現代傭兵の異世界休養録 (フリズム)
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ゼロ。 拠点を構えるようです。
プロローグ


思えば、もうこんな生活に飽き飽きしていたのかもしれない。

 

 

 

殺すか、殺されるかの狭間で、駆け引きをするのが。

 

生きるために、生き延びるために、ただこうして殺してきたことが。

 

人を殺す事が、日課のようになってしまった事が。

 

 

 

何より、嫌になったことは。

 

 

 

そんな戦場に身を投じ続けなければ。

 

 

 

【自分】が【自分】で無くなってしまう。そんな考えに行き着いた事だったのかもしれない・・・

 

 

 

~~~

 

 

 

現在、無数に走る裂傷や、貫通した傷のおかげで、瀕死の重傷。といったところだ。身体の中に銃弾が残っている可能性もある。その場所は痛覚で何となく分かるが。

経験則から編み出された答えは、もう持たないだろうと語っていた。

 

正直、痛みには職業がら慣れてしまったし、重症を負った事だって何度もある。

 

もう、この世界にとどまる意味などない。 というより、残ってもいいことなんてないだろう。

人を殺し過ぎたのだ。そんな人間は、地獄に落ちて当たり前だろう。

 

 

「〇×万歳!」

 

 

俺は傭兵だった。戦場を転々とし、金で雇われ、どんな仕事もした。

 

今回は、政治家の警護だった。しかし、暴動を想定した仕事では無かった。

 

勧められたときは、気乗りはしなかったものの、人員が足りていなく、直ぐに始まる仕事。ということで渋々選んだ。

 

内容を詳しく知ることができなかったが、行ってみると、戦争を放棄するといった目標を掲げた政治家で、そのパレードの警護ということだった。当然、最悪の場合、武装集団に襲われることもあると想定して動きたかった。

 

しかし、その政治家のお蔭で、警護チームの武装が許されないまま、仕事に当たることになった。

 

隠した特殊合金の警棒に、折り畳み9センチナイフのみ。だだっ広い道路にそれだけの武装だ。

 

案の定、銃火器で武装した集団。まあ、反対運動の集団に道中奇襲され、主要人物だけを逃し、今に至る。

 

アスファルトに横たわり、雄叫びをあげる集団の中の一人を見上げた。推定だが、主犯格の一人だ。手にはグロック系統の拳銃が握られていて、高く掲げられていた。

 

集団から隠すようにナイフを広げると、手首を使い、その一人に投脚した。

 

吸い込まれるように側頭部に刺さると、「ぎゃっ」と悲鳴をあげ崩れ落ちた。力を使い果たしたのだろう、手が地面に落ちると同時に心地よい絶叫が響く中、新しく作られた傷と、元々の古傷だらけの顔は、ニヤリと満足げに笑い、心地よい気分で深い所へと意識が落ちていった。

 

 

 

惨劇を駆け付けた警官が見たところ、警護班の4人のうち3人は、理不尽を叫ぶような憎しみがにじみ出る顔をしていたが。

1人は、心地よさそうに、眠るように生き途絶えていたとの報告があった。

 

 

 




初めまして、(?)ふりずむと申します。


これから、まったりした小説を書ければと思います。
しかし、この性格なので、戦闘は入ります。(多分)


。。。もともとポケモン小説が1話だけあったのですが、また、書き直して上げたいとおもいます。


自己満足な小説ですので、暇なときに覗いていただければ幸いです。


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一話目 動き出すようです。

頭に、ぽとっと落ちて来た暖かいものが、ため息をついてのしかかる感覚を感じた。

思わず顔をしかめ、振り落とそうとすると、抵抗するよう髪の毛にしがみつく。

 

 

 

......いや、何故()()としての感覚が......?

目を徐々に開くと、一面に木々が屹立し、葉を生い茂らせているのが、霞んだ視界一杯に広がっている。

胸一杯に空気を吸い込むと澄んだ空気が胸を満たした、と同時に喉が渇いていたようでむせた。

寄りかかっていた木に手をつき、ゆっくりと立ち上がると、頭上の暖かいものが、驚いたようにくっついた。 身体自身も、長く寝ていた時のように気怠い。

 

 

 

「生きているな... どういうことだ? 死んだはずだが。」

 

 

 

手を左右見比べても、何処もおかしくない。

そういえばと、頭に何か乗っかっていることを思い出し、頭から剥すと、リスがくっついていた。

 

 

 

「......」

「......?」

 

 

 

小首を傾げやがった。 何だこいつ。可愛い。

手に載せて、頬を撫でたら、くすぐったそうに目を細めた。

...引き続き頭に乗ってて頂こうと思う。可愛すぎる。あと若干旨そうに見えた。

頭に乗っけたリスは、何かを感じ取ったかのように、ぶるぶる震えた。

 

 

 

~~~

状況を少し確認し、周囲の探索を終えた。

まず、目がしっかり凝らせるようになってくると、右下に周囲の地図の様なものがあることに気付いた。顔を動かしても、同じ位置に動き続けることも分かっている。

頭上に鎮座しているリスを近づけても、何も反応が無いことも分かっている。予測段階ではあるが、ARに近いモノなのだろう。

服装だが全身黒の戦闘服に、カーキ色に近いタクティカルベストを着ていて、ポーチには何も刺さっていなかった。 また、周囲には刀身が黒くコーティングされた、25センチのタクティカルナイフと、8センチ程度の折り畳みナイフ、

ベレッタM96が散らばって落ちていた。

弾倉も3、4本落ちていて、すでに一本はベレッタに装填されていた。今はベストのポーチに収まっている。

久しぶりのベレッタは、紛争地で使い慣れていたのか、無骨にデカい銃把が手に馴染むのか、懐かしい気分になった。だが、そんな自分に嫌悪も抱いたが。

 

 

 

弾倉を抜き、スライドを引き、チャンバーに弾が入っていないこと確認し、弾倉を再び入れ、チャンバーに初弾を装填した。 セーフティを掛け、腰に付いているホルスターに差し込むと、胸に鞘があるタクティカルナイフを右手に抜いた。

取り合えず、飲める水を探すことにした。 何故生きているかは後回しだ。 延々と考えこんでしまいそうだったからだ。

先ほどから、ゆったりと吹く冷たい風に逆らうように、ゆっくりと歩き出した。

リス殿は眠くなったのか、ベストの空いてるポーチから顔をだして、すやすやと寝ていた。可愛い、やっぱり木の実でも食べるのだろうか、歩きながら拾おう。




。。。見切り発車小説、一話です。


戦闘を次は入れたいと思います。
あと、タグにリス教を追加しておきたいと思います。
でわでわ。。。っ!


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ニ話目 思いがけない収穫と、行動

あのですね、ホントは、言語通訳をスキルとして組み込みたくて、国名を考えてたんです。
......思い付きませんでした。


それでは2話です。戦闘と言えない何かが入ります。


暫く、ナイフ片手に風にあおられるままに歩くと、澄んだ色をした川に出れた。あまり川幅は無く、深さも腰程度で楽々とまでは言わないが、簡単に向こう岸へ渡れそうだ。

屈んで、脇にナイフを置くと、両手で掬い、少し口に含んだ。

 

 

「甘い...な ただの川の水ではないみたいだな...」

 

 

実際はただの川だが、確かに甘味を感じることができた。

ポケットからリスを摘まみだし、ナイフと逆の脇に丁寧に置くと、顔ごと突っ込ませ、気の済むまで飲んだ。

 

 

 

喉が落ち着くと、回りを落ち着いて見れるようになったからか、縦に長い実ができている木がちらほら見える。なんとなく食べれるものだとわかるが、見た目が少し......いや、かなり食べれそうな外見ではない。

しかし、口に何も入れていないのもあり、立ち上がると、木からナイフを使い、枝ごと切り離し、実を取った。

さすがに外見によって、かぶりつく気には慣れず、ポケットから折り畳み式のナイフを取り出すと、縦に切れ目を入れ、中身を覗いてみた。

すると、薄く黄色がかった白い中身が、甘い匂いを立ち上らせた。刃を入れた感触も、かなり柔らかいものだった。

外見にそぐわない中身に、思わずかぶりつくと、好みが分かれそうな甘い風味があり、顔を綻ばせる。自分には美味く感じた。

日が傾いていたのもあり、開けたところが無いだろうかと、川に沿いながら下ることにした。

リスは再びポケットの中に戻っている。

その実を二個ほど取り、手に持つと、歩き始めた。

 

 

 

~~~

川沿いに進むと、明らかに人工的な道と、その向こうに見えるかなりの数の人影が見えた。

本来なら、ここが何処かと聞くために出ていくところだが、すっかり日が落ちてしまい、月明かりだけになった林の中でも見通せる視力と、何より戦場で大切だった嗅覚、それに、敏感になりすぎてしまった本能が、警鐘を鳴らした。

咄嗟に林に埋もれると、まもなく集団が通り過ぎるところだった。

聞き慣れない言語で話していたが、殺意でそれどころでは無かった。

 

 

「大収穫でしたねぇ。今日は晩餐が豪華ですよ。」

「まともな守りじゃなかったからな。」

「女も食え(ヤれ)ましたし。 最高にもほどがありましたねぇ?」

「それしか頭にねぇよな。お前ら。」

「確かにそうだ。」

『あはははっ』

 

 

下世話な話を撒き散らしつつ、嗅ぎ慣れた臭いを漂わせる集団は、正面から、左手に道なりに曲がり、やがて林の中に入っていった。

 

 

「死臭か。 この先に集落か何かがあったのか。」

 

 

戦場で常に漂う臭いは、強烈な殺意を生み出すのに十分だったが、落ち着き、頭を整理した。

目視で13人の集団は、それぞれ、はこぼれを起こした得物を担ぎ、如何にも山賊です。と言う風潮の外見で歩いていた。革の胸当てにボロボロの服、だったが、殿の男だけは、急所を金属で守った、軽装ながらも、しっかりとした武装で歩いていた、恐らく、リーダー格。

聞き慣れない言語を話していたが、内容は聞き取れた。

銃が主武装ではない、言語が違うとなると、もう、俺の知っている世界では無いのかも知れない。

恐らく、それなら、この人生はやり直せるのかも知れない。

だが、今、しようとしていることは、逆戻りする内容だ。

それでも、顔はニヤリとして歪んでいた。

 

 

 

山賊が話していた内容を思い起こすと、いまだにその村に残っている奴が、2・3人いるようだ、

村は、人工的な道をいった先。なかなか小さいながらも、栄えていたようだ。

死んでいった人間が満足するかはわからない、だが、弔い戦のつもりで、武装を簡単に点検すると、道なりに駆け出した。

 

 

 

~~~

リスを木に置くと、ここに居てくれと呟き、村を見渡せる、位の道にでる。

リスは素直にしてくれるみたいだ。

目視で2人。バラけているのが見えた。そして、少し離れたここでも、死臭が漂う。

最悪の場合、もう1人いる可能がある。発砲して、危険を知らせるリスクを負うより、1人1人確実に仕留める。

まず、一番手前の敵に、近づくため、家の物陰を使い影から忍び寄る。顔をだし、別の方向へ向いていることを確認。もう一方は。こちらを向いてはいないものの、3軒先、家の扉の前で、門番のように佇んでいる。

ここの村は、家が6軒あり、道に沿い、3軒ずつ、扉を向か合わせて建っている。

仮に、佇む敵をAとし。今、一番近い敵をBとすると、俺がいるのが、一番手前、左側の家。Aは右側、一番奥の家。Bは俺のいる左側の家にいる訳だ。

まず、物陰から飛び出すと、下手から身体を立ち上がらせ、手で口を塞ぎ、喉の側面にナイフを突き刺し、脱力した亡骸を家の物陰へと引きずりこむ。

そして、姿勢を低く、右側の家の物陰へと移ると、裏手から、3軒目の物陰へと移る。すると、家の中から、最悪な声が聞こえてきた。まあ、まだ一方手前だが。

 

 

「いいねぇ。そそるねぇ。 どんどん嫌がってよ。 逃げれないけどさぁ。」

「嫌ぁ... 誰かぁ...」

「誰も来ねえよ。ああ、嬢ちゃん。()、動かないの? うわ。 だから見捨てられたんだねぇ。 最悪だねえ」

「っ!」

 

 

頂点に達した俺は、音も気にせず、角から躍り出て、門番にナイフを投げつけ、扉を蹴り飛ばした。

 

 

「!?」

「はぁ!? 誰だお前っ!」

「知るか、死ね。」

 

 

迷わず腰からベレッタを抜くが、横に犠牲者がいるのを思い立つと、構えたまま射線を敵の頭に添えた。

 

 

「なぁんだニィちゃん。 そんなちっぽけな玩具しか持ってねぇのか? 俺も舐められたもんだねぇ」

 

 

 

ケラケラと笑う敵を横目に、近くにあった丸いものにおもむろに照準をあわせると、引き金を引いた。

食らうと、デザートイーグルの50AE弾と同等威力の弾丸が、乾いた爆発音と共に吐き出され、あたったそれは、木っ端微塵に砕ける。

馴染み深いリコイルに、ニヤリとしてしまうと、見ていた相手が顔を見開いた。

 

 

「な、なんだよそれ。 お、おい。取引だ、こ、この娘をやる、逃してくれっ」

「知らんな。 面貸せ。 もっといい天国に連れてってやる。」

「い、嫌だっ、近づくなぁっ!」

 

 

首根っこをつかみ、蹴破ったドアから出ると。ナイフをすでに冷たい亡骸から引き抜き、脳天に突き刺した。




はい、お疲れ様でした。ふりずむです。
どうでしようか。この思い切り感。
ルビ振ったり。楽しかったです。
あと、本物の銃を撃ってみたい...人は撃ちたくないですけど。
では、次回は、事態の収拾と、娘さんとの掛け合い...ですかね。
暇潰し程度に読んで頂ければと思います。 あと、今回、2千文字となりましたが、1~3千との間で、ふらふらするものだと把握しておいて下さい。
独断でぶちぶち切ります。それでは。


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三話目 娘

ふはは。街の名前を執筆中に考え付いて、そのまま使ったぜ。

...話数がずれてたので、直しました。


はぁ。と溜め息をつくと、突き刺したナイフを抜き取り、皮の胸当てらしきもので拭う。

村自体が、道の合間のようなものなので、誰かが通ることを考え、家の影に2つの死体を引きずると、家の中に入った。

 

 

「......ありがとう」

俯いて、そう言う言われた

「人前で見せることの無いことをしてしまった。申し訳ない。」

「もう慣れてしまいました。私は隠れていたのですが、村の人が殺されて行く所を見てしまいましたから。」

俯いた顔が持ち上がると、濁ってしまった碧色の目に目が合った。顔はかなり整った綺麗な顔つきだが、憔悴しきったような表情が浮かんでいて、何とも言えないものになっていた。

