稚拙な小説に最後までお付き合いしてくださると励みになります。多分。




下からが本編になっております。


『それにしても本当、おかしな話だよね』

 

「そうね、おかしな話ね。悪夢再来って感じで」

 

『………』

 

あれ、黙った。いつもこう、私の精神に来るような言葉ばかり言ってきた者が。

 

『……へぇ、面白い。何故自らが成り代わってるのか分からぬまま、ただ生きているかと思えば…』

 

あ、もしかして出鼻でもくじいた?

 

『今回は特になにもしないよ。そもそも(きょう)がさめてるからね』

 

そう言われて私は、目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだったのかしら、今日のは」

 

なんか凄く複雑。

それになんか外から凄く日差しが…。

さすが夏だよなー。

 

 

「…話しかけれるとは思わなかったわ」

 

「誰によ」

 

うわっ!?ビックリした。

 

「い、いつからいたのよ!」

 

「いつって…最初からよ?あなたが目を覚まして上体を起こすまで見てたんだけども……ああ、ちょっと待ってちょうだい。そんなに距離をとらないで」

 

 

 

 

 

 

 

「んで、晴れてるわね。今日も」

 

昼食を食べてからの私の一言はそれだった。

 

あのあと、とりあえず霊華の方に近づいて理由を聞いた私は驚きの一言しかなかった。

どうやらあの時、単純に私が霊華を睨んでいただけらしいけど…なんか言い方が意味ありげだった。

聞こうとするも上手くごまかされて結局聞けなかった。

 

「そうね、今日も晴れてるわね」

 

 

「おー、2人共。巫女が揃いに揃ってなにしてるんだ?」

 

と空から降りてきたのは…ってこの口調だと魔理沙しかいないか。

 

「最近晴れてて大変なのよ。それが梅雨の時も」

 

「え?私のところはずっと雨が降っててじめじめしてるんだけど…。どうなってるんだ?」

 

「それはこっちが聞きたいわよ。でも、変ね…」

 

と話してると上から冷たいものが。

なんだっけ、こう濡れるのは…

「あら、雨が降ってきたわね…」

 

「ええ、気持ちいいわね」

 

「…霊夢?」

 

あえて聞こえなかったふりをして、空をあおぎつつ目を閉じる。

んー、このぐらいの雨はたまりませんのぅ。

 

「…相当暑かったんだな、霊夢。でもさっきの一言から察するのは難しいと思うぜ?主に先代が」

 

「でもさすが魔理沙ね。理解がはやいじゃない」

 

「お前との付き合いは霊華より深いって自負があるからな」

 

おお、凄い得意げな表情をしてる。

確かに間違ってはないんだろうけどさ。それをこっちに向けて親指をたてるのはどうかと。

本人そこにいるよー?

 

「へぇ、言ったわね?人間の魔法使い」

 

「ああ、言ったさ。先代の巫女よりは今の霊夢のことを知ってる自信はあると」

 

あー、うん。なんか弾幕ごっこでもしそう。

霊華も弾幕以外なら多少はできるようになったらしいし。

 

「そりゃあるぜ。な?霊夢」

 

えっ?

 

「あら、そういったら私はあなたより毎日一緒にいるけれど。ね?霊夢」

 

ちょっ。

 

 

「そこんとこ、どうなんだ?」

「そこのところ、どうなのよ」

 

 

「……それはいいから中にはいらない?強くなってきたし」

 

あれ、顔を見合わせた?

あ、こっち見て頷いてきた。よかったよかった。

続きは中でね?

 

 

 

 

 

 

 

 

にしても今度は雨がやまないって…。異常気象にもほどがあるでしょ。

―――まさか、異変?

 

「お?どうした霊夢。なにか分かったのか?」

 

「とりあえずあんたと霊華が私のことになると弾幕ごっこをしそうになることは分かったわ」

 

「それは今関係ないだろ?」

 

「ええ、もちろん本題はそっちじゃないわ。この天気について、よ。雨が振りだしたのはあんたが来てから、だからおかしいのよね。異変…と言いたいけども、天気以外の異常はなにも起きてないから面倒なのよね…」

 

「へぇ、そうなのか。言いたいことは分かった。でも最後ので台無しだな」

 

ハハハと笑ったら霊華から睨まれた。

無言の威圧はやめてね。怖いから。

 

「んなら私が行こうか?」

 

「駄目よ。まだなにも起きてないんだから。家にいればいいわ」

 

「それの方が駄目な気がするけども…うーん、最近の異変は全然分からないわね」

 

そもそも私からすれば霊華の時に異変があったのかどうかすら分からないんだけどね?

まあ、なきゃお金に困ってるだろうけど。

 

「ま、半日だけ休憩させてもらうぜ」

 

「だからって勝手にせんべいとか食べないでちょうだい」

 

「違うのか?てっきり大丈夫だと思ったんだが」

 

いや、流れで出した私もそうなんだけどさ。

まさか無言で食べ始めるとは思わなかったよ。

 

「はいはい、自由にして。……で、なんで霊華は笑ったのよ」

 

そう聞くとまたふふ、と笑った。笑うところでもあったかな。

 

ただ…それよりも気になるのは私が見るようになった悪夢の方なんだよね。

それに気絶させられた時も見たし。…大分あっさりしてたけど。

なにか関係でもあるのかな…。

 

 

「あ、そういや霊夢。最近体調は大丈夫か?」

 

「んー?」

 

「だから、体調だよ体調」

 

「問題ないわよ。強いて言えば…」

 

「なによ。私の顔を見てもなにも…って待って。なんでさりげなくラストワード、とやらを持ってるのよ。ってちょっと見せて?」

 

「いいわよ?別に」

 

そういって絵柄も見えるようにちゃぶ台の霊華側にぃ…シュー!超エキサイティン!

 

「お前、心の中で遊んでるだろ」

 

「なんのことかしら」

 

「……。んで、夢想天生って言うのはあなたが考えたの?」

 

なんで半目で見てきたの?

しかも呆れてる?

 

「いーえ?私じゃないわよ」

 

「じゃあ…」

 

「私だぜ」

 

魔理沙はそういうと「だって名前をつけて遊びにしないと勝ち目がないからな」と説明するように言った。

因みに本当にやろうとしたら止められた。そんなにえげつないかな。

 

「なるほどね…。スペルカードルールは奥が深いわねぇ。なかった頃とは大違いだわ。ほんと、無駄な遊びにしては楽ねぇ」

 

感心したように頷いてる。

そりゃよかった。

大変だろうけど、そうやって馴染んでるのなら大丈夫かな。

 

「無駄な遊びだからこそいいんじゃないか。霊華もやればきっとハマるんじゃないか?」

 

「そうね。せっかく現代に来たのだし、ルールに従ってみるのも面白そうだわ」

 

……?な、なに?この、かんかく、は……

 

 

 

 

 

「ええ、今のあんたにはとても……とてもお似合いよ。まるでどこぞの誰かに飼い慣らされている猛獣みたいなあんたにはね」

 

あえてそう言った。

もちろん、冗談だと勘違いされるよう仕向けながら。

 

「きゅ、急にどうしたのよ。そんなことを言うなんて…」

 

「例えよ、例え。もしかして本気にしたと言うのかしら?」

 

おお、怖い怖い。

睨んでくるとか、まさか図星なのか?

いいや、違う。私が煽りをいれたんだ。当たり前だろう。

 

「ま、存分に今を楽しんだら?」

 

「…霊夢、一体どうしたんだ?さっきから先代の巫女にきつくあたって」

 

どうしたもこうも…分からないのか?この人間は。

そんなまさかな。いや、こいつも分かってない様子だからありえるか?

 

「いいえ、なんでもないわ。ただ冗談を言ったまでのことよ」

 

「そ、そうか…?」

 

へぇ、なるほど。この人間は“また”そういうのも分からないんだね。

珍しい。でもね?お前のような人間こそ、身の丈にあわぬものが邪魔になる時がいずれ来るだろうね。

……と、この身ではやはりそんなに持たないか。

 

「ええ…。でも、あんた達との会話もこれまで。時間切れよ。それじゃ、またね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起きた時、霊華には物凄い形相で睨まれてて、魔理沙はなにか不思議なものを見たみたいな複雑そうな表情をしていた。

―――さっきまでの間に一体、なにがあったの?




すみません、本文を一部リメイクしました。


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第24話 はくれいじんじゃ は たおれてしまった!

あえてふざけてみました。
…サブタイトルのことですよ?

にしても多くの人に読まれてて内心ビックリです。
なにがあったんでしょう(震え声)


…い、一応下から本編となっております。


一体、なにがあったのか。

そう思うほど霊華と魔理沙の反応がおかしい。

 

「ど、どうしたのよ…2人共」

 

「……!?お前…さっきのはなんだ?」

 

驚いたあと、すぐに声をかかけてくれた。

霊華は……駄目か。なんか敵意を向けられててまだ話せそうにないや。

 

「…え?さっきのってなによ」

 

「そ、そうか…それよりもひとまず先に聞いてもいいか?」

 

そんなに不安そうな顔で見なくたって…。

 

「ええ、いいわよ」

 

「さっきまで自分がなにはなしたのかって覚えてるのか?」

 

さっきって言われても…。

最後に覚えてるの、スペルカードルールがどうこうって話だったような…。

 

「…いいえ、途中から記憶にないわね」

 

「そうか…。じゃあ、さっきのはお前が意図して話したわけじゃないんだな」

 

ため息つかれ…いや、安心してくれたの、かな…。どうなんだろう。

 

「ねえ、霊夢。あなた、いつから悪夢を見るようになったか覚えてる?」

 

「え?…確か、永夜異変を解決した後からだった気がするわね。それが一体どうしたっていうのよ」

 

しかもまだその顔のままだから若干怖いし。

大丈夫なのかなぁ。

 

 

 

 

あ、なんか目の前で魔理沙と話し出した。

ボソボソと話してるから聞き取りづらいとは言え…。本人を前にしてそうされるとなんかへこむね。

 

「…もし、なにかあったらすぐに言うのよ。私か魔理沙に、ね。事情はもう軽く話してあるわ」

 

「……そう」

 

私にはだんまりか。

本当、なにが起きてるんだろうな。

というか事情って…。

 

「ま、とりあえず魔理沙。今日のところは解散としましょうか」

 

「ああ、そうだな。…またな、霊夢」

 

「…ええ、またね」

 

ということで一旦皆別れることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数日後。なんでこうなった。

霊華は昨晩、今日の昼まで帰ってこないと言ってたから無事ですんだんだろうけど…。うっそぉー…。

神社全壊じゃない。

 

「…!?」

 

ってなんとなく振り向いて里を見たらなんとも起きてなさそうだし!

これが朝とは言え、なんだろう…。

とりあえず叫びたい。私の家だったのに……せっかく信仰してみたと言うのに……!というか家財が…!

 

「なんでうちの神社だけこうなるのよー!」

 

「なに膝をつけて叫んでるんだ?あれ以来ずっと雨降りで洗濯物すら―――あれ、お前の神社はどうしたんだ?」

 

「…地震が起きて、ね。あぁ…我が家がぁ…」

 

「……す、凄く辛そうなとこ悪いが、地震なんてこれっぽっちも感じなかったぞ?」

 

「ノー!」

 

「おい、お前そこ地面…。まあ、いいや。そこの地面に額つけてる巫女」

 

なんですかい。

今、神社が倒壊して悲しいっちゅうのに。

 

「わざとらしく悲しそうな顔を向けるのはどうかと思うぜ」

 

「おっと、これは失礼したわ。…ってまた雨…。……あら?」

 

あ、なんかそばにきた。

 

「ん?なんかあったのか?」

 

「ええ。昨日は久しぶりの霧雨だったからそっちに気がいってたけども、雲の色…」

 

「…あっ、本当だな。雲の色がおかしい」

 

同じように見上げたのかな。

まあ、これは話が早い。

 

「魔理沙、ちょっと留守番お願いね」

 

「あっ、ちょっ!……全く、出来ればこっちの身を考えてほしいぜ」

 

雨宿りもできなさそうだもんね。ごめんね。そして頑張れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの魔理沙からして、まず魔法の森は白だろうね。

アリスのところは―――どうなってるのかな。

ちょっと寄り道。

 

 

「うーん、今のところなにもないわね」

 

「森に来ておいてその言葉はどうなのかしら」

 

「おっと、これは失礼したわ。…ところで最近天気がおかしいとかないかしら?」

 

そう聞いてみたら納得したような顔をされた。解せぬ。

 

「いえ、だから珍しく森に入ってきたと思ったところよ。そうね、ここのところ雹が降ってきていてね」

 

「詳しく教えなさいよ、それは。でも、雹?雹だって?雹なんて―――」

 

そう話してたら、雹が降ってきた。当たるとなんか痛い。

んで、肝心の空模様は…緋色か。

 

 

「そんな風に空を見てたら怪我をするわよ?…でもやっぱり異変を解決しようとしてるのね。はやくしないと神社を破壊されちゃうわよ?」

 

「とっくに破壊されたわ。…でも、それを知らないなんてあんたは白なのね」

 

「あら、そうだったの。それよりその白っていうのが凄く気になるけど」

 

多分どっかの説教好きな人のでもうつったんだろうね。

やれやれ、困っちゃうなあ。

 

「どこに行ってもじめじめしてるなんて嫌ねぇ」

 

「あら、いつぞやのサボマイスタじゃないの」

 

「サボマイスタって…。ま、いいわ。ただ仕事の合間に散歩していたらお前さん達が話しているのが見えて気になって見にきただけさ」

 

へえ、そうなんだ。

 

「なるほどね。んで、あんたは…霧?」

 

「うん?それがどうしたのかい?」

 

「いえ。この天気ってなんかによって変わるのかなぁって考えてみただけよ」

 

「長話するなら別の場所でしたら?私、そろそろ家の中に入りたいんだけども」

 

「それもそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

と、いうわけで三途の川付近に来ました。

そういや、霊華も晴れだったなぁ。私が近くにいたから分からなかっただけなのかもしれないけど。

 

「なんか不思議ねぇ。私の周りだけ晴れてるなんて」

 

「そこに気がついているというのにそれ以外は分からないのかい?」

 

「それ以外?もしかしてこの天気とかと関係あるの?」

 

「私はそうだと思ってるわね。それぞれの気質からその人の周りだけに起きる、と。どうかな。間違ってはないでしょ?」

 

…確かに。

小町が言ってる通り、博麗神社は常に晴れ、森なんかは雨が降ってたり雹が降ってたりと天候がバラついてる。

これで普通、なんて幻想郷でも言えないよ。

 

 

「なるほどね。貴重な情報ありがとう。ならそれが集まってる場所に向かえばよさそうね」

 

「ま、私は戻るから」

 

はいはい、ご勝手に。

それじゃあ…行きますか。山へ。




少し本文を修正しました。


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第25話 じんじゃ は たおれてしまった!めのまえがまっくらになった

続いているので似たようなサブタイトルにしました。
ふざけていますが、反省も後悔もしてません。
ノリって、凄いね。


では、下からが本編となっております。
…それにしてもお気に入りが40件ぐらいあるのは見間違いでしょうか(震え声)


登山はしてないけど、山に到着。

いや、そもそも空を飛んでるんだから登山もへったくれもないか。

 

「こんな風が強い日に山へ来るなんて死ぬ気なの?」

 

「風どころか雨もついてるじゃないの。おかげで若干痛いわ」

 

「最近の山はこうよ。そんなのに危険を承知できたのかしら」

 

「んなの知らないわよ。緋色の雲が山の上に見えるから来ただけ。というかそんな風になってるの、あんたの周りだけよ?」

 

「あやや、そうだったの。でも、そういうわりには影響を受けまくってるわね、貴方。新聞の記事にできそうだわ」

 

新聞紙の記事に…って勘弁願いたいわ。うーん、先手をうった方がいいのかな。

 

「しなくていいわよ、そんなの。んじゃ、行くから」

 

といってさっさか横を通りすぎた。

風雨の中はそれなりに歩きづらかったけど、そんなことより我が家を倒壊してくれたお礼をしないと。

 

なんか後ろから「あら、久々に晴れたわね…」と聞こえた気がしたけど、あえて流すことに。

最近ずっとああだったんだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?なんかついに私の周りすら晴れなくなった。

元凶をこらしめに来ただけなんだけどなぁ。

 

「おや?天狗ではない。河童でもない。幽霊でもない。人間だなんて……山の上まで人間が来るなんて珍しいですわ」

 

「そういうあんたは何者よ。雷雨の中を泳いできた辺り、只者ではないようだけど」

 

「そりゃあ……この雲は私達が泳ぐ雲ですもの。私達は、ある自然災害を伝えるためだけに空を泳ぐ龍宮の使い。そして、緋色の霧は気質の霧。緋色に染まる空は異常の前触れ。そして、空に緋色の雲が見えるとき、大地は大きく揺れるでしょう。私達はそれを伝えに泳ぐのです」

 

っと、名前は…。

永江衣玖、ね。オーケーオーケー。

 

「ねぇ、それって地震のことよね?だったらもう起きたわよ。しかも局所的に」

 

「え?地震がもう起きたですって?それならおかしいですね」

 

「そうよ、起きたわよ。おかげさまで神社が倒壊して困ってるんだからね」

 

おかげさまで直るまで寝床がないんですけど。

いや、完璧にない訳じゃないんだろうけどさ。

 

「おかしいですね、本来地震があったら、この雲も収まる筈なんですけど……またあの方が?困ったものですね」

 

「私も私で困るわ。予言ができるんなら先に教えてちょうだいよ。なにもできずじまいだったじゃない」

 

「神社を襲ったその地震は、きっと試し打ちです。本当の悲劇はこれから始まりますわ」

 

「うちの神社だけに試し打ちってこれまた酷い話ね」

 

「貴方は地震の恐ろしさを既に味わった。なら今すぐ戻って防災の準備をしたらどうですか?」

 

「確かに準備は必要かもしれないけど、今回のような人為的なものは元凶を退治した方が手っ取り早い防災なのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、今回はちょっと戦い方が違ったね。

格闘で戦いながら弾幕を放つなんて。でも、これも弾幕ごっこってなるから凄いよね。

無駄だけどいいルール。あって困らないから助かるわ。

 

「よし、勝ったわ。じゃあ、そのお方とやらに会って倒さないとね」

 

「では、そのまま雲の上へお進みくださいまし。きっとかなり大変でしょうけど、そこにあのお方はいますので」

 

「それはどうも」

 

……気のせいか口元が緩んだような。

んー、私の見間違いかな?

とりあえず先に進も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、凄いとこにでた。

なんだろう。とりあえず綺麗としか言えない。

それで…ここであってるんだっけ?

「空に座して大地を制し、大地にして要を除き」

 

ん?誰かな。

ええと、比那名居天子?

 

「人の奥に隠れた緋色の心を映し出せ」

 

「なるほど。つまりあんたが原因ね」

 

「貴方が異変解決の専門家でしょ。首を長くして待ってたわ」

 

「そりゃあんなことされて、黙っている私じゃないもの」

 

「異変解決ごっこは、誰が起こしても解決しやすいようになってるんでしょ?私は天界に住む比那名居の人。天界での生活は毎日、歌、歌、酒、踊り、歌の繰り返し。天界(ここ)は本当にのんびりしていてね」

 

「なによそれ。自慢?」

 

「そんなんじゃないわよ。当の本人からすれば凄く!すごーく退屈なのよ!……だから、暇だし、なんとなく貴方が地上で色々な妖怪相手に遊んでいるのを観察しちゃったわ」

 

「あれは遊んでいたわけじゃないんだけど」

 

「でも私からすればあんなの遊びよ、遊び。それで思ったの。私も異変解決ごっこがしたいって。だから異変、私も起こしちゃった」

 

「そんな簡単に起こされても…。そのせいで神社が壊れちゃったじゃない。名も知らぬ神様も住んでる神社だったのに」

 

「あれは単なる試し打ちに過ぎないわ。本番はこれから起こす予定なのよ。あ、因みにこの緋想の剣は人の気質を丸裸にする剣だから。これで、緋色の霧を集めて……集まった天の気が大地を揺るがすのよ。さらに私の足下にある要石も動かせば…幻想郷全域の大地を揺るがすほどのものを起こせるわね」

 

な、なにこの子。

こんなんのがそばにいる人はとても苦労しそうだね。私は今すぐにでもこらしめて私なりの説教をしたいぐらい。

ブーメランとかたぶんないし、言いたいことをいおう。

 

「その地震を起こさせないよう、あんたを倒させてもらうわよ!ついでに倒壊した神社の修理もやってもらうから!」

 

「うふふ。そうそう、その意気よ!私だって、いつまでも退屈な天界暮らしをしていたくはないの。それも今日でおしまい。空の天気も、地の安定も、人の気質も私の掌の上だもの。でも、数多の妖怪を退治してきた貴方の天気!見せて貰うわよ!」

 

 

 

 

その後、なんか地面があがったりさがったりするところがあった。やりづらかったけど、やってみるもんだね。

その後は「全人類の緋想天」とか使われたけど、なんか凄かった。

 

 

 

 

 

 

その日のうちに建て直してもらえたのでよかった。

んでも……

 

「だからなんでうちだけ倒壊するのよー!」

 

「大変だな、お前んとこ」

 

「2度も!2度もよ!?こんなことって…」

 

「……なんかここに先代がいなくてよかったと思う私がいるぜ」

 

「…えっ?そ、そういうものかしら」

 

「ああ。というか、お前冷静になるの早いな」

 

そこは一回りして冷静になったと言ってほしい。

いやぁ…なんでだろ。

 

 

 

 

 

ちなみにその後、紫が鬼の萃香とかに頼んで神社を再度建て直してもらった。

なにげに再現度が高かったんだけど…なに?写真みたいなのでもあったの?

まあ、別に困らないんだけどさ。元通りになるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少しして、霊華に呼ばれた。

 

「なによ。どうかしたの?」

 

「ちょっと見ててほしいのよ」

 

そういうと「夢想天生」って宣言したと思うと全身が赤く染まった。

え、なにそれ。

 

「結構身軽になっていいわよ、これ。前より格闘しやすくなったわ」

 

「なに?私は約三倍のはやさが出てるって言えばいいのかしら?」

 

「…な、なにを言ってるのよあなたは。とにかく下級妖怪よりはやく動ければいいから今はこんなのでいいかなーって思ってるのよね」

 

かなり雑でした。

いや、分からなくもないんだけどさ。

…霊華、もう大丈夫そうだな。よかった。




一部本文を訂正しました。


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第26話 囚われのもの

今回からオリジナル設定がいきてきます。
いやぁ、遅かったですね!(他人事)

色々起こっていきます。
では、下からが本編となっておりますので。ごゆるりと…。


…最近、悪夢を見ると分かる。

これが夢なんだと。

 

『悪夢?なにをしてこれを悪夢と言っているのかな?まあ、そもそも気絶と睡眠は違うもの、というのは分かるね?ま、言わなくても簡単なヒントがあればあの時、すぐに身を引いた理由が分かるはずだよ』

 

なるほど。だからあの時、あっさり身を引いたんだね。

そもそもあれは寝たわけじゃないしね。

 

『そうだよ。なのに何故干渉できたか?……いや、今はどうでもいいね。そもそも私が貴方の考えていることを読めている自体が最初からおかしかったのだから。でも、今さら気づいたってもう遅い。貴方は既に私の手のひらの上で踊るしかない』

 

否定されない上にそうきたか…。

 

『ふふっ、そりゃそうだ。否定する必要など最初からありはしないのだからね。ところでそろそろその失われた記憶の方にも疑問を覚えたら?ポジティブ…いや、現実逃避したところで今はなにも変わるはずがないのだから』

 

という言葉を最後に目を覚ました。

んでもってまた夜。どうしたものかなぁ…。

二度寝するのもあれだし…。

 

 

 

 

 

 

 

『ところでいつまで現実から逃げるのかな?』

 

 

 

 

『思い出そうとしても思い出すことのできない記憶。憑依してしまった現状から目をそらしていることに気づいている?…他にもあるその記憶が自分のものでないと頭では理解していると言うのに?』

 

 

 

 

『しかも、どうしてこうなったのか分からない。憑依したのかすら。だから貴方には今残るその記憶が、元からある記憶がつけられたかどうかと聞かれても肯定も否定もできないはず。違う?』

 

 

 

 

『さて、ここまで来て問うよ。結局貴方は何者なんだろうね?博麗の巫女?それとも外来人?……あっ、ごめんごめん。本来の名前すら分からなかったんだったね。アッハハハ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――む!………いむ!………霊夢!」

 

「……どうしたのよ。そんなに大声で叫びながら揺すらなくても起きてるわ」

 

「寝てたわよ、あなた。それにしたってどうしたの?朝起こしにきてみればうなされてたじゃないの」

 

あぁ…なんだ。そういうことだったのか。

 

「…別に、なんでもないわ。ちょっと湯浴みしてくるわ」

 

「ちょっと待ちなさい。あなた―――」

 

 

 

なにか言っていたけど、無視して風呂場へ向かった。

1人か2人が入れるだろうって広さだけど、ないよりはいい。

…とりあえず入って忘れよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湯浴みした後、居間に向かうと霊華がいた。

 

朝餉(あさげ)、食べる?」

 

なんで若干遠慮がちなのかな。

気のせいだと思いたいけど。

 

「…ええ、少しいただくわ」

 

 

今日の朝食はお互い、無言で食べた。いつもなら言葉の一つぐらい交わしてたような気がするんだけどな。なんでだろう。

 

 

食べた後、なんとなく縁側に座ってみた。

因みに飲み物も持ってきたけど、お茶じゃなくて白湯にした。

それにしても今朝のは一体なんだったんだろう。と、いうか最近はああいう感じの夢ばかり見ている。

いい加減に辛い。

 

 

『辛い?…そう、辛いのならこっちへおいで』

 

「…へ?誰よ、あんた」

 

『私が誰だっていいでしょ。私は貴方を助けてあげたいだけだよ。辛そうだから、ね』

 

なにを言ってるんだか…。

 

『それにどこぞの誰かさんにも解決できないようだからね。解決できるかもしれない私が手伝えば大分変わると思うんだけど…どうかな?』

 

「……。分かったわよ」

 

仕方なく白湯とかを置いて言われるがままの場所へいって―――ナニカされた?でも一体なにを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おーい。霊華ー。いるかー?」

 

「なによ、どうしたの?」

 

 

これは…2人の声?

ああ、でもどっちがどっちなんて…。

 

 

…ま、いいか…。

 

 

「なんか凄いのを感じないか?」

 

「なによ、その凄いのって。感じ…いえ、とんでもないわね」

 

「だろだろー?それをさ、霊夢にも教えた方がいいんじゃないか?あいつだって危ないぜ万が一強いのだと―――」

 

「ねぇ、なにを教えてくれるというのかしら?」

 

「なっ!?」

 

「フフ、そんなに驚くことかしら…。ねぇ、そこの人」

 

あーあ。警戒心丸出し。分かりやすすぎるんだよ、それ。

まるで野良猫や野良犬みたいね。それとも飼いはじめの子?

いや、飼いはじめでもこんな風にはならないか。

 

「そりゃいきなり出てきたら驚くだろ!?」

 

「あら、それは悪かったわ―――ねっ!」

 

あぁ…先代は賢い。そのままにしておくにはもったいないよ。

本当、おしい人だ。こちら側になれば私も色々してやったというのに。

 

「危なかったわね、魔理沙」

 

「危ないってあれはれい「惜しいわ。ほんとに惜しいわね。あんたのような逸材をこの手でやってしまうのは」」

 

「……なっ!?ど、どういうことだ!?」

 

「どういうことでもないわよ?」

 

ああ、愉快だね。魔理沙って子のあの顔は。

とことん普通の人間だ。良くも悪くも、普通の人間。どこまでいっても…ね。

 

「いきなり攻撃しておいてよくもまぁ、そんなことが言えるわね」

 

「そういう意味で言ったわけじゃないのだけれども。別にいいわ。もう関係なくなるから」

 

「それって―――」

 

「―――!?」

 

まさか避けられるとは思わなかった。

いや、今の手加減を避けられないようじゃ、興ざめだ。

 

「お、おい!霊夢待てよ!なんで…なんで攻撃してくるんだよ!わけが分からないぜ!」

 

「理由なんて、ないわ。強いて言えばあんたが知り合いだから、かしらね」

 

 

 

(……え、手伝うって……嘘だったの?)

 

 

「そんな理由…!」

 

「……っ。もっと警戒しておくべきだったわ。あなたに会ったあの時から」

 

 

「残念、それはもう遅すぎるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――。

 

 

見えていた。全部。

魔理沙にいきなり回し蹴りしようとするところから封魔針などを武器にして傷つけるところまで。

 

「…なんでこんなことになったのよ、なんで…」

 

誰かが死んだわけじゃない。そう思いたいけど、けど…なんで地面に血が落ちてるんだろう。

…でも、これを作ったのは私。

 

――じゃあ、この血は一体誰のものなの?

 

『あなたは落ちるほど怪我はしてないわ。それは魔理沙と先代の巫女のもの。…あとは分かるわね?』

 

「あぁ…そういうことなの…。…そう…」

 

 

 

理解できた私は叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだ他愛もない。ポジティブ思考が長所とか自負してるくせにあっさり崩せるとは誰が思うだろうか。

こうなれば自演として影でも作り出しておくか。そすうれば騙し討ちもしやすいだろうしな。

まだまだ封印の影響があるけど、もうほとんど解除したから問題なんてないんだよな。万が一がなければ倒されることもないだろう。そもそも心を折れば抵抗すらしないだろうけど、そんなんじゃつまらない。

 

 

「さぁて…これからなにをしていこうかしら」

 

封印された時に巻き添えにした甲斐があった。

おかげさまで自由に動ける。……さて、影を作り出しておこうか。見られては言い訳をしようにも難しいからね。




すみません、一部本文をリメイクさせていただきました。


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第27話 内に潜む闇だった者は企む

後から読み返してみたらきっと黒歴史なんだろうな…と思いつつ今日も話を進めていきます(遠い目)

多分いつもより短めです。
誰だ、悪側の心理書きつつけてるのは!……あ、私か。

恐らく次回、長文になるのを覚悟で解決編書くかもしれません。

なので出来ればこちらもあわせて読んでもらえるとありがたいです。


紅魔館。

あっちも足止めをしておくべきだろう。

そこのはメイドをしている人間とあの吸血鬼姉妹が適材といったところか。

 

 

 

魔法の森。

あの森ならば、人形を使う方の魔法使いだけでよさそうだ。

人間の魔法使いもよさそうだが、もし本人らしく派手にされては困る。目立ちすぎてもこちらとして、あんまりよろしくないからね。

 

 

人間の里。

あそこなら半人半獣自身がちょうどいいだろう。

もし、不老不死が来ても困惑するように…ね。

 

それ以外は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、これで一通り。

準備は整った。あとは私も向かうだけかな?

 

「そこの貴方、待ちなさい。霊夢を乗っ取ってなにをするつもりか答えてもらいましょうか」

 

あぁ…この背後から聞こえるこの声は。

厄介なのに目をつけられたものだ。

 

「乗っ取った?失礼ね、あんた。私は私。乗っ取られてなんかいないわよ」

 

「…じゃあ、さっきの能力について説明してもらいましょうか」

 

「さっきの?まるで私がしたと言わんばかりね、紫」

 

おお、怖い。

そんな敵意むき出しに睨まれたらすくんでしまうよ。

いや、これほどならばなんともないんだけどね。

 

「…貴方以外に誰もいないのによく言うわ。むしろそうしたのは貴方のはずよ」

 

半分、振り返ってみたら凄い顔をしたスキマ妖怪が。

あれあれ?どうしたのかな。幻想郷にはまだ手を出していないと言うのに。おかしな者だ。

 

「あら、そうだったかしら。まるでさっきまで見ていたって感じね」

 

「なるほど。そこまで察しがいいというのに気がつかないのね」

 

……なにがいいたい?

そう思いながらわざとらしく睨みつける。

 

「貴方はまだ完全じゃない。そのうちに貴方から博麗の巫女をかえさせてもらうわ!」

 

「かえすもなにも…私だから無意味だというのに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

影を向かわせたのはいいけど、あの妖怪がこんなにもはやく来るなんて予想外だった。いや、あの妖怪ならありえるか。

 

 

しかし、“そのうち”とは妙な言い方をするもんだ。

一応、頭の片隅にでも置いておくか……それはさておき

「これから私はどうしようかしら。前より色々と出来るようになった―――いえ、弱体化というべきね。そうなってるからこそ、さとられないようにするべきだったんだけども。ま、北斗七星の計算ができるような相手にはまだはやすぎたかしら」

 

 

っと、呟いてる場合じゃないか。とにかく黒幕を探すフリをしつつ、動いてみるかな。

そうすればしらみつぶしに動いてても違和感ないはず。

 

―――あ、そうだわ。

なんだったら私の影を用意しておいて、万が一は襲われるフリするのもありか。

さて、影から見せれるものができるまで博麗神社で待機かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これはある意味、見せつけられているのだろうか。

いや、そうなんだろう。現に目を閉じても見えてしまうのだから。

 

紅魔館。

たった3体の影に苦戦する6人の姿。

なにをしたらあそこまでボロボロになるのだろう。

 

それ以外もあるけど、里が一番酷かった。

住民こそは無事だけど、もうあれ人質だよね。

慧音は影1体によって傷だらけ。まだ妹紅は気づいてない様子だし…。

それに1人な上に守る対象もいるせいなのか、さっきから防戦一方気味っぽいし…。

 

 

……魔理沙と霊華は無事かな。

いくら私でないとはいえ、傷つけちゃったし、言えることかさっぱりだけど…)

 

「へえ、伊達にポジティブ思考と自負していたわけじゃないと。じゃなきゃ、見せてもそんな余裕でないもんね?…己の存在について無知な君には」

 

(……そ、そうだけどさ。

そんな私を当たり前のように受け入れてくれたから。

……だから、心配したいよ。せっかく私も幻想郷(ここ)に馴染めてきたんだから)

 

「でも、事情を知ってるのは先代の巫女、普通の魔法使い、人形使いと境界に住んでいるであろう妖怪だけじゃない。馴染めたというのなら、打ち明ければいいというのに。だから境界に潜む妖怪しかり、他の連中もあんたを“博麗霊夢”としか見れないのよ。もちろん、あの現人神も外の世界を何故か知っている巫女程度でしょうね。―――ま、たかが2人しか信用してないあんたじゃ無理な相談だったわね」

 

 

(………っ!)

 

っとようやく黙った。しかし、この程度で、なんてね。あれを見せる必要なかったかもしれない。

それはともかく目的を達成させるか。……まずはあの巫女。

今では霊華だと名乗ってるそうだけど…今度こそ倒させてもらう。この手でしっかりと。それこそ、かつて“幻想郷にいる人間ならば”と油断していた自分を殴るかのように、ね。

 

 

それさえ終わればあとは解決できる者は減るだろうね。

なにせ術者がいなくなれば封印も更に弱まるだろうからね。

―――現実を知らぬ箱入り娘達に、もう強い者などおるまいて。




一部本文をリメイクさせていただきました。


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第27.5話 色々あったけど、私は元気です

つ、次の話からは通常運転になります。というか通り越してわちゃわちゃするかと。

では、ごゆっくり。

※追記:今さらですが、この話は霧雨魔理沙視点となっております。ナンバリングが27.5話なのは博麗霊夢(憑依)とは別の視点なためです。


いっつつつ…。一体いきなりどうしたって言うんだ?あいつは。

霊華って奴もいきなり敵意をあいつに向けるし…。おかしいぜ、こんなの。

 

 

…いや、そうでもないな。

冷静に考えりゃおかしなことだ。

 

むしろ最初から疑問を持つべきだったんだ、私は。

多分、あいつは霊夢であって霊夢じゃない。そもそもあいつならやるとしてもビンタだもんな。

 

もうここまで来れば勘の鋭くない私でも分かるぜ。これは異変だ。

今の霊夢が前の霊夢と違うことぐらい、もっと早く気づけたのかもしれないが……。そんな後悔をしてる場合じゃない。

とにかく幻想郷の様子を見ない限りにはなにも始まらないしな。

 

 

 

 

 

しっかし…どうしたもんか。

いつものあいつなら『面倒なことになるなら解決する』とでも言いそうだが。

なにせ小さい異変すら内容によっては解決しに行ったらしいからな。ありえそうだ。

 

「まずは怪我を治すことが最優先だよなぁ。待ってくれそうにないから面倒だぜ」

 

まあ、考えていてもしょうがない。

まだ安全そうな永遠亭に行って情報でも聞くか?

本当は先代の巫女に聞いた方がはやいんだろうけどな。黒幕が誰か知ってる感じだったし。いや、そもそも出会ってたのか?

くそっ。先に出会えりゃよかったんだが、そもそもどこに逃げたんだろうな。さっき散り散りに走ったせいで分かりにくくなっちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとまず永遠亭に…行こうとしたら何故か妹紅の奴がいた。

まだ竹林の前にすらついてないんだぞ?まあ、私の方は軽症だし、話しかけに行くか。

 

「…妹紅。こんなとこにいて、どうしたんだ?」

 

「いや、そういうお前こそ、怪我してるじゃないか。どうしたんだ?」

 

おっと。そりゃ聞かれるよな。

軽症とはいえ、斬りつけられたあとが見えるんだからな。

 

「どうやら霊華がきた異変の元凶が霊夢をのっとてるみたいなんだ。多分そんときのだな」

 

「……元凶?待て待て、その言い方だと今のあいつは前に会ったあの巫女じゃないんだな?」

 

険しい顔だな。

いや、無理もないだろうが。

…多分戻せると思うんだ。あいつがまだいればの話だが。そもそも霊夢みたいな感じの人格じゃない。

耐えていられるか…?…いや、耐えれるだろう。あのポジティブっぽさならおそらく、な。たぶん拠り所がなきゃあいつも……

 

 

「…魔理沙、どうした?」

 

「……あっ、ああ。悪かったな。つい考え込んでしまったぜ。そうだな、今のあいつはあいつじゃない。だからこそまだ被害にあっていないであろうお前に協力をあおぎたいんだが…いいか?」

 

「仕方ないな…。ただ里の方を見ておきたい。すまないけど、一緒に行ってもらえないか」

 

慧音のことでも気になるのかね。それか住民か…。

いや、慧音だろうな。妹紅のことだし。

 

「分かったぜ。あの後どうなったか見てないし、もうなにが起きてもおかしくないもんな」

 

「ああ。それよりも軽い手当てぐらいはしてからいくぞ」

 

「へーい」

 

 

やってもらうと分かるんだが…案外うまいんだな。

誰かに何回かやってきたのかね。それとも自分にでもしたのか。

いや、聞きはしないけどな。たぶん、なんだが妹紅は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんあと、手当てが終わってから空を飛びつつ里へ向かうと凄いことになっていた。

あろうことか、慧音が慧音そっくり…なのだが、なんか違う奴と戦っているから不思議だと思った。

もうなにか起きているのか?

 

「妹紅、あそこに助っ人に行けるか!?」

 

「魔理沙に言われなくても入るつもりだよ!」

 

 

 

 

そりゃそうか。仲いいみたいだし。…感じにくいが。

 

「慧音!大丈夫か?」

 

「……!も、妹紅!?それにお前は魔理沙か!」

 

『へぇ、お前達、その本物もどきに手を貸すのか?……。やれやれ、お前達も落ちたものだな』

 

 

「妹紅、多分あっちが偽者だろうな」

 

「ああ、だな。慧音、一緒に戦うぞ」

 

「2人共…。すまない、恩にきる」

 

そう話してるとなんか苛立ったような表情になりやがった。

あんなんじゃ自分が偽者だって言っているようなもんだぜ。

もう少し誤魔化せないのかね。

 

 

「とりあえずあいつを倒してから話を進めるとするか?」

 

「ああ、そうだな。…いけそうか?慧音」

 

「多分な。ただほとんどをお前達に任せてしまうかもしれないが…頼んだぞ」

 

私と妹紅はそれぞれ返事を返してその慧音そっくりの影と戦うはめになったったってわけだ。

いや、今そうなってるんだから言い方が違うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦戦したものの、倒すことはできた。

しっかし、あいつと違って普通に弾幕が通るんだな。

弱体化でもしてるのか?

いや、それ以前に残してった言葉が気になる。いや、残したというか、私達が逃げただけなんだけどな。

 

それにしても『……今をせいぜい楽しむんだな』って一体どういうことなんだ?

楽しむとか、なにが言いたかったんだ?

 

 

 

 

 

「手間をかけさせたね、妹紅達には」

 

「いや、そんなことはないさ。な、魔理沙?」

 

「あ、ああ。そんなことはないぜ。…それより、おかしいとは思わないか?」

 

「「……?」」

 

 

おう。まさかあいつら揃って顔を見合わせるとは思っても見なかったぜ。

ああ、でもそれが普通か?…なにせスペルカードが効かなかったあいつを見てないから。

 

「実はだな、霊夢が何者かに乗っ取られてるんだ。多分憑依かなんかしてたんだろうな。ほらあいつ、巫女だし」

 

「そういうと新しく山にきたあの巫女も危ないということになるが…」

 

「それはないだろうな。狙われる危険性はあってもわざわざ憑依しになんていかないだろうさ。なにせあいつだからな」

 

「それはどういうことだ?」

 

「……慧音は里にいることが多いから察しがつくだろうと思ったんだが、難しいか?」

 

ま、顔を見合わせるよな。

 

 

 

「霊夢と違って現人神だから、とは言わないよな?」

 

「多分ありえるだろうな。あときたのも最近のようだからな。……しかし」

 

 

ん?なにか話すのをためらうようなことでもあるのか?

ここはハッキリ聞いておかないとな。

 

 

「慧音、まさか他になにかあるとか言わないよな」

 

「ああ、それが言うんだよ。……霊夢だけ、歴史が増えている、というべきか。1人の歴史にしては矛盾しているように感じたんだ」

 

「多分あの巫女…中は霊夢じゃない。全くの別人のはずだぜ。私は誰か知らないが、そっちが乗っ取られてる可能性がある…とかありそうだな」

 

ん?どうしたんだ、2人共。そんなに驚いて…。

 

 

 

「お、おいおい。分かってたんなら先にどうにかしてもよかったんじゃ―――」

 

「まあな。だけどな、案外あいつと付き合ってると楽しいんだぜ?見てて飽きない。……それに助けてやりたいのは私のワガママだしな」

 

「…そ、そうか」

 

「そこまで言うなら手伝うぞ。私にはあの肝試しの時のお返しをしてやらなきゃならんからな」

 

根にでも持ってるのか?こいつは。

と、いうか私も行きたかったぜ。そんな楽しいのに1人で行ったのか?

あとで聞いてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから私を含めた3人で回ってみたんだが、被害がそれなりに出ていた。

もはや異変ってレベルですむのか?

まあ、そこらも苦戦を強いられつつも倒したんだが。

ほとんどが『―――今をせいぜい楽しむんだな』って捨て台詞だったのは凄く気になるな。あいつの真似か?

 

 

 

 

 

ま、それはともかくとして、だ。

今、助けたメンバーも含め、紅魔館を借りて話し合いをしている。

提案したのは私だったはずなんだけどな。

 

 

「……それで?勝機はありそうなの?」

 

「可能性としては。ただ前提としてあの霊夢さんを表に呼び出す必要があるのが難点ですが」

 

「それは問題ないぜ。私か霊華でどうにかすりゃあいいんだからな。な?先代の巫女」

 

「それはそうなんだけども、先代の巫女は呼び名じゃないのよ?」

 

そう呆れたように言わなくてもいいだろうに。酷いな。

まあ、むしろ紅魔館に来てくれただけですごいのか?

面子的にはとんでもないが。妖怪も洒落にならない気がする。

 

まずレミリアだろ?その悪魔の妹ことフランドールに咲夜、美鈴、小悪魔、パチュリー。1人はよくぞまぁ、出てきたな。

魔導書について言ってこない辺り、今回の出来事はやっぱり大きいんだな。

 

他の場所からは慧音、妹紅、早苗、諏訪子、神奈子、妖夢、アリスが来ている。

それ以外はいないが、それでもすごいんじゃないか?なにせ冥界には被害がいってなかったらしいからな。

ああ、もちろん影に襲われていた奴らもきてる。そもそも連れてきたから普通なのか?

 

「にしてもあれ、影というわりにはドッペルゲンガーが近いわね。それも自分こそが本物と信じて疑わないタイプの。珍しいわね」

 

「…そのわりには本物との差異がありすぎて偽者だと分かりやすすぎるとだと思うんだが、そこんとこどうなんだ?」

 

「聞いた限りじゃそこが問題なのよね。騙すつもりならしっかり作るでしょうし。…そこで私はそれを撹乱が目的だと踏んだわ」

 

「そこまではパチュリー様の意見であってるのだけども、そこでおかしな点をあげておくわね。こっちには出向いてないけど…霊夢の影までいるのよ。ああ、それについては安全圏から雇っている妖精たちに確認させたので間違いないわ」

 

「そ、それって…!」

 

あぁ、間違いないだろうな。

下手すりゃどっちかに霊夢がいる。あいつじゃなくて霊夢が。

面倒なこって。

 

「そこでやることは決まっているわ。あの手間をかけさせてくれた紅白巫女を叩き起こして異変を解決させる。異論はないわね?……あぁ、フラン。今回、貴方は壊すことを心配しなくていいわ。ただ壊す相手を間違えないこと。それが出来れば地下ではないしっかりした部屋を咲夜に用意してもらうつもりだから」

 

「……!お、お嬢様、ですが「これは決定事項よ。嫌だと言うのならばあの異変以来むやみやたらに破壊しまくらなくなった我が妹へのテストだとでも思いなさい。部屋はその褒美よ」」

 

「……相変わらず我が儘」

 

「ふん。好きに言うがいいわ」

 

「それはいいけど、ここで姉妹喧嘩はやめてくれないか?」

 

こっちからしたら苦笑いしかない。

もうすぐ元凶と戦うってのに呆れるぜ。

 

「それもそうね」

 

「ええ、私まで疲れちゃうわ」

 

 

「とりあえず、やることは―――」

 

 

と咲夜がまとめて話してくれた。

さすがメイド長だ。伊達にこいつらの相手をしてないな。たしなめるのもうまかったぜ。

あと説明も分かりやすかったな。おかげですることがすぐに飲み込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、結果だが助けられた。もちろんあの今まで戦った奴以上に苦戦させられたが。

それで気絶から目覚めた霊夢はある程度記憶が戻ったらしい。

だと言うのにこの幻想郷へ来たときとあんまり変わらないっていうことになにか言ってやるべきだったか?本名もまだ思い出せないとかも言ってたからな。

余計に反応がしづらいぜ。

 

 

 

ま、そんなことより一番本人が驚いていたことがひとつあったけどな。

 

あの霊夢、元の世界に二度と戻れないんだとさ。あいつも大変なこった。




一部本文をリメイクさせていただきました。
タイトルもほんの少し修正しました。


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第28話 そうです、私が霊夢です(投げやり)

大分立ち位置が分かる回かと。

……誰のとは言いませんが、ね。


では、下から本編になってます。


元の世界に戻れないことを知った。でもその肝心の教えてくれた紫は、といえば…

 

「今の霊夢じゃなきゃ嫌よ!」

 

「真顔で言うのやめてくれないかしら。…と、いうか急にどうしたのよ。うるさいわね」

 

あっ、藍が橙の目と耳を隠してる。そりゃそうだよなぁ。

紫が真顔で私の方を見て言ってるんだし。

っというかさ、さすがに人前はやめない?

それに紫は大妖怪じゃ…

 

 

 

「なぁあれ、酒でも回ったんじゃないか?」

 

(あれ)がすぐに酔うとは思えないんだけども」

 

「それもそうだな」

 

小声で話してきたのはいいけど、最初から分かってるんかい。

あ、凄く今さらだけど宴会中。

本当は未成年……だったはずの私も今回は遠慮なくお酒を飲んでいる。

あっ、良い子も悪い子も飲酒は二十歳からね!

 

「どこ向いてるんだ?霊夢」

 

「あらぬ方向よ」

 

「よく分かんないぜ」

 

苦笑いされた。

別にいいでしょ?どこ向いたって。

 

「…でも、なんか凄い人数ですね。途中から萃香さんも来てとんでもないことになってますし」

 

えっ?萃香?なにいってんの、ここにはえーと…。確か…。

 

 

 

 

あ、あれ?1人増えてる?

いつの間に来たんだろう。

 

「ま、いいわ。本題に戻りたいし」

 

「そう言いつつ酒を飲む巫女は誰なんだ?」

 

「さて、誰でしょう。………それにしてもやっぱり熟成させた酒の方もまた美味しいわね」

 

お前な、という呆れた視線を食らった。

いやだって、もうここまできたというのに戻った記憶は重要なところ以外全て。せめて私を私らしめる部分がほしかった。

―――いや、自身が人間だと確信できた辺り凄く嬉しかったけど。

 

ま、それだけですんだんならいいんだけど、まさかの名前だけ思い出せないときた。

挙げ句のはてに二度と元の世界には帰れないときた。

理由?簡単だよ。

博麗霊夢の能力を誰に説明されないまま、使用したこと。

多分使い方なんて普通は分からないとかって言うんだろうね。

ほとんど紫に説明されたものだから、推測にすぎないけどこれであってるのだろうか。

 

 

因みにある程度記憶が戻った今。ためわらずに飲めると知ってなにもしないほど、私は飲んべえになっていない!

……うん、なんか違う気がするけど。そもそも飲んべえじゃなかったし。幻想郷についてから飲んだ程度だしね。…す、少しだけだよ?

 

「……あぁ、貴方のことね。ええ、本来貴方はあの幻想郷にとってイレギュラーな異変を解決したあと、帰れるはずだったのよ。でも無理なのは先刻教えた通りよ」

 

な、なんかいきなり冷静になった!?紫って演技でもしたことあるの?

それを尻目に飲む私も私だけど。

うん。これ以上飲むと明日二日酔いになりそうだなー。

あ、ちょうどいい。私も酔ったふりをするか。

 

「でもでもー?私が能力を平然と使えるのはおかしいって(あんた)が言ったんじゃないのー。それで考えられるのは私が霊夢そのものだからって言ったじゃなーい」

 

棒読み感はんぱないけど、大丈夫かな?

