万能全刀のラスティ・ハート (四季式)
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プロローグ。

刀語×クライムエッジのクロスオーバー。
どちらも知ってるとなお良い。


 『殺害遺品(キリング・グッズ)

 

 過去において殺人鬼が愛用していた道具(得物)が、その所有者の願望や由来を具現化した能力を得た骨董品(アンティーク)

 しかし、何をもって『殺人鬼』と判断されるのか。

 何人殺すことで『殺人鬼』と成れるのか。

 

 ある歴史家は言う。

「一人殺せば殺人者。十人殺せば殺人鬼。百人殺せば殺戮者。千人殺せば英雄さ」

 ある占い師は言う。

「最初の殺人は特別。後は蛇足のようなものだ。だから二人目以降は人として殺せない」

 ある預言者は言う。

「何だかんだ言っても、人殺しは総じて鬼と成る。剣客なんて全て殺人鬼みたいなもんよ」

 ある鍛治師は言う。

「俺の打つのは人を斬りたくなる、人斬りとなる、殺人鬼と成る刀だ。俺? 俺はあくまで製作者。人斬りではなく刀作りが仕事さ。作った後、その刀が何人斬ろうが、どこで折れようが知ったこっちゃないね。だがまあ、強いて言うならば、──どこまで完了に近づけるか、ってのは気になるところだな」

 

 

 

 

 これは完成を超え、しかし完了することができなかった、とある一本の刀の話。

 

 折れず曲がらず、全てを斬り裂き、数多の刀身を持つが如く、儚げで美しい、強固にして堅牢で、比肩するもの無き力を持ち、時には悪となり、だが人として生き、正しく在ろうとする、誠実なる心は、人によっては或いは毒で、最後には炎によって灰燼に帰す。

 

 そして(ヤスリ)をかけられたように名は削られ、故にその名は(サビ)となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「錆くん。(サビ)(トオル)くん」

 

「なんですか、病院坂(ビョウインザカ)病子(ヤマネ)さん」

 

「隙です。突き合ってください」

 

「ん?」

 

「……間違えた。好きです。付き合ってください」

 

「いいですよ。お姉さんと一緒だったら」

 

「ん、おねぃちゃんに聞いておく。期待してて」

 

「りょ」

 

 

 

 

 

 

 

「おねぃちゃん」

 

「ん? なんだい病子」

 

「好きな人ができたの」

 

「な、なん……だと。どこのどいつだ? お姉ちゃんが殺s、じゃなくて様子を見てきてあげよう。だからそいつの名前を早く言うんだ」

 

「同じクラスの、錆透くn「分かった()ってくる」……行っちゃった。……錆くんはおねぃちゃんも欲しいみたいだし、ちょうどいっか」

 

「……それともおねぃちゃん『が』欲しいのかな」

 

「私は『ついで』なのかな」

 

「それでもいい」

 

「錆くんの所有物(モノ)になれるなら、何だってする」

 

「もう『女王』なんてどうでもいい」

 

「錆くんとおねぃちゃんさえいればいい」

 

「三人だけの世界だったらいいのに」

 

「そうしたら錆くんを誑かす他の(メス)もいなくなるのに」

 

「私、知ってるんだ」

 

「錆くんが他の雌に告白されてるの」

 

「錆くんはいつも断ってる」

 

「でも私の告白は断らなかった」

 

「おねぃちゃんと一緒って条件だけど、付き合ってくれる」

 

「うふふ」

 

「あはは」

 

「あはははははっ」

 

 



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第一話。

 僕の家は代々殺人術を受け継いでいる。

 先代当主である僕の父、(サビ)薄明(ハクメイ)は全ての技を僕に教え、自ら命を絶った。

 その死体を見た感想は、「人はこういう風に死ぬのか」である。

 

 小学校の先生は、「命は大切だ」とか「かけがえのない命」などと道徳の時間に言っていた。

 まさしくその通りだと思う。

 だから、そのかけがえのない大切な命が失われる瞬間は、何よりも尊い。

 人の死は何よりも美しい。

 かつて聖人が一度死に神聖化されたように、全ての命は死ぬことでより高潔な存在になる。

 

「錆透、覚悟ッ!」

 

 しかし、それイコール死にたがりかと言われると、答えはノーだ。

 

「全刀流、刃取り」

 

 僕は背後からの攻撃を完璧に読み取り、最小限の動きで受け流した。

 ガツン!とバールのようなものが廊下に突き刺さった。

 奴さんは完全に殺す気である。

 

「こんな時代に白昼堂々殺人未遂とは、穏やかじゃないですね」

 

「……お前が病子を誑かしたヤツか」

 

