インフィニット・EATER (マスターM)
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交わる世界
終末捕食によって再生された世界で、新生ブラッド隊隊長櫻羽(さくらば)ジンは日々アラガミと戦っている。
「これで最後だ!!」
ジンは黎明の亡都でガルムに止めを刺そうとブラッドアーツ・無尽ノ太刀・蒼を繰り出した。
「ウォオオオオン!!」
ガルムは雄たけびをあげ倒れた。
『敵、沈黙しました』
「ふー。フラン他の皆は?」
『ジュリウス班、リヴィ班共に敵を撃破しました。皆さん目立った怪我はありません』
「了解。帰投する」
フランからの報告を聞きジンは極東支部に戻った。
「あー隊長お帰りー!!」
「隊長怪我はありませんか?」
「大したもんだな一人であれだけのアラガミを倒すなんてよ」
ジンが極東支部に戻ると先に気付いたナナに続きシエルとロミオも声を掛けて来た。
「ただいまナナ。それとシエル俺は大丈夫だ。そしてロミオあれぐらいのアラガミブラッドなら楽勝だろ?」
ジンの言葉にロミオ以外の5人は頷いた。
「それは、そうだけど・・・」
「お前は無駄な被弾率が多い。何故後方にいるのにそんなに被弾が多いのか分からんな」
「うるさいな、それはアレだアレ!!」
ギルが指摘するとロミオは言い訳を言おうとアレを何回も言った。
そんな時大きな揺れが起こった。
「地震か!」
「皆気を付けろ!」
地震は1分程で収まった。
「収まったな」
「急に揺れるからビックリしたよ」
その後ブラッドの全員で昼食を食べていると放送が流れて来た。
『各部隊長は今すぐ私の所に来て欲しい。繰り返すよ、各部隊長は今すぐ私の所に来て欲しい』
放送したのは極東支部支部長のペイラー・サカキだった。
「各部隊長を呼ぶなんて何かあったのでしょうか?」
「もしかしてさっきの地震でとんでもない被害が出たとか?」
「兎も角行ってくるよ」
そう言いジンは支部長室に向かった。
「失礼します」
ジンが支部長室に入ると既に他の隊長達は来ていた。第一部隊隊長藤木コウタ。第二、三部隊隊長及び防衛班班長大森タツミ。第四部隊隊長真壁ハルオミ。特殊部隊隊長雨宮リンドウ。そしてブラッド隊隊長櫻羽ジン。
「皆よく来てくれた。実は先程の地震で大変な事が起こったんだ」
「大変な事?」
「何が起こったんだ?」
「今から話すよ。正直私自身も今も信じられないが、平行世界と交わったようだ」
『はぁ!?』
サカキの言葉に隊長達は驚きの声をあげた。
「驚くのも無理はない。これを見て欲しい」
サカキはそう言い映像を見せた。
「いくつか地形が変わっていたり、何もなかった所に島があったり等などの事が多く発見され、フェンリル本部はもう一つの世界の人達と話すと各支部に通達が来たよ。君達は何時でも動ける様にして欲しい」
『了解!!』
「用件はそれだけだ。また何かあったら呼ぶからね」
各隊長達はそれどれの部隊員に知らせる為に出て行った。
「あ、ジン君君は残って欲しい」
出て行こうとしたジンをサカキは引き留めた。
「なんで俺だけなんですか?」
「さっきは言わなかったけど、本部からの通達には友好としてユノ君のライブを行うらしい。そこで君達にユノ君の護衛を頼みたい」
「そうゆう事なら喜んで。それで何時ですか?」
「明後日だよ。ここから向こうの東京と言う所で行うそうだ」
「了解しました。それでは失礼します」
そう言いジンも支部長室から出て、ラウンジに向かった。
「戻ったか」
「何の話だったんだ?」
戻ってきたジンを見かけジュリウスが声をかけリヴィが何の話だったのか聞いて来た。
「実は・・・」
ジンはブラッドメンバーにサカキから聞いた事を話した。
「信じられません、平行世界と交わったなんて・・・」
「またややこしい事が起きそうだ・・・」
「それよりもユノさんに会えるのか!?やったぜ今度こそ歌ってもらうぞ!!」
「ロミオ先輩。私達はユノさんの護衛だよ?ユノさんの身になにかあったら歌ってもらえないよ」
「それは困るな。よ~しユノさんを守り切るぞ!!」
「はいはい落ち着いてロミオ。明後日にここからあちらの世界の東京と言う都市に向かうからしっかり準備しといてね」
『了解』
その日は解散となり早くもライブ当日となった。
「皆久しぶり元気だった?」
「元気だったよ。ユノも元気そうで何よりだよ」
「今日はよろしくお願いしますね隊長さん」
「はい。ユノ達は俺達ブラッドが責任をもって守ります」
そして一行はヘリで東京に向かい、ユノのライブを護衛した。
ライブは大盛況でアンコールまで行った。そして現在はヘリで話していた。
「さすがユノだね。向こうの世界の人達の心を掴んで」
「ありがとう。正直不安だったの、もし受け入れてくれなかったらどうしようって思っていたけど、杞憂に終わって良かった」
ジンとユノは隣に座りライブの事を話していた。
『ブラッドの皆さん聞こえますか?緊急事態です!』
「どうしたフラン?」
フランからの通信をインカムで返事した。
『そこから南に10キロの所にアラガミを確認しました。またその近くに3つの反応があります』
「了解。ブラッドは二組に別れユノの護衛とアラガミ討伐を行う」
『分かりました。ご武運を』
フランとの通信を切り、切り出した。
「今フランから通信があり南10キロ時点にアラガミを確認したそうだ。ブラッドは二組に別れユノの護衛とアラガミ討伐を行う。ユノの護衛にはジュリウス、シエル、ロミオ。アラガミ討伐には俺、ギル、ナナ、リヴィだ」
『了解!!』
「ジンさん気を付けて」
「ああ、行ってくる」
ジン達はヘリから降りアラガミがいる場所に急いだ。
その頃アラガミと戦闘している者達がいた。
「くっ!何よこの化け物は!!ISの攻撃が効いていないの!!?」
打鉄三機でコンゴウで攻撃を加えるがコンゴウには効いてなかった。コンゴウのパイプからの攻撃をくらい三機とも吹き飛ばされ、コンゴウに殴られISが強制解除させられ気を失った。
「遅かったか・・・」
ジン達が着いたのはすご後だった。
「まだ生きているかもしれない。さっさと片付けるぞ」
「了ー解!」
「分かった!」
「任せろ!」
ジンの言葉にナナ、ギル、リヴィが答えた。
コンゴウに苦戦することなく無事に討伐を終えた。
「さてあの人たちを、ん?」
ジンがISの操縦者の安否を確認しようとすると、足元に光る物を見つけ手に取ると・・・
パァアアアとジンの体が光り打鉄を纏った。
「な、何だこりゃあ!!?」
「た、隊長がロボに!!?」
「これって確か向こうの兵器だった筈じゃ・・・」
「ギルの言う通りだな。今日資料で見たがそれは・・・」
「女にしか動かせない筈だったが、そう言えば特例が居たと言っていたな」
「はー面倒な事に巻き込まれそうだ」
ジンはため息をつき、ISの操縦者を連れ極東支部に向かった。
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IS学園へ
極東支部に戻ったジン達は報告の為にサカキの下に向かった。
「まさか君がISを動かすとはね、驚きだよ」
「IS?」
「正式名称はインフィニット・ストラトス。元は宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツだよ。でも現在はスポーツに落ち着いているけど・・・」
「兵器として使われているって事ですか?」
「流石ジン君だね、その通りだよ。この事は本部に報告しておくよ。何か決まればまた呼ぶよ」
「分かりました。所であの女性たちは?」
「命に別状はないよ。ただアラガミの攻撃で気を失ったから当分は目を覚まさないと思うけど」
「そうですか。では自分はこれで」
ジンは支部長室を出てエントラスに向かった。
「あのジンさん、ISを動かしたって本当ですか?」
ジンに話しかけて来たのはクレイドル所属でサテライト拠点の支援をしているアリサだった。
「アリサか本当だ。全く面倒な事が起こりそうで困ったよ」
「やっぱりジンさんもIS学園に行くんですか?」
「IS学園?」
「あれ?てっきりISを動かしたからIS学園に行くかと思いましたが違うのですか?」
「本部の決定待ちだ。今はまだ分からん」
「そうですか・・・あ、あの今お時間大丈夫ですか?」
「今は大丈夫だ。アラガミ討伐か?」
「はい。サテライト拠点の近くにアラガミが居ると報告を受け今から行く所でした」
「なら俺も行こう。他な誰かいるか?」
「先程コウタ達第一部隊の人達にも声を掛けて来てくれる事になりました」
「分かった。よし行くか」
「はい!!」
ジンはアリサと一緒にコウタ達第一部隊と共にサテライト拠点付近に現れたアラガミを討伐した。
ジンがISを動かして3日経った日コンゴウにやられた女性たちが目を覚ました。所属を聞いたらIS学園の教師であの場所には調査の為訪れていた事が分かり、丁度本部からジンもIS学園に行くよう通達が来たので、ジンと共にIS学園に向かう事になった。
最もジンは先に挨拶だけして改めて入学となっているので、この日は挨拶と学園説明の為にIS学園に向かう事になる。
「じゃ行ってくる」
IS学園に向かうジンを見送る為に極東支部ゴッドイーター達が集まった。
「隊長・・・」
「心配するな話を聞きに行くだけだからな。シエル俺が戻るまでブラッド隊は頼んだぞ」
「はい」
「皆もシエルのサポート頼んだ」
『了解』
そう言いジンはIS学園の教師と共にヘリに乗りIS学園に向かった。
「と、所で櫻羽さん」
「何で敬語なんですか?」
「あ、いえ櫻羽さんの階級が大佐とお聞きしたので・・・」
「気にしないで下さい。確かに大佐ですがこれからはIS学園の生徒でもあるので」
「分かったわこれからよろしくね」
「よろしくお願いします」
そう言いジンは教師3人と握手した。
「そう言えば今学園では行事をしていましたね?」
「ええ。クラス対抗戦よ。第一試合から織斑一夏君が出るの」
「へ~その相手は?」
「中国の代表候補生、凰鈴音さんよ」
「見て見たかっ『ジンさん大変です!!』なって、どうしたフランそんなに慌てて」
ジンが話していると急にフランから通信が来た。
『ついさっきアラガミの反応がIS学園からありました』
「はっ!?数は?」
『一つです。ですがアラガミ相手にISでは・・・』
「分かった直ぐに行く」
『でもどうやって、今からヘリで最高速度で行っても間に合いません』
「どうすればいい・・・」
「・・・ならこれを使うと良いわ」
そう言って教師が出したのはジンが起動したIS打鉄だった。
「これなら数分で学園に着くと思うけど・・・」
「助かります!!ヘリのハッチ開けてください!」
ジンは打鉄を受け取るとハッチから飛び降りた。
そして・・・
「打鉄俺に力を貸してくれ!!」
そう言うとジンの体が光り打鉄を纏った。
「よし!フラン学園までのルートを頼む」
『分かりました。地図を送ります』
送られてきた地図を確認してジンは急いだ。
一方IS学園では専用機白式を纏う一夏と同じく専用機である甲龍を纏う鈴は全身装甲のISと戦っていた。
「くっ!あーもうめんどくさいわね!!」
中々攻撃が当たらず鈴は苛立つっていた。
『一夏ぁ!男なら、その位の敵に勝てなくてどうする!』
中継室から箒は一夏に叱咤をしていた。相手は箒に狙いを定め砲口にエネルギーの充填を始めた。それを見た一夏は動こうとした、まさにその時・・・
ズドオンンンン!!
相手のISにエネルギー弾が着弾しISは爆発し大破した。
「な、何が起こったんだ!?」
「一夏上よ!何か落ちてくるわ!!」
鈴がそう言った直後3メートル位で右手が砲身になっている化け物が上から降りて来た。
「な、何だよこれ!?」
「もしかして上が言っていた向こうの世界の脅威!?」
「鈴知ってんのかこの化け物の事」
「知ってるって訳じゃないけど・・・一夏避けて!!」
鈴と一夏が話している間に化け物・ヤクシャは右手の銃口を上にしてエネルギーを撃つ出した。着弾した爆発で鈴と一夏は壁にぶつかり一夏のISが解除された。
「一夏!!」
鈴は慌てて一夏に駆け寄った。一夏は気絶していた。
「気絶しているだけね、良かったって言っている場合じゃないどうにかしないと・・・」
と鈴が振り返るとヤクシャは既にチャージを終えていて発射した。そんな中鈴は目を瞑った。
(あ、こんな所で死んじゃうだ・・・)
鈴の頭には走馬燈が見えていた。
ドオンンンンン
(あれ?痛くない?)
音がしたのに痛みがなく不思議に思いながら目を開けると・・・
「何とか間に合ったようだな」
茶髪の青年・ジンが盾でヤクシャの攻撃を防いでいた。
「あ、アンタ何者?」
思わず鈴は訊いた。
「俺?俺は・・・」
そう言いジンは盾形態から剣形態に変えその切っ先をヤクシャに向け言った。
「ゴッドイーター。アラガミを狩る者だ」
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決着と世界・学園最強
鈴side
「ゴッドイーター。アラガミを狩る者だ」
急に現れた茶髪の男。ソイツは自分の事をゴッドイーターと名乗った。先日の起きた事は上からも聞いていた。人類の脅威アラガミ、そのアラガミと戦う者ゴッドイーター。何よりこの男からは独特の雰囲気を感じる。恐らく相当な修羅場を抜けて来たのだと思う。
「ヤクシャ一体か速攻で片付けるか」
「ち、ちょっと大丈夫なの?」
アタシはたまらず声を掛けた。
「大丈夫だ。奴の攻撃は右手の銃口による遠距離攻撃だけだ。接近戦に持ち込めば有利だ。それとお前「鈴よ」なら鈴、後ろの奴を回収して離れていろ」
そう言って男は一夏を指さした。
「分かったわ」
アタシは頷いて一夏の回収に動いた。
鈴sideout
「さて、こちらの世界での初陣だ!」
ジンはそう言いヤクシャに接近しジャンプして神機を振り下ろした。
「まだだ!」
更に素早く銃形態にして銃撃を浴びせた。最初のダメージと今の銃撃でヤクシャの頭が結合崩壊を起こし、ヤクシャがふらついた。その隙を見逃すジンではなく剣形態にしてヤクシャの足に攻撃しダウンさせた。
「凄い・・・」
鈴は一夏を背負いながらジンの戦闘を見ていた。
ヤクシャは苦し紛れに鈴に向かってオラクル弾を発射した。
「え?」
鈴は再び体が硬直した。
「はぁああああ!!」
ジンはオラクル弾を断ち切り鈴を護った。
「ふぅ、安心しろ俺がいる限りお前達は俺が護ってやる」
その言葉に鈴の心臓はドキッと高まった。
ジンは神機を銃形態にして肩鎧を狙って火のオラクル弾を撃ち込みながら接近した。
(次のダウンで決める!)
ジンは剣形態に変えて横一線に切り裂いた。すると肩鎧が結合崩壊した。
「畳みかける」
更にジャンプし結合崩壊を起こした頭と肩鎧を重点的に攻めた。そして数撃食らわした後ヤクシャはダウンした。
「決める!!」
ジンはダウンしたヤクシャにブラッドアーツ・ソニックキャリバーで止めを刺した。
「・・・終わったの?」
動かなくなったヤクシャを見て鈴はジンに聞いた。
「ああ終わった。怪我は無いか?」
「ええ大丈夫よ。一夏は気絶しているだけだし」
「・・・う、あ!!鈴あの化け物は!!」
「あれならこの人が倒したわ」
鈴に怪我の有無を聞き鈴は一夏とも大丈夫だと答えた。その会話の途中で一夏が目を覚ましヤクシャの事を聞けば鈴はジンを指さした。
「アンタ一体何者だ?」
「ああ俺は・・・」
ジンが名前を名乗ろうとしたタイミングで教師部隊がアリーナに突入しジンを取り囲んだ。
「貴様何者だ!!」
「ここがIS学園だと知っての狼藉か!!」
教師たちは武器を構え何時でもジンに対応出来るようにしている。
「俺に交戦の意志はないが・・・やるならやるぞ」
ジンも神機を構えた。
一発即発の状態の中上から声がした。
『ストップ、ストープ!!その人が櫻羽ジンさんです!!武器を収めて下さい!!』
「中原先生!!」
「今確か櫻羽ジンって言いましたよね?」
ヘリからの拡声器でジンの名を聞いて教師たちの顔は蒼白になった。そして一同は武器を収め謝罪した。
「「「すいませんでした!!」」」
「いや気にしていない。それよりも何故改まる?」
「それは向こうの世界の英雄だからですよ」
ジンの疑問に答えたのはこの世界最強の称号を持つブリュンヒルデ・織斑千冬だった。
「初めまして英雄・櫻羽ジンさん」
「初めましてブリュンヒルデ・織斑千冬さん。それと中原さん達にも言いましたが、俺は此処の生徒になるので敬語を使わなくってもいいですよ」
「そうか、なら改めて。ようこそIS学園に」
「はい。お世話になります」
「早速説明に移りたい所だが、アレ等を片付けなくてはいけないから後でいいか?」
と指を刺したのはヤクシャとヤクシャに破壊させたISだった。
「ヤクシャの方は俺がやるよ」
そう言いジンは捕食形態でヤクシャのコアを取り除いた。するとヤクシャは地面に沈むように霧散していった。
「アラガミにはコアと言う物がありこれを取り除くと今みたいになる」
驚いている千冬達に簡潔に説明したジン。
「あ、ああ説明ありがとう・・・こちらの処理が終わるまで寮に入る予定の部屋で待っててくれ。これが寮までの地図と部屋の鍵だ」
「ありがとう。早めに頼むよ」
「ああ。おい織斑、凰、篠ノ之そしてオルコット。貴様達は生徒指導室で待機していろ。後今見た事は口外するな。いいな?」
「「「「は、はい!」」」」
一夏達四人は千冬の言葉に全力で頷いた。
一方ジンは地図を頼りに寮の部屋の前に辿り着いた。
(何かいる)
ジンは部屋に何かあると感じ、神機を壁に立てかけ、懐のサバイバルナイフを何時でも取り出せるようにして扉を開けた。
「おかえりなさい。お風呂する?ご飯にする?それとも、わ・た・し?」
バタン
(う~ん疲れているのか?裸エプロンの女幻影が見えたぞ)
無言で扉を閉め混乱しながら考えるジンがいた。
(よし、今のは幻だ。幻を見るとは飢えているのか俺は?取り敢えず開けようアレが幻なら今度は大丈夫な)
そう決意し扉を開けた。
「おかえりなさい。私にする?ワタシにする?それとも、わ・た・し?」
「幻じゃなかった。痴女が実際にいた」
「痴女じゃ無いわよ失礼ね」
「そんな恰好をしていては説得力はないぞ」
「この格好は単にイタズラ目的なの。それにちゃんと水着を着けているから」
そう言って後ろを向く。そこには確かに水色のビキニを着けていた。
「水着を着けているのは分かったから着替えろ。話が進まんだろ」
「そうね」
と言い女子はシャワールームに入って制服に着替え、ジンに向き合った。
「じゃ、改めて自己紹介ね。私は更識楯無。此処IS学園の生徒会長よよろしくね」
「フェンリル極東支部所属、ブラッド隊隊長櫻羽ジンだ。それで何故此処に居る?」
「私が貴方と同室だからよ」
「俺の護衛って事か?」
「理解が早くって助かるわ。そう政府の命令で私が護衛に着いたの。生徒会長はIS学園で最強の者が務める事になっているの」
「ほぅ、だがわざわざ一介の生徒に護衛させるとは思えんな。お前裏の人間か?」
「鋭いわね。そう私は日本政府お抱えの暗部。対暗部用暗部更識家17代目当主よ」
「なら俺の情報も持っているだろ?」
「ええ。貴方の部隊全員が特殊な力を持っていて、その力でそちらの世界を救ったって出たわ。特殊な力は確か『血の力』って言ったわね?」
「ああ、その通りだ。お前の家の情報網は優秀だな」
「まぁね。さて本題なんだけど。櫻羽君生徒会に入ってくれないかしら?」
そう言い楯無の扇子には『勧誘』と書いてあった。
「その扇子の出来にツッコミたいが無視するとして、勧誘ねぇ。監視の間違いじゃねぇのか?」
「・・・やっぱり鋭いわね。一応理由を聞こうかしら」
「俺の血の力を警戒しているのだろ?なんせ俺の喚起の力で多くの血の力を目覚めさせ、他の者達にブラッドしか使えないブラッドアーツの習得、そしてブラッドレイジ。ISで敵わないアラガミを倒すゴッドイーターの存在は、お前達からしたら脅威かもしれない存在だから監視するって所か?」
「当たりよ。上は貴方ゴットイーターを脅威と捉えているわ。私としては友好的に行きたいのだけど・・・」
「俺は俺達に害しない限り手を出すつもりは無い。俺としても友好的に行きたいからな」
「じゃあ?」
「生徒会に入ってやるよ。ただ任務が入ればこっちを優先させてもらうがな」
「良いわよ。アラガミは貴方達にしか倒せないのだから仕方ないし。それと櫻羽君には副会長をお願いしたいのだけど」
「俺の事はジンでいいぞ。見た所タメだろ?それと俺でよければ副会長をやらせてもらおう」
「ありがとうねジン君。最後になったけど。ようこそIS学園に」
「ああ。それから世話になる」
そう言いジンと楯無は握手をした。
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入学