あ、やっぱりバレた。『フリか?』って魔理沙に聞かれたし。あと早苗にも。

演技下手ってか。悪かったね!

 

 

…あ、すごーく今さらなんだけど、宴会の面子と近くにいる人の名前だけあげるかな。思い出すってのも兼ねてさ。

どうやら来たのは少数らしいね。ええと、『魔理沙、早苗、諏訪子、神奈子、紫』だね。

んでいつの間にか萃香もいたと。

神様2人と萃香は離れて飲んでるよ。かなりの酒豪なのか空き瓶がいくつも…。

誰が片付けるのか知ってるのかな?

 

早苗?あぁ、酒に弱いみたいだから私のそば。魔理沙もいるけど、今んとこ平気みたい。

私?…大分飲んだ。いやぁ、伊達に酒豪(しゅごう)になったわけじゃないんだなー。

…ただ早苗、小声で魔理沙に「いきなり霊夢さんが遠くを見るような目になったんですけど、飲みすぎですかね」とか言わない。

まあ、それは別にいいんだけど、それに対する魔理沙の「違うと思うぜ。精神がいきなり年老いたんだ」は失礼だと思うよ。

後々こってりとお仕置きついでに遊んでやろうかしら。

 

もちろん弾幕ごっこで、だけど。

 

 

 

「……あっ!霊夢さん、一ついいですか?」

 

「ん?なにかしら。魂レベルで博麗の巫女になったって言うことならもう受け入れたわよ?」

 

「最初はそれを聞いて呆然としていた奴がよく言うぜ」

 

さりげなく言うんじゃない!

少し気にしてるんだぞ!本当に少し!

 

「あー、いえ。そっちじゃないです。……分社の方も綺麗に掃除してもらえないかなー、って思いまして」

 

「し、してるわよ?」

 

思わず顔をそらしちゃったけど、キニシナーイ。

 

「そうですね。それはたまに来てるので確認してます。ただ!」

 

「お、おおっ?」

「な、なによ…」

 

え、もしかして遠くから見て綺麗にしていればいいだろって目論見がバレた?

で、でも分かってくれるよね?こんなだだっ広い境内にその分社も掃除しなきゃいけないんだから、少しぐらい手抜きしたって…。

 

 

「もっとしっかり掃除してください!たまーにしっかり見るとほこりとか残ってるんですからね!細かいところもやらないと駄目ですよ!」

 

「…ただでさえ境内は広いと言うのに…」

 

「それでも、ですよ。私だって自分の神社に加えて分社もやってるんですからね」

 

うっ…。す、少しぐらい手を抜いたって許されるよね?

 

「そんな顔をしたって駄目です。そういうのってあんまりよくないんですよ?………しないよりはマシですけど」

 

「えっ?なんか言ったかしら?」

 

「なんでもありません」

 

うーん。小声過ぎて聞き取れなかったから、気になるんだけどな。

っていうかそんな若干怒ったような顔されたって…

 

「ははっ、お前のその顔もなかなか面白いな!」

 

「魔理沙!他人事(ひとごと)だからって失礼よ!」

 

「自分で他人事っていうのか」

 

え?そんなに笑う?

 

「あ、確かにそれは新しいですね。他人事なのに失礼って…」

 

早苗まで!?

ってかあなたは本人でしょうが!

はぁ…やれやれ。どうしたものか。

 

 

「楽しんでるとこ悪いけど、霊夢。今後貴方はこの幻想郷で博麗霊夢として生きること。私は今のところそれ以上は求めないわ。ただそれより―――先代の巫女があんまり表に出ないようにしてちょうだい。先代の対応より今の貴方の対応の方がまだいいものだから」

 

「「?」」

 

よく分からん。

左右にいる魔理沙と早苗を見たら早苗だけ不思議そうにしてるし。

魔理沙はどうしたの?顔、なんか青いよ。

 

「いや、問題ないわよ?…ちょーっと厳しいだけで、色々と教えてくれたし」

 

「これは……前の霊夢よりひどい楽天家ね」

 

「ちょっとやそっとじゃないな」

 

扱いの酷さが悪化してきたんですが。

 

「それほど凄い変化ってことですね。さすが幻想郷だわ!」

 

早苗ー!それはなんか違うー!

と言うかこの子、天然?天然混じりなのかな!?

 

「ま、それだけよ。霊夢、先代と同じようになれとは言わないけども頑張りなさい」

 

「はいはい。まあ、私も本格的に活動しなきゃどっかの誰かに笑われるだろうから頑張るわよ」

 

「ま、その様子なら博麗の巫女は貴方のままで平気そうね。……冗談よ。そんなに怪訝そうに私を見なくてもいいじゃない」

 

あんたがそう言うと本当にやりかねなくて怖いんだよ。

幻想郷第一に考えていたはずの妖怪でもあるっぽいし。

……でもさ、飲み始めてからずっと挙動不審ですんごい周りを見てるんだよね。

今回霊華は宴会に参加しないって、伝えたのに。

 

ま、いいか。

 

「ところで早苗、お酒も飲んでみない?少しなら案外飲めたり…」

 

「え、ええ!?…わ、悪くないかもしれないですけど…」

 

「ふふっ。駄目よ、早苗。飲みたくないなら飲みたくないで断らないと。本当、そこからどうにかしないと絡み酒されて大変な思いするのは早苗よ~?」

 

「それを酔っている霊夢さんに言われるとなんか説得力があるような…ないような…」

 

ハハッ、デスヨネー。

ほろ酔い通り越して思いっきり酔ってますもんね。

まだ普通に話せてるから酷くは酔ってない……いや、口数が増えてるから相当か。

……あ、苦笑いされた。なに?

もしかして口に出てた?

そうだとしたら恥ずかしい…。

 

「な、なによ…」

 

「いいえ、皆さんと楽しむ宴会はいいなって思っただけですから」

 

「……?」

 

き、聞いたことと違う。

 

「まっ、霊夢。多分お前ならそのうち分かるんじゃないのか?お前のことだしさ」

 

「なによその投げやり。酷いわ」

 

…なんて、3人で話してたんだけど、神様2人と鬼1人は凄かったよ。どれだけ飲むんだと。

 

―――ああ、もちろん。次の日は見事に二日酔いになりました。



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第29話 寺子屋は忙しい

一部他の本文に修正など手を加えました。

ですので、この話より先にそちらを読んでいただけると内容がつながるかと思います。

そして、新しい試みを行ってみました。いかがでしょうか。


二日酔いも治ったし、あれからしばらく時間がたった。

せっかくだし、里に行こうと思った。

理由?…寺子屋の子供たちに会いに、かな。

それと里の様子を見に―――って何事もなかったみたいになってる!?

いやまぁ、そんなに暴れてなかったようだけどさ!

 

 

そ、それにおかしいな。

色々と前の異変でやからしたはずなのに、里の人達から怯えられない。

むしろ里の入口で出会う人達ほぼ全員から同情するような感じで見られてるような気がするんだけど!?

なに?私は『同情するなら○○くれ!』って言えばいいの?

絶対(場の空気的に)あわないでしょ、そんなの。それに欲しいのがあったとしても出来れば自力で手にいれたいからねだるなんて嫌だし。

 

 

 

 

「…そこでなにをしているのかな?」

 

「そういうあんたこそ、寺子屋はいいのかしら?慧音先生?」

 

とあえてニヤつきながら聞いたら呆れられた。どういうこと?

 

「そういう貴方こそ里に……いや、いい。むしろちょうどよかった。そんなことより今、問題があってだな」

 

「あらやだ、珍しい。私指名だなんて。未解決だった異変より大事なことってなんなのか、気になるわね」

 

「それはだな。……寺子屋のしょうじに誰かが落書きしている。寺子屋にいる子供たちがしたのかと思って聞いてみても全員違うらしいんだ」

 

「あら、それでいいの?なら、良い方法があるんだけども、いいかしら?」

 

「ん?なんだ?」

 

「……私もその寺子屋で一時的にあんた達の授業に立ち合う、ってとこでどうかしら」

 

「なるほど。分かるのか?それで」

 

「いいえ、やってみなきゃ分からないわ」

 

何故半目で見られるんだろう。

不思議だね。

 

「顔を横にふったと思ったらそれか…。まあ、いい。協力してくれるのなら助かる。とりあえずこっちだ」

 

とほぼ一緒についてきてね的なジェスチャーをされたからついてくことに。

 

それと寺子屋までの短距離で聞いた話がある。…というか、教えてもらった、かな?

 

 

まず、あの異変は先代の巫女に私がなにかやらされ続けた、そのストレスが原因だと思われているらしい。

 

いやいや、ストレスはたまってないから。むしろ恐怖なら植えつけられたかな、うん。

サボるにサボれなかったし。

今はほどほどにしてもらえたけどね。

……っていうか誰か見てたの?

 

気になったので聞いてみたら『分社の参拝客か誰か里の者が偶然その様子を見てたんじゃないのか?』とのこと。

さすがにそこまで分からないか。

 

ありえなくもない話だからもうそれ以上は聞かないけど。

あとで霊華にはそこまで酷いことはされてないとかフォローしておくかな。

 

 

もう片方はさっきの話の詳細だった。

寺子屋のしょうじに落書きされたのに気づいたのはいつ、だとか皆に聞いても違うだとか。

そんな感じ。

 

 

「…んー、誰かのイタズラかなんかじゃないの?」

 

「だといいんだが…。これじゃまるで怪異みたいであんまりよくないと思ってな」

 

「なるほど、ね。なら私も見ることだし、大丈夫でしょ。…それで、どこらへんにされることが多いのかしら?」

 

「あぁ、それはだな……」

 

 

 

 

 

 

そう言われつつ、寺子屋につくなり見せてもらった実物。

うん、なんだろうね、あれ。

なにか書くものでもないのか、と感じるものだったんだけど。

気のせいかな。

 

うーん、ここは少し様子見てからやってみるかな。

もしかしたらそこまで問題になるようなものじゃないだろうし。…ただ強いて言えば私1人で準備できるかな。

まあ、どうにかするかな。

 

うーん…。

 

(そういえば、この紅白巫女は今までの巫女とは違うらしいな。…だからこんなにも協力的なのだろうか。少し気になってしまった)

 

「ん?なによ、慧音。とりあえず、数日様子見てみるわ。多分そんなに害なんてないでしょうけど、念のためね」

 

 

寺子屋にこんなのがいきなり出来たらそりゃ心配にもなるだろうけどさ。

その…そうやってじっと見られたら、なんか気まずいんだけど。しかも、表情的にちょっと言いづらいし。

 

「そうか。ところで、勉強の方はどこまでやってたんだ?」

 

「えっ?勉強?…なんでそれを今聞くのよ」

 

「立ち合うからにはしっかり、やってもらわなきゃなあ?」

 

わ、私はこれからなにをされるのかな…。

っていうかそういう笑顔は笑顔でなにかを凄く企んでるよね。

……これ、素直に答えても答えなくても大変そうだなぁ。

 

「…い、一応外の世界でいう学生レベルよ。成績はそこそこで良くも悪くもないから…並みの人と一緒ね」

 

あ、口元がニヤけた。

もしかして言ってることが理解できなくてもどういう意味かって分かったのかな…?

の、乗った以上、逃げれないよなー…。…はぁ。

 

「苦笑いしたってもう遅いからな。言ったことがなんのことか分からずとも、最後らへんでよく分かった。ちょっときてもらおうか。……ってなんでため息をつくんだ?」

 

「いいえ、なんでもないわ。それで、私はなにをするのかしら?」

 

「それはだね―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この怪異が終わるまでの短期間だが、博麗霊夢と一緒に授業することになった。ほら、霊夢。なんか一言、いいか?初めて会う奴もいるしな」

 

「あ、あー…」

 

なんでこうなった。

確かに悪くない案だったけど、私が教えられるのは限られてるよ?まだ幻想郷の歴史だってそんなに覚えてないし。

それ以前にすっごく期待の眼差しを向けられている。そ、そんな期待されるほどのことできないよ…?

 

 

 

「どうも、改めまして博麗霊夢です。短い間ですが宜しくお願いしますね」

 

「「「―――っ!?」」」

 

いや、驚くことでもないよね!?

そりゃ敬語なんて早々使ってないって自覚してるけどさ!

 

「ははは、霊夢だから仕方ないな。私だってお前が敬語を使うなんて思ってもみなかったから少し驚いてるんだぞ?」

 

しかも、寺子屋の子達も笑ってるし。

私だって敬語を使うときは使うんだよ?

 

「悪かったわね、たまにしか使わなくて」

 

「はは、そんなに()ねるんじゃない。ああ、お前達も敬語の件でからかわないように。いいな?」

 

 

「「はーい」」

 

「頭突きなんてされたくないもんなー」

 

「だねー」

 

頭突きって…。

まあ、これ以上いじられないならもういいか。

つっこむのも疲れる。

 

「ともかく、慧音と一緒にいると思うので仲良くしてください」

 

「れーむって呼んでいいですかー?」

 

「……いいわよ、別に」

 

そんな純粋な目を向けてそう聞かれたら否定できないに決まってるじゃないですか、やだー。

っていうか慧音がなんかニヤニヤしてるんだけど。どういうこと!?

 

「ま、自由に呼んでちょうだい」

 

「ということだ。お前達、分からないことがあったら霊夢にも聞くように。いいね?」

 

「「「はーい!」」」

 

さすが慧音…と、言おうと思ったけど、やけに子供達が元気だから多分違う。

なんだろう。数日とは言え、異変解決より大変そうな気がしてきた。

大丈夫かなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日に驚いたことがあった。

何故って?

それはしょうじに『巫女のあの顔 いとをかし』って書いてあったから。

 

 

「……寺子屋にいるわね。しかも確実に」

 

でなきゃ分かるはずないでしょ。

でも、そう言ったっていつの間に書いたんだろうね。午後の誰もいないとき、とか?

 

それはともかく…お前もか。

ニュアンス的に笑われてる気がするんだよね。しかも、なんか凄く。

 

 

…気のせいだよね。

 

 

……気のせいだよねぇ!?

 

 

気のせいだと、私は信じたい。

 

「昨日はどこにも…。まぁいいわ。今日はどうなのかしらね」

と呟いた辺りで慧音が来た。

 

 

「ああ、もう来ていたのか。…ところでそれは?」

 

「様子見にね。それとこれはまたされた落書きのようよ。…多分、どこかで私を見てたんでしょうけど」

 

「そのようだな。あぁ…それと、おはよう」

 

「ええ、おはよう。……ところでそれはどうしたのよ」

 

両手に持ってる大量の書類。

後ろにいた慧音の方に振り返るまで気づかなかったんだけどさ、すごい量だね。

なにをしたらああなるん?

 

「半目で見るようなことはしてないさ。ちょっとした仕事だよ」

 

「あら、もしかして満月だとやる気出るとかそういう話じゃないわよね?」

 

「………」

 

む、無言でため息つかないで。

変な話をしたわけじゃないんだから、ここは一歩譲って苦笑いで。

……あ、苦笑いも遠慮しようかな。

 

 

「いや、そういうのじゃないんだ。前初めて会ったときがあるだろう?その時の姿と今とじゃ能力が違ってね」

 

「なるほど、つまり一度目と二度目で違うのもそういうわけね」

 

「やけに理解力があるな…。でも、こっちは詰んでいるわけか」

 

「そう簡単に分かったらこうも苦労しないわよ」

 

「それもそうだな。…とはいえ、なぜ私を半目で見る?」

 

名探偵とかじゃないんだぞ、とか言ってもきっと分からないだろうからね。

いや、あの人は迷探偵だったかな…?まあいいや。

 

「いいえ。でも、これだけは分かったわよ。……悪意がない」

 

「それはお前の反応で分かる。…と、いうか最初からなにも感じてないみたいじゃないか」

 

「き、気のせいよ」

 

「なら顔をそらすんじゃない。嘘をついてないだけまだいいが。…いや、お前は苦手だろ」

 

い、言ってないのに分かるとかどういうことなの!?

 

「……表情が凄く分かりやすいな。それはともかく、生徒が来るから準備するぞ。それもどうにかする。霊夢はしょうじとか直せるか?」

 

「ポーカーフェイスができたらとっくにやってるわよ!…あ、因みにしょうじは無理よ」

 

あっ、『ポーカーフェイス?』って呟かれた。そりゃ分からないか。

ポーカーから出来た言葉みたいだし。

 

(ポーカーフェイスとはなんのことかさっぱり分からん。だが、この霊夢に表情を隠す技術がないってことはよーく分かった。あと多分嘘つくのも苦手だろうな)

 

…まあ、でも1つだけ収穫かな。

なにか困ったらとりあえず横文字言って誤魔化す。

うん、完璧!

 

「……。とりあえずこっちでやっておく。お前もお前で今日も頼むな」

 

ため息つかれたのは何故かな。

しかも、心なしか呆れた感じだったし。まだなんもしてないよー?

 

「はいはい、分かったわよ。でも、午前は抜けさせてもらうわね」

 

「構わないが…なにをするんだ?」

 

あえてウインクからのー

「ちょっと用事があるのよ♪」

 

あれ、微妙な反応。

ま、いっか。とりあえず寄るとこあるし、そこにでも行こ。

 

里唯一の製本屋とも言えるあそこへでも。

ついでにちょっと話相手になってもらうとするかな。

 

(表情はちょっと見逃せないが…多分、考えてるのはどうせ悪事じゃないな)

 

「ああ、行くなら行ってこい。それにお前は協力者なんだから止めはしないよ」

 

あら、そうなの。

てっきり内容教えろーとか来るかと思ってた。予想外だわ。

ま、止められても行ってたけどね。

 

よーし、どう話つけておこうかなー。

 

(……多分、あいつは苦労人になるだろうな。先代の巫女もいるし、避けられないだろう)

 

……?出る前に少し慧音の顔を見たけど、どこか遠くを見ていたような。

ま、私が気にするもんじゃないね。

むしろあの子がのってくれるかが不安だなー。



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第30話 名前でしか呼ばれない系巫女

サブタイトルでもふざけてみたいと最近思っている私です。

最近モンハンワールドではランスでチキンのようにガードしまくるのが日課です。関係ないって?

……そうですね。
では今回もごゆくりと。


さて、ここだね。

 

「小鈴ちゃーん、いるー?」

 

「いらっしゃ……って霊夢さんですか。でも、霊夢さんってそんな明るく入ってきたことありましたっけ?」

 

「そこは突っ込まなくてもいいんじゃないかしら」

 

しかも真顔に近い表情で。

たまにはいいじゃない。こう、ふざけて入るのも。

スルーされるよりはマシっちゃマシなんだけどさ。

 

「いえ、そんな風に入ってくるのは今回が初めてでしたから」

 

(それに霊夢さんがどんな人であれ、良い人だってことはよく分かりましたから。…強いて言えば今日はやけに明るいぐらいですかね)

 

な、なんか微笑ましいものを見るような視線を向けられてるような…。気のせい?

 

「ところで今日、ちょっといいかしら」

 

「どうかしたんですか?」

 

「実は最近、寺子屋のしょうじに落書きがされてるそうなのよ。…見た感じ、完全に悪意があってやってるんじゃないみたいなのよ」

 

(……落書きに悪意があるとかって見て分かるものなんですかね。あ、もしかして霊夢さんだからこそ、分かるのでしょうか)

 

 

あれ、半目で見てきた。

そ、想像で言ったのもしかして…バレた?

 

「ん、んん……とにかく、悪意があるようには思えないのよ。確か小鈴ちゃんって妖魔本、読めるわよね?」

 

「はい、読めますよ。あ、と言っても霊夢さんが一緒にいる時以外は読んでませんよ。なにせあの時に約束しましたしね」

 

(したっけ?って言うような顔ですが、霊夢さんと一緒の方が私1人で解決するより安全にすみそうですもんね。下手に妖怪を刺激したくないですしね)

 

んー…そんな約束したかなぁ。

したと言っても困ったら解決してあげるよ?とかそんな感じだったはず。

おっかしいな…。別にいいんだけど。

 

「そこで、これを読んでほしいのよ。慧音に黙って持ってきたから後が怖いけども」

 

 

「よ、よくそれだけで持ってこれましたね。大丈夫なんですか?」

 

素直に否定した。

それこそ首をブンブン振ったって言われても良いぐらいに。

そりゃ理由もあるし、理解してくれるだろうけどさ?

 

まさか小鈴ちゃんにその子供妖怪が落書きをやめるようにヒントや情報を教えるために借りる……みたいなこと、言えるわけないでしょ?

まがりなりにも私は博麗の巫女だし。

まさか悪意がないし、私には分からないからお願いするとか言えないでしょ?

 

 

…いや、他の人から巫女なんて呼ばれたことはないんだけどさ。

 

………他の人から巫女なんて呼ばれたことはないんだけどさ。

 

大事なことだから二度言ってみた。誰かが聞いてるとかそんなわけじゃないから、別にいいよね!

 

 

 

「でも読めるならあとを頼めないかしら。私は寺子屋の中で見張ってなきゃいけないし」

 

「え、ええ…霊夢さんがあんまり頼んでくるなんて珍しいですが…ええ、大丈夫ですよ。むしろ構いません」

 

……!え、嘘!?もうちょっと疑ってもいいんじゃないの!?

ほら、詳細を話してないうちから受けるなんて危ないとは思わないの!?

確かに私なんかに人を騙すような話術とかそーいうのはないよ?だ、だからって…。

 

 

「……そ、そう?…それは悪いわね。今度お礼として……そうね、小鈴ちゃんのお願いを1つ聞くってのはどうかしら」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

わあ…笑顔…。

 

(霊夢さんが一瞬驚くとは思いませんでした。ですが、霊夢さんがこうやってお願いしてきたんです。きっと霊夢さんにもなにかあるんでしょうね)

 

今度会った時、妖魔本にもそうだけど、詐欺とかに気をつけろって言ってあげよう。あと妖怪。特に下級とか。

そこら辺の妖怪なら頭が良いから早々やらないけど、そのうち騙されそうで怖い。

 

凄く心配だぞ、私。

 

 

 

「ま、また今度ね。んじゃ」

 

「はい。また来てくださいね、霊夢さん!」

 

…違う意味でも監視しよ。

そのうち本当に純粋な小鈴ちゃんが騙されかねないし。

 

 

(……それにしても、後を任せるって…本当に全部、ってことなんでしょうか。霊夢さんではやれないことなんですかね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず寺子屋到着。

道中霊華に出会ってさあ大変ってなるのかと思ったら正格がかなり丸くなっていた。

え、えーと…どうしたんだろ。

なにか変なものでも食べたのかな?ってぐらい凄いし。

まあ、聞いたところ大丈夫らしいし、なにより前みたいにやることは無理そうだとなんか懐かしむような、悲しむような表情だった。

 

……哀愁漂うって言えばいいのかな。前の霊華とは思えないよ。

因みに別れる前にいつもの元気な状態に戻っていた。

ついでに呼ばれ方は相変わらず『博麗の巫女』か『巫女』。

なんで私は名前なん!?

違う意味で吹っ切れてやる!

とか思って少し考えたけど、どう吹っ切れるんだろ…。

 

 

 

「待たせたわね」

 

「けーねせんせー。れいむがなんかポーズしながら入ってきましたー」

 

「……普通には入れんのか」

 

慧音に半目で見られたけど気にしないでおく。

それよりも、ボケたって分かってもらえてない?

 

「出来るわよ。でも、外の世界じゃ有名になりつつあったあの人の物まねを1回ぐらいしたくなっちゃってね。ついよ」

 

あ、慧音に飽きられた。なんでだ。

でも子供たちにうけたし、いいかな。

 

「はあ…。まあ、いい。ちょうどこれから授業をするところだったからな。霊夢、大丈夫か?」

 

「ええ。…さ、あなた達、元の場所に戻りましょうね」

 

「またれいむが敬語使った!?」

「れーむが敬語使ったー!」

 

だからやめい。私だって敬語の1つや2つ、普通に使えるっての。

 

「…戻りましょうね?」

 

「「……は、はい」」

 

 

あれ?なんであなた達の声が震えてるの?

 

 

「お、おい。その笑顔はやめてやれ。目が笑ってないぞ。…本当、そういうところは博麗の巫女だよな」

 

 

うん、原因分かった。

あとそこだけそれっぽい、って聞こえるよ?

わ、私だってやるときはやるんだからね!?まだあんまりしてないけど!

 

 

 

 

 

因みにスムーズに進みましたとさ。っていうか内容はさすが幻想郷だね。

でも、ちょくちょく私を入れるのは何故?しかも、私の口から言わないといけないような内容もなんでするん?下手したら博麗の巫女(見習い)ってなっちゃうんですけど。

 

…まあ、子供たちが楽しそうならいいんだけどさ。

―――せめて、紅白巫女って呼ぶのはやめようか。

 

 

 

 

(さて、今日の分は終わりか。そろそろ暗くなる前にこの子達を帰さないとな)

 

んー、長かった。いや、寺子屋の子供たちといたから短くも感じたけどさ。

っと、いい時間だね。外も暗くなってきたし…。

いや、寒い時期が近くなってるんだから当たり前かな?ホント、こたつが恋しくなってくるよ。

 

「よし、お前達…暗くなる前に帰るんだぞ。今日は「私が見送るわ」」

 

え、ちょっ。そこは驚かなくても…。

よく見たら子供たちもだ。どゆこと?

 

「今日はれいむ平気なのー?」

 

「ええ、大丈夫よ。あとどっかの誰かさんに子離れでもしてもらおうかと思ってね」

 

「「……?」」

 

そりゃ子供たちにゃ、子離れとかすぐに分からないか。

慧音は…ちょっと面白い顔だね。驚いてるんだか不思議がってるんだか分かりにくい。

 

「…因みに誰の子離れか聞いてもいいかな?」

 

「先代の巫女こと博麗霊華よ。もう色々と吹っ切れて大丈夫だと言ったのに未だに妖怪退治すらやらせてくれないのよ?異変は無理やり私がしてるとは言え…。自衛とかそういうのは…もうできるのよね…」

 

あんだけ体力作りと称して体を鍛えてきたのにいざ、となると後ろに下げたがるんだよね。

過保護の母親かってレベルで。

 

―――いや、血縁関係はともかくして、幻想郷における私の母親か。

 

(大変だな、霊夢も。確かに紆余曲折あって幻想郷に帰着したとは言え…。ああ、浮かべる笑顔がぎこちないね。もしかして話すらしてないのか?……ありえそうな話だな)

 

に、苦笑いされた。

いや、仕方ないんだけどさ。

 

「れーむも大変だねー。でも、平気なのー?」

 

「いい加減、慣れてくるわね…。ん?あぁ、帰りのことなら平気よ。ちょっとした妖怪なら襲われてもなんともないわ」

 

「あっ!そういえばれいむ姉ちゃんって博麗の巫女だもんね!でも…」

 

「そういえばってあのねぇ………。ま、いいわ。それとこの件は大丈夫よ。たまには私があんた達を見送るのもよさそうだしね」

 

と、言ってみたら子供たちが凄く反応してきた。

反応って言っても長らく会ってなかった親友にこれから会う人みたいな感じ。

 

…我ながらよく分からない。

 

(ふふ…。前の霊夢は知らないが、これだけは言えるかもしれないな。……今の霊夢の方が楽天家でずいぶんとフレンドリーだと)

 

「んじゃ霊夢。任せてもいいか?」

 

お?いつもの優しげな笑みだ。

さっきまでなにか考えてるようだったのに…。まあ、信頼されたってことでオーケーとしよう!

 

「ええ、分かったわ。任せてちょうだい」

 

「ああ。お前達、霊夢と一緒についていけよ。場所は自分で言うように。悪用だけはしないって言い切れるからな」

 

悪用だけ、って…悪用もなにもしないよ!?冗談でもしないっての!

強いて言えば味が分かりにくくなるよう苦手なものを混ぜて作った料理を食べさせるとかそんな感じのしかするつもりはなかったよ!?

 

―――あ、私は何故か無くなってました。多分、色々とあったからだろうけど。不思議だね。

 

「「「はーい!」」」

 

 

「れーむー、宜しくねー」

 

「はいはい、宜しくね」

 

子供たちが凄い近寄ってくる。

……ある意味凄いな。いや、何回もきてるんだからありえるんだろうけど。

 

 

 

 

因みにその後、ほぼ見送りで時間が過ぎた。…っていうか案外離れてたりするのね。知らなかった。

妖怪に襲われなかったのが凄い。

 

……いや、それが普通らしいんだけどね。下級妖怪はそれを理解しないかしてくれないらしい。

仕方ないといえば仕方ないんだろうけどさ…。あのさ…。

 

 

私を見て同情の目を向けるの、やめような?

どういう意味かはこの際いい。

そうやって見るのやめてね?心当たりがないとは言わないけど、そんな風に見られるほどやわな精神してないつもりだから!

 

それこそいつでも前向きに考える、ってことを信条に生きてきたんだからね!?

むうぅ…。どうしたものか。

 

 

 

 

 

 

「おかえ―――なんか不満そうね、霊夢」

 

「ただいま。いいえ、気のせいよ。下級妖怪にツッコミ入れたくなったとかそんなんじゃないから」

 

あぁ、うん。困ったような、そんな笑みを浮かべるよね。

ほら、答え言ってるようなもんだし。

…でも、さすがに分かるか。ああ言ったし。

 

「あ、そうだわ。最近、あなたの評判が明るくて人懐っこい巫女になっているようだけど、知ってる?」

 

「それでも名前呼び、なんでしょう?」

 

「……そうね、名前呼びよ。でも、そんなことより……」

 

うん?どうかしたのかな?

 

「―――あなた、手にしてるそれはどうしたの?」

 

「………子供たちを家に送り届けただけよ」

 

「そう…家に。…前じゃ考えられない例ね。早々おかしなことなんて起きないから大丈夫だと思うけれど」

 

「霊華の時と違うとは言え、幻想郷は幻想郷よ。楽しくふざけて生きるのなら異変と妖怪とはしっかり付き合わないと」

 

(驚いたわ。ここまでしっかりしてるなんて。……でも、そういえば今更だけども…よく記憶が一部ないというのに落ち着いてられるわね。しかも思い出す前から。………そんな諦めてるようには見えないのだけども)

 

 

お?驚いたかと思ったら真剣な顔になった。

私がなんかした?

 

「あ、そうだわ。貰ったものを置いてくるわね」

 

「え、えぇ…分かったわ」

 

と、いうことで置いて夕食を食べたのち……なんか凄い音と揺れがあった。

なにか出たのかってぐらい。

明日、確認でもしてみよ…。



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第31話 空白の時間ってかなり怪しいよね!

1話分が書き終わりましたので少し早いですが、投稿してみました。

ただ気がついたら文字数が凄いことに…。どうしてこうなった。

そして、関係ないですが、この小説を読んでくれている少数派の皆様へ。

こんな小説読んでくれてありがと!語彙力涙目の私ですが、それなりに頑張って書いていきますね!


以上です。では、本文どうぞ

※申し訳ないですが、紫のセリフにあった『地下』を『地底』に変更しました。それ以外に変更はございません。


朝日がある程度のぼったのを見てから確認してみた。

……なにかが凄く出ていて、近くになんかできかかってる。

 

おかしいな。あれじゃまるで露天風呂なんだけど…。

っていうかなにをしたらああなるの?

 

少しそれを見ていたら下から声がしてきた。

私の名前を呼ぶのはもしかして、霊華?いや、ここにいるのは私含めてあともう1人しかいないから霊華しかいないか。

そりゃそうか。

 

「あー、なにか用?」

 

露天風呂を眺めるために空を飛んでいたんだけど…部屋から直接とんだから裸足なんだよね。とりあえず低空にまで降りたら分かるかな。

 

 

「霊華、どうしたのよ。なにか用?」

 

朝餉(あさげ)が出来たから言いにきただけよ。……そういう霊夢は空を飛んでなにを見ていたのよ。もしかして昨日の音関連、とか言わないわよね」

 

「あら、それはわざわざどうも。…ええ、そうよ。その音関係で見てたんだけども…その…」

 

心当たりすっごくあるんだよねー!嫌なほどあるんだよねー!

どうしよ…。

 

 

(なるほど。それでなにかがあったと言うわけね。…でも、笑顔がぎこちないわね)

 

「別に責めるわけじゃないんだけども、どうしてこうなったのか…分かるかしら?」

 

「あー…まあ、朝食を食べながらでも説明するわよ」

 

もちろんその時の状況も含めてね。

いやぁ、それにしても名前がわからなくても信仰してみるもんだね。

 

「そう?…ま、霊夢が言うなら信じるわ。それに、信じる信じないかはともかく…」

 

 

「朝餉が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」

「朝食が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」

 

 

(…なにを言うか分かってて言ったのかしら。あからさまに重ねてきたし)

 

おっと、半目で見られた。

でもね?……私自身、いくらなんでも冷めたご飯は食べたくないのですよ。

なにせ暖かいご飯の方が美味しく感じるしね。作りたてばんざーい。

 

 

 

…ふざけてる場合じゃないや。

 

 

 

 

 

 

 

さっきの場所からそんなに離れてるわけじゃないけど、居間に到着ナウ。

居間に今到着って言ってもいいのよ?

 

「あなた、なにかふざけたことでも考えてる?」

 

「さて、なんのことかしら」

 

(そう。ならいいのだけども。でもそのわりには霊夢、あなた…表情が楽しそうに緩みかけてたのよね。そこを隠さないと普通は誤魔化せないわよ?別に嘘ついてるわけじゃないから見逃すんだけども)

 

おっとー?どうして呆れられてるのかなー?

ため息もつかれるし。でも、こういうのもいいか。

だって、先代の巫女の性格が丸くなるってことは修行がまだやさしめになるんでしょ?

それだったら歓迎しちゃう。

もうあんなベリーベリーハードな修行は勘弁。

 

 

 

 

「……それで?朝餉食べてすぐで悪いけども、説明してもらいましょうか」

 

「ああ、むしろ助かるわ。そうね、ここからがいいかしら」

 

 

 

 

 

とりあえず回想。

因みに二日酔いが治ったしばらくの間の話。

 

 

「あーあ…確かに戻れないのはしょうがないとは言え、こうなるなんてねぇ」

 

『そればかりは仕様がない。霊夢として思いきり行動してしまっているのだからな』

 

「そりゃどうも。否定出来ないから笑えないわね」

 

『我からはなんとも…。話は変わるが、我を信仰してくれていることに感謝する』

 

お賽銭の前にいた当時の私はニッコリ笑ってみせた。

もちろん嬉しくて、ね?……ま、もっともその博麗神社にいる神を信仰して以来、必要以上にお願いをしたことがないんだけどさ。

ほら、大抵のものは神様にねだらなくても自力で手に入れられるでしょ?

なら、あまりお願いしなくても…ね。

 

『……にしてもお主、妖避けとか面白いお守りを思いつくものだ。それに山の上にいる者達の分社もあいまって参拝客が増えて嬉しいぞ。信仰がまだなのは悲しいが』

 

「すぐに増えたら苦労しないわよ…。ご利益とかを私が把握しきれてないのも問題なんでしょうけど」

 

苦笑いしながらそう答えたのは覚えてる。神様があんまり干渉しない、とかそういうのは抜きにしてすぐに参拝客が増えるなら巫女だって苦労しないから。

最初はお賽銭だけでもそのうち信仰してもらえるだろうしって考えてる私もいたしね。

 

我ながら甘いな。

 

『ハハハ、それもそうだな。そういえば、分社の方は比較的友好的に接してくる。そのおかげでこちらも助かっている』

 

もちろん驚いたよ。そんな言葉を聞くことになるなんて思わなかったんだから。

え?一番驚いたのは普通に接しててもなんも言われないこと。

いいのかな、こんなんで。

 

「それはよかったわ。これであんたも少しは有名になるといいのだけれども…」

 

 

「あっ!霊夢さーん!今、大丈夫でしょうか?」

 

そう話しかけながら小走りで来てる早苗。

どこに降りたの?ってツッコミしたくなったあの時の私は悪くないはず。

 

「ええ、ちょうど話のくぎりがついたところよ。早苗こそなにか用?ないわけじゃないでしょう?」

 

「はい。ちょっと貴金属を作ってもらいたいので来ました」

 

当時の私はなんで貴金属?だったので首をかしげてました。はい。

 

「貴金属…とひとまとめにされても分からないわよ。せめて名前だけでも知ってればお願いできるんだけども…」

 

ほら、元素記号ってのはあんまり覚えてないんだけど外の世界にいた人が実験したりなんなりで決めたじゃない?

その中に少なからずとも貴金属があるから…。大変だね。

 

「あ、それは大丈夫です。確かパラジウム合金って名前だったと思います。これから神奈子様と諏訪子様が実験するから必要だとおっしゃってまして…。確か常温核融合とかって言ってましたよ」

 

「そりゃ幻想郷に冷却水なんてあるわけないものね。…ってその金属だけでいいの?」

 

なんかその時、冷却水?みたいな顔されたんだけど、どうしてだったんだろうね。

 

「あー…はい。それで大丈夫ですね。協力してもらってもいいですか?」

 

「もちろんよ。聞いてみるわね」

 

って流れで金山彦命(かなやまびこのみこと)に頼んでみたところ、喜びながら受け入れてくれた。

一晩かかる旨を伝え、その次の日に早苗へと渡した。

 

 

 

 

 

 

 

うーん、それしか心当たりないんだよね。

それ以外になにかあったかな。

 

「さすが元外来人ね。そんな話をしていたの。……でも、そんな話とその噴水みたいな温泉は関係なさそうに思えるんだけども」

 

「あら、でも全部私の知識じゃないわよ?私だって先駆者たちが努力して得たことを外の世界にある…そうね、寺子屋のような場所で学んだから知ってるだけ。無から、なんて相応に努力しなきゃできないわ。……あ、でも創作料理にはすっごく興味あるのよ?幻想郷ならではのものが作れそうでね」

 

あ、納得してもらえた。

 

「それで、あの温泉は?」

 

「あー…それなんだけども…。分からないわね」

 

(そりゃすぐに分かるわけないから仕方ないわね。わざわざ答えてくれる辺り嬉しいけども)

 

ん?…お、おお?なんで嬉しそうに笑ってるん?

嫌じゃないし、聞くのも失礼そうだからいいか。

 

でも…なんか感じるのは気のせいかな。なんかこう…前の季節外れの花がたくさん咲いた時みたいな…。なんだろうね?

 

 

「あ、そうだわ。霊華、ちょっと弾幕ごっこしない?」

 

「突然にどうしたのよ」

 

「突然もなにも……。あんた、なにか1つでもスペルカードか弾幕はれる?じゃないとあんた、ずっと引きこもりよ」

 

(引きこもりって…。それにはならないと思うんだけども、言ってあげるべきかしら?)

 

ん?なんか間違えた?

 

 

「どうしたのよ。なにかある?」

 

「いいえ、なんでもないわ。…ま、私がその遊びを取り入れた方がふざけるのにもちょうどいいってわけね」

 

そうそう。戯れるのにも命がけじゃ楽しくなんてないしね。

 

 

 

―――ってちがーう!

 

 

「あー…まぁ、そうね。スペルカードが無理でもせめて弾幕だけでも出せないと大変みたいだものね。いいわ、やりましょ?」

 

「あら、やる気なら話がはやいわね。さっそくゲームしましょうか」

 

ゲーム?と呟く霊華を差し置いて弾幕ごっこ開始ー。

多分いけるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

たまに痛くないとかいうけど、そりゃそうだ。弾幕だもの。

当たる場所が場所じゃないなら早々死なないって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(実践方式でやってるようでやってないわね。…全く、弾幕ごっこに慣れさせたいんだか、そうでないんだか。どっちなのかしらね)

 

しばらくそうしてたら、呆れたような感じで見てきた。

どゆこと。

 

 

「こういう感じでいいのかしらね?」

 

「いいのいいの。弾幕はちゃんとはれてるし、ちょっとした弾幕ごっこなら普通にできるんじゃない?」

 

 

スペルカードなら抜きでも多少は遊べるしね。

あー…でも、なんか…大変そうだね。

要するにどこかの弱体化巨大蜂2匹に弾幕が消せるボムなしで挑むようなものだし。

 

あ、例えるものを間違えたような。あれはもう達人を越えた腕前じゃないとクリアできないんじゃないの?すっごく大げさだけど、ほんとそういうレベルだし。

 

 

容赦ないな…あれは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく弾幕ごっこをやったところ、さすが博麗の巫女だと思った。

伊達に先代やってないのもあるんだろうけど、弾幕をはるとか出来るようになってるし。

ただスペルカード名が一緒なのになんか霊華の方が凄く物理より。

 

いやいや、どうしてそうなった。陰陽玉より拳よりって…。

…スペルカードはもう頑張れとしか、言えないな。

 

 

(……あぁ、困ったような笑みを浮かべられる、だなんて思わなかったわ。多分、分かってるんでしょうけどね。…それにしても、凄い前向きよね。幻想郷にすぐ馴染んだのもそれのおかげなのかしら)

 

 

「霊華、どうかしら。スペルカードルールには慣れた?」

 

「ええ、おかげさまで少しね。…これがあるなんて、本当この時代は幸せね」

 

おかげさまで妖怪退治はよっぽどのことがない限り、弾幕ごっこで終わらしちゃう。それでもやっぱり強さは関係しているみたいだから面倒だなー。

 

まあ、そんなことより気になることが一つ。

私の「夢想天生」と霊華の「夢想天生」って同時に使うとどうなるんだろうね。えげつないことになんの?

あ、もちろん霊華のにも名前なんてなかったし、そもそもスペルカードルール外が多かったもんで名前を統一しただけ。

 

私のスペルカードが霊華のやることとほとんど近かったからそれにしたってのもある。

とんでもなく手抜きぃー…。

 

 

「ま、今日はこれぐらいで……ってなんか近くまで霊的なものがきたんだけども。なにこれ、地霊?」

 

え、そ、そんなに驚かなくてもいいよね!?

霊華にとっても初見とかいうの?

 

「ええ、そうでしょうね。さっきまで弾幕ごっことやらをやっていたから気づかなかったわ」

 

「あー…。じゃあ、あそこから湧いてるのかしら。ほんと、湧くのは温泉水だけでいいのに」

 

(温泉水…って露天風呂でも好きなのかしら、この子は。もし異変だったらどうするつもりなのかしら。……もっとも、今の博麗の巫女は彼女だから私は口出ししないけども。さすがに私は前の巫女なのだからね。―――本名を忘れてしまった、とかとても言えないけども)

 

 

我ながら贅沢だけどね。

うーん、でもこれは参ったな。

と、いうか地霊ってなんぞ?

 

 

 

(お?あそこにいるのは霊夢と先代の霊華か?それと…なんか境内が凄いことになってるな。ちょいと聞いてみるか)

 

「2人共、さっきからなにをしてるんだ?」

 

空からいきなり来客者が。いや、魔理沙以外ありえない手口だからもうなにも言わないけど。

 

「霊華と弾幕ごっこよ。多少はスペルカードルールにのっとって戦えなきゃ今後苦労しそうだから私自身の復習兼ねて教えていたの」

 

「ああー…確かにな。実力行使って奴をされたら敵わないってのもあるけど、そのままの先代じゃ苦労しかしなさそうだぜ」

 

た、確かにそうだろうけどさ…。普通の実力行使されるようなことなんかある?

それともまた悪さでもした?

 

「そこまで昔的じゃないと思うわよ。せいぜい悪くてちゃぶ台返しをされるだけでしょ」

 

「誰がそんなことするのよ。しかも、そんなのあったのは大分昔だそうじゃない。分かる人じゃないとつっこめないわよ?」

 

おっと、それは失礼。

 

「あら、ごめんあそばせ」

 

(絶対反省してないだろうな、こいつ…。楽しいときもあるから別にいいが)

 

「ああ、そうだ。2人共、あの噴水っていつから出てるんだ?」

 

 

あぁ、そういや魔理沙は初めて見たのか。

 

 

「それは昨日からみたいよ。詳しくは知らないけど…いきなり吹き出てきて露天風呂もどきを作ってるみたい」

 

「……な、なんなんだ?その、露天風呂とやらは」

 

あー…そういや、幻想郷って露天風呂とかないんだっけ?

 

 

「私にはさっぱり。でも霊夢?地霊があんだけ出ているのはとてもおかしなことだと思うのだけども」

 

「地霊?…地霊だって?」

 

「あら、魔理沙は知ってるの?私もなんとなくはそうだろうと予想はしてみたけども」

 

ほら、地霊っていうってことは地下の幽霊…とか地縛霊…とかそういう感じだろうし。

 

んんーー……。

 

 

 

「あら。貴方達、3人揃ってなにをしているのかしら。私にも聞かせて欲しいわね」

 

「あっ、なんだ紫なのね」

 

「なんだって酷いな、霊夢。…でも確かに紫だな」

 

 

(…扱いが雑すぎるわね。どうしたらこうなるのか聞きたいぐらいには)

 

 

「そこの間欠泉みたいな噴水を見て話していただけ。ちょうど地霊とかが出てるみたいだからそれについて話し合っていたのよ」

 

「なんだむしろ好都合よ。霊夢、今から地底に行ってもらえないかしら」

 

えっ、私?……私?!

 

(相変わらず分かりやすいな、霊夢って。…そういうところもいいけどな)

 

「別に今のところ、害がないからいいんじゃないの?」

 

「地霊があんまり地上に出ては駄目なのよ。…まあ、行ってその原因をどうにかしてくれれば少しはなにかしてあげないこともないわよ」

 

わあ、うさんくさい。

紫だから余計にそう感じる。

 

「ま、なんかあるんだろうな。なら私は霊華とちょっくら待ってるぜ」

 

「そうね、私達はゆっくりお茶を飲んで待っていることにするわ」

 

わー…逃げ道減ったんじゃないの?これ。

 

「そういうことだから行ってくれるわね?霊夢」

 

「はいはい、分かったわよ。行くわ」

 

―――そういうわけで、私はその間欠泉の近くにあいた穴から地下へ行くことに。

せめて洞窟探検、とでも思おうかなぁ…。洞窟って言えるか凄くビミョーだけど。



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第32話 地霊って地上に出ちゃ駄目なの? 前編

ある異変の回です。

前編と後編で終了し、おまけでその次を書く予定でいます。

……因みにイージーシューターです。ルナティックなんて動画で見たっきりなので大分エアプに近いですね。
いやぁ、ノーマルぐらいはクリアできるようになりたいなあ(遠い目


あ、本文は下からです。どうぞ


下に行ってまず分かったこと。

まず湿気が高いのかジメジメする。

肌にはりつくんじゃないかってぐらいにはジメジメしてる。

 

地下なだけに湿度も凄いのか、それとも間欠泉が近いからか…。

とりあえず…梅雨みたいでなんか嫌。せめて風がほしい。

あ、でも風も湿気をまとうから……うへぇ。

 

っていきなり上からなんかきた!?っていうか落ちてきたと言うべきなのかな!?

な、なんだろ…と思ったら桶?

しかもなんか少女が乗っかってるし。

一応名前は……『キスメ』と言うみたい。なるほど。

 

 

うお!?弾幕はってきた!?

2回も弾幕を繰り返したら…えっと…

 

――怪奇「釣瓶落としの怪」

 

あぁ、なるほど。なんの妖怪かまではよくわからなかったけど、上からいきなり落ちてきた理由がよーく分かった。

とりあえず帰ったらちょっと調べてみようかな。確か倉庫辺りにあるだろうし。

 

 

 

 

 

んで、本当湿気が凄い。

あー、もしかして空気の出入りが悪いのかな?

今の今までこうだったし、ありえるかも。

 

 

『あー…霊夢。霊夢?聞こえるかしら?』

 

「聞こえないわよ、紫の声なんて」

 

『はいはい、それなら大丈夫そうね。因みに陰陽玉を通じて話せるようにしたのよ。万が一サボられてもいいようにね』

 

ま、まさかのスルーですか。そうですか。

 

「こんなところでサボるもくそもないわよ。むしろはやく解決して上に戻りたいぐらいだわ」

 

向こうから『あら、そうなの』とか聞こえるけど、何で残念そうなの?なに?どこぞのサボり魔ことサボマイスタみたいなことやるとでも思われてた?

……さすがにないわー。

 

ってなにか現れた。

名前は『黒谷ヤマメ』だったんだね。

 

「へぇ、人間が来るなんて珍しい。もしかして地底に遊びに来たのかい?ならいいタイミングだよ。今、あそこはお祭り騒ぎでね、誰でも入れるんだ。例え人間でも今なら拒まれないだろうね。楽しんでいったらいいんじゃないか?」

 

『ほら霊夢、敵よ。退治なさい』

 

「はいはい、紫はあとでね。…にしても、祭り?祭り騒ぎだって?」

 

「ああ、そうだよ。むしろ楽しまなきゃ損だよ」

 

「あー、そう。なら、話ははやいわ。まずあんたとも楽しませてもらうってことで」

 

楽しむ(イコール)弾幕ごっこ。

別に解釈的には間違ってないよね?!

 

「お、なるほど。そうきたか。いいよ、地底に落とされた妖怪の力。今こそ見せてあげる」

 

 

 

っていうことで弾幕ごっこをし始めたんだけど…あれ、ルール知ってるんだこの人達。いや、妖怪達?

どこで知ったんだろうな…。

 

 

――蜘蛛「石窟の蜘蛛の巣」

 

うん、巣って感じがしないって言ったら駄目なんだろうな。

…でも蜘蛛。蜘蛛か…。そういうのもいるもんなんだね。

弾幕はよく見てれば避けれそうだけど、どうやったら楽になるのかなぁ。

ま、人間気合いでその地域の気温を変えるって噂があるほどだからどうにかなるでしょ。

 

 

 

……多分。

 

 

 

 

 

 

ほんと厄介な弾幕だね。

楽しめるかどうかってよりどう避けるかの方が優先になってる気が…。

いや、本当は何度でも挑めるんだろうけど、下手に黒星つくのはなんか恥ずかしい。

どうにかしてでも避けたいね。

 

 

――瘴気「原因不明の熱病」

 

瘴気なのか突然の発熱なのかどっちなのかとツッコミたくなった私はきっと悪くない!

霊的なもので考えればあながち間違ってないのかもしれないけど、そう考えてもおかしくないよね!

 

 

でも、これであとは……ってえ!?ある程度動いてたらスキマ移動みたいにすぐに動けたんだけど!?