 その言葉と声で相手が誰かすぐに分かった。

 

「おやおや、そういう貴女は病院坂(ビョウインザカ)法子(ホウコ)さんじゃないですか」

 

「あたしのことを知ってるのか?」

 

「ええ、病子さんの双子のお姉さんですよね。こうして面と向かって話すのは初めてですが、いつも病子さんを迎えに来てますよね」

 

「……病子は渡さない」

 

「妹を守るために人殺しも辞さないとは、かなりのシスコンですね」

 

「う、うるさい!」

 

「まあ、そういうところも魅力的なんですけど」

 

「うるさ……──はあ⁉︎」

 

「僕は貴女が、否、貴女たち姉妹が好きなんですよ」

 

「あたし、たち?」

 

「ええ。できることなら三人で人気のないところへ行き、あんなことやこんなことをしたいのですが、まだそういう関係ではないので自重しています」

 

「い、いきなり二股宣言とか、頭沸いてんのか⁉︎」

 

「おや、付き合うこと自体はいいんですか?」

 

「──ッ!」

 

 あ、逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんだあいつなんだあいつなんだあいつなんだあいつ!)

 

 訳が分からなかった。

 あたしは病子の想い人を抹殺しようと、病子が通う学校に乗り込んだ。

 対象の特徴は来るまでにリサーチ済み。

 白髪(はくはつ)で、長い髪を一つに纏めて下ろしている。

 背は170cmに届かないくらい。

 そして抜き身の刀のような凛とした雰囲気。

 その全てが合致する後ろ姿が、ちょうどよく人通りのない廊下を歩いていた。

 あたしは来る途中で拾った何故か落ちていたバールのようなもので殴りかかった!

 しかしその攻撃は見事に受け流された。

 そして二股宣言しながら告白された。

 

 もう一度言おう。

 訳が分からない。

 

「や、病子ぇ」

 

「あ、おかえり、おねぃちゃん。錆くんとは会えた?」

 

「会えたっていうか、殴りかかったらなぜか告白されて、しかも二股で、えーと、とにかく! あんな奴と交際なんてあたしは認めないよ!」

 

「おねぃちゃん、嘘はダメ。錆くんに告白されて嬉しかったんでしょ?」

 

「そ、そんなわけ──」

 

「そもそも錆くんに告白されて好きって言われて嫌な気持ちになる女の子なんて存在しないし、最初に好きって言われたのが私じゃなくておねぃちゃんだったのはショックだけどまだ許せる。でも許せないのは錆くんに殴りかかったことと『あんな奴』呼ばわりしたこと。でも大丈夫。おねぃちゃんが自分に素直になれないのは知ってる。だから素直になれる『お薬』を注射してあげるね。この『昏睡昇天のインジェクション』で」

 

 病子は虚ろな目で『注射器』を取り出した。

 

「ま、待って病子。謝る、謝るから」

 

「謝る必要なんてないよ? 逆におねぃちゃんの性格知ってて焚きつけた私こそごめんね。大丈夫、痛くない。むしろ気持ちいいはず。そして錆くんのことしか考えられなくなって、錆くんが世界の全てで、錆くんが大好きになるよ」

 

「だから、おねぃちゃんも、()こ?」

 

 



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第二話。

 林のとこのバス停奥。

 古くて白いお屋敷には、髪の長い女の幽霊がいるよ。

 

 そんな噂を耳にして、やって来ましたその場所へ。

 

「で、なんで同じバスに乗ってたんですか? 病子(ヤマネ)さん、法子(ホウコ)さん」

 

「あ、今聞くんだ」

 

「ここに用があるからに決まってるだろ」

 

 ふむ。

 

「では質問を変えます。こんな辺鄙(へんぴ)な場所に、一体どんな用があるのですか?」

 

「行けば分かるよ、錆くん」

 

「さっさと付いて来い。あ、その荷物持ってこいよ」

 

「あ、はい」

 

 ナチュラルに荷物持ちにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ?」

 

 屋敷の中を迷うことなく進み、とある部屋のドアを法子さんが開けると、彼女はおかしな声を上げた。

 

「……何だ、それ(・・)は」

 

「あ、病院坂さん。この人は……」

 

「ウチの学校の制服」

 

 病子さんの言う通り、部屋の中にいた少年は僕と同じ制服を着ていた。

 そしてその少年と密着している少女は病院坂姉妹とは知り合いのようで、慌てて何かしらの言い訳めいた言葉を呟いていたが、二人は聞き流しているようだ。

 

「えっと、その男の人は?」

 

「私たち二人の彼氏」

 

「……は?」

 