「今日転校生が来ます」
ジンがIS学園に来ての翌日。朝のSHRで山田先生が転校生が来ると言った。
この時昨日千冬から説明を受けた一夏達は誰か察した。
「入って来い櫻羽」
「はい」
千冬に呼ばれジンは教室に入った。ジンはIS学園の制服ではなく、ブラッドの制服だった。
「櫻羽ジンだ。世間にはまだ知られていない2人目の男性操縦者だ。年上だが気軽に接してくれて構わない。よろしく頼む」
「「「・・・」」」
ジンの自己紹介を聞き沈黙した女子達をしり目に、一夏、箒、セシリア、千冬、山田先生は耳を塞いだ。
「「「キャアアアアアア!!!」」」
「男子2人目よ!!」
「年上クール系美男子!!」
「ああ、地球に生まれて良かった!!」
女子達は喜びのあまり狂喜乱舞状態になった。それを沈めたのはやはり千冬だった。
「あー静まれ。全員櫻羽の制服に気になっていると思うから言っておく。櫻羽は向こうの世界の人間だ」
「「「えええええええ!!?」」」
「あー!!その服葦原ユノのライブ会場にいた人たちと同じ服だ!」
「ユノのライブに行ったのか?」
「え、あうん。私ユノさんのライブに行ったの」
「そうか。ユノとは親しい事から俺達ブラッドがユノの護衛をしたんだ」
「ブラッド?」
「ああ。フェンリル極東支部所属、ブラッド隊。俺が部隊長を務める部隊だ」
「って事はサックー偉いの?」
「まぁ階級は一応大佐だ。それよりサックーって俺の事か?」
「うんそうだよ~。櫻羽だからサックー。あ、私は布仏本音。本音でものほほんさんでもいいよ~よろしくね~」
「ああよろしく。それでIS学園の制服ではない事だが・・・俺は向こうからの呼び出しがあれば向かわなければならない。いちいち着替えるのも面倒だしな、だからブラッドの制服で通う事になったんだ」
「呼び出しって?」
「アラガミの討伐だ」
「アラガミと言うのは櫻羽達の世界の脅威だ。櫻羽は神機使い、ゴッドイーターと言われアラガミに唯一対抗できる者達だ。そうゆう事で櫻羽は基本的に向こうから要請があれば公欠扱いとなる」
「え~いいなー」
千冬がジンの代わりにアラガミの説明をして、その際呼び出しがあれば公欠扱いと聞いて生徒達は羨ましがった。
「いいわけないだろが!!櫻羽は命がけの戦場に行くんだぞ!!それを理解しろ!」
「・・・はい。すいませんでした」
千冬に事の重要さを言われ生徒は謝罪した。
「さて、一時間目は二組と合同だ。遅れるなよ。織斑、櫻羽を案内してやれ。以上だ」
千冬が言い終わったタイミングでチャイムが鳴り、一夏は慌ててジンに近づいた。
「自己紹介をしたいけど、女子達が着替えるから先に移動しますね」
「分かった。それと敬語はいらない。俺の事もジンでいいぞ織斑」
「なら俺も一夏で良いぜ。よろしくなジン」
「ああよろしく、一夏」
ジンと一夏は走りながら話した。
「あ!織斑くん発見!!」
「転校生も一緒よ!!」
「者ども出会え出会え!!」
ジン達の前から大勢の女子達が迫って来た。
「あーもう、時間ないのにどうしよう!」
「こっちだ一夏」
「へ?」
ジンは一夏の襟を掴んで窓から飛びおりた。
「ギャアアアア!!死ぬぅううう!!」
「よっと」
ジンは木の枝の太い所に捕まり落下を止めた。そして地面に一夏を降ろした。
「大丈夫か?」
「大丈夫な訳あるか!何躊躇いもなく窓から飛び降りるんだよ!!死ぬと思っただろ!!」
「安心しろアラガミとの戦闘なら今よりも高い所から飛び降りたり、降りてる最中に攻撃されたりするが、今回は飛び降りただけだ」
「そういう事じゃなくって・・・はーもういい。更衣室はこっちだ」
一夏は諦めて更衣室に向かった。
「ここが更衣室だ実習の時はここで着替える」
「そうか、なら着替えるといい。俺は先に行く」
「え?着替えないのか?」
「何時呼び出しが来るか分からないからな」
「あーさっきも言ってたな」
「そう言う事だ先に行っている」
「分かった」
ジンは先にグラウンドに向かった。そこには以外の人物達がいた。
「リッカにフランどうしてここに?」
「私は神機の調整に。昨日戦闘したんでしょ?呼び出しで戻るのは何時か分からないから出張して来たんだ。後ISにも興味もあったから」
「成程。フランは?」
「ジンさんに荷物を届けに。流石にリッカさん一人に持たせる訳にはいかなかったので、後携帯因子もお持ちしました」
「ありがたい」
ジン達が話していると生徒体が集まって来た。見知らぬ2人に生徒達はうずうずしていた。そんな生徒達を見て千冬はジンに視線で紹介しろと送った。
「あーこの2人も極東支部で働くメンバーだ」
「私は楠リッカ。神機のメンテとかをする整備士だよ。よろしくね」
「私はフラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュです。フランで構いません。私はオペレーターをしています。今後はジンさんのサポートとしてIS学園と極東支部の調停も務めます」
「あのー神機ってなんですか?」
「これの事だ」
ジンは神機を打鉄の格納領域から出した。
「これでアラガミと戦うんだ。リッカ頼む」
「オッケー」
リッカは神機を受け取るとメンテを始めた。
「今日は専用機持ち達に色々やってもらうつもりだったが、変更して櫻羽対専用機持ち3人の模擬戦をして貰う」
「なら私はオペレーションします」
「あ、私もデータとるね。ISに私も興味あるし。序に上もジン君のデータ欲しがってたし」
そう言いフランとリッカは山田先生に手伝って貰い簡易のオペレーション出来る場所を構えた。
「あのー織斑先生流石に3人掛りは・・・」
「オルコットお前の言いたいことは分かる。だが櫻羽はゴッドイーターになって1年も経たない内に英雄になったのだぞ。この模擬戦はお前達にとって得るものがあるかもしれないから行うんだ分かったな?」
「はい」
セシリアと千冬の話を聞き、一夏と鈴もやる気が出て来た。
一夏は白式を、鈴は甲龍を、セシリアはブルー・ティアーズを展開した。ジンも打鉄を展開した。
「櫻羽ISを展開したのは何回目だ?」
「三回目ですね」
「そうか。中々早いな」
「ありがとうございます」
「よし飛べ」
千冬の号令でジン達4人は飛んだ。
『一夏、セシリア。ジン相手に一人で戦ったら駄目よ。恐らく瞬殺されると思ううから』
『本当ですか鈴さん?』
『うん。昨日の戦闘を見てそう思ったわ。戦い慣れているから気を付けて』
『鈴が言うならよっぽどだな』
『そうですわね。一夏さん、鈴さん、わたくしは後方から援護します。お二人は前衛をお願いしますわ』
『分かった』
『オッケー』
一夏達3人はプライベート通信で作戦を決めた。
『皆さん準備はいいですか?』
「「「「大丈夫です」」」」
『ではルールを確認します。ジンさんの勝利条件は、織斑さん、オルコットさん、凰さんのシールドエネルギーを全て削る事。反対にシールドエネルギーを全て削られると敗北となります。なおこの模擬戦は各国にも提出され、フェンリル本部及び極東支部にも提出されます』
『フラン。本部に送るならフェルドマン局長宛に頼むな』
『了解しました。それでは模擬戦開始して下さい』
次回模擬戦をしているとジンの打鉄に変化が!?
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専用機
フランの合図で模擬戦が始まった。先に仕掛けたのは鈴で青龍刀・双天牙月を両手に持ち2刀流で斬りかかった。対してジンは打鉄からブレードでガードした。
「中々重いな」
「それをこうも簡単にガードするアンタが言う!?」
「パワー勝負をしたい所だが、生憎一人に構っている訳にはいかないからな」
そう言いジンは打鉄を上に避けた。その瞬間鈴に当たらないよう後ろ、右、左とビットからビームが放たれた。
「ウオオオオオ!!」
避けた所に一夏が白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)の零落白夜を発動させ突っ込んできた。
「それは危険だな」
ジンはブレードで受け止めるのを止め回避に回した。ふと鈴の方を向けば肩のアーマーがスライドして開き、中心の球体が光った。その瞬間衝撃が飛んできた。
「おいおいコンゴウと同じ攻撃かよ。あの蒼いのはサリエルに似ているな」
「な!?衝撃砲を初見で防ぐなんて・・・」
「それに似た攻撃をするアラガミがいるもんでな、その要領で避けただけだ」
その頃地上ではリッカ達がモニターで観測していた。
「凰の衝撃砲を初見で避けるとはやるな」
「そりゃアレに似た攻撃をするアラガミもいるからね。恐らく熟練の神機使いなら避けれると思うよ」
千冬の言葉にリッカが説明し今度は山田先生が聞いてきた。
「それにしても櫻羽君が圧倒すると思ったのですが、以外と劣勢ですね」
「恐らくですが神機ではないので、本調子が出ないと思います」
「そうだね。神機一つで4つの形態があるから、わざわざ武器を入れ替える必要はないけど、ISは一体に出来ていないからそこに苦戦しているんじゃないかな」
現にジンは武器を入れ替える時に攻撃が掠り、徐々にエネルギーが減っていた。
「これは!?感応波が上昇しています!!」
「ちょっと見せて!!これは・・・」
「おい何が起きているんだ!?」
モニターの一つにジンの感応波が上昇しているのをフランが気づき、リッカもその数値を見て何が起きたか察した。千冬が全員を代弁し何が起きているのか聞いてきた。
その時、ジンの体から赤い光が広がり、眩い光がジンを包み、地上で待機状態の打鉄とラファール・リヴァイヴが起動した。
「ジンさんの『血の力』が発動しています」
「まさかISまでに作用するなんて、ホント面白いよ彼」
その頃ある島のラボ
「ふふふ。気になる反応を見て見れば面白い物が見れたよ~。それにこの子面白い力を持っているね。会う時が楽しみだよ~」
うさ耳をつけ不思議の国のアリスの格好をした女性は、姿を変えた打鉄を纏うジンに興味を持った。
ジンを包んでいた光がなくなり全員がジンへと視線を向けると、打鉄が変わっていた。全身が黒に統一され全身装甲(フルスキン)となり肩にはマントが付いており中心にフェンリルのマークが印されていた。姿を変えた打鉄の名はジンと地上のモニターに出ていた。
「「『黒牙』それがこれ(あれ)の名前だ(です)」」
ジンとフランは同時にその名を言った。
「そんな量産機が一次移行(ファーストシフト)するなんて・・・」
「喚起の力が働いた結果だね」
「その喚起の力と言うのは?」
「ブラッドには血の力、簡単に言うと特殊能力です。ジンさんのは喚起と言い、神機使い達の潜在能力を引き出したり」
「第一、第二世代神機使いにブラッドアーツやブラッドバレットを習得出来たり、様々な事が出来る興味深い能力だよ」
「そのブラッドアーツやら、ブラッドバレットってのは何だ?ブラッドと言うのは櫻羽の部隊名だろ?」
「そうこのブラッドアーツは本来血の力を持つブラッドにしか使えなかったんだ。でもジン君の喚起の力で誰でも習得出来るようになったんだ」
千冬達はフランやリッカの言葉を聞きジンが偉大な人物だと理解した。
「これからが本領発揮ですね」
「そうだね。武器も変わったようだし」
一夏達も黒牙になったジンを警戒していた。
「ふぅ。やっとまともに戦えるぜ」
そう言いジンはロングブレードを構えた。
『一夏、セシリア気を付けて。アタシの見間違えじゃなかったらアレは恐らく神機よ』
『分かった。俺が攻めるからセシリアは援護を頼む。鈴は隙を見て衝撃砲を頼む』
『分かりましたわ』
『オッケー』
一夏は雪片弐型で攻撃するもジンは上に避け、ビットからのビームは正面以外避け正面のビームをシールドで防いだ。その隙に鈴は衝撃砲のチャージを終了し撃ちだそうとしていた。それを見たジンは回避は不可能と思い、スナイパーに可変し、ブラッドバレット・キャンセラーを撃った。キャンセラーに当たり衝撃砲は消滅しそのまま鈴に命中した。
「きゃ!」
「鈴!!」
「鈴さん!!」
「余所見は禁物だ」
鈴に気を取られた隙に狙撃弾を一夏とセシリアに当て、ロングブレードに可変し瞬時加速(イグ二ッション・ブースト)でセシリアに近づいた。
「決める!」
ブラッドアーツ・エリアルキャリバーを発動させ大型化した刃でセシリアを切りつけ、シールドエネルギーを削り取った。
『ブルー・ティアーズ戦闘不能です』
フランの言葉を受けセシリアは地上に降りた。
「さっきとは大違いだ」
「それよりも衝撃砲を打ち消すなんて出鱈目すぎよ!!」
「専用機になった上にブラッドバレットもブラッドアーツも使えるなら、この勝負俺が貰う」
そう言い瞬時加速で一夏に近づいた。一夏は零落白夜を発動させ目の前に来たら切りつけるつもりだっだ。しかし零落白夜の効果範囲に入った瞬間、ジンは更に瞬時加速をし一夏の背後を取った。
「二連加速(ダブルイグ二ッション)!!?一夏避けて!!」
一夏は零落白夜を振り下ろした状態だったので避けれず、捕食形態に捕食されジワジワエネルギーを食われた。そのままエネルギーが尽きた。
『白式戦闘不能です』
フランの言葉で一夏も地上に降りた。
「成程捕食すれば相手のエネルギーは自分の物になりバースト状態になるのか」
ジンの黒牙は白式から取ったエネルギーで回復しており、バースト状態になっていた。
「残りは鈴だけだな」
「アタシをあの2人と同じと思ったらおお間違えよ!!」
そう言い双天牙月を連結させジンに接近した。
「これならあの銃は使えないでしょう!」
「残念だが」
ジンは持ち手の引き金に指をかけ。
「ロングブレードは銃も使用可能だ」
引き金を引き銃弾を鈴に浴びせた。
「キャアアア」
「決めるぞ」
ブラッドアーツ・飛天車で決着を付けた。
『甲龍戦闘不能です。よって勝者ジンさんです』
フランの言葉を聞きジンと鈴は地上に降りた。
降りたジンを待っていたのは呆れ顔の千冬達だった。
「ある程度この2人から聞いたが、厄介だなお前の機体は」
「そうですね。普通にブラッドアーツ、バレットが使えましたし」
「それだけではない。瞬時加速や二連加速など何処で覚えた?」
「あれは此処に来るまで、過去の試合のデータなどを見て学びました。自分が関わる物なので。後リッカ喚起率って出てたけどもしかして・・・」
「うんブラッドレイジが単一仕様能力になってるよ。おまけに喚起率は500%まで上昇可能で、消費する時は何%か選べる様になってたよ、最低100%だけど」
「うわぁ、自分でも引くわ。凄いチート機体になってるし」
「櫻羽ISを解除しろ。専用機になったなら、何かの待機状態になっていると思うぞ」
「分かりました」
ジンがISを解除すると超小型ディスプレイとなった(元々通信用に着けていた物と一体化した)
「後で提出してくれ。それを改めてお前の専用機として登録する為に」
「分かりました」
「では授業を始めるぞ。今回は専用機持ち達に実際にやってもらいながら説明する」
模擬戦が終わり、授業が始まりジンは心の中で黒牙にこれからもよろしくと言い授業を受けた。
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簪登場
午前中の授業も終わりジンは一夏に昼食を誘われ食堂に来ていた。その中には箒、セシリア、鈴もいた。
「じゃ改めて自己紹介ね。アタシは凰鈴音。中国の代表候補生よ」
「わたくしはセシリア・オルコット。セシリアでいいですわ。イギリスの代表候補生ですわ。」
「篠ノ之箒だ。箒で構わない」
「篠ノ之?ISの産みの親の篠ノ之束の縁者か?」
「・・・私の姉だ」
「・・・そうか」
「詳しく聞かないんだな」
「言いにくいのだろ?なら無理に聞くのは野暮ってもんだ」
「助かる」
「ああ。じゃあ最後に俺だな。櫻羽ジンだ。ジンでいい。歳は18だが気軽に接してくれ。何か質問はあるか?」
鈴から自己紹介を始めセシリア、箒と続いてジンも自己紹介をし質問がないか一夏達に問いかけた。
「じゃアタシから。ジンは昨日の奴とずっと戦ってるの?」
「ああ。アレはヤクシャと言ってアラガミの中では中型種だ」
「はぁ!?アレで中型!!?」
「大きさ的に3メートルなのにか!?」
「ボス的な奴だったら約10メートル以上のもいるし、小型で人位の大きさだな。他に質問はないか?」
「ではわたくしから質問です。神機の種類は幾つですか?」
「近接用はショートブレード、ロングブレード、バスターブレード、ブーストハンマー、チャージスピア、ヴァリアントサイズの6種類で遠距離用がスナイパー、アサルト、ブラスト、ショットガンの4種類。装甲用がバックラー、シールド、タワーシールドの3種類だ。因みに可変機能が付いたのは第二世代の新型からみたいだけどな」
「じゃジンさんが使っているのは第二世代の物ですか?」
「いや、俺達ブラッドは第三世代と言われている」
「何が違うのよ?」
「ん~まず投与された因子が違うな。一般のゴッドイーター達はP53偏食因子だが俺達ブラッドはP66偏食因子だな。P66偏食因子を投与された者は血の力に目覚める事が出来るそうだ。後腕輪の色だがブラッドは黒、他のゴッドイーター達は赤だ」
「その血の力と言う物は授業で起こったあの現象か?」
セシリアに神機の事を聞かれ神機の種類と世代を話した後に血の力の事を話した。
「ああ。『喚起』それが俺の血の力だ。他にも『統制』『直覚』『誘引』『鼓吹』『対話』『慈愛』がある」
「リッカさん達の話だと、血の力を持つ人はブラッドなんだよな?」
「ああそうだ」
「詳しく教えて欲しいですわ」
「んー教えるのは授業の時な」
そうジンはジン達の世界の事を知りたいと多数の意見があり、授業の一コマに組み込まれことになった。そしてジンは教える側に回る。
「せめてもう1人欲しいな」
「リッカさんとフランさん以外にか?」
「ああ、出来れば神機使いがいいな」
「どうして?」
「まず一つ目。俺のサポートが出来るから。二つ目。俺が呼び戻された時にもしもの場合の保険だ」
「保険?」
ジンは周りを見渡し一夏達に集まるように指示し保険の理由を言った。
「俺が呼び戻された時にアラガミがここを襲っても対処できるようにだ」
「「「「!!?」」」」
「ど、どう言う事だよ・・・」
「アラガミが何の目的もなく現れる訳ないと思う。恐らくだがアラガミはISを捕食するために此処に現れたと思う。アラガミに通常の兵器は効かない、実際に分かった事だ」
「だからこそジンさんの他に神機使いが欲しいという事ですか?」
「ああ。本当ならブラッドを呼びたいが・・・如何せんこちらに着ききりだと向こう側が手薄になるし、聖域の管理も出来なくなるしな・・・」
「聖域?」
「簡単に言うとアラガミがいない世界だな。この世界みたいに緑豊かになっている」
「凄いな聖域って」
「で、その聖域で農業をやっている」
「何で農業なのよ?」
「聖域ではオラクルの技術を使った作物は育たないらしい。サカキ博士の見解では聖域は今後広がるかもしれないという事でブラッドが主体でやっているんだ」
「へ~そうなんだ」
「まぁ詳しくは授業だな。さて昼からも頑張るか」
ジン達は昼食を食べ午後の授業に備えた。
放課後ジンは神機と専用機になった黒牙を預けているリッカのいる整備室に向かった。
「リッカいるか?」
「ここだよ」
整備室の一角からリッカが顔を出してきて居場所を教えた。
「調子はどうだ?」
「神機の方は特に異常はなかったよ。黒牙なんだけど、アラガミにも有効だって分かったよ」
「血の力の影響か?」
「そうだと思うよ。但し捕食してもエネルギーも回復しないから、緊急時の移動にしか使えないと思うよ」
「そっか。・・・で、そこの奴コソコソしてないで出てこい」
ジンに言われ物陰から盾無に似て眼鏡を掛けた生徒が出て来た。
「盗み見は関心しないな」
「ご、ごめんなさい。でも、量産機が一次移行したって聞いて興味が湧いたの。どうやって一次移行したの?」
「あー普通はそんな事ないからな。言うならば俺の特殊能力だ」
「特殊能力?」
「そ、血の力って言うんだ。その力が働いた結果一次移行になったんだ。そう言えば名乗ってなかったな。俺は櫻羽ジン、向こうの世界の人間だ。フェンリル極東支部所属ブラッド隊隊長を務めている」
「私は楠リッカ。極東支部で整備士をしているよ」
「更識簪です」
「更識?楯無の妹か?」
「お姉ちゃんは関係ない!!」
「すまん。悪かった」
「う、ううん気にしないで」
「それで更識は「更識って言わないで!・・・簪でいい」じゃ簪は何しに此処へ?」
「・・・専用機を組み立てに来たの」
「一人で?」
「・・・うん」
「なんて無茶な・・・」
リッカが一人でかと聞き頷いた簪をみて呆れた。
「ISの組み立てなんて技術者何人もいて初めて出来るのに一人でやろうとか無謀だよ?」
「・・・でも1人でやらないと、あの人には追い付けないから。・・・私作業に取り掛かるから」
