ダンジョンでも心を燃やせ! (TouA(とーあ))
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第壱話

 

 

 

 男は吼える。鬼は咆える。

 

 男は、若き芽を摘ませぬ為に颶風(ぐふう)を纏う煉獄の刀を奮った。

 鬼は、男の命を惜しみつつ術式で底上げされた体術で拳を奮った。

 

 衝撃が大地を伝い、地表が波打つ。

 少し遅れて音が空気の壁となって周囲の木々を揺さぶる。

 其れはおよそこの世で起こりうる破壊の規模を超えていた。隕石の衝突に等しい衝撃が地表に放射状の亀裂を走らせていた。

 

 潰れた左眼、砕けた肋骨、傷付いた内蔵。

 男は満身創痍だった。其れでも滾った闘気が、耳朶を駆け抜ける気迫が、命を燃やした精神力が、ただ“柱”としての責務を全うさせる為に収斂され、男を大地へ立たせていた。

 

 鬼は其の男が放つ剣風が吹き(すさ)ぶ必殺の一撃を幾度と喰らい、血や肉を地表へぶち撒けようとも、瞬きの一刹那の間に全て完治していた。鬼として人の姿を捨て至高の領域に至ったが故に武の道を極めたのだ。

 

 

 轟いていた音が止み、立ちこめる土煙が晴れた時、亀裂の中心には鬼に鳩尾を穿たれていた男の姿が在った。

 

 

 男は吼えた。鬼は咆えた。

 

 

 鬼の弱点は陽光と首頸(くび)である。黎明まで寸刻。

 男は燃え猛る命の灯火を無情にも己で吹き消しながら零距離から鬼の首頸に刀を振り斬った。

 鬼は命の炎が煌めく男の決死の一閃になす術もなく首頸の半ばまで斬られた。意識を置いて刀の進行を(ふせ)ぎ、男の最後の灯火を握り潰そうと空を裂く左拳を男に放った。

 男は鬼の拳を腕刀を握ることで(ふせ)いだ。刀を握る五指に死力を振り絞り、夜霧を貫き、天を衝くが如くに咆哮した。

 

 

 男は。そして男は────勝負を制した。

 己に克ち、幾百を超える無辜の民を護り、後進の若い芽を護り、“炎柱”としての責務を果たした。誰が何と云おうとも其れは男の勝利であった。

 

 

────こっちにおいで。最後に少し話をしよう

 

 

 護り抜いた後進の少年達に男は告げた。

 弟には、自分の心のまま正しいと思う道を進むように、と。

 父には、体を大切にしてほしい、と。

 少年達には、己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと心を燃やせ、胸を張って生きろ、俺は信じている、と。

 

 多くは(のこ)さなかった。

 然し、少年達の多くに遺った。男が男である為の在り方を。

 

 

────母上

 

 

 母は男が男で在る事を、男が弱き者を助く為に強く産まれた者の責務を説いた、強く優しく在った女性だ。

 母は眩い陽光を背に男を真っ直ぐ見つめていた。男は最後に問うた。

 

 

────俺はちゃんとやれただろうか

 

 

────俺はやるべきこと、果たすべきこと、全う出来ましたか?

 

 

────立派に出来ましたよ

 

 

 

 男“煉獄 杏寿郎”は、満ち足りた笑みを浮かべ、黎明に散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほわぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 

 涙腺を決壊させる深紅(ルベライト)の瞳にホコリまみれの白髪、容姿からして兎を連想させる。

 少年“ベル・クラネル”は現在進行系で死にかけていた。理由は簡単でベルの太刀では傷一つ付けられない格上のモンスター“ミノタウロス”に追いかけられているからだ。

 

 

「でえっ!」

 

 

 ミノタウロスの蹄が土の地を砕き割り、衝撃波を生んだ。

 その衝撃波が起こした猛風に巻き込まれたベルは足を取られ、ゴロゴロとダンジョンの床を転がった。

 

 

「あは、はははははは」

 

 

 笑みと呼ぶにはあまりにも引き攣った口の歪みから乾いた笑いが漏れた。

 臀部(でんぶ)を地につけ、ベルより一回りもニ回りも大きい筋骨隆々のミノタウロスを見上げる。本能的に後ずさるが冷たい壁が背に当たり絶望的な状況であることを態々(わざわざ)再認識させた。

 

 次の瞬間、(あか)き紅蓮の炎虎がミノタウロスを呑み込んだ。

 

 刹那の一瞬で命を刈り取られたミノタウロスは魔石ごと斬られたからか、血を撒き散らすこともなく、啼き散らすこともなく静かに消えていった。

 

 

「大丈夫か少年」

 

「………は、はい」

 

 

