汚い流派の子を拾ったので虐待することにした (てっちゃーん)
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拾った

ミリタリー?のジャケットを着た汚い子供が倒れていたので虐待することにした。

他人の目に触れるとまずいので家に連れ帰ることにする。

見知らぬ男の俺のお姫様抱っこに怯えるが急いで家に連れ込んだ。

 

家に連れ帰ったらお風呂場に連れ込……まず、俺は風呂場の外で高みの見物。 中ではお湯攻め。

自身の体力を削りながら身体をゴシゴシとさせる。

その間に薬品を用意してこの後薬攻めで菌と共に苦しませる準備だ。

お湯攻めを終わらせた後、気持ち悪いくらいにふわっふわっな布でゴシゴシと体を拭かせる。

風呂場での攻めの後は、髪の毛に熱風を当てて攻める。

 

その後に、砂糖で甘くした黄色い生命になる予定だったものを食わせることにする。 よっぽど残酷だったのか泣きながら1つ1つ食べて完食させる。

そしてとてもじゃないが黒い飲み物を温めシュワシュワを抜くと味覚と嗅覚に強い刺激を持つ歪なモノをすり潰して混ぜて飲ませてやった。

もちろん、温めた後にわざと冷ましてぬるくなったものをだ。

 

その後は体力が消耗してる子供に嫌がらせとばかりにテーブルと椅子の狭いスペースに拘束させた後1800秒も正面を向かせて喋らせて消耗させる。 見知らぬ男と喋らせる恐怖を味合わせた。 おかげで涙目になっていたが気にしない。

 

ぐったりとしてきた子供に俺が毎度使っている布団に放り込んだ。 昨日たまたま綺麗に洗ったやつだ。 その子供が使用した後俺が使う事で気分悪くさせるつもりだ。 まぁ数日後その布団は無くなる。 まぁ言わなければどうてことない。 そしてその真実を知らない子供は逃げ場を失った事で布団に潜り込み泣き出した。

 

すると子供はこちらの手を握ると小刻みに震わせて驚かせてくる。 こちらも強く握り返して反撃。 その後泣き疲れて寝てしまったのでこちらもそのままその場で就寝。

 

明日からどんな風に虐待するか考えるととても楽しく思う。

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

『敗北』

 

この単語1つで私の周りは悪い形で変化した。

 

黒森峰女学園はこの大会に勝利すれば10連覇の偉業を成し遂げ、歴史に名を刻むことになる。

 

しかし私は試合中にフラッグ車を放置して川に落ちた仲間を助けた。 一歩間違えれば命を落としていたかもしれない仲間の危機を救って息をついた……が、しかし。 その代償に私のフラッグ車は敵に打ち取られ黒森峰は敗亡してしまった。

 

それからマスコミ、チームメンバー、観客、OGなどの関係者から受ける批難の視線と重苦しい空気に押し潰されてしまう。

 

学園艦が出港する数分前、私は黒森峰の学園艦の乗船入り口に立っていた。 足を一歩踏み込み元の場所に戻ろうと思った瞬間空気が一変、違う世界に入った気分。

 

足の先から指の先までドス黒く絡みつく感覚に囚われる。 それは本能すらも危機を知らせていた。

 

 

『裏切り』

『敗北者』

『愚者』

『戦犯』

『西住流の面汚し』

 

 

頭に入り込む情報。 それは頭に入れて気分が良いものではない。 面を向いて言われた訳ではないが、視線と『黒森峰』がそう訴える。

 

次の瞬間、私の中に浮かぶのは耐えれなくなった心だ。

 

 

「うっ……!! ううぅっ!!」

 

 

わたしは生きていてこれまでに無いほど吐いた。 厳しい訓練で吐いたことは今まであったがそれは体の痛みであり、慣れた苦しみだ。 だがこの吐き気は心の痛みで、それは耐えられなくなり全てを戻してしまった。 わたしの真下に波立てる塩水は汚れ、濁って見えないはずの水面には酷い顔が映った気がした。

 

 

 

『逃げろ』

『ここにいちゃいけない』

 

 

 

出航合図の汽笛の音と共に私は港から駆け出した。

 

学園艦に乗り出す人混みを掻き分け、私は学園艦から逃げるように一生懸命離れる。

 

途中目つきの強い白髪の女の子が叫ぶが気にしてる余裕が無い、私は熊本の奥へ奥へなりふり構わず逃げ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……ひゅ……」

 

 

戦車道で鍛えられたはずの肉体は荒い呼吸に同調して悲鳴をあげる。

 

学園艦から離れる途中私は何度も嘔吐した。

 

途中公園で口元を洗い、濯ぎ、水分を取り込むと、頭に皆の罵倒がフラッシュバック、取り込んだ水分を吐き散らしてしまう。

 

公園から帰る子供たちは私の醜態に指をさして注目を浴びる。 だがその指先は決勝戦で敗退した時にギャラリーから向けられた指先に見えた。 子供達は悪く無いが私はその幻覚に気分を悪くしながら、痛む足と肺に鞭打って公園から逃げ出した。

 

 

 

 

がむしゃらに逃げてからもう周りは夜の時間。

 

社会の歯車となってる大人達はそれぞれの家に戻って行く。

 

 

そんな私はどれだけ駆けたのかな?

 

 

1時間?

 

10分間?

 

それとも4時間?

 

 

もうわからない。

 

走り出してからかなり走ったと思う、だって足に感覚がないから。 戦車道で鍛えられた足腰も力が入ってるか不明で仕方ない。

 

 

「………がはっ、うっ、げっほ」

 

 

また襲う吐気、それと同時に苦しむ肺が空気を欲しがって私の器官は不快な分泌物が乱反射する。

 

それと同時に数時間の試合の内容と結果が脳裏にフィードバックし、それが引き金に立ちくらみに意識が半分近く失う。

 

 

あはは……もうダメかな?

 

 

海に嘔吐した時どれくらい吐いたかな?

 

学園艦の汽笛一声はどんな音だったかな?

 

私が人混みかけた時に誰か倒れたかな?

 

私を呼びかけた白髪の子は誰だったかな?

 

私は一体どこまで逃げようと必死になったかな?

 

 

「もう、嫌だ……」

 

 

冷たくなった地面に倒れてしまう。

 

ああ、パンツァージャケットの酷い香りだ。

 

試合で交えた鉄と火薬の香りと、必死に駆けて溢れた汗が混ざり合い、異臭が漂う。

 

こんなところ誰にも見られたくないな……

 

今の私は地面に伏せ、息荒く、髪の毛もボロボロで、顔はぐちゃぐちゃだ。 これが副隊長として仲間を率いていたと思えないほどに堕ちてしまった。

 

でも……

こうしないと私は壊れていた……

 

ダメだ、もう、意識が、無くなってきた。

 

次の目覚めたらそこは病院かな?

 

それとも私の家かな?

 

もしくはこのまま放置されるのかな?

 

とても残酷だが私的には後者の方がまだ救いがあるように思えた。 でも助からない……

 

 

だが……別に構わない。

 

私の戦車道は終わった。

 

仲間のために力を使える私の戦車道は無かった。

 

黒森峰には無かった。

 

ただ勝利に齧り付くだけの場所。

 

勝手に使命感とプレッシャーを持たされる場所。

 

私にはその場所は向いてなくて、合わなかった。

 

戦車道が悪いのではなくて環境が合わなかった。

 

別に黒森峰の全てを否定してるわけじゃない。

 

苦難も、試練も、仲間と乗り越え、分かち合えた素晴らしい場所であることもわかる。 少なくとも楽しくやれたと……思う。 でも私の性格には似合わない場所だったんだ。

 

そこから私の戦車道は分からなくなり、いつしか栄光を勝ち取るために扱われ、私のやりたかった戦車道なのか首をかしげる。

 

それはこの大会で答え合わせをして、世間は許さなかった。 終わったのだ。 私の志は沈んだ。 もうこのまま、私も、沈んでしまいたい。

 

全て投げ捨ててしまおう……

 

もう、限界だから…

 

 

「さよ……な…ら」

 

 

その言葉と共に目を閉ざそうとしたが誰かの足音が私の目の前で止まる。 限界の限界であるが閉ざしてしまう瞼を耐え、私はその者を伺う。 どこにでも売っていそうなズボンと普通の靴、ここら辺に住んでる人かな? 少なくとも西住流の関係者ではない、そう思うと何故か安心してしまい意識を手放した瞬間だった。

 

ふわりと体が軽くなる感覚に包まれた。 どうやら抱き上げられたようだ。 私は女子高生の中では軽い方だが、こうも簡単に持ち上げられるのは男性くらいの力が必要だ。 そして腕に抱き上げられた時背に感じたのはガッシリと鍛えられた肉、それが男性の物だとわかる。 そうなると女性である今の私は小汚い格好なので羞恥心が駆け巡ってしまう。 でも抵抗するほどの力はなく、酷使した体は震えることでしか訴える事は出来なかった……

 

 

 

 

カチャン

 

 

 

 

鍵が開く音に眠いの惑いに片足分誘われてた私は目を覚ます。 扉が開き、薄暗い廊下、そして幾つか積まれた段ボールには黒い猫のマークが貼り付けられていた。 これがどこの会社なのかわかるがそれより気になるのはここは何処なのか? フラフラの頭でもそれは直ぐに理解できた、私をここまで連れてきた人の家だ。 この辺りを力なく顔を動かして視界に情報を取り込む私に反応するとその人は椅子に座らせ、視線を合わさせて質問する。

 

 

『聞こえますか?』

『言葉わかりますか?』

『頭は働いてますか?』

 

 

私は力なく頷いて答える。

 

 

『家はどこですか?』

 

 

次の瞬間私は身を小さく悲鳴をあげて強張った。

 

その私を見てその人は少し驚いたが、何か理解したのか頷いて質問を終わらせた。 私は『家』の単語に身を震わせているとその人は水を目の前まで持ってきてくれた。 私は飲み物をいただく。 全て飲み干してしまうがコップの中にある微量の水をも喉に注ごうと無駄な努力をしていると、その人は少し笑ってまたお水を持ってきてくれた。 最終的にコップに注がれた水を三杯も飲み干した。

 

この時少し不思議だった。

 

吐き気が無かった。 公園で水を飲んだ時は凄い勢いで頭に悪夢がフラッシュバックして吐き気に襲われたが、この時はとても落ち着いていた。 そのあと私は数時間ぶりに人と話すべく口を開いた。

 

 

『ココは?』

 

 

まず第一声にバカなことを言ったと思う。 ココが見知らぬ人の家である事はわかってるのに、それは既にわかっているのに、私は尋ねた。

 

でもそれはとある回答を欲していたから。

 

そしてその人は答えてくれた。

『ココは自分の家』だと言ってくれた。

 

 

『西住家』『黒森峰』『病院』

 

 

この単語が出なかっただけで私は凄く安心してしまった。 普通なら、見知らぬ人、そして見知らぬ男性の家に連れ込まれた事、それだけで危機感を持つべきだのに私はホッとしてしまう。

 

その後私はお風呂場に連れていかれた。

 

早く体を清めたい気持ちが急いでしまい、パンツァージャケットを脱ぎ捨てた。 するとその人は私の行動に驚くと慌てて脱衣室を出て扉を閉める。

 

少しはしたない事をしたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

それからシャワーを浴び終え、ふかふかで柔らかなタオルで濡れた体の水を拭き取る。 次に少し大きめのジャージが畳まれていた。 私は着替えようとした……が、しかし下着は既に洗濯機に回されており、当然男性であるその人の家に女性モノの下着は一枚もない、私はなんとも言えない気持ちでジャージに着替えた……

 

リビングまで足を運ぶとその人は私を見て手招きし、湯気を放つマグカップにすり潰した生姜を混ぜ、渡してくれた。

 

コーラをレンジで沸騰させて炭酸を抜くことでカラメルの液体になり喉に良いらしい。 そして生姜を入れたのは荒れた喉を癒すためである。 その人のお手製を頂くと私は少しずつ飲んだ。 あとマシュマロも頂いた、荒れた喉が炎症しないようにと数個渡してくれた。 次に完成させていた砂糖入りの卵焼きを一口サイズに切り分けて夜ご飯として出してくれた。 ビタミンEと糖分を取り込んですぐに元気になれる知識をドヤ顔で語りながら用意してくれたようだ。

 

私は恐る恐る口元に持っていき、一口頂くととても美味しかった。 遠慮なくまた一つ、また一つ頂く。 口に放り込む度に、暖かな食べ物を噛みしめる度に、私の卵焼きは塩味に染まっていく。 お風呂で流したはずの汗がまた溢れ出し、掠れた悲しい声も溢れ出し、それでも目の前に出された一品だけの料理を食らいつく。

 

それから私はその人に話した。

 

ただし『戦車道』の単語を省いて打ち明けた。

 

 

自分は間違った事はしてない。

 

胸を張ってやり通してきた。

 

だけど世間は許してくれなかった。

 

全てを否定されてしまいわからなくなった。

 

信じてたものが信じれなくなった。

 

ここまで続けていたものを投げ捨てた。

 

今まで戦ってきた世界に戻れなくなった。

 

 

一方的に私が打ち明けるがその人は嫌な顔せず真面目に全て聞いてくれた。 私は苦しみを吐き続け、吐き続けて、涙に変え、高校生になって初めて大泣きした。

 

 

それから周りは真っ暗。 外に出るにはとても危険な時間だ。

 

しかしその人は私をこの時間に外へ出すつもりはなく、とりあえず今日は泊まって良いと言ってくれた。

 

一見周りから見たら危険極まりないシチュエーション、だけど私はその人に信頼を寄せていたのか、または私はただのチョロインってキャラなのか、男性であるその人の家で泊まる事に抵抗なく、心許していた。

 

その後、私は寝床を貰った。

 

見たところその人が使っている布団であることはすぐにわかった。

 

シーツを変えて私にその場所を渡してくれた。 私は遠慮したが、その人は構わないと言った。 遠慮しようにも私は暖かな布に挟まれたので眠気は再び惑いに誘われ、私は何も言えなくなり瞼は半分以上閉ざしてしまう。

 

この暖かさはとても久しぶりだった。

 

中学生まではまだ家族愛の温もりは深く、幸せであったが高校生になって寮生活、いつしか母の厳しさも一層激しくなり私は家族の暖かさが味わえる機会が少なくなってきた……

 

でもこの温もりは懐かしさがある。 私は散々泣いたはずなのにまた涙が溢れ出し、そして無意識にその人の手を握ってしまう。 まだまだ子供なのか、人恋しさに溺れたくて仕方なかった。

 

そして握った手は振り払われず、私が眠りに落ちるまで握りしめてくれた。

 

その人の手のひらは私よりも少し大きく、安心が与えられた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日が経った。

 

いまだに私はこの人の家にお世話になっている。 でもその人は………いや、彼は追い払うこともしなければ『家出したくなる年齢だからね、珍しくは無い』と言ったきりノータッチ、そんな話も数日前にしたっきりである。

 

更に言えば私の境遇に同情してくれたのか『戻りたくないなら戻らなくて良い』と言っていた。 むしろ『虐待じゃん』と言っていた。虐待……なのかな? 多分ほかに正しい言葉があると思うけど私があの場所に戻れなくなったのは変わりない、もう……戻ろうと思わない。

 

 

ピーンポーン

 

 

インターホンの音に反応して彼は扉を開けて、引っ越し業者を家の中に呼び込むと軽く挨拶をして打ち合わせを行う。 そして私は少し大きめの荷物を持ち、大きな麦わら帽子で顔を隠して、アパートの外に出た。

 

その後、彼は外に出ると電話。 数分後、道を迷っていたレンタル車に手を振って居場所を教える。

 

レンタル車が家の前まで来ると彼はレンタル車を持ってきた関係者に挨拶してレンタル車に乗り込んだ。 私も荷物を後ろに乗せると私は人目に入ることを恐れてそそくさと後ろの席に座った。

 

そんな私を見てた彼は少しだけ笑うとレンタル車の関係者と話す。 しばらくするとサイン書に名前を記載して、鍵を受け取ると彼は運転席に乗り込みエンジンをかけた。

 

 

「忘れ物は無いな?」

 

「はい」

 

 

私は短い返事をして、挙動不審に周りを気にする。

 

すると運転席から彼は後ろを向いて…

 

 

「降りるなら今だぞ? もう熊本には戻らないからな」

 

 

もう戻らない。

 

この言葉に一瞬だけ寂しさを持つ。

 

何せここで今まで頑張って来たのだから。

 

だけど私はバックミラーに視線を飛ばし、彼とその鏡でコンタクトを取りながら…

 

 

「……大丈夫です。 私も連れて行ってください」

 

 

アクセルが吹かされ、車は発進する。

 

レンタル車の関係者は帽子を外して見送り、ハンドルを握りながら彼は引っ越し業者に軽く手のひらで挨拶、雇い主の挨拶に気付いた引っ越し業者もペコリとして私たちを見送ってくれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国道3号に乗り込んだ。 しばらく楽しい話をしながら私は彼とドライブを楽しむ。 そして数十分走ると福岡の鹿児島本線に入り込み、海が見えた。

 

そして学園艦が海の上を漂っていた。

 

サイズからしてとても大きく、それは身に覚えがあるサイズだった……

 

 

「…」

 

「……いやなモノでも見たか?」

 

 

楽しく笑って会話してた私の変貌に彼は尋ねる。

 

その言葉に少しだけ私は俯くと……

 

 

 

「いえ、少し熊本のラーメンが恋しいと思っただけです」

 

 

 

海を漂う学園艦を横切りこの車は前進する。

 

もうあの場所に帰る日は来ない。

 

 

家族も、戦車も、友達も、親友も

努力も、友情も、功績も、戦績も

 

何もかもあそこに捨てた。

 

この先に

 

また私にとって胸を張れる世界があるかな?

 

また私にとって積み重ねれる物はあるかな?

 

 

それはわからないけど

 

私は新地に踏み込んで行く。

 

 

 

 

「……なぁ」

 

 

「は、はい?」

 

 

「次赤信号になったら助手席に座りなよ、そんな後ろじゃ寂しいじゃん」

 

 

 

彼の声に私は嬉しく返事して、先ほどの不安は簡単に拭われた。

 

隣に座った私は今どんな顔をしてるかな?

少なくとも笑えていると思う。

 

いまは彼の背中に甘えているがそのうち大きく恩返しをしよう。

 

そう決めると私はまず新しいところで何をしようか考えながら、彼の顔が良く見えるように大きな麦わら帽子を外す。

 

 

 

 

気付いた時には関門橋を通過して九州の外にいた…

 

 

 

 

〜 おわり 〜

 




ガルパンに伝説のコピペのネタが無かったので書いてみました。
いや、自分がソレを探す力が無いだけかもしれないですけど(汗)

まぁ見ての通りハッピーエンドのようなバットエンドです。

もし続きを求める声がありましたら、私の筆記レベルでよろしければまたここに書かせて下さい。 御都合主義は拭いきれないかもしれませんが、それでもよろしければまたご覧頂けたら幸いです。

ではまた何処かで


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触った

どこかの娘を拾ってから数日が経った。

見知らぬ異性と数日も過ごしてさぞかし気分は悪かっただろう。

 

例えばだ、1日一回は黄色の羽をつけた生命体になる予定だった丸いものを調理する。 更に甘くてジャリジャリとする砂も入れてやった。 しかも虫歯の原因になりやすい材料で、いっぱい歯磨きしないとならない。 面倒な歯磨きをさせる虐待だ。 もちろん放置してしまえば虫歯になり、その虐待も計算済み。 どちらか二つを選ばせてあげる残虐な優しさに苦しむと良い。 もちろん前者の方が救いがあるだろう、惨めにお口をシャカシャカするといい。

 

さて、話を戻すが虫歯の原因になる砂も放り込み、生命体になる予定だったモノをグチャグチャに混ぜ込んで料理する。

 

やはり残酷極まりないのか唾を飲み込んで固まっていた。

 

しかし出された料理は食べる主義なのかしっかりと完食したようだ。 でも急いで食べるあたりこの料理と長い時間対面したくない様だ。 まぁこちらとしては小娘の怯え顔も料理できて満足だから尚更良しだ。

 

しかし小娘にも反撃できる時間がある。 それは寝る時なのだが、小娘は反撃とばかりに腕を掴んで拘束してくる。 やってくれる、もしここで激しく抵抗してもアパートだから横からクレームが来るだろう。 うまく周りを利用されてしまった、なかなか賢い奴だ。 それに拘束時間もそれなりに長い。 だからこちらも黙ってはいられない、嫌がらせとばかりにこちらは小娘の頭を触って反撃する。 あまり夜は騒げないため半分の力で軽く撫でている。 だが頭を触れてることには変わりない、お陰で顔を赤くして怒りを表している。 しかし暴れても仕方ない事を知っているので何もせず耐えているようだが、しばらくすると睡魔に負けて眠り込んでしまう。 だが眠っても握ってる手は離さない。 勝負にならない事を知っても諦めずに抵抗してくれるのがこの小娘だ。 ふっ、そうでないと虐待は楽しくない。

 

しかしとある前日の夜は引っ越しのために早めに眠りついてもらわないと困る。

 

引っ越しのため車移動するからだ。 寝不足は集中力を下げてしまい注意力散漫になる。 何より虐待のキレも落としてしまうことが致命的だからだ。 そうやってこちらの刃を削ごうするのだろう。 だがこちらは8時間しっかりと睡眠してバッチリコンディションを整えるつもりでいる。 ふっ、悔しさのあまりに寝不足になるがいいさ。

 

 