そう言い簪は別の所に移動した。
「それにしてもリッカ。何時の間にISの勉強をしたんだ?それも詳しく」
「最初にしたのはジン君がISを動かした時でその後に本格的に調べたりしたんだよ」
「へー。じゃ俺は部屋に戻って授業の為の編集をするわ」
「分かったよ。あ、部屋の番号教えて。後でフランさんと尋ねるから」
「ああ部屋は1050だ」
「分かったよありがとう」
ジンは整備室を出て自室に向かった。
「ただいま」
「おかえりなさい」
ジンが言うと本を読んでいた楯無が本から目を離しジンの方に向かって言った。
「楯無お前妹と喧嘩でもしているのか?」
「な、なんでジン君が簪ちゃんの事を!?」
「さっき整備室で会って少し話しただけだ」
「手出してないわよね?」
楯無は威圧感のある声でジンに聞いた。
「お前はシスコンか?手は出してない俺の専用機の事を話しただけだ」
「・・・そう」
「大方お前が暗部の当主になった時に簪が弱点にならないよう、簪にきつい言葉でも言って姉妹仲が拗れたのだろ?」
「うっ!そ、その通りよ・・・」
「それと簪はお前が一人で専用機を組み立てたと思い、一人で専用機を組み立てようとしているが、お前は一人で専用機を組み立てたのか?」
「いいえ。専用機を一人で組み立てるなんて篠ノ之博士しか出来ないわ。私の専用機は虚ちゃんに協力してもらったし。あ、虚ちゃんってのは私の従者で生徒会の会計もしてもらっているわ。他にも資材とかも沢山の人達に協力してもらって私の専用機は出来上がったわ」
「楯無お前は簪と仲直りしたいか?」
「勿論よ!世界に一人だけの妹だもの!!」
「だったら面と向かって話せ。人は話さなければ分からない生き物だからな。それと仲直りして簪が人を頼るようになったら、リッカも協力するって言ってたから頼るといい。明日整備室に来い。そしてお前の本当の気持ちを誤魔化さずに話せいいな?」
「・・・うん」
コンコン
ジンが明日楯無に整備室に来いと言い楯無が頷いた後にノックの音が聞こえた。
「ジンさんフランです」
「開いてるから入ってきていいぞ」
「失礼します」
「ジン君彼女は?」
入って来たフランを見て楯無はジンに尋ねた。
「彼女はフラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ。極東支部でオペレーターをしていて今はIS学園との調停役と俺の補佐をしてくれている」
「初めまして。私の事はフランで構いません」
「私は更識楯無。ここIS学園の生徒会長を務めているわ。よろしくね」
「フラン資料は?」
「此処に」
フランは授業の為の資料をジンに渡した。
「サンキュー。後は編成だな」
「では私はこれで」
「まぁそう言わず少し休んで行けよ。今茶入れるな」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えていただきます」
その後リッカも合流し四人で暫く話した。
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ジンの授業
簪と出会った翌日。いよいよジンによる授業が始まろうとしていた。
教科書などはなく、ジン達がその日にやる内容を編集してモニターに映すというやり方をとっている。生徒達はノートを広げメモを取れるようにしている。
千冬と山田先生は教室の後ろで見学している。
「よし。始める前にゲストを紹介する。入ってきていいぞ」
「失礼します」
ジンの呼びかけで入って来たのはアリサだった。
昨日一夏達に話した内容をサカキに話した時、報告の為支部長室にいたアリサが立候補して今日の朝に学園に到着したのだ。
「初めまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。独立支援部隊クレイドルに所属しています。よろしくお願いします」
そう言い頭を下げた。
「アリサには暫くの間俺の補佐として授業に参加してもらう。アリサは優秀だから色々と聞けばいいぞ」
「いいえ。私なんて皆さんに比べればまだまだです」
「櫻羽君、アミエーラさんに質問いいですか」
「いいかアリサ?」
「はい構いません。それと私の事はアリサでいいですよ」
「じゃアリサさんクレイドルとはどんな活動をしているのですか?」
質問したのは相川清香だった。
「クレイドルはサテライト拠点、極東支部に入れなかった人たちが暮らせる場所を捜索し、支援をします。後は他の神機使いと同じで周辺アラガミの討伐など人々が安心して暮らせるよう活動しています」
『『『成程』』』
そう言い生徒達はメモした。
「まだまだアリサに聞きたいことがあると思うが先に授業を進める。余裕があれば最後にも質問タイムを設けるからな」
『『『はーーーい』』』
「よし。まずアラガミについて説明するぞ。アラガミはオラクル細胞と言う細胞の群体だ。オラクル細胞は昔から地球に存在していたと言われ2046年、今は2074年だから28年前はミミズ状生物に進化し2050年頃にはアラガミとなったみたいだ」
ジンはアラガミの写真を幾つか映した。
「アラガミの由来は旧日本に伝わる八百万の神々になぞられ「荒神」(アラガミ)と呼ばれるようになったみたいだ。アラガミには幾つか種類があるが・・・アリサ挙げてくれ」
「はい。まず基本種と言い、人や動物、建物を捕食出来るまで成長したアラガミを指します。次に堕天種とは基本種が極地に対応するため変異したアラガミを指します。次に接触禁忌種は2種類あり、第2種接触禁忌種と第1接触禁忌種があります。第2種接触禁忌種は堕天種同様に基本種から発生しより神に近い進化を遂げています。能力も大幅に上げられており異常状態の攻撃もしてきます。第1接触禁忌種は指定接触禁忌アラガミとも言われ5体しかいないのですが並みの神機使いの接触は禁止されています」
ジンとアリサは朝に打ち合わせをしていたのでアリサの説明の時にモニターにはそれどれ当てはまるアラガミの写真が写されている。
「そして近年猛威を振るった感応種です。この感応種は偏食場パルスと言う特殊な信号を発します。例として私達の神機が使えなくなります」
「神機が使えなかったら戦えないのでは?」
神機が使えなくと聞きセシリアは質問した。
「そう、この感応種のに対抗するために俺達ブラッドが結成された。感応種に干渉するためには血の力が必要なんだ。俺も初めて感応種と交戦?した時に血の力に目覚めたんだ」
「最も今では極東支部の神機使い達全員感応種と戦えます」
「それは櫻羽の血の力の恩恵か?」
ジンの答えにアリサが付けたし、更に千冬が質問した。
「はい。前にアラガミの大群が極東支部付近に現れた時に防衛班、極東支部の第二、第三部隊が戻った時の急ピッチでブラッドアーツやブラッドバレットを覚えた事により極東支部を守り切る事が出来ました。脱線したが続き頼む」
「はい。次に神融種 と言われるアラガミがあります。このアラガミは髑髏の様な仮面を被り体の一部に神機が癒着しています。また血の力やブラッドアーツに似た能力も持っています。そして最後に特異種と人工アラガミです」
「特異種とはこれまでのアラガミの進化系統の何れにも属さない個体だ。その個体が終末捕食の鍵だ」
「その終末捕食とは?」
「地球再生のシステムでもあり、アラガミにより一度初期化し生命を再分配する事です。終末捕食が起これば私達の世界の生物、植物は全てリセットされると言われています」
「そう言えば3年前の事は俺も知らないな」
「それは口外出来ません。しかし見る事は出来ます」
「・・・感応現象か」
「はい。ジンさんなら見ても大丈夫だと思います」
そう言いアリサはジンの方に手を伸ばした。ジンは迷う事なくアリサの手を握った。その瞬間3年前の出来事が流れて来た。
およそ1分後にジンはアリサの手を離した。
「・・・アリサ」
「何ですか?」
「俺も友達になれるかな?」
「ジンさんだけじゃなくブラッド全員と友達になれると思いますよ」
「そっか。決めた」
「何をですか?」
「俺はISを宇宙へ行ける為にサカキ博士と協力してみる」
「それって・・・」
「ああ。サカキ博士にお願いして極東支部でISが宇宙で活動できるように研究してもらおうと思う」
「ありがとうございますジンさん」
アリサはとびっきりの笑顔で礼を言った。
「あのー何の話ですか?」
ここで山田先生がおずおずと手を挙げた。
「あ、すいません。今俺は感応現象でアリサの過去を見ていたんです」
『『『感応現象??』』』
「新型神機使いに起こる現象で、簡単に言うとその者に起こった出来事を見る事が出来る事かな?」
「そうですね、感応現象はまだ謎が多いですからね」
「感応現象についてはより詳しい人が来た時に説明するとして、続きを話すぞ」
「最後は人工アラガミについて話します。これは2種しかありません。まず前極東支部長が造った物で人型神機と呼ぶ事が出来ます。その理由は神機の技術が応用されているからです」
「そしてもう一つは神機兵と言って、神機使いの変わりの戦力として造られた物だ。しかし破壊され赤い雨を浴びた事により暴走するなどの事態も起こった。赤い雨については今度話す。後俺達が使っている神機もアラガミと同じオラクル細胞で出来ている、つまりアラガミに対抗出来るのは同じオラクルを持つ神機だけとなる。今回はここまでだ」
「質問がある方は遠慮なく言って下さいね」
生徒達は話した事を纏めているのか手をあげる者はいない。
「そう言えばアリサはこっちにいる間にサテライト拠点への物資を買うのだったな?」
「はい。私達の世界のお金は1fcでこちらの世界の1円と同じという事なので、買う分のお金を換金しようと思います」
「あーこの通帳使ってくれ俺は金そんなにも使わないから、サテライト拠点の為に使ってくれた方が有益だからな」
「そんな悪いですよ」
「良いから良いから」
「じゃ、お言葉に甘えます」
「ああ、少ないと思うが好きに使ってくれ」
アリサは幾ら入っているか見る為通帳の最後のページを見て目を見開いて一言言った。
「・・・どん引きです」
「あー引くぐらい少なかったか?」
「いえその逆です」
気になった相川は通帳を覗き込んだ。
「一、十、百、千、万、十万、百万、一千万・・・・・・三億?」
『『『さ、三億!!???』』』
「何なんですかこの金額は!!?多い時には同じ日に何度も大金が入ってるじゃないですか!!これは受け取れません!!!」
「大丈夫だまだ通帳はあるから一つぐらい大丈夫だ」
「はい?」
そこでアリサは最後に入金された日付を見て理解した。
「そういう事だだから遠慮なく使え」
「あ、ありがとうございます」
アリサは引き攣った顔で礼を言った。
「次の授業はリッカに神機の説明をしてもらう。言い忘れていたがこの授業もテスト教科となるのでそのつもりでな」
こうして最初の授業は終わった。
アラガミ説明で指摘があれば遠慮なく言って下さい!!
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仲直りと金と銀
午前中の授業も終わりジンはアリサと共に食堂に向かっていた。
「しかしこのIS学園は大きいですね」
「普通の学校が分からないが、確かに大きいと思うぞ。なんせ世界で唯一のIS操縦者育成機関だからな」
「そうですね。そう言えばリッカさんとフランさんは?」
「先に行っといてって言われた。リッカは基本的に整備室の一角を借りて、ISの勉強と俺の神機とISのメンテをしている。フランは職員室の一角を借りて、事務仕事をしてる」
「2人共忙しそうですね」
そう話していると食堂に着いた。
「此処の飯は美味いぞ。ムツミと張れるぐらいに」
「それは期待出来そうですね」
ジンは洋食セットをアリサは和食セットを頼み席を探していると、一夏達が手を振って呼んでくれたので同じ席に座った。
そこでアリサと鈴は自己紹介をし、ある事に気付いた。
((この人(この子)もジン(さん)の事が好きね(ですね)))
妙な空気を感じ取りセシリアがある事を問いかけた。
「しかし本当に腕輪の色が違いますね」
「え、ええ。ジンさんから聞いていると思いますが、ブラッド以外の神機使いは赤です」
「アリサの神機って何世代なの?」
「私の神機は第二世代の新型です」
「因みに第二世代の新型が出始めたのは3年前だ」
鈴がアリサの神機の世代を聞きアリサが答えジンが付けたした。
「その時の私は本当に子供でした。当時の私は高圧的で新型ゆえ旧型を見下していたんです。それこそ古参のリンドウさんに『旧型は旧型なりの仕事をしていただければいいと思います』って言ってしまったんです」
アリサの話を聞いて一夏と箒は(少し前のセシリアみたいだな)と思い、セシリアの方を向いた。その視線に気づいたセシリアは身が縮こまった。
「うわーそんな事リンドウさんに言ったのか。あ、リンドウさんっていうのは当時のアリサの上官で今はクレイドルの隊長をしているぞ」
ジンもアリサの暴言に引き、リンドウを知らない一夏達にリンドウの事を教えた。
「すいません遅くなりました」
「やほー」
フランとリッカも合流し8人は雑談しながらゆっくり昼休みを過ごした。またこの時にフランと鈴がお互いにジンの事が好きと分かったのは余談である。
午後の授業も終わり整備室に楯無と共に向かっていた。
「簪ちゃんいるかな・・・」
「さっきリッカに連絡とったら居るって。俺とリッカは整備室の外で待ってるから、お前の本当の気持ちを話せよ?」
「・・・ええ」
そして整備室に入りジンが楯無と簪に一言言ってからリッカと共に外に出た。中からは・・・
「私はお姉ちゃんに認められたかった!!」や「私は簪ちゃんの為に」や「そうやって私の事をちゃんと見ないで・・・」など聞こえてくること数分・・・
すっきりした表情の楯無と簪が出て来た。
「仲直り出来たみたいだな」
「ええ、ジン君の言った通り正直に話して仲直り出来たわ。ありがとうジン君♪」
そう言い楯無の扇子には「感謝」と書かれていた。
「ありがとう櫻羽君」
「どういたしまして。それと俺のことはジンでいい」
「うん。じゃジンと楠さん」
「私もリッカでいいよ」
「分かりました。2人共私の専用機を作るの手伝ってもらってもいいですか?」
「「勿論」」
簪の誘いにジンとリッカは迷うことなく頷いた。その日からは簪は周りを頼るようになった。
整備室から自室に戻ったジンに楯無がある報告をした。
「転校生?」
「ええ、3日後にフランスとドイツの代表候補生が転校してくるの。しかもフランスの方は男子ですって。2人共一組に転入よ」
「成程。お前はフランスの方を疑っているのだな」
「何故そう思うの?」
「男性操縦者が見つかれば報道されるはずだ、俺は例外だがな。大方男と偽る女で俺の黒牙や一夏の白式のデータでも狙ってと思っているんだろ?」
「ええ、その通りよ。問題は部屋割りなのよね」
「確かに一夏の方にすると問題が起きそうだな。なら俺がソイツと同じ部屋にするか」
「うーんその方がいいんだけど・・・ジン君の監視って言う上の命に逆らう事になるし・・・」
「なら3人同じ部屋でもいいんじゃねーか?俺が床で寝ればいいだけだし」
「何なら私のベットで一緒に寝ても良いわよ?」
「そう言うのは好きな男にしてやれ」
「私はジン君なら良いわよ」ボソッ
「ん?何か言ったか?」
「何でもないわ!」
「そうか。先にシャワー使うぞ」
「ええごゆっくりどうぞ」
ジンがシャワーを浴びに行ったのを確認して楯無は一息ついた。
「簪ちゃんと仲直りしてからジン君と話すと凄くドキドキする・・・やっぱり私ジン君の事が///」
楯無はジンに対しての気持ちに気付いて顔が朱に染まった。
「何時か必ずこの気持ち伝えてみるわ」
そう決意し楯無の夜は過ぎていく。
そして3日後
朝から女子達はISスーツの話で盛り上がっていた。それもそのはず今日からスーツの申し込みが始まるからだ。
話していると千冬と山田先生が入って来てホームルームが始まった。
「今日はなんと転校生を紹介します!しかも2名です!」
『『『えええええっ!?』』』
クラス中が一気にざわついた。
「失礼します」
「・・・・・・」
ざわつきが収まった頃に教室のドアが開き2人の人物が入って来た。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さんよろしくお願いします」
金髪の男性が自己紹介をすると・・・
『『『きゃあああああーーーっ!』』』
ソニックウェーブ如きの歓喜の叫びが教室に響いた。
「男子!三人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形!守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~~!」
騒いだ女子を千冬が収め銀髪の女子が簡潔に自己紹介をし、指定した席に移動する前に一夏の前に立った。
「貴様が!」
銀髪の女子ラウラ・ボーデヴィッヒが手を振り上げそのまま振り下ろし一夏に・・・
「悪いがそこまでた」
当たらなかった。ジンがラウラの腕を掴んだからだ。
「何だ貴様は!」
「俺は櫻羽ジン。向こうの世界の人間だ。階級は大佐だ、お前も軍属だろ?階級は?」
「・・・少佐です」
ラウラは階級が上だと分かり敬語になった。
「ならボーデヴィッヒ少佐。民間人に手をあげるな」
「しかし!」
「俺達軍人は民間人を守る存在だ。軍人は民間人に手を出しては駄目だ。今日は見逃すが次はないと思え」
「・・・分かりました。申し訳ありません」
ラウラは不服そうに謝った。
「あー・・・ゴホンゴホン!ではHRを終わる。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」
ぱんぱんと手を叩いて千冬が行動を促す。すると千冬がシャルルを連れてジンと一夏に近づいた。
「おい櫻羽と織斑。デュノアの面倒を見てやれ同じ男子だろう」
「君達が櫻羽さんと織斑君?僕はー」
「先に移動するぞ。女子達が着替えるからな」
そう言いジンはシャルルの手を引き一夏とアリサと共に教室を出た。あおして案の定女子の大群が現れた。
「ああ!転校生発見!」
「しかも櫻羽さんと織斑君と一緒!」
「者ども出会え出会え!」
「・・・ジンさん何時もこんな感じですか?」
「ああ毎回だ」
「どん引きです・・・」
アリサがこの光景をジンに聞き引いた。
「仕方ない」
「おいジンまさかまたか?」
「そうだ」
「他に方法は無いのかよ!?」
「ないな。あれが嫌なら一人でどうにかしろ」
そういいジンはシャルルを抱えてアリサと共に窓から飛び降りた。
「イヤぁああああーーー!!!」
その最シャルルの悲鳴が響き、一夏の嘆きの声も聞こえた。
そして木の枝の太い所に捕まり落下を止めシャルルを降ろした。
「大丈夫か?」
「大丈夫か、じゃないよ!急に飛び降りないでよ怖かったんだから!!」
「悪いなつい癖で」
「そんな癖ないよ!」
「いや俺達ゴッドイーターだしな?」
「ええ」
ジンがアリサ向いて問いかけるとアリサも頷いた。
「場合によってはヘリから何十メートルも飛び降りるし今の位普通だな?」
「そうですね」
「聞いた僕が馬鹿だったよ・・・」
シャルルが落ち着いたので、ジン、アリサ、シャルルは歩きながら自己紹介を始めた。
「自己紹介がまだだったな。俺は櫻羽ジン。ジンでいいぞ。フェンリル極東支部所属ブラッド隊隊長を務めている」
「アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。私もアリサで構いません。フェンリル極東支部独立支援部隊クレイドル所属です」
「うんジン、アリサ。僕はシャルル・デュノア。僕もシャルルでいいよ。2人は確か神機使い、ゴッドイーターっていう向こうの世界の人間の守護者なんだよね?」
「まぁその認識で合ってるな」
「そうですね」
「それで何で腕輪の色が違うの?」
「一般的な神機使いは赤ですが、ジンさん達ブラッドは血の力と言う特殊能力に目覚める可能性があるP66偏食因子を投与される為黒なのです。因みに一般的にはP53偏食因子が投与されます。まぁこれもまた授業で話すと思うので」
「話している内に着いたな。実習の時はアリーナの更衣室で着替える事になっているみたいだか覚えておけよ。俺とアリサは先に行ってるから着替えとけよ」
「え?ジンとアリサは?」
「俺は何時呼び出しが来るか分からんから、オフの日以外基本このブラッドの制服だ。アリサは生徒じゃなく俺の補佐だから着替えなくっていいんだ」
「そうなんだ」
「早く着替えろよ、遅れたら織斑先生の手痛い一撃が待ってるからな」
「直ぐ着替えるよ!」
そう言い更衣室に入って行った。
長くなりそうなのでここで区切ります!
