先代巫女と行く幻想郷生活 (篠崎零花)
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第1話 私は……

こちらは東方プロジェクトの二次創作です。

大好きな子はこうじゃない!とか俺の嫁はこうじゃない!とかそういう方はブラウザバックを選択肢としてオススメします。

それでは、本編を適当に読んでやってください。


私はどっちかと言うと田舎よりの場所に住む普通の家庭に産まれた。

そのあとは成長につれ、平凡な成績を学校でとりつつパソコンやPSシリーズのゲームとかを家でやっていた。
様々なジャンルのゲームを日々時間を見て遊んでいた。

その日もいつものように遊んで寝たはずなんだけど…。




朝、珍しく目覚ましの音がしなかった。

「……ん。……んん?」
なんか顔に日差しが当たるような…?

そう思うがはやく、上半身を起こす。
そして、起こしたときに見えた部屋の光景でなんとなく理解した。
ここは、私の部屋でもなければ家でもないことに。
思考が真っ白になりそうになるけど、呆然としている場合じゃない。

まずは、現状を理解しないと……。


「……えーと。まさか、神社?でも和室だし、単純に高床式なだけかも…」
なんて1人で呟いてみるけど、勘が『それは違う。ここは私の神社でしょ』とささやいてくるかのようにいってくる。

……とりあえず、深呼吸するかな。
まだ朝日が昇ったばかりだし、すぐには人なんてこない。

えっと、まず名前。それからだ。
大丈夫、独り言を聞く人なんてまだいないから。
そう自分に言い聞かせて口に出すことにした。

「私の名前は、博麗霊夢。…………あれ?」

口から出たのは全く違う名前。
おかしい。私の名前は『博麗霊夢』じゃなかったはず。
私の、私の名前、は―――





―――あれ、なんだっけ?
昨日していたことは覚えている。
パソコンしたり、テレビを見て、家族と夕食たべたりとか…。
今までにしてきたこともしっかり覚えているのに。

―――名前だけが、思い出せない。いや、正確には前の名前かな。

っていうか待って。さっき、すぐに出た名前はなんだった?

あの時、私はこういったんじゃないか?
『博麗霊夢』と。

博麗霊夢?…博麗、霊夢?私の名前が?
そんなありえない。
でも、ここならありえないことはありえることってわけで。


「――嘘、でしょ……」
そう呟いた私は力なく布団に起こしたばかりの上半身を再度預けた。















それからしばらくして、冷静になった私は仕方なく、慣れた手つきで布団を押し入れにいれた。
どこにどうしまうか、は知らないわけじゃなかったので困らなかった。

服も着替えないとなぁ。
そう思った私はタンスに向かい、上から二段目を開けてみた。
下着類や寝間着みたいなものが入っている。

うん、この段じゃないね。この一つ下だね。
そう思った私はすぐに二段目をしまい、三段目を開けてみた。
…例のめでたい色をした巫女服が入っていたので、それに着替えることにした。


着替えも記憶や体に残った動作を参考にしたのでこちらも苦労はしなかった。

ため息をついてから、ふすまを開けると外が見渡せる壁のない通路があった。
「仕方ない、か。朝食でも食べましょ」

口調も…いや、この際もはや気にするまい。
色々ありすぎて頭がおいつかなくなりはじめてるし、ここでなにかあっても困る。主に私が。



仕方ないか、そう思いながら台所に向かえる居間に向かうとそこには私より身長が高そうな巫女装束を身にまとった若い女性がいた。
黒い髪も一つに結ってまとめているのか、前からは見えない。

「…あら。おはよう。突然で悪いけども、あなた…大丈夫かしら?」

「大丈夫じゃないわ、問題大有りよ。そろそろ思考を放り投げて現実逃避をしたいわ」

「それはごめんなさいね、霊夢。もしかしたら、前の”あなた”についての記憶とか飛んでしまってるかも…」

私がこうなった元凶はお前か!
そう思いながら半目で見つめる。

「そうね、でもどうして私が違う人になってると思うのかしら?」

そう聞くと気まずそうな顔を浮かべる。
うん?…そういえばこの人も本来はいるはずないんじゃ…。

その思考を遮るように
「それは私の影響だと思うのよ。何故か私はここにきて、あなたを…どうやら巻き添えにしたみたいなのよね。あ、私の名前は…そうね、ないと困るから…霊華とでも名乗っておくわね」
とそういってきた。

「あんたの影響…ってなによ。私がこうなるんだからちょっとしたことじゃないのよね?」

「ええ、小さいことじゃないのよ。…簡潔に言うわね。私は過去から今に飛ばされた、のよ。それでなにかしらが起きてこうなったんでしょうね」

ああ、なるほど。
むしろ私と似たような状況…と。
むぅ…それになんでそうなったのかすら分からないんじゃ、どうしようもないね。


「分かったわ、ありがとう。でも、前の自分については記憶と人間だったってことだけでも残っているのだから大丈夫よ」
といって自然に笑う私。

そう、前の私の身元とか分からなくったって人間だったという記憶があるんだから平気。
そのうち、思い出せるかもしれないしね。

「……なるほど、精神が霊夢側にでもよって強くなったのね。でも、悪いわね。巻き込んでしまって」

「そう思うんなら同棲して、掃除の手伝いとかしてもらえるかしら。その方が助かるわ」

そういうと口元をニコッと緩めた。
私の顔になにかついてるのか?
そう思って今度は半目で見つめるんじゃなくて睨んだ。

「わ、悪いわね。まさかそれで許してくれるとは思わなくって。いいのね?これでもあなたの前の巫女なんだからもっと言われると思ったわ」
笑いながらそういってくる。

確かに現代の博麗の巫女という以上、先代はいるものだろう。
それにこの代になるまでスペルカードルールはなかったというし。
実力は相当なもの。疑う余地もない。

…だからなに?この人だって女性だし、なによりわたしが助かります本当に。
それに料理経験も少ない私が霊夢の記憶と体の記憶だけでやっていけるかどうか…。

「別にいいじゃない、なんでも。それに1人よりはいいでしょう?」
と顔をそらしながらいった。
…考えを読む相手じゃなくてよかった。

「ふむ、そうね。んじゃあ…さっそく朝餉(あさげ)でも作りましょう?」

そっちでいうか。
そう思ったけど、口にしないで…
「そうね。そろそろ私も朝食を食べないとお腹と背中がひっついちゃうわ」

「……それは本当なのかしら?」
といって半目で見つめてくる霊華。

「こっ、これは比喩(ひゆ)よ!真に受け取らなくていいわ!」

「そ、そうなの?なんか大分変わったわねぇ……時代が」

「見た目にそぐわないから、その言い方控えた方がいいわよ」

そういわれると霊華はおどけたように肩をすくめた。
「はいはい、分かったわよ。”霊夢”」

そう言われた私はニヤッと笑うと霊華の左を通って台所へ。
霊華も後から続いて台所に入ってきた。



――本当の意味での新たなスタート、か。これから頑張るか。

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第2話 博麗神社って境内を抜いても広いんだね

ま、まさか投稿してすぐに評価されるとは思わなかった私です。

ちゃんとシリアスとか出てくる予定なんですが…これじゃ、シリアスをする前にブレイクしちゃいそうですね。

忘れていましたが、霊夢の髪の長さは肩に触れる程度です。
霊華は肩甲骨に触れています。
どっちも同じ黒髪で、目の色も偶然赤の混じった褐色のつもりです。

あれ?そんな偶然って…(


ここから下が本編です。適当に読んでやってください。


鍋でご飯を炊き、フライパンで2人前の魚を焼く。
霊華は隣で味噌汁を作ってくれている。

ご飯については全く問題ないんだけど、魚の味加減が難しい。
しかも調味料がなにげにたくさんあるから余計に。
ま、まぁ…シンプルにすれば、いいよね!

「……ご飯だけはやけに手慣れた動きね、あなた」

「やめて。料理してこなかったのが今になって響いてるって実感してるところなんだから……」
そう答える私の声は震えている。
泣きそうなのもどうにかしている。
料理に入ってはまずくなっちゃうだろうし、それだけは避けたい。
こっちにきてからの最初に食べる朝食なんだから―――!


「ま、まあ…頑張ることね」
なんて横から言われた。
呆れたようにも聞こえたけど、今は気にしている場合ではないっ!






そうこうしている間に朝食はできた。
ただし、私の顔が犠牲になったがな。
…うん、朝御飯を食べる前にでも顔、洗っておこ…。


「悪いんだけども、皿にのせたりするの頼んでいいかしら…」

なるべーく笑顔を浮かべていった。
そう、なるべく笑顔。
べ、別に虚勢はってるわけじゃないんだよ?(震え声)

「……。分かったわ、いいわよ。よそっておくわね」

今の間はなんだ、と言いたいけどやめておこう。
視線もどこか優しいし、生暖かく見守る親みたいになっている。
そんな目で見るんじゃないっ!
これでも色々な記憶や数少ない料理経験を頼りに作ったんだから!蜘蛛(くも)の糸の如く細いものを頼りに!

……あ、これじゃ頼りないか。



「ええ、お願いね…」
…さっきより涙声じゃあないか、私よ…。
そう考えながら少し申し訳なく思いつつ、顔を洗う場所へ。



――向かおうとして立ち止まる。
いやいや。使った調理器具を先に洗っておいた方が後々楽になるんじゃないか?
…仕方ない、か。

そう思った私は(きびす)を返し、再び台所に。
その時にはもう2匹の焼き魚を皿にのせていた。
「どうしたのよ、あなた。忙しないわね、そんなに動いて」

「…先に調理器具を洗っておいたら後々やらなくていいし、面倒じゃないからよ」
と涙が乾いたせいで違和感のある目をこすりたい気持ちを押さえながら答えた。
食べる前にでもいいから絶対顔を洗ってやる。






そう考え、もう使わないだろうフライパンをまず取り、流しで油を軽く落とすために水で洗う。
次にするのはたわしにせっけんをつけて……
「あら、洗うのも手慣れているのね。あとは料理とかを頑張るだけかしら」

うう…せっかく涙が乾いたって言うのに……!
それ以上はやめて!私のハートのHPはもうゼロよ!

そう考えながら流しでフライパンをたわしでこすっていると霊華が苦笑いを浮かべたのを横目でうっすらと見た。

「あっ…。ま、まあ大丈夫よ。あなたもいずれ上達するわ。私が保証してあげるから」

「そりゃどうも、ね。その上、保証までしてくれるなんて凄くありがたいわ…」
愛想笑いに近い笑みを浮かべながらその言葉に返事をする。

ふむ、つい考えていたことを顔に出してしまったようだ。
やっちゃったなー。
これじゃ考えを読む相手以前の問題じゃん。素直すぎるぞ、私の表情。
これだからポーカーフェイスは私には向いてないんだ。



因みに仕方なく、流しで顔を洗いました。
服や髪の毛が濡れないようにするの、大変だったな。




丸いテーブルにさっき作った朝食を座ったときに私達が向かい合うように並べる。
霊華も手伝ってくれたおかげで焼き魚が上、味噌汁が左、ご飯が右に配置された。
っていうか何故そんな置き方なのか。
うーん…全く分からん。

ん?分からない?そういえば、なんか言い忘れていて相手が分からないことが一つ…

……あ、ある!しかもそれを名乗っておかないと呼べない奴!
現代の博麗の巫女とは霊華(仮)が分かっても名前まで分からないんじゃないか!?
っと、かっこかりは失礼か。



「ねぇ、私…あんたに名前、教えてなかったような気がするのよ」
私は正座、霊華も正座で座ってから食べる前に聞いてみた。
さっきからずっと”あなた”呼ばわりだしね。
前の私の名前を忘れてるんだからそりゃ当たり前だろうけど……博麗の巫女とも巫女とも呼ばれないって。
脱線しかけ――と思ったけど、大丈夫そうだった。


「ああ、それはすっかり忘れてたわ。私としたことが現代の巫女の名前を聞き忘れているなんて」

やっぱりー。
と、いうかお互い忘れてたのね、そりゃあ聞きもしないし言いもしないよね!詰んでたがな!一瞬だけ!

という気持ちを切り替えていうことにした。
いい加減呼びづらさも出てくるだろうし。場所的な意味で。

「んっんー。それはお互い様だから仕方ないわね。そっちだけは分かるから言うわ。……霊夢、よ」

お互い様、という言葉に不思議そうな顔をされたから内心焦ったけど、その後の言葉を聞いて笑みを浮かべてくれた。
だ、だって私も忘れてたんですもの…。持ち前の勘かなにかでカバーして(欲しい)。

「ふふ、本当忙しない子。そうね、名前が分かったところで朝餉(あさげ)、食べましょう?」

なにが忙しないっていうんだ…。しかも微笑ましげに私を見おって……なんもないぞ?

ま、いっか。言葉に甘えて冷める前に食べるとしましょうか。

「ええ、そうね。せっかくのものが冷えたらいけないものね」

「そうでしょう?じゃ、いただきましょうか」

そういってほぼ同時に『いただきます』といって食べ始めた。
その時の味の感想は…というと
「ご飯はまあまあ美味しい」
「味噌汁ちょうどいい!」
「うわっ、私の焼いた魚…味薄くない?」
だった。もちろん私の、だが。

因みに少し時間をかけて食べた後、霊華と一緒に食器や調理器具などを洗ったため、朝食の感想を聞いてみた。
『ご飯は完璧ね』
『味噌汁はそのうち教えるわ』
『焼き魚は……まずくはないから大丈夫よ、胸をはって』
だったんだけど…うん、焼き魚の味のところだけ微妙な返事だね。
あと味噌汁は一応作れるよ?沸騰する前かそこら辺に小さな干し魚をいれて、しばらくいれるけど、沸騰する前に……あれ?こうだっけ。
だし入り味噌が楽すぎて忘れちゃった。


因みに関係ないけど、『食器を洗うのも上手いわね』と言われた。
うん、料理とかそういうの、はやめにどうにかするね。
それこそ前の私の名前より。

じゃなきゃ違う意味で心が削れてく。真面目に。
…ただ、時間がかかりそうだなぁ。今度、霊華に教わるか。


そんなハートのHPをがりがり削っていく食器洗いを終えた私達。
ちょうどいいし、境内(けいだい)でも見るがてら(ほうき)かなにかを探して掃いてみるかな。

そう思って倉庫かなにかを探そうと居間から出ようとしたら
「霊夢、どうしたのよ。なにか用事でも?」
と声を背後からかけられた。

用事はないけど、つまようじは欲しい。
…あ、やっぱりなくていいです。いらないです。

「ええ、ちょっと境内でも見るついでに綺麗にしようかと思ったのよ」

私がそういうと立ち上がる霊華。
うん?霊華こそなにかするのかな?

「なら、広いのだし2人で手分けした方がいいわよ。多分記憶としてはあるでしょうけど」

「そ、そんなに広いの…?そ、それならお願いしてもいいかしら」

確かに霊華の言う通り、記憶としては広いことが分かっている。
でも記憶で理解できるか?って聞かれたら無理と速答するレベル。自分で見なきゃ分からんよ。
あ、でも機会があったら景色を見ながら境内を歩いてみたいかも。

「ええ、いいわよ。むしろ体がなまらなくて済むから助かるわ。あ、そうだわ。朝か夕方、どっちかの時間を使って体を鍛えるつもりだから覚えておいてほしいわ」
ニコッと笑顔でいってきた。
それ以上鍛えてなにするの…。
私もいつかスペルカードルール、教えてあげるかなぁ?

「分かったわ。でも私もスペルカードルールについて復習したら、霊華…あんたに説明しにいくからね」

そういうと不満そうな顔をした。
ごめんね、霊華。あなたの時と違って今代からそういうルールがあるの。

「ま、まあまあ。霊華、こう考えるのよ。前ほど命をかけなくていいんだって。平和ボケするとか思われそうだけどもね」
と申し訳なく思いながら笑みを浮かべ、そういった。
外から来た吸血鬼と平等に戦うため、でもあったらしいけど…霊華は先代だし、そんなこと知らないだろうしね。


すると何故かふふっと笑う。
むぅ、これでも私はあなたのことを思って――

「ごめんなさいね、ちょっと大人げなかったかしら。そうね、前みたいにやらなくても平気なら…今度、その復習とやらをする時に私も一緒にやらしてほしいわ。対応できるようにしておかないとあなたと手合わせできないもの」
私の思考を遮るように、いってきたと思ったらぽん、と私の頭に手をのせる。

……そっか。ならよかった。
でもさ、その撫で方…子供をあやす感じがするよ?
き、気のせいだと信じたい。

「はいはい。とりあえず箒持ってくるからあんたも手伝いなさいよね。私は前半分でも勝手にやってるわ」
むす、と怒ったように睨みながらそういう。
なんか言い方がもはや私ではないけど、言った時点で勝手もなにもないか。

「勝手なのに自分で言うのね。…でも、それはいいとしてあなたは箒の置いてある場所がしっかりと分かるのかしら?」
そう霊華は言うと口元をニヤッと片方だけ緩めた。
得意気に、見える。

くっ…。記憶だけなのを逆手にとられたかな。
でも大したことはない。何故ならば……

「ふん、そんなの私の記憶だけで―――どうにかならないからどうか教えてください」
と通路に出かけていた私は少しジャンプしてから短めの前転をした後に土下座をした。

記憶だけでもたどり着けるだろうけど、倉庫は中が少し多いようで。
今度片付けをしておかないといけない上に下手に触れば物が雪崩(なだれ)を起こして埋もれる。真面目に。
いやまぁ、出ようと思えば()ってでも出られるだろうけど。

「……す、素直ねぇ。と、いうかそれはなに?飛んでからする土下座なんて見たことないわよ」

「記憶だけで完結できたらもう苦労なんてしないもの。素直にもなるわ」

そういって聞かれた内容をどう説明しようかと悩む私。
ほらさ、アニメーだとかそういったところで外の世界や娯楽をあまり知らなさそうな人だからまた説明をしなきゃだし…。

あとなにげに額が痛い。
ジャンピング土下座はするもんじゃないね。

「それもそうだったわね。…ちゃんと教えるわよ。あなたがその土下座についてなにかしら口を割ればね?」

言い方が物騒です、霊華さん!
口を割るとか悪態以上の悪さしてないから!

「なにもしなくても言うわよ、そんなことぐらい…。さっきのをすごーく簡単に言えばジャンピング土下座っていうの。ほら、飛んだあとに土下座をしたから、ジャンピング土下座。分かりやすいでしょう?」
そう言いながら立ち上がり、おもむろに額をさする。
再現なんぞするもんじゃない。痛い目を見る。

「分かったわ。こっちよ」

そう言われて案内されたのは通路の行き止まりで尚且(なおか)つ空き部屋になっている和室が左に見える場所でした。
奥かよ!



「どうも、私は名もなき博麗の巫女よ!」ドヤァ

「……はいはい。ところでなにを進めるって言うのよ。あと呼んだ理由あるんでしょうね」イラッ

「まあまあ、霊華。まずは読んでくれてありがとう。凄く嬉しいわ」

「理由すら話さないって今代は…はぁ…。んで、今のは誰に向かって言ったのよ。というか読んでくれてってなによ」

「いーからいーから。あ、呼んだ理由は特にないわ。キラッ」

「…へぇ、そうなの。呼んだ理由はなし、だったの。しかも反省の色もなし…。いい度胸ねぇ!」

「うわっ、ちょっとあんた…!?あ、ちょ、決めちゃダメ!痛い!ギブッ!……あ、か、感想送ってくれた1名の方、本当にありがとうね!ちょ、やめ、痛いってばー!」


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第3話 掃除する巫女と散らかす人

先代は想像、それ以外は原作を参考に書いています。

なので、似てない可能性もありますが適当に読んでもらえればと思います。


倉庫に入った時にあまりものほこりっぽさと汚さで先に綺麗にしたら時間を大分使った。
も、もし境内を2人で半分になんてしていなかったら、掃除が終わる頃にはもう正午とか余裕で過ぎてしまっていたかもしれない。本当、広いな…この境内。

因みにやる場所については、霊華は裏側、私は表側を担当することに。
理由については聞いてないし、別にいいかなと思った。

「そーれーにーしーてーもー…」
周りに見える木々とかをたまにとる休憩がてらで見るんだけど、新緑の葉っぱに紛れて黄色いのとか枯れかけてるのが見える。
なに?運悪く夏の終わりだと自然様は言いたいのかな?

うっわ、ついてない…。
ま、まあ冬じゃないだけマシか。うん、マシだ!

「独り言をしながら掃除なんて明らかにおかしい人だけども、自然に囲まれてする掃除は格別ね」
とそう思わず呟いて葉っぱなどのゴミをゆっくりゆっくり一ヵ所に減らしていく。
小さい山になりかかっているのを見ると今まで掃除のフリしかされてなかったのかな?

そう思っているといきなり地面に箒とちょっとした人の影が見えた。
なんだろう、とは思ったけど多分この場合だと1人しか思い当たらない。


空から舞い降りてきたのは箒にまたがったどこぞの魔法少女。
いや、魔女…?
まあ、いいや。それよりも反動でゴミが散らかったんですが。

「おー、霊夢がまともに掃除なんて珍しいな。なにか変なものでも食ったか?」

「食べてないわよ、そんな変なものなんて。んで、散らかったゴミはどうしてくれるのかしら?」

そういって私はジト目で睨み付ける。
いくら半分とはいえ、時間がかかったというのに。大変だったんだよ?

「ああ、それは悪かったな。んじゃ、私はそばで見てるからもう一度まとめたらいいんじゃないか?邪魔はしないぜ」

「そりゃどうも。んでなんで来たのよ。まさか用事もなくー、とか言わないわよね?」

そう言いながら、私は散らかったゴミを再度まとめる。回収も同時進行で。
またどっかの誰かさんに散らかされても困る。

っと因みに箒にまたがって空から降りてきた(そのはずみでゴミが散らかった)人は霧雨魔理沙。
霊夢とは大分仲が良く、またライバル的なものらしい。

「ああ、それがまた言うんだぜ。用なんてない。だから、茶とかもらっていいか?」

「そうなのね。でも、なにもしない人にお茶もなにも出せないわねぇ?」
といって横目で見やる。
本当は霊夢との関係上、なにもされなくてもお茶は出すつもりだ。
でも、あえてそうしかけてみるのも面白いだろうしね。

「へぇ、そうくるか。んじゃ見て応援してるわ」

「そうくるのね…というか手伝えって言わなかった私も私かしら。あー、はいはい。あとで淹れるわよ」

「へへ、いつも悪いな。霊夢」

「なるほどね。そういう話なら私も頂こうかしら」

そんな風に話していたら、別の声がそういってきた。
私には心当たりしかなかったけど、魔理沙は驚いたような表情に見えた。

「あーっと、お前、誰だ?」

「あら、どうも。初めましてだったのね。便宜上、博麗霊華と名乗らせてもらっているわ」

そういうとニコッと笑みを浮かべる霊華。
せ、先代とはいえ…そんなんでいいのだろうか。
そんな疑問が頭に浮かんでしまう。

「なるほどな。つまりは霊夢の前の巫女ってことか!」

そう聞いた魔理沙は納得したように手を叩く。
え、なに?まだいってないのによく分かったね。もしかして格好?それとも話し方?

「ええ、そうなるわね。それで、あなたはなんていうのかしら?」

「ああ、私は霧雨魔理沙ってんだ。宜しくな」
といってウインクをしながら口角を得意げにあげている。

「そうね、宜しく。……ってあなた、どこから来たのよ」

「え?あっちだぜ」
「多分あっちからね」
そういって指差したのは大体同じ方角の空。
私なんて勘に任せて指差したんだけどね。

「……ああ、なるほどね。その割には大分ゴミが散らかっているようだけども、なにをしたらそうなるのかしら」

そう言いきる霊華。
不思議に思った私は手を止めて霊華の視線を追ってみたらその先はまだ集めきれていない散らかったゴミ。
それなりのはやさで来た上に近くに降りたものだから仕方ないんだけど……あ、魔理沙大丈夫かな。

「私が遊びに来たらこうなるんだぜ。なんでかは知らないな」

「あら、そうなの。ってことは別にあなたのせいじゃないのよね」
なんてニコニコ笑いながらいった。
でも、なんか背後に般若とか立ちそうなぐらい怖いよ?

「あ、ああ…。私はなにもしてないぜ」

「そう。ならよかったわ。あなたのせいで、かつわざとだったら二度とできないようにしなくちゃいけなさそうだったものだから、ね」

なんて物騒な…。
っていうかそこまでする必要ないよね。
魔理沙なんて笑みを浮かべてるのにひきつっちゃってるし。

「あー、そこは訂正してちょうだい。二度としないように、じゃなくて掃除手伝いとかそういうのに。あんたが手を出したらろくなことにならなそうだから」

とまでいうと今度は霊華がひきつった笑みを浮かべた。
知ったこっちゃないね。

「だってあんた、スペルカードルールがない時代にいたから手なんて出したら死人が出るわ」

追い討ちをかけるかの如くいう私。
先代だからって優しくいう必要はないもんね。ドストレートで物申さないと危なさそうだしね。

因みに霊華はちょっと目を見開いていた。
驚いてるんだかショック受けてるんかは知らないが言わないと止まりそうになかったからね。

「さすが霊夢だな。先代にも容赦なしか。ある意味凄いわ」

「そうでもしないと止まりそうになかったからよ。しっかり見ておかないとほんと危なさそうね…。あ、これどうにかして片付けるからお茶にでもしましょ?ついでに座って休みたいから」

本音混じりにそういったら魔理沙が笑った。
むう、結構大変なんだぞ?
そう思って半目で見ると肩をすくめられた。

「悪かった悪かった。そうだな、久しぶりに掃除して疲れたんだな」

まだ笑いながら言うか。
魔理沙ってそういう一面もあるんだなー。




行こうとするとき、後ろから

「……そこまで言わなくてもいいんじゃないかしら?」
なんて呟き声がしたような気がした。



一部本文を追加しました。流れに変更はありません


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第4話 先代巫女と現代巫女の差

この話ではまさかの……です。

シリアスとかそういう感じではないので適当に読んでやってください。

では、下からが本編ですのでごゆるりと。


お茶と言う名の休憩をし、魔理沙が帰ったあと。

何故か…霊華と一緒にトレーニングをするはめになっている。

と、いうか現在進行形でしている。
こういうものは1週間に何分のものを何セットでする、とかの軽いものでいいと思うんだ。


「ねぇ…これは…ちょっとやりすぎなんじゃ…ないかしら?」
畳の上に大の字で横になりながらまだトレーニングを行っている霊華に聞く。
こうなる前の世界…と言えばいいのだろうか。その時からそこまで体を鍛えていなかったため、辛い。

その上、霊夢もどうやら体を鍛えていなかったらしい。
そのせいで倍になって辛いではなくかなり辛いになっている。
もう無酸素運動に近くなっちゃってるよ…。


「やりすぎもなにも…。一応軽くやれるようにしたはずなんだけどもねぇ。…うーん、休憩をはさまないとかまだ駄目だったのかしら」

「軽くでインターバルなしとかありえないわよ…。しかも何回を二セットとかじゃないんだから余計辛く感じるわよ…」

「その、インターバル?とか何セット?とかってどういう意味よ。全然分からないんだけども?」

あー、そうだったね。
幻想郷に外来人が来て無事にその言葉を伝えなきゃ広がりもしないもんね。

「インターバルは休憩って意味よ。んで、セットは繰り返しとかって思ってくれればいいわ。大体そういう意味で覚えればどうにかなるわ」
と顔だけずらして、見上げる形で霊華を見る。
さ、さすが今までその身で妖怪を倒してきただけある…。

「へぇ、そうなのね。外の世界じゃそんな言葉を…。じゃ、そろそろ霊夢、再開するわよ」

「今までの話、聞いてたのよね!?しかも、もうちょっと鍛えるんじゃなくて本格的なものになってるわよね!?全然追いつかないんだけども!?」

上半身を無理矢理起こし、そう叫ぶ。
そう、最初は霊華がやっているのを見て、トレーニングについての話になり(言葉の意味も教えた)、ちょっと筋力とか体力をつけるのにいいよねってことで私もすることにした。……そこまではよかったんだけどね。

なんでこうなったんだろう。
初めは霊華が1人で己を鍛えているのを見ていただけだったはずなのに。

見ていたのに気づかれたのがいけなかったらしい…。
少しだけ、少しだけのつもりだったのに…。

なんて長々と考えて、そこでようやく気づく。
そう、私が半目で見られていることに。

「なるほどね、かなり弱い体だったとは思わなかったわ…」

「―――え?」
仰向けのまま、固まる私。
今、なんと…?

「んでもってあなたも大分、ね。…これは本格的に鍛えなきゃ駄目かしら」

なんて真顔で呟いている。
えっと、これは……

に、逃げよ。

そう思って強引に立ち上がり歩くなり走るなりしようとした時。
お、おおう…さっきまでのが蓄積されてて立てないんだけど…。

「……」
残る手段として涙目になり、唇を噛み締め、睨み――無言で、訴える。


そこでようやく違和感を感じたらしい。
私をじっと見てから腕を組む。
「…どうしたのよ、そんな風に見て。立てないの?」

「立てたらもう立って体を鍛えることにうるさい人から逃げてるわよ」
と唇を(とが)らせながらいう。
本当逃げたいです。でも、空すら飛べないほど体が疲労してるんじゃ駄目っていうね。

「そういえば…身じろぎすらしないわね、あなた。嫌そうな顔はしてるのに」

「動けたら苦労なんてしないわよ…。はぁ…」

「分かったわ。あなたのはもっと軽くして基礎体力を作ることから始めるとして……今日はもう無理ね。他にも綺麗にするところがあったけども…私がやっておくわね」
と私に言ってそのままどこかへ歩いて行ってしまった。

…なんとも言えないけど、どうして鍛えようとするのか。
そこまでしなくてもいい気がするんだけど、いいか。
とりあえず、まずは体を起こせないと話にすらならないなぁ。どうしたものか。









数十分か、しばらくしたと認識した時にようやく体を動かせるようになったけど、大分日が傾きかけてきてしまった。
うーん…仕方ない、か。

にしても、霊華の対応…会った時からやけに優しいな。
別に気にするほどのものじゃないからいいんだけどさ。
問題はそこじゃないんだよね。

「問題は2つあるのよね…」

そう呟き考える。
まず一つ、電子機器などの連絡手段がない。これじゃあ、電話はおろか気を(まぎ)らすゲームすらできない。
いや、まあ、他にもあると思うけど。

二つ目は…高床式倉庫や神棚かな。
あっちはそのうち…とはいえ、神棚は先に見ておいた方が良い気がする。
どうにかして立つと、私は神棚の方へ向かった。



少し歩いてそれらしきところについて、しょうじをあけると気持ち暗い場所が見えた。
空気もどこかほこりっぽい。

「……仕方ない、わね。やれるだけやっておかないと困るものね」
とだけ呟くと掃除用具を求め倉庫へ。
面倒くさいし、全身が痛いしとやりたくはなかったけど、しておけば後々サボれる。
なら、楽になるために先にやっておく。

いよっしゃー、やるぞー。
神棚周辺の掃除とかをー。

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第5話 汚れた場所と前兆

それなりに原作を参考にした内容になっています。

ただ、何分イージーシューターな上、やった作品も少なく大体のものを動画などで見ただけの者です。

違う点とかあるかと思いますが、仕様になっていますのでご了承ください。

それでも平気と言う方は適当に読んでやってください。


…余計に疲れた。

それが神棚周辺の掃除を終らせた感想だった。
やる必要なんてあるのか?なんて思ったけど、サボれるなら背に腹は変えられない。

ならやる。
それだけの理由でやったんだし、仕方ないんだけどね。

とりあえず、やることはやったし、神棚を見上げてみる。

ほこりとかはちゃんと落とせたみたいで綺麗になっていた。

掃除する前からあったお神酒はほこりをとっただけ。
…そのうち変えるかな。
今は疲れてるからパス。少し我慢しててね、名も分からぬ神様。

「明日か明後日にでも倉庫も見ようかしら」

そう呟き、通路を通って居間に入る。
台所を見ると霊華が立っていた。

「なにをしているの?霊華」

おやつを食べるわけでもないだろうに。
料理をするにもまだ夕食にははやくないような気がする。多分。

「なにを…ってあなたこそ台所に来るの遅かったわね。なにをしていたのかしら?」

「そりゃあ神棚を掃除に決まっているでしょう?後々サボれるならやっておいて損はないし、汚かったから、よ」

何故か半目で見られた。
なんて理不尽な。
サボれるなら先にやる。そうすればやれなんて言われない。
そうだと私は思ったんだけどなあ。

「なによ。別に問題なんてないはずだけども?」

「ええ、ないわよ。でもサボるためとは言え、まさか先にやるをとるなんてね…。まあ、いいけども。んで、どうして台所にいるのかって話だったわよね」

ああ、そうだったなーとようやく思い出した私は頷いた。
先に聞いておいて駄目だね。


「そりゃ夕餉(ゆうげ)の準備よ。下ごしらえをしておくと作るとき楽になるから、ね。覚えておいて損はないわよ?」

「なるほど、ね。…それと、夕食分は悪いけども霊華だけで作ってもらえないかしら?慣れないこととか色々したものだから肉体が疲労を訴えていて…ね」
と苦笑いしながらいう。
今日一日が辛すぎたんだよ。しかも挙げ句の果てあんまりしなかったことさえしたし…持たないわ。

「でも体力をつけるために今後もやっていくわよ。例えあなたが嫌と言ってもね。そんなんじゃ万が一の時、自衛すらままならなくなるわよ?まあ、食事はあなたがある意味外来人ってのを踏まえてある程度は大丈夫なように作ってあげるけどもね」

うぇー…あの体力作りまだするの?
もういいよ。

…にしても。道理で朝御飯が魚とかそういう内容だったのかな?
なるほど…。なら私も少ない情報を頼りにサラダとか作ってみようかな?
そうしたらもうちょっと食卓が豊かになりそうだし。

「それはどうもね。なら私はお茶でも飲んでることにするわ…」











そう言って急須(きゅうす)や湯呑みなど取り出してお茶を淹れた。
お茶ぐらいは簡単に淹れることが出来た…んだけど、それも茶化された。本当に泣くぞ?


それからしばらくした後、夕食をとった。
そのついでに野菜を少し空いていた容器を使ってつけさせてもらった。

風呂に入るとき、湯浴(ゆあ)みだとかと言ってきて一瞬ポカーンとしてしまった。
まあ、その後になんとなく理解した私は頷いて入ることに。



因みにトイレが大変でした。
(かわや)、って単語は死体祭りなんて物騒な名前のゲームのおかげでトイレだと認識するには時間がかからなかったけどさ。
でも、大変だったのはそれじゃなくトイレの位置。誰だ、あそこに作った奴は。
もうちょっと近くにほしかったよ。















――そんなこんなで夜は明ける。

「……朝から筋肉痛ってついてないわね、私も」
布団に横向きで寝転がったまま、そう呟いた。
なにせ全身が痛かったから。


今着替えるのが億劫になってしまった私は朝食でも…と思い、居間に行くとこっちに背中を向けている霊華がいた。

「おはよう。早いお目覚めね、霊華」

「あら、おはよう。っとそうだわ。あなた――昨日の月、見たかしら?」


えっ?なんでそれを今?という疑問が浮かび上がったが、この際正直に答えた方がいいんだろうね。

「ええ、見たわよ。寝る前だったけども、満月だったわね」

だからうわー、久しぶりだなー満月見るのー(棒読み)とか感慨にひたったわけだけど。

「え?それだけ?精神が別人になっても能力は健在みたいなのにどうしてなのかしら…。それはいいとして、あなた…あの髪飾りがついてないとただの少女ね」

いいのかい!
なにかあるのかと心配した私が馬鹿でしたよ!

「寝起きから筋肉痛なもんだから、着替えるのも億劫になってね。寝癖を直しておくのがやっとよ」

そういうときょとん、と不思議そうに私を見てくる。

「寝癖は直せるのに着替えは面倒くさい…そう言いたいのかしら?」


うん、さすがに寝癖ぐらい直しておかないとあれだからね。
寝間着でいるんだとしても、ね。

「ええ、言うわ」

そういうと何故か呆れられた。
うん、ちょっとよく分からない。










朝食後、着替えた私は掃除をしようと箒を持って鳥居側の境内に出て立った。

立ったのはいいけど、違和感がある。
そう、背後に異次元への出入口があるような、はたまた結界というか世界と世界の狭間って言うか…。なんだろうか。


なんて箒を片手に考えていると後ろから
「あら、気づいているのに声をかけないのかしら?」
と言われた。
ここはあえて無視するか…?


と思った瞬間、狙ってなのか目の前にその声の持ち主は顔を出してきた。
目のような形をしたスキマのような何かから上半身を出しているので内心ビックリしたけど。

よく見れば両端にリボンがついてる…。
長い金髪の先を束に結った髪型が特徴的…かな?

服は見える範囲で言うと紫色のワンピース系なのかな?
あとはリボンの結び目が前についているドアキャップみたいな帽子に手につけている白い手袋。それと日傘。

「胡散臭いからってそれは酷いわよ?」

「別にいいでしょう?んで、なんの用よあんた」

クスクスと微笑みながら言う相手に半目で見つめる。
記憶が確かであればこの胡散臭(うさんくさ)い人……じゃないや、妖怪か。
と、いうかこれも霊夢の記憶か…。そうか…。

とりあえず八雲紫、って名前だったはず。うん、そのはず。……やっぱりなんか胡散臭い。

「あらあら、そう嫌そうな顔をしないの。今回はちゃんとした話なのだから。たまには信用してほしいわ?」

「んじゃ、半分だけ信じてあげるわ。それで内容は何よ」

「それはね…ちょっと異変が起きてるのよ。それも大規模な。解決…手伝ってくれるわよね?」


どうせ有無は聞かないんだろうな。
何故かそう思うと頷いた。
「いいけども、誘うあんたも同行してもらうわよ。強制だからね」

そういうと紫は苦笑いを浮かべたように見えた。

っていうか…あれ、原作を少し遊ばなかったっけ?
これに似たようなものがあったような…。思い出せない。
まあ、いいか。
連れ出されるのなら連れ出す相手も道連れにするまで。


「とりあえず詳細でも聞かせてもらいましょうか」
と、半目で見つめながら私は言った。



一部本文を手直し&リメイクしました。


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第6話 出会った同士が仲がいいとは限らない

異変についてはある程度前編と後編でわけてみようかなー、なんて考えている篠崎です。

サブタイトルについては深く考えなくても大丈夫です。

では、下からが本編ですので適当に読んでやってください。


満月が来ない、ねぇ。

なるほど。
紫とやらの話をまとめるとこうだ。

ある日突然、満月が来なくなった。
人間からしてみれば無害だけど、妖怪にとっては死活問題にも近い。
問題が起きる前に本物の満月を取り戻したいから異変を解決してほしい。

簡単にまとめるとそういった内容だった。
そうやって異変解決をするよう(そそのか)されてきたのだろうか。
悪い方に、じゃないしこの際動くことにしようかな。
紫も巻き添えにしながら、で。


「分かったわよ、あんたもついてくるって条件付きだけどもね。にしても…あんたの話から要するに、夜の間に解決しないといけないことにかしら?」

「ま、それでもいいわよ。ええ、そうなのよ。でも、ちゃんと解決できるよう夜は長くしてあげるから大した問題にはならないわ」


「そうなのね。んじゃあ」
夜になったら行こうか、なんて言おうとしたらそれを遮るかのように
「なんかきた、と思ったらあなただったのね。八雲紫」
と背後から声がした。

この神社にいるのは私含め2人なので振り返らずとも誰なのか分かった。
紫は少し口を驚いたように開いたが、すぐに冷静になったらしく口元に笑みを浮かべた。
切り替えがはやいなぁ、とか関心したけどなんか違う気がした。

「へぇ、驚いた。巫女がもう1人いるなんて。本来貴方はもういない存在のはずですけれども、どういうつもりなのかしら?」

「どういうつもりもなにも――霊夢の保護者代わり?をしているわ」
といって私の背後に立ち、頭に片手をのせてくる。

「あー、はいはい。とりあえず霊華、あんたちょっと黙ってて。紫も変な風に言わないでちょうだい。それに先代がいようがなにしようがあんたには関係ない。むしろ万が一のことが起きた時、一体誰が助けてくれるって言うのよ。因みにあんたには期待なんてしてないから」


といつもの私だったら絶対言わないであろう言葉が口から出た。
どんな表情をしてるのかなんて自分では見えないけど、多分冷酷な表情を浮かべてると思う。
なにせ紫が心なしか驚いているように見えるから。

「……。分かりました。先代の巫女がいようと私はもう口出しなんてしないわ。でも異変解決には霊夢、貴方が出てくれるのよね?」

「次、霊華にああいうことを言うのなら誓約書とか書いてもらうからね。その時になってしまったら紙は破りにくいものにしてなかなか無くせないようにしてやるわ。……異変解決については問題ないわよ。行くわ」

私がそういうと紫は頷いた。
本当に意味がわかっているのだろうか。
相手が相手なだけに信用ができない。何故かは知らないけど。


「あ、そうだわ。霊夢、あなたにあう体力作りの内容を考えたのだけどもやってくれるかしら?」

「わあ、素敵。次のは素人でもなんとかなる内容だといいのだけども」
と棒読みで霊華に返すと苦笑いをしたらしく乾いた笑い声が聞こえた。

今言うなんてさすが先代…と思ったけど、前回のことで分かったしね。

多分、スペルカードルール抜きで襲われた時用…。
時間稼ぎすら出来ずに死んでしまったら守るもくそもないしね。

…まあ、助かるからいいんだけどね。
体力がつけば今より倍動けるだろうし。
本音を言えばサボれなくて辛いけど。そういうのは今だけ、関係ない。




「まあ、いいわ。でも最後に1つだけ聞くけども……修行について、どう思ってるのかしら?」

「あー、そうね…サボりたいわ(凄く助かるわ)」


おっと。思った事と思っている事が逆に…。
こりゃ言うの間違えたな…そう思考するや否やその瞬間、後ろから
「へぇ、そうなの…。体を鍛えるとかそういう修行は面倒だからサボりたいと…。こりゃ心根から叩き直さなきゃいけないかしら…」
なんて重く低い声が聞こえてきた。

…私氏、ピンチです。
紫に向かって助けて、と言う思いを込めた視線を送るも納得したようにニコニコしながら頷くだけでなんの問題も解決はしなかった。

そんな風に頷くなんて私はどんな認識になっているんだろうか…。
参っちゃうわー。
まあ、変に疑われるよりはマシなんだろうけど…それはそれで嫌だわぁ。


「あと一応紫にも言っておくけども、私は霊華って名乗ることにしたから。博麗の巫女だとか巫女って呼ぶよりそう呼んでほしいわ」

「はいはい、分かったわよ。そうするわ」
と適当に返している。


「んで、まだ夜じゃないけどもあんたはこれからどうするつもり?」

「そりゃあ貴方達の様子でも見てようかと思いましてね?なにせ面白いことになっているようだから」

面白いこと…か。
あながち間違いじゃないことが間近で起こったんだけどね。
霊夢に憑依するとかいつの間にか転生してるとか先代巫女の霊華がいるとか。

(私とか先代とか)時代を越えすぎてるんじゃないんですかね。


そう思っていると霊華が横に座ってきた。
正座をするのは癖なのかなー、などと考えながら見ていたら顔を近づけてきた。

「……最初から引っ張られてるのね、あなた」
そういきなり小声で言われたので、驚きのあまり顔を横に向ける。

うまく聞き取れなかった…。
あとで聞き直しておこうかな?



そう考えていると
「あ、そうだわ。お菓子食べておいたわよ」
なんてそこから上半身だけ出している紫がさも当たり前のように言ってきた。

「勝手に食べるんじゃないわよ、紫。あんたの家じゃないんだから」

にしてもいつの間に食べたのだろうか。
場所と数を覚えておけばよかったかな…。
そう少し後悔する私だった。










その後もしばらくいたので対応が面倒だった。
霊華には一緒に修行しようとうるさく言われ…。
だからと言って完全に断るわけにはいかない。

なにされるか分かったもんじゃないしね。

そういう事情も含め、少しだけ自分用に組まれた(体力作りの)修行をやってみた。

そういえば、保護者代わりって…。
霊華はどういうつもりで言ったんだろうか。
聞こうと思ったら色々と遅く、異変解決に動く時間となってしまった。

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第7話 永い永い夜前編

ユニークアクセスが案外高いことにビックリしている私こと、篠崎です。

まさか息抜きだったはずのこの小説がそれなりの方に読んでもらえるとは最初の頃は思いませんでしたけど、今となっては凄くありがたいです。
本当にありがとうございます。


今回は前編です。後編はまたそのうち投稿します。
では、下から本編ですので適当に読んでやってください。


霊華を家にお留守番させてから紫と共に異変解決へと向かった。

霊華はまだスペルカードルールなんて知らないと思うし、そんな状態で手伝われても下手に妖怪を倒してしまうだけ。
それはそれで困るからと、断って神社にいてもらうことにした。
それが現在。


今、私達は空を飛んで人間の里に向かっている。
いやぁ、異変解決に出るとはいえまさかこうなるとは思わなかった。
紫も紫でなんか連れてきてるし。
八雲藍…とかいったかな、あの子は。いつかもふもふしたい。あの尻尾を。


なんて関係ないこと考えてたら、なんか本物みたいな触覚生やした子が出てきた。あー、うん。平気そうだな。
なにか叫んできたけど、これも平気そう。
うん、これなら紫はまだ前にでなくても大丈夫だとは言え―――

「あー、もう!なんでよりにもよって深夜なのよ!私は夜行性じゃないのよ!?」

「どうしたのよ、いきなり叫んで。なにもないわよ?」

「そうそう、いきなり叫んだら誰だってビックリするよ?」

なんか別の声が混じったような気がする。
しかも、目の前にさっき出てきたのとそっくり…と言うか同じ見た目をした子がいた。
いつの間に前に出てきたんだろう。私ビックリ。

「別にあんた達には分からなくていいわよ。それとよくもまぁ、正面に……邪魔をしないなら相手にしないであげてもいいのよ」

「あら、私が虫だからって甘く見てるわね。なら痛い目にあわせてあげる!」


――なんでこうなった。
ん?っていうか名前が見え……リグル・ナイトバグ?
なんだか懐かしい名前だな。
どこで聞いたかな…。
うーん…蟲を操る…蟲を…。
さっぱり分からん。
……と言うか名前が見えてるの、私だけかな?

そう思いながら紫に前へ出てもらい攻略することに。
たまに私が前へ出るけどね。


それから少しもしないうちに倒してしまった。

「それにしても、夜はやっぱり虫が多いわね」

「それを言ったら年中虫はいるわよ。夜行性、昼行(ちゅうこう)性…挙げ出したらキリがないほどにたくさん、ね」

「あら、連れないわね…。まあ、いいけども。それより虫が増えたわね」

そこまで言われて周りを見てみる。
澄んだ綺麗な川でしか見れないはずのホタルが多く見えた。
いや、他の虫も見えるっちゃ見えるんだけど、ホタルの小さくぼんやりとした光の方が目立ってあんまりいないようにも見える。


「……ホタル、が多く見えるわね。外の世界ではまだ有名なはずなのに…大丈夫かしら。心配ね」

「あら、貴方が外の世界の心配をするなんてね。明日は雨かしら」

「あんまり下手なものが行ったり来たりすると困るものだとばかり思っていたけども…ま、別にたまにはいいでしょう?」

そう私が言うと意外なものを見るような目で見てから頷いた。
なにがそんなに意外なんだろう…。
なんて思ったけど、気にしないことにした。













さっきの場所から更に進むとかなり小さく歌声が聞こえてきた。
出てくるものはさっきとあまり変わらない。
なのにもかからわず進めば進むほど歌が大きくなっていく。

そう考えていると何故か少女の背中に鳥の羽を生やしたような子が出てきた。

その子はある程度攻撃するととある名前を叫んだ。

ふむ…スペルカードって普通の弾幕より濃いからなぁ。
紫に前へ出てもらい、倒してもらった。
リグルの時もそうだったようにね。






するとしばらくもしない内に鳥の羽を生やした少女――どうやら、名前はミスティア・ローレライと言うらしい――が出てきた。

「ちょ、ちょっと。ちょっと待ってよ」

「待ってと言われて待つような人はいないわよ。でも何用か気になるから待ってあげるわ」

「それもそうね………ってそうじゃないわ。久しぶりのカモネギだと思ったのに。あんた達、一体何者なの?」

「人間以外よ、人間以外」

「人間以外?」

「あんたみたいに姿が人間だけど、実は違うものでしたー…って人のことよ」

あえて実際に思ったことを言ってみた。
まあ、むしろこんな真夜中に人間がいたら驚くよね。
……あ、私のことか。


「そ、そうなの。でも珍しいわね。この道にその人間以外が来るなんて」

「あ、そう。あ、さてはあなたは夜雀でしょう?あんまり人間ばかり襲ってると、この付近から人間が居なくなるわよ」

「でもわざわざなんの用事もなしに出てくる人間もそう多くはないはずだし、だからと言って代わりとして妖怪を襲うとは考えられないわ」

「ほっといてよ。でも、ここに来るなんてそのなんの用事もない人間やそれ以外よ。そうでなければよっぽどの急ぎか、訳ありか人間以外だけよ」

「いい?せっかくだから言うけども、私達は急ぎで訳ありで人間以外なの。こんな所で時間を潰している暇は無いわ。ここを通してくれる?」

「……この道の先って当たっていれば紫のような妖怪とかが行くような場所じゃなかったはずよ」


この記憶があっていれば、の話なんだけどね。


「久しぶりに遊び相手に会えたと思ったのに……。そうだ、里に行って一緒に人間をからかわない?楽しいよ?」

「遠慮するわ。いくら人間同士のよくある日常だとしても私が妖怪役なんてごめんだもの」

「妖怪役とかどうとかって言うのは分からないけど、そういうってことは人間ね。ってことは人間なのね。私が鳥目にしてあげる!」


おっと、今のは言っちゃバレることだったかな。
でも間違いなくからかいあうって(イコール)すると日常だよね。
よくあることだよね。
…そうだよね?


その後は紫と交代しながらスペルカードを攻略していった。
効率をよくするために弾幕を消すボムのスペルカードを使ったりした。
それにしても強いな…八雲藍って子。
なんか楽してるように見えるぞ?

いや、まぁ、実際に楽してるんだけどさ。





ここもまた道中まではスムーズに進んだのだが…今度は違和感があった。
人間の里ってこう、建物がたくさんあって人もたくさんいるはず…なんだけど、なにかあったのかな。

そう思っていると女性と言うべき人が出てきた。
スタイルはどっちかって言うとよく、なにがとは言わないけど谷が見えてる。恥ずかしくないのか。
しかも、帽子も今にも落ちそうな見た目をしている。
そよ風で落ちるんじゃないの?って感じだけど、落ちないのなら大丈夫…なのかな?


「お前達だな。こんな真夜中に里を襲おうとする(やから)は」

「……襲うだなんて失礼ね。一目見てそれなんてとんでもないわ」

「端から見ればお前達はそう見える。だからこそお前達妖怪には、人間を渡さない。今を無かった事にしてやる!」


なんて理不尽な。
会話ぐらいさせてほしいものだ。
そう思いながら今度は小声で前に出てもらえるよう紫に耳打ちした。
お願いしている、と分かりづらくしながら話すのは大変だったけど。
それからまた少しすると今日数回目の宣言を聞いた。数えてないから正確な回数は知らないけどね。
んで、何回か叫ぶのを見ていてなんとなく思った。
あえてスペルカード宣言をするときに叫んでるのかな…と。
もしかしたら、宣言したとこっちが認識してるからそうなるのかな。
さっぱり分からないね。







倒したあと、またしばらく里の方へ向かっていたらまたさっきの女性が出てきた。

「お前達は一体なにもんだ?」

「それをあんたに問い返したいところだけども…聞いてはくれないわよね」


んでさっきの繰り返し。
なにが原因なんだろうな。
……まさか……紫!?
と考えていると紫が目の前でくしゃみをした。
しかも『くしゅん』なんて言うものだから、なんか可愛い。






そう思いながら退け、また前へと進む。
いい加減に里が見えてもいいと思うんだけどな。

ってさっきの女性が今度は名前が見やすい場所に出てきた。
上白沢慧音って言うらしい。

「しつこいわね」

…あれ、なんかこう言ったらばつが悪そうな顔をして来た。
なんだろう、このセリフが言いたかったのかな?仕方のない人め。

「んで、もうあんたのことはいいのよ。異変より人間の里のことが優先だわ。今、更地みたいになっているこの場所にその里があったはずよね。どうしたのよ」

「どうもこうも。お前達には見えないように隠しただけだ」

「霊夢、こんな場所で道草を食べてる暇は無いのよ。こうして会話している間にも夜は更けていくのだから」

「み、道草って……。でもそうね。月が沈んでも異変が終わらなかったら面倒そうだし、ごめん願いたいわ」

「そう話をして油断を誘うつもりか?そうは行かない。元々ここには誰も住んではいなかった。そういうことで、諦めてくれ」


確かに空き地だなぁ、と思う。
月のことも気にしなきゃいけないけど、人間の里もなんか気をつけていなきゃいけないような気がする。
なんでだろう。


「ねぇねぇ、そう言うのはいいけども…私には普通に見えるんだけども。この程度の幻術なんて全然役に立たないわよ」

「見えっ……!?ほ、本当にお前達何者なんだ?」

そう驚いたように言うけどさ、私には見えてないんだけど…。
まやかし(笑)じゃなくて幻覚になってるから。
それに相手が相手だし…。

「大丈夫大丈夫。私には全く見えてないわよ」

「そ、そんな風に情けをかけられてもな…」


情け……ある意味そうなる、のか。
でも、相手が境界を操るあの胡散臭いスキマ妖怪じゃなぁ。
なんとも言えない。


「そういえばあんた。半獣でしょ?」

「いや、満月じゃなければ人間だ」

「へぇ、そうなの。人面犬とか人面魚とか(くだん)とかと大差ないわね」

「何で顔だけ残して変身する必要があるんだよ。変身は全身だ」

「本当に?頭だけ獣に変身とかそういうのとかも見かけたような気がするわよ?」

「……まぁいい。そこまで言うなら、もう後には引かせない。お前達の歴史を満漢全席にしてやる!」

「私はともかく、こいつの歴史は点心位にもなるかどうかってものだと思うのだけれども」

「……人間の歴史と食べ物の歴史を一緒にするんじゃないわよ」


そう言うと何故かこっちをまた驚いたような目で見てきた。
もしかして気づいたから?
というかどういう意味であれ、どこかで満漢全席は聞いたことあるからね!
確かフルコースって意味だったはずだよね!……だよね?







とにかくムカついたので私の意地とこの体の勘とかでどうにかする。
意地じゃなにもできないけど、どうにかするったらどうにかする。
って言うか弾幕が今までに増して濃い!
いや、最初から濃かったけどさ。
スペルカートもなんか濃くなってて大変すぎる!
紫を引き連れてなかったら多分大変なんだろうな、ってぐらい凄い。


…まあ、でもそんなことしなくてもやってたら避け方は確立できそうだね。うん。







一応どうにかなって攻略は上手く行けた。
いやまぁ、今までのが濃かったのもあるし、一つだけ周りがほぼ見えないのがあったし。
それはいいとして何故いきなり襲ってきて…。会話ぐらいしてほしかったけど。




っと、そう思っている場合じゃないや。
今なら話聞けるでしょ。
「とりあえず人間の里は見えるようにしてちょうだいね」

「戻しても大丈夫よ。元々ここの人間とあんたなんか眼中に無いもの」

「里や人間に興味がない?……なら、何処に行こうとしてるんだ?」


「あっち」
と紫が言うとあらぬ方向を指差した。
そっちじゃないのに。

「こっち」

「どっちも違う。……異常な月の原因を作った奴なら、そっち」

「あら、それはどうも。あと少しで全く検討違いな場所へ行くところでしたわ。……でもよく行く場所が分かったわね、あんた」

「ここまでして、判らない方がおかしいわ」


そ、それはそれで理不尽なんじゃないかな。
まあ、進むかな…次に。
さっきの人が言った方向に飛べばいつの間にかつくでしょ。

そう考えた私は紫と共にその方向へ向かうのだった。



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第8話 永い永い夜後編

多分凄く長いと思いますが、平気な方は適当に読んでやってください。

あと遅くなったのは色々と別のことに浮気していたからです。すみません。
因みに今回は会話より思考が多めです。


言われた方向に向かったのはいいけど、竹が生い茂っていて凄いことになっている。
さながら林みたいに。

おそいかかってきた妖怪を退けつつきたのはいいんだけど、こんな場所にいるのかなぁ。あの月の元凶が。
なんかこう、竹とかを見てると異変ってより童話の方が頭に浮かんで仕様がない。
確か…竹取りの翁って話だっけ?

あり、違うな。もうちょっと分かりやすい名前で……分かりやすい名前……。
なんだったっけ?


まあ、いいや。
多分あとで思い出すでしょ。








ある程度進むと例の如く目の前に人物が表れた。
その人物の名前は霧雨魔理沙と出た。
うん?霧雨魔理沙?
どうしてこんなところに…。

「動くと撃つ!間違えた。撃つと動くだ。今すぐ動く」

「そう言われると、矛盾してると言いたくなるわね。んで、それはいいとして何故ここにあんたがいるのよ」

「さぁてな。私はいつも通り、迷惑な妖怪を退治しているだけだぜ」

「あら、そうなの。でも残念ね。私は異変を起こした妖怪を退治しに行くところなの」

「お前、それだと普段の妖怪退治と大差ないって言っているようなものだぜ。私は違う。迷惑な妖怪を退治しにきたんだ」

「あら、そうなの。でもそれじゃなにも解決しなさそうね」

「そうよ。こんな夜にあなたが一人でなにができると言うのかしら」

「さっきも言っただろう?迷惑な妖怪退治だ。それに異変が解決できないと決まった訳じゃないだろ」

「で、迷惑な妖怪って一体誰のことかしらね?」

「お前の事だよ。今はとぼけてるけど、どうせ夜と昼の境界でもいじったんだろ?」


もはやチートな域だね、ほんと。
境界さえあればなんでもいじくれるってことになるんだから。
この世界じゃほとんど負けないんじゃ…?
まあ、宣戦布告とかしてこないだろうけど。


「紫だけじゃないわ。夜を止めているのは私達。かといって理由もなくただ単に永くさせているわけじゃないのよ」

「そうよ。あなたは、後ろに目が無いのかしら?」

「あー?後ろ?月と星空しかないぜ。ああ、竹林だから竹もあるか」


そう言って半身だけ振り返り背後の空を見る魔理沙。
月を見ても分からないのは私と一緒か。
まあ、私達には無害だし仕方ないのかもしれない。


「そりゃ無いわよ。でもそうね、やっぱり分からないみたい」

「悪いが、日本語を話してくれ。ここは幻想郷だ」

「それもそうね。悪かったわ。魔理沙にはこう言っても分からないみたいだし」

「あの歪な月は危険だというのに……」

「私やもう1人に問題がないから人間には害をなさないんでしょうね。大した害があるなら見た瞬間にでも私達がどうにかなっているわよ」

「何だか知らないけど、夜が終らない方が害だらけだぜ。妖怪は夜に人を喰うだろ?夜が続けば、喰い過ぎで妖怪もいずれ消え失せる」

「そうなるわけないじゃない」

「いや、なる。だからそうなる前に退治しないとな」

と話すといきなり弾幕をはってきた。
もうこれは一度弾幕ごっこで勝たなきゃ先に進めないな。
そう思った私はその弾幕を避けつつ攻撃をすることにした。

スペルカードは少し使ってきた。
魔理沙らしい星みたいな弾やらなんやらを飛ばしてくる。
飛ばしてくるのはいいけど、ちょっと多くないか?
数回スペルカードを使ったり、弾幕をはってきたと思ったらそのまま行ってしまった。


「どこへ行くつもりなのかしら」

「どこへ行かれたとしても地の果てまで追いかけるわよ」




そんな物騒な会話をしてから再度進む私達。
こんなんでいいのだろうか?



なんてこともあったけど、また魔理沙が目の前に出てきた。
「あれ、なんだ霊夢じゃないか。どうしてこんな場所にいるんだ?」

「さっきも会ったじゃない。白々しいにもほどがあるわ」

「さっきのは紫の分だからな。んで、今度はお前の分だ!」

と言うと弾幕を放ってきた。
当たり判定がまだいまいちつかめない星形以外はなんなく避けれるようになった私は…油断しなきゃどうってことはないんだよ。

っていうかあれ、どこで避ければいいんだろうね。
そのうち分かるんだろうけどさ。


にしても面白い動きをする弾幕だなあ、なんて思っていたらしっかりと聞こえたものがあった。

――恋風「スターライトタイフーン」


またスペルカード、か。
リグル達もああやって宣言してきたし、なんかこうどこで枚数を決めてるのかって気になってくるね。
強さで変わるとか…はないよね。うん、きっと。
まあ、こっちにもボムと言う名のスペルカードがあるからいいんだけど。
弾消し用とかにしか使えないけどさ。


厄介な弾幕を危なげに攻略した私は次の弾幕に苦戦はしなかった。
むしろ楽に感じた。
だからあっさり突破し―――尚且つ後悔した。
何故なら

――恋心「ダブルスパーク」

そのスペルカードがとんでもなかったから。
全く、これの難易度は一体なんだろうって思う。
手加減…のわりには最初の敵であるリグルから弾幕が濃かったような。
そう言えば、確か蛍符「地上の彗星」なんて宣言していなかったっけ。まあ、いいんだけど。攻略はしたし。
正確にはクリアした、なんだけどね。



一応攻略はした。
そしてそのまま次を宣言してきた。

――光撃「シュート・ザ・ムーン」

それを聞いてから少しすると背後からレーザーのようなものが見えた。
一瞬ビックリしたわ。

というかビックリしている場合じゃない。
前から星形の弾が飛んできてるんだし避けないと。




そう思って少し避けていて気がついた。
思いっきり目に見える魔方陣が背後に行ってないか?
それを見て読めば今より楽になるんじゃないか?
斜めのレーザーがあるとは言え大分楽に……。




考えたことを試してみたら案外いけた。
安定して出来ないのはなんとも言えないけど、それでもしないよりはマシ。
これこそ“当たらなければどうということはない”って言葉があうね。


なんてやっていたら、また宣言してきた。
――魔砲「ファイナルマスタースパーク」

…あっ、これって…まさか…。
そう思っていると極太レーザーが飛んできた。
隙間に避けることが出来たのはいいけど、今度は交互に来る星形の弾が。
紫を前にしても大変ってこれは……気合い避けしかない。
そう、流れに身を任せて避ければいいって誰かが言ってた気がするから!