 ベルの前に現れた練り上げられた闘気を纏う男は黒い詰襟(つめえり)に白地に炎を象った羽織、炎の様な鍔に燃え立つ焔の刃紋が入った赫い刀を握っていた。

 

 

「大きな怪我は無さそうだが…鬼の血は浴びてないな?」

 

「お、鬼?浴びてませんけど」

 

 

 ミノタウロスを“鬼”と表現したことには疑問を覚えたベルだが心の底から心配しているという事が男が向ける優しい眼差しで理解出来た。

 

 

「た、助けてくれてありがとう御座います!!」

 

「弱き者を助けるのは強き者の責務だからな!!」

 

 

 男は腕を組み豪快に言い放った。

 その言葉を聞き、ミノタウロスを一撃で屠った手腕を眼前で見て、練り上げられた闘気を肌で感じ取ったベルは無意識にその男に頭を垂れてこう言っていた。

 

 

「僕はベル・クラネルといいます!弟子にしてください!」

 

「うむ!いい目をしてるな!いいとも!」

 

「ありがとうございます!師匠の名前は!?」

 

「煉獄 杏寿郎だ!」

 

「これから宜しくお願いします!煉獄の兄貴ッ!!」

 

「してクラネル少年よ」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはどこなのだ?」

 

 

「へあっ!?」

 

 

 

 

 

 

 






これは亡きアニキに捧げる英雄譚。

ジャンプ本誌でボロクソに泣いてコンビニの店員にポケットティッシュを渡され、単行本でもボロクソに泣いて目を腫らして友達に心配され、登場回こそ少なかったものの心に深く刻まれたアニキの生き様。

ハーメルンで鬼滅の刃の小説少ないなぁってことで書きました。楽しんでいただけたなら幸いです。

感想や評価をお待ちしてます。煉獄アニキだけでなくかまぼこ隊のこととか感想欄で語れたら嬉しいです。


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第弐話

お久しぶりでさぁ!

感想が想像以上に来て感涙してます。みんな、煉獄のアニキ好きなんだね(確信)。

久方振りの一話、お楽しみ下さい。




 

【迷宮都市・オラリオ】

 

 この世界で唯一の『ダンジョン』と通称される地下迷宮を保有する大都市だ。迷宮の上に築き上げられたこの街に、夢を持って足を踏み入れる人間は多い。

 地位や名誉の獲得を夢見る者、一攫千金を夢見る者、運命の出会いを夢見る者、その姿は人によって様々だ。

 それぞれがそれぞれの大望をもって神の家族(ファミリア)となり、冒険者になる。

 

 僕────ベル・クラネルもその一人だ。動機こそ女の子と出会いたいという不純なものではあるけれど。

 

 

「あの〜煉獄さん」

 

「うまい!うまい!うまいっ!」

 

 

 今、僕の目の前には快活な笑みを浮かべながらご飯を口に運ぶ御人…僕の命の恩人であり、僕を弟子にしてくれた“煉獄さん”がいる。このオラリオという都市と僕の“冒険者”という肩書の由来を今しがた煉獄さんに説明したのだけど…。

 

 

「うまいっ!」

 

「いやもうそれは凄くわかりました」

 

 

 今僕達が居る場所は酒場の『豊穣の女主人』と呼ばれるお店だ。

 店主のミアさんを初め、このお店はダンジョンから帰って来た冒険者達に豪快な調理を見せ付け、鼻の奥まで刺激する芳醇な香りと値段に似合わない山の様に積み上げられた料理で(もてな)している。又聞きでこのお店にハマる人が多いという話を聞いたことがあるけれど何となく理由が判る気がする。美味しい料理に可愛い制服のウェイトレスさん。事実、今日初めて来た僕も胃袋を掴まれ、視線を奪われることが多い。

 煉獄さんは胃袋を掴まれているようだ。僕はひと皿で満腹になる量なのに煉獄さんの前には既に4皿積み上がっている………今思ったけど手持ちのお金で足りるかな?

 

 

「クラネル少年」

 

「は、はいっ!」

 

「あの“牛頭(ごず)”は“鬼”ではないのか?」

 

「“おに”?あ、えっとここでは“モンスター”と言ってあのモンスターは“ミノタウロス”と言います!」

 

「“みのたうろす”……ふむ、成程。相判った!」

 

「な、何が判ったんですか!?」

 

「判らない事が判った!これは大きな進歩だ!ハッハッハッ!」

 

 

 ハハハ…と乾いた笑いがでる。なぜだろう、物凄く自由奔放なのに煉獄さんの言葉一つ一つに惹き付けられる。煉獄さんが持つ独特な雰囲気がそう言わせるのかもしれない。

 

 

