2X歳公務員、漫画家になります (冬木あい)
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1話 なんでこうなった

人、人、人

 

「うわぁ・・・」

 

のどかな正午、東京にあるアニメの聖地。いつも人で溢れているその場所に、今日はいつもより多くの人が押しかけていた

 

局所的に跳ね上がった人口密度はまさしくコミケを思い出させるほど。だが、いつもと違い、内訳的に数が多いのは幼い少女や少年、低学年の子供達。次に多いのは彼らと共に笑い、あるいはたしなめ、はたまた本を片手に語らう両親。そして次にキャラクターがプリントされたシャツやグッズを持った大きなお友達。最期に相対的に見れば少ないとは言えそれでも尚大勢と言うべき大人達や中・高校生

 

そんな集まりを一言で表現するのであれば群衆ではなく軍勢と呼ぶべきだろうか

ガヤガヤガヤ、とそれぞれの声が混じり合い一つの音楽が奏でられる

 

「流石に嘘でしょう、コレ?」

 

彼らの目的はただ一つ。『快傑☆うたずきん!』の作者、冬木あいの握手会である

 

押し合いへし合いながら一列に並ぶ彼、彼女らの姿は見ていてなんとも複雑な気分になる

 

ん?私がなんでそんな姿を見つめているのかって?

 

答えは簡単

 

()()()()、そろそろイベント開始します」

 

私がその冬木あいだからだよコンチクショウ!!

 

 

 

 

 

私、『柊あい』は日本政府特異対策機動部二課に所属する一人のオペレーターである。業務内容は特異対策であるノイズの出現を感知しその座標を絞り込むこと。あと他には奏者の子達のフォローなどが含まれる

 

つまり、

 

「ああ、柊くん。少し話があるから第1会議室まで来て貰っても良いか?」

「うぇ!?りょ、了解しました」

 

いつも通りの業務をこなしていると突然、司令から話があると言われて驚いた。一体なんの話だろうかと考えてみる。業務でしくじった記憶はなく、となれば個人的な話だろう。・・・私は独身。そして司令も独身。

 

・・・・・・まさか!?

 

「いや、柊さん相手にそれは無いでしょ」

 

横から話しかけてきた彼は同期の藤堯朔也。よく共に漫画やゲームの話題で盛り上がる職場の中でも気の置ける友人だ

 

「あん?どういう意味よ藤堯くん?」

「そりゃ趣味が漫画やゲーム、生活力も微塵も無いような人に交際を申し込むなんtアダダダダ!?」

「ほう、なるほど。口を取ったら食事ができないでしょうから代わりにこの鼻をもいであげようかしら」

 

弁明しておくが私は生活力が無いわけでは無い。やる必要性がないからやっていないだけだ!・・・私は誰に言い訳してるんだろう?

 

「ヒダダダダ!ヒダイってビイラギさん!

「ほら、あい。司令が呼んでるんだから速く行った方が良いわよ?藤堯くんはこっちでお仕置きしておくから」

 

そう言って私の肩を叩いてきたのは此方も同じく同期の友里あおい。彼女の入れるコーヒーがあるとないとで作業効率が1.5倍近く変わるという出来る同僚だ。ちなみに、私と同じで彼氏はいない

 

「はーい。じゃ、ちょっと外すね」

 

さて藤堯くん、女性相手に言っちゃいけないことがあるのは知ってるわよね?アイタタタ、そりゃ、そのぐらいは知ってるけど軽いジョークだって・・・あっ。さーて、今の気づいちゃったような「あっ」は何かしら?イヤイヤ、なんでもないって・・・

 

後ろから聞こえてくるBGMを背に扉を抜け会議室の方へ向かう

 

 

コツコツ、と靴音を鳴らしながら呼ばれた理由について考えるも結局答えは出ずに会議室の扉の前まで辿り着く

 

コンコン

「入れ」

「失礼します」

 

ガー、という音と共に扉が開く。中にいたのは司令である風鳴弦十郎。対面してみるとその迫力というか圧力が相当なものだと思わざるを得ない

だが、そんな圧力も入りたてならばともかく数年経った今では話を切り出すのに躊躇うほどでは無い

 