ボムを1回また使いそうになったけど、ギリギリ使わずに済んだ。(無理矢理済ませた)
でも、気がついたら魔理沙の向こうに建物が見える。
いつの間についたんだろう…。

「まさか魔理沙を追いかけてたら、目的地についてるなんてね。驚いたわ」

「本当あなたって幸運の持ち主だわ。うちの藍にも分けてあげたいぐらいに」

「くそ。一体、なんなんだ?」

「あなたの行動のお陰で犯人がわかったわ。つまり無駄じゃなかったってことよ」

「犯人の居場所は確かに分かったけども、犯人まではさすがに分からないわよ」

「とりあえず負けたんだから仕様が無い。もう帰って寝る。次、起きた時に夜が明けてる事を祈るぜ」

「はいはい、永遠にお休みなさい」

「体とか冷やして風邪とか引かないようにね」












そう言って建物の方に進み、中へ入ると何故か声が聞こえてきた。

『穢き所に、いかでか久しくおはせん』

聞こえて少しもしないうちに閉じていた扉が見える限り全てが開いていった。
お、音声システム!?
いや、幻想郷にそんなハイテクなものがあるわけない。
んじゃあ一体…。



そこをまっすぐ進んでいたら、たれたウサギの耳を持つ少女が出てきた。
名前は因幡てゐというらしい。



んでそのてゐを倒してからまた進んでると、これまたウサ耳を生やした…というかつけているみたいな少女が出てきた。
あそこまで立つ耳あるんだね。

っと名前は…長いな。
鈴仙・優曇華院・イナバ

鈴仙か優曇華院(うどんげいん)って呼ばれてそう。

「随分と遅かったわね。あなた達が来る前に全ての扉は封印したわ。もうこれで姫は連れ出せないわね」

「なるほど、犯人の肩でも(かつ)いでるのかしら?」

「さぁねぇ。取り敢えずいつもの通りに退治してみたら?きっとなにか分かるでしょ」

「なんだ、妖怪か。そうよね、妖怪がこんなところまで来れるはずが無いし。連れ去られないか心配して損したわ」

「あら、私は人間よ。今日一日で人間を辞めた記憶はないわ」

「人間ならなおさら無理ね」

「一体、何を心配していたのかしら?こんな悪さしておいて」


姫って言ってたと思うけど。
十中八九それのことだよね。


「悪さ?それって…地上の密室のことかしら」

「月のことじゃなくて?違うんだったらよく分からないわね」

「そうね、満月の事だったはずよ。よく分からないけど」

「ああ、なんだあの月の事?それはね、私の師匠こと永琳の取っておきの秘術。この地上を密室化する秘術なのよ。つまりどういうことか判る?」

「密室化……?月との関係性が分からない以上、そんなの分かるわけないじゃない」

そう話していると弓を持った女性が出てきた。
赤色と青色がベース目立つ服にナース帽をかぶっているのを見てなにかそういう系が得意なのかな、と軽く想像してしまう。
名前は八意永琳と出た。

「いいえ、そんなん説明じゃ人間には判らないわ。それに、私にとっては満月を無くすだけの術。取っておきでも何でもないわ」

「霊夢。こいつが犯人よ。匂いがする」

「確かに犯人なんでしょうけど…なんか違うわね。勘がそう言ってるわ」

「そう。とりあえずあの歪な月を元に戻してもらいましょうか」

「……戻すにはまだ早いわ。今、はいそうですかと解く訳にはいかないの。ウドンゲ。荒事と狂気は全てお前の仕事でしょう?あとは任せたわ」


優曇華院じゃ、なかった…だと!?
あ、すみません。


「お任せを。これ以上先には進ませませんので」

「んじゃ、どうにかして追いかければいいのね。見失いそうだけども」

「そうねぇ。それにこいつはあまり関係なさそうだものね」

「最近、戦える相手が居なかったのよね。丁度いいわ。あなた達に全て見せてあげる。本当の月の狂気を!」

「月の狂気?そんなの狼人間とかにしか効かないんじゃないの?まあ、あれはフィクションだったけども」

「あなどらないでほしいわ。これでも月に来た人間を狂わせた催眠術なのよ。ま、でもあの人間はすぐにやられてたけども」

「こいつ、危なそうね」

「月は人を狂わすものなの。その月の兎である私の目を見て、あなた達はどれだけ狂わずに居られるかしらね」



その言葉を最後に弾幕を張り始める鈴仙。(勝手にそう呼んでるだけ)
と、それと同時に変な感じがしてきた。
なんていうか視界が歪むと言うかなんと言うか…。
なんじゃこりゃ。


ってなにあの弾。
もはやあっちであったような銃弾もどきじゃない。
実物は触ったことがないし、日本じゃ触れない。
ゲームのなら知ってるんだけどな。

なんて余計なことを考えながら避けているうちに弾幕が終わっていた。
その分

――幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)」

違うものを避け始めることになった。
なんともまあ、不規則なものだった。
避けにくいのなんのと大変で紫をメインで避けてもらうはめに。


それを同じような動きで避け続け(正確には紫が避けてた)、攻略した私は次の弾幕を避け始めた。
少し厄介だけど、避けれないわけじゃない。
安地を探すことより倒すことが目的なのだから。
それに安地はなくてもいい。
変な風に言うならば『避けれられば良かろうなのだ!』…とか?

つまらないから却下しよ。







――狂視「狂視調律(イリュージョンシーカー)」

発動された瞬間、『ああ、これは面倒だな』と思った。
今はなんともなさそうだけど、これがしっかり張られるとどうなるのか。
なんとなく想像がついたから。

(弾幕の)弾丸の当たる部分が小さめなのがいいところだと思うけど、こんな感じのスペルカードは厄介だと思う。
赤色の弾丸だけじゃなく青色の弾丸まで気にしないといけないから。


紫を前にして避けてもらったけど、下手したら時間で終わりそうなギリギリものだった。
なんて面倒な…。


普通の弾幕はさっきのスペルカードとの間隔が別の時より気持ち短かった。
そのせいもあって全部は回収できなかったけど、少しはとれたからいいことにしよう。
むしろしたい。

見た目はかなり凄く避けづらそうと思ったけど、実際は避けやすいものだった。
え?なんでそうなのかって……何度も避けてて実は簡単じゃないのかって思って避けてみたらそうだったってだけだよ。
誰に聞かれたわけじゃないし言う必要もないんだけどさ。


分かれば簡単な話で、3つのものが私達がいる方向に飛んできているだけ。
米粒みたいな弾幕だから油断さえしなければ普通に避けれる。


それに私には威力こそないけど、追尾するお札がある。
避け続けても多少は問題ない。
そうしているとスペルカードを宣言するってポーズになった。
そんなにポーズが大事?

――懶惰「生神停止(マインドストッパー)」


止める人なんかい、なんて心の中で突っ込んだ。
けど、弾幕は優しいものじゃなかったことを数瞬後に知ることとなった。

迫る円状の弾幕。それを中心点で見てると止められる。
まだ数えるほどしかスペルカードは見てないけど、その止まっている間はなんか当たらない。
というか当たり部分がないのか。
どちらにせよそれを使わない手はないね。



急いで移動する時は私で、避けたりする時は紫。
そんな感じでやっていたらタイムギリギリなものの、クリアはできた。


――散符「真実の月(インビジブルフルムーン)」

名前とその読み方の矛盾が酷いスペルカード名…だね。
トゥルーフルムーンとかの方がいいんじゃないかな?
……いや、なんか変だね。

でもこれはこれで面倒だね。
さっきと似たような円状の弾幕とは言え、今度は鈴仙を中心にして出てきているし。
その弾丸みたいな弾幕は赤色と青色があって、その上に小さな丸い青色の弾が規則正しくはられている。なにこれパズル?

弾丸型の弾が消えると丸い弾しか残らない。
けど、これってパターンの動きに入りやすいんじゃないか?
そう考えたら吉日。やってみるかな!



そう思ったらやれた。紫にも教えたのが功をなしたのかな。
それともそもそもの紫の…あ、これは妖怪だし、長生きしてるんだからそりゃそうか。



――月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」

次のスペルカードは考える暇もなかった。
ほぼ気合いで避けに徹するしかない。
左右から来るし、確かに色別に早さが違うこともなんとか見えた。
でも、それを入れても避けづらい。
紫からなんか怪しむような、不思議なものを見るような視線が向けられているような気がする。でも、そこまで気を回す余裕なんてないし、あったとしても何故そんな視線を向けてくるのかさっぱり分からない。



……結局、1度だけボムを使ってしまった。
一応攻略扱いにする。私の中ではね。

「…とりあえず、さっきのでも追いかけるわよ」

「でもさっきのはどこへ逃げ込んだのかしらね。扉が多すぎて全然判らないわ」

「さっきの………って、師匠のことをさっきの呼ばわりしないでちょうだい」

なんか言ってた気がするというか聞こえたけど、あえて無視。
あなたのせいで目が痛いんだぞ。

「ねぇねぇ、紫。あの扉だけなんかおかしくない?」
そういって多い扉の中の一つを指差す。

「ああ、そこは!…そこの扉だけは駄目よ!」

「さっきの犯人はあそこね?」

「ええ、私の勘があそこだと告げているわ。ほら、行くわよ」

「あぁ……師匠にこってり叱られるんだ、私……」










その扉を進むと廊下に入った。
窓などがある。
なんていうかチラチラと見える外が凄い気がする。
進んでるとさっきも鈴仙のとこで出てきた永琳があらわれた。

「ああ、もう。こっちの扉に部外者が入らないようにって言ったのに」

「霊夢。こいつの言っている意味、わかるわね?」

「この道の先にこの異変のきっかけになった人がいるって言うんでしょうね。そうとしか思えないわ」




弾幕がはられた時、紫に前に出てもらって回避してもらったんだけど、なんかこっち狙いのもあったから楽そうだった。
でも、私の時にも来るかって聞かれたらノーだろうから…ふむ、仕方ないね。




――薬符「壺中の大銀河」


なんて面倒なスペルカードだと思った。
魔方陣みたいなのが私の周りにきてそこから外側に弾幕を張る。

その分、厄介なのが小さな丸い弾。
粒みたいだから当たる部分も小さい。
そんな当たり前のようなもんだけど、それが若干私達を狙ってきているかのように飛んでくる。


まあ、攻略したけどね。







それで少し進むと外に出た。月が久しぶりに見えて、綺麗だなと思った。
んでもって目の前に少女がいる。
長い黒髪で、和服なのにドレスみたいな服装をしている。なのに凄くにあってて可愛い。
名前は蓬莱山輝夜と出た。

「久々の満月が……」

「そう、地上から見た本物の満月よ。それにしても人間と妖怪……。今日は珍しい客ね」

「あんたは……。一体何者?」

「私は輝夜。でも、あなた達が先に名乗ってないのに私の名前を聞いてきた事は怒らない」

「その程度で恩を着せようなんてのは甘いわ」

「誰もそんな事言っていないわ。最近、永琳が屋敷の外に出させてくれないのよ。だから、たまのお客様は大切に扱うわ」

「たまのお客様って…なによ?もしかして珠のお客様?」

「どうしたらそんな言い方になるのよ。不思議でならないわ」

「ふふ、それもよさそうね。でも、人の身に宿るは儚い(たま)。その人間が住むのは大きな球。そして、(とうと)き民が住むのは……後ろに見える狂おしい珠」

「で、これから私達が避けるのは」

「美しき弾、っと。そういうことよね?」

「私がこれから言おうと思った台詞を取らないの。そればっかりは怒るわよ」

「あら、それは失礼したわ。先がなんとなく読めたもんだからつい。でもほら、おっちょこちょいな弾のお客様って思ってもらえればなって思うんだけど、どうかしら。弾幕が見たいがあまりそこが抜けちゃったー、みたいな?」

「全くもう、せっかちね。焦らなくてもちゃんと見せてあげるわ。本当の月が持つ毒気を!それと、私からの美しき難題を!」

「本当に暇そうね……。もしかしてずっと遊び相手を探していたの?」

「って、確かにそうかもしれないけども~。身を隠さなきゃいけなかったから仕方ないのよ。でも、今日はその分思いっきり遊ばさせてもらうわ」

「それはいいとして、満月が見れるんならあとは倒すだけね」

「あら。あいにく、本物の満月はここでしか見れないわよ」

「な…なん…だって…?あぁ、いや。倒せばどうにかなりそうだから別にいいんだけどもさ」

「ねぇ、あなた達。そういうのはいいんだけどもそろそろ心の準備は出来た?」

「出来てない」

「全然出来てないわ」

「あら、そうなのね。でも待たない。さて、今まで何人もの人間が敗れ去っていった五つの難題。それがあなた達に一体幾つ解けるかしら?」

そういうと弾幕を張ってきた。
色とりどりでつい綺麗だと思った。でも残念だけどこれ、全部避けないといけないのよね。
当たったら終わりだから。





――神宝「ブディストダイアモンド」


今までより厄介だけど、ここまで来れたんならどうにかなる。
レーザーとばらまきで放たれる星形の弾に気を付けつつ、私達を狙ってくる楔みたいな弾を避ければまだ。
それでも辛いけどね。内心凄くヒヤヒヤしてる。
普通の私だったらもう精神的にやられてたかもしれないぐらいやばい。

まいっちゃうわー…。




避けつつ私や紫が交代で反撃していたら次の弾幕にいっていた。
それもそれで厄介だった。



――神宝「サラマンダーシールド」

さっきのスペルカードと違ってなんか今度は炎みたいな弾が出てきた。
しかもそれと同じくして赤色のレーザーまで出てくるし。
レーザーは私達を狙ってきてるから避けやすいと思った。
……その後ときおり出てくる私達狙いのレーザーさえなければ、ね。






それを攻略すると次の弾幕として全方位に向けて弾を放ち始めた。
それだけだと思ったら背後からも弾が。
しっかり避けないと辛そう……というか辛い!
いざとなったらボムでも使おうかな。


そう思っていたら大丈夫そうだった。
さすが霊夢(の体)。

――神宝「ライフスプリングインフィニティ」


レーザーが全方位に向けて放たれた。
なんか凄く避けやすい、と思ったけどそうでもなかった。
なんか列をなして来る弾が見える。
速度差もあるみたいでそれが余計に面倒くさくしているみたい。
そう私は感じた。







――神宝「蓬莱の玉の枝 ‐夢色の郷‐」

まさかここまで来れるとは思わなかっ―――あれ?
と疑問に思ってようやく思い出した。あの童話のタイトルを。
そうだ、『竹取り物語』って名前だ。
今は物凄く関係ないけどね。


弾幕の方はパターンの動きをすればよさそうだと勘がいっていたのでそう避けている。
弾の動きがはやくて油断ならないけど。
まあ、まだこれでもマシな方なのかもしれないけどね。




そう思っているとこれもまたいつの間にか攻略できていた。
だけど、いきなり輝夜が納得したような顔つきになった。
もしかして、あの感じは…

「なんてこと!そう、夜を止めていたのは貴方達だったのね。貴方達が作った半端な永遠の夜なんて、私の永遠の術で全て破ってみせる。夜明けはすぐそこにある筈よ。どう?これで永遠の術は解けて、夜は明ける!!」

そういうと何故か私達…というか今は私が前なんだけど、攻撃が途中で消えて輝夜まで届かなくなった。
そこに

――「永夜返し ‐待宵‐」

と宣言してきた。
なるほど。こりゃあ…厄介だ。
紫に上下に動いて避けてもらいつつ、切り返す時は私が動いて避けた。






――「永夜返し ‐子の四つ‐」

これもまた大変で弾が交差しているみたいに見えるほど張ってくる。
それを横移動などで避けていく。
攻撃が届かないせいで今までのどれよりも苦戦しつつある。






――「永夜返し ‐丑の四つ‐」

赤色と青色の交差する弾。
さっきとは違って網のように張ってくる。
これも交代しながら上手く避けないといけない。
でもそこは博麗の巫女だからなのかそれとも弾幕に慣れ始めていたからなのか。
なんとかなってる。






――「永夜返し ‐寅の四つ‐」

これまた全方位か…。
と思っていたら、赤色のでかい丸弾(まるたま)が私達に向け飛んでくる。
今さらだけど、本当に今さらだけど、当たり判定があるのは前に出ているどちらかにのみ。
しかも攻撃も前に出ているどちらかの物しか出ない。

おかげさまで攻撃と、避けはどちらか一方が行わないといけない。
んまぁ、そのおかげで上下左右の動きを交代交代でするはめになっている。
ほんと、凄く忙しいね。






――「永夜返し ‐世明け‐」

今度は優しいな…と思っていたら段々きつくなっていく弾幕。
最初は交代、濃くなり他の弾が混じってくるようになってからは徐々に紫メインへ。
でもここまで来たらどっちの異変も終わるだろう。
ああ……凄く長かった……。


そのラストスペルを攻略し終える頃には眩しい太陽が登り始めていた。
―幻想郷の夜が明けた。



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第9話 異変解決後、霊華と

息抜きで書いた方が読まれやすいとは思ってもみなかった私こと、篠崎です。

本当、ありがとうございます。

誰得ですが、こちらを先に投稿してみました。
適当にゆっくり読んでもらえれば嬉しいです。


あのあと、紫の説明によってそもそも幻想郷は博麗大結界によって隔離されていること、月から使者とやらが入ってこれないことを知ったらしい永琳がその秘術を解いた、と本人から聞いた。

そして、しばらくした後…どうやら永遠亭として里との付き合いをしているようで鈴仙が――
「…なるほど。あなたにとって初めての異変解決はどうやらスムーズに終わったようね」

「ぶっ!?」
驚きのあまり飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
あー…一応服が濡れないようにしたのはいいけど、境内にやっちゃった…。あとでなんとかしないと。
…にしても足音がしないとかなにをどうすればそうなるの。

「あら、お茶飲んでたのね。よく見てなかったわ。…それで、異変解決はどうだったのかしら?」

湯呑みを左横に置いて、そのまま半身だけ振り返ると霊華がいた。
服装は巫女装束なんだけど、その上から体つきのよさが分かるってどれだけ鍛えたんですか、本当。

「一応解決はしてきたわ。内心焦りまくりだったけどもね。あ、もちろんスペルカードルールにのっとって、よ?おかげさまできれいな弾幕を見れたわ」


そういうと我が子を見るような微笑ましい顔で見てくるのは何故?
血縁関係かは分からないけど、先代である以上関係のない人じゃないだろうしなぁ…。

「そう、そうだったのね。それでこれから里におりるんだけども、一緒に来る?」

「あ、いいわね、それ。ついでに里からこの神社に行ける道をどうするかって話がしたいから歩いていってくれないかしら」


歩けば鍛える分より大して体力はつかないけど、そういう話をするんなら嫌とは言えないだろう。多分。

「あー、別にいいわよ。神社についてあんまり知らないあなたがそうやってなんとかしようと頑張ってくれるなら教えるわよ。あと帰ったら体鍛えるわよ」


あ、忘れてないのか…。
惜しいな。忘れてたらやらずにすんだのに。
まあ、体力がつくから別にいいか。
……ごめんなさい、半目で見ないでください。

「ま、霊夢。前より軽くしてあげるから安心してちょうだい。とりあえず急須とか湯呑みとか片付けるわよ。ほら、立つ」

「あ、悪いわね。言葉に甘えさせてもらって手伝ってもらうことにするわ」

そういって立った時、苦笑いしてきた。いや、なんで?
手伝うって一言も言ってないこと?
んまぁ、いいや。


「…別になんでもないわ。とりあえず洗っていくわよ」













それからそれなりに経った今。
獣道の方を通って里に向かっている。
それにしても…
「これじゃあ参拝客も来づらいわね。若干視界が悪くて危ないし…」

「でもここは外の世界とは違うのよ?それにどうするつもり?」

「でも電気は通ってるわ。そこをどうにかすればなんとかなるんだけども、通る方法よね。結界…だと疲れるし、式神とか…?」

「あら、意外ね。真面目に考えられるとは思わなかったわ。あなたのことだから外の世界にいた時の常識とか知識とか出してくるものだと思っていたんだけども…」


人が真面目に考えたらそれか!
それに外の世界で出来たことが幻想郷で実現できる保証はないんだよ!?
そりゃ代替(だいたい)品とか探すなりなんなりしなきゃでしょ!?


「そりゃ真面目に考えるわよ。ただ問題は祀っている神様がいるか…よね。呼んでもよさそうなんだけども、もし中に神様がいたら大変だし同居しても平気な人を探さないとね」

「…そ、そう。なんかあなたなら簡単に探せそうな気がしてきたわ」


そういうのはいいけどさ、何故ゆえ頭を抱えるの?
そんな頭痛くなるような話はしてないはず…。


「そんなことはないわ。だからこそ、里の様子を見て決めるのよ。その上で信仰してもらいたいんだけどなぁとかそう考えてる人に決める。安全祈願でもよさそうだけどもね」


今度は驚いた顔で見てくる。
なに一人で百面相してるの?って思えてきたけど…もしかして私?
……そんなまさかね。


「まあ、とにかく里でも巡ってなにが必要なのか知っておきたいわね。学業関係は多分幻想郷にはいらなそうだし」


外の世界みたいに学校があれば話は違ったんだろうけどね。
幻想郷(こっち)にはない。……多分。



「まさか霊夢の方に精神がある程度引っ張られて…」

「ん?霊華、なにか言った?全然聞き取れなかったのだけども…」

そういうと「なんでもないわ」と言われてしまった。
本当になんでもないならいいんだけどなあ…。

そう考えていると里の入り口が見えてきた。
ふむ、今はまだ朝だから道とかが見えたんだろうな。
だとすると夜になったら文字通り獣道と化すんだろうな。




里は見た感じ、多少は広そうだった。
それなりに人もいるし…。あ、でも子供の方の割合多いな。
早起きなのかな?…あ、でも私もどっちかって言えば子供か。

「一応あなたも知らない場所があるでしょうから、案内するわよ。ただ……私と一緒だって言うことを忘れないようにね」

「それってどういうことよ」
そういって半目で睨むとなんかついてくれば分かるみたいなジェスチャーしてきた。
はいはい、ついていきますよ。







それからしばらくして。
里をくまなく案内してもらったのはいいんだけど、凄い。
『巫女さん』とか『博麗の巫女』とか色々な人に呼ばれていた。
まあ、そんな風に呼んでたら名前も忘れ去られちゃうわな。
因みに私は『霊夢』が多かった。

…うん、これ、忘れる忘れない以前に名呼びじゃあないか…。


「あんた…霊華って名前を今度から名乗った方がいいんじゃないの?多分少しは呼んでくれるでしょ」

「それもそうね。一応考えておくわね。…ただあなたは巫女とすら呼ばれてないわよ?」

「いいのよ、別に」
といって唇を尖らせる私。
拗ねてるわけじゃないんだよ?
ほら、博麗霊夢って名前と博麗の巫女だって覚えてもらえてればまだワンチャンあるかもでしょ?

そう考えていると霊華が微笑ましそうにこっちを見ている。
ど、どういうつもりなのかな…?


「あっ、そうだわ。お昼の前に寄ってほしいところがあるのだけども…いいかしら?」

「ええ、構わないわよ。まだそれなりに時間があるはずだからね」

よく大体の時間が分かるなぁ。
私にはいまいち分からないのに。別に困らないんだけどさ。
とりあえず行くか。ちょうど霊華もいるんだ。紹介がてらにはいいだろう。
なんか見ておかなきゃいけない気がするし。









ということで私達は鈴奈庵の前に来ている。
鈴仙がなにをしているのかは永琳から予定を聞いてるし、やってるんだとしたらそれしかない。
分かるものよりこっちを見ておきたくなったからこそ来た。
なんでかは私自身よく分からない。

「目的の場所はここよ。因みにどうでもいいでしょうけど、小鈴んちでもあるのよ」

「……そうなのね。その中に用事があるというわけね」


なんで一瞬間があいたんだろう。
疑問には思うけど、別に大丈夫…かな?うん、きっと大丈夫。


「とりあえず中にはいるわよ」

「分かったわよ」




そう話して中に入る私達。
そこへ
「あら、いらっしゃいま―――あ、なんだ霊夢さんですか。一緒にいる方は初めて見ますけど…」

「ええ、どうもね。あ、こっちは私の前の代の巫女をしていた霊華よ」

「ふふ、宜しくね」


と霊華が言ってニコッと人懐っこい笑みを浮かべると小鈴ちゃんが驚いていた。
まあ、そりゃいきなり先代の巫女が現れたらビックリするわな。本来いないはずの人間なのだから。


「あっ、は、はい。えっと、私は本居小鈴です。今回はどうしてこちらに…?」

「ああ、それは霊夢が来たいって言ってね。ついでに私の紹介ができるからいいみたいなことを言ってたわよ」

「霊夢さん、そうだったんですか?」


間違えてないんだけどさ…。
小鈴ちゃんが驚いたように私を見てるのは何故?っていうか今回の小鈴ちゃんは表情が忙しないね。
多分私のせいなんだろうけどさ。


「ええ、そうよ。そのついでのついでに私がちょっと本でも読ませてもらおうかしら」

「読書なんて珍しいですね、霊夢さん。なにかあったんですか?」


ある意味的確な質問に苦笑いを浮かべる私。
中身が変わってるからそりゃ前の霊夢と違うし…。


「まっ、まあね。なんとなくそんな気分になったからよ」
そういって適当な場所から1冊本を取り出す。“背表紙に書かれていた字”もろくに見ずに。

「あ、それ…外来本ですよ?凄い気の変わり用ですね」

「いや、まぁ、その」

「へぇ、外来本なんてあるのね。鈴奈庵って他になにがあるのかしら。教えてくれたりする?」
言葉をつい濁らせて曖昧な笑みを浮かべた私だったけど…霊華がそう言ってくれたおかげで注意がそっちにいったみたいだ。
んじゃあ、軽く中身を……あれ、アポロ?
ずいぶんと前の本だな、これ。
今じゃそれについていろんな説が飛ぶ現代になっていたはずなんだけど。
幻想入りってこういうもんなんだなぁ…。

ってお?あっちはあっちで話が盛り上がりつつある。
霊華も博麗の巫女といえどやっぱりそこは人間の女性だね。
先代の博麗の巫女とかそういうのを気にせず話する機会でも作ってあげるかな。



「そうだ、霊夢さん。見てほしいのがあるんですけど、いいですか?霊華さんも一緒に話を聞くだけでもどうです?」
と笑顔で聞いてくる。
なんかこの笑みは見ていて守りたいというより心配になる感じがする。
なんでかは知らないけど、首を突っ込んでおいた方が安心かな。

「はいはい、私はいいわよ。霊華は?」

「私はあなたが話をしている間、この中でもうろついてるわ」

そういってそのまま離れていった。
小鈴ちゃんの方を見ると気にしてないのか笑っている。
うん、なんか嫌な予感がするんだけど気のせいかな。

「まあ、仕方ないですね。色々と気になってたんですけど…。それはさておき、霊夢さん。話したいのは実は―――」

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第10話 手口や言葉は相手を選ぼう

サブタイトルはさっくり決めていたりするので特に意味はなかったりします

…な、内容が想像しにくくなるようにはしてるつもりですよ?ええ、はい(震え声


下記から本編ですので適当にゆっくり読んでもらえれば嬉しいです


「まあ、仕方ないですね。色々と気になってたんですけど…。それはさておき、霊夢さん。話したいのは実は妖魔本を見せたくなりまして。他にも本を少し見せたいのですが…どうですか?今の霊夢さんならなんか見てくれると思って聞いてみたんですが」


うん、確かに本には興味あるけど妖魔本ってあーたねぇ…。
しかもなんかある意味的を得てることを言ってるし。
まぁ、でも今のって言ってくる辺り、小鈴ちゃんは気づいてないみたいだけど。そこは一安心。

「しょうがないわね…。小鈴ちゃんがせっかく誘ってくれたんだし、のってあげるわ。でも、確か妖魔本って妖怪が書いた本や謝罪文とかのはずよ。あんなもん、誰にも読めないわ」


ついでにもって危ない…ような気がする。
安易に使うのもよくない…ような気もする。
そもそも妖怪が書いたものだし、なんていうか…どうでもいいというか…小鈴ちゃんには関係ないというか…。
うん、よく分からくなってきたぞ?
やめだやめ。考えるの一旦やめよう。
でなきゃ混乱しちゃうような気がする。


「え?……あぁ、そのことですか?大丈夫ですよ。私が読めますから」

「読める?どうやってよ」

そう聞くと丸眼鏡をつける。
うん、それじゃ見れないと思うけど…。
そう思ったけど、口にせずそのまま見ていると本に手をかざした。
なんで?と思ったけど、これも黙っておく。
すると内容を読み始めた。
内容からして天狗の謝罪文かな。
なんか謝罪文と違う気がするけど…なるほど、小鈴ちゃんはそういう能力なのかな?
いつ目覚めたのか何故か気になるけど、しばらく様子見でもするかな。

「なるほどね。とは言ってもあんたも気をつけて使いなさいよね。なにか変なことになっても小鈴ちゃんじゃ大変なんだから。まあ、手を貸してはあげるけども」

「本当ですか!?やっぱり霊夢さんは良い人ですね!」
そう言って机から身をのりだし、私の手を握る小鈴ちゃん。
うう、余計断りづらくなった…。
いやまぁ、自分でしたからなんとも言えないんだけどさ。



「はぁ…。そんなことはないわよ。ただ小鈴ちゃんと私との関係が良いからするだけよ」

私がそう付け加え……なんかつい顔をそらしてしまった。
うん、クスクスと笑われたけど、どういう意味なのかな?

「………なによ。なんか文句でもある?」

「いえ、まさか霊夢さんに素直になれないときがあるなんて知りませんでしたから」


わ、悪かったな。素直じゃなくて。
でも嘘はつかないからね。思ってた事と思っている事とを間違えて言ったことはあるけど。


「……こほん。それで、妖魔本についてだけど、あまり下手に読まない方がいいと思うわよ。安全とは言いきれないし、なにが起こるのか分からないから私のいるところで…とかどうかしら。それならすぐに対応してあげられるのだけども」


そう話をそらして提案してみた。
もちろんNG出されることを前提に。
でもそのあとにもっと軽い『困ったときは神社に来ればいるとき対応する』という提案にのってくれるかな、という浅はかな考えなんですよ、ええはい。



「その場で対応してくれるなんて、やっぱり霊夢さんは頼りになりますね!」

余計にハードル上げただけだったー!
誰だ、最初に無理そうな提案をあげてからすんなり受けられそうな提案をすれば必ず受けてもらえるとか考えた奴!
…………あ、私か。

「ええ、まぁ、その。…分かったわよ、困ったときはいつでも頼ってちょうだいね」

「はいっ、ありがとうございます」

そういって笑みを浮かべるなんて反則だよ、小鈴ちゃん。
まあ、自分からも逃げ道を消してるからあれなんだけどね。


「それであなた達、そろそろ話終わったかしら?」

「ええ、一応はね。んで、どうしたのよ霊華。もしかして軽く買い物でもするの?」

そう聞くと何故か驚く霊華。
あれ、勘でいったはずなんだけどな…。

「…なにも言わないでおくわ。そうね、行くわよ」

「そう。まあいいわ。小鈴ちゃん、また今度ね」

「はい。また来てくださいね、霊夢さん。本を借りにくるだけでもいいので」

「ん、気が向いたらね」


とだけいって霊華と共に出る。
我ながら冷たい反応になっちゃったなと思ったけど、今になってちょっと後悔。













その後、少し買い物を済ませた私達は今度は空を飛んで帰宅。
一応参拝客用の案が出来たから今度やってみよう。
作るだけ作るかな、昼御飯の後にでも。







あっさりとした昼御飯を手早くすませ、私はあとを任せて自室へ。
確かお札とかは足りたはず。
それを魔除けのお守りにして、比較的安値で売れば多分いけるかな、と。

「確か布とかはこっちに…」

とかたまに呟きながらお守りの試作を作っていく。
私の巫女服といい、霊華の巫女装束といい紅白が多いからお守りの色は赤と白の2色でいいかな。…おめでたい色にするのもどうかと思うけど、目立つしいいかな。




そうこうやって少したった頃。
2つのお守りが出来ていた。片方は赤色で、もう片方は白色。
どっちにも表に魔除けと縫い、裏に博麗神社と縫った。


「これを見るとなんか外の世界にあった神社で売っているお守りを思い出すわね…」


似たような感じだったしね。
あ、でもこれ…。誰で試すか決めてなかったや。一応置いてきて、口コミに後を任せようかな。
ついでに紙も………。






魔除け(まよ)のお(まも)りを作ってみたわ。お(ため)しは先着(せんちゃく)2人まで』
とふりがなをつけて書いてみた。
先着って言葉が幻想郷で通じるかどうかは分からないけど…もし、これが効けば妖怪とかの魔からある程度は守れる。
さすがに自ら近づいたりしたら効くかどうか、だけど。
まあ、投げればいけるでしょ。伊達に魔除けとして作ったわけじゃないんだから。


「……鍛えようと思って探してみたらまさかそんなことをしてるとは思わなかったわ」

「…!?」
思わず驚きながら反射的に左横を向く。
集中しすぎて聞こえてなかったのか、ふすまが開いていてそこに霊華が立っている。
鍛えるなんて物騒な言葉が聞こえたけど、あえて気にしないで声をかけることにしよう。うん、そうしよう。


「な、なによ。私だって出来ることや出来そうなことはするわよ」

「いえ、そういうのじゃなくて…。あなたにはまだなにも教えてないはずなのにどうして巫女関係のことが出来てるのよ」

「アハハハ、作れる訳ないじゃない。冗談きついわね、霊華」


どっかの誰かさんに鍛えられたのは体と料理の腕ぐらいで巫女がするようなことは一切聞いてないんだよ?
そんな私が作れる訳ないじゃないですか、やだー。


「…でもこれ、出来てるわよ?お守りの効果が強いか弱いかはともかく、普通に売れるぐらいには…」

なんて言いながら近づいて、ちょうど机の上に置いておいた2つのお守りのうち1つを手に取った。
またまたきつい冗談だなぁ、アハッアハハ。



……ほんとかな。



「えーと…本当なの?このお守りが使えるとかっていうのは。出来れば冗談と言ってくれれば嬉しいのだけども」

「出来てなきゃ言わないわよ。と、いうか伊達に巫女と呼ばれてないから」

「てっきり物理的な、ってつく巫女かと思ったのよ」

「良い度胸してるわね、あなた。ちょーっと鍛えるのを厳しくしましょうか」


え、え!?な、なんで!?
正直に私の考えてることを言っただけなのに!?
いや、でもまさか、その笑み…。
……あ、これ地雷踏んだっぽい。

そう悟った私が前より厳しくメニューの増えた修行に耐え、休憩にありつけたのはそれからかなりたった頃でした。(疲労で)死にそう。



誤字訂正しました。


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第11話 霊夢とは

予想以上にUAが上がることにビックリしている私です。

今回、ちょっとあり得るだろう話を書いてみました。

適当にでも読んでくだされば凄く嬉しいです。では、下からどうぞ。


翌日、私は筋肉痛で起きた。
まあ痛いのなんのと起き上がりづらかったけど、それはきっとなにかを踏み抜いたせいなんだと思うことにした。

しかもなんか予定より作り上げたお守りが増えちゃったけど、誤差の範囲…誤差の範囲…。
うん、もういっそのことこれは違う方法で売るかな。
手渡しとかそういう感じで。

あとは神様だけど…ここなら安全関係とか病気関係…あと縁関係とか子宝関係かな?
これのどれか1つに条件しぼって、それ関係の神様に手当たり次第聞いてみるしかないね。
ああ、健康と安全ならいけるかな?1つじゃないけど。


とりあえず、それより着替えて境内を軽く掃除するかな。
いや…掃除もそりゃ面倒なんだけどね。
でも倒れるまで鍛えられるのと神社周りを箒で綺麗にする。これを比べたら断然掃除をしていた方がいい。
空を飛ぶ程度の能力を併用すれば屋根の上だってできる。ただし、楽とは言ってないよ、楽とは。



そんなことを考えつつ布団を押し入れにしまって、着替えてからの(くし)で髪の毛をとかしつつ、リボンなどをつけていく。
とりあえず、掃除もいいけど神様もどうにかするか…。
それと同時にこの神社に祀られてる神様も調べなきゃね。


「……神棚を最近掃除しておいてよくぶつぶつ言えるわね」

「わ、わぁ!?…急に現れないでちょうだいよ!心臓に悪いわ」

驚きのあまり、ついバックステップを軽くして距離をとってしまったけど、大丈夫かな。
んでもって今までの思考は駄々漏れですか、そうですか。

「それは悪かったわね。んでも、霊夢?神様が同棲なんてしようものなら元からいた方が消えてしまうのよ」

「あら、それは困っちゃうわね。なら、ここの神様を調べて攻略するしかないわね」

「攻略って…。…ま、まあ、そうね。あなたがやる気を出してくれるのなら凄くありがたいわ。お守りもあるし、最低限の参拝客ぐらいは来てくれるようになるわよ、きっと」

「だといいんだけども……」

そう言ってため息をつく。
いやだってお守りがあっても嫌な予感が拭えないんだよ。
いや、ここはどうにかしてここの神様を調べあげ、里の人間達に闇を恐れるべきものと恐れなくてもいいものがあるんだと教えよう!


「…思考が駄々漏れよ。でも、そんなの危ないわよ。余計に減る原因になりかねないわ」

「そうだと思うでしょう?でもね、最近は人間に妖怪が普通に紛れ込んでいるのよ。寺子屋にもね」

「だからといって「分かってるわ。だからこそむやみに怖がられたら困るの」」


霊華がなにかを言うのを遮って私がいった。
先代だからこそ知ってることはあるだろう。妖怪のことだって色々知ってるに違いないのも。
だからと言って怖さばかり教えてむやみやたらに怖がれば……一体どうなる?


「闇を怖がるのは人間の(さが)。当たり前のことよ。だからと言って人間がその恐怖を乗り越えられないとは誰も言ってないわ。それに共生できないとも」

「……。あなた、本当に…」

いや、あの。こ、怖いよ?その顔。
や、やっぱり怒る?怒っちゃう?
で、ですよねー。思いっきり遮っちゃったし、妖怪云々とまるで庇ってるような感じて言っちゃってるから博麗の巫女としては―――あれ?どうしたの?急にため息なんてついちゃって。


「いえ、なんでもないわ。あなたはあなたで頑張りなさいね。それと今日は体力作りとかはなしよ。掃除は…ちゃんと半分やっておくわね」

なんていって私に笑みを向ける。
なんかその笑みに違和感が…。
まあ、いいか。なにかは知らないけど、怒ってないみたいだし一安心。

さて、まずは神様でも知ろう。それからでも、遅くはない。
もし名前とかなんの効果を持つか分からなくなってたら…呼ぶか名前をつけ直すとか?
でもつけ直しでいけるものかな…。
前例ないみたいだし、奥の手として考えておくかな。


因みにその後、鳥居付近で魔理沙と鉢合わせした。
というかちょうど降りてきた。
「どうしたのよ、魔理沙。なにか用?」

「ちょっと不思議に思ったことがあるから聞きに来たのとお前に弾幕ごっこを挑むってだけだぜ」


なるほど、つまり聞くついでに弾幕ごっこか弾幕ごっこついでに話を聞くんだね。
…個人的には前者であってほしいと思う。


「へぇ、それで?なにを聞きに来たのよ。あと弾幕ごっこはちゃんと受けてあげるわ」


あー…なんか変な人とでも思われた?
そんな風に睨んでも苦笑いしか出ないよ?


「いや、お前…。変わったな。色々な意味で」

「そんなことはないわ。私は私よ。それで、聞きたいことはいいのかしら?」

そう聞くと首を左右に振ってきた。しかも、「ああ、もういい」とも言ってきた。
そ、そうなの。しないならしないで別に良いんだけどさ。


「それで、弾幕ごっこはするの?しないの?」

「それはするぜ。いいだろ?」

「ええ。じゃあ、しましょ?スペルカードは5枚でいいわよね」

「おっ、霊夢がいいって言うならそれでいいぜ。どうなるのか楽しみだな」


そういってニッと歯を見せながら笑う。
見た目だけで言うと自信家だねぇ。


「まあ、そうね。じゃ、行くわよ」

私のその一言で始まった弾幕ごっこは私の負けで終わった。
極太ビームもというどn…じゃなかった。マスタースパークが曲がって見えたりするのはいいとして、筋肉痛の体じゃ辛いものがあるんだね。今知ったよ。


「……お前ってなにかやるような性格じゃなかったよな。どうしたんだ?」

「あの霊華よ。なんでか知らないけど、急に鍛えてきてね…。サボるのは簡単なんだけども、サボったり逃げたりすると次の日が倍にされるのよね……」
とそこまで言って思わずため息が出た。
いやもうね、きつい…。体を鍛える必要なくないかな。


「あれのどこが体力作りなのかしら…」

「あー……。ならしょうがないな。でもちょうどよかったんじゃないのか?」

「ぜんっぜんよくないわよ。あれがいいなんて言えたもんじゃないわ」

立ち上がりながらいったところで掃除をまだしていないことに気づいた。
なんかもう色々と疲れてるし今はやめておこうかな。





そういうこともあって暇になった私は魔理沙が香霖堂に用があるらしいからそこに同行することにした。
なんとなくだけど、そこなら物を揃えられる気がした。ついでに今度、霊夢が貯めたツケでも払いにこよう。
かなり貯まってそうだから少し多めに渡そうかな。





博麗神社からやや歩いたところに香霖堂があったけど、店前においてあるものさ…
「絶対流れ着いたものを適当に置いてるだけよね、これ。だるまとかポストとかテレビとか…。もうガラクタ扱いじゃない。間違ってないんでしょうけど」

「なんかその物言いだと、知ってるみたいだな」

「あ、いや、まあ、その」
と言葉を濁らせてからぎこちなく笑う。
これ、中身違うとバレたっぽい?

「まあ、いいや。霊夢、中へ入ろうぜ」

「え、ええ。そうね」





中へ入ると「いらっしゃ……なんだ、君達か」と言われた。
声の主はもちろん霖之助さん。
扱いが酷い気がするんだけど、もしかして今まで勝手なことでもしてたの?

「そうよ。っと入って早々なんだけど、あの前においてあったあのテレビって映らないの?」

「そういうってことはどうやればつくのかってまさか分かるのかい?」

驚いたような感じでそう言ってきた。
なにを言うか。あれを見る限り今のテレビとかなり違うけど、あれならボタンを押せばつくはず。そう、そのはず。

「ええ、分かるわよ。なんなら、今からでも教えてあげるけども…」

「……いつから霊夢はそういうのに詳しくなったんだい?」

と聞いてきた。
そんな神妙な顔つきで聞かれてもなあ。

「気がついたら、よ。別に大したことじゃないわ」

適当にそう答えたら「それもそうか…」と呟いていた。
そんなにおかしいことなのかね。

「なあ、香霖。あれさ、――」

と、あっちで話が始まったので仕方ないし、店内を見ることにした。
なにを話しているんだろう。
内容はどうでもいいけど、気にならないことはない。
…あ、よく見ると幻想郷のものも置いてあるんだ。てっきり外の世界から流れ着いたのが大半を占めるのとばかり思ってた。

欲しいと思ったけど、まずツケをどうにかしないとな…。
そう考えていた私には気づけなかった。魔理沙と霖之助さんがが私に疑いの眼差しを向けていたことに。
と、同時に変な感じがした。



さっきまで感じなかった熱っぽさ。
それのせいか、それともそれを自分で分かってしまったせいなのか頭がよく回らない。



どうして、こうなってるんだっけ。
霊華がなんらかの原因を作り、私がここに来てしまったと言うが、本当にそうなのかな。
霊華は実を言うと過去の人物で、ここにはいなくて、私も本当は―――……ぁ…あれ?なんで、ゆかが、めのまえに――




そこで私の意識は途絶えた。

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第12話 変調と肝を試す

今回、字数がそれなりにあります。

それでも平気という方はどうぞごゆくりと。


下から本編になっています。


……………………。

…………。

……。



暗闇から意識が浮上する感覚がした。
と、共にゆっくり(まぶた)を開けると見知らぬ天井だった。
あれ、私はどうしたんだっけ…。

「ようやく起きたのね。色だけじゃなく、頭もおめでたいのかしら」

なんて声をかけられたので顔を向けるとそこには輝夜がいた。

「……大きなお世話よ」

「そのわりには香霖堂で倒れたそうじゃない。魔理沙とかが驚いてわよ」


ああ、なるほど。倒れちゃったのか、私。
そりゃあ、目の前に床も迫ってくるわ。
と1人で納得して頷いていたら、輝夜が真剣な顔になった。

「どうしたのよ、輝夜。急にそんな顔して…」

「いえ、永琳がとんでもないことを言っていたのよ。聞いても驚かないわね?」

私が驚きそうなことを永琳に?
なんかあったっけ。心当たりは全くないんだけど。

「ええ、大丈夫よ。教えてちょうだい」

そう聞くと何故かため息をつかれた。
自分から聞いておいて…どういうつもりだろうか。

「貴方……自分、保ててる?記憶は?本当に自分が博麗霊夢なんだって言える?」

「はぁ…。なに当たり前なことを聞い……て……」

ため息をついて文句の一つでもつけてやろう。
そう思って言おうとしたんだけど、そういえばおかしい。
自分を保ててるかどうか、に関してはほぼ問題ないんだけど、記憶と博麗霊夢だっていうのは怪しい。

今までポジティブに『運良く博麗霊夢になってた』とか『前の自分の記憶はちゃんとある。名とか忘れてるけど、ゲーマーな人間だったことは忘れてない』とかそんな感じに考えててそれ以上は問題ないと思って…。

――本当に、それだけ?


「……永琳を呼んでくるわ。貴方はそこにいてね」

黙ってしまった私に優しく微笑みながら立ち上がる輝夜。
私はただ小さく頷いた。









しばらくすると輝夜が先に入り、後から連れてきたらしい永琳が入ってきた。
「姫、あとはいいわ。手を(わずら)わせてしまって悪かったわね」

「いいえ、大丈夫よ。じゃあ、私は席を外すわね」

そういって輝夜だけ出ていき、残った永琳が私の近くまで歩いてきて、さっきまで輝夜が座っていた椅子に座った。
…私の前じゃ輝夜って呼ばないんだね。

「それで貴方。大丈夫?霖之助が連れてきた時にはぐったりしていたようだけど」

「ええ、大丈夫よ。多分疲れでもたたったんだと思うわ」

「…そのわりにはうなされてたけども。しかも、ぶつぶつ言ってたし。私的にはとても心配ね」

真顔でそう言う永琳。
そこまで心配しなくていいのに。

「多分先代…いえ、霊華に体を鍛えられたりしてるからそれで疲れたのよ、きっと」

そういってニコッと自然に笑って見せる。
辛いわけじゃないし、大丈夫。

「そう?ならいいのだけれども。また辛くなったら来るのよ?その時も代金はとらないであげるから」

「あら、そういうってことは今回はとらないのね?」

私が冗談混じりに聞いたら、そこはニッコリと笑った。
営業スマイルって奴かな?

「ええ、とらないわ。それと大丈夫ならもう出て平気よ。今度は出来れば倒れる前にきてちょうだいね?」

「はいはい、分かったわよ。どうもありがとうね」

もう出れると言われたので素直にお礼を言ってから部屋を出た。
だからこそなんだろうか。私は永琳のその一言を聞き逃してしまった。

「……7日間も寝ててよく大丈夫って言えるわね」


まあ、聞き逃したと気づいた頃には扉を閉めちゃってたんだけどね。
だから聞き直そうとは思わなかったし、選択肢にすらいれてなかった。
だって、前も人間だったって記憶はちゃんとあるんだもの。
問題なんてないよ。


少し歩くと輝夜がこっちに歩いてきた。
「あら、もういいの?…このあと、暇ならちょうどいい話があるのだけれども…」

「ええ。あら、それはなにかしら。興味もあるし、教えてもらってもいいかしら?」

「いいわよ。それはね、今度の丑三つ時に肝試しをするって話なんだけども……どうかしら?」

「参加させてもらうわね。それって紫も連れてっていいのかしら?」

そう聞くと縦に頷く輝夜。
い、いいんだ…。まあ、別にいいんだけどさ。

「大丈夫よ。むしろ貴方達で行ってもらいたいの。いいかしら」

「あら、そんなになのね。分かったわ。面白そうだし、行くわよ」

私がそう答えるとニッコリと嬉しそうに笑った。
なんかいいように使われてる気がする…。













神社には真っ直ぐ帰らず、どうにかして紫をひっつかまえて丑三つ時…ええと、確か午前2時から2時半、だっけ?
丑の刻とか寅の刻とかって言うもんだから私には凄く分かりづらい。
そんな時間にこんな迷いの竹林に来るのは私や連れてきた紫ぐらいだろう。

事前に『紫』と名前だけ呼んだら交代してくれないか、と提案したら案外聞いてくれた。
まあ、弾幕ごっこの時限定だけどいいかな。
因みに私も名を呼ばれたら交代することになってる。
聞いてくれるとは思わなかったよ。




そのまま進んでるとまさかの慧音が出てきた。
でも、姿が最初会った時と違って角とか生えてる。
確か半分だけ違うから、なんだっけ?

「ほう、お前達か。今日みたいな満月の夜に来るとは…いい度胸だな」

「肝試しに来るんだから度胸がなきゃね。だから来たのよ」

「そうか。もし、そうだとしてもあの人間に指一本たりとも触れさせやしないからな」




――旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」

今回はいきなりスペルカードから入ってきた。
弾幕こそは薄いものの、それなりにはやい。
避けやすさはあるけど、はやさがあるから何気に厄介。
さすがに『紫』と呼び前と後ろを交代した。

すると今度は弾幕が濃くなった分、はやさが遅くなった。
なるほど…そこは慧音らしいと言える気がするけど、これはこれで……。




それを紫が籃と共に攻略すると次のスペルカードへとすぐに入った。

――転世「一条戻り橋」

名前からしてかなり厄介そうだなぁ、なんて思ったら本当にそうだった。
なにせ背後から弾幕が使用者へと戻るように来るのだから。
形はなんていうか、弧を描いてる方のかっこを交差するように張ればこうなるんだろうなって感じ。
しかも途中から大きな丸い弾が出てきた。


因みにここも紫に避けてもらった。






これもまた攻略されると
――新史「新幻想史 ‐ネクストヒストリー‐」
というスペルカードを使ってきた。

なんか最初に使ってきたスペルカードとほとんどが似てるような感じがした。
そう、なんていうか旧史「旧秘境史 ‐オールドヒストリー‐」の隙間を狭くして、そこに米粒みたいな弾を増やしたみたいな感じ。


まあ、紫。頑張れ。
心の中でそう応援しながら弾幕を避ける様を見ていた。
ついでに参考にしよう。

そう思ってたら二、三回目で攻略したみたいだ。
そりゃそうだよね。私のより範囲は狭めだけど、威力はあるんだし。




そこからは妖精だった。
だからなのか、紫も私の名前を交代しろと言わんばかりに言ってきた。
いやまぁ、そんなつもりで言ったわけじゃないみたいだけどさ。







「……いつもの夜と違って今夜はやけに妖精を見るわね。」

「ああ、今宵の月が強いからね。妖の者が騒ぐのも無理は無いわ。でもこんな夜に出かける馬鹿者もいるものなのね」

「いや、そういったらあんたもそうでしょ?」

「あら、馬鹿者ってところは認めるのね。でも私は違う。ずっとここに住んでる人間よ。だから、今ここにいるのもおかしなことじゃないわ」

「人間?人間ねぇ」

「んで、その自称竹林の持ち主さんが言いたいのはなにかしら?」

「目的を聞きたいだけだよ、お馬鹿さん」

そう言われたので素直に答えることにした。
そもそも隠す気なんてなかったからね。

「肝試しよ」

「肝とか色々試し」


と言ったら大げさに驚いてみせる妹紅。

「まさか肝試し!ああ、何時から人間はこんなに馬鹿になったのかしら。こんなに狂おしい満月の丑三つ時に、それでもって妖怪が沢山出る処まで来て、事もあろうか肝試し!妖怪に殺されなかったのが不思議ね。それに死んだら、妖怪達に生き肝を喰われる肝試しなんて……」

「言われ放題よ。霊夢、何か反論しないの?」

「いやほら、輝夜に肝試ししてきたら?って誘われたから来たようなものだし、そんなこと言われたってねぇ…」

「え?今なんと?輝夜とかって言わなかった?」

「ええ、言ったわよ。ついさっき。輝夜に…か・ぐ・やに肝試しに誘われたって」

私が素直に答えると納得したような表情になった。
んん?なんか変なことでも言っちゃったかな。

「なるほど、通りでおかしいと思ったら、やっぱりあいつの仕業なのね。もしかしてこいつ等をけしかけて私を始末しようとしてるな?あいつったら、いっつもいっつも私を始末しようとして!全く、こんな不便な体にしたのはあいつじゃないの!」

「…輝夜って名前だけでここまで盛り上がれるのね、この人」

「だったら貴方もなにか便乗したら?そうしないと損よ」

「ふん、輝夜の使いがどれほどのもんなのか見せて貰おうか。あいつが遣したって事は、あいつよりは強いんでしょ?」

「強気な人間ね。私みたいな妖怪相手にそこまで強気な人間なんて、3人位しか知らないわ」

「えー…。なんか人間を相手にするのはちょっとなあ」

と少し嫌そうな顔を私がしたら紫に呆れられた。

「何言ってるの。魔理沙は余裕でのして来たじゃない」

「魔理沙とはいいの。前からよくやってるんだから」

「私を普通の人間だと思うな。私は死なない。絶対に死ぬ事が無い。あのにっくき輝夜の所為で。そうよ、いくらあいつが私を始末しようとしても、どだい無理な事。あいつはそれが判ってて使いを遣して来る。腹立たしいにも程があるわ」

「そのくせして輝夜のことを考えてるなんて憎んでるんだか憎んでないんだかよく分からないわね」

「それは別にいいだろう?それよりも思いっきりやらなきゃ人生、ゲームオーバーになるよ。もうここまで来たら戻り橋にも戻れない。一方通行の丑三つ時さ。お望み通り、貴方達の肝を試しかめさせて貰うわよ」






そういうと弾幕を張ってきた。
お札の弾幕というものだけど、当たり判定にさえ気をつけてれば大丈夫なはず。
なにかあれば紫と交代しながらすれば問題なんてない。


そう思いながら交代する時は名を呼び、前と後ろを行き来していたら突破していた。




――時効「月のいはかさの呪い」

最初のうちは張られても問題ないスペルカードだと思った。
避けられる隙間はあるし、タイミングさえ見逃さなければ私にとっては避けやすい。
まあ、当たり判定さえ分かっていれば苦労しないんだろうけどね。


そう思っていると前から柄が青い剣みたいなのが飛んできた。
それを避けていたら背後から柄の赤い剣まで飛んできた。
それのせいで一気に難易度が…。

そうだ、詰まる前に交代しておこう。
と考えた私は『紫』と名を呼んで前後を入れ替わった。


威力がある分、避ける時間が短くてすみそうでいいなぁ…。
と、思ってたら攻略してる。



――「リザレクション」

スペルカードが終わるなり、そんなカード名が見えた。
多分スペルカードじゃないんだろうなあ…とはなんとなく思ったけど、今は気にしないでおく。

っとと…そう考えてる場合じゃない。
前からはやいお札と遅いお札が同時にきて……同時に?
これは1回目より避けづらそうだな。


あ、紫がボムのスペルカードを使った。
私の時は決死結界だったからその時だけ紫が出てきたけど、なるほど。そのままなら私のを使わなくていいんだね。



――不死「火の鳥 ‐鳳翼天翔‐」

妹紅がそう宣言した後に出てきたのは全方向への隙間のある米粒のような弾。
なんだ。それだけなら紫と交代しても避けられるんじゃない?

私がそう思ったのも(つか)の間。
火の鳥をかだとったような弾幕が迫ってきた。
厄介なことにその後に米粒のような弾を小さくしたような弾が現れ、そこから動かない。
多分時間で消えるんだろうけど、さっきのを繰り返し繰り返ししてくるから逃げ場が減って…。

いくら当たる部分が小さめでもボムぐらい使うだろう。
そう思って見てるんだけど、使わないのなんの。
うーん、歴が違うのかな?



そのまま紫が弾幕を誘導したりして攻略していた。
――「リザレクション」

今までの弾幕より避けやすいものが出てきた。
いや、薄くなったって訳じゃないんだけど、避けやすさはこれが一番なんじゃないかな?
……まあ、避けるのは交代してたから私なんだけど。





――藤原「滅罪寺院傷」

今度は…うわ、見た目が凄い。
分かりやすく言うんであればブイの字が前から迫ってくるって感じ。
それをやり過ごすと今度は背後から来てるみたいでお札が通りすぎる。

これまた厄介なスペルカードだよなぁ。
焦らずゆっくり避けよ…。







――「リザレクション」

さっきより弾幕が濃くなってないかな。
でもこれ、それに焦って避けたら私の負けでしょ?
なら、今まで通りに弾幕を避けるだけ。
そう考えると全然怖くないね、これ。







――不死「徐福時空」

うっわ、これまた厄介なスペルカード。
紫に交代してもらおう…。
『紫』と名を呼び、後ろに下がって冷静に見ると余計に分かるこのスペルカードの酷さ。

こっち狙いの弾に前後から来るお札に関係のない弾…。
うん、たまにお札にこっち狙いの弾が隠れてるのは偶然かな?
それはいいけど…大変そうだね。
そう思いながら紫を見たら、こっちをチラッと見てきた。
半目だったのはなんでかな。






――「リザレクション」

弾幕がどんどん濃くなって……?
うん、気のせいでもなんでもない。明らかに濃くなってる。
むしろ回数を重ねるごとに濃くなってるような気さえもする。
……間違いだといいな。

そう思いながら紫が避けるのを見ていた。






――滅罪「正直者の死」

そう宣言すると同時に紫に名を呼ばれ交代する私。
そこに避けようのない弾幕を張られた。
あ、これ、詰んだかもしれない。

こっち狙いの弾もあるし、それも避けないといけない。
しかもここでレーザーは無理でしょ…。
なんて思ったけど、運よくこっち狙いの弾を避けたらレーザーも避けれた。
なるほど。つまりこれはレーザーそのものに当たる部分があるわけじゃないんだ。
ならもう怖くなんてない。







――「リザレクション」

うん、もうさ。綺麗とだけ思っておけばいいのかな?
弾幕の濃さが尋常じゃない。
こっち狙いがふくまってないだけマシなんだろうけど…こりゃ酷い。
ここまで来ると本当ホーミングアミュレットさまさまだね。
………威力は弱いけど。






――虚人「ウー」

宣言してから少しして、いきなりこっちに向かってきた。
弾幕を二列になるように張っていきながら。
でもなんだ。それだけなら余裕で避けられそう。



そう思ってた時期が短いけどありました。
あの張った弾がまるでばらまくように飛んでいってる。単純なこっち狙いじゃないんだ。
軽く誘導すればいいとか思ってたんだけどな…。
ちょっと変えればいけるかな。
いざとなったらボムを使って弾幕を帳消しにして…。





――「リザレクション」

さっきと似たような弾幕を張ってきた。
でも、はやさで言えばこっちの方がはやい気がする。
…避けにくいけど、どうにかなるかな?





――不滅「フェニックスの尾」

なんかの形をした炎弾が出てきた。
当たり判定は確か小さいんだっけ…?
それにしても出る度に避けようが……あ、中ぐらいの弾も出てきた。こっち狙いなのか私の方に迫ってくる。
ここは紫と交代しようかな。
そう思って名を呼び、前後を入れ替わった。

紫ー、頑張れー。棒読みだけどー。







――「リザレクション」

弾幕が始まると同時に見えたのは遅いお札とはやいお札。
さっきのと似てるような気はするけど、似てるだけではやさはまたはやくなったような感じがする。
本当、避けにくくなってきてるね。にしてもあのお札、どこから出してるんだろうね。

因みに避けてるのは紫だよ。







――蓬莱「凱風快晴 ‐フジヤマヴォルケイノ‐」

な、なんか嫌な予感がする。
紫に避けてもらおうかな…。
名を呼び、前に出てもらったところで弾幕が始まった。
全方位に向けての遅く小さな弾
それと紫の周りになんか中ぐらいの弾が出てきた。

それを素早く紫が抜けるようにして避けるとそれが爆発するかのようにはじけた。
なるほど、これも避けづらそうなスペルカードだな。
全方位に向けての弾が来たけど、さっきの爆破するやつが増えて、それに加え三列のこっち狙いの鱗みたいなはやい弾も追加できた。

それがある程度増えるとまた最初に戻ったみたい。
うん、2回ぐらい見て思ったけど、ループしてるね。これ。
かなり厄介そうだけど…紫なら大丈夫でしょ。

そう思ってジーッと見ていた。







――「パゼストバイフェニックス」

今度は間髪入れずに使ってきた。と、いうか妹紅はどこ?
……なんか背中にあったものが動いて……?

と考えながら見ていたら、それがいきなり弾幕を張ってきた。
それは大丈夫だったのか、名すら呼ばれなかったけどその次の弾幕の時に名を呼ばれた。

あとは私が大きく動き回ったり、少しずつ避けたり、また大きく動き回るっていうことをした。
そういう攻撃が変わるっていうのもある意味厄介だな。







――「蓬莱人形」

なんかこれ、私にしか見えないのかもしれないんだけどさ、『にんぎょう』とも『ひとがた』とも読める漢字だよね。
まあそれはいいとして…なにこれ。
こっち狙いの弾幕を避けるのはいいんだけど、外側から壁みたいにこっちに迫ってきてるような気がするよ?

しかもなんか黄色の全方位弾が来てるし。
来てるのを避けてた感じ、広めなものと狭めなものの二種類しかないからいいんだけど、更にそこにこっち狙いの鱗みたいな弾が一列が来てる。


……中ぐらいの青い弾と同じ大きさの赤い弾を避けて、こっち狙いの鱗もどきの弾も避けて…
うん、なんかパターンになってるような気がしてきた。
避けれてるからいいんだけどさ。
これか次で最後だといいんだけどな。



そう思いながら避けつつ攻撃していたら、次のが宣言された。

――「インペリシャブルシューティング」

妹紅が背後にある羽もどきと一緒に半透明になると円状に小さな米粒の形をした弾を張ってきた。

うん、なにをするのかな?
っと見てたら花みたいに広がってきた。
隙間が出来た瞬間に急いで入るとそれについては当たらなかった。
ただ次々とそういうのを避けるとなると大変だった。
移動しながら避けて、また次のも避けて…。
似たような場所に出れば楽なんだろうけど、ずらして張ってくるし…。


何回か避けていたら違うものを張ってきた。
弾そのものはさっきから見てるのと同じだし、当たり判定とかに気をつけてれば避けれないもんじゃないね。




お…?これは…難しいな。
青いの避けたら、赤いのを避ける。
その後は背後の青い弾に気をつけながらばらまくように張られてる円状の弾を避けるだけ…っと。










「つ、強い…強すぎるわ…」

「あら本当に生きてるのね。死なないって言うのは嘘じゃなかったと」

「最初の方はとても頼りなくて心配になったけどもね」

「痛い、痛いんだって。死にやしなくたって痛みはあるんだからね」

「霊夢、この娘見てちょうだい。面白いわよ」

「あんただけよ。それを見て面白いって思ってるのは」

「こ、こんなに強いとは思わなかった。肝試しにすらならないんだけど」

「あら、そうかしら?私だって怖い物の一つぐらいはあるのよ?」


どうせ甘いお菓子とかお茶のことでしょ?
怖い怖いと嘘をついて、実は好物だったって話なんでしょ?