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ゴッドイーターの戦い
シャルルが着替え終わり更衣室から出て来たタイミングで一夏が到着した。
「ジン置いて行く事ないだろ・・・」
「俺の事を飛び降りるしか脳がないと思った罰だと思え。他にも方法はあったが、アレが一番被害が無いヤツだったからそうしただけだ」
「・・・一応聞くが他の方法って何だ?」
「壁や天井を走る事だ」
「「・・・・・・」」
「ん?どうした2人共?」
ジンが他の方法を話すと一夏とシャルルは黙った。
「いや、もういい・・・」
「うん。ジンの事数分しか接してないけど、規格外だって分かったよ」
「そうか。それと一夏着替えないと出席簿の餌食になるぞ」
「やべぇ!!」
一夏は急いで更衣室に入って行き、ジン達3人はグランドに向かった。案の定一夏は遅れ手痛い一撃を貰った。
「本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
『はい!』
千冬の号令に1組と2組の生徒は元気よく返事した。
「今日は戦闘を実演してもらおう。丁度活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。凰!オルコット!」
千冬は先程喋っていた鈴とセシリアを指名した。
「専用機持ちはすぐ始められるだろ。それにあいつ等にいいところを見せられるぞ」
最初の言葉は全員に聞こえるように言い、後半の言葉は2人に近づいてジンと一夏の方を向き言った。
(織斑先生お二人の動かし方分かってますね・・・)
(鈴さんはジンさんで、セシリアさんは一夏さんですね・・・)
(あはは・・・ツバキさんと同じと思ったら少し違うね)
千冬の行動を見て、フラン、アリサ、リッカはこう思った。
因みにISの実習の時はフランとリッカはデータを集める為に参加している。リッカの近くにはアリサの神機が入ったケースが置いてある。
「やはりここはイギリスの代表候補生、わたくしセシリア・オルコットの出番ですわね!」
「まぁ、実力の違いを見せるいい機会よね!専用機持ちの!」
セシリアと鈴は物凄いやる気が出ていた。
「それで、相手はどちらに?わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「ふふん。こっちの台詞。返り討ちよ」
「慌てるな馬鹿ども。対戦相手は山田先生だ」
セシリアと鈴の言い合いを沈め、千冬は2人の相手を山田先生と言った。
「山田先生は元代表候補生だったからな。さて始めるぞ小娘共」
「あ、あの二対一で・・・?」
「いや、流石にそれは・・・」
「安心しろ。今のお前達ならすぐ負ける」
負けると言われ2人は闘志をたぎらせた。そして千冬の合図で模擬戦が始まった。
空中での戦闘を見ながら千冬はシャルルに山田先生が使っている、ラファール・リヴァイヴの説明をさせた。
「山田先生の射撃は精確だな」
「そうですね。それに比べ鈴さんとセシリアさんの連携はお世辞にもいいと言えないですね」
「そうだな」
シャルルの説明を聞きながらジンとアリサは3人の戦闘を見て感想を言った。そうしている内に鈴とセシリアは落とされた。
「くっ、うう・・・まさかこのわたくしが・・・」
「あ、アンタねぇ・・・何面白いように回避先よまれてんのよ・・・」
「2人ともそこまでだ」
鈴とセシリアが言い争いが始まりそうだったからジンは声をかけた。
「今の負けは当然だな。2人共連携しないで動いたのが原因だ。いいか2人以上で組んだ時は連携が一番重要だ。特に今回は遠距離のセシリアと、近・中の鈴ととてもいい組み合わせだった。セシリアが山田先生の動きを封じつつ鈴の援護をしていれば結果は逆になっていたかもしれない」
「櫻羽の言った通り2人以上の時は連携が重要だ。それと諸君にもIS学園教員の実力は理解出来ただろう。以後は敬意を持って接するように」
ジンが言った後に千冬が付けたした。
「専用機持ちは櫻羽、織斑、オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒだな。では・・・」
ビー!ビー!ビー!ビー!
「!緊急事態発生!!アラガミの反応を感知しました!!」
IS学園を囲うように設置した360度アラガミ反応器がアラガミの反応をキャッチし、フランのパソコンが反応した。
「場所は!?」
「ここから南に20キロの所に5つの反応があります」
「俺が行く。アリサはここに残れ」
「はい!」
急に緊迫した空気になり生徒達は息をのんでジン達のやり取りを見ている。
「待って下さい!さらにその地点からさらに10キロ離れた所にも5つの反応があります!!」
ジンが向かおうとしたら更にアラガミの反応を感知した。
「何だと!!?くっどうする・・・」
「・・・ジンさん私も出ます!!」
「だがそれでは学園が手薄になる・・・」
「私達ゴッドイーターは人々をアラガミから護る事が義務です!学園が手薄になるなら早く片付ければいいだけです!!」
「・・・そうだな。よし!アリサは20キロ地点のアラガミを頼む。俺は30キロ地点の方に行く。フランは極東支部に応援要請!!」
「「了解!!」」
ジンの命令にアリサとフランは頷いた。
「アリサ捕まれヘリポートまで送る」
「はい!」
因みにIS学園のヘリポートの一つに極東支部のヘリが置いており、緊急時に使う事になっている。
リッカから神機の入ったケースを受け取りアリサは黒牙を纏ったジンにヘリポートまで送られ、アラガミ出現ポイントまで急行した。
「極東支部応答願います!!」
『はい。こちら極東支部。どうかしましたか?』
ジン達が動き始めたと同時にフランは極東支部に連絡を入れた。極東で対応したのは同じオペレータのヒバリだった。
「IS学園の南に20キロ地点と30キロ地点にアラガミが出現!ジンさんとアリサさんが出撃した為学園が手薄になりました。直ぐに動ける神機使いの手配をお願いします!」
『了解しました!直ぐ手配します!!』
そう言い通信を切り、ヒバリは動ける神機使いを探した。
フランは出現したアラガミを調べた。
「20キロ地点は・・・プリティヴィ・マータ4体とディアウス・ピター1体。30キロ地点はガルム4体とマルドゥーク1体」
「2人にとって因縁の相手だね」
「あ、あの~そのプリティ何とかてどんなアラガミですか?」
緊迫した雰囲気から解放されたセシリアが質問した。
「まずプリティヴィ・マータは第二接触禁忌種でヴァジュラ神属です」
フランは空中ディスプレイに写真を出しながら説明を始めた。
「次にディアウス・ピターはマータと同じ接触禁忌種ですが、ピターは第一接触禁忌種に指定されてます」
「これが第一接触禁忌種・・・」
「なんて恐ろしい存在なのだ・・・」
生徒達は愚か千冬までもが恐怖した。
「続けます。ガルムは基本種のアラガミで、マルドゥークはガルムの感応種です。因みにジンさんが血の力に目覚めたアラガミと同じ個体です」
「これが感応種・・・」
「写真だけでも恐怖しますわ・・・」
「これは!・・・ジンさんマルドゥークの近くに反応があります!!恐らく一般人だと思います、急いで下さい!!」
『了解した!!』
「モニター出します!!」
フランは30キロ地点の映像を出した。
「「蘭!!?」」
「一夏と鈴の知り合いか?」
「ああ中学で出会った友達の妹だ」
「ジン急いで・・・」
今日蘭は学園が臨時休校となり気分転換に出かけていた。しかしそこに5体のアラガミが現れ自身の死を悟った。
「嫌・・・誰か助けて!!」
ガルムが蘭に近づいた瞬間上から銃弾だ飛んできてガルムは後ろに飛び避けた。
「間に合ったようだな」
ジンは黒牙を解除してマルドゥーク達に目線を向けた。
「おいお前」
「は、はい!」
「俺が合図したら目を瞑れ。その後あそこの物陰に隠れていろ、それとそこから動くなよ奴等は耳が良いから狙われるぞ」
「は、はい」
蘭が頷いたのを確認したジンはスタングレネードを取り出し5体共の動きを観察し始めた。
「今だ!目を瞑れ!!」
蘭に目を瞑るように言いスタングレネードを使った。マルドゥーク達が怯んだのを確認しジンは蘭を物陰に走らせた。
暫くするとマルドゥーク達が回復し空に向かって吠えた。
「アリサの援護にも行かないとな。さっさと終わらせる!」
『感応制御システム起動!誓約を履行して下さい』
「対象をマルドゥークに選択、追撃の誓い、破壊への衝動、解き放つ本能、追撃の誓い・絶を選択」
ジンは選択を終えマルドゥークに向かって走り出した。当然ガルム達はジンを行かせないよう立ち塞がろうと動く前にジンはガルム3体の横を通り抜けていた。残ったガルムが右脚で攻撃してきたがジンは焦らず勢いを殺すことなく左に避け、マルドゥークの前に出た。
『リンクサポートデバイス効果発揮します!』
「計算通りだ!」
横一線に神機を振るうと、マルドゥークの顔が結合崩壊を起こした。
『拘束フレームパージ!!残り2つです!!』
「オッケー!」
「スゲー・・・」
ジンの戦いをみて一夏はそう呟いた。
「これがゴッドイーター・・・」
「あんな化け物に立ち向かうなんて私には無理だよ・・・」
生徒達もジンの戦いに釘着けだった。
「リンクサポートデバイスを上手く使いましたね」
「そうだね。破壊の一撃とフルバーストの組み合わせを考えた上でのブラッドレイジを起動したね」
「何の話だ?」
「リンクサポートデバイスについては私の授業の時に話すよ。丁度ブラッドレイジ発動するみたいだし」
「ブラッドレイジ発動します!」
フランがそう言い直ぐジンに変化が現れた。
背中に金色に輝く漆黒の翼が出現した。
「先ずはガルム達を片付ける」
そう言いジンはガルム達にブラッドアーツ・バリアスライド、ドライブツイスター、秘剣・昇り飛竜を使い的確に結合崩壊を起こしつつコアを破壊していった。
『ブラッドレイジ、持続限界まであと10秒!』
フランがそう言った時にはガルムは残り1体になっていた。その1体も無尽ノ太刀・蒼で倒した。倒したと同時にブラッドレイジが終了した。
次にジンはアサルトに可変し氷属性のブラッドバレッド・ホーミング弾を撃ちつつマルドゥークに接近した。マルドゥークは火球を飛ばしてきたがジンは上に跳躍し避けた。ジンが上に避けたのを見てマルドゥークはジンの方に炎を纏って突撃して来た。
ジンは素早くロングブレードに可変して、タイミングを見計らって、バックラーを展開しガードした。次にジンはマルドゥークの後ろから捕食し後足を狙い切って行った。何回か捕食しながら攻撃すると結合崩壊を起こしダウンした。
『敵ダウン。敵のオラクル反応が弱まってきました!』
ダウンしたマルドゥークに捕食とブラッドアーツ・疾風ノ太刀・鉄で的確にダメージを与え、起き上がった時にガントレットを目がけ、マルドゥークのアラガミバレッド・神狼焦熱波を連続で撃った。
最後の神狼焦熱波が当たった時にガントレットが結合崩壊を起こした。ジンはロングブレードに可変しそのまま勢いを乗せブラッドアーツ・ソニックキャリバーを当てた。するとガルムがダウンした。
「コアを抜き取って終わらせる」
ジンはコアごと捕食しマルドゥークは沈黙した。
『マルドゥークの沈黙を確認しました』
「よし。もう大丈夫だから気を付けて帰れよ」
ジンは物陰から見ていた蘭にそう言い黒牙を展開しアリサが交戦している所に向かった。
「行ちゃった。・・・格好よかったな」
ジンが向かった方を見ながら蘭はそう呟いた。
初の4千字以上!
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決着
「あっという間だったな・・・」
「はい、恐らく5分もかかってなかったと思いますわ・・・」
「ジンって普通のゴッドイーターじゃないわね」
ジンの戦闘を見て一夏、セシリア、鈴は思った事を言った。
「それはそうだろう。櫻羽は向こうの世界では英雄と称えられているからな」
「千冬姉それってどういう事?」
パアンッ!
「織斑先生だ。言っては無かったが、櫻羽は向こうの世界の破滅を止めたんだ」
『『『え、えええええええ!!!?』』』
千冬の言葉に生徒達は驚いた。
「うんうん。私も鼻が高いよ」
「何でリッカさんが誇らしそうにしているのですか?」
「だって私が開発した、ブラッドレイジで終末捕食を止めたんだから嬉しいんだよ」
「終末捕食?」
「簡単に言うと一度初期化させ生命を再分配させること。この初期化の時に地球上の生物が全てなくなり、その後に新たな命が生まれるって事だね」
「世界の終わり・・・」
「それを救うなんて・・・」
「凄すぎだよ・・・」
「でもジンさんは、最初から終末捕食を止めるつもりはなかたんですよ」
「え?じゃどうしてジンは戦かったんだ?」
「仲間を助ける為だ」
一夏が疑問に思ていると、第三者の声がして全員が声がした方に振り向いた。
そこには薄桃がかかった銀髪を三つ編みにし、紅のフードを被った女子がいた。
「その腕輪、櫻羽の隊の者か?」
「ああ私はリヴィ・コレット。ブラッドの隊員だ、ヒバリから事情は聴いている」
「それより仲間を助ける為に戦ったってどういうことだ?」
「それは本人から聞けばいい」
そう言いリヴィはアリサの方のモニターを見始めたので、一夏達もモニターの方を向いた。
ジンがアリサの援護に向かっているその頃にはプリティヴィ・マータを2体撃破し残りマータ2体とディアウス・ピターとなっていた。
今はアサルトで牽制しながら距離を取っていた。しかし、マータはアリサの前後に移動し挟み撃ちを狙っていた。ピターは離れた所で戦いを見ていて、攻撃はしてこない。
一瞬チラッとピターを見た隙にマータ達は同時に動いた。
「前方にアサルトを撃て!!」
アリサは回避をしようとしたが、上からの声で前方に向かってアサルトを撃った。
上から声を掛けたジンは、アリサの後方のマータにアサルトを撃ち、アリサからマータを引き離した。
「悪い遅くなった」
「いいえ、大丈夫です」
ジンとアリサは背中合わせで話した。無論目の前のマータから目を逸らさず。
「ピターはずっとあのままなのか?」
「はい。ずっと傍観しています」
「流石『帝王』だな。マータ2体やられた位じゃ同って事ないってか」
「同感です。ですがその慢心が命取りだと教えてあげましょう」
「そうだな。・・・背中は任せたぞアリサ」
「はい!私も貴方に背中を預けます」
そう言い2人は同時に駆け出し、目の前のマータに仕掛けた。
数分でマータを仕留め2人は左右からピターに仕掛けた。しかしピターは前に走り、神機は空振りに終わった。
ジンはすぐさま追撃に移り、アリサは援護の為、アサルトに可変し神属性の銃撃で牽制した。
ジンはすぐさま捕食形態にし、捕食しバーストした。
「もう一丁!!」
もう一度捕食を行いピターから離れ、アサルトに可変し銃口をアリサに向けた。
「アリサ!!」
「お願いします!」
ジンの意図に気付きアリサは返事した。
その瞬間受け渡し弾を2つ撃ち、アリサはバーストレベル2となった。
「これで!!」
受け取ったアラガミバレッド『神雷双槍』をピターに放ち、胴体に直撃した。
「グアァァァ!!」
ピターが咆えると、ジャキンとなり翼の様なものが生えた。
「ようやくやる気になったようだな」
「そうですね、どうします?」
「あと少しで喚起率が100%になるから、その時にブラッドレイジを使って終わらせる」
「分かりました」
そう言い2人はピターに仕掛けた。
学園ではリヴィが解説の元ジンとアリサの戦いを見ていた。
「ジンは誰と組もうと連携して戦おうとしている。ジン単体でも倒せるが連携を取ればもっと早く討伐出来るからだ。ジンの真骨頂は単騎での戦闘ではなく連携だ」
リヴィの説明に皆真剣に聞いていた。モニターに映っている2人は頭とマントを結合崩壊させた。
「感応制御システム起動!誓約を履行して下さい」
喚起率が溜まりジンはブラッドレイジの準備を始めた。今回は追撃の誓い、解き放つ本能、追撃の誓い・絶、連撃遂行・強を選択した。
ジンはアリサとの連携で感応制御システム起動中に全てクリアした。
「ブラッドレイジ発動します!」
その瞬間ジンの背中に金色に輝く漆黒の翼が出現した。
そして前にいたピターを怯ませその隙に捕食した。アリサもピターの右から捕食を行いブラッドアーツ・ソニックキャリバーを発動した。ジンはブラッドレイジ発動中にピターを仕留めようとブラッドアーツ・バリアスライドを連続で使用した。
「グオオオオオ!!」
ピターは赤い雷撃を放つがアリサはガードし、ジンはブラッドレイジ中は無敵状態なので気にせず攻撃に集中している。
「決めるぞアリサ!!」
「はい!」
ジンの声にアリサは返事しブラッドアーツを発動する動作に入った。
「これで!」
「終わりだ!!」
2人同時にブラッドアーツ・ソニックキャリバーを発動させた。
「ディアウス・ピター完全に沈黙しました」
ワーーー!!と一夏達はフランの言葉を聞き歓声を上げた。
『帰投準備頼む』
「了解です。10分程でヘリが到着すると思います。ジンさん、アリサさんお疲れ様でした」
『はい。フランさんもオペレータお疲れ様でした』
それを最後にモニターは消えた。
「では授業を再開する。と言っても時間が少ないので片付けに入れ」
「「「はい!」」」
千冬の言葉に全員頷き片付けが始まった。そして授業の終わりのチャイムが鳴って、着替えようと戻ろうとしたら、ジンとアリサが戻って来た。
「ふーただいま戻りました織斑先生」
「ああ、モニターで見ていたが見事だった。お前達ゴッドイーターには脱帽だ」
「「ありがとうございます」」
「先にシャワーを浴びてきたらどうだ、次の授業は遅れても文句は言わない」
「ならそうさせていただきます」
そう言い2人はシャワーを浴び次の授業に出た。
「・・・どう言う事だ」
昼休み屋上で箒がボソリと言った。今この屋上には箒の他に一夏、セシリア、鈴、ジンとアリサ、リヴィそれとシャルルがいた。
「天気がいいから屋上で食べるって言ったのは箒だろ?」
「それはそうだが・・・」
箒は一夏と2人きりで昼食を取ろうと思っていたが、一夏がジン達にも声を掛けたためこうなった。
「折角なんだから皆で食べた方がいいだろ?」
「まぁそうだな」
箒は渋々納得した。
因みにジンは弁当を持参しておりアリサの分も作っていた。リヴィは急いで来たのでジン達から分けて貰っていた。
鈴はジンに自慢の酢豚を作って来ていて渡した。好評でアリサとリヴィも食べ絶賛した。シャルルもジンと鈴から分けて貰っていた。
一夏は箒から弁当を、セシリアからサンドイッチを引き攣った顔で受け取っていた。
賑やかな昼休みは過ぎて午後の授業に入って行った。
因みにリヴィも初めての学校の授業にさんかした。
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ジンの授業・神機編
「えーとこれからよろしくお願いします」
夕食を食べ終え、ジンはシャルルを連れ部屋に戻った。シャルルにも男性操縦者保護の為生徒会長の更識楯無が同室だと教えた。
部屋に入ると楯無が居りシャルルは楯無に頭を下げた。
「そんなに固くならなくてもいいわよシャルル君。改めてようこそIS学園に。私は生徒会長の更識楯無。ロシアの国家代表よ。それとジン君は生徒会副会長よ」
「ええ!?聞いてないよジン!!」
「そりゃ言ってないからな。一夏達にも内緒で頼むぞ。知った時の一夏達の驚いた顔が楽しみだからな」
「お主も悪のよ~」
「いえいえ生徒会長ほどでは・・・」
「ぷっ!」
「やっと笑ったな」
「え?もしかして今のは・・・」
「そっ、シャルル君の緊張を解こうと思って、事前に打ち合わせしてたのよ」
「じゃジンが副会長ってのも・・・」
「それは本当だ。ついでに内緒で頼む。何時かは言うから」
「うん分かった。改めてジン、更識先輩これからよろしくお願いします」
「ええ。それと私の事は楯無で良いわ」
「さてと、取り敢えずシャルル予習するぞ」
「今までのISの予習?それなら本国で済ましたよ」
「いいや俺の授業の予習だ。国から聞いてないのか?俺の世界の事も授業に組み込まれた事」
「ううん。聞いてないよ」
「ならなおさらだ。ボーデヴィッヒの方は織斑先生に任しているから心配ない」
「じゃお願い」
「お姉さんもいいかしら?」
「楯無の方は今度、最初の時に撮った映像でするだろ?」
「いいじゃない。それに予習していれば私が教えられるし」
「まぁそうだな」
ジンは最初に使った資料を取り出し、シャルルと楯無に教えた。
シャルルと楯無は物覚えが良く、次の授業も教えてしまい今は神機の事について話していた。
「ジンは基本神機の設定は何なの?」
「俺は基本ロングブレード、アサルト、シールドだ」
「それじゃISの方も?」
「でも模擬戦の時は銃はスナイパーみたいだったけど?」
「ISの方は7つの組み合わせがあって、ショートブレード、スナイパー、バックラー。ロングブレード、アサルト、シールド。ロングブレード、スナイパー、シールド。バスターソード、アサルト、タワーシールド。ブーストハンマー、ショットガン、タワーシールド。チャージスピア、ブラスト、バックラー。ヴァリアントサイズ、アサルト、シールドだ。因みに今言った奴が本来の神機の組み合わせでもある」
「ジンって神機の設定固定してないの?」
「ああ。一つを極めるのもいいが、色々試したいだろ?」
「まぁそれは思わなくはないけど・・・命がかかってるのよ?」
「分かってるよ。だからこそ生き残る為に必死にやってるんだ。もう夜も遅いし眠るぞ。シャルルには悪いが俺のベットを使ってくれ。俺は床で眠るから」
「そんな悪いよ。僕が床で眠るからジンはベットで眠って」
「いいから、いいから。今日は疲れただろ?ベットでゆっくり休んでくれ」
「・・・じゃお言葉に甘えて」
シャルルは反論しようとしたが、ジンは譲りそうもなかったので、甘える事にした。
「電気消すぞ」
「ええ」
「うん」
(うぅジンのベットだからジンの匂いがするよー。でもなんだか安心するな///・・・)
シャルルはそう思いながら眠りについた。
(デュノア社か・・・調べてみる価値はありそうだな。シャルルの方は普通に学園を楽しんでいるみたいだし・・・あーもう考えるのはやめだやめ!)