 呆ける少女。

 いきなり知り合いの姉妹が自分たちの共通の恋人を紹介してきたら、まずそいつらの正気を疑うだろう。

 

「生活用品は置いておきました。私たちはこれで」

 

「え、あの、もう少し説明を……」

 

「帰り、ますから」

 

「あ……」

 

 突き放すように言った病子さんに少女は及び腰になり、そのまま下を向いてしまった。

 

「行こう、錆くん」

 

 荷物を置いた僕の手を取り、病子さんは部屋から出て元来た道を戻った。

 法子さんも後ろから付いて来ている。

 屋敷から出て、バス停までの帰路につくと病子さんは『はっ』として手を離した。

 

「ご、ごめんなさい。勝手に手握っちゃって」

 

「いえ、大丈夫です。なんならもっと握っていてもいいですよ」

 

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 病子さんはおずおずと再び手を握ってきた。

 少し冷たくて、柔らかい。

 

「……何も聞かないのか?」

 

 しばらく歩くと、法子さんは聞いてきた。

 

「説明してくださるなら聞きますが、言いたくないなら無理をしなくてもいいですよ」

 

 とは言ったものの、『行ったら分かる』と言われたのに結局分からなかったので説明してほしいのが正直なところ。

 

「あの子は、髪の女王」

 

「とても王族には見えなかったですけど」

 

「知り合いの話では、とある王族の子孫らしい。その証拠が切れない髪(・・・・・)なんだとさ」

 

 切れない、か。

 それは剣士、否、()として興味があるな。

 

「しかし、それはなんともオカルトじみた話ですね。切れない髪、まるで呪いのようだ」

 

「まさしくその通り。あの子の先祖の女王は、自らの子孫と『あるモノ』に呪いをかけたのさ」

 

「あるモノ、とは?」

 

殺害遺品(キリング・グッズ)

 

「キリンググッズ? 初めて聞く単語ですね」

 

「そりゃそうさ。裏の世界ですら噂や伝説の類として扱われてるキワモノだ。殺害遺品(キリング・グッズ)ってのは、実在した『殺人鬼』が使っていた道具のこと。殺された者の怨念なのか殺人鬼の執着なのかは判らないが、ある種の怪異のようになったその道具に、女王は呪いをかけた。所有者、権利者(オーサー)には『殺人衝動』を。道具、殺害遺品(キリング・グッズ)には『特殊能力』を、と」

 

 殺人衝動、という言葉に少し引っかかりを覚えたが、表情には出さない。

 

 ──持つとなぜか人を斬りたくなる──

 

「殺人衝動は言葉の通りだと思いますが、特殊能力というのは?」

 

「まず全てに共通するのは『不壊』つまり壊れない、否、壊すことができない(・・・・・・・・・)。そしてその殺害遺品(キリング・グッズ)特有の、殺人鬼の所業に倣った能力を備えている。例えば毒殺を主とした殺人鬼なら『薬効強化』とかな」

 

 病子さんがピクリと微震した。

 

「なるほど、理解しました。しかしその話が真実なら、あなた方のどちらが(・・・・・・・・・)権利者(オーサー)なんですか(・・・・・)?」

 

 繋いだ手が更に震える。

 

「……よくそこまで思考が行ったな。あたしは精々『誰からそんなことを聞いたのか』問われる程度だと思ってたんだが」

 

「例えが具体的過ぎましたね。その毒殺の殺害遺品(キリング・グッズ)権利者(オーサー)が貴女なんですね、病子さん」

 

「……はい」

 

「その殺人衝動というのは抑えられるんですか?」

 

「……代償行為をすることでいくらか緩和できる。その対象者を代償(インステッド)と言うの」

 

「それが、法子さんですね」

 

「……ああ。病子の殺害遺品(キリング・グッズ)は『昏睡昇天のインジェクション』。ナイティンゲイルが多くの人間を毒で苦しめた注射器だ。病子は代償行為として、毒ではなく生理食塩水をあたしに注射する」

 

 病子さんは顔を赤くして俯く。

 え? そこ恥ずかしがるとこ?