「はいはい。どうせお茶とかまんじゅうのことでしょう?」

「そうそう、あの液体の色は蟲の血液みたいな感じがして、それと一緒に出されるあの丸いフォルムは大きな蟲の卵を彷彿させて、そして中のあんが……」

「そ、そういうのは……。…まんじゅう怖い…」

「さて。これでとりあえずは肝試しも終わりよね」

「霊夢。でもまだ肝を試していないわよ」

「えっ?なにかあったかしら」

「ほら、目の前の人間の生き肝を貴方が掻っ捌いて確認しなさい」

「ひ、ひぃぃ……死なないけど怖い」

「なんでそんな妖怪のやるようなことをやらなきゃいけないのよ」

「あら、不老不死の人間の生き肝を食べると貴方も不老不死になれるのよ」

「別にまだ不老不死にならなくたって大丈夫よ。それともあれ?そのままだとあんたとってなにか困ることでもあるの?それに相手は不老不死とは言え人間じゃない」

「……珍しいわね。私を人間って言うなんて」

「だってあんたは不老不死なだけの人間でしょう?この幻想郷じゃ人間とさほど変わりはないわ。妖怪も見た目は人間だからなんとも言えないんだけども」

「でも博麗の仕事は妖怪退治。それはもしかして妖怪差別でもしてるのかしら?」

「あら、それは失礼。妖怪は妖怪。妹紅は人間。んで、私は妖怪を退治する。そればっかりは外せない約束だったわね。これからもちゃんと妖怪を退治していくわ」

「ええ、少し違うけども、大体その通りよ」

紫の最後の一言は聞かなかったことにした。



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第13話 現代巫女が考えた参拝客を増やす方法

もうすぐで新年だと言うのに去年にも増して寒い日々が続きますね。

今回は凄く平和な感じになっているかと思います。
二次創作が平気な方はそのままどうぞ。

下から本編になっています。


次の日、朝焼けが綺麗な頃に神社へと戻った私を待っていたのは…霊華だった。
肝試し云々ですっかり忘れてた…。
どうしよ…凄く気まずい…。


そう思いながらも境内に向かって歩いていたら、立って周りをキョロキョロと見渡してる霊華がいたのでその方に歩きながら考えた。
先に謝った方がいいよね、と。

「あ、ああ…その。いきなり消えて悪かったわ」
ね、とすら言う前に霊華がいきなり抱きついてきた。

や、やっぱり怒ってる…!?いきなり香霖堂へ行ったことやちょっとしたトラブルのせいで少し神社をあけてしまったこととかそういうのに言ってきそう?


……。


…………。


………………。


あ、あれ……?しばらく経ったのになんも言われない?





「……もう。心配したわよ、霊夢。香霖堂で急に倒れたって前に魔理沙から聞いたものだからなにかあったんじゃないかって……!」

あ、あれ?違うの?
怒ってるとかそんなんじゃなくて?

「あら、あんたにしては珍しいわね。そんな風に焦るなんて」

そう茶化すとジッと顔を見つめられた。
ああ、うん。茶化すもんじゃなかったね。ごめんよ。

「だってあなた…昨日も含めて八日も神社に戻ってこなかったじゃない。どこへ行ってたのよ」

「……え?八日も?…二日とかじゃなくて?」

おかしいな。一昨日と昨日を含めて二日。
私はそう思ってたんだけどな…。

「ええ…それがね、少しの間帰ってこなかったのよ」

「昨日のは確かに戻らなかったけども…。そんなにあけていたのね」

私がそういうとなんか複雑そうな顔になった。
ああ、うん。1日か半日あけたぐらいじゃ、大丈夫かなって思ったんだよ。

「昨晩、なにをしていたかは別にいいわ。見た感じ、大したことじゃないようだし。ただ、その前のことはしっかり話を聞かせてもらうわよ」

「あら、そっちは見逃してくれるのね。助かるわ。…まぁ、分かったわよ。ちゃんと話すわ。……ところでそろそろ離してくれないかしら。いい加減、あっちの川が見えそうで危ないんだけども」

実は若干見えてたり。
心配してもらえるのは凄く嬉しいんだけど、抱きしめる力をどんどん強くしてっちゃいけない。それのせいで体が締め付けられてなんかこう。凄い。
さすがスペルカードルールがなかった頃の博麗の巫女をやってないだけある。

「……あっ!?わ、悪かったわね。そこまで力をいれてないつもりだったから…」

私を離すと霊華は苦笑いを浮かべた。
なんかいよいよもって親みたいな感じだな。こう、心配してきたり色々してくれる様を見ると。
そのうちお母さんって間違えて呼びそう。


「まあ、いいわよ。それは。…とりあえず、お茶を飲みながら話さない?あんたも立ってて疲れたでしょ」

気遣ってそういったら、ため息をつかれた。
その上になんか納得したみたいに首を何度か縦にふった。
ため息って……。

「それもそうね。なら、私がお茶を淹れるわ。あなたは先に座って待っててちょうだい」

「あら、そう?お茶なら私も淹れられるし、気にしなくてもいいのよ?」


そう聞くと首を横にふった。
元から気にしてないってこと?


「別にそういうわけじゃないわ。単純に新しく買ってあったお茶っ葉と違うお茶っ葉を買ったから飲ませたいだけ。それだけだから、霊夢こそ、気になんてしなくていいのよ」

な、なる…ほ……ど?
うーん、なんかこんな感じでいいのか不安になってきたぞ。
とりあえず気になることを聞いておくか。


「そう。それはいいとして、里に降りてなんともなかったの?特に里の人達の反応とかそういうの」

「ああ、いや、まあ。……それが、ね?親子だと思われたみたいなのよ、私達」
と言いながらかなり気まずそうに私から顔をそらす霊華。
お、お茶っ葉を買いにいっただけだよね…。

「まあ、いいわ。別に。ある意味間違ってはいないんだし。…親子とは言えないけども」


なんて言ってみたらなんかクスッと笑われてしまった。
なんか私、変なことでも言ったかな。

「いえ、まさかそんな反応されるとは思わなくってね。一応『巫女さん、前に連れてきた娘さんがいないようなんですけどなにかあったんですか?』って聞かれたことだけ教えておくわね」


「なるほど、そんな風に言われ………えっ?」

縁側に上がろうとした私の足が驚きのあまり止まってしまった。
いや、その、親子って…。
名前呼びじゃないのは仕方ないとして、一度しか一緒に歩いてないのにどうしてそうなった。

「あー…やっぱり驚くわよね。でも仕方ないと思うわ。今名乗ってる名が本名と違うと言えど、博麗ってのに変わりはないのだし。それに偶然にせよ、そっくりな部分もあるのだから勘違いされてもおかしくないわ」

「……あんたと私ってそんなに顔似てる?服は完璧に違うって分かるんだけども」

話ながら縁側に上がり、靴を適当に揃える私。
もちろんまた出る時、履きやすいようにって意味で脱いだときと逆に置いて。


っていうか霊夢になって以来、ずっと自分の顔を見てない気がする。
最後に自分の顔を見たのはいつだったっけなあ…。

「ええ、かなり。あと鏡ならあったはずよ?あなたの部屋に。それか私の手鏡でも使う?部屋に置いてあるから取ってこないといけないけども」


あったのか…。
っていうか手鏡なんていつの間に買ったの、霊華さん。
なんかあなたもあなたで変化してますよね。主に女性らしく。
前なんかどう見ても仕事はきっちりしますって感じの人だったのに。
…変わったなあ。


「んなら、あとで確認するわ。自室に戻ったらお札とか書かないとだし」

「そう。分かったわ。でも…大丈夫?鏡なんか見て」

こりゃまた酷い。
鏡を見ても自分の顔が映るだけなのに。

「大丈夫よ、顔が映るぐらい。あんまりおかしなことを言っているとお茶っ葉を()るわよ」

「…それ、むしろ嫌がらせにならないわよ?」

あらま。そうなの。
もしかしてほうじ茶になるとか知ってたり…?
そんなまさか。








居間に移動した私と霊華。
そのまま台所へ霊華が行くと少し時間をかけてお茶を淹れてくれた。
今度、少しでいいからお茶っ葉を()ってみようかな。

そう考えていると正座で待っている私の前にせんべいを置いてくれた。
正確に言うと背の低めな丸い机の真ん中に置かれたんだけどね。


「悪いわね」

「別にいいのよ。お茶には茶菓子があった方がいいでしょうしね。……それで、どうしたの?」

この『それで、どうしたの?』って言うのはいきなり消えてから八日も帰ってこなかったことの話だよね。
一応、ぼかして話すか…。
熱かなんかで倒れましたとかってことにして、さ。

「ああ、軽く熱で倒れただけよ。気にしなくていいわ。むしろそろそろお守りを売ってみた方がいいと思うのよ」

「そう。ならいいけども。……お守りを?」

怪しむように私を見ながら言ってきたけど、流してくれたみたいだ。よかったよかった。

「ええ、お守りを。魔除けとして作ったし、売って使ってもらった方がいいと思うのよ」

「そんなんでいいのかしらね…」

湯呑みを手にして少しお茶を飲んだ霊華は腕を組んで悩むような顔をしてきた。
そりゃそうか。祀ってる神様も分からないのにお守りっていうのもあれなのかな。

でも、外の世界じゃ祀ってる神様と別にお守りとか絵馬とか売ってるし、おみくじも置いてあったりするからいけると思うんだけどな。

「私はお守りから始めた方がいいと思うわ。神社にお守りの噂を聞いた参拝客が来て、そこから信仰してもらえたら万歳ものだし、お賽銭も増えるかもしれないから一石二鳥だと思うのだけども…。そうすれば収入源が増えて他にも手を回せるようになるかもしれないわよ」

「なるほど、ね。それで、どうするわけ?」

それはちゃんと考えてあるんだよ。
幻想郷には今までなかったもの、になるけど。

「これから説明書もどきを書こうかと思っててね。普通はつけないんだけども、一応つけないとなにか言われたときに困らないから。あと絵も念のために描くから…ちょっと時間がかかりそうね」

「へぇ、説明書もどきねぇ。それについては私も協力してあげるけども、もちろん口頭でも言うのよね?」

せんべいを手に取り、二~三口食べてから私は頷いた。

「そりゃあね。魔除けと言っても降りかかるものから守るってだけで自ら近づかれちゃあ意味がないもの」

私がそういうと感心したのか何度も頷く霊華。
な、なんでなんだろうね?
そこまで考えてるから、とかはなさそうだけど。

「因みにその知識ってただの一般人が持つようなことかしら?」

「そりゃもう。神社に何回か初詣に行ってるから多少はね?よく五円を投げたものだわ」

「へぇ、五円なのね。その感じで行くと二十五円とかも投げそうね」

「それは様々だから分からないわね。でも、前に見たテレビ……ああ、分かりやすく言えば情報を映像つきで流してくれる物なんだけども、そこで縁起があるって言ってたのよ。そこで私は知ったわ」

「字の如く…ってわけかしら。五円はご縁がありますように、とかそんなんでしょうし。お守りって増やしていくつもりなの?」

それに対してはすぐに頷いた。
魔除けだけではなく、厄除けとか健康守りとかそういうの考えてたしね。
破魔矢も視野に入れてるからそれなりに行けそうな気もするけど…どうなんだろうな。

「ええ、今のところそのつもりだけどもね?問題があるのよ」

「無人になってしまった時だと売れなくてお賽銭しか入れていけなくなる……ってことかしら?」


そう言われた私は何度か頷く。
とりあえず仕方ないけど、簡単な方でやるかな。


「ええ。だから、解決策がやれるようになるまで有人販売しかしないつもりよ。それでも多少は参拝客が増えてくれれば嬉しいのだけども…」

「ふふっ。頑張ればどうにかなると思うわよ」

ニコニコと微笑ましそうに私を見ながらそう話した。
そうだといいんだけどさ、私だって考えるんだからね。
それをきっかけに神社に祀られてる神様を信仰してもらえたらいいな、とかそういうの。

せんべいを1枚食べ、淹れてもらった分のお茶を(すす)ってから自室へ向かった。
次の時にお守りとかを売れるように。



因みにそのあと、霊華も手伝ってくれた。
明日は魔除けのお守りを売れそうだ。

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番外編 博麗の巫女はみかんとコタツで正月を過ごしたい

正月…ということでこちらに番外編を投稿してみました。

季節ものですが、どうぞ。


…年末年始を翌日に迎える私は準備に追われていた。

何の準備かと言うと師走の三十一日と睦月の一日にする儀式のもの。
霊夢の記憶にしかないけど、こればっかりは霊華に甘えていられない。……とは言え、よく分からない。難しい。

とりあえず大晦日はどうにかしたし、大掃除は……思い出したくないです。
なにをどうしたらああできるんだろうか。
高床式倉庫、神棚付近、神社の方の小さな倉庫。



……まあ、いいや。
とにかくある程度準備したらもう明日の夜明けにして、また明後日もしないと。

「大変そうね、霊夢。なにか手伝うわよ?」

「…っ!?きゅ、急に話しかけないでちょうだい!驚いたじゃないの!」

集中しすぎたっていうのもあるんだけどさ。
あ、なんか曖昧に笑ってる。
なるほど、集中してたのは分かってたのかな?

「ああ、悪かったわね。あなたがあまりにも真面目な顔をしていたものだからなかなか声をかけられなくって。……ところでそれは?」

えっ、門松とかを知らない!?
幻想郷にないの…?もしくは霊華の時にはなかった?それともしなかったのか…。
どちらにせよ、見たことはないみたいだね。

「儀式の準備ついでに新年でも祝おうかと思ってね。だからそういうのを用意したのよ。あとはそれ以外を少し」

「新年にそこまでしなくてもいいんじゃないかしら…?」


そういって苦笑いを浮かべる。
一年に一度しかないんだから、別にこうしたっていいと思うんだけどな。そこまで贅沢したわけじゃないんだし。
…本音を言えば祝うだけ祝いつつコタツでのんびりしたいところだけど。


「たまにはいいのよ、たまには。それに損はないわよ。多分」

「はいはい。なら、食事の方はやるわ。儀式の方にも手を出してあげたいところだけども…」

今度は困ったように笑った。
それもそうだね。いくらなんでもこの二日にかけてやる
儀式は霊夢が普段やっていたものだし、下手に手伝われた方…が…。……あっ。


「そうだわ。なら、年越しそばにおせち料理とかそういうのでお願いできないかしら。あとちょっと飾りも手伝ってほしいのよ。門松とかしかないけどもね」

「あら、それでいいの?……あとおせち料理は分かるとして、年越しそば?なんでそんなものを食べるのよ」


ええっ!?それは困ったな…。私もそこまで理解して食べてたわけじゃないしなあ。

「理由までは知らないけども、年越しをする前に食べるもの、らしいのよ。今回はちょうど儀式した後に食べることになりそうだから作ってくれないかなーって思ってね。ただのそばだからあんたでも平気でしょう?」

「ええ、それは大丈夫よ。作れるわ。因みにその食べる時間ってあるの?」

私は苦笑いを浮かべた。
一時期間違えて食べてたからちゃんとあってるかどうか分からないしなぁ…。一応教えるか。

「ええ、あるらしいわよ。大体子の一から子の二…だったはずよ」

「……これまた曖昧ね。まあ、いいけども。それだけでいいの?」

「いいわ。その後はコタツでぬくぬくするって決めてるから」

「ぬ、ぬくぬくって…。…まあ、いいわ。いつもより厚着してるぐらいなんだから、寒くてあまり外に出たくないんでしょうし。むしろ雪かきをそれなりに頑張ってたから褒めてあげたいわ」

「それは遠慮するわ。……そういうあんたは巫女装束に軽い上着みたいなものでよく寒くないわよね」

マフラーもしてないしさ。ねえ、寒くないの?

「ええ、全然寒くないわよ。なにせそれなりに鍛えてあるからね。だからあなたよりかは食べるでしょう?」

「そういえばそうだったわね…。おかげさまでおせち料理の材料を多めに買うはめになったのよ?」



準備の合間合間に私の記憶にある限りのおせち料理を作るつもりで複数回にわけて里に降り、材料を買ったんだけどさ。
…二人前じゃなくて三人前の材料なんだよね、あれ。

「そ、それは悪かったわね。私もここまで鍛えたのは今みたいにスペルカード?とやらがなくって本当に命がけだったものだから…」

ああ、なるほど。そりゃあそうなるか。

「あー…悪かったわね、お母さん」


…………。




…ん?……おお?私、霊華のことお母さんって…。
やっちゃったよ!年末年始も近いし、その時にやる儀式だってまだなのにやっちゃったよ!
ああ、ほら。霊華もなんか顔を(うつむ)けてプルプル震えてる!


…いや、よく見ると震えてるのは…。
「アッハハハ!まさかあなたが私のことをお母さんと呼ぶとは思わなかったわ!」

「わ、悪かったわね!今までそういう風に感じてたからつい出ちゃったのよ!そういうことにしてちょうだい!」

頬とかそういうところが熱くなるのを感じる。本当に恥ずかしい…。
あ、更に笑われた。ぐぬぬ…!
なにか適当に理由をつけてこの場から逃げよ。

「別になんでもいいわよ、もう。とにかく私はまだいろいろな準備があるから行くわね」

そう言って歩いていくと背後から「はいはい」と笑いながら答えるのが聞こえた。
笑いすぎてお腹が痛くなったりしないのかね。



















睦月の二日。一昨日と昨日は毎年行う儀式のせいでほとんどが潰れた。
それ以外は師走の三十一日は年越しそばを知らない霊華の代わりにそれを作って、偶然魔理沙も来たものだから3人分作るはめになったり、睦月の一日も魔理沙以外にアリスが来たり。
でも、来たアリスは人形も使って知らないだろうおせち料理の四人前を作るのを手伝ってくれたから凄く助かった。




んで、今日は迎春と言う名の宴会もどきをしている。
ついでに驚いたことが2つほどあって、1つは来なかった参拝客が少しは来たと言うこと、もう1つはあの図書室から出てこないような半ば引きこもりのパチュリーが外に出てきたこと。
珍しいと言ったらレミリアから『貴方の方がよっぽど珍しいわ』と言われてしまった。解せぬ。


因みにメンバーは私、霊華に加えて紅魔館からは十六夜咲夜とレミリア・スカーレットとパチュリー・ノーレッジとなんと紅美鈴とフランドール・スカーレット。
少しレミリアとフランの仲が悪そうに見えるけど、お互いがお互いを追い払わない辺りいても大丈夫そうだな。

他には伊吹萃香、橙と八雲籃、八雲紫、霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイドがいる。
計13人で…って何気に人妖が多いな。強力なのも混ざってるし…。おお、怖い怖い。


「はーい、皆。明けましておめでとう。新春を祝うために宴会を開催したわ。せっかくだから楽しんでいってちょうだいね」

その私の一言で一気に賑やかになった。
お酒も結構飲まれていく。それと一緒におつまみも同じような早さで減っていく。
…とんでもないなぁ。



「霊夢。…霊夢。よく私を放っておいてくれるわね?」

「そういうあんたこそレミリアを相手にすらしないじゃない」

「いいのよ、あんな奴。どうでもいいわ。それより貴方の方よ。新春とやらを宴会を開いて祝ってるから珍しく感じてね」


そんなに珍しいかなぁ…?
私にはよく分からないや。


「そりゃ祝うなら大人数の方がいいでしょう?…まさかおせち料理がうけるとは思わなかったけど」

「お、おせち料理?それってあいつや咲夜とか魔理沙が食べてるもの?」

…もうつっこむまい。

「ええ、そうね。それぞれ意味があるんだけど、この際いいとして…あんたは食べないの?おせち料理だけじゃなくって他にも料理はあるのよ?」

「ちゃんと無くなる前にもらうわよ。私だってなにもなしで来たわけじゃないんだから」

「……それってなにかしら?」

私の身の近くにあったお酒を小さな赤い盃に入れて飲んだ後にそう聞いた。
お前未成年だろって我ながら思うけど、幻想郷だからなあ。


「先代の巫女がいるって話よ。まあ、それは魔理沙から聞いたんだけども、それなりに話が広がりつつあるようね」

「あら、そうなの?正月に入って早々そんなことを聞くとは思わなかったわ」

「…その割には落ち着いた顔ね。気づいていたの?」

そりゃあもう。気づく気づかない以前にその先代巫女である霊華が平然と里を歩いたりしてるんだから話が広がらないわけがない。
んでもって基本的に神社にいることが多いからって少し参拝客が増えたぐらいだし。
霊華がいることで安心感でもあるのかな…?


「大体はね。色々と出歩けばそうなっても不思議じゃ―――」


ない、と言おうとして背後から抱きつかれた。
誰だろう、と思う前にフランが驚いたのを見て…この相手は、萃香かな。

「おー、霊夢。どこにいるんだと思ったら縁側よりのとこであの吸血鬼の妹と話してたのか」

「別に誰と話してようが私の勝手でしょう?それで萃香はなによ」

そう私が言っている間にフランが「あの、とはなによ。あのとは。あれでも私のお姉様なのよ」と言ってイラついたように睨んでる。
手が出そうで怖い。やめてね、フラン。

「おっと、それはそうだ。悪かったわね。…んで、私と飲まないのか?」

「飲み比べをなしにしてくれるならいいわよ。さすがに酒じゃ勝てないもの」

「それでいいなら飲むわ」

「フランも、どう?手加減を身に付かせるいいきっかけになると思うんだけども」

「あら、私でいいの?他にもいい人がいると思うのだけども。…それに下手すると貴方を食べちゃうわよ?」

「はいはい、そういうのは冗談でいいわ。あと幽閉されてたとか性格に問題があるとかなんて、私にとってはどうでもいいの。それにあんたもあんたのお姉様とやらの言葉なんて今は忘れてしまってもいいんじゃないかしら?」

「……ふふっ、これだから貴方は飽きないわ。なら今度、お遊びに付き合ってちょうだいね」

「…分かったわよ。でも、ほどほどにしてちょうだいね?」


などという会話を最後に萃香、フランとお酒を飲み始めた私。
そのまま飲み続け、私がほろ酔いになる頃に霊華が来て、酔ってくると魔理沙が来て…。
最終的に皆で和気あいあいとお酒を飲み、正月を祝った。


―――その新春を祝うための宴会の片付けは先に軽く咲夜が、残りを次の日に私と霊華がした。
凄く咲夜には感謝してる。ありがとう。


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第14話 里での宣伝活動とお願い事

今回はかなり平和なものです。
何事も起きてません。


…番外編が番外編っぽくないなぁ(ボソッ


……あっ。と、とりあえず、本編どうぞ。


私は昨晩作ったばかりのビラを手に、里へ来ている。
本当は里で売るつもりだったけど、よくよく考えればそうしてしまうと神社に来てくれないかもしれないし、神社にいるだろう神様に信仰もしてもらえないし、お賽銭も入らないかもしれない。

それだといけないから、とそうさせてもらった。
もらった、というのは霊華にお守りを売る準備をしてもらってるから。
売る日が今日にせよ明日にせよ、まず宣伝をしなきゃ意味がないしね。



さて、そろそろ始めますか。ビラ配りを。

「明日から博麗神社でお守りを売るわー。ある程度の魔から身を守ってくれるお守りだから、来る甲斐(かい)があると思うわよー。しかも、そのお守りはお手頃な値段で買いやすくて、博麗神社への参拝もその魔除け一つでかなり安全になるわよー」

本当はリーズナブルな値段とか言いたいけど、どこまでそういうのが通じるのか分からないからこういうしかない。
っていうか大きな声でいいながら里を練り歩くのもなんか恥ずかしいね。
実際、『あの霊夢が…』とか『博麗神社の巫女が珍しく巫女らしいことをしてる』とか若干聞こえてくるし。


「自ら危険な魔に近寄りさえしなければ効力は抜群よー」


言っておかないといけないものも、忘れずに。
って本当、色々な人から珍しいものを見るような目付きで見られるなあ。
それのおかげ…と言えばなんか嬉しくないけど、持ってきたビラをほぼ全部渡せたようだ。



その後、霊華には悪いけど甘味処に寄らせてもらっている。
「……はぁ。いやまぁ、巫女として目立ったことをしてないとは言え、ここまでとはね…」

さっき頼んで買ったお団子2本とお茶を座っているそばに置いて見つめながらぼやいた。
因みに私が座っているのは店前にある長椅子の方ね。

「そう言ったって貴方がしてきたことは変わらんぞ?」

「……えっ?」
いきなり声をかけられたからビックリしてその方を見ると慧音がいた。

「こんにちは。珍しいな、あの時以来じゃないか?」

「えっ、ええ…こんにちは。そういやそうね。永夜異変とその後の胆試し以来だから久しぶりの方がいいのかしら」

思わず流れで返事したら、満足そうな顔をした。どういうこと?

「そうだな、正確には最後に貴方が言ったその胆試しだけど。んで、なにをしてるのかと思えば魔除けお守りの宣伝ってやつなのか」

「ええ、そうよ。獣道が怖くて通れないのなら、それ用に作って行き来しやすいようにしようかなってね。もちろんそのお守りも絶対じゃないから一年ごとに出来れば買い直してほしいところだけども」
そう言って私は団子串を1本手にした。

「なるほどな。よく考えたものだ。でも、なんでお守りなんだ?別にそれでなくても方法はたくさんあるだろう?」

「そうでもないわよ。むしろこの方法ならお守りって小さいし、片手で持てるから懐に入れやすいし、下手にやるよりはいいかなって思ったのよ。しかも神社に来ることになるからもしかしたら信仰もしてもらえるかもしれないしね」

外の世界の神社もそうなのか分からないけど、そういうのをよく出してるしね。
あと迎春の時の屋台とか。それはまた別の話だからいいとして。


「ほう。確かにそうだな。懐に入れられる物を売るなんてよく考えたものだ。そうだね、私も気が向いたら一つ買ってみることにするよ」

「あら、そう?でも、考えるなんて、そんなことはないわ。ま、でも買いに来てくれるならむしろ歓迎するわよ」

現実ではやらないけど、ほんと全裸待機する勢いで歓迎するから
いやぁ、元いた世界の神社を参考にしてよかった…かな?

「そうかそうか。ただ暇になるかどうかが分からないがな」
そう言うとハハ、と笑った。

まあ、仕方ない…のかな?
寺子屋とか色々やることがあるんだろうし。


「別にすぐ来れなくても大丈夫よ。こっちもあわせてやるから、簡単にしかできないしね」

私がそういうと慧音は驚いた表情を向けてきた。
どんな印象を私に持ってるのやら…ホント…。

「そうか。ところで今は暇なのか?」

「あー、そうね。やることはやったから、ある意味暇と言えるのかもしれないわね」

なにせ休憩がてらに来てたわけだし。
それにもう昨日のうちに大体は用意しておいたから霊華1人でもできることが多い。

というわけでついていくことにした。









慧音についていった先にあったのは寺子屋。
「それで、だな。……子供たちの相手をしてはくれないだろうか?大変だと思うけど、少し面倒を見てくれるだけでいい。お礼も多少は渡すつもりだ。貴方が受けてくれるなら任せたいんだが…」


まさか、呼ばれてついていった先で聞いたお願い事が子供らの面倒を見る。
いやまあ、断らないんだけどさ。ついてきた以上は。
むしろそれでいいのかと聞きたいぐらいだし。


「分かったわ。いいわよ、そういうのなら」

「け、結構軽く受けてくれるんだな。むしろ助かるからいいんなだが…」

何故そこで言いづらそうにするの?
もしかして私が一応巫女だから、かな?


「とりあえず…任せたぞ。私はやることをやってくる」

「はいはい、分かったわ。ちゃんとやるから」







私は適当に返して、その子供達がいる部屋を探して――あっ、勘任せに探したら見つけた。入るかな。…少し、楽しみだ。

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第15話 “寺子屋の中にいる”

ほのぼの目指してますと言えそうな内容……だと思いたいです。
いや、まあ、大体異変とかがなければ平和なところですが。


因みに今回は文章が短めです。
それでも宜しければ下から本編ですのでどうぞ。

※タイトルをほんの少し変えました。目立たないので分かりづらいかと思いますが、これで違和感はないかと


そこを開けるとそれなりの子供がいた。
多分今日は少ないのかな?



「あー、とりあえず皆。こっちを見てちょうだい」

そういうとそれぞれ好きなことをしようとしていた子供たちの視線が私に一斉に向いた。


「しばらくあんた達のことを見ることになった博麗霊夢よ。宜しく」

「…おめでた色だー」

軽く自己紹介をしたら、数人いるうちの子供にそう言われた。
見てくれ的には確かに間違ってはないんだけどさ、そうじゃなくって。
おめでたいとされる紅白ってだけだよー?

「確かにおめでた色だけど、そういう色の名前じゃないのよ?正確には紅白っていうのは分かってるわよね?」

「じゃあ、紅白巫女?」
「おめでた色じゃなくてー?」
「紅白巫女さんってことだよね!」
「普通に紅白巫女だー」

あなた達ねぇ…。
しかも、疑問形じゃない子が紛れてるし。


「ええ、そうよ。…とにかく、今日はしばらく見てるから気軽に話しかけてちょうだいね」


「「「はーい」」」

という返事を皮切りに子供達が私を囲うようにして近寄ってきた。
は、反応が早いね、あなた達。でも紅白巫女だの、おめでた巫女だの言わない。特におめでた巫女は違うから。




それからしばらく質問攻めにあったあと、休憩時間になったらしいので遊んであげることにした。

「れーむ。れーむも遊んでー?」

「はいはい、なにで遊ぶの?」


そう聞いたら、満面の笑みを浮かべて
「鬼ごっこー」

な、なるほど。そうきたか。
そうとなれば…

「あら、そうなの。…覚悟はいいわね?」

「えー、覚悟って遊ぶだけなのにいるのー?」

「真面目に返されるとふざけにくいじゃないの」

思わず苦笑いしちゃうぐらいにはね。
あ、もしや真顔で言ったのが駄目だったか?

「れいむってふざけるのが下手なのかなー」

「多分下手なんだよ。○○くん相手にすぐにつっこまれてるしー」


聞こえてる聞こえてる。
少し離れてるだけだから聞こえてるよ。

「あら、そう聞こえる場所で話すってことは混じりたいとして受けとるわよー?」

「「えー」」

そんな風に言っておきながら顔はそんな不満そうじゃないのってどういうことなの。
そんなに遊びたいの?

……分からないし、かまにかけてみるかな。

「あら、別にこの子とこの子が連れてきた子と遊ぶから別に無理しなくていいのよ?」


「私達も遊ぶー」

「鬼ごっこを○○くん達だけでするなら私達も混ざるー」

うん、釣れた。
んじゃ、今ここにいる子供達を相手に遊んでやるぞー。


「あ、でもおめでた巫女が鬼だよー?」

「だからおめでた巫女じゃ…。……はいはい、分かったわよ。ただこのままじゃあれだし、私は空を飛ばずに歩いて捕まえるわ」

あ、不満そうな子がいる。
いいハンデだと思ったんだけどな。

「えー、歩いてー?」

「鬼ごっこって追いかけて遊ぶごっこじゃないの?」

「私が走ってやったらあんた達より速いし体力もあるんだから普通に勝っちゃうかもしれないからよ。ほら、手加減してあげるんだからそれ相応で来なさい」

「この巫女優しい!」

「なんかれいむがお姉さんに見えるー」

なんだそりゃ。
年齢的にはあなた達より完璧にお姉さんでしょうが。
あと優しいとかやめい。厳しくしたつもりはないぞ?





そうやって遊んでたらかなり時間が過ぎてた。
うん、そろそろ帰らないとな。

「あー、悪いけどもそろそろ帰るわね」

「え~…」

「あともう1回ー」

あれ、いつの間にか仲良くなっちゃった?
なれてたら嬉しいんだけど、あまり遊んでると神社に帰れないんだよなー。

「ほら、お前達。あんまりワガママを言うんじゃない。……それにしても霊夢。いつの間に仲良くなったんだ?」

凄いナイスタイミングで来た。
まあ、子供達も一部不満げな子がいるけど返事してる。
よかったよかった。

「それは私が聞きたいわ。普通に遊んでいただけだから」

「そ、そうか。…それで、もう帰るのか?」

「ええ、そうね。ちょっと遊びすぎたし」

「ははは。でも、子供達も気分転換が出来たようだし、感謝するよ」

「あらそう?それはなによりだわ。…ま、帰るわね」

と話してたら子供達が一ヵ所に集まった。
な、なにかするの?

「また来てね、れーむ」
「おめでた巫女にまた会えるー?」
「また今度一緒にあそぼーねー」

「はいはい、また今度ね。じゃ、またね」

「ああ、またな。霊夢。今日はありがとうな」

「「「さよーならー!!」」」


うん、結構楽しかったし、最後も最後で微笑ましかったな。
なんか来てよかったかも。













神社に帰ると霊華があらかた準備した後だった。
「おかえり、霊夢。宣伝は―――っと、私が気にするほどじゃなかったのね」

「ただいま。……珍しいって言う人の方が多かったんだけどもね?」

素直に喜べない結果だよ、うん。
違う意味での宣伝効果は凄くありそうだからいいんだけどさ。
あ、苦笑いを浮かべた。

「ま、まあ…そういうこともあるわよ。でも、その分来てくれるかもしれないわよ?」


「だといいんだけども…」

「「あははは……」」

どっちも乾いた笑いかい。
分からなくもないから、なんとも言えないんだけどね。

「あ、そうだわ。他にも試験的に売ってみたいのがあるのよ。それもいいかしら?あとは軽くいじって調整するだけで出せるものだから」

「参拝客に受けるといいわね」

「んちょっ!?売る前から不吉なこと言わないでちょうだいよー!きっと受けて売れるからー!」

「あはは、悪かったわね」

んもう…この人は。
まあ、いい。それも用意して、残りの準備をして終わりだね。












……今日は。ううん、今日も悪夢を見なければいいんだけど。
今日も見たら2日連続になっちゃうし。やだなぁ。
そう思いつつ、私は寝た。



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第16話 悪夢を見た巫女は一時的な死神代行と言う名の手伝いをする

今回、サブタイトルがやけに長いです。
多分原因は単純にネタをつめこんだからですね。

ま、まぁっ、内容が想像しやすければ(きっと)いいんですよ!……多分。


あ、ああ。それと本編は下からです。


また夢を、見た。


今の私より身長の高い私が目の前にいる。
でも、それは今の私の容姿じゃなくて、前の、らしい。それなりにボヤけてて分かりづらいけど。

その彼女が言う。
『貴方は本当に自分を本来の人格として名乗れる?記憶を引き継いでいるだけの全くの別人格ではないと否定できる?』
だと。
そんなことはない。私は私なんだ。…人格に偽りなんてない…はず。

そう思う私にまた彼女が言う。
『はず、か。…なら記憶はどうかな?喪失(そうしつ)した部分もあるようだけど、貴方には2つの記憶がある。霊夢本人のものと貴方のもの……。さて、ここで問題です。貴方の記憶は霊夢の記憶に繋がりがない。そうなると貴方の記憶は持ってきてしまったものか?それとも、すりこみされたものか?…または記憶としてうえつけられたか。ウフフ、自問自答もせずに残しておく貴方のその考えが全く分からないね』

そうだね。私のと霊夢のがある。
そのせいでたまに記憶になんか繋がりがないなって思うときがあるからなんとも言えない。

『んじゃ、分かりやすく聞くね。―――ねぇ、その記憶さ、本当に貴方の記憶なの?すりこみされた、とかうえつけられた、とか。だって貴方だって分かるんじゃないの?……やけに忘れてるところがおかしいことぐらいには』

「…………」

『あっれー?まさか分からないって黙るの?それとも分からなくても平気、私は私って無理して笑って。そうやって虚勢をはるつもりなのかなー?』

虚勢なんてしてない。…してないはず。

『あっ、そう!それすらも分からないなんて終わってるね!…でもいいや。どーせ貴方はいずれ思い知ることになるんだから…ね』











…フラグ回収早すぎ…。
本当、参っちゃうわ。
今度またあの悪夢を見たら『悪夢再び』とか言ってやろうかと思うぐらいには参っちゃうわ。
……あ、でもふざける余裕があるんなら大丈夫だよね、とか言われそうだな。
と、ともかく外でも見て時間を……ってまだ夜なんかい!
くぅぅ…。仕方ない、気分転換も兼ねて縁側で少しホットココアでも―――あ、そう思えば幻想郷にココアなんてあったっけ?
……仕方ない、白湯でも飲むかな。






急須に沸かしたお湯を入れて、湯呑みと共におぼんにのせて縁側に。
つくと夜空が綺麗だった。さすが冬に近くなってるだけあるね。
そるに枯れ葉とかも散っていってるし、それはそれで綺麗だねぇ。


白湯を湯呑みに淹れてから飲んでみた。
…冷えてないから若干熱い。まあ、冷えてたら少し困るけど。
でも…白湯は白湯で落ち着くね。



「おや、縁側に誰かいると思ったら霊夢じゃないか」

ん?この声は…。

「……そういうあんたは萃香ね?」

おう、霧状になってたのね、あなた。
いきなり目の前に出てきたから少しビックリしたじゃないか。

「ああ、そうだよ。にしても夜中に起きてるとは珍しいねぇ」

「ちょっと寝付きが悪くってね。白湯を飲んでリラックスしてたところよ」

私がそう答えたら少し驚いたような表情になった。
いや、驚くことでもないでしょ。

「なるほどね。なら酒でも飲むか?」

その手もあるか…。
幻想郷でしか出来ない方法だけど、それでいけるならそうしようか。

「そうね。…ただ、加減はしてちょうだいね?」

「他の人よりお酒に強いあんたに言われたくはないけど、そうだね。宴会でもない今、そこまで飲む必要もないし、分かったよ」

「そう?なら付き合ってもらおうかしら」


その後お互い酒を飲みあったわけなんだけど、やっぱり萃香は酒豪だった。
まあ、寝れたからいいんだけどさ。









冬を越え、春になる頃。
あれ以来悪夢も見ないし、小さな異変ぐらいしか起きていなかったから修行(するはめになってる)と掃除とかしかやることがなかった。
因みにお守りの評判はなかなかよく、先代の巫女だった霊華曰く『来る人数は昔より少ないか同じね』だそうだ。
…昔も少なかったのね。

今日も同じように修行させられた私は掃除が終わった境内で自然でも堪能しようかと周りを見渡していた。
私の中では自然も癒しなのです。なのです。

「……それにしても花が咲きすぎよね。おかしいわ」

「そうね、しかも四季の花っぽいし…」

「…!?れ、霊華って花とかそういうの見てたの?」

背後にいる霊華に振り向きながらそう聞いてみた。
困ったような笑みを浮かべてるけど、しょうがないよね?

なにせ霊華は巫女だとか博麗の巫女としか呼ばれてなかったっていうぐらい仕事熱心な人。
そんな人が自然の花に詳しいとか思う?
先入観のせいかもしれないけどさ。

「あはは…。無理もないかしら。あなたと一緒になるまでそこまで自然を見る余裕なんてなかったから。でも、だからと言って誰も知らないとは言ってないわよね?」

そこまで、っていうことは少しはあったんだ。

「そう。でも、それにしてはおかしいわよね。霊華、神社を任せるからちょっとある場所に行くから」

「ええ。…ってどこにいくのよ、霊夢」

どこかって教えたらいらぬ心配を受けそうだなぁ。
さすがにあそこなら私一人でも十分だし。

「ああ、少し用事があるのよ。そこに行くからしばらく時間がかかるかもしれないわ。お昼、勝手に食べててもらえる?」

「そう?…分かったわ。でも、気をつけるのよ?いくらあなたでも博麗の巫女であるのに変わりはないのだから」

「はいはい、分かったわよ」

そう言って私は早速そこへ向かった。
多分他の人達も動いてる可能性があるからなるべくこっそりと行きたい。










…ほ、本来より時間がかかった。ほんと、姿を隠して進むのも楽じゃないね。
さて、ここら辺はなんか幽霊…というか怨霊?…えっ?なんか多くない!?
誰だ、サボってるのは。


そう思って三途の川近くまで来たら鎌を持った死神もどきがいた。
その死神の名前は『小野塚小町』、と出た。
……でもあれさ、サボってない?やってるの?


「ちょっとあんた。死神よね。この世に今咲くべきではない花が咲いて困ってるんだけども。どうにかしてくれないかしら」

「はいはい分かっt…お前さん、人間だね。この三途の川までわざわざ言いに来たのかい。まぁ、大丈夫。渡しておくよ。ほら、私は一級案内人だから」

なんだろう。この人。
そう言っておきながら寝転がったまま、起き上がらないんだけど。
なに?サボる気満々なの?

「だったらその働きっぷりを三途の川までわざわざ来た私に見せてほしいわね」

「心配しなくてもだいじょ……。って、お前さん、巫女なのね?」

「えっ?…ええ、私は博麗の巫女だけども。それがどうかしたのよ」

いきなり聞いてきたからビックリして素直に答えちゃった。
わっ!?急に立ち上がったと思ったら両手を握ってきた!?

「ちょうどいいわ!仕事量が多くって一人じゃ大変だったのよ。引きこもりとかそんなんで手を焼いてて大変だからさ、手伝ってほしいの。いいかな、お前さん。ちゃんとお礼はするから」

「…そ、そうなのね。大変…。…ま、まあ…分かったわ」

と言うなり大きな鎌を無理やり渡してきた。

「悪いね。ちゃんとしてくれればお礼は弾むからさ。頼んだよ!」

って私に言うとそそくさとさっきの場所に戻っていった。
これさ…受けちゃ駄目な奴だったんじゃない?
……はあ。でも、仕方ない。
少しでも送ってやればあの異変のような花はどうにかなるでしょ。
異変解決をしてるんだと思えば安い……安い?




乗れるか不安だった小舟に鎌を持ちながら乗った私は本来の仕事ではないことを始めるはめに。何度も往復してるし、数えてないから分からないけど、そこにいる幽霊達と会話しながら彼岸に送り届けている。

いいのかな、これ(遠い目)

んん、とりあえず今の方に思考を戻して…今回は4人の幽霊を送り届けている最中なんだよね。

「いやぁ、お前も苦労するな。俺も夫婦で大変な思いをしたが」

「仕方ないで片付けるしかないわ…。でも、あんた達は頑張った方よ?むしろあんなにノロケたあんたが羨ましいわ」

そういうと他の3人が笑った。
因みに男が2人の女2人ね。
比率がちょうどいいってこれなに。
ああ、渡し賃とやらはちゃんと受け取ってるよ。
あとで小町にちゃんと渡すつもり。

「確かにあれはおノロケ話だよね」

「そうねぇー」

「俺だってなあ!貧乏してなけりゃ彼女ぐらい…!」

…浪費癖のあるあなたがなにを言う。
あなた、自分で借金をして賭け事をしてたって教えてくれたのを忘れたのかな?
それでも話の中に頑張れば落とせたかもしれない子がいたんだけどね。多分賭け事や返済にしか視野がなかったんだね。

「あら、最後のあんたは下手すりゃ賭け事もほどほどに出来て彼女が出来てたのかもしれないのよ?」

「うぇっ!?そうだったのか?!」

「ええ、私はそう感じたわ」

「好意を抱いてそうな子も出てきたものねぇ」

そう続けて言ったのはおっとりした女性。
話からして周りに優しくしていた子みたいだけど、最終的に幸せになって子供に恵まれ死んだ人らしい。

もう1人の女性はその親友。
なんとも複雑なことに彼氏が落ちぶれるのを何度も見たそうな。
…どんな人間関係よ。


「マジか!あー…俺最悪じゃん…」

あっ、今分かったのかな。
運が良ければ来世は落ちぶれ卒業できそうだね?



などとやりながら彼岸に送ることまさかの六往復目。
何人送ったっけなぁ…。


いい加減自分でしてほしいんだけど。
そう思いながらこの世側の三途の川に向かって小町の船で戻っていた、その時。
「って、小町!なにサボってるの!更に生者に仕事押し付けるなんて理由を教えてもらいましょうか!」

凄い大声だねー。(棒読み)
というか結構真面目な人なこって。
いや、人じゃないか。まさか彼岸の方から私と同じような人が来るわけないし。
名前は…『四季映姫・ヤマザナドゥ』って出た。

「きゃん!じ、実は怨霊の中に引きこもりの妬み気質な人がいて苦戦してたんだよ!」

「本当に?…それはおかしい。なにせ来る霊達がやけに楽しい話をしてきたかのように――」

「ああ、それは私かもしれないわ。霊の中に外の人がいたもんだから普通に話をして、その中でどうにかしつつ彼岸に連れていったけども」

「……なるほど、貴方だったのね。でも、貴方も不思議なことになっている。本来ならそうなった貴方ですら地獄に行けなかったでしょうが、前の寺子屋での行為が少し、今回のことがそれなりに影響して行けるようになっている」

「へぇ、つまり地獄じゃなくてあの世に行けるってことね?」

「そうね、貴方がもう少し善行をつみ、神様と交流をすれば行ける。今はまだ地獄行き」

「あの世には行けるのね。まあ、考えておくわ。他にも色々しながらね」

「……。本来なら貴方を地獄にすら送りたくないのです。何故なら今の貴方は不安定すぎる。妖怪を退治するところかそうでもない者を退治することが少なくない。でも、巫女として動いたのはごく最近。なんですが、やったのはおかしなことに外の世界のやり方。まだまだ貴方の業は深いですが、何故か違う生活が見えますね。普通に勉強していたようですが、机に置かれた箱形で映像を写しているもので遊んだりそれを更に薄く横に長くしたもので家族と映像を見ていた様子も見える」

いや、あの。それを小町の首根っこ捕まえながら言っても、なあ。
…って、あれ?プライバシー丸見え?おかしいな。映姫はなにを見て…手鏡?

「そちらではどっちもしているので、そこまで業が深くないようですね。それが結果、あの世に行ける可能性を示している。ただその不安定をどうにかしなくては地獄に行けるかすら怪しいけどね」

「あらそう。ご忠告ありがとうね。それはそうと、はい。私にはこれいらないし、鎌も返すわね」

そう言って首根っこ捕まれたままの小町に受け取った渡り賃全部と押し付けられた鎌を渡した。
あっ、映姫に睨まれてる…。

「ああ、律儀に悪いね」

「そういう貴方はしっかり働く!そこの巫女の方がまだしっかり働いてますよ!業を深くする可能性は減ってないけど、善行をつむ可能性が出てきている。貴方よりはマシですからね!」

「ひ、ひえぇー…。すみません、すみません」

そこの巫女って…。間違ってないんだけどさ。
それにしても厳しい人だ。いや、あの感じからして死神に関係している人か。人って言えないけど。

「っと…小町への説教はあとでします。いいですね?」

「か、勘弁してくださいよ、四季様」

「…私、帰ってもいいかしら。こんな感じの異変なら解決させるほどのものじゃないし。神社でやりたいこともあるし」

「ああ、大丈夫ですよ。ですが、説教する代わりに少し言いますね。今の貴方ですら地獄に行けるか怪しいのでまず善行をつむこと。次に自我をしっかり持つこと。いいですね?」

な、なんで今それを?
っていうか特に自我は関係ないよね。しっかり持ってるよ?

「はいはい、分かったわよ。頭の片隅にでもいれて覚えておくわ」

私がそう答えたらため息をついたけど、納得したのか頷いてくれた。
とりあえず、帰ろう。
この異変は放っておいても大したことじゃないし。

…博麗神社に向かうとき、背後から説教の声が凄く聞こえた。
小町、頑張れ。



一部本文を手直し&リメイクしました。


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第17話 色々あったが、休みはない

特に意味のないサブタイトルです。

異変の手前ですので、大した内容ではありませんがそれでもいいよと言う方は……下からが本編です。


あれからしばらくして、徐々に四季の花が減っていった。
どうやら映姫曰く『一度裁いておいたからしばらくはしっかり仕事をするはず』らしい。
するはず、と言うのはあの小町――なんとなくサボマイスタってあだ名をつけたくなる――がよくサボるからだそうな。
幽霊ともよく話すし、欲もないと言う。
欲に関してはよく分からないけど、別に話ぐらいしてもいいんじゃないかって言ったら…甘いと怒られた。

因みに私の様子も見に来たらしい。
神様との交流は曰く『フレンドリーすぎるが、しないよりはマシ』とのこと。
いやぁ、お守りとかおみくじ関係でお世話になっててね。あとその他もろもろ。
それで話す機会とか神降ろしをする機会があるからその影響かな?
それで、今やってることをそのまま続けるようにと言った後、また説教してきた。もういいいよ。説教しなくても。
その時は霊華のおかげで途中で帰ってもらえたんだけど、霊華も説教されてた。
…あの人って説教するのが好きなのかな?




しかもその後、しばらくもしないうちに神降ろしの修行を紫につけられるようになった。
大体二日か三日に1回ぐらいは来る。
色々やることがあって辛かったから一度試しに天岩戸別命(あまのいわとわけのみこと)を使ってみたら『こんな弱い幻覚じゃ駄目ね』と言われた。
一応念のために1人でも修行したのにな。訳がわからないよ。

ああ、しかもこの間に妖怪の兎が倒れてね。
着ていたものを綺麗にして返すって嫌がらせをしてあげたら何故か喜ばれちゃった。何故?
それにいつの間にか姿を消してたし。いやまぁ、お礼残していったけど。
その残していったものは美味しかった。月見団子ってあそこまで美味しかったかな?

まあ、それだけで終わらないんだよね、この回想は。
神降ろしを身につけてからしばらくした時に月へ行った。
っていうか私が修行するタイミングよすぎでしょ。誰か企んでない?
因みに行ったメンバーは私、魔理沙、レミリア、咲夜、妖精メイドがさんひ…じゃないね、3人。
そもそも乗り気じゃないんだけどなあ。まあ、負けたんだけどさ。元から負けるんだろうなーとは薄々かんづいてたんだけどね。ほら、悪いのは私達だし。

私が最後らへんで、大禍津日(おおまがつひのかみ)を降ろして弾幕をはったんだけど巫女装束を着た神様こと伊豆能売(いづのめ)に浄化された。

凄い、そんな神様知らない。
って言ったら勉強不足だと言われた。そりゃそうかもしれないけどさ。
で、でも剣を首につけるのはやめてね。怖いんだから。
そう言ったら笑われた。酷い。

でもね、月での生活は楽しかったよ。
神降ろしを見せ回ったのは大変だったけど、手を使わないで開くコンビニとかにある自動ドアと同じような扉にスマートフォンとかタブレットのように文字の拡大縮小のできる本に月の民の人となり。
なんか月の民に慣れるのがはやいねって言われたけど、どうしてかな。気のせいだと思うけど。

あとなんか見覚えのある亡霊が見えたのは気のせいだったのかな?
神社に帰った時は霊華に事情を説明するのが大変だったけど。








……とにかく、色々あった。どこかの誰かに写真を撮られたことも含めて。
夏なんて里に降りて寺子屋に行ったりもしたんだけどね。
んで、今は男女で来てくれた参拝客の相手を霊華としている。

「いやぁ、霊夢さんがお守りを売ってくれて凄く助かったよ」

「そうねぇ。一緒にいる巫女さんにも感謝しかないけど」

「別にいいのよ。それで少しでも神社にいる神様とかを信仰してくれればいいのだから。それに、最近はお賽銭も入れてくれるじゃない」

「そうね。でも、確かにお守り様々ねぇ…。あ、感謝するなら神様に、ね?お礼返しをするとまた次も答えてくれるから」

「あっ、あぁ…ありがとう。分かったわ。彼と一緒にしてくるわね。行きましょう?」

「ああ、そうだね」

……どうして未だに私は”霊夢さん“で、霊華は”巫女さん“なんだろう。
私も巫女なんだから霊華と同じ呼ばれ方でもいい気がするんだけどなぁ…。
因みに他の呼ばれ方は私は”紅白巫女の霊夢“で、霊華は”博麗の巫女“なんだけど…この差はなに!?
いやまあ、身長は霊華の方がでかいわ、胸もでかいわ、地力もスペルカードルールのない時だから私よりあるわと私より上なものが多いのもあるんだろうけどさ。なんかショックだな。

ああ、実を言うと霊華…もとい先代の巫女は本当に上が白色のあれで、下が袴の奴を着てる。
私みたいなコスプレもどきの巫女服は着てない。
それと、もみあげは私のによく似た赤い布でまとめてるみたい。

んでもって髪色と目の色は何故か今の私にそっくりだし、顔の形もやけに似ている。
まるで今の私をそっくりそのまま大人にして胸も大きくしたような感じ。
…うん、誰に向かって説明してるんだろうね。謎だ。




「…うーん、確かに参拝客は前より来るようになったけども。なんで皆、私のことを名前で呼ぶのかしら」

「それはもう仕方ないわ。でも、厄除けに魔除けとかそういう色んな種類のお守りにおみくじとかそれっぽいのを置いただけよかったんじゃないかしら?そのおかげでほんの少しだけどもその参拝客が来るようになったのだから」

し、仕方ないで片付けられた…!?
…いや、分からないわけでもないんだけどさ。

「まぁ、そうね。妖怪は相変わらず来るけど、魔除けお守りのおかげで来る人が減らないし。…むしろ今心配なのはそのお守りを過信してないかってことなんだけどもね?」

「あー…なるほどね。まあ、一年に一度買い直しに来る人は大体一緒のように見えるから大丈夫よ、きっと」

「だといいのだけども…」



そう話しているとお参りをしたらしいさっきの2人が私達の方に戻って―――ん?なにに驚いてるのかな?

霊華と一度目があう。
なにが言いたいのか大体分かった。とりあえず振り返ろう、だよね?


…た、確かに驚くわな…。
とりあえず参拝客に近づき、小声で帰ることを促した。
お礼を言うとそそくさと帰っていったけど。


「貴方…たち?の神社に営業停止を言い渡しにきました」

うわ、変な人だな…と思った。
っていうか私と同じ脇だしの巫女服なんだね。
それ以外は緑と白とか違うところがたくさんあるけど。

「営業停止にされたら困るんだけども?」

「じゃあ、潰すか山におわす神様に譲渡してください」

「あなた、勝手に話を進めすぎなんじゃないの?」

「果たして、そうでしょうか。まあ、2人で相談しておいてください。私は先に帰ってますので」

そういうと飛んでいってしまった。
…嵐のような人だったなぁ。




「……どうしたものかしら。ようやく軌道にのってきたと言うのに」

「それでも妖怪退治しにいったりするのは変わらないけどもね」

「前よりはいいわよ、前よりは。あー…あの話も大分怪しいような気がするんだけどなー」


「よう。…ってなんでそんな顔してるんだ?」

「ああ、魔理沙。それがね、さっき変な来客が来たのよ」

「いや、確かに最近は参拝客が増えたようだけど、神社に来る妖怪は減ってはいないじゃないか」

「いや、確かにそうなんだけどもさ。違うのよ。参拝客じゃなくて本当に変な来客。人間だったわね」

「でも、珍しいわね。営業停止を言っていくあんな(やから)がいるのは」

や、輩って…。
いやまぁ、怪しさ満点だったけどさ。

「この神社って営業してたのか……って言いたいけど、霊華と一緒にお守りとかおみくじとか売ってるんなら営業してるな。んでも、停止した後はどうするって言われたんだ?」

「それが潰すか山におわす神様に譲渡しろって言われたわ。なんか怪しすぎる二択ね」

「ああ、そうだな。しかし、妙だな。こんな神社にそんなこと言う人間がいるとは」

こんな神社って言うんじゃない。
これでもしっかりした神社なんだし。

「こんな、ではないけど。でも、普通は言わないわよね…」

「じゃあ、霊夢。話し合いに行ったら?さすがに今回のは私が行くわけにはいかないし。そうすれば分かるでしょ」

「あ、それがいいな。霊夢、私らは神社にいるから行ってきたらどうだ?」

留守番は霊華1人でも十分なんだけど…。
…別にいいか。

「それもそうね。霊華、魔理沙が勝手しないように見ててもらえる?」

「勝手って…。まあ、スペルカードルールでも教えてもらうから勝手もできないと思うわよ?」

「って霊夢から聞いてないのか!?」

「まあ、その。私自身、人間相手の手加減を知らなくってね。ある程度霊夢相手に慣れてたところなのよ。そのせいで聞く時間がつぶれちゃってるみたいでね?」

「…あー?要するにどういうことだ?」

私はため息をついた。
ようやく私を鍛えるその真意が分かったからね。
体力作りや万が一でも身を守れるように、だけじゃなくて霊華自身と同じ人間相手にどれだけの力を出せば平気なのかっていうのを慣れるための修行だったんだと。

……そう分かるとなんか修行じゃなくてもいい気がしてきた。

「私に修行つけるついでにスペルカードルールでも変な風に力まないためだったのね。霊華の時と今じゃかなり違うから加減も覚えたかったんでしょ」

「ああ、そういえば先代の巫女だから妖怪退治はそりゃ今と違って当たり前か。じゃあ、しょうがない。霊夢、今度なんかおごれよ」

「えー…。なんであんたにおごらなきゃいけないのよ」

「当たり前だろ。霊華にスペルカードルールを教えんだから。それにもうお前はツケを払えるんだろ?」

「……いやまぁその。分かったわよ。ただ今度だからね」

「おっ、サンキュー」

ぐぬぬ…。覚えてろよ、魔理沙…!
自分からでも里に降りたくなるような美味しい甘味処に連れてってやるからなー!



そんな思いと共に私は山へと向かった。

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第18話 神社のピンチ。だから山へ行く 前編

先代の巫女 博麗霊華(本名不明)

能力 博麗の巫女としての能力 空を飛ぶ程度の能力 霊気を操る程度の能力(情報求む)

危険度 高

友好度 高


……って書かれてもおかしくないと思いました。

下から本編になってます。


幻想郷で山、と言えば妖怪の山になるから不思議だな。
そう思った私はおかしくないはず。


それで進んでいて思った。
秋の紅葉って、綺麗だなー。
因みに今回は封魔針でやってる。だから陰陽玉も前に配置してみた。
今思うと若干邪魔かも。



更に進むとなんか良い匂いがしてきた。
これさ、下手すると目的を一時忘れちゃいそうだね。危ない危ない。

…お?なんか紅葉をイメージしたかのような服の人が出てきた?
って、弾幕はってきたんだけどー!
まあ、前に集中させて上手く当てればそうでもないんだけどさ。


少しやってると…よし、いった。そこに居残るってことはまだなんかしてくるのかな?

――葉符「狂いの落葉」

なるほど。スペルカードか。
それでやってくるのはー…?
ばらまきみたいな感じかあ。
でも、こういうのはまだやさしい方かな。
気をつけてればどうにかなる。




封魔針を前方の狭い範囲に向けてはなっていたらどこかへ去った。
さて、再度広げて…と。
さっきの人、そういえば名前が『秋 静葉』って出てたような。
とりあえず進めば分かるでしょ。




更に進んでいると今度はさっき出てきた静葉って名前の人にそっくりな人が出てきた。
感じからして人間じゃないのは分かってるんだけど。

名前は『秋 穣子』と出た。もしかして姉妹?
「…落ち葉はどうでもいいとして、この匂いはなに?とても不思議でならないのだけど」

「ああ、それは収穫したてのお芋の匂いだね。でも、巫女の癖に収穫したてを狙うなんて笑わせてくれるわ」

「なるほどね。だからそんな匂いが…。でも誰も食べるなんて言ってないし、そもそもそんな趣味は持ってないわよ」

「あら、そう。ちなみに私は豊穣の神ね」

「へぇ、そうなの。だから焼き芋のような匂いが…」

「そういうこと。でも、巫女なんかに新鮮な取り立ての芋を食べられてたまるもんですか!」

いや、だから食べないっての!
と言う前に弾幕ごっこが始まった。どんな戦い始めよ…。




おーおー、最初から凄いね。
こっち狙いの弾も混じってる。
でもこれなら最小限で避けてれば大丈夫そうだね。



――秋符「秋の空と乙女の心」

中ぐらいの弾と…交差する米みたいな弾?
なんか最初から大変な弾幕なこって。
でも交差するんならそこに気をつけつつ中ぐらいの弾を見てればどうにかなる、かもね。
一応攻撃を前方に集中させて…と。



そうやっているとスペルカードは攻略できた。
まあ、攻略するなり弾幕をはってきたけど。

一応避けれないことはないから…攻撃をそのままに…と。
っよし。



――豊作「穀物神の約束」

米みたいな弾をはってきた。
次は…ん?なにこの細いせ……おおっ?なにあれ。レーザー?
弾を隙間の空いてるところで避けてればだいじょう……ぶじゃない!赤色のレーザーみたいなのも出てきた!
大変だなぁ、これ…。





「なるほど、さすが神様は八百万ほどいるだけのことあるわ。……それはいいとして、山にいる神様は話の分かる神様だといいなあ」

そう、穣子を倒したあとに呟いた。








あれから進んでいくと富士山の近くにあるらしい樹海のような場所に出た。


なんか本当樹海だなーとか思いながら進んでるとくるくると回転しながら人が出てきた。
目が回らないのかな、そのでかたは。


そう考えているとスペルカード宣言してきた。

――厄符「厄神様のバイオリズム」


お、おー…弾幕が凄い。
繰り返しの動きができそうだし、そっちにするかな?
さっきまで広げてた攻撃も狭めて…っと。
にしても最初からスペルカードか…。なにか意味でもあるのかな?