「クラネル少年、その“もんすたー”とやらの血を傷口に浴びると“もんすたー”になる、という話を聞いた事はないか?」

 

「えっ?な、無いですけど…」

 

 

 その問い掛けは僕にとってかなり驚くものだった。

 勿論、煉獄さんに言ったように聞いた事は一度も無い。それに聞いた事が無くてもその様になるのなら、細心の注意を払う様にダンジョンを管理する“ギルド”から言われる筈だ。

 煉獄さんは目を閉じ、僕の答えを自分の中で吟味しているようだった。僕が言った事はこのオラリオの中では当たり前の常識なんだけど、煉獄さんは初聞きとそう言わんばかりに思考の海に沈んでいる。

 暫くしてカッッと目を見開いた煉獄さんは僕を見て口を開いた。

 

 

「よしっ!おかわりを貰おう!!」

 

 

 その言葉を受けてガンッとテーブルに伏せてしまった僕はきっと悪くないと思う。

 

 

 

 

 

 × × × × × × ×

 

 

 

 

 

 

 それからベルは煉獄にこの都市についての常識を教えた。

 この“オラリオ”という都市は“ダンジョン”という迷宮を中心に成り立っているということ。

 約1000年前、何も変化が無い天界に飽きた“神”がこの下界に降り立ち、ヒューマンをはじめとする冒険者達に“恩恵(ファルナ)”を与え、様々な事象から経験値(エクセリア)を得て能力を引き上げ、新たなる能力を発現させその成長を娯楽として楽しんでいるということ。ベルも“神”の“眷属”だが何百年と前から降り立っている“神”が率いる大規模なファミリアとは違い、“ヘスティア”という最近降り立った“神”の眷属であること。まだその【ヘスティア・ファミリア】にはベルしか居ないこと。

 冒険者とダンジョンはギルドが管轄していること、オラリオの通貨が“ヴァリス”であることまで仔細を話した。

 

 

「あの……」

 

 

 二人が会話を交わしているその最中(さなか)に。

 “豊穣の女主人”で“宴”を開いていた、とあるファミリアから一人の美少女が二人の傍に寄り、声を掛けてきた。

 二人はその人物に目を向ける。純粋無垢な少年は一瞬で顔を真っ赤に染め上げ、男はおっ!と目を輝かせる。()()、ダンジョンで出逢った女性であったからだ。

 

 

────アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

 

 オラリオの2大ファミリアの一つ【ロキ・ファミリア】に在籍する【Lv.5】の第一級冒険者である。神が定めた二つ名は【剣姫】。

 砂金の如き輝きを帯びた金の髪、触れれば壊れてしまいそうな細い輪郭は精緻かつ美しく、良くできた人形というよりも、それこそお伽噺なんかに出てくる精霊や妖精と言ったほうがしっくりくるものだ。

 アイズの大きく際立つ金色の瞳は、無意味に喉を鳴らしてしまうくらいに透明に澄んでいる。その瞳に見つめられれば少年の様な反応をしてしまうのは無理も無い。

 

 

「あ、ああ、ああああアイジュッヴァヴァレ」

 

「よもや再び相見(あいまみ)えるとは思わなんだ!して要件はなんだ!」

 

 

 目を回しながら意味不明な言葉を羅列するベル。反対に溌剌(はつらつ)に返事をする煉獄。

 アイズは正反対な二人を見て少しオロオロするが、ふぅと一息吐くと落ち着きを払いながら口を開く。

 

 

「あの時はごめんなさい……私達の所為(せい)で迷惑をかけて」

 

 

 アイズの言う“あの時”とは、ベルがダンジョンの上層でミノタウロスに襲われ、煉獄が見事な剣術で仕留めた後のことである。

 そもそも“ミノタウロス”というモンスターはダンジョンの【15階層】以下の迷宮に出現するというのが一般の見解だ。ベルがいたのは【5階層】。『ダンジョンは何が起こるか判らない』というのが共通認識だが明らかにこの状況はおかしいのである。

 その理由、原因として【ロキ・ファミリア】の存在がある。【ロキ・ファミリア】は深層への遠征の帰りで【17階層】から【16階層】に差し掛かる手前で“ミノタウロス”の集団と遭遇(エンカウント)したのだ。第一級冒険者(ア イ ズ た ち)にとって取るに足らない相手。だが“ミノタウロス”の行動は他のモンスターと異なり、一匹仕留めると上層に向かって逃走したのである。

 道が入り組んだダンジョンで一度見失えば、再び見つける事は困難だ。判っていたのだがアイズはミノタウロスの最後の一匹を見失ったのである。

 団員仲間の狼人(ウェアウルフ)の嗅覚のサポートもあり、追い付いた時には既に【5階層】。そしてそのミノタウロスを視界に捉えた時には、男が放った“剣術”による“炎虎”がミノタウロスの全身を呑み込んでいた。その男が煉獄である。