 

「それで、こんな大事なことをカミングアウトしたのは、僕にも代償(インステッド)になってほしいからですか?」

 

「ち、違う!」

 

 病子さんは大声で否定する。

 

「このことを話そうと考えたのはあたしでね、いくら代償行為をしても『殺せない』ストレスは溜まっていく。それを少しでも解消するために病子と恋人として接してあげてほしい」

 

「……おねぃちゃんとも、ね」

 

「や、病子⁉︎」

 

「おねぃちゃんも、幾段か素直になったんだから、甘えるべき」

 

「〜〜〜ッ! そ、そうだよ! あたしにも恋人として接しろよ!」

 

 赤い顔を反らしながら、法子さんはそう言ってきた。

 

「──極めて了解しました。これからよろしくお願いします、病子さん、法子さん」

 

 



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第三話。

灰村(ハイムラ)(キリ)?」

 

「昨日、女王のとこにいた男子。隣のクラスだった」

 

「へぇ。同じ学校なのは分かってましたが、世間は狭いですねぇ」

 

「少し、様子を見る。たぶんまた女王のとこに行くだろうから」

 

「了解です。お供しますよ、病子(ヤマネ)さん」

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やっぱりまたいた」

 

 放課後。

 法子(ホウコ)さんと合流した後、僕らは再び例の女王の屋敷を訪れた。

 すると予想通り灰村くんが少女とイチャついていた。

 

「あ……、び、病院坂さん」

 

「灰村とやら」

 

 少女の呼びかけを無視して、法子さんは灰村くんに話しかける。

 

「昨日は言い忘れたが、こいつにこれ以上関わるのはよせ」

 

「……なぜだ」

 

 訝しげに、けれど確信しているかのような表情で問いかける灰村くん。

 ああ、これは髪のことを知ってるな。

 

「その様子だと話は聞いているようだな。こいつは呪いの元凶の子孫。一緒にいると不幸になるよ」

 

「……そんなの(イワイ)ちゃんには関係ない。不幸にもならない」

 

「こいつの父親だって、もう死んでる」

 

「おとう、さんは、あなた達が殺したんじゃないの? 殺害遺品(キリング・グッズ)で」

 

 少女、祝ちゃんの言葉に病子さんと法子さんの表情が軋む。

 殺人衝動に苛まれ続ける妹と、それを見てきた姉に、その言葉は禁句(タブー)だ。

 

「あぁそうか、なるほどね。父親の代わりってわけだ、そいつは。変わり身早いねぇ?」

 

「違っ、私はそんなこと──」

 

 法子さんは祝ちゃんに近づくと、その長い髪を掴み、思い切り床に引き倒した。

 

「……つらかったら、自分ひとりで耐えなさい。あんたの重荷を他人にまで背負わせるな。髪の女王!」

 

「お前っ──!」

 

「──そして、灰村切。あなたは何もすべきでない。……何もできない」

 

 法子さんの凶行に激昂しそうな灰村くんに、病子さんが注射器(インジェクション)を向ける。

 

「もし、それでもなお(・・・・・・)というのなら、お前は私達と戦うことになるだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 屋敷をあとにし、昨日と同じくバス停へ向かう途中で、病子さんは唐突に謝ってきた。

 

「えーと、謝られることをされた覚えはないのですが」

 

「……ほんとは灰村を怖がらせて手を引かせるだけのつもりだった。でも髪の女王があんなこと言うから、つい脅してしまった。錆くんも権利者(オーサー)か、少なくともこちら側(・・・・)だと認識されたと思うの。だから、ごめんなさい」

 

「それで僕が不利益を被るなら、謝られることには納得です。しかしあの二人に怖がられたところで、僕にはプラスもマイナスもありません。だから謝ることはないんですよ」

 

 ──それに、その認識はあながち間違いではありませんから。

 

 僕の小さな呟きは、彼女らの耳には届かなかった。

 

「一般人を女王から遠ざけるのもあたしらの役割だからね。灰村には悪いが、これ以上関わるなら──実力行使だ」

 

「あれ、僕は一般人には分類されてないんですか?」

 

「あんたはあたしらの、こ、恋人だろう? 立派な関係者さ」

 

「……おねぃちゃん、教授(プロフェッサ)からの言づてがあった」

 

「あ、やべ、忘れるとこだった。あたしらの後継人、ってか身元引き受け人があんたに会っておきたいって言っててさ。どうする?」

 

 ふむ。

 

「つまり、親御さんに挨拶に行く感じですね!」

 

「違うわっ!」

 

「違うんですか、ちょっと残念。それで、その人はどんな方なんですか?」

 

「……修身大学文学部、犯罪史学講座の教授をしている変態(ロリコン)。またの名を(スメラギ)(カナエ)という」

 

「それはまた、個性的な方ですね。おふたりの成長具合を考えれば、ある意味安全ではありますが」

 

 と言いながら僕はふたりの体つきをチェックする。

 

「ヤラシイ目で眺めるな!」

 

「……えっち」

 

「恋人なんですから、そのくらいは」

 

「TPOを弁えればな」

 

「……雰囲気は大事」

 

 では、その教授(プロフェッサ)とやらに挨拶してから、三人でゆっくりと乳繰り合うことにしましょう。

 