「立てるか?」

「すみません...... 足が生まれつき不自由で、自力で動けないのです。」

「ん。そうか。」

首に掴まるように促し、腰に手を回すと、近くのベッドに腰掛けさせた。

「おい。」

「何でしょう。」

「近くに町とかはあるのか?」

「ええと。あります。」

「そうか...... 近いか?」

「そこそこ近いですよ。」

「そうか。 お前、身寄りはあるのか?」

視線をずらして、苦い顔つきになり。

「......居ないです。」

「そうか。」

「はい......」

微妙な沈黙が流れた。 はぁ。と再び溜め息をつき、口を開いた。

「着いてくるか?」

「......悪いですよ。 自分で動けないのですよ?」

足を忌々しげに睨んだ。

「その町に、車椅子はあるか?」

「えっ? ありますけど......確か。」

「なら、取り敢えず、町まで行こうか。 人1人背負う位どうしたこともないからな。」

「そう......ですか。」

「少し寝ておけ、直ぐ戻る。」

そう言うと、身体を反転させ、家から出ようとすると、腕を掴まれた。後ろを振り向くと、必死な顔が見えて。

「怖い......です。 その.......置いていかないで、下さい......」

三度目の溜め息をし、身体を起こすのを手伝うと、背中に背負い、置いてきた少しの物資を取りに戻り始めた。

 

 

~~~

家を出てすぐ、背負った娘は寝付いてしまった。 人に安心したのか、揺れが心地好かったのかは知らない。だが、初めてあった俺に、無用心過ぎやしないかと考えてしまう。

少し、村から離れた所につくと、頭に暖かいものが落ちてくると、肩に降りる感触があった。片方、寝こけている娘の顔が乗っているため、空いているはずの方を見ると、リスが肩に乗っかっていた。 一緒に実があったはずだが、探すのも面倒なので、戻り、娘を寝かせることにした。

 

 

~~~

「ふぅあっ。」

ベットに寄りかかるように寝ていると、日差しが眩しく、ほぼ強制的に起こされた。

「あっ。 起きましたか?」

そう言う声を聞き、見上げると、昨夜とは別人のような表情の娘と目が合う。まだ、多少は目に濁りがあるものの、透き通るような碧い目に若干見惚れてしまい、顔を反らし。問いかけて。

「俺は何だと思う。」

ふふっ。と笑われると。

「恩人。ですかね?」

「そうか。」

まるで別人のような話し方に、驚いて、若干声が上ずる。

こうして見ていると、細かい顔の輪郭がわかる。日本人調の整った、堀が浅い顔つきで、かなりの美人だ。

「どうしました?」

「無用心だなと思ってな。」

「一緒にいてくれましたから。」

即答された。

 

 

 

~~~

「これ。貰って良いか?」

「大丈夫です。もう使う人なんて居ませんし。」

山賊がほとんど物品を持っていってしまったが、残った衣類等で、自分の服装を変える。知っている世界と違うとなると、今の自分の服装では怪しまれると思ったからだ。

なぜ、世界が違う、と考え付き、落ち着いているかというと、そう言うもの(ラノベ)を読んでいた時期があったからだ。

今、ベットの上に座る娘......名をシルヴィと言うそうだが.......に丈のかなり長いローブを突きつけると、返事が直ぐ飛んできた。

腕を通し、動きやすいことに驚きつつ、シルヴィに声をかける。

「出るか。戻ってこないと思う。心残りは無いか?」

「無いです。行きましょう。」

にこやかに笑いかけられ、純粋な好意だと思い至ると、何処かで染み渡るような嬉しさと、痛みがあることに気づく。

「行くぞ。」

シルヴィを背負い、リスをポーチに入れさせると、村を後にした。

目指すは、道なり進むとあるはずの、『フォルトヌス』という町だ。随分、水産資源が豊富な町らしい。聞いているだけでも。『町』より『街』では無いのかと問い直してしまいそうに栄えているらしい。

「どうなるんだろうな......」

不安しかないが、取り敢えず歩を進めることにした。

 

 

~~~

「頭、部下が3名ほど帰って来ていません。」

その男は、ゆったりと据わって構えている男におどおどと伝えた、すると、考え込むような仕草をして。

「何かあった......のだな。 何人かつれて、様子を見てこい。 何かあったら直ぐに帰って、報告をしろ。」

「わ、わかりましたっ。 では。」

へこへこと頭を下げると、部屋を下がっていった。

「ふむ...... そうだな。私も出ようか。」

ゆったりと立ち上がると、隙の無い動作で部屋を出ようとする。その際、立て掛けていた、鉄の直剣をてに取り。腰に巻き付けた。

「何か、絶対面白いものが見つかる。」

野性的な勘がそう告げると、ニヤリと口角を少し上げ、また歩き出した。




お疲れ様です。 今日は特にありません。

では、暇潰し程度に、今後ともお付き合いをよろしくお願いします。


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四話目 宿屋です。

内容薄いなぁ... どうやったら濃くなるんだろ。
途絶えてません。 まだまだ続きますよー。(笑)


暫く川に沿った道を歩き続けると、木製の柵に、門がついている場所へ着いた。 兵士もしっかり立っている。現在、日の傾き具合から夕時とおもわれる。

きょろきょろと見回していると。声をかけられる。そこそこの体格をした軽装の兵士だ。

「入るのか? 身分証となるものはないか?」

少し訝し気に問いかけて来た。

 

「ああ、申し訳ない。 無くしてしまって、身分証は持っていないんだ。」

「旅なのにか?」

「そうなんだ、この子を押し車で引きながら各地を回っていたが、賊にあってだな。その時、一緒に置いてきてしまったようなんだ。」

「何か体にあるのか?」

「生まれつき足が不自由でな、その休養もかねて、旅をしている。」

因みに、生まれつきというのは間違っていないと、歩きながらシルヴィに聞いた。

 

「......良いだろう、後ろの嬢ちゃんも併せて銅貨6枚だ。災難だったな。特に、最近はとある派閥が急成長してな。こっちも大変なんだ。」

「......そうなのですか。門番、ご苦労様です。」

 

何となく申し訳ないが、シルヴィが住んでいた家から、山賊にばれていなかった隠し金を貰った。

銀貨10枚ほどだが、小銭として銅貨も数枚あり、ローブのポケットをまさぐり、それを手渡す。

 

「確かに受け取った。 これが許可証だが、滞在するようなら、5日ごとに門にきて、更新するように。」

「有難うございます。 因みに、近くに手ごろな、食事もとれるような宿屋は無いでしょうか?」

 

少し思案し、思いついたようで、門の中に招かれ、路地を指さし。

「あそこに案内屋がいる。そこに宿屋の案内を頼むのもいいが、その案内屋が宿も経営している。この街を知るには、あそこがいいだろう。価格も手ごろだ。」

「重ね重ね有難う。では。」

 

遅れて、シルヴィが背中から振り返りつつ、兵士に有難うと言いながら手を振っていた。

ふふっ。と微笑む声が聞こえたのは、兵士が手を振り返したからだろう。つられて顔を緩ませた。

 

 

~~~

路地に入り、少しあるくと、案内屋、と掲げた看板を見つける。 ドアを叩き、開くと、「はーい」と言いながら、若い女性が奥の扉から出てくるところだった。

 

「ええと、街案内ですか? 今日はもうおしまいなのですが。」

「ああいや、宿屋をやっていると聞いてだな、宿として利用しつつ、街の事について聞こうと思ってたのだが。」

「ああハイ、一部屋、お二人使用、夕食込みで、一泊銅貨20枚ですね」

「分かった、夕食はすぐもらえるか?」

「ええ、大丈夫ですよ。 温めますので、少し待っていて下さい。」

入口のすぐ近くの傍らにある、イスとテーブルに招かれ、そのまま女性は扉の奥へと入っていった。

ふう、と溜息をつきながら、シルヴィに座らせると、向かいに腰を掛けた。顔を上げると、シルヴィと目が合う。

 

「重くありませんでした?」

「んや、そんなに」

「そうですか... ...お夕食、そのまま取れて良かったですね。」

「ああ。 腹が減って倒れる所だった。」

ふふふ、とシルヴィが上品に笑い、「私もです」との一言を聞きながら、店内に目を巡らせる。

カウンターの向こうに扉がある、いま女性が入って行ったところだ。 その左側に、座っているものと同じようなテーブルと、椅子のセットがいくつかあり、右側には、そこそこの幅がある階段があった。 多分宿用の部屋へ続く階段なのだろう。

 

「そういえば、金、使って良かったのか?」

「良いですよ? 使った方が厄を払えそうですし。」

「?」

 

~~~

あのあと、硬いパンに、何種類かの野菜に細切れの肉が少し入ったスープ、ピッチャーの水を夕食として出され、何も食べて居なかったので、ガツガツと食べると、「凄いですねー」と驚いたように言う宿の女性がいた。

腹の虫が落ち着いて、食べるペースがゆっくりになったとき、幾つか女性に質問をし、明日の行動を立てた。

 

そうこうしているうちに食べ終わり、俺だけ手を合わせ、「ごちそうさま」と呟くと、妙に驚いた顔で此方を見る女性に気づく。

 

「どうした?」

「.......あっ。 えと、普段から手を食前と食後に合わせるのですか?」

「ああ、そうだが?」

「へ、へぇ...」

「部屋案内してもらえるか?」

「あっ、はい。 此方です。」

 

驚き方に首をひねりつつ、これまた呆けた表情をしたシルヴィをおぶり、後に続くように階段を上がった。

 

~~~

部屋は簡素だが、寝るには困らない程度のスペースと、二つのベットがあった。

とりあえず、片方にシルヴィを乗せ、向かいあって腰をもう片方のベットに下ろした。

 

「あの。」

「ん? 何だ?」

「名前を聞いてませんでした。」

「今頃だな。 本当に。」

「はい。 何故か一緒に居ることが自然に思えて。」

「そうか。 まあ、赤の他人な筈なんだがな。」

クスクスとシルヴィが笑う。 

 

「そうだな... 俺の名は...」

 

考え込んだ。 正直本名を伝えるべきかと。

しかし、初めての親友のようなものなのだ、失望させたくない。

うつむいた顔を上げると、おもむろに言った。

 

「俺は、達哉。 浅間達哉だ。」

「たつ、や? 達哉さん、ですね...」

 

シルヴィは、大切なものを受け取ったように手をくみ、胸に当てていた。

 

「ありがとうございます。助けてくれて。」

「んや、気にするな。」

 

いつの間にか、膝の上にでたリスが手を上げた。同じように気にするなと言っているようだ。

 

「あと、もうひとつ聞きたいのですが。」

「ん? 何だ?」

「...水浴び... 出来ないので、身体を拭いて貰えませんか?」

「...自分で拭けよ、そんぐらいできるだろ。」

「ふふふっ...」

楽しそうに笑っていた。 真面目に返してしまい、こっ恥ずかしくなり、顔を背けた。

明日は案内屋の女性から場所を聞いた、冒険者ギルド、というところへ登録にいこうと思っている。宿代が安くなるそうだからだ。

テンプレなら、何か起こるのか? と思いつつ、自分の汗を流すために、部屋から逃げるように飛び出した。 決して、シルヴィのお願いから逃げた訳ではない、決してだ。

 




特になしです。 書き終わり次第。次話を投下します。
テンプレかぁ... テンプレってなんだっけ。


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五話目 ギルドです。

漸く書ける... また不定期ですが、ちまちまと書こうと思います。


日差しが眩しく、目を少しずつ見開く。

「目の前全部シルヴィ。」

「何言ってるのですか? おはようございます。」

「ん、おはよう。」

 

シルヴィはやはり早く起きて膝枕をし、俺の寝顔を見ていたらしい。 視界の中、ほとんどシルヴィだ。 目の前は豊かな膨らみだ。 嘘ではない。

まじまじと見るいい機会だったが、初めてシルヴィが出る所が出ている、という事に気づかされる。

 

馬鹿な事を考えつつ、覚醒する意識は、マップの横にメニューと言うものが出ている事に気づく、思わず手を伸ばして触ろうとすると、目の前にウィンドウのようなものが出て、ステータス、インベントリ、魔法会得、銃購入とでた。

 

「そう言えば、今日は何をするのですか?」

「んと、冒険者ギルドへ行って、証明証を貰う。」

「ああ、宿代が安くなるからですね!」

 

会話をしつつ、目の前のウィンドウを弄る。

ステータスを開くと、能力値、スキル、公開能力値、公開スキル、と並んで欄が表示される。公開~の欄ににはスキルの値を弄れるのか、カーソルが出ていて、全ての値が200となっていた。スキルは、触ると、透明色になったり、濃くなったりする。

要するに、何かを提示するとき、相手方に伝わる能力値とスキルなのだろうか? だとしたら、あまり強く見られても面倒なので、スキルをほとんど透明色にしておく。

もともとのスキルが多いので、少々時間を喰った。

 

次に、能力値へ目をやるが、全て文字化けしており、真面目に見ることが出来なかった。

 

「えと、それじゃあ、そろそろ出掛けませんか?」

シルヴィが顔を覗き込んできた。

 

「そうだな... 少し待ってくれ。」

そう言いつつ、身体を起こそうとすると、シルヴィにお腹を押さえられ、再び膝枕へ。

「なら、もう少し膝枕されていて下さい。」

「ん... 了解、というか、何で膝枕してるんだ?」

ふふっ... と朗らかに笑って返された。 頭に手を回され、撫でられる。

 

手は銃購入へと動いていた。

すると、銃の名前と、購入時の金額なのだろうか、各硬貨の枚数が表示される。

試しに、ベレッタM96の欄を触ると、弾倉の購入とでた、一弾倉、銅貨が数枚かかるらしい。

10弾倉買うと、何も起こらなかった。 続いて、スクロールをしていくと、ショットガンの項目に目が移る。

多分だが、何か金を稼ぐとなると、貫徹させる為の銃より、威力があった方が良いのだろうかと考えた。

暫く思案。 決めると、M870へと手が伸びた。 同じケージで、散弾を30、スラッグを20発づつ買う。

ふむ、と考え、インベントリを開くと、ベレッタ用の弾、M870と、それぞれの弾が入っていた。

 

「大丈夫だ、出よう。」

「わかりました。 おんぶ、お願いしますね?」

 

そういうと、立ち上がり、M870と8発分を具現化して取り出す。 手元にすっぽりとはまるように現れた。

 

「何ですか? それ...?」

「ん、前使った、銃ってやつの仲間だ。」

「あれ、凄かったですね...」

 

会話をしつつ、内臓弾倉の中に弾を装填していき、7発目で入れるのを止め、方に掛けた。ベルト付きで良かったと思えた。

「じゃあ、行こうか。」

「はい、お願いします。」

「まあ、ほとんど俺の用事なんだがな...」

 

シルヴィを背負い、部屋を出た。 因みに、コートのポケットに再び入れた硬貨入れは、若干軽くなっていた。

 

~~~

所で少し、このフォルトヌスの街について、若干の解説をしようと思う。

シルヴィとこの街に入り、宿屋がある区画を南区画と言い、向かうギルドは中央区画、そこを挟み北区画となる、三区画で構成される街だ。

北区画は、港と面しており、物流が盛ん。 南区画は、宿泊施設や、住居が充実しているようだ。

全体的な家屋の雰囲気は、石畳やら、白塗りの壁が映える、ひんやりとした雰囲気だ。

 

で、現在、ギルドの前に居るわけである。

入るのにたたらを踏んでいた。

 