なに、テレポート?…あ、いや。使える。

これでやってみるかな。

 

 

 

 

 

「いやぁ、まさかすんなり見せてもらえるとは思わなかったわ」

 

『貴方、よくもまあそんな場所なのに生き生きしてるわね』

 

「いいえ、してないわよ。むしろこの湿気のせいで気力が奪われてやる気がそがれってるんだから」

 

 

 

とか言いつつ先に行くのは地霊が外に出てる原因を解決しなきゃいけないから。

仕方ない……ね?

 

 

 

 

 

 

ある程度進んだらなんか緑色の子が出てきた………と思ったらいきなり弾幕をはってきた。

ど、どうして?

 

それを避けてたら

 

――嫉妬「緑色の目をした見えない怪物」

 

って宣言が。見えるような気もするけど、多分その通りの意味じゃないんだろうな。

まあ、よく見れば避けられなくもないけど。

 

 

 

 

っと、なんか奥に行った。

なにがしたかったのかな。

私もその方へ向かってるから会えるだろうし、その時に聞いてみるかな。

 

 

 

 

そんなことより…

「ねぇ、紫。この穴ってどこまで続いてるのか分かるかしら」

 

『そこら辺ならあと少しで旧都につくはずよ。だからそう長くないわ』

 

「そこにいるのは人間?…いえ、もしかしなくても人間ね。……旧都に何の用?」

 

「ちょっと通りすがりたいだけよ」

 

「そのついでに旧都にいる私達の呪われた力をとっていくつもりなんでしょう?」

 

『あ、忘れてたわ。地底にいる妖怪達ってほぼ全員忌み嫌われた能力を持っているのよ。だから出来るだけ退治していってちょうだい』

 

「力はどうでもいいのよ。でも、それ…大変じゃないの?」

 

『貴方なら大丈夫よ。いつもの通りに退治できるわ』

 

「ああ、そうやって私をはぶいて楽しそうに話してるなんて妬ましい。そんな貴方が住むであろう地上の光も、そこにふく風も妬ましい。恨みなんてなくても私には構わないわ。…だって、貴方を倒す理由なんていくらでも作れるから」

 

 

 

な、なんか理不尽…!

しかもそれだけって言うのもなんか凄いような……!

 

 

――花咲爺「シロの灰」

 

おお…これまた綺麗…。ってゆっくり楽しみたいけど、これって弾幕なんだよね!

仕方ないとは言え、避けなきゃなぁ…。

 

 

 

んでまた普通にはってくる弾幕を避けたりしていたら

 

――舌切雀「大きな葛籠と小さな葛籠」

 

って宣言された。

さっきのと組み合わせるとなんか昔話みたいな感じがする。

 

きっと、気のせいじゃない。

まあ、でも普通にやってればへいk………じゃ、ない!

当て続けていたらなんか当てたらいけない方に当てたみたいで少しだけ弾幕が濃くなったんだけど?!

 

…き、気をつけないとなぁ。

 

 

 

 

――恨符「丑の刻参り七日目」

 

少したったらえげつないことに…。ど、どうにかして避けないとね。

っていうか目の前が…。

 

 

スキマ移動みたいなことが出来るからそんなに大変じゃないけど、そうじゃなかったら今頃……

 

 

 

 

 

攻略はしました、まる。

「とても凄い嫉妬心だったわね。…普通、そこまでならない気がするけども」

 

『それは彼女が嫉妬の妖怪だからですわ。人間の嫉妬心ももしかしたらいじくれるかもしれないわよ?』

 

「……それだけはならないようにしたいわね」

 

そう、心に決めて。

でもさ、少しぐらいなら平気…なのかな。どうなんだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、そこから更に進んだらなんか街っぽい場所に出た。

しかもちゃんと道がある。そりゃそうか。

 

ん…?角が1つだけ生えた人が出てきた。なんか萃香みたい。

あっちは2本だけどね。

 

 

「なるほど、ここまで来たってことはちょっとやそっとの実力じゃないようだね。例え何者だとしても、されたら同じようにして出迎えるのが私の流儀ってね!」

 

 

えっ?なにそれ。

よく分からないもんだね…。

もしかして、もしかしなくてもそっくりどころじゃないのかな?

 

 

というより弾幕の濃さが…。

どこの濃いお茶だよって言いたくなるぐらいに濃いね。そこまでじゃないのかもしれないけどさ。

 

 

――鬼符「怪力乱神」

 

あっ、これは…えげつない。

こういうときは…もうね、この流れに身を任せるかな。

 

 

 

 

 

 

 

地下…もとい、地底には地霊が地上に出てきた原因を調べにきただけのハズだったんだけどなあ。どうしてこうなった。

 

 

 

「おっ、やっぱりちょっとやそっとじゃ問題ないようだね。なら更に楽しもうじゃないか。それこそダメになるまでね!」

 

「あ、あんたはなにで楽しんでるのよ…」

 

手にしている盃みたいなのは関係なさそうだしね。

でもさ…よく液体が入ってるみたいなのにこぼれないよね。

ウエイトレスになれるんじゃない?…幻想郷にレストランなんてないけど。

 

 

 

って今度は関係ないのも出てきたんだけど!?どーゆーこと!?

あ、いや…もしかしてこっちの力量でもはかってる?

 

そんなまさかね。

 

 

 

あ、ここまで来て名前が分かった。と、いうか思い出した?

『星熊勇義』っていうらしい。

 

 

「ここまでついてきたのはいいけども…あんたって力比べでもしたいの?」

 

「それもあるけど違うわよ。単純に地上の奴らが降りてきて珍しいだけ」

 

そ、そうですかい。

 

『霊夢、もしかしたら話を知ってるかもしれないわよ』

 

「なによそれ。目の前の奴がその原因を知ってるとでも思うの?」

 

「ん?どこへ向かうとか決めてないのかい?」

 

「ええ。調査でなんとなく来たようなものだし」

 

「調査ぁ?…地上に穴が空いていたらなんとなくで入るのかい?そりゃ迷子にもなるね」

 

あぁ、うん。そうなるよね。

 

「違うわよ。地上にちょーっと招かざる客が来てるからその原因を調べに来ただけ。それだけよ」

 

あー、うん。さすがに不思議そうにしてくるだけか。

 

『そうよ。私達は地上の妖怪達を地底に入れない代わりに地底に潜む妖怪達や怨霊関係を地上に出ないよう静めたりするって約束だったはずなのに忘れたと言うの?』

 

「そういう約束もしたね。…それを知っている貴方は誰?」

 

わたしゃ知らないよ。

 

「この玉の向こうにいるあいつじゃない?」

 

「玉の向こうのあいつ?……あぁ、なるほど。それにしたっては地上の奴を送り込むなんてなにかあったのかい?」

 

『間欠泉から地霊…怨霊が湧いて出てるのよ。貴方、知らない?』

 

「間欠泉からだって?……それなら地霊殿の連中だな。1人だけ地上に行った奴がいるけど、そいつは多分関係してないだろうし」

 

「なるほどね。ねぇ、行き先も分かったし、もう直行してもいいわよね?」

 

もうそろそろ解決して地上に帰りたい。

ホームシックじゃなくてグラウンドシックだよ。

 

…うん、我ながらなに言ってるんだろうね?

 

『直行させてもらえる相手だったらよかったわね、霊夢』

 

「……へ?」

 

「さすが玉の向こうにいる奴だ。なるほど、我々鬼の性格をよく知っている。…このまま、力比べとしようじゃないか!貴方のその力、じっくり見させてもらうよ!」

 

まさかの展開ー!?いや、なんでそうなるの?ねぇ、おかしくない?!

 

今までで理不尽な始め方ってこれ以上にあるかなってレベルで!

 

 

――枷符「咎人の外さぬ枷」

 

あっ。これってさ…もしかして?

というより当ててたら短くなったし、いけるだろって単純な考えなんだけどね。

多分間違ってないと思うけどさ。

 

 

また弾幕をはってきたけど、まだどうにか…。

まあ、私もいくつか弾幕を避けたりしてるおかげでコツは掴めてきてるんだけどね。

 

 

――力業「大江山颪」

 

大きな弾が雨みたいにこっちに来るって…。なんかどこぞの誰かのなんとかのトラウマってのを思い出すね。

 

結構違うけどさ。もう少しにてるのあったかな?

 

 

 

 

それをこなすと、普通に弾幕をはられた。

うん、今度のはちょっと厄介なだけだし、大丈夫だね。

 

 

――四天王奥義「三歩必殺」

 

おお、これは……危なくない?

なに?どうやって避けるの?

それこそ激流に身を任せるの?

 

一番えげつない…。さすが種族鬼だね…。

 

 

 

 

 

「うん、強いね!これなら地霊殿へ向かっても大丈夫そうだね!」

 

「あんたもあんたで充分強かったわよ?…それこそ萃香みたいに」

 

「萃香?もしかして地上に行った奴を知ってるのかい?」

 

あー…なるほど。

さっきの話に出た無関係だろう奴って萃香のことだったのか。

 

「ええ、元気にやってるわよ。呑兵衛としてもね」

 

「ふっ、そうか。そいつは良いことを聞いた。ならもう気にすることもないな。…ここから先に行けば地霊殿がある。そこの主に話を通すといいよ」

 

ど、どういう意味で良いことなの?

 

「ええ、分かったわ。親切にありがとうね」

 

 

いやぁ、よかったよかった。

私的にも色々と情報を聞けたから大助かりだわ。

もうあんまり相手になんてしたくないけどね。



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第33話 やっぱりこの巫女は現代よりの幻想的 後編

今回展開が原作とかなり違います。

まあ、元から原作沿い気味のオリジナル展開でしたので、普段通りなのかもしれませんが…。どうなんでしょうか。


では下からが本文です。平気な方はどうぞ


あー、あの先にあるのが地霊殿かな?

多分そうだよね。

 

ってなんか黒猫が出てきた。

周りになんか連れてるけど、あれはなんだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

なんかしばらく弾幕はってきてたんだけど、なんとかって形で倒せた。

いやぁ、それにしても地霊殿までがなんか長く感じたよ。

さすが熱気。

 

 

「んで、ここの主は一体どこなのかしら。さっきの鬼は地霊殿の連中としか言わなかったし、来るまでに出会ったのなんて猫だけだし」

 

『その猫に聞けばよかったじゃないの。その主の居場所』

 

「あの子と話せたら苦労なんてしないわ!」

 

しかも妖怪以外の猫がしゃべるかっての。

そう聞こえたとしても空耳に近いし。

 

「あら、珍しいわね。来客?……あら、ごめんなさい。私のペットが少し迷惑をかけてしまったようで」

 

「あら、話が分かりそうね。ちょっと聞きたいことがあるのよ」

 

「いえ、言わなくても問題ないわ。……神社の近くに間欠泉が出来た?そこから地霊が出てきたから地底に…。なるほど、言われてきたんですね。……えっ?暑い?飲み物でもいりますか?」

 

えっ?そりゃあ…ありがたいけど…。

いやいや、それじゃ目的達成できないし。

 

「あー、悪いけど遠慮させてもらうわね。飲み物を飲みに来たわけじゃないし。…ところであんたは誰よ」

 

「あっ、名乗り忘れてましたね。私は古明地さとり。この地霊殿の主です。私の前で隠し事なんて1つも出来ないと思ってください。…なにせ考えていること全てが筒抜けですから」

 

なるほど。心が読めるってことか。

……あれ、それまずくない?

 

『霊夢。地底にいる妖怪は退治するようにって言わなかったっけ?』

 

「言われてないわよ、そんなの」

 

「なるほど、その地上の妖怪と話をしながら来てたんですね。そっちは離れすぎてて読めませんが……はい、読めますよ。何故まずいのか分かりかねますけど」

 

『へぇ、貴方ね?間欠泉を止められるのは』

 

「あぁ、そういうこと。…もしかして私のペットがまたなにかやらかしたのかしら」

 

いや、またって言うのは駄目でしょ。どうしたらそうなるん?

それに間欠泉を止めるって聞いてないよ、ゆかりん…。

 

『ペット、ねぇ…。心当たりがあるならしつけておいて欲しいのだけども』

 

「ええ。だけど、そこの人間は間欠泉を止めるって聞いていなかったようよ?」

 

『あら、これは失礼。多分伝え損ねていただけですわ』

 

「完璧に言わなかったじゃないの。酷いわね」

 

「……信頼している2人のうち、1人にそうされて少し怒っているのね。話してることと考えていることが全く一緒で面白いったらありゃしないけど」

 

それは酷い。私はおもちゃじゃないんだぞー?

 

「あぁ、おもちゃじゃない…。それは悪かったわ。……にしても、貴方は変わった人間ね。平和的解決ができるならそれをしてさっさと帰りたいとも考えているなんて。そんなにはやく帰りたいのね。―――でもそれでは、はやく帰れないこともあるわよ?」

 

「そっ、それぐらい分かってるわよ!言わないでちょうだい!?」

 

「……図星なんですね。もしかして、弾幕ごっこで解決するのもいいけど、話が通じる知的な相手だったら会話でもどうにかできると考えていたんでしょうか」

 

悪かったね、現代的な考えで。

そりゃそうでしょうよ。弾幕ごっこって体力使うんだし。だったらいっそのこと、話し合いした方がはやいよ。

 

もしそれで駄目だとして、弾幕ごっこを仕掛けられたら対応するだけ。んで、その後に妥協案。

いやぁ、それであの守矢神社と和解したしたしね。

 

「……あぁ、中身は元々こちらの人間ではなかったのですね。それなら納得しました。それで、貴方にはとても悪いんですが、私の代わりにペットと会ってもらえませんか?」

 

ええっ、なにそれ。

 

「ねぇ、ペットって言うんなら呼べばいいじゃないの。違う?」

 

「あー…それが難しいんですよ。どうも避けられてしまって」

 

「心を読むから、ってことよね。…ま、普通は避けられても無理のない能力みたいだしね。分かったわ。……それで、そのペットはどこ?」

 

「能力なんてなんだっていいとか考える人も多分貴方だけよ?………あっちです。着いてきてください」

 

なんでまた呆れるん?

幻想郷ではどんな能力があっても当たり前ってのはフツーでしょ?

 

あれ、違ったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、いうまさかの流れで更に奥に。

 

『……あれだけ退治しろと言ったのに、甘いわね。だから貴方は博麗の巫女じゃなくって名前で呼ばれるのよ』

 

「うるさいわね。別にいいでしょう?私の勝手なんだから」

 

『はいはい。…ま、もう今に始まったことではないからもういいわ』

 

むぅ…。こちらにも呆れられてしまった。

私がなにをしたと言うんだ?

 

 

 

ってか中庭あっつ!

こうなるんだったら冬服で来なければよかった。

 

「……ところで地霊殿からついてくるあの猫はなんなのよ」

 

『マタタビがあれば酔うって聞いたわよ。持ってるんなら渡せばいいんじゃない?』

 

いや、持ってないよそんなの。

そもそも猫なんて飼ってないし。

 

ま、相手にしなくてもいいかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

相手にしなくてもいい。

そう思っていた時期が私にもありました。

 

「ああ、お姉さん待ってよ」

 

「なによ。私は先を急ぎたいんだけども」

 

「駄目だよ。今のあの子はどこで見つけたのか神様の力を飲み込んでる。万が一やられでもしたら、死体が回収できないのよね」

 

えっ、そういうのって飲み込めるの?

いくらなんでも、幻想郷の動物は神様の力を飲み込めないでしょ。まがりなりにも神だし。

 

「…それで?」

 

「やっぱりあたいがお姉さんを倒すしかないってね」

 

 

弾幕をはられた。

いや、どうしてそうなった。

 

 

――妖怪「火焔の車輪」

 

あぁ、うん。普通に避けれるね。

 

と思っていたら時間につれてはやくなる。

なにこれ、避けるの大変になっていくんだけど。

 

 

 

 

去り際、名前がチラリと見えた。…なんでチラリなのか、とかツッコミたくなったけど。

 

『火焔猫燐』と言うらしい。しかも、読み方は『かえんびょう りん』。

死体集めが好きな妖怪みたいだけど、生者を死体にするのはやめていただきたい。

今度あったら私からもお話―――要するに弾幕ごっこ―――でもしておこうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから更に進むと尋常じゃないほどの暑さが。

なにをしたらここまでなるの?

 

 

「ねぇ、いつになったら目的の子を見つけられるのよ。さっきの猫は完全に違うし。そろそろ暑さで焼け死んじゃうわ!」

 

『それは大げさ…と言いたいけれど、霊夢朗報よ』

 

「本当にいい情報なのよね?」

 

『ええ。もう見つかる寸前だってことよ』

 

わあ。素敵な朗報だね。

 

 

「へえ、地上から来た変わり者って貴方のことだったのね。かなり噂になってるからすぐに分かったわ」

 

「そりゃどうも。んで、その間欠泉とやら止めてもらえる?」

 

「間欠泉を止める?あぁ、わざわざ来たのに悪いけど、既に遅い。間欠泉はもう止められないわよ」

 

……あ、これ。紫の方の目的が無理になったね。

とりあえず理由ぐらいは聞いておくかな。っていうか耳元で『止められないですって?』って言わないで。

言うなら直接言ってよ。玉越しならあなたでも話せるでしょ?

 

と、名前分かった。

『霊烏路空』?それで『れいくうじうつほ』とか凄い読みづらいね。

 

 

 

「あら、そういうってことはなにかしらで出来たものって言っているようなものよ?」

 

「その通り。あれは私の手に入れた究極の力の余剰分を逃すためのもの。だから、私がその力を使うたびに間欠泉が湧いていたのよ」

 

「それが神様の力って言うわけね。面倒な能力なことだわ」

 

…その前に、そんな神いた?

もしかして私が知らなかっただけ?

 

『因みに霊夢。なにを食らったか想像がつきそう?』

 

「つかないわ。湯沸かしの神なんて普通にいないし。…ポットならそれになれるでしょうけど、ふざけてる場合でもないし。…ちょっとお話でもした方がいいかしら」

 

「ふふっ、それって私と戦うってことよね?それならちょうどいいわ。貴方を倒して地上を新たな灼熱地獄にしてあげる」

 

 

血の気が盛んってこのことだよね。

 

「それはよかったわ。なら、あんたを倒してその企みを白紙に戻してもらいましょうか」

 

「させないわ。……あぁ、黒い太陽八咫烏様。我に力を与えてくれたことに感謝します。地上に(あらわ)る第二の太陽。新たな核融合によって生まれるもの。…究極の核融合で、身も心もフュージョンし尽くせばいい!」

 

 

えっ?私は別のなにかと融合なんてしないよ?

―――いや、本当は違うんだろうけどさ。なんかやりたくなるよね。

 

 

 

まずは最初の弾幕を上手く避けて。

いやぁ、ここまで来ると暑さの方が酷いね。

 

 

――核熱「核反応制御不能」

 

いや、それ駄目な奴―――!?

 

ってそうじゃないか。むしろ幻想郷だから平気だと考えようにすればいいのか…?

な、なんか凄いなあ…。

 

 

 

 

暑さとも弾幕とも戦わないといけないって大変だよね!

今すっごく実感してる!

 

 

――爆符「ペタフレア」

 

こ、これもこれで見た目が……え?本当に見た目だけ?

ナニソレ。しっかり見てればいいタイプなのってなんかめずらしいね。

 

 

それのあと、弾幕をまた内心では焦りつつ避けた。モチロン表になんて出さないよ?

 

 

――焔星「十凶星」

 

あっ。これはまたひどい。

避けれるか不安になるね。

 

まあ1つでも当たったら駄目なんだけどね?

 

 

 

まあ、身を任せればどうにかなるってなんとなく分かったからしたけど。オカシイネ?

 

次の弾幕もそんな感じで避けた。

 

 

 

――「ヘルズトカマク」

 

……ま、前と後ろにとんでもないものが出てきたんだけど!?

暑さがはねあがってえげつないんだけど!しかも、冬服のせいで余計暑く感じるし!

絶体帰ったら風呂にはいって汗を流す!

 

 

 

 

――「サブタレイニアンサン」

 

んっ?弾が出てき………ちょっ!?

本当に第二の太陽もどきになってるんだけど!しかも、吸引力なにげにあるし!

 

お、おお…?なんかこっちが攻撃すると段々強くなってる気がするんだけど…。

 

 

 

って気のせいじゃ、ない!

隙間を縫うように避けないといけないんだけど。

唯一の救いはさっきより避けやすいってトコかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし、終わりっ!

さあ、あとは話をして帰る!それに限るね!

 

「あー、もう企みはやめるのよ?」

 

「分かったわ、しないわよ」

 

あり?結構素直…。

 

『多分弾幕ごっこで負けたからでしょうね。ちょっと色々聞いておいてちょうだい』

 

「はいはい…。それで空?あんたにその力を与えたのは誰なのよ」

 

「うにゅっ?…え、えーと…誰だったかしら。二人組だったような気もするし…そうでないような気もする…」

 

えっ?まさか…本人はあんまり覚えてないの?

いや、一応はヒントを得れたけどさ。

 

「そう。それはどうもね。私は帰ってちょっと情報でもまとめるとするわ」

 

「さとり様にはこのこと…」

 

「もちろん言うわよ。…ま、でもさとりからはなにも言われないでしょうね。もう私に少し痛い目あわされてるから。そこは大丈夫と思うわよ。……出来ればもうちょっと記憶力がよかったらいいんだけどもね」

 

思わず小声で本音を言ってしまった。

き、聞こえたかな…?

 

「そう?それはよかったわ!ありがとうね。じゃ、私も色々あるから先に行っててよ」

 

……え、えぇー…。

 

 

 

 

 

 

そのあとの事と言えばさとりに事情を説明しようとするも考えてることを読まれ、平気だと言われてしまった。

少し弾幕ごっこで痛い目をあわせたこともお咎めなしに。空にはちょっぴり注意はするそうだけど、さとりも大変だね。

 

 

 

更に神社では紫が勝手にお茶を飲んだことで霊華が怒っていた。

……平和だな、と思い素通りしましたよ、ええ。なにせ勝手に飲んでる紫が悪いし。

全く、霊華がいるんだから『少し飲むわねー』ぐらい言ったってバチは当たらないだろうに。

相変わらず考えてることがわからない。

 

一応汗を流した後、霊華に弾幕ごっこを挑んで負かし、お説教。いくら相手が古参で強い妖怪だからってやりすぎはいけない。

紫?…先代の巫女と互角にやったらしいから多分いいでしょ。

 

 

 

さて、あとは明日だ。

守矢神社に行けばきっと分かるでしょ。二人組の神様もいたし。

あぁ…今日は色々あって疲れたよパト○ッシュ…。…あ、幻想郷だからこのネタ通じないんだった。…そうだった…。



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第34話 いやぁ、やることいっぱいで忙しいね

幻想郷ってこんな感じだと思ってます。
なんか色々と大変そうですよね。

…あ、霊夢以前の巫女は全員巫女装束だと思っております。なのでずっとその設定で通してました。
今さらですみません。


では、下からが本文です


……んー…。

朝、か。とりあえず朝食をとってから守矢神社にいくかな。

ま、もっと地霊殿にいたあの空とか主であるさとりに情報を聞くべきだったんだろうけど…

 

……核に関する情報があるのは外の世界だけのはず。

なにせ私が幻想郷に来てしまってしばらくは困った程度だから。いや、電気はあったからそこは平気だったけど。

 

そこから考えるとそれについて知ってそうなのは限られる。

私?……え、そんな面倒なことする?

 

「あっ…とそうだわ。現代風朝食でも作って驚かしてやろうかしら」

 

 

なんか私、悪いこと考えてるみたいで楽しい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台所で実際に作ろうとしたけど…そういやパン買ってないじゃん。

作ろうにもそもそもイースト菌ないし。あれ、里の人達はどうやってパンを作ってるの?

いや、必ずしも里にあるわけじゃないし…。

 

ならいつもの通りご飯と味噌汁となにかおかずってことで…

 

……うん、普段とあまり変わらないな、これじゃ。

ま、いいか。

 

 

 

 

 

さて、あれからしばらく作ってた朝食が出来た。ってことであの霊華を呼びたいところだけど…寝室かな?

 

 

 

「……ええと、ここよね?」

 

と思わず呟いてしまうぐらい不安。

いや、入ったことないんだよね。しかも、場所なんて入ってくのを何回か見ただけ。

…ど、どうしよっか。

 

 

あ、でも…ここにいてもなにも変わらないし…

ええい、ままよ!

 

―――って誰もいないし!私の着替え後の部屋よろしく布団などが片付けてあるし!

どこへ行った、あの先代。

 

 

 

 

えーと…。どこにいるんだろう、真面目に…。

 

「……霊華ー?朝食できたんだけどもー?」

 

 

(あぁ、もうそんな時間なのね。少しやり過ぎたかしら)

 

 

あ、向こうから出てきた。

というかなにをしてたんだか。汗が凄いし。…もしかして体を鈍らせたくないとか?

分からなくもないけど…本当真面目にやるよね。

 

「朝食できたから呼びにきたんだけども、せめて汗だけでも流してきてよね。体臭になっても知らないから」

 

と言って居間へ。

あ、因みに私も前よりかはやってみてる。

前の世界…というか外の世界にいたとき、か。そこではそこそこしかやってなかったから、最初こそはアレンジしてやっても比較的疲れやすくて大変だったけどね。

 

 

 

うん。これは今、どうでもいいし、それに関係もないからいいか。霊華も見つけて声をかけたから大丈夫だろうし、先に行ってよ。

 

 

(……あれで素っ気なくしてるつもりなのかしら。全然出来てないわね。全く…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂でしっかり汗流したついでに着替えてきた霊華はどういうことなのか。

いや、同じ巫女装束のせいでいまいち分かりづらいけど。

…あぁ、巫女装束は仕事着も兼ねてるからわたしと同じくらいあるんだっけ。寝間着だけ私と見た目が一緒だけど。

 

髪の結び方も、もちろん違うよ?

 

 

 

んで、朝食も食べたし、私は守矢神社にでも向かうかな。

少しやることをやってから、だけどね。

 

 

「あら、珍しいじゃないの。…明日、雨かしら?」

 

「あんたに受けるより今までのを参考にした方が楽だからね。…ってかそりゃ私かて最近はやるわよ!?効果出てるような気なんてしないけども」

 

え?何故呆れるの?

いや、ほら。対象相手があなたぐらいしかいなきゃ分かりづらいような。

 

(……。仕方ない、のかもしれないわね。博麗神社(ここ)にいるのは基本私とあなた。強いて他にいるのだとすれば萃香とか言う鬼とあのスキマ妖怪ぐらいだものね。………え?その前に待ってちょうだい。もしかして自力で鍛えてる!?)

 

あ、表情がいかにも驚いてますって顔になった。

霊華も霊華で表情が豊かで面白いね。

さて、真面目に行きますか。珍しいものも見れたことだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空を飛ぶって楽だねぇ。

いや、飛ぶ方面に気をつけないと私は外の世界に出かねないんだよな。うう…変に不便だ。

 

 

あっ、なんかいる?

 

「…あっ!霊夢さんじゃないですか」

 

「ってなんだ早苗なの。……あれ、あんたんとこの二神は?」

 

 

(ちょっと意外そうにするのはなんででしょうか。ちょっと不思議ですね)

 

 

「確かちょうど買い出しに行っていたかと。霊夢さんこそ、どうしたんですか?」

 

「あー…それは…少し、話をしたいことがあってね。それを聞きにきたのよ」

 

…ってえ?早苗は聞いてない感じなのかな?

 

「そうなんですか。…あ、霊夢さん。私、幻想郷についてよく分かりました!」

 

お、おお?どした急に。

 

「…幻想郷のなにがわかったのよ」

 

「前に教えてくれたじゃないですか!それがよく分かったんですよ!やっぱり、幻想郷で過ごすには常識にばかり囚われてはいけないんだと!」

 

「あ、あー…よかったわね。その様子なら幻想郷に馴染めるんじゃないの?」

 

もう馴染んでそうだけどさ。

そのうちここにも来やすくしそう。うちの神社並みに危ないし。

いや、そうでもないんだろうけど、まがりなりにも山だしね。あの獣道はちょっと、って言うのに似てるのかもしれないし。

 

 

 

「あ、ちょうどいいとこに。巫女2人みっけ♪ねえねえ、ここの神様知らない?」

 

こ、この子…いつの間に来たんだろ。気づかなかった。

 

「私は知らないわ。そこの巫女は知ってるみたいよ」

 

ま、いきなりこの子が現れるわ、私にいきなり話を振られるわとかされたらビックリするわな。

 

「まあ、知ってますけど…まだしばらくは帰ってきませんよ?」

 

「えー、そうなの?……ってよく見れば貴方、お姉ちゃんが言ってた変わった地上の巫女よね?服も紅白だって言ってたし」

 

なんだそりゃ。私はそこまで変わってないはず。

強いて言えばポジティブ度合いが凄いくらい?多少自覚してるつもりだけど。

 

 

「あー…紅白巫女まで出てるんなら私ね。んで、そういうあんたは誰よ?」

 

「私は古明地こいしよ。お姉ちゃんにおくうを倒した人とは教えてはもらってるわ~」

 

へぇ…なるほど。そうなん…

 

「え?あんた、古明地って…」

 

「やっぱりお姉ちゃんと出会ってるのね!おくうを倒せるぐらいなんだから強いでしょ?ここの神様が帰ってくるまで相手してほしいわ」

 

 

……さ、早苗さーん?

心の中で助けを求めつつ、そっちの方を向いてみた。

 

 

「あ、遊ぶんでしたら私、離れますね。お二方も一応は周りを気にしてくださいよ?…下手に流れ弾が来ても困りますから」

 

そ、そですか。駄目ですか。しかも、さりげに距離をとらないでもらえます?

分かったよ。相手するよ!

 

 

「……帰ってくるまでだからね」

 

「分かってるわ♪」

 

 

―――本当に分かってるのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうわけでしばらく弾幕ごっこしてました。

表象「夢枕にご先祖総立ち」とか抑制「スーパーエゴ」とかされて大変だったけど、どうにかした。流れに身を任せるのもいけるもんだね。

 

 

「やっぱり貴方って強いわね!さすがおくうを倒しただけあるわね♪」

 

「そこまでじゃないと思うけども」

 

「えっ?霊夢さん、それで自分は弱いとか言いませんよね」

 

え、なに。違うの?

普通の弱い巫女のつもりなんだけど。ほら、先代達は強者揃いだし。

 

(あれ、今の冗談のつもりだったんですけど…そうやって首をかしげるということは本当にそう思ってたんですかね)

 

「ただいまー……ってあれ、参拝客2人に早苗じゃない。どうしたの?」

 

「あ、諏訪子様!おかえりなさい。それが2人共、諏訪子様達に用があるみたいですよ」

 

「ねえ、霊夢に早苗。なら聞くけども、この子誰?」

 

「古明地こいしさんだとか」

「地底にいるさとりの妹らしいって言うこいし」

 

 

「小石?…妖怪じゃなくって?」

 

「それは小石違いよ、諏訪子」

 

「あー、そう。それで、なに?」

 

「ちょっとしたお願い事なのよ~。私のペットに神様の力をつけてほしいのよ」

 

 

……不穏な質問になったりしないだろうね。

 

「私は諏訪子達にあの核について聞きにきたのよ。どうやったって核融合云々を知ってるのは外からきた私かあんた達しかいないから」

 

「やっぱり霊夢には分かるのね。今だから言っちゃうけど、河童の工場をこの間見学してね」

 

なるほど。まあ、この守矢神社と河童のいるところまでそんなに遠くないし、ありえなくもないか。

 

「それで見学したのはいいんだけれど、外の世界と比べて大分遅れていたのよ。エネルギーとかそういう面で。それで神奈子が新しいエネルギー資源を作ればいいんじゃないって。技術革命も起こるだろうし。あ、ほら。神奈子ってそういうの好きなのよ」

 

「……なるほどね。んで、それはなんて計画?」

 

「山の産業革命計画って名前よ」

 

 

…二神そろってなにしてんだか。

 

 

(な、なんか霊夢さんがさっきからよくため息をつきますね。なんででしょうか…)

 

 

「あぁ、それと一応河童に核は危ないんじゃないの?とは言ったわよ。……因みにどうなったの?」

 

 

「……あんた達ね、もう少し考えてからやってほしかったわ。おかげさまで地底まで行くはめになったんだから。…ああ、もうその空も大人しいからなにもしないはずよ」

 

「あらま。そうだったの。それはご苦労様ね」

 

 

「ねー、話まだー?出来れば私が恋い焦がれるほどの陰鬱な神様の力がいいんだけどー」

 

「そんな神様はいないはずよ。ほら、帰った帰った」

 

 

 

 

「諏訪子様、ああやって誤魔化すなんて霊夢さんも苦労してますね」

 

「あれは巫女だから言えることよ。あ、早苗はああならなくていいから」

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

ふー。やっとこいしを帰せた。

あの2人まだいるかな。

 

 

………お、いる。

 

「あ、戻ってきましたよ」

 

「そうみたいね。んで、諏訪子。ちょっとは反省してほしいわ」

 

「反省?やったことに不備でもあったかしら。ねえ、早苗」

 

「……内緒にしたところ、とか?私にはそれしか分かりませんけど」

 

って早苗も知ってたんかい!

まあ、それはいいとして…

 

 

「そこじゃないわ。地獄鴉のことよ。…あれ、力を得るなり調子にのって地上を灼熱地獄にするだのなんだのと考えてたわよ?」

 

「あぁ、それは失念してたわ」

 

「……」

 

ぼ、棒読み気味なのは気のせいだよね…?

失念していたと言うより考えてたけどさっきまで可能性としか考えてなかったとかそういうのだよね…?

 

(あ、霊夢さんが呆れを通り越した顔に…。あ、ついでにあのことも教えて大丈夫そうですね)

 

 

 

「そこに間欠泉地下センターを作る予定なんですよ。霊夢さん、露天風呂に入るなら気をつけてくださいね」

 

「あら、それはご親切にどうも。とりあえず覚えておくわね」

 

 

 

 

「って早苗。まだ作ってないのに教えるなんてあんまりよくないわよ?……あの博麗の巫女のことだし、ああは言っても…」

 

「大丈夫ですよ、諏訪子様。霊夢さんは内緒にしておくと困ることがあるだけみたいなんで、教えておいたらこちらにとっても説明が楽になるはずです」

 

「なるほどね…。早苗も考えるようになったじゃない。なら、いいわ。…あと、ちゃんと仲良くするのよ?」

 

「はい!」

 

 

 

も、もしもーし。2人だけで話をされても困るんだけどー?

しかもちょうど私に聞こえない声で話おってからに。

ハブるの酷くないかなー?

 

「あ、悪いわね霊夢。……あ、そうだわ。ちょうど来たんだし、お茶くらいしてってよ。話とか色々したいし。ね、早苗?」

 

「そうですね。事情が違うとは言え、元は同じ外の世界の住民。久しぶりにそちらの話とかしたいので」

 

あー、はいはい。しょうがないなあ。

 

「分かったわよ。でも、本当にちょっとよ?」

 

「はいはい。…早苗、悪いけどお茶用意してくれる?」

 

「分かりました」

 

(…なんか満更でもなさそうな霊夢さんも悪くはないですね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、言うことで少し話をさせてもらった。

最初こそは神社関係の話だったんだけどさ、途中から早苗がロボット関係の話やらアニメの話やらしてきたものだから大変だった。

え、もしかして早苗ってそういうの好きなのかなって思うぐらいには話したような。

 

 

いや、あの口ぶりからして好きなんだろうな。きっと。

…でも、この幻想郷にはどれもないよ?どうするんだろうね。

 

ま、いいや。……あ!

今思い出したけど、里のあの落書きってどうなったかな。

ちょっと寄ってみよ。

 

 

 

 

 

 

えーと…最後に小鈴ちゃんにお願いしたから…。

鈴奈庵に向かえばいいよね。

 

 

今度は普通に行くかな。

ちょーっと楽させてもらうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んー、やっぱりある程度時間かかるもんだねぇ。

 

「こーすずちゃーん。また来たわよー」

 

もちろんふざけまくった言い方だから、ギャップが凄いと思うよ?

 

「……霊夢さん、別に普通に入ってきてもいいんですからね?」

 

「あら、そう?まあ、言われてもやるんだけど」

 

あ、小鈴ちゃんに苦笑いされた。理由が分からないってわけじゃないんだけど…。

 

 

……おや?

 

「ねぇ、小鈴ちゃん。それはいいのだけれど、そこにいる子は?」

 

「あっ、この子ですか?……え、ええと…」

 

(今の霊夢さんなら安心とは言え、下手に教えて退治されかけるとかないですよね…)

 

ん?ど、どうしたのやら。

かなり悩ましそうにしてるし。…え、もしかしてそんなに隠したくなるようなこと?

 

 

「あ、あー…無理に話さなくてもいいのよ?」

 

「……」

 

あ、その子が小鈴ちゃんに近づいた。

しかもこっち見てるし…。ナ、ナニモシナイヨー?

 

「えーと…前に寺子屋のしょうじの方、お願いしていきましたよね?」

 

「ええ、したわね。その後の内容的に悪意を持った行為じゃないから私が出てどうにかすることじゃないから小鈴ちゃんに任せてたってのもしっかり。……それで、どうなったの?」

 

 

えっ?どうしたのそんなに驚いて。

鈴奈庵でなおかつこの2人しかいないから言ってるだけなのに。…1人は子供みたいだし、多分そんな難しい話は分かりにくいはず。

 

「なら真実を教えても……?」

 

「ええ、そうね。やたらと退治したところでやれることがやれなくなってしまうから私はしないわ」

 

あくまでも幻想郷のバランサーだからね、仕方ない。

博麗の巫女も博麗の巫女で大変だな…。…ふぅ。

 

「…そこにいる子、子狐みたいなんですよ。それで人に化けて寺子屋に行ったのはいいけど、ノートがなくて困っていたみたいなんです。私がノートをあげたのでもう寺子屋への落書きはなくなるかと」

 

「へぇ、それはよかったわ。もうあとは平気そうね。……今日はそれだけ知りたかっただけだから。んじゃ、また来るわ」

 

 

 

そう言って出ようとしたらなんかつかまれてるのか動けない。

って半身振り返ったらその子がスカートのすそをつかんでいただけかい。

 

「どうしたのよ。私にまだなにか?」

 

「…………ありがと」

 

珍しい。もしかして素直なのかな?

ま、お礼は…

 

「それは小鈴ちゃんにしてあげてちょうだい。私はその一押しをしたに過ぎないのだから」

 

(霊夢さん、お礼を言われて満更でもなさそうなのにそういうなんて…。素直じゃないですね)

 

「んじゃ、今度こそ帰るわね。またね」

 

 

と、鈴奈庵を出たのはいいけど…私も私で欲しいのでも買ってから帰ろうかな。

よし、ちょうどいいからそうしよ。



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第35話 空を飛んで行く船って飛行船じゃないの?

たまに本編や番外編の内容を訂正したりリメイクしたりしてみています。

気になる方でそういうのも平気だよって方はもう一度読みなおしてみてはいかがでしょうか。

因みに下からが本編です


……あの間欠泉でゴタゴタしてからしばらくたった頃。

たまに露天風呂に入ってると空になんか見えるようになったんだよね。

んで、よく見ると船みたいなの。

 

霊華もたまにその露天風呂に入るらしいから聞いてみたんだけど、そこまであんまり見てないって言われたんだよね。どうしたものかなー。

見たのが私だけ、って言うのもなんなんだかなあ。他にも見た人がいりゃいいのに。

 

 

そう思いつつ、今日は残りの分社をある程度綺麗にしつつ空を見上げる。

……今のところ見てないな。

 

「おー、今日もやってるんだな」

 

ん、この声は…

「毎日ずっとってわけではないのよ?魔理沙」

 

「おや、そうだったのか。…ところで霊夢。それとは話が違うんだが、温泉が出来たそうじゃないか」

 

ま、興味は持つよね。でもさ、大体の人…というか妖怪か。

その妖怪の面々は何故か先代の巫女である霊華が入ってることを知ると露天風呂に入るのをためらうんだよね。

 

 

 

―――なんでだろう?

 

 

「……どうしたんだぜ?そんなに悩んで」

 

「あー、いえ。霊華も入ってると知った妖怪達はほとんど露天風呂に入りたがらなくてね。それがとても不思議に感じているだけよ」

 

え、なにその納得したような顔。1人で納得しないでよ!?

 

 

(霊夢にはいまいちピンと来なくてもしょうがないか。こいつ、相手がどんなに強くても対等に話せるぐらいに肝が座ってるからな。……まぁ、相当強い妖怪でも苦手意識を持つもんなんだな。多分あいつ、霊夢だけなんだろうな、あそこまで気兼ねなく話してもらえてる相手は)

 

 

えー…なんかおいてけぼり感がある…。

あ、そうだ。話は違うけど、空を飛ぶ船について聞いてみるかな。

 

 

「ねえ、魔理沙。空を飛ぶ船を知らない?決して飛行船とかそんなもんじゃないはずよ」

 

(いやいや、霊夢。飛行船とか私は知らないからな?…いや、聞きたいことはよく分かったが)

 

「ああ、それが見たことがないんだよな」

 

んー…まあ、無理もないかな。

空を見上げてなきゃ見えないだろうし。

噂でも聞いたらおしえてあげるかな。それかそれっぽい情報。

 

 

「あ、そういや霊夢。私も入っていいか?その温泉に」

 

「え、それなら普通にいいわよ?……っていうかあんたなら無遠慮に入っていくのかと」

 

「だ、だからって引くのは酷くないか?!私だってたまにはそういうの気にするんだからな!」

 

へえ、そうだったんだ。意外。

っていうかいつもは遠慮なくやってきたのに珍しくって。

わざと引いたように見せたけど…うん、この冗談は分かりづらかったかな?

 

「ふふ、悪かったわね。ちょっとからかいたくなっただけよ」

 

「意趣返しってやつか?…ったく、しょうがないな。あ、そういや忘れてたが、(うわさ)は聞いてる」

 

なんか違う気もするけど…別にいいや。

 

「その噂って聞いてもいいかしら?気になるし」

 

(おっ、さすがに興味を持つか。ただの好奇心みたいだけど、今の霊夢だからな。そういうのもしようがないか)

 

え、私だって好奇心とかあるんだからね?

自制はしてるつもりだけどさ…。

 

 

「あれは宝船で、欲深い奴から逃げ回ってるんだとさ。それでずっと回遊してるんだってな」

 

「……宝船?あの七福神の?…うーん、ありえるのかしら」

 

「えっ、興味ないのか!?もしかしたら、金銀財宝があるかもしれないんだぞ!?」

 

いや、確かにその話はロマンだし、あってほしいと思うよ。

でもさ?間欠泉関係のあとで見るとなるとなんか…うん…。

ゴメンね、魔理沙。

 

「まあ、今度調べてみても「あれ、霊夢さん。魔理沙さんと一緒になにを話してるんですか?」」

 

 

!?

ビ、ビックリした。なんだ早苗か。

いつの間に来たんだろう。不思議だね。

 

「空に飛んでる船の話よ」

「宝船の話だな」

 

 

「ああ、そうだったんですか。それなら確かに見ますね。今だって空を飛んでますし」

 

「えっ?」

「そう?」

 

と各々の反応しつつ、早苗の見る方へ視線を向けるとちょうど雲の間に隠れるところだった。

タイミングいいんだか悪いんだかよく分からないネ。

 

 

「……って早苗も見たこと、あったのね」

 

「私も…って霊夢さんは見てたんですか!?なんで動いてないのか不思議なくらいなんですが…」

 

「え、ほら。たまにしか見かけなかったものだから別にいいかなって思ったのよ」

 

それにほら、まだ空を飛び回ってるだけだし。それ以外は…

いや魔理沙。その顔やめようね。

金銀財宝が欲しくないって言うわけじゃないけど、今は少なからず参拝客が来るし。…ほとんど守矢神社の分社に来てるけど、うちの神社にも少数は来てるから。

 

本当だからね!?前よりは博麗神社(こっち)にも少しは来てるんだからね!?お賽銭だって多少は入ってるんだから!

 

…いや、自分の中でこう叫んでも意味はないか。

 

 

(やっぱり前の霊夢と今の霊夢とじゃ違うんだな…。分かってても驚きしかないぜ)

 

「あ、なら霊夢さん。ちょっといいですか?」

 

え、なんで手招きするん?

普通に話せばいいだろうに。

 

 

 

 

「んで、どうしたのよ早苗」

 

「諏訪子様に妖怪退治を行えば幻想郷に馴染めるだろうと言われてまして…。よく妖怪退治をしている霊夢さんと行けば大丈夫かなー、なんて考えてたり…」

 

(この霊夢さんなら、今までのことを考えても信用できますしね。それに先代の巫女の方に一時期鍛えられてたそうですから背中も安心して預けられそうですしね)

 

えーっと、何故に私?

フツーにそのお願いは聞いてあげるけどさ。

連れてくなら宝船とやらに興味のある魔理沙でもいいだろうに。

 

 

「あー、いいわよ?ただ、本当にサポートするだけだからね。そこは覚えててちょうだいよ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「……そういうわけだから魔理沙、あんたは―――ってあら?」

 

あれ、そこにいた魔理沙がいないんだけど。どこに行った?

 

「もしかして、我慢しきれずに行ってしまったとか?」

 

「……それはありえそうね」

 

(魔理沙さんが行ったとなると…どうましょう。行かなくて済んでしまいましたけど…。あ、そうですね、違うことでもしましょう。霊夢さんなら提案を聞いてくれるだけでもしてくれそうですし)

 

 

 

「あ、なら霊夢さん。ちょっと霊華さんを交えて守矢神社でお話しませんか?良い機会だと思うので是非」

 

「まあ、せっかくのお誘いだし…分かったわ。ちょっと呼んでくるわね」

 

絶好のチャンスだろうしね。

さて、先代の巫女をどれだけ今の幻想郷に馴染めさせる…いや、スペルカードルールを覚えさせられるか勝負だ!

あと性格を丸くするのもコミコミで!

 

「分かりました。ならここで待ってますね」

 

「悪いわね、早苗。すぐに呼んでくるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守矢神社で今後のことを話すってことで霊華を連れてくことに成功したナウ。

早苗が驚いたように見えたのはきっとキノセイ。

 

「あ、私とか早苗のあとをついてくれば普通につくから霊華はなにも気にしなくていいわよ」

 

「元からしてないわよ。それにしてもどうしたのいきなり」

 

「なんでもないわ。ただちょっと今後についてお話するだけよ」

 

 

(…目が笑ってない笑顔を浮かべるなんてなにを考えてるのかしら。大したことじゃなければいいのだけれども…)

 

 

フフフ…妖怪はまだしも、人にはある程度優しくなってもらうからね。覚悟してな…!

 

いや、覚悟もなにもいらないね。うん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく空を飛んでいると守矢神社が見えてきた。

いやぁ、やっぱり楽だね。

 

「私は先に諏訪子様や神奈子様に事情を説明してきますね。お二人は先に話し合っててください」

 

 

とのことで一室をお借り中。

早苗も大変そうだねぇ。

 

 

 

「それで、一体なんの話なのよ」

 

「…それはね、あんたはまず私に過保護すぎるわ!もう私は色々と大丈夫なのよ!少しは離れて見てちょうだいよ!それに妖怪以外にも冷たく接しすぎ!せめて人間とかには普通に接しなさいよ!無理にとは言わないけど、あまりにも突き放しすぎてるのよ、あんたのその態度が!言わないと分からないのかしら!?」

 

 

目を丸くするって、あの顔のことを言うんだな…。

そう思えるぐらいに霊華が目を丸くした。

多分驚かれてるだろうけど、事実なのだから仕方ない。

少しでもいい。里の人達にも私に接するみたいに自然に接することができないのかなって。

きっと霊華をよく知る人は前より減ってるだろうし、いたとしても心当たりがあるのはあの1人だけ。

 

ならもうなにも気にする必要はないはずなのに。

 

 

(まさか説教まがいを受けることになるなんて…。霊夢も大分変わったわね。…一部からは前の霊夢とは思えないほど別人だって思われてるみたいだけど)

 

「……ふふ、もうあなたもそこまで言えるなら大丈夫そうね。でも霊夢?」

 

「な、なによ…」

 

な、なにその笑み。ほんと母親と間違えそうなぐらい落ち着いてる笑顔なんだけど。

もうこの人がお母さんでいいよね?

 

「あなたも、もう少し欲を出していいんじゃないの?」

 

えっ。

 

「わ、私だって欲はあるわよ!……そう、あるはずなんだから!」

 

呆れないで!?

しかもまさかの今の私の発言の時に早苗が諏訪子と神奈子を連れてきたもんだからさあ大変。

 

 

「……やっぱり麓にいる巫女って」

 

「ああ、恐らくそうなんだろうね」

 

ほらーそうなるー。

弁解するの大変なのにー。

 

「私はちゃんと欲持ってるわよ!?人並みにはあるわよ!?」

 

あっ、あの2人…いや、二神?二柱?が生暖かくこちらを見てるような気がするし、どうしてこうなった!

 

「霊夢さんも苦労してるんですね」

 

「そう思うんならなにか助け船を出してくれると嬉しいんだけども!?」

 

あっ、『頑張ってね』みたいな笑みを浮かべてきた。

もう、どーするのこれー!

 

 

 

 

―――その後、欲がないとは言いきれないとなるまでにそれなりの時間を要した。大変だったよ…。



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第36話 幻想郷に馴染んだはいいけど、知識不足が否めない

この作品の幻想郷がこんな和気あいあいなのは私だからです。

でもきっと他にもこんな二次創作はあるはず!
……デスヨネ?



最初に比べ、かなり独特なものになっていますので苦手な方はブラウザバックをオススメいたします。


……魔理沙がつい最近帰ってきた。

んで、その間に色々と解決?してたようで、あの船は聖輦船(せいれんせん)と言うらしく聖白蓮とやらを復活させるために動いていたに過ぎなかったらしい。

今は命蓮寺に変わってるらしいから今度顔でも出しに行くかな。

 

 

話の途中、UFOとか出てきたらしいけど、飛倉の破片だったらしい。

らしい、というのも封獣(ほうじゅう)ぬえが正体不明のタネを入れていたから、のようだ。さすが(ぬえ)

 

でも誉めたら理不尽がられた。

いや、鵺ってそういうものらしいんだけどな。

 

 

あ、もちろん今さっきのは全て魔理沙から聞き出しましたとも。

なんか隠してるような感じがしたから色々と…ね?