 

 

 



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第四話。

「やあやあ、よく来たね。話は二人から聞いているだろうが、自己紹介は大切だ。僕はこの大学で教授職をしている(スメラギ)(カナエ)。親しみを込めて教授(プロフェッサ)と呼んでくれたまえ、(サビ)(トオル)君」

 

「はじめまして。病子(ヤマネ)さんと同じクラスの錆透です。病子さんと法子(ホウコ)さんのお二人とお付き合いさせていただいてます。よろしくお願いします」

 

「ほう、しっかりした挨拶だ。ふたりのことをよろしく頼むよ。なにかと危なっかしい子達だからね」

 

教授(プロフェッサ)が普通なことを言ってる、だと……?」

 

「……偽物?」

 

「ははは、酷い言い様だなふたりとも。なんなら透君に君らの自慰の頻度や妄想ノートの隠し場所を教えてもいいんだぜ?」

 

「やっぱ掛け値無しの変態だな。そしてやめろ」

 

「やっぱり本物。そしてやめて」

 

 それらの情報は非常に興味があるが、ふたりが嫌がっているので泣く泣く断念。

 ……後でこっそり聞いておこう。

 

「まあ挨拶はこのくらいにして、透君。このふたりは片方だけでもじゃじゃ馬だ。なぜ妹だけでなく姉まで要求したんだ?」

 

「……それは、私も気になる」

 

「そういえば理由は聞いてなかったな」

 

「それは────

 

 

 

 

 姉妹丼って、ロマンじゃないですか」

 

 

 

 

 

「……は?」

 

「……おお」

 

「あっはっはっはっは!! そうか、ロマンか。それなら仕方ないね!」

 

 さすが学者さん。

 ロマンの重要性を分かっている。

 

「いやいやいや。じゃあ何か? あたしはその『ロマン』とやらのためだけに恋人にされたのか⁉︎」

 

「いえ、さすがにそれだけが理由ではないですよ」

 

「それでもかなりのウェイトを占めていそうな物言いだな!」

 

 それは勿論。

 漢のロマンのひとつである『姉妹丼』なのだから。

 

「病子も何か言ってやんな!」

 

「……ロマンは正義」

 

「裏切られたーーー⁉︎」

 

 病子さんもよく分かってらっしゃる。

 まあインドア派っぽいし、オタク趣味(そういうの)にも精通してるよね。

 ああ、僕はそこまでがっつりオタクというわけではないよ。

 ある程度ネタが分かるくらいのレベルだ。

 とりあえず、ドリルはロマンの塊。

 

「さて、面白おかしいギャグパートはここまでにしといて、透君。君は殺害遺品(キリング・グッズ)権利者(オーサー)だね?」

 

「はい。おそらくは」

 

 なんでもないように僕は答えた。

 

「なッ──⁉︎」

 

「──えっ?」

 

 病院坂姉妹には、しかし予想外の事だったようで、目を見開いてこちらを向いた。

 

「やはりか」

 

 教授(プロフェッサ)はニヤリと笑った。

 

「ふたりから聞いていた話の中にもヒントはあったが、確信したのは君の眼を見た時だ。君は人を殺したことがあるね?」

 

「はい」

 

 先程と同じく、なんでもないように(・・・・・・・・・)、僕は答えた。

 

「しかし分からないこともある。君は殺人経験のある権利者(オーサー)のはずなのに、人を殺すことに執着することも忌避することもないようだ。殺人衝動が無く、人を殺したことに罪悪感も持ってない。これは殺害遺品(キリング・グッズ)の特性から見てもあり得ないことだ。君のグッズはいったい何なのか。様々な推測と考察の結果、ひとつの答えに僕はたどり着いた。

 

 

 

 

 君の殺害遺品(キリング・グッズ)は、君自身(・・・)なんだろう?」

 

 

 

 

「正解です。いえ、確信はあっても確証はないので『正解だと思う』が正しいですね。ですが敢えてこう名乗りましょう」

 

 僕は仰々しく口上を述べる。

 

「我こそは伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が打ちし血刀、全刀『(サビ)』──万能全刀の錆びた心(ラスティ・ハート)

 

 



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第五話。

説明多し。


 四季崎(しきざき)記紀(きき)

 戦国時代にいた刀鍛冶の名だ。

 記録では、彼は千の刀を日本各地で打ったとされている。

 そして奇異なことに、彼が打った刀の所有数がその国の力と比例していたという記録がある。

 時代はずれるが『刀語』と呼ばれる物語調の歴史書には、天下を取った尾張幕府がその千本のうち九百八十八本を集めた後、奇策士という役職の者──ちなみにこの歴史書の著者──が日本最強の剣士を引き連れて残りの十二本を集めきったと記されている。