そうして進んでるとなんとなく思うことがひとつある。
「……大分進んだけども、なんか凄いわね。樹海なだけあって昼間でも光が届かないし」

「あら。貴方、まだいたの。さっきので追い返したつもりだったのに」

そういって回転しながらきた人は『鍵山雛』って名前みたいだ。

「うーん…むしろ私はこの先に用があるから追い返されても困るんだけども」

「あら、迷い込んだわけじゃないのね。でも、だとしたら人間が山に入ってなにするの?危ないわよ」

「心配はありがたいんだけども、この先にどうしても行きたいのよ」

「もしかして厄払いにでも行くの?なら、私は人間の味方よ。貴方のような人間の厄を受けて、神々に渡しているの。なんだったら、貴方の厄災も全て引き受けましょうか?」

「いや、その。厄災なんてないから。引き受けるもなにもないのよ。だから平気よ。普通に通してちょうだい」

「そう。それは聞けない話ね」



そういうと弾幕を張ってきた。相変わらず弾幕ごっこへの入り方が理不尽だー。
なんか共通していきなり入るしさー。もう。

とりあえず攻撃を前方に集中させて…避けるに限る!
その後少しやっていたら、あっさりと倒せた。

――疵痕「壊されたお守り」

なるほど…。交差みたいな感じになるのか。
なら、そこをうまく通れば大丈夫かな。


それをある程度避けると弾幕を張ってきた。
なんか最初と似てるけど、お札が追加されてる…。
うーん、危なかったら霊撃して消すかな。被弾しても困るし。
一応数回だけ被弾しても問題はないんだけど、念のためにって奴ね。


気合いでどうにかしたら次に進んだ。
人間、たまに気合いでどうにかなるもんだね。

――悲運「大鐘婆の火」

スペルカード名ー!?
厄はいいよ、厄は。もはや素人でも分かるんじゃないかってぐらいそのオーラが見えるし。
回転しながら攻撃してくるのは不思議だけどさ。
それはともかく、悲運って…。

まあ、いいや。火みたいな弾を避けよう。
つっこんでる場合じゃないし。
…それなりに厄介だけど。






――創符「流刑人形」

それなりに時間をかけて攻略したらすぐにまたスペルカードを宣言してきた。
なんだ。直線なら避けるの楽そうだね。


そう思ってたら弾はバラけるわ、小さい弾は追加で出てくるわとややっこしい弾幕へと早変わり。
私の中で難しさ上位に入るんじゃないかってぐらいだね。

それをしばらく避け続けたらどうにかなった。
もうちょっとで霊撃を使うところだったけどね。


「私は親切に追い返してあげようとしただけなのに……」

「追い返すもなにも…どうしても先にある場所に用があるから行きたいのよ」

「そう。ここから先は神々の住む世界よ。後悔する前に帰ったら?」

「その神々に話がしたいのよ。だから悪いけど、私は行くわね」

そういって私は離れた。
止めてくれたのは分かったけど、今の博麗神社にとっては凄く重要だったからさ。








滝が見えてきた頃。
なんかある意味大変になってきた。
結構距離があるからちゃんとあってるのかなーとかそういう感じで。


ん?あれは…

「げげ、まさか人間!?」

「そこまで驚かなくてもいいんじゃないかしら」

――光学「ハイドロカモフラージュ」

…お?青色の弾?
その上交差する弾も?
うわー…。本当危なさすぎて霊撃使いそうになる。






「あーあ…着てた光学迷彩スーツが壊れちった」

「へぇ、そういうの着てたのね…」

「そうよ。むしろ人間の癖にそれを着ていた私の姿がよく見えたわね」

「水の反射かもしれないわね。もしくは予想外からの光とか」

「なるほどね。ま、じゃあね。それと人間、これ以上進むと危ないからねー」

「用事があるから行くけども」




そ、そんなに止める…?
うーん…。なんか融通がつうじるか不安になってきたんだけど。








そのまま追いかけるように進んだらまたさっきのがいた。
へえ、名前は『河城にとり』って言うんだ。

「おや、さっきの人間じゃないか。さっき危ないから奥には進むなって言ったでしょ」

「だから、私は奥に用があるのよ。通してもらえる?」

「通して?貴方が何をしに行くのか知らないのに通す訳にゃいかない」

「山の上にいる神様に話す用事。結構大事なものよ」

「山の上の神様?そんなもん何人もいるけど……。悪いこたぁ言わない。引き返した方が良いよ。ちなみに私は河城にとり。通称、谷カッパのにとり。さあさあ、里へ帰った帰った。この先、人間に対して排他的な奴も多いから」

え、なに?排他的な奴がいる?
へぇ…そういうのもいるんだ。

「そうだとしても、よ。私にとっても結構大事な用なんだから」

「あらあら、久しぶりに盟友である人間に出会ったと言うのに残念ね……。仕方がない、これ以上山に入るというのならその本気、この目で確かめさせて貰うよ!」


ただし、弾幕ごっこでね!
…って話でしょ?

んー、避けれないことはないね。
こういうのなら…!




――漂溺「光り輝く水底のトラウマ」

お、おお…?スペルカード名がなんか凄いな。
もしかして、この弾幕もその名前を意識してたりするのかな。
まだ平気だから普通に攻略できそうだな。

避けつつそんなことを考えていたら、いつの間にかスペルカードが終わってた。
最初の弾幕に似てるけど、これは…厄介だな。いつでも霊撃出来るようにしよ。


――水符「河童の幻想大瀑布」

わお。凄く斜めから来たりして避けるの大変そうだな。
これこそ気合いで避けないと辛いな。
霊撃をいつでも使えるようにしないとほんとに…凄い。




どうにかして避け続けていると攻略できたらしく、新たな弾幕が出てきた。
なんか難しい…けど、なんかすぐに倒せた。



――河童「スピン・ザ・セファリックプレート」

おお…。なんか凄いことに…。
まあ、勘でいけばどうにかなるでしょ。
でもこっち狙いとそうでない弾が二種類あるからなんとも、なぁ。


あ、どうにかなった。


「つ、強い。私の兵器で倒せないなんて……人間とは思えない強さだわ」

「ほら、大丈夫でしょ?じゃ、行くから」

「あぁ。河童と人間は古来からの盟友だから教えてやるよ」

「古来からの盟友…という割には出会ったときの驚きようが酷かったわね」

「そ、それは…ほんの少し悪かった。でも最近、山の上に不穏な神が居着いたのは事実。貴方はそれを倒しに行くんだろ?」

それを聞いて私は思わず苦笑いを浮かべた。
は、話にいくだけなんだけどな…。

「あー、そうなのね。とりあえずその山の上に居着いた神様に会いに行くから。そろそろ通してもらえるかしら?」

「本気だってことも分かった。この辺の河童には伝えておくから望み通りこの先に行きなさいな」

「はいはい。…っとあんたと話してたら滝が見えてきたわ。ま、これからが本番ね」

またもや独り言もどきを言って…いや、妖怪がいたから違うかな。
とりあえず進もう。この先にある山へ…!



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第19話 神社のピンチ。だから山へ行く 後編

何事もなければ平和…というわけでもなさそうですね。
今回でまた異変は終わりです。次回は宴会から。



下から今回の本編になっています。


空を飛んでると滝を見ながら上がれていいね。
案外綺麗だわー。



お?進んでたらなんか出てきた。
…『犬走椛』?
弾幕は……ってそれなりに厄介!
さすがこれからが本番なだけある。
密度が凄くて避けるのが大変。

でも耐えてどうにかすれば…ワンチャン…!
…よしっ、いった!



ふぅ。でもなんだったろうね、あの子。
いきなり襲ってくるなんて…。なにか山にあるの?


また誰か出てき…『射命丸文』?
どっかで見たような格好をしてるような…。いや、見てる気がするよ、私。

「あやややや。侵入者の報告があったからそこへ来てみれば……まさか貴方とは……」

「ああ、あんたね。あんたには用事なんてないから通してちょうだい」

「そう言われても侵入者の報告を受けた時、私が出るようにと言われたのよね。私はただの新聞記者なのに、酷い話でしょう?」

「はいはい、そうね。それで?」

ただの、なのかな。本当に。
そう思うのは私だけ?

「そりゃ多分、貴方の事を一番良く知っているのが私だからでしょうね。ほら、きっと貴方の相談事にも乗れるかもしれないって上司の粋な計らいよ」

「それって単純に顔見知りのあんたが出されたって話よね。それはいいから通して。山の上にいる神様とやらに用があるんだから」

「山の神様?あぁー……なるほど。さてはあの神様の事かな?」

「いや、どの神様よ…」

八百万の神様って言うほどいるらしいのに分かるかってつっこみをしたくなった。

「最近、天狗も手を焼く神様が頂上に移り住んでね。どんどん山を自分の物にしようとするし……。最近は麓にまで降りて信仰を集めようとしている、って言う話だし……」

「ああー…。そいつよ、そいつ。私があるのはそいつだわ」

「調子に乗るようだったら、私達天狗達が倒すつもりだったので、貴方が行く必要はないわ」

「大いにあるわ。あんたには話さないけど、結構大事なの。だから通して」

最後は少し強めに言ってみた。
多分意味はない。

「でも、私は貴方を通す訳に行かない。私があっさり通しちゃったら、見回り天狗達も納得がいかないからね」

「へぇ…。面倒なのね、天狗って」

「組織に属するってのは自分の意思だけでは動けなくなるって事よ。さあ、手加減してあげるから本気で掛かってきなさい!」

「手加減って…。まあ、いいわ。私はいつもの通りにやらせてもらうから」



ということで、弾幕ごっこをすることになりました。
……ってなにがだよ!

うん、セルフボケツッコミはやめるか。
いい加減目の前に展開された弾幕に意識を向けないと被弾する。
それとついでに攻撃も前方に集中させて一点集中狙いに変えてっと…。
それをやって少ししたらいけた。


――岐符「サルタクロス」

発動してから少し様子見してたら、とんでもなかった。
仕方ない。Pとやらを使うにせよ、ここは素直に霊撃を使わないと避けきれるか分からない。






攻略…っと。おお、ドーナッツにありそうな形の弾幕が出てきた。
でも油断しなきゃ平気そうね。
あれ。そういや2回ぐらい霊撃したのに使う前ぐらいの数値に戻ってる。


遠慮しなくてよかったんだね。
それで少し攻撃し続けていたらスペルカード宣言するのか弾幕が止まった。
さて、次はなにを使ってくるのかな?


――風神「二百十日」

発動してまた様子見してたんだけど、今度のも難しそ……あれ?
これ、避けながら考えてみたんだけどさ。
そんなに難しくないね。
むしろ逃げ道確保しながら避けてたら大丈夫なんじゃない?

っと、攻略ー。
次はスペルカードを使う前のにほとんど似てるけど…。
うん、難しくはなってるね。


――「無双風神」

うん、ちょっとスペル名が不吉…だと思ったらその通りだったよ、やだー!
しかも動き回ってるから攻撃なんて届かないし…。きっついな。
いざとなったら、霊撃でもしよう。……あまりにも弾幕が濃すぎるから。






――塞符「天上天下の照國」

ああ…さっきよりはまだ大分マシだね。
っていうか今まで使ってきたスペルカードさ…本当に手加減してこれなのかな。
なんか理解しがたい天狗だ。別にいいけど。





しばらく避けていたらどうにかいった。
「まじめに戦った事なんて殆ど無かったけど、予想以上の強さね。これなら、あの厄介な神様も倒せるんじゃないかしら」

それってないに等しいってことだよね?

「あら、それはどうも。…それはともかく、その神様のところまで案内してもらえる?」

「その神様は、少し前に神社と湖ごと引越してきたの。この先に新しい神社が出来ているのよ。そこに居るはずだわ」

「これまた大規模な引っ越しねぇ…。ま、情報どうもね」








幻想入りに規模なんて関係なかったかな?
そう思ったのは参道っぽい場所に出たとき。
こんなの急に現れるもんだと思うと普通はビックリするよね。




それからある程度進むと巫女服を着た少女が目の前に立ちふさがった。
なんだろう。そろそろいきなりバトルを仕掛けてくるトレーナーに見えてきたぞ。
全然関係ないんだけどさ。

んで、今回の人は…?
おお、上から見れば星みたいな弾幕の形だね。魔理沙と違って作ってるみたいだけど。
うん、この感じなら大丈夫だね。平気そうだ。




――秘術「一子相伝の弾幕」

…ん?なんだ、大丈夫そu…ってそうでもない!弾幕濃すぎでしょ。

霊撃を一度使って、と。
お、案外いけた。






いやぁ、普通の弾幕と一緒かなーとか思ってたから駄目だったね。
……見た目に惑わされたのもあるけど。仕方ないね。
名前は…『東風谷早苗』か。


「巫女の貴方の方から山に入るとは……今すぐうちの神様を勧請したいのかしら」

「いいえ。それにしても本当に神社ね…。信じがたいけど」

「ここは守矢の神社。忘れ去られた過去の神社。外の世界から神社と湖ごと幻想郷に移動してきたのよ」

「あらそう。凄いわね」

因みに今のは棒読みね。

「ここの山は私と私の神様が頂くわ。そして貴方の神社を頂けば……幻想郷の信仰心は、全て私達の物……」

「そんなことをしたら幻想郷におわす八百万の神様が黙ってないわよ」

そう言った後に「…最近他の神様もこの神社を気にかけてくれるようになったし」と小声で足しておく。補足ってやつだね。

「これは幻想郷の為でもあるのですよ。今の信仰心が失われた状態が続けば、幻想郷は力を失います。奇跡を起こす力を失うのです」

「前よりは信仰されてるわよ、失礼な。だから私達でどうにかなるわ」

「私は風祝(かぜはふり)の早苗。外の世界では絶え果てた現人神の末裔。神を祀る人間が祀られる事もある。巫女が神になる事もある。貴方にはそのぐらいの覚悟が出来て巫女をしているの?」

「別に神になってもならなくてもいいと思ってるのよね。やる時にやることをやればどうにかなるし」

「そう。では現人神の力を見て考えなさい。奇跡を起こす神の力を!」







幻想郷での弾幕ごっこって本当流れのまま行くよね…。
まあ、いいけどさ。

まだ平気…と。




――奇跡「客星の明るすぎる夜」

…う、厄介そうな弾幕。
きつそうだったらはやめに霊撃使おうかな…。
あんまり被弾できないんだし。






ギリッギリだったけど、なんとかなった。
多分封魔針ってのもあるんだろうね。さすが高威力。

っと違う弾幕を張ってきた。
いやなんか…よく避けてこれたな、と。
途中霊撃使ってるとはいえ。
……どうにかなるもんだね、ほんと。





――開海「モーゼの奇跡」

うわ、なんかまた厄介な弾幕。
でもなんか、視界の隅に見える左右のあれが海みたいに感じるのは私だけかな?
別の弾幕でじっくり見る余裕がないのは残念だけど。
いざとなれば霊撃、だね。






ん、次のは凄く楽だね。
早苗の正面だけ隙間多いし。

――準備「サモンタケミナカタ」

これは軽く避けてれば…え、ちょっと!?
封魔針って確かに高威力だけどさ!
これは…これはちょっと…。


――大奇跡「八坂の神風」

迫り来る弾幕は濃く見える…のに当たらない?
これって下手に動かなければ当たらない…とか?
……おお、当たらない。









「強い……。こんなに力があるのに何で貴方の神社に信仰心が集まらないの?」

「さあね。むしろ私が知りたいわ。でも少しは集まり始めてるんじゃないの?」

「そうね、私の神様の分社を置いておくだけでも、信仰心は今よりも大分回復すると思うんだけど」

「それはいい話ね。でも、まずは神様に会わないとね」

「え!?貴方の目的って、もしかして……」

「勘違いをしたままであろう神様を懲らしめるのよ」











そのまま進んだら、湖まで来た。
というか来ちゃった?

「湖についたのはいいんだけど…かなり柱があるわね。…んで、この柱を出した張本人はまだいるのよね?」

因みに出るとほぼ同時に名前が見えた。
なるほど、『八坂神奈子』って言うのか。

「我を呼ぶのは何処の人ぞ。おや? なーんだ、麓の巫女じゃないの。私に何か用?」

「そうそう、用があるのよ。でもその前に…あんた、フレンドリーすぎない?」

「最近は、厳かな雰囲気を見せるよりも友達感覚の方が信仰が集まりやすくってね」

「そう。それはいいんだけど、乗っ取りはやめてほしいのよね。困るのよ」

「乗っ取ろうとなんてしていないわよ。私は貴方の神社を助けたいだけ。貴方の神社に人が集まるようにしたいだけ。妖怪の魔の手から救いたいだけ」

「そう思うのは結構だけど、一方的に話していくのはいかがなものかしら。それにあんたを祀って信仰されるかが心配ね」

あの時、いきなり消えたしさ。

「信仰は0よりも減ることは有り得ない。幻想郷に足りない物は神様を信じる心。巫女の貴方なら判るでしょう?」

「前よりは参拝客が来るようになってるのよ。だからあんたの力なんて借りない」

「そうか。だが、神社は巫女の為にあるのではない。神社は神の宿る場所。そろそろ──神社の意味を真剣に考え直す時期よ!」






うーん、巫女の為にあるとか思ってないんだけどなあ…。
まあ、いいや。とりあえず弾幕ごっこで話し合いができる段階までやらないと聞く耳持ってくれそうにないね。

はぁ…。仕方ないか。


――奇祭「目処梃子乱舞」

こ、これはなんとかなる…っぽい?
んー、本音を言えば練習したかったなー。
ほとんど感覚任せで避けてるから怖いのなんの…。どうにかしたいね。





間も間で凄いねぇ。
避けてこれてるのが奇跡ってレベルなんじゃないの?


――神穀「ディバイニングクロップ」

下手すりゃ当たりそうな弾幕を乗り越えた、と思ったらこれ。
しかも最初はただの当たり判定の大きな弾と思ってたら途中から弾の大きさが変わるし。
よく見ると青色が混じってる。避けにくいなあ。



んで、通常弾幕(こっち)も通常弾幕《こっち》で避けにく…というかなんか一歩間違えたら被弾しちゃいそう。
伊達に外で神様やってないね。
でも…昔っていつだ?





なんて関係のないことを考えてたら次にいっていた。

――神秘「ヤマトトーラス」

片方から短剣が出てき…もう片方からも!?
んー…まあ、交差するのにも時差があるし大丈夫かな?
それに避けれそうな隙間を移動してる最中に見つけたし。





んで次の弾幕は…ん?んん?
案外綺麗に隙間があるような…いけそう。
ただなんか順番になってるの?そうなの?
な、なんか見づらい…。




――天竜「雨の源泉」

輝夜以来の綺麗な弾幕だね。
いや、その。避けてなきゃいけないからそんなに楽しむ余裕がないんだけどさ。
出来ればゆっくり見たかったなあ……ってあぶなっ!ちょっとよそ見してたら被弾しかけた…。
神奈子ばかり見てるもんじゃないね。




――「風神様の神徳」

お、おお…。……だ、大丈夫かな、これ。
いや、避けてこれたんだし、気合いだー!











なんて気合いでやってたら被弾しかけること数回。
いやぁ、ごりごりやるもんじゃないね。
「とりあえず、乗っ取りは駄目だからね?」

「そこまで拒むのなら…分かったわよ。早苗にもそう言っておく」

「あら、素直ね。なら今言ってもらえないかしら。代案ならあるし」

「代案?貴方が考えたの?」

いやいや、私だとまず考えなかったことだし。…首は左右に振っておくか。

「いいえ、私じゃないわ。早苗よ。…分社なら置いてもいいって思ってね。そうすればあんたも私もウィンウィンな関係になるでしょ?」


「ウィンウィンって貴方…。…いえ、そうね。それなら貴方の神社を乗っ取らなくても信仰は得られる。んで、もっと参拝客に来てほしい貴方は」

「そう、参拝客が増える。そういうことだから、ご神体宜しくね。私は帰るから」

「自由だね、貴方」

「だってもう私の神社の問題は解決したし。あとは準備だけすれば、ね?……あ、とりあえずお酒とかおつまみとか、忘れないでよね。あんたらと山にいる妖怪とでいざこざがあっても困るし、それが里に響いたら嫌だから」

「へぇ、以外と気配りできるんだね。なんだったら同じ巫女同士早苗と仲良くしてやってくれないかしら?」

「あ、あぁー…。それもそうね。現人神っていうけど、同じ人間で巫女だものね。ま、いいわよ」

私がそういったら驚かれた。
自分で言っておいて酷いな。
まあ、早苗を気にするのは長い付き合いだからなのかな?


「あ、そうそう。今でもいいのよ。分社は後で建てておくから」

「そう?じゃあ、その方で。ご神体もちゃんと用意するし、お酒とかおつまみも出来る範囲でするわ」

「あら、悪いわね。じゃあ、色々終わったら面倒な奴らと川にいた奴らを誘ってくるから先に行っててちょうだい」

「はいはい、分かったわ」



いよっし。ここまですりゃあ後腐れはないでしょ。
あとは彼女ら次第だし。

そうと決まれば準備しなきゃね。




私はそんなことを考えながら博麗神社へと帰った。
天狗たちや河童たちを誘うの大変だったけどね。



すみません、本文を変えさせていただきました。


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第20話 宴会のち不調

今回ほど雑なサブタイトルはないかと思いました、まる。

…そろそろ気づかれてもおかしくないんですけどね。

それはさておき、下からが本編となっております。


小さな分社を作った次の日の夜。
私、早苗、神奈子に山の妖怪たちと言うメンバーで宴会を開くことになった。

途中で魔理沙が来たんだけど、あなた…どこで知ったの?
そう聞いたら偶然だったらしい。
あとで霊華も誘ってくれるんだそうな。先代の巫女だけど、大丈夫かなぁ。色んな意味で心配になる。




それで、皆で飲んでいたのはいいんだけど…。
「早苗、あんたはあんまり飲まないの?」

「え?……ああ、私はちょっと…」

「あら、苦手なの?…ってそれもそうね。外の世界はそういう法律があるし」

そういったら早苗が肩をつかんできた。

「きゅ、急にどうしたのよ…」

「霊夢さん、なんで法律を知ってるんですか?」

「えっ?あ、あぁ…多分言い間違えただけよ。ほら、酒飲んでるし。ところであんた達も幻想入りするなんてどうしたのよ。外の世界にも神様を信仰する人はいるでしょうに」

「…そうですか?まあ、それなら…。ああ、変なカルト宗教のせいですよ。おかげさまで信仰されにくくなってしまいまして」

「わあ…よく分からないけど、大変ね」

「て、適当に返さないでください!」

いやぁ、悪い悪い。アハハハ。
そう思ったら実際に笑ってた。
こりゃほろ酔いにでもなったかな?

「うぅ…。まあ、いいですよ。…に、しても霊夢さんはお酒平気なんですか?」

「ええ、平気よ。むしろこの量じゃそれほど飲んだ気になんてならないわよ。……ただ、あんたんとこの神様やそこにいる妖怪ほどはさすがにね」

苦笑いしながら向こうを見る。
霊華を誘いにいくはずだった魔理沙が神奈子や酔った妖怪達に絡まれてる。ありゃ大変だな。

「なんかあの様子を見てると幻想郷でもやっていけるような気がします」

そういってクスッと笑った。
案外可愛いね。

「あら、そう?まっ、あんたもあんたで頑張りなさいな。……ところで、その…」
とまで言って言葉を(にご)してしまった。
う、うう…。なんか聞きづらい。
そもそも言って分かるのかな。

「ど、どうしたんですか?改まって」

「い、いえ。…外の世界の話を肴にお酒でも飲もうかと思ってね?駄目かしら」

「えっ?ま、まあ…構わないですけど…」

そりゃあ不思議そうにするか。
仕方ないね。まさか霊夢の中身が全然違う人とは思わないだろうし。



そのあと、それなりに話を聞かせてもらった。
この幻想郷で外の世界についての話なんて貴重だったもんだからついつい深く聞いちゃった。
お酒も更に飲んだものだから危うく早苗にも酒を飲ませるとこだった…。いやぁ、なんとかすすめる前にやめれてよかったわ。


んで、問題の神奈子と山の妖怪はもう大丈夫そうだね。
むしろまだ飲もうとか言ってて早苗がちょっとしんどそうだった。
……仕方ない。外の世界の人間だったんだから余計にね。
と、言うか私は…いくつだったんだっけ?覚えてないんだけど…。













「―――ん。……夢……ん。……夢…さん。…霊夢さん。霊夢さん?」

「なによ、もう。そんなに呼ばなくても聞こえるから…」

と返したはいいものの、なんか頭が痛い。しかもなんかそれに加えて体調が悪化している。
な、なにもしてないしなにも起こってないはず…。

「あ、あぁ…それはよかったです。それで霊夢さん、大丈夫ですか?」

「別に大丈夫よ…」

そういったのを最後に記憶は途切れた。


















……。

『なるほど、これが貴方の本来あるべき記憶なんだね。…でも、それが貴方にはないと』

…今見てるこれは夢、なのかな。

『記憶がなくても生きていけると思うのは結構。でも、いずれはその無くした記憶のせいで身を滅ぼす。さてはて、あなたはいつまでその状態が持つのかしらね?うふふふ…』

なにを言っているのやら…。
っていうか私は…私、は…。











「……!」

意識が浮上すると共に私は勢いよく上半身を起こした。
なんかおかしなことに、周りが明るいです。どういうことでしょう。

「それより、私…」
と言って周りを見渡してみた。
なるほど、私の部屋…かな。
うーん、昨日は飲みすぎたのかな。それで倒れちゃったとか。
うわ、ありえそうで怖い。
今度会ったら謝らないとな。



とりあえず、着替え――
「って、起きたのか。それならそうと声をかけてくれよ。早苗とかが心配してたんだぜ?それと私もな」

「……魔理沙」

まさか同じ部屋にいる人に気づけないとは思わなかった。
いや、気づけないどころか見えなかったんだけど。大丈夫かな、私。

「霊夢、大丈夫か?まさか二日酔い起こすほど飲んだわけじゃないんだろ?」

「ええ、さっきよりはね…。むしろ早苗に少し合わせたもんだから逆に飲み足りなかったぐらいよ」

それを聞いて苦笑いを浮かべる魔理沙。
私の真横にいるもんだからよく表情が見える見える。
これはまさか…翌日ですってオチじゃないよね。

「お前、さっきって…。それはもう昨日の話じゃないか?もう翌日の昼だぜ」

はい、フラグ回収しましたー!
まぁその、よく考えれば分かるもんだけどね。
昨日飲んだのは夜。そして今は日がそれなりの高さから差してる。

これが表すことは?


そう。誰が答えなくても次の日にいきました。

「あらやだ。私ってば寝過ぎたのね」

「ふざける余裕があるなら大丈夫だな。…あ、霊華とやらが昼飯作ってたから食べようぜ」

とやらって…。
いや、それ以前になにさり気なく昼食をいただこうとしてんの。
ま…でもいいか。たまには。

「はいはい。今着替えてから行くから先に行っててちょうだい」

「へーい。んじゃ、先行ってるわー」

魔理沙はそういうとしょうじを開けて行った。
せめて閉めてね。












いつもの格好に着替え(多分昨日霊華か魔理沙のどっちかが着替えさせたんだろうね)て居間に向かうともう2人が座って待ってた。
はやいよ。

「はやく来たらどう?冷めちゃうわよ」

「そうだぜ。せっかくの朝飯が冷えたらうまいもんもうまくなくなっちまう」

「はいはい、分かったわよ」










朝食後、さすがに魔理沙も帰るだろう。
そう思って魔理沙の方を見たらまだいるつもりらしい。あなたねぇ。

「…に、しても帰らないのね。魔理沙」

「おう。最近は霊夢もそうだが霊華といるのも楽しいからな」

それに加えるように「一番反応が楽しいのは霊夢だが」と言っていた。
どおりでよく私のところに来るわけだ。

「あらそう?なんだったら鍛えてあげても「しなくていい!私は今のままで充分だぜ!」」

……そりゃ嫌がるよね。
下手すりゃ途中で投げ出したくなるようなほどきついし。
いやぁ、スペルカードルールがあってよかったわ。

「普通はそうよねー…。なにせきつすぎるんだもの。今時そんなのなんて報われるのってぐらいに」

私がそう呟くように言うと霊華はため息をついた。
うーん、ため息をつかれても、なあ。

「まさかあそこまでして実感してないとは思わなかったわ…。普通ならそろそろ気づいてもいいはずなんだけど」

「…と、いうかまださせてたのか。よく持つな……霊華が」


うん、それはどういうことかな?魔理沙。


「そりゃあね。あんな体たらくでもし、万が一でもあろうものなら…。きっと最悪でしょうし」

「ああ、それって要するにいくら幻想郷でも妖怪とかから身を守れるようにしておけって話だよな。今じゃ本当に万が一って話だろうけど」

「はいはい。そりゃどうも」

そういった後、私は立ち上がりとある場所にでも行こうかと考えた。

「霊夢、あなたねぇ……ってどこへ行くのよ」

「それは秘密よ。ただ山にいる集団に面白いものとか提案してみようかと思って」

「私もついていっていいか?」

「あんたはだーめ。霊華と一緒におかしでもつまんでたら?」

「ケチな奴だぜ。まっ、ちょうどいいから貴重な話でも聞いてるわ」

「あんたにしては珍しい…。まあ、いいわ。行くわね」

「へーい」
「ほどほどにするのよー」


ほどほどってなにを。
それはいい。とりあえず行くか。
……そう、山にある川か滝らへんの河童の元に!



すみません、本文を一部リメイクしました。


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番外編 霊夢たちの甘い甘い二日間

今日がバレンタインデーなので書いてみました。

あとそれなりの人に読まれててビックリしてます。
こんな稚拙な二次創作の小説に付き合ってくださりありがとうございます。

番外編は下からどうぞ。


明日は如月の十四日。
元いた世界でいうのであればバレンタインデー。
幻想郷にチョコレートというものがなければ絶対できないだろう日。
…その日は女子にとって、ある意味戦争に近い特別な日だ。
そう、好意を向けてる男の胃袋を甘味でつかみとるっていう大事な大事なイベント。
忘れることなかれ。そういう日の女性(例外もきっといる)は燃えている…!


「…と、いうことを考えてみたんだけども。どう思う?霊華」

「あのね、あなたが考えてることまでさすがに分からないわよ。そういえば前回の新年を祝った宴会のあと、大丈夫だったの?」


私はゆっくりと顔を横にふった。
いやぁ…お酒が普通に飲める体質だったみたいだからつい調子のっちゃって…。

「いいえ、それがばっちり二日酔いになったわ。…っていうかその間、家事やってくれたじゃない。もう一度母さんって呼ぶわよ。嫌がらせとして」

っていって霊華のことを睨む。
なんかニコニコと笑みを浮かべてるような。気のせいじゃないよね。……よね?

「はいはい、そうだったわね。飲めるからって油断しすぎて二日酔いになっちゃったんだものね」

「言うんじゃないわよ、それを」

「アハハ、それはぁ悪かったわね」

笑いながらいっても説得力ないんだけどな。

「いいわ、もう。私は明日の準備として里へ買い出しに行くから」

半ば拗ねて獣道への方へ向かっていたら霊華がなんかついてきた。
どういうこと?

「に、睨まないでちょうだいな。私も私でその、えーと…ほら、外の世界でやるお祭りもどきとやらの準備をしたいのよ。気になるから」

巫女として仕事を全うしてた分知らないんだろう…と思いたいけど、多分幻想郷にそんな文化はないんだろうね。
そもそもあのチョコを渡すことで有名なバレンタインデーって日本独自の文化らしいし。
で、でもいい文化だと思うよ。うん!


「バレンタインデー、のことね。…分かったわよ。ほら、きて」


そういったら心なしかパッと表情が明るくなったような…。
巫女である以前に実は女性だってことなのかな?
見た感じからして高校生とか大学生っぽいけど。大人びてるし。
まあ、まずは調達だね。あるといいけど…。











しばらくした後、必要なものと足りなくなったものを買った私達は――台所に立っていた。
本格的なものは作れないけど、そういうのなら私も得意だしね。


「さて、まず鍋に水をはって沸かすわよ」

「あら、そう?分かったわ」

霊華がそうしてる間に私はチョコを――細かくする!

「なにしてるのよ、霊夢」

「溶けやすくしてるのよ?あ、ちょっといい?」

「はいはい、今回はあなたの言う通りに作るわ」

…もしかして、俗世的なことを知らないとか?
うん、ありえるだろうね。巫女、博麗の巫女としか呼ばれなかったほどだから。

さて、時間かかるだろうなぁ…。









翌日の大体昼ぐらい。
2個ほど物を置いてから森へ一度向かうことにした。
霊華に不思議がられたけど、あの妖怪たち2人分って説明したら理解してもらえた。
誰のことか分かるのかな。
本人たちにも見つけてもらえないと意味がないんだけどさ。


――コンコンコン
「魔理沙ー、いるー?入るわよー」

といってから入る私。
無言じゃないからセーフセーフ。

「いるけど、急に入るのはどうかと思うぜ」

「普段から神社に入り浸るあんたが言えたことかしら?」

「……どっちもどっちじゃない?」

そう話してたら後ろから入ってきた霊華につっこまれた。
ごもっともかもしれない。

「魔理沙。これ、はい」

近づいてから丸い箱を差し出す。
あ、うん。そりゃ知らないよね。

「ただのチョコよ。ほら、もう1個もあるから」

「あ、ああ。今日はなんかあるのか?」

「外の世界でいうバレンタインデーよ。それで2個用意したのは」

「私の分と…渡したい人に渡せってことか。霊華には渡さなくていいのか?」

「もう作って渡してあるわ。ね?」

「ええ、もらったわね。ケーキ、とやらもあるらしいけども」

お、今度は私の方を見て驚いてる。もしかしてお菓子系作れないとか思ってたのかな?

「意外だな…。あ、じゃあこれ、香霖に渡してもいいのか?」

「ええ、構わないわ。なんだったら一緒にいく?これから行くところなのよ」

「おっ、なら一緒させてもらうぜ」

いいよね?と言わんばかりに霊華の顔を見てみた。
呆れたような顔をされたけど、首を縦にふってくれたので連れていくことに。
いや、ふってなくても一緒にいくんだけどね。

ほら、結局行き先は同じ香霖堂だし。





そういうわけで、3人で香霖堂に到着。
もちろん遠慮なくずけずけと入る。魔理沙と霊華は順番に入ってきたけど。
無理もないだろうけどね、広さ的に。

「いらっしゃ――って珍しい人を連れてくるね、君たち」

「ついでに珍しい物よ、ほら」

そういって早速箱を差し出す。
そのついでに箱を開けて中のチョコを見せつける。

「…霊夢、ついでというのは酷いんじゃなくて?まあ、久しぶりね、霖之助」

「あぁ、久しぶりだね。それで魔理沙も連れてどうしたんだい?」

「外の世界ではね、如月の十四日をバレンタインデーと呼ぶの。そこにあるパーソナルコンピューターが使えたらいいんだけど……ここ、電気しかないから無理ね」

「ああ、それは前に言っていたね。ふむ、それだとそこにいる巫女は連れてこなくてもよかったんじゃないのかい?」

霖之助さんがそういうと何故か霊華がため息をついた。
うん、どうして呆れたような顔をしてるのかな?

「とりあえず、今は霊華って名乗ってるからそれでいいわ。…ま、私が来たのはなんとなくね。どこぞの誰かさんの真似みたいなもんだとでも思えばいいわ」

さりげなく酷いことを言われた気がするよ、私。

「そうかい。それで魔理沙。君は?」

「私もこれ、香霖にやるために来た。それだけだぜ」

そういってさっき渡した2個目の箱を差し出した。
おお、魔理沙にも恥ずかしがることがあるんだね。

まさか、移動中のあの『バレンタインデーは基本的に恋人にあげることが多いのよね』って教えたのが響いてるのかな?


「そうかい。まあ、受けとるよ」

そういって私達の分を受け取ってくれた。
いやぁ、よかったよかった。受け取りはしてくれるのね。




んで、そのあとは霊華についての話があったんだけどー…もう途中から蘊蓄(うんちく)の話が始まって魔理沙が退屈そうだった。
もちろん昔話に近い話が最初で、どんどん物への話に。
最終的には今の話やら道具の話やら。
参ったなあ。


「霊夢、あの2人も案外話すんだな」

「そうみたいね…魔理沙」

という会話が私達の交わしたその日の最後の言葉だったと思う。

――でも、魔理沙に料理について聞かれたのはなんでだろう?
不思議だなぁ。

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第21話 神社に訪れる(?)巫女

適当なノリで書いたこの小説がたくさんの人に読まれるとは思いませんでした。
累計とはいえ、私にとって凄く嬉しいです。

このような稚拙な小説に付き合ってくださりありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。


下からが本編になっております。


それからしばらくしたとある日。
河童の河城にとりたちに試作してもらったとある物をつけながら守矢神社へと向かっている。


バレないようにこっそりと…。
こっそり、と…。

「……そこのダンボール。それ以上は駄目よ。その先には私の永遠に眠り続ける友人がいるんだから」

「あら、そうなの。じゃあ、進むわね。気になるし」

「…ちゃんと聞いてた?っていうかその声、麓で巫女やってる霊夢よね」


そう言われたので仕方なくそれから出てたたむ。
懐に入れられる小さなサイズになるよう頼んだおかげで物凄く便利。


「ええ、麓の方にいる私よ。実は最近河城にとりと色々話しててね。提案したり作ったり…。その過程で生まれたただの試作よ。だからなんとなく使ってやろうと思ってね」

「ああ、そう。その感じからして他にもある、と?」

「ええ、あるわよ。お守りとかそういう奴の無人販売機とか」


結構現代的だけどね。
見てくれは自動販売機宜しくだけど、お金を入れてボタンを押すとそのボタンの上にある商品と同じものが落ちるって機械。
お守り各種に破魔矢を売るにはちょうどよさそうだし、河童のにとりたちの興味を引くような話だったから絶賛制作中。
場所も考え中。


「か、かなり現代的ね…。どこでその知識を得たのか気になるけども、そんなことよりこの先には通させないわよ?」

「……」

無言でそのまま歩き出した。
もちろん懐に入れられるダンボールを取り出しつつ広げはじめて。


「ってちょっと!?私の話聞いてるの!?」


ああ、うん。ちゃんと聞いてる聞いてる。
だから通るね。この先にどうやら守矢神社のなにかがあるみたいだし。
私としてはそのなにかって奴、すんごく気になるんだよね。多分あの分社(魔理沙曰くお地蔵ぐらいのものを入れるサイズ)からたまに感じる違和感の鍵を握ってそうだし。



サラダバー。…じゃなかった、さらばだー。










その状態のまま、先に進むと誰かがいるみたいで人影が見えた。
「……やっぱり神奈子の友人って神様以外にいないからあれは…」

「へぇ、誰が友達ですって?私の神社を勝手に幻想郷に送り込んでおいてよくもまぁ、そんな事を言えたもんだ。あんな女、敵よ敵」

さすがに河童製のダンボール(防水、防弾幕)から出るか。
んで、たたんで…と。
お?名前が出てきた。『洩矢諏訪子』か。

「あら、神奈子の神社じゃなかったのね。てっきり私は神奈子のだとばかり」

「あーうー。まあ、前は私の神社だったんだけどねぇ」


え、なにその過去形。


「へぇ…だった、なのね」

「昔、神奈子に敗れてからはあいつの神社ね。仕方がない。でもまあ、神社は自由にさせてくれるし私への信仰も増えたしまあ、感謝はして無くもないけど。それより何よ。そう言う貴方は麓の巫女でしょ?…さっきまでおかしな物かぶってたけど」

「敵と言うわりにはなんか仲良さそうね。ま、なら別に平気そうね。…んで、そうだけども?なんも用がないならもう帰るけども」

多分私の知りたかったことは知れただろうしね。
いや、単純になんか神奈子だけのものじゃないよなーってなんとなく気になっただけだし。

「何言ってるのよ。早苗とも神奈子とも遊んだんでしょ?私だけ無視して巫女が務まるとでも思ってるの?」

「遊んだ?その2人と私、なんかしたかしら」

…したことと言えば弾幕ごっこだよ?それ以外は話し合いとー…宴会?

「もう!巫女なら知っておくこと!『お祭り』は別名『神遊び』と言って神様が人間と遊ぶ事なの!」

「へぇー、そうだったの。…つまり、前に早苗や神奈子と戦って話し合いに持ち込んだつもりのあれは」

「そう、ただの神遊び。つまりお祭り。だから今日は私の弾幕祭りの番よ!」





えぇー…そうだったんだ。
んにしても弾幕祭りって言う辺り、大分馴染んでない?

っとそう考えてる場合じゃない。避けなきゃ。





――開宴「二拝二拍一拝」

スペルカード名が地味に神社に参拝いった時のお参り方って…。
んまぁ、それはいいとして簡単に言えば弾幕ごっこで遊べって話だよね。
それならまだ大丈夫。いける。


でも、避けるのは大変だね。うん。
次の弾幕は…なんとかなる、かな?






――土着神「手長足長さま」

こ、これはこれで厄介だな。
霊撃なしでいけるかちょっと心配だな。
いやまあ、どうにかするんだけどさ。



それで、次はー…。んー、霊撃なしでいけるかな?
どうなんだろ…。こう、弾幕をある程度見てくると最初より避けつつ攻撃するってことがやりやすくなってくるからなぁ。
あの永かった夜のときとは体感が大違いだよ。


あ、そうこうしてたら今の弾幕終わってた。



――神具「洩矢の鉄の輪」

お?これは…こっち狙い?…じゃないね。いた場所?
って危ない。まさか、輪になってる弾から外れてくるものがあるなんて…。厄介だね。







っと次のは分かりやすいね。
ちょっとはやい感じがするけど、単純なのは助かる。


――源符「厭い川の翡翠」

なるほど、川ねぇ…。

川って言うからもっと川っぽい弾幕かと思ってたら、想像と違う弾幕だった。
あ、もしかしてこれって翡翠(ひすい)の方?
いや、まさかね…。
っとある程度避けたら…ここだっ。






次の弾幕はなんか避けたことあるような。
まあ、なんとかなるでしょ。



――蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」

こ、これまた厄介そうな…。
よく見ると弾がはじけるタイプみたいだし。
これはいざとなったら霊撃かなー?





次のは大体似たのをさっき避けたから大丈夫だったけど。


――土着神「七つの石と七つの木」


七つ…あの例の魔法使いか虹しか浮かばないな。
っと案外避けるのが面倒な…っ!

いざとなったら霊撃しなきゃなぁ…。







――土着神「ケロちゃん風雨に負けず」

あ、ある意味弾幕の雨だ…。
ってちょっと待って。本当に弾幕の雨になってる。
凄く濃いんですけど…。気合い避けにもほどがあるでしょ。
まあ、隙間をうまくぬえば避けられないことはないんだろうけどね?きっついわー…。





って次のは早いし、こっち狙いなのか迫ってくる。
これで遊びとかちょっと。もう少し楽しいものがいいなあ。
避けられる隙があるからまだいいんだけどさ。



――土着神「宝永四年の赤蛙」

うん、もしかしてこれ…さっきのより大変だったりしない?

あ、でも誘導はできそう。ちょっと避けたあとのせいで手遅れ気味だろうけど。持ち直せるかな。
いや、持ち直さないといけない。被弾する的な意味で危なくなってきてるし。
霊夢はこういうのを避けてきたのかな。

そうだとしたら今は分かる。
なにが、とは言えないけどね。




――「諏訪大戦 ~ 土着神話 vs 中央神話」

あれ?大丈夫そうじゃない?
――そう思って少し様子見したら大変な目にあった。
次がまだ遅いとはいえ、下からは避けやすいんだけどそれが崩れてこっちに迫ってくるし、違うのも来るしと濃さはなくても案外きついものがある。

なんかありそうだからせめてその前には倒したいな…。





結構きつかったけど、ごり押しすればなんとかいくもんだね。
……被弾すれすれだったけど。

――祟符「ミシャグジさま」

うん、これで最後だといいな。
そう思ったら交差する弾幕だった。
さ、最後…だとしたらなにかに似た弾幕だね。
もしかして避けれたりする?






「あはははは。強いじゃない。大昔に一国を築いたこの私が、麓の巫女に負けるとは」

「やったの、祭りじゃなくて弾幕ごっこだけどもね?」

「だから、お祭りとは神様が遊ぶ事。日常感覚を離れた晴れの日の事よ。だから弾幕ごっこでもいいの」

「へぇ、そうなの。でも、弾幕ごっこは大分日常的よ?」

「そうかな。それにしてもこれだけ強い人間が居るのなら、幻想郷に住むのも悪くはないわね」

「あらやだ。もしかして余計な世話でもかいたかしら」

と大袈裟に言ってみた。
そのせいで棒読み気味なのはキニシナイ。

「元々住み込む事に決めてたから。そうだ、貴方の神社でもお祭りを始めればいいんじゃないの?そうすればきっと人も集まるよ。そういうのが嫌いな人はあんまりいないだろうからね」

神輿(みこし)とかそういうの、なかったんだけどなぁ。
んー…。あ、もしかして、縁日のことでも言ってるのかな?

「なるほどね。縁日でも良さそうね。…もっとも、そういうので集まるとは思えないけど」

「ほら、そんな嫌そうな顔しない。集まるってば。縁日もそうだけど、日にちを決めて例大祭とかでもやれば良いのよ」

「それも確かによさそうね」

「あと貴方の神社の参拝客が増えなかったり、神奈子が変な事をしていたら、私に相談してね」

「はいは……いや、あんたじゃなくてもいいわよね」

「神奈子が持っている神徳も信仰心も殆どが、私の力なんだから」

「あら、そうなの?」

「私は実務。神奈子は営業。ま、そんな所かしら?」

「なんか神様の方も世知辛いのねぇ…」

「仕方ないわ。それより、さっきのダンボールはなんだったの?」

ああ、もしかしてあの河童製のダンボールのことかな。

「あれはにとり特製のダンボールよ。何故か防水防弾幕なの」

あれ、なんでそんな不思議そうな顔をするの?
あ、もしかしてたためるサイズが違いすぎるって話かな。

「なら、なんでそれを使わないの?フェアじゃないからとか…はその様子からしてないようだし。そもそも貴方達がそこまで考えるかはともかくして」

「なんか酷いことを言われたような気がするけども、フェアとかフェアじゃないとかじゃないのよ。…防弾幕は私が放つ弾幕にも適応されてね。だからあれに入ってると弾幕ごっこすら成り立たないの。だから神遊びじゃないんだとしても使えないのよ」

「なんで不便なものを作ったのよ。それの方が不思議でならないね」

うん、それはごもっもとだね。
でも仕方ないね。その場のノリで出来ちゃった試作だから。
これ多分、二度と日の目を浴びないんじゃないかな。
高床式倉庫に入れっぱなしになるだろうし。


「諏訪子様ー…ってあれ?霊夢さんじゃないですか」

私を見るなり驚く早苗。
うん、新鮮だね。

「あー、早苗」

「ん?どうかしたの、早苗」

「お昼が出来たので呼びに来ました。霊夢さんもどうですか?」

「あら、悪いわね。なら折角だし、いただこうかしら」


そのあと、早苗とは色々話をした。
ついでに幻想郷は外の世界とちがって常識に囚われなくていいことを教えてみた。
あとは諏訪子とか神奈子がいるし、大丈夫でしょ。

さて、帰るか。お礼も言って。



すみません、本文を一部変更させていただきました。


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第22話 死神って運ぶ担当だとしてもあれだね

色々とやってみました。

多分この話、長くなりそうですね。


では下から本編です。


……その少しした後。目覚めて上体を起こしたら目の前に小町がいた。
これは二度寝するべきだろうか。それとも気のせいだとして目の前で着替えるべきだろうか。

「ジッと見たところでなにもでないさね。と、いうかなにもしないよ」

「へぇ、死神がここにきてよく言うわ。…ま、鎌を持ってない辺り本当にそうなんでしょうけど」

ややこしいこと、この上ない。
そうでなくたって人間には寿命とやらがあるんだから。
――勘弁してほしい。

「ああ、なんだ。寝起きだったのね。そりゃ目付きがちょっと悪いわけだ。半目で睨まれる理由が分かったよ」

「んで、どういう用件よ。あんたの上司の映季は平気なわけ?お得意の説教されても知らないわよ」

一応心当たりがないわけじゃないんだけどね。
でも、どうしてもあの時のサボってる様子の方が強くて…。し、仕方ないね。

「今回はちゃんと許可をもらってきてるわよ。そこまで考えなしじゃないさね。んで、前回の話は覚えてるね?」

「あら、意外。てっきりあんたはサボマイスタやってる者だとばかり」

「なんだいその言い方。変わってるわね」

さすがに半目で見てくるか。
うんまぁ、それ以上分からないのは仕方ないね。

「ええ、かなりね。それで、前の話っていうことはおごる…って話かしら?」

「お礼だよ、お礼。さすがにそれを忘れるあたいじゃなくってね」

なるほど。
サボり癖が目立つけど、そういうのは厚いんだね。

「それはどうも。…でもやっぱり、渡し舟の死神と知っててもなんかおっかないわね」

「そいつをニヤけながら言わなければよかったんだけどね。…私じゃなくても言われるだろうけど」

「べ、別に言わなくてもいいじゃないの!ほら、とりあえず私着替えるから…!」

と無理やり部屋から押し出した。見られても困る訳じゃないけど、なんとなくね。
別に死神だからってわけじゃないよ?









着替えたあと、そこのふすまをあけたら律儀に小町が待っていた。
ただのサボマイスタじゃなかったみたい。

「お待たせ。んで、お礼とはなによ」

「これさね。たいしたもんじゃなくて悪いけど」
そういって差し出してきたのはちょっとした箱。

「たいしたもんじゃない…ってなによ、それ」

「開ければ分かるよ。どうだい?気になるでしょ」

なんじゃそりゃ。

「はいはい、どうも」
といいつつ受け取って綺麗に包装を外して開けてみたら手鏡が入っていた。

「……そんな面倒くさそうな顔をしなくてもそいつは普通の手鏡さね。心配する必要はないわ」

「あー、そりゃどうも。ありがたく受け取っておくわ」

「本当は食べ物にしようと思ったんだけどね、お前さんも食べれそうなもんがあっちになくてさ」

「むしろ手鏡でいいわ。下手なものよりありがたいもの」

そういったら驚かれた。
欲がないとかって言ったら怒るよ?

「今の巫女が珍しい。…それはそうと、私の本命はそっちじゃないんだ」

うん…?なにか他にあるのかな。そう思って黙ってジッと見てみた。

「それはだね、先代の巫女のことなんだ。本来いるはずのない人間がいる。それがおかしくてね」

「あら、そうなの?」

「そうなんだよ。んで、問題なのは彼女も巻き込まれた側だってことよ。四季様が見ても元凶は分からなかったそうだし」

ああ、なるほど。つまりこうだ。
霊華はいつもの通り妖怪退治かなにかでもしていたんだろう。その最中に誰かの手によって今の幻想郷にきた。
でも、そうすると私を巻き込む余地がないんじゃないかと思う。
……って待って。

「彼女も?それってもう1人いることにならない?」

「さすが霊夢。確かにその通り、もう1人いるらしい。正確にはもう2人だろうけどね」

…本物の霊夢のことか?

「でも私や四季様はまだ分かってはいないのよ。それが誰なのか。…それだけだよ。そんなに気にしなくても大丈夫だろうけど、頭の片隅にでも入れておいて損はないと思うよ」

「それはどうもね。多分入れておくと思うわ」

そう答えるといきなり消えた。
幻想郷のことだ。多分能力だろうけど…なんか移動に便利そうだなあ。










それから境内に出て分社の方にきてみた。
まだ少ないけど、参拝客が増えてある意味嬉しい。
でもうちの神社のも信仰してもらえるのかな。そこが心配になってくる。

「そこでなにしてるの?霊夢」

「守矢神社の分社を見てるだけよ。ついでの掃除はあとでするつもり」

そういってから振り返ってみたらそこには霊華がいた。
…さっきまで修行でもしてたのか汗かいてる。なんか所々汚れてるし。

「そうなのね。んで、ちょっと修行してたら下級妖怪に会っちゃったわ」

「…そんな軽いノリで言われても困るわよ。んで?怪我は?」

「もちろんしてな――って半目で見なくてもいいじゃない。つれないわねぇ」

場合を考えてほしい。
下級妖怪はスペルカードルールが理解できず普通にこちらを見たら襲ってくる。
強いて襲われないものと言えば同じ妖怪か強い巫女。
多分この幻想郷で考えれば私か霊華か魔理沙ぐらいじゃないかな。
あ、種族魔法使いはなんとかなると思ってるからなしで。


「…あと無言で背中を向けるのもやめてちょうだい。あ、それはそうと」

「なによ。どうかしたの?」

「あ、いいえ。気のせいだと思うのだけれども、ずっと晴れてるような気がするのよ」

「ずっと?それは――」

ない、と言おうと思ったけど、そういや最近変わってないね。
前に曇って以来ずっと晴れだね。
たまにそよ風があるぐらいでそれ以外は…。

「…ずっと晴れね。ちょっと魔理沙んとこ行ってみるわ」

「これまたおかしなとこね。そこじゃなくてもっと近そうな場所から探した方が効率がいいと思うのだけれども。元凶も倒せるでしょうし」

「……でもあんた、スペルカードルールで戦える?」

といって睨んだら苦笑いされた。
まだ霊華は弾幕を張る練習中だから無理もないんだけどね。

「とりあえず、見に行けばずっと晴れっぱなしかどうかが分かるしどうなってるか分かるからいいの。じゃあ、行ってくるから」

「その“遊び”とやらは本当、大変ね。でもその分、本気で挑んでも平気になったのは今の幻想郷のいいところね。…ま、いってらっしゃいな。私も私で現代に馴染まなきゃいけないから」

な、なんか先代も大分変わったね。
前の様子は知らないけど、どんどん性格が柔らかくなってきてるし。…それでも修行をサボった時のあの顔はものすごく怖いけど。
うん、いい傾向だね。はやく霊華にも馴染んでもらわなきゃ。


「……霊夢?」

んでもって今回は。今回こそは名前を覚えてもらおうね。
スペルカードルールがあるから実力主義の世界じゃなくなったけど、今の方が前より気をはらずに済むだろうから楽だろうしね。


「聞いてるの?霊夢」

「……なによ、うるさいわね」

そういって半身だけ振り返ったら驚かれた。
いやいや、驚く要素なかったよね?

「だい――いえ。悪いけど、寝てちょうだい」

寝てちょうだい?そんな無茶な…。
そう思うやいなや首辺りになにかされたことを感じた。
な、なにを…。

「……悪いわね」


さいごにそれだけが、みみにとどいた。



一部だけ手直ししました。目立たないとは思うので気にしない方面で…いいですかね?


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第23話 異常気象と状態異常

全体を通してここまで読まれるとは思いませんでした。

多数ある東方projectの二次創作からこの作品を適当にでも読んでくださっている読者の方へ。
そういう感じで読んだりしてくれればヒャッハイと喜びながら次の話を書いてると思うのでどうかこの稚拙な小説に最後までお付き合いしてくださると励みになります。多分。




下からが本編になっております。


『それにしても本当、おかしな話だよね』

「そうね、おかしな話ね。悪夢再来って感じで」

『………』

あれ、黙った。いつもこう、私の精神に来るような言葉ばかり言ってきた者が。

『……へぇ、面白い。何故自らが成り代わってるのか分からぬまま、ただ生きているかと思えば…』

あ、もしかして出鼻でもくじいた?

『今回は特になにもしない。(きょう)がさめたからね』

そう言われて私は、目覚めた。





「……なんだったのかしら、今日のは」

なんか凄く複雑。
それになんか外から凄く日差しが…。
さすが夏だよなー。


「…話しかけれるとは思わなかったわ」

「誰によ」

うわっ!?ビックリした。

「い、いつからいたのよ!」

「いつって…最初からよ?あなたが目を覚まして上体を起こすまで見てたんだけども……ああ、ちょっと待ってちょうだい。そんなに距離をとらないで」







「んで、晴れてるわね。今日も」

昼食を食べてからの私の一言はそれだった。

あのあと、とりあえず霊華の方に近づいて理由を聞いた私は驚きの一言しかなかった。
どうやらあの時、単純に私が霊華を睨んでいただけらしいけど…なんか言い方が意味ありげだった。
聞こうとするも上手くごまかされて結局聞けなかった。

「そうね、今日も晴れてるわね」


「おー、2人共。巫女が揃いに揃ってなにしてるんだ?」

と空から降りてきたのは…ってこの口調だと魔理沙しかいないか。

「最近晴れてて大変なのよ。それが梅雨の時も」

「え?私のところはずっと雨が降っててじめじめしてるんだけど…。どうなってるんだ?」

「それはこっちが聞きたいわよ。でも、変ね…」

と話してると上から冷たいものが。
なんだっけ、こう濡れるのは…
「あら、雨が降ってきたわね…」

「ええ、気持ちいいわね」

「…霊夢?」

あえて聞こえなかったふりをして、空をあおぎつつ目を閉じる。
んー、霧雨はたまりませんのぅ。

「…相当暑かったんだな、霊夢。でもさっきの一言から察するのは難しいと思うぜ?主に先代が」

「さすが魔理沙。理解がはやいわね」

「お前との付き合いは霊華より深いって自負があるからな」

おお、凄い得意げな表情をしてる。
確かに間違ってはないんだろうけどさ。それをこっちに向けて親指をたてるのはどうかと。
本人そこにいるよー?

「へぇ、言ったわね?人間の魔法使い」

「ああ、言ったさ。先代の巫女よりは今の霊夢のことを知ってる自信はあると」

あー、うん。なんか弾幕ごっこでもしそう。
霊華も弾幕以外なら多少はできるようになったらしいし。

「そりゃあるぜ。な?霊夢」

えっ?

「あら、そういったら私はあなたより毎日一緒にいるけれど。ね?霊夢」

ちょっ。


「そこんとこ、どうなんだ?」
「そこのところ、どうなのよ」


「……それはいいから中にはいらない?強くなってきたし」

あれ、顔を見合わせた?
あ、こっち見て頷いてきた。よかったよかった。
続きは中でね?








にしても今度は雨がやまないって…。異常気象にもほどがあるでしょ。
―――まさか、異変?

「お?どうした霊夢。なにか分かったのか?」

「とりあえずあんたと霊華が私のことになると弾幕ごっこをしそうになることは分かったわ」

「それは今関係ないだろ?」

「ええ、もちろん本題はそっちじゃないわ。この天気について、よ。雨が振りだしたのはあんたが来てから、だからおかしいのよね。異変…と言いたいけども、天気以外の異常はなにも起きてないから面倒なのよね…」

「へぇ、そうなのか。言いたいことは分かった。でも最後ので台無しだな」

ハハハと笑ったら霊華から睨まれた。
無言の威圧はやめてね。怖いから。

「んなら私が行こうか?」

「駄目よ。まだなにも起きてないんだから。家にいればいいわ」

「それの方が駄目な気がするけども…うーん、最近の異変は全然分からないわね」

そもそも私からすれば霊華の時に異変があったのかどうかすら分からないんだけどね?
まあ、なきゃお金に困ってるだろうけど。

「ま、半日だけ休憩させてもらうぜ」

「だからって勝手にせんべいとか食べないでちょうだい」

「違うのか?てっきり大丈夫だと思ったんだが」

いや、流れで出した私もそうなんだけどさ。
まさか無言で食べ始めるとは思わなかったよ。

「はいはい、自由にして。……で、なんで霊華は笑ったのよ」

そう聞くとまたふふ、と笑った。笑うところでもあったかな。

ただ…それよりも気になるのは私が見るようになった悪夢の方なんだよね。
それに気絶させられた時も見たし。…大分あっさりしてたけど。
なにか関係でもあるのかな…。


「あ、そういや霊夢。最近体調は大丈夫か?」

「んー?」

「だから、体調だよ体調」

「問題ないわよ。強いて言えば…」

「なによ。私の顔を見てもなにも…って待って。なんでさりげなくラストワード、とやらを持ってるのよ。ってちょっと見せて?」

「いいわよ?別に」

そういって絵柄も見えるようにちゃぶ台の霊華側にぃ…シュー!超エキサイティン!

「お前、心の中で遊んでるだろ」

「なんのことかしら」

「……。んで、夢想天生って言うのはあなたが考えたの?」

なんで半目で見てきたの?
しかも呆れてる?

「いーえ?私じゃないわよ」

「じゃあ…」

「私だぜ」

魔理沙はそういうと「だって名前をつけて遊びにしないと勝ち目がないからな」と説明するように言った。
因みに本当にやろうとしたら止められた。そんなにえげつないかな。

「なるほどね…。スペルカードルールは奥が深いわねぇ。なかった頃とは大違いだわ。ほんと、無駄な遊びにしては楽ねぇ」

感心したように頷いてる。
そりゃよかった。
大変だろうけど、そうやって馴染んでるのなら大丈夫かな。

「無駄な遊びだからこそいいんじゃないか。霊華もやればきっとハマるんじゃないか?」

「そうね。せっかく現代に来たのだし、ルールに従ってみるのも面白そうだわ」




「ええ、今のあんたにはとてもとてもお似合いよ。まるでどこぞの誰かに飼い慣らされている猛獣みたいなあんたにはね」

そう言ってやったらまさかこっち向いてくるとは思わなかった。
でも、間違ってはいないんだよねー。最初の頃はこうじゃなかったんだから。

「きゅ、急にどうしたのよ。そんなことを言うなんて…」

「例えよ、例え。もしかして本気にしたと言うのかしら?」

おっと、睨んできたか。怖い怖い。
なにをされるかたまったもんじゃないね。
……ま、そこまでじゃなさそうだけど。フフ。

「ま、存分に今を楽しんだら?」

「…霊夢、一体どうしたんだ?さっきから先代の巫女にきつくあたって」

やっぱり魔理沙は人間らしいよね。
でもそれが悲劇の引き金を引くかもしれないということを知らないのかな?フフッ。

「いいえ、なんでもないわ。ただ冗談を言ったまでのことよ」

「そ、そうか…?」

ああ、その強張った笑み。可愛いわね。
でも、そろそろこの子も持たないかしら。つまらないわね。

「えぇ…。でも、あんた達との会話もこれまで。時間切れよ。それじゃ、またね」










起きた時、霊華には物凄い形相で睨まれてて、魔理沙はなにか不思議なものを見たみたいな複雑そうな表情をしていた。
―――さっきまで一体、なにがあったの?



すみません、本文を一部リメイクしました。


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第24話 はくれいじんじゃ は たおれてしまった!

あえてふざけてみました。
…サブタイトルのことですよ?

にしても多くの人に読まれてて内心ビックリです。
なにがあったんでしょう(震え声)


…い、一応下から本編となっております。


一体、なにがあったのか。
そう思うほど霊華と魔理沙の反応がおかしい。

「ど、どうしたのよ…2人共」

「…!?お前…霊夢だよな?」

驚いたあと、すぐに声をかかけてくれた。
霊華は……駄目か。なんか敵意を向けられててまだ話せそうにないや。

「ええ…そう、だけども」

「…ひ、ひとまず先に聞いてもいいか?」

そんなに不安そうな顔で見なくたって…。

「ええ、いいわよ」

「さっきまで自分がなにはなしたのかって覚えてるのか?」

さっきって言われても…。
最後に覚えてるの、スペルカードルールがどうこうって話だったような…。

「…いいえ、途中から記憶にないわね」

「そうか…。じゃあ、さっきのはお前じゃないんだな」

ため息つかれ…いや、安心してくれたの、かな…。どうなんだろう。

「ねえ、霊夢。あなた、いつから悪夢を見るようになったか覚えてる?」

「え?…確か、永夜異変を解決した後からだった気がするわね。それが一体どうしたっていうのよ」

しかもまだその顔のままだから若干怖いし。
大丈夫なのかなぁ。




あ、なんか目の前で魔理沙と話し出した。
ボソボソと話してるから聞き取りづらいとは言え…。本人を前にしてそうされるとなんかへこむね。

「…もし、なにかあったらすぐに言うのよ。私か魔理沙に、ね。事情はもう軽く話してあるわ」

「……そう」

私にはだんまりか。
本当、なにが起きてるんだろうな。
というか事情って…。

「ま、とりあえず魔理沙。今日のところは解散としましょうか」

「ああ、そうだな。…またな、霊夢」

「…ええ、またね」

ということで一旦皆別れることに。









その数日後。なんでこうなった。
霊華は昨晩、今日の昼まで帰ってこないと言ってたから無事ですんだんだろうけど…。うっそぉー…。
神社全壊じゃない。

「…!?」

ってなんとなく振り向いて里を見たらなんとも起きてなさそうだし!
これが朝とは言え、なんだろう…。
とりあえず叫びたい。私の家だったのに……せっかく信仰してみたと言うのに……!というか家財が…!