それに色々と根掘り葉掘り聞きたかったからさ。ごめんよ、魔理沙。

勘任せってやったらどうなるのか、知りたくってね。付き合ってもらったよ。

 

 

「霊夢のその勘、どうにかならないのかー?」

 

「どうにかならないのかって言われても私には、ねえ」

 

コタツ(布団は取り払ってる)に上半身倒しながらぼやく魔理沙にほんの少し困った。

案外任せた勘が予想以上に鋭く比較的当たりを引く、っていうなら普通は信じるでしょ?

 

 

 

………あ、信じない?

 

 

「いやー…せっかくのネタだったんだけどなー」

 

(こいつの勘は本当あなどれないな。ちぇっ、気づかなければもう少し楽しめただろうに)

 

「あら、そう言うけど正体不明って普通にビックリするものよ?やられたら驚くかもしれないわ」

 

…こ、これじゃダメかなー、なんて。目を思わずそらしちゃったし。

 

「やっぱり分かった以上、驚くかどうなんて分からないじゃないか!」

 

 

えー……

 

 

「それはしようがないわね。魔理沙の運がきっと悪かったのよ。…はい、そうめん」

 

いや、運が悪いって言葉で片付けられるのかな?

ど、どうなんだろう。勘のせい?…いや、それだとちょっと…。

 

「悪くないはずだ!私はしっかり異変を解決してきたんだからな」

 

「はいはい…。あ、霊華。どうもね」

 

 

 

―――季節は夏。暑いので仕方ないからとそうめんを食べるところです。

というかセミがとてもうるさい。そんなに鳴くんじゃない。

理由が理由でしょうがないんだろうけどさ。

 

「さっきからみてたんだけども、なんか2人共バテ気味ね。私が鍛え直してあげましょっか?」

 

「だ、大丈夫よ!」

「別に平気だぜ!」

 

えっ?もしかして…

そう思って魔理沙に顔を向けたら魔理沙もこっちを向いてて目と目があった。

 

あれかな。目と目があう瞬間好きだと気づいた、とか思えばいいの?

いや、それだと百合とかレズになってしまいかねないから目と目で通じあうの方かな?

 

 

(むしろ霊華はどう鍛えたら平気になるんだ…?逆に羨ましいぜ。―――鍛えてほしいとは思えないが。それだけじゃない。目の前にいる霊夢の件もあるもんだから余計に思えないな)

 

 

「んで、霊華も座ったら?そうめんが固まるわよ」

 

「ええ、そうね」

 

 

コタツ机に上からみて左側に霊華、上側に魔理沙、下側に私と言う形で座った。

まあ、そうめんは冷たくて美味しかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしてもさ

「あんた、朝からそうやって来てるけど、ここは避暑地じゃないのよ?」

 

「あー、いいんだよ。森にある家でこもってるよりはこっちにいた方がまだいいからな」

 

えー…なにそれ。

この神社はそういう場所じゃないんだぞー?

 

「あのねぇ…」

 

 

 

「へぇ、貴方達ってこんな暑い日でも元気なのね」

 

いやいや、元気と言うわけじや……えっ

 

「アリスか。いきなりどうしたんだ?」

 

「ええ、最近霊夢が前と違うって貴方よく話してくれたじゃない?それで気になってね」

 

へえぇー…そーなのかぁ…。

……魔理沙が……

 

 

「余計なことは話してないわよね?魔理沙」

 

「い、いやっ!?話してないぜ!前と性格が正反対だとかしか話してないぜ!?」

 

(ま、まさかアリスから話してたことが流れるとは思わなかったな…。気をつけるべきだったか?)

 

「あ、そう。そういうのだったら別にいいわ。と、言うわけで私もこう呼ばせてもらうわ。――――七色魔法莫迦」

 

「……ねえ、魔理沙。本人の記憶はないとか言わなかった?」

 

(い、いけね!そこについて嘘ついてたのバレた!くそう、なんでこういう時に限ってそんなことを言うんだ霊夢!)

 

あ、なんか立ちそう。

ってうお!?いきなり人形が魔理沙を囲って…

 

「…魔理沙、ちょっとお話しましょ?…霊夢、魔理沙のこと少し借りてもいいわね?あと境内も少しいいかしら」

 

「あー、別にいいわよ?でもアリス?」

 

「なにかしら、霊夢」

 

一応はこっち見てくれるのね。

うん、アリスって人形と見間違うほど可愛いね。

っと、そうじゃない。

 

「…ほどほどにしてあげてね?可哀想だから」

 

「ふふっ、平気よ。ちょっと弾幕ごっこで遊んであげるだけだから」

 

なんだ。それなら……ん?

 

(れ、霊夢!頼む、なんとかフォローしてくれないか!)

 

魔理沙を横目で見たらアリスに気づかれないようこっちになんかお願いしてきてる。

ジェスチャーだからあってるかどうかなんて分からないけど、これは…

 

 

「そう、ならお手柔らかにしてあげてね。あとで3人で話すのだから」

 

「ふふっ、分かってるわよ。霊夢に言われなくてもちゃんと手を抜くわ」

 

「れっ、霊夢!?」

 

あっ、連れてかれてる。

やれやれ…。仲良いんだか悪いんだか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくした後、弾幕ごっこが終わったみたいで魔理沙が縁側に私疲れたって感じで座ってる。

 

「魔理沙に対してアリスは涼しい顔ね」

 

さっき色々スペルカード使ったりしてたよね。

あれで相手より少し上の力しか出してないとか思えないよ。

 

「そりゃそうよ。私はそういうのなんだから」

 

「なるほどね。……で、やられた魔理沙はどう?」

 

まあ、大分疲れたような感じだから分からなくもないんだけどね。せめて少しでも気にかけた方がいいのかなー…って。

隠し事をしてた分とかアリスに嘘をついてたのなんて、今のでなしになったろうし。

 

あ、私はなしだよ。今ので私関係の嘘はつきにくくなったろうし。

 

「……んで、それを私に聞くか?」

 

「ええ、まぁね。ま、その様子なら大丈夫そうね。…それで、アリス。あんた、正しくは七色の人形遣いでしょう?」

 

 

あ、少し笑った。可愛い。

なるほど、あってるんだね。

 

 

「ええ、そうよ。でもそこまで大人しいと来ると別人みたいね。―――いえ、別人だったわね」

 

うっさい。好きでこうなったんじゃないわ。

それでもね、案外受け入れたらすっきりするんだよ?

 

…そこ、諦めてるとか言わない。

 

 

「はいはい、私は別人よ。ま、霊夢であることには変わらないけども」

 

(…霊夢、大分棒読みだな。面倒くさいのか否定することに諦めたのか…どっちなんだろうな)

 

「そ、そう。…ま、そうみたいね。だからと言って霊夢。そこまで遠くを見るような目で言わなくてもいいのよ?貴方を否定しているわけじゃないのだから」

 

アハハ…。そーでしたね。

言われるまで気づかなかったけど。

 

「……してるわけじゃ、ないのよ?」

 

「わ、分かってる。分かってるわよ…?」

 

「そんな諦めきった顔で言われても…」

「お前、目が遠いぞ…」

 

そりゃ…ねぇ?現実=真実ですもの。諦めて受け入れる以外になにがあると。

白目むいたろか。出来るとは言わないけど。

 

 

 

「あら、霊夢。そこの2人は?」

 

「ん?なんだ霊華なのね。魔理沙には情報提供をしてもらってただけよ。それで境内に人形を連れて来てるのはアリス・マーガトロイドって言うわ」

 

「へぇ、貴方が霊夢の先代…と言うか母親なのね?」

 

「違うわよっ!?」

 

「えっ?!そうだったのか?」

 

魔理沙は驚かなくていいんじゃないのかな!?

だってほら、確かに私も母親みたいに接してもらってるし、これからもされるんだろうけど、母親じゃないからね!?

繋がってるんだとしても実際はー、とかありえるしね!

 

 

「……。ま、まあ、博麗の巫女の先代はしてたわね。今は博麗霊華と名乗ってるわ。あなたがなにもしなければ私も敵対するつもりは「アリスはまだいいわよ。里へたまに来てはニンギョーゲキ?とか見せてるらしいし」」

 

って話した途端、魔理沙が目を丸くして、アリスが驚いた。

いやいや、なにか驚くようなことあった?

 

「ねえ、まさか貴方…人形劇を知らないとか、言わないわよね?もちろん貴方の記憶にあるあのスペルカードじゃないわよ?あれは人形劇じゃないから」

 

ん?あのスペルカード?……ああ、まさか博愛のオルレアン人形などのことを言ってるのかな?

なるほど。確かにあれはニンギョーゲキなるものではないようだね。人形を用いた弾幕なだけだったみたいだし。

 

 

「なら知らないわ。ニンギョーゲキってなにをするわけ?」

 

「お、お前本気で言ってるのか!?」

 

「――――えっ?」

 

「あー…こりゃ真面目に知らないタイプね。まあ、フォローしようとしてくれたのはよく分かったわ。ありがとね、霊夢」

 

いやいや。なんの話なのかな?

 

(こいつ…元外来人なのに知らなかったのか。ほんと、今の霊夢は前よりお人好しだな。ま、そういうとこがあるから飽きないんだけどな。……今度からかってやるか?)

 

「な、なによもう。因みに霊華、あんたは人形劇とか知ってるの?」

 

「………そ、そんなの知らないわよ」

 

あっ、霊華が目をそらした。

えー…ちょっと聞いただけのはずなのに。

 

(珍しいな…。霊華が目をそらすとは思ってもみなかったぜ)

 

「…はぁ。人形劇っていうのはね?ここにいる上海(シャンハイ)とかそういう人形を媒体とした劇よ。昔話とかなら分かるでしょう?」

 

へぇ…そんな感じなんだ。と、いうか人形劇なんてもの、あったんだね。知らなかったよ。

 

「へぇー、人形劇ってそういうことをする奴なのね。なら余計に里の人間とかへの敵意はないわね。むしろ素っ気ないようで親切とかそんな性格でしょ」

 

「……博麗の巫女らしからぬ貴方に言われたくはないけど」

 

いやいや、なにを言う。

私だって必要とあらば妖怪の1体や2体、倒すよ?

今のところ単純に退治してるだけだからそうでもないように見えるだろうけど。

 

「…ふふ」

 

「れ、霊夢!霊華がいきなり笑ったんだが、あれは大丈夫なのか!?」

 

「あー…大丈夫でしょ。大丈夫じゃないとしても説得するけどもね。ほら、バランスは崩してないわけだし」

 

(……確かに、敵意を向けてくる妖怪にはこの霊夢もしっかり対応してるみたいだもんな。というか馴染むのはやいな。さすが元外来人だぜ)

 

「と、いうか貴方達…先代の扱いが雑じゃない?」

 

「多分気のせいだと思いたいわ。それでアリス、とかと言ったわね?」

 

「ええ、そういう名前よ」

 

「……確かに最近の幻想郷は前と違って平和ね。ほんの少し羨ましいわ」

 

「「……」」

 

そ、それもそうか。先代達って妖怪と本当に命がけで戦ってたんだもんね。

それを考えるとまあ、今は倒しやすいだろうよ。未だに受け入れてない下級妖怪もいるみたいだけど。

 

「ところで魔理沙、なんであなたもそんな驚いた顔で私を見るのよ。特段おかしなことは言ってないわよ?」

 

「い、いや!なんでもないんだ!気にしなくていいぜ!」

 

「そ、そう…?」

 

 

あんなんでいいのか。

 

「あ、そうだわ。霊夢、今度家に来ない?多分今の貴方なら家にあげてもかんしゃく起こして暴れたりしないでしょうから」

 

「あら、いいの?なら、言葉に甘えようかしら」

 

人形も気になるしね!

ってなわけで今度暇だったら遊びに行かせてもらおう。

 

んでもさ……なんでかんしゃく?前の霊夢ってそんなに短気だったの?

怖いなあ。

 

あっ、霊華と魔理沙がなんか話してる。

危なくなったら間に入ってあげよう。うん、そうしよう。

 

 

―――(あと)のことを言うと、その日はとても平和でした。

霊華も前より性格が丸くなりつつあるようだし。

これなら私共々名前呼びされるんじゃ…!

 

 

……いや、霊華に限ってはありえないか。

私より巫女らしいことをたくさんしてきたらしいし。さすがだなぁ、と思う反面、私は…うん。



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第37話 私は先代を紹介しようと思います 紅

なんか色々あって夢かと思ったけど、全然違ったのでビックリした私です。

もっと私に文才があれば弾幕も具体的に……と思ってもなかなか難しいですね。
他の皆さんが羨ましい限りです。

っと、そうではないですね。下からが本編です。平気な方はごゆくりどうぞ


『あの宝船を見つけたならどうして先に行ってくれなかったのよ!もう!』

 

 

寝てからしばらくして、夢だなと思った瞬間に言われたのがこれ。

そりゃ、確かに私も金銀財宝には興味があったよ?

 

…でもさ、考えてよ。

間欠泉云々の話があってからの空を飛ぶ船だよ。

本当に宝船なのか。本当に金銀財宝が眠っているのか。

気になるところ、たくさんあるでしょ?

 

『そんなもの、行ってから確認すればいいのよ。とにかく興味があればすぐ行動!…じゃなきゃ欲しいものはえられないわよ?』

 

す、凄い欲だね。強欲って言われてもおかしくなさそう。

いや、相手に失礼か…?

 

『むっ。このぐらいの欲、普通でしょう?むしろ欲の無さそうなあんたがあの宝船に目をつけていたとは意外ね』

 

いきなり文句から始まる夢かと思ったらそう来るんかい。

えーえー、わるうございましたね。私かてそういう宝船に興味ぐらい持ちますよ。

 

『それを目的にして見に行けばよかったというのに…。…まあ、いいわ。うちの神社に参拝客が来るようにしてくれたことには感謝してるもの。守矢神社も結局は分社おいて終わりだったようだし。―――あの分社、もう少し小さく作ればよかったのに』

 

そ、そうだけどさぁ…。守銭奴だって思われたくなかったし…。……ねぇ?

ところで最後のその一言はどういうことなの?

 

『あんたはそれでせっかくの一攫千金(いっかくせんきん)を逃してるのよ?……はぁ、それはもういいわ。あんたにはお賽銭を増やしてもらったのだからこれ以上とやかく言わないことにするって決めたもの。―――最後の一言?そりゃ商売敵の分社なんて小さくて良い、というだけよ。なにせ向こうはいきなり営業停止を言ってきたのよ?勝手がすぎるわ。…ま、まぁ…私もちょっと考え直してしまったのだけども…』

 

ど、どれだけ欲しかったんですか、あーたは…。

でも欲をさらけ出すのは、なぁ…。

最後のはもうなにも言わないことにするよ。と、いうか言えないよ…。

 

『え?欲しいものは欲しいって言えばいいでしょ?それこそ妖怪が大事そうに持ってるものでもなんでもとればいいじゃない。……あ、でもあんたはもう霖之助さんへのツケをなしにしたからそんなことをしなくていいんだったわね』

 

うん、そうだけどさ。

いくら妖怪相手だからって盗むのはやめてあげようよ。それはそれ、これはこれなんだからさ。

まあ、なんで霖之助さんへのツケを全部払ったって知ってるかについては今度聞くとして。

危なそうでなくて、知性のある奴なら別にそんな急がなくてもいいような。

 

『なにを言うのよ。妖怪は退治すべき相手でしょ?んで、異変解決しようとしてるときに邪魔してくる奴も退治するに限るわ。あとは前に立ちふさがっても私なら退治するわね』

 

……そ、そうなんだ。で、でもさ、相手が人間とか神様だったらどうするつもりなのかな…?

 

『もちろん退治するに決まってるじゃない。当たり前でしょう?』

 

あ…そ、そうですか…。

もう立ちふさがる者ならなんでも退治するってことですね、分かります。

 

『そうよ。ったく…。ま、でも退治するものはちゃんとしてるみたいだからからいいんだけども。あんたって優しいわね。相手は妖怪なんだから遠慮はいらないのよ?』

 

あ、あれ。今ようやく気づいたけど、なんで私が色々と言われてるんだろう?

おかしくない?

 

『教えてるだけよ。それと…悪いわね。話し込みすぎてあんたの起きる時間軽く過ぎちゃったわ。そろそろ起きないと先代の巫女がきて起こしにきちゃうからいい加減おいとまするわね』

 

私からはどうも教えてもらってるように感じないような…。

え?先代の巫女が?…な、なんで知っt『悪いけど、答え合わせはまた今度ね。んじゃ、うちの神社を宜しく~』

 

 

 

 

 

 

 

 

………。

とても、欲の深い人だったなあ。

 

「霊夢ー?朝餉できたわよー?」

 

そんなこと言いながら入ってくるの?霊華は。

っていうかあの夢の子も考えてること読むとかさすが夢…。

 

「……どうしたのよ、霊夢。あなたって朝に弱かったかしら?」

 

「もう寝ぼけてなんかないわよ、私。…んで、朝食だったわね?行くわ」

 

いや、夢の中で霊夢みたいな人に色々言われましたっていっても最初は信じれないだろうしね。

…なんか説教じみてておかしかったけど。

 

「そう?なら、先に行って待ってるわね」

 

(多分いつものことなら着替えてくるか、髪をとかして来るでしょうから…ま、もういいわね)

 

さて、服を着替えるかな。

袖を別途つけるからちょっと大変だけどさ。

ま、別に楽だからいいんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

今朝のご飯はそれなりの量があった。うん、そろそろ食材の買い出しに行った方がいいかな?

 

でも、今日は買い出しする前に行きたいところがあるんだよね。

 

「霊華、今日はちょっと紅魔館へ行ってくるわね」

 

「紅魔館?幻想郷にそんな建物、あったかしら…」

 

むしろ知ってたら困る建物なんだけどな。

なにせ今のスペルカードルールが出来るきっかけになったのがその吸血鬼異変みたいだから。

 

今回は単純に顔出しするだけだし、それにあのレミリアとやらなら話が通じるでしょ。

あ、なら先代の巫女も連れていっちゃう?紹介もできるし、一石二鳥でしょ。

 

(あ、この顔…なにか考えてるわね?やれやれ、前まで外の世界にいた人とは思えないわね。……ただ知識がかなり(かたよ)ってるからどうにかしてあげたいところね)

 

なんか表情が…。

まあいいや。

 

「んで、行くの?行かないの?」

 

「はいはい、とりあえず行くわよ。どんな連中がいるのか確認したいし」

 

お、行く気みたいだね。

あの門番が受け入れてくれるといいんだけど…

 

「んじゃ、軽く準備したら行きましょっか」

 

「ええ、それもそうね」

 

準備と言っても本当に軽くなんだけどね。

飛べばそんなに遠くないしさ。

 

 

……正直言って、霊華の巫女装束が羨ましいんだけどね。空を飛んでも見えなさそうだし。

 

 

 

 

 

 

 

少し…いや、それなりに?

時間をかけてついたのはあの紅い(やかた)

なんか実際に見ると周りからえらく浮いて見えるね。なんでだろ?

 

「……なんか前より色々と増えたわね。里も、この辺りも」

 

「あ、それを聞いて今気づいたんだけども…あんた、どこもにぶってないわよね。まさか…鍛えたのってまさか私と出会う前からじゃないわよね?」

 

私に体力をつけるー、だとかその辺りなんだけど、私より体力があったのを覚えている。

それに境内の掃除の時もそうだけど、いくら半分にしてるからって博麗神社はそれなりの広さがあるんだよ?

 

それを簡単にやれる霊華って…ねえ。

外の世界ならアスリートやれるんじゃないの?なにを、とかはサッパリ分からないけどさ。

 

「あら、元から鍛えていたわよ?それに、朝から鍛練するのってそんなにおかしいかしら」

 

「……あー、いえ。そうでもないわね」

 

 

―――今度からそういうの聞くの、やめようかな。

 

 

 

 

 

 

 

「……おや?あんた達は…あの時の巫女に見慣れない巫女?どうかしたの?」

 

「ちょっと遊びに来たのよ。…んで、私と一緒にいる巫女は先代の巫女の霊華ね。博麗霊華」

 

うん、まさかあなたもそんなに驚くとは思わなかったよ。

いやまぁ、珍しいなって思ったけど。

 

「へぇ…そうなんだ。ところで巫女は食べていいっt「食べれないわよ、この巫女は」」

 

「おっと、そうなのね。やめておくことにするよ。…それで、ちょっと遊びに来たんだってね?分かった。行きな。咲夜さんに会ったら私が入ることを許可したと言えば分かってくれるだろうから。それにあんたなら平気よ」

 

あ、そ、そう。

……ところで霊華。その拍子抜けしたような顔はどういうこと?

門前払いでもされると思ってたのかな。

 

(…この子、堂々としすぎてとんでもないわね。なんていうか…もうなにも気にしなくてもいいような気がしてきたわ)

 

 

 

 

 

 

 

 

うわ、エントランスホールなのにひろっ!魔方陣みたいなにかよりそっちに目がいくんだけど!

ここからレミリアだかなんだかって吸血鬼の部屋を探さなきゃいけないの?

 

うぇー…

 

 

「…外見とは違うのね。結構驚きだわ」

 

「あぁ…そうね。私はむしろ入ってすぐのここの方が驚きだけども」

 

(…外見と中身が違うこともそうだけども、確かにここも驚きの広さね)

 

さて、ホールに誰か来てくれるといいのにな。

 

 

……ん?背後から誰かに抱きつかれた?

 

「あら、霊夢。その変わった羽の子供は知り合い?」

 

「あ、あー…」

 

「友達っていうか、違うわね。顔見知り?遊び相手?なんとでも言えるし」

 

だからと言って急に抱きつくのは勘弁。

あなたがどれだけ厄介なのか、記憶でしか知らないとしてもいやでも分かるし。

怖いなぁ。(棒読み)

 

「んで急にどうしたのよ、フラン。なんか用でもあるの?」

 

「あの宴会の後、お姉様に言われたのよ。あとは手加減を覚えたら貴方を紅魔館の外へ出せるわって。普段はあいつ……じゃなかった、お姉様の言うことなんて聞かないんだけどもね、今回ばかりは聞いてあげたのよ。私は今の貴方と弾幕ごっこがしたかったから」

 

…ふんふん。

 

「んでね、そのままじゃ気に食わないから、お姉様に部屋を用意してもらうことを条件に出す代わりに私が手加減を覚えるってやったのよ。本当、あの時頑張ったのよ?でも、少し手加減を覚えたからさあ、会いに行こう…ってしたら貴方なんか闇の気に囚われちゃうんだもの。遊ぶもなにもなくてつまらなかったわ」

 

……ふんふん。

 

「ま、ちゃんとあいつ…いえ、あのお姉様が私の部屋を用意してくれたから私も、もっと頑張って手加減をまともなのにしたのよ?だというのにあいつったら、前は1度だけ出したのを忘れたかのように、未だにこの紅魔館の外へ出してくれないのよ。こんなのおかしいでしょう?」

 

……どう答えろと?

 

(さっきまで素直に頷いていた霊夢がいきなり黙るなんて…。私も少し話しかけてみようかしら。この子、なんか見かけたような気がするし)

 

 

「あ、あー…あなたも苦労してきたのね。ところで、手加減を覚える必要なんて普通はあるのかしら」

 

「……?ねえ、霊夢。この人間って飲食物?」

 

いやいや、そうじゃないかr……ん?食べ物?

 

「フラン、まさか本当にあんた、手加減を―――!」

 

「完璧じゃないけど、手加減はできるようにしたわよ。だって今の霊夢と弾幕ごっこがしたいんだもの」

 

……ええー…。

後ろで表情が見えないんだけどさ、この口ぶりからしてかなり遊びたいっていうのが分かる。

 

私、あの子ほど弾幕は上手くないのに。(白目)

 

「…そのフランって子についての説明はあとでちゃんとしてもらうわよ?」

 

アッハイ。

もう弾幕ごっこするしかないんだね。そうなんだね。

分かったよ、やるよ。

 

「……お互いスペルカード5枚、ってとこでどうかしら?」

 

「ほんの少しでいいから2枚がいいわ」

 

わ、わぁお…。それは気持ち…いや、少ないよ。

せ、せめて3枚…。あんまり変わらないんだとしても3枚…!

 

「なら、3枚。…私は3枚が限度よ。ダメかしら?」

 

「む、むうぅ……!」

 

ヤ、ヤメテ!なんか当たってるんだからヤメテ!

 

(―――ああ、あれって羽なのね。そのわりにはとても変わった羽ね。まるで飾り物みたいな外見だから分かりにくかったわ)

 

 

はぁ…。まあ、はやく終わるなら2枚でもいいか…。

 

「分かった、分かったわよ。2枚、2枚でいいのね?」

 

「ええ!さあ、はやく弾幕ごっこしましょ?」

 

私からすりゃパターンもくそもないんだよなぁ…。目の前に弾幕が迫ってくるとか怖いんだよ?

いや、異変を何度か経験したおかげで慣れはしたんだけどね。

 

……うん。

 

 

「はいはい、するから…」

 

「んじゃ、私は離れてみてることにするわね。今のあなたなら大丈夫でしょうから」

 

そうやって親指をたてるのはいいんだけど、フラン―――フルネームをフランドール・スカーレットなんて言うらしい―――と弾幕ごっこするのは私からすれば初めてなんだよ?

まあ、頑張るんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

私が決めたスペルカードは霊符「夢想封印」と霊符「夢想封印・集」の2枚。

これなら弾幕があんまり広がらない分、短期勝負に挑めるだろう。

うん、いける

 

 

 

 

 

 

 

―――と思ってた頃もありました。

フランが最初に使ってきたのは禁弾「スターボウブレイク」だったから、まあ避けづらかったけど大丈夫だったんだ。

でもさ?お互い2枚目行きますよってところで禁忌「フォーオブアカインド」を使ってきた。

 

やめて!4人に増えて弾幕をはるなんて濃くなるだけよ!?

ってふざけてる暇もないんだけど!?……イヤァアーー!?

 

 

 

 

 

(あれで弾幕ごっこ、ねぇ。…こうやって離れてみると無駄なのに綺麗に見えるから不思議よね。ルール自体はしっかりした決闘システムそのものなのに。………ふふ)

 

 

「なるほど、妹様がたまに話していた先代の巫女とは貴方のことね?」

 

「………!?あ、あなた!いつの間に!」

 

(いくら霊夢達の弾幕を見ていたからって私はなまってないはずなのに…!……あら?いきなり申し訳なさそうにしてk…)

 

「ああ、それはごめんなさいね。普通に来たつもりでしたけども…。…それで、そこにいる妹様は霊夢と遊んでるのね?」

 

「え、ええ…そうみたいよ。ところであの子、人間じゃないでしょう?かと言って妖怪ですらない。正体は一体なんなの?」

 

「へぇ、そこはさすが先代というべき能力ね。ええ、妹様やお嬢様は人間ではありませんわ。吸血鬼という種族なの。――あぁ、私は人間よ?」

 

「吸血鬼、ね。あら、ならあなたはメイド?…服装からして、それ以外にはなさそうだけども」

 

「へぇ、メイドを知ってるなんて貴方は本当に先代なのかしら?」

 

「現代のサブカルチャーは私が教えたわ」

 

凡人並みの絵心を使ってね!ふふん。……いや、こんなとこで胸をはってもあれだね。

……いや、うん。疲れた。

 

「むぅ…前の霊夢と違うから今度は私が勝てると思ってたのに…」

 

「なるほど、通りでそういうのを知っていたわけね。…んで、いつ教えたのかしら?妹様はお疲れ様です。いい運動になりましたか?」

 

「……いつだったかしら。そんなこと忘れたわね」

 

「コスプレとして存在する的なことを朝餉の時に教えてきたじゃないの。…ま、私もいつかなんて覚えてないわ」

 

 

アチャー。

 

 

「とてもいい運動だったわ。それで咲夜。私も貴方も先代の巫女の名前を知らないし、せっかくだから聞かない?」

 

「そうでしたか。それはよかったですね。……妹様、聞かれるのもいいですが、名乗るのも大事ですからね?」

 

…あ、いけない。そういや霊華はフランの名前、知らないんだったね。

 

「ああ、それはいけないですわね。私の名前はフランドール・スカーレット。地下に495年も閉じ込められていた元問題児よ」

 

「あんたが自分で言うなんてとてもシュールね」

 

いや…フランさ、半目で見られても…

 

「……だって貴方と約束したはいいけど、貴方は元々幻想郷(ここ)にいなかったって言うじゃない。だから余計(もろ)いだろうからって頑張ったのに……」

 

うん?なんかこの子、言った?

 

「なるほどね。さっきの一言は…霊夢、も聞こえてないみたいだし、私は聞かないわ。それで、私の名前なんだけどもね?今、霊華って名乗らせてもらっているわね。一応は今そこにいる博麗の巫女の前の巫女ね」

 

小声で「何代目かなんて忘れたわ」とか言ってるけど、別に聞こえるように言ってもいいんじゃないのかなあ…?

 

「ふぅん、そうなの。霊華って名乗ってるのね。今度遊んでみたいわ」

 

あっ、大変なのに目をつけられてる。

 

「今度ね?その時はその吸血鬼とやらの強さ、見せてもらおうじゃないの」

 

ねぇ、だからってそんな楽しそうに笑うのやめてもらえます?

いくら妖怪退治は命がけだったと言ってもそれはちょっとホラーだよ。

 

「…違う意味でも苦労していたのね。頑張りなさいな、霊夢」

 

「ならあんたも止めなさいよね、咲夜。今教えるけども、霊華は最近弾幕ごっこができるようになったぐらいにスペルカードルールを知らなかったのよ?大丈夫だと思う?」

 

えっ、そこでも平然そうにする?

いや、まあ、確かに弾幕ごっこなら死にはしないだろうけどさぁ…。

もうとんでもないね。

 

「え?平気でしょう?弾幕ごっこで遊ぶつもりでしょうし。そうですよね、妹様?」

 

「もちろんよ。むしろ私の能力的に霊華の方が危ないんだから。脆いのよ?人間って。私だとすぐに壊してしまうからってお姉様が地下に閉じ込めてたみたいだけど」

 

うん、不器用な気遣いだねぇ。

下手すりゃ嫌われてると勘違いされるやり方な上にそれって…

 

「そうでなきゃ貴方が本当に壊れてしまうからよ、フラン」

 

「運命が見れるーってわりにはそういった不器用なことしか出来ないなんて。だからお姉様は…」

 

「その割にはそのレミリアの言葉をしっかり聞くよね、あんたって。案外素直じゃないわねー」

 

おっと、なんか襲ってきたぞ?

あ、危なっ!

 

(なにやってるのやら、あの子は…。まあ、いいわ。多分紹介がてらに来ただけでしょうし、今についてもっと慣れておこうかしらね)

 

「ええと、咲夜…だったわね?あの今出てきた奴も吸血鬼ね?」

 

「ええ、そうよ。この館の主であるお嬢様ことレミリア・スカーレットよ」

 

「ふふ、そうね。あぁ、でも吸血鬼はこの館にいる私とフランだけよ?他にいるのは門で会ったであろう紅美鈴。美鈴には門番と庭の管理を任せてるわね。あとはパチュリー・ノーレッジと小悪魔ね。この2人はあんまり大図書館から出てこないから貴方には縁があまりなさそうね。……ところで霊夢、フラン。なに戯れているのよ。霊夢も交えた話ができないじゃない」

 

「あら、お姉様。いつの間にきたの?てっきり部屋でこそこそしてるかと思ったわ」

 

「はいはい、そういうのはあとでね。姉妹喧嘩は人前であんまりされると困るのよ?」

 

私の周りにそういう双子はいなかったけどね。

そもそも双子の知り合いはいなかったよ。

 

「わ、分かったから頭をなでないで?なんとなく気恥ずかしいのよ」

 

あ、なるほど。あんまり撫でられたことがなかったのかな?

よし、ならば

 

「……。妹様があんな風になるの、はじめてみたわ」

 

「あの霊夢だからでしょうね。…それでレミリア?とやらの部屋で話すのはできるかしら?」

 

(霊夢がさっきからフランとやらとかにちょっかい出してるせいで話が進んでないのよね。だからそこで出来ればいいんだけども…)

 

「ええ、そうね。フラン、霊夢達と話がしたいからそういうのは後にしてもらえる?後でなら私でも霊夢でも相手にしてあげるから」

 

「へぇ、前よりはお姉様も私のことを気にするようになったのね。そりゃいいわ」

 

「……貴方がむやみやたらに壊さないよう頑張る、と言ったからよ。今の霊夢に影響されたとしても、私はその方がありがたいわ。いつまでも地下に閉じ込めて守る必要がなくなるから」

 

 

あっ、これは…

「そこを気にしてくれるのなら私がどう思うかも考えてほしかったわね。お姉様?」

 

「はいはい、そこで止めてちょうだい。そういうのは私達がいないときにやってちょうだいね」

 

「……霊夢がそう言うなら」

 

「それもそうね。無様な姿を見せたわ。…こっちよ、霊夢、霊華。咲夜、悪いんだけども、紅茶を用意してもらっていいかしら」

 

「紅茶ですね、かしこまりました」

 

……消えるの早いね。

で、でもうわべだけでも冷静なフリをするんだ…!すぐ、きっと、慣れるはずたがら……うん。

 

「んじゃ、フランには悪いけども、話してくるわね」

 

「分かったわよ。あ、ならパチュリー達に貴方達のこと、話しておくわね」

 

わあ、ありがとう。

 

「そう?ならお願いするわね」

 

「ふふ、大丈夫よ。前と違って狂気も手の内だから」

 

安心できない言葉をどうもありがとうね!

出来れば後半はそのまま隠し持ったままにしてほしいな!

…って行っちゃったし

 

「ほら、霊夢。置いていくわよ」

 

「……はぁ。分かったわよ、行くわ」

 

霊華も先に行きそうになってたんかい。しょうがないなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し歩いてレミリアの部屋に来た私達は、咲夜に出してもらった紅茶―――淹れるまで結構はやかった―――を飲みつつ会話をすることにした。

咲夜…は…同席なのかな。でも立ってるし、微妙だね。

 

「それで?なにか用なの?」

 

「あぁ、先代の紹介とついでに顔出しね。ほら、私も訳ありじゃない?私も運命はそこまで信じてないんだけど、そういうのが見えるあんたなら理解もはやいだろうなって思ってきたのよ」

 

なんでレミリアにため息つかれたんでせうか。ちょっと分からない。

 

「なるほどね。貴方はなにか霊夢から聞いてない?」

 

「紅魔館へ行くとしか聞いてないわよ。…強いて言えばそこに住む者達のほとんどが人ならざる者とは思わなかったけどもね。妖精もメイドにしているようだし」

 

「いつの間に…と言いたいけども、霊華ならありえるわね。それにちょうどフランと戯れていたのは霊夢だし」

 

前に約束してた遊びが今日になっただけなんだけどね。

っていうかそのために手加減覚えるとか、本当は問題児じゃなかったりしてね。ハハハ。

……えっと、彼女の能力ってなんだっけ?

 

『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力よ。…ただそれについても今度、会ったときに教えるわ。ちゃんとね』

 

そ、そうか。なるほど……?

って脳内に直接…!?

 

 

「なに1人で遊んでるのよ、貴方は。お嬢様となにか話をするんじゃなかったの?」

 

「えっ、ええ…。そうだったわね。…ところでレミリア。ちょっといいかしら。私…あの時の異変があれで終わりだとは到底(とうてい)思えないのよ。―――見てもらえる?」

 

(霊夢がこんな真面目な顔をして言うとは、ね。私も覚悟して聞かないといけなさそうだわ。……確かに“倒した”だけだものね。そのあとはなにもしてないし、誰も策をほどこさなかったから余計に、なんでしょうね。でも、彼女の勘…幻想郷に来てからというもの、本来の霊夢と違って理解するものが多いけども、もしかして―――!)

 

「なるほど。その口ぶりからして運命をあったかもしれない出来事、としてとらえているのね?もし違っていたらごめんなさいね。私は心までは読めないから。さて、なら今から見るわよ。覚悟はいいわね?」

 

私は力強く、ゆっくりと縦に首を振った。

霊華の紹介という目的のついでも解消できるだろうからね。

付き合ってもらうよ、2人共。

私とレミリアとの会話に、ね。




ここを読んでいる方がいらっしゃるか分かりませんが、感想を非ログインでもつけられるようにしました。

ガラスのハートともろいですが、他の皆さんもつけやすくなったかと思います。
迷惑にならない範囲で適当にどうぞ。


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第38話 あの館からの私への感情がなんか凄い

少なくとも人々に読まれている不思議な小説とはこちらです。

ものすごく今さらですが、この小説にオリジナル異変も含まれています。苦手な人はブラウザバックしながら“憑依霊夢は砂糖より甘い”とののしるように思うんだ!

えっ?なんか変だって?…そうですよね、すみません




下からが本編です(目そらしー


それから見ているのかレミリアが1人でコロコロと表情を変えているのを笑うのをこらえながら待っていると真顔に戻った。

 

おっと、まさか…怒った、かな?

 

 

「……あぁ、なるほどね。それならあの時のフランへの対応はしっくり来るわ。なにせ貴方は元から霊夢であって霊夢でなかったのだから。さしずめ憑依、とでもいうべきかしら?貴方はどう考えても死んでないようだし」

 

「死んでない!?本当でしょうね!」

 

「霊夢、霊夢。気にするのはそこじゃないんだけども。…確かに見て死んでないってことが分かったとはいえ、そんな嬉しそうな顔で聞いてくるんじゃないわよ」

 

「そうよ、霊夢。お嬢様があんまり浮かべない困惑した表情を浮かべてしまうほどなのだから落ち着いてちょうだいな。…まあ、でも確かに気にするのはそこじゃないはずよね」

 

「あぁ、でも霊夢ね、目が覚めたらいきなりあの博麗神社だったのよ?今では人間だったと自覚しているとはいえ、やっぱり外の世界で人間として生きてたって証明とやらが欲しかったんでしょうね。まがりなりにも半分記憶ないし」

 

「半分記憶ないとか言わなくていいのよ。その半分は元々私の記憶だし、困ってないから問題ないのよ。私が気にしてるのは違う問題だったの。それが分かったからついああなってしまっただけよ」

 

っていうかそれとこれは違う気がするんだけどなー…。

私が気にしてるのは“憑依”とやらは死んでなったのか、ってだけだし。

いや、まあ、レミリアに“憑依”って言われるまでこれっぽっちも気にしてなかったんだけどね。

 

わ、私だけの秘密だよ!

 

 

「あら、それは失礼したわ。…それでお嬢様。霊夢を見てなにが見えたのですか?」

 

「うーん、減ったと言うべきか増えたと言うべきかとても悩ましいものだったわね。強いて言えば霊夢に残る最後の問題さえ解決すれば誰がなにしようとなにも起こらないとしか言えないわね」

 

え、えぇ…。なんか前にも見たって言い方が気になるけど、それよりも最後がなんかとても意味深な言葉だね。

…いや、むしろついでだったはずの目的が大事(おおごと)になってるような…?

 

「恐らく貴方がさっき言った『あの時の異変があれで終わりとは思えない』っていうのが正しく思えるほどよ。…でも、不思議なことにそれで終わりじゃないのよね。だから、なにかをすればもう二度とその異変は起きなくなるんでしょうけど…。私はそういうの、専門なんかじゃないのよね」

 

「専門じゃない割には結構知ってるわよね。まさか、運命が見えるーとか、そんなこと言わないわよね」

 

運命って言っていいのかさだかじゃないけどね!

ほら、運命って分からないでしょ?もはや偶然レベルでしょ?

どうやって理解するんだろうか。とても気になる所存です。

 

「そこを言わないの。でもそうね、今回は霊華などの巫女の知識が役に立つんじゃないのかしら。どこぞのスキマ妖怪もありえそうだけども」

 

「お嬢様、彼女の名前は八雲紫だと何度も教えたじゃないですか。せめてたまには名前で読んでみてはいかがでしょうか?」

 

「あー、んじゃ…気が向いたらでいいわ」

 

そういうのって二度と来ないやつじゃないのかな。

 

「んまぁ、それだけ情報があればいいわ。ありがとうね。さてと、大図書館にも顔に出してくるわね」

 

「霊夢、もうそこのきゅうk……じゃなかったレミリアから聞かなくていいのね?と、いうかもしかして今のがついで、とか言わないわよね」

 

えっ?なにを言うの?

紹介が本来の目的で、私のこれはおまけだよ。それこそお菓子についてくるオモチャレベルでおまけだよ。

 

(そ、そんな顔をするってことは…本気でついでだったのね。普通、そういうのを目的にするでしょうに変わってるわね)

 

「そう?んならパチェに話でも通しておこうかしら?」

 

「あ、いいわ。霊華を紹介するだけだし、それ以上はしないもの」

 

知ってそうな人物って限られてるしね。

会ったことがあるのならまだしも、最初から知っていたのは八雲紫、あと知ってそうなのはあの霖之助さんかな?

 

「そう?なら咲夜、霊夢には再確認、霊華には教えるつもりで案内してもらえる?たまには妖精メイドに家事を任せても困らないでしょうし」

 

「…分かりました。パチュリー様のところまで案内すればいいのですね」

 

「そんな複雑そうな顔しないで素直に受け止めたらいいんじゃないのかしら?ほら、人間って疲れるときは疲れるから」

 

「……ふふ。確かに貴方って変わり者ね。でも、そうね。あまり使えないとしても休憩がてらに案内するのも、またいいわね」

 

ねっ、でしょ?

 

(嬉しそうな笑顔。幻想郷に来てから変わったのって多分貴方のおかげよね。…誰が、とは言わないけども)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案内してもらったのはいいけど、館そのものが広いってさすがだね。

確か咲夜がやってるんだっけ…。

 

「あぁ、そういえば霊華。貴方への自己紹介をしていなかったわね。私は十六夜咲夜。この紅魔館のメイド長をやっているわ。実を言うとこの館は私が能力の応用で広げたものなのよね。最初は驚いたでしょう?」

 

「ええ、そうね。窓も少ないし、さすが吸血鬼の住まう館ね」

 

んっ?……あぁ、そうか。

吸血鬼は日差しが駄目なのか。あの睦月に開いた宴会だって来たのは夕方。日が沈んでいたからなのか、今さっき会ったようなほぼ手ぶらの状態で出来てたしね。

いや、咲夜だけは少し持ってきてたけど。

 

んで、フランが外にでようとしたとき、紅魔館の周囲だけ雨を降らしたことがあるらしいけど、その時なんてレミリアが博麗神社にいたから帰れないみたいなことを言ってきたらしいし。

 

―――弱点多いなぁ。そのくせしてあの生ぬるい、プールと言えるかどうか怪しいものには普通に入ってたし。よく分からないねぇ。

 

ん?そういえばパチュリーって

 

「大図書館には窓あるの?いくらなんでもないってわけじゃないでしょうし。……まさか、本が日焼けするからってないとか言わないわよね?」

 

咲夜、気まずそうにするのはなんでかな?

え、なに。本当にないの?

………うそでしょ?

 

「あー、とりあえずそこがパチュリー様のいる大図書館よ。小悪魔もいるでしょうし、ついでに霊華のこと、紹介したらどうかしら?」

 

「ん、それもそうね」

 

「むしろ私はその大図書館の方が楽しみね。今までそういう本の多そうな場所がなかったものだから。あぁ、高床式倉庫にあるような書物とかじゃないわよ?あれはまだ少ない方でしょうし」

 

あー…それもそうか。少ないもんね、あそこにある書物。

うん、それはいいんだけどね?霊華…あなたの時に図書館なんてあったの?そもそもどうやって知ったの?

すごいなあー。

 

 

―――咲夜が先に扉の前に立つとノックを3回したが見えた。音もその分聞こえたけど。

 

「パチュリー様、霊夢が先代の巫女を紹介したいと遊びに来ているのですが、入れても宜しいでしょうか?」

 

 

…な、中にいる人に聞こえる?

 

「あら、そうなの。霊夢がいるなら別にいいわ。レミィ曰く今の彼女の性格なら突然手を出してきたりはしないって言っていたから」

 

うん、どんな理由かな。

しかも手を出すとか…。なにかしでかそうとしたり、私や周りの人になにかしない限りは私もなにもしないってのに。酷いよね。

 

(なるほどね。確かにここまで社交的で前向きで中立気味な霊夢ならそういう反応されてもおかしくはないわね。……自覚しているかどうかはともかくとして)

 

「分かりました。入室しますね」

 

「お邪魔するわよー」

 

う、うおぉおー!?本がたくさんあるんだけどー!魔導書以外とかないのかな?!

 

「霊夢、本に興味を持つのはいいけども、パチュリー様に一言いってからの方がいいわよ?」

 

「あら、借りれるの?」

 

「ええ、恐らくはね」

 

 

 

「……よくなんともないわね、ここって」

 

 

あ、なんか霊華が小さく呟いてる。なにを言ったのか分からないから別にいいか。

 

 

 

 

「………」

 

 

「ねぇ、霊華。もしかしてだけども、あの巫女…魔導書知らないんじゃないかしら?」

 

「あら、私はほとんど知らなかったわよ?大体聞いて察するしかできないわ。…でもそうね、あれを逆さにして読んでいる辺り、知らないんじゃないかしら」

 

「……確かに逆さね。読めてるのかしら、あれ」

 

「霊夢でもさすがに読めないと思うわ。あれが逆さで読める本でない限りは、ね」

 

 

 

なんか会話してるのが聞こえるけど、気にしない。

きっとこれは普通の本なんだ。

ただちょっと理解しづらいだけなんだ…!

 

「…ねえ、貴方。その魔導書、逆さよ?あとそれ読めてるの?」

 

 

 

―――えっ?逆さ?

あ、ホントだ。

 

「読めないわよ。それに魔導書なんて魔法使いが読んだり書いたりする本でしょう?なら私でも読めるわよね」

 

「なるほどね。…でも読めてないのよね」

 

そうだね、読めてないね。それこそ、逆さま以前の問題だね。

…いや、それ以前に誰と話をしてるんだろう?

 

「そりゃ魔導書なんて見たことないもの。…そういうあんたはパチュリーだったのね。本とにらめっこしていたら気づかなかったわ」

 

あ、なんか呆れたように笑ってる。ひ、ひどくないかな。

 

「パチュリー様、待ってくださいよー。ってあれ、巫女が2人もいるなんて珍しいですね」

 

「ええ、この2人は霊夢と霊華よ。―――それでパチュリー様に霊夢が私のとなりにいる先代の巫女こと霊華を紹介したいとのことです。ほら、霊夢」

 

はいはい。ありがとうね?

 

 

「あー、そこにいるのは先代の巫女をやっていた霊華よ。一応あんた達で紹介は最後ね」

 

「本当はその名前、名乗ってるだけなんだけどもね。まあ、いいわ。それであなたがパチュリー・ノーレッジで、そばにいるあなたが小悪魔…でいいのかしら?」

 

「はい、私は小悪魔ですよー?まあ、名前じゃないんですけどね」

 

「名前じゃなくとも呼びやすいからいいのよ。…ええ、私がパチュリー・ノーレッジよ。まさか霊夢、それだけで来ていたとか言わないわよね?」

 

言いますとも。

ついでの目的は当初できなくてもいいやってレベルで諦めていたし。そもそも出来るかどうかも微妙だったしね。

いや、フランとの接触は予想外かなー。

 

「…本当にそのつもりだったのね。まあ、いいわ。レミィの言うとおり、貴方は本を大事にするようだし。小悪魔、悪いんだけどもこの霊夢が持ってる本、元々間違えた場所に入れてしまっていたみたいだから戻してくれる?」

 

「しょうがないですね、パチュリー様は。霊夢さん、渡してもらえますか?」

 

「別に構わないわよ。どうせ魔導書なんて私にはこれっぽっちも分からなかったし」

 

それに魔導書とは縁がないだろうしね。

それにしても小悪魔のあれ、私と同じような長さなんだね。短いとやりやすいのかな?

 

「はい、ちゃんと受け取ったので戻してきますね。んじゃ、あとは4人でごゆっくりー」

 

 

「そんな長居しないと思うんだけどもね。…まあ、いいわ。パチュリー、あのフランがあそこまで大人しいのっていつからなのよ。なんかもう宴会の時にはやけに大人しかったけど」

 

「本当。あの時、霊夢に話しかけにいったと思ったら普通に話し出すんですもの。ビックリしたわ」

 

え?見てたの?

てっきり私はレミリアとかと話をしててこっちを見てないかと…。いや、紅魔館のメイド長だからそりゃ見るかな?

 

「それがレミィからの話を普段聞かないのにあの日だけしっかり聞いててね。それからというもの、今の貴方に『会いたいから』とか『友達になれるかもしれないから壊したくない』ということで頑張りだしたわね。宴会に行く前なんて情緒不安定さがなくなっていたのよ?私も驚いたわ」

 

「そんなことをやっていたのね。…霊夢、今度から私も宴会に混ぜてくれる?私もちゃんと今の幻想郷にあうようやるわ」

 

(それにいい加減私も霊夢に妖怪退治の依頼が回るようにしないといけないしね。いつもは人間にも妖怪にも甘い霊夢だけども、幻想郷のことは大事みたいだしね。…ふふっ、第二の故郷ってやつかしら?)

 

 

霊華がまた母親みたいに笑ってる…。

でも二度とお母さんと間違えて呼ぶまい。かなり恥ずかしかったし。

 

「ああ、話がもりあがっているところ悪いんだけども、私、そろそろ戻るわね。んじゃ。…それと、霊華。最初は驚かしてしまってごめんなさいね。パチュリー様もなにか用があれば呼んでくださいね」

 

咲夜って色々とはやいときあるよね。

一応時に関する能力だっていうのは知識としてあるんだけどね。

 

 

「それにしても霊夢に霊華、ねぇ…。面白い組み合わせだわ。先代と今代なんて早々出会いなんてしないでしょうし。…ああ、ちゃんと返してくれるのなら本とか私も貸すわよ。これでも魔導書やそれ以外もあって、気がついたら増えてるとかざらじゃないのよね」

 

「へぇ、いいのかしら?もしかしてらそのまま借りていってしまうかもしれないのよ?」

 

「……よく咲夜から貴方を里で見かけると聞くけども?霊華も見かけるって聞くわね」

 

「そ、それは…そのぉ…」

 

買い出しとか鈴奈庵に本を借りたり返したりしてるとか言えない。

霊華も大体買い出しとかって聞くんだけど、どうなんだろうな。

 

「私は普通に買い出しとかしてるだけよ?それ以外はたいしたことなんてしてないはずなんだけども…」

 

「あぁ…もういいわ。先代の巫女がどれほど霊夢より有名なのかって分かったから。ところで貴方達にはそれ以外の用事はないの?」

 

 

…………あっ、いけない!