 

 しかし、現存する四季崎記紀の打った刀は、無い。

 

 そして尾張幕府が滅亡してからは、四季崎記紀に関する記述は歴史書に一切出てこなかった。

 現在の歴史研究家の間では、四季崎記紀なんて刀鍛冶は存在しなかったとするのが定説とされている。

 『四季崎記紀の打った刀には特殊能力がある』なんていう眉唾物の記録さえある。もはやファンタジーの域だ。

 そんな、現代では否定されている刀鍛冶が(こしら)えた刀は確かに無い。

 だが、彼が鍛えた血統、否、『血刀』は存在する。

 千本の習作を経て、完了したとされる血刀──虚刀『(ヤスリ)

 その存在を知る者は僅かだがいる。

 けれどもその裏に、抹消されたもう一つの血刀がいたこと、そしてその血刀が現代まで生き延びていることを知る者はその一族のみである。

 

 

 

 

 

◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎

 

 

 

 

 

 

「僕は人であるよりも先に刀なんだ。人を斬るために鍛錬され、人を斬ることが存在意義であり、人を斬るのを躊躇わない」

 

「ふぅん。鑢ではなく錆、か。てっきり僕は君がかの無名(・・)虚刀流(きょとうりゅう)なのかと思ったけど、それとは似て非なる存在だったようだね」

 

「僕の流派は全刀流(ぜんとうりゅう)。そして我が身は全刀『錆』ーーーその特性は全ての刀を十全に使いこなせる(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「──あぁ、なるほど、思い出したよ。とある歴史書の敵役として登場した、当時日本最強だった剣士がいたね。その名は錆白兵(はくへい)。つまり君はその子孫というわけだ」

 

「先祖には、確かに白兵という人がいました。彼は一時は最強の剣士ではありましたが、しかし最強の刀ではなかったのです」

 

 僕は続ける。

 

「そもそも錆という血刀は、製作者である四季崎記紀によって闇に葬られたロストナンバーなんです。四季崎曰く『失敗作、いや駄作もいいところ』らしいですよ。けれど、はいそうですかと納得しなかった錆家の者がいた。その直系の子孫が僕です。錆の本筋の家系はさっきの白兵で途絶えましたが、分家の者は錆の血が途絶えないよう、歴史の表舞台から姿を消しひっそりと、しかし脈々と技と才覚を受け継いできました」

 

「失敗作に駄作か。四季崎記紀も酷なことをしたもんだ。そう思うならいっそのこと折ってしまえばよかったのに。──ん? そうだ、四季崎の刀は国をも傾ける力を持っていたとされている。それはその刀の完成度が高いがゆえ。だったらなぜ錆の血刀は残っていた(・・・・・・・・・・・・)? 失敗作と明言しているくせに、それを残した意味はなんだ……?」

 

「それには二つの答えがあります。一つは完成を超えた完了、虚刀『鑢』の試金石とするため。これはかの白兵がやってくれました。そしてもう一つは、完成を超え、しかし完了とは異なる可能性を見出すため。僕の先祖はそう考えていたようです。虚刀『鑢』の主題(テーマ)は『人であると同時に刀である』というものです。全刀『錆』も元々は同じ主題で作られた刀ですが、錆家(ぼくら)はそれを改造(・・)したんです。人らしさを極限まで捨て、刀であることに特化しました」

 

「だから君は権利者(オーサー)であるよりも先に殺害遺品(キリング・グッズ)であり、殺人衝動に駆られることはない。そして道具であるがゆえに殺人に忌避感を感じることもない、と」

 

「はい」

 

「……ちょっと待てよ」

 

「なんでしょうか、法子(ホウコ)さん?」

 

「人らしさを極限まで捨てたのがお前なんだとしたら、あたし達を好きだと(・・・・・・・・・)言ったのはなんなんだ(・・・・・・・・・・)?」

 

「そう、僕は人らしさを極限まで捨てた一族の末裔です。しかし、貴女たち姉妹だけにはなぜか惹かれてしまった。その不可解を、矛盾を紐解いた先に、完了ではない可能性があるのではないかと思ったから僕は貴女たちを選んだんですよ」

 

「……錆くん」

 

「なんでしょうか、病子(ヤマネ)さん?」

 

「……正直、私は話の半分も理解してないけど、錆くんにとって私たちは特別ってこと?」

 

「はい、そうです」

 

 

 

 

 

 

 

「あは、あはは。あははははははっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱり! 錆くんは私たちの王子様! ずっと、ずっとずっとずっと一緒だよ?」

 