「お、おっきいですね~。」

「あ、ああ。」

 

因みにそれが理由ではない、ただ単に入ろうか迷っただけである。とあるテンプレ達が頭を過り、起きたらどうしようと考えてしまった。

ええい、ままよ。! と飛び込むと、おはようございます。と声をかけられ、中は喧騒に包まれていた。 思わず、ほぇ~と口にだし、眺めてしまう。

酒を朝っぱらから飲み交わす人々や、食事を取るもの、とにかく、かなりの人数が入り乱れていた。

 

カウンターらしき所に歩み寄ると、女職員から声を掛けられる。

「素材の買い取りですか? 冒険者登録ですか?」

「ああ、登録をお願いしたい。」

「えと、お一人様ですか?」

「そうだな。」

「少々お待ち下さい。」

そう言うと、奥へ職員が引っ込んだ

 

~~~

暫く待つと、職員が紙と板らしきものを持ってきた。 その間に、近いテーブルと椅子のセットから椅子だけを拝借し、シルヴィを座らせている。

 

「えと、こちらに名前をと、得物を書いて下さい。 名前だけでも構いません。」

さらさらと書き込む。意識せずに違う言語で書き込むことができた。どうやら、翻訳スキルというものの賜物らしい。

 

「ありがとうございます、それでは、証明プレートに刻印してきますので、少々お待ちください。」

どうやら、また待たされるようだ。

 

「お腹空きましたねぇ~」

「そうだな... 終わったら、何か横の酒屋で買って食うか...」

「はい!」

 

~~~

またまた待つと、プレートに『浅間達哉』と日本語で出て来た。 プレートの色は黒である。

「どうぞ、後は、スキル確認のために裏に触れてください。」

「必ずか?」

「はい、お願いします」

 

スキルと聞いて、複数人の視線が背中に刺さるのが分かる。そののち、肩に掛けているM870を見て首を傾げる様子が感じられる。

何も言わず、ひとりとプレートに触ると、職員が顔をしかめた。

 

「どうした?」

「いえ...魔力色がスキルの欄の色になるのですが、見事な程に真っ黒ですね... 多分、魔法適正無しに近いですよ」

「お、おう。 まあ、武器は間接攻撃するようなものだから、大丈夫だとは思うが。」

「そうでしたか... 」

 

「おい駆け出し―。 頑張れー」

がはは、と周りから笑い声が聞こえる。悪気は感じないので、余計にたちが悪いやつだ。

 

「ランクは、名前側の色でわかります。 ランクが上がると、黒から、赤、黄、緑、青、紫、銀、と上がります。」

「おう、ありがとう。」

「いえ、依頼は受けていきますか?」

「んや、また今度来るわ」

「では、取り消しに注意してください。作って5日以内に依頼を何か受けないと、冒険者登録は取り消しとなります。」

「わかった、また来る。」

 

ありがとうと言うと、横の酒屋へ何種類か食べ物を買い、シルヴィと食べた。 まずまず美味しかった。

 

 

~~~

村にて...

 

「こ、これは...」

「どうした?」

「死体です。 見事に急所を刃物で一突きのようです。」

「ほお、これでも確か手慣れを残したはずなんだが」

直剣を鞘ごと抜き、腋に置き、屈んでみると、確かに一突きで殺されている。

 

「ふむ... 漸く強者がやって来た感じか。 あの街に。」

「そうみたいですね...」

 

無精髭がちらほら見える顎を撫でつつ、そろそろ剃らないとだなと考えていて。

 

「まあ、少し嗾けてみるか」

「戦争なんです? 面白そうですね」

 

くつくつと笑うと、フォルトヌスがある方向を一睨みし、撤退を掛ける。

「どんな奴かなぁ。 楽しみだ。」

 

平坦な声の中に潜む、狂気を垣間見た部下は、青い顔で身震いをしながら、身を震えさせた。




お疲れ様でした~。 またよろしくお願いします。


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六話目 車椅子と、シルヴィ

膨れ上がる文字数。 切る場所が思い付かず、続いてしまった...


軽く、スープのようなものをギルドで朝食として摂り、シルヴィを背負い、次の目的地へと行く。 案内屋に聞いておいた、車椅子のようなものがある店だ。

取り敢えず、候補を一つ言ってもらったので、そこに来てみた。

 

「ごめん下さい。」

「はーい。」

 

日本式で挨拶をしてしまったが、伝わったようで何よりだ。

 

店内はそこそこ広く、剣やら、盾やら色々置いてある。所詮、鍛造屋と言われる店だ。

 

「どちら様ですか~。 っと。 初めての方ですね。 ご用は何ですか?」

「ああ、車椅子のようなものが無いか探しにきた。」

「ん~。 これでよろしいですか?」

 

奥の暖簾を潜ってきたのは、身長が現代で言う、中学生ほどの女性? 女の子だった。

近いものを引き寄せると、ころころと転がし、此方に寄ってきた。

 

「ん、シルヴィ。 これで良いか?」

「乗せて頂けませんか?」

「おう。」

 

出てきた車椅子は、フレームを木材で作り、要所要所を、鉄鋼で補強された車椅子だった。

四輪製で、後部の二輪が主輪で大きく、足元の副輪が小さいもので、それぞれの転輪は、フレームを鉄鋼で、地面との設置面をゴムらしき素材で覆っていた。

 

「これはですね、中に骨組みとして鉄柱を組み込んでいるので、耐久性はそこそこあるはずです。」

「ふーん。 どうだ、シルヴィ?」

「これでお願いします。」

「そうか。 これいくらだ?」

 

そう言うと硬貨入れを出し、金額を言われるのを待った。

 

「ん~。 金貨20で、初めてご来店して下さいましたよね? 良かったら他にも見ていって下さい。 帰りに声を掛けて下さい。 そのときに代金を払って下さい。」

「わかった。 もう使っても良いか?」

「はい、お構い無く。」

 

そう営業スタイルで微笑まれると、店員らしき女の子こは引っ込んで行った。

 

「あんなに無遠慮で良いのか? 持ち逃げされるかもだぞ...」

「見た目が優しそうですからね... 達哉さんは。」

「そうか? これでも結構年は食ってるんだが?」

「そうですか...? 私には同い年に見えるのですが...」

「ん? そうか?」

 

シルヴィに不思議そうに言われたので、試しに切れ味が良さそうな曲剣に顔を反射させてみる。

 

「ん? ん!? たまげたなぁ。 本当に若返ってやがる。」

 

写った顔は、高校生程度顔つきに戻っており、以前のシケた顔では無くなっていた。 思わず頬を撫でる。

 

「そうでしょう? なので、あの女の子は、大丈夫だろうと踏んだのだと思いますよ?」

「どっちにしろ、店員はやってはいけない事をやっていると思うのだが...」

 

苦笑いしつつ、近くの細いナイフを手に取る、軽く、持ち手も刄から直接作られている。

 

「おお、これは使えそうだな。」

 

三本ほど手に取り、他を見渡す。

 

「いっぱいありますね~。」

「そうだな... 取り敢えず、宿に戻るか。」

「はい、達哉さん。」

 

そう言い、店員を呼びつけると、会計を済ませ、車椅子にシルヴィを乗せて、街をブラブラと歩くことにした。

 

~~~

「うふふ。 楽しかったです。」

「そうか? なら良かったんだが。」

 

といっても、屋台で食べ物を買い食いしながら、街を見て回っただけだったのだが。

今は夕暮れ時になり、宿に戻り、夕食を待っている。

 

「達哉さんと回ったから楽しかったんですね...」

「ん? なんだそれ。」

「うふふ...」

 

怪訝に思いつつ、料理を待つと、案内屋の女性が夕食を持ってきてくれた。

 

「ありがとう。」

 

ありがたく食事にありつくのだった。

 

~~~

シルヴィを部屋に戻し、少し広場に出てきた。 目的はギルドである。

どんなのが依頼としてあるか、見に行こうと思いつき、腹ごなしのついでと思いつきである。

黙々と歩き、目的の場所に着くと、今朝とは違い、迷いなく扉を開けた。

すると、聞こえる喧騒。 今朝と騒がしさは変わらなかった。

なぜ、シルヴィを置いてきたかと言うと、疲れていたのか、ベットに横たわらせると、直ぐに寝付いてしまったからだ。

 

「どうされました?」

「依頼はどんなのがあるか見にきた。」

「あっ、今朝の方ですね。 あちらの板に貼られているのが只今募集の依頼で、そのしたにあるまとめたものが、常時募集している依頼です。」

「ありがとう。」

 

今朝と同じ職員と受け答えをすると、板と向き合い、依頼を見た。

 

「ふむ... 掃除してくれ? ああ、そう言う依頼もあるのか。」

雑用から、定番の魔物退治。 旅団の護衛など、幅広く載せられていた。

と、そこに、焦るようにギルドに転がり込んだ一人の兵士がいた。焦る口調で、口早に繰り出す。

 

「も、門が。 山賊に、あいつらに壊された!」

 

内容は、山賊に襲撃を受けたということだ、だが、次の言葉に、流石に焦りを浮かんだ。

 

「み、南門だ、 中央西門じゃねえ、あいつら、山から直接攻撃しに来やがった!」

「お、おい。 応援行くぞ、中まで入ってこられたらたまったもんじゃねえ。」

「ああ、おい、行くぞお前ら!」

 

ぞろぞろと南に行く集団に、流されるようについていった。

 

~~~

着くと、門が砕け、数人の亡骸が通りに転がっていた。

 

「んなっ... もう撤退しただと?」

 

誰かが驚き、声を上げた。

後ろ側から、人を掻き分け、宿に戻ると、泣き崩れる案内屋がいた...

 

「おい、どうした。」

「つれ...さられてしまいました...」

 

ここで、頭が逆に鎮まる。 ウインドウを開き、迷わずAK-47と40程の弾倉、数本の手榴弾を買っていた。

 

「シルヴィ...さんです。」

 

女性に近寄る。 勘違いした女性が、身を震わせ、「ごめんなさい...」と連呼する。

武装を整えながら、屈んで、女性の頭をなで、宥める。

 

「綺麗な赤い髪だな... 大丈夫だ。 連れ去られた事を言ってくれて助かる。」

頭を撫でつつ髪質が良いことに、顔を綻ばせて話す。

「えっ... 怒らないんですか?」

「いや、しょうがないだろ、足元の靴底のあと、複数人いるつき方だぞ。」

「えっ、そんなことまでわかるんですか?」

「まあ、そうだな。 んじゃ、寝床の準備を頼むぞ。」

 

ゆらりと立ち上がり、AKを取り出すと、初弾を装填し、M870に初弾を装填する。

 

「まあ、ちょいと一捻りして来ますか...」

 

~~~ 

宿から外にでて、門の前を無言で通るが、手を伸ばし、止めようとする人物がいた。

 

「いくらなんでも、ルーキーだけが行っていい奴らじゃねぇ。 おとなしく待ってろ。」

手首を捕まれ、止めた気でいる声を掛けた人物は、今朝、ギルドで大笑いをし、発破を掛けた人物だ。

だが、冷静になっていた体は、思い通りに動いた。

まず、手首を返し、強引に手首を逆に掴むと、ローキックで相手の体勢を崩した。崩れた姿勢を直そうとするまもなく、強引に手を自身に引き込み、後ろへ転がす。

 

「んなっ。」

 

少なからず見下していたのだろう相手に簡単に転がされたことに、呆然としている。

 

溜め息をつくと、もう一度駆け出した。

 

~~~

森へ入ると、不意に刃物のような鈍い光が見えた。

咄嗟に照準、セミオートで三発立て続けにAKを発砲。 一つ崩れ落ちる音がなった。

お構い無く、集団が歩いた微かな跡を追う。

広い空間に出ると、今度は奇怪な生物に出会う。

 

クギャ? と鳴き、振り替えれば、鬼のような顔をした、幼児程の背に、棍棒のようなものを持つ生物... 恐らく、ファンタジーな生き物である『ゴブリン』がいた。

だが、邪魔であることに代わりない訳であって、容赦なく頭に撃ち込むと、綺麗に砕け散った。

 

「初魔物討伐なのに、感動も何もねえな。」

 

引き続き、山賊の後を追う。

多少は森のなかで、足場が悪く、動きにくいはずなのだが、慣れた足つきは、道を走るような軽快さで、森での歩を進める。

笑みのない顔つきで、頭の中で考えていることはただ一つ。シルヴィ奪還のみだ。

 




お疲れ様でした。ふりずむです。
次回は、戦闘回です。 お相手は、十数人の山賊です。 前、シルヴィの住んでいた村を襲撃した集団ですね。 話の展開が早くて申し訳ない。 (主に時系列が
次回と、もう一話を含んで、ゼロ章を終える予定です。
見切り発車でしたが、軽く書かせて頂きました。 
また、ゼロ章を元に、まだ書いていくか決めたいと思います。では。またちまちまと書きますかね...