ジンは考えるのを止めて眠りについた。
翌朝
「ふぁああああ・・・今5時10分か・・・昨日の戦闘なんだか鈍ってたし、トレーニングでもするか」
ジンは楯無とシャルルを起こさないようにジャージに着替え部屋を出た。
「さて軽く校庭5週で体を慣らすか」
ジンは軽く走った後、全力での校庭ダッシュを100本。腹筋、腕立て、懸垂を100回の5セットをした。
「ふー」
「あらジン君凄い汗ね。朝からトレーニング?」
「ああ。昨日の戦闘で鈍ってると思ったからな」
「あれで鈍ってるの!?僕には絶好調に見えたよ」
部屋に戻ると楯無が気付きジンにトレーニングしてたか聞き、ジンはその理由もいい答えた。それを聞いたシャルルは驚いた。
「いや何時もならもう少し早く終わらせれるはずだ」
「それ逆に疲れが溜まってるんじゃないの?ほらIS動かしてから忙しそうだったから」
「まぁそうかもな」
「ならしっかり休まないとね」
「善処しよう」
それから楯無が朝食を作っていたので3人で食べた。これは食堂に行って騒ぎを起こさない為である。
「今日はリッカに神機についての説明だ。リッカ頼む」
「うん。任してよ」
教壇にリッカが立ってモニターをつけた。
「神機はアラガミと戦う上で必要不可欠な物で、最初はピストル型神機てって言って小型のモノだね。世代は第零世代神機。後の神機開発に大きく貢献した神機だよ。それを元に開発されたのが第一世代神機。大型アラガミとの戦闘に適した形状を追求して神機も大振りな剣と銃のような形状に落ち着いたんだ」
モニターでは今ではもう使う事のないピストル型神機と、第一世代神機の剣と銃が写されていた。
「第二世代には可変機能を備え、銃オラクル放出か剣オラクル回収のどちらかしか選択出来なかった問題点を解決したんだ。けど、資源不足や適合者問題で3年前は各支部に1人か2人が限界だったんだ。今では第二世代新型に適合すれば第一世代神機から変える事も出来るんだよ」
「ジン達ブラッドが第三世代なのは、感応種に唯一対抗できるからなんだよね?」
シャルルが手を挙げ、昨日聞いたジンの神機の世代の事を再度聞いた。
「ああ。最初の授業でも言ったが、感応種と戦う為に俺達ブラッドが結成された。その為神機は暫定的に第三世代と言う事だ。次に神機の種類だ」
「神機パーツは近接武器・銃身・装甲に分かれているよ。近接武器はブレード型とポール型に分かれていて、3年前まではブレード型のショートブレード、ロングブレード、バスターブレードしかなかたんだ」
モニターにはそれどれのブレード型が写されている。
「3年前に欧州でポール型の神機が開発されブーストハンマー、チャージスピアそしてヴァリアントサイズが使えるようになったんだ」
今度はポール型の神機がモニターに映された。
「次に銃身はスナイパー、 アサルト、ブラスト、ショットガンの4つがあるよ。装甲は3つあってバックラー、シールド、タワーシールド」
次に銃身と装甲が表示された。
「そして第一世代近距離型、および第二世代以降の神機では捕食形態・プレデターフォームがあるよ。昨日の戦闘にも使ったアレだよ」
そう言い昨日の戦闘の時の捕食時の映像を写した。
「はい。コレットさんの神機の組み合わせを教えてください」
「私の事はリヴィでいい。私の神機はヴァリアントサイズ、ショットガン、バックラーだ」
「ありがとうございます」
「後捕食すると神機解放・バーストするよ。これは神機が活性化状態となって一時的に神機の性能と使い手の身体能力が上昇するよ。そして捕食するとアラガミバレットと言う特殊オラクルバレットが使えるよ。まぁ第二世代新型以降だけどね。そしてアラガミバレットを再度オラクル細胞に戻して、仲間の神機使いに受け渡す事を神機連結解放・リンクバーストと言うんだ。昨日ジン君がしてたこれの事だよ」
モニターではジンがアリサにリンクバーストした所が写されていた。
「重ねてアラガミバレットを受け取ることで更に戦闘力が上がるけど、神機の暴走を防ぐため最大でレベル3までに制限されているよ。さてここまでで質問あるかな?」
今のところないのか誰も聞かない。
「何か分からない事があったら何時でもいいから聞きに来てね」
『『『はーーーい』』』
「次も引き続きリッカが担当する」
「次はリンクサポートデバイスとブラッドレイジについて教えるよ」
こうして2回目の授業は終わった。
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ある日の日曜日
シャルルとラウラが転校してきて数日の日曜日。一夏は中学の友達五反田家にいた。
「で?どうなんだ女の園は?いい思いしてんだろ?」
格ゲー大戦中に話しかけたのは一夏の友達五反田弾だ。入学式当日に知り合って以降三年間鈴と同じクラスでよくつるんでいた。
「男一人はきついぞ。まぁ今では男が後2人いるし、幼馴染の箒と鈴もいたから良かったけど」
「はぁ!!?男が後2人もいるのか!!?」
男が後2人いると聞き弾は驚いた。
「一体何処のどいつだテレビで報道されてなかったぞ」
「あーそう言えば報道はしていないって言っていたな」
「なあなあ誰にも言わないから教えてくれよ」
「・・・絶対内緒だぞ?」
「ああ」
「2人目は向こうの世界の人で俺よりも年上の18歳で一部隊の隊長だ。名前は櫻羽ジン」
「向こうの世界ってアノ化け物がうようよいるアレか?」
「ああジンはその化け物、アラガミと戦うゴッドイーターって言う者だ。めちゃくちゃ強いぞ」
「どっちが?」
「両方だ。ISの方は俺と鈴ともう1人イギリスの代表候補生3人相手に勝つし、ゴッドイーターの方は言葉で言い表せないほど強い」
「へー今日その人誘わなかったのか?お前なら誘おうと思ったが」
「それが今日は向こうに送る物資を買いに行くって言っていたし、アリサとリヴィも今日で向こうに戻るからジンと行動しているし」
「そのアリサとリヴィって誰?」
「この2人も向こうの世界の人でゴッドイーター。ジンの補佐で一時こっちに来たんだ」
「へーーー」
「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!さっさと食べにー」
どかんとドアを蹴り開けて入って来たのは弾の妹、五反田蘭。歳は一個下で今中三。
「あ、久しぶり。邪魔してる」
「あ、一夏さん。お久しぶりです。全寮制に通っていると聞いてましたけど・・・」
「ああ、うん。今日はちょっと外出。家の様子を見に来たついでに寄ってみた」
「そうですか。あ、よかったら一夏さんもお昼どうぞ」
「あー、うん。いただくよ。ありがとう」
「いえ」
ぱたん。ドアが閉じられ静寂が訪れたが、これは弾が固まっていたのが原因だった。
「蘭が一夏を見ても慌てなかった・・・」
ようやく弾が言葉を発したと思ったら、そう呟き一夏は頭に?を浮かべた。
その後一階に降りて裏口から出て、正面の食堂入口にと戻り用意された昼食を一夏と弾、蘭と取る事になった。
「そう言えば蘭あの時は無事でよかったな」
「え?何で一夏さんが知ってるんですか?」
「あの時俺達見てたんだ、ジンのゴットイーターとしての戦いを」
「いっ、一夏さんはあの人のこと知っているのですか!?」
一夏が蘭にアラガミに襲われていた時の事を言い蘭は驚いてジンの事を聞いた。
「知ってるも何も同じ学園の生徒で友達だし」
「ってことはその人も・・・」
「おう2人目の男性操縦者だ。名前は櫻羽ジンで一部隊の隊長を務めている」
「その人って茶髪に黒い服装で、大きな剣みたいな物を持っていた人ですよね?」
「ああそうだ」
「おい蘭まさか化け物に襲われた時に助けてくれた人って・・・」
「うん。多分その人だと思う。一夏さんその人は今日何処に?お礼を言いたいのですが・・・」
「ジンは今日向こうに送る物資を買いに行っているぞ」
「そう、ですか・・・」
そこで会話が途切れて静寂が訪れたが・・・
「へーここが一夏と鈴の友達の親がやっている食堂か」
「そうよ。私も何回か来てるわ」
店の外から一夏が聞きなれた声が複数聞こえて来て、店のドアが開くと見知った人物たちが入って来た。
「あれ、一夏も来てたんだ」
「鈴!どうしてジン達と一緒にいるんだ?」
「物資を買いに行こうとしましたが・・・」
「私達はこちらの地理を理解していませんし・・・」
「どうしようか悩んでいると・・・」
「鈴が通りかかり案内してくれると言うので」
「お言葉に甘えて案内して貰たんだ」
鈴と一緒にいる理由を一夏に聞かれ、フラン、アリサ、リッカ、リヴィ、ジンの順番で答えた。
「物資は買ったし、港まで輸送してもらう事にしたから、昼食をとろうとすると鈴が此処に案内してくれたという事だ」
「そうかなら一緒に食べようぜ」
「ああ。お邪魔します」
ジン達は一夏の近くのテーブルに座った。
「あ、あの、あの時は助けて頂きありがとうございました!」
蘭はジンに近づきこの前のお礼を言った。
「気にするな。アラガミから人を守るのは俺達ゴッドイーターの役目だからな。俺の名は櫻羽ジンだ。フェンリル極東支部所属ブラッド隊隊長を務めている。そしてこっちが・・・」
「リヴィ・コレットだ。ジンと同じブラッド所属だ」
「アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。独立支援部隊クレイドルに所属しています」
「フラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュです。フランで構いません。私は極東支部でオペレーターをしています」
「楠リッカだよ。私は極東支部で神機のメンテとかをする整備士だよ」
「五反田蘭です。よろしくお願いします」
「蘭の兄で五反田弾だ。妹を助けてくれてありがとうな」
ジンから自己紹介を始め初対面である全員自己紹介をした。
しばらくすると筋肉隆々の男性が五反田食堂鉄板メニューである、業火野菜炒めを運んできた。
「お前が蘭を助けた奴だな?これはその感謝だ。遠慮なく食え」
「デザートもあるから食べ終わったら言ってね」
「ありがとうございます。ええと・・・」
「おじいちゃんと、お母さんです」
「祖父の五反田厳だ」
「弾と蘭の母の五反田蓮です。櫻羽君でしたね。娘を助けて頂き本当にありがとうございました」
そう言い蓮は頭を下げた。
「頭を上げて下さい。俺はゴッドイーターとして当然の事をしただけです。それに何時も間に合うとも限りませんし」
事実アラガミがアナグラやサテライト拠点を襲った時、急いで駆け付けても助けられない事がある中今回の事は本当に運が良かったと言うしかない。
「それでも蘭がこうして生きていられるのは貴方のお陰なんです。本当にありがとう」
そう言いもう一度頭を下げた。
暫く定食とデザートを食べこれからの予定を話し始めた。
「俺達は港に向かい輸送の準備をする」
「そっか・・・だったらジン蘭を送って行ってくれないか?何処かに出かけるみたいなんだ」
「そうなのか?」
「え、ええ。少しデパートに買い物に行こうと・・・」
「ならアリサ達を送った後でいいか?俺も少し買う物があるし」
「はい。大丈夫です」
「よし行くか。ご馳走様でした」
ジンの後にアリサ達もお礼を言って食堂を出た。
「所でジンさんどうやって港まで行くのですか?」
「ああ。それは車を使うこれだ」
食堂を出て近くの駐車場に寄り、8人乗りの車に乗り込んだ。
「ジンさんって免許持っていたんですね」
「こっちに来た時に乗れるようにしてもらったからな。ヘリの操縦も出来るぞ」
「凄いです」
車で走る事数分港に到着した。
港には極東支部のゴッドイーター達と職員が待っていた。
「物資は?」
「はっ!既に船に積み込みました」
「そうかご苦労。リヴィ、アリサ後は頼むぞ」
「ああ」
「お任せください。私達が責任を持って届けます」
そう言いアリサとリヴィ達は船に乗り出港した。
その様子を離れた所で見ていた蘭は鈴にある事を聞いた。
「鈴さんジンさんって偉いんですか?」
「ジンは階級が大佐で向こうの世界を救った英雄だから、他の人から憧れの存在なの」
「そんな凄い人だったんですね・・・」
「・・・ねぇ蘭アンタジンの事好きでしょう?」
「は、はい。あの時助けて貰って、戦う姿を見て好きになりました」
「アタシもねジンに助けて貰ったの。その時護ってやるって言われて好きになったの」
「そうなんですか。でも負けませんよ!」
「望むところよ。でもライバルは多いわよ」
「え?」
「アリサに、フランこの2人もジンの事好きよ」
「何故分かるんですか?」
「女の勘よ。それにアリサ達の話を聞くとジンの部隊の副隊長もジンに好意を持っているみたいだし」
「ジンさんモテモテですね。でも私は負けませんよ」
「いっその事アタシ達全員恋人にしてもらえないかな」
「鈴さん流石にそれは・・・」
「分かっているわよそんな事。言ってみただけよ」
鈴の言葉は後々現実になるが今は誰も知らない。
その後大型ショッピングモール・レゾナンスで買い物を済ました。この時の会計は全てジン持ちで蘭は最初遠慮していたが、ジンの説得と通帳を見せられたことにより買ってもらう事になった。
「土地って幾らで買える?」
蘭を送って行く車の中でジンは運転しながら助手席に座るフランに問いかけた。
「そうですね坪にもよりますが数億あれば可能かと。急にどうしたんですか?」
「いやな、こうやって物資を送るのも良いが、いっその事こっちに住んで貰った方がいいと思ってな。順番はサテライト拠点の住人やサテライトに入れない人を優先するが」
「なら広大な土地がいりますね。あと家いいえマンションを立てないといけませんね」
「土地は広大でなくてもいい。各地の空いてる土地を買えばいいだけだ」
「成程。一つの土地と建物の値段だ大体数百億円ですね。今のジンさんなら2、3の土地が買えると思いますよ」
「フランいい土地があるか調べといてくれ。候補は資料に纏めて提出してくれ。後は俺が見て判断してサカキ博士に聞くから」
「分かりました」
((土地を買うと平然に言う何で凄すぎよ/です・・・))
ジンとフランの会話を聞き鈴と蘭は心の中で驚いていた。
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月曜日のSHRで千冬の話が終わった後ジンが教壇に立った。
「え~アリサとリヴィが昨日向こうに戻った為、今日から新しくここに派遣された神機使い達を紹介する。入ってくれ」
ジンの言葉に3人の男女が入って来た。
「では紹介は隊長殿から。よろしくお願いします隊長殿」
「隊長殿ってのはやめてくれよ。俺は藤木コウタ。極東支部第一部隊の隊長を務めている。後、クレイドルも兼任してるよろしく」
「「「キャアアアアアア!!織斑君とは違うイケメン!!」」」
コウタが挨拶をすると女子達が騒ぎ、千冬が静めた。
「初めまして。エリナ・デア=フォーゲルヴァイデです。皆さんより1つ年下の14歳です」
「私達より年下なのにアラガミと戦ってるの!?」
「凄い!!」
エリナも年下に関わらず、神機使いとしてアラガミと戦ってると知り騒いだが千冬が静めた。
「僕はエミール・フォン・シュトラスブルク。我が友ジンの通う学び舎を守るためやって来た騎士だ」
エミールの紹介はISの世界では珍しい為女子達は少し唖然となった。
「え~コウタとエミールは基本応接室で待機してもらう。俺の授業の時はサポートに入って貰うが。エリナはどうする?」
「私は見学したいです。先輩がどんな事学んでいるか知りたいし」
「って事なんでいいですか織斑先生?」
「構わん。授業の邪魔さえしなければな」
「大人しくしてろよエリナ?」
「分かってます」
その後千冬が連絡事項を話し、授業が始まった。
放課後
「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握していないからだよ」
「付け加えるなら、知識として知っている感じだな。さっきシャルルとの戦闘も間合いを詰めれなかったしな」
「うっ・・・、確かに『
「一夏のISは近接格闘オンリーだから、より深く射撃武器の特性を把握しないと対戦じゃ勝てないよ」
「瞬時加速は直線的だから反応できなくても起動予測で攻撃できる。まぁ俺みたいに
一夏をジンとシャルルでシャルルの模擬戦で思った事を話しアドバイスしていた。
「じゃ実際に射撃武器の練習するか」
「そうだね。はいこれ」
シャルルは一夏に五語口径アサルトライフル《ヴェント》を渡した。
「え?他のやつの装備ってつかえないんじゃないか?」
「普通はね。でも所有者が
「お、おう」
シャルルが一夏に銃のレクチャーをしているとセシリア達がジンに近づいてきた。
「ジンさん。わたくし神機使ってみたいですわ」
「アタシも」
「私もだ」
セシリアに続いて鈴と箒も神機を使いたいと言った。
「いいぞ。どれを使いたい?」
「わたくしはスナイパーで」
「アタシはブーストハンマー」
「私はロングブレードで」
「分かった」
ジンはそれどれに
「ジンさん可変はどうすればいいのですか?」
「ああそれは・・・」
ジンは1人ずつ神機の使い方を教えた。
「凄いですわ。ステルス機能もあるとは思いませんでした」
「ブーストハンマーはアタシにピッタリね。ブースト機構はとても気に入ったわ!」
「ロングブレードは中々扱いやすいな、後インパルスエッジと言ったか?射撃が苦手の私でも使える」
セシリア達は初めての神機ではしゃいでいた。
「ねえ、ちょっとアレ・・・」
「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いていたけど・・・」
急にアリーナ内がざわつきはじめた。ジンはこの時ドイツと聞きラウラの事を思い出し警戒した。
「おい」
ISの
「・・・なんだよ」
一夏は無視するわけにもいかず返事をした。
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」
「嫌だ。理由がねえよ」
「貴様になくても私にはある。貴様がいなければ教官が大会二連覇の偉業をなしえただろうことは容易に想像できる。だから、私は貴様をーーー貴様の存在を認めない」
「また今度な」
「ふん。ならばーーー戦わざるを得ないようにしてやる!」
言うや否やラウラは左肩に装備された大型の実弾砲が火を噴いた。
横合いからシャルルが一夏を守る様シールドを構えるが、実弾が消えた。
「な、何!!?」
「ど、どうなってるの!?」
撃ったラウラは勿論、守ろうとしたシャルルも突然の出来事に驚いた。一夏達は前に見たことがある現象だったので、それをしたと思うジンを見た。
「全く、こんな密集空間でいきなり戦闘を始めようなんて馬鹿がいるか普通」
「貴様何をした!!」
「世界は違うが一応上官だぞ俺は。まあいい、今やったのは実弾をブラッドバレッド・キャンセラーで消しただけだ」
「いや、消したのも凄いんですが凄い早撃ちでしたわ」
「今の発砲で教師がやってくるだろう。そうなれば戦闘は無理だ。今日の所は引け」
「・・・覚えておけ」
ラウラは渋々引き下がった。
その後シャルル達と共に事情を説明し解散した。
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真実
特訓も終わり着替えていると楯無からメールが届いており見てみると・・・
『デュノア社の件で話があるから、生徒会室に来て頂戴』
ジンはこれを見て了解と送り、一夏達に用事が出来たと言い生徒会室に向かった。
「現在デュノア社は反社長派が動かしてるわ。そして狙いはデュノア夫婦とアルベール・デュノアの血を引くシャルルいえシャルロット・デュノアの抹殺よ」
生徒会室について開口一番に楯無がそう言った。
「ならデュノア社長はシャルルを逃がす為にIS学園に入れたんだな」
「恐らくね」
「その反社長派のメンバーは割れているのか?」
「ええ。調べれば調べる程黒よ。恐らく全ての責任をデュノア社長に押し付けて辞職させてデュノア社を掌握するつもりね」
「更識家を動かしてるのか?」
「ええ。反社長派と繋がってるフランス政府の役人も分かっているわ。後は私が合図を出せばすぐに動くわ」
「なら今日シャルルに全て話す。最初は俺と2人だけにしてくれ」
「分かったわ。任せるわよ副会長」
「おう」
夕食後シャルルに話がるといい自室に入った。楯無はシャワールームで待機している。
「ジン話って何?」
「シャルルいやシャルロット・デュノアに関しての話しだ」
「ッ!?」
シャルル否シャルロットは本名を言われ動揺した。
「楯無は暗部の当主でデュノア社の事を調べていたんだ。その過程でデュノア夫婦には子はいない事が分かった。いるのは愛人の子だ」
「・・・うん。僕だよ。2年前にお母さんが亡くなった時に父の部下がやって来て引き取られたんだ。それから色々と検査する過程でIS適応が高いと分かって、非公式のデュノア社のテストパイロットをやることになったんだ」
「・・・デュノア社長と話した事はあるのか?」
「無いよ。会ったのも二回くらいだし。普段は別邸で生活をしているんだけど、一度だけ本邸に呼ばれた時は酷かったよ、本妻の人に『泥棒猫の娘が!』って言われ殴られたんだ」
「シャルルお前は頑張った。もう楽になっていいんだぞ」
「そうだね。ジンと楯無さんにバレたんだ僕はもうどうすること出来ないよ。今まで騙しててごめんね。僕は戻されて牢屋行きになるけど仕方ないよね」
「シャルル勘違いしてるぞ。誰がシャルルが悪いって言った?」
「え?でも僕ジン達のデータ取ろうとしてたんだよ?」
「でも取ってないんだろ?」
「それは、そうだけど・・・」
「それにシャルルはデュノア社長の事を勘違いしてるぞ」
「どう言う事?」
「現在デュノア社は反社長派によって舵がとられている。奴等はデュノア社長と妻そしてお前を無き者にしてデュノア社の覇権を握ろうとしている。それに気づいたデュノア社長はお前を守る為にIS学園に編入させたんだ」
「う、嘘・・・嘘だよね、あの人が僕を守るなんてあり得ないよ。僕の事避けてたし・・・」
「それは反社長派が常に見張っていたからだ。迂闊に動けばその場で殺られる可能性がある」
「じゃどうして男装させたの?」
「それは反社長派の目を欺く為だ。ただ編入させるだけだったら編入出来ない可能性があったからだ。デュノア社長も苦渋の判断だったと思うぞ。こんなことでしか守れないからな」
「それじゃ・・・僕はずっと勘違いしてたの?」
「ああ。そこで提案なんだがこれまでの事を全て織斑先生と学園長に話し、反社長派を排除してデュノア社長に再び覇権を握ってもらう」
「そんな事可能なの?」
「ああ。楯無もう入ってきていいぞ」
ジンはタイミングを見計らっていた楯無を呼んだ。
「え?ええ??」
「ゴメンねシャルロットちゃん全て聞かしてもらたっわ。いいのねジン君」
「ああ。やってくれ」
「分かったわ」
楯無は電話でフランスにいる更識家に合図を出した。
「これで問題は解決するはずよ。後は学園長と織斑先生に言えば終わりね。それと混乱を避ける為に学年別トーナメントが終わるまで男装のままでお願いね」
「は、はい。あの楯無さん、ジンありがとうございます。僕なんかの為に動いてもらって・・・」
「なんかじゃない。友達だろ俺達」
「ッ!?あ、ありがとう!ありがとう!!」
ジンの言葉に遂に耐え切れずシャルルは涙を流した。ジンは優しく抱きしめ子をあやすように髪を撫ぜた。
「すーすー・・・」
シャルルは泣き疲れ眠ってしまった。ジンは自分のベッドにシャルルを寝かした。
「あ、ジン君言い忘れてたけど、今度の学年別トーナメントはペアになったから」
「ペアか・・・俺はシャルルと組んだ方がいいな」
「そうね。でもジン君って一人でも関係なさそうだけどね」
「確かにな。先に学園長と織斑先生に報告に行くか」
「そうね」
ジンと楯無は学園長と千冬に報告に行った。
翌日
ジンはシャルルにトーナメントの事を話しペアを組む事になった。
「ジンって全距離万能型だよね?ある意味一人でも通用するんじゃ・・・」
「まあ通用するが俺の真骨頂は連携だからな。シャルルも見てただろアリサと戦った時」
「うん。2人共一言だけですること理解してた」
「まあアリサだからな。他に理解できるのはブラッド、クレイドル、極東支部の神機使い達にヒマラヤ支部の第一部隊だな」
「ジンって極東支部所属なんだよね?なんでヒマラヤの人達?」
「それがヒマラヤに感応種が出現して、対処するために俺が派遣されたからだ」
「そうなんだ」
ジン達は話しながら朝食をとり教室に向かった。
「そ、それは本当ですの!?」
「う、ウソついてないでしょうね!?」
向かっている最中廊下まで聞こえる声に疑問をもった。
「本当だってば!月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君か櫻羽君かデュノア君と交際ーーー」
「俺がどうしたって?」
「「「きゃああっ!?」」」
一夏が声をかけると女子達は悲鳴をあげた。
「・・・なんでそんな事になってんだよ」
「ジンは聞こえたの今の話?」
「まあな。結論を言うとトーナメントで優勝したら俺達男の3人の内誰かと付き合える事になっているみたいだ」
「え?ええ!?ジン何時そんな事言ったの!?」
「俺は言ってないしかし誰が・・・」
と言った所で箒が落ち込んでいるのが見えてシャルルを連れて箒に近づいた。
「ジン大変だ助けてくれ!!」
近づいたジンに箒は気が付き助けを求めた。
「まず何があったか教えてくれ」
「ああ実は・・・」
箒から語られたのは昨日一夏にトーナメントで優勝したら付き合ってもらうと言った。言った場所は一夏の部屋の前で恐らく聞いていた女子がいたと思いその事が女子達の間で広がり、優勝者は男性3人の内誰かと付き合えるという事になったみたいだ。
「どうすればいい?」
「方法は一つ。俺達男が優勝するか、箒が優勝するかだ」
「わ、私が優勝!?」
「最初にそう宣言したのは箒だろ?ならやってみせろ」
「わ、分かった」
「それでよし」
ジンは箒から離れ自分の席に座った。
「ジンペアの事言わなくっても良かったの?」
「あ、言い忘れた。まあそのうち分かる事だし」
「そうだね」
「なぜこんなところで教師など!」
ジンは昼休み次回の授業の事で話があり千冬の所に向かっていた。ふと曲がり角からラウラの声が聞こえて来て、覗いてみるとラウラと千冬がいた。
「何度も言わせるな。私には私の役割がある。それだけだ」
「このような極東の地で何の役目があると言うのですか!お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません。大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」
「ほう、何故だ?」
「意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションかなにかと勘違いしている。そのような程度の低い者達に共感が時間を割かれるなどーーー」
「そこまでにしておけよ、小娘。少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る。選ばれた人間とは櫻羽みたいなやつの事を言うんだお前とは違う」
「わ、私は・・・」
「さて、授業が始まるな。さっさと戻れよ」
千冬に言われラウラは早足で去っていた。
「そこの男子共。盗み聞きか?異常性癖は感心しないぞ」
ん?共?