 

 

「なに、気にするな!」

 

「ごめ…いえ、有難うございます」

 

「うむ!いい表情(かお)だ!」

 

「き、君も…大じょ────」

 

「おーいアイズ!何して……テメェは」

 

 

 アイズがベルに声を掛けようとした、その時。

 ジョッキを片手に狼人(ウェアウルフ)の青年が、アイズの言葉を遮るように詰め寄ってきた。その青年は二人の顔、というより煉獄の顔を見て怪訝な表情を浮かべた。

 

 

「アイズ、雑魚との会話はやめとけ」

 

「────っ」

 

 

 怪訝な表情を浮かべたのは煉獄を見て、だったが“雑魚”と表現した時の視線の先にはベルがいた。

 ベルは全身が発火した様に熱くなる。体で火照っていない場所が見付からないぐらい体の奥から燃え盛った。

 

 

「べ、ベートさん……!」

 

「何だよ、アイズ。雑魚を雑魚と言って何が悪い?何も間違ったこと俺ァ言ってねェだろうがっ!」

 

 

 酒気を帯びているのか、ベートと呼ばれた狼人(ウェアウルフ)の青年はベルを見下し、嘲笑を響かせながら続ける。

 ベートはベルがミノタウロスに襲われているその瞬間を遠目から視認していた。涙腺を決壊させ瞳に涙を溜めるベル()の姿をしっかりと捉えていた。その様な存在がベートにとって一番癪に障るのだ。

 ベルは頭の隅がゴリゴリ削られていく様な錯覚を覚える。しかし何一つ言い返す事ができない。

 

 

「そら、このザマだ……!救えねェ腰抜けに雑魚と言って何が悪ィんだよ!」

 

「だ、だからといって……!」

 

「止めんじゃねェよアイズ!!俺はなァ!言うことだけは一人前で歯向かう気概もねェ、毎日毎日自分(テメェ)より弱ェモンスターを仕留めていい気になってる雑魚が一番嫌いなんだよ!吼えることも出来ねェ奴は冒険者なんざ()()()()()()!!」

 

 

 ベートは吼えた。アイズはその気迫に押し黙ってしまう。

 ベルは惨めな自分が恥ずかしくて唇を噛み締めていた。言い返せない、目を伏せる事しか出来ない。何もしていない、煉獄に『弟子にしてくれ』と最初から他人任せだった自分に(はらわた)が煮えくり返る。青年の言を肯定してしまう弱い自分が、何も言い返せない愚かな自分が、堪らなく悔しい。

 感情が乏しいアイズでさえも、嫌悪の表情を滲ませている。だがこの場で一人だけ、先程と全く表情を変えていない男が口を開いた。

 

 

「君が言う“雑魚(弱き者)”を護るのが強き者の責務だろう?」

 

「あ゛?」

 

「力有る者が力無き者を護るのは至極当然だと言っている。違うか?」

 

「んだと……!テメェみてェな奴が、そうやって甘やかすから群れる事しか脳がねェ雑魚に成り下がんだろうがッ!『俺は強ェ』と勘違いする雑魚が増えんだろうがッ!」

 

 

 ベートに真っ向から意見をぶつける煉獄。

 今まで口を開かなかったのはベートの発言の一部は理解が出来るからだ。しかしベートの“弱い者”を見下すだけ、嘲笑するだけ、吐いて捨てるだけ、理由も無く拒絶するだけの姿勢は到底許容出来る範疇には無い。

 

 

「確かに君の言う様に己の限界を勝手に決め付け、足を止め、詭弁を並べるだけの者はごまんといるだろう。然し、仮例(たとえ)そうであったとしても強き者は、救える力を持つ者は、弱き者を助く為に力を奮わねばならない。それに────」

 

 

 煉獄は顔を伏せるベルを一瞥し立ち上がる。ベルの隣に立ち、正面からベートを見据える。そして唇の端から血の筋を垂らし、体を悔しさで振るわせるベルの頭に優しく手を置いた。

 

 

 

「クラネル少年は今、己の弱さや不甲斐なさに打ちのめされている。歯を喰いしばり、君が口にした惰弱、貧弱、虚弱、軟弱、怯弱、脆弱の言の数々に目を背ける事なく全て受け止めている。静かに、ただ静かに…心を燃やしている」

 

 

 

「“強さ”というものは肉体のみに使う言葉では無い。(ひと)人生(生き方)他人(ひと)が決めるものでは決して無い」

 

 

 

 

「彼の“弱さ(強さ)”を侮辱するな」

 