そして引っ越し当日の事だ、レンタル車を使って新地に引っ越す際に小娘に聞いた。 「残るなら今だぞ。 熊本にはもう戻らないからな」とわざわざ告げてやった。 この言葉が挑発的な行動であることはあちらも理解してるだろう。 だが小娘は「連れて行ってください」と言ってきた。 なるほど、新地での新たな虐待なんか怖くないってサインか、生意気な奴だ。 だが年相応の反抗な態度は嫌いじゃない。 なぜなら虐待は『嫌だ』と言うものを示してもらわないと虐待する側としてはなんの面白みもない。 例えそれが家出するほどに『嫌だ』と言ってもだ。 嫌なら嫌だと示す、人は人形なんかじゃない、それをこの小娘は理解してるから嫌なところから逃げたのだろう、ちゃんと自分の心をコントロールしている証拠だ、優秀な奴め。 だがこの小娘は不運だ。 なぜなら小娘を拾った人間がこんなにも虐待好きだからな。

 

クククッ、まさか逃げた先がこんなに残酷と思わなかっただろう。 しかし獲物は逃がさない主義だ。 でも虐待するにもしっかりと反応を示してもらえる体力が必要だ、大丈夫にコンディションを整え、そして大事に虐待することだ。

 

このパーフェクトプランにニヤケてしまいそうだ。 生憎いまは車の運転でミラーがいくつも付いている。 もし隙だらけな顔を見せたらこの小娘に弱みを握られてしまうだろう。 ふっ、なるほど、後ろの席に座ったのはそう言う事か、しかも大きな帽子を被ってこちらから見えないようにする……なかなか賢い奴だ。

 

だからこそ虐待のやり甲斐があるものだ。

 

だが一方的に弱みを握ろうと詮索されるのも癪に触る。 となりの助手席に拘束して好き勝手できないようにしよう。 ふっ、満面な笑みの奥底は悔しさで溢れているだろう。

 

ふふふっ。

 

ここ九州から出た時

 

新しい虐待を始められると思うと

 

楽しみで仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

彼と九州を出るとコンビニで一旦停止した。

 

だがわたしの心は少し穏やかではなかった。 ここは熊本から離れているのにもかかわらず車から降りながら周りをキョロキョロと見渡す。 まだわたしは周りが怖いのだろう。 しかしそんな私を見た彼は笑いながら私の頬をグイッと突つき、コンビニに顔を向かせる。 あまり気にしないで良いと言う事なのだろう。 再び貰う安心感に身を任せると遅めの朝ごはんを買うことにした。

 

サンドイッチとコーヒー牛乳を買ってもらい、ザ・朝ごはんってメニューになった。 彼はおにぎりとお茶を買い、そして酢昆布を購入した。 なぜ酢昆布かと言うと先程は私が購入するものを選んでいる時、彼はお菓子コーナーでにらめっこしていたからだ。 主に口の中が大変なことになりそうな物を中心に選んでいた。 その結果、酢昆布のようだ。 ちなみにその酢昆布は車を走らせてる途中貰った。 ひさびさに食べてみて美味しかった。

 

ふふふ、酢昆布食べれる私に少しだけ彼は驚いていた。

 

 

「これでも博多ラーメンの辛子高菜食べたりできるんだよ」

 

「ほぉー、やるじゃん」

 

 

ちょっとギラついた表情で私の味覚に納得してくれた。 ふふふ、驚かそうとしたのかな? 私はあまり好き嫌いないんだよ。 そのかわり好きな物も少ないけどね。 でも最近は砂糖入りの卵焼きが好物になったからまた作って欲しいな。

 

 

「まだここから長いぞ、寝てても良いからな」

 

「いえ、起きてます」

 

私はもっと彼と話していたいから。 それに彼とこうして横で話せる機会が少ないからだ。 この機会を見逃すのは不出来だと思うから、貪欲に私は彼の会話に耳を傾ける。 たまにドヤ顔で自慢してくるがちゃんとオチを作って話を楽しませてくれるので眠ろうにも眠れなかった。 寝るつもりはないけどね。

 

でも運転もして会話も弾ませて大変だろうと思ったから少し心配になった。 でも彼は何んともなく言った。

 

 

「運転中に喋り相手がいると眠気が飛ぶから丁度良いんだよ。 利用してるようで悪いけどね」

 

 

利用だなんてとんでもない。 私は望んで彼の語りを聞いている、だから気にせずもっとお話をしたい。 ……なんて恥ずかしくてそんな言葉は言え無かった。 でも、この時間は精一杯楽しもう、今だけはそんなワガママ許されても良いと思うから。

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

私の声を跳ね除けてあの子が逃げ出してから数日が経過した。 あの時、必死な顔をしながら学園艦に乗り込む人を掻き分けて遠くへ姿を消した。 周りからしたら忘れ物があって急いでるように見えたかもしれないが私は何か違う事を理解した。 チラリと見えたあの子の顔はなんとも言えない表情だった。

 

 

絶望に染まっているように見えた。

 

何かから必死に逃げるように見えた。

 

敗走する兵士の死んだ顔に見えた。

 

 

必死になって走る彼女はあまりにも惨めで、触れれば壊れそうで、声をかければ喉を掻きむしって自害しそうで、私はありもしないだろう事に恐れながら中途半端に叫んで止めた……つもりでいた。

 

でももしかしたら何かの見間違いでそんな顔はしてなかったと思った。 いや、わたしはそう自分に思い込ませた。 只でさえ黒森峰は今後大変なことになると言うのにこれ以上は抱えたくない気持ちが大きかった。 試合後の疲れも含めてストレスが大きかったのだ。

 

そうやって言い訳してあの子を見送った。 どうせ後で戻ってくる。 もしかしたら誰かが止めてくれる。 同じチームの仲間なのに無責任な判断をして私はあの子を流してしまった。

 

でも、冷静に考えればあそこで私は止めるべきだったのだ。

 

あの決勝戦で手酷い叱責を受けたみほの心を考えれば分かった筈だ。 一瞬だけ見れたあの絶望に染まった瞳、あれはサイン……いや、警告だ。 何の警告なんて細かい話は出来ない、でもあの子をそのまま見送ってしまってはダメだと言うことは分かった。

 

だが、わたしは、追いかけなかった…

 

しかもタイミングが悪く、隊長に呼ばれ、あの子から目を離してしまった。

 

 

 

彼女の背中姿を瞳から外した瞬間…

 

始まった……

 

黒森峰の亀裂が…

 

堰き止めていた一本の糸が千切れたのだ…

 

 

 

「………みほ」

 

 

わたしは逸見エリカ

 

みほの一番の理解者でいるべきだった人

 

弱々しいわたしの叫びは船の汽笛に掻き消されたことにより、彼女との関わりが途切れてしまったのだ……

 

 

 




激闘の決勝戦が終えた後の高校一年生が去りゆく友達をそこで止めれるのか? そんなこと即座に判断できるほど成長できてません。 私だってそんな展開に巡り会わせても止めれるとは思えません。 私のなかでね?

ところで上手に書けたでしょうか?

ほら、私事【てっちゃーん】を存じの方はお分かりだと思いますが夜のテンションでトチ狂ったようにギャグ主体で小説書いてる人なので、こんな風に小説を書くことが慣れていません。
まだ未熟ですが『面白い』と声を頂いてますので、それがモチベーションの向上になり頑張れています。

ちなみに評価頂く際にコメント20文字設定しました。
みなさんがこんな展開の話を見てどう思うのか? 『くだらない』『あると思う』『もっと酷い事になる』『それはない』『ただのアンチ』そんなお声が欲しいのでこのような設定にしました。
後に解除して手軽に評価頂けるようします。
今だけはこの状態で失礼します。

ではまた


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喋った

コンビニを出て移動を開始、数分が経過した頃、小娘に買って与えたサンドイッチとコーヒー牛乳でお腹を満たし始めた。 しかしコーヒー牛乳を選ぶあたりやり手だろう。 なぜならコーヒー牛乳にはカフェインが入ってるため目が覚める。 つまりとなりの席に座らされ、拘束されるくらいなら会話を弾ませてこちらの弱点を探ろうとする訳なのだろう。

 

うまく利用されたようだ。

 

くっくっく、生意気にも反抗してきたか小娘。 面白い、ならばこちらもこの状況を有効活用させてもらう。 理由としては長時間運転していると眠気は襲ってくる、非常に危ない。 そこで隣の小娘を利用してしまえば良い話だ。 これからしばらく嫌になるほど会話を弾ませさせてもらおう。 くっくっく、虐待好きな異性との会話、1桁程度だが互いに年が離れてるのは確かであり、助手席と運転席の近距離で長時間も耳を傾け続けたらとても苦痛だろうな。 話を聞くってのはとて〜も疲れる。 だが残念、シートベルトもしっかり締めて逃げられないようにした。 そしてもうすぐ高速道路を使っての移動だ、当然だが赤信号が無いため車の中で後ろの席に移動したりと危ないことはできない、行動は大幅に制限させてもらった。 くっくっく、楽しそうな顔をしても内心焦りっぱなしだろう。

 

 

これは会話ではない、虐待だ。

 

そして、虐待からはにげられない。

 

 

後悔してももう遅い、私はこれから会話の虐待と洒落込まさせてもらうとしよう。 だがもし会話の途中で眠り出したら何か歌って気持ちの良い睡眠を邪魔してやろう。

 

ふっ、運転してると両手が塞がって虐待することはないと考えていたかもしれないが、言葉を発することでも精神的に苦痛を与えることができる。 残念極まりないだろう、小娘に安息の時間は無い。 私の虐待を受け続ける運命しかないことを惨めにも悟るといい。

 

さて

 

話が変わるが、久しぶりに齧った酢昆布は美味しかった。 酢の味が舌を刺激してくれる、いい目覚ましだ。 だが本当の目的はこの小娘に食べさせて苦い顔をさせることだ。 小娘は私がおやつエリアで買い物してるところを見て甘いものを買うだろうと思ってただろうな。 だがしかし、お菓子だけにそんな甘い話は無い。 それはフェイクだ、甘い物と油断させてから酸っぱい味で顔を歪ませる計画だ。 しかもお口直しに何か飲もうにも購入するのはコーヒー牛乳、ひどいアクセントになるだろうな。 その後購入を済ませ、コンビニを出て小娘をさりげなく助手席に座らせてから計画開始。 購入した酢昆布を与え、お口の中を虐待しようと思った……が、この小娘は美味しそうに齧ってくれている。 しかも聞いたところ好き嫌いは激しくないようだ。 なるほど、味覚が関係する虐待は高確率で失敗するようだ。 だがそれはそれで構わない、なぜならこの小娘の得意分野が一つだけ理解できたのだから。 いい収穫とも言えるからだ。

 

 

だがまだ足りない。

 

 

もっとこの小娘を理解する必要がある。

 

だが焦る程でもない。 じっくりとこの小娘を攻略しながら残酷極まりない虐待を繰り返し、一番効果的な虐待を見つければ良いだけの話だ。

 

長い道のりだろうが時間は沢山ある。

 

そして沢山あるからこそ楽しみが伸びる。

 

そう思うと次考える虐待が楽しみで仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高速道路の左車線でゆったりと走らせる光景は少し新鮮だった。 いつも母が高速道路を走ると九割近くは右車線であり、後ろから追いかける車をドンドン突き放していた。

『俺の背後に立つんじゃねぇー!』と英雄殺しの如くいつ事故るかもわからない恐怖と隣り合わせで助手席に座っていた父が可哀相で仕方なかった事を思い出す。

 

だがそんな記憶も小学生の頃の話。

 

高校生の年齢になった頃には家族と出かけることが激減する。 それでもごく稀に家族と外食することもあったが話すのは戦車道、そして西住流の後継の話ばかり。 昔みたいに楽しい会話は減った。 その時間だけは料理の味も分からなくなったから、家に帰ってまた食事を摂ったりと苦労もした。 でもいま隣にいる彼は全く違う。 戦車道の話も無ければ当然、後継の話も無い。 将来プレッシャーを与える話題を一つも出さない。 楽しい話ばかりで居心地が良い。 私に何も背負わせようとしない。 使命感も、流派の姿勢も、彼は求めることは無かった。

 

 

「少し休憩だ」

 

「?」

 

 

彼の声に反応して車の外を見ると駐車場に沢山の車が止まっていた。 他にもお手洗いと自販機、大きな売店、色んな屋台が並んでいる。 どうやらパーキングエリアに停車したみたいだ。

 

 

「疲れたか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

 

出発してもうすぐ3時間が経過する。 窮屈な空間に長時間も座らせていたと彼は心配してくれる。 私はお礼を言いながら平気な事を伝えた。 だってこれよりもキツイ事をさせられたこともあるから3時間なんて大した事はない。

 

 

「まだまだ時間はかかる。 苦しくなったら隠さず言えよ? 進む先にパーキングエリアは幾らでもあるから」

 

 

 

子供だから、また女性だから体を心配してくれる。 ……もし後者の方を考えて私を心配してくれているならこの上なく嬉しいけど、恐らく前者なんだと思う。 そう思うと少しだけ残念な気持ちになるのは間違ってるかな?

 

 

 

「あの……ありがとうございます」

 

「気にするな。 君はまだ子供なんだから」

 

 

「……………むぅ」

 

 

 

やはり前者だった、少しだけがっかりしてしまう。 そんな彼は私の気持ちなんて知らず、上機嫌に自販機から炭酸飲料を購入する。 年は大人入りしてるけど甘いものが好きな一面を持っている。 ここ最近気づいたことだ。 卵焼きだったり、すき焼きだったり、砂糖を入れて甘くすることが多いが、彼は虫歯一つ無い。 ちゃんと歯を磨いてるようだ。 そこから真面目な人だと分かれば、細かい事に気にかけてくれる優しい人間な事も分かった。

 

 

「…」

 

 

もし彼のように優しくない誰かに見つかったら私はどんな扱いになっていたか?

 

そんな事を考えてしまう。

 

もしもの話。 本当に彼と正反対な人に拾われてしまったら私はどうなった? もしその人が残虐な男性なら私は……女性としての人生を終わらされていたかな? 無いとは言い切れない。 性的虐待を受けて悲惨な目に会うことも考えられた。 でもその時の私は恐らく『なすがまま』だと言い切れる。 あの場所に戻されなければ、あの場所から逃げ続けれるなら、その時の私はどんな事だって受け入れていた。 それほどに心が追い込まれていた。 あの惨劇を忘れれることが可能なら寧ろぐちゃぐちゃに壊して欲しい、抵抗なんてしない、そんな気持ちだった。

 

……本当はそんなこと考えちゃいけないのは理解しているが、その時は相当追い込まれていた事を物語っている。

 

でも心に刻まれた負のダメージは更に思考を強引に巡らせた。

 

もし夜間を徘徊する警察に見つかった場合その後はどうなっていたか? 間違いなく身元を確認され、問答無用で元の場所に戻されてしまう。 そんなことになったのなら私は再び逃げ出す。 それが不可能なら薬でも使って安楽死を選ぶ。 もし手足を拘束され、行動を制限されたなら舌でも噛みちぎる、躊躇わずに。

 

 

ダメだ…

 

どんどん悪い考えが浮かぶ。

 

いまこうして助かっているのに考えてしまう。

 

やはり心に大きなダメージを受けているから負のイメージが止まらないみたいだ。

 

 

 

「こーら、また変なこと考えてるぞ」

 

 

「あうっ」

 

 

 

しかしコツンと軽く頭に衝撃を感じると思考は絶たれ、一瞬にして考えていたことが排除される。

 

現実に引き戻された。

 

 

 

「あ、あの…」

 

 

 

「辛いか?」

 

 

 

「…はい」

 

 

 

素直に答えると彼は私の頭を撫でながら優しく語りかける。

 

 

 

「嫌な事を考えて苦しむなら、君にひとつだけアドバイス」

 

 

「?」

 

 

「新地で何をしたら嫌な事を忘れていけるのか、それを考えるんだ。 もうあの場所にお前は居ないのだから。 なら考えるだけ無駄だよな?」

 

 

「!!」

 

 

「違う?」

 

 

 

 

そうだ…

 

彼の言う通りだ。

 

後ろにあった事を考えたらダメ。

 

私は全てを置いて行く事を決めたんだ。

 

これから新たな場所で私を始める事になる。

 

心の痛みに負けずにやっていかないとダメだ。

 

そうでなきゃ…

 

私が彼について行った意味が無い。

 

 

 

「……ありがとうございます。 もう大丈夫です。 心配おかけしました」

 

 

「そうか、なら良い。 じゃあそろそろドライブの続きと行くぞ、まだまだ目的地まで遠いからな」

 

 

 

肩をポンポンと叩くと彼は横切る。 いつのまにか飲み干した炭酸飲料をゴミ箱に捨てて車に向かった。

 

 

 

「あ、あの!」

 

 

「?」

 

 

 

 

今一度、気持ちを切り替えたい。

 

だから彼に感謝と共に伝えて固めることにした。

 

 

 

「ふ、不束きゃものですが……よ、よろしきゅ……」

 

「………」

 

 

 

いきなり噛んだ。 その後も噛んだ。

 

幸先悪いよぉ…

 

 

 

「その調子なら大丈夫そうだな」

 

 

 

ポケットから車の鍵を出しながら彼は笑って対応する。

 

 

 

 

もう最悪…

 

間近で恥ずかしいところ見られた…

 

 

 

「ほーら行くぞ、不束者」

 

 

「や、やめてくださいよぉ!」

 

 

「はっはっは、その調子で止まるんじゃねーぞ」

 

 

 

彼は後ろを向き、左手を上に掲げ、何故か指をピーンと伸ばす。 何のポーズか知らないが間違いなくバカにされている、悔しい。

 

 

 

「ま、待ってください!」

 

 

 

でも

 

あの場所で非難されるよりも

 

彼にバカにされてしまう方が

 

何倍も幸せだと感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

決勝戦終了後、当然のように騒ぎが起こる。

 

まず10連覇の偉業を逃してしまい、逃した原因である選手に詰め寄るマスコミや報道陣の波だ。 私はいち早くその原因となった私の妹の身が心配になり、助けようとした。 だが黒森峰の隊長としてそんな時間は許されず、私もいろんな対応に迫られてしまい、妹どころでは無くなってしまう。

 

 

正直私はこの場を投げ捨てたかった。

隊長なんて地位はいらないから妹の元に向かわせてほしい。

 

だが母に示しがつかず、私の勝手な行動でこれ以上西住の名を汚す事を恐れてしまい、踏み込めなかった。 私は弱い。

 

携帯に呼びかけても反応しない。

 

ただ『無事でいて欲しい』と無意味な願いをする。

 

許された時間で『私は味方だ』とメールで簡潔に伝える。

 

だが反応は無い。

 

そして私が解放された時間は日にちが変わりそうな夜中。

 

それでも体に迫り来る疲労に鞭打ちながら私は妹のいる寮まで行くが寮の扉が閉まっていた。

 

もう一度携帯を取り出し、妹の携帯に呼びかけるが反応は無かった。

 

夜だからここから叫ぶわけにもいかない。

 

明日、会えば良いか……

 

私は自分の寮に戻り、扉を開けて靴を脱ぎ、そのまま廊下に倒れ込んだ…

 

時刻は0:02分、酷く眠たい…

 

 

 

 

 

 

 

 

隊長として事後処理は大切だ。

 

だが、それでも、何が何でも、この時、私は周りを振り払ってでも妹の所へ行くべきだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日目

 

 

早速、朝の戦車道の訓練が開始される。

 

正直今日は訓練を休みにしたかった。

 

でも黒森峰はそうも行かない。

 

戦車のエンジンを起動していつもが始まる。

 

それよりも朝の訓練に妹の姿はない。

 

更に言えばエリカの姿も無かった。

 

胸騒ぎする、火薬や鉄に肌がかぶれた訳じゃない、何かが警告している。 それは妹の姿を思い出すたびに痛くなってきた。

 

訓練が終わるまでこの苦しさは拭われることは無く、まったく身が入らずにいた。

 

長く感じた短い朝練を終え、私は仲間に妹を尋ねた。

 

 

 

今日はどうした?

 

どこにいるか知ってるか?

 

 

 

 

だが返ってきた答えは…

 

 

『見ていない』『知らない』『分からない』

 

 

どれもこんな答えだ。

 

同じ答えを貰うたびに焦りが出てくる。 とうとう私は抑えなくなり体は勝手に動いていた。 パンツァージャケットのまま校門を潜り抜けようとした瞬間だ、横を見ると歩道から知った顔を見つける。

 

エリカだ。 だがどこかおかしい。

 

私を見つけるとエリカはフラフラな足取りでこちらまで走り出す。 この時は寝坊でもしたのかと考えていた。

 

 

ともかく妹と同じ学年の彼女なら何か分かるはずだ。

 

 

小さな希望を持ってエリカと会話できる距離まで詰め寄るが、エリカの顔を伺うと目に隈を作り、ボロボロのパンツァージャケットで電信柱を支えにしていた。

 

 

ひどい姿だ。

 

何があったのか?

 

 

だがそんな思考は次の言葉で吹き飛ぶ。

 

 

 

「みほが、いなくなりました」

 

 

 

 

 

 

三日目、そして四日目

 

 

妹を……みほを捜索。

連絡船に乗って母港に向かう。

 

警察にも捜索依頼を出したが自分の足でも探す事にした。 居ても立っても居られないから。

 

例え探すタイミングが遅くても、どこかにいてくれないか、そんな淡い希望と願望で一日中探した。

 

 

どこだ?

どこにいる?

お願いだ!

近くにいてくれ!

