魔法科高校の零蘭家次期当主 (零蘭)
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零蘭家
この家の起源を説明するには、四系統・八種の分類・体系化が確立していなかった西暦二千十年頃に遡らなければならない。
その頃、日本は「エレメンツ」と呼ばれる伝統的な属性に特化した魔法師を開発していた。
それは魔法に対する権力者の怖れが迷信的に強かった時代に開発されたため、決して反逆を起こさないようエレメンツの遺伝子には主に対する絶対服従の因子を組み込むことが科学者に命じられていた。
ところが、エレメンツの中でも優秀な者たちは自力でその因子を無効化し、纏まって一族を結成した。
その時、世論ではエレメンツの魔法師は魔法技能師開発研究所の魔法師に劣るとみなされるようになっていた。
そのため、権力者たちはエレメンツの反逆を捨て置き、分類・体系化された魔法を使う魔法師の開発に勤しんだ。
そして西暦二千八十年頃、その一族は日本政府でさえ無視出来ない程の規模に拡大していた。
権力者たちはその一族に「零」の名と、十師族と同等の特権を与え、懐柔した。そして、その対価に日本を決して裏切らず、日本が危機に陥った時にその力を遺憾なくふるうことを求めた。
その一族、「零蘭」は日本を裏切るつもりは毛頭なく、それを快く承諾する。
権力者たちは歓喜した。十師族と同等以上の戦力を手に入れることができたからだ。
しかし、権力者たちは理解していなかった。零蘭は「日本政府」を裏切らないのではなく、「日本」を裏切らないということに……。
◇ ◇ ◇
零蘭は伝統的な属性に特化した家だ。その中でも、分家の土屋家は「地」に、涼風家は「風」に、零蘭本家は「火」「水」「雷」に特化しがちである。
零蘭では属性をより多く使える者ほど高い地位についている。
そして、一属性持ちはシングル、二属性持ちはダブル、三属性持ちはトリプルと表されている。
大抵の魔法師がシングル、分家の当主や特に力のある者はダブル、そして本家の限られたものだけがトリプルとなる。
また、零蘭では特に戦闘力に優れた者に異名が与えられる。
「異名」と聞くとどこか中二くさかったり、恥ずかしいと思う人がいるかもしれないが、零蘭の者にとって異名持ちは実力を示す重要な要素であり、憧れの一つだ。
◇ ◇ ◇
零蘭が所謂「日本の守護者」であることは限られた者しか知らず、表向きでは「十師族と同等の特権を持つ属性魔法の名家」ということになっている。
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