「な、なんでそうなるんだよ!千冬ねー」
ばしーん!
「学校では織斑先生と呼べ」
「は、はい。って共?」
「一夏も聞いていたのか」
「英雄が盗み聞きとは感心しないぞ」
「まさか。織斑先生に次の授業について話がしたくって、探していた所を偶然に通りかかっただけですよ」
「そう言う事にしといてやろう。それより早く行け劣等生。このままじゃお前は月末のトーナメントで初戦敗退だぞ。勤勉さを忘れるな」
「わかってるって・・・」
そう言って一夏は教室に向かった。時間を見てみると後少ししか時間はなくジンは放課後に話す事にして教室に向かおうとした。
「櫻羽」
教室に向かおうとしたジンを千冬は止めた。
「織斑、一夏とラウラの事頼む」
「・・・俺の出来る範囲で見てみます」
「スマン。恩に着る」
「いいですよ。気にしないで下さい」
そう言い教室に向かった。
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ゴッドイーターとは
「「あ」」
鈴とセシリアの2人が揃って間の抜けた声を出してしまう。放課後の第三アリーナで特訓をしようとした所偶然にも鉢合わせしてしまった。
「奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」
「奇遇ですわね。わたくしも全く同じですわ」
2人の間に見えない花火が散る。
「優勝は譲らないわよ」
「わたくしの方も譲るつもりはありませんわ」
更に火花が散る。
「丁度いい機会だし、この前の実習の事も含めてどっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわよね」
「あら、珍しく意見が一致しましたわ。どっちの方がより強くより優雅であるか、この場ではっきりとさせましょうではありませんか」
お互いにメインウェポンを構え対峙した。
だが、超高速の砲弾が飛来する。
「「!?」」
鈴とセシリアが緊急回避した後、2人は砲弾が飛んできた方を見ると、あの漆黒の機体が佇んでいた。
機体名『シュヴァルツェア・レーゲン』、登録操縦者
「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・」
セシリアの表情がこわばる。
「・・・どういうつもり?いきなりぶっ放すなんていい度胸してるんじゃない」
鈴は連結した双天牙月を肩に預けながら、衝撃砲を準戦闘状態へとシフトさせた。
「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。データで見た方がまだ強そうであったな。まあ仕方ないか、下らん種馬と軍人モドキに群がるメスだからな」
「ねえセシリア。あたしの耳には『どうぞ好きなだけ殴って下さい』って聞こえたけど?」
「ええ。わたくしもそう聞こえました。その軽口二度と叩けぬようにここで叩いておきましょう」
ラウラの言葉で堪忍袋の緒が切れた二人は得物を握りしめた。
「二人纏めて、かかって来い」
「「上等!!」」
そして三人は激突した。
「今日使えるアリーナはどこだっけ?」
「確か・・・」
「第三アリーナだ」
廊下を一夏とシャルルと箒で歩きながら空いているアリーナを確認しながら第三アリーナに進んでいると生徒達が慌ただしい様子が伝わってくる。
一夏達がアリーナに着くとそこには機体がボロボロになった鈴とセシリア。2人とは対照的に軽微な損傷のラウラが見えた。
「くらえっ!!」
ジャカッ!と甲龍の両肩が開き、そこに搭載されている衝撃砲・龍砲が発射された。しかしラウラは回避をしようともしない。
「無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな」
不可視の弾丸はいくら待ってもラウラに届くことは無かった。
「くっ!こうまで相性が悪いだなんて・・・」
「終わりか?ならこちらから行くぞ」
そう言い弾丸並みの速度で間合いを詰めた。
「『
「このっ・・・!」
鈴は連結させていた双天牙月を解いて両手に持った。その理由はラウラの六つあるワイヤーブレードとプラズマ手刀の猛撃に対抗する為だ。
再度鈴が衝撃砲を展開するが、ラウラの砲撃によって爆散した。そこにラウラはプラズマ手刀が迫るがセシリアが割り入り《スターライトmkⅢ》を盾に使いその一撃を逸らし、同時にウエスト・アーマーに装着された弾頭型ビットをラウラに向けて射出させた。
至近距離でのミサイル攻撃の爆発は鈴とセシリアも巻き込み、二人は床へとたたきつけられた。
「無茶するわね、アンタ・・・」
「苦情は後で。けれど、これなら確実にダメージが━━━」
セシリアの言葉は途中で止まる。何故なら、ほぼ無傷のラウラが佇んでいたからだ。
「終わりか?ならば━━━私の番だ」
言い終わると同時に瞬時加速で移動し鈴を蹴り飛ばし、セシリアに至近距離からの砲撃を当てる。さらにワイヤーブレードが飛ばされた2人の体を捕まえてラウラの元に手繰り寄せる。そこからはただただ一方的な暴虐が始まった。腕、脚、体にラウラの拳が叩き込まれる。あっという間にシールドエネルギーは減り
「おおおおおっ!」
一夏は百式を展開と同時に〈
「その手を放せ!!!」
ラウラへと刀を振り下ろすが、届く寸前でぴたっと一夏の体が止まる。
「な、なんだ!?くそっ、体がっ・・・!」
「ふん・・・。感情的で直線的、絵に描いたような愚図だな。やはり敵ではないな。この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の一つでしかない。━━━消えろ」
肩の大型カノンが接続部から回転し、ぐるんと一夏へと砲口を向ける。
「一夏、離れろ」
パアン
解放回線
「一夏2人は!?」
シャルルがアサルトライフルを二丁構え2人の容態を聞くと、弱弱しいがしっかりと言葉を発した為、一夏とシャルルは安堵した。
ラウラは銃弾が飛んできた方を見ては、カノンを撃った人物・ジンに向けた。
「貴様何のつもりだ?」
「それはこちらのセリフだ。あのままいけば鈴とセシリアは命の危険だったぞ?分かっているのか?」
「弱い奴が悪い。私の方が強いと証明しただけだ。丁度いい貴様にも私の力を味わってもらおう」
まさに一触即発の状況でラウラは遂にカノンを発射した。
「一度格の違いを見せてやるか」
小声で呟いたジンは神機をスナイパーからロングブレードに可変しカノンの砲撃を避けラウラに接近した。
「貴様も直線的だな!」
ラウラはワイヤーブレードでジンの四肢を拘束した。
「少しはやると期待したが無駄だったようだな。貴様も私達の敵ではない」
「はっ。そのセリフは確実に相手を仕留めてから言うんだな。そうじゃないと・・・」
ジンは体中に力を入れ、無理やりワイヤーブレードの拘束から逃れた。
「こんな風に自由になるぞ」
「馬鹿な!?ISならまだしも生身でワイヤーブレードの拘束を解くなど不可能だ!!貴様本当に人間か!!?」
「俺達ゴッドイーターは人ではない。俺達は半分アラガミみたいな物だ」
「なんだと!?」
ジンの言葉にラウラは驚きの声をあげた。一夏達も声を出していなかったが、驚いていた。
「オラクル細胞の塊であるアラガミに対抗できるのは、同じオラクル細胞だ。そして適正がある人間の体内にオラクル細胞を取り込ませ、戦える存在になったのが俺達ゴッドイーターだ。ただ、偏食因子が尽きるか、腕輪が壊されると一気にアラガミ化が進むデメリットもある。これが人間ではないと言った理由だ分かったか?」
「・・・」
ジンの言葉にラウラは無言だった。
あまりの告白にアリーナ内はお通や状態だ。
バンバン!!
「「「!!?」」」
突然の手を叩いた音にジン以外が驚きその音の発生源をみると、千冬が立っていた。
「この静けさの理由は知らんが、アリーナのバリアまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」
「・・・教官が仰るなら」
間を開け素直に頷いたラウラはISの装着状態を解除した。
「織斑、デュノアそれに櫻羽、お前達もそれでいいな?」
「・・・あ、はい」
「・・・僕もそれで構いません」
千冬に聞かれ、一夏とシャルルも間を開けて返事をした。
「同じく」
ジンはいつも通りの返事をした。
「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」
パンッ!と千冬が強く手を叩いた。そして解散となった。
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保健室での騒動
フィムが可愛いすぎた!
短いですがどうぞ!!
セシリアと鈴が保健室に運びこまれ治療を受け、ベットに寝かせれ、一夏、シャルル、ジンは椅子に座っているが、誰も口を開くことなく気まずい雰囲気が保健室に漂っていた。原因はジンが言った事(前話参照)だ。
「ねえ、ジン」
雰囲気に耐え切れなくなりシャルルが口を開いた。
「ん?なんだシャルル?」
「アリーナで言った事は本当なの?半分アラガミって」
「本当だ。只の人間がアラガミに勝てる訳ないだろ?ゴッドイーターは対アラガミ用に調整された者達だ。よく考えてみろ普通の人間があんな大きな剣振り回せるか?」
ジンの一言で更に暗くなった。
「言っておくが後悔はないからな。一度ブラッド全員、人間に戻ったが再びゴッドイーターになったからな」
「どうしてだよ・・・どうして人に戻れたのにまたゴッドイーターになったんだよ!!」
ジンが一度は人に戻ったが、再びゴッドイーターになった事に一夏は噛みついた。
「人に戻って改めて俺達が守ってきたものは、こんなにも暖かで穏やかなものだったって分かったんだ。全員同じ気持ちだったよ。だから俺達は戦うんだ人々を守る為に!!」
ジンの気迫に全員が言葉を失った。自分達とは覚悟も信念も全く比べものにならない程その言葉は重かった。
「それよりも何故2人はラウラと戦う事になったんだ?」
「そ、それは・・・」
「女のプライドを傷つけられたと言うか・・・」
ジンが何故ラウラと戦う事になったか鈴とセシリアに聞くと2人はたじたじに言った。
「もしかして一・・・」
「あーあーあー!!」
「シャルルさん!!」
シャルルが核心をついた事に鈴とセシリアは慌てた。
「あ!そう言えば一夏今度の学年別トーナメント、ペアでの参加になったからな。因みにペアが組めてない生徒がいたら抽選になるからな」
「「「はあ!!」」」
突然のジンのカミングアウトに一夏、セシリア、鈴は驚いた。
「なんでジンが知ってるんだよ!?」
「何でって・・・楯無から聞いたから」
一夏が聞くとジンはサラッと答えた。
「因みに俺はシャルルと組む事にした」
「俺はどうすればいいんだよ!!?」
「一夏さんわたくしと組みましょう!」
「発表される前に組むとか卑怯よ!!あたしと組みなさいよ!!」
ジンがシャルルと組むと言うと一夏は頭を抱え、セシリアは一夏と組もうとペアを申請し、事前に情報を仕入れた事が卑怯と鈴は言い自分と組むようジンに迫った。
「一夏は取り敢えず保健室から出てペアを探しに行く方がいいぞ。今一年の女子達がここ目指して走って来てるぞ」
「なんで分かるんだよ!!」
「ゴッドイーターは五感がいいから、足跡が聞こえるんだ。もう1分もすればここに女子達が雪崩れ込んでくるぞ?」
ジンは一夏にパートナーを探しに行かないと、ここに女子達が雪崩れ込んで来ると言うと一夏は何故そんなことが分かるか突っ込むとジンはゴッドイーターの聴力で判断したと言った。
「ならセシリアと組んだらいいじゃんか!?わざわざペアを探しに行かなくって・・・」
「2人のISの状態良くってダメージレベルC。最悪ダメージレベルA~Bだろうな」
一夏はわざわざペアを探しに行かずとも、セシリアと組めばいいと言うが、途中でジンが遮った。
「あの戦闘をみれば大体の状態はわかる」
ジンの言葉に一夏達は反論出来なかった。実戦経験豊富なジンの言ってる事は正しいと思ったからだ。
話している間に女子達が保健室に雪崩れ込んで来てジンはシャルルと組むと言うと、女子達の標的は一夏に集中した。一夏は苦し紛れに・・・
「俺は抽選でペアを決める!」
と宣言して保健室から逃亡した。女子達は諦められず一夏を追いかけた。
静粛となった保健室に山田先生が入って来て、セシリアと鈴のISのダメージレベルがCを越えているといい、トーナメント参加は認められないと言うと、2人は大人しく頷いた。
この章が終わればGE側の話に入ります!まあ3の世界ですが(笑)
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再会と初対面
保健室の騒動から数日。6月も最終週に入り、遂に本日から学年別トーナメントが開催される。
「しかし凄いな・・・」
「それはそうよ。各国政府関係者、研究所員、企業エージェント、その他諸々の顔ぶれが一堂に会するのだからね」
「なんでいる楯無?」
独り言で呟いたつもりが、返事をかえされいつの間にか隣に立っている楯無に問いかけた。
「あら?私は生徒会長よ?来賓の出迎え位するわよ。そう言うジン君はなんでここに?」
そうジン達がいるのは学園の入口だった。
「リヴィから連絡があって、本部からフェルドマン局長が来るって言うんで出迎えをな」
「へー。でもこんなところにいたら各国の要人達から声かけられなかった?」
「結構かけられたけど、任務中って言ったら引き下がってくれたぞ。どうしてだ?」
ジンは貴重な男性操縦者だからしつこく声をかけられると思ったが、アッサリと引いた事に疑問をもった。
「そりゃそうよ。向こうの世界の英雄でジン君の機嫌を損ねたら、自国に現れたアラガミの討伐の依頼が出来ないと思ったんじゃない?」
「はー。全くそんな事はないけどな。人を守るのが俺達ゴッドイーターなのに」
楯無から理由を聞いてジンは溜息をついた。
暫く楯無と来賓達を迎えていると、フェンリルのロゴが描かれたトラックが到着した。
「局長が到着したみたいだな」
「私も生徒会長として挨拶してもいい?」
「いいんじゃないか?よしいくぞ」
「ええ」
2人はトラックに近づいた。
トラックからはリヴィとナナが先に降りてその後にフェルドマン局長と初老の男性がおりてきた。
「リヴィ、ナナご苦労。そしてお久しぶりですフェルドマン局長」
リヴィとナナに労いの言葉を言ってから、敬礼しながらフェルドマン局長に挨拶をした。
「ああ、久しいな櫻羽大佐。紹介しようこちら本部の正規軍『グレイプニル』のトップのエイブラハム・ガドリン司令だ」
「初めまして。自分はフェンリル極東支部所属、ブラッド隊隊長の櫻羽ジンです!」
「エイブラハム・ガドリンだ。君の事はフェルドマン局長から聞いている、大変優秀だと」
「恐縮です」
フェルドマン局長から紹介されたガトリン指令に敬礼しながら自己紹介をすると、フェルドマン局長から活躍を聞かされていると聞くと謙遜した。
「ところでそちらのお嬢さんは?」
フェルドマン局長が隣に立つ楯無について聞いてきた。ジンが紹介するより早く楯無が口を開いた。
「IS学園の生徒会長を務めています、更識楯無です。お見知りおきを、フェルドマン局長、ガトリン司令」
と優雅にお辞儀しながら言った。
「更識?ああレイの家の者か」
「あら?私の家の事もご存じなのですか?」
「無論だ私は本部の情報管理局にいるのだから、情報は入ってくる。敵対はしなくないな」
「私もです。ですがジン君とはいい関係をとらせていただいてます」
「それなら安心だな。よろしく頼む」
「こちらこそ」
そう言い楯無とフェルドマン局長は握手した。その後にガトリン司令とも握手した楯無は2人を来賓用観客席に連れって行った。
「ナナ最近どうだった?」
ジンは久しぶりに会ったナナに調子を聞いた。
「私もブラッドの皆も聖域は変わりないよ。カルビも他の動物も元気だよ。シエルちゃんが今回来れない事は残念がってたけど・・・」
「シエルにはブラッドバレッドの授業をしてもらおうと思っているから、その時でも大丈夫だろ」
そう言いジンだったが、リヴィとナナは後ろを向いて小声で話し始めた。
(隊長普段はカンがいいのに、自身に向けられてる恋愛感情には疎いね~)
(ああ、シエルやアリサ、フラン、ユノが気の毒だ)
(しかもこっちの世界でも隊長の事が好きな子がいるんでしょう?)
(そうだな。私の見た所、先程の楯無、に中国の代表候補生の鈴、それにこの前私が派遣された時に助けた民間人の蘭あたりか・・・)
(うわ~シエルちゃんが知ったら大変な事になるね・・・)
(ああ。だから余計な事は言うなよ?いつ爆発するかわからないからな)
(了解)
「おーい2人共話は終わったか?」
「あ、うん終わったよ。隊長の試合は何時から?」
「それが突然のペア対戦への変更で、今まで使っていたシステムが正しく機能してなくって今、他の生徒達が手作りの抽選クジ作成中だ」
「大変だね。私は試合見えないけど頑張ってね!」
そう今回ナナはコウタ達と一緒に警備に入っている。リヴィはフェルドマン局長とガトリング司令の護衛で観客席にいるが、ナナはコウタ達と第五部隊以降のゴッドイーター達と警備に当たる事になった。この警備は言わずもがな対アラガミである。人が集まりISもある事あから極東支部から少しばかし人員を裂いた。最悪ナナの血の力をつかって学園から引き離すつもりだ。
「ナナ。もしもの事があっても無茶だけはするなよ?」
前科もある為ジンはナナに釘を刺した。
「分かってるよ!そんな無茶はしないよ!!」
「ならいい。俺もそろそろ組み合わせが発表される頃だから行く。リヴィは護衛に、ナナはコウタと合流して警備区の確認を」
「「了解!」」
ジンが命じるとリヴィとナナは返事をして自分の担当の所に向かった。
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トラブルだらけの戦い
最後に出るキャラを考えて構成を考えている間に1年過ぎてました!!