 

 

同じ事を繰り返し考えながら休憩も挟まず、私は奔走する。

 

 

そして時間が夕方になった頃、聞き込みを続けた甲斐があったのか、みほらしき姿を見た人がいた。

 

だがこの母港からそれは『四日前』の話だと。 そして走り去った方向は分かっても、その先は分からない。

 

 

そしてもう此処には居ない。

 

 

この母港にはいない、そう断言された。

 

 

「ああ…あ"あ"あ"あ"あ"!!!!?!」

 

 

 

あまりにも遅すぎた行動。

 

それは『後悔』となり

 

無慈悲にも体に襲い掛かってくる。

 

 

 

「うっ、げっほ!げっほ!!?おえぇぇ…」

 

 

私は迫り来る吐き気に襲われ、海に嘔吐する。

 

 

疲労とストレスからくる嘔吐は生きてる中で一番苦しくて仕方なかった。

 

 

頭痛がする、耳鳴りがする、目眩がする。

 

 

喉を焼くような不快な感覚に襲われながらも荒くなった呼吸を落ち着かせようと弱々しく息を吸う。

 

力なく体を震わせ、濁してしまった海面を見下した。

 

 

するとそこには…

 

 

 

 

 

「っ!!?!??」

 

 

 

 

 

疲労による幻覚だろうか。

 

 

でも確かに人に見えてしまった。

 

 

 

「ぁ…ぁぁ…ぁぁ…ぁ、み、みほ…!」

 

 

 

汚した海面には私の顔では無く

 

酷く歪んだ妹の顔がそこに映っていた。

 

 

 

 

つづく




姉妹揃って海に吐いてしまいました。

姉もメンタルが大変なことになりました。 原作でも妹に対する愛情は強くて深いですからね、失ってしまいこれから酷く酷く苦しみ続けるでしょう。


それよりも文章力が貧しいなぁ…

学生時代、天声人語で少しお勉強したことあるのにこの体たらく。
恥ずかしくないんですかぁぁ?



それよりそれよりも!!
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コメント付きで色んな評価も頂き大変嬉しい限りです!!

本当にありがとうございます!!

ではまた


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啜った

高速道路の左車線でゆったりと走らせて小1時間が経過した。 目的地までまだまだ時間はかかる。 いや、わざと時間を掛けてると言った方が正しい。 理由は長時間このドライブで虐待するためだ。 更にパーキングエリアを利用する事で到着まで長引かせる虐待、我ながら最高のプランだ。 しかし虐待する側も当然疲れてしまうため休憩は必要不可欠、虐待の斬れ味を落とすわけにはいかない。 甘い炭酸飲料を飲んで一旦頭の中をスッキリとさせたい気分だ。 あと小娘にも休憩は必要だ。 疲れてしまわれては虐待されるときの反応が鈍くなり、それは大変面白くない。 俺のために元気よく虐待を受けてもらわないとな。

 

噂をすればパーキングエリアに入れる道を見つけた。 左ウインカーを出しながら車線を変えて減速、空いてる駐車場を探す。

 

車のエンジンを切るのと共に小娘は顔を上げてハッとなる。 どうやらなにか考えていたようだ。 恐らくこちらの虐待を凌ぐ手段でも考えてると見た。 くっくっく、生意気な奴め。 しかしそうでなくちゃ面白くない。こちらはあえて見てないフリをして軽く休憩を取った。

 

しかし甘い炭酸飲料は最高だ。 頭をスッキリしてくれる上に疲労も回復できる。 大人になったばかりだが甘い物が好きなこの味覚は変わらない。 あと虐待好きなこの性格もな。

 

さて、あまりのんびり時間を過ごすと気が緩んで運転中に居眠りでもしそうだ。 長すぎず、短すぎず、適度な休憩が丁度いい。 それよりも先に車まで向かってる小娘を追いかけないとこのまま助手席から後ろの席に座られ逃げられてしまう可能性がある。 コンビニの時と同じく小娘をさりげなく助手席に誘導をしないと…………?

 

おや?

まだ小娘は車の中に入ってないようだ。

 

それよりもなんだあの面は?

見ていて面白くない顔だ。

 

 

「…」

 

 

少し雑だが脳天に虐待を施そう。

 

 

コツン

 

 

「あうっ」

 

 

なんとも間抜けな声だ。 この悲鳴は面白いが、この反応は面白くない。 こちらはもっと小娘の怯えた表情が見たいのだ、そんなのは求めていない。

 

仕方ない。 少しだけ小娘の悩みを聞いてみるか。 だが本命は小娘の弱点を漁るためだ、優しくしてると見せかけて弱点を探られてしまう。 そんなことは知らずにコイツはホイホイと打ち明けてしまう。 なんともかわいそうなやつだ、くっくっく。

 

しかし話を聞けば……バカかこの小娘は。 この世には辛いことはいくらでもある。 死にたい思いをすることなんて生きていれば一度は必ずぶつかる。 私だってそれくらいある。

 

それにそんな事は胸を張って『僕は悪くない』って言えばそれで良い事だ。他所は他所、口だけで叩くことしか出来ない情弱共なんか相手にせず、自分の行動を自分で誇って堂々としていることだ。

 

もしそれでも割り切れないのなら新しい事で埋める、これが一番楽だ。 俺は新たな虐待を考える事で嫌なことや、失敗して躓いた事も乗り切る。 小娘も同じことをして、乗り切ることだ。 そして絶望から乗り切ったら教えろ。 俺の虐待で違う絶望に叩き落とさせてもらう。 そのために今を乗り切ってもらわなければここまで連れてきた意味が無い。 期待してるぞ小娘、俺はそれが楽しみだ。

 

 

しかし小娘が俺の虐待とは違う虐待を受けたスポーツはなんだったか?

 

戦車…みち? だったか? ……覚えてないな。 虐待と虐待料理と虐待お喋り以外は興味無いからわからない。 でも殺し合いの兵器で虐待か……なかなか唆るがそれは虐待ではない、俺からしたら惨虐だ。 俺には合わないな。 なぜなら虐待とは、死にたくても死ぬことが出来ない苦しみを味あわせることで意味がある。 一度きりで散らしてしまうのはどうもな。

 

戦い車みち。 一瞬で苦痛を終わらすより、俺の虐待で永遠と苦しませる方が何枚も上手であるのは確定明らか。 そちらの方がいつまでも楽しく虐待できるからな。

 

 

「そんじゃ行くぞ」

 

 

そしてさりげなく小娘の頭を触れて車まで向かう。 断りもなく触れられて吐き気がするだろうな、くっくっく。

 

でもお前は後ろを付いてくるんだろ?

 

わかってんだぜコッチは。 その反抗精神を利用して助手席に誘導させてんだからよ、マヌケなやつだ。 でも顔は赤く怒り染めて、今にも後ろから寝首を掻りそうな眼差しでこちらを見てることわかったんだぜ?

 

そんなに俺の後ろ姿は憎たらしいかい?

 

 

ならいつか俺をギャフンと言わせな。

 

 

または逆に虐待できるくらいまでなりな。

 

 

それくらいまで強くなって見せろ。

 

 

お前ならおれの良い好敵手になれる。

 

 

そう思ったからあの夜拾い上げたんだ。

 

 

世間では犯罪らしいが……どうでもいい。

 

 

消えそうな灯火から感じる無限の可能性。

 

 

みすみす消してしまうほど俺は愚かじゃない。

 

 

俺は知ってる。

 

 

お前はそれくらいに驚かせてくれる。

 

 

アニメで言えば主人公のような輝き。

 

 

でも今はまだ足元にも及ばない小娘だ。

 

 

でも強くなる絶対条件を持ち合わせている。

 

 

ならばいつか必ず、近い未来たどり着く。

 

 

そんな俺の所にたどり着くまで楽しみにしてるぜ…

 

 

 

だからなぁ…!

 

 

「止まるんじゃねぇぞ」

 

 

おれはその先で待ってるからよ…

 

ミホォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーキングエリアで指を伸ばす変人が一人。 だが伸ばされた指に咲く小さな花は少女にとって希望に溢れていることは確かだ。 だから少女はその後ろ姿を追いかけるのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いま私は大阪にいる。 しかしここが新たに住う場所ではなく、ちょっとした寄り道でやってきました。 彼の話によると世界的に有名な作品が集うテーマパークにいる。 ちょっとした寄り道ってレベルじゃないと思うけど彼は『子供の時に一度は行かねぇとな』と言って私を連れて来た。 彼はこのような場所に興味があるとは思わなかったけど、ギラギラと笑いながら私の手を引いてゲートを潜ったことが記憶に強い。 甘いものが好きだったりと彼の子供っぽさに私はつい笑みんでしまう。

 

 

それから色々な遊戯で楽しんだ。

 

 

最初は戸惑いながらこのテーマパークを周ったが、絶叫したり、驚かされたり、目がチカチカしたり、様々な方向から私を刺激してくる。 ちょうどこの日は平日なので人は沢山ではなかった。 いや、沢山なんだけど休日のように人混み苦しめられる状況になる事は一切なかった。

 

それから遅めのお昼ご飯に洒落込む。 時間的にはおやつの時間手前であり既にお腹ぺこぺこ。 この時来場してから2時間経過していたことに驚いた。 それだけこのテーマパークで夢中になっていたのかもしれない。 今まで私の時間は訓練漬けで………いや、この考えはやめよう。 もうあの時の事を考え、嫌な気分になるならいまこの時の楽しみで埋めないと勿体ない。 彼からそう教えられたからね。

 

しかし学生が平日に大規模なテーマパークで洒落込む、か………ふふふ、なんか悪いことしてるみたいで逆にワクワクしてきた。 それよりも今は遅めの昼食はどこでとるのか楽しみになっている。

 

すると目に入ったのは日本語の旗が入り口に立っているお店だった。 だけどここはニューヨークの雰囲気で溢れたエリアで、とてもじゃないが漢字で書かれた旗はどこか似合わない。 でも彼は私をチラリと見ると『じゃあ入るか』と言ってお店の中に私を招く。 如何にもお値段張りそうなお店なので遠慮しようと思ったが店員に元気よく招かれると断るタイミングを失ってそのまま席に着いてしまった。

 

ラストオーダーになる私達はメニューを開くと予想は的中。 どれもお値段はお高く、私は本気で遠慮しそうになったが彼は『気にするな』と言った。

 

私は久しぶりに天ぷらを頂こうと思い『〜 紺 〜』と一文字だけ記載されたメニューを選び、彼は『〜紫〜』を選んで遅めの昼食となった。

 

窓から見えるニューヨークの街で和食を頂く。 不思議な雰囲気に飲まれながらも大変美味しく頂きました。 ちなみにパーク内唯一の和食店であることを後で知った。

 

 

それからお腹を満たすとふたたびパーク内を歩き回る。 すると彼は口に収まらないキャンディーを購入するとそれは嬉しそうに食べていた。 本当に甘いものが好きなようだ。 あまりの甘たるさに自分の舌を虐待してるようで面白かった。 そう言えばたまに『どんな虐待と洒落込むか……』って呟いてる時があるけどなんのことだろ? 口癖なら少しおっかない人なんだけど、彼の行動は虐待に当てはまらない(きっぱり)から私の聞き間違えだと思う。 でも彼と出会って5日目、虐待と同じ単語を何度か聞いたことがある。 何があってそれを呟いてるのか私には分からない。 でも私を助けてくれた彼は紛れもなく良人だ。 ……良人って言うと少しくすぐったく思うのはなんでかな?

 

で、でも私は彼に感謝している。

 

だって

 

どうしようもなくなった私が……

 

 

「むぐっ!?」

 

 

「まーた変なこと考えてる」

 

 

「むぐぐ」

 

 

「美味しいだろ? くだらない事も忘れるくらいな」

 

 

彼は笑いながらもどこか少し怒った表情も持ち合わせて私の口にキャンディーを埋め込む。

 

 

「これだけ素晴らしいテーマパークで苦悩に表情歪めるのは場違いだ。 もっと笑え、そして元気だせ」

 

 

彼はギラギラと笑いながら私が元気になることを望む。 胸の奥が暖かくなる……のとは違う鼓動を味わいながら彼からキャンディーを受け取る。 この鼓動は今まで感じたことないため、少し自分に戸惑いながらキャンディーを舐めると、甘い味が口の中に広がり始めた。 ゆっくりと幸せな気分になりながら彼の後ろを歩く。

 

 

「横歩きな、迷子になるから」

 

 

「! は、はい」

 

 

平日だからそんな心配は無いと思うが私は喜んで早歩きでとなりに立つ。 彼と同じキャンディーを舐めながら歩幅を合わせると幸せは倍増した。 暗い気持ちか一気に入れ替わってしまう。 何がマジックをかけられたようだ。

 

 

「あ、すまん。 それ俺のキャンディーだった」

 

 

「……」

 

 

 

なにかの魔法かな?

 

鼓動が無条件で早くなる。

 

でも今舐めているキャンディーが取り替えられることを知ると『もったいない』と悪い気持ちが心に巡る。

 

 

その気持ちに正直になると自然と口元が緩み、私はわざと困らせたくて『欲(虐待)』を言い放った。

 

 

 

「このキャンディーが良いです」

 

 

「!」

 

 

 

ニヤリと笑って私は彼よりも一歩先に歩く。

 

 

 

「お、おい」

 

 

「ふふふ」

 

 

 

舐めるキャンディーの味をより多く啜り、謎の独占欲に満たされながらこのテーマパークに来て良かったといまこの瞬間心の奥底から感謝した。

 

そんな彼はここのテーマパークのアトラクション以上に私の言葉に驚いていた。

 

幸せで溢れた私の唾液によって反射するキャンディーは彼の表情を映し出すと『いたずら完了』と謎の声が響き渡る。

 

横に見える魔法のお店に並べられているレプリカの不思議な魔法の地図が窓越しからヒラヒラと笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

娘が行方不明になって長い時間が経った。

捜索してから既に一週間が経過する。

 

黒森峰とプラウダとの決勝戦以来、娘の姿は見ておらず、まさかこうなるとは思いもしなかった。

 

敗退してから1日目、長女から妹への心配のメールが届いたが私は放っておきなさいと一蹴し、気にかけもしなかった。

 

西住流を背負う者が隊長として出向いたが10連覇の偉業を成し遂げれず、無残にも敗退してしまう。 これを出汁にして西住を落とそうとする不届き者の鎮圧に忙しくなり、私は娘たちを後回しにしてしまった。

 

決勝戦から2日後の夜、私は娘の長女から次女が行方不明になったことを聞かされる。

 

なんの事かと思った。

 

寮に引き篭もっていないのか?

 

『いいえ』

 

 

どこかに隠れていないのか?

 

 

『いいえ』

 

 

電話は繋がっていますか?

 

 

『いいえ』

 

 

どれも望み絶たれた解答に私は今頃焦りを生み出す。 娘は気が弱く、たまに何処かへ隠れて逃げる性格なことを思い出すが長女の焦り声は全てを否定する。

 

私は娘の捜索に動き出した。

 

まずは学園艦を探したが見つからない。

 

途中娘と同年齢でチームメイトの友達から『最後に見たのは母港』だと聞かされた。 あまりにも遅い情報共有に私は怒りが湧き上がるがその友達はみほの異変に気付き、丸一日を一人で探し回っていた。 決勝戦後の疲れを抱えながら飲み食いもせず、この広い学園艦を探し回っていた。 軽い脱水症で倒れた友達に怒りは向けることは出来ず、私は今頃『母親』として悔いた。

 

『師範代』としての顔で娘を見てしまい、『母親』としての顔で娘を見抜けなかった。

 

あまりにも『母親』として間抜けな失敗。

 

4日目に母港を探す長女を他所に『師範代』として脳がメディアとマスコミを恐れてしまい、警察には秘密捜索の依頼を申し込む。 他にも信頼できる繋がりに『母親』としてお願いし、熊本中を探させる。

 

『母親』として頭を抱え、『師範代』として焦り込み上げ、『母親』として涙を流し、『師範代』としてストレスを溜め、『母親』として眠ることが出来なくなり、『師範代』として眠れぬ夜を仕事に当て、『母親』として嘆き、『師範代』として慌て、『母親』として叫び、『師範代』として怒り、『母親』として悲しみ、『師範代』として、母親として師範代としては母親が師範代であり母親は師範代とは別の師範代か母親で母親は師範代とは別の母親である失敗で師範代も失敗が母親に降り注ぐ師範代の怒りが母親で師範代とでも母親なのか師範代なのか顔は師範代でも母親の後悔は母親の気持ちは母親の責任は師範代でどうなっああがかあがぁぁぁあ!!!!!!!

 

 

 

「うぐっ!?おげぇっ、げっほ、げっほ」

 

 

「おい!しほ!?」

 

 

「あ、あなた……ぁぁぁ、わたしは…」

 

 

 

 

西住みほの母親なのですか?

 

 

それとも

 

 

西住流を背負う師範代なのですか?

 

 

 

 

「わたしは、大事に、していた、はずで、いたのに、ああ…」

 

 

 

 

娘を愛していたのに

 

 

母親として愛していたのに

 

 

なんでこんなにも『ホッとする』??

 

 

それは師範代として、西住流を汚した汚点がいなくなった事に喜びを感じたから。

 

 

だって、わたしは

 

 

『娘/後継』の『母親/師範代』だから

 

 

それはわたし本人だから当然わかる。

 

 

だから

 

 

わたしは一体娘に何をやってるのだろう?

 

そしてわたしはどっち??

 

 

 

「みほ……ごめんな、さい」

 

 

 

 

 

『母親/師範代』としての『嘆き』は愛娘に届かない。 たとえ熊本中に広がったとしても既に熊本で奮闘してきた『みほ』はもうそこにいないのだから。

 

 

 

 

そして

 

 

二週間後

 

 

捜索は打ち切られ

 

西住みほの『自殺』が推定された。

 

あくまで推定だが、熊本に足取りはつかめずにいた。

 

その2ヶ月後は九州に居ないことを報告される。

 

生存は『絶望的』だと言われた。

 

 

何も持たぬ子供が熊本の外に出るという行為は不可能に近い。 更に彼女は有名であり、悪い方向にも有名だ。 途中どこかで行き倒れたとしても世間的視野で彼女の事は助けない方が大きい。 むしろ怒りを買われて襲われた可能性も捨てきれない。 もしそうじゃなくても『元の場所』に戻らないと言うなら、あの決勝戦で叩かれて苦しんだ人間の行動は一つ。 自殺もあり得る話。 同僚の友達の絶望に染まる顔を鮮明に思い出し、それを伝えると心にスッと入り込む。

 

ああ、西住みほは自ら消えたのだと。

 

しかし半年近くが経過しても遺体は見つからない。

 

嫌なことがあったら隠れる彼女は特に隠れることが上手で、まだまだやんちゃな時代の彼女は隠れんぼが特に強いことを思い出す。

 

この自殺でも、誰も見つからずに、上手く隠れて、密かに生き絶える。

 

そんな部分だけ思い出すみほの得意技に心が締め付けられ、彼女の全てが死の世界に『捨て』られてしまう。

 

 

例え自殺じゃなくても、みほはどこか酷い人間に連れ去られ、見知らぬ遠くの土地に隔離され、今もあの時の扱いが続いてる。 そして心壊しているのなら、それはもうみほではない。

 

何を考えても悪いことしか浮かび上がらない。

 

 

だから理解する。

 

 

彼女は戻ってこない。

 

 

 

失って初めて気づくとは良く言ったものだ…

 

 

 

 

 

 




温度差激しすぎ。

あとみほサイドは数日経過した話であり。
黒森峰サイドはかなり先の時間を走ったお話です。

それよりも私は虐待主をオルガに近づけてどうするですか一体、悪ノリにも限度があるでしょう。

さて、とりあえず4話まで続きました虐待(?)のお話。

姉妹に続き母親も揃ってゲロインしてしまう、反省はしてるけど後悔はしていない。 あと大阪にある世界的有名な作品集うテーマパークと言えばアレしかないですね。 ココでは言いませんけど。

しかしタダの一発ネタが続編すると『オリ主』の要素が強くなってどうしようもないですね。 こればかりは仕方ないのかな? 皆さんはこんな感じの好物だろうか? 感想伺ったところ、楽しんでいる方が多いようです。 主にオルガ現象のせいで。 なんでやねん…

だれだよ、虐待主をオルガ(訴訟)にしたやつ…
未だにミーム感染は『止まるんじゃねぇぞ』状態だし(白目)


それはそれとして〜

ここまで沢山の評価、そして沢山の感想!!
そして誤字脱字報告ありがとうございます!!

しかしネタは思いついても文章力が高くないので完成度が低い状態になってしまいます。 そして見直ししても減らない誤字脱字、最近だらしねぇな? そんな未熟者に力貸してくれてありがとうございます。 最適な文に変えてもらったりと大変助かっています。 お陰でお恥ずかしい文も良き形に整えられて読みやすくなりました。 感謝しかありません。

しかしこんな小説もそろそろ終点が見えてきそうですがまだもう少しお付き合い頂けたら幸いです。 今ちょうどリアル忙しい状態だけど頑張る。

ではまた!


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泊った

あまり映画を観ない俺でも知っているテーマパークまでやってきた。

 

なぜ寄り道したのか?