 

 

「忘れてたわ!私、里へ行ってくるから、霊華はあと自由にしてちょうだいね!」

 

「自由にってあのねぇ……って待ちなさいよ。私も買うのあるんだから」

 

 

「…パチュリー様、なんか賑やかでしたね」

 

「なんだ、小悪魔なの。そうね、霊夢と霊華。あの2人がいるとレミィも私も退屈しなさそうだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里についた。

ちょっと人通りが多いけど、きっと昼前かなんかなんでしょ。

 

「先に行くとは思わなかったわ…。それで忘れていた用事ってまさか買い出しのことじゃないでしょうね」

 

「えっ?もちろんそれよ?ほら、よく言うでしょ。食べなければ異変解決とかも出来ないって」

 

本当は“腹が減っては戦はできぬ”なんだけどね。

それを幻想的に考えたらこうなった。いや、我ながらよく分からないね。

 

「はいはい。分かったから買い出しいくわよ。んじゃなきゃ色々と少ないんでしょ?」

 

「えーえー、そうよ。だから買い出しにも行こうと思っていたの。それとあわよくば命蓮寺にでも顔を出しに行くつもりよ」

 

「命蓮寺?…あぁ、最近できたって里の人達が言っていたわね。なら私が買い出しをしておくからあなた、行ったらどう?」

 

私が?

うん、悪くない話だろうけど、どうしたものかな。

…あの、顔が凄いよ?真顔ってレベルですむといいなってほどだよ?

 

「……よさそうね。そうするわ」

 

ごめん、顔そらしたわ。断れない雰囲気だだもれだからついそらしたわ。

 

「そう。分かったわ♪んじゃ、私は私で行ってるわね」

 

あ、うん…そう…

仕方ないけど、いくか。

 

――命蓮寺へ



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第39話 寺ができたようだけど、私達は平常運転

駄文ながらもこの小説に付き合ってくださる皆様に感謝しつつ私は……自重を外して書いてます。

まだ予定段階ではありますが、今作品が終わりましたあと、新しい幻想入りを書く予定です。
そちらも恐らくは駄文なものになると思いますが平気な方はお付き合いいただけるとスマホの前で狂喜乱舞……しませんがする勢いで喜びます。


関係ない話はこの辺りまでにして、平気な方は下から本編ですのでどうぞ


命蓮寺

 

魔理沙曰く宝船が変化した寺、らしい。

しかも里外れにある――今確認した――のせいでちょっと不安だ。現にそれなりの人が出たり入ったりしてる。多分守矢神社も影響でそうだな。参拝客的な意味で。

 

心なしか妖怪が人間よりいそうな気がするのは気のせいかな?

……うん、気のせいだといいな。

 

 

 

「おや?貴方は……巫女?」

 

うん、まさかそんな疑問系でくるとは思わなかったよ。

 

「ええ、巫女よ。博麗の巫女。それがどうかしたというのかしら」

 

「いえ、なんの用で来たのかと思いまして。貴方のお名前を聞いても宜しいですか?」

 

普通に様子見なんだけど、なんて警戒されてるんだろう。

 

「私の名前は博麗霊夢よ。んで、そういうあんたこそ名前はなんていうのよ」

 

「あっ、これは失礼したわ。私の名前は聖白蓮と申します。それでお互いの名前が分かったところでもう一度お聞きしますけど、なんの用で来たのでしょうか?」

 

「この命蓮寺がどんな寺か見に来たのよ。…ただ妖怪が多い気がしてね。ねえ、あんたの寺なんでしょ?なんかしてるの?」

 

「ああ、もしかしてこの命蓮寺に入門させている妖怪のことね。なら安心してほしいわ。入門させている妖怪に関してはしっかり見きわめて入門させてるから。人間も少しはそうね」

 

へぇー…寺って入門とかっていうのか。初めて知った。

 

「本当に?…あまり幻想郷のバランスとやらを崩すようなことはしないのね?」

 

「ええ、しませんわ。むしろ私からも1つ。貴方は妖怪のことをどう思っているんですか?」

 

えっ?私が妖怪への印象?

……考えたこと、あまりなかったなあ。

でも、今できてる答えだけでも教えるかな。

 

「……妖怪は人ならざる者。人間を恐怖に(おとしい)れ、食べる者として見てるわ。けども、必ずしも友好的な妖怪がいないわけじゃないことを知っているってとこね。…まあ、要するに悪いことするならどんな妖怪でも容赦はしないってことね」

 

う、うーん…。この解答でよかったのかな。この人?の聞きたいことはさっぱり分からん。

 

 

っておよ?明るい顔になった。

 

「分かりました。そうですね。確かに強く悪い奴は一度こらしめた方がよさそうね。でも貴方はそこまで妖怪に排他(はいた)的ではない。それを知れただけでも私にとってはよい情報ですわ。なるべく迷惑をかけないよう気をつけますね」

 

笑顔が可愛いってレベルじゃない。本当、美しいね。

あ、今気づいたけど、この人って…

 

「ええ、そうしてくれると私もすっごく助かるわ。ところであんたってやけに達観してるわよね。おばあちゃんみたいだわ」

 

「おっ、おばあちゃ……!」

 

え?なに、もしかして禁句だったりする?

…も、もしかしてやらかした?

 

 

「…そう思われるのも仕方ないですね。実際、私はもう人ではないのですから」

 

「なるほどね。そりゃそうもなるわね。んじゃ、私、霊華のとこに行くから」

 

ってうぇ!?腕をつかまれた!?

や、やっぱりやらかしたんじゃ…

 

「…あ、驚かせたみたいでごめんなさいね。ただ1つだけ気になったもので」

 

「な、なによ……」

 

気になるってなに!?

私、なにもおかしなことはしてないハズだけど…。

 

「いえ、貴方…まさかとは思いますけど、幻想郷に大した影響のない妖怪は退治していない、とか言いませんよね?この寺がまだ聖輦船だった頃に来た白黒魔法使いなんて、欲にまみれて…「なによ、私に欲がないっていうの?そういうのだったら私、怒るわよ」」

 

 

困ったように笑ってるけど、そこは妥協(だきょう)しない。いや、私自身おかしいとは思うけどさ。

それに幻想郷のバランスとか云々だってとりあえず聞いてみよって好奇心だし。

…欲がないわけじゃ、ないんだよ?

 

っていうか白黒魔法使いって魔理沙しかいないんだけどさ、当時の魔理沙は宝船として見ていたから仕方ないんじゃないかな

 

 

「そ、そうですか。まあ、さっきまで好奇心旺盛(おうせい)って感じで聞いていたのでそういうのがないわけじゃないようですしね。かといって変なことを聞いてきたわけじゃないですし」

 

「そりゃ聞くならストレートに聞くっていうのもありだからね。遠回しで聞いてばかりじゃ知りたいことだって知れないことがあるんだもの」

 

それにこの人懐っこい感じからして聞けるかなって思ったもんでね。

断られたら聞くつもりじゃなかったけど…いいか。

 

「ま、とりあえず私は寄っただけだからもう行くわね。んじゃ」

 

「分かりました。私もひきとめてしまってすみませんでした。…帰り、気をつけてくださいね」

 

確かに獣道は危険だけど、どこぞの誰かさんの影響で危険もなにもないんだよね。

なにをやっていたらそうなるのか、聞きたいぐらいだよ。

 

「はいはい、どうもね」

 

 

 

 

 

―――と、いうことで霊華はどこだろう。この寺の付近で別れてからあとのことは全く聞いてなかったから居場所が分からないんだよね。

 

出て探してみるもこの付近にはもういないみたいだし。

 

「おや、霊夢じゃないか。こんなところでなにしてるの?」

 

「んー…?ってなんだ、藍なの。今日はその尻尾の方、もふもふなの?」

 

「も、もふもふっ…!?いや、霊夢。それは挨拶でもなんでもないとは思うんだけど、その辺どうだろうか」

 

ふむ、一理…というかその通りだね。

でもさ、もふもふと言えば布団やベッド。

布団やベッドと言えばほぼ出られない、でしょ?

 

 

いや、まあ、関係ないんだけどさ。

 

 

「それもそうね。確かに少しおかしな挨拶だったわ。ところでそういうあんたは里になにか用事でも?」

 

「あぁ、買い物だよ。たまに出ないと食材が足りなくなるからね。お前はどうしたんだい?」

 

「私も買い出しよ。途中まで霊華と行ってたんだけども、命蓮寺があったから好奇心で黒光するアレホイホイよろしく入って行ってたところよ」

 

あ、そこで半目はやめて?

なにかな。ゴキブリホイホイって言えばいい?

幻想郷にそれはなさそうだし、言っても分からないんじゃ…。

 

「例えがおかしいが、なにも言うまい。と、なるとあそこにいた先代の巫女はお前の連れだったのか。多分甘味処にでも行ったんじゃないのか?確か話していたら休憩がてらによるとかなんとか言ってたし」

 

おおー、意外なところで霊華の居場所が分かった。

探す手間がはぶけたからありがたいね。

 

「そうなのね。教えてくれてありがとう。んじゃ私もそこへ行くわね」

 

「あー…荷物が少し多かったから大変だと思うけど、頑張れよ」

 

「……?え、ええ」

 

 

 

 

なんで藍があんなところにいたんだろう。偶然?

そこまで気にしなくてもよさそう、かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから歩いて実際に甘味処まで来てみると霊華がいたんだけど…うん、確かにいい量だね(遠い目)

 

「…あら、もうあの寺はいいの?」

 

「ええ、聞きたいことはもう聞けたからね。…そういうあんたこそ、もうなにも買わなくていいの?」

 

「そうね。必要そうな物はもう買ったから特にないわね。んじゃ、帰りましょうか」

 

そういうと座っていた隣に置いてあった湯呑みとかがのってるおぼんのところにお金を置いた。

そういうシステムなの?

なるほどねぇ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊華の持っていた荷物を一部持って博麗神社に帰るときに聞いたんだけど、どうやら先代の巫女の名前は博麗霊華として広まったらしい。

なのに未だに“巫女さん”とか“博麗の巫女”って呼ばれるのは何故だろう。おっかしいなあ。

ん?そういえばなんかもらったとかいってたな。花だっけ。

 

「……霊華、そういえば花屋から貰ったものってなによ。覚えてる?」

 

「あぁ、種よ。花の種。売れ残ったものを買ってきたからなんの花かなんて分からないわ」

 

 

え、ええー…。参ったな、それは。

ど、どこかに花に詳しい人いないかな…。

 

 

 

そのあとは藍が油揚げやそれ以外も買っていたとかそんなのを聞いた。

うん、マタタビとかも買っていたらしいけど、猫って藍の近くに1人しかいないよね。

 

 

…黙っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

んなことやってたら境内が見えてきた。

 

「あ、魔理沙。霊夢と霊華、帰ってきたみたいよ?」

 

「あー?…おお、そうみたいだな!」

 

 

うん?この声は…アリス?

こんな暑い中、なにしにきたんだろう。

いや、蒸し暑いっていった方が正しいのかな。凄い湿気だよねー。

 

「どこも暑いのによく出てきたもんね…。ったく、ここは避暑地じゃないのよ?」

 

「とか言いながら冷たい飲み物を出してくれる霊夢って優しいよな!」

 

うっさい!私かてこんな場所で誰かに倒れられても困るんだよ!

それに幻想郷で熱中症とか脱水症とかって言ったってすぐには分からないだろうしね!

 

「…はいはい。霊華、荷物片づけましょ」

 

「それもそうね。持ってるのもなんだし。…ちょっと行ってくるわね?」

 

 

「おう!待ってるぜ」

 

「私もゆっくり待ってることにするわ。なんだったら上海でも貸しましょうか?」

 

「あー…平気よ。なんだったら境内は広いのだし、そこで上海達の動きでも見たら?それぐらいはされても大丈夫よ」

 

「あら、そう?悪いわね」

 

(それが優しいと言われる理由なんだけども…。まあ、いいわ。それが霊夢なのだし)

 

――何故、霊華は私のことを微笑ましいなにかを見るような感じで見るのでしょう。まだなにもやらかしてないハズだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荷物を片づけて、ついでに冷たい水を入れた急須(きゅうす)でお茶を4人分用意して縁側付近にいた魔理沙とアリスのところに霊華と共に戻ってきたら、その2人はまだいた。

いや、その2人分の飲み物を用意したんだからいてくれた方が助かるんだけどさ。

 

 

…水羊羹(ようかん)、食べてくれるかな。

 

 

 

「はい、お茶と茶菓子よ。いる?」

 

「あら、ありがとうね霊夢。いただくわ」

 

「いつもいつも悪いな、霊夢」

 

お茶葉、さっき買ったばっかりだけど平気だよね。

水で長めに出すし、なにより新しい奴ならいけると思う。

 

「ああ、悪いけど茶菓子を先に食べてもらえないかしら。水で出してるからまだ少し時間がかかるのよ」

 

「それならしょうがないわね。…水で淹れるなんて珍しいけども」

 

もしかして熱いお茶の方が好きだったかな?

っていうか珍しいもなにも今回初めて作ったからね。そりゃ仕方ないと思うんだけど。

 

「そりゃそうよ。霊夢ったらもうすぐ夏だからと言ってそんなことをしたのよ?茶菓子は私が適当に買ったんだけどもね」

 

「適当に買ったわりには良いもの多いわよね。あ、魔理沙。1人多くて2つまでだからね」

 

「6つもあるのにか?…いや、お前なら少なくとも1人に1つは食べれるようにしたいんだろ。違うか?」

 

いやいや、違わないよ。むしろ言ってることであってる。

 

「首を縦に振るなんてさすが今の霊夢ね。どこぞの誰かに見習わせたいわ」

 

「どっ、どこぞの誰かって誰だよー!」

 

「あぁー…。多分あなたもいつか気づける日が来るわ」

 

「おいおい、霊華までそういうなんて…。そりゃないぜ!」

 

「平和ねぇ…ふふ」

 

笑みが自然と出ちゃうほどには平和だね。

いや、むしろ目の前でそんなことをされてたら普通に笑っちゃうんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

「楽しんでるところ悪いんだけども、せんべいは買ってないの?」

 

「……ねえ、あんたは自分の家にもせんべいあるでしょ?そっちで食べなさいよ。それとも藍に言いつけた方がいいのかしら?あぁ、そこにいる霊華の方がよさそうね」

 

スキマから半身乗り出しかけてるその人にそう投げ掛けた。

というか普通に誰がいるのか見えると思うんだけど。そこのところどうなんだろうね?

 

「言いつけるもなにも…。ああ、紫?あなたには分かりにくい場所に置いたからしばらくは分からないでしょうね」

 

「あらあら。その言い方だとしばらくしたらバレるみたいな言い方ね」

 

「んじゃあ、あなた以外の皆に聞くわね?このスキマ妖怪が見つけられなかったものってある?」

 

 

えっ?見つけられなかったもの?……私はそんなの見たことないね。

フリも含めて、だけどさ。

 

「…私はそもそも見かけないわね。森と里を行き来してるのもあるんじゃないのかしら」

 

「私も知らんな。紫なんざ早々出会わんし。むしろ布団の場所とかなら知ってるぜ」

 

「魔理沙、それは色々と違うし、なんでその場所は知ってるのよ。…ああ、私はそんなところ、見たことないわね」

 

「お前がよく出してたからな」

 

いつ見てるのさ、あなたって人は。

…いや、いいんだけどさ。

 

 

「っていうわけで紫の分は私が持ってくるわ。それまで皆で話しててちょうだい。じゃ、とってくるわね」

 

どういうわけかな、それは。

全く分からないよ。

 

 

「そうだわ。ちょうどいいから貴方達から色々と聞こうじゃないの。…それこそすべてを、ね?」

 

なにを聞かれるんだろうね。

多分この時、皆の考えてることは同じだったんだろうな。

さとりみたいに考えが読めるわけじゃないから、分からないんだけどね。

 

 

 

「とりあえずあのことから話しましょうか」

 

「待て待て、霊夢。それだと心当たりのある話のうちどれか分からないんじゃないのか?…というかお前も分かってないだろ」

 

「ええ、どの話で来るのかさっぱり分からないわ」

 

それとなく聞き出せばいいかなーとは思っていた。

素直に聞いた方がはやいんだけどね?

 

「貴方達ねぇ。…アリス、貴方は?2人と違ってなんとなくは想像がつくでしょう?」

 

「ええ、まあね。地底の話、そうでしょう?」

 

あ、なんだそれなんだ。

でもただ地底の話するだけなら霊華に苦手な者を見るような眼差しを送らなくてもいいんじゃないですかね。

あれでも性格は丸くなった方なのに…。

 

 

「私はその時、アリスから聞いただけだったしな。それに行ったのだって解決後の地底だ。詳しい話なら霊夢がした方がいいと思うぜ」

 

「ん、それもそうね。ちなみに地底のあとは通信機入りの陰陽玉を持っていってないし、紫が分からないのも当たり前だと思うわ。それこそ私をスキマから見ていなきゃ、ね」

 

それに私が持っていかなかったのは早苗達守矢神社も協力的なんだから、大丈夫だろうと思った私の独断なんだよね。

悪いね

 

「そりゃ分からないわけだわ…。とりあえず、話してちょうだい。地底はどうなったわけ?」

 

「簡潔に言えばもう放っておいても平気ってことね。なにせあれは守矢神社の方が山の産業革命として行っていた常温核融合の結果だったようだし」

 

「ま、待てよ霊夢。それだとあの間欠泉はどうして出来ていたんだ?それに核融合?とかする場所ないだろ」

 

ん?ああ、魔理沙はあの地霊殿から奥には進んでないもんね。

んなら仕方ないか。

 

「それが地霊殿より更に奥の方に中庭があるのよ。そこからもっと奥へ進めばちょうどいい場所があるみたいでね。しかもちょうどいい人材…いえ、妖怪だったけども、それもいた。そこに目をつけたのが守矢神社だったようよ」

 

もちろんあの間欠泉で地底に行った後、守矢神社にも行きましたとも。

ちょっとした話も聞けたしね。

 

 

「なるほどね。…続けて」

 

「はいはい。んで、当初は河童達に外の世界に存在している核は危ないって話はちゃんとあがったそうよ。だからそこはいいんだけども、問題はそうした後だったわね」

 

それで間欠泉が出てたんだよね。

あの2柱?が空にやった能力が…っていうのもあるけどね。

 

「あ、もしかしてあの間欠泉のことか?ほら、怨霊コミコミで吹き出ていたあの…」

 

「ええ、それよ。あれの原因は能力を与えられた空の吐き出す余剰分のエネルギーだったってこと。怨霊は恐らくさとりじゃないわ。あいつは考えを読むことはしてもそういうのはしないでしょうし。…まあ、結局…もういいわ」

 

「地底も凄かったもんな。その奥なんて相当蒸し暑かっただろうぜ。いや、ここも今は充分暑いんだけどな」

 

今確か大体梅雨辺りでしょ?

そりゃ暑いよ、魔理沙。

 

「……なるほどね。それならもういいわ。間欠泉が止まらないってことはよく分かったのだから」

 

「今のでよく分かったな、紫。誰も話してなかっただろ」

 

「そうね、私も話してなんかいないわよ?…そもそも私は間欠泉までのことしか知らないもの。それは紫だって知っているはずよ」

 

そこはもう紫だからってことでいいんじゃないのかな?

 

 

 

 

「相変わらず紫は紫よね」

 

「あら、霊華。もう戻ってきたのね。……まあ、せっかくお茶を淹れてもらったのだし、いただいてくわ」

 

(紫の愛想笑いみたいなのは初めて見たな。しなくてもいい気がするんだが…まあ、霊華も気にしてないようだし、別にいいか)

 

 

「でもここまで来ると霊華と霊夢がやっている茶屋みたいね。神社ではないみたいだわ」

 

「うちはそういうとこじゃないのよー?」

 

しかもこれっぽっちもあってないしさ。

神社はそういう場所じゃないですよー?

 

「お、それよさそうだな。紫は材料を調達するんだろ?」

 

「幻想郷と外の世界で、でしょう?違う意味ではよさそうね。今のところ勝手に布団を一組増やしたことなどしかしてないし、それ以外もよさそうだわ」

 

「あんたって本当スキマで色々とするのが好きね。いやまぁ、布団とかそういうのは凄く助かるんだけども」

 

そういうのを買いにいくのも大変だしね。

そもそも里においてるかどうかも問題なんだけどさ。

 

「そのうち魔理沙が泊まりにきたりしてね」

 

「えっ?もう何回か来てるわよ。でしょう?魔理沙」

 

「まあな。ほら、やっぱり今の霊夢の方がからかってて楽しいしな」

 

「なによ、それー…」

 

私はそういうのじゃないんだぞー…?

 

 

「ふふ、でも賑やかなのはいいことよ?私の時なんて、そんな友人あまりいなかったのだから。森近さんとかは違うけどもね」

 

「そりゃ貴方は霊夢よりしっかり仕事をしていたんですもの。そうなるのも当たり前ですわ。……ところで霊夢にもいい加減妖怪退治を少しさせたらどうかしら?彼女も簡単なものなら出来ると思うのだけれども」

 

「ああやって魔理沙とじゃれている霊夢を見るのが楽しくってつい受けちゃうのよ。いやぁ、1人だった時よりいいわー」

 

(…それ、なんか違う気がするわね。霊夢なら『それとこれは違うわよ?』とかって言いそうね。それに魔理沙が『いつものことなんだけどな。そんなに楽しいのかね』とかっね不思議がりそうね。…ふふ。私も見ていて飽きないわ。今度人形劇でもして驚かしてやろうかしら)

 

 

 

「……あー、もういいわ。博麗霊華。そのうち霊夢にも妖怪退治を少しはやらしてあげること。仕事熱心なのは分かるけども、今代の彼女にもさせないと今後大変になるわよ?まあ、スペルカードルールがあるから早々ないわけだけども、ね」

 

「紫も諦めるのはやいわねぇ」

 

「そう思うならあの2人止めてきてちょうだい。ついには弾幕ごっこまでやりだしたわよ」

 

「あらま。こりゃ大変ね。止めなきゃ」

 

(とか言ったけども、私は混ざることにでもしようかしら)

 

 

「……紫。あの子、多分止めないわよ?」

 

「―――もういいわ」

 

 

 

 

 

 

なんかアリスが弾幕ごっこに混ざってきた。

なんか凄い見づらいけど…なんか楽しいからいいか。

 

 

――そのあと、魔理沙とアリス共々紫から呆れたような眼差しを送られていた。

何故かと聞いても分からなかったんだけど、どういうことだったのだろうか。

 

「不思議なこともあるものね」

 

「んだな」

 

「ふふ、なんででしょうね」

 

 

なんかアリスだけ知ってる感じだったのはきっと気のせいじゃない。……多分。



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第40話 梅雨入りと共に

色々な原作が混じっている?

系列がいまいち分からないっていう作者が原因ですね。
仕様だと思ってください(白目

それでも平気だというかたは下からが本編になってます。適当にどうぞ(遠い目


あの命蓮寺に出向いてからしばらくすると雨がよく降るようになった。

里にあるらしい天気予報の龍みたいなのもよくそれだって、子供達から結構聞いた。

しかもあんまり外れない…。

 

うん、すごさは分かったけど、とりあえずこれって

「梅雨入りしたわね…」

 

うん、それしかないだろうしね。

あ、そういや確かあの像、龍神様って呼ばれてたような。

 

 

 

 

「霊夢、部屋から外を見てたって晴れやしないわよ?」

 

「あら。なんだ、霊華なの」

 

いやまぁ、むしろ外を見てて晴れたらすごいよ?

私が晴れ女だとしても出来ない芸当だろうし。

 

「そりゃ私しかいないのだから私以外には早々顔を出さないわよ。―――あぁ、紫や魔理沙がたまに出すんだったわね」

 

「そこに萃香っていうのも足してくれないかしら。あの鬼、どこにでもいるみたいだから」

 

 

なんだっけ。三日置きに宴会だかなんだかをさせた張本人らしいね。

確か春に起きたある異変のせいで春が短くなったのが原因だとかなんだとか。

まあ、私が解決したわけじゃないから詳しくは知らないんだけどさ。

 

 

「なるほど。鬼か……。ふふ、そういうのもいたわね」

 

「えっ?あんた…萃香に会ったことでもあったかしら?勇儀だってあまり旧地獄から出てきてはないはずだし…」

 

それに地霊殿に行ったのは私。

陰陽玉を通信機に改造した紫がその支援。

みたいな感じでやったから霊華は知らないと思うんだけどな。それにさとりはあの時、確か…うん、私が行くって言ったんだから…あれ、霊華はどこにいたんだろう?

 

 

(黙ってたし、気づかれなかったでしょうけど…仕方ないわね。紫にも気にしないよう伝えてたし。……それに、1度だけでいいからどうやってスペルカードルール下で解決しているのか見たかったのよね)

 

「霊華、あんたって萃香とか勇儀とかのどっちかでもいいから会ったことあった?」

 

「ふふ、さて…どうでしょうね?」

 

え、えぇー…?なにそれ…。

むう、このままじゃよく分からないな…。

 

 

 

「あれ、霊夢と…そちらは?」

 

「えっ?あんた誰よ」

 

「「えっ?」」

 

いや、知らないですよ?

顔見知りだと思ったの?

 

 

 

「おー?お前達、どうしたんd……あれ、そいつは誰なんだ?」

 

うん。すごいタイミングでくるね、あなた。狙ってるの?

 

「あら?2人共、分からないの?私のこと」

 

いや、本当に知らないんだって…。

魔理沙は?…うん、首を横に振られた。

 

「……茨木華扇って名乗ってるんだったわね?あなたは」

 

「うん?そういう貴方は……まさか、先代の巫女ですか?」

 

「あら、まさか知り合いの顔を忘れたとは言わないわよね?ねぇ、華扇?」

 

へぇー…かせんって言うのか…。

なるほどねぇ…。

 

「んー、なんかそんな奴いたな。でも、華仙なんて名前だったか?」

 

「……そうでしたね。それで2人は思い出した?…と聞きたいところですが、霊夢はそうでもないみたいですね。なにかあったんですか?」

 

「なにかあったというか…。私、元外来人よ。だから、悪いけどあんたのことは記憶にすらないわね」

 

なんか霊夢本人の方も曖昧みたいだしね。

…にしてもあんまりかせんの表情が変わらないのはなんでだろう?

 

 

「なるほどね、納得がいきました。それなら仕方ないですね。それで、2人はなにをしていたんですか?魔理沙はさっき来たので聞かないとして」

 

「雨を見ていただけよ。ちょうど朝食もさっき食べ終えたばかりだし」

 

「私はそんな雨を見ている霊夢に見ていてもすぐにはやまないわよって言っていただけよ?…にしてもあなた、いつの間に来たのよ。魔理沙は分かったけども…あ、それ脱いでからあがってちょうだいね?」

 

「あーい。んじゃ、あがらせてもらうな」

 

さっきからカッパみたいなのを着ているとはいえ、外にいたもんね。

でもさ、魔理沙。あなた、傘は?なんで置いてきたのかな。

あとで聞くとしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙はカッパをしまったあとにあがってもらったんだけど、その時に思い出したことがある。

そういえば聞くと言えばもう1人にも聞きたいことがあるんだよね。

 

「ええと、あんたの名前って華仙でいいのよね?ほら、難しい方の“はな”に仙人の“せん”って漢字の…」

 

「ええ、そうですね。フルネームは茨華仙、っていうんですけど…貴方が実は元々外来人だったなにか、なら私のことを知らなくても仕方がありませんね。…まさか先代の巫女がいるとは思いませんでしたが」

 

「あら、華扇。話しているところあれだけども、私は今霊華って名乗ってるのよ」

 

「へぇ、そうなんですか。なら、フルネームで呼ぶと博麗霊華っていうことになりますね」

 

うん、本当ならそう呼ばれるんだろうけどね。

霊華って未だに名前で呼ばれてないんだよ。多分妖怪退治をほとんど霊華がしているからだろうね。

私にも少しマワシテー。

 

 

「…貴方のことは話には聞いてましたが…どこまで行っても先代は先代でしたね。霊夢と変わらないようなところが相変わらずあるんですから」

 

「ねぇ、それってどういうことよ。教えてくれる?」

 

「私も聞きたいわ。霊華にもあるところってなによ」

 

 

特になにもないと思ってたんだけどな。

ほら、似通ってるような部分ないし。…どこなんだろう?

 

「華仙、それって気のせいなんじゃないか?」

 

「ええ、そうよ。私なんて学業関係の神様を招いてみたことなんてあったのだからね。…信仰はされなかったけども」

 

「霊華、霊華。それは寺子屋とかそういう場所しかない幻想郷より小学校や中学校っていう場所がある方が信仰してもらえたかもしれないわよ」

 

「そ、そういうものなのかしら…」

 

うんうん。もしかしたら、だけどね。合格祈願とかするほどみたいだし。

ってあれ?霊華に小学校や中学校のこと、教えたっけ。

 

別に知っていてもいいんだけどさ。

 

 

「…なるほど。そうでもなさそうですね。それにしても、話にしか聞かなかった先代の巫女……あぁ、霊華は何故現代に?」

 

 

「分かりやすく説明してもよいのだけれども、長くなってしまうから少し簡潔に教えるわね。なんでか、と言うと前に倒した謎の怪異かなにかのせいでこっちへきてしまったみたいなの。霊夢も外の世界から偶然、ってところね」

 

「そうだったんですね。あれ、でも霊夢は前からいたってことは…きたのは精神体、というわけですか」

 

といったあと、なんか難しいことをぶつぶつ言い出した。

うん、さすがにそういうのはよく分からないかな。

 

 

 

「でもさ、どうしたらこういう奴が来るんだ?性格なんて私の知っていた霊夢とはだいぶ違うぞ。それこそ私みたいな奴から言わせてみれば別人クラスにな。強いてあげるとすればサボり癖が若干あるぐらいか?ところどころおかしな部分もあるが…そっちはつっこまないぜ。お前だからありえる話だし」

 

 

いやいや、ところどころおかしなところもあるってどういうことかな?

私はそんなおかしなことしてないよ?…心当たりがない、ってわけじゃないけどさ…。

 

「確かに不思議ですね。その話は今の霊夢を見ると明らかに本当の話なのですが…霊夢に近くない人がこういう形で幻想入りするものなんでしょうか」

 

あれ、なんで霊華が不思議そうな顔をしてるんだろ。

首までかしげたし、なんか知ってたりして?

いや…ありえないか。人間だし。

 

 

「そうかしら。むしろありえない話ではないと思うのだけれども…。別にいいわね、この話はまたいつかするってことで」

 

「そうですか。…なら無理には聞きません。いつか聞かせてくださいね」

 

「それはいいんだけどさ、なんで華仙がいるんだ?なんか用事でもあるのか?」

 

 

(霊夢的には魔理沙もなんで来たのかって聞きたいみたいね。…顔に思いきり出てるし、分かりやすいわ)

 

 

「少し様子を見に来ただけですよ。それに霊夢や魔理沙達以外に先代の巫女もいるというじゃないですか。その人物にも興味がありましてね。……一応酷ければ説教もしようと思ったのですが、霊夢と霊華にはいらなそうですね」

 

「まさかとは思うけども…魔理沙にはする、と言うんじゃないわよね?」

 

さっきのに魔理沙の名前があがってながったし。

 

「はい、しますよ。…と、いうわけで1室借りますね」

 

「あっ、ちょっ!?は、離せってば!私はなにもしてないんだぞ!?」

 

 

わぁ、賑やかだなー

 

「……霊夢、終わるまでお茶にしましょうか」

 

「それがよさそうね。ちょっと淹れてくるわ」

 

「悪いけど、お願いね」

 

ちょうどせんべいもあることだし、これでお茶をするかな。

そうとなれば…

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしたら、魔理沙が参ったと言わんばかりの顔で戻ってきた。

華仙は…そうでもないね。

 

「さすがに今日はあれ以上言いませんよ。私は先代の巫女に用事があってきていたのですから」

 

(じゃ、じゃあ私は説教される必要なかったじゃないか!こいつ、なんでしてきたんだ!?)

 

「あ、霊夢と魔理沙にもありましたよ?…今の人間と妖怪に色々話したいことがありましたし。ただ霊夢はちょっと違う話の方がよさそうに思えてきましたけど」

 

「あぁ…そうなの。大変ね、あんたも」

 

「かなり他人(ひと)事だな。…いや、確かにお前からしたら他人事か」

 

 

だって実際にそうだからねぇ。

私からすれば初対面の人になるわけだし。

人かどうかはともかくとして。

 

 

「それで霊華、貴方はやけに妖怪より強くないですか?この幻想郷に現れて以降、妖怪退治をしているみたいですけど軽傷より酷い怪我をするほど苦戦はしていないみたいですし。…なにせ里の人達がまた霊華に依頼しだすようになったほどなのでおかしいなと。なにかしているんですか?」

 

 

「いいえ、こっちに来てからは修行しかしていないわよ。あとは霊夢にも少しの間同じレベルの修行をさせたぐらいで…。それ以外はさっぱりね。強いて言えば妖怪退治を私がほとんどしてるってところかしら?」

 

「もう私も大丈夫って言ったのによ?あんまりだとは思わない?」

 

一応里に私のことを知らない人はほぼいないみたいなんだけどさ。

それでも霊華にばかりそういう依頼が来るのは、ねえ。

 

「私的には霊夢とよく会えて嬉しいけどな。一番の親友だし」

 

「あんたはそうでなくとも結構な頻度(ひんど)で来てるから会えると思うんだけども…」

 

「確かにそうね。ほぼ毎日来てると言っても過言じゃないほどには来てるし。それで華扇はなんの用なの?一応霊夢達にも聞かせられるか、というところも知りたいのだけどもいいかしら」

 

「ああ、霊夢達は聞いても大丈夫ですよ。むしろ霊華について知れるのでよいかと。……霊華、貴方は何故そのような強さを?先代の巫女だから、以外の理由が知りたいのですが…話してくれますよね?」

 

「―――いい加減、話さないといけないってことね」

 

 

(そういや異変が原因できた、という割には確かに強いしな。弾幕ごっこに関してはなんとも言えなかったが……なんなんだろうな、言ってないことって)

 

なにを言っているんだろう、と思ったけどすごい真面目な顔をしていた。

なにか、まだ言ってないことでもあったのかな。

私もかなり気になる。黙って続きを話すの待ってよう。

……さて、なにを言うんだろう。



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第41話 今日は雨。心にも降りそうです

これで大体は拾えたでしょうか…(遠い目



このような二次創作が平気な方は下からが本編になっていますので適当にどうぞ


「…前の異変のことになるんだけどもね、あれは本来こうなる前に解決できたかもしれないの。でもちょうど私も衰え始めていたんでしょうね、解決できなかったのよ。…ま、皮肉な話よね」

 

ふむふむ、なるほど。

1つだけ分かったことがある。

 

 

 

 

―――話の内容がよく分からない

 

「その話、まだ続きがあったりしないのか?今の流れだと、どうしてこうなったのか全然理解できないんだが」

 

「そりゃそうよ。まだあなたの言うとおり、続きがあるのだから。…それでね、言ったでしょう?外の世界の人間も巻き込んで現代の幻想郷にきたと。あれ、ここについての知識…というべきかしら。それを持ってる人が優先的に狙われてたみたいなのよね」

 

「ちょっとその話、突拍子もないわよ。もし、霊華の言うことが本当だとするならば私は今ごろその知識も使ってるはずよ?」

 

外の世界で覚えた知識だって使ったり、応用したりしてるんだから使わないはずないと思うんだけどね。

私だけかな、そう思うの。

 

「…そこなのよね。私もそれ以上のことは聞けなかったわけだし、その上調べようにも難しいのよね。記憶を読めばいいんでしょうけど、本人にない記憶は読めないでしょうし…」

 

「そういうこともあったのですね。ただそうすると霊華。貴方にその衰えを感じないのですが、なにかしたのですか?」

 

 

か、華仙もだいぶ踏み込むよね。

大体の人や妖達は先代の巫女ってだけですごく気にしてるみたいだったのに…。

 

(…霊夢が苦笑いしてるな。まあ、こんな話になっちゃどうしようもないか)

 

 

「特になにもしていないわよ?強いて言えば何故か若返ってしまったぐらいかしら。おかげさまですこぶる動きやすいから特段気にはとめていなかったのだけども」

 

「それ、気にするところでしょう!?」

「それは普通気にするもんだぜ!?」

 

 

「……。まあ、そうですね。普通なら最初に疑問を持つべき場所ですね」

 

「あ、あなたまでそれを言うのね。参っちゃうわ」

 

困ったように笑ってるけど、気づいてるなら不思議に思おうよ、霊華!そうでなくともなにかしら起こったとか思おうよ!

幻想郷だからって考えたらキリないって!

 

「とりあえず、霊華は謎の若返りをしてこちらに、霊夢はなんやかんやあってこちらにきたことは分かりました」

 

「なんやかんやってなによ!?私だけ略されすぎじゃないのかしら?!それは私も傷つくわよ!?」

 

「つっこ巫女って言ったら笑うか?」

 

「魔理沙、それはちょっと違うと思うわよ。あとそんなにつっこんでなんかいないわ」

 

 

(霊夢、あなただいぶつっこんだりしてきてると思うわよ。…まさか、無自覚?……どんな子よ)

 

「まあ、今回の知りたいことが知れたのでもう帰りますね。ただまだ語りたいことはたくさんあるので次も来ることにします。では、また」

 

「うぇっ!?また来るのかよ!」

 

「映姫よりはマシなんじゃないのかしら、華仙の説教って」

 

魔理沙、そこは「あ~…確かに」とかって言わない方がいいんじゃないかな。

 

「説教にマシもなにもないと思うのですけどね。さて、ペットもいるので本当に帰りますね。では」

 

「はいはい、またね」

「じゃあな、華仙」

「また会いましょうね、華扇」

 

 

 

そう別れの挨拶をしたら今度こそ帰っていった。

ってあれ。いつの間にやんだんだろう。

 

「なんか急にやんだな…。まあ、いいんだけどさ。ところでお前んとこに映姫とかって奴、来てるのか?」

 

「ええ、たまに来てるわよ。ねぇ、霊華?」

 

大体“少し貴方は優しすぎる”とか“少し貴方は掃除が適当すぎる”とかもはや聞きなれたもんだよ。

いや、あの。掃除は目をつぶってほしいなー、なんて。

……まあ、うん。駄目なのは知ってるけど。

 

「ええ、挙げ句には私にもしていくのよ。確かにあれも閻魔らしいんでしょうけど…説教が好きなんて、変わってるわね」

 

「たまに来るっていうだけいいだろ。私なんてしょっちゅう来られるんだからな。しかも長いし」

 

「なるほど、長いですか。……では、貴方は地獄へ行きたいと?」

 

 

……お?

この声、どっかで…

 

「げっ!?お前は…四季映姫!?なんでここにいるんだよ!」

 

「あら、映姫ー。あの異変もどき以来ね」

 

(この2人でこんなに差が出るなんてねぇ…。魔理沙のところの方によく行ってるのがよく分かるわ)

 

 

「魔理沙、貴方は会って早々そんな風に反応するのですね。いけませんね。また、ありがたい話でもしないといけないのでしょうか?…それと霊夢。そうですね、あの時以来あまり顔を見に来る機会がなかったのですが、ふむ。どうやら前より落ち着いたようなんですね。それはなによりです。強いて言えばやはり優しすぎます。退治すべきものはちゃんと退治しているみたいなんですけど、それ以外の反応は……はぁ」

 

 

うん、こりゃ酷い。

 

「ため息つく必要ないじゃないの。あんまりよ?」

 

「そんなに困った顔していないじゃないようなので大丈夫そうですね。―――あぁ、それと貴方には1つ。前に死んだらというもしもの話をしましたね。覚えてますか?」

 

ん?…あぁ、小町の首根っこをひっつかまえながら言ってきたことね。

 

「ええ、覚えているわ。確か、地獄に行けるとか行けないとか。あの世には行けるって考えたから間違ってないはずなんだけども…」

 

(ってことはこいつ、あの異変の時にすぐ動いていたってことか?ぐっ、いつの間に動いてたんだ…?しかもそんな素振りをこいつはしてなかったし。…素直に驚きだな)

 

 

「はい。その話についてなんですが、最近地獄になら行けるようになりましたよ。ですが、少し貴方はポジティブすぎる面があるのでこれからも善をつめるよう頑張るように。いいですね?」

 

せ、説教を抜きにしてもそういうことを言うんだね…。

うう…根の真面目な人だなぁ…。

 

「霊夢、“いいですね?”」

 

「わ、分かったわよ!分かったから!そんな強く言わなくたっていいじゃないの!」

 

コワイデス!

 

「それならよいのです。頑張るようにしてくださいね」

 

「ふーん、霊夢もちゃっかりそういう説教をされるんだな。いいとこ見たわ」

 

「貴方はもっと善行を行う!そんなんだから地獄にしか行けないんですよ!その手グセをはやく直すように!」

 

「うっ……。わ、わぁーったよ…」

 

「それ以外にもダメなところがたくさんあるんですからね。ちちゃんと自覚してくださいね」

 

 

「……閻魔、というのはなんとなく察してたけども、まさかそこまでの人だとは思わなかったわ。結構厳しいのね、基準が」

 

 

いやいや、厳しすぎやしませんか。

華仙はそこまで魔理沙に言ってなかったようだけど、映姫にはたくさん言われてるのかどことなく嫌そうな顔をしてるし。

私も分からなくはないんだけどね。

……うん(遠い目)

 

 

「当たり前です。私はなるべく正しい道を進んでもらうために話をしているのですから。……それにしても先代の巫女、貴方は……いえ、なんでもありません。ただもう少し自分を労るように。では、私は少し寄っただけですので他の場所へ行きますね」

 

「はいはい、分かったわ。気をつけてはみるわね」

 

 

 

 

 

 

うん、なんか意味深だったけど別にいいか。

それにしても今日はやけに説教好きな人が来るね。いや、多分違うだろうけど。

 

「はぁ………。なんかやけに人が来るな、この神社」

 

「ねぇ、魔理沙。鏡でも見てみなさいよ。この神社にもう1人来てる人がいるから」

 

ハハハ、と笑ってもダメだよ?

 

「霊夢、私は親友だ。ただ遊びに来て泊まるだけなら来客じゃないだろう?」

 

「…なんかそれ、違う気がするんだけども」

 

「まあ、いいんじゃないかしら?たまにだったら来られても問題ないし、魔理沙は人間の魔法使いなんでしょ?」

 

「ああ、そうだな。…っていうか前に教えたの、覚えたのか。もう忘れてるかと思ったぜ」

 

「いくらなんでも、そこまで老いてはないんじゃないかしら?」

 

「さて、どうでしょうね。華扇と話した内容を思い出すように、としか言えないわ」

 

なんだそりゃあ。

 

 

 

「あ、そうだわ。ちょっと霊夢と魔理沙。弾幕ごっこを練習させてちょうだい。…異変を解決しに行かなくともスペルカードルールに慣れておきたいわ」

 

「あっ、それならオーケーよ。私の分かる範囲で教えるわ」

 

「んじゃ、私はその残りをやることにするな」

 

 

………魔理沙?(ニッコリ)

 

 

「な、なんで無言でこっちを見るんだよ。あと目が笑ってないからな?……分かったよ、私も教えることにする。それでいいだろう?」

 

「ん、ならいいわ」

 

「お前なぁ…」

 

 

そこからほぼ1日霊華と1対2の弾幕ごっこをした。

昼食とか夕食とかとりつつ、だけどね。

…いや、うん。魔理沙が泊まるのは確定なのね。

 

仕方ないから私の部屋で一緒に寝ることにした。

特に変なことをするわけじゃないだろうしね。

 

 

 

 

 

ってまぁ、寝たのはいいけど…

『いやぁ、同じ夢を見るもんね。あ、前はつい一言いってしまったけど、あの時、ちょうど昼休みに寝てしまったのね。それでちょっと干渉できてしまったのよ。仕方ないでしょう?』

 

いや、なに言ってるのかよく分からないです。

というか、昼休み?え、あなたどこにいるの?

 

『今は家だけども、平日は学校ね。名前も××って言って、最近はようやく他人(ひと)に興味を持てたの。体育のおかげね』

 

そ、そうなの…。まあ、興味を持てたんならよかったんじゃないの?

 

『そういうものなのかしら。本当は私、博麗霊夢って名前だと言うのに。名乗ろうにも名乗れないわ』

 

―――はい?博麗、霊夢?

 

『ええ、そうよ。なんだったらどうして考えてることが読めてるか教えましょうか?』

 

あっ、じゃあ…お願いするね。

ちょっと気になってたし。

 

『夢ならなんでも出来る。こういうのを、明晰夢っていうらしいじゃない?外の世界ってすごいわね』

 

せいだいに馴染んでる……。

いや、あの、霊夢さん?

 

『あー、別に敬称はいらないわよ。強いて言えばゲェムの攻略法を教えてほしいわ。あんたもやってたんでしょう?夢の中だけでいいから教えてちょうだい』

 

うん、答えついでにすごいのを聞いてきたね。

それで…ゲームの攻略法だよね?そんなんでいいの?

もっとこう…他のじゃなくていいの?

 

『いいのよ。外の世界は案外楽しいのだから。まあ、遠出すると車や人が多くて大変だけれども。……なにせ私もどうやら幻想郷に帰れないようだから』

 

うん?帰れない?

まさか霊夢も…

 

『ええ、原因は分からないのだけれども何故か戻れなくなってしまったのよ。別に慣れたから悪くはないのだけども……』

 

そ、そうなんだ。

 

『あ、この異変、あと少しで解決するようよ?残念ながらお互い、元の世界に戻れるわけじゃないようだけども。…あ、これはあくまでも私の推測よ?本当かどうかなんてならなきゃ分からないわ』

 

えっと…私は戻れないって魔理沙から聞いたよ。

ちなみにそれを言ったのは紫だってその魔理沙から教えてもらったよ。

 

『あら、あいつがそんなことを?…ふぅん。ま、いいわ。あとはあんたが決めることよ。私は案外この生活に馴染んじゃったから戻らなくてもいいって感じだけども。……ほんと、ゲェムって楽しいわね。全然飽きないわ』

 

あ、そう…。なんか楽しそうでなによりです。

それで、何故にまた夢で会ってるのかな、私達。

 

『あぁ、忘れてたわ。…恐らく、あんたの元悪夢と私の夢が関係あるんでしょうね。ほら、私は悪夢を見なかったわけだけども、元々は幻想の住民じゃない?んであんたはあの異変のせい――ああ、なんで知ってるかは私でも知らないわ――で悪夢を見たせいでしょうね。それ以上は分からないわ。専門家がいればまた分かるかもしれないけども…』

 

な、なるほど…。

いい情報交換になるね。寝てるのに。

 

『いいんじゃないかしら。私も助かるし。さて、私はそろそろ起きなきゃいけないから起きるわね。学校があるから遅刻したくないのよ』

 

……あー、そうか。学校にはそんな概念があったんだったね。

すっかり忘れてたよ。

 

『んじゃ、また今度ね。それとまた偶然幻想郷に誰か来ちゃったら前みたいにお願いね。なんか私がやらかして行っちゃうみたいだから。宜しく~』

 

―――あの幻想入りした生徒はあなたのせいかぁーー!!

 

 

 

 

そう叫んで、私も目覚めた。

魔理沙が横に寝ていたのを思い出して見てみたら、ぐっすり寝ていた。

よかった。実際にそう叫んでいたらどう説明しようか悩むところだったよ。



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第42話 夏って言えば○○○

区切りをよくした結果、文字数が少なくなりました。


こんな感じですが、平気な方はどうぞ適当に読んでってください。


……あぁ、うん。とりあえず魔理沙は寝かしておくかな。

朝食を作りにいかないといけないしね。

 

多分、霊華は起きたあとすぐに弾幕の練習とかもしそうだからこのままだとなさそうだし。

いや、最近は修行やら練習やらと忙しいみたいだからそもそも作らないとないんだけどさ。

 

 

仕方ない。たまには違うのも出してみるかな。

工夫して、さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、それであんな朝食だったんだな」

 

「ええ、そうよ。それで、目玉焼きを作ってみたの。あとスクランブルエッグとかも」

 

いつも同じような感じより違うのもいれてみようかなってことでこうなった。

まあ、霊華にビックリされたのがいい思いで。

 

「ま、たまにはいいでしょう?ね?」

 

(いや、笑顔で言われてもなぁ…。いや、味加減はすごくよかったんだけど、あれ…ああいう料理だったんだな。知らんかったな)

 

 

 

 

「おはようございます………ってあれ?魔理沙さんもいるじゃないですか。どうして博麗神社に?」

 

 

そう聞こえた方へ顔を向けて見たら、ちょうど空から降りてくる途中だった。

早苗もなにか用でもあるのかな?

 

「単純に泊まってるだけだぜ。そういう早苗はどうしたんだ?」

 

「霊夢さんとなんとなく話をしたいな、ってことで来ました。ついでに巫女はなんたるかと外の世界についての語らいを……!」

 

「ほう、そうなんだな。霊夢、よくあるのか?」

 

えっ?あの守矢神社に霊華と共に向かって以来そう話はしてないと思うんだけど。

いやぁ…確かにそんな話をしたような…

 

「いえ、こっちでは初めてよ。と、いうか早苗、あんたいいの?」

 

「…へっ?な、なんのことですか?」

 

あれ?私の聞きたいことってそんなに分かりにくかったかなぁ。

 

「ああ、霊夢。それだと早苗だって分からないだろ。商売敵にそんなの教えて平気なのかとかそういう分かりやすい聞き方にしてやらないと、だろ?」

 

「あ、あぁー…!そういうの、すっかり失念していたわ」

 

そりゃそうか。話の流れを急に変えたようなもんだし。

いやほら、一応私も巫女でしょ?

だから、早苗からしたらライバルとかってなってもおかしくにいだろうに。

あれ、もしかして一方的にそう思ってるだけ?