「おーい。組み合わせ決まったか?」
リヴィ達と分かれたジンは男子組に振り分けられた更衣室に入った。
「あ、ジン今発表されたよ」
苦笑を浮べたシャルルがモニターを指さす。ジンはモニターを見てシャルルの苦笑の意味が理解できた。
一回戦
櫻羽ジン
シャルル・デュノア
VS
ラウラ・ボーデヴィッヒ
篠ノ之箒
「これは何と・・・奇妙な奇跡だな」
『これより学年別トーナメント1年生の部を開催します!!初戦から注目の一戦です。まずは選手紹介です!赤コーナー!ドイツからの刺客ラウラ・ボーデヴィッヒ!!そのペアは篠ノ之束博士の妹篠ノ之箒!!』
専用機であるシュヴァルツェア・レーゲンを纏ったラウラと打鉄を纏った箒がビットから出て来た。箒は複雑な顔をしていた。
『続きまして白コーナー!フランスから第三の男性操縦者貴公子シャルル・デュノア!!ペアは第二の男性操縦者向こうの世界では英雄!櫻羽ジン!!』
ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIを纏ったシャルルと黒牙を纏ったジンがビットから出て来た。
『ここで櫻羽ジンの活躍をVTRでお届けします』
「へ?」
ジンはまさか自分のVTRが流れると思わず変な声が出た。
そして流れた映像は専用機に変わった模擬戦に蘭を助けた時のものだった。
「まさか量産機が専用機に変わるとは・・・」
「それにあの化け物を5分足らずで倒してしまう強さ・・・」
「あの金色に輝く漆黒の翼が出た時など、無敵ではなかったか?」
「これが向こうの世界の世界最強か・・・」
「ブリュンヒルデ・織斑千冬並みのIS操縦技術だったぞ」
各国の来賓達はほんの数十分の映像でジンの能力の高さに驚いた。
フェルドマン局長の周りに座っている各国要人達は、自国が危なくなったら助けて貰えるよう、フェルドマン局長やガトリン指令に媚を売っている。
フェルドマン局長とガトリン指令は内心鬱陶しいと思いながら耳を傾けていた。
「初戦から当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」
「それはこちらのセリフだ。世界は違うが、軍人として教育してやるよ」
開始の合図の前に2人は口を開いた。
『試合・・・開始!!』
「「叩きのめす」」
2人は同時に言った。
『シャルル、箒を頼んだぞ』
『うん。気をつけてねジン』
ジンはプライベート通信でシャルルに言って、真っ直ぐラウラに向かった。
「直線的に来るとは。愚かだ」
ラウラは
「学習してないな!」
ジンはゴッドイーターの力で
「なに!?」
確かにこの前はワイヤーブレードの拘束を振りほどいだが、今度は
「生身ならともかく、黒牙に乗ってる俺を止めたきゃ、その百倍の力がいるぞ。そうそう、動揺して立ち止まるのは愚策だ」
ジンはブラッドアーツ・エリアルキャリバーでラウラをアリーナの壁まで吹っ飛ばした。
「がは!?」
ラウラは一瞬何が起こったか分からなかたっが、自身が吹き飛ばされた事に気付くと、ジンを睨みつけた。
「貴様!!」
「睨むより先に動かないと、蜂の巣だぞ?」
ジンはスナイパーに可変し数発発砲した。
「チッ」
ラウラは避ける為にジンから目を逸らした。
ラウラが肩の大型カノンをジンに向けるが、ジンの姿はなかった。
「な!?どこに行った!!?」
ラウラは目視とハイセンサーでジンを探そうとした。
パン
「ぐっ!」
銃声が響きラウラの真上にジンが現れた。
ジンはラウラが目を離した隙にスナイパーのステルス機能を使いラウラの真上に移動して撃ったのだ。
「貴様ぁああ!卑怯だぞ!!」
「戦いに卑怯もなにもあるか。
ジンはブラッドアーツ・ブラッドバレッドを巧みに使いながらラウラを圧倒していく。
この時シャルルは箒を下していた。
「ジンお待たせ」
「シャルル一気に畳みかけるぞ」
「うん」
シャルルは
「フニッシュだ」
ジンはブラッドアーツ・エリアルキャリバーでラウラを叩き落した。
決着はついたと思ったが突如ラウラの纏うシュヴルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、ジンは咄嗟にシャルルの前に出てバックラーを展開した。
「大丈夫かシャルル?」
「うん。ジンのおかげで大丈夫だよ」
「一体何が・・・!?」
ジン達の視線の先では泥みたいなものがラウラを包みこんでいた。ぐちゃぐちゃに粘土をくねるように形を変えシュヴルツェア・レーゲンだったものは黒い全身装甲のISに似た何かとなった。
「・・・ねえジン。あのISの持ってる刀って」
「ああ、間違いない。・・・雪片だ」
そう黒いISが持っていたのはかつて千冬が振っていた雪片だった。
「うおおおおっ!!」
「なっ!!?」
「い、一夏」
ジン達があいての動きを窺っていると一夏が雪片弐型を手に黒いISに突っ込んだ。
しかし簡単に防がれジン達の居る所まで弾かれた。
「まだまだ!!」
「待て・・・」
ジンが力ずくで止めようとしたがコウタから通信が来た。
「悪いコウタ今・・・」
『大変なんだよ!急にアラガミの大群がIS学園に現れた。レーザーに反応はなかった。ジン今すぐこれるか?』
非常時の為通信を切ろうとしたがそれより早くコウタが学園にアラガミが出たと言って救援に来れるか言った。
「そうしたいのは山々なんだが、こっちも今緊急事態なんだ。ナナ、リヴィ聞こえるか?」
コウタとの通信を続けながらナナとリヴィにも通信をつなげた。
『うん』
『ああ』
「ナナは血の力を使ってアラガミを学園から遠ざけろ。コウタ達はアラガミがナナを追いかけ始めたら追撃を。リヴィはフェルドマン局長達が避難完了次第コウタ達に加勢。俺の方も早く片を着けて加勢に向かう。ただしナナ無茶はするな、前科があるからな」
『しないよ!!もうあの時の事はちゃんと反省したから・・・』
『まあまあ。皆分かってるけど心配なんだよ』
『了解した』
素早くジンが指示を出すと、全員返事をして行動に移った。
「・・・がどうした・・・それがどうしたああっ!」
ジンが通話が終わり再び一夏に目線を向けると生身の一夏が黒いISに向かおうとしていた為止めた。
「止まれ一夏!死ぬ気か!!?」
「うるせえ!離せ!あいつをぶっ飛ばしてやるんだ!!」
「落ち着けと言ってる!!!」
止まらない一夏に、強めの殺気をだして言うと一夏はビクッ!として止まった。
「一夏今は非常事態なんだ、落ち着け」
「・・・悪かった」
流石に自分が悪いと分かっているので一夏は素直に謝った。
「ジン非常事態って?」
落ち着いたタイミングでシャルルが聞いてきた。
「今現在この学園にアラガミの大群が現れたらしい。今ナナが引き寄せて学園から離れているが、コウタ達とリヴィだけじゃ厳しから早く加勢に行きたい」
「「なっ!!?」」
ジンからの言葉に2人は絶句した。アラガミの大群が現れたのだから。
「そう言う事で一夏今は抑えて欲しい。エネルギーがないお前では危険だ」
「だけど!俺がやらないといけないんだ!!」
「やるやらない以前にエネルギーが無いだろ?すぐに補充出来るなら譲ってもいいが今から補充は他の皆が危ないんだ」
「すぐ補充出来るよ」
ジンが言い終わるとシャルルがすぐ補充出来ると言った。
「普通のISなら無理だけど、僕のリヴァイブならコア・バイパスでエネルギーを移せると思う」
「本当か!?ならジンこれだったらいいよな?」
「・・・シャルル何分かかる?」
「リヴァイブのエネルギーも少ないから全部渡したとしても30秒あれば終わるよ」
シャルルの言葉を聞き、自分でやるか一夏にさせるか考える。皆を守るためなら自分がやるべきだが、ここで一夏にさせないと余計な軋轢が生じる事も踏まえてジンは結論を出した。
「シャルルすぐ補充にあたれ。一夏言ったからにはラウラは必ず助け出せよ」
「わかった!」
「おう!」
ジンは一夏に任せる事にした。
補充を受けた一夏は右腕と雪片弐型で黒いISに挑む。
「・・・・・・」
黒いISが刀を振り下ろす。しかしそれは意志のない機械の攻撃。それは只の・・・
「真似事だ」
ギンッ!
腰から抜き放って横一閃、黒いISの刀を弾く。そしてすぐさま頭上に構え、縦に真っ直ぐ相手を断ち斬る。
「ぎ、ぎ・・・ガ・・・」
ジジッ・・・と紫電が走り黒いISが真っ二つに割れ、そこから気絶したラウラが出て来た。
「こっちは一件落着だな。急いでコウタ達の援護・・・」
ジンが言い終わるより先にまたコウタから通信が来た。
「こっちは終わったから・・・」
『大変だ!そっちにカリギュラが向かった!!ナナの誘引が効いていない!!』
またコウタがジンが言い終わる前に大変重要な事を言った。
「なっ!?分かったこっちは任せろ」
『頼む!1人とっても頼もしい奴が行ったから、2人なら大丈夫だろ!!』
「?了解」
頼もしい奴と聞いてジンはリヴィだと思った。
ジンは先に一夏達をアリーナから脱出させようと思った。
「一夏、シャルル今すぐここから避難しろ!」
「え?どうしたのジンそんなに慌てて?」
「1体アラガミが向かって来てるんだ。そいつは途轍もなく早い奴だから避難しないと生身のお前達が危ない。俺がビットまで運ぶから捕まれ」
「う、うん」
「お、おう」
一夏達がジンに近づいた瞬間
がああああああ!!
アリーナ上空からカリギュラがおりてきた。
「ちっ、遅かったか・・・」
ジンは舌打ちをし神機を構えた。
「な、なんだよアレは・・・」
「ひぃ・・・」
カリギュラを見て一夏とシャルルは怯えた。そんな中カリギュラは黒いISの残りカスを捕食した。
「な、なにやってるんだあいつ?」
「黒いISを食べてる?」
一夏とシャルルもカリギュラの行動に戸惑っていたが次の瞬間変化が起こった。
カリギュラの蒼い鎧のような鱗が所々黒くなり、頭の触覚の様な兜は無くなりシュヴァルツェア・レーゲン搭載時に着けているようなモノになった。
「「姿が変わった!?」」
「捕食してあの力を得たんだ」
変化した姿に2人は驚いたがジンが説明した。
瞬間蒼黒い閃光が一夏とシャルルに向かって来た。
「ちっ!!」
動きが見えていたジンはロングブレードでカリギュラの篭手からは長大な刃を受け止めた。
今のがカリギュラの攻撃と知り、一夏とシャルルは恐怖で腰を抜かした。
ジンは2人の目に入らないようカリギュラの目の前でスタングレネードを使った。
「ラウラを左腕で支えるから一夏は右腕にしがみつけ!シャルルは背中に腕は首に回せ振りほどけないようにしろ。死にたくなかったら動け!!」
ジンに言われ一夏は右腕にシャルルは背中に回ってジンの首に腕を回した。
「お前達絶対に口を開くなよ舌を噛むぞ」
「ど、どうするんだよジン」
「こっちに1人向かっているみたいだから、それまで避け続ける。2人は何も考えずただしがみ付く事だけ考えとけ」
「「わ、わかった」」
ジンは3人を抱えて何時でも動ける様に構えた。瞬間また蒼黒い閃光が連続で来た。それをジンは3人抱えてるにも拘わらず全て避けていく。
(ご、ゴッドイーターって毎回こんなバケモンとやりあってるんだ)
(う、腕が・・・でも離しちゃダメだ。話したら死ぬ)
一夏とシャルルは必死にしがみ付きながらそう思った。
一夏とシャルルにとっては永遠に思われる時が遂に終わりを迎えた。
カリギュラの入って来た所から1人降りてきた。
ピンクに近い赤髪に緑を基調とした服にロングブレードを持った女性がそこにはいた。
「あ!貴方が皆言っていたブラッドの隊長さん?」
そうかつて極東支部神機使いと言われコウタの第一部隊前任の・・・
霊代アキが
って事でGE1主の霊代アキの登場でした!!
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カリギュラ戦決着
「あ!貴方が皆言っていたブラッドの隊長さん?」
霊代アキ・・・コウタの同期で『極東最強の神機使い』とまで称される人物。コウタの前の極東支部第一部隊隊長。今はクレイドル所属のゴッドイーター。
「ああ、ブラッド隊隊長の櫻羽ジンだ。まさか『極東最強の神機使い』と言われている霊代アキと会えるとは思わなかったな」
「極東最強って・・・私はそう思わないわ。それに極東最強は貴方だと私は思うわ」
2人とも普通に話していると思われるが、カリギュラの攻撃を避けながら話しているのだ。
((この2人は何でこんな攻撃を何でもないように避けて話せてるんだろう?ジンに至っては俺/僕達を抱えているのに・・・))
普通に話している2人に一夏とシャルルはそう思った。
「所でその2いえ3人はどうしたの?」
ここでアキは一夏達に気が付いた。
「カリギュラが来る前に避難させるつもりだったけど、予想よりも早かったから、コウタが頼もしい奴が行くって言ってたから到着まで避けてたんだ」
「成程ね。じゃあ時間は稼ぐからその間に安全な場所に連れて行ってあげて」
「分かった」
アキは神機を左手に持ち替え、右手にスタングレネードを持った。
「3.2.1で行くよ」
「了解」
「3」
カリギュラが刃を構え、
「2」
真っ直ぐジン達に狙いを定め、
「1」
走り出した。
「0」
そして直後顔にスタングレネードが炸裂し後退した。
「行って!!」
アキの合図でジンは黒牙を纏い、発射口に一夏達を降ろした。
「戦闘が終わるまで此処にいろよ。外は大丈夫だと思うが念のためだ」
「お、おう。って言ってもまだ腰が抜けて動きたくても動けないけどな」
「僕も」
一夏もシャルルも最初の攻撃で腰が抜けたままだった。
「そうだったな。まあ直ぐに終わらしてくる」
そう言いジンは飛び降りアサルトに可変し弱点の火のバレッドを撃った。
それを何とカリギュラは刃で全てを切り裂いた。
「おいおいカリギュラは何時から侍になったんだよ」
呆れながらブレードに可変しブラッドアーツ・ジェノサイドギアを発動させた。
その攻撃を避けたカリギュラだが避けた先にはアキが待ち構えていた。
「もらったよ!」
アキの一撃は結合崩壊はしなかったが確実にダメージを与えた。
「固っいな。何時もだったら結合崩壊してるのに」
「恐らくISの捕食で装甲が固くなっているのだろう」
何時もなら結合崩壊が起きてるはずなのに、少しのダメージしか与えていない事にアキは不服そうに言い、その理由をジンは言った。
「どうする?」
「ブラッドレイジで一気に片付ける」
「ブラッド隊長さんの切り札ね。私は何をすればいいの?」
「誓約を履行するのを手伝って欲しい。誓約は毎回ランダムだからその時にすることを言う」
「分かった発動までの時間稼ぎは?」
「問題ない直ぐ始められる」
そう言いジンは感応制御システムを起動させた。
「追撃の誓い、破壊への衝動、解き放つ本能を選択。結合崩壊1回と捕食に1回成功させ一定のダメージを与える。この中で一番難しいのは結合崩壊だ」
「了解!なら先に刃を結合崩壊させようか」
「ああ」
2人共刃に狙いを定めた。
まずアキが突っ込み、ジンがアサルトに可変しカリギュラの目を向けって撃った。この攻撃は陽動でアキはロングブレードをがら空きの足に振り下ろしダメージを与えた。
それと同時にジンが刃に捕食をしバーストした。アキも捕食しバーストした。
この時2人は同じことを思った。
((あの固い装甲を砕くには、バーストレベル3は必須。後2回捕食して、渡し弾を渡す!!))