 

 

 

 煉獄の放つ裂帛の気迫が周囲の緊張を極限にまで引き上げる。

 第一級冒険者は臨戦態勢に入り、それ以下の冒険者は煉獄の気迫に気圧された。涙目になっている冒険者さえいる。

 そしてその緊張の空間を破ったのは他でも無いベルだった。

 

 

「─────ッ!!」

 

 

 椅子を飛ばして立ち上がる。殺到した視線を振り払い、外へと飛び出した。

 道行く人々を追い抜いて、周囲の風景を置き去りにして、自分を呼ぶ声を背後に押しやって、夜の街を駆け抜けた。

 歪められた(まなじり)から水滴が浮かんでは、背後へと流れる。吊り上げた瞳に涙を溜め、闇に屹立(きつりつ)する塔に向かってひた走った。

 

 

 

 

「それでいい、クラネル少年────心を燃やせ」

 

 

 

 

 ぽつり、と。

 “豊穣の女主人”の店内の空気が弛緩する中、煉獄は弟子にしたばかりの少年の背中を優しく温かい目で見つめ、呟いた。その呟きは誰に届く事もなく、静かに街の雑踏に掻き消され、霧散した。

 

 

 

 

 




どうでしたか?アニキっぽさ出せたかとても不安です…。

以後謝辞。
『ゆぴこ』さん、高評価ありがとうございます!まさか9なんて評価を貰えるとは思いませんでしたのでとても嬉しくて一日、ふがしふがし、と盛り上がってました。

友人に言ったら『そういう妄想をしてらっしゃるんでしょう?』と善○風に言われたので腹パンしました。私は悪くない。


ではまた次回にお会いしましょう!感想、評価お待ちしてます!!


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第參話


お久しぶりです。
覚えてくれている人がいるかどうか不安ですが投稿しやす!

今回は会話主体ですが、煉獄杏寿郎という男に対しての様々な考えという一話です。

ではどうぞ!!






 ()

 

《豊穣の女主人》

 

 

「ふむ」

 

 

 (またた)く間の出来事に、店内外の大半の冒険者は何が起きたか把握できずにいた。

 だが把握できた者の視線の先は二つに分かれ、向けられている。

 一方は決河の勢いで飛び出した少年を追い、もう一方はその少年の背を慈愛の籠もった目で見つめる一人の男に向けられていた。

 男はその少年の背が見えなくなると、正面で牙を剥く狼人(ウェアウルフ)の青年に視線を飛ばす。

 

 

「言っただろう?彼は強い、と」

 

「……ハッ、尻尾巻いて逃げただけだろ?この空気に耐えれきれねェで」

 

「…」

 

「んだよ、言っとくが俺は曲げねェよ。テメェがどう思うが、雑魚は雑魚だ。馴れ合いってのは自分(テメェ)の失敗を自分(テメェ)で誤魔化す為の自己満足だろ?塵芥(ゴミ)塵芥(ゴミ)と言って何が悪い?」

 

 

「…」

 

 

 暫しの沈黙。

 瞠目する煉獄は静かに、ただ静かに日輪刀の鞘に左手を添える。

 静謐なのは表相(うわべ)だけで、内に燃ゆる炎心は今にも噴き出さん限りに五臓六腑に拡がり燻っている。

 狼人(ウェアウルフ)の青年────ベート・ローガ、及び“豊穣の女主人”の客、店員に裂帛の気迫をぶつけた時とは真逆の煉獄の佇みに、再び緊張感が疾走(はし)るのは必然だった。

 

 

「すまない」

 

 

 彼我の距離に割って()る冷徹な声。

 ベートの前に立ち、煉獄を下から見上げる少年、否、纏う空気は煉獄に勝るとも劣らず、強者の佇まいそのもの。

 (やわ)黄金(こがね)色の髪に湖面の様な碧眼。この酒場にいる誰よりも幼い外見でありながら、深い理知を感じさせる相貌と声音。

 

 

「おいフィン!!邪魔すんじゃ────」

 

「ベートッ!!……彼に、()()()()()()()

 

 

 この空気の趨勢(すうせい)を見極める少年の声は高く鋭い。

 ベートの言葉を遮る叱責は、理知から漏れ出た怒りと少しの恐れを含んでいた。

 柳眉(りゅうび)を逆立てる“フィン”と呼ばれた少年は、ベートから視線を引き払い、再び煉獄と向き合う。

 

 

「…………チッ!俺はお前を認めねェ、それと俺はお前が嫌いだ。それだけは言っとく」

 

「気が合うな!初対面だが俺も既に君の事が嫌いだ」

 

 