 

「あー、なんだ。そういうことでしたか。それなら大丈夫ですよ。霊夢さんには巫女とはなんたるかを教えておいた方が後々楽になりそうですから」

 

「なるほどな。確かに霊華と同等かそれより知識があるかって聞かれたらないもんな」

 

「しょうがないじゃない。元々巫女とは無縁だったのだから」

 

 

(少しスネてるな、こいつ。(くちびる)をとがらせるから分かりやすいぜ)

 

「感じからしてそうでしたもんね。…だから教えるんですよ、巫女としての基礎。あ、もちろん私の方の、なんで博麗の巫女については霊華さんに聞いてくださいね?」

 

 

うん、まぁ…仕方ないね。

守矢神社と博麗神社。同じ神社だけど、細かいところは違うだろうし。

 

 

―――そういやすっごく関係ないんだけど、あの時…霊華と神奈子&諏訪子が意気投合しすぎてビックリしたんだよね。

どうしたらあんなに考えていることなどがあうんだろうね?

よく分からないよ。

 

 

 

 

「それもそうね。いえ、むしろ嬉しいわ。んなら、悪いんだけども指導お願いしてもいいかしら?簡単なことしか分からなくって外の世界である神社のやり方を真似するしかなかったわ」

 

「逆にあんまり知らないで多少の参拝客を招けていた霊夢さんにビックリですよ。あ、でも最近は守矢神社の分社もあるからもう少しは来るんじゃないですか?」

 

うんうん。前よりは来てるね。

それでも少ないけどさ。来ないよりはいいものだね。

 

「そうね、来るわ。獣道になにか対策をすればもっと来そうな感じで、ね」

 

「博麗神社にも必要そうですけど…そうですね、獣道の方も危なそうですし」

 

「早苗んとこよりはマシじゃないのか?あっちは山だし、天狗もいるじゃないか」

 

 

あー…そっか。

どこぞの射命丸文とかっていうのもそんなこと言っていたね。

 

「大丈夫です。そこに関しては神奈子様と諏訪子様と一緒にケーブルカーのような便利なものを作ろうと考えてるところなので、いずれ安全にはなりますよ」

 

 

 

 

(ケ、ケーブルカー?…なんだそりゃ。聞いたことないな)

 

「あぁ、魔理沙。ケーブルカーっていうのはね、必要な物がそれなりにあるけども、できると一方向への移動が楽になるものよ。簡単に言えば空を浮き動く鉄の箱ね」

 

「へぇ、なるほどな。……霊夢、外の世界でのったことでもあったのか?」

 

「ええ、あるわよ。むしろ能力のない人達はそういうのを使わないと移動が不便なのよね。…1度、空を飛ばないで移動してみる?」

 

 

(うわ、霊夢さんって意外と悪そうな笑みを浮かべるのね。本当、外の世界での当たり前をやらせようとするなんてちょっとSっ気でもあるのかしら)

 

「そ、それは勘弁してくれ!?なんとなくだが、どうなるのか想像できたぞ!」

 

「ふふ、大丈夫よ。ちょっと歩くだけならそんなに疲れないから、ね?」

 

ちょっと手をわきわきさせて…魔理沙に近づけば本気に、なるよねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

「なにやってるの?あなた達。……あら、早苗もいるじゃない。どうしたのよ、なにか用でも?」

 

おや、もう里から帰ってきたのか。

出歩いてくるっていうからどれくらい時間がかかるのかって思ったけど、そんなにかからなかったのか…な?…そういえば、外の世界と違って具体的な時刻だから分かりづらいんだったね。

 

「ちょっと魔理沙に空を飛ぶのをやめてみないかって聞いてただけよ。たいしたことはしてないわ♪」

 

「いやいや!たいしたことあるだろ!空を飛ばないで移動とか考えたことないぞ!?」

 

(最初、こういう話をするはずじゃなかったんだけどもね。…なにもないよりはいいんだけどもね。幻想郷に先に馴染んだ霊夢さんを見て参考にできるから一石二鳥だしね)

 

「なるほど、それで霊夢と魔理沙はたわむれていたのね。あ、そうだわ。今日、香霖堂と鈴奈庵に行ったんだけども、鈴奈庵って色々な本があるのね。少し驚いてしまったわ」

 

「まだ鈴奈庵は少ない方だぜ。紅魔館にある大図書館って方がこの幻想郷じゃ広いな」

 

「そうみたいね。しかも、パチュリーも日々何冊増えてるのか分からないって前に聞いたわ」

 

「そうらしいな。んでもって興味のあるものなら借りてっていいとも言われてるらしいもんな、霊夢(おまえ)

 

「だ、だからって私を睨まなくてもいいんじゃない?」

 

単純に鈴奈庵で小鈴ちゃんに借りれる本聞いて、借りては返すを繰り返しただけなのにね。

あとは高床式倉庫や神社の中にある書物を暇があれば読んでるぐらいだというのに。おかしな話だよね。

 

「あぁー…なら、巫女だけじゃなくて、信仰について教えても平気そうですね。勉強するのは大丈夫みたいですし」

 

うん、魔理沙。

そこで驚くのやめてくれないかな?

私だって幻想郷についてとか色々と調べたりするもんだよ?

 

「そのわりには修行は私より軽いメニューなのね。……なんでかしら?」

 

「あんたのは厳しすぎるの!身体については四季にあわせてほどほどに、神降ろしとかそういう巫女関係も毎日同じ回数で私は平気なの!」

 

春夏秋冬、ほぼ毎日してるからね、霊華って。

外の世界でやるようなあんな優しいものじゃないから。

そうとしか表現できない。むしろそれ以外に表現できる人がいたら連れてきたい。

 

 

「わ、悪かったわね!そこまでするのは癖のようなものなんだから!……分かったわ、それで修行ができているならそれ以上はとやかく言わないわ。どうやら私の修行にはついていけないみたいだし」

 

「……分かってくれたならもういいわ。それで?早苗って今から教えてくれるのかしら?」

 

「あ、それもいいですね。では、立ったままもあれですし、あがらせてもらいますね」

 

「分かったわ。…っと、霊華と魔理沙は自由でいいわよ。多分私だけでいいでしょうから」

 

え?霊華、なんで首を横に振ったの?

 

「いえ、私も教えるわ。歴代の巫女として、教えることはそれなりにあるからね」

 

それなりってなに!?

(それなりってなんなんだ!?)

 

 

「んじゃ、私はその勉強している姿でも見ながらお茶でも飲んでることにするわ」

 

「…茶化しすぎなければいいわ。霊華と早苗もいいかしら?」

 

 

「ええ。いざとなれば私が体術面でそこにいる霊夢ほどではないけども、鍛えてあげるから大丈夫よ」

 

霊華から受けるんだとしたら、きつそうだねぇ。

他人(ひと)事にしか思えないほどだったし。

 

「あ、霊華さんがそうしてくれるなら私は別になにもしなくて平気そうですね。…そういう条件もあるなら私も大丈夫です」

 

「……と、いうことだから。魔理沙、頑張ってちょうだいね」

 

「んなっ!?わ、分かったよ!それぐらい私だって平気だ!」

 

 

 

――そんな感じで始まったんだけど、そのあとに魔理沙が霊華と修行するはめになっていたよ。

早苗から巫女とは、とか信仰は、とかを聞いてたからあんまり見れてないけど、多分今日も魔理沙はお泊まりだろうね。

だって――――筋肉痛になるだろうから。



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第43話 紅白巫女は白緑巫女と共に

今回もできましたので、投稿いたします。

うーん、文才って書いててもそう簡単にはつかないものですね。
ある人が羨ましい限りです。

あぁ、関係ないですね。
では、下からが本編ですので二次創作が平気な方のみ適当にどうぞ


……あれからしばらくして。

何故か私も巻き込んでの修行になったせいで筋肉痛で私も寝込み。

まあ、早苗から色々と聞けたからいいけど、霊華…夏に修行は…修行はないよねぇ…(遠い目)

 

 

「よくあれをお前はやってられたな…」

 

「そりゃサボればその分、倍にされてしまうんだもの。サボるにサボれないわよ、あんなの」

 

(それもそうか。……もしかしてやられたことでもあるのか?)

 

「なあ、霊夢ぅ…。ってことはあれ、まだ優しい方なのか…?」

 

「…ええ。とても残念ながら、ね」

 

あ、頷いたはいいけど、今魔理沙はたたみの上でうつ伏せになってるから見えないんだっけ?

 

「嘘だろ…。……と、いうか私に体力なんているのか?」

 

「…す、少しあったって困らないわよ、多分」

 

(はは…そりゃ魔法使いのことなんて霊夢はあんまり知らないから言い詰まりもするか)

 

 

 

「へぇ、霊夢さんってマッサージできるんですね」

 

「あー…素人当然の、だから気持ちいいわけじゃないでしょうけどね。それで、早苗はなにか用?」

 

「案外気持ちいいんだけどな…」

 

「あ、あははは……。はい、ちょっとお聞きしたいことがありまして来ました。まず、ブロッケンの妖怪って知ってますか?」

 

え?なに?ブロッケンの妖怪?

うーん、そんなの書物に書いてあったかなあ。

 

「あんまり聞いたことないわね…。魔理沙は?」

 

「いんや、知らんな。そもそも私はそういう専門じゃないから情報すらもないな」

 

そ、それもそうか…。

 

「そうなんですか。ならあとで教えますね。っと、それよりも大事なことがあるんですよ!霊夢さん!」

 

(ん?わざわざこいつの名前をいうってことは…まさか…)

 

「な、なによ…」

 

「紅魔館の付近に湖があるのを知ってますよね?!あそこら辺に巨大ロボが現れたっぽいので一緒に来てほしいんですよ!いいですか?」

 

 

す、凄い目がキラキラしてるんだけど。

なんかこれ、断れそうにないよ?

 

「ああ、私のことは大丈夫だからな。だいぶマシになったし、お前が行くんならちょっくら私もやることやりにいくわ」

 

「はぁ…。分かったわ、行くわよ」

 

「ありがとうございます!あ、準備するなら待ってますので大丈夫ですよ」

 

「はいはい…分かったわ」

 

 

 

だいぶ投げやりな気もしないけど、早苗と一緒に行くことにした。

それにしても巨大ロボットって…見間違いだと思うんだけどな。

河童が作ったのびーるアームが一部だけ見えたとか蜃気楼(しんきろう)かなにかで誰かが大きく見えたとか、そんなんじゃないのかな。

……確認すれば分かることか。

 

 

 

 

 

 

 

 

お払い棒――本当の名前は大幣っていうらしいけど、本当なのかな――と大入りと書かれたお札を念のために何枚か持っていくことにした。

スペルカードもあるっちゃあるんだけど、巻き込まれる可能性もあるしね。

 

「あ、霊夢さん。終わったんですね。じゃあ、行きましょう!こっちですよ、ついてきてください」

 

「あぁ、見つけた場所に行くのね。…ってちょっとゆっくり行ってもらえないかしらー?」

 

はやいよ、さなえん。

ノリノリなのは分かるけど、一緒に行こうっていったんだから置いてかないでほしいな。

……な?

 

 

 

 

 

 

 

先に行くもんだからつくのが遅くなっちゃった…と。

 

「確かここで見かけたような気がするんですよ。間違いないはずです」

 

「そう言われても、ねぇ…」

 

 

 

「あれは絶対だいだらぼっちよ!あんなでかくて強そうなの、それ以外にいない!うん、頑張って手なづければあたいだって強くなるはず!そしたら怖いもんなんてない!」

 

 

「ほら、あそこになんか1人呟いてる子がいるからあの子に話しかけたらいいんじゃないかしら?」

 

確かチルノって名前らしくて、氷の妖精なんだっけ?

一応、妖精の中では最強の部類らしいけど…確かめられないのか…。

 

 

お?早苗が行った。

 

「ねえ、貴方。巨大ロ…じゃなかった、大きくて動く人形の影なんてもの見なかったかしら。結構大きかったから分かりやすいと思うんだけれども」

 

「だいだらぼっちなんて見てないよ!」

 

「だいだらぼっち?早苗、あんたそんなこと言った?」

 

え、だいだらぼっちって……

……なに?

 

「いえ、そんなことは私も言っていないはずなんですが…」

 

「――!い、いやっ!あたいはなんも見てないよ!うん、気のせいだった!」

 

あー…妖精って誤魔化すの苦手なのかな?

慌てすぎてなにかでかいものを見ましたって感じがすごくするし。

 

「そう…。見たのね?」

 

「見てないってば!この先に行ってもなにもないからね!」

 

あ、そう言われるとなんか気になる。

 

 

 

「―――っ!?」

 

「ああ、もう!巫女はそろって神社に帰ってよね!」

 

ああ、うん。なんか大きな影でも見たんだろうな。

やれやれ、仕方ないか。私はサポートするだけにしよ。

お札を飛ばすだけとか、そんな軽い奴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、今さらだけど2対1って卑怯な気が…と、いうか早苗は諏訪子と神奈子をどこから呼んでるの?

巫女独特の方法ならどこでもいいの?

ビックリだぁね。

 

「う、うぅ…分かったよ。話すよ。確かあっちだよ。もうこれ以上はあたいも知らないよ」

 

「そうなのね。分かったわ。…行きましょう、霊夢さん」

 

「え、ええ。んじゃ、チルノ。情報どうもね」

 

去り際にそう私が言ったせいか、少しだけ見えたチルノの表情が困惑しているように見えた。

あ、そのリアクション、面白いかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…んん?あれ、ここって紅魔館じゃない?

まさかなにかと見間違えたんじゃ…

 

「ふむ、あの巨人は一体…。それにあの生温かい霧…。まさか、あれは凶兆の影?だとするなら…太歳星君の影ってわけね?」

 

「あー、そこの人。ちょっといいかしら?」

 

うん、先に行かないでよ。

…お?今度は紅美鈴?

 

「な、なんですか?普段から客人なんて受け付けていないのですが……おや、あんたは霊夢?一緒に来てるなんてどうしたのよ」

 

「あぁー…それがね、巨大な人影を見たと言ってそこにいる早苗が調べに来たらしいのよ。美鈴、見てない?」

 

「え?人影?…それならあっちに消えてったわよ。でもどうしてそんなことを聞くのよ」

 

山の方か…。なにか、あったっけ?

っと、そうだったね。

 

「そこにいる早苗が探してるみたいでね。多分この辺にそれっぽいのが見えたから、でしょうね」

 

「いや、確かにそうですけどそれは―――むぐっ!?」

 

悪いけど、そういうことにさせてもらうからねー。

 

 

「なぁんだ、そういうことなの。ならそこの悪魔払いの巫女を連れてそっちへ行ってもらえるかしら」

 

「分かったわ。行きましょ、早苗」

 

「……。情報も得られましたし、分かりました」

 

お、素直に頷いてくれた。

よかったよかった。

まあ、少し驚いてたけど、いいか。

 

 

 

 

(ってあれ…?なんか生温かいですね、この霧…)

 

「早苗、なんか変な霧が出てるわよね………ってなによあれ!?」

 

紅魔館から出たばかりなのに、あんなん見えるの!?

 

「…えっ?……あっ!あれです、あれ!霊夢さん!急いで行きましょう!」

 

え、そうなの?あの山の(ふもと)へ行ってるあれが?

うっそぉー…だいぶでかくない?

 

ってちょっ!?ひっぱらないで……「あ…ちょっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…えーと、ここは?

今までにあった?

 

「あー…霊夢さん、ここが神奈子様の指示で作った間欠泉地下センターです。前に教えた山の産業革新のことですよ。因みに河童が作りました」

 

あぁー…納得した。

そういうことね。

 

「でも早苗、そこと山の(ふもと)で見えたあの巨大な人影とじゃ関係なさそうに見えるんだけども…」

 

どこぞのそういうのじゃないんだからさ。

 

(あー…まさか、そっちへの連想ができないんですね。外での巨大ロボに関する話の時はすんなり聞いてくれてたんですけどね…。うーん、幻想郷ならあり得るなんて発想にいかないんでしょうか。不思議ですね)

 

「いえ、幻想郷なら分かりませんよ。と、いうわけで奥へ行きましょー」

 

元気だねぇ、この子は…。

あぁ、分かったから

 

「分かった、分かったわよ。ちゃんとついてくから手をそんなにひっぱらないでちょうだい」

 

 

 

 

 

向かう道中、河童達がここで研究もしていることを聞いた。

建築した場所で、か…。

いや、神奈子とかそういうのが関係してるなら外の技術も多少入るし、楽にはなるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずここは暑いね。

 

「…暑いですね、ここ。長居できそうにないです」

 

「確かにそうね。夏服なだけ、いくぶんかマシに感じるけども」

 

前に来た時…と、いうかこういう場所に来た時なんか、冬だったから余計に暑く感じたんだよね。

いやぁ…今となっては思い出だねぇ…。…よくない方の。

 

「あっ!異物を発見!核融合炉への異物混入は一旦反応を停止させて、速やかに異物を排除する!」

 

「待ってちょうだい!私は神奈子様の巫女よ!」

 

多分、分からないんじゃないかなー。

この子、なんか記憶力よくないし。

 

「えっ?神奈子様?神奈子様って誰だったっけ?」

 

「多分、前にあんたへ力を与えた神様よ」

 

そんな話をしてたし、間違いないでしょ。

山の産業革新云々ってのも教えてもらったし。

もうそれ以上ツッコミはしないけど。

 

「あっ!この間の赤巫女!……あれ、赤巫女はなんでいるの?」

 

「あ、あー…いやまぁ、その」

 

(困ったように笑っても終わらないと思うんですけどね。うーん、所詮は鳥頭ってところでしょうか)

 

 

「貴方、とりあえず話を聞いてもらってもいいかしら?」

 

「話?……あ!そう言えば、核融合炉に異物が混入したって知らせがあったから来たんだった!」

 

は、話がそれた……ふぅ。

それにしても話が通じてないような?

 

「待って待って、私は貴方より偉い人の部下よ。異物でもなんでもないわ」

 

「え?偉い人の部下?…それって偉くないってことでしょ?赤巫女とは違って。そんな偉くない人が……あれ、もしかして異物って」

 

「赤巫女ってなによ、赤巫女って…」

 

比較的小声で今のを言うぐらい、すねるぞー(棒読み)

 

「いや、違うって。だから「そこにいるのが異物だね!発見したなら、偉い人の偉くない人っていう異物を排除しなきゃ!」」

 

あー、うん。

これは…駄目だねえ…。

 

「貴方のその元気。まず全部奪わないと話すらできないようね」

 

 

あぁ…たたかい始めちゃうんだ。

まあ、ほとんど弾幕ごっこに近いし、観戦してても大丈夫そうだね。

今回はまきこまれなかったし。

 

 

さて、どうなるんだろうなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お、終わったんだ。

…うん、早苗が勝ってるね。

 

「さあ、話を聞いてください!」

 

「う、う~ん…。…あ、あれ?なにをしてたんだっけ?」

 

「ふぅ。…貴方は私の命令を聞いて私達の炉の調査に協力しようとしてたのよ?」

 

 

す、凄いすりこみだね…。

 

 

「そ、そうだったっけ?」

 

「そうです。そういうことにしてください」

 

わ、分かったから。

手で小さくジェスチャーするの、やめてね?

 

「そうですか。なら、私はどうすればいいのでしょう?」

 

「なんでもいいので、巨大な物が隠されていないか調べてください」

 

「巨大な物?それってどれぐらい大きいの?」

 

「ええっと…「人形で、この炉の…端っこから端っこまでと同じかそれ以上の大きさの物よ。あんた、見たことない?」」

 

「えっ?ない、というかこの中にいたら気づくよ!それに、そんな人間まずいないって!」

 

「……って言ってるわよ?」

 

(か、肩をすくめても…。まあ、知りたいことが知れたのでいいのですが。―――あれ、なんで聞きたいことが分かったんですかね?)

 

 

「そうですか。うーん、確かにここの上…地上で消えたはずなんですが」

 

「なら、奥…あ、空。奥ってあるわよね?」

 

「ん?ありますよ。…行ってもなにもないと思いますけど」

 

んじゃ、とりあえず行ってみようか。

なにもない、も確認しなきゃ駄目だしね。それに、そうでなくともここまでのったんだ。

最後まで付き合うよ。

 

 

「なるほどね……って先へ行かないでくださいよ、霊夢さん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥まで来た。

なにもないけど、空が小さく見える。さすが地底。

 

「確かになにもないわね…。炉心なだけ、あるのかしら?」

 

「違うのはあるけどもね。ほら、こんな地下深くなのに空は見えるわよ」

 

「あー…確かに見えますね。吸血鬼はこういうところに住めばいいと思うのですが」

 

明るいし、暑いしと厳しいんじゃないかな?

 

(ま、真面目に受け取らなくても…。……ってあれ?揺れてる?気のせいじゃ、ないですよね。しかも音が結構聞こえてきますし。なんか歩いてるようにも感じますが…)

 

「……まさか、外の世界で忘れ去られた物が流れ着くとは聞いてましたがあの巨大ロボをようやく……!」

 

「これってそういう風に感じないんだけどもー…」

 

 

「ああ!下、危ないよー!」

 

「「えっ?」」

 

 

 

う、うわあぁー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん…なんか踏んだような気が……ってあれ?早苗に霊夢じゃん。どうしたの?こんなとこにいるなんて」

 

「あいたた…。えっ?諏訪子様!?諏訪子様こそどうしてこんなところに!?」

 

「いやぁ、ちょっと野暮用でね。そんなことより霊夢と早苗がいる方が不思議なんだけど、どうしたの?」

 

「いやぁ、なんか早苗が見つけただのああだのと言われてついてきただけよ。…まあ、確かに大きな人影は見えたけども、見間違いだと思いたくて調べに来たわ」

 

(あっ、まだ霊夢さんは気のせいだと思っているんですね。こうなったら…!)

 

 

「そうなんですよ!巨大な影を見つけて探していたら…ついに見つけたんですよ!―――そう、巨大ロボを!」

 

「へー…なるほど。んで、巨大ロボって?」

 

「確証の1つもないんですが、幻想郷ですしありえます。それに、この真上で消えたので間違いありません」

 

幻想郷でもさすがにないって…。そういうのは外の世界でやってるアニメの中だけだよ…。

 

「この真上で?」

 

「ええ、それは間違いないわ。私も見たんだもの。…ま、巨大ロボなんてありえないでしょうけど」

 

「あー、なるほどね。多分、それは非想天則だよ。調子が悪くって地底で再起動してたんだよね」

 

ええっ?また勝手になにかしてるの?

早苗のとこの神様、フリーダムすぎるでしょ。自由人なの?

いや、人じゃないから…自由神かな?

 

「あれ、諏訪子様。巨大ロボで非想天則っていうなんて…そのこと、知っているんですか?」

 

「そりゃ知ってるもなにも、その話から聞いて非想天則のことだなって分かったのよ。まさか外の知識もある霊夢を連れてくるとは思わなかったけどね」

 

…うん、なんか笑ってるね。

そんなに面白いことなのかねぇ。

 

「わ、笑わないでください、諏訪子様!でも非想天則ってなんですか?」

 

「確かに。意味もなくつけたりなんてしなさそうな誰かさんだものね」

 

「ん?あぁ、名前の意味なら教えるよ?則ち天の法則を考えられないって意味でつけたかな。んだから、簡単に言うとバカ」

 

 

わあ…すごい分かりやすい…。

 

「バ、バカじゃないですよ!ね、霊夢さん?」

 

「きゅ、急にふらないでちょうだい!?」

 

なんてこたえればいいのか分かんないから!

 

「まあ、そりゃそうだよね。あのでくの坊のことを巨大ロボっていうんだもの」

 

「ぐぬぬ…。そういえば、非想天則の存在を神奈子様は知ってるんですか?」

 

「多分知らないでしょうね。教えてないんだもの」

 

「駄目です!そこにいる霊夢さんにも前、言われたじゃないですか!大体、諏訪子様は勝手が過ぎるんですよ!」

 

あー…あったね。

なんとかして空から聞き出したけど、曖昧にしか覚えてないもんだから参ったけど。

ほんと、核融合なんてヒントがなかったら分からなかったぐらいには。さすが、“水、火、核、風”だよね。

 

「少しぐらい良いじゃないの…」

 

「駄目です!今日という今日は私の立場のことを考えてもらうために話をさせてもらいますからね!」

 

「え?早苗は人間であって、現人神なんだから平気だと思うんだけど?」

 

「ならなおさらです!対等な立場で話をさせてもいますからね!」

 

「なるほど。それで、構えるなんて話をするんじゃなかったの?」

 

「まずお仕置きです。諏訪子様は自分勝手すぎるので、今から少し痛い目にあってもらいます」

 

 

あ、身内の問題なら私はこっそりしてよ。

 

 

「おおー…まさか、早苗からそんなことを言うなんてね。しかも、私に地の利がある地下で。成長したもんだわ」

 

「あっ、言い忘れましたけど、手加減はしませんからね」

 

「大丈夫よ。むしろここで私に勝てたらもう早苗1人でも異変解決とかに行っても問題なさそうね。――さあ!早苗、大地を作る私を驚かせるような神様らしい奇跡の1つや2つ…起こして見せ、そして私をも越えてみせよ!」

 

なんじゃそりゃあ…。

まあ、離れた場所にいるし、大丈夫でしょ。……あー、うん。戦い始めたね。

どうなるのか見てようかな…。

 

 

 

 

 

 

最終的に勝ったのは早苗だった。

まあ、守矢神社も色々あるんだねぇ。……うん、私もちょっと霊華とか名の知らぬ神様と話をもう少ししてみるかなー。

 

そう思った1日でした。



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第44話 運と運命は別だと思うの

その後、しばらくして妖精達がなんか結構遊んでいるのを見た。

もちろん弾幕ごっこなんだろうけど、なにをしていたんだろうね。あれは。

 

まぁ、その前にも少しあったんだけどね。

そう、また文がきた。

外の世界でいうパパラッチみたいだれ、あそこまでいくと。

しかも弾幕と一緒にあのカメラに撮られるとなんか変な感じがしたし。

魂ぬきとる、なんて昔のあれじゃないだろうけど、それを疑っちゃうような、なにか変な感じのもの。

しかも、そうやって撮る烏天狗は1人じゃなかったみたいで、続くようにして、“姫海棠(ひめかいどう)はたて”って名乗る子もきた。

ほんと、なんだったんだろう。

悪巧みしてる様子じゃなかったし…うーん…。

 

 

 

 

…にしても、寒すぎやしませんかね?

一応私も修行はしてるんだけどさ、寒さが耐えがたいものになってきてるんだよね。

あんまり経験してないから慣れないんだよねー…。

 

 

「本当、よくあんたは平気よね……先代の巫女だからかしら?」

 

「あら、そうでもないわよ。案外、私でも冬は寒いもんよ?」

 

 

なら巫女装束の上になにか着たらいいんじゃないかな。

私なんてコタツに入りながら霊華曰く“ちゃんちゃんこ”っていうらしい奴を羽織(はお)ってるほどなのに。

 

「そんな格好で外に出てるからこそ、なのよ?見てて寒そうだわ」

 

「そ、そうかしら……」

 

うんうん。

むしろどうして悩ましそうにするのかちょっと分からないかな。

 

 

 

 

「うぅ…寒い…ってあれ?霊華さん、そんな格好で寒くないんですか?」

 

「ん?…あら、早苗じゃない。そりゃあ寒いわよ?……少し、だけども」

 

 

ずっと見ていたけど、震えてないよね。

 

 

「少し寒いなら、なにか着ればいいんじゃないかしら。…例えば暖まるまで、とか。駄目なのかしら?」

 

「駄目じゃないんだけども、動けば大丈夫なのよね。冬ならなおさら、ね」

 

(ど、どれだけ修行をすればそうなるんですかね…。とんでもないですね、霊華さんは)

 

 

ん、あぁ…そうだ。ちょうどいいから暖かいものでも出そうかな?

 

「早苗、なんだからあがってちょうだい。霊華もそろそろ入らない?」

 

(なるほど、なにか淹れるつもりなのね。…なんだか悪いわね)

 

「あ、なら遠慮なく。……ちなみに分社も掃除はしたんですか?」

 

 

そりゃ、もう

「―――寒いし、早く暖まりたいから全部しっかりやったわよ」

 

(やってくれたのはすごくありがたいのですが、なんか理由がサボりたいからやったと言わんばかりに感じるのは私だけでしょうか。不思議ですね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶碗蒸しもどきを作ってみていたのでお茶と一緒に出してみた。

外の世界で食べたような感じにはなってないかな、とは思っている。

 

「それで、早苗。あんたからこっちに来るなんてどうしたのよ」

 

「ああ、そうですよね。実は前に…とその前に一緒に行ってもらった件、覚えていますか?」

 

うん、覚えてるよ。

自信をもって頷けるぐらいには覚えてるよ。

 

(なるほど。通りで前にいなかったことがあったのね。納得がいったわ)

 

 

「覚えているけども…どうかしたの?」

 

「あの後、色々とありまして。紫さんって妖怪が来たんですよ」

 

あぁ、うん。スキマを使って行ったんだろうね。

 

「それで、どうかしたの?来ただけじゃないんでしょ?その紫とやらは」

 

「はい、そうなんですよ。それで、外の世界では等身大の巨大ロボができたって言ってましたね」

 

なんか動かなさそうだなぁ…。

いや、そういうファンにとってはいいのか…。

 

「へぇ…。でもそういうけど、それってブロッケンの妖怪っていうような現象なんじゃないのかしら?」

 

「あれ、霊華(あんた)は知ってるの?」

 

 

しかも、現象って言いきってたもんね。

 

 

「ええ、多少はね。でも、それがどうかしたの?」

 

「どうもこうも、早苗と私はそんな情報が分かるような話なんてしてないわよ?…まさか、勘とか言わないでしょうね」

 

 

(言ったりして…。なんかありえそうです。霊華さんならきっと)

 

 

「ええ、言うわよ。…だから不思議なのよね。なんでそんなのを調べに行ったのかが分からないもんだから」

 

「……普通にブロッケンの妖怪として調べにいくのはつまらないじゃないですか。なら、里を襲おうとする巨大ロボットとかって考えて行った方が楽しいと思ったんですよ。幻想郷ならありえてもいい話ですし」

 

「なるほどね。どおりで霊夢も連れていくわけだわ。うんうん、あなた達のような子が育ってくれて私も嬉しいわねぇ」

 

その言い方をするけど、誰の母親なのかな?霊華?

 

「まるで母親みたいなことをいうのね。…でも、外の世界で出来たとしても外見とかそういうのだけかと思うんだけどもね。あぁ、でもガンプラ?だとかなんとかって言うのは聞いたことがあるわね」

 

「ええっ!?そうなんですか!?」

 

わ、分かったから勢いよく上半身を近づけないでね。

結構ビックリするんだから。

 

「だって、それってガンダムのプラモデルって意味なんですよね!知ってるだなんて、羨ましい限りです…!」

 

「そ、それはちょっと大げさよ…」

 

(まあ、思わず苦笑いをしてしまうほどの勢いだものね。しょうもないかしら。――それよりも、この2人結構仲良いわね。そっちの方が不思議だわ)

 

 

 

 

 

 

「お、おお?いつものメンバーがそろってるなんてなんか異変でも起きるのか?」

 

…ん。…んん?

この声って…

 

「あ、魔理沙さんじゃないですか。…いえ、異変でもなんでもないですよ?私は単純に前に連れ出した時の結末を教えに来ただけですので」

 

「なるほどな。だから冬なのに来てるのか」

 

「そういうあなたも冬なのに来るなんて、そんなに霊夢と仲良くしたいのかしら?」

 

「そ、そんなんじゃねぇよ!?単純に霊夢がなにしてるのか見に来てるだけだからな!?」

 

な、なにが違うんだろう。

疑問だなぁ。

 

「あら、そうなの?だったらどうして来たのかな。私、すっごく気になるわ~」

 

「あ、確かに。見に来たって割には脱いでるものね」

 

手にしてる上着を今さら隠したって遅いよ?

と、いうか見えてるから。隠しきれてないから。

 

「そ、そりゃ私だって霊夢と話ぐらいしたいさ。……そういや、白玉楼に顔を出したか?」

 

「白玉楼?これまた変わったところね。…そんなとこなんて、あったかしら」

 

なにせ聞いたことないからなぁ。

いや、思い出せばいいんだろうけど、いかんせん記憶だからなぁ。私のじゃないし。

 

「私も初耳ですね…。魔理沙さんは行ったことあるんですよね?」

 

「そりゃあな。そん時は春なのに冬が終わらなくて大変だったんだ。…霊夢も行ってるんだが、まあ今のお前とは違うし、分からなくてもおかしくはないな」

 

私からすれば冬が終わらない方が問題です。

っていうかそんなことあったんだ。…いやだね、そんな異変。

害がなくても私だったら気づくなりすぐに解決するレベルで。

 

春っていいんだよ!?昼寝とか夜の寝つきがよくなるんだから!

 

 

 

まぁ、そんなことはさておき

 

「んで、その白玉楼がどうしたのよ。早苗の話の内容とは思いっきり関係ないわよ?」

 

多分途中から来たから、っていうのもあるし、聞いてないんだろうけどさ。

 

「いやな、冬が過ぎたら1回だけ行ってみないか?桜が綺麗でな、博麗神社よりもすごいんだぞ」

 

「その話!もっとくわしくっ!」

 

(コ、コタツの机をバンバン叩くなんて花見がそんなに好きなんでしょうか。食い付きがよすぎですよ…)

 

「わ、分かった分かった。でも早苗の話はもういいのか?」

 

「確かにさっきまで巨大ロボットかなんかの話してたものね。…区切りがちょうどいいと言えばいいんでしょうけど…」

 

「いいのよ。気になるから話してもらえるかしら」

 

「んな焦らなくたってちゃんと話すから。な?」

 

んならいいんだけどね。

さて、魔理沙の分もお茶を用意するかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ると早苗がいなかった。

霊華曰く『私が霊夢さんに話したいことは話したので帰りますね』とのこと。

そ、そういうもんなのかなあ。不思議だ。

 

「おう、ありがとな。…んで、白玉楼の話だったよな?」

 

「ええ、そうよ。桜がここより綺麗だって魔理沙(あんた)が言ったばかりじゃないの」

 

 

(すねると(くちびる)をとがらせたりするからすごく分かりやすいわね。…まあ、この霊夢ならでは、なんでしょうけど。……でも、そうやるのはわざとなのかしら?)

 

 

「そんなわざとらしくすねるなよ。そういうのはちゃんと話すって短期間付き合えば分かることだろう?」

 

「んなもん分からないわよ!」

 

時間がなきゃそういうのもほとんど分からないよ!?

わたしゃ、心理学とかにたけてるわけじゃないんだからね!?

 

「おっと、それもそうだったな。悪い悪い。んで、白玉楼についてなんだが、まず簡単に言えばあの世、冥界…だな。幽明結界だかなんだかっていう結界が薄まったままらしいから、いつでも入れるみたいだぜ」

 

「もうそれじゃ知る人は知る桜の名所ね。…この神社もいいとは思うけども、冥界まで行って花見なんてだいぶ度胸がいりそうね」

 

結構あっさり言うんだね、霊華は。

…いや、霊華だから言える…のかな?ありえる話だからちょっと怖いんだけど。

 

「…本当にそんな感じなんでしょうね。んで、魔理沙。それって今度いくって話なのかしら?」

 

「ああ、そうだな。ついでの花見のお誘いだぜ。あぁ、あんまり騒ぐのもあれだからお前達だけでいいかなと思ってる。ただ本題は違うけどな」

 

 

 

ほ、本題…?

ってだいぶ真面目な顔だね、魔理沙。

いつもはあんまりそんな表情しないのに…。

 

「本題ってなによ。まさかとは思うけど、私のことなんかじゃないわよね」

 

「いや、お前のことだよ霊夢。…あの異変からなんも起きてないか?そればかりが心配でな。聞いてもいいんだが、その…なんだ」

 

「単純に照れ恥ずかしいとかっていうんじゃないでしょうね。やっぱりそういうところはあなた達も子供ってところかしらねぇ」

 

う、うん?別に友達同士なら普通だと思うんだけど。

例えライバルだとしても無関心でない限り気にはするでしょ。

 

「う、うるさい!なんだっていいだろう!?…そ、それで大丈夫なのか?なんかとり憑かれそうとかないよな?」

 

「そ、それは心配しすぎよ。もう私もなんともないから…。あぁ、強いて言えば霊夢だって名乗る子から現代で楽しんでるよって夢で言われたわね」

 

「――――!?」

 

 

(い、入れ替わってるってことか?!でも、現代で楽しんでるねぇ…。……こいつら、案外精神力あるんじゃないのか?いや、あの霊夢は元からだったか?)

 

「なるほどね。…よかったじゃない、霊夢。元の人格の子が消えてなかったみたいで」

 

「いや、お前もだろ?霊華。よく1対1で修行してきた時に言ってたじゃないか。“今まで考えてなかったけども、元々いた人格はどうなったのかしら”とかそんなん。…違うか?」

 

 

な、なんか急にイタズラっぽく笑い出したんだけど、どうしたの魔理沙。

 

「そ、それはいいじゃない。私だってそういうのは考えるのよ?」

 

「普通はそんなもん、さとりとかそんなんじゃなければ確認するのも無理なもんだと思うんだけどな。ほら、どうなるか分からないだろ?」

 

 

あー…それもそうだね。

でも

「今回は偶然分かったんだからいいんじゃないかしら?…ただ相手も戻れないとかなんだとかって言っていたわね」

 

「…つまり、お互いがお互い戻れないってわけか。……ちょっとレミリアんとこ行ってみないか?あいつなら分かるかもしれないし。どうだ?」

 

運命を見れるあの吸血鬼のところに?

うーん、可能性が見れると言っても、なぁ…。

 

「そうね。霊夢、一応でもいいから見てもらいましょ。――ついでに私のも見てもらうわ」

 

「凄い悪いんだが、なにを聞くつもりなんだ?」

 

あ、それ私も気になる。

なにを聞くんだろう。

 

「私も知りたいわ。霊華がいいなら教えてくれないかしら?」

 

 

そう聞くと意を決した表情をして――

「…私の来年の健康運を、ね」

 

 

(思わず私と霊夢が同時に霊華のほっぺをつねってしまったが、別に大丈夫だったよな?…いや、むしろツッコミたくなったのは悪くないと思う。うん)

 

健康運なんぞ最近大吉から大凶までしっかり入れたおみくじか守矢神社で見てもらいなよ。

レミリアに見てもらうようなことじゃないし…。

やれやれ。

 

(あ、霊夢が呆れながらどっか行ったな。……なにをするんだ?あいつ。あ、もしかしておみくじか?最近大吉とかも入れたとか言ってたしな。ま、いいか)

 

――その日は特になにもしなかった。強いて言えば雪おろしはした。それぐらいだった。

寝る前にそのことだけを思い出してから私は明日、なにをしようかと考えつつ…寝てしまったようだ。



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第45話 雪がつもったらやることは1つでしょ?

雪が降ってしまったので、おろしていると

「おう、霊夢。朝から大変そうだな」

 

「ん?あぁ、仕方ないわ。おろしておかないと後々面倒になるし、なにより力が不要になったら浮いて少しずつ少しずつおろせば楽だもの。それに……」

 

 

そう区切って私は守矢神社の分社(サイズはお地蔵が1体入る大きさ)の反対側にある空き地に視線をうつしてみた。

分かってくれるかな?

 

 

「それに…なんだ?おろした雪でなにかするのか?」

 

するよ!

っていうかあーたはまたこの神社に泊まってったのか。やれやれ…よく泊まる人だねぇ。

きっと昨日は霊華になんか言われたのかな?

 

ん、今はそっちじゃないね。

 

「ええ、そうよ。…ところであんたはかまくらって知ってる?外の世界じゃ一部地域でよく見かける冬の名物なんだけども」

 

「……紅魔館はいいのか?昨日、霊華と行くとか話してただろ」

 

えー…せっかく雪がふったならそっちでしょ?ついでにゆっくりする前に私なりの修行をしますがな。

でも、霊華曰く“基礎をやっているだけ”らしい。元外来人でなおかつ巫女やってない人間が急にやれるかっての!

今まで妖怪や神様と渡り合っても、平気だったのはスペルカードルールがあるから、だったんですー。

 

(こいつ、急に不満そうになったな。…まさか、最近やるようになった基礎練習ってやつが関係してるのか?うん、ありえそうだな。特にこいつなら)

 

 

「はいはい…。んで、かまくらでゆっくりしてていいのか?」

 

「ええ、いいわよ。基礎を練習して、応用とか出来そうなの片っ端から試してみるだけだもの」

 

「…お前、前に霊力でなんかしてたときも驚いてたもんな。……せめて専門家の前でしたらどうだ?私じゃ助言もなんもできないぞ」

 

霊力はそうだろうけど、あなた努力家でしょ?

文々。新聞にもそれっぽいの出てたよ?いや、口には出さないけど。

それになによりも1つあるしね。

 

 

「できるわよ、あんたでも。だって親友兼ライバルなんだから、ある程度手の内が分かるじゃない?そこからなにに応用できそうなのか教えてほしいのよ。――ほら、どうしても私は弱いじゃない?最低限妖怪を追い払うぐらいはできないと後々大変だから」

 

 

(いや、お前充分追い払えるだろ。スペルカードルール抜きでも油断しなきゃ、な?…まさか自覚なしか?それとも単にそこまで鍛えられたことに気付いてないだけか。……やれやれ。お前も変なところが抜けてるんだな。霊夢同様に)

 

 

「はいはい、分かったよ。ただし霊華のような助言は期待しないでくれよ?」

 

「いいえ、いいのよ。むしろありがとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…少し遊んだだけじゃないですか。

白い目で見なくたって…。

 

「お前な、試すのもいいけど、お札でハートマーク作るのやめないか?」

 

「……幸せ大入りハートマーク、なんちゃって」

 

(お前なぁ…。いや、気持ちが分からなくもないが、ハートマーク以外にもなんかあるだろ。星辺りしか浮かばない私も私だが)

 

「ちなみにかまくらになんかしたのか?やけに違う気がするんだが」

 

 

ん?あぁ、それはね?

「結界の練習をかねてかまくらに張ってるのよ。だから余計にあったかいでしょ?」

 

「器用なことをするんだな、霊夢。それとも、感覚を覚えるためなのか?」

 

うん、感覚をつかみたくって。

私も自分でやってみなきゃ簡易結界すら張れないから。

え?博麗大結界?……知らない子ですね(目そらし)

 

「なるほどな。…んで、今はなにしてるんだ?」

 

「大体の修行を終えたから第2のかまくらを作ってるのよ」

 

(な、なんでそんな自慢げな表情でこっちを見るんだ…?なんか違う気がするんだが…2つもかまくらなんているのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ、もしかしてかまくらを向かい合わせにしたのはお互いが見やすくなるようにしたかったからなのか?)

 

「ふぅ…いい汗かいたわ………って、あなた達、そこに白い大きなかまなんて作ってなにしてるのよ。これから紅魔館へ行くのよ?」

 

「これはかまくらよ、か・ま・く・ら。冬の季節に雪がふると見かける地域は見かけるものね。…外の世界ではテレビとかでよく見たんだけども、幻想郷だとしないの?」

 

「そういやあんまり聞かないな…。勝手に入ってくる文々。新聞にもそれっぽいの書いてなかったし」

 

あぁ、私のところにもそういえば来るね。

文々。新聞って新聞紙が。

私はあんまり読んでないんだよね、あれ。

 

「私もあまりそれでは見なかったわね。それ以前も私は見てないわ。そもそも、かまくらとかそんなので遊んでる場合じゃなかったもの」

 

…あぁ、それもそうか。

んなら今なら遊べんでしょ?

 

「んじゃ、今度一緒に遊びましょ?あんた、今はもう先代の巫女なんだから遊び放題よ」

 

「気が向いたらね。とりあえず…いつまでそのかまくらに引きこもるつもり?」

 

うん、手を引っ張って連れていこうとするのやめてね?

ていうか力強いな。さすが先代。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、結局連れてこられるのね。

うーん、いくら上に着るものを持ってきてくれたからってこんな寒い日に紅魔館へ行かなくたって…

 

「あら、魔理沙。ついてきたの?」

 

「お前が霊夢をそういう風に引っ張って行かなかったら来なかったさ。ま、そうしなくとも大図書館に用事があったから関係ないけどな」

 

なら、博麗神社じゃなくって紅魔館へすぐに行けばいいと思うの。

そう思うの、私だけかな。

 

(そりゃ半目で呆れたように見てくるか。…いや、思っても口にしてこないだけマシか?)

 

あっ、美鈴が戻ってきた。

 

 

「大丈夫、だそうよ。とりあえずエントランスに咲夜が待ってるって言ってたから入ったら?私は庭に用事があるし、門番もやらないと、だから案内は途中までね」

 

「美鈴、突然だったのにありがとね。元はと言えばどこぞの誰かさんが冗談で運を見てもらいたいって言ったのが始まりだったから気にしなくともよかったんだけども」

 

(そ、そんなことを言いながら霊華をチラチラ見るのはどう見てもその人が言ったって言ってるようなもんだぜ?いいのか?…関係なくともお前の先代の巫女なんだぞ?)

 

「そ、それは言わなくていいのよ。…まあ、気になるのは嘘じゃないけども」

 

――冗談じゃなかったの!?

それなら、せめて冗談も真顔で言うのやめてよね?!

 

「なんか今の霊夢は違う意味で苦労してるね。アハハ、まあ頑張ってね」

 

半ば棒読みで言われても、なあ…!

 

 

 

 

 

 

途中まで案内した美鈴は庭の方へ向かった。

へぇ、少し見えたけど、庭の手入れもしてるんだ。

門番兼庭師なのかな?

 

「あら、いらっしゃい。…魔理沙もいるのね。んま、いいわ。霊夢と霊華がいりゃ抑止力になるでしょうし。……特に先代の巫女だったそこの霊華の方が」

 

(いや、現在進行形で先代の巫女なんだけどな?分かってて行ってるのか?)

 

「それでレミーはどこにいるのかしら?」

 

れ、霊華…それはわざと言っているのかな…?

ちょっと笑いをこらえるの、辛いんだけど…

 

「おい、霊夢。そうやって笑いこらえるのやめてやれよ。可愛そうだろ?」

 

「そういう貴方も笑いをこらえているじゃないの。どっちもどっちだわ。…んん、それでレミリアお嬢様に用があるのでしょう?」

 

(あ、あぁー…!レミーじゃなくてレミリアだったのね。忘れてたわ)

 

その顔、やっぱりレミリアって言うの忘れてたんだ。

前も来たのになんでだろうね?まさか天然?

 

「ええ、そうよ。それで…あなたが案内してくれるのでしょう?咲夜」

 

「はいはい、ちゃんとするわよ。霊夢と魔理沙もちゃんとついてきなさいよ。特に魔理沙は、ね?」

 

「わぁーったよ。ちゃんとついていくさ。ここまで来ちまった以上はな」

 

え、魔理沙って素直なとこあったんだ。

 

「その意外そうな顔はやめろ」

 

「ふふっ、分かったわよ」

 

魔理沙も半目はやめようね…?

 

 

 

 

「だいぶ仲良いわね、後ろの2人」

 

「いいんじゃないかしら。若いうちに色々と経験するというのは。…あなただって、私からすれば子供なのだからね?」

 

「そういえば貴方は先代の巫女、のようだものね。それも当たり前だったかしら」

 

 

…お?なんか前も親しげに話してるね。

なんか霊華って名乗ってた時が懐かしいね。あの時は名前をなんでそう名乗ったのかがよく分からなかったけどね。

 

いや…今は、分かるけどさ。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご丁寧に3回もノックするんだね。

むしろトイレの回数でするわけないか。咲夜だし。

 

「霊華達がお嬢様に用があるとのことですが、入れてもよろしいでしょうか?」

 

「ん、別に構わないわ。入れて」

 

「分かりました。では、どうぞ」

 

お、おお…。扉、開けてくれるときなんてあるんだ。

 

 

わ、悪かったって。そんなに睨まなくてもいいじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?用ってなによ」

 

私達が入るなりそう聞かれた。

霊華に聞いて。私はそんなに気にしてなかったから。

 

「…霊夢のことを見てほしいのよ。どうやら入れ替わりが起きてしまっていたようだし」

 

「あれ、それって人為的なものじゃなかったのか?それに変わったのは霊夢だけじゃなかったのか?」

 

「あー…いえ、それは偶然のようよ。でも普通はそんなに偶然が重ならないわ」

 

(偶然が重なる?…まさか本当はこうならなかったってことか?いや、確かに誰かがそんなこと、言っていたような気がするが…。なんだったけか?)

 

 

「ええと、レミリアとやら?その偶然って結構霊夢と関係あるのでしょう?」

 

「恐らくは、ね。さすがに確定ではないけれど、2つほど疑問点があることに気づかないかしら?」

 

(2つほど、か?……っていうか霊夢寝るなよ)

 

 

 

「おい霊夢。難しい話だからって寝るなよ。ほら、起きろ」

 

「ん、んん……。……!?」

 

お、おう?!寝てた?私。

っていうか小声で言ってくれるなんて優しいなぁ。

 

…いや、それでも今ので分かる、よね?(震え声)

 

 

「霊華と少し話しすぎたわね。まず、霊夢と魔理沙。それと早苗もいたら聞けたのだけども…まあ、仕方ないわね。憑依してる、なんておかしいと思わないかしら?」

 

確かにね。

死んだ記憶はないし、かといって特段おかしなことをした記憶もないし。

消えてるか?って言われても戻ってない部分があるからなんとも言えないし。

 

 

「んー…当事者の私にはさっぱり、ね。呼び出すだのどうだのって前に霊華と誰かが話し合ってたのは覚えてるんだけども…」

 

「確かに話してたな。…でも霊夢曰く“寝て起きたらそうなった”んだろ?おかしなことでもあるのか?」

 

魔理沙が私の顔を見てきたけど、気まずそうな表情なのよね。

いやあの、私の顔を見られてもなんも言えないんだけどなあ…?