また、改稿して出すかもです。(主にシルヴィとの日中の絡みについて。


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七話目 アジトのようです。

んんっ! 戦闘?回です。


暫く歩くと、屋根が一部しかない、広めの廃墟が見えて来た。外に何人か、この世界に来て初めて見た人間の服装と考えると、山賊だと分かる。

多分、ここが拠点なのだろう、外の守りが薄い所を見ると、どうも襲撃は考えていないように見える。

咄嗟に使い慣れた銃を買ってしまったが、AKを買ったことに後悔する必要があるようだ。突撃銃などの長物は、室内などでは壁に引っ掛ったりし、扱いずらいのだ。

 

取りあえず、固まっている三人に照準。一人二発使う要領で連射。確実に仕留める。

 

木の陰から躍り出ると、出入り口の脇に背中をつけた。

 

物音に気付いた中の二人が出入り口からでてくると、足を伸ばし、一人を転がし、もう一人に懐から抜いたベレッタで撃ち、立て続けに転がした一人にナイフを突き付ける。

 

「中に何人いる?」

「お、教えないぞっ!」

「ん? 立場が分かっていらっしゃらないようで」

 

太ももに一発と考えたが、手持ちの銃では明らかに木っ端微塵になるので、投脚用に買った、鍛冶屋のナイフを太ももに突き立て、二・三度捩じる。

 

「あっがぁっ!」

「それで、何人中にいる? お前らの奪っていった物はどこにある?」

「お、奥の部屋だっ! ふ、二人しっかり居るっ! それで、残った仲間はあと3人で、頭が奥の部屋にいるっ」

「おう、おう。 ご苦労さん。」

 

ナイフを抜き、後頭部にベレッタの銃底を絶妙な力加減でたたきつける。 敢え無く男は悲鳴を上げながら気絶した。

 

出入り口に転がして置き、なベレッタを懐のホルスターに仕舞うと、AKを油断なく腰溜めに構え、中に入る。

疑問が一つ。何故男は二人と言ったのか。 もしかしたら、シルヴィは別の所にいるのかもしれない。

 

不意に殺気がドア越しに感じる。迷いなく三発ドア越しに連射する。 すると人が崩れ落ち、ドアを押し倒した。体当たりをするつもりだったのだろう。

 

その上を跨ぎ、中に入ると、今度は勘で腰を下げる。頭上を鈍い音が通りすぎる。

 

「矢、か。 また古風だな」

そう呟きつつ、矢が飛んできた方向に三発発砲。気配が消える。

 

「あと、一人と頭、ね。」

割と広い部屋を進んだ。

 

~~~

次第に屋敷に屋根がつき始めた。するとナイフが耳元を掠りながら通り抜ける。

 

「ここから先は通さん。 帰れ。」

「んや、お前さんが邪魔だから。」

AKで二発発砲する。 急に攻撃され、驚いたのか、何もせず鉛弾を喰らい。崩れ落ちる。

 

「んー。 呆気なかったな。」

そう言いつつナイフを抜いて後頭部を守るように回しておくと、短剣の様なものが当たる。

「んなっ、ばれただとっ?」

「そりゃ、殺気ばらまいてりゃ、気配位丸わかりなんだが。」

 

コンパクトに身体を半回転させ、短剣を薙ぎ払い、向き直ると、驚いたように佇む男がいた。

「んや? 女か。」

「そうだ、悪いか?」

 

訂正、女だった。 

 

「そんで、次は何をするんだ?」

「くっ、舐めやがってっ」

 

上半身に、斜め下から右足蹴りが飛んでくる。 AKを足元に置き、落ち着いて半身を引くと目の前に蹴りの残像が見えた。落ち着いてナイフで浅く切りつつ、躱す。 兎に角躱して切りつけた。

 

「くっ...」

女の顔に苦悶の表情が浮かぶ、何しろ相手は最小限の動きで体力と浅い切り傷を延々とつけてくるのである。 それはこちらも同情する。

 

「まあ、シルヴィ誘拐してったし、しょうがないよな?」

女の肩越しに問いかけるように声を掛けると、奥の扉が蹴破られた。

 

「良くも俺の女をっ」

おお、ここまで当たるのも面白いものだな。初めてこの世界にきて、見たリーダー格っぽい奴が飛び出してくる。

その奥に、長い金髪と、シルヴィが見える。

 

「ああ、そうだったのか、申し訳ないな、少々寝ててくれ。」

ベレッタを抜き、壁に一発。 すると、跳ね返った弾丸がリーダー格の肩に当たり、のけぞって倒れた。

 

「このっ」

「申し訳ない、手抜いてた。」

 

もう一度、女の鋭い右蹴りか一閃するが、無理やり腕で身体をカバー。 腕にあたると、骨が軋む音がするが、慣れっこなので、顔を顰めつつ、そのまま足を掴み、こちら側に引き込みながら、左腋腹に左足で膝蹴りを入れ、床に転がす。

 

「シルヴィの前で何となく人殺ししたくないんだよな、まあ、寝ててくれ。」

 

銃底でたたきつけ、女と、男を気絶させる。

AKを拾い、M870とは別の肩に掛ける。 そのまま部屋に入った。

 

「達哉...さん?」

「おう。 達哉だ。」

「ご迷惑、お掛けしました...」

「そうか? まあ気にすんな。 敵の練度とか、魔法とか出てこなくて助かった。」

屈んで、頭を撫でると、シルヴィは気持ちよさそうに目を細めた。

 

「横の金髪は?」

「えと、前から此処に居たみたいで...」

「ん?」

 

寝転がった小柄な体を仰向けにさせると、ボロ布を纏った、これぞファンタジーの代名詞が居た。

 

「エルフか。」

「みたいです。」

 

どうすっかなぁと考えながら、大人数が駆け込む足音を聞いていた。

 

 

 




はい、お疲れ様です。 ふりずむです。
お気に入りがどうやら30を突破したようで... 有難うございます、見てくれている方がいるんだなぁと感じ、しみじみするふりずむです。
あと、1話で、次章です。 閑話、エピローグを挟んで終わろうと思うので、これからもよろしくお願いします。
では、書き終わり次第、次話を投下します。


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最終話 傭兵が、異世界に拠点を構えるようです。

連日投下。 ちまちま書くとは以下に。


ギルドに呼ばれることになった。 内容は、『急成長をし、かなりの悪事を働いた山賊の拠点を見つけ、主格の頭領を捕まえた』ことに褒美が送られるらしい。

そういうことで、シルヴィの車椅子を、その山賊のアジトから連れて来た、人間とエルフのハーフであるらしい、シャノンにお願いしている。

どうやら、ろくに注意をせず山道をうろうろしていた時に、拉致されたらしい。 あと、シャノンについての一悶着があるのだが、また別の話。

 

「達哉、どこ行くんだっけ?」

「ギルドだが、って、今朝話さなかったか?」

「多分話した、ごめん、すぐ忘れちゃって」

 

どうも嫌いになれないが、忘れっぽく、常にぼーっとしている印象がある。

 

「ふふふ」

「シルヴィは笑ってればいいと思ってるだろ...」

「そんなことないですよ~?」

ふふふ、と朗らかにに微笑みつつ、後ろを振り返り、シャノンと頷きあっていた。

溜め息をもらしつつ、前を見やると、そろそろ中央区につく所だった。

 

~~~

重鎮のようにギルドの奥に招かれ、左にシャノン、右に車椅子のシルヴィを侍らせ? 待つこと数分。

 

「待たせた、フォルトヌス支部長、アーロンだ。」

「ああ、待っては無い、浅間達哉だ。」

「いやいや、わざわざ立ってまで挨拶しようとしてくれなくて結構だ。」

「そうか」

 

座り直し、腰に巻いていた()()を背の低いテーブルに立てかける。

 

「で、何の用だ」

「ランクを『青』に上げようと、思って―――」

「いらん」

「じゃあ、他に欲しい物は...?]

 

支部長の額に冷や汗が流れる。

 

「んや、南門の先に村があっただろ? そこの家を崩して、新しくそこに家を建ててくれないか?」

「えっ、そんなのでいいの?」

 

シルヴィと支部長の目が見開かれる。驚きで姿が出ている

 

「はあ? こっちの方が面倒な依頼だろ。」

「いや、土地の管理者が出来るからその方が有り難いんだよ、良ければ、今日にも造るが、どうだろうか?」

「そうか、今日ともいわず、ぼちぼち作ってくれれば良いが。」

「そうか、そうか いやぁ、何か無理難題を吹っ掛けられるかと思ってビックリしたよ。」

 

支部長は晴れやかな顔をして、額の冷や汗をぬぐった。

 

~~~

ギルドから帰り、一晩を過ごした後。

 

「えっ、ここを出て行かれるのですか?」

「そうだが? 近くに家を建てるからな、そこに移る」

 

残念そうにして言っているのは、宿屋の女性である。

 

「そうですか、四日ほどでしたが、御贔屓に有難うございました。

 

顔を赤くしながら、こちらを微笑んでいる女性に、シルヴィがムッとした顔を向けているが、無視してシャノンに車椅子を押してもらう。

 

「また、宜しくお願いします」

 

そういう女性に、宿からでていきながら、ひらひらと手をふった。

今日は、村に俺の家を作ってもらう日である。

 

~~~

村に着き、建築士である魔法使いに、家の要望を伝えながら家を錬成してもらう。

 

「魔法って、理不尽だな」

「そうですか? 私は、達哉さんの銃に理不尽を感じますよ?」

「うん。 防御出来ないことはないけど、多分、咄嗟に撃たれたら、防御魔法の展開が間に合わない。」

「そうなのか...」

 

そんなことを話しながら、家の建造をまっていると、魔法使いが声を掛けて来た。

「出来ました。 また増築や、改装をご要望のときはお声をお掛け下さい」

「おう、ありがとさん」

「いえいえ、では」

 

そう言い、丁寧にお辞儀すると、転移魔法を使ったのか、直ぐに姿が消えた。

木造の我が家は、背景の木々と川によって、何とも言えない良い雰囲気があった。

 

「中、はいりましょ!」

ルンルンなシルヴィを横目に、車椅子のために緩やかなスロープを登りながら、家に入っていった。

 

~~~

部屋を割り当て、買ってきた食材をシルヴィが料理し、一息ついた所で、風呂に入ることにした。

なんと、お湯に浸かれるのだ。 日本人にとっては、嬉しいことこの上無い。

 

「ふぅ。 後はシルヴィが入ってこないか気にするだけだな。」

因みに、シルヴィには、宿裏で水を浴びていた所に乱入しようとした前科がある。

天井を見上げながら、浴槽の壁に寄りかかった。

 

「そうですねぇ~」

「そうだね」

「そうなんだよなぁ... ん? んん!?」

 

無理でした。もう両隣にいました。全然気づけなかった。意味わからん。

 

「お背中お流しします、ね?」

「いいよ、もう。俺の休息の時間返せよぉ」

 

溜め息を着くしかなかった。因みに、三人で入っても余裕があるくらい広い浴槽だ。

ひとりと腕に抱き着かれるのを感じながら、考えることを辞めた。

 

...シャノンは可もなく不可もない大きさだった。 まあどうでも良いか。

 




お疲れまでした。次回、閑話です。
主人公の直剣についてのお話しですね。

では。 多分今日書き終わるかな?


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閑話 異世界武器を手に入れました。

三話目連続投稿~
今日はここまでです。
短いです。 
影響無いかなぁと思っていましたが、テンポよくハーレム要員が加わるので、影響ありませんの文は消しました。


「...では、お二方を案内屋の宿に送っておきます」

ギルドの職員に山賊の拠点でそう言われると、冒険者を引き連れ、帰って行った。

どうやら、別の道に山賊が点在していて、それを倒しながら来たらたどりついたようだ。

 

「お願いする」

「はい、任されました」

 

 

 

 

では、一人で残ってナ二をするかというと、部屋漁りである。

「さあ、なにがあるかなぁ?」

ニヤニヤ顔が止まらず、取りあえず出口から近い部屋から漁ることにした

 

~~~

「無い、綺麗に無い」

それもそのはずである。 ギルドの連中がくまなく被害品を持って行ったので、めぼしい物が見つかるはずがないのである。

溜め息を吐き、とぼとぼと帰ろうとすると、いきなり床が崩れ、地中に落とされた。

 

...ソコまで深くはないが、綺麗に落とされたのである。

 

~~~

「痛つつ... なんだ? 」

腰をさすり起き上がると、頭の上の穴と、目の前に通路が広がっていた。

 

「はぁ... こういうの気になるんだよなぁ...」

取りあえず進むことにした。

 

 

暫く進み、大広間の様な所に出た。ほのかに光る苔の様なものが、いかにもファンタジーらしさを醸し出していた。

 

すると、台座にマス〇ーソードのように刺さる、簡素な剣を見つけてしまった。 しかも、いかにも触った者の遺品ですと言わんばかりに片方の篭手が握られていた。

 

「とんでもない物を見つけちまったなぁ...」

 

篭手に左手を通し、引き抜こうとすると、簡単に引き抜けてしまう。

 

「お、おい、抜けちまったよどうすんだこれ。」

勝手に生成された鞘を眺めつつ、はあ、と溜息を着くのだった。

 

~~~

「って、帰り方何となくしかわからないんだが...」

いざ地上にでると、今度は帰り方に迷う

 

「はぁ... 地図って無かったっけ? あっ、そういえば視界にあったな。」

どうも気配が薄かった隅の地図は、見ようと考えていないと勝手に掻き消えるようだ。

 

「気配薄いな...」

失礼な!とでも言っているように点滅した... ように見えた。

 

~~~

ある意味ボロボロになりながら、インベントリに剣と篭手、M870を突っ込み、門にたどり着くと、シルヴィと車椅子を押す金髪エルフがいた。

 

「おう、帰ったぞ~」

「遅いです~っ なんで一緒に帰ってきてくれなかったんですかぁっ」

「泣きながら言われても伝わらないんだが。 んで、後ろの奴は?」

「えと、シャノンちゃん、です。」

「宜しく、勇者」

 

ん? と顔をしかめる。

「何故勇者? シャノン? だっけ?」

「ご飯の前に手を合わせるのは、異世界から召喚された勇者だって聞いた、主に伝記で。 あと、名前はシャノンで合ってる。」

 

おおう、そうなのか。と、はあと溜息。 

 

「俺は異世界から来たが、多分勇者なんてのは違うと思うぞ?」

「そうなの? じゃあ、なんて呼べばいい?」

「浅間達哉って名前だから、達哉とか言ってくれればいいぞ」

「じゃあ、達哉で」

「おう、んで、一緒に来るか? 主に何も考えず世界をブラブラする予定なんだが」

「ん、行く」

 

そんな事で、取り合えず旅の仲間が増えたのだった。

 

 

 

~~~ その日の宿屋、ベッドにて。

「たーつやさん?」

「おう、シルヴィ。いいから、寝る時ぐらい一人にしてくれ、だから背中に抱き着くな」

「達哉」

「分かった、だからシャノンは腹に抱き着くな」

『いや(です)』

「いやだからそこは協調しなくて良いから。 ...だぁーっ... しょうがねーか...」

 

 

 




はい、お疲れさまでした。
これで、ゼロ章終了です。 次回から、一章です(多分やります)
では、この話からはちまちま書きます~


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一章 集団転移を目の当たりにし、狙われました。
プロローグ 異世界転移が急に来て。


一章プロローグです。 視点を変え、ヒロイン予定の子に視点が行っています。
相変わらず店舗が早いですが、ゆっくり読んで頂ければ幸いです。


とある都市の、バス乗り場の列にて、チンピラと、女子高生らしき女性がやり取りをしていた。

周りはみな、面倒そうにそのやり取りを見ていた。

 

「ううっ...」

「良いだろ? 俺らとちょっと遊んでよ~」

 

典型的なナンパである、しかも、相手のガラが悪いので尚更質が悪い。

現代の何処にでもいる女子高生―――古庄知秋―――は、目立つタイプでもないし、そもそも積極的な人間でもないため、ナンパなんてものは初めてである、ある意味、声を掛けた人間は物好きと言える。

周りからの視線も痛く、人生において、目立たないように動いてきた古庄にとって、それはもう四面楚歌な気持ちであった。

 

どうしよう、とあたふたしていると、不意に、後ろから盛大な溜め息が聞こえた。

 

驚いて全員が振り向くと、最後尾で腕を組み、どうでも良さそうに、此方を見やる男が居た。

またまた痛い視線についに視線を落としてしまう。

しかし、男の視線は横のチンピラに行って居たらしく、「ああ?」とドスの聞いた声で男へと向かって行った。

 

驚いて顔を見上げる。 そのとき、所構わず喧嘩を吹っ掛けたチンピラは、その男に殴りかかった。

目を瞑る。 だが、パシッっと殴っただけでは鳴らない音が聞こえ、目を見開くと、男が殴りかかったチンピラの右拳を左手で掴んだ所だった。

 

「軽いな、もっと腰を入れて殴らないとな」

「んなっ」

 

チンピラが蹴るが、それも見事に脚で受け流されていた。

 

「ちっ、覚えてろよっ」

敵わないとわかったのか、ずこずことチンピラは何処かへ行った。

 

「えっ?」

結果的に助かったのである。お礼を!、と思い付いたときにはバス停から離れていた。

 

「あっ、待って下さい~ お礼をっ!」

 