「えっと、それで話ってなんでしょう」

「うむ、それなんだが・・・」

 

そう言うと彼は一つのファイルを此方によこす。そのトップにはマル秘の文字

 

パラリ、とめくるとそこには

 

「・・・・・・・・・・は?」

「柊くんは漫画を書くのが趣味らしいな」

 

『娯楽物(漫画)による事実隠蔽及び情報操作作戦』と題打たれた表紙が

 

「・・・・・・はい?」

「いや、それなんだが───」

 

頭が真っ白になりながらも司令の口から出てきた言葉を要約するとこういうことらしい

・最近、ノイズ発生現場付近で少女達の歌声や姿の目撃情報が広がっている

・政府としてその辺りを情報規制しやすいようにカモフラージュしたい

・そこでワザと大々的に扱うことでイメージをフィクションに塗り替えたい

ということらしい

 

嘘だろおい?これって私にそういった作品を作れと?そういうこと!?

絶対にそれだけは阻止せねばなるまい・・・!

 

「ええっと、それでなぜ私に白羽の矢が立ったのでしょう?」

 

そもそも、私の趣味について知ってるのは藤堯やあおいぐらいのはず。惚ければイケるか・・・?

 

「こうなった以上、政府側からその話を出版社にするのが筋なんだろうが如何せん、こういった機密について知る人間は少ない方が良いということで上層部の方でもめてな。まず最初に身内で処理できないかという案が出てな」

 

少し、ほっとした。この様子ならピンポイントで私に聞いたというのではなく全員に聞く上で最初に選ばれたのが私と、そういうことなんだろう

 

「ええっと、でも私漫画とか書けないですし・・・」

 

勝った。司令は無理にこういったことを進めてきやしないはず・・・!

 

「そんなことは無いだろう。藤堯が絶賛してたぞ?柊の描いた漫画は面白いって」

 

!!!!!???

 

「ブッ!?ゲホッゲホ、失礼」

 

藤堯ぁぁぁあ!テメェ後で覚えてろよ!?・・・もしかして、司令そこら辺全部調査した上で私にこの話持ってきたな!?ヤバい。どうにかして回避しないとヤバい。なんか背中から変な汗出てきてる!?

 

「いや、でもそんな面白い話なんて描けないですって」

「いやいや、俺も少し読ませてもらったが中々面白かったし自信を持って良いと思うぞ?」

 

F○ck!なんで読んでるの!?えっ、しかも私が描いてるのってアレだよねサークル参加したときの奴だよねってことはサークル情報とか全部すっぱ抜かれた上で上司に描いた漫画読まれたって事!?

 

「い、いやいやでもそんな話なんて面白い内容浮かばないですし色々準備も必要ですし大体自分には今の仕事がありますしっ!?」

「安心しろ!内容については関係者の方で練ったものが用意されるし準備も政府のコネでどうにでもなる。それにコレも仕事ということで内容に関わらず給料は出るし売り上げ次第でボーナスがガッポリ出るぞ!」

「・・・・・・・・・」

 

終わった。あれだ、元々私に逃げ場なんてなかったんや。さようなら、公務員人生。こんにちは、漫画家人生

 

「ああ、ちなみにそれが仕事になるから基本出勤はしなくても通常どおり給料は振り込まれるぞ」

「是非やらせて頂きます」

 

こうして、私の漫画家人生はスタートした。・・・とりあえず戻ってから藤堯の腹に重いのを喰らわせてやった私は悪くないと思う

 

 



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2話 これ、どうしろと?

「・・・どうしよう」

 

一人、与えられた作業室で机に突っ伏し頭から煙を上げているのが私、柊あいです。どうしてこうなったかというと

 

事の起こりは私が漫画の原作を頼まれたことから始まります。原稿あり、給金保証ということで飛びついたこの仕事。思えば最初から嫌な予感はあったけどそれは蓋をして考えないようにしていたんだろう

 

 

 

――5時間前、作業室

 

「柊くん、これが君に描いて貰いたい漫画の原稿だ」

「ありがとうございます!」

 

この場所で司令から原稿を受け取った私は早速目を通し始めた

内容は現代社会にて着手金横領に巻き込まれた家族が悪徳代議士に罪をなすりつけられたものの、子供の機転や友人、メディアの力を借りて事件解決を図るという下手なドラマよりも面白い傑作と言うべきものであった

なるほど、コレを漫画にすると。まあ正直これだけの傑作であれば自分の拙い絵でもそれなりの作品になるだろう

そう考え、筆を取り、いざ書き始めようとして気づいた

 

 

 

・・・・・・この作品載せるのって少女漫画雑誌じゃなかったっけ?