 

理由は至って簡単。

 

 

虐待のためだ。

 

 

小娘はそろそろ助手席で縛ってお喋りによる虐待は慣れてきたはず。 だからガラリと環境を変えることにした。 絶叫から発狂まで暮らし変えてみる大規模のテーマパークから午後をお送りする流れだ。 くっくっく、初めての来場にワクワクしてきた。 もちろんテーマパークを扱った虐待で小娘の歪む顔が見られる楽しみにワクワクしてるのだ。

 

さて、その小娘は今ゲート近くにある大きな地球儀に目を見開いて驚いていた。 おいおい、こんなのまだ序の口だ。 恐れ慄くにはまだ早い。 ゲートを潜り抜けるそこから始まるテーマパーク虐待、小娘は耐えられるか楽しみだ。

 

まずは眼球のチョコレートだ。 素晴らしい出来だ、ギョッとする。 しかし正体を見破れば躊躇なく手に取り、笑いなら眼球のチョコレートを頬張る姿はまるで「この程度か」とこちらを挑発してるようだ。 なるほど、やはり食に関する虐待の効果は薄いようだ。 酢昆布の事も含めて理解してたが、まさか見た目ゲテモノな食べ物も平気と言うのか。 これは手強い。

 

だがまだまだ次がある。 じっくりとこのテーマパークを共に歩き回ろうでは無いか。

 

しかしここには1日で回れるか心配だ。

 

今日は平日だから並んで待つことはあまり無い。 しかし休日の人混みに巻き込んで苦しめる虐待もあったが、可能な限り様々なアトラクションに洒落込む方が良いだろう。

 

 

「楽しいですね」

 

 

「ああ」

 

 

楽しいですね、か……言ってくれる。 つまり「この程度で虐待とは笑わせてくれる」と言っているのだろう。 素晴らしく生意気な小娘だ。

 

 

よろしい、ならば大虐待だ。

 

 

次々とアトラクションや舞台に乗り込み、小娘に次々と虐待を施す。 それでも耐えに耐え、アトラクションを一つ終えるとこちらを見てクスクスと笑う。 あの微笑みは間違いなくこちらをバカにしている。 くっくっく、調子に乗ってくれる。 だがこの程度で虐待を止めるほど緩くない、まだまだ時間はある。 もっともっとテーマパーク虐待に洒落込んで小娘を少しでも歪めてやろう。

 

 

と、その前に空腹では虐待のキレも落ちる。 少し夢中になり過ぎたな。

 

 

さて、どこで昼食を取ろうか。 ニューヨークの雰囲気に包まれたこの道で何があるか? ジャンクフードか、イタリアンか。 どれも良いな。 街の雰囲気に合わせてお昼ご飯を考えていると小娘は足を止めて一点を見つめる。

 

洋風な街で日本食か。

 

斜め上の選択技でこちらを驚かそうとしたのか? この程度で驚きはしない。 だが洋風な建物で日本食は面白い、少し見直したぞ小娘。 そのまま店に入り、スタッフにお出迎えされて案内される。

 

 

「!」

 

 

ふむ、メニューを開けばどれもお値段が張る料理ばかりだ。 くっくっく、これはやられた。 さりげなくこちらの財布に虐待を仕掛けてきたか。

 

なるほど、小娘の考えはこうだな。

 

洋風の建物で日本食の斜め上なジャンルで興味を引かせ、そのお店に招く。 しかしどれもお値段が張る料理ばかり。 こうして懐にダメージを与える考えか。

 

しかも俺が日本食が好きな事を利用してるあたり計算高い、普通にこの店の奥に引き込まれてしまったからな。 更に小娘は考えを悟らせないようにいち早くテーブル席に着き、こちらを誘導する。 そしてメニュー表を開きこのお店で食べますオーラを出して逃られないような雰囲気にしてしまう。 その上にスタッフから「ラストオーダー」のお伝えを受け、尚ここから逃げることは出来なくなる。 こうなったら俺たちは食べて帰らなければ失礼極まりない。 だからここから逃げる事は不可能になり、お高い料理でお腹を満たさなければならないという事なんだろう。

 

 

ふっ

 

これは一本取られたか……

 

 

 

 

なんてな

 

 

まだこの程度どうって事ない。

 

 

たしかに懐へ虐待しようとしたかもしれないが残念、こちらはまだ余裕のよっちゃん。 懐は対して痛くもないな。 でも反撃とばかりにこちらへお財布に虐待しようとしたその姿勢は賞賛に値する。 だからメニュー表に書かれている好きなものを頼めばいい。 何でも構わない。 これはちょっとしたご褒美だからな。

 

 

「お、美味しい!」

 

 

「うんうん」

 

 

 

そして出された料理は素晴らしかった。

 

それに対して目の前でお上品な料理に舌鼓する小娘の笑み。 もしそれが勝ち誇ったというなら、甘いな。 まだこちらは負けを認めてない。 まぁしばらくは調子に乗らせるとしよう。 満腹で気が緩んだ瞬間、すぐに足元掬ってやる。

 

 

さて、お上品なお味に満足しながらお店を出る。 早速つぎの虐待に洒落込むが良いものが見つからない。 少しブラブラ歩くと…

 

 

「!!」

 

 

大きなキャンディーだ、これにはつい目を奪われてしまう。 早速お食事のデザートとして買うとしよう。 ただし、まずは俺だけだ。 小娘の目の前で美味しそうに舐め回してやろう。 小娘が羨ましそうな目で欲してもソッポを向いて無視をしよう。 その口でおねだりすればあげない事はないがそれまではお預けだ。 食後のデザートを食べれない……なんとも酷い虐待だ。 くっくっく、この甘そうなキャンディーを前に屈するがいい。

 

 

「?………はぁ」

 

 

ったく…またか。

 

小娘を見ればまたつまらん事を考えてる顔だ。

 

俺は虐待に歪む顔が見たいのに、それはなんかの嫌がらせか?

 

ええい、まどろっこしい。

 

 

 

 

 

「むぐっ!?」

 

 

「まーた変な事を考えてる」

 

 

「むぐぐ」

 

 

「美味しいだろ?くだらないことも忘れるくらいにな」

 

 

 

女性は男性よりも辛い記憶を覚え続ける生き物だ。 それは仕方ない事だ、男性よりも弱い自分の身を守るためにそうなっている。 だがそれを俺の前でそんな表情で歪めるのは嫌だな。 小娘は俺の虐待で苦しんでもらわなければならない。 傷つけられて、苦しみに溺れてしまった辛さもいつかは忘れ、そして何かで埋めてもらわなければならない。 だがらまずはこのキャンディーを舐め、このテーマパークでその表情が場違いな事を知ると良い。

 

 

 

「はい」

 

 

 

そうだ、その顔だ。 その顔を俺の虐待で歪めたいのだ。 だから元気よく笑っていろ、俺のためにその笑顔を絶やすなよ。

 

 

 

「?」

 

 

 

そういや俺のキャンディーはどこだ?

 

 

 

「美味しい…」

 

 

 

しまった、俺のキャンディーはあの小娘が食べているか。 まてよ……もしかしてあの表情は俺からキャンディーを奪うための演技だとしたら? 小娘にキャンディーを与えない考えを読んだからああやって俺が嫌いな表情で小娘の元まで引き寄せ、そして流れでキャンディーを奪い取った、そう言う事なのか??

 

いや、これはあり得るぞ。

 

先ほどの日本食のお店も含めて考えると小娘がここまで考える力がある事がよくわかる。

 

と、とりあえず平常心だ。

 

動揺しては隙を突かれて弱点を探られる。

 

 

「あ、すまん。それ俺のキャンディーだった」

 

 

とりあえず取り返そう。

あれは俺のデザートだ。

 

それにこんな男が舐めたキャンディーなんか吐き気がするだけだ。 だから返ってくるの確実だ。 今は平常心で悟られぬようにキャンディーを返してもらう。

 

 

 

 

「このキャンディーが良いです」

 

 

 

 

なん……だと?

 

 

 

 

「お、おい」

 

 

「ふふふ」

 

 

 

またあの笑みだ。 くっ、まるで「いたずら完了」とばかりにこちらを嘲笑ってくれる。 そして俺の前を歩いて、立ち位置が逆転した。 いつもなら小娘が俺の後ろを観察して、どうすればひと泡ふかせれるか? どうすれば動揺をさそえるか? そんな感じに弱点を探っていたのに今は俺がこの位置に立たされている。 くっ、屈辱だ、まさかこんな風に降ろされると思わなかった。 しかも好物の甘いものを奪い取ってくれた。

 

生意気な小娘め。

 

 

 

「……ふっ」

 

 

いいだろう。

 

そっちがその気なら俺は必ずやその余裕面を歪めさせてやる。

 

 

 

くっくっく、楽しくなってきた。

 

 

 

俺を馬鹿にしたその愚行!

 

 

 

ただでは済まさんぞ!

 

 

 

みほ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テーマパークをある程度回り終え、場内を出た時には日が落ちていた。 平日に休みを取った大人達も、それ以外の人達も、夕焼けに向かって飛ぶカラスと同じように元の場所へ戻り始める。 長く伸びた影を眺めながらテーマパークで興奮して高ぶった心を落ち着かせる。

 

とても、楽しかった。

 

それはテーマパークのおかげでもあるが、そのうちの殆どは彼の存在があってこそだ。 それは断言できた。 まだ仄かに口の中で残っているキャンディーの味をガソリンに小刻みに胸の奥底で鼓動を続けていた。 なんて燃費が良いのか。 未だに興奮が収まらず、周り終わったこの時間も興奮が収まらないため、逆に迷惑だ。

 

 

「さて、ここから1キロか。 部屋が空いてるそうだ」

 

 

部屋? もしかしてここが新しく住まう目的地? いや、何か違うような気がする。 彼の言葉に疑問を抱きながら助手席に乗って、車は出発する。 綺麗な光がテーマパークを包み込み、まだまだ楽しい時間が続くことを知らせていた。

 

それから数分走らせると大きな建物に到着する。 上を見上げると大きく名前が書かれた看板とオブジェが設置されていた。 どうやらここはホテルのようだ。 今夜はここで一泊を過ごすみたいだ。

 

 

「わぁ…」

 

 

入り口を潜り抜けると立派なロビーだ。 するとホテルマンが現れ、荷物を持ってもらう。 彼はスタッフと短く話す。

 

 

「お部屋はいくつになりますか?」

 

「部屋は二つ」

 

「かしこまりました。 別々のご利用ですね」

 

 

どうやら部屋は二つ、彼と私は別々で使うようだ。 しかし私は何を思ったのか彼の元まで歩み、少し手を引いてスタッフと距離を取らせる。

 

 

「あの、お金勿体ないので一つで良いです」

 

「え? いや、でもな?」

 

 

彼の言いたいことは分かる。 男性の彼と女性の私を一緒にせず、別々の空間にするつもりなんだろう。 とても紳士的なアイディアで、褒められる選択技なのは確かだ。

 

 

でも、私は違った。

 

 

 

「不安なんです。 お願いします」

 

「……部屋は二つにする」

 

「そう、ですか」

 

 

やはりダメだった。 でも彼は悪くないから何も言えなかった。 これ以上のわがままは言わないでおこう。 私はおとなしく下がると彼はスタッフから鍵を二つ受け取り、エレベーターに乗り込んだ。

 

エレベーターの中を見渡せば地下に大浴場、マッサージ、ゲームセンターと書いてある。 他にもレストラン、売店も書かれていた。 このホテルの充実に少しだけ関心しながらエレベーターを降りて少しだけ歩く。 使用が許された部屋の扉の前まで来ると彼に鍵を渡される。 残念な気持ちを奥底に押し込み、彼にお礼を言った。 すると……

 

 

 

「必ずしも部屋を使う必要はない」

 

 

「え?」

 

 

 

それだけ言うと彼は自分が使用する部屋に入り込み姿を消す。 それよりも今の言葉にどんな意味があるのだろう?

 

 

『必ずしも使う必要は無い』

 

 

つまり、それはつまり……

 

 

 

「……えへへ」

 

 

 

そう言うことだ。

 

私はさりげなくチャンスをくれた彼の行為に感謝して部屋に入り込む。

 

そして彼に一日分だけ与えられたこの部屋はあまり使うことは無かった。

 

これがどう言う意味か説明すると、ホテルマンの仕事が減ったとだけ伝えます。

 

 

べ、別に意味深な夜は過ごした訳では無い。

 

ただ、情けないことを言うと一人で眠ることが出来ないでいた。 いつも寝る際に彼の存在を感じながらでないと頭を痛め、息苦しくなり、震えが収まらないほどだ。 酷い時は手を握ってもらわなければならない。それでも彼は拒むことなく付き添ってくれていた。

 

そして今回も彼はわたしが眠るまで付き添ってくれた。

 

眠りなれない布団の上だけど、この暖かさと安心感はどこのお店に行っても、高級な布団を購入しても手に入らないのは確かだ。

 

 

「あの……」

 

「まだ眠って無かったのか? どうした?」

 

「はい。 明日到着する場所はどこですか?」

 

 

私に腕を伸ばしながら椅子に座っている彼は上を向いて考えるとニヤニヤとして答える。

 

 

「さぁな、それは到着しての楽しみだ」

 

「むぅ……もういいです」

 

 

彼は私の反応にクツクツと笑っていた。

 

 

「そうかそうか、なら拗ねて眠りついてしまいな。 ……眠るまでここにいるから」

 

「はい、ありがとうございます……あなたで、よかった」

 

 

本当に、私はあなたで良かった。 そう思っていると不意に彼から声をかけられる。

 

 

「……世間は恐ろしいけど、全てが敵じゃ無い。 だから明日到着するその場所は君の味方になるさ。 最初は分からなくて怖いかもしれないが、自分にとって新しく探せる。 不安で顔を染めず、今を前向きにな」

 

「はい……」

 

 

彼は頷くと少し乱れた布団を整える。

 

 

「まっ、それは明日になればわかるさ。 だからお休み」

 

 

目を閉ざせば額に感じる別の温もりはつい吐息が溢れる。

 

彼に出会えたことに何度も感謝して瞼を閉ざす。

 

 

 

 

「……少しは変なことしないで下さいね」

 

 

「??」

 

 

 

お、おかしな日本語が出てしまった。

 

 

 

「え?え?? んん??」

 

 

あ、あまり考えないでください。

 

 

も、もういいですから。

 

 

ね、寝ます……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷たい空気とやや凍りついた海面を走る学園艦で私は先ほど小さな小さなエベレストの雪将軍に子守唄を歌って眠りつかせたばかりだ。

 

眠らせるのに少し時間がかかってしまった。

 

何故なら熊本で起きたあの話が青森まで伝わってきたから。

 

 

『西住みほ』の自殺……

 

 

これは7ヶ月前に行ったあの決勝戦の事だ。

 

私たちはあの黒森峰を討ち取り、優勝を象ったがそれは偶然取れたに過ぎない勲章。 何一つ動かない戦車に私は砲弾を撃ち込み勝利を収めたが、その戦車長である黒森峰の副隊長は仲間が川に落ちたところを助けに向かうためフラッグ車を放棄したのだ。

 

お陰で私たちは勝てた話。

 

黒森峰の副隊長の行動は立派だ。 同士のために手を差し伸べ、同士を優先するその志は立派である。 でも勝負は勝負。 それでも私達は紛れもなくルールに従って黒森峰を倒した。

 

普通ならこれだけで終わるはずだった。

 

だが黒森峰ではこの敗北が副隊長を襲い、そして死に追い詰め、自殺に導いた。 これを聞いた時なんのことかと思った。 私たちの勝利が一人の少女を殺したとでも言うのだろうか?

 

でもそれはあちらの世界が、黒森峰の世間が彼女を攻撃した。 私達のせいではないのは確かだ。

 

 

勝てば正義、負ければ戦犯。

 

 

それについてはよくわかる。 私達の学校でも『粛清』を行い、隊長クラスは懲罰を行っているところだ。

 

 

だが

 

 

人を殺してしまうのはどうなのか?

 

それほどにまであちらは怒りを買わなければならないのか?

 

意味がわからない。

 

何故人が死ぬ?

 

何故こんなにも私達は苦しい?

 

私達は優勝を勝ち取った。

 

なのに何故こんなにも寒い??

 

 

優勝を勝ち取り、隊長格に上り詰めた小さき雪将軍は釈然としない顔で隊長をやらなければならないのか。 せっかく夢にまで見て、ここまで上り詰めた彼女がこんな形で隊長をやらなければならない。 怒りに染まる。 あの世界に怒りが湧き上がる。

 

 

理不尽だ。

 

 

更に言えば黒森峰の戦車道は壊滅状態と化し、またあの時のように奮う力を取り戻すのは当分先だろう。 いや、もしかしたら戻らないかもしれない。 それまでにあそこは衰退したのだから。 半分以上のスポンサーも撤退してしまい、西住流がまともに稼働してるかも不明。 まともに稼働してないのなら黒森峰を支えられず、どんどん腐敗していく未来だ。 現隊長である……はずの西住まほの情報も無い。 生存報告すら無いからこそ心配だ。

 

どれも悪い形でしか情報が流れて来ない。

 

 

ただ救いがあるとすれば、私達が原因だと言われないことだ。

 

 

でもそれは消えた黒森峰の副隊長が私達に非難が向かないほど叩かれていることなんだろう。

 

 

 

「………むごい」

 

 

 

敗北一つでこんなにも変わってしまう世界なのか、戦車道と言うのは。 子供の年でそんな世界を知ってしまうことになるのか。

 

 

 

「…」

 

 

 

ともかく、わたしはこの話は新隊長の耳に入らぬよう心がけた。 耳に入れて良い話ではないのは確かだから。

 

だが、つい最近あの方の耳に入れてしまい、そのブリザードは静まってしまう。

 

また大荒れを起こし、仲間を率いてくれたらいいが、まだしばらくは難しそうだ。

 

 

 

「どうか、あなたは気にせずエベレストのように気高く、大吹雪をあげながら進んでください」

 

 

私が今できることは新隊長として頑張るあの方を支えること。

 

 

 

「……」

 

 

 

 

だから恨みます、黒森峰。 私達のカチューシャ様のブリザードを鎮めた事を、許しませんから。

 

 

 

 

ですが西住みほ。

 

私は言わせてもらいます。

 

あなたは頑張りました。

 

 

普通なら『カチューシャ様』以外に敬意を払うことは滅多にありませんが、同士を助けたその行為を賞賛します。

 

 

だから安らかにお眠りください。

 

私はあなたを覚えていますから。

 

 

「……すぅ、〜〜〜♪」

 

 

 

 

青森側の海を漂う学園艦の上で一人の女性はロシア語で空に向かって歌う。 子守唄に近い静かな歌であるが、それは室内で眠るブリザードを吹き起こすための歌か、また報われずに散った少女に対する悲歌なのか、また気まぐれに歌い始めたのか、それは本人にしかわからない。

 

 

 

ただ、黒森峰だけではなく、そこに関わった場所でもみほの死は少なくとも影響していた事は確かである。

 

 

 

 

 

西住みほが居なくなって9ヶ月が経過

 

 

『世間』では彼女の『死』は確定されていた。

 

 

 

 

 

つづく




あー、徹夜でなんとか完成…
変なことを書いてなければ良いが…
完成度がとても心配です。

クッソ情けないけど、誤字と脱字報告いつも本当にありがとうございます。 変な単語や文がありましたら適正な形に是非変えてください。 お願いします。 正直私はお話を想像できてもそれを文に変えた時に力不足なんです。 ははは(白目)


さて、今回はホテルですよ。
これはなにか間違いがありますね(ゲス)

そういえば最近の悩みは主人公の口調共々安定しないことですかね?もともと一発ネタの短編程度でしたが続編作り上げたせいで主人公の性格がノープランで続編開始、そこら辺しっかり定まらなくなりました。とりあえず『くっくっく』と悪く笑う感じにしてます。 みほ視点では笑ってませんが。 その内主人公の性格を綺麗に仕上げる日が来るかもしれませんね。 むしろそんな事しない方が少しは魅力的かな?