 

~~~

「懐かしい夢だな~」

今日夢で見た、二・三ヶ月前での思い出は、こうして時より夢で見る事が多くなった。 しかし、所詮夢なので、見た、という意識しか無いのだが。

 

「また、会えるかな?」

なんて言いつつ、そのときに見た頬の切り傷と、鋭い目付きを思い出し、仄かに顔を赤くしながら通学路を行く。

 

 

 

「おはようございます」

呟くように言うと、そそくさと隅の自分の席に座り、腕を枕に伏せる。

 

教室の朝の喧騒はクラスのリーダー格を中心に、ガヤガヤと聞こえてくる。

意識を深いところに押し込み始めると、不意に視界が光で一杯になった。

 

「ああっ? なんだこれ?」

「目がぁっ、目がぁ~っ」

 

驚きにクラス中が包まれる中、クラス四十人のうち、教師含む、三十五人が、異世界に転生させられたのだった。

 

 

 

~~~

「何処だ、ここ」

誰かの呟きに顔をあげると、見知らぬ、大広間のような、神聖さで溢れている部屋にいた。クラスでである。

 

「ようこそ、勇者と、その眷属、顔を見れることを、光栄に思う」

 

厳格な声が響き、その発生源を見ると、深く席に腰を掛けた、初老の男性が居た。

 

「我が名は、クシミニク・シュロネー。 シュロネー国の現王だ」

 

「何で、俺らはここに居るんでしょう?」

 

「問題があり、必要とし、私らが呼んだからだ」

 

「帰れる、んですか?」

 

「わからぬ」

 

どよめきが広がる、「帰りたい~っ」やら、「何で俺らが」とかである。

「皆、もしかしたらその問題を解決すれば帰れる道筋がわかるかもしれない! とにかく頑張ろう!」

 

そう言うのは、クラスのリーダー格である、柳瀬隼人である。

 

「わからないよ? 王様の言う通りなら、殺しをしなきゃ何でしょ...」

 

と、寄り添って言うのは、藁科優名である。 リーダーにいつもくっついている幼馴染みである。

 

「しょうがないだろ...! 俺らがやれなきゃ、誰がやるって言うんだ!」

 

「おお、気合い十分じゃな。 まずは、王都をでて、戦闘訓練をしつつ、都市フォトルヌスの近辺に住む悪党を狩ってくれると助かるな」

 

「おうよ、何処までもやってやる! 帰る為だ!」

 

どうも、リーダーには周りをその気にさせる雰囲気でもあるらしい。 いつの間にか周りも、「やってやる!」とか、「そうだそうだ」とか「これで異世界ハーレムは我の手に」とかいろいろ言っていた。 んや、最後は違うな。

 

「それで、ポケットの中にプレートが入っているのだが、そのプレートに、勇者、とついていたものは挙手しろ。 聖剣を与える」

 

「あっ、俺だ」

 

柳瀬である。 当然とも言える結果かもしれない。

 

「私はなんだろう...?」

制服のスカートに手を入れつつ、プレートを引き抜き、見やると。

 

「んー? きょ、うせん、し? 狂戦士!?」

 

クラスが振り向くほど、大きな声を上げていた。

 

 

 

これが、浅間達哉が山賊を壊滅させる二日ほど前の話である。

一人一人、決意を浮かべ、王都から近い、フォトルヌスに向かうのであった。

 

 




プロローグとは別にすべきだったかな...?
まあ、お疲れ様です、ふりずむです。
次回は視点を戻します。 時系列も戻ります。


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一話目 異世界に来てから。

良いなぁ、こういうまったりする回を延々と書いていたい。
......


「おぁぁああああっ」

盛大に砂煙を上げて地面にダイブする。さながら某ハンターさんが行う回避術である。

何とか回避をすると、その背中の上に鈍いどよめきが通り過ぎ、遥か後方の木を薙ぎ倒した。

 

「おいおいニーチャン。 ワイバーンの甲羅に歯がたたねーんじゃただ邪魔なだけなんだが? それでもあの所在地不明な賊を倒した英雄か?」

 

そう言い、盾を使いながらワイバーンの鉤爪を防いだのは、宿屋で転がした奴である。

銃の貫徹力が圧倒的に足りないのである、精々、運が良くて弾が効く程度である。

面目丸潰れである、異世界の異質な硬さに、早くも心が折れそうである。

 

「~ーーっ!」

「おお、やっぱワイバーン狩りは遠距離攻撃できる奴に任せるのが吉だねぇ」

 

言葉にならない声でシャノンが雷撃を放つと、ワイバーンが痺れたのか、痙攣しながら落っこちてきた。

 

「達哉は避けるのが上手い。敵のヘイトを稼ぐのも上手い」

「う、うるさいわい!」

「ん? だから、前衛職で、ヘイトを稼いで攻撃をかわしてくれれば、後衛が安全に敵を葬れる」

「俺とは一体...」

 

しかし、魔法は便利だなぁとつくづく思う、自分には使えないのだが。

どうも、ギルドから渡されたプレートは、魔力が魔法に向いていない事を指しており、メニューである魔法会得にも身体強化と、物質強化しか表示されないのである。

 

「まあ、ニーチャン。 その武器見てても面白れーし、またゴブリンでも狩りに行こうや」

「ああ、また頼む」

 

こうして、山賊を倒した功績で、フォトルヌス一帯に広く知られるようになると、度々ギルドの依頼に冒険者から同行をお願いされる事が多くなった。

といっても、ここ二・三日の話なので、いつ忘れられても可笑しくは無いだろう。

 

 

 

 

平地にワイバーンが出たという討伐依頼を終え、ワイバーンから牙と、甲殻をいくつか頂戴し(異世界の素材に、折り畳みナイフや、サバイバルナイフでは刃が入らないので、依頼で金を貯め、ミスリルのナイフを買っている)ギルドに報告すると、報償金を貰い、盾使いと別れ、シャノンと食材を買い出し、自宅へと帰るのであった。

 

 

 

~~~

「銃ってどうすれば魔獣相手に使えるようになるのだろう...」

シルヴィの作った夕食を三人で囲み、団欒とした雰囲気を楽しむ。

 

「達哉、達哉は確か物の性能を向上させる魔術が使えるはず、それを使って見たら?」

「んぁ、その手が有ったか」

シルヴィと街に行ったときに買い揃えた食器に口をつけ、スープを飲み干してからそう答える。正直、すっかり忘れていた。

 

「ご馳走さん、旨かった」

「ならよかったです~」

シルヴィにお礼を言うと、ふふふと朗らかに笑うが、彼女は御歳十八歳である。歳より老けて見えるのは、家事万能な事と、その落ち着いて朗らかな雰囲気故か。

 

「失礼な事考えませんでした?」

「いや、そんなことない」

「達哉はシルヴィに淫欲をぶつけたいと考えている」

「おいシャノン、ちょいと表出ようか」

「そうなんですか? 私は......構いませんけど?」

「やめろそこは否定しろよ」

 

両手で顔を挟みいやんいやんと身体をくねらせるシルヴィを横目に、風呂に入ろうと食器を調理場に持っていくのだった。

 

 

 

~~~

この家には、魔力を使い、お湯を沸かすという便利な道具がある、それを使い、熱めの湯を出し、水を混ぜ冷まし、丁度良い湯加減にしてから入る。

それを一人で行い、身体に湯をかけると、浴槽に浸かる。

 

「気持ち良いですね~」

「もう俺は突っ込むのを辞めた」

 

その行程は、風呂場から離れてやらなければ行けないので、魔法を使い、いつの間にか紛れて大切な一人の入浴時間と言うものを奪うのである。理不尽だ。主に理性の面で。

 

横からシルヴィが現れる。その膝には、小柄なシャノンが乗っかっていた、二人ともタオルをしっかり巻いている。

家が建ってすぐに入った風呂には全裸で入って居たのである。もう諦め、せめてタオルは巻いてくれと懇願し、今に至る。

 

「あっ、そういえば達哉さん」

「ん? なんだ?」

「明日、フォトルヌスに勇者御一行がいらっしゃる見たいですよ?」

「...目的は?」

「達哉さんが倒した山賊を、探して倒す事だったみたいです」

 

天井を仰ぎ見る。

 

「仕事、奪っちまったな。」

 

そう言うと、深く溜め息を着くのだった。

 

 

 

~~~

さすがに就寝は別々で、同じ部屋のベットを使い寝る。

 

「シルヴィ、明日もう一度、フォトルヌスに行くんだが、来るか?」

「はい、シャノンちゃんも一緒ですよね?」

「ああ、勇者を拝んどこうと思ってだな」

「仕事を奪った張本人だって、ギルドから吊るされると思うのですが...」

 

 

 

 

「知らね...」

 

ふて寝するように意識を落とした。 寝れる時に寝る。何処でも寝る。 これが傭兵の基本スキルだ。

だから、寝静まったと勘違いした二人が、ベットに潜り込んで来ても、何も考えないのである。 そのうち夜這いでもされるのではと考えると身震いがする。

ん? 夜這いはもうされているのか...?

 

 

 

~~~

次の日、生憎素晴らしい快晴のもと、勇者の歓迎パレードが催されていた。

勇者を筆頭に、戦闘職で固めた少数精鋭な勇者御一行は、フォトルヌスの住人たちに諸手を挙げられ、喜ばれていた。

 

そんなパレードを横目に、俺はせっせシルヴィの乗る車椅子を押し、シャノンを連れ、どの路地に紛れ込もうかを考えていた。

 

「鬱陶しいなぁ」

「その通り。こんだけ連れ回しているのに、バレていないと考えるのは追跡者としては失格」

 

追われて居たのである。詳しく言うと、回りとは明らかに違う意図でこちらを見ていたので、視線の雰囲気で分かったのである。

 

「シャノン、次で曲がるから、シルヴィに透明化の魔法かけて逃げろ、中央区の噴水で落ち合おう」

「あれは光の屈折k―――」

「良いから。やれ」

「むぅ」

 

曲がり門を曲がると、シャノンは建物の闇に消えた。

 

「さて、ちとお話しますかね?」

 

何も考えず曲がり角を曲がってきた追跡者に、物陰から飛び出し、背中から絡み付き抑えながら、首にナイフを突きつけた。

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。ふりずむです。

最近思うようになったのは、感想って欲しいなぁ。です。
割りと批評が欲しいです。批評の批の方は、アドバイスもくれると尚更嬉しいです。
と言っても、批だけでは頭が沸騰してベレッタを抜いて自分の頭を撃ち抜きたくなってしまうので、()まあ、そこそこ褒めて、んで落とす見たいに、アメとムチ見たいにお願いします。

結論:感想下さい。

では、またちまちま書いて、出来上がり次第投下しますね~


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二話目 新しい面倒事が出来たようで。

すみません...昨日のうちに投げる予定だったのですが、遅れましたね...



追跡者を担ぎ上げ、待ち合わせの噴水へと出ると、ちょうど勇者パレードと遭遇した。どうやら、あちらさんもギルドに用があったらしい。

 

拘束された人間を担いで歩くという異常性に、パレードとは違った意味で道が開いていく様を見ると、どうにもやるせない気持ちになった。支えは、先ほど合流したシャノンとシルヴィである。

 

取り敢えず、面白い事を漏らした追跡者からさらに情報を得るため、ひとまずは場所が欲しく、ギルドに行こうと思ったが、少し悩む。そういう部屋が有るか、もし有ったとしても借りれるかわからなかったからだ。

 

 

「どうすっかな... まあ、取り敢えず部屋を借りれるか聞いてみるか...?」

 

 

 

 

 

 

「ギルド長いるか?」

「あの、勇者様達の御相手で忙しいの見てわかりません? まあ、要件だけ伝えておきます、要件は?」

「前の拠点不明の山賊の件で、用が有るから空き部屋を貸してほしいと伝えてくれ、出来れば、水が使える部屋だと良い。」

「えっ!? は、はい、すぐ伝えます。」

 

何回か受付をしてもらっている職員なので、職員の受け答えが雑でも気にしないのだ。

 

取り敢えず、暇なので、勇者どもの顔を眺めることにする。

戦闘職重視なパーティーは見た感じは、バランスよく配役されているように見えるが、少し連携に不備がありそうだ。 何故なら、直剣を携えた者の中心に人が集まっているように見えているが、集まり方をこちら(戦争屋)視点から見ると、明らかに別れて座っている者が少なからず居るからだ。

そんな集団を眺めていると、余り人混みに慣れていないのか、キョロキョロと辺りを見回していた奴と目が合った。すると、相手の目が驚いたように見開かれる。

 

「ん? なんだあいつ?」

「どうしたのですか? 達哉さん?」

「こちらを見ている勇者御一行の一人がいた」

「きっと達哉さんが格好いいと見えたのでしょうね~」

 

そうか? と返すと、奥からギルド長が顔を覗かせ、こちらと、勇者御一行について来るようにと促した。

それに気づいた勇者らしき者が動くように促すと、ぞろぞろとこちらに向かって歩いてきた。

 

「ギルドの支部長に手柄をとった奴ってチクられそうな達哉、可哀想」

「まだ決まった訳じゃないからな。」

 

そう言いながら、ギルドの奥の部屋に入るのだった。

 

シルヴィは、シャノンと居てもらい、一人で情報を引き出すことにした。

二人は昼食を先に摂っていることにしたようだ。

 

 

 

~~~

「それで、達哉殿、こちらの部屋で良いかな。? 後で経過を聞かせて貰いたいのだが」

「構わない、部屋をありがとう」

 

そう短く答えると、一緒についてきた勇者御一行の視線に晒されつつ、階段を降りて地下に行った。

 

 

 

 

「ふむ、気絶しっぱなしだし、先に起こすか...」

 

椅子に座らせ、背もたれを挟み後ろ手に拘束させる。その時、親指を個別に結ぶことを忘れない。そのあと、頭から水をかけた。 因みに、バケツがこの世界には有ったので、部屋に置いてあったそれを使わせて頂く。

 

すると、力なく俯いていた頭が上がり、徐々に瞼を開き、焦点の合わない目でこちらを見た。

 

「おはようさん。 さて、何故俺の後をつけた」

「......」

「応答なし、っと」

 

なるべく相手を意識のあるまま拷問する必要があるため、どうするか考えるが、まあ良いかと考えを切り捨て、右太ももにナイフを突き立てる。

 

「あがっ」

「どうだ? 話すか?」

 

顔を覗きこみながら、突き刺したナイフを少しずつ抉るように捩っていく。

すぐに泡を吹きながら、口早に降参を告げた。

 

「はあ、んで、何で後をつけてきた」

「組織の復讐のため...」

「ん? 俺が潰した盗賊の集団の事か?」

 

すると、痛みで血走る目をを爛々と輝かせ、こちらを見やった。

「ああ、でも、もうお前は我等の手からは逃れることは出来ない」

「何故だ?」

「支部が潰されても、まだ、本部があり、常にお前の首を狙って居るからだ」

「本部とはどこだ?」

「いうと思うか?」

 

はあ、と溜め息をつき、刺したナイフを勢いをつけて少し捩る。

あがっ。と声を上げ、泡を吹きながら痛みで気絶した。

 

「はあ、喋りすぎだと思うんだがな」

 

 

 

ナイフを抜き、インベントリから取り出した布で血糊を拭うと、懐の鞘に刺し、部屋を後にした。

 

 

 