 居心地が悪くなったのか、ベートは悪態をつき、豊穣の女主人を出て行く。誰も彼を引き留めはしなかった。

 煉獄は鞘から手を離し、腕を組む。そして────。

 

 

「僕の団員が失礼を働いた、申し訳無い」

 

「うむ!こちらこそ朗らかな酒の席を壊してしまい申し訳無い!鬼殺隊・炎柱“煉獄杏寿郎”だ!よしなに頼む!」

 

「ハハ…改めて。僕の名前は“フィン・ディムナ”。【ロキ・ファミリア】の団長を務めてるよ。宜しく、杏寿郎」

 

 

 双方の謝罪の後、固く結ばれる二人の掌。

 空気が弛緩し、緊張が霧散し、溌剌(はつらつ)とした酒場の雰囲気に戻っていく。多くに届いた二人の会話も、辺りの喧騒に掻き消されていく。

 

 

「して、フィン。貴殿の背丈は(わっぱ)程しかないが、纏う空気は幾度と死線を潜り抜けた強者のもの!なぜだ?」

 

「あぁ、僕は小人族(パルゥム)という種族でこういう体質なんだ。もう歳は四十(しじゅう)は超えてるよ」

 

「なんと!“ぱるぅむ”という言葉は存じないが、この世界は本当に奇天烈なものばかりよ!愉快愉快!」

 

「僕にとっては君が奇天烈そのものなんだけどね…」

 

 

 豪気に笑う煉獄と少し引き気味に笑むフィン。

 ウエイトレス姿の店員はその光景に怪訝の目を向けたり、呆れた目を向けたりと十人十色。好ましくない客である事は確かだからだ。下手に目立つ為、声を掛けることこそしないが。

 

 

「杏寿郎、君はファミリアには所属していないのかい?」

 

「していない!抑々(そもそも)、この世界に来たのが今日だからな!」

 

()()()()……?」

 

「うむ!フィン、君は“鬼”という言葉を聞いたことはあるか?」

 

「“おに”、“おに”、“おに”……いや、無い。知識には自信があるけれど全く無いね。それが?」

 

「“鬼狩り”と言ってな、俺を含め“鬼殺隊”という組織は、無辜なる民を護る為に、人を喰らう“鬼”を屠ることを生業としている。悪鬼・滅殺、隊の矜持だ!」

 

「“おにがり”、“きさつたい”…聞き覚えはない、ね。本当に違う世界線から来たのかい?有り得ないとは一概に言えないのが、オラリオの面倒なところなんだけど」

 

「フィン、その男、嘘は吐いてへんよ」

 

 

 二人の会話に、ジョッキを片手に口を挟む女性が一人。

 糸目に緋色の髪、淡麗な顔立ちに出るところは全く出ていない体。

 この世界で“神”と呼ばれる超常の存在の一人である。フィンらが所属しているファミリアの主神────ロキだ。

 

 

「うちは“ロキ”。フィン達のファミリアの主神っちゅうやつやな!杏寿郎、【ロキ・ファミリア(う ち)】の家族にならへん?」

 

「む??」

 

「やから、【ロキ・ファミリア(う ち)】のファミリアに入らへんか〜?っちゅうお誘いや。うちはこれでもオラリオ中ではトップでな?オラリオ(こっち)に来た背景とかその他諸々調べるには便利やで?どうや!」

 

 

 ジョッキをを掲げ、無い胸を張り、ロキは意気揚々に勧誘する。

 勿論、ロキが挙げた条件というものは煉獄にとっては大きく知りたい事である。何せ、なぜこの世界に飛ばされたのか、召喚されたのか、理由も何も判明していないからだ─────だが。

 

 

 

 

 

「有難い誘いだが断らせて貰おう」

 

 

 

 

 

 煉獄は一切の迷いも無しに一点の曇りの無い瞳でそう答えた。

 ロキとフィンは目を丸くする。まさか断れるとも、そして瞬時に答えが返ってくるとも思っていなかったからだ。

 

 

「…理由を聞いてもえぇ?」

 

「あぁ!ロキ、君のファミリアに入るという事は君の下に付く、という事と同意義だろう?!」

 

「ま、まぁそやな。うちの眷属(こども)としてここで暮らし、ダンジョンに身を投じるっちゅう意味や」

 

 

 ロキが言うように、ここ“オラリオ”、即ちダンジョンに身を投じる冒険者達は、何かしらの夢を持っており、人それぞれに目指すべき場所がある。未到達領域に踏み入り歴史に名を遺そうとする者、商売で一攫千金を狙う者、酒池肉林を追い求める者、命を(なげう)つ冒険に興奮する者…或る意味、群雄割拠なのだ。

 

 そしてそれは、煉獄杏寿郎も()()()()()()