 

私はすぐに司令に確認を取った。案の定、答えはYES。載せる雑誌は少女漫画雑誌であると言われた

 

問題はそれだけでは無い。歌の要素が一切ないのだ

なに?事件解決大団円のタイミングで歌でも歌うの?いやいや、急に歌うのなんてフィクションか装者の子達だけで十分だろう。そもそも装者の歌を都市伝説と同じ扱いにするのが目的なのになぜ作品の中に一瞬たりとも少女のしょの字も出てこないのか

 

このままではいけないと司令に話をしたもののどうやらこの原稿を自分なりにアレンジし、歌や少女の要素を加えた上で少女漫画雑誌に載っていておかしくないものに仕上げるのが自分の仕事らしい。・・・それなんてムリゲ?

 

 

 

こうして、頭を捻りながら唸り続けること数時間。完全な丸投げを喰らった私は机に突っ伏し頭から白煙を上げているという訳である

 

「・・・水もらってこよ」

 

ついでにあおいや藤堯辺りに愚痴ってこよう。というか私がこうなった原因の一端は藤堯だしアイツも巻き込もうと心に決めるとノソリ、と重い身体を持ち上げコップ片手に扉を潜る

 

「あ、柊さ~ん!・・・ウヒイッ!?」

「もう、響った・・・ら・・・」

 

すると背後からかけられる元気満タンな声。思わずそちらを向くとお化けでも見たような声を上げて後ろに飛び退く響ちゃん。その後ろには民間協力者となった未来ちゃんの姿も

 

「・・・ああ、響ちゃんに未来ちゃん。どうしたの?」

「ひ、柊さんこそどうしたんですか!?」

「顔が真っ青・・・大丈夫ですか?」

「なに、大丈夫だよ少し考えすぎで疲れただけだから・・・」

 

フヘヘ、と安心させるように軽く笑いながら言うとヒソヒソと喋った後、「何かあったら言ってください。私たちに出来ることなら協力しますから」と言ってくれた

思わず泣きそうになりながら機密扱いだし断ろうとした私の脳裏にピキーン、と電流が走った(気がした)

 

「二人はさ、少女漫画とかって読む?」

 

私の思いついたアイディアは華の女子高生である彼女たちに手伝って貰うというもの。これなら彼女たちにリサーチを手伝って貰えば読者の生の声も聞けるし一石二鳥じゃない!?

 

「え?あー、いやぁ私は本読んでると眠くなっちゃうんであんまり。読んでも未来がオススメしてきたやつぐらいしか・・・」

「私も、響よりは読みますけどあんまり・・・」

「そっか、そうだよね・・・」

 

良いアイディアだと思ったけどよく考えれば響ちゃんは学生の他に装者としてのお仕事。未来ちゃんは響ちゃんのフォローがあるんだしあんまり無理はさせられないかー

 

「えっと、何かあったんですか?」

「それなんだけど・・・」

 

機密情報の塊みたいな状態の彼女たちにこれ以上話して良いのかとも思ったけど藁にも縋りたかった私は包み隠さず全部を話した。正直、話してる途中から響ちゃんにウワァって目を向けられて泣きそうになりながら話した。というか最期は半分泣いてた気もする

 

「えっと、つまり貰った原稿が少女漫画の内容に見えないしアレンジしなきゃいけないけどどう手を加えれば良いのかわからない。ってことですか」

「そうなの。だから聞いちゃったんだけどゴメンね変なこと言って。話聞いてもらえただけでもスッキリしたからもう少し頑張るよ」

 

幾分先程よりもスッキリした頭でそう告げて私が行こうとすると

 

「あっ!」

 

響ちゃんが思い出したかのようにポンと手を打つ

 

「どうしたの響?」

「未来!弓美だったら!」

「そっか!」

「・・・えっと、響ちゃん?未来ちゃん?」

 

何か合点がいったように話す二人。ええっと、どういうこと?