~~~

部屋を出ると、ちょうど勇者達と支部長の話が終わったらしく、ぞろぞろと部屋を出ていく勇者集団と出くわしたので、通路の地下に下がる階段の壁に寄りかかり、支部長が出てくる所を待つと、ギルドの受付前で目が合った奴を見つけた。 

すると、何かを感じたのか、ゆっくりとこちらを振り向き暫く見られると、顔に満面の笑みを浮かべさせ、こちらに駆け寄ってきた。

 

「あ、あの! 何処かで会ったことありますよね?」

「ん? 気のせいだな、少なくとも、見覚えは無い」

 

え、と急にしゅんとなると、何かを思い出したのか、また明るい表情で問いかけてくる。

 

「えと、その! お、お名前は何て言いますか?」

 

流石にぐいぐいと迫られると、何かに気圧され、仰け反る気分で返す。

 

「あ、ああ。 浅間達哉だが」

 

「やっぱり! 雰囲気が同じだったので直ぐわかりました!」

 

感極まったのか、手をとり柔らかい手のひらで包んで握られた、しかもどんどん顔が近づいて来る。

 

「えと、ナンパされてる所を助けて貰った者です! お、覚えていらっしゃいませんか?」

 

泳いでいた目線を右にやり、考えるが、思い出せず。 取り敢えず迫る頭を片手で押しやり。

 

「申し訳ないが、人違いじゃないか? 」

 

「そ、そうですか... 失礼しました...」

 

また急にテンションが下がり、明らかに肩を落として歩いていく。 はて、そんな人助けをしただろうかと考える。

 

「駄目だ、チンピラに絡まれるという面倒事しか思い付かん... ん? 待てよ、確か妙にお礼をしたいって絡まれた時があった気が...」

 

急に思いだし、肩を掴むと、「にゃああっ!? にゃ、にゃんですか!?」と可愛らしい声を上げて振り返る。

 

「お前さん、妙にお礼させろって煩かった女子高生か」

 

「良かった! 人違いじゃなかった... ん? あれ? 何でこの世界に居るんですか...?」

 

「あ」

 

勇者側にバレたくない事実が露見してしまった。




お疲れ様です。ふりずむです。
えと、ゼロ章は浅間さんの武装を整える回だったので、一章はそれなりに長くなる予定では居ますが...
まあ、今後ともよろしくお願いします。


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二話目ーニ

こつこつ、と、木製の床を踏み鳴らす音が聞こえた。

 

「ん? 達哉殿、その方とお知り合いで?」

「んや、顔を見たことがある程度だ」

「そうですか、では、何かわかりまして?」

「ああ、それだが。」

 

 

―――厳密にはまだ盗賊は壊滅してないらしい。

そう聞いた支部長は、慌てて勇者御一行を追っていった。

 

 

 

~~~

「ふむ、冒険者の連中が、盗賊に街を襲われた夜、道なりに追っていったら、多くの人数で襲われたと報告されたので、壊滅したと踏んだのですが...」

 

顎を擦りながら話す支部長に、勇者が言った。

 

「でも、支部は壊滅させられ、本部も大打撃を受けたと思うのですが? 少なからず、直ぐにも復讐に来れると思わないのですが」

 

この場には、達哉に会ったことが有るらしい勇者御一行の一人と、勇者、それとギルド支部長、達哉がいた。

 

「もし、そこまで大規模な組織だったとすると、人員を整えて、復讐に走ることも容易いかも知れないがな」

「でも、もし。 でしょう? 復讐されるとは限らないじゃないですか」

「そのもしは、どちらが絶望的だ?常に最悪を想定して動かないと、それこそ殺されるだけだぞ」

 

溜め息をついてそう勇者に返すと、鼻で笑われる。

 

「僕には聖剣とスキルがあります。奇襲されても問答無用で追い返せます。 だから、あなた達の一般人と同じに捉えて頂かないで貰いたい。」

 

うわぁ嫌な奴、と顔をイラつきで吊り上げつつ、取り敢えずは平常心を保つ。

 

「でも、僕たちの仕事を取った張本人でしたっけ」

「まあ、遅かったお前らが悪いわな」

 

勇者が明らかに怒ったのが目に見えた。

 

「じゃあ、ギルド支部長。 たまに地下室借りるかも知れないが、良いか?」

「ああ、大丈夫だ。 話は受付に通して置こう、私はまだ、勇者殿と話があるので、また後で」

 

そう言うと席から立ち上がる。すると、何やら勇者に御一行一人が話しかけ始めた。

 

「ん、良いよ。好きにして大丈夫、他に戦闘できる職を持っている子が居るから」

「ありがとう、柳瀬くん」

 

柳瀬というのは勇者の名字なのだろうか。

 

「あの、私にもお供させてください。」

「良いのか? 勇者とはぐれて」

「大丈夫です。国王から、暫くは伝達があるまでフォトルヌスに居ろと命じられましたし、私一人抜けても戦力は落ちませんから!」

 

自信満々に言う。

 

「はあ、まあ良いか、じゃあ、一人借りてくぞー」

「達哉殿、また、ゆっくりと話をしよう!」

 

そう言ってくれる支部長に手を振りながら、扉を開け、部屋を後にした。

 

 

 

 

~~~

「で、何で勇者パーティーの、しかもかなり可愛い子を引き込んで来たのですか」

シルヴィとシャノンにギルドの酒場で合流すると、シルヴィに頬を膨らませてプンスカされる。

 

「んなこと言われても。 まあ、護衛の為にクソ勇者がつけたんじゃねーか?」

「達哉に護衛は要らない。そもそも私がいるし、護衛されるほど達哉は弱くない」

「だけど、万が一の場合が...」

 

まあまあと収めつつ、そろそろ午後も良い時間になったので、軽く軽食を取り、フォトルヌスに来て巡る予定だった、店を回ることにした。

 

 

 

~~~

「達哉さん、どうですか、これ?」

いつも西洋風の、村娘風なファッションに、カーディガンを羽織っただけだったシルヴィが、立ちながらスカートをつまみ、ブラウスを着ているのを見ると、何処か落ち着いた雰囲気と、何も言えない新鮮味があった。

 

「ホントに買って良いんですか?」

「まあ、新しい服を買っておくっていう計画だったしな、シルヴィがそろそろ冷え込む時期だって言ってたしな。 服は買いそろえておいた方が楽だろ。」

 

シルヴィは、自分で少しの距離を歩くことはできるのだが、長い間歩く等が出来ない足の障害を持っている。

 

「し、シルヴィさんは立って大丈夫なのですか?」

「まあ、あんまり無理はさせたくないが、本人が立ちたがってるから、まあ、大丈夫だろ」

 

ん、と、頭に引っ掛かる物を感じ、首を捻ると、急に思い出した。

 

「ああ、そうだ。 お前の名前って何だっけ?」

「あっ。名乗っていませんでしたね... 私は古庄知秋と言います。 お好きなように呼んで下さい!」

「じゃあ、古庄で良いか」

 

すると、外套を後ろから引っ張られた。

 

「達哉、これでも良い?」

 

普段の簡素な服ではなく、ゴスロリ調の、白黒のフリルがついたドレスを着ているシャノンがいた。

 

「ん?、割りとそういうのも似合うな」

「ありがと」

 

その場に一回転をし、ドレスの裾を膨らませると、嬉しそうに笑ったシャノンの顔があった。

 

 

 

 

服を買い、インベントリに服を入れる。

 

「あの、宿、どうしましょう」

「そうだな... って、どうした、シャノン」

 

袖を申し訳なさそうに引っ張るシャノンに振り返る

 

「ごめん。毎回歩いてたけど、私、転移魔法使えたっけ」

 

その後、俯くシャノンを宥めながら、転移魔法で取りあえず家に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。ふりずむです。
うぇ~。 遅くなりました。
うーん。土日に話数稼げるかな...


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二話目ー三

土日に複数あげられんかった...
若干の戦闘とお風呂です。では


シャノンに家の前まで四人で転送して貰うと、古庄がおずおずと訪ねて来た。

 

「えとあの... 宿に泊まるんじゃ無いんですか...?」

「いや、宿に泊まろうと思ったのだが、まあ、家の方が落ち着くかなと思ってだな。 まあ、入れ、入れ」

「ええっ。じゃ、じゃあ、お邪魔します」

 

ぞろぞろと家に入り、シルヴィが夕食の支度をし始め、シャノンはそれを手伝いに行った。

 

 

 

 

 

「あの、何で家なんて持っているんです?」

シルヴィが入れてくれた紅茶モドキを、食卓を古庄と囲みながらくつろいでいると、声が掛かった。

 

「ああ、賊の討伐の報酬みたいな物だ」

「よ、よく見ず知らずの人が住み着くの許してくれましたね...」

 

顔を若干引き釣らせて古庄が答える。

 

「なんか、信用は十分有るし、そもそも此処等一帯の土地の管理者が居なくなったから、此処に住んでくれると、都合が良いからって許して貰えたな」

「そ、そうなんですか...」

「まあなんだ、俺もその点に関しては物凄く疑問を持っているが、まあ、納得してくれ」

「は、はい...」

 

夕食が出来たようなので、シルヴィのもとへ料理を二人で受取に行った。

 

 

 

 

~~~

それは急に来た。

 

「ん? シャノン、古庄、シルヴィを守ってくれ」

「了解」

 

シルヴィが作ってくれた旨い夕食を中断し、シャノンに指示を出し、手早くAKを武装。「えっ、銃!?」と驚く古庄を横目に、家から出る。

 

 

 

 

三人の気配がした。 そのうちの一人が踊り出て、短剣で右袈裟に切り裂こうとする。

半身を引き、短剣をかわすと、左手で抜いたナイフを相手の肩に突き出す。

まともに刺された相手は、肩を押さえながら後ろによろめく。すかさず前に踏み出し、顎を蹴りあげ、気絶させる。

 

「~ー!」

正面から十時方向にて、氷の礫が飛来した。

何とかかわすも、左腕を浅く切られる、飛来した方向にAKを放した右手でベレッタを抜き、二発連射すると、倒れる音が聞こえる。

 

「ああっ」

その現状を見てか、逃げ出す一人だが、後ろからの雷撃が仕留めたようだ

「達哉、大丈夫?」

「そう見えるか? って、シルヴィをどうした」

「古庄に任せた」

無機質に聞いてきた、家の玄関から顔を覗かせるシャノンに、苦笑いを返した。

 

「はぁ、片付けますかね」

「手伝う。」

 

死体一、気絶者二名を家の庭に転がし、事情を聞こうとするようにした。

 

 

 

~~~

水を逃げた男にかけ、目を冷まさせる。

「こ、ここはっ!?」

「俺っちの前だ」

「なっ!?」

 

唖然とする男の目の前にナイフを突き立て、問いた。

 

「誰がけしかけろと?」

「お前なんぞに話すか」

 

眼前に突き刺す。すると、男は目を見開いた。

「これでも話さないか?」

「あ、ああ! お前は俺が情報を持っていることを知っている、だから―――」

「ああ、申し訳ないが、そういう遠慮は無いつもりだ」

 

振り上げ、降ろす。すると、急に方向が代わり、男の頬を深めに切り裂いた。

 

「ああ、一思いにやるつもりだったんだが」

「んくっ...」

 

ナイフを抜き、手にナイフを叩き始めると、男はようやく話し始めた。

 

 

 

 

黒い外套、口に当て布をし外見が分からないようにしてある男は、こう話した。

 

『ある人』の命令で、この家を襲撃しろと言われたようだ。

当然、ある人を問うが、顔や、外見、会ったことすら思い出せないようだ。

 

そのとき、シャノンが首を傾げ、手を男にかざし、目を瞑り数分すると。

 

「闇魔法系統の、記憶阻害が掛けられている」

 

と言っていた。 要するに、そいつに繋がる記憶は全部思い出せないように縛られて引っ張り出せないらしい。

当然魔法関連の状態異常なので、治せるはずなのだが。

 

「上手く癒着してて、解除できない。これを施術した相手はかなり高度な闇魔法使い」

 

だそうで、シャノンでは解術出来ないそうだ。

 

~~~

なんやかんやありつつ、取り敢えず風呂に入ることにした。今日は古庄に念押しをし、シャノンとシルヴィの面倒を見るように言っておいた。

多分入って来ない筈である。古庄が入ろうとしなければ。

 

ふう、と一息つき、湯槽に身体を浸けると、騒がしく風呂の扉が開く。

「シルヴィさんとシャノンさん見ませんか!?」

「お、おい、お前。逃がしたと言うのか!?」

 

ぎょっと振り返りながら古庄に目を合わせると、急に顔を赤くしそっぽを向いた。

「あ、あのその、はいぃ...」

「お、お前おい。あんだけ見てろよと念を押したのに、目を離すだと...!?」

「し、仕方ないじゃないですか、瞬きしたら居なくなってたんですよ!?」

「原理は簡単、魔法で限界まで身体を強化して、シルヴィを浴槽にいれ、私は古庄の後ろに居たから」

 

シャノンが古庄の後ろから現れると、瞬間的に古庄にタオルを巻き、風呂に押し込んできた。

 

「なっ、達哉さんたちはこうやっていつも一緒に入っているのです!?」

「んな訳ないだろ!? こいつらが勝手にはいってくるんだよ!」

 

我が物顔でシャノンは、いつの間にか横に居たシルヴィの膝の上に収まっていて、湯を堪能していた。

 

「上がっても別に良い。私は古庄が一人が増えても全く気にしない」

「俺が気にする」

「ふふふっ」

「えとその... 入ります」

 

おずおずと古庄が湯槽に浸かる、何気にシルヴィより大きいのか、こいつ日本人か? と下らないことを考える。

 

「おい。お前は上がってろよ」

「その... だめ、ですか?」

 

俯き加減に上目遣いを使われ、潤んだ瞳でねだられると、なんとも言えない表情を浮かべ、了承するしかなかった。

 




お疲れ様です、ふりずむです。
特になし、です。では...


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三話目 休みの合間に

遅くなりました... 今頃ですが、お気に入りが60越えてるのですよね...
ありがとうございます...