 煉獄はロキの言葉に数度と激しく頷くと、双眸を見開き、明朗快活に言う。

 

 

 

 

「俺の心は既に“お館様”に預けてある!他の者の下に付く気は毛頭ないッ!!」

 

 

 

 

 初志貫徹。

 煉獄杏寿郎という男は、たとえ世界が変わろうが、誠心誠意、忠義を貫くのだ。

 それが煉獄杏寿郎が煉獄杏寿郎で在る為の矜持で、誇りで、強さであるから。

 誰であってもその志を、心を圧し折る事は出来ない。出来やしないのである。

 

 

 

「それに!俺はこの世界に来た理由など微塵も興味は無い!」

 

 

 

 そう、煉獄はこの世界に召喚された理由など、どうでも良かった。知りたくない、と言えば嘘になるが心底どうでもいいのである。

 あの世界に戻りたいとは思わない。既に、命を燃やし尽くした身だ。加うるに、“煉獄杏寿郎”の熱き魂の在り方は()()()()()()()()()()()()

 

 だが、たった一つ。

 煉獄が元居たの世界で遣り残した事がある。それは─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソがッ!!」

 

 

 苛立ちを隠さぬ、忿懣(ふんまん)の表情を浮かべる孤狼が一人。

 忿懣と言うが、忸怩たる思いも滲ませていた。孤狼────ベート・ローガは現在、複数の感情が入り混じり、遣る瀬無い感情に振り回されているのだ。

 

 

────弱き者を護るのは強き者の責務

 

 

 数刻前、或る男に言われた言葉に────。

 自身の『弱者を甘やかすな』という過去の経験から得た寓意とは真逆の旗幟(きし)を、真っ向から衝突させられ、懊悩し、今に至る。

 

 

「認めねェ……」

 

 

 あの時、男が魅せた裂帛の気迫を直近で受けたベートの体は“畏怖”に染まっていた。そう、ベートの確固たる意思が認めたくないだけで、事実、体が認めていたのだ。男────煉獄杏寿郎が自身より上である、と。

 故に、尚更認める事が出来ないのだ。

 オラリオの冒険者は、【Lv.7】から【Lv.1】まで存在する。その人数は下に行けば行くほど多くなる。つまり頂点から三角形の様に人数が増えていく。

 ベートの考えは下の人間が上に登るには、自身の力で登る以外無いというもの。甘やかす、助け合いなど不要であると。しかし、煉獄の考えは真逆で、上は下の者を護る為に刀を振るうべきであると。それが強き者の責務であると、そういうのだ。無論、煉獄はベートの考えの全ては否定していない。事実ではあるのだ。

 だが、ベートは自身より上の実力を持っていると認識した、否、認識()()()()()からこそ、強者の役儀は弱者を(たす)くこと、という寄り添い、必要以上に馴れ合う関係を嫌悪するのだ。上の者が下の者に檄を飛ばさずして誰がするのだ、と。

 

 

「俺ァ俺のやり方を貫く……!」

 

 

 激情の炎が宿る双眸と‘強さ’への渇望がベートを突き動かす。

 貫徹している信念を捻じ曲げることもなく、ただ独り、誰よりも強者で在りたいが為に。

 誰も彼もベートをエゴの塊だと言えない。この世界では強さが全てで、弱い者は、自身の力を見誤る者は先に先に死んで逝く。

 ベートと煉獄、決して交わらぬ双方の信念は、誰一人として否定し唾棄することなど出来ないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベル……」

 

 知り合ったばかりの少年の名を小振り唇に乗せる。

 白い髪に細身の体が店から飛び出した時、急転直下のことで暫く固まっていた“アイズ・ヴァレンシュタイン”は、暫くして店の外へと歩み出た。

 背には再び活気湧く冒険者の喧騒。その中に、一段目立つ明朗な声を耳が拾う。

 

 

「鬼滅隊・炎柱“煉獄杏寿郎”だ!よしなに頼む!」

 

 

 彼と会うのは二度目。

 一度はダンジョンで、二度目は酒場で。纏う空気は自分達と同質、即ち強者(つわもの)のそれだった。常にひとときの隙も無い重く、過密な空気。

 

 

────弱き者を護るのは強き者の責務

 

 

 煉獄が口にした言葉が頭の中を延々と反芻する。

 アイズは間接的に、ではあるが少年を傷付けた。一度ならず二度までも。

 煉獄の言葉に則るならばアイズはその責務を放棄している事になる。勿論、それは煉獄杏寿郎という男の在り方であり、アイズが尊守する必要は皆無である。

 

 

「私は……弱い、ね」

 

 