 

「柊さん!漫画に詳しい友達がいるんですけど・・・!」

 

 

後日、二人の紹介で会った板場弓美ちゃんとの話し合いで原作の設定やストーリーをどうにか軌道修正に成功したものの肝心のキャラクターがどこか見覚えのある人がモチーフになっていたのは完全な余談である

 

 

 



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3話 どこかでみんな見たことあるような・・・

漫画の内容については突っ込まないで欲しいです


パンパンパン

 

昼間のマンションの一角で日常にそぐわない渇いた音がする。聞く人が聞けば気がつくだろう

その音は火薬の弾ける音。間違っても休日のマンションから聞こえてくるような音では無い

空に高々と響くのではなくどこか反響したその音はどこかの一室の中から響いたのだろう

世が世なら警察が出動し捜査が行われてもおかしくない。

悲鳴が聞こえないのは被害者がいないからか、それとも声が出せないような状態だからか

 

それでも人々はそのようなただの音に頓着しない。過ぎ去った現在は瞬く間に過去へとその名を変え忘却の渦に巻き込まれる

 

彼らの反応は間違ったものではないのだろう

 

なにせ――

 

 

「というわけでおかげさまで無事、読み切りで大好評を頂きましたー!」

「やりましたね!」

 

事件でもなんでもないのだから

 

マンションの一室。柊あいの城の中にいるのは部屋の主と主に招かれた客人の板場弓美。そして彼らの手には破裂したクラッカー。音の原因であり部屋に少しだけ立ちこめる火薬の匂いの元凶でもある

 

「これも弓美ちゃんが手伝ってくれたおかげだよ~!」

「いやいや、柊さん絵めっちゃ上手じゃないですか!それが理由ですって!」

 

先日、月刊少女漫画雑誌ミューンに掲載された『解決!歌ずきん』だったが読者アンケートで二位を大きく突き放して一位を獲得したのである

 

政府の暗躍とそれを解決する歌魔法。まったく別物のジャンルを組み合わせた結果、今まで見たことのない斬新さから興味を引き、うたずきんが主人公である健一のために懸命に頑張る姿とそこに恋心を抱く甘酸っぱさ

最期に涙を見せぬよう精一杯の笑顔で別れを告げるうたずきんを無理矢理引き留める健一の男らしさが少女達の心を鷲掴んだらしく、特にラストの「男が泣いた女をそのまま帰せるかよ!」という台詞に胸を打たれたというファンレターが何通も届いていると雑誌社の方から連絡があったほどだ

 

「いやー、一時はどうなるかと思ったもんだけど案外なんとかなるものね」

「私もアニメとか漫画は好きだけど実際はこんな大変だとは思ってませんでしたよ!」

 

机の上のジュースや軽いスナックをつまみつつ苦労話に花を咲かせる二人。といっても柊の方から二課について話せる訳でもなく付き合いが長いわけでもないため話題は次第と二人にとってきっかけとなったうたずきんになる

 

「それにしても柊さん、健一のパパもう少しどうにかなりません?」

「あー・・・、確かに少しやり過ぎだったかもね」

 

健一のパパとはつまり物語の根幹である着手金横領の罪を被せられた人物である。最初はめげずに戦う意思を示していたものの罪をなすりつけられたことで周囲から浴びせられた罵詈雑言に耐えきることが出来ず一時は家を出ようとしてしまうのである(うたずきんの歌に元気を貰い出て行かずにすんではいたが)

 

「コメントとかでも『こんな格好悪い父親はどうなの?』とか『よくこの父親から健一くんみたいな良い子が生まれたなと思いました』とか大体評価よくないですよ」

「う~ん、本当ならしばらく経って健一が挫けそうなときに帰ってきて励ましてくれる。っていう予定だったんだけど流石にツラいかな?」

「う~ん、それだと確かに良いかもしれませんけどそういうキャラ付けだとすぐにフェードアウトして出てこなくなりそうで・・・」

「あー、確かにそうかも。アニメだとシーズンの終わりに出て次のクールには出てこないキャラっぽいね」

 