あと、今回、平均より文字数が少しだけ多いです。


次の日、取りあえず古庄を交え、シャノンと三人で何かギルドの依頼を受けることにした。

 

「そういや、古庄はフォトルヌスから出ても大丈夫だよな」

「多分...大丈夫だと思います」

「シルヴィとか、シャノンは遠出しても大丈夫か?」

「ん。大丈夫」

「行けますよ~」

 

ふむ、と考え、手にした依頼は、王都までの商団の護衛というやつだ。

依頼を受けるときは、ボードに貼りだされた紙を受付に渡すか、本のように閉じられたものから指して受ける。護衛の紙を取り、受付に渡した。

 

「承りましたー。えと、明日の朝に中央区画の門前で集合を掛けるので、その時に遅れないようにお願いします」

「ん? すぐいく訳じゃ無いのか...」

「そうですよー」

 

とのことで、必然的にもう一日休む事になってしまった。まだ貯蓄は十分あるため、今日はゆっくりすることにした。

取り敢えずシャノンに家へ転送してもらい、グダグダすることにした。

 

 

~~~

「そう言えば、なんで銃が使えるんですか?」

 

家の庭で、茶モドキを啜りながら、ちっこいシャノンを膝の上に乗せ、古庄と話す。シャノンはリスを撫でていて、触り心地の良い毛並みに夢中のようである。

シルヴィは同じ机に突っ伏してすやすやと寝ている。柔らかい陽射しが照る場所でもあるため、昼寝に最適な場所でもある。実際、組んだ腕を枕に眠る彼女は気持ち良さそうな寝顔をこちらに覗かせている。

 

「んー。スキルみたいなんだよな、銃を買う事が出来るスキル」

「そうなのですか... すごいですねー」

 

間延びした声で返される。 実際には古庄は、こちらへ視線を向けている。主にリスへだが。

シャノンに撫でられているリスの表情をみてほんわかしていて、興味の薄そうな反応を返して来るのだ

 

やることが特になく、インベントリからAKと布をだし、ホルスターに刺さっていたベレッタを抜き、両方机の上に置くと、ベレッタから弾倉を抜き、分解する。

ごとごと音が少しなったため、古庄が驚いて置いた銃を見た。 シルヴィもむにゃむにゃと言うが、対して音は睡眠の邪魔にならなかったらしい。彼女の昼寝はまだ続いていた。

 

「何で分解し始めたのです?」

「あと一つある、いまもう一つ買うか悩んでいるから、少し分解してみた」

「は、はぁ」

 

その確認というのは、分解をしなくても良いのだが、気分の問題でベレッタを分解してみた。

ベレッタの弾倉から銃弾を一つ抜くと、それを机の上に置き、手を放す。

 

「ん、消えないな、なら、この弾を使う銃を一丁買うか...」

 

ベレッタを組み立て、古庄のコップに、茶モドキをお代わりで注ぎ直す。 そののち、銃購入からUMP40を買う。

インベントリから出し、机に置いてみる。 あまり使う機会は無かったが、アメリカ軍等で採用されていた銃なはずだ。

 

「いろんなのありますよね... 銃って...」

「まあ、人殺しのために日々進化したわけだしな、戦争あっての、人類の技術進化ってところだよな」

「...?」

「戦争は人類の技術進歩に一役買ってるって事だ。 シャノン、退いてくれ、少し身体を動かしてくる。暇で仕方がない」

 

ぐっと伸びをするとAKを手に取り軽く柔軟体操のようなものをする。

 

「達哉。何するの?」

「森を走ってくる、一緒に来るか? シャノン」

「止めとく」

「そうか、そのあと、フォトルヌスに行きたいから、準備を頼む」

「わかった」

 

そうして、川とは反対方向に、手にAKを抱え、走ろうとすると、古庄が声をかける。

 

「あの、私も行ってみて良いですか?」

「んあ? 大丈夫か? お前」

「以前の私より走れると思うんです。主に転移の時の贈り物(チート)のお陰で」

「まあ、無理そうなら戻れよ」

 

マップを手でスワイプさせ、あらかたのルートを頭に叩き込むと、悠然と駆け出した。

その後ろを慣れない走り方で走る古庄を見て、シャノンはこう呟いた。

 

「達哉にはついてけない、そもそも私が無理だったのに、行ける筈がない...」

 

無表情にそう言いながら、茶を啜り、椅子から立つと、机に小首を傾げるリスを置き、空になりかけたポットへお代わりを入れるために、家の中に入って行った。

 

 

 

~~~

「ふむ... 小休憩、三分位か?」

 

ふう、と息を吐き、木の根に座り込むと、タクティカルブーツと靴下を脱ぎ、別のものに履き替え、それをインベントリに突っ込むと、代わりに水が入った筒を二つ取り出し、一つをあとから遅れてやってきて、息を荒くし、膝に手をつく古庄に渡した。

 

「はぁ... あのっ...はぁ... ふうっ... 元の世界じゃ何をされてたんです...?」

「まあ、こういう森歩きが得意な職業ではあったな」

 

水を煽り、古庄にそっけなく返すと、インベントリに水を仕舞う。 返事をした内容も、あながち間違いでは無い。場合によっては、ジャングルのような密林地帯のなかを駆け巡るときもある。必要に応じ、身に付けなければいけない一つの技術である。 

実際は、浅間は自己流で会得した訳では無い。軍所属時の訓練でのアドバイスをそのまま生かしているだけである。

 

「古庄は確かに体力はある。余分な動きが余計に体力を削るのだろう」

「そ、そんな事言いましてもぉ... 何であんなに平地と走るスピード変わらないんですか~」

「慣れだ。 仕方ない」

 

うへぇと声をあげる古庄に帰投の是非を問うと、首をたてに必死に振る肯定が出たため、帰り道をゆっくりと進む事にした。

またこんど、一人で本格的に走り込めばいいのである。

 

 

 

 

~~~

無事に帰り、シルヴィを古庄に任せ、シャノンと二人でフォトルヌスに向かう。

 

「やっぱり古庄は達哉についてけなかった」

「慣れがあるからな、仕方ないだろ」

 

古庄がついてけなくて当然と胸をはるシャノンを連れ、向かうは鍛冶屋である。何が売っているかの散策程度に考えている。

実際、日が傾き始めているため、夕食に間に合うように、適度な時間で切り上げる必要がある。

 

無言で歩を進めると、入ったのは中央区の、繁華街のような区画である。

人の波を堂々と突き進むと、面白いものが目に入る。

 

「ん? この世界にも銃があるのか!?」

 

屋台に駆け寄り、手に取った品は、中折れ式で単発の銃である。 デザインは無骨だが、グリップの木がなんとも言えない味を出していた。

 

「兄ちゃん、それは一点物での。だが、なかなか味のあるやつじゃろ」

「ああ...! って、ここは何の店だ?」

 

出されている商品は、みな、部屋に飾りとして置くような小物を売る店だと分かる。

ということは、これは飾り物として売られていたのか、と思い至ると同時に店員から声が掛かる。

 

「買うかの...?」

「ああ! これを買う。! いくらだ?」

「銀貨二枚じゃの」

 

すっと金を出し、中折れ式の銃を受けとると、そそくさと店を出る。

 

「達哉、それは銃?」

「銃だ」

「なら変。この国には、銃のような技術はない」

「そうなのか... ならこいつは何なんだ...?」

 

折ると、中は筒になっており、中に大きめの弾が詰め込めそうになっている。戻し、引き金のようなものを引くと、カチッという音が鳴った。

明らかに銃を手に入れた。だが、銃はこの国には無いときた。

 

 

...後程より、銃の存在は明らかになるのだが、また後の話である。

 

 

 




お疲れ様です。ふりずむです。

なかなか時間が取れない... まあ、書き終わり次第にあげるスタンスは変わりませんが...
中折れ式の銃ですが、この話が続くのであれば、後半以降の登場となります。

...資料がない...わけないんだよなぁ、下調べ不足でした。
トンプソン・コンデンダーっていう奴を言いたかったのですが、微妙に違うんだよな...
構造はコンデンダーと同じでも、少しだけ外装とグリップの角度が違うと考えて頂ければ幸いです。

あ、下はデリートされました。



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四話目 護衛業、一日目につき

えと、一話ごとに雑に主人公の王都行脚を描こうかと。


...遅れぎみだな... 今回は3000文字近くあります。


特に見映えもせずに残りを過ごし、迎えた商団護衛の日

朝、現地に集まり、説明を受け、そこで、三日間必要だと言うことを知った。

自分等を入れ、5組、総勢15人で馬車の列に均等に配置されるらしい。

ちなみに、非戦闘員であるシルヴィの乗り合わせの許可を取ったが、快く了承してくれた商人が居たため、そこにシルヴィをのせてもらい、ついでに配置をそこにさせてもらう。

車列は4両あり、先頭と最後尾、前から二番目に四人配置され、浅間等が乗るのは後ろから二番目の馬車である。

 

現在、がたごとと揺られ、森林である木々の間の道を馬車の荷台に乗り、進んでいる。

 

「お湯に出すと赤色が深く出るお茶あるだろ、それってどうやって作られてるんだ?」

「えと... 確か、干して、干からびさせてから、保存して、もう一度干す作業をしてます」

「んなっ、なら、紅茶もどきじゃなくて、まんま紅茶だな...」

 

乗り合わせを許可してもらった商人は、世界の茶葉を集めて商売をするそうで、家で飲まれている紅茶もどきの製造方法を教えて貰おうと質問すると、帰ってきた内容に顔をひきつらせた。

 

「じゃあ、違う葉と、同じ製造方法で作られた茶葉はあるか?」

「あります」

「他の製造方法は」

「あります」

 

喜んで良いのか、悪いのかよくわからなく首をかしげていると、ハッと思い付き、商人を真面目な目で見やる。

商人はその変化に気圧され、馬車の対面式の背もたれに、背を目一杯のけ反らせていた。

 

「そいつら、俺でも買えるか?」

「えっ、ええ。大丈夫ですよ?」

「おお! なら、緑色っぽい、少し縮れた感じのやつはあるか...?」

「え、えと、大丈夫ですよ?」

 

こてんと不思議そうに、身体をほぐしながら、オーバーな反応にその商人は答えた。

 

 

 

 

特にこれといったアクシデントはなく、後で知った三日間の旅の初日が終わり、森の広く開けた部分へと野宿をするために出てきた。

見通しがよい場所というのは、前世の職業柄、全く落ち着かず、茶葉商人の馬車の車輪に背をもたれさせ、インベントリから取り出したAKに最近銃のアクセサリを買うことが出来るのを知り、ホロサイトを着けたものを抱え、他の馬車を眺める。

前方の車列にいた二両は、二つとも石を運んでいるようで、様々な鉱石を乗っけているようだ。後ろについていた馬車は、どうやら奴隷用の運搬車のようで、いま、その持ち主の商人が、売る予定であろう奴隷に食事を与えている最中だった。

 

ちなみに、今でも交代で行っている見張りは、名乗り出たものの「新人には任せられない」と一蹴りされた。 これでも一ランクは上がったのだが。

見せ物のように鉄柵だけで構成された馬車からは、五人ほど奴隷が見え、しかも全員女と来た。 娼婦奴隷か何かだろうか、確かに体つきは良い。 なんて考えていると、馬車から降りた古庄が、得物の大斧の石突きを地面に刺し、胡散臭げに腰を手に取りこちらをみやった。

 

「あの、何見てるんですか?」

「ん? 奴隷らが肉付き良さそうだなとか考えてて悪いか?」

「なっ...! 達哉さんは可哀想とか思わないんですか!?」

 

呆れたように言い放つ古庄を横目でちらりとみやると、すぐ視線を正面に移す。

 

「奴隷があって成り立っている国があるなら、そんな簡単には基盤である奴隷は抜けないだろ。 第一、ここは日本では無いし、全てが日本基準である訳ではない。 あいつらにどんな過去があって奴隷になったかもわからんしな。もしかしたら、罪を犯してああなったかも知れない。」

「でも!」

「ただ言えるのは、奴隷を持つ国なんてアホらしい(糞ったれ)ってことだろ」

 

立ち上がり、AKのアクセサリであるスリングベルトで肩に掛けると、ナイフを抜き、森へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

「偵察ご苦労様。水晶みたいな透明な部分がある物は、月明かりの反射に気を付けろよ~」

 

振り向く前に、石の上でこちらの商団を見ていた黒で纏めた衣装をまとう人物を、ナイフの底で殴り、気絶させると、後ろ手で縛り、担ぎ上げる。

こちらを異様に長く見ている、光がチラチラと見え、少し歩けば着きそうな場所だったため、確認しに来ると、案の定偵察のような人物を見つけた。入念に回り込み、後ろから奇襲したのである。

偵察していたのに、こちらが奇襲してくるところを気づかなかった理由は、馬車で死角になっていそうな部分から森へと入ったからだ。

 

「さあ、どうしましょうかね」

 

歩き出し、取り敢えず見張り組につき出そうかと考えながら野宿地に帰る。 同時に、二人ほど距離をあけ、追従してくる気配を感じるが、無視して帰ることにした。

 

 

 

 

 

「ん? 誰だ!... ってお前か...っておい! 誰だそれ!?」

「遠くからこちらをちらちらと偵察していた」

 

唖然とする見張り役二人に、担いできた奴を放り投げると、同時に耳元を、ブォンと鈍い音が通りすぎた。過ぎていったナイフは、見張り役の足元に突き刺さった。 その見張り役は、足元へ飛んできたナイフをみて呆然としていた。

すかさず肩からAKをおろし、後ろを向くと、ナイフが飛んできた方向へ三発撃ち込み、森へと腰だめに入る。

 

「お、おいおい。あいつなんなんだ?」

「さあ...?」

「取りあえず、此奴どうすっか」

「それより周辺警戒だろ」

 

 

 

~~~

「ただの盗賊、か」

「みたいだな」

 

見張り役二人と三人の盗賊を囲みながら、首を捻る。

 

「てか、あんたスゲーな。 その武器といい、スキルといい。一体どういうスキルなんだ?」

「いや、確かにスキルかもしれないが、まあ、スキル(個人的な技能)は意味的に合ってるか」

 

頭を捻っていると、恐る恐る、見張り役二人はこちらに話しかけてきた。実際に喋っているのは一人だが。

男二人のパーティーで、奴隷商人の護衛についている二人のようだ。

 

「そうか... どうやったら手に入る...って悪い。冒険者のスキル詮索はマナー違反だったな...」

「ああ、詮索しないで貰えると助かる」

「わかった。 なあ、王都に着いたら、一杯やろうぜ。奢るから」

 

酒というのは全世界共通で、中を取り持つ便利な道具なんだなと感心しつつ、ちょうど合う酒を探したいというのもあり、了承することにした。

 

「で、こいつらどうすんだ?」

 

二人組の寡黙な方が呟くと、ハッと思い出したようにもう片方と目を合わせる。

すると、行きがあったように二人で近くの木の幹を指差して。

 

『取り敢えず、くくりつけとくか』

 

と、意見が一致した。 同意したように、寡黙な方も頷いた。

 

 

 

 

 

冒険者二人と別れ、再び、茶葉商人の馬車の車輪に寄りかかり、腰を落とすと、今度はシルヴィが顔を覗かせた。

 

「達哉さん」

「ん? 悪い、起こしたか」

「降ろして貰えませんか? 馬車から」

 

シルヴィの言動に怪訝な顔をしつつ、馬車を開け、シルヴィが降りるの手伝うと、今度は座って下さいと言われる。

車輪を背に、胡座をかくと、シルヴィが中に収まるように座りこんできた。女性特有の甘い香りが首筋から漂うが、嫌にならない心地よいものだった

 

「体を流していないので... 臭ったらごめんなさい...」

「気になるなら座らなければ良いと思うんだが?」

 

どうしても胡座の中に収まり、座られてしまうと、シルヴィの程よい体格では、どうしても肩からなんセンチか浮いた所から顔を出すことになり、耳に息が掛かったようで、くすぐったそうにシルヴィが身動ぎする。

 

「それもそう、ですね...」

「そういうことだ」

 

暫く無言が続き、二人で空を見上げる。 都会で空を見上げたような鈍い黒ではなく、包み込むような漆黒に浮かぶ、星空が妙に幻想的で、ゆったりと時間が過ぎるのを感じ、何処と無く気分が落ち着く雰囲気になる。

いつの間にかシルヴィが身体をこちらへ預け、ゆったりとくつろいでいて、その頭を撫でるという構図が出来上がっていた。勿論、続けていれば自分でも気づく。だが、どうにも何処かに安らぎを覚えてしまい、この状態を続けてしまう。

 

「俺には不似合いだな...」

 

スッと流れ出た小さな独り言に、思わず鼻で笑ってしまう。すると、シルヴィがこちらを肩越しに覗き込んできた。

 

「何か言いました?」

「いや。何にも」

「そうですか...」

 

ただただこちらを見て微笑むシルヴィに、眉をひそめると、ふふっ、と笑い声をもらし前を向かれる。

 

「達哉さん」

「ん? どうした」

「これからも一緒に居ましょうね? 誰がなんと言おうと、達哉さんが私の恩人に代わりはありませんから」

 

どうもシルヴィは苦手である。苦手なのだが、何処か憎めないのである。

自分には、罪がある。

そんな自分は善人にはなれないし、なれるはずがなく、なれるわけがないのだが、

そもそも自分は楽に生きては行けないはずだが、

 

シルヴィから溢れたその一緒に居ようと言う言葉に、

「ああ」と短く返事をしてしまったのである。

 

「ふふっ」

 

嬉しそうなシルヴィの笑い声を聞きながら、やってしまったと公開しながら天を仰ぐ。ついでに溜め息も盛大に漏れた。

だが、いつの間にか、無意識のシルヴィの腰に手を回し、抱きかかえていた。

 

 

 

 

 




シルヴィをメインに添えたいの...