あと今回はゲロイン無しです。

てかみんな揃ってオルガだったりゲロインだったり求め過ぎですよ、良い加減にしろオロロロ。


あ、でも今回ゲロイン要素ありだとしたら
ノンナの過労でゲロインに繋がった可能性あり__
(※この先の文は粛清、もとい調子ノンナされました)




ではまた


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経った

待たせたなぁ!(3週間ぶり)




さて、突然だが時の流れは早い。

 

熊本から引っ越してから既に"半年"が経過した。

 

しかしながら引っ越し疲れと言うのはなかなか取れないものだ。 まだ仄かにその疲れを残して完全に休まらない。 だがそれを理由に腑抜けた情けない姿を小娘に見せることは出来ない。 弱点を探られる恐れがあるからだ。 その事を警戒してからここ数ヶ月、予想通り小娘から視線を感じて仕方ない。 隙あらばこちらの弱点を探ろうと小娘は努力する。 ほんの数秒でも呆けてしまえば手痛い反撃を受けてしまう事は確定明らかだ。 最近また少し上達してきた腕前で料理をする時も、進んで楽しそうに家事をする時も、夜は子供の延長戦とばかりに寝る前の時間帯で一緒にテレビを眺めてる時も、チラチラチラチラとこちらを眺め、隙あらば弱点を暴こうとする。

 

今まで小娘はいともたやすく行われるえげつない虐待で苦しめられていたため、どうにかして仕返しが出来ないか探っているのだ。 だが毎回視線を感じて仕方ないのだ。 もう少しバレない様にこちらを観察すれば良いものを、まだまだ甘ちゃんな小娘だ。 しかし害は無いとはいえ一方的になすがまま弱点を暴かれるのは気にくわない、だからチラチラと飛ばしてくる視線に対してこちらもその視線を合わせてやる。 ニヤニヤと笑って奴の行動が筒抜けである事を分からせる様に嘲笑ってやるのだ。 この時さりげなく気持ち悪い笑みで相手の目と脳みそにダメージを与えるのだ。 さらにいえば男のゲラゲラとした笑いだ、それは効果覿面だったのか小娘は視線が合うとすぐに他所を向いて顔を逸らした。 気持ち悪くニヤついた顔を向けられたら女性は嫌に決まっている。 油断したな小娘、こちらも反撃しないと思ったら大間違いだ、くっくっく。 しかも小娘はこちらを観察してる事がバレたと思ってすぐさま視線を他所に逸らして誤魔化したかもしれないが顔を伺えばバレバレだ。 何故なら小娘の顔は赤く、怒りに染まっているのが目に見えて分かる。 くっくっく、このニヤニヤが本当に相当憎たらしくてたまらないのだろう。 ポーカーフェイスで突き通せないならこちらの弱点を探るのはまだまだ先の話だな小娘。

 

だがしかし、その反抗心は良し。

 

そのくらいの気持ちでなければ面白くない。

 

引っ越しの移動中に寄った大阪にある大きなテーマパークでは大好物のキャンディーを奪い取り、軽く一泡吹かされたんだ。 あれは今でも忘れない最大の虐待返しだ。 "大好物"を返さず、無慈悲に取り上げればその人間に大きなダメージになることを理解したからこそ小娘が起こした行動だ。 普通なら子供が大人相手にそんな事するとは思わない。 だからこそ隙をつく事が出来た。 そしてそれは効果的だった。 やはり小娘にはセンスがある。 お陰で今後の小娘に対して期待が高まる、溢れる限りだ。 今は大人しいがまたそのうち小娘から虐待返しが来るだろう。

 

 

さて

 

 

そんな小娘は現在小さな部屋で隔離して居るところだ。 いまは一人寂しく、子供が大嫌いなお勉強タイムで苦しんでいるところだろう。 国語、数学、理科、地学、英語、物理、生物、7教科の内の数教科を独学で吸収させる作業だ。 そしてそこに割り入って至近距離で教えるのだ。 ただでさえお勉強が嫌な子供なのに男が隣で座り、アレやコレやを指摘する。 この空間から逃げたい筈だが最低でも4教科のノルマをクリアするまで逃がさず、小娘に知識を叩き込む。 因数分解などあまり必要としない知識すらもねじ込み、数学の存在で苦しませる。 だが一斉に叩き込むのではない。 直ぐに終わらせては勿体無いからな。 一年間じっくりと時間をかけてこの苦痛を脳に詰め込むのだ。 そして難題をクリアすれば頭に触れる事で詰め込んで疲れた脳みそにダメージを与える。 別に人格とか歪むほどの事をするわけでは無いが苦労して終わった後もこうして頭を触られる。 疲れている所に不快な一撃となる事は間違いない。

 

我ながら素晴らしい虐待お勉強だ。

 

だがこの苦痛を逆境に変えたのか知らないが小娘は最低4教科のノルマを越えようともこのお勉強地獄から逃げず離れず、毎日毎日全ての教科を終えるまでお勉強している。 おそらく4教科のお勉強が終わるまで解放されないくらいなら7教科やろうと変わらない、それならトコトン付き合ってこちらの弱点や手札を探ろうと生意気にも考えているのだろうな。 逆に至近距離での接近なら都合良いと開き直った結果か。 やってくれる。

 

だがその精神は素晴らしいの一言に尽きる。

 

ならこちらも特許の虐待技術でトコトントコトンこの状況を使ってやるとしよう。

 

勉強中にこちらを見て笑ってられるのも今のうちだ、まだまだこれからが虐待の楽しいところ。

 

 

 

そう思うと新たな住まいでの生活が楽しく思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊本から逃げて半年が経過した。

 

新しく住まうこの場所も慣れ、荒んでいた私の心も落ち着いてきた。

 

引っ越した先でこんなことを言うのもアレだが、この付近は特にこういったものもない。 だけどその代わりに何も縛られない。

 

 

「あの、ここが分からないです…」

 

「? そこは中学の時に使った方程式で解ける」

 

「……あ、本当だ」

 

「高校の数学は中学で教わった時の数学ができたら半分は簡単だ。 ……念のためだ、あとで中学の教本を買ってこよう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「大丈夫、君は賢い。 だから高卒認定も一、二回受ければ合格できるだろう。 前も言ったが数学と英語は高校1.2年程度のレベル、そう難しいことはしないさ」

 

「はい」

 

 

こんな感じに私は学校に行かず、独学でこれからの知識を蓄えることになった。 彼は『少なくとも高校までの勉強はしっかりやっておこう』と言ったので私は"高卒認定試験"に向けて独学でこれから頑張る事にした。 しかし高卒認定を受けるには戸籍が必要だ。 当然だが、私は元いた場所の戸籍を使うつもりは無い。 だから彼が偽物を作ると言っていま手続き中、あと数ヶ月でそれが届くらしい。 しかし偽の戸籍を作る事が可能でもそれはかなりの額が掛かるらしいが『 川´_ゝ`)なに、気にすることはない』とわたしの意思の有無を問わず勝手に作り始めた。 だが私もその行為が非常に助かるのは確かであり、感謝を述べる。

 

戸籍云々はともかく、学校に行かないことについては察してほしい。 私は世間から姿を眩ませた人間であり、簡単に表舞台へ出る事が出来ない。 だから無闇に外へ出ることは好ましく無い……と、言ってもここは田舎であり、のどかな風景に包まれた住まいです。明かりがチカチカする都会じゃないから監視カメラや沢山の人々の目線に怯えることなく、ただ大きな帽子を被って西住みほである事を隠して普通に外に出て過ごしている。 自然の風を大いに受け止めれるこの場所はいつでも心を健やかにしてくれる。 家や建物であふれていた学園艦なんかよりも、少しずつ緑色を付けてきた茶畑の香りを楽しみながらゆっくりゆっくり歩き回れるこの自然が好きだ。

 

 

「あー、そろそろ時間か?」

 

「はい、そうです」

 

 

私室から農業で使う作業道具を取り出し、草木に対して丈夫で動きやすい格好になったあと、麦わら帽子を被って玄関で一声かける。

 

 

「行ってきます!」

 

「ういー、いってらぁぁ…」

 

 

また軽く夏バテ(弱点発見?)している彼を置いて行き、私は家を飛び出す。 外に出ると胴体をオレンジ色に染めたシオカラトンボと共に目的地まで向かう。 夏の暑さを増幅させる蝉の声を掻き分け、もっと熱くなれるだろう自己主張の激しい太陽はお米食べろぉ、と田んぼの水面を日差しで乱反射させて、よくありげな蜉蝣は鬱陶しく人々の周りを飛び回り、ざまぁ見ろと羽の音を撒き散らす。 実に良くある夏日もそろそろ終わりに近づき、秋に突入するだろう。

 

だが秋に突入する前にココ、八月の上旬ではとある畑の収穫に勤しまなければならない。

 

私は今から行く場所まで歩みを進める。

 

 

「おはようございます!」

 

 

私の足音で池の鯉がちゃぽんと水面から逃げる。 大きな帽子を少し上に傾け、顔が良く見える様にすると玄関の奥から現れた。

 

 

「おお、みほちゃん、おはようさん」

 

「あらあら、みほちゃん、あさからげんきったいねぇ」

 

 

仲良しな農家の老人夫婦に出迎えられる。 このお二人は私がここに引っ越してから数日経った時に出会った人達であり、半年経過した今も大変よくしてくれます。

 

出会い方としてはここら辺を散策してる時、綺麗な茶畑を見かけたのでしばらく眺めていました。 日本人の嗅覚をくすぐるお茶の香りに包まれながらボーっとしていたところ、ひとりの男性の悲鳴が上がる。 私は心配になり、声のした茶畑まで向かうと一人の老人が倒れていました。 私は腰をさすってその人を起こして理由を聞くと、物を運ぶ時に腰を痛めて倒れたようです。 私は放っておけず、代わりに運びました。 ダンボールに詰められた物はなかなか重たいようで、ご老体に響くことはよく分かりました。 因みに私からしたら軽かったです。 戦車道で腕力が鍛えられたからですね……少し複雑です。 それから軽トラック乗っけられていた全てのダンボール箱を家の前まで運んであげると大助かり、と大いに感謝されました。

 

それからこちらに引っ越してきたことを伝えた後その夫婦達と知り合いになり、気づいたら定期的にここまで足を運んで農園や茶畑のお手伝いをしていました。

 

それから戦車道の道を歩んでいた事、そして私があの西住みほである事、あと苦しくなってここまで逃げてきた事、これらの内容を口を滑らせてしまい、私という存在を明かしてしまったが「大変だったねぇ」と同情されて「よく頑張った」と慰められた。 流石に未成年を連れ去る行為については「立派な犯罪だねぇ」と言ったが「でもなかなかやりおる。 昔のこのアホんだらを思い出す」とおじさんの背中を叩いてゲラゲラ元気に笑っていた。 おじさんも何か昔を思い出したように苦笑いしていた。 お二人もどこか私と似たような経験をした事があるらしく、お二人の話を聞けば今の生活を築く前は駆け落ちしたりと若い頃は結構やんちゃしていたようです。

 

 

しかし最後に腰を痛めたおじいさんから真面目な顔で言われました。

 

 

「みほちゃん、確かに彼がやったことは紛れもなく立派な犯罪で法律によって裁かれる。 たとえ死に追い込む様な悪環境から逃げ出すためでも未成年を連れ去る行いは社会的に褒められた事じゃない……でもこれはよくある話だが黙っていればまず犯罪にならない。 だからこの先は死ぬまでその罪を世間に隠しながら賢く生き続けなければならない。 たとえ世間が見てみぬふりをしても、このことを忘れてはならない。 だからココからが重要だ。 彼の罪が重かろうが軽かろうが、犯罪は犯罪で終点を打たれる。 しかし彼が犯罪者だとしてもみほちゃんが信じてこれから付いて往くか往かないかは自由だ。 もし彼の手を掴み続けるなら……しっかりと掴んでいなさい。 それが間違いと言われてもそこがみほちゃんの人生を築く居場所になるから」

 

 

おじいさんは私が連れ去られたことの重要性を今一度聞かせてくれた。

 

 

「でもまぁ若者はそんくれぇがちょうどよか。 あたいらはコノことは何も言わないがその代わり、しっかりとな? あんたの大事な人生、そんでえらいべっぴんさんなんだから幸せつかまんと勿体なかよ?」

 

 

おばあさんはゲラゲラと笑いながら応援してくれた。 人生の先人から言葉を貰い私は頭を下げ、これからよろしくお願いしますと改めて挨拶をした。 それから年老いた仲良し夫婦のお二人さんからはそれ以上のことは問われず、それよりもこの場所での生活や名物、楽しそうな経験が出来そうな話を聞かされた。 偽の戸籍が出来て外を歩き回りやすくなったらうなぎの工場や安倍川餅で食を満喫して、熱川湯の温泉街で湯気に包まれながら歩き回り、体力に自信あるなら世界遺産登録された日本一高い山を登ってもいい。 ここから幾らでもこれからの"西住みほ"を作り上げる。 それが彼に対する最大の恩返しになるだろうとヒントをもらった。

 

 

 

「……」

 

 

 

新地で沢山を築き上げれそうな今、熊本で何が起きてるか知らないが…

 

 

 

もう

 

関係ない。

 

 

 

そのうちテレビにでも報道されるかもしれないが、西住流の次期後継者であった西住みほなんて人間の名前なんてもう知らない。 熊本から逃げ出したその人物とまったく同じ名前を持ってるけどわたしには関係ない話になる。

 

いま大事なのは自分は新たな場所で何をして埋めれるか、引っ越しの際に彼から受けたアドバイス。 まだまだ可能性で溢れてる17歳であり、まだ子供のわたしには時間が沢山ある。

 

時々過去の出来事を引きずる事はあるけど、いつか、そんなこともあったとご老体の仲良し夫婦の様にゲラゲラ笑っていられたら素晴らしいかもしれない。

 

まずはここまで連れ去ってくれた彼に恩返しができるくらいに成長して、私からも彼を支えれるほど立派になりたい。 いまはまだお隣に座ってもらい高卒認定試験のために勉強を教えてもらう立場だけど、いまはまだ沢山甘えていようと考えてる。 これは子供特権です。 しかし引っ越してからもすぐに仕事で家を開けることが多くなり、彼との時間が少なく感じます。 そのため勉強を教えてもらう大事な時間を利用して可能な限り彼をお隣に座らせて拘束しちゃいます。 え? 最低でも4教科? ……倍プッシュだ。 私は彼に最大数の7教科を付き合わせる。 勉強は特別好きなわけじゃないけど、彼から教えてもらうだけで補正が掛けられているのかとても良く進みます。 それは誰かと勉強できる楽しさを覚えたからだと思うけど、その存在が彼かそうじゃないかでハッキリするのは確かです。 あと時折視線が合うと一気に頬が熱くなり、急いで顔を背いてしまうのは仕様です。 私はそれだけ彼に対して好意を抱き……依存してるから。

 

こういうのを白馬の王子と言うのかな?

 

ハッキリはわからないです。

 

でも充実してるのは確かな話。

 

私は幸せなんです。

 

家族を置いて逃げ出した愚か者であるけど…

 

でも反省しなければ、後悔もしてないから…

 

 

今の形で構わない。

 

 

 

 

私の名前は 西住みほ …

 

戦車道の世界から逃げ出した人間です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

四ヶ月近く動かなかった黒森峰の戦車道が再開してから五ヶ月が経過する。 しかし戦車道履修生は激減した。 それもそうだ、あんなことが起これば普通はこうなるのも当たり前だ。

 

唯一救いな事は西住まほさんが隊長格としてまだ率いている事だ。 今は少数になってしまったチームだが残った仲間のために奮闘している。

 

だが半年前のまほさんはとてもじゃないが見ていられなかった。 最愛の妹を失い、母は心を壊しながら"とある"判断を下し、黒森峰を見限った団員は次々と去る。 毎年出場していた高校戦車道大会も今年は出場せず、隊長のまわり半分以上が崩壊したと言っても良い。 ありとあらゆるものが崩れ去り、その現実に耐えれなくなった隊長も崩れ落ち、一番酷い時は妹の跡を追ってしまおうと毒薬を飲もうとしていた。 それだけ妹を愛していた。 毒薬による自害は菊代さんと言う西住家の家政婦に止められたらしい。

 

まほさんは戦車道から去った私にそう笑いながら話していた。 笑い事じゃないと思うけど……しかしそれほど気力を取り戻したことに喜びを持つ方が良いのか、私には分からない。

 

 

 

だから私は気になった。

まほさんはなぜ戦車道を続けれたのか?

 

 

それはある日の格納庫での会話だった。

 

 

 

私はもう踏み込む事は無いと思う戦車の収納庫に足を運び、パンターの上で窓の外を眺めていた本人に聞いた。

 

 

 

 

「黒森峰を変えたい、もう二度と妹の様な事を起こさない様にするため。 そしてココを卒業したら私は西住流を根本から変えたい。 そのためには今いるこの黒森峰からだ。 それがいま私が……いや、私にしか出来ないことだから」

 

「……」

 

「母は正常では無くなった。 みほを失い、母親としての心でいることに耐えれなくなり、師範代の姿勢を持つ事でその苦しさから逃げれている。 嫌なことにそれが精神的に保てている。 お陰で母は自分が分からなくなり、この半年で自分を壊してしまった」

 

「西住さん……」

 

「小梅は聞いてるよな? みほの失踪宣言が速いことを。 アレは母……いや、師範代がそう下した。 娘を愛してたはずの母は"行方不明"の言葉に日々心を痛めた。 しかし師範代としてはそれが邪魔で仕方なかった。 この九ヶ月で行方は掴めず生存は絶望的なのに、まだ生きてるかもしれないという淡い希望を"母"は持っていた。 だがこれから黒森峰と地に堕ちた西住流の立て直し、更にプロリーグの関係者として"師範代"はやる事が多い。 そうなると愚行を犯した西住流の面汚しの事なんか切り捨て、今後重要な仕事に手を付けなければならない。 そう判断すると行動は早かった」

 

「そして一年も経たずに……」

 

「……あまりにもイレギュラーな宣告だった。 普通なら7年、または特殊な宣告であっても1年。 だが死亡断定は9カ月……この数字は、この数字はな、小梅…」

 

 

そして西住まほさんは、手のひらから血が流れるほど爪を食い込ませて堪えていた。

 

 

「母親が師範代としての立場に抗えた、とてつもなく短すぎる時間なんだ!」

 

 

彼女は叫ぶ。

今はこの場にいない肉親に対して。

 

 

「何故だ、何故!お母様は何故みほを救わない! 何が秘密捜索だ!! 何が西住流だ!! 娘が、愛する娘が苦しんだのに何故!全てを投げ捨てる覚悟を持って助けない!!」

 

 

私は何も言えない。

私は何も言う事が出来ないから。

 

 

「小梅!あいつは!あの母親はなぁ!!娘よりも西住の地位を取ったんだ!!師範代としての方針を曲げれないとくだらない理由で血の繋がってる娘を斬り捨てた! メディアやマスコミに嗅ぎ付けられる事に恐れていたから!小範囲で探す気もない秘密捜索で済ませたんだ!! あいつは!あの軟弱者はそうやって!そうやって娘をッッ!!」

 

「…」

 

「はぁ…はぁ…………結局は…西住流に絶望したエリカは怒り狂って、みほの失踪と西住流の失態をあちらこちらに広めたから慎重に進めた捜索も意味をなさなかった。 結果的に母は世間に無様な姿を晒し、西住流は本当の意味で堕ちた。 それが皮肉にも戦車道協会はみほの失踪に繋がったあの大会から、安全性についても厳重な組み直しが計画された。 ……ははは…行動が遅すぎるじゃないか」

 

 

怒りに染まっていたまほさんは落ち着きを取り戻すと力なく笑い始める。

 

 

「もうこれだけ言ったらあとは述べずとも分かると思うが、黒森峰の戦車道からはスポンサーも半数が去り、当然だが資金は急激に減った。 お陰で戦車道を続けるのも苦しくなった。 状況は荒れに荒れてしまい、メンバーもあの大会前の八割を失い、もうあの頃の黒森峰は無くなった」

 

 

私、赤星小梅も黒森峰の戦車道から去ったメンバーの中の一人だ。

 

あの大会で私が川に落ちなければこんな事にはならなかった。 親友を死に追いやった、そう思って私もまともな生活が送れなかった。 時に死のうかと思ったが、そんな私を逸見エリカさんが殴り飛ばし、私は止められた。

 

 

『友人の死を辿らないで。 そんなことしたら……あの子が助けた意味が無くなるでしょう?』

 

私はこの命を大事にしたいと思った。

だからそのまま"危険な戦車道"からも去った。

 

これについては戦車道を続ける逸見さんは何も言わなかった。 ただ「そう」とだけ言った。

 

 

 

「小梅、あの頃盛んに行われた戦車道は失われ、黒森峰戦車道は何もかも無くなった。 だがな? 無くなったからこそ、一からやり直せると考えた。 小梅、最初に言ったよな? 私は黒森峰を変えたいと。 もう高校生としての学生生活は残り半分だが、それでも、少しでも良いから黒森峰をやり直させるんだ。 そして西住流の跡を継いだら根本から全て何もかも塗り替える。 放ってはいけない、見て見ぬ振りはしてはならない。 その出来事に直面して苦しんだからこそ、母親として死んでしまった母の代わりに、私が動かないとならない」

 

 

グッと握りしめ、遠くを見つめる。

愛車であるパンターの装甲の上で決心する。

 

 

「血の繋がりを亡くした家族の一人として。 次期西住流の後継として、 "西住みほ"を『心から愛した』姉である"西住まほ"として、やらなければならない事なんだ」

 

 

先ほど怒りに染まり、苦しみに嘆いていた彼女の表情は無かった。 こちらにふわりと笑んで伝えた。

 

 

「それが戦車道を続けている理由だよ、赤星小梅」

 

 

 

 

 

混じりっけの無い彼女の決心を私は受け止めた。 その心はとても力強い、でも過酷なことには変わりない。 この先、いくつもの苦難が待ち受けているのは確かだ。

 

 

でも西住まほと言う人間は止まらなかった。

 

望む先にたどり着くまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一年後。

 

あの頃の騒動は落ち着き始めた。

 

その片隅で少しずつ建て直された黒森峰戦車道。

 

そこには堅実な姿勢を持つ『隊長』の姿……と思いきや、去年まで副隊長だった亡き人が兼ね備えていた柔軟な姿勢も持ち合わせながら黒森峰が全盛期だった頃の3割程度のチームメンバーを率いていた。

 

そんな黒森峰女学院は一年ぶりに戦車道大会に出場する。

 

不安の渦が巻き起こる中、黒森峰は戦いに身を投じた。

 

 

しかし

 

 

黒森峰はあの西住流の破綻を掲げず、仲間と共に助け合い戦った。 昔の黒森峰とは思えないほどの変貌に人々は目を疑う。

 

 

その結果、黒森峰は『準優勝』を飾る。

 

 

それは西住まほと呼ばれる人間の奔走によって得た大きな功績だった。

 

 

決勝戦を見に行った私、赤星小梅は思う。

 

 

西住まほが望む先が少し見えたのでは?