「なんでうちの神社だけこうなるのよー!」

「なに膝をつけて叫んでるんだ?あれ以来ずっと雨降りで洗濯物すら―――あれ、お前の神社はどうしたんだ?」

「…地震が起きて、ね。あぁ…我が家がぁ…」

「……す、凄く辛そうなとこ悪いが、地震なんてこれっぽっちも感じなかったぞ?」

「ノー!」

「おい、お前そこ地面…。まあ、いいや。そこの地面に額つけてる巫女」

なんですかい。
今、神社が倒壊して悲しいっちゅうのに。

「わざとらしく悲しそうな顔を向けるのはどうかと思うぜ」

「おっと、これは失礼したわ。…ってまた雨…。……あら?」

あ、なんかそばにきた。

「ん?なんかあったのか?」

「ええ。昨日は久しぶりの霧雨だったからそっちに気がいってたけども、雲の色…」

「…あっ、本当だな。雲の色がおかしい」

同じように見上げたのかな。
まあ、これは話が早い。

「魔理沙、ちょっと留守番お願いね」

「あっ、ちょっ!……全く、出来ればこっちの身を考えてほしいぜ」

雨宿りもできなさそうだもんね。ごめんね。そして頑張れ。









あの魔理沙からして、まず魔法の森は白だろうね。
アリスのところは―――どうなってるのかな。
ちょっと寄り道。


「うーん、今のところなにもないわね」

「森に来ておいてその言葉はどうなのかしら」

「おっと、これは失礼したわ。…ところで最近天気がおかしいとかないかしら?」

そう聞いてみたら納得したような顔をされた。解せぬ。

「いえ、だから珍しく森に入ってきたと思ったところよ。そうね、ここのところ雹が降ってきていてね」

「詳しく教えなさいよ、それは。でも、雹?雹だって?雹なんて―――」

そう話してたら、雹が降ってきた。当たるとなんか痛い。
んで、肝心の空模様は…緋色か。


「そんな風に空を見てたら怪我をするわよ?…でもやっぱり異変を解決しようとしてるのね。はやくしないと神社を破壊されちゃうわよ?」

「とっくに破壊されたわ。…でも、それを知らないなんてあんたは白なのね」

「あら、そうだったの。それよりその白っていうのが凄く気になるけど」

多分どっかの説教好きな人のでもうつったんだろうね。
やれやれ、困っちゃうなあ。

「どこに行ってもじめじめしてるなんて嫌ねぇ」

「あら、いつぞやのサボマイスタじゃないの」

「サボマイスタって…。ま、いいわ。ただ仕事の合間に散歩していたらお前さん達が話しているのが見えて気になって見にきただけさ」

へえ、そうなんだ。

「なるほどね。んで、あんたは…川霧?」

「うん?それがどうしたのかい?」

「いえ。この天気ってなんかによって変わるのかなぁって考えてみただけよ」

「長話するなら別の場所でしたら?私、そろそろ家の中に入りたいんだけども」

「それもそうね」








と、いうわけで三途の川付近に来ました。
そういや、霊華も晴れだったなぁ。私が近くにいたから分からなかっただけなのかもしれないけど。

「なんか不思議ねぇ。私の周りだけ晴れてるなんて」

「そこに気がついているというのにそれ以外は分からないのかい?」

「それ以外?もしかしてこの天気とかと関係あるの?」

「私はそうだと思ってるわね。それぞれの気質からその人の周りだけに起きる、と。どうかな。間違ってはないでしょ?」

…確かに。
小町が言ってる通り、博麗神社は常に晴れ、森なんかは雨が降ってたり雹が降ってたりと天候がバラついてる。
これで普通、なんて幻想郷でも言えないよ。


「なるほどね。貴重な情報ありがとう。ならそれが集まってる場所に向かえばよさそうね」

「ま、私は戻るから」

はいはい、ご勝手に。
それじゃあ…行きますか。山へ。



少し本文を修正しました。


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第25話 じんじゃ は たおれてしまった!めのまえがまっくらになった

続いているので似たようなサブタイトルにしました。
ふざけていますが、反省も後悔もしてません。
ノリって、凄いね。


では、下からが本編となっております。
…それにしてもお気に入りが40件ぐらいあるのは見間違いでしょうか(震え声)


登山はしてないけど、山に到着。
いや、そもそも空を飛んでるんだから登山もへったくれもないか。

「こんな風が強い日に山へ来るなんて死ぬ気なの?」

「風どころか雨もついてるじゃないの。おかげで若干痛いわ」

「最近の山はこうよ。そんなのに危険を承知できたのかしら」

「んなの知らないわよ。緋色の雲が山の上に見えるから来ただけ。というかそんな風になってるの、あんたの周りだけよ?」

「あやや、そうだったの。でも、そういうわりには影響を受けまくってるわね、貴方。新聞の記事にできそうだわ」

新聞紙の記事に…って勘弁願いたいわ。うーん、先手をうった方がいいのかな。

「しなくていいわよ、そんなの。んじゃ、行くから」

といってさっさか横を通りすぎた。
風雨の中はそれなりに歩きづらかったけど、そんなことより我が家を倒壊してくれたお礼をしないと。

なんか後ろから「あら、久々に晴れたわね…」と聞こえた気がしたけど、あえて流すことに。
最近ずっとああだったんだろうね。








あれ?なんかついに私の周りすら晴れなくなった。
元凶をこらしめに来ただけなんだけどなぁ。

「おや?天狗ではない。河童でもない。幽霊でもない。人間だなんて……山の上まで人間が来るなんて珍しいですわ」

「そういうあんたは何者よ。雷雨の中を泳いできた辺り、只者ではないようだけど」

「それりゃ……この雲は私達が泳ぐ雲ですもの。私達は、ある異変を伝えるためだけに空を泳ぐ龍宮の使い。そして、緋色の霧は気質の霧。緋色に染まる空は異常の前触れ。そして、空に緋色の雲が見えるとき、大地は大きく揺れるでしょう。私達はそれを伝えに泳ぐのです」

っと、今名前が出てきた。
永江衣玖、ね。オーケーオーケー。

「ねぇ、それって地震のことよね?だったらもう起きたわよ。しかも局所的に」

「え?地震がもう起きたですって?それならおかしいですわねぇ」

「そうよ、起きたわよ。おかげさまで神社が倒壊して困ってるんだからね」

おかげさまで直るまで寝床がないんですけど。
いや、完璧にない訳じゃないんだろうけどさ。

「いつも地震があったら、この雲も収まる筈なんですけど……もしかして、あの方の仕業なのかしら。困ったものですわねぇ」

「私も私で困るわ。予言ができるんなら先に教えてちょうだいよ。なにもできずじまいだったじゃない」

「神社を襲ったその地震は、きっと試し打ちです。本当の悲劇はこれから始まりますわ」

「うちの神社だけに試し打ちってこれまた酷い話ね」

「貴方は地震の恐ろしさを既に味わった。なら今すぐ戻って防災の準備をしたらどうですか?」

「確かに準備は必要かもしれないけど、今回のような人為的なものは元凶を退治した方が手っ取り早い防災なのよ!」










まあ、今回はちょっと戦い方が違ったね。
格闘で戦いながら弾幕を放つなんて。でも、これも弾幕ごっこってなるから凄いよね。
無駄だけどいいルール。あって困らないから助かるわ。

「よし、勝ったわ。じゃあ、そのお方とやらに会って倒さないとね」

「では、そのまま雲の上へお進みくださいまし。きっとかなり大変でしょうけどね」

「それはどうも」

……気のせいか口元が緩んだような。
んー、私の見間違いかな?
とりあえず先に進も。









うん、凄いとこにでた。
なんだろう。とりあえず綺麗としか言えない。
それで…ここであってるんだっけ?
「空に座して大地を制し、大地にして要を除き」

ん?誰かな。
ええと、比那名居天子?

「人の奥に隠れた緋色の心を映し出せ」

「なるほど。つまりあんたが原因ね」

「貴方が異変解決の専門家でしょ。待ってたわ」

「そりゃあんなことされて、黙っている私じゃないもの」

「異変解決ごっこは、何も妖怪相手じゃなくても良いんでしょう?私は天界に住む比那名居の人。ここでの生活は毎日、歌、歌、酒、踊り、歌の繰り返し。天界(ここ)は本当にのんびりしていてね」

「なによそれ。自慢?」

「自慢なんかじゃないわ。退屈なのよ!凄く!だから、暇だし、なんとなく貴方が地上で色々な妖怪相手に遊んでいるのを観察しちゃったわ」

「あれは遊んでいたわけじゃないんだけど」

「でも私からすれば遊びよ、遊び。それで思ったの。私も異変解決ごっこがしたいって。だから起こしちゃった、異変」

「そんな簡単に起こされても…。そのせいで神社が壊れちゃったじゃない。名も知らぬ神様も住んでる神社だったのに」

「あれは単なる試し打ちよ。本番はこれから起こす予定なの。因みにこの緋想の剣は人の気質を丸裸にする剣なのよ。これで、緋色の霧を集めて……集まった天の気が大地を揺るがすの。さらに私の足下にある要石も動かせば幻想郷全域の大地を揺るがすほどのものを起こせるわね」

「その地震を起こさせないよう、あんたを倒させてもらうわよ!ついでに倒壊した神社の修理もやってもらうから!」

「うふふ。そうそう、その意気よ!私だって、いつまでも退屈な天界暮らしをしていたくはないわ。それも今日でおしまい。空の天気も、地の安定も、人の気質も私の掌の上だもの。でも、数多の妖怪を退治してきた貴方の天気!見せて貰うわよ!」




その後、なんか地面があがったりさがったりするところがあった。やりづらかったけど、やってみるもんだね。
その後は「全人類の緋想天」とか使われたけど、なんか凄かった。






その日のうちに建て直してもらえたのでよかった。
んでも……

「だからなんでうちだけ倒壊するのよー!」

「大変だな、お前んとこ」

「2度も!2度もよ!?こんなことって…」

「……なんかここに先代がいなくてよかったと思う私がいるぜ」

「…えっ?そ、そういうものかしら」

「ああ。というか、お前冷静になるの早いな」

そこは一回りして冷静になったと言ってほしい。
いやぁ…なんでだろ。





ちなみにその後、紫が鬼の萃香とかに頼んで神社を再度建て直してもらった。
なにげに再現度が高かったんだけど…なに?写真みたいなのでもあったの?
まあ、別に困らないんだけどさ。元通りになるんだから。








あれから少しして、霊華に呼ばれた。

「なによ。どうかしたの?」

「ちょっと見ててほしいのよ」

そういうと「夢想天生」って宣言したと思うと全身が赤く染まった。
え、なにそれ。

「結構身軽になっていいわよ、これ。前より格闘しやすくなったわ」

「なに?私は約三倍のはやさが出てるって言えばいいのかしら?」

「…な、なにを言ってるのよあなたは。とにかく下級妖怪よりはやく動ければいいの」

かなり雑でした。
いや、分からなくもないんだけどさ。
…霊華、もう大丈夫そうだな。よかった。



一部本文を訂正しました。


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第26話 囚われのもの

今回からオリジナル設定がいきてきます。
いやぁ、遅かったですね!(他人事)

色々起こっていきます。
では、下からが本編となっておりますので。ごゆるりと…。


…最近、悪夢を見ると分かる。
これが夢なんだと。

『夢と言うのは浅いときに見るもの。気絶と睡眠は違うもの、というのは分かるね?ま、外の世界である程度知識などをたくわえているはずの貴方なら本来は分かるだろうけどね』

なるほど。だからあの時、あっさり身を引いたんだね。
そもそもあれは寝たわけじゃないしね。

『なんだ、分かるんだ。そうだよ。普通に考えれば当たり前でしょう?そうでなければ私と貴方は会話などできないからね。でも、もう遅い。貴方は既に私の手のひらの上で踊るしかない』

否定されない上にそうきたか…。

『ふふっ。ところでそろそろその失われた記憶の方にも疑問を覚えてほしいわね。ポジティブに考えたところで現実はなにも変わらないのだから』

という言葉を最後に目を覚ました。
んでもってまた夜。どうしたものかなぁ…。
二度寝するのもあれだし…。







『ところでいつまで現実から逃げるのかな?』




『思い出そうとしても思い出すことのできない記憶。そこから目をそらしていることに気づいている?…その記憶が自分のものでないと理解はしていると言うのに?』




『しかも、どうしてこうなったのか分からない。だから貴方には今残るその記憶がつけられたかどうかと聞かれても肯定も否定もできないはず。違う?』




『さて、ここまで来た貴方は何者なんだろうね?博麗の巫女?それとも外来人?……あっ、ごめんごめん。前の名前すら分からなかったんだったね。アッハハハ』












「―――む!………いむ!………霊夢!」

「……どうしたのよ。そんなに大声で叫びながら揺すらなくても起きてるわ」

「寝てたわよ、あなた。それにしたってどうしたの?朝起こしにきてみればうなされてたじゃないの」

あぁ…なんだ。そういうことだったのか。

「…別に、なんでもないわ。ちょっと湯浴みしてくるわ」

「ちょっと待ちなさい。あなた―――」



なにか言っていたけど、無視して風呂場へ向かった。
1人か2人が入れるだろうって広さだけど、ないよりはいい。
…とりあえず入って忘れよう。










湯浴みした後、居間に向かうと霊華がいた。

朝餉(あさげ)、食べる?」

なんで若干遠慮がちなのかな。
気のせいだと思いたいけど。

「…ええ、少しいただくわ」


今日の朝食はお互い、無言で食べた。いつもなら言葉の一つぐらい交わしてたような気がするんだけどな。なんでだろう。


食べた後、なんとなく縁側に座ってみた。
因みに飲み物も持ってきたけど、お茶じゃなくて白湯にした。
それにしても今朝のは一体なんだったんだろう。と、いうか最近はああいう感じの夢ばかり見ている。
いい加減に辛い。


『辛い?…そう、辛いのならこっちへおいで』

「…へ?誰よ、あんた」

『私が誰だっていいでしょ。私は貴方を助けてあげたいだけだよ。辛そうだから、ね』

なにを言ってるんだか…。

『それにどこぞの誰かさんにも解決できないようだからね。解決できるかもしれない私が手伝えば大分変わると思うんだけど…どうかな?』

「……。分かったわよ」

仕方なく白湯とかを置いて言われるがままの場所へいって―――ナニカされた?でも一体なにを…。








「お、おーい。霊華ー。いるかー?」

「なによ、どうしたの?」


これは…2人の声?
ああ、でもどっちがどっちなんて…。


…ま、いいか…。


「なんか凄いのを感じないか?」

「なによ、その凄いのって。感じ…いえ、とんでもないわね」

「だろだろー?それをさ、霊夢にも教えた方がいいんじゃないか?あいつだって危ないぜ万が一強いのだと―――」

「ねぇ、なにを教えてくれるというのかしら?」

「なっ!?」

「フフ、そんなに驚くことかしら…。ねぇ、そこの人」

あらあら。警戒心丸出し。
まるで野良猫や野良犬みたいね。それとも飼いはじめの子?

「そりゃいきなり出てきたら驚くだろ!?」

「あら、それは悪かったわ―――ねっ!」

あぁ…先代はさといわね
おしい人だわ。

「危なかったわね、魔理沙」

「危ないってあれはれい「惜しいわ。ほんとに惜しいわね。あんたのような逸材をこの手でやってしまうのは」」

「……なっ!?ど、どういうことだ!?」

「どういうことでもないわよ?」

フフ。魔理沙って子のあの顔。
とことん普通の人間ね。良くも悪くも、だけど。

「いきなり攻撃しておいてよくもまぁ、そんなことが言えるわね」

「そういう意味で言ったわけじゃないのだけれども。別にいいわ。もう関係なくなるから」

「それって―――」

「―――!?」

まさか避けられるとは思わなかったわ。
むしろそうでなきゃつまらないけどもね?

「お、おい!霊夢待てよ!なんで…なんで攻撃してくるんだよ!わけが分からないぜ!」

「理由なんて、ないわ。強いて言えばあんたが知り合いだから、かしら」



(……え、手伝うって……嘘だったの?)


「そんな理由…!」

「……っ。もっと警戒しておくべきだったわ。あなたに会ったあの時から」


「フフッ、それはもう遅いことよ!」













―――。


見えていた。全部。
魔理沙にいきなり回し蹴りしようとするところから封魔針などを武器にして傷つけるところまで。

「…なんでこんなことになったのよ、なんで…」

誰かが死んだわけじゃない。そう思いたいけど、けど…なんで地面に血が落ちてるんだろう。
…でも、これを作ったのは私。

――じゃあ、この血は一体誰のものなの?

『あなたは落ちるほど怪我はしてないわ。それは魔理沙と先代の巫女のもの。…あとは分かるわね?』

「あぁ…そういうことなの…。…そう…」



理解できた私は叫んだ。











なんだ、他愛もない。あの子は異常に明るかっただけに過ぎないというなんて。
さて、誰の偽者を作ろうかしら。
私はもうほぼ完璧。万が一倒せるとしてもこの幻想郷にはいない。だって諦めてるんだもの。

「さぁて…これからなにをして楽しもうかしら。ウフフ…アハハハ…」

さあ、これからが異変の始まりよ。どんな風にしてやろうかしら。
凄く楽しみ。



「じゃあ、まずは…あそこからね」
と言って思わず口元が緩む。
あぁ…ようやくやれるのね。とり憑いていてよかったわ。
でなきゃあの子にもっと早くから警戒されていたでしょうから。
さて、あそこになにをしようかな。



すみません、一部本文をリメイクさせていただきました。


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第27話 内に潜む闇だった者は企む

後から読み返してみたらきっと黒歴史なんだろうな…と思いつつ今日も話を進めていきます(遠い目)

多分いつもより短めです。
誰だ、悪側の心理書きつつけてるのは!……あ、私か。

恐らく次回、長文になるのを覚悟で解決編書くかもしれません。

なので出来ればこちらもあわせて読んでもらえるとありがたいです。


紅魔館。
湖のそばに建っているあの赤い洋館のことをそう呼んでる人がいたわね。
誰だったかな。霊夢?それとも魔理沙?

まあ、私にとってはどうでもいいことだけれども。
そこのはメイドをしている人間とあの悪魔の妹でよさそうだね。



魔法の森。
この博麗神社からはそう遠くない場所にある土地。よく森って呼ばれてるね。

あそこは人形を使う方の魔法使いだけでよさそうね。魔理沙なんて子の方は向かないだろうからね。


人間の里。
よく里って呼ばれているようだけど…そこは不老不死でいいね。半獣も相手にするのは苦労しそうだし、よさそう。

それ以外は―――












さて、これで一通り。
準備は整った。あとは向かわせるだけ。
さっそくむかわせt…

「そこの貴方、待ちなさい。霊夢を乗っ取ってなにをするつもりか答えてもらいましょうか」

あぁ…この背後から聞こえるこの声は。
厄介なのに目をつけられたものね。

「乗っ取った?失礼ね、あんた。私は私。乗っ取られてなんかいないわよ」

「…じゃあ、さっきの能力について説明してもらいましょうか」

「さっきの?まるで私がしたと言わんばかりね、紫」

あらあら。怖いわ。
そんな敵意むき出しに睨まれたら。
ま、その隙に色々なところに行かせたからいいか。

「…貴方以外に誰もいないのによく言うわ。むしろそうしたのは貴方のはずよ」

半分、振り返ってみたら凄い顔をしたスキマ妖怪が。
ほんっと怖いわねぇ。

「あら、そうだったかしら。まるでさっきまで見ていたって感じね」

「なるほど。そこまで察しがいいというのに気がつかないのね」

なにが言いたいのかしら。
結局この幻想郷は終わると言うのに。

「貴方はまだ完全じゃない。そのうちに貴方から博麗の巫女をかえさせてもらうわ!」

「ふんっ。そう言っていられるのも今のうちよ!」












影を向かわせたのはいいけど、あのスキマ妖怪がこんなにもはやく来るなんて予想外だったわね。
でも戦っている間ずっと舐めてるのかスペルカードばかり使ってきたけども、なんのつもりだったのかしら。
痛みもなければ肉体になにか傷ができるわけでもない。
なにがしたかったの?

ま、おかげさまで凄く有利だったんだけどもね。
…感触についてはなんとも言えなかったけども。
まあ、これで邪魔者はいないわね。
強いて言えば止めをさせなかったのはとても残念だけれども、この際仕方がないわね。

「さて、私はどうしようかしら。参ったことに完璧じゃなく、不完全なのは間違いないわ。だからあんまり迂闊(うかつ)に動けないのよね…」


黒幕を探すフリをしつつ、動いてみるのもありね。
そうすればしらみつぶしに動いてても違和感ないでしょ。

―――あ、そうだわ。
なんだったら私の影を用意して…。フフ、万が一も大丈夫そうね。
さて、あの影達はどうなってる頃かしら。









(これはある意味、見せつけられているのだろうか。
私はもうなにも見たくないのに。

紅魔館。
たった二体の影に苦戦する6人の姿。
なにをしたらあそこまでボロボロになるのだろう。

それ以外もあるけど、里が一番酷かった。
住民こそは無事だけど、もうあれ人質だよね。
妹紅と慧音は影一体によって傷だらけ。
防戦になる一方だし。


……魔理沙と霊華は無事かな。
魔理沙の方が一番不安だけど)

「へえ、まだ誰かを心配する余裕があるの。面白いわね。己が何者かよりそっちが大事なのね」

(そりゃあ知りたいよ。
元々の名前とか。それ以外の記憶だってあやふやだから。
……でも、心配はしたいさ。せっかく幻想郷(ここ)に馴染めてきたんだから)

「ふん、たかが知れてるわね。さっき自分で傷つけたばかりでしょう?なにを見ていたのやら」


(………っ!)

っとようやく黙ったわね。
それはともかく目的を達成させないと。……まずはあの巫女ね。
今では霊華だと名乗ってるそうだけど…今度こそ倒させてもらう。この手でしっかりと。


それさえ終わればあとはなんだって出来る。
なにせ完全に戻れるのだから。
そのためには計画でも練らないとね…。フフフ。



一部本文をリメイクさせていただきました。


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番外編 霊夢に返ってきたのは友情でした

ボケに走る番外編。

日常で楽しんでる彼女たちをまたもや書きました。
短めかもしれませんが、興味のある方はどうぞ。


今日は弥生の十四日。
外の世界でいうホワイトデーなんだけど…この幻想郷でホワイトデーとかありなのかな。

「ねぇ、どう思う?」

「これまた突然ね。なんのことだか分からないし、どうとも答えられないわ」

偶然来ている人にも聞いてみるかな。

「早苗は?」

「分かりませんよ。ってまずなんのことを聞いてるんですか!?」

ふむ、そりゃそうなるか。
魔理沙とかその他例外を除いて質問内容が分からないと答えられない。
当たり前のことなのについやっちゃうなあ。

「真っ白な日について、よ?」

「ホワイトデーって言ってくださいよ、霊夢さん。…でも、そういうのって幻想郷(ここ)でやる行事なんですか?」

「いいえ。むしろない行事よ?だからこそやるの」

「突拍子もないですね…。あ、ちゃんと分社も掃除してるんですね」

「え?軽くよ。よく見たら分かるわ」

そういうと早苗が分社に近づいて…。あ、分かったみたい。

「掃除道具借りますね」

というと道具などが入った場所へまっすぐ…


「ねぇ、霊華。場所でも教えた?」

「えっ?そんなの知らないわよ。妖怪退治とかしてたりするんだから」

あなたがしてたのか。道理でそういう妖怪退治の依頼が私に来ないわけだ。
でも、じゃあ誰が教えたんだろう。

「私だぜ」

「…!魔理沙」

声に気づいて振り返ってみたら笑顔の魔理沙。
多分今さっき飛んできたな。

「あんたねぇ。ま、いいわ。今日についてどう思う?」

「えーっと、弥生の十四日についてか?一応なんの日かは知らないけど、クッキー持ってきたぜ」
というと懐から透明な小袋に入ったクッキーが見えて…

「……大丈夫なの?食べれるわよね?」

「そんな心配そうな顔をしなくてもいいだろ?」

「なら魔理沙。あなたは蒐集家と聞いたけども、そういうのは入れてないのよね?」

あっ、魔理沙が驚いた。うんうん、出し抜いた感があっていいね。
因みに情報源は私。


「っと、そんなに睨まないでちょうだい。入ってないことは分かったから」

「おっ、霊夢は物分かりがいいな。ほれ」

投げる必要なくない!?
あ、でも美味しそうだね。

「意外ね…。あんたが料理できたなんて知らなかったわ」

「べ、別にいいだろ?料理できても」

あれ?なんで霊華がニヤニヤしてるの?
ど、どったの?



「いつか霊夢さんもちゃんと分社掃除してくださ―――あれ、魔理沙さんも来たんですか?」

「ついさっき、な。用事があって軽く来た感じだぜ」

「…それと霊夢さんの持ってるクッキーって」

まあ、そうなるよね。

「関係あるわよ。チョコを渡したお礼みたいだけど」

「霊夢、それだと私にあげたって勘違いされるぜ。もっとこう、違う言い方をしてほしいな」


どんな言い方をすればいいのやら。
素直に言うのはとりあえずなしとして。その方が面白いし。


「これで更に人が増えたら面白いわよね」

「まさか。来るわけ――」






話していたら、咲夜と共にレミリアがきた。
なんだこの神社。

「あら、えらい人気ね。霊夢っていつからこんな人気者になったのかしら」

「咲夜の方を見ながら言われても困るんだけども」

「別に理由もなくきたわけじゃないのよ?お嬢様、そうですよね」

「ええ。霊夢、貴方にあげるものがあってきたの」

「レミリアって白い日とか知ってたかしら」

「…なによ、その白い日って」

えっと…だからってそこまで睨まんでもいいんじゃない?



「ああ、ホワイトデーのことらしいぜ。なにをするかは分からないが、ばれんたいでー?に関係してるのは間違いないと思うぜ」

「あれ、魔理沙さんは知らないんですか?」

「そういうお前は知ってるのか?」

「はい、知ってますよ」

「へえ…。それをこの私にも分かるように説明してもらえるか?」









早苗がホワイトデーについて説明している間、霊華には噛み砕いて教えておいた。
雑とか言わない。

そのついでにお茶会もいいかなって思ったから茶菓子を軽く作ってみた。
魔理沙からもらったクッキーは私と霊華で味わおうかな?


…にしても今の博麗神社って人間なの私と霊華を除いて魔理沙と早苗と咲夜だけなんだよな。

早苗は現人神だとか言わない。
最終的に同じ人間だって証明されてるし。

ま、レミリアにもお茶を出そうかな。なにも言われなかったらそのまんまにしてさ。
言われても紅茶とかは出せないんだけどね。




「さ、お待たせ。今日はせっかくだからお茶会でもしましょ?」

その一言で、それぞれ思い思いの相手と会話を始めた。
クッキーとお茶の組み合わせはなんとも言えないけど、それでも手作りのクッキーは凄く美味しかった。
ありがとね、魔理沙。

というかお茶会の始めかたはあんなんでいいのか。
なんかもう、なにもつっこむまい。



少し本文を追加・リメイクさせていただきました。


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第27.5話 色々あったけど、私は元気です

つ、次の話からは通常運転になります。というか通り越してわちゃわちゃするかと。

では、ごゆっくり。

※追記:今さらですが、この話は霧雨魔理沙視点となっております。ナンバリングが27.5話なのは博麗霊夢(憑依)とは別の視点なためです。


いっつつつ…。一体いきなりどうしたって言うんだ?あいつは。
霊華って奴もいきなり敵意をあいつに向けるし…。おかしいぜ、こんなの。


…いや、そうでもないか?
冷静に考えりゃおかしなことだ。

むしろ最初から疑問を持つべきだったんだ、私は。
多分、あいつは霊夢であって霊夢じゃない。
もうここまで来ればわかる。これは異変なんだと。
今の霊夢が前の霊夢と違うことぐらい、私はすぐ気づいてやれただろうに多分、私は目をそらしてたんだろうな。





しっかし…どうしたもんか。
いつものあいつなら『面倒なことになるなら解決する』とでも言いそうだが。

「まずは怪我を治すことが最優先だよなぁ。待ってくれそうにないから面倒だぜ」

まあ、考えていてもしょうがない。
まだ安全そうな永遠亭に行って情報でも聞くか?
本当は先代の巫女に聞いた方がはやいんだろうけどな。
黒幕が誰か知ってる感じだったし。
先に会うのは多分厳しい…ってかどこに逃げたんだろうな。さっき散り散りに走ったせいで全然分からないぜ。











ひとまず永遠亭に…行こうとしたら何故か妹紅の奴がいた。
まだ竹林の前にすらついてないんだぞ?

「おー、妹紅。どうしたんだ?」

「いや、そういうお前こそ、怪我してるじゃないか。どうしたんだ?」

おっと。そりゃ聞かれるよな。

「どうやら霊華がきた異変の元凶が霊夢をのっとてるみたいなんだ。多分そんときのだな」

「……元凶?待て待て、その言い方だと今のあいつは前に会ったあの巫女じゃないんだな?」

険しい顔だな。
いや、無理もないだろうが。
…多分戻せると思うんだ。あいつがまだいればの話だが。そもそも霊夢みたいな感じの人格じゃない。
耐えていられるか…?…いや、そうじゃない。どんな霊夢でも信じてやらないとな。


「…魔理沙?」

「……あっ、ああ。悪かったな。そうだぜ、今のあいつはあいつじゃない。だからこそまだ被害にあっていないであろうお前に協力をあおぎたいんだが…いいか?」

「仕方ないな…。ただ里の方を見ておきたい。先に行ってもらってもいいか?」

慧音のことでも気になるのかね。それか住民か…。
ま、とにかくどっちでもいいか。

「分かったぜ。あの後どうなったか見てないし、もうなにが起きてもおかしくないもんな」

「ああ。それよりも軽い手当てぐらいはしてからいくぞ」

「へーい」


やってもらうと分かるんだが…案外うまいんだな。
誰かに何回かやってきたのかね。それとも自分にでもしたのか。
いや、聞きはしないけどな。














そんあと、手当てが終わってから空を飛びつつ里へ向かうと凄いことになっていた。
あろうことか、慧音が慧音そっくり…なのだが、なんか違う奴と戦っているから不思議だと思った。
もうなにか起きているのか?

「妹紅、あそこに助っ人に行けるか!?」

「魔理沙に言われなくても入るつもりだよ!」




そりゃそうか。仲いいみたいだし。…感じにくいが。

「慧音!大丈夫か?」

「……!も、妹紅!?それにお前は魔理沙か!」

『へぇ、お前達、その本物もどきに手を貸すのか?…。やれやれ、お前達も落ちたものだな』


「妹紅、多分あっちが偽者だろうな」

「ああ、だな。慧音、一緒に戦うぞ」

「2人共…。すまない、恩にきる」

そう話してるとなんか苛立ったような表情になりやがった。
あんなんじゃ自分が偽者だって言っているようなもんだぜ。
もう少し誤魔化せないのかね。


「とりあえずあいつを倒してから話を進めるとするか?」

「ああ、そうだな。…いけそうか?慧音」

「多分な。ただほとんどをお前達に任せてしまうかもしれないが…頼んだぞ」

私と妹紅はそれぞれ返事を返してその慧音そっくりの影と戦うはめになったったってわけだ。
いや、今そうなってるんだから言い方が違うか。









苦戦したものの、倒すことはできた。
しっかし、あいつと違って普通に弾幕が通るんだな。
弱体化でもしてるのか?
いや、それ以前に残してった言葉が気になる。
『…せいぜいあがくことだな』って一体どういうことなんだ?
諦めるな、とでも言いたかったのか?そうとしか受けとれんぞ、あれ。





「手間をかけさせたね、妹紅達には」

「いや、そんなことはないさ。な、魔理沙?」

「あ、ああ。そんなことはないぜ。…それより、おかしいとは思わないか?」

「「……?」」


おう。まさかあいつら揃って顔を見合わせるとは思っても見なかったぜ。
ああ、でもそれが普通か?…なにせスペルカードが効かなかったあいつを見てないから。

「実はだな、霊夢が何者かに乗っ取られてるんだ。多分憑依かなんかしてたんだろうな。ほらあいつ、巫女だし」

「そういうと新しく山にきたあの巫女も危ないということになるが…」

「それはないだろうな。狙われる危険性はあってもわざわざ憑依しになんていかないだろうさ。なにせあいつだからな」

「それはどういうことだ?」

「……慧音は里にいることが多いから察しがつくだろうと思ったんだが、難しいか?」

ま、顔を見合わせるよな。



「霊夢と違って現人神だから、とは言わないよな?」

「多分ありえるだろうな。あときたのも最近のようだ。……しかし」


ん?なにか話すのをためらうようなことでもあるのか?
ここはハッキリ聞いておかないとな。


「慧音、まさか他になにかあるとか言わないよな」

「ああ、それが言うんだよ。……霊夢だけ、歴史が増えている、というべきか。1人の歴史にしては矛盾しているように感じたんだ」

「多分あの巫女…中は霊夢じゃない。全くの別人のはずだぜ。私は誰か知らないが、そっちが乗っ取られてる可能性がある…とかありそうだな」

ん?どうしたんだ、2人共。そんなに驚いて…。



「お、おいおい。分かってたんなら先にどうにかしてもよかったんじゃ―――」

「まあな。だけどな、案外あいつと付き合ってると楽しいんだぜ?見てて飽きない。……それに助けてやりたいのは私のワガママだしな」

「…そ、そうか」

「そこまで言うなら手伝うぞ。私にはあの肝試しの時のお返しをしてやらなきゃならんからな」

根にでも持ってるのか?こいつは。
と、いうか私も行きたかったぜ。そんな楽しいのに1人で行ったのか?
あとで聞いてやろう。









あれから私を含めた3人で回ってみたんだが、被害がそれなりに出ていた。
もはや異変ってレベルですむのか?
まあ、そこらも苦戦を強いられつつも倒したんだが。
ほとんどが『―――せいぜいあがくんだな』って捨て台詞だったのは凄く気になるな。


「……それで?勝機はありそうなの?」

「可能性としては。ただ前提としてあの霊夢さんを表に呼び出す必要があるのが難点ですが」

「それは問題ないぜ。私か霊華でどうにかすりゃあいいんだからな。な?先代の巫女」

「それはそうなんだけども、先代の巫女は呼び名じゃないのよ」

そう呆れたように言わなくてもいいだろうに。酷いな。
まあ、むしろ紅魔館に来てくれただけですごいのか?
面子的にはとんでもないが。妖怪も洒落にならない気がする。

まずレミリアだろ?その悪魔の妹ことフランドールに咲夜、美鈴、小悪魔、パチュリー。1人はよくぞまぁ、出てきたな。
魔導書について言ってこない辺り、今回の出来事はやっぱり大きいんだな。

他の場所からは慧音、妹紅、早苗、諏訪子、神奈子、妖夢、アリスが来ている。
それ以外はいないが、それでもすごいんじゃないか?
ああ、もちろん影に襲われていた奴らもきてる。

「にしてもあれ、影というわりにはドッペルゲンガーが近いわね。それも自分こそが本物と信じて疑わないタイプの。珍しいわね」

「…そのわりには抜け穴がありすぎて偽者だと分かりやすすぎだと思うんだが、そこんとこどうなんだ?」

「聞いた限りじゃそこが問題なのよね。騙すつもりならしっかり作るでしょうし。…そこで私はそれを撹乱が目的だと踏んだわ」

「そこまではパチュリー様の意見であってるのだけども、そこでおかしな点をあげておくわね。こっちには出向いてないけど…霊夢の影までいるのよ。ああ、それについては安全圏から雇っている妖精たちに確認させたので間違いないわ」

「そ、それって…!」

あぁ、間違いないだろうな。
下手すりゃどっちかに霊夢がいる。あいつじゃなくて霊夢が。
面倒なこって。

「そこでやることは決まっているわ。あの手間をかけさせてくれた紅白巫女を叩き起こして異変を解決させる。異論はないわね?……あぁ、フラン。今回、貴方は壊すことを心配しなくていいわ。ただ壊す相手を間違えないこと。それが出来れば地下ではないしっかりした部屋を咲夜に用意してもらうつもりだから」

「……!お、お嬢様、ですが「これは決定事項よ。嫌だと言うのならばあの異変以来むやみやたらに破壊しまくらなくなった我が妹へのテストだとでも思いなさい。部屋はその褒美よ」」

「……相変わらず我が儘」

「ふん。好きに言うがいいわ」

「それはいいけど、ここで兄弟喧嘩はやめてくれないか?」

こっちからしたら苦笑いしかない。
もうすぐ元凶と戦うってのに呆れるぜ。

「それもそうね」

「ええ、私まで疲れちゃうわ」


「とりあえず、やることは―――」


と咲夜がまとめて話してくれた。
さすがメイド長だ。伊達にこいつらの相手をしてないな。たしなめるのもうまかったぜ。
あと説明も分かりやすかったな。おかげですることがすぐに飲み込めた。











んで、結果だが助けられた。もちろんあの今まで戦った奴以上に苦戦させられたが。
それで気絶から目覚めた霊夢はある程度記憶が戻ったらしい。
だと言うのにこの幻想郷へ来たときとあんまり変わらないっていうことになにか言ってやるべきだったか?本名もまだ思い出せないとかも言ってたからな。
余計に反応がしづらいぜ。



ま、そんなことより一番本人が驚いていたことがひとつあったけどな。

あの霊夢、元の世界に二度と戻れないんだとさ。あいつも大変なこった。



一部本文をリメイクさせていただきました。
タイトルもほんの少し修正しました。


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第28話 そうです、私が霊夢です(投げやり)

大分立ち位置が分かる回かと。

……誰のとは言いませんが、ね。


では、下から本編になってます。


元の世界に戻れないことを知った。でもその肝心の教えてくれた紫は、といえば…

「今の霊夢じゃなきゃ嫌よ!」

「真顔で言うのやめてくれないかしら。…と、いうか急にどうしたのよ。うるさいわね」

あっ、藍が橙の目と耳を隠してる。そりゃそうだよなぁ。
紫が真顔で私の方を見て言ってるんだし。
っというかさ、さすがに人前はやめない?
それに紫は大妖怪じゃ…



「なぁあれ、酒でも回ったんじゃないか?」

(あれ)がすぐに酔うとは思えないんだけども」

「それもそうだな」

小声で話してきたのはいいけど、最初から分かってるんかい。
あ、凄く今さらだけど宴会中。
本当は未成年……だったはずの私も今回は遠慮なくお酒を飲んでいる。
あっ、良い子も悪い子も飲酒は二十歳からね!

「どこ向いてるんだ?霊夢」

「あらぬ方向よ」

「よく分かんないぜ」

苦笑いされた。
別にいいでしょ?どこ向いたって。

「…でも、なんか凄い人数ですね。途中から萃香さんも来てとんでもないことになってますし」

えっ?萃香?なにいってんの、ここにはえーと…。確か…。




あ、あれ?1人増えてる?
いつの間に来たんだろう。

「ま、いいわ。本題に戻りたいし」

「そう言いつつ酒を飲む巫女は誰なんだ?」

「さて、誰でしょう。………それにしてもやっぱり熟成させた酒の方もまた美味しいわね」

お前な、という呆れた視線を食らった。
いやだって、もうここまできたというのに戻った記憶は重要なところ以外全て。せめて私を私らしめる部分がほしかった。
―――いや、自身が人間だと確信できた辺り凄く嬉しかったけど。

ま、それだけですんだんならいいんだけど、まさかの名前だけ思い出せないときた。
挙げ句のはてに二度と元の世界には帰れないときた。
理由?簡単だよ。
博麗霊夢の能力を誰に説明されないまま、使用したこと。
多分使い方なんて普通は分からないとかって言うんだろうね。
ほとんど紫に説明されたものだから、推測にすぎないけどこれであってるのだろうか。


因みに(ある程度)記憶が戻った今。ためわらずに飲めると知ってなにもしないほど、私は飲んべえになっていない!
……うん、なんか違う気がするけど。

「……あぁ、貴方のことね。ええ、本来貴方はあの幻想郷にとってイレギュラーな異変を解決したあと、帰れるはずだったのよ。でも無理なのは先刻教えた通りよ」

な、なんかいきなり冷静になった!?紫って演技でもしたことあるの?
それを尻目に飲む私も私だけど。
うん。これ以上飲むと明日二日酔いになりそうだなー。
あ、ちょうどいい。私も酔ったふりをするか。

「でもでもー?私が能力を平然と使えるのはおかしいって(あんた)が言ったんじゃないのー。それで考えられるのは私が霊夢そのものだからって言ったじゃなーい」

棒読み感はんぱないけど、大丈夫かな?
あ、やっぱりバレた。『フリか?』って魔理沙に聞かれたし。あと早苗にも。
演技下手ってか。悪かったね!


…あ、すごーく今さらなんだけど、宴会の面子と近くにいる人の名前だけあげるかな。思い出すってのも兼ねてさ。
どうやら来たのは少数らしいね。ええと、『魔理沙、早苗、諏訪子、神奈子、紫』だね。
んでいつの間にか萃香もいたと。
神様2人と萃香は離れて飲んでるよ。かなりの酒豪なのか空き瓶がいくつも…。
誰が片付けるのか知ってるのかな?

早苗?あぁ、酒に弱いみたいだから私のそば。魔理沙もいるけど、今んとこ平気みたい。
私?…大分飲んだ。いやぁ、伊達に酒豪(しゅごう)になったわけじゃないんだなー。
…ただ早苗、小声で魔理沙に「いきなり霊夢さんが遠くを見るような目になったんですけど、飲みすぎですかね」とか言わない。
まあ、それは別にいいんだけど、それに対する魔理沙の「違うと思うぜ。精神がいきなり年老いたんだ」は失礼だと思うよ。
後々こってりとお仕置きついでに遊んでやろうかしら。

もちろん弾幕ごっこで、だけど。



「……あっ!霊夢さん、一ついいですか?」

「ん?なにかしら。魂レベルで博麗の巫女になったって言うことならもう受け入れたわよ?」

「最初はそれを聞いて呆然としていた奴がよく言うぜ」

さりげなく言うんじゃない!

「あー、いえ。そっちじゃないです。……分社の方も綺麗に掃除してもらえないかなー、って思いまして」

「し、してるわよ?」

「そうですね。それはたまに来てるので確認してます。ただ!」

「お、おおっ?」
「な、なによ…」

え、もしかして遠くから見て綺麗にしていればいいだろって目論見がバレた?
で、でも分かってくれるよね?こんなだだっ広い境内にその分社も掃除しなきゃいけないんだから、少しぐらい手抜きしたって…。


「もっとしっかり掃除してください!たまーにしっかり見るとほこりとか残ってるんですからね!細かいところもやらないと駄目ですよ!」

「…ただでさえ境内は広いと言うのに…」

「それでも、ですよ。私だって自分の神社に加えて分社もやってるんですからね」

うっ…。す、少しぐらい手を抜いたって許されるよね?

「そんな顔をしたって駄目です。そういうのってあんまりよくないんですよ?………しないよりはマシですけど」

「えっ?なんか言ったかしら?」

「なんでもありません」

うーん。小声過ぎて聞き取れなかったから、気になるんだけどな。
っていうかそんな若干怒ったような顔されたって…

「ははっ、お前のその顔もなかなか面白いな!」

「魔理沙!他人事(ひとごと)だからって失礼よ!」

「自分で他人事っていうのか」

え?そんなに笑う?

「あ、確かにそれは新しいですね。他人事なのに失礼って…」

早苗まで!?
ってかあなたは本人でしょうが!
はぁ…やれやれ。どうしたものか。


「楽しんでるとこ悪いけど、霊夢。今後貴方はこの幻想郷で博麗霊夢として生きること。私は今のところそれ以上は求めないわ。ただそれより―――先代の巫女があんまり表に出ないようにしてちょうだい。先代の対応より今の貴方の対応の方がまだいいものだから」

「「?」」

よく分からん。
左右にいる魔理沙と早苗を見たら早苗だけ不思議そうにしてるし。
魔理沙はどうしたの?顔、なんか青いよ。

「いや、問題ないわよ?…ちょーっと厳しいだけで、色々と教えてくれたし」

「これは……前の霊夢よりひどい楽天家ね」

「ちょっとやそっとじゃないな」

扱いの酷さが悪化してきたんですが。

「それほど凄い変化ってことですね。さすが幻想郷だわ!」

早苗ー!それはなんか違うー!
と言うかこの子、天然?天然混じりなのかな!?

「ま、それだけよ。霊夢、先代と同じようになれとは言わないけども頑張りなさい」

「はいはい。まあ、私も本格的に活動しなきゃどっかの誰かに笑われるだろうから頑張るわよ」

「ま、その様子なら博麗の巫女は貴方のままで平気そうね。……冗談よ。そんなに怪訝そうに私を見なくてもいいじゃない」

あんたがそう言うと本当にやりかねなくて怖いんだよ。
幻想郷第一に考えていたはずの妖怪でもあるっぽいし。
……でもさ、飲み始めてからずっと挙動不審ですんごい周りを見てるんだよね。
今回霊華は宴会に参加しないって、伝えたのに。

ま、いいか。

「ところで早苗、お酒も飲んでみない?少しなら案外飲めたり…」

「え、ええ!?…わ、悪くないかもしれないですけど…」

「ふふっ。駄目よ、早苗。飲みたくないなら飲みたくないで断らないと。本当、そこからどうにかしないと絡み酒されて大変な思いするのは早苗よ~?」

「それを酔っている霊夢さんに言われるとなんか説得力があるような…ないような…」

ハハッ、デスヨネー。
ほろ酔い通り越して思いっきり酔ってますもんね。
まだ普通に話せてるから酷くは酔ってない……いや、口数が増えてるから相当か。
……あ、苦笑いされた。なに?
もしかして口に出てた?
そうだとしたら恥ずかしい…。

「な、なによ…」

「いいえ、皆さんと楽しむ宴会はいいなって思っただけですから」

「……?」

き、聞いたことと違う。

「まっ、霊夢。多分お前ならそのうち分かるんじゃないのか?お前のことだしさ」

「なによその投げやり。酷いわ」

…なんて、3人で話してたんだけど、神様2人と鬼1人は凄かったよ。どれだけ飲むんだと。

―――ああ、もちろん。次の日は見事に二日酔いになりました。

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第29話 寺子屋は忙しい

一部他の本文に修正など手を加えました。

ですので、この話より先にそちらを読んでいただけると内容がつながるかと思います。

そして、新しい試みを行ってみました。いかがでしょうか。


二日酔いも治ったし、あれからしばらく時間がたった。
せっかくだし、里に行こうと思った。
理由?…寺子屋の子供たちに会いに、かな。
それと里の様子を見に―――って何事もなかったみたいになってる!?
いやまぁ、そんなに暴れてなかったようだけどさ!


そ、それにおかしいな。
色々と前の異変でやからしたはずなのに、里の人達から怯えられない。
むしろ里の入口で出会う人達ほぼ全員から同情するような感じで見られてるような気がするんだけど!?
なに?私は『同情するなら○○くれ!』って言えばいいの?
絶対(場の空気的に)あわないでしょ、そんなの。それに欲しいのがあったとしても出来れば自力で手にいれたいからねだるなんて嫌だし。




「…そこでなにをしているのかな?」

「そういうあんたこそ、寺子屋はいいのかしら?慧音先生?」

とあえてニヤつきながら聞いたら呆れられた。どういうこと?

「そういう貴方こそ里に……いや、いい。むしろちょうどよかった。そんなことより今、問題があってだな」

「あらやだ、珍しい。私指名だなんて。未解決だった異変より大事なことってなんなのか、気になるわね」

「それはだな。……寺子屋のしょうじに誰かが落書きしている。寺子屋にいる子供たちがしたのかと思って聞いてみても全員違うらしいんだ」

「あら、それでいいの?なら、良い方法があるんだけども、いいかしら?」

「ん?なんだ?」

「……私もその寺子屋で一時的にあんた達の授業に立ち合う、ってとこでどうかしら」

「なるほど。分かるのか?それで」

「いいえ、やってみなきゃ分からないわ」

何故半目で見られるんだろう。
不思議だね。

「顔を横にふったと思ったらそれか…。まあ、いい。協力してくれるのなら助かる。とりあえずこっちだ」

とほぼ一緒についてきてね的なジェスチャーをされたからついてくことに。

それと寺子屋までの短距離で聞いた話がある。…というか、教えてもらった、かな?


まず、あの異変は先代の巫女に私がなにかやらされ続けた、そのストレスが原因だと思われているらしい。

いやいや、ストレスはたまってないから。むしろ恐怖なら植えつけられたかな、うん。
サボるにサボれなかったし。
今はほどほどにしてもらえたけどね。
……っていうか誰か見てたの?

気になったので聞いてみたら『分社の参拝客か誰か里の者が偶然その様子を見てたんじゃないのか?』とのこと。
さすがにそこまで分からないか。

ありえなくもない話だからもうそれ以上は聞かないけど。
あとで霊華にはそこまで酷いことはされてないとかフォローしておくかな。


もう片方はさっきの話の詳細だった。
寺子屋のしょうじに落書きされたのに気づいたのはいつ、だとか皆に聞いても違うだとか。
そんな感じ。


「…んー、誰かのイタズラかなんかじゃないの?」

「だといいんだが…。これじゃまるで怪異みたいであんまりよくないと思ってな」

「なるほど、ね。なら私も見ることだし、大丈夫でしょ。…それで、どこらへんにされることが多いのかしら?」

「あぁ、それはだな……」






そう言われつつ、寺子屋につくなり見せてもらった実物。
うん、なんだろうね、あれ。
なにか書くものでもないのか、と感じるものだったんだけど。
気のせいかな。

うーん、ここは少し様子見てからやってみるかな。
もしかしたらそこまで問題になるようなものじゃないだろうし。…ただ強いて言えば私1人で準備できるかな。
まあ、どうにかするかな。

うーん…。

(そういえば、この紅白巫女は今までの巫女とは違うらしいな。…だからこんなにも協力的なのだろうか。少し気になってしまった)

「ん?なによ、慧音。とりあえず、数日様子見てみるわ。多分そんなに害なんてないでしょうけど、念のためね」


寺子屋にこんなのがいきなり出来たらそりゃ心配にもなるだろうけどさ。
その…そうやってじっと見られたら、なんか気まずいんだけど。しかも、表情的にちょっと言いづらいし。

「そうか。ところで、勉強の方はどこまでやってたんだ?」

「えっ?勉強?…なんでそれを今聞くのよ」

「立ち合うからにはしっかり、やってもらわなきゃなあ?」

わ、私はこれからなにをされるのかな…。
っていうかそういう笑顔は笑顔でなにかを凄く企んでるよね。
……これ、素直に答えても答えなくても大変そうだなぁ。

「…い、一応外の世界でいう学生レベルよ。成績はそこそこで良くも悪くもないから…並みの人と一緒ね」

あ、口元がニヤけた。
もしかして言ってることが理解できなくてもどういう意味かって分かったのかな…?
の、乗った以上、逃げれないよなー…。…はぁ。

「苦笑いしたってもう遅いからな。言ったことがなんのことか分からずとも、最後らへんでよく分かった。ちょっときてもらおうか。……ってなんでため息をつくんだ?」

「いいえ、なんでもないわ。それで、私はなにをするのかしら?」

「それはだね―――」











「この怪異が終わるまでの短期間だが、博麗霊夢と一緒に授業することになった。ほら、霊夢。なんか一言、いいか?初めて会う奴もいるしな」

「あ、あー…」

なんでこうなった。
確かに悪くない案だったけど、私が教えられるのは限られてるよ?まだ幻想郷の歴史だってそんなに覚えてないし。
それ以前にすっごく期待の眼差しを向けられている。そ、そんな期待されるほどのことできないよ…?



「どうも、改めまして博麗霊夢です。短い間ですが宜しくお願いしますね」

「「「―――っ!?」」」

いや、驚くことでもないよね!?
そりゃ敬語なんて早々使ってないって自覚してるけどさ!

「ははは、霊夢だから仕方ないな。私だってお前が敬語を使うなんて思ってもみなかったから少し驚いてるんだぞ?」

しかも、寺子屋の子達も笑ってるし。
私だって敬語を使うときは使うんだよ?

「悪かったわね、たまにしか使わなくて」

「はは、そんなに()ねるんじゃない。ああ、お前達も敬語の件でからかわないように。いいな?」


「「はーい」」

「頭突きなんてされたくないもんなー」

「だねー」

頭突きって…。
まあ、これ以上いじられないならもういいか。
つっこむのも疲れる。

「ともかく、慧音と一緒にいると思うので仲良くしてください」

「れーむって呼んでいいですかー?」

「……いいわよ、別に」

そんな純粋な目を向けてそう聞かれたら否定できないに決まってるじゃないですか、やだー。
っていうか慧音がなんかニヤニヤしてるんだけど。どういうこと!?

「ま、自由に呼んでちょうだい」

「ということだ。お前達、分からないことがあったら霊夢にも聞くように。いいね?」

「「「はーい!」」」

さすが慧音…と、言おうと思ったけど、やけに子供達が元気だから多分違う。
なんだろう。数日とは言え、異変解決より大変そうな気がしてきた。
大丈夫かなぁ…。











その翌日に驚いたことがあった。
何故って?
それはしょうじに『巫女のあの顔 いとをかし』って書いてあったから。


「……寺子屋にいるわね。しかも確実に」

でなきゃ分かるはずないでしょ。
でも、そう言ったっていつの間に書いたんだろうね。午後の誰もいないとき、とか?

それはともかく…お前もか。
ニュアンス的に笑われてる気がするんだよね。しかも、なんか凄く。


…気のせいだよね。


……気のせいだよねぇ!?


気のせいだと、私は信じたい。

「昨日はどこにも…。まぁいいわ。今日はどうなのかしらね」
と呟いた辺りで慧音が来た。


「ああ、もう来ていたのか。…ところでそれは?」

「様子見にね。それとこれはまたされた落書きのようよ。…多分、どこかで私を見てたんでしょうけど」

「そのようだな。あぁ…それと、おはよう」

「ええ、おはよう。……ところでそれはどうしたのよ」

両手に持ってる大量の書類。
後ろにいた慧音の方に振り返るまで気づかなかったんだけどさ、すごい量だね。
なにをしたらああなるん?

「半目で見るようなことはしてないさ。ちょっとした仕事だよ」

「あら、もしかして満月だとやる気出るとかそういう話じゃないわよね?」

「………」

む、無言でため息つかないで。
変な話をしたわけじゃないんだから、ここは一歩譲って苦笑いで。
……あ、苦笑いも遠慮しようかな。


「いや、そういうのじゃないんだ。前初めて会ったときがあるだろう?その時の姿と今とじゃ能力が違ってね」

「なるほど、つまり一度目と二度目で違うのもそういうわけね」

「やけに理解力があるな…。でも、こっちは詰んでいるわけか」

「そう簡単に分かったらこうも苦労しないわよ」

「それもそうだな。…とはいえ、なぜ私を半目で見る?」

名探偵とかじゃないんだぞ、とか言ってもきっと分からないだろうからね。
いや、あの人は迷探偵だったかな…?まあいいや。

「いいえ。でも、これだけは分かったわよ。……悪意がない」

「それはお前の反応で分かる。…と、いうか最初からなにも感じてないみたいじゃないか」

「き、気のせいよ」

「なら顔をそらすんじゃない。嘘をついてないだけまだいいが。…いや、お前は苦手だろ」

い、言ってないのに分かるとかどういうことなの!?

「……表情が凄く分かりやすいな。それはともかく、生徒が来るから準備するぞ。それもどうにかする。霊夢はしょうじとか直せるか?」

「ポーカーフェイスができたらとっくにやってるわよ!…あ、因みにしょうじは無理よ」

あっ、『ポーカーフェイス?』って呟かれた。そりゃ分からないか。
ポーカーから出来た言葉みたいだし。

(ポーカーフェイスとはなんのことかさっぱり分からん。だが、この霊夢に表情を隠す技術がないってことはよーく分かった。あと多分嘘つくのも苦手だろうな)

…まあ、でも1つだけ収穫かな。
なにか困ったらとりあえず横文字言って誤魔化す。
うん、完璧!

「……。とりあえずこっちでやっておく。お前もお前で今日も頼むな」

ため息つかれたのは何故かな。
しかも、心なしか呆れた感じだったし。まだなんもしてないよー?

「はいはい、分かったわよ。でも、午前は抜けさせてもらうわね」

「構わないが…なにをするんだ?」

あえてウインクからのー
「ちょっと用事があるのよ♪」

あれ、微妙な反応。
ま、いっか。とりあえず寄るとこあるし、そこにでも行こ。

里唯一の製本屋とも言えるあそこへでも。
ついでにちょっと話相手になってもらうとするかな。

(表情はちょっと見逃せないが…多分、考えてるのはどうせ悪事じゃないな)

「ああ、行くなら行ってこい。それにお前は協力者なんだから止めはしないよ」

あら、そうなの。
てっきり内容教えろーとか来るかと思ってた。予想外だわ。
ま、止められても行ってたけどね。

よーし、どう話つけておこうかなー。

(……多分、あいつは苦労人になるだろうな。先代の巫女もいるし、避けられないだろう)

……?出る前に少し慧音の顔を見たけど、どこか遠くを見ていたような。
ま、私が気にするもんじゃないね。
むしろあの子がのってくれるかが不安だなー。

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第30話 名前でしか呼ばれない系巫女

サブタイトルでもふざけてみたいと最近思っている私です。

最近モンハンワールドではランスでチキンのようにガードしまくるのが日課です。関係ないって?

……そうですね。
では今回もごゆくりと。


さて、ここだね。

「小鈴ちゃーん、いるー?」

「いらっしゃ……って霊夢さんですか。でも、霊夢さんってそんな明るく入ってきたことありましたっけ?」

「そこは突っ込まなくてもいいんじゃないかしら」

しかも真顔に近い表情で。
たまにはいいじゃない。こう、ふざけて入るのも。
スルーされるよりはマシっちゃマシなんだけどさ。

「いえ、そんな風に入ってくるのは今回が初めてでしたから」

(それに霊夢さんがどんな人であれ、良い人だってことはよく分かりましたから。…強いて言えば今日はやけに明るいぐらいですかね)

な、なんか微笑ましいものを見るような視線を向けられてるような…。気のせい?

「ところで今日、ちょっといいかしら」

「どうかしたんですか?」

「実は最近、寺子屋のしょうじに落書きがされてるそうなのよ。…見た感じ、完全に悪意があってやってるんじゃないみたいなのよ」

(……落書きに悪意があるとかって見て分かるものなんですかね。あ、もしかして霊夢さんだからこそ、分かるのでしょうか)


あれ、半目で見てきた。
そ、想像で言ったのもしかして…バレた?

「ん、んん……とにかく、悪意があるようには思えないのよ。確か小鈴ちゃんって妖魔本、読めるわよね?」

「はい、読めますよ。あ、と言っても霊夢さんが一緒にいる時以外は読んでませんよ。なにせあの時に約束しましたしね」

(したっけ?って言うような顔ですが、霊夢さんと一緒の方が私1人で解決するより安全にすみそうですもんね。下手に妖怪を刺激したくないですしね)

んー…そんな約束したかなぁ。
したと言っても困ったら解決してあげるよ?とかそんな感じだったはず。
おっかしいな…。別にいいんだけど。

「そこで、これを読んでほしいのよ。慧音に黙って持ってきたから後が怖いけども」


「よ、よくそれだけで持ってこれましたね。大丈夫なんですか?」

素直に否定した。
それこそ首をブンブン振ったって言われても良いぐらいに。
そりゃ理由もあるし、理解してくれるだろうけどさ?

まさか小鈴ちゃんにその子供妖怪が落書きをやめるようにヒントや情報を教えるために借りる……みたいなこと、言えるわけないでしょ?
まがりなりにも私は博麗の巫女だし。
まさか悪意がないし、私には分からないからお願いするとか言えないでしょ?


…いや、他の人から巫女なんて呼ばれたことはないんだけどさ。

………他の人から巫女なんて呼ばれたことはないんだけどさ。

大事なことだから二度言ってみた。誰かが聞いてるとかそんなわけじゃないから、別にいいよね!



「でも読めるならあとを頼めないかしら。私は寺子屋の中で見張ってなきゃいけないし」

「え、ええ…霊夢さんがあんまり頼んでくるなんて珍しいですが…ええ、大丈夫ですよ。むしろ構いません」

……!え、嘘!?もうちょっと疑ってもいいんじゃないの!?
ほら、詳細を話してないうちから受けるなんて危ないとは思わないの!?
確かに私なんかに人を騙すような話術とかそーいうのはないよ?だ、だからって…。


「……そ、そう?…それは悪いわね。今度お礼として……そうね、小鈴ちゃんのお願いを1つ聞くってのはどうかしら」

「はい、大丈夫ですよ」

わあ…笑顔…。

(霊夢さんが一瞬驚くとは思いませんでした。ですが、霊夢さんがこうやってお願いしてきたんです。きっと霊夢さんにもなにかあるんでしょうね)

今度会った時、妖魔本にもそうだけど、詐欺とかに気をつけろって言ってあげよう。あと妖怪。特に下級とか。
そこら辺の妖怪なら頭が良いから早々やらないけど、そのうち騙されそうで怖い。

凄く心配だぞ、私。



「ま、また今度ね。んじゃ」

「はい。また来てくださいね、霊夢さん!」

…違う意味でも監視しよ。
そのうち本当に純粋な小鈴ちゃんが騙されかねないし。


(……それにしても、後を任せるって…本当に全部、ってことなんでしょうか。霊夢さんではやれないことなんですかね)










とりあえず寺子屋到着。
道中霊華に出会ってさあ大変ってなるのかと思ったら正格がかなり丸くなっていた。
え、えーと…どうしたんだろ。
なにか変なものでも食べたのかな?ってぐらい凄いし。
まあ、聞いたところ大丈夫らしいし、なにより前みたいにやることは無理そうだとなんか懐かしむような、悲しむような表情だった。

……哀愁漂うって言えばいいのかな。前の霊華とは思えないよ。
因みに別れる前にいつもの元気な状態に戻っていた。
ついでに呼ばれ方は相変わらず『博麗の巫女』か『巫女』。
なんで私は名前なん!?
違う意味で吹っ切れてやる!
とか思って少し考えたけど、どう吹っ切れるんだろ…。



「待たせたわね」

「けーねせんせー。れいむがなんかポーズしながら入ってきましたー」

「……普通には入れんのか」

慧音に半目で見られたけど気にしないでおく。
それよりも、ボケたって分かってもらえてない?

「出来るわよ。でも、外の世界じゃ有名になりつつあったあの人の物まねを1回ぐらいしたくなっちゃってね。ついよ」

あ、慧音に飽きられた。なんでだ。
でも子供たちにうけたし、いいかな。

「はあ…。まあ、いい。ちょうどこれから授業をするところだったからな。霊夢、大丈夫か?」

「ええ。…さ、あなた達、元の場所に戻りましょうね」

「またれいむが敬語使った!?」
「れーむが敬語使ったー!」

だからやめい。私だって敬語の1つや2つ、普通に使えるっての。

「…戻りましょうね?」

「「……は、はい」」


あれ?なんであなた達の声が震えてるの?


「お、おい。その笑顔はやめてやれ。目が笑ってないぞ。…本当、そういうところは博麗の巫女だよな」


うん、原因分かった。
あとそこだけそれっぽい、って聞こえるよ?
わ、私だってやるときはやるんだからね!?まだあんまりしてないけど!