「ええ、ずっと一緒ですよ」

 

 



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第六話。

「さ、錆くん。ん、はぁ……あ、そこは……!」

 

病子(ヤマネ)さん、溜めすぎですよ? まあ、溜めた方が気持ちいいのは認めますが」

 

 そう言って僕は病子さんの中に少し深めに挿し込む。

 

「あ、それ、深すぎぃ……!」

 

「深くしないと溜めてるのが取れないでしょう。さあ、もう少し奥にイきますよ」

 

「ん〜〜っ!あっ、あっ、ら、らめぇ〜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたたち、何やってんだ?」

 

「「耳かき」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紛らわしい声出すんじゃないよ。ヘンなことしてるかと思ったじゃないか」

 

「……おねぃちゃん、変なことって?」

 

「そりゃあ、彼氏彼女がする愛を深める行為」

 

「ぶっちゃけS◯X」

 

「……ソックス?」

 

(つづ)りが違う。靴下は『socks』、って生々しい単語を使うんじゃない!」

 

 恋人どうしのイチャイチャなんだからこのくらいは許容範囲内だろうに。

 

「ああ、そうだ。法子(ホウコ)さんに報告があります」

 

「なんだ? また変なことじゃないだろうな」

 

 

 

 

 

 

武者小路(ムシャノコウジ)(イワイ)の髪が切れました」

 

 

 

 

 

 

「──マジで?」

 

「大マジです」

 

(トオル)が切ったのか?」

 

「いえ。話によると、灰村(ハイムラ)少年がヤったようです」

 

「ってことは、灰村は遺品(グッズ)権利者(オーサー)……。なら私たちは敵として──」

 

「殺しますか」

 

 疑問符は敢えて付けない。

 

「……いや、まずは教授(プロフェッサ)に指示を仰ごう。病子もそれでいいかい?」

 

「……うん、大丈夫」

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 翌日の始業前。

 

「……何の用だ」

 

「そんなに邪険にしなくても。僕個人としては君に恨みを持たれる謂れはないのだが。ねえ、灰村」

 

 僕は灰村少年をこっそり呼び出した。

 

「下駄箱にピンクの封筒を入れて呼び出すことに悪意が皆無だというのか⁉︎ 祝ちゃんに誤解されたんだぞ‼︎」

 

「まあそれは置いといて。灰村、

今朝も髪は切れたかい(・・・・・・・・・・)?」

 

「──ッ⁉︎」

 

「そう驚くことではないさ。今まで武者小路を苦しめていた髪の女王の呪いが、一度切ったくらいで無くなるものか、って考えると答えはノーだよ」

 

 僕は言う。

 

「呪いってのはそう簡単に解けるモノではないし、早々なくなるモノでもない。経験者は語る、って感じかな」

 

「経験者?」

 

「言わば僕と武者小路は『同類』ってことだよ。先祖代々呪いに掛かっている、ね。だからさ、灰村──お前、消えろよ」

 

 僕は殺気の篭った視線を向ける。

 

「うっ……」とたじろぐ灰村。

 

「一般人が立ち入れる領域じゃねぇんだよ。てめぇには荷が重すぎる。なに、幸い僕の殺害遺品(キリング・グッズ)も『切断』に関しては十分過ぎるほどの効果がある。おそらく武者小路の髪も切れるだろう」

 

「………れ」

 

「灰村だけが唯一自分の髪を切れると思っている武者小路。その髪を僕が切ったらどんな顔をするかな」

 

「……黙れッ!!」

 

 ジャキン!

 

 灰村は懐から鋏を取り出し、構える。

 

 ふむ、素人にしてはまあまあだな。

 

「ならここで、どちらがより『切れる』か試すかい?」

 

「──我が名は、断裁(だんさい)……」

 

(キリ)くんっ!」

 

「っ! 祝ちゃん⁉︎」

 

「あの、病院坂さんが切くんここにいるって教えてくれて。……えーっと、お邪魔だったかな」

 

「いや、大丈夫。戻ろうか祝ちゃん」

 

「う、うん。えっと、錆くんも戻った方がいいよ?」

 

「そうですね。武者小路さんの言う通り、そろそろ教室に戻らないとチャイムが鳴ってしまいますから。ではまた」

 

 僕はさっきまでの剣呑な気配を引っ込め、愛想のよい笑みを浮かべた。

 

 灰村は敵対心を露わにしていたが、それを武者小路に(たしな)められていた。

 

 さて、これで現状に危機感を持ったかな。

 あんまり無防備だとその首、飛ぶぜ?