 

 

「はあ…。まあ、霊夢はそもそも突然のことだったし、魔理沙なんかは魔法の研究などに没頭しているから分かるはずないわね。霊華は分かるでしょう?」

 

ため息つかなくたっていいでしょ…

(ため息つかなくてもいいだろうに…)

 

 

「ええ、なんとなくになってしまうけどもね。…まず1つ目は呼び出されてしまったのにも関わらず憑依してしまっていること。2つ目は元いた人格も逆に憑依したってこと、よね?」

 

「大体はあっているわ。そう、そこなのよ。いくらなんでも偶然が重なりすぎているのよ。おかしな話だけどもね」

 

むしろその偶然のおかげでお互い消えずにすんだんじゃ?

いやぁ、凄いね。

 

「幸運ってどれだけ凄いんだよ。そういやお前もお前でちゃっかり幸運の恩恵を受けてるしな」

 

「幸運のレベルでいいのか分からないけどもね」

 

いや、そこでレミリアは納得したように頷かないでもらえます?

霊華も「あぁ~、なるほどね。幸運ならそれも避けられるわね」とか1人で納得しないで。

いくら幻想郷でもありえないでしょ?!

 

「む、むうぅ…!」

 

「…な、なんだこいつら」

 

私に聞かないでください。

さすがに分からないから。

 

 

 

 

 

なんかその後は霊華とレミリアが話し合うらしいから大図書館でひまをつぶすことにした。

さすがに私にはそんな専門家みたいな話は聞いても分からないしね。

 

 

 

「…なるほどね。レミィと先代の巫女が貴方達にとって難しい話をするからきた、というわけなのね」

 

2回頷いておく。

回数に意味なんてないけど。

 

「ええ、そうなのよ。そういうわけだから、本、読んでもいいわよね?」

 

 

あ、本を読む手を止めて…こっち見た。

 

「別に、大切に読んでちゃんとした場所に戻してくれるなら勝手にしててちょうだい」

 

「私も読んでいいか?」

 

「…貴方1人はダメよ。盗っていってしまうかもしれないから。そうね、どうしてもと言うなら霊夢が見える範囲で読んでちょうだい。しかも同じのを、ね」

 

「私だけ条件きつくないか!?」

 

…え?借りてるだけじゃないの?

あ、でも魔理沙のこと、最近分かってきたけど、刹那的だよね。気のせいかな。

 

「ならそこの紅白巫女みたいに鈴奈庵じゃなくてもいいから本を借りても返したり、大切に扱ってるってことを証明してちょうだい。――なにせ貴方に“借りられた”本達がたくさんあるものね」

 

「人間の人生は短いんだ。それぐらい待てるだろ?」

 

幻想郷ならでは、だけど…これでそんなに仲が悪くないとかビックリだなあ。

 

 

「仲もよくないわ」

「こいつとなんて良くも悪くもないぜ?」

 

「あら、口に出てた?こりゃ失礼したわ」

 

「思いっきり出てたぜ。そんなに仲が悪くないからビックリだわとかどうとかって」

 

だからっては、半目で見なくても…。

 

「…霊夢、悪いけどしっかり魔理沙のことを見ててちょうだいね。常習犯だから」

 

「あ、そ、そうなのね…」

 

どう反応すればいいのやら。よく分からんね。

 

「も、もういいだろ!?ほら、霊夢。外来本でもなんでもいいから読むぞ。多分お前には魔導書とかなんてどれか分からないし、教えてもちんぷんかんぷんだろうしな」

 

「…魔法は使えなくても苦労しないわ、多分」

 

アイテムは使ってみたいけどね。

…今のところ霊力関係のしか触れてないけど、まあいいか。

 

「違うのには興味ありそうな顔をしてるな。んじゃ、とりあえず読ませてもらうなー」

 

「……はいはい、勝手にしてちょうだい」

 

 

ため息までつかれてるよ、魔理沙。

いいのかね…ってこんな広い場所で勝手に行くんでない。どこへ行くの。

 

やれやれ、なんでこうなったのやら…。

 

 

 

それから、2人の会話が終わるまで大図書館の中をぶらぶらと探して読んでは戻すということを何回か繰り返した。

うん、本がたくさんあって興味の出た本を探すのすら大変だったな。

 

そりゃ小悪魔1人じゃ大変だよ。広いわ、本は勝手に増えるわとやること多いもんね。



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第46話 幻想郷は優しかった

今回、稚拙な文ながらに残酷描写がございます。

苦手な方は“ブラウザバック”か“読んだフリをして読まない”のどちらかをオススメいたします。

それでは、どうぞ


…前になにを話したの。

と、いうかいい加減前からいるような妖怪達に恐れられるのはおかしくありませんかね?

 

いや、確かに真面目だったってのもあるんだろうけどさ…。

影響力ってスゴイネー。

妖精はなんともないようだけど。仕方ない…のか?

 

 

 

にしても冬は相変わらず寒いねぇ。

それなのにどこぞの誰かさんときたら…巫女装束だけだもんね。

 

「なによ、そんなに私のことを見てもなにも起きないわよ?」

 

「ええ、それはちゃんと分かってるわ。あんたのことだもの」

 

 

寒くないのかね、本当に。

信じられんわ。

 

 

「仕方ないわ、霊夢。先代の巫女は生半可な鍛え方はしていないもの。なにせ前はスペルカードルールすらなかったものね?」

 

ってうわっ!?境内に立つ霊華を見ていたらなんか急にスキマ妖怪が出てきた!?

 

結構ビックリするから急には……!と思ったけど、この人?って神出鬼没だったんだ。

忘れてたよ…。

 

「ええ、そりゃないわよ。今とは違うんだもの。…それにしても紫は相変わらず神出鬼没ね。霊夢、平気?慣れてないからって腰を抜かさないでちょうだいよ?」

 

「こっ、腰は抜かしてないわよ!?んで、紫って冬も活動してるものなの?この時期になってから初めて見たような気がするんだけども…」

 

冬以外には見かけること多かったしね。

なのにいきなり冬になってからあんまり見かけなくなったからどうしたのかなー…とは思ってたし。

 

「あら、抜かしてもよかったのよ?貴方にはスキマなんてあんまり見せてないのだし」

 

(見せてない、というより見えないようにしてるじゃないの。彼女も最近は妖怪についても理解してきた頃だと言うのに…。まさか、知らないなんてことはないわよね?)

 

 

そ、そうなんだ。見せないように…って

「それって私が驚くのを見たいだけよね?もしそうだとしたら少しひどいわ」

 

「さあ?どうでしょうね」

 

扇子(せんす)で口元を隠しながらそう言うって…。

ほんと読めない人だね。

いや、妖怪なんだけどさ。

 

「それにしても珍しいじゃないの、紫。あなたがこんな季節に来るなんて。思わず修行の手を止めてしまったわ」

 

「あら、これは失敬。それで霊夢。冬だからこそ受けてほしいものがあるのだけど、いいかしら?」

 

うん、それだけで受けるような私じゃないぞ?

私でなくとも内容を聞くレベルだと思う。

 

 

「受けるってなにを、よ。言っておくと、雪かきとかは自分のとこで疲れるから結構難しいわよ?」

 

「それではないわ。まったく別のものよ。受けてほしいのは今の貴方にとっては初めての妖怪退治。それを1件、ね」

 

あぁ、まあ…そりゃ私からすれば初めてか。

……ん?

 

 

「え?妖怪退治?…もう私が受けても大丈夫なの?」

 

(まあ、そうなるわよね。基本的に私が受けているのだから。今でもあまり受けてほしくはないのだけれども…。紫はどういうつもりなのかしら?)

 

「ええ、むしろ貴方の方がいい依頼よ。なにせどうやらその妖怪はすでに里の人間を数名、食べてしまったようだから。しかも、家族全員。証言は普段一緒に遊んでいた家族から聞いたわ」

 

え、えぇー…。な、なんか凄そうな…。

そういえば記憶にはあるんだけど、幻想郷では妖怪が人を食べたら退治するだのどうだのって…。

あれって本当のことだったんだ。

 

でも、それなら私じゃなくてもいいような…?

実戦経験はないわけだし。

 

 

「た、確かに私もいい加減受けた方がいいかなーとは思っていたけども…。因みに1人で、よね?」

 

「当たり前よ。ただ、現場へは一緒に行って見てあげるわ。私と先代の巫女がね。霊華、いいわね?」

 

(呼び方は相変わらず、なのね。それに視線も。…そこまでやらかしてないと思うんだけども。考えていることはさっぱり分からないわね。特に紫のは)

 

 

「はいはい、分かったわよ。霊夢、大丈夫そうかしら?」

 

そ、そう聞かれても分からないんだよなぁ。

でも、いつまでも甘えてる場合じゃないし…。

 

「分かったわ。里へ行くわよ。行って依頼を受けるわ」

 

いや、あの、そこで意気投合しないでもらえます?

片や幻想郷が一番って言ってた妖怪、片や先代の博麗の巫女。

 

接点はかなりなかっただろうし、今だって少ないだろうになんでかな。

……とりあえず

 

「それで、その依頼主って里のどこにいるの?」

 

「あぁ、忘れてたわ。霊夢、準備してから獣道の方に来てちょうだいね。霊華も念のため準備してちょうだい。確かに霊夢は前よりはマトモになったけども、元は外来人。なにか問題があった時だけ、貴方に出てもらえなきゃ困るわ。万が一が起きてしまってはいけないもの」

 

(これでも一応は私が鍛えていた時もあるんだけどもねぇ。最近も鍛えていないわけじゃないから大丈夫だと思うのだけれども…。仕方ないわね)

 

「分かったわ、紫。ま、なにもないとは思うけどもね」

 

「んじゃ、一旦解散ね。貴方達は必要なものを準備してから獣道の方へ来てちょうだいね。私も少し離れてるから」

 

そ、そうですか。

というかスキマとやらは便利だね。移動が一瞬とか…。

いや、使いたいとは思わないけどさ。

だって、たまにスキマの中が見えるんだけどさ…あれ、目玉が見えるんだよね。しかも、見えた範囲でも結構あるように見えたし。

 

でもそうだね、準備とやらをしますか。

必要そうなのを適当に持っていけば多分平気だろうし。…多分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――しばらく準備して、獣道へ行くともう紫と霊華がいたのですが。

はやくないですかねぇ?それとも、私が遅いだけ?

 

「霊夢、もういいの?大丈夫ね?」

 

「霊華。貴方も貴方で心配しすぎよ。知らない人が見たら親子と勘違いされるぐらいには。まがりなりにも彼女も博麗の巫女なんだし、少しは鍛えたのでしょう?なら、多少は平気よ」

 

な、なにを話してたんですかあなた達は。

 

「今は個人的に慣れたいことや能力を知るための修行など、だけどもね。それで、もう行くのよね?」

 

(言ってないけども、霊夢あなた…ここの神社にいる神様とかそれ以外とも話や助言をもらったりしているわよね。なんかその方が巫女らしいわね。元いたであろう世界ならきっと、それでやっていけたりするんじゃないのかしら?……っと、今はそうじゃないわね)

 

「ええ、そうね。霊華も行けるでしょう?…さ、行くわよ」

 

私が頷いて、霊華が軽く返事してから向かうことに。

…にしても里のどこへ行くのやら。教えてくれてもいいだろうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこそこ時間をかけて来た場所は里のはじっこ。

里から外れてるわけじゃないけど、そんなに人がいない。

冬とは言え、もう朝をすぎてるんだからもう少しいてもいい気がするんだけど。

なんでだろうね?

 

 

それからある民家の前に立つと紫が3回ノックしていた。

あなたがノックするんだ。意外。

 

「霊夢達を連れてきたわよ。出てきてもらえるかしら」

 

 

そう紫が言ってしばらくすると気持ちやつれたような顔をした女性と子供が出てきた。

な、なんか子供の顔がすっごい暗いんだけど。大丈夫かなぁ…。

 

「…はい。あの、紫様。霊夢達とはその後ろの2人ですよね?…私から見て右が霊夢さんで、左は先代の巫女こと博麗の巫女…」

 

「ええ、そうよ。…って貴方達、充分有名じゃない。なら紹介もいらなそうね?」

 

霊華の呼び方が増えてることにはもうつっこまない。

今回のはその通りだし。

 

「…はい。あ、○○、もう下がっていいよ。あとのお話は私がするから。ね?」

 

「うん…分かった」

 

後ろにいた子が小さくお辞儀をしてから奥の方へ向かった。

うん、隠れてるように見えたのは気のせいじゃないよね?

 

 

「あー、ええっと、こほん。あなた達ですよね?妖怪退治を依頼してくださったのは」

 

(霊夢、それは固すぎよ。どれだけ緊張すればそうなるのか聞きたいぐらいには、ね)

 

「え、えぇ…はい。とりあえず立ち話もなんですし、中へはいっていただけませんか?」

 

「あ、はい。分かりました」

 

「分かったわ。それと最初に言っておくけども、依頼は私じゃなくて霊夢だけが行うわ。危ないようだったら私も入るから大丈夫でしょうけど」

 

「あ、そうなんですか。いえ、霊夢さんだけでも大丈夫だとそこの方から聞いているので平気です」

 

「…なにを噂として流しているのよ、紫」

 

な、なんで口笛をふくの?

まさかそれ以外にもなんか流してたりしないよね?

あやしい…。

 

 

「ま、まぁ…ともかくして……。受けてくれるんですね。ただ、どんな妖怪かは私達は見てないのでなんとも言えないのですが…」

 

「そこは大丈夫よ。そのための私でしょうし。ね?紫」

 

「ええ、そうよ。貴方は妖怪退治を歴代の巫女同様しているのだから、分からなくても手かがりは得られるのよ。…そういうことだから、分からないからって気になさらぬように。いいわね?」

 

いや、霊華は歴代の巫女で先代だって教えてくれたの、あーただよね!?

 

「は、はい…。ありがとうございます。では、お願いしますね。旦那も依頼できると聞いた時、もっとはやく彼女達のことを知っておけばよかったなんて後悔してましたから。旦那が悪いわけでもないのに、優しい方ですよね」

 

「なら、こう伝言を残していいかしら?――そうやって後悔するよりその子達を忘れないであげてほしい、と。例え帰ってこないのが分かっていたとしても、ね。忘れ去られるよりは報われると思いたいの」

 

いや、あの、紫。意外なものを見るような目で見るのはやめてね。

霊華もやめてね。恥ずかしくなってきたんだけど。

 

 

「ふふっ、噂通り、変わったお方ですね。私もそうは言ったのですが、外の世界も知る今代の巫女が私と似たようなことを言ったと言えば少しはマシになるかもしれませんね」

 

「なら、私が「あ、いえ。霊華様でなく霊夢さんでいいでしょうか?ワガママになってしまうようで申し訳ないのですが。…霊夢さんが来たいときでよろしいので…」」

 

そ、そんなに食いつかなくてもいいんじゃないかな。

 

「わ、私はそれで構わないけども…」

 

(やれやれ、仕方ないわね。気にしなくてもいい、とこの場で言わない方がいいでしょうし。それにこればっかりは今の霊夢でも、どうすることはほぼ無理に近いものね)

 

「では、必要なら私を介して霊夢を呼ぶわね。一応、彼女も色々やらないといけないことがたくさんあるから」

 

「そうなんですか。分かりました。ありがとうございます…。それで紫様。報酬は…」

 

「依頼の報酬?そうね、ちょっとしたものでも大丈夫よ。野菜とかそういうのでも。ね、霊夢」

 

いや、そう話をふられてもね。

ふざける雰囲気なんて最初からないし、ちゃかす勇気もない。

かといってなんか欲しいですー、というほど物に困ってないし。

 

「あぁ…多分ね。ま、少しだとしてもこの紫が残りを出すらしいから別に平気よ」

 

「…そのちょっと悪巧みしてる、みたいな微笑みはやめなさい。分かった、分かったわよ。出すわ。それでいいのでしょう?」

 

ふふん。これでいいかな。

 

「でっ、でもそういうのでいいのでしょうか…」

 

「大丈夫よ。では、この話はまとまったということで…。霊夢、霊華。現場に行くわよ」

 

えっ

 

「はいはい、仕方ないわね…。あ、なにかあったら霊夢、言うのよ?」

 

ちょっ

 

「分かりました。その…お願いします」

 

げ、現場ってなんか嫌な予感が…!

あっ、ちょっ、引っ張らないで?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少しかそこそこ歩く…というか引っ張られて来たんだけど、里から離れた場所に民家が建っていた。

でも、やけにボロボロ。

 

なにせ外見は大きな熊か狼とかにひっかかれたかなんかされたような爪痕がたくさん残されてるし、なにより……玄関だったであろう場所付近に血のようなものが見える。

それが中に続いてるように見えるんだよね…。

 

「さ、入るわよ。2人共」

 

さすが紫。

そんなのが見えててもあっさり入っていく度胸は凄いです。

いや、紫にはあるのが普通…なのかな?

 

 

「あぁ、霊夢はあとからでも平気よ。無理、しなくていいからね?」

 

「え、ええ…。分かったわ」

 

でもなんとなく1人きりになりたくないから霊華と一緒に入る。

 

 

―――入って見えたのはもはや爪痕でボロボロになった壁。

壁にたくさん飛び散った赤黒い液体。

○○がそのままなのか、嫌な臭いがすごくする。なんていうか鼻を刺激するような、そんな臭い。

 

「……えげつないわね」

 

「ここはまだいい方よ。もっと酷いときなんて前はよくあったのだから。…それで、これ以上踏み込んでも平気?多分見慣れない人にとってはしばらく肉が食べれなくなるようなものだと思うのだけれども…」

 

さ、さすがスペルカードルール。血を見なくても妖怪が人を襲えるっていうらしいからね。

でも、博麗の巫女である以上避けられないような気がするんだよね…。

っていうか床を見える範囲でチラッと見たら、とんでもなく荒れてる。

空き巣にでも入られたのかってレベルなんだけど…。

 

「…とりあえず、見なきゃ分からないこともたくさんあるでしょうし…。…それに、私が博麗の巫女になるというのなら避けて通れないでしょうし…」

 

(まあ、戸惑うのも無理はないわね。突然幻想郷の裏側を見せられているんだもの。私が遠ざけていたってのもあるんでしょうけど…。…まあ、この一家のこと、見てもらいますか)

 

「んじゃ、多分こっちよ。紫も多分いるわ」

 

「わ、分かったわ…」

 

 

 

 

 

 

ついて行った先には霊華の言うとおり、紫がいた。

霊華も勘が鋭いんだな、と思って紫の方を見た。

 

「なにを見てるのよ、紫。………キ、キャアァアー!?」

 

 

視線を追うんじゃなかった。追うんじゃなかった。

顔が見えないとか顔がないとかだったし、体からなんて色々と出てたし…。酷すぎる…!

 

 

 

 

 

「―――っ!――――っ!」

 

見たくないから。そんな思いでその民家そのものから出てすぐ、民家の影に隠れた私はさっきの光景をつい思い出して今朝食べたばかりの物とか色々な物を出してしまった。

 

 

うぅ…。あんな…あんな死に方あんまりだよ…。

食べられ方とかつけられた傷だとかが酷くて…。もう一度直視しろって言われたら厳しいよ…。

 

 

 

 

「あー…霊夢、大丈夫?見慣れないものだから、一応言っておいてはみたけども…あんまり、効果はなさそうね」

 

…その声は…霊華、か。

 

「……むしろあんなのを見てなんともない方がありえないのよ」

 

「あなたの場合は仕方ないわ。ああいったものは幻想郷とかでしかないもの、でしょうし。ほら、前に色々と外の世界について教えてくれたでしょう?そこから考えて普通にないようだから、その…。気にするな、とは言わないけどもあの家族一家以上の被害が出ないように件の妖怪を退治しましょ。きついようならこっそり私も手伝うから…」

 

 

(参ったわね。私とこの()の育った環境が違いすぎてこんなことしか言えなかったけども…。…でも、なんとかフォローしてあげたいわね。精神的に参ってしまいがちなのは霊夢の方が先、でしょうし)

 

 

…………。

 

 

「……ふふ、そう。あんたは不器用なのね。でも、ありがと。…そうね、あんまりああいうのを増やしたくないし、なにより私の精神衛生上に…ね。でも、それって平気なのかしら?」

 

(精神衛生上って…。まあ、そうよね。こんなにポジティブ思考の持ち主でもさすがにそこら辺は気にしたりする子はするものね)

 

「ええ、平気よ。私が入るのは手負いになってからだから。そこまでだったら多分、外の世界の人間が霊夢になっているって思って油断するはずだから…そうね、あなたが油断しなければほぼ無傷でいけるはずよ。多分。あー、あと口まわり、ちょーっと失礼するわね?」

 

え?口まわr……あ、あぁ…。

なるほどね。なんだか申し訳ない。

 

「ま、要するに油断しないようにね。相手が油断してるしてないに限らず、一番大事なことよ。私がいる間はあなたのことを守れるけども、いつかは自身のことぐらいは守れるようになってちょうだいね。他の人まではゆっくり考えていけばいいわ」

 

「ん…色々とありがとね。はいはい。ま、今度にでも考えておくわ。真面目に。今後のことを」

 

ところでそういえば、紫はどうしたんだろう。

姿すら見えないんだけど。

 

「そんなにキョロキョロしなくても、紫は家の中よ。あなたが突然飛び出たもんだから、後を頼んで追いかけてきたところだったのよ?さっきから言うように、あなたにとっては色々ときついものだからどうしようもないけども」

 

「そ…そうだったわね。ごめんなさいね。人生で初めて血まみれの人を見たものだからつい…」

 

…!?あ、頭に少し強く手をのせなくたっていいんじゃないのかな!?

な、撫でてくれるのもいいんだけど強いよ…?!

 

「むしろあなたの身近の環境が平和だったって考えるべきよ。それに、平和という以上、そこら辺に目を覆いたくなるような悲惨な死体が転がっていたらさすがにおかしいわよ」

 

「そ、それもそうよね…」

 

(幻想郷の裏側を教えるのはゆっくりの方がよさそうね。紫も次からは多少は考えて見せるでしょうし。…なにせ今はこの霊夢が博麗大結界を管理しているのだからね。下手な真似はしてこないでしょう。きっと)

 

 

 

 

 

 

 

「霊華、全部見終えたわよ。……それで、もうそっちも終わったかしら?いえ、見る限り終わってるわね。それで、もう行けそうかしら?」

 

…ど、どうだろう。

すぐに行けるか分からないんだよね…。

確かに霊華のおかげでさっきよりは落ち着いたと思うけど…。

 

「え、えぇ…多分…」

 

「そう。なら、霊華といってらっしゃいな。もう霊華はなんの妖怪か分かったようだから」

 

 

 

……なんだかんだ言って紫は妖怪、だもんね。

すっかり失念してたよ。まあ、致し方ない、かな。

 

「分かった。…分かったわ。霊華、行きましょ。探してればきっと見つけられるでしょうし…」

 

(…まあ、仕方ないわね。こうなるのも。…とりあえず、ついていくしかないわね)

 

「そうね。でも、私が大体の位置を予測できるから出来ればついてきてほしいわ。どう?」

 

…先代の巫女についていって探した方が早いんだろうね。

そうしようかな…。

とりあえず、頷いておこ…。

 

「分かったわ。多分こっちよ」

 

 

 

(紫にああ言われてから未だに表情が暗いわね。……うーん、受けさせるのはまだ早かったかしら。それとも話した相手が妖怪だったが故なのか…。悩ましいわね。今回のことが後々に影響しなければいいのだけども)

 

「――って霊夢、待ってちょうだい。あんまり下手に動くと危ないわよ!」

 

多分大丈夫だよ。

どっかの先代の巫女に鍛えられた上に基礎練習ぐらいは自分でも最近やってるし…。それに慣れたものは応用できるようにも少しはしたし…。

なんとかなるって。自信はすこぶるないけどさ。

 

 

「多分平気よ。多分ね」

 

「なら余計に……!ってあなた…」

 

(思わず足を少し止めてしまったけども、よく顔の方を見たら表情が読みとりにくいぐらい顔をうつむかせてるじゃない。暗いどころじゃなくてそもそもの目元が見えにくくなるほどうつむいていただなんて…。本当に平気なのかしら)



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第47話 幻想郷の裏側

多少の戦闘要素およびに流血などの残酷描写があります。

描写が下手くそでも想像してしまってダメだ、というような方にはブラウザバックをおすすめいたします。

それでも平気というかたは…



どうぞ


それから森の方を探しにふらふら歩いてみたけど、やっぱりすぐに見つけられないみたい。

仕方ないっちゃ仕方ないんだろうけど…。

 

 

「あんまりむやみやたらに探しても妖怪は見つからないものよ?……それにあなた少し歩む速度を速めてるでしょ。見ていて危なっかしいのよ、あなた。本当に、本当の本当に平気なのね?」

 

…さっきも同じこと聞いてきたのにまた聞くのか。

あぁ、でも…ニュアンスは違うのかな…?

 

「平気よ、平気…。なんとかなるわ…」

 

(そうは言ってもあなた…表情が見えにくい上に、危なっかしい雰囲気がすごく出ているのよね。今の状態の霊夢をほうっておけないわ)

 

 

なんかさっきからこっち見てるけど…私になにかついてるのかな?

まあ、いいや…。あとで聞けば分かるでしょ。

 

それよりも………件の妖怪はこっちかな?

 

 

「霊夢、あんまり行きすぎると私がサポートしづらいからもう少しゆっくり歩いてくれないかしら?」

 

「―――……退治するなら早い方がいい。そうでしょ?」

 

甘い考えだろうけどさ…妖怪による被害をあんまり増やしたくないしね。

それに記憶にもある限り人間と妖怪は均等じゃなきゃいけないらしいし。

 

妖怪は人間におそれられて存在してるらしいから。

それにスペルカードルールなんて、吸血鬼のレミリア達がきて、紆余曲折(うよきょくせつ)あってからできたものみたいだし。

 

 

…いや、今はそんなのより討伐することに意識を向けないと…。

 

(この子、本格的に危なっかしくなってきたわね。いよいよ幽鬼のような歩き方になってきたし。…でも、幻想郷に彼女のメンタルによいところなんてあったかしら…)

 

 

 

 

 

 

 

多分こっち、という勘を頼りに進んでいたら洞窟みたいなのを見つけた。

この中にでもいるのかな…。

 

 

その洞窟に入ろうとしたとき、とてつもなく嫌な予感がしたから前にジャンプすることに決めた。

素人なりにパッと浮かんだ行動だから大丈夫かn……っつぁあ!?

 

「…ぐるるぅぁ…」

 

「――…っ。嘘、でしょ?」

 

背中がとんでもなく痛い。筋肉痛の比じゃないぐらいに痛い。

でも、背後にいるであろう低いうなり声を出す“ナニカ”の正体だけでも見ておかないと―――

 

 

…え?…く、クマ?

しかも、とても大きい…。

なんか2メートルあるって言われてもおかしくないほどに大きいんだけど…。

 

 

「――ぐるるぁ!」

 

「……ヒッ!?」

 

お、思わず悲鳴をあげてしまったけど、仕方ないよね?!

だって叫びながら、その鋭そうな血のついた爪を振りおろしてきてたんだよ!?

 

いや、むしろとっさに横へ避けれられた私自身をほめるべきなのか!?

 

ど…ど、どうしようか…。

とりあえず、持ってきたお札を何枚かなんとか出して一応霊力こめておけば…魔封針とやらに変えれるから…。

うん、あとはどうやって当てるか、なんだよね…。

 

 

 

ただ一番の問題点は、といえば……

 

「ぐるるぁ…!」

 

目の前にいる、巨大な熊の攻撃を背中の痛みを我慢した状態でいつまで避けれるかって話なんだよね。

すり傷とか包丁で少し指を切るとかはやったことあるけど、それとは訳が違うし…!

 

 

「……でも、あんたなんかにやられたくなんてないわ!こんな場所で死にたくないもの!!」

 

振り下ろしていた腕を戻すなり、すぐさまこちらに横なぎするように振ってきたのを空を飛ぶことで辛うじて回避。

実戦経験がないからなんだ!素人だからなんだ!

ここで無い知恵ふるって相手を退治するか戦意がなくなるまでやるっきゃない!

 

「――博麗の巫女の新米をなめるんじゃないわよ!」

 

最近ようやく自分のものに出来たばかりの能力を総動員して封魔針へとお札を変化させて―――目の前の巨大なクマもどきに投げつけた。

3本もって投げたから1本は当たったでしょ。

 

 

「……ぐぁあ?!…ぐるる……!」

 

1本が胴体に、もう1本はどっかをかすめたらしくて傷が出来ていた。

やった、とは思ったけど殴りかかってきた。

 

 

油断した。

とっさに霊華から教えてもらった両手を胸の前で交差させて防御するって方法をとってみたんだけど、結果は吹き飛ばされ、余計に痛い目をみただけだった。

 

殴られた、というか人でいうパーの状態で下から手を振られたようなものだから両腕なんて結構痛いし、木に思いっきり背中をぶつけたもんだからかなりズキズキする。

 

 

 

正直言って、もう怖い。

もしかしたら、死ぬかもしれないのに妖怪退治をするなんて馬鹿げてる。

いっそのこと、逃げ出したいよ。

でも、ここで逃げたらまた里の人達が襲われるかもしれない。

あんまりそういうのはよくないって霊華から聞いたし…。

 

…だから…

 

 

再度、お札を投げる。もちろん、封魔針にして。

針状にしたお札(それ)を攻撃を避けつつ当てる。

弾幕より難しく感じた。

避けるのがいよいよもって大変になってきたし、クマもどきの鋭い爪やらなんやらが当たるようになってきた。

 

 

 

―――やっぱり、無理だったのかなぁ…。私には。

 

 

 

 

 

いや、スペルカードの遊びを抜けば、封魔針より威力は増すんじゃないか…?

 

「…ぐるる。………!?…ぐぁあー!」

 

私が準備し出したらこっちにきた。

な、ならカウンター狙いで神技「八方鬼縛陣」の方を使えば動きぐらいは止められるか吹き飛ばせるはず…!

 

「し…神技「八方鬼縛陣」!!」

 

「ぎ、ぎゃあぁっ!?」

 

 

あ、あの巨大なクマもどきが腕を振りおろせば届く距離にいたもんだから焦ったけど、間に合った…!

しかも、うまいこと吹き飛ばせたし、傷も負わせたはず!

 

なにせさっきのは遊びなしのスペルカードで、本来なら自身を中心に一定の範囲のある結界をはり、ダメージを与えるカウンター技のようなものだけど、どうにかなってよかった。

 

 

 

「ぐるぅるぁ…!」

 

―あれ、でも…。なんか、すごいやな予感がするよ…?

まさか、本気にさせた?

 

 

 

 

「ぐぅう…。ぐるぅるぁあ!」

 

さっきより速めに迫ってきた!?

い、いや…これは…ま、まず…っ!?

 

 

「……ぁっ?!」

 

い、急いで横に避けたはいいものの、軽くかすめた、か。

多分痛みからしてきっと、左腕。

 

「――……ぁあぁっ!」

 

ほぼ投げやりに投げた封魔針数本をあっさり避けられた。

あ、あいつ…まさか、封魔針を避けるようになった?

それとも、私が疲れてきただけ?

 

もう分からないよ…。

でも、私1人でも……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――あれから、どれくらい戦ったかな。

そもそも基礎練習とかばかりして、応用までいったものが少なかったせいか、徐々に私が劣勢になっていって…。

 

……今、木に背中を預けるようにして座り込んでしまっている。

巨大なクマもどきにも封魔針やら遊びを抜いた一部スペルカードを当てたからだいぶ体力はないだろうけど…こっちも、もう立てない。

 

 

少し前の方にいるのは私より少ないものの、傷だらけの巨大なクマもどき。

私が睨みながら見上げていても動じもしない。

どういうつもりなのか、聞き出したいところだけど…

 

「ぐるるぅ……」

 

そんな低いうなり声とかしか出さない相手とどれだけ会話ができるか…って話になりそうだし、なあ…。

 

いざとなれば、まだ私には扱いきれない「夢想天生」を使うしかないのかな…?

 

 

 

 

あ、腕を振りあげた。しかも、両手ときた。

 

―――あ、これ、死んだな。

 

 

「…させないわっ!」

 

目の前に巫女装束のようなものが見えたと思ったらなにかを張り、攻撃を防いでいた。

キィン…みたいな音が出ていて、どこから出てるんだと思ったけど、ツッコミをいれる体力は残ってない。

と、いうかする気力もないし、たとえあったとして、するような場所じゃないでしょ。

 

でも、そんなことより気になる点が1つある。

どうやって私の居場所を突き止めたか。

 

 

「――ふっ!」

 

ってちょ!?い、いきなりしゃがんだら…ってえ?!

今度はクマもどきが後方に距離をとられてる?!

 

「ぐ、ぐぎゅあ…!?」

 

「…霊夢!まだあなた、平気よね?!」

 

(むしろ間に合ったかどうか、微妙なところだけどもね!)

 

「…ま、まあ…なんとか…。…その、すごく足手まといになってしまったのは…その…」

 

「今はいいわ!なにも言わないから、できる限り後ろから援護してちょうだい!それならできるわね!?狙いは雑でも構わないから!」

 

叫ぶようにして、そう言ってくれた。

狙いが雑でもいいなんて、霊華にも当たるかもしれないのに…。

 

でも、なにかあるのかもしれない。

私にはよく、分からないけど…。

 

 

 

「……っ。…ふぅっ!」

 

クマもどきがさっきと違い、霊華につっこんで腕を下から振りあげようとしているのを霊華がバックステップで避けている。

そんな様を見つつ、木を使って立ってみた。

はっきり言って、痛い。爪で切られたところが。その周辺が。

 

でも、私でも役にたてると言うのなら――私は投げる!

 

 

 

(……なるほど。返事はしてこなかったけども、狙いがまだまだ素人当然で、とても甘いけども針状のお札が飛んできたってことはまだ意識がちゃんとしていたのね。なら、これ以上長引かせたらまずそうだわ。短期決戦といきましょうか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊華が入ってからそんなに時間もかからずに巨大なクマもどきを退治した。

なんていうかすごく焦ってたのはなんでだろう…?

 

「……あー、霊夢。まだ平気よね?自力で立てるかしら?」

 

「ちょ、ちょっと辛いけども…多分、平気よ」

 

(そうは言うけども、あなたさっきから木に思いっきり寄りかかってるわよね。大丈夫そうにふるまってるつもりでも、そんなに無理をしたことのないような少女が(あら)を出さないでし続けると言うのは難しいでしょうし)

 

 

「とりあえず、報告は私がやっておくから先にある場所へ行きましょうね?」

 

ち、近づいてくるのはいいんだけど、笑顔が怖いって…!目が笑ってないし…!

 

「そ、そんなに急がなくてもだいじょ―――わっ!?」

 

…い、いきなり横抱きしてきたんだけど!?

あとさりげなく頭を木にぶつけたからそれなりに痛い…。

 

 

「…ねぇ、木に頭を軽くぶつけたから痛いんだけども」

 

「痛覚がまだあるなら平気ね。でもそれだけ怪我をしてるんだから、紫から聞いておいた永遠亭とやらに行くわよ。拒否はさせないから」

 

「わ、分かったわ…」

 

っていうか安定感がとんでもないんだけど。

伊達に全身を鍛えてないって雰囲気だもんね。

 

……でも、落ち着いたらぶつけた頭より全身の方が痛くなってきた。

と、いうかこれは…!?

 

「――ね、ねぇ?!なんかすっごく痛みを感じるんだけどもぉっ!?」

 

「あら、ようやく落ち着いたのね。んじゃ、痛いからって暴れないでジッとしてもらえるかしら。あなたにとって、我慢しがたいとは思うけども」

 

いや、その、我慢とかどうとかってレベルじゃないんだけどー!?

ってまってまって!

 

「だからって抱く力を強めないd……ってぎゃあぁー!?」

 

 

痛すぎるんだってばー!!

おろ…おろしてぇえー!!



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第48話 博麗の巫女はバランサー

――あれから永遠亭に放り込まれるようにして担がれた私は永琳にこっぴどく怒られた。

 

 

勇気と無謀は違うだのどうだの…。

治療をしながらされたとは言え、約いちじk…じゃなかった、半刻(はんとき)も説教するのやめて…。分かった…もう分かったから…。

 

 

 

「それで?ちゃんと分かったんでしょうね」

 

「……えぇ、耳にタコができそうなほど聞いたんだから分からないわけないじゃない」

 

1人でつっこんだ私が悪いのはよく分かったけど、そろそろ説教をやめてもらえませんかね…。

 

「そうですよ、お師匠様。もう長く話してるのでいい加減ベッドで横にしてあげた方が怪我人にいいと思うのですが」

 

「…そうね。聞いた話からして本来こうなる人間ではなかったようだし。むしろ、彼女の身体(からだ)に備わっていた天性のセンスに助けられたようなものね。霊華…だったかしら?先代の巫女はそこら辺分かっていたの?」

 

(…知っていたらそんなに心配しないわよ。まあ、よかったわ。大丈夫だったみたいだから)

 

「いえ、知らないわ。むしろ私は今代の巫女についてほとんど知らないもの。一応私が多少は鍛えたし、彼女も基礎練習や少しの応用練習はしていたようだから…。多分それのおかげもあるんでしょうね」

 

「…たまにどこぞの巫女さんが助言やら幻想郷についてを教えてきたけどもね」

 

そう言ったら手当てしおえてる永琳が「へぇ…通りでまだ現代に近い言動が抜けてないのね」って納得されたけど、どういうことなのかな?

 

 

「まあ、一応激しい運動でなければもう帰ってもいいわよ。ただ腕の方には気をつけること。いいわね?」

 

私はしぶしぶ頷くことにした。

腕が使えなくなるのは嫌だし…。

でも、なーんでこの程度ですんだんだろうね?

不思議すぎる…。

 

「あっ、でも霊夢。お師匠様にたまに見てもらった方がいいんじゃないかしら?通院って形で。…いいですよね?お師匠様」

 

「そうね。では、代金は霊華の方からいただくわ。ええと…」

 

ん?なんか書き出した…?

ってちょっ。その見せ方は私が見えないー!

 

 

(……?!や、やけに良心的な値段ね。結構するものかと思っていたけども…。ま、まあいいわ)

 

「…ちょうどね。はい、じゃあいいわよ。それと霊夢。腕でガードなんて本当にしないようにね。今回はそれですんだようだけど、今後はないに等しいでしょうから」

 

「わ、分かったわよ。それはもうしないわ」

 

 

(…お師匠様があそこまで言ったんだからしないと思うんですけどね。特に少しすねたように顔を背けた彼女の波長なら、ね。振れ幅が結構大きかったし、基本的に暢気(のんき)かポジティブ思考で日々をすごしてるでしょうけど、それなりに物事を考える感じがするから。ま、波長がそうなってるってだけなんだけどもね)

 

 

 

「ならいいわ。それとウドンゲ、薬を渡しておいてね。頼んだわよ。あと最後に…霊華。貴方はあまり戦闘の助言をしない方がいいわね。どうやらスタイルが完璧にあっていないようだから」

 

「む…反論したいところだけども、そのようね。ほどほどにするわ」

 

ほどほど、というかスペルカードも名前を同じにしただけで内容は思いっきり違うんだよね。

霊符「夢想封印」でも、私は色とりどりの光る弾が5発くらい出て相手に飛んでいくのに対して、霊華は光って突っ込んで行きながらの陰陽玉みたいなものを相手に飛ばす。

 

…なんて感じでね。

というより霊華の言い方…

 

「霊華、反論できたらするつもりなの?私にはそう聞こえたわよ」

 

「あぁ、そこは気にしなくていいのよ。…とりあえず、そろそろ帰るわね。霊夢、行くわよ」

 

(さすがにつっこまれるとはね…。いえ、むしろ普通かしら?)

 

黙って頷いておくかな。

あ、でもこれは言っておくか。

 

 

「ありがとうね、永琳。治してくれて助かったわ」

 

半身だけ振り返って言うのもなんだろうけどね。

 

「いえ、当たり前のことをしたまでよ。それにお礼だったら、そこの巫女にもした方がいいわよ。連れてきてもらったの、貴方も覚えてるでしょうし」

 

 

……それもそうか。

 

「霊華。…その、ありがとうね。助かったわ」

 

(わ、私だけ顔をそらすなんて…。す、素直じゃないのかしら?そう思えばいいのよね?)

 

 

 

 

霊華に頭を撫でられ、少し会話をしてから永遠亭を出ようとして

「待って!輝夜様から伝言あったの、忘れてたの!ちょっとだけいいかしら?」

 

「ん…なによ。伝言って」

 

「え、ええと…幻想入りしたとある物を渡すってことなんだけど…その…」

 

うん?なんでさっきと違ってしどろもどろなんだろう?

 

「ねぇ、霊夢。その表情は無自覚なの?無自覚よね?」

 

(半目でジトーって見てるのよ。気持ち言いにくくはなるでしょうよ。…呆れてるんだかなんだか分からないってのもあるけどもね)

 

 

「とりあえず、これです。どこか月にあった物にそっくりな機能がついてるけど、貴方なら分かるだろって輝夜様が言ってましたよ。ただ疑問は…あ、これにまとめてるんで今は見えないんだけども、それにあう何かが同じ場所に落ちてたらしいから」

 

それで袋みたいなのを両手で持ってるのか。

なんだっけ?あれ。

ふろしきって言うんだっけ?

 

「なるほどね。まぁ、神社で確認してみるわ。どうもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社についてからふろしき?を開けてみたら、スマートフォンと充電器だった。

いや、幻想入りするようなもんじゃないでしょ、これ。

 

っていうかいつの間にスマートフォンになってるんだろう?

 

 

「あら、霊夢。依頼の方、終わっt……いきなりなにをするのよ」

 

「いえ、これで試し撮りをしただけにすぎないわ。あとなにが私にも退治しやすい、よ。苦労したのよ?」

 

こいつめ、と心の中で恨みながら再度パシャリ。

フラッシュがついてるから紫でも眩しいはず。

私からのささいな嫌がらせだ。

 

「……。ふむ、難しいものね。貴方になってから、歴代の巫女には及ばずとも多少は戦えると思っていたのだけども…。スペルカードでのみしか経験してないんじゃ、無理もない話だったわね。ま、退治できたのなら今後は期待ね♪」

 

こいつ…分かってるのか?

再度スマフォを紫に…

 

「そんなにスマートフォンで撮影してもなにもないわよ?可愛い霊夢」

 

「あぁ、そう。ま、いいわ。……んで、なんの用よ」

 

半目で睨んでやる。

いきなりスキマから出てきたってのもあるんだけどさ。

 

「いえ、あの妖怪退治依頼のことよ。それを伝えに来ただけよ。あとついでに霊夢の顔でも見ようかとね♪」

 

「あー…そういや忘れてたわね。依頼のこと。……で、最後の顔ってなによ。ほぼ永遠亭で治してもらった怪我しかないわよ?」

 

ほんと、この妖怪はなにを考えてるんだろうね。

優しくしたいのか、それともなんなのか…。

 

「ま、永遠亭の連中は元月の民だものね。あの時の貴方の怪我からして、残りは自然治癒、まで持っていけるのは造作もないはずよ」

 

いやいや、どんな理屈?

いくらなんでも月と幻想郷とじゃ、物事の進み具合が違うし。

 

幻想郷は現代より前で、月は現代より進んでる。

そんな感じだから、ありえる話なのだろうか。

でも、確かに治療されてるときになんか飲まされたな。あの時はジュースかと思ったけど、その後から嫌に体が軽い。

 

「へぇ…心当たりもしっかりある、と。そりゃそうよね。……それと、写真…消した方がいいわよ?真っ白な写真なんてつまらないでしょうから。じゃ、またね」

 

 

――うん?真っ白な写真?

………う、うわぁあーー!?撮った写真2枚とも全部真っ白なんだけどー?!どうなってんの、これー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……うん、何で山なんかに来てるんだ?私。

 

「霊夢さん、河童(かっぱ)達はこっちですよー」

 

「あぁ…はいはい。そっちね」

 

確かスマートフォンで撮った写真を2枚消していたら、早苗が偶然来て依頼の報酬すら受け取らないままふろしき?にスマートフォンと入れっぱなしだった充電器を持って山に連れていかれる形で行きそうになって、魔理沙も便乗してきた…んだっけ?

 

うん、なんで魔理沙がよく絡んでくるんだろう?

 

「へぇ…お前、そんなの持ってたのか。と、それと怪我は平気なのか?」

 

「そ、それが私も急にスマートフォンに変わっててビックリしてるのよ。あ、怪我は平気よ。永遠亭に行ったし」

 

(スマートフォン?…ってそうだったな。霊夢は元外来人に近い存在だからそういうのも知ってて当たり前か。でも、どうやって手に入れたんだ?まさか、幻想入りでもしたのか?…有名なら、ありえないはずだが…)

 

「魔理沙さん、霊夢さん。おいていっちゃいますよー?」

 

「さ、誘ったのにおいていこうとするなんて酷いわよー!」

 

「そうだぜー。どこに行くのかも分からないから案内は最後までしてほしいんだがー?」

 

早苗の方に向かっていっている時、まるで生まれたての神様みたいな…なにか、霊的な物が一瞬(いっしゅん)見えた気がするけど、なんだったんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく向かっていると河童達のところが見えた。

冬なのに色々とやってるなんて、真面目なのか?

 

「にとりさーん、いますかー?」

 

「あぁ、いるよ。…っておよ?霊夢に魔理沙じゃん。どうかしたの?」

 

(私は特に用とかないんだけどな。なんとなくついてきただけで)

 

「早苗になんか見せたいものがあるとかって聞いたんだけども、詳しくは知らないのよね。あとこれも持ってきて、とは言われたけども」

 

ふろしきを開けて中に入れてきたスマートフォンと充電器を見せてみた。

もちろん電気があるから使えないことはほぼないんだけどさ。

 

 

って動くのはやい!?

「ね、ねぇ!改造とか、そういうのしてもいいかな?!動作とかに問題ないようにするからさ!」

 

「な、なんでよ!そう言って壊されても困るのよ!?」

 

連絡相手がいないんだとしても、携帯電話のカメラ機能は優秀(ゆうしゅう)なんだよ!?

幽霊が見えない人にもオーブとかそういうので見せれるし!なにかあればすぐにお祓いもできる!

巫女になった私ならではだけど、幻想郷じゃすごく便利なんだよ?それ以外もあるだろうけど。

 

(れ、霊夢さんってもしかして河童達の腕前を知らないんですかね。…いえ、知っていたらそんなことしませんよね。巫女らしくしようとしても、空振りしていたぐらいですし。――ま、まあ、それは私や先代の博麗の巫女である霊華さんと一緒にそういうのを教えたから大丈夫みたいですけど)

 

「平気だって!私達ならそのぐらい、ここで出来るから!」

 

 

いや、頭だけで?!本当に大丈夫なの!?

 

(伊達に手先が器用だと言わないだけあるのか、すごく自信満々に言うんだな。…心配になるのも無理はないが、なんでそんなのが幻想入りしてるんだ?)

 

「あー、霊夢さん。大丈夫ですよ。ロープウェイを1から作ってくれるほどには腕はありますし。あ、まだ途中ですよ?」

 

「えっ?ロープウェイを?…あんたらが?」

 

「そんなに驚いたような顔をしなさんな。私は、私達はやれるほど手先が器用だからね。ほら、お前さんも分かるでしょ?なんだったら着いてきてよ!」

 

「わ、分かったから引っ張らないでちょうだい!?…わわっ?!」

 

 

 

 

 

「早苗、あれってついていった方がいいんじゃないか?半ば連れてかれてるぞ?」

 

「そ、そうね…。放ってはおけないし、そうしましょうか。そうと決まれば早くついてくわよー!」

 

 

な、なんか後ろからハイテンションな声が…。

私からすればそんな軽いノリじゃないんですけどねぇえ!?

 

 

 

 

 

その後は、にとり達河童(かっぱ)に色々案内された。

冬なのにすっごい元気だったけど、帰り道、早苗に言われたんだ。

“河童達はああいう気質ですから。慣れてください”

 

しかも、苦笑いで。どうしようもないんのなら、仕方ない…のかもしれない。

いや、仕方ない、だったね。人の話聞かなかったし。

 

―――ただつい最近幻想入りしたスマートフォン――プロフィールは受け取った際にチラッと見て名前が博麗霊夢になっていたことから私の物らしいと判断――はにとりに改造されるはめになった。

もはやどうにでもなれ。



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第49話 苦渋の選択―ある人にとっては

今回は少し短め…ですね。


※追記:悪い方へは【https://syosetu.org/novel/165110/】へ、本編はそのまま次へ進んでください。
後書きにも悪い方へ進むのがありますので、読んでないという方で、二次創作などが平気というような方はどうぞ



そろそろ霜月か師走のいいとこまできたでしょ、というぐらい寒くなってきた。

 

寒くなってきたのは冬だからいいんだけどさ、なんかちらほら生まれたての神霊が見えるようになってきたけど、大丈夫なのかな?

 

 

 

とりあえず、怪我も治ったし、雪でもおろすか。

昨日の雪降ろしとやらでだいぶつもっちゃったし。

 

 

「んで、私が手伝うことは前提なのか?」

 

「当たり前でしょう?霊夢の好意で泊めてもらってるのよ。あの子なんて守矢神社のもしっかりやるようになったのよ?まあ、その分私がやる境内の範囲を増やしたのだけども」

 

(あぁ、だからそんな余裕が…。霊華の体力が霊夢と違ってかなりあるし、自身と比べられてた節もあったから、説得するのも大変だったろうな。そもそもあそこまで真面目に説得したのは雪降ろしがあって初めてだろうしな)

 

 

「そうだったのか。それで、昨日の雪降ろしはああやって避けるんだ。覚えたか?霊夢」

 

「雷が起きたら吹雪が起きる現象なんて、驚きすぎて忘れられそうにないわ」

 

ふつーにそういうのがない場所で過ごしてたのもあるんだけどさ。

今までそんなことなかったし。

 

「ふふっ。仕方ないわ。他にも色々あるけど、魔理沙やあなたにはまだ分からないでしょうから。…反応が楽しみね」

 

「反応…ってお前も案外意地悪だな。教えてくれてもいいじゃないか」

 

「そう思う暇があったら手を動かした方がいいわよ?あったまるから」

 

 

「雪は重いんだからそんなはやくおろせるわけないじゃない!」

「こんな重い雪、そんなはやくおろせないぜ!」

 

「……わ、悪かったわよ。あなた達は自由にやっていいわ」

 

あ、すねたみたいに顔をそらしてきた。なんか新鮮かも。

ちなみに朝からやってそろそろ約にじk……1刻(いっとき)ぐらい、経つのかな。

それでようやくこれか…。

 

多分かまくらとかなんて作らなきゃはやく終わったんだろうけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからもうしばらくして、ようやく雪を全ておろしおえた。

いやぁ、長かったもんだ。雪かきってこんなに大変だったっけ?