 煉獄の様に高潔で在れない心の弱さが。

 自分の意と反しているベートの言い分に強く言えない少胆さが。

 責務も何も自分可愛さに他者との関わりに一歩踏み出せない内気さが。

 畢竟(ひっきょう)、仲間に自分の弱さを曝け出せない臆病さが。

 精神的にまだ幼いアイズにとって、煉獄杏寿郎という男の在り方と言葉は酷く突き刺さるものだったのだ。

 

 

「私は…どうしたらいいの、かな」

 

 

 アイズの問いかけに応える者は誰一人として居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

 

 

 喉が張り裂けんばかりの咆哮。

 血河流るる脆弱な肉体。

 脳の信号よりも先行する激情が乗る、刃零れしかけのナイフをただただ振るう。

 

 

(悔しい!悔しい!悔しいッ!!)

 

 

 殺意を覚えるのは自身を蔑んだ青年でも周囲で馬鹿にしていた他人でもない。

 何もしていないくせに無償で何かを期待していた、愚かな自分に対してだ。

 

 

「畜生ッ!」

 

 

 青年の言を肯定してしまう弱い自分が。

 何も言い返せなかった無力な自分が。

 悔しさに身を震わせることしか出来ない愚かな自分が。

 

 

────弱き者を護るのは強き者の責務

 

 

 熱き魂に護られるだけの自分が。

 自分の代わりに青年の前に立ってくれた事に()()()()()()()()自分が。

 彼女の隣に立つ資格を、欠片も所持していない自分が。

 甘えるばかりの飢食の自分が。我儘な自分が─────酷く、苛立たしい。

 

 

「ッ!!」

 

 

 既に少年の衣服はぼろぼろであった。追い剥ぎにあったかのように。

 右手に握る護身用の短刀は、無数の怪物の血に染め上げられ濡れている。装備も(ろく)調(ととの)えず、傷だらけになっている自分の体を他人事のように感じるまでに、少年はただモンスターを屠る機械となっていた。

 弱くて、惨めな自分の力を認め、自棄になり、絶えず湧き出す悔しさを糧に、手の中にある一つの武器を振り続けた。

 

 

「はぁっ、はっ、は……ッ!」

 

 

 緊張の糸が途切れ、理性を手放した虐殺ファイトに終わりが来る。

 疲労がどっと押し寄せ、出し抜けに膝が折れ曲がりそうになり、限界が近いことを知る。

 だがダンジョンは無慈悲だ。ピキリ、と音を鳴らすと蜘蛛の巣の様に放射線状に亀裂が走り、新たなモンスターが生まれ堕つ。

 

 

「ははっ……」

 

 

 突発にでる笑い。諦念か呆れか、それともまた別の何かか。

 疑いようの無い窮地。抱いた想いは決意と意地。

 脆弱な覚悟は血痰と共に吐いて捨てる。

 短刀を握り締め、構える。自身を囲む意思の無きモンスターに深紅(ルベライト)の双眸で睨み付ける。

 

 

「ここから、ここからだ……」

 

 

  燃やせ、燃やせ…燃やせ!

 沸騰する血流を全身で体感すると、瞳孔が狭窄(きょうさく)した。

 自身を襲う鋭利な尖爪が、いや全ての動きが緩慢になり、走馬灯共に耳横を駆け抜けていく。

 

 鮮明に光を放つ記憶は少女(憧憬)との出会いと何時も傍にいて支えてくれる大切な神様(だれか)の笑顔。

 

 そして────誰よりも大きい師匠(強者)の背中。

 

 

 

 

 

 

「僕は………強くなりたいッッ!!」

 

 

 

 

 





お楽しみいただけましたか?
ベートは信念を曲げず、アイズは自責を考え、ベルは一歩踏み出しました。その全てが『弱き者を護るのは強き者の責務』という点に繋がります。
前回の感想で『使い過ぎじゃない?』と指摘を受けましたが、今回の話に繋げるため、多く使いました。

一応の補足ですが、煉獄さんはベートの在り方までは批判していません。譲れない信念、という意味では煉獄さんも持っていますから。それ自体は否定していません。


以後恒例謝辞。
『ましろんろん』さん、『トラソティス』さん、最高評価有難う御座います!!
『メタドラ』さん、『三大【天】』さん、『ken1121』さん、『茶丼』さん、『ヘラクレス兜』さん、『綺麗なジャイアン』さん、『ALUTAILU』さん、『星辰』さん、『綿狐』さん、高評価有難う御座います!!

まさか、こんなに評価を貰えるとは思ってみませんでした。本当に感謝しています。凄く嬉しいです!モチベーションも上がるってもんです!

感想は随時返信していきます。沢山の感想有難う御座います!

ではまた次回!感想、評価お待ちしています!


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