因みにスムーズに進みましたとさ。っていうか内容はさすが幻想郷だね。
でも、ちょくちょく私を入れるのは何故?しかも、私の口から言わないといけないような内容もなんでするん?下手したら博麗の巫女(見習い)ってなっちゃうんですけど。

…まあ、子供たちが楽しそうならいいんだけどさ。
―――せめて、紅白巫女って呼ぶのはやめようか。




(さて、今日の分は終わりか。そろそろ暗くなる前にこの子達を帰さないとな)

んー、長かった。いや、寺子屋の子供たちといたから短くも感じたけどさ。
っと、いい時間だね。外も暗くなってきたし…。
いや、寒い時期が近くなってるんだから当たり前かな?ホント、こたつが恋しくなってくるよ。

「よし、お前達…暗くなる前に帰るんだぞ。今日は「私が見送るわ」」

え、ちょっ。そこは驚かなくても…。
よく見たら子供たちもだ。どゆこと?

「今日はれいむ平気なのー?」

「ええ、大丈夫よ。あとどっかの誰かさんに子離れでもしてもらおうかと思ってね」

「「……?」」

そりゃ子供たちにゃ、子離れとかすぐに分からないか。
慧音は…ちょっと面白い顔だね。驚いてるんだか不思議がってるんだか分かりにくい。

「…因みに誰の子離れか聞いてもいいかな?」

「先代の巫女こと博麗霊華よ。もう色々と吹っ切れて大丈夫だと言ったのに未だに妖怪退治すらやらせてくれないのよ?異変は無理やり私がしてるとは言え…。自衛とかそういうのは…もうできるのよね…」

あんだけ体力作りと称して体を鍛えてきたのにいざ、となると後ろに下げたがるんだよね。
過保護の母親かってレベルで。

―――いや、血縁関係はともかくして、幻想郷における私の母親か。

(大変だな、霊夢も。確かに紆余曲折あって幻想郷に帰着したとは言え…。ああ、浮かべる笑顔がぎこちないね。もしかして話すらしてないのか?……ありえそうな話だな)

に、苦笑いされた。
いや、仕方ないんだけどさ。

「れーむも大変だねー。でも、平気なのー?」

「いい加減、慣れてくるわね…。ん?あぁ、帰りのことなら平気よ。ちょっとした妖怪なら襲われてもなんともないわ」

「あっ!そういえばれいむ姉ちゃんって博麗の巫女だもんね!でも…」

「そういえばってあのねぇ………。ま、いいわ。それとこの件は大丈夫よ。たまには私があんた達を見送るのもよさそうだしね」

と、言ってみたら子供たちが凄く反応してきた。
反応って言っても長らく会ってなかった親友にこれから会う人みたいな感じ。

…我ながらよく分からない。

(ふふ…。前の霊夢は知らないが、これだけは言えるかもしれないな。……今の霊夢の方が楽天家でずいぶんとフレンドリーだと)

「んじゃ霊夢。任せてもいいか?」

お?いつもの優しげな笑みだ。
さっきまでなにか考えてるようだったのに…。まあ、信頼されたってことでオーケーとしよう!

「ええ、分かったわ。任せてちょうだい」

「ああ。お前達、霊夢と一緒についていけよ。場所は自分で言うように。悪用だけはしないって言い切れるからな」

悪用だけ、って…悪用もなにもしないよ!?冗談でもしないっての!
強いて言えば味が分かりにくくなるよう苦手なものを混ぜて作った料理を食べさせるとかそんな感じのしかするつもりはなかったよ!?

―――あ、私は何故か無くなってました。多分、色々とあったからだろうけど。不思議だね。

「「「はーい!」」」


「れーむー、宜しくねー」

「はいはい、宜しくね」

子供たちが凄い近寄ってくる。
……ある意味凄いな。いや、何回もきてるんだからありえるんだろうけど。




因みにその後、ほぼ見送りで時間が過ぎた。…っていうか案外離れてたりするのね。知らなかった。
妖怪に襲われなかったのが凄い。

……いや、それが普通らしいんだけどね。下級妖怪はそれを理解しないかしてくれないらしい。
仕方ないといえば仕方ないんだろうけどさ…。あのさ…。


私を見て同情の目を向けるの、やめような?
どういう意味かはこの際いい。
そうやって見るのやめてね?心当たりがないとは言わないけど、そんな風に見られるほどやわな精神してないつもりだから!

それこそいつでも前向きに考える、ってことを信条に生きてきたんだからね!?
むうぅ…。どうしたものか。






「おかえ―――なんか不満そうね、霊夢」

「ただいま。いいえ、気のせいよ。下級妖怪にツッコミ入れたくなったとかそんなんじゃないから」

あぁ、うん。困ったような、そんな笑みを浮かべるよね。
ほら、答え言ってるようなもんだし。
…でも、さすがに分かるか。ああ言ったし。

「あ、そうだわ。最近、あなたの評判が明るくて人懐っこい巫女になっているようだけど、知ってる?」

「それでも名前呼び、なんでしょう?」

「……そうね、名前呼びよ。でも、そんなことより……」

うん?どうかしたのかな?

「―――あなた、手にしてるそれはどうしたの?」

「………子供たちを家に送り届けただけよ」

「そう…家に。…前じゃ考えられない例ね。早々おかしなことなんて起きないから大丈夫だと思うけれど」

「霊華の時と違うとは言え、幻想郷は幻想郷よ。楽しくふざけて生きるのなら異変と妖怪とはしっかり付き合わないと」

(驚いたわ。ここまでしっかりしてるなんて。……でも、そういえば今更だけども…よく記憶が一部ないというのに落ち着いてられるわね。しかも思い出す前から。………そんな諦めてるようには見えないのだけども)


お?驚いたかと思ったら真剣な顔になった。
私がなんかした?

「あ、そうだわ。貰ったものを置いてくるわね」

「え、えぇ…分かったわ」

と、いうことで置いて夕食を食べたのち……なんか凄い音と揺れがあった。
なにか出たのかってぐらい。
明日、確認でもしてみよ…。

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第31話 空白の時間ってかなり怪しいよね!

1話分が書き終わりましたので少し早いですが、投稿してみました。

ただ気がついたら文字数が凄いことに…。どうしてこうなった。

そして、関係ないですが、この小説を読んでくれている少数派の皆様へ。

こんな小説読んでくれてありがと!語彙力涙目の私ですが、それなりに頑張って書いていきますね!


以上です。では、本文どうぞ

※申し訳ないですが、紫のセリフにあった『地下』を『地底』に変更しました。それ以外に変更はございません。


朝日がある程度のぼったのを見てから確認してみた。
……なにかが凄く出ていて、近くになんかできかかってる。

おかしいな。あれじゃまるで露天風呂なんだけど…。
っていうかなにをしたらああなるの?

少しそれを見ていたら下から声がしてきた。
私の名前を呼ぶのはもしかして、霊華?いや、ここにいるのは私含めてあともう1人しかいないから霊華しかいないか。
そりゃそうか。

「あー、なにか用?」

露天風呂を眺めるために空を飛んでいたんだけど…部屋から直接とんだから裸足なんだよね。とりあえず低空にまで降りたら分かるかな。


「霊華、どうしたのよ。なにか用?」

朝餉(あさげ)が出来たから言いにきただけよ。……そういう霊夢は空を飛んでなにを見ていたのよ。もしかして昨日の音関連、とか言わないわよね」

「あら、それはわざわざどうも。…ええ、そうよ。その音関係で見てたんだけども…その…」

心当たりすっごくあるんだよねー!嫌なほどあるんだよねー!
どうしよ…。


(なるほど。それでなにかがあったと言うわけね。…でも、笑顔がぎこちないわね)

「別に責めるわけじゃないんだけども、どうしてこうなったのか…分かるかしら?」

「あー…まあ、朝食を食べながらでも説明するわよ」

もちろんその時の状況も含めてね。
いやぁ、それにしても名前がわからなくても信仰してみるもんだね。

「そう?…ま、霊夢が言うなら信じるわ。それに、信じる信じないかはともかく…」


「朝餉が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」
「朝食が冷えてしまっては美味しいものも美味しくないものね」


(…なにを言うか分かってて言ったのかしら。あからさまに重ねてきたし)

おっと、半目で見られた。
でもね?……私自身、いくらなんでも冷めたご飯は食べたくないのですよ。
なにせ暖かいご飯の方が美味しく感じるしね。作りたてばんざーい。



…ふざけてる場合じゃないや。







さっきの場所からそんなに離れてるわけじゃないけど、居間に到着ナウ。
居間に今到着って言ってもいいのよ?

「あなた、なにかふざけたことでも考えてる?」

「さて、なんのことかしら」

(そう。ならいいのだけども。でもそのわりには霊夢、あなた…表情が楽しそうに緩みかけてたのよね。そこを隠さないと普通は誤魔化せないわよ?別に嘘ついてるわけじゃないから見逃すんだけども)

おっとー?どうして呆れられてるのかなー?
ため息もつかれるし。でも、こういうのもいいか。
だって、先代の巫女の性格が丸くなるってことは修行がまだやさしめになるんでしょ?
それだったら歓迎しちゃう。
もうあんなベリーベリーハードな修行は勘弁。




「……それで?朝餉食べてすぐで悪いけども、説明してもらいましょうか」

「ああ、むしろ助かるわ。そうね、ここからがいいかしら」





とりあえず回想。
因みに二日酔いが治ったしばらくの間の話。


「あーあ…確かに戻れないのはしょうがないとは言え、こうなるなんてねぇ」

『そればかりは仕様がない。霊夢として思いきり行動してしまっているのだからな』

「そりゃどうも。否定出来ないから笑えないわね」

『我からはなんとも…。話は変わるが、我を信仰してくれていることに感謝する』

お賽銭の前にいた当時の私はニッコリ笑ってみせた。
もちろん嬉しくて、ね?……ま、もっともその博麗神社にいる神を信仰して以来、必要以上にお願いをしたことがないんだけどさ。
ほら、大抵のものは神様にねだらなくても自力で手に入れられるでしょ?
なら、あまりお願いしなくても…ね。

『……にしてもお主、妖避けとか面白いお守りを思いつくものだ。それに山の上にいる者達の分社もあいまって参拝客が増えて嬉しいぞ。信仰がまだなのは悲しいが』

「すぐに増えたら苦労しないわよ…。ご利益とかを私が把握しきれてないのも問題なんでしょうけど」

苦笑いしながらそう答えたのは覚えてる。神様があんまり干渉しない、とかそういうのは抜きにしてすぐに参拝客が増えるなら巫女だって苦労しないから。
最初はお賽銭だけでもそのうち信仰してもらえるだろうしって考えてる私もいたしね。

我ながら甘いな。

『ハハハ、それもそうだな。そういえば、分社の方は比較的友好的に接してくる。そのおかげでこちらも助かっている』

もちろん驚いたよ。そんな言葉を聞くことになるなんて思わなかったんだから。
え?一番驚いたのは普通に接しててもなんも言われないこと。
いいのかな、こんなんで。

「それはよかったわ。これであんたも少しは有名になるといいのだけれども…」


「あっ!霊夢さーん!今、大丈夫でしょうか?」

そう話しかけながら小走りで来てる早苗。
どこに降りたの?ってツッコミしたくなったあの時の私は悪くないはず。

「ええ、ちょうど話のくぎりがついたところよ。早苗こそなにか用?ないわけじゃないでしょう?」

「はい。ちょっと貴金属を作ってもらいたいので来ました」

当時の私はなんで貴金属?だったので首をかしげてました。はい。

「貴金属…とひとまとめにされても分からないわよ。せめて名前だけでも知ってればお願いできるんだけども…」

ほら、元素記号ってのはあんまり覚えてないんだけど外の世界にいた人が実験したりなんなりで決めたじゃない?
その中に少なからずとも貴金属があるから…。大変だね。

「あ、それは大丈夫です。確かパラジウム合金って名前だったと思います。これから神奈子様と諏訪子様が実験するから必要だとおっしゃってまして…。確か常温核融合とかって言ってましたよ」

「そりゃ幻想郷に冷却水なんてあるわけないものね。…ってその金属だけでいいの?」

なんかその時、冷却水?みたいな顔されたんだけど、どうしてだったんだろうね。

「あー…はい。それで大丈夫ですね。協力してもらってもいいですか?」

「もちろんよ。聞いてみるわね」

って流れで金山彦命(かなやまびこのみこと)に頼んでみたところ、喜びながら受け入れてくれた。
一晩かかる旨を伝え、その次の日に早苗へと渡した。







うーん、それしか心当たりないんだよね。
それ以外になにかあったかな。

「さすが元外来人ね。そんな話をしていたの。……でも、そんな話とその噴水みたいな温泉は関係なさそうに思えるんだけども」

「あら、でも全部私の知識じゃないわよ?私だって先駆者たちが努力して得たことを外の世界にある…そうね、寺子屋のような場所で学んだから知ってるだけ。無から、なんて相応に努力しなきゃできないわ。……あ、でも創作料理にはすっごく興味あるのよ?幻想郷ならではのものが作れそうでね」

あ、納得してもらえた。

「それで、あの温泉は?」

「あー…それなんだけども…。分からないわね」

(そりゃすぐに分かるわけないから仕方ないわね。わざわざ答えてくれる辺り嬉しいけども)

ん?…お、おお?なんで嬉しそうに笑ってるん?
嫌じゃないし、聞くのも失礼そうだからいいか。

でも…なんか感じるのは気のせいかな。なんかこう…前の季節外れの花がたくさん咲いた時みたいな…。なんだろうね?


「あ、そうだわ。霊華、ちょっと弾幕ごっこしない?」

「突然にどうしたのよ」

「突然もなにも……。あんた、なにか1つでもスペルカードか弾幕はれる?じゃないとあんた、ずっと引きこもりよ」

(引きこもりって…。それにはならないと思うんだけども、言ってあげるべきかしら?)

ん?なんか間違えた?


「どうしたのよ。なにかある?」

「いいえ、なんでもないわ。…ま、私がその遊びを取り入れた方がふざけるのにもちょうどいいってわけね」

そうそう。戯れるのにも命がけじゃ楽しくなんてないしね。



―――ってちがーう!


「あー…まぁ、そうね。スペルカードが無理でもせめて弾幕だけでも出せないと大変みたいだものね。いいわ、やりましょ?」

「あら、やる気なら話がはやいわね。さっそくゲームしましょうか」

ゲーム?と呟く霊華を差し置いて弾幕ごっこ開始ー。
多分いけるでしょ。







たまに痛くないとかいうけど、そりゃそうだ。弾幕だもの。
当たる場所が場所じゃないなら早々死なないって。











(実践方式でやってるようでやってないわね。…全く、弾幕ごっこに慣れさせたいんだか、そうでないんだか。どっちなのかしらね)

しばらくそうしてたら、呆れたような感じで見てきた。
どゆこと。


「こういう感じでいいのかしらね?」

「いいのいいの。弾幕はちゃんとはれてるし、ちょっとした弾幕ごっこなら普通にできるんじゃない?」


スペルカードなら抜きでも多少は遊べるしね。
あー…でも、なんか…大変そうだね。
要するにどこかの弱体化巨大蜂2匹に弾幕が消せるボムなしで挑むようなものだし。

あ、例えるものを間違えたような。あれはもう達人を越えた腕前じゃないとクリアできないんじゃないの?すっごく大げさだけど、ほんとそういうレベルだし。


容赦ないな…あれは…。













しばらく弾幕ごっこをやったところ、さすが博麗の巫女だと思った。
伊達に先代やってないのもあるんだろうけど、弾幕をはるとか出来るようになってるし。
ただスペルカード名が一緒なのになんか霊華の方が凄く物理より。

いやいや、どうしてそうなった。陰陽玉より拳よりって…。
…スペルカードはもう頑張れとしか、言えないな。


(……あぁ、困ったような笑みを浮かべられる、だなんて思わなかったわ。多分、分かってるんでしょうけどね。…それにしても、凄い前向きよね。幻想郷にすぐ馴染んだのもそれのおかげなのかしら)


「霊華、どうかしら。スペルカードルールには慣れた?」

「ええ、おかげさまで少しね。…これがあるなんて、本当この時代は幸せね」

おかげさまで妖怪退治はよっぽどのことがない限り、弾幕ごっこで終わらしちゃう。それでもやっぱり強さは関係しているみたいだから面倒だなー。

まあ、そんなことより気になることが一つ。
私の「夢想天生」と霊華の「夢想天生」って同時に使うとどうなるんだろうね。えげつないことになんの?
あ、もちろん霊華のにも名前なんてなかったし、そもそもスペルカードルール外が多かったもんで名前を統一しただけ。

私のスペルカードが霊華のやることとほとんど近かったからそれにしたってのもある。
とんでもなく手抜きぃー…。


「ま、今日はこれぐらいで……ってなんか近くまで霊的なものがきたんだけども。なにこれ、地霊?」

え、そ、そんなに驚かなくてもいいよね!?
霊華にとっても初見とかいうの?

「ええ、そうでしょうね。さっきまで弾幕ごっことやらをやっていたから気づかなかったわ」

「あー…。じゃあ、あそこから湧いてるのかしら。ほんと、湧くのは温泉水だけでいいのに」

(温泉水…って露天風呂でも好きなのかしら、この子は。もし異変だったらどうするつもりなのかしら。……もっとも、今の博麗の巫女は彼女だから私は口出ししないけども。さすがに私は前の巫女なのだからね。―――本名を忘れてしまった、とかとても言えないけども)


我ながら贅沢だけどね。
うーん、でもこれは参ったな。
と、いうか地霊ってなんぞ?



(お?あそこにいるのは霊夢と先代の霊華か?それと…なんか境内が凄いことになってるな。ちょいと聞いてみるか)

「2人共、さっきからなにをしてるんだ?」

空からいきなり来客者が。いや、魔理沙以外ありえない手口だからもうなにも言わないけど。

「霊華と弾幕ごっこよ。多少はスペルカードルールにのっとって戦えなきゃ今後苦労しそうだから私自身の復習兼ねて教えていたの」

「ああー…確かにな。実力行使って奴をされたら敵わないってのもあるけど、そのままの先代じゃ苦労しかしなさそうだぜ」

た、確かにそうだろうけどさ…。普通の実力行使されるようなことなんかある?
それともまた悪さでもした?

「そこまで昔的じゃないと思うわよ。せいぜい悪くてちゃぶ台返しをされるだけでしょ」

「誰がそんなことするのよ。しかも、そんなのあったのは大分昔だそうじゃない。分かる人じゃないとつっこめないわよ?」

おっと、それは失礼。

「あら、ごめんあそばせ」

(絶対反省してないだろうな、こいつ…。楽しいときもあるから別にいいが)

「ああ、そうだ。2人共、あの噴水っていつから出てるんだ?」


あぁ、そういや魔理沙は初めて見たのか。


「それは昨日からみたいよ。詳しくは知らないけど…いきなり吹き出てきて露天風呂もどきを作ってるみたい」

「……な、なんなんだ?その、露天風呂とやらは」

あー…そういや、幻想郷って露天風呂とかないんだっけ?


「私にはさっぱり。でも霊夢?地霊があんだけ出ているのはとてもおかしなことだと思うのだけども」

「地霊?…地霊だって?」

「あら、魔理沙は知ってるの?私もなんとなくはそうだろうと予想はしてみたけども」

ほら、地霊っていうってことは地下の幽霊…とか地縛霊…とかそういう感じだろうし。

んんーー……。



「あら。貴方達、3人揃ってなにをしているのかしら。私にも聞かせて欲しいわね」

「あっ、なんだ紫なのね」

「なんだって酷いな、霊夢。…でも確かに紫だな」


(…扱いが雑すぎるわね。どうしたらこうなるのか聞きたいぐらいには)


「そこの間欠泉みたいな噴水を見て話していただけ。ちょうど地霊とかが出てるみたいだからそれについて話し合っていたのよ」

「なんだむしろ好都合よ。霊夢、今から地底に行ってもらえないかしら」

えっ、私?……私?!

(相変わらず分かりやすいな、霊夢って。…そういうところもいいけどな)

「別に今のところ、害がないからいいんじゃないの?」

「地霊があんまり地上に出ては駄目なのよ。…まあ、行ってその原因をどうにかしてくれれば少しはなにかしてあげないこともないわよ」

わあ、うさんくさい。
紫だから余計にそう感じる。

「ま、なんかあるんだろうな。なら私は霊華とちょっくら待ってるぜ」

「そうね、私達はゆっくりお茶を飲んで待っていることにするわ」

わー…逃げ道減ったんじゃないの?これ。

「そういうことだから行ってくれるわね?霊夢」

「はいはい、分かったわよ。行くわ」

―――そういうわけで、私はその間欠泉の近くにあいた穴から地下へ行くことに。
せめて洞窟探検、とでも思おうかなぁ…。洞窟って言えるか凄くビミョーだけど。

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番外編 想定外の外来人の扱い方

今回は今後に繋がるようなものを番外編として書いてみました。

…今度日常の番外編を書くのも面白そうですね?

今回は短めになってます。
では、番外編、どうぞ


地霊殿での出来事があって、冬が大分過ぎた頃。
露天風呂があるのはいいんだけど、外がまだ寒いおかげでなかなか入りにくいのなんの。

にしても守矢神社も考えたもんだねぇ。…上手く行くかは別にいいとして、ね!


ま、そんなことよりも…
「……雪をおろす時に空を飛ぶのはそんなにおかしいことかしらね」

安全なのになあ、と思う。落ちて怪我しないし、屋根も雪だけに集中できる。
何回やっても慣れないけど。



んで、いつもなら霊華が体をなまらせたくないからと修行を始め、たまに魔理沙や早苗などが来たりするんだけど、今日は来る人が違った。


―――目の前に見覚えのある制服を着た男の人がいたから。
制服に関してはハッキリ言って覚えてない。忘れたままってのもあるんだけどね?
ふむ、でもこんなことってあんまりないんだけどな。紫はかなり気紛れだし、神隠しなんて最近してなかったし。


「………な、なんだここ」

そう呟いたのは私から見て鳥居の方に突如姿を現した男。
どう見たって外来人。
あ、私は分社からお賽銭箱の前に向かおうとしてたから視界にフツーに入ってるよ。

見た目は普通か。黒のショートヘアに学生服。それとカバン。
…え、なに。帰りだったの?

「ここは幻想郷よ、学生さん」

そう言って守矢神社の分社と賽銭箱の間からその人物に近づいてみる。
うーん…この人、同級生にいたかな。

「……はっ?幻想郷?嘘だろう?」

あー…うん。これが普通、か。
普通はこうやって驚いて、違うんだと思いたがる。
ま、それはいいんだけど…この人、どうやって幻想郷に?
紫の仕業…と言ってもあんな気紛れが幻想入りさせる?しかも、私の見覚えのある学生服を着た人を選ぶなんて人選はしないタイプだろうし、(あれ)は。

「……嘘じゃない、とか言わないよな」

ん?っていうかこの人…

「外の世界にこんな巫女服を着た巫女がいると思う?」

「………そ、そうだな。それはどう見てもコスプレだな。―――ってなんでそれを今聞いた!?」

「あぁ、あんたが混乱通り越して発狂しそうだったからついよ、つい」

そこまで驚かれるなんて、ちょっと面白いかも。
っと、そうじゃないか。名乗っておこう。
名乗り忘れるかもしれないしね!


「あ、あー…名乗り遅れたわね。私は博麗霊夢。あんたは?」

(うん?博麗霊夢?なんかいつもあいつがもう1人と博麗霊夢がどうとか、パチュリーがどうとか話してなかったっけか?……いや、正確には数ヶ月前、か)

ど、どうしたこの人。
いきなり考え込むなんて。目の前に人がまだいるの、見えてますー?


「ああ、悪い悪い。俺の名前だよな」

「ええ、そうね。あ、一応先に教えとくと明日ぐらいには元いた世界に帰れるわよ。―――多分、私の知ってる世界でしょうし」

「そ、そうか。それで俺の名前は雨夜夏輝(あまやなつき)だ。んで、知ってる世界ってどういうことだ?」

あー、うん。ソウナルヨネ。

「……とりあえず、あがってちょうだい。それと私のことは霊夢って呼び捨てにしてもらっていいわ」

「お、おう。分かったよ…」

さて。どう誤魔化そうか。
霊華は確か今日に限って裏庭で修行してるし。ウワー、マイッチャウナー。









(元いた世界を知ってるかもしれないって…普通、分かるものなのか?)

ってあげたはいいけど、ずっと疑いの眼差(まなざ)しを向けてくるのですが。いや、そんなに(にら)まんでも…。


「とりあえずここは幻想郷。忘れ去られた者達が来る場所ってのは知ってるかしら?」

「いや、俺はあんまり聞いてないな。むしろ(うわさ)なら聞いたが。…噂だぞ?」

首を左右に…ってえ?噂?

「その噂について詳しく教えてくれないかしら。出来れば今すぐ!」


(うおっ、近い近い。そんな上半身乗り出してまで聞くことじゃないだろ)



「あ、ああ…その噂は俺のいる学校だけらしいんだが、最近とある1人の女生徒の様子がおかしいらしい。曰くずっと空を見上げては独り言を呟いている、曰く時おり幻想郷などと呟いては目を細めている、曰く性格が変わったのはなにかしらの事件に巻き込まれたから、とか挙げたらキリがないな」

な、なんじゃそりゃ…。
でも確かにおかしいね、それは。

「その子って誰と仲良かったのか、あんたは知ってる?」

「そ、それがだな……」









えっ?!最初は1人だけだった!?
それで、ある日突然社交的になったと…。
えー…そんな偶然あるのかな。

「まあ、あくまでもその親友に聞いた話な?俺のダチでもあるんだが」

「そうなのね…。ああ、教えてもらえただけでもよかったわ。なにせ私でもあんたを帰せそうってことが分かったのだから」

「えっ、マジで!?」

「ええ、帰れるわよ。……でも、明日ね。準備とかしないといけないし」

わあお。すごい目に見えて喜んでる。
帰れるのは早くても明日ダヨー?

「あんがとな!なんかあいつ曰くなんかスキマの姉ちゃんに頼まないと帰れないとか言われてたからもう無理だと思ってたんだ。恩にきるよ!」

「あいつ……?それって誰よ」

おっと、身を乗り出したまんまだったね。戻るとするかな。

「ああ、××ってんだ。苗字は忘れたけどな」

「そう。……ありがとうね。でも、ところであんた……ここに来てからずっとズボンのファスナーが全開よ?恥ずかしくないのかしら」

「―――――っ!?」

あっ、今気づいたのか。
そ、それはそれで大丈夫なのかなぁ…。ちゃんと見てれば気づいたり…しないか。でなきゃもう閉めてるもんね。
おーおー、頬なんてほんのり染めちゃって。可愛いねえ。





「わ、分かってたんならはやく言ってくれよ…」

「話せるちょうどいいタイミングがなかったのよ。だから今になったわけ。分かってくれるかしら」

「あ、ああ…」

戸惑ってるけど、しょうがないね。
あ、そうだ。ここなら大丈夫ってことぐらい教えておくかな。

「それと言い忘れてたわ。いくら外来人と言えどここなら襲われないし、私が守れるから今日一日はこの神社にいてもらえないかしら」

「えっ、なんでだよ。ちょっとぐらいは平気だろ?」

私は静かに首を左右に振った。

「残念ながら幻想郷は危険よ。外来人ならなおさら狙われるわ。でもこの神社の中なら私か霊華が助けてあげれるから」

もちろん、霊華なんて本名じゃないけどね。
ま、呼びやすいから別にいいんだけど。


「…ま、無事帰れんならいいか。あいよ」

「ええ。…あ、そうだわ。明日の朝食まで食べていくといいわ」

(えっ。こいつ…大丈夫なのか?)

いやいやいや。なにその顔。
疑われなくてもこっちは大丈夫だからね?


「ま、いいから。大人しく食べてって。味は悪くないから」

と、半ば強引だったけど、頷いてくれた。
因みにその後、霊華の『昼餉』って言葉に驚いていた。
そうなるときっと『湯浴み』も驚くね。
私も最初はなに言ってるのか分からなかったし。特に湯浴みは。
それ以外はなんとなくで分かるようになるし。


―――あ、翌日まで何事も起きなかったよ。
朝食を食べてから帰したし。

……にしても紫が関わってない幻想入りってなんだろうね。
今度気が向いたら調べておくかな。

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第32話 地霊って地上に出ちゃ駄目なの? 前編

ある異変の回です。

前編と後編で終了し、おまけでその次を書く予定でいます。

……因みにイージーシューターです。ルナティックなんて動画で見たっきりなので大分エアプに近いですね。
いやぁ、ノーマルぐらいはクリアできるようになりたいなあ(遠い目


あ、本文は下からです。どうぞ


下に行ってまず分かったこと。
まず湿気が高いのかジメジメする。
肌にはりつくんじゃないかってぐらいにはジメジメしてる。

地下なだけに湿度も凄いのか、それとも間欠泉が近いからか…。
とりあえず…梅雨みたいでなんか嫌。せめて風がほしい。
あ、でも風も湿気をまとうから……うへぇ。

っていきなり上からなんかきた!?っていうか落ちてきたと言うべきなのかな!?
な、なんだろ…と思ったら桶?
しかもなんか少女が乗っかってるし。
一応名前を見てみたら『キスメ』と言うみたい。なるほど。


うお!?弾幕はってきた!?
2回も弾幕を繰り返したら…えっと…

――怪奇「釣瓶落としの怪」

あぁ、なるほど。なんの妖怪かまではよくわからなかったけど、上からいきなり落ちてきた理由がよーく分かった。
とりあえず帰ったらちょっと調べてみようかな。確か倉庫辺りにあるだろうし。





んで、本当湿気が凄い。
あー、もしかして空気の出入りが悪いのかな?
今の今までこうだったし、ありえるかも。


『あー…霊夢。霊夢?聞こえるかしら?』

「聞こえないわよ、紫の声なんて」

『はいはい、それなら大丈夫そうね。因みに陰陽玉を通じて話せるようにしたのよ。万が一サボられてもいいようにね』

ま、まさかのスルーですか。そうですか。

「こんなところでサボるもくそもないわよ。むしろはやく解決して上に戻りたいぐらいだわ」

向こうから『あら、そうなの』とか聞こえるけど、何で残念そうなの?なに?どこぞのサボり魔ことサボマイスタみたいなことやるとでも思われてた?
……さすがにないわー。

ってなにか現れた。
名前は『黒谷ヤマメ』だそうな。

「へぇ、人間が来るなんて珍しい。もしかして地底に遊びに来たのかい?ならいいタイミングだよ。今、あそこはお祭り騒ぎでね、誰でも入れるんだ。例え人間でも今なら拒まれないだろうね。楽しんでいったらいいんじゃないか?」

『ほら霊夢、敵よ。退治なさい』

「はいはい、紫はあとでね。…にしても、祭り?祭り騒ぎだって?」

「ああ、そうだよ。むしろ楽しまなきゃ損だよ」

「あー、そう。なら、話ははやいわ。まずあんたとも楽しませてもらうってことで」

楽しむ(イコール)弾幕ごっこ。
別に解釈的には間違ってないよね?!

「お、なるほど。そうきたか。いいよ、地底に落とされた妖怪の力。今こそ見せてあげる」



っていうことで弾幕ごっこをし始めたんだけど…あれ、ルール知ってるんだこの人達。いや、妖怪達?
どこで知ったんだろうな…。


――蜘蛛「石窟の蜘蛛の巣」

うん、巣って感じがしないって言ったら駄目なんだろうな。
…でも蜘蛛。蜘蛛か…。そういうのもいるもんなんだね。
弾幕はよく見てれば避けれそうだけど、どうやったら楽になるのかなぁ。
ま、人間気合いでその地域の気温を変えるって噂があるほどだからどうにかなるでしょ。



……多分。






ほんと厄介な弾幕だね。
楽しめるかどうかってよりどう避けるかの方が優先になってる気が…。
いや、本当は何度でも挑めるんだろうけど、下手に黒星つくのはなんか恥ずかしい。
どうにかしてでも避けたいね。


――瘴気「原因不明の熱病」

瘴気なのか突然の発熱なのかどっちなのかとツッコミたくなった私はきっと悪くない!
霊的なもので考えればあながち間違ってないのかもしれないけど、そう考えてもおかしくないよね!


でも、これであとは……ってえ!?ある程度動いてたらスキマ移動みたいにすぐに動けたんだけど!?
なに、テレポート?…あ、いや。使える。
これでやってみるかな。





「いやぁ、まさかすんなり見せてもらえるとは思わなかったわ」

『貴方、よくもまあそんな場所なのに生き生きしてるわね』

「いいえ、してないわよ。むしろこの湿気のせいで気力が奪われてやる気がそがれってるんだから」



とか言いつつ先に行くのは地霊が外に出てる原因を解決しなきゃいけないから。
仕方ない……ね?






ある程度進んだらなんか緑色の子が出てきた………と思ったらいきなり弾幕をはってきた。
ど、どうして?

それを避けてたら

――嫉妬「緑色の目をした見えない怪物」

って宣言が。見えるような気もするけど、多分その通りの意味じゃないんだろうな。
まあ、よく見れば避けられなくもないけど。




っと、なんか奥に行った。
なにがしたかったのかな。
私もその方へ向かってるから会えるだろうし、その時に聞いてみるかな。




そんなことより…
「ねぇ、紫。この穴ってどこまで続いてるのか分かるかしら」

『そこら辺ならあと少しで旧都につくはずよ。だからそう長くないわ』

「そこにいるのは人間?…いえ、もしかしなくても人間ね。……旧都に何の用?」

「ちょっと通りすがりたいだけよ」

「そのついでに旧都にいる私達の呪われた力をとっていくつもりなんでしょう?」

『あ、忘れてたわ。地底にいる妖怪達ってほぼ全員忌み嫌われた能力を持っているのよ。だから出来るだけ退治していってちょうだい』

「力はどうでもいいのよ。でも、それ…大変じゃないの?」

『貴方なら大丈夫よ。いつもの通りに退治できるわ』

「ああ、そうやって私をはぶいて楽しそうに話してるなんて妬ましい。そんな貴方が住むであろう地上の光も、そこにふく風も妬ましい。恨みなんてなくても私には構わないわ。…だって、貴方を倒す理由なんていくらでも作れるから」



な、なんか理不尽…!
しかもそれだけって言うのもなんか凄いような……!


――花咲爺「シロの灰」

おお…これまた綺麗…。ってゆっくり楽しみたいけど、これって弾幕なんだよね!
仕方ないとは言え、避けなきゃなぁ…。



んでまた普通にはってくる弾幕を避けたりしていたら

――舌切雀「大きな葛籠と小さな葛籠」

って宣言された。
さっきのと組み合わせるとなんか昔話みたいな感じがする。

きっと、気のせいじゃない。
まあ、でも普通にやってればへいk………じゃ、ない!
当て続けていたらなんか当てたらいけない方に当てたみたいで少しだけ弾幕が濃くなったんだけど?!

…き、気をつけないとなぁ。




――恨符「丑の刻参り七日目」

少したったらえげつないことに…。ど、どうにかして避けないとね。
っていうか目の前が…。


スキマ移動みたいなことが出来るからそんなに大変じゃないけど、そうじゃなかったら今頃……





攻略はしました、まる。
「とても凄い嫉妬心だったわね。…普通、そこまでならない気がするけども」

『それは彼女が嫉妬の妖怪だからですわ。人間の嫉妬心ももしかしたらいじくれるかもしれないわよ?』

「……それだけはならないようにしたいわね」

そう、心に決めて。
でもさ、少しぐらいなら平気…なのかな。どうなんだろ。









んで、そこから更に進んだらなんか街っぽい場所に出た。
しかもちゃんと道がある。そりゃそうか。

ん…?角が1つだけ生えた人が出てきた。なんか萃香みたい。
あっちは2本だけどね。


「なるほど、ここまで来たってことはちょっとやそっとの実力じゃないようだね。例え何者だとしても、されたら同じようにして出迎えるのが私の流儀ってね!」


えっ?なにそれ。
よく分からないもんだね…。
もしかして、もしかしなくてもそっくりどころじゃないのかな?


というより弾幕の濃さが…。
どこの濃いお茶だよって言いたくなるぐらいに濃いね。そこまでじゃないのかもしれないけどさ。


――鬼符「怪力乱神」

あっ、これは…えげつない。
こういうときは…もうね、この流れに身を任せるかな。







地下…もとい、地底には地霊が地上に出てきた原因を調べにきただけのハズだったんだけどなあ。どうしてこうなった。



「おっ、やっぱりちょっとやそっとじゃ問題ないようだね。なら更に楽しもうじゃないか。それこそダメになるまでね!」

「あ、あんたはなにで楽しんでるのよ…」

手にしている盃みたいなのは関係なさそうだしね。
でもさ…よく液体が入ってるみたいなのにこぼれないよね。
ウエイトレスになれるんじゃない?…幻想郷にレストランなんてないけど。



って今度は関係ないのも出てきたんだけど!?どーゆーこと!?
あ、いや…もしかしてこっちの力量でもはかってる?

そんなまさかね。



あ、ここまで来て名前が分かった。
『星熊勇義』っていうらしい。


「ここまでついてきたのはいいけども…あんたって力比べでもしたいの?」

「それもあるけど違うわよ。単純に地上の奴らが降りてきて珍しいだけ」

そ、そうですかい。

『霊夢、もしかしたら話を知ってるかもしれないわよ』

「なによそれ。目の前の奴がその原因を知ってるとでも思うの?」

「ん?どこへ向かうとか決めてないのかい?」

「ええ。調査でなんとなく来たようなものだし」

「調査ぁ?…地上に穴が空いていたらなんとなくで入るのかい?そりゃ迷子にもなるね」

あぁ、うん。そうなるよね。

「違うわよ。地上にちょーっと招かざる客が来てるからその原因を調べに来ただけ。それだけよ」

あー、うん。さすがに不思議そうにしてくるだけか。

『そうよ。私達は地上の妖怪達を地底に入れない代わりに地底に潜む妖怪達や怨霊関係を地上に出ないよう静めたりするって約束だったはずなのに忘れたと言うの?』

「そういう約束もしたね。…それを知っている貴方は誰?」

わたしゃ知らないよ。

「この玉の向こうにいるあいつじゃない?」

「玉の向こうのあいつ?……あぁ、なるほど。それにしたっては地上の奴を送り込むなんてなにかあったのかい?」

『間欠泉から地霊…怨霊が湧いて出てるのよ。貴方、知らない?』

「間欠泉からだって?……それなら地霊殿の連中だな。1人だけ地上に行った奴がいるけど、そいつは多分関係してないだろうし」

「なるほどね。ねぇ、行き先も分かったし、もう直行してもいいわよね?」

もうそろそろ解決して地上に帰りたい。
ホームシックじゃなくてグラウンドシックだよ。

…うん、我ながらなに言ってるんだろうね?

『直行させてもらえる相手だったらよかったわね、霊夢』

「……へ?」

「さすが玉の向こうにいる奴だ。なるほど、我々鬼の性格をよく知っている。…このまま、力比べとしようじゃないか!貴方のその力、じっくり見させてもらうよ!」

まさかの展開ー!?いや、なんでそうなるの?ねぇ、おかしくない?!

今までで理不尽な始め方ってこれ以上にあるかなってレベルで!


――枷符「咎人の外さぬ枷」

あっ。これってさ…もしかして?
というより当ててたら短くなったし、いけるだろって単純な考えなんだけどね。
多分間違ってないと思うけどさ。


また弾幕をはってきたけど、まだどうにか…。
まあ、私もいくつか弾幕を避けたりしてるおかげでコツは掴めてきてるんだけどね。


――力業「大江山颪」

大きな弾が雨みたいにこっちに来るって…。なんかどこぞの誰かのなんとかのトラウマってのを思い出すね。

結構違うけどさ。もう少しにてるのあったかな?




それをこなすと、普通に弾幕をはられた。
うん、今度のはちょっと厄介なだけだし、大丈夫だね。


――四天王奥義「三歩必殺」

おお、これは……危なくない?
なに?どうやって避けるの?
それこそ激流に身を任せるの?

一番えげつない…。さすが種族鬼だね…。





「うん、強いね!これなら地霊殿へ向かっても大丈夫そうだね!」

「あんたもあんたで充分強かったわよ?…それこそ萃香みたいに」

「萃香?もしかして地上に行った奴を知ってるのかい?」

あー…なるほど。
さっきの話に出た無関係だろう奴って萃香のことだったのか。

「ええ、元気にやってるわよ。呑兵衛としてもね」

「ふっ、そうか。そいつは良いことを聞いた。ならもう気にすることもないな。…ここから先に行けば地霊殿がある。そこの主に話を通すといいよ」

ど、どういう意味で良いことなの?

「ええ、分かったわ。親切にありがとうね」


いやぁ、よかったよかった。
私的にも色々と情報を聞けたから大助かりだわ。
もうあんまり相手になんてしたくないけどね。

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第33話 やっぱりこの巫女は現代よりの幻想的 後編

今回展開が原作とかなり違います。

まあ、元から原作沿い気味のオリジナル展開でしたので、普段通りなのかもしれませんが…。どうなんでしょうか。


では下からが本文です。平気な方はどうぞ


あー、あの先にあるのが地霊殿かな?
多分そうだよね。

ってなんか黒猫が出てきた。
周りになんか連れてるけど、あれはなんだろうね。







なんかしばらく弾幕はってきてたんだけど、なんとかって形で倒せた。
いやぁ、それにしても地霊殿までがなんか長く感じたよ。
さすが熱気。


「んで、ここの主は一体どこなのかしら。さっきの鬼は地霊殿の連中としか言わなかったし、来るまでに出会ったのなんて猫だけだし」

『その猫に聞けばよかったじゃないの。その主の居場所』

「あの子と話せたら苦労なんてしないわ!」

しかも妖怪以外の猫がしゃべるかっての。
そう聞こえたとしても空耳に近いし。

「あら、珍しいわね。来客?……あら、ごめんなさい。私のペットが少し迷惑をかけてしまったようで」

「あら、話が分かりそうね。ちょっと聞きたいことがあるのよ」

「いえ、言わなくても問題ないわ。……神社の近くに間欠泉が出来た?そこから地霊が出てきたから地底に…。なるほど、言われてきたんですね。……えっ?暑い?飲み物でもいりますか?」

えっ?そりゃあ…ありがたいけど…。
いやいや、それじゃ目的達成できないし。

「あー、悪いけど遠慮させてもらうわね。飲み物を飲みに来たわけじゃないし。…ところであんたは誰よ」

「あっ、名乗り忘れてましたね。私は古明地さとり。この地霊殿の主です。私の前で隠し事なんて1つも出来ないと思ってください。…なにせ考えていること全てが筒抜けですから」

なるほど。心が読めるってことか。
……あれ、それまずくない?

『霊夢。地底にいる妖怪は退治するようにって言わなかったっけ?』

「言われてないわよ、そんなの」

「なるほど、その地上の妖怪と話をしながら来てたんですね。そっちは離れすぎてて読めませんが……はい、読めますよ。何故まずいのか分かりかねますけど」

『へぇ、貴方ね?間欠泉を止められるのは』

「あぁ、そういうこと。…もしかして私のペットがまたなにかやらかしたのかしら」

いや、またって言うのは駄目でしょ。どうしたらそうなるん?
それに間欠泉を止めるって聞いてないよ、ゆかりん…。

『ペット、ねぇ…。心当たりがあるならしつけておいて欲しいのだけども』

「ええ。だけど、そこの人間は間欠泉を止めるって聞いていなかったようよ?」

『あら、これは失礼。多分伝え損ねていただけですわ』

「完璧に言わなかったじゃないの。酷いわね」

「……信頼している2人のうち、1人にそうされて少し怒っているのね。話してることと考えていることが全く一緒で面白いったらありゃしないけど」

それは酷い。私はおもちゃじゃないんだぞー?

「あぁ、おもちゃじゃない…。それは悪かったわ。……にしても、貴方は変わった人間ね。平和的解決ができるならそれをしてさっさと帰りたいとも考えているなんて。そんなにはやく帰りたいのね。―――でもそれでは、はやく帰れないこともあるわよ?」

「そっ、それぐらい分かってるわよ!言わないでちょうだい!?」

「……図星なんですね。もしかして、弾幕ごっこで解決するのもいいけど、話が通じる知的な相手だったら会話でもどうにかできると考えていたんでしょうか」

悪かったね、現代的な考えで。
そりゃそうでしょうよ。弾幕ごっこって体力使うんだし。だったらいっそのこと、話し合いした方がはやいよ。

もしそれで駄目だとして、弾幕ごっこを仕掛けられたら対応するだけ。んで、その後に妥協案。
いやぁ、それであの守矢神社と和解したしたしね。

「……あぁ、中身は元々こちらの人間ではなかったのですね。それなら納得しました。それで、貴方にはとても悪いんですが、私の代わりにペットと会ってもらえませんか?」

ええっ、なにそれ。

「ねぇ、ペットって言うんなら呼べばいいじゃないの。違う?」

「あー…それが難しいんですよ。どうも避けられてしまって」

「心を読むから、ってことよね。…ま、普通は避けられても無理のない能力みたいだしね。分かったわ。……それで、そのペットはどこ?」

「能力なんてなんだっていいとか考える人も多分貴方だけよ?………あっちです。着いてきてください」

なんでまた呆れるん?
幻想郷ではどんな能力があっても当たり前ってのはフツーでしょ?

あれ、違ったっけ?










と、いうまさかの流れで更に奥に。

『……あれだけ退治しろと言ったのに、甘いわね。だから貴方は博麗の巫女じゃなくって名前で呼ばれるのよ』

「うるさいわね。別にいいでしょう?私の勝手なんだから」

『はいはい。…ま、もう今に始まったことではないからもういいわ』

むぅ…。こちらにも呆れられてしまった。
私がなにをしたと言うんだ?



ってか中庭あっつ!
こうなるんだったら冬服で来なければよかった。

「……ところで地霊殿からついてくるあの猫はなんなのよ」

『マタタビがあれば酔うって聞いたわよ。持ってるんなら渡せばいいんじゃない?』

いや、持ってないよそんなの。
そもそも猫なんて飼ってないし。

ま、相手にしなくてもいいかな。








相手にしなくてもいい。
そう思っていた時期が私にもありました。

「ああ、お姉さん待ってよ」

「なによ。私は先を急ぎたいんだけども」

「駄目だよ。今のあの子はどこで見つけたのか神様の力を飲み込んでる。万が一やられでもしたら、死体が回収できないのよね」

えっ、そういうのって飲み込めるの?
いくらなんでも、幻想郷の動物は神様の力を飲み込めないでしょ。まがりなりにも神だし。

「…それで?」

「やっぱりあたいがお姉さんを倒すしかないってね」


弾幕をはられた。
いや、どうしてそうなった。


――妖怪「火焔の車輪」

あぁ、うん。普通に避けれるね。

と思っていたら時間につれてはやくなる。
なにこれ、避けるの大変になっていくんだけど。




去り際、名前がチラリと見えた。…なんでチラリなのか、とかツッコミたくなったけど。

『火焔猫燐』と言うらしい。しかも、読み方は『かえんびょう りん』。
死体集めが好きな妖怪みたいだけど、生者を死体にするのはやめていただきたい。
今度あったら私からもお話(弾幕ごっこ)でもしておこうかな。











そこから更に進むと尋常じゃないほどの暑さが。
なにをしたらここまでなるの?


「ねぇ、いつになったら目的の子を見つけられるのよ。さっきの猫は完全に違うし。そろそろ暑さで焼け死んじゃうわ!」

『それは大げさ…と言いたいけれど、霊夢朗報よ』

「本当にいい情報なのよね?」

『ええ。もう見つかる寸前だってことよ』

わあ。素敵な朗報だね。


「へえ、地上から来た変わり者って貴方のことだったのね。かなり噂になってるからすぐに分かったわ」

「そりゃどうも。んで、その間欠泉とやら止めてもらえる?」

「間欠泉を止める?あぁ、わざわざ来たのに悪いけど、既に遅い。間欠泉はもう止められないわよ」

……あ、これ。紫の方の目的が無理になったね。
とりあえず理由ぐらいは聞いておくかな。っていうか耳元で『止められないですって?』って言わないで。
言うなら直接言ってよ。玉越しならあなたでも話せるでしょ?

と、名前出てたわ。
『霊烏路空』?それで『れいくうじうつほ』とか凄い読みづらいね。



「あら、そういうってことはなにかしらで出来たものって言っているようなものよ?」

「その通り。あれは私の手に入れた究極の力の余剰分を逃すためのもの。だから、私がその力を使うたびに間欠泉が湧いていたのよ」

「それが神様の力って言うわけね。面倒な能力なことだわ」

…その前に、そんな神いた?
もしかして私が知らなかっただけ?

『因みに霊夢。なにを食らったか想像がつきそう?』

「つかないわ。湯沸かしの神なんて普通にいないし。…ポットならそれになれるでしょうけど、ふざけてる場合でもないし。…ちょっとお話でもした方がいいかしら」

「ふふっ、それって私と戦うってことよね?それならちょうどいいわ。貴方を倒して地上を新たな灼熱地獄にしてあげる」


血の気が盛んってこのことだよね。

「それはよかったわ。なら、あんたを倒してその企みを白紙に戻してもらいましょうか」

「させないわ。……あぁ、黒い太陽八咫烏様。我に力を与えてくれたことに感謝します。地上に(あらわ)る第二の太陽。新たな核融合によって生まれるもの。…究極の核融合で、身も心もフュージョンし尽くせばいい!」


えっ?私は別のなにかと融合なんてしないよ?
―――いや、本当は違うんだろうけどさ。なんかやりたくなるよね。



まずは最初の弾幕を上手く避けて。
いやぁ、ここまで来ると暑さの方が酷いね。


――核熱「核反応制御不能」

いや、それ駄目な奴―――!?

ってそうじゃないか。むしろ幻想郷だから平気だと考えようにすればいいのか…?
な、なんか凄いなあ…。




暑さとも弾幕とも戦わないといけないって大変だよね!
今すっごく実感してる!


――爆符「ペタフレア」

こ、これもこれで見た目が……え?本当に見た目だけ?
ナニソレ。しっかり見てればいいタイプなのってなんかめずらしいね。


それのあと、弾幕をまた内心では焦りつつ避けた。モチロン表になんて出さないよ?


――焔星「十凶星」

あっ。これはまたひどい。
避けれるか不安になるね。

まあ1つでも当たったら駄目なんだけどね?



まあ、身を任せればどうにかなるってなんとなく分かったからしたけど。オカシイネ?

次の弾幕もそんな感じで避けた。



――「ヘルズトカマク」

……ま、前と後ろにとんでもないものが出てきたんだけど!?
暑さがはねあがってえげつないんだけど!しかも、冬服のせいで余計暑く感じるし!
絶体帰ったら風呂にはいって汗を流す!




――「サブタレイニアンサン」

んっ?弾が出てき………ちょっ!?
本当に第二の太陽もどきになってるんだけど!しかも、吸引力なにげにあるし!

お、おお…?なんかこっちが攻撃すると段々強くなってる気がするんだけど…。



って気のせいじゃ、ない!
隙間を縫うように避けないといけないんだけど。
唯一の救いはさっきより避けやすいってトコかな。











よし、終わりっ!
さあ、あとは話をして帰る!それに限るね!

「あー、もう企みはやめるのよ?」

「分かったわ、しないわよ」

あり?結構素直…。

『多分弾幕ごっこで負けたからでしょうね。ちょっと色々聞いておいてちょうだい』

「はいはい…。それで空?あんたにその力を与えたのは誰なのよ」

「うにゅっ?…え、えーと…誰だったかしら。二人組だったような気もするし…そうでないような気もする…」

えっ?まさか…本人はあんまり覚えてないの?
いや、一応はヒントを得れたけどさ。

「そう。それはどうもね。私は帰ってちょっと情報でもまとめるとするわ」

「さとり様にはこのこと…」

「もちろん言うわよ。…ま、でもさとりからはなにも言われないでしょうね。もう私に少し痛い目あわされてるから。そこは大丈夫と思うわよ。……出来ればもうちょっと記憶力がよかったらいいんだけどもね」

思わず小声で本音を言ってしまった。
き、聞こえたかな…?

「そう?それはよかったわ!ありがとうね。じゃ、私も色々あるから先に行っててよ」

……え、えぇー…。






そのあとの事と言えばさとりに事情を説明しようとするも考えてることを読まれ、平気だと言われてしまった。
少し弾幕ごっこで痛い目をあわせたこともお咎めなしに。空にはちょっぴり注意はするそうだけど、さとりも大変だね。



更に神社では紫が勝手にお茶を飲んだことで霊華が怒っていた。
……平和だな、と思い素通りしましたよ、ええ。なにせ勝手に飲んでる紫が悪いし。
全く、霊華がいるんだから『少し飲むわねー』ぐらい言ったってバチは当たらないだろうに。
相変わらず考えてることがわからない。

一応汗を流した後、霊華に弾幕ごっこを挑んで負かし、お説教。いくら相手が古参で強い妖怪だからってやりすぎはいけない。
紫?…先代の巫女と互角にやったらしいから多分いいでしょ。



さて、あとは明日だ。
守矢神社に行けばきっと分かるでしょ。二人組の神様もいたし。
あぁ…今日は色々あって疲れたよパト○ッシュ…。…あ、幻想郷だからこのネタ通じないんだった。…そうだった…。

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番外編 巫女×2と魔法使いがゆく地底への旅

タイトルの最後に (笑) をつけてみるといいかもしれないです。
多分読んでくだされば分かるかと思いますが…ね?


二次創作が平気だよって方は下からが番外編になっております。
どうぞ適当にお楽しみください


まさか外来人として雨夜夏輝(あまやなつき)とやらが来るとは思わなかった。
いや、全く見覚えとかは、なかったけどね。同級生にいた?ってレベルだったし。

それでも制服に曖昧ながら覚えてるような気はしたんだ。
本当に曖昧だったから間違えてないかとすこーし不安だったりもした。

あってたから良かったけど。

それと彼本人から聞いた話からして、外の世界にも影響が出ていたみたい。
今のところ問題はなさそうだから、様子見だけど。


「……貴方、また個人で外来人を元の世界に帰したの?」

「ええ、そうよ。ただ元いた世界へ帰しただけじゃないわ。ちょっと話を聞かせてもらったわよ。…まさかとは思うけども、あれってあんたの仕業なんかじゃないわよね?」

今の話にかーなーり関係ないけど、先代の巫女に対して少なからずも苦手意識があるみたいだね。本当かどうかなんて確認しづらいけど。
……本当に今の紫って幻想郷オンリーなの?

あとついでに。
いきなり出てこないでよね。なんとなくスキマが近くにできたとかその程度なら分かるからビックリしないんだけどさ。

「私がそんなのしないわよ。それにやるんならもっと違うわ」

「ん、それだけ知れたならもういいわ。ところで紫、いきなり来てどうしたのよ。結界は緩めてないわよ?」

「それは知ってるから別にいいわ。そうじゃなくて、最近この神社に異変は起きてないわね?」

紫も結界管理ちゃんとしてたんだ。意外な事実。
いや、そこじゃないか。…神社に異変ってどういうことかね。
霊華以外に今のところないと思うんだけどなあ。

「霊華の性格が変わりつつある以外に異変らしい異変は特に起きてないわよ」

「ああ、それなら頑張ってちょうだい。…ま、うちの神社に異変がないなら問題なさそうね」

いつから紫の神社になってたの!?
い、いや…博麗大結界を張ってるからあながちそうでもない…のかな?
あっ!いや、でもあなた、自分の家あるじゃない!

「そうだとしても、ここはあんたの家なんかじゃないわよ。…用はそれだけ、とかって言わないわよね」

出来れば言ってほしいところ。
まあ、言わなくともそろそろ朝食の時間なはず。

「ええ、言わないわ。貴方達、博麗の巫女の様子を見に来たのよ。主に今代の巫女である博麗霊夢。……いえ、霊夢。貴方のね」

―――………へぇっ?
ゆ、紫が…紫が…フルネームじゃなくて名前で呼んできた!?
確かに最近下の名前しかあげてこなかったけど、まさかフルネームからの名前呼びだとは!
さては紫…

「…ど、どうしたのよ。なにかおかしなものでも食べたわけ?」

「別段おかしなものは食べてないわよ。ただ貴方を博麗の巫女だけとしてはなく、一個人として扱うようにしただけですわ」

いやいや、ある意味異変だからね、それ!
うーん…この幻想郷、大丈夫かな…。




「霊夢、朝餉の用意が―――あら、紫?来てたのなら声をかけてくれればいいのに。昔からの付き合いなんだから遠慮なんていらないのよ?」

あ、紫の顔が…。ん?
なにあれ、驚いてるのかなんなのかよく分からない。
気にすることじゃなさそうだし、別にいっか。


「いえ、そういうわけではないのよ。今の巫女である霊夢に用があっただけに過ぎないわ。……あぁ、霊夢?外の世界についてなら私が調べてあげるわ。貴方は先代の巫女をこの幻想郷に馴染ませることだけ考えてちょうだいね」

「はいはい。なるべくそうするわ。―――今の幻想郷で苦もなく過ごせるぐらいに性格を丸くしてから、ね」

「ちょっと霊夢。なんでそんな真面目な顔して私をm「そういうことだから。じゃ、悪いけど、外の世界についてお願いね。もし問題があったら幻想郷だって大変なのでしょう?」」

霊華には悪いけどさえぎらせてもらったよ。
紫だって幻想郷に関する理解は高いし…ね?

「ええ、そうね。あ、そうだわ。霊夢、これ夕食にでも()げて食べるといいわ。なにも仕込んではないから大丈夫よ」

そ、そうか。仕込んでないんだね。……いや、仕込むもなにもないんじゃ?
なに、邪な気持ちでもあんの?

「……じゃ、帰るわ」




……もらった奴、確かタラの芽とかって前に教えてもらったっけ。
にしても…

「霊夢、紫も紫で変わったと感じない?」

「私には分からないわね。っと、いいから冷めないうちに朝食とるわよ。タラの芽はあとで下ごしらえしておくから」

「そ、それもそうだったわね…」




基本的にこんな朝。
やっぱり平和。










んー、朝食を食べたのはいいけど、今日はなにもやることないね。
小鈴んとこからは本なんてまだ借りてもないし、返しそびれもない。

ここの神様は……
あ、神棚に紙がおいてある。
はしごを使うのもあれだし、少し空を飛ぶことにした。
別に幻想郷だし、いいよね!


えーと…なになに?
……あ、うん。八百万の神様とお話ですか、そうですか。

んじゃあ…あとは…分社?



「……。あ、あれ?霊夢さん、分社に向かうなんてどうかしたんですか?」

「あぁ、今日に限って暇なのよ。なにをしようかなー…なんて考えててね。そういう早苗こそどうしたのよ。分社はちゃんと手抜きで掃除してるわよ?」

「だから!それは!手を抜かないでしっかり綺麗にしてくださいとあれほど…!」

いや、境内も広いんだって。
2人で半分にしてもバカにならないんだよ?
あ、でも境内から見れる桜とかは綺麗だから好きかな。
散ってくのも綺麗なもんだから掃除にもやる気が…。
なんで幻想郷に押し花の技術とかはないん?

うん、そういう話じゃなかったね。

「はいはい。……!そうだわ、終わったら地霊殿へ行かない?」

「…えっ?地霊殿、ですか?」

私は縦に頷いた。
多分、互いに困らないだろうしね!
ほら、間欠泉にセンターをおく予定があるだのどうだのって言ってたしね。

「そうよ。あんたがあの諏訪子や神奈子の代わりに下見に行ったらなんか言ってくれるんじゃないの?ついでに私は地底観光できるからお互いウィンウィンよ」

「ウ、ウィンウィンって…。…まあ、確かにそうですね。下見しておけば諏訪子様や神奈子様が喜ばれそうですけど…」


「あっ、霊夢と早苗じゃないか!2人で話してなにをやってるんだ?」

魔理沙も魔理沙で紫同様来るのが気まぐれだね…。
いや、そうじゃないか。魔理沙こそどうして来たんだろう。
まさか暇だから…じゃないよね。

「普通にこちらの話ですよ。そう言う魔理沙さんはなにか用で?」

「あっ、そうそう。間欠泉地下センターなんだが、ほとんど山の神様と河童達がなんかするんだってよ。あっ、もちろんにとりから聞いた話な!」


……なるほど。

「ん、下見しなくても平気そうね」

「そうですね。なら、地霊殿には「私は行くわよ。地霊殿へ」」

(あいつ、前に地霊殿へ行ったばかりじゃなかったか?それにそもそも、アリスやパチュリー曰く地底に封印されるような能力を持った奴ばかりいるとしか聞いてないんだが)

(霊夢さんは地霊殿平気なんですね…。厄介な能力が多いと諏訪子様に聞いたばかりなんですけど…凄いですね)

いやいや、そんなに驚かなくても。
地霊殿…いや、地底に厄介な鬼1人はいたけど、地霊殿の主はまだ良い奴だったからね。
ほら、話が通じるし。

「あんたらも来るかどうかは任せるわ。私もそんな大した用事ではないのだし」

「もちろん行くぜ。霊夢といると退屈しないからな」

わ、私で退屈しないとかどういうことなのか。
さっぱり分からないね。

「一応はそこの様子とか私も見ておきたいので行きます。地下になにがあるのかって凄く気になりますからね!」

「あんたの目的ってそっちよね。観光よね。…ま、さとりに用があるとか言えば向こうもなんも言ってこないでしょ」

あ、うん。早苗は本当に地下…もとい地底に興味があったのか。
確かに気にはなるけど…私の用のある場所は凄く暑いんだよね。今もそうかは知らないけど。

「あっ、そうだわ。下手すると暑い場所に行くかもしれないから気をつけるのよ」

「行かないですむといいのですが…」

「なんか私としてもそこには行きたくないな。でもなんとかなるだろ」

なんとかなるといいね!
あそこの主、考えてることを読めるらしいし。…あれ、早苗と魔理沙ってその事知ってたっけ?



別に良いか。














この2人、地底は初めてみたいだけど、大丈夫かな。
大丈夫だろうのは分かってても少し不安になるね。
特にさとりと会うから。

「霊夢さん、あそこになんかいますよ?」

「あぁ、多分水橋パルスィね。基本的に嫉妬しかしないから大丈夫よ」

「そ、それって本当に大丈夫なんですかね」

多分平気でしょ。
前みたいにいきなり弾幕ごっこをやられなきゃね。



っと、旧都が見えてきた。
地霊殿はそろそろだね。

「もうすぐで地霊殿につくわよ。それで2人共、旧都に興味はあるかしら」

「ないな。特になにもなさそうだし」

「そこまで…じゃないですね。別に知らなくても困らない気がします」

そ、そうか。
ならいいか。私もそんなに旧都を知らなかったし。
…今度、ぐるっと回るぐらいはしてみるかな?







そこから中央へ大分進んだ頃、地霊殿が見えてきた。
うん、やっぱり屋敷のそれだね。

「へぇ、結構大きいんだな地霊殿って」

「ええ、そうみたいね」

(い、1度来たことのあるはずの霊夢さんが他人事みたいに…!確かに他人事ですけど、興味のなさ感が凄いですね)



ま、とりあえず入ろうか。
魔理沙と早苗がするだろうさとりへの反応が楽しみだ。


はーい、また来ちゃったー。

「はーい、また来ちゃった…ですか。ずいぶんとまぁ、フレンドリーに接してきますね」

「えっ?」

「霊夢?」
「霊夢さん?」

い、いや。2人共、私をそんな不思議そうに見ないで。
私だってめちゃくちゃ不思議なんだから。
え、まさか…もしかして…考えを読まれるってそういうことだったの…?