 

 

ただ、この準優勝が何のためになるかはわからない。 でも、西住まほの決心は行動に現れていた。 それがしっかりと結果に示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、見ているか? もう戦車道なんか見たくないかもしれないが、私はこの戦車道を……そして西住流を変えるぞ。 まぁこんな事してもなんとも思わないかもしれないけど、姉として二度とあんなことが起こらない様に頑張ってるぞ。 エリカも跡を継ぐように副隊長として頑張っている。

 

だから、ほんの少しだけで良い。

 

私の行く先を見守ってほしい………みほ」

 

 

 

 

 

 

ひとりの少女は妹の姿を胸に込め

 

闇深きこの世界に向かって戦い続ける。

 

 

 

たとえ

それが自己満足であっても

 

それが無意味であっても

 

それが間違いであっても

 

 

 

 

 

彼女は鉄と油の香りを被り続けて行く…

 

それが妹を救えなかった償いだと思いながら…

 

 

 




リアル疲れめう…

さてお久しぶりです。 てか久しぶりなので何書いたら良いか頭から吹っ飛んでましたら。 ちゃんと前回の話から繋がれたかな? 上手く書けてるだろうか…心配です。

さて、ガルパンの世界だから一年満たない死亡宣告とか有りかなと軽い気持ちでやらかした前話から今回の話では、熊本から引っ越して半年が経過したが元気過ごしていたみほのお話でした。
大きな麦わら帽子を被って軍手で汗を拭いながらやり甲斐を感じる元気な表情と、農業しやすいように布一枚の長袖を着るが世界遺産の山とはまた違う膨よかな山二つが布を分けていやらしく変えて盛り上がり、清んだ空気を肺いっぱいに貯めながら強い日差しで健康に日焼けながら、お気に入りのボコの鼻歌を歌いながらチョンチョンと鋏を片手に茶葉を剪定するみぽりん……滅茶滅茶可愛いなぁオイ!? って、感じにそんな妄想しながら今回の話を仕上げてました。


まほさんについては最後は少しだけ救った感じです。 黒森峰を立て直すために奮闘した空白期は当然酷く苦しみましたが、そこは文にはしませんでした。 準優勝だけどこんなご都合主義もええでしょう。

しほについては色んな意味で壊れました。 『師範代』が『母親』を喰らって『しほ』は死んだけど『西住』は生き残りました。 それだけです。 西住家の大黒柱である父親については書いたからキリがないのでノータッチ。 てか情報が少ない……

エリカは当然、西住のやり方に怒り狂って、みほを追い詰めて行方不明にした事を世間に知らせました。 黒森峰自体の首を締めることになりましたが、そうしなければエリカは友達が消えたことに耐えれなかったでしょう。 みほはこんなにも友達に思われてある意味幸せなんでしょうかね…



さて、あとがきダラダラはこのくらいにしまして。


次で終わりになるかもしれません(詐欺かもしれない)

期待されてるだろう作品が長く続くのは喜ばしいかもしれませんが、それでもスパッとケリをつけて終わらすのも良いと思ってます。


あと長い間待たせて本当に申し訳ありません。
久しぶりの筆記でクオリティ下がっていたのなら私の力不足です。
それほど高い実力あるわけじゃないので、悩ましいところです。


それと『評価の際の20文字設定』は取っ払いました。
いろんな真面目な声が聞けて大変うれしかったです。


あと、誤字脱字報告、ありがとうございます!!
クッソ情けない作者ですが、まだしばらくよろしくおねがいします。

ではまた


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実った

こんにちは、西住みほです。

 

いえ『西住』と言うのは違いますね。

もうあの苗字は捨てましたから。

 

今は別の苗字となり変わりました。

 

しかし変わったのは名前だけではありません。 歪んだあの世界を私を拾ってくれたあの人が変えてくれました。 今は澄んだ空気を肺にいっぱい詰め込みながら元気に茶畑でお仕事しています。 それと茶畑については私と親しいあの幸せ老人夫婦から一部を頂きました。 最初は困惑しましたが、今の歳では広すぎる畑を管理できるほど元気じゃないと言われ、私はその茶畑の一部を受け取ることしました。 このお茶を売りながらお小遣いを貯めています……ってのはもう五年前の話であり、今は幸せの家庭のために蓄えています。 でも彼の稼ぎは家計を支えるのに充分ですから、私が頑張ってお仕事する必要はありません。 でも茶葉を作るのは楽しいのでコレはやめようとも思いません。

 

もちろん茶葉弄り以外にもちょいちょいと他の趣味を開拓してます。 まず温泉巡りは生きてる中でのオアシスです。 あとのんびりとテレビを見ています。 その中でバレーは観ていて面白いです。 廃校寸前だったとある学園がバレーで全国大会に出場して廃校から逃れたストーリーは今でも覚えています。 ですが一年生であれだけ揺れるあの山はセコイと思います。 隣で一緒に観ていた彼もそのことを指摘していました。 つまり彼の視点はあの大きなお胸でしょう。 男性だからそれは仕方ないと思いますが…

 

腹たったので熱々のお茶を出してあげました。

苦いし、苦しめ。 「うげぇ!?あっつぅ!?」

 

 

あと山と言えば思い出しました。 一年に一回以上必ずやってる事があります。 それは世界遺産登録されてる山に登る事です。 とても楽しいです。 たまに彼も連れて行って頂上で記念撮影が一番の楽しみですね。 あ、これでも体力には自信がありますよ? 皮肉にも戦車道で鍛えられたからだと思います。 話を戻しましょう。 それでね、正直に言いますと熊本にいた頃の何倍も楽しくてたまらないです。

 

しかしほんっっっとに、戦車道をしてた頃のは私はどうかしてました。

 

流派に所属していたからだとか、母親の期待に応えなければならないとか、他所から指差される事に追われ、自分のやりたい何かを押し込めていました。

 

別に戦車道が悪いわけじゃないですが、頑張ろうにもあの環境が悪かった。 いま思えばあそこはどうにかしてます。 荒んだ心が落ち着いた数年前に芽生えてしまった殺意で言うならば狂ってるの一言です。 ちなみにこれは西住流家元に対しての感情です。 だが『狂ってる』と思えたのは戦車道から離れ、その世界とは何も関係無い人間の視点を得たからでしょう。 何というか……感覚麻痺でも起こしてたのかな? 私は相当危険な事をして、危険な目に合ってたんですね。 考えれば今でもゾッとします。

 

だから熊本から逃げて良かったと思ってます。

 

これについては反省も後悔もしてない。

 

まぁでも今の熊本は……いや、今の戦車道の世界は変わりました。 戦車道協会も私の失踪を引き金に戦車道の安全性について見直し、更にルールの再構成にも手をつけました。 ……遅すぎますね。 今頃何を言ってんだと世間は声を荒げてます。 これについては当然の結果です。

 

それよりも私の失踪から一年も満たない期間で死亡断定を下されたのは流石に茶畑を避けられませんでした。 もしかしなくとも西住流家元がそうさせたのでしょう。

 

 

でも今の私にとって戦車道は既に関係ない存在です。

 

 

だから私は彼の話をしましょう。

 

 

私が彼に拾われてからそれなりの年月が経ちました。 当時は依存していたと言われれば否定できませんが、そのくらいに追い込まれていた私は安全な居所を見つけ、そこに住まいました。 居心地も良く、私にとって最後の救いになりましたから感謝が尽きません。 それからあの騒動によって荒んでいた心が落ち着いた頃、私は当然戸籍や住民登録はどうなっていたのか気になりました。 この状態ではもし私がインフルエンザにかかった時に大変なことになるのは明らかであり不安でした。 でも彼は偽籍を作り上げ、私は西住の苗字が無くなりました。 そして表面は"孤児"として引き取られた形で落ち着きました。 ……まぁ、あの世界から逃げ、離れ、誰にも頼れなくなり、孤独を経て、そして倒れていた私は彼に拾い上げられたから孤児なのは多分間違ってはないでしょう。 突っ込みどころはありますが細けぇことはいいです。 話を戻しますが、偽籍を作るのは簡単ではありません。 かなりお金を払えば可能らしいですが、一年も掛けずに私の新たな戸籍を作り上げました。 これには流石に私も彼が何者か気になりました。 少しずつ調べた結果、まず彼は西住流と対立する【島田流】に一噛みしてる人間であることが判明しました。 広げて言うならば島田流の関係者です。 しかし戦車道に直接関わる事はせず、島田流の名を広めるためのお仕事をしていました。 例えばグッズや宣伝などを利用して世間全体に知ってもらえるように活動する人間です。 一見地味で必要性が薄く思えますが、元西住流の私としてはこの活動がどれだけ重要なのか理解しています。 何がどうとか色々と説明を省きますが、結論からするとまずスポンサーなどについてもらうことが大事です。 例え有名な流派だろうが、そうじゃなかろうが、その組織が活動するにはまずお金が必要ですからその発生源を確保するのは大事です。 さて、その方向から島田流を支える彼は九州で役目を終えると次の勤務先へ移動を命じられ、熊本から離れました。

 

 

その時に私が拾い上げられた感じです。

 

 

それから彼は島田流に『ミリタリーのジャケットを着た女性を拾った』と報告しました。 連絡先の島田流と情報を交換しながら彼が拾った子供は西住流の娘である事を知ると、しばらく様子見を命じられる。 そしてそれほど時間が経たないうちに後に次は"保護"を義務付けられました。

 

西住流に"報告"するのでは無く"保護"してあげるように島田流が命じたのです。

 

 

 

『いま西住流を含んだ戦車道は良くない状態です。 その子が回復するまでは絶対に世間に晒してはなりません』

 

 

 

彼は命じられるままに私をしばらく側に置き、ある程度回復するまで保護に働きました。

 

 

『もしその子が元の場所に戻ると言うなら止めずに放ちなさい。 そしてその子とは二度と関わら無いように何も言わず、あなたは熊本から去りなさい』

 

 

とても寂しい話になるがそれは島田流家元直々の判断であり、何か意味があってのことなんだと思ってます。 理由は幾らか思いつきますが私のせいで彼の動きを制限されるような事を島田流は嫌がったからこのように話したと考えてます。

 

正直それは仕方ない事です。

 

ですが彼は熊本から移動する日が間近に迫って来た時、わざわざ私に『引っ越す』と言い『熊本から離れる』と加えて『あとは君がどうするかだ』と告げました。 この時『出て行け』とも『置いていく』とも言わずに『私がこの先どうするか』を委ねました。

 

 

私は"元の場所"を考えました。

 

 

思い浮かぶのは決勝戦…

 

だが次の瞬間、不意に吐き気が伴い、あの出来事がフラッシュバックする。 脳が涙を流させ、苦しみを紛らわそうとする。 激しく鼓動する心拍数はこれ以上思い出してはならないと警告していた。

 

これ以上は苦しみたくない。

ここじゃないどこかに逃げたい。

何もかも投げ捨ててしまいたい。

 

 

私はなりふり構わず縋る気持ちでお願いした。

 

 

 

 

『私を連れて行ってくださいッッ!』

 

 

 

必死な声と目で訴えると彼は『わかった』と短く頷いてくれた。 その後、ホッとした私は不安と緊張の糸が切れ、いつもより早く眠り込んだ。 そのタイミングで彼は島田流に連絡して『この子を連れて行きます』と言い、了承を得ました。 お陰で私は行方を眩ましながら熊本から逃げることが出来たのです。

 

それから私は偽籍も手に入れました。 短時間で作成された私の新たな住民票。 これも島田流の力を借りたからこそ彼は用意出来たのです。

 

 

だからこそ気になりました。

 

 

なぜ私にそこまでしてくれるのか?

 

 

当然の疑問を抱きながら私は聞きました。

 

 

救われてから数年越し。

島田流家元である本人に電話をしたのです。

 

突然の電話は失礼でしたが大して怒ることもありませんでした。

 

そして

 

返って来た答えはこうでした。

 

 

 

 

『戦車道で掲げて来た礼節を潰した西住流を見切ったからです』と、冷たく言い放ちました。

 

『ちょうど良いでしょう。 もう戦車道界の流派とは関係ないあなたになったからこそ教えましょう』と、聞くことが許されました。 普通の口調でしたが何処か嘲笑う感情が伺えました。 それは残念そうにも聞こえました。 そしてこれは何に対しての感情なのか察しましたが私はノータッチで耳を傾けました。

 

『戦車道は礼節のある、淑やかで慎ましく、凛々しい婦女子を育成することを目指した武芸とされています。 ご存知ですよね? 色々と戦車道の理念に反してる人間もいますが、どう受け取るかは人それぞれ。 ですが私はこの武道は素晴らしいものと捉えています。 しかしそれをあの人は理念に反するどころか、無惨に壊してしまいました。 許されざる行為に私はひどく悲しみましたし、その分怒りで溢れています。 そして、あの人と同じ世界に立ち会う者として残念極まりない気持ちでいっぱいでした……』

 

 

本当に、本当に、残念そうに言っていました…

 

電話越しからいろんな感情が見え隠れする島田流家元は一旦会話を止め、一呼吸置いて落ち着きます。 それほどに怒りが伴っていたのだと思います。

 

 

『西住流が地に堕ちたそんな中、あなたがあの人に保護された事を聞いたときは驚きました。 そしてとりあえずそのまま面倒を見ることにさせました。 なにせこれは一つのチャンスだと思ったのですから』

 

 

この意味は考えれば簡単でした。

 

世間から西住みほを消したままにすれば、後に周りの人々が西住流が『この世から消した』と騒ぎ出す展開を想定していた。 実際に私と同学年のあの人がこの事実を明かしてしまい、結果的に西住流は立場を大きく失った。 島田流家元の予想通りに事は進み、西住流は批難され、苦しみ続けることになっていった。

 

『本音を言えば、こうする事で西住流に対しての報いになると思ったからです』

 

 

報いが終わった今も島田流家元は思い出す様に冷たく言い放ちました。 裁かれるところに、裁きが下されるのを望み、たまたま拾った私を利用する形で西住流を鉄槌を下す。 誰に頼まれた訳でもないが、それは島田流家元も第三者の目として、戦車道の世界に関わる重要人として西住流に怒りを持ったからそう行動した。 ただそれだけ。 たまたま拾い上げた私を利用した、それだけなんです。

 

 

『ですが私があなたを利用したのは確かです。 善悪を決めるなら悪に近い話ですが……戦車道界の事を考えると致し方ない犠牲と考えて踏み切りました。 何せ私も西住流と同じ流派を背負う者であり、首を傾げる選択技だって選ぶ事を躊躇いません』

 

 

島田流家元もほんの少し負い目を感じていましたが『間違った選択はしたつもりはない』と割り切りました。 大きな組織を持つ者として歩み、私は分からないことは無いです(※?)。

 

だって西住流家元もまた、私を緩衝地帯として扱う選択技を躊躇無く選び取ったのですから。

 

だから島田流も私を利用する選択肢も迷うことなく選んだのでしょう。

 

 

 

でもね?

 

 

今の私からしたら利用されたなどはどうでもいい事です。

 

 

利用され過ぎてる人生なのはなんとも言い難いですが、私はむしろ今を考えます。 これは彼に教わったこと。

 

彼に拾われ、今はこんなにも幸せなんです。

 

問題はありません。

 

だから私は気にしていませんでした。

 

そんな風に裏で扱われてたとは知りもしなかったけど、私にとって悪い事じゃありませんから。

 

 

『いま戦車道は見直され、過去よりは比較的安全な形で競技が行われるでしょう。 人を討つために戦争で扱われていた兵器を扱う時点で可笑しな話ですが、不可能ではありません。 肉を裂き、命を刈り取る劔だって剣道やフェンシングに形を変え、生命の奪い合いを無くしましたから。 と、まぁ、かくいう私も可愛い娘に戦車道をやらせていますのでそこら辺は西住流と変わりませんけどね………ですが私はーーー』

 

 

『島田"流"だからですよね?』

 

 

 

それ以上の長い話は終え、最後に『元兵士よ、あとは幸せになりなさい』と変に格好つけたセリフを残した島田流家元は通話を終えました。

 

改めて流派は大変だと考えました。

後継は必要不可欠ですから。

 

 

でもね?

 

正直言うと面倒くさいですね、コレ。

 

 

青春時代を殺してまで苦労しなければならない子供は大変です。 そこに生まれたら不幸と思われても仕方ないでしょう。

 

ですが人の上に立つ人間は必要です。

 

そのための人間は育てられなければならないから、間違ってるとは言えません。 ですがそこに生まれなければもっと楽しい世界があった筈だと考えました。 それは私の性格故かも知れませんが……………いえ、もうこの話は止めにしましょう。

 

ここから先は希望論と結果論の渦。

 

必要ない思考です。

 

どうせ考えるなら此の先にある楽しい将来。

 

さっきも言いましたが、私は彼の元でそう学びましたから。

 

 

 

あ、そうです。

 

学ぶと言えば合格した高卒認定試験もそうですが、過去数年前の何倍も上達した料理の話です。 実はココに引っ越してからそれほど時間が経ってない時期ですが、とても良い人に出会いました。

 

その人は料理が盛んな学校に通っているのでとてもお上手です。

 

その方はグルグルのツインテールが印象的でした。

 

その方からお料理を学びました。

 

まず最初に学園艦の母港で出会いました。

 

その方はアンツィオ高校と言われる学園に通っており、学園艦は静岡の母港を使っています。 その時の私は静岡の温泉巡りにハマっていました。 あ、今も好きですよ? それでたまたまその方と出会いました。 そして西住みほである事がバレました。 あれだけ警戒してたのにこれです。 私のドジさ加減に呆れながらも、見つかったことに恐れていましたがその不安はすぐに拭われました。 理由は彼女に物凄く心配されたからです。 彼女はすごく他人思いな方で、肩を揺らし、初対面にも関わらずほっぺをペタペタとして間近で安否を確認してました。 この行動はアンツィオ高校特有なのかはわかりませんが安斎さんは自分の事のように泣いてくれました。

 

それから幸せ老人夫婦の如く、これまでのことを聞き、西住みほが静岡で生きてる事を黙って貰いました。 拾った彼については少し警戒しましたが、彼の事を話すと恋愛小説が好きな彼女は『王子様って奴か!』と言って茶化してきました。 1回目の対面でも彼女の親しみやすさに時間を奪われながら楽しく話を弾ませました。 そこから交流が続き、たまに遊んでいます。 本当に良い人です。 後輩を筆頭に皆から愛される事がよくわかる人間でした。

 

たまに私が収穫した緑茶を味見して貰ったりと良き関係は今も続いてます。

 

そのうち先の未来、お互いに命を育んだ子供を会わせてみたいです。

 

 

え? 子供ですか?

 

作る気満々ですよ。

 

え? お相手?

 

そりゃ当然彼以外いませんね。

 

 

でも今は彼と同じ苗字になってますからある意味結ばれてるようなものですよね。でも本当の意味でしっかりと結ばれたいです。

 

 

もっともっと私を幸せにしてください。

 

 

いつの日か指輪が装填される時が巡るまで…

 

 

 

 

「私は待ってますから」

 

 

「どうした当然?」

 

 

「いえ、なんでもないです。 ……それよりも私は一つ考えました、あなたにお返しできる人生の中で最大の"虐待"を」

 

 

「!! …………くっくっ、どんな虐待かな?」

 

 

 

時折彼が見せる口元ギラギラとした笑み。

 

それは私にしか見えない嬉しい笑み。

 

 

 

「それはですね…」

 

 

 

 

そんな彼に私もニコニコと笑みを浮かべる。

 

 

 

 

「これから先、死ぬまであなたのお側に寄添い続ける事です。 だからあなたは、此の先、永遠と、止める事なく、死ぬまで、私に、残酷極まりない、虐待の人生を私に施し続けなければならない…そんな最大の虐待をあなたにプレゼントしますね」

 

 

 

言い切った私はどんな顔をしてるかな?

 

 

普通の笑顔をしてるのかな?

 

 

もしくは悪い顔をしてるかな?

 

 

または彼のように口元がギラギラとしてるかな?

 

 

この時どんな表情で話していたのかわからないけど、人生最大の宣戦布告、不可侵条約すら存在しない永遠の虐待、逃げることも許されない人生だ。

 

 

だけど目の前の彼は今、ものすごく笑いながら震えていました。

 

 

ふふ、良い震えです。

 

 

笑いが出るほど震えが止まらないんでしょう。

 

 

だからこの虐待は私の勝ちです。

 

 

でもね?

 

まだまだこれからです。

 

 

足りません。

 

 

もっともっとください。

 

 

 

彼から刻まれる『虐待 / 幸福 』の傷跡を沢山…

 

 

 

 

「えへへ」

 

 

「くっくっく」

 

 

 

 

そう思うとこれからも楽しみで仕方ない。

 

 

 

 

 

おわり

 

 




はい、これにて本編は終了します。

なんども言いますが、こんな感じの小説はめちゃくちゃ大変ですね。 今まで脳みそパーにして勢いで書いてたオリ主系なんかよりも苦労しましたが、書き終えたこの小説を見て『ああ、これは良い』と思いました。

ありがとうネコ虐待コピペ。
あなたスゲー良いツンデレだよ。


さて、書いてて思ったことがまず【島田流】の事ですね。 話の中で島田流を扱いましたが便利な存在ですね。 『主人公は島田流と繋がってる』なんて強力なネットワークの設定を持ってきて正直「やっちまった…」と思いました。

学生が大砲ぶっ放して合法なガルパンの世界だから死亡断定が一年未満とか、戸籍は簡単に作れるだろうとか、御都合主義なんだろうやり方に対し、知識浅い自分からすると島田流の単語は救いでしたね。 ……未熟過ぎません? なんかごめんね。

もっともっと頑張れたら良いけど

これは『西住みほが戦車道の世界から姿を消した先で残酷極まりない虐待で幸せになる』の内容で「あぁ〜^」ってなるだけの話だからあまり気にしないでくれると助かる。

まぁそれでも最大の後悔と言ったら主人公が【オルガ】疑惑広める事でしょう(汗)

感想欄を舐めてたわ…
おそらく小説の中でこれが一番の反省だよね?