 

 



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第七話。

「……(サビ)くん、灰村(ハイムラ)と接触したでしょ」

 

教授(プロフェッサ)からは『現状維持』って言われてるんだ。あんま勝手に動くなよ」

 

「ちょっと挑発して警戒心を掻き立てさせただけですよ。灰村は権利者(オーサー)のくせに、まだぬるま湯に浸かってる一般人のつもりですからね」

 

 このまま死ぬのは『美しく』ない。

 女王様の騎士(ナイト)を気取るなら、戦って戦って、その末に果てるべきだ。

 

「……錆くんは、私たち以外に優しくしちゃダメ」

 

「別に優しさで警戒させたわけではないのですが…。そして元よりそのつもりですよ、病子(ヤマネ)さん」

 

「……ん」

 

「はいはい、二人だけの空間を作らない」

 

「妬いてるんですか?」

 

「妬いてねぇよ!」

 

「……そういえば、教授(プロフェッサ)が『殺人鬼がうろついてるらしいから気をつけて』とか言ってた」

 

「あぁ、ニュースにも出てましたね」

 

「話を聞け!」

 

 確か、大きな鈍器で潰されたような死体が発見された、だったかな。

 

 ──アレ(・・)の準備をしますか。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 ガリガリ、ガリガリ。

 

 アスファルトを削りながら進む巨躯。

 

 その目は虚ろで、意思はない。

 

 只々手に持つ凶器(狂気)に突き動かされ、ソレは進む。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 錆家には、家宝と言われるモノがある。

 それは当然『刀』──ではない。

 

 言うならば『刀のなり損ない』

 あるいは『刀の成れの果て』

 

 それ自体は刃物であり、凶器であり、人殺しの道具ではある。

 しかし、『刀』では決してない。

 

 何故ならば、それは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあやあ、灰村に武者小路(ムシャノコウジ)。朝ぶりだね」

 

 破壊された壁の穴からひょっこり顔を出すと、ハンマーを持った大男と対峙する灰村たちがいた。

 

「錆、なんでお前が……?」

 

「錆君?」

 

「おやおや、どうやら僕は物語で言う主人公の初バトルの邪魔をしてしまったようだ」

 

 大男が焦点の合ってない目をこちらに向け、次いで手に持つハンマーを振りかぶった。

 

「でも僕は悪くない。何故なら、僕だって『僕』という物語の主役を張ってるから、ね!」

 

 迫り来る凶器(ハンマー)に、だけど僕は焦ることなく両手に持つモノをクロスしてそれを受け止めた。

 

 足元の床にヒビが入り、足が沈む。

 

 だが(・・)それだけだった(・・・・・・・)

 

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ッ⁉︎」

 

「あ、驚いてるね。なるほど、そのハンマーには『物体の剛性低下』の効果があるようだ。基本的に『不壊』の特性を持つ殺害遺品(キリング・グッズ)同士の戦いではハズレ能力かな。その程度では、コレも僕も壊せない」

 

 左手側のモノでハンマーを支えたまま、右手側のモノを逆手に持ち替えて、大男の足の上で離した。

 

 大男の足が潰れた。

 

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎──ッ‼︎」

 

 絶叫が響く。

 

「これで動けないね。灰村、トドメ刺す? あ、刺さない? じゃあ僕がやっちゃうよ」

 

 (うずくま)る大男の頭の上に左手に持つモノを持ってきて、手の力を緩める。

 

「潰せ、双石(ソウセキ)

 

 それは、持ち手がどちらか分からない不恰好な、斧のような、剣のような、しかし確実に──凶器(狂気)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「……錆くん、約束破った」

 

「いえいえ病子さん、あれはそう、不可抗力というやつでして。いやぁ、夜の散歩と洒落込んでいたら大きな音が聞こえて、そちらへ行ってみるとなんと、同級生の命の危機ではないですか。これはもう正当防衛間違いなしですね」

 

「おい(トオル)、あたしは『現状維持』だと言ったよな? なんで『破砕粉壊(はさいふんかい)のスレジハンマ』の権利者(オーサー)殺しちゃってるの? 馬鹿なの死ぬの?」

 

「えーと、助けて教授(プロフェッサ)!」

 

「ほうほう、これがかの無名(・・)な双刀『鎚』の成れの果てか。虚刀『鑢』に砕かれたと聞くが、加工して二つの武器にしてあるね。しかし透君曰く、これは『刀ではない』とのこと。ならば『全ての刀を十全に使いこなせる』という全刀『錆』の特性には沿わない。それは一体どういう理屈で……」

 

 持ち帰った『双石』を前にブツブツと一人で考察している教授(ヘンタイ)はアテにならない。

 

 僕は二人の恋人を前に言い訳に終始するのだった。

 

 



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