なお、読み切りを読んだ響の顔が複雑そうに歪んでいたのは完全な蛇足である

 

「それだと父親をもう少し変えた方が良いかな?」

「やっぱりおしどり夫婦が一番いいんじゃないですか?両親がものすごくラブラブとか最近の漫画でよくあるですし」

「うーん・・・それは一理あるね」

「同じ部屋で寝てて、買い出しは一緒に行ってそれでそのまま食べさせあいとかするぐらいの方が話に絡ませやすそうですし」

「そうね。ちょっと考えてみるわ」

 

その後連載が始まってから未来は柊や弓美によく観察されているような視線を感じることになるが気のせいでなかったりする

 

「そういえばライバルキャラはいないんですかって話がありましたね」

「今のところはうたずきんに対抗してうたゆきひめってキャラを考えてるんだけど少し足りない気もするんだよね」

「・・・見た目はクール系だけど中身がかなりズボラで空回りも多いキャラでしたっけ?・・・言っちゃ悪いですけどうたずきんと似てるとこありますもんねー」

「どうしようか」

 

ちなみに、うたゆきひめの髪色はサファイアブルーであり、長髪であることからこの漫画を読んだ翼が(緒川の一言で気づき)抗議の電話をかけてくる未来が待ち構えているが今の彼女には関係のないことである

 

「そうするとうたずきんをもうちょっと変えた方が良いかもしれないですね」

「いやいや、そんなに変えられるとこないよー」

「・・・いやでもツンデレ、低身長、おっちょこちょい、世間知らずで漢字書けないって中々に詰め込んでると思いますよ?」

「・・・確かに」

「せめて低身長とかツンデレは抜いてもいいと思います」

「そうするべきかなぁ・・・」

 

後日、この漫画を読んでいたクリスが「漢字も読めないなんて中々にアホだな!」と笑っておりそれに驚いた柊が軽くテストしたところ彼女の学力は高校生としては高いものでありイメージと実物は違うと言うことをハッキリ見せつけられることとなる

 

 

 

 

 

 

 

「───、って!こんな時間!空真っ暗だよ!?」

「ええーっ!?このままだとママに怒られる!?」

 

楽しい漫画談義に熱中していると気がついた時には空は暗く夕日の姿も見えなくなっていた

 

「とりあえず送っていくから車乗って!」

「あ、ありがとうございます!」

 

大慌てで荷物を持ちマンションを出る二人。幸い、弓美の両親を柊が説得したおかげで怒られることは回避したようで胸をなで下ろしながら帰宅する

 

「さってと、あとはもうのんびり過ごすかな」

 

帰りに買ってきたお弁当にサラダ、缶チューハイを片手にテレビをつけたあいの眼に飛び込んできたのはQueen’s of Music明日、開催!の文字

 

「ああ、そういえば翼ちゃんが参加するんだよね」

 

確か弓美ちゃんも現地に行くって言ってたなーと考え、そこで気づく

 

「・・・もしかして私、もう少し二課に顔出さないと忘れられるんじゃ・・・?」

 

思い返せばここ1ヶ月、買い物や用事で外に出ることはあったが二課本部に行った記憶がない。データは全部PCに送られてくるし新しい本部が潜水艦であるために東京から行ける範囲にいないこともしばしば

 

「・・・これは不味い」

 

気持ちを切り替えた彼女が翌日は必ず顔を出そうと決意を新たにしたもののその結果、岩国基地で発生したノイズを皮切りにライブ会場で発生したノイズへの対応に駆り出されるのは仕方のないことである

 

 

 

「・・・なるほど、キレイ系で高飛車な女の子か・・・」

 




モデルになった人の補足
歌ずきん:雪音クリス
健一(主人公):風鳴弦十郎
健一パパ:立花洸→立花響
健一ママ:?→小日向未来
歌雪姫:風鳴翼
歌デレラ:登場した頃のマリア

あくまでモチーフ


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