もう勝手にしてくれ
これについては自分が悪いです。


あと誤字と脱字。
そして適正な文章と単語の修正。
大変ありがとうございます。
感謝してます。 本当に助かりました。


さて、ここまで反省点を話しましたが

いかがだったかな?

多少打ち切りエンドっぽいけどこれ以上本編を書く必要無いと思いました。

続編望まれる声もありますが自分としてはこの形が良いと思ってます。 そりゃ当然、まほやエリカ、元凶のしほはどうなったか気になりますが、これはみほと虐待主をメインにした話なので裏側は勘弁してください。 まぁ、後継のまほさんが頑張ってるから西住流は地に堕ちたけどそのうち取り戻すかもね? 島田流家元も「堕ちた」と言ったが「滅びた」とは一言も言ってないからね? エリカはまほさんの助けになってると思います。 その内どこかで幸せに虐待受けてるみほを見かけたりしてね?

しほさんはしほりました、以上。 舞台から降りた人間にスポットライトを当てるほど私は優しく無い(ここワラキア風)


ともまぁ、残りのツッコミ所はそれぞれの脳内で保管してください。 それが一番です。


では


これにて本編『は』終了します。


ではまた。


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本編とは無関係な世界であることを覚悟の上で ← ここ重要
被った


 

 

 

緑豊かに包まれた自然を眺めながら私は学園の屋上で黄昏る。 ここは少し北の方だから肌寒い空気が常に体へ吹き付ける。 それにいま着てる格好だけでは少しだけやはり寒さは凌げないようだ。 長袖なんだけど防寒着ではない。

 

でも一番日の当たる場所だから、何もない放課後はこの場所で過ごすのが好きだ。

 

もちろんここまで連れて来てくれた彼と過ごすのもありだが生憎今日はお仕事であり、共に過ごすことはできない。

 

別に新たな学園で友達が出来なく、一人で寂しく過ごしてる訳でもない。 でもたまには一人でボーっとしていることが何気なく楽しい。

 

でも本当は彼とコタツで引っ付いていたい。

 

 

 

「ふぁ〜」

 

 

 

私は呑気に欠伸をする。 黒森峰にいた頃とは比べものにならないほど私はこの場所でノンビリしながらポケ〜としていた。

 

この場所に連れてきた彼が言ったが、ここはのしかかるモノも、縛られるモノも、追われるモノも無いところ。 特に生徒の自由意志が尊重される学園だと聞いた。 まぁ一部の生徒がサバイバル生活をしているのはなんとも言えないが、自然豊かなこの地で解放的に生きていける不思議な場所だ。 でもこれらは良き経験となって人を育てている。 そんな私もたまに友達とサバイバルしてるけどかなり楽しい。 昔はよくお外でやんちゃしていたから外の環境に慣れているので「みほちゃん素質あるよ!」と褒められた事もある。

 

そ、そこは女性としてどうなんだろう?

 

だけど、黒森峰時代よりもたしかに私は充実していた。 生活における恵は豊富じゃ無いが、あの場所よりも私は生きていた。 使命感に追われる事なく、重圧に苦しむ事もなく、自由であった。

 

そしてココで生きる生徒たちも豊かだ。

 

最初はまだ学校に行くことに困り、怯えと恐怖を持ち込みながらここの生徒と出会ったが何も恐れることが無かった。 更に言えば西住流の西住みほが現れても「大変だったね!?」「大丈夫だったの!?」「みほちゃんは悪くないよ!」と心配される始末だった。

 

 

黒森峰とは全く持って正反対の声と視線…

 

 

心が大らかな人々に出会い私は大泣きした。

 

 

ココに連れてきた彼以外にも、私を理解してくれる者がいる世界を教えてくれた。 ココはそんな生徒さん達で溢れていた。 それから私は再び学園に通える生徒として青春時代を捨てないで生きることができた。

 

そしてあれから一年前くらいにパーキングエリアで彼に言われた事を有言実行する。 辛い記憶を塗り替えれる何かをこの場所で探し、私にとって幸せと楽しい記憶で埋めてくれる何かを探した。

 

それは今も続いている。

 

 

 

「……あ、もうこんな時間か」

 

 

 

私は入学祝いに彼から貰った腕時計を確認するともうすぐいつもの時間が始まる事を確認した。 なので私はとある武道の履修生としてグラウンドに向かう。

 

 

 

「皆さん早いですね」

 

 

 

最近やっと取り付けられた屋根のある収納庫に足を運ぶと既に仲間が沢山集まっていた。 ココの生徒は基本自由だから部活もサボる人は珍しくないが、一部の武道は盛んに活動しており、私が通うこの武道も力が込められていた。

 

 

 

「あ、みほちゃん!」

 

 

「はい、さっきぶりですね」

 

 

「おいおい、副隊長が先に来て隊長はまだかよ」

 

 

「まぁまぁ、あの方はそのうち現れますよ。 とりあえずいつも通りに始めましょう」

 

 

「「「はーい」」」

 

 

「みほちゃんの方がよっぽど隊長らしいぜ」

 

 

「もう、思ってもそんな事は言わないの」

 

 

 

赤毛の少女の呟きに付き合う少女達と共に私は収納庫に入った。 すると中には既に一人の女性が座っていた。

 

 

 

「さーて、誰が副隊長よりも遅れてるかな?」

 

 

「なんだ、いたのかよ」

 

 

 

先ほどの悪口を言った赤毛の少女は特に悪びれる事もなく女性とすれ違い、そのまま準備に取り掛かった。

 

 

 

「今日も寒いですね」

 

 

「そうかな? いつも通りだよ」

 

 

 

そのセリフを言えるのはあなたがサバイバルに慣れてるからだと思います。 正直に言うとジャージ姿は防寒着にならないから寒くて敵わないです。

 

 

 

「さて、もうすぐ大会だ。 今までココは副隊長を作らずにやって来たが今年から副隊長の地位を導入した新たな試みだ。 しっかりと連携して行くよ」

 

 

「「「はい」」」

 

 

 

エンジンが起動した音が収納庫に響き渡る。

 

苦痛なき自由な練習の始まりだ。

 

 

 

「副隊長、IV号戦車出ます」

 

 

「はい、わかりました」

 

 

 

私は黒森峰時代に名残あるドイツ戦車に乗り込み、車長のポジションに着いた。 冷たい装甲に触れながら今回の練習を開始する。 もうすぐ大会だからしっかりと練度を上げ、チームを磨いていかなければならない。

 

 

 

「じゃあ今回の模擬戦も昨日と同じようにしようぜ。 同じように元流派から飛び出した同士でな」

 

 

「それはいい案だけど、元流派をネタにして話すのは感心ならないかな。 みほもそう思わないかい?」

 

 

「え? あー、そうですね……でも私は気にしませんよ? だって西住流とはもう関係無い人間ですから。 だから世間ではそのまま死亡扱いで、どうぞ」

 

 

「おいおい、一年前とは違って逞しくなったな副隊長。 この学園に汚染されたか?」

 

 

「ふふ、柔軟になったとだけ伝えときますね」

 

 

「にっしし! そうかいそうかい!」

 

 

「さぁミッコ、お喋りはそこまでだ。 大会も近いからな」

 

 

「りょーかい」

 

 

 

赤毛の少女、またミッコと言う名の女の子に「今日も頑張ろうぜ」と肩を叩かれて。その前を横切ると愛車のBT-42に乗車した。 私もIV号戦車に乗り込もうと動き出すとタレ目で優しそうな雰囲気を持つ女の子が話しかけてきた。

 

 

 

「またミッコが変なこと言わなかった? もしなんか言われたら私が注意しとくから!」

 

 

「大丈夫ですよ、アキさん」

 

 

「本当に?」

 

 

「はい。 むしろミッコの性格があるから助かってると言うか……な?」

 

 

「そう? でもなんか行き過ぎた事されたり、厄介に思ったら遠慮無く言うんだよ! 私はみほちゃんの味方だからね!」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「じゃ! 模擬戦頑張ろう!」

 

 

「はい」

 

 

 

そう言うとタレ目の女の子、またアキと言う名の持つ女の子はミッコさんと同じBT-42の戦車まで乗車に向かった。

 

 

 

「……ふふ」

 

 

「どうしたんだい?」

 

 

 

私の微笑みを聞いた隊長が尋ねる。

 

 

 

 

「え? いや……ただ、気がとても楽だなって思いました」

 

 

「ああ、それはいい事だ。 息を詰められた状態では素晴らしさを忘れさせてしまう。 魅力も感じなければ有り難さも得れない。 戦車道は人生で大切な事を教えてくれる世界だ、それを周りの手によって濁されてはたまったもんじゃ無いからね」

 

 

「ええ、そう思います。 だから私は決めました、隊長」

 

 

「何をだい?」

 

 

「私の今を持って次の高校戦車道大会で優勝を目指したいです。 これは家元に言われたからじゃないです。 背負わされた使命だからじゃ無いです。 私自身が心の奥底から得たいと思ったワガママです。 私は求めます。 この継続高校と共に私は表彰台で旗を掲げたいって」

 

 

「…………君は変わったね……いや、変わりすぎた。 でも良い方向に剥けたと言うべきかな? だからその意思はここまで連れてきた彼に対する大きな恩返しとなって喜んでくれる」

 

 

「はい」

 

 

「でも少し甘いかな、みほ」

 

 

「え?」

 

 

「私はね、彼がもっともっと嬉しがる方法を知ってるんだよ」

 

 

「!?」

 

 

「今の黒森峰は半壊したけど、おそらく次の大会も出場するだろう。 もしトーナメントで戦うことになったらこう考えて臨むと良い」

 

 

「な、何をですか?」

 

 

「残酷極まりない虐待を施してやる……ってね」

 

 

「!!」

 

 

 

 

そう言うと隊長は自分が被っていたチューリップハットを私の頭に被せました。 少しあったかい。

 

 

 

「今日からそれを被ると良い。 一応、みほって事は隠す必要がある。 ……それに」

 

 

「?」

 

 

「私は来年卒業だ。 だから私の今の偽名を引き継いで欲しい、そう考えてるよ」

 

 

「え! そ、それは!?」

 

 

「この名前は私の先輩から貰い受けたんだ。 私も君と同じように、自由を得ながらこの学園で生きる先輩の存在によって変えてくれたからね。 だから先輩の私は、後輩のみほに私がいま持つこの偽名を与えるよ。 勝手にね」

 

 

「ふええ!? ほ、本当に勝手ですよ!」

 

 

「その疑問に意味があるとは思えない」

 

 

「な、何でですか!?」

 

 

「そりゃ、ここはそう言う学園だからね。 それでも首を傾げるなら君もまだまだ継続高校を理解仕切れてない様だ」

 

 

「なっ」

 

 

「でも、いつか君が『ミカ』って名前を名乗れる日が来た時、それはここの素晴らしさを本当に本当に味わった時だね……まだ少し先になりそうだけど」

 

 

「!」

 

 

 

それだけ言うと隊長はBT-42まで歩いて行った。

 

すると隊長はなにかを思ったかの様にこちらに振り向く。

 

 

 

「私も目指すなら君と同じ優勝だ。 だから皆を率いる隊長として副隊長に遅れを取りたいとは思わないよ。 こう見えて……私は負けず嫌いな人間だからね」

 

 

 

「!」

 

 

 

グラウンドに舞い込んだ風に靡く髪の毛を払いながら好戦的な笑みで私を睨む。

 

 

 

 

「かかってこい、相手になってやる」

 

 

 

 

いつもとは違う雰囲気を持って隊長は言いました。 だけどいつもの隊長はあんな感じではありません。 もしかしたらアレが本当の隊長なのでしょうか? でもこうして素顔を晒したと言う事になるなら、それは私に期待してるからだと思います。

 

 

 

「……」

 

 

 

今被っているチューリップハットはなぜかとても重く感じますが、それはまだ私が彼女に受け渡された偽名に似合う程の人間になれないからだと勝手に納得する。 とりあえず吹き付ける風が寒いので私は仲間の待つIV号戦車に乗り込みました。

 

 

 

 

 

「みなさん!」

 

 

「「「は、はい!」」」

 

 

 

 

IV号戦車の中で共に戦う仲間に一言かけると反応してくれました。 チューリップハットを被ってる私の姿に少し不思議がってますが私は言葉を続けました。

 

 

 

 

「少し前の事なんですが、私のお弁当のおかずを隊長が盗み食いしました。 彼が作った手作りをです。 許せません。 なのでこの模擬戦で捻り潰してあげましょう」

 

 

「え、えええ!?」

「ふ、副隊長??」

「あ、あのぉー?」

 

 

「………なんて、冗談ですよ、ふふふ。 いつもと同じ様に怪我なく頑張りましょう」

 

 

「は、はい」

「か、変わったねー」

「う、うん、そうだね」

 

 

「では、みなさん! パンツァー、フォー!」

 

 

 

私の掛け声を聞いた仲間は一斉に動き始める。

 

私はまたこうして戦車道の世界に戻りましたが、それはあの場所だから拒絶反応を起こしてたようなものです。 本当の楽しさと、素晴らしさと、魅力を、私に見合った形で得た時また戦車に乗りたいと思いました。

 

でもたまにあの時の事を思い出します。

 

だけどココに来て立ち向かう事を決めた私はまた鉄の塊で戦う事を選びました。 彼は反対する事もなく『頑張って』と応援してくれました。 黒森峰と対戦することになったら仕返しすると調子に乗って言ったら『素晴らしい虐待だ』と変な褒め方をしてくれました。 まぁ黒森峰には本当に色々と恨みがあります。 ボコのグッズや上靴をゴミ箱に捨てたりと虐めもあったからぶっちゃけそこまであの学園は好きじゃない。

 

結果的に私をそんな世界で苦しめてくれたことには変わりないから半壊してようが関係ありません。 完膚なきまでに叩き潰します。 今なら消炭流になれそうかな?

 

 

 

「敵の車輌を見つけました!」

 

 

「わかりました、そのまま偵察を続けてください」

 

 

 

隊長の話を聞く限り彼女も元流派に所属していた人です。 しかも西住流と強く対立してるあの流派だから油断なりません。 しっかりとあの人を理解して、私達は挑まなければなりません。

 

 

 

「……ふふ、あははは」

 

 

 

「ふ、副隊長??」

「このまま副隊長が『たのしー』とか言いだしたらどうする?」

「あれだ、ええと、消炭のフレンズだ」

「そりゃもうドッタンバッタン大騒ぎだね」

 

 

 

 

 

ここまで好戦的に笑んだのいつ以来か…

 

もしくは初めてなのか…

 

 

いや、『今の私』がどうなのかと問いかけたらこの笑みは初めてだと思う。

 

 

だってボコの新グッズを見つけた時以上に心が弾んでいるのだから。

 

 

『昔の私』からしたらもうありえない事なのかもしれない。 またこうして笑った事はあっても忘れてしまったのかもしれない。

 

 

だから新たに笑い飛ばす。

 

この戦車道で。

 

 

そして、この気持ちをまず一番にぶつける相手はやはり隊長しかありません。

 

絶対に……私は負けませんからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、何を話したの?」

 

 

「偽名がどうちゃらって話してたぜ」

 

 

「そうなの? でも名乗らないって言われたらどうする?」

 

 

「その時はその時さ。 でも私はね」

 

 

「「??」」

 

 

「彼女の判断を信じるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石川県の母港から旅立った学園艦の上で一人の少女が戦車道の世界で再び身を投じた。

 

今は背負う使命感も無く、自分の戦車道を繰り広げることが出来る。

 

そのかわり受け渡されたチューリップハットは違う重さを感じた。

 

だがその重さは苦しくのしかかるモノではなく、背負いたい暖かみがあった。

 

 

後に名乗ることになるだろう偽名を勝手に託されながらも元流派の少女はチューリップハットを被ってこの場所で自由を育むだろう。

 

 

そして

 

 

あの彼女と同じようにこのチューリップハットと偽名を誰かに託す時が来るのか、それはまだわからない将来の話だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、継続高校に。 私はミカと呼ばれてるものだよ。 え? 西住みほって人物に似てるって? さて、それはどうかな? ……でも、私はこう思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その質問に意味があるとは思えないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 おわり 〜

 

 

 

 

 






はい、これにて番外編によるifルートは以上です。


もし継続高校に行ったらどうなるか? ってことにしましたが、ぶっちゃけこの話は『戦車道の世界にもう一度戻ったみほ』って話です。 なのでこれは継続高校じゃなくても出来た話でしょう。 アンツィオだって、プラウダだって、サンダースだって、人々の接し方や環境が違ってももう一度戦車道をやり出せる可能性は充分にあります。

それにこの話に虐待の要素は無いのでタイトル詐欺もいい所。
蛇足ですよ、蛇足。

でも継続高校にした理由はちゃんとある。

まず細かいことは気にしなさそうな学園だから。 熊本からかなり離れてるから。 堅苦しい空気を投げ捨てた場所だから。 心荒んだみほにとって継続組は良き存在だと思ったから。IV号戦車があるから。

そしてこれは二次設定だけど島田流説あるミカと同じ流派の世界を味わった同士で戦車道で組んで欲しいから。 大学生のパーシング三輌を討てる島田流ミカと柔軟に仲間を率いる軍神の西住流みほの最強コンビ……あれ? コレって敵はいるのかな?


まぁそんな感じです。
だからこの番外編で期待と違ってガッカリ来たらごめんなさい。

でもこれ本編じゃないから割り切ってください。
本編なら静岡で幸せに虐待主と暮らしてます。
そんで寝込み襲って夜の虐待をしてます。 みほが。

とりあえずこの番外編は『こんな西住みほ』もあり得たかもしれないって事で書きました。 納得が行かなくても、たかが2次創作だからあまり気にしないでほしいです。



ちなみにタイトルの『被った』はみほがチューリップハットを受け取って【ミカ】になったからです。 ただそれだけ。



とりあえず数日後に予定してる
もう一つの話(爆弾)を置いたら終わりにします。

ではまた。


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希った

エイプリルフールだから許されると思って投稿を決めた。

反省してる。 すこしだけ後悔してる。




どうも西住みほです。

現在の移動を終えました。

 

そして大きな大きな物体の上で海を掻き分けています。

 

察しの良い方は分かると思いますが私は今、学園艦にいます。

 

この学園艦が私の新たな住まい先となります。

 

学生ではありませんが学園艦に住まうのは少しおかしいかも知れませんが「そこら辺は気にしてると面倒だ!」と言われました。

 

彼は何をする気でしょうか?

 

 

 

「ミホォ!ここが俺たち鉄華d…っと、違った。 ここが俺たちの新たな住まうべき場所だ!!」

 

 

「ここがですか?」

 

 

「そうだ!お前にとって新たな人生の始まりだ! 最初は見知らぬところで不安が多いかもしれないが心配いらねぇ! お前には俺がいる!! そして俺たちは止まらねぇ! もう新たなこの場所で止まることは許されねぇからよ!」

 

 

 

 

少しやかましいけど、力強い声は不安な私の心をすぐに拭った。

 

 

 

「しかし学園艦とやらはデカイなぁ、これ全て家にできたら……っと、そんなことしたら管理が面倒だぜ」

 

 

 

そんな冗談を言いながら引っ越し先の準備を済ませました。 新たに住まう場所は普通のアパートですが、窓から外を見渡すと緑いっぱいな世界でした。

 

 

 

「しかしここはやや寒いぜ。 やはり石川県は………おっ?アレはまさか?」

 

 

 

引っ越し業者と一緒に段ボールを運んでいたオルガは一台の戦車に目を向けました。

 

見たところ突撃砲の戦車です。 その戦車から声が聞こえるとハッチがガチャガチャと音を立て、誰かが出てきました。

 

空色と白色の縦ラインが入ったニット帽(?)らしき被り物を被った女性が現れました。

 

 

 

「おや? オルガじゃないか」

 

 

「ミカァ!」

 

 

 

どうやら彼女はミカと言う名前のようです。 すると強い風が吹き、ミカさんのニット帽が風に流され私の元に飛んできました。 ふらりと受け止めると視線は私の方に集められました。

 

ニット帽(?)の持ち主は柔らかく笑みを浮かべながら話しかけてきました。

 

 

 

「君は………」

 

 

 

ミカさんは戦車から降りる私の目を見てこう言います。

 

 

 

 

 

「オルガに拉致されたのかな?」

 

 

「ふぇぇ!?ち、違いますよ!?」

 

 

「おい!ミカァ!」

 

 

「冗談だよ、そう怒らなくて良い」

 

 

「ったく…」

 

 

「ええと…あ、あの、これ」

 

 

「ん、チューリップハットを受け止めてくれたんだね、ありがとう」

 

 

 

ミカさんにチューリップハットって名前の帽子を渡す帽子を手でパンパンと払います。

 

 

 

「私は継続高校の生徒でミカと呼ばれてる者さ。 君のお名前を教えてくれるかな?」

 

 

「に、西住……みほです」

 

 

「!!……そう、みほちゃんか」

 

 

 

そしてホコリかなにかを払い終えたチューリップハットを私の頭に被せてきました。 軽いはずなのにどこか重たさを感じました。

 

 

 

「ようこそ、西住みほ。 この学園艦では何にも囚われる必要はない場所さ。 ここで新たに作ると良い、……私のようにね」

 

 

 

何か意味深な言葉を込めて歓迎するミカさんはチューリップハットを私に被せたまま戦車に戻りました。

 

 

 

「アキ、今回はなにを手に入れたんだ?」

 

 

 

オルガはハッチから顔を出すひとりの少女に向かって問いかける。 それより『今回』ってのはどういう事だろう?