「ああ、固まらないでください。……はい、そうですよ?私は出会って最初から貴方の考えと口調が違うことに気づいてましたし」

「な、なるほどね。…じゃあ、読んでみてくれる?」

あの地霊殿での問題がどうなったのかとても気になる。
とりあえず魔理沙と早苗も連れてきてみちゃった。テヘッ

「……あの地霊殿での問題がとても気になること、とりあえず連れてきたことはよく分かりました。ただ最後のテヘッとはなんですか?」

「なんとなくやっただけよ。んで、魔理沙、早苗。この子が地霊殿の主の…」
「古明地さとりです。どうぞ宜しくね。さっきからやっているように、皆さんの考えていることは手に取るように分かりますので。隠し事はできませんよ?」


「へえ、考えを読む奴が地霊殿の主だったんだな。霊夢はよく平気だな、読まれて」

そりゃ読まれて困ることなんてないからね。

「それは「読まれても困ることがないから平気みたいですよ」」

ちょっ。私にハナサセテー。
さとりじゃなくてさとりんとかって呼ぶぞー。

「あー…分かりました。分かりましたのでそれはやめてくださいね」

「霊夢…な、なにを話したんだ?」

「別になんでもないわよ」

そう、なんでもないのだ!


「ですけど、霊夢。貴方、そこの魔理沙に『やっぱりこいつは一緒にいて面白い。今の霊夢になってよかったぜ』とかって考えてるみたいですよ」

「へぇ…?なにが面白いのかハッキリ答えてもらいましょうか…」

そう考えられて若干イラついたので少し怒り気味に近づく私氏。
もちろん笑顔でね!



「……霊夢さん達、本題から大分…いえ、かなり離れていることに気づいてないんでしょうか」

「あの様子だと全くもって気づいてませんね。霊夢なんて考えてることはこやつめー、みたいな感じですし。本当にイラついてるのか疑問を抱きますね」

「そ、そんなことを…。霊夢さんはよく分かりませんね。そういえば、霊夢さんが聞きたかった本題ってなんのことなんでしょうか…?」

「…早苗、でしたね。ええ、先に貴方に話しておきますね。あの2人はまた後で。……どうやら魔理沙は『何故バレたんだ』と考えているみたいですし。霊夢は………普通、こういう能力に抵抗を覚えるものなんですけどね。幻想郷なら当たり前と考えてるみたいで。…と、それましたね。本題をお話しておきます。それはですね」




なんか向こうが仲良く話してるけど、気にしない。
さて、魔理沙。話そうか…?

「れ、霊夢!ほら、そこにいるさとりとやらになにか聞きに来たんだろう!?それに横道に大分それてるんじゃないのか!?」

「ええ、それてるわね。でもそれとこれとは違うでしょう?なにが面白いのよ」

「い、いや!決してその表情がよく変わるからとか前より反応があるとかそんなんじゃないからな!」

…うん、あなたそれだよね。
ふふ…こいつめぇー
幻想郷風で(たわむ)れてやるー。

「あら、そう?ならいいんたまけどもね。……全部、自分の口から言ってしまってることに気づかないのかしら」

(あ、こいつはヤバイな)

っていうか前より反応があるとはどういうことなのか教えるんだー。




―――そんなことやってたら、かなり時間が経ってました。
さとりに聞きに来たはずの霊烏路空のその後について聞きそびれていたことにも気づいたのはその時でした。
いやぁ…時間を忘れるって、駄目だね。

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第34話 いやぁ、やることいっぱいで忙しいね

幻想郷ってこんな感じだと思ってます。
なんか色々と大変そうですよね。

…あ、霊夢以前の巫女は全員巫女装束だと思っております。なのでずっとその設定で通してました。
今さらですみません。


では、下からが本文です


……んー…。
朝、か。とりあえず朝食をとってから守矢神社にいくかな。
ま、もっと地霊殿にいたあの空とか主であるさとりに情報を聞くべきだったんだろうけど…

……核に関する情報があるのは外の世界だけのはず。
なにせ私が幻想郷に来てしまってしばらくは困った程度だから。いや、電気はあったからそこは平気だったけど。

そこから考えるとそれについて知ってそうなのは限られる。
私?……え、そんな面倒なことする?

「あっ…とそうだわ。現代風朝食でも作って驚かしてやろうかしら」


なんか私、悪いこと考えてるみたいで楽しい…!









台所で実際に作ろうとしたけど…そういやパン買ってないじゃん。
作ろうにもそもそもイースト菌ないし。あれ、里の人達はどうやってパンを作ってるの?
いや、必ずしも里にあるわけじゃないし…。

ならいつもの通りご飯と味噌汁となにかおかずってことで…

……うん、普段とあまり変わらないな、これじゃ。(遠い目)
ま、いいか。





さて、あれからしばらく作ってた朝食が出来た。ってことであの霊華を呼びたいところだけど…寝室かな?



「……ええと、ここよね?」

と思わず呟いてしまうぐらい不安。
いや、入ったことないんだよね。しかも、場所なんて入ってくのを何回か見ただけ。
…ど、どうしよっか。


あ、でも…ここにいてもなにも変わらないし…
ええい、ままよ!

―――って誰もいないし!私の着替え後の部屋よろしく布団などが片付けてあるし!
どこへ行った、あの先代。




えーと…。どこにいるんだろう、真面目に…。

「……霊華ー?朝食できたんだけどもー?」


(あぁ、もうそんな時間なのね。少しやり過ぎたかしら)


あ、向こうから出てきた。
というかなにをしてたんだか。汗が凄いし。…もしかして体を鈍らせたくないとか?
分からなくもないけど…本当真面目にやるよね。(遠い目)

「朝食できたから呼びにきたんだけども、せめて汗だけでも流してきてよね。体臭になっても知らないから」

と言って居間へ。
あ、因みに私も前よりかはやってみてる。
前の世界…というか外の世界にいたとき、か。そこではそこそこしかやってなかったから、最初こそはアレンジしてやっても比較的疲れやすくて大変だったけどね。



うん。これは今、どうでもいいし、それに関係もないからいいか。霊華も見つけて声をかけたから大丈夫だろうし、先に行ってよ。


(……あれで素っ気なくしてるつもりなのかしら。全然出来てないわね。全く…)












風呂でしっかり汗流したついでに着替えてきた霊華はどういうことなのか。
いや、同じ巫女装束のせいでいまいち分かりづらいけど。
…あぁ、巫女装束は仕事着も兼ねてるからわたしと同じくらいあるんだっけ。寝間着だけ私と見た目が一緒だけど。

髪の結び方も、もちろん違うよ?



んで、朝食も食べたし、私は守矢神社にでも向かうかな。
少しやることをやってから、だけどね。


「あら、珍しいじゃないの。…明日、雨かしら?」

「あんたに受けるより今までのを参考にした方が楽だからね。…ってかそりゃ私かて最近はやるわよ!?効果出てるような気なんてしないけども」

え?何故呆れるの?
いや、ほら。対象相手があなたぐらいしかいなきゃ分かりづらいような。

(……。仕方ない、のかもしれないわね。博麗神社(ここ)にいるのは基本私とあなた。強いて他にいるのだとすれば萃香とか言う鬼とあのスキマ妖怪ぐらいだものね。………え?その前に待ってちょうだい。もしかして自力で鍛えてる!?)

あ、表情がいかにも驚いてますって顔になった。
霊華も霊華で表情が豊かで面白いね。
さて、真面目に行きますか。珍しいものも見れたことだし。











空を飛ぶって楽だねぇ。
いや、飛ぶ方面に気をつけないと私は外の世界に出かねないんだよな。うう…変に不便だ。


あっ、なんかいる?

「…あっ!霊夢さんじゃないですか」

「ってなんだ早苗なの。……あれ、あんたんとこの二神は?」


(ちょっと意外そうにするのはなんででしょうか。ちょっと不思議ですね)


「確かちょうど買い出しに行っていたかと。霊夢さんこそ、どうしたんですか?」

「あー…それは…少し、話をしたいことがあってね。それを聞きにきたのよ」

…ってえ?早苗は聞いてない感じなのかな?

「そうなんですか。…あ、霊夢さん。私、幻想郷についてよく分かりました!」

お、おお?どした急に。

「…幻想郷のなにがわかったのよ」

「前に教えてくれたじゃないですか!それがよく分かったんですよ!やっぱり、幻想郷で過ごすには常識にばかり囚われてはいけないんだと!」

「あ、あー…よかったわね。その様子なら幻想郷に馴染めるんじゃないの?」

もう馴染んでそうだけどさ。
そのうちここにも来やすくしそう。うちの神社並みに危ないし。
いや、そうでもないんだろうけど、まがりなりにも山だしね。あの獣道はちょっと、って言うのに似てるのかもしれないし。



「あ、ちょうどいいとこに。巫女2人みっけ♪ねえねえ、ここの神様知らない?」

こ、この子…いつの間に来たんだろ。気づかなかった。

「私は知らないわ。そこの巫女は知ってるみたいよ」

ま、いきなりこの子が現れるわ、私にいきなり話を振られるわとかされたらビックリするわな。

「まあ、知ってますけど…まだしばらくは帰ってきませんよ?」

「えー、そうなの?……ってよく見れば貴方、お姉ちゃんが言ってた変わった地上の巫女よね?服も紅白だって言ってたし」

なんだそりゃ。私はそこまで変わってないはず。
強いて言えばポジティブ度合いが凄いくらい?多少自覚してるつもりだけど。


「あー…紅白巫女まで出てるんなら私ね。んで、そういうあんたは誰よ?」

「私は古明地こいしよ。お姉ちゃんにおくうを倒した人とは教えてはもらってるわ~」

へぇ…なるほど。そうなん…

「え?あんた、古明地って…」

「やっぱりお姉ちゃんと出会ってるのね!おくうを倒せるぐらいなんだから強いでしょ?ここの神様が帰ってくるまで相手してほしいわ」


……さ、早苗さーん?(助けを求める目)


「あ、遊ぶんでしたら私、離れますね。お二方も一応は周りを気にしてくださいよ?…下手に流れ弾が行っても困りますから」

そ、そですか。駄目ですか。
分かったよ。相手するよ!


「……帰ってくるまでだからね」

「分かってるわ♪」


―――本当に分かってるのかなぁ。(遠い目)









そういうわけでしばらく弾幕ごっこしてました。
表象「夢枕にご先祖総立ち」とか抑制「スーパーエゴ」とかされて大変だったけど、どうにかした。流れに身を任せるのもいけるもんだね。


「やっぱり貴方って強いわね!さすがおくうを倒しただけあるわね♪」

「そこまでじゃないと思うけども」

「えっ?霊夢さん、それで自分は弱いとか言いませんよね」

え、なに。違うの?
普通の弱い巫女のつもりなんだけど。ほら、先代達は強者揃いだし。

(あれ、今の冗談のつもりだったんですけど…そうやって首をかしげるということは本当にそう思ってたんですかね)

「ただいまー……ってあれ、参拝客2人に早苗じゃない。どうしたの?」

「あ、諏訪子様!おかえりなさい。それが2人共、諏訪子様達に用があるみたいですよ」

「ねえ、霊夢に早苗。なら聞くけども、この子誰?」

「古明地こいしさんだとか」
「地底にいるさとりの妹らしいって言うこいし」


「小石?…妖怪じゃなくって?」

「それは小石違いよ、諏訪子」

「あー、そう。それで、なに?」

「ちょっとしたお願い事なのよ~。私のペットに神様の力をつけてほしいのよ」


……不穏な質問になったりしないだろうね。

「私は諏訪子達にあの核について聞きにきたのよ。どうやったって核融合云々を知ってるのは外からきた私かあんた達しかいないから」

「やっぱり霊夢には分かるのね。今だから言っちゃうけど、河童の工場をこの間見学してね」

なるほど。まあ、この守矢神社と河童のいるところまでそんなに遠くないし、ありえなくもないか。

「それで見学したのはいいんだけれど、外の世界と比べて大分遅れていたのよ。エネルギーとかそういう面で。それで神奈子が新しいエネルギー資源を作ればいいんじゃないって。技術革命も起こるだろうし。あ、ほら。神奈子ってそういうの好きなのよ」

「……なるほどね。んで、それはなんて計画?」

「山の産業革命計画って名前よ」


…二神そろってなにしてんだか。


(な、なんか霊夢さんがさっきからよくため息をつきますね。なんででしょうか…)


「あぁ、それと一応河童に核は危ないんじゃないの?とは言ったわよ。……因みにどうなったの?」


「……あんた達ね、もう少し考えてからやってほしかったわ。おかげさまで地底まで行くはめになったんだから。…ああ、もうその空も大人しいからなにもしないはずよ」

「あらま。そうだったの。それはご苦労様ね」


「ねー、話まだー?出来れば私が恋い焦がれるほどの陰鬱な神様の力がいいんだけどー」

「そんな神様はいないはずよ。ほら、帰った帰った」




「諏訪子様、ああやって誤魔化すなんて霊夢さんも苦労してますね」

「あれは巫女だから言えることよ。あ、早苗はああならなくていいから」

「あっ、はい」








ふー。やっとこいしを帰せた。
あの2人まだいるかな。


………お、いる。

「あ、戻ってきましたよ」

「そうみたいね。んで、諏訪子。ちょっとは反省してほしいわ」

「反省?やったことに不備でもあったかしら。ねえ、早苗」

「……内緒にしたところ、とか?私にはそれしか分かりませんけど」

って早苗も知ってたんかい!
まあ、それはいいとして…


「そこじゃないわ。地獄鴉のことよ。…あれ、力を得るなり調子にのって地上を灼熱地獄にするだのなんだのと考えてたわよ?」

「あぁ、それは失念してたわ」

「……」

ぼ、棒読み気味なのは気のせいだよね…?
失念していたと言うより考えてたけどさっきまで可能性としか考えてなかったとかそういうのだよね…?

(あ、霊夢さんが呆れを通り越した顔に…。あ、ついでにあのことも教えて大丈夫そうですね)



「そこに間欠泉地下センターを作る予定なんですよ。霊夢さん、露天風呂に入るなら気をつけてくださいね」

「あら、それはご親切にどうも。とりあえず覚えておくわね」




「って早苗。まだ作ってないのに教えるなんてあんまりよくないわよ?……あの博麗の巫女のことだし、ああは言っても…」

「大丈夫ですよ、諏訪子様。霊夢さんは内緒にしておくと困ることがあるだけみたいなんで、教えておいたらこちらにとっても説明が楽になるはずです」

「なるほどね…。早苗も考えるようになったじゃない。なら、いいわ。…あと、ちゃんと仲良くするのよ?」

「はい!」



も、もしもーし。2人だけで話をされても困るんだけどー?
しかもちょうど私に聞こえない声で話おってからに。
ハブるの酷くないかなー?

「あ、悪いわね霊夢。……あ、そうだわ。ちょうど来たんだし、お茶くらいしてってよ。話とか色々したいし。ね、早苗?」

「そうですね。事情が違うとは言え、元は同じ外の世界の住民。久しぶりにそちらの話とかしたいので」

あー、はいはい。しょうがないなあ。

「分かったわよ。でも、本当にちょっとよ?」

「はいはい。…早苗、悪いけどお茶用意してくれる?」

「分かりました」

(…なんか満更でもなさそうな霊夢さんも悪くはないですね)











と、言うことで少し話をさせてもらった。
最初こそは神社関係の話だったんだけどさ、途中から早苗がロボット関係の話やらアニメの話やらしてきたものだから大変だった。
え、もしかして早苗ってそういうの好きなのかなって思うぐらいには話したような。


いや、あの口ぶりからして好きなんだろうな。きっと。
…でも、この幻想郷にはどれもないよ?どうするんだろうね。

ま、いいや。……あ!
今思い出したけど、里のあの落書きってどうなったかな。
ちょっと寄ってみよ。






えーと…最後に小鈴ちゃんにお願いしたから…。
鈴奈庵に向かえばいいよね。


今度は普通に行くかな。
ちょーっと楽させてもらうけど。









んー、やっぱりある程度時間かかるもんだねぇ。

「こーすずちゃーん。また来たわよー」

もちろんふざけまくった言い方だから、ギャップが凄いと思うよ?

「……霊夢さん、別に普通に入ってきてもいいんですからね?」

「あら、そう?まあ、言われてもやるんだけど」

あ、小鈴ちゃんに苦笑いされた。理由が分からないってわけじゃないんだけど…。


……おや?

「ねぇ、小鈴ちゃん。それはいいのだけれど、そこにいる子は?」

「あっ、この子ですか?……え、ええと…」

(今の霊夢さんなら安心とは言え、下手に教えて退治されかけるとかないですよね…)

ん?ど、どうしたのやら。
かなり悩ましそうにしてるし。…え、もしかしてそんなに隠したくなるようなこと?


「あ、あー…無理に話さなくてもいいのよ?」

「……」

あ、その子が小鈴ちゃんに近づいた。
しかもこっち見てるし…。ナ、ナニモシナイヨー?

「えーと…前に寺子屋のしょうじの方、お願いしていきましたよね?」

「ええ、したわね。その後の内容的に悪意を持った行為じゃないから私が出てどうにかすることじゃないから小鈴ちゃんに任せてたってのもしっかり。……それで、どうなったの?」


えっ?どうしたのそんなに驚いて。
鈴奈庵でなおかつこの2人しかいないから言ってるだけなのに。…1人は子供みたいだし、多分そんな難しい話は分かりにくいはず。

「なら真実を教えても……?」

「ええ、そうね。やたらと退治したところでやれることがやれなくなってしまうから私はしないわ」

あくまでも幻想郷のバランサーだからね、仕方ない。
博麗の巫女も博麗の巫女で大変だな…。…ふぅ。

「…そこにいる子、子狐みたいなんですよ。それで人に化けて寺子屋に行ったのはいいけど、ノートがなくて困っていたみたいなんです。私がノートをあげたのでもう寺子屋への落書きはなくなるかと」

「へぇ、それはよかったわ。もうあとは平気そうね。……今日はそれだけ知りたかっただけだから。んじゃ、また来るわ」



そう言って出ようとしたらなんかつかまれてるのか動けない。
って半身振り返ったらその子がスカートのすそをつかんでいただけかい。

「どうしたのよ。私にまだなにか?」

「…………ありがと」

珍しい。もしかして素直なのかな?
ま、お礼は…

「それは小鈴ちゃんにしてあげてちょうだい。私はその一押しをしたに過ぎないのだから」

(霊夢さん、お礼を言われて満更でもなさそうなのにそういうなんて…。素直じゃないですね)

「んじゃ、今度こそ帰るわね。またね」


と、鈴奈庵を出たのはいいけど…私も私で欲しいのでも買ってから帰ろうかな。
ちょうどいいからそうしよ。

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第35話 空を飛んで行く船って飛行船じゃないの?

たまに本編や番外編の内容を訂正したりリメイクしたりしてみています。

気になる方でそういうのも平気だよって方はもう一度読みなおしてみてはいかがでしょうか。

因みに下からが本編です


……あの間欠泉でゴタゴタしてからしばらくたった頃。
たまに露天風呂に入ってると空になんか見えるようになったんだよね。
んで、よく見ると船みたいなの。

霊華もたまにその露天風呂に入るらしいから聞いてみたんだけど、そこまであんまり見てないって言われたんだよね。どうしたものかなー。
見たのが私だけ、って言うのもなんなんだかなあ。他にも見た人がいりゃいいのに。


そう思いつつ、今日は残りの分社をある程度綺麗にしつつ空を見上げる。
……今のところ見てないな。

「おー、今日もやってるんだな」

ん、この声は…
「毎日ずっとってわけではないのよ?魔理沙」

「おや、そうだったのか。…ところで霊夢。それとは話が違うんだが、温泉が出来たそうじゃないか」

ま、興味は持つよね。でもさ、大体の人…というか妖怪か。
その妖怪の面々は何故か先代の巫女である霊華が入ってることを知ると露天風呂に入るのをためらうんだよね。



―――なんでだろう?


「……どうしたんだぜ?そんなに悩んで」

「あー、いえ。霊華も入ってると知った妖怪達はほとんど露天風呂に入りたがらなくてね。それがとても不思議に感じているだけよ」

え、なにその納得したような顔。1人で納得しないでよ!?


(霊夢にはいまいちピンと来なくてもしょうがないか。こいつ、相手がどんなに強くても対等に話せるぐらいに肝が座ってるからな。……まぁ、相当強い妖怪でも苦手意識を持つもんなんだな。多分あいつ、霊夢だけなんだろうな、あそこまで気兼ねなく話してもらえてる相手は)


えー…なんかおいてけぼり感がある…。
あ、そうだ。話は違うけど、空を飛ぶ船について聞いてみるかな。


「ねえ、魔理沙。空を飛ぶ船を知らない?決して飛行船とかそんなもんじゃないはずよ」

(いやいや、霊夢。飛行船とか私は知らないからな?…いや、聞きたいことはよく分かったが)

「ああ、それが見たことがないんだよな」

んー…まあ、無理もないかな。
空を見上げてなきゃ見えないだろうし。
噂でも聞いたらおしえてあげるかな。それかそれっぽい情報。


「あ、そういや霊夢。私も入っていいか?その温泉に」

「え、それなら普通にいいわよ?……っていうかあんたなら無遠慮に入っていくのかと」

「だ、だからって引くのは酷くないか?!私だってたまにはそういうの気にするんだからな!」

へえ、そうだったんだ。意外。
っていうかいつもは遠慮なくやってきたのに珍しくって。
わざと引いたように見せたけど…うん、この冗談は分かりづらかったかな?

「ふふ、悪かったわね。ちょっとからかいたくなっただけよ」

「意趣返しってやつか?…ったく、しょうがないな。あ、そういや忘れてたが、(うわさ)は聞いてる」

なんか違う気もするけど…別にいいや。

「その噂って聞いてもいいかしら?気になるし」

(おっ、さすがに興味を持つか。ただの好奇心みたいだけど、今の霊夢だからな。そういうのもしようがないか)

え、私だって好奇心とかあるんだからね?
自制はしてるつもりだけどさ…。


「あれは宝船で、欲深い奴から逃げ回ってるんだとさ。それでずっと回遊してるんだってな」

「……宝船?あの七福神の?…うーん、ありえるのかしら」

「えっ、興味ないのか!?もしかしたら、金銀財宝があるかもしれないんだぞ!?」

いや、確かにその話はロマンだし、あってほしいと思うよ。
でもさ?間欠泉関係のあとで見るとなるとなんか…うん…。
ゴメンね、魔理沙。

「まあ、今度調べてみても「あれ、霊夢さん。魔理沙さんと一緒になにを話してるんですか?」」


!?
ビ、ビックリした。なんだ早苗か。
いつの間に来たんだろう。不思議だね。

「空に飛んでる船の話よ」
「宝船の話だな」


「ああ、そうだったんですか。それなら確かに見ますね。今だって空を飛んでますし」

「えっ?」
「そう?」

と各々の反応しつつ、早苗の見る方へ視線を向けるとちょうど雲の間に隠れるところだった。
タイミングいいんだか悪いんだかよく分からないネ。


「……って早苗も見たこと、あったのね」

「私も…って霊夢さんは見てたんですか!?なんで動いてないのか不思議なくらいなんですが…」

「え、ほら。たまにしか見かけなかったものだから別にいいかなって思ったのよ」

それにほら、まだ空を飛び回ってるだけだし。それ以外は…
いや魔理沙。その顔やめようね。
金銀財宝が欲しくないって言うわけじゃないけど、今は少なからず参拝客が来るし。…ほとんど守矢神社の分社に来てるけど、うちの神社にも少数は来てるから。

本当だからね!?前よりは博麗神社(こっち)にも少しは来てるんだからね!?お賽銭だって多少は入ってるんだから!

…いや、自分の中でこう叫んでも意味はないか。


(やっぱり前の霊夢と今の霊夢とじゃ違うんだな…。分かってても驚きしかないぜ)

「あ、なら霊夢さん。ちょっといいですか?」

え、なんで手招きするん?
普通に話せばいいだろうに。




「んで、どうしたのよ早苗」

「諏訪子様に妖怪退治を行えば幻想郷に馴染めるだろうと言われてまして…。よく妖怪退治をしている霊夢さんと行けば大丈夫かなー、なんて考えてたり…」

(この霊夢さんなら、今までのことを考えても信用できますしね。それに先代の巫女の方に一時期鍛えられてたそうですから背中も安心して預けられそうですしね)

えーっと、何故に私?
フツーにそのお願いは聞いてあげるけどさ。
連れてくなら宝船とやらに興味のある魔理沙でもいいだろうに。


「あー、いいわよ?ただ、本当にサポートするだけだからね。そこは覚えててちょうだいよ」

「はい、ありがとうございます」

「……そういうわけだから魔理沙、あんたは―――ってあら?」

あれ、そこにいた魔理沙がいないんだけど。どこに行った?

「もしかして、我慢しきれずに行ってしまったとか?」

「……それはありえそうね」

(魔理沙さんが行ったとなると…どうましょう。行かなくて済んでしまいましたけど…。あ、そうですね、違うことでもしましょう。霊夢さんなら提案を聞いてくれるだけでもしてくれそうですし)



「あ、なら霊夢さん。ちょっと霊華さんを交えて守矢神社でお話しませんか?良い機会だと思うので是非」

「まあ、せっかくのお誘いだし…分かったわ。ちょっと呼んでくるわね」

絶好のチャンスだろうしね。
さて、先代の巫女をどれだけ今の幻想郷に馴染めさせる…いや、スペルカードルールを覚えさせられるか勝負だ!
あと性格を丸くするのもコミコミで!

「分かりました。ならここで待ってますね」

「悪いわね、早苗。すぐに呼んでくるから」












守矢神社で今後のことを話すってことで霊華を連れてくことに成功したナウ。
早苗が驚いたように見えたのはきっとキノセイ。

「あ、私とか早苗のあとをついてくれば普通につくから霊華はなにも気にしなくていいわよ」

「元からしてないわよ。それにしてもどうしたのいきなり」

「なんでもないわ。ただちょっと今後についてお話するだけよ」


(…目が笑ってない笑顔を浮かべるなんてなにを考えてるのかしら。大したことじゃなければいいのだけれども…)


フフフ…妖怪はまだしも、人にはある程度優しくなってもらうからね。覚悟してな…!

いや、覚悟もなにもいらないね。うん
















しばらく空を飛んでいると守矢神社が見えてきた。
いやぁ、やっぱり楽だね。

「私は先に諏訪子様や神奈子様に事情を説明してきますね。お二人は先に話し合っててください」


とのことで一室をお借り中。
早苗も大変そうだねぇ。



「それで、一体なんの話なのよ」

「…それはね、あんたはまず私に過保護すぎるわ!もう私は色々と大丈夫なのよ!少しは離れて見てちょうだいよ!それに妖怪以外にも冷たく接しすぎ!せめて人間とかには普通に接しなさいよ!無理にとは言わないけど、あまりにも突き放しすぎてるのよ、あんたのその態度が!言わないと分からないのかしら!?」


目を丸くするって、あの顔のことを言うんだな…。
そう思えるぐらいに霊華が目を丸くした。
多分驚かれてるだろうけど、事実なのだから仕方ない。
少しでもいい。里の人達にも私に接するみたいに自然に接することができないのかなって。
きっと霊華をよく知る人は前より減ってるだろうし、いたとしても心当たりがあるのはあの1人だけ。

ならもうなにも気にする必要はないはずなのに。


(まさか説教まがいを受けることになるなんて…。霊夢も大分変わったわね。…一部からは前の霊夢とは思えないほど別人だって思われてるみたいだけど)

「……ふふ、もうあなたもそこまで言えるなら大丈夫そうね。でも霊夢?」

「な、なによ…」

な、なにその笑み。ほんと母親と間違えそうなぐらい落ち着いてる笑顔なんだけど。
もうこの人がお母さんでいいよね?(困惑)

「あなたも、もう少し欲を出していいんじゃないの?」

えっ。

「わ、私だって欲はあるわよ!……そう、あるはずなんだから!」

呆れないで!?
しかもまさかの今の私の発言の時に早苗が諏訪子と神奈子を連れてきたもんだからさあ大変。


「……やっぱり麓にいる巫女って」

「ああ、恐らくそうなんだろうね」

ほらーそうなるー。
弁解するの大変なのにー。

「私はちゃんと欲持ってるわよ!?人並みにはあるわよ!?」

あっ、あの2人…いや、二神?二柱?が生暖かくこちらを見てるような気がするし、どうしてこうなった!

「霊夢さんも苦労してるんですね」

「そう思うんならなにか助け船を出してくれると嬉しいんだけども!?」

あっ、『頑張ってね』みたいな笑みを浮かべてきた。
もう、どーするのこれー!




―――その後、欲がないとは言いきれないとなるまでにそれなりの時間を要した。大変だったよ…。

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第36話 幻想郷に馴染んだはいいけど、知識不足が否めない

この作品の幻想郷がこんな和気あいあいなのは私だからです。

でもきっと他にもこんな二次創作はあるはず!
……デスヨネ?



最初に比べ、かなり独特なものになっていますので苦手な方はブラウザバックをオススメいたします。


……魔理沙がつい最近帰ってきた。
んで、その間に色々と解決?してたようで、あの船は聖輦船(せいれんせん)と言うらしく聖白蓮とやらを復活させるために動いていたに過ぎなかったらしい。
今は命蓮寺に変わってるらしいから今度顔でも出しに行くかな。


話の途中、UFOとか出てきたらしいけど、飛倉の破片だったらしい。
らしい、というのも封獣(ほうじゅう)ぬえが正体不明のタネを入れていたから、のようだ。さすが(ぬえ)

でも誉めたら理不尽がられた。
いや、鵺ってそういうものらしいんだけどな。


あ、もちろん今さっきのは全て魔理沙から聞き出しましたとも。
なんか隠してるような感じがしたから色々と…ね?
それに色々と根掘り葉掘り聞きたかったからさ。ごめんよ、魔理沙。
勘任せってやったらどうなるのか、知りたくってね。付き合ってもらったよ。


「霊夢のその勘、どうにかならないのかー?」

「どうにかならないのかって言われても私には、ねえ」

コタツ(布団は取り払ってる)に上半身倒しながらぼやく魔理沙にほんの少し困った。
案外任せた勘が予想以上に鋭く比較的当たりを引く、っていうなら普通は信じるでしょ?



………あ、信じない?


「いやー…せっかくのネタだったんだけどなー」

(こいつの勘は本当あなどれないな。ちぇっ、気づかなければもう少し楽しめただろうに)

「あら、そう言うけど正体不明って普通にビックリするものよ?やられたら驚くかもしれないわ」

…こ、これじゃダメかなー、なんて。目を思わずそらしちゃったし。

「やっぱり分かった以上、驚くかどうなんて分からないじゃないか!」


えー……


「それはしようがないわね。魔理沙の運がきっと悪かったのよ。…はい、そうめん」

いや、運が悪いって言葉で片付けられるのかな?
ど、どうなんだろ(震え声)

「悪くないはずだ!私はしっかり異変を解決してきたんだからな」

「はいはい…。あ、霊華。どうもね」



―――季節は夏。暑いので仕方ないからとそうめんを食べるところです。
というかセミがとてもうるさい。そんなに鳴くんじゃない。
理由が理由でしょうがないんだろうけどさ。

「さっきからみてたんだけども、なんか2人共バテ気味ね。私が鍛え直してあげましょっか?」

「だ、大丈夫よ!」
「別に平気だぜ!」

えっ?もしかして…
そう思って魔理沙に顔を向けたら魔理沙もこっちを向いてて目と目があった。

あれかな。目と目があう瞬間好きだと気づいた、とか思えばいいの?
いや、それだと百合とかレズになってしまいかねないから目と目で通じあうの方かな?


(むしろ霊華はどう鍛えたら平気になるんだ…?逆に羨ましいぜ。―――鍛えてほしいとは思えないが。それだけじゃない。目の前にいる霊夢の件もあるもんだから余計に思えないな)


「んで、霊華も座ったら?そうめんが固まるわよ」

「ええ、そうね」


コタツ机に上からみて左側に霊華、上側に魔理沙、下側に私と言う形で座った。
まあ、そうめんは冷たくて美味しかったよ。









それにしてもさ
「あんた、朝からそうやって来てるけど、ここは避暑地じゃないのよ?」

「あー、いいんだよ。森にある家でこもってるよりはこっちにいた方がまだいいからな」

えー…なにそれ。
この神社はそういう場所じゃないんだぞー?

「あのねぇ…」



「へぇ、貴方達ってこんな暑い日でも元気なのね」

いやいや、元気と言うわけじや……えっ

「アリスか。いきなりどうしたんだ?」

「ええ、最近霊夢が前と違うって貴方よく話してくれたじゃない?それで気になってね」

へえぇー…そーなのかぁ…。
……魔理沙が……


「余計なことは話してないわよね?魔理沙」

「い、いやっ!?話してないぜ!前と性格が正反対だとかしか話してないぜ!?」

(ま、まさかアリスから話してたことが流れるとは思わなかったな…。気をつけるべきだったか?)

「あ、そう。そういうのだったら別にいいわ。と、言うわけで私もこう呼ばせてもらうわ。――――七色魔法莫迦」

「……ねえ、魔理沙。本人の記憶はないとか言わなかった?」

(い、いけね!そこについて嘘ついてたのバレた!くそう、なんでこういう時に限ってそんなことを言うんだ霊夢!)

あ、なんか立ちそう。
ってうお!?いきなり人形が魔理沙を囲って…

「…魔理沙、ちょっとお話しましょ?…霊夢、魔理沙のこと少し借りてもいいわね?あと境内も少しいいかしら」

「あー、別にいいわよ?でもアリス?」

「なにかしら、霊夢」

一応はこっち見てくれるのね。
うん、アリスって人形と見間違うほど可愛いね。
っと、そうじゃない。

「…ほどほどにしてあげてね?可哀想だから」

「ふふっ、平気よ。ちょっと弾幕ごっこで遊んであげるだけだから」

なんだ。それなら……ん?

(れ、霊夢!頼む、なんとかフォローしてくれないか!)

魔理沙を横目で見たらアリスに気づかれないようこっちになんかお願いしてきてる。
ジェスチャーだからあってるかどうかなんて分からないけど、これは…


「そう、ならお手柔らかにしてあげてね。あとで3人で話すのだから」

「ふふっ、分かってるわよ。霊夢に言われなくてもちゃんと手を抜くわ」

「れっ、霊夢!?」

あっ、連れてかれてる。
やれやれ…。仲良いんだか悪いんだか。













しばらくした後、弾幕ごっこが終わったみたいで魔理沙が縁側に私疲れたって感じで座ってる。

「魔理沙に対してアリスは涼しい顔ね」

さっき色々スペルカード使ったりしてたよね。
あれで相手より少し上の力しか出してないとか思えないよ。

「そりゃそうよ。私はそういうのなんだから」

「なるほどね。……で、やられた魔理沙はどう?」

まあ、大分疲れたような感じだから分からなくもないんだけどね。せめて少しでも気にかけた方がいいのかなー…って。
隠し事をしてた分とかアリスに嘘をついてたのなんて、今のでなしになったろうし。

あ、私はなしだよ。今ので私関係の嘘はつきにくくなったろうし。

「……んで、それを私に聞くか?」

「ええ、まぁね。ま、その様子なら大丈夫そうね。…それで、アリス。あんた、正しくは七色の人形遣いでしょう?」


あ、少し笑った。可愛い。
なるほど、あってるんだね。


「ええ、そうよ。でもそこまで大人しいと来ると別人みたいね。―――いえ、別人だったわね」

うっさい。好きでこうなったんじゃないわ。
それでもね、案外受け入れたらすっきりするんだよ?

…そこ、諦めてるとか言わない。


「はいはい、私は別人よ。ま、霊夢であることには変わらないけども」

(…霊夢、大分棒読みだな。面倒くさいのか否定することに諦めたのか…どっちなんだろうな)

「そ、そう。…ま、そうみたいね。だからと言って霊夢。そこまで遠くを見るような目で言わなくてもいいのよ?貴方を否定しているわけじゃないのだから」

アハハ…。そーでしたね。
言われるまで気づかなかったけど。

「……してるわけじゃ、ないのよ?」

「わ、分かってる。分かってるわよ…?」

「そんな諦めきった顔で言われても…」
「お前、目が遠いぞ…」

そりゃ…ねぇ?現実=真実ですもの。諦めて受け入れる以外になにがあると。
白目むいたろか。出来るとは言わないけど。



「あら、霊夢。そこの2人は?」

「ん?なんだ霊華なのね。魔理沙には情報提供をしてもらってただけよ。それで境内に人形を連れて来てるのはアリス・マーガトロイドって言うわ」

「へぇ、貴方が霊夢の先代…と言うか母親なのね?」

「違うわよっ!?」

「えっ?!そうだったのか?」

魔理沙は驚かなくていいんじゃないのかな!?
だってほら、確かに私も母親みたいに接してもらってるし、これからもされるんだろうけど、母親じゃないからね!?
繋がってるんだとしても実際はー、とかありえるしね!


「……。ま、まあ、博麗の巫女の先代はしてたわね。今は博麗霊華と名乗ってるわ。あなたがなにもしなければ私も敵対するつもりは「アリスはまだいいわよ。里へたまに来てはニンギョーゲキ?とか見せてるらしいし」」

って話した途端、魔理沙が目を丸くして、アリスが驚いた。
いやいや、なにか驚くようなことあった?

「ねえ、まさか貴方…人形劇を知らないとか、言わないわよね?もちろん貴方の記憶にあるあのスペルカードじゃないわよ?あれは人形劇じゃないから」

ん?あのスペルカード?……ああ、まさか博愛のオルレアン人形などのことを言ってるのかな?
なるほど。確かにあれはニンギョーゲキなるものではないようだね。人形を用いた弾幕なだけだったみたいだし。


「なら知らないわ。ニンギョーゲキってなにをするわけ?」

「お、お前本気で言ってるのか!?」

「――――えっ?」

「あー…こりゃ真面目に知らないタイプね。まあ、フォローしようとしてくれたのはよく分かったわ。ありがとね、霊夢」

いやいや。なんの話なのかな?

(こいつ…元外来人なのに知らなかったのか。ほんと、今の霊夢は前よりお人好しだな。ま、そういうとこがあるから飽きないんだけどな。……今度からかってやるか?)

「な、なによもう。因みに霊華、あんたは人形劇とか知ってるの?」

「………そ、そんなの知らないわよ」

あっ、霊華が目をそらした。
えー…ちょっと聞いただけのはずなのに。

(珍しいな…。霊華が目をそらすとは思ってもみなかったぜ)

「…はぁ。人形劇っていうのはね?ここにいる上海(シャンハイ)とかそういう人形を媒体とした劇よ。昔話とかなら分かるでしょう?」

へぇ…そんな感じなんだ。と、いうか人形劇なんてもの、あったんだね。知らなかったよ。

「へぇー、人形劇ってそういうことをする奴なのね。なら余計に里の人間とかへの敵意はないわね。むしろ素っ気ないようで親切とかそんな性格でしょ」

「……博麗の巫女らしからぬ貴方に言われたくはないけど」

いやいや、なにを言う。
私だって必要とあらば妖怪の1体や2体、倒すよ?
今のところ単純に退治してるだけだからそうでもないように見えるだろうけど。

「…ふふ」

「れ、霊夢!霊華がいきなり笑ったんだが、あれは大丈夫なのか!?」

「あー…大丈夫でしょ。大丈夫じゃないとしても説得するけどもね。ほら、バランスは崩してないわけだし」

(……確かに、敵意を向けてくる妖怪にはこの霊夢もしっかり対応してるみたいだもんな。というか馴染むのはやいな。さすが元外来人だぜ)

「と、いうか貴方達…先代の扱いが雑じゃない?」

「多分気のせいだと思いたいわ。それでアリス、とかと言ったわね?」

「ええ、そういう名前よ」

「……確かに最近の幻想郷は前と違って平和ね。ほんの少し羨ましいわ」

「「……」」

そ、それもそうか。先代達って妖怪と本当に命がけで戦ってたんだもんね。
それを考えるとまあ、今は倒しやすいだろうよ。未だに受け入れてない下級妖怪もいるみたいだけど。

「ところで魔理沙、なんであなたもそんな驚いた顔で私を見るのよ。特段おかしなことは言ってないわよ?」

「い、いや!なんでもないんだ!気にしなくていいぜ!」

「そ、そう…?」


あんなんでいいのか。

「あ、そうだわ。霊夢、今度家に来ない?多分今の貴方なら家にあげてもかんしゃく起こして暴れたりしないでしょうから」

「あら、いいの?なら、言葉に甘えようかしら」

人形も気になるしね!
ってなわけで今度暇だったら遊びに行かせてもらおう。

んでもさ……なんでかんしゃく?前の霊夢ってそんなに短気だったの?
怖いなあ。

あっ、霊華と魔理沙がなんか話してる。
危なくなったら間に入ってあげよう。うん、そうしよう。


―――(あと)のことを言うと、その日はとても平和でした。
霊華も前より性格が丸くなりつつあるようだし。
これなら私共々名前呼びされるんじゃ…!


……いや、霊華に限ってはありえないか。
私より巫女らしいことをたくさんしてきたらしいし(遠い目)

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第37話 私は先代を紹介しようと思います 紅

なんか色々あって夢かと思ったけど、全然違ったのでビックリした私です。

もっと私に文才があれば弾幕も具体的に……と思ってもなかなか難しいですね。
他の皆さんが羨ましい限りです。

っと、そうではないですね。下からが本編です。平気な方はごゆくりどうぞ


『あの宝船を見つけたならどうして先に行ってくれなかったのよ!もう!』


寝てからしばらくして、夢だなと思った瞬間に言われたのがこれ。
そりゃ、確かに私も金銀財宝には興味があったよ?

…でもさ、考えてよ。
間欠泉云々の話があってからの空を飛ぶ船だよ。
本当に宝船なのか。本当に金銀財宝が眠っているのか。
気になるところ、たくさんあるでしょ?

『そんなもの、行ってから確認すればいいのよ。とにかく興味があればすぐ行動!…じゃなきゃ欲しいものはえられないわよ?』

す、凄い欲だね。強欲って言われてもおかしくなさそう。
いや、相手に失礼か…?

『むっ。このぐらいの欲、普通でしょう?むしろ欲の無さそうなあんたがあの宝船に目をつけていたとは意外ね』

いきなり文句から始まる夢かと思ったらそう来るんかい。
えーえー、わるうございましたね。私かてそういう宝船に興味ぐらい持ちますよ。

『それを目的にして見に行けばよかったというのに…。…まあ、いいわ。うちの神社に参拝客が来るようにしてくれたことには感謝してるもの。守矢神社も結局は分社おいて終わりだったようだし。―――あの分社、もう少し小さく作ればよかったのに』

そ、そうだけどさぁ…。守銭奴だって思われたくなかったし…。……ねぇ?
ところで最後のその一言はどういうことなの?

『あんたはそれでせっかくの一攫千金(いっかくせんきん)を逃してるのよ?……はぁ、それはもういいわ。あんたにはお賽銭を増やしてもらったのだからこれ以上とやかく言わないことにするって決めたもの。―――最後の一言?そりゃ商売敵の分社なんて小さくて良い、というだけよ。なにせ向こうはいきなり営業停止を言ってきたのよ?勝手がすぎるわ。…ま、まぁ…私もちょっと考え直してしまったのだけども…』

ど、どれだけ欲しかったんですか、あーたは…。
でも欲をさらけ出すのは、なぁ…。
最後のはもうなにも言わないことにするよ。と、いうか言えないよ…。

『え?欲しいものは欲しいって言えばいいでしょ?それこそ妖怪が大事そうに持ってるものでもなんでもとればいいじゃない。……あ、でもあんたはもう霖之助さんへのツケをなしにしたからそんなことをしなくていいんだったわね』

うん、そうだけどさ。
いくら妖怪相手だからって盗むのはやめてあげようよ。それはそれ、これはこれなんだからさ。
まあ、なんで霖之助さんへのツケを全部払ったって知ってるかについては今度聞くとして。
危なそうでなくて、知性のある奴なら別にそんな急がなくてもいいような。

『なにを言うのよ。妖怪は退治すべき相手でしょ?んで、異変解決しようとしてるときに邪魔してくる奴も退治するに限るわ。あとは前に立ちふさがっても私なら退治するわね』

……そ、そうなんだ。で、でもさ、相手が人間とか神様だったらどうするつもりなのかな…?(震え声)

『もちろん退治するに決まってるじゃない。当たり前でしょう?』

あ…そ、そうですか…。
もう立ちふさがる者ならなんでも退治するってことですね、分かります。

『そうよ。ったく…。ま、でも退治するものはちゃんとしてるみたいだからからいいんだけども。あんたって優しいわね。相手は妖怪なんだから遠慮はいらないのよ?』

あ、あれ。今ようやく気づいたけど、なんで私が色々と言われてるんだろう?
おかしくない?

『教えてるだけよ。それと…悪いわね。話し込みすぎてあんたの起きる時間軽く過ぎちゃったわ。そろそろ起きないと先代の巫女がきて起こしにきちゃうからいい加減おいとまするわね』

私からはどうも教えてもらってるように感じないような…。
え?先代の巫女が?…な、なんで知っt『悪いけど、答え合わせはまた今度ね。んじゃ、うちの神社を宜しく~』








………。
とても、欲の深い人だったなあ。(遠い目)

「霊夢ー?朝餉できたわよー?」

そんなこと言いながら入ってくるの?霊華は。
っていうかあの夢の子も考えてること読むとかさすが夢…。

「……どうしたのよ、霊夢。あなたって朝に弱かったかしら?」

「もう寝ぼけてなんかないわよ、私。…んで、朝食だったわね?行くわ」

いや、夢の中で霊夢みたいな人に色々言われましたっていっても最初は信じれないだろうしね。
…なんか説教じみてておかしかったけど。

「そう?なら、先に行って待ってるわね」

(多分いつものことなら着替えてくるか、髪をとかして来るでしょうから…ま、もういいわね)

さて、服を着替えるかな。
袖を別途つけるからちょっと大変だけどさ。
ま、別に楽だからいいんだけどさ。








今朝のご飯はそれなりの量があった。うん、そろそろ食材の買い出しに行った方がいいかな?

でも、今日は買い出しする前に行きたいところがあるんだよね。

「霊華、今日はちょっと紅魔館へ行ってくるわね」

「紅魔館?幻想郷にそんな建物、あったかしら…」

むしろ知ってたら困る建物なんだけどな。
なにせ今のスペルカードルールが出来るきっかけになったのがその吸血鬼異変みたいだから。

今回は単純に顔出しするだけだし、それにあのレミリアとやらなら話が通じるでしょ。
あ、なら先代の巫女も連れていっちゃう?紹介もできるし、一石二鳥でしょ。

(あ、この顔…なにか考えてるわね?やれやれ、前まで外の世界にいた人とは思えないわね。……ただ知識がかなり(かたよ)ってるからどうにかしてあげたいところね)

なんか表情が…。
まあいいや。

「んで、行くの?行かないの?」

「はいはい、とりあえず行くわよ。どんな連中がいるのか確認したいし」

お、行く気みたいだね。
あの門番が受け入れてくれるといいんだけど…

「んじゃ、軽く準備したら行きましょっか」

「ええ、それもそうね」

準備と言っても本当に軽くなんだけどね。
飛べばそんなに遠くないしさ。


……正直言って、霊華の巫女装束が羨ましいんだけどね。空を飛んでも見えなさそうだし。







少し…いや、それなりに?
時間をかけてついたのはあの紅い(やかた)
なんか実際に見ると周りからえらく浮いて見えるね。なんでだろ?

「……なんか前より色々と増えたわね。里も、この辺りも」

「あ、それを聞いて今気づいたんだけども…あんた、どこもにぶってないわよね。まさか…鍛えたのってまさか私と出会う前からじゃないわよね?」

私に体力をつけるー、だとかその辺りなんだけど、私より体力があったのを覚えている。
それに境内の掃除の時もそうだけど、いくら半分にしてるからって博麗神社はそれなりの広さがあるんだよ?

それを簡単にやれる霊華って…ねえ。
外の世界ならアスリートやれるんじゃないの?なにを、とかはサッパリ分からないけどさ。

「あら、元から鍛えていたわよ?それに、朝から鍛練するのってそんなにおかしいかしら」

「……あー、いえ。そうでもないわね」


―――今度からそういうの聞くの、やめようかな。(遠い目)







「……おや?あんた達は…あの時の巫女に見慣れない巫女?どうかしたの?」

「ちょっと遊びに来たのよ。…んで、私と一緒にいる巫女は先代の巫女の霊華ね。博麗霊華」

うん、まさかあなたもそんなに驚くとは思わなかったよ。
いやまぁ、珍しいなって思ったけど。

「へぇ…そうなんだ。ところで巫女は食べていいっt「食べれないわよ、この巫女は」」

「おっと、そうなのね。やめておくことにするよ。…それで、ちょっと遊びに来たんだってね?分かった。行きな。咲夜に会ったら私が入ることを許可したと言えば分かってくれるだろうから。それにあんたなら平気よ」

あ、そ、そう。
……ところで霊華。その拍子抜けしたような顔はどういうこと?
門前払いでもされると思ってたのかな。

(…この子、堂々としすぎてとんでもないわね。なんていうか…もうなにも気にしなくてもいいような気がしてきたわ)








うわ、エントランスホールなのにひろっ!魔方陣みたいなにかよりそっちに目がいくんだけど!
ここからレミリアだかなんだかって吸血鬼の部屋を探さなきゃいけないの?

うぇー…


「…外見とは違うのね。結構驚きだわ」

「あぁ…そうね。私はむしろ入ってすぐのここの方が驚きだけども」

(…外見と中身が違うこともそうだけども、確かにここも驚きの広さね)

さて、ホールに誰か来てくれるといいのにな。


……ん?背後から誰かに抱きつかれた?

「あら、霊夢。その変わった羽の子供は知り合い?」

「あ、あー…」

「友達っていうか、違うわね。顔見知り?遊び相手?なんとでも言えるし」

だからと言って急に抱きつくのは勘弁。
あなたがどれだけ厄介なのか、記憶でしか知らないとしてもいやでも分かるし。
怖いなぁ。(棒読み)

「んで急にどうしたのよ、フラン。なんか用でもあるの?」

「あの宴会の後、お姉様に言われたのよ。あとは手加減を覚えたら貴方を紅魔館の外へ出せるわって。普段はあいつ……じゃなかった、お姉様の言うことなんて聞かないんだけどもね、今回ばかりは聞いてあげたのよ。私は今の貴方と弾幕ごっこがしたかったから」

…ふんふん。

「んでね、そのままじゃ気に食わないから、お姉様に部屋を用意してもらうことを条件に出す代わりに私が手加減を覚えるってやったのよ。本当、あの時頑張ったのよ?でも、少し手加減を覚えたからさあ、会いに行こう…ってしたら貴方なんか闇の気に囚われちゃうんだもの。遊ぶもなにもなくてつまらなかったわ」

……ふんふん。

「ま、ちゃんとあいつ…いえ、あのお姉様が私の部屋を用意してくれたから私も、もっと頑張って手加減をまともなのにしたのよ?だというのにあいつったら、前は1度だけ出したのを忘れたかのように、未だにこの紅魔館の外へ出してくれないのよ。こんなのおかしいでしょう?」

……どう答えろと?

(さっきまで素直に頷いていた霊夢がいきなり黙るなんて…。私も少し話しかけてみようかしら。この子、なんか見かけたような気がするし)


「あ、あー…あなたも苦労してきたのね。ところで、手加減を覚える必要なんて普通はあるのかしら」

「……?ねえ、霊夢。この人間って飲食物?」

いやいや、そうじゃないかr……ん?食べ物?

「フラン、まさか本当にあんた、手加減を―――!」

「完璧じゃないけど、手加減はできるようにしたわよ。だって今の霊夢と弾幕ごっこがしたいんだもの」

……ええー…。
後ろで表情が見えないんだけどさ、この口ぶりからしてかなり遊びたいっていうのが分かる。

私、あの子ほど弾幕は上手くないのに。(白目)

「…そのフランって子についての説明はあとでちゃんとしてもらうわよ?」

アッハイ。
もう弾幕ごっこするしかないんだね。そうなんだね。
分かったよ、やるよ。

「……お互いスペルカード5枚、ってとこでどうかしら?」

「ほんの少しでいいから2枚がいいわ」

わ、わぁお…。それは気持ち…いや、少ないよ。
せ、せめて3枚…。あんまり変わらないんだとしても3枚…!

「なら、3枚。…私は3枚が限度よ。ダメかしら?」

「む、むうぅ……!」

ヤ、ヤメテ!なんか当たってるんだからヤメテ!

(―――ああ、あれって羽なのね。そのわりにはとても変わった羽ね。まるで飾り物みたいな外見だから分かりにくかったわ)


はぁ…。まあ、はやく終わるなら2枚でもいいか…。

「分かった、分かったわよ。2枚、2枚でいいのね?」

「ええ!さあ、はやく弾幕ごっこしましょ?」

私からすりゃパターンもくそもないんだよなぁ…。目の前に弾幕が迫ってくるとか怖いんだよ?
いや、異変を何度か経験したおかげで慣れはしたんだけどね。

……うん(遠い目)


「はいはい、するから…」

「んじゃ、私は離れてみてることにするわね。今のあなたなら大丈夫でしょうから」

そうやって親指をたてるのはいいんだけど、フラン―――フルネームをフランドール・スカーレットなんて言うらしい―――と弾幕ごっこするのは私からすれば初めてなんだよ?
まあ、頑張るんだけどさ。






私が決めたスペルカードは霊符「夢想封印」と霊符「夢想封印・集」の2枚。
これなら弾幕があんまり広がらない分、短期勝負に挑めるだろう。
うん、いける







―――と思ってた頃もありました。
フランが最初に使ってきたのは禁弾「スターボウブレイク」だったから、まあ避けづらかったけど大丈夫だったんだ。
でもさ?お互い2枚目行きますよってところで禁忌「フォーオブアカインド」を使ってきた。

やめて!4人に増えて弾幕をはるなんて濃くなるだけよ!?
ってふざけてる暇もないんだけど!?……イヤァアーー!?





(あれで弾幕ごっこ、ねぇ。…こうやって離れてみると無駄なのに綺麗に見えるから不思議よね。ルール自体はしっかりした決闘システムそのものなのに。………ふふ)


「なるほど、妹様がたまに話していた先代の巫女とは貴方のことね?」

「………!?あ、あなた!いつの間に!」

(いくら霊夢達の弾幕を見ていたからって私はなまってないはずなのに…!……あら?いきなり申し訳なさそうにしてk…)

「ああ、それはごめんなさいね。普通に来たつもりでしたけども…。…それで、そこにいる妹様は霊夢と遊んでるのね?」

「え、ええ…そうみたいよ。ところであの子、人間じゃないでしょう?かと言って妖怪ですらない。正体は一体なんなの?」

「へぇ、そこはさすが先代というべき能力ね。ええ、妹様やお嬢様は人間ではありませんわ。吸血鬼という種族なの。――あぁ、私は人間よ?」

「吸血鬼、ね。あら、ならあなたはメイド?…服装からして、それ以外にはなさそうだけども」

「へぇ、メイドを知ってるなんて貴方は本当に先代なのかしら?」

「現代のサブカルチャーは私が教えたわ」

凡人並みの絵心を使ってね!ふふん。(ドヤァ)
……いや、うん。疲れた。

「むぅ…前の霊夢と違うから今度は私が勝てると思ってたのに…」

「なるほど、通りでそういうのを知っていたわけね。…んで、いつ教えたのかしら?妹様はお疲れ様です。いい運動になりましたか?」

「……いつだったかしら。そんなこと忘れたわね」

「コスプレとして存在する的なことを朝餉の時に教えてきたじゃないの。…ま、私もいつかなんて覚えてないわ」


アチャー。


「とてもいい運動だったわ。それで咲夜。私も貴方も先代の巫女の名前を知らないし、せっかくだから聞かない?」

「そうでしたか。それはよかったですね。……妹様、聞かれるのもいいですが、名乗るのも大事ですからね?」

…あ、いけない。そういや霊華はフランの名前、知らないんだったね。

「ああ、それはいけないですわね。私の名前はフランドール・スカーレット。地下に495年も閉じ込められていた元問題児よ」

「あんたが自分で言うなんてとてもシュールね」

いや…フランさ、半目で見られても…

「……だって貴方と約束したはいいけど、貴方は元々幻想郷(ここ)にいなかったって言うじゃない。だから余計(もろ)いだろうからって頑張ったのに……」

うん?なんかこの子、言った?

「なるほどね。さっきの一言は…霊夢、も聞こえてないみたいだし、私は聞かないわ。それで、私の名前なんだけどもね?今、霊華って名乗らせてもらっているわね。一応は今そこにいる博麗の巫女の前の巫女ね」

小声で「何代目かなんて忘れたわ」とか言ってるけど、別に聞こえるように言ってもいいんじゃないのかなあ…?

「ふぅん、そうなの。霊華って名乗ってるのね。今度遊んでみたいわ」

あっ、大変なのに目をつけられてる。

「今度ね?その時はその吸血鬼とやらの強さ、見せてもらおうじゃないの」

ねぇ、だからってそんな楽しそうに笑うのやめてもらえます?
いくら妖怪退治は命がけだったと言ってもそれはちょっとホラーだよ。

「…違う意味でも苦労していたのね。頑張りなさいな、霊夢」

「ならあんたも止めなさいよね、咲夜。今教えるけども、霊華は最近弾幕ごっこができるようになったぐらいにスペルカードルールを知らなかったのよ?大丈夫だと思う?」

えっ、そこでも平然そうにする?
いや、まあ、確かに弾幕ごっこなら死にはしないだろうけどさぁ…。
もうとんでもないね(遠い目)

「え?平気でしょう?弾幕ごっこで遊ぶつもりでしょうし。そうですよね、妹様?」

「もちろんよ。むしろ私の能力的に霊華の方が危ないんだから。脆いのよ?人間って。私だとすぐに壊してしまうからってお姉様が地下に閉じ込めてたみたいだけど」

うん、不器用な気遣いだねぇ。
下手すりゃ嫌われてると勘違いされるやり方な上にそれって…

「そうでなきゃ貴方が本当に壊れてしまうからよ、フラン」

「運命が見れるーってわりにはそういった不器用なことしか出来ないなんて。だからお姉様は…」

「その割にはそのレミリアの言葉をしっかり聞くよね、あんたって。案外素直じゃないわねー」

おっと、なんか襲ってきたぞ?
あ、危なっ!

(なにやってるのやら、あの子は…。まあ、いいわ。多分紹介がてらに来ただけでしょうし、今についてもっと慣れておこうかしらね)

「ええと、咲夜…だったわね?あの今出てきた奴も吸血鬼ね?」

「ええ、そうよ。この館の主であるお嬢様ことレミリア・スカーレットよ」

「ふふ、そうね。あぁ、でも吸血鬼はこの館にいる私とフランだけよ?他にいるのは門で会ったであろう紅美鈴。美鈴には門番と庭の管理を任せてるわね。あとはパチュリー・ノーレッジと小悪魔ね。この2人はあんまり大図書館から出てこないから貴方には縁があまりなさそうね。……ところで霊夢、フラン。なに戯れているのよ。霊夢も交えた話ができないじゃない」

「あら、お姉様。いつの間にきたの?てっきり部屋でこそこそしてるかと思ったわ」

「はいはい、そういうのはあとでね。姉妹喧嘩は人前であんまりされると困るのよ?」

私の周りにそういう双子はいなかったけどね。
そもそも双子の知り合いはいなかったよ。

「わ、分かったから頭をなでないで?なんとなく気恥ずかしいのよ」

あ、なるほど。あんまり撫でられたことがなかったのかな?
よし、ならば

「……。妹様があんな風になるの、はじめてみたわ」

「あの霊夢だからでしょうね。…それでレミリア?とやらの部屋で話すのはできるかしら?」

(霊夢がさっきからフランとやらとかにちょっかい出してるせいで話が進んでないのよね。だからそこで出来ればいいんだけども…)

「ええ、そうね。フラン、霊夢達と話がしたいからそういうのは後にしてもらえる?後でなら私でも霊夢でも相手にしてあげるから」

「へぇ、前よりはお姉様も私のことを気にするようになったのね。そりゃいいわ」

「……貴方がむやみやたらに壊さないよう頑張る、と言ったからよ。今の霊夢に影響されたとしても、私はその方がありがたいわ。いつまでも地下に閉じ込めて守る必要がなくなるから」

あっ、これは…

「そこを気にしてくれるのなら私がどう思うかも考えてほしかったわね。お姉様?」

「はいはい、そこで止めてちょうだい。そういうのは私達がいないときにやってちょうだいね」

「……霊夢がそう言うなら」

「それもそうね。無様な姿を見せたわ。…こっちよ、霊夢、霊華。咲夜、悪いんだけども、紅茶を用意してもらっていいかしら」

「紅茶ですね、かしこまりました」

……消えるの早いね。
で、でもうわべだけでも冷静なフリをするんだ…!すぐ、きっと、慣れるはずたがら……うん(震え声)

「んじゃ、フランには悪いけども、話してくるわね」

「分かったわよ。あ、ならパチュリー達に貴方達のこと、話しておくわね」

わあ、ありがとう

「そう?ならお願いするわね」

「ふふ、大丈夫よ。前と違って狂気も手の内だから」

安心できない言葉をどうもありがとうね!
出来れば後半はそのまま隠し持ったままにしてほしいな!
…って行っちゃったし

「ほら、霊夢。置いていくわよ」

「……はぁ。分かったわよ、行くわ」

霊華も先に行きそうになってたんかい。しょうがないなあ。








少し歩いてレミリアの部屋に来た私達は、咲夜に出してもらった紅茶(淹れるまで結構はやかった)を飲みつつ会話をすることにした。
咲夜…は…同席なのかな。でも立ってるし、微妙だね。

「それで?なにか用なの?」

「あぁ、先代の紹介とついでに顔出しね。ほら、私も訳ありじゃない?私も運命はそこまで信じてないんだけど、そういうのが見えるあんたなら理解もはやいだろうなって思ってきたのよ」

なんでレミリアにため息つかれたんでせうか。ちょっと分からない。

「なるほどね。貴方はなにか霊夢から聞いてない?」

「紅魔館へ行くとしか聞いてないわよ。…強いて言えばそこに住む者達のほとんどが人ならざる者とは思わなかったけどもね。妖精もメイドにしているようだし」

「いつの間に…と言いたいけども、霊華ならありえるわね。それにちょうどフランと戯れていたのは霊夢だし」

前に約束してた遊びが今日になっただけなんだけどね。
っていうかそのために手加減覚えるとか、本当は問題児じゃなかったりしてね。ハハハ。
……えっと、彼女の能力ってなんだっけ?

『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力よ。…ただそれについても今度、会ったときに教えるわ。ちゃんとね』

そ、そうか。なるほど……?
って脳内に直接…!?