その頃上の発射口で見ていた一夏とシャルルはゴッドイーターの戦いから目が離せなかった。
「前は画面越しだったけど、目の前で見ると凄いな・・・」
「うん。それにあの2人それぞれがする事を分かってるみたいに動いているね」
「見てる限りジンがあの人に合わせているみたいだな」
「こないだリヴィが言っていた通りだね。さっきの話を聞いてる限り2人は今日初めてあったみたいだけど、ジンが上手く合わしているね」
「それもあるけど、ジンが言っていた極東最強も関係してると思うぞ」
「確かにね。そう言えば鈴から聞いたんだけど、鈴が極東では誰が一番強いかアリサに聞いたら、ジンとあのアキって言う人って言ってた」
「最強同士のタックか・・・全く負けるイメージがねえ」
「うん」
と、2人の桁外れの戦闘に見入っていた。
その頃活動限界まで10秒を切ってる中2人は共にバーストレベル3になっていた。
「隙を作るからよろしく」
そう言いアキはカリギュラの正面から向かってロングブレードを振り下ろしはせず、インパルスエッジを撃ってカリギュラを怯ました。
「これでええええ!!」
ブラッドアーツ・バリアスライドを刃に当て、遂に結合崩壊した。
「よし!ブラッドレイジ発動!!」
瞬間ジンの背中に金色に輝く漆黒の翼が出現した。
そして超高速でカリギュラに近づき連続の剣戟を繰り出した。
「うわぁ。あれが噂の切り札か・・・凄すぎでしょ」
初めて見るアキは驚き半分呆れ半分だった。
「おっと私も忘れられちゃ困るよ」
アキも攻撃に入った。
それと同時にカリギュラにもまた変化が起こった。元々刃があった所ではなく手に黒い刀が現れたのだ。その刀をジンに振り下ろした。何時もならブラッドレイジ中は無敵だがジンの第六感が警告を鳴らし、ジンは避けた。しかし切っ先が漆黒の翼に掠ると、ブラッドレイジは強制解除された。
「おいおいおいおい。まさかブラッドレイジが強制解除されるとはな。あの黒いISを捕食して雪片まで使えるのかよ・・・」
まさかのブラッドレイジ解除にジンは先程黒いISを取り込んで得た物だとアタリをつけた。
「大丈夫?」
すぐさまアキが近くに着地に聞いてきた。
「ああ、大丈夫だ。しかし厄介だな、実質ブラッドレイジを封じられたか・・・」
「でも向こうももう限界だと思うよ。その証拠に攻撃の速さが落ちてる」
「ここは一気に畳みかけるか」
「そうだね」
そして2人は決着を付けるべく、左右同時に仕掛けた。
カリギュラは最後の抵抗に両手の黒い刀を振り回すが、最初の頃の速さもないため普通に避けられ、懐に潜り込まれた。
「これが!!」
「最後!!」
アキの鋭い一閃とジンのブラッドアーツ・エリアルキャリバーで遂に倒れた。
「これで」
「一件落着」
と手の甲をあてた。
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それぞれの戦い
ラウラの異変発生する少し前。
「エリナちゃん、隊長の試合見たくなかったの?」
ナナはエリナと同じエリアの警備についており、エリナにジンの試合を見なくっていいのか聞いた。
「見たかったですけど、先輩が一回戦で負けるとは思わないので、見るなら決勝戦がいいなーとスケジュールを見ると決勝戦の時はアリーナ内の警備だったのでその時に少し見ようかなって・・・」
と、目を逸らしながら言った。
「だよね~隊長の戦い見けどまんま神機での戦いだっかから負けるイメージわかないよね」
と、暫く雑談していると、急にオウガテイル、ドレッドパイク、ザイゴート、ナイトホロウなど小型アラガミが大量に湧いて出て来た。
「アラガミ!?」
「嘘、何の反応もなく急に・・・」
「エリナちゃん考えるのは後、今はアラガミを倒そう」
「はい!」
ナナはブーストハンマーをエリナはチャージスピアのオスカーを構えアラガミの群れに突撃した。
『ナナ、リヴィ聞こえるか?』
エリナと共にアラガミを狩っているとジンから通信が来た。
「うん」
『ああ』
ナナとリヴィは返事をした。
『ナナは血の力を使ってアラガミを学園から遠ざけろ。コウタ達はアラガミがナナを追いかけ始めたら追撃を。リヴィはフェルドマン局長達が避難完了次第コウタ達に加勢。俺の方も早く片を着けて加勢に向かう。ただしナナ無茶はするな、前科があるからな』
「しないよ!!もうあの時の事はちゃんと反省したから・・・」
『まあまあ。皆分かってるけど心配なんだよ』
『了解した』
ジンからの指示で前科があるナナは反省したと声を荒げて否定した。
「エリナちゃん。私がアラガミを学園から遠ざけるから、後ろから追撃して」
「分かりました!ナナさん気をつけて下さいね」
ナナはエリナにそう言い、血の力『誘引』でアラガミ達を自身に引き付け、学園から離れるように移動をはじめた。
エリナは追撃に移ろうとしたがドレッドパイクが生徒に襲いかかろうとしていた。
「させない!」
エリナはチャージグライドでドレッドパイクに高速で突進した。
「大丈夫ですか?あれ?もしかして先輩のクラスメイトさん達ですか?」
そう襲われていたのは1組の生徒達だった。
「え、エリナちゃん?」
ドレッドパイクに襲われ目を閉じたが、痛みはなく目を開けるとこの前来たエリナがそこにいた。
「早く避難して下し。ここは私が一歩も通しはしないんだから!」
エリナはオスカーでドレッドパイクを薙ぎ払っていく。
「よく言ったエリナ!」
そこにブーストハンマー、ポラーシュターンを構えたエミールがエリナの隣に並んだ。
「我が友のクラスメイト達は僕達が護るぞ」
「勿論よ!」
リヴィはフェルドマン局長とガドリン司令と試合を見ていた。
「櫻羽大佐の事は聞いていたが此処までとは思わなかったよ。フェルドマン局長彼は螺旋の木の時から強かったのか?」
「ええ。ですが動かして間もないISでここまで戦えるのは、櫻羽大佐の才能かと」
「ふむ。グレイプニルに欲しいな」
「それは難しいでしょう。今や櫻羽大佐は極東最強の一角を担ているので」
「残念だ」
リヴィはジンが褒められている事に笑みを浮べた。
そんな中ラウラの纏うシュヴルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、泥みたいなものがラウラを包みこんで形を変え黒い全身装甲のISに似た何かとなった。
「・・・なにか起こったみたいだな」
フェルドマン局長が呟いた。
『ナナ、リヴィ聞こえるか?』
リヴィの通信機にジンから通信がきた。
『うん』
「ああ」
ナナとリヴィは返事をした。
『ナナは血の力を使ってアラガミを学園から遠ざけろ。コウタ達はアラガミがナナを追いかけ始めたら追撃を。リヴィはフェルドマン局長達が避難完了次第コウタ達に加勢。俺の方も早く片を着けて加勢に向かう。ただしナナ無茶はするな、前科があるからな』
『しないよ!!もうあの時の事はちゃんと反省したから・・・」
『まあまあ。皆分かってるけど心配なんだよ』
「了解した」
リヴィはジンからの通信の内容を2人に言った。
「成程。ならリヴィすぐに藤木達の援護に行ってやれ。それが一番事態を解決できる」
「しかし・・・」
「我々の事は心配ない。フェルドマン局長が言ったように、事態の収拾が先決だ」
「・・・わかりました」
フェルドマン局長がリヴィにコウタ達の援護に行く様に言うと、リヴィは戸惑うがガドリン司令が後押しし、リヴィはコウタ達の援護に向かった。
「皆慌てず避難して!」
コウタは第五部隊のゴッドイーター達と共に生徒達の避難を誘導していた。
「おっと」
飛びついてきたオウガテイルを神機・モウスィブロウで撃ち落とす。
「直臣、俺が殿を務める。皆の誘導を頼む!」
「了解!」
コウタは第五部隊の隊長にそう言い神機を構えた。
「ナナの誘導は上手く行ってるようだな、もう少しでジンも来るなら掃討戦になるな。・・・ん?」
ナナの誘導に、ジンの決着ならもう直ぐ事態も収拾すると思っていると。遠くから何かが走って来るのが見えた。
「あれは・・・」
コウタがスコープで見て見ると、その正体をしり驚愕した。
「カリギュラ!?まさかこっちに向かって来ているのか!!?」
コウタは素早く消費したオラクルを補填し構えた。
そして射程内に入った瞬間オラクル弾を撃つ。しかしカリギュラは避け、ジン達がいるアリーナに向かった。
「ナナの誘引が効いてないのか!?」
コウタはジン達の助けに行きたいが、まだ生徒達の避難も終わっていないのに、ここを動くことを躊躇した。
「コウタ!」
「!」
そんな思考の海に囚われていたコウタを引き戻したのはアキだった。
「アキ!丁度よかったカリギュラを追ってくれ!そしてその先にいるジンと共にカリギュラを倒してくれ!!」
「ジンってブラッドの隊長さん?わかった」
コウタはアキにカリギュラを任せ、ジンに通信を繋いだ。
『こっちは終わったから・・・』
「大変だ!そっちにカリギュラが向かった!!ナナの誘引が効いていない!!」
ジンが言い切る前にコウタが遮り言った。
『なっ!?分かったこっちは任せろ』
「頼む!1人とっても頼もしい奴が行ったから、2人なら大丈夫だろ!!」
『?了解』
通信を終えたコウタはジンとアキがカリギュラを圧倒している場面を想像して、少しカリギュラに同情した。
「あの2人相手は流石のカリギュラも不憫だな・・・」
この数分後ジンから全隊に戦闘終了の通信がきた。
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戦後
「こちら櫻羽。各隊報告を」
『こちら藤木、アラガミの全滅を確認」
『エリナです。先輩のクラスメイトさん達は無事です』
『ナナを追ったアラガミは全て倒した』
ジンが全隊に状況を聞くと、アラガミの殲滅を確認した。
「各隊に通達。アラガミの全滅を確認。事後処理は残っているが、戦闘終了だ」
そう言って通信を切った。
「ありがとうな。アンタのおかげで無事解決できた」
「気にしないで。元々あのカリギュラを追ってたから」
「って事は依頼でか?」
「うん。でも急に走り出してここに来た感じかな?今更だけど私ここにいても大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。今回学園に現れたのは小型のなか、大型のカリギュラ討伐の功績もあるし。ISを捕食したカリギュラ相手は一人では厳しかったしな。取り敢えず織斑先生には紹介しておこう」
「お願い」
「・・・凄かったな」
「うん・・・」
発射口で見ていた一夏とシャルルは終始圧倒していたジンとアキの強さにそれしか言えなかった。
全ての報告を纏めた書類を持ったジンは千冬の下を訪れていた。
「織斑先生こちら今回のアラガミ襲撃の各班の報告とレポートです」
「ああ、ご苦労だった。お前達ゴッドイーター達のおかげて軽傷者がでたが、死者は0だ。お前の判断にIS学園の教師として礼を言う」
「いえ。人を守るのが俺達ゴッドイーターですから」
「そうか。今日は男子が大浴場が使える。男子達が上がったら女性のゴッドイーター達も入っていいと他のゴッドイーター達にも教えてやれ」
「いいんですか?」
「ああ。学園長からも許可がでている」
「ありがとうございます。では失礼します」
ジンは職員室を出て、ゴッドイーター達が待機している教室に向かった。
「皆のおかげで死者を出すことなくアラガミを討伐できた、ありがとう」
そう言いジンは頭を下げた。
「頭をあげてくれよジン。俺達は俺達に出来る事をしただけだ。なあ皆?」
「そうだとも!友の学び舎を守れて誇らしいよ!」
「エミール煩い」
「ああエリア。うちのクラスメイト達がお前に感謝してたぞ。俺からも礼を言う」
「いえいえ。先輩のクラスメイトさん達を助けれてよかったです」
暫く他のゴッドイーター達と話していたジンは、大浴場の事を思い出した。
「ああそうだ。学園が大浴場が使えるって言ってた。俺達男子が入った後に女子達が入れるそうだ」
そう言うと歓声があがった。
「おおおおマジか!?」
「ヤッター!!」
「って事だから男子行くぞ」
「「「おお!!」」」
先に男子達が大浴場に向かった。
「お、一夏も来てたのか」
「あジンにコウタさんにエミールさん」
ジンが大浴場に行くと先に一夏が湯船に浸かっており、ジン達が来た事に反応した。
「シャルルは?」
「シャルルは今日の疲れるがあるから寝るって言って部屋に戻ったぞ」
「(まあシャルルは本当は女だからな)そっか・・・一夏は大丈夫か?」
「ああ最初はビビったけど、今は落ち着いた。しかし凄いなゴッドイーターは。仮に俺がゴッドイーターになってもあんな風に戦えない。ジン達はなんでゴッドイーターになったんだ?」
「ん~適性があったからな」
「適正?」
「フェンリルから配給を受けている者達は定期的にパッチテストを受けて、適性があったら収集される。基本的には近くの支部だが俺の場合は血の力の適正もありフェンリル本部に属する移動要塞フライアに配属されたけどな」
「移動要塞!?そんなのもあるのか!?」
移動要塞と聞き一夏は驚愕した。
「ああ」
「それにしても皆凄い体だな」
一夏はジン達ゴッドイーターの鍛え抜かれた肉体に、傷をみてそう呟いた。
「まあほぼ毎日戦ってるからな。極東はアラガミ動物園と言われる程新種の報告が相次ぐからな。他の支部だとコンゴウ1匹で大混乱が起こるが、極東ではそのコンゴウが群れやら堕天種やら接触禁忌種やら神融種が続々出てくるからな」
「そのせいか一獲千金を目指して他支部からゴッドイーター達が来るけど、生存率は低い」
ジンに付け加えるようコウタが言う。
「その為極東支部所属のゴッドイーターは皆強者揃い。そう僕や隊長、我が友みたいにな!」
更にドヤ顔でエミールが言う。
「なあジンのブラッドとコウタさんの第一部隊だったらどっちが強いんだ?」
「そりゃあブラッドだろうな。今の第一部隊は俺とエミールとエリナだけの3人だけで、昔みたいにアキ、アリサ、ソーマ、リンドウさん、サクヤさんがいれば違うけどな」
「え?あのアキって人元は第一部隊所属だったのか・・・」
「付け加えるとコウタの前任だ」
「ええ!?元第一部隊の隊長かよ!!?」
アキが元々第一部隊所属で、前隊長と知り一夏は驚愕した。
「だが経験は差がある。コウタ達は3年前から戦ってるからな。俺はまだ1年だし」
「いやいやいやいや!!1年でそれって上等じゃねえか!!」
まだまだと言うジンの言葉に一夏は突っ込んだ。
「いいやまだまだだ。まだ見ぬアラガミもいるかもしれない。俺はあの時誓った。人々を守ると。その為には強くならないとな」
極東最強と言われているが、ジンは強さに貪欲な姿勢に一夏は息を飲んだ。
「まあ今は休業。2つの世界の為に頑張るよ」
そう締め括りジンは口を閉じた。
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権謀
「み、みなさん、おはようございます・・・」
学年別トーナメントの最中に起こったアラガミ襲撃の翌日。ナナの誘導のおかげて人的・建物の被害は最小限で普通に授業が行える。
山田先生が疲れたかのように教室に入ってくる。
「さ、櫻羽君。櫻羽君が行ったことは立派ですが、相談位はしてくださいね・・・」
「あ、あははすいません山田先生」
クラスメイト達は山田先生が疲れている理由はジンだと理解した。
「今日はですね・・・皆さんに転校生を紹介します。転校生といいますか、既に紹介は済んでいるといいますか、ええと・・・」
転校生と聞き生徒達は疑問に思い、さらに紹介は済んでいると言う言葉にさらに疑問に思った。
「じゃあ、入って下さい」
「失礼します。シャルロット・デュノアです。皆さん改めてよろしくお願いします」
シャルル改めシャルロットを見て生徒達はポカンとする。
「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。という事です」
『『『え、ええええええ!!!』』』
悲鳴に近い叫び声が教室に響いた。
「お前達なに騒いでいる」
千冬の登場により、教室は静かになった。
「あれ織斑先生来客だったんじゃ・・・」
「ああ。その来客の目的は櫻羽だからな」
2人のやり取りで、来客があり、その来客はジンに用があると、生徒達は理解した。
「お入りください」
「失礼する」
千冬が言うと、ツバキが入って来た。
「「「「「ツバキ教官/さん!!?」」」」」
入って来たツバキに、ジン、アキ、コウタ、エリナ、エミールが驚き声をあげた。
「どうしてツバキさんがIS学園に?」
ジンが目的と千冬が言っていたので、ジンが何故ツバキがここにいるか聞く。
「櫻羽ジン大佐」
「はっ!」
フルネームに階級で呼ばれジンは背筋を伸ばす。
「フェンリル本部より特務が発令された」
「本部からですか?」
フェンリル本部からの特務と聞き、顔をしかめる。
「昨日1800にこちらの世界のエベレストでアラガミの大群を確認。監視をしているが移動の気配はないとのことだが、何時移動するかわからない為明日1200にブラッド、クレイドル、極東・ヒマラヤ支部第一部隊、に本部並び各支部から1、2人ずつの討伐隊でアラガミの大群を討伐する事が決定された。しかし感応種も確認された為、櫻羽ジン大佐はブラッド、クレイドル、極東・ヒマラヤ支部第一部隊以外の隊員にブラッドアーツ、ブラッドバレッドを習得させと、本部が言ってきた。また討伐隊の隊長に任命するとの事だ」
「了解。どこに向かえば?」
「各部隊は極東支部に集合。ここIS学園の防衛には第三部隊が防衛にあたる、霊代、藤木、フォーゲルヴァイデ、シュトラスブルク。お前達も櫻羽と共に極東支部に戻れ」
「「「「了解!」」」」
ツバキの指示にジン達は慌ただしく教室を出る。
「だ、大丈夫なんですか?」
山田先生がツバキに聞く。
「アラガミの事なら大丈夫ですよ」
「他になにか懸念でも?」
ツバキが答え、千冬がツバキの言葉に引っ掛かり聞く。
「本部の一部を除き、本部の者達は櫻羽を疎んじている」
「何故ですか櫻羽君はそちらの世界の英雄なのに?」
「それは櫻羽がこちらの土地を買い、サテライト拠点の住人やサテライト拠点に入れない人々を住まわそうとしているのを聞き、自分達が先だと本部の者達が騒いでいてな、櫻羽は正論で黙らしたがそれによって目の敵にしているんだ」
「逆恨みじゃねーか!」
ツバキの話を聞き、一夏が声を荒げた。
「だが本部の者達も馬鹿じゃない。櫻羽が及ぼす影響も理解している為櫻羽の失態を作ろうとしている」
「今回の作戦に仕掛けてくると?」
「そう思っている。私も極東支部に戻る。30分後には第三部隊到着する、諸君達は学業に専念すればいい。失礼する」
そう言いツバキは教室を出る。
その後ラウラが入ってきて一夏にキスをすると、箒とセシリアが騒ぎ騒然となった。
前日・フェンリル本部会議室
「くそっ!櫻羽ジンめ!」
「我々より先にサテライト拠点以下の者達の受け入れなど言語道断だ!」
「処罰しようにも、明らかな失態はない以上どうすることも出来ない」
フェルドマン、ガドリンに一部以外の本部上役達が集まりジンの行動に腹を立てていた。
コンコン
「失礼します」
ドアをノックして職員が入って来た。
「報告します。あちらの世界のエベレストでアラガミの大群を確認しました」
「直ぐ討伐隊を編成しろ。向こうの世界に恩を売るチャンスだ」
「はっ。それと女性権利団体と言う所から通信が来ています」
「女性権利団体?あああちらの世界を牛耳っている組織か・・・」
「我々になんのようだ?」
「なんでも櫻羽大佐についての事です」
「何?」
ジンの事と聞き眉を顰める上役。
「いいだろ繋げろ」
会議室のモニターに女性が映る。
『お初にお目にかかります。女性権利団体の代表の飯田亜希子と申します。本日は櫻羽ジンに対しての提案があり、通信させてもらいました』
「その前に聞きたい。そちらは櫻羽ジン大佐の事はどう思っている?」
『そうですね・・・邪魔な存在ですね。ブリュンヒルデ織斑千冬の弟がISを動かせるのは百歩譲っていいですが、櫻羽ジンは邪魔ですね』
「なら櫻羽ジン排除に手を組まないか?」
『むしろ此方からお願いしたいです』
フェンリル本部と女性権利団体はジンの排除に手を組んだ。
「それで提案とは?」
『エベレストでアラガミの大群の報告はこちらにも届きました。それを利用して櫻羽ジンと無能達の排除をしようと私達は考えています』
「具体的には?」
「まず戦闘は中継します。櫻羽ジンは討伐隊隊長に任命し何かあったら全責任をなすりつけるようにします』
「それで?」
『終盤に無能達をアラガミに攻撃をしかけ、撃墜させます。負傷又は死亡すれば責任を取らざるを得ない状況になります』
「ふむ。それでこちらとそちらの合同で裁判を開き、有罪にすると?」
『はい。持ち票はそちらが4、こちらが6で宜しいでしょうか?』
「問題ない。ただ櫻羽ジンは戦力を失うのは惜しい。その対価は?」
『協力して頂いた人達にはこちらの世界の一等地と、それなりの資金を用意させてます』
「悪くない案だ。明後日12時に攻撃を仕掛ける。仕掛けのタイミングはそちらに任す」
『畏まりました。それではまた連絡いたします』
「ああ。健闘を祈る」
『失礼します』
フェンリル本部と女性権利団体の通信は終えた。
「ふ~ん。そんな事考えてるんだ~。束さんの興味対象に手を出すなんて・・・・・・どうしてやろうかな」
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集結する者達
対アラガミ大群の討伐の為、対象の部隊がアナグラに集まっていた。
「隊長」
ヘリから降りたジンにシエルが駆け寄る。
シエルの後ろにはブラッド隊の全員がいた。
「シエル皆話は聞いているな?」
「はい。榊支部長から聞いています。ブラッド、クレイドル、ヒラヤマ第一部隊は揃ってます。後は本部と各支部のゴッドイーター達を待つだけです」
「ゴドー達は到着しているのか。挨拶に行ってくる。シエル達は待機しといてくれ」
「わかりました」
シエルからヒラヤマ第一部隊が来ていると聞き、挨拶に向かった。
「久しぶりだなゴドー、レイラ、リョウ」
「櫻羽か」
「久しぶりですね」
「活躍はヒラヤマまで届いてますよ」
ヒラヤマ支部第一部隊隊長ゴドー・ヴァレンタイン。
隊員レイラ・テレジア、リュウ・フェンファン。
以上3名がヒラヤマからの人員だ。
「さて積もる話はあるけど時間がないが、まだ本部と各支部のゴッドイーター達はまだ来てないし、ブラッドアーツとブラッドバレッドの確認を含め任務行くか?」
「そうだな。極東のアラガミレベルを知っとけば、今後の為になるだろうし」
ジンの提案でゴドー達はミッションに向かった。
ジンがミッション中に数機のヘリがアナグラに到着した。
「来たわねフィリーネ」
「あエリナちゃん」
そのヘリからエリナが出迎えた少女がいた。
フェンリル本部からは計4名派遣させた。
まず1人目がエリナと旧知の中である、フィリーネ・ストリッジデイ・ウォラーレ。本部最強になりえる逸材だ。
2人目はフィリーネとの主従関係にある、キルス・デミル。
3、4人目は本部で期待の新人の、セラ・キサラギと、アレク・マーティン。
「それでエリナちゃん噂のブラッド隊長さんは?」
「先輩ならヒラヤマ支部の人達とミッションに行ったわよ。極東のアラガミの強さを知る為に」
「成程。今回のアラガミ討伐は、極東にしか出現しない感応種や神融種もいるみたいだしね。それにしてもエリナちゃんが先輩って慕う程凄い人なんだね」
「先輩の凄さは実際に見た方が早いと思うわ。先輩が戻って来たら次はフィリーネ達が先輩とミッションの予定になっているわ」
「俺達はいいが、ブラッド隊長は大丈夫なのか?」
「隊長のことなら心配いりません」
エリナがジンが戻ったら次はフィリーネ達と言うと、キルスが大丈夫なのかと聞くと、エリナが答えるより先にシエルが答えた。
「皆さん初めまして。ブラッド隊副隊長のシエル・アランソンと申します。隊長からは先に皆さんに感応種及び神融種の事を教えてほしいと頼まれました」
シエルが自己紹介と来た目的を言った。
その後フィリーネ達も自己紹介をしジンが戻るまで話が続いた。
ジンが戻った後はフィリーネ達、ブラッドアーツとブラッドバレッド未習得組とミッションに行き、フィリーネ達本部4人は習得出来たが、各支部のゴッドイーター達は習得出来なかった。
夜に今回の討伐隊がロビーに集まり榊から作戦が話される。
「ではこれより今回の討伐の作戦を説明するよ。今回試作アラガミ砲台を作ったからラッドアーツ・ブラッドバレッドを習得出来なかった第一世代近接神機の人はこの砲手をお願いするよ。まず最初に第一世代近接神機以外の人は遠距離にし、有効範囲に入ったアラガミ向けて一斉射撃を行う」
榊がボードに書きながら説明をする。
「ある程度数を減らしたら今度は、砲手と第一世代遠距離神機使い以外は突撃。先方はブラッド隊。ブラッド隊にはアラガミ軍の真ん中突き抜けてほしい。ブラッドの後ろから本部隊、極東・ヒラヤマ第一部隊が展開。その後ろをクレイドルが更に展開する。陣形で言えば逆鶴翼だね。クレイドルの神機使い達は右翼と左翼に分かれアラガミを押し留めといてほしい」
「大変だがまあやるしかないな。榊支部長編成はどうします?」
「左翼にリンドウ君、ソーマ。右翼にアキ君、アリサ君で各10人づつに分かれてもらうよ」
「了解です」
リンドウが編成を聞くと、考えていた編成を言った。
「ブラッド隊、本部隊、各第一部隊は一番奥まで突破したら、中央に向かう組と両翼にわかれてもらうよ」
「その編成は?」
「中央に向かう組はジン君、ナナ君、ギルバート君、エリナ君、フィリーネ君、レイラ君。突破した左翼にはシエル君、ロミオ君、エミール君、ゴドー君。右翼にはジュリウス君、リヴィ君、コウタ君、リョウ君、キルス君、セラ君、アレク君だ」
「了解です」
編成を聞きジンは、皆の顔を見ると全員が頷いたので問題ないと判断した。
「では明日0900にここからエベレストに向かい、砲台の準備をし1200より作戦開始となる。今聞きたいことはないかね?」
榊が聞くが、全員大丈夫みたいなので頷く。
「では明日の作戦に向けて休んでくれたまえ。解散だ」
各々は部屋に戻る者もいれば神機の確認に行く者、携行品の確認に行く者などに分かれた。
決戦の時は近づいてくる。
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