 

 

 

「じゃじゃーん!紅茶の茶葉だよ!」

 

「にっしし、今回マジノと演習してきてな、少しお零れを貰ってきたんだ。 まぁ、お腹を満たすものじゃ無いけどたまにはな?」

 

「エクレーヌの奴また胃薬だな…」

 

 

 

お零れ?

一体全体なんの話なのでしょう…

 

 

 

「アキ、ミッコ、まずは学校に戻るよ。 じゃあオルガ、明後日から君の腕が振るわれることを考えると学食が楽しみだよ」

 

 

「おいおいどこからその情報を得たんだ?」

 

 

「風と共に流れてきたのさ」

 

 

 

そう言ってミカさんは突撃砲の戦車に乗り込み、学校の奥へと去って行きました。

 

 

 

「ったく、どうせ妹さんの情報だろ? 家元も身内に対する情報保守の甘さにも困ったぜ」

 

 

「あの、オルガさん?学食ってのはつまり?」

 

 

「ああ、あいつらの高校で働くことになった。 それと俺に『さん付け』はいらねぇ! 団長、またはオルガと呼べ!」

 

 

 

そう言ってオルガは再びお引越しのお手伝いを始めました。

 

 

 

「……」

 

 

 

学園艦、学校……この二つはともかく先ほど目の前を通った『戦車』を見て震えそうになりました。 でも実際に震えそうになるだけで、恐れの感情は不思議とありませんでした。

 

私は戦車によって苦しい思いをしたのに吐き気やトラウマによる苦痛は一切湧き上がらないため奇妙な気持ちでした。

 

 

 

「……私もお引越しのお手伝いしないと」

 

 

 

せめて自分の分はまとめる必要があると考え、私は段ボールに手を出しました。

 

 

ベリベリベリベリ…

 

 

 

「? これは?」

 

 

「おお、ルプスのプラモデルはそっちの段ボールに詰めていたか」

 

 

「ルプス?」

 

 

「このおもちゃでミカの妹と遊んだことがあってな。 確かボコられクマ人形のベアッガイとルプスの戦争ごっこだった。 まぁこれは昔のことだ……いまはただの飾りさ」

「このおもちゃでミカの妹と遊んだことがあってな。 確かボコられクマ人形のベアッガイとルプスの戦争ごっこだった。 まぁこれは昔のことだ……いまはただの飾りさ」

 

 

オルガはルプスを手にとっていろんな方向から懐かしげに眺め始めました。 このままだと引越しの片付けを忘れそうですね。

 

 

 

「……ちなみにどちらがボコボコにされました?」

 

 

「はっ、そんなの答えは出てるだろ」

 

 

「ボコですね」

 

 

「ああ、ボコに決まってる」

 

 

「さすがボコです」

 

 

「ちなみにストーリーがちゃんとあってな、シーズン5までやったけか? まぁ決着はつかなかった数年前の話だ。 いずれ妹様とはつけないとな」

 

 

 

 

その後もオルガの思い出がいくつか段ボール箱から出てきました。 過去に起こった楽しみに触れながらもその日はお引越しで少し忙しく動き回りましたが、今でもチューリップハットを渡してくれた人とその仲間たちが気になっていました。

 

ですが戦車道に関わっている事になるとやはり踏み出せません。 いつしか気にする事のなくなる時が来れば良いのですが…

 

 

そう思いながらお昼は段ボールを片付け続けていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜…

 

外食に出かけるため、車に乗り出そうとすると…

 

 

 

「おいミカァ!」

 

 

「助手席が空いてたから」

 

「「オルガママ〜、ご飯奢って〜」」

 

 

 

なんか車の中が大変なことになっていました。 それより鍵はどうしたのでしょう?

 

 

 

「にっしし、鹵獲に慣れてるとこのくらいはねぇ」

 

 

 

ピッキング用の針金をミカさんのチューリップハットの中に仕舞おうとする赤毛の女の子は見なかった事にしました。 あと聞かなかった事にしました。

 

 

 

「ride on!」

 

 

 

オルガのよく分からない掛け声とともに乗車し、キーを回してエンジンをかけるとアクセルを蒸します。

 

すると車体は揺れ動き、赤毛の女の子の手元はミカさんのチューリップハットの中で狂ってしまい…

 

 

 

ブスッ

 

 

「はんぎゃぁ!?」

 

「あ、ごめんだぜ」

 

 

 

ミカさんが悲鳴をあげました。 どうやらピッキングの針が頭の中に刺さったようです。

 

痛そう(小並感)

 

 

 

「ミッコォ、ミカァの頭を開けても得しないぜ。 コイツの中身なんか覗いても俺たちにはどうせわからない」

 

 

「そりゃそうだな、ミカだし」

 

 

「うるさいよ、二人とも」

 

 

 

そして謎の三人組と共に出発しました。

 

 

それから外食に出かけましたが大盛りばかり頼まれ、テーブルがいっぱいになりました。 私は普通サイズです。 私と同じくらいの身長のアキさんやミッコさんも大盛りを頼んでいました。

 

 

するとミカさんはチューリップハットからタッパーを取り取り出し、お店の入れ放題な調味料を確保しようとしましたが、オルガに止められました。 三人の面倒見るオルガはどうやらオルガママって言葉が合いそうです。

 

 

 

「ミッコ? ビンに入ったらっきょう食べ過ぎだよ! あとお口の中大変じゃないの!?」

 

 

「サルミアッキに比べたら問題ないぜ」

 

 

 

 

軽くカオスですが賑やかな外食となりました。

 

 

 

さて、お店を出ると次はデザートをねだってきた三人の強欲さにオルガは折れます。 食後のお楽しみとばかりにコンビニに行きました。

 

アキとミッコは到着早々にコンビニに飛び出しました。 オルガもため息を吐きながらもやれやれと笑みを浮かべて後ろを追いかけます。

 

 

 

 

「変なとこ見せすぎたね、みほ」

 

 

「あ、ミカさん」

 

 

「オルガがいるとみんなオルガに甘えたくなるからね、ハメを外し過ぎたりするんだよ。 私もあの場所にいた頃は彼にワガママばかり言ったものさ。 ……彼は少しやかましかったけど、何も興味を持たなかった私に色々と教えてくれたから今の私が作れたくらいにね」

 

 

「ミカさんも、オルガによって救われたのですか?」

 

 

「そんな感じかな。 あと私はミカで良いよ」

 

 

「は、はい」

 

 

 

いきなり年上に対して呼び捨ては困りましたが『偽名だから』と言って気にするなと言われました。

 

するとミカさん……

 

いや、ミカは斬り込んできた。

 

 

 

「……君は、あの西住で良いのかな?」

 

 

「!!」

 

 

「そうか、そうなんだね」

 

 

「……はい」

 

 

「そう怯えなくて良い。 ここに来る子は大体そんな感じの子ばかりだから」

 

 

「え?」

 

 

「あ、全員が別にそういう訳じゃないけどね、何か訳ありを持ってる子は不思議とこの継続高校に集うのさ」

 

 

「そ、そうなんですか?」

 

 

 

 

嘘っぽく聞こえる話だけど、わたしは心の奥底から疑うような考えが何故か浮かびませんでした。 もしかしたらそうかも知れないから。

 

するとミカさん、何かに反応すると扉を少し開けて顔を出しました。 外を見るとコンビニの扉からミッコさんがこちらの様子を伺っていたからです。

 

 

 

「ミッコ、私とみほのはプリンにしてくれ。 少し話があるから車で待ってるよ」

 

 

「はいよ〜」

 

 

 

ミッコさんのアイコンタクト察したミカさんは仲間にデザートのデリバリーを頼み、車の扉を閉めました。

 

仲間との短い会話を終えたミカさんは食後の一服とばかりに気持ちよくカンテレを弾き始めます。

 

 

 

「継続高校は訳ありが集まると言ったけど、私もその一人なんだ」

 

 

「そ、そうなんですか?」

 

 

「うん。 訳ありについでなんだけどね、君とそれなりに似た理由によるかな」

 

 

「え…?」

 

 

「あ、でも、すこし違うかな? まぁ私の場合、嫌気がさして去ったと言うべきかな。 でも周りに強要された戦車道は嫌でね、正直流派とかどうでも良いよ。 後継とかクソ喰らえだ、ふざけんな」

 

 

「え? あの?」

 

 

 

急に最後の言葉が荒くなった感じのミカさんに困惑しているとカンテレの演奏が止まりました。

 

 

 

「ごめんね、今ミカである事を忘れて少し熱くなった。 ただ私は私の自由を求めるため一つの組織から抜け出したのさ。 この行いに母親がどうこう言おうが、関係者がどうゴチャゴチャ抜かそうが、将来を選ぶ権利は私にある。 だから私は強情に押し切ってこの学園艦にやってきた、そんなとこかな。 しかし組織という名の全体主義は面倒だね」

 

 

 

そう言い切ったミカさんの目には特に後悔はなく、家を飛び出してきたミカさんは堂々としていました。

 

 

 

「みほ、継続高校は自由意志を尊重する。 もしこの学校に興味を持って来てくれるならわたしは歓迎しよう、盛大にね」

 

 

「……」

 

 

 

 

わたしは『はい』とも言わなければ『いいえ』とも答えませんでした。

 

 

でもこの日から

 

 

少しずつこの学園の心地よさを感じてきました。

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

コンビニでデザートを食べ終えるとオルガはミカさんたちを寮の近くに連れて行き、彼女たちを降ろしました。 アキさんとミッコさんは夜にもかかわらず元気に手を振って、お見送りをしてくれました。

 

 

それから私はさりげなく助手席に座り込み、オルガの隣に座ります。

 

 

しかし食後の眠気が襲いかかってきました。 何か話さないと眠り込んでしまいそうです。

 

 

 

「あの、オルガ」

 

 

「どうした? なんだ?」

 

 

「……その」

 

 

「?」

 

 

「……いえ、なんでもありません」

 

 

「そうか」

 

 

「……」

 

 

 

私はミカさんのお誘いの言葉が頭の中で何度もリピートします。 継続高校は自由意志を尊重する……黒森峰とは大違いな環境です。 私はこの場所がすごく気になってしかたありませんでした。

 

私は世間から姿を眩まし、もう学園など通うこともやめようと考えてます。 大騒ぎになるのもありますが、私は学園と言う場所に恐怖感を持ち、踏み出すことができないからです。

 

それに学園に行かずとも勉強はできます。

 

青春時代は投げ捨て、必要な知識を得るだけの時間になりますが別に死ぬわけじゃありません。 私はそんな人生を受け入れる姿勢に入ってた……はずなのに。

 

 

 

「オルガ、継続高校ってどんな場所?」

 

 

「自由意志を尊重する学園……だな」

 

 

 

オルガは私の質問に考える時間を作らず言い切りました。 そしてオルガはミカさんと同じように『自由意志』と言葉を付け加えました。 それは私がいままで歩んできた黒森峰とは正反対な世界でした。

 

別に黒森峰が悪いとは言いません。

 

でも私の性格からしてもっと柔らかな環境で歩みたいものでした。 だから私は、継続高校に憧れを抱き始めました。

 

 

 

 

「あの学園はな、人生に必要なモノを教えてくれる」

 

 

「…え?」

 

 

「とても良い場所なのは確かだな」

 

 

「……」

 

 

「気になるか?」

 

 

「!」

 

 

「なら行って確かめればいい。 もし怖かったら俺が、ミホォを、連れて行ってやる。 その先にどんなことが待ち受けようと! 連れてきゃいいんだろ!」

 

 

 

なんか最後は半ギレ気味に叫びましたが、別に彼はなんとも怒ってません。 むしろ私の質問に喜びを感じたように叫びました。

 

 

あと助手席で隣なのでやかましいです。

 

 

 

 

「ほら、着いたぜ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

私達は駐車場にたどり着き車から降りました。 すると彼は綺麗な夜空を見上げながら私に質問をします。

 

 

 

「ミホォ、お前はボコられクマ人形を知ってるか?」

 

 

「え? あ、はい、知ってます」

 

 

「そうか。 ……俺はミカの妹と遊ぶとき、ルプス相手に圧倒的な性能差によってボコられクマベアッガイは何度もボコボコに倒されていた。 でもな、そいつは何度も立ち上がった。 何故だかわかるか?」

 

 

「それは……ボコだからです」

 

 

「そうだ、ボコだからだ。 何をやってもボコボコに倒されてしまう、そんな運命を背負った野郎だ。 でもな、俺はそいつが結構好きなんだ。 なぜかわかるか?」

 

 

「……わかりません、なぜですか?」

 

 

「止まらないからだ」

 

 

「!」

 

 

「ボコられクマ人形はな、止まらねぇ根性を持った最高に熱い奴だ。 だからな、ミカの妹と遊ぶ時もシーズン5まで続いたんだ。 そんなルプスは何度だって叩き潰した。 だけどボコられクマは立ち上がり、行き着く先まで止まらねえ存在だ。 そしたらシーズン4ではルプスが動かなくなったシーンがあるんだ。 何故だかわかるか?」

 

 

「ええと…」

 

 

「ボコが止まらねえからだ! ボコボコに何度も打ちのめしたのに、止まらないアイツのせいでとうとうルプスの腕が先に故障したんだ。 おかげでボコは初めてルプスを相手に勝ち筋を見出した。 だが…」

 

 

「ボコだから、ボコボコに倒されたんですよね?」

 

 

「そうだ!」

 

 

「でも立ち上がるんですよね?」

 

 

「そうだ! その通りだ!」

 

 

「でもボコボコにされるんですよね!」

 

 

「そうさ!そうさ!その通りだ!!」

 

 

「だけど勝つために諦めないですよね!」

 

 

「ああ! その通りだぜ!!」

 

 

「でもボコボコに何度も打ちのめされますよね!」

 

 

「だってそんな奴だからな!!」

 

 

「なぜなら……」

 

 

 

 

私の言葉にオルガはニィッと笑い合い

 

 

 

 

「「それがボコだから」」

 

 

 

私達は同じ答えを重ね合うと盛大に笑い出しました。 少し近所迷惑かもしれませんが、ここは駐車場なので少しは許してもらうと助かります。

 

 

 

「…って、感じに言ったが、結局は根性論に過ぎない」

 

 

「」ズルっ

 

 

 

 

感動が台無しとはこの事なのでしょう。

 

 

 

 

「まぁ、ミホォがその気ならなんだってやればいい。 継続高校に興味があるなら行けばいい。 行かないにしてもそれが選んだ道ならその道で止まらなければいい。 もしボコボコにされて立ち上がれないなら俺やミカァが助けてやる」

 

 

「………」

 

 

「でもこれだけは聞いてくれ、ミホォ」

 

 

「?」

 

 

「ミホォの進む先には俺とミカァが必ずいる。 もちろん進む途中にも、後ろの道にも俺とミカァがいるのは確かだ! …だからよォ!」

 

 

 

 

彼はいつしかのパーキングエリアと同じポーズをとって、私に背中を見せました。

 

 

 

 

 

 

 

「止まるんじゃねぇぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たしかに、彼の言葉は根性論に過ぎない…

 

でも心を焚きつけるのに言葉って必要です…

 

だから彼の言葉は勇気をもらえるに値しました。

 

 

 

しかし…

 

もう一つだけ奮い立てる理由がありました。

 

 

 

それは彼の指には…

 

希望の花が咲き乱れていたからです。

 

彼が近くにいてくれるなら…

 

私は 止まらない で進める気がしました…

 

 

 

 

 

 

「あの、オルガ」

 

 

「どうしたミホォ?」

 

 

「もう暗いけど、いまから継続高校を見に行けますか? 正門だけでも…」

 

 

「ride on !!」

 

 

「ふぇえ!? 乗るの速い!?」

 

 

「さぁ乗れ!ミホォ! お前が願うなら! 俺が! お前を連れて行く! 連れて行けばいいんだろ! その先に! ミホォが望まない世界だとしても! 止まるんじゃねぇぞ!」

 

 

「っ、はい!」

 

 

 

 

 

彼は止まることを知らない…

 

 

すこし無茶な男ですが…

 

 

 

 

とても頼もしい人であることは確かでした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、赤信号か」

 

 

 

 

 

こういう事は、ちゃんと止まる人でした。

 

 

偉いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぷrrrrr…ガチャ

 

 

 

 

 

「家元か、どうした?」

 

 

『五日ぶりね、オルガ・イツカ………5日ぶりのイツカ……ぷっ』

 

 

「おやじギャグだけなら電話切るぞ」

 

 

『少しは乗ってくれてもいいじゃないのかしら!?』

 

 

「あのなぁ、流派を束ねる家元としてもう少しなぁ…」

 

 

『肩こるから却下よ』

 

 

「やはりあのミカァの母親だけあるぜ……ああそれより、今日はどうしたんだ?」

 

 

『ちょいと時間掛かったけど、あの子の偽籍ができました』

 

 

「それは良かったが……偽籍を作れるほどの権利は一体どこから来るんだ?」

 

 

『戦車道が盛んな限り半永久的かしら? まぁ今のは冗談だとしても、地に堕ちて機能しなくなった西住流につけ入る隙はいくらでもあった。 だからそこまで苦労はしませんでしたね』

 

 

「そうかい。 でもそれなら手紙に報告を書いて送れば良かったんじゃないのか?」

 

 

『省エネよ』

 

 

「家出娘の様子を聞きたかったと素直に本音を言え」

 

 

『……そんな事ないわ』

 

 

「素直じゃない辺りやはり親娘だな、あんたら二人は…」

 

 

『もう、良いわよ。 それでもう一つ、あの子は今どうかしら?』

 

 

「元気に副隊長をやってる」

 

 

『そう。 それは良かった』

 

 

「……深くは聞かねえ。 俺自身も納得してあんたの考えに従った。 戦車道の美点を汚す西住流を潰すために、みほを失踪扱いすることを」

 

 

『…』

 

 

「だがな、地に堕ちた西住流を潰すための道具として見るんじゃねぇ! 俺は放って置けねぇからあんたの作戦に乗って彼女を助けるためにその道を選んだ………だが島田流家元! 人を掛け金(bet)の様に扱うことは許さねぇ! もう、みほに手出しをするんじゃねぇぞ!」

 

『…ええ、わかってるわ、わかってる。 もうあの子は利用しない。 でも最後に……これだけは良いわよね?』

 

 

「…なんだ?」

 

 

『私の可愛い愛娘に会わせるくらいは良いわよね? ……同じボコられクマ好きだもの、良いお友達になってくれたら嬉しいわ…』

 

 

「……家元、それは…」

 

 

『?』

 

 

「家元としての判断か? それとも母親としての判断か?」

 

 

『……何言ってるの』

 

 

「…」

 

 

『母親としてに決まってます。 娘を愛さない訳が無いじゃない、オルガ・イツカ』

 

 

「そうか………普通は…そうだよな…」

 

 

 

 

しばらくの静寂…

 

半年前の引越しで取り付けた時計だけが動く。

 

そしてもう話す内容は無い。

 

そう考えたが…

 

彼はとある質問をした。

 

 

 

 

 

「……なぁ」

 

 

『?』

 

 

「家元と母親って……どう違う?」

 

 

 

 

 

この質問に意味があるのかわからない。

 

 

でも、その男は聞いた。

 

 

だから子を持つ親は答えた。

 

 

 

 

『家元は無情で、母親は愛情よ』

 

 

「……」

 

 

『だからオルガ・イツカ。 あなたはみんなのオルガ『ママ』として、皆に愛情を注いであげなさい。 これは二児の母としての言葉よ』

 

 

「……」

 

 

『良いわね?』

 

 

「………ああ……わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男は止まらない人間だ。

 

 

ひとりの少女のために希望の花を見せつけ、止まらせないために熱く振る舞える男だ。

 

 

だけど彼の裏は汚い世界に溶け込んでいる。

 

 

彼自身もそれは理解してるし、彼も抜け出せないことは承知の上だ。

 

 

でも一人の少女のために、そんな情けない面を見せないでいた。

 

 

そんな姿を晒さない様にしていた。

 

 

都合の良い事だけしか見ないふりをして、血に汚れた体だ。

 

 

だけど拾った少女のために希望を振りまき続けることにした。

 

 

 

 

 

だって彼は【止まらない】男なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 オルガルパン編 〜

〜 希った 〜

 

〜 おしまい 〜

 




どうもこんにちは。
ガルパンはいいぞ(挨拶)

おまけとして書きましたが、内容薄いね。
因みに鉄血は1期の3話までしか見てないのぶっちゃけにわかです。
なので『止まるんじゃねぇぞ』のために書きました。
だからオルガ・イツカじゃないかもね。

さて、小説の本編とは関係ないおまけに出しましたが…
本編のシリアスから一変した、圧倒的悪ふざけです。
そのため別枠で出すべきでしたかね?

そこが一番の悩みです。

この話をこの小説に残すか、別作品にするかどうするかは検討します。
今は『本編とは関係ないおまけだから』って軽い気持ちでこの小説に載せている状態です。
もし別作品の移動が好ましいでしたら移動します。

ただ『前日譚』の1つとして考えてくれたら少し面白いかな?
オルガは添えるだけ。



さて、今回は悪ふざけも兼ねてお話は明るめにしました。
こんな感じのもまた良いかなって思ってます。

オリ主をオルガにしたバージョンにしただけですが…




とりあえずもう一度だけ。

エイプリルフールだから許して()


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