はい、お疲れ様です。ふりずむです。
どうなんでしょう、他作品見たいに、5000文字程度あった方が読みごたえあるかな...
まあ、おいおい考えます。では~


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四話目ー二 護衛業、二日目、三日目につき

大分日差しが差し込み、各々が移動するために、野宿した後が片付けられていく様を、寝てしまっているシルヴィを抱えながら眺める。回りから、なんとも微笑ましそうな表情で見ていくため、どうにもこうにもやるせない気持ちになった。

当然、起きてきた古庄と、シャノンに見られている訳で。

 

「うらやm...じゃなくて、破廉恥ですねぇっ!」

「いいな、今日の夜私もやってもらお」

 

と返して頂いた。言いたい事は山ほどある。

 

ここで、ふと思い出した。

―――あれ、そういや、インベントリの中に入ってる剣って使えるのか?

 

思い立ったが吉日と、早速取りだし、ついでに籠手も出した。籠手といっても、ミトンのようなものではなく、指先によって別れているタイプのものだった。ガンドレットと言っても良いのかも知れない。

取り敢えず、程よい長さの刃身と、片手で持つには少し長めの柄の直剣を、簡素な鞘から抜くと、シルヴィがもぞもぞと動き、欠伸を上げた。

 

「おはようございます...達哉さん」

「おはようさん。今日は寝坊助だったな...」

 

インベントリに突っ込んである車椅子を出し、座らせると、立ち上がり、剣を握った。

 

「何するんですか?」

「剣で戦えないかと思ってだな」

 

身体を弛緩させ、掴んだ剣も垂れ下がらせると、右足で瞬発的に踏み込み、右下から左上にかけて切り上げる。 豪、と音がなり、砂煙が少し舞う。

 

「達哉さんは剣も使えるのですね~」

「いや、刀ってやつならある程度は使えるんだがな...」

 

持ち上げ、刃身を流し見るが、特に装飾がついていなく、両刃の細い身で、(つば)の辺りに透き通った黒い石が嵌め込まれているだけの、本当に質素な剣である。

両手で、剣道でいう中段に構える。が、辞め、鞘に納める。

 

「出ますよー」

「んじゃ、行くかぁ」

「はーい」

 

久し振りにシルヴィの車椅子を押し、馬車に乗せる。これが二日目の主な出来事である。

 

 

 

~~~

何事もなく、二日目は過ぎ行き、三日目の出発後。

 

「しっかり整備されてる道なんだな。管理もしっかりされているから、確かにギルドの依頼に対しての要求ランクが低いのも頷ける」

 

現在浅間達は緑ランクであり、中級者より少し下辺りの位置付けである。 護衛というのは、状況に応じ判断が迫られ、特に敵対勢力とぶつかった場合、戦うのではなく、いかに護衛対象を逃がすかも重要になるため、一言で言っても簡単とは片付けられない依頼のはずなのである。

 

「私たちがフォトルヌスに来るときも、特に襲撃とか、盗賊に襲われるとかは無かったですね」

 

と言うのは、最近王都からやって来た古庄である。

 

「ふむ... 確か日中には着くんだったな?」

「はい、商団の移動予定ではそのようになっています」

「そうか... 何事もなくこのまま王都に着いてくれれば良いが...」

 

茶葉の商人と話していると、急に後ろからガタガタと音が鳴る。

 

「ん?」

 

気になり、馬車から後ろを覗くと、奴隷商の馬車が道端にいかにもそこにありましたと言わんばかりの穴が空いており、そこへ馬車の車輪がはまり、車体が傾いていた。

 

「ん? トレース... 前の馬車と同じように動いて、なぜ後ろだけ穴にはまったんだ?」

 

道幅自体は、馬車が四両程度並べれる程の広さで、両脇は木々が密集して生えている。 

穴がずれるということはないはずだとすると、前の鉱石を乗せた馬車もその穴にはまったはずなのである。

 

「むっ... 狙ってやられたのか?」

 

その考えにたどり着くと、両脇から飛び出した影が見えた。

 

「なっ、召喚獣かっ!」

 

そう叫んだのは奴隷商の護衛をしている、酒を飲む約束をしていた奴で、バスターソードを構えていた。

魔法は正直疎い。 シャノンに召喚獣を訊ねる。

 

「召喚獣は、呼び出した人物を主として契約し、使役するタイプと、使役用の属性別の魔獣の二つのタイプがある。 多分、あれは契約するタイプではないほう、細かい指示は出せないけど、魔獣間でリーダーを立たせれば、呼び出した人物が大まかな指示を与えるだけで勝手に動く。」

「何で契約しない方ってわかったんだ?」

「契約した魔獣は、見たことある魔獣であることが多い。だけど、今襲っている魔獣は、明らかに召喚専用の属性別の魔獣。実在しない魔獣だから、そう分かる」

「ふむ... そういや、シャノンは誰から魔法を習ったんだ?」

「お父さん」

「そうか...」

 

以外にお父さんっ子なのかもしれない、とシャノンの認識を改め、少し離れた奴隷商の馬車を見る。

両脇から大きいのが一体、中くらいが五体程の狼の群れが、二人づつに別れた冒険者に襲いかかっている最中だった。

 

「死なれちゃ困るしな、手伝ってくる」

「気をつけて。もしかしたら、召喚した魔法使いが近くに居るかも。 私も着いてく?」

「いや、大丈夫だ。シャノンは万が一の時に、迎撃を頼む」

「わかった」

「では、私は馬車の進む速さを速めるように頼んでおきますね」

 

シルヴィの車椅子を任せ、馬車から転がり出ると、何割か馬車の速度が上がり、去っていった。

 

「バックアップか... どうすっかな...この頃、銃を買ってばっかだが、ライフルでも買うか?」

 

と呟くと、どうせ買えるのなら、使ったことのない銃をと思いつき、VSSと呼ばれている特殊用途狙撃銃を買い、ついでにスコープと、レーザーサイトを買う。 レーザーの色は赤色である。

スコープと銃の調整をしていないので、手早くレーザーサイトだけを取り付けると、道路脇の木に隠れ、冒険者に襲いかかってる五体の狼の後ろで、ふんぞり返っている大型の狼に照準を合わせ、一発放つ。

 

少しずれ、狼の胴体を直撃する。 すると、身体をなぎ倒しながら、片腕をふきとばす。 なかなか性能が良い。

ソビエト製、消音機と一体化したこの銃は、発砲時の音をかなり掻き消す能力を持つ。 銃弾も太めのため、威力も高い。

 

 

 

 

道路とは反対の茂み側から近づき、かなり接近する。 ここで銃を持ち変えて、UMPを出す、これはホロサイトの調整を終えている。

バサリと狼の後ろから躍り出ると、なるべく斜線が冒険者に被らないように、二体倒す。 既に三体はバスターソードによって倒されていた。 

 

「ありがとう、何度も助かる」

「死なれちゃ困るからな」

 

そう話し合うと、もう片方は自力で倒したようで、こちらに商人を連れてやって来た。

 

「あ、ありがとうございます。 助かったですね、商品も傷つかずに良かったです」

 

ゴマを擦りながら近寄ってくる商人を見る、確かにこれは悪どい商売をやっていそうな顔である。

 

「この奴隷は、何の奴隷だ?」

「ああ、こやつらは娼婦奴隷ですよ。 結構高値で売れるんですよ」

 

ふーん。と呆けた返事を返し、馬車の奴隷らを見る。 間近に見るのは初めてだったので、奴隷らからは怯えた表情で見られる。

 

「興味がおありで? でも、商品なので、気に入ったら買って頂けると幸いですよ」

「いや、無い。取り敢えず。車輪を起こそうか」

 

冒険者らと協力しながら、穴から車輪を起こすと、馬車の回りを歩きながら、王都へ向かうことになった。

奴隷、と聞き、奴隷の制度が存在することに顔をしかめたが、割り切った。 存在している以上、必要なものなのだろうと思い至ったからだ。 とにかく、奴隷ということで、売られた先で、不遇な扱いを受けないことを願うばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様です。ふりずむです。

特に...無しですね。 強いていうなら、今週は週末しかお話を挙げれそうに無いですね...


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五話目

遅れて奴隷馬車を送り届け、冒険者らに王都のギルドへ連れだって行き、シルヴィらと合流し、報酬を受け取った後、ギルド直営の宿へ泊まった次の日。

日中はシルヴィ達と王都を少しだけ巡り、時間をかけて見物したい居場所の目星を立ててきた。

 

場所はギルド前。誰を待っているかと言うと、野宿の際、見張りをしていた二人組の冒険者らだ。 

この世界には時間という考え方が無いらしく、日が暮れた頃に、ギルド前に待ち合わせをしようと言われただけである。それでもひょいひょいと待ってしまったことを考えると、頭の何処かで気が合いそうだと言う思いがあるのかもしれない。

実はシルヴィが来たいと言い、着いてきてしまっているのだが、許してくれるのだろうか?

 

「悪い、待たせたな」

 

後ろから声がかかり、振り向くと一人増えた状態の三人でこちらを見ていた冒険者らがいた。

 

「ん? その女、は?」

「ああ、その... ギルドに報告した後な、お礼にって奴隷市みたいのにつれてかれたんだ」

 

ん? と顔をしかめるが、良く喋る方が、誤解だと手を振り言葉を続けた。

 

「んで、体に傷とかで安くなった奴隷の中に、護衛で運んでた子がいてだな... こいつを気に入ったらしくて...」

 

と、寡黙な方を目の前に引き摺る。

 

「こいつが、その子を買ってくれって言い出して。一人うちに増えたって感じだ」

「なるほど。わからん」

 

だよなぁ、と喋る方が溜め息を吐く。 侵害だと言わんばかりに抗議の視線を寡黙な方と、奴隷の子が送っているのを見ると、似た者同士、何か引かれるものがあったのだろうかと考えついた。

 

 

 

~~~

シルヴィがついてくるのを了承して貰い、いつの間にかシルヴィの膝の上にいたリスを頭に乗せ、軽食を取りつつ酒を飲める場所に来ていた。

 

三人組と向かい合うように座り、リスは机に鎮座している、シルヴィの前だ。 三人組が適当に頼んだ食べ物が机に並べられると、それらをつまみながら、ちびちびと酒を口にすしてみた。 何処と無く、この世界に来てから味わった甘味に近いような風味がある、落ち着いた味だった。

 

「ん? なんだこれ」

「果実酒だ。果実の実物の見た目は悪いんだが、なかなか中身が旨くてだな。 その果実の名前がスリヤラっていうんだが」

「ん? 明らかに食うなよ、俺毒持ってるぞってやつか?」

「そうだ。 だが、皮の表面自体には手が痺れる程度の毒があるんだがな」

「ほう... 初めて知った」

 

感心しつつ、コップの中の甘い匂いを漂わせる酒を覗く。 白く濁った酒は、確かに世界に来てすぐの時に食べた、果実の面影があると感じる。

 

「元々、スリヤラを収穫して成り立ってた村が合ったんだが、その村が無くなって、流通量が少なくなったっていう話だがな。」

 

少々、見に覚えがある。 横を見ると、興味深そうに果実酒を覗き込んだシルヴィが、意を決して一口飲み込んだ頃だった。 案外、村でのことは割り切れてるのか? とシルヴィの反応に少し驚いた。 やがて見ていたのに気づいたのか、シルヴィがこちらを向き、お酒、美味しいですね、と微笑む。

 

「...それは、フォルトヌスに近い村か?」

「確かそうだ」

 

リスに、別に頼んであった、木の実の盛り合わせのようなものから、ナッツのようなものを取り、渡すと、両手で抱えながらカリカリとかじり始める。 それを微笑ましく眺めながら、話す。

 

「そういえば、お前らの名前は?」

「ん...? ああ! 何かずっと一緒だった気がして紹介して無かったな! 俺がルーカス。貴族じゃないから、名字は無い んで、こっちの静かな方がモーロ。 同じく名字無し。

んで、奴隷だったグレースだな」

「そうか...」

 

半分まで少しずつ飲み干したあと、煽り、一気に飲み込む。

弱い刺激が喉を焼き、果実の甘く淡い香りが漂った。

 

「これからも、よろしく頼む」

「ああ、こちらこそ!」

 

そんな良くわからない会話をしている場面を、シルヴィは微笑ましそうに眺めていた。

 

 

 




えと、すみません... 御詫び申し上げます。 
遅れました。
えと、ここからはお知らせですね...



この小説を真面目に書こうと思い、プロットを組むと、まあ、ボロが出るっていうか...
追加したい要素を立てにくいのですよね...

そこで、一から小説を立て直そうと思います。

世界観はそのまま(といっても情景描写は少なかったですが)、主人公は表に立ちにくく、今まで書いた構想を崩さず、世界観を盛って見やすくしようかと。

それに伴いまして、全ての原稿を、小説家になろうへ移そうと考えて居ます。
ハーメルンで読んでくださったかた、二ヶ月ほどでしたが、この駄作を見て頂き、心から感謝します。

改稿自体は、直ぐに作業を始めます。 なので、今までと同じように二・三日で、小説家になろうに上げれると思います。

もう一度ですが、心から感謝します。今までありがとうございました。
出来れば、少しだけ新しくなったこの作品を、なろうさんへ覗きに来てくれると嬉しいです。

今までありがとうございました!


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