 

「なあー、霊夢。かまくらで休憩しながら声をかけるのもあれなんだが、里で占いが流行りつつあるのは知ってるかー?」

 

「あー…占い?うーん、最近も里にはおりてるんだけど、知らないわね。そもそも耳にすらしたことないわ。本当に最近なの?」

 

あれ、かまくらで腕を組んで悩むようなものかな。

とても不思議なんだけど。

 

 

「2人共、そもそもの話を聞くのだけども…占いって、なにかしら?」

 

 

「「えっ?」」

 

え、嘘。

霊華ってまさか必要な物ができた時以外は里におりないの?

いや、依頼とかもありえるんだけどさ。それ以外はおりないの?

 

(マジか。こいつ、私よりは里におりてるから知ってるかと思ったんだが…。そうでもないのか?)

 

 

「……な、なによ。そんなに知らないことがあるのが不思議?私だって、知らないことの1つや2つはあるのよ?」

 

「なるほどね。なら、仕方ないわ。…そ、それで悪いんだけど、魔理沙が説明してくれないかしら。その、私は占いのこと、人に教えられるような覚え方をしてないもんだから言えないのよ。ダメかしら?」

 

大体の人に言えることを占いとして言っているにすぎない、とかそんなことを説明として教えられるわけないもんね。

と、いうより適当すぎるでしょ。

 

「しょうがないな。霊夢は雪だるまの続きでも作ってろ。んで、霊華。占いってのはだな、方法のことだ」

 

うん、まぁ…雪かきは終わったし、妖怪退治依頼とかはしばらく私のところに来ないし、遊ぼうかと思ってたらつい雪だるまを作ってしまっていたんだよね。

魔理沙や霊華から見えるのは当たり前だろうけど。かまくらは鳥居から見て右側の森と神社の間だし、霊華なんて縁側付近でなんかやってるし。

 

 

「んでな?占いってのは文字どおり、相手の運勢を占ったりするんだ。必ず当たるかどうかは知らんが、色々と調べられるらしいぜ。本当は霊夢もそういうのを占えると思うんだが…」

 

 

いや、こっちをチラチラ見られてもなあ。

 

 

「うーん…私は占いとかする気は起きないのよね。ほら、占いなんて大体の人間に当てはまることしか言わなそうじゃない?」

 

「夢がないな、お前は……。と、ともかく。私でもやれるかもしれんことだ。それが里で流行っててな?確かやってるのは…小鈴、だったはずだぜ」

 

……えーと、小鈴?

 

「小鈴ちゃんが?魔理沙は受けてないの?」

 

「受けたよ。一昨日にな。だからまた博麗神社に来てるんだろ?」

 

(なるほど、つじつまがいったわ。でも、占い、占い…ねぇ)

 

「ねえ、悪いんだけど、その占いについて分かる限りでいいから話してくれないかしら?もしかしたら、なにか分かるかもしれないし」

 

「えっ?で、でもな…」

 

占いを知らなかったとはいえ、いいんじゃないかな。

霊華だし。

 

 

「分かった分かった。霊夢も自信ありげに頷くんなら話せば分かるんだろうな。んじゃ、やり方なんだが―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って言う感じだな。でも、これに似た占術を使った易者が不審な死をとげてるらしいんだよな」

 

「ちょっと!それを先にいってちょうだい!霊華、魔理沙をお願いね!」

 

 

「れ、霊夢?!」

 

「ちょっ!?そ、そんなに急いでどこへ行くのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単に準備をした私は大急ぎで里におりた。

と、いうか急ぎすぎて誰かとぶつかった。

 

「ご、ごめん!前を見てなかったわ」

 

「まったく……って貴方は霊夢じゃない。しかも、評判がよくなった方の」

 

ん、んん…?評判がよくなった方の?

 

「そ、そう。とりあえず小鈴ちゃんは今どこかって知らないかしら?」

 

「ええ、知ってますよ。それにしても、なんか“今の”霊夢になってからと言うものの、博麗神社に妖怪だけでなく、人間も来ているようなのでよかったですね」

 

な、なにその言い方…。

え、私とかしか知らないことを知ってたりするの?

 

「あ、申し遅れました。私は稗田阿求(ひえだあきゅう)と申します。上白沢慧音のことは知ってるらしいから、はぶくのですが、私もずっと前から幻想郷の歴史を編纂(へんさん)してきました。そうですね、それこそ私の知らない歴史の方が少ないほどですよ」

 

へ、へえ…なるほど…?

 

「な、なるほどね。まあ、要するにやってることは慧音の上位互換ってことでいいのかしら?」

 

「貴方に分かりやすく言えばそうですね。代々そのようにしてやってきたので。…あ、小鈴はこっちにいたはずですよ。ついてきてください」

 

「なるほど、大体分かったわ。…っと、悪いわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

里の方を少し歩くと人だかりができているのが見えた。

と、いうかまだ朝なのにそこそこの人が並んでるね。

 

「はい、また来てくださいねー。………あ、あれ?霊夢さんに阿求じゃない。どうしたの?」

 

ちょうどある程度占い終えた頃に近づいたら驚かれたのは何故?

 

「私は特にないわ。用があるのはそこの霊夢よ。んじゃ、私は先に帰ってるわね」

 

「ありがとね、阿求。助かったわ」

 

「そうだったんだ。阿求、またね。……それで、霊夢さんはどうしたの?」

 

ま、魔理沙から小鈴ちゃんとよよく似た占術で不審な死をとげた人がいるから心配で来たとか言っても…大丈夫なもんなのかな…。

 

「え、えー…とー…そうね、魔理沙からあんたが占いを始めたって聞いて気になって来たのよ。どうなのかなー、ってね?」

 

「あぁ、そういうことですか。…結構いいですよ。他の人にも教えたんですが、私が編み出したこの方法は結構当たるって人気なので」

 

(本当は見つけた書物に書いてあったんですけどね。それを私なりに多少アレンジを加えたりしてやってるだけですし…)

 

「なるほど、ね。その、悪いんだけど、読んだ本…ちょっと訳ありだから捨てた方がいいわよ。もしかしたら、身に危険がおよぶかもしれないから」

 

「え、ええー…そうなんですか?うーん、考えておきますね」

 

「そう、分かったわ。でも、できれば捨ててちょうだいね」

 

直接的には大丈夫なんだけどね。

まあ、こう言えば捨ててくれる…はず。

さて、私はその易者とやらに会いに行くかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく里の郊外を探していたらようやく見つけた。

すっごく分かりやすい見た目をしているから見つけやすかったんだけどさ。

 

「ねえ、そこのあんた。“元”易者よね?」

 

「ん?ああ、巫女か。しかも、現代の方の。いかにもそうだが、話を聞いてくれ」

 

「話って言われてもあんたから妖怪のような気を感じるから退治したいのだけども…」

 

魔理沙から不審な死をとげた易者がいるって聞いたばかり…おや、もう時間はたってるんだけどさ。

今日聞いて忘れるような記憶力はしてないし。

 

「待ってくれ。俺は占いで世界の外側を見たんだ。そしたら、妖怪に支配されてないときた。お前は分かるだろ?それに里から離れた場所に家を作り、他の奴には危害を加えない。どうだ?」

 

どの世界をかいまみたんだか知らないけど……。

う、うーん…。

 

「そんなに首をひねることか?妖怪だって近くにいるんだろ?…それに、幻想郷で前に流行したサッカーについて知っていたってことはお前は妖怪側で、かつ世界の外側を知る巫女なんだろ?…なあ、頼むよ。俺のこと、見逃してくれないか?管理される側で惨めな思いをもうしたくないんだ。でなきゃ人間なんぞ辞めない」

 

「そう言われても、ねえ?」

 

「なら、さっきから言うように危害は加えない。だから、俺と敵対する意味なんてないはずだ。…頼むよ。見逃してくれ…」

 

そ、そう頼まれても…私…私はどうすれば…。

……困ったなあ。




【https://syosetu.org/novel/165110/】
↑こちらは悪い方向へ進んでしまった場合です。それでも平気と言う方のみどうぞ


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第50話 彼女なりの決意

……言いたいことが分からないわけじゃないから悩ましい。

かと言って、世界の裏側が本当に外の世界かどうかも確認できない。

 

でも。だからと言って見逃せるはずもない。

 

「―――悪いけど、あんたを見逃せそうにないわ」

 

「……?!な、何故だ。お前は妖怪側で、世界の裏側を知る者ではなかったのか!?」

 

あぁ…。最初から誤解していたのは、この人だったのか。

なら、世界の裏側とやらが本当に外の世界かどうか分からなくても言えることはある。

それに首もハッキリと横に振れる。

 

「そう。なら、まずあんたにとって嫌なニュースよ。私の知る外の世界も妖怪なんていない。けど、代わりに外の世界では自然災害や犯罪などが目立つわ。それに―――妖怪に支配されていなくても、法律に縛られるわ。そこにもし、住んでいたらだけどもね」

 

「この妖怪が支配している世界よりはマシだろう?!」

 

……。

なるほど、外の世界について教えてあげるか。私の知るところを残りのこさず、ね。

 

「そう考えられるのはあんたが幻想郷しか知らないからよ。外の世界はここよりもっと広く、人間もたくさんいるわ。それに言葉だって日本語だけじゃ通じないこともあるわ。それは幻想郷で言う横文字がそうね。あれは外の世界じゃ英語って言われてるわ」

 

それだけじゃない。

日本以外にも場所があると言えばどうなるか、想像のつかない人ではないのならたぶん分かるはず。

 

「それ以外もあるけど、関係ないから教えないわ。んで、それに外の世界では場合にもよるけど、安心なんて出来ないわよ。…妖怪とか関係なく、ね。私は平和な場所で生きていたから詳しくないけども」

 

「それこそ関係ないだろ?まだそのお前の知る外の世界の方が「残念ね。外の世界ってそんなに優しくなんてないのよ。だって、ここ以上に“仕事”があるのだから」」

 

学生だった私には無縁だったけどね。

 

「ま、ともかく外の世界は想像以上に厳しいわよ。あんたが思っているよりも、ね。それにそもそもあんたは禁忌をおかしているわ」

 

「まるでお前も世界の裏側を知ってるかの言い方だな。…噂は本当だったのか?」

 

「知ってる…というか、見ただけじゃないもの。それに、禁忌って分かる?悪いけど、あんたは妖怪になったの。妖怪ってね、先代の巫女曰く人間を食べる生き物らしいわよ?しかも、怖れられる…。そんなあんたが、ずっとひっそり過ごすなんて厳しいわよ。それに、自然の多い幻想郷の方がまだいいことがたくさんあるわよ」

 

「なっ…。お、お前はそっち側じゃなかったのか?!」

 

首を振る。

全然違うからね。だって身の周りにいる妖怪達は1度退治したことがあったらしいことが多く、私も1度退治したことがある妖怪達や人間達…になるし。

 

「ええ、最初から違うわ。だからこそ、あんたを退治させてもらうわ。何故か?―――それはね、外の世界でも幻想郷でも一緒。人間を辞めることが一番の大罪よ。例え、どんな理由があったとしてもね」

 

そうとだけ伝えると私はお札を乱雑に投げ、逃げ場をなくしてから大幣(おおぬさ)…じゃ、ないか。

お祓い棒で後ろから易者の胴体に殴りかかり、振りきってからの上へ振り上げて、頭へと振り下ろした。

 

「――さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はそれだけ伝えると、里へ戻った。

もちろん、易者のこともあるけど、一番は…

 

「その本はとても危険な物よ。下手したら妖魔本よりも。…燃やして捨ててもらってくれないかしら?もしかしたら、大切なものになってしまってるかもしれないけど」

 

「え、ええと…本を、ですか?でも「お願い。他の本はまだいいのだけれども、それだけは捨ててもらえる?今度、外来本でもなんでも1冊持ってきてあげるから」」

 

え、いや、そんなに驚かなくっても…。

な、なんか私、小鈴ちゃんに変なこと言ったかな…。

 

「あ、すみません。なんか、霊夢さんが前より丸くなったって実感するほどのことだったのでつい…。分かりました。燃やして捨てておきますね。代わりの本はそんなに気にしなくていいですよ。やっぱり霊夢さんは本とかが大切みたいですから」

 

「そ、そう…?ありがとね。助かるわ。あとそれはどういうことよー」

 

「ふふっ、秘密です」

 

……ひ、秘密ぅ!?

な、なんで?!

 

「ちょっと!?小鈴ちゃん、それはひどいんじゃないかしら!?」

 

クスクスと楽しげに笑う小鈴ちゃん。

…まったく。小鈴ちゃんに関しても私は気にしてるって言うのにね。

っていうか妖魔本の存在を私に伝えてよかったのかな?小鈴ちゃん。

 

「ふふ、すみません。よく外来本とかそれ以外の本を借りにきては返しにくるだけあって、霊夢さんは懐が広いなあって」

 

なんだそりゃあ…。

そう思いながらも私は

「あら、案外懐は狭いかもしれないわよー?」

と冗談めかしながら笑顔で言った。

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社に帰ったのはかなり時間が経った後、なんだよね。

それのせいか、霊華がいなくて、魔理沙が境内で右往左往していた。

 

「わ、悪いわね。遅くなったわ」

 

「れ、霊夢!無事だったのか!?」

 

せ、精神的ではだいぶ削られたけど、どう見たって外見は無傷なはずなんだけど?!

 

「見た目のとおりよ。体のどこにも怪我はないわ。まあ、妖怪退治とかさっきの事とか考えることがたくさんあったけどもね」

 

「そ、そうなのか!?」

 

うん。そうなんだけど、魔理沙?

私よりそうやって慌てられると反応に困るっていうか、逆に冷静になって考える余裕がうまれるというか…。

 

「とりあえず、あんたは落ち着いて。説明はするから」

 

お茶でも淹れて落ち着かせるかな。

茶菓子も出せばもっと落ち着くかな?ほら、甘いものを食べれば落ち着くっていうし。

お茶も落ち着くしね。

 

 

 

 

 

 

 

「どう?落ち着いたかしら?」

 

「あ、あぁ…まあな。と、いうか一番焦ってるのは霊華なんだよな。あいつ、なんかお前のことをまるで自分の子供のように大事にしてるらしいし」

 

たまに過保護な気がするのは気のせいじゃ、なかったのか…。

でも、以前の修行に関しては本当に大事にしてるのかってレベルできつかったんですが。

理由はずっと聞かないつもりでいるんだけどね。

 

「だから、なのね。…でも、この神霊…なんなのかしら。春が近づいてきてるのかもしれないけど、それにしては増えては消えたりするし。中には私が対応したら消えたりする子もいたし…」

 

「だからたまにあの神霊とやらに話しかけてたりしたのか。んで、あれはたぶん人間の欲の塊…だろうな」

 

そういうのに話しかけるのも少しとかしばらくだけど、今を忘れることができるから。

んで、あとで考えてゆっくりそのことを理解していけば、ポジティブに考えれるようになるしね。

 

でも、人間の欲の塊、ねえ。

そんな具現化するほどの欲って私にはそんなにないんだよなぁ。

たまに厳しいことがあるけど、毎日見知った人達などと弾幕ごっこしたり、他愛のない会話をしたりするのが楽しいからなくなってほしくないなとかそういうぐらいだし、お賽銭(さいせん)とかをしてくれる参拝客は守矢神社の分社もあいまって前より増えてるし。

大体はお守りとかおみくじをしてくんだけど。博麗神社のも信仰してあげてー。

 

って違うか。

 

「んでも、なんであんなに増えてるんだろうな。好奇心がわかないか?」

 

「えっ?そうかしら。私は特に…」

 

ってうわぁ?!また神霊がこっちに…!?

 

「……お前、神霊に好かれてるんじゃないのか?すごく周りに来てるぞ」

 

「し、知らないわよ。ただ相手にしてるだけだもの」

 

(まあ、そうみたいだからな。ふむ…。首を横に振る辺り、心当たりもないんだろうな。相手にしてるだけ、じゃ分からんし。…それにしても霊華の奴、どこまで探しに行ったんだ?)

 

 

ん…バタバタ?

神社の中を誰が走ってるんだろう?

 

 

 

 

「魔理沙!霊夢は………って戻ってきてたのね」

 

「そんな大したことなんてしてないのに帰宅が遅くなることなんてないわよ」

 

まあ、大きなことが私の中で2つほどあったけどね。もちろん、異変は含めてないけど。

 

まず、妖怪退治。

あれでこの幻想郷の“人間は妖怪に襲われ、恐怖する。妖怪はそれで存在を得るが、同時に人間から退治される側になる”というようなことがよく分かった。

初めて退治した時は死ぬかと思ったし、精神的に辛かった。

けど、今は受け入れている。

 

何故か?

それは、今回の易者のことだ。

あの人は占いで世界の裏側とやらを知ったらしいが、本当かどうかなんてもう確認できない。

と、いうよりできなくなった。

 

一応、外の世界かもしれないとは思うんだけど、それも分からない。

でも、幻想郷はその外の世界にとっての非常識。

そこに外の世界と同じような物なんてむしろ求められないんじゃないか。

それを考えたら厳しいとよく分かった。

 

――ならいっそのこと、幻想郷を受け入れてしまえばいい。今までのように。前向きに。

時間はかかるだろうけど、今を飲み込めるようになるだろうね。……現実を、私がね?

 

「大したこと…のわりには表情がやけに変わったわね。まるで大人びた感じがするわ」

 

「そうだな。私から見てもなんか違う気がするぜ」

 

 

「あら、そう?ふふ、そんなことなんてないと思うわよ」

 

他にもまだ色々とあるだろうしね。

私が経験したのなんてその一部にしかすぎないだろうし。

 

 

あ、そうだ。ちょうどいいし、霊華にあるものでも聞くかな。

 

「ねえ、霊華。話は違うんだけども、その服って足りてるかしら?パジャm……寝間着はどうやら足りてるようだし」

 

「ん?…あ、あー…。そうね、お願いしようかしら。落ち着いたら里で買い出しにでも行こうかと考えていたところだし」

 

なるほど、なるほど……って落ち着いたら?

さっきまでそうじゃなかったと?

う、うーん。私のことを気にしてくれるのはありがたいけど、たまにはそれを自分に向けてほしいな-…なんて。

言わなきゃ伝わらないんだけどさ。

 

「んじゃ、私も行っていいか?久々に香霖と会いたいからな」

 

はいはい、と適当にこたえつつ、頷いたら驚きつつもお礼を言ってきた。

別にいいんだけどなぁ、そういうのだったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香霖堂へ魔理沙と向かって、入るなり

「いらっしゃ―――って、霊夢かい?いらっしゃい。今日は魔理沙もいるのか」

 

「ええ、こんにちは霖之助さん。そうね、なんか用事があるみたいだから一緒に来たの」

 

なるほど、と言うと頷いた。

うん、今のでよかったのかな?

 

「っていうか私がおまけみたいなのはなんでなんだ?霊夢、なんかしたのか?」

 

「したもなにも…ねえ?」

 

「僕へのツケをどうにかして全部払ってくれたぐらいだね。それにそれ以外にも少ない売り物を買ってくれるお客様でもあるからね。対応も変えるさ」

 

(なっ…なんだって?霊夢はそこまでしていたのか?いつの間に…)

 

ん?なんかすっごい魔理沙が驚いてるんだけど、そんなに驚くようなこと、いったかな。

 

「それで、霊夢はなんの用なんだい?」

 

「私と先代の巫女…あぁ、今は霊華と名乗ってるんだけども、その巫女服を頼みたくてね。それで、霊華のは1着余分にお願いできるかしら。その分もしっかり、ね」

 

「あの文々。(ぶんぶんまる)新聞に載っていた先代の巫女は本当だったのか。分かった、君のは2着、先代の巫女のは4着作るとしよう。お代は―――」

 

 

「分かったわ。…はい、ちょうどよ」

 

懐から取り出したがま口の財布…といえばいいのか。

それからお金を取りだし、霖之助さんに見せると頷かれた。

と、いうか金銭が昔のものだから扱いにくい。

 

「へぇ、伊達に外の世界を知ってる訳じゃないんだな、霊夢」

 

「ええ、そうよ。でなきゃ霖之助さんに知っている道具の使い方とかなんて教えたりできないわ」

 

「そ、それは本当か?!香霖!」

 

「そうだね。流れ着いた物で分かるものは説明してもらっているよ」

 

代わりに私は香霖堂でお茶を飲んだりしてる。

これでも立派な物々交換…だと思いたい。

 

「とりあえず、今度また来てくれ。出来てるかどうかを教える。…あと、先代の巫女に会えるかどうか、聞いてはくれないかい?」

 

「分かったわ。ありがとね、霖之助さん。んー…一応は聞いてみるわね?」

 

「すまないね。頼んだよ」

 

と頷かれたのを見て、魔理沙を見てみたらなんかつぼかタルみたいな物に座って棚を見ていた。

え、それって座るものじゃないでしょ?

 

 

「やれやれ、魔理沙。君が座ってるそれは、商品なんだぞ?」

 

「いいじゃないか。どうせこれ、売り物じゃないんだろ?」

 

「とは言え、魔理沙。勝手に座らないでくれないかい?…というか座る場所じゃないんだぞ」

 

うん、ですよねー。

魔理沙なんて「別にいいだろー?減るもんじゃないんだしー」とか言いながら唇とがらせてるし…。いいのかな、それで。

 

 

 

「そういえば、前に倒れたことがあるけど、霊夢。大丈夫だったのかい?」

 

ん?なんかあったっけ?

 

「覚えてないのかい?」

 

「あー、たぶん前すぎて忘れてるだけだろ。って、余計に首をかしげるな?!」

 

「こりゃ失礼したわ。まあ、そうね。大丈夫、としか言えないわ。そうとしか、ね」

 

「…なるほど。これ以上はつっこまないでおくよ」

 

「霖之助さん、悪いわね。助かるわ」

 

 

 

んで、その後香霖堂をある程度見て―――途中バタバタしたけど―――私は博麗神社へ、魔理沙は森にある自宅へそれぞれ帰った。

 

霊華に霖之助さんから会えるかどうか聞いてくれ、というのを質問として聞いたらあっさり頷いてくれた。

なんかつもる話とかがたくさんありそうだなぁ。

ま、それはそれでいいか。



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第51話 巫女と魔法使いの行く神霊?調査 前編

冬が終わり、春になる頃…なんだけど、神霊が気になってしようがない。

前から増えてたけど、いよいよもっておかしいし。

対応すれば消えるのはその時からだけどさ。

 

っと、そうこうしてたら魔理沙が飛んできたね。

 

「よっ!霊夢、待たせたな。んで、行くか。神霊を調べに」

 

「行こうとかどうとか話してたものね。分かったわ、行きましょ。準備はもうすましておいたし」

 

(おっ、ちゃんと覚えてたんだな。…いや、そりゃそうか?)

 

 

「んじゃ、とりあえずこっちだな」

 

白玉楼の方じゃないかな、そっちは。

とりあえず魔理沙についていくか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙と一緒に幽明結界を越えたところで怨霊みたいな、神霊みたいな霊的ななにかが弾幕を張ってきた。

 

2人でそれを避けながら攻撃するもんだから、少しはやく倒せた。

魔理沙は手慣れてるなぁ。結構濃かったのに。

 

 

 

 

さらに進むと誰かいた。と、いうか亡霊?

 

「あぁ、お前は初対面か。あいつは西行寺幽々子って言う奴だな。白玉楼の主ってところだ」

 

「なるほどね…。そうなの。んでも、それとさっきのに関係性はあるのかしら」

 

「あぁ、納得したわ。そういうことね。…それで、貴方達はお客様?もしよければ少し待っててもらえる?お茶を用意するから」

 

いやいや、なんか違うような…。

 

「ああ、違うんだぜ。このよく分からん神霊を調べてるんだ。ほら、今一緒にいる霊夢の周りにいる小さな霊のことだ」

 

「いるわけ……えっ、もういるの?」

 

信じられない。

まだ調べ始めてそんなにたっていないというのに。

 

 

「なるほどね。調べたいのはその神霊に関してなのね?…なら、私を倒してから教えてあげるわ」

 

 

 

 

 

えっ。

驚く暇もなく弾幕をはるのやめて!?

 

「仕方ない。飲み込めないだろうが、ひとまず弾幕で勝つぞ!」

 

いやいや、今のはさすがに私じゃちょっとね?!

 

「とりあえず言わせてちょうだい!―――そうやって急に弾幕ごっこを始めるのはやめて!?」

 

そこで笑うのやめてー!?……って危ない、鱗みたいな弾に当たりそうになった。

あ、魔理沙も当たりそうになってスペルカード使ってる。

恋符「マスタースパーク」って名前のなんだ。

 

 

…あれ、私と似たような場所なのになんで?

なにが違うんだろ…。よく分からないね。

 

 

 

 

―――符牒「死蝶の舞 - 桜花 -」

 

お、おお!?なんか蝶が飛んできた!

いや、スペルカード宣言をしてるから弾幕なんだろうけどさ!

…きれいに思ってしまうのは私だけ?

 

とりあえず、最初は適当に避けつつ攻撃をして…と。

 

 

 

(霊夢の奴、いくら弾幕に慣れてきたのは分かるが、避け始めはどうもそんな風には見えないんだよな。……まあ、別にいいんだが。何回でも挑めるし)

 

 

 

 

 

 

うーん、最初にされた弾幕より少し避けにくくなったというだけの弾幕みたいなのがはられたような…。

…ん?

 

「避けながら私に近づくって言う器用な芸当するなんてどうしたの?魔理沙」

 

「いやなに。この雰囲気、連続でスペルカードが来るかもしれん。気をつけた方がいいな」

 

なるほど。それを言いに…。

魔理沙ってこういう面もあるの、始めて知ったかも。

 

「そうなのね。分かったわ。気をつけてみるわね」

 

「おう」

 

 

そう言って小さめに頷くと魔理沙は離れていった。…伊達に弾幕を避けてないんだなぁ…あれ。

 

 

 

 

 

 

―――幽蝶「ゴーストスポット - 桜花 -」

 

こ、これからスペルカード連続って本当に大丈夫かなぁ…って不安になるような弾幕に見えるのは私だけかな。

色別に避けていればいいんだけど、うまく見ないと私はまだ、ね。

 

これでも前よりはうまくなったんだけどさ。

魔理沙はさっきから避け方が凄いけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――冥符「常夜桜」

 

あ、あれ。なんかすごい避けやすそうな…

「霊夢!記憶でしか覚えてないだろうし、気づいてなさそうだから言うぞ!…こういうのは後々が大変になるから余裕持っておいた方がいいと思うぞ!」

 

「えっ?」

 

「あらあら、伊達に2人でやっているわけじゃないのね。ふふっ。まあ、今代の博麗の巫女がそういう感じなら致し方ないのかもしれないのでしょうけどね」

 

幽々子って小難しいような話しか言わないのかな。

独り言だから?

 

 

 

 

実際にスペルカードのタイムが過ぎるにつれて避けるのが大変になっていったけど、魔理沙と一緒にやっているだけあって気合いで避けなきゃいけないほどの弾幕の濃さになる前に攻略できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――桜符「西行桜吹雪」

 

幽々子がそう宣言するなり、小さな粒の形をした弾が私達の方へ交差するように向かってきた…ように見える。

なんかはやいけど、弾幕は濃くないんだね。

んじゃあ、いざとなればスペルカードを使おう。(真顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……結局使わなかった。

 

「それで、神霊…の話だったわね?貴方達が聞きたい話、というのは」

 

「ああ、そうだぜ。もっとも、神霊だって気づいたのは霊夢だけどな」

 

「へぇ、そうなのね。だとしたら、それについて分かってることはあるかしら?」

 

んー…なんか神霊のお願いを叶えるとたまに消えるぐらい?

それ以外になんかあったっけ?

 

 

「私はこの新しく出てきた神霊が消える……ということしか知らないわね」

 

「私はたぶん欲とかそんなんだと思ってるぜ。あってるか知らないけどな」

 

あ、ちょっ。ため息つくのやめてもらえます?

呆れたように見えないのがなんとも言えないけどさ。

 

 

「なるほど、ね。あながち間違いではないようよ。人の祈りから生まれる(はかな)い思念のようなものだから。神霊の子供みたいなもんよ」

 

あぁ、神社へのお参りってそういう願掛けとかあるみたいだもんね。

以前まではこれっぽっちも考えなかったけどさ。

 

(ほほう…。やっぱり人間の欲だったか。そうだとは思ってたんだよな)

 

 

「ところでもう冥界(ここ)に用はないのでしょう?もしかして、これからお寺の裏にある墓地にでも行くのかしら?」

 

「…魔理沙、そこへ行かない?」

 

「おっ、霊夢もヒントだと思ったのか?…あぁ、そうだな。そこへ行こうか」

 

 

 

 

…いや、明らかにヒントでしょ。

わざわざ場所まで言ってるんだから。

確か命蓮寺っていったよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

命蓮寺へ進み、ある程度たった。

朝だからなのか、あんまり人とか妖怪とかをあんまり見かけないけど。

 

「そういえばここって妖怪が多い寺だったな。…でも、夜に見ても普通の寺だな。神霊とやらが結構いるようにも見えるが」

 

「確かにたくさんいるわね。でも、神霊の子供もいる妖怪向けの寺ってなんか変な感じね。…こう、神霊って墓地にいるイメージじゃないし」

 

だな、と言わんばかりに頷く魔理沙。

 

 

(それもそうだな。…霊夢がイメージしている神霊ってのも気にはなるが)

 

 

「おはよーございます!!」

 

「えっ?あぁ、おはよう…ございます」

 

「お、おはよう…」

 

いきなりすぎて驚いたわ!

魔理沙も驚いてるっぽいし!

 

 

「命蓮寺に戒律の1つとして、『挨拶は心のオアシス』って言うのがあるのよ」

 

うわぁ…すごい規律のいい寺なこって…。

…って寺ってそんな感じでやるもんなの!?

 

「妖怪だらけの寺なのにそういうとこはしっかりしてるんだな。…それにしても、朝なのに元気過ぎやしないか?」

 

「元気もなにも、私は幽谷響(やまびこ)だからね」

 

「えっ?ヤマビコって近くで聞くとそんなに大声なの?てっきり小さい声だとばかり…」

 

「そりゃあ離れた場所から聞けば……って知らないの?そこの巫女さん。私が大声が取り柄だって」

 

顔を横に振る。

外の世界じゃヤマビコなんて山の反響だのどうだのって言われてたしね。

 

「なるほど。なら、自己紹介がてらに魅せるよ!幽谷響(やまびこ)である私の声を!」

 

(そ、そういうもんなのかね。こういう妖怪はよく分からないもんだ)

 

 

 

 

 

って本当に弾幕はってきた。

私や魔理沙狙いの弾ばかりなのかこっちによく来るような―――ってなんか濃すぎやしないかな?!

 

(なんかこいつ、弾幕を避けるのに慣れてるんだか慣れてないんだかよく分からないな。まあ、そのうち平気になるだろ)

 

 

 

 

 

―――響符「パワーレゾナンス」

 

んっ?なにか出てきた…?

え、中に弾が出てきて反射するように動いて…うわっ!?形が変わったんだけど!?さっきまで魚とかにある(うろこ)みたいな形だったのに!

 

ちゃんと気にして避けないと大変だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり2人で攻撃しているわけじゃないから、次の弾幕に切り替わった。

なんか反射してくるから前からはられてくる弾幕以外も気にしないといけない。

結構大変。

 

 

魔理沙は…あぁ、うん。時おり移動しすぎてぶつかりそうになっているのは動きが私より速いからかな?

 

 

 

 

 

 

 

―――山彦「アンプリファイエコー」

 

ん?なんでわざわさ当たらないような場所に鱗みたいな弾をはって…ってはねかえってきたー!?

 

(全部が大きな弾に変化したのか…。まあ、万が一は霊夢にもボムとしてのスペルカードがあるし、大丈夫だろ)

 

い、いざとなったら弾を消さないと私はきつそうだなあ……というかどうしてこうなってるんだろうね。

なんだっけ、ヤマビコ云々のところかな…。

 

 

 

 

 

…霊符「夢想封印」って楽だなぁ。(遠い目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――大声「チャージドヤッホー」

 

最初こそは楽だけど…み、魅せるってこれのこと?ヤマビコを弾幕で表現している、と思えばいいと?

な、なかなかに厄介な弾幕…だね。うん。

 

(…れ、霊夢は器用なのか?さっきから避けながら頷いたり首をかしげるなんて、普通はできないと思うんだが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まあ…要するに、幽谷…じゃない、ヤマビコはオウム返しをするだけの妖怪なの。分かってくれたかなー…なんて」

 

つまり、これから先は見逃してほしいって言いたいのかな?

 

「私は別にいいわ。オウム返しをするだけの妖怪なら。んで、この先に墓地があるのよね」

 

「そ、そうだよ。でも、そこへなにしにきたの?」

 

「神霊の調査、ね」

「神霊もどきの調査、だな」

 

 

「神霊の調査、ね。……なんかいたっけ?」

 

わ、私のをするんだ…。

でも、確かにオウム返しみたいな感じだね。

 

 

「とりあえず行こうぜ、霊夢」

 

「うーん、あんまり墓地で戦いたくないんだけどもねぇ」

 

寺はいいのかって?

…まあ、少し戦いにくかったね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからある程度墓地に進むとなんかデザインの派手な傘っぽいものを持つ妖怪?が出てきた。

と、いうか向こうから近寄ってきた。

 

「む…確か、お前は…」

 

「あ、いいところに!この先で見たことのない奴が番をしているの。私が倒そうと弾を撃ち込んでも、タイムオーバーになって負けちゃうんだ。ねえ、貴方達、なんとかできない?できたらお願いしたいの」

 

「小傘か。でも、妖怪も手を焼くのなら面白そうだ。おm「へぇ、そうなのね。教えてくれてありがと。んじゃ、私達は急ぐから」」

 

(な、なぁっ!?霊夢?!まさか相手にすらしないのか!?)

 

 

 

「どうしたの?魔理沙。…もしかして、あんたの言うように妖怪なの?こいつ」

 

「ああ、一応な。こいつも退治しないのか?」

 

えっ?なんでわざわざ退治するの?

情報をくれただけだし、別に退治しないといけないなんて決まってないでしょ?

さっきの妖怪―――名前を聞き忘れたからあとでいたら聞いておこう―――と同じでたぶん無関係だろうし。

神霊について知ってる感じもしないし。特にこの子なんて“知らない奴が番をしている”と言う辺り、白だと思う。

 

「ほら、それだと“迷惑な”妖怪退治じゃない。違う?」

 

「………!そ、それもそうか。じゃあな、小傘」

 

「是非ともお願いするわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、更に進んだわけなんだけど…番、ねぇ。

番犬とかしか浮かばない私はどうなもんなのかな。

 

「本当にこっちにいるのかね。その小傘の言う見ず知らずの奴とは」

 

……?

 

「うーん、どうなんでしょうね。んでも、なんか風が生ぬるくなってきてないかしら?」

 

魔理沙は確かに、と言うと頷いた。

気のせいじゃないんだ。これは。

 

 

「ちーかーよーるーなー!ここから先はお前達のような者が入っていい場所じゃない!」

 

えっ?あー…墓地に?

なにかこの先にあるのかな。

 

「私達でダメなら誰なら入れるんだろうな」

 

「えっ?…誰ならいいんだろう…」

 

「いやいや、あんたが悩んでどうするのよ。んで、この先にあるなにをあんたは守ってるのよ」

 

「え、えーっと…なにを守って…。そうだ!霊廟を守ってるんだ!」

 

え、えぇー…。思い出したって、どういうレベルなの…。

と、いうかなにあれ。ゾンビ?それともキョンシーって奴?

 

「色々と忘れてるとか、お前はどうなってるんだ?腐ってるのか?」

 

「キョンシーだから腐ってるよ!」

 

「キョンシー?…有名なゾンビじゃなくって?」

 

「ゾンビでもあるよー。でも、我々は戦士(キョンシー)なのだー」

 

(そういうわりにはずいぶんと血色のいい奴だな)

 

「あー…とりあえず、私達は神霊を調べに来たんだけども」

 

「お前は神霊についてなにか知ってるのか?」

 

「神霊とかなんなのか知らないけど、お前達のような寺の連中からこの辺りを守るために私は、宮古芳香は蘇ったのだ!そうだ、お前達も仲間になるといい。ならないのであれば、この弾幕で追い払ってやる!」

 

 

そ、それはそれでなんだかなぁ…。

とりあえず、小傘が言っていた奴はこの人?で間違いないだろうね。

 

一応魔理沙に顔を向けたら首を縦に振ったし。

 

 

 

それにしても最初の方は楽なことがまだ多いね。うん。

気のせいだと思いたいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――回復「ヒールバイデザイア」

 

そう、スペルカード宣言したのを聞くなり、あの芳香と名乗ったキョンシー?の横に出てきたのは幽霊。

…感じからして、たぶん。きっと。

 

 

 

それからある程度して、なんかおかしいと思った。

魔理沙や私が幽霊を倒してしまうたび、神霊のようなものが現れ、芳香と名乗ったキョンシーの元へと向かう。

その度に体力が回復しているのを見て……

 

「霊符「夢想封印」!」

 

ボムを使えばタイムオーバーにはならないんじゃないか。

そんな安易な考えだけど、いける…よね?!

 

 

(れ、霊夢はなにをしてるんだ!?急にボム用のスペルカードを使うなんて避けきれなくなったのか!?いや、さっきまでの様子からして避けきれてないってのはないみたいだが……。まさか、なにか考えでもあるのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、タイムオーバーにならなくてすんだ。

さすがボム。弾幕を消すだけじゃないんだね。

いや、2人で芳香1人相手に弾幕ごっこをやってるんだし、気にしなくてもよさそうだけど、体力を回復されるのはなんか厄介そうだったからね。

 

さて、次はあまりこういうのがなければ色々と助かるんだけどなー…と。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――毒爪「ポイズンマーダー」

 

な、なんか教科書とかアニメにしかなさそうなクナイもどきの弾がたくさん飛んできた!?

ばらまきすぎじゃ、ないかなこれ?!

いや、そういうのってあまりつっこめないんだろうけど!それでもこれは前に見た弾幕の比じゃないよ!?

 

(…たぶんこの弾幕はきついだろうな。ボムを使ってもいいか。なんだかこいつ、神霊についてあんまり知らなそうだしな)

 

 

 

「よっと、恋符「マスタースパーク」!」

 

 

 

魔理沙があれを使うと動きが遅くなるような…。気のせいかな?

いや、今は楽になったことをありがたく思っておくかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---欲霊「スコアデザイアイーター」

 

 

えっ?ちょっ、なんて厄介な…!?

 

「霊夢!お前、ちょっと無理できそうか!?」

 

「た、たぶん!ちょっとやってみるわ!」

 

「無理するなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと、私が芳香の後ろ側に行って、魔理沙と共に何故か青色の神霊を拾えるだけ拾った。

なにせ1回目や2回目より回復してないのかようやく削りきった。

どれだけ大変なのよ、この芳香って人…じゃないか。キョンシーの弾幕は。

 

 

「や、やーらーれーたー」

 

 

「にしても墓地でキョン…ゾンビと戦うとかどこの三流映画だ?」

 

「むしろB級だと思うんだけども」

 

「どっちも違うよ?私はキョンシーで、ゾンビだよ」

 

あ、あんまり変わらないような気がするよ?それ。

強いて言えば呼び方とか細かいところが違うだけで。

 

「んで、お前は神霊についてなにか知ってるのか?」

 

「えっ?なにそれ。栄養食品?」

 

(あー…うん。やっぱりこいつは死体だな)

 

「全然違うわよ。とりあえず、寝ていいわよ。お勤めお疲れ様」

 

「んじゃあ、亥の三つ時ぐらいに起こしてよ」

 

「22時から半に起きるって夜行性みたいね」

 

「いや、霊夢。まず起こさないからな!?分かってて言ってるのか!?」

 

うん、私も起こす気はないよ。

あったとしても、今の時間がよく分からないし。1時間を4つぐらいにわけるとか勘弁して。

 

(…あ、わざと言ったのか。それもそうか)

 

 

 

 

 

 

魔理沙も頷いたのを見て、私達は先へ進んだ。

扉みたいなのも、ちょうど開いたし、神霊の子供とやらも皆そっちへ行ったからたぶんこの先になにかあるんだろうね。

…情報があるといいなあ。




後編に続きます。


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第52話 紅白巫女と白黒魔法使いが行く異変調査 後編

ええっと、なんだろうここ。

扉に近づいたのはいいけど、なんかすごく…

 

「魔理沙。なんかやけに神霊の子供がいると思わない?」

 

「ああ、そうだな。それに意味ありげな扉があったし…行こうぜ」

 

ええ…そんなんで行くの?

 

「あら、いらっしゃい。貴方達も、もしかして…導かれてここへ?」

 

えっ?

この人、なにか知ってる?

 

「そうだな、妙な神霊と生き生きとした死体には導かれてるな」

 

「他にもいたけどもね、そんな感じの妖怪。全く関係ないのもいたけど」

 

「なるほど…。生き生きとした死体、ということは私の可愛い部下がお世話になったということね」

 

ぶ、部下って…。

なんか部下と上司って感じがあんまりしないような。

 

「へぇ、そうだったのか。でも、死体をほっぽっておくのはどうかと思うぞ?」

 

「あら、そう?可愛くて腐ってるし、問題ないと思っていたのだけども」

 

「問題ありじゃないのかしら。あのキョンシー、タフなだけで倒せないことはなかったし」

 

(だな。あんなのが2体や3体いても、面倒で苦労するだけで、それ以上の厄介さはなさそうだったもんな)

 

ほら、魔理沙も頷いてる。

でもなんか不思議そうに首をかしげるなんて、どういうことなのかな。

 

「そうかしら?ただタフなだけじゃないかもしれないわよ?」

 

「青娥ー、呼んだー?」

 

「……ほら。死体だからこそ出来るのよ。ただタフなだけじゃないわ」

 

 

あ、芳香がこっちを見た。

 

 

「あれ、お前達誰だー?それと今は何時だ?」

 

「知らん。朝じゃないのか?」

 

「タフって言うより……いえ、やめておくわ」

 

見た目はキョンシーなゾンビって言うのはなんかやめておいた方がいい、と勘もささやいてるしね。

 

「そう。それで?この子…芳香も交えて1戦、交えましょうか。あぁ、私は霍青娥と言うわ」

 

「………魔理沙、行けそう?」

 

(仕方ないと言わんばかりにため息をついたな、こいつ。分からなくもないが)

 

「あぁ、行けるぜ。しょうがないもんな。私とお前ならあいつらぐらい、倒せるだろ」

 

それはちょっと言い過ぎかな、魔理沙。

でも、なにか知ってそうだし、ちょっと倒すかな。

 

 

 

 

 

ある程度攻撃していると宣言するのか距離を置かれた。

魔理沙の方を見たら偶然こっちを見ていたので、とりあえず頷く。

 

 

―――入魔「ゾウフォルゥモォ」

 

とりあえず、私は私で弾幕を避けながら適当にやってみる。

 

 

…よ、芳香を倒したりして、内心焦ったとか、口がさけても言えない。

ポーカーフェイス、と言うものを今ほど出来るようになりたいと思ったのは初めてなんじゃないかな…。(遠い目)

 

 

 

 

 

 

 

 

終わるなり、芳香がそのまま青娥の前に立った。

浮いてる…というべきかよく分からないから、とりあえずそうしとく。自信なんてないけど。

 

でも、2人分の集中攻撃ってキョンシーでも痛いと思うんだけど、痛覚はどうなってるのかな。

死体なだけにないとか?……ありえそう。

 

 

 

 

―――通霊「トリトン芳香」

 

芳香が追っかけてきたんだけど!?

これが1人だったらもっと面倒なんじゃないのかな!?これ!

ってなんで魔理沙は涼しげなの…。

 

(…よし。まだバレてなさそうだな。2人で来たのは霊夢が私の知る幻想郷のやつらの中で唯一神霊によりつかれやすいとかそんな簡単な理由ってことを。まあ、こっちに来てから減ってきてるようだけどな。私と同じく回収しだしたしな。やっぱりとんでもないのがいるのかね。この先に)

 

 

 

 

 

 

 

どっちもスペルカードは使わなかった。

まあ、2人でやってるおかげなんだけど。

 

と、いうより異変が起これば起こるほど相手も強いのが来るのかな?

まあ、でもこのスペルカードルールがあることには感謝したいね。

 

 

でもなんか…さっきより難しいような?

気のせいだと思いたいんだけどさ。

あっ、魔理沙がためらいなくスペルカードを使った。後ろにいる青娥にも当たるから楽そうだね。

…かなり避けにくそうだけど。使ってる間は。

 

 

 

 

 

 

―――道符「タオ胎動」

 

……あー、うん。相手に勝手に飛んでいってくれる方で私は攻撃するかな。

封魔針みたいなパスウェイジョンニードル?より当てやすいし、意識を別に割きやすいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。さすが幻想郷の巫女ね。…ただその巫女と一緒にいる貴方は何者?巫女と同じように戦えるなんて、人間とは思えないわ」

 

「失礼な。これでも私は普通の人間だぜ。魔法は使ってるけどな」

 

普通の人間が魔法の類いなんて扱えるのかすごーく聞きたいけど、あえて流しておこう。

 

「そうそう、私と同じ普通の人間…なんだけども、魔法とかそういうのを扱ってる人間。幻想郷だとありえる話みたいよ」

 

「そういうものかしら?いくら2人で、とはいえ…鍛えた私に勝てる辺り、謙遜(けんそん)する必要はないと思うわよ。―――それで、貴方達の目的はなんなのかしら?」

 

「いきなり増えた神霊の調査ね」

「神霊と、この遺跡っぽいとこの調査だな」

 

 

「へえ、そうなのね。でも、そこら辺の神霊って低俗霊よ。なにせあのお方の力で本物の神霊になりたいようだから。巫女である貴方にも行っているようだけど、なかなかに難しいようね」

 

いや、まだそのことを話してないはず…。

 

「ふぅん、そうなのか。とりあえず先に行こうぜ、霊夢。こいつに構ってる場合じゃない」

 

「えっ!?あっ、ちょっ!?だからって引っ張らなくてもいいんじゃないかしらー?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引っ張られながら、とは言えだいぶ進んだ気がする。

あと途中誰かに弾幕をはられた。

なんか雷矢「ガゴウジトルネード」とかも使ってきたけど、なんだったんだろう?

 

 

それからまた進むと急に魔理沙が手を離して止まった。ど、どうしたの?

 

「なあ、霊夢。こう聞くのもあれなんだけどさ、入口とか見えないか?」

 

「…見えたら苦労してないと思うのだけども」

 

さっきから見渡してるのにね。

どこが開いてるんだかさっぱり分からない。

さっきはそんな感じがしたのにな。勘、に近かったけど。

 

 

「…なるほど、ついにこの日が来たのか。我の復活を祝うおぬし達は何者ぞ?」

 

「えっ?祝ってなんかいないけども、急になによ」

 

「確かにな。急に現れるわ、勘違いしてるわとなにが言いたいんだろうな」

 

あ、なんか困惑してる。

こっちも困惑してるんだよ?突然現れた何者か分からない奴をどう扱えと。

さすがに分からないです。

 

 

「えっ?……えっ?な、なら我は復活しないはず…。まさか、太子様の復活を拒む者の方が現れたのか?」

 

「魔理沙、なんかさっきの亡霊みたいなのと言い、自己完結してしまうのが多いわね」

 

「いや、こいつの方がだいぶ自己完結な気がするぜ?」

 

「ほう、屠自古(とじこ)に会ったのか。ちなみに我の名前は物部布都と申す」

 

あ、そういう名前なんだ。

って、知り合いなのかな?さっきのと、この布都と言うのは。

 

(ほう、そうだったのか。まあ、いい。ここにはお宝とかありそうだしな。どうせなら奥まで行くか)

 

「そうなのね。んで、太子様って誰のこと?」

 

「なに!?知らないのか!ならば、物部のことや道教のことも知らないのか?!」

 

うん。知りませんよ?

と、言うか有名なあの伝説のことでも言っているの?

もし、そうだとしたら呼び方ってそんなんじゃなかったような…?

 

「結構頷かれてるな。こりゃ知らないで決定だろ。あ、私はお宝が眠ってそうとは思ってるぜ。この霊廟にな」

 

「ほう。片や巫女、片や馬脚があらわになった者。おぬしには、物部の秘術と道教の融合を味わってもらう!特に巫女には怨みもなにもないが、一緒に体験してもらうぞ!」

 

な、なるほど。

よく分からないけど、話ができるようにするには一旦落ち着かせなきゃいけないってことはよく分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――天符「天の磐舟よ天へ昇れ」

 

普通の弾幕のあとにスペルカード宣言…。まあ、大体そんな流れだもんね。

どんな感じk…うわぁ、なんか凄い。

 

でもなんかとても当てやすいような気がする。

いっそのこと、追尾しない方でもいいんじゃないかってぐらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ったく、そういやなんでこいつには一言いうくせに、私にはないんだ?)

 

んまぁ、合間合間はまだどうにか…ね。追尾する方が楽だけど。

 

 

 

―――投皿「物部の八十平瓮」

 

あ、これ。油断しなきゃ、結構早めに行けそう。

2人だし、少し大きい弾とかそういうのに気をつければ平気そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった後になにが張られるのかなー、と見てたらなんか濃いー!?

 

「れ、霊符「夢想封印」!」

 

 

 

そうやって使ってから少しもしないうちに終わった。

2人で行っているのはだてじゃないね。

 

 

 

 

 

 

 

―――炎符「桜井寺炎上」

 

な、なんのこと?……って考えようとしてる間に弾幕が来てるー!?

 

とりあえず、お札に追尾してもらって…私は避ける!

前より弾幕を避けるのがマシになってる自信はあってもこれはマズイ!外来人っぽさ丸出しでもいいからそうする!

 

 

 

 

え?次?

―――聖童女「大物忌正餐」

 

あっ、これ…大丈夫かな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば、なん