「なに1人で遊んでるのよ、貴方は。お嬢様となにか話をするんじゃなかったの?」

「えっ、ええ…。そうだったわね。…ところでレミリア。ちょっといいかしら。私…あの時の異変があれで終わりだとは到底(とうてい)思えないのよ。―――見てもらえる?」

(霊夢がこんな真面目な顔をして言うとは、ね。私も覚悟して聞かないといけなさそうだわ。……確かに“倒した”だけだものね。そのあとはなにもしてないし、誰も策をほどこさなかったから余計に、なんでしょうね。でも、彼女の勘…幻想郷に来てからというもの、本来の霊夢と違って理解するものが多いけども、もしかして―――!)

「なるほど。その口ぶりからして運命をあったかもしれない出来事、としてとらえているのね?もし違っていたらごめんなさいね。私は心までは読めないから。さて、なら今から見るわよ。覚悟はいいわね?」

私は力強く、ゆっくりと縦に首を振った。
霊華の紹介という目的のついでも解消できるだろうからね。
付き合ってもらうよ、2人共。
私とレミリアとの会話に、ね。



ここを読んでいる方がいらっしゃるか分かりませんが、感想を非ログインでもつけられるようにしました。

ガラスのハートともろいですが、他の皆さんもつけやすくなったかと思います。
迷惑にならない範囲で適当にどうぞ。


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第38話 あの館からの私への感情がなんか凄い

少なくとも人々に読まれている不思議な小説とはこちらです。

ものすごく今さらですが、この小説にオリジナル異変も含まれています。苦手な人はブラウザバックしながら“憑依霊夢は砂糖より甘い”とののしるように思うんだ!

えっ?なんか変だって?…そうですよね、すみません




下からが本編です(目そらしー


それから見ているのかレミリアが1人でコロコロと表情を変えているのを笑うのをこらえながら待っていると真顔に戻った。

おっと、まさか…怒った、かな?(震え声)


「……あぁ、なるほどね。それならあの時のフランへの対応はしっくり来るわ。なにせ貴方は元から霊夢であって霊夢でなかったのだから。さしずめ憑依、とでもいうべきかしら?貴方はどう考えても死んでないようだし」

「死んでない!?本当でしょうね!」

「霊夢、霊夢。気にするのはそこじゃないんだけども。…確かに見て死んでないってことが分かったとはいえ、そんな嬉しそうな顔で聞いてくるんじゃないわよ」

「そうよ、霊夢。お嬢様があんまり浮かべない困惑した表情を浮かべてしまうほどなのだから落ち着いてちょうだいな。…まあ、でも確かに気にするのはそこじゃないはずよね」

「あぁ、でも霊夢ね、目が覚めたらいきなりあの博麗神社だったのよ?今では人間だったと自覚しているとはいえ、やっぱり外の世界で人間として生きてたって証明とやらが欲しかったんでしょうね。まがりなりにも半分記憶ないし」

「半分記憶ないとか言わなくていいのよ。その半分は元々私の記憶だし、困ってないから問題ないのよ。私が気にしてるのは違う問題だったの。それが分かったからついああなってしまっただけよ」

っていうかそれとこれは違う気がするんだけどなー(棒読み)
私が気にしてるのは“憑依”とやらは死んでなったのか、ってだけだし。
いや、まあ、レミリアに“憑依”って言われるまでこれっぽっちも気にしてなかったんだけどね。

わ、私だけの秘密だよ!(震え声)


「あら、それは失礼したわ。…それでお嬢様。霊夢を見てなにが見えたのですか?」

「うーん、減ったと言うべきか増えたと言うべきかとても悩ましいものだったわね。強いて言えば霊夢に残る最後の問題さえ解決すれば誰がなにしようとなにも起こらないとしか言えないわね」

え、えぇ…。なんか前にも見たって言い方が気になるけど、それよりも最後がなんかとても意味深な言葉だね。
…いや、むしろついでだったはずの目的が大事(おおごと)になってるような…?

「恐らく貴方がさっき言った『あの時の異変があれで終わりとは思えない』っていうのが正しく思えるほどよ。…でも、不思議なことにそれで終わりじゃないのよね。だから、なにかをすればもう二度とその異変は起きなくなるんでしょうけど…。私はそういうの、専門なんかじゃないのよね」

「専門じゃない割には結構知ってるわよね。まさか、運命が見えるーとか、そんなこと言わないわよね」

運命って言っていいのかさだかじゃないけどね!
ほら、運命って分からないでしょ?もはや偶然レベルでしょ?
どうやって理解するんだろうか。とても気になる所存です。

「そこを言わないの。でもそうね、今回は霊華などの巫女の知識が役に立つんじゃないのかしら。どこぞのスキマ妖怪もありえそうだけども」

「お嬢様、彼女の名前は八雲紫だと何度も教えたじゃないですか。せめてたまには名前で読んでみてはいかがでしょうか?」

「あー、んじゃ…気が向いたらでいいわ」

そういうのって二度と来ないやつじゃないのかな。

「んまぁ、それだけ情報があればいいわ。ありがとうね。さてと、大図書館にも顔に出してくるわね」

「霊夢、もうそこのきゅうk……じゃなかったレミリアから聞かなくていいのね?と、いうかもしかして今のがついで、とか言わないわよね」

えっ?なにを言うの?
紹介が本来の目的で、私のこれはおまけだよ。それこそお菓子についてくるオモチャレベルでおまけだよ。

(そ、そんな顔をするってことは…本気でついでだったのね。普通、そういうのを目的にするでしょうに変わってるわね)

「そう?んならパチェに話でも通しておこうかしら?」

「あ、いいわ。霊華を紹介するだけだし、それ以上はしないもの」

知ってそうな人物って限られてるしね。
会ったことがあるのならまだしも、最初から知っていたのは八雲紫、あと知ってそうなのはあの霖之助さんかな?

「そう?なら咲夜、霊夢には再確認、霊華には教えるつもりで案内してもらえる?たまには妖精メイドに家事を任せても困らないでしょうし」

「…分かりました。パチュリー様のところまで案内すればいいのですね」

「そんな複雑そうな顔しないで素直に受け止めたらいいんじゃないのかしら?ほら、人間って疲れるときは疲れるから」

「……ふふ。確かに貴方って変わり者ね。でも、そうね。あまり使えないとしても休憩がてらに案内するのも、またいいわね」

ねっ、でしょ?

(嬉しそうな笑顔。幻想郷に来てから変わったのって多分貴方のおかげよね。…誰が、とは言わないけども)









案内してもらったのはいいけど、館そのものが広いってさすがだね。
確か咲夜がやってるんだっけ…。

「あぁ、そういえば霊華。貴方への自己紹介をしていなかったわね。私は十六夜咲夜。この紅魔館のメイド長をやっているわ。実を言うとこの館は私が能力の応用で広げたものなのよね。最初は驚いたでしょう?」

「ええ、そうね。窓も少ないし、さすが吸血鬼の住まう館ね」

んっ?……あぁ、そうか。
吸血鬼は日差しが駄目なのか。あの睦月に開いた宴会だって来たのは夕方。日が沈んでいたからなのか、今さっき会ったようなほぼ手ぶらの状態で出来てたしね。
いや、咲夜だけは少し持ってきてたけど。

んで、フランが外にでようとしたとき、紅魔館の周囲だけ雨を降らしたことがあるらしいけど、その時なんてレミリアが博麗神社にいたから帰れないみたいなことを言ってきたらしいし。

―――弱点多いなぁ。そのくせしてあの生ぬるい、プールと言えるかどうか怪しいものには普通に入ってたし。よく分からないねぇ。

ん?そういえばパチュリーって

「大図書館には窓あるの?いくらなんでもないってわけじゃないでしょうし。……まさか、本が日焼けするからってないとか言わないわよね?」

咲夜、気まずそうにするのはなんでかな?
え、なに。本当にないの?
………うそでしょ?

「あー、とりあえずそこがパチュリー様のいる大図書館よ。小悪魔もいるでしょうし、ついでに霊華のこと、紹介したらどうかしら?」

「ん、それもそうね」

「むしろ私はその大図書館の方が楽しみね。今までそういう本の多そうな場所がなかったものだから。あぁ、高床式倉庫にあるような書物とかじゃないわよ?あれはまだ少ない方でしょうし」

あー…それもそうか。少ないもんね、あそこにある書物。
うん、それはいいんだけどね?霊華…あなたの時に図書館なんてあったの?そもそもどうやって知ったの?
すごいなあ(棒読み)


―――咲夜が先に扉の前に立つとノックを3回したが見えた。音もその分聞こえたけど。

「パチュリー様、霊夢が先代の巫女を紹介したいと遊びに来ているのですが、入れても宜しいでしょうか?」


…な、中にいる人に聞こえる?

「あら、そうなの。霊夢がいるなら別にいいわ。レミィ曰く今の彼女の性格なら突然手を出してきたりはしないって言っていたから」

うん、どんな理由かな。
しかも手を出すとか…。なにかしでかそうとしたり、私や周りの人になにかしない限りは私もなにもしないってのに。酷いよね。

(なるほどね。確かにここまで社交的で前向きで中立気味な霊夢ならそういう反応されてもおかしくはないわね。……自覚しているかどうかはともかくとして)

「分かりました。入室しますね」

「お邪魔するわよー」

う、うおぉおー!?本がたくさんあるんだけどー!魔導書以外とかないのかな?!

「霊夢、本に興味を持つのはいいけども、パチュリー様に一言いってからの方がいいわよ?」

「あら、借りれるの?」

「ええ、恐らくはね」



「……よくなんともないわね、ここって」


あ、なんか霊華が小さく呟いてる。なにを言ったのか分からないから別にいいか。




「………」


「ねぇ、霊華。もしかしてだけども、あの巫女…魔導書知らないんじゃないかしら?」

「あら、私はほとんど知らなかったわよ?大体聞いて察するしかできないわ。…でもそうね、あれを逆さにして読んでいる辺り、知らないんじゃないかしら」

「……確かに逆さね。読めてるのかしら、あれ」

「霊夢でもさすがに読めないと思うわ。あれが逆さで読める本でない限りは、ね」



なんか会話してるのが聞こえるけど、気にしない。
きっとこれは普通の本なんだ。
ただちょっと理解しづらいだけなんだ…!

「…ねえ、貴方。その魔導書、逆さよ?あとそれ読めてるの?」



―――えっ?逆さ?
あ、ホントだ。

「読めないわよ。それに魔導書なんて魔法使いが読んだり書いたりする本でしょう?なら私でも読めるわよね」

「なるほどね。…でも読めてないのよね」

そうだね、読めてないね。それこそ、逆さま以前の問題だね。
…いや、それ以前に誰と話をしてるんだろう?

「そりゃ魔導書なんて見たことないもの。…そういうあんたはパチュリーだったのね。本とにらめっこしていたら気づかなかったわ」

あ、なんか呆れたように笑ってる。ひ、ひどくないかな。

「パチュリー様、待ってくださいよー。ってあれ、巫女が2人もいるなんて珍しいですね」

「ええ、この2人は霊夢と霊華よ。―――それでパチュリー様に霊夢が私のとなりにいる先代の巫女こと霊華を紹介したいとのことです。ほら、霊夢」

はいはい。ありがとうね?


「あー、そこにいるのは先代の巫女をやっていた霊華よ。一応あんた達で紹介は最後ね」

「本当はその名前、名乗ってるだけなんだけどもね。まあ、いいわ。それであなたがパチュリー・ノーレッジで、そばにいるあなたが小悪魔…でいいのかしら?」

「はい、私は小悪魔ですよー?まあ、名前じゃないんですけどね」

「名前じゃなくとも呼びやすいからいいのよ。…ええ、私がパチュリー・ノーレッジよ。まさか霊夢、それだけで来ていたとか言わないわよね?」

言いますとも。
ついでの目的は当初できなくてもいいやってレベルで諦めていたし。そもそも出来るかどうかも微妙だったしね。
いや、フランとの接触は予想外かな(震え声)

「…本当にそのつもりだったのね。まあ、いいわ。レミィの言うとおり、貴方は本を大事にするようだし。小悪魔、悪いんだけどもこの霊夢が持ってる本、元々間違えた場所に入れてしまっていたみたいだから戻してくれる?」

「しょうがないですね、パチュリー様は。霊夢さん、渡してもらえますか?」

「別に構わないわよ。どうせ魔導書なんて私にはこれっぽっちも分からなかったし」

それに魔導書とは縁がないだろうしね。
それにしても小悪魔のあれ、私と同じような長さなんだね。短いとやりやすいのかな?

「はい、ちゃんと受け取ったので戻してきますね。んじゃ、あとは4人でごゆっくりー」


「そんな長居しないと思うんだけどもね。…まあ、いいわ。パチュリー、あのフランがあそこまで大人しいのっていつからなのよ。なんかもう宴会の時にはやけに大人しかったけど」

「本当。あの時、霊夢に話しかけにいったと思ったら普通に話し出すんですもの。ビックリしたわ」

え?見てたの?
てっきり私はレミリアとかと話をしててこっちを見てないかと…。いや、紅魔館のメイド長だからそりゃ見るかな?

「それがレミィからの話を普段聞かないのにあの日だけしっかり聞いててね。それからというもの、今の貴方に『会いたいから』とか『友達になれるかもしれないから壊したくない』ということで頑張りだしたわね。宴会に行く前なんて情緒不安定さがなくなっていたのよ?私も驚いたわ」

「そんなことをやっていたのね。…霊夢、今度から私も宴会に混ぜてくれる?私もちゃんと今の幻想郷にあうようやるわ」

(それにいい加減私も霊夢に妖怪退治の依頼が回るようにしないといけないしね。いつもは人間にも妖怪にも甘い霊夢だけども、幻想郷のことは大事みたいだしね。…ふふっ、第二の故郷ってやつかしら?)


霊華がまた母親みたいに笑ってる…。
でも二度とお母さんと間違えて呼ぶまい。かなり恥ずかしかったし。

「ああ、話がもりあがっているところ悪いんだけども、私、そろそろ戻るわね。んじゃ。…それと、霊華。最初は驚かしてしまってごめんなさいね。パチュリー様もなにか用があれば呼んでくださいね」

咲夜って色々とはやいときあるよね。
一応時に関する能力だっていうのは知識としてあるんだけどね。


「それにしても霊夢に霊華、ねぇ…。面白い組み合わせだわ。先代と今代なんて早々出会いなんてしないでしょうし。…ああ、ちゃんと返してくれるのなら本とか私も貸すわよ。これでも魔導書やそれ以外もあって、気がついたら増えてるとかざらじゃないのよね」

「へぇ、いいのかしら?もしかしてらそのまま借りていってしまうかもしれないのよ?」

「……よく咲夜から貴方を里で見かけると聞くけども?霊華も見かけるって聞くわね」

「そ、それは…そのぉ…」

買い出しとか鈴奈庵に本を借りたり返したりしてるとか言えない。
霊華も大体買い出しとかって聞くんだけど、どうなんだろうな。

「私は普通に買い出しとかしてるだけよ?それ以外はたいしたことなんてしてないはずなんだけども…」

「あぁ…もういいわ。先代の巫女がどれほど霊夢より有名なのかって分かったから。ところで貴方達にはそれ以外の用事はないの?」


…………あっ、いけない!


「忘れてたわ!私、里へ行ってくるから、霊華はあと自由にしてちょうだいね!」

「自由にってあのねぇ……って待ちなさいよ。私も買うのあるんだから」


「…パチュリー様、なんか賑やかでしたね」

「なんだ、小悪魔なの。そうね、霊夢と霊華。あの2人がいるとレミィも私も退屈しなさそうだわ」












里についた。
ちょっと人通りが多いけど、きっと昼前かなんかなんでしょ。

「先に行くとは思わなかったわ…。それで忘れていた用事ってまさか買い出しのことじゃないでしょうね」

「えっ?もちろんそれよ?ほら、よく言うでしょ。食べなければ異変解決とかも出来ないって」

本当は“腹が減っては戦はできぬ”なんだけどね。
それを幻想的に考えたらこうなった。いや、我ながらよく分からないね。

「はいはい。分かったから買い出しいくわよ。んじゃなきゃ色々と少ないんでしょ?」

「えーえー、そうよ。だから買い出しにも行こうと思っていたの。それとあわよくば命蓮寺にでも顔を出しに行くつもりよ」

「命蓮寺?…あぁ、最近できたって里の人達が言っていたわね。なら私が買い出しをしておくからあなた、行ったらどう?」

私が?
うん、悪くない話だろうけど、どうしたものかな。
…あの、顔が凄いよ?真顔ってレベルですむといいなってほどだよ?

「……よさそうね。そうするわ」

ごめん、顔そらしたわ。断れない雰囲気だだもれだからついそらしたわ。

「そう。分かったわ♪んじゃ、私は私で行ってるわね」

あ、うん…そう…(遠い目)
仕方ないけど、いくか。

――命蓮寺へ

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第39話 寺ができたようだけど、私達は平常運転

駄文ながらもこの小説に付き合ってくださる皆様に感謝しつつ私は……自重を外して書いてます。

まだ予定段階ではありますが、今作品が終わりましたあと、新しい幻想入りを書く予定です。
そちらも恐らくは駄文なものになると思いますが平気な方はお付き合いいただけるとスマホの前で狂喜乱舞……しませんがする勢いで喜びます。


関係ない話はこの辺りまでにして、平気な方は下から本編ですのでどうぞ


命蓮寺

魔理沙曰く宝船が変化した寺、らしい。
しかも里外れにある――今確認した――のせいでちょっと不安だ。現にそれなりの人が出たり入ったりしてる。多分守矢神社も影響でそうだな。参拝客的な意味で。

心なしか妖怪が人間よりいそうな気がするのは気のせいかな?
……うん、気のせいだといいな。



「おや?貴方は……巫女?」

うん、まさかそんな疑問系でくるとは思わなかったよ。

「ええ、巫女よ。博麗の巫女。それがどうかしたというのかしら」

「いえ、なんの用で来たのかと思いまして。貴方のお名前を聞いても宜しいですか?」

普通に様子見なんだけど、なんて警戒されてるんだろう。

「私の名前は博麗霊夢よ。んで、そういうあんたこそ名前はなんていうのよ」

「あっ、これは失礼したわ。私の名前は聖白蓮と申します。それでお互いの名前が分かったところでもう一度お聞きしますけど、なんの用で来たのでしょうか?」

「この命蓮寺がどんな寺か見に来たのよ。…ただ妖怪が多い気がしてね。ねえ、あんたの寺なんでしょ?なんかしてるの?」

「ああ、もしかしてこの命蓮寺に入門させている妖怪のことね。なら安心してほしいわ。入門させている妖怪に関してはしっかり見きわめて入門させてるから。人間も少しはそうね」

へぇー…寺って入門とかっていうのか。初めて知った。

「本当に?…あまり幻想郷のバランスとやらを崩すようなことはしないのね?」

「ええ、しませんわ。むしろ私からも1つ。貴方は妖怪のことをどう思っているんですか?」

えっ?私が妖怪への印象?
……考えたこと、あまりなかったなあ。
でも、今できてる答えだけでも教えるかな。

「……妖怪は人ならざる者。人間を恐怖に(おとしい)れ、食べる者として見てるわ。けども、必ずしも友好的な妖怪がいないわけじゃないことを知っているってとこね。…まあ、要するに悪いことするならどんな妖怪でも容赦はしないってことね」

う、うーん…。この解答でよかったのかな。この人?の聞きたいことはさっぱり分からん。


っておよ?明るい顔になった。

「分かりました。そうですね。確かに強く悪い奴は一度こらしめた方がよさそうね。でも貴方はそこまで妖怪に排他(はいた)的ではない。それを知れただけでも私にとってはよい情報ですわ。なるべく迷惑をかけないよう気をつけますね」

笑顔が可愛いってレベルじゃない。本当、美しいね。
あ、今気づいたけど、この人って…

「ええ、そうしてくれると私もすっごく助かるわ。ところであんたってやけに達観してるわよね。おばあちゃんみたいだわ」

「おっ、おばあちゃ……!」

え?なに、もしかして禁句だったりする?
…も、もしかしてやらかした?


「…そう思われるのも仕方ないですね。実際、私はもう人ではないのですから」

「なるほどね。そりゃそうもなるわね。んじゃ、私、霊華のとこに行くから」

ってうぇ!?腕をつかまれた!?
や、やっぱりやらかしたんじゃ…(震え声)

「…あ、驚かせたみたいでごめんなさいね。ただ1つだけ気になったもので」

「な、なによ……」

気になるってなに!?
私、なにもおかしなことはしてないハズだけど…。

「いえ、貴方…まさかとは思いますけど、幻想郷に大した影響のない妖怪は退治していない、とか言いませんよね?この寺がまだ聖輦船だった頃に来た白黒魔法使いなんて、欲にまみれて…「なによ、私に欲がないっていうの?そういうのだったら私、怒るわよ」」


困ったように笑ってるけど、そこは妥協(だきょう)しない。いや、私自身おかしいとは思うけどさ。
それに幻想郷のバランスとか云々だってとりあえず聞いてみよって好奇心だし。
…欲がないわけじゃ、ないんだよ?

っていうか白黒魔法使いって魔理沙しかいないんだけどさ、当時の魔理沙は宝船として見ていたから仕方ないんじゃないかな(遠い目)


「そ、そうですか。まあ、さっきまで好奇心旺盛(おうせい)って感じで聞いていたのでそういうのがないわけじゃないようですしね。かといって変なことを聞いてきたわけじゃないですし」

「そりゃ聞くならストレートに聞くっていうのもありだからね。遠回しで聞いてばかりじゃ知りたいことだって知れないことがあるんだもの」

それにこの人懐っこい感じからして聞けるかなって思ったもんでね。
断られたら聞くつもりじゃなかったけど…いいか。

「ま、とりあえず私は寄っただけだからもう行くわね。んじゃ」

「分かりました。私もひきとめてしまってすみませんでした。…帰り、気をつけてくださいね」

確かに獣道は危険だけど、どこぞの誰かさんの影響で危険もなにもないんだよね。
なにをやっていたらそうなるのか、聞きたいぐらいだよ。

「はいはい、どうもね」





―――と、いうことで霊華はどこだろう。この寺の付近で別れてからあとのことは全く聞いてなかったから居場所が分からないんだよね。

出て探してみるもこの付近にはもういないみたいだし。

「おや、霊夢じゃないか。こんなところでなにしてるの?」

「んー…?ってなんだ、藍なの。今日はその尻尾の方、もふもふなの?」

「も、もふもふっ…!?いや、霊夢。それは挨拶でもなんでもないとは思うんだけど、その辺どうだろうか」

ふむ、一理…というかその通りだね。
でもさ、もふもふと言えば布団やベッド。
布団やベッドと言えばほぼ出られない、でしょ?


いや、まあ、関係ないんだけどさ。


「それもそうね。確かに少しおかしな挨拶だったわ。ところでそういうあんたは里になにか用事でも?」

「あぁ、買い物だよ。たまに出ないと食材が足りなくなるからね。お前はどうしたんだい?」

「私も買い出しよ。途中まで霊華と行ってたんだけども、命蓮寺があったから好奇心で黒光するアレホイホイよろしく入って行ってたところよ」

あ、そこで半目はやめて?
なにかな。ゴキブリホイホイって言えばいい?
幻想郷にそれはなさそうだし、言っても分からないんじゃ…。

「例えがおかしいが、なにも言うまい。と、なるとあそこにいた先代の巫女はお前の連れだったのか。多分甘味処にでも行ったんじゃないのか?確か話していたら休憩がてらによるとかなんとか言ってたし」

おおー、意外なところで霊華の居場所が分かった。
探す手間がはぶけたからありがたいね。

「そうなのね。教えてくれてありがとう。んじゃ私もそこへ行くわね」

「あー…荷物が少し多かったから大変だと思うけど、頑張れよ」

「……?え、ええ」




なんで藍があんなところにいたんだろう。偶然?
そこまで気にしなくてもよさそう、かな。








そこから歩いて実際に甘味処まで来てみると霊華がいたんだけど…うん、確かにいい量だね(遠い目)

「…あら、もうあの寺はいいの?」

「ええ、聞きたいことはもう聞けたからね。…そういうあんたこそ、もうなにも買わなくていいの?」

「そうね。必要そうな物はもう買ったから特にないわね。んじゃ、帰りましょうか」

そういうと座っていた隣に置いてあった湯呑みとかがのってるおぼんのところにお金を置いた。
そういうシステムなの?
なるほどねぇ…。











霊華の持っていた荷物を一部持って博麗神社に帰るときに聞いたんだけど、どうやら先代の巫女の名前は博麗霊華として広まったらしい。
なのに未だに“巫女さん”とか“博麗の巫女”って呼ばれるのは何故だろう。おっかしいなあ。
ん?そういえばなんかもらったとかいってたな。花だっけ。

「……霊華、そういえば花屋から貰ったものってなによ。覚えてる?」

「あぁ、種よ。花の種。売れ残ったものを買ってきたからなんの花かなんて分からないわ」


え、ええー…。参ったな、それは。
ど、どこかに花に詳しい人いないかな…。



そのあとは藍が油揚げやそれ以外も買っていたとかそんなのを聞いた。
うん、マタタビとかも買っていたらしいけど、猫って藍の近くに1人しかいないよね。


…黙っておこう。







んなことやってたら境内が見えてきた。

「あ、魔理沙。霊夢と霊華、帰ってきたみたいよ?」

「あー?…おお、そうみたいだな!」


うん?この声は…アリス?
こんな暑い中、なにしにきたんだろう。
いや、蒸し暑いっていった方が正しいのかな。凄い湿気だよねー。

「どこも暑いのによく出てきたもんね…。ったく、ここは避暑地じゃないのよ?」

「とか言いながら冷たい飲み物を出してくれる霊夢って優しいよな!」

うっさい!私かてこんな場所で誰かに倒れられても困るんだよ!
それに幻想郷で熱中症とか脱水症とかって言ったってすぐには分からないだろうしね!

「…はいはい。霊華、荷物片づけましょ」

「それもそうね。持ってるのもなんだし。…ちょっと行ってくるわね?」


「おう!待ってるぜ」

「私もゆっくり待ってることにするわ。なんだったら上海でも貸しましょうか?」

「あー…平気よ。なんだったら境内は広いのだし、そこで上海達の動きでも見たら?それぐらいはされても大丈夫よ」

「あら、そう?悪いわね」

(それが優しいと言われる理由なんだけども…。まあ、いいわ。それが霊夢なのだし)

――何故、霊華は私のことを微笑ましいなにかを見るような感じで見るのでしょう。まだなにもやらかしてないハズだけど。









荷物を片づけて、ついでに冷たい水を入れた急須(きゅうす)でお茶を4人分用意して縁側付近にいた魔理沙とアリスのところに霊華と共に戻ってきたら、その2人はまだいた。
いや、その2人分の飲み物を用意したんだからいてくれた方が助かるんだけどさ。


…水羊羹(ようかん)、食べてくれるかな。



「はい、お茶と茶菓子よ。いる?」

「あら、ありがとうね霊夢。いただくわ」

「いつもいつも悪いな、霊夢」

お茶葉、さっき買ったばっかりだけど平気だよね。
水で長めに出すし、なにより新しい奴ならいけると思う。

「ああ、悪いけど茶菓子を先に食べてもらえないかしら。水で出してるからまだ少し時間がかかるのよ」

「それならしょうがないわね。…水で淹れるなんて珍しいけども」

もしかして熱いお茶の方が好きだったかな?
っていうか珍しいもなにも今回初めて作ったからね。そりゃ仕方ないと思うんだけど。

「そりゃそうよ。霊夢ったらもうすぐ夏だからと言ってそんなことをしたのよ?茶菓子は私が適当に買ったんだけどもね」

「適当に買ったわりには良いもの多いわよね。あ、魔理沙。1人多くて2つまでだからね」

「6つもあるのにか?…いや、お前なら少なくとも1人に1つは食べれるようにしたいんだろ。違うか?」

いやいや、違わないよ。むしろ言ってることであってる。

「首を縦に振るなんてさすが今の霊夢ね。どこぞの誰かに見習わせたいわ」

「どっ、どこぞの誰かって誰だよー!」

「あぁー…。多分あなたもいつか気づける日が来るわ」

「おいおい、霊華までそういうなんて…。そりゃないぜ!」

「平和ねぇ…ふふ」

笑みが自然と出ちゃうほどには平和だね。
いや、むしろ目の前でそんなことをされてたら普通に笑っちゃうんだけどさ。







「楽しんでるところ悪いんだけども、せんべいは買ってないの?」

「……ねえ、あんたは自分の家にもせんべいあるでしょ?そっちで食べなさいよ。それとも藍に言いつけた方がいいのかしら?あぁ、そこにいる霊華の方がよさそうね」

スキマから半身乗り出しかけてるその人にそう投げ掛けた。
というか普通に誰がいるのか見えると思うんだけど。そこのところどうなんだろうね?

「言いつけるもなにも…。ああ、紫?あなたには分かりにくい場所に置いたからしばらくは分からないでしょうね」

「あらあら。その言い方だとしばらくしたらバレるみたいな言い方ね」

「んじゃあ、あなた以外の皆に聞くわね?このスキマ妖怪が見つけられなかったものってある?」


えっ?見つけられなかったもの?……私はそんなの見たことないね。
フリも含めて、だけどさ。

「…私はそもそも見かけないわね。森と里を行き来してるのもあるんじゃないのかしら」

「私も知らんな。紫なんざ早々出会わんし。むしろ布団の場所とかなら知ってるぜ」

「魔理沙、それは色々と違うし、なんでその場所は知ってるのよ。…ああ、私はそんなところ、見たことないわね」

「お前がよく出してたからな」

いつ見てるのさ、あなたって人は。
…いや、いいんだけどさ。


「っていうわけで紫の分は私が持ってくるわ。それまで皆で話しててちょうだい。じゃ、とってくるわね」

どういうわけかな、それは。
全く分からないよ。


「そうだわ。ちょうどいいから貴方達から色々と聞こうじゃないの。…それこそすべてを、ね?」

なにを聞かれるんだろうね。
多分この時、皆の考えてることは同じだったんだろうな。
さとりみたいに考えが読めるわけじゃないから、分からないんだけどね。



「とりあえずあのことから話しましょうか」

「待て待て、霊夢。それだと心当たりのある話のうちどれか分からないんじゃないのか?…というかお前も分かってないだろ」

「ええ、どの話で来るのかさっぱり分からないわ」

それとなく聞き出せばいいかなーとは思っていた。
素直に聞いた方がはやいんだけどね?

「貴方達ねぇ。…アリス、貴方は?2人と違ってなんとなくは想像がつくでしょう?」

「ええ、まあね。地底の話、そうでしょう?」

あ、なんだそれなんだ。
でもただ地底の話するだけなら霊華に苦手な者を見るような眼差しを送らなくてもいいんじゃないですかね(困惑)
あれでも性格は丸くなった方なのに…。


「私はその時、アリスから聞いただけだったしな。それに行ったのだって解決後の地底だ。詳しい話なら霊夢がした方がいいと思うぜ」

「ん、それもそうね。ちなみに地底のあとは通信機入りの陰陽玉を持っていってないし、紫が分からないのも当たり前だと思うわ。それこそ私をスキマから見ていなきゃ、ね」

それに私が持っていかなかったのは早苗達守矢神社も協力的なんだから、大丈夫だろうと思った私の独断なんだよね。
悪いね

「そりゃ分からないわけだわ…。とりあえず、話してちょうだい。地底はどうなったわけ?」

「簡潔に言えばもう放っておいても平気ってことね。なにせあれは守矢神社の方が山の産業革命として行っていた常温核融合の結果だったようだし」

「ま、待てよ霊夢。それだとあの間欠泉はどうして出来ていたんだ?それに核融合?とかする場所ないだろ」

ん?ああ、魔理沙はあの地霊殿から奥には進んでないもんね。
んなら仕方ないか。

「それが地霊殿より更に奥の方に中庭があるのよ。そこからもっと奥へ進めばちょうどいい場所があるみたいでね。しかもちょうどいい人材…いえ、妖怪だったけども、それもいた。そこに目をつけたのが守矢神社だったようよ」

もちろんあの間欠泉で地底に行った後、守矢神社にも行きましたとも。
ちょっとした話も聞けたしね。


「なるほどね。…続けて」

「はいはい。んで、当初は河童達に外の世界に存在している核は危ないって話はちゃんとあがったそうよ。だからそこはいいんだけども、問題はそうした後だったわね」

それで間欠泉が出てたんだよね。
あの2柱?が空にやった能力が…っていうのもあるけどね。

「あ、もしかしてあの間欠泉のことか?ほら、怨霊コミコミで吹き出ていたあの…」

「ええ、それよ。あれの原因は能力を与えられた空の吐き出す余剰分のエネルギーだったってこと。怨霊は恐らくさとりじゃないわ。あいつは考えを読むことはしてもそういうのはしないでしょうし。…まあ、結局…もういいわ」

「地底も凄かったもんな。その奥なんて相当蒸し暑かっただろうぜ。いや、ここも今は充分暑いんだけどな」

今確か大体梅雨辺りでしょ?
そりゃ暑いよ、魔理沙。

「……なるほどね。それならもういいわ。間欠泉が止まらないってことはよく分かったのだから」

「今のでよく分かったな、紫。誰も話してなかっただろ」

「そうね、私も話してなんかいないわよ?…そもそも私は間欠泉までのことしか知らないもの。それは紫だって知っているはずよ」

そこはもう紫だからってことでいいんじゃないのかな?




「相変わらず紫は紫よね」

「あら、霊華。もう戻ってきたのね。……まあ、せっかくお茶を淹れてもらったのだし、いただいてくわ」

(紫の愛想笑いみたいなのは初めて見たな。しなくてもいい気がするんだが…まあ、霊華も気にしてないようだし、別にいいか)


「でもここまで来ると霊華と霊夢がやっている茶屋みたいね。神社ではないみたいだわ」

「うちはそういうとこじゃないのよー?」

しかもこれっぽっちもあってないしさ。
神社はそういう場所じゃないですよー?

「お、それよさそうだな。紫は材料を調達するんだろ?」

「幻想郷と外の世界で、でしょう?違う意味ではよさそうね。今のところ勝手に布団を一組増やしたことなどしかしてないし、それ以外もよさそうだわ」

「あんたって本当スキマで色々とするのが好きね。いやまぁ、布団とかそういうのは凄く助かるんだけども」

そういうのを買いにいくのも大変だしね。
そもそも里においてるかどうかも問題なんだけどさ。

「そのうち魔理沙が泊まりにきたりしてね」

「えっ?もう何回か来てるわよ。でしょう?魔理沙」

「まあな。ほら、やっぱり今の霊夢の方がからかってて楽しいしな」

「なによ、それー…」

私はそういうのじゃないんだぞー…?


「ふふ、でも賑やかなのはいいことよ?私の時なんて、そんな友人あまりいなかったのだから。森近さんとかは違うけどもね」

「そりゃ貴方は霊夢よりしっかり仕事をしていたんですもの。そうなるのも当たり前ですわ。……ところで霊夢にもいい加減妖怪退治を少しさせたらどうかしら?彼女も簡単なものなら出来ると思うのだけれども」

「ああやって魔理沙とじゃれている霊夢を見るのが楽しくってつい受けちゃうのよ。いやぁ、1人だった時よりいいわー」

(…それ、なんか違う気がするわね。霊夢なら『それとこれは違うわよ?』とかって言いそうね。それに魔理沙が『いつものことなんだけどな。そんなに楽しいのかね』とかっね不思議がりそうね。…ふふ。私も見ていて飽きないわ。今度人形劇でもして驚かしてやろうかしら)



「……あー、もういいわ。博麗霊華。そのうち霊夢にも妖怪退治を少しはやらしてあげること。仕事熱心なのは分かるけども、今代の彼女にもさせないと今後大変になるわよ?まあ、スペルカードルールがあるから早々ないわけだけども、ね」

「紫も諦めるのはやいわねぇ」

「そう思うならあの2人止めてきてちょうだい。ついには弾幕ごっこまでやりだしたわよ」

「あらま。こりゃ大変ね。止めなきゃ」

(とか言ったけども、私は混ざることにでもしようかしら)


「……紫。あの子、多分止めないわよ?」

「―――もういいわ」






なんかアリスが弾幕ごっこに混ざってきた。
なんか凄い見づらいけど…なんか楽しいからいいか。


――そのあと、魔理沙とアリス共々紫から呆れたような眼差しを送られていた。
何故かと聞いても分からなかったんだけど、どういうことだったのだろうか。

「不思議なこともあるものね」

「んだな」

「ふふ、なんででしょうね」


なんかアリスだけ知ってる感じだったのはきっと気のせいじゃない。……多分。

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番外編 下準備だけのつもりでしたby霊夢

今更ながら憑依霊夢の過去を詳しくしたものを番外編として投稿してみました。

彼女の一部ではありますが、今までのことにパズルのピースを入れるような感覚で読んでいただけるといいんじゃないでしょうか。
まあ、気にしなくともいいのですが。


では、今更ながらの過去話入り番外編は下からです。適当にどうぞ


あれからしばらくして、霊華が紅魔館へ行くらしいので暇になった私は…はい、竹林の前に来ちゃいました。

まだはやいけど、文月のあるイベントの準備のためっていう理由もあるんだけどね。
でもどうしたものか…。永遠亭に行くなら勘任せで行けるかもしれないけど、今回は訳が違うからなぁ。
迷子になっても困るし…。
…ううむ…。


「お?そこにいるのは霊夢か。竹林の前に突っ立ってなにしてるんだい?」

そういう声の主は…妹紅かな?

「ちょっと文月にやろうと思っていることの準備よ。まだはやいから下見なんだけども…そういうあんたはなんでここに来たの?」

「ああ、ちょっと輝夜の様子でも見に行こうかと思っててね。それだけさ。…なんなら手伝うよ?探すだけだけどさ」

……本当にお互いさ、嫌いなの?
そう思うぐらい、不思議。
まあ、いいんだけどさ。

「いえ、構わないわ。むしろ助かるからお願いしてもいいかしら?」

「別に構わないさ。ついておいで」

「ん、迷子になりたくないし、そうするわ」

あの永遠亭に異変解決に出かけた時とはわけが違うしね。
さすがに迷子になるかもしれない。それは嫌。絶対に嫌。
人に頼ってでも無事に神社(いえ)に帰るんだ。





「そういやそこに向かいながら聞きたいんだけど、あの時…お前、私のことを人間と言いきったじゃないか。どうしてなんだ?」

あぁー…だから悩んでいるような表情だったのね。
ようやく分かったよ。

「だってあんたは老いない、死なないんでしょう?…それで妖怪扱いなんておかしいと思うのよね」

はっ?とかそういう感じの表情になった。
そんなに驚くようなことかなぁ。


「いや…思いっきり火を使ったんだぞ?普通は人間以外のなにかと考えるんじゃないんかい?」

「え?別におかしなことはないじゃない。蓬莱の薬とやらを飲んだらしいんだから。むしろあんたは幻想郷に来るまで大変だったんじゃないの?ほら、ここは危険要素がたくさんあるけども、四季はすっごく綺麗だから……。それに、私ですら受け入れてくれるし」

「いや、途中おかしい気が…。まあ、いいや。…そうか。お前も慧音みたいな奴なんだな。と、いうか待てよ。お前、自分も受け入れてくれるって言わなかったか?」

うん?そういうことはバッチリ言ったね。
“私も受け入れてくれる”と。

「ええ、言ったわよ。現にそうでしょう?……だって、本当ならここじゃなくって文化の恩恵を受けられる場所にいたのだから」

「………?!霊夢、それって詳しく教えてもらっても大丈夫かい?無理そうなら私も聞きやしないけど。どうだい?」

私は黙って首を縦に振った。
少し雰囲気が暗くなってしまうけど、多分こういうタイプなら聞いてくれるだろう。
と、いうか私にも聞いてくれる相手がいい加減ほしかった頃だ。霊華や魔理沙達以外で、人に親身になってくれるのなら話そう。
記憶にある限りの“私”を。



「…私は元々、外の世界にいたの。この博麗霊夢、なんて名前ですらない別の名前でね。もう覚えてなんかいないけど。…それでね、学生…ああ、この幻想郷にあるあの寺子屋をもっと大きくしたような建物―――学校に通う生徒のことね。私はその生徒として生きていたの。成績は平凡、友人は良くも悪くも少なくなく、そして多くもなかったわね」

「なるほどね。…それで?」

…よかった。案内ついでに大変な役柄を押し付けてしまうようで悪いんだけど、そのまま話してしまおう。


「家族構成も忘れたわね。誰がいたとか、そういうのもすっぱり…。ただ仲はよかったような気がするわね。友人もたまに家に招いたような気もするし。……そして、優しかったことも。もちろん多分よ?だって、それすら覚えてないのだから」

「そうか…。他には?」

「家で色々なゲームをしていたこと、かしら。一部は覚えててね。よく熱中したものだわ。…もちろん、成績が落ちない範囲でよ?っと、成績ってのは分かるかしら?」

「いんや、寺子屋にはあんまり行ってないし、あまり分からないな」

まあ、それもそうか…。

「簡単に言えば習ったことを数字にしたりして紙に残すもの、かしら。どこがよくできて、どこがわるいとか分かりやすいのよ?……それで里にある寺子屋のような感じじゃなくってどれも難しかったような気がするわね。慧音のがなんか似てるような気がしたわ」

思わずクスリと笑ってしまった。思い出して、っていうのもあるんだけどね。

「それでね、学年はいくつかはあったわ。曖昧にしか覚えてないからこの際伏せるけども。…特段浮いてるわけでもなんでもない、普通の人間だったわね。ただゲームというこの幻想郷でいう遊戯とか弾幕ごっこのような遊びにハマっていただけの。……因みに外の世界ではそういう人をゲーマーって言うのよ。そういえばなにかカタカナの遊びでも里に伝わってないかしら。妹紅は知ってる?」

「ああ、それは里の奴が言っていたね。サッカーだとかなんだとかって。それのことかな?」

なんだ、そういうのも流れて…いや、誰だそれを教えたの。

「ええ、そうよ。なんで外の世界で有名なスポーツがこっちに伝わってるのか疑問でならないけども、そういうのよ。んで、本来ならプレイヤー、選手とかって言うんだけども…あんまり知らないかしら」

「ま、まあ…そうだね。そもそも私は人付き合いをある時までそんなにやっていなかったものだからさ、いまいち知らないこともあるんだよ」

あ、困ったように笑ってきた。
いや、うん、ごめんよ。

「と、とりあえずそういうような感じだと思えばいいわ!ええ!……こほん。それで話の方を戻すんだけども、私はとにかく平凡そのものだったわね。逆に言えばそれがどれだけ幸せだったか、今ならよく分かるわね」

「……そうか。でも、たまに里でお前を見かけたことがあるんだけど、元気そうだったじゃないか。こんな話をしているだけで暗い雰囲気になるような奴には見えなかったぞ?」

「―――………そりゃそうよ。悪いことを極力考えないようにして、前向きにとらえるようにしてたんだから。あんたも少し考えてみてちょうだい。気がついたら知らない場所で寝ていて、本来の名前とかそういうのをほとんど覚えてない状態。あげくの果てには容姿も自身の名前すら違う。思い出せる記憶だってそのほとんどが別人のもの。……それで落ち着いていられる?」


「あまり想像はできないけど…難しいだろうな。それも普通の人間だったら尚更だろう。泣いてわめいて、帰りたいとか戻りたいとか言うだろうな。…ああ、怖いとかも叫びそうだな」


「ええ、私もそうだったわ。起きたら場所は違うし、名前などのいつもは思い出せた記憶が思い出せなかったしで。不安で怖くて泣きたくて。……でも、そんなことをしたって解決なんてしないのぐらい、嫌でも分かったのよ。なんでかしらね」

多分、勘のせいなんだろうけど。…ううん、おかげ、かな?
どっちとも言えないね。

「じゃ、じゃあお前……」

「ええ。今でこそは親友とか母親的存在がいるからそこまで気にしてないんだけども、最初こそは怖くて不安だったわ。…たまには帰りたいとも思ったわね。でも、そう思っても表に出したら心配するでしょうし、余計に気を使わせちゃうでしょう?だから鵜呑(うの)みにしてやりすごしてきていたのよ」

「…それがたまりすぎた結果、ああなったっていうことか」

「ああ、あれは悪夢を見ていたのもあるわね。それにあの時の私は私じゃないわよ?別の誰か…みたいなんだけど、今のところ正体不明ね」

正体不明、というか情報の1つもないから調べようにもなんにもできないんだけどね。

「なるほど。どおりであんな様子だったのか。……にしてもやけに前向きだな」

「う、うるさいわね!外の世界でも驚かれたんだけども、私は元からこういう性格なの!それに外の世界でもたまに愚痴をこぼしたら聞いた相手に目を丸くされるぐらいには前向きなのよ!本当、自他共に認めるぐらいの!」

「……た、確かにさっきの話が嘘かのようなほどの明るさだな。むしろ暗い話をしていたのかってほどだ。と、いうかお前のそれって元からだったのか。凄いな…」

ふふん、自慢じゃないけどしおらしい姿の方が珍しいだとか私が大人しいとなにかあるとか思われてたことがあるってことだけは最近の方だけど、思い出してね。
それにこんな風にしてたら周りの方から近づいてこられるしと一石二鳥だったからね。いやあ、自分から近づくより気を使わなくって楽だったなあ。

「凄くなんかないわ。ただ私って本質を見失わないようにしてただけよ♪」

「いや、それが充分凄いと……。まあ、いい。それとこの辺の竹はどうかな。多分文月にやろうとしているなんかまでにはいい大きさになってるだろうしね。それにこの1本だけなら道しるべにもならないだろうし」

「1本以上はいらないわよ…。ま、ありがとうね。それで、案内してくれた上に話まで聞いてもらって悪いんだけども「文月にまた案内すればいいんだな?分かったよ。…なら私も永遠亭まで付き合ってくれないか?そのあと、輝夜の様子を見たら竹林の入口まで一緒にいくからさ」」

な、なんかすぐに終わらなさそうな予感がすっごくする…!
でも、様子見ならまだワンチャン…!

「分かったわ、ついてくわよ。…ただし、今度はどうしてこんな正格なのか聞いてもらうからね」

「ん?さっきまで話してたのとは違うのかい?」

あ、顔つきが変わった。
え?そ、そんなに聞きたいの?

「え、ええ…違うわよ。そうね、さっきのは私が溜めてた分。それで今から話すのはこの性格の分よ」

「おおっ!それなら聞きたいね。付き合わせてしまっているのに悪いね」

いや、むしろこの竹林から神社に帰れるだろう?って言われた方が危ないと思います。
携帯食糧(しょくりょう)になりそうなものとか水分とか持ってないからもっと危ないよ!

「前の異変の時とは訳が違うからむしろありがたいわね。それで、どうして前向きな性格なのかって話よね」

「ああ、そうだな。…それも歩きながら話してくれるかい?」

はいはい…。分かったよ。
まったく、出会った頃より大分おしゃべりになったもんだね。ビックリだよ。



「それだけは曖昧でも覚えててね。まず、前提を言うんだけども―――私は今ほど前向きな性格ではなかったわよ?でも、そこまで暗かったわけじゃないの」

「つまり分かりやすく言えば普通ってことだな。そうなると余計にそんな前向きになる要素がないと思うんだけど、そこはどうなんだ?」

いやいや、そりゃまだ話してないからね。
妹紅とはそこまで話を交わしたことないんだから、それが普通だと思うけど…。

「ええ、そうね。…じゃ、長くなるけど話すわよ。それは前のことだったわ…。確か、急に雨が降ってきてね。私は傘があったからよかったのだけども、帰る途中に雨宿りしてる子がいたのよ……あ、場所は忘れたから輝かないでちょうだいね?それでその子に傘を貸そうと差し出したの。そうしたらどうなったと思う?」

うん、首をかしげるしどうしてか考えるよね。
っていうか私がそう聞いたんだからそりゃそうか。

「当たり前なことを考えれば喜ばれた、かな?」

「そうだったらどれだけよかったことか…。……それがね、とても信じられないことに、人間じゃなかったのよ。本人は神様だのどうだのって言っていて…。もちろん最初は自称だと思ったわね。その後日に聞いた神社へ出向いてなければずっとそう思っていたんだけども、ね」

「え?そ、それって真面目な話か?外の世界ってまだ神様がいるのか?」


えー…。あれでいるんならもっと神様の存在を信じる人がいてもいいんじゃないの?
私だって神様は信じてなかった、とだけは覚えてるし。……曖昧だから、それだけなんだけど。

「いえ、いないと思うわ。信じてる人も地域によって違ったようだし。…それに今のは真面目よ。そうでなきゃこんな風に教えないわよ」

むむぅ…ってうなったかと思ったら黙った。
うん、本当に真面目なんだ。私だって未だにあの時のことが夢だったんじゃないかって考えるときがあるし。…考えが読まれて記憶が曖昧だからだろってつっこまれたらなんて言えばいいのか分からないんだけどね!



「それもそうか。それで、傘はどうしたんだい?まさか貸した相手が言った神社にいきなり現れたわけでもないんだろう?」

「それがビックリ。次の日にきた人によって私の傘…あっ、目印をつけてたのよ?持ち手のところに私がやっていたゲームのなにかをつけていたし。その見つけた人曰く、突然出てきた…らしいわ。信じられないけども、そんなことがあったら信じるしかないでしょう?」

「確かにそうだな。……そういや帰りは?」

「えっ?走ったわよ。ずぶ濡れになりながらね」

「……大変だったな」

やめて!?
私かてその雨宿りしていた場所からそう遠くなかったからやったようなものだし!多分!

「はは、お前もお前で面白いな。…っと話していたらついたな。ちょっと見てくるよ。お前はそこら辺で待っててくれないかい?」

「ん、そうみたいね。ええ、分かったわ。待ってるわね」






ということで舞っていたんだけど…しばらく帰れなかった。
鈴仙とも会って話をしたけど、苦労人だね。しかも若干人見知り…。頑張れ、鈴仙。
あっ!てゐ!あなたねぇー!


―――そんな感じでドタバタした1日でした。
てゐにされたイタズラによる驚かしには弾幕ごっこで仕返ししたし、いやぁー疲れた疲れた。
……ふぅ。

「あら、私より遅く戻ってくるなんて驚きね。竹林でちょうどいい竹を見てくるだけじゃなかったのかしら?」


「ああ、霊華なのね。…ええ、それだけならすぐ終わったんだけども、妹紅と会ってね。輝夜と会うまで付き合ったら長くなってしまって。話のせいもあるかしら」

「なにを話したのか、教えてくれるかしら?」

ん、気になるような話なんてしてないはずなのにな。
あ、いや。1つあるか。

「んなら、妹紅に話した私のこの性格について話すわね。実は―――」


全部話したら不思議そうな顔をされてしまった。
うん、まあ、途中から関係ないしね。ある程度私を知っている霊華ならそりゃそうなるか。

「その前向きな性格と神様になんの関係性があるのよ。強いて言えばあなたが神の存在を認めるようになったぐらいなら理解できたのだけども…」

いやいや、それだけでも分かった霊華はすごいよ。
ほめられてもいいんじゃないかな。

「それが名前共々…どんなやりとりをしたのか忘れてしまったのよねっ。だからどうしてなんだか分からないわ」

「……そんな腕を組んで自慢げに言われても……。まあ、別にいいかしら。元からそうだったし」

なんじゃそりゃ。
ひどくないかなぁ…。

「なによそれー。…ま、いいわ。今度、弾幕ごっこするんだから覚悟しててちょうだいね」

「…はいはい」

(全く…。ま、なにを話してきたのか知らないけど、清々しい顔をしているから聞かなくてもよさそうね)

さてと、とりあえず自室に戻りますか。
…お札でも書いてみるかな。







ああ、戻ってから思ったけど、あの因幡てゐ…イタズラしてきたんだよね。
もちろん弾幕でお返ししたけどさ。あと永琳にも叱られてたね。

「ま、しばらくは大人しくしてるといいんだけどもね」
と、思わず呟いた。
なんかあのまま大人しくしてるような子に見えなかったからね。仕方ないね。

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第40話 梅雨入りと共に

色々な原作が混じっている?

系列がいまいち分からないっていう作者が原因ですね。
仕様だと思ってください(白目

それでも平気だというかたは下からが本編になってます。適当にどうぞ(遠い目


あの命蓮寺に出向いてからしばらくすると雨がよく降るようになった。
里にあるらしい天気予報の龍みたいなのもよくそれだって、子供達から結構聞いた。
しかもあんまり外れない…。

うん、すごさは分かったけど、とりあえずこれって
「梅雨入りしたわね…」

うん、それしかないだろうしね。
あ、そういや確かあの像、龍神様って呼ばれてたような。




「霊夢、部屋から外を見てたって晴れやしないわよ?」

「あら。なんだ、霊華なの」

いやまぁ、むしろ外を見てて晴れたらすごいよ?
私が晴れ女だとしても出来ない芸当だろうし。

「そりゃ私しかいないのだから私以外には早々顔を出さないわよ。―――あぁ、紫や魔理沙がたまに出すんだったわね」

「そこに萃香っていうのも足してくれないかしら。あの鬼、どこにでもいるみたいだから」


なんだっけ。三日置きに宴会だかなんだかをさせた張本人らしいね。
確か春に起きたある異変のせいで春が短くなったのが原因だとかなんだとか。
まあ、私が解決したわけじゃないから詳しくは知らないんだけどさ。


「なるほど。鬼か……。ふふ、そういうのもいたわね」

「えっ?あんた…萃香に会ったことでもあったかしら?勇儀だってあまり旧地獄から出てきてはないはずだし…」

それに地霊殿に行ったのは私。
陰陽玉を通信機に改造した紫がその支援。
みたいな感じでやったから霊華は知らないと思うんだけどな。それにさとりはあの時、確か…うん、私が行くって言ったんだから…あれ、霊華はどこにいたんだろう?


(黙ってたし、気づかれなかったでしょうけど…仕方ないわね。紫にも気にしないよう伝えてたし。……それに、1度だけでいいからどうやってスペルカードルール下で解決しているのか見たかったのよね)

「霊華、あんたって萃香とか勇儀とかのどっちかでもいいから会ったことあった?」

「ふふ、さて…どうでしょうね?」

え、えぇー…?なにそれ…。
むう、このままじゃよく分からないな…。



「あれ、霊夢と…そちらは?」

「えっ?あんた誰よ」

「「えっ?」」

いや、知らないですよ?
顔見知りだと思ったの?



「おー?お前達、どうしたんd……あれ、そいつは誰なんだ?」

うん。すごいタイミングでくるね、あなた。狙ってるの?

「あら?2人共、分からないの?私のこと」

いや、本当に知らないんだって…。
魔理沙は?…うん、首を横に振られた。

「……茨木華扇って名乗ってるんだったわね?あなたは」

「うん?そういう貴方は……まさか、先代の巫女ですか?」

「あら、まさか知り合いの顔を忘れたとは言わないわよね?ねぇ、華扇?」

へぇー…かせんって言うのか…。
なるほどねぇ…。

「んー、なんかそんな奴いたな。でも、華仙なんて名前だったか?」

「……そうでしたね。それで2人は思い出した?…と聞きたいところですが、霊夢はそうでもないみたいですね。なにかあったんですか?」

「なにかあったというか…。私、元外来人よ。だから、悪いけどあんたのことは記憶にすらないわね」

なんか霊夢本人の方も曖昧みたいだしね。
…にしてもあんまりかせんの表情が変わらないのはなんでだろう?


「なるほどね、納得がいきました。それなら仕方ないですね。それで、2人はなにをしていたんですか?魔理沙はさっき来たので聞かないとして」

「雨を見ていただけよ。ちょうど朝食もさっき食べ終えたばかりだし」

「私はそんな雨を見ている霊夢に見ていてもすぐにはやまないわよって言っていただけよ?…にしてもあなた、いつの間に来たのよ。魔理沙は分かったけども…あ、それ脱いでからあがってちょうだいね?」

「あーい。んじゃ、あがらせてもらうな」

さっきからカッパみたいなのを着ているとはいえ、外にいたもんね。
でもさ、魔理沙。あなた、傘は?なんで置いてきたのかな。
あとで聞くとしようかな。










魔理沙はカッパをしまったあとにあがってもらったんだけど、その時に思い出したことがある。
そういえば聞くと言えばもう1人にも聞きたいことがあるんだよね。

「ええと、あんたの名前って華仙でいいのよね?ほら、難しい方の“はな”に仙人の“せん”って漢字の…」

「ええ、そうですね。フルネームは茨華仙、っていうんですけど…貴方が実は元々外来人だったなにか、なら私のことを知らなくても仕方がありませんね。…まさか先代の巫女がいるとは思いませんでしたが」

「あら、華扇。話しているところあれだけども、私は今霊華って名乗ってるのよ」

「へぇ、そうなんですか。なら、フルネームで呼ぶと博麗霊華っていうことになりますね」

うん、本当ならそう呼ばれるんだろうけどね。
霊華って未だに名前で呼ばれてないんだよ。多分妖怪退治をほとんど霊華がしているからだろうね。
私にも少しマワシテー。


「…貴方のことは話には聞いてましたが…どこまで行っても先代は先代でしたね。霊夢と変わらないようなところが相変わらずあるんですから」

「ねぇ、それってどういうことよ。教えてくれる?」

「私も聞きたいわ。霊華にもあるところってなによ」


特になにもないと思ってたんだけどな。
ほら、似通ってるような部分ないし。…どこなんだろう?

「華仙、それって気のせいなんじゃないか?」

「ええ、そうよ。私なんて学業関係の神様を招いてみたことなんてあったのだからね。…信仰はされなかったけども」

「霊華、霊華。それは寺子屋とかそういう場所しかない幻想郷より小学校や中学校っていう場所がある方が信仰してもらえたかもしれないわよ」

「そ、そういうものなのかしら…」

うんうん。もしかしたら、だけどね。合格祈願とかするほどみたいだし。
ってあれ?霊華に小学校や中学校のこと、教えたっけ。

別に知っていてもいいんだけどさ。


「…なるほど。そうでもなさそうですね。それにしても、話にしか聞かなかった先代の巫女……あぁ、霊華は何故現代に?」


「分かりやすく説明してもよいのだけれども、長くなってしまうから少し簡潔に教えるわね。なんでか、と言うと前に倒した謎の怪異かなにかのせいでこっちへきてしまったみたいなの。霊夢も外の世界から偶然、ってところね」

「そうだったんですね。あれ、でも霊夢は前からいたってことは…きたのは精神体、というわけですか」

といったあと、なんか難しいことをぶつぶつ言い出した。
うん、さすがにそういうのはよく分からないかな。



「でもさ、どうしたらこういう奴が来るんだ?性格なんて私の知っていた霊夢とはだいぶ違うぞ。それこそ私みたいな奴から言わせてみれば別人クラスにな。強いてあげるとすればサボり癖が若干あるぐらいか?ところどころおかしな部分もあるが…そっちはつっこまないぜ。お前だからありえる話だし」


いやいや、ところどころおかしなところもあるってどういうことかな?
私はそんなおかしなことしてないよ?…心当たりがない、ってわけじゃないけどさ…。

「確かに不思議ですね。その話は今の霊夢を見ると明らかに本当の話なのですが…霊夢に近くない人がこういう形で幻想入りするものなんでしょうか」

あれ、なんで霊華が不思議そうな顔をしてるんだろ。
首までかしげたし、なんか知ってたりして?
いや…ありえないか。人間だし。


「そうかしら。むしろありえない話ではないと思うのだけれども…。別にいいわね、この話はまたいつかするってことで」

「そうですか。…なら無理には聞きません。いつか聞かせてくださいね」

「それはいいんだけどさ、なんで華仙がいるんだ?なんか用事でもあるのか?」


(霊夢的には魔理沙もなんで来たのかって聞きたいみたいね。…顔に思いきり出てるし、分かりやすいわ)


「少し様子を見に来ただけですよ。それに霊夢や魔理沙達以外に先代の巫女もいるというじゃないですか。その人物にも興味がありましてね。……一応酷ければ説教もしようと思ったのですが、霊夢と霊華にはいらなそうですね」

「まさかとは思うけども…魔理沙にはする、と言うんじゃないわよね?」

さっきのに魔理沙の名前があがってながったし。

「はい、しますよ。…と、いうわけで1室借りますね」

「あっ、ちょっ!?は、離せってば!私はなにもしてないんだぞ!?」


わぁ、賑やかだなー(棒読み)

「……霊夢、終わるまでお茶にしましょうか」

「それがよさそうね。ちょっと淹れてくるわ」

「悪いけど、お願いね」

ちょうどせんべいもあることだし、これでお茶をするかな。
そうとなれば…








しばらくしたら、魔理沙が参ったと言わんばかりの顔で戻ってきた。
華仙は…そうでもないね。

「さすがに今日はあれ以上言いませんよ。私は先代の巫女に用事があってきていたのですから」

(じゃ、じゃあ私は説教される必要なかったじゃないか!こいつ、なんでしてきたんだ!?)

「あ、霊夢と魔理沙にもありましたよ?…今の人間と妖怪に色々話したいことがありましたし。ただ霊夢はちょっと違う話の方がよさそうに思えてきましたけど」

「あぁ…そうなの。大変ね、あんたも」

「かなり他人(ひと)事だな。…いや、確かにお前からしたら他人事か」


だって実際にそうだからねぇ。
私からすれば初対面の人になるわけだし。
人かどうかはともかくとして。


「それで霊華、貴方はやけに妖怪より強くないですか?この幻想郷に現れて以降、妖怪退治をしているみたいですけど軽傷より酷い怪我をするほど苦戦はしていないみたいですし。…なにせ里の人達がまた霊華に依頼しだすようになったほどなのでおかしいなと。なにかしているんですか?」


「いいえ、こっちに来てからは修行しかしていないわよ。あとは霊夢にも少しの間同じレベルの修行をさせたぐらいで…。それ以外はさっぱりね。強いて言えば妖怪退治を私がほとんどしてるってところかしら?」

「もう私も大丈夫って言ったのによ?あんまりだとは思わない?」

一応里に私のことを知らない人はほぼいないみたいなんだけどさ。
それでも霊華にばかりそういう依頼が来るのは、ねえ。

「私的には霊夢とよく会えて嬉しいけどな。一番の親友だし」

「あんたはそうでなくとも結構な頻度(ひんど)で来てるから会えると思うんだけども…」

「確かにそうね。ほぼ毎日来てると言っても過言じゃないほどには来てるし。それで華扇はなんの用なの?一応霊夢達にも聞かせられるか、というところも知りたいのだけどもいいかしら」

「ああ、霊夢達は聞いても大丈夫ですよ。むしろ霊華について知れるのでよいかと。……霊華、貴方は何故そのような強さを?先代の巫女だから、以外の理由が知りたいのですが…話してくれますよね?」

「―――いい加減、話さないといけないってことね」


(そういや異変が原因できた、という割には確かに強いしな。弾幕ごっこに関してはなんとも言えなかったが……なんなんだろうな、言ってないことって)

なにを言っているんだろう、と思ったけどすごい真面目な顔をしていた。
なにか、まだ言ってないことでもあったのかな。
私もかなり気になる。黙って続きを話すの待ってよう。
……さて、なにを言